大分県議会 > 2020-03-06 >
03月06日-05号

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  1. 大分県議会 2020-03-06
    03月06日-05号


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    最終取得日: 2023-06-13
    令和 2年 第1回定例会(3月)     令和2年第1回大分県議会定例会会議録(第5号)令和2年3月6日(金曜日)  -------------------------------議事日程第5号            令和2年3月6日              午前10時開議第1 代表質問  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 代表質問  -------------------------------出席議員 42名  議長        麻生栄作  副議長       土居昌弘            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            嶋 幸一            濱田 洋            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄欠席議員 1名            高橋 肇  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    中島英司  企業局長      岡本天津男  病院局長      田代英哉  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    宮迫敏郎  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者兼会計管理局長            山本修司  防災局長      牧 敏弘  人事委員会事務局長 藤原隆司  監査事務局長    小野賢治  労働委員会事務局長 後藤素子  財政課長      佐藤 章  知事室長      山田雅文  -------------------------------     午前10時 開議 ○麻生栄作議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○麻生栄作議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第5号により行います。  ------------------------------- △日程第1 代表質問 ○麻生栄作議長 日程第1、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。二ノ宮健治君。  〔二ノ宮議員登壇〕(拍手) ◆二ノ宮健治議員 皆様おはようございます。県民クラブの二ノ宮健治です。今回、県民クラブ10名を代表して、こうやって質問の機会をいただきました。本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。 また、本日は、新型コロナウイルスが心配される中での傍聴、大変恐縮しています。ぜひマスク等の着用や手洗いなど、決して新型コロナウイルスに負けないようによろしくお願いしたいと思っています。 さて、知事をはじめ執行部の皆さん、新型コロナウイルス対応での検査体制の整備や、急な臨時休校の要請による学校や保育現場での対応など昼夜を問わずの取組、大変お疲れさまです。県民クラブを代表して敬意を表します。このことについては、後ほど質問したいと思います。 さて、今回の代表質問のコンセプトは、持続可能な地方創生です。県議として2期5年、国政、県政、由布市政を肌で感じながら、地方創生の課題や難しさ、そして地方創生の重要性をますます感じているところです。今日は、せっかくの代表質問の機会をいただいたので、小さな項目でなく、国や県政の問題点について質問という形になります。大変答えにくいこともあるかと思いますが、ぜひ知事から地域が元気になり、県民が幸せになるような前向きな答弁をお願いして、早速質問に入ります。 まず、今後の県政運営についてです。これからの日本と県政について、知事の所見を伺います。 これからの日本については、大変難しいこともありますが、私が確実に言えることは、日本において人口減少と高齢化が同時進行する中で、この二つの連鎖によって生ずる弊害への対応が最大の課題であるということです。安倍首相も、我が国が直面する最大の課題は、国難とも呼ぶべき少子高齢化と明言しており、少子高齢化対策は待ったなしの状況にあります。さらに、2042年までの高齢者が増加する時代をどのように乗り切るかを抜きにして、日本の、そしてこの大分県の将来は語れないと考えています。 本県では、2015年10月に大分県人口ビジョンを策定していますが、この人口ビジョン策定後、我が国では人口減少をめぐって二つの衝撃的な数値が公表されています。その一つは、2015年の国勢調査で人口減少が初めて事実として確認されたことです。1920年の初回調査から約100年にして初めて日本の人口が減少に転じ、総人口は1億2,709万人となり、わずか5年間で香川県の人口に匹敵する約96万3千人が減ったことになります。もう一つは、翌年2016年の出生数が1899年の人口動態調査開始以来、初めて100万人の大台を割り込み、97万7千人にとどまったことです。さらに懸念すべきことは、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口で報告されているとおり、今後も出生者数減少の流れが止まりそうになく、このまま推移すれば2065年には約54万人、そして2115年には約31万人まで落ち込むと予想されていることです。 お手元にお配りしているのは、私の広報紙をコピーしたものです。「日本はこれからどうなっていくのか」と題して、令和初の新春を迎えるにあたり書き述べたものです。ジャーナリストで内閣官房の有識者会議の委員を務める河合雅司氏の著作である「未来の年表」から引用していますが、全くバラ色とは言えない厳しい未来が記されており、私も非常に同じ思いを感じています。 少し御紹介します。まず、左下のほうにある年表ですが、令和2年、今年ですが、女性の半数が50歳超え、出産できる女性が激減、少子化はさらなる少子化を呼ぶ、それから6年は全国民の3人に1人が65歳以上の超高齢化大国へ、令和15年、全国の住宅の3戸に1戸が空き家に、もう空き家対策の比ではありません。令和22年、自治体の半数が消滅、青森市や秋田市などの県庁所在地すらも消える可能性があります。令和24年、高齢者人口が約4千万人とピークを迎えるいわゆる2042年問題、日本最大のピンチと言われています。令和32年、世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる。以上のように、いずれも衝撃的なことばかりとなっており、最後の食糧問題もわずか30年先のことであって、遠い未来のことではありません。 次に、右下の「太陽が昇って沈むように」という部分です。少し長くなりますが、引用すると、わずか50年で日本の総人口は現在の70%の水準となり、100年後には40%まで落ち込む。しかも国民の半数近くが高齢者といういびつな社会が到来する。ここまですさまじいペースで人口が減っていくのでは、日本社会はあらゆる面で混乱に陥るだろう。なぜここまで事態が深刻化する前に誰も手を打たなかったのか、疑問に思う人も少なくないだろう。少子高齢化や人口減少というのは、太陽が昇っては沈んでいくのを観察するようなものなのだ。昨日と今日、今日と明日を比べてみたところで違いは分からない。だが、5年、10年といった単位で比べれば明らかに高齢者は増え、出生数は少なくなっている、人口も減っている、すなわち人々が日常生活の中ではなかなか実感が湧かない問題であることが対応が遅れる最大の原因なのだ。自分たちの将来にどう影響するのか実感できないから危機感が芽生えにくい、問題意識を持っても何をすればよいのか分からない。対策は政治任せとなる。その政治家さえ本気になっていない。総人口が大きく減り始めた今こそが日本の分岐点である。今努力を怠ったならば、本当に貧しい国へと逆戻りしていくだろう。自分たちの手で未来を変えていくしかないのである、というように非常に重要な問題提起がなされています。 県では、1年近くの時間をかけて長期総合計画の中間見直しを行ってきましたが、知事は、こうした現状をどのように認識し、そしてまた、さきほど述べたこの国難と言われる人口減少と超高齢化の進行により、間違いなく起こるであろう弊害にどのように立ち向かっていくつもりであるのか、考えをお聞きします。 次に、人口ビジョンです。 大分県人口ビジョンについては、平成27年9月に県議となって初めての質問の中で、抜本的な対策がなければ目標達成は大変難しいと指摘し、以後も取組に注視してきたところです。この人口ビジョンの目標値は、これからの大分県づくりの基礎となる大切な指標です。県の現行の人口ビジョンの目指すべき将来の方向では、自然増対策と社会増対策にこれまで以上に取り組むことにより、人口の減少カーブを緩やかにすることで2060年度までには人口は約96万人となり、2075年頃までには減少するものの、その後上昇に転じ、2100年には100万人近くまで回復するという長期目標を示しています。しかし、実際には5年目の数値が計画より1万人あまり少なくなっています。 私は、この人口ビジョンにおける合計特殊出生率の仮定値に問題があると考えています。ビジョンでは、2030年に2.0程度、2040年には2.3程度としていますが、実際には2017年には1.62、そして2018年には1.59となっており、ここに計画の無理があるのではないでしょうか。具体的な少子化対策についての提案は後の質問で行いますが、国を含めて抜本的な少子化対策に転じていかなければ、2100年には、社人研の推計に準拠した県独自推計どおり、県人口が現在の3分の1である約46万人になってしまうのではと危惧しています。社会増減についても、仕事をつくり仕事を呼ぶ施策や、地域を守り地域を活性化する施策を通じて2020年までに社会増減の均衡を図るという目標を掲げていましたが、現状を見るに達成困難ということで、2025年に先送りすることが示されました。 私は、県としてこの喫緊の課題に対応するため、専門家による人口減少対策会議なる検討組織を設置し、しっかりと議論を重ねる必要があると考えています。そこで伺います。こうしたことを踏まえ、人口ビジョンの実現に向けたこれまでの取組が功を奏さなかったのではないかと考えますが、今この現状をどのように認識しているのか、検討組織の設置も含めた知事の見解をお聞きします。また、人口ビジョンの見直しも行われているようですが、私は、社会増減の均衡を2025年に先送りしたとしても実現は難しいと考えています。このため、人口激減後を見据えた対応も必要ではないかと感じていますが、あわせてお答えください。 次に、SDGsについてです。 皆さん、最近SDGsという言葉を盛んに耳にするようになったのではないでしょうか。第22回別府アルゲリッチ音楽祭のテーマも「音楽とSDGs~未来と出会うために~」や、多くの議員が一般質問でも取り上げています。国連が2015年に持続可能な開発目標、SDGsを全会一致で採択して約5年がたとうとしている現在、日本国内でも達成に向けた活動が本格化しています。これがそのバッジです。 少し整理してみると、SDGsは、国連が2030年までの長期目標として、世界共通の課題である貧困をなくそう、飢餓をゼロに、そして全ての人に健康と福祉を、ジェンダー平等を実現しよう、住み続けられるまちづくりなど、これからの地球を守るために、そして誰ひとり取り残さないという理念の下に17の項目と169のターゲットを設定したもので、早急に取り組んでいかなければならない課題ばかりです。 国は、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略において、また、安倍首相もSDGsの推進本部会合において、SDGsを原動力とした地方創生の旗を引き続き高く掲げ、SDGsの活力を全国津々浦々に行き渡らせることが大切だと述べており、私は、国が新たな地方創生の軸をここに移していくのではないかと思っています。 今回の県長期総合計画の見直しの中では、SDGsに関する記述は、パブリックコメントなどを受け、一部修正が行われていますが、基本構想編の中と巻末近くの「計画推進のために」という項目にわずかにあるだけのようです。このような県の姿勢は、国の考えとの間に大きな温度差があるように感じられます。 私は、長期総合計画に基づく施策の中でSDGsの17の目標に取り組んでいることはよく理解していますし、国の方針に追従せよと言っているわけではありませんが、このSDGsの17の目標達成は、少しオーバーに言えば人類の最優先課題だと思っています。そして今大切なことは、県民に国連を中心に我が国もSDGsの取組を本格的に始めたことを十分に理解していただき、総力をあげて日常の中で自分のできることを確実に実行してもらうこと、それがこれからの地球を守るためにつながると考えます。そのためにも今回の長期総合計画の見直しでは、SDGsを地方創生の前面に打ち出し、県民にしっかりと周知すべきではないかと考えますが、本県では、SDGsをどのように位置付け、県民や企業に周知し協働して取り組んでいくのか、考えを伺います。 次は、少子高齢化対策についてです。 先日、OITAえんむす部 出会いサポートセンターに登録を勧めた方から、5月に結婚するとのうれしい知らせがありました。この取組に賛同し、多くの人にパンフレットを配ってきましたが、ようやく私としての第1号が誕生し、大変喜んでいます。このOITAえんむす部は登録数も1,300人を超え、成婚数も18組と成果を着実に上げています。ある調査でも、25から34歳の年代での独身の理由が、適当な相手にめぐり会わないと答えた人が約50%を超えており、こうしたことからもOITAえんむす部はすばらしい取組だと思っています。 しかし、未婚の理由は出会いの問題だけではありません。所得の問題、女性の高学歴化、社会進出、結婚観に対する変化など、あげればきりがないほど多岐多様にわたり、そしてその解決策は簡単ではありません。県は、これまでも子育て満足度日本一を掲げて、子育てしやすい環境づくりの推進、そして結婚、妊娠の希望がかない、子どもたちが健やかに生まれ育つ環境の整備などの取組を行っていますが、残念ながら少子化には歯止めがかかっていません。県内の婚姻状況を見ても、2018年には4,804組と前年度より218組も減少しており、これからもこの傾向は続くと見込まれます。 少子化対策にはいろんな課題があります。子育ては、両親や家族、地域で行うということはもちろんですが、女性が働きながら容易に子育てができる社会でなければ結婚に積極的になれなかったり、また、子どもを産むことにちゅうちょすることになり、少子化が進み、人口減少につながっていくと思われます。この問題に様々な面からのアプローチがありますが、今回は、女性が結婚し、子育てをしていくための環境の整備に特化して質問します。 少子化を克服した国として、フランスの例がよくあげられます。女性に対して、もし子どもを持つことで失われるものがあったら、それは全て政府が補填します。さらに、男性が途中でいなくなっても、仕事を失っても、あなたの子育ては大丈夫ですよ、という政府のメッセージを出しているそうです。子どもを持てる環境、その権利が守られ、容易に子どもを産み育てることができる社会の仕組みができています。 一方、日本では、2017年に育児・介護休業法が改正され、育児休業制度もある程度は充実しましたが、女性が働きながら容易に子育てができる環境にはまだまだ遠い気がします。この「容易に」という点が大変大事で、ほとんどの制度では「申出により」、「希望すれば」となっており、中小をはじめ多くの企業では容易に育児休業が取れない状況だと聞いています。県や市町村は、出会いの場や待機児童ゼロを目指す保育所の整備などで頑張っていますが、これだけでは女性が働きながら容易に子育てができる社会は実現できません。 私は、これは国策でしかできない問題だと考えており、ぜひ知事会などを通じて国に働きかけをお願いしたいところです。育児休業を完全有給とし、有給分を国が企業に補填することや、職場復帰を原則とすることなどの制度構築が必要であり、法律での義務付けという大胆な改革を行わなければ、さきほどの人口ビジョンにおける目標の達成など遠い夢のまた夢ではないでしょうか。人口が減少し始めた今こそ、国難である少子化対策に、特に女性に対する支援に国が本気で取り組まなければ、人口減少により日本が衰退していくことは目に見えています。そこで、少子化対策として、育児休業期間の金銭的支援や職場への復帰支援など、女性が結婚し子育てをしていくための環境整備について、知事の考えをお聞きします。 次に、地方財政計画についてです。 令和2年度の地方財政計画では、一般財源総額が昨年度を0.7兆円を上回る63.4兆円が確保されました。地方交付税も0.4兆円増の16.6兆円となっています。歳出には、防災・減災対策を推進するために、新たに緊急浚渫推進事業費と技術職員の充実等が計上されています。今回はこれに関連してお尋ねします。 まず、緊急浚渫推進事業費ですが、この事業の内容としては、河川維持管理計画に基づく河川、ダム、砂防、治山に係る浚渫とあります。近年の異常気象により大雨や土砂災害の危険性はますます高まっており、梅雨や台風の時期を見据え、早急な対応が必要となります。県内各地域から事業実施の要望があると考えられ、我が由布市でも長年にわたり危険だとして早期の対応を求めている箇所がたくさんありますが、なかなか進んでいないのが現状です。 さて、令和2年度の当初予算案には、緊急河床掘削事業として7億5千万円が計上されています。事業実施にあたっては、緊急度を的確に見定め、速やかに行うことが求められていますが、県民の命と暮らしを守るため、どのように危険性、緊急度の判断を行い、計画的な事業実施を行っていくのか、この新たに創設された緊急浚渫推進事業の活用も含め考えをお聞きします。 さらに、技術職員の充実等について、多発する自然災害への対応などで、小規模市町村の土木、建築、農業土木、林業などの技術者の不足が深刻化していることから、県の技術職員を増員することで市町村を支援するとしています。本県の現状を踏まえ、技術職員の充実等についてどのように取り組んでいくのか、考えをお聞きします。 次に、会計年度任用職員制度についてです。 本年4月から会計年度任用職員制度が施行され、新たに期末手当などが支給されることとなります。制度の導入にあたって全国の自治体は、行政サービスの提供や財政運営に大きな支障を及ぼすことのないように地方財政措置を求めてきましたが、今回の地方財政計画においては1,700億円程度が措置されることになりました。この措置により十分な財源が確保され、県や県内市町村財政に大きな負担が生じることにならないのか、そして何より制度の適正かつ継続的な運用が十分になされることとなるか、非常に気になるところです。そこで、会計年度任用職員制度の実施に伴う県財政への影響と、県内市町村への適正な制度運用の指導をどう行うかについてお尋ねします。 次に、平成の大合併についてです。 平成11年3月時点で全国に3,232あった市町村が31年1月現在では1,718市町村となり、約2分の1になりました。県内でも、この合併により40の町村が廃止され、12の合併市と6つの非合併市町村を合わせて18の市町村となっています。昨年の11月に日本弁護士連合会が、人口4千人未満の平成の大合併で合併しなかった自治体と合併した自治体を比較した調査結果を公表しました。この調査結果によると、非合併自治体のほうが人口減少率が低い、高齢化の進捗も抑えられている、財源の健全化も進んでいるなど元気であると、また、非合併の小規模自治体では公務員数が激減せず、農業など産業面でも個性を生かした地域づくりを展開しているとの分析もなされています。15年前、合併しなければ小さな自治体は立ち行かなくなるという県の強力な指導を受けながら当時合併担当として最前線で携わった者としては、大変ショックな調査結果でした。 一方、民間の調査によれば、合併した市町村では、93.5%が合併の選択肢がよかったとの回答結果や、歳出削減が進むなど財政が改善した等のメリットがあげられていますが、周辺部の衰退が加速した等のデメリットも多く報告されています。平成28年3月に「平成の大合併10年を迎えて」とする合併についての詳細な検証を行っていますが、その結果は、ほぼ全国的な調査結果と同じで、おおむね合併の効果があったとの報告となっています。 そこで、普通交付税の合併算定が終了年を迎えようとしており、市町村としては正念場を迎えた今、日弁連の調査結果も踏まえ、平成の大合併についてどのように総括しているのか、改めて知事の見解をお聞かせください。また、周辺部の衰退が加速した等の合併によるデメリットについては、これまでも県として解消に取り組んできたところですが、十分な効果が出ていないように感じています。このため引き続き県からの支援が必要と考えますが、今後の取組についてもお願いします。 次に、県民の安心・安全について。新型コロナウイルスによる感染症対策についてです。 連日の取組、大変お疲れさまです。新型コロナウイルスによる感染症については、我が国にとっては対岸の火事と思っていました。しかしながら、わずかの間に国内でも感染者が発生、増加し、さらには死者も出るなどといった状況が生じ、ついに県内においても感染が確認されました。政府は、特定の地域からの外国人の入国拒否を決めるなど、もはや世界規模で安心・安全を揺るがす事態となっており、多くの県民が不安を抱くこととなっています。本県においては、既に万全を期した体制がとられていることと思っていますが、改めて新型コロナウイルスによる感染症対策について、県民が安心できるよう福祉保健部長の答弁をお願いします。 次に、日本一安全な大分の実現についてです。 今年1月、石川前県警本部長の後を受けて竹迫宜哉本部長が着任されました。着任会見では、明るく風通しのよい職場をつくり、心身ともに健全な状態を保ってほしい、日本一安全な大分の実現に尽くそうと抱負を述べられていました。前任はラグビーワールドカップ2019の組織委員会警備局長とのことで、何度も大分を訪れたと伺っています。大変責任の重い本部長職ですが、事件や事故から県民を守るという強い決意を持っての着任に私どもは大いに期待しています。 さて、昨年の県内における刑法犯認知件数は、前年度より313件少ない3,018件と16年連続の減少となりました。交通事故では、死者数が41人、負傷者数は18.3%減少し3,765人となっています。高齢者を狙った特殊詐欺の被害も、件数、被害額ともに減少しましたが、総被害額は2億1,767万円に達しました。65歳以上の高齢者や一人暮らしの方が被害に遭うケースが多く、全体の約70.3%を架空請求被害が占めています。総体として事件や事故の件数は減少しており、これは県警の不断の努力に加え、県民や様々な団体、企業等の防犯への意識の高まりなど総合力の現れだと考えていますが、殺人事件の発生や特殊詐欺の巧妙化などもあいまって依然として防犯への取組が必要であると思います。 見直された長期総合計画の安心部門の安心・安全を実感できる暮らしの確立において、犯罪に強い地域社会の確立、人に優しい安全で安心な交通社会の実現についての記載があります。県民が安全・安心を実感し、日本一安全と思える大分の実現に向けて、県警としてどのように取り組んでいくこととしているのか、本県における刑法犯認知件数、それから交通事故件数、特殊詐欺被害件数の傾向を踏まえて本部長の考えをお聞かせください。 次に、駐在所・交番についてですが、私は、地域の安全を守るためには、駐在所・交番の果たす役割が大変大きいといつも感じています。県民に最も近い第一線で勤務し、昼夜を問わず熱心に働く警察官の姿は頼もしく、安心感を与えてくれており、組織として十分に評価をしてほしいといつも申し上げているところです。由布市挟間地区では、都市化が進む中で二つの駐在所が統合され、この4月から挾間交番となる準備が進められています。地域の皆さんからも好意的に受け止められており、このように駐在所・交番も時代の変化とともに変わらなければならないと考えています。そこで、地域の安心・安全確保の拠点と言える駐在所・交番についての位置付けや再編に関する基本的な考えについて、本部長の見解をお聞かせください。 次は、県農業で、もうかる農業による地域の活性化についてです。 新春に、新成人者を中心に、まちづくりグループや農家の方など100人に対し、大分県は農業県、それとも工業県とのアンケートを行いましたが、私の予想どおり、約8割の方から大分県は農業県との答えが返ってきました。私も県議になるまではよく理解していませんでしたが、現実は、生産額で見れば農業は九州で最下位である一方、工業は九州で第2位となっています。もちろん生産額だけではかれるものでないことは十分に理解していますが、本県は、以前、農工並進を県勢振興の基調としていた時期もあり、県民の思いとは違う結果となっています。 なぜこのようなアンケート結果になったのかを真剣に考えましたが、やはり本県は、一部を除きほとんどが農山漁村であり、現在は高齢化が進み農村での人口は減少していますが、美しい自然の中で農村を守りながら住み続けたいと思っている人が多いからだと思えてなりません。現実には、農業には希望が持てない、地方では働く場所がないなどの理由から、県外や県内でも大分市や中津市など都市部への一極集中が進み、地方は確実に疲弊しています。農村の持続可能性は厳しい状況にあるのです。このアンケートは、農業県であってほしいとの希望も多く含まれていると考えます。地方創生は地方を元気にすることであり、そのためには農村が元気になること、農業で生活できる環境が必要です。農村が元気にならなければ大分県は元気にならないと言っても過言ではありません。 元気のある地域づくりには、もうかる農業が必要であり、農業に携わる方が潤うことによってますます地域が活性化するという好循環をつくり出さなければなりません。私は、この好循環を実現することで農村が持続し、これから将来も農業県として胸を張っていけると考えますが、知事の考えをお聞きします。 次に、日米貿易協定に係る畜産業への影響についてです。 本年1月1日、日米貿易協定が発効しました。今回の協定では、工業関係で日本が攻めの分野と位置付けていた自動車輸出の関税2.5%の撤廃は合意に達せず継続協議となりましたが、懸念されていた日本車に対する追加関税の発動は回避されました。一方、農林水産業に関しては、日本側の関税について、TPPの範囲内とすることができ、また、我が国の国民の主食である米についても関税削減、撤廃等から除外されました。しかし、米国産牛肉や豚肉、チーズやワインなどの関税については、1月1日からの発効と同時にTPPの水準まで引き下げることとなりました。 今回の協定で特に心配されるのは、畜産分野です。例えば牛肉には、これまでの38.5%の関税が、協定の発効と同時に一気に26.6%まで下がりました。今後、段階的に下がり、2033年には9%となります。豚肉も、例えば高価格品の関税が現在の4.3%から最終的にはゼロになるなど、今後、生産者は厳しい競争に直面するのではないかと懸念されています。 県は、本年1月27日に日米貿易協定に係る農業の生産減少額を発表しました。これによると、農業生産額は最大で12億9千万円減少するとされており、この試算においても影響が大きいとされているのは牛肉と豚肉でした。これまでTPP11や日本とEUとのEPAが発効しており、これに今回の協定が上乗せされ、畜産業者は将来に不安を持っています。私の地元由布市でも、県の肉用牛繁殖経営体確保・働き方改革推進事業を活用して、50頭規模の経営を目指して牛舎、堆肥舎の建築に取り組んでいますが、今回の関税引下げによる飼料価格の下落などにより、当初予定した経営計画の見直しも必要になってくるのではないかと心配しています。 知事は、農産物の影響は最小限に抑えられるよう、引き続き生産性の向上や高付加価値等の取組への支援を行うとしていますが、今回の日米貿易協定の発効を受けて、今後の畜産業への影響をどのように考え、県内の畜産農家に対してどのような支援策を講じ、県全体の畜産振興を図っていくつもりなのか、農林水産部長の見解を伺います。 次に、STEAM教育です。 今回の県長期総合計画の見直しで、子どもの力と意欲を伸ばす学校教育の推進の取組の中に、新たに、学びのSTEAM化を踏まえた教科横断的な指導の充実が加えられています。STEAM教育については、昨年の森誠一議員の一般質問にありましたが、従来からあったSTEM教育であるサイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マスマティックスに、新たにアートを加えて提唱された教育手法です。少し詳しい説明では、生徒児童の数学的、科学的な基礎を育成しながら、批判的に考え、技術や工学を応用して、想像的、創造的なアプローチで現実社会に存在する問題に取り組むよう指導する。アートを融合させることにより、デザインの原則を活用したり、創造的な問題解決を奨励すると、大変難しい説明になっています。 このような教育手法が出てきた背景には、Society5.0に向けた人材育成には、高等学校時代に思考の基礎となるSTEAM教育を全ての生徒に学ばせる必要があるとの国の方針があります。Society2.0の農耕社会、3.0の工業社会、そしてSociety4.0の情報社会から、さらに、ビッグデータやAI、人工知能を駆使したSociety5.0という新たな社会を目の前にして、社会が変わる、学びが変わる中のSTEAM教育の必要性はよく理解できます。そうした中、来年度の令和挑戦枠予算においてもSTEAM教育推進事業が含まれており、県の本気度も示されています。 そこで質問ですが、来年度、大分県立情報科学高等学校において初のSTEAM教育の実証実験が行われると聞いています。学校内の体制、企業との関係、また、専門スタッフなど多くの課題があると考えられますが、どのように取り組んでいくのでしょうか。また、今後は、このSTEAM教育が県内の全ての高校に取り入れられると考えますが、本県における課題や対応対策について、教育長の考えをお聞きします。 次は、気候変動対策についてです。 昨年12月に、スペインの首都マドリードで気候変動対策の国際会議であるCOP25が開催されました。その席で小泉環境大臣のスピーチが批判され、さらに、環境NGOから、その日に最も後ろ向きの発言をした国に贈られる化石賞を贈られました。日本は初日に続く2度目の受賞だそうで、環境後進国との批判を受けました。私は、この記事を読んで、えっ、日本が環境後進国と思わず驚きの声を上げました。日本は、京都で開かれたCOP3で議長国として温室効果ガスの排出削減の目標を設定し、先進国に対して法的拘束力を持つ京都議定書をまとめるなど、温室効果ガスの排出削減対策については世界の優等生だと思っていました。 化石賞をもらった理由の一つは、二酸化炭素の排出が特に多く、温暖化を悪化させる石炭火力発電の利用を続ける政府方針を改めて示したことであるとの報道がありました。世界が地球温暖化等の気候変動対応に懸命に取り組む中で、なぜ日本は世界の時流に背を向けるのか、不思議でなりません。石炭火力発電にしても、確かにそれぞれの言い分はあります。様々な議論も行われたようですが、スウェーデンの17歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんのスピーチ、温暖化で地球上で大量絶滅が始まっている中で、「あなたたちが話すことはお金や、そしていつまでも経済発展が続くというおとぎ話ばかり」との言葉が心に強く残っています。既に2015年のCOP21ではパリ協定を採択され、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としています。また、我が国も1998年に地球温暖化対策の推進に関する法律を制定し、2016年の地球温暖化対策計画により2030年までの中期目標の達成に向けて本格的に取り組むとしてきました。 台風の巨大化、集中豪雨、干ばつ、そして酷暑、さらに、農作物の収量低下など、気候変動は決して一過性のものでなく、このままいけばさらに深刻になってきますが、残念なことに、多くの日本人はこの問題に対する責任を皮膚感覚で感じていないと言われています。長野県では、昨年12月、気候変動は地球上の人間社会の存続を脅かしており、この非常事態を座視すれば、未来を担う世代に持続可能な社会を引き継ぐことができないとする強い危機感を持ち、気候非常事態宣言を行うに至っています。 県内でも、大学生を中心に気候変動に対する動きが活発化していると聞いています。我が国の地球温暖化等の気候変動対策が世界から批判されていることについて、知事はどのように受け止め、本県としてどのような対策を取るつもりなのでしょうか。また、気候変動対策は、世界的な動向や待ったなしの現実を県民が自分たちの問題として理解することから始まると思います。本県も長野県のように気候変動対策に取り組む強い意思を県民に示す必要があると考えますが、あわせて見解をお聞かせください。 次に、観光振興についてです。 観光道路の整備について。観光振興を図るには、多くの人を引きつける地域の魅力ある資源の発掘や磨き上げが必要となるということは言うまでもありませんが、今回は少し視点を変えて、地域観光の基盤となる道路について取り上げたいと思います。 まず、私が県議になって驚いたことの一つは、観光振興に関する予算の中に道路に関する予算がないことでした。おんせん県おおいたのキャッチフレーズの下、観光振興に力を注いでいますが、この観光に関する道路の整備については通常の道路整備の中で行われているようです。 少し過去を調べてみると、1995年頃までは市町村観光道路緊急整備促進事業という名称で、市町村が行う観光振興を図る上で支障となっている市町村道の拡幅などに要する費用に県が補助し、観光道路の整備を県内各地で行っていました。また、県道についても、県内の観光地を結ぶ周遊観光コースを設定し、重点的に整備していたようです。観光道路の明確な定義はないようですが、現在は、国土強靱化、物流改善、それから生活道路の走行性向上、交通安全対策に加え、観光地などへのアクセス改善が見込めるとして、私の地元、由布市の観光名所である男池湧水群にアクセスする県道田野庄内線など、県内各地で観光振興と関連付けて道路事業が実施されていると聞いています。 大型バスによる観光に加え、最近はレンタカーを利用して各地の観光施設を周遊する方も増えています。このような方々の利便性の向上も本県の魅力アップになると考えます。他県との観光連携を図るにしても、観光道路の充実は欠かせません。今こそ観光に資する道路づくりに積極的に取り組み、県の発展につなげる必要があるのではないでしょうか。また、観光振興につながる市町村道の整備に対する支援もまだまだ必要ではないでしょうか。観光道路の整備について、市町村道整備への支援も含めて県のお考えをお聞きします。 次に、由布市TICとツーリズムおおいたとの連携強化についてです。 昨年のラグビーワールドカップでは、期間中、予想を上回る多くの外国人旅行者、特に欧米、大洋州からの旅行者に由布市を訪れていただき、決勝トーナメント開催日の前後の期間などは由布院駅前が外国からの旅行者で大変にぎわいました。由布市の皆さんから、知事をはじめ、試合の誘致に御尽力をいただいた皆さんにお礼の気持ちを伝えてほしいとのお願いをされております。本当にありがとうございました。 さて、昨年10月に、これまで環境大臣から国民温泉保養地として指定されていた由布院温泉、湯平温泉は、新たに、塚原温泉、庄内温泉、挾間温泉を加え湯布院温泉郷として拡充指定されました。由布市観光にとっては、由布市TIC建設に次ぐ快挙で、知事の御支援の賜物だと感謝を申し上げます。ありがとうございます。 この拡充指定により、ますます由布市観光体制を充実し、あわせて由布市TICが県観光の中心的役割を担わなければならないと関係者一同、気持ちを新たにしているところです。今回のラグビーワールドカップでは、欧米人に多いと言われる、詳しい現地情報は現地のインフォメーションセンターで入手するという行動からでしょうか、多くの外国人旅行者が由布市TICを訪れており、インフォメーションセンターの役割の大きさを改めて痛感しました。旅行者が求める観光情報は様々で多岐にわたり、対応に多くの時間や柔軟さが必要となりますが、そこには、これからの観光に求められるものは何か、新たにどのような観光資源が必要とされるのかなどを推し量ることができる貴重な情報が含まれています。 現在、県の観光宣伝や誘客の企画、マーケティングはツーリズムおおいたが中心となって行っていますが、観光客が望んでいる新たな観光ルートの設定や観光資源の掘り起こしには由布市TICの情報収集力が不可欠です。2017年には約48万人の外国人観光客に由布市を訪れていただきました。さらに、本県におけるラグビーワールドカップの開催では、かつてないほど海外からの観光客が訪れたことにより、由布市TICは多くの情報を得ることができました。今後は、これを有効に活用し、県全体の観光振興につなげていくことが必要であり、これまで以上に由布市TICとツーリズムおおいたとの連携強化が求められますが、県の考えをお聞かせください。 これで質問を終わりますが、広瀬県政に関する感想を少しお話ししたいと思います。 私も県議として2期目を迎えていますが、この5年間、広瀬知事の県政に対する姿勢から多くのことを学ばせていただいています。一つは、地域の声をしっかりと聞き、しっかりと県政に反映するという姿勢です。長年続けられている県政ふれあいトークでは、お忙しい中、私の地元である由布市にも何度も訪れていただきました。正に継続は力なりです。私自身も、地域住民の声に耳を澄ます姿勢を常に心がけています。 また、行政改革にしても徹底して臨んでおり、めりはりのある財政運営をしておられます。ただ単に削減、縮小するだけでなく、しっかりとした目で取捨選択し、必要な施策には十分な投資を行っています。今年度も県土の強靱化による安全・安心の確保にも国土強靱化の予算を積極的に活用し、しっかり取り組んでいただいております。 そして私が一番すばらしいと思っているのは、やる気を持っている地域の活性化に取り組む方々を支援する姿勢です。行政の旗振りだけでは何事もうまくいくとは限りません。ここに地方創生に対する秘策があるかと考えています。 時間の関係でこれぐらいにとどめますが、知事、決してよいしょをしているわけではありません。すごく真面目な感想です。知事よりの明快な御回答をお願いし、私の質問を終わります。大変長い時間、御清聴本当にありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 ただいまの二ノ宮健治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま二ノ宮健治議員から県民クラブを代表して種々御質問をいただきました。最後に身に余るお褒めの言葉をいただき、それにふさわしい答弁ができるかどうか、非常に心配になってきたところですけれども、一生懸命答えたいと思います。 はじめに、人口減少と超高齢化への対応ということでした。 急激な少子高齢化、人口減少は、日本の社会や経済、福祉を急速に縮小させるだけではなくて、国際社会での日本の存在感を大きく減退させます。我々の思い描いてきた日本が大きく変わっていくことになってしまいます。さらに、地方においては、社会サービスや地域コミュニティの維持が難しくなるため、人口減少に何とか歯止めをかけ、持続可能な地域を目指すことが重要です。議員からは将来への様々な御懸念をいただいたところですけれども、そうなってはいけないので、今、正に国、地方をあげて地方創生に取り組んでいるところです。 県では、保育料や子ども医療費など経済的支援の充実や、男性の育児参画など子育て環境の充実を図るとともに、不妊治療費助成の拡大、結婚を応援する取組などを強化しています。自然増に加えて、東京、大阪、福岡、さらには海外からも人を呼び込む移住の促進では、移住相談会をはじめ、福岡市にオープンする拠点施設「dot.」を活用して若者や女性の移住促進を強化します。その受皿となる仕事づくりも大事です。農林水産業では、さらなる構造改革を進めて、もうかる農林水産業を実現します。商工業では、円滑な事業承継のほか、創業、起業支援や企業誘致を進めて魅力ある仕事の場を創出していきたいと思っています。AIやロボットなどの先端技術の活用もこれから不可欠になっていくと思います。生産性向上のためのイノベーションを進めていきたいと思います。これにより、女性や高齢者などの活躍の場も増やしていくことになると思います。 世界に目を向けると、人口増加や経済成長によって市場規模は拡大しています。県では、ビジネスの海外展開やインバウンドの多角化により、この海外の活力を県の経済に取り込んでいきたいと思っています。また、住み慣れた地域に住み続けたいという多くの住民がいることは、私たちにとって大変ありがたいことです。その思いをかなえるために、ネットワークコミュニティの推進や、共に支え合う地域共生社会の実現を図っていきたいと思います。このような思いを込めて、安心・活力・発展プラン2015を改定したところでして、今後この取組を着実に進めていきたいと考えています。 次に、人口ビジョンについて御質問をいただきました。 第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定にあわせて人口ビジョンも見直しますが、このビジョンの達成もなかなか容易ではありません。一つは、議員御心配のとおり、合計特殊出生率のところです。ビジョンでは、2025年に1.83を目標としています。これは直近の1.59から見ると0.24ポイントの乖離がありますが、過去最低だった平成17年の1.40から28年、1.65まで0.25ポイント回復した実績もあります。県民の平均理想子ども数は、今おかげさまで2.88人となっていますので、結婚、出産の希望をかなえて、また、子育てができる環境を整えていけば実現できる数字ではないかと思っています。 一方、これだけでは出生数の減少は止まりません。これは若い世代の減少に伴う婚姻数の減少に加えて、未婚、晩婚化などが影響しています。このため、子育て満足度日本一に向けて、出会いサポートセンターの取組や育児にかかる経済的負担の軽減など、出会いから出産、育児まで切れ目のない支援をしっかり進めていきたいと思います。教育費について相当思い切った支援をすることになっていますけれども、そういうものも子育て環境にとっては大変いい方向に動くだろうと期待しています。 二つは、社会増減均衡、これも容易でない問題です。ここをしっかりと取り組まなければ、合計特殊出生率が向上しても出生数が減少するということはさきほど申し上げたとおりです。このため移住定住の促進や魅力的な仕事づくりに力を入れたいと思います。特に若い女性の転出超過が大きい福岡対策として、「dot.」をフル活用して若者や女性の移住促進策を強化したいと思います。 今急速に進む人口減少に対して、正面から向き合い、自然増、社会増対策の両面で、全力で対策を講じていきたいと思います。 また、専門家による人口減少対策の検討組織の設置について御提案いただきました。県では、既に設置している子ども・子育て応援県民会議や各種研究会等において、多くの専門家から様々御意見をいただいています。 また、私は、地方最大のテーマであるこの問題について、現場を隅々まで熟知して頭を悩ませ苦心しておられるのは市町村長だと思っています。県では、既にこの市町村長をメンバーとするまち・ひと・しごと創生本部会議を設置して、知恵を出し合い、努力し合っているところでして、引き続きこの体制で臨んでいきたいと考えています。 もう一つ、人口減少を見据えた対応も考えておく必要があるんではないかという御指摘でした。これも御指摘のとおりでして、国では、例えば税収について、できるだけ広く浅く負担してもらおうということで、消費税の導入等をやっています。また、社会保障の負担についても、できるだけ幅広い世代の負担をお願いしようという負担の見直しといったこともやっているところです。また、地方においても、市町村の合併等によって効率的で、しかも住民の多様なニーズに応え得るような体制をつくっていく努力もしていただいているところです。 また、子育て支援あるいは労働力不足対策もやっているところです。さきほど申し上げましたけれども、教育費の拡大によって子育てしやすい環境をつくっていこう、あるいはまた、どうしても足りなくなるであろう労働力について、これまではどちらかというとタブーであった外国人労働力の導入についても既に道が開かれていると考えているところです。こんな形で、人口減は当面は避けられないだろうということで対策も講じているところですが、しかし、どちらかというと、やっぱり人口が減らない、何とか回復できるような地方創生のほうに重点を置いて私どもとしては対策を進めていきたいと思っています。 次に、少子化対策についても御質問いただきました。 女性が希望する時期に結婚し、出産後も仕事をしながら安心して子育てすることができる環境の整備は、少子化対策にとって大変重要な課題です。子育て世帯を対象に実施している県民意識調査では、理想の子どもの数の実現を阻む要因として、子育てに係る経済的負担や、仕事との両立が難しいといった点が常に上位にあがっています。 このため県では、昨年6月、国に対して、育児休業給付金の大幅拡充と育児休業や、育児短時間勤務を取得しやすい環境づくりについて要望したところです。その後、国においても検討は始まっていると伺っています。しかし、県としては、そうした環境をいち早く実現するために、昨年10月から、育児短時間勤務から続けて次の子どもの育休を取得した従業員への応援給付金や、あるいは育児短時間勤務を取得させた中小企業への奨励金の支給を独自に始めたところです。 あわせて、仕事と家庭の両立がしやすい職場環境づくりに取り組むしごと子育てサポート企業の拡大を図るほか、働く場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が可能なテレワークを推進しているところです。 また、夫の家事・育児時間が多いほど、第2子、第3子が生まれる割合が高くなるという国の調査結果もあります。核家族化や地域との関わりの希薄化によって頼る人もない中で、ワンオペ育児や仕事と子育ての両立に悩み、ストレスを抱える母親が増えていることもあり、男性の育児参画の推進は急務となっています。そこで、妊娠期から父親としての心構えを学ぶプレパパ講座を開催するほか、来年度は地域子育て支援拠点を中心に、父親の子育てに関する悩みや楽しさを共有できるコミュニティづくりを支援し、男性の子育てに対する意識改革を図っていきたいと思います。 こうした取組によって、女性も男性も安心して働きながら子育てができる環境づくりを進めて、少子化の流れに歯止めをかけていきたいと思います。 次に、平成の大合併について御心配いただきました。 平成の大合併は、少子高齢化や人口減少など厳しい環境が予想される中で、住民に引き続き、きめ細かな行政サービスを提供するために避けて通れない課題として取り組んだものです。苦渋の判断で合併を選ばれたところもあったと思いますが、皆さんが地域の将来を真剣に考えた末の前向きな決断であったと認識しているところです。 御指摘の日弁連の調査ですが、これは合併前の3,232市町村の中から人口4千人未満の旧町村47組のみを抽出調査した限定的なものであり、これで市町村合併を評価するには少し無理があると思います。 本県では、全市町村を対象としてこれまで計6回の検証、調査を行ってきましたが、そこで明らかになった合併の成果としては、行政体制の効率化や財政基盤の強化があげられています。行政面では、合併で職員数が減少した一方、子育て支援や、防災、危機管理の担当課など専門組織の新設が進んだというコメントもあります。 財政面では、合併前に比べて基金残高が114.2%と倍以上となり、地方債残高が17.2%減少するなど、財政基盤の強化が高まりました。また、御指摘のとおり、普通交付税の合併算定が終了しますが、影響を緩和するよう国に見直しを要望し、当初予定されていた縮減額の7割程度が復元されています。 他方、合併で旧町村部が疲弊するのではないかといった懸念もあったところです。このため、振興局職員が現場に足を運び、課題とニーズを把握して、年間300億円の予算の優先配分などを通じて、いわゆる周辺部にあたる地域の活性化や集落機能の維持を支援してきました。しかしながら、我が国では2040年頃にかけて人口減少が加速し、高齢者数がピークを迎えます。人口減少に歯止めをかけるため、地方創生に一層努力しなければならないと思っています。 そこで、来年度から第2期まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略の取組を開始するにあたって、振興局の地域振興部を地域創生部と改めて、市町村総合戦略の推進に係る支援組織として位置付けました。地方創生は長い道のりですが、県と市町村が一体となって、地方創生の取組を加速、前進させていきたいと思います。 次に、もうかる農業による地域の活性化について御質問いただきました。 本県農業の算出額は、かつては現在より約600億円多い1,850億円に達していた時期もありました。このような実績を考えてみれば、大分県では平坦地から中山間地までそれぞれの地域で農業・農村基盤を有効活用して、マーケットインのものづくりを徹底することで、将来に希望を持てる農業を実現することは十分に可能だと考えているところです。実績がいろいろ教えてくれているんじゃないかと思います。 そのため、収益性の高い園芸品目の生産拡大を急ぎます。水稲から露地野菜へ転換する農家には、種苗費などを助成するほか、気象状況等による転換初期のリスクを軽減するため、次期作付費用を保障する制度を新設します。 加えて、もうかる農業に果敢に挑戦しながら地域を支えていく担い手を確保、育成することは大変重要です。就農学校や県独自の給付金等が功を奏したものかと思いますが、平成30年度に過去最多となった248人の新規就農者は、現在、県下各地で生産活動を展開しています。このうち半数を35歳未満の若手生産者が占めており、この流れをさらに加速するため、就農初期の収入補填制度を創設するなど支援を拡充していきたいと思います。 また、条件が不利な中山間地域などでも、地域の特色や実績に応じた創意工夫で、経済の好循環をつくり出しています。豊後高田市の「農事組合法人グリーンファーム畑」では、地元の農地35ヘクタールをフル活用して多種多様な園芸品目や原木シイタケ栽培、そば餅や乾燥野菜等の製造・販売など経営の多角化を進めて、8人の雇用を創出しています。道の駅なかつの直売所オアシス春夏秋冬(ひととせ)では、市内の山間部までトラックを巡回させて、農家から野菜などを直接集荷し、品ぞろえも豊富にすることで年間10億円を売り上げています。 元気で豊かな農山村づくりに向けて、こうした優良事例が各地で育つように、生産品目の拡大などに必要な機械導入や外部の専門家を活用した商品開発など、きめ細かに支援しています。 農業は、仕事をつくり仕事を呼ぶ地方創生に欠かせない産業です。これまで同様、算出額に直売所の売上げ等を加えた創出額を目標に掲げて、しっかりと構造改革を進めていきたいと思っています。 次に、気候変動対策について御質問を賜りました。 人類の生存を脅かす気候変動の対応は、我々にとって喫緊の課題であることは言うまでもありません。国は、脱炭素社会を目指して、本年1月に我が国が強みを有するエネルギー環境分野において革新的な技術を創出し、世界に広げる革新的環境イノベーション戦略を策定しました。また、経団連は「Society5.0 for SDGs」というコンセプトの下、「チャレンジ・ゼロ」を打ち出して、民間企業の脱炭素社会に向けた取組を積極的に後押ししています。 一方、気候変動の原因であるCO2は、私たちの生活や事業活動から排出され、その削減のために、一人一人が自分のこととして意識や行動を変えていくことも大事です。昨年開催したうつくし作戦県民会議でも、「今の異常さを県民に知らせる必要がある」とか、「温暖化対策になる消費行動を一人一人にとってもらうべきだ」といった声をいただいたところです。そこで、今回改定する環境基本計画では、地球温暖化対策として、脱炭素社会を目指すという方向性を明らかにするとともに、具体的に取り組むべき施策を示しています。 一つは、意識改革の促進です。河川の氾濫、農作物の高温障害など身近に起きている気候変動の影響を示すテキストやDVDを作成、活用して、各地で温暖化防止の啓発を行っている地球温暖化防止活動推進員や、地域協議会とも連携して県民の意識啓発を進めていきたいと思います。 二つは、意識啓発だけではなくて、具体的な行動を促すことです。昨年ラグビーワールドカップ大分開催でのことですが、ラグビーワールドカップによって余計に排出されるCO2を県民の省エネ行動で削減しようということで、CO2オフセットトライ事業を行いました。具体的には、エアコンの温度設定や照明の間引き消灯など、分かりやすい省エネ行動を示すことで、多くの県民、事業者に参加していただき、目標を上回るCO2を削減することができました。今後とも、大規模イベントなどの機会を捉えて身近な行動を促して、省エネ型ライフスタイルへの転換を図りたいと思っています。 三つ目は、CO2を吸収する対策です。森林による吸収機能等を高めるため、間伐や再造林などの森林整備を適切に実施するとともに、地域材の利用拡大を推進していきたいと思います。 脱炭素社会の実現を目指す上でも、県民総参加の下、積極的にうつくし作戦を展開していきたいと思います。 私からは以上ですが、その他の御質問については、担当部長から答弁させます。 ○麻生栄作議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 SDGsについてお答えします。 これまでも県は、優れた天然自然を守り、次の世代に引き継ぎ、持続可能な社会を目指す取組を行っており、SDGsの視点は既に日々の事業執行の中に取り込まれていると思います。 SDGsの実現に向けた取組は、これまでの県の取組と軌を一にすることから、今回の長期総合計画の見直しでは、こういった考え方を改めて示すとともに、計画に掲げる各政策とSDGsの17の目標を分かりやすく整理したところであり、今後、長期総合計画を広く周知することとしているので、それにあわせてSDGsの考え方についても県内各地で市町村や関係機関、県民に対する説明会を行い、周知を図っていきます。また、今年度実施したNPO県民フォーラムのような取組も継続していきます。 引き続き政策県庁を実践する中で、こうしたSDGsの視点を常に意識しながら、政策・施策の立案、事業の執行を進めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 私からは2点、まず、緊急浚渫推進事業費についてお答えします。 近年、大規模な浸水被害が毎年のように発生しており、河川改修とあわせて短期間で河川の流下能力を改善する河床掘削の必要性が増しています。そこで、河床掘削に重点的に取り組むため、平成20年度に緊急河床掘削事業を創設しました。当初、年間20か所で河床掘削を実施していましたが、平成24年や29年の九州北部豪雨などの大規模な浸水被害を契機に、その都度予算を増額してきました。 これに加えて、平成30年度からは国の3か年緊急対策を、また令和元年度からは緊急自然災害防止対策事業も活用して、予算をさらに増額し、年間120か所を超える箇所で河床掘削を実施しているところです。実施箇所は、堆積状況と背後地の資産状況に加え、過去の浸水実績や被害状況などを総合的に判断し、選定しており、5か年ごとの計画を作成し、実施しています。 なお、予算の増額で、計画は大幅に前倒しとなっています。さらに創設される緊急浚渫推進事業も活用して、小規模河川の河床掘削にもきめ細かく対応していきたいと考えています。引き続き頻発化、激甚化する豪雨に備えて、事前防災や再度災害防止に努めていきます。 次に、観光道路の整備についてお答えします。 県では、元気で魅力あふれる大分県づくりを目指して、日本一のおんせん県おおいたツーリズム戦略を策定し、地域振興と観光振興を一体的に進めています。また、道路整備の長期的な方針を示す「おおいたの道構想2015」においても、主要施策の一つとしてツーリズム支援を掲げ、観光地を結ぶ道路の整備やインバウンドに対応する案内標識の更新などに取り組んでいるところです。 多くの観光資源を有する本県では、主要な観光地を結ぶ広域的な道路ネットワークの充実はもちろんのこと、これらに接続する市町村道も重要な役割を担うと認識しています。 このため、市町村には予算要望や計画協議の場など、あらゆる機会を通じて国の補助制度の活用や道路計画策定に関する指導、助言を行っています。 今後も市町村と積極的に連携し、県道の発展を支え、観光振興にもつながる道路整備を進めていきます。 ○麻生栄作議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 まず、技術職員の充実等についてお答えします。 県では、これまでも市町村の災害復旧に係る査定設計書の審査など、市町村の技術職員の支援を行ってきましたが、市町村の技術職員不足は深刻化しており、知事と市町村長との意見交換においても、人的、技術的支援体制の整備の要望をいただいているところです。 一方、県における技術職員確保も課題となっており、例えば総合土木職では、採用予定者数を確保できない状況が続いています。こうした中、来年度の地方財政対策において、県が技術職員の増員を図り、技術職員が不足する市町村の支援を行うとともに、大規模災害時の派遣要員を確保する場合には、増員された職員人件費に対して、普通交付税措置が講じられることとなりました。この新しい仕組みの活用も含めて、技術職員の確保に取り組んでいきます。 あわせて、来年度の総合土木職の採用試験では、教養試験をSPI試験に変えるとともに、実施時期を従来の6月から5月に前倒すなど、民間企業志望者も受験しやすい環境となることとしています。 今後とも様々な手段を講じることによって、技術職員の人材確保に努めるとともに、市町村に対する技術支援の充実を図っていきます。 次に、会計年度任用職員制度についてお答えします。 制度の導入にあたっては、その財源確保が大きな課題であったことから、これまで九州地方知事会や全国知事会として、地方財政計画に必要な経費を計上するよう求めてきたところですが、今回、1,700億円が措置されたことは、制度の安定的な運用に向けて評価できると考えています。 また、このように地方財政計画に必要な経費が計上されたことから、県財政に大きな影響を与えることはなくなったと考えていますが、今後とも制度の継続的な運用に向けて、必要な予算の確保に努めていきます。 次に、市町村の制度運用については、これまでも市町村長訪問や副市町村長会議等の場において、県の状況に関する情報提供や助言を行っています。また、市町村からも財政負担を心配する声がありましたが、今回財政措置がされたことを踏まえて、市町村においても制度が適正に運用されるよう求めていきます。制度の施行後も各市町村の運用状況や課題等を把握した上で、単に財政上の制約を理由として勤務労働条件の切下げや職員削減が行われないよう、それぞれの実情に応じた助言を行ってまいります。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 新型コロナウイルスによる感染症対策についてお答えします。 県では、1月21日に24時間対応の専用相談窓口を設置するとともに、検査体制や医療体制を整え、県内での発生に備え、万全の準備をしてきました。PCR検査については、県衛生環境研究センターで速やかに行っており、今後の検査増加に備え、職員の応援体制も整えています。 医療体制についても、15か所の帰国者・接触者外来を設置し、8つの感染症指定医療機関で患者を受け入れる体制を整えています。また、2月25日の県の対策本部会議では、不特定多数の参加が見込まれる県主催の屋内行事を、当分の間、延期又は中止することなどを決定し、さらに27日には県立学校を3月2日から当分の間、休校にすることなどの方針を迅速に決定してきました。 こうした中、3月3日、県内でも初めての感染者が確認されました。現在、感染された方が利用していたスポーツクラブにおける濃厚接触者は全て陰性であることや、感染された方の同居者の陰性も確認し、また他の濃厚接触者には自宅で過ごしていただき、毎日身体状況を確認しながら、必要な疫学調査や検査を急ぎ、実施中です。 あわせて、県民の安心につながるよう、正確かつ迅速な情報の提供にも努めていきます。今後とも早め早めの対応に万全を期し、感染の蔓延防止に全力で取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 竹迫警察本部長。 ◎竹迫宣哉警察本部長 まず、日本一安全な大分の実現についてお答えします。 現在の治安情勢ですが、御指摘いただいたとおり、刑法犯認知件数は平成16年以降減少、特殊詐欺についてはここ数年、被害件数、被害額ともに減少傾向にあります。 しかしながら、県民を不安に陥れる殺人などの凶悪犯罪も残念ながら発生しているほか、特殊詐欺は全ての世代で被害が続発しているなど、依然として厳しい情勢にあると認識しています。 そこで、従来から強化している地域の犯罪、犯罪情勢に適応した犯罪抑止、検挙対策に加えて、大分県安心・安全まちづくり条例に基づき、子どもたちの安全確保等に向けた諸対策を推進するとともに、本年4月施行予定の大分県特殊詐欺等被害防止条例による特殊詐欺等被害防止対策に取り組んでいきます。 交通事故についても、御指摘をいただいた死者数、発生件数ともに減少傾向にありますが、高齢化の進展に伴い、高齢者が当事者となる死亡事故が多発しているので、一定期間に複数回交通事故を起こした高齢運転者への個別指導や、歩行シミュレーターを活用した体験講習を実施するなど、高齢者に対して、運転者、そして歩行者としての両面からの交通事故防止対策を行うとともに、県民一人一人の交通安全意識を高揚させるための方策を推進していきます。 県警察では、引き続き、日本一安全な大分の実現に向けて、県、県民、事業所と一体となった取組を強化していきます。 続いて、駐在所、交番についてお答えします。 交番、駐在所は昼夜を分かたず常に警戒態勢を保ち、様々な警察事象に即応する活動を行っています。このような活動を通じて、御指摘いただいたとおり、地域住民の安全と安心のよりどころとなっており、県民の身近な不安を解消する機能を果たしているものと認識しています。 御指摘をいただいた挾間交番の新設については、平成22年に作成し、同27年に見直しを行った警察署等の配置見直し計画を基に進めており、これによると、現時点で挾間交番新設後の具体的な交番、駐在所の再編は予定していません。しかしながら、県警察における組織の体制、運営の在り方に関しては、日々変化する社会情勢や治安上の課題等を踏まえながら、今後も必要に応じて検討していくこととしています。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 日米貿易協定に係る畜産業への影響についてお答えします。 高品質な和牛や銘柄豚など高価格の畜産物は安価な輸入品とは競合しないと考えられますが、乳用種など低価格帯の畜産物は競合が見込まれ、また国産品価格が全体的に押し下げられる影響が懸念されます。しかし、急激な輸入増加を抑えるため、牛肉で令和15年、豚肉で令和9年までの段階的な関税の引下げやセーフガード措置が設けられており、その間に影響を最小限に抑えられるよう対策を講じます。 一つは、生産基盤の強化です。畜産クラスター事業などにより、規模拡大に向けた施設整備を支援していきます。また、乳用種など低価格帯の肉用牛から和牛への生産転換を促していきます。 次に、二つ目として、品質、収益性の向上です。枝肉重量520キロ、歩留まり95%、上物率90%を目指した繁殖肥育技術の指導体制を強化するほか、夏場の暑熱対策、あるいはコスト削減のためのSGS(ソフトグレインサイレージ)の供給、広域流通体制の構築などを支援していきます。 三つ目は、流通対策です。おおいた和牛の発信拠点であるサポーターショップの拡大や戦略的なPRを展開していきます。また、県産ブランド豚、米の恵みのオレイン酸含有率を高めたプレミアムとしての販売の促進を強化していきます。 こうした取組により、もうかる畜産業を実現していきたいと考えています。
    ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 STEAM教育についてお答えします。 人、物、サービスが複雑に絡み合う社会で生起する新たな課題を解決するためには、工業系、商業系に限らず、複数の教科で得た知識、技能を創造的に活用する能力を身につけることが求められています。そのため、来年度から情報科学高校において学びのSTEAM化に向けたカリキュラムを段階的にスタートさせます。校内にIT系企業がラボを設置して、ドローンやAIはもとより、様々な先端技術にたけた企業技術者との交流を通じて、過疎地の生活支援などの地域課題解決のための糸口を探る生徒との共同研究を実施する予定です。 また、実社会で求められる知識や技術を学ぶ機会の充実を図るために、学校とIT技術者や起業家等をつなぐ専門スタッフを配置します。既に1月からラボの技術者と次年度の教育活動に関する協議を始めたところです。先月はIT技術を活用して生活を豊かにする知恵を出し合うアイデアソンの事業を実施して、生徒からは「様々な分野の知識を生かすことの難しさ、楽しさを感じた」との声も寄せられました。 このような情報科学高校の取組をもとに、教科横断的な課題解決型学習の仕組みを他校にも広げて、STEAM教育を推進していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 由布市TICとツーリズムおおいたとの連携強化についてお答えします。 ラグビーワールドカップでは、欧米、大洋州を中心に、海外から6万人近い観戦客が大分を訪れました。試合前後には臼杵石仏や原尻の滝、くじゅう連山など県内各地でその姿が見かけられたところです。由布市TICにも欧米、大洋州から多くの旅行者が訪れており、田園風景や文化体験に感動する声のほか、由布岳に登りたいという声が多く聞かれるなど、アジアからの旅行者とはまた違ったニーズを把握するよい機会となりました。 ツーリズムおおいたにおいては、こうした情報を生かしながら、由布市TICとも連携し、旅行商品のマーケティングや企画を行っていく必要があると思っています。また、ツーリズムおおいたでは、県内の観光案内所を集め、情報交換を目的とした連絡会議を開催しており、由布市TICの職員にもパネリストとして協力を得ています。今後も由布市TICとの連携により観光人材の育成を図っていく必要もあると考えています。 県では、このような連携を一層促進することにより、双方の力を十分に引き出し、本県の観光振興につなげていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 以上で二ノ宮健治君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午前11時40分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○土居昌弘副議長 皆さん、こんにちは。休憩前に引き続き、会議を開きます。 代表質問を続けます。戸高賢史君。  〔戸高議員登壇〕(拍手) ◆戸高賢史議員 皆さん、こんにちは。公明党の戸高賢史でございます。質問の機会をいただき、大変ありがとうございます。公明党会派を代表して、代表質問をします。 また、知事並びに執行部の皆様には、新型コロナウイルスへの対応に全力で取り組んでいただいていることに心より感謝を申し上げます。引き続き最善の策を講じながら、県民の安心・安全のために力を尽くしていただきたいと思っています。 それでは、質問に移ります。質問項目が27問となっており、若干少なめですが、よろしくお願いいたします。 はじめに、大分県版地方創生の加速前進、移住促進に向けた大分の魅力づくりについて伺います。 昨日もありましたが、出版社の宝島社が月刊誌「田舎暮らしの本」2月号で、2020年版の第8回住みたい田舎ベストランキングを発表しました。これは御承知のとおり、移住定住の推進に積極的な市町村を対象に、移住支援策、医療、子育て、自然環境、就労支援、移住者数などを含む230項目についてアンケートを実施し、629の自治体から集めた回答を基に、田舎暮らしの魅力を数値化したものです。 人口10万人未満の小さなまちランキングでは、常連である豊後高田市が総合部門と子育て部門で1位となり、臼杵市が若者世代部門とシニア部門で1位と、それぞれ2冠を獲得しています。本県の2市が全4部門を独占し、豊後高田市は8年連続のベスト3入りを達成しています。また、人口10万人以上の大きなまちランキングでも、大分市が若者世代部門で6位にランクインしています。 地方への移住というと、以前は定年を迎えた方がセカンドライフで田舎に住むというイメージが強くありました。しかし、最近は若年層の人気も高くなっており、ライフステージの変化や、自分の理想とする生き方を理由に、地方へ移り住むケースも増えています。 本年の令和2年度当初予算案にも、若者の移住を対象とした事業が盛り込まれています。都市圏の非正規雇用の若者を対象とした移住モニターツアーの拡充や、移住促進に向けた情報発信、移住就農者への支援拡大、居住支援に加え、今回、福岡に設置する拠点施設「dot.」を活用したU・I・Jターンの促進や女性移住希望者へのアプローチなど、対策を充実させています。 これからはいかに大分の魅力を伝え、また体験していただくかが大事だと考えます。また、多様なニーズに対応するための新たな大分の魅力の掘り起こしも重要です。本県を選択する鍵となる移住促進に向けた大分の魅力づくりについて、知事の見解を伺います。 昨年夏に、会派調査で総務省主催のふるさとワーキングホリデー合同会議の説明会に参加し、参加自治体の取組や学生の意見を伺いました。 福島県は4回目の参加ということで、復興をテーマに独自事業で被災地を回るバスツアーを組み合わせていました。また、石川県は金沢、能登のインスタスポットを前面に出すとともに、仕事ではくり農家や賄いつきの旅館での体験を用意していました。そのほか、熊本は参加者の里帰りも多く、15人が水稲の仕事、鹿児島県はものづくり、1泊3千円の補助も実施、またこれから参加する沖縄県は、シークワーサーの収穫は年4回あり、台湾留学生が手伝いをしていますが、夏休みは帰省して人手不足になるため、ワーキングホリデーで募集しているとのことでした。 昨年末、総務省に伺った際には、大分県の魅力的なインスタ映えする棚田保全事業との連携といった提案もいただきました。移住定住には、まずは地域の暮らしを知ってもらうことが必要であり、ワーキングホリデーの取組は、そのきっかけをつくることになります。 そこで、新年度当初予算案にも計上されていますが、これからのふるさとワーキングホリデーの取組に参加する本県では、魅力的なプログラムをどうつくっていくのか、県の考えを伺います。 第5期広瀬県政の政策の柱の一つである先端技術への挑戦について伺います。 大分県版第4次産業革命「OITA4.0」のさらなる展開に向け、IoTやAI、ロボット、ドローン等の先端技術に挑戦し、様々な地域課題や人手不足の解決、生産性向上等の産業基盤の強化、新産業創出につながるプロジェクト支援など、地域経済を活性化していく取組が始まっています。 また、広瀬知事の下、これまで企業誘致に積極的に取り組んだ結果、新たな雇用を創出し、若者の県内就職への機会も拡大するなど、大きな成果が出ていると感じます。特にものづくり分野では、グローバルに事業を展開する企業も出てきています。このように、企業が挑戦できる土壌をつくることは、県経済の発展につながります。 こうしたことを踏まえ、先端技術と県が現在取り組んでいる県内企業ものづくり技術を融合した、新たな産業の創出に期待したいと思っていますが、今後の取組について、知事の考えをお聞かせください。 次に、強靱な県土づくりについて、防災・減災、国土強靱化について、まず伺います。 新年度は、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の最終年となります。そこで、まず知事に伺います。防災のための重要インフラ等の機能維持を目的に取り組む対策として掲げられた、大規模な浸水、土砂災害、地震・津波等による被害の防止・最小化、救助・救急、医療活動などの災害対応力の確保、避難行動に必要な情報等の確保について、本県におけるそれぞれの取組状況と今後の対応方針をお聞かせください。 次に、浸水想定区域における水害リスクの周知についてです。宅地や建物の売買などを行う宅地建物取引業者は、洪水や高潮による水害のリスクを購入予定者等に前もって説明するよう義務付けられることになりました。住民自身が地域のリスクを知ることが災害への備えとして重要なことから、国土交通省は業界団体や自治体と連携・調整し、できるだけ速やかに導入したいとしています。 不動産取引を行う宅建業者には、宅地建物取引業法に基づき、買主や借主の判断に重要な影響を及ぼす事項を重要事項として、相手方に書面で説明する義務があります。例えば、造成宅地防災区域、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域については、それぞれの区域内か否かを重要事項として説明しなければなりません。 しかしながら、これまで浸水想定区域は重要事項の対象外であったため、水害リスク情報の提供は業者に委ねられ、地域ごとに温度差があるのが実情でした。こうした中、平成30年の西日本豪雨や昨年の台風第19号による水害では、浸水した地域の中には浸水想定区域とほぼ一致していた箇所もありましたが、住民自身が水害のリスクを把握していなかったため、避難行動に結びつかずに逃げ遅れたとのことでした。 そうした中、本県では、県が管理する河川で、洪水予報河川及び水位周知河川に指定している全84河川94か所において、想定し得る最大規模の降雨により河川が氾濫した場合、浸水が想定される区域を洪水浸水想定区域に指定し、洪水浸水想定区域図として順次公表してきましたが、昨年全ての公表が完了しています。 現在、この洪水浸水想定区域図を基に、当該市町における災害時の対応や、避難場所の位置等の情報を具体的に記載した洪水ハザードマップの作成に取り組んでいるとのことですが、住民の速やかな避難や事前の備えにつながる大事な情報であると考えます。 そこで、伺います。浸水想定区域内での不動産取引における住民への水害リスクに関する周知について、現状をお聞かせください。 自主防災活動の活性化についてです。住民の自発的な防災組織である自主防災組織は、地域防災の要です。県では、南海トラフ地震や豪雨災害などに備え、各地域の自主防災活動の活性化を図るため、大分県自主防災組織活性化支援センターを開設し、防災士の養成やスキルアップ研修などを充実させてきました。県内の防災士の人数は1万人を超え、その役割を果たすことが期待されています。 各組織では、知恵を絞り、工夫した企画で、多くの住民に参加していただくための努力をしています。しかしながら、一過性のイベントが多く、年間計画を作成し、プランに基づく活動をしているところは多くありません。 そこで伺います。アドバイザー派遣などの支援に加え、今まで以上に自治体と連携を図り、自主防災活動を活性化するための継続したフォローアップをお願いしたいと考えますが、県の見解を伺います。 4点目、県民の安心・安全について、まず、新型コロナウイルスの対応について伺います。 状況が刻々と変化する中にあって、県民の不安解消に迅速に対応していただいていることに感謝申し上げます。本県においても、初の新型コロナウイルスの感染者が出ましたが、これからが踏ん張りどころだと思いますので、行政そして県民をあげて感染拡大防止に努めていかなければなりません。これまでに、医療体制等、現在の県内の課題に対しては答弁がありましたので、私からは他の分野でお聞きします。 現代では、こうした感染症や災害等に関する情報は、テレビ報道や携帯端末等から収集し、事態の進捗を確認する方がほとんどであると思います。こうしたことは、個々人の対策を促すために大きな役割を果たしています。一方で、マスクが不足するといった情報が流れると、買いだめの行動をあおる事態も招きます。 県民の冷静な行動とリスクへの対応、罹患後の速やかな行動へとつながるよう、県における情報収集と情報発信の在り方は特に注意が必要であると考えますが、まず今回の新型コロナウイルス感染症への対応にあたっては、どのように情報収集を行い、発信をしているのか伺います。 また、各県のホームページを見ると、新型コロナウイルスに関する情報量に差があるように感じます。あらゆる情報を入れ込むのではなく、必要な情報に絞ることも大事であると考えますが、県の見解をお聞かせください。 さらに、感染者の移動は、県内だけでなく広範囲になる場合が当然あり得ますので、近隣県、特に九州圏内の広域的な連携も必要になると思いますが、その連携体制の整備状況についても伺います。 次に、保育の質の向上についてです。 公明党は先月、全国の党所属議員が聞き取り方式で実施した、幼児教育・保育の無償化に関する実態調査の最終報告をまとめました。この調査は、幼保無償化が昨年10月にスタートしたことを受け、実施後の評価や課題を探るために行ったものです。利用者と事業者の計2万7,424人が回答し、そのうち1万1,254人からは、自由記述による意見もいただきました。 利用者の回答を見ると、幼保無償化を「評価する」が65.2%、「やや評価する」は22.5%で、約9割の方が肯定的でした。経済的負担の軽減が、子育て支援策として重要であることを改めて示しています。 今回の調査では、利用者、事業者の双方に対して今後取り組むべき課題についても聞いていますが、調査の結果、浮き彫りになったのは、保育の質の向上と、受皿整備の2点に対する要望が特に大きいことです。保育の質の向上に関しては、国は人手不足の解消に向けて2013年度から保育士などの処遇改善を進め、全ての条件をクリアした事業所では、これまで月額で3万円を超える給与アップに取り組み、また受皿整備では、来年3月までに32万人分の拡大を目指しています。 また、さらなる職員の処遇改善や保育所増設のスピードアップも求められており、今後、一段と力を入れる必要があります。例えば、保育士に対する家賃の補助制度といった人材確保策や、情報通信・ICTを活用した業務効率化の促進について、検討すべきではないかと思います。 保育の質の向上では、事業者側と利用者側では視点が異なります。利用者側では養護や教育などが重視されています。保育所保育指針では、保育所保育において子どもが安心・安定した生活が送れるよう養護するとともに、人格形成の基礎を培う教育を一体的に行うことが強調されています。 そこで、こうしたことを踏まえ、保育の質の向上についての知事の見解をお聞かせください。 次に、高校生等奨学給付金制度についてです。 本県では、高校生等の教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金を制度化していますが、高校入学時には入学料のほか、制服、体操服、上靴、運動靴、かばん、教科書、辞書、電子辞書などの必需品や、毎月のPTA会費、生徒会費、体育文化振興会費、土曜講座代などに要する費用負担が生じ、さらには部活動などの用品購入も高額となります。 この高校生等奨学給付金制度は、現在は非課税世帯と生活保護世帯に限定されていますが、各種制度から除外される中間所得層での負担も大きくなっています。新年度当初予算では、増額等の措置はされていますが、所得要件についての対象拡大の検討もお願いしたいと考えます。教育長の見解を伺います。 次に、自転車保険の加入促進についてです。 警察庁が昨年公表した平成30年における交通死亡事故の特徴等によると、交通事故死者数は3,532人と減少傾向にありますが、その半数以上は65歳以上の高齢者となっています。そして、全死者数の約半数が歩行中又は自転車乗用中の死者であり、うち7割が65歳以上の高齢者です。 同じく、警察庁の自転車関連事故に係る分析では、平成30年の自転車関連死亡・重傷事故は減少傾向にあるものの、8,660件にも上っています。そのうち、対自動車事故が全体の8割で、うち6割が出会い頭の事故です。また、対歩行者事故では、自転車側の約4割が10代で、特に高校生が多く、歩行者側の約6割が高齢者という状況です。 このような状況は、加害者・被害者双方にとって、大変痛ましいことだと私は思います。昨年、県内でもこのような事故が起こっており、皆さんの記憶にも新しいことと思います。また最近では、全国的にも自転車事故において高額賠償請求事案が散見されています。 被害者支援や自転車利用のリスクを減じる観点から、私は、自転車保険の加入促進やヘルメット着用等については、行政として早急に取り組むべき喫緊の課題だと考えます。都道府県レベルでもそのような自転車の安全利用のための条例を制定する動きが広がっています。 我々公明党は、これまで昨年の第2回定例会の代表質問、第4回定例会の一般質問において、自転車保険への加入を義務付ける条例の制定の必要性を訴えてきましたが、現在の検討状況と今後の方針について、改めてお聞かせください。 医療施策について、まず、がん患者への支援体制についてです。 日本人の死因の第1位を占めるがんについて、国立研究開発法人の国立がん研究センターと国立成育医療研究センターが0歳から14歳の小児と15歳から39歳の思春期・若年成人を指すAYA世代のがん患者に関する報告書を公表しました。この報告書は、全国のがん診療連携拠点病院や都道府県から推薦された病院など、844施設の医療機関が行う院内がん登録データについて、初めて共同で集計し、解析したものです。 AYA世代のがん患者の年齢別の割合を見ると、25歳から29歳で14%と急増し、年齢が上がるにつれて増加しています。そして、30歳から39歳が40歳未満のがん患者の全体の約70%を占めています。がん患者は、40歳以上も含めた全世代で見ると、男性の割合が多くなっていますが、若い世代に限ると、15歳から19歳では男女に差がないものの、20歳以上になると女性が多くなり、20から39歳では女性が約8割を占めています。25歳以降、急増していますが、子宮頸がんと乳がんの増加によるものと考えます。 このため、女性については、がん検診の受診率向上が喫緊の課題となっていますが、日本の子宮頸がん、乳がん検診の受診率は40%台と極めて低く、米国の半分ほどにとどまり、OECD加盟国の中でも最低レベルです。そこで、現在、日本では、がん検診受診率50%達成を目標に掲げ、20歳以上の女性には、2年に1度の子宮頸がん検診を推進しています。 また、AYA世代が罹患するがんの種類は多様で、治療や支援の両面で他の世代とは異なる体制整備も必要です。治療においては、将来にあらゆる可能性を残す治療の提供や、後遺症への長期的サポートを行う体制づくりが遅れているとの指摘もあります。厚生労働省研究班の調査では、AYA世代の治療中の悩み事として、今後の自分の将来が最も多く、仕事や経済的なことが上位を占めています。就職や結婚など大きなライフイベントがある中で、治療に向き合わなければならない世代では、個別に寄り添える支援体制が必要です。 加えて、末期がんでは40歳以上のケースですと介護保険が適用され、小児についても慢性特定疾患の助成などがある一方、終末期でも、18歳から39歳の患者には、こうした公的な国の支援がないことも課題となっています。 今回、新たな支援として、妊よう性温存治療の助成や、これまで要望してきた医療用ウィッグ、乳房補整具といったアピアランスケアの充実に対する助成が行われることになり、患者にとっての希望となると思いますが、がん治療と向き合うAYA世代に対する今後の支援体制の在り方について、県の見解を伺います。 糖尿病性腎症の重症化予防について伺います。 高齢化が進む中で、生活習慣と社会環境の変化に伴う糖尿病患者数の増加は大きな課題です。糖尿病は放置すると、網膜症・腎症・神経障害など合併症を引き起こしますが、中でも糖尿病性腎症については、それが重症化し腎不全に陥ることで、人工透析を必要とする状態になり、患者のQOLを著しく低下させるのみならず、医療経済的にも大きな負担となります。 厚生労働省が実施する腎疾患対策検討会の報告書においても、令和10年までに年間新規透析導入患者を3万5千人以下に減少させるという数値目標を掲げ、慢性腎臓病に対する取組を推進することにより、新規の人工透析導入患者数の減少を目指すとしています。また、新規の人工透析導入患者数のうち、原疾患が糖尿病性腎症である者が最も多く4割以上を占めていることから、国では、健康日本21において、糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少等を数値目標として掲げ、様々な取組を進めてきています。 しかしながら、平成30年に実施した中間評価において、糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数は、平成23年をピークに横ばい傾向で、年間約1万6千人を超える状況が続いています。また、日本透析医学会によると、本県においては、人口100万人あたりの透析患者数は全国で5番目の高さとなっています。生活習慣に関連した腎症による新規透析導入患者数の抑制は、医療費適正化のためにも、喫緊の課題です。 新年度当初予算案にも事業がありますが、糖尿病が重症化するリスクの高い未受診者や受診中断者について、関係機関からの適切な受診勧奨、保健指導を行うことで治療に結びつけるとともに、糖尿病性腎症等の通院患者のうち、重症化リスクの高い方に対して、保健指導対象者を選定し、腎不全、人工透析への移行を防止するための関係機関の連携は、大変重要です。 そこで、糖尿病性腎症の重症化予防に向けて、今後、具体的にどのように進めていくのか伺います。 高次脳機能障がいについて伺います。 脳が病気やけがなど何らかの原因によって損傷を受けると、記憶力や注意力が低下したり、感情のコントロールが困難になるなどの症状が現れることがあります。例としては、忘れやすいといった記憶障がい、落ちつかない等の注意障がい、片付けができない、同時に二つの作業ができない遂行機能障がい、うまく人間関係を築けないなどの社会的障がい等があげられます。これらに起因して、日常生活や社会生活への適応が困難となりますが、身体への後遺症が残らない場合もあり、外見上分かりにくいため、周りの方々の理解も得られにくく、御本人・御家族が不安や悩みを抱え込んでいるケースもあります。 本県では、高次脳機能障がい支援拠点機関として、別府リハビリテーションセンターと諏訪の杜病院があります。相談から回復期、慢性期、それぞれにおける機能分担がなされており、支援体制がつくられています。 しかしながら、障がい特性から、症状に気付くまでに時間がかかり、なかなか相談支援にたどり着かないケースも多いと聞きます。また、就労先や周囲における本人の症状に対する理解が不可欠ですが、障がいの認知はまだ低いようです。 そこで、伺います。現状の支援体制と今後の高次脳機能障がいの方の支援ネットワークの拡充について、県の考えをお聞かせください。また、本人の意思や役割を尊重するには、県内各機関への周知が不可欠だと考えますが、その在り方についてもあわせて伺います。 4番目に、医療現場における働き方改革について伺います。 若い世代の職業意識の変化、医療ニーズの多様化に加え、医師等の偏在を背景として、医療機関等における医療スタッフの確保が困難な中、県民が将来にわたり質の高い医療サービスを受けるためには、医療機関の勤務環境の改善により、医療に携わる人材の定着・育成を図ることが必要不可欠です。 そのため、長時間労働や当直、夜勤・交代制勤務など、厳しい勤務環境にある医師や看護職員、医療スタッフが健康で安心して働くことのできる環境整備は喫緊の課題です。国では、平成26年の改正医療法、平成30年の働き方改革関連法による各種制度改正等を踏まえ、現在、医師の働き方改革の推進に関する検討会において具体的な検討がなされていますが、医療現場においては、これまでの働き方を見直しつつ、医療の質も確保するという厳しい課題への対応が求められています。 救急医療を担う医療機関での宿日直の人材確保等に要する経費については予算措置がされています。また、有床診療所の人員配置についても診療報酬上の評価がなされるようになりました。医療現場における働き方改革を推進しつつ、地域医療構想の実現や医師確保を含む偏在是正対策についても並行して進めていくため、県はどのように取り組んでいくのか伺います。 6番目、環境施策について伺います。 アメリカのゴア元副大統領が著し、映画にもなった「不都合な真実」は、地球温暖化をはじめとした環境問題に関して警鐘を鳴らし、個々人が希望を持ってこの問題に対してできるところから行動していく重要性を訴えたものでした。そのセンセーショナルな内容に、私も当時、衝撃を受けたことを今でも覚えています。 あれから10年以上が過ぎた今、環境問題はその当時以上に、我々にとって身近な問題となっています。地球温暖化の進展による豪雨災害の頻発や、巨大台風の発生、プラスチックごみによる海洋汚染の問題など、目に見える形で環境変化が顕在化してきています。 本県は、言うまでもなく豊かな自然や、温泉等の天然資源に恵まれています。このような財産は、現代に生きる我々の責務として、次世代につなげていかなければなりません。その一方で、この恵みを享受しながら、地域社会を維持し、発展させていくことも、将来の同じ地域に生きる次の世代に対する、我々の大きな仕事です。私は、この二つのことは決して矛盾するものではなく、持続可能な開発であることがそのポイントであると考えます。 さて、今定例会では、第3次大分県環境基本計画の改定案が上程されていますが、本県の恵まれた自然環境を次世代に引き継ぐため、地球温暖化やプラスチックごみの海洋汚染等の環境問題に対する、今後の環境施策の進め方について、知事の見解を伺います。 温泉現況調査について伺います。 我が町別府では、生活の一部として地域の文化であり、また本県の観光資源でもある温泉の今後について、不安を抱く方も多くいらっしゃいます。雨水等を起源とする温泉には限りがあり、過剰な掘削は温泉の低下や湧出量の減少など温泉資源の衰退化や枯渇化を引き起こし、豊富にあったはずの温泉資源をこれまでのように利用できなくなるおそれがあります。 将来にわたって利用していくためには、温泉資源をしっかり保護し、適正に利用することが不可欠であるため、県は昨年度から別府市と共同で温泉現況調査を実施していますが、これまでの調査状況の報告とあわせて、現状をどのように分析されているのかお聞かせください。 次は、SDGsの6番目であるトイレと水です。水環境、生活排水処理について伺います。 河川の主な汚れの原因は、生活排水によるものであることから、生活排水処理を推進するため、私は正確な実態把握、管理台帳システムの整備や単独浄化槽の合併浄化槽への転換、浄化槽法第11条に定められた検査の着実な実施、下水道区域の見直しの推進などについて、市町村が主体的に取り組むべき内容ではありますが、大分の水環境を守る責務として、これまで何度も県の支援をお願いしてきました。 しかしながら、管理台帳と現況との乖離はいまだ生じており、サービスと負担の公平性が保たれていないのが現状です。 こうした中、生活排水処理の適正化に向け、管理台帳と単独浄化槽などの現況の実態を調査するため、県では試験的にその実態把握に取り組んでいただいているようですが、その調査状況についてお聞かせください。また、あわせて台帳整備に向けた県の取組について伺います。 次に、市町村の下水道事業です。全国の市町村の下水道管理運営費は、平成20年度から29年度までの10年間で約27兆6千億となっています。そして、その財源として使用料収入約14兆6千億の大半と、一般会計からの繰入金が充当されている状況です。 下水道事業は本来、使用料で賄うのが原則であり、国土交通省通知にもあるとおり、下水道管理者は、管理・運営費用の全てを回収できる水準にし、下水道使用料を設定し、これを確実に徴収するよう努めなければならないとされています。しかしながら、住民には負担が生じることになるため、地方財政法第6条に規定されている災害その他特別な事由がある場合において議会の議決を得たときは、一般会計又は他の特別会計からの繰入れによる収入をもってこれに充てることができるとした条文を根拠に、毎年、一般会計から繰入れしているのが現状です。 一方、老朽化対策など管理を怠れば、陥没事故を起こします。直近10年間で下水道を起因とする陥没事故は、全国で4万602件となっており、維持管理予算は防災・減災の観点からも確保していかなければなりません。 県としても市町村の維持管理負担の現状を十分に理解しながら、計画変更などについて支援をしていただいていると思いますが、市町村下水道事業の維持管理費の状況についてお聞かせください。また、本県市町村の農業集落排水事業や漁業集落排水事業を含む下水道事業会計における一般会計からの繰入額がどのようになっているかなどについてもあわせて伺います。市町村に対する県の対応についてお尋ねします。よろしくお願いします。 次に、竹林の管理と竹の活用についてです。 日本の竹林面積は約16万7千ヘクタールで、全森林面積の0.7%になります。本県の竹林面積は1万4千ヘクタールと全国2位です。竹資源の利用は減少し、それに伴い、竹林が管理されず、周辺森林への竹の進入などの問題も発生しています。散在しているため、正確な把握が難しく、また、中空という特性から伐採・搬出のコストが高くなり、機械化も遅れている状態で、適正な竹林管理と資源利用の促進が求められています。 そうした中、竹利用については、従来からある分野では減少が続いていますが、新たな分野として、パウダー化や繊維化、抽出利用成分などの技術を活用した実用化への取組が始まっています。熊本では、竹の収集とチップ加工を担うバンブーフロンティア、チップから機能性ボードなど建材を製造・販売するバンブーマテリアル、そしてバイオエネルギー事業に取り組むバンブーエナジーの3社を設立して、これまでにない効率化・高付加価値化へ向けた取組を進めています。大分大学でも、幅広い産業分野での利用が期待されるセルロースナノファイバー(CNF)を竹から製造する技術を開発しています。このように、竹林整備もアウトプットをいかに進めていくかが鍵となります。工業的利用など新たな展開が必要です。 そこで、竹林の管理の現状と今後の新たな竹の活用に向けた取組について伺います。 観光施策について伺います。 先月18日に、日韓関係の影響による利用者の減少を受け、昨年8月19日から運休状態にあったティーウェイ航空の大分-ソウル線が4月16日から週3便で運航を再開するとの知らせが届きました。これまで韓国からのインバウンドが大きな比重を占めていた本県にとっては吉報ですが、新型コロナの影響が懸念されるところです。国際情勢など外的要因に影響されやすい観光業にとって、新規航路開拓や他の国内重要空港との定期路線の維持を図ることは、リスクを抑制するためにも大事な取組です。 訪日外国人消費動向調査や旅行・観光消費動向調査によれば、定住人口1人あたりの年間消費額は127万円で、これを旅行者の消費に換算すると、外国人旅行者8人分、国内宿泊旅行者23人分、国内日帰り旅行者73人分にあたるとされています。定住人口が減少する中で、県内経済を維持活性化していくには、観光交流人口の増大は重要な課題です。 そこで、知事に伺います。広瀬知事は県経済発展に向け、多様な施策を展開されていますが、その中でも特に、今述べたように、重要施策の一つに位置付けられる、観光交流人口の増大対策について、その効果をどのように捉え、今後の取組を進めていこうとしているのか、訪日外国人旅行者や国内旅行者の消費動向や消費促進の観点も含めてお聞かせください。 我が国は、本年開催の東京オリンピック・パラリンピックや2025年開催予定の大阪万博などもあることから、今後、海外からの訪日観光客のさらなる増加が見込まれていますが、都市部の空港ダイヤは、もはや限界の状態に近づきつつあります。 こうした状況の中、人の移動をスムーズにする解決策として、客席数が100席以下の小型ジェットであるリージョナル航空を利用した地方空港の活用が、新たな可能性としてあげられます。単につなぐのではなく、目的を明らかにした受入体制をつくることで、利用客の増加を図る空港もあります。 そこで、大分空港の活用について、まず、リージョナル航空の利用可能性についての見解を伺います。また、大分空港は、民間会社による操縦訓練や計器飛行証明のフライトトレーニングセンターとしても活用されていますが、このような空港の今後の活用見込みについてもあわせて伺います。 次に、労使紛争解決の現状と課題について。 長時間労働の是正、正規・非正規の不合理な処遇差の解消、多様な働き方の実現を3本の柱とする働き方改革関連法が順次施行されています。昨年4月から、使用者には年次有給休暇5日間の付与を義務付け、大企業について新たに時間外労働の上限規制を設ける労働基準法の改正が施行されたところです。また、本年4月から正規雇用労働者とパートタイマーや有期雇用者との不合理な待遇差を禁止する、いわゆるパートタイム・有期雇用労働法が大企業について施行されるとともに、時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されます。 これらの一連の改正は、中小企業が大部分を占める本県においても、使用者側、労働者側、双方に大きな影響を与えることが想定され、従来型の労使紛争の増加やこれまでにない、新しい形の労使紛争の発生も懸念されるところです。 そこで、このような状況の中、また労働組合の組織率が逓減し続ける現状において、労使紛争の解決機関である労働委員会が扱っている事件の現状の課題について、労働委員会事務局長にお伺いします。 監査体制の強化について。 本県の監査事務局は、財政事務等の適正管理を下支えする部署として、4人の監査委員の指揮の下、事務局職員が合規制、正確性に加え、経済性・効率性・有効性の、いわゆる3Eの観点から厳しく事務事業を確認し、改善すべき事項等を公表するなど、県民目線に立ったチェック機関の役割を担っています。 県では、長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」の中間見直しを行い、大分県版地方創生を加速前進させるとともに、それを下支えする強固な財政基盤構築に向けて、新たな大分県行財政改革推進計画を策定することとなっています。 本県の発展には、この両輪がしっかりと機能していくことが大切であり、そのチェック機関である監査委員や事務局職員の役割も、今後さらに重要になってくると考えますが、監査体制の充実強化に向け、今後どのように取り組んでいくのか、監査事務局長の考えをお聞かせください。 10番目、伝統産業について伺います。 まず、竹工芸、大分県の工芸品として、小鹿田焼や神崎瓦、姫だるまなど多数ありますが、経済産業省が伝統的工芸品として示した五つの要件に該当し、指定を受けた工芸品は、本県では別府竹細工のみです。 竹工芸はアートとしても人気があり、平成29年、30年にはアメリカのメトロポリタン美術館でエキシビションが行われ、エコアートとして話題を呼びました。海外でも製品として高い評価を得ており、ニューヨークのセレクトショップでは、竹からつくったトイレットペーパー、ストロー、ばんそうこうなどが販売されています。一番人気は竹の歯ブラシだそうで、アメリカで使い捨ての歯ブラシは、年間10億本廃棄されていることから、身近にできる地球温暖化対策への取組として、プラスチックから環境に優しい竹にかえる方も多いということです。 一方、竹工芸の優れた技術者の輩出、技術の伝承については、竹工芸訓練センターが大きな役割を果たすなど、本県はすばらしい環境を有しています。しかし、職人として収益を得るようになるには時間がかかります。製品をつくり、販路を開拓していくには、労力も資金も必要となります。 そこで、県では、訓練センターを終了したばかりの新人であっても、グループ展が開催できるなど、積極的にサポートをしていただいていますが、情報発信や販路拡大などさらなる支援について見解を伺います。 もう一つは、七島藺(しちとうい)についてです。 昨年の首里城火災は、沖縄県民をはじめ、多くの国民が落胆したことと思います。首里城は沖縄の歴史や文化を象徴し、城跡は、琉球王国のグスク及び関連遺産群として世界文化遺産に登録されています。これまでも何度か火災があり、焼失した建物は国が所有し、保全してきた経緯があります。その状況を踏まえ、国としても再建の方向を示しています。 そうした中、昨年末、12月26日に、那覇市の沖縄県立博物館・美術館を訪れ、政府の首里城再建に関する有識者委員会の一員である田名館長と意見交換を行いました。田名館長からは、首里城の南殿と書院の設計を示す資料をもとに、琉球王国時代には各施設内に和室があり、畳が使用されていたことの説明をいただきました。その上で、私は琉球畳の材料であり、江戸時代から琉球王国から豊後地域へ普及し、現在は唯一、大分の国東市で生産されている七島藺を紹介しました。琉球由来の七島藺をトカラ列島から商人が命がけで本県に持ち帰り、今なお生産されている事実に、同席した沖縄の議員団は初めて知ったと驚いていました。 今回は、琉球畳・七島藺を里帰りさせようと、三河国東市長から預かった畳表を抱えて沖縄をと訪れたわけですが、比較するために地元の畳店から普通の畳と現在、沖縄でつくられているビーグと呼ばれる畳を博物館に持ってきていただきました。色、艶、香り、あらゆる面で優れています。また、七島藺は一般のイグサと比べ、強度や耐火性が高いことで知られています。そうした特徴を踏まえ、首里城の再建に活用できないかと提案してまいりました。 今回、首里城再建にあたっては、より築城当時に近い形で行う意向が示されています。大分からも再建に貢献するとともに、七島藺の存在を大きくアピールすることで、普及促進につながると考えますが、県の見解を伺います。 最後に、県立美術館について伺います。 県立美術館は、令和2年4月24日に開館5周年を迎えますが、昨年8月には累計来館者数が250万人を超えたところです。これは4年3か月でのスピード達成となりました。また、一昨年に開催された全国国民文化祭、障害者芸術・文化祭では、メイン会場として本県の芸術文化の振興に大きな役割を果たしてきたと感じます。五感で楽しむことができる美術館、出会いによる新たな発見と刺激のある美術館、自分の家のリビングと思える美術館、県民とともに成長する美術館をOPAMのコンセプトとし、これまでも多彩な企画展が開催され、県内外から多くの来館者を迎えてきました。今後、新たな展開も期待したいと思いますが、県民とともに成長する美術館として、将来にわたって美術の多面的な可能性や県民のニーズの多様な広がりにも柔軟に対応していく必要があります。 そこでまず、大分県立美術館のこれまでの5年間の取組の評価についてお聞かせください。また、県民のニーズをどのように捉え、今後の展開を図っていくかについて、あわせて伺います。 以上をもって公明党を代表しての代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○土居昌弘副議長 ただいまの戸高賢史君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 戸高賢史議員から公明党を代表して種々御質問を賜りました。まずは私から答弁します。 はじめに、移住促進に向けた大分県の魅力づくりについて御質問がありました。大分県では、平成27年度からUIJターンの取組を本格化しており、うれしいことに、毎年移住者が増えています。昨年度は30代以下の割合が6割を占めるなど、移住への関心は若い世代へと拡大しています。この世代は恵まれた子育て環境や起業、就農といった将来の仕事、あるいはワーク・ライフ・バランスのとれたゆとりのある生活など、それぞれに明確な目的を持って移住を決断される方が多くなっています。このため、若い移住希望者に関心を持っていただき、そのニーズに応える魅力づくりが誠に重要であると考えます。 一つは、子育て環境の整備です。1月に公表されたWEB雑誌の調査では、育児ストレスの少ない都道府県ランキングで大分県は女性が1位、男性は2位という高評価をいただきました。子育て満足度日本一を目指す大分県では、子育て世代の経済的な負担軽減や待機児童ゼロを目指した取組に加えて、地域の子育て応援活動への支援なども行っており、こうした取組をさらに充実し、子育てをするなら大分県でというPRとともに、この運動を強化していきたいと思います。 二つ目は、魅力的な仕事をつくり、それをアピールすることです。毎月の移住相談会でのおおいた産業人財センター等と連携した県内企業とのマッチングに加え、4月からは福岡の交流拠点「dot.」を大いに活用し、医療系など多様な職種への県内就職につなげていきたいと思います。また、創業支援はもとより、多様な企業誘致や中小企業等の事業承継、就農学校や地域と連携した営農支援などにも力を入れていきたいと思います。大分県の魅力的な仕事をアピールし、それによってUIJターンを促すということです。 三つ目は、暮らしやすさの情報発信です。移住者に大分の魅力を尋ねると、温泉や自然、食のほか、まちがコンパクトで買物も便利、家賃や物価が安い、都会にはない人との交流など、県民にとっては当たり前のことですが、移住者にとって大きな魅力となっていることに気付かされました。こうした魅力も含めて、ライフスタイルの提案やありのままの大分暮らしを体感できるツアーの実施、あるいは先輩移住者などとの交流を通じて、若い世代に大分の魅力をしっかりアピールしていきたいと思います。引き続き移住希望者のニーズを捉えながら、大分の魅力づくりに取り組んでいきます。 次に、先端技術への挑戦についても御質問をいただきました。 大分県が積極的に取り組んできた企業誘致は、雇用機会の創出や域内生産の増加に加えて、地場企業の技術や意欲の向上にも寄与し、本県の強みであるものづくりをさらに高めてきました。県北地域の自動車産業の集積を契機として、自動車部品の製造に参入した県内企業の中には、中国に進出するグローバル企業も出てきているところです。このような中、ものづくりをさらに進化させようと先端技術の活用に積極的に取り組んでいる県内企業があります。 例えば半導体検査装置を製造する企業では、従来、判定条件の細かな設定に労力を要していた検査装置にAIの技術を取り入れることによって、少ない負担で検査が可能な装置に発展させています。加えて、この企業では、その技術を使って食品の品質検査システムの開発などにも乗り出しています。また、石灰製造メーカーでは、IoTの技術を導入した結果、生産量を精密に把握し、調整できるようになり、年間1,500トンの生産ロスを抑制することに成功しています。 このような県内企業の製品の高度化や生産の効率化等、先端技術を取り入れる動きに呼応して、先端技術を生かした新たな産業創出の旗振りにも取り組みたいと思います。例えばAIの分野では、昨年末、ハイパーネットワーク社会研究所は県内企業のAI活用を支える、おおいたAIテクノロジーセンターの設立を宣言しました。この取組に県も協力して、県内企業と一緒になって研究を進めていきたいと思います。また、遠隔操作ロボット、アバターの分野では、アバターに関する技術やサービスの在り方を学び、県外のアバター技術を持った企業と一緒になって、アバター製品やサービスの開発を目指すアバター産業創出塾を開催します。もちろんこれらの技術を支える人材育成についても、引き続きしっかりと進めていきたいと思います。 このように先端技術を活用する取組を県内に広げ、本県の強みであるものづくりと先端技術の融合を図ることで、新たな産業のフロンティアをつくっていきたいと思います。 次に、防災・減災、国土強靱化対策について御質問をいただきました。 県民が将来にわたり安心して暮らしていける大分県をつくっていく上で、頻発、激甚化する豪雨災害や切迫する南海トラフ地震に備えた強靱な県土づくりは喫緊の課題です。国もその観点から防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を創設し、本年、本県もこれを積極的に活用して防災のための重要インフラ等の機能維持を図る対策を、急ぎ、講じているところです。 まず、河川氾濫のおそれがある区間での河床掘削や支障木材の伐採等の浸水対策、あるいは土砂、流木による被害から多数の家屋やライフラインを守る砂防、治山、堰堤等の土砂災害対策を集中的に実施しています。また、地震、津波対策では、県経済を支えるコンビナートとその背後地の人々を守る大分臨海部コンビナート護岸の強化を重点的に進めています。 次に、災害対応力の確保では、保健衛生活動等の中心的役割を担う県下の6保健所の施設について、災害による停電が生じた場合に、その機能を維持できるよう非常用電源の増設などに取り組んでいます。さらにソフト対策として、リアルタイムでの情報発信が可能な簡易型河川監視カメラの設置、土砂災害警戒区域の指定やハザードマップの作成支援等、住民の避難行動に必要な情報提供にも力を入れています。 こうした対策を通じて、3か年緊急対策に全力をあげていますが、県土強靱化の取組は今なお道半ばです。そのため、今月末に改定する大分県地域強靱化計画では、最新の雨量データを踏まえた治水対策、被災者の健康維持や避難生活環境の確保、さらには先端技術の活用、人材育成、防災教育等の視点を充実させていきたいと思います。 そうした中で、来年度の当初予算においても抜本的な防災・減災対策を講じるための積極的な予算編成を行ったところです。加えて、国に対してもあらゆる機会を通じて3か年緊急対策の延伸など、引き続き必要な予算の安定的な確保について強く要請をしているところです。 次に、保育の質の向上について御質問をいただきました。 幼児期の教育及び保育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を担っています。子どもの豊かで健やかな育ちを支えるためには、保育の受皿を確保するとともに、保育の質の向上は欠かせないところです。そのためには、保育の環境や業務改善による保育人材の確保と保育人材の資質、専門性の向上の2点が重要だと思います。 1点目の保育人材の確保については、保育士の処遇改善を毎年拡充しているほか、保育士を目指す学生への修学資金や潜在保育士への再就職準備金の貸付け、保育所、支援センターによる就職希望者と求人施設とのマッチングなどを進めてまいりました。来年度は保育士を目指す方に保育士試験受験に向けた通信講座の受講料を支援したいと思います。また、保育士一人一人がモチベーションを高め、希望を持って働き続ける職場環境づくりも重要です。そのため、昨年度立ち上げた保育現場の働き方改革研究会の提言を踏まえ、今年度からICTの活用や保育士をサポートする保育補助者の設置などにより、業務効率化に取り組む施設へ実践的な助言をするためのコンサルタントを派遣しています。 こうした施設では、登園、降園の時間管理や連絡帳などの作成、給食の配膳や掃除などの周辺業務の負担が軽減され、保育士が子どもと接する時間が増えることで、保育の質の向上につながっています。 2点目の保育人材の資質の専門性の向上については、昨年4月に開設した大分県幼児教育センターにおいて、幼稚園と保育所、認定こども園の区分や公立、私立の違いにかかわらず、一元的に人材育成研修を行っています。このうち、発達障がいなど配慮を要する子どもたちへの適切な支援スキルを学ぶ県独自の保育コーディネーター研修は、保育関係者から高い評価をいただいています。また、センターでは、幼児教育アドバイザーが各園に出向いて、保育を参観し、助言や相談、園内研修の講師などの支援を行っています。今後とも全ての子どもに質の高い保育を提供できるよう努めていきたいと思います。 今後の環境施策についても御質問をいただきました。人類は豊かな暮らしの追求と自然環境との調和の課題に常に直面してきました。 産業革命以来、急速に工業化が進展し、世界全体で温室効果ガスの排出が大幅に増加するとともに、捨てられたプラスチックによる海洋汚染が顕在化するなど、私たちの日々の活動に起因する様々な環境問題が発生しています。これらの新しい課題に対応して、また、うつくし作戦県民会議での、世界共通の目標であるSDGsを取り入れ、環境と社会、経済のバランスのとれた施策を進めるべきだといった意見も踏まえて、環境行政の基本的方向を定めた環境基本計画の見直しを進めてきました。 ポイントの一つは、地球温暖化対策です。私たち一人一人が意識を変え、温暖化、温室効果ガスの削減につながる行動を日々、暮らしの中に取り入れていくことが大事です。例えば公共交通機関での移動、LED照明など環境に優しい製品への買換えやウォームビズといった身近に取り組める行動を促します。 二つ目は、プラスチックごみの削減です。全国に先駆けて事業者や消費者と連携してレジ袋無料配布の中止に取り組んできた実績が大分県にはあります。今後はその成果を生かして、食品トレイのリサイクルに取り組むなど、資源循環型社会の構築を目指していきたいと思います。 三つ目は、こうした多様な環境保全活動を地域活性化につなげるという視点を持つことです。昨年はうつくし推進隊の主催で、海岸の清掃後、きれいになった砂浜でタグラグビーをするという企画に団体や企業から約150人が参加して、「楽しかった、来年も続けてほしい」という声があがりました。また、ラグビーワールドカップでのCO2オフセットでは、約1万6千世帯の皆さんに御参加いただくという盛り上がりを見せ、目標を26%も上回る実績をあげました。 こうした環境活動をさらに広げ、多くの県民に参加していただくということは、地域の元気にもつながっていくと考えています。今後とも県民の知恵と力を結集して、天然資源が輝き、恵み豊かで美しく快適な大分の実現に向けて、うつくし作戦を進めていきたいと思います。 観光交流人口の増大対策について御質問をいただきました。 国は観光産業を地方創生への切り札、成長戦略の柱と位置付け、訪日旅行者4千万人を2020年の目標として観光先進国の実現に取り組んでいます。県でもツーリズム戦略に基づき、情報発信や誘客対策に注力してきた結果、戦略開始前の2012年に31万人だった外国人宿泊者数が、2018年には144万人にまで急増しています。昨年のラグビーワールドカップでは、欧米、大洋州からの観戦客が県内一円に宿泊して、各地の観光やおもてなしを堪能するなど、新たな誘客にも手応えを感じたところです。観光客の消費活動は、大きな経済効果をもたらします。本県の2018年の観光消費額は2,271億円で、県内総生産の約5%に相当します。中でも宿泊業は、食品、清掃、設備メンテナンスなど多くの地元業者と関連しており、少なからぬ波及効果をもたらしています。今後もこの観光消費額を一層増加させていきたいと思います。 観光庁の調査によると、本県を訪れる外国人1人あたりの消費額は、日本人の3.6倍、約3万5千円となっています。特定の国からのインバウンドに依存するリスクを分散するだけではなくて、観光消費をより大きくする観点からも、誘客国の多角化は有効であると考えています。 また、インバウンドだけではなく、本県宿泊客の約8割を占めている国内客も重要です。本県は、じゃらんの宿泊旅行調査で総合満足度1位となるなど、国内旅行者からも高い評価をいただいています。引き続き1位を確保できるように、九州各県、関西、東日本など地域ごとにターゲットを定めた誘客を進めていきたいと思います。 あわせて、観光客を受け入れる宿泊業者等の経営力の強化も大切です。今年度から始めた100社訪問で把握した実態を踏まえ、インバウンドの誘客による平日の客室稼働率向上等に取り組む宿泊業者を支援していきたいと思います。現在、感染症拡大等の影響により、本県を訪れる観光客は激減していますが、中長期的にはインバウンドが増加するトレンドは続いていくものと考えています。消費促進の観点を念頭に置きながら、誘客の促進に引き続き努力していきたいと思っています。 私からは以上ですが、その他の質問については担当部長から答弁をさせていただきます。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 私から、3点お答えします。 まず、ふるさとワーキングホリデーです。ふるさとワーキングホリデーの取組がうまくいくかどうかは、夏休みなど参加しやすい時期、多様な受入先を確保することや、魅力的な交流プログラムをいかに提供できるかにかかっていると思います。このため、市町村や関係団体、受入れを希望する企業などとも既に協議を始めており、例えば別府市などの温泉旅館や観光施設、由布市のなし農家、佐伯市のキャンプ場など、大分ならではの仕事や暮らしを体験できる受入先を検討しているところです。 また、地域おこし協力隊や移住者との交流のほか、祭りなど地域行事への参加、地元大学生との交流、プロスポーツチームでの体験活動など、地域と触れ合う様々な交流プログラムを設定する予定です。さらに将来の移住定住も見据え、継続的な関係を構築できるよう、事業実施に向けて工夫していきたいと考えています。 次に、大分空港の活用についてお答えします。 大分空港の活性化を図るには、国際線や三大都市圏とつながる国内線に加え、地方航空間を結ぶリージョナル線も含めて、多様な航空ネットワークの構築を図ることが重要と考えています。リージョナル航空は、機材の運航コストが安く、比較的需要の少ない路線でも運航が可能というメリットがあり、県としてもこれまで新規路線開設や既存路線の増便について働きかけてきました。しかしながら、航空会社からは、パイロット不足や航空機の確保等の課題があると聞いています。現時点で新たな路線開設等の予定はありませんが、引き続き働きかけていきたいと考えています。 また、大分空港は現在、民間企業による操縦士養成に向けた訓練や、県警察航空隊の拠点としても活用されています。これまで以上に県民の利便性や地元経済にも波及する多様で効率的な活用がなされるよう、国や地元市、関係機関と情報共有しながら積極的に取り組んでいきたいと考えています。 次に、県立美術館についてお答えします。 五感で楽しむことができる美術館など、四つのコンセプトのもと、これまで様々な企画展を実施してきました。入場者数は毎年50万人を目標としており、熊本地震があった平成28年度を除き、達成しています。今年度についても2月末で53万人を超え、県民の美術館として定着してきたものと考えています。この5年間を振り返ると、開館記念展では九州初公開の国宝、松林図屏風など優れた芸術作品が好評を博しました。 また、幅広い年代をターゲットとして開催したジブリの大博覧会では、県内過去最高の入場者数19万4,564人を記録しました。国民文化祭では、現代アート展「アート&デザインの大茶会」を開催し、音と光を活用した迷路のような展示など、ユニークな企画に挑戦しました。昨年6月から新体制となり、来年度は県民からの要望が高かった西洋絵画の名品展を開催する予定です。東京でしか見られないような展覧会を開催するとともに、大分の宝を知っていただく収蔵品展を充実させていきたいと考えています。今後も県民の声に耳を傾け、常に新しい価値観を提示し、刺激を与えることのできる美術館であり続けるよう努力していきます。 ○土居昌弘副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 私からは2点、まず、浸水想定区域における水害リスクの周知についてお答えします。 県では、全国で水害が頻発、激甚化していることを踏まえ、一人一人が水害リスクに関する知識と心構えを共有し、災害時に適切な避難行動をとれるよう、ハザードマップの作成、周知、活用を促進しています。 国では、昨年7月、このハザードマップを活用して宅地建物の取引の相手方に水害リスクの情報提供を行うよう不動産関係団体に依頼しました。県でもこの通知を受け、宅地建物取引業者からハザードマップの入手方法や内容等に関する問合せがあった場合は、適切に対応するよう市町に対して協力を要請しています。今年1月には、衆議院予算委員会において国土交通大臣が水害リスクに係る説明を不動産取引上の重要事項説明として義務付ける方向で進めると答弁し、より積極的な情報提供に取り組む姿勢を示したところです。今後も国の動向を注視しながら、適切に対応していきます。 次に、市町村の下水道事業についてお答えします。 県内市町村の下水道管理運営費のうち、維持管理費は平成30年度決算で約56億7千万円です。これを平成20年度と比較すると、約3億8千万円増加しています。また、平成30年度の集落排水事業等を含む全ての下水道事業会計の収入総額は約367億1千万円、うち一般会計からの繰入金総額は約115億4千万円です。そのうち国が示す繰出基準以外の繰入金額は約15億3千万円であり、財源不足を補っています。今後、県内の公共下水道管理延長の約3割が敷設後30年を超えることから、更新需要の増加により下水道事業の経営環境は一層厳しくなることが予想されます。このため、市町村が行うストックマネジメント計画を踏まえた施設の適正管理や、家屋が点在するなど採算性の低い下水道計画区域を浄化槽整備区域へ変更する取組などについて、県としても支援しているところです。今後も市町村の取組をしっかり見守りながら、さらなる経営の健全化を促していきます。 ○土居昌弘副議長 牧防災局長。 ◎牧敏弘防災局長 私からは、自主防災活動の活性化についてお答えします。 地域の防災力を強化するためには、防災活動の要である防災士と自主防災組織等が連携し、防災訓練や防災教育等を通じて、地域の活性化を図ることが重要であると認識しています。 県では、自主防災組織等において、年1回以上の避難訓練等が実施できるよう防災士1人以上の配置を目標としています。市町村とともに防災士の養成を図った結果、平成30年度末現在、1万432人となり、自主防災組織等への防災士確保割合は74.8%に増加したところです。引き続き防災士の養成に取り組んでいきます。 また、避難訓練の実施が困難な地域には、避難計画等の作成指導、助言等を行う防災アドバイザーや、訓練の計画から実施まで直接支援する訓練押しかけ支援隊を派遣していきます。さらに避難訓練の計画策定や実践、避難所運営等について、自らコーディネートできる防災士を育成するため、市町村と連携したキャリアアップ研修を創設していく予定としています。 今後とも避難訓練や防災学習会等の防災活動を支援することで、自主防災組織等の活性化に取り組んでまいります。 ○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 新型コロナウイルスの関係を含め、5点について御質問をいただきました。 まず、新型コロナウイルスの感染症の対応にあたっては、厚生労働省や国立感染症研究所の情報に加え、WHO世界保健機構やCDCアメリカ疾病管理予防センター等の海外の最新情報も収集し、参考としています。県民への情報発信については、時宜を得た記者会見や県のホームページ、SNSを通じてお知らせをしています。特にホームページでは、大分県新型コロナウイルス感染症対策本部の決定事項や、この感染症についての解説、医療機関の受診方法、PCR検査の実施状況、各種の相談窓口など、県民にとって必要な情報を厳選して分かりやすく提供しているところです。 患者の行動歴や県境をまたぐなど、広域的な事例については、日頃から九州・山口各県健康危機管理連絡会議によって、連携体制を構築しており、今回の新型コロナウイルス感染症についても迅速な相互の情報公開を行っています。 続いて、がん患者への支援体制についてです。 議員御指摘のとおり、AYA世代は進学、就職、結婚など大きなライフイベントがある中、がん治療に向き合わなければならず、自分の将来や経済的なことなどに対する不安も大きいことなどから、より丁寧に寄り添う支援体制が求められています。そこで、県では来年度から将来、自分の子どもを持ちたいという希望を後押しするため、妊よう性温存治療費に対して助成を行います。また、副作用等に伴う外見変化に悩む方の社会参加を支援するため、医療用ウィッグや乳房補整具等の購入費用に対しても助成することとしています。また、これらの制度ががん患者に向き合うAYA世代への支援につなげられるように、医療機関の関係者を対象に研修を行い、効果的な活用を図ることとしています。 さらに県内9か所のがん診療連携拠点病院に設置しているがん相談支援センターの一層の周知を図り、がん治療に伴う様々な悩みに寄り添ったきめ細かな支援体制の充実に努めます。 次に、糖尿病性腎症の重症化予防についてです。 新規透析導入患者の増加を抑制するためには、かかりつけ医と腎臓、糖尿病専門医、市町村等関係者が連携し、重症化リスクの高い患者への個別支援を強化することが重要です。そこで、昨年12月に県医師会、大分大学、県の3者による糖尿病性腎症及び慢性腎臓病の重症化予防に係る連携協定を締結したところです。来年度からは本連携協定を踏まえ、主に次の三つに取り組んでいきます。 一つは、大分大学に、まだ仮称ですが腎症重症化予防ステーションを設置して、腎臓、糖尿病専門医等がかかりつけ医への助言や紹介患者の診療等を行います。 二つは、未受診者、治療中断者に対し、行動経済学の理論を活用するなど、効果的な受診勧奨を実施します。 三つは、働き盛りの県民等に対する出前講座の開催や、SNS等による広報、普及啓発を強化します。こうした取組を通じて、重症化を予防し、県民の透析導入を回避することで、QOLの維持向上と、経済的負担の軽減に努めてまいります。 次に、高次脳機能障がいについてです。 県では、高次脳機能障がいの方への支援のため、拠点機関を2か所設置し、相談対応や支援ネットワークの構築、正しい知識の普及啓発に取り組んでいます。具体的には、この拠点機関に医師や社会福祉士など10人の相談支援コーディネーターを配置し、年間約1,500件に及ぶ障害者手帳取得などに関する専門的な相談に対応するほか、日常生活での困り事を解決する訓練や就労への支援を行っています。 また、支援ネットワークを拡充するためには、当事者と直接関わる市町村や障害福祉サービス事業所の職員等にこの障がいへの十分な理解と、対応力向上が重要なことから、毎年地域別に研修会を開催しているところです。また、県民や企業への普及啓発も大事であり、医師会や労働局と連携し、正しい理解を図るためのポスターやハンドブックを医療機関等の関係機関に配布しています。今後も専門的な相談支援や支援ネットワークの充実など、高次脳機能障がいの方への支援にしっかりと取り組んでいきます。 最後に、医療現場における働き方改革についてです。 県では、平成27年度に医療勤務環境改善支援センターを設置し、昨年度は医療機関から夜勤負担の軽減等の相談を86件受け、医療系アドバイザーを派遣して、専門的な助言を行っています。 また、医療現場の働き方改革に関する研修会を開催し、医師、事務作業補助者が診断書等の作成を代行するタスク・シフティングを実施している先進事例の紹介などを行い、医療従事者の働き方改革を支援しています。また、県立看護科学大学では、医師が行っている褥瘡(じょくそう)の除去等の特定の医療行為を行えるナース・プラクティショナーを養成しているところです。県内の医療機関で現在、23人が勤務しています。そのほか、入院患者の呼吸心拍数などをベッドから電子カルテに自動で記録できるシステムなど、ICTを活用した業務効率化の取組も支援しています。こうした取組とあわせて、地域医療構想の実現や地域枠医師等の派遣による医師の偏在是正対策に一体的に取り組むことによって、医療現場の働き方改革を推進していきます。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 高校生等奨学給付金制度についてお答えします。 本県の県立高校における令和元年度の奨学給付金の対象者は、全生徒数2万2,440人の12.8%にあたる2,865人となっています。このうち生活保護費には教育扶助費が含まれることから、別途修学旅行費として年額3万2,300円が生活保護世帯の146人、その他の世帯の第1子1,885人に8万2,700円、第2子以降の834人に12万9,700円が給付されており、総額では2億6,400万円あまりとなっています。 第1子と第2子以降とでは給付額に著しい差があることや、対象が家族4人のモデル世帯では年収270万円未満の低所得者世帯に限定をされることなどの課題があるため、毎年全国都道府県教育長協議会等を通じて国に対して要望を続けているところです。来年度政府予算案では、専攻科に通う生徒を新たに対象に加えるとともに、第1子に対する給付額は8万4千円と1,300円改善されたものの、第2子以降との差額は依然として大きく、また所得要件も見直されなかったことから、引き続き国に対してさらなる拡充を求めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 宮迫生活環境部長。 ◎宮迫敏郎生活環境部長 私から3点についてお答えします。 まず、自転車保険の加入促進についてです。25の都道府県が制定している自転車条例を分析したところ、自転車保険の加入促進に加え、ヘルメットの着用や利用環境の整備と推進といった項目が規定されています。また、昨年12月に策定した大分県自転車活用推進計画では、自転車事故のない安全で安心な社会の実現を目標の一つに掲げ、高額損害賠償請求に対応する保険加入やヘルメットの着用促進など、総合的な対策の必要性を盛り込んでいるところです。さらに、教育長が実施しているヘルメット着用推進モニター事業のアンケート結果では、生徒の8割が安心感が増した、保護者の9割が通学時の不安が軽減したと回答するなど、肯定的な意見が多数を占めています。 こうした状況を踏まえ、条例化にあたっては交通安全教育の推進をはじめ、保険加入やヘルメットの着用、点検整備の促進、利用環境の整備等、自転車の安全で適切な利用に関する項目について検討したいと考えており、今後、関係機関、団体をはじめ、県民から広く意見を聞きながら、丁寧に進めていきます。 次に、温泉現況調査についてお答えします。 昨年度から今年度にかけて、泉源所有者の確認をはじめ、利用の有無や目的、また採水可能な場合は温度、湧出量、水素イオン濃度指数、電気伝導度などについて現況調査を実施しています。現在、別府市内の泉源の9割で調査が進み、そのうち約1,200か所については成分分析のための採水等を実施したところです。来年度にかけ、温泉や地質等の専門家による検討委員会において、別府温泉に関する過去の研究結果と今回の調査データとを比較しながら考察を進めているところです。 その内容をもとに、温泉の開発が活発になった1960年代以降の湧出量や温度の変化などを再現し、地下の断面図を作成するなど、将来の資源量等を予測するシミュレーションを行います。将来予測の結果によっては、新たな保護地域を検討するなど、持続可能な利用との調和を図りながら、温泉県大分の基盤となる別府市の温泉資源の保護に取り組んでいきます。 次に、生活排水処理についてです。 現在、浄化槽清掃業者から清掃記録の提供を受け、所在地や所有者などについて台帳との突合作業を行っているところです。突合作業が終了した一部の地域では、台帳に記載のある3,768件に対し、突合したものが3,217基、突合しなかったものが551基で、台帳に記載のないものが799基となっています。理由としては、下水道に接続したり、単独処理から合併処理に転換した場合などに廃止手続が行われていないことや、無届けで設置されたものがあることが考えられます。今後、突合作業を完了させた上で、個別に現地調査を行って状況を確認し、無届け浄化槽の追加や存在しない浄化槽を削除するなどの台帳整備を進めていきます。 生活排水を適正に処理するには、浄化槽の所有者が適切に維持管理を行うことが重要です。このため保健所などで実施している講習会には、新規設置者に限らず、整備した台帳を基に多くの所有者に参加を呼びかけ、維持管理の重要性や手続について周知します。 ○土居昌弘副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 私から2点お答えします。 まず、竹林の管理と竹の活用についてです。県内の竹林面積は、竹材利用が減少したことに伴う放置竹林の増加などにより、ここ10年で約600ヘクタール増え、平成29年度には1万4千ヘクタールを超えています。県は、平成21年度から森林環境税などを活用し、荒廃竹林の優良竹林化や広葉樹林への転換を進め、これまで196ヘクタールで実施しました。 一方で、竹の新たな活用として、ボードなどの原材料や発電用の燃料としての利用の動きがあります。こうした新たな需要に対応し、竹材利用を拡大するため、竹などのチップの供給施設の整備等を後押ししていきたいと考えています。 また、大分大学を中心とするベンチャー企業が行うセルロースナノファイバーの技術開発に対して、検討チームに参加し、原材料の調達にも協力する予定です。今後とも市町村等と連携し、荒廃竹林の解消と竹資源の新たな利用に取り組んでいきます。 続いて、七島藺についてお答えします。 七島藺は全国で唯一、国東半島のみで栽培されている希少な工芸作物であり、耐久性に優れ、畳表等として活用されています。平成26年に国東半島宇佐地域世界農業遺産の地域ブランド認証を取得し、ブランド化に向けて取り組んでいるところです。生産現場においては、定植から収穫後の調整、織りまでをほぼ手作業で行っており、産地の維持拡大を図る上で生産コストの縮減に向けた作業の効率化が大きな課題となっています。平成30年度には、織り機の自動化ができ、現在は織りの前工程である選別機の開発に取り組んでおり、生産体制が整いつつあります。 こうした中、昨年10月に焼失した首里城の復元に向けて政府の示した方針の中で、伝統技術の活用について触れられています。古くは琉球畳の原材料であった七島藺についても唯一の生産県として広く国内外に認知していただく絶好の機会と捉え、しっかりと関係機関と連携し、情報提供など、活用いただけるよう働きかけを行っていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 後藤労働委員会事務局長。 ◎後藤素子労働委員会事務局長 労働委員会における労使紛争解決の現状と課題についてお答えします。 今年度、本県労働委員会では、不当労働行為事件3件、集団的労使紛争の調整2件、個別労働関係紛争のあっせん2件を取り扱っており、ここ数年、件数は増加傾向にあります。 事案の特徴としては、企業の枠を越え、個人で加入できる合同労組が解雇等の不利益などの取扱いを受けた未組織労働者の受皿として関わるものや、労働法制の理解が十分でなく、団体交渉にも不慣れな中小企業の使用者が当事者となるものが多いことと認識しています。 働き方改革関連法の施行により、今後、労働時間や賃金体系の見直し等に係る労使紛争の増加が想定されるとともに、女性や高齢者、外国人労働者の就労環境の問題など、紛争の多様化も見込まれるところです。 労働委員会では、新たな労働法制や裁判例等について、研鑽をしっかりと積み、高い専門性を持って解決に導くこと、そして個々の紛争を丁寧に解きほぐし、将来に向けた健全な労使の関係づくりにつなぐことがこれからより一層求められると考えています。あわせて、労働委員会の役割、活動を広く県民の皆様に理解してもらうことも重要な取組であると考えているところです。 ○土居昌弘副議長 小野監査事務局長。 ◎小野隆司監査事務局長 御質問の監査体制の充実強化についてお答えします。 本県の監査は、県の機関や関係団体を対象に、財務事務をはじめ政策の有効性や効率性等を踏まえながら、年間延べ400以上の機関で実施しています。監査結果は必要に応じ、県民へ公表するなど、県民から信頼される県政の下支えに努めてきたところです。 今般の地方自治法の改正により、新年度から監査基準に従った監査の義務付けや勧告制度の創設など、監査委員の権限と責務が強化されることになりました。このため、本改正の趣旨に沿って、現行の監査基準の見直しを行います。 あわせて、監査を実施し、判断する権限は、監査委員であることを明確にするため、組織名を監査委員事務局に改めます。また、監査機能の充実強化を図るため、財務監査や行政監査等の業務を分担して所掌している第1課と第2課を別室から同室に配置し、視点の異なる監査の連携を強め、より複眼的な監査を実施していくこととしています。 引き続き県民目線を大切にしながら、県政の質の向上を下支えしていくため、監査の質のさらなる向上に取り組んでまいります。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 竹工芸についてお答えします。 本県の竹工芸については、国の伝統的工芸品に指定されている別府竹細工を中心に、様々な機会や場所を活用し、情報発信や販路拡大に取り組んでいます。情報発信では、昨年8月に別府に開業したインターコンチネンタルホテルのロビーのオブジェや客室のフロアライトなどに別府竹細工がふんだんに取り入れられています。また、東京オリンピック2020の公式ライセンス商品では、県としてPRに努めた結果、平成29年度に竹工芸訓練センターを修了した若手作家制作の別府竹細工フォトフレームも採用されています。 販路拡大では、竹工芸訓練センターの修了生が大半を占める別府竹製品協同組合が首都圏等で開催する竹工芸の展示会に対して支援しています。また、おんせん県おおいたオンラインショップで販売の場を提供するとともに、今後、県外のバイヤーを招聘した大分県工芸品商談会の開催も計画しています。今後ともこうした取組を通じて竹工芸の情報発信や販路拡大に努めていきます。 ○土居昌弘副議長 以上で戸高賢史君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって代表質問を終わります。  ------------------------------- ○土居昌弘副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 7日、8日は県の休日のため休会とします。 次会は、9日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○土居昌弘副議長 本日は、これをもって散会します。お疲れさまでした。     午後2時46分 散会...