大分県議会 > 2019-12-04 >
12月04日-04号

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  1. 大分県議会 2019-12-04
    12月04日-04号


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    最終取得日: 2023-06-13
    令和 1年 第4回定例会(12月)     令和元年第4回大分県議会定例会会議録(第4号)令和元年12月4日(水曜日)  -------------------------------議事日程第4号            令和元年12月4日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑、委員会付託  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑、委員会付託  -------------------------------出席議員 43名  議長        麻生栄作  副議長       土居昌弘            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            嶋 幸一            濱田 洋            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            後藤慎太郎欠席議員 なし  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    中島英司  企業局長      岡本天津男  病院局長      田代英哉  警察本部長     石川泰三  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    宮迫敏郎  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者兼会計管理局長            山本修司  防災局長      牧 敏弘  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 後藤素子  財政課長      佐藤 章  知事室長      山田雅文  -------------------------------     午前10時 開議 ○麻生栄作議長 皆様おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- △諸般の報告 ○麻生栄作議長 日程に入るに先立ち、諸般の報告をします。 まず、監査委員から、地方自治法第199条第9項の規定により、知事室など139か所の定期監査の結果について、文書をもって報告がありました。 次に、第112号議案職員の給与に関する条例等の一部改正について、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聴取した結果、適当と考える旨、文書をもって回答がありました。 以上、報告を終わります。 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第4号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑、委員会付託 ○麻生栄作議長 日程第1、第108号議案から第123号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。三浦正臣君。  〔三浦議員登壇〕(拍手) ◆三浦正臣議員 皆様、改めましておはようございます。13番、三浦正臣です。 本日は、私の地元日出町から、大変お忙しい中にもかかわらず、本議場までお越しいただいた皆様、誠にありがとうございます。 それでは、早速、一般質問に入らせていただきます。 まず、大分県地域強靱化計画について伺います。 本年10月、東日本を中心に記録的な大雨をもたらした台風第19号と、25日から26日にかけての千葉県や福島県における大雨において、被災された方々にお見舞いを申し上げます。これらの災害は、私たちに改めて自然災害の恐ろしさをまざまざと見せつけました。11月末現在で死者・行方不明者は100人を超え、71河川で堤防が決壊、農林水産関係の被害も2千億円を超えるなど、日本列島に甚大な被害をもたらしています。こうした災害への対策は待ったなしの状況です。 近年のたび重なる甚大な災害に対しては、全国知事会も非常に高い危機感を持ち、毎年、国に対して強靱な国土づくりに関する要請を行っています。直近では、11月13日及び14日に広瀬知事が全国知事会の国土交通常任委員会委員長として、赤羽国土交通大臣をはじめ関係者に対し、地域の国土強靱化を加速するため、来年度以降の予算編成において必要な事業を十分に実施できるよう、今年度を上回る社会資本整備の予算を確保することなどを要請されたと聞いています。 また、県では、南海トラフ巨大地震やこれまで経験したことのない集中豪雨など、大規模自然災害によって重大な危機が実際に発生した場合において、十分な強靱性を発揮できるよう、平成27年に大分県地域強靱化計画を策定しています。この計画では、人命の保護が最大限図られること、県政及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること、県民の財産及び公共施設に係る被害の最小化、迅速な復旧復興の四つを基本目標として、安全安心な県土、地域、経済社会の構築に向けた地域強靱化を推進することとしています。 そうした中、近年の大規模自然災害や社会情勢の変化に加え、国が国土強靱化基本計画を昨年12月に見直したことも踏まえ、本県では現在、地域強靱化計画の見直し作業を進めており、先月までパブリックコメントの募集も実施されたと聞いています。 そこで、県土強靱化に向けたこれまでの取組とあわせ、今後、どのように計画を改定し、取組を進めていかれるのか、知事の考えをお聞かせください。 以下、対面より質問させていただきます。  〔三浦議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの三浦正臣君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 三浦正臣議員から、大分県の地域強靱化計画について御質問をいただきました。 東日本を襲った台風第19号は、堤防の決壊による河川の氾濫や土砂崩れ等により各地で甚大な被害をもたらしました。被害状況を伝える報道に接するたびに、大規模自然災害から県民の命を守る重責に身が引き締まる思いです。 これまで幾度となく豪雨災害を経験してきた本県では、今後想定される大規模自然災害に備えて、平成27年に大分県地域強靱化計画を策定し、毎年フォローアップをしながら、防災減災対策を進めてきました。さらに、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策も積極的に活用しながら、強靱な県土づくりを加速させてきたところです。 まず、ハード面では、ダムの建設や河川の流量拡大などの治水対策、砂防、治山堰堤などの土砂災害対策、橋梁、建築物の耐震化などを重点的に進めてまいります。 ソフト面では、住民の適切な避難行動を促すため、水位計の増設、土砂災害警戒区域の指定やハザードマップの作成を支援して、急いで取り組んでいるところです。 しかしながら、この県の強靱化計画策定から4年が経過して、その間に発生した熊本地震等の大規模災害から得られた教訓や社会情勢の変化などに対応するため、本年度中にこの計画を見直します。見直しにあたっては、気候変動の影響を踏まえた治水対策、被災者の健康維持、あるいは避難生活環境の確保、さらには先端技術の活用、人材育成、防災教育などの視点を充実させていきたいと思っています。 具体的には、河川整備の基礎となる雨量予測について、最新の降雨状況や地域の特性を反映させたものに更新して、抜本的な治水対策に生かしていきたいと思っています。さらに、ドローンによる情報収集や公共インフラ点検、VR技術を用いた防災啓発などにも取り組んでいきます。 一方、市町村ごとに強靱化計画を策定し、地域の特性に応じた対策を進めることも大変大事です。先月開催された市町村長との意見交換会では、全市町村長との間でその思いを共有して、来年度末までの策定を確認したところです。 そうした上で、これらの計画の実現には、予算の安定的な確保が欠かせません。先月出席した全国知事会議において、全国知事会として3か年緊急対策後の予算確保、拡充を強く要請したところ、総理からは、「国土強靱化についてさらなるパワーアップを図る」との心強い発言をいただいたところです。 今後とも地域強靱化計画に基づき、防災減災対策を強力に進めて、県民の皆さんが安心して暮らすことができるように全庁あげて対策を加速していきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。大分県地域強靱化計画、まずは抜本的な治水対策、ドローンを活用して防災啓発、そして市町村ごとの地域計画というところだと、答弁にあったと思います。 そこで、初日の一般質問でも河野議員が取り上げた、地域ごとの計画ですが、私も少し市町村の状況を伺ってまいりました。この計画を組む段階で、どこから手を付けたらよいのか分かりづらいと。また、予算についてもどう組むべきなのか、正にいまだ手探りの状況です。初日の答弁でも、今月中に研修会をしっかり開催するということですので、市町村へきめ細かい支援をして、ぜひ来年度中の策定に向けて、お願いしたいと思います。 また、先月26日から27日にかけて、自民党会派として上京しました。毎年要望活動をしています。財務省、総務省等関係省庁に対して、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の事業の延長、あわせて、防災インフラ整備を目的とする緊急自然災害防止対策費への財政的支援について要望したところです。県民や地域の安全安心確保のために、私たちも知事とともにしっかり前に進めていきたいと思います。 そこで、実際に災害が発生した場合、予算の確保もできている、しっかりと地域計画もあるという中ですが、被災した現場で話を聞くと、やはり土木技術者を含めた技術者が不足しているということです。これは官民ともだと思います。県として技術者の人材確保並びに人材育成は、とても重要な点だと思いますが、見解を伺いたいと思います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 土木技術者の確保についてお答えします。 県土の強靱化を進めるためにも、現場の技術者を確保、育成することは大変大事なことだと認識しています。そのため、県では、技術者の処遇改善のため、設計労務単価の引上げや生産性を向上させる建設現場のICT化のほか、債務負担行為や繰越しの早期承認などにより、施工時期の平準化などにも取り組んでいるところです。また、今年の2月からは、一定の条件の下で、現場に配置する技術者の要件緩和等も行ってきました。 これらとあわせて、中長期的な担い手確保のために、週休2日工事の導入、建設産業のイメージアップにつながるような広報、また、学生向けのインターンシップなど、業界と一体となって、様々な対策にも取り組んでいるところです。 今後とも、業界団体などの御協力もいただきながら、現場技術者の確保、育成に努めていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 部長、引き続きよろしくお願いします。 原子力災害対策について伺います。 原子力災害は、チェルノブイリ原発事故やさきの福島第一原発の大事故の場合のように、放射性物質が急速かつ大量に施設外に放出されて、大気汚染、土壌汚染、海洋汚染などの環境汚染を引き起こし、人体に何世代にもわたる悪影響を及ぼすほか、経済、社会にも甚大な被害を与えます。そのため、本県では、大分県原子力災害対策実施要領を策定し、実効性のある防護措置が実施できるよう、関係機関のとるべき手続を定めています。 その一環として、10月30日には、本県への避難訓練としては今年で5回目になりますが、四国電力伊方発電所3号機の重大事故を想定した原子力防災訓練が実施されました。約90機関の2万人が参加し、愛媛県伊方町から43人が船で本県に避難し、臼杵市、豊後大野市で受け入れる訓練も行われています。 新聞報道によると、初めて愛媛県からの避難者を受け入れた両市は、順調だったと述べる一方、実際の事故のときは避難者も多く、十分な対応を取れるのかといった課題もあげています。 実施要領では、受入れの対象となる住民について、移動距離等を考慮したケースや、県北地域で受け入れるケースなど四つのパターンを想定していますが、いずれのケースにおいても伊方町の伊方、瀬戸、三崎地域から3千人程度を受け入れる必要があるとされており、有事の際にも本当に大丈夫なのだろうかと心配しています。 そこで、今回の訓練における課題と今後の原子力災害への取組について、県の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 牧防災局長。 ◎牧敏弘防災局長 原子力災害対策についてお答えします。 今年度の訓練は、大分県関係で56の機関、約240人が参加し、情報収集、伝達や空間放射線量の測定、愛媛県からの避難者受入れを実施し、関係機関との相互連携を確認したところです。 避難者は、昨年と同じ43人を受け入れ、議員御指摘のとおり、有事の際にどれだけの避難者に対応できるかが課題と認識しています。そのため、県では、避難者を分散して受入れができるよう、最も近い佐賀関港を基本に毎年、他の港湾でも訓練を行っており、これまでに別府以南の港湾6施設において、受入確認を終えたところです。 また、これまで、7市の8避難所で受入れを行い、避難者の問診等を行う避難所運営訓練には12の市町が参加し、職員の習熟を図っています。 さらに、避難者の放射線量を効率的に測定できるゲート型モニターを昨年度から2台に増やし、検査時間の短縮による避難者の負担軽減を図っています。 今後も他の港湾や避難先の活用、訓練の検証結果等を踏まえた実効性のある取組を推進するとともに、区長や防災士等に対して、放射線の基礎知識や被曝を避ける屋内避難等の対処方法について研修を行い、県民の原子力防災対策への理解促進に取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ありがとうございました。昨年も43人、今年で5回目ですが、愛媛県から5年間、5回で何人を受け入れる訓練をしたのか。また、答弁では佐賀関を中心に、それから南の方で4パターンあるということで、中津、県北地域も踏まえてですが、今後の実施計画の見通しを教えてください。 ○麻生栄作議長 牧防災局長。
    牧敏弘防災局長 これまで5回訓練して、合計で517人の避難者を受入れしました。 また、港については、さきほど説明したとおり、別府以南の6の施設で受け入れて、今後は姫島港、そして中津港で受入れができるかどうか調整をしたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ありがとうございます。5回の訓練で517人が参加されたということです。 さきほど申し上げたとおり、愛媛県からの受入れのいずれのパターンでも3千人程度ですので、しっかり実効性のある訓練にしていかねばならないと思っています。引き続き、愛媛県や受入れ関係市町村と、しっかり協議を重ねていただきたいと思います。 これらの訓練は、愛媛県民の受入れですが、大分県民を原子力災害から守る準備は万全でしょうか。計画の見直しや進展等があれば教えてください。 ○麻生栄作議長 牧防災局長。 ◎牧敏弘防災局長 大分県民については、原子力災害が発生するかどうかということで、モニタリング体制について十分注意を払っています。空間放射線量を測るモニタリングを県内5か所で、24時間365日、常時モニタリングしているところです。 また、常時行っていない市町村については、3か月に1回モニタリングをして、測定体制の充実を図っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 SDGsについて伺います。 SDGsは、2015年9月の国連サミットで採決された2030年までの長期的な開発の指針、持続可能な開発のための2030アジェンダにおける持続可能な開発目標であり、国際社会共通の目標です。持続可能な社会を実現するための17の目標と169のターゲットから構成されており、地球上の誰一人として取り残されない社会の実現に向けて、経済、社会、環境をめぐる広範な課題に対する総合的な取組が示されています。 国は、内閣総理大臣を本部長とする持続可能な開発目標SDGs推進本部において、2018年にSDGs未来都市を創設し、自治体におけるSDGsの達成に向けた取組を推進しています。 SDGs未来都市とは、SDGsの理念に沿った基本的・総合的取組を推進しようとする都市、地域の中から、特に経済、社会、環境の3側面における新しい価値創出を通して、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市、地域として選定されるもので、現在、SDGs未来都市は60都市、うち都道府県は7道県が選定されています。本県はまだ選定されていません。 そういった中、本県においてもこれまで安心・活力・発展の大分県づくりを進め、将来にわたって発展する可能性豊かな大分県をつくっていくことを目指していますが、国際社会のこうした流れを受け、持続可能な社会の実現に向けた取組を全庁をあげて推進する必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。今後、ますます重要度が増していくであろうSDGsに対する認識とその理念をどう県政に取り入れていくのか、考えをお聞かせください。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 SDGsについての御質問でした。 御存じのように、ラグビー憲章の理念の一つにリスペクト、尊重というのがあります。これは選手同士のみならず、全ての人や社会、周辺環境への配慮、尊重ということに通じる精神であろうと思っています。 SDGsの目指す、誰一人として取り残さないという理念もまた、あらゆる政策が地球的規模で、人や社会、環境に配慮され、尊重されなければならないと宣言しているものと理解しています。 本県は、これまでも安心・活力・発展の大分県づくりを進めてきましたが、これは先祖から預かり子孫に引き継ぐ、将来の大分の自然環境やふるさとの社会を維持していくための、正に戦略的な尊重と配慮にほかならないと思っています。そのため、安心・活力・発展プラン2015の取組は、正にSDGsの理念と軌を一に進むものと考えてもいいんではないかと、現に申し上げてきたところです。 具体的には、安心の分野はSDGsでいうところの保健福祉や住み続けられるまちづくり、気候変動等に関わる政策として子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用率の三つの日本一を目指した取組や、おおいたうつくし作戦の展開、ネットワークコミュニティの構築等があげられます。 活力の分野は、ジェンダーや経済成長と雇用、イノベーションなどに関わる政策として、女性の活躍や働き方改革の推進、若者や高齢者、外国人などの人材の確保、育成、大分県版第4次産業革命OITA4.0などに取り組んでいるところです。 発展の分野でも、教育、インフラなどに関わる政策として、教育県大分の創造や中九州横断道路や中津日田道路など、広域交通ネットワークなどの充実を進めています。 将来にわたって持続可能な魅力ある大分県を構築していくためには、特に少子高齢化と人口減少の急速な進行に、あらゆる手を打って歯止めをかけていかなければならないと思っています。また、IoTやAIなどの先端技術が世の中のありようまで変えようとしており、スピード感を持って対応する必要があります。さらに、近年、大規模な自然災害が頻繁に発生しており、県民の命と暮らしを守る防災減災対策を急ぎ進めなければならないということも課題です。 こうした刻々と変化する社会情勢をしっかりと見極めながら、喫緊の課題に対する有効な政策を迅速かつ適切に実行していくことが非常に大事ではないかと思っています。 SDGsの精神をしっかりと頭に置きながら、未来の大分県をしっかりつくっていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。具体的に安心・活力・発展プランの中でSDGsの目標に対して、指針に対して取り組んでいくということで、非常に分かりやすかったです。ありがとうございました。 ただ、重要なことは、実質を伴った取組になろうかと思います。当然、市町村、県民、企業に対して行動を促していくことがとても重要だと思っています。正に、県の大きな役割がそこにあるんじゃないかと思っていて、具体的にどのように周知啓発を行っていくのかお聞きしたいと思います。 ○麻生栄作議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 今進めているプランの中間見直しですが、各政策がSDGsの17の目標のどの項目に合致しているか、相互に関連しているかということについて分かりやすく表記するといった工夫をして、この長期総合計画を、SDGsとあわせて県民に普及、啓発していきたいと思います。 また、SDGs自体の周知啓発については、県ではこれまでもNPOなどの民間団体と連携して、NPO、企業等向けに理解を深めるためのワークショップを開催しています。今月10日にもSDGsをテーマに、NPO県民フォーラムを開催する予定です。 こういったプランの周知と、SDGsそのものの周知にあわせて取り組んでいきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 SDGsは冒頭で述べたように、2030年まで長期的な開発の指針です。その目標達成を目指していく中で、大分県の新たな課題も見えてくるんじゃないかと思います。大分県のあるべき姿を模索しながら、官民一体となって取り組んでいっていただきたいと思います。 また、SDGsの17の目標の一つに教育があります。一方で、教育については教育が全てのSDGsの基礎であり、全てのSDGsが教育に期待しているとも言われています。 特に、持続可能な開発のための教育ESDは、SDGsの17全ての目標達成の鍵とされ、新学習指導要領にも全体の基盤となる理念として取り込まれています。具体的には、前文において「持続可能な社会の創り手」の育成が、総則で「持続可能な社会の創り手となることが期待される児童(生徒)に、生きる力を育むことを目指す」ことが示されています。 このように、ESDをより一層推進することが、SDGsの達成に直接あるいは間接的につながっていくと考えます。特に、小中学生に対する「持続可能な社会の創り手」としての育成や、SDGsに関する啓発について、どのように進めていくのか、教育長に伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教育におけるSDGsの取組についてお答えします。 持続可能な社会の創り手を育む教育、いわゆるESDは、現行の学習指導要領から実施されており、県内でも多くの学校が海岸清掃や空き缶回収などの環境保全に取り組んでいます。 国東半島宇佐地域の学校では、伝統的な農法が海や陸の豊かさを守ることを学習して、その成果を平成26年度からの世界農業遺産中学生サミットで発表しています。また、宇目緑豊中学校では、国のESD研究指定校として、佐伯型循環林業の仕組みを学んで、森林の大切さを理解するとともに、担い手不足という地域課題について、宇目の魅力を多くの人に知ってもらうことが解決につながると考え、パンフレットを作成して発信しました。 来年度から使用される小学校社会科の教科書には、SDGsの17のゴールが示されて、それぞれの目標達成に向けて自分たちができることを話し合う場面が設けられており、SDGsを意識した教育活動が広く展開されるものとなっています。 このような学習を通して、身近な活動が地球規模の課題解決につながることに気づいて、よりよい社会を創ろうと主体的に行動できる児童生徒の育成を目指していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 SDGsは将来世代のための目標であり、正に未来の主役となる子どもたちにとっても大事な取組の一つだと思います。市町村教育委員会としっかり連携して、着実に前に進めていただきたいと思います。 それでは、次に、大分の魅力発信について伺います。 まず、県外事務所についてです。本県には、県外における活動拠点として、東京、大阪、福岡に県外事務所が配置されています。 東京事務所は、首都圏を中心に東海、北陸以東・以北をエリアとした所長以下17人の職員が配置されています。主に国の政策動向に関する情報収集や関係省庁への政策提言をはじめ、企業誘致、マスメディアを活用したパブリシティ活動、イベントでの物産の販路拡大、観光誘客、UIJターン情報の発信等の業務に従事しています。 大阪事務所には、所長以下8人の職員が配置され、関西から中国、四国エリアにおける県の営業拠点として、物産観光、農業流通及び企業誘致等に取り組んでいます。 福岡事務所では、所長以下4人の職員が福岡県における本県情報の発信拠点として、観光PRをはじめ、県産物の流通調査やセールス、企業誘致、広報活動などに取り組むとともに、来年度からは、拠点施設を活用した福岡在住の若者を対象に本県へのUIJターンの推進にも力を入れることとなっています。 また、各事務所とも、県人会や市人会、高校同窓会と連携し、県出身者の協力を得ながら、草の根運動的な県の情報発信にも努めていると聞いています。 このように、県外事務所は正に県政重要課題の最前線基地として、果たすべき役割は非常に大きなものがあると考えます。 そこで、まず、これら三つの県外事務所のこれまでの成果と今後の県外事務所の在り方について、どのように考えているのか伺います。 ○麻生栄作議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 県外事務所についてお答えします。 県外事務所では、県産品の販路拡大、観光誘客、企業誘致、移住促進、大分ブランドの定着、情報発信など、それぞれの分野において着実に成果をあげていると思っています。 県外事務所で大事なことは、各大都市圏の特性やニーズに応じた取組を展開することだと考えています。東京事務所では、経営者等からの生きた最新情報の収集のほか、坐来大分等による情報発信やパブリシティ活動、それから企業の本社訪問などの誘致活動を積極的に展開しています。 大阪事務所では、農産物の拠点市場である京都市場でのシェア向上と県産品の販路拡大を図るとともに、自動車関連企業を中心とした誘致活動を推進しています。 福岡事務所では、観光面で重要なターゲットとなっている福岡への情報発信、そして若者、女性を対象に大分県への就職促進を図っています。 特に、県政の喫緊の課題である人口減少対策については、三つの県外事務所で毎月の移住相談会をはじめ、ターゲットを絞り込んで、UIJターン対策を強化して取り組んでいます。 引き続き、県外事務所それぞれの特性を生かし、大都市圏の活力を本県に取り込む拠点として、しっかりと成果をあげていきます。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 答弁が非常に分かりづらくて。今後の在り方がどうなのか、引き続きそのままなのかということは。 私は、各事務所の機能強化が不可欠だと思っていて、まず、本庁と情報伝達等のお互いの意思疎通を図る手立ても必要だと思います。あわせて、職員の増員や予算の拡充も検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ○麻生栄作議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 私は県外事務所の組織と人員の関係についてお答えしたいと思います。県外事務所については、今、企画振興部長がお答えしたとおり、それぞれの特性を生かしながら、観光誘客、企業誘致、あるいは移住促進など、それぞれの分野で成果をあげていると思いますが、さらにその機能の強化を図るというのは非常に重要な課題だと考えています。 職員の組織体制については、行政職だけではなく、農業職や土木職の職員も配置し、また、県内各市町村からの派遣職員や民間企業OBの方も配置して活用しています。 予算についても、毎年度の予算編成の中で、例えば今年度は福岡の拠点整備の予算も措置しており、必要な予算は毎年度確保しています。 本県の魅力の発信、あるいは大都市圏の活力を取り込む大切な拠点なので、その機能強化の在り方については、関係部局ともしっかり協議していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 冒頭申し上げた大分の魅力発信で、正に、県政重要課題の最前線基地が県外事務所だと思っています。職員の方に聞くと、やはり自ら手をあげて、率先して県外事務所で働こうという方があまり多くないということですが、正に、県の最前線基地がそういった状況ではどうなのかと思います。部長、その辺の認識はどうでしょうか。 ○麻生栄作議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 やはり大分から離れて遠隔地の勤務になるということで、あるいは家族と離れるということもあって、敬遠する方もいると思いますが、一方で、新しい、全然違う場所で働けるということで、それを前向きに捉えて頑張りたいという職員の声も聞いています。そういった職員も含めて、県外事務所を活躍させていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ぜひ機能強化をしっかりやっていただきたいと思います。 また、大分の魅力発信をする上で、海外事務所の役割も大きいのではないかと思っています。現在、本県は、一般財団法人日中経済協会の上海事務所に職員を派遣しています。これまでの取組の成果をお聞かせください。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 上海事務所の職員派遣についてお答えします。 本県では、中国本土、香港、台湾での県内企業のビジネス支援や県産品の販路開拓、輸出入に関する市場調査及び企業情報等の収集、提供、観光、文化等の人的交流の促進などを目的に、平成16年度から、係長級若しくは課長補佐級の計5人の職員を上海に派遣してきています。 具体的な業務内容としては、県内の関係団体や県庁内各課と連携して、県内企業が現地で商談を行う際のアテンドや、輸入商社等への売り込み、現地市場での有望な商品や県産品に関心を持つ企業の情報収集、また、県の観光PRや現地自治体との友好交流に向けた橋渡しなどに取り組んできています。 こうした取組により、中国本土、香港、台湾へお酒等の加工食品を輸出する企業は、平成24年度の16社から30年度は33社と倍増しており、輸出額も29年度からはついに4億円を突破しています。 また、同地域から大分県内への宿泊客数も、平成24年度の5万6千人から30年度は27万2千人となり、4.9倍と大幅に伸びています。 今後とも、上海を拠点に、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 一般財団法人自治体国際化協会の調査結果によると、九州の他県においては独自の海外事務所を設置しています。本県のみ県独自の海外事務所が設置されていません。また、福岡県は4か所、職員数は現地職員も含めて10人、佐賀県は1か所、職員数は4人、長崎県は1か所、職員数7人、熊本県は2か所、職員数8人、宮崎県は2か所、職員数6人、鹿児島県は1か所、職員数4人、沖縄県は6か所、職員数は24人、そして本県は1か所、職員数は2人です。 他県では、このように、海外事務所にも力を入れています。海外事務所は、誘客促進や輸出拡大などの経済的な実利の獲得に向けて必要となる、現地における情報収集や本県の認知度向上、人脈構築などに欠かせない役割を担うものだと考えます。 先日、本県はタイを海外戦略のターゲットとして重視し、プロモーション活動を実施しています。また、アジアの新興国の中でも急激な経済成長を続けるベトナムや、大分県議会の日台友好議員連盟でも交流のある台湾等も視野に入れて、現在ある上海事務所の機能強化とあわせて、新たな海外事務所の新規開設のお考えはないのでしょうか。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大変重要な御指摘をいただきましたが、特に海外事務所については、これからいろいろ、大分県の海外展開を考えていくときに、海外事務所をどうするかということは非常に重要なテーマだと思っています。 今までの考え方は、中国に置いていますが、これはどういうことかというと、大分県だけで独自で事務所をつくっても情報源は限られてくるし、仕事の世界も狭くなってくるだろうと。したがって、せっかくジェトロとか日中経済協力財団といったものがあるから、そういうところの軒先を借りて仕事をするほうが、独立でやるよりもよっぽど情報が多くなる、動きの範囲も広くなるということで、今まではそういうことでやってきたわけです。 それから、それ以外にベトナムとかタイとか、最近ずっと広がっていますが、これも実はジェトロが各県に事務所を置いてくれていて、その各県の事務所と連携をとりながら、それぞれ、例えばベトナムで見本市をやる、あるいはタイにミッションを派遣するというときに、現地のジェトロを活用しながら見本市の準備をしてもらう、あるいは派遣先のアポをとってもらうこともやっているわけです。 資金的にも節約になるんですが、とにかく情報量と動きの活発さからいって、そういう国の機関をうまく活用したほうがいいんじゃないかということで今までやってきたところです。今のところその辺について、特に不足はない気がします。 何かあれば、むしろ大分県からどんどん売り込みのためミッションを現地のジェトロなどとタイアップしてやっていくというほうが、よほど効率が上がるのではないかと今は思っていますが、これはせっかくの御指摘ですから、これからの大分県の海外展開のために、いい方向でいろいろ考えていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございます。ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。 また、現地職員が1人ということで、行った職員に話を聞くと、やはり現地のメディアの対応であったり、当然国内、大分の、事務作業はかなり大変だと聞きます。その辺はぜひ部長、事務の効率化も含めて、アバターを活用することなど、現地に行った職員が商談等にしっかり時間を使えるように、ぜひ考えていただきたいとお願いします。 続いて、坐来大分について伺います。 日本最大の消費地である東京都内に自治体が設置するアンテナショップは近年増加傾向にあり、一般財団法人地域活性化センターの平成30年度自治体アンテナショップ実態調査によると、過去最高の76店舗、うち独立型は58店舗が設置されています。 しかし、アンテナショップには、北海道や沖縄など一部の人気店舗を除き赤字店舗が多く、また、自治体のPRや観光案内という設置目的もあり、設置自治体が運営費を支援している実態にあるようです。 そのような中、近年は、インパクトの強い食による情報発信が可能な高級レストラン型に人気があり、独立型58店舗のうち36店舗がレストラン型又はレストラン併設型となっています。平成28年以降でも福岡県の福扇華や茨城県のイバラキセンスなど、5店舗がオープンしています。この流れをつくり、牽引してきたのが平成18年4月に開設した銀座のフラッグショップ坐来大分です。物販を中心とする他自治体のアンテナショップとは一線を画し、県産の新鮮ですばらしい食材を調理して、最高の形で提供するレストランタイプのアンテナショップの先駆け的な存在となりました。 坐来大分は「食に情報をのせて」をコンセプトに、大分の食や観光などの魅力を発信する拠点として、メディアにも多数取り上げられ、連日多くのお客様でにぎわっており、首都圏をターゲットにレストランでの特色ある県産品の提供等を通じて、大分ブランドの確立に向けた取組を行っています。また、経営面においても、運営主体である大分ブランドクリエイト株式会社が5期連続の黒字を達成するなど安定した経営を行っており、今後も大いに期待しているところです。 私は今後、これまで以上に、首都圏から全国、そしてインバウンドを追い風に世界中からも選ばれる大分というブランド価値を打ち立てることを、新しい令和の時代において、この坐来大分で展開していくべきではないかと考えています。 そのためには、これまでの飲食の提供や県産品の販売にとどまらず、大分の歴史や文化的な遺産、物語もあわせた情報発信をさらに強化していくことや、産品のマーケティング調査を徹底し、その調査結果を生産者や事業者などの関係者へフィードバックしていく仕組みづくりも重要だと感じています。 そこで、このような取組を坐来大分を中心に今後進めていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 坐来大分は、議員から御案内があったように、「食に情報をのせて」をコンセプトに、大分の魅力を情報発信する拠点として設置し、今年で14年目を迎えました。これまで19万9千人に利用され、年内に20万人を突破する見込みです。私も時々予約をお願いするんですけれども、3回に2回は断られます。それほど繁盛しているのではないかと思っています。 高級レストラン型という特徴を生かして、天然自然に育まれた旬の県産食材を利用することで、利用者から、「これほどおいしい料理を食べさせてくれるアンテナショップはない」などと高い評価をいただいています。 また、市町村の観光や食材をPRする地域フェアや六郷満山開山1300年などの観光情報をPRする坐来サロンなどで、食を通じておんせん県おおいたの魅力をアピールすることにより、旅行会社やマスコミ、ホテルなど様々な方面に大分ファンの輪を広げています。 このように、坐来大分は、フラッグショップとしての機能を十分に発揮し、大分ブランドの定着に着実な成果を上げています。平成28年以降、オープンしたアンテナショップ10店舗のうち5店舗が高級レストラン型であることを見ても、他の自治体の先駆け的存在となっているのではないかと思います。 今後は、さらなる飛躍を遂げるため、次の三つの観点で取組を充実させていきたいと思っています。 一つは、大分県の観光や地域文化の情報発信です。先般、関東在住で海外に多くのフォロワーを持つ米国出身のインフルエンサー15人を対象にして、農泊の疑似体験や郷土料理の試食会を行って、農村民泊の観光情報を発信したりして、大変好評でした。こうしたイベントや別府の竹細工、七島藺の細工などの製作を通じて、歴史や文化を体感するワークショップを引き続き開催していきたいと思います。 二つ目は、生産者や事業者に対する情報提供です。食材、加工品等の評価や首都圏の最新情報のフィードバックが、商品改良などに生かされています。無添加にすることを生産者と一緒になって考案し、調味料選手権で最優秀賞を受賞した佐伯の「ごまだし」が代表例です。 三つ目は、人材育成です。日田市出身の総料理長を筆頭に、料理スタッフ8人のうち4人が県出身者です。そのうち2人は大分市内の調理師養成施設の新卒者で、またとない修行の機会を提供しています。この修行の場で技を身に付けたOB4人が現在は大分に帰郷して、ホテルの料理長などで活躍しています。また、大分の語りべとしての機能を充実させるため、スタッフの県内現地研修等も実施しており、引き続き、人材育成に取り組んでいきます。 坐来大分は、フラッグショップとしてその公益目的を果たしつつ、原価管理の徹底や集客力の強化によって、5期連続の経常黒字も達成しています。今後とも東京にいながらにして、本県の誇る天然自然や伝統文化を感じていただけるように、フラッグショップ機能を強化して、大分ブランドの確立を目指していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。 ラグビーワールドカップは大成功のうちに幕を閉じました。ラグビーワールドカップのレガシーとして大切にしなければならないものの一つに、欧米からのインバウンドがあると思います。大会期間中は、臼杵石仏などの観光地に多くの欧米のお客様に来ていただきました。この流れを持続、発展させるためには、直接大分へ来るお客様に加え、やはり東京に来る欧米客へ大分の情報を印象強く発信することが大切だと思います。特に、来年には東京オリンピックが開幕します。この機を生かし、坐来大分を活用した首都圏での情報発信の強化がより一層必要になると考えます。知事の力強い決意、再度お聞かせ願いたいと思います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 知事に代わりお答えします。 来年7月の東京オリンピック開催に向け、坐来大分のインバウンドに対する対応の強化が必要だと考えています。そのため、今年度は英語情報誌への記事を年2回掲載するとともに、ANAと連携した外国人向けおもてなし研修の実施など、インバウンドの受入環境を整えています。 また、ラグビーワールドカップに出場したウェールズ政府日本代表を7月に坐来大分に招待し、食を通じた交流を深め、開催期間中にはウェールズフェアを実施したところです。 今後も各国からの訪日客をお世話する駐日大使館職員との意見交換を行うなど、坐来大分を拠点にインバウンドに対して情報を発信していきます。 なお、本年6月にはフランスの三つ星レストラン等でサービス実務を学び、国内リゾートホテルの総支配人等で活躍した方を社長に迎えており、その経験や知見をもって欧米客への情報発信も強化していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ありがとうございました。ぜひ私もまた東京へ出向いて坐来へ行って、知事や部長のお言葉を、直接坐来で働いている皆様にお伝えしようと思います。引き続き、御支援をよろしくお願いします。 それでは、農業被害対策について伺います。水稲の被害対策についてまず質問します。私も地元日出町で、地域の方々と一緒に3年前から米作りをしています。生産者の方々の御苦労を肌で感じているところであり、私の実体験も踏まえて、今期の水稲の被害対策について質問します。 農林水産省が10月31日に発表した2019年産水稲の作況指数によると、本県は佐賀県の63に続き、全国で2番目に低い85の不良とされ、県内の稲作農家に深刻なダメージを与えています。 こうした状況となった原因について、九州農政局では、7月上旬から9月上旬にかけて日照不足が続き、稲の生育が妨げられたほか、9月に入り各地でいもち病が確認されるようになり、下旬には台風第17号による冠水や倒伏が国東、佐伯市などで見られたことなどによる、と述べています。 加えて、県内全域で水稲の病害虫トビイロウンカによる被害が拡大し、大被害が出た2013年を上回る発生数となっており、県が9月中旬に実施した抽出調査では、調査した水田39か所のうち97%にあたる38か所で確認され、非常に厳しい生育環境であったことがあげられます。 県農林水産研究指導センターでは、8月7日に注意報を発令し、その後もトビイロウンカが増加したことから、9月11日には警報を発令するとともに、被害拡大を抑えるため早めの収穫を呼びかけるなどの対策を講じましたが、10アールあたりの予想収量は435キロと平年の502キロを大きく下回る見込みです。 そこでまず、こうした状況について、県はどのように認識し、これまでどのような策を講じてきたのか、今後いかにしてこうした事態を防ぐための対策を進めていくのか、部長に答弁を求めます。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 水稲の被害対策についてお答えします。 今回の作況指数85という結果を受けて、要因は様々あるわけですけれども、被害対策が徹底できていなかったことを再認識したところです。 今年の日照不足、あるいはトビイロウンカの発生等に際しては、注意報などのメールを配信するとともに、栽培管理や防除方法のチラシを配布し、具体的な指導を行ってきました。 今回のように、本県で被害が拡大した理由は、夏場の長雨によって適期の防除ができなかったこと、それに加えて米の作期が分散していないことから、気象の影響や病害虫の被害が集中したことが要因の一つと考えています。 そういったことから、早生品種であるつや姫の作付けを平地まで拡大することによって、ヒノヒカリに集中している品種構成を改善していくことが必要かと思っています。 また、トビイロウンカの被害を防ぐためには、最近、農薬効果がより長期間継続する新しい薬剤が出ています。そういったものを普及させるほか、適期の追加防除などについて、引き続き指導を強化していきたいと思います。 何よりも大事なことは、そうした対策を生産現場にしっかりと浸透させて、そして着実に実施することだと思っています。そういった意味で、農協や市町村等を交えた研修会などによって、生産者に対する指導を強化していきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 今年の作況指数は、さきほど述べましたが、全国で2番目に低い85です。これは2006年以来の13年ぶりの不良です。また、昨日の知事の答弁では、この85だと産出額で見ても30億円程度の大幅減が試算されるということでした。あわせて、2019年産の主食用米の10月末時点の検査の結果、本県の1等米の比率は過去10年で最低の47.6%でした。 品質低下と収量減のダブルパンチが、正に生産者の方々の経営に大きな影響を与えています。農家の皆さんへの支援等を検討されているのか、県の見解を伺いたいと思います。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 作況指数と1等米比率ともに下がっています。そういったことで、農家の収入減が想定されますが、基本的には水稲農家は国の農業共済あるいは今年から始まった収入保険に加入しています。加入条件によって支払われる補填率は違ってきますが、原則としてその補填が行われると考えています。 大事なことは、その支給がいつ行われるかということになるので、県としては共済に対して早期に、年内の支払を働きかけたところです。 あわせて、これは県ではないんですが、JAおおいたでも今回、米の買取価格について従来よりも単価を上げています。生産者を支援するという意味もあり、1等米と2等米、3等米との差を縮めて、2等米、3等米を高くしたので、品質の低下の分については生産者に対してJAから手助け、援助があるということになっています。 また、これは基本的なところですが、本県では米が41%作付けになっています。そういったことから、生産の安定の対策をするのは当然ですが、園芸に向けた転換も進めながら、しっかりと支援していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 部長、ありがとうございました。引き続き、力強い御支援をお願いします。 次に、スマート農業による被害対策について伺います。 国は、経済財政運営と改革の基本方針2019の中で、本年6月に策定した農業新技術の現場実装推進プログラムに基づき、技術実装の推進によるスマート農業の実現等により、競争力強化をさらに加速させるとしています。 このプログラムでは、新技術の導入により実現することが期待される先進的な農業経営の将来像、技術ごとにその開発等の現状や課題を整理するとともに、普及に向けた今後の見通しを示したロードマップ、農業新技術を農業現場に実装するために推進するべき施策や取組を示した技術実装の推進方策の三つの柱から構成されています。そして、具体的には、ICTやロボット技術を活用した、ロボットトラクターやリモコン式自動草刈り機の導入などがあげられていますが、私は、中でも、さきほどのような農業被害への対策にもつながる取組として、農薬散布用ドローンの導入による水田防除の省力化に注目しています。実践例として、長野県安曇野市や島根県の奥出雲町において様々な成果も報告されています。 また、AIを活用した画像診断等により、病害虫被害を最小化する技術の導入も有効だと考えます。農作物において問題となる病害虫やその被害を受けた作物等の画像情報等を蓄積してデータベースを構築するとともに、それらをAIに学習させて病害虫の診断やリスク分析、防除メニューの開発等を行い、生産者に対して防除対策を提供するといったことが可能になると思います。 本県においてもスマート農業の実現を目指し、様々な施策を進められていますが、こうした農業被害に対するこれまでの取組の現状と課題、そして今後の方向性についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 スマート農業による被害対策についてお答えします。 病害虫の発生による農業被害を抑えるためには、早期の発見、適期の防除が重要になってきます。一方で、人手不足で圃場の見回りが徹底できずに、病害虫の初期発生を見逃す、あるいは圃場の条件が悪い中山間地域では、防除に手間がかかるため適期に行えないといった課題があります。 そうした中で、議員御指摘のドローンによる農薬散布、これは中山間地域が多い本県では効果的と考えています。そういった意味で、県下各地で実演会を開催するなど、その導入を今推進しているところです。 平成30年度末の時点で7経営体100ヘクタール強でドローンによる水稲防除が実施されており、作業の省力化が図られています。 加えて、現在、ドローンを使った圃場上空からのカメラ撮影によって、白ねぎの病害虫の発生等による生育異常を早期発見できるシステムを開発中です。そういったものが開発できれば、他の品目にも拡大していきたいと考えています。 今後とも労働力不足や収量、品質向上に資するスマート技術の開発、現場実装等を進めていきたいと思います。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 部長、ありがとうございました。この農業新技術の現場実装の推進プログラムですが、これは行政や企業、当然農家の皆さんもそうですけれども、関係者と十分連携の下、推進していただきたいと思います。よろしくお願いします。 それでは、最後に、大分トリニータを活用した地域活性化について伺います。 大分トリニータは、6シーズンぶりのJ1リーグで現在、勝ち点47で7位につけて、既に来シーズンのJ1残留を確定させています。シーズン開幕前は非常に厳しい結果になることも想定されていましたが、最高の舞台での堂々とした試合ぶりは、県民に夢と希望をもたらしてくれました。少し気は早いかもしれませんが、来シーズンはさらに厳しい戦いとなることが予想されます。クラブの力を総動員して、再びすばらしい成績を残してもらいたいと思っています。 そして、大分トリニータには、J1での活躍はもちろんのこと、大分県の地域活性化にも大きな役割を果たしてもらいたいとも思います。昨年度、Jリーグがスタジアム観戦者に実施した調査では、大分トリニータの地域貢献について、「貢献している」と回答した割合が91.8%となっており、他のJリーグクラブの平均の81.4%を大きく上回っていることが報告されています。 一方で、同調査では、トリニータホームゲームの観戦者の71%が大分市に居住しており、大分市以外の市町村に住んでいる方の多くが、あまり昭和電工ドーム大分に足を運んでいないことがあわせて報告されています。 今シーズンのホームゲームの平均観客数は1万5千人を超えており、昨シーズンの8,900人を大きく上回っています。さらに、8月に開催された鹿島アントラーズ戦では、2008年以来11年ぶりに観客数が2万8千人を超えるなど、大分トリニータが大きな注目を集めている中、この盛り上がりを県内各地にも波及させ、本県の地域活性化につなげていくことが重要であると考えますが、県の見解をお聞かせください。 ○麻生栄作議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 大分トリニータを活用した地域活性化についてお答えします。 今シーズンの大分トリニータは、目標の勝点45、J1残留を達成し、来期のさらなる飛躍が期待されます。県議会をはじめ、県民の皆様の支えで経営も安定してきており、今後も地域の活性化に取り組むなど、これまで以上に地域密着型のクラブ運営を進めるとしています。 県では、波及効果が高いスポーツツーリズムを推進し、地域経済の活性化や若者の定着につなげたいと考えており、大分トリニータを生かした取組も検討しているところです。 具体的には、スポーツ合宿の誘致に取り組む際に、J1クラブが存在する優位性を生かし、他チームのアンダー18やジュニアチーム、大学生チームなどの誘致に連携して取り組みたいと思います。 大分フットボールクラブでは、今年4月に、地域課題をスポーツで解決することを目的にソーシャルアクション室を設置したところです。本県の地域活性化に向けて何ができるか、地域とコラボしたプロジェクトはどんなことができるかといったことを共に考え、共に取り組んでいきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 私が申すまでもありませんが、大分トリニータのホームタウンは正に大分県全域です。地域名称が入っているサッカーチームはどれだけ地域密着型の取組に力を入れるのかが、チーム運営の鍵と言われています。と同時に、サッカーチームの存在は自治体にとっても地域活性化や経済効果につながる重要な要素です。効果的な取組により、相乗効果を今以上に生み出していただきたいと思います。 そして、今週末、トリニータ最終戦です。トリニータの勝利を願うとともに、来期も大分トリニータがJ1で活躍できるよう、我々県議会としても全力でサポートさせていただきたいと思います。 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で三浦正臣君の質問及び答弁は終わりました。堤栄三君。  〔堤議員登壇〕(拍手) ◆堤栄三議員 皆様おはようございます。日本共産党の堤栄三です。 久しぶりに一般質問を行います。ぜひ、しっかりした答弁をよろしくお願いいたします。 まず、消費税の増税の関係です。消費税率の5%減税と富裕層への課税強化について。 消費税率が10%に引き上げられ2か月がたちました。大分商工会議所の景気動向アンケート調査では、今年7月から9月の景況DIは、前期マイナス6.9から6.4ポイント下降のマイナス13.3となり、3期連続のマイナス域で、前回調査よりも悪化しているとされ、さらに、消費税率の引上げにより、年明け以降も厳しい予測が多いとまとめられています。 私も大分市内の中小、小規模事業者などに話を聞きましたが、ある料飲業者は、「ラグビーワールドカップなどがあり、9月、10月は全く客が出てこなかった。その上、消費税の増税では、営業が続けられない。」、建設関連では、「深刻な人手不足に加え、材料費の高騰や単価の据置きで仕事が回らない。」、さらに、消費税申告についても「複数税率の申告は大変。数年後には本格的にインボイスの導入が待っており、経理ができない。」など、不安と悲痛な声が多い状況です。 私は、こうした県民の声に応え、これまでも議会のたびに消費税増税中止を求めてきました。県民には、増税によって333億円もの負担増を押し付ける一方、年金削減や医療、介護の負担増を求めるなど、社会保障に消費税が使われてこなかったのは、これまでの実態を見れば明らかです。 日本共産党は、大企業等への優遇税制の是正や株取引に対する課税強化や、116億円もするような戦闘機を147機体制にまで拡大する爆買いなどの無駄遣いをやめて、消費税の廃止を目指し、当面、5%に戻すことを提案しています。 県として、消費税減税とあわせ、富裕層や大企業には能力に応じた課税を行うように国に求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。 以下は対面にて。  〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの堤栄三君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 堤栄三議員から、消費税等について御質問をいただきました。 10月から消費税率が10%に引き上げられ、また、新たに軽減税率制度が導入されたことにより、様々な影響が懸念されていましたが、国や商工団体と連携した取組等によって、今のところ、大きな混乱はなかったと考えています。 県内の景気動向については、11月の日銀大分支店の調査によると、「基調としては緩やかに回復している」とされています。個人消費は「非耐久消費財の一部や家電、乗用車などで消費増税前の駆け込みとその反動減が見られるものの、全体として堅調に推移している」とされており、消費税引上げに伴う需要変動の平準化対策は一定の効果を上げていると思っています。 今回の消費税率の引上げは、厳しい日本の財政状況や急速に進む少子高齢化の中で、財政健全化への内外の信任を得て、世界に誇るべき社会保障制度を次の世代へ引き継ぐために、避けて通れないものと受け止めています。 また、消費税率の引上げによる増収分を活用し、幼児教育・保育の無償化、待機児童の解消、高等教育の無償化、介護人材や保育士の処遇改善、低年金の方々への年金生活者支援給付金の創設などを実施することとしており、全世代を通じた社会保障の充実につながるものと認識しています。 御指摘のあった企業に対する税制については、経済がグローバル化する中で、企業の国際競争力への影響や海外移転による経済活力や雇用機会の喪失などの問題もあり、慎重に検討する必要があります。国においても、このような考え方の下、国際的に見て高いとの指摘がある日本の法人実効税率について、課税ベースの拡大などによって財源を確保しながら、国際的に遜色のない水準まで引き下げるなど、経済の競争力強化に取り組んでいるものと考えています。 株取引に対する課税強化についても、平成26年1月から税率が20%に引き上げられたところですが、本年9月に取りまとめられた政府税制調査会の中期答申では、金融所得について、「今後の課税の在り方については、勤労所得との間での負担の公平感や所得再分配に配慮する観点から、諸外国の税制も参考にしつつ、総合的に検討していくべきである」とされており、まずはそういった国の動きを注視したいと考えています。 今後とも少子高齢化の進展に伴って、社会保障給付費の急激な増加が見込まれる中、国民が広く負担する消費税率の引上げは、社会保障を国民全体で支えていくという理念に合致して、持続可能な社会保障制度の確立とそのための安定財源の確保、財政健全化のために必要なものではないかと考えています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 反動減が見られるということですけれども、国の経済指標がほとんど悪化していますよね。経済産業省しかり、全国中小企業団体中央会が行った10月の景気動向についてもやっぱり悪化。10月の小売の販売実績が前年同月比の7.1%減、11兆900億円も減少しているわけですよね。そういう点では、11月の月例経済報告でも、景気は輸出を中心に弱さが長引いているという発表もされています。全ての指標が悪化になっています。知事として、この10月、11月、大分県民への、県内の中小企業への影響はどうであったのか、再度お伺いします。 もう一つ、社会保障の財源のためというのは、ずっとこれまでも議論してきました。しかし、消費税も確かに税収の一つですから、社会保障を支えるというのは当たり前の話だと思うんです。ただ、法人税や所得税が歳出を支える割合は、減税等によってそれが減少して、消費税の割合が増えてきています。逆転しているわけですね。以前、消費税が導入されたときは直間比率の見直しというのが言われたんですよ。しかし、それではあまりにも人気がよくないということで、数年後には、社会保障の財源のため、財政再建のためということで増税はやっていくというのが実態ですね。 ですから、知事も御存じだと思いますけれども、法人税が当初40%だったんですね。今現在は、何と23.2%なんですよ。個人の所得税も70%あったのが今は45%ですね。証券優遇税制はもともと20%であったのを減税して元に戻しただけなんです。別に増税をしていないわけですね、これは。 だから、そういうことを考えてみると、やはりこの消費税というのは、社会保障に使うとして、見せかけのような形で、所得税と法人税の穴埋めに使われてきたというのが実態だと思うんですよ。そういうような認識はありますか。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 二つ御質問があったと思います。景気の現状をどう見るかということですが、冒頭、堤議員からお話のあった商工会議所の事例は、7月頃の数字ですから、そのときにはかなり景気が落ち込んでいたとお話がありました。現に国の調査でも景気がよくない、相当落ち込んでるんじゃないかという心配をされていた時期もあったと思います。そういう流れの中でだったんではないかと思います。 そういう中で、あえて消費税の税率引上げをやったわけですが、事態は非常に心配されましたが、いろいろな反動減対策を打ったり、あるいは公共事業の上積みをやったりということで、何とか維持しようという努力もあったんだと思いますが、大分県にとっては、加えて、ラグビーワールドカップの消費拡大がありました。そういうこともあり、全体として、景気への悪影響は心配されたほどではなかったというのが私の認識です。 それからもう一つ、今回の消費税の引上げの前に、むしろ直接税のほうで対応すべきではないかという御指摘です。お話があったように、法人実効税率は一時は40%、個人所得税も非常に高い税率であったわけですが、むしろそれに耐えられなかったというのが経済の現状ではなかったかなと思います。グローバリゼーション等々によって、直接税がそれだけ高い国というのはなかなかない。したがって、そこはもう少し下げざるを得ないということ。 他方、社会保障等々の財政需要は非常に高まってきているということで、それでは広く皆さんに負担してもらう消費税の導入かなということがそのときの議論だったんだと思います。その後、人、社会保障関係に特定するということで、さらに消費税の趣旨が決定していったということではないかと思っています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 もともと税制の基本は能力に応じて納める応能原則ですよね。所得の再分配機能というのが税金の基本だと思うんですよ。 そういうことで、国際競争力の強化として減税をしたというお話でしたが、では、どうしてその部分が内部留保として450兆円近くも。預金、現金も13兆円近くあるわけですから、そういうところへどうしてたまるんですか。 それは本来、減税すればその減税した分のお金が、景気対策で設備投資とか個人消費を温める施策や、賃金を上げるとか、本来そういうところで回るべきものでしょう。それが全部内部留保という形に移ってしまっている。だから、景気が良くならないんですよ。 だから、GDPを見ていると、世界の中で成長が止まった国というのは日本だけですよ。そういうような点では、この消費税の増税というのは非常に日本の成長を抑えてしまっていると言えると思います。 ですから、私としてはそういう認識をぜひ持っていただきたい。大分県の県民、末端の小さな中小業者の方々は増税によって本当に大変なんですよ、本当大変です。そういう状況もぜひ理解していただきたいと思いますけれども、それはどうですか。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 議員御指摘のように、税負担というのは非常に国民にとって大変なことだと思います。特に消費税というのは制度そのものが国民の皆さんに広く負担をしていただこうということになるわけですから。実質負担は、むしろ所得の低い方には大きくなるということでして、だからこそ、消費税率の引上げについては長年議論があって、そして何回か延期されたということもあるわけです。しかし、他方、社会保障財源もなかなか、このままの調子だとやっていけない、それから財政も健全化、特に財政に対する国際的な信頼ということからも、このまま放置できないということで、今回踏み切ったのではないかと思います。 議員がおっしゃるように、大変なことだとは思いますけれども、そこのところについて、そういった意味で御理解をいただくことに、引き続き努力をしていくということではないかと思います。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 引き続き、我々は減税を求めてやっていきます。やっぱり借金が増えてきているでしょう、実際にはね。1千兆円超えているわけですよ。財政再建でもないし。そういう点では減税をすることだけによって、本当に企業は今、海外から日本国内に帰ってこようとしていますよね。おまけに、そんなに賃金の差がなくなりましたので。だから個人消費はやっぱり温めないかんわけですよ。温めるのに消費税の増税というのは本当に駄目ですよ、こんなもん。これはやっぱり減税するとか廃止するとかいう方向性をね。私はこれからも税については議論していきたいと思っています。 続いて、県職員の働き方についてお伺いします。 まず、職員定数ですね。知事部局など、一般行政の職員定数は、正規職員では2003年度の4,645人から2019年度には3,804人と、841人減少、非正規職員も同じく779人から603人と176人減少しています。いずれも行財政改革により削減されたものです。 また、各年度末時点の病気休職者数は延べ人数で285人、現職死亡数は71人で、うち21人が自殺となっています。2017年には過労死を受け、県として業務改善を行うと言っていたにも関わらず、昨年6月に再び過労を原因とする自殺が起きてしまいました。イベントや日常業務が増える中、職員数だけが削減されてきており、その結果として、職員に対する労働強化が強まっているのだと考えますが、その認識はあるでしょうか。職員定数の増員こそが解決の方法と考えますけれども、まず、答弁を求めます。 続いて、会計年度任用職員制度についてです。2017年度に改正された地方公務員法及び地方自治法に基づき、来年4月から会計年度任用職員制度が導入されます。この導入により、待遇面では一定の改善が図られますが、将来的には正規職員定数のさらなる削減や非正規雇用の固定化と拡大が行われる危険性があります。地方公務員法は、サービスの安定性と質を確保するため、公務は任期の定めのない常勤職員が中心となって担うという無期限任用の原則を持っています。 そこで伺います。まず1点目は、正規職員から非正規職員に置き換わり、非正規職員が固定化、拡大するのではないのでしょうか。 二つ目には、職員定数の削減とさらなる外部委託が進むのを危惧します。 3点目は、全ての自治体職員の給与、労働条件が切り下げられるのではないかという危惧です。 4点目は、国による人件費抑制の攻勢に対し、交付税措置の増額をどのように求めていくのか。 最後に、会計年度任用職員の給与と各手当について、毎月の給与を下げて期末手当で措置ということはないのでしょうか。 以上5点についての答弁を求めます。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず、私から職員定数についてお答えします。 私は就任直後から危機的な財政状況に直面する中で、常在行革の精神の下で、聖域なき行財政改革に取り組んできました。特に歳出総額の約3割を占める人件費については、職員の理解をいただきながら、身を切る思いで定数の削減を行ってきたところです。 定数削減にあたっては、できるだけ職員の負担が増加しないように、組織のフラット化や総務系事務の一元化など、職員が効率的に職務を遂行できるように工夫しながら進めてきたところです。 この結果、今年度の職員定数は3,804人となっていますが、一般行政部門における人口10万人あたりの職員数は、人口の類似する24県中12位と、中位に位置しており、平均的な人員が確保できているものと考えています。 一方で、喫緊の課題である少子高齢化、人口減少への対応や頻発する災害などに、限られた職員数で的確に対応していくため、県民ニーズが薄れている、あるいは効果が上がっていない事業は廃止するなど、業務のスクラップ・アンド・ビルドを徹底していきます。 加えて、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少が見込まれる中、官民ともに人材確保が困難になることが予想されることから、公務職場においてもさらなる生産性向上を図ることが大変重要です。IoT、AI、ロボットといった様々な先端技術が世の中のありようまで変えようとしていますが、県庁内でもこれをうまく取り入れて活用することで、業務の省力化と効率化を図っていきたいと考えています。 これまでも、例えば、手書きや手計算で行ってきた年間約26万件にも及ぶ旅行命令をはじめ、休暇や手当等の総務系事務の手続をシステム化するなどして、効率的に行うことにしてきました。さらに、今年度から新たな取組として、RPA、ロボティック・プロセス・オートメーションを実証導入し、これを活用した9業務では、年間業務時間の約3割、4,272時間を削減できると見込んでいます。 このように、業務効率化に取り組んだ上でもなお現行の職員数で対応困難な職務があれば、その採用枠を拡大することとしており、児童虐待の相談件数が年々増加している児童相談所については、今年度も増員しましたが、引き続き来年度も児童福祉司などを増員したいと考えています。 今後とも職員の負担が増加することのないように、業務の徹底した効率化を進めるとともに、職員の業務量を十分に勘案して、実態に応じた人員配置に努めてまいりたいと考えています。 ○麻生栄作議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 会計年度任用職員制度について5点の質問をいただきました。 まず1点目については、正規、非正規のいずれの職員を配置するかについては、業務の性質や量により判断しています。具体的には、相当の期間任用する職員をつけるべき業務には正規職員を、それ以外の業務には非正規職員を配置することとしており、今回の会計年度任用職員制度の導入によって、非正規雇用が固定化、拡大化するということはないと考えています。 2点目ですが、今申し上げた考え方に基づき、毎年度職員数を見直しており、さらなる定数削減は考えていないところです。 また、外部委託化については、業務の効率化とサービス水準の維持の観点から導入を検討するものであり、今回の制度改正により影響を受けるものではないと考えています。 3点目については、会計年度任用職員制度の導入に伴い人件費の増加が予想されますが、単に財政上の制約を理由に、正規及び非正規職員の給与、労働条件を切り下げることは考えていません。 4点目については、交付税措置について、九州地方自治会や全国知事会として、国に対して必要な財源を地方財政計画に計上するよう求めているところです。 最後の5点目ですが、会計年度任用職員の給与水準については、類似する職務に従事する常勤職員との権衡を踏まえて定めることとしています。結果として、月収ベースでは減少しても、新たに支給される期末手当も含めると、年収ベースでは増額になると考えています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 県民ニーズに基づいて、ないもの、あるものと、いろいろとあるわけですが、具体的にどういうところの廃止を、今検討されているかということを一つ聞きます。 総務部長の今の答弁の中で、1番目の非正規が固定化、拡大することはないと、そのないと言える根拠は一体何なのかという点。 それともう一つは、最後の5点目、これは一番心配するんですよね。結局、期末手当によって年収は一緒になると。しかし、週とか月によっては違うわけですね、金額が下がることになるわけですよ。 そうすると、やっぱり毎月生活しているわけです。期末手当が出たから、それで1年間穴埋めするというわけではないんですよ。だからそういう点は、やっぱり切下げをしないような方向を考えないといかんと思うんだけれども、そこら辺はどうでしょう、その3点。 ○麻生栄作議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 まず、1点目のニーズが薄れている事業等についてです。これについては、毎年度、事務事業の見直しを県庁の予算、全ての事業についてやっていますので、そういった事業の見直しの中で、ニーズが薄れている、あるいは効果が薄れている事業について見いだしていって、それをスクラップ・アンド・ビルドしていくということもあります。また、職員にも、今、具体的な業務の見直しの提案を求めており、そういった見直しの中でも、効果の薄れている事業については見直しをしていきたいと考えています。 2点目の非正規雇用が固定化、拡大することはないということについてですが、これについては、今回の制度改正によって正規と非正規の考え方が決定的に変わったわけではないので、今と制度が変わっていない以上、今回の制度改正で固定化したり拡大したりするということはないと考えています。 最後の5点目の月収、あるいは週給ベースでの給与の関係ですが、これについては、基本的に同一労働同一賃金の考え方の下で、類似する常勤職員の方との権衡を踏まえて月収の水準等を設定することから、月収ベースでは下がる場合もありますが、期末手当も含めれば、全体としては増えるので、そういったことも含めて御理解いただきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 だから月収が下がるというのは、やっぱり何か対策を検討せないかんのではないかと思うんですよ。だって、毎月生活するわけですから、年に1遍生活するわけじゃないわけね。だから、そういう点を具体的に、そういう危惧がどうだというような検討をした形跡があるのか、最後に聞きます。 やっぱり地方自治体というのは住民の行政サービスの向上が一番基本だと思うんですよ。地方公務員の任用と勤務状況の在り方というのは、住民がその地域で暮らし続けるために必要なサービスを担うものとしなきゃならんと思うんですが、今回の会計年度任用職員制度については、こういう地方公務員としての基本的なスタンスは、全く変わりはないと捉えていいんでしょうか。 ○麻生栄作議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 月収ベースでは下がるんではないかということについては、これはいろんなところで御指摘のように議論になっていることは承知しています。確かに議論はあると思いますが、これは今回の制度の見直しでは、基本的には常勤の職員とある程度権衡を図るということが一つの趣旨ですので、この点については御理解いただきたいと思っています。 それから、地方公共団体の責務、あるいは地方公務員の責務とは、正に公共サービスを提供することだと思っています。それについては、今回の制度改正で、別にそれを壊すものでも何でもありませんので、その点についてはこれまでと変わってないと考えています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 次に行きます。 教員の変形労働時間制についてお伺いします。 今、国会においては、教員の勤務時間を1年単位で管理をする変形労働時間制を導入し、学期末の労働時間を延長する代わりに、夏休み期間中に休日をまとめ取りできるようにする、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)の改正案が審議され、昨日、参議院の文科委員会で可決されました。 同時に、原則1日8時間以内となっている労働時間を、繁忙期については1日上限10時間に拡大するもの、この法案に対し現場では、「1日の所定労働時間が10時間になれば、そこに職員会議などが入り、授業準備などをその後の時間外にやらざるを得なくなる、結局は労働時間が長くなるだけ」、「定時後の授業準備は結局自発的勤務となり、残業代も支給されない」と危惧の声が出ています。 また、衆議院の文科委員会には、参考人として出席した神奈川過労死等を考える会の代表は、「見かけの時間外労働は減っても、この時期の労働時間が合法的に増え、過労死を促進してしまう」と、その弊害を指摘しています。 本県でも2017年6月に、中学校の先生が過労死した件は大きな波紋を広げました。この事件の根底にある教員の長時間労働を見ると、大分市教育委員会の小中学校では、2018年度の12月から3月までの間、一月の時間外勤務が過労死ラインの80時間を超えていた教員は、4か月間で延べ467人と5.5%を占めています。特に3月は2,115人の対象者に対して153人で7.2%と、平均より多くの残業をしていたことが明らかです。 また、全県立学校では、2018年度、月80時間以上時間外勤務をした職員が延べ1,746人で6.8%、100時間以上では775人と3.0%に上っており、今年に入ってもこの傾向には変わりがありません。 今回、所定勤務時間を延長する時期を、学校行事等で多忙となり、教員の過労死の事案が多いと言われる4月、6月、10月としていることも大問題です。現場の先生から話を聞くと、「仕事の量は全く減らない、定員不足が深刻である」、「今でも夏季休暇に5日間年休をとるように言われるが、年休を取った人でも学校に出てきて仕事をするし、休日に出てきて仕事をしている」などの声が上がっています。 こうした問題点を踏まえて、まず1点目は、当事者である教員の意見を反映させる労使協定がないまま、変形労働時間制を自治体条例で導入できるとしていることは、現場の声を無視することと同じであり、県教育委員会の判断により決めることができるということになると考えますが、どうでしょうか。 次に、給特法第3条の時間外勤務手当、休日勤務手当を支給しない規定はそのままで、労働基準法第37条の割増賃金の支払を適用除外にすることは、正にサービス残業を助長することになりますが、どうでしょうか。 3点目は、特別な事情がある場合の時間外勤務の上限である月100時間、年720時間を超えた場合の罰則がないことについて、歯止めが全くないため、いくらでも時間延長ができ、過労死促進と言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。 4点目は、厚生労働省の2018年度版過労死等防止対策白書では、教職員調査結果によると、所定勤務時間を超えて業務を行う理由は、「業務量が多いため」が69.6%で最多、次に「予定外の業務が突発的に発生するため」が53.7%となっています。ここから言えることは、教員の長時間労働の改善は抜本的な業務量の削減や教員の大幅増員とともに、4%の教職調整額の支給と引換えに時間外勤務手当を支給せず、際限のない長時間労働の実態を引き起こした給特法の改正こそ必要と考えますが、いかがでしょうか。 最後に、同白書では、一番忙しかった時期は4月、次いで3月、10月となっていますが、過労死が多い月に勤務時間の延長時期を設定しようとすることは、さらなる過労死を促進することにつながると考えますが、いかがでしょうか。 以上、5点に対する答弁を求めます。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教員の変形労働時間制についてお答えします。 まず1点目については、地方公務員の給与、勤務時間、その他の勤務条件は条例で定めることとする勤務条件条例主義から、条例によるものと理解しています。なお、条例を制定するとなれば、職員団体には丁寧に説明していきたいと考えています。 2点目、3点目及び5点目については、国においては勤務時間の上限、月45時間、年間360時間、これに関するガイドラインを踏まえて、在校等時間を縮減することが変形労働時間制の導入の前提とされています。県教育委員会としても、勤務時間の上限に関する方針を策定するとともに、市町村教育委員会にも策定を促して、連携して勤務時間の縮減に取り組んでいきます。 4点目については、研修、会議の縮減や専門スタッフ、外部人材の一層の活用などによって、教員の負担軽減を図るとともに、教員定数の充実を引き続き国へ要請していきます。 給特法の改正については、中央教育審議会において様々な議論がされて、勤務時間管理の徹底と上限ガイドラインの実効性を高めることが今年の1月に答申されて、それを踏まえて改正法案が出てきたと承知しています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 ガイドラインには確かに360時間以内となっていますけれども、実際には年間720時間を超えた場合、本来は罰則がありますよね。しかし、その罰則がないという状況の中で意図的に、360時間を超えれば自主的な活動という形で結局残業とはみなさないとか、超過勤務4項目以外の活動ということで認定するというような、いろいろと問題点があると思うんですね。ですから、そういう点からすると、今でもさっき言ったとおり、長時間労働しているわけでしょ。おまけに業務改善をして、いろんなことをしてきた結果、まだこういう状況ですわ。 だからそういう点では、今回の10時間勤務で、繁忙期に長時間勤務をして、その後がまた自主的活動として残業時間になってしまうわけでしょ。そういう問題点があるというのはしっかりと認識しているんでしょうか、再度その点をお伺いします。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 今の答弁で申し上げたように、今回この法案の背景となっていることは、月45時間、年間360時間の上限ライン以内に何とか抑え込みたいということが、まず前提としてあるということです。 超えるんではないか云々よりも、まず超えないようにいろんな手を打とうと。そのためには当然文科省としても、そのための業務改善について、今年度内にまた通知を出して、どういう点で、どういう面で業務を削減していくのかという通知が出てくる。その上で、この法の適用自体が再来年の4月からです。その間にしっかりと対応をしながら、まず第1段階としてそれをやっていくという考え方であると理解しています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 360時間を超えないようにしているというけれども、実際超えているじゃないですか、今でも。いろんな通知を出して、細かな業務改善をいろいろやってきたわけでしょ、提出書類を少なくするとか。しかし、実態は違うじゃないですか。おまけに大分市の義務制では、今年の4月から7月までの4か月間、これを見ただけでも80時間超が458人、5.36%ですよ、義務制でも。県立学校はさっき言ったとおり、100時間を超えているんですよ。今でもこのような実態があるにもかかわらず、これが導入されて360時間以内に絶対にできる、通達を出したらできるとかね、そんな甘いもんじゃないでしょ、これは。 県教委として各市町村、義務教育制の勤務時間の実態把握は実際しているんですか。再度聞きます。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。
    工藤利明教育長 勤務時間の実態把握については、県立学校においては設備を備えてしっかり客観的な把握ができるようにしています。これは労基法上、客観的に把握しろとなっていますので。市町村についても、その点についてはしっかり指導してきています。 現実に今、長時間勤務があるという状況は、当然我々も把握しています。そのためには、今もやっていますけれども、さらに業務改善、何ができるかということは一つ一つ取り組んで、その第1段階としてこの法が出てきているわけですから。その点をしっかり踏まえて、できるだけ長時間勤務をなくすという方向で努力していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 県立学校はそういう形できちっとしていると。ただ、義務制の任命権者は一体どこ。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 人事面の任命権者は県教育委員会です。学校そのものの管理運営については市町村教育委員会。市町村教育委員会がしっかり時間管理をするということは当然のことです。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 人事管理は県教委がしないといけないわけでしょ、人事管理というのは、その人がどういう働き方をするか、確かに資料は市教委がつかんでいればそれはいい、結構です。しかし、それを県教委としてまとめて、どういう状況になっているかというのはつかまなけりゃいかんでしょ。そういう方向は考えているんですか。それを、市教委任せにして、県教委としては全体のものを集めて分析しようという考えは全くないんですか。あるとすれば、どういう形でしようと考えていますか、再度求めます。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 管理者として市町村教育委員会には、どれだけの時間働いているかということはデータとして上がってきますから、それも踏まえながら、我々としてもどう対応すれば業務の削減、時間削減になるかということは対応していくということです。 人事権があるから、即管理して縛っていけばいいじゃないかという話ではなくて、ここは市町村教委としっかり連携しながら対応していくということです。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 誰も縛れとは言っていない。つまり、市教委から出たものを、きちっと県教委としても検討して、それで全体的な状況を考えていく。これ当たり前のことでしょ。それを今すると言ったわけですね、再度確認します。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 今申し上げたように、これまでもその点についてはやってきていますし、客観的に、まだ完全に把握できてないところについても指導しています。その時間がどういう状況かというデータは、我々がきちんと把握して、それを分析していく、これは当然のことです。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 分かりました。 次に、国民健康保険税の引下げについてお伺いします。 厚生労働省は、国民健康保険税の引上げを抑えたり引き下げたりするために、一般会計から国民健康保険特別会計に独自に公費繰入れを行う市町村に対して、国からの交付金を減らすペナルティ措置を2020年度から導入する方針と言われています。このペナルティ措置を新たに設けるのは、国民健康保険の保険者努力支援制度により国が出す交付金においてです。今でも取組が進んでいる自治体に対して交付金を増やす仕組みがありますが、2020年度からは公費繰入金の削減や解消の取組を進めれば交付金を増やすあめ、解消の取組を進めないと交付金を削減するむちを用意し、市町村と県の双方に設けるようになっています。 しかし、これまでも公費繰入れについては自治体の判断でできると国会でも答弁されていますが、この考え方に変わりはないのでしょうか、答弁を求めます。 また、本年第2回定例会において、国民健康保険問題に関して、県は猿渡議員への答弁で、「国民健康保険は、協会けんぽ等と比べると高齢者や所得の低い方の加入割合が高く、構造的に財政基盤が弱い」との認識を示しました。その対策として、国に「毎年度、国庫負担の引上げを求めている」と、これまでと同様の答弁を繰り返しました。低所得者等にとって国民健康保険税の支払は、生活を続けるにあたって大きな負担となっています。今年6月の滞納世帯は1万7,569世帯で、全世帯に占める割合は10.9%、資格証明書数は2,056世帯で滞納世帯に占める割合も11.7%、差押え件数に至っては3,027件で、滞納世帯に占める割合は17.2%にも上っています。各市町村では財政が厳しい中でも一般会計からの繰入れ等で何とかしのいでいるのが現状です。国民健康保険財政の運営責任が県に移行した以上、県として法定繰入れとは別に法定外繰入れを行い、国民健康保険税の全体的な引下げを行うべきと考えますが、答弁をあわせて求めます。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 国民健康保険税についてお答えします。 まず、公費繰入れに関する国の方針についてですが、保険者努力支援制度については、来年度から法定外繰入れなど、一部の評価指標にマイナス点が設定されることとなりました。これについて、国はペナルティを科し、あるいは罰則を付すものではなく、国保改革に伴って拡充された公費の配分について、一部めりはりを強化するものであるとしています。 この見直しは、法定外繰入れの早期解消を図るなどの目的で導入されるものですが、法定外繰入れは自治体の判断によるという国の方針に変わりはないものと認識しています。 次に、県の法定外繰入れについてですが、国民健康保険は全国一律の制度であるため、国の責任において被保険者の負担が過度にならないようにすべきだと考えています。 したがって、県として保険税の引下げを目的とした法定外繰入れを行うことは考えていません。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 先日の財政制度等審議会の中でこの問題が議論されて、自治体からの一般会計からの繰入れについて、規律ある保険財政の運営とは言えないと。財政制度審議会ですから、財界の代表が来ているわけですよね。これは国保税引上げの抑制のために頑張っている自治体に、そういう面では真正面から攻撃を加えているようなものです。県として、自治体のこの努力についてどう考えているか。つまり引上げを抑制するための努力についての考え方、県としての考え、どうでしょうか。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 国保特会に法定額繰入れを行っている市町村は、30年度決算では大分市がやっています。その他の市町村は、国保特会の赤字への繰入れは特にやっておりません。 市町村ごとに保険事業とか保険料の引下げのための様々な努力をやっています。 県も国保制度を維持するために必要だということで、市町村と一緒になって、医療費の過度な増大や負担を招かないように、住民の自発的な健康づくりとか、糖尿病性腎症等の生活習慣病の発症の予防とか、重症化の防止の取組などを一緒になってやっているところです。そうした形で保険税をできるだけ下げるための取組もしているところです。 また、収入についても、保険税の確保や法定の公費で賄うということで、しっかりとこれらとあわせて、定率国庫負担の引上げなど、国による財政の支援の強化を求めているところです。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 2020年度の納付金算定において、新たに過去3年分の実績を用いる方法等が今提案されていますよね。今回の算定において、保険税の状況はどうなると考えているか。 また、厚生労働省は地域の実情に応じて、今答弁されたように、適切な推計方法を定めるように求めていますが、これらを勘案して、保険税の引下げを実施できるのではないかと思いますが、そこら辺の検討はどうでしょう。 もう一つ、厚労省は、各都道府県に納付金、標準保険料の試算に必要な仮ケースを通知していますが、11月20日までに県としてその試算結果を国に報告しなさいとなっています。その結果の状況はどうなっているかというのを、3点お伺いします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 保険税の算定については、国のマニュアルに沿って標準的な保険料の算定をしているところです。これは全国同じような考え方でやっていると承知しています。 11月20日までにどのような結果になっているのかというのは、大変申し訳ございません、ここに今、手元に資料がありませんので、後ほどお持ちしたいと思います。 それによって、引下げがどうなるかということについては、特に今のところ詳細な分析をしていません。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 では、20日の問題については、また後でゆっくり話を聞かせください、資料も含めてね。 次に、メガソーラー建設問題についてに移ります。 日出町のメガソーラーの問題です。日出町の藤原地区の城山の麓に、合同会社日出メガソーラーによる、約15ヘクタールにソーラーパネル約5万5千枚を設置するメガソーラー建設計画が持ち上がっており、地元や日出町議会で大きな問題となっています。 地元の住民は、会社説明会などにおいて再々にわたり「災害が起きる可能性がある」などの理由を示し、明確に建設反対の意思表示をしてきました。また、県に対しても「土石流危険地域、急傾斜地を含み、災害発生により地区住民の命と身体に危険が及ぶ。また、絶滅のおそれのある動植物が生息している」として、林地開発許可を出さないように求めてきました。私も現地の住民と一緒に現場を見て、急峻な地形と巨石が多数あり、水源涵養保安林と接していることなどを確認してきました。里山を一度壊せば二度と元の森には戻りません。雨水に対する保水力がなくなり、一気に流れ落ちる危険性や、光の害、作物への影響など、こんなところにつくってはならないと痛感しました。地元住民のこの思いを受け止めて、県として林地開発許可を出すべきではないと考えますが、答弁を求めます。 また、私は第3回定例会でも、野津町のメガソーラー建設計画における会社の対応について、2億5千万円から12億5千万円の損害賠償額が発生するとして、反対運動を抑え込もうとしたことの問題点を指摘しました。 今回の日出町のケースでも、会社代理人という東京の弁護士が、住民が開発に同意しないことなどを「事業に対する営業妨害である」とした上で、「仮に貴殿の違法、不法な行為が原因で本件太陽光発電所の事業が中止、又は調達期間の短縮などの不利益が生じた場合には、当社は貴殿に対して損害賠償請求その他の法的措置をとる」という内容証明郵便を送付してきました。開発に同意をする、しないというのは、住民の当然の権利であり、業者から言われるものではないと考えます。このような文書を送ってくるのは、正にスラップ訴訟による脅しとしか言いようがありません。全くコミュニケーションをとるとは言えないのではありませんか。県としての認識はいかがでしょうか。また、同意する、しないは住民の権利であると考えますが、あわせて答弁を求めます。 さらに、日出町に行く途中に東九州自動車道からも、また、別大国道からも、その日出町の豊岡の山麓にソーラーパネルが並んでいるのが見えます。自然と観光で売り出している大分県として、この景観の現状をどう認識しているのでしょうか、あわせて答弁を求めます。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 私から、日出町のメガソーラーの建設計画についてお答えします。 林地開発許可は森林法に基づくもので、1ヘクタールを超える開発行為を行う場合には、県知事の許可が必要となっています。その許可にあたっては、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全、この四つの基準を満たす必要があり、県では審査要領を定めて、これにより適正に審査をしているところです。 審査の結果、林地開発許可申請が基準を満たしている場合には、森林法ではこれを許可しなければならないとされています。 なお、環境の保全に関しては、特に重要であることから、県は事業者に対し、環境の保全に関する地域住民との合意形成を求めており、一貫して行政指導を行っているところです。 その際には、開発計画に関する丁寧な説明を行うこと、事業者が住民からの意見に誠実に対応することが重要だと考えています。こうした環境の保全に関する合意形成の判断は、地域住民の意思が尊重されるべきものであり、今後も住民不安の払拭に向け、事業者への粘り強い行政指導を継続していきます。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 私からは、景観の保全についてお答えします。 本県は、緑豊かな自然に加え、人々の暮らしや文化、歴史に育まれた良好な景観に恵まれています。議員御質問の日出町においても、海、山など、豊かな自然と歴史的な町並みなど、特色ある景観を有しています。このように美しい景観を良好に保ち、将来に伝えていくことは大切であり、快適な住環境の確保や観光振興にも資するものと考えています。 こうした中、日出町が本年12月1日に景観行政団体となったところです。県では、従来から、地域の特性を生かし、きめ細かに対応することの重要性から、景観行政は基礎自治体である市町村が主体となって担うべきと考えており、今後は日出町が地域の実情に応じた景観計画や景観条例を策定し、景観の保全や形成に取り組んでいくことと考えています。 県としても、日出町の取組を支援し、連携しながら地域の特性に配慮した景観行政を推進していきます。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 その現場を見たことはありますか。そこから聞きます。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 直接足を踏み入れたことはないんですけど、道路から通るときによく見ています。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 そうですね。私も人工島からずっと眺めてみたら、本当に日出町の真ん中ですよ。拡大で写真を撮ると、もうパネルが見える、それぐらいの状況ですね。 いつの議会か、知事はカジノの問題で、大分県には自然と温泉とか、そういうすばらしい資産があるという発言を答弁されたことがあったんですね。 それを私見たときにね、本当にそれで自然景観が保たれるのかと思ったんですね。あそこはもう開発していて、パネルがあります。しかし、これから開発する地域というのは、そういう景観からもやっぱり大事だと思うんですね。 もう一つは、今、国会でもこのメガソーラーって非常に問題になっているんですね。確かに一方では太陽光発電という、再生可能エネルギーは推進しなきゃならない。ただ、地元同意の得られない、自然を破壊してしまうというようなメガソーラー建設については、これはやっぱり非常に問題がある。全国知事会からも、そういう提言が出されていますよね。メガソーラーの建設については地元の住民との合意等を、法的にもきちっとしてほしいという要請も知事会から出ていると思うんです。 今回、私がもう一つ聞きたかったのは、そういう内容証明郵便が来ていますが、コミュニケーションというのは当事者同士がちゃんと話合いをして、納得の上でどうするかというのが本来ですね。しかし、そういうことがなく、こういう内容証明郵便が来るということは、一方的にコミュニケーションを企業側が崩してしまうことにつながるということと、全く一緒だと思うんだけれども、そこら辺の認識はどうでしょうか。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 私もその文書を入手して拝見しました。確かに最後のところのくだりを見ると、私もちょっと不安になる感じもありました。そういった意味で、しっかりと住民の皆さんに、事業者が丁寧に説明をするということが大事だと改めて感じていますので、そういった指導を引き続きやっていきたいと思います。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 文書を読まれたのなら、本当にいいと思います。ああいうふうな文書で。結局、当然地域住民の方が回答書もちゃんと出しています。これもぜひ読んでいただきたいんですが、そういうような文書の中で、コミュニケーション、ああいう内容証明郵便を出しておいて、果たして心底から話合いというのはできると思いますか。 本来は、ああいう内容証明郵便じゃなくて、業者側というのは営利企業ですから、何回でも話合いはすべきですよ。その中で、当事者同士の話合いを進めていって、どうするかを決めるわけ。ただ、最終的にはここの住民の方は、もう建設は嫌だと、駄目だと明確に出しているわけですね。机上の計算ではないか、災害が起きるんではないかというような、非常に大きな問題点を持っているわけです。 私は県の姿勢を非常に評価しています。振興局も、この申請について何回も。ここだけじゃないですよ、私が以前問題にした野津の方もそうです、やっぱり何回も来るんですよ。しかし、そこで地元の同意がやっぱり大事だということで、その場は受付をしていない。これは私は非常にすばらしいと思います。この姿勢を本当最後まで貫いてほしいんですわ。じゃないと向こうはいろんな形で来ますからね、企業というのは、そりゃ営利ですから。今のうちしておかないとFITの関係で下がってしまいますから、そういう点では向こうも慌てるわけですよ。ですから、そういう姿勢で、県として地元住民の立場に立って、地元同意を持っていくということは、ぜひ再度、認識を新たにしていただきたいんですけれども、再度求めます。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 林地開発に関しては、法が定めた基準と、あわせて環境保全に関して地域との合意形成を県で追加して設定しています。 そこにはやはり地域住民とのしっかりとした合意形成が必要になってきますので、その要綱に基づいて、引き続き指導していきたいと思います。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 そういう住民の声を尊重して、相談窓口が振興局ですから、親身にいろんな相談に乗っていくということで、やっぱり心配事はありますから、それはぜひお願いしておきます。 最後、知事に対して聞きます。この前の議会のときに、野津町のメガソーラー問題でスラップ訴訟ではないかということに対して、知事はこう答えています。「お互いに誠意を持って話合いをすること、どう考えているのか、それに対して住民は何が心配なのかということを誠意を持って話合いをすること。そしてある程度その話合いが詰まってくるというのが大事なことで、その姿にはなかなか今伺った印象では遠い感じがした」という答弁をしていますが、私が紹介したさきほどの内容証明郵便、同意がない場合には訴訟も辞さないということを言っているわけですが、これでコミュニケーションがとれていると知事としての認識はあるでしょうか。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 私は、まだこの件については受け付けている段階ではないんじゃないかと思っています。したがって、私もまだ関知していませんけれども、森林法に定める要件の中にも、誠意を持って地元の同意を得ることが大事だと言っていて、そのためには誠意を持って話合いをすると、説明をしてもらうということが大事でして、そういう意を尽くしているというところが非常に大事だという議員御指摘の点はそのとおりだと思います。 今の事実関係がどういうことになっているかは判断を差し控えますけれども、考え方としてはそういうことではないかなと思います。 ○麻生栄作議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 はい、どうも。これは今から全国でも、大分県内でも、風力発電だとか太陽光発電とか、いろいろ計画があるんですね、計画がいっぱい。 だから、そういうところに関して、県としての基本的なスタンスというのはしっかりと持っておく。現状は持っていると思うんですが、そういった地元住民の方々の合意を得るとか、それをはっきりと指し示していくことが、県として地元住民を応援するという意味からも非常に大事なことだと思うんですよ。 そういう点では、この前の議会と今回の関係で、太陽光発電問題についての県としてのスタンスはよく分かりました。そういう点では、これからもぜひそういうスタンスに立って、頑張って住民の側と一緒にやっていただきたい。このことを強く求めて、何と37秒も残して今日の一般質問を終わります。よろしくお願いいたします。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で堤栄三君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時17分 休憩  -------------------------------     午後1時20分 再開 ○土居昌弘副議長 皆様、こんにちは。 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。森誠一君。  〔森議員登壇〕(拍手) ◆森誠一議員 皆さん、こんにちは。8番、自由民主党、森誠一です。 令和元年第4回定例会において、貴重な一般質問の機会をいただきました。機会を与えてくださった先輩同僚議員の皆様、本当にありがとうございます。 また、本日は、地元豊後大野市をはじめ、大分市等各地から傍聴にお越しくださいました。また、ネット生中継でも視聴いただいていると聞いています。お世話になっている全ての皆様に心から感謝申し上げます。 本日は、6歳の保育園生も来ており、今後の教育テーマを切り口に今日は質問を組み立てました。知事はじめ執行部の皆様の将来を見据えた御答弁をよろしくお願い申し上げます。 それでは、質問に入ります。まず、令和2年度、県政推進指針の18項目の基本方針にも明記されているSTEAM教育について伺います。 お手元に資料を用意していますので、その資料も御覧いただきながらお聞きいただければと思います。 STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を総合的に学習するSTEM教育というのが以前からあったんですけれども、それにArt(芸術)とかリベラルアーツを加えて提唱された教育思想です。各教科の学習を実社会の問題発見や、その解決に生かしていくための教科横断的な教育と言われています。 国は、本年6月21日に閣議決定した統合イノベーション戦略2019の中で、「これからの社会の中で生きていくために必要な力の育成に向け、STEAM教育を推進し、具体的な社会課題とひも付けながら学習する環境を確保する」としており、これから取組が進んでいくものと考えられます。 広瀬知事は、米日カウンシル知事会議への出席、現地法人や企業とのパートナーシップ締結のため、本年8月にアメリカのカリフォルニア州シリコンバレーを訪問された際、今年度から本県の高校生30人への遠隔講座を実施することとなったスタンフォード大学を訪れ、そのときに感じたことを先月の「新時代おおいた」に次のように記されています。 「この時代を担う人材育成について、活発な取組が行われています。スタンフォード大学では、これまでのSTEM教育に創造性のアートを加えたSTEAM教育が活発に議論されていました。何を知っているかではなく、知識を通じて何ができるか、どう課題解決に役立てるかを創造的に考えさせる教育です」と記されています。 県の長期総合計画、安心・活力・発展プラン2015に掲げる教育県大分の創造に向け、STEAM教育は今後重要な取組の一つとなると考えています。そして、このSTEAM教育をシリコンバレーの現地で正に体感してこられた知事の下、これからの施策の推進を大いに期待するところですが、今後どのように取り組んでいかれるのか、考えをお聞かせください。 以後は対面席でいたします。  〔森議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○土居昌弘副議長 ただいまの森誠一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 森誠一議員からSTEAM教育について御質問をいただきました。 科学技術の進歩によって社会が大きく変化し続ける中、それに対応して新時代を切り開く力を持った人材の育成は急務です。 このような折、8月の訪米でSTEAM教育に熱心なスタンフォードのチームと遠隔講座の実施について合意できました。早速9月から県内高校生30人が、先方の講師とインターネットを通じて英語でSDGsについて議論をする講座が順調に進んでいます。 これからの教育にはSociety5.0に向け、各教科での学習を実社会の課題解決に生かしていくための教科横断的な取組が求められていくと思います。何を知っているかではなくて、知識を通じて何ができるのか、どう課題解決に役立てるのかを創造的に考えさせることが大事だということです。 本県においても、そういった視点から、小・中・高校の各段階で課題解決的な学習が進められています。小中学校では、新大分スタンダードによる授業改善が進んでいます。ジオパークの地元にある緒方小学校では、町の活性化という課題を立て、地図アプリを活用して原尻の滝などの見所を貼り付けた観光マップ作りに挑戦し、学校ホームページで公開しています。 また、教科の中でも算数では、コンピューターに正多角形を描かせるため、試行錯誤しながらプログラムを作り上げるといったプログラミング学習を先行実施している学校もあり、観察力や論理的な思考力、検証する力の育成に取り組んでいます。 少年少女科学体験スペースO-Laboでは、ドローンやロケットを飛ばしたり、宇宙や深海生物の謎を探求したりするなど、科学的思考力を育んでいます。 ほかにも県内19校222人の中学生が参加した科学の甲子園ジュニア県大会では、課題解決に向けて与えられた材料を工夫して、最適な条件のものを作り出すことに挑戦しており、毎年参加者も増加しています。 高等学校では、グローバルリーダー育成塾に集う生徒たちがSDGsをテーマに、熱心に議論を重ねています。本年度は、その議論の成果を国連人間居住計画、ハビタットのアジア太平洋担当に提言することになっています。 さらに、学びのSTEAM化を進め、ICT人材を養成するため、モデルとなる高等学校を育てていきたいと考えています。IT企業との連携、交流やAI等を活用して子どもの見守りを行うシステムなど、自らのアイデアをどう製品化するかといった課題解決型学習を充実させて、地域産業が求めるICT人材の育成に努めていきたいと思っています。 これからの社会を創造的に変えていく人材を、ここ大分からも輩出できるように、STEAM教育の推進に力を入れていきたいと思います。 ○土居昌弘副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 知事、ありがとうございました。 既に県内各小・中・高校で取組が行われている、それが正に今、STEAM教育と言われるものだということです。ピラミッド型の資料をお配りしています。今、知事はIT人材の育成にも触れられましたが、これまでのいわゆるSTEM教育と言われていたものがSTEAM教育に進化したその理由は、理数科だけにとらわれないで、人文科学、社会科学、いわゆるこの社会全体の課題を捉えようということです。この資料は、日本語版がまだできていないようで、中国語版、スペイン語版、英語版しかなくて、やっと探してきた英語ですが、このピラミッドでいくと、下から2段目がさきほど申し上げたそれぞれの分野です。その上に灰色で「STEM」とあります。これがこれまで提唱されてきた、アメリカ・オバマ大統領のときに提唱された教育であって、それに「A」が加えられることは非常に価値があるのではないかと私も考えています。そのことが一番上にあるLife-long Holistic、全人的教育につながると、これはヤックマンという方が提唱されていることなんですが、これは多くの社会の課題解決に役立つものだと思います。 県政推進指針、さきほど申し上げましたが、STEAM教育の推進に向けた子どもの科学的体験活動の充実とありますが、これは初等中等教育はもとより、我々の社会課題を解決するために有効なSTEAM思考という形で捉えることが必要ではないかと思います。STEAM教育の「A」、このアートの部分は、これまでの理数科だけでなくて、芸術的思考、この中では書いていますが、リベラルアーツと呼ばれる人文科学、社会科学など、例えば、文化とか経済、法律、生活、政治、スポーツなどを含めたものに既に進化しているものと思います。STEAMの「A」、アートをこのようにできるだけ広い範囲で捉え、教育現場に反映していくことが大事だと考えますが、教育長の見解を伺います。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 アートの位置付けなり、教育でどう取り組むのかということについてお答えします。 議員御指摘のアートについては、その言葉自体、想像力、あるいは人文科学といった広い意味を持つことから、単に芸術という日本語をあてて限定的に解釈する必要もないと考えています。 新学習指導要領では、現代的な諸課題に対応して求められる資質、能力を教科等横断的な視点で育成していくことができるよう、教育課程を編成するとされています。 STEAM教育は、この新学習指導要領と方向性を同じくするものであって、各教科などの授業や総合的な学習、探求の時間の学習に取り入れていけるものと捉えています。科学的に思考し、価値を見つけ出す感性と想像力、「STEM」と「A」をもって、地域課題に対して進んで課題解決に参画して、地域貢献できる人材の育成ということについてもしっかり考えていきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 先日、会派の調査で東京に行って、先日もお話がありましたけれども、私学の中でも、今、東京で成果を上げている学校に、3か所伺いました。 その中で、行ったときに説明も聞いたんですが、やはりSTEAM教育が根底にあって、それぞれの学校がそれぞれに個性を出しているというのが見受けられました。 ある学校では、中学校のレベルですけれども、いわゆる太閤検地ですね。田んぼの面積を測ったりというのを実際に学校の中で、以前どういうものを使ってやっていたかとか、測量の技術を実際に体験するとか。ある学校では、中学校に入ったらすぐ、ここでは農業で園芸を必ず履修して、次に高校1年でまた200人の女子高生が履修する。その間に、中学1年のときにシイタケの駒を打ったものを、高校1年のときに今度は収穫するという珍しい学習をしているところもありました。そういった実社会に即した部分が非常に大事かと、今回この課題を取り上げるのに感じたところです。 今日の新聞1面、各紙にOECDの国際学習到達度調査、PISAの結果が載っていました。その中で、新聞の論調では、日本語の読解力が下がったということが強調されていました、またIT教育が遅れているんじゃないかと書かれていましたけれども、そこだけに目を向けるのでなくて、やはりこのSTEAM教育、全体的な社会課題解決という視点から、それぞれこれから育っていく子どもたちが意欲的に学習ができる、そういった環境を整えていただければと思います。今後、この辺の取組にも大いに期待したいところですので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、次に観光振興についてです。ツーリズム戦略について、まず伺います。 地域振興と観光振興を一体的に進めるツーリズムを着実に進展させる総合的、効果的な取組の指針として、平成24年度に策定された日本一のおんせん県おおいたツーリズム戦略も、本年4月から、令和3年度末までを期間とする第3期に入りました。 地域の観光素材磨き、情報発信とブランド力の向上、ターゲットに応じた誘客、安心で快適な旅を支える態勢整備、観光産業の振興と観光人材の確保、育成の五つを柱とする戦略と目標値を示し、県内観光関係者のみならず、県民共通の目標として具体的取組を進めるとしています。 各目標値を見ると、最終年となる令和3年の観光入込客数は、第2期の実績より168万人多い2,040万人とし、このうち県内宿泊者数は759万人に設定しています。外国人宿泊客数については163万人となっています。地域間競争が激しくなっている中で、本県としてもこれらの戦略にスピード感を持って取り組んでいく必要があります。 また、そのような中で、ツーリズムおおいたの大分県版DMOとしての役割も非常に重要だと考えます。特に市場分析と関係者へのフィードバック、そして誘客につながるターゲットに応じた効果的な情報発信について、積極的な取組が求められていると思います。 そこでお伺いします。こうしたことを踏まえ、県はツーリズム戦略を今後どのように推進していくのか、知事の考えをお聞かせ願います。 続いて、JR豊肥本線の全線再開に向けた誘客対策について伺います。 平成28年4月16日の熊本地震により被災したJR豊肥本線の復旧工事がいよいよ来年度中に完了する見通しで、私たち沿線の住民は全線再開のときを待ちわびているところです。 また、鉄道の寸断で観光客の減少に苦しんできた観光関係者にとっても、豊肥本線沿線には、阿蘇くじゅう国立公園、阿蘇ユネスコジオパーク、祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク、おおいた豊後大野ジオパークなどの自然景観や、歴史や食など、国内観光客はもとより外国人観光客にも人気の、九州を代表するスポットが数多くありますので、本県と熊本両県を結ぶ大動脈が復旧すれば、観光復興や地域活性化に弾みがつくことと思います。 そうした中、沿線地域においては、昨年12月に竹田市と阿蘇市、それにJR九州の3者で締結したJR豊肥本線を活用した観光振興のための協定に基づき、本年7月、この3者を中心とした阿蘇竹田ブランド観光地域づくり推進協議会が設立され、豊肥本線の来年度中の運転再開を見据え、県境を越えた広域連携による阿蘇・竹田のブランドの確立と官民協働の観光地づくりを目指した取組が進められています。 具体的には、地域内の観光情報の一元化と統一した観光イメージの創出、両市の持つ自然遺産や温泉資源の広域性と地域性を生かした新たな滞在プログラムの開発、外国人旅行者のガイド養成及びゲストハウスのネットワーク化など、五つの事業計画を立て、推進していくこととなっているようです。 私は、こうした地域での取組をより一層実効性あるものに高めるためには、これまで以上に情報発信や誘客において県による支援も欠かせないと考えますし、JR豊肥本線の全線再開までの時間も迫っている中、ぜひとも早急な対応をお願いしたいと思いますが、見解をお伺いします。 ○土居昌弘副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私から、ツーリズム戦略についてお答えします。 ツーリズム戦略は、本年度から第3期戦略が始動しています。観光を取り巻く諸情勢の変化にスピーディーに対応すべく、五つの柱に基づいて情報発信や誘客対策を行っているところです。 まずはお客様の満足度を第一に考えて、ターゲットに応じた誘客を行うということです。10月のラグビーワールドカップ大分開催では、欧米、大洋州をターゲットに、発信力のあるキーパーソンの招請や現地プロモーションなどを実施しました。昨年の11.6倍にもあたる欧米、大洋州からの観戦客が県内一円に宿泊され、各地で地域の観光やおもてなしを堪能されたようです。大会の開催を通じて、アジア以外の幅広い地域からの誘客に手応えを感じているところであり、今後、海外誘客地域の多角化と個人旅行者へのアプローチを強力に進めていきたいと思います。 次に、情報発信とブランド力の向上については、デジタルマーケティングの手法を活用した情報発信が不可欠であると思っています。情報をデジタル媒体化するだけではなくて、情報発信に関するデータを収集、分析し、改善を進めることで、ターゲットへのきめ細かな情報発信を行います。 デジタルマーケットのいいところは、デジタル情報にどういうふうにお客さんが反応しているかということを、もう一度我々が収集して分析することができるというところで、そういうことを大いにやっていきたいと思っています。 次に、また、観光産業の振興と観光人材の確保、育成についても大変重要だと思っていて、本年から県内宿泊業者の100社訪問を始めました。その調査では、「特定の顧客に依存しており、新規の顧客開拓ができていない」とか、「料理人など従業員の確保、育成に苦戦している」といった課題が見えています。今後、観光事業者の経営体質を強化して、観光産業を稼げる産業、変化に強い産業に転換できるように、強力に支援していきたいと思います。 そして、安心で快適な旅を支える態勢の整備も大事です。これについては、地域連携DMOとしてのツーリズムおおいたの役割が重要です。ツーリズムおおいたでは、国内外の誘客対策事業に加えて、マーケティング機能の強化として、市場調査や観光客の動態調査をもとに、関連データの集約、分析を行って、市町村や地域観光協会、旅館組合などと共有することで、誘客や営業戦略などの取組を進めてきています。 最後に、地域の観光素材磨きについては、ラグビーワールドカップのレガシーを生かしたスポーツ誘致のほか、大分の強みである温泉や多彩な食に加えて、歴史、文化、芸術などを生かした新たな仕掛けづくりに、ツーリズムおおいたや市町村と連携して取り組みたいと思っています。 観光は正に地方創生の切り札、成長戦略の柱として、地域間での取組にも熱が入ってきています。県とツーリズムおおいたが車の両輪となって、ツーリズム戦略を強力に推進していきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 JR豊肥本線の全線再開に向けた誘客対策についてお答えします。 九州を横断する豊肥本線は、国内外からの多くの観光客が利用する大動脈です。鉄道寸断の影響もあり、県の統計で見ると、平成28年度の竹田市の宿泊客は前年比13%減の11万1,797人まで落ち込み、その後、昨年度には12万6,320人まで回復しましたが、地震前の水準にまで戻り切れていない状況です。 豊肥沿線には5月のNHK番組で日本最強の城に選ばれた岡城跡や国内最大級の普光寺磨崖仏、原尻の滝など名所、旧跡も多く、観光面でも早期の復旧が望まれているところです。JR九州も、この沿線一帯を九州観光の重要エリアとして復旧に全力をあげており、2020年度内には全線復旧の見通しです。 今年7月設立の阿蘇竹田ブランド観光地域づくり推進協議会には大分県の観光局長も参画し、滞在型プログラムの開発や、駅と観光地を結ぶ二次交通の改善などの取組を始めているところです。 引き続きJR九州の動向を注視しながら、竹田市、豊後大野市など、沿線自治体及び熊本県とも連携し、今後、県内外の商談会などを活用して情報発信や誘客対策に取り組んでいきます。 ○土居昌弘副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 ツーリズムの戦略のお話もありました。以前から特にその戦略を両輪で実施している大分県とツーリズムおおいたということで、ツーリズムおおいたについては大分県版DMOの位置付けで、大分県の委託事業等も多数、今やっていただいているところです。その中で、DMOとして果たすべき役割等について少し議論をしたいと思います。 ツーリズム大分への事業委託費は、令和元年度の総額で、全部含めて3億1,300万円程度です。うち人材育成に関するものが1,300万円、インバウンド推進費が約6千万円、ラグビーワールドカップ関連が1億3千万円、広域ツーリズム推進事業に関するものが1千万、そして県域版DMO推進事業、これが4千万円ほどです。そのうち、さきほどもあったデジタルマーケティング等、情報発信等を含めたマーケティング調査カルテ作成等、直接委託等に係る経費だと思うんですが、1,200万円程度ということです。ツーリズムおおいたは、それぞれの自治体の観光カルテをその事業で既に作成し、毎年更新をしているところだと思うんですが、観光動態調査や、じゃらんの宿泊旅行調査等、いろいろ参考として各自治体ごとに分析しているものがあります。 その中でも、先日のラグビーワールドカップのこれからの検証の中にもありましたが、ネガティブな口コミとか、そういったものについてもしっかり拾っていこうとされています。 昨日の衛藤博昭議員の議論でも出てきたんですが、これからはやはりデジタルマーケティングも重要ですが、国内客においても、次にどこに行ったらいいかといった、行動変容を引き起こすような仕組みというか、そのデジタルマーケティングに基づいて、そういった仕組みづくりも必要じゃないかと自分は考えています。 豊後大野市は、そのカルテで見ると、一番先に訪れる、一番人気があるのは原尻の滝ということです。2番目の稲積鍾乳洞とは少し離れて、かなりニーズも違いますが。我々の仲間が原尻の滝で今年のチューリップ祭りのときに調査した内容を聞きましたが、来たお客さんが、そこの案内所、カウンターにやってきて、どこに行ったらいいですかとまず尋ねてくる。要するに、国内客であっても、車で来た方々はその後の行き先がまだ決まってない方々が豊肥地区でも多いんじゃないかと。そこで岡城を紹介したり普光寺を紹介したりする。そしたらそこに行った方がまた帰ってくる。次はどこに行ったらいいかなと。そういったニーズに応えること、また、観光案内所と観光地、また、案内所と案内所をつないでいくというのは、これから非常に重要な取組だと思います。それについて県域版DMOであるツーリズムおおいたが、その働きかけとか調整とかコーディネートをするべきだと私は考えていますが、その件についてコメントがあればお願いします。 もう一つ、JR豊肥本線についても追加で質問します。 阿蘇と竹田が、観光局長も含めて、またJR九州と組んで、今しっかりやろうとしています。実は豊後大野がそこには入っていない状況もある中で、ぜひ沿線全体での取組に持っていっていただきたいと思いますし、そのために横断的な連絡会などが、実際どうなっているのかということも教えていただきたいと思います。 また、豊肥本線は大正3年に開通して、既に100年を超える駅が出てきています。来年になると菅尾とか三重町駅、その後、清川とか緒方、朝地と毎年、100年を迎える駅があります。そういったことも含めて、これから豊肥本線を、しっかりと沿線住民と一緒に盛り上げていくということも必要です。ななつ星in九州もまた帰ってくると思います。あそぼーい!も今大分を走ってくれています。 また、熊本側で考えると、乗降客も多いんですが、空港に行くルート、熊本では熊本空港行きの支線も今検討されているということで、本線全体に関して、大分からもしっかり盛り上げていく必要もあるんじゃないかと思いますけれども、それについても見解をお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 2点御質問をいただきました。 一つ目の、観光案内所での機能、また、そういったところで行動変容を促していくべきではないのかということです。国内客も当然のことながら、ラグビーワールドカップでの我々の経験としては、やっぱりアジアの観光客に比べて、欧米、大洋州の観戦客は自由気ままに、目的観光地を定めずに本県を訪れていたという印象が強かったようです。 そのため、その多くの外国人観戦客が観光案内所を訪れて行き先を決める様子が見て取れました。例えば、案内所の職員とのやりとりでは、「あまり人の訪れていないところに行きたい」、「あの山に登りたい」など、通常とは違うニーズも聞こえてきています。 ツーリズムおおいたでは現在、外国人観光客のSNS分析やスマホのGPS機能を活用した動態調査などを実施しているところです。また今後、こういった分析結果を市町村や観光案内所など、関係者に情報提供していく予定です。 今回の貴重な経験から、欧米、大洋州の観光客だけではなく、今後増えていくアジアのFIT観光客、そして国内観光客に対しても、観光案内所を中心とした地域のコンシェルジュ機能を強化していくことが重要だと認識しています。今後は、観光案内所の機能を充実させるとともに、県内外の案内所のネットワーク化をしっかり図っていきたいと考えています。 もう一つ、豊肥本線をその沿線を含めて盛り上げていくべきだという点です。正にそのとおりだと考えています。基本的には、熊本と竹田市で立ち上げたところですが、やはり沿線全域で盛り上げていかないといけない。そういった思いで大分県としてもしっかり参画しているところです。今後の議論の状況を見ながら、その地域のみならず、大分県全体として盛り上げていくといった動きに、ぜひとも県としてもアドバイスをしていきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 ぜひツーリズム戦略の実現に向けて、そして今、豊肥本線、いよいよというところですので、県の支援もいただきながら、この豊肥本線もそうですけれども、県内観光がますます発展していくように、私どももまたいろいろ議論をしたいと思いますので、よろしくお願いします。 特にコンシェルジュを観光案内所に置くと、そのコンシェルジュの方の魅力、信頼性というのがやはり財産になる、目的地、デスティネーションになるということもあると思います。そういった部分もしっかり情報発信していくことが必要だと考えますので、引き続きの取組をお願いします。 それでは、次に、芸術文化の振興についてです。 国は、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けた機運醸成や訪日外国人観光客の拡大を目指し、来年を中心に、その前後の期間を含めて日本文化を発信する日本博というプロジェクトを始動させています。今日の資料の2ページ目に、日本博の総合テーマなどを載せていますので、そちらもあわせて御覧ください。 オープニングイベントは来年3月14日となっていますが、既に全国各地において関連したプログラムが開催されています。日本博は、日本人と自然を総合テーマに、美術、文化財、舞台芸術、メディア芸術、生活文化、文芸、音楽、食文化、自然、デザイン、ファッション、共生社会、多文化共生、それに被災地振興などの各分野にわたり、縄文時代から現代まで続く日本の美を国内外へ発信し、次世代に伝えることで、さらなる未来を創生するとした文化庁によるプロジェクトです。 本県でも先週末には、全国6か所で開催された日本遺産を生かした伝統芸能ライブ、NOBODY KNOWSプロジェクトのフィナーレとして、豊後高田市の天念寺において、修正鬼会と伝統芸能の狂言に出てくる鬼が初めて共演する特別公演が開催されたところです。 さらに、九州、山口全体での取組として、祭りアイランド九州レガシープロジェクトが9月から来年の3月まで実施されています。この取組は熊本地震からの創造的復興に向けて、九州、山口地域の魅力を全世界にPRすることを目的とした九州の祭り集結と、外国人観光客の周遊促進とリピーター化を目指した九州・山口の祭り巡りからなる九州初の最大規模での試みです。 こうした日本博の目指す方向性と、昨年の国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭の開催により培ったレガシーを、今年のラグビーワールドカップや来年の東京オリンピック・パラリンピックに生かすとした本県の方向性は、一致しているところもあると考えます。 そこで、芸術文化の振興といった観点から、この取組をどう活用していくかについて、県の見解をお聞かせください。 続いて、おおいた障がい者芸術文化支援センターについて伺います。 昨年秋に開催された全国障害者芸術・文化祭で盛り上がった機運をさらなる発展につなげることを目的に、先月10日、県内の障がい者アート活動の拠点施設として、おおいた障がい者芸術文化支援センターが、iichiko総合文化センター内にオープンしました。これまで福祉事業者などの主導で行われてきた芸術文化活動の新しい窓口とサポートを担うことになります。 開所式では、義足の女優、ダンサーとして活動する森田かずよさんと北村成美さんがダンスを披露したほか、「障がい者芸術の現在~その先へ~」をテーマとしたトークショーが行われました。 吐合センター長は、「これまで長い時間をかけてまいてきた小さな種の芽が出た、障がい者の活動の輪が広がる花を咲かせたい、芸術は人が豊かに生きるために重要なもので、その可能性は無限。センターでは障がい者誰もが自由に表現ができるよう支援し、共生社会を目指していくので応援してほしい。」とお話しされていました。 支援センターでは、障がいのある人の芸術作品の展示会の企画、活動を支援するために必要な知識を学ぶ講座の開催のほか、芸術文化に関する障がい者からの相談などに対応すると伺っています。 そこで、まだ開設して間もない時期ではありますが、支援センター開設に込めた思いと今後の活動方針についてお尋ねします。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 芸術文化の振興についてお答えします。 本県は、日本博のコンセプトと一致する、豊かな自然や歴史風土によって育まれた、国内外に誇れる魅力的な芸術文化を有しています。 六郷満山文化を持つ国東半島地域では、この地でインスピレーションを受け制作された現代アートの作品群があり、現在、その充実に向けた取組を行っています。竹田市久住では、圧倒的な迫力、パフォーマンスで世界を魅了しているDRUM TAOの新たな活動拠点が来年完成する予定です。別府では、国際的に活躍するアーティストを招いた現代アートのイベント、in BEPPU、これは日本博にも参画していますが、こういったものも開催しています。 このほか、世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチを迎えた音楽祭や、大分アジア彫刻展も長年にわたり開催しているところです。 このような取組を、日本博も活用しながら、東京オリンピック・パラリンピックなどでしっかりと情報発信し、本県ファンを国内外で増やし、大分ならではのカルチャーツーリズムとして誘客につなげていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 おおいた障がい者芸術文化支援センターについてお答えします。 昨年、国民文化祭と同時開催された全国障害者芸術・文化祭で、可能性が大きく花開いた障がい者アートの世界を継承、発展させていくため、センターを先月立ち上げたところです。 開所にあたっては、福祉の枠にとらわれることなく、様々な芸術文化活動と触れ合い、連携していくことが重要と考え、本県芸術文化振興の中核機関である芸術文化スポーツ振興財団に設置しました。センター長には長年にわたり多くの作家や作品の発掘等に尽力してきた吐合紀子さんをお迎えしました。 センターでは、創造、発表、鑑賞の機会の提供や人材育成、相談支援等を行うほか、国内外の先進的団体とのネットワークもさらに拡大し、多様で幅広い活動を展開していきます。 早速多くの相談が寄せられており、常設展示やセミナープログラムを始めたほか、世界的にも評価が高い県外の団体と協働する企画展の準備を着々と進めているところです。 今後もこのセンターを推進拠点とし、より多くの方々に障がい者アートに関わっていただけるよう、共生社会を目指した取組を芸術文化の面からしっかりと進めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 まず、日本博について取り上げましたが、我々議員の中でも、その日本博について知らなかったという方もいました。この取組について、国はいろんなところでアピールはしているんでしょうけど、なかなか広まっていないところも、県内ではあるのではないかと思います。今回、国もこのような取組をしようということなので、活用して、ぜひ来年に向けて盛り上げていただきたいと思っています。 今、障がい者芸術文化支援センターについてお話をいただきました。実は今回の議会の福祉保健生活環境委員会、常任委員会の中で吐合センター長に来ていただいて、6日にお話を伺うようにしています。さきほどお話にあったオープニングイベントでもトークショーがあって、滋賀県のやまなみ工房の山下完和施設長のお話をお聞きしました。その工房では、それぞれの障がい者の方たちが作った作品が、アメリカやヨーロッパのアート市場でも注目を集めているということで、その展示等を含めた大分障がい者アート展が、2月5日からOPAMで行われると聞いています。 今後、OPAM等と連携しながら、大分県における障がい者アートの作品展示の機会をぜひ設けていただいて、多くの方に見ていただく、そういった仕組みづくりもお願いしたいと思います。 これまで元気の出るアート!の方々と土木建築部が一緒になって、工事看板に障がい者の方の作品を載せるという取組が行われてきました。これも非常にすばらしい取組であったと思います。こういったことが大分県で、また大分県から全国に広がる取組となることを期待していますので、よろしくお願いいたします。 それでは、時間もありませんので、次の項目で、世界かんがい施設遺産について伺います。 皆さんのお手元にお配りした資料では、3ページ目、4ページ目の写真のついた資料です。 いわゆるかんがい、ここでは平仮名で書いていますが、灌漑という漢字が常用漢字でないので、このような表現になっています。かんがいとは、農作物を育てるために田んぼや畑へ人工的に給水する、また、排水したりすることです。我が国日本は、このかんがい農業とともに発展してきたと言っても過言ではないと思います。 世界かんがい施設遺産とは、平成24年、国際かんがい排水委員会(ICID)が、かんがいの歴史、発展を明らかにし、理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資することを目的として、建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたものなど、歴史的、技術的、社会的価値のあるかんがい施設を登録、表彰するために創設したものです。 登録により、かんがい施設の持続的な活用、保全方法の蓄積、研究者、一般市民への教育機会の提供、かんがい施設の維持管理に関する意識向上に寄与するとともに、かんがい施設を核とした地域づくりに活用されることが期待されています。 日本では、平成26年に熊本の通潤用水など9施設が登録されたことを皮切りに、本年9月にインドネシアのバリ島で開催された第70回ICID国際執行理事会において、菊池のかんがい用水群をはじめとする4施設が新たに登録され、現在39施設が世界かんがい施設遺産となっています。世界全体で見ると、資料にあるとおり、中国等を含めて91施設となっています。 本県では、まだ登録されたかんがい施設はありませんが、この世界かんがい施設遺産の登録に向けた取組は、県内の土地改良施設を管理している団体の励みとなり、地域文化の発信にもつながると考えますが、考えをお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 世界かんがい施設遺産についてお答えします。 県内には建設から100年以上が経過したため池や水路等、かんがい施設が約2千か所あります。これらは土地改良区などによって管理され、生産活動に欠かせない農業用水を供給する重要な施設です。その中には、当時の最先端技術を生かしてつくられた中津市の薦神社の御澄池や、県内焼酎メーカーのCMで用いられた朝地町の土地改良区が管理する竹田市の石造2連アーチ橋、笹無田石拱橋など、歴史的、技術的に価値のあるものもあります。 遺産としての登録は、施設の維持管理に関する意識向上や地域づくりへの活用などに有用であると認識しています。 この認定制度は、施設を所有、管理している土地改良区や市町村が申請することになっていますが、県としては、こうした関係機関に対して、制度の趣旨や効果などを周知するとともに、申請にあたってはしっかりと支援していきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 100年を超えたかんがい施設が2千以上もこの大分県にあって、その施設が大分県の農業を支えてきたということであると思います。また、それが今も現役であるということも、非常に大きな価値だと私は思っています。 今日、資料の最後に二つの大きな写真を載せています。豊後大野市緒方町の緒方井路、これは1645年、江戸時代に開削されたものです。熊沢蕃山が助言をしたと聞いています。 そして、その下が、さきほど御紹介いただきありがとうございます。1901年開削の若宮井路の笹無田石拱橋です。これは大正6年に水路橋自体が水路の後に造られていますので、今も現役の水路橋です。 こういった誇るべき財産が地域にあって、それが我々の生活を支えてきたんだということを、しっかり皆さんに知っていただくことで我々のルーツを知る、そういった自分たちの地域の誇りを語ることができる、これが必要なんじゃないかと考えています。ぜひ申請等の機会があれば、しっかりとフォローをお願いします。ありがとうございました。 それでは、最後に、酪農振興について伺います。 先月2日、宮崎県都城市で行われた第7回九州連合ホルスタイン共進会において、玖珠町の重見宝弘さん出品のトレジャーランド ダンディー アトウッド タリー号が見事グランドチャンピオンを獲得しました。本県の出品牛では、平成21年以来3回目の快挙とお聞きしています。来年10月には、第15回全日本ホルスタイン共進会が、同じく都城市で行われることとなっており、今年のプレ大会ですばらしい成績を獲得したことで、来年に向けて期待が高まるところです。 「牛は人間の頑張りに応えてくれる」とおっしゃる46歳の重見さんは、現在、親牛と子牛、計160頭を飼育しており、来年の全日本共進会の出場切符の獲得を目指し、まずは県共進会に向け意欲を燃やしているということです。生産者の想いを受け止めながら、出場県としてもしっかりと後押しをお願いしたいと思います。 さて、酪農振興に関しては、平成29年第4回定例会において、我が会派の古手川議員から後継牛確保や増頭対策についての質問がありました。執行部においては、現場の課題を捉えた積極的な施策を展開されているところです。本年度も暑さ対策の施設整備など、環境変化に伴う課題について対応していただいているところです。 現在、農林水産部では、年度末をめどに、大分県酪農振興計画の見直しを進めています。これまでも数値目標を示しながら、必要な施策を展開してきたところです。 そこでお尋ねします。これまでの酪農振興計画の進捗状況を踏まえ、今後5年間、どのようなビジョンで酪農振興を図っていこうとしているのかお聞かせください。 また、特に今後担い手の育成が課題となっていく中で、働き方改革に資する省力化施設などの導入が重要だと考えます。他県では搾乳ロボットの導入により、大幅に生産性が向上したとの実績があるようです。本県の酪農の試験研究においても、積極的な取組が必要だと考えますが、見解を伺います。 ○土居昌弘副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 酪農振興についてお答えします。 現行の酪農振興計画に基づく取組によって、1頭あたりの乳量に関しては、目標の年間9千キロを達成する一方で、高齢農家の廃業等によって、生乳生産量は目標の9万トンに対して約7万トンとなっていて、経産牛の頭数も、目標の1万頭に対して現在7千頭となっています。 そのため、新たに計画を策定し、今後5年間、農家所得を向上させる生乳生産量の増加や、担い手の確保等を主眼に、酪農振興を進めていきたいと考えています。 まず、生乳生産量の拡大に向けては、空き牛舎の活用や、育成預託牧場の拡充などが効果的です。また、1頭あたりの乳量増加では、高能力性判別精液の利用や、暑熱対策等を引き続き推進していきます。 また、担い手の確保のため、省力化機械導入事業の活用とともに、ヘルパー組織の充実等による作業の外部化も進めていきたいと考えています。 御指摘のあった搾乳ロボットについては、維持管理コストやサポートの体制、あるいは牛群の適応性といった課題があると聞いています。そういったことから、製造業者による機能改良の動きも注視しながら、生産性の向上に有効な先端技術に関する情報を農家にしっかり提供していきたいと思っています。 次期計画の策定に向けては、現在、関係機関や生産者と議論を重ねているところです。高い目標を掲げて、全日本ホルスタイン共進会での好成績の獲得も含め、関係者一丸となって取り組んでいきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 酪農の農家の戸数は今年100戸を切りました。これは非常に大きな、衝撃的な数字だと思います。ただし、大分県は、生乳の生産量は現在17位、個体乳量は全国8位という実績もあります。 搾乳ロボットの導入は、これはコストがかかることなので非常に難しいと思いますが、さきほどのSTEAM教育ではないですが、これの考え方でいくと、例えば「S」、サイエンスで考えれば、物理的とか気象的とか生物学、それらのことに基づいて、しっかりと今の技術で分析して、搾乳ロボットという工学を取り入れる。そのために必要な予算とか目標数値を「M」で、マセマティクスではっきりして、あとは創造性、アートを持って考える。それは、アートというのは、さきほど政治とか行政の意味もあると言いましたが、そういった思い切った施策というのは、このSTEAM教育でいう「A」にも含まれると思います。それぞれの事象を、このSTEAM教育にかけて考えることができるんじゃないかと思います。課題解決の手法として、それぞれ県の課題について、このSTEAMを取り入れていくことが重要だと思います。御検討をお願いします。ありがとうございました。(拍手) ○土居昌弘副議長 以上で森誠一君の質問及び答弁は終わりました。守永信幸君。  〔守永議員登壇〕(拍手) ◆守永信幸議員 皆さん、こんにちは。28番、県民クラブの守永信幸です。 今回、一般質問の機会を与えてくださった先輩議員、同僚議員の皆さんにお礼を申し上げます。また、応援においでいただいた皆さんにも心からお礼を申し上げます。 今回、一般質問の大トリですので、しっかりと質問させていただきます。執行部の皆さんも何とぞよろしくお願いします。 では、早速質問に入りますが、最初に県の職員の働き方改革について質問します。 本県では、2003年に広瀬知事が就任され、当時の財政を取り巻く厳しい環境を踏まえ、ゼロベースからの見直しを行うとして、行財政改革プランを策定し、それ以降、職員定数を大きく削減してきました。行財政改革プランの策定当初は、県の財政状況がそのままで続ければ財政再建団体に転落するかもしれないという状況でしたから、やむを得ないことでしたし、やらなければならないことであったと思っています。 以来、行財政改革を積み重ねて今日があるわけですが、職員定数の削減は、もはや限界にあるとの声から、今の行財政改革アクションプランでは総人件費の抑制については引き続き掲げられていますが、定数削減は計画されていません。 私は、県民サービスの向上のためには、まず何よりも県職員や教職員がその能力を遺憾なく発揮できる職場の環境をつくることが重要であると考えますが、知事の考えをお尋ねしたいと思います。 次に、教員の時間外勤務の管理についてお尋ねします。 午前中に堤議員の質問でもありましたけれども、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第3条第2項には、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と規定されています。ただし政令において、生徒の実習、学校行事、職員会議、非常災害時などの4項目のいずれかに該当し、かつ臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限り、教員に対して限定的に時間外勤務を命じることが認められています。この場合、時間外勤務の時間数に見合った割増賃金は支払われず、その代わりとして教職調整額が支払われています。 教員は、生徒に授業を行うだけでなく、部活動の指導や将来の進路について相談を受けたり、友達関係の悩みや家庭での悩み事について相談を受けるなど、子どもの成長に関わる様々な課題を抱えながら努力しています。中には多くの課題を抱え込んでしまい、時間がいくらあっても足りないという方もおられるのだろうと思います。現実には、教育現場における長時間勤務の実態は看過できない状況にあるわけです。 県教育委員会の学校に対する働き方改革の取組の中で、教員の勤務時間の管理の適正化、業務の効率化のため、昨年8月から県立学校においてタイムレコーダー等による勤務時間の把握を行っています。前年度と比較してみたところ、9月の時間外勤務では昨年の35時間11分に対し、今年は34時間34分と37分削減できているとのことでした。また、80時間を超えた職員数は、これも9月の1か月間ですが、昨年の341人に対し、今年は271人で70人減っています。 そこで伺います。県教育委員会では、昨年度データとの比較により把握した教員の勤務実態をどのように分析されているでしょうか。また、勤務時間の削減につながった学校では、どのような取組を行っているのかお聞かせください。 教員の長時間勤務改善のためには、校長が労務管理をしっかりと行うことが重要です。タイムレコーダーを活用した勤務実態把握等の取組を踏まえ、各学校の校長がどのように労務管理を行っていくべきかについてもあわせてお伺いします。 県職員については、パソコンの稼働時間を基に時間外勤務の実態を明らかにする取組が、同じく昨年8月から行われています。これを時間外勤務の削減につなげていかなければなりません。 知事部局全体での今年度上半期の時間外勤務命令時間は、月平均で15時間であったのに対して、パソコンの稼働時間は4月を除いた上半期の月平均で23.6時間とのことで、8.6時間、パソコンの稼働時間のほうが長くなっていたとの結果が出ているようです。部局によって差があると思いますが、個別に的確に把握し、時間外勤務の実質的な削減ができるようにしていくべきです。 これまでの取組によって、どのような変化が職場で起きているのか、また、それぞれの職場で改めて実態が見えてきたのではないかと思いますが、県では把握した結果をどのように分析し、どのように時間外勤務の削減に生かしていくのかお伺いします。 あとは対面演壇で質問させていただきます。  〔守永議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○土居昌弘副議長 ただいまの守永信幸君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 守永信幸議員から、県庁における職場の環境づくりについて御質問をいただきました。 県の職員が安心して、持てる能力を存分に発揮して仕事をしていただけるようにすることは、私の重要な責任だと思っています。 議員御指摘の職員定数については、近年は目標を定めた計画的な削減は行っていませんけれども、これまで限られた職員数で地方創生の取組や多発する災害等に着実に対応してこられたのも、ひとえに職員一人一人の懸命な働きがあってのことだと思います。 働き方改革が社会全体の重要な課題となる中で、将来を担う子どもたちのために、日々努力を重ねている教職員も含めた全ての県職員に、今後もしっかりと活躍してもらうため、働きやすい職場づくりを進めていきたいと思います。 知事部局では、昨年3月に長時間労働の是正に向けた職員行動指針を策定して、勤務時間管理システムを活用した時間外勤務の適正管理や、事業のスクラップ・アンド・ビルドの徹底等により、長時間労働の縮減に取り組んでいます。 働き方改革をする上で特に重要なことは、管理監督者の意識改革です。行動指針では、部局長や所属長は働き方改革の先頭に立って、明るく風通しのよい職場づくりを実践するとともに、部下職員の勤務実態を十分に把握した上で、業務の適正配分や、職員の健康保持の推進などに取り組むよう求めており、私も機会あるごとに幹部職員に指示しているところです。 さらに、業務量の増加や各所属における時間外勤務の状況等も見ながら、年度途中であっても機動的な人員配置を行うほか、職員が育児休業を取得する場合には代替職員を確保するなど、人事上の配慮も柔軟に行っているところです。 教育委員会においても学校現場における働き方改革の推進に取り組んでおり、専門スタッフやサポートスタッフの活用によるチーム学校の実現に向けた取組や、ICTの活用による業務改善、部活動の改革等を着実に進めて、教員が学習指導や生徒指導等の子どもと向き合う時間の確保ができるように、必要な環境整備を進めているところです。 学校現場の働き方改革についても県庁全体の課題として捉えて、できる限り支援を行っていきたいと思います。 私は常々、県庁にとって人材はかけがえのない財産、宝だと申しています。職員や教職員の皆さんが、健康で志高く、意欲を持って職務に精励できるように、私自身が県庁の働き方改革の先頭に立って、働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組んでいきたいと思います。 そのほか教職員の働き方、あるいは県職員の働き方について御質問いただきましたけれども、これについては担当の部長からお答えします。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教員の時間外勤務の管理についてお答えします。 県立学校にタイムレコーダーを導入して、本年8月で1年が経過したところです。前年度と比較すると、時間外勤務時間は8月以降3か月連続で減少しており、月80時間を超える者も減少傾向にあります。 県教育委員会では、これまで8年間にわたって、芯の通った学校組織による組織的な取組とあわせて、専門スタッフ、外部人材を活用するチーム学校の取組や部活動の休養日の設定、活動時間の見直しなどを進めてきました。これらの取組が着実に学校現場に浸透しつつあるものと考えています。 改善に積極的な学校では、特定の教員に負担が集中しないように校務分掌を見直ししたり、メールや共有サーバーによる情報共有を進めて会議時間や回数も削減したりしています。 校長等管理職に対しては、組織的な学校運営を実践する中で、勤務時間管理の徹底や業務の効率化などを行う学校の働き方改革の着実な推進を指導していきます。 ○土居昌弘副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 私からは、県職員の時間外勤務の管理についてお答えします。 勤務時間管理システムの導入により、職員が終業時間をより意識して仕事を進めたり、あるいは管理職も勤務時間を意識しながら業務の進行管理を意識するなど、タイムマネジメントに対する意識が高まっているものと考えています。 一方で個別に見ると、依然として時間外勤務が多い職場や、パソコンの稼働時間と勤務時間との間に大幅な乖離がある職員も見受けられるところです。このような現状を踏まえて、総務部としては、システムによる勤務時間を定期的に調査し、時間外勤務が多い職場等に対して業務効率化や業務量の適正配分に関する指導を行っているところです。 また、業務の効率化等だけでは恒常的な時間外勤務の解消が困難な職場については、システムで把握された勤務時間も参考にしながら、重点的な人員配置も検討していきたいと考えています。 今後とも、職員が健康を保持しながら、意欲や働きがい、充実感を持って職務を遂行できるよう、勤務時間の適正管理に努めていきます。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 今の状況なり、どのように取組を進めていくのかというお話を伺ったわけですが、職場環境については、やりがいを感じながら、そして健康的に働くことができる環境が準備されてきたと思っていますし、それは知事も同じようなお考えだと思います。職場によっては、職員が疲れ切って自分自身の能力を発揮できるような状態ではない、極端には過労で倒れかねない、そういった職場が散見されるようなことであってはならないとも思っています。知事は、今の職場環境をどのように御覧になっているか、どういう現場を御覧になったかというのは私も想像ができませんが、もし感じる部分があればお尋ねしたいと思います。 次に、改善のための議論は、実態を正確に把握することから始まります。正確に把握するためには、管理職の皆さんの努力だけではなく、職員一人一人が、実績として正確に報告することが必要です。自分だけの問題と考えて正確さを欠いてしまうと、人員の張り付けも含めて、さきほど総務部長からシステムの状況を見ながらという話がありましたが、有効な改善策が見いだせなくなります。現時点の調査での正確さについてどのように思われますか。総務部長と教育長、それぞれにお尋ねします。 ○土居昌弘副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 私は、一言で言えば、明るく風通しのよい職場ということが大事なのではないかと。明るくというのは、皆さん元気でいい仕事をしていただく。そして風通しのよいというのは、これと対をなすわけですが、いろんな自分の考えや思いを職場の仲間に話ができる。上司であれ、また、若い人に対してであれ議論ができるような、そういう環境が非常に大事なんじゃないかということを常々申し上げているところです。 行革の初期の頃には定員の削減をやらざるを得なかったわけですが、そのときに私は、そういう意味で、もう一々、上司にお伺いを立てたりしないでもいいように、とにかく存分にやれるように、組織のフラット化をやりました。これである程度、皆さんが明るく、風通しよくやれるかなと、こう思ったんですけれども、逆にそういう中で、いろいろ仕事に悩みを持つ方、健康上の課題を抱える方がおられる中で、そういう人に対する目が行き渡らなかったところもあります。それから、一人に仕事が集中して残業するとか、そういう方もおられる。そこのところにも目が行き渡らなかった。人事管理面で、フラット化というのはちょっと行き過ぎたところはあったかなということで、少しその辺を訂正しました。 基本的に、一人一人が明るく風通しのよい職場で存分に仕事をするという中で、その部局の責任者は、その人たちみんなが元気よくやっているかどうかという人事管理上の目も配るような、そういう職場が非常に大事でないかと思っています。 ○土居昌弘副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 勤務時間を正確に把握できているのかという御指摘ですが、正に議員御指摘のとおり、実態の正確な把握なくして働き方改革は実行できないと考えており、せっかく勤務時間管理システムを入れても、適切に運用されないと正確に把握できないと考えています。 全体としては、管理システムを導入したことによって、客観的で正確な勤務実態の把握につながっていると考えていますが、一部にはやはり不十分な事例も見受けられるところです。 例えば管理職では、勤務時間とパソコンの稼働時間に乖離が生じているにもかかわらず、その理由の入力をしっかり確認していない事例とか、職員では、システムに記録が残らないようパソコンを切って勤務を続けるといった事例も聞いています。こういった事例については、報告があるたびに、総務部として、適正な運用について指導を行っているところです。 今後とも、システムで正確な時間がちゃんと把握できるよう、適切な運用に努めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 時間外勤務の管理についてお答えします。 議員御指摘のとおり、実態を正確に把握することは大事なことであり、管理職も把握する必要があるし、職員もその意識を持って正確さを上げていくことが大事です。その点が不十分だということであれば、お互いに気を付けるべきであると考えています。仮に打刻漏れなど、教員などの出退勤時刻が正確に記録されていないことが判明した場合には、適宜補正を行うよう指導しているところです。
    ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 これはほんの一例なんですが、学校の現場から耳にしたことで、打刻機、端末が職員室にあるために、放課後に部活動指導でグラウンドに出る職員の中には、部活終了後に職員室に戻ることが面倒なために、打刻してからグラウンドに出るといったことがあるという話ですが、記録される結果が少なくなることについて、管理職もあえて指導しないということがあれば、このような職場では、部活動はうまく運営されていて、職員の拘束時間も標準以下という結果しか残らないわけでして、職員の疲労が限界に来た段階で慌てるという結果になるのでは意味がありません。 記録の取り方については、そのようなことがあり得るということを念頭に置いて注意していただくように、各所属を、知事部局も含めて、御指導をお願いします。 今回の私の質問の中でも、時間外勤務については月単位で比較してお話ししました。どうしても日常的に月単位で捉えがちですが、過労の防止、健康管理を意識するには、長時間労働の連続性という点に着目すべきではないかと考えます。直属の上司は状況が分かっているとは思うのですが、連続した30日間の中で、一定の労働時間を超えようとするときに注意が促される。つまり、今日から過去30日間に遡って、一定の時間外勤務時間を超えた場合に。そういった状況が分かると、上司の勘だけではなく、数値を押さえながら健康に留意すべき状態に気付ける。そういう仕組みを作るべきと考えますが、いかがでしょうか。 ○土居昌弘副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 現在、時間外勤務については、おっしゃるように月単位で管理しています。これは国の人事院規則の解釈に倣ってそういう取扱いにしており、勤務時間管理システムでも、月の時間外勤務が30時間、45時間、60時間になると、それぞれ警告が出るようにしています。ただ、月単位でやっていますが、勤務時間管理システムには、当然前月の結果も残っていますので、システムの結果を見ていけば、連続した30日についても、基本的には把握できると考えています。 いずれにしても、現行のシステムを有効に活用して、健康管理にも使っていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ぜひ、健康管理に注意するという点では、そのような工夫も、意識付けだけでも必要ではないかと思いますので、よろしくお願いします。 また、健康的に働く環境をつくるために、知事も先頭になって取り組むとおっしゃっておられますけれども、時折ふらっと職場に出向いていただいて、どんな働き方をされているのか御覧になるのもいいのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いします。 次に、地域公共交通についてお尋ねします。 JR九州は、2017年9月に大分市内の10の駅においてスマートサポートステーション、いわゆるSSS、お手元に資料が行き渡っていると思いますので、SSSの内容についてはその資料を御覧いただきたいと思いますが、SSSを導入する計画を公表しました。現在、既に日豊本線の牧駅と幸崎駅、豊肥本線の滝尾駅、敷戸駅及び大分大学前駅の五つの駅で運用されています。このうち幸崎駅と滝尾駅はもともと無人駅であったので、監視カメラやインターホンの付いた券売機、精算機が配置されたことで利便性が向上したと言えますが、牧駅、敷戸駅、大分大学前駅は新たに無人化されたということで、障がいのある方にとっては危険性が高く、日中だけでなく夜間も含めて十分に配慮してほしいとの大きな声が上がっています。 また、新聞報道でもありましたが、だれもが安心して暮らせる大分県をつくる会は、JR九州が大分市内で進めている駅の無人化は、障がい者への合理的配慮を欠く差別にあたるとして、障がいのある人もない人も心豊かに暮らせる大分県づくり条例に基づき、県に対して特定相談を行いましたが、話合いが不調に終わったため、今後JR九州を提訴する方針であると聞いています。これについては、県が特定相談を受けてどのような対応ができたのか大変気になるところです。 SSSの整備自体は、安全性の向上対策として認めないわけではありませんが、駅を無人とすることについては、利用者の安全性の確保の観点からは即応性に欠けるため、さきに述べたとおり、障がいのある方々にとっては不安が募るものとなっています。JR九州は、人の配置が日中の時間内のみである場合と比べ、始発から終電まで見守れるSSSのほうが安全であると主張していますが、その場で対処できないのであれば、安全確保が万全であるとは思えません。 JR九州で働く方々の中には、路線を維持していくためにはやむを得ないと言われる方もおられます。勤務労働環境を維持していく上で、会社の経営方針を尊重せざるを得ないという判断を非難することはできませんが、一方では、運転士をはじめとする乗客と身近に接する方々の中には、お客様を安全に目的地までお連れしたい、不安を一つでも解消したいと考える方もおられます。 私としては、民間企業とはいえ、公共交通を担うものである以上、地域社会を支える責任をしっかりと持つべきであると考えますし、同時に、県としても無人駅の解消に向けてできる限りの働きかけをしていく必要があると思っています。 利用者の安全安心を確保するために、駅の無人化とSSSの導入に関して、県としてどのような問題意識を持ち、対応していくつもりなのか、考えをお聞かせください。 次に、昨年のダイヤ改正による減便への対応についてお尋ねします。 2018年3月に行われたJR九州のダイヤ改正では、事前に十分な説明がないまま、県内の日豊本線、久大本線、豊肥本線の3線において計38本が減便されました。撤回や見直しを求める声が非常に多く寄せられましたが、ほとんど受け入れてもらえず、地域の公共交通としての利便性確保が課題となっています。 中でも日豊本線は、東九州地域を縦貫する唯一の幹線鉄道であるにもかかわらず、大分以北の一部と大分以南は単線のままであり、取り残されている感があります。私自身は、減便などもってのほかで、逆に大分市以南、せめて人口が増加傾向にある大在、坂ノ市と大分の間だけでもまずは複線化し、利便性を向上させるべきとの考えを持っていますが、経済性を考えると直ちにとは言い難い面もあります。 しかし、地域の切実な声を無視したJR九州のダイヤ改正による減便は、通勤や通学への影響はもちろんのこと、この先、移動手段を公共交通に頼らざるを得ない高齢者の比率が高まることへの対応といった面からも、県として何らかの対策に取り組まなければならない課題であると思いますが、見解をお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 まず、駅の無人化とスマートサポートステーションの導入についてです。 県内の鉄道路線は、通勤、通学等の日常生活や観光等の経済活動において重要な役割を果たしています。他方、急速な人口減少や他の交通機関との競合等により利用者が減少し、路線の維持、充実を図ることが難しくなっています。 スマートサポートステーションの導入を含めた無人化は、鉄道事業が厳しくなる中で路線維持を行うための経営努力の一環であると受け止めています。しかしながら、公共交通機関としての役割を担う以上、JR九州は安全性、利便性に対する県民ニーズを十分に踏まえるべきだと考えています。 このため、スマートサポートステーションの導入にあたっても、慎重な検討と住民への丁寧な説明を、再三にわたり、大分市とも連携して求めてきました。この結果、住民説明会の開催や、バリアフリー未整備駅での導入計画の見直しにつながったと考えています。導入後についても、利用者の声を踏まえて必要な改善を行うよう要望しているところです。 今後も安全性の向上を図るため、JR九州には県民の声をしっかりと伝えていきます。 次に、JR九州のダイヤ改正による減便への対応についてです。 平成30年3月のダイヤ改正に際しては、県民の通勤、通学等の日常生活に与える影響を心配する声が多く聞かれました。これを受け、県では、県内全ての市町村と高校を対象にダイヤ改正後の利用実態を確認し、乗り継ぎが困難になった事例や待ち時間が大幅に増加した事例等を72項目に取りまとめ、JR九州に改善を求めました。その結果、30年10月には、日田、玖珠地域の高校の定期試験に合わせた臨時列車の運行、31年3月には津久見高校の下校時間に合わせた増便等、ダイヤ修正につながりました。このほかJR九州本社担当職員との意見交換会を開催するなどにより、円滑な意見、情報交換が行われる環境整備にも努めています。 今後とも、市町村と組織する日豊本線高速・複線化大分県期成同盟会や九州各県で構成する九州地域鉄道整備促進協議会等も活用し、粘り強く増便を求めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 鉄道の利便性については、利用者が一定程度いなければ経営的に厳しいとは思いますが、通勤、通学時間帯にできるだけ配慮していただき、使い勝手を良くし、利用者の増加、定着を図らなければならないと考えます。さきほどの意見交換でも、ぜひそういった観点で議論を深めていただければと思います。 また、使い勝手の良さを目指すという点では、11月26日に大分-滝尾駅間に新駅の設置を求めて期成会が立ち上がったと聞きました。中心市街地へのアクセスで、鉄道に期待する方々が多いということを示しているのだろうと考えます。この期成会の運動がどれだけ多くの方々の賛同を得るのか注目しながら、人口増加地域と中心市街地や大型店舗エリアを結ぶ工夫について、県としても検討していただくことを要望したいと思いますが、何かコメントはありますでしょうか。 ○土居昌弘副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 滝尾駅の問題については、大変関心を持って見ているところです。あの一帯に、住民の皆さんの通勤、通学需要は増えてきたというところもあるんでしょうけれども、もう一つ、実はスポーツ公園のドームとか、あるいは武道スポーツセンター等への足の便というのは課題になっていて、そういうところとの連携も何かできないかというようなことも思っていまして、関心を持って見ています。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。ぜひ大分市内の交通の利便性の向上という観点で、様々な議論も深めていただければと思いますので、よろしくお願いします。 また、SSSについては、やはり不安の解消が大事ですので、そういった観点で県民の皆さんの声をぜひ受け止めていただきながら、JR九州とも議論を深めていただければと思います。よろしくお願いいたします。 次に、がん対策についてお尋ねします。 高齢化が進めば進むほど、生涯健康で生活していくことが県民にとって大きな関心事であり、誰もが願うものです。健康を考えたときに、病気の問題、特にがんについては一生のうちに2人に1人ががんになるとテレビCMで流れていたり、また、本県では1981年以降、死亡原因の第1位となっていることなどから、その予防や対策が県民の健康を守る上で最重要課題の一つになっています。 がん対策基本法に基づき策定された大分県がん対策推進計画は、2018年3月に第3期計画として改定されましたが、ここでは、がん患者を含めた全ての県民ががんを知り、がんの克服を目指すことを全体目標としています。 計画では、科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築を目標に各種施策に取り組むとされていますが、これらのがん対策に係る施策の現状と課題、今後どのように取り組んでいくのか知事にお尋ねしたいと思います。 次に、がん患者の就労継続支援についてですが、がんの治療は長期にわたり、体への負担も大きいことから、やむなく仕事を離れる方も多いと聞いています。そのため経済的な支援も重要となりますが、仕事は生きがいであったり、仕事を続けることにより孤立せず社会とつながっていると感じられるといった、精神面においても大切な側面があります。 そこで、がんの治療を行いながら仕事を続けていけるサポート体制の充実など、就労継続への支援が今後ますます重要になると思いますが、福祉保健部長に見解をお聞きします。 次に、がん教育についてですが、健康や命の大切さを知ってもらうため、小、中、高等学校で、がん教育の取組が進められていると聞いています。学習指導要領にがんに関する内容が明記され、2020年度から順次実施されていくとのことで、文部科学省のホームページには、がん教育推進のための教材、指導参考資料が掲示、提供されています。がんだけが特別な病気ではありませんが、がんに対する正しい知識と、がんの患者さんに対する正しい認識を持つことを通じて、健康と命の大切さを育むということはとても重要なことです。今後どのように取組を進めていくのか、考えをお聞かせください。 ○土居昌弘副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 がん対策について御質問いただきました。 生涯で2人に1人はがんになると、県民の4人に1人ががんで亡くなるという現状を考えると、がん対策は大変重要な課題です。 本県はこれまで、大分県がん対策推進計画等に基づいて、その対策に取り組んできました。この結果、平成29年のがんによる75歳未満の年齢調整死亡率は人口10万人あたり68.4と減少傾向にあり、全国順位は低いほうから10番目となっています。 県では、第3期がん対策推進計画を平成30年に策定して、科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現及び尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築を目標にしてやっているところです。 一つは、科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実です。がんの発症予防には、禁煙に加え、減塩が胃がんの予防に、野菜摂取は大腸がんの予防に有効といった根拠に基づき、禁煙支援や受動喫煙対策の強化、うま塩プロジェクト、まず野菜、もっと野菜プロジェクトなど、食生活の改善にも力を入れているところです。 また、がんによる死亡を減らすには、早期に発見し早期の治療につなげることが重要です。女性特有のがん検診の無料クーポン券の送付や、コール・リコールの事業による受診の勧奨によって、検診受診率は年々上昇していますが、目標の50%にはまだ届いていないところです。特に働く世代のがん検診受診率が低いことから、健康経営事業所などと連携して、受診率向上の取組を進めています。 二つは、患者本位のがん医療の実現です。近年新たな抗がん剤の開発やゲノム医療の実用化が進み、がんの治療は大きく様変わりしました。現在、県内にがん診療連携拠点病院等は9か所、がんゲノム医療連携病院が1か所、小児がん連携病院が2か所指定されており、こうしたがん治療の進歩に対応できる体制づくりに引き続き取り組んでいきたいと思います。 三つは、尊厳を持って安心して暮らすことのできる社会の構築です。がん患者や家族は、治療に伴う副作用や後遺症など様々な不安や悩みを抱えています。がん患者とその御家族がいつでも相談できるように、県内9か所のがん相談支援センターを県民及び医療機関等に周知していきます。加えて、治療に伴って生じる脱毛や手術痕等の外見の変化などの悩みにも対応できる体制整備も図っていきます。 今後も、がん診療連携拠点病院や市町村等の関係機関と連携して、がんの対策に万全を期していきたいと思っています。 ○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 がん患者の就労継続支援についてお答えします。 医療の進歩により、治療中及び治療後における就労可能性が広がってきていますが、就労しているがん患者の34%が、がんと診断された後、依願退職や解雇されています。がんになっても安心して仕事が続けられるよう、がん患者の就労継続の支援は重要な課題と認識しています。 本県では、9か所のがん診療連携拠点病院等に設置されたがん相談支援センターで、就労に関する相談に対応しています。また、そのうちの3か所には、ハローワークの就労支援ナビゲーターが出張相談を行い、個々の患者の希望や治療状況を踏まえながら、就労の継続や再就職に関する専門的な就労支援を行っています。 さらに、労働局をはじめ労働団体や経済団体、拠点病院等によって構成される治療と仕事の両立支援推進チームに県も参画しており、こうした団体とも連携し、事業主への普及啓発等を通じて、治療しながら仕事が継続できる環境整備を進めていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 がん教育についてお答えします。 県では、保健の授業や乳がん触診モデルを活用した体験学習など、学校教育活動全体を通じて、児童生徒の発達段階に応じた指導を行ってきました。 昨年度から、新学習指導要領に対応して計画的にがん教育を推進するため、専門医やPTA関係者などで構成する連絡協議会を設置し、取り組んでいるところです。具体的には、実践校を指定し、教科横断的な指導の在り方や副教材の効果的な活用などを研究するとともに、教職員向け研修会のほか、児童生徒及び保護者を対象とした講演会などを行っています。 今後は、これらの取組を連絡協議会で検証しながら指導方法の充実を図るとともに、がんについて正しく理解し、健康と命の大切さについて主体的に考えることができる児童生徒の育成に努めてまいります。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 広瀬知事は、健康寿命日本一を目指して様々な施策を展開していますが、がんの予防や早期発見が大いに健康寿命の延伸につながると思っているので、がん対策には積極的な取組をお願いしたいと思います。 また、学校教育の現場での取組ですけれども、4年前、実は当時小学校5年生だった私のめいが、がんで亡くなりました。最初は、ふらつく症状から脳の検査を行って、腫瘍があるということが分かり、それががんと判明したのですが、約1年の間に入退院を繰り返しながら、普通学級やひまわり学級などで、周りの友達や先生に助けてもらいながら、最後まで通い続けました。生きる努力をする彼女の姿を、周りの子どもたちがじっと見守ってくれた。その後、命日には毎年お参りに来てくれるようです。お友達の記憶の中にどのように残っているのかは分かりませんが、がんについての教育というのは、私にとっても関心事です。 児童や生徒たちが前向きに生きることにつながるように、教員同士で、そして保護者の方々とも議論して、取り組んでいただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いします。 次に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方への対応についてお尋ねします。 旧優生保護法の下で、優生手術として強制不妊手術を受けた被害者の救済については、本年4月24日に成立した旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律に基づき、国において認定審査会が設置され、被害者の認定と一時金の支給による救済が進められています。 10月28日の認定審査会では新たに61人が認定され、これまでに審査会で認定された方は全国で195人となっています。本県ではこれまで21人が申請し、そのうち11人が認定されていますが、県内で旧優生保護法によって強制不妊手術を受けた方が746人いるとされていることを考えると、救済が進んでいないと言えます。この方々の救済をもっと進めるには、これまで以上に県の積極的な取組が必要だと考えます。 特に、県に資料が残っていて対象者の氏名や住所が判明している101人の方々については、救済に結びつく可能性が高いとの考えから、救済を進める市民団体などが、これまでも積極的な取組を求めてきました。 まず第1段階として、被害者の方の生存と暮らしの状況について、個人情報の保護を十分に図りながら調査を行い、第2段階として、本人へのアプローチを慎重に行うことで人権への配慮はしっかりとされると思います。 被害者の高齢化が進んでいることから、早急に第1段階の調査を行うことが重要であると考えますが、県の考えをお伺いします。 ○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方への対応についてお答えします。 県では、一時金支給法が施行された翌日から専用相談電話及び窓口を設置して、新聞、テレビ、ラジオ、市町村広報紙などで広く県民への周知に努めてきたところです。相談には医師、保健師等が対応し、10月末時点での相談件数は159件と、全国でも3番目に多い状況になっています。 相談者の中には手術のことを家族や周囲に知られたくない方もいらっしゃることから、救済の対象となる方の人権が再び侵害されたり、平穏な生活が損なわれないように十分に配慮しながら、丁寧に対応しています。強制不妊手術を受けた方には様々な事情があり、生存や暮らしの状況を調査することそのものが本人の意にそぐわない可能性もあることから、慎重に考える必要があると思います。 県では、一人でも多くの方が一時金支給法によって救済されるように、引き続き救済制度や相談窓口の情報が届くよう広報に努めていきます。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 知られたくないという思いを持ち続けている方は、自分自身の存在を肯定できないまま暮らしているのではないかと心配しています。優生保護法の考え方そのものが過ちであったことを県民の皆さんに周知し誤解を解くことで、被害者の方々が名乗りをあげられる環境をつくることが大切なのだろうと考えます。 人権週間に様々な人権啓発の取組をしていただいています。そのことに敬意を表しますが、日常的に広報しながら、様々な差別によって生じた課題について、より多くの県民の皆さんに知っていただけるような取組をお願いしたいと思います。 次に、ラグビーワールドカップ2019大分開催についてです。 知事は、本県を訪れた方々へのおもてなしは、試合会場だけでなくファンゾーンや祝祭の広場での催しも含め、大盛況のうちに終わることができたと評価されています。私自身も、多くの方々が楽しみ、満足されている様子を何度も目の当たりにし、うれしい気持ちに満ちあふれました。ラグビーワールドカップに関しては、これまで多くの議員が質問や発言をされていますが、私も関連して2点ほど質問します。 ラグビーワールドカップ開催期間中には外国からたくさんの方がお見えになりましたが、初めて本県を訪れたといった方や、これまで本県をあまり訪れたことのない国の方も多かったのではないかと思います。先日の新聞報道にありましたが、ファンゾーンだけでも11万人以上の方がお見えになり、うち半数近い5万人超が外国からの方ということでした。私は、ラグビーワールドカップの開催により、新たな文化の交流が生まれ、県民の意識をはじめ、本県に様々な良い変化をもたらしたと考えています。また、訪れていただいた方には十分満足していただき、良い印象を持ってお帰りいただいたと確信しています。 もとより本県にはAPUもあり、異文化交流、国際交流が盛んであると認識していますが、さらに交流の裾野を広げ、あわせて深化する絶好のチャンスが巡ってきたと言えます。 一般質問1番目の古手川議員の質問に、「ラグビーワールドカップを誘致し、成功させたかけがえのない経験を、地方創生の取組にしっかりと生かしていく」とお答えになりましたが、そこで、本県における異文化交流や国際交流のより一層の推進に向け、このチャンスをもとに次のチャンスをつくり、さらに次のチャンスとして大きく広げていく取組が大切になると思っていますが、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、お考えを伺います。 本年第2回定例会における代表質問で、県民クラブの平岩代表が、地球温暖化対策について質問しました。大量に排出されるCO2を実質ゼロ化し、県民をあげてラグビーワールドカップ2019を環境にやさしい大会とすることを目指すCO2オフセットトライ事業の取組について、これを一度限りのものとせず、それぞれが日々意識し、継続して取り組み続けることにより、CO2の削減、地球温暖化対策につなげることが大切として、今後の対策についてお聞きしたものでした。 県からは、地球温暖化の現状と深刻さを県民の皆さんに知っていただくことが重要で、大分大会の開催を好機と捉え、大会後も省エネ行動を継続していただく取組を進めていくとの答弁をいただいています。 大会開催前の9月30日までに、家庭では6万6,700人、事業所では2万5,100事業所が参加し、省エネ活動につながっているとのことですが、引き続き取組の強化が必要と感じているところです。 さて、大会は無事、大盛況のうちに終了しましたが、果たしてこのCO2オフセットトライ事業について、その成果がどうであったのか、まずお聞かせください。あわせて今後の取組についてもお伺いします。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 異文化・国際交流の推進についてお答えします。 ラグビーワールドカップでは、海外客を県民が温かく迎え、一緒に応援や合唱をしたり、あるいは乾杯するなど、心通い合う交流が県内各地で生まれました。特に中高生は、ラグビー交流や学校交流にとどまらず、ファンゾーンや観光地などで外国人の輪に飛び込み、ガイドに挑戦するなど、積極的な姿も数多く見られました。 この経験を世界に羽ばたくグローバル人材の育成に生かすとともに、今後県内で増加が見込まれる外国人との共生につなげていきたいと考えています。具体的には、海外との遠隔交流授業や中高生のラグビー交流を推進するとともに、県民向けの国際理解講座などに取り組んでいきます。 このほか県立美術館で開催したウェールズ展に本国からも首席大臣が駆けつけ、芸術文化面での交流も始まったところです。 このように、大会を通じてつながりが生まれた国や地域も含め、経済や文化、スポーツなど幅広い分野で交流を進め、東京オリンピック・パラリンピックにもつなげていきたいと考えています。 ○土居昌弘副議長 宮迫生活環境部長。 ◎宮迫敏郎生活環境部長 CO2オフセットトライ事業についてお答えします。 ラグビーワールドカップを環境にやさしい大会にしようと、9,600トンという具体的なCO2削減目標を掲げ、省エネ行動を地域や学校、企業に広く呼びかけたところです。エアコンの温度設定や照明の間引き消灯など、家庭や事業所で簡単にできる取組をチェックシートを使い分かりやすく示したことや、地球温暖化防止活動推進員や環境教育アドバイザーの協力もあり、多くの県民、事業者に実践していただき、1万2,191トンと目標を達成することができました。 この事業に取り組む中で、県民の環境問題の関心の高まりを実感しているところです。こうした機運を持続させていくため、引き続き各種イベントなどの機会も捉え、チェックシートを活用した身近な省エネ行動を一層促していきたいと考えています。さらに、スマートフォンを利用したシートの提供や情報発信などにより、地球温暖化防止の行動がより多くの県民に広がり、定着するよう取り組んでいきます。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 今回の取組が今後も継続的に続けられるように、様々な機会を通じて工夫をお願いしたいと思います。特に様々な気象変動にも大きく影響する課題ですので、よろしくお願いします。 最後に、アスリートのセカンドキャリアの支援と移住施策についてお尋ねします。 少子高齢化、人口減少に歯止めをかける大分県版地方創生の取組において、移住、定住の促進は大変重要な取組です。2015年には454人だった移住者数が、昨年度は約2.5倍の1,128人に増加したと伺っています。この流れをさらに加速させるためには、地域において企業等と連携して移住、定住施策を推進することが大切です。 先日、県民クラブでは、中津市でパパイヤを栽培している施設の調査に、政務活動費を利用して行ってきました。この農園は、ベースボール・マガジン社と関わりを持つ株式会社ベーマガフューチャーファーム中津支店が経営しているのですが、この農園は、「作る人、食べる人の健康を守り、アスリートのセカンドキャリアを支援する」という企業コンセプトを提唱しています。そして、農園の運営面においても、このコンセプトに基づき、健康や心身両面を鍛えてきたアスリートだからこそ大切さが分かるという発想から、農薬、化学肥料に頼らず、土壌微生物群、土壌ミネラル群等の活用によって、安心安全で栄養に富み、医食同源を意識しながら、感覚の活性化につながる栽培を目指して取り組んでいました。また、アスリートの第2の人生として農業に従事してもらうことで、将来的には、農作業の合間に近隣の小中学校で自分が培ってきたスポーツの指導にも協力できるようにしていきたいとおっしゃっていました。 昨日の尾島県議の質問でもありましたが、現在、地域においては、学校の部活動の外部指導者や総合型地域スポーツクラブの指導者等の確保に苦労しているところもあります。全国からアスリートの移住を受け入れ、食に恵まれ温泉がふんだんにあふれる大分に興味を持っていただき、この大分の地で第2の人生をスタートさせ、定住していただくとともに、地域のスポーツ指導者として活躍していただくといった、こうした企業による取組は、地方創生のためにも大変有効であると考えます。 地方創生の加速前進のため、県においては移住者の受入先となる企業等と連携した移住、定住施策を推進する取組、例えば株式会社ベーマガフューチャーファームのような取組を支援し、全国のプロスポーツチーム等を通じて第2の人生を検討するアスリートの方々に移住を勧めるようなことが必要ではないかと思いますが、県の見解をお伺いします。 ○土居昌弘副議長 中島企画振興部長。 ◎中島英司企画振興部長 企業等と連携した移住定住施策の推進についてお答えします。 第2の人生を検討するアスリートの移住と農業との組合せについては、新たなチャレンジとして関心を持って拝聴しました。 移住促進で大事なことは、人材を求める企業と移住を検討し仕事を求めるアスリートとのニーズが合致することだと考えています。 本県では毎月、東京、大阪、福岡で移住相談会を開催し、おおいた産業人財センターによる県内企業と移住希望者とのマッチングのほか、就農学校やファーマーズスクールの紹介など、相談者の希望に沿ってきめ細かに対応しているところです。また、本県への移住定住を加速する上で、受入企業との連携が極めて重要と考えています。 今後とも、議員御案内のような事例も含め、移住者の雇用に積極的な企業の掘り起こしを県内全域で進めるとともに、移住希望者のニーズを聞き取りながらマッチングに努め、移住定住を促進していきます。 ○土居昌弘副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 大分県への移住を進める上では様々な切り口があると思いますが、県下全域に移住を進めるためには、やはり農林水産業を受皿としてつくることが大事だと考えています。分野的に、難しい分野ではあると思いますが、しっかりとした受皿づくりをお願いしたいと思います。 執行部の皆さんに丁寧な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。これから2020年度予算について、各部局からの要望を踏まえ、編成作業に入ると思いますが、県民の皆さんが明るい夢を抱ける県政をどのように描くか、県民の皆さんが大切にされ、特に子どもたちがこの大分県で生まれ育つことを誇りに持てる大分県を、私たちが知事とともに築いていかなければならないと考えています。くれぐれも大分県の職員全体が、それこそワンチームになって、日本一の夢を語り合える県としていただけるようエールを送り、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○土居昌弘副議長 以上で守永信幸君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって一般質問及び質疑を終わります。 ただいま議題となっております各案及び今回受理した請願1件については、お手元に配付の付託表及び請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託します。 なお、ほかの委員会にも関連のある案件については、合い議をお願いします。  -------------------------------付託表件名付託委員会第108号議案令和元年度大分県一般会計補正予算(第3号)総務企画 福祉保健生活環境 土木建築第109号議案令和元年度大分県病院事業会計補正予算(第1号)福祉保健生活環境第110号議案大分県の事務処理の特例に関する条例の一部改正について総務企画第111号議案大分県職員定数条例の一部を改正する条例の一部改正について〃第112号議案職員の給与に関する条例等の一部改正について〃第113号議案大分県使用料及び手数料条例の一部改正について〃第114号議案当せん金付証票の発売について〃第115号議案大分県税条例の一部改正について〃第116号議案大分県産業廃棄物税条例の一部改正について〃第117号議案無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について福祉保健生活環境第118号議案大分県特殊詐欺等被害防止条例の制定について〃第119号議案大分県安全・安心まちづくり条例の一部改正について〃第120号議案大分県卸売市場条例等の廃止について農林水産第121号議案公の施設の指定管理者の指定について土木建築第122号議案警察署の名称、位置及び管轄区域条例等の一部改正について文教警察第123号議案物品の取得について〃  ------------------------------- ○土居昌弘副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 お諮りいたします。明5日、6日及び9日は常任委員会開催のため、10日は議事整理のため、それぞれ休会としたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土居昌弘副議長 御異議なしと認めます。 よって、明5日、6日、9日及び10日は休会と決定しました。 なお、7日、8日は県の休日のため休会とします。 次会は、11日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○土居昌弘副議長 本日はこれをもって散会します。お疲れさまでした。     午後3時17分 散会...