大分県議会 2018-03-12
03月12日-06号
平成30年 第1回定例会(2月) 平成30年第1回
大分県議会定例会会議録(第6号)平成30年3月12日(月曜日
) -------------------------------議事日程第6号 平成30年3月12日 午前10時開議第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------出席議員 41名 議長 井上伸史 副議長 御手洗吉生 志村 学 麻生栄作 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 吉冨英三郎 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 古手川正治 土居昌弘 嶋 幸一 毛利正徳 油布勝秀 衞藤明和 濱田 洋 元吉俊博 末宗秀雄 阿部英仁
後藤慎太郎 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 久原和弘 戸高賢史 吉岡美智子 河野成司 荒金信生 堤 栄三 桑原宏史
三浦正臣欠席議員 1名 近藤和義
-------------------------------出席した
県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 二日市具正 副知事 安東 隆 教育長 工藤利明
代表監査委員 首藤博文 総務部長 尾野賢治
企画振興部長 廣瀬祐宏 企業局長 草野俊介 病院局長 田代英哉 警察本部長 太刀川浩一
福祉保健部長 長谷尾雅通
生活環境部長 柴田尚子
商工労働部長 神崎忠彦
農林水産部長 中島英司
土木建築部長 阿部洋祐 国民文化祭・
障害者芸術文化祭局長 土谷晴美
会計管理者兼
会計管理局長 小石英毅 防災局長 神 昭雄
人事委員会事務局長 下郡政治
労働委員会事務局長 太田尚人 財政課長 佐藤 章 知事室長 大塚 浩
------------------------------- 午前10時0分 開議
○
井上伸史議長 これより本日の会議を開きます。
-------------------------------
△
東日本大震災犠牲者に対する黙祷
○
井上伸史議長 昨日11日で、
東日本大震災の発生から7年を迎えました。日程に入るに先立ち、ここに改めて震災により犠牲となられた方々に対し深く哀悼の意を表するため、黙祷をささげたいと思います。 全員御起立願います。黙祷。 〔黙祷〕
○
井上伸史議長 黙祷を終わります。 御着席お願いします。
-------------------------------
○
井上伸史議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第6号により行います。
-------------------------------
△日程第1 一般質問及び質疑
○
井上伸史議長 日程第1、第1号議案から第19号議案まで、第21号議案から第39号議案まで、及び第42号議案から第52号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。
後藤慎太郎君。 〔
後藤議員登壇〕(拍手)
◆
後藤慎太郎議員 おはようございます。23番、
後藤慎太郎です。 今日も声なき声を県政に、それから小さな声を県政にという思いで質問させていただきたいと思います。広瀬知事、それから答弁をいただく部長さん、どうぞよろしくお願いします。 では、早速質問に入らせていただきます。 多様な性を尊重する
ダイバーシティー社会の実現について質問します。 人には身体の性と心の性があります。身体の性とは、生物学的な性ですが、一方、心の性とは、自分がどのような性別にあるのかという自己認識による性であり、性自認とも言われます。 世の中では、心の性と身体の性が一致している人の割合が多いのですが、一方では自分の身体の性に違和感を感じる人もいれば、はっきりと身体の性と心の性が違うと感じている人がいます。例えば、私自身は異性愛者であり、身体の性と心の性は一致しています。しかし、私は身体の性のみで性別を判断するのではなく、心の性を尊重することが大切なことであると心から思います。なぜなら、世の中には少数者である
性的マイノリティーが存在し、私自身の周りにも
性的マイノリティーの当事者がたくさんいるからです。 特に近年、LGBTという言葉が知られるようになりました。昨年9月の第3回定例会においても、原田県議が代表質問において質問しましたので、LGBTについてここで詳しく述べることはしませんが、LGBTの問題は多様な性の在り方が浸透してきたことの象徴として、ようやくその存在が知られるようになったことを私はうれしく思います。 しかし、
性的マイノリティーはLGBTに限りません。例えば、男性にも女性にも性的な関心が全くないアセクシュアルの方や、女性・男性の性別のいずれでもない
Xジェンダーの方なども含まれます。 このように、性には様々な在り方が存在することを理解するためには、国連等で一般的に使われている性の3要素、つまり性には身体の性、性自認、性的指向の三つの要素があることを私たちは認識しておく必要があります。つまり、性の在り方は本当に人それぞれであり、多様なものなのです。そして、性の在り方は、個人の尊厳に関わる極めて重要な問題であり、全ての人に自分の性の在り方を尊重される権利があるのです。これは、日本国憲法の第11条が定める基本的人権の享有、第13条が定める個人の尊重、第14条が定める法の下の平等から生じる権利です。こうしたことを踏まえ、多様な性について触れさせていただきます。 先日、LGBTの説明をめぐって広辞苑が修正を検討しているという記事が新聞に載りました。LGBTとは、多数派と異なる性的指向を持つ人々とだけ掲載されていて、Tの
トランスジェンダーを表す性自認についての説明がなされていないという記事でした。広辞苑でさえこのような状況ですから、日本ではまだまだ
性的少数者は市民権を得ていませんし、
性的少数者に対しての偏見や誤解が多いということなのです。 一方で、
性的マイノリティーの権利を保護する動きは、近年、欧米を中心に急速に進んでいます。フランス、イギリスで同性婚が合法化され、アメリカ、台湾では同性婚を認める判決がありました。今や、G8の中で、同性婚や
同性パートナーシップ法がないのは、日本とロシアだけです。 2015年には、東京都渋谷区や世田谷区で
同性カップルに
パートナーシップ証明が発行されて話題になりましたが、このように
同性カップルに証明書などを発行する
同性パートナーシップ制度を導入した自治体が、全国で6自治体になりました。九州では、福岡市が来年度からの導入を予定しています。
同性パートナーシップ制度の導入を目指す自治体は、まだまだ増えています。大分県にも、導入を検討する自治体が出てくることを願っています。 このように、
性的マイノリティー以外にはあたり前のことが、
性的マイノリティーには保障されていません。制度や
社会的認知がなく、そもそも存在さえ認めてもらっていないのです。 しかし、
性的マイノリティーも、地域に暮らし、納税者であり、有権者です。もしも、この国も大分県も多様性の尊重をうたうのならば、伝統的な家族観やイデオロギーの問題ではなく、不利益や差別を許さない人権課題としてこの問題に取り組んでいただきたいのです。
オリンピック憲章においても、2014年12月に性的指向への差別禁止が盛り込まれたこともあり、2020年の
東京オリンピックに向けては国はもちろんのこと、地方自治体や企業も対応は必須であり、日本全体で取組を進めなければ、海外からは多様性を認めない意識が低い国だと批判されることもあるかもしれないと私は思っています。 私が議員になってから、この多様性については人権問題であるという観点から積極的に取り組んできました。県内で、
LGBT自治体議員連盟に名を連ねるのは多分私だけだと思います。この間、当事者の切なる願いも思いも伺ってきましたし、
LGBT施策に積極的に取り組む自治体のことも調査しました。しかし、13人に1人がLGBTの当事者であるという調査結果があるにも関わらず、LGBTを身近に感じられないのはなぜでしょうか。それは、当事者が声を出せないからにほかなりません。
LGBT全国自治体議員連盟の世話人5人は、皆カミングアウトしています。なぜカミングアウトするのか。それは、公表しなければ、そもそも存在しないことにされてしまう、誰にも言えず悩んでいる
子どもたちにも、自信や希望を持ってほしいという思いからです。 最近、
ダイバーシティーという言葉をよく耳にします。
ダイバーシティーは、直訳すると多様性という意味ですが、具体的には一人一人の違いを個性として尊重し、積極的に活用しようとする考え方を指します。 近年、急速に社会が変化する中で、
ダイバーシティーの重要性は一層の高まりを見せているところであり、様々な個性を持つ方が活躍し、そのことを社会の活力につなげていく
ダイバーシティー社会の実現が急務と言えます。 そのためにも、
性的マイノリティーの方々が安心して暮らすことができ、存分に活躍できるような社会環境の整備が求められています。私は今こそ、地域社会が一丸となって
ダイバーシティー社会の形成を推進していくべきであると考えています。その第一歩として、大分県が声高々に
ダイバーシティー立県宣言を行うとともに、大分県
ダイバーシティー条例を制定してはいかがかと思っています。 広瀬知事は、安心・活力・発展をモットーとして県政を推進しておられますが、
ダイバーシティー社会の実現に向け、
性的マイノリティーの方々の安心・活力・発展について、どのように取り組んでいくかをお尋ねします。 次に、多様な性を尊重する学校教育について質問します。 去る1月23日に大分県などの主催で、多様な性の理解を進める
シンポジウムが開催されました。会場は満席であふれんばかりの人の多さで、この問題に対する関心の高さがうかがえました。そして、その聴衆の多くが行政関係、
教育関係者であり、特に養護教諭の方が多かったことに注目しなければならないと感じています。
シンポジウムで講演した宝塚大学の
日高康晴教授によると、海外の先行研究においても、
少数者ゆえのストレスを抱える
性的マイノリティーの
子どもたちは多く、周囲の理解が進まない中で当事者の
子どもたちは自己肯定感と自尊感情を育てていくことが難しいようで、アルコールや薬物依存率が高く、自殺未遂率が高くなるとのことです。 日高教授らが国内で行った大規模な全国調査でも、
性的マイノリティーの
子どもたちのうち、58.2%が学校生活で
いじめ被害を経験していることが明らかになっています。中でも、男性から女性への性別移行を望むMTFの
トランスジェンダーの
子どもたちが
いじめ被害を経験した割合は、例えば10代で85.7%と、その多さに驚かされます。 また、
子どもたちは親へはなかなかカミングアウトできず、先生がいじめの解決に役に立っていないというケースの結果も出ています。
性的マイノリティーの
子どもたちは、中学校・高校のときに当事者であることを意識することが多いようなのですが、
子どもたちにとって学校の先生は身近な存在です。学校は性の多様性を尊重する環境を整備して、しっかりと当事者の子どもに向き合ってほしいと思っています。そのためにも、学校における
性的マイノリティーへの配慮について、人権教育の一環としてしっかりと取り組んでいくことが必要です。その際は、教員の資質の向上ももちろん重要ですが、
LGBT当事者などの外部講師を活用していくことが有効であると考えます。 多様な性を尊重する学校教育は、当事者の子どもだけではなく、当事者以外の
子どもたちにも多様性を認める教育につながっていくのではないかと思います。これをどのように実現していくのかを教育長に伺います。 以後は対面席にて質問します。 〔後藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
井上伸史議長 ただいまの
後藤慎太郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 後藤慎太郎議員から
ダイバーシティー社会の実現について御質問をいただきました。 全ての人が心豊かに暮らし、生き生きと活躍する社会の構築には、全ての人の人権が尊重されるということが基盤であります。 県では、平成21年に大分県
人権尊重社会づくり推進条例とそれに基づく大分県
人権尊重施策基本方針を定めております。基本方針では、
性的少数者に対する偏見・
差別意識解消のための教育・啓発や、
相談支援体制の整備等に取り組むこととしております。 これまで、
性的少数者への理解を進める講演会や映画上映、当事者の団体が行う啓発や相談活動に対する支援を行ってまいりました。今年度開催した
シンポジウムの
パネルディスカッションでは、当事者から当事者がそばにいるかもと思って生活をしてほしいとの御意見が、また、当事者の御家族からは、人間は男か女のどちらかという常識をはいでいくことが大変大事だという意見もありました。一方、参加者からは、LGBTの人が思ったより多いことを知った、いじめや居場所がないという苦しみが分かったなど、初めてこの問題を認識したという声が多く聞かれました。また、地域や学校、企業などでLGBTについて学ぶ機会を多くつくることが必要だという意見もありました。 この問題がまだまだ身近ではなくて、さらなる教育・啓発が必要ということが伺えるものであります。まずは若い世代に、多様な性への正しい理解を深めてもらうということが重要だと思います。そのため、今年度は、性の在り方は一人一人違うといったテーマの
中高生向け漫画冊子「りんごの色」を作成して、県内全ての学校に配布しております。 来年度は、当事者にインタビューし、生の声をまとめた教材や基礎的知識を学べる教材を作成し、研修や啓発に活用する予定であります。また、悩んでいる当事者に寄り添うことも大事で、県内には相談を受け付けている当事者の団体がありますので、このような団体の活動を引き続き支援していきたいと思います。 そして、大分県
人権尊重社会づくり推進条例の基本理念のとおり、全ての人の多様な価値観や生き方が認められ、自立した存在として能力を十分に発揮でき、幸福を追求できる
社会づくりに向けて取組を進めてまいりたいと思います。 議員御提案の
ダイバーシティー立県宣言や条例の制定についてでございますけれども、
性的少数者の人権問題がようやく認識されてきた現状では、まずは大分県
人権尊重社会づくり推進条例に基づきまして、教育・啓発を行って社会的機運を高めていくということが大事ではないかなと思っているところです。もう少し、この問題については、議論を重ねていきたいと思っておるところであります。
○
井上伸史議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 多様な性を尊重する学校教育についてお答えいたします。 学校においては、児童生徒や教職員の性同一性障がいや性的指向、性自認に関する認識を深めることが必要であります。 保健体育などの授業を通して、自己及び他者の心身の発達について学習し、それには個人差が大きいことなどを理解することによって、自分自身を認めたり、他者を思いやったりする心を育むことを目指しております。
性的マイノリティーに関しては、啓発用の漫画冊子を中1・高1の生徒全員に配布し、性の在り方は一人一人みんな違うということを具体的に理解させる取組を進めております。 また、昨年度は、教職員向けに文部科学省の研修冊子を各学校に配付して周知を図り、今年度はお話のあった
シンポジウムを開催して、150名を超す養護教諭などの参加があって理解を深めたところであります。今後とも、LGBTの方を外部講師として招いたり、
スクールカウンセラーなどとの連携を図りながら、多様な性について学習を進め、教育活動全体を通して自他の違いを認め合い、互いを尊重し合える児童生徒の育成を目指してまいります。
○
井上伸史議長 後藤慎太郎君。
◆
後藤慎太郎議員 ありがとうございました。 では、知事と教育長の答弁を伺いまして、再度
生活環境部長にお尋ねしたいと思います。
ダイバーシティーは、
性的マイノリティーの方はもちろんですけれども、障がい者の方、それから様々な、例えば認知症の方もそうなんですけれども、地域で暮らす方々にとって、
ダイバーシティー社会の形成はすごく重要な課題だと私は思っております。 その中で、庁内横断的な組織として
ダイバーシティー社会推進本部を設置するみたいな、
ラグビーワールドカップも来ます。それから、
オリンピックに向けては各自治体で、東京などで
ダイバーシティー社会推進班みたいなのをつくってやっているところが多いものですから、そういったことも考えられないかというのを
柴田生活環境部長にお尋ねします。
○
井上伸史議長 柴田生活環境部長。
◎
柴田尚子生活環境部長 お答えいたします。 大分県
人権尊重社会づくり推進条例ですけれども、この2条におきまして、一つは自己決定の尊重と自己実現が追求できる社会、それから差別や不合理な格差の解消に向けて取り組む社会、また一人一人の多様な生き方を共に支え合う社会、これを実現することを
人権尊重社会づくりの基本理念としております。
ダイバーシティー社会とは、正にこの理念と目的を同じくするものだと考えております。このような社会の実現に向け、さきほど知事から御答弁申し上げましたように、基本方針に基づきまして、私どもの人権・
同和対策課が中心となりまして、全庁をあげ、部局横断で人権行政を推進しているところでございます。特に、
性的少数者に関しましては、偏見や差別の解消が現在最も大きな課題であるということから、まずは人権・
同和対策課において教育・啓発や相談体制の充実に取り組んでいきたいと考えております。
○
井上伸史議長 後藤慎太郎君。
◆
後藤慎太郎議員 ありがとうございました。 今おっしゃったことも踏まえてなんですけれども、やはり
ダイバーシティー社会の問題につきましてはいろんな考え方があると思います。一足跳びにはいかないと私も考えています。 その中で、要望なので聞いていただきたいんですけれども、今日私、「ストップ!!ひばりくん!」という本、これは日本の漫画家、江口寿史さんという大漫画家がいるんですけれども、私が8歳ぐらいですから35年も前に書かれた漫画です。多分、日本で最初の、今考えると
トランスジェンダーの漫画なんですね。これを見てますと、この漫画があったことで随分助けられたという読者からのお便りがあったということを書いています。いずれにしても、最近になって出てきた問題ではなくて、やっぱり以前からあった話なんだということを、まず皆さんが理解することが大事なんだろうなと思っています。 それから不登校について詳しい方のお話を聞きますと、どうも不登校の生徒さんの中には、実は
性的マイノリティーであるがゆえになかなか学校に通いにくいと。それは、例えば制服の問題もそうですし、トイレの問題もそうです。そういったことで、行けなくなる子が多いということも言われておりましたので、その辺も今後考えていただければなと思っています。 それから要望なんですけれども、今回の質問をするにあたって、実は県の職員の当事者の方がいらっしゃいます、そういった当事者の方に、私のこの質問について一緒に考えてもらいました。この県庁内にもかなり職員の方が多いですけれども、今は地球上で大体1割ぐらいがLGBT問題を抱えている当事者の方だと言われています。こういった方の気持ちも踏まえて、いつの日か知事に当事者の方がお話しできる場をつくっていただければなあということも言われておりました。ぜひまたそういったことも考えていただければと思って、この質問を終わらせていただきます。 多いので、次に行かせていただきます。 それから次は、地域における
認知症対策の充実についてお尋ねします。 本県における
認知症高齢者数は、平成27年の6万人から平成37年にはおよそ7万3千人に増加し、65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると見込まれています。 このため、県では今後、さらに増加することが見込まれる認知症の方とその家族が住み慣れた地域で安心して生活を送ることができるよう、安心・活力・発展プラン2015において
認知症施策の充実を宣言するとともに、おおいた高齢者いきいきプランにおいて各種の
認知症施策を推進することとしています。 これらのプランが掲げる理想を実現するため、県は様々な取組を行っていますが、地域における
認知症対策を充実させる上で重要なことは、各地域において多様な立場の方々が認知症の方の支援策について検討し、それを実現につなげるための場をつくることではないでしょうか。 県では、
認知症施策プロデュース事業を実施しています。この事業では、認知症の人に優しい
社会づくりを推進するために、多様な立場、職種の人で構成された
認知症施策プロデュース委員会を県レベルで開催し、各種の課題解決に向けた施策を検討・提案して実現につなげています。この委員会をモデルとした地域レベルの組織を、多くの地域に展開することができれば、各地域での課題解決が効果的に行われるものと考えます。 その際、
地域包括支援センターや市役所だけでは、新たにこのような組織を立ち上げるのは難しいと思われますが、そこで活用すべきなのが
大分認知症カンファレンスです。
大分認知症カンファレンスは、多職種の専門職が参加する県単位の
認知症ネットワークで、県内各地域の
ネットワークを包括しています。この
ネットワークを活用することで、労力をかけずに地域版の
認知症施策プロデュース委員会を立ち上げることが可能です。このような地域資源の活用こそ、正に
地域包括ケアシステムの構築に求められることであり、県や市町村が、認知症の方の意思が尊重され、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現に向けて取り組むべきことではないでしょうか。 このようなことを踏まえ、地域における
認知症対策の充実はどのように図られるべきなのか、知事のお考えを伺います。 次に、
認知症介護指導者の養成と活用について伺います。 県では、
認知症介護実践者研修等の企画・運営等に携わる講師となる
認知症介護指導者を養成するため、毎年、
認知症介護研究・
研修東京センターで実施される
認知症介護指導者養成研修への派遣を行っています。
認知症介護指導者になるためには、職場での4週間の研修とあわせて、このセンターで前期3週間、後期2週間の研修を受講する必要があります。
認知症介護指導者には、
認知症介護実践者を対象とする研修の企画、立案、講師役を務めることはもとより、地域における認知症ケアの充実に向けた様々な活動に取り組むことが期待されており、
認知症対策の推進に不可欠な存在です。県としても、このことを理解しているからこそ、1人あたり30万円以上の派遣費を負担しているものと考えます。 今後、認知症患者の増加が予想される中で、認知症介護の充実を図るとともに、認知症の方に優しい地域づくりを推進するためには、
認知症介護指導者のさらなる養成と活用が必要です。私としては、
認知症介護指導者を介護支援専門員など介護実践者以外で認知症ケアに関わる人材の資質向上と、
認知症対策を目的とする各種施策の実施にも活用していくことを特に要望します。
認知症介護指導者の養成と活用について、どのように取り組んでいくのか、
福祉保健部長に伺います。
○
井上伸史議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 地域における
認知症対策の充実について御質問いただきました。 県ではこれまで、認知症の方とその御家族が住み慣れた地域で安心して暮らしていただくというように施策を推進してきたつもりでございます。これから、団塊の世代が全て後期高齢者になる2025年を見据えて、地域の方々の力もお借りしながら
認知症対策をさらに充実していきたいと考えているところであります。 そのため、まず早期診断・早期対応の体制づくりが必要だと思います。認知症の治療は早期段階での発見・気付きが肝腎であるということから、高齢者や御家族の身近で相談に応じる大分オレンジドクターを435名養成してまいりました。そのオレンジドクターに、必要に応じて助言を行う専門性の高い認知症サポート医師も、既に64名が国の機関から認定されているところであります。また、地域の認知症医療の拠点として、より専門的な診療や医療を提供する認知症疾患医療センターも、2か所増やして8か所を整備したところであります。加えて、要請に応じまして、自宅を訪問して本人の状態把握や受診勧奨を行うため、認知症サポート医や医療・介護の専門職が参加する認知症初期集中支援チームも編成しているところであります。
認知症対策の第2は、医療や介護関係者の認知症への対応力を向上していくということであります。これまで、介護従事者や一般病院勤務の医療従事者に対応力向上研修を実施してまいりましたけれども、高齢者に身近な歯科医やあるいは薬剤師にも輪を広げたところであります。また、市町村で設置してきた地域ケア会議でも認知症への対応を充実するため、来年度、さきほどの認知症サポート医の参画にも取り組みたいと思います。これらの取組にあたりましては、議員御指摘の認知症カンファレンスのメンバーにも参加していただく
認知症施策プロデュース委員会におきまして、現場の情報収集や課題共有を図っているところであります。 三つ目は、介護に取り組む家族への支援であります。
地域包括支援センター等の相談窓口の周知のほか、認知症サポーターの養成やオレンジカンパニーの登録を積極的に進めているところです。また、認知症介護者の精神的な負担を軽減するため、介護者の集いや認知症介護教室を開催するほか、県内に約50か所ある認知症カフェも最大限活用していきたいと思います。 ところで、地域で対応に苦慮しているのが認知症高齢者の徘回・行方不明であります。これまで早期発見を目的とした見守りSOS
ネットワークを全市町村で整備してまいりましたけれども、今後は市町村圏域を越えた広域の見守り体制を構築しなければならないと考えております。このほか、アルツハイマー型認知症の予防におきましては、臼杵市にテストフィールドの御協力をお願いいたしまして大分大学医学部と株式会社TDK、県との産学官連携により研究に取り組んでおります。成果に期待をしているところであります。
認知症施策は、関係者はもとより住民や企業等も参画した取組が必要でありまして、地域で支える体制づくりをこれから一層進めていきたいと考えているところであります。
○
井上伸史議長 長谷尾
福祉保健部長。
◎長谷尾雅通
福祉保健部長 認知症介護指導者の養成と活用につきましてお答え申し上げます。 まず、指導者の養成についてであります。 県では、社会福祉介護研修センターでの認知症介護実践研修などの講師といたしまして、
認知症介護指導者を養成しております。現在17名が活動中でございます。 資格取得のためには、議員も御指摘されたように
認知症介護研究・研修センター、これは東京都にございますけれども、そこで5週間に及ぶ研修が必要でございます。そのため、本人の意思もさることながら、勤務先の御理解が必要でございまして、また県も受講料や交通費を支給して支援をしておりますけれども、毎年の養成者数というのは大体2人程度となっております。そういう中で、認知症高齢者の増加を見据え、今後5年間で少なくとも10名以上を養成していきたいと考えております。 次に、指導者の活用についてでございます。
認知症介護指導者には、実践研修の講師役にとどまらず、県の
認知症施策プロデュース委員会や若年性認知症自立支援
ネットワーク会議への参画、あるいは介護支援専門員や薬剤師の認知症対応力向上研修の講師、また認知症サポーター養成講座の講師など、各地域で多岐にわたり活躍をいただいております。 今後は、家族介護者への研修や介護事業所への訪問指導など、
認知症介護指導者の活躍の場を広げてまいりたいと考えております。
○
井上伸史議長 後藤慎太郎君。
◆
後藤慎太郎議員 ありがとうございました。 先日、私たち議員政策勉強会で、わかば台クリニックの先生が来られて話を伺いました。その中でやっぱり問題だなと思ったのが、2025年、それから私たちが団塊の世代になる頃にはどれだけ認知症の方が増えるんだろうという問題もあるんですけれども、認知症の親を抱えて経済的貧困、そういう貧しい状態になった中で、お母さんを殺して自分も結局亡くなられたという京都府宇治市の事件の話も伺って、議員の先生方、多分涙された先生方が多かったと思います。やはり認知症の問題は自分のことだと思いながらやっていく必要があるんだろうと思っています。これからも地域で認知症の方を抱えられる家族の方の支援をしていく必要があるんじゃないかと思いました。どうぞ、またこれからよろしくお願いします。 では、次に行かせていただきます。 次に、生活保護受給者に対する年金受給の促進について伺います。 生活保護制度には、他法他施策を優先するという大原則があります。これは、生活保護以外の法律や施策による支援をもってしても、なお必要最低限の生活を送ることができないときのみに生活保護費が支給されることを指します。このため、生活保護受給者が年金収入を得る場合、生活保護費の支給額から年金収入額が差し引かれることになります。 平成28年11月に改正年金機能強化法が成立し、平成29年8月1日から年金加入期間が25年から10年に短縮されました。これに伴い、生活保護受給者の中にも新たに年金の受給資格を得た方がいます。本県においても、約2,100人の生活保護受給者の方が新たに年金の受給資格を得たと伺っております。これらの方々が年金を受給すれば、公的年金制度による保障機能の強化が図られるとともに、生活保護費を削減することにつながります。そのためには、日本年金機構から郵送された年金請求書に必要事項を記入し、その他の必要書類を持参して、年金事務所等で手続を行う必要があります。また、年金請求書が送られてこない場合においても、年金事務所に申し出れば、年金受給資格が得られるケースがあるそうです。例えば、基礎年金番号に統合されていない年金記録がある場合や、合算対象期間と言われる、年金額に反映されないが年金加入期間に含まれる期間がある場合などです。 県としても、生活保護受給者の自立支援の観点から、これらの方々が漏れなく手続を行い年金を受給できるよう、市町村とも連携しながら、生活保護受給者への制度周知や相談対応、受給手続の支援などに取り組むべきであると考えます。 このことについて、年金受給手続の進捗状況を踏まえ、どのように取り組んでいくのかを伺います。
○
井上伸史議長 長谷尾
福祉保健部長。
◎長谷尾雅通
福祉保健部長 生活保護受給者の年金受給促進についてでございます。 年金の受給資格期間の短縮により新たに受給対象となった方は、今年の2月末時点で2,038人でございます。うち1,572人が請求手続を行いまして、進捗率は77.1%となっております。 一方、未請求者の中には、疾病等によりまして自分では手続が困難な方もいらっしゃいます。また、受給した年金が保護費から減額されるというような手続もございまして、消極的な方もいらっしゃるということでございまして、それぞれ市町村、特に町村の分は県がやっておりますけれども、個別の支援を要するところでございます。 これまで、未請求者に対しまして、ケースワーカーによる年金事務所への同行をいたしております。また、御本人が動けない場合には、委任によって同じようにケースワーカーが代行するというようなことをやっており、全対象者が早期に請求手続を完了するよう支援を行っております。 また、県では、請求手続が低調な市等に対しましては、個別に手続の促進を図っているところであり、今後は生活保護施行事務監査の重点項目として指導を徹底し、年金受給の促進に努めてまいります。
○
井上伸史議長 後藤慎太郎君。
◆
後藤慎太郎議員 ありがとうございました。 引き続き、社労士の先生もうまく使ってするともっと進むんじゃないかなと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 では次に、人と動物の共生について伺います。 私が議員になってから初めて一般質問をしたのも、この動物愛護行政に関する重要課題でした。この大きな社会的課題について、今議会で再度質問させてください。 平成30年度に、県民、関係者の多くが待ち望んだおおいた動物愛護センターが完成します。しかし、完成したからといって、もろ手をあげて喜んでいるわけにもいかないと私は考えています。施設ができたことを契機に、動物愛護への理解をますます深めていくこと、そして大分県において人と動物がどうやって共生していくのかをこれから先もずっと問い続けなければならないからです。 犬や猫は、古代から私たち人間社会の一員であり、家族です。にもかかわらず、関係者の皆様の御尽力により減少してはいますが、今なお、多くの犬や猫が殺処分されている現状を何とかしなければなりません。 まず県は、犬や猫の繁殖や譲渡、飼育などに関して、犬や猫を家族の一員であるペットとして迎え入れる側の人の心がけやモラルの啓発などに積極的に関わるべきだと考えています。特に、飼い主が最後まで責任を持ってペットを飼育することをさらに啓発していただきたいです。犬や猫の殺処分を防ぐためには、飼い主の責任でペットがその命を全うするまで飼育することが何よりも重要だからです。 さらに、犬や猫の去勢・避妊手術を適切に行うこと、そして動物愛護センターのような保護施設を通じて犬や猫を譲り受けることが殺処分を防ぐ上でどれだけ意義深いものなのかを、ぜひ県民の皆様へ知ってもらいたいと思います。 そして、死ぬために生まれてきたわけではない小さな犬や猫たちの命を殺処分という形で終わらせないように、苦悩と苦労を抱えながら日々奮闘されている大分市保健所、県生活環境部、大分県動物管理所などの職員、獣医師の皆様や小さな命を守るため懸命にレスキュー活動に取り組んでおられるボランティアの方々の尊い行いは、多くの県民に知られ、称賛されてしかるべきではないかと思います。そのようなことを考えますと、無責任なペット飼育者には憤りを覚えます。 また、劣悪な環境のもとで営利目的のみで親犬を飼い、生まれたばかりの子犬や子猫たちを引き離して販売する販売業者がいれば、その指導は厳しく行ってもらいたいものです。母親や兄弟と触れ合うことも知らないまま、生後間もなく引き離されると、健康や性格に悪影響を与えると言われています。そもそも生後間もない子犬や子猫にとって、売られるためだけの苛酷な環境下での移動や飼育は残酷です。来る日も来る日も、新しい飼い主が現れるまで不安な日々を過ごさなければならないのです。小さな命を、まるで工業製品のように仕入れて販売するようなことが横行しているこの現状を放置することはできません。今こそ、人とペットが共に幸せに暮らせる
社会づくりを、この大分県から始めていただければと考えております。これらのことを踏まえて質問させていただきます。 県は今後、人と動物が共生する
社会づくりを推進するにあたり、どのような動物愛護行政の将来像を描いているのでしょうか。そして、その中でおおいた動物愛護センターはどのような役割を果たすと位置付けられるのでしょうか。 また、センターの運営体制については、様々な議論や調整が行われていることと思いますが、大分県と大分市が共同で運営することについて、組織の壁を越えて県と市の連携・協働がしっかり図られるような検討がなされているのかを伺います。
○
井上伸史議長 柴田生活環境部長。
◎
柴田尚子生活環境部長 2点お答えいたします。 まず、動物愛護行政の将来像についてでございます。 県では、動物愛護管理推進計画を策定し、動物を通じて命の大切さを理解し、動物との正しい関わり方を知ってもらうことにより、人と動物が愛情豊かに安心して暮らせる社会の実現を目指しております。 来年度完成予定のセンターでは、そのための取組を進めてまいります。 一つ目に、しつけ方・飼い方教室の開催や猫モデル室の展示、また動物愛護フェスティバルの開催等により終生飼養などについて理解を深めていただくとともに、ペット取扱業者向けの研修会を開催するなど、対象者に即した情報提供も行ってまいります。 二つ目に、保護した動物を健康に配慮した良好な環境で管理するとともに、随時の譲渡を行う体制を整備することによりまして、犬・猫の譲渡を推進してまいります。加えて、このような取組を支えていただくボランティアの研修や交流を行い、その活動のさらなる活性化を図ってまいります。多くの人が集い、体験や学びを通して動物に関する理解を深め、動物の命の尊厳が守られるよう動物愛護に取り組んでまいります。 もう一点、おおいた動物愛護センターの運営についてでございます。 県と大分市で、共同設置に向けて平成28年1月に検討協議会を設置し、業務内容、職員体制等について協議を重ねてきたところです。現在も、細かな業務手順等について詰めの協議を行っております。共同設置により、県・市双方の財政負担の縮減が図られるだけでなく、限られた人員でより効果的・効率的な運営が行えるものと考えております。 センターでは、保護した犬や猫の管理、動物愛護の普及啓発、譲渡会などのイベント、緊急時の対応等、共同設置のメリットを生かして多くの業務を県と市の職員が一緒に行うこととしております。お互いに知恵を出し合いながら、県民、市民に開かれたセンターとなるよう努めてまいります。
○
井上伸史議長 後藤慎太郎君。
◆
後藤慎太郎議員 ありがとうございました。 この問題について、もう要望で結構なので聞いていただきたいと思います。 世の中には動物虐待愛好家という方々がいまして、とにかく子猫、子犬をどうやって虐待するかと、そういうことを考えてネットに上げるような方がいらっしゃいます。ひどい方になると、そういった動物虐待を自慢し合うわけです。小さな命、もうとにかくそれこそ本当に声を出せない、そういった動物の命をそうやって虐待する方がいらっしゃいます。そういった動物虐待愛好家、実は県内でも問題になりまして、昨年なんですけれども、結果、不起訴になっているということがあるんですけれども、やっぱりアニマルポリスと言うんですけれども、動物虐待を見つけた場合に、そういったことを通報して受け付けられるようなこともぜひどこかに盛っていただければなあと、まず思っています。 それから先月、福井県で400頭の犬を二人で飼育してという、もう完全に多頭崩壊の、基本的にはあり得ないんですけれども、そういった繁殖業者が摘発されました。まだまだそういった悪質な業者、いると思います。私にしてみたらもう絶対にあり得ないことだと思っていて、県内にはないと信じたいですけれども、こういったところへの行政指導なども行っていただきたいと思っております。 それから、昨年私、ずっとそういった犬のレスキューに関わってきました。動物愛護センターができて、県と市が共同で運営するということですけれども、もっともっとどう運営するかというのをどんどん様々な議論をしていく必要があるんではないかと思います。やはり、殺処分は、そこで働かれている、本当は殺処分なんかしたくない獣医師さんというのはたくさんいると思うんです。職員の方はほとんどそうだと思います。にも関わらず、持ち込まれる犬や猫は後を絶たない。特に、猫に関しては数が減っていません。猫のボランティアの方を活用して、譲渡会もそうなんですけれども、避妊・去勢手術だとかを進めるように啓発していただければと思っています。 それから、皆様方、手元に「ある犬のお話」という小さな冊子をお配りしているんですけれども、先日、県主催の
シンポジウム会場でも配られたものです。これは動画等があるのでぜひ見ていただきたいんですけれども、もうほとんどの方が多分涙なくては見られないというものになっています。こういった小さな命をどう救っていくかというのは、我々人間の課題でもあると思っています。 どうか大分県がそういった小動物、それから人間にとっても優しい社会になることを切に願っていますので、動物愛護センター、どうかよろしくお願いします。 では、最後の質問に移ります。 次に、農業政策における農業経営者の位置付けについて質問します。 県では、農林水産業を地方創生を実現する上で重要な産業と位置付け、もうかる農林水産業、付加価値を高める農林水産業を展開し、平成35年度に農林水産業による創出額2,500億円を実現することを目指しています。この創出額の目標は、先般、2,250億円から250億円を上乗せして上方修正したところです。中でも農業は、創出額2,500億円に占める割合が大きく、その成長産業化は喫緊の課題です。 私はこれまで再三、農業の成長産業化を図る上では、農業という産業の担い手の形をはっきり示すことが重要だと訴えてきました。農業の担い手と言っても、趣味の延長程度の小規模な自家消費型農業者なのか、高収益型の農業を成功させているプロの農業経営者なのか、扱う作物も、穀物、野菜、果樹、園芸作物などの露地野菜から、いわゆる植物工場のような施設栽培野菜まで様々な農業者がいます。もちろん、様々な方が多様な形で農業に関わっていくことは望ましいことですが、農業の成長産業化を図る上での担い手としては、プロの農業経営者以外にはあり得ないと考えます。 近年、農業を取り巻く情勢は大きく変化しています。例えば、GAPやHACCPなどの農産物や食品の認証基準の重要性が、海外でも国内でもさらに増しています。ところが、国際的にも通用するGAPやHACCPを取得し、さらに農業経営に必要な資格者を育成できる経営体は限られます。 今申し上げたことは一つの例ですが、様々な面で、農産物を生産することや加工して販売することに求められる能力のレベルが上昇しています。そのような時代の流れにしっかりと対応し、成長産業化の一翼を担うことのできる農業経営者を大分県農業の担い手として位置付けて、政策を展開していただきたいのです。 県内の農地をしっかり守り続け、安心・安全な農産物や加工品を消費者に届けることができる農業経営者を、県の農業政策においてどのように位置付けて育成し発展させていくのか、
農林水産部長の考えをお聞かせください。
○
井上伸史議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 お答えします。 農業の成長産業化には、経営マインドを持った担い手の育成や法人化などによる経営発展が不可欠であり、これらを農林水産業振興計画の柱にしっかり位置付け、各般の取組を行っています。 今年度開講したおおいた農業経営塾では、県内外の著名な農業者による講演や企業的経営に必要なスキルの習得研修を行い、受講時に策定した実践的な経営計画は受講者の規模拡大等に直接つながっているところです。 来年度は、年々ニーズが高まるGAPや6次産業化などに研修範囲を拡大するほか、労務・財務管理等の専門家派遣などにより、法人の質・量の底上げを図ることとしています。また、次代を担う青年農業者には、技術研修や自主的なプロジェクト活動などを総合的にサポートするほか、若者同士の
ネットワークづくりを支援し、技術力・経営力を伸ばしていきます。さらに、女性の消費者目線を生かした経営参画も重要なことから、女性リーダーを育成するとともに、農村女性組織の活動促進を図っていきます。こうした取組により、地域の核となる経営感覚にすぐれた担い手の育成に努めてまいります。
○
井上伸史議長 後藤慎太郎君。
◆
後藤慎太郎議員 ありがとうございました。 もう時間がないので、最後に、とにかく農業経営者をしっかりとつくり続けることが大事だと思っていますので、その点についてはまた広瀬知事にも御相談したいと思いますし、副知事にも農業問題をしっかりやっていただけると思います。ありがとうございました。(拍手)
○
井上伸史議長 以上で
後藤慎太郎君の質問及び答弁は終わりました。井上明夫君。 〔井上(明)議員登壇〕(拍手)
◆井上明夫議員 皆さんこんにちは。自由民主党の井上明夫です。今議会で質問の機会を与えていただきました先輩、同僚諸氏に感謝申し上げます。また、本日は私の地元日田市から約50名の皆さんが傍聴にお見えになっております。大変遠いところをありがとうございました。 それでは、ただいまより、大分県が目指す三つの日本一のうちの一つである、障がい者雇用率日本一についてをはじめとする私の一般質問を行います。 昨年、37回目を迎えることとなっていた大分国際車いすマラソン大会は、季節外れとも言える台風22号接近の影響を受け、残念ながら1981年の大会開始以来、初めて中止となりました。その開催が予定されていた10月29日と時を同じくして、社会福祉法人太陽の家の創設者で車いすマラソンの生みの親である故中村裕博士の盟友で、博士とともに太陽の家の創設に携わり、後に理事長や県障がい者体育協会の会長などを務められた医師の畑田和男先生が亡くなられました。障がい者福祉において大きな役割を果たしてきた氏の御功績をしのび、改めてここに哀悼の意を表します。 大分県の障がい者福祉の歴史を振り返るとき、太陽の家が果たしてきた役割を抜きにして語ることはできません。「保護より機会を」、「世に身心障がい者はあっても仕事に障がいはあり得ない」といった、本県で福祉に携わる人間なら誰もが一度は耳にしたことのある理念は、ソニーやホンダ、オムロンといった我が国有数の企業の創設者・創業者の心を動かし、これらの企業と提携して設立した共同出資会社は、多くの障がい者の皆さんの雇用を実現いたしました。 こうした先人の功績もあり、全国的に障がい者福祉の先進県となった大分県は、障がい者の雇用が法定義務化されて以降、昭和62年から平成15年にかけて17年連続で雇用率が全国1位となるなど、名実ともに障がい者雇用率日本一の県として名をはせました。その後、多くの自治体が障がい者の就労支援に力を入れるようになったこともあり、平成19年以降、1位の座からは遠ざかっていますが、広瀬知事のもと、再び日本一の座を奪還すべく、県政の政策目標の三つの柱の一つに掲げて施策を推進しているところです。 ところが、プラン2015策定時には全国2位であった大分県の障がい者雇用率は、一昨年には雇用率は上昇したものの3位へと後退し、さらに昨年は雇用率自体が低下し、順位も5位まで後退しました。県では、雇用率低下の要因を、好調な地域経済を背景として雇用率算出の分母となる従業員数全体の増加にあると分析しているとのことです。全国順位は相対的なものであり、今回も働く障がい者は増えていること自体、大変喜ばしいことと見ることもできますが、2年連続での順位の低下は重く受け止めなければなりません。 県では今年度、障がい者雇用アドバイザーを倍増するとともに、特別支援学校の就労支援アドバイザーも増員するなど、障がい者の職場開拓に力を入れているところですが、4月に予定されている法定雇用率の改正を機に、さらなる施策の充実が必要となるのではないでしょうか。知事の考えをお聞かせください。 これで壇上での質問を終わり、あとは対面席で質問いたします。 〔井上(明)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
井上伸史議長 ただいまの井上明夫君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 井上明夫議員から障がい者雇用率について御質問をいただきました。 障がいのある方々が自立して暮らせる地域社会の実現に向けて、障がい者に配慮の行き届いた、懐の深い地域づくりを進めているところであります。 昨日、京都で開催されました全国車いす駅伝大会におきまして、大分県チームが2年連続の優勝という快挙をなし遂げまして、大変心強い気持ちになっているところでございます。御報告をさせていただきます。 昨年末に発表されました本県の障がい者雇用率でございますけれども、2.44%となっておりまして、全国順位も5位に後退をいたしました。これは、雇用情勢の大幅な改善によりまして、分母となる雇用者数が相対的に大きく伸びたことが影響したものでありますけれども、雇用された障がい者の人数の方も、障がい者雇用アドバイザーを倍増し、訪問企業を全業種に拡大したこともありまして、3,175人と8年連続で過去最高を更新しているところであります。 このような状況を踏まえ、日本一の奪還に向けまして、新年度は次の3点に力を入れていきます。 一つは、議員御指摘のように法定雇用率引上げを見据えた対策であります。民間企業における障がい者の法定雇用率2.0%が、この4月から2.2%に引き上げられ、従業員45.5人以上50人未満の企業にも新たに障がい者の雇用が義務付けられるということになります。県内の新規対象企業は74社に及びますけれども、このうち障がい者を雇用していないものが52社あります。そこで、大分労働局と連携いたしまして、仕事の切り出しや雇用上の配慮などの助言、障がい者とのマッチングなど、重点的に働きかけているところであります。 二つは、雇用率全国1位の身体障がい者に比べまして、全国中位にとどまっております知的障がい者と精神障がい者への就労支援の強化を図ってまいります。採用を希望する企業からは、雇用はしたいけれども、知的障がい者や精神障がい者の職場受入れに向けたサポートは十分できるかどうか心配だといった声も寄せられているところであります。そのため、新年度から障がい者への相談や作業指導を行う社員を配置する企業への奨励金制度を新たに創設いたします。 三つ目は、就業後の定着支援であります。一旦就職できても、職場になじめずに離職してしまうケースが見られます。そこで、就職先の従業員に対しまして、障がい特性の理解や現場指導の実践等の研修を実施して、障がい者が意欲を持って働ける環境づくりを進めたいと思います。また、特別支援学校でも、8名に増員した就労支援アドバイザーが生徒の就職先を開拓するとともに、就職後の卒業生を定期的に訪問して、働き方や困り事などについて企業担当者と情報交換などを行って支援を充実させていきます。 このほか、民間企業への一般就労が難しい障がい者には、就労継続支援A型事業所が欠かせません。新年度は、規模拡大を図る事業所に新たに助成し、雇用の受皿を拡大したいと思います。 今後とも、障がい者の就労と社会参加に心血を注がれた中村裕博士や畑田和男先生の熱い思いを大切にしながら、障がい者雇用率日本一の早期奪還を目指していきたいと思います。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 いろいろな取組に関する答弁、ありがとうございました。 特に、身体障がい者の皆さんに比べて知的障がい者、それから精神障がい者の皆さんの雇用はなかなか難しいということで、そちらの方の順位は全国でたしか中ぐらいではなかったかと思います。そちらの方に対する奨励金等の制度、大変すばらしいと思います。 それからまた、就業定着支援ということでありますが、その中で知事に答弁していただきましたが、新たに障がい者の雇用義務が生じる県内企業の状況をどのように捉えておられるのか、もう少し詳しくお伺いいたします。
○
井上伸史議長 長谷尾
福祉保健部長。
◎長谷尾雅通
福祉保健部長 さきほど知事がお答えした、新たに45.5人以上50人未満の企業でございますけれども、県内で74事業所ございます。実はこれは前々から聞き取りをいたしておりまして、その中で既に22の事業所が31人の障がい者の方を雇用されております。残る52事業所につきましては、そのうち4割ほどが障がい者の雇用を前向きに検討しているということでございます。今後、私どもといたしましては、そういった4割以外の企業につきましても、障がい者雇用の理解を求めるといったことで、法定雇用率を満たすようにしっかり働きかけていきたいと考えております。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 障がい者の皆さんの雇用率を上げるためには、やはり周囲の皆さんの理解も含めて、各企業に向けての地道な取組が必要だと思います。 一昨年4月から施行されております、障がいのある人もない人も心豊かに暮らせる大分県づくり条例が、より実効性のあるものとなるためにも、一つ一つの施策について、今後とも十分な検証を行っていただくようにお願いいたします。 2番目に、森林・林業についての質問です。 まず、林業振興について質問します。 戦後植林された森林が本格的な利用期を迎えており、近年、林業を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。 国もこれを受けて、平成28年度の森林・林業基本計画の見直しにあたり、主伐と再造林対策の強化を新たな柱に据え、森林資源の循環利用による林業の成長産業化の早期実現を目指すこととしております。 県においても、路網の整備や機械化の促進、面的なまとまりを持った森林経営の促進等の施策に積極的に取り組んでおり、近年は木材生産量の増加、玖珠町への県内初となる合板工場の進出、低質材を活用するこん包材工場の佐伯市への進出、丸太輸出量の増加など、林業の成長産業化に向けて、ようやく一歩踏み出したかなと実感できるようになってまいりました。 しかしながら、中長期的視点で見ると成長産業化に向けた課題はまだまだ多く、今後、生産性のさらなる向上、次代を担う新規就業者や力強い林業事業体の確保・育成、さらには森林所有者の経営意欲の向上につながる環境の整備などに重点的に取り組んでいく必要があると思います。 そこで、林業の成長産業化に向けて、今後どのように林業振興を進めていくのか、広瀬知事の考えをお伺いいたします。
○
井上伸史議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 林業振興について御質問をいただきました。 林業につきましては井上明夫議員の方がお詳しいわけで、私が教わりたいぐらいでございますけれども、せっかくの質問でございますからお答えをいたします。 本県は、人工林の51%は伐採時期を迎えております。この豊富な資源を活用して、これまで機械化や路網の整備、木質バイオマスの利用促進など、木材生産力の強化と需要の拡大を両輪に、構造改革を推進してきたところであります。 その結果、素材生産量は平成28年には過去最大の123万立方メートルに達するなど、成果が着実に現れてきております。本年度も、主伐への本格的移行や作業道改良等による生産力の強化を進める中、全国有数の原木供給能力が評価されまして、県内初の大型合板工場の進出が決定いたしました。 そこで、林業関係者のさらなる所得向上を目指して、36年度の素材生産目標を、現状の約20%増となる150万立方メートルまで拡大をいたしまして、その実現に向けて対策を強化いたします。 その第1は、生産性の向上であります。 高性能林業機械の大型化だとか間伐作業道の拡幅などによりまして、主伐に対応した作業システムへの移行を進めたいと思います。加えて、資源把握や路網整備を効率化するため、航空レーザーやドローン測量などの新技術導入を進めるとともに、搬出した木材を効率的に流通させる目的で、中間土場を整備して直接取引を推進いたします。こうした取組によりまして、作業員1日あたりの素材生産量を全国トップクラスの12立方メートルまで向上させたいと思います。 第2は、確実な再造林の実施であります。 これには、作業の省力化が必要であることから、1ヘクタールあたりの植栽を2千本以下とする疎植造林や、全木集材から再造林までを連続して行う一貫作業システムの定着を促進します。 また、今後5年間で再造林面積は約4割の増加が見込まれることから、一貫作業に不可欠なコンテナ苗の増産に向けまして、挿し木苗用の穂木採取や異業種参入を支援し、現状20万本の生産量を50万本まで増加させます。 第3は、担い手の確保・育成であります。 即戦力となる人材を確保するため、おおいた林業アカデミーに加えまして、新たに県独自の補助制度を創設し、造林・育林作業に特化したOJT型研修を日田市や佐伯市などの森林組合で行います。また、力強い経営体を育成するため、生産性の向上に意欲的な林業事業体に限定いたしまして、高性能林業機械の導入などを支援いたします。あわせて、林業は労働災害の発生率が高いことから、九州初となる労働局との協定に基づきまして労働安全対策などを推進いたします。こうした取組に加えまして、災害に強い森林づくりも大切であります。このため、急傾斜地での強度間伐や帯状伐採、河川沿いの人工林の伐採などによる広葉樹林化を進めたいと思います。 今、30年ぶりに国産材の自給率が何と35%まで回復するなど、林業には追い風が吹いております。この機を逃すことなく、林業の成長産業化にしっかりと取り組んでいきたいと思っているところであります。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 いろいろな施策の御紹介、大変ありがとうございました。 非常に大分県、確かに木材生産量が増えておりますし、また再造林を進めるということで、育林作業者等の対応もしていただいておりますけれども、今問題となっておりますのが間伐を中心に進めてきたおかげで全体に木が大きくなって、昔は大きくすればするほど高かったんですけれども、今は製材所のラインに合わなくなった大径材の値段がなかなか出ないと、大きくなればなるほど安くなるみたいなところがあってですね。それと、今、知事もおっしゃいました、大型機械を使った林業事業体は非常に活発で、若い人も大変多く参入しておりますが、育林の方の作業者、植えて育てる、そちらの方が数も減るし高齢化されているということで、そちらの方も今後力を入れる必要を感じておるところでございます。 林業の成長産業化を目指す中で、国産材の需要が高まり、全伐が進んでも、再造林して育てた結果、採算が合って初めて持続可能なものとなるということであります。中山間地の有力な地場産業である林業、木材産業の成長産業化に向けては、業界関係者も懸命に取り組んでおりますので、今後とも官民一体となった施策の充実をよろしくお願いいたします。 続いて、森林環境税について質問いたします。 森林は、県土の保全や水源涵養、地球温暖化防止機能等の多面的な機能を有しておりまして、広く県民一人一人に恩恵を与えております。また、近年多発している集中豪雨に伴う土砂災害に際しても、間伐を行った森林が土砂流出・流木等の被害を軽減させたことが確認されるなど、森林の山地災害防止機能の発揮に対して、県民からの期待が高まっているところです。 大分県においては、森林環境の保全と森林を全ての県民で守り育てる意識の醸成を図るために、平成18年度から森林環境税を導入し、森林の整備や森林資源の確保と循環利用、県民参加による森林づくりなどの取組を進めているところですが、中山間地域の過疎・高齢化が進み、管理が行き届かない森林の増加や山地に起因する土砂災害が多発する現状を踏まえますと、私としてはまだまだ森林を守り育てていく取組が必要なのではないかと思っております。 こうした中、平成30年度税制改正大綱において、市町村が実施する森林整備等に必要な財源を確保するため、森林環境税及び森林環境譲与税を創設することが示されました。森林環境税は国税とされ、平成36年から1人あたり千円が個人住民税均等割の枠組みを利用して徴収されます。市町村及び県に対しては、平成31年度から森林環境譲与税として譲与されますが、その使途は、主に市町村が行う間伐や山林管理、それからまた人材育成、担い手の確保、木材利用の促進等に関する費用に充てるとされております。 しかし、森林の現場や所有者に最も近い市町村段階での行政の役割の強化にという狙いとは裏腹に、市町村の状況を見ますと、林業の専門職員がまだまだ少なく、森林関連施策を展開するための体制が十分に整っているとはいえません。また、都市部についても満遍なく配分される方式になるなど、真に必要な地域に財源が措置されるのかといった疑問の声も出ております。このため、県が市町村に対し技術的な指導や効果的な事業実施のバックアップ、広域的な事業の調整等の支援を行うことが不可欠でありまして、県が果たすべき役割はこれまで以上に大きくなると考えております。 この税には、県の森林環境税の目的との違いが分かりにくいという声もあります。私はこの国の森林環境税の創設は、森林の多面的機能を大いに発揮させて、森林・林業の活性化を図る大きなチャンスではないかと捉えております。 そこで、県税である森林環境税を国税である森林環境税と比較した上で、税制上どのような整理がなされるのかお尋ねいたします。
○
井上伸史議長 尾野総務部長。
◎尾野賢治総務部長 森林環境税についてお答えいたします。 今回の国の森林環境税創設にあたっては、本県を含め既に独自に森林環境税を導入している38団体を中心に、全国知事会から、国に対し役割分担の明確化などについて調整を求めてきました。 その結果、今回の税は都市部を含め、広く国民から国税として徴収し、市町村が行う民有林の公的管理等の財源として、私有林人工林面積や林業就業者数などを基準に譲与される仕組みとなったところです。また、都道府県に対しても、市町村を支援する役割に鑑み、一定割合が譲与されることとなっております。 税制上は、国税と県税ということで一応の仕分がありますが、負担する県民からすると分かりにくい面があることから、国に対しては県税との関係が整理できるよう、新税の具体的使途について十分な説明を行うなど、制度の円滑な実施に向けた取組を求めていきたいと考えております。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 国の内容もなかなかはっきりしないということでありますが、そういう中で、もう平成31年度から譲与税という形で市町村におりてきますので、市町村の財源となるわけですね。 国の森林環境税の活用ということに関して、今後、市町村への支援、県としてどのようにお考えかをお伺いいたします。
○
井上伸史議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 森林整備を進めるにあたり、現在、森林所有者の経営意欲の低下や所有者不明森林の増加などが課題となっております。 これに対応していくために創設される国の新たな制度では、新税を活用し、自然的条件が悪く採算ベースに乗らない民有林について、平成31年度から所有者に代わって市町村が管理を行うこととされています。税の使途など詳細につきましては、国のガイドラインが3月末に示される予定であり、これを受けて市町村と実施事業等の検討を始めたいと考えています。 議員御指摘のとおり、市町村は自ら主体となった森林整備事業の経験が少なく、林業技術者も不足している状況にございます。このため、31年度からの事業開始に支障を来さないように、国に対しても十分な説明を求めながら、市町村に対する助言や指導、情報提供をしっかり行ってまいりたいと考えております。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 国民誰もが森林の重要性を認識して、そして子々孫々まで豊かな森林を残すということが目標で創設されるのが森林環境税ということです。しかしながら貴重な浄財をまた新たに預かるということでありますので、どのような使い方をするかということを丁寧に説明し、また施策の重要性を十分にアナウンスすることによって、市民、県民が納得する森林環境税になると思いますので、有効活用するための市町村へのバックアップをどうかよろしくお願いいたします。 次に、九州北部豪雨災害について質問いたします。 昨年の豪雨災害では、流木によって災害が拡大いたしました。杉の人工林は根が浅いために崩れやすかったという意見もありますが、災害後の林野庁の調査結果によると、昨年のような膨大な雨量の場合は、根のはるかに下の部分から土砂崩れが発生しているので、地形や地質の影響が大きく、上に何が植わっていようと同じことだったというのが結論でありました。 当面は間伐を十分に行い、下層植生を十分なものにすることなどが必要ですが、さらに効果的な災害に強い森林づくりとはどうあるべきか、県のお考えをお伺いいたします。
○
井上伸史議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 お答えします。 近年、記録的な豪雨などによる自然災害が相次ぐ中、災害に強い森林づくりを進めるには、森林の災害防止機能を最大限発揮させるとともに、災害発生時の影響を最小限にとどめる取組が重要と考えています。 県では、平成24年災害を踏まえ、次世代の大分森林(もり)づくりビジョンを25年度に策定し、適期間伐や針広混交林への誘導等に取り組んできましたが、昨年の災害を教訓にこのビジョンを改訂し、今後は森林の区域に応じ、よりきめ細かな対策を講じていくこととしております。 まず、林地崩壊の危険度の高い急傾斜地では、新たに人工林の帯状伐採による広葉樹林化に取り組みます。下流域では、流木発生による被害を防止、軽減するため、河川沿いの人工林の伐採を全県に展開するとともに、流木捕捉効果の高いスリットダムの整備もあわせて進めていきます。 もとより、森林の多面的機能を持続的に発揮するには、平時から確実な再造林や適正な森林管理も行っていく必要があります。こうした取組を継続的にしっかり実施していくことが、より効果的な災害に強い森林づくりにつながると考えています。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 災害に強い森林づくりというテーマは、平成3年の台風19号の頃からずっと関係者でいわれているところでありますけれども、これからどういう山林をつくっていくかということと同時に、今ある山をどういうふうな形にするかということで、非常に難しい問題ではありますが喫緊の課題でありますので、関係機関、団体、民間も含めて、連携して災害に強い森林づくりを目指していかなければならないと思っております。 さて、本年も3か月後に梅雨が迫っております。現在、行政も業者の皆さんも、フル稼働で復旧にあたっていることには大変感謝申し上げますが、河川の護岸や山の土砂崩れ現場などで梅雨までに工事が完了しない現場も多いのが現状です。 家屋に浸水したり、また道路が通行止めにならないように、梅雨前の応急措置を行う必要があると思いますが、県のお考えをお伺いいたします。
○
井上伸史議長 阿部
土木建築部長。
◎阿部洋祐
土木建築部長 梅雨前の対策についてお答えいたします。 九州北部豪雨災害によりまして復旧を要する県管理の道路・河川・砂防の施設は342か所ありますけれども、今月末までに約9割の箇所で工事着手いたしまして、おおむね8割の箇所で梅雨時期の降雨や出水にも対応できる状況になる見込みとしております。 残る2割のうち、道路につきましては法面の崩壊に備えた大型土のうなどを設置する、あるいは応急対策が必要な箇所は全てそういった措置を講じていくこととしております。引き続きパトロールによる日常点検を行いながら、安全な通行を確保してまいります。 また、河川、砂防につきましても、河床掘削による流路の確保、寄せ石や大型土のうによる川岸の補強を行うなど、対策が必要な箇所は全て被害の拡大を防ぐ措置を講じているところです。 さらに、被災地の方々が安心していただけるように、市町とも対策の内容や復旧の進捗状況などの情報を共有するとともに、地元の方々に対してもしっかりお知らせをしてまいります。これらの対策を確実に実施し、出水期の安全対策に万全を期してまいります。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 なかなか被害が大きかったので大変ではありますけれども、被災地の住民の皆さんはたび重なる災害にちょっとトラウマにもなっておりますので、梅雨入りに大変な不安を抱いております。特に、進捗状況の情報提供、その辺のところ、それからまた復旧計画は計画として、急を要する場所についてはぜひ柔軟な対応をお願いいたします。 また、発災から8か月となる今でも、日田市では約50世帯の皆さんが御自宅に戻れずに、みなし仮設住宅などで生活をされております。1か所にまとまる仮設住宅と違って、みなし仮設住宅では被災者が市内にばらばらに離れて生活するため、孤独感が深まることが多いと聞いております。 災害直後の避難者への対応については、昨年の9月議会で質問したところでありますけれども、みなし仮設住宅に入居されている避難者の皆さんの心身のケアについて、県としてどのように対応していくのかお伺いいたします。
○
井上伸史議長 長谷尾
福祉保健部長。
◎長谷尾雅通
福祉保健部長 お答えいたします。 避難所からみなし仮設住宅等への移動が始まりました昨年8月以降、随時日田市や県の保健師、ケアマネジャー等が個別訪問等により、全世帯の心身状態を把握してまいりました。 今年2月末時点の避難者52世帯136人のうち、不眠等の心身の不調を訴えるなど支援を要する世帯は9世帯9人となっております。個々の状況に応じまして、月に1回程度、日田市や
地域包括支援センターの保健師やケアマネジャー等が訪問して健康相談等を行っております。また、困難事例等が出ましたら、県の保健師が対応する体制を整えているところでございます。 残りの43世帯につきまして、長期の避難生活により孤立や心身状態の悪化が懸念される一人暮らしの方、あるいは高齢者夫婦を中心にして、日田市が2月に再度状況を確認しました。この結果、声かけ等の関わりが必要な12世帯については、ボランティア等とも連携して、訪問等による見守り体制をとるほか、その他の世帯についても、自治委員等の協力を得て情報収集し、状況に応じ個別訪問を実施いたします。 県では、保健師連絡会等の場で日田市と情報共有を行うとともに、避難者への対応力向上のための研修会も開催しております。今後も市と連携して、避難者ケアに取り組んでまいります。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 いろいろな取組、ありがとうございます。 先月、私ども自民党会派の調査会で熊本県庁を訪問して、熊本地震で避難されている方の対応をお尋ねしたところです。熊本市のみなし仮設住宅に入居されている方に対する対策としては、県の社会福祉協議会が市町村の社協を支援して地域支え合いセンターというのを設置して、生活支援相談員等の職員を配置して、仮設住宅やみなし仮設住宅、在宅等の被災者の方々を循環訪問して、困り事や各種相談への対応、交流の場づくりなどをお手伝いしているという、そういう熊本県の事例もお聞きしました。大分県としても、いろいろな形で市町村を支援して、被災者の皆さんへの対応を引き続き行っていただきたいと思います。
○
井上伸史議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 ただいま井上明夫議員から、九州北部豪雨災害について種々御心配の点、御質問をいただきました。 担当の部長からお答えを申し上げたとおりでございますけれども、みなし住宅にお住まいの皆様方がまだたくさんおられるわけでございます。この方々についてはとにかく急いで住宅をつくらなければいけないということで、市当局ともお話をして、市営住宅等も含めまして落ち着いて暮らせるところを急いで世話をしようとしているところでございます。それまでの間、御心配のように、いろいろなケアについてはこれも十分に手当てを尽くしていかなきゃいかんなと思っているところでございます。 それから、農地だとかあるいは店舗といった暮らしのもとになる諸施設の傷みにつきまして、農地につきましては特に御質問がありましたように、今度の植付けの時期までに何とか間に合うようにということで急いでやっておりますけれども、河川や道路等の復興との関係でやっぱり時間がしばらくたつところがありますけれども、そういうことのないものについてはできるだけ植付けに間に合うように、とにかく生活の糧になるわけでございますから急いでいるところでございます。 商工関係では、国等の補助金等も充実しておりましたので、これを使いながらかなり復興が進んできているんじゃないかなと思っているところでございます。 もう一つ、大変御心配なのが、きっと河川や道路、それから急傾斜地等々の手当ての問題だろうと思います。特にこれについては梅雨が近づいてきているということで、住民の皆さんの御心配な気持ちもよく分かりますけれども、我々も梅雨が来てもまた去年と同じようなことにならないように、とにかく出水期までに急いで手当てを打とうと、やれるところはやるし、やれないところは大きな土のうを積むとか応急の手当てをやって、とにかく出水期にも被害が出ないようにやりたいとこう思っております。 いずれにしましても、住民の皆さんの不安がないように、迅速に柔軟性を持ってしっかり対応してまいります。いろいろ御心配がありましたら、どうぞ御連絡をいただければと思っているところです。ぜひ、しっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 広瀬知事からの復旧に向けての力強いお言葉、ありがとうございました。 一番災害の大きかった地域では、祭りであるとかいろんなイベントごとが今年度はほとんど中止になった地域もあるわけです。けれども、ようやく今月終わりぐらいから、やはり元気を出さなきゃいけないということで復興イベント等、よそからいろんな方がお見えになっていろんなことをしてくださったんですが、自分たち主催でようやく元気を出してやろうという計画もしております。また、いろんな皆さんの支援を受けながら、気持ちが折れないように、復旧に向けて頑張っていくように、私としても最大のバックアップをしていこうと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。 大きな4番目として、鳥獣被害対策について質問いたします。 昨年12月に公表された平成28年の大分県の農業産出額は1,339億円と、前年から52億円増加した一方、同年の農林水産物の鳥獣被害額は2億2,500万円で平成12年以降最低となっております。 これまで県は、鳥獣被害対策について、捕獲報償金制度の充実、集落ぐるみの防護柵設置、ジビエ加工処理施設の機能向上などに取り組んできました。加えて、本年度からは全国初となる狩猟免許の新規取得・更新に係る手数料などの減免を行うなど、狩猟者確保対策もあわせて進めるということで、そういう総合的な取組が被害の減少につながっているのではないかと思います。 しかしながら、中山間地域、また山間部が非常に多い大分県では、やはり鳥獣被害対策は農林業振興において非常に深刻な、切っても切り離せない問題であります。これまで以上に鳥獣被害対策を講じていくべきだと私としては考えております。 一方、国におきましても、鳥獣被害対策とジビエの利活用を推進するということで、30年度予算では野生鳥獣を地域資源として利用して、農山村の所得に変えるというような取組を広げていく方針を打ち出しております。そういうモデル地域をつくるということで、大分県も全国17か所のジビエ利用モデル地区に指定されたということが既に新聞でも報道されております。 今回の大分県の取組では、捕獲報償金についてはこれまでの一律単価から、ジビエ処理加工施設へ搬入した場合は千円の増額、搬入しない場合千円の減額と、最大2千円の差を付けて交付するように変更し、さらなるジビエの利用拡大を図ることとしております。 捕獲鳥獣の食肉利用が数%にとどまっている大分県の現状を踏まえると、ジビエの利用拡大は中山間地域の所得向上に大きく寄与する、そうなればいいと考えてはおりますけれども、捕獲報償金を処理加工施設への持込みの有無で区分するとなりますと、施設での受入れ・証明方法、またジビエの品質・施設の衛生管理をどのように進めていくのかという問題があります。また、自治体によりましては、獣肉処理施設が遠隔地にあります。例えば、日田市では上津江町に一つあるわけですけれども、日田市の大部分の場所からはかなり遠いものですから、現場で持ち込めるか持ち込めないかということで大きな混乱が生じるのではないかと思います。また、狩猟者の約7割が60歳以上という高齢化が進んでおりますので、このような取組を進めていくには、まず狩猟者の確保を進めていくべきだと思います。 そこで、今後の捕獲報償金制度の在り方と狩猟者の確保対策について県の考えをお伺いいたします。
○
井上伸史議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 まず、狩猟者の確保についてでございます。 これまで、若者・女性等を対象としたセミナーや初心者の研修等により、最近10年間は約5千人で安定して推移しております。今後、高齢化による狩猟者の減少が懸念されるため、今年度から狩猟免許申請の手数料等の減免を始めたところです。その結果、今期の免許取得者は平成10年度以降最高の423名となり、免許保有者のうち50歳未満は14%増加し、狩猟者の若返りが図られています。来年度は、狩猟税の不徴収対象を銃の有害捕獲専従者まで拡大し、さらなる狩猟者の確保に努めていきます。 次に、捕獲報償金制度でございます。 県では、国と同様に、来年度からジビエ処理施設への搬入の有無による単価差を設けることでジビエの利用拡大を図ることとしております。適用にあたりましては、現場で混乱が起きないよう搬入や証明方法等の運用基準を作成し、各地で説明会を開催した上で、猟期が始まる11月から実施する予定です。あわせて、処理施設の整備を支援し、受皿の拡大も図っていきます。これらの取組により、捕獲から搬入、処理加工を有機的に連携させ、ジビエの利用拡大を図ることによって農山村の所得向上につなげてまいります。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 捕獲報償金制度ですね、これによってジビエの取組拡大というのが非常に期待されるわけですが、この制度によって混乱が起きないように、繰り返しとなりますがお願いいたします。 ジビエ利用モデル地区に大分県がなったわけでありますけれども、やはりこのジビエ料理の普及や需要拡大、そこに力を入れないと、加工施設を充実してもなかなかその先がはけないということでありますので、その辺についてどのように取り組むのかお尋ねいたします。
○
井上伸史議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 県内には、今31の処理施設が運営されておりますけれども、個々の規模が零細で大口需要等に対応できておらず、規格、品質もばらばらといったような課題もございます。また、御指摘のように、消費の面でも需要の面でもなかなか周知ができていないというところもございます。 そういったことで、今回の指定を受けまして、今ある大分ジビエ振興協議会、これは29年11月に設立されておりますけれども、ここを中心にいろんな取組を行っていこうと考えております。研修会の開催でありますとか肉の規格、品質、あるいは表示等の統一、それから国の認証を取得して肉質の向上を図っていくと。そういった取組に加えまして、県内外でのプロモーション活動の強化、それから料理教室や料理コンテストの実施、それとジビエ料理店舗等のマップ化、学校給食への普及等によりまして認知度の向上と消費拡大を図っていき、大分ジビエのブランド力の向上を図っていきたいと思っております。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 中山間地や山地のみならず、最近では市街地でも非常に有害鳥獣、そういう被害が拡大をしております。そういう傾向があるようです。そのような有害鳥獣が、ジビエという形で特産品になるということになりますと、正にわざわい転じて福ということでありますので、今後の取組の効果に期待をしたいと思います。 最後に、学校教育の問題について質問をいたします。 現在、国をあげて働き方改革に取り組んでおり、大分県でも働き方改革推進会議を立ち上げて取り組んでおります。そのような中、最近特に働き方改革の必要性を指摘されているのが学校現場であります。 文部科学省が平成28年に行った教員勤務実態調査によると、小学校教員の33.5%、中学校教員の57.7%の勤務時間が週60時間以上となっており、月80時間以上の過労死ラインを超える時間外労働をしております。しかも、このデータは自宅残業を含んでいない数値であります。 また、小中学校の70%超が教員の出退勤時間をタイムカードなどで記録していないとされております。これは、かつて昭和47年、1972年に教育職員給与特別措置法ということで、残業代を払わない代わりに基本給の4%を調整額として全員に一律支給することを決めたという法律がある、これが一つの大きな要因と思いますが、文科省からは本年2月9日付で勤務時間管理の徹底などを求める通知が出されております。 このような動きがある中、大分県では教員の働き方改革に今後どう取り組んでいくのかお伺いいたします。
○
井上伸史議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 教員の働き方改革についてお答えいたします。 今、学校が抱える課題がより複雑化し、困難なものも多くなり、学校の役割が拡大せざるを得ない状況の中で、子どもと向き合う時間を確保するためには働き方改革を推進する必要があると考えております。 そこで、来年度は
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、スクールサポートスタッフなどの専門スタッフの活用や部活動指導員などの外部人材の活用促進によって、業務の役割分担・適正化を着実に進めて、チーム学校の推進を図ることとしております。 さらに、県立学校においては、タイムレコーダーの導入による時間管理の徹底やICTの活用による業務改善、盆期間の学校閉庁などに取り組むこととし、市町村教育委員会に対して同様の取組を要請しているところでもあります。 今後、順次行われます新学習指導要領の着実な実施と学校における働き方改革の推進のため、国の状況も見極めながら環境整備に努めていきたいと考えております。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 教員の多忙化の原因としていろいろな要素がある中、部活動に関わることというのは非常によく指摘されるわけですが、さきほど部活動指導員ということも出てきましたけれども、佐賀県では部活動指導員の導入を市町村に呼びかけております。私、昨年の3月も部活動指導員の導入について質問いたしまして、そのとき答弁の中では、他県や市の状況を調査しながら検討するということでありましたが、部活動指導員について大分県として具体的な動きがあればお願いいたします。
○
井上伸史議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 部活動指導員の導入についてお答えをいたします。 本県でも、多くの市町村が部活動の質の向上や教員の負担軽減のために、中学校への部活動指導員の導入を検討しているところであります。また、高校では、専門的指導力の不足による顧問の負担軽減が課題となっております。 このようなことから、中学校、高校において、単独で部活動の指導や大会などへの指導ができる部活動指導員の配置を行うための予算を来年度計上しております。 中学校については、国庫事業を活用して、市町村が配置する部活動指導員に対して30校60名分の報酬などを補助する計画としております。高校については、学校規模などを勘案いたしまして、3校6名の配置によって部活動指導員の効果的な活用について実践研究を行うこととしております。また、学校教育の一環として適切な部活動指導が行われるよう、部活動指導員を対象とした安全管理や体罰防止を含む指導力向上研修も実施していきたいと考えております。 今月末に国から提示されます部活動の在り方に関するガイドラインの内容を注視しながら、部活動指導員の効果的な活用に努めていきたいと考えております。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 日本体育協会の調査の結果というのがありますけれども、運動部顧問の4割は担当する競技の経験がないという調査結果も出ております。 昨年12月には、大学の教授を中心に日本部活動学会が発足しておりまして、その会長の学習院大学の長沼教授の言葉ですが、部活には教員のボランティア精神に甘えてきた面があるというようなことも指摘されております。部活動指導員、いよいよ導入ということでありますので、教員の働き方改革を進めて、
子どもたちによりよい教育を行っていけるようによろしくお願いいたします。 それから、最後ですが、小学校教員の英語指導力について質問いたします。 小学校では、2011年から5、6年生を対象に外国語活動が導入されておりますが、2020年度から正式な教科として英語が導入されるということになっております。教科ということになりますと、これまでの話す、聞くことに加えて読み書きの基礎も入って、教科なので評価の対象となるということです。 グローバル化した世の中にあって、早くから英語に親しむこと自体は大変よいことであると思いますけれども、さきほどから質問しているように、教員の皆さんの多忙化が大変問題となっている中で、ここに新たな教科として英語が加わるということでありますので、この英語の指導力を小学校の教員の皆さんが身につけるためにどのような取組を考えているのかお尋ねいたします。
○
井上伸史議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 小学校教員の英語指導力についてお答えいたします。 新学習指導要領では、子どもが何ができるようになるかに重点が置かれ、英語教育では、聞く・読む・話す・書くのいわゆる4技能によるコミュニケーション能力の育成が課題であります。小学校の指導内容は、日常生活に関する身近で簡単なやりとりであり、例えば挨拶、自己紹介などの平易なものであります。 2年後の全面実施に向けて、英語の授業をしたことがない小学校教員が多数いることから、具体的な英語の授業の仕方を身につけさせることに今腐心をしているところであります。 一つは、教科書が決定されるまでの間、文部科学省作成の教材を使った授業の動画を教育庁チャンネルで配信して、授業の研修を進めて、2年後のスタートに備えるものであります。 二つは、指導主事や国・県の専門的な研修を受けた約350名の教員の指導の下、繰り返し校内研修を実施するほか、来年度は英語の専科教員を数名配置するとともに、引き続き定数の充実を文部科学省に要請してまいりたいと考えております。 海外経験のある地域人材の活用やALTの増員を計画している市町村もあるところであります。教員も
子どもたちも、英語を楽しく学んで力を付けていけるように支援していきたいと考えております。
○
井上伸史議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 教員の皆さんの中には、自分が英語を教えるとは夢にも思わなかったという方もたくさんおられると思います。本当に大変だとは思いますけれども、多くの
子どもたちにとって初めて英語の授業を受けるのは小学校ということになってくるわけです。最初に英語にどのように関わるかということによって、将来的にその子が英語が好きになるか嫌いになるかという、そういう大きな影響をする可能性もあります。教員の皆さんが余裕を持って英語の指導力向上に取り組むことができるように、働き方改革も含めてどうか対応をお願いいたします。 以上で質問は終わります。ありがとうございました。(拍手)
○
井上伸史議長 以上で井上明夫君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。 午前11時57分 休憩
------------------------------- 午後1時0分 再開
○御手洗吉生副議長 皆さんこんにちは。 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。二ノ宮健治君。 〔二ノ宮議員登壇〕(拍手)
◆二ノ宮健治議員 皆さんこんにちは。26番、県民クラブ、二ノ宮健治でございます。 4度目の一般質問の機会をいただきまして、感謝を申し上げます。また、今日は大変お忙しい中を由布市をはじめたくさんの応援団の方、来ていただきまして、大変心強く思っております。また、大変うれしいことなんですが、20歳の人たちも見えておりますし、観光、それから森林、福祉関係、今日一般質問をする関係者もたくさんお見えです。そういうことで、ぜひ知事、その辺を御配慮の上、前向きな回答をよろしくお願いいたします。 私の質問はいつも提案型、今回も四つの提案を心がけています。回答としては大変難しいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。そういうことで、質問に入ります。 まず、観光振興についてお聞きいたします。 来る4月1日に、いよいよ待望の由布市ツーリストインフォメーションセンター、通称TICが完成し、オープンの運びとなります。 先日、早速私も見学に行ったんですけれども、県立美術館OPAMを手がけた坂茂氏の設計による斬新なデザインの建物で、正面に真っ白な雪化粧をした由布岳、そしてちょっと後ろを見ると、JR由布院駅の中にゆふいんの森号が発着をするというようなところであります。正に、世界の観光地を自負する由布院にマッチした大変すばらしい施設ができ上がりました。 ここに至るまでの間、国をはじめ、広瀬知事には多大なお力添えをいただきまして、TICはまさしく広瀬知事の観光地由布院への期待と、それから思い入れのたまものであろうと思っております。由布市民を代表して厚くお礼を申し上げます。 こうした中、今、由布地域では、日本版DMO候補法人として認定された由布市まちづくり観光局や観光協会を中心に、日々知恵を出し合い、全国でも例の少ない旅の図書館の設置や、県内市町村はもちろん、九州管内の観光情報の発信、由布市を起点とした周遊観光の促進など、九州観光のハブ拠点に向けた準備に余念がありません。 そこで、この提案ですが、由布市TICをツーリズムおおいたの由布市分室的な位置付けにできないかというお願いであります。 由布市TICの弱いところは、観光のプロ、外国人対応などの専門人材が不足していることです。そして、ツーリズムおおいたは観光の現場、フィールドを直接的には持っていません。 観光戦略は、観光客の生の意見を聞きながら立案していくことが大切であり、この点、年間400万人の観光客をおもてなししている由布院観光には強みがあります。来年の
ラグビーワールドカップでは、大変魅力的なビッグカードが本県で予定されております。欧州やオセアニアからの新たな誘客確保など、由布院観光の現場、フィールドには、この先大きなチャンスが待っていると思っております。 私は、県の観光振興を推進する現場の第一線である由布市TICと、観光宣伝や観光誘客の企画やマーケティングのプロであるツーリズムおおいたとの新たな連携により、県観光の新しい魅力が引き出されるのではないかと考えています。 由布市TICを活用した今後の県の観光戦略については、昨年質問いたしましたが、由布市TICをツーリズムおおいたの由布市分室的な位置付けにという私の提案への前向きな答弁も期待しつつ、改めましてオープンが間近に迫った由布市TICへの知事の思いを聞かせていただきたいと思っております。 再質問は対面席から行わせていただきます。 〔二ノ宮議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○御手洗吉生副議長 ただいまの二ノ宮健治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 二ノ宮健治議員から由布市民待望の由布市TICについて御質問を賜りました。 4月1日のオープンに向けて、順調に準備が進められていると伺っております。由布市は県内でも人気が高い観光地で、国内外から多くの観光客が訪れますから、本県の観光振興にも大きな効果があると期待をしているところであります。 由布市TICには、由布市はもとより、本県や九州観光を代表するハブとして、二つの機能を発揮してもらいたいと期待をしています。 一つは、広域観光を促すワンストップ窓口としての役割であります。 少人数や個人での旅行が増えまして、また着地型の観光が多くなる中で、現地での観光情報の提供がより大切になります。由布市のみならず、県内他地域や九州広域の観光情報を提供するほか、相談に応じて周遊コースや旅行商品の紹介を行うことにしています。 このため、TICで観光情報を集約するとともに、広域観光の案内ができる人材の育成が必要であります。また、県内外の観光案内所と
ネットワークを持つことも大事になります。県では、ツーリズムおおいたと連携し、こうしたTICに必要な取組を支援してまいります。 二つ目は、現場の第一線として、ツーリズムおおいたと連携して旅行商品のマーケティングや企画に貢献してもらうことであります。 体験型観光の人気が高まっておりまして、現地で様々な体験をしてもらうというような着地型の旅行商品の造成が大事になります。そこで、ツーリズムおおいたは、旅行商品の企画・造成・販売を行い、TICは観光客からその評判等を聞いて検証し、ツーリズムおおいたにフィードバックするというPDCAサイクルをつくりたいと考えております。 現在、ツーリズムおおいたでは、マーケティングや企画機能を強化しており、またネットで予約ができる販売システムを開発したところであります。こうしたツーリズムおおいたに、TICが現場の声を随時あるいは定期的に届けて、情報共有と意見交換が円滑にできるよう県としても関わってまいります。 こうしてお話を申し上げましたように、TICは設立の狙いからして由布市の観光振興と大分県の観光発展の拠点として位置付けられております。したがって、ツーリズムおおいたの分室というようなことを改めて御心配するまでもなく、TICとツーリズムおおいたは、お互いの役割を発揮して連携することが当初から意図されていると考えていただいてよいと思います。 県は、由布市TICが全国に先駆けたTICとなるよう、関係者と連携を図って、自立して運営ができるようにしっかりと支援をしてまいりますから、どうぞ御心配のないように。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 大変ありがとうございます。 ついでに、もう一つお願いをしたいと思います。 御存じのように、TICをめぐるこの事業は、国の社会資本整備総合交付金事業、まち交というんですけれども、28年度から32年度までの5か年計画で事業を行っています。この事業は、由布院駅前を中心とした慢性的な交通渋滞、そして訪日観光客増加に伴う受入れ態勢の整備、観光案内の増加への対応などの課題を解決するために、観光形態の変化に伴う観光客への案内対応、そして駅前周辺における観光客や住民の安全対策の推進、さらに交流機関の創出、そして最後に由布院らしさを満喫できる動線整備などの計画が立てられておりまして、TICはこうした事業の一環として完成したと理解をしています。つまり、このTICを核とした駅前通りの整備やバスセンターの充実など、総合的な周辺整備の完成によって、初めてTICが九州のハブとしての力が発揮できるものと考えます。由布市単独では非常に荷の重い事業です。そういうことで、ぜひTICが所期の目的を達成し、県観光の第一線に立って県観光をしっかり堅持していくためにも、この事業に対する県の心強い御支援を重ねてお願い申し上げたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
○御手洗吉生副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 まちづくり交付金の一環としてTICプロジェクトが進んでいるというお話がございましたけれども、実は逆でございまして、TICのお話があり、そのときにせっかくTICをつくるならば、やっぱりあの由布院駅の周り、タクシーのとまる場所とかバスのとまる場所とか馬車のとまる場所とか、いろんなものが大変入り組んでいるんで、そこをあわせて整備しようじゃないかと。トイレも足りないねというようなことで。そんなことで由布市さんがTICをつくるにあたって、県や国から応援を、つくるにあたってはそういうことも一緒にやった方がいいんじゃないかということでやらせていただいたわけでございます。議員御心配のように、まちづくり全体とともにやっていくということが大変大事だと思っております。我々もそんなつもりでこれからTICだけじゃなくて、まちづくりも含めてしっかりと応援をしていきたいと思います。何しろ、由布市の観光はおんせん県おおいたの中核的なものでございますから、我々も県の問題としてしっかりと応援をしていきたいと思っております。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 すみません、安心をいたしました。由布市以上に県の方が考えていただいているということで、ぜひよろしくお願いいたします。 今、ゴールデンルート、そういうところに観光客が集中しているといわれています。ぜひ、インバウンド等の中で大分にそういう人たちを引き入れる、由布院の魅力を使いながら、これからもぜひ大分県の観光のためにもしっかり頑張っていきますので、県を含めての応援をよろしくお願いいたします。 次に、地方創生の推進について、質問に移ります。 質問に入る前に、地方創生について少し私の考え方を述べさせていただきます。 地域を元気にしたいとの思いから、3年間、執拗に地方創生について真剣に向き合い、質問をしてきました。 そのようなときに、長野県飯田市長の牧野さんが主張する円卓の地域主義に出会い、心酔をしてしまいました。その地域主義とは、共生の場づくりからよい地域が生まれるとの考え方です。そして、この共生を次のように説明をしています。「人々が地域の一員となり、地域に参加し、地域に関与し、地域に必要な役割を担い貢献すること。」これから質問する地域コミュニティ組織や
地域包括ケアシステムを進めるための生活支援、介護予防の組織も、この共生という精神、つまり後で出ますが、互助の精神がなければ、このことを含め、地方創生がうまくいかないという持論を持っています。そういうことを展開して、質問に入ります。 まず1点目は、生活支援・介護予防についてですが、団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となる2025年度を見据えて、
地域包括ケアシステムの構築に向けた取組が各地域で進められています。 このシステムは、高齢者が住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らせるよう、医療と介護の連携を中心に、生活支援・介護予防をその大きな柱に据えています。この生活支援・介護予防は、老人クラブや自治会、ボランティア団体など、地域住民の自治・互助の力により行われています。 そこで、お尋ねをいたします。
地域包括ケアシステムの導入開始から6年が経過しようとしています。大分県の
地域包括ケアシステムは全国トップクラスの成果を上げているとのことですが、各市町村における生活支援・介護予防の取組状況についてはどのように評価し、今後の普及拡大を図ろうとしているでしょうか。
福祉保健部長のお考えをお聞かせください。 次に、人口減少社会における部局間連携についてです。 こちらは、企画振興部が所管をしているようですが、地域コミュニティ組織という住民組織があります。これは、県が進めている
ネットワークコミュニティの主要な担い手として、工夫を凝らしながら取組を行っていますが、県はくらしの和づくり応援事業等を通じ、その設立を推進していると聞いています。 そこで、提案なのですが、地域コミュニティ組織の中に
地域包括ケアシステムの生活支援・介護予防を組み入れてはどうでしょうかという提案です。言うなれば、地方創生と
地域包括ケアシステムのコラボレーションです。私は、この二つの組織の目指すものは同じだと考えています。 人口減少が急激に進む中で、各地域はマンパワーの確保に大変苦慮しており、限られた人員をより効果的に活用しながら、最大限の効果をあげていく工夫が求められています。 県においては、これまで以上に、部局を越えた緊密な連携を進めていく必要があると考えています。県行政の総合企画・総合調整を担う廣瀬
企画振興部長の腕の見せどころだと思っています。私の提案への見解も含め、今後の人口減少社会における部局間連携の在り方について、部長のお考えをお聞かせください。
◎長谷尾雅通
福祉保健部長 生活支援・介護予防についてお答えを申し上げます。 まず、生活支援についてでございますけれども、一人暮らし高齢者等に対しまして、配食、ホームヘルプなど、様々なサービスが市町村事業として提供されております。しかし、対象者の増加とニーズの多様化に伴いまして、担い手の確保が課題となっているところでございます。このため、市町村が配置する生活支援コーディネーターが担い手の養成・発掘に取り組んでおり、例えば自治会やボランティア等による有償家事援助等が行われております。今後は、元気な高齢者などが参加する多様な組織づくりを進めるため、県内の好事例の横展開などに向けまして市町村職員研修やアドバイザー派遣を実施いたします。 次に、介護予防についてでございます。 住民主体の介護予防教室へ月1回以上通う高齢者の参加率は17.8%となっておりまして、これは実は全国トップクラスでございます。これまで実施してきましためじろん元気アップ体操とともに、栄養改善や口腔機能の向上等にも取り組むことが重要であります。このため、住民のリーダー向けのマニュアルを作成いたしまして、取組の強化を図ります。今後も、地域の主体的な取組により、生活支援・介護予防をさらに進めてまいります。
○御手洗吉生副議長 廣瀬
企画振興部長。
◎廣瀬祐宏
企画振興部長 私から、人口減少社会における部局間連携についてお答えをいたします。 集落機能を広域で補い合う
ネットワーク・コミュニティの担い手として、住民組織やNPO法人、社会福祉法人や婦人組織など、多様な団体が現在活動しております。 国東市の竹田津地区では、
地域包括ケアシステムに取り組む市社会福祉協議会の生活支援コーディネーターが
ネットワーク・コミュニティを担う住民組織くらしのサポートセンターかもめと協働して、高齢者健康サロンや食事会、移動サービスなどを行っています。竹田市の双城地区でも、
地域包括ケアシステムの生活支援サービスを
ネットワーク・コミュニティの活動に取り入れています。このように、議員御提案の取組も含めまして、それぞれの地区の実情に応じて
ネットワーク・コミュニティの構築と活動が進んでいます。 県は、まち・ひと・しごと創生について、部局横断で総合的に取り組むために、平成27年度に総合戦略を策定して以降、人・仕事・地域・基盤の四つの柱で各部局がそれぞれの役割を果たしながら、企画振興部が調整役と全体の進捗管理を行っているところであります。引き続き、市町村ともしっかり連携を図りながら、全庁をあげて知恵を出し合って人口減少社会への対応に取り組んでまいります。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 今回の質問は大変難しいんですけれども、理解していくために資料を用意させていただきました。 図1は、私がさきほど提案した、創生とそれからケアシステムのコラボの図です。図にすれば、一目瞭然だと思います。しかし、私はこのコラボを進める上で、この図から二つの心配なことを指摘をしたいと思っています。 一つは、図1の左側の地域協議会組織です。これを振興局とかがよくつくっていただいているんですけれども、これまで健康福祉部以外のスポーツ部会などがありますが、こういうものについては地区の公民館活動などが取り組んできた得意な分野ですが、超高齢化社会の中での地域づくりの必須科目、その中の健康福祉部会については、ほとんどの地域が初めての取組で戸惑っているということです。 それから二つ目は、下の図ですが、これは自助・互助・共助・公助の役割を書いています。介護保険が、在宅での介護を今打ち出しています。その在宅介護は、この図で言えば、下の共助・公助を減らして、そして上の自助・互助を増やすことだと思っています。しかし、厄介なことに、以前は自分たちの地域のことは地域で解決するという、右の端にあります互助はあたり前だったのですが、日本の高度成長期を機に、大方のことをその下の公助、つまり行政に頼るようになってしまいました。今の地域には、互助という考え方が弱くなっていることが問題ではないかと考えています。 そこで、地域コミュニティ組織も、生活支援・介護予防を進めるための組織も、このことがネックになってなかなか組織化が難航していると思いますが、このことについてどのようにお考えか、
企画振興部長にお聞きをします。
○御手洗吉生副議長 廣瀬
企画振興部長。
◎廣瀬祐宏
企画振興部長 今現在、県内の市におきまして、住民組織の地区協議会でありますとか、あるいはまちづくり協議会といった組織がかなり進んでいる、例えば宇佐市でありますとか臼杵市でありますとか、そういったところがあります。こういった住民組織をつくっていただいて、
ネットワーク・コミュニティの活動の中心的な役割を担っていただくということが大切であると考えております。 このように、各市において進んでいるところもありますので、進んでいないところにつきましてはぜひ地区協議会、県と一緒になって取り組んでいただきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 次に、
福祉保健部長にお聞きをします。 今私が提案いたしましたこのコラボのこと、それから今言いましたように、地域の中でなかなか組織づくりが難しいと思うんですけれども、そのことについてどのようにお考えでしょうか。
○御手洗吉生副議長 長谷尾
福祉保健部長。
◎長谷尾雅通
福祉保健部長 今日は議員から大変分かりやすい資料をお示しいただきましたけれども、上の図1でございますけれども、正にこういった姿が今後必要になってくるんだろうと思っております。 その中で、図の2の方でございますけれども、この互助という考え方でございますけれども、まず互助は、議員も少しおっしゃいましたけれども、なかなか今都市部では非常に難しい部分が出てきているんだろうと思います。一方で、都市部以外で、いわゆる民間市場とか民間サービスがまだ出てきていないということになりますと、やっぱり互助をしっかりやっていかなければならないと私も感じております。 そういった中で、さきほどの地域コミュニティ組織との連携というのは非常に大事な部分だと思います。多分、いろんな部分で同一の方がダブって登場して担い手になっているんだろうと思いますので、そういった意味でも有効な手段と捉えてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ここに資料があるんですけれども、KPIの中で1,500集落を
ネットワーク化ということが定められています。今、実際にでき上がっているのは1,107という資料をいただいています。確かに、数はできているんですけれども、この所期の目的であります、
ネットワーク化された組織が、本当にそこに住み続けるためのものになっているかどうかということを大変危惧をしています。 それから、福祉の方から見ると、中津、竹田、国東等については組織化は進んでいるんですけれども、なかなか県全体にはなっていないんじゃないか。そのネックになっているのが、さっき言ったような、私も挾間町の谷というところに住んでいるんですが、今、谷地域にこの地域コミュニティの組織をつくろうということで真剣になっていますけれども、やはり高齢化の中で、この先のことは分かっているけれども、さっき言ったような事情でなかなか難しいという現実があります。 そういう中で、今回の質問をまとめると、地域コミュニティ組織も生活支援・予防介護を進める組織も、最低でも小学校単位でしっかりした組織がなければ自助を進めることは困難だと思っています。 しかし、その組織がさきほどの理由で大変難しいという中で、そこで地方創生推進の要である企画振興部の指導によりまして市町村と連携をして、まずしっかりとした地域コミュニティを立ち上げる。そして、その中にこの介護予防をはじめとする地方創生に関わる事業を入れていくという手法が効果的だとの提案です。そのためには、今まで以上に綿密な部局間連携を図ること、それに対応する新たな組織が必要と考えますが、再度、
企画振興部長のお考えをお伺いします。
○御手洗吉生副議長 廣瀬
企画振興部長。
◎廣瀬祐宏
企画振興部長 議員から御提案、御指摘がありましたとおりで、しっかり
ネットワーク・コミュニティを進めるにあたりましては、その地区集落で地域コミュニティ組織、住民の方による組織をつくっていただいて、そこが核となって取り組むというところが大切と考えております。 現在、県内48地区で
ネットワーク・コミュニティがつくられております。18市町村のうち、まだ
ネットワーク・コミュニティに取り組んでないところが四つございますけれども、議員の地元の由布市につきましては、今二つの
ネットワーク・コミュニティで取組が行われております。こういった動きを市町村と一緒になって、集落、現場に出かけていって、引き続き進めていきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。 国東市の上国崎地区という福祉協議会を見せていただきました。本当に、行政主導でなくて自分たちでよくこんなにいい組織ができたなあと感心をしています。ぜひ、組織をぴしっとつくって、その上に地方創生を入れていかないと。もう5分の3が終わったんですけれども、なかなか温度差があってうまくいっていないところもあるんじゃないかと思っています。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。 次に、林業振興ですが、竹林・竹材の課題について質問をしたいと思います。 まず、竹林の適正管理について知事にお聞きをします。 県林業統計によりますと、本県の森林所有者数は18万6,973人ですが、実に9割を超える17万人が5ヘクタール未満の小規模な森林所有者です。農村部に行くと、ほとんどの家が1ないし2ヘクタール程度の山林を所有していますが、高齢化が進む中、多くの山林で管理が行き届かず、特に手をやいているのが竹の被害です。山の手入れをしなくなると竹がすぐに山を覆い尽くし、杉やヒノキを枯らします。また、台風の際には、折れた竹が水路や河川に流れ込み、大きな被害をもたらしますし、市道や県道周辺部では竹による通行の妨げも見られます。このように、竹の被害は農山村の住環境を悪化させる原因となっていますが、高齢化や担い手不足を背景に、住民の自助だけでは解決が困難になっています。 本県の竹林面積は全国で第2位です。それだけに、竹が及ぼす里山環境への影響は大きく、森林や農山村を守るためにも竹害の拡大防止が急務だと考えます。地域を守り、地域を活性化するという地方創生の観点からも広く林業を考え、竹林を適正管理し、良好な里山環境を保つことが望まれます。このことに対する現況認識と今後の取組の方向性についてお尋ねをします。 竹について、少し具体的な提案をさせていただきます。竹を利用したバイオマス発電についてです。 竹は、カリウムの含有量が多いことに加え、塩素濃度も高いために燃焼設備や環境に悪影響を及ぼすことから、バイオマス燃料としては利用されていませんでしたが、昨年、日立製作所が竹をバイオマス燃料にする技術を開発したと発表し、話題を呼んでいます。 再生エネルギーとしてのバイオマス発電は、燃料確保に課題があり、海外の燃料を使うケースが目立っていると聞いております。竹をバイオマス発電に活用できるようになれば、林業と発電事業者の双方にメリットが生まれます。また、地域の雇用創出のほか、里山環境が整備され、山林や農山村の住環境が守られることも期待できます。正に、一石三鳥ぐらいの効果がありそうですが、竹林面積全国1位の鹿児島県では取組が進みつつあると聞きます。 そこで、竹を原料としたバイオマス発電の実証実験に向けた取組ができないかについて、
農林水産部長にお聞きをします。 次に、森林組合についてですが、このような状況の中で、地域の山林荒廃に果敢に立ち向かっていただいているのが森林組合です。 高齢化の進行、山林を管理する担い手不足が深刻化する中、間伐や下刈りの受託作業など、森林組合は正に里山を守る救世主と言っても過言ではありません。 県内には13の森林組合がありますが、それぞれ程度は異なるものの、人手不足などから経営基盤は盤石でないと聞いております。 林業を守る、里山を守るために、今後、森林組合の役割はますます重要になると思われます。地域を守り、地域を活性化するという地方創生の視点からも、県として森林組合にどのような役割を期待しているのか、県の見解をお尋ねいたします。よろしくお願いします。
○御手洗吉生副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 二ノ宮健治議員から竹林・竹材等をめぐる諸課題について御質問を賜りました。 まず、私から、竹林の適正管理についてお答えを申し上げます。 里山の竹林は、かつて竹かごなどでの竹材利用やタケノコの生産場所として活用されることを通じて維持管理されてきたわけでございます。 県内の竹林は約1万4千ヘクタールありますけれども、近年は竹材利用が減少したこともありまして、管理ができずに竹やぶとなったものが増えております。また、竹は繁殖力が強くて、隣接する人工林や里山の広葉樹林等へ侵入し、森林の健全な成長が阻害されたり、あるいはまた景観や生活環境が損なわれるといった問題も出てきております。 竹林管理にあたりましては、タケノコ等の生産林として活用する箇所と、森林を守り景観を保全するため荒廃した竹林を整理する箇所に分けて、対策を行うことが重要だと思います。 生産林として管理されております竹林は、現在1千ヘクタール程度でありまして、良好な状態で維持するためには、肥料をやったり用途に応じた密度管理が必要であります。このため、竹林所有者などを対象に竹林学校を開設いたしまして、竹材やタケノコ生産の技術研修を行っているところでございます。また、荒廃した竹林を生産林に回復する生産者に、伐採経費等を支援しており、毎年15ヘクタール程度が優良な竹林に再生されております。 こうした取組を進める中で、民間で国産タケノコを利用する動きも出ております。以前は中国産等に押されておりましたけれども、消費者の国産指向に伴いまして、10年前と比べまして県内生産量は4倍の530トン程度に増加しております。県内の食品メーカーも、原料を国産へ転換しておりまして、その需要を取り込んでおります。 次に、荒廃した竹林の整理につきましては、集落や観光地の周辺、道路沿いの景観を損ねている箇所の伐採を行いまして、広葉樹林への転換を進めているところであります。大分空港道路の沿線では、繁茂した竹を平成25年度から整理した結果、景観も回復し、観光客のイメージアップにつながっております。湯布院インターチェンジから旅館街の方に下りていく道につきましても、同じように整理をやりました。これらの取組は、行政だけではなくて、地域住民やNPO団体も主体となって実施していただいておりまして、地域の活性化にも貢献しているところであります。 来年度からは、杉などの人工林の間伐にあわせて周辺の竹林の除去を行う場合に、竹林所有者の負担を求めない制度を設けて荒廃竹林の整備を加速いたします。また、新たな動きとして、バイオマス発電の燃料に活用する試みやセルロースナノファイバーの実用化に向けた技術開発が進められておりまして、その可能性についても注目しているところでございます。議員御指摘のとおりでございます。 このように、竹林の有効活用と地域の環境保全を両輪とした取組を進めまして、美しい里山を将来にわたって保全していきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 竹を利用したバイオマス発電についてお答えします。 県内では、大規模な木質バイオマス発電所が稼働しており、燃料として山林未利用材の有効利用に加え、一部の発電所では竹の利用にも関心を示しています。 中でも、日田市のグリーン発電大分では、竹チップ燃料による発電の実証事業に取り組んだ結果、木質チップと竹チップの混焼で、竹の割合が5%程度なら燃焼設備等への問題も生じないとしています。一方、竹は木材に比べ、伐採や運搬にコストがかかるため、バイオマス燃料としては割高で採算がなかなか合わないといったことが課題となっています。 このため、来年度から2か年の地域課題対応枠事業として、中部振興局管内におきまして、竹の伐採コストを見える化する実証を行うこととしています。具体的には、竹の生育状況や伐採・運搬方法等に応じた生産コストと、発電所が買い取るバイオマス燃料の価格について、実際に現場で実証してみて、これらを比較分析するといったものでございます。この結果を踏まえ、竹の燃料利用の可能性につきまして、発電事業者や竹チップ供給事業者と協議を進めることとしたいと考えております。 次に、森林組合についてお答えをします。 森林組合は、造林や下刈りなど育林作業の大半を担っており、主伐への本格移行を進める本県林業にとって重要な役割を果たしています。 近年では、県外など遠隔地に住む組合員が増加し、その所有森林の経営・管理受託への対応など、これまで以上に高い能力が求められています。 組合の中には、明確な事業目標を掲げ、集約化や事業地の確保により組合員の所得向上に寄与するほか、認定林業事業体として木材生産に力を入れ経営の裾野を広げるなど、他の模範となるところも出てきています。他方、一部の組合では、財務体質の低下や人材不足により、組合員からの施業要望に十分応えられていないところもあると聞いております。 これまでも、普及員等による経営改善指導や研修などを通じ、経営基盤の強化や人材育成を後押ししており、引き続き経営状況に応じたフォローアップを行っていきます。全ての組合が、これまで以上に組合員の利益の最大化を目指すことで、豊かな森林環境の保全や山村地域の活性化につながることを期待しています。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。 さきほどから何度も説明したんですが、竹というのは本当に採算ベースに乗りにくい。しかし、もうこのまま放置すれば、その放置竹林が年々拡大して里山環境を確実に破壊していくんじゃないかと。田舎に住んでいれば住んでいるほどそう感じています。特に、さきほど言いましたように全国2位の竹林面積を有している大分県ですから、やはりたとえそのベースに乗らなくてもいろんな取組をやるべきだと考えています。 さきほど、部長から、中部振興局で2年間にわたる事業をというお話を聞いたんですけれども、ちょっと理解ができませんでした。もう少し詳しくお願いします。
○御手洗吉生副議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 もう少し具体的に申し上げます。 竹の伐採・運搬にコストがかかるということですから、そのコストがどのくらいかかるのかということを見える化する。そのために、竹の竹材状況、例えば点在しているところ、あるいは密集しているところ、そういったところで伐採して、そういった箇所にどのくらいのコストがかかるのかといったこと。それに加え、その伐採したものを一次破砕所に通常持っていきますので、その一次破砕所がどのくらい離れているのか。例えば10キロメートル以内なのか、それよりも遠いかであるとか、そういった距離的な問題、そういったところでのコストの見える化。そして、竹チップにすることについてもどのくらいコストがかかるのか。そういったところのコストをしっかり一つ一つ押さえていって、バイオマス発電事業者で買い取っていただいて、それがちゃんと見合った形になるのかどうかといったところまで実際にやってみるというところでございます。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 もう一点、お聞きします。 さきほど、日立製作所の取組を少し言いました。それから、大分大学の衣本教授が、竹の燃料電池用ということでセルロースナノファイバーについて今、新聞等をにぎわせています。このことについて、担当部長としてどのように考えているかお聞きをします。
○御手洗吉生副議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 まず、日立製作所の取組でございますけれども、確かに議員おっしゃるように非常に興味のある、これから未来を切り開くような取組だとも思います。一方で、カリウムなどを取り除くときに、微粉末にして水にと、確かそういったような技術でございましたから、そういったところをやると、やはりよりコストが高くなると。その辺のコスト問題をこれからどう解決するのかなといったところは、注意をしていく必要があるかと思います。 それから、蓄電池利用のカーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、これにつきましては燃料電池といったところは、この技術は世界がしのぎを削って開発している技術でございます。もしこれが蓄電池に本当に有効であるというような技術になれば、これはもう本当に大変な発明だと思っております。この辺のところもしっかりと注視してまいりたいと思ってございます。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 今日は竹のことについて質問したんですけれども、この竹問題については、先日、知事にお越しをいただいた由布市挾間町鬼瀬のふれあいトークの中でも話題になりました。そのときに、今言いました日立製作所の取組、そして大分大学の衣本教授からナノファイバーについて本人から説明がございました。この説明を聞いて、私はその竹を取り巻く情勢、何かそういうものが大きく変わったように感じました。 さらにさきほど出たんですけれども、国でも森林環境譲与税による譲与が平成31年から始まります。恐らく、これも森林に対する取組をどうしてもしなければならないというようなことの中でこの新税ができたと感じています。これを財源とした、さきほど言いました竹林対策に取り組む絶好の機会であると考えています。 また、大分県は再生可能エネルギーのトップランナーであります。この分野に、ぜひ積極的にチャレンジをし、他県をリードする取組にしていただきたいと思っています。このバイオマス発電が実用化されれば、さきほどから言っています森林組合の役割も大きくなりますし、里山の環境保全など、正に一石三鳥の効果だと思っています。ぜひ、さきほどの中部振興局の実証実験も含んで、バイオマス発電を成功させていただくように取組をいただきたい。そして、県をあげて総合的な竹林・竹材対策に取り組んでいただきたいと思いますが、最後に知事のお考えをお願いします。
○御手洗吉生副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 ただいま御質問をいただきました竹林の荒廃の問題は、そもそも昔はタケノコを採ったり、あるいは生活用品としての竹かご等々を作る場所として活用されていたところが、需要がなくなってきたということから放置せざるを得なくなったという問題から生じたものだと思います。 したがって、また新しい動きとして、議員御指摘のように竹材によるバイオマス発電だとか、あるいはまたカーボンナノファイバーの活用といったようなものが出てきたわけでございますから、それらをよくフォローしてうまく活用できるものならば、ちょうどその竹材の出口対策として何よりでございますから、よくフォローアップをしていきたいなと思っているところであります。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 知事から検討するという答弁をいただきまして、よろしくお願いしたいと思います。このことについては、ずっと注視をしていきたいと思っています。 最後に、特色ある高校づくりについて質問いたしますが、これも地方創生のための大きな取組だと捉えています。 平成27年9月の一般質問で、特色ある高校づくりについて提案をいたしました。早速、28年度当初予算で地域の高校活性化支援事業が計上され、2千万円の予算措置がなされました。この事業は、28年度は11校、加えて29年度は5校で実施され、それぞれ大変すばらしい成果を上げています。 そこで、この地域の高校活性化支援事業に取り組んでいる高校をモデルとして、高校授業の中で地元学を取り入れ、地元のすばらしさや魅力を大いに学んでほしいという提案です。 小中学校までは、地域の行事やお祭りに参加するが、高校生になると足が遠のき、地域との関わりあいが希薄になると言われています。昨年の県内高校生の進路状況を見ますと、卒業総数1万102人のうち4,745人、率にして47%が進学や就職により県外に出ています。もし、この高校生たちが自分たちの地域のことをよく知らないまま大分県を離れてしまえば、生涯にわたって大分県への愛着や郷土愛は薄いのではないかと思っています。 そこで、地域のことを学び、地域への愛着や郷土愛を持って大分県を離れれば、県内へのUターン就職や県外から大分を応援してくれる強力なサポーターになってくれると考えています。 高校生たちが大分への愛着や郷土愛を持つことができるような特色ある高校づくりについてどのようにお考えなのか、私の提案に対する見解も含め、教育長の答弁をお願いいたします。
○御手洗吉生副議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 特色ある高校づくりについてお答えいたします。 地域の高校は、中学校卒業者数のさらなる減少が見込まれる中、地域に信頼され、支えられて、生徒が行きたい、学びたい特色ある学校づくりに取り組んでいるところであります。 地域の高校活性化支援事業では、地元特産品を使った商品開発や販売、郷土料理の継承などを通じて、正に地元学ともいえる、ふるさとの魅力や価値を学んでいるところであります。 さらに、新年度からの地域の高校拠点化プロジェクトでも、商店街のにぎわいを取り戻すための情報発信など、地域の課題解決を目指す探求活動を通じて、地方創生の志を持つ人材を育成する創生スキル向上プロジェクトに取り組むこととしております。 また、進学希望の普通科高校生を対象に、地元企業の魅力を伝える「ふるさとしごとフォーラム」を開催したり、県内企業へのインターンシップにも取り組んでおり、年々参加者が増えている状況にあります。おおいた学生登録制度への申込数は、この2年間で倍増し、全進学希望者の90%近い4,785名に及んでいるところであります。今後とも、引き続き生徒が大分の魅力に気づき、郷土への深い理解と愛着を育む取組を推進していきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 県立由布高等学校の取組を通して、もう少し具体的なお話をさせていただきます。 由布高校では、地域の高校活性化事業の認定を受けて、「由布市復興!国際交流!~おもてなし日本一、地域と目指せ由布マイスター」をスローガンに様々な取組を進めています。スローガンの中の由布マイスター事業について、ちょっと説明します。 英語プラス韓国語か中国語なんですが、プラス1、それからおもてなし、そしてさきほど提案しました、由布市検定、由布市学の三つの試験をクリアすれば、由布マイスターの称号が与えられるものです。 そして、この由布市検定事業が、教育委員会はもとより、由布市商工会、そして観光協会と幅広く連携し、由布市全体の取組として推進されており、小中学校での取組も視野に入っています。 地方創生の重点課題が東京一極集中の解消ですが、先日の新聞報道では、東京圏人口集中進む、地方創生行き詰まり、大分県転出超過2,885人とあり、県も就職説明会と多くの取組を行っていただいていますが、なかなか成果が見えません。地元が大好き、地元に住みたいという気持ちの部分をしっかり押さえて次の施策を打たなければ、
子どもたちに地域の学校に残ってもらうことは難しいと考えています。 一昨年、文教警察委員会で新潟県立佐渡高校を視察いたしました。佐渡は早くから佐渡学の取組を進めていますが、校長がおっしゃった、たとえ佐渡を離れて就職しても、佐渡への愛着が強ければ何かにつけて佐渡を応援してくれますとの言葉が今も頭に焼きついています。 そこで、この由布高校の地元学の取組をどのように評価しているのか、また地方創生、人口ビジョンの観点からも取り組む価値があると考えますが、教育長の考えを再度お伺いいたします。
○御手洗吉生副議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 地元の歴史、文化を学ぶ由布市検定、また農泊体験や地元の旅館でのインターンシップによる地元観光業との連携など、由布高校では地元を学ぶ取組というものがしっかり推進をされております。 また、ほかの高校ですけれども、三重総合高校では豊後大野市と連携して、暮らし、文化、観光、産業に関する11のテーマについて、グループ別に課題解決に向けた探求活動にも取り組んでおります。 御提案のように、地元学をカリキュラムの中に位置付けるとすれば、週1時間の総合的な学習の時間、これを活用することになると思いますけれども、各学校ではこの教科や授業の枠を越えて地元との連携、協働を進めておりまして、その中で地元学の目指す郷土への深い理解がいろいろと育まれてきていると思います。むしろ、授業以外のところでのいろんなこういった活動というものが、今学校教育で目指しております主体的・対話的な深い学びにつながっていくのではないかとも考えております。 今後とも、地域の高校拠点化プロジェクトなどを通じまして学校の自主的な取組をしっかり支援していきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 二ノ宮健治君。
◆二ノ宮健治議員 今議会で、津久見高校に次いで久住分校の本校化について検討を始めるとの報告がありました。これが正にその究極の特色がある高校への取組だと考えていますし、大変評価をしています。今、地方の高校については、さきほど言いました、地域の高校活性化支援事業を受けた高校については、ほとんど一次募集のときは定員割れをしています。この事業を見てみて、本当にいろんな取組をしているんですけれどもなかなか成果が出ないと。特に玖珠美山高校は行ってみたんですけれども、本当に校長を先頭にいろいろなことをやっていただいていますけれども、やはり大きな定員割れを起こすということです。 そういうことで、自分の地域の高校に進学するにはどのようにしたらいいのかなという思いから、特色がある高校づくりが必要だと提案をいたしました。今回の地域学という発想も、地方の高校が存続するための一つの方策になればと思いまして、いろんなことをやっていかないと、もう何年かたってこの学校については休校、廃校にしますとかいわれると、やっぱりその地域にとっては大変なことです。そういうことで、この地域学をぜひ取り入れてほしいと要望しておきます。 これで私の一般質問を終わります。 先日、県議会の海外研修に参加させていただきました。オーストラリア、フィジー、ニュージーランドの主に
ラグビーワールドカップ関連の研修で、貴重な経験をさせていただきましたが、この3か国を研修する中で、なぜか日本のおもてなしや日本人の良さ等、日本のすばらしさを改めて強く感じるようになりました。 今後、インバウンドを含め、大分県の観光客も増加が見込まれる中、これまでの温泉や自然景観等のもの中心の観光から、おもてなしや人と人との触れ合いを中心とした、特に田舎の日常生活、それから田舎の素朴な良さを体験する観光に地方創生のヒントがあるかと思っています。田舎を元気にするために、農家民泊やいろんな農業体験など、農村の魅力満載なメニューを用意し、ツーリズムおおいたや由布市TICの力を借りて由布市で実証実験ができればと思っています。このことについて、ぜひ知事も御尽力をお願いしておきたいと思っています。 最後になりましたが、少し早いのですが、3月をもって退職されます、特にお世話になりました廣瀬部長をはじめ、職員の皆さんにお礼を申し上げます。これからの人生、健康に十分御留意の上、人生90年時代といわれますが、有意義に過ごされますよう御祈念申し上げますとともに、皆様方の前途に幸多かれとお祈り申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○御手洗吉生副議長 以上で二ノ宮健治君の質問及び答弁は終わりました。元吉俊博君。 〔元吉議員登壇〕(拍手)
◆元吉俊博議員 17番、自由民主党の元吉でございます。質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に心からお礼申し上げ、時間の関係上、足早に質問させていただきますが、執行部の明快なる答弁をお願いします。 まず、水田農業の経営安定策についてお伺いします。 御案内のとおり、いよいよ50年近く続いた減反政策が大きく転換され、自由な生産が可能となるわけですが、年々減少する米の需要量に対して産地が適正に対応できるかが問われています。 国の資料によれば、11道県が昨年の国の目標配分に比べて100トン以上増産する方針を示していますので、米の在庫が適正水準を上回り、米価が再び下落するのではないかと大変心配しているところであります。 このような中、県では水田農業の構造改革を進めるため、本年度から新たに水田畑地化元年として、米から、より高収益な園芸作物へ転換する取組を進めようとしています。 私は、米の需給バランスを保ちつつ、もうかる水田農業を実現するためには、今までの低コスト化と今回の取組を車の両輪として、しっかり地域に定着させていくことが重要であると考えていますが、一方で現状では課題も多いと思っています。 県下最大の穀倉地帯である宇佐市の現状を見ると、米を中心として、麦、大豆を組み合わせた経営が多く見られますが、低コスト化だけで十分な所得が確保できる経営規模の農家は決して多くありません。むしろ、多くの農家が園芸品目など高収益な品目を今後導入していかなければ十分な所得が得られず、後継者確保すらままならない状況だろうと思います。しかし、米、麦、大豆主体で経営してきた農家が園芸品目にチャレンジするのは、技術面、初期投資の問題をクリアするなどの必要がありますし、そもそも米との複合経営に適した品目が何かという情報すらも不足しているように思います。 そこで、水田への園芸品目導入についてどのように経営体を育成しようとしているのか、県の考えをお伺いします。 あとは質問席から質問させていただきます。 〔元吉議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○御手洗吉生副議長 ただいまの元吉俊博君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 元吉俊博議員には、稲作を主とした複合経営等も御提案いただきながら御質問をいただきました。 いよいよ30年産から国による減反政策が廃止されまして、あわせて生産調整を達成した農家に支払われておりました10アールあたり7,500円、県全体で10億円の交付金がなくなります。 米価の低迷が危惧される中、今後、農業所得を確保し、産出額を安定的に伸ばしていくには、米に頼った生産構造の転換がやはり必要であります。そのために大事なことは、マーケットインの発想で、市場ニーズに応じた収益性の高い商品(もの)づくりを進めていくことであります。単位面積あたりの販売額を比較しますと、例えば高糖度かんしょは米の4倍、白ねぎは5倍であります。こうした高収益な園芸作物への転換に向けて、平成34年度までに500ヘクタールを目標として水田の畑地化を展開してまいります。 この取組を加速するには、地域の意向を集約しながら、畑地化する水田を確保するということが重要であります。このため、各種奨励金制度を充実させるほか、地域の話合いによるゾーニング等によりまして集積・集約化を進めているところであります。また、他県に先駆け、農地中間管理機構による農地の先行借受を導入いたしまして、既存農家の規模拡大に加えて新規農家の確保を図っております。また、初期投資の軽減といった課題もあることから、農家負担が不要となる農地中間管理機構を通じた基盤整備や、リース方式によるハウスや果樹棚等の導入を支援いたします。 米から園芸作物への転換過程におきましては、複合経営ももちろん考えられます。宇佐市では、契約栽培で収入が安定し、機械化一貫体系による省力化が可能な加工用キャベツを推進しております。また、豊後大野市では、水稲と作業時期の分散が可能で、市場の引き合いが強く、加工原料としても取引拡大が期待される里芋の導入に取り組んでおります。 米・麦・大豆を中心に経営している集落営農組織が経営力を強化する上でも、園芸品目の導入が有効であります。新たに取り組む品目の技術的な不安に対応できるよう、普及指導に加えまして、先進園芸農家等を濃密指導員として配置し、見落としがちなごく初期の病害虫発生等に対する迅速な対応ができるように、きめ細かな指導体制を構築いたします。 一方、米生産を続ける場合にあっても、やはり低コスト化が必須でありまして、農地集積による規模拡大や育苗が不要となる乾田直播(じきまき)栽培の全県展開、業務用米の生産拡大に取り組みます。また、先般、特Aを獲得した西部地区や豊肥地区のようなマーケットが求める良食味米の産地づくりを進めます。水田農業が大転換期を迎える中、こうした重層的な支援を地域や農業団体と連携して進めながら、収益性の高い経営体を育成していきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 複合経営というのはいいということで、理屈では大変よく分かっているんですけれども、米麦中心にやってきた生産者にとっては本当に大きな冒険に挑むようなものなので、なかなか前に進めないというのが現実ではないかと思っております。 そこで、年間を通して稲作と複合可能な何種類かの園芸品目の組合せをやったり、あるいは栽培技術の指導体制を整えるというようなことをやって、試験的にエリアを決めて、こういうのができるよというのを現実に農家の方々に知らせてもらうと、そして米麦中心でやってきた農家の皆さんが一歩前に踏み出して、新しいものに取り組もうという環境をぜひ整えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、早速次の質問に入ります。 次に、人手不足対策についてお伺いします。 県内の景気は、実質国民総生産GDPが28年ぶりの8四半期連続プラス成長となるなど、緩やかな成長が続いています。 県内においても、日銀大分支店が公表した2月の景気動向では、底堅さを増している個人消費を背景に、基調として緩やかに回復しているとされています。他方、景気の回復に伴い、昨年の完全失業率は2.8%とバブル経済直後の平成6年以来、23年ぶりに3%を割り込み、県内有効求人倍率は35か月連続で1倍台、特に正社員有効求人倍率は7か月連続で過去最高値を更新するなど、雇用情勢の改善が進んでいます。 そのような中、昨春の県内新規学卒者の県内就職率は57.6%と、過去10年で最低だったという気になる新聞記事を見かけました。全国の就職環境が学生優位の売手市場であり、県外の大手企業や有名企業を就職先として選んだ学生が多かった結果だと思われますが、県内の求職者数の減少が続く中、新規学卒者の県内就職率低迷は、現在の人手不足のみならず将来の担い手不足にもつながる重要な課題と考えます。 加えて、本県のものづくり産業を支えている建設・物流業界では従業員の高齢化が進んでおり、人手不足が特に深刻な状態となっております。県では、平成31年度までに県内就職1万8,500人を確保するということを目標に掲げ、様々な取組を進めていますが、県内中小企業の人手不足の解消は喫緊の課題であり、さらなる取組の強化が必要と考えますが、見解をお伺いします。
○御手洗吉生副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 人手不足対策について御質問を賜りました。 県内の有効求人倍率は高止まりで推移しておりまして、企業における人手不足は深刻さを増しております。今後もこの状況が続くことが見込まれまして、人材確保に向けた地域間競争は大変激しさを増していくと思います。 県といたしましても、今年度から若年者や女性、シニアを中心に31年度までの3年間で県内就職者数1万8,500人の確保に向けた取組を進めているところであります。 しかしながら、昨年3月の県内の新規学卒者のうち、県内就職者は前年と比較しまして約200人減少しております。また、景気回復による大手企業の採用意欲の高まりや売手市場を背景に、学生が都市部や大企業を志望する傾向も見られます。他方、女性やシニアは就業への意欲が高く、潜在的な担い手としての期待があります。このような状況を踏まえまして、今般、追加の対策を行うことで、県内就職1万8,500人確保の取組をさらに加速させていきたいと思います。 まず、若年者対策でございますけれども、近年、実質的な就職活動のスタートとなっているインターンシップの申込みが気軽に手軽に行えるよう、県内企業とのマッチング専用サイトを開設いたします。また、教員や保護者へのアプローチも強化して、県内企業の魅力を理解していただくことにしております。 女性やシニアでは、働く意欲がありながら就職まで踏み出せない方々へ、さらなる後押しを行います。女性については、県が養成した在宅ワーカーと仕事を発注する県内企業との交流会や合同企業説明会等の開催をいたしまして、女性が働きやすい環境を整えた企業との出会いの場を提供し、就業につなげていきます。シニアに対しましても、今年度、300人以上の参加があった就職面談会を年3回に増やすほか、就職を考えるシニアからの要望が多い職場見学会の実施等によりまして就職を支援していきたいと思います。 また、離職者では、人手不足感の強い観光・建設・物流の分野で、資格取得を含む新たな職業訓練を定員60名で行います。多様な担い手が働きやすい環境をつくるため、働き方改革の取組も進め、企業の人材確保と定着を図ってまいります。 さらに、今月中には、労働局と雇用対策協定を締結して、県が進める県内就職1万8,500人の確保を労働局と共通の目標として、誘致企業等による面接会を開催するなど、これまで以上に連携を強化していきます。3年間で県内就職1万8,500人という目標は、非常に厳しいほどの意欲的なものでございます。けれども、大分県の地方創生を進めるには、達成しなければならないと考えているところであります。今後とも、多様な人材に対する県内就職を支援することで、県内の人手不足対策をさらに加速させ、ひいては大分県の地方創生をしっかりやっていきたいと思っているところです。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 ありがとうございました。 次に、空港・港湾のアクセスについてお伺いします。 前回も質問させていただきましたが、まず九州の東の玄関口構想の空の玄関となる大分空港へのアクセス、特に県北地域からのアクセスについてお伺いします。 大分空港では国内線、羽田便が14往復、成田線1往復、大阪伊丹線7往復、名古屋線2往復が毎日就航しており、国際線ではティーウェイが毎日1往復、大韓航空とイースター航空がそれぞれ水・金・日に1往復就航しています。利用者数は近年伸びており、国内・国際線を合わせたところでは平成24年の149万人が27年には185万人となっています。熊本・大分地震の影響があったものの、28年の利用者数は国内線だけでも175万人弱となっています。 今後、東の玄関口として確固たる地位を築いていくことは大事ですが、大分空港は各県空港に比べ、アクセス面で大きな課題があります。中心地から所要時間は、福岡空港の地下鉄により5分は別として、熊本がバスで41分、宮崎が25分、鹿児島は38分に対し、大分空港は大分駅からバスでおおむね1時間かかります。この問題を解決するため、30年度予算では、大分市中心部からの海上アクセス実現可能性調査を行うとしており、約1千万円の予算が計上されています。 この取組は非常に重要なことだと考えますが、一方考えなければならないことは、他の空港と競合する地域の県民が大分空港を利用するよう利便性を高めることだと思います。そう考えたときに、県北地域、特に中津市、宇佐市の住民の空港利用の選択が問題になります。県北地域から空港までのアクセスとして、県は空港行きバスであるノースライナーの運行支援に取り組んでいますが、実際には自家用車によるアクセスが圧倒的に多いようです。 中津市から豊後高田市を経て、県道34号線豊後高田安岐線で62キロ、車で約1時間半、宇佐市からは48キロ、おおむね1時間かかります。一方、北九州空港までは、高速道路利用で宇佐市から67キロ、約1時間、中津市からは48キロ、45分です。高速料金は、宇佐市からは片道1,750円、中津からは1,510円かかります。しかしながら、東京へは便数が多い上に始発便はより早く、最終もより遅くなっていますので、強力な競合相手となっております。しかし、県道34号線の改良が進めば、大分空港にも勝算は十分あると思います。何より、高速料金がかからないこと、また改良が進めば、所要時間の短縮も見込めるからであります。 宇佐土木事務所管内では、国道500号安心院別府間、国道387号院内玖珠間の改良がおおむね完了したことで地域間のアクセスが飛躍的に改善し、所要時間も大幅に短縮しました。道路改良が広域
ネットワークの利便性に与える影響は、はかり知れないものがあります。道路改良による県北地域からの空港アクセスの改善は、大分空港の利用促進に大きく寄与すると考えますが、この県道34号線の改良について見解をお伺いします。 次に、海の玄関口となる港へのアクセスについてお伺いします。 大分市・別府市にある港は、別府港、大分港西大分地区、大在埠頭、佐賀関港でありますが、これらの港を九州の東の玄関口として拠点化していく場合、考えなければならないのは、県内利用者についてはもとより、県外利用者から見た港へのアクセスであります。 高速道路アクセスは、別府港については約6キロ、車で15分、大分港西大分地区については約4キロ、13分、大分港大在埠頭へは宮河内から約8キロ、車で12分といった状況となっており、アクセスはおおむね良好と言えます。 しかし、佐賀関港は、このようなアクセスにおける利便性において恵まれているとは言い難い状況にあります。最も近いインターチェンジは宮河内インターチェンジですが、ここからの距離は18キロあり、そのルートは片道1車線で、住宅地等静かな居住地域を通る県道38号を経由して、坂ノ市の街の中で国道197号に合流し、そのまま197号で港まで向かうというものですが、地域住民の交通安全や大型バスやトラックの運転手のストレスを考えると、距離的には港まで約20キロと少し遠くなりますが、国道197号バイパスから片道2車線の市道を北上して大在埠頭方面に向かい、臨港道路に合流した上で細地区に向かって走り、再び197号に合流するというルートが望ましいと考えます。しかし、臨港道路の東側、最後の1キロ余り、細地区から197号の間は道路幅の狭い市道を通らざるを得ず、大型車両の通行は実際に困難な状況にあります。 佐賀関港は正に四国との玄関口であり、太平洋新国土軸での豊予海峡ルートを考えるときのキーポイントとなるべき場所であります。九州の東の玄関口としての拠点化を考えるとき、臨港道路の細地区と197号の連結地点改良といった佐賀関港へのアクセス改善を進めることが喫緊の課題と考えます。 お聞きしたところ、臨港道路の延伸には着手しているということですが、竣工の見通しについてお伺いします。あわせて、そこから先の197号の改良についての検討状況をお聞かせください。
○御手洗吉生副議長 阿部
土木建築部長。
◎阿部洋祐
土木建築部長 2点について質問いただきました。 まずは、大分空港へのアクセスについてお答えいたします。 県道34号豊後高田安岐線は、沿線住民の生活を支える幹線道路であるとともに、国東半島を横断し、県北地域と大分空港を結ぶ重要なアクセス道路でもあります。本路線は、全線で2車線を確保しておりますけれども、厳しい地形条件からカーブがきつく、大型車同士の離合に支障がある区間など、数か所で問題があることは認識しております。そのため、線形の是正や幅員確保など、主に安全性や走行性の改善に取り組んできたところです。現在は、通学路でありながら歩道もなく、カーブが連続し、事故も多発している小田原地区約1キロメートルの改良事業を進めています。これまでに約600メートルが完成していますけれども、今年度からは桂川にかかる橋梁の工事を進めているところであり、まずはこの区間の早期完成に努めてまいります。残る課題箇所につきましては、
県内道路網の整備状況や当該路線の利用実態を踏まえながら、限られた予算の下、緊急度等を勘案しながら検討してまいりたいと考えています。 次に、佐賀関港へのアクセスについてお答えします。 まず、臨港道路細馬場線は、平成22年度から事業着手し、現道改良区間については今年度完成したところです。28年度からは、国道197号までのバイパス区間にも着工したところですけれども、一部用地取得が難航している箇所がございます。現時点では竣工のめどは立っていない状況ですが、引き続き粘り強く用地取得に努めてまいります。 次に、その先の国道197号については、アクセス改善を図るために、これまでにも古宮-小志生木バイパスや港バイパスなど整備を進めてきたところでございます。24年度からは、残る大志生木拡幅事業に着手し、幅員狭小や線形不良などの課題解消に取り組んでおります。現在、用地取得を進めており、来年度には工事着手を予定しています。 佐賀関港は、九州と四国を結ぶ重要な港であり、九州の東の玄関口としての拠点性をさらに高めるため、事業中区間の早期完成に努め、アクセス強化を図ってまいります。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 ありがとうございました。 この2路線は、特に県外に出ていく、あるいは県内に入り込んでいくという、非常にそういった意味では本当に重要な路線でございますので、ぜひ早期に時短ができるような道路改良をお願いしたいと思いますし、安岐線につきましては、立派に道路ができているのに制限速度がそのままとなっております。交通規制課長に聞きましたら、速度制限撤廃するのは地元の同意やらがあって大変だという話を聞きました。ぜひ、改良の時点で、そこら辺の話をきちんと地元と土木の方でしていただいて、改良後は速度制限を外しますよということにならないと、本当に楽々走れるところも皆50キロ、40キロ制限がかかっているということがまたネックではないかと思っております。どうぞ、そこら辺も土木部長の方でよろしくまた検討していただきたいと思います。 次に、移住・定住についてお伺いします。 1月29日に発表されました総務省の住民基本台帳人口移動報告結果によると、平成29年の社会増減は2,885人の減少となっており、前年の2,608人の減に比べ、減少数が拡大しています。 県はこれまで東京のおおいた暮らし相談窓口に移住コンシェルジュを配置するほか、県外事務所や県庁に移住サポーター6名を配置するなど、社会増対策に力を入れて取り組んでまいりました。今年度の予算案にも、大阪圏でのアクティブシニア向けの移住体験ツアーやおおいた移住女子サミットの開催など、新たな施策を盛り込んでおります。 このような取組により、移住者は年を追うごとに増加し、平成26年に292人だったものが28年には768人となり、今年度は12月現在で686人と、昨年度を上回る勢いで伸びています。この取組をさらに推し進め、移住・定住を増加させていくことは、地域の活力を生み出すために大変重要だと考えますが、このように移住・定住の受入れが進んでいく中で見えてきた課題もあるのではないでしょうか。例えば、生活環境には非常に満足しているが、安定した収入を得るための就職に苦労しているということから、地域になじめず困っているなど、その内容は多岐にわたると思います。都市部から初めて地域に飛び込み、そこで暮らしていく中で抱きかかえた問題は、個人で解決すべきものもあれば、ちょっとした行政支援による解決もあると思います。 そこで、伺います。 移住・定住に関して県が認識している、特に行政が解決すべき課題というのはどのようなものがあるのでしょうか。また、その解決のためにどのような取組を行っていくのでしょうか、お答え願います。 次に、移住・定住の農地取得についてお伺いします。 都市部から移住・定住してくる人の中には、本県での就農を希望する人も比較的多く、就農学校やファーマーズスクールで研修を受けた後、いよいよ農業を始めようとする際に問題になるのが農地の取得制限であります。 夫婦二人で園芸品目、例えばピーマンの栽培を始める場合、50アールもの土地は広大過ぎて必要ないわけですが、農地法では農地を取得する場合、取得後の保有面積が50アール以上でなければならないという規制があり、それがハードルとなっています。また、私はむしろこちらの方が問題だと思いますが、移住のために住宅を購入する場合、10アールにも満たない面積の農地や菜園が附属しているため、購入ができないといったケースも多いと思います。 農地法による規制については、市町村の農業委員会の決定により定めれば、取得後の保有面積の下限を引き下げることができるということになっております。県内の市町村では、この面積の引下げについては、佐伯市、竹田市など13市町村となっていますが、その内容には大きなばらつきが見られます。下限面積が引き下げられていない市町や一部の地域では、取得後の保有面積が50アール未満となる農地の取得や、そのような農地や菜園が附属した物件は取得できません。 この問題を解決するため、県が市町村に対して保有農地の下限を引き下げるように働きかけ、本県への移住・定住を希望してきた方の農地の取得を可能にすることは、さきほど質問した解決のための行政支援の必要な課題の一つと考えますが、見解をお伺いします。
○御手洗吉生副議長 廣瀬
企画振興部長。
◎廣瀬祐宏
企画振興部長 私から、移住・定住についてお答えをいたします。 県・市町村の移住施策の取組で大分に来ていただいた方々には、その地域になじみ、定着してもらうことと地域の元気づくりにも貢献していただくことが課題と考えております。 このため、移住相談会では、移住希望先での仕事や住まいをはじめ生活環境など、できるだけ詳細な情報を提供しております。また、先輩移住者から移住後の暮らしぶりについて、具体的な話を聞く機会も設けているところであります。移住後には、生活環境が変わったことによる不安の解消や、気軽に相談できる仲間づくりのために、県は各地域で移住者同士の交流会を開催しております。地元自治会の代表者にも参加してもらい、自治会と移住者との交流も促進しているところであります。また、臼杵市では、相談に乗る世話役を設けたり、気軽に集える場所を提供するなど丁寧に取り組んでおります。臼杵市が移住先として全国的に人気が高い理由もその辺にあると思っております。 次に、移住者による地域活性化の取組の促進では、県は振興局が関わったり、必要に応じて総合補助金等により支援を行っています。例えば、竹田市アートカルチャーでは移住したアーティストによるまちのにぎわいづくりが、中津市の下郷地区では移住者手づくりの地区情報誌がつくられまして、住民のやる気を引き出しています。今後とも、市町村と連携しまして移住者の定着を図ってまいります。
○御手洗吉生副議長 中島
農林水産部長。
◎中島英司
農林水産部長 移住者の農地取得についてお答えします。 小規模な農地の取得につきましては、地域の平均的な経営規模を著しく下回らないことや、担い手への農地集積の影響などを考慮し、農業委員会が下限面積を設定しています。 移住就農者の多くは園芸品目から営農をスタートしており、一般的には農地を取得するよりも地権者の同意が得やすく、初期投資が少なくて済む賃借を希望する場合が多いのが実情でございます。このため、農地中間管理機構を通じた賃借による農地確保などを市町村等と連携して支援しているところです。 次に、菜園付き住宅の取得については、空き家バンクに登録された物件に限り、佐伯市では0.1アール、豊後高田市など11市町では1アールまで下限面積を引き下げており、現在、20世帯が県内に居住しています。こうした取組事例を、農業委員会等の関係者に情報提供するなど広く周知を図りながら、移住・定住を希望する方のニーズに応えられるよう、地域の実情に応じた取組を促していきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 ありがとうございました。 賃貸の場合でも50アールの制限というのは同じなので。それと私も手元に資料を持っていますけれども、本当に市町村によってばらつきがあるという点がございます。ぜひ、県からまたいろいろな指導をいただきたいと思います。特にUIJターンについては単独農地でも、例えば30アールでも取得できるという特別な枠を各市町村に設けてもらいたいと思います。実際にそういうことがございまして、取得ができなかったという例が安心院でもございます。ぜひ、移住者については、特別な枠を各市町村で統一して設けてもらうように県から指導をお願いできればありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、最後にカラーバリアフリー、端的に色覚異常の取組についてお伺いします。 いわゆる色盲、色弱の件でございますが、小学校における色覚検査、色神検査とも言います。 日本の小学校では、以前は全児童を対象に石原表を用いた色神検査が行われていました。平成7年以降は小学校4年生時のみ行われ、平成15年からは色神異常があると判断されても支障なく学校生活を送ることが可能であるという理由で、文科省が学校での健康診断の必須項目から削除いたしました。現在は、希望者のみ行うように指導しているということですが、
子どもたちにとって大きな問題が起こっていると言われています。 平成25年に日本眼科学会は、希望者には小中学校ともに1年生で実施すべきと訴えています。平成26年に文科省も、本人と保護者の同意を得た上で、個別の検査指導ができる体制を整えるとともに、保護者への周知を積極的に行うよう通達を出しています。 他県では、そういった取組について前向きに指導しているところもあるようですが、本県の現状はどのようになっているのか。また、この日本眼科学会の意見や文科省の通達について、教育委員会や学校関係者はどのように認識しているのか、あわせてお伺いします。
○御手洗吉生副議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 いわゆる色覚異常に対する取組についてお答えいたします。
子どもたちが自身の色覚の特性を知らないまま不利益を受けることのないよう、見え方に不安がある場合、いつでも相談やプライバシーに十分配慮をした形で検査ができることを、学校から様々な文書等を通じて保護者へ周知しております。例えば、健康診断のお知らせや保健だよりなどに、色覚に関する情報や、希望者は個別に検査を受けられることを掲載しております。学校の中には、入学説明会やPTA総会などの機会に直接保護者に説明しているところもございます。また、教職員が色覚異常に関する正確な知識を身につけて適切な指導を行うことが必要なことから、板書や掲示物を誰でも識別しやすい配色にしたり、色以外の情報を加えるなど、学習指導等における工夫の仕方などについて研修を行っております。 職業選択において、色覚により制限される資格もありますことから、児童生徒が自分の色覚特性を正しく理解し、将来自分に適した進路を主体的に選択できるよう、今後とも丁寧に保護者等に周知することを市町村教育委員会を通じて学校に働きかけていきたいと思っています。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 色覚異常は、日本人では男性の5%、20人に1人、女性は0.2%、500人に1人の割合で、全国で300万人ぐらいおるそうでございます。北欧では、男性は10%、10人に1人といわれ、天才画家と言われるゴッホ、モネ、ピカソ、ルノアールなども色覚異常ではなかったかといわれています。女性は少ないとはいえ、保因者は10人に1人の割合といわれております。これが母方遺伝であるといわれているゆえんであろうかと思いますが、例えば男女20人ずつの40人のクラスでは、男子が1人、女子の保因者が2人もいるということになり、すなわち子孫が広がるにつれて色神異常はねずみ算のように広がっていくということになるわけでございますけれども、日本眼科学会の22年、23年の調査で、必須検査項目から外れている現在の色神異常の
子どもたちの10人中4、5人が進学や就職の直前にそのことを知り、夢を断念せざるを得ない状況になっていると問題を提起しております。 文科省も、その調査をもとに重大性を認識し、積極的に取り組むべきという通達を出していますが、本県の小学校での調査状況はどうなっているのか。また、学校ごとに検査を申し込んだ人数と割合が分かれば教えていただきたいと思います。
○御手洗吉生副議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 全ての状況ということではありませんけれども、いくつかの市町での状況というのを説明申し上げますと、28年度のデータによりますと、例えばこれは眼科医等で実施した児童も含めて大分市は1.1%、別府市は10.6%、中津市は0.02%、宇佐市は0.46%という状況になっております。保護者の希望に基づく検査ということのため、各地で一様ではない状況にございます。 今、議員からございましたように、男性で5%近く、女性で0.2%という状況から見ると、なかなか申し出ている数としては少ないのかなとも認識しております。さらに、市町村教育委員会等を通じて保護者等にしっかり周知をしていきたいと考えております。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 今、教育長のお話にもございましたが、ほとんどやられてないといっていいような状況ではないかと思います。色神については、色覚障がい、色覚異常、色覚特性、色覚多様性と表現が変化し、社会も色覚問題は病気でもなく障がいでもない。遺伝子によって、白人、黒人、黄色人種があるように、人の色感覚の特性だという理解が広がってきています。 昨年、2月と10月に東京新聞、中日新聞、朝日新聞に、当事者の団体である日本色覚差別撤廃の会の会長、副会長の談話が出ていました。内容は、就職時、色覚による職業制限がまだあるとは限らない、子どもに不安なショックを与えるだけだと、文科省に通知撤回を強く求めるという記事が載っておりました。私は全く違う見解だと思っています。鉄道運転手、航空パイロット、整備士、グランドハンドリング、管制官、自衛官、警察官、消防士、その他民間企業でも、色の識別の必要な業種には、就職の際、色神検査が対象に含まれています。ちなみに、アメリカでは旅客機の一級パイロットだけだそうです。これだけ多くの職種で制限があるのは、国連加盟国の中で日本ぐらいなものだそうでございます。 本県の公務員試験で、色覚検査の対象となっているのは警察官、消防士などと聞いていますが、その制限内容はどの程度になっているのかをお知らせください。
○御手洗吉生副議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 今、色覚により資格の制限等があるということを申し上げましたけれども、特にパイロットを中心に、今議員がおっしゃったようにかなりの職業において制限がされております。パイロット、鉄道運転士、海技士、警察官、海上保安官、自衛官などで、それぞれの状況に応じて資格上の制限があるという状況でございます。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 社会に職業制限がある以上、進路選択に役立てるべきだと思います。私は保護者に対して、子どもの色神検査は絶対にやってほしい一つと思っています。当事者団体である日本色覚差別撤廃の会がやるべきは、色覚特性を正しく世の中に認識させ、根拠のない就職制限を撤廃させていくこと、カラーユニバーサルデザインの推進を強く推し進める原動力になることだと考えます。 県として、カラーバリアフリーに向けて今後どのように進めていくのかお聞かせください。
○御手洗吉生副議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 さきほど申し上げましたように、これは早くしっかりと自分の特性を認識するということが大変大事であるという御指摘、これはもう議員のおっしゃるとおりだと思います。そういった意味でも、学校を通じてしっかり保護者にこの検査の重要性ということも訴えていきたいと思っております。そのことによって、
子どもたちが差別をされたりという事態は決して起こしてはならないと考えております。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 先日、宇佐高校の卒業式に行った際に、色神検査について校長先生に聞きました。生徒の卒業後の進路に直結することもあり、昨年は学年の全生徒の50%が色神検査を自主的に受けているということでした。しかしながら、生徒の進路達成、自己実現ということを考えると、高校段階では遅いと思います。仕事への関心を持たせる小学校段階で実施するのが最も望ましいと思います。調査表、確かに私ももらいましたけれども、色覚検査を受けられますよという程度のものであって、決して色覚に対しての内容と問題点を積極的に保護者に働きかけているというようには全く思いませんでした。 学校での色覚検査を直ちに徹底させろというわけではありませんけれども、せめて保護者に対して、もっと深く色覚特性の中身や
子どもたちの将来の進路のための検査の必要性を深く認識させ、ほとんどが自主的検査をするような環境をつくるべきと思いますが、教育長、どうお考えでしょうか。
○御手洗吉生副議長 工藤教育長。
◎
工藤利明教育長 これまで、直接受けることに対していろんな経緯があったということでございますけれども、今、議員からありましたように、これの重要性ということは子どもの将来に関わることでありますので、しっかり学校を通じてさらに周知を図っていくことが大事であると考えております。
○御手洗吉生副議長 元吉俊博君。
◆元吉俊博議員 私ごとですけれども、小学校の5年だったと思いますけれども、色神検査にかかりました。母親が眼科に一緒に行きまして、やっぱり分からないので、ものすごく落ち込みました。私は色が見えないわけじゃないし、木が赤に見えるわけでもないので、何ともなかったんです。ところが、母方遺伝ですからものすごく落ち込んで、どうしたんやろうかと私は子どものときに思いました。そして、高校に入学して宇佐校で校長室に呼ばれまして、元吉君、工学部、土木は諦めてくれということを言われました。そのときに、本当に絶望感、もう子どものときから土建屋になることが夢でした。私は次男坊ですけれども、私が跡取りだということはもう周りもみんなそう思っていました。小学校から夏休み、ずうっと現場に行っていました。ところが、一瞬にしてそれが打ち砕かれたという体験がございます。そういった意味で、ぜひ色覚についてはもうちょっと真剣に学校の先生たち、保護者に伝えてもらいたいと思っております。 現実に、これは何で取り上げたかといいますと、テレビで特番をやっていまして、ああ、今こんな問題があるのかと。別に、生活上何ら支障がないから私も何とも思ってなかったんですけれども、今、本当に色神検査で10人に4、5人が目の前で進路を絶たれる。諦めなくちゃいかんと、非常に残酷な実態が出ているということを本当に学校の先生たちに理解していただきたいということで、文教の所管の質問でございますけれども、あえて一般質問させていただきました。県庁にも、20人に1人ですから相当の色弱の人がおると思います。ぜひ、声を出していただいて、この問題、本当に小学校で取り上げていくような風潮をつくり上げたいなと思っております。 それと、これは話が余談になりますけれども、赤い色がどういう色に見えるかといいますと、手をけがして出ますよね、鮮血、きれいな血。私の目から見たらこれが汚血に見えます。お尻じゃありませんよ。汚い血の汚血です。そういうふうに見えると分かったのが、実は私が持っています、色弱眼鏡です。皆さん、色弱の眼鏡があるなんていうこと、ほとんどの人が知りません。ただ、私がここ10何年前に買って、中津から帰るとき、世の中こんなにきれいで鮮やかなのかということを、本当に50年間初めて見る色の世界を見ました。色弱の、県庁の職員さんは、ぜひこの眼鏡を一遍かけていただきたい。一緒に啓蒙活動を起こしていただきたいなと思っています。本当にそういった意味で、いよいよ進路になって警察官になりたい、警察を受けたら色神でアウトになった。こんなことがどんどん今起こっているということで、ぜひ、文科省も積極的にやれというのはそういう意味だと思います。 ぜひ、教育長、学校の先生、特に小学校の教育のイデオロギーはちょっと私間違っているところが多いと思うんですけれども、なかなかやりたがらない。しかし、これはぜひやってもらいたい。私どももPTAの活動、あるいはいろんな保護者の話の中でこんな大きな問題になっているということに気が付いた以上、当事者としてどんどん啓発をやっていきたいと思います。本当に早く分かれば、子どもの対処の仕方も、いじめなんか問題になりません。子どもの対処の仕方、色神が悪いということに対して負けないほかの自信を付けさせる、それが私は教育だと思っています。しつこく言いますけれども、この次質問するときにはこのパーセントがぐんと上がるように。ぜひ、この問題、特別に教育委員会の中で取り上げて、また教職員の中、特に小学校教育の中でしっかりと取り上げて取り組んでいただきますことを切にお願い申し上げまして、一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○御手洗吉生副議長 以上で元吉俊博君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御手洗吉生副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。
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○御手洗吉生副議長 以上をもって、本日の議事日程は終わりました。 次回は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。
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○御手洗吉生副議長 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時55分 散会...