大分県議会 > 2020-06-24 >
06月24日-04号

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  1. 大分県議会 2020-06-24
    06月24日-04号


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    令和 2年 第2回定例会(6月)     令和2年第2回大分県議会定例会会議録(第4号)令和2年6月24日(水曜日)  -------------------------------議事日程第4号            令和2年6月24日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑第2 議員提出第9号議案   (議題、提出者の説明、委員会付託)  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑日程第2 議員提出第9号     (議題、提出者の説明、委員会付託)  -------------------------------出席議員 41名  議長        麻生栄作  副議長       嶋 幸一            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            土居昌弘            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄欠席議員 2名            濱田 洋            高橋 肇  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    高屋 博  企業局長      工藤正俊  病院局長      田代英哉  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    高橋基典  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 森 優子  -------------------------------     午前10時 開議 ○麻生栄作議長 おはようございます。これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○麻生栄作議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第4号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑 ○麻生栄作議長 日程第1、第68号議案から第76号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。清田哲也君。  〔清田議員登壇〕(拍手) ◆清田哲也議員 皆さんおはようございます。3番、自由民主党、清田哲也です。 今回、一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆さんに感謝申し上げます。また、個別自主的に佐伯市本匠、また、豊後大野市犬飼より傍聴に来ていただき、誠にありがとうございます。 豊後大野といいますと、先日の森議員に見習い、元気もりもりで一般質問を行っていきたいと思います。 まず冒頭に、先般、臨時議会において様々な経済支援対策が示されました。その中でもヒラメ養殖をはじめとする陸上養殖に対し、適時な状況判断と素早い御決断、そのことに対し、ぜひとも広瀬知事をはじめ、関係部局の皆さんに漁業関係者の皆さんからお礼を申し上げてほしいという言葉を預かってまいりましたので、この場をおかりしまして関係者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございます。 それでは、早速、一般質問に入ります。 まずは、大分県の産業振興についてです。産業集積を生かしたサプライチェーンの構築について伺います。 このたびの新型コロナウイルスの蔓延は、日本国内のみならず、全世界に多大な被害をもたらしました。大分県においても、知事を筆頭に日夜対策にあたられており、関係部局の皆様、医療従事者の皆様には心より敬意を表します。 今回のウイルスは名前のとおり新型であるため特効薬もなく、とにかく感染の広がりを抑える行動を徹底するしか対峙する方法がありません。科学技術が発展した現代社会において、目に見えない小さな敵との戦いがいかに困難を極め、大きなダメージを受けるのかを目の当たりにし、いくつもの感染症を乗り越えてきた先人たちの苦労を思いながら、今を生きる我々に突きつけられた大きな課題をいかに克服していくのか、深く考えさせられます。 今回、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界的にも日本国内でも様々な経済的影響が生じました。その一つが資材、原材料の不足です。マスク、アルコール除菌剤をはじめ、様々な医療用消耗品の供給不足だけでなく、建設資材、工業製品の部品など多くの物資の供給が滞りました。これは供給体制を中国に依存していることに起因するわけですが、ものづくり大国日本において、このような事態が生ずることに危機感を覚えました。 サプライチェーンの再構築は日本国全体の課題ではありますが、多様な産業が集積している大分県が率先して模範となるべく、多業種にわたりきめ細やかな情報収集を行い、県内企業における県内サプライチェーンの構築も視野に入れた産業政策の展開が可能であると考えます。 既に半導体や自動車などの産業分野で地場企業と進出企業の共生発展を図る各種企業会を活用して、県内企業同士の部品などの供給拡大に向けた政策を実施していると思います。これまで実績のある企業会を活用し、このコロナショックによる原材料供給不足を県内調達のターニングポイントとして、知事の目指す集積が集積を呼ぶ産業基盤をさらに強固にし、変化に強い多角的なサプライチェーンの構築を推進すべきと考えますが、知事の御見解をお聞かせください。 以下は対面席にて行います。よろしくお願いします。  〔清田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの清田哲也君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 清田哲也議員から産業集積を生かしたサプライチェーンの構築について御質問をいただきました。 新型コロナウイルスの感染拡大により、中国などから部品の供給が途絶、あるいは減少し、サプライチェーンが寸断されたために、自動車関連産業をはじめ、多くの産業の操業に影響が生じています。 こうした中、生産拠点や調達先の国内回帰やバックアップとしての在庫の確保など、柔軟性のあるサプライチェーンの再構築が課題となっています。 大分県では、企業誘致に積極的に取り組むとともに、企業会を設置し、切磋琢磨して技術力の向上や受発注の拡大を目指す集積が集積を呼ぶ産業クラスターの構築を推進しています。 昨年からの米中貿易摩擦に始まり、今年になって新型コロナウイルス感染症など、今後も不確実な状況がある程度続くことが想定される中、様々な環境変化に柔軟に対応できるサプライチェーンを全体として強靱化していくことが大変大事な時代になってきたと思います。 まずは、サプライチェーンの変化に対応した企業誘致の強化です。 国内回帰の動きをしっかりとつかまえ、大分での新しい投資や雇用を生み出すため、国の政策とも連動させて、立地促進補助を倍増しました。 次は、新型コロナウイルス感染症にも対応する事業継続計画、BCPの策定促進です。 これまで策定を促していた自然災害からの中核事業の早期復旧に加え、例えば、出勤と在宅の2チーム制として、感染者が出ても事業を継続できる要員を確保するなどの感染症対応BCPを学ぶ機会を提供します。 資材、原材料不足への即応体制も支援します。今回、県内でも不足した医療資機材を医療現場に素早く供給するため、県内企業や大学が参集し、チーム大分を立ち上げて、現場ニーズに沿ったフェースシールドなどを製造しました。また、多くの酒造会社が国の規制緩和を活用して、手指消毒液を製造し、供給しました。 このような柔軟な取組が今後も続くように、引き続き後押しをしていきます。 品質、価格、納期、いわゆるQCD対応能力も誠に大切です。AIなどデジタル技術の活用により、企業の総合力を向上させていきます。また、IoT活用による熟練技術の見える化を進め、新たな時代においても必要なスキル人材を確保します。 大変革期にある自動車産業では、自動化、電動化への対応はもとより、新分野や成長分野への参入も必要になっています。 ものづくり中小企業の生産性向上に向けた設備投資や、市場競争力のある商品開発、コロナ禍で毀損した商流の維持、拡大に向けた販路開拓など、地場中小企業の前向きな様々な挑戦をしっかりと応援していきます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 知事、力強い答弁ありがとうございました。いち早く大分県は、サプライチェーンの国内回帰を支援する後押しの補助金の増額であるとか、今御答弁にあった感染症対応へのBCP策定の後押し等々、力強い取組を期待しています。 この感染症との戦いは、本当に経済縮小との戦いを同時に行っていかなくてはならないと。飲食店、宿泊施設、農林水産業、製造業、建設業、たくさんの業種が被害を受けています。今後とも、県経済回復への緊急かつ力強い取組の継続と様々な経済支援メニューの情報発信、これらのより充実と、または申請手続の簡素化等、改善する点があれば随時改善していきながら、より多くの事業者の皆様が支援を受けやすい環境を構築していただき、県経済のV字回復を県民の皆様とともに成し遂げるよう大きな牽引力としての役割を期待して、次の質問に入ります。ありがとうございます。 次に、宇宙港選定と県内企業のビジネスチャンス拡大についてです。 航空機を利用した小型衛星の打ち上げ事業を手がける米企業の拠点、スペースポートに大分空港がアジアで初めて選ばれました。新型コロナウイルス関連の暗いニュースが多い中、宇宙港大分の響きは多くの県民の皆様の気持ちを晴れやかにしたことと思います。報道によれば、今後、大分空港は離着陸や機体整備などに使われ、早ければ令和4年から打ち上げが始まる見通しとのことでした。 小型衛星は気象観測や測位、通信などの各分野で世界的に需要が高まっており、実現して軌道に乗れば、大分県内での関連ビジネス拡大など産業振興が期待できます。 多様な産業集積の基盤がある本県では、既に県内製造業4社が平成30年に小型環境観測衛星「てんこう」の共同開発に参画するなどの実績がある中で、今回の誘致は県内企業が宇宙関連産業に参入するさらなるビジネス拡大のチャンスです。また、ロケット、人工衛星が全てメイドイン大分となれば、大分の技術力を世界にアピールする機会となり、正にビジネスがビジネスを呼ぶ取組となっていくと思います。 そこで、このたびのスペースポート選定における経緯や、特に県内企業でも宇宙産業に新規参入が見込める分野について御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 選定経緯については、昨年の夏頃、一般社団法人スペースポートジャパンを通じて打診がありました。その後、スペースポートジャパン、ヴァージン・オービットと調整を進め、発表することとなりました。 選定理由としては、一つ目、3千メートルの滑走路があること、二つ目、コンビナート等の産業基盤があること、そして、三つ目として四季折々の観光資源があること、この三つです。 宇宙産業への新規参入として、まず考えられる分野は、燃料供給や設備メンテナンスなど打ち上げ支援に関係する分野です。 先日、大分県より1年早い2021年の打ち上げ準備を進める英国において、ヴァージン・オービットが一部設備の地元調達説明会を開催しています。 こういったハード面に加え、県内企業の、例えば、ニュージャパンマリン九州の衛星データによる自動着岸技術など、人工衛星のデータ活用といったソフト面の取組も有望です。 最後に、仮に宇宙港に直接関わらなくても、県内の観光事業者やベンチャー企業などの皆さんが宇宙を使った新しいアイデアで商品やサービス開発に取り組むことも重要だと考えています。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 今般、一般質問をするにあたり、佐伯のニシジマ精機さんにお話を伺いました。あの「てんこう」に挑戦した1社です。社長がたまたま同級生でして、ざっくばらんなお話を伺ったんですが、まず、てんこうの振り返りですが、JIS規格の取得や高い技術力の要求、納期とか人件費だとか、非常にハードスペックな仕事に挑戦していく中で苦労も大変多かったんですが、従業員の技術力の向上だとか、仕事への情熱、企業のPRなど、会社にとっても大きな転機となったと。しかも、てんこうへの挑戦により新たな顧客も獲得することができて大変よかったと。苦労が多かった分、その苦労が報われて、非常にいい経験をさせていただいたというお言葉がありました。 また、今回の宇宙港大分の実現においてどうだろうかというお話をさせていただいたんですが、新たな仕事への挑戦を楽しみにしています、どんな仕事に携われるのか非常に楽しみで、どんなに難しい仕事でもチャレンジしていきたい、また、一日も早い情報共有を望んでいますと。県内の多くの企業がそれぞれの得意分野で宇宙産業に関われるように県との連携の下、前に進みたい。そのためにも、新たな航空宇宙関連企業群を早期に創設していただき、取組をスタートしたいという言葉がありました。 また、実際やろうとしていたんでしょうが、コロナの関係で遅れている部分がありましたというお話もしていましたし、また、ニシジマ精機さん以外に二豊鉄工所さんという会社が佐伯にあります。こちらにもちょっとお話を伺ったら、てんこうには参加していないが、やれる分野があればぜひチャレンジしたいと、非常に夢を与える宇宙港大分ですので、いわゆる製造業に対するビジネスチャンスの拡大にしっかりつなげていっていただければなという期待を込めて、次の質問に行きます。 続いて、円滑な事業承継の促進についてです。 中小企業の事業承継が円滑に行われ、継続して雇用を守ってもらうことが県経済のさらなる発展の礎となることは誰もが認識しているところです。 令和2年版中小企業白書によると、令和元年に休業、廃業した企業のうち、経営者が60歳以上であった割合は83.5%であり、黒字廃業は61.4%に上っており、経営の健全性が保たれていても、後継者がいないことで廃業せざるを得ないケースが多いことが分かります。これは、中小企業、個人事業者のほとんどが同族経営で、親族の中に後継者がいなければ事業の継続を諦めざるを得ないことが背景にあります。 日本銀行大分支店によると、仮に今後10年間に70代以上となる経営者の半数が廃業すると、大分県でも累計で約5万人の雇用と約2,700億円の付加価値額が喪失されるとの試算もあります。 中小企業庁のアンケート調査によると、廃業を考える理由として、業績が厳しいが37%、この次に後継者が確保できないが33%を占めており、同族以外に広く後継者を確保し、黒字廃業を抑止することが県経済のさらなる発展のためには喫緊の課題です。 国は、29年度から事業承継5か年計画にのっとり、プッシュ型事業承継支援高度化事業や後継者の相続税、贈与税の優遇、金融支援や事業承継補助金の給付等を行っています。本県も大分県事業引継ぎ支援センターを設置し、相談対応やM&Aの取次ぎ、各種マッチングセミナーを開催し、一定の効果を上げていることは承知しています。 これらの取組を通じ、新たに認識した課題や円滑な事業承継をさらに前進させるための施策に関し、知事の御見解をお尋ねします。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 円滑な事業承継というのは、近年、我が国の中小企業政策の中で大変重要な位置付けでしたが、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、経営状況が健全な企業であっても、この際ということで事業承継意欲が低下し、廃業につながる可能性も多くあるわけで、やはりコロナウイルスの終息後も事業承継はますます大事になってくると思います。 いろいろ難しいのですが、県では、次の四つの取組を進めているところです。 一つは、事業承継の早期取組の重要性に気付いてもらうための診断の実施です。平成29年度からの3年間で1万4,693件の診断を行ったところですが、コロナウイルスによる環境の変化を踏まえ、引き続き診断を実施していきます。早期に診断をし、早期に取りかかるということが大事です。 二つ目は、事業承継の伴走支援ということです。承継の実現に向けて、関係機関が連携して、承継計画の策定や第三者承継の支援などを行っています。昨年度、現役の経営者と後継者が親子で事業承継計画を作成するワークショップを県内15か所で開催したところ、202名が参加してくれました。 また、後継者がおらず、廃業を検討していた佐伯市の老舗酒造会社、大地酒造では、市内で酒屋を営む社長さんが、かねてから念願だった酒造りをしたいと後継者に名のりを上げ、事業引継ぎ支援センターや地元商工会の支援によって第三者承継が実現したところです。 三つ目は、事業承継の障壁となっている個人保証付融資の引継ぎへの対応です。 今年度から法人と経営者個人の区分経理や承継企業の財務改善などにより、承継時に経営者保証を解除できる制度が創設されました。加えて、仮に金融機関が経営者保証を解除できない場合であっても、後継者の個人保証を不要とする県独自の融資制度を創設し、金融機関には事業承継時における制度の活用を要請したところです。 四つ目は、後継者による事業の継続や成長の後押しです。県では、後継者や後継者を志す方を支援するため、おおいた後継者育成塾を開講し、経営に必要な知識や心構えの習得、新事業開発の手法など、受講者同士が切磋琢磨しながら学べる機会を提供しています。 さらに、ベンチャースピリットを持つ若手後継者を発掘、育成するため、アトツギベンチャー・ワークショップを新たに開催し、他の目標となる後継者の育成、県内外の先進的な後継者との交流などを行います。 これらの支援を通じ、次世代を担う後継者を育て、地域に必要な事業をしっかりと残し、社会経済の再活性化を着実に進めていかなければならないと考えているところです。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 新たな取組も始まっているようです。また、知事の御答弁にあった佐伯の酒蔵の件ですが、私もこの間、上浦の「花笑み」の新酒をいただきまして、皆さんにも消費をよろしくお願いしたいところですが、部長にいくつか伺います。 事業承継、様々な取組が充実してきていると思います。その中で、さらなる後継者人材の掘り起こしの部分で、後継者人材バンク登録者の増加への取組が必要かと思います。後継者となることを希望する方々への情報提供として、どのような企業が後継者を探しているか広く情報を開示できる仕組み、マッチングサイトを運営する民間企業との連携、創業希望の方々に、よりハードルが低く事業者となれる方法として、後継者としての道も選んでいただけるように、おおいたスタートアップセンターとの連携も有効な手段だと思っています。後継者人材のさらなる掘り起こしのための取組について御見解があれば伺います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長高濱航商工観光労働部長 大分県事業引継ぎ支援センターが運営する後継者人材バンクでは、移住フェア出展による掘り起こしや、関係機関への協力要請の結果として、6月19日現在で97名、うち県外在住者19名に登録していただいており、県内の後継者不在の事業者とのマッチングを実施しています。 県と引継ぎ支援センターが連携して、スタートアップセンターや県内の創業支援施設に対し、創業希望者への後継者人材バンクの紹介、登録について協力要請し、これまで2人の登録をいただいています。 また、引継ぎ支援センターでは、M&A仲介企業など民間事業者を支援機関として登録し、後継者候補の企業や人材を発掘しています。 また、県では、昨年11月15日にマッチングサイト運営企業を招いた第三者承継促進イベントを開催しました。今年度も実施予定であり、さらなる機運醸成を図り、後継者人材の掘り起こしを加速していきたいと考えています。
    麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 さらなる加速をお願いします。 今御答弁が出ましたM&Aを少し聞きます。M&Aのマッチングを行う場合、最も望ましいと思うのが、県内企業同士のマッチングだろうと思います。 県内金融機関の仲介により、後継者のいない企業を買収した事例を身近で聞きました。これは非常にいい形で今も運営が行われており、さらなる事業拡大のために異業種の会社を買収した事例です。県内企業の中からの買い手掘り起こしのために、金融機関との連携のさらなる深化と官民一体での取組、このような事例をさらに進めていくために、大分県事業承継ネットワーク連絡会議の運用に関して御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 事業承継ネットワーク連絡会議の運営についてお答えします。 事業承継ネットワーク連絡会議は、商工団体や県内金融機関など28の機関で構成しており、この連絡会議が主体となり、各機関が連携し、これまで1万4,693件の事業承継診断を実施しています。 このような連携した取組のみならず、連絡会議では、各機関に売却希望企業買収希望企業の情報提供を要請しています。 さらに、引継ぎ支援センターが保有する売却希望企業の匿名情報を県内金融機関に定期的に提供することにより、マッチング、特に県内企業同士マッチング実現を促進しています。昨年度、引継ぎ支援センターの支援で承継が実現した61件のうち、金融機関の情報提供連携による案件は15件です。 県内金融機関をはじめ、構成機関との連携を一層強化し、事業承継のさらなる促進を図っていきます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 次の質問に入ります。 ICT活用の課題と今後の取組についてです。まずは、建設業におけるICT活用と取組状況について伺います。 建設業における技術者、技能者の不足は日を追うごとに顕著となっており、大分労働局の「大分県の雇用情勢」によると、本年4月の建設業における有効求人倍率は3.96倍で、人財確保に奔走する業界の姿が浮き彫りになっており、人財不足は公共事業の入札不調の主な原因ともなっています。 南海トラフ地震や、近年その被害が増している台風、豪雨災害に対応するための県土強靱化を推進するためにも、建設現場における生産性の向上は不可欠です。 国は、令和7年度までに建設現場での生産性を2割向上させるとし、ICTの活用を進め、省人力化、工事日数の削減や、将来的にはコスト縮減の取組を進めています。具体的には、測量設計、施工はもとより、検査、維持管理、更新の全ての段階においてICT技術を活用するため、三次元データの基準作成や対応できる技術者、技能者、検査員育成のための講習会の開催、ICT施工事例の効果検証を行い、体制の整備を進めています。 県もICT活用工事試行要領を定め、ICTの試行的な活用を進めるとともに、県内建設業者への支援として、ICT機器導入のための補助を行い、建設現場での生産性向上に努めています。 また、県が進めるドローン産業創出のために設立した大分県ドローン協議会には建設会社も多数参加していると伺っています。業界から伺っている課題としては、導入コストや技術者、技能者の教育に係るコストなどが挙げられますが、ICTの導入を進める上での現状の課題と今後の取組に関して御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 建設業におけるICT活用と取組状況について御質問をいただきました。 建設現場におけるICT活用は、プレキャスト化による省力化や、施工時期の平準化を通じた人材の効率的活用などとともに、生産性向上に資する施策の柱となっています。 県では、平成29年度からICT活用工事を試行しており、測量作業の軽減や工事日数短縮などの効果を確認しています。一方で、測量、施工等の各段階において、ICTを活用できる技術者が少ないことや、導入初期費用が高額であることなどの課題もあり、まずは導入に向けた動機付けが必要と考えます。 このため、測量等のICT機器購入に対し、昨年度までの3か年で59件の補助を行い、ICT活用の基盤づくりを進めているところです。 また、施工においては、ICT建設機械のリース費用が高いことから、規模の小さい工事において割高となる傾向です。このため、今年7月にICT施工の実態を反映した積算基準の見通しを国に準じて行うこととしており、より利用しやすい環境につながるものと考えています。 今後、日々進歩する技術を見極めつつ、その導入課題や国の対応状況等を確認しながら、ICT活用に努めていきます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 個々の流れで、最後にリース料の差額をというところで再質問しようと思っていたんですが、今、見直しをされて、その分やっていくという答弁があり非常に心強く思っています。 次の質問に移ります。 建設業におけるICT技術人財の育成についてです。 三次元測量の機器や、三次元測量によって得られたデータを図化する専用のパソコンなどICTを活用するために必要な資器材の価格が高価であることも普及を阻む一つの要因だと思いますが、それ以上に時間とコストを要するのが人財育成ではないかと考えます。 新しい技術であるがゆえに講習会などの機会も限られており、各社の担当技術者が建設業におけるICTのパイオニアとなっており、先生のいない技術をそれぞれが手探りで習得している現状かと思います。 また、発注者側も同様に業者から提出された三次元データの成果物を活用、検査できる体制を整えるのには相当な時間を要すると推測します。 建設現場並びに検査体制におけるICTの普及促進のために建設業者と発注者側である県職員の人財確保及び育成が急務と考えますが、その対策について伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 建設業におけるICT人材の育成についてお答えします。 人口減少や少子高齢化といった社会構造の変化を踏まえ、生産性向上に向けたICT活用を図るためには、技術革新への柔軟な対応力を備えた人材の確保が重要となります。 このため、平成28年度に産学官連携による大分建設人材共育ネットワークを立ち上げ、次世代を担う若者を対象に建設業の魅力を発信しながら、人材確保の取組を進めています。 一方、建設業におけるICTは、現在、普及促進を図る段階にあることから、研修などによる人材育成も極めて重要と認識しています。 そこで、発注者と受注者双方の技術力を高める取組として、ICT活用工事での現場研修会を実施するとともに、今年度は新たに大分県建設業協会と連携したICT体験学習会の開催も予定しています。 また、土木建築部では九州初の取組として、独自のドローン操縦者認定制度を設立しました。平成29年度から講習会を重ね、現在までに368人を認定し、全土木事務所に配備したドローンを日常的に活用しています。 今後もこれらの取組を着実に推進しながら、ICT人財の確保、育成に努め、先端技術の積極的な活用につなげていきます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ICT、特に掘削機械などは今、非常に技術が進んで、私も実物は見たことないのですが、あくまで聞いた話で、ベテランのオペレーターとその機械でやる分と全く遜色なく、しかも、作業効率もいいということも伺っています。 ただ、人財育成とか検査体制というところで、一つ、通告していませんが、感想で結構です。 結局、ICTで掘削をし設計書どおりの勾配でいったとき、検査するときに、ちょっと落語みたいな話ですが、ICTでほぼ自動で掘削した後、実際その勾配がきちんと設計書どおりになっているかどうか、結局、丁張りをかけて目視で確認したというお話もあるんです。それは技術的にまだしょうがない部分はあるかと思いますが、ICTを活用して作ったものに対する、また、ICTを活用して行える検査体制というものは現状でどのくらい進んでいるのかを1点、伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 土木建築部ではICT活用工事試行要領を定めており、その中で国交省が定める各種要領や基準等を準用しながら検査を実施しています。 こういう基準に基づいて検査を進めていますので、今後もそういうものを活用しながら、円滑な検査を進めていきます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 まだ機械というか、そういう環境整備が整わないという感じですよね。今は基準に応じてやっていかざるを得ないでしょうから、機械の環境について、もし部長の知っていることがあったら、お願いします。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 検査については、ICTで施工しても、出来上がったものは通常の機械で施工したものと同様であり、そういう基準に基づいて測量をしながら確認していますので、ICTということで検査の部分がそれほど大きく変わるところはないかと思います。施工はICT機械を活用することで非常に効率よく、また、精度の高い現場の品質が確保されているものと認識しています。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 令和3年4月からワーク・ライフ・バランス等を推進する企業を総合評価において評価する取組について、という資料を目にして、正に女性の働き方改革であるとか、建設業に女性が進出できる機会をつくっていくという部分にもこのICTの技術が資していくのではないかと思っていますので、さらなる取組をお願いします。 実際、コンマ8のバックホーで、ICT機械のバックホーであれば月額80万円のリース料、従来の機械であれば月額20万円ぐらい。この60万円の差額が、技術提案ですから総合評価の中で企業が負担するのは私は十分ありだと思っているんですが、さきほど御答弁の中で、国の見直しでそういう差額の事業者負担も減っていくということでしたので、今後さらなる普及が進んでいくだろうと思っています。 あとは、これは実際現場の細かい話になるんですが、大規模な、ある程度土を切るとか、ちょっと広いところの舗装は、アスファルトフィニッシャーとか、バックホー、ICT対応で非常に効率よくいくんですが、今、建設業で人材不足のところは、いわゆる構造物の部分であろうかと思います。あと小規模な土工であるとか、こういうところでのICT機器の対応は、別に大分県がどうとかではなく、機械そのものの対応がまだ進んでいない状況があるし、また、ものづくり大分県という部分もあるので、そういう構造物対応のICT機械も各部局連携して取り組んでみたら、日本初の非常に画期的な取組ではないかという思いもしていますので、そういう御提案もさせていただきながら、次の質問に移ります。 ICTを活用できる教員の育成についてです。 今年度から実施されている新学習指導要領においては、情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力とし、各学校においてコンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることが明記され、より積極的にICTを活用することを求めています。 また、小学校段階で初めてプログラミング教育を導入する他、中学校、高等学校における情報教育についても一層の充実が図られています。 また、政府は、学校におけるICT環境の整備に必要な経費について、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画に基づき、単年度1,805億円の地方財政措置に加え、令和元年度補正予算で校内通信ネットワークの整備と義務教育段階の児童生徒1人1台端末の整備に総額2,318億円、さらに令和2年度補正予算では総額2,292億円をそれぞれ計上し、各自治体において学校ICT環境の抜本的な改善に取り組むことを求めています。 ICT活用の教育をスタートするにあたり、通信環境の整備や端末機械の調達において、県内各市町村での対応スピードの差によって、学校現場における格差が生じることも気がかりですが、特に児童生徒たちにICTを活用して指導できる教員は十分に足りているのかという点が危惧されます。 新型コロナウイルスの影響もあり、ICT化の流れは止まりそうにありません。しっかりとこの流れに対応できる人材を育成することは、学力向上においても必須と考えます。 また、せっかくのICT環境を整備しても、使いこなせる教員がいないと宝の持ち腐れになります。ICTを活用できる教員の現状と今後の育成方針について伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 ICTを活用できる教員の育成についてお答えします。 これまで大分県教育情報化プランに基づいて、県教育センターにおいて、教育現場のICTスキルの向上を目指して教員のキャリアごとの体系的な研修に取り組んできたところです。 初任者研修、中堅教諭研修の法定研修の場に加えて、フォローアップ研修などの場面でICTを活用した教材作成などの研修を実施する他、小、中、高校を問わず、学校現場に出向いてプログラミングや端末操作などの出前研修も行っています。 また、全ての学校の情報化推進リーダーの教員に毎年スキルアップ研修を実施するとともに、全ての教員には校内での年3回の研修受講を求めています。 今回の事態を受け、オンラインでの双方向授業の取組は必須の状況になってきましたが、まだ習熟した教員は一部にとどまっているために、4月、急遽指導者向け研修を行い、拡大にも努めているところです。 今後は、教育センターでの来所の研修充実に加えて、学校現場でのWEB研修などによって、全ての教育のICT活用能力の向上を進めて、子どもたちにとって、より分かりやすい授業づくりにつなげていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ICT活用を指導できる教員の割合、平成30年度実績で73.3%、目標値として令和4年度には100%を目指していくという数字があります。 ただ、このICT活用は、習熟度においてかなり個人差があるんじゃないかと思うんですね。使えますといっても、じゃ、どの程度なのかというところに差があると思います。 それで、講習を経て、例えば、検定試験を設けて、これに合格した人ができるとか、そういう制度であれば問題ないと思うんですが、そうはなっていないと思います。 そういう想定がないところで、先生方の働き方改革にも鑑み、外部指導員の積極的な活用等を視野に入れ、県下の学校において、指導する教員の習熟度によって児童生徒に差が出ないような取組、いわゆる外部指導員の積極的活用で補助的にやっていくという取組も必要かと思います。その辺、御見解があればよろしくお願いします。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 議員御指摘のとおり、急遽、1人1台端末で全てICTを使った授業ができるかというと、当然現場の先生にはいろんなレベルの差があります。そういったことから、先生の困り事に対する支援員を県立学校全体で2名配置して、また、ICTを活用した授業づくりなどを支援するアドバイザーを新たに2名配置し、県立、私立を問わず、学校に積極的な支援を行っていこう、専門家を入れていこうと考えています。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 各市教委にも指導的役割を果たしていただいて、恐らく各市教委も苦労されていると思います。そういう外部人材の登用を含め、県教委がしっかりリーダーシップを取って、このICT教育に取り組んでいっていただきたいと思います。 このICTについて、私もちょっと勘違いしていたんですが、先般、自民党会派の勉強会の中で、いわゆるICTが使えることになるのが目的ではなくて、ICTを活用しながら社会課題を解決できる人材をいかに育てるか、そのための根本的な事業の再構築が求められているということを学びました。 通信環境の整備だとか、端末の購入、設定、配付等、いわゆるハード整備に係る御苦労は非常に多いかと思いますが、本当の課題はその先にあり、児童生徒たちが従来の授業よりもこのICTを使うことによって、よりよい学びができることが本来の目的であると、その勉強会において気付かせていただきました。 また、新型コロナウイルスがあったせいで、若干最初の目的と違ってきている部分もありますが、新型コロナウイルスの災いを転じて福となすような取組を公立、私立、県下全ての先生方、頑張ってくださいというエールを送り、私たちも応援したいと思っています。 それでは、次の質問に移ります。 県南地域の諸課題についてです。 まずは、水産資源の確保についてです。 県は、県南地域の水産業において、クロマグロ、かぼすブリ、かぼすヒラメの養殖漁業の安定生産に向け、新技術の確立、販路拡大、加工施設の強化など様々な施策を展開しています。また、長年悩まされている赤潮対策に関しても、ICT技術を活用した監視体制の強化、二枚貝の海域浄化能力による赤潮防除効果を期待したカキ養殖の推進を行うなど、養殖漁業の経営安定に向けた取組が着実に行われており、関係者からも、私からも本当に心より感謝申し上げます。 一方で、漁船漁業、いわゆる天然物の漁獲量は、平成20年の1万7,293トンから30年には1万9,699トンと増加し、まき網などでは明るい兆しが見えるものの、その他の漁業種類では回復の兆しがなかなか見えてきません。この原因としては、気候変動による水温上昇など海洋環境の変化も大きく関与していると思います。対策が困難であることは承知していますが、魚種の豊富な佐伯においては、天然魚の漁獲があってこそ、養殖魚のブランド力が高まると思います。 そこで、県として、天然水産資源のさらなる増加、確保に向けたこれまでの取組や今後の対策について伺います。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 水産資源の確保についてお答えします。 佐伯地区の漁獲量は、近年、マイワシ、サバ類が増加しているものの、マダイ、アワビなどその他の水産資源については低い水準にあります。 資源の回復を図るため、県では種苗放流と資源管理の両面から漁業者の自主的な取組を促し、その内容に応じて放流種苗の上乗せ支援を行っています。 例えば、佐伯市のクルマエビでは、放流時に外敵から保護するかぶせ網の導入や、放流場所の2週間の禁漁、全長13センチ以下の捕獲禁止といった自主的な取組に対して、県として種苗放流経費の100%上乗せをすることで、昨年度の漁獲量は前年の2倍に増加しています。 こうした取組の成果を踏まえ、今年度から産卵期の休漁といった自主的な取組をさらに強化する漁業者に対し、県の種苗放流の上乗せを最大130%まで引き上げるとしたところです。 また、あわせて放流用種苗の供給という観点では、県の漁業公社の国東事業場の機能強化をすることによって生産性の向上を図り、放流量を増加させます。 加えて、放流した種苗、あるいは天然の稚魚、幼魚の生育環境の整備も重要です。海藻を食べるガンガゼといった有害生物の駆除、あるいは母藻の設置で漁業者の藻場保全活動を支援するとともに、海藻を効率的に生長させる増殖礁の設置といった漁場の整備もあわせて進めていきます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。佐伯の海をよく知っている大友部長の答弁、ありがとうございます。 いわゆる漁礁をやると、エビ類が目に見えて増えるというお話を漁師の方から伺っていますので、予算の許すところでよろしくお願いします。 次の質問に移ります。 循環型林業への取組についてです。 森林組合の工場がある宇目地域を中心に、林業に従事、経営する若者が増えています。多くの人工林が伐期を迎えていることに加え、建築資材、木質バイオマス発電など木材需要が多様化しており、林業が活性化することは、山間部における雇用の創出、定住にもつながる好循環を生み出すことに寄与しています。 この循環型林業を実践する中核経営体の確保、育成への取組を進める中での課題とその課題解決について伺います。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 循環型林業への取組についてお答えします。 伐って、使って、植えて、育てる循環型林業を実践するためには、その担い手となる事業体の確保、育成が不可欠です。 そこで、県では、年間の素材生産量が1万立方メートル以上の高い生産力と再造林の実行体制を有する中核林業経営体の育成を図っています。 この取組を進める上では、主伐、再造林などの生産性の向上、経営者の育成、就業者の確保、年間を通じた計画的な事業実施など経営基盤の強化が必要です。 そのため、主伐、再造林の一貫施業に取り組む意欲ある事業体に対して、機械導入や雇用、経営に関する研修を集中的に支援しています。 加えて、労働環境の改善に向けた安全装備の導入に対する支援、あるいは森林環境譲与税を活用した施業量の確保も行っています。 現在、新型コロナの影響によって木材価格が下落し、供給量の抑制が求められる中で、主伐から間伐への移行に対しての支援をはじめ、事業の継続を後押ししています。 こうした取組によって、中核林業経営体の平成30年度13組織から令和6年度には35の組織まで増やし、県下全域で循環型林業を推進していきます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 経営体の方、広域森林組合の方ともに認証経営体の補助、再造林に対する補助、非常に助かっていると、お話を伺ったところです。この取組は、今後とも継続と充実をお願いします。 そして、今回、コロナの件で原木価格が約3割下落、そして、住宅メーカーからの発注激減、その中で、いわゆるバイオマス用の未利用材は野ざらしでストックしていても、しかも出荷のめどが立ちやすいので、未利用材のほうで何とかしのぐという状況があるようです。 ただ、国の貯木場整備の補助金が始まったのですが、未利用材の貯木場は補助対象になっていないことで、困っている現状があることをお伝えしておきます。 いずれにしても、住宅の需要が回復しないとなかなか厳しい状況が続いていくという分析を現場ではしていますので、また注視をしていただきたいと思います。 最後の質問に参ります。 ネットワーク・コミュニティづくりの推進です。 九州一広い佐伯市は、旧町村部をはじめとする高齢化は深刻です。モデル地区として、ネットワーク・コミュニティを青山地区でやっていただいています。大変ありがとうございます。 ただ、青山地区よりも厳しい地区がたくさんあり、佐伯市でもよりよい形の自治組織を構築するために新しい課ができました。これらの課と連携した佐伯市域内に対して、県との連携、どうやって自治会組織の存続、ネットワーク・コミュニティをつくっていくのか、そのような推進に関する御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 ネットワーク・コミュニティづくりの推進についてお答えします。 県では、令和6年度末までに県下4,250集落の半分以上の集落をカバーするネットワーク・コミュニティの形成を目指しています。 佐伯市では、これまでに371集落のうち、150集落でネットワークが構築されていますので、その割合は40.4%となっています。 既にネットワーク・コミュニティが形成されている地域においては、例えば、西上浦の地域振興協議会では、地区の農産物などを集めた朝市の開催や健康づくり登山、さきほど議員がおっしゃった青山ピンコロの会ではパン作りを通じた子育て世代の地域活動への参画、直川のまるごと市場では高齢者向けの宅配サービスなど大変積極的な活動が展開されています。 このような取組の拡大に向け、佐伯市においては、地域課題の把握のためのアンケート調査や住民の機運醸成に努めていると聞いています。 県としても、大学とも連携をしながら、組織設立に向けての方針や体制づくりを支援するために、専門家を派遣したり、初動をサポートする取組を今年度から強化しています。 今後とも、佐伯市と情報共有、連携を密にしながら、ネットワーク・コミュニティのさらなる構築に取り組みます。 ○麻生栄作議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 コミュニティ創生課ができているそうなので、さらなる連携をお願いして、元気もりもりで一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で清田哲也君の質問及び答弁は終わりました。井上明夫君。  〔井上(明)議員登壇〕(拍手) ◆井上明夫議員 皆さんこんにちは。自民党の井上明夫です。今回質問の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員の皆さんに感謝申し上げます。また、今日は私の地元日田市で作られました夏用クールマスクを着用して質問します。 それでは、通告に基づき一般質問を行います。 最初に、大きな1項目めとして、九州北部豪雨からの復旧について質問します。 今年も梅雨時期を迎えました。平成29年7月の九州北部豪雨で日田市、中津市を中心に河川の氾濫や土砂崩れなどが発生し、県内で甚大な被害が発生したことが鮮明に思い出されます。そのとき被災して3年近く不通区間の続くJR日田彦山線の復旧について質問します。 JR日田彦山線については、これまでも復旧の見通し等について質問をし、知事からもしっかりと議論し結論を出していきたいとの答弁をいただいていたところです。 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大という事情があるとはいえ、日田彦山線復旧会議において今年3月までに復旧方法の合意を得る予定だったにもかかわらず合意はなされませんでした。 復旧会議においては、鉄道、BRT、バスの3案による復旧が検討され、BRTであれば停留所の新設も可能となるなど、利便性の向上などによる利用者の増加も期待できることから、大分県側においては、3月1日に日田市で開催された住民説明会において、BRT案を第1候補として検討することで沿線住民の皆さんの賛同が得られているところです。その後、沿線での協議がまとまらずにいた福岡県側も5月26日になってようやくBRT案を容認する姿勢を示しました。そこで、一日も早く復旧会議を開催し、関係者間において復旧方針の合意を行うべきと考えます。 また、復旧にあたっては、日田彦山線の沿線とその他の地域を結ぶ交通体系の構築や、復旧後の沿線の地域振興や観光振興なども含めて、広く地域全体の将来像を考えていく必要があると考えます。不通になってから3年が経過しようとしている日田彦山線の復旧に向けて、今後のスケジュールを含め、知事の見解を伺います。 以上で壇上での質問を終わり、あとは対面席で質問します。  〔井上(明)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの井上明夫君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 井上明夫議員には、日田市で作られた涼しげなマスクを着用しての御質問をいただきました。連日日本一の暑さを記録している日田市の製造ということになると、それだけでブランドになるのではないかと期待をしています。 JR日田彦山線の復旧について御質問をいただきました。日田彦山線の復旧については、被災から時間も相当経過しており、3月末には結論を得ようということで関係者で議論を進めていましたが、いまだ結論に至っておらず、沿線の住民の皆さん方に対しては大変申し訳なく思っています。 復旧方針に関しては、これまで復旧会議において、鉄道、BRT、バスの3つの案について議論をしてきたところですが、3月1日に日田市で開催された住民説明会の結果、日田市としては、BRT案支持で沿線住民の皆さんの御意見をまとめていただきました。 一方、福岡県側においては、これまで復旧方針についての見解が一致していませんでしたが、5月26日に東峰村がBRT案を受け入れる旨を表明したことにより、BRTによる復旧という方向性が定まったと認識しています。 BRTの場合には、鉄道と比較しても、定時性や速達性が一定程度確保できるとともに、停留所の新設による乗車機会の増加、バリアフリー車両やロケーションシステムの導入による利便性の向上など、地域のニーズに沿った持続可能な交通ネットワークとして将来的な期待が持てると思っています。 現在、福岡県側において、BRT専用道を宝珠山駅まで延伸することに関し、JR九州と調整が行われていると承知していますが、実際に利用される方々のニーズを踏まえながら、スピード感を持って検討を進めていただきたいと考えています。 被災から3年が経過する中で、とにかく一日も早い復旧は住民の皆さん共通の思いです。引き続き、日田市はもとより、福岡県側との連携を密にしながら、早急に、議員のお話によると一日も早くということですが、そういう気持ちで復旧会議を開催し、しっかりと議論して復旧方針を決定していきたいと考えています。 また、復旧後の地域振興や観光振興は、沿線地域における地方創生を加速させていく上で非常に重要なことだと思います。 日田市としては、グリーンスローモビリティの導入や東峰村、添田町と連携した観光振興策などを現在検討していると聞いていますが、復旧方針について結論が得られた後に、より具体的な検討を進めていくことが必要です。 大分県としても、日田市と情報共有を図りながら、沿線住民の皆さんに以前よりもよくなったと思っていただける形で復旧、復興が果たされるようにしっかり努力をしていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 御答弁ありがとうございました。ただ、沿線地域の地元住民、非常に待ち長いということで、去る5月22日に大分県側の沿線の大鶴・夜明地区から早期の復旧方針の決定と今の代行バスの停留所の増設などの要望が大分県議会に出され、それを受けて、6月11日には麻生議長がJR九州本社を訪れ要望を伝え、私も同行したところです。まずは一日も早く復旧会議を開催していただき、JR九州や福岡県と調整することをお願いします。 また、代行バスの停留所の増設については、JR九州のほうでも前向きで、早期に取りかかれるとのことですので、これも実現をお願いしていただきたいと思います。 それから、福岡県から大分県に入ってすぐのところに大肥川に架かる鉄橋があるんですが、大肥川が増水したときにこの鉄橋が障がいとなって水があふれるという心配があります。現に3年前にもこの付近で農地が水に浸かったわけですが、BRT案で決定すればこの鉄橋は必要ないので、地元自治会の大肥町からも、この鉄橋を一刻も早く撤去してほしいという要望も出ています。そのようなことを進めるためにも、復旧会議を開催して早く結論を出してほしいので、ぜひ事務局であるJR九州に促していただきたいと思います。 それからまた、公共交通の空白地帯と日田彦山線沿線を結ぶということで、日田市が今年秋に電気自動車のグリーンスローモビリティの実証実験を行うわけですが、こういう地域振興策の導入にあたっては、日田市に対する大分県の後押しをぜひよろしくお願いします。 次に、JR日田彦山線の沿線にある大肥川の改良復旧工事の進捗についての質問です。 災害から約3年が経過し、日田市内の多くの箇所で今も復旧工事が進められています。これまで国、県、市が一体となって、また地元の建設業界の皆さんの御尽力により復旧・復興が進められたことには感謝申し上げます。 日田市内の河川では、被災した箇所の復旧だけではなく、複数の河川で改良復旧工事も進んでいます。その改良復旧工事に取り組んでいるうちの一つである大肥川でも、下流の夜明地区などで護岸整備が進んできており、いよいよ上流の大肥地区でバイパス的な河川である捷水路工事に着手する予定です。 このような中、さきほど質問したJR日田彦山線も動きが出てくるということで、福岡県側の工事も進んできており、大肥川の捷水路工事が一気に進むのではないかと期待しています。しかし、コロナショックの中、地元調整や用地買収などに影響が生じ、事業進捗に遅れが発生するのではないかと心配しています。 そこでお尋ねします。大肥川の改良復旧工事の進捗と捷水路工事の見通しについて伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 大肥川の改良復旧工事の進捗についてお答えします。 平成29年7月の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた県管理の4河川において、川幅を拡げる改良復旧事業を行っています。 鶴河内川、小野川、有田川は工事発注を終え、来年の出水期をめどに工事を進めています。 御質問の大肥川では、筑後川合流点から福岡県境までの区間で改良復旧を実施しており、そのうち、捷水路より下流の区間では既に川幅が拡がり、護岸や橋梁の工事が順調に進んでいます。 これらの工事進捗は、地元の協力と施工業者の頑張りによるものと心から感謝しています。 残る捷水路部については、JR九州日田彦山線と並行する計画で地元と合意し、昨年度末に用地買収に着手したところです。 コロナの影響で、捷水路部の説明会や用地交渉の延期を余儀なくされましたが、感染防止に配慮し、説明会に代わる模型実験映像の配布や玄関先での用地交渉などの取組により、事業進捗に大きな遅れは生じていません。 また、毎年出水期までに河床掘削や土のう設置等を行い、再度の災害防止に努めているところです。 現在、地元の御理解をいただき、用地買収と文化財調査を並行して進めており、まずは上半期中の工事発注に向け、着実に取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 ありがとうございました。九州北部豪雨のときは、大肥川の堤防の決壊によって多くの家屋や、また事業所、農地など被害を受けました。 その後の改良復旧工事の目玉として、川のバイパスというか、捷水路の計画がされまして、ただ、その一方で、捷水路が建設される地域においては、やはり住民の皆さん、川や道路や橋がこれまでと形状が変わるわけですね。捷水路は自分たちの住宅の近くにできることで、いろいろ安全面や利便性などに対して心配する声もあります。そのことで地元の合意を得るのに大変時間がかかったわけです。 今後もまだまだ細かいところでいろいろと不安の声があるので、進捗状況など引き続き地元に丁寧に説明を行っていただいて、今回の改良復旧工事の中でも最も重要なポイントである捷水路の工事を遅滞なく進めていただきたいと思います。 次に、災害に強い農業について質問します。 九州北部豪雨で被災した日田市の大肥地区の農地では、今年5月26日に3年ぶりに稲の作付けが再開されました。同地区では、大肥川などが氾濫し、沿線の農地が被災しました。復旧された農地では、乾田直播を採用して飼料用稲の栽培が行われ、地区には近年新規就農者も就業しており、復旧工事は今後も続きますが、完了後の復興が期待されます。 また、九州北部豪雨ではありませんが、豊後大野市朝地町綿田地区でも、同じく平成29年に田んぼに亀裂が生じる地すべりが確認され、米作りができない状況が続いていましたが、先月対策工事が完了し、田植えが行われたとのことです。 さらに、先月9日には、由布市庄内町渕地区でも斜面崩壊が発生し、農地が土砂で埋まる災害が発生しました。被災した農地が早期に復旧されることを期待していますが、今年の作付けは厳しいのではないかと心配しています。 農業は、自然災害の影響を受けやすい産業であり、農地の防災力の強化は農業経営の安定化に欠かせません。しかしながら、近年、大規模な自然災害が多発している中、農業従事者は減少し、高齢化も進んでおり、被災後の経営再開へのハードルも高くなっていると思われます。 このような状況で、生産者が安心して農業を継続できるようにするためには、災害発生後の早期の農地復旧はもとより、災害を未然に防ぐ取組や復旧後の経営継続に向けた仕組みづくりも必要です。 そこで、災害に強い農業について、県のお考えを伺います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 近年、台風や集中豪雨等の自然災害が頻発しており、本県農業を災害から守って発展させていくためには、農地や農業用施設などの生産基盤の強化とともに、被災農家の再生産に対するきめ細かな支援が大切です。このため、災害に強い農業の構築に向けて、しっかりした方針を持って取り組んでいます。 まず、災害を未然に防ぐ取組が大事です。水路の農業水利施設の多くが耐用年数を超過し、更新時期を迎えており、ため池についても老朽化が進んでいます。このため、老朽度合いや耐震化の調査を踏まえ、計画的に整備を進めています。 また、先月、由布市で発生した土砂災害を受け、直ちに用水路の漏水やひび割れ状況等を点検するよう指示しました。異常が見られた箇所は、土地改良区等で速やかに補修を行っていただき、施設の安全性の確保を図ったところです。まずは災害を未然に防ぐ取組をしっかりやっていくことです。 次に、営農再開に向けた早期復旧です。復旧工事の主体である市町村に対し、早期発注に向けた技術的支援を行うとともに、応急的な対応として、被災農地での作付けが可能となるように仮畦畔の設置などにも取り組みます。 なお、市町村のみでの対応が困難な大規模災害時には、県職員を派遣して人的支援により迅速な復旧工事を進めていきます。防災とあわせ不幸にして災害が起こったときには、復興を早くやるということです。 また、農家には災害等による収入減少を補填する収入保険制度を活用して経営の継続を支援するとともに、最大無利子となる資金を用意し、施設の復旧等を後押しします。 第3の方針としては、未来に向けて地域農業をさらに発展させる復旧・復興の取組です。 地元の意向を確認し、原形復旧にとどまらず、経営の効率化や産地拡大など、将来の営農形態を見据えて復旧を進めます。 例えば、日田市の大肥地区では、集落営農法人などと復旧方法や負担軽減等について話合い、担い手に8割の農地を集積し、ほ場の再整備による大区画化や乾田直まきによる低コスト化、さらには水田の畑地化によるピーマンや里芋など高収益作物の導入を図ります。 同様に被害があった日田梨園の復旧では、梨部会を中心に検討を重ね、生産効率が上がり災害のリスクも少ない平たん地に4地区4.9ヘクタールの園地造成を行い、新たな産地づくりを進めています。また、経営の安定化に向けて、未収益期間を短縮する早期成園化技術の導入や、施設をリース方式として初期投資の負担軽減を図る仕組みづくりも行っています。 今後も農家が安全で安心して農業を営むことができるように、ハード対策とソフト対策を組み合わせて、総合的な対策を実施していきます。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 ありがとうございました。農業関連のインフラ整備から経営支援まで、多岐にわたっていましたが、その中で、やはり早期復旧がどうしても道路、川、農地の順になるという感じで、どうしても一番後回しになる。その間に離農までいかなくても別の農地を借りて行い始めたとか、やはり応急的なことでも早期復旧に特に力を注いでいただきたいと思います。 今回、自然災害のことを取り上げましたが、新型コロナウイルスにより、経営を支えてきた付加価値の高い農産物が大打撃を受けています。このコロナ問題も含めた災害によって、高齢化や後継者不足の中でぎりぎり踏みとどまっていた農家が引退する引き金になることも懸念されます。ただ、防疫が不測の事態に陥ったときの食料自給の大切さ、また、農業農村には自然環境の保全や文化の伝承など、単なる生産活動を超えた役割もあることを念頭に置いて、災害に強い農業を目指していかなければならないと思っています。 それから、大きな2項目めとして、新型コロナウイルスの県内産業への影響について質問します。 今回、多くの議員から対策について質問されていますが、まさに世界的規模で起きた災害と言っても過言ではない、このコロナウイルス問題ですが、この新型コロナ拡大防止対策として、国を挙げて移動の自粛を要請してきました。この方法は一定程度成果を上げ現在の状況に至っていますが、経済面では飲食、宿泊業をはじめとして多くの業態で減益減収となっています。 これは本県でも例外ではなく、私の地元日田市でも観光業へのダメージが深刻です。豆田町をはじめとする国外、県外客でにぎわう観光スポットも静まりかえっており、川開き観光祭やユネスコ無形文化遺産に登録されている日田祇園の曳山行事も今年度は中止となりました。また、温泉旅館山水館を運営していたリバーサイドホテル山水が5月15日に大分地裁日田支部へ破産を申請したという報道には大変衝撃を受けました。昭和26年創業の老舗旅館が新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上げが落ち込み、事業継続のめどが立たなくなったとの理由での終えんで、非常に残念でなりません。 今、私の郷里の話をるる申し上げましたが、県内の観光地でもゴールデンウイークや夏休み期間の利用客の減少、また、第2波への対応などに戦々恐々としている状況と思います。今後また先行きが見えない中、事業継続を断念する企業もあるかもしれません。 そこで、次の2点について伺います。 一つは、県内倒産についてです。いわゆるコロナショックの影響により企業経営が悪化したことによる倒産は、これから顕在化していくと思います。県では、1月31日よりいち早く新型コロナウイルスに関する経営・金融相談窓口を設置して企業からの相談を受け付けており、実態をしっかりと把握されていると思います。中小企業の倒産防止のためには、それぞれの事情に応じたきめ細かな対応が必要になると考えますが、コロナショックによる倒産防止に向けた今後の取組を伺います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 民間の調査会社によると、県内では既に新型コロナウイルス関連の倒産が3件発生しており、影響の長期化による倒産の増加が懸念されています。 倒産により、地域経済や雇用は大きな影響を受けることから、事業者の声をしっかりと聞き、事業継続に向けた必要な支援策を講じていくことが重要だと認識しています。6月18日までに県の相談窓口に寄せられた相談のうち71%が資金繰りに関するものです。 県では、3月5日に低利融資制度「大分県新型コロナウイルス感染症緊急対策特別資金」、5月1日には3年間実質無利子、無担保の「がんばろう!おおいた資金繰り応援資金」を創設しました。6月19日現在において、両資金合わせて4,480件、金額として603億円の融資を実行しています。 加えて、金融機関や信用保証協会には、資金繰り支援の強化などを文書で2度要請しています。制度資金の活用促進とあわせ、応援金の迅速な給付等により、事業継続のための資金繰りをしっかりと支え、倒産防止を図っていきます。 さらに、国、県では社会経済再活性化のための施策を多数用意しており、相談内容に対応する最適な施策を紹介し、商工団体などを通じて活用を支援していきます。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 経済対策に関しては、国、県、市、それぞれ支援を図っていますが、その中の持続化給付金については、知事も国の制度で作った給付金をまず現場に迅速に届けることが必要とおっしゃっていたとおり、現場に届かなければ意味がありません。ただ、持続化給付金は売上げが前年比50%減以上であることが要件となっており、現場の企業にとっては非常に厳しいものとなっています。この要件に達していない企業は申請を諦めざるを得ません。こうした50%未満の減少率の企業を支援することも倒産防止に重要であると思います。 臨時会でも様々な経営支援策が上程され既に実施されていますが、県として、新型コロナウイルスの影響により売上げが減少するものの、持続化給付金の要件を満たさない事業者に対し、何らかの支援策が検討できないものでしょうか、伺います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 県では、売上げの減少率が50%未満の事業者に対しても、3%以上売上げが減少した事業者向けの県の制度資金「新型コロナウイルス感染症緊急対策特別資金」や、また5%以上減少で利用可能な日本政策金融公庫の特別貸付け制度などの利用者に対して応援金を給付しています。持続化給付金に比べ、売上減少のハードルを大幅に下げ、対象者を広げてしっかりと支援しています。法人には30万円、個人事業者には15万円を給付する応援金ですが、6月10日に受付を開始しました。そして、これまでに約3千件を超える申請をいただいており、本日までの支給は402件、1億1,070万円となっています。 ほかにもサービス産業の新しい生活様式への移行定着やものづくり企業による設備投資や、新分野挑戦を通じた事業再興など、県内事業者の売上回復を支援する施策を着実に実行することで社会経済活動の再活性化を実現していきます。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 応援金に関しては、早速利用したというお話も聞いています。 ただ、事業者の中には、事業は続けたいがなるべく借入れは増やしたくないという人もおられて、悩みながらも何とか事業継続を目指している方もおられますので、引き続き県のサポート体制の充実をよろしくお願いします。 次に、観光業への支援策についてです。 新型コロナ拡大が収束に向かって歩き始めた今、観光関係業者の皆様に将来への明るい展望を抱かせる必要があると思います。停滞した空気を振り払いV字回復に向けてどのように観光業への支援を行っていくのかお尋ねします。 また、観光業そのものを環境の変化に強い産業としていくための支援も必要です。あわせて御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 観光業への支援策についてお答えします。 観光需要の回復のためには、まずは宿泊施設や観光地での感染防止対策をしっかりと進めていくことが重要です。 県では、他県に先駆け、宿泊施設での感染防止対策を官民連携で検討し、感染防止対策チェックリストを作成しました。安心して宿泊できる環境づくりを県民の皆さんと協働で進め、その上で誘客地域を段階的に広げていきたいと考えています。 既に県内では、応援割やおおいた旅クーポンの取組を始めています。7月上旬からは隣県との相互誘客、そして8月からの実施が見込まれる国のGoToキャンペーンに向けては、県内周遊を促す取組とともに、県外への観光プロモーションを行い、大分の魅力を精力的に発信します。 インバウンドは、今後も厳しい状況が予想されますが、コロナ収束後の訪日観光客の解禁に向けて準備を怠らないよう努めます。 今後、密集を避ける、遠出を控えるといった旅行者の行動変容を捉えた新しい旅の形への対応が必要となります。従来の観光スタイルにとらわれない新しいサービスの取組に向けて、既に観光事業者とともに検討を始めており、おんせん県おおいたの回復を目指し、スピード感を持って取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 ありがとうございました。おおいた旅クーポン等、最初の第一弾では旅行代理店、大手のいろいろな事情がありました。 ただ、今回の旅クーポンでは、地元の旅行代理店でも利用できるので、その恩恵を受ける事業者も増えるものと期待しています。また、チェックリストですね。これは大分の旅館・ホテルの感染症対策をアピールするものであり、本県に観光客を呼び戻すために有効な方法で活用していただきたいと思います。特にこのチェックリスト、これは大分県のセールスポイントの一つというか、有効活用していくということで、お願いします。 ○麻生栄作議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 JTBが行った旅行再開に向けての意識調査では、旅行を控える理由のトップに新型コロナウイルスの不安とあります。徹底した感染防止対策は、観光客を呼び戻すための大きな力になると思います。6月1日から14日までの間、チェックリストを活用している宿泊施設の利用者を対象にした実施アンケートでは、98%の方がこの対策を評価してくださいました。 今後、チェックリストを活用する宿泊施設をさらに拡大するとともに、大分県のこうした取組による安心のおもてなしを積極的にPRし、観光産業の再活性化を進めます。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 県内向けのキャンペーン、宿泊施設関係者も大変ありがたいと言っておられます。その中で、お客さんの流れがどうしても別府・湯布院といったメジャーな地域に偏る傾向があるのではないかと心配する向きもあります。 今後、例えば、県内複数箇所を連泊することで割引になるチケットなども考えて、広く恩恵が行き渡る仕組みをお願いします。もし第三弾があるときには、ぜひ御検討をよろしくお願いします。 次は、木材価格下落への対策と今後の林業振興について質問します。 木材需要の多くを占める住宅市場では、もともと人口減少により、新規住宅着工戸数が年間80万戸台まで低下することが予測されていましたが、需要の動きに陰りが出始めていたところにコロナ問題の拡大が重なり、工期の延長や着工見送りなどが数多く発生しています。このため、原木・製品市場などの市中在庫が大幅に増加し、原木・製品価格が下落している現状です。 現在、住宅フェア等のイベントの中止で、住宅メーカーの受注機会が激減しており、新規の住宅需要の獲得が難しくなっています。加えて、今後、新規住宅着工のマインドがさらに低下することも考えられます。 今後、先行きを懸念した木材の買い控えや更なる価格の下落により、林業事業者の資金繰りの悪化や林業の担い手の雇用維持の困難等が懸念されます。また、近年高性能林業機械等を導入した事業者については、機械導入費の支払が迫られる中、収入が著しく減少し、経営が破綻することも危惧されます。 このような状況から、5月15日に、県内の13団体で構成する大分県林業団体協議会では、木材価格維持のための官民一体となった木材生産調整の取組や経済回復後の林業労働力確保などについて、県に対し、緊急コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急要望を行ったところです。 これまで、林業関係者は適切な森林整備を実施することで、治山治水、CO2の吸収、固定、住宅への木材供給などの重要な役割を担ってきました。しかしながら、今回のような木材価格の下落が続けば、林業事業者が事業継続することが困難となり、森林の荒廃、ひいては県土の荒廃につながりかねません。 そこで、今回の木材価格の下落に対する対策を含め、今後の林業振興についての知事の御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 木材価格への対応と今後の林業振興についてお答えします。 県では、これまで木材の生産力強化と需要拡大に取り組み、昨年の素材生産量は過去最高となる151万立方メートルに達しました。 一方で、昨年の消費税率の引上げに加えて、今般の新型コロナの影響により、新規の住宅需要は全国的に減少傾向にあります。 そうした中で、県内の原木市場の5月の平均価格は、1立方メートル当たり9,061円ということで、前年比80%、約2,200円の大幅な下落となっています。 このため、保育間伐等に対する上乗せ助成によって、主伐から間伐に誘導することで、雇用を確保しながら出材を抑え、価格の下落防止を図っています。 また、おおいた材住宅ポイント制度を創設し、県産材を使用した住宅を建築する方に、県産の木工家具や農林水産物に交換できるポイントを付与し、県内の住宅需要の回復を図ります。これらの取組により、コロナ禍においても森林整備と木材生産体制を維持していきます。 今後については、主伐の生産性の向上、再造林の徹底、担い手の確保といったこれまでの取組にあわせて、木材の有利販売に向けた原木市場の広域連携体制の構築を進めながら林業の振興を図っていきます。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 現在、原木価格が下がっているということですが、今のはどちらかというと消費税増税の反動というか、駆け込み需要の反動という面もあり、シンクタンクの予想では、今年の第3四半期、10月から12月、これが減少のピークではないかということも出ています。現在の経済状況では先行きが全く見通せないという状況です。 ぜひ県として、公共建築物や土木資材、外構工事などあらゆる分野での県産木材の需要拡大の推進をお願いします。 また、国からの森林環境譲与税が今年度から使えるようになっていますが、各自治体に対して木材利用に積極的に活用するように、県からも市町村に働きかけていただきたいと思います。 大きな3項目めとして、大分県教育の現状について2点伺います。 まず、ICTを活用した双方向授業の導入についてです。 今回のコロナ対策では、世界的に人と人との接触機会の削減というアナログな方法で感染防止が図られました。そのような中、接触機会の確保のために使われたのがICT技術を活用してのオンラインでのテレビ会議や対話です。このオンラインでの対話技術は、ビジネスだけでなく、医療、介護など多くのところで使われました。その一つとして、学校における授業があります。 これまでも学校の授業へのICT化については多く質問がなされ、教育委員会としてもある程度対応してきたことと思います。コロナ対策による休校が長引く中にあっては、地元のケーブルテレビや動画投稿サイトを活用した授業など、先生方が工夫してこられました。ただし、これらの手法は一方通行であり、児童生徒の反応を見て、その理解度を感じながら授業を進められない点で先生方も悩まれていると思います。また、新聞報道によると、特に双方向型のオンライン授業の導入については、九州内でも余り進んでいないようで、通信環境や端末の所有状況が各家庭で異なっていることから、なかなか導入に踏み切れていないとのことでした。 そういう中で、福岡県春日市のように4月から中学校主導でオンライン授業に取り組むところもあり、学校によっては双方向授業をやるやらないでの格差が生じる状況も生じてきそうです。 今議会でも質疑がなされたところですが、本県での県立高校から小中学校における双方向授業の導入に関して取組の状況と今後の展開について御質問します。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 ICTを活用した双方向授業の導入についてお答えします。 今回の長期休業の事態を受けて、県市町村問わず、校内LANや端末機器などの整備が急速に進むこととなり、今後同様の事態が起きてもオンラインで教育活動を継続できる環境が整いつつあります。 これにより、ICTを活用した双方向授業や朝の会議などにいち早く取り組む学校が出てきました。特に、情報科学高校では、単に双方向授業を行うだけでなく、全ての教員が独自に作成した学校オリジナルの授業動画を活用して予習、復習、課題のやり取りから教員による添削、評価に至るまで、通常の学習サイクルを全てオンライン上で完結をさせる新たな取組が始まりました。生徒からは、授業動画で知識を得た後に、双方向授業で発表や話合いが行われるため、より理解が深まるといった感想も寄せられています。 もとより主体的、対話的で深い学びの実現を目指すことは当然のことであり、オンライン方式の授業であっても、これに結び付くよう教員の研修を充実させるとともに、市町村教育委員会と連携をして工夫、改善を進めて学校に定着を図っていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 ありがとうございました。ICT教育については、さきほど清田議員のほうからも質問がありましたが、今回はコロナ対策として学校が休業となって双方向授業が注目されたということで、今後は1人1台の端末など機器の導入が進んでいきます。ICTを活用していかに授業を変えていくのか。どのような授業をイメージするのかというのを教育委員会として考えていただきたいと思います。 ICTの活用は、もちろんコロナ対策が目標ではないし、機器の導入がゴールでもないので、さきほども教員の研修の話が出ましたが、ICT活用に向け、モチベーションを上げていただかねばなりません。ICTを活用したこれからの教育について、教育委員会としてもビジョンを構築して、利活用に向けての教育現場への支援など進めていただきたいと思います。 最後に、学校の先生方の広域的な人事異動について伺います。 大分県教育委員会が平成20年の不祥事以降、県民の信頼回復に向けた教育改革を真摯に実施しているのは周知のところです。その中でも、教職員人事において、大分県公立学校教職員の人材育成方針を策定するなど、様々な改革を一貫して実施してこられました。 特に、採用から早い時期に異なる環境、多様な経験を積むことで教員としてのキャリア形成を図ることを目的に、平成23年に10年3地域という人事異動ルールを導入し、全県的視野に立った広域人事を実施しています。 そもそも、若手教員は居住する都市部への移動希望が多くなる傾向にあり、周辺部の学校では臨時講師の比率が高かった状況がありました。この取組により、臨時講師比率の格差が縮小しており、私の地元である日田地域では10年3地域に該当する若年者の割合が、全教員の実に4割超を占めており、教員確保の面で大変助かっているとの声も聞いています。 多様な児童生徒と向き合い、それぞれに合わせた指導力が求められる教員という職にあっては、より多くの地域で様々な考えの方々と触れ合い、多様な経験を積むことが非常に大切であると考えますが、導入から約10年が経過した広域異動について、どう評価されているのか、教育長の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教員の広域異動については、平成24年度以降、全県的な教育水準の維持向上、教員の意識改革、若手教員の人材育成の3つの観点から取り組んできました。 教員は3年から4年、各地域で勤務することになって、単年度で切り替わる臨時教員よりも継続的に子どもに寄り添った指導が可能です。臨時講師比率の格差が20年度には27%と最大であったものが、今年度は7.4%にまで縮小し、地域間格差は是正をされてきています。 同じく24年度からスタートした「芯の通った学校組織」の取組において、校長を中心とした学校運営による重点目標の共有、教員それぞれの目標の明確化など、教員の意識改革も進んできました。 若い時期に複数の勤務地を経験することで、将来のミドルリーダー、さらには管理職としての資質を磨くことにもつながっており、キャリア形成の面でも、大変大事な取組であると考えています。 現在、県内の小中学校は、学校現場の努力によって、学力、体力ともに大きく伸びてきていますが、広域異動等により各地域の優れた取組が共有をされていることもその一因ではないかと考えています。 ○麻生栄作議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 この制度については、やはり周辺部というか、都市部でないところにいかに教員を確保するかという課題を解決することを担っていると思いますが、現場では、3年間ようやく学校のことが分かってきたところで変わらなければいけないなど、いろんな意見もあります。今後、広域異動の利点を生かしながら、マイナーチェンジも交えてしっかりとした教育が県下くまなく行き渡るような教員配置をお願いします。 本年3月の県議会で、広瀬知事、教育に関する質問に対して、次のように答弁されました。 郷土が誇る偉人であり、国難であった昭和恐慌に身命を賭して立ち向かわれた大蔵大臣の井上準之助は「遠図」という字を書き残しています。「遠図」の文字は「遠い」という字に図書の「図」と書き、遠くを図る。すなわち100年、200年先を見据えた理想や事業のことを意味しますが、教育はまさに本県にとっての「遠図」でありますという趣旨の答弁をされました。先を見据えるには、やはりビジョンが必要です。 ぜひ大分県の教育、県立、市立にかかわらず、どうかこれまで以上にしっかりとしたビジョンを持って教育行政を進めていただきますようお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で井上明夫君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午前11時56分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○嶋幸一副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。馬場林君。  〔馬場議員登壇〕(拍手) ◆馬場林議員 皆さん、こんにちは。33番、県民クラブ、馬場です。よろしくお願いします。 新型コロナウイルス感染によって亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、感染された方にお見舞いを申し上げます。 そして、今まで昼夜を問わず、最前線で治療などに御尽力された医療関係者の皆さんに心から感謝を申し上げます。 また、新型コロナウイルス感染症対策本部をはじめ、保健所、検査機関の皆様にも感染拡大防止のために御尽力されていることに心から感謝を申し上げます。 それでは、質問に入っていきたいと思います。 まず、1点目は新型コロナウイルス感染症について、社会的弱者への経済的支援についてお尋ねします。 2月23日に新型コロナウイルスによって国内で初めて死者が出ました。その後、感染者は3月下旬に100人を突破し、5月には1万5千人を超えました。 大分県においても、1人の方が亡くなられ、クラスターも発生し、60名の方が感染しましたが、4月21日を最後に現在まで幸いなことに感染者は出ていません。しかし、緊急事態宣言が解除されたとはいえ、三つの密を避け、手洗い、外出でのマスクなど新しい生活様式を実践し、これを続けていかなければ、第2波、第3波が発生する可能性を避けることはできません。 新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休業、企業等への休業要請に伴い、国、県、市町村は様々な支援策を取っています。収入が減少した世帯に対する生活福祉資金の貸付けや、学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応として、県内全ての小中学校、特別支援学校へ入学する児童生徒への入学支度金の給付などが実施されています。また、国民1人10万円の特別定額給付金や持続化給付金等、国の支援策も行われています。 しかしながら、自宅保育で仕事に行けない。非正規職員への保障はなく、子どもを連れて窓口にも行けない、パート先を急に解雇になり暮らしていけない、バイトが休みになり学費も払えないといったひとり親や学生などから生活に対する切実な声を耳にします。 新型コロナウイルス感染症の影響は、飲食業、観光業、製造業、農林水産業をはじめ、様々な分野に広がっています。特に、高齢者、ひとり親家庭、学生等のパートやアルバイトで生計を立てている個人や家庭の生活にも大きな影響を及ぼしていると思います。 このような社会的に弱い立場にある方々の経済的な不安解消に向けて、県としてしっかり取り組む必要があると考えます。それぞれの事情に応じて、迅速かつ的確に支援に結びつけることが重要ですが、知事の考えをお聞きします。 二つ目は、差別偏見の防止についてです。 感染者が出た医療機関の職員の子どもが通う保育園から登園の自粛を求められたり、感染していない職員の家族が職場で出勤停止を受けるなど、いわれのない中傷や風評被害がたくさんあったと報道されました。また、愛媛県では、東京や大阪など感染拡大地域を行き来するトラック運転手の2世帯の子ども計3人に対し、小学校と教育委員会が協議して、4月上旬自宅待機を求めたが、運送会社の抗議で撤回したという話もありました。 文部科学省は、医療や物流など社会機能を維持する仕事を続ける人や子どもへの差別を防ぐように通知を出しています。 そこで、県として、新型コロナウイルスが原因となった差別や偏見を適切に防ぐための正確な情報提供などの対策強化が必要ではないかと考えられますが、考えをお聞かせください。 あとは対面席でしたいと思います。  〔馬場議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの馬場林君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 馬場林議員から社会的弱者への経済的支援について御質問をいただきました。 新型コロナウイルスの感染防止策を講じることに伴い、幅広い業種で経済活動の縮小が余儀なくされ、事業主やそこで働く方、さらにはフリーランスにも大きな影響が生じています。また、県内に多い留学生のことも忘れてはなりません。 県では、こうした影響をできるだけ抑えるために、事業者に対する雇用や事業の継続に向けた様々な支援策を講じてまいりました。あわせて、収入が減少した個人に対しても、生活の維持を図るための支援を行っています。 生活支援策を講じるにあたっては、議員御指摘のとおり、それぞれの方の実情に応じて、的確な支援を迅速に届けるということが肝要であると考えます。そのため、県として、いろいろな取組を進めています。 一つは、個々のニーズに応じた的確な支援の提供です。市町村社協等に設置している相談窓口には経済的に困っている方が数多く訪れており、相談内容に応じた支援策を講じています。 例えば、勤務先の休業等に伴い、一時的収入が減少した方に対し、年齢や職種、正規や非正規の形態等を問わず、生活福祉資金の貸付けを行っています。また、住宅を失った方、あるいは失う恐れのある方には住居確保給付金の活用を促しているところです。 ひとり親家庭については、母子父子寡婦福祉資金の貸付要件を緩和するほか、償還を最大1年間猶予するなどの対応を行っています。また、保育を必要とするひとり親家庭などは、保育所などを引き続き利用できるよう、市町村を通じてその開所を要請してきたところです。 アルバイト収入の減少等により、生活費や学費に不安を抱える学生に対しては、国の学生支援緊急給付金に加え、県独自に私費留学生向けの給付型奨学金も創設しました。 二つ目は、必要とする支援をできるだけ迅速に届けることです。 生活福祉資金では、3月18日の受付開始から昨日までに約9,500件、28億円の申請が行われています。他県では、入金まで1か月程度要するとの報道もありましたが、本県では社協等の人員を増員して、受付及び審査、送金体制を強化した結果、相談から3日程度で送金できており、早期に入金があり大変助かった、などの声が寄せられています。 このように、経済的な困窮状態にある方に、今後とも迅速かつ的確な支援が届けられるように、市町村や社会福祉協議会などの関係機関と連携してしっかりと取り組んでいきます。 また、こうした状況の解消に向けては、社会経済活動の再活性化も重要であることから、感染拡大防止を図りながら、こちらの取組も加速していきます。 もう一つ、差別偏見の防止については担当部長から答弁します。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 差別偏見の防止についてお答えします。 県内でも、議員御指摘のとおり、医療従事者の子の保育園登園自粛要請や、感染者に関するネット上での差別的書き込みなどの事例がありました。 県では、国内で新型コロナウイルス感染症に関連した不当な誹謗中傷、差別事案の発生を受け、2月以降、県民に対し、県のホームページや防災メールで、差別や偏見などは許されないこと、また、人権に配慮した行動を、といったメッセージを発信したところです。また、その後、実際にあった差別的事例を掲載するなど、県のホームページを随時更新し、注意喚起を行っています。 一方で、医療従事者等に対し、敬意や感謝の気持ちを込めてエールを送る動きが県内でも広がっており、こういった行動が差別や偏見の解消につながることも期待しています。 差別や偏見を防ぐには、当事者の気持ちを考え行動することが大切であり、一つには正確な情報をつかむ、二つに差別的な言動に同調しない、三つ、確かな情報を広めるということが重要です。 そのため、県では引き続き感染症に関する正確な情報提供に努めるとともに、誹謗中傷等の事案が発生した場合には、速やかに誤った認識や行動を是正し、正しい行動につなげられるようメッセージを発信し、差別や偏見の防止を徹底していきます。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 ありがとうございました。 2点ほどあるんですが、まず、さきほど知事からも御答弁いただきましたが、それぞれの方への支援を迅速にということで話がありました。こういう状況が続いていくと、社協のほうにも、ひとり親世帯の方が来られていたり、それから、派遣で仕事がなくなったという方もいらっしゃいまして、本当にすぐに対応してくれたとのお話も伺っています。 こういう状況がまだずっと続くこともあるので、相談や支援制度周知をぜひこれからもよろしくお願いします。 一つ、留学生への支援というのもあるんですが、先日、爽風館高校に伺って、中津東高校には電話で伺ったんですが、そのときに、定時制で学んでいる生徒たち368名にアンケート調査をしました。そのうち155名がアルバイトをしている中で、コロナの影響でアルバイトを辞めたという生徒が6名、それから、コロナの影響でバイト日数が減ったという生徒が63名、影響がなかった生徒が72名でした。アルバイトができなくなった、または影響があったという働きながら学んでいる定時制の生徒、そういう定時制の生徒に対する支援は具体的にはないのか、要望になるかもしれませんが、お尋ねします。 ○嶋幸一副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 定時制の生徒への支援はないのかというお尋ねですが、まず、家庭の状況がどうかというのが一つあると思っています。家庭の状況でかなり厳しいとなれば、さきほどの生活福祉資金の対象になるでしょうし、御本人そのものがもう二十歳を過ぎていて、例えば、定時制の生徒であれば、当然、また生活福祉資金の対象になることも考えられます。御相談いただければ対応できると思っています。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 そういう定時制で働きながら学ぶ高校生にとっても何らかの支援ができたらと思っています。 あと、差別偏見の防止については、さきほど言われたとおりで、やっぱり正確な情報の発信、共有、そして、冷静な判断などが必要だと思います。現在、どんなウイルスか分からない、目に見えない、ワクチンや治療薬がない中で、不安または恐れから、無理解とか誤解が広がっていくこともあるかと思いますので、ぜひ正確な情報発信をお願いします。 次に、学校再開後の課題について教育長にお尋ねします。 今回の新型コロナウイルスの流行により、私たちは不要不急の外出を控えて、家の中での生活を続けてきました。この環境の中では、以前の普通の生活がいかにありがたいものであったかを感じます。毎日、元気よく登校する子どもたちの光景は、当たり前でなくなってしまいました。 3月初めから4月にかけては、卒業式、入学式、進級と子どもたち一人一人にとって一番の節目に当たりますし、別れと出会いの重要なときでもあります。中でも、小学校1年生は初めての学校生活に、どきどき、わくわくしながら、学校へ行こう、中学校、高校1年生も希望を胸に新たな決意をして学校へ行こうと思っていたことでしょう。感染リスクを最小限にする対策をしながら、何とか学校が再開されることとなり、日々子どもたちが学んでいます。少しずつ平穏な日常を取り戻すことができています。 新型コロナウイルスの感染症拡大によって2か月以上、学校での授業、学校行事、部活動などが実施できなかったことは、今まで経験したことがありません。そのような中で、子どもたち、保護者から、これから感染防止や教育活動はどのようになっていくのかという不安の声をお聞きします。 そこで、2点についてお尋ねします。 1点目は、子どもの健康についてです。 学校のスタートは、登校してしてくる子どもたちへの検温チェックから始まります。その後、3密を避け、換気、手洗いをして、必要に応じてマスクを着用した授業、給食、部活などが行われています。そして、子どもたちが下校した後は、教室の机や廊下、階段の手すりなど使用後の消毒を行っています。 そのような状況の中で、体温計や消毒液の配付はできていますが、接触を避けるような環境の整備ができていない状況もあります。基礎疾患を持っている子どもと体調の悪い子どもが接触しそうな保健室、熱中症予防のためのクーラーの使用による密閉、マスク着用による熱中症の懸念、1教室当たりの子どもの人数が最大40人という狭い教室での密の状況、教室を分けて1教室当たりの人数を減らすには、教室が足りず、物理的に無理な状況もあります。 そこで、教室や保健室、体育館等での新型コロナウイルス感染症予防のための環境づくりをしっかりと進めていくことが大切となります。また、学校でのけがや体調不良になった場合の対応をどのようにしていくのか、課題も多くあると考えています。国から、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルが示されましたが、これに学校の実情に応じて改良を加え、運用していくことが必要だと思いますが、考えをお聞かせください。 二つ目は、学びの保障と高校入試方針についてです。 現在の小学校6年生、中学校3年生、高校3年生は、これから来年3月まで9か月間の中でそれぞれ最後の学校生活を過ごすことになります。残された時間が9か月間であることを考えると、土曜日などに授業を実施したり、夏休みや学校行事の削減、縮小等の対策が考えられます。学習に遅れが発生している中で、今後、小学校6年生、中学校3年生、高校3年生といった受験、進学を控えた大切な段階にある児童生徒の学習をどのように進めていこうとしているのかお尋ねします。 あわせて、中学校3年生にとって高校入試という人生の一大事を控え、それがどのように実施されるのか非常に不安だ、という受験生や保護者からの声をお聞きします。密にならないような受験実施体制の確保をはじめ、高校入試の実施方針についてお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 学校再開後の課題、2点についてお答えします。 学校における子どもの健康管理については、国の衛生管理マニュアルにのっとり、感染防止対策の徹底を図っており、活動場面に応じたより具体的で細かな対策を講じるよう指導しています。 教室内においては、3密が重なることを回避するため、冷房中であっても随時換気することを徹底させています。マスクについては、登下校時を含めて、常時着用することとしていますが、体育の授業と部活動に際しては、熱中症予防の観点から一定の要件を満たせば必ずしも必要でないことも国に先駆け指導したところです。 また、部活動については、体力の回復に合わせて段階的に通常活動に移行する本県独自のロードマップを作成し、詳細な留意事項を示したところです。 さらに、登校後、風邪症状や体調不良を訴える児童生徒については、保健室を経由せず、速やかに帰宅させることとしており、待機が必要な場合には、他者との接触が回避できるようあらかじめ別室を準備させています。 引き続き、このような感染防止対策を徹底して、子どもたちが安全・安心に学べる環境づくりに努めていきます。 次に、学びの保障と高校入試方針についてお答えします。 最終学年の子どもたちが、決められた教育課程を修了することは、児童生徒の学びの保障とともに、主体的な進路選択を実現する上で必要不可欠です。 そのため、文部科学省からは、感染症対策と学びの保障の両立の方向性が示されて、これを受け、各学校では夏季休業期間の縮減などによって授業時数を確保し、学習内容の重点化を図るなどの工夫をしています。 今回の事態を受けて、県、市町村とも1人1台端末が今年度中に整うこととなったので、これに対応する教員の指導力の向上に向けたICT研修も充実させていきます。 来年度の高校入試については、現在、中学校3年生の教育課程の実施状況について、市町村教育委員会の協力を得て調査を進めており、その結果を踏まえて出題方針を今学期中に示す予定です。 入試の実施にあたっては、感染防止対策に万全を期すとともに、新型コロナウイルス感染症の疑いがある生徒には1次入試の追試も検討しています。今後とも、生徒が安心して進路選択に向き合えるよう、環境整備に努めます。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。
    ◆馬場林議員 ありがとうございました。 2点ほど、感染予防と、日常の学校活動を一緒に行っていくという中で、学校、地域によってそれぞれ違うと思うんですが、感染予防をどこまでやるのかという具体的なガイドラインを示しているのか、そして、それを実行するためのアドバイザーを配置していただいて、その方と一緒に、学校の中で、感染予防するといった形でできないのかとお尋ねするのが一つ。 もう一つは、入試の件では、今の中学3年生がどこに住んでいても不利にならないように、例えば、授業がここまで全部済んでないということがあれば出題の範囲を絞っていくことも考えられるでしょうし、今から学んでいく中学3年生が安心して受験を迎えられるようお願いできたらと思います。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 感染予防と学校の教育活動の両立を図るために、そのアドバイザー等を置いたらどうかという話です。 御案内のとおり、国のほうで2次補正予算が組まれました。その中では、3点ほどありますが、一つは、できるところがあれば最終学年へ教員の増員をと。それから、二つ目が学習支援員を大量に入れてもいいという話。それから、学校を絶えず消毒等する必要があるので、スクールサポートスタッフを入れてもいいということで、それをどの程度、各市町村内が要望するかということについて、取りまとめをしている最中です。 そういったものをうまく利用して、学校での予防と教育活動の両立を進めていきたいと思っています。また、それぞれ市町村によって、学習の進度が違うのではないかというお話もあります。これは、まだある意味学期が始まったばかりの状態ですから、もう少し状況を見ながら、それぞれの状況によってこの1学期末までにどういった形で高校入試なりをつくったらいいかを整理していきたいと思っています。 あまり早くここまででいいですよということになれば、それは逆に学ばなくていいですよという話にもなりかねませんので、そういったこともよく見極めながら、しっかり方針を出していきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 ありがとうございます。入試のために勉強をするわけではありませんが、中3の子ども達にとっては、どこを受験して、また出題も気になるところだと思います。これから高校の体験入学があり、進路志望調査があり、そして推薦入試へと向かっていく、時間的にはかなり厳しい状況になっていると思いますので、できるだけ早く方針を出していただいて、安心して取り組めるようにお願いします。 次に、不登校児童生徒の現状と対策についてお尋ねします。 文部科学省は、不登校児童生徒の定義を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的理由によるものを除いたもの」と定義しています。 文部科学省の調査によると、平成20年から平成30年にかけて、小学校、中学校、高校の不登校児童生徒は全国的に増加しています。 大分県では、平成20年は小学校215人、中学校1,043人、高校503人で、平成30年には小学校437人、中学校1,162人、高校617人と大きく増加しています。 大分県での調査では、不登校の要因として、小中学校では家庭に係る状況、いじめを除く友人関係をめぐる問題、学業の不振、高校ではいじめを除く友人関係をめぐる問題が多くを占めています。 また、不登校児童生徒が日々どのように過ごしているのかは、一人一人その状況によって違います。教育支援センターへ行っている、またはフリースクールへ行っている児童生徒もいますし、家から出ることができない児童生徒もいます。 不登校児童生徒それぞれの実情に応じた支援が求められるため、まずは一人一人の実態把握が欠かせないと思いますが、児童生徒それぞれの状況把握にどのように取り組んでいるのか、お尋ねします。 そして、不登校児童生徒への対策は、これまでも様々なことに取り組まれてきました。不登校対策プランを立て、教育相談コーディネーターを配置したり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置、地域児童生徒支援コーディネーターの配置、児童生徒支援シートの作成、県教育センターでの相談などに取り組まれています。 このような取組がなされているにもかかわらず、前述の文部科学省の調査によると、不登校児童生徒が小学校では、平成20年から平成30年の10年間で103.3%、中学校では11.4%、高校では22.7%と増加しているのは気掛かりです。 一人一人の子どもに関わる時間が取れず、今、この子のためにこうしなければならないと分かっていても、できない状況ではないでしょうか。子どもたち一人一人に十分に関わる時間を取れる学校にしていくことが必要だと思います。 不登校児童生徒の支援に関して、2点ほど提案させていただきます。 まず、ICTを活用し、家から出ることができない子どもたちと学校をつなぐことはできないでしょうか。直接会うことはできなくても、ICTを通じて先生、同級生と会話するなど触れ合ったり、電子教材で学習を通じて生活のリズムを取り戻すことで、家から一歩踏み出すきっかけとなるかもしれません。 また、学校の教室には行けなくても、保健室など別室まで行くことができる児童生徒もいます。このような子どもたちには別室を用意し、そこに登校してもらい、徐々に教室へ行く準備をしていくといった空き教室を活用した個別指導教室をつくることも考えられるのではないでしょうか。 いずれにしても、きめ細かな対応をするための十分な人的配置が必要であると考えます。これらの不登校児童生徒に対する支援について、今後の方向性をお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 不登校に関して、2点についてお答えします。 まず、不登校児童生徒の現状についてです。 学校における日々の子どもたちの観察から、不登校の兆候がうかがわれると、まず、個人ごとの状況把握と必要な支援内容を整理した児童生徒支援シートを作成することとしており、これは寄り添った支援につなげるためになくてはならないものとなっています。 学級担任、養護教諭、教育相談担当、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどで協議をして、学習面や生活面などの学校生活の状況、家族や親子関係、家庭生活の状況などをシートに整理し、要因や背景を的確に把握した上で、具体的な支援計画を立てます。 支援の実施にあたっては、組織的、計画的なものとなるよう、シート情報を学校、保護者、医療などの関係機関で共有しており、また状況に変化があれば、その都度シートに記録し、継続していきます。教育支援センターやフリースクールで支援をする場合も、シートに状況を細かく記録し、学校との定期的な情報交換の場で共有しています。 このシートは、年度や学校が替わっても、同じものが引き継がれて切れ目のない支援につなげています。 それから、不登校児童生徒に対するICTを活用した支援については、今年度から取組を始め、希望する児童生徒30名を対象に自宅のパソコンへ学習教材を配信して、2名の教育センターの支援員によるネット上のサポートを受けて、自宅で学習を進めるシステムを構築しています。 不登校が長期化し、教育支援センターやフリースクールなどともつながりを持てない児童生徒への支援の手段として有効と考えますが、今回の臨時休業中に取り組んだ遠隔授業の終了後に、不登校ぎみの児童生徒が登校してきたという例もあって、学校とのつながりを持つきっかけになるのではないかと期待しています。 人的配置については、経験豊富な教員22名を地域児童生徒支援コーディネーターとして課題の多い学校に配置しています。保健室や相談室などでの別室指導については、状況に応じて工夫をしながら、各学校で対応していますが、加配教員等を活用して指導を行っている学校もあります。 大量退職、大量採用の中で、教員の確保は、御案内のとおり、大変厳しい状況にありますが、教職員定数の充実、安定的配分について、国に重ねて要望していきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 一つだけ、不登校の人数が小学校でとても多いですよね。九州各県では大分が千人当たりの不登校の児童7.3人とトップです。小学校でかなり多いというのは、何年生ぐらいから始まっているのか、もしつかんでいたら、というのが一つ。 そして、何らかの事情で外に出られなくて家にいるという子どもさんがどのくらいいるのか、もし分かればお願いします。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 小学校千人当たり7.3人という状況ですが、学年別に細かい状況まで集計に上がってきていませんので、つかみかねますが、やはり高学年にいくほど、次第に高くなってきている状況にあることは間違いないです。毎年の調査の中でそこまで出てきていないので、把握しかねていますが、流れはそうであろうと思います。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 いずれにしても、ある大学の先生が不登校の中学校の女子生徒をカウンセリングしていたときに、その女子生徒がこう言ったそうです。「クラスの子ども一人一人と担任が互いに長いロープを握っている。不登校の子どもが立ち止まったとき、一気に引っ張られるのは怖い。でも、いつか元気になって自ら引いたときは引っ張り返してほしいと願い、離さないで待っていてと思っている」という声があるんですが、ある意味では、不登校でも長く関わりを持っていただいて、学校に出てこれるようにすることも必要かなと思いました。 次に水産業の成長産業化ということで三つ目の質問をします。 今まで一般質問の中で、豊前海漁業の振興について、漁業後継者の確保、資源管理の徹底、漁業環境の改善などを質問してきました。昨年の第2回定例会では、中津魚市の倒産に伴う支援についても質問しました。 昨年12月28日、再生中津魚市は、9か月ぶりに仲買人と競り人との威勢のいい掛け声が響き、再開されました。初競りには、約100種類の魚介類が通常より高値で競り落とされました。中津魚市の再開によって、鮮魚等の供給体制が整えられ、地元の漁業者、仲買人など関係者の皆さんは、県のスピーディーな対応と丁寧な支援に対し、大変感謝しているとともに、心強い気持ちを抱いています。 これまで県や市の支援により、豊前海では中津市のひがた美人、宇佐市のひじき養殖、豊後高田市の岬ガザミなどのブランド化による漁業の振興に取り組んでいます。 しかし、豊前海中津市、宇佐市、豊後高田市における漁獲高は、平成14年度5,479トン、平成23年度1,888トン、平成30年度1,220トンと激減をしています。 さらに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費の減少により魚価が低迷し、漁に行って水揚げしても、値段が下がっているため燃料代ぐらいしかならないので、漁に出ない日もある、水揚げ量を制限しているなど、厳しい状況となっています。また、3月2日からカキの美人小屋も中止し、5月連休の貝掘りイベントも中止にするなど、大きな影響が出ています。 これから新型コロナウイルス感染症が収まり、消費が徐々に増加し、魚価の安定につながらなければ、V字回復はおろか、豊前海漁業の安定継続、豊かな未来は見えません。この苦境を乗り越え、さらに豊前海漁業が成長するためには、今後新たな魚種の地域ブランド化や魅力的な加工品の開発などによる消費拡大の取組が必要と考えます。また、大消費地の関東圏での販売促進などの戦略や地元給食に活用など、魚食普及と地産地消の推進もあわせて取り組むことも重要です。 今年3月に改訂された、おおいた農林水産業活力創出プラン2015では、水産業の自然管理と成長産業化の実現を重点に、構造改革をさらに進めていくことが明記されています。 今後、消費拡大に向けた取組が不可欠と考えますが、豊前海漁業のみならず、本県の水産業の成長産業化に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の御見解をお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 新型コロナウイルスの影響により、水産業にも大きな影響が出ており、特に外食向けの高級魚を中心に、取扱量や単価が大きく下落しています。例えば、関あじでは4月の単価と取扱量が前年の約6割に減少し、豊前海ではハモやスズキなど多くの魚種で単価が半分以下となっています。 そこで、まずはコロナの影響により冷え込んだ消費を喚起するために、6月補正を中心とした緊急対策により、水産物の消費拡大を進めます。 外食向け食材の需要低迷を解消するために、量販店等で購入応援キャンペーンを7月から9月まで実施し、県産魚の購入機会を増やします。あわせて、学校給食でも養殖ヒラメや関あじ、ハモ等の食材を提供し、利用促進を図ります。これに加え、コロナ収束後には大消費地でのPR、フェアを農林水産一体となって実施します。 そうやって、まずは落ち込んだ消費を回復しながら、その上で水産業の成長産業化に向けて加工流通体制の整備を進め、県産魚の商品力を強化するとともに、国内外の販路開拓に取り組みます。 この成長産業化に向けては種々の取組がありますが、第1には商品力の強化です。販売先のニーズに応じた加工を行うことが求められます。順調に生産を伸ばしているひがた美人では、鮮度を保つ凍結方法により、年間を通じて高品質なカキが出荷されています。また、今年は県漁協のハモ加工施設が稼働を始め、骨切りした新商品を開発し、価格が下落する8月以降の価格向上を目指すなど、産地での加工体制の強化を今後も進めます。 第2は、販路開拓です。養殖ブリを中心として需要拡大が見込まれる関東圏において、おおいたの魚パートナーシップ量販店との連携強化により、県産魚を常設・通年販売する取組を重点的に進めます。 また、養殖クロマグロや県内各地で生産が進む養殖カキ、骨切りハモなどを多くの県外観光客が訪れる県内宿泊施設等にPRし、新たな需要を喚起します。 最後に、成長産業化に重要な輸出ですが、コロナの影響により、主要輸出品目である養殖ブリは、欧米向け出荷量が2割まで減少するなど厳しい一方で、4月以降、中国への輸出が一部再開するなど回復の兆しも見えてきました。今後、北米に加え、巨大市場である中国の市場ニーズを取り込むため、おおいた農林水産物輸出サポーターに認定している現地の輸入業者や、現在、養殖ブリを中国に出荷している国内輸出業者との連携を強化し、販路拡大を進めます。 こうした取組を着実に実行し、できるだけ早期にコロナの影響を緩和するとともに、種苗経費の支援による生産体制の確保も行い、その後の成長産業化につなげていきます。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 ありがとうございました。 先日、21日に県漁協の中津支店が、小祝漁港で、今が旬の骨切りをしたハモや、カキの冷凍品をドライブスルーで販売されたり、それから、ハモカツバーガーとか、ハモカツ丼を販売されて、少しでも工夫しなら消費を拡大したいということで取り組まれていましたので、今後ともぜひ御支援をお願いします。 次に、最後の質問になりますが、子どもの貧困対策についてお尋ねします。 大分県では、平成28年3月に「大分県子どもの貧困対策推進計画」を令和2年度までの5か年計画として策定しました。計画では、具体的に、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的な支援を四つの柱として、県として重点的に貧困対策に取り組んできました。 今年度、計画の最終年度を迎え、現状及び課題を把握するため、昨年9月に県内の小学5年生とその保護者それぞれ1万360人、中学2年生とその保護者それぞれ9,600人を対象に、大分県子どもの生活実態調査が行われました。 調査は、全ての子どもたちが夢と希望を持って健やかに成長していけるような社会の実現に向け、必要な支援を検討するため、子どもの生活実態や学習環境、子どもの意識等を把握するとともに、世帯の経済状況や子どもとの関わり方、保護者の意識等について実施されました。全県的に、子どもや家庭の生活実態を調査し、その実態把握がなされたのではないかと思います。 今後、この調査結果を基に、子どもの貧困対策推進計画の見直しがなされるとお聞きしています。 そこで、この調査を通じて把握された現状及び課題について、どのように分析しているのかお尋ねします。 二つ目は、生活の支援等についてです。 今年改訂された安心・活力・発展プラン2015において、子どもの貧困対策の推進やひとり親家庭への支援が、「一人ひとりの子どもが健やかに生まれ育つ温かい社会づくりの推進」の中に取り上げられています。 前述の大分県子どもの生活実態調査の中で、子育てしていく上で必要と思う支援についての質問がありました。その回答として、小中学校の保護者全体では、保育料や学校費用の軽減、児童手当などの手当の拡充、医療や健康に関わるサポートなどとなっています。一方、その中のひとり親世帯、困難世帯では、児童手当などの手当の拡充、奨学金制度の充実、就学援助の拡充などの割合が高くなっています。世帯収入や家族形態によって違いが見られる事例だと思います。 子どもの貧困対策推進計画は、この調査をひも解きながら見直されていくと思いますが、計画の四つの柱のうち、まずは生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的な支援の三つの柱について、重点的な取組と見直し方針をお尋ねします。 続いて、教育の支援についてです。 子どもの貧困対策推進計画の四つの柱の一つとして、教育の支援があります。学校を子どもの貧困対策のプラットフォームと位置付け、様々な支援に取り組まれています。 今回、調査の中で、保護者の収入が低い世帯の子どもは、学校の授業が分からないと思うことがよくある、時々あると答えた割合は高くなっており、やはり世帯の収入によって違いが見られる一例だと思います。 今後、教育の格差をなくすため、福祉部門と連携しながら、計画の見直しが進められると思いますが、教育支援として、具体的に何を重点的に取り組んでいくのかお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 私のほうから2点お答えします。 大分県子どもの生活実態調査の結果については、昨年9月、家庭の経済状況と子どもの生活や学習との関係等を把握するため、初の全県的な調査を実施し、次のような実態や関連性を把握したところです。 まず、生活環境の面では、朝食をほとんど食べない子どもは収入の少ない世帯に多く、さらに、朝食を取るか否かは授業の理解度に相関関係があることが分かりました。第2に、収入の少ない世帯ほど大学進学を希望する子どもの割合が少なくなっており、保護者の収入が子どもの将来の進路志望にも影響していることが分かりました。三つ目に、経済的な困難を抱えている子育て世帯の一定程度は、税金や家賃等何らかの滞納を経験したり、手当や給付金などの利用可能な支援制度を知らないことが分かったところです。 こうした結果については、計画の見直しに反映させるとともに、市町村にも情報を提供し、地域の実情に応じた取組を働きかけていきます。 続いて、生活の支援等についてです。今回の計画の見直しにあたっては、生活実態調査で明らかになった課題に対し、子どもの貧困に向き合う団体の代表者や有識者で構成する計画策定委員会で十分な議論を重ねていきたいと考えています。 例えば、生活支援では、最も顕著な課題である子どもが朝食を摂らないなどの生活習慣の改善について、どのような対策が考えられるか。保護者に対する就労支援では、相対的に所得の低いひとり親の収入向上のために、これまで実施してきた就業相談や職業紹介、看護師などの資格取得の促進に加え、どのような対策が考えられるのか。また、経済的支援では、児童扶養手当や就学援助費などを確実に受けられるようにするなど、収入が少ない世帯への支援制度をいかに届け、周知し、実際の利用に結びつけていくか。 こうしたそれぞれの課題を重点に置き、計画を見直し、子どもの現在及び将来がその生まれ育った家庭の事情等により左右されることのないよう、子どもの貧困対策にしっかりと取り組んでいきます。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教育の支援についてお答えします。 今回のコロナ禍による長期休業によって、学校による学びの環境が大きく変化をしてきており、経済的理由により取り残される子どもが出ないように、しっかり配慮していくことが大事であると考えています。 一つは、家庭におけるICTを使った学習環境を整えるため、国のGIGAスクール構想を活用して、通信環境のない家庭にはモバイルルーターを貸し出すなどサポートしていきます。県立学校では既に予算化しており、市町村でも取り組み始めています。 二つは、これまで県内全ての学校をカバーするよう配置をしてきたスクールソーシャルワーカーなどの一層の活用です。スクールソーシャルワーカーは、貧困対策においてチーム学校の一員として必要不可欠な存在です。今年度から配置した2名のスーパーバイザーによって個々のスキルをより向上させるとともに、一層の情報共有を図って、さらなる機能向上につなげていきます。 このような取組を重点的に進める中で、子どもたちに様々な困難があったとしても、健やかに成長していけるよう、学校のプラットフォームとしての機能強化を目指します。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 ありがとうございました。 実態調査の結果を私も見させていただいたんですが、ちょうど昨年12月に子どもの貧困対策の大綱が国で決められています。その中で、貧困の実態を把握するための指標が、その四つの分野含めて、25から39、例えば、電気、ガス、水道料金の未払い経験はありますか、食料または衣服が買えない経験がありますか、という生活支援の指標があったり、全世帯の子どもの高校中退率はどのくらいですか、スクールソーシャルワーカーによる対応実績がある学校の割合はどのくらいですか、というような指標があると思うんです。こういう指標は今度、県でつくるものには設けるのかどうか、お尋ねします。 ○嶋幸一副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 ありがとうございます。 国の大綱を受け、私どものほうの計画もそうした視点で指標はある程度考えていきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 馬場林君。 ◆馬場林議員 ありがとうございました。 子どもたちのことを中心に質問させていただきましたが、やはり全ての子どもたちが前向きな気持ちで夢や希望を持つことができる社会、そして、その夢の実現に向けて努力をしていく、その努力をしていく中でその機会が失われたり、自分の努力以外で諦めざるを得なかったり、子どもたちのためにそういうことがないような社会にしていければと思います。 どうか貧困対策も含めて、いろんな面でそういう子どもたちの支援をお願いできたらなと思います。 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で馬場林君の質問及び答弁は終わりました。衛藤博昭君。  〔衛藤議員登壇〕(拍手) ◆衛藤博昭議員 7番、自由民主党の衛藤博昭です。初めに、このたびの定例会においても、貴重な一般質問の機会を与えていただいた議会の先輩方、同僚諸氏に、そして、中継を御覧いただいている皆様、日頃の活動を支えていただき、議会に送り出していただいた支援者の皆様に厚く感謝、御礼申し上げます。ありがとうございます。 初めに、サプライチェーンの再構築に伴う企業誘致について伺います。 このたび、中国湖北省武漢市の感染爆発に始まり、世界中に広がった新型肺炎は、我が国のみならず世界各国にまたがるグローバルサプライチェーンに大きな打撃を与えました。感染拡大を防ぐために中国当局が都市の封鎖、交通移動の規制、工場の操業延期などを行ったことにより、製品や部品、素材の供給が止まり、これまでのグローバルサプライチェーンのはらんでいた弱さがあらわになりました。 これを受け、経済産業省は、生産拠点が集中する海外から日本国内への移転を支援するため2,200億円を計上し、国内で生産拠点を整備することに対する補助制度を設けました。 6月2日の記者会見で、知事はこの動きに対応し、企業の生産拠点の国内回帰先として大分県を選んでもらえるよう、製造業で進出してこられる企業向けの支援制度である大分県産業立地促進補助金を拡充し、補助率を3%から6%に倍増し、誘致の実効性を上げるよう取組を強化することを発表されています。 サプライチェーンを構築し、国内での取引の安定化を図るためには、主に二つの方法が考えられます。 一つは、さきほど清田議員が質問されたような地場企業の技術力を強化し、大手進出企業への取引参入を図る方法です。 もう一つが、国内のサプライチェーンの核となる企業を誘致する方法です。後者について国全体として考えれば、国内にキーとなるものを生産する拠点が形成されることと、その拠点から供給網が形成されていれば、サプライチェーンを形づくることが可能です。 もちろん、我が国にとっても、県内に立地してくれるのであれば、門戸を閉ざす必要はなく大歓迎ですが、県産業全体の活性化というポイントから見れば、やはり県内産業基盤に合った裾野の広い企業に立地していただくことが重要であると考えます。 また、先般の宇宙港に関するヴァージン・オービット社との業務定型発表時にも触れられていたように、本県に進出を考える企業も地元の産業基盤を重視していると推察されます。 我が県の産業は、これまでの企業進出や地場企業の育成により、他県に比しても進出企業のサプライヤーとなる中小企業も多いので、国内回帰を考えている企業にはメリットも十分にあると考えます。 回帰企業を誘致するに当たっては、大分市臨海工業地帯のコンビナート企業などで海外拠点を持つ企業をターゲットに大分拠点の機能増強を呼びかけていくのも一つの方法ではないでしょうか。 地理的な条件や県内に形成されている産業基盤に即した戦略的なアプローチが必要と考えます。 そこで、県の生産拠点の国内回帰誘致に対する今後の戦略を伺います。 以後は対面席より質問させていただきます。  〔衛藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの衛藤博昭君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 衛藤博昭議員からサプライチェーンの再構築に伴う大分県への企業誘致について御質問をいただきました。 今回の新型コロナウイルスの世界的な流行により、海外の工場が稼働できない、あるいは部品、機材の輸入が止まるなど、従来のサプライチェーンが寸断され、国内はもとより、県内の工場においても操業できない事態が発生しました。 これは安い労働力や消費地に近いなどを背景に、ものづくりを行う日本の企業の多くが、生産拠点を世界中に展開してきた結果であり、これまでは合理的な仕組みであったかと思います。経済発展により、海外拠点の労働力が当初想定していたほど安くはなくなるなどの理由により、生産体制の見直しを考える企業の声も聞いていたところです。 そのような中で今回の新型コロナウイルスの問題が置きましたので、今後、生産拠点の国内回帰の動きが一層強まるものと考えています。 したがって、これからはそうした動きを大分県に呼び込み、あわせて県内企業がサプライチェーンでつながることが重要となります。 本県においては、まずは国の2,200億円の補助制度の創設と歩調を合せる形で、国に採択された事業について、産業立地促進補助金の補助率を3%から6%に、上限額を3億円から6億円に2倍とすることを決定し、先日発表したところです。 しかしながら、地域間競争が激化する中、企業誘致を実現することは簡単なことではありません。生産拠点の国内回帰の誘致にあたっては、国や県の補助制度をPRしながら、県外事務所とも連携し、業種などにかかわらず、幅広く誘致を図っていきますが、本県の強みである産業集積を生かした取組も進めていく必要があります。 例えば、既に県内に進出している企業への働きかけです。議員御指摘のとおりです。コンビナート企業をはじめ、県内には中国や東南アジアなどに生産拠点を有している進出企業も多く、国内回帰を検討する企業も出てくると思います。 また、海外取引を行う進出企業がリスク軽減のため取引相手に国内での生産を打診することも考えられます。 さらには、国内回帰が進めば、物流も大きく変わることになります。本県では九州の東の玄関口として拠点化も進んでおり、大分流通業務団地等への物流企業の誘致のチャンスも広がるものと考えます。 そうした企業の動きやニーズをしっかりと捉え、誘致活動を進めていきます。 新型コロナウイルスの影響で、企業にとっては大変厳しい経営環境となっています。そのような中で将来に向けて国内回帰を検討する企業に本県を選んでもらえるように全力で取り組んでいきます。 ○嶋幸一副議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 知事からは今後のビジョンも含めて、すばらしい御答弁をいただき、本当に心強く思っています。 2018年10月にハドソン研究所で行われた米国のペンス副大統領の対中国演説によって、米中関係は米中新冷戦の幕開けと呼ぶ識者も現れるなど、次のステージに突入しました。 米中経済の切り離し、いわゆるデカップリングが始まる中で起きた今回の新型コロナウイルスの米国における感染拡大は、マスクや防護服に加えて、抗生物質など、医薬品の大部分もその生産を中国に依存していたことを明らかにしました。 米国と中国の経済取引の規模を考えれば、完全なデカップリングは現実的ではないと思いますが、戦略物資などの選択的なデカップリングは加速しています。 半導体分野においては、台湾のTSMCが中国のファーウェイへの半導体部品の供給を停止すると発表しました。これによりファーウェイは韓国のサムスンに半導体供給を頼らざるを得なくなりましたが、このサムスンの半導体製造に不可欠なフォトリジストなどを供給しているのが日本企業になります。 このように我が国も望むと望まざるとにかかわらず、技術戦争に巻き込まれていきます。そのため経済安全保証については、チョークポイントとなる戦略物資や技術の情報把握と管理が不可欠です。 企業側もこのような背景を読み違えると、米ソ冷戦時に起きた東芝ココム事件のようなことが再度起きるおそれがあります。 本年4月に発足した国家安全保障局の経済班は、このような経済安全保障分野で大きな役割を担います。今回の海外から日本への生産拠点の移転誘致も重要生産品の選定情報が経済班にも集まると考えられます。同班は経済産業省出身の審議官の下で準備室が設置され、立ち上がった組織です。 今後は、同班にもアプローチして、戦略物資の製造企業をターゲットに誘致していくことも一案かと思いますので、今後の検討課題として御研究いただければ幸いです。 次に、医療、福祉施設のクラスター対策について伺います。 JX通信社の調査によれば、令和2年4月20日時点で新型コロナウイルスの感染事例が判明している施設は1,269か所に上り、うち228か所で同一施設内の感染、いわゆるクラスターの発生が確認されています。 内訳を見ますと、オフィスや工場などを含む事業所の数が72か所で、病院などの医療施設が並んで72か所、次いで福祉施設が27か所、公共施設が19か所となっています。 とりわけ重要なのが医療施設と福祉施設で、合せると99か所となり、全体の半数近い43%を占めます。これらの施設は患者や入所者が感染した際の重症化リスクが高いことに加え、従事者に感染が広がった際には診療や福祉サービスの提供がストップするなど、地域の医療、福祉体制に与える影響が非常に大きいため、これらの施設については、クラスター発生の防止対策と、発生した場合は他施設への患者や入所者、サービス利用者の振替など、バックアップ体制の構築が必要となります。 本県における医療、福祉施設へのクラスター発生の防止対策と、発生した場合の当該施設での業務継続体制や施設と連携したバックアップ体制の構築について、現状と今後の方針を伺います。 続いて、大分県立病院での新型コロナウイルス対応について伺います。 今回の新型コロナウイルス感染症のような医学的に治療法が確立されていない未知の感染症が発生した場合、受入れや対応において最も活躍の期待される医療機関が公立病院になります。本県であれば、その先頭に立たれているのが大分県立病院です。県立病院のこの間の対応については、ほかの病院からの搬送を含め、延べ9名の患者を受入れ、的確に対処されたと伺っています。最前線に立って対応されており、その御尽力には心より敬意を表します。 また、県立病院は、県内唯一の第一種感染症指定医療機関であり、県内感染症医療の最後のとりでとも言える存在です。このような役割を担っている県立病院では、院内での感染症対応についても対策を講じられていると思います。今後の第2波、第3波に備える意味でも、この貴重な体験をほかの公立病院や民間医療機関のみならず、県民の皆様にも伝え、意識の共有を図る必要があると考えますが、このたびの新型コロナウイルス感染症の一連の受入れを通じて感じられたこと、想定どおりに事が運んだ点や今後の改善や課題として感じられた点、また、今後の感染拡大の第2波が生じた場合の受入体制をどのように考えるのか、伺います。 次に、避難所での感染症発生時の医療機関との連携体制について伺います。 近年は毎年のように、全国各地で大規模な災害が起こる中、今年も出水期に入り、水害をはじめとした災害発生の危険性が高まる時期を迎えました。 令和2年第1回臨時会での木田議員の質疑にもあったように、新型コロナウイルスに対応できるような避難所の運営が急務となっています。県は市町村に通知を行い、避難所内での十分なスペースの確保や可能な限り多くの避難所の開設、受付時の検温、問診による健康状態の確認や状態に応じた避難先の確保、誘導、避難所内での手指消毒や定期的な換気等の感染予防策の徹底を求めるなど、対策を講じられています。 一連の新型コロナウイルスの感染拡大への対応で感じたことですが、どのように対策を講じても100%の感染防止はやはり不可能だということです。コロナ禍での避難所の運営については、感染拡大の防止策を講じていただいていますが、万が一避難所で感染者やクラスターが発生した場合も迅速に対応できるよう、事前に対応可能な体制を構築していくことが必要と考えます。 やはり危機管理にあたって大切なことは、様々なケースを想定し、災害の規模に応じて想定されるケースを事前に整理しておくことだと考えます。今回のコロナ禍を受け、感染症対策を踏まえての災害対策を講じていかなければなりません。そういう観点では、医療機関との連携がこれまでに増して重要になると思います。 避難所で新型コロナウイルス感染症が疑われるようなケースが発生した場合には、どのような体制を整えているのか、お聞かせください。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私から医療、福祉施設のクラスター対策についてお答えします。 初めに、医療及び福祉施設のスタッフの皆様には、厳しい環境の中で昼夜を分かたずに自らの感染リスクと背中合わせで献身的に対応していただきました。心から敬意を表し、改めて厚く御礼を申し上げます。 本県において、3月に大分医療センターでクラスターが発生した際には、いち早く国のクラスター対策班の派遣を要請し、その助言を踏まえ、全ての入院患者と職員のPCR検査を実施するなど、感染実態の早期把握と感染拡大防止に努めたところです。 また、他の医療機関に転院した患者からの感染も確認されましたが、同様の対策を行って転院先のクラスター発生を防ぎ、収束することができました。 短期間に膨大な件数のPCR検査を行うことになりましたが、隣県の協力を得ることで、何とか迅速に処理することができました。 医療機関や福祉施設におけるクラスターの発生防止については、クラスター対策班から二つの提言をいただいています。 一つは、施設内にウイルスを「いれない」ということです。職員が感染源とならないよう、三つの密が重なる場所を避ける。正しいマスクの着用と手洗い、手指消毒、出勤時の健康チェックの徹底が重要です。 二つ目は、施設内で「ひろげない」ということです。施設内で患者、利用者や同僚に感染させないように勤務中の手洗い、手指消毒や咳エチケット、IT機器等も含めた共用器具の消毒を徹底するとともに、休憩室等での密を避けるために休憩の取り方を工夫することも必要です。 こうした対策の実践に向け、福祉施設職員を対象に、感染管理認定看護師による電話や訪問による相談を実施するとともに、今月末には第2波に備えた研修会も開催します。 万が一、医療機関や福祉施設で患者が確認された場合には、クラスター対策班と事前に協議を行い、早期の派遣を可能にするとともに、クラスターへの進展を防ぐため助言をいただくことにしています。 また、クラスターが発生した場合に備えて、業務継続を支援する体制を整備しています。医療機関にはDMATを派遣する仕組みを構築しており、福祉施設には県社会福祉協議会を調整機関として施設の応援要請に基づき、他施設から職員を派遣する仕組みづくりを進めているところです。 医療機関や福祉施設でのクラスターの発生は、医療崩壊に直結することが危惧されます。「いれない」「ひろげない」を徹底して、クラスターの発生を未然に防ぎ、第2波においても医療崩壊を起こさないように万全を期してまいります。 ○嶋幸一副議長 田代病院局長。 ◎田代英哉病院局長 大分県立病院での新型コロナウイルス対応についてお答えします。 当院では感染症対策専従の医師、看護師を置き、日頃から防護服の着脱や患者受入れの動線確認など、職員研修を重ねて準備してきました。また、2月には、感染が疑われる患者専用の待合室を増設する等、入念に対策をとってきました。3月に他院からの転院者の陽性が判明し、濃厚接触した看護師1名が感染する事態が発生しましたが、迅速な接触者の洗い出し、隔離等で拡大を防ぐことができました。 また、早期の患者発見につなげる看護師の問診強化等を行ったことにより、機能不全を起こすことなく9名の患者を受け入れました。改めて平時からの準備と院内感染を起こさない診療の在り方が重要だと再認識したところです。 当院は、感染症はもとより、救急や小児、周産期医療などの高度、専門医療を担っており、院内感染が起きれば、県内の医療崩壊を引き起こす恐れもあります。 第2波に備え、院内感染防止対策の徹底を図るとともに、感染爆発なども想定し、県全体での医療機関の役割分担と幅広い協力態勢の構築も必要だと考えています。 福祉保健部のリーダーシップの下、市町村や他施設と協議、調整を重ねながら、継続的に医療が提供できる体制を構築していきます。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 避難所での感染症発生時の医療機関との連携体制についてお答えします。 避難所において発熱等の症状がある方については、専用のスペースで保健師の問診を受け、症状に応じて医療機関を受診することになります。 新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合には、受診先の医療機関から最寄りの保健所へ連絡が入り、保健所はPCR検査の検体採取のため、帰国者・接触者外来を調整します。その後、家族等が付き添い、調整先の医療機関で受診することになります。 このように避難所において発熱等の症状を発症した場合も、かかりつけ医等を受診後、迅速にPCR検査につなげられるよう県医師会の協力の下、医療機関と緊密な連携体制が構築されています。 出水期に入り、災害の発生が心配される中で、市町村や保健所と連携を密にし、避難所開設訓練、また、避難所の運営訓練で実際の手順等をしっかり確認することで感染者やクラスターが発生しないよう対策を徹底します。 ○嶋幸一副議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 知事から御答弁いただいた医療、福祉施設のクラスター対策については、まさに今、知事がおっしゃったように、まずはクラスターを発生させない。させたとしても医療崩壊につながるような大規模化をさせないという基本方針で、県で発生した当初からぶれずにやっていただいているので、本当に心強く思っていますし、そういったことが県内で第1波の収束を迎えられた大きな要因であったと本当に感謝しています。 一つ、興味深い例があるので、御紹介させていただきます。 本年4月、長崎港に停泊中に新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船コスタ・アトランチカの事例です。 長崎新聞によれば、同クルーズ船には600人以上の乗組員がいましたが、集団感染が発生しても、船医1人で600人を超える乗組員の健康状態を確認することは不可能でした。かといって、別の医師が船の中に入るのは感染の危険性も高く、乗組員を下船させても治療する場所がなく、長崎の医療体制が崩壊しかねない事態を迎えました。 このような緊急事態に長崎大学熱帯医学研究所助教の山藤栄一郎氏は、富士通と共同で開発した健康観察のアプリを使って対応されたそうです。これは全乗組員を対象にスマートフォンのアプリを用いて、身長、体重、基礎疾患の有無や喫煙歴に加えて、毎日午前中に体温、咳、吐き気、頭痛の有無などの報告を求めました。日々のデータを厚生労働省クラスター対策班の一員でもあった山藤氏がチェックして、健康状態を詳細に把握して、発熱チェックだけでは見つけられなかった肺炎の兆候の発見にもつながったそうです。 また、基礎疾患や喫煙歴、肥満かどうかなどの身体的特徴のデータも把握していたことで、重症化の可能性を予測して、症状が悪化した乗組員を船外の病院に緊急搬送すべきか、船内での治療は可能かという判断材料にもなりました。 その結果、このクルーズ船で感染が確認された149人のうち死亡者はゼロで、2次感染もなく、押さえ込みに成功しました。 2月に起きたダイヤモンド・プリンセスでの集団感染では13名が亡くなっていますので、この規模の集団感染で志望者をゼロに押さえ込んだというのは奇跡的と関係者の間では言われているそうです。 また、あまり知られていませんが、レントゲンだと肺炎の診断が難しく、新型コロナの肺炎の診断はCTスキャン以上でないと難しいそうです。 自衛隊が保有するCTの診断車も船に隣接して早期発見につなげたという話もあります。 話は戻りますが、山藤氏は、このようなアプリの活用をこれからの重症化リスクが高い介護施設などでも活用できないか、現在検討されているというお話でした。 また、本県においても、第2波、第3波への対策として、このような事例も研究していただければと思っています。 次に、避難所での感染症発生時の医療機関との連携体制についてですが、ネズミが逃げることが100%ないとは言えないのと同じように、100%の感染防止は現実的には不可能だと思います。知事からのお話もありました、まずは起こさない。でも、起こった場合に、次にどうするかというのを考えておくことが非常に大切だと思っています。 避難所で集団感染が発生した場合の体制は、やはり事前に整えておく必要があると思います。万が一、避難所で集団感染が発生した場合には、感染の広がりを抑えるためにも迅速な対応が求められます。 大規模災害が発生した場合、地域の基幹病院がその機能を喪失するケースも当然起こり得ると思います。 例えば、南海トラフ地震によって新型コロナ対応の中核病院がその機能を喪失した場合、新型コロナ感染者の、例えば、避難所で病院が機能を喪失したときに避難所で集団感染が起きたら、どのように対応するんでしょうか。 例えば、建物が無事でも、医療関係者が被災して対応できないケースも考えられると思います。避難所の運営は市町村が中心になりますが、各市町村の中核病院が災害で機能喪失した場合は、集団感染発生時には市町村をまたいだ病院連携も必要になってくると思いますし、その際に県行政の果たす役割は大きいものがあると思います。 災害発生時に避難所でクラスターが発生した場合に、医療機関との連携まで含めて多様な想定を行い、体制を構築できている自治体は、全国でもまだほとんどないと思いますが、本県が全国の自治体をリードするような体制整備を今後進めていければと思いますので、引き続きよろしくお願いします。 それでは次に、大分県庁の感染症BCPについて伺います。 現下の新型コロナウイルスが世界的に蔓延している状況においては、ワクチンや特効薬の開発が待たれるところですが、完成までいまだ一定の期間を要すると言われています。 そのような中で感染拡大の第2波、第3波が訪れる可能性は非常に高いというのは、多くの専門家の意見の一致するところです。 ワクチンや特効薬が開発されるまでの間に新たな感染症が発生する可能性も否定できません。そのような状況の下、県庁内で集団感染が発生した場合、県庁の業務継続をどのように図るかは重要となります。 現在、災害が発生した場合の業務継続計画BCPは策定され、インターネットで外部に公表されていますが、感染症に対するBCPの策定はどのようになっているのでしょうか。 新型コロナウイルスのような感染力の高い感染症では、職員の多くが、あるいは場合によっては全員が出勤できなくなるような部署が発生することも懸念されます。仮にそのような状況となっても、途絶えさせることのできない業務が一定程度あると思われますが、その整理の状況を伺います。 ○嶋幸一副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 大分県庁感染症BCPについてお答えします。 感染症に関するBCPとしては、大分県新型インフルエンザ対策県庁業務継続計画を策定しており、出勤できる職員が減少する場合であっても、優先して継続しなければならない通常業務等を整理し、県の行政機能を維持できるようにしています。 新型コロナウイルスにおいては、感染者のみならず、濃厚接触者についても2週間の自宅待機を求めるなど、職員が感染すると、関係する多くの職員が出勤停止となる可能性が生じてきたところです。 実際に他県においては、事務所を閉鎖する事態が発生したこともあり、改めてBCPを整理することとしました。 整理にあたっては、このような新型コロナウイルス特有の状況も踏まえ、非常時に所属を越えた応援体制が円滑に構築できるよう、これまでよりきめ細かく、各担当職員の個々の事務分掌のレベルで優先すべき通常業務を確認し、あわせて業務再開のシミュレーションを実施しました。 今後、今回整理したBCPをさらにブラッシュアップし、非常時でも必要な業務を継続できるよう備えていきます。 ○嶋幸一副議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新型コロナウイルス感染症対応BCPを作成して、Web上に公開している地方自治体も出てきています。 県は間接自治体なので、市町村と違って住民の方々と直接関わる業務は限られていますが、許認可など、団体や企業が関わる業務も多くあります。 例えば、福祉保健部の高齢者福祉課とか、障害福祉課といった課単位で部門ごとに業務をABCに分けて、継続する業務、縮小、延期する業務、中止する業務という形で仕分けて公表している自治体もあります。 このように対応を公表しておけば、県庁で感染症が発生した場合でも、この公表データを見て、住民や団体、企業の皆さんも関係する業務にどのような影響が出るかを知ることができるようになると思います。 また、こういった業務の仕分けは、今後の行政改革を進めるあたっても業務のスクラップ・アンド・ビルドを考える上での参考になるのではないかと思います。 県庁においても感染症対応BCPの今後のブラッシュアップ、また公表も含めて検討をお願いします。 それでは、次に高校生の自動車教習所の入所について伺います。 18歳を迎えた方は、普通免許や準中型免許を取ることができるようになりますが、自動車教習所への入所を禁止、制限する高校や校則があるため、指定自動車教習所では高校生の入所が例年1月から3月までの時期に集中し、極度の繁忙期が発生する状況が続いています。 繁忙期には教習指導員などの職員の方々に過大な時間外労働が発生するなど、今般の働き方改革の流れや、コロナ禍での密集を避ける必要性から改善を進めていく必要性が生じています。 指定教習所から各学校等に対して、生徒の運転免許の取得に関する相談があった場合は、各学校等は指定教習所と協議するなど適切な対応を行うことなどの留意事項を整理し、適切な対応を求める事務連絡が平成30年9月に文部科学省より各都道府県の教育委員会並びに私立学校主管課に対して発出されています。 このような文部科学省からの要請を受けての教育委員会と私立学校担当部局の対応並びに受講時期の混雑緩和の必要性についての御認識を伺います。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 高校生の自動車教習所の入所についてお答えします。 県立高校では、学校ごとに進学や就職などに向けた学業を優先しながら、免許制度の改正や通所時の安全の確保などの事情を勘案して、入所時期や許可要件を定めています。 就職者の多い専門学科では、就職に伴う自動車使用に対応できるよう10月頃からの入所を認め、免許取得を確実にするよう配慮している学校が多い状況です。 進学者の多い普通科では、まずは進学後の学びに対応する学力を身に付けることを優先しつつも、進路決定の時期等に合わせて柔軟に対応しています。 文部科学省からの通知を受けて、各学校では、生徒の技能習得状況の把握や送迎バスの待機場所の提供など、教習所との連携が図られています。 今回のコロナ禍の影響で、例年9月16日に開始する就職選考試験が、今年は1か月後ろ倒しになって、各学校とも従前のスケジュールから変更を迫られているところです。このため、免許制度の許可期間も後ろ倒しになることも想定されますが、各教習所の状況も見ながら、柔軟な対応をするよう各学校を指導していきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 私立学校における自動車教習所の入所についてお答えします。 県では文部科学省通知を受け、私立学校に対して、指定教習所から相談があった場合には適切に対応するよう依頼したところです。 私立学校では、学業を最優先にしながら生徒の入所可能日を定めており、現在のところ、9月が1校、10月が4校など、年内に入所できる学校が15校中14校となっています。 また、9校では教習所と連携し、学校内で教習所の入所説明会を開催するなど、生徒の免許取得を支援している状況です。 他方、大学進学を目指す生徒の多い学校や、特進コースの入所可能日は、生徒の進路決定時期を考慮し、2月以降や卒業後とされています。 私立学校の生徒が教習所に通う時期は、生徒の免許取得の効率性の観点からも混雑緩和は重要であり、県としては引き続き、各学校に対し適切な対応をお願いしていきます。 ○嶋幸一副議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 文部科学省からの連絡を受け、教育委員会並びに私立学校担当部局に御対応いただいていることに感謝申し上げます。 昨年12月には自動車教習所の方々からお話を伺いました。文部科学省の連絡を受けて進めていただいてはいるんですが、現場においては繁忙期の状況は依然として厳しいものがあるというお話でした。 ある教習指導員の先生から、これから年が明けて繁忙期が始まる。本当に大変なので受講時期の分散が進むように何とか助けてほしいと切実な声を伺いました。 この期間に集中することで、就職を予定している学生もなかなか授業を取りづらいというか、教習のこまを取りづらいということで、取れなかったら就職後にも響いてくるので、できるだけ分散していけるようにという生徒側からの御要望も伺ったことがあります。 高校生で主に対象となるのは、就職希望者と進路が確定した学生になるかと思います。正直いって受験を控えている学生さんはなかなか秋口は難しいのかなと思います。 推薦入学が秋に決まることから分散化にも配慮して、私立学校では10月末や11月頭から就職希望者に加えて、進路確定者の入校を認める学校も出てきています。 県立高校は一般入試を控えている他の生徒や学業などへの影響も考慮して、進路確定者については対象から外されている学校がほとんどと伺っていますが、この点は受講と運転許可を切り分けることで対応ができないでしょうか。 進路確定者にも就職希望者と同様に、入校は認めて、免許の取得までは認めるけれども、運転については許可しない。場合によっては、免許の取得後は自動車教習所で高校の卒業まで運転免許を預かるといった条件で公立学校においても進路確定者の受講を許可するといったこともぜひ御検討いただければ幸いです。 県外に進学した学生は、進学先の都道府県の教習所で運転免許を取得するケースも多いと伺っています。地場産業の保護の観点からも分散化については、今後とも教育委員会並びに私立学校担当部局の御支援をお願いします。 最後に、国道197号鶴崎拡幅道路改良事業について伺います。 大分市東部地区の渋滞対策として、平成27年度より国道197号鶴崎拡幅道路改良事業が進められ、乙津橋では昨年度から新しい橋の架設工事が行われ、河川内に橋脚が立ち上がってきました。私を含め、地元でも新しい道路への期待がますます高まっているところです。 27年度、29年度にも一般質問で事業の加速化や地域の活性化について取り上げましたが、鶴崎拡幅は事業規模も大きく、長期間を要するため乙津橋から段階的に準備をして、順次供用開始することで渋滞に対する事業効果の早期発現を図ること、また、道路整備に当たり、地元の活性化策と一体的に進めることが不可欠であり、鶴崎地区が目指す地域づくりに資するよう、市と連携して道路整備に努めるなどの回答をいただいているところです。 そこで、地元では鶴崎地域ビジョン会議を設置し、30年度に鶴崎地域まちづくりビジョン、鶴崎市民行政センター周辺整備基本計画を作成し、今年度は鶴崎地区再興戦略協議会を設立し、まちづくりのコンセプトや課題解決に向けた施策の整理をする予定であり、鶴崎地区が目指す地域づくりのグランドデザインができつつあります。 そのような中、今年2月10日、乙津橋の橋梁下部工事中に爆弾のようなものが発見されたと報道があり、当日20時から半径200メートルを立入禁止、221世帯406人に避難勧告が発令され、国道197号も通行止めになりました。 余談ですが、我が家100メートル圏内にありましたので、この避難対象になりました。 陸上自衛隊第104不発弾処理隊の迅速な安全措置で翌11日の午前1時には避難勧告と交通規制が解除されましたが、不発弾は米国製1トン爆弾だったと発表され、地元では再び緊張感が走りました。 調べたところ、1トン爆弾の不発弾処理は少なく、大阪市の事例だと処理に2か月を要していましたので、地元住民の安全や工事進捗の心配をしていましたが、発見から27日目の3月8日に半径500メートルを立入禁止にし、約2千世帯3千人に避難を求め、JR、バスも運休して、不発弾の二つの信管を取り除き、無事撤去されました。 この際の住民の退避や交通規制は本当に大変でしたが、大分東署を中心とした警察関係者の皆様、そして大分市役所の皆様の御活躍も本当にすばらしかったこともこの場を借りて申し添えます。本当にありがとうございました。 当日は、私も有事に備え、鶴崎公園グラウンドに設置された現地対策本部に待機し、緊張しながら自衛隊の処理を見守っていました。11時20分、市長が安全宣言をされたときは心から安堵しました。 避難半径を100メートル小さくして、市民への影響を最小限にするために、防護壁を通常より1メートル高くしたことや、自衛隊の不発弾処理隊長から、精度の高い防護壁がこんなに早くできたのは初めてと感謝されたことなど、今回の一連の対応について、常日頃から現場主義、県民目線、スピード感を徹底されている広瀬知事のお陰と地元を代表して感謝申し上げるとともに、携わった関係者の皆様に心より御礼申し上げます。 さて、この不発弾処理で約1か月間、橋梁工事が中断されました。この中断が事業に対する影響はないのか伺います。あわせて、事業の進捗状況についても伺います。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 国道197号鶴崎拡幅道路改良事業についてお答えします。 鶴崎拡幅は大分市志村から乙津町までの延長約2.8キロメートルを4車線化する事業であり、大分市東部地域の渋滞緩和や通学路の危険箇所解消を目的としています。 不発弾処理に約1か月を要しましたが、梅雨前には橋脚2基を無事完成させることができ、橋梁全体の工事工程に影響はありませんでした。 事業進捗については、鶴崎駅前交差点から西側を乙津工区とし、早期の部分供用を目指して集中的に用地取得を進めており、昨年度末までに面積で約2割の用地契約に応じていただきました。 また、防災性能の向上や、良好な景観形成等を目的とする無電柱化推進計画事業に今年度採択されたことから、予算が重点配分され、事業進捗に弾みがついたところです。 引き続き、用地の取得を積極的に進めるとともに、施工時期に制約がある橋梁工事や交通量の多い現道に隣接した工事を計画的に進めるなど、事業マネジメントを徹底し、早期の供用に向けて事業を推進していきます。 ○嶋幸一副議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 工期への影響が出ないように進めていただいていることに心より感謝申し上げます。一日も早い渋滞解消、鶴崎の地域振興に向けた事業の加速化を要望申し上げて、以上で一般質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で、衛藤博昭君の質問及び答弁は終わりました。 次に、上程案件に対する質疑に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。  〔堤議員登壇〕 ◆堤栄三議員 皆さん、こんにちは。共産党の堤です。 まず、知事は県政諸般の報告において、大分県版地方創生の加速として5Gなどの情報通信網の強化、企業誘致の推進、東九州新幹線の実現などについて述べています。聞いていて、新型コロナウイルス感染症に苦しむ県民や、明日にも廃業するかもしれない小規模事業者に寄り添ったものではないと痛感しました。 県内小規模事業者は、これまで台風や地震等の自然災害で営業に大きな打撃を受け、そして、今回は新型コロナウイルス感染症により、さらなる苦境に立たされています。ある料飲会社は、港町には約800軒の店があるが、これまでは1日平均3人のお客さんが単価1万円を使ったとして、1年で約57億6千万円の売上げ。これだけ大分県などに対して経済的な貢献をしてきた自負はある。仮に4か月休業となれば、約20億円の損失となり、地方税収から見ても大きな減収となるではないかと心から訴えていました。このような小規模事業者がいかに営業を続けることができるのかが大分県にとっても重要です。 県はこれまでも中小企業等への支援策として、4月補正予算では国庫補助の対象経費の6分の1を上乗せするなど、災害時小規模事業者等持続化支援事業が計上されましたが、対象者は各々約400件と想定しています。また、6月補正予算でも法人、個人で新型コロナ関連融資を受けた者、今年1月以降に創業した事業者のうち、災害時小規模事業者等持続化支援事業の採択を受けた者などの制限で中小企業・小規模事業者応援金給付事業として30万円や15万円を給付しています。しかし、その対象は県内事業者のわずか3割、1万5千件余りとなっています。いずれも対象が限定されていることや対象者もわずかであることが問題だと考えます。そこで、以下の点についての答弁を求めます。 まず、小規模事業者への影響と支援策についてです。県内中小企業のうち、約8割以上が特に体力の弱い小規模事業者です。知事はこのような小規模事業者が県経済を支えているという認識はあるのか。また、小規模事業者への自粛に関わる経営への影響をどのように分析しているのか、まず答弁を求めます。 さらに、5月以降に県内で新型コロナ関連の倒産が3件発生しています。知事は第1回臨時会において、さきの持続化支援事業と応援金給付事業を活用して事業継続や雇用維持など、事業者をしっかり応援していくと答弁していますが、もうこれ以上の倒産を出さないという支援になっているのか、また、これらの事業の対象外となる多くの小規模事業者の支援はどのようにするのか。 二つ目は、応援金給付事業についてです。 これまで事業継続については、よく新型コロナ関連融資制度の活用といいますが、信用力が乏しく、新型コロナの影響で売上げが減少しているのに、借りても返せないという小規模事業者にとって、応援金給付事業は最後の命綱です。せっかくの応援金なので、対象を制限せず、売上げが減少した小規模事業者全てに門戸を開くべきと考えますが、いかがでしょうか。 3点目、各種支援策の継続と実施体制について、知事は自粛については強制的にやっていることではなく、自分や家庭のため、事業継続のため我慢して自粛をしていただいているので、補償の対象ではないが、小規模事業は打撃に耐えられないこともあるので、支援金などで応援していくと答弁をしています。そのため、小規模事業者へのダメージが長期間に及ぶ場合は、各支援策を継続する必要があると考えます。 また、どんな制度を作っても、事業者が潰れてしまえば、元も子もありません。スピード感を持った実行が求められますが、この体制はどうでしょうか。各支援策の継続と実施体制についての答弁を求め、以下は対面にて行います。  〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの堤栄三君の質疑に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 堤栄三議員の御質問にお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染拡大による小規模事業者への影響と支援策について御質問をいただきました。 県内の中小企業・小規模事業者は、企業数の99.9%を占めています。雇用者数でも8割を超えるなど、大分県の経済活動の主役とも言うべき存在です。特に、小規模事業者は中小企業全体のうちの約86%を占め、地域経済や社会にとってなくてはならない存在と認識しています。 新型コロナウイルス感染症の県内事業活動への影響は、感染防止対策をした上で500社企業訪問やWeb会議によるヒアリング等を続けており、商工団体や金融機関、労働局等とも連携して現況把握を行っています。 例えば、人との接触の自粛で影響を受けた飲食店では、テイクアウトで幾分取り戻してはいるが、人通りが依然として少ない、売上げは戻っていない、あるいは、国内外の移動制限で影響を受けた旅館・ホテルでは、予約の入りは鈍くて回復に時間がかかりそうだなどの声が多くあります。 先週の日銀大分支店発表の県内景気動向でも、公共投資は増加し、設備投資も底堅く推移していますが、問題は需給で、個人消費は弱い動きがあり、鉱工業生産は減少しています。このため、5月28日に立ち上げた社会経済再活性化緊急推進本部を中心に商工団体などと連携し、国や県の補正予算事業を効果的に届け、事業の再開や新しい生活様式への取組を支える対策に万全を期しています。 事業活動全般に使える国の持続化給付金は、商工会議所や商工会も相談、支援をし、6月12日までに5,291件対応しています。県内の申請サポート会場は、5月16日の臼杵市を皮切りに、昨日設置された竹田会場で9か所となり、給付が進んでいると聞いています。 県の資金繰り支援では、3%以上の売上減少を対象とした新型コロナウイルス感染症緊急対策特別資金や、5%以上減少を対象とした3年間無利子・無担保のがんばろう!おおいた資金繰り応援資金を創設し、対象業種も拡大しています。19日までの融資実行は4,480件、603億円となっています。あわせて融資を受けながら、事業の再開に取り組む中小企業や小規模事業者への県独自の応援金は、昨日23日までに3,531件の申請があり、本日までの支給は402件、1億1,070万円となっています。このほか生活資金等でお悩みの方には、生活福祉資金特例貸付も行っています。また、雇用調整助成金の支給が進むように設置した雇用維持支援センター等による申請サポートにも引き続き取り組んでいるところです。 国の家賃支援給付金も始まるため、事業者に迅速に届くように、商工団体やよろず支援拠点等と一層連携して対応していきます。一人でも多くの事業者が事業活動の再開や継続を円滑に行えるように様々な支援策をもとに支援していきます。 次に、各種支援策の継続と実施体制について御質問がありました。 新型コロナウイルス感染症に翻弄されたこの数か月間、その影響は中央から地方、大企業から中小企業・小規模事業者まで広範囲に及んでおります。県内では、特に観光や飲食など、より身近で小規模な事業者が多い業種に大きな影響が出ています。このため、国に対して資金繰りや雇用調整助成金の拡充などを要請し、これまでにない支援策の創設や拡充などが行われています。 県では、事業者が迅速に支援策を受けられるように雇用維持支援センターを設け、6月18日までに449件の申請支援を行っています。また、事業者向けコールセンターを設置し、19日までに612件の相談に対応しています。加えて、補正予算で創設した県制度資金や応援金は事業者が状況に応じて利用できるよう、申請期間を12月までとしています。 このほか、国では新たに家賃支援給付金などが始まります。県には感染拡大防止対策に対応可能な補助金をはじめ、ものづくり投資の際の高率な補助金、誘客のためのクーポン、税制優遇などがあります。また、市町村においても独自の家賃補助やプレミアム商品券への補助などがあります。このように、国、県、市町村の支援メニューは数多くあり、各事業者はニーズに合った支援を選べます。 県では、商工団体やよろず支援拠点等と連携し、支援策の説明から利活用に関する相談や計画づくりなど、事業者に寄り添った伴走型の支援を行っています。設置した社会経済再活性化緊急推進本部を中心に、全庁一丸となって引き続き、事業者の声を踏まえた対応をしていきます。 また、支援を円滑、迅速に進めるため、県では中小企業・小規模事業者応援金、おおいた旅クーポン、生活福祉資金の窓口などを設けています。国では、県内に雇用調整助成金の大分助成金センター、持続化給付金申請サポート会場があります。市町村にも独自の支援をサポートする同様な窓口があります。このような行政機関の窓口と商工団体や支援機関、金融機関等の連携によるオール大分の支援体制の下、県内の中小企業・小規模事業者を下支えできるようにしっかりと対応していきます。 その他の御質問については、担当部長から答弁します。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 応援金給付事業についてお答えします。 大分県ではコロナ禍で売上げが3%以上減少した事業者向けに低利で据置2年以内の新型コロナウイルス感染症緊急対策特別資金を創設しました。また、売上げが5%以上減少した小規模な個人事業者等を対象に、3年間無利子・無担保で据置5年以内のがんばろう!おおいた資金繰り応援資金を創設しています。 日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付も売上げが5%以上減少した事業者が対象で、据置は5年以内。小規模事業者を中心に多くの事業者が利用しています。また、県や国においては、金融機関や信用保証協会に対し、再三にわたり資金繰りを強化する要請も行っています。 応援金は、県または公庫のコロナ関連融資を受けた事業者が対象で、申請も12月末までのため、今後も含め、売上げが減少した事業者への門戸は開けていると考えます。 なお、金融機関の融資を受けることが難しい方には、生活福祉資金により最大80万円の貸付けが可能で、償還時の特例措置も用意しています。融資に加え、持続化給付金もたくさんの問合せがあり、商工団体等と連携し、しっかりと事業者に届けていきます。 ○嶋幸一副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 融資の問題をよく言うんですが、さきほどから何回も言いますが、借りられない方たちに対する支援策というのが生活福祉資金、確かに事業を継続するための生活福祉資金はあるでしょう。しかし、県として独自にないじゃないですか。それと、3割、4割の売上げの減少、これは持続化補助金の対象外ですよ。こういう方に対しても、基本的には上乗せ応援金は支給できないわけですよね。つまり、1万5千件の対象事業者に対して、まだまだ4千件か5千件か、それぐらいの対象でしょう。だから、圧倒的多数の零細業者の方々に対する支援が今はないわけですよ。これを作ったらどうですかと。それと、継続ですよ。この部分についての再質問をします。どうでしょうか。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 まず、この応援金の事業自体は12月末まで続けることにしています。そして、申請の状況も4千件、これは6月10日から始めて、既にこれだけの御応募をいただいているところです。こういった形で、小規模事業者の方々は公庫の融資も含め、たくさん借りられています。実際、かなりの方に御利用いただいています。こういった方々をしっかり支えていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 現実、中小企業者の場合、政策金融公庫の融資そのものは非常に厳しい状況ですよ。そういう実態も分からないで、ただ融資を借りているから給付金ではなくて、県として中小零細業を倒産させないという思いの中で、国の上乗せではなく、なぜ独自の助成策を作らないのですか。そういうことが県として、今、コロナ対策でやるべき姿勢だと思うんですね。私はその分が若干減っていると思っています。それについて、再度。12月までいいと言うけど、継続じゃないでしょう。1回でしょう。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 まず、我々がこの事業を作ったときの思いとしては、大きく四つあると思っています。 まず、一つ目は議員もおっしゃるとおり、幅広く支援をしていくということです。 そして、二つ目としては、やはり事業継続に対して明確な意思、そして行動を伴っている方をしっかり支援していきたいということです。 三つ目として、持続化給付金も雇用調整助成金も含め、申請がかなり煩雑だという声を聞いていました。申請者の手続を可能な限り簡素化したいという思いがありました。 そして最後には、やはり迅速に届けるということです。 こういった四つの思いの中で、今回の事業を設けさせていただきました。売上げ3%減の方でも5%減の方でも、幅広く利用できる状況になっています。 ○嶋幸一副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 この議論はまたやっていきましょう。 次に移ります。第76号議案に関連して聞きます。 今回、コロナの関係で学校も再開しましたが、現場では大変な状況が続いています。やはり今大切なことは、学習などの遅れに対して、子ども一人一人に丁寧に教えること。丁寧な学習を提供するためには、一定の職員数の確保等が必要だと思います。 そこで、以下の点について答弁を求めます。 まず一つ目、今後の学習の進め方について、文部科学省の学びの保障では、最終学年以外の子どもは2、3年間で無理なく学習を取り戻せるようにすると言っていますが、県教育委員会では、今年度中に教育課程を修了するとしています。これでは授業がますます知識の詰め込みとなってしまい、授業が分からない、面白くないという子どもが出てきてしまうと考えますが、どうでしょうか。 2点目、教室での身体的距離をどのように確保していくのかも大きな問題です。 例えば、学校の空き教室を使ってクラスを二つに分けて授業をする学校もあると聞いています。そのための教職員の確保はどのように考えているのか。今回、国の2次補正予算において、小中学校の最終学年には少人数クラスのための加配配置が計上されています。仮に、県がこの補正予算を受け入れたとして、これを最終学年に限る措置は必要はありません。他学年にも拡大すべきと思いますが、あわせて答弁を求めます。 少人数学級について。教育長はこれまでも30人学級にすれば、30億円以上かかる、施設費もかかるなどと述べていますが、大分県の将来を担う子どもたちのための予算こそ措置すべきではないでしょうか。 今後、新型コロナウイルス感染症の第2波が来た場合、少人数学級は対策の要になると思いますが、いかがでしょうか。 以上、3点についての答弁を求めます。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 3点についてお答えします。 まず、今後の学習の進め方についてです。 文科省の通知では、年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難な場合、最終学年以外の児童生徒について、令和3年度、または令和4年度まで内容を移して指導することを可能としています。しかし、これはあくまで特例的な措置で、長期休業期間の短縮や土曜授業、短時間学習などの工夫を最大限に行った上で、なお、本年度中に指導が終わらないという場合の補完的な取組とされています。 県内では、全ての学校が5月18日までに再開、または分散登校を実施して、6月1日には通常運営に戻っています。夏季休業期間の短縮などによって、授業日は一定程度確保される見通しです。 予測できない今後の状況を踏まえると、可能な限り、今年度中に当該学年の教育課程を修了させて次の学年につなげることが子どもたちの学びを保障することになると考えています。 県教育委員会は、子どもの負担過重とならないように、実態に即して学習内容の重点化を図って、主体性や子ども同士の対話を大切にする授業づくりを今後も進めていきます。 次に、教室での密集回避に係る教員確保についてです。 教室の密集環境を避けることが求められている中、児童生徒数が減少している本県では、30人以下の学級の占める割合は、既に小学校で7割を超え、中学校でも6割近くとなっています。また、文部科学省が策定した学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルの行動基準では、それぞれの施設の状況や感染リスクの状況に応じて、柔軟に対応することが可能で、座席の間隔に一律にこだわるのではなくて、頻繁な換気などを組み合わせることなどによって、現場の状況に応じて柔軟に対応することとしています。 現在、教員の大量退職期を迎えて、人員確保には非常に苦慮しており、多数の欠員も生じています。 国の第2次補正予算は、次年度以降に指導内容を繰り越すことが困難な小中学校の最終学年において、少人数編制をする場合に必要な教員を加配するものであり、年度途中の人員確保は非常に厳しいものがありますが、今、市町村の意向を取りまとめているところです。 最後に、少人数学級についてです。 本県では、小学校1、2年生と中学校1年生に30人学級編制を導入するとともに、学校の規模や不登校など、学校の状況に応じて加配を含めて定数を配分し、学年段階や児童生徒の習熟度に応じたきめ細かな指導を進めてきたところです。少人数学級の拡大には、人件費だけでなく、都市部を中心に新たな教室などのハード整備が必要になることから、これまでも国に対し、少人数学級の拡大とともに必要となる財源措置の要請も行ってきたところです。 喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症の第2波に向けては、人員確保やハード整備に時間を要するため、少人数学級の早急な整備は困難ですが、国に対しては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンライン授業の単位認定などの措置に加えて、いわゆる新しい生活様式に対応できる教育環境の整備として、1学級当たりの標準人数の見直しも要請していきます。 ○嶋幸一副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 少人数学級について、よく教育長は予算の問題だとか、また、施設の拡充の問題を言います。しかし、少人数学級はいつ頃から声があるんですか。20年以上前でしょう。ようやく弾力的な学級編制を国が認めて、県も平成16年ぐらいから少人数学級を始めたでしょう。ずっと言ってきた。学力の状況は少人数学級では分からないと、最初はそういう答弁をしていた。教育審議会、中央審議会の中で、学力は確かに少人数のほうが非常に有益的であるというふうな表明をされました。それから考えました。実際に知ったわけです。今何年たつんですか。 そういう点では、今のコロナという問題の中で、少人数学級はやっぱり必要ですよ。お金に変えたらいけないですよ。お金ばかり言うのであれば、1学年でも増やしたらどうですか。5億円から6億円でしょう。6千億円の県の予算の中で5億円は出せないですか。1学年からどうやってやろうか。予算がかかるからできないではなくて、どういう形で1年間でもやろうか、中学3年生とか、そういうのはどう考えているのですか。全く考えていないじゃないですか。できないことを先に言ってしまう。それでは子どもの教育のためにならないと思いますので、その辺はどうですか、1学年でも、5億円、6億円というお金を言うのであれば、そういう予算の使い道はあるでしょう。それについて、再度答弁を求めます。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 これについては今までもお答えしてきたとおり、大変大きな額、それから環境整備が必要であるとたびたびお伝えしています。そして、そういうやり取りの中で次第に拡大してきていることは、さきほどお答えをしたところです。 今回の事態においても、できるところはやってもいいという国の予算措置もありますので、今、市町村の状況を確認しているところです。 ○嶋幸一副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 国がそういう予算をしろと。私が聞いたのは、5億円で1学年でも拡大したらどうですかと言っています。それは検討するんですか。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 全くやらないと申し上げてはいません。できることがないかということはいつも考えながら、少人数、それから習熟度、単に学級を割るのではなくて、いろんな対応の仕方で学校現場の執行力を上げていくということには努力をしてきているつもりです。 以上です。(「終わります。ありがとうございました」と呼ぶ者あり)(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で堤栄三君の質疑及び答弁は終わりました。 これをもって一般質問及び質疑を終わります。 ただいま議題となっている各案及び今回受理した請願1件は、お手元に配付の付託表及び請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託します。付託表件名付託委員会第68号議案大分県税条例等の一部改正について総務企画第69号議案大分県税特別措置条例の一部改正について〃第70号議案大分県の事務処理の特例に関する条例の一部改正について〃第71号議案大分県安心こども基金条例の一部改正について福祉保健生活環境第72号議案児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について〃第73号議案工事請負契約の変更について土木建築第74号議案工事請負契約の変更について〃第75号議案大分県病院事業の設置等に関する条例の一部改正について福祉保健生活環境第76号議案大分県立学校職員及び大分県市町村立学校県費負担教職員定数条例の一部改正について文教警察  ------------------------------- △日程第2 議員提出第9号議案(議題、提出者の説明、委員会付託) ○嶋幸一副議長 日程第2、議員提出第9号議案を議題とします。  -------------------------------議員提出第9号議案 豊かな人生を送るために「人生会議」の普及啓発を推進する条例の制定について  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 提出者の説明を求めます。土居昌弘君。  〔土居議員登壇〕 ◆土居昌弘議員 ただいま議題となりました議員提出第9号議案豊かな人生を送るために「人生会議」の普及啓発を推進する条例の制定について、提案理由の説明をします。 全会派から選出された議員で構成する政策検討協議会では、本条例の制定に向け、医療、介護関係者や県執行部から意見を聞きながら協議、検討を重ねてきました。国が普及啓発を進める「人生会議」は、本人が希望する医療やケアなどを受けるために大切にしていることや望んでいること、どこでどのような医療やケアを望むかなどについて、自分自身で前もって考え、家族や友人、医療、介護従事者など、周囲の信頼する人たちと何度も話し合い、しっかりと共有する取組です。 本県はこれまで健康寿命日本一を掲げ、県をあげた取組を進めてきたところですが、より一層、県民一人一人の人生の質を高め、全ての県民が豊かな人生を送ることのできる大分県を目指し、条例を制定するものです。 案分はお手元に配付していますので、朗読は省略しますが、「人生会議」をしていく上で大切にすべきことがありますので、少々紹介させていただきます。 「僕が死を考えるのは、死ぬためじゃない。よりよく生きるためなんだ。」と語ったのはアンドレ・マルローです。人間は死という期限を意識することで自らの生を充実しようとします。「人生会議」は大事なことをみんなで考える機会を作っていくという取組です。しかしながら、「人生会議」は時に誤解されるように、決して強制されるものではありませんし、必ず何かを決めなければならないものでもありません。「人生会議」とは、御本人がどのように生きたいかを、御本人の人生観、価値観を中心に据えて話し合うプロセスであり、家族や信頼できる人たちとの日々の会話の延長戦上にあるものです。 何とぞ慎重に御審議の上、御賛同賜りますようお願いします。 ○嶋幸一副議長 以上で提出者の説明は終わりました。 これより質疑に入ります。  〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○嶋幸一副議長 別に御質疑もないようですので、質疑を終結します。 なお、本案は所管の福祉保健生活環境委員会に付託します。  ------------------------------- 福祉保健生活環境委員会に付託した議案議員提出第9号議案 豊かな人生を送るために「人生会議」の普及啓発を推進する条例の制定について  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 お諮りします。 明25日、26日及び29日は常任委員会開催のため、30日は議事整理のため、それぞれ休会としたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○嶋幸一副議長 御異議なしと認めます。 よって、明25日、26日、29日及び30日は休会と決定しました。 なお、27日、28日は、県の休日のため休会とします。 次会は、7月1日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 本日はこれをもって散会します。お疲れさまでした。     午後3時29分 散会...