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06月22日-02号

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  1. 大分県議会 2020-06-22
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    令和 2年 第2回定例会(6月)     令和2年第2回大分県議会定例会会議録(第2号)令和2年6月22日(月曜日)  -------------------------------議事日程第2号            令和2年6月22日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 41名  議長        麻生栄作  副議長       嶋 幸一            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            土居昌弘            濱田 洋            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄欠席議員 2名            浦野英樹            高橋 肇  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    高屋 博  企業局長      工藤正俊  病院局長      田代英哉  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    高橋基典  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 森 優子  -------------------------------     午前10時 開議 ○麻生栄作議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 本日の議事はお手元に配付の議事日程第2号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑 ○麻生栄作議長 日程第1、第68号議案から第76号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。二ノ宮健治君。  〔二ノ宮議員登壇〕(拍手) ◆二ノ宮健治議員 皆さんおはようございます。28番、県民クラブの二ノ宮健治です。3月の代表質問に続き、今回一般質問の機会をいただきまして本当にありがとうございます。 今回、トップバッターですので、県議会議員として新型コロナウイルス関連について一言申し上げます。 まず、県内1名の方を含め、全国で973名の方がお亡くなりになられました。お悔やみと、心から哀悼の誠をささげます。 また、現在も多くの方が闘病中であり、お見舞いと早期の回復をお祈り申し上げます。 そして、医療や学校をはじめとする多くの関係者の皆さん、不自由を我慢して感染拡大防止に御協力いただいている県民の皆さん、そして、遅くなりましたが、知事を先頭にオール県庁でこの難局を乗り切っていただいています職員の皆様をはじめ、県民全ての皆さんにお礼と敬意を表します。 これから、感染拡大を防ぎながらの経済の建て直しという大変難しい局面に入りますが、朝の来ない夜はありません。これからも一致団結してこの難局を乗り越え、そして、新しい社会を皆さんと一緒に構築しようではありませんか。共に頑張りましょう。 それでは、質問に入ります。 新型コロナウイルス対策についてです。 まだまだ先行きの見えない今回の新型コロナウイルス感染症ですが、世界的に見ても、今後の社会の在り方そのものが、大きく変わってくるのではないかと言われています。この感染症による影響はそれほど大きな出来事であることから、先日、我が県民クラブでは、新型コロナウイルス感染症収束後の社会展望として、議会常任ごとにテーマをまとめてきたところです。 要約すると、今回の新型コロナウイルス感染症対応により、外出、通勤、通学等が規制される中で社会活動が変容し、デジタルシフトが一気に進むのではないかと予想されることです。 行政のデジタル化や仕事のリモート化、学習や診療のオンライン化、そして、自動運転やドローン物流など、スマート社会の創設が期待されます。 県民クラブでは、今後もオンライン会議なども取り入れて議論を深めていきますが、先日、このための模擬オンライン会議を行いました。急にソサエティ5.0が私の身近にやってきたと感じているところです。 本題に入りますが、アフターコロナは長期的展望に立ち、県政全般で取り組まなければならない広範なものになりますが、今回は私の議会ワークである「地域を元気に・地方創生」の観点について質問します。 まずは、変化に対応した移住定住策についてお聞きします。 これまでも、大都市圏への集中によるひずみの批判から、都市で生活することなく、地方で仕事をすることについて議論されてきましたが、実行は一部にとどまっています。しかし今回、感染拡大対策として3密を避ける対策が強く打ち出されたため、様々な業種、職種の人々が在宅勤務を行ったことで、働き方の変化は一気に現実味を帯びてきたのではないでしょうか。 今後、地方への移住促進を図れると考えますが、他県もこぞって高速通信網などの環境整備を進め、移住者の獲得競争が激化すると考えます。移住者はもちろん、大分県で生まれ育った若者たちが、リモートワークリモート講義の活用で、都市部の会社や大学に就職、進学しても、県内にとどまって生活できるようにするなど、働き方を含めたこの間の変化に対応し、移住定住策にどのように取り組むのか、知事に考えを伺います。 次は、新たな感染症が発生した場合の対応についてです。 県内の新型コロナウイルス感染は多くの方の御尽力で落ち着きを見せていると感じていますが、これからも、第2波、第3波の感染拡大が危惧されているところです。 県も、これまでの経験を踏まえて万全の体制を取られていると承知をしていますが、不安に思われている県民の皆さまもいらっしゃると思います。国の体制や対応も刻々と変わってきているようです。 改めて感染の不安がある場合の相談窓口やPCR検査を受ける基準、東京都では無症状の方も多いようですが、万一感染してしまった場合の対処方法など、対応について分かりやすくお聞かせください。 また、経済的に大きな打撃を受けたひとり親家庭など、弱い立場の方々へ県が行っている支援策をいかに届けるか、具体的な手続も含めてお聞かせください。 以下、対面席から質問いたします。  〔二ノ宮議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの二ノ宮健治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 二ノ宮健治議員から、変化に対応した移住定住策について御質問を賜りました。 今後の移住定住策の推進にあたり、やはり新型コロナが世の中にもたらしたパラダイムシフトともいうべき考え方の変化を見極めていく必要があります。 これまでは、効率を追求する中で、集中が良いことだとされてきましたが、集中は感染拡大のリスクを高めることから、新しい生活様式は、むしろ分散を求めていると言えます。 これからは、暮らしや仕事の場をできるだけ分散し、それらを情報通信網や広域交通ネットワークで結びつける暮らし方、働き方が重要な選択肢となります。働く場所を限定しないリモートワークや在宅勤務は、これからの時代を生き抜くための新たな働き方として注目されています。 民間調査によると、企業のリモートワーク実施率は、3月時点で17.6%だったものが、6月には56.4%に急増しています。また、日本国内で在宅勤務が一般的になった場合に、38.8%の方が地方に住む人が増えると予想しており、実際、地方在住での本社勤務を進める企業も出てきています。 こうした状況を踏まえ、県では、オフィス系企業サテライトオフィスの誘致、地域の情報通信格差の是正やコワーキングスペースの確保など、都市圏での企業のリモートワークを行っている従業員が、地域で働くことができる受入れ環境の整備を進めていきます。 なお、先日、県内でリモートワークを行っている企業から聞いた話ですが、以前はリモートワークができるというだけで売りになっていたものが、コロナ以降は、皮肉なことにリモートワークが当たり前となり、それだけでは人集めにつながらないということでした。やはりそれにプラスして、地域全体の魅力を訴えていく必要があると、改めて感じたところです。 新しい生活様式に対応した相談体制の構築も重要です。そのため、4月からテレビ会議システムを活用した移住相談などを開始しています。さらに、今月からは、毎週水曜日に移住希望者と先輩移住者がインターネット上で交流、相談を行うオンラインサロンを開催するとともに、大分暮らしの魅力をライブ配信するオンラインセミナーも毎月開催しています。 加えて、今月福岡にオープンした大分県拠点施設dot.(ドット)を活用した就職イベントの開催をはじめ、都市圏の非正規雇用者を対象とした移住ツアー等にも取り組みます。 コロナ禍を契機とした新しい生活スタイルの広がりは、都市から地方に目を転じる人の増加につながり、UIJターンに結びつきます。今こそ、移住加速の最大のチャンスが来たと捉え、積極的に取組を進めます。 もう一つ、第2波、第3波の対応等について御質問いただきましたが、これにつきましては担当の部長からお答えをします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 感染者が発生した場合の対応についてお答えします。 新型コロナウイルスの感染を心配される方は、まずは、かかりつけ医か最寄りの医療機関に電話で相談の上、受診していただくことになります。受診後、息苦しさや強いだるさ、高熱等の強い症状のいずれかがある場合等は、本人若しくは主治医が最寄りの保健所に相談し、保健所は帰国者・接触者外来の受診を調整します。 帰国者・接触者外来で診察をした医師が、検査を必要と判断した場合、検体を採取し、衛生環境研究センター等でPCR検査を実施することとなります。 検査の結果、感染が確認された場合は、県が患者さんの状況を踏まえ調整し、指定医療機関等に入院していただく流れになります。 次に、ひとり親家庭など、弱い立場の方への支援です。 収入の減少など、経済的な影響を受けた方に対しては、母子父子寡婦福祉資金の償還を猶予するほか、市町村社会福祉協議会等の相談窓口で生活福祉資金の貸付け等を行っています。さらに、相談窓口に行きづらい方には、郵送での受付も行っているところです。 第2波に備え、PCR検査体制の強化などに努めるとともに、引き続き生活支援策を迅速に、かつ確実に届けていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。今朝の合同新聞だったと思うんですが、特に20歳代の移住希望者が増加しているという記事がありました。さきほど知事が、これからは分散を求める社会だというようなことを言われました。まさに、地方にとってチャンスが到来したと思っています。ずっと地方創生の関係をやっているんですが、こういうことを含めながら、これからも取り組んでいきたいと思っています。 移住定住についてはよく分かりました。 そこで、ちょっと視点を変えての再質問になります。 代表質問でも申しましたが、国が突然SDGsを地方創生の主軸に移したため、まだ国民の周知や取組は十分でなく、地方でも総合計画などの策定には苦慮しているのが現状です。 そんな中、今回の県の総合計画の改定では、施策目標とSDGsの関係を調整していただいたことに大きな前進を感じています。 今回、県の総合計画は改定されたばかりですが、働き方を含めた大きな変化に対応した新しい社会づくりを進めるあたり、SDGsを今以上に前面に、強力に押し出した計画に再改定することで、SDGsに関する県民の理解を深め、さらに、移住・定住の促進にもつなげることができると考えますが、いかがでしょうか、知事のお考えを伺います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 私ども、安心・活力・発展の大分県づくりということで、昨年そのプランの見直しもやらせていただいたところですが、その安心・活力・発展の大分県ということは、よく見てみると、SDGsで述べているような17項目について、非常に適合することが多いという感じがあり、当然のことですが、おのずとSDGsと軌を一にしながら、仕事を進めているという感じを持っているところです。 現に、今度見直した計画の中にも、この分はSDGsのここにあたるんだと、この部分はここにあたるんだというようなことを対比しながら、いかにこのSDGsと我々の安心・活力・発展の大分県づくりが考え方を共にしているかを紹介しているところもあり、これからも、当然SDGsの考え方をしっかり取り入れながら、安心・活力・発展の大分県づくりを進めていくことになるだろうと思っています。その気持ちで、ぜひこれからも進めていきたいなと思っているところです。 見直しをする必要があるかどうかについては、もちろん必要ならば見直しをしてもいいんですが、今の状況では、まさにSDGsのことを念頭に置きながら計画づくりをしたようなところがありますから、これ以上見直すことが必要かどうかと思っているところです。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。アフターコロナによることで大きく社会が変わります。そういうことで、総合計画の改定は大変な作業だと思っていますが、やはりSDGsをさらに深く盛り込むことによって、そういう中で計画の見直しが必要だと思っています。ぜひ、このことを強く要望しておきます。 それから、新たな感染者の件ですが、大変詳細な取組がメニューとしてなされており、安心しました。 これから、感染防止対策を行いながら経済を復興させるという大変な問題が起こっています。 そういうことで、これからは県民一人一人がこれまで以上にコロナに立ち向かい、自分のやらなければならないことを確実にやっていくと。そのためには、的確な県民への情報提供と、それから、その状況に応じた早急な対策が求められています。このことについて、対応策をお聞きします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 情報提供についてですが、発生するたびに報道機関とかにいろいろな発表をしてきました。 今後の話ですが、やはり新しい生活様式をしっかりと取り入れながら、感染防止対策をしっかりしながら、新たなステージに臨んでいっていただきたいということで、そういった意味でも、県のホームページや、いろんな報道関係、そういった部分でしっかりと啓発に努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 大変でしょうが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 次に、農林水産業の振興について2点お聞きします。 1点目は、田園回帰の動きを捉えた移住就農についてです。 かつて農家は、労働力の供給源であり、農家労働力からの潤沢な供給に依存して日本の経済成長があったと言われています。また、農業には、不況期に労働力を吸収する役割があるとも言われています。県では、退職後の高齢者機能とも呼ぶべき高齢者の就農が見られました。 さきほど申し上げたとおり、今回、新型コロナウイルスの影響により様々な社会行動の変化が起きており、地方での就農を考える人の増加だけでなく、今後大量の失業者が生じることも予想されることから、農業の持つ努力の緩衝機能が発揮できるよう、受入れ体制の整備が必要であると考えています。 多くの県で新型コロナウイルス感染症収束後を見据えた動きが活発化しています。多くの方に、活躍の場として本県を選んでいただけるよう、田園回帰の動きを捉えた本県への移住就農についてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 2点目は、乾しいたけうまみだけの振興についてであります。 大分県の乾しいたけの年間生産量は不動の全国首位をキープはしていますが、生産者の高齢化により生産量は減少し、また、消費も減少するという大きな課題を抱えています。 ほとんどの農産物には品種による特性を生かした販売戦略が行われていますが、しいたけはこれまで、どんこやこうしんなどの形状による販売が主流でした。 今回、消費拡大策として登場したのが、うまみだけです。県農林水産研究指導センターが、品種ごとのうまみや特性を調べて、大学との研究により官能評価を行い、品種の違いによる乾しいたけの味覚の特徴を明らかにし、うまみだけが商品として開発されたとの報告を受けています。 私も父がしいたけ農家であったことから、しいたけ栽培は熟知しているつもりですが、今回は正に目からうろこの発想であり、ぜひ成功させていただきたいすばらしい取組だと大いに期待をしました。 ところが、テレビコマーシャル等も始まり、知名度も上がっているのに、売場も販売量も少なく、買いたいのに買えないという声などを耳にしています。また、生産者から作りにくいという声があるなど、生産、販売体制が十分に整っていない中でスタートしたため、課題が山積しているように思います。 私は、せっかくの高付加価値商品であるうまみだけを成功させるためには、今のようなイメージ先行でなく、地に足のついた取組が必要だと思っていますが、今後の生産、販売戦略についてどのようにお考えか。また、うまみだけの生産者数、出荷量と価格など、具体的な数字とともにお聞かせください。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。
    広瀬勝貞知事 まず、私から田園回帰の動きについてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、地方での暮らしが見直されて、移住就農への関心も一層高まってきていると考えています。 本県では、そのような関心の高まりを逃さずに捉えるために、移住就農者の受入れに向けて、切れ目のない取組を進めていきたいと思います。 まずは、相談体制の充実です。 本年度は、感染防止措置を講じながら県内外での相談会を実施するとともに、相談会に来られない方のためにオンライン相談を開始しました。今月末からは夜の部をスタートし、仕事などで日中に相談できない方のニーズに応えていきたいと思います。 先週末の6月20日、福岡県で初めて、就農と移住の合同相談会を開催しましたところ、例年の就農相談会を上回る35人の方に参加をいただき、都市集中のデメリットを体感し、移住を考えるに至った、といった相談者の声からも、移住就農への関心の高まりを実感したところです。 次に、就農に向けた技術や知識の習得も欠かせません。相談の次には、技術や知識の習得です。 県内15市町に設置された就農学校やファーマーズスクールでは、実習から営農まで、運営主体である市町村や関係団体と一体となってサポートしています。また、農地や住宅の確保についても、運営主体が情報提供やあっせん等を行い、スムーズな地元受入れに努めています。 加えて、就農後の支援も大事です。 就農初期の負担軽減を図るため、県独自の給付金のほか、仕組み上、収入保険制度に加入できない就農1、2年目の新規就農者の所得を補填する制度を創設するなど、多種、多様な支援をしています。 移住就農者からは、本県に就農する決め手として、幅広い研修メニューや初期負担軽減などの手厚い支援があること、海岸部から高原地域までの多様な地域性の中で自分の農業を決められること、といった評価をいただいており、昨年度の新規就農者は過去最多の257人となりました。 本県が就農先に選ばれるよう、こうしたセールスポイントを十分にアピールしながら取組を進めていきます。 さらに、アフターコロナを見据えた取組としては、農業経験のない異業種からの人材の活用を広げる観点からも、農業法人をはじめとする経営体が、作業者の習熟度に左右されないICT・スマート農業を導入することを促進し、受入れ体制の強化を図っていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 乾しいたけうまみだけの振興についてお答えします。 うまみだけの生産者は現在118人で、これまで約10トンが県椎茸農協などに出荷、納品されています。 単価については、過去5回の椎茸農協の入札で、キロあたり平均4,586円、従来の品物と比較して468円高くなっています。 今後は、生産者を増やすために、生産量の約7割を占める植菌数5万駒以下の小規模生産者にも生産管理の方法などを丁寧に説明し、理解をいただくとともに、15キロから20キロといった1箱に満たない端物でも出荷できるような集荷方法の見直しを図りたいと考えています。 これにより、本年度末までに生産者を220人に増加し、目標の15トンを確保したいと考えています。 販売面については、当初販売されていたデパートに加え、インターネットや袋詰め業者の直販所での販売も始まりました。また、豊後大野市のふるさと納税返礼品としても採用されるなど、広がりを見せています。 さらなる需要を喚起するため、若者をターゲットにSNS等を活用した情報発信や飲食店、小売店とタイアップした飲食イベントなどを行います。 こうした取組をシイタケの関係者が一体となって進め、うまみだけの振興を図っていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。田園回帰ですが、何度も言っているように、大きく田舎がクローズアップされるんじゃないかという中で、どういう体制を整えるかだと思っています。 私は農村地域に住んでいるんですが、今回の新型コロナ、自治会総会等の中止などはあったんですが、ほとんど大きな混乱もなく、通常の生活を送ることができました。 5月15日の、国の地方移住に関する意識調査の結果でも、約半数の回答者が地方移住に関心があるとの回答で、今後、農村、農業の役割がますます大きくなると思っています。 さきほどの答弁で、いろんな取組をされ、成果を上げていることはよく分かりましたが、問題なのは、市町村別に見ると大きなばらつきがあるんではないかと思っています。成果の上がっている市町村は、知事の答弁にあったように、新規就農者に対していろんな就農学校等を設置していますが、取組に温度差があるように感じています。大分県の活性化のためには、移住就農を県全体に広げる必要があると考えますが、実現は大変難しいと思います。改めて、この困難な課題に取り組む知事の決意をお願いします。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 議員には釈迦に説法でございますが、農業は非常に地域の特性に応じたものでして、担い手の育成についても、やはり地域が主体的にやっていただくことが非常に大事ではないかと思っています。そういう理念の下で、市町村による計画的な研修生の受入れとスムーズな就農を基本に考えているところですが、もちろん、それだけだといろんなアンバランスが出てくるんではないかということで、そういう基本には立ちますが、就農学校の広域化や、あるいはファーマーズスクールの地域間での連携も進めているところです。 例えば、大分広域白ねぎ就農学校は、研修生が県内各地で就農できる制度で、現在、宇佐市や国東市の方が研修中です。 また、ファーマーズスクールでは、就農地が異なる研修生の受入れを開始して、スイートピーと放牧肉用牛について、2市が連携をしているところです。 これらの取組により、県全体で受け皿を強化して、そして、移住就農者のさらなる確保に全体として取り組んでいくことはもちろんやっていきたいと思っているところです。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。新規就農者の声をよく聞くんですが、そこで生活できる環境が整っているかということが一番だそうです。特に、技術の習得とか土地の確保、それから住まい、そしてその地域の受入れ体制などで就農先を決めているようです。 さきほど知事が広域化と言われました。例えば由布市から見ても、梨については学校に近いものがあって後継者が出ているんですが、それ以外についてはこの就農学校がないために、なかなか新規就農者が来ないということがありますので、もちろん、市町村が一番にやらなければならないことはよく分かっていますが、県の地域間の連携とか、それから広域化、そのことについては県がぜひ音頭を取って力を入れていただきたいとお願いしておきます。 次に、うまみだけですが、さきほど知事から説明がありましたが、県内の中山間地農家の形態としては、稲作を主体として畜産としいたけ栽培の複合的な経営が多く見られます。平成30年度の乾しいたけ生産者は3,887人。そのうち、年間栽培量が300キログラム以下の、いわゆる小規模生産者が3,500人で全体の90%を占めています。この人たちがしいたけ日本一を支えていると言っても過言ではないと思っています。 まず、このような人たちからどのような意見や問題点が指摘されているのかについてお聞きします。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 小規模生産者などからの意見ということです。 2月20日にうまみだけの新ブランドを発表して、3月19日から販売を開始しました。これと並行して、各椎茸農協の支部の総会といったところで説明をし、また、その後コロナがありましたので、なかなか意見が聞けておりませんが、個別に巡回をしながら、小規模生産者に対しての制度の説明、災害管理の在り方の話をしています。 そういった中で、やはり今言われたように採取、あるいは乾燥するときに品種が混じらないようにすることが大変だという意見があり、出荷にあたっても、小規模な生産者はどうしても一つ一つの量が少ないので、それをどういうふうに出していくかが難しいなということもあったり、高齢でなかなかそういう新しい取組が難しいという意見も伺っています。いろんな意見が出ていますが、今後しっかり生産者を確保していくという意味では、改善できるところは、しっかり工夫をしながら、多くの生産者にこのうまみだけを作っていただけるように、しっかりと説明し、協力をいただきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 このうまみだけを成功させるのに二つの課題が考えられると思っています。 一つは、生産過程の分別です。例えば駒の購入、駒打ち、ほだ場での管理、採取、乾燥、出荷、全てに分別という注意が必要です。 それから、もう一点は販売戦略です。四つのうまみの違いを消費者にどのように理解をしていただくかと。 この2点についてどのような対策を考えているか、お聞かせください。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 生産管理と販売戦略ということですが、生産管理については、今、少しお話をしましたが、やはりどうしてもこれまで以上に手間が掛かる部分があろうかと思います。しかしながら、うまみだけということで商品を発表して、売り込んでいく以上、品質の確保がどうしても重要になってくると思います。そういった意味で、少し手間は掛かるかもしれませんが、徹底した生産管理が必要になってきます。 そこについては、生産者に対して、より具体的に、写真を用いながら、こういう段取りでやってくださいと丁寧に説明をしながら、小規模な生産者でもできるように今、取組を進めています。 もう一つ、販売戦略ですが、今回、うまみ、香り、歯ごたえの三つの特徴を持った、四つの品種を販売しています。例えば、ゆう次郎であればやさしい香り、にく丸であれば歯ごたえ抜群といったように、それぞれのキャッチフレーズをつけながら、そのしいたけのイメージができるようにまず推しています。その上で、そのしいたけについて、どういった料理に適するかというレシピも作りながら訴求をしているところです。 消費者の方々からいろんな意見をいただく中で、料理の用途に合わせて購入できるので、非常にありがたいとか、レシピどおり作ったらおいしかったという声もいただいていますので、こういったところをしっかり、さらに徹底していきたいと考えています。 また今後の話になりますが、健康志向が進む中で、ビタミンDであったり食物繊維であったり、あるいは抗酸化作用、そういった機能についても、また工夫をしながら商品化につなげていけないか、整理していきたいと思っています。 今までだと乾しいたけは乾物のところにありました。イリコだとか、調味料のところにあったわけですが、やっぱり消費者が手に取りやすいように、生鮮野菜の横に置く、同じようなレベルで購入していただけるということも大事だと思っていますので、そういった取組もあわせて進めていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。まだスタートをしたばかりですから、いろいろな課題かあると思っています。例えば、駒については、小さな生産者には一つの駒を打っていただくとか、いろいろ手があると思います。 そういうことで、ぜひ、生産者、購入者にいろいろな意見を聞きながら頑張っていただきたいと思っています。 次に、地域気候変動適応計画の策定についてお聞きします。 気候変動対策については、大きく緩和と適応の両方の取組が重要と言われていますが、3月の代表質問の中では、緩和策について質問しました。日本が環境後進国との評価やグレタ・トゥーンベリさんのスピーチなどの話をしましたが、緩和策は世界中で温室効果ガス排出削減の努力目標を定め、地球温暖化対策に取り組まれています。大分県でも第4期大分県地球温暖化対策実行計画の中で、部門ごとの目標が定められています。 国連の組織である気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書によると、今すぐに温室効果ガスを出さないようにしっかり緩和策を講じても、気候変動はすぐに止まらず、2100年には世界の平均気温が1度上昇。もし今のままであれば、4度も上昇すると言われています。 台風の巨大化、集中豪雨、干ばつ、酷暑、農産物の収量低下や熱中症搬送者の増加など、気候変動の影響は、私たちの身近に現れています。しかも、気候変動は一過性のものでなく、これからも限りなく続くと言われています。今後は、気候変動に適応していくことも重要ではないでしょうか。 2018年には、気候変動適応法が策定され、国全体で適応策を推進していくことになりました。本県の気候変動への適応策は、第4期大分県地域温暖対策化実行計画にまとめていることは承知していますが、当該計画は本年度末までになっています。 そこで、地域気候変動適応計画の策定を含め、今後の改訂に向けた県の考えを伺います。 ○麻生栄作議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 温暖化対策については、県民総参加の下、積極的にうつくし作戦を推進しており、県内のCO2排出量は2017年度まで、4年連続で前年より減少しており、順調に削減が進んでいる状況です。 一方で、気温の上昇や大雨の頻度が増加し、農作物の品質等に影響が出ており、県民生活への被害を最小限にとどめるためにも、適応策を充実させることが必要です。 これまでも、農業分野では高温に強い水稲品種のつや姫の作付け推進や温暖化の影響が少ないシャインマスカットの導入を進めてきたところです。 うつくし作戦県民会議の委員からは、台風や豪雨により、想定を超える災害が多発しており、さらなる適応策が必要との意見をいただいています。 そのため、今回の適応計画では、気候変動が県民生活に与える影響を広範囲に分析した上で、従来の農林水産業など5分野に加え、産業・経済活動や県民生活など新たな分野への適応策を追加する方向で検討をしていきます。 したがって、今回の改定については、2050年のCO2排出実質ゼロを目指す緩和策とあわせ、新たな分野を加えた適応策を車の両輪として、県民総参加で取り組んでいく計画にしたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 第4期の計画の中では、農林水産、水環境、自然災害、健康など、多くの分野ごとに適応策が示されています。 その推進体制と振興管理についてどのように行われ、その結果について教えてください。 ○麻生栄作議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 これまでの適応策の実施の状況ですが、農林水産業をはじめ、5つの部門の適応策について、各施策を決めています。毎年度、担当部局から報告を受けており、それを基に、進捗状況を確認しているところです。 今回の第5期の計画策定にあたり、これまでの実施状況を、新たに設置する5期計画の策定会議に諮って、専門家の方々にこれまでの実施状況をチェックしていただき、5期計画の内容に向けた御助言等をいただいて、新たな計画づくりを進めたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 気候変動的予報の中では、計画策定とセンターの設置が県の努力義務とされています。既に19県で計画策定が、そして適応センターも13県で設置されています。 また、県の第3次環境基本計画の中では、気候変動については本県の地域の実情に応じた取組が必要と明記されており、早急な地域気候変動適応計画の策定と適応策が多岐にわたるため、県庁内の横断的な取組が必要で、その司令塔となるセンターの設置が不可欠と考えますが、いかがでしょうか。 ○麻生栄作議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 地域の気候変動適応センターの設置ですが、議員の御指摘のとおり、地域の特徴に応じた適応を進めていく上では、気候変動に関するデータやその影響予測などの科学的な情報が必要となりますので、そういった機能を担う地域の気候変動の適応センターの設置が必要と考えています。 ただいま、国立の環境研究所ですとか、他県のセンターの事業内容、また、気候変動や適応に関する情報収集の手法など、具体的にどういった機能を持たせるのかを調査しているところであり、その内容について、今年度整理をしていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。センターについては必要と考えているという回答でした。 以前、防災教育センターを知事にお願いしました。そういうものから見れば、あまり大規模でもありませんし、しかし、その役割は大変重要だと思っています。ぜひ早期に設置をお願いしたいと思っています。 次に、再生可能エネルギーのさらなる促進についてに移ります。 再生可能エネルギーとは政令で、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、その他の自然界に存する熱とバイオマスの7種類と定められています。 この永久に使うことのできるエネルギーの利用率ですが、総発電量に占める再生可能エネルギー比率で見ると、日本では2018年度で16.9%、ドイツでは2019年度ですが46%となっています。欧州では、多くの国で30%以上となっているそうです。 ところが、アメリカの物理学者エイモリー・ロビンス博士によると、日本はドイツの9倍もの再生可能エネルギーを保有しているとのことで、日本は世界に誇る再生可能エネルギー資源の保有大国のようです。 しかし、日本エネルギー経済研究所によれば、日本が化石燃料の輸入に支払ったお金は2018年度、年間19兆円で、2018年度に私たちが支払った所得税の総額19.9兆円にほぼ匹敵する膨大な額のお金が化石燃料に使われ、海外に流出しています。 このような中で、地域の再生可能エネルギーを中心とした新たな地域振興、地域づくりの試みが始まっています。 地域の再生可能エネルギーによって生まれた電気に支払われたお金は海外には流れず、その支払われたお金は、電力供給業者を通じて、地域の送電会社や協同組合などに流れて、地域に雇用を生み、事業に関わる様々な地域の業者を潤し、発電した地域の中を循環します。多くの課題もありますが、多くの地域でこのような動きが始まっています。 そこで質問ですが、このような再生可能エネルギーを利用した地域振興についての県の考え方、さらに、県内の再生エネルギーの現状について教えてください。 また、再生可能エネルギーの導入にあたっては、さきほど述べたように、再生可能エネルギーの持つ環境価値についての県民の理解が必要です。このためには、まず、県施設において再エネ利用100%の達成から始めるべきと考えますが、その状況もあわせてお聞かせください。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 本県は、地熱・温泉熱や水力、バイオマス、日照などの優位性を活用することで、再生可能エネルギーの自給率は41.8%と全国1位です。 昨年度改訂した新エネルギービジョンでは、再エネの導入量について、令和6年度の目標を平成26年度比で1.4倍増として取り組んでいるところです。 再エネの導入促進は、地域の新電力会社などを通じてエネルギーの地産地消が可能となり、地域振興や地域課題解決につながっています。例えば、姫島村では、住民と観光客の移動手段を確保する手段として、太陽光発電による超小型EVの地域交通システムが運用中です。 また、新電力おおいたの料金プラン、ニータンのでんきはプロスポーツの振興に、そして、こども未来でんきは子育て支援を応援するものです。 県の施設で再エネ100%を目指すことについては、エネルギー供給の安定性や価格の面から、今のところ最適な選択とはなっていませんが、災害時、停電時の太陽光発電の役割の周知や、再エネのみで事業を行うRE100にチャレンジする企業を応援することで、県内における環境価値の理解促進に努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 この再エネの取組の多くの目的の中の一つは、化石燃料の使用をいかに減らすかということじゃないかと思っています。 それは、気象変動の緩和のためであり、それから、新型コロナによる自国主義の中で、やはり国内のエネルギーは自国でということが高まる中で、将来に備えて国内のエネルギー自給率を上げるため、そしてあわせて、それが地域振興になれば、まさに私は一挙三得になると考えています。 そこで、県内ではどの分野の再生エネルギーの利用率を伸ばすことがまだこれから可能と考えているのか、お聞きします。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 大分県の中でも、様々なエネルギー源があります。 その中でも、特に他県との比較で申し上げると、やはり地熱の活躍が大きいです。 我が県としては、特にどれか一つのエネルギー源というわけではなくて、バランスの取れた形で再生可能エネルギーを導入していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 最近、水力とかいろんな再生可能エネルギーの発電所等を見てきました。やはりその地域に応じたいろんな形があると思っています。 そういうことで、本当は県内のエネルギー量を調査して、それぞれの地域にどれが合うかも、県が調査をしながらぜひやっていただきたいと思っています。 これは、再生可能エネルギーを利用した地域振興、地産地消だと思っていますので、ぜひ、よろしくお願いします。 再生可能エネルギー自給率全国一というのはよく知っています。これを不動のものにするためにも、もうちょっときめ細かにそれぞれの市町村を指導して、市町村と一緒に取り組んでいただきたいと思っています。 次は、教育の振興について2点伺います。 1点目は、今年度の県立高校入試結果と今後の対応についてです。 平成27年9月、私の県議会初質問で提案した、地域の高校活性化に係る県の支援事業も4年が経過し、それぞれの学校の持つ特性をいかしながら、学校や地域の活性化等の成果を上げてきましたが、残念ながら、志望状況を好転するまでには至っていません。 今年度の入試結果では、定員割れした高校が18校となり、定員割れした高校関係者や地域の方からは、真剣に努力をしてきたのに、どのようにすれば地方の高校を選択してくれるのかとの悲鳴が聞こえてきます。 高校選択の基準は、希望する高校で進学や就職など、自分の将来展望をはっきり描くことができること、そして、楽しい、充実した高校生活が送れることが選択の大きな理由になっているようで、生徒から選ばれる高校づくり、そして、生徒が望む高校づくりの原点がここにあることは言うまでもありません。 今年の入試状況では、高等学校就学支援制度の充実、私立高校の専門化、特色化などから、都市部の高校への一極集中が加速し、今年の入試状況が変化したのではないかと考えています。 そこで、このことも踏まえ、県教委として令和2年度県立高等学校の入試状況の分析と、4年が経過した地域の高校活性化に係る県の支援事業の成果と課題をどのように捉えているのか。また、今後の地方の高校を元気にするための対応策についての考えをお聞かせください。 2点目は、高校存続と地方創生についてです。 教育長にお聞きしますが、最後に、知事の感想をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 さて、自分の住んでいる地域の高校を存続させるというのは、地域の住民の切実な願いであり、行政の支援や高校振興大会開催など、地域を巻き込んでいろんな取組が行われています。 しかしながら、現実は、少子化や都市部への一極集中の中で、地方の高校は大変厳しい状況が続いています。 そこで提案です。高校の活性化には、県と市町村の教育委員会が連携を組んでいますが、連携を地方創生担当部署に広げ、新たな視点から取り組んではいかがでしょうか。県も、市町村も、部局横断で地域の高校の活性化に取り組むことで、次代を担う子どもたちの地域への関心を高め、愛着心を養うことで、より幅広にできるようになり、ひいては地方創生につながると考えています。 部局横断の高校活性化に主体的に取り組む地域の高校には、県としても重点的に支援をしてはいかがでしょうか、御意見をお聞かせください。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 2点についてお答えします。 まず、今年度の県立高校入試結果と今後の対応についてです。 県内の中学校卒業者総数に対する大分市内の県立高校への進学率は、昨年の4.6%から4.3%に。県立高校全体でも69.0%から67.2%に下がった一方、私立高校の割合は23.9%から25.5%に上がっています。 しかしながら、この4年間の入学状況を見ますと、年によって増減はあるものの、地域の高校魅力化・特色化推進事業によって、地域や地元企業との結びつきが強化されつつあって、継続することが大事と考えています。例えば、由布高校では、今年度の減少は大きいものがありましたが、昨年度は中学校卒業生の大幅な減少にかかわらず定員を満たしており、これは英語等の語学力を備えた由布マイスター養成や由布学を通した、地域を担う人づくりの取組の成果であると捉えています。 一昨年から県教育委員会としても、入学定員を下げざるを得ない地域の高校については、30人、35人学級を導入して、学校の体制を維持する中で、学びの保障に努めているところです。 今後とも、地域を牽引する人材の育成を目指し、学校、地域とともに、粘り強く取り組んでいきたいと考えています。 次に、高校存続と地方創生についてです。 地域の高校が存続して、その地域の担い手を生み出していくには、市町村教育委員会との連携はもとより、県、市の関係部局とも連携、協力をしながら、地域との協働体制を築いていくことが重要です。 例えば、耶馬渓校では県福祉保健部の助言を得て、市の社会福祉協議会と連携して、学校近くの空き家を活用した高齢者サロンの企画運営に生徒が参画して、世代を超えた交流が活発化しています。また、佐伯豊南高校では、商工観光労働部と連携して、台湾での県産品プロモーション活動で、地元特産のごまだしをPRするなど、郷土への理解を深めて、愛着を育む取組も進んでいます。さらに、宇佐産業科学高校では、今回のコロナ禍に対応して、市の福祉保健部と相談して、不足する布マスクとフェイスシールドの製作に連日励んで、医師会などに届けました。 地域と共にある学校の姿は、多くの人に元気を届けることにもつながったと思っています。 県教育委員会としても、このような取組に対して、高校魅力化の授業の中で、柔軟な発想と創意工夫をいかせるよう、県、市の関係部局の協力を得ながら、支援していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 この2点の質問についてはほとんど関連があります。 県立高校の入試の状況ですが、今、教育長が言われたように、昨年度と今年を比較してみると、県立が2%のマイナス、私立が2%のプラスになっています。この傾向については、これから高等学校就学支援制度の充実等により、ますます進むと考えています。 そういう中で、それぞれの学校で特色ある魅力をどうやって出すかということでユネスコスクールやSDGsの達成を意識した教育活動などの取組が現在始まっています。 このことについてはぜひ、その地域の高校魅力化・特色化推進事業のさらなる充実を図っていただきたいと思っています。 それで、次の高校存続と地方創生について、同じような質問ですから、このことについて少し深掘りします。 まず、高校存続と地方創生についての質問は、これは一口で言ったら、これまでの発想を変えて地方の県立高校の活性化を市町村の地域づくりの中で取り組んだらとの提案です。事は大変難しいんですが、県立だから県の責任だというこれまでのやり方ではなく、自分の住んでいる地域の高校を存続させたいなら、それぞれの市町村振興計画の中で高校の位置づけを明確にして、そして存続を含めた活性化に取り組まなければ、人口減少社会の中で、廃校となる高校が増えると危惧しています。 いろんなことが今出たんですが、既に豊後高田市の高田高校に対しては、地域おこし協力隊の配置、そして特別奨学金の創設、由布市では、市職員が由布高校に出向いて、市の総合計画を生徒に説明するなど、また、玖珠美山高校での玖珠町の玖珠志学塾など、市町村による地元高校の活性化に向けた取組が今始まっています。 このように市町村には、県も積極的に財政支援等を行い、市町村の地域づくりと共同で地域の学校を支援するべきと考えますが、いかがでしょうか。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 市町村の計画の中に、県立高校の支援を位置づけたらどうかという御質問かと思いますが、今お答えしたように、また、議員からもいろいろと例示をいただきましたが、既に、市町村には、県立高校の存続に向けていろんな形で事実上のサポートをしていただいています。我々としては、大変ありがたく思っていますし、さらにこの協力関係は進めていきたいと思っています。 我々から位置づけろと言うのはなかなか難しい面があります。本当に、事実上、しっかりサポートしていただいているというのが今はありがたいという状況です。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。この県立高校の活性化を市町村まちづくりの中でできないかとの提案について、知事の感想をぜひお聞きしたいと思います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 申すまでもありませんが、今、県立高校を県内各地に設置していますが、地域の市町村の皆さん方に大変かわいがっていただいていると言いますか、育てていただいていると言うんですか、いろんな意味でお力をいただいていると私は思っています。感謝しているところですが、もう一つ、高等学校の基本的な役割を考えてみると、やっぱり生徒はいよいよ社会人として、あるいは大学人として自立をしていくための最後の人間性を育み、あるいはまた整えていく大事な時期でもあるわけです。 したがって、そこが高等学校の基本ですから、いかに高等学校の、人間にとって非常に大事な高校教育を充実したものにしていくかが大事で、そのために一定の生徒を確保し、そして、そのことによって教授陣を充実したものにし、そして教育内容を立派に高めていくことが、基本になってくると思います。 地域の再生のために、やっぱり高等学校は1市町一つあってほしいなという気持ちもよく分かるんです。私もそのとおりですが、しかし、高等学校の本来の性格からいうと、いかに子どもたちが充実した教育を受けられるか、そして、立派な社会人の準備を整えて旅立って、巣立っていくかが大変大事で、そのための教育のあり方を考えていくことも大事です。 教育委員会が、そういうことを含めて一生懸命考え、また、知事部局も、いろいろ一緒に考えていく立場になっています。地方再生という観点から、市町村の教育委員会も入ってということになると、そこのところの性格が高等学校の考え方と違ってくるんじゃないかと、十分に考えなければならないことだし、我々として考えてもらいたいことでもあるんだけれども、あんまり考え過ぎると、高校のもう一つの本質的な大事な役割というのも、ないがしろにすることになるんじゃないかという点も心配なところで、今にわかに二ノ宮議員の御提案に賛成するわけにはなかなかいかないなと悩んでいるところです。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。これは知事部局等の力もないとなかなかできないと思っています。 最後に、教育長に伺います。 こういうことを実際にやっているところはたくさんあります。モデル校をつくったらということと、それからもう一つは、玖珠町の玖珠志学塾のような公営塾を希望する市町村も多いと思います。そういうことについてどういうお考えか、最後にお聞きをします。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 こういう取組の進んでいるところをモデル校化したらどうかというお話でしたが、私としては、既に由布高校等、モデルとして十分に頑張ってもらっているなという感想を持っています。 また、友好的なというか、学習を支える塾等を作ったらどうかというお話ですが、その前に、我々としては優秀な教員を配置して、しっかり学校の授業の中で子どもたちを育てていくことに力を入れていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 今からもいろんな形でお願いします。 もう質問ではないんですが、教育関係者には釈迦に説法ですが、こういうのがあります。「東井義雄一日一言 いのちの言葉」の著書の中に、「村の子どもが村に見切りをつけて都会の空に希望を抱いて学ぶというものは、あまりにも惨め過ぎると思うのだ。そういう学習も成り立つであろうが、それによって育てた学力は、出発点からして村を捨てる学力となってしまうのではないか。そんな学力を目指していると村を荒廃させるばかりでなく、国を、そして人間を荒廃させてしまうだろう。子どもたちを全部村に引き止めておくという考えではない。学習の基盤に教材を育てることが必要」と続いています。 子どもたちが自分の住んでいる故郷の状況を知り、そしてふるさとのために何ができるかを考えるような、そんな子どもを増やしていく教育ができれば、地方の高校創生につながるのではないかと感じています。 そういうことをお知らせして、私の質問を終わります。御静聴ありがとうございました。 ○麻生栄作議長 以上で二ノ宮健治君の質問及び答弁は終わりました。大友栄二君。  〔大友議員登壇〕(拍手) ◆大友栄二議員 10番、自由民主党、大友栄二です。今定例会、一般質問会派のトップでこの場に立たせていただきました。機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝し、そしてまた、今日はネット中継で御覧いただいている支援者の皆さまにも改めて感謝の思いを持って質問させていただきます。 令和2年は年の初めからこれまで、ニュース等で報道された話題は、新型コロナウイルス一色と言っても過言ではありません。世界的にも全国的にも騒然とする中、県では新型コロナウイルス感染症の国内発生前段階から警戒し、国内発生、県内発生と段階を追ってしっかりと対応していただいたと思います。 特に県内発生段階にあっては、各学校の休業や外出自粛の要請、感染症指定医療機関での病床の確保など、感染の蔓延防止に向けた的確な対策の実施を迅速に行っていただきました。 この間の広瀬知事を含めた関係者の皆さま方、特に感染症と真正面に向き合ってこられた医療従事者の皆様の御努力に多大なる感謝を申し上げます。 こうした方々以外にも、営業や外出の自粛に協力していただいた経営者や県民の皆さま方、正にラグビーワールドカップのレガシーとも言えるワンチームおおいたで感染防止の取組を実施した結果、県内での状況はひとまず落ち着き、小康状態を保ちつつありますが、県内に大きな爪痕が残されているのも事実です。 なかでも大打撃を受けた経済に対する対策、医療機関への支援を含めた新型コロナウイルス感染症への対応、空白のできた教育に対する対策、この3点の今後の対応は非常に大切になってきます。 今回の一般質問では、これらに対する細かい質問が多くあるかと思いますが、私からは、この3点に対する大枠での方向性を伺います。 まずは、県経済の現状と今後の課題についてです。 新型コロナウイルス感染症の蔓延防止に向けて、県内でも多くの企業経営者の方々が営業自粛に協力していただきました。このことそのものは感染防止に非常に有効であったと私は考えています。 しかし、一方で、多くの企業、事業所は大幅に売上が減少し、営業したくとも休業を余儀なくされている店舗が多いのも事実です。休業要請は、遊技場等に特定されましたが、実質はサービス業の大半が休業状態です。 国でも支援策として、無利子、無担保の融資支援や持続化給付金を持ち出しましたが、融資では返済が生じますし、給付金の額面は経営全体のランニングコストと比較すれば僅かでしかなく、先行きの不安は当然出てきます。 もちろん、収束後のV字回復を目指したく、これもあらゆる方法で模索していくべきですが、収束を待たず息絶える企業も、長引けば長引くほど増加していくと思います。失業者や生活困窮者を出さないためにも、企業を守り、雇用を守るという姿勢が今回のコロナショックにおいては大事になってくるのではないでしょうか。 県は、持続化補助金の上乗せ補助や企業を支援する団体に対する助成等を行い、各市町村も家賃補助など地域の実情に合った施策を出しています。また、今月3日に臨時会を開き、大規模な補正予算で中小企業振興策を講じています。 一方で、現時点でも飲食業界や観光業界のダメージは回復していないという状態です。この先も様々な業種にこの影響が拡大されていくと予想されています。 先般の補正から2週間がたちますが、県経済の現状と今後のコロナショックからの回復に向けた課題について知事の見解を伺います。 以下は対面席より伺います。  〔大友議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの大友栄二君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 大友栄二議員からコロナショック後の県経済の現状と今後の課題について御質問をいただきました。 新型コロナウイルス感染症には、本県もこの数か月大変翻弄されました。この間、県民の皆様には、人と人との接触を8割減らすことや、県境を越える不要不急の移動自粛などに御協力をいただきました。大変感謝しています。 人と人との交流や移動の制限は多くのビジネスにとって致命的となるもので、本県の経済は大きく落ち込んでいます。身近な旅館ホテルでは、5月の宿泊者数は前年比89%もの減少となりました。製造業では、4月の九州の自動車生産台数は前年比で45%減少しています。外食需要の低下に伴いまして、4月の和牛枝肉の競り価格は前年比マイナス35%の水準になっています。 このため、補正予算の編成とともに、5月28日に社会経済再活性化緊急推進本部を立ち上げたところです。大きなダメージを受けた事業や雇用を維持、継続していけるように国や県の事業を効果的に届け、事業の再開や新しい生活様式への取組をしっかりと支える対策に万全を期しているところです。 資金繰りにおいては、商工団体や金融機関と連携し、無担保、無利子の公庫融資や県制度融資などにより支援していきます。併せて、融資を受けながら事業の再開に取り組む中小企業や小規模事業者に県独自の応援金による支援も行います。 また、雇用調整助成金の支給が進むように、社会保険労務士会の協力をいただき、申請書類の書き方支援にも引き続き取り組んでいます。 苦境にある旅館ホテルでは、観光客受入れの不安の払拭と旅行者の安心の確保が重要です。このため宿泊施設感染症対策チェックリストによる対応は98%以上の宿泊客から好評を得る一方、改善点も指摘をいただいています。さらなる安心感につなげる旅行需要を獲得していきたいと思います。 飲食店では、店舗と来店客が共に考え、楽しく飲食できる取組が大事です。店舗では、安心して来店していただけるように、換気や飛沫対策を講じたり、店舗前路面を利用したオープンエアサカバなど、新たな挑戦もしているところです。ナイトクラブなど接客を伴う飲食店等でも、業界のガイドラインに沿って、入場者の検温や消毒などの対策を講じて営業を再開しています。 県では、店舗の感染防止対策を自己診断できるツール安心はおいしいをWeb上で公開しています。感染防止対策に必要な支援をはじめ、県内各地での地域に根ざした工夫を凝らした取組を支援していきたいと思います。 事業者と議論を重ねて課題を探り出し、深く痛んだ事業を立て直して活躍いただけるようにサポートしながら、経済の再活性化に粘り強く取り組んでいきます。そのため対策本部も全力で広範多岐にわたって活動していきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 少し現場の声を話したいと思います。様々な困難な状況に備えて、強靱な体制をつくった中で、企業存続を図っていくことは経営者の使命であると私は思っています。 過去の様々な逆境を乗り越え、大きな災害時でも歯を食いしばって耐えてきた企業もあります。しかしながら、今回のこの状況下は想定し得ない状況であり、乗り越えることが困難な企業も出てくるのではないかなと考えています。 売上がゼロ、もしくは大幅に減少しても固定費は払い続けなくてはいけませんし、実際日々の資金繰りに困っているという声をよく耳にします。そんな中、持続化給付金や雇用調整助成金は申請から入金までかなり時間を要しているようです。 融資については、過去の業績の良い企業に対しては対応が早いですが、本当に資金ショート寸前の厳しい会社というのは、やはり通常と同じように審査があるので、いまだに融資を受けられない企業もあるという声も伺っています。 資金面での支援はやはり国が旗を振って、しっかりと手厚い支援を行っていただきたいと考えていますし、今後、永久劣後ローンの買取り機構等の仕組みを作り、貸渋りのない融資制度を検討していただきたい、そんな経済界からの声も届いています。 県としては資金的な支援には限界がありますが、このような状況下でも事業継続をするためのモチベーション維持ができるような支援をしていただきたいと考えています。 これまでの補正予算で制度資金や中小企業、小規模事業者応援給付金事業など中小企業等を支援する施策を打ち出していただいていますが、それらの施策の現在の利用状況を教えていただきたいと思います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 県制度資金や中小企業・小規模事業者応援給付金事業の利用状況についてお答えします。 県制度資金の保証承諾は6月18日現在、低利の新型コロナウイルス感染症緊急対策特別資金が2,201件、無利子、無担保のがんばろう!おおいた資金繰り応援資金が2,143件、合せて4,344件です。これは金額ベースでは585億円となっています。 続いて、中小企業・小規模事業者応援金は6月10日に受付を開始しました。そして、6月19日現在の申請状況ですが、2,726件の方に申請いただいており、うち支給している額としては173件、4,965万円となっています。不備な申請のサポートと迅速な審査の上に、また早期の支給を目指していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 今回、補正も含めていろいろと支援をいただいていると思います。 今回、即座に打撃を受けた業種は飲食業、そして旅行業界でした。中でも旅行業関係、ホテル旅館等に関しては、ほぼ休業状態で売上げゼロの状態が続きました。その状況を踏まえて、チェックリストの話もありましたが、県では応援割で支援していこうと動いていただいたわけですが、発表時に公表されたのは、仲介が、じゃらん、楽天のOTA、そして利用できる宿は組合加盟の221店舗にとどまり、私自身も地元の旅行代理店の方とか、ホテル、旅館の方にかなりお叱りを受けたところです。 まずはスピード感が大事ですので、迅速な支援をしていく中で限られたスタートは理解できますが、公表する際に今後しっかりと皆さんに行き渡るような第2弾を検討しているということも伝えていただければよかったのかなと感じています。 県内企業の皆さんに対して、モチベーションを保つことのできる、県としてできる限り的確で、そしてまたスピーディーな支援をしていただきたいと考えていますが、部長から県内企業の皆さんに、エールも含めた意味で少しコメントをいただきたいと思います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 支援においては、まずは事業者の考え方、そしてその取組を知ることが大事で、このコロナ禍においても感染防止対策をしっかりした上で、我々も500社訪問を続けているところです。加えて、事業者や商工団体とWEB会議を通じたヒアリング等も行っており、現状把握に努め、対策を講じてきているところです。 当部には部是があります。現場主義、共感、そして共に創るという意味での共創です。このスピード感を持って、皆さんの声をしっかり聞きながら、共に感じ、共に創造していくよう取り組んでいきますので、一緒にこの難局を乗り越えていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。地元の事業者の中で、また話す機会がありますので、部長の思いを伝えたいと思います。 続いて、医療機関の対策についての質問に移ります。 新型コロナウイルス感染者数については、本県では小康状態を保っているものの、大都市圏においては依然、予断を許さない状況が続いています。その意味では、いつ新型コロナウイルス感染患者が発生し、クラスターが形成されるとも分からない状況にあると考えてよいと思います。現に地元中津市と経済、人的交流が非常に盛んな北九州市では、第2波とも言える感染拡大が発生しています。 識者の意見を借りると、新型コロナウイルス感染症が完全に終息するには、人類全体でこのウイルスに対する免疫を構築するか、ワクチンや治療薬を開発するかであり、この感染症とは、ある意味気長に付き合っていかざるを得ない状況であろうかと思います。 そこで今後考えるべきは、これまで非常時として頑張ってきた感染症指定医療機関の体制を平時モードにシフトしながら、新型コロナウイルス感染症発生時にも対応できるような体制の整備、正に通常の医療体制に新型コロナウイルス対策が付加されるウィズコロナの対策が必要と思います。また、私たち全員が安心してしまうことによる第2の感染の波が発生することも懸念されています。 県として、今後、医療体制をどのように確保し、医療機関等を支援していくのか、見解を伺います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 今後の新型コロナウイルス感染症に備えた医療体制についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症対策において、医療提供体制をしっかり確保することは、PCR検査体制の確保とともに最も重要な課題です。 県では、医療機関の協力を得ながら、順次入院患者受入病床の拡充に努め、これまで25病院で258床を確保しているところです。流行が一段落した現在、新型コロナウイルス感染症受入医療機関では、通常の診療体制への移行を進めていますが、同時に今後想定される第2波に備えることも必要です。 そのため県では、患者の再度の発生に備え、いつでも受入れに対応できるよう、病室の陰圧化や外来部門の感染防止対策への支援を行いつつ、引き続き病床確保に努めているところです。 今後も、受入医療機関を支援するため、空床確保への助成や患者受入協力金の交付のほか、防護服やマスクなど、医療用物資の配布等も行いながら、さらなる医療提供体制の強化に努めてまいりたいと考えています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 今回、このコロナ騒動は、誰も経験したことがない状態ですが、そんな中でいろいろ対応いただいているわけです。しかしながら、今回のコロナは医療体制の確保が一番の肝になってくると思っています。想定外という言葉が出ないようにしっかりと支援をしていただきたいと思っています。 一つ気になっていることがあります。先般改定された大分県医療計画についてです。これはコロナを受けて、再度早期の改定をしなければいけない部分もあるのではないかと感じていますし、昨日、地元の医師会の方ともそういう話になり、またその辺は私、担当委員会でもあるので、委員会の中でもしっかりとお聞きしたいと思っていますので、ぜひとも検討をお願いします。 次に、風評被害について伺います。 また、医療機関への風評被害なども非常に深刻な状況にあります。感染症患者を受け入れた病院に行きたくない、かかりたくないなどという風評を私も耳にしており、大変憂慮しています。 こうした風評は、医療従事者のモチベーション低下にとどまらず、医療機関における感染患者の受入れの停滞、それによる医療体制の崩壊につながりかねず、大変深刻な事態を招きかねないと思います。 感染症指定医療機関の受入体制や院内感染防止への取組を県民に分かりやすく周知するとともに、新型コロナウイルス感染患者を受け入れた医療機関については、その後の感染防止策を県としてもしっかりと支援をし、誰もが安心して受診できる医療体制であることをPRすることも必要であると考えます。医療機関への風評被害防止対策について見解を伺います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 医療機関への風評被害対策についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症対策の最前線で御尽力いただいている医療機関に対する風評被害は本当にあってはならないと考えています。 このような事態を生じるのは、新型コロナウイルス感染症に関する正しい理解が十分に浸透していないことも一因だと思います。 そこで県では、24時間対応の電話相談窓口を設置するとともに、健康づくり支援課に専任職員を配置し、情報発進体制を強化したところです。今後もホームページやテレビ、ラジオ、SNS等を通じて、県民に正しい知識や理解が浸透するよう一層力を注いでいきます。 また、全医療機関に対して、院内感染防止対策を徹底するよう県から通知し、さらに県医師会の協力も得て、対策を徹底してきました。 これまで14の医療機関に感染が確認された患者、いわゆる陽性者を受け入れていただきましたが、いずれの医療機関においても院内感染は認められていません。 引き続き、感染対策強化のための設備整備の助成等、医療機関を支援していきます。県民の皆様にも医療機関における感染防止の取組を紹介するなど、安心して医療を受けられる体制が整っていることを発信していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 今回の風評被害に関しては、医療機関だけではなくて、陽性患者、そして陽性患者の家族、さらには関わった店舗等、いろんな部分に及んで、私自身も心が大変痛んだところです。風評に耐えきれず転居した方もいらっしゃるということです。 医療機関に対しても心ない対応で、医療従事者の方々もつらい思いをして退職に追い込まれた方も中にはいらっしゃると伺っています。 本来、誰しも感染の可能性があり、決して感染者は悪ではありません。医療機関に至っては、自らの身の危険と引き換えに最前線に立って、この難局と闘っておられる方々です。そういった方々のふだんの生活が決して脅かされることがあってはなりませんし、医療体制の崩壊も絶対に避けなければならないと思います。ぜひとも最大限の努力をしていただいて、防止策をお願いします。 続いて、学習状況の把握と授業時間の確保についてです。 3月初めから5月中旬まで学校は、一部期間を除き全面的に休業しました。一部でケーブルテレビやインターネットを活用した授業などの試みがなされましたが、ほとんどの生徒は学校の先生方が用意したプリントや問題集を解く家庭での学習に終始したことと思います。 このため、各家庭による学習の状況により、学習課目に対する習熟度など、児童生徒の学習状況に差ができていないかが気になるところです。また、高校3年生や中学3年生は受験を来年に控えており、子どもたちにとっては、授業進度の遅れによる受験勉強への影響も懸念されます。授業が通常より2か月遅れている状況は、学校現場の先生方も学年を問わず気がかりだと思います。 こうした状況を踏まえ、特に県内の小中学校における児童生徒について、学習状況の把握や、学習状況の改善、学校での授業時間の確保についてどのようにお考えになっているのか、見解を伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 学習状況の把握と授業時間の確保についてお答えします。 今回の感染症の発生を受けて、臨時休業の日数は9日から最大32日もあり、市町村により学習進度に大きな差が生じています。そのため、授業時間の確保については、夏季休業期間の縮減や週当たりの授業時間数を増やすなどの工夫が行われています。 県教育委員会としても、学力定着状況調査を状況の把握に活用するため、問題用紙とアンケートを県内全ての小中学校に配付しました。問題への回答を県で統一的に取りまとめることはできませんが、それによって子どもたちの学力とともに、生活の状況も把握して、個に応じた指導の改善及び学力向上の取組の検証、改善に役立てていくよう指導しています。 ウィズコロナの状況下においても、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進めていくことが大事です。早速ICTの活用や学習内容の重点化の事例等を示した2020からの新しい授業づくりハンドブックを作成、配布することとしました。これらを活用した組織的な取組を進めて、このピンチを教員の指導力の向上につながるチャンスに変えて、子どもたちが未来を切り開く学びの保障に市町村教育委員会と共に努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 我が家はちょうど高3、中3の受験生、そしてまた、高校1年、入学してすぐ休校になった学年の子どもがいます。子どもたちとか保護者にいろんな話を聞いてきました。やはりそれぞれの立場で不安が大きいとおっしゃっていました。中でもやっぱり一番深刻なのは学力低下を心配している受験を控えたお子さんをお持ちの家庭だと私も感じています。 他県では、高校入試の出題範囲を限定するという話も出ているようですが、本県において高校入試の出題範囲等の検討をされているのか、伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 今年度実施される高校入試の範囲ですが、これについては現在、中学校3年生の教育課程の実施状況について、市町村教育委員会の協力を得て調査を進めているところです。その結果、状況を踏まえ、出題方針を今学期中に示す予定にしています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 決して今年の受験生に不利がないようにまたいろいろと検討していただきたいなと思っています。 今後、ICTの活用とか夏休みの短縮等で授業時間の確保を図っていくと思いますが、単に学力維持のためだけの時間数の帳尻合せでは、この空白の期間はどうしても埋められないのではないかなと感じています。 第2波、第3波も予想される中で、これからの教育の在り方自体が、また今までとは違う形で充実させなければいけない部分も出てくるのではないかなと考えています。これからの教育の在り方について、教育長の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 今後の教育の在り方についてです。 このコロナ禍で随分状況の変化がありました。今、県下市町村、全て今年度中に1人1台端末を用意していこうと準備を進めています。これまでと違う状況が子どもたちにも影響するということですが、何といっても、教師と児童生徒の深い関わり合い、また児童生徒同士の関わり合いの中で子どもたちが健やかに成長していくことが一番大事だと思います。学びの点においても、これまで進めてきた主体的、対話的で深い学びを目指していくことにおいては、いささかも変わりありません。 また、学校の状況によって行事等がいろいろ変則的な扱いになったりしていますが、その現場における授業と学校行事とのバランスもしっかりとって教育の保障につなげていくことが大事だと思っています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 学力の低下を心配している声とともに、子どもたちが学校に行って、いろんな行事をこなしたいんですが、それを今年は省かれるんじゃないかと、その辺を心配しているお子さんも多くいらっしゃいます。学校に行ってこそ学べることもたくさんあると思いますので、その辺も含めた中で、また教育長いろいろと検討いただきたいと思います。 コロナウイルスの対応に関して何点か大枠で聞かせていただきましたが、県民の皆さんは本当に不安な毎日を抱えて過ごされています。執行部はじめ職員の皆さんも御苦労が多いかと思っていますが、今こそ県民に寄り添った施策で誰一人見捨てることのない支援を引き続きお願いしたいと思います。 続いて、県土の安全対策について伺います。 災害の多い昨今、県内においても、平成24年、29年の豪雨災害、熊本・大分地震をはじめ、各地で大きな被害が発生しています。こうした大規模で広域的な災害以外でも豊後大野市綿田地区の地すべり災害や、直近では5月9日の由布市庄内町の土砂崩れと、山間部での災害も続いているのが現状です。 私の地元の中津市においても、相次いで崖崩れが発生しており、記憶に新しい30年の金吉地区の斜面崩壊では6名の尊い命が失われる大変痛ましい事案が発生しました。そしてまた、近年、大きな落石も相次いでいます。 28年には熊本地震の影響もあり、深耶馬地区で家屋の一部を倒壊させ、あと数メートルで住民の命を奪うところであった落石があり、この数か月間においても、今年4月に津民入口の国道で落石、これは気づかずに突っ込んだドライバーが怪我を負われています。 さらには、この5月3日に耶馬溪町伊福地区において、県道をまたいで対岸まで転がった落石があり、新聞に大々的に報じられたところです。 このように中津周辺では、民家付近や道路に命を落としかねない大きな落石が相次いでいます。 以前、私が質問した30年第3回定例会における耶馬溪町の斜面崩壊災害についての答弁では、耶馬溪町土砂災害の検討委員会の最終報告を本県の警戒・避難態勢の強化に活用しつつ、令和2年までに土砂災害警戒区域の指定を終わらせ、土砂災害ハザードマップの整備を加速するとのことでした。 昨年9月にまとめられたおおいた土木未来(ときめき)プラン2015の進捗状況報告によると、砂防施設の整備や警戒区域の指定は、目標達成に向けて順調に進捗しているようであり、また、土砂災害対策として砂防施設によるハード対策と警戒避難態勢の構築などのソフト対策の両面からアプローチがなされているということで心強く思っています。 しかし、最近の落石を含む土砂災害が頻発している現実を目の当たりにしたとき、今後、またいつ発生してもおかしくない状況ではないかと思います。こうした状況に対応するため、強靱な県土づくりの観点から土砂災害防止対策に具体的にどう取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 土砂災害防止対策についての御質問をいただきました。 中津市金吉地区の痛ましい災害から2年余りが経過しました。大規模な復旧工事の完了により避難勧告も解除され、3年ぶりに田植えが行われたという大変うれしい報告をいただきました。 しかしながら、今年度に入っても県内各地で落石、土砂崩れが頻発しており、私自身、庄内町の現場を視察し、改めて土砂災害の恐ろしさと強靱な県土づくりの重要性を認識したところです。 土砂災害から県民の命を守るためには、ハード、ソフト両面からの対策が必要です。まず、ハード対策として砂防、治山ダム等の土砂災害防止施設の整備を着実に進めており、さらに防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を活用して、整備を加速するとともに、老朽化対策も推進しているところです。 また、要望の強い小規模な急傾斜事業についても、今年度から予算を増額するとともに、補助率も見直して市町村への支援を強化したところです。 次に、ソフト対策ですが、昨年度までに土砂災害の恐れのある2万4千か所の調査を終えました。今年度中に警戒区域として指定を完了するとともに、土砂災害ハザードマップの早期完成に向け、引き続き市町村を支援していきます。 さらに、今年度からは、より高度な地形データを活用して、危険箇所の洗い出しを行って、警戒区域の追加指定を行っていきます。 また、金吉川流域では、検討委員会の最終報告を受けて、崩壊した箇所と同様な危険斜面の抽出方法を昨年度確立しましたので、今年度はこの方法に基づいてボーリング等の詳細調査が必要な箇所を絞り込みます。 このような土砂災害の危険性の周知や避難勧告等が必ずしも速やかな避難行動につながっていないのが実情です。そのため県では昨年度、土砂災害避難促進アクションプログラムに基づき、3市のモデル地区にて市職員や地域住民の方々と連携して、危険箇所の確認や訓練等を行いました。今年度からこの取組を県下全市町村で展開し、実効性のある避難行動につなげていきます。 何と言っても、防災の基本は事前防災です。今回、新型コロナウイルスによる社会の混乱を経験してみると、事前防災の重要性をさらに一層強く認識したところです。先般の全国知事会で3か年緊急対策後も別枠による必要な予算の確保を提案し、賛同が得られたところです。今後、速やかに国土交通常任委員長として、国に対して要請していく所存です。 今後とも着実にハード対策を進めるとともに、ソフト対策との両輪で土砂災害の防止と被害の軽減を図っていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 続けて道路の落石に絞って伺います。 道路への落石や土砂流出は人命への被害に加え、規模によっては長期間の通行止めが生じ、地域住民の生活に支障を与えるとともに、観光産業など経済活動においても多大な影響を及ぼします。 本県は地元の中津市をはじめ、山間部が多く、落石の全てを防ぐことは困難であることはよく分かっていますが、道路沿いの崖や斜面の状況を調査し、落石のおそれがある箇所の対策を着実に進めていく必要があります。 そこで、県内の道路において、落石等の対策を必要としている箇所数、そして取組状況について伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 道路における落石対策についてお答えします。 県が管理する道路において、落石等の対策が必要な箇所は1,746か所あります。対策については、緊急輸送道路に位置する箇所と災害時に集落が孤立する恐れのある箇所に重点を置いて取り組んでいます。 一つ目の緊急輸送道路については、大分県道路啓開計画に基づく啓開ルートで対策を推進しています。そのうち、最優先啓開ルート上の箇所が本年度完了する予定です。引き続き優先啓開ルート上の箇所の整備を進めていきます。 二つ目の孤立集落対策については、これまで対策を進めてきた、迂回路がなく行き止まりとなる箇所が本年度完了する予定です。引き続き、迂回路はあるが、復旧作業に長時間を要する箇所の整備を進めていきます。 これらの取組の結果、令和2年3月末時点で682か所、約4割の対策を完了しています。 今後も落石等の法面対策を着実に進め、安全で安心な交通の確保に努めます。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 着実に取組をしていただいているということで安心はしていますが、昨今の落石、非常に多発しているので、その状況も考えて、4割終わって6割残っているということですので、さらにスピードを上げて予算もしっかりとつけていただいた中で対応していただくようお願いします。 このような災害が多発すると、代替道路の重要性が改めて感じられます。地元で言えば中津日田道路です。 次の質問に行きます。 現在、中津日田道路は、部分的な区間の開通にとどまっていますが、2度の九州北部豪雨災害時には被災した国道212号の迂回路として機能するなど、災害時の代替道路として大きな役割を果たしました。中津日田道路全線が開通することで、防災面のみならず、物流面、観光面でさらなる整備効果が発揮されるものであり、一日も早い完成が望まれます。 整備中の区間の進捗状況と残る耶馬溪-山国間の事業化に向けた取組について伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 中津日田道路は大分自動車道や東九州自動車道と連結し、循環型ネットワークを形成することで産業の活性化や広域観光の促進はもとより、地域生活を支える重要な基盤となることが期待されています。 現在、全体延長約50キロメートルのうち、17.8キロメートルを供用しており、2度の豪雨災害時に加え、本年4月に発生した落石で国道212号が全面通行止めとなった際にも代替機能を発揮したところです。県が施工する区間のうち、まず、耶馬溪道路については今年度中の完成を目指して工事を進めており、本工区の供用により、国道212号で過去に豪雨災害を受けた区間の大部分が補完できることとなります。 次に、日田山国道路については、引き続き用地買収を進め、今年度より工事に着手し、整備を加速させていきます。 また、国が事業中の三光本耶馬渓道路については、青の洞門・羅漢寺インターまでの早期開通及び開通時期の公表を強く要望していきます。 残る耶馬溪-山国間については、来年度の事業採択を目指して準備を進めており、国へ地域の熱意をしっかり伝えながら、新規事業化に向け全力で取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 この中津日田道路については、知事をはじめ執行部の皆さん、そして関係者の皆さん、非常に前向きに取り組んでいただいており、私自身も都度、進捗を確認しながら、早期全面開通に向けて共に汗をかいていきたいと思っていますので、引き続き着実に工事が進むようによろしくお願いします。 3番目、海洋レジャーの振興についてです。 海洋性レクリエーションの普及に伴い、プレジャーボートの利用が拡大し、県内の港湾、漁港、河川でも多数の放置艇が見受けられるようになったことは周知の事実です。平成30年第2回定例会において、プレジャーボート等の係留保管の適正化に関する条例案が提出、可決され、これに対して、我が会派の古手川議員が放置艇対策に向けた今後の方針とスケジュールについて質問し、知事からは港湾や漁港等の係留区域の誘導、国や市町村等、各水域の管理者と連携した対策への取組という2つの方針が示され、関係者への説明会の開催、不足する係留施設の把握、港湾等で本来の利用に影響を及ぼさない区域の係留場所としての活用、必要な施設整備等、大まかなスケジュールについて答弁をされました。 放置艇対策は規制するだけでは進みません。示された方針のとおり、放置艇を港湾や漁港等の適切な係留区域へ誘導し管理することが重要です。通常の港湾等での係留だけでなく、水産庁では、既存の漁港施設において、漁港本来の目的を阻害しないと判断される漁港においては、公共施設としてプレジャーボート等による漁港利用のニーズに応えていく必要があるとしています。 他県を見ると、例えば、北海道などは、プレジャーボートが利用できる漁港を一覧表にして、利用申請の案内や申請様式、利用料金の案内などとともにホームページに掲載しています。 さきほど申し上げた30年第2回定例会における知事からの答弁では、市町村と連携しながら令和2年までに港湾及び漁港の施設管理条例の改正等を行い、係留に関する許可手続や施設使用料を定めた関係規程を整備するとのお話を聞きましたが、本県において現時点で放置艇の状況、またプレジャーボート等により利用できる港の整備状況はどのように進んでいるのか、伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長
    ◎湯地三子弘土木建築部長 放置艇対策についてお答えします。 県管理の港湾や河川、漁港の3水域には平成30年10月時点で約4,200隻の放置艇があり、その解消に向け、各管理者が関係者と連携して対策に取り組んでいます。 一昨年の適正化条例制定に続き、昨年度は係留許可手続や施設使用料を定めた港湾及び漁港の施設管理条例などを整備しました。 また、先行して取り組んだ佐伯地区では、船舶を係留する係船環の設置などの施設整備を進めながら、放置禁止区域の指定や所有者不明船の簡易代執行に取り組み、本年4月から係留許可を開始したところです。 県内の他の地域においても、佐伯に遅れることなく順次説明会を開催し、適正管理に向けた意識啓発を行うとともに、県管理港湾や漁港で係船環設置を進めており、県内全域で684基の係船環設置が完了したところです。 こうした取組により、現時点で1,330隻の放置艇が解消しました。今後も船舶所有者等に対して丁寧な説明を重ねながら、早期の適正管理に努めます。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 状況はよく分かりました。4,200隻のうち、1,380隻が解消されたということで、放置艇の数もまだ多く残っていますし、もう少し時間がかかるのかなということも感じていますが、港の中でも少し漁港に絞って次の質問に移りたいと思います。 漁港においても多くのプレジャーボート等が係留されると想定する中で、漁業をなりわいとされる漁業従事者にとって不都合がないように留意もしていかなくてはなりません。 漁港の利用については、再度漁業者とプレジャーボート所有者の方が共存できるようなガイドラインを明確に示し、お互いの理解を得た中で共存を図っていかなくてはならないと考えています。 それとともに、県の条例に沿った漁港の利用を可能とするため、各地域の現状に違いはあれど、県下同水準での係留施設等の整備や同様のガイドラインを示すべきであると思います。 今後、プレジャーボートの普及にあたり、漁港での利用に関し、漁業従事者との共存を図るための取組について伺います。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 プレジャーボート等の漁港利用についてお答えします。 県では昨年7月に漁港管理条例を改正し、プレジャーボートなどを県が指定する許可施設に係留させ、漁船などとエリアをすみ分けすることで漁港内の秩序を維持し、放置艇の発生を防止することとしています。 許可施設の指定については、プレジャーボートが漁業者の活動に支障を及ぼすことのないよう漁業協同組合の意見を伺いながら決定しているところです。 なお、許可施設として指定予定の区域の係留施設においては、係船環や係船柱について、いずれも必要な水準を満たした整備が既に完了しているところです。 また、利用規定の面については、漁港利用の心得などガイドラインとして取りまとめ、それを漁業従事者とプレジャーボート所有者の双方に対して丁寧に説明し、理解していただき、漁港の円滑な利用に努めていきたいと考えています。 市町村管理の漁港についても同様の取扱いとなるよう必要な助言を行っていきます。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 漁港については、管理者は行政ですが、実質、現場で管理同様のことを漁協も行っているのではないかと思います。管理者である行政の役割、そしてまた実質管理同様の取組を行っている漁協の役割をはっきり示していただいて、漁港の管理について一部漁協に委託するのも一つの手じゃないかなと思っているところです。 現在、漁協は組合員から組合費を徴収するとともに、組合員でない港の利用者からは協力金という形で徴収をして、港の維持管理費用に充てているわけです。 今回、適正化により徴収する係船料も港の管理費用に充てられると思いますが、行政と漁協の管理の役割についてどのように分担、調整されているのか、伺います。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 漁港の管理における県、行政と漁協の役割ということです。 漁港については、法律に基づき、県が漁港管理条例を定めています。その管理条例の中で漁港ごとに維持運営計画を毎年県が定めます。その運営計画に基づいて適正な漁港の維持管理を行政として行っています。 一方で、その港を利用する漁協については、その計画に基づいて漁港の利用者の責務として、漁港の清潔維持管理を行うと定めています。漁港の管理の部分と港を清潔に維持していくという役割がそこで違ってきていると思っています。そういった意味で県が利用者から徴収する使用料については、漁港の維持管理に充てます。 一方で、漁協においても先ほど質問にあった協力金をもらっているので、その協力金については、例えば、港の清掃や、災害時の船舶の確認を漁協が行うための経費として充てています。それぞれ役割を区分しながら、そういった経費を徴収して、適正な維持、清潔管理を行っている状況です。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 何となく理解できたんですが、これは一般の方にはどの部分がどこの管理かが分かりにくいようです。 漁港の利用については、今後、決して漁業をなりわいとされている方の妨げにならぬよう、そしてまたプレジャーボートの所有者が安心・安全に楽しめるようにしっかりと管理体制、用法を周知していただきたいと思います。 施設整備についてですが、係船環の話がありましたが、場所によってポンツーンが整備されている場所もあるということで整備状況に差があります。係船費の徴収開始時期についても、各地域で多少のずれがあるようです。 状況を伺うと整備や徴収準備がまだできていない地域も多くあるように伺っています。 逆に整備が終わって、徴収時期が早い地域からは、徴収開始が県下一斉でないことが不満だという声も多く寄せられています。早急に整備を進めていただいて、極力県下で統一感を持った中で適正化を進めていただきたいと要望しておきます。 それと、もう1点、スロープの利用についてですが、欧米ではどの港でも船のランチングを自由に行うことができ、クルージングレジャー活性化の好循環を生んでいます。 近畿運輸局によると、近年のプレジャーボート利用者の増加に伴い、船を降ろす場所がないので、漁港のスロープを使いたいとの要望が増えてきたため、管内の漁協にスロープの利用についてのアンケート調査を実施したところ、回答があった98港のうち70港にスロープがあり、そのうち38港が組合員外でもスロープを利用できるということでした。 このスロープの利用について、本県の漁港でどのような対応をしていく予定なのか、教えてください。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 スロープの利用については、漁船等を陸揚げするための斜面の部分ですが、県が保有する施設となっていて、漁業者以外の利用も当然可能であると考えています。 一方で水産振興の観点からは、漁船の利用が優先されるという理解です。そういった意味で、さきほどもガイドラインの話をしましたが、プレジャーボート等の利用者、漁業者両方に、そういった趣旨を周知しながら、漁港が快適に利用できるよう努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 なかなか一般の方は分かりにくい部分が多いようで、漁港の利用についてトラブルになることも結構あると伺っていますので、県民にとって分かりにくい部分を明確化して、利用者全員がルールを把握できるようにしっかりと周知徹底をしていただきたいと思います。 それでは、最後の質問に移ります。 日本各地においてプレジャーボートやヨットのビジター向け係留施設が備えられ、トイレ、給油、給水、応急修理といった船舶に関する基本的設備が整えられた「海の駅」という施設が存在します。駐車場、売店、レストラン、温泉、宿泊施設等を備えたり、釣り防波堤や釣堀、テーマパークが併設されているものもあり、「道の駅」の海路版と言える施設です。 九州運輸局によると、本県では令和元年8月現在でくにさき・マリンピアむさし海の駅、べっぷ海の駅、さいき・おおにゅうじま海の駅の3駅が海の駅として登録されています。 他県の海の駅では、既にある施設と設備を活用し、従来のマリーナに加え、漁港や一般港などを海の駅として認定することにより、ボートなどの利用者の利便性の向上に役立つだけではなく、マリンイベントや海産物の販売、地元漁船での漁業体験など、地域の特性を生かしたサービスが提供されており、地域に密着した地域活性化拠点として機能しているところもあります。 本県においても、海の駅を地域活性化の拠点として活用し、大いに海洋性レクリエーションを楽しめるようなツーリズムを開発していただきたいと考えていますが、今後、この海の駅を核とした観光振興について県としてどのように取り組んでいくのか、考えをお聞かせください。 ○麻生栄作議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 海の駅を核にした観光振興についてお答えします。 県内で登録をされている海の駅のうち、大入島は海の幸などの食の発信、他の2か所はプレジャーボートの係留を主な目的としています。そうした中で、管理事業者それぞれの工夫により、マリンレジャーを広く普及させるために、初心者でも気軽に楽しめる体験イベントなどの取組が行われています。 例えば、べっぷ海の駅では、夏休み期間中に小中学生等を対象にしたシーカヤック体験を実施しており、これまでに131名の参加がありました。また、マリンピアむさしでは、国東半島を海から楽しむクルージングを行い、地元漁師さんのガイドが好評であったと聞いています。 観光のトレンドが団体旅行から個人旅行へ、また、見る観光から体験する観光へと多様化する中、海の魅力を堪能できるマリンレジャーは、これからの観光素材として大きな可能性を秘めています。 管理事業者の海の魅力を生かした取組が広がれば、多様化する観光客ニーズにも応えることができます。県としても、管理事業者と連携して、風光明媚な海岸の景観や豊かな海の幸と併せて、海の駅の情報発信に努めます。 ○麻生栄作議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。 ちょっと答弁が聞き取りにくかった部分があるんですが、海の駅を核とした観光振興、なかなか今までそういう話を聞いたことがなかったから、その辺もしっかりと取り組んでいただきたいなと思いますが、やっぱり本県は非常に海洋レジャーを楽しむ絶好のロケーションを持っていると私は考えています。 プレジャーボートで釣りとか水上スポーツを楽しむ方もいらっしゃいますし、ボートだけではなくて、ジェットスキーについても姫島で大会が行われるなど、県内の水域でレジャーを楽しむ方も大変多くいらっしゃいます。 今回、船舶の係留の適正化を図っていく中で、同時にプレジャーボートの推進も頑張っていただきたいなと思っています。 先日、県内の造船企業が衛星を使った着岸の技術を開発中という特集をテレビでやっていました。県内でプレジャーボートを造っている企業もあり、非常に頑張っています。応援の意味も含めてプレジャーボートの普及、ぜひとも頑張っていただいて、さらに海洋レジャーの振興にも大分県として取り組んでいただきたいことをお願いして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で大友栄二君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時13分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○嶋幸一副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。守永信幸君。  〔守永議員登壇〕(拍手) ◆守永信幸議員 29番、県民クラブの守永信幸です。今回、一般質問の機会を与えていただきました先輩議員、同僚議員の皆さんに心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。 新型コロナウイルス感染症については、4月21日の第60例目を最後に、これまでPCR検査結果が陽性となった方は出ていません。様々な制限も解除が進み、まだまだ気を抜くことはできませんが、手洗いや手指消毒の励行など衛生管理の徹底、管理習慣の定着など、感染拡大抑止に取り組んでこられた皆さんの努力の成果だと思いますし、その上で、これから衛生管理に引き続き留意しながら、県民生活及び経済活動の維持、活性化に御尽力いただく皆様に、心から感謝を申し上げるとともに、私も協力していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。 それでは、早速、質問に入ります。 新型コロナウイルス蔓延下での雇用及び働き方の課題について質問します。 県では、これまでも500社訪問等の活動により、県内企業の実状や課題を把握されてきました。そして今年度も、感染防止に留意しながら、500社訪問に取り組まれていると伺っています。新型コロナウイルスが拡大する前は、人材不足が大きな課題でしたが、今では逆に、休業者が増加し将来的な失業の増大が懸念されるほか、感染拡大に対応した企業活動の在り方としてリモートワークやウェブ会議の活用が求められるなど、雇用や働き方をめぐる課題も大きく変化しているものと思われます。 そこで、伺います。これらの雇用労働の課題に関して、500社訪問でどのような声が寄せられ、県としてどのように対応しようとしているのか、知事の御見解をお聞かせください。 次に、働く方の立場から、新型コロナウイルス感染症で明らかになった働き方の問題について少し掘り下げた質問をします。 私はかなり早い時期に、スポーツジムでインストラクターをしている方から相談を受けました。その方は、いわゆるフリーランスで、複数のジムを掛け持ちして働いていました。ジムの利用者が減少し、ジムからは、インストラクターはしばらく来なくてよいとのことで、仕事がなくなってしまいました。雇用契約ではありませんでしたから、休業補償や失業手当などはなく、生活を支えてくれる制度が全くないという状況になりました。 もちろん、フリーランスは自由度の高い働き方であり、本人がそのメリット、デメリットを理解した上で働いていたのであれば、補償や手当がないのはやむを得ないという考え方もあるとは思います。しかし、フリーランスとして働く方の中には、収入の大部分を特定の発注者との継続的な契約から得ており、発注者から仕事内容、就業時間や就業場所を指定されるなど、雇用に類似した働き方をしているケースもあると聞きます。そういった場合にも、雇用契約ではないという理由で、労働者保護の制度が全く適用されないというアンバランスが生じているのが現状ではないかと思います。 国も、雇用に類似したフリーランスの働き方に係る課題について検討を進めているようですが、各種の労働保護制度の対象の拡大などは国が取り組むべきことであると思いますが、県としても現状を把握し、必要な対応を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。 あとは対面席から質問します。  〔守永議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの守永信幸君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 守永信幸議員から現下の雇用労働環境の課題について御質問を賜りました。 県が毎年実施している春の500社訪問について、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止にも最大限の注意を払いながら、電話、メール等での情報収集を併用しつつ、やはりどうしても会って話をしたいという方のところには伺って、中小企業・小規模事業者などから直接話をお聞きしたところです。 まだ集計途中の段階ですが、コロナウイルスの業績への影響については、ほぼ全業種に及ぶ約8割の企業が今後の可能性も含めて、悪い影響ありとの回答をいただいています。また、その内訳として最も多い内容が売上減少で約9割、2番目が資金繰りの悪化で約4割、そして3番目が雇用関連で約1割となっています。 雇用関連では、雇用調整助成金の申請方法が理解しにくい、分かりにくい、感染拡大防止としてテレワークに取り組みたいといった声がある一方、このコロナの状況においても採用を続けていきたいが、そもそも高校の生徒数が減少してきており採用が難しくなってきているとの御意見も伺いました。 県では、5月13日に、県と大分労働局との行政、労働団体、経済団体の政労使3者で雇用の維持と県内人材の確保に努めることを共同で宣言するとともに、企業から伺った諸課題に対応すべく次の取組を行っています。 まずは、雇用の維持を図る対策として、企業から声が多かった雇用調整助成金については、大分労働局と連携しながら申請書の書き方などを社会保険労務士がサポートして小規模事業者等を支援しています。その結果もあり、5月からは助成金の支給決定件数も急増しており、6月12日現在、876件となっています。 また、売上げが急減している県内中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援するための県制度資金の融資枠の拡大に加え、融資を受けながら事業の継続や雇用維持、新しい生活様式への対応に積極的に取り組む事業者等に対し、応援金の給付を開始しています。 さらに、経営者を対象としたテレワーク導入セミナーを開催するとともに、来春の高校生採用に向けた企業説明会は既にオンラインで開始しており、124社に参加いただいてます。 5月末には社会経済再活性化緊急推進本部を立ち上げ、これまでに既に3回、会合を開催してきています。その中で、雇用と事業の維持という段階から一歩進んで感染リスクの低い地方という強みを生かした新たな働き方の推進にも取り組み始めたところです。 今後、感染拡大の第2波対策にも万全を期しつつ、感染拡大防止と社会経済活動の再活性化を両立するため、関係機関と連携してスピード感を持って対応していきたいと考えています。 もう一つ、フリーランスの働き方の課題について御質問いただきました。これについては担当部長からお答えします。 ○嶋幸一副議長 高濱商工環境労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 フリーランスの働き方に係る課題についてお答えします。 国の小規模企業白書では、特定の組織に属さず事業者本人が技術や技能を提供することで成り立つ事業を営んでいる者をフリーランスと定義しています。昨年7月の内閣府作成資料によると、副業を含めフリーランスは全国で341万人程度と推計されており、1%経済と言われている本県では、3万人程度と見込まれると考えています。 フリーランスの中には、企業等から業務の一部を請け負う自営型テレワークの方など、実態としては雇用労働者と類似した働き方をしている場合もあります。国では、平成30年10月に雇用類似の働き方に関する検討会を設置し、労働政策上の保護の必要性等の議論を重ねているところです。 今回の新型コロナウイルス感染症の影響への対応において、県では、当座のための緊急小口資金等の特例貸付けを行うとともに、事業継続等に取り組む個人事業主に対する応援金の受付を今月10日から開始しています。また、自営型テレワーカーのスキルアップや企業とのマッチングにも取り組んでいます。 引き続き国の動きを注視しながら、弱い立場の方をしっかりと支援していきます。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。500社訪問を重ねていく中で、企業の実態が見えてきたということだと思うんですが、かなり深刻な経済的な打撃を受けようとしている。やはり企業一つ一つの体力がどこまでもつのだろうかということを非常に気にする状況にもなるし、今後、資金繰りを心配する企業に対して、資金がきちんと充足されることが大事だと思っています。 さきほど午前中の議論の中でも、貸し渋りを心配するやり取りもありました。中にはどうしても資金繰りが不安だが、それには政府の様々な資金援助があるわけですが、それがなかなか借りられないとも聞くんです。さきほど資金繰りに4割の企業が悩んでいるとのお話もありましたが、そういったことに対してフォローしていく何かの手だてを何か考えているのか、それを教えていただければと思います。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 資金繰りの相談は県で設けている相談窓口、また、各地の商工団体での相談窓口でも常に資金繰りの御相談は受けているところです。 まず、県としてもしっかりと制度資金を設け、中には無利子、無担保も条件を満たせば可能となっています。また、県のみならず、国も日本政策金融公庫を通じて、しっかりと資金繰りに対応しているところです。 さらに、その資金繰りに加えて、持続化給付金という形で国からも100万円、200万円が支給されることになっており、それも商工団体を通じてインターネットでの申請ができない方にもしっかりサポートしているところです。 それに加えて、さきほど申し上げたとおり、応援金という形で、法人、個人事業主も含めてしっかりサポートをしているところです。様々な声を聞きながら対応していきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。いろんな企業で話を聞いたときに、100万円、200万円といった助成金についても、確かにありがたいという声はあるんですが、従業員規模が40人、50人以上の企業では100万円、200万円をいただいたとしても、すぐに底を突いてしまうという状況も伺っています。つなぎ資金としてのありがたみは感じているとは思うんですが。しかも、それもなかなか給付が決まらない状況では、そのつなぎとしての位置づけも厳しいということになります。ぜひ相談窓口に相談に見えた方々に、速やかに支給できるように。この後、いつ回復できるのか、いつ本調子で営業できるのかが見通せないという厳しさはありますが、体力を温存できるように資金の供給そのものも、何とか支援の手を差し伸べられるよう、金融機関とも十分に相談をしながら、大分県における経済の好循環となるように工夫をお願いしたいと思います。 フリーランスについてですが、雇用であれば労働条件や解雇などについて、使用者と被雇用者の間で問題が生じた場合には、労働局や県をはじめ、多くの相談窓口があるわけですが、フリーランスで発注者とトラブルが生じた場合、どこに相談したらよいか分からないという状況があります。最悪の場合、弁護士に頼ることになるわけです。また、労働者本人がそういった契約であることを十分認識していればよいのですが、必ずしもそうではない場合もありますので、相談窓口の設置や労働者への啓発が必要と考えますが、それについて改めて回答いただければと思います。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 雇用労働政策課内に設置している労政・相談情報センターにおいては、従業員等の雇用労働者のみならず、フリーランス等の個人事業主からの相談にも対応しています。今回のコロナウイルス感染症の影響に関しても、個人事業主の方からの相談も現在までに8件寄せられているところです。 議員御指摘のとおり、フリーランスの方は経済団体等に所属していない方が多いため、行政の情報が届きにくいという課題があります。引き続き県のホームページ等の内容を工夫して情報発信するなど、相談窓口の周知に努めたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 公的な統計では、さきほどお話があったように、フリーランスに関する直接的な統計はないようですが、統計上は自営業種のうち、雇い人なしで分類されているもので、そのうち特定の発注者に依存する自営業種、いわゆる雇用的自営業者として分類されるものの中にフリーランスが含まれると考えられているようです。実態を把握することが、今後、経済活動の支援の在り方や働く者の安定性を考える上で重要になってくると思いますので、その実態把握についてもぜひ御検討をお願いしておきます。 次に、感染症拡大時における防災対策について伺います。 新型コロナウイルス感染症の第2波が懸念される状況下で地震などの大規模災害が発生したときに、どのようにして被災者を最低限度に押しとどめることができるのか考えておかなければならないと思います。そして、それを県民の皆さんに周知しなければなりません。 県では、県下各市町村に対し、災害時の避難所における新型コロナウイルス感染症への対応について通知しています。感染の疑いがある方、重症化リスクがある方のための避難所をはじめ、3密を避けるため、既に指定してある避難所に加え、さらに多くの避難所を開設するなど、具体的な対応策の検討を求めていますが、現時点で把握されている各市町村における避難所を含む防災対策の見直し状況について教えてください。あわせて、市町村が対応する上で多くの課題となっている点があると思いますが、そういった声が市町村から届いていたら教えていただきたいと思います。 また、県民の皆さんには、避難先の再検討や非常用持ち出し品の見直しなどに事前に取り組んでいただく必要があります。行政がこのように決めたから知らせるというだけでは、実効性は乏しいのではないかと思います。出水期に入った今、県民の皆さんが我が事として、様々な立場で考え、備えるという作業をしていただく必要があると考えます。県民の自主的な災害への備えについては、市町村に主体的に啓発していただくことが必要ですが、県としても積極的に周知を図ることが必要と考えますが、執行部の見解を伺います。 次に、大規模地震が発生した際に、津波到達予測時間内に避難所までたどり着くことが困難な場合や逃げ遅れた住民が緊急に避難する場所として、市町村ごとに津波避難ビルが指定されています。これは堅固な鉄筋コンクリート造りの3階建て以上で24時間避難が可能な建物のうち、所有者の同意が得られたものについて、市町村が指定するものです。 県庁の敷地内においては、大分市との協定に基づき、2012年に別館及び新館が指定されており、津波発生時には、到達までに避難所に着けない高齢者や基礎疾患のある住民が数多く緊急的に避難してくることが想定されます。現在の状況では、特に配慮が必要な方々が密閉した空間に密集しないようにすることが求められていることから本館などほかの建物も新たに津波避難ビルとするなど、対策が必要ではないかと考えますが、見解をお尋ねします。 また、県庁敷地内には、本館、新館、別館の県庁舎のほか、旧大手町駐車場や自治労会館などの施設があります。言うまでもなく県庁舎は、県内で大規模災害が発生した際に災害対策の拠点となるものであり、仮に敷地内の施設が倒壊するようなことがあれば、災害対策に大きな支障を及ぼすことから、敷地内の施設については、そのようなことがないよう耐震化されていることが必要だろうと考えます。 特に県庁舎の敷地内道路に接している自治労会館については、1977年に建設されており、1981年に改正された建築基準に適合するためには耐震化工事などが必要です。所有者も耐震基準を満たすよう必要な整備を進める意向と聞いています。県としても県庁舎敷地内全体の安全を確保し、災害対策の拠点としての県庁機能を保持するという観点から、所有者に対し速やかな対策を求めていくべきと考えますが、県有地の利活用を推進する立場である総務部長のお考えを伺います。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 初めに私から、感染症と防災対策についてお答えします。 ポストコロナ、いろんな新しい課題が出てきており、その中の一つに、感染症と自然災害の二つのリスクに備えるという課題が出てきています。このため、県も積極的に市町村との話合いの場を設けて、感染症のリスクを踏まえた避難の在り方について、見直しを行っているところです。 見直しは大きく四つあります。一つは、避難方法です。ハザードマップの確認などをしていただいて、自宅が安全であれば在宅避難を、危険であれば避難所のほか、親戚や友人宅など弾力的に避難先を検討していただくことが必要です。 二つ目は、避難所の受付で、避難者全員の健康状態をチェックしてもらうことです。感染リスクに応じて、避難者を振り分けていくことが大事です。 三つ目は、それぞれの健康状態に応じて、滞在スペースを区分けするということです。そのために避難所内に別室を用意したり、学校の教室を使用するほか、ホテル、旅館も活用することにしています。そして、避難所の受付でそれぞれに仕分けをしていただくことが大事です。 四つ目は、健康チェックや衛生環境確保のため、体温計、マスク、段ボールベッドなどをしっかりと準備しておくことです。 県では、先週までに防災部門と保健部門が一緒になり、18市町村を全て訪問して、ポストコロナの避難について、議論をしてきました。その中で、課題もいろいろ見つかっています。 一つの課題は、住民への周知をどうするかということです。感染症のリスクを踏まえた、新しい避難の考え方や備えについて、十分に理解していただくことが大切です。避難時に住民に不安や混乱が生じないように、県のホームページ、防災アプリなどあらゆる手段を活用して、積極的な広報を進めていきたいと思います。 二つ目は、マスクや消毒液など、感染防止のための新たな用品の備蓄と準備です。避難所用に備蓄することはもちろんですが、住民の方にも、避難の際にマスクなどの衛生用品をあらかじめ非常時持出袋に加えていただくことが大事です。 三つ目は、新たな避難所運営手順の習熟です。現在、市町村では関係職員の研修や住民も巻き込んだ訓練により、対応能力を高めているところです。また、県民の皆様には、県が作成を進めているマイタイムラインを活用して、災害時にどのような行動を取るか、あらかじめ家庭内や地区内で話し合っていただくことも大事です。 今後とも、防災部門と保健部門との一層の連携に努め、より安全で快適な滞在ができる避難所づくりなど、感染症と防災対策に万全を期していきます。 ○嶋幸一副議長 森山会計管理者兼会計管理局長。 ◎森山成夫会計管理者兼会計管理局長 県庁舎敷地内の津波避難ビルについてお答えします。 県庁舎周辺には、高層住宅等が多く立地し、数十か所の津波避難ビルが指定されています。 県庁舎では大分市との協議により平成24年度に新館と別館が指定されました。 本館については、災害対策本部が設置され、災害対策の拠点になることから、平成29年度に再協議した際にも、指定対象から除外しました。 また、旧大手町駐車場は、職員が常駐しておらず、夜間等は閉鎖され、住民の避難先として適さないことから、指定されていません。 新館と別館の指定区画には、避難所における標準的な所要面積、1人当たり2平方メートルで受け入れた場合、およそ1千人分の面積が確保できていますが、3密対策として、指定区画以外の会議室等のスペースを開放し、高齢者等に配慮することとしています。 また、備蓄しているマスクやアルコール消毒液も活用して、感染予防に努めます。 ○嶋幸一副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 私からは、県庁舎敷地内にある老朽化施設についてお答えします。 発生の切迫性が高まっている南海トラフ地震などの大規模災害に備えるため、災害対策の拠点としての機能を果たす県庁舎敷地内の県有施設の防災対策は喫緊の課題であり、これまで計画的に浸水対策や耐震化を進めてきたところです。 まず、浸水対策については、庁舎の地下にあった受変電設備を移設するとともに、県庁舎敷地内に平置きしている公用車を、本年8月上旬までに旧大手町駐車場の2階以上や新築工事を行っている特殊車両車庫へ再配置する事業に取り組んでいるところです。 耐震化については、昭和56年以前に建てられた本館と別館について耐震工事を行うなど対策を講じており、新館を含めた県庁舎敷地内にある3庁舎、二つの受変電棟及び旧大手町駐車場の計六つの県有施設全てが耐震基準を満たしているところです。 お尋ねのあった施設についても、県庁舎敷地内にあることから、地震等で損壊することで避難住民や県庁舎等に被害が及ぶことのないよう、所有者の責任において適切に対応を行っていくべきものと考えています。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 すみません、最初の庁舎の避難ビルの在り方について、よく聞き取れなかった部分もあるんですが、本館に対してはどういう取扱いだというお答えだったでしょうか。 ○嶋幸一副議長 森山会計管理者兼会計管理局長。 ◎森山成夫会計管理者兼会計管理局長 本庁舎については、対策本部室が置かれており、災害時の災害対応の拠点となるということで、津波避難ビルとしては除外されています。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。そういう事情があるんだと思いますが、実際問題、感染症がはやっているときにどういう対応ができるのか、最大限の対応をしようとしたときには、ある程度区画を整理しながら受け入れることが必要なのではないかなと思うんですが。特に、災害対策本部という点では、以前は新館にありました。でも、新館そのものは避難ビルとして指定を受けており、ある程度区画を整理する中でそういうことがなされたのかなとも思っています。実際、本館の場合は会議室等が非常に少ないという事情もありますが、廊下に滞在するといったことでうまく整理をすれば、さらに多くの避難者を一時的に受け入れることが可能だと思います。 この避難ビルは、あくまでも避難所へ行くまでの一時的な預かりと私は理解しているんですが、そういう観点で見たときに、また検討し直すことも必要ではないかなと思います。それはぜひ今後検討いただいて、より多くの県民に利益につながるように配慮していただきたいなと思います。 では、次に、新型コロナウイルス下での県職員の働き方の課題について質問します。 新型コロナウイルス対策では、これまでに経験したことのない状況の中で、担当部局では通常業務をこなしながら、精神的にも肉体的にも大変厳しい勤務状態となった職場もあったのではないかと思います。特に医師、看護師や保健師など、代替しづらい職種では負担が大きかったと思いますが、県民の安全・安心を守る業務に従事した職員の負担軽減をどのように図られたのか、伺います。 また、新型コロナウイルスの影響は各部局に広く及んだと思います。知事部局における職員の超過勤務の状況が昨年同期と比較してどうだったのか、お尋ねします。 さきほど県内企業の働き方改革について質問した際にも話が出ましたが、新型コロナウイルス感染症対策として、在宅勤務、テレワークなどが推奨されています。民間企業の中には、これを契機に、全社員の勤務形態を原則在宅勤務とするところも出てきています。コロナ対策として、ある意味強引に拡大せざるを得なかった面がありますが、働き方改革の有効なツールとしての一面も持っていると考えられます。 県庁では以前から在宅勤務の導入が始まっています。県職員には、長距離通勤をしている職員も多く、また、女性職員が増加している中、男女を問わず仕事と家庭の両立が求められています。在宅勤務であれば、通勤に要する時間を家事や育児などに有効活用できるほか、超勤が多い職場では在宅勤務を入れることによって、心身の負担軽減にも資するのではないかと思います。また、柔軟な働き方を認めているということで、新採用職員募集の際のアピールポイントにもなるのではないでしょうか。 昨年9月に、県民クラブの原田議員がテレワークとIT推進について質問した際に、120台のモバイルパソコンを既に配備しており、2019年度中にさらに450台を追加する、また、テレワークについても、課題を踏まえて検討し、できるだけ対象職員の拡大を図っていくとの御答弁でした。 課題としては、県政運営における効率化を図ると同時に、県民へのサービスを維持向上しなければならない中で、住民窓口的な役割を持つ職場において、在宅勤務を取り入れるためにどのような工夫が必要なのか、外部や市町村の担当者との連絡手段をどのようにするのかなど、検討する必要があると考えます。 今回、職員の出勤抑制のためとして、本庁では1割程度の職員を在宅勤務としたように伺っています。今後、コロナの第2波、第3波が発生する恐れもありますので、今回の取組でのよかった面、課題と考える面をしっかり検証した上で、今後の備えを構築していただきたいと考えますが、御見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 まず、感染症対策に従事した職員の負担軽減についてお答えします。 3月初旬に県内でも新型コロナウイルス感染者が発生し、医師や保健師等対応にあたる職員の業務負担が急激に増加してきたことから、様々な支援策を講じてきたところです。 具体的には、対策本部を担う福祉保健部健康づくり支援課など本庁の関係課に医師も含めて正規職員を増員して配置したところです。また、感染者や濃厚接触者が多数発生した保健所への保健師等の相互応援、保健所の通常業務を補助する事務職員や会計年度任用職員の配置など、保健所に対して様々な人的支援を行ったところです。 あわせて、PCR検査の検体搬送を振興局等に分担することや、夜間休日の電話対応業務を民間委託するなど保健所の業務負担軽減も図ったところです。 また、PCR検査を行う衛生環境研究センターにおいても、勤務経験のある薬剤師等を配置するなど体制を強化しました。 今後とも引き続き、関係職員だけに業務が集中することのないよう、負担軽減に努めていきます。 次に、職員1人当たりの時間外勤務の状況ですが、知事部局全体で、今年3月は19.1時間、4月は16.4時間となっており、前年度より3時間程度増加していますが、5月につきましては12.4時間で前年よりも3時間程度減少しているという状況です。 続いて、在宅勤務についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的に、感染症対応が必要な職員を除き、おおむね1割の職員が在宅勤務を行うよう取り組んだところ、5月末までに延べ約6,300人の職員が在宅勤務を実施したところです。昨年度の年間トータルの実績が456人であることからしても、かなりの職員が在宅勤務を経験し、その利点や課題の把握にもつながったものと考えています。 また、在宅勤務の利点としては、感染リスクの低減はもちろんですが、通勤負担の緩和、データ分析や資料作成等が集中してできたことなど、働き方改革に通じる意見が多数あったところです。 一方で、在宅勤務に有効なICTツールの整備、充実、紙資料の電子化、会議や打合せのウェブ実施など、在宅勤務にあたっての環境整備が課題として浮かび上がったところです。 このため、システム面においては、Web会議システムやe-オフィスのパソコン、スマホでの利用促進、モバイルパソコンの在宅勤務への活用による庁内各種システムへのアクセス環境の改善等を進めていきたいと考えています。 あわせて、在宅勤務を意識した計画的な業務遂行や業務の整理など、仕事のやり方の見直しや職員の意識改革を進め、在宅勤務が実施できる体制づくりをさらに推進していきます。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。コロナウイルス対策での長時間勤務がどのような状況だったかというのが非常に気になるんですが、全体的、平均的な状況での数字としては、そう極端に大きく変化していないのかなという印象も持ちました。その中で、特に特定の職員が大きく延びてしまっているという事例がなかったのか。そういった事例に対して何らかの対応をされたのか。その辺があれば教えていただきたいと思います。 ○嶋幸一副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 今回のコロナウイルスは福祉保健部が特に中心となって負担が増えていまして、5月について、全体平均では3時間減ったと申し上げましたが、福祉保健部だけを見ると増えているので、福祉保健部を中心に、ほかの部署からの人の兼務であったり応援等を特に行ったという状況です。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。健康を害する方とか、そういう方については、ちゃんとフォローをされていたんだろうとは思うんですが、この間に現職で亡くなられた方もおられますし、非常にその点でも様々な負担を負ってしまったという方もおられると思います。その点、ぜひ注意をするとともに、職員の長時間労働について、従前から働き方改革をきちんと進めてほしいという要望を出しているんですが、それについては今回のこの事象を踏まえて、ぜひ改善をお願いしたいと思います。 特に大分県地方自治研究センター、略して自治研センターというのですが、この自治研センターでは、住民のための地方自治の在り方についての現状を調査、分析し、改善策を研究する活動を行っています。 このセンターの活動の中で、あるグループが県職員の働き方について現状を分析する研究活動を行っています。若い県職員が忙しそうにしているように感じることから、通常業務が若い職員に偏っていないかを調査、分析するという取組をしたんですが、本庁勤務の職員について情報公開制度も活用しながら、年代別、職種別に調査、分析をした状況がまとめられていました。 当初、若い人に偏っているのではないかと感じて調査を始めたのですが、時間外勤務の状況については、最も平均時間数が多かった世代は30代で、20代は低くなっていたということでした。さらに、職場や職種間、男女間での負担の偏りが見受けられたということです。この報告に関しては調査データのサンプル数が少ないということで、結論づけるには問題があると報告者自らが指摘をしています。人事当局においては様々なデータを自らお持ちですから、職場間の偏りの均衡化を図る、また、職種間、人による偏りを解消することで、全体としてワーク・ライフ・バランスを保てるように改善を図ることができるのだろうと思うのですが、人事当局で働き方改革のために、これまでどのような分析作業を行ってきたのか、伺います。 ○嶋幸一副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 勤務時間をどういうふうに把握してきたかということだと思いますが、県庁においては、パソコンの稼働時間で管理する、いわゆる勤務時間管理システムを導入しており、そのデータを見ています。 基本的には、個人の負担を減らしていかなければいけないので、まず、個人単位でどういう状況になっているのかを見た上で、さらに班ごと、所属ごとに見ていて、個人の負担が多ければ、それを踏まえて、その所属の中で業務の割り振りの見直し等も含めて、負担が偏らないようにしています。我々人事当局としては、所属や班単位でパソコンの稼働時間が多いか少ないかを見ていて、毎年度、定数査定をする際に、班単位で多いところについては、そういった状況も踏まえた上で定数査定を行うなどの対応を行っています。 今御指摘のあった男女間であるとか、年代別といった分析は、今、県としては行っていません。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 若干話がそれてしまった気がしないこともないんですが、日常的な業務の在り方が、いざというときにどれだけ県民のために働き続けることができるか、そして、自分の健康そのものを保持できるかにつながると思いますので、その辺をぜひ意識していただければと思っています。 これまでも働き方改革については積極的に取り組んでいただけるように、たびたび要請もしてきましたし、従来から長時間勤務の縮減をお願いもしてきました。この長時間勤務のために体調を崩したり、精神的な安定を失うことで、本来一人一人が持っている能力を発揮できないというのは、職員にとっても大分県民にとっても損失です。そのような損失を与えることなく、さらに県民サービスの充実につなげるためにも、しっかりと働き方改革を進めていただくようお願いをして、次の質問に入ります。 最後の質問になりますが、JR豊肥本線の大分駅と滝尾駅の間に新駅を造ることについて質問します。このことについては、昨年12月議会において質問で触れた際には、広瀬知事から「大変関心を持って見ている」とのコメントをいただきました。通勤、通学需要の増大とあわせて、大分スポーツ公園の昭和電工ドームや武道スポーツセンター等への交通手段としての可能性の面からも関心を持っているとのことでした。 その後、新型コロナウイルス対策等で十分な議論をする機会もなかったとは思いますが、将来を切り開くための議論は継続して進めていく必要があると考えます。 大分-滝尾駅間の新駅建設について、その後、県の中、あるいは関係者との間で何らかの議論、検討がなされていましたら、その状況を教えていただきたいと思いますし、具体的に議論を進めるお考えがあるのか、見解をお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 大分-滝尾駅間の新駅についてお答えします。 昨年11月26日に大分市滝尾地区の自治会等が中心となり、JR豊肥本線の大分駅-滝尾駅間の新駅設置を目指して、大分・滝尾駅間新駅建設促進期成会を立ち上げたことは承知しています。県としても、関心を持って動向を注視しているところです。 新駅設置については、一般的には、需要の調査を行って、事業の採算性の確保が可能であるか、それと、線形や勾配等の技術的問題がないか、設置費用の具体的な負担関係が明らかになっているかなどが必要とされます。 このため、まずは、JR九州と地元市である大分市をはじめとする関係者間において、新駅設置に関する検討を進めていただくことが重要と考えています。 また、大分市においても、大分-滝尾駅間の新駅設置は重要な課題であると認識していると伺っています。県としても、関係者における検討状況を踏まえながら、必要に応じて助言を行うなどの協力をしていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。今お話にもあったように、滝尾地域を中心に、大分-滝尾駅間新駅建設促進期成会も昨年結成されていますが、実は30年ほど前に私も滝尾地域に住んでいて、その当時、県職員で、大野地方振興局に通っていたのですが、JRを使って通うときは滝尾駅まで20分ぐらいかけて歩いて行っていました。その頃から、「南下郡に駅が一つぐらいあってもいいのではないか」と、ちょうど南下郡が大分駅と滝尾駅の中間点になるもんですから、そういう声をよく耳にしました。古くからの住民の要望としては、新駅建設への思いがあったわけです。 広瀬知事から興味があるとのコメントをいただいたのですが、今後、具体化していく上で、今お答えがあったように、大分市、JR等の協議など様々な調整作業が必要であり、県だけでということにはならないと思いますし、様々な検討課題もこれから出てくるであろうと思います。今後の展望として、広瀬知事はどのようなイメージをお持ちでしょうか。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 滝尾を含む下郡地区は、交通量が多くて、これまでも宗麟大橋の整備等により、この交通混雑の解消に努めてきたところです。 今回、地元から新滝尾駅というのが提案されていますが、これもそういう交通量の多い中、新しい駅を造って、少し混雑を解消しようという動きだと思っています。そういう意味では、非常に関心を持って見ていることに変わりはありません。 これから、ぜひやっていかなきゃならないのは、やっぱりニーズがどのくらいあるのか、これは人口配置等を見ながら、どのくらいの需要があるんだろうかとか、あるいはまた、どのくらいの費用対効果があるんだろうかとかいったことをある程度専門的に調べていく必要があると。そうして、これはなかなか良いということになれば、要請をしていくことになっていくんじゃないかと思っています。 直接的には市内の交通渋滞の緩和の問題ですから、大分市を中心に、その辺の実情、それから、これからの打開策について、いろんな費用対効果を検証していく、それが大事なことではないかなと思っているところです。 ○嶋幸一副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。滝尾地域は以前から入り組んだ狭い路地の多い地域でしたが、以前と比べれば道路も整備されつつある状況が感じられます。 居住地域として、環境が整う中で、都会から移住してこられる方など、新たに住み始める方が、この地域に住みたいと思える住環境をつくる上で、公共交通機関をどう整備するのかというのは、様々な検討を深めることが重要だろうと思っています。また、知事が言われた大分スポーツ公園との連結点としての役割をどのように持たせていくのか、住民の皆さんとも議論を深めていくことが大切だろうと思っています。あの付近にトリニータに係るショップ等もありますし、ちょっと遠出になりますが、駅で降りて、宗麟大橋を渡って、それから、宗麟に関わる公園、記念館を訪れる、そういったことも視野に入れながら、いろんなデザインを重ね上げて、住民の方々と一緒に夢を醸し出していくのも大事ではないかなと思っています。今後、具体化に向けての議論に取り組んでいただければと思っています。 新型コロナウイルス感染症対策というこれまでに経験のないウイルスとの戦いの渦中に今あるわけです。その状況下で地域振興策を改めて進めていくことになると思いますが、第2波、第3波に備えて、医療崩壊につなげないためにも、職員の皆さんや私たちをはじめとして、多くの県民の皆さんにも想像力を働かせていただくことが肝心かなと思っています。その想像力を働かせる中で、危険から自分の身を遠ざける、家族を遠ざける、そして、県全体として安全なところに身を置くことをつなげていく必要があるだろうと思っています。そのためには、午前中にも議論があったように、情報の提供が大事になりますので、様々な情報を提供していただきながら取り組んでいただければと思います。 それと、さきほどお願いをするのを忘れたんですが、避難所の拡充という部分では、障がいのある方々の避難先も念頭に置きながら、先日、テレビで別府の障がい者の福祉避難所の避難の有様とかも報道されていました。そういうことも含めて、どれに配慮しなければならないとかが重なってきます。その中で地域地域でどのように一つ一つの課題を解決しながら、一人でも多くの方々に生き残っていただく取組につなげることが大事だろうと思っています。その点を最後にお願いして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で守永信幸君の質問及び答弁は終わりました。後藤慎太郎君。  〔後藤議員登壇〕(拍手) ◆後藤慎太郎議員 皆さんこんにちは。議席番号7番、後藤慎太郎です。貴重な一般質問の機会を与えていただいた会派の皆様に感謝をしながら、今回も県民の皆様から私に届く小さな声、そして声なき声を、広瀬知事、そして執行部の皆様に知っていただいて、一緒に大分県の未来について考えることができればと思っています。どうかよろしくお願いします。 早速質問に入ります。 広瀬知事は、大分県版地方創生の加速前進を掲げて県政のかじ取りをされていますが、その中で教育県大分の推進、特に不登校対策への思いの強さを私は感じます。知事は家庭、学校、地域が本当に力を入れて何とか対策を打っていかなければならない、できるだけ不登校の子どもたちが減っていくようにしていかなければならないと言われていますが、本当にそのとおりだと思います。 そこで、今日はまず、不登校対策と教育機会確保法について質問します。 そもそも児童生徒の不登校は長い間理解されてきませんでした。子どもたちの心の中では友人や先生との関係に傷ついたり、競争社会への拒絶、絶望感、いじめ、理由が分からない学校への拒否感など、不登校に至った様々な事情があります。 ところが、これまでの我が国の不登校対策はこうした諸事情を考慮することなく、学校復帰を前提としたものでした。しかし、時代は少しずつ変わってきました。2016年12月に、いわゆる教育機会確保法ができました。この法律は、今までの学校復帰が前提ではなく、不登校を理解して支援し、休みの必要性、学校外の学びの重要性を認めているという意味で、今までの観念を変えた画期的な法律と言えます。 今でも学校に行くことが当たり前であって、不登校は悪いことという価値観を持っている方が多いように見受けられます。様々な理由から学校に行くこと自体が苦しい子どもにとっては、学校に行くことが当たり前という価値観を押し付けられることに生きづらさを感じるでしょう。しかし、この法律では第13条に休養の必要性が記載されており、学校を休んでも良いと認めています。親や学校の先生も、学校に無理に登校しなくてもいいと言える状況ができたのは良かったのではないでしょうか。学校復帰が前提であった今までの価値観から、学校に行くことが当たり前ではなく、不登校は悪いことではないということを私たち大人が理解して、不登校の子どもたちを支えていき、社会の一員として受け入れることができる社会を目指したいものです。 しかしながら、この法律は学校現場においてはなかなか理解が進んでいないと不登校の問題に関わる多くの方から聞いています。特に学校現場では管理職の方の理解が進んでいないと聞きました。法律の基本理念にのっとった附帯決議の中では、多様な児童生徒を包摂し共生することのできる学校環境の実現を図ること、また、その学校環境の実現のために、教職員が児童生徒と向き合う時間を十分に確保できるよう必要な措置を講ずることなども盛り込まれています。 不登校対策の根幹として、教育機会確保法の立法趣旨を管理職、現場教諭を問わず学校現場でしっかりと周知し、地域社会全体が不登校児童生徒に寄り添い、共感的理解と受容の姿勢をもって教育の機会の確保に取り組んでいく必要があると思いますが、知事の考えを伺います。 次に、フリースクール等の多様な学習活動への支援について伺います。 政府は毎年の方針の中で、教育機会確保法を踏まえ、フリースクールの子どもたちへの支援を拡充し、いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子どもたちが自信を持って学んでいける環境の整備を進めるとしています。これはフリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動の確保をすることの必要性が徐々に理解されてきたことの表れではないでしょうか。 しかし、このフリースクール等の学びの場については、やはり利用料がネックとなり、実際に必要とされているのに様々な経済的事情から通うことができない子どもたちが多いと運営者の皆様から聞き取りました。 残念ながら、現在は高校や私立学校に通う人に出ている就学支援金などはフリースクールやホームエデュケーションを利用している保護者などにはなく、ましてや行政が支出して減額されるような仕組みはありません。自治体の中には制度を整え、実際にフリースクールなどに対する助成や支援を行っているところがあるようですが、本県にはフリースクールなどの様々な学びの場に対する財政的支援はありません。 大分県は全国に先駆けて親の会と県教委の連携など、様々な方向から不登校の児童生徒を支援する枠組みを作ってきたのは承知しています。さらにはもう一歩進め、フリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対する負担軽減を含めた参加しやすい環境づくりについて検討できないものでしょうか、県の考えを聞かせてください。 三つ目は不登校を考える親の会の活用についてです。 本県には不登校を経験した保護者同士のつながりの場として、不登校を考える親の会が13団体あります。県内で実際にこの不登校を考える親の会と市町村教育委員会とが連携を密にして、不登校の児童生徒の支援がうまくいっているケースがあり、これは全国的にも珍しい先進的な取組だと聞きました。 しかし、残念なことに市町村教育委員会によっては、この連携にあまり積極的ではないところもあるようです。不登校を考える親の会と市町村教育委員会の連携は大変重要な不登校の児童生徒支援プランの根幹だと思うのですが、連携強化についての考えがあればお聞かせください。 四つ目は、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについてです。 不登校の対策について、知事は特にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについて、家庭と学校をつなぐ重要な役割とお考えのようで、この点は私も同じ思いです。大分県版チーム学校の実現に向けて、芯の通った学校組織の取組についての中で、いじめ、不登校対策では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフを効果的に活用する体制整備と書かれています。私はスクールソーシャルワーカーとして活動されている方々の現場での苦労話を聞きました。その中で特に多いと思ったことは、スクールソーシャルワーカーがそのチーム学校の中にうまく溶け込んでいくことができず、取扱いも部外者的になっている感じがする。スクールソーシャルワーカーまで事案が届くのに時間がかかり過ぎるなどでした。 学校現場は、日常的な人手不足と多忙な業務で先生たちも苦労されており、チーム学校をつくり上げていくこと自体が難しいのかもしれませんし、そもそもスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、また、それらを指導する立場にあるスーパーバイザーもまだまだその人数自体が足りていないのではないかと話を聞きながら思いました。 私は子どもたちのための投資は必ず将来の大分県のためになると思っています。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、また、それらを指導する立場にあるスーパーバイザーの将来に向けての人員確保や配置についてお考えがあれば聞かせてください。 五つ目は私立学校のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについてです。その配置については、各学校の判断もあると思いますが、児童生徒のいじめ、不登校対策にとっては必要な体制であると考えます。 そこで、スクールカウンセラー等の配置に対する県の支援の状況について伺います。 最後に六つ目、制服選択制についてです。 近年、若者へのリプロダクティブ・ヘルス・ライツ、つまり、未来の母親に対する母体健康保護の視点や性的マイノリティーの生徒への配慮、盗撮問題への対応などから制服選択制が全国で広がっています。 近いところでは福岡市で2017年に一つの中学校から始まった見直しの動きが広がり、生徒会、保護者、PTA、教員、校長会、教育委員会と様々な団体を巻き込んで検討がなされ、2020年度からは69校全ての市立中学校で制服選択制が導入されることとなりました。デザインはほぼ統一で、ブレザータイプの上着に下はスラックスかスカート、もしくはキュロットを自由に選択できるというものです。70年も続いた制服の変更は子どもを中心に据えた大きな連携があってこそ実現したものであろうと推測します。 ちなみに、大分県立高校では、昨年度末時点で高田、日出総合、大分南、大分西、大分東、海洋科学、三重総合、宇佐、宇佐産業の9校と一部の特別支援学校のみとなっています。 大分県内で行われた市民グループの制服に関するアンケートでは「冬場のスカートは寒く、おなかや腰回りの冷えは体によくない」といった健康保護の視点や、自転車通学の女子からは「風の日はスカートがめくれ上がる、そもそも活動的ではない」といった機能性への疑問、「スカートを着るのが嫌で、でも、それを周りに言えなかった」という性的マイノリティーの方の答えや、「そもそも学校の制服に男女の区別は要らないのではないか」という多様性に配慮した意見もありました。その一方で、伝統ある詰め襟とセーラー服に愛着を感じている方もおり、風紀や規則を守ることや、一つの学校集団としてまとまりを持つことの大切さ、家庭の経済状態など格差への気遣いが必要といった声もあります。 男らしさや女らしさを、制服を着ることで固定概念として押し付けられることに悩む県内の生徒たちの声は多いのではないかと思いますし、自分らしさを保障する意味でも自由に制服を選べることは重要ではないでしょうか。 子どもの貧困が社会問題として認識されている現在では、高額な制服のあり方も問われています。県内でも既に制服を選択できる学校があることを考えれば、統一した制服着用そのものを考え直す必要もあります。黒と赤しかなかった小学校のランドセルが、近年はとてもカラフルになってきて、もう珍しくなくなりました。子どもたちが学校生活を楽しむ基盤となるのは選択肢の多様性ではないでしょうか。制服選択制の導入はそうした学校生活を送る第一歩とも言えます。 現在、高校の制服選択制については、校長によって判断がなされているようですが、この問題について当事者の生徒の意見を聞くなど、多様な意見を取り入れるような仕組みになっていかないものかと私は常々思うのですが、現状での動きや県としてのお考えがあれば、ぜひ聞かせてください。 以降は対面席で質問します。  〔後藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの後藤慎太郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 後藤慎太郎議員から教育県大分の精神に関連する種々の課題について御質問をいただきました。 まず、私から不登校対策と教育機会確保法についてお答えします。 近年の不登校児童生徒数の著しい増加から、平成28年に新たに教育機会確保法が制定されました。全ての児童生徒は豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられる環境を整えることなど、きめ細かな対応が求められています。文部科学省からは個々の状況に応じた必要な支援を提供することや、国、地方、民間等の密接な連携のもと、登校という結果のみを目標にせずに自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立させることを目指すよう指針も示されています。 この法律の趣旨を踏まえ、県教育委員会では様々な不登校支援が行われていますが、子ども一人一人に寄り添って、その思いを共感的に受け止めるということに重きを置いて、さらに取組を進めてもらいたいと考えています。 一つは、子どもたちにとって安心感、充実感を得られる活動の場を提供することです。児童生徒同士の良好な人間関係を築くため、ペアやグループで朝の会の時間などに継続して互いの考えを話し合う人間関係づくりプログラムの活動を全ての小、中、高校に広げることが大事です。 二つは、素早く効果的な支援の提供です。不登校の兆候があれば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと十分に連携をして、すぐにその要因や背景を的確に把握し、学校に復帰させるか、あるいは休養させるか、その子に合った支援計画を練り、学校、保護者や関係機関、団体と協力して、組織的な支援につなげていくことが重要です。 三つは、多様な教育機会の確保です。 家庭に出向いて支援する教育支援センターのアウトリーチ型の支援機能強化や、フリースクールなど民間団体との連携もさらに図っていく必要があります。 また、今年度から不登校支援の補充学習教室が県下6地区に拡大されたほか、出席扱い可能なICTを活用した自宅学習支援も始まりました。今回の臨時休業中に取り組まれた遠隔授業の手法は、不登校支援にもいかせると思います。青少年の家でのチャレンジキャンプも、外に向かう良いきっかけ作りであると思います。 不登校支援の実効性を高めるためには、何より管理職を含む全教職員が不登校に関する正しい知識や深い理解のもと、適切な対応を行うことが不可欠です。教育委員会には学校現場とともに、児童生徒の社会的自立に向けて何が大切か模索し続けてほしいと思います。 不登校は、取り巻く環境次第でどの児童生徒にも起こり得るものです。それだけで問題行動と捉えずに、個々の最善の利益を最優先に支援を行うことが重要だと思います。 県としても、地域社会全体で子どもたちを育む環境づくりに努めていきたいと思います。 その他の御質問については、担当部長から答弁させていただきます。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 私から4点についてお答えします。 まず、フリースクール等の多様な学習活動についてです。 県内のフリースクールは、現在17か所あり、そのうち13か所が教育機会確保法が制定された平成28年以後に開設されています。不登校対策として、学校以外の学習の場の重要性が認識されつつあると捉えています。 フリースクールは実施主体が個人、NPO法人、株式会社など多様なことや、活動内容が居場所づくりから学習支援まで幅広いため、相談、指導を受ける際の目安となるガイドラインを平成30年3月に整備しました。 ここ最近のフリースクールの急増を受けて、関係者や市町村教育委員会との協力や情報交換を目的とした大分県フリースクール等連絡協議会を新たに立ち上げて、第1回目を今月末に開催する予定です。このような場を通して不登校児童生徒がフリースクールに通う上での課題などについて認識を共有していきたいと考えています。 現在、国において不登校児童生徒の実態把握や経済的支援のあり方等に関する調査研究が進められていることから、その行方についても注視していきたいと考えています。 次に、不登校を考える親の会の活用についてです。 親にも居場所が必要だとの思いから、不登校の子どもを抱えて孤立し、一人で悩みがちな保護者同士や支援者との交流の場として、県内各地で親の会が組織され、活動も活発に行われていると認識しています。 親の会には教育相談担当の教員研修会や地域ごとのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを交えた県の不登校支援対策推進会議において、親の目から見た不登校の子ども理解について報告してもらうなど、教育行政に積極的に関わっていただいています。 こうした取組の中から、親の会と電話や訪問相談など各種公的支援を担っている市町の教育支援センターとの間で定期的な情報交換を行う事例も出てきています。 公的な支援を進めるには不登校を抱える保護者の経験から学んだり、保護者と課題意識を共有して取り組むことはもとより大事なことであり、今後とも親の会と市町村教育委員会との連携に取り組んでいきます。 次に、公立学校のスクールカウンセラー等についてです。 本県ではスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの重要性に鑑みて、その配置時間を年々増やし、国に先駆けて、一昨年度には全小中学校、昨年度には全県立学校をカバーする体制を整えました。 従来から教育事務所単位で配置しているスクールカウンセラーのスーパーバイザーに加えて、本年度から新たにスクールソーシャルワーカーのスーパーバイザーを本庁に2名配置するとともに、課題を多く抱える学校にはスクールソーシャルワーカーの対応時間を手厚くすることとしました。スクールカウンセラーについても特別支援学校の配置時間を増やしたところです。 今回のような長期休業による子どもたちの心理的不安や困り事に対処するためにも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの役割は大変大きいと考えています。そのため、よりスピーディーで組織的な対応につながるよう、これらの専門スタッフと教職員をつなぐ教育相談コーディネーター、教員が担当していますが、これについての研修を充実していきます。 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは円滑な学校運営になくてはならない存在であり、国に対してさらなる配置拡充を求めるとともに、関係団体や大学とも連携して、必要な人員の確保に努めていきたいと考えています。 最後に、制服選択制についてです。 県内の公立高校の制服は、教育委員会の規則等で定めたものではなくて、全て校則によっていますが、その中で、制服選択の自由について議論がされて、次第に広がってきている状況です。 大分雄城台高校では、今年度の入学生から機能性、安全性の向上、防寒や防犯の観点から、希望すれば女子制服は従来のスカートに加えてスラックスを選択できるようにしました。 導入に際しては制服検討委員会を中心として、生徒やPTAの意見も踏まえて、学校全体で協議して選択制の導入に至ったと聞いています。スラックスのデザイン選定などにも生徒からの様々な意見が反映されたと聞いています。 現在、制服を定めている県立高校38校のうち、選択制を導入している学校は13校、検討を進めている学校は7校です。 選択制の導入に当たっては、生徒及び保護者の意見や要望、多様性を認め合う社会の流れなどを踏まえて決定することが大事だと考えています。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 私立学校のスクールカウンセラー等についてお答えします。 私立学校では不登校傾向にある児童生徒に対し、教員やカウンセラーによる相談援助や家庭訪問など、個々のケースに応じた対応を行っています。 県ではスクールカウンセラー等の配置を促進するため、高校1校当たり60万円を上限に助成しているところです。 スクールカウンセラーは現在、小、中、高20校のうち17校に臨床心理士等が配置され、生徒や保護者の相談対応に加え、教員の生徒への関わり方の研修等も行っています。ある学校では生徒の異変に気づいた教員が作成した生徒支援シートを基に、知見のあるスクールカウンセラーが適切な指導を行い、課題解決につなげた例を伺っています。 一方、スクールソーシャルワーカーについては、今年度から新たに1校で1名が配置されたところです。 こうした状況の中、県では先日開催された私立学校の大分県中学高等学校協会理事会において、改めてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの重要性と、その配置への経費支援を活用していただくよう説明を行ったところであり、今後も機会を捉えてスクールカウンセラー等のさらなる配置を要請していきます。 ○嶋幸一副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 スクールカウンセラーと、例えば、いじめの問題ですが、やはりこれは切っても切り離せない問題ではないかと思う問題がいくつかありましたので、今日こういう機会にぜひ一緒に考えていただければと思っています。 まず、公立の中学校の事案からです。 先日、合同新聞に出た記事の中で、元校長の文書改ざんという問題がありました。これ自体も確かに問題で、この件はまたいつかやろうと思っているんですが、その中で問題は、市教委の第三者委員会がいじめを認めず、女子生徒側の訴えで市が設置した再調査員がいじめを認定、再調査員が市教委に全資料の提出を求めたものの、関係資料の約4割が渡されていなかったことも判明している、こういったどうなんだろうと思う事例があるんです。私、この問題は実はずっと一番最初の取っかかりから相談を受けているものですから、今日は聞きたいと思うんですが、大分県が作っているいじめ防止基本方針というのがあります。これを見てみると、やはりスクールカウンセラーの重要性も当然書いています。後でちょっと私立のことも触れようと思っているんですけど、大切なところはいくつかあるんです。例えば、人材の確保及び資質の向上、この辺もそうですし、いじめに関する通報及び相談体制の整備、この辺も大事かなと思います。とにかく大事なことばかり書いていますが、スクールカウンセラーに関することをたくさん書いているんです、このいじめ防止基本方針の中で。 資料を皆さんに本当は見ていただこうと思ったんですが、ちょっと今日議運に間に合わなかったので、また後日持ってきます。知っていただきたい点があって、これは2015年の茨城県の事例ですが、このときは、要は市教委がいじめととにかく認定しないものですから、最終的には県が調査委員会をつくって、結果いじめと認定されたという事例なんですね。 調査を訴える両親に対し、市教委はアンケートや聞き取り結果から、いじめによる自殺であったと判断できないと回答。そして、いじめ防止対策推進法上の重大事態に該当しないと議決した。その上で第三者委員を設置していたが、文部科学省の指摘を受けて議決を撤回し、その後解散したということで、その後、調査委員会ができているんです。そもそも自殺して亡くなった子の御両親にしてみたら、いじめに遭ったこと自体で誰かを恨んでいるわけではなく、ただ今後いじめをなくすためにどうすればいいかと一生懸命活動されてきた結果がこれだと私は思うんですが、当然のことを認めてもらうまでに3年以上かかったと。壊れそうな精神状態の中であまりにも長かったとあるんですね。これが本当の親御さんの気持ちだろうと思います。 それで、私は大分であったある事案で調査委員会報告書を見せてもらいました。さっき言った文書の改ざんなんかもあるんですが、この中で、要はこういった問題が起こったときに学校をバックアップする組織ができていなかったと。やっぱりスクールカウンセラーなどがもう少し存在していれば良かったのではないかということも書いていました。あと「本事案では養護教諭やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが一度も会議メンバーとして参加していなかった点も問題があったと考えられる。今後、同様の事案においては養護教育、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を会議に置いて積極的に活用し、多面的な支援策を浮かび上がらせ、その方向性を共有する組織的な対応が求められる。ただし、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは非常勤勤務であることから、学校現場には活用したくてもできないというジレンマがある。行政側にはその点を汲み、今後、改善策を検討していく方向が求められている」と書いています。 この件は、もともと最初お母さんが娘のためにされていたんですが、やはりこういった問題がないようにと、ただその思いでずっとされてきたんです。それがなかなか認められないと。そして、結果、調査委員会がつくられて、校長先生の文書の改ざんなどいろんな問題がありました。実際にそれが公文書として残ったりすることもあるものですから、こういったのをずっとどなたかに最終的には相談したいと。そのときにいじめ防止基本方針を見ると、やはり県の教育長あたりが、今後そういったこともあれば、再調査委員会を設置することもできなくはないし、むしろやっていかないといけないこともあるのではないかと思っています。 いつもいじめ第一報なんかが起きて、ずっと問題があれば、いずれ教育長のところにはそういった事案も来ると思うんですけど、早口ですみません、説明しにくかったですが、この辺について何かあれば、教育長、見解を聞かせていただければと思います。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 いじめの問題については、早期発見、早期解決が大変重要であると議員もいろんな場面でお話しいただいていますが、これについては、まず設置者において調査委員会、さらには再調査が必要な場合には、市町部局で再調査をするという流れになっています。 今お話のあった大分市の事例についても、その流れの中で整理をしてきた。ただ、そういう調査という事態になるということは大変な事態ですので、その前に学校の現場において相談があればすぐに対応できるようにすることが一番いいことです。 そういった意味で、さきほども申し上げたように、スクールカウンセラーの配置もかなりやってきました。現在82名を現場に置いていますし、県教育委員会の中にも2名置いて、足りないとか、緊急事態が出たときには派遣できるようにしています。またそれも学校現場にも周知しているところです。 いずれにしろ、調査という段階になる前に、きちんとした早目の対応ができていくことが大事であるし、また、我々も今いろんな取組を進めているということです。 ○嶋幸一副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 この問題は本当はもっとしたいんですけど。 次はもうひとつ、高橋部長に聞きたいんですが、私立高校の問題です。 これも私はひとつ、ある私立学校のいじめの問題について相談を受けました。当時の私学振興課長も、本当に双方の話を耳を持って聞いていただいて、御両親もすごく感謝しています。ただ、残念ながら、私立学校に関しては、いじめ防止基本方針の中にも、ちゃんと私立学校も県の中に含まれると入ってはいるんですが、残念ながら、これは私学の建学の精神みたいなのもあって、なかなか教育委員会の力が及ばない、県の力が及ばないところもあるようです。私がこれも見ていくと、どうやってもいじめの重大事案に入るであろうということが多かったんです。実際にいじめに遭った子はその学校は辞められて、ほかの学校に行きました。ただ、後々聞いたところによると、そのいじめていたほうはまた新しいターゲットを見つけていじめていたという話も聞くので、やっぱりそういった問題を何とかするために私は今後この問題は考えていかないといけないと思っています。 ちなみに、その学校においてスクールカウンセラーは何ができるかという問題もありますけど、スクールカウンセラーの設置はゼロだったということです。要するに中立な立場で聞かれる方もいらっしゃらなかったんだろうなと思いますし、やはり事例が起こった時点で最初にそんな話を聞いてもらえる方がいなかったのではないかとも思っています。 さっき言った重大事案にかかるところでいけば、学校側がいじめ防止対策推進法に定めるいじめの定義を全く無視していじめを否定、双方に謝罪させて解決したものとして処理。被害児童に対するいじめについてアンケート等を含む調査をしない。個人情報を理由に被害児童の両親に対する回答を公判で拒否し続ける、学校いじめ防止基本方針の内容を周知していないなどなど、法やガイドラインに反する多数の問題が認められるということではないかなと思っています。 そのとき県でも私学振興課でしっかり対応していただきましたが、やはりそれはこういった事案に当たるからではないかと、そういう思いがあって当時の課長も話を聞いてくださったのではないかと私は思っています。 こういった問題が起こった場合に対処を今後どうしていくかというのも、もし思いがあれば部長に聞かせていただければと思っています。よろしくお願いします。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 いじめ防止基本方針の中で、私立学校においても大分県のこの方針に基づいて対応することになっています。お話にあったように、そのいじめへの対応、あるいは重大事態の認定も含めて、学校設置者である学校法人が実施すると規定されています。 各私立学校においても、この県の基本方針に基づき、学校独自の基本方針を定めて対応することになっていますので、いじめと思われるような事案の相談があった場合には、それぞれの学校の基本方針に基づいて適切に対応していただくように粘り強くお話をし、協議させていただくことになろうかと思います。 ○嶋幸一副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。私学振興課で一生懸命対応してもらったというのは私も分かるものですから、この問題はちょっとまたいろんな形でしたいと思いますので、次に行かせていただきます。 次は、大分県における農林水産業の諸課題について質問します。 新型コロナウイルス感染症の県内農林水産業への影響についてです。 今回の新型コロナウイルス感染症は、国内の農林水産業にも大きな影響を及ぼしました。政府は感染拡大の速度を可能な限り抑制するため、3つの密を避けることを推進し、外出自粛の要請を行ってきました。これにより、飲食店の利用は大幅に減少し、牛肉をはじめとした高級食材の消費が大きく落ち込み、学校の休業により、給食食材の需要がなくなりました。さらに、卒業式、入学式をはじめとしたイベントが自粛され、花き等の消費も大きく落ち込んでいます。加えて国の水際対策により、インバウンドによる消費がほとんど無くなるとともに、これまで地域の農林水産業の貴重な担い手であった外国人技能実習生の入国等が困難になるなど、労働力不足も懸念されています。 一部報道では、本県特産品であるハウスかぼすの需要が減少、和牛の枝肉価格が下がり、子牛の市場価格も下落し、農家の生産意欲をそぐおそれがある。関アジや養殖ヒラメなどの高級魚がだぶつき相場が下落など、県内関係者の厳しい状況が伝えられています。 そこで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた農林水産事業者の事業継続及び収束後の巻き返しについて、知事の考えを伺います。 続いて、米粉用米の作付け拡大についてです。 農林水産省によると、令和2年度の米粉用国産米の流通は前年を3千トン上回る3万9千トンと見通しており、今後も需要の拡大を見込んでいます。この見通しの一つには、世界的なグルテンフリー市場規模の拡大に伴い、成分としてグルテンを含んでいない米及び米粉を利用した商品の製造需要の高まりがあると考えられています。グルテンフリー市場の大きい米国などへの需要創出も期待されています。 このように、米粉用米の需要は非常に期待できると思います。国の支援措置としても、水田活用の直接支払交付金による生産者に対する助成のほか、安定的な供給体制を構築するため、加工施設の整備、乾燥調製、集出荷貯蔵施設の整備等の支援などがあり、水田の有効活用と食料の安定供給の確保のために米粉用米の利用促進が図られています。 新型コロナウイルスの感染が世界を先の見えない恐怖に陥れる中、一部の国が小麦や米などで輸出制限措置を導入して、穀類の国際相場は上昇基調になっています。輸入に依存する我が国の食料は、この先、価格の乱降下や需給がひっ迫する可能性もありますが、やはり必要なことは自国の食料をどう確保するかです。 私の前回の一般質問でも持論を述べさせてもらいましたが、食料安全保障の観点からも、国内で自給できる穀物を少しでも増やしていくことが重要です。やはり水田を活用して、主食用米はもちろん、米粉用米の県内生産を増加させ、自給率を高めることは理にかなっていると思います。 本県の令和元年度米の作付面積の中で、主食用作付面積は2万4百ヘクタール、我が国の米の1人当たりの年間消費量は2018年度が精米ベースで54キロですから、玄米ベースでは約60キロの計算です。これを今の大分県の米の消費量と仮定して考えると、県内水田の7割で賄うことができます。残りの3割の水田ではWCSや飼料用米、加工用米などを作付けて活用していますが、まだまだ余裕もあります。それ以外の水田に米粉用米を生産して、水田を有効活用できるのではないかと思います。 新型コロナウイルスの蔓延により、自給率に再び注目が集まると思うのですが、大分県における米粉用米生産拡大と水田利活用についての考えを聞かせてください。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず、私から新型コロナウイルス感染症の県内農林水産業への影響についてお答えします。 新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、とにかく人と人との接触を8割方減らしてくださいということになるわけですから、外食やイベントの自粛が要請されます。そうなりますと、和牛や養殖ヒラメなどの高級食材やスイトピーなど、花きの販売が不振になります。価格下落が生じたほか、住宅需要の減少等により、木材価格のほうも4年ぶりに1立方メートル当たり1万円を割り込むなど、本県の農林水産業は大きな影響を受けました。 先日、国東や杵築の花きの生産者の方とお会いして、現状や経営継続への強い思いをお聞きしました。県としては、そうした思いをしっかりと後押しするために、喫緊の課題として消費回復や事業継続に取り組んでいるところです。 まず、消費回復、拡大対策では、大消費地の百貨店等でPRイベントを毎月開催するとともに、全ての小中学校の児童生徒、教職員を対象に、おおいた和牛や養殖ヒラメなどを給食用の食材としても提供します。 また、住宅需要を喚起するため、県産材の利用量に応じたポイントを付与し、県産家具等に交換できる制度を創設します。そのことによって木材の利用を促進しようということです。 次に、生産流通対策として、枝肉価格下落で需要が落ち込んだ肉用子牛の県内流通を活性化させるために、肥育農家に対して県内子牛の導入経費を支援します。 また、ヒラメなどの養殖魚では、生産の継続に向けて種苗の購入経費を助成します。再生産の可能な道を開こうということです。 こうした県の取組に加え、国の緊急経済対策も活用して、生産者をサポートしていきます。 さらに、新しい生活様式などを踏まえた中長期的な視点による取組も重要だと考えます。 一つは販路の多チャンネル化です。養殖ヒラメなどは外食向け活魚販売の比率が高く、需要減の影響が大きく出ています。今後は量販店への販路の開拓、拡大に向けて、フィレに加工するなど、消費者が手に取りやすくなる商品作りを進めます。 また、高級食材の販路拡大を図るため、今回の巣ごもり需要で売上を伸ばしたネット販売も強化します。 二つ目は生産加工におけるリスク分散です。 例えば、キクの生産では、経営の第2の柱となる新品目の導入など多品目化を、消費者の嗜好の変化を見極めながら検討します。また、業務用冷凍野菜は家庭向け小袋出荷への対応など、製品の多様化を進めます。 三つ目は労働環境の見直しです。生産者の罹患や外国人材の確保困難時に備え、全国に先駆けて設置した農作業人材派遣システムの活用を促進します。また、技術レベルや体力を問わず、誰もが従事できるように、自動操舵トラクターの活用など、スマート農林水産業を一層推進します。 これらの対策により、急激なマーケットの変化にも対応できる、柔軟で足腰の強い農林水産業を構築していきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 水田の利活用と米粉用米の生産についてお答えします。 全国の米の需要量が年間10万トンベースで減少する中、本県においては、水田の利活用による農家所得の向上を図るため、高収益作物である園芸品目の導入や、麦、大豆、飼料用米等の拡大に取り組んでいます。その中にあって米粉用米については、アレルギーの原因となるグルテンが含まれていないことなどから、小麦粉の代替品として注目され、ノングルテン米粉認証制度の創設もあり、全国的な需要が伸びています。 本県では、平成22年度に大分市内に米粉加工施設が設置され、学校給食向けの米粉パンなどに使用されるなど、県内需要に応じた生産が行われてきました。 県としては、生産拡大につなげるため、昨年度は市町村等による県内59か所での米粉料理教室等の開催を支援し、また、農林水産祭等では米粉商品をPRするなど、米粉の県内消費拡大に取り組んでいるところです。 今後も水田の高度利用を図るため、水田活用の直接支払交付金を活用し、需給バランスを視野に計画的な生産を推進していきます。 ○嶋幸一副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。農産物の売上の回復はJA全農の方もぜひ県と一緒に取り組んでいきたいということで、商品のPRをいろんな形でしていただけないかと言われていましたので、そこはお願いしておきたいと思います。 それから、部長から給食のことが出たものですから、ぜひ一緒に考えていただきたいことがありまして、実は新型コロナウイルスによる影響と、今、米の話をしたから聞いていただきたいんですが、学校給食におけるパンの個別包装について、考えてみたいと思います。 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、5月の分散登校時には個別包装をしていたのが6月からの学校再開後、またこれは出ていると思います。パンの個別包装については、飛沫による感染を防ぐことができるといったメリットがある一方で、包装することによる費用の増加、また、包装したビニールがごみとなる環境への負荷などデメリットもあります。しかし、私がいろいろ調べたところ、全国でもともと個別包装していないのは大分県だけでした。その他の都道府県においては、異物混入を防ぐ目的で以前から個別包装をしていたようです。今後もコロナ感染症予防対策は第2波、第3波に備えて準備万端で臨まなければならないと思います。飛沫感染を防ぎ、その他リスクを回避するためにも包装をしたほうがいいのではないかと私は感じています。 ところが、大分県学校給食会によると、給食用のパンを個別包装できる機械を所有する製パン業者自体が、少なくとも大分市内にはないと聞きました。仮にパンを個別包装するとなった場合にも、製パン業者の個別包装に係る作業負担の増加や経済的負担は実際に増加するし、これは大変なことだと思います。県としてパン食の個別包装に関して、県民からのいろんな意見もあると思いますし、例えば、これをお願いするとしたら、製パン業者への機械の導入も今後考えていかないといけないと思うのですが、今のところで何かそういったお話があれば、ぜひ聞かせていただきたい。特に学校の問題なので、これは教育長なんでしょうか。 あと機械の導入になると、学校給食の業者は、コロナで相当な痛手を受けている関係もあるものですから、そういった観点で、もし今お考えがあれば、教えていただきたいと思います。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 パンの個別包装についての状況ですが、今、議員からお聞きした全国的に大分県だけというお話、このことについては至急調べる必要があると思います。 ただ、コロナが発生してすぐの昨年度の予算の中でも、給食業者等で困り事はないかという中では、衛生関係の設備の充実をという要望があり、それについては対応したところです。そこまでしないと具合が悪いという状況が今回発生したわけですが、恒常的にそれが必要となるかどうかも含めて、その点はまた業者にも、学校給食会にもよくよく話を聞いてみる必要があると思っています。 ○嶋幸一副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございます。パン食に関しては、実際に子どもたちの給食において、保護者が心配されることもあると思いますし、私が調べた限りではもともと静岡と大分だけがなかったんですが、今は多分、大分県だけが個別包装していないと思います。 食品加工業者には今HACCPだとかいろんな基準がついてきていますから、これを機に、個別包装ももちろんメリット、デメリットありますので、その辺も含めて、ぜひ検討していただければと思います。 それでは、最後に新型コロナウイルスに関するPCR検査体制について質問します。 これは県民の生命、健康に直結しているため、非常に根が深く、正に官民が一体となって解決しなければならないものと感じています。私が介護事業者から伺った介護現場で起きた事例を紹介させていただきます。 3月下旬、ある大分市内の介護事業所で入居者複数名が一度に37から38度程度に発熱し、事業所を即座に閉鎖し、PPEの準備、ゾーニングと体制を整えてPCR検査の相談を保健所、主治医にしたそうです。ところが、保健所からは、主治医の指示に従うように言われ、主治医には保健所に相談をという状態になったそうです。そのときは主治医との電話のやり取りで、必要な方に処方された解熱剤、抗生剤が効いたためか症状は落ち着いたとのことでした。 結果的に新型コロナウイルス感染症ではなく、数日後には発熱者もなくなり、利用者もいつもどおり元気になってきているため、通常に戻りつつあるとのことでした。 ただ、現場の介護事業者からは、これがもしもコロナだったら命を守れないと実感した。保健所、主治医とも検査を避けていたように感じたとの感想を伺いました。 今回、政府も37.5度以上が4日以上続く場合としていたPCR検査の相談目安の見直し、PCR検査を受けやすくする方向に軌道修正しました。この事案を通じて思うのは、いち早くPCR検査を行い、早期の患者を発見することが現場での安心につながるということです。そのためにもPCR検査体制の充実を図る必要があると思いますが、そういった介護施設からの声も含めて、もし部長のところにそういった問題があれば、ぜひ見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 ○嶋幸一副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 PCR検査体制についてお答えします。 新型コロナの受診に係る相談については、保健所の帰国者・接触者相談センターで24時間365日体制で対応しています。 県では5月8日の国の目安の改訂も受け、感染の不安を持つ方が早期に相談できるように、相談、受診の目安から37.5度以上の発熱が4日以上続く場合を削除しました。 また、県内5か所にPCR検査センターを設置し、かかりつけ医が必要と判断すれば、最寄りのセンターで迅速に検体を採取できる体制を整えているところです。 さらに、これまで検体は喀痰もしくは鼻咽頭拭い液とされてきましたが、今回、発症9日以内であれば、唾液も可能となりました。これにより、採取時の感染リスクがかなり低減されるため、検体採取が容易になることが期待されます。 なお、県衛生環境研究センターの1日当たりのPCR検査能力は2月には28件でしたが、現在では144件に強化され、大分市保健所を含めた県全体の検査能力は264件まで拡充されています。 危惧される第2波に備え、今後とも、PCR検査体制の充実に努めていきます。 ○嶋幸一副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。今回、このコロナの問題で皆さんの質問も多いと思いますが、さっき言った学校給食の問題もそうです。フリースクールも行きたいんだけれども、コロナで行けないというお子さんたちが多かったという声も聞きました。やはりこのコロナが私たちの社会に与えた影響はとても大きいと、本当に今回の質問を通じて思いました。そして、繰り返しになりますが、スクールカウンセラーの件だとか、子どもたちのことはしっかりと知事とまたお話ができればと思っています。次、またよろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
    ○嶋幸一副議長 以上で後藤慎太郎君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○嶋幸一副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。 以上をもって、本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 本日は、これをもって散会します。     午後2時56分 散会...