平成30年 第3回定例会(9月) 平成30年第3回
大分県議会定例会会議録(第2号)平成30年9月11日(火曜日
) -------------------------------議事日程第2号 平成30年9月11日 午前10時開議第1
代表質問 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1
代表質問 -------------------------------出席議員 42名 議長 井上伸史 副議長 濱田 洋 志村 学 麻生栄作 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 吉冨英三郎 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 三浦正臣 古手川正治 土居昌弘 嶋 幸一 毛利正徳 油布勝秀 衞藤明和 元吉俊博 末宗秀雄 御手洗吉生 近藤和義 阿部英仁 後藤慎太郎 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 久原和弘 戸高賢史
吉岡美智子 河野成司 荒金信生 堤 栄三
桑原宏史欠席議員 なし
-------------------------------出席した
県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 二日市具正 副知事 安東 隆 教育長 工藤利明
代表監査委員 首藤博文 総務部長 和田雅晴
企画振興部長 岡本天津男 企業局長 神 昭雄 病院局長 田代英哉 警察本部長 石川泰三
福祉保健部長 長谷尾雅通
生活環境部長 山本章子
商工労働部長 高濱 航
農林水産部長 中島英司
土木建築部長 阿部洋祐 国民文化祭・
障害者芸術文化祭局長 土谷晴美
会計管理者兼
会計管理局長 岡田 雄 防災局長 牧 敏弘
人事委員会事務局長 下郡政治
労働委員会事務局長 飯田聡一 財政課長 佐藤 章 知事室長 山田雅文
------------------------------- 午前10時01分 開議
○
井上伸史議長 おはようございます。これより本日の会議を開きます。
-------------------------------
○
井上伸史議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第2号により行います。
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△諸般の報告
○
井上伸史議長 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。 監査委員から、地方自治法第235条の2第3項の規定により、8月の
例月出納検査の結果について、文書をもって報告がありました。 なお、調書は、朗読を省略いたします。 以上で報告を終わります。
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△日程第1 代表質問
○
井上伸史議長 日程第1、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。近藤和義君。 〔
近藤和義議員登壇〕(拍手)
◆
近藤和義議員 22番、自由民主党の近藤和義です。今定例会において会派を代表しての質問の機会をいただき、大変に責任の重さを感じながら草稿づくりを進めてきたところであります。 今年の夏は記録的な暑さとなり、7月には
西日本豪雨災害が発生し、平成になって最悪の豪雨災害となっていますが、地球の温暖化がもたらす
異常気象災害は世界の各地で発生しており、いつどこでどのような災害が発生するか、全く予断を許さないところです。 しかし、そうしたことにもかかわらず、
気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ協定からも離脱した、
アメリカファーストの
トランプ大統領の仕掛けた貿易戦争は、当事国のみならず、世界の経済にかつてない混乱を生じさせており、今後どのような展開になるのか、全く目の離せないところです。 また、国内においても、今日伝えられているニュースは、余りにも自己本位の反社会的なことが多く、障がい者雇用の水増し問題などは、行政への信頼を重ねて失墜させることになっているのではないでしょうか。こうした中、障がい
者雇用率日本一を目指す本県においても、知事の思いとは裏腹に、県教委の水増しが伝えられていることは、何とも残念なことであります。 県政のかじ取りを担われる広瀬知事には、大変な御苦労も多いと思いますが、県民のため、県政発展のため、議会共々なお一層の御尽力されること、衷心より御期待を申し上げ、早速質問に入らせていただきます。 まず初めに、県政全般の財政運営についてであります。 安心・活力・発展の大分県づくりを進めていくためには、健全な財政基盤の確立が求められます。8月20日に公表された29年度決算によりますと、たび重なる災害対応を行ったものの、景気回復に伴う個人所得の増加や企業業績の回復により、
リーマンショック以降最高の県税収入があったことから、3億8,061万円の単年度黒字となっております。また、県債残高についても、
災害復旧事業債の発行増などにより、ここ数年は減少ペースこそ落ちてはおりますが、総額は29年度末で1兆300億円と、4年連続減少し、
臨時財政対策債を除く実質的な残高に至っては、16年連続の減少を続けており、財政運営に対する広瀬知事の確かなる手綱さばきがうかがえるところであり、改めて敬意を表するところであります。 他方、
財政調整用基金残高は、
九州北部豪雨や台風第18号災害への対応などから、
行財政改革アクションプランの目標額より22億円下回る368億円となっており、30年度末の残高は、337億円にまで減少することが見込まれています。
財政調整用基金は、災害など不測の事態に備え積み立てている基金であることから、短期的に減少することは構わないと考えていますが、近年災害が多発する傾向にあります。これらに備えるためにも、
財政調整用基金残高の確保が欠かせないところであります。 国の動きに目を向けると、6月15日、
地方財政運営と改革の基本方針2018が閣議決定されました。これによりますと、2025年度に国と地方を合わせた
プライマリーバランスを黒字化するという目標を新たに掲げ、来年度からの3年間は
基盤強化期間と位置付けられました。地方の基金残高の増加をもって地方財政に余裕があるといった議論もあり、心配していた
一般財源総額については、この期間内は2018年度の水準を下回らないように実質的に同水準を確保することとされ、まずは一安心といったところではありますが、
プライマリーバランス黒字化の目標が堅持される中、引き続き動向を注視しなければならないと思います。 このほかにも、財政運営にあたっては、社会保障費の限りない増嵩、公共建築物や社会資本の老朽化対策など、課題は目白押しですが、防災力の強化はもとより、人づくり、仕事の場づくりといった
地方創生施策に積極的に取り組むためにも、健全な財政運営が不可欠であります。 そこで、今後どのように県財政を運営されていかれるのか、知事の所見を伺います。 次に、防災減災の
県土づくりについて伺います。 昨年発生した
九州北部豪雨災害は、林業不況により手入れの行き届かない山林や、適地でないところまで
針葉樹一辺倒の造林を進めてきた、その山からの流木が被害を一層大きく増幅させるところとなったことは、否めないところであります。 一旦災害が発生すれば、尊い人命、財産など、その損失は計り知れないものになるだけでなく、復旧復興には膨大なる費用を要するだけに、いかにして災害を未然に防ぐか、特に本県の場合は地形的に土砂災害の危険な地域が多いだけに、その対策は喫緊の課題です。 県は、24年度の
九州北部豪雨災害以降、災害に強い森林(もり)づくりに着手されていますが、自然災害には自然をもって制することのできる広葉樹林の持つ防災機能を改めて見直し、新たな里山づくりなどを進めることによって、未来の安全を保たなければならない、そういうふうにも思っておるところであります。 ここに提示をしました。(写真をかざす) これは由布岳の裾野に広がるコナラの原生林ですが、広葉樹林の大木から張り出した大きな根っこが、ところどころ谷まで土砂防止の堰堤の役割を果たしております。先日、改めて現地調査をしたところ、コンクリートの人工堰堤が数か所設置されていますが、たび重なる豪雨があったにもかかわらず、土砂の堆積はどの堰堤にも見られませんでした。広葉樹林の持つ防災機能を生かして自然災害から身を守った先人の治山、治水の知恵を、今こそ私たちは見習わなければならないと思います。 来年度より国による
森林環境税が前倒しで活用できます。この
森林環境税を大いに活用して、防災減災の
県土づくりを、30年、50年先の未来に向けてしっかりと進めるべきと考えますが、県のお考えをお聞かせください。 もちろん、こうした自然の力による防災対策はどうしても歳月を要します。防災ダムや急
傾斜地崩壊対策、河川改良などの
防災減災対策を並行して進めていく必要があります。30年度当初予算では、防災力の
強化関連事業に約324億円を計上し、推進していただいていますが、多発する災害、多くの危険地域の存在を考えると、防災減災の
県土づくりを県政の重要な柱として力強く推進していただくことをお願いをさせていただきますが、見解をお伺いします。 次に、地域の未来を担う人材の育成について伺います。 県政の健全なる発展を目指すにあたっては、それぞれの地域や産業間にバランスのある発展が望ましい姿であると思います。それを担うことのできる人材の育成は、行政の大きな責務と思います。 昔から、人を育てるのに手間暇、投資を惜しんではならないと言われていますが、地域や産業間を問わず、活力や繁栄は人次第であり、教育環境が大きな要因となるのではないかと思います。 本県には、現大分大学の前身である国立の
経済専門学校があったことによって、本県の経済界は随分と人材に恵まれています。隣の宮崎県においては、国立の
宮崎高等農林学校が現宮崎大学の前身であり、農業関係の人材には事欠かないものがあります。こうした背景もあり、本県と宮崎県は、規模自体は似通っていますが、工業や農業の産出額にはそれぞれ大きな隔たりがあります。 農業分野の産出額においては、宮崎県に2千億円以上水をあけられていますが、人材の育成次第によっては、県として
工業生産力トップ、農業生産も全国屈指の愛知県のようになれないはずはありません。人材の育成は、目先だけにとらわれず、県政の大きな将来像に立ってなされるものと思います。 そこで、まず、
農業人材教育について伺います。 今定例会には、
三重総合高等学校久住校を廃止し、
農業単独校となる
久住高原農業高等学校を設置する改正議案と、農業系学科に属する高校生の研修の場として、
くじゅうアグリ創生塾を隣接地に開所するための
条例制定議案が上程されています。 単独の農業高校は、我が自民党としても、かねてから
農業人材教育に必要不可欠との立場でその設置を要望してきたところであり、今回、知事、教育長の御英断に厚く感謝を申し上げます。 ただ、結果として、さきの高校再編で
農業単独校を全て廃止した後、今回久住校を
農業単独校として発足させることになったわけですが、この間の経緯については十分なる説明を願いたいと思っております。
農業単独校や
くじゅうアグリ創生塾を活用し、今後の
農業人材教育をどう進めていくのか、教育長に伺います。 次に、
県外大学進学者への経済的な支援、かつ
Uターン対策にも貢献する
学生交流スペースを併設した東京学生寮の設置について提案をさせていただきます。 29年度の
学校基本調査によると、県外への
大学進学者約3千人のうち、福岡県への進学者が約3分の1の1千人で第1位、次いで東京都が約10分の1の300人となっています。同じ九州内の福岡県と異なり、東京都に進学すると、距離が遠いこともあり、地元大分との関係性が希薄になることが懸念されます。 こうした中、東京の大学に進学した学生の郷土愛醸成が必要と、かつて東京にあった大分県学生寮の同窓生が中心となって設立されたNPO法人が、大分県学生寮の復活に向けた活動をされております。 九州のほとんどの県では、食堂等を
学生交流スペースとして活用する学生寮を東京に設置し、郷土意識をつなぐ措置を講じ、卒業生のUターン等につなげている中、本県としても人口の社会減に歯止めをかけるためにも、検討を進めるべきかと考えますが、見解を伺います。 次に、私立高校に通う生徒に対する支援について伺います。 国では、32年度までに年収590万円未満世帯までの
私立高校授業料実質無償化を目指していますが、本県では国に先駆け、今年度から年収350万円未満世帯まで
実質無償化の対象を拡大しました。改めて感謝を申し上げます。 しかしながら、公立高校では、年収910万円未満の世帯まで授業料は無償化されており、私立高校に通う生徒のいる世帯への負担は依然解消されていない状況にあります。29年度に行った子ども・
子育て県民意識調査では、理想とする子どもの数は2.74人であるものの、実際の子どもの数は2.23人にとどまっており、その理由としては、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが65.6%で1位という結果でした。さきほど申し上げたように、県政の健全なる発展のために、行政として人材育成、教育への投資を惜しんではいけないと考えます。
子育て満足度日本一を目指す上でも、さらなる負担軽減について検討が必要と考えますが、見解を伺います。 次に、大分県農業の総合戦略について伺います。 TPP11やEUとのEPA協定が間もなく発効されることが確実となっており、我が国の農業も高齢化や担い手不足が一段と進む中で、少なからぬ影響を受けることが見込まれ、政府もその対策を急いでいます。 本県においても、世界的な農業情勢をしっかりと見極めながら、十分に攻め返していけるだけの明確なる農業の総合戦略を持つべきではないかと思います。 本県は、昔から豊の国と呼ばれているように、世界にも誇れる豊かな食や食材、発酵食品などを生産できる風土や文化を有しています。 今、世界的な健康志向の高まりから、ヘルシーな和食や発酵食品への関心が高まっています。
原木しいたけは、本県が誇る日本一の食材でありますが、紛れもない発酵食品の一つでもあります。「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の
農林水産循環」システムが
世界農業遺産の認定を受ける際、審査に来られた国連の関係者から、日本は森の木から絶妙なシステムによって食糧の生産を行っていると大変驚かれたそうですが、
原木しいたけに限らず、本県は四季折々に世界中の人々を魅了するだけの味覚を生産することができます。 しかしながら、いかに優れた産品が生産できたとしても、戦略を欠いては産品はブランド化はされないと思っております。神戸ビーフに見られるように、但馬牛として販売していた時代は振るいませんでしたが、神戸の知名度を生かしたことにより、同じ和牛でも今は輸出農産品のシンボル的な存在となっています。いかに戦略が大切かということです。 県は、先頃、園芸品目の振興を目指して
JAグループ大分と
プロジェクト会議を設置しましたが、産地間の競争やグローバルな競争に生き残るためには、県内の食品企業や全ての
農産品生産者団体が連携した総合戦略は絶対に欠かすことのできないものと思います。 本来なら本県の農業をマネジメントすべき農業団体ですが、県農協として単一合併を目指したにもかかわらず、いまだ中途半端な結果に終わっており、多様な組合員のニーズには応え切れていないのが現実です。九州各県の農業団体は、明確なる方針の下に組合員をリードしていますが、本県は一体どうなっているのでしょうか。県はそれなりの施策を出していますが、受皿となる肝心の農業団体が機能しなければ、本県農業が持つ真価は宝の持ち腐れになってしまいます。県も人を送り込んでいる以上は、農業団体への指導力を発揮し、農業団体の機能をも包含した農業の総合戦略を構築していくべきだと考えますが、現状認識を含め、見解をお伺いします。 また、椎茸農協のように、組合員に信頼されるように立て直しを図るにはどうすることが一番良いと考えておられるのか、あわせてお聞かせください。 次に、
農林水産研究の果たす役割について伺います。 国をはじめ、各都道府県にある
試験研究機関は、地味な存在ではありますが、大変重要な使命を帯びています。それぞれの機関がどのような成果を出すかによっては、当該地域の生産者はもとより、地域全体の経済に及ぼす効果は計り知れないものがあるだけでなく、例えば岩手県農試の開発した小麦の品種、農林10号のように、後に緑の革命の原動力として世界中の小麦の増収に多大な貢献をし、多くの飢餓を防いだことは余りにも有名であります。人の命や健康とともに、地域の経済に活力を生むことのできる農試の研究は、これからますます重要であり、必要な予算を欠かしてはならないと思います。 そこで、他県の事例をあげながら、提言も含めて質問をさせていただきます。 鳥取県では、県をあげて和牛改良に先鞭をつけていますが、牛肉のおいしさに関わるオレイン酸やうまみに関わるグリコーゲンなど、肉質日本一の牛づくりを目指して、全国トップの
種牛づくりに成功したことで、昨年の宮城全共で総合評価第7区肉牛群で見事に全国1位となりました。その後の同県の子牛市場は、雌の平均価格が約100万円となっています。また、同県では、ゲノム解析のできる機器を数億円かけて県では初めて導入するなど、全国の産地から一躍注目を集めています。 私は、豊後牛の振興のために、県の畜産協会長として、この機会をお借りし、あえて申し上げますが、本県の畜産研究部においては、この20数年来、生産者の期待する種牛をつくり出すことができておりません。全国に流通する他県産の種雄牛に比べ、1頭あたり10万円から20万円の差を付けられており、県産種牛だけの子牛の平均価格は、全国で最下位に近いものとなっていることから、県産種雄牛の利用率はこの10年間で3割以下に下がり続けています。 県は、このような状況も踏まえ、豊後牛の流通対策として新たな
リーディングブランドとその
プロモーションプランを発表されましたが、これを一つの大きな転機として、おおいた和牛の生産基盤を確立させ、本県の農業振興はもとより、味力も満載の観光などに大いに活用していくためにも、生産者の渇望する肝心な
種牛づくりを早急に進める必要があると思います。 種牛の造成については、最近になって鳥取県からの協力やノウハウを持つ職員によって明るい兆しが見えてきました。しかしながら、まだ何も現実化しているわけではありません。今後は、
ゲノム育種価などを大いに活用し、改良のスピードアップをすべきと思いますが、どのような見解を持たれているか伺います。 次に、かんきつの研究について伺います。 国東の
果樹グループで現在研究されているあすみという品種を、
農林水産委員会に所属された議員さんはほとんどの方が試食をされていると思います。日本のかんきつの端境期に出荷できるみかんで、これほどジューシーなおいしいみかんは他にないと思っております。日本の端境期には、ほぼ外国産に店頭を席巻されていますが、また買いたいほどの味覚のあるものに私はまだ出会えていませんし、ポストハーベストも気にかかるところであります。 もともとあすみという品種は、農研機構の開発した品種だと聞いておりますが、栽培上の難点とされる裂果などを本県の
研究センターが克服して世に出すことができれば、金メダル級の研究成果となり得るだけの有望な品種ですので、引き続き鋭意研究され、集大成を図ってもらいたいものですが、県の考えをお聞かせください。 最後に、農福連携の推進について伺います。 知事の目指されている障がい
者雇用率日本一については、深く共鳴するところですが、せっかくですので、障がい者の所得もあわせて日本一を目指されてはいかがでしょうか。 私は、現在、
空きハウスを活用してこれまでとは異なる方式でぶどうの栽培に挑戦をしています。それは、ぶどうの房を低い位置で横一列に並べて栽培する方法ですので、障がい者が車椅子でも楽に仕事ができると思います。今、作付けをしている品種は、高級種のシャインマスカットやピオーネですので、一般のパート以上の時給は十分可能であると試算できます。 農業は、仕事の内容が幅広くありますので、様々な組合せが可能です。県下で年々増えている
空きハウスなどを活用し、農福連携をさらに進めることが、農業分野の
人手不足対策にもつながり、さらには障がい者の雇用率はもとより、所得日本一にもつながるものと考えます。そのためには、ハートある県の支援と、県民の深い理解と協力が肝要と思います。県民の誰もが安心して暮らすことのできる大分県の構築に向け、県の今後の方針をお聞きし、私ども議員も県民のためになお一層の研鑽に努力することをお誓い申し上げ、会派代表としての質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○
井上伸史議長 ただいまの近藤和義君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま
近藤和義議員には自由民主党を代表されて県政諸般の重要課題について御質問を賜りました。まず、私から答弁をさせていただきます。 初めに、財政運営について御質問をいただきました。 県政の推進にあたりましては、やはり安定した
行財政基盤を構築するということは不可欠であります。それがあって初めて県政の積極的な運営が可能になるわけであります。知事就任以来、不断の
行財政改革を徹底して推進しているところであります。 災害など不測の事態への備えとなる
財政調整用基金については、
行財政改革アクションプラン最終年度の平成31年度末に、
標準財政規模の10%にあたる324億円を確保することを目標としているところであります。昨年度は
九州北部豪雨などの大規模災害への対応もありまして、財政面では大変苦慮しましたけれども、お話のあったような景気回復により、県税収入が
リーマンショック以降最高となったことも支えとなりまして、
財政調整用基金は368億円確保できました。その結果、31年度の目標につきましても、よほどのことがない限り何とか達成できるんではないかと考えております。 財政の健全性を示す
実質公債費比率の
財政健全化4指標につきましても、県債残高の抑制などの
行財政改革の取組によりまして、いずれも
早期健全化基準以下となっております。 このように、持続可能な
行財政基盤が整いつつありますけれども、国におきましては、膨大な財政赤字を抱える中、2025年度に
プライマリーバランスの黒字化を目指しておりまして、今後地方の歳出削減を求める声が強まることも懸念され、県の財政は予断を許さない状況にあります。 国の出方も予断を許しませんけれども、本県自体にも解決しなければならない課題が多岐にわたっておりまして、その財政需要にも対応していかなければなりません。 一つは、近年頻発する自然災害について、より機動的に対応できるよう、災害関係予算の拡充などを検討する必要があると考えております。また、高齢化の進展などに伴い、社会保障費も年々増大しております。そのほかにも公共施設の長寿命化に向けた計画的な保全も課題であります。さらに来年度は、地方創生に向けた第1期総合戦略の仕上げの年であり、その取組も加速する必要があります。 これらの財政需要に応えていくためにも、やはり引き続き着実に
行財政改革を実践していかなければならないと思っております。 特に、限られた財源を賢く使っていくために、歳出面では、事務事業評価を踏まえた事業の選択と集中を徹底するとともに、できるだけの繰上償還や、資金調達についてもより有利なものを選択して利子軽減を図るなど、公債費の抑制を進めたいと思います。 歳入面でも、農林水産業、商工業等の振興をさらに進めていくことにより、県内経済を活性化させ、県税収入の増加を図るなど、自主財源の強化を図りたいと思います。 今後とも
行財政改革を徹底していくことで、大分県版地方創生を下支えし、災害など不測の事態にも対応できる、安定した
行財政基盤の構築を進めていきたいと思います。 次に、防災減災の
県土づくりにつきましても御質問を賜りました。 本県でも、昨年の
九州北部豪雨や台風第18号等によりまして、県内各地で大きな被害が発生しており、災害に強い
県土づくりが一層重要となっております。 県土の防災機能を高めるには、その7割を占める森林が持つ災害防止機能を十分に発揮させることが必要であります。県では、平成24年の
九州北部豪雨災害を踏まえまして、50年後のあるべき森林の姿を示した「次世代の大分森林づくりビジョン」を策定して、災害に強い森林づくりを推進しているところであります。 具体的には、流木被害が発生した河川沿いの人工林の伐採や、河川沿いではなくても、急傾斜地等での強度間伐を進めて、約200ヘクタールの広葉樹林化に取り組んだところであります。対策を行った山国川流域等では、昨年の豪雨に際して、立木の流出抑制に加えて、伐採後の根株が土壌の流出を最小限にとどめるなど、一定の効果があったところであります。 この成果を生かして、河川沿いの人工林の伐採を全県に展開するとともに、本年3月に改定したビジョンを基に、帯状伐採による急傾斜地の広葉樹林化を進めていきたいと思います。 さらに来年度からは、国の森林環境譲与税も配分が予定されておりまして、経営放棄され手入れがされていない人工林の整備に取り組むことで、森林の機能回復を図ってまいります。 これらによりまして、人工林と広葉樹林が適切に配置された災害に強い森林づくりを県土全体で強力に推進します。 さらに、激甚化する災害に対しては、森林の働きに加えて、改良復旧等の河川改修やスリット付き砂防堰堤などのハード対策と住民の早期避難につなげるソフト対策を組み合わせた、総合的な
防災減災対策を進めているところであります。 しかしながら、近年、毎年のように数十年に一度と言われる風水害が発生して、必要な対策が追いついていない現状であります。 このため、7月に札幌で開催された全国知事会議におきまして、抜本的な治水・土砂災害対策を迅速かつ強力に推進することを決議し、国に対して緊急提言を行ったところであります。 本県におきましても、森林が持つ災害防止機能を発揮させるとともに、河川、砂防施設の整備を加速させることによりまして、これまで以上に強靱な
県土づくりを進めてまいります。 次に、大分県農業の総合戦略についても御質問を賜りました。 人口減少社会の本格的な到来や、TPP11をはじめとする経済連携の動きの活発化など、本県農林水産業は変革のときを迎えております。 私は、むしろこの機に、農林水産業の新たな可能性を積極的に切り開いていくことが大変大事だと考えております。 そのため、本県農林水産業の総合戦略たる「おおいた農林水産業活力創出プラン2015」を策定して、生産者や行政をはじめとした関係者が一体となって取組を進めているところであります。農協など農業団体も、自らを変革しながら、今以上にこの戦略への積極的な参画を期待しているところであります。 これまで農業分野では、戦略品目を定め、県域生産、県域出荷により、拠点市場への周年、安定供給に取り組んでまいりました。その結果、京都でのピーマンや福岡での白ねぎなど、7品目で市場シェア1位を獲得するなど、おおいたブランドの地位が確立されてきております。 先日の若手園芸農家の集いでは、「マーケットニーズに合ったものづくりとは何だろうか」とか、「もっともうかる売り方はないものか」など、若者らしいセンスで熱い意見が交わされ、新たな担い手の成長を大変頼もしく感じたところであります。 さて、御心配いただいている大分県農協は、誕生から10年が経過しました。私は、もう少し早く改革が進むのではないかと期待しておりましたが、最近ようやくよい動きも出てきたと思います。県域農協のメリットを生かした高糖度かんしょなどの産地拡大、一元集荷、販売の取組に加えて、組織の再編や業務の効率化などにより、合併時の借入金返済にもめどが立ったところであります。 しかし、一方では、「農協の資材は高い」など厳しい声も聞こえます。県農協もようやく、例えば肉用牛の配合飼料など農業資材の価格引下げに取り組み始めてはいますが、まだまだ道半ばだと思います。 私は、県一農協は理想の姿とは思いますけれども、大分県の場合、おかげさまで県域農協と言えるものもできてきました。あとはいくつかの特色ある農協は、互いに競い合って切磋琢磨し、より良い成果を出している農協に集約されていくということが期待されるのではないかと思います。 今後とも農協が農家組合員のために、自らが標榜する改革を一層加速させて、さらに深化させるよう、県もしっかりと後押しをしていきたいと思っております。 そのほかにも大変大事な御質問、御指摘をいただきました。そのほかの御質問につきましては、担当部長から答弁をさせていただきます。
○
井上伸史議長 工藤教育長。 〔工藤教育長登壇〕
◎工藤利明教育長 今、議長のお許しをいただきましたので、おわびを申し上げます。 本年の障がい者雇用率の算定において、障がい者の方々には不快な思いを抱かせ、県民の皆様方や県議会にも大変御心配をおかけする事態となり、心からおわびを申し上げます。 では、農業人材についてお答えいたします。 平成17年度からの高校再編においては、生徒数の急激な減少のもと、地域に適正な規模の学校を残し、生徒の多様な学習ニーズに対応できるよう、総合選択制高校など新しいタイプの学校を県内各地に配置しました。 再編後の農業系9校では、振興局や農業法人などとの連携が進み、地域に根ざした農業教育の一層の充実が図られてきました。農業大学校進学者数は、卒業生が減少する中でも、県全体で16年度の26人から30年度の31人に、農業関連就職者は同じく82人から106人に増加するなど、一定の成果も出ているところであります。 今後は、少子高齢化が一段と進み、後継者不足が深刻化する中、今ある地域の高校を活性化し、農業をはじめ、地方創生を担う人材を育成することが進むべき方向であると考えております。 久住校においては、特色化をさらに進めるため本校化し、栽培から加工、販売までの実践的な農業経営に取り組み、高い創造性や経営力、実践力を育成してまいります。また、
くじゅうアグリ創生塾を県下9校の農業高校生が集まる学び合いの拠点として、久住校との相乗効果を目指す中で、次代の県農業を担う人材育成を進めてまいります。 次に、東京学生寮の設置についてであります。 昭和40年代の東京への進学者は1,200人ほどおりましたが、学生運動の影響や入寮希望者の減少などの要因から、昭和47年に廃寮となりました。 それ以後、今日まで東京への進学者は大幅に減少しており、他人からの干渉を嫌がる個人主義の風潮の中、大学による学生寮や民間賃貸住宅の整備が進んで、新たな学生寮の必要性は薄れてきていると思います。 一方、議員御指摘のように、郷土を愛し、大分で働く意識を醸成することはとても大切であります。 県としては、学生登録制度やWEBマガジン「オオイタカテテ!」などを通じて、県出身学生へ県内就職情報などの発信に努めているところであります。これまで3年間の登録者数は1万3,564人を超え、学生の間でも反響は大きいと思っております。 こうした中、学生寮OBの方々を中心にしたNPO法人大分県学生交流等協力支援協会が、県出身学生対象の講演会、企業訪問、就活相談会など、県出身者のネットワークを深める活動に熱心に取り組まれてきており、県としても引き続き協力していきたいと思っています。 新たな学生寮の建設は、建設場所、通学の利便性、さらには多額の財政負担など多くの課題があり、今後の東京への進学状況を見極めながら、長期的な視点で研究すべきであると考えております。
○
井上伸史議長 山本
生活環境部長。 〔山本
生活環境部長登壇〕
◎山本章子
生活環境部長 私立高校生徒への支援についてお答えいたします。 私立高校は、公教育の一翼を担い、多様な県民ニーズに対応するため、看護や調理の学科を設置するなど、特色ある教育活動を展開しています。 学ぶ意欲のある子どもたちが、家庭の経済状況にかかわらず、行きたい学校を自由に選択できる環境づくりは大変重要です。そのため、私立高校に通う生徒の保護者の負担軽減は、子育て支援の充実のためにも不可欠であると考えています。 県では、これまでも授業料の支援の拡充に加えて、教科書費や教材費、学用品費などの授業料以外の教育費についても奨学給付金制度により支援を行ってきたところです。 さらなる負担軽減に向け、国の動向にも留意しながら、支援の方策を引き続き検討していきたいと考えております。
○
井上伸史議長 中島
農林水産部長。 〔中島
農林水産部長登壇〕
◎中島英司
農林水産部長 3点御質問がありました。 まず、畜産研究についてお答えいたします。 県では、古くは糸福、10年ほど前では寿恵福など、全国トップレベルの種雄牛を造成してきました。 しかし、近年造成した種雄牛では、脂肪交雑の面で高い能力を有しているものの、枝肉重量の面ではまだまだ改良の余地があると考えています。 このため、今後は、脂肪交雑能力を高水準で維持しながら、枝肉重量の向上に主眼を置いて、あわせてオレイン酸生成能力など、おいしさの向上を図るという方針で取り組んでいきたいと考えております。 造成にあたっては、高い能力を持つ県外の種雄牛の凍結精液や雌牛を積極的に導入して、飛躍的な能力向上を目指すとともに、遺伝子配列から生後すぐに能力判定が可能な
ゲノム育種価を用いた手法により、改良スピードの大幅な向上を図ります。 このたびこの手法により、歴代の県有種雄牛を凌駕する、極めて能力の高い6頭をほぼ同時に造成することに成功しました。 引き続き
ゲノム育種価を大いに活用し、全共日本一だけではなく、農家から支持され、生産所得の向上につながる全国トップレベルの種雄牛造成に取り組んでまいります。 次に、かんきつの研究についてであります。 議員御指摘のあすみは、平成26年に国の農研機構・果樹研究所が育成した品種であり、糖度がおおむね16度以上と高く、食味が大変優れており、杵築市や日出町で栽培が始められたところであります。 味の評判は大変いいんですが、果実が裂果しやすいため、安定生産ができないという課題があり、全国的にはほとんど普及しておりません。この課題を解決できれば高単価が狙えることから、県では土壌水分のコントロールなどで裂果を防ぐ研究に取り組んでいます。 このほか、かんきつは、いちごなどと同様に消費者の嗜好性が高いことから、県オリジナルの新しい品種の育成も進めています。特にゼリー状の食感で、消費者、流通関係者から高い評価を受けております大分果研4号、ゼリーオレンジ・サンセレブを改良し、より高い糖度を有する品種の育成に力を入れていきたいと考えています。 今後もマーケットインの視点で新たな品種の研究開発に取り組んでまいります。 最後に、農福連携の推進についてであります。 農業従事者の減少や高齢化が進展する中、農福連携は新たな働き手の確保の取組として期待できるものであります。障がい者にとっても、地域社会への参画を促進し、新たな職域の開拓や所得確保につながる取組として有意義なものと考えています。 そのため、県では、平成29年度から障がい者が作業しやすい品目や作業工程などの検証を実施しているところであり、これまでにかんしょの収穫や小ねぎの定植、ニラやベビーリーフの調製作業などが障がい者に適していることが分かりました。 今後は、より高単価な品目について、作業の切り出しといったことも含めて検討していきます。 また、何よりも検証結果を農業現場にフィードバックし、具体的な連携拡大につなげていく必要があると考えています。そのため、農福連携の考え方を農家の皆さんに丁寧にお伝えしていくとともに、福祉保健部と連携し、マッチングを担う共同受注センターの活用を促進していきます。 さらに、より多くの障がい者が気持ちよく働くことができるよう、作業スペースの確保やトイレの設置といった就労環境の整備についても支援するなど、農福連携の取組を充実してまいります。
○
井上伸史議長 以上で近藤和義君の質問及び答弁は終わりました。守永信幸君。 〔守永信幸議員登壇〕(拍手)
◆守永信幸議員 県民クラブ、28番、守永信幸です。今回、代表質問の機会を与えてくださった先輩、同僚議員の皆さん、大変ありがとうございます。感謝申し上げます。 今日は9月11日、アメリカで同時多発テロが発生をした日でもあります。世界の各地で平和の尊さに思いをはせる人が多くいらっしゃるんじゃないかと思っています。 さて、さきほど近藤議員からもお話がありましたけれども、今年は非常に大きな災害に立て続けに見舞われました。7月の西日本豪雨では、河川の氾濫や土砂災害で200人以上の方々がお亡くなりになり、9月4日には台風第21号が四半世紀ぶりに強い勢力を保ったまま徳島県に上陸し、西日本を縦断、40名を超える死者を出し、関西圏域を中心に大きな被害をもたらしました。また、9月6日の未明には北海道で大きな地震が発生し、今まで41名の方々の死亡が確認されています。北海道の地震では、道全体が停電する事態にも至りました。エネルギー施策の面では注意を払うべき事象であったわけですが、新たな課題が浮き彫りにされたとも言えます。 これらの災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。 それでは、県民クラブを代表して質問に入ります。 県政運営について、最初に質問いたします。 本県の県債残高は、今定例会に提出された決算関係書類を見ますと、2017年度末時点で約1兆300億円となっています。県債残高については、過去には1兆円突破を危機的な状況として捉えていた時代もあったわけですが、本県では2008年度末に1兆円を突破し、現在に至っています。初めて1兆円を超えたときの県債残高は1兆1億円、その内訳は、
臨時財政対策債が1,713億円、通常債が8,288億円となっていました。2017年度末では、
臨時財政対策債が3,971億円、通常債が6,329億円となっています。2013年度末に県債残高1兆539億円を最高額とした後、4年連続で減少、通常債だけで見ると16年連続で減少しています。 しかし、
臨時財政対策債は増え続けています。
臨時財政対策債については、国から交付税措置されるということで軽く論じられがちですが、国の地方交付税に対する見方は決して安心できる状況ではなく、県は交付税が削られた場合等を想定して
財政調整用基金を一定額確保しようとしています。 これまでの
行財政改革によって一定の基金額を確保できていることは、広瀬知事の手腕によるものだと思います。しかし、人件費の削減を中心に取り組んできたことから、現場が大変な状況になっていることは、これまでも議論をしてきたとおりです。 9月9日の大分合同新聞に、県庁の長時間勤務について報道されていました。知事部局で過労死ラインを超える長時間勤務をした職員が、昨年度は延べ151人に上るというものでした。この背景として、災害が相次いで発生したことをあげていましたが、緊急事態に即応しようとすれば無理をしなければならないのが日常になってしまっているのだろうと感じています。 知事は働き方改革を進めていくとおっしゃいますが、働き方改革は職員一人一人が能力を発揮できる環境整備に向けて進めていくべきものと私は捉えてます。県民の皆さんに安心して暮らしていただくには、マンパワーの充実が必要です。合理化を進めていきながら行政サービスを充実していく上で、必要に応じて人件費の増大も念頭に置いておくべきと思います。 一方で、本県の将来あるべき姿に向けて様々な事業に取り組む中で、ハード事業も増えてきています。 県立武道スポーツセンターは、2013年11月に武道場の建設要望として26万人を超える県民の署名が県教育長に提出されるなど、県民からの期待も大きな施設であり、ラグビーワールドカップ2019の受入れ施設としても活用するということで、来年4月供用開始に向け、急ピッチで建設が進められています。 また、おおいた動物愛護センターや県立病院精神医療センターなども、県民の豊かな心を醸成し、命と暮らしを守るために必要な施設、設備であればこそ、多くの方が期待を持って待ち焦がれていると思っています。 人を育てる施設として重要な役割を担い、多くの方々から期待を寄せられている県立芸術文化短期大学のキャンパス整備も現在行われています。 これらのハード事業は、財政の健全性が維持されることが前提でなければなりません。今後これらの施設では、維持管理費を負担していかなければなりませんし、県民の皆さんの評価は、設置することに加えて、運用の在り方に重点が置かれていきます。 そこには、期待に応え得るマンパワーが必要となります。何よりも
子育て満足度日本一や健康寿命日本一、障がい者雇用日本一などをはじめとして、県民の笑顔につながるこれらの施策も、多くの県民の皆さんの期待に応えていかなければなりません。さらに、多様化、複雑化する行政ニーズに的確に対応していくことも求められます。 人口減少社会が到来しようとする中で、福岡と大分とを結ぶ東九州新幹線の整備促進や、東海地方から近畿、四国を通って九州の東の玄関口である大分を結ぶ太平洋新国土軸構想など、将来の本県のあるべき姿を見据えた上で、県政運営上、慎重なかじ取りが求められる課題もあります。これらの大がかりな事業を、大分県の将来に夢を抱かせる事業という方もおられれば、必要ないという意見の方も少なくありません。 知事は、1期目の就任時に、豊予海峡ルートについて凍結を明言し、
行財政改革を断行されました。現状を見ると、あのときの判断はよい判断であったと評価しています。本県で県民の皆さんが心豊かに暮らしていくために、今の時代をどのように次の時代につないでいくのかが議論されなければならないと思っています。 財政の健全性の維持と、そこで働く職員がやりがい、生きがいを感じつつ、生き生きと働くことができる環境を維持しつつ、県民の皆さんの笑顔を守っていくために、残り半年余りとなったこの任期での取組をどのように総括し、将来につなげていこうとしているのか、知事の考えをお聞かせください。 次に、地域の創生の課題についてお尋ねします。 地方創生とよく言われますが、地方という言葉にはネガティブなイメージがまとわりつきます。私たちの暮らす地域をポジティブに進展させていこうとするのであれば、地方創生というのではなく、地域創生というべきではないだろうかと感じています。あくまでも気持ちの問題にすぎないのかもしれませんが、今回の質問ではあえて地域創生と言わせていただきます。 これまで知事は、地域の創生に向けて、おおいた地方創生枠やおおいた地方創生推進枠、おおいた創生加速枠、創生前進枠という予算特別枠を設けて重点的に取り組んできました。今任期中の4年間で総額75億円の設定に対して83億円を超える予算編成を行うなど、積極性も感じられますし、特別枠で事業をスタートさせ、引き続き継続されているものもあります。 地域創生を成功させるためには、県民が心豊かに暮らせることが重要ですし、若者がその地域に残ること、さらには他県から移り住んでくれるということが必要です。 先日の報道で、8月に大分県内で初の人手不足倒産が発生したとの報告がありました。大分の労働者不足が深刻さを増しているのだろうと感じます。これまで特別枠を設定し取り組んできた事業による成果についてどのように認識しているのか、知事の見解をお聞かせください。 また、これらの事業が順調に効果を発揮するには、その地域に効果を結びつける立役者、人材育成が必要です。その人材発掘や育成について、知事の今任期中にどのような成果が得られたと認識しているか、お聞かせください。 次に、JR日田彦山線の復旧についてお尋ねします。 昨年の
九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線については、8月27日にJR九州の青柳社長が、復旧について沿線自治体と協議が不調の場合、バスなど鉄道以外で運行再開を目指す可能性を示唆したとの報道がありました。これによると、鉄道を維持しないといけないとは思っているが、話が進まなければ鉄道以外の方式を提案することになると言及したとのことです。 青柳社長のこの発言は、どのような気持ちのあらわれか、私は気にかかって仕方ありませんでした。 知事はこれまで、JRの民営化の際に附帯決議として、「JR九州は、今般の法施行後にあっても、できる限り経営努力により地方鉄道路線維持に努めるとともに、取り巻く環境の変化等を十分踏まえ、引き続き沿線地域の交通利便の確保に万全を期すべく、沿線自治体等と綿密な連携を図ること」とあることをあげて、JRに努力を求めると述べてこられました。 JR九州の経営全般を見ると、黒字であります。その黒字は、不動産事業や駅ビル等における収益事業によりもたらされたものであり、鉄道事業は厳しい状況にありますが、他分野での黒字を鉄道事業に活用することで地域に貢献することは、JR九州に課せられた課題であると私も考えています。 そこで、JR日田彦山線の復旧に対する県の見解を改めてお聞かせください。 次に、障がいのある人もない人も心豊かに暮らせる県づくり条例の周知等についてお尋ねします。 県では、2016年4月に、障がいのある人もない人も心豊かに暮らせる県づくり条例を施行し、障がい者への差別禁止、合理的配慮の提供を県民に呼びかけるようにしています。現在、この条例の周知状況や、県として条例を背景に取り組んでいることについて、県議会では特別委員会を設置して調査を行っています。当事者や深く関わってこられた方々にも話を伺いながら、障がいのある方々がどのようなことに困り、行政の責務として何をするべきなのか、取りまとめることにしています。 10月6日から国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭がスタートします。この二つのイベントについては、障がいのある人への合理的配慮にも工夫を凝らしていると伺っています。二つのイベントが同時並行的に県下各地で開催されます。正に県条例の目指すところを県民の皆さんに周知できる場となることと期待するものでもあります。 先日、NHKで中村裕博士をテーマにした番組も放映されました。中村裕博士は、1960年にリハビリテーションの研究を目的にアメリカ、ヨーロッパに派遣され、イギリスの留学先で、スポーツを医療の中に取り入れて、残存機能の回復や強化によって社会復帰させる手法を学び、日本で実践された医師で、1964年の東京オリンピック後のパラリンピックを成功させた方です。また、大分県の車椅子マラソンの生みの親とも言える存在です。別府市の太陽の家の創設者でもあり、障がいのある方々の生き方に大きな影響を与えた方でもあります。 本県が全国に先駆けて、障がいのある方々が積極的に活躍でき、心豊かに暮らすことができる場所と言えるように進めていかなければならないと感じています。 ところで、最近、中央省庁をはじめとして、障がい者雇用率を水増ししていたという恥ずかしい状況が報じられました。本県でも県教育委員会で66人を不適切に算入していたことが公表されました。大変残念でなりません。 障がい者雇用に関しては、障がいのある方々の自立に向け、働ける場の確保と彼らの可能性の開拓につなげるものだと思っています。そういう機会を奪うこととなったのです。許されるものではないと思っています。 県は、障がい
者雇用率日本一を掲げて取り組んでいます。ここでいう障がい者雇用率は、民間企業における障がい者雇用率で比較されていますから、統計的な影響はありませんが、今後、民間企業に雇用の機会をつくる努力を求める上での影響が気がかりです。県の公的機関が謙虚に振り返り、範を示せるようにすべきだとも考えます。 障がい
者雇用率日本一の達成に向けて、障がいのある方々の活躍の場づくりについて、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお聞かせください。 また、条例施行により、障がいのある方々を取り巻く環境がどのように変化したと考えているのか、お聞かせください。 次に、輸送機オスプレイについてお尋ねします。 8月24日に佐賀県の山口知事は、陸上自衛隊の輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画を受け入れる意向であることを発表しました。これによって、県民の中には、日出生台演習場などでオスプレイの訓練が行われるのではないかと心配する声が聞かれます。沖縄の米軍普天間基地にオスプレイが配備されてからは、これまでも日米合同演習などにより日出生台演習場におけるオスプレイを使った訓練の実施を心配する声はありました。 知事は、日出生台演習場での米海兵隊の訓練については、沖縄の負担軽減のためにやむを得ないとしながらも、今以上の負担は負えないとの姿勢を示してこられました。米海兵隊によるオスプレイを使った訓練は、県民にとっても大きなリスクを負うことになりますからだめだというわけですが、自衛隊のオスプレイについてはどのように対処できるのでしょうか。 日出生台演習場や十文字原演習場の使用に関する協定を更新した際に、自衛隊に配備されたオスプレイ等のティルトローター機の運用計画がある場合は、事前に県民の方々に十分な説明を実施するとの確認がされています。オスプレイは、沖縄県で墜落事故も起こしており、エンジンの不具合で大分空港に緊急着陸をするなど、頻繁にトラブルを起こしています。安全性については、今もなお県民に強い不安があるわけです。 県民の安全・安心を確保する観点から、オスプレイの運用、訓練についてどう対応していくのか、改めて県の見解をお聞かせください。 次に、農林水産業の振興についてお尋ねします。 本県の地域全体が活性化するには、地域地域に根ざした産業の活性化が必要ですが、全ての地域に共通するのは、第1次産業、農林水産業です。一つの産業を活性化させ、それを核に地域の経済全体をポジティブに動き出させることが、地域創生の観点からも大事だろうと考えます。 本県の農業を取り巻く環境は年々厳しくなっています。担い手の高齢化や後継者不足、営農資材や飼料代等の高止まり、売渡価格の低迷など、枚挙にいとまがありません。これに加えて、日本と欧州連合との経済連携協定や、オーストラリア等11か国との環太平洋経済連携協定の発効が目前に迫り、生産者に大きな打撃を与えることが心配されています。 そこで、今後の本県の農林水産業の振興についてどう考えているのか、見解をお聞かせください。 次に、災害に強いまちづくりについてお尋ねします。 今年7月の西日本豪雨では、14府県で河川の氾濫や土砂崩れなどで大きな災害が発生しました。昨年の
九州北部豪雨は、2012年の
九州北部豪雨災害からわずか5年で発生するなど、日本の各地で短時間雨量が50年に一度のレベルという激甚化が際立っているようです。これらの自然災害に対応できるまちづくりが求められています。 また、南海トラフを震源域とする大地震の発生確率も、30年以内に発生する確率が80%に引き上げられています。その前後の強い余震も想定をしなければなりません。特にライフライン、飲料水、電気、ガス等の供給体制についての耐震化に早急に取り組むことが必要です。中でも県内の水道施設については、耐震化は、浄水施設で30.9%、耐震管で29.5%程度にとどまっているとのことです。ライフラインの耐震性の向上についてどのように考えているのか、お聞かせください。 次に、県管理ダムの豪雨時の対応についてお尋ねします。 本県の北川ダムでも過去に放水によって下流域に被害をもたらした事例がありました。そのときにも再発防止策を検討したとは思いますが、さきに述べたように、50年に一度の豪雨が多発しています。地球温暖化の影響による気候変動と思いますが、今後もこの傾向は続くと思っています。 このような豪雨の場合の対応について、今まで以上に細心の注意を払って検討しておくべきだと考えますが、ダム流域の河川管理者には国もありますし、国や地元市との調整協議など、どのように考えているのか、お聞かせください。 次に、警察行政についてお尋ねします。 石川本部長は、本県への勤務は初めてと伺いました。警察本部は、近年、交通安全対策や犯罪抑止対策など着実に成果を上げる一方で、別府署のカメラ問題や警察官の相次ぐ不祥事など、警察に対する信頼を損ねる事案も相次いでいます。 そこで、新本部長として、県民の安全・安心の確保、信頼回復の観点から、当面する課題をどのように捉え、今後どのように取り組んでいくのか、見解をお聞かせください。 最後に、職業教育の在り方についてお尋ねします。 三重総合高等学校の久住校が県立
久住高原農業高等学校として新たにスタートを切ります。せっかく
農業単独校として県農業を支える人材を育成するわけですから、しっかりと準備をしていただきたいと思います。 職業系の高等学校の在り方については、様々な議論がありましたが、今回の農業高校とあわせて設置される県立
くじゅうアグリ創生塾の提案理由として、農業に関する学科に属する高等学校の生徒に対する教育の充実、そして小・中学校の児童生徒等の農業への興味関心を高める。そういうことにより、次代の農業を担う人材を育成し、もって地域農業の振興に資するとされています。 子どもたちが将来こんな仕事をしてみたいと考える選択肢の一つになることが大切と考えます。それは、農業に限った問題ではありません。職業系の高等学校は、小・中学生に対して、将来を夢見ることができる材料を提供することが大切であり、そのためには各分野で活躍できる人材を養成し、将来につなげていく努力が必要になると考えています。 海洋科学高等学校では、漁業者や船舶関係の仕事を目指す生徒が多いと思いますが、船舶等による水産業、漁業や水産加工をなりわいとする職業教育に取り組む上では評価できると思っています。ただし、漁業現場では、養殖漁業に主軸が移りつつある中で、いまだ海洋科学高等学校では養殖に関わる実践的な教育が取り組まれていないのは、何か考えなければならないのではないかと思っています。現場で即戦力になるとともに、さらに一歩先進的な技術を習得できる教育を行い、水産業の担い手として貢献できる人材を社会に輩出し、彼らの活躍を小・中学校の児童生徒に紹介するといった取組が必要です。
久住高原農業高等学校や海洋科学高等学校だけでなく、既存の職業系の高等学校全てにおいて、将来の職業を夢見て高校を選択し、夢の実現と成功のために一所懸命に努力できる環境を実現し、優秀な人材を社会に輩出できるよう努力してもらいたいと考えますが、小・中学校における職業教育及び職業系の高等学校におけるカリキュラムの在り方をどのように考えているのか、お聞かせください。 以上で質問を終わります。
○
井上伸史議長 ただいまの守永信幸君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 守永信幸議員から県民クラブを代表して県政諸般の御質問を賜りました。まず、私から答弁をさせていただきます。 初めに、県政運営につきまして御質問をいただきました。 4期目の県政にあたりましては、安心・活力・発展の大分県づくりをさらに前に進め、国や地方をあげて取り組んでおります地方創生につなげていけるよう努力してまいりました。 まず、安心の分野では、子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用の三つの日本一を目指した取組や、暮らしの和づくりとしてネットワーク・コミュニティの構築、移住定住の促進、県土の強靱化等に取り組んでまいりました。合計特殊出生率は4年連続で上昇し、移住者も26年度の292人に対して、29年度は1,084人に増加しております。 活力の分野では、農林水産業の構造改革を加速して、35年に2,250億円としていた目標創出額を一昨年に達成することができました。商工業では、大分県版第4次産業革命OITA4.0をスタートさせ、企業誘致でも昨年度55件、過去最高と好調を維持しています。観光では、宿泊客数が26年の610万人から、29年には735万人に増加しました。 発展の分野では、教育県大分を掲げ、小・中学校の学力、体力は、九州トップクラスになりました。また、九州の東の玄関口としての拠点化を目指して、別府港や大分港の整備を進めるとともに、中九州横断道路、中津日田道路などの整備を急いでまいりました。 このようなことから、プラン2015の29年度全59施策の総合評価につきましても、順調及びおおむね順調とされた施策が98.3%を占めることになりまして、今任期の取組には手応えを感じているところであります。 こうして安心・活力・発展の大分県づくりを前に進め、地方創生に足がかりをつけていくためには、それを下支えする持続可能な
行財政基盤の構築が不可欠であります。これまで聖域なく
行財政改革に取り組んでまいりましたが、その結果、
財政調整用基金の31年度の目標324億円につきましては、よほどのことがない限り何とか達成できる見通しとなりました。 しかし、昨今では、複雑多様化する行政ニーズや多発する災害など、的確かつ効率的に対応することが求められる課題が多くなっております。 このため、県では、知事、副知事が目を光らせて、各部長が先頭に立って、業務効率化の徹底や勤務時間の適正管理、業務量に応じた適正な職員配置などを行い、
行財政改革、特に職員の働き方改革を積極的に推進していきたいと思っております。 今年度は国民文化祭など多くの事業がまだありますので、さらなる成果をあげられるように、気を引き締めて取り組んでいきたいと思います。 次に、地域の創生の成果についても御質問をいただきました。 守永議員からは、地域という言い方のほうがいいのではないかというお話もございました。御趣旨はよく分かりますけれども、全国至るところが地域でございます。東京もある意味では地域ですけれども、そういう中で、大分県という、都市部、東京や大阪と違ったところにある地方というところの特徴を生かしながら地方創生を図っていく、地域の元気をつくっていくという考え方からすると、地方という呼び方もあるのかなと思っております。これはいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、私は取りあえず地方創生ということで御説明をさせていただきたいと思います。 地方に人をつくり、人を育て、仕事をつくり、仕事を呼び、人と仕事の好循環で地域を活性化しようとするものであります。そのため、効果の高い事業に予算を集中する観点から、特別枠を設けて、大分県版地方創生に邁進してきたところであります。 「人を大事にし、人を育てる」では、おおいた子育てほっとクーポンの拡充や、病児保育の充実といった
子育て満足度日本一の実現、さらには婚活支援等にも取り組んでまいりました。 「仕事をつくり、仕事を呼ぶ」では、姫島へのIT企業進出を実現するなど企業誘致に努めるとともに、創業支援にも取り組んで、27年度から3年間で1,635者が創業をしております。 「地域を守り、地域を活性化する」では、UIJターンを進めまして、平成29年度には過去最高の1,084人が移住することになりました。 「基盤を整え、発展を支える」では、九州の東の玄関口としての拠点化や災害に強い森林づくりなどに取り組んでまいりました。 特別枠でこれらの事業を積極的に展開することによりまして、めまぐるしく変わる社会情勢や相次いだ災害などにも、迅速に対応できたのではないかと認識しているところであります。 また、人材発掘、育成には特に力を入れております。観光をはじめとした地域リーダーの育成を目指すおおいたツーリズム大学では、12年目に入り、延べ270人の修了生を生み出し、地域の様々な分野で活発に活動していただいているところであります。 また、トマトやピーマンといった就農学校等の充実により、新規就業者は29年度までの5年間で延べ1,843人に上っております。 留学生のスタートアップ支援は、28年度から始めたところですが、既に6者が起業に至っており、前途ある経営者が着々と育ってきております。 他方、移住者が住民と一緒になって地域を元気にする動きも広がっております。竹田市では、昭和時代の竹田の町並みや家族の団らん風景などが映された8ミリフィルムを市民から集めて編集し、貴重な映像作品として復活させる取組が行われております。豊後高田市では、空き店舗が絵本の古書店に改装され、地元の子どもたちに人気の放課後の居場所になっております。 このような方々にしっかり活躍していただいて、地域に一層の活力を及ぼしていただきたいと思います。 引き続き地方創生に粘り強く、息長く取り組んで、夢と希望あふれる大分県づくりに邁進していきたいと思います。 次に、障がい者を取り巻く環境づくりについて御質問をいただきました。 一昨年4月の県条例の施行から早2年半が経過します。この間、障がいに対する県民の理解を深め、障がいを理由とする差別の解消に取り組み、障がい者にとって長年の懸案事項の改善を図ってきております。 一つは、この3月に、障がい者の歯科診療の専門機関となる大分県口腔保健センターを開設し、二つは、バス運賃の割引が4月から精神障がい者にも拡大されました。三つは、現在償還払いの障がい者医療費助成を、来年度中には自動償還払いとし、重い障がいのある方や御家族の負担を大幅に軽減します。 次に、障がい
者雇用率日本一を目指す中、課題となっている知的、精神障がい者の雇用促進に向けて、県のアドバイザーが企業を精力的に訪問し、働きかけを強めるとともに、今年度は職場で障がい者を支援する指導員を配置する企業への奨励金も新設して、取組を加速しているところであります。 このような中、国や地方の多くの官公庁において、障害者手帳を持たない職員を障がい者として算定していたことが明らかとなりました。本県教育委員会においても、自己申告をもとに障害者手帳のない教職員66名を障がい者として計上していたために、労働局に修正報告を行う事態となったところであります。 これまでの民間企業の真摯な取組を思うと、誠にじくじたるものがありまして、県庁各部局が知恵を出して障がい者の就労拡大に努めなければならないと改めて決意をしておるところであります。 一方で、学校現場におきましては、教員資格を有する障がい者の採用を、選考試験制度の中でどうしたら拡大することができるのか、また、これまでの
行財政改革の中で、民間委託を積極的に進めてきたところでありまして、障がい者にお願いする仕事をどの程度引き出せるのかも課題であります。我が国の障がい者雇用の先駆者である中村裕博士が提唱された、「保護より機会を」の理念は、社会に求められる必要な仕事の中から障がい者にできる仕事をやっていただき、自立につなげていくことだというふうに考えております。教育委員会には、そういうことをしっかり頭に入れ、踏まえて、そして対応を考えていくようにという指示をしているところであります。 また、障がい者の活躍の場づくりにつきましては、以前から取り組んでいる知的精神障がい者の県庁内での職場実習の受入れや、非常勤職員としての採用の拡大、また来年2月に開設するおおいた動物愛護センターの業務において、知的や精神の障がいのある方にも働いてもらうなど、全庁的に取り組むこととしまして、再び官民の力を合わせて障がい者雇用の拡大に全力をあげていきたいと思っているところであります。 そのほかにも数々大変大事な御質問をいただきました。そのほかの御質問につきましては、担当部長から答弁をさせていただきます。
○
井上伸史議長 岡本
企画振興部長。 〔岡本
企画振興部長登壇〕
◎岡本天津男
企画振興部長 JR日田彦山線の復旧についてお答えいたします。 日田彦山線につきましては、地域の方が早期復旧を強く希望しておられることを踏まえ、日田彦山線復旧会議において、鉄道で復旧するための方策、それから継続的な運行の確保の2点について議論しているところです。 鉄道で復旧するための方策では、当初約70億円と見込まれた復旧費が、災害復旧事業等を活用することで、約56億円まで圧縮できるめどが立っています。先月、改正鉄道軌道整備法が施行され、黒字事業者であるJR九州の赤字路線の復旧にも公的支援が可能となる制度ができ、復旧の追い風になると考えております。 継続的な運行の確保では、利用者増加のための方策として、復旧後における観光振興等の取組を提案しているところです。 なお、JR九州の記者会見報道に対しましては、JR九州には鉄道ネットワークを維持していく重要な責務があること、九州創生を加速させるパートナーであることを再認識し、復旧会議の場で議論を進めていくことを沿線自治体とともに申し入れたところです。 日田彦山線の復旧は喫緊の課題であり、福岡県などと連携を密にしながら、日田彦山線が早期に復旧できるよう、できるだけ早く結論を出していきたいと考えております。
○
井上伸史議長 牧防災局長。 〔牧防災局長登壇〕
◎牧敏弘防災局長 オスプレイについてお答えいたします。 国によるオスプレイの導入配備やオスプレイを使用した自衛隊の訓練につきましては、国の専管事項であると承知しているところであります。 しかしながら、米軍のオスプレイによる事故や、昨年8月には大分空港に緊急着陸するなど、安全運航等について大きな懸念が生じていると考えております。 このため、昨年9月の日出生台演習場の使用協定更新時にあわせ、県と地元市町で構成する四者協は、陸上自衛隊に対して、日出生台演習場においてオスプレイの運用計画がある場合、県民の納得が得られるよう十分な説明を行うことを要望し、その旨合意しております。また、本年8月には、県内にもう一つある十文字原演習場の使用協定更新時にも同様の要望を行い、合意したところであります。 現在のところ、陸上自衛隊から県内演習場においてオスプレイの運用計画があるとは聞いておりませんが、計画されれば県民の安全・安心を確保する立場から、安全対策や訓練内容等につきまして、県民が納得いくよう、事前に十分な説明を求めていきたいと考えております。
○
井上伸史議長 中島
農林水産部長。 〔中島
農林水産部長登壇〕
◎中島英司
農林水産部長 農林水産業の振興についてお答えします。 農林水産業が大きな変革期を迎える中、その持続的な発展により地域を活性化させるには、構造改革を加速し、成長産業にしていくことが大変大事であります。 その第1は、マーケット起点の商品(もの)づくりです。戦略品目の県域生産、流通体制を強化し、拠点市場でのさらなるシェアの獲得を図っていきます。また、ライフスタイルの変化等により、加工業務用の需要が伸びるなど、マーケットは多様化しています。中津市では、営農組合と食品企業が連携し、小松菜等の冷凍惣菜を製造するといった取組が始まっています。こうした産地づくりの動きを、農地集積や水田畑地化により推進していきます。 国内市場が縮小し、自由貿易が進展する中、海外市場を積極的に取り込むことにより、マーケットの幅を広げることも重要です。養殖ブリでは、米国に加え、中国などへの輸出にも取り組み、その拡大に向けて生産体制を整備していきます。 これらを支える、意欲ある担い手の確保、育成も極めて大事であります。就業環境を整えることで、新規就業や企業参入を推進するとともに、女性や高齢者、外国人など多様な人材の活躍を促進していきます。 こうした取組により、創出額目標2,500億円の早期達成を目指してまいります。
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井上伸史議長 山本
生活環境部長。 〔山本
生活環境部長登壇〕
◎山本章子
生活環境部長 災害に強いまちづくりに向けたライフラインの耐震化についてお答えいたします。 県内でも熊本地震では水道などのライフラインが大きな被害を受け、地域の暮らしや社会経済活動に多大な影響を与え、災害に強い施設整備の必要性が再認識されました。 民間事業者が供給する電気やガスについては、計画的に耐震化が進められています。 一方、水道については、電気やガスに比べ、耐震化は進んでおりません。特に管路は、高度経済成長期に布設されたものが更新時期を迎えており、計画的な施設整備が必要です。 このため、県では今年度、安全、強靱、持続の観点から、将来を見据えた大分県内の水道の理想像を描いた上で、今後10年間の目標や実現方策を示した大分県水道ビジョンを策定することとしております。この中で市町村による耐震化計画の策定などを推進し、耐震化率の向上に取り組んでまいります。 ライフラインは、地域生活の基幹をなすものでありますので、地域による県民生活の影響を最小限にとどめるため、予防施策を市町村や民間事業者と連携し、推進してまいります。
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井上伸史議長 阿部
土木建築部長。 〔阿部
土木建築部長登壇〕
◎阿部洋祐
土木建築部長 県管理ダムの豪雨時の対応についてお答えいたします。 県が管理している九つの治水ダムでは、放流量などの基準を個別に定めた操作規則に基づいてダム管理を行っております。 これまで、異常な洪水により運用の見直しが必要となった場合には、ダム流域の河川管理者や地元市等と協議調整の上、操作規則の見直しを行うなど、適正に運用を行っております。 7月の西日本豪雨におけるダム放流の問題を受け、下流域にお住まいの方々への迅速かつ的確な避難情報の伝達や、異常洪水時におけるダム管理の重要性を再認識いたしました。 これらのことを踏まえ、本県におきましても、警報装置などのダム管理設備の点検や操作規則の検証を行ってまいります。 さらに、下流域の住民の確実な避難行動につなげるため、ダム放流に関する通知も避難情報発令の重要な判断基準であることを改めて認識してもらうよう、地元市へ働きかけを行います。 今後も関係する国や市などと密接に連携し、安全・安心の確保に細心の注意を払いながら、適正なダム管理に努めてまいります。
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井上伸史議長 石川警察本部長。 〔石川警察本部長登壇〕
◎石川泰三警察本部長 警察行政についてお答えいたします。 県下の治安情勢につきましては、近年、刑法犯認知件数、交通事故発生件数とも年々減少傾向にあるなど、全般的には良好に推移しております。 一方で、特殊詐欺や高齢者に係る交通事故、子ども、女性に対する声かけやDV、ストーカー事案、さらには国民文化祭やラグビーワールドカップに向けた警備諸対策、大規模災害への備えなど、県警察が取り組むべき治安上の課題は山積しております。 私は、県民の皆様の暮らしを守ることこそが警察の存在意義であると考えておりまして、まずはそのことに全力をあげてまいりたいと考えております。とりわけ、女性、子ども、高齢者が被害者となるような事件、事故を抑止していくことに力を尽くすとともに、警察組織としては、若手の育成、女性の積極的な採用、登用、ワークライフバランスの推進などにも配意し、活力ある組織を目指してまいりたいと考えております。 警察の職務執行にあたりましては、もとより法令にのっとって適正に行うことが当然でありまして、本来の任務を全うすることで、県民の皆様の信頼と協力を得ながら着実に成果を上げ、日本一安全な大分の実現に向け、組織一丸となって積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
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井上伸史議長 工藤教育長。 〔工藤教育長登壇〕
◎工藤利明教育長 職業教育等の在り方についてお答えいたします。 小学校では、病院、工場、市場などの現場で働く人に直に触れて、その知恵や工夫について学び、中学校になると、農家や商店などに数日出向いて、働く目的や意義について考えさせており、教科の枠にとらわれず、勤労観、職業観などを培う教育を進めております。 さらに、中学3年生には、将来の職業を意識した高校を選択できるよう、工業高校で旋盤や3Dプリンターを用いたものづくりを体験させるなど、多様な機会を提供しております。 職業系高校では、それぞれの学科の基礎的なカリキュラムに加え、企業や地域のニーズなどに柔軟に応じられる編成としております。 海洋科学高校では、地元漁協と連携した臼杵湾でのヒジキ養殖の実証試験、玖珠美山では、特許を取得したバークマットの活用による収益性の向上の研究など、地域の特性に応じた授業にも取り組んでおります。 また、インターンシップや企業の技術者などによる講話などにより、これからの産業、社会を支える人材を育成しております。 今後も将来に夢や希望を持って、先進的な知識、技術を習得できる職業教育の充実を図っていきたいと考えております。
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井上伸史議長 以上で守永信幸君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。 午前11時52分 休憩
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○濱田洋副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質問を続けます。戸高賢史君。 〔戸高賢史議員登壇〕(拍手)
◆戸高賢史議員 皆さん、こんにちは。公明党の戸高賢史でございます。 まず、7月の西日本豪雨、また先般の台風第21号、そして北海道胆振東部地震により犠牲となられた方々、御遺族に心からお悔やみ申し上げます。また、被災されました皆様にお見舞い申し上げますとともに、一日も早く安心した生活ができるよう祈念いたします。 全国各地で災害が相次いでいることから、我が地域の人命を守る防災、減災、そして復興への対策は、本県においても県政の主軸として取り組むべき課題であると改めて実感しております。これまでの経験を生かし、災害に強い県土整備とともに、防災、減災のためのなお一層の取組を加速することを冒頭お願い申し上げ、公明党会派を代表し、県政課題について質問させていただきます。 初めに、今後の財政運営について伺います。 急速に進む高齢化や人口減少の中で、社会保障費など財政支出の増加に伴い、今後の財政規律の維持は困難が予想されます。また、人口増加や戦後の経済成長の中で整備されたインフラ施設の老朽化が進行し、今後、施設の修繕や更新時期が集中して到来することとなります。今後起こりうる災害やこれからの国の歳出改革での本県への影響も考慮しつつ、将来にわたり住民のニーズに適切に対応しながらも、積極的な政策展開ができるか、そのかじ取りは容易ではありません。 そこで、今後の財政運営、特に今回、自主財源確保の取組と、歳出面でいかに事業の質を高めていくかについて伺います。 中小企業施策について。 自公政権が進めてきた経済政策は、日本経済を着実に再生へと導いてきました。今後、さらなる成長への大きな鍵となるのは、中小企業の振興であります。日本の企業の99.7%は中小企業であり、全労働者の7割に相当する約3,360万人が働いています。日本経済の屋台骨を支えているのは、中小企業にほかなりません。 公明党は、この日本経済の主役である中小企業の皆様が元気にお仕事をしていけるように、様々な取組を進めてまいりましたが、税制、予算措置を含む支援制度などを一冊にまとめ、「中小企業応援ブック」と題して発行いたしました。公明党は、このハンドブックを手に、100万人訪問・調査運動としてアンケート調査を行いました。介護、子育て、防災、中小企業の分野について、全国3千人の国会議員、地方議員が中小企業の皆様のところに直接伺い、より良い支援を行うために現場の声を伺ってまいりました。調査結果については改めて報告をさせていただきたいと思います。 今回は、そこで、中小企業における課題への対応について伺います。 中小企業の皆様が今お悩みになっているのは何か。その一つが、事業承継です。事業を次の世代にバトンタッチしたい。けれども、様々な課題があります。後継者がいない。いても相続税や贈与税の負担が重い。以前からもこのような声を受けており、公明党では、事業承継税制の抜本的な拡充を提案してきました。今まで承継時に必要だった相続税や贈与税の納税を10年間猶予することで、これらの資金負担を実質的にゼロにすることが可能となっています。また、後継者探しの問題については、事業を譲りたい人と事業を引き継ぎたい人のマッチングを行う事業引継支援事業にも力を入れて推進してまいりました。 二つ目の課題は、人手不足です。事業を拡大したくても人が集まってこない。人手不足で困っているという声を耳にします。この喫緊の課題である人手不足解消を支援するための取組も進められています。 一つは、所得拡大促進税制で、給与を一定以上上げた企業の法人税負担を軽減するものです。ほかには、経営基盤を支えるためのキャリアアップ助成金、業務改善助成金、人材確保等支援助成金の支給などです。こうした法人税減税、助成金などの取組を通じて、中小企業の皆様の人手不足を少しでも解消できるよう支援が進められています。 三つ目の課題は、資金繰りです。日々地域で真面目に働く皆様からいただいた現場の声として、長年にわたりこの課題に取り組んでおり、信用保証制度は公明党の提案により拡充を重ねてきました。そして、セーフティーネット貸付け、セーフティーネット保証の拡充、そして複数の借入れを一本化する借換保証制度などを創設してきました。 四つ目の課題は、設備投資です。設備が老朽化しても、新たな設備には固定資産税がかかることで投資をためらうことがありました。このような声を受け、2020年までの3年間については、市区町村の判断で新規の設備投資に係る固定資産税を最大ゼロにできる特例措置が新たに創設されました。この固定資産税の課税標準の特例率については、本県では全ての市町村で最大ゼロにするとのことであります。県でも周知に関して市町村への後押しをお願いしたいと思います。 中小企業における課題としてあげた以上の点、事業承継、人手不足、資金繰り、設備投資について、県の取組を伺います。 また、意欲ある企業の成長を支援していく取組も大事です。海外展開を目指す県内企業への支援策についてもお聞かせください。 中小企業の適切な取引について伺います。 賃上げを行った中小企業の割合は上昇しつつあるとのことですが、大企業との下請取引で、不利な条件に立たされ、賃上げの原資となる収益が十分確保できない中小企業は少なくないようであります。立場の弱い中小企業が取引先との関係悪化を恐れ、低価格での取引を余儀なくされる状況は改善すべきであります。 また、適正価格による取引慣行を産業界全体に定着させ、賃上げの環境を整備することも重要であります。 中小企業がきちんとした利益を確保できる、適正な取引の促進に向けた県の取組について伺います。 下請適正取引の推進のためのガイドラインについても拡充していく必要があります。県発注の公共工事でも、下請業者に対し適正に代金が支払われないという事例が発生しています。こういう実態があることを、民民の話で済ませるのではなく、県が責任を持ってチェックすべきと考えます。現状と今後の対応について答弁を求めます。 ブロック塀等の安全確保について伺います。 6月18日の大阪北部を震源とする地震により、女子児童が亡くなる事故が発生しました。報道によると、倒壊したブロック塀は違法建築物であり、1974年に設置された約1.9メートルの基礎部分に約1.6メートル分を積み上げた高さ3.5メートルの構造だったとのことでした。建築基準法施行令では、ブロック塀の高さは2.2メートル以下と定められており、大阪の事故は安全点検が適切になされていれば避けられていた事故と思います。 この事故を受け、本県においても学校施設や通学路、県有施設などにおけるブロック塀等の安全確認が行われ、緊急安全対策に取り組むため、9月補正予算案に約13億4千万円の対策予算が計上されています。多額の経費がかかるわけでありますが、本県では、これまでブロック塀等の点検はどのように行われ、どのような結果が出ていたのでしょうか。 また、今回の安全確認調査の結果、県有施設では、県立学校40か所、県営住宅9か所を含む139か所、また私立の学校、保育所等では51か所で対策が必要とのことですが、通学路上の個人住宅も含め、ブロック塀等の効果的な安全対策を今後どう進めていくのか、知事の見解を伺います。 熱中症対策について。 今年は、全国で近年まれに見る記録的な猛暑に見舞われました。全国に暑さで知れ渡った日田市は、8月13日には39.9度を記録し、今年の猛暑日日数は8月末時点で43日と、久留米市に次いで全国2位となっています。熱中症と見られる救急搬送の数は全国で約9万人、亡くなられた方も約160人と、過去最高レベルとなっています。そのうち65歳以上の高齢者が半数を占めていますが、高齢で暑さを感じにくくなっていることから、エアコンをつけないケースや、十分な水分を取らない傾向にあるからだと言われています。連日のマスコミ報道、呼びかけにより、県民の備えの意識は高まっていますが、熱中症で搬送される方や死傷者が引き続き多いことから、今後も特段の配慮が必要です。 最近は、イベント時の熱中症も目立っています。今年、記念の100回大会となった夏の甲子園大会でも、試合中、選手が熱中症で途中交代をする姿が何度か見られました。観戦客も連日多くの方が医務室へ運ばれたそうです。 そこで、熱中症の対策について、県の取組を伺います。 また、公共工事現場で働かれている方は、長時間での作業が困難となります。猛暑対策で1人あたりの作業時間を短縮すると、工期の関係で人員を増やさなければならず、猛暑日が多いほど負担が増えます。猛暑期間に配慮した適正な工期と、適正な事業費が必要であると思いますが、県の見解を伺います。 県立学校の空調設備について。 児童、生徒の体調も心配です。県立学校における教室等の空調設備の多くは、現在、卒業生の寄附等で設置され、電気代も保護者が負担していると伺っていますが、本年4月、文部科学省は教室の室内温度の基準について、これまでの10度から30度を、17度から28度に変更しています。こうした基準を出している以上、適正温度を保つために必要な空調設備の設置や運転費用は公費で負担すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。 あわせて、体育館はどうなっているのかについてもお聞かせください。 教育委員会における障がい者雇用について。 今般の障がい者雇用率の水増しについて、先月行った再点検の結果、約6,800人のうち約3,400人が不適切な事例であったとの発表がありました。昨年の国における33行政機関の障がい者雇用率は2.49%で、当時の法定雇用率を上回ったと発表していましたが、水増し分を除くと、複数の機関で実際の雇用率が0%台になります。 障がい者の職業の安定と、誰もが社会参加できる共生社会を目指す障害者雇用促進法の趣旨に照らし、あってはならない事態であり、民間企業が障がい者の雇用拡大のために、働き方改革や仕事づくりに懸命に取り組んできた中で、足元の行政で取組がなされていなかったことは残念であります。 国は、まず第三者委員会による客観的な実態の把握と原因究明を行う必要がありますが、地方自治体においても同様であります。 本県では、県教育委員会で今年度151人と報告されていたうちの4割にあたる66人が障害者手帳を持っていなかったことが内部調査で明らかになり、障がい者雇用率も1.49%と、法定の2.4%を下回ることとなりました。県の他の公務部門において水増しはないとされていますが、なぜ県教育委員会だけこのような水増しが行われたのでしょうか。公務部門における障がい者雇用の実態をチェックする仕組みがないため、現行制度の見直しが必要との声もありますが、それがなくともチェックは可能と思います。ガイドラインの拡大解釈の経緯と再発防止策について伺います。 また、現に働いている方の雇用は守らなければなりませんが、県教育委員会における障がい者雇用率達成に向けた取組をどのように考えているのか、お聞かせください。 次に、小児がんについて。 我が国では、小児の死亡原因の第1位はがんとなっています。小児がん患者の家族は、発育や教育への対応など、成人のがん患者と異なる課題を抱えています。小児がんの発症数は年間2千から2,500人と少なく、小児がんを扱う医療施設は全国に200程度しかないとのことであり、多くの医療機関では小児がんに対する医療経験が乏しく、小児がん患者が適切な医療を受けられないことが懸念されています。 国は、平成25年2月から全国15か所に小児がん拠点病院を指定し、質の高い医療の提供と相談体制の充実を図っていますが、本県における小児がん拠点病院との連携体制や情報提供、相談体制、診療従事者の確保など、小児がん医療対策の現状について伺います。 また、小児がんの早期発見の取組も重要です。小児がんの一種である網膜芽細胞腫という目のがんがありますが、白色瞳孔や斜視の症状があらわれるため、素人でも病状に気付きやすいと言えます。早期発見すれば、眼球を摘出せずに治療することが多いようですので、乳幼児健診の問診項目に白色瞳孔を追加すべきと考えますが、あわせて見解を伺います。 腎代替療法について。 本県は透析患者が多くいらっしゃいます。私は、透析を含む腎代替療法は、命を救うだけでなく、就労も可能にするコストパフォーマンスが高い医療と考えています。 平成30年診療報酬改定において、透析治療のうち血液透析の割合が全国で97.1%となっていることを踏まえ、在宅での管理が容易な腹膜透析や腎移植の推進を図るための改正がなされました。腎代替療法を導入する際には、血液透析以外にも、腹膜透析、腎移植のいずれも説明を行わないと導入時加算が算定できなくなり、腹膜透析患者や腎移植登録患者がいる医療機関はさらに加算され、導入期に加え維持期も算定できるようになっています。また、透析の質をさらに上げる改正もなされており、休日・夜間での対応、通常ペースでは管理困難になる方への長時間透析、障がいとともに生きる方への対応などに加算されます。 そこで、県として、この診療報酬の改定をどのように捉えているのか、お尋ねします。 あわせて、腎移植の選択がしやすい環境をつくるべきと思いますが、見解を伺います。 また、透析患者の合併症は深刻であり、昨年の第3回定例会において、透析医療機関が患者の下肢切断防止のためリスク評価を行うことや、循環器科や整形外科などの専門性を有する医療機関と連携することを評価する下肢末梢動脈疾患指導管理加算が、平成28年度の報酬改定で新設されることについて伺いましたが、県内における下肢末梢動脈疾患指導管理加算を届けている医療機関の割合と、その現状の評価についてもお聞かせください。 今年は、台風が8月だけでも9回発生しております。例年にない進路や、台風の長寿命化など、温暖化の影響による気象の変化が指摘されています。世界に目を転じても、年間平均気温が上昇傾向にあり、アラスカの高温や中国南部の台風災害など、深刻な自然災害が相次いでいます。 地球温暖化の原因は、二酸化炭素などの温室効果ガスにあり、その削減の対策は急務となっています。地球温暖化を食い止めるには、石油や石炭などの化石燃料に依存する現在の社会構造を転換しなければなりません。2016年に発効したパリ協定では、加盟国は2050年までに地球温暖化対策を策定することが義務付けられています。 また、我が国でも、2030年度に2013年度比で26.0%の削減目標を掲げています。 今年、気候変動適応法が成立しましたが、これは災害や感染症の増加、農産物の不作といった温暖化による被害に備えるため、国や自治体、国民が果たすべき役割を規定しているものであります。 温暖化対策は、国際的には、緩和と適応の両輪で進められています。緩和とは、温室効果ガスの排出を抑制するものであり、適応は、温暖化による被害に備えると同時に、新しい気候条件を利用するもので、パリ協定も緩和と適応の二つが柱となっています。 しかし、我が国では、温室効果ガスの抑制策、すなわち緩和についての法整備は進んでいますが、これまで適応に関する法律はなく、適応策が進む欧州各国や米国に比べ、後れをとっている現状でありました。 温室効果ガスの発生を最大限に抑制しても防ぎ切れない温暖化の影響に対処するには、気候変化を逆手にとって対策を講じていく適応の考え方が必要であります。具体的には、農産物の高温耐性種への転換や、将来の水位変化を見越しての水門を設計するなどであります。今回の気候変動適応法の成立により、今後の温暖化に対する備えが前進することを期待しています。 温室効果ガス削減には、世界規模での取組が必要なことは言うまでもありませんが、一人一人が気候変動による影響を正しく認識することも大事であります。県民、とりわけ次代を担う子どもたちが、様々な機会を通じ環境問題について学び、自主的、積極的に環境保全活動に取り組んでいくことは極めて重要な意義があります。 これまでの環境教育の取組と成果を伺います。 次に、プラスチックごみの抑制について。 我が党では、2016年に海ごみ対策推進委員会を設置し、国際的課題となっているプラスチックごみ対策を他に先駆けて取り組んできました。主に陸域から海に流出するプラスチックごみは、波浪や紫外線により劣化、細分化し、マイクロプラスチックとなります。マイクロプラスチックは、有害なPCB等の化学物質を吸着するため、食物連鎖に取り込まれ生態系に重大な影響を及ぼすことが懸念されています。 これらの課題に対処するために、有識者や海洋ごみ問題に取り組んでいる民間団体との意見交換を踏まえ、海岸漂着物処理推進法改正がなされました。そこには、G7やG20等の国際的関心も高く、喫緊の課題として、プラスチックごみの発生抑制とマイクロプラスチック対策の必要性が示されています。 国連環境計画によれば、プラスチック製品の生産や使用に関する規制を導入した国や地域は60を超えるとのことですが、1人あたりのプラごみ排出量が世界で2番目に多い日本では規制はなく、取組の遅れが懸念されています。6月のG7で提起された海洋プラスチック憲章には、2030年までにプラスチック包装のリサイクル、又は再使用を最低55%にする目標が盛り込まれましたが、日本は憲章の署名を見送っています。 こうした中、環境省がプラスチック資源循環戦略策定に向けた有識者会議を開始したことは、大きな意義があります。民間事業者間での取組が少しずつ広がる中で、県の後押しも必要と考えます。 本県におけるプラスチックごみ抑制について、取組をお聞かせください。 太陽光パネルのリサイクルについて伺います。 近年設置が増加している太陽光パネルについて、将来的な廃棄増加を踏まえ、太陽光パネルに含まれる有害物質の環境放出を防ぐことが大きな課題になります。 環境省の試算では、太陽光パネルの廃棄量は2040年前後には、現在の産業廃棄物の最終処分量の6%に相当するおよそ80万トンになると言われています。 環境省では、経済産業省とともに、ロードマップを作成して対策を進め、ガイドラインの公表、あるいはパネルの回収の構築に向けたモデル事業、リユース・リサイクル技術についての実証事業などを進めていますが、適正な処分やリサイクルを促す法整備も必要となります。 本県においても、リサイクルシステムの構築が必要と思いますが、県の現状認識をお聞かせください。 生活排水処理について。 生活排水処理について、より広域的に水環境の改善が図られるよう、合併処理浄化槽の補助の対象範囲が流域会議設置市町村以外の市町村にまで拡大されました。 また、浄化槽の維持管理については、平成27年度から新たに浄化槽管理台帳システムを導入し、県、市、指定検査機関が、過去の検査結果や指導状況などの情報を共有することができるようになりました。そのため、法定検査を受けていない浄化槽に対する啓発や、不適合の浄化槽に対する改善指導等が効果的に行えることで、保守点検、清掃など適正な維持管理の推進が図られております。 その結果、単独処理浄化槽等から合併処理浄化槽への転換も進んでいると聞いております。まず県内の合併処理浄化槽への転換件数をお伺いします。 下水道についても、現在の水環境改善のスピードアップを図るため、下水道区域等の見直しについて各市町村との協議が進められていますが、協議の状況をお聞きします。 県では、きれいな大分の水環境創造に向け、37年度の生活排水処理率90%を目標に、これらの取組を進めているわけですが、現時点の処理率と、目標達成に向けた
土木建築部長の決意をあわせてお伺いします。 最後に、運動部活動について。 スポーツ庁が平成30年3月に、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定、公表し、本県でも有識者会議が設置され、8月に県独自の方針が策定されました。国のガイドラインは、義務教育である中学校段階の運動部活動を主な対象とし、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築するという観点に立ち、地域、学校、競技種目等に応じた多様な形で最適に実施するとされております。高等学校の運動部についても、本ガイドラインを原則として適用とし、その際、多様な教育が行われている点に留意することとしています。 今回、県が示した方針の内容と、その決定に際し参考とされた県内における部活動の状況、例えば平均時間、1日の最長時間、自主練の実態、休日の現状などについて伺います。 また、科学的トレーニングを導入し、短期間で効果が得られる活動にするという点について、いかに取り組んでいくのか伺います。 以上で代表質問とさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。
○濱田洋副議長 ただいまの戸高賢史君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 戸高賢史議員から公明党を代表して種々御質問を賜りました。私から3点答弁をさせていただきます。 まず、中小企業への支援についてでございます。 県では、中小企業が意欲を持って活躍できるよう、中小企業が抱える様々な課題に対し、きめ細かに支援を行っています。 まず、喫緊の課題である事業承継についてであります。 円滑な承継のためには、早い段階から準備が必要です。事業承継税制等、国の支援拡充にあわせ、経営者が60歳以上の中小企業約1万5千社全てに対して事業承継推進員等による承継診断を行い、意識喚起を行っているところであります。また、事業引継ぎ支援センターのワンストップ相談や、マッチングにつなげるなど、関係機関とも連携して支援を行っております。 戸高議員があげておられました人手不足にも対応しております。春の500社企業訪問では、経営上の課題について、人材不足がやはり最多でありました。県では、若者、女性、シニアなど、31年度までに県内就職1万8,500人確保の取組を行っているところであります。若者向けには、学生や保護者への企業説明会の開催のほか、11月にインターンシップ受入企業と学生のマッチング専用サイトを開設します。女性には、在宅ワークの推進や働きやすい環境が整った企業との交流会等を実施します。シニア向けには、シニア雇用推進員による情報提供やマッチングの機会を増やす取組を実施しております。 次に、資金繰りへの対応であります。信用保証制度を活用した制度資金によりまして、円滑な資金調達を支援するほか、国の保証制度の拡充を受けて、小口零細企業資金や創業支援資金の限度額を引き上げました。 設備投資につきましては、国の特例措置の活用を市町村へ働きかけた結果、おかげさまで全市町村で先端設備に係る固定資産税をゼロにする条例改正がなされる見込みであります。本制度に加えて、いわゆるものづくり補助金など、設備投資に有益な情報を、あらゆる機会を捉えて中小企業に提供していきたいと思います。 海外展開への支援も積極的に行ってまいります。ものづくり企業につきましては、台湾、中国、タイの現地企業との商談会等を実施し、食品関連企業では、対象地域を限定せずに海外での展示会の出展経費を助成するなど、各企業のニーズに応じた支援を行っております。 今後も引き続き中小企業の実態に合ったきめ細かな支援に取り組んでまいりたいと考えておりますけれども、やはり大事なことは、議員御指摘のとおり、幅広く周知し、実際に活用してもらうことであります。県におきましても、商工労働施策を分かりやすくまとめた産業活力創造戦略を毎年作成して、春と秋の500社企業訪問等で周知しているところであります。積極的な周知も含め、中小企業の支援にこれからもしっかりと取り組んでまいります。 次に、ブロック塀等の安全確保について御質問をいただきました。 ブロック塀を含む県有施設につきましては、大規模な建築物を中心に、建築士などによる3年ごとの法定点検に加えて、平成27年度からは全ての施設を対象に、管理者による年2回の定期点検を行っております。 このうちブロック塀については、劣化やぐらつきなど、主に健全度を点検しており、その結果をもとに、日田総合庁舎や国東高校などで適切な改修を実施してきたところであります。 このような中、6月に発生した大阪北部地震でのブロック塀倒壊による痛ましい事故を受けて、直ちに全ての県有施設の緊急点検を指示しました。今回の点検では、全166施設について、これまで重視してきた健全度に加えて、現行の建築基準への適合性や劣化の進行度合いについても、建築技術職員による詳細な調査を行ったところであります。その結果、県立学校をはじめ、139施設で対策が必要と判断し、特に緊急性の高いブロック塀は既に撤去を完了しておりまして、残りも速やかに対策に取り組みます。 あわせて、子どもたちの安全確保に向けて、小・中学校、幼稚園、認定こども園などにも点検を依頼した結果、対策の必要な箇所が多数ありました。これを受けて、市町村立の小・中学校については、今後改修が進められる予定であり、私立学校等については、改修促進を図るため費用を助成します。 さらに、通学路に面する個人住宅等の塀については、県教育委員会から各市町村教育委員会に対して、学校関係者、道路管理者などが連携して点検を実施して、危険な箇所の把握を行うようお願いしております。加えて、市町村でもブロック塀の撤去費用を所有者に助成する動きが出てきております。こうした地域の取組が、危険性の高い通学路沿いのブロック塀の撤去にもつながることから、県としても市町村への助成を行うことにより後押しをしてまいりたいと思います。 今後とも市町村と連携し、これらの取組を広げることによって、通学路はもちろん、県内全域でブロック塀の安全対策を進め、県民の生活空間の安全・安心の確保を図ってまいりたいと思います。 次に、環境教育についても御質問を賜りました。 今日、私たちが直面している地球温暖化の防止や生物多様性の保全など、多くの環境課題については、私たち一人一人が関心を持ち、毎日の生活の中で取組を実践していくことが大切であります。最近では、国連のSDGsで幅広く環境に関する課題が取り上げられており、またプラスチックごみや食品ロスなど新たな課題も顕在化しておりますので、これらのことも念頭に置きながら、おおいたうつくし作戦の中で環境教育を推進していきたいと思います。 一つは、環境教育アドバイザー派遣事業であります。これは、広く県民を対象に、学校や地域、企業等で開催される地球温暖化などをテーマとした研修会、段ボールコンポストづくりなどの体験学習等に専門家を派遣するものでありますが、平成29年度は162回派遣し、8,098名の方に受講いただきました。受講者からは、「身近なエコ活動に取り組んでいきたい」、「給食の食べ残しがなくなった」といった声を聞いております。 次に、子どもたちが楽しみながら環境について学ぶ、おおいたこども探検団推進事業であります。昨年度は13のNPO団体等に取り組んでいただき、水生生物調査など自然体験型の環境学習に、約2千名の子どもたちが参加しました。また、水の大切さやごみの減量などをテーマにした幼児向け環境劇では、30か所の幼稚園等で約3,500名の園児たちが鑑賞し、ごみの分別などの体験もしてもらいました。参加した子どもたちからは、「エコバッグを持って買物に行こうと家の人と話をした」とか、「森と川と海がつながっていることを知り、川をきれいにしようと思った」などといった声が寄せられております。このような声を聞きますと、次代を担う子どもたちの環境意識の高まりが感じられまして、環境に配慮した行動が、子どもから家庭、さらには地域へ広がっていくことが期待されます。 今後とも、家庭、学校、地域社会、事業者等との連携、協働を図りながら、多様な体験の場づくりなどに努めまして、環境教育による人づくりを推進していきたいと考えております。
○濱田洋副議長 和田総務部長。 〔和田総務部長登壇〕
◎和田雅晴総務部長 今後の財政運営についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、社会保障費の増大や公共施設の長寿命化対策、災害対策など、今後の財政需要は多岐にわたります。また、国が2025年度に
プライマリーバランスの黒字化を目指すこととしており、地方に対する歳出削減圧力の高まりも懸念されるところであります。 このような状況に的確に対応するため、引き続き歳入歳出両面から
行財政改革の取組を進めてまいります。 歳入面では、農林水産業、商工業等の振興により税源の涵養を図るとともに、市町村との徴収連携を強化し、県税収入の増加を図るなど、自主財源の確保に努めてまいります。 歳出面では、事務事業評価を踏まえた事業の選択と集中など、PDCAサイクルを徹底し、事業の質を高めてまいります。 今後とも安心・活力・発展の大分県づくりを下支えし、災害などの不測の事態にも対応できるよう、
行財政基盤の強化を図ってまいります。
○濱田洋副議長 高濱
商工労働部長。 〔高濱
商工労働部長登壇〕
◎高濱航
商工労働部長 中小企業の適正な取引について御質問をいただきました。 下請取引については、国において、取引に係る紛争を迅速かつ簡便に解決するため、相談や調停手続などを行う下請かけこみ寺事業を実施しているところです。 県においても、国等と連携して、中小企業が価格交渉のノウハウを身に付けるセミナーや、大企業の調達担当者を対象とした講習会を開催するとともに、下請取引の振興を行っている大分県産業創造機構に専門相談員を配置し、相談業務などに取り組んでいるところです。本年度は、7月に価格交渉セミナーを開催しました。産業創造機構では、8月末までに31件の相談を受け、事情に即した助言を行っているところです。 あわせて中小企業の収益増につながるように、下請取引の受発注あっせんやIoT活用による生産性向上への支援も行っているところです。 今後とも国や関係機関と連携し、中小企業が適正に利益を確保できるよう、環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○濱田洋副議長 阿部
土木建築部長。 〔阿部
土木建築部長登壇〕
◎阿部洋祐
土木建築部長 3点についてお答えいたします。 まず、下請取引の適正化についてお答えします。 県では、国のガイドラインに基づき、法令を遵守し、適正に下請取引が行われるよう、書面による契約の締結や代金の支払期限等について、建設業者対象の研修会や国・県合同立入検査等で周知、指導をしております。 また、27年度からは、下請契約を締結する全ての県発注工事において、施工体制台帳と契約書の写し等の提出を義務付け、下請発注状況を点検する体制を強化しております。 下請契約に関するトラブルは表面化しにくいため、業者が声をあげやすい仕組みをつくることが大切です。そのため、下請苦情相談所を設置し、県発注工事に係る業者からの相談に個別に対応しています。29年度は2件の相談があり、いずれも県が発注者として元請、下請間の調整を行うなど、解決に向け取り組んだところです。 今後も建設業者に対し、関係法令の遵守を求めるとともに、ガイドラインの周知徹底に努め、下請取引の一層の適正化に取り組んでまいります。 次に、公共事業における猛暑への対応についてお答えします。 県では、高温多湿な環境下での作業が熱中症を起こしやすいことから、これまでも建設現場における対策に取り組んできました。特に今年は7月以降記録的な猛暑が続いたことから、建設業協会等関係団体に対し、改めて熱中症対策に必要な措置を講じるよう注意喚起したところです。 具体的には、こまめな休憩による連続作業時間の短縮、積極的な水分・塩分の摂取、通気性のよい服装の着用などの措置を促しております。あわせて今年度からファン付き作業服の購入補助も始めたところです。 猛暑に配慮した工期の確保については、各発注機関に対し、必要に応じて工期の見直しを行うよう、周知、指導しています。 今後も、現場の声を聞きながら、官民連携して就労環境の改善に努めてまいります。 次に、生活排水処理についてお答えいたします。 県では、下水道などの計画区域外について、合併処理浄化槽への転換促進を図るため、平成26年度から上乗せ補助を開始しました。取組の初年度は、転換件数709基となっていましたが、浄化槽管理台帳システムの導入を開始した27年度以降の3か年平均では、年間825基、約16%増加したところです。 次に、下水道区域などの見直しにつきましては、大分県生活排水処理施設整備構想2015に基づき、市町村と協議を進めてきました。現時点で佐伯市など4市で下水道区域を縮小したほか、別府市など3市と協議を行っております。 こうした取組を進めていますが、29年度末の生活排水処理率は、目標の76.4%をやや下回る75.8%となっておりまして、さらに努力が必要です。今後の整備加速には、市町村の主体的な取組と住民の皆様の御理解、御協力が不可欠です。県としても、市町村長との対話を重ねながら、取組への支援を着実に進め、目標達成に向け取り組んでまいります。
○濱田洋副議長 長谷尾
福祉保健部長。 〔長谷尾
福祉保健部長登壇〕
◎長谷尾雅通
福祉保健部長 3点につきましてお答えを申し上げます。 まず、熱中症対策についてであります。 今年の暑さは、災害と形容される猛暑でございまして、県内では熱中症の疑いで救急搬送された患者数が初めて1千人を超えました。 県では、熱中症患者が増加する前の6月から県内各所に啓発ポスターを掲示するとともに、県のホームページ等で注意を喚起してまいりました。あわせて、コンビニ、薬局、商店街等の協力による熱中症一時休憩所についても、昨年より大幅増の582か所に設置したところです。 また、7月の農作業や建設作業中の死亡事故を踏まえて、直ちに農林水産業等の関係団体を通じて、環境省の熱中症環境保健マニュアルの徹底や、暑さ指数のメール配信サービスの活用を促したところです。加えて、イベント主催者や施設管理者のための夏季のイベント時のガイドラインについても、関係機関に周知したところです。 今後も様々な状況に応じて、早めの啓発や対策の周知徹底に努めてまいります。 次に、小児がんについてであります。 県内の小児慢性特定疾病医療費を受給中のがん患者は、今年8月末時点で126名となっており、このうち大分大学附属病院88名、県立病院24名、拠点病院である九州大学病院で14名が受療中です。 この県内2病院は、九州大学病院が開催する医療提供体制協議会に参画して、国の研究班の報告や相談支援部会での意見交換、月1回のテレビ会議を利用した症例検討等を行い、診療従事者の資質向上を図っております。 また、小児がんの情報提供、相談については、主に大分大学附属病院と県立病院等が設置するがん相談支援センターで行っております。 次に、網膜芽細胞腫についてであります。既に乳幼児健診時に、全市町村で医師の診察を行っているほか、母子健康手帳でも生後6か月から7か月頃の保護者の記録欄のチェック項目としております。今後も早期発見に向けて、健診時だけでなく、保護者による定期的なチェックを促してまいります。 最後に、腎代替療法についてであります。 三つの腎代替療法のうち、血液透析は医療機関での長時間の処置を要し、生活面での制約が多いことが難点であります。今回の診療報酬改定は、これ以外の腹膜透析や腎移植の推進等を目指したものであります。 腹膜透析は、在宅で夜間に行えることから、日中の活動や就労に制限が少ないのが利点であります。腎移植は、透析が不要になり、生活の質も格段に向上します。加えて医療費の抑制にもつながることから、今回の改定は評価できるものと考えております。 また、腎移植については、県が配置する臓器移植コーディネーターが、透析医療機関等と連携し、移植医療の推進や啓発を行っているところであります。 次に、下肢末梢動脈疾患指導管理加算の届出は、県内72の透析医療機関のうち、52医療機関で行われ、割合は72.2%となっております。昨年の66.2%から着実に増えておりまして、透析医療の体制が整ってきたと考えております。
○濱田洋副議長 工藤教育長。 〔工藤教育長登壇〕
◎工藤利明教育長 3点についてお答えいたします。 まず、県立学校の空調設備についてであります。 近年の温暖化の進行や今年の猛暑に鑑みて、児童生徒の安全、健康を守るための暑さ対策は喫緊の課題であり、国においても早急に対応する方針が示されました。 これまで体温調節が困難である児童生徒も通う特別支援学校においては、約8割の教室に空調設備を整備するとともに、高等学校においては、窓を閉め切って授業を行わなければならないコンピュータ室などに整備を進めてきたところであります。 保護者等によって整備されたものについては、維持管理費も含め負担していただいておりますが、暑さ対策は学校設置者として当然取り組むべき課題であり、未設置教室への設置や保護者負担の解消について、早急に検討を進めているところであります。 なお、体育館については、屋根の断熱、広大な空間、使用頻度、避難所としての機能などから、今後検討すべき課題であると考えております。 次に、教育委員会における障がい者雇用についてお答えいたします。 確認方法につきましては、昨年度まで国の通知に「原則として」という文言があったことから、毎年度全教職員から提出される職員調書で、健康状態の申告欄に障がいがある旨の記載のあった職員のうち、障害者手帳1級から6級に相当すると判断したものを含めておりました。今回の再調査では、このうち手帳の所持が明らかでなかった職員に対して、その有無を確認したところであります。 今後は、職員調書に記載がなくても、手帳保有者が直接教育人事課にメールで申告をするなど、新たな方法も取り入れてまいります。 教員採用においては、平成14年度から特別枠を設けて試験を行っておりますが、受験者も少なく、採用できていない年度が多い実態であります。 事務系でも、
行財政改革で民間委託を積極的に進めてきた中で、法定雇用率を直ちに達成する具体策は見いだせていない状況であります。知事部局と連携をするとともに、他県の取組も参考にしながら、対応策について検討してまいります。 次に、運動部活動についてであります。 県の方針は、国のガイドラインにのっとって、運動部活動の活動時間及び休養日の基準を明確にし、そのための体制整備や適切な指導の在り方について示しております。 部活動の現状は、中学校、高校ともに、平日は平均2、3時間程度、休日は高校の対外試合で8時間という例もあります。中には早朝や放課後などに自主的に練習に取り組んでいる生徒もおります。適切な休養を実施した部活動数についての最新の調査では、中学校で93.8%の部が週に2日、高校では98.7%の部が週に1日休んでいる状況であります。 短期間で効果が得られる部活動に向けて、日曜日の完全オフ化、生徒が自由に練習を休める年休付与システムの導入等で成果を上げている指導者による講話や、医科学関係者の協力を得ながら、科学的データに基づいた合理的な指導に関する研修の充実など、方針の実効性を高める取組を進めてまいります。
○濱田洋副議長 山本
生活環境部長。 〔山本
生活環境部長登壇〕
◎山本章子
生活環境部長 二つの項目についてお答えいたします。 まず、プラスチックごみの抑制についてでございます。 本県では、ごみのない循環社会の構築を目指して3Rを推進しており、特に平成21年度から県内一斉に、レジ袋の無料配布の中止とマイバッグ運動に取り組んでいます。本年7月末現在の参加店舗は、食品スーパー等318店舗、これまでのレジ袋の削減枚数は約7億7千万枚です。また、マイバッグ持参率は約85%と高率で、運動が県民に定着していると考えております。 普及啓発の取組では、毎年100か所を超える海岸で環境保全団体などによるクリーンアップ作戦が行われ、県民の海岸保全やごみの適正処理の意識の醸成につながっているところです。 今年度の新たな取組としては、プラスチックごみの現状や抑制対策を内容とするリーフレットを作成しておりまして、環境教育アドバイザーによる環境学習等で活用することとしております。 引き続きこのような取組を通じて県民の理解を促し、適正な利用、廃棄を進め、プラスチックごみの発生抑制を図ってまいります。 続きまして、太陽光パネルのリサイクルについてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、将来の大量廃棄や有害物質による環境汚染のおそれなどの課題があります。一方で、発電設備は、アルミフレーム、シリコン基板、ガラス等で構成され、適切に分別、解体を行えば、大部分がリサイクル可能とされています。 このため、環境省のモデル事業として、北九州市のリサイクル技術を有する処理業者が、九州、山口地区において、廃パネルの広域収集に係る実証実験に取り組みました。本県の収集運搬業者等も回収拠点を設け、事業に参画したところです。 環境省の検討チームが、こうした取組の結果も踏まえ、リサイクルや適正処分にあたっての課題に対する対応の在り方をまとめており、今後、環境配慮を推進するための制度を検討することとされております。 引き続き国の動向も注視しながら、適切に対応してまいります。
○濱田洋副議長 以上で戸高賢史君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって代表質問を終わります。
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○濱田洋副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次回は、明日定刻より開きます。日程は、決定次第通知いたします。
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○濱田洋副議長 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時 散会...