大分県議会 > 2020-09-15 >
09月15日-02号

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  1. 大分県議会 2020-09-15
    09月15日-02号


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    最終取得日: 2023-06-13
    令和 2年 第3回定例会(9月)     令和2年第3回大分県議会定例会会議録(第2号)令和2年9月15日(火曜日)  -------------------------------議事日程第2号            令和2年9月15日              午前10時開議第1 代表質問  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 代表質問  -------------------------------出席議員 42名  議長        麻生栄作  副議長       嶋 幸一            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            土居昌弘            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄欠席議員 1名            濱田 洋  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    高屋 博  企業局長      工藤正俊  病院局長      田代英哉  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    高橋基典  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 森 優子  -------------------------------     午前10時 開議 ○麻生栄作議長 皆様おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  -------------------------------麻生栄作議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第2号により行います。  ------------------------------- △日程第1 代表質問 ○麻生栄作議長 日程第1、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。御手洗吉生君。  〔御手洗議員登壇〕(拍手) ◆御手洗吉生議員 おはようございます。20番、自由民主党御手洗吉生です。自民党会派を代表して質問します。 まず初めに、昨日、突然の安倍総理の辞任に伴い自民党総裁選が行われました。大分県連では、党員、党友の思いを反映させたいと県連独自の予備選挙を行い、その開票結果をもって投票に臨みました。私も県連代表の一人として投票してきました。その結果、自助、共助、公助、絆を政治理念とする菅官房長官が新しい総裁に当選されました。菅新総裁にはこの信念を持って、必ずやコロナ禍をはじめとする国難を打開してくれると信じ、大いに期待しています。協力していただいた方々にこの場をかりて厚くお礼申し上げます。 質問に入ります。豪雨災害からの復旧・復興について。 まずは、令和2年7月豪雨によりお亡くなりになった方々に対して御冥福をお祈りしますとともに、被災された方々へ心からお見舞いを申し上げます。 今回の豪雨では、本県でも活発な梅雨前線の影響によって、複数の観測所で48時間、72時間の各降水量が観測史上1位を記録しており、日田市、由布市、九重町、玖珠町を中心に河川の氾濫や土砂崩れなどにより、道路、河川、鉄道、農地、農業施設など各方面に甚大な被害をもたらしました。人的被害も大きく、死者6人、負傷者5人となり、住宅被害では全壊63棟、半壊194棟、浸水被害は629棟となっています。さらには、天ヶ瀬温泉街など観光関係事業者への被害も深刻なものとなっています。 県西部では、平成24年、29年の豪雨災害に続き、この10年間に3度の大きな水害に見舞われたことになり、自然の驚異と、それらへの備えの重要性を改めて感じました。 このような中、知事におかれては、災害の発生前から早期警戒にあたり、被災後も市町と一体となって孤立集落の解消やライフラインの確保など、被災者支援に迅速に取り組んでいただいたことに感謝申し上げます。 また、被災2市2町で速やかに現地災害対策会議を開催し、被害状況を共有するとともに、復旧・復興に向けた具体的な連携策について議論するなど、スピード感を持って取り組んでおられます。 他方、道路や河川など被害が多岐にわたっていますが、被害額は最新の集計によると、社会インフラ関係が365億円、農林水産関係が182億円など総額約608億円となっています。 このように被害が大きかっただけに、復旧・復興までには時間を要する工事なども出てくるものと思われます。また、近年の状況から、こうした豪雨が今後も多発すると考えられます。復旧については、ぜひ単純な復旧ではなく、今後を見据えた改良復旧工事を中心にお願いします。 インフラの復旧もさることながら、これからは被災地の皆さんが一刻も早く安全・安心な生活が送れるよう具体的な支援策はもとより、それらを進捗管理する復旧・復興推進計画が重要になってくるのではないかと考えます。 そこで、知事にお尋ねします。 今回の豪雨災害に伴い、8月に策定された復旧・復興推進計画による早期の復旧・復興に向けた思いや決意についてお聞かせください。 次に、コロナ禍からの社会経済の再活性化について伺います。 今回の7月豪雨災害もさることながら、県民にとってもう一つの災害ともいえるのが新型コロナウイルス感染症の世界的な流行であると思います。今年の世界的な経済の混迷は、この感染症の流行が発端であると言っても過言ではありません。本県での感染状況は、3月に発生後、4月下旬には一度小康状態になりましたが、7月28日に再び確認され、8月16日には累計患者数が100人を超えました。この状況を受け、広瀬知事は8月18日の記者会見において、第2波ともいえる状況との認識を示されました。 このように、本県では新型コロナウイルスの感染拡大に対し、油断できない瀬戸際の状況にあります。と同時に、社会経済面でも非常に厳しい情勢が続いています。日本銀行大分支店が9月に発表した大分県内の景気動向によると、県内景気は新型コロナウイルス感染症の影響から一部に持ち直しの動きが見られるものの、引き続き厳しい状況にあるとされ、経済はいまだ低迷している状況です。また、今回の新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷は、外出自粛をはじめ、多くの経済活動が抑制されたことから、飲食・宿泊業だけでなく、農林水産業関係者、医療機関やタクシーをはじめとする交通機関に至るまで、多くの民間企業で減収減益となり、経営が厳しい状況となっているところが特徴的です。 県では、こうした状況を踏まえ、6月の臨時会、定例会において大型の補正予算を編成し、県経済の基盤の再構築を図る施策を実行しています。特に中小企業・小規模事業者応援金給付事業は、国の持続化給付金雇用調整助成金とあわせて、事業者にとって経営破綻を回避する一助となっており、給付も迅速に行われたと伺っています。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の第2波の発生や、7月豪雨の影響もあり、経済活動が回復に向かっていると言える状況ではありません。我が党としては、去る7月22日に令和2年7月豪雨からの復旧復興対策及び新型コロナウイルス関連の経済対策と題し、広瀬知事に現場の声をまとめた2項目の要望を提出しました。その中でも御提案しましたが、事業再開や継続に対する支援をさらに強化し、引き続き経済の活性化を図ることが必要だと考えます。 広瀬知事は6月の臨時会において、我が会派の土居議員からの補正予算に関する質問に対して、今後の新型コロナウイルスへの対応について、感染症の再流行への備えと社会経済活動の再活性化を両立させるため、新型コロナウイルス感染症対策本部と社会経済再活性化緊急推進本部を両輪としながら危機的状況に立ち向かい、大分県の活力を取り戻すと回答されました。 そこで、社会経済再活性化緊急推進本部での議論を踏まえ、今後どのように社会経済活動の再活性化に力を入れていこうとしているのか、知事の考えを伺います。 次に、財政運営について質問します。 本年度の上半期は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策や、その後の社会経済の再生を図るための経済対策、さらに令和2年7月豪雨からの復旧・復興への対応と誰もが予測しない大きな危機が連続して訪れたため、県民にとっては、近年にも増して県からの経済的な支援の手が必要な状況になっています。そのため、豪雨災害については、7月専決を行い、さらに今回の第3回定例会には災害復旧関連新型コロナウイルス関連追加経済対策など8月専決分とあわせて711億円の補正予算が上程されています。実に、今年度に入り6回目の補正予算です。 さきほども申しましたが、我が党でも、豪雨災害に被災した地域住民やコロナ禍の影響を受けた経営者の皆さんからの御意見を伺い、7月に今回の豪雨災害の復旧・復興対策と新型コロナウイルス関連の追加の経済対策を知事にお願いしました。今回の補正予算は、これらに的確に応える内容となっており、正に県民が望んでいる予算が編成されているのではないかと思います。 しかしながら、心配なのは長期的な視点から見た財政状況です。今年度のこれまでの緊急的な財政措置は、災害への対応等でやむを得ざるものではありますが、既に今回の補正予算まで約64億円の一般財源を計上しています。もちろん、国の地方創生臨時交付金などの特定財源も活用した上でのことではありますが、この一般財源の原資となっている財政調整用基金残高は、当初予定していたよりも厳しい状況になっていると思います。確かに不測の事態に活用してこそ財政調整用基金ですが、だからこそ、今後の財政の安定運営にはその見通しは欠かせないものであると考えます。 7月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2020、いわゆる骨太の方針によると、令和3年度については、感染症拡大の動向とその経済、国民生活の影響を見極めつつ編成するとしています。また、同じ骨太の方針の中で、ウィズコロナの経済戦略として、これ以上の解雇や倒産は生じさせないという断固たる決意で雇用と事業を守り、需要を取り戻す消費喚起策を適時適切に展開することにより、デフレへの後戻りを何としても回避するとしています。県としてもこの動きに合わせ、社会経済の再活性化に向けて、次年度についても充実した予算を編成していく必要があると考えます。また、災害もいつ起きるか分かりません。地方財政措置のある有利な県債の発行や、特定財源の活用を十分に行い、財政調整用基金の余力を残していくことも必要です。その意味でも、しっかりとした財政見通しと財源の確保は重要です。 前年度の決算見込みや国の概算要求の状況を踏まえ、今後の財政運営に対する知事の見解を伺います。 次に、高齢者福祉について、おおいた高齢者いきいきプランの改定について伺います。 県では今年度、高齢者福祉施策の基本方針となる第8期おおいた高齢者いきいきプランの策定に向け、現行計画の見直しを行うと聞いています。 本県の高齢化率は、令和元年10月1日現在で32.9%と、全国平均の28.4%に比べ4.5ポイントも高く、全国に先駆けて高齢化が進んでいる状況です。こうした中、県では、団塊の世代が全て75歳以上になる令和7年を見据え、医療、介護、介護予防、生活支援、住まいの五つのサービスを一体的に提供することにより、高齢者が生きがいを持って、健康で安心して暮らせる地域づくり、いわゆる地域包括ケアシステムの深化、推進を目指し、介護予防や医療と介護の連携、認知症施策の推進など様々な取組を進めています。 今後、本県は少子化に伴い現役世代が急速に減少していく一方で、令和7年に高齢者人口のピークを迎え、その後も介護ニーズの高い85歳以上高齢者の人口増加が見込まれています。また、高齢者だけの世帯や認知症の方のさらなる増加も見込まれています。そうした状況を踏まえつつ、地域の高齢者を支えていく仕組みを考えていく必要があると考えます。 7月には国において、計画を作成する上でのガイドラインとなる基本指針案が公表されました。令和7年や22年を見据えたサービス基盤、人的基盤の整備に加え、地域共生社会の実現や介護予防、健康づくり施策の充実、推進などが盛り込まれているほか、今般の新型コロナウイルス感染症拡大や豪雨災害による被害が相次いでいることも踏まえ、感染症や災害への対応が今回新たに追加されています。 こうしたことも踏まえ、第8期おおいた高齢者いきいきプランの策定に向け、知事の意気込みをお聞かせください。 次に、介護における外国人材の確保についてお伺いします。 厚生労働省の推計によれば、本県の介護職員は令和7年には1,600人不足する見込みとなっており、今後の介護人材の不足が危惧される状況です。 この状況を打開する方策の一つとして、外国人技能実習生特定技能外国人の受入れが注目されていることについて、本年第1回定例会でも取り上げました。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現在、外国人材の県内施設への受入れが全く進んでおらず、このままでは介護人材不足にさらに拍車がかかるのではないかと非常に心配しています。 新型コロナウイルス感染症については、国内でもさらなる感染拡大が懸念されており、今後の見通しを立てることも困難なことと思いますが、今年度の本県における外国人介護人材の受入状況と今後の対策について考えをお聞かせください。 また、第1回定例会では、外国人の受入れに係る日本語の学習費用や住居費用など様々な費用負担の問題について県の見解を伺ったところであり、その際、福祉保健部長より介護保険施設の団体や有識者で構成する受入推進協議会の意見も聞きながら、県として何ができるか研究したいとの答弁をいただきました。実習生らに対しては、なるべく負担を少なくしてあげるとともに、社会福祉協議会などを活用して公的な立場から多角的に支えてあげる体制が重要であると思います。ぜひ一歩前向きに考えを進めていただきたいと思います。その後の県における研究の状況についてもあわせてお聞かせください。 次に、高齢者の交通安全対策について伺います。 昨年の全国の交通事故死者数は、国の発表によると3,215人と、一昨年に比べ317人減少しています。近年、死者数は減少し続けているようですが、65歳以上の高齢者が占める割合は5割強と横ばいのままです。 一方、本県の状況を見てみると、昨年の死者数は41人と、過去最少であった一昨年に比べ2人増えたものの、過去3番目の少なさでした。65歳以上の犠牲者は7割と、全国に比べ高齢者の割合が高いことが特徴的です。 私は、高齢者人口の増加に伴い、高齢者の交通事故犠牲者に占める割合は、今後も高止まりすると考えます。言うまでもなく、人は加齢に伴い身体機能に変化が生じます。それはハンドルやブレーキ操作の遅れにもつながり、悲惨な事故の原因にもなります。 記憶に新しいところでは、昨年4月、東京池袋で起きた、高齢男性が運転する車の暴走による母子死亡事故が挙げられます。これは社会に大きな衝撃を与えた事件でもありました。他にも同様の事故が各地で発生したというニュースをしばしば目にします。高齢者は被害者になる一方で、加害者にもなる可能性があることも実感させられます。 しかしながら、私の地元である佐伯市のような場所においては、高齢者にとって自動車は必要不可欠な移動手段です。そういう状況を前提とし、今後の高齢化社会の進展を考えてみると、悲惨な交通事故の犠牲者を減らすためには、高齢者自らが身体機能の変化を把握、判断した上で、高齢者の特性に応じた対策につなげていくことが重要ではないでしょうか。 これらを踏まえ、高齢者が被害者、加害者にならないようにするための交通安全教育など、県の対策の現状と課題について伺います。 次に、おおいた農林水産業活力創出プラン2015の取組について伺います。 県は本年3月、挑戦と努力が報われる農林水産業の実現と安心して暮らしていける魅力ある農山漁村づくりを基本目標に掲げた、おおいた農林水産業活力創出プラン2015を改訂し、その施策を着実に展開するため、本年度の具体的な取組と数値目標を明記したアクションプラン2020を策定しました。 プランでは、構造改革のさらなる加速や、マーケットイン商品づくりの加速、産地を牽引する担い手の確保、育成などが掲げられ、令和2年度の農林水産業による創出額を2,433億円とする目標値も設定されています。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大は、外食やイベントの自粛などによる需要の低迷をもたらし、7月の豪雨災害は、本県西部地域を中心に農地の冠水や土砂流入などの多くの被害をもたらし、本年の生産活動継続に大きな影響を与えています。 このような状況ではありますが、生産者の皆さんに経営継続に向けた意欲を強く持ち続けていただくとともに、地方創生に欠かせない重要な産業である農林水産業を成長させていくためには、年次計画となるアクションプラン2020の取組をしっかり進めていく必要があると思います。 そこで、おおいた農林水産業活力創出プラン2015の進捗状況と今後の県の取組についてお伺いします。 次に、九州の東の玄関口としての拠点化戦略について。 まず、九州の東に位置する本県は、九州と本州、四国を結ぶフェリーの約8割が発着しています。この地理的優位性を活かし、多くの人、物が本県を介して九州内外を行き来する状況を作ることで、経済活性化、雇用創出を促進し、地方創生を加速化させることを目的とした九州の東の玄関口としての拠点化戦略が平成29年3月に策定されました。 これまで別府港再編計画の策定、大分港-清水港航路デイリー化、中九州横断道路朝地-竹田インターの開通など、多くの取組について成果が現れています。 空の玄関口である大分空港についても、平成30年度には16年ぶりに利用者数が200万人に回復し、昨年度は国際線旅客ターミナルビルを拡張するなど人の流れの拠点としての機能強化が図られました。今後の課題としては、アクセスの改善を図ることで時間距離を短縮し、利用者の利便性を向上させることなどが挙げられます。 そこで、昨年度行われた戦略の中間見直しを踏まえ、現在のコロナ禍を乗り越えた後の選ばれる空港の実現に向けて、今後どのように進めていくのか、伺います。 次に、港湾の機能強化について。 県は、九州の東の玄関口の拠点化に向けて、港湾の機能強化に取り組んでいます。新聞報道によると、大分港大在地区では、貨物専用フェリーRORO船関東向け便数が九州1位で貨物取扱量が伸びており、昨年度に取り扱った大分港発のシャーシ台数が3万286台と過去最多となっています。背景には、運送業界のドライバー不足で陸送から海上輸送への転換が進んでいることがあり、海上輸送のニーズは今後ますます高まっていくのではないかと考えます。 また、別府港では、フェリーの大型化に対応した岸壁等の整備、老朽化した二つのフェリーターミナルの統合など再編が計画されており、今後の取組が期待されます。 こうした中、コロナ禍の影響で人の移動が制限され、フェリー利用者は大幅に減少し、貨物取扱量も減少傾向にあるため、県内の各港を発着する定期航路への影響が心配されます。 そこで、九州の東の玄関口としての拠点化を進めるため、今後、港湾の機能強化にどのように取り組んでいくのか、伺います。 以上で質問を終わります。 ○麻生栄作議長 ただいまの御手洗吉生君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 御手洗吉生議員には、自由民主党を代表して御質問をいただきました。 まず、私から数点お答えします。 初めに、豪雨災害からの復旧・復興について、今回の7月豪雨では、県内19の観測地点のうち9地点で最大の雨量を記録し、河川の氾濫や土砂崩れなど、広域にわたり甚大な被害をもたらしました。県では、直ちに知事、副知事、関係部局長からなる災害対策本部を立ち上げ、被災者の生活支援を最優先に緊急対応や応急復旧を迅速に進めてきました。 特に被害が大きかった日田市、由布市、九重町、玖珠町では、現地災害対策会議を2度にわたって開催し、市長、町長をはじめ、幹部職員から被害状況、復旧・復興に向けた課題、要望等を直接お伺いしながら、関係者一丸となって対策の検討を重ねてきました。 これらを踏まえ、先般、被災市町別に復旧・復興推進計画を取りまとめ、今後、市町と連携しながら、スピード感を持って本格的な復旧・復興に力を入れますが、今回は次の2点について特に配慮しながら取り組みます。 一つは、道路、河川や農地、林道などの復旧を住民生活や産業活動を支える観点から迅速、着実に進めます。その上で、今回の被害の激しさを考えると、原形復旧はもとより、再度の被災を未然に防ぐため、機能強化も積極的に行っていく必要があります。 例えば、大分川水系では、近年進めてきたななせダム等の整備により、過去最高水位を記録した府内大橋付近でも氾濫が回避され、大分市中心部も大きな浸水被害を免れました。 先日の台風10号など年々頻発、激甚化する自然災害にも対応できるよう、県土の強靱化対策を講じていかなければなりません。このため、今年度までの国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策についても、今後の新たな枠組みづくりを国に強く求めています。 二つは、被災された中小企業・小規模事業者等に対する支援の強化です。コロナ禍で大幅に落ち込んだ経済が5月下旬の緊急事態宣言解除後、徐々に動き始め、ようやくこれからという矢先に今回の災害に見舞われました。苦難の重なった観光関係者からは、心が折れたという悲痛な声をたくさんお聞きしており、そういう事業者に対しては、県独自に補助率を上乗せしたなりわい再建補助金持続化補助金などにより、被災した施設、設備等の復旧支援を行い、事業の再建を強力に後押しします。 さらに、この災害によって国のGoToトラベル事業に参画が困難な関係事業者に対しては、別途、県独自の旅行代金割引や復旧・復興に向けたプロモーションを実施して支援します。 被災された皆さんがもう一度頑張ろうと希望を持っていただけるよう、迅速かつ着実に復旧・復興を進めます。 次に、コロナ禍からの社会経済再活性化についてです。 新型コロナウイルス感染症は、全国で新規感染者の確認が続き、第2波ともいうべき状況ですが、一時期と比べ落ち着きつつあり、本県の感染者の発生も散発的と言える状況です。これは県民の皆様の感染拡大防止の実践の成果であり、改めてこの御努力に対して感謝申し上げます。 しかしながら、本県の社会経済は、人と人との交流や移動の縮小により大きなダメージを受けています。国の4月から6月の実質GDPの年率換算は、前年比28.1%減少しています。感染症根絶はなかなか困難ですから、ウィズコロナという気持ちで、PCR検査や医療体制の充実など感染拡大防止を図りながら、社会経済活動の再活性化の取組を進めることが重要です。 感染症により落ち込んだ本県社会経済を緊急的に再活性化するため、5月に庁内に社会経済再活性化緊急推進本部を立ち上げ、議論を重ねてきました。現場の声を共有し、施策等に反映するため、500社企業訪問に加え、Webを活用し、観光、飲食、ものづくりなど幅広い分野の関係者との議論も続けています。 この議論を踏まえ、民間企業と行政関係者が一丸となって大分県の未来を共に創り上げていくための基本的な方向性を示し、大分県社会経済再活性化戦略を8月27日に策定しました。戦略では、あらゆる分野の県内中小企業・小規模事業者等の新しい生活様式への実践に向けた対応、挑戦を後押しするとともに、新たな産業の創出や地域課題の解決に向けた取組の方向性をまとめています。 例えば、観光では、県民に県内周遊を促す情報発信の強化やワーケーションなど新しい旅のかたちへの移行、飲食では、感染症対策を徹底し、安心して楽しく飲食できる新しい生活様式への移行、定着を進めます。ものづくり分野では、紫外線殺菌装置など新しい分野への挑戦や計画された設備投資を停滞させない取組の推進、農林水産業では、家庭の食事需要の増加などニーズの変化に柔軟に対応して、商品形態の多様化などを進めます。また、経済の下支え、県土強靱化につながる公共工事も早期に進めます。 さらに、感染症に強い経済構造を構築するため、行政のデジタル化の加速や情報通信インフラの高度化、大都市圏と比べて感染リスクの低い地方という強みを活かした移住・定住の推進のほか、感染症や災害リスク等不確実性に備えた企業の事業継続計画、BCPと言われていますが、その策定なども推進します。 戦略を基に民間企業と行政関係者が一丸となり、迅速かつ確実に実行していくことで、感染症の影響により落ち込んだ本県社会経済の再活性化を緊急に前に進めます。 次に、今後の財政運営の見通しについても御心配いただきました。時代の変化に対応した政策を積極的に展開するためには、安定した財政基盤が必要です。 先月発表した令和元年度の普通会計決算見込みでは、実質公債費比率や将来負担比率などの財政健全化4指標は、いずれも早期健全化基準の範囲内となっています。 また、災害や経済不況など不測の事態への備えである財政調整用基金残高について、行財政改革アクションプランの目標額を27億円上回る351億円確保できました。 しかしながら、今年度は新型コロナウイルス感染症や7月豪雨災害など、次々と大きな試練に見舞われています。心の折れるようなつらい思いをされている県民の皆さんを力強く支えられるよう、国の臨時交付金や災害対策パッケージなどをできる限り活用しながら、6度にわたる補正予算を編成し、しっかり対策を講じました。 その際には、財政調整用基金も取り崩したことから、今年度末の残高は約300億円と見込まれ、行財政改革推進計画の目標額を一時的に下回ることになります。このような苦境のときだからこそ、県民生活のために思い切って活用しましたが、中長期的には再び財政基盤を強化していくことが必要です。 そこで、今後の財政運営にあたっては、次の三つを念頭に置きながら取り組んでいく所存です。 一つは、歳入の確保です。来年度は、今年度以上に県税収入の落ち込みが懸念されるほか、地方交付税についても、その原資となる国税収入の減少が見込まれることから、国に対し、地方交付税をはじめとした一般財源総額の確保を強く求めます。 二つは、県債残高の適正管理です。臨時財政対策債等を除く実質的な残高は、これまで発行抑制等により減少させてきました。今後は強靱な県土づくりの推進等により増加する見込みですが、次の世代への責任として必要なことは行いつつ、目標の標準財政規模の約2倍に当たる6,500億円以下の水準を維持できるよう、引き続き適正管理に努めます。 三つ目は、現下の情勢を踏まえた歳出面における選択と集中の徹底です。喫緊の課題である新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済再活性化の両立、災害からの復旧・復興に向け、国の概算要求においてどのような対策が盛り込まれるか見極めた上で、国の財政措置も有効に活用しながら取組を加速します。 こうしたことにより、令和6年度末までに行財政改革推進計画で目標としている財政調整用基金残高は330億円を回復させて、安心・活力・発展の大分県づくりを下支えする確固たる行財政基盤を構築できるよう、しっかりと財政のかじ取りを行います。 次に、おおいた高齢者いきいきプランについて御質問を賜りました。 県では高齢化が進展する中、高齢者が生きがいを持って、健康で安心して暮らせる地域づくりの推進を目指して、地域包括ケアシステムの深化、推進に取り組んできました。 来年度から3年間の県の高齢者福祉施策の基本指針を定める第8期計画については、先月の大分県高齢者福祉施策推進協議会でその策定に向けた検討を始めました。2025年を目前に控え、また、その先のいわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年を見据えて、これまでの取組を継承しつつ、特に次の三つの視点を大事にしたいと考えています。 一つは、健康寿命の延伸です。長寿社会において、長い人生を健康で自分らしく暮らし続けていくことは、県民誰しも願うところです。 県ではこれまで、住民同士で体操など介護予防に取り組む通いの場の普及を市町村等と進めてきました。今後は、自宅に閉じ籠もりがちな男性高齢者も参加したくなるような社会貢献活動や就労的活動といったバリエーションの充実を図るなど、全国で大分県方式と呼ばれる介護予防の先進地の名に恥じないよう、しっかりと取り組んでいきます。 また、現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、これまでの集合型の活動が難しくなり、高齢者の生活機能の低下が心配されます。オンラインの活用や正しい感染症対策の周知など新しい生活様式の下で、人と人とのつながりを保ちながら生活機能を維持できる通いの場の在り方について発信していきます。 二つ目は、介護サービスを支える体制の強化です。今後、介護ニーズが一層高まる中、介護人材の確保は喫緊の課題です。介護という仕事の温かさや魅力、やりがいについて広く知ってもらうため、現役介護職員と協働して、WebやSNS、イベントを通じた情報発信などに取り組みます。また、業務の見える化や切り分けを通じ、ロボット、ICT等の活用、介護の周辺業務を担う元気高齢者の雇用など、業務効率化に取り組む事業所を支援します。 三つ目は、地域共生社会の実現です。今般の新型コロナの感染拡大は、家族や地域の絆を見直すきっかけとなりました。佐伯市などでは、地域の子どもや高齢者、障がい者など誰もが気軽に集い、つながることのできるカフェや食堂の活動が行われています。今後、人口減少が見込まれる中で、高齢者の日々の暮らしを支えていくためには、こうしたあらゆる世代の住民が助け合いながら、地域、暮らし、生きがいを共に創ることのできる社会を目指していくことが必要と考えています。 県民が高齢期になっても住み慣れた地域で、健やかに心豊かに暮らせる大分県づくりに引き続き取り組みます。 御手洗議員には、そのほか、重要なテーマについて御質問をいただきました。その他の部分については、担当部長からお答えします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。  〔廣瀬福祉保健部長登壇〕 ◎廣瀬高博福祉保健部長 外国人介護人材の確保についてお答えします。 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症による入国制限により、4月以降予定されていた方の入国ができていないものと承知しています。 県では今後、コロナ禍が収束し、外国人材の入国が可能となったときに、安心して本県に来ていただけるよう準備を進めています。 介護の仕事や本県の魅力を紹介するPR動画を作成し、現地の日本語学校の生徒等に情報発信します。また、介護事業所における受入れが円滑に進むよう好事例集を作成し、受入れに向けた体制を整えていただくこととしています。 御指摘の外国人材への支援については、アドバイザーを県社会福祉協議会に配置し、来県した方の学習、生活両面のサポートを行っています。 費用面についても、今年度から日本語学習に要する教材や機器等の経費を受入れ事業所に助成しています。今後は、今月開催した大分県外国人介護人材受入推進協議会で出された住居などに関する意見や国の制度の動向も踏まえ、必要な支援について検討を進めます。 ○麻生栄作議長 高橋生活環境部長。  〔高橋生活環境部長登壇〕 ◎高橋基典生活環境部長 高齢者の交通安全対策についてお答えします。 高齢者が交通事故の加害者や被害者とならないためには、自分の身体能力の変化を認識し、行動することが重要です。 そのため、県では警察や市町村と連携し、運転操作や道路横断を体感できるいきいき交通安全体験講座を実施しており、昨年度は約1,700人の高齢者に御参加いただきました。アンケート結果によると、ハンドル操作やブレーキを踏むタイミングが遅くなったことに気付いた、また、反射材の着用を心がけたいとの回答がありました。 一方で、免許を返納したいが、生活に不便で決断できないとの御意見もありました。運転免許を返納した高齢者に対しては、現在、県下317店舗の協力の下に、タクシー料金や商品購入の割引等の支援を行っています。 さらなる高齢者の交通事故抑止のためには、より多くの高齢者に対する交通安全教育が重要です。 県としては、こうした取組をさらに充実させるとともに、警察をはじめ、関係機関、団体と連携し、高齢者の事故実態に応じた横断歩道でのマナーアップや反射材着装運動など、高齢者に安全行動を促す啓発を推進します。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。  〔大友農林水産部長登壇〕 ◎大友進一農林水産部長 おおいた農林水産業活力創出プラン2015の取組についてお答えします。 プランは昨年度改訂し、新たな目標として、農林水産業創出額2,650億円を掲げ、構造改革のさらなる加速などに、生産者、関係団体、市町村とともに取り組んでいます。 もうかる農業に向けて最重要課題で進めている水田の畑地化では、食品企業と連携した加工用野菜の栽培拡大などで、年間目標100ヘクタールの約半分を第1四半期で達成しました。また、就農学校などで過去最多の90人が研修中であり、着実に新規就農者を確保します。 他方で、新型コロナ感染症や7月豪雨災害による創出額などへの影響が懸念されます。このため、おおいた和牛や高級魚等の消費回復に向けた大都市での販路拡大、木造住宅の新築、増改築の促進による県産材利用拡大等に取組を加速します。農地、農業用施設等の復旧を迅速に進めます。 今後は、ウィズコロナ下でのプラン実行が求められます。作業現場の感染対策にもつながるスマート農林水産業の推進、新しい生活様式の中で増加するネット販売への販路拡大、地方移住への関心の高まりを踏まえたオンライン就業相談等による担い手の確保など、変化に対応して施策を展開します。 厳しい状況が続きますが、プランの目標達成に向け、関係者一丸となって巻き返しを図ります。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。  〔高屋企画振興部長登壇〕 ◎高屋博企画振興部長 大分空港の活性化についてお答えします。 平成29年3月に策定した九州の東の玄関口としての拠点化戦略については、事業の進捗や取り巻く状況の変化に柔軟かつ的確に対応するため、昨年度、中間見直しを行い、人の流れ、物の流れの拠点化に向けた取組を着実に実行しています。 このうち、広域的な人の流れを担う大分空港は、本県唯一の空の結節点であり、地方創生を加速させるためにも重要な拠点です。 そこで、大分空港のさらなる利用者増に向けて、アクセス時間を大幅に短縮し、利便性を大きく向上させることができるホーバークラフトの導入や、アジア初となる水平型宇宙港の実現など、夢の大きなプロジェクトに取り組んでいます。 加えて、民間の資金やノウハウを最大限活用することができ、空港や周辺地域のさらなる活性化が期待できるコンセッション方式の導入についても検討を開始しました。 新型コロナウイルスの収束後、本県が九州の東の玄関口となる将来像を見据え、大分空港が選ばれる空港となるよう、引き続き戦略の実現に向けた取組を推進します。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。  〔湯地土木建築部長登壇〕 ◎湯地三子弘土木建築部長 港湾の機能強化についてお答えします。 物流拠点の大分港では、RORO船2隻が同時に着岸できる新ターミナル整備事業が今年度新規事業化され、まずは令和6年度の1バース供用開始を目指して、本年中に工事に着手します。 7月には6号C-2地区にJX金属製錬が物流拠点の立地を表明するなど、背後地では港の利用拡大につながる企業の立地が着実に進んでおり、貨物取扱量の増加が見込まれます。 今後もさらなる貨物の集荷に向け、利用促進助成や官民連携した企業へのPR活動など、ポートセールスを積極的に推進していきます。 次に、人流拠点の別府港では、令和4年末に予定されている大阪航路フェリーの大型化に対応できるよう、航路のしゅんせつやマイナス12メートル岸壁の改修に向けた設計などを進めています。 また、港湾機能の強化には定期航路の維持も重要です。このため、コロナ禍の影響を受け、売上げが大幅に減少したフェリーなど定期航路事業者を対象に港湾施設使用料の減免を実施しました。 引き続き、コロナ収束後を見据え、施設整備と利用促進の両面からスピード感を持って港湾の機能強化に取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 以上で御手洗吉生君の質問及び答弁は終わりました。小嶋秀行君。  〔小嶋議員登壇〕(拍手) ◆小嶋秀行議員 県民クラブ、小嶋秀行です。会派を代表して質問を行います。 平成28年度から第3回定例会に導入された代表質問に、初めて立たせていただきました。趣旨に沿う提案、提言ができるよう努力します。広瀬知事はじめ、執行部の皆さん方には積極的に受け止めていただきますようお願いします。 冒頭、新型コロナウイルス感染拡大に際し、半年以上にわたり様々な部署で対策にあたってこられた職員、関係者各位に対し、心から敬意を表しますとともに感謝申し上げます。 現在のところ、拡大は下火になっているとは申せ、気の抜けない日々が続いていると思います。皆さん方には御自身の御安全はもとより、県民のために引き続き御尽力くださいますようお願いします。 また、さきの令和2年7月豪雨に際し、被災をされました方々には、心からお見舞いを申し上げます。また、お亡くなりになりました方々には、心より御冥福をお祈りします。 さて、国際社会では、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に対し、働く人たちや事業者への経済支援策が講じられるとともに、収束に向けた、いわゆる出口戦略の検討が進められていましたが、その意に反し、今では世界的にも第2波が拡大の様相を呈しており、対応の超長期化が想定されています。早期のワクチン開発が望まれるところです。 よくマスコミをにぎわせていますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済は急速に縮退をしており、IMFが6月24日に公表した世界経済見通しによれば、2020年の成長率はマイナス4.9%と前回より1.9ポイント低くなっており、2008年のリーマンショックを超える大幅なマイナスとなることが予想されています。 一方、国内の経済は、内閣府の8月の月例経済報告によると、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きが見られる一方、先行きについては感染症が内外経済に与える影響に十分注意が必要とされています。特に、企業収益については、感染症の影響により大幅な減少が続いているとされ、依然、極めて厳しい状況にあるようです。 今後、新型コロナウイルスの感染拡大の状況によっては、国内外の経済がさらに下振れすることも懸念されており、県としても、こうした動向を慎重に注視する必要があることは申し上げるまでもありません。 新型コロナウイルスの感染拡大は、これまでの東京一極集中の在り方、また、大きくは緊急事態宣言をはじめとする取組の中で、私権制限の在り方、インバウンド需要の減退、観光業の構造的な問題など、国、地方が進める地方創生の流れに大きく立ち塞がっています。 また、教育分野では、児童生徒の学習環境、同時に、教員の働き方のみならず、デジタル化の進展ともあいまって、これを機会に一般的な働き方にも大きな変化をもたらすなど、多くの課題を私たちに投げかけています。 とりわけ情報通信、情報サービス産業分野では、デジタル経済の急速な進展により、あらゆる産業でデジタルトランスフォーメーションの推進が加速しており、経済の発展への貢献と社会的インフラとしての役割発揮が期待されています。 具体的には、テレワーク、オンライン学習やオンライン診療等の需要が拡大しており、国際的には遅れぎみと言われてきた我が国の情報通信インフラを中心とした社会システムの構築が急務となっています。その上、モバイル市場においては、5G商品化スタート及び様々な企業のローカル5Gへの参入により、新たなサービスの創出に向けた取組が進められています。 これを好機と捉え、県民の暮らしをさらに豊かなものへと導くため、一方では、これらを駆使し、直面する緊急課題として、様々な分野で新たな日常をどのように描くか、積極的な論議が待たれるところです。 少々前置きが長くなりましたが、初めに、県財政について伺います。 本年第1回定例会における当初予算以降、新型コロナウイルス感染拡大対策に加え、令和2年7月豪雨に関連して、複数回にわたり補正予算を計上しました。もとより、コロナ関連等の財源は、その多くが国庫支出金ではありますが、片や、県の貯金である財政調整用基金の取崩しも行っています。 また、先日発表された2019年度の決算見込みによると、経済収支比率は95.2%と前年度から0.4ポイントアップしており、年度により多少の増減はありますが、上昇傾向にあるようです。財政調整用基金は、目標を上回る351億円を確保したとのことですが、これも新型コロナウイルス感染症や、豪雨災害対策の財源として取り崩され、現時点での年度末残高は249億円に減少する見込みとなっています。 今後、台風シーズンが到来する中で、予期せぬ災害も想定しつつ、さらに、現在もコロナ禍が続いており、対策に要するさらなる財源の確保などもあり、県財政は厳しい状況にあると考えられます。 決算見込みを拝見しましたが、私が最も気になるのは、経常収支比率の高さです。県財政の柔軟性が失われつつあるのではないかと危惧する一方で、この危険値をどこまでと認識し、対策されているのかが少し分かりづらいところで、不安です。 地方公共団体の財政の健全化に関する法律に定められた4指標及びプライマリーバランスや、前述の経常収支比率などの指標を踏まえ、県財政の健全性に対する現状認識と、今後の対応についてお聞かせください。 国においては、東京一極集中の是正は、成果か上がっておらず、むしろ悪化したと言われています。2019年の地方からの東京圏への転入者は約50万人で、2015年と比較して約1万人の増加であったと言われます。東京圏から地方への転出者は約35万人で、約1万6千人減だったそうです。この結果、東京圏への転入超過は、2015年の1.2倍で、約15万人に拡大しています。一極集中は止まっていません。15歳から29歳までの若年の東京圏への転入超過が13万人余りで、全体の約90%を占めていることが主要な原因とも言われています。 ただ、識者によっては、東京一極集中が改善されれば、少子化が改善されると考えるのは早計との見方もあります。また、これまでにも指摘はありますが、若年女性の転出に伴い、結果として、合計特殊出生率は、数字として向上しますが、分母となる若年女性の数が減少すれば、実質的な出生数は前年対比減少する状況にあります。 県では、本年第1回定例会において、第2期まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略が策定されましたが、この計画の前提となった改訂版の大分県人口ビジョンによると、自然増と社会増の両面から取組を進めることにより、2100年までには人口増に転じ、90万人から100万人前後の人口を維持できるとされています。 第2期計画が動き出して間もないですが、コロナウイルス感染症の発生、蔓延などによる昨今の日本の社会経済状況が、計画の進捗にどのような形で影響を与えているのか、また、与えていくのかが気がかりです。 こうした状況を踏まえ、この第2期まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略をどのように推し進め、2100年を目指すのか、知事のお考えをお聞かせください。 さて、前述のとおり、昨今のコロナ禍で、今年の半年以上が正常な状態でなく経過をしています。国も県も中長期の方針で地方創生に取り組む過程で、これを妨げる要因が様々なところに現れています。まして、本格的な第2波が襲来の様相を呈しており、なおさらのこと、本年一年間は文字どおり、失われた一年ともなりかねません。 とは言いつつ、ワクチンの開発状況が次第に話題となり始めている中では、明るい展望がないわけではなく、少なくともこの数年はウィズコロナ、アフターコロナという観点で、感染拡大防止策を講じながら、並行して社会経済の活性化をもくろむこととなりそうです。 さて、本県では、本年4月より見直しがなされた長期総合計画と各部門の計画の下、安心・活力・発展の大分県づくりを目指し、様々な施策に取り組んでいくこととしていましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、全く想定外の事態が生じ、見直しせざるを得ない部分もあるのではないかと考えています。 例えば、新しい生活様式に対応する働き方の変革を反映すべきだし、学校現場におけるICTの導入などは、できるだけ前倒しして進めるべき課題として優先順位が上がっていると考えます。感染症の脅威から県民を守る医療体制も改めて考えていく必要があると思います。挙げればいくつもありますが、当初、予想もしなかった課題の発生と、それによる社会変容に合わせ、県計画の実行を柔軟に変化させることが求められていると考えますが、見解をお聞かせください。 次に、近年多発する水害や土砂災害において、住民に対する避難勧告等や防災気象情報の十分な伝達ができない、または激しく降る雨の中で、外からの音声が聞き取りにくいなどの課題が指摘され、迅速かつ的確な情報伝達のための取組が一層必要であると指摘されています。 先日、「浸水700棟でも死者ゼロ」とする記事に目が留まりました。7月28日に山形県の最上川などが氾濫した際、「行政と住民の素早い避難行動が功を奏した」とあり、また、「河川事務所が通常伝えるより先の水位予測を伝えていた」とも記載されています。 さらに、大蔵村では、個別に電話での避難の呼びかけを行っており、有識者はコミュニティーの日頃からのつながりが活きたとも評していました。なおかつ、隣の大石田町がこの豪雨の襲来に危機感を募らせた背景には、最上川中流を管理する国土交通省新庄河川事務所からの情報提供が、外れる可能性もあるが、避難の判断に役立ててほしいと、日頃3時間後の水位予測に加え、6時間後の水位予測もメールで伝えたことにあったといいます。山形県は、70人以上が亡くなった九州における令和2年7月豪雨災害で、住民や自治体職員の防災意識が高まったことも要因だとしています。 この地域の降雨量と、九州における令和2年7月の豪雨の雨の量に差はありますが、規模はどうあれ、被災に際し、死亡者がゼロであったことの教訓は共有できるものと考えます。 冒頭に述べた、大規模な災害時に住民に災害情報等を的確に伝達するには、一つの手段に頼らず、複数の災害伝達手段を組み合わせること、さらに、一つ一つの災害情報伝達手段を強靱化することが必要です。 防災行政無線やケーブルテレビ、ラジオやメールなど、様々な手段がありますが、情報の受け手の状況、伝達する範囲、情報の量などに応じて、適切な手段を複合的に選択できることが重要です。 この7月豪雨においては、日田市に導入している防災ラジオが有効であったと報道で聞きましたが、これに限らず、災害が多発する中で、第一線の市町村において人命を最優先に考えると、地域の実情に応じた情報伝達手段の多重化、多様化の取組がなお一層必要と考えますが、県が果たすべき役割などを含め、知事の考え方をお尋ねします。 災害対応は、その規模や災害状況の推移により、国、県、市町村、個人で役割分担があります。今年も発生した集中豪雨による家屋の浸水や破壊などの被害からの復旧は、あくまで個人の責任において行っているのが実際の姿です。一方、このところのコロナ禍で、ボランティアによる応援が得難い状況にあり、それぞれが孤軍奮闘せざるを得ない状況も見られました。 今回のような被災に際し、自治体ではボランティアセンターを設置し、自主的な支援の活用に力を入れています。私はこのボランティアによる復旧、復興の支援、協力体制を高く評価しつつも、それと比較して、国や地方自治体の公的機関による支援体制があまり明確ではないと感じています。 例えば、適切ではないかもしれませんが、急傾斜地の土砂崩れにより、道路等に被害が発生した場合、即座に国あるいは自治体の責任において、建設機械などを用いて土砂除去などをはじめ、原状回復まで一貫して工事が行われます。また、河川の氾濫による浸水など、大規模な被災に対しても、河川の改修等は公共工事で行います。しかし、両者ともその後の家屋に流れ込んだ土砂など撤去作業は、ほぼ個人により解決せねばならず、ボランティアの応援が頼りです。 被災後、県西部地域に足を運びましたが、とりわけ天ヶ瀬温泉街では、それぞれの家族と親戚の方々などで、度重なる豪雨の中、土砂除去作業を繰り返すこととなり、疲弊した姿が見受けられました。特に、今年に関してはコロナウイルス感染拡大防止のため、ボランティアの協力体制を制限したこともあり、被災地の復旧が大幅に遅れることが強く懸念されました。 私は、家屋等に流入した土砂の撤去については、河川の氾濫によるものですから、所有者に責任はなく、また、ボランティア頼みとはせず、河川管理者の責任として撤去を行うなどといった公的な支援が必要だと考えています。 何度も繰り返される災害で被害を受けた住民は、疲弊し切っています。国土強靱化が叫ばれていますが、河川の氾濫による災害の発生を繰り返さないために、支障となっている橋梁の架け替えなどをはじめ、計画的な河川改修の実施など、抜本的な対策が必要ではないかと考えますが、土木建築部長の御見解をお聞かせください。 次に、令和2年7月豪雨の際に、熊本県では高齢者施設が水没し、多くの高齢者が逃げ遅れて犠牲になりました。国は、2014年の東日本大震災の教訓を踏まえた災害対策基本法改正で、全市区町村での要支援者名簿の作成を義務化しました。しかし、災害時に高齢者や障がい者の逃げ遅れを防ぐことを目的とする個別計画は、市区町村に作成の法的義務がないこともありますが、福祉職との連携強化など、いろいろな手だてが必要なことも作成が進まない理由と考えられます。 とは言うものの、県防災アドバイザーの花宮気象予報士が日頃から言われているように、災害は忘れる暇なくやってくる状況が続いていますから、基本的には、基礎自治体の取組とは申せ、大きな課題である災害弱者、要支援者を地域全体でサポートする体制づくりを県と県内各市町村との連携により構築していく必要があると考えます。 昨年第2回定例会において、会派の馬場議員より、個別計画の策定状況をお尋ねした際は、僅か1団体の策定完了にとどまり、残りの17団体は策定を進めているとの答弁があったと記憶しています。 従来の想定を超える規模の災害が頻発する状況の下で、個別計画の策定が完結し、絶対に高齢者が逃げ遅れて犠牲となることのない地域づくり、環境づくりが大切と考えます。その後の要支援者等に対する個別計画策定の進捗はどうであるのか、現状と課題を踏まえ、考え方をお聞かせください。 次に、防災教育に関してです。 日田市内の昭和学園高等学校では、命を守る行動ができる人材の育成をとして、防災教育を本年4月から週1コマ、普通科キャリアデザインコースのカリキュラムに組み込んでいることは、既に御承知のとおりです。 いよいよ大分県内でも、高等学校における防災教育が年間のカリキュラムとして開始されることになったことで、まずは私学でこうした教育課程が広がることを大いに期待したいと思います。 会派で昭和学園高等学校にお伺いし、実際に授業をされている校長先生にお話をお聞きしましたが、将来的には生徒が防災士資格の認証を得られるようにしていきたいと、熱心に思いを語っておられました。 公立高等学校では、現段階では教育委員会での協議やカリキュラムの編成など、難しい課題は多数あると思われますが、私がかねて質問してきたように、県内に防災科学を学ぶ学科の新設に結び付けられる一つの大きなきっかけとなるように思われ、私立学校のこうした取組をぜひとも応援していきたいと思います。 県として、このような私立学校の取組をしっかりと支援し、県下各地で促進していただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。 次に、男女の性別、高齢者も若年者も、障がいの有無にかかわらず、全ての人が人権や尊厳を大事に、誰もが生きやすい社会が共生社会と言われます。近年では、性的マイノリティ、あるいはセクシュアルマイノリティという表現が社会的にも知られるようになりましたが、特に同性婚などについては、社会的な課題になっています。 同性同士の関係性を婚姻相当に認める制度を同性パートナーシップ制度といいますが、日本国内でも、性的マイノリティへの理解が進む中、この制度を始めた自治体は8月末現在、全国で57自治体に上り、うち九州では、福岡市、古賀市、北九州市、長崎市、熊本市、宮崎市、木城町、那覇市の8市町にあるそうです。数が多いというわけではありませんが、一昔から考えれば、増加し、広まりつつあると言えます。 この全国57の自治体ではパートナーシップ証明の取扱いがあり、同性カップルの関係を公的に認め、企業はもとより行政も夫婦と同様の対応をするように求めており、公営住宅への申込み、公立病院での病状説明や手術の説明の同意などが可能です。また、生命保険の受取人を同性パートナーに変更することができることや、航空会社のマイレージ共有や携帯電話の家族割引対象に同性カップルを含める企業も出てきたとの報道もあります。 共生社会の推進にあたって、本県でも県内各市町村との連携で、まずはパートナーシップ制度に関する調査、研究を行い、早期に制度が確立できるよう取り組む考えはないか、見解を伺います。 次は、電子納付の推進についてです。 自動車税などを中心に、各種納付金の納付率の向上を図るため、キャッシュレス化が進められています。一方で、使用料や手数料の一部では証紙により納付が行われており、貼付による郵送申請が可能で、納付確認がすぐにできるといったメリットがある反面、購入場所が限定されている、返還や交換が困難であるといったデメリットも指摘されています。 私自身は、コロナ禍の下、新たな生活様式への対応の一つとして、このような証紙による納付方法を改め、電子納付の推進が求められていると考えています。 電子納付の推進は、行政手続の電子申請の導入と表裏一体であり、あわせて論じる必要があると考えますが、現状と課題を踏まえ、今後の方針をお聞かせください。 さて、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、県内各地の道路建設期成会等の総会がほぼ書面議決となりました。コロナ禍ではやむを得ないと受け止めつつも、改めてそれぞれの議案書に記載される各地域の懸命な取組に敬意を表する次第です。 市道の建設はもちろんのこと、国道や県道ともなると、均等な社会インフラの建設、ましてや国土強靱化など国の政策もあいまって、予算確保の努力は毎年大変なものとなっています。 そうした状況の中で、かねてより大分市東部地域の自治会連合会等から要望の強い外郭環状道路の建設は、18年前に一部供用開始はされましたが、その後、残る計画区間、久土-坂ノ市間は、期成会等の総会開催における毎年の決議に加え、大分市からも交通体系の整備として毎年要望が繰り返されていますが、全く動きが止まった形となっています。 そこで、私どもの会派としても、せめて地域の要望が強い臼杵坂ノ市線までの間の早期の事業開始について強く求めたいと考えますが、早期事業化の見通しなど、見解をお聞かせください。 次に、新型コロナウイルス感染拡大で、3月から、ある意味で問答無用の休業がほぼ3か月続きました。最近のマスコミの論調も、「地域事情に基づくべきではなかったか」とありますが、再開した6月以降、これまでの日常とは違う学校生活と学びが続けられています。 学校の多くは、再開後、学年末までにどのように授業時間を確保していくか、大変御苦労されていると思うし、児童生徒が学校生活を送り成長していく過程で、大きな意味を持つ修学旅行や体育大会、文化祭も、感染リスクを考慮しながら方法を見直す必要が生じています。 私はそのような状況の中で、学校生活を通じて培うコミュニケーション能力や協調性、相手を思う気持ちなど心の成長に、よくない影響を及ぼしてしまうのではないかと危惧しています。 夏休みの短縮や授業時間の増加により、先生方の負担は増加し、毎日とても忙しく、児童生徒に細やかな目配り、気配りができるのか心配でなりません。 大人は、年度末までに決められた教育課程を計画することで責任は果たせるかもしれませんが、学ぶ児童生徒はどうなのでしょうか。学ぶ環境の変化の陰に潜む児童生徒の心の変化が大いに気がかりです。実質的に失われた学校生活の時間を、もし凝縮して押しなべて張り付けるのであれば、それは本当の学びとなるのか疑問でなりません。 そこで、コロナ禍であるからこそ児童生徒の目線に立った学びの確保がなお一層求められると思いますが、教育委員会の考え方と、県内各市町村教育委員会に対する指導状況についてお聞きします。 最後に、大変不名誉ですが、道路交通法の改正が行われた6月以降、県内で全国初のあおり運転による逮捕者が出ました。しかもこのドライバーは、道路交通法のあおり運転に関する改正内容を承知せず、たび重なる違法な運転を行っていたとも指摘されています。 再びこうした事故が発生しないよう、県民のさらなる周知啓発の実施と取締りの強化が必要となりますが、一方で、交通安全教育の充実も欠かせません。違反行為を繰り返すドライバーには、遵法意識の欠如に加え、かっとなりやすいとか、自分本意である、見込みが甘いなどといった特有の心理状態が指摘されており、一般的な方に対するものと区別し、ドライバーの心の中に深く浸透する教育内容を駆使しなければならないと考えます。 このような交通安全教育の充実に関して、本部長の御見解をお聞かせください。 いま一つは、本年3月14日の夜、宇佐市の国道沿いの焼き肉店駐車場で、家族で食事を済ませた後の3歳の女の子が、軽トラックにはねられて死亡するという痛ましい事故が起きたことは、御記憶にある方も多かろうと思います。交差点で、対面の赤信号での停車を避けるため、隣接の店舗等の駐車場などの敷地内でスピードを出したまま通り抜ける行為を、いわゆるコンビニワープと呼ぶそうですが、この事故もそれが原因だったようです。 信号停止の僅かな時間を惜しむばかりに、結果として事故を起こし、事もあろうか、幼い子どもの尊い命まで奪うという取り返しのつかないものでしたが、同様のことを繰り返してはならないと対策の必要を強く感じています。 コンビニなど店舗の駐車場は公道ではなく私有地であることや、また、そのため信号無視にもあたらないとの見解もありますが、県警察には地域住民を交通事故から守り、痛ましい事故を少しでも防止する責務があると考えます。 コンビニワープに関して、現状認識と対策に関する考え方をお聞きします。 以上をもって会派を代表しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
    麻生栄作議長 ただいまの小嶋秀行君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 小嶋秀行議員から県民クラブを代表して御質問をいただきました。まず私から答弁します。 初めに、県財政の健全性について御心配をいただきました。 行政サービスの安定的な提供のためには、財政の健全性を確保することが必要不可欠です。 財政運営の大きな指標である財政調整用基金残高については、本年度コロナ対策や災害対応のために思い切って活用したことから、現時点では約249億円に減少しており、御心配をおかけしています。 こうした中、中長期的には災害等に備え財政基盤を強化していく必要があることから、決算剰余金や予算執行段階における節約等により、令和6年度末までには目標としている基金残高330億円の回復に努めてまいります。 また、もう一つの重要な指標である県債残高については、防災・減災、国土強靱化のための3か年対策事業を積極的に活用したことなどから、前年度末に比べ約187億円の増となっています。このため、プライマリーバランスはマイナスとなりますが、臨時財政対策債等を除く実質的な残高は、目標である6,500億円を下回っており、今後も適正管理に努めていきます。 一方、財政健全化法に定められた4指標を見てみると、一般会計等の赤字の程度を指標化した実質赤字比率と、これに公営企業会計の資金不足額を加えた連結実質赤字比率はともに赤字が生じていません。 将来負担すべきストックベースでの負債等の割合を示す将来負担比率は、災害に強い県土づくりに積極的に取り組んできたことなどから、前年度に比べ上昇したものの、フローベースでの公債費の大きさを示す実質公債費比率は、有利な県債の活用に努めた結果、8年連続で改善をしています。 財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、前年度より0.4ポイント上昇して95.2%になりました。経常収支比率については、臨時的経費である公共事業への財政需要が高かった時代においては、経験的に80%程度が適当とされていましたが、現在は経常的経費である社会保障関係費の増大に伴い、全国的に上昇しており、90%台であることだけをもって財政が逼迫しているとは考えていません。 このように、現時点においては財政の健全性は確保できていると考えていますが、足下では、今後の税収確保が非常に厳しい状況にあります。加えて、感染拡大防止と社会経済再活性化の両立などでさらなる財政出動が必要な場面も十分に想定されます。 このような状況の中、財政の健全性を引き続き確保していくために、県政全般にわたる行財政改革の実行に向けて、今年3月に策定した行財政改革推進計画に基づき、常在行革の精神で、不断の取組を進めなければならないと考えています。 次に、まち・ひと・しごと総合戦略について御心配をいただきました。 第2期総合戦略では、2025年に合計特殊出生率を1.83まで高め、出生数9千人を目指すとともに、現在転出超過である社会増減を均衡させることを目標としています。 昨今の県内人口の推移を見ると、日本人については、自然増減では苦戦していますが、社会増減は企業誘致や移住・定住の促進、農林水産業の新規就業者確保の努力により、おおむね目標に沿った動きとなっています。 一方、御質問の新型コロナの影響は、外国人の社会増減に顕著に表れており、入国制限を受けた留学生や労働者の転入が大きく減少しています。 しかしながら、新型コロナの影響は、悪いことばかりではありません。第2期総合戦略に基づき地方創生に取り組むにあたっては、新型コロナが世の中にもたらしたパラダイムシフトとも言うべき社会変容を前向きに捉えて、しっかりと対処することが大事です。 一つは、人を思う気持ちや地域の結び付きの高まりです。地方創生では、人を大事にし、人を育てることは大切です。コロナ禍を通じて、家族や地域のきずなが見直されているのではないかと感じています。こうした変化を追い風に、子育て満足度日本一、健康寿命日本一、障がい者に優しい大分県を実現する活力につなげていきます。 二つは、集中から分散への価値観の変化です。都市部への一極集中が見直され、暮らしやすい大分県で子育てをしながらリモートワークを行うことも可能な環境になりました。地方での転職を希望する若者が増加傾向にあるとの調査結果もあり、本県の移住相談件数も前年同期と比べて1.5倍に増加しています。このような新たな潮流を逃さず、魅力的な仕事の場を提供し、UIJターンによる人口増加に結び付けます。 三つは、分散を支える基盤づくりです。3密を回避し、新しい日常を作っていくためには、5Gなどの情報通信網のさらなる強化や、アバターやドローン、宇宙産業といった先端技術に挑戦し、地方からも世界に通じる新たな産業、サービスの創出につなげます。 また、バランスが取れた住みやすい国土づくりに向けた東九州新幹線や高速道路網の整備、ホーバークラフトの導入やスペースポート化、コンセッション方式の導入検討などによる大分空港の魅力向上を通じて、人やモノの移動を容易にする地方創生回廊の実現を目指します。 地方創生は大分県からといった気概の下に、ウィズコロナを念頭に置きながら、将来にわたって活力のある大分県を維持していくため、大分県版地方創生の加速前進を図ります。 次に、災害情報伝達手段の多重化、多様化の推進について御指摘をいただきました。 風水害や土砂災害から県民の生命を守るためには、住民に対する地域の災害リスクの事前周知に加えて、気象情報や避難情報などの防災情報を迅速かつ確実に伝達し、早急な避難につなげることが大変重要です。 防災情報は、携帯電話への緊急速報メールの配信、ホームページへの掲載など行っています。また、市町村によって異なりますが、屋外のスピーカーから流れる防災行政無線、屋内で音声を受信できる戸別受信機、防災ラジオ、ケーブルテレビなど、複数の手段で確認できるようになっています。 多くの方々になじみの深い伝達手段であるテレビは、即時性や広域性、普及率の高さなどから有効なツールですが、停電が発生すれば機能しません。そのため、電池などで活用できる戸別受信機、防災ラジオの備えや携帯電話への情報伝達が重要となります。 このことから、県では、防災ラジオを含めた戸別受信機の設置に対して、市町村へ助成するとともに、携帯電話へ気象警報や避難情報を通知する県民安全・安心メールや、スマートフォン向けに避難所までのルートや道路規制情報、安否確認できる機能も備えたおおいた防災アプリを運用しています。 なお、おおいた防災アプリは、外国人への情報伝達手段として、日本語の他に、本県に滞在する主な外国人の母国語14言語にも対応しています。 また、スマートフォンユーザーには災害発生等によるシステムトラブルも考慮して、メールとアプリ両方の活用をお願いしています。 携帯電話は広範囲をカバーする優れた特性を持っています。これをさらに有効活用するため、近年、ユーザーの増加が著しいSNSを活用した情報伝達も検討し、より一層の多重化、多様化の取組を推進していきます。 一方で、情報の受け手である住民の皆さんが、災害や防災情報を理解し、災害の発生を我がこととして考えるために必要な防災意識の醸成の取組も重要です。このため、県では災害を疑似体験できるおおいた防災VRの制作にも取り組んでいます。 また、家族や自分自身の身を守るためには、それぞれが避難を開始する基準となる、避難スイッチをオンにすることが重要です。そのため、避難行動などをあらかじめ決めておくマイタイムラインの普及を図っていくこととしています。 今後も、県民の皆さんの迅速かつ確実な情報収集のために、市町村や関係機関と連携して、地域や生活環境に応じた情報伝達手段の多重化、多様化に努めていきます。 その他、大変重要な御指摘をいただきましたが、その部分については担当部長からお答えします。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。  〔高屋企画振興部長登壇〕 ◎高屋博企画振興部長 長期総合計画等についてお答えします。 新型コロナウイルスの世界的流行は、国民生活や社会経済活動に深刻な影響を与え、人々の価値観にも大きな変容をもたらしています。 今回の新型感染症や未曾有の災害など、社会経済情勢が目まぐるしく移り変わる時代にあっては、迅速かつ柔軟な政策実行が必要となります。 例えば、感染拡大により落ち込んだ本県社会経済の再活性化に向けては、先般、大分県社会経済再活性化戦略を策定しました。 その中では、ICTを活用した教育や企業におけるデジタル化、スマート化をはじめ、地元の飲食店などを応援するクラウドファンディングや、感染リスクの低い地方という強みを活かしたワーケーションなど、新しい生活様式を民間と共に創り上げるための基本的な方向性を示したところです。 もとより、プラン2015では、県民の声を聴きながら、臨機に見直しを行うこととしていますが、こういった新たに必要となる課題や施策については、毎年度策定する県政推進指針に適宜盛り込みながら、柔軟に取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。  〔湯地土木建築部長登壇〕 ◎湯地三子弘土木建築部長 私からは、まず、河川改修等の計画的な実施についてお答えします。 7月豪雨による県管理河川の被害額は、九州北部豪雨と台風18号が重なった平成29年の約1.5倍となっており、今回の災害がいかに甚大なものであったかがうかがえます。 災害復旧においては、これまでも単なる原形復旧だけでなく、特に被害の大きな河川では、川の拡幅や堤防のかさ上げ、橋梁の架け替えなどを組み合わせた改良復旧を活用してきました。 一方、近年、気候変動の影響により頻発、激甚化する豪雨から県民の生命、財産を守るためには、抜本的な治水対策の取組が一層重要となっています。 そのため、県では、河川整備の新たな指針となる総合治水プランを策定中です。現在、近年の降雨の増加傾向に加え、7月豪雨データも反映した流下能力の検証を行っています。この結果を基に、浸水発生頻度や土地利用形態、資産の集積状況などから重要度、優先度を整理していく予定です。 プラン策定後は、その方針に従って計画的な河川改修を実施し、災害に強い県土づくりに努めていきます。 次に、大分市東部の道路整備について御質問をいただきました。 大分市東部地域においては、宮河内から久土をつなぐ国道197号大分東バイパスが平成13年に供用開始し、市道城原久土線と一体となって東九州自動車道大分宮河内インターから大在公共埠頭をつなぐ道路ネットワークを形成しています。 これらの道路が整備されたことにより、物流の効率化が進み、流通業務団地における企業誘致や東部地域の渋滞緩和など、大きなストック効果を発揮しているところです。さらに、現在は国道197号鶴崎拡幅や臨港道路細馬場線などの事業を実施中です。 鶴崎拡幅は、延長2.8キロの区間を4車線化する大規模な事業であり、昨年度から乙津橋の下部工工事に着手し、地域の皆様にも事業の進捗を実感していただいているものと思います。このほか、大分市内では庄の原佐野線下郡工区など大規模な事業を展開しています。 大分東バイパスの延伸については、これら事業中区間の進捗状況や周辺地域のインフラ整備、産業の立地動向などを踏まえ、引き続き検討していきます。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。  〔廣瀬福祉保健部長登壇〕 ◎廣瀬高博福祉保健部長 避難行動要支援者への対策についてお答えします。 災害時に高齢者や障がい者などの要支援者が適切に避難行動を取れるよう、県では次の二つの観点から取組を進めています。 一つは、議員御指摘の個別計画策定の促進です。現在、17団体が策定中ですが、平成29年の九州北部豪雨以降の新規の策定件数は3,743件と、着実に増加しています。 他方、本計画は要支援者の身体状況や生活環境に加え、避難を支援する方や避難方法等も盛り込まなければならず、個別の検討に時間を要する難しさがあります。このため、例えば、別府市ではケアプランを作成する際に、防災担当課と連携して個別計画もあわせて策定しており、県では、こうした取組の横展開により策定促進を図っています。 二つは、個別計画の実効性の確保です。災害発生時には支援者の役割が大変重要となります。そのため、要支援者に加え、民生委員等の支援者も対象として、防災教室や研修会を開催するほか、実地訓練を行う自主防災組織にアドバイザーを派遣しているところです。 こうした取組を通じ、引き続き市町村等と連携しながら、要支援者を地域全体でサポートする体制づくりを進めていきます。 ○麻生栄作議長 高橋生活環境部長。  〔高橋生活環境部長登壇〕 ◎高橋基典生活環境部長 まず、私立学校における防災教育の推進についてお答えします。 私立学校では、学校保健安全法に基づき策定した学校安全計画を実施する中で、児童生徒に対する防災教育に取り組んでいます。 昭和学園高校では、御案内のとおり、度重なる豪雨災害を教訓として、今年度からキャリアデザインコースの生徒50人を対象に危険地域の確認や備蓄の必要性、避難所運営など様々な防災教育を実施しています。 その結果、多くの生徒が家庭での飲料水、非常食の備蓄や、自宅から避難所への経路の確認を自主的に行うようになったと伺っています。 また、他の私立学校においても、津波を想定した避難訓練を地域住民と合同で実施するほか、専門家や自衛隊を招いた防災講習会を開催するなど、地域の実情に応じた防災教育に取り組んでいます。 県では、これまでも防災教育の重要性や各校の取組について情報提供を行ってきましたが、今年度、学校の安全対策をさらに進めるため、新たに防災講習会等の開催経費に対する助成を行うこととしたところです。 引き続き、このような取組を通じ、県下各地での特色ある安全・安心な私立学校づくりを支援していきます。 次に、共生社会の推進についてお答えします。 共生社会の実現には、性的少数者の方も含め、全ての方が多様な価値観と生き方を認め合う社会となることも大切です。 性的少数者を支援する団体からは、不要な性別記載欄を削除してほしい、自治体職員にもっと性的少数者のことを理解してほしいなどの要望が提出されています。 そのため、県では、まずは職員が性的少数者への理解を深め、適切な対応ができるよう公文書の性別記載欄の見直しに取り組むとともに、今月職員向けのハンドブックを作成したところです。 パートナーシップ制度については、当事者の生きづらさの解消につながることや県民への意識啓発にも効果的と認識しています。 このため、制度導入自治体の制定内容や、その運用状況の調査、研究を行うとともに、県内市町村との意見交換を実施しているところです。 引き続き、当事者や市町村、企業等の御意見も十分に参考にしながら、調査、研究を進めます。 ○麻生栄作議長 森山会計管理者会計管理局長。  〔森山会計管理者会計管理局長登壇〕 ◎森山成夫会計管理者会計管理局長 電子納付の推進についてお答えします。 御指摘の証紙制度については、職員が直接現金を取り扱わず、また、納入通知書を発行する場合に比べ事務が簡素化できるなどのメリットがあることから、現在、使用料及び手数料を収納する事務の約55%が証紙での収納となっています。 しかしながら、昨年度の行政監査でも指摘がありましたが、申請を受け付ける県の機関が直接証紙を売りさばくなど、証紙制度のメリットが活かされていない事例があるため、適宜見直しに努めているところです。 また、行財政改革推進計画において、県民の利便性向上と事務の効率化を図るため、行政手続の100%電子化を目指すこととしており、申請の電子化を進める中で、現金や証紙などによる使用料や手数料の納付方法も原則、電子納付などの方法に見直す方向で検討しています。 令和5年度末の稼働を目指している新財務会計システムでは、こうした納付方法の見直しによる県民ニーズに応じた多様な収納方法に対応できるよう再開発を進めます。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。  〔工藤教育長登壇〕 ◎工藤利明教育長 コロナ禍における児童生徒の学びについてお答えします。 今年の県学力調査のアンケートからは、友達を気遣い、よりよい人間関係を築こうと考えている児童生徒の割合が例年より高くなっており、子どもなりにこの状況に対応しようと努力していることがうかがえます。 子どもたちに、生涯にわたる力と意欲を育むためには、ウィズコロナの状況下においても目標を持ち、自己有用感や達成感を実感できる取組を進めることが学校現場には求められています。 具体的には、限られた時間の中で教育内容を詰め込むのではなく、学習活動の重点化を図り、新大分スタンダードに基づく主体的、対話的で深い学びにつながる授業をこれまで以上に進めることが、まず重要です。 また、学校行事等の縮減ばかりではなく、年間計画を再度見直し、特別活動や体験的な学習の確保を工夫することも必要です。 さらに、小中高の12年間を通して自己の成長を確認できるキャリアノートを全員に配付していることから、それを活用し、目標を持って生きる意欲や態度を育成するよう、県立学校はもとより、市町村教育委員会や小中学校にも働きかけていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 竹迫警察本部長。  〔竹迫警察本部長登壇〕 ◎竹迫宜哉警察本部長 まず、交通安全教育の充実についてお答えします。 交通違反を繰り返す危険運転者等をなくすため、県警察では指導取締りを強化しているほか、違反者講習等の各種講習や様々な機会を通じて広報啓発活動を推進しています。 あおり運転は、極めて悪質、危険な行為であり、断じて許されるものではなく、その予防のため、運転者全員があおり運転の悪質性、危険性を理解し、交通安全意識を高めることが重要です。 このため県警察では、運転免許取得時の教習や更新時講習等で思いやり、譲り合いの気持ちを持った運転の必要性等について、より一層の教育や広報啓発を推進しています。 また、ホームページ、SNS等を活用し、厳罰化の内容の周知に合わせ、妨害運転の立件上極めて有効であるドライブレコーダーの設置や危険な運転者に追われるなどした場合の対処法、そして、違法、迷惑な運転があおり運転の誘導につながり得ること等についての広報啓発も推進していきます。 次に、民間駐車場等での事故防止対策についてです。 いわゆるコンビニワープについては、僅かな信号待ちの時間を嫌がり、第三者の私有地である駐車場をその管理者の意に反して斜めに横断するなどにより、施設を利用する歩行者や車両に衝突し、死亡事故に発展しかねない大変危険な行為であると認識しています。 このようなことから、県警察では、駐車場内での速度抑制のため、管理者の協力を得てのぼり旗などの工作物を設けてもらうほか、交通事故防止のため、パトカーの駐留警戒や広報チラシの配布などを行っています。 今回のコンビニワープによる死亡事故を受け、施設管理者と協議の上、駐車場出入口への通り抜け禁止の看板設置や、通行車両の速度を抑制するハンプという凸状の段差を設けてもらうなどの協力を得るとともに、ツイッターによる注意喚起を実施したところです。 県警察では、今後も、運転免許の更新時講習等の交通安全教育や広報啓発活動を実施するとともに、そういったコンビニワープに利用される私有地の管理者対策も行っていきます。 ○麻生栄作議長 以上で小嶋秀行君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時6分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○嶋幸一副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質問を続けます。吉村哲彦君。  〔吉村議員登壇〕(拍手) ◆吉村哲彦議員 皆様こんにちは。37番公明党、吉村哲彦です。代表質問の機会をいただきました会派先輩議員の皆様には心より御礼申し上げます。 まず、コロナウイルス感染症、7月豪雨、台風10号等により亡くなられた皆様の御冥福をお祈りしますとともに、今なお様々な被害を受けられている皆様に重ねてお見舞い申し上げます。県民の皆様お一人お一人の新しい日常を一日も早く築いていけるよう全力で取り組みます。 それでは、質問に入ります。 未曽有の危機である新型コロナウイルス感染症に加え、7月に発生した豪雨災害は、日田、玖珠地域と由布市を中心に県内各地で大きな被害をもたらしました。発災直後から各地を回りましたが、コロナ禍で疲弊している中での豪雨災害により県民の皆様が受けた傷の深さを前にし、一刻も早い復旧・復興を決意したところです。 昨今激しさを増す豪雨災害や大規模地震など、あらゆる自然災害の脅威から人々の生命と暮らしを断固として守り抜かねばなりません。そのためには県土強靱化をさらに進めるハード面の対策はもとより、ソフト面での災害情報の共有やハザードマップ、タイムラインなどの利活用により、防災教育や避難対策を進めていくことも欠かせないと実感しています。 そこでまず、災害時の情報共有について伺います。 今回の豪雨災害では複数の孤立地域が発生しました。その地域の方のお話によると、固定電話の復旧まで1週間以上かかり、防災ラジオも電池がなくなり、情報を得たり状況を伝えることが非常に困難であったと伺っています。 携帯電話は基地局への給電停止後24時間程度の非常用電源は各社備えているものの、その後はつながらなくなってしまいます。これは今回の災害でもそのような状況であったと伺いました。 大規模災害時において、孤立した集落の状況を把握し、相互に情報共有を行うことは非常に重要です。それは国と県、あるいは自治体間での共有にとどまらず、地域住民や応急復旧に携わる民間企業を含めた大きな情報共有の輪が必要であると考えます。今回、基地局工事業者の皆さんもすぐに復旧工事を行ってくださいましたが、道路状況の共有がなされていなかったため、現地到着まで非常に時間が掛かり、基地局復旧にも時間を要しました。 また、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった携帯電話大手3社は、行政との連携を図っているとのことですが、その情報が現地で作業されている方々に行き届いていない現状もあるようです。大規模災害において、インターネットを含む情報通信は非常に重要な役割を果たします。 今後も頻発し得る災害に備え、災害復旧に関わる各事業者と道路状況などの情報を共有する、例えば、工事関係各社から各土木事務所に人を派遣し、連携を図るなどといったスキームを構築することについて御検討いただけないでしょうか。また、次に質問するタイムラインのように、県や市町村の情報を概括的に県民や各事業者と共有することは次の行動への準備につながります。災害復旧をさらに迅速に行うためには災害情報を共有し、県内ワンチームになって対応することが重要です。応急復旧を行う各種民間事業者への災害情報の提供を含め、災害時の情報共有の在り方について、知事の考えを伺います。 関連して、昨年も質問しましたが、改めてタイムラインの導入、取組について質問します。 タイムラインとは、災害が起きると予測される時刻に向けて、いつ、誰が、何をするのかをあらかじめ決めておく、いわば防災行動のスケジュール表のことです。時間が進むにつれて危険が高まる豪雨災害や台風などで非常に有効であるとされています。 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターの松尾客員教授は、タイムラインについて一番その効果が大きいのは、それを作るための過程であるとしています。災害対応にあたる組織や人々が集まって、どういう災害が起こるのか、リスクを皆で共有し、そのリスクから被害の軽減を図るために何が必要か、どういう行動が必要かを出し合って、それは誰がやるのか、いつ誰が何をするのかを時間表的にまとめていくことで、日頃、一堂に集まることがない消防団や民生委員等が事前に顔の見える関係を作れることについて、非常に大きな成果であるとしています。加えて、タイムラインをあらかじめ行動計画表として策定していくことで抜け落ちを減らし、何に対応すべきか、あらかじめ決めておくことができるのは、取組の効果として非常に大きいとも述べています。 実際に7月豪雨災害において被害の大きかった球磨川流域においても以前より災害タイムラインを導入しており、住民参加型の防災会議などで顔の見える関係を醸成していたことが減災効果につながったとの声もあります。 現在、県でも大分県版マイタイムラインを検討し、教育現場から取組を進める予定だと伺っています。これを学校から家庭、さらに地域へと進め、地域において顔の見える関係を作る、いわゆる自助、共助の力を強くするための取組としてコミュニティータイムラインの作成まで視野に入れた取組を市町村とともに行ってはいかがでしょうか。 まずはその第一歩として、県内各地の防災士や災害対応の中心となる皆さんと行政とが一体となって研修を進める場づくりを進めてみてはいかがかと思います。一義的にはこうした取組は市町村が進めるべきですが、県としてもイニシアティブを取って支援してはいかがでしょうか。命を守る重要な減災対策として、タイムライン普及に向けての県の考えを伺います。 次に、ため池の管理について伺います。 近年、豪雨等により多くの農業用ため池が被災し、甚大な被害が発生しています。このため、農業用ため池の情報を適切に把握し、決壊による災害を防止することを目的に、農業用ため池の管理及び保全に関する法律が制定されています。 本県でも防災重点ため池や特定農業用ため池を選定し、ため池の決壊等による災害を事前に防ぐための備えが進んでいます。 しかしながら、今回の7月豪雨災害において、大分市の放生ため池の堤体が崩れる事故が発生してしまいました。ため池の改修工事中であったために発災したものかもしれませんが、万一、決壊していたらと考えると、スピード感を持って取り組むべき課題であると実感します。 このように、昨今の自然災害の頻発化、激甚化を踏まえると、農業用ため池とはいえ、利水だけの管理ではなく、治水としての管理も必要になってくるのではないでしょうか。 放生ため池は大分市内で3番目に大きい貯水量を有しています。このような大きなため池が万が一にも決壊するようなことがあれば、その被害は非常に大きなものとなってしまいます。現に、ため池決壊による水害を不安視する声も非常に多く頂戴しています。放生ため池についても、ため池管理組合等関係者が防災のための水位調整を行っていると伺います。このような状況を踏まえ、農業用ため池の治水管理についても検討すべきだと考えますが、県の考えを伺います。 それでは次に、コロナ禍における情報管理、発信の在り方について伺います。 本年1月より我が国でも発生し始めた新型コロナウイルス感染症は、非常事態宣言の発令をきっかけとし、国民、県民の皆様の御協力により、一時はその感染が収束しつつありました。しかし、現在、第2波と言われる感染拡大により、再び大きな不安の中での生活を強いられています。 公衆衛生学を専門とする藤原東京医科歯科大学教授は、思うように行動できないストレスや感染への不安や恐れが特定の対象を偏見、差別し、遠ざけることでつかの間の安心感を得ようとする傾向があるとし、感染者を差別する風潮は、差別を恐れて感染を隠すことにもつながるため大流行の温床になってしまい、公衆衛生の観点でも、人権の観点でも、断じて差別を許さない、この思想を広げることが欠かせないと述べています。 先月から私の元へ同じような御相談をいただくことが多くなりました。コロナウイルス感染症に似た症状があるがどうしたらいいかというものです。まず、電話にて保健所等へ御相談をと進めますが、PCR検査を受けたことが周りに知られるのが怖い、自分の検査が原因で子どもが通う学校や児童クラブが休みになってしまうのではないか、子どもがいじめられるのではないか、感染も怖いが、それ以上に偏見、差別、攻撃が怖いと異口同音に声が返ってきます。 現代の情報社会では、行政の発表した感染者の情報だけでも会社名や氏名等が特定され、偏見、差別の対象となる可能性が十分にあります。会社であれば風評被害による経営への影響もあり得ます。一方で、感染拡大を防ぐために必要な情報は公開せざるを得ないことも十分に理解できます。 長崎県は新型コロナウイルス感染症関連の誹謗中傷や偏見を抑止するための相談窓口を開設し、SNSなどの書き込みの削除や必要な調査を弁護士に要請する場合は、経費の一部を負担する制度を創設しています。また、相談員はネット上の投稿を監視し、悪質なものがあれば画像を保存、相談者に訴訟の証拠などとして提供するほか、脅迫の疑いなど事件性があれば警察に通報することも検討するとされています。 分断ではなく協調の社会を築くために医療従事者や感染された方等のプライバシーの保護と感染拡大防止のための情報開示の比較衡量をどのように図り、どのように情報を取り扱っていくのか、その考え方について知事の御見解を伺います。 関連して質問します。 国立感染症研究所は8月13日、これまでに確認された約100例のクラスターを分析し、典型的なケースをまとめた事例集を発表しました。詳しい内容は割愛しますが、半年前とは違い、どのような状況で新型コロナウイルスの感染が広がりやすいのかが分かってきています。 感染拡大防止を重視すれば経済が苦しくなり、経済再建を重視すれば感染拡大につながる、このような難しい状況の中、厚生労働省クラスター対策班の菖蒲川新潟大学特任教授は、「過度に恐れることなく、実態を正しく評価し、どこまでのリスクを許容するか、社会的なコンセンサスを得ながら対策を考えていく段階に入っているのではないでしょうか。」このように述べています。 私はこの間、いくつかのスポーツイベント等を視察しましたが、保健所の指導を丁寧に受け、無観客、参加制限等を行いながら、消毒、換気などしっかりと対策をし、いわゆる3密は発生しないよう最大限の注意が払われていました。しかしながら、主催者のところには非常に多くのクレームが来ているようです。感染防止対策、競技運営のために費やすべき時間をクレームの対応に取られていく現状もあります。これは中高生の部活動でも同様であり、子どもたちのために必死に取り組んでいる関係者の皆様も非常に困惑し、疲弊しています。 このような状況は観光についても同様ではないでしょうか。本県の重要産業である観光業はインバウンドや来県客の減少で大きな危機に直面しています。その影響は関連産業にも大きな影響を及ぼし、例えば、観光バスの運行が減少することで、観光バスのタイヤを取り扱う会社も大きな影響を受けています。7月豪雨で被災された天ヶ瀬温泉の方がおっしゃった、旅館を再建するにも観光客が戻ってくるという希望がないと苦しいとの言葉が忘れることができません。 GoToトラベルキャンペーンは継続されますし、新たにGoToイートキャンペーンも開始されます。国の需要喚起策を単純に怖いから止めるのではなく、県内での需要喚起に取り込んでいく方策を検討することこそ求められているのではないでしょうか。そのためには、さきほどの菖蒲川教授の発言のように、実態を正しく評価し、どこまでのリスクを許容するか、社会的なコンセンサスを得ることが重要であると考えます。また、社会的なコンセンサスを得るためには、新型コロナウイルスに関する情報や県内観光関係者の感染対策情報を的確に発信し、しっかりとユーザーに判断してもらう必要があります。 本県の落ち込んだ経済状況を回復に向かわせるために、今後どのような観光需要喚起策を予定しているのか、また、それに付随してどのように情報発信を行っていくのか、知事の考えを伺います。 次に、教育の場における機会均等の確保について伺います。 コロナ禍において、教育分野にも大きな影響が起こっています。小中学校では修学旅行も中止、縮小され、子どもたちの気持ちを考えると胸が痛むばかりです。 本年3月から約2か月の学校の休業で教育現場のICT化が大きく叫ばれています。本県でも国のGIGAスクール構想をさらに拡大させ、高校生までが1人1台のタブレット端末により、ICTを活用した遠隔授業等が可能になりつつあります。 昨年、会派代表の河野議員より、小児がんに関連しての一般質問がありました。その際、福祉保健部長からは、拠点病院と連携して治療を行う小児がん連携病院に大分大学医学部附属病院と大分県立病院が指定され、県内の小児がん患者の約8割がこの二つの病院で治療を受けており、また、残り2割は拠点病院である九大病院をはじめ、県外の医療機関を受診している旨の答弁がありました。 私はこの答弁を伺い、小児がんをはじめ長期入院をされている小、中、高校生の学習の機会がどのように確保されているのか、心配になりました。 県立病院に入院されていた児童生徒の保護者からは、転校手続も負担だったとの声、また、九大病院の保護者の方からは、福岡県の子どもたちと違う取扱となり、学習の機会が提供されずに、退院後、通常授業に追い付くのが非常に大変だった、このようなお話を伺っています。 今回、GIGAスクール構想を基に長期入院、また、県外の病院に入院をしている児童生徒に対しても、本人の体調を最優先し、病院とも連携を図り、丁寧に進めることでタブレット端末を活用して、クラスの仲間と授業を受ける場や習熟度に合わせた学習動画を提供するなど、児童生徒の学習機会を確保しつつ、保護者負担を少しでも軽くすることができるのではないでしょうか。さらには、子どもたちの闘病の励みにもなると考えます。そのためにも、医療機関など関係機関と連携を取り、しっかりとした仕組みづくりを行うことが非常に重要です。この点について教育長の考えを伺います。 次に、高校県体等への障がい者の参加機会の確保について伺います。 コロナ禍は県内でも、文化、芸術、スポーツの危機を招いています。スポーツに焦点を当てると、県民の多くが楽しみにしていたラグビーの日本代表対イングランド代表戦は中止となり、児童生徒が参加する各種大会の中止、延期、縮小を余儀なくされています。しかし、文化、芸術、スポーツは人々や地域のつながり、交流を促し、県民の生きる喜びや力の基盤となり得るものであると思います。このような危機だからこそ、これらを県民の豊かさの源泉と再認識し、大きく支援していくべきであると考えます。 学校教育における体育やスポーツ活動でも、学習スキルや教科学習に比べ、障がいのある子どもたちの体育やスポーツ活動に対する指導、支援方法は、現場の先生方が経験から試行錯誤と工夫を重ね指導しているのが現状です。 しかしながら、スポーツ活動は、単に子どもたちの運動能力や身体の健康増進という意義だけではなく、子どもたちに達成感や自信、さらには協働意識や連帯感を育んでくれます。 先日、大分県立聾学校にお邪魔し、陸上競技部の皆さんと意見交換をしました。これは昨年、中学校の陸上競技大会で懸命に100メートルを力走する聾学校の生徒をお見かけしたことがきっかけです。その生徒さんはスタートの音が聞き取りにくいため、スタートの合図を出す審判の近くに顧問の先生が旗を準備し、その旗を見てスタートしていました。審判、顧問と順次情報が経由するので、当然大きく出遅れます。 私も競技者の一人として考えると、スタートで大きく出遅れると、実力の6割程度しか出せないのではと感じています。この方の場合であれば、情報の受取り、あるいは情報処理を行いやすくするような支援方法があれば、よりスムーズにスポーツ活動を行うことができるようになり、聴覚障がいのない子どもたちと一緒に活動できるのではないでしょうか。 子どもたちのスポーツの場において、日頃の努力の成果を十二分に発揮し、実力どおりの結果を手にする平等な機会を作ることは、子どもたちの成長過程において非常に重要なことです。そして、実力を出し切れた、このような成功体験の積み重ねが生きる上での自信となり、社会の中で働く上でも大きな支えとなるのではないでしょうか。陸上競技や水泳では、聴覚に障がいがある方のために、スタートの遅れを解消できる光刺激スタート発信装置が開発されています。陸上競技において取り入れている団体は全国で3団体と少なく、九州大会以上の大きな大会のみ、この発信装置を借りて使用している現状です。 私は、どのような合理的配慮やハード面の整備を行えば、彼らが競技に取り組みやすくなるのかを学校、競技関係者が意見交換できる場を設けることで、この問題に対処することが可能であると考えます。 障がいのない子どもたち中心の大会である中体連や高校県体において、障がいを持つ児童生徒が滞りなく参加し、平等に競技を実施することができるような機会の確保について、県の考えを伺います。 次に、子宮頸がんワクチン接種の情報提供について伺います。 子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスが原因で、年間約1万人近くの女性が罹患し、約3千人もの女性が亡くなっています。子育て中の女性が幼い子どもを残して亡くなるケースも多いことから、マザーキラーとも呼ばれる怖い病気です。 HPVワクチンは日本でも2013年4月より国の定期接種となりました。しかし、接種後に副反応を疑わせる症状が生じたとする報告により、2013年6月に厚生労働省から出された通達において、接種の積極的な勧奨とならないよう留意することと勧告が出たことで、全国ほとんどの自治体がA類定期接種ワクチンであるにもかかわらず、あまり周知を行わなくなっています。その結果、接種率は約70%から1%未満にまで激減しています。 厚生労働省はHPVワクチンに関する情報の周知を進めるため、リーフレットを作成し、自治体に使用を促していますが、厚生労働省が実施した認知度調査では、対象年齢の女性で82.5%、その母親は87.7%がリーフレットを見たことがないという結果であり、41%の方がHPVワクチン接種に関して、分からないことが多いため決めかねていると回答しており、HPVワクチンが定期接種であることについても周知不足、情報不足のため、接種の可否を判断できない状況が明らかとなっています。 ここで世界に目を向けてみると、世界保健機構はSDGsに子宮頸がんの死亡率を2030年までに30%減らすことを目標に掲げ、子宮頸がん排除への戦略として、HPVワクチン接種率90%を目標としています。しかし、日本では子宮頸がん患者数、死亡者数とも近年増加傾向にあり、このままHPVワクチンの接種が進まない状況が続くと、子宮頸がんの予防において世界の流れから大きく取り残されると考えます。 このような状況の中、周知不足に危機感を感じた自治体独自の取組も広がりつつあります。例えば、千葉県いすみ市では、高校1年生女子がいる保護者向けに定期接種の対象者であることや、年度内に接種を終えるには1回目の接種を9月30日までに行う必要があることを記載した市独自の通知を発送しています。また、県レベルでも、岡山県が定期接種対象者へ届けるためのワクチンの有効性やリスクなどが書かれたリーフレットを作成しています。 本県でも、何も知らないまま定期接種の対象期間を過ぎてしまった、このような県民を出さないためにも、HPVワクチンの正しい情報を知って接種の判断をしていただくためにも、個別通知も視野に入れた情報提供を実施する必要があると思います。特に、定期接種の権利がなくなる高校1年生の女子に対しては、接種の可否を判断するための最新の正しい情報とともに、助成期間終了のお知らせ等をすべきではないかと考えます。 このような現状を踏まえ、県としてどのような対応を各市町村に行っていくのか、県の考えを伺います。 最後に、道路政策に関連して2点伺います。一つ目は、道路景観と歩道の安全についてです。 昨年、道路構造令が改正され、状況に合わせ、自転車通行帯や自転車道を整備することが示されました。これは過去10年間で交通事故件数全体が約4割減少する中、自転車対歩行者の事故件数は約1割の減少にとどまっており、歩行者、自転車、自動車が適切に分離された自転車通行空間の整備が重要であること等により、改正が進められたと認識をしています。今議会において関連条例が上程され、県としても自転車通行空間の整備にしっかり対応していくものと期待しています。 さて、私の地元である大分市明野には松岡日岡線が走っています。車の通行はもとより、小、中、高校生の登下校、また、散歩をされる方等、多くの方が通られる道路です。しかし、自転車道等の整備はなされておらず、歩道がタイル張りになっているため、雨の日には非常に滑りやすく、とても危険です。 先日、70歳以上と思われる高齢の方が、歩道を自転車で通行していました。そこにゆっくりと店舗に入ろうとする車が通りかかり、止まろうとした自転車の方は雨で地面が滑りやすくなっていたため、転倒してしまいました。目の前で見ていましたが、決して車も自転車も危険な速度や距離ではありませんでした。また、同じ道路では、昨年、自転車と歩行者の死亡事故も発生しています。 このような危険が大きい歩道は、早急な対策が必要だと思います。確かにタイル張りの歩道は景観面に優れているところもありますが、老朽化した場合のメンテナンスや雨天の安全面を考慮し整備する必要があるのではないでしょうか。県として、道路景観と歩道の安全性をどのように検討していくのか、その考え方について土木建築部長の御見解を伺います。 また、現在、庄の原佐野線の延伸工事が進んでいます。この庄の原佐野線は、防災上も非常に重要な道路であるとともに、地元の皆様からは渋滞緩和等の効果も考えられ、その期待は非常に大きくなっています。 現在、大分市の東部地域では、国道197号の拡幅工事等も行われていますが、その道路状況は大きく改善されたとは言いがたく、各地で日常的に渋滞が起こっている現状もあります。 そこで、庄の原佐野線下郡工区の工事進捗状況と今後の明野方面への計画、また、期待される効果について県の考えを伺います。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○嶋幸一副議長 ただいまの吉村哲彦君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 吉村哲彦議員には公明党を代表して御質問を賜りました。まず私からお答えします。 初めに、災害時の情報共有について御質問がありました。 災害の対応においては、迅速な情報収集に加え、関係機関でその情報を共有することが大変重要です。 県では台風接近時など大規模な被害が予想される場合、県の各部局や県警から多数の要員が防災センターに集結し、情報収集や関係機関との調整にあたりますが、それに加え、参集した気象庁や国土交通省、自衛隊等、国の機関からの情報提供や助言をいただきながら災害対応にあたっています。 また、新たに導入した災害対応支援システムにより、災害現場の概況や画像をまず関係機関で迅速に共有できるようになっています。加えて、関係者が共有すべき道路の通行止め等の情報や河川の水位情報、あるいは避難情報や避難所の開設状況等についても県のホームページのおおいた防災情報ポータルに掲載して、直ちに共有できるようにしています。もちろん、これにより県民の皆さんもこのサイトから必要な情報を得ることができます。 特に気象や避難に関する情報は、瞬時に各報道機関に伝わってテレビで速報され、あわせて県民安全・安心メールや、おおいた防災アプリでも発信されます。 先般の7月豪雨の際は、日田市中津江村で起きた土砂崩れにより複数の集落が孤立し、住民の安否や不足物資の確認が必要となりました。停電による通信障害も発生していたため、衛星携帯電話や徒歩での現地入りで収集した情報を共有し、警察、自衛隊、市、振興局などの組織が連携して対応にあたりました。 道路の啓開は、日田土木事務所に九州電力の職員が派遣され、復旧に必要な情報を共有し、啓開方法を協議しながら、共同して作業にあたったことで早期の孤立解消につながりました。 これらの経験から、台風第10号の際は公的機関だけでなく、九州電力や通信事業者の職員も防災センターに参集し、医療施設など優先すべき復旧箇所の情報交換をしながら、電気、通信の途絶解消にあたったところです。 豊後大野市緒方町で発生した孤立事案でも、土木事務所、九州電力、NTTの3者で現場に入り、倒木に電線や通信線が絡まる複雑な被災道路の啓開を共同で行って、日没前に開通しました。 今後も、県民の皆さんに対する周知はもとより、災害復旧に関わる各事業者に必要な情報が迅速に届くように努めるとともに、各事業者と情報交換を密にして、着実かつ迅速な災害対応を図っていきます。 新型コロナウイルス感染症関連の情報開示についても御質問をいただきました。 本県における新型コロナウイルスの感染状況は、現在のところ、感染者の発生が散発的であり、医療提供体制への負荷が最も低いステージⅠにとどめることができています。 今日も、新規感染者はゼロのようですから、これで6日、感染者がいない状況になっています。 改めて感染拡大防止に向けた県民の皆様の御理解と御協力に感謝するとともに、最前線で強い使命感を持って業務に従事していただいている医療関係者の皆様の御尽力に対し、心から御礼を申し上げます。 新型コロナ感染者の情報開示は、感染症法に基づき、感染拡大防止を図る観点から、発生状況や原因、その後の拡大状況などに関する情報を県として積極的に公表しています。 もとより、感染者個人についての公表内容は、プライバシーの保護に最大限配慮し、年代や性別、居住市町村、職業、他者に感染させ得る行動、接触の有無に限定しており、個人の特定につながるような施設名や勤務先等の情報はできる限り伏せているところです。 ただし、その場合でも、コロナ対策の要である医療機関や不特定多数の人が出入りする事業所等は接触者を特定できず、感染拡大やクラスターの発生も懸念されることから、施設名等を公表することとしています。 こうした情報を公表しないことは、かえって誤解や憶測を呼んで心ない差別や偏見を生み、むしろ感染者御本人や関係者の皆様にも御迷惑をおかけすることになりかねないと考えています。 1波、2波と感染者が拡大しており、最近では誰もが感染し得るんだという思いを皆さん持ってきたのではないか、そのことによって、また自然に新型コロナウイルス感染を受け止めるようになったのではないか、そのことがむしろ偏見や差別を軽くしていくことになるのではないかと期待しています。 豊後高田市立真玉中学校で教員や生徒の感染が確認されましたが、学校名を公表し、保護者の御協力も得て、接触者の調査を行い、早期に収束させることができました。御本人が退院し、学校に復帰する際には、学校全体が温かく迎えてくれたと聞いています。 感染する可能性は誰にでもあり、不確かな情報に基づく差別や偏見、誹謗中傷は決して許されることではありません。むしろ皆さん、自然に受け止めていただきたいと思います。 先日、市町村長の皆さんと新型コロナ対策に係る意見交換を行いましたが、県と市町村からの共同メッセージとして、不当な差別や偏見等をなくすべく、人権に配慮した適切な行動を取るように改めて皆様にお願いします。 議員御指摘のように、差別や偏見の背景には未知なる疾患に対する不安や恐れがあると考えられます。昭和の物理学者である寺田寅彦は、「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなか難しい」と述べています。新型コロナウイルス感染症に係る情報は、県民が正当にこわがることができるように、引き続き正確かつ分かりやすい情報提供に努めていきます。 次に、観光需要喚起策と情報発信について御質問をいただきました。 大分県を訪れる観光客は、感染拡大した3月以降、国内外ともに大幅に減少していましたが、他県に先駆けて旅館やホテルも感染防止に取り組んだことで宿泊客数の回復につなげています。 県としても、これまでの間、県民向けに応援割と旅クーポンを、続いて熊本県及び宮崎県、愛媛県を対象に、おとなり割を実施するなど、段階的にエリアを広げながら回復に向けた取組を展開してきました。 7月22日からは国のGoToトラベルも始まりましたが、往来が活発になり、感染が拡大するのではないかとの声も聞かれたところです。 既に県内の旅館やホテルでは、チェックリストを作り、感染防止に取り組んでいます。宿泊者アンケートも実施し、回答があった6,353人のうち、実に97%以上の方から、安心して泊まれたとの評価をいただいています。指摘があった食事場所の消毒や浴室の喚起などは改善につなげており、こうした取組により、県内の旅館やホテルでの感染事例は今のところありません。この安心のおもてなしこそが本県の大きな魅力であり、様々な媒体を活用しながら強力に発信していきます。 また、落ち込んだ社会経済を緊急的に再活性化させるため、県では先月、社会経済再活性化戦略を策定しました。 観光においては、まずは大分県を旅行先として選んでもらい、県内各地を周遊しながら消費を促す取組が重要です。そのため、県も応援して感染防止を強化したフェリーやバス、タクシーによるツアーなどを実施しているところです。今月19日からは県内約100か所の温泉施設が参画するスマートフォンを活用したスタンプラリーを開始するほか、観光施設で利用できる割引も準備しています。加えて、新しい旅のかたちが注目されている中、民間事業者のオンラインツアーの事業化に向けた研修にも取り組んでいます。自宅にいながらオンラインでツアーを楽しんでいただくことによって、できれば近い将来、現地に行ってみたいな、大分県に行ってみたいなと思ってもらえるようなオンラインツアーの事業化も期待しているところです。 一方で、7月初旬、大分県は未曽有の豪雨災害に見舞われ、GoToトラベルへの参画が困難となった旅館やホテル等が数多くあります。また、被災していない地域においても、キャンセルなどが多発したと伺いました。 被災された方々の思いを受け止め、県では復興状況や感染の落ち着きなどを見ながら、メディアによる情報発信や県独自の旅行代金の割引により、誘客回復を強力に進めていきます。 観光は経済波及効果が大きくて、幅広く消費と雇用を生み出す重要産業です。今後とも、観光関連事業者の声を聞きながら、おんせん県おおいたの復活に向けて、しっかりと取り組んでいきます。 その他、大変大事なテーマについて御質問をいただきました。担当の部長から答弁します。 ○嶋幸一副議長 梶原防災局長。  〔梶原防災局長登壇〕 ◎梶原文男防災局長 災害時のタイムラインの普及についてお答えします。 風水害による人的被害をゼロにするためには、自身が住む地域の災害リスクを知り、早期に避難することが重要です。そのため、県では家族や自分自身の事前の備えや避難を開始する基準となる避難スイッチをオンにするタイミングをあらかじめ決めておく大分県版マイタイムラインの作成に取り組んでおり、学校や家庭で記入しやすいように工夫しています。 今後、10月には県ホームページに掲載するとともに、教育委員会と連携し、小中学校や支援学校のモデル校でブラッシュアップしていく予定です。 また、防災士による地域でのマイタイムラインの普及等を目的として、防災士キャリアアップ研修を行う予定としています。 まずはこれらの取組を通じて、マイタイムラインの全世帯での普及に努め、学校や家庭で作成したマイタイムラインを土台として、地域全体を考えた避難行動につなげていきます。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。  〔大友農林水産部長登壇〕 ◎大友進一農林水産部長 農業用ため池の管理についてお答えします。 県内には2,138か所の農業用ため池があります。そのうち決壊した場合に人的被害等の恐れのある防災重点ため池は1,103か所になります。このうち、さきの7月豪雨では、放生ため池をはじめ6か所のため池で堤体崩壊等により、下流への被害の恐れが生じたため、ため池管理者と連携して、排水ポンプの設置等による水位低下を図り、被害を未然に防止しました。 こうした災害の未然防止に向けた取組の一つとして、ため池の事前放流等があります。もとより、ため池は地元管理者の責任で管理されていますが、県は毎年、梅雨期や台風の前に管理者に対して、点検、整備に加え、事前放流の実施等も依頼しているところです。そのため池の多くは明治以前に築造され、排水能力の不足等もあることから、ため池本体の改修等が必要となっています。 県は今後とも、老朽化したため池の計画的なハード整備を進めるとともに、国が策定しているため池の洪水調節機能強化対策の手引きに基づき、事前放流等の取組を管理者に対して指導、助言を行い、豪雨時のため池決壊の防止を図り、下流住民の安全を確保します。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。  〔工藤教育長登壇〕 ◎工藤利明教育長 2点についてお答えします。 まず、長期入院児童生徒への学習機会の確保についてです。 現状、小中学校では大分県立病院と大分大学医学部附属病院に院内学級が設置され、在籍校の教員が出向いて、病院内の教室や病室で授業を行っています。 また、高等学校では、授業内容に準じた学習課題を治療に支障のない範囲で課し、退院後に補充学習等を実施しています。 佐伯鶴城高校では長期入院中の生徒が、アバターを介して遠隔で科学部の活動に参加した例があり、ICTが学びの機会確保に有効であることが実証されています。 これからはGIGAスクールの取組の進展により、デジタル教材を活用した授業の実施や病院内の教室と病室や在籍校等をつないだオンライン授業の実施など、病気の状態に応じた効果的な学習活動の展開が可能となります。病室のベッドから離れられない児童生徒など、個々のケースに応じて細かな環境設定が必要なことから、本人、保護者の希望を受け止めて、当該の医療機関と連携しながら学習機会の確保を進めます。 次に、高校県体等への障がい者の参加機会の確保についてです。 現在、高校県体等に参加する障がいのある選手に対しては、各競技専門部が本人や顧問と個別に協議を行いながら、必要な合理的配慮を講じて、できる限り障がいのない選手と同じ場面て活躍できる機会を確保しています。 昨年度の高校県体では、陸上競技とバドミントンの2競技に合計37人の障がいのある選手が参加しました。バドミントン競技では、聴覚障がいのある選手への配慮として、アナウンスの内容を文字にして大型スクリーンに映すといった可視化の対応を行いました。 また、陸上競技では、光刺激スタート発信装置が開発されて、全国では導入した例もありますが、光と音では初動までの反応速度の違いがあることなどから、装置の設定と動作確認に専門的な技術を要するため、専門業者へ委託していると聞いています。 今後も、陸上競技のスタート合図の件を含めて、関係者との意見交換を重ねて、個別の状況に応じた配慮を行い、障がいのある選手が持てる力を十分に発揮できるよう努めます。 ○嶋幸一副議長 廣瀬福祉保健部長。  〔廣瀬福祉保健部長登壇〕 ◎廣瀬高博福祉保健部長 子宮頸がんワクチン接種の情報提供についてお答えします。 厚生労働省の通知により、HPVワクチン接種の積極的勧奨は差し控えているところです。 一方で、対象者やその家族が自ら接種の要否を判断できるよう、接種の意義や効果とそのリスクの両面について、情報提供を行う必要があると考えています。 予防接種の実施主体である市町村では、ホームページへの掲載や保護者へのリーフレット配付のほか、子育て情報誌での紹介や家庭訪問時に配付する予防接種のご案内への掲載など、様々な取組を実施しているところです。 市町村がより充実した情報提供を行えるよう、市町村間で工夫事例等の共有を促し、対象者等がワクチン接種について正しく理解できるよう努めます。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。  〔湯地土木建築部長登壇〕 ◎湯地三子弘土木建築部長 道路政策について2点御質問いただきました。 まず、道路景観と歩道の安全についてお答えします。 県では、歩行者や自転車、自動車が適切に分離された安全な通行空間の整備に取り組んでおり、昨年度には自転車活用推進計画も作成したところです。 本議会で提案した自転車通行空間に関する条例改正により、今後は車道上の自転車通行帯の整備も可能となります。 また、町並み景観にも配慮した整備も行っており、例えば、県都の顔となる国道197号昭和通りの再整備事業では、学識経験者などを交えた協議会において、様々な意見をいただいたところです。 これを踏まえ、景観に配慮し、落ち着いた色合いの舗装を用いて歩行者と自転車を視覚的に分離することで安全性も確保しています。 なお、議員御指摘の松岡日岡線は、地域の方々のお声もお聞きしながら、危険性や劣化の度合いなどを検証し、優先度の高い箇所から順次改善していく予定です。 今後も道路景観と安全性の調和を図りながら、誰もが安心して心地よく利用できる道路整備に努めます。 次に、庄の原佐野線の整備についてお答えします。 庄の原佐野線は、大分市の東西骨格軸となる重要な路線であることから、これまでも重点的に整備を進めてきており、平成30年1月には宗麟大橋が完成し、大分インターチェンジから下郡バイパスまでの間が開通したところです。 現在は、平成29年度に事業化した下郡バイパスと米良バイパスを結ぶ下郡工区で用地取得を進めており、今年度末の進捗率は、面積ベースで59%となる見込みです。令和4年度には工事に着手したいと考えており、早期完成を目指し、引き続き用地の取得や予算の確保に努めます。 下郡バイパスから明野方面へ整備した場合、並行する県道大分臼杵線の渋滞緩和はもとより、路線バスの定時制、速達性も向上するといった効果が見込めることから、改訂中の大分都市計画区域マスタープランでは、明野南交差点までを特に優先度の高い区間として位置付けています。 このため、米良バイパスから東側への延伸についても、切れ目なく進められるよう下郡工区の進捗状況等を勘案しながら検討を進めます。 ○嶋幸一副議長 以上で吉村哲彦君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって代表質問を終わります。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は決定次第通知します。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 本日はこれをもって散会します。     午後1時58分 散会...