大分県議会 2017-03-09
03月09日-06号
平成29年 第1回定例会(3月) 平成29年第1回
大分県議会定例会会議録(第6号)平成29年3月9日(木曜日
) -------------------------------議事日程第6号 平成29年3月9日 午前10時開議第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------出席議員 43名 議長 田中利明 副議長 末宗秀雄 阿部英仁 志村 学 衛藤博昭 大友栄二 吉冨英三郎 井上明夫 木付親次 古手川正治 土居昌弘 嶋 幸一 毛利正徳 油布勝秀 衞藤明和 濱田 洋 元吉俊博 御手洗吉生 井上伸史 麻生栄作 近藤和義 後藤慎太郎 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 三浦正臣 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 久原和弘 戸高賢史 吉岡美智子 河野成司 荒金信生 佐々木敏夫 堤 栄三 桑原宏史 森 誠一欠席議員 なし
------------------------------- 出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 二日市具正 副知事 太田豊彦 教育長 工藤利明
代表監査委員 首藤博文 総務部長 島田勝則
企画振興部長 廣瀬祐宏 企業局長 日高雅近 病院局長 田代英哉 警察本部長 松坂規生
福祉保健部長 草野俊介
生活環境部長 柴田尚子
商工労働部長 神崎忠彦
農林水産部長 尾野賢治
土木建築部長 阿部洋祐 会計管理者兼
会計管理局長 小石英毅
人事委員会事務局長 酒井 薫
労働委員会事務局長 太田尚人 財政課長 大友進一 知事室長 大塚 浩
------------------------------- 午前10時 開議
○
田中利明議長 これより本日の会議を開きます。
-------------------------------
○
田中利明議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第6号により行います。
-------------------------------
△日程第1 一般質問及び質疑
○
田中利明議長 日程第1、第1号議案から第14号議案まで、第16号議案から第45号議案まで及び第1号報告を一括議題として、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。吉冨英三郎君。 〔
吉冨議員登壇〕(拍手)
◆
吉冨英三郎議員 おはようございます。議席番号5番、自由民主党の吉冨でございます。昨年の第3回定例会の一般質問に引き続き、
一般質問初日の1番を頂きました。自民党会派の皆様方には大変感謝をいたしております。 また、本日は私の地元中の地元でございます別府市の
春木川小学校校区から約40名の皆様方に傍聴に来ていただいております。早朝から大変ありがたございます。 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。 まず、
統合型リゾート施設についてであります。 昨年12月に
特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律が国会において成立をいたしました。
通称統合型リゾート施設整備推進法、又はIR推進法とも呼ばれております。この内容について簡単に説明したいと思います。 この法律は、目的や基本理念などの総則、整備促進に関する基本事項、
整備推進本部の大きな3つの事項について定めております。 総則において、
特定複合観光施設とは、宿泊施設及び会議場施設、
レクリエーション施設、展示施設、カジノ施設やその他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設のことであり、この施設を設置できる区域は、
地方公共団体の申請に基づき、国が認定した
特定複合観光施設区域に限られております。 また、
特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、健全なカジノ施設の収益が
複合観光施設の安定経営や社会に還元されることを基本理念としております。 整備促進に関する方針では、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、観光産業等の国際競争力の強化及び地域経済の振興、
地方公共団体の構想の尊重を掲げています。 これらの内容から、
統合型リゾート施設の設置による経済効果や地方活性化への期待も大きいと考えられ、北海道、横浜市、大阪府、長崎県などが誘致に名乗りを上げているようです。 そこでお伺いいたします。
統合型リゾート施設とその設置について、知事の見解をお聞かせください。 以後は、対面席より質問をいたします。 〔吉冨議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
田中利明議長 ただいまの吉冨英三郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 吉冨英三郎議員には、まず、
統合型リゾート施設について御質問を頂きました。 昨年の12月に、いわゆる
統合型リゾート整備推進法が成立いたしまして、今月には、安倍首相をトップとして
特定複合観光施設区域の
整備推進本部が発足する予定であります。 この本部におきまして、これから
地方公共団体の申請に基づく区域の認定手続をはじめ、
カジノ運営上の規制や青少年の健全育成のために必要な措置、更に
ギャンブル依存症等の悪影響防止のための措置等が検討されることになっております。 国内では、議員からお話がありましたように、東京、大阪、和歌山、北海道等で誘致の動きがあります。また、九州では、長崎県と佐世保市が協議会を設けて、
ハウステンボスへの誘致活動を行っているところであります。 県内では、これまで
別府商工会議所から県に対しまして、
ゲーミング--カジノのことだと思いますけれども--による観光振興についての要望が行われております。 この
統合型リゾート施設について、どう考えるかということでございますけれども、確かに
統合型リゾート施設として言われているような様々な施設が設置されるということになりますと、その経済効果も大きなものがあると思います。 また、構想どおりたくさんのお客さんが来ることになれば、地域の活性化効果も大きいかもしれませんけれども、私は今の時点では、
統合型リゾート施設につきましては、少し時間をかけていろいろ研究をし、関係者の意見もお聞きし、また、国の推進に関する具体的な法制措置の議論も伺いながら、慎重に判断すべき課題だというふうに思っております。 いろいろ理由はございますけれども、一つは、やっぱり本県は恵まれた天然自然、日本一の温泉や豊かな食、県内各地に見られるすばらしい歴史文化などの観光施設で誘客を図ってきたところであります。 ここにカジノを備えた
統合型リゾート施設を導入した場合に、この自然豊かな観光資源で誘客を進めてきた大分県の方針と、それから、新しい
統合型リゾート施設の導入といったものが両立するのかどうかということであります。そこのところをしっかり考えておかなければならないということであります。 二つは、施設は民間事業者が設置、運営することになっておりますけれども、県内には、長崎県の
ハウステンボスのような会議場や
レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設等を一体的に備えた大規模施設にふさわしい場所が今のところ見当たらないという感じでございます。そこのところをどう考えていくかということです。 三つは、青少年の健全育成のために必要な措置、
ギャンブル依存症等の悪影響防止の措置、カジノ施設に入場できる者の範囲等を定めた制度設計が明らかになっていないと、これから議論されるということになっているところであります。したがって、今の段階では、引き続き国の動き等を注視していく必要があるのではないかなと考えているところであります。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 はい、ありがとうございました。大分県の観光というのは、自然を生かしたすばらしいこの景観をもってあるべきもので、そしてまた、この
特定複合施設というのは、大きな土地が必要であるということ。その適した土地がなかなか見当たらないということ。更には、青少年等、
ギャンブル依存症と言われている問題等について、今後の国の動きを見なければならないというようなことがあるということでありました。大変わかりやすい答弁であり、本当にありがとうございます。 国は、基本理念にのっとって、この
特定複合観光施設区域の整備を推進する責任を有しておりますし、整備推進に必要となる法制上の措置について、施行後1年以内を目途として講じなければならないと、IR推進法は定めております。 法は昨年12月26日に施行されたことから今年12月がその期限となります。今後
IR実施法案を審議することとなり、この審議の中で詳細な手続やルールが定められるわけですが、企業などの設置者が利潤を追求するため、実際には大都市などでしか設置されないこととなれば、国が進めている地方創生には全く無意味な法案となってしまいます。
特定複合観光施設区域の認定は、例えば設置者と自治体が描く地域の将来像や、地域に還元される収益金の貢献度合いにより判断されることとなれば、
統合リゾート施設は地域に密着したものとなり、意欲のある自治体が
特定複合観光施設区域の整備に参画できるようになります。
特定複合観光施設が地域観光の起爆剤として、外国人を地方に導く周遊観光の推進力になるためには、地域に密着した施設整備が推進される仕組みとなるよう国に働きかける必要がある、このように思っております。 また、県内の自治体が、この
特定複合観光施設区域の整備に参画できるよう、何らかの支援をする考えがあるのかを併せてお聞きかせください。
○
田中利明議長 廣瀬企画振興部長。
◎
廣瀬祐宏企画振興部長 特定複合観光施設区域に関する質問についてお答えをいたします。 先ほど知事から答弁がありましたとおり、これまで温泉をはじめ、豊かな天然自然を生かした観光誘客を進めてきました本県に、カジノ施設を備えた区域が両立するのかどうか、あるいはまた、青少年の健全育成や、
ギャンブル依存症対策等の懸念材料に対する制度設計ができていないことなどから、区域の整備につきまして、現時点では慎重に考えないといけない課題と思っています。 更に、
統合型リゾート区域の申請・認定につきましては、シンガポールやラスベガスのような
統合型リゾートを想定した場合に、都市、あるいは地方を問わず、国内に幾つも設置できるというものではないというふうに思われます。 こうしたことから、現時点では、区域の整備に関しまして、国への要望や県内自治体に対する支援は考えていないというところであります。引き続き、国の動きなどを注視してまいります。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 一応
地方自治体等には、応援という言い方ではないですけれども、なるべくそういうものはまだ先を見ながらという話になるんだろう、このように思っております。 やはり、この法案が出たときから、各党がカジノ法案というような名前でこのIR法がいかにもギャンブルばっかりをするような、そういう施設ができるんだというイメージが随分日本国中に回っていると思います。 確かにそういうことも、いろいろな地方の新聞等、またいろいろなものを見ていますと、全国の世論調査等でも、やはりそのようなカジノに対しての反対というのはあるんですけれども、実は日本というのは、パチンコもあれば、競輪、競馬、競艇、オートレースというふうに、特にパチンコ以外は全て公的な
ギャンブル施設というものになるわけですけれども、私の住んでおります別府も、実は別府競輪を持っております。 今66年、来年67周年になりますけれども、その間、約430億円以上を別府市に収益として繰入れをしております。そのお金で別府市内の小中学校の建て替えとか、地域の環境整備、そういうものにお金は使われてきたわけなんですけれども、一概にギャンブル、ギャンブルという、この言葉だけが一人歩きするようなことでは、私はこのIR法というものは、決して前に進まないんじゃないか、このように思っております。 ただ、今御答弁頂きましたように、施設を特定で大きく複合的につくらなければならないという、この言葉がある限りは、大分県でつくるのはなかなか難しいんじゃないかな。しかしながら、例えば、別府なら別府にカジノだけをつくって、そして、泊まるのは今ある既存のホテルというような形ができるようになれば、また少しは方向性が変わってくるのかな、こういう気持ちもあります。 ですから、別府市の商工会議所の関係の方々がこの問題に対して名乗りを上げたというのは、やはりその辺のところにあるんじゃないかな、このように思っているわけで、是非とも将来を見据えてではありますけれども、この世界の、特に欧州等ですね、ある程度のお金を持った方々がこの日本に旅行に来るという、インバウンドというものを考えたときには、このIR法というのをこれから先、是非とも地方でもある程度声を上げていただければありがたいのかな、このように思っているところであります。 では、続きまして、観光戦略について御質問させていただきます。 昨年の第4回定例会終了後、私は12月15日から23日までの9日間の日程で
県議会海外調査研究に参加いたしました。議長を団長とする9名の議員で、アメリカ合衆国と
キューバ共和国を訪問し、10か所の施設を訪問してきました。
アメリカサンフランシスコでは、観光や
最先端技術産業、大規模畜産業、知的障がい者の
地域生活支援について。
キューバ共和国では、自然保護行政や市民防災の実態、野球選手の育成などについて多くの現場を実際に見ることができ、関係者から貴重な話を伺いました。 いずれも観光、産業、防災、福祉、スポーツなどの分野のうち、本県が現在取り組んでいる施策に関連した大変参考になる事例であり、非常に有意義な調査となりました。 その中で特に私が興味を引かれたのが、
サンフランシスコで伺った観光振興に関するシステムであります。
世界トップクラスの
観光地域づくり推進法人、通称DMOと呼ばれる
サンフランシスコトラベルでは、いかにして世界中の観光客に「行きたい都市」の候補地にしてもらうのか、常に観光地として魅力を発信しているそうです。 魅力や情報の発信などには調査研究が必要であり、多額の費用を要するわけですが、TIDという手法を用いて財源の確保をしております。 TIDとは、地域の
観光プロモーション活動等に係る独自財源の安定的な確保を目的につくられた仕組みであり、TIDの参加企業が、自らの収入に対して一定料率の賦課金を課し、この資金を参加企業の便益になるDMOの活動費に限定して活用するものです。 TIDでは宿泊料の1から1.5%を徴収しますが、
サンフランシスコトラベルでは年間予算3,560万ドルの67%をこのTIDで賄っています。金額で言うと2,385万ドル、1ドルを110円で換算しますと、約26億2,400万円にもなります。 このようにTIDは、財源確保の面など大変魅力的ですが、これを県内の市町村に当てはめると難しいのではないかと考えております。 観光は携わる業種・業者が多種多様のため、それぞれの思いや個々の利益へのこだわりなど、諸問題が多数あり、意見の取りまとめが難しいと考えられるからであります。 そこで、県の強いリーダーシップにより、これらを取りまとめ、公益法人であるツーリズムおおいたによるTIDなどを視野に入れた新たな観光戦略を検討するべきと考えますが、県の御見解をお伺いいたします。
○
田中利明議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 観光戦略につきまして、御提案を交えて御質問を頂きました。 平成28年度から3年間を計画期間とする第2期の
ツーリズム戦略を昨年度策定いたしまして、その中で、ツーリズムおおいたの
県域版DMO化に向けた機能強化を重点項目に掲げております。 議員御提案のTID、
観光産業改善区域とでも言うんでしょうか、これはお話のとおり、アメリカではDMOの活動を促進する制度として活用されているそうであります。 地区内の事業者から徴収される負担金を主な財源として、DMOが
観光マーケティングや
誘客プロモーションなどを行うもので、観光客を増加させるということで事業者に利益還元する仕組みと伺っております。 法令に基づいて、過半数の事業者の同意や行政の承認等の手続を経て、地区内全事業者に負担金を支払う義務が生じるということであります。 我が国では、既に行政の方が主体となって税収を財源に観光振興を行っております。御承知のとおりでございますけれども、また、観光協会などは、会費収入や補助金を財源にして観光誘客の活動等を行っているところであります。 このため、こういう仕組みになっておりますけれども、したがいまして、この今の仕組みに加えまして、TIDのように、法律によりまして、半ば強制的に負担金を取るというやり方、もう一つの税ということになると思いますけれども、これはなかなか難しいところがあるんじゃないかなと思っております。 観光振興のための財源確保といたしましては、最近、法定外目的税である宿泊税というのが、東京都や大阪府で導入されておりまして、北海道においても検討が始まったようであります。 現在、全国知事会におきまして、研究会を設置して、宿泊税について検討しているところであります。 吉冨議員からお話がありましたように、市町村単独、あるいは県単独で導入するということになりますと、旅行需要への影響が出てくるということになります。 そこで、やはりやるんなら全国で足並みをそろえて導入するかどうか、考えなきゃいかんということになるだろうと思います。 今、そんなことを念頭に置きながらいろいろ検討は進めております。貴重な御提案として、検討の材料にさせていただきたいと思っているところであります。 さて、県域版のDMOを目指すツーリズムおおいたにつきまして、一昨年のディスティネーションキャンペーンを契機として、観光関係者とのネットワークや、情報発信や
誘客プロモーションの機能が強化されたところであります。 現在は、
自主財源確保のために
マーケティングや企画能力の強化、あるいは旅行商品の販売力強化に取り組むほか、会員の拡大にも努めているところであります。 今後、国民文化祭、
全国障害者芸術・文化祭、ラグビー・ワールドカップ、
東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機といたしまして、国の内外から多くの観光客を呼び込めるように、様々な取組を加速しなければならないと思っております。 その際に、ツーリズムおおいたには、第2期
ツーリズム戦略のもとで、
県域版DMOとして、しっかりと活動できるように体制を整えていただきたいと思っておりますし、私どももそれをしっかりと応援していきたいというふうに思っているところであります。 これからもこの点につきましても、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 ありがとうございました。 やはり、今の観光の分野というものを見たときには、ほとんどが今知事がおっしゃるように、県からの補助金とか、また、各地の観光協会においても、各市町村からの補助金というものが入ってくる。要するに税金が投与されているということになるわけですね。 やはり、このTIDに関して言えば、これは泊まっているお客さんが1万円に対して1%であれば100円ということになるわけで、言えば、大分県の県民とかが自分の自らのお金を払っていくというわけではない、県内の人が県内のどこかに泊まれば、そうなりますけれども、基本的にはその地域の人たちが納める税金ではなくて、観光に来てくれる方のお金でこのTIDというのはやっているわけですので、やはりそういう面では、今、知事からお話がありました全国で今話をしている知事会での宿泊税、これもやはりTIDと同じような形で、これがそのまま税収というよりは、観光にその分が全部使えるようになれば大変いいんじゃないかな、このように私は思っております。 やはり、国の法律の中で言えば、身近なもので言うと、入湯税というのが大体150円ですかね、取られておりますけれども、これが実はホテルとか旅館では納めていなくて、業者の方に入らないという問題も実は若干あるんですよ、本当の話がですね。ですから、やっぱりそういう面で言うと、この施設、泊まった方の分から1%とかのお金をもらうというこのTIDも、どういうふうな徴収の仕方が本当にうまくいくのかというのが実はあるので、その辺のところもこれから先、全国の知事会の中での宿泊税の徴収の仕方という中で、是非これから検討していただければ大変ありがたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。 それでは、続きまして、別府港の整備について、御質問させていただきます。 本県は、瀬戸内海を挟んで本州に面し、九州の中では四国に最も近く、これまでもその優位性を最大限発揮するため、
大在コンテナターミナルの整備や
豊予海峡ルートについての検討が行われてきました。 昨年4月の
東九州自動車道開通により、九州の
循環型高速道路ネットワークと関西、中・四国へのフェリー航路の結節点となり、その有意性は更に高まりました。 このことから、県は長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」で、九州の東の玄関口としての「人の流れ、物の流れの拠点づくり」を施策として掲げています。 昨年5月には、九州の東の玄関口としての
拠点化戦略会議を設置し、特に別府港と大分港大在地区については、戦略会議に部会を設け、戦略の内容について議論してきました。 その別府港部会が報告書の最終案をまとめたと、1月に地元新聞で大きく取り上げられておりました。 その内容は、老朽化したターミナルの集約や、にぎわい創出に向けた新たな拠点施設の整備を柱とするものです。 別府港の将来像の実現に向けた取組として、五つのコンセプトに分かれており、1、
フェリーターミナル港としての機能強化、2、玄関口としてふさわしい空間、3、二次交通の充実、4、クルーズ船の誘致方針、5、
にぎわい空間等の
イメージづくりとなっています。 大変すばらしい内容であり、人や物の流れがあってこそ、初めて経済は大きく動くことから、一日も早い実現を願うばかりであります。
少子化問題解決などにも深く関わっている問題と私は考えていますので、可能な限り早い時期に実現することが大事だと考えておりますが、県としていつ頃までに報告の内容を実行に移すつもりなのか、御見解をお伺いいたします。
○
田中利明議長 廣瀬企画振興部長。
◎
廣瀬祐宏企画振興部長 別府港の整備についてお答えをいたします。 現在、本県が九州の東の玄関口として、人の流れ・物の流れの拠点となることを目指し、戦略案について、
拠点化戦略会議でまとめに入っております。 中でも、別府港につきましては、人の流れの基幹拠点を目指して取り組むべき内容が盛り込まれているところであります。 別府港につきましては、フェリー上屋が老朽化していることや、大阪港航路のフェリーの大型化が見込まれることから、戦略に基づく早急な対応が必要と考えております。 具体的には、来年度からフェリー上屋及びにぎわい施設の機能などの整備内容について、有識者による会議で検討するとともに、それを受けまして、港湾計画の変更に取り組む予定です。 また、交通事業者による調整会議を設置しまして、二次交通の乗り継ぎ改善を図っていきます。 中長期的には、検討結果を踏まえて上屋及びにぎわい施設を整備するとともに、フェリーの大型化に伴う港湾施設の整備を行うことになります。 このように、まずはフェリーの大型化の時期を見据えて、国庫も含めた財源の確保を図りながら整備を進めてまいります。その後も別府港の人の流れの基幹拠点化が早期に実現できるよう取り組んでまいります。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 今後はですね、有識者との会議等を経て、その内容をそのまま進めていこうという考えであるということだそうでありますけれども、やはり本来スピードをもって物事を進めていくのが本当は大変ありがたいのかなと、このように思っているところでありまして、会議がなるべく長く続かないように、答えが早く出ていただけるとありがたいなと、このように思っているわけでありますけれども、今議会、自民党代表質問でも、御答弁のとおり、県財政が厳しい状況の中で、5つのコンセプトを短期、長期にわたり整備するには、やはり余りにも多くの時間を要してしまい、観光立県として、他の後じんを拝してしまうのではないかと危惧しております。 別府港は、南北に1.5キロ、幅は広いところで100メートル以上を優に超える広さがあるため、港の一体的整備や施設整備には民間の資金とノウハウを活用することも検討すると報告書案には示されています。 そのようなことから、私は民間活力による大規模な再開発を行うべきだと考えますが、御見解をお伺いいたします。
○
田中利明議長 廣瀬企画振興部長。
◎
廣瀬祐宏企画振興部長 民間活力の活用についてお尋ねがありました。 別府港部会の報告では、フェリー上屋や、にぎわい施設について、フェリー等の交通拠点としてだけではなく、例えば、観光、商業、文化等の拠点としての機能を併せ持つ複合型として、その整備に当たっては、民間資金の活用も検討すべきとされています。 これまで専門家の意見も県は伺っておりまして、次の2点から別府港の整備に当たり、民間資金の活用が適するものと考えています。 1点目は、別府港が別府市市街地に近接し、国道10号に面した恵まれた立地にあることから、フェリー利用者のみならず、観光客や近隣住民による利用が大いに見込まれる点であります。 2点目は、港湾法による利用の規制等があるものの、第1から第3ふ頭までを合わせた面積は10ヘクタールを超えるため、整備する施設の自由度は比較的高く、民間の活力を生かす余地が大きい点であるということであります。 来年度から早速、有識者による検討会議を設けまして、事業規模や施設の機能などについて議論し、施設内容を詰めていきます。 併せて、この施設について、民間資金の導入可能性を検討することになります。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 民間活力も併せて検討するということであります。前向きな御答弁であったと大変喜んでいるところであります。 今、この別府港の5つの拠点づくりの中で、4番目か3番目でしたか、クルーズの問題等も出ておりました。 私は、昨年の第3回定例会におきまして、この別府港に大型ホテルを造ったりとか、MICEができる、そういうものが必要であるということも、奈良県等の例を出して発言させていただいたわけですけれども、特にこのクルーズに関して言いますと、瀬戸内海は、やはり大型の何十万トンというクルーズ船というのはやはり難しいんですね。島々があり、その間を抜いていくということと、あと、海の深さという部分がありまして。 そういう中において、今、クルーズでは、新たに横浜はクルーズ船の「春日」に、これを母港として、日本郵船が運航しておりますし、更には熊本県八代に関しては、アメリカのクルーズ船大手が、これは「ロイヤルカリビアン」、また、長崎県の佐世保においては、これもアメリカの大手で「カーニバル」、静岡県の清水港ではマレーシアのゲンティングループが、やはり地元の自治体と一緒にクルーズの大型化というものをしているわけですけれども、このクルーズ専用港を官民で造るということをもうやっております。 やはり、そういう意味からすると、大分県においては、瀬戸内海に、大在は貨物関係の港としての機能ですから別として、別府港に関して言いますと、国際観光港という観光の名前がついているわけでして、そういう意味でやはりこのクルーズ船というのが、別府の港には必要だと思っております。 そういう中で、今申し上げた他県においては、これは外海と接するところでして、大型船というのが、要するに何十万トン、20万トンクラスのクルーズ船を呼べる港になるわけですけれども、別府の場合ですと、それだけ大きなものというのは、やはり無理。そうなると、やはり一番いいのは、2万トンから3万トンクラスぐらいのクルーズ船に来ていただけるのが本当は一番いいんじゃないかなと、このように思っております。 その中で、瀬戸内海の島々を通ると、これはもう本当にすばらしい景色が見られるわけでして、この中で、今広島でももうこのクルーズ船を実は造って回そうという民間の企業ももう出ておりますし、新聞でも発表されておりました。 実は、今、大分の走っているフェリーに関しては、商船三井がほとんど動かしているわけですけれども、その中で、この前、話を伺ったところ、航路としては神戸、大分、大阪南港、別府というこの日本で、新たにクルーズをしようと思っても、国土交通省はなかなか新しい航路というのをすぐに許可をするのを嫌がるというようなことを言っておりました。 私はこの前、四国の愛媛の県庁に行ってお話を伺っていたんですけれども、やはり各県の知事が併せて瀬戸内海のこのクルーズを認めてくれということを、是非広瀬知事が先頭で国土交通省等にでも行って、クルーズ船の新たな航路というものを認めてほしいという旗振りをしてもらいたいと、このように思っているんですけど、知事いかがでしょうか。
○
田中利明議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 私もこれからの観光の中で、海の観光は大変有望ではないかと思っております。そういう中で、やっぱり大分県の利点は、瀬戸内海クルーズの拠点であり得るということでございまして、そのために必要ならば、どこにでも行って陳情したいと思います。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 是非瀬戸内で言うと兵庫県、岡山、そして広島と山口が本州海側、そして、瀬戸内、三重、四国側では、愛媛、そして香川、この知事の先頭に立って、是非ともやっていただければありがたいな。 そして、私は、実はこの民間活力で別府港の再開発というのは、大きな会社に、大分県が港としては、これとこれは必ずしなければいけないということを出して、あとは民間デベロッパーで案を出していただければすばらしいものができると、私はこのように思っております。 先ほど部長の答弁の中でも、やはり市街地に近く、10号線を持っているということで、これは5年ごとに調べる交通調査によると、1日の交通量が、7万台以上あるんですね。そして、うち、小型車が6万1千、大型車が9,600、これは平成22年です。5年ごとですから、もう27年がそろそろ発表されるということになっておりましたけれども、1日に7万台を超す車がこの10号線を九州横断道路の入り口、私の家のすぐ下からですけれども、浜脇の東別府、この間のところを1日7万台の車が行く、ここに観光港のあの大きな敷地を、例えば、アウトレットとか、マルシェの地元の食材とか、あと、いろいろなシーフードの施設とか、そういうものをつくれば、人を雇うだけでも500人、1千人という、そういう雇用も生まれますし、また、1日7万台走る中には、少なくとも数千台は観光客の方々の車が走っていると思いますので、やはりそういう意味では、ここを民間活力でレベルアップするというのが、一番いいと思っていますが、県の財源を使わずにできるわけですから、その辺のところは廣瀬部長、どうでしょう、もう一度御答弁お願いいたします。
○
田中利明議長 廣瀬企画振興部長。
◎
廣瀬祐宏企画振興部長 別府港の整備に当たりまして、別府港部会の方でも中に、にぎわい施設をつくることが大切なので、是非やってもらいたい。にぎわい施設の中には、先ほど議員からありましたように、マルシェみたいなところを是非取り組んでもらいたい等、いろんな意見が出ております。 先ほど答弁しましたように、民間活力を活用するというのが、ここの整備に適しているという専門家の意見も頂いていますので、そこのところをしっかり、来年度から検討会議に入りますけれども、併せて民間活力、活用をしっかり検討してまいります。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 やはり、県の財政も厳しい中で、県がここの別府港のことで、いろいろやっていると、やはり今でも年間数千万円というお金が出ていくわけです。全てをデベロッパーでさせて、そこを貸すということになれば、逆に地代が入ってくる。税収が上がるということもありますし、また、働く500人、1千人規模の従業員からの、いわば税収も上がってくるということであり、これはやはり、私はもう県がするよりも、大手の方に県の案だけは必ず、ここはこれだけするようにということだけ言って、開発をしていただいた方が県にとっても、大変プラスになると、このように思っておりますので、この辺のところは、再度御検討の方、よろしくお願いしたいと思います。 それでは、最後になりますけれども、発電事業に係る温泉の掘削について質問いたします。 地熱をエネルギーとして有効利用することは、環境問題に照らしてもすばらしいことであり、このことについて異論を挟む余地はないと考えておりますが、温泉の熱水を発電のために無秩序にくみ上げるようなことがあってはならないと考えております。 既存の温泉熱水を活用した発電などは、現在は、もう温水、蒸気を新たにくみ上げることはありませんので、新たな大きな問題は生じるとは考えておりませんけれども、今後、新たな掘削を伴う熱水・蒸気による発電については、多くの発電事業が行われることにより、地下の温泉自体が枯渇するのではないかと不安になっております。 承知のとおり、おんせん県おおいたの魅力は、その名のとおり、湧出量・泉質ともに豊かな温泉にあります。この魅力が少しでも損なわれれば、本県の観光に与える影響は計り知れません。 このことから、熱水・蒸気を利用する発電事業に係る掘削許可については慎重に判断すべきと考えますが、県の御見解をお伺いいたします。
○
田中利明議長 柴田
生活環境部長。
◎柴田尚子
生活環境部長 発電事業に係る温泉掘削についてのお尋ねでございます。 温泉の利活用に当たっては、限りある資源を保護するという視点が重要です。このため、温泉掘削申請は、全て環境審議会
温泉部会に諮問し、答申を経て許可を行っております。
温泉部会では、大分県独自の審査基準を設けており、県内全域で、少なくとも既存の泉源から60メートル以内の場所での新規掘削を認めておりません。 更に、原則、新規掘削を認めない特別保護地域や、既存泉から100メートル、又は150メートル以内の新規掘削を認めない保護地域等の規制を設け、温泉資源の保護に努めております。 地熱発電を目的とした申請の増加に伴い、大口径、大深度の掘削について、平成26年に新たに審査基準を設けております。 審査に当たりましては、通常の申請資料に加え、地元説明に関する状況報告書や周辺の泉源のモニタリング計画等の提出を求めております。 モニタリングで他の泉源への影響が認められた場合には、温泉法に基づき、温泉の採取の制限を命ずることもできます。 今後とも、県民の財産である温泉の持続可能な利用を推進してまいります。
○
田中利明議長 吉冨英三郎君。
◆
吉冨英三郎議員 今御答弁頂きましたように、新しく掘削する等においては、大変厳しい網はかかっているわけですけれども、やはり行政として、別府市からとかですね、そういうふうな申請が出たときには、どうしても少し甘くなるようなところがあるんじゃないかというような気がしてしょうがないわけです。 というのは、それは地元で、地域的に言うと鉄輪の湯煙が出ているあの辺の方たちは、やはり「最近の掘削の申請の数の多さが心配でたまらない」というような声もありますので、是非とも今のように必要ないような試し掘りは、試し掘りであっても、必要と感じないものに関しては、余り許可を出してほしくないなというのが本音だということを是非覚えていただきたいと思います。 今回の議会におきまして、知事は夢多いところ地方創生は加速され、地方創生の加速は、また、夢多い大分県を約束するものです。二つを互いに前に進め、明るく力強い大分県を築いていきたいと言っております。是非ともよろしくお願いします。 終わります。(拍手)
○
田中利明議長 以上で吉冨英三郎君の質問及び答弁は終わりました。羽野武男君。 〔羽野議員登壇〕(拍手)
◆羽野武男議員 24番、県民クラブの羽野でございます。よろしくお願いします。 きょうは日田の方から傍聴に駆けつけてくださった皆さんに感謝を申し上げます。 それでは早速、質問に移らせていただきます。 まず最初に、ふるさと納税についてお尋ねいたします。 ふるさと納税制度は、今は都会に住んでいて、そこで税金を納めているけれども、自分を育ててくれた故郷に、自分の意思で幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないかという趣旨で始まりました。自分の選んだ自治体に寄附を行った場合に、年収などで決まる上限額までなら、寄附額のうち2千円を超える部分が所得税と住民税から差し引かれる制度で、2008年から導入されています。 2015年度のふるさと納税の全国の受入れ合計額は、前年度の約4.3倍となるなど、近年、寄附者数と寄附金額が顕著に増加しており、地方創生の切り札として期待する声も高まっています。 しかし、その一方で問題も生じています。一つは、本来の制度趣旨を逸脱した返礼品競争の激化です。総務省自治税務局が昨年5月に行ったふるさと納税に関する現況調査によれば、返礼品競争など各自治体の取組強化に伴い、寄附金募集や受入れ・返礼品などに係る経費も増加し、2015年度ではふるさと納税の全国の受入れ合計額が約1,652億9,100万円であるのに対し、経費の合計額は約792億5,800万円と、受入れ合計額の約48%を占めるまでに至っています。つまり、自治体には約半分しか残らないということになります。また、寄附者の所得が高くなるほど、全額控除されるふるさと納税額の割合が高くなるため、高所得者を優遇する制度だという指摘もあります。 もう一つは、自治体間での税収の奪い合いが生じることです。ふるさと納税を利用して控除を受ける方が居住する自治体は、その分、税収が目減りすることになります。交付税の交付団体であれば、その75%が国から交付税措置されるとはいうものの、25%の減収は埋まらないわけであり、不交付団体である世田谷区は、2015年度、ふるさと納税額で約17億円の税金が流出との報道もありました。もちろん、ふるさと納税を評価する自治体の声もあります。昨年末から今年にかけていった共同通信の調査では、ふるさと納税を評価する自治体が44%で、どちらかといえば評価するのが38%、両方合わせると、実に82%の自治体が評価すると答えています。その理由は、貴重な財源となると同時に、全国に特産品をPRできる、頑張っている小さな自治体が報われるなどとなっており、課題はあるが、寄附金獲得に取り組んでいくしかないというのが、現状の自治体の思いではないでしょうか。 県内自治体においても、平成27年度のふるさと納税収入額は、本県と県内市町村の合計額が約20億2,900万円となっており、自治体の財源確保に寄与しています。 様々な議論がありますが、県はこのふるさと納税の制度についてどのように評価しているのか、そして今後どのような方針でふるさと納税に取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 以後は対面席にて質問いたします。 〔羽野議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
田中利明議長 ただいまの羽野武男君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 羽野武男議員から、ふるさと納税について御質問を頂きました。 ふるさと納税は、最近、控除上限額の拡大や手続の簡素化によりまして、全国的に寄附額が急増しております。本県におきましても県、市町村合わせまして平成26年度の約2億1千万円から、27年度は約20億3千万円、およそ10倍になっております。 ふるさと納税は、自分の生まれ故郷のお役に立ちたい、あるいはまた、頑張っている自治体を応援したいという思いに応えまして、そうした方々からの寄附金を活用して豊かな地域社会をつくるということを目的としているところであります。その効果として、一つは、ふるさと納税によりまして、自治体が創意工夫を凝らした地域活性化策を行うということができること、二つ目は、都会の方々が地方に関心を向ける大きなきっかけになるということが挙げられると思います。 一方で、寄附額を増やすために自治体の間で高額な返礼品競争になっていることや、高所得者ほど税控除の上で有利になるといった指摘があります。これも議員御指摘のとおりでございます。また、寄附に伴う所得税や住民税の減収が、最終的に国民全体の負担になるといった議論もあります。 地方の財源は、産業振興だとか雇用促進等による安定的な税収を確保するということが本来の姿だろうと思います。自治体は、その中でふるさと納税の趣旨や目的に沿って運用を徹底していくということが大事ではないかと思います。 県といたしましては、このような観点、更にはふるさと納税に関する市町村の取組と競合しないように、あるいは活用する事業を絞り込んで募集をするというようなことを心がけているところであります。また、返礼品についても事業で勝負するということで、過度にならないように工夫をしているところであります。 平成29年度からは、人材の育成、特に若者の県内就職促進を対象にふるさと納税を募っております。具体的には、ものづくり、あるいは情報通信、あるいは芸術文化の3分野で県内の企業に就職をした学生に対しまして、ふるさと納税を活用して、県独自に奨学金返還を支援するということにしているところであります。 その際、個人からの寄附だけでなく、今年度新たに創設された地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税制度も活用して、県外企業からも広く寄附を募っているところであります。 また、返礼品につきましては、「坐来大分」の食事券や大分県芸術文化友の会「びび」の会員証などで感謝の気持ちを表しております。 国におきましては、返礼品の品目や上限額の課題につきまして対応策が検討されておりまして、このような国の動きも注視しながら、ふるさと納税の活用を図っていきたいと考えております。 ふるさと納税については、できるだけ多く頂きたいなという気持ちがある反面、申し上げましたように、制度の趣旨からいって、やり方には気をつけなければいけないということ、それから、特に県内の市町村との競合を避けるといったようなことを念頭に運用をしているところであります。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 答弁いただきました。 返礼品については、このふるさと納税の制度自体に組み込まれている仕組みではないので、国としてもこの件については言いようがないというのが実情だろうと思いますし、現在の段階で過度な返礼競争があるのは問題ではあるとか、自らの判断と責任のもとで良識ある対応をとることが重要というところに今の段階ではとどまっているという状況だろうと思います。 しかしながら、かなりしれつな争いになっているという現状はもうあるわけで、どのようにした対応を国としてとるかというのは今模索中だとは思いますけれども、返礼品がなくなるということはなかなか想定しづらい今の状況で、ちなみに、平成27年度のふるさと納税で地方税収を上回った自治体が13町3村あるそうでして、やっぱり小さい自治体じゃないとそういう結果にはならないでしょうから、そういった自治体にとっては死活問題になってくるんだろうと思っております。 問題は、私が思うのは、大分県がふるさと納税の収入額の低さが、九州でも最下位という状況で、平成27年度を見ると566万円という状況ですから、ほかのところは、佐賀県あたりはかなりいいところは全国でもいいレベルということなんですが、5億8,300万円という状況で受入れているわけですから、そこら辺に力をもっと入れてもいいんじゃないかという思いがするわけです。 県内のほかの市町村との競合を避けるということをおっしゃいましたけれども、仮に大分県が県内の産品を返礼品にしたときに、産品を持っている自治体のふるさと納税の収入額が減るということにはなかなかならないというふうに想定をしております。逆に、それがならないことが今の実態を見ると証明できているのではないかというふうにも思えるわけですから、少なくとも今県がやっている「坐来大分」であるとか、「びび」のメンバーズカードであるとか、現在の返礼品の状況では余りふるさと納税の納付額はどうなのかなという思いがあります。 ただ、今度は人材活用の部分でいくということですから、この部分でどれだけふるさと納税の収入額が増えるか見ていく必要があると思いまして、その状況を踏まえて、やはりほかにも活用できるような部分も含めて、制度がある以上、収入額を増やす仕組みを考えていくべきだろうと思っておりますが、再度お考えをお聞かせください。
○
田中利明議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 おっしゃるとおり、いろいろ考慮しなければならない点はあるわけでございますけれども、だからといって全国最下位になるということはないんではないかなと。もう少し反省をして、増やす努力をしなければいけないなと思っているところでございます。 2点、実は努力をしておりまして、一つは、やっぱり頂いたふるさと納税をどういうふうに活用するかという、活用方法において魅力を出すかどうかというところが大変大事なポイントではないかなと思っております。 そういった意味で、ようやく県立美術館もできましたので、芸術文化に使うんだとかいったようなことも考えましたけれども、最終的には、やっぱりふるさと納税の趣旨は、昔お世話になったふるさとに恩返しをしようという趣旨ではないかと思いまして、それならば、奨学金の返還に悩んでいる若い人に対する返還支援というようなことで使わせていただくという、目的をはっきりするということの方が応援をしていただける皆さんにも分かりやすいし、また、その目的もそういった制度の趣旨に合うようなものにした方がいいんじゃないかということで、今度はそういうことでやってみようかと思っております。 それから、返礼品については、これは別に何を選んでも、ほかの市町村と競合するという心配をしているわけではありませんで、ただ、額においてですね、ほかの市町村が及ばないような高額のものを出すとか、そういうことになると、じゃ、そっちの方がいいというようなことになると思いますけれども、その返礼品で競争をしようと思っておりませんし、また、特に競合することもないんじゃないかと思っております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 いろんな使い道で頑張ろうということでありますけれども、寄附金がなければ使えないわけなんで、できるだけ多く寄附金を集める工夫を、是非引き続き検討していただきたいというふうに思っております。 次に、アルコール健康障害対策について2点お尋ねします。 まず、アルコール健康障害対策推進計画についてお尋ねいたします。 アルコールによる心身の健康障害や、アルコールに関連して生じる暴力、飲酒運転などの問題は、個人だけでなく、その家族、社会に取り返しのつかない損害を与える危険性が高い喫緊の課題であるとして、大分県議会においては平成25年第3回定例会で、アルコール健康障害対策基本法の制定を求める意見書を全会一致で採択しました。 その後、アルコール健康障害対策基本法が平成25年12月に成立し、平成26年6月1日に施行されました。同法では、政府は、アルコール健康障害対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、法施行後2年以内にアルコール健康障害対策推進基本計画を策定しなければならないこと、また、都道府県は、都道府県アルコール健康障害対策推進計画を策定するよう努めなければならないことが規定されています。 昨年5月、政府はアルコール健康障害対策推進基本計画を策定しました。都道府県による推進計画の策定は、法律上、努力義務となっていますが、私は、地域の実情に応じたアルコール健康障害対策を推進していくため、大分県アルコール健康障害対策推進計画を策定すべきと考えます。 このことについて、御見解をお伺いいたします。
○
田中利明議長 草野
福祉保健部長。
◎草野俊介
福祉保健部長 アルコール健康障害対策推進計画についてお答えいたします。 厚生労働省の推計では、全国のアルコール依存症の経験者は、平成24年度時点で109万人であり、この結果から本県の依存症の経験者は約1万人と推計されております。 アルコールは人々の生活に豊かさと潤いを与える一方で、不適切な飲酒は健康障害の原因となり、本人の健康の問題のみならず、家族への深刻な影響や重大な社会問題にもつながると考えております。 県としては、国のアルコール健康障害対策推進基本計画を踏まえ、本県の実情に応じて、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進するため、平成29年度中に県計画を策定したいと考えております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 ありがとうございます。推進計画を策定するということは、当然、策定するための検討機関を作るんではないかと思いますけれども、どのような組織、メンバー構成を検討しているのか、現時点で考えがあればお尋ねいたします。
○
田中利明議長 草野
福祉保健部長。
◎草野俊介
福祉保健部長 計画策定のメンバーについてのお尋ねでありますが、今から選考するということでありますが、当然アルコール関係の計画でありますので、その専門家であったり、できれば健康障害を経験した方にも入っていただければと考えています。また、家族の意見を聞くことも大事だと考えておりますので、例えば、警察や教育などの行政関係者、また医師会等の医療関係者、更には断酒会等の家族会や実際に経験された方、更には酒販の販売業者、酒類を販売する方々にも入っていただければと考えています。そういう方々の中から適当な方を選べればと考えております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 平成27年度に鳥取県がもう策定済みということで、今年度は愛知県をはじめ7県が策定中だと、今見たらなっていたんですが、先行県がありますのでそういったところも参考にしながらいいところは取り入れるなどして、立派な計画を策定していただきたいと思っております。 次に、アルコール健康障害対策についてお尋ねいたします。 具体的な取組についてお尋ねいたします。 アルコール健康障害対策基本法では、
地方公共団体は、国との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとされています。また、教育の振興、不適切な飲酒の誘因の防止、健康診断及び健康指導、医療の充実、相談支援など、アルコール健康障害対策の推進に係る基本的施策についても定められています。 私は、アルコール健康障害対策に取り組む上で重要なことは、民間の自助グループとの連携ではないかと考えております。自助グループとは、問題を抱えている個人や家族が当事者同時の自発的なつながりで結びついた団体です。 現在、県内には、16地域で断酒会が活動しており、その連合会である一般社団法人大分県断酒連合会も組織されているところです。また、全国的な組織であるアルコホーリクス・アノニマスによる活動が、本県でも行われています。アルコール依存症から脱することは、本人の努力だけでは困難な面があり、自助グループに加入し、仲間と一緒に取り組むことが重要となってまいります。 こうしたことから、自助グループとの連携は、アルコール健康障害対策に欠かせないのではないかと考えます。基本法においては、基本的施策として、民間団体の活動に対する支援も定められているところです。 基本法の施行後、2年半以上が経過しましたが、自助グループとの連携も含めて県はどのような対策を行ってきたのか、また、今後はどのような方向性で取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○
田中利明議長 草野
福祉保健部長。
◎草野俊介
福祉保健部長 アルコール健康障害対策についてお答えいたします。 県では、これまで、アルコール依存症の本人や家族からの相談に応じる相談会を開催するほか、支援者の育成を目的とした研修会の開催、県民を対象としたアルコール健康障害対策啓発キャンペーンやアルコール関連問題公開セミナー等、普及啓発事業を行ってきました。 また、本人や家族の自助グループである大分県断酒連合会には、同じ悩みを経験した当事者による個別相談や小集団ミーティング、また、自らの体験談を通した支援者研修等に協力頂いております。 今後とも、これまで行ってきた事業の充実を図るとともに、県計画策定に当たっては、基本法の理念を踏まえ、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の各段階に応じ、自助グループと連携した防止対策の適切な実施等を検討していきます。 また、先ほど御質問にありましたように、計画策定段階でも御意見を伺っていきたいと考えております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 相談会や研修会、キャンペーンと、セミナーを含めて、既に対策は施策として進められてきているという現状をお伺いしました。そういったことで、計画づくり段階に入っても、こういった実態を踏まえてスムーズに計画が進められるんじゃないかと考えますので、是非引き続いて対策を講じていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、中小企業の人材確保についてお尋ねいたします。 現在、人口減少の克服、地方創生という課題解決に向けて、県と各市町村が様々な取組を進めているところですが、地方創生を実現するためには、地域産業の担い手である中小企業が優れた人材を採用することが重要です。 県内の中小企業は、優秀な人材の確保を図るため様々な取組を行っています。リクナビやマイナビなど就活サイトの活用、合同企業説明会への出展、ハローワークや新聞広告による求人、フェイスブックやツイッターなどSNSへの掲載などが一般的ですが、昨今、私の地元日田市では、企業や医療法人が自ら奨学金制度を創設しているという実情もあります。また、県内では、企業が奨学金の返還支援を実施する動きがあり、去る2月6日には、ホルトホール大分で奨学金返還者支援企業情報交換会が開催され、14社が参加して、奨学金返還支援の実施に向け学生と意見交換を行ったと伺っております。 しかしながら、様々な取組を行っても、成果につなげていくことは難しいという声も聞いております。中小企業は採用に十分な資金や人手をかけられないこと、採用に関するノウハウの蓄積がないことなどが原因ではないかと考えております。企業等による奨学金制度についても、学生に十分周知されていないのではないでしょうか。 県としては、市町村、商工団体、経済団体などと連携しながら、各企業の人材確保を支援し、中小企業の努力を成果につなげるための取組を実施していくべきではないかと考えます。このことについて御見解をお伺いたします。
○
田中利明議長 神崎
商工労働部長。
◎神崎忠彦
商工労働部長 中小企業の人材確保についてお答え申し上げます。 有効求人倍率は、23か月連続で1倍を超え、本年1月には1.34倍と過去最高で、御指摘のとおり労働市場はひっ迫しております。応募が減った、内定者が大手企業に流れたなど中小企業の人材確保の厳しい声を聞いております。 このため、県では、高校生や大学生向けの合同企業説明会を県内外で開催し、県内中小企業が直接学生に説明する場を提供するとともに、おおいた産業人材センターによるUIJターン希望者の採用支援等に取り組んでおります。 また、学生向けには、学生登録制度等を活用し、県内企業の魅力等を積極的に発信しています。 更に、中小企業の計画的な採用活動を支援するため、市町村、経済団体等の就職イベント情報を一元化し、県庁ホームページで一覧できるように改善いたしました。 平成29年度には、県出身学生の4分の1が在住する福岡県に学生就職サポーターを配置し、インターンシップの推進や県内企業を紹介するバスツアーの実施などにより福岡対策を強化する予定でございます。 今後も、市町村や経済団体等と連携して、様々な取組により県内中小企業をより深く知る機会を生み出し、中小企業の人材確保を支援してまいります。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 ありがとうございます。様々な取組を行っているということでございますが、実績に結びつくように、成果を是非目に見える形で上げていただきたいと考えているところです。 それでは次に、奨学金の返還支援についてお尋ねいたします。 ものづくり産業人材確保奨学金返還支援事業がありますが、このことについてお尋ねいたします。 県は、本県のものづくり産業の将来を担う人材の県内就職及び定着を促進するため、ものづくり産業人材確保奨学金返還支援事業を実施しております。 この事業の概要は、所定の奨学金などを受けて大学や大学院、高等専門学校に在学している学生が、卒業後、県に登録している中小製造業に研究者や開発技術者、製造技術者として6年間継続して就業が見込まれるときに、奨学金などの返還に対して6年間で最大122万4千円を支援するというものです。 2月末現在、この事業の対象企業として11企業が登録されているとお伺いしております。今後、更に登録企業を増やすとともに、多くの学生がこの制度を活用して支援を受けられるよう、周知に努めていただきたいと思います。この事業の趣旨には大いに賛同するものですが、真の意味での地方創生を図るためには、県内各地域の多様な企業に幅広く人材を確保することが重要であると考えます。 平成29年度予算においては、制度を拡充して、対象を中小情報通信企業の情報処理・通信技術者にも拡大するとされています。しかしながら、例えば建設業など、地域の基幹となる産業は他にもあります。 そこで、今後、この事業の対象業種を更に拡大していくことを検討してはいかがかと考えますが、この点について御見解をお伺いいたします。
○
田中利明議長 神崎
商工労働部長。
◎神崎忠彦
商工労働部長 奨学金の返還支援についてお答え申し上げます。 本県の地方創生の実現には、強みである、ものづくり産業の集積の厚みを生かして県経済の持続的な発展を図ることが不可欠です。このため、中小製造業の研究者や開発技術者等の確保を支援する奨学金返還支援制度を今年度創設いたしました。 また、急速に進む製造業のIoT等に対応し、大分県版第4次産業革命OITA4.0への挑戦を支援するため、情報処理・通信技術者の追加を今議会に提案しているところでございます。今後とも、登録企業数の増加と制度の周知に努めてまいります。 県では、本制度の他にも、例えば、建設分野については高校生向けの体験学習の実施、医療・福祉分野については看護師や保育士等の修学資金の貸付け、全ての業種を対象とした県外在住者の採用面接やインターンシップに要する経費の助成など、多様な業種の人材確保を様々な施策で支援しております。 奨学金返還支援制度は、来年3月の大学等卒業者から支援対象となりますので、対象業種の拡大につきましては、運用開始後に効果等を検証して見極めてまいりたいと考えております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 2月7日の新聞に、日田市の中小企業、廃業検討2割、後継者未定5割という記事が出されました。確かに、そういった支援対象というのも事業を始めるに当たっては必要でしょう。限られた予算で行わなければならないということがありますので。でも、県内でその地域を担っていく、けん引している企業は多種多様ではないかとも思うわけです。実際、奨学金を出しましょうという企業は、建設業者で確認をとって、自分のところに採用して返済を支援すると、それならそっちの方がいいと、企業もですね。その会社に勤めていた人も、自分は奨学金返済が38歳までかかった、そういう制度があるならそちらの方がいいと、返す当事者もそうおっしゃっています。現在そういう仕組みをやっている、先ほど質問の中でも申し上げましたけど、そういった取組を現在行われていますので、そういうところを活用する、あるいは支援することになれば、それでもいいという企業が存在しているので、マッチングをぽんとできるような体制ならいつでもとれるんじゃないかと思いますので、そういったところを含めて、是非取組を進めていただきたいと思います。 それでは次に、日本語指導について3点お尋ねいたします。 まず、日本語指導担当教員の配置についてです。 本県では、日本語指導が必要な児童生徒が、平成28年5月現在で53人在籍しており、近年増加傾向にあることから、これらの児童生徒に対する日本語指導の重要性はますます高まりを見せています。 日本語指導を行う上での課題は、日本語指導が必要な外国人児童生徒の散在化と多国籍化であると言われています。そのような中で、効果的、効率的に日本語指導を行っていく必要がありますが、取組の基幹部分として、まずは、日本語指導の中核となる教員をしっかりと配置していくことが重要だと考えます。 本県においても、学校では十分な日本語指導を受けられない児童生徒がいると伺っておりますが、その最も大きな要因は、指導者の不在であると思われます。学校現場では、日本語指導のほか、特別支援教育に伴う特別支援学級や通級指導などについても、対象者が増加する中できめ細かな対応を求められており、年々役割が幅広くなってきています。これらのことも含めて、県教委、市教委などが懸命に取り組んでいることは承知しておりますが、現在の職員体制では限界があるというのが実態なのではないでしょうか。 文部科学省の設置した学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議が、昨年6月に取りまとめた報告書においても、日本語指導を担当する教員の配置を拡充する必要性が述べられているところです。 児童生徒に充実した教育を提供していくために、特に、日本語指導の担当教員を適正に配置するためには、国への定数増の要望も含め、十分な数の職員の配置を検討する必要があると考えます。このことについて御見解をお尋ねいたします。
○
田中利明議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 日本語指導担当教員の配置についてお答えをいたします。 日本語指導が必要な児童生徒の指導には、学級担任だけでなく、他の教員や管理職に加えて、市町村の補助教員やボランティアなど地域の方々の協力も得て対応しているところであります。 特に、児童生徒数や日本語の語学力など必要性を勘案して、28年度は11名の教員を加配措置しているところであります。 これまでも日本語指導担当教員の充実に向けて、国に対して教育長協議会などあらゆる機会を通じて、基礎定数の拡充や加配教員の増員などについて要望してまいりました。 現在、国においては、今後10年間で加配定数の9割を基礎定数に繰り入れて、安定的に定数を確保するための法律改正を国会で審議中であります。 外国人児童生徒の増加や保護者の国際結婚等による日本国籍の児童生徒の増加などによりまして、日本語指導が必要な児童生徒への対応は、本県においても大きな課題であり、国の動向を見極めながら、研修の充実、ICTの活用、ボランティアの掘り起こしなど、日本語指導の充実に努めていきたいと考えています。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 ありがとうございます。引き続き要望していただきたいと思います。 国の、文科省の調査結果を見ると、このほか、先ほど申し上げましたように特別支援学級であるとか、通級指導の対象の児童生徒数、平成15年から平成25年の10年間で2倍以上に増加しているという調査結果が出ているところです。日本語指導の対象児童生徒に比べれば圧倒的に多くなると思いますが、そういった中で、こういったことも必要だということで、必要性が求められているわけです。 対象児童のうち、小学校高学年より上の年齢になって来日した場合、言葉の壁から勉強への意欲を失ってしまう子どもたちが少なくないという話も、大分県ではないですけれども、対象児童の多いところではそういった話も聞いております。ほとんどの対象児童の子どもたちは自分の意思に関係なく来日しているでしょうから、特にその子たちへの配慮を欠いてはならないと思いますので、引き続き取組をよろしくお願いいたします。 続いて、日本語指導についての外部人材の活用についてお尋ねいたします。 学校における日本語指導において、教員をサポートする支援員の役割は重要です。しかしながら、支援員となり得る人材についての情報が学校現場では得られにくい状況にあるとともに、児童生徒が幼少からなれ親しんだ言語の多様化により、支援員となる人材の確保が困難な場合が生じていると伺っております。このようなことから、学校現場における外部人材の円滑な活用の促進が課題であると考えております。 そこで、ノウハウを持つ外部専門人材と学校現場をマッチングする取組を行うこと、特に、日本語教室を運営している団体の活用などを検討してはいかがでしょうかと思いますが、御見解をお尋ねいたします。
○
田中利明議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 外部人材の活用についてお答えをいたします。 外国人児童生徒の受入れ体制を整備するために、県教育委員会では、平成27年度から、県内の有識者による外国人児童生徒支援ネットワーク会議を年3回開催しております。 本年度は、日本語指導の方法や留意点、外部人材の情報などを盛り込んだ大分県帰国・外国人児童生徒受入れマニュアルを12月に作成をし、全ての学校及び教育委員会等に配付をし活用に取り組んでおります。 外部人材の活用については、日本語指導が必要な児童生徒が比較的多く在籍をする中津市、別府市、大分市の学校において、五つのNPO団体などの支援により指導を行っております。 また、次年度に向けて、日本語指導者や通訳者を発掘し、人材バンクに集約・登録することで、どの地域においても活用しやすい仕組みづくりにも取り組み、日本語指導が必要な児童生徒の学習活動を支援していきたいと考えております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 平成26年5月1日現在の大分県の対象児童生徒の母語、母の言葉ですが、韓国、朝鮮語、スペイン語、中国語、フィリピン語、ベトナム語、その他というふうに多種多様な言語があるわけで、これらが県下に散らばって存在しているわけでですね、その児童生徒にタイムリーに意思疎通できるような対応をとれるかというと、なかなか難しいような状況だと思います。 先ほど大分市、別府市、中津市あたりを言いましたけれども、大分市においても日本語教室がかなりいろんなところで行われていますし、別府市についてはAPUがありますので、あそこは言語は多種多様、支援をもらえばできると思います。その他の県下の地域で、いつ、どこに、誰が、どんな形で転入してくるかというのがわからないような状況の中では、なかなか人材を確保していくということは難しいと思いますので、そういったボランティアの育成であるとかも併せて、難しいかもしれませんが、把握していくというのは重要なことだと思いますが、是非その辺の取組もお願いしたいと思います。 それでは、3点目でICTの活用についてお尋ねします。 近年、ICTが急速に発展し、教育現場においても多様な形で活用されるようになりました。昨年5月には、教育再生実行会議の提言において、日本語指導等のためのICTを活用した教育の推進、開発として、国、
地方公共団体、学校は、例えば日本語指導を必要とする子どもが極めて少ない地域などでも、それらの子どもが能力に応じ適切な学習を行えるよう、デジタル教材などICTを活用した教育を積極的に推進するとともに、教材などの開発にも取り組むとされています。 日本語指導の必要な児童生徒が各地に点在している本県においては、ICTの活用が有効だと思われます。例えば、スカイプを利用して、日本語指導について専門的知識・経験を有する人材による双方向型の授業を実施することや、タブレット端末で利用する補助教材の作成などに取り組むことが考えられますが、どのようにICTを活用していくのか、御見解をお伺いいたします。
○
田中利明議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 ICTの活用についてお答えをいたします。 教育現場における現状としては、児童生徒の日本語習得レベルが異なりますことから、それに応じた日本語指導のスキルの高い教職員の養成や指導者の確保など課題も多い状況であります。 そのような中にあって、ICTの活用も図るべきでありますが、国においても実態に合った教材などは開発途上であり、コンテンツや実例が少ないために、全国的にもまだ活用が進んでいない状況にございます。 ICT環境の整備につきましては、平成28年3月に策定をした大分県教育情報化推進プランに基づいて、校内LANの整備やパソコンの配置数などの充実を進めているところであります。 小中学校にタブレット端末の導入は進みつつありまして、これに合わせ日本語指導への効果的な活用方法について、学校現場とともに研究を進めている段階であります。 また、これに加えまして、スカイプなどを利用した指導などICT活用の在り方については、外国人児童生徒支援ネットワーク会議においても具体的な取組方法について協議をしていきたいと考えております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 よろしくお願いいたします。 いずれにしても、現場は通訳できる人材が一番欲しいんだと思います。意思疎通をうまくとるためには、何しろ言葉がわからないと疎通がとれないということで、現場は子どもがしゃべる言葉をしゃべれる誰かが欲しいというのが実情だと思います。エリアにそういうしゃべる方がいなければ、ICTを使って、その言葉をしゃべれる人と仲を取り持ってやりとりをすることだってできると思いますので、そういったことも含めて検討して、是非積極的に取り組んでいただきたいと思います。 最後に、伝統的建造物の維持についてお尋ねします。 県内の周辺地域では、五穀豊じょうを願う祭りなど古くからの伝統行事が多くの地域で行われています。それぞれの地域にとって、活力の保持やコミュニティー維持のためにも欠かせない行事であるとも思います。そして、それらの行事の多くは地域に存在する神社などの伝統的建造物を中心にして行われていますが、近年の人口減少とともに周辺地域の高齢化と世帯数の減少が進行している過疎集落地域においては、老朽化した伝統的建造物の改修工事もままならない状況となっており、その維持は地域の課題となっています。 このような現状を打開するための手立てはないものかと思いますが、このことに対してどのように考えるのか県のお考えをお聞かせください。
○
田中利明議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 伝統的建造物の維持についてお答えをいたします。 県教育委員会では、「教育県大分」創造プラン2016の基本目標の一つとして文化財・伝統文化の保存・活用・継承を掲げて、国や県の指定制度や事業を活用して、保存・管理を図り、次世代へ継承していく取組を進めております。 地域の人々の誇りやきずな、文化的アイデンティティーの礎でもある伝統的建造物は、社寺や城郭、古民家や洋風建築など幅広く、国指定の文化財から未指定の建物まで、県内に多数存在している状況にございます。 これまで、県教育委員会では、伝統的建造物のうち、宇佐神宮の呉橋や玖珠町の末廣神社栖鳳楼など、本県の歴史や文化に深く関係し、地域を代表するものを県指定の文化財に指定をして保存対象として、修復・防犯対策などの支援を行ってまいりました。 今年度も、市町村を通じて所有者から申請のあった豊後高田市の若宮八幡神社について、本殿等4棟を県指定文化財に決定をしたところであります。 今後とも、市町村と連携をしつつ、各地域に残る伝統的建造物について、時代性、希少性、地域性などの調査を進めて、文化財指定を行って、改修等の支援につなげていきたいと考えています。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 文化財の関係については大体わかりましたけれども、実態としてあるのは、地域に存在しているのはほとんど指定されていない建物が多くあるわけで、そういった建物、神社等を使用しながら地域の祭りなんか行われているのが実態だと思います。 今日は教育委員会の方で答弁頂きましたけれども、その現状を踏まえて、地域振興という観点からもどうしていくのかと考える必要があるんじゃないかと考えているところです。私の日田の方でも、修理をしたいけれども、なかなか補助がないという声を聞きます。昔は元気だったけれども、今はもう年金生活者になっていて、1戸当たり幾らと出し合ってするというのは厳しい状況だというふうになっています。ある地域では、まだ元気のよかった時代、最終的に改修するのは費用が高くなるので、ちょっと金を出して、鉄骨で柱を立てて、神社の上に屋根を乗せるというような形で、改修せずにそうやって長持ちさせようとしているところもありますが、それでもやはり老朽化しているような現状もあります。このことを踏まえて、何か地域振興という観点でそこら辺の支援ができないかと思いますので、また検討していただきたいと思います。一言。
○
田中利明議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 御質問の件は、県下各地でそういう問題が起こっております。 今、教育長からは、文化財の観点からということで、こちらの方も大変、発掘をして、文科省の方に話をしてということで、幅広く何か対策が打てるように努力をしてもらっておりますけれども、それだけではなくて、なかなか足りないかもしれないということで、これまで各振興局に配っております総合補助金等々によって対応するといったようなことも考えてきております。 なかなか全てに応じるわけにはいかないと思いますけれども、緊急性を要するものから順次やっていくというようなことで、我々もいろいろ総合的に手を考えていきたいと思っております。
○
田中利明議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 是非よろしくお願いいたします。 以上で終わります。(拍手)
○
田中利明議長 以上で羽野武男君の質問及び答弁は終了しました。 暫時休憩いたします。 午前11時46分 休憩
------------------------------- 午後1時1分 再開
○末宗秀雄副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。井上明夫君。 〔井上(明)議員登壇〕(拍手)
◆井上明夫議員 皆さん、こんにちは。自由民主党の井上明夫です。本日、一般質問の初日に質問の機会を与えていただきました同僚、先輩諸氏に心から感謝申し上げます。 そしてまた、本日は天領日田、水郷日田、咸宜園開塾200年の文教都市日田から多くの皆さんが傍聴にお見えになっていただいております。大変ありがとうございます。 それでは、ただいまより一般質問を行います。 最初に、今後の林業行政について質問します。 日本では戦後の復興期に木材需要が増大し、国産木材の価格が上昇しました。それに伴い荒廃した山林への植林が全国各地で行われましたが、その後、外材輸入の自由化や円高・非木質系材料の普及・建築様式の変化などにより、昭和60年代以降、国産材の価格は低迷しています。 しかしながら、近年、治山治水やCO2吸収源として森林の果たす役割は重視されております。森林機能の充実と資源の循環利用の観点から、人工林を適切に管理して木材を生産し、地域に雇用を生む林業は、地方創生の観点からも重要な産業とされています。 本県は杉の素材生産量全国第3位の林業県であり、平成18年度から県独自に森林環境税を導入し、資源の循環利用による林業の成長産業化と公益的機能の高度発揮に力を入れているところですが、改めて本県における現在の林業資源の現状を踏まえ、今後の林業振興についてどのように進めていくのか、広瀬知事のお考えを伺います。 次に、森林資源の循環利用について質問します。 本県では、平成26年度の年間百万立米である素材生産量を、36年度には140万立米とすることを目標としており、それに対応するためには皆伐を推進していかなければなりません。 しかし、原木価格の低迷に加え、シカに代表される有害鳥獣の被害により、伐採後植林し、育て、再度伐採するまでの採算性は、以前に比べて更に悪化しています。 そこで、資源の循環利用を適切に行うため、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。 続いて、最初の大きな項目の最後に、林業大学校について質問します。 私は一昨年の第2回定例会において、林業現場の人材育成について一般質問を行いました。その後、昨年4月に、大分県林業研修所において、おおいた林業アカデミーが開校しました。事前の募集では10人の定員を上回る希望者から応募があり、今春、第1期の卒業生が現場に巣立つことになります。このアカデミーの取組には林業の事業体や経営者も大いに期待しているところです。 現在、国産材に対する需要を増加させ、自給率の増加を目指している中で、林業の担い手不足の深刻化が予想されます。即戦力となる人材の育成は急務であり、全国的に林業大学校の開設が各地で相次いでいます。 そこで、このアカデミーの取組から更にもう一歩踏み込み、九州一円から人材が集まりやすい位置にあり、全国有数の林業地である日田市に、専修学校の認可を受けた林業大学校を設置すべきだと考えますが、県としてどのようにお考えか、お伺いをいたします。 以上で壇上での質問を終わり、後は対面席より質問をいたします。 〔井上(明)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○末宗秀雄副議長 ただいまの井上明夫君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま井上明夫議員には林業振興について御質問を賜りました。まず私からお答えを申し上げます。 20万ヘクタールに上る本県の人工林は、半数が主伐期を迎えまして、いわばこれまでにない充実期にあると言えます。他方、若い森林は非常に少ないという状況でもあるわけです。林業を持続的に振興するには、林齢、林の年齢ですけれども、その林齢構成を念頭に置いて、適期に伐採をし収入を得ながら、再造林を着実に進めて、将来を見据えて資源を育てていくということが大変大事であります。 木材需要の方は、住宅ローンの低金利もありまして、住宅着工戸数が堅調に推移しております。また、合板工場の国産材利用率は平成12年の3%から27年には80%まで上昇しておりまして、相次ぐ木質バイオマス発電所の稼働とともに、木材需要は旺盛だと思っております。 この機を捉えまして、若い森林を増やして林齢構成の平準化を進めるとともに、木材生産量を拡大していくため、これまでの間伐中心から主伐・再造林の林業へと本格的にシフトしたいと考えております。 まず、主伐についてでございますけれども、生産性の向上に取り組みます。高性能林業機械をフル活用し、主伐における1人1日当たりの生産量を現状8立米から全国トップレベルの10立米に向上させたいと思います。 このため、木材搬出コストの低減に向けて、既に間伐用に整備された作業道を、トラックが伐採現場まで入り込めるように改良いたします。 また、改良が困難な急傾斜地の作業道におきましては、車は入りませんから、ワイヤーを利用して集材をする小型のタワーヤーダーを導入して、これによりまして集材を効率化したいと思います。 次に、再造林を徹底するためには、低コスト化が鍵になります。このため、1ヘクタール当たりの植栽本数を2千本以下とする疎植造林を推進するとともに、林業関係者や住宅メーカーと連携をして杉の苗木代を支援したいと思っております。 加えて、伐採後、直ちに植栽することで労務費の低減を図る、コンテナ苗を活用した一貫作業システムの導入に取り組みたいと思います。 こうした取組を進めていくには、担い手の確保や林業事業体の育成が重要であります。 このため、新規就業者の確保に向けて、大都市圏での就業相談会や、おおいた林業アカデミーの研修内容の充実に取り組みます。 林業事業体の経営力強化も大事でありますが、地域を取りまとめる森林組合と民間事業体の連携を進めて、年間を通じた伐採地を確保するなど、木材生産量が1万立米を超える中核的な事業体の育成に努めていきたいと思います。 私は、今こそ攻めの林業に転じるチャンスではないかと考えております。 充実期にある森林を、切って・使って・植えて・育てることによりまして、資源の循環利用を進めて、林業の持続的な発展につなげてまいりたいと思います。 私からは以上でございますけれども、議員から資源の循環利用と林業大学校についても御意見を交えて御質問を賜りました。これにつきましては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
○末宗秀雄副議長 尾野
農林水産部長。
◎尾野賢治
農林水産部長 まず、資源の循環利用についてお答えをいたします。 森林資源を循環利用していくためには、伐採後の再造林の徹底が重要です。 再造林を進め将来利用する木材資源を育てていくためには、育林経費の7割を占める植栽と下刈りについて、森林所有者の負担軽減を図っていくことが大事だと考えております。 このため、まず、植栽については1ヘクタール当たり2千本以下に植栽する疎植造林を推進し、杉の苗木代は来年度から住宅メーカーの寄附金も活用して、全額助成したいと考えております。 これにより、労務費を含めた再造林時の支援は、95%に引き上げるということになります。 あわせて、伐採後、直ちに植栽することで労務費の低減を図る一貫作業システムの普及を図るため、モデル地区を今年度1カ所、来年度は4カ所整備してまいります。 下刈りについても、市町村と連携し、来年度から補助率を68%から86%に引き上げたいと考えております。 また、初期成長が早く、下刈り期間を短縮できるエリートツリーの導入に向け、採穂園の整備を進めてまいります。 次に、林業大学校についてお答えをいたします。 本県の充実した森林資源を持続的に活用していくためには、林業の現場で活躍する人材の育成が重要な課題です。 昨年4月に開校したおおいた林業アカデミーでは、即戦力となる現場技能者を養成しております。 アカデミーの研修生をインターンとして受け入れた事業体の評判も上々で、現在のところ10人全員が県内に就職する見込みでございます。 一方、就職先の林業事業体の給与水準は全産業平均の75%にとどまるなど、就労環境の改善が大きな課題です。 議員御質問の2年制の林業大学校を導入するためには、高度な知識と技能を身につけた卒業生の受皿となる給与面等において高い処遇ができる事業体を育成していくことが必要だと思います。 このため、まずは我々はアカデミーで実績を積み上げるとともに、事業体の方々についても経営体質の強化と処遇改善に努力を頂きたいと考えております。
○末宗秀雄副議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 今後の林業振興の方向性、また森林資源の循環利用について御答弁ありがとうございました。 苗木の助成から伐採、搬出のコストダウンまで、非常に各種の施策を充実していただけるということで、まさに攻めの林業を目指していかなければならないと思っております。 林業は大分県の基幹産業であるという御認識のもと、大変将来を見据えた御答弁であったと思います。それと同時に、資源の少ない日本にとって、やはり森林は貴重な資源であります。治山治水や地球温暖化防止、CO2の吸収ですね、こういう森林機能を重視されているわけですけど、これは植林してから20年から50年ぐらいが一番この森林機能は強い時期であるそうです。50年を過ぎると、また、だんだん弱くなってくると。ちょっと人間の体力と似たような感じですが。だから、50年サイクルで人工林を適切に管理するということが森林機能を最大限発揮されるということでありますし、また同時に木材も持続的に安定的に生産して、雇用も生み出すという大変経済的に大きな意義があると思っております。林業関係団体も就労環境の向上など、もちろん努力していかなければなりませんが、特にまた県として引き続きの振興策をよろしくお願いいたします。 また、林業大学校については、現在のおおいた林業アカデミーも大変すばらしい取組でございまして、ただ全国的に見ると、現在、秋田、山形、長野、岐阜、静岡、京都、兵庫、島根に2年間の林業大学校がありまして、この中には県立の専修学校が5校あります。本州にこれだけできているということは、やはり社会的なニーズがあるということであって、林業の盛んな九州では当然またニーズがあると思います。まだ九州には2年制の林業大学校はありませんので、もちろん受入れ側の充実、九州中で必要なんですが、是非大分県として九州で最初の林業大学校の設立を目指すといいのではないかと思っております。そして、場所は、やはり北部九州の中央に位置して、天領時代から交通の要衝であって、何より日田林業というブランドを有する日田市に設置すれば、大分県はもとより九州全体の林業技能者の養成のニーズに応える存在になると考えます。今後、是非御検討いただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。 大きな2項目として、学校教育について質問いたします。 代表質問でも取り上げられましたが、近年、教員の多忙化が非常に問題となっております。その原因は部活動の指導であるとか、あと保護者や地域への対応、会議、研修とか出張ですね、それから報告書の作成とか多岐にわたっております。 教員の皆さんが様々な課題に対応することは必要なこととはいえ、多忙化によって本来の目的である子供に学力をつけさせるための教育水準が維持されないということになれば本末転倒でございます。 また、その教育水準は県内どこに住んでいても同様に確保されなければなりません。そのような観点を踏まえ、質問をいたします。 まず、部活動指導員について質問します。 教員の多忙化の原因として一番に上げられているのは、部活に関わることで多くの時間を費やすことと聞いております。文部科学省は地域のスポーツ指導者を、中学、高校の職員である部活動指導員として学校教育法施行規則に明記し、4月に施行することを決めております。 これを受けて中体連や高体連、高野連は、原則教員に限っていた大会への生徒の引率を、部活動指導員ができるように規定を改める方針です。 県教育委員会は、今後の部活動指導員の採用や研修について、どのようにお考えか、お伺いいたします。 次に、スポーツ国際交流員制度について質問します。 部活動による多忙化の解消策の一つとして、スポーツ国際交流員制度の活用も考えられるのではないでしょうか。この制度は英語のスポーツ・エクスチェンジ・アドバイザーの頭文字をとってSEAと呼ばれています。 SEAはいわゆるALTのスポーツ版でありまして、強豪国のスポーツ指導者が、
地方公共団体のスポーツを通じた国際交流及び競技力の向上をサポートする取組です。 競技力向上のために、既に導入している県も多く、専門の技術や知識を持ったSEAが指導することにより、教員がときによっては慣れない種目の部活動の顧問になり殊更多くの時間を費やすとか、そのようなことが減るのではないかと考えます。 また今後、ラグビーワールドカップや
東京オリンピック・パラリンピックも近づく中、スポーツのレベルアップに加えて、子供たちに国際性が身につけば、教員の皆さんの多忙化の解消と併せて一石二鳥、三鳥になると考えますが、スポーツ国際交流員制度の活用についてのお考えを伺います。 続いて、教員の配置について質問します。 県立学校の教員には、全県一区で人事異動が行われることが浸透しておりますが、小中学校の教員は居住する市町村への異動希望が強くなる傾向があります。 そのため、正規採用されている教員は、居住地域が集中している大分市周辺などの都市部を希望することが多く、その結果、周辺部の市町村の学校では臨時講師の比率が高くなっています。 昨年の第2回定例会の濱田議員の質問に対する答弁では、23年に導入された新採用教員の10年3地域ルールが一定の役割を果たして、市町村間の臨時講師比率の格差は縮小したという答弁がありました。 今後、新採用教員だけでなく一般教員の広域異動を進めれば、より一層の地域間格差が是正され、県内全域で一定の教育水準が確保されると思います。 そこで、一般教員の広域異動を進めるための制度が適切に機能しているのか、お伺いいたします。 以上、学校教育について3点質問いたします。
○末宗秀雄副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 3点についてお答えをいたします。 まず、部活動指導員についてであります。 県内の運動部活動を所管する高体連、中体連、高野連によりますと、本年度、中学校で587名、高等学校で170名の外部指導者が登録をされております。 そのほとんどがボランティアで、指導経験のない顧問にかわって主に技術指導を行っておりますが、単独での指導や大会への引率はできないため、これが可能となれば、顧問教員の負担軽減につながると考えられます。 しかしながら、指導内容や方法、生徒の状況把握、事故が発生した場合の対応や責任体制の明確化など、解決しなければならない課題も多いと思っております。 また、もとより部活動は、スポーツや文化及び科学などに親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感のかん養などに資するものであり、学校教育の一環として行われるよう、研修を通じて理解を深める必要もあります。 採用に当たっての勤務条件も含め整理すべきことも多いことから、導入を予定している県や市の状況を調査しながら、その在り方について検討していきたいと考えております。 次に、スポーツ交流員制度、SEAについてであります。 平成28年度にSEAを採用しているのは、県レベルでは1道3県の6名で、ボート競技や陸上競技など、出身国のオリンピック委員会から特に優秀と認められた指導者であります。 さきにSEAを採用した長崎県では、インターハイの入賞がなかったアーチェリー競技で3連覇したほか、指導者の資質向上やジュニア選手の育成など、競技力向上の面で成果を上げてきております。 また、スポーツを通じてSEAと選手が交流をすることで、国際感覚を養うことができるなど、スポーツ以外の国際交流の進展にも大いに寄与しております。 SEAの活動には、部活動顧問等の同伴が必要という制約される面もありますが、競技を通じた地域の人々との交流や地域の自信につながるなど活性化が期待できる魅力のある制度であります。 本県では、平成29年度からの導入に向けて対象競技の選定や配置先など準備を進めているところであります。 次に、教員の配置についてであります。 本県における教員構成の課題は、全国に比較して臨時講師の比率が高いこと、50歳以上の比率が半数近いということであります。 新規採用者数を増やす中で、ベテラン教員のノウハウを継承し、全県的な教育水準の向上を目指すため、若年期の広域異動を積極的に推進をしてまいりました。 過去には市町村間の臨時講師比率の格差は27ポイントありましたが、28年度は11ポイントまで縮小し、県全体の比率も10%を下回るところまで改善をしてまいりました。 その結果、若年期に多様な経験を積ませる広域異動の人材育成上の必要性も、ようやく市町村に浸透してきたと考えております。 また、同一の人事地域に12年以上在職する中堅期の教員も広域異動させることとしてまいりましたが、市町村教育委員会には、ベテラン教員をとどめて活用したいという意向が強く、市町村ごとの年齢構成を見るとまだアンバランスが解消されていない状況にあります。 今後は、その改善に向けて市町村教育委員会とも十分連携をして取り組んでいきたいと考えています。
○末宗秀雄副議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 御答弁ありがとうございました。部活動の指導をめぐっては、教員の長時間労働を国としても問題視しておりまして、文部科学省は今年1月に部活の休養日の設定を求める通知を出しております。また、北九州市や名古屋、横浜市などでは、平成29年度から部活動指導員を採用するという取組が進んでいるということです。いろいろと課題も多いということでありますし、また、もちろん先生方も部活には関わらなければならないわけですけれども、是非今後部活動指導員の導入を検討していただきたいと思います。 また、SEAにつきましては、大分県では準備をされているということでありますが、この導入による効果といいますか、いろいろあるということでありまして、国際大会の開催地での機運の醸成とか、特に大分県ではラグビーワールドカップ会場になっておりますし、
東京オリンピック・パラリンピックのキャンプの誘致もしております。また、非常に特定種目の指導、マイナーな種目であっても、高度な専門知識、競技力の向上ということにつながるということでありますし、もちろん国際人づくりですね、そしてまた、受入れ費用は地方交付税で全額措置ということであり、今後導入に向けて進めているということですので、この活用を是非期待したいと思います。 それから教員配置ですが、臨時講師の方の27ポイントから11ポイントに減ったと。臨時講師の比率を問題にしているからといって臨時講師の方の能力を言っているわけじゃなくて、臨時講師の方も頑張っておられると思うんですが、やはり能力はあっても身分が不安定なので、現場としては翌年の見通しとかそういうのがちょっと立ちにくいということで、やはり比率は低くあってほしいということであるようでございます。一般教員の広域異動の部分も含めて、また検討をお願いしたいと思います。 これは一つの例なのですが、現行の採用方法に加えて、一つの例を挙げると、北海道のようなブロック別の採用、これを現行の採用方法に加えて導入するという方法もあるのではないかと思っております。 このブロック別というのは、大分県を東西南北の4ブロックに分けて、一つのブロックで採用された人は、採用から一定期間、また一定年齢に達するまでブロック内に限定した異動が約束されると。例えば、採用から15年とか40歳まで、そのブロック内での異動ということになれば、ライフステージにおいて結婚、子育てなど大きな動きのある20歳代から30歳代のプランの見通しを立てやすくて、ワーク・ライフ・バランスを安定させることにつながると、北海道はこういうブロック採用を取り入れているということでございます。そういうことによって、大分市やその周辺の都市部以外の地域からの採用が増えれば、教員配置の安定化につながるのではないかと思います。 いろんな例を挙げたところでございますが、教員の多忙化の解消や適切な教員配置によりまして、県内の教育水準が一定以上のレベルに保たれるような指導ができるように施策を充実していただきたいと思います。 それでは、大きな3項目として、高校生を中心としたIT人材の育成について質問をします。 昨年の第4回定例会において、毛利議員が第4次産業革命時代における本県の対応について質問しました。併せて質問した第4次産業革命を支える若いIT人材の育成方針について、若い世代の人材がIT企業に就職しやすい環境を整備するため、高校生や高専の生徒などと県内IT企業とのマッチングを図りたいと答弁をされております。 IT産業は県経済の新たな活力の創出源でありまして、今後も大きな成長が期待されますので、若い人材を着実に供給する取組が重要であると思います。 多様なものづくり企業が集積する大分県には、各種の全国コンテストで優秀な成績をおさめる高校生がたくさんおります。一例を挙げますと、昨年11月の全国高校生ものづくりコンテスト電子回路組立部門で、鶴崎工業高校3年の宮崎恭寛さんが優勝しました。鶴崎工業高校生の同部門での優勝は3年連続だそうです。 電子回路組立てとは、電子回路基板を作動させるプログラミングのことで、こうしたプログラミング技術の高い優秀な高校生が、県内IT企業に就職し、IoTやAI等の高度IT技術者として成長することが、第4次産業革命時代における人材育成のあるべき姿だと思います。 IT白書によりますと、人材不足と回答した企業の割合が平成22年度は48.9%であったのに対し、27年度は91.2%と42.3ポイント上昇しており、IT企業における人材育成は喫緊の課題です。先ほど申し上げた高校生を対象とした取組をはじめ、若い世代のIT人材の育成について、これまでの取組を踏まえ、今後どのような展望を描いておられるのか、知事のお考えを伺います。
○末宗秀雄副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 ただいま喫緊の課題になっておりますIT人材の育成について御質問を頂きました。 IT人材の育成は、中長期の取組と短期の取組と二面から考える必要があると思っております。 中長期的には、第4次産業革命の時代を迎えた今、技術をどう使うか考え、新しい価値を創造できる人材を育成することが大変大事でございます。そのためには、子どものころから挑戦と失敗を繰り返す中で、無から有を生み出すことの大切さを教えることが重要ではないかと思います。これまでの連続性だけではなかなかうまくいかないのではないかと。 県ではこれまで、小中学生のプログラミング教室だとか高校生のアイデアソン・ハッカソン、若手IT技術者の資質向上を図るIT人材塾と、年代に応じた段階的な人材養成を実施してまいりました。これからも時代にふさわしい教育を推進していきたいと考えております。 次に、短期的な育成でございますけれども、即戦力となるIT技術者をいかに確保していくかということが大事でございます。IoTや人工知能等の新しい技術によりまして、ITニーズは高度化、多様化しております。IT技術者の需要は増加する一方であります。労働力人口が減少する中、いかにIT技術者を確保できるかということが、大分県の産業活力を向上する鍵とも言えると思っております。 人材確保は難しい課題ですけれども、ITの進展が働く場所の制約を解消し、地方にサテライトオフィスを設置する動きが広まる中、IT関連企業の誘致は、県外人材の流入促進や地域の活性化といった効果も期待できます。 IT産業が地方にとって大変いいのは、やっぱり時空の制約を超えてやれるということでございまして、大変いい雇用の機会にもなるわけであります。 そのため、大事なことは人材育成でございまして、まず、昨年日田市に立地したウエブ制作のティーアンドエスのように、地域で人を育成しながら雇用の拡大を目指すIT企業の誘致に引き続き努めていきたいと考えております。ティーアンドエスのいいところは、自分で人を育てるというつもりで頑張っているところであります。 また、IT人材の確保に直結する取組に力を入れてまいりたいと思います。 議員御指摘のように、プログラミング技術の高い工業系高校生が、県内IT企業への就職に至っていないという現実があります。まずはお互いを知り合う場を創出するため、高校生とIT企業をマッチングさせるロボットプログラミング交流会を実施いたします。 更に、県内IT企業が共同でIT技術者の実践型育成スクールを運営して、自らIT人材を育てようという動きもありますから、これを支援するとともに、大卒者等の奨学金返還支援制度につきまして、対象業種に情報通信業を追加します。大分県内の情報通信業に就職をしたら奨学金の返還を支援しますよという制度であります。 こうした新しい技術を使いこなす価値創造の教育の充実とともに、県内の潜在的な人材供給力の向上を図って、大分県版の第4次産業革命OITA4.0を支える人材面の基盤をしっかりと築いていきたいと考えているところであります。
○末宗秀雄副議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 大分県としてもIT人材育成、また、IT企業誘致に力を入れていくということでございます。 大分県では、鶴崎工業高校以外でも、昨年は高専ロボコン九州沖縄地区大会で、大分高専ロボット研究部が優勝と。それからまた、大分工業高校のロボット競技チームは特許を取得したということで、県内の学校レベルは非常に高いと思います。 しかしながら、高い技術を持った子どもたちが県外の大手企業に就職して、県内に残っていないという現状があるようです。県外の大手企業では、給料は高いかもしれないですけど、その技術を持った高校生が必ずしもそれを生かせる職種についていない例が多いようでありまして、そのプログラミング技術を地元で生かせると、そのようなことに結びつくように、それでまた生きがいを感じる若者もいるはずでございます。そういう優秀な人材が大分県にいると分かれば、またIT企業も進出してくると思いますので、是非今後マッチングを進めていただきまして、優秀な人材が地元で働けるための環境づくりを進めていただきたいと思います。 それから、4項目目として河川整備について質問いたします。 まずは水害対策についてお尋ねします。 近年、地球温暖化の影響からか、全国各地で洪水等の災害が頻発するようになり、かつ激甚化しております。 昨年も関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊したというようなことがありました。 気候変動の影響に伴い、集中豪雨の発生頻度が高まることにより、今後も水害の頻発や激甚化が懸念されております。 この状況において、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。 また次に、日田市内の河川復旧について質問いたします。 日田市は、古くより山紫水明の里「水郷ひた」として広く親しまれておりますが、市内を流れる河川は日田の文化の根幹であるとともに、林業や観光を中心とした産業に利用されてきました。 一方で日田市は周囲を1千メートル級の山地に囲まれた盆地であり、過去にも大雨や集中豪雨による浸水や土石流等の被害が多く発生しております。 24年7月の九州北部豪雨災害では、市内を流れる花月川の堤防2カ所が決壊し、13カ所で堤防を越えて水があふれました。また、花月川では夕田橋、有田川では日掛橋の橋脚にかかった多量のごみが流れを塞ぎ氾濫するなど、多数の浸水被害が発生いたしました。現在も花月川、有田川では改良復旧が進んでおります。 そこで、現在の災害復旧の進捗と、今後の見通しについてもお伺いをいたします。
○末宗秀雄副議長 阿部
土木建築部長。
◎阿部洋祐
土木建築部長 2点についてお答えいたします。 まず水害対策についてですけれども、県内でも、平成24年の九州北部豪雨や昨年の台風16号等により甚大な被害が発生しておりまして、頻発化、激甚化する水害への対応が喫緊の課題であると認識しております。 これまでも、浸水被害の状況等を踏まえた河川改修やダム建設を進めてまいりましたが、ハード対策には膨大な費用と時間を要することから、河川の水位情報や監視カメラ映像の提供などソフト対策も同時に行ってきました。 そうした中、近年各地で発生している計画規模を上回る洪水への対応には、更なるソフト対策の充実、強化が必要となっております。 そのため、昨年から県内全域に国、県、市町等で構成する減災対策協議会を設置して、住民の主体的な避難を促すための防災情報の提供や訓練等に取り組んでおります。 中でも、想定し得る最大規模の降雨に対応した洪水浸水想定区域図を早期に作成して、市町のハザードマップ見直しを支援することで住民の確実な避難行動につなげていきたいと考えております。 今後もハード、ソフト一体となった対策によりまして、社会全体で洪水に備える取組を進めてまいります。 続きまして、日田市内の河川復旧についてお答えします。 九州北部豪雨により、花月川や有田川を初め、多くの河川で災害が発生しました。 県及び市が管理する河川では、304カ所が被災しましたけれども、有田川の諸留地区1カ所を残し、復旧を完了しております。 残る箇所については、河川の拡幅や橋りょう、堰(せき)の改築など、治水安全度を上げるための改良復旧事業を実施しておりまして、来年度中の完了を予定しております。 同様に、花月川の国管理区間におきましても、改良復旧事業が実施されておりまして、同じく、来年度に完了する予定と聞いております。 これらの災害に関連する事業のほかに、九州北部豪雨で浸水被害が生じた小野川や花月川の県管理区間において、橋りょうの改築を含む河川改修を実施しており、早期完成に努めてまいります。
○末宗秀雄副議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 今後、河川整備を含めた県土の強靱(きょうじん)化ですね、そういうハード面、それからまた避難計画とかハザードマップ、ソフト面でも対応していただくということでございますので、よろしくお願いいたします。 また、日田市の河川復旧工事については、河川改修も含めて、是非現場との連携を密にしながら進めていただくようにお願いいたします。 それから、九州北部豪雨では、山国川流域でも氾濫いたしまして、国道212号線が寸断されました。その際、当時開通したばかりの中津日田道路の一部である本耶馬渓耶馬渓道路ですね、それがう回路として大きな役割を果たしました。このことから、今後のこの災害の多い時期ということ、そのような意味も含めて、中津日田道路の一日も早い全線開通が待たれるところですが、日田市側の整備が特に遅れております。日田山国道路は、平成27年にようやく事業化されたところですが、現在の進捗状況、それからまた今後の見通しをお尋ねいたします。
○末宗秀雄副議長 阿部
土木建築部長。
◎阿部洋祐
土木建築部長 中津日田道路につきましては、議員御指摘のとおり、災害時にもリダンダンシー道路として非常に役立ったということでございまして、この全線の整備が急がれているところでございます。 現在、県で施工中であります耶馬渓道路、これにつきましては、大規模なトンネル工事の状況でございまして、これにつきましてもしっかりと仕上げてまいりたい、早急に完成に持っていきたいと考えております。日田-山国間につきましては、現在、工事に向けての調査等を行っておる段階でございまして、ルート等の地元への説明について近々に行ってまいりたい、その上で用地の買収をしっかりと協力を頂きながら進め、早期完成を目指してまいりたいと考えております。
○末宗秀雄副議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 中津日田道路ですね、一日も早く全線開通して、日田インターチェンジまでつながることを願っております。 これから先のことといいますか、この際、要望でございますが、この高規格道路を将来的に是非日田市から延長して、中津江の鯛生スポーツセンターを経由して上津江のオートポリスまで延ばしていただきたいと思います。といいますのも、サッカーワールドカップのときのカメルーンのキャンプ地として鯛生スポーツセンター、非常に話題になりました。今回、
東京オリンピックのキャンプ誘致に向けて、また鯛生スポーツセンターを整備すると、日田市が今度予算をつけるようであります。今後も十分活用できると思いますし、オートポリスには年間20万人の観客が訪れているんですが、今大半が熊本県から入っているという現状があります。これらのスポーツ施設を生かして大分県に人を呼び込むためにも、これはかなり将来的な話になりますけど、高規格道路をオートポリスまで延伸することを是非検討していただきたいと思います。 大項目の最後に、社会福祉法人制度について質問します。 まず、社会福祉法人制度改革についての質問です。 昨年3月末に改正社会福祉法が成立しましたが、その大きな柱の一つとされる社会福祉法人制度改革が全国的に進められています。 しかし、昨年の第3回定例会において、土居議員が問題提起されたように、例えば法人のガバナンス強化に向けた評議員会の設置や、事業運営の透明性を高めるための会計監査人の選任、あるいは定款変更など改正法に沿った諸手続が円滑に進んでいない県内の社会福祉法人もあるようです。 土居議員の質問に対して、年度後半に向けて厚生労働省からの情報収集に力を入れるとともに、県内各市及び社会福祉法人向けの説明会の早期開催など、改正内容の周知と指導を急ぎ、社会福祉法人の準備作業を支援していくと
福祉保健部長は答弁されましたが、その後の経過と新年度に向けた課題認識についてお伺いをいたします。 次に、社会福祉法人の地域貢献について質問します。 今回の社会福祉法人制度改革の大きな特徴は、地域における公益的な取組を行うことを社会福祉法人の法的責務として新たに打ち出した点だと思います。 急速な高齢化が進む県内各地では、医療を受ける方の多くが、慢性疾患を持つと同時に介護サービスも必要な高齢者となる中、医療と介護の連携が喫緊の課題となっています。また最近では比較的元気な方も、生活支援や介護予防サービス等の大切さを認識するなど、住民ニーズの多様化が見られます。 そのような中、本来の福祉サービスの提供に加えて、他の事業主体では対応できない地域の多様な福祉ニーズに応えていくことが、社会福祉法人に求められる時代に入ったというような気がしております。 そこでお伺いいたしますが、県内社会福祉法人の地域貢献の現状と、今後の課題をお示しいただくとともに、県としてどのように支援していくのかをお伺いいたします。
○末宗秀雄副議長 草野
福祉保健部長。
◎草野俊介
福祉保健部長 社会福祉法人制度改革についてお答えいたします。 県では、昨年10月から12月にかけて、県所管法人に対する説明会を開催するとともに、市が所管する法人説明会に職員を派遣し、制度改革の施行に向けた準備作業が円滑に進むよう支援してきました。 その結果、中核市である大分市を除く県及び市が所管する266法人のうち、現在、評議員会の設置や役員の選任方法などの定款変更を所管庁に申請済みのものが244法人で91.7%、評議員候補者を選定済みの者が196法人で73.7%となっています。 残りの法人についても、3月末には全て手続が終了すると伺っております。 今後は、準備が遅れている法人に対し、年度内には確実に終了するよう、個別的な支援を行っていきます。 また、新制度の施行後は、新体制での法人運営が順調に行われるとともに、会計監査人の選任や、社会福祉充実計画の策定が円滑に行われるよう、支援を行ってまいります。 次に、社会福祉法人の地域貢献についてお答えいたします。 今回の制度改革では、社会福祉充実計画での余裕財産の使途について、一義的には本業の社会福祉事業に充てた上で、法人が地域貢献を行うことが求められています。 県内では、以前より社会福祉法人による廃校施設を利用した世代間交流の場の提供や高齢者の買物支援、配食サービス、子ども食堂などを実施している例があります。 また昨年度、66の法人有志が資金を拠出し、大分県社会貢献活動推進協議会を設立し、生活困窮者に対する相談支援や経済的支援を行うとともに、研修セミナーを開催するなど、法人の地域貢献活動の普及促進を図っています。 制度改革を受け、地域貢献への関心はこれまで以上に高まってくるため、県としては、社会福祉法人が専門性や資源を生かし主体的に地域貢献活動に取り組めるよう、県社会貢献活動推進協議会とも連携し、好事例の提供や研修などの支援を行ってまいります。
○末宗秀雄副議長 井上明夫君。
◆井上明夫議員 法改正に沿った手続ですね、半年前に比べると大変進んでいるということで、一時、ちょっと現場の皆さんも進捗状況の不安なところもあったようですが、今後、是非年度内に全て行われるように御指導をよろしくお願いいたします。 また、社会福祉法人の地域貢献ですか、そのようなこと、地域のニーズも今後ますます高まっていくと思います。社会福祉法人そのものがよりよい形に改革されていかなければなりませんし、また、その期待に応える社会福祉法人の方も大変な責任もあると思いますので、それを支える行政の役割も重要であると思います。 今後も現場の声を是非すくい上げていただきまして、現場と連携をとった御指導をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○末宗秀雄副議長 以上で井上明夫君の質問及び答弁は終わりました。守永信幸君。 〔守永議員登壇〕(拍手)
◆守永信幸議員 27番、県民クラブの守永信幸です。 皆さん大変お疲れさまです。そして、第1回定例会で一般質問の機会を与えてくださった先輩議員、同僚議員の皆さんに、そして、傍聴に駆けつけてくださった皆さんとネット中継をごらんの皆様に感謝を申し上げながら、早速質問に入らせて頂きます。 昨年11月30日に、「協同組合において共通の利益を形にするという思想と実践」として、協同組合がユネスコ無形文化遺産に登録されました。登録決定に当たって、協同組合を「共通の利益と価値を通じてコミュニティーづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化や再生可能エネルギープロジェクトまで、様々な社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」と評価しています。 日本協同組合連絡協議会の報道資料によると、現在では世界百カ国以上で10億人もの人々が参加しているとのことです。日本においても、農村社会の助け合いをその先駆けに、協同組合は大きな発展を遂げ、現在、協同組合の組合員は6,500万人となり、様々な事業、活動を通じて組合員の生活や仕事の向上、地域社会の発展に役割を果たし、よりよい社会づくりに貢献していると紹介されています。 その協同組合の一つに、生活協同組合があるわけですが、生協という組織は、同じ地域や職場に勤務する方々の生活の安定と生活文化の向上を図るため、相互の助け合いにより自発的に組織する非営利団体です。大分県下には、単協としては十三組織があり、延べ55万人が参加をしています。 近年、各地の生活協同組合組織と行政とが協定を結ぶなどして、様々な地域活性化の取組を展開している事例が増えているようです。 例えば、地震などの災害発生時に物資を供給する協定を結んでいる事例や、生協と自治体との間で地域の見守り協定を結んでいる事例、また、買物弱者対策として、生協が積極的に移動販売を展開している事例もあります。更には、子育ての広場の実施など、生協組合員から求められる生活や暮らしに結びついたサービスの展開がなされています。 本県の場合、県生協連と災害時支援協定を結んでいますが、県内の自治体の中には、生協と包括連携協定を結んで移動販売による買物弱者への買物支援や弁当の宅配など、限界集落における生活水準を維持するための支援策を講じているところもあります。 移動販売は、顧客数の少ない集落への巡回になりますから、採算性で見れば、赤字でしかない事業部門です。生協だからこそ取り組めるのだと思います。 宮城県では、生協とコンビニエンスストアが、それぞれの特徴を生かした共同店舗を展開しています。共同店舗では、コンビニの持つ利便性と品ぞろえに加えて、生協が生鮮品やコープ商品を持ち込み、店舗を充実させ、更に行政の窓口を設置して、住民の見守りの役割も担っていると聞きました。 このような取組については、県でも把握されておられると思います。今後、生協との連携の在り方について、知事はどのようなお考えをお持ちか、お伺いします。 残りは対面席から質問させて頂きます。 〔守永議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○末宗秀雄副議長 ただいまの守永信幸君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 守永信幸議員から生活協同組合との連携について御質問を賜りました。 生活協同組合は、「ふだんのくらしにもっと役立つ」をビジョンに掲げて、消費者である組合員自身が意思決定や運営に主体的に参加し、成長発展してきた団体であると認識しております。我々の暮らしに一番近い存在ではないかと思います。 また、県内に55万人を超える組合員を持っておりまして、その組合員による草の根的なネットワークによって、地域に根差した活動を行っている団体でもありまして、県政を推進する上で、大切なパートナーとして、様々な分野で連携をしているところであります。 まず、消費者行政では、生活協同組合を消費者団体の中核として位置づけ、消費者教育推進のための地域フォーラムの開催や被害防止のための街頭啓発など、消費者の権利尊重や自立支援に連携して取り組んでいるところであります。 次に、災害時における連携であります。 昨年4月の熊本地震では、「災害時における生活必需物資の供給に関する協定」に基づく県内被災地への支援はもとより、災害ボランティアセンターの活動に必要な資機材の運搬にも協力をして頂きました。 男女共同参画において、あってはならないDV対策として、「おおいた性暴力救援センターすみれ」につきまして、機関誌やホームページで広報して頂き、組合員を通じた周知を図っております。 福祉の分野では、生活困窮者に対する家計相談事業を担ってもらうとともに、認知症に優しい企業、団体として、大分オレンジカンパニーへの登録や、子育て応援パスポート事業における子育て応援店にも登録をして頂いております。 今後も、生活協同組合が持つネットワークを生かした公共的活動への更なる参加を期待しているところであります。 例えば、一人暮らしの高齢者など、社会的に孤立するおそれのある人の見守りや声かけを行う体制に加わってもらうことであります。 また、食や健康づくりに関する情報発信やイベントへの参加の呼びかけなどによる、健康寿命日本一への後押しや、地元の生産者と連携した、農業、農林水産物や加工品の販路開拓にもお力を頂いております。 更に、芸術、文化、スポーツの振興において、国民文化祭やラグビーワールドカップなどの周知、広報などで連携も忘れてはなりません。 大分県の未来を創出し、地方創生を加速するため、地域コミュニティーの確かな担い手である生活協同組合との連携も、これから更に深めていきたいと考えているところであります。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。大分県でも地域の高齢化が進み、労働力の不足や地域コミュニティーの崩壊が危惧される状況となっていますし、限界集落が増大する時代に突入しようとしており、その先には急激な人口減少も想定されるわけです。 その変動の中で、地域で暮らす方々の生活を支えていくための工夫をどう凝らすかということが重要だろうと思っています。 県の事業を活用した事例としては、杵築市の大田村で、地域内にあるガソリンスタンドがお店を畳むという話が持ち上がった際に、車を使うのに近くにガソリンスタンドがない、冬場になれば、灯油を遠くまで買いに行かないと購入できないということにもなります。地域の生活に大きな支障を来すということで、ガソリン販売会社とそのガソリンスタンドで協力をして、大きな給油タンクを個別に設置する取組が行われました。 灯油90リットルを貯留できるタンクを設置して、なくなる前に定期に巡回して給油して回るという取組です。安定して供給できますし、突発的な配達がなくなりますから、ガソリンスタンドの経営改善にもつながるということにもなります。 この事例では、ガソリン販売店に工夫をして頂いたというわけなんですけれども、このような連携を維持していく経費については、チェックをしていく必要が出てきますし、そこに利益が見込めるようであれば、民間企業は単独でもやっていくでしょうけれども、リスクを伴う場合には誰も請け負うことがないということになります。 しかし、誰かが暮らしを支えるために取り組まなければなりません。 そこで自治体の担うべき役割を考えると、地域の実態をきちんと把握し、必要な助成の在り方を、これまでのやり方にこだわらずに探っていき、対処するということじゃないかとも思っています。 そのためには、地域で暮らす方々と話をし、その地域の持つ力を生かして未来を切り開く手法を見つけることが重要だと思っています。自治体と民間企業との橋渡し役としても、生協組織に期待できることがあるのではないかと考えますので、今後、執行部でも様々な場面での議論をお願いしておきたいと思いますが、この点についていかがでしょうか。
○末宗秀雄副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 生活協同組合、ここにありますように「ふだんのくらしにもっと役立つ」というテーマで活動して頂いているわけでございます。私もかつて、石油行政をやっておりましたときに、ちょうど石油ショックがありまして、やはりそのときに灯油の確保ということで、生協の組織とネットワークを活用しながら、大変活動して頂いたという記憶があります。 いろんな意味で、やっぱり組織の力、それからネットワーク、情報力等々において、地域の安定的な暮らしに役立てさせて頂くことが多いような気がいたしますので、これからも是非そういう連携関係を結びながら、しっかりやっていきたいというふうに思っているところであります。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 是非、様々な状況を把握しながら、積極的に連携を持っていただければと思っております。お願いいたします。 では、次に移りますけれども、県下の各地域が活性化していくためには、第1次産業が元気にならなければならないと私は考えています。第1次産業は、生産基盤が県下全域に存在し、就業意欲のある方が存在しさえすれば、各地域で従事することが可能なわけです。 農林漁家の子弟が跡を継ぐということも大切なのですけれども、非農林漁家の子弟が農林水産業に興味を持ち、就業を希望するときに、その希望を実現できる体制を準備するということも重要だと思っています。 以前、政務活動で調査に行った岡山県の真庭市では、林業を核にして、いわゆるCLTという集成材の製造と、端材や、のこくずを燃やし、発電や熱利用を行うなどして、雇用の確保と地域の活性化を行っていました。 地域にある資源を生かして、地域に若者が残り、外部が人が集まる産業構造を組み立てていくということが、これからの地域の生き残り策として重要ではないかと考えています。 本県での2015年度の農林水産業への新規就業者数は、目標345人に対して362人と目標を上回る実績となっています。2010年度から2015年度までの6年間の総数で見ても、目標を6%上回る状況となっています。県外からの就業者も、農業部門を中心に増加傾向にあり、本県で農業をすることに魅力を感じる方が増えているのだろうと思うのですが、一次産業への新規就業者が、就業後も順調に目標に向かって進んでいるのでしょうか。若者が就業して生涯を通じて働き続けるためには、所得が十分確保できなければなりません。家族がそれぞれの夢を実現できる所得が得られることが最低限必要だと思っています。若者が就業する上での課題と支援策について、
農林水産部長の考えをお聞かせください。
○末宗秀雄副議長 尾野
農林水産部長。
◎尾野賢治
農林水産部長 農林水産業への若者の就業についてお答えをいたします。 新規就業に際しての課題の第一は、就業までに必要な準備をしっかりと行うことです。このため、まず、技術習得のための就農学校や林業アカデミー、漁業学校などの研修制度を充実させているところです。 また、研修とあわせて、就業に向けた計画策定や就職あっせんを初め、農地や住居の紹介など、きめ細かな支援を行っております。 次に、就業後の課題は早期の経営安定です。普及指導員や関係機関、生産者が一体となって、個人ごとに指導をしているところです。 また、所得が不安定になりやすい研修から就業初期段階においては、国及び県独自の給付制度により支援をしております。 こうした取組により、就農1年目に生産者組織上位の成績を上げたトマト生産者や、水揚げが500万円を達成した漁業者も生まれてきています。 一方、農林水産業関連法人への就職については、受皿となる法人が他産業並みの給与水準を確保できるよう経営強化を支援するとともに、雇用主に対する雇用環境改善研修会の開催などに取り組んでいるところでございます。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。農林水産業、どの部門も非常に厳しい環境の中で頑張らざるを得ないというところがあると思いますけれども、是非きちんと見守って頂いて、成績をおさめられるようにお願いしたいと思っています。 特に、もう一つ聞きたいんですけれども、地域では、米、麦、大豆といった土地利用型品目について、農業機械の効率的な利用も含めて、集落営農組織が取り組んでいる事例が増えています。しかし、集落営農組織も若い方が入ってこなければ、構成員の高齢化が進み、組織として営農が続けられなくなってしまいます。集落営農組織に若い方が就農できる環境整備について、どのようなことをお考えか、お伺いします。
○末宗秀雄副議長 尾野
農林水産部長。
◎尾野賢治
農林水産部長 本県の場合、集落営農法人、今211と、担い手の大事な力に、核になっております。御案内のとおり、だんだん高齢化も進んできているということで、そうした法人へ若者が就農していくというのも、とても大事な課題だと思っております。 まず、そのためには、やはりそうした若者に魅力のある職場になるという意味で、賃金面を含めた経営力を高めていく必要があると思っております。 そのためには、まず、規模の拡大であり、経営の多角化、特に終年の雇用という形をとるためには、米、麦だけでなく、園芸作物を取り入れた経営の多角化といったことも大事かなと思っております。 そのためには、今、県下の法人に対しまして、そうした売上げ、また後継者育成目標明確にしたチャレンジ計画という策定を支援しておりまして、現在98法人が策定しております。その目標に向かって今、営農指導をやっておるところであります。 また、就業規則とか社会保険といった雇用環境面での整備というのも大事だろうと思っております。そうしたこともありまして、法人のリーダーに対して、そうした研修会を実施しておりますし、また、来年度からは法人に対して専門家の派遣といったようなこともやっていきたいと思っております。だんだんと若い人が入ってくる法人も出てきております。農大の卒業生も、この近年、集落営農法人に就職するといった事例が出てきております。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 是非そういう取組が成功して、大分県下各地が若者で活気づくことを祈念したいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次の質問に移りますが、県民の安全、安心の確立という観点から、二つ気にかかることがありますので、お尋ねします。 まず一つは、JR九州が3月4日に2017年春のダイヤ改正を行いました。日豊本線については、大分-宮崎空港間で運行されている特急「にちりん」と「ひゅうが」の四両編成の列車38本のうち、利用客の少ない時間帯の上下15本についてワンマン運転が始まっています。このことは、宮崎県に対しては事前にJR九州からワンマン運転の計画段階で示されたという報道もありましたが、本県に対しては何らかの連絡があったのでしょうか。 以前にも、JR九州の災害対策と列車のワンマン運転について一般質問をしたのですが、執行部の答弁としては、「JR九州では、ワンマン運転時の災害も踏まえ、乗務員に災害用携帯電話、津波ハザードマップ、津波避難時誘導心得の常時携行を義務づけており、毎月の訓練、研修会の実施などで異常時の対応能力の向上に努め、乗務員の迅速、的確な判断による避難誘導が行える体制づくりを進めている」との説明に加えて、「災害時に多数の乗客を避難誘導するには、乗客を初め、沿線の住民や自治体等の協力が大事であることから、県では災害時の沿線自治体やJR等の民間事業者と連携を更に強化するため、防災関係機関に加え、交通やライフライン等の関係事業者にも参加してもらい、発災後のタイムラインに応じた各関係機関の応急活動をあらかじめ整理、調整するための連携ワーキング会議を立ち上げて議論を進める」との答弁がございました。 この特急四両編成のワンマン運転の実施については、そのような協議の場で議論が尽くされたのでしょうか。 ワンマン運転では、異常に遭遇した際に、まず運転士が的確に判断できる環境であらねばなりません。普通列車でも心配はあるのですが、特急列車となると観光客など地域に不慣れな乗客が多数となることも考慮しなければなりません。 昨年の熊本地震の前震の際、熊本県内で停車した列車では、停車後に避難行動が行われたそうですが、ワンマン運転の普通列車でも、たまたま通勤で乗車していたJRの職員が手伝うなど、どの列車も複数の方々によって避難誘導を行うことができたそうです。複数の方が手伝ってくれたので、落ち着いて避難誘導ができたと現場にいた運転士から聞いています。 これらの状況を踏まえると、特急列車のワンマン運転については気掛かりでなりません。今後、JR九州と運行の在り方について検証、協議を続けて頂きたいと思いますが、
企画振興部長の考えをお聞かせください。 それと、安全確保の観点でもう一つ気になることがございます。 大分駅舎が新しくなって2年が経過しようとしていますが、皆さんは大分駅構内のどこに公衆電話があるのか御存じでしょうか。 以前、携帯電話の電池が切れてしまい、駅まで連れ合いに迎えに来てもらうため公衆電話を探したところ、どこにあるのかが私は分かりませんでした。駅前の交番まで行って尋ねてみました。交番にいた女性の警官が「御案内しましょう」とおっしゃって、連れていってくださいました。余談になりますけれども、非常に爽やかに対応頂いたことについて、県警本部長にはお礼を申し上げたいと思います。引き続き、現場警察官の接遇の在り方について心を置いていただければと思います。 話はもとに戻りますけれども、結局、府内中央口の廊下の自動販売機の横に1台、黒っぽい公衆電話がありました。よくイメージする緑色の公衆電話ではなかった上に、案内表示もありませんでしたので、気づかなかったのです。 公衆電話は、携帯電話の普及とともに減少傾向にあることは感じていましたが、大分駅でこれほど見つけにくいものなのかと思うと同時に、町中で探してみるとなかなか見つからないものです。 昨年の3月に報道された事件ですから皆さんも記憶されていると思いますが、行方不明になっていた15歳の少女が監禁されていたアパートから抜け出し、駅にあった公衆電話から助けを求めて無事保護されたという事件がありました。このような事件報道があると、日常の安全確保の観点から、公衆電話のありようについて考えていかなければならないような気がします。 また、最近では、誰もが携帯電話を持っているような感覚に陥ってしまいがちですが、小中学校の児童生徒では、持っていないケースが多いと思われます。知らない大人に声をかけてはいけないと教わる子どもたちですから、困ったときに他人に借りるということもできないわけです。緊急時の通信手段の確保については、県としても何らかの対応を考えておくべきではないでしょうか。 NTT関連会社の方にお話を伺ったのですが、戸外における最低限の通信手段の確保のために、市街地では500メートル四方に1台、田舎では、1キロメートル四方に1台を基準に、第1種公衆電話として整備しているそうです。通常のメンテナンスとは別会社に委託しているとのことなのですが、故障が分かればすぐに修理、復旧させているということでした。ただし、携帯電話の普及により利用者は減少するばかりで、これら公衆電話を維持するために携帯電話などの料金に上乗せしている実態もあります。集落が小さくなるとこの傾向は一層強まり、下手をすると公衆電話が維持できなくなるという懸念もあるわけです。 県民の安全安心を確保するためには、公衆電話を一定数配置しておく必要があると考えます。特に、子どもの安全確保という観点から重要であり、何らかの改善が必要だと考えますが、
生活環境部長のお考えを伺います。
○末宗秀雄副議長
廣瀬企画振興部長。
◎
廣瀬祐宏企画振興部長 私からは、特急列車のワンマン運転についてお答えをいたします。 宮崎県と同時期に、本県にもJR九州より、経営安定化の一環として特急「にちりん」でワンマン運転を行うことを検討しているとの連絡があり、心配したところであります。 早速、昨年12月21日にJR九州本社に対し、その趣旨や安全性確保策の確認を行い、慎重な検討をお願いするとともに、実施の場合は利用者の安全確保のための対策を徹底するように要望いたしました。 今回のワンマン化に当たっては、四両編成かつ朝夕以外の乗客が少ない時間帯の特急でワンマン運転を行い、最低6カ月間は車掌に代わり案内担当係員が乗務するという一定の配慮がなされました。 更に、安全対策の要望を踏まえまして、ドア開閉時の安全確認のためのホームミラーの設置や非常通報装置の増設等、ホーム上や列車内の安全確保策が行われております。 また、大規模発災時の避難誘導マニュアルの整備や訓練の実施に加え、新たに手すりつき避難用はしごの増設や、社員の教育訓練の強化が図られることとなりました。 このようにJR九州は、様々な安全対策を講じております。県としましては、今後も運行状況を注視し、利用者の声にも留意して、必要に応じ、毎年のJR九州との協議の場を通じて適切な対応を求めていきたいと考えております。
○末宗秀雄副議長 柴田
生活環境部長。
◎柴田尚子
生活環境部長 安全確保のための公衆電話の維持についてのお尋ねでございます。 公衆電話は、携帯電話の普及で避難所などに置かれる特設公衆電話を除き年々減少しております。緊急時に、救助や保護の連絡ができる体制を整えておくことは大切だと考えております。特に、通学時の子どもの安全を確保することは大変重要であり、これにつきましては、県を挙げて取り組んでいるところです。 例えば、通学路を中心に事業所や一般民家と連携して、「困ったときにはいつでもおいで」と記載したステッカー等を掲げる「こども連絡所」、これを県内に約2万6千カ所設置しております。 また、防犯ボランティア団体やPTA、自治会など、地域の方々とともに進める見守り活動にも力を入れているところです。 更に、道路の草刈りや照明の整備など、防犯性の高い道路空間の形成にも努めております。 あわせて、子どもたちが犯罪の被害にあわないための知識を習得したり、危険を予測できる能力を育成する安全教育にも取り組んでおります。 議員御提案の公衆電話の活用も安全確保策の一つではあると思いますけれども、子どもの安全確保という点に関しましては、県としては、このような取組を優先すべきと考えております。 今後も、社会情勢の変化等を見極めながら、地域の実情に応じ、未来を担う子どもたちの安全、安心の確保に努めてまいります。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。 まず、JRの関係なんですけれども、同時期に報告、連絡があったということで、安全確認を頂いたということなんですけれども、JR九州に勤める運転士や車掌の皆さんの中には、特急列車のワンマン運転に危機感を感じておられる方が多くいらっしゃいます。 私も去年、佐伯市内で、津波時の避難訓練の様子を見に行ったことがあるんですけれども、そのときも特急タイプの四両編成の列車での避難活動だったんですが、なかなか乗客の方が避難する準備を整えること自体も、はしごを下ろすにしても大変な作業で、それを運転士1人でとりあえず作業に取りかからなきゃならないということと、それと並行して、乗客の皆さんにどうやって避難するんだということを説明していくわけですね。当面最初の6カ月、半年については補助職員を乗務させるということですけれども、是非、その6カ月間が経過した中でどうだったかということも含めて、検証を今後も進めて頂きたいと思っています。 駅自体も無人化が進んできていますし、誰かに助けを求めたい状況にあっても、結果的に周りに誰も支援してくれる人がいないという状況も想定されます。万が一運転士が危機的な状況に陥った場合には、乗客が手助けをするということもできるわけではありませんから、そういったことで安全重視の観点で、是非今後も引き続き協議を続けていただければと思います。 また、NTTの関連での質問ではあったんですけれども、どのように安全確保していくかということでのお答えを頂いたと思っています。 是非、そういった仕組み、制度設計なりが子どもたちによく伝わるように。4月から新しく小学校に入る児童もいるわけですから、その児童たちが行き帰りに不安にならずに済むような、また、危険にあわないような対応策としてどういうところを配慮しなきゃならないのかということも含めて、様々な投げかけをしていただければと思っています。 今、部長からお話のありました災害時の特設公衆電話、これについては、各自治体とNTTとで協定を結んで整備しているようなんですけれども、整備された避難所の数というのも、市町村ごとにまちまちのようでして、中にはまだ、NTTと協定を結ぶまでに至っていないという市町村もあるようですから、是非、この災害時の避難場所にあらかじめ電話機も持ち込んでおいて、被災時にすぐにコネクト、接続できるという仕組みですから、その辺、積極的に協定を結んでいけるように御指導も頂ければと思います。 それぞれ要望として投げかけさせて頂きたいと思います。 では、次の質問に移りますけれども、本県の子どもの貧困対策としては、例えば生活福祉資金や母子父子寡婦福祉資金の貸付けなどが既に用意されており、内容的にもかなり充実したものになっています。しかし、せっかくこうした支援制度があっても、制度そのものを知らないとか、あるいは支援を必要とする方がどこに相談に行けばいいのか分からない、そういった理由で制度を十分に活用できていないケースも多いのではないかと危惧されます。 教育委員会にあっては、学校で支援内容のパンフレットやチラシを配付するなど、一定程度の周知には取り組んでいるものと承知していますが、経済的に厳しく、日々忙しい保護者の目にとまりにくいのではないかと思っています。そのために、なかなか利用が広まっていかないのであれば、大変残念でなりません。 昨年末の人口減少、少子高齢化対策特別委員会において同趣旨の提言をまとめていましたが、県、市町村などの行政機関中心の周知方法に加えて、企業やマスコミ、SNSなどを活用するなど、周知方法の思い切った見直しが必要と考えますが、
福祉保健部長の見解を伺います。
○末宗秀雄副議長 草野
福祉保健部長。
◎草野俊介
福祉保健部長 子どもの貧困対策の周知についてお答えいたします。 これまでの支援制度のお知らせは、県のホームページや刊行物、新聞広告への掲載、更に対象者への配付等の方法により実施しています。 しかし、例えば、経済的に厳しい家庭の保護者が日々の生活に追われ、制度を知らないことがあるなど、現在の周知方法では情報が行き届いていないという面があるということも認識しておりますし、県民会議等でも指摘をされております。 昨年末の県議会特別委員会の提言趣旨も踏まえ、更なる周知方法の工夫が必要と考えております。 そこで、今月20日には「子どもの貧困対策推進フォーラム」を開催し、県民への普及啓発と意識の醸成を図ることとしています。 また、新年度は、漫画等を用いて、進学や就職時に活用できる支援制度などを分かりやすく伝える冊子を作成し、中高生に配付することを考えています。 今後とも、これまでの取組に加え、多様な広報媒体やスクールソーシャルワーカーなどを通じて、支援制度の周知と理解に努めてまいります。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 是非、県民の皆さんに広く伝わるように取組をお願いしたいと思います。 次の質問に入りますが、県は2016年12月に、おおいた動物愛護センター、これは仮称ですけれども、センターの基本構想を公表しています。これを見ると、動物愛護管理の現状分析をした上で、動物愛護センターの必要性、整備の考え方、役割と機能、具体的な施設規模などが盛り込まれた内容となっています。 基本的な考え方としては、人と動物が愛情豊かに安心して暮らせる社会の実現に寄与する施設、誰もが利用できる施設、動物ボランティア等との協働で進める施設としており、役割と機能としては、動物の命の大切さを感じる場、人と動物の関わり方を学ぶ場、人づくり、環境づくりを通じて、人と動物の共生を推進する場としています。 これからの動物愛護管理行政を進める上で、動物愛護センターの基本コンセプトが明確化され、すばらしい構想になっていると感じます。 また、基本構想を策定する上で、県民の皆さんにパブリックコメントを募集したところ、166件もの意見が寄せられており、その関心の高さがうかがわれます。 多くの県民が注目する中で、スケジュールとしては、2年後に新たな施設が完成することになっていますが、ハードを整備するだけでなく、いかにソフト面を充実させていくかが大変重要になると思っています。 ハード完成までの間に、関係機関や関係団体と十分な協議をして頂き、全庁を挙げて、更には官民一体となって動物愛護行政を推進する体制を構築して頂きたいと考え、4点について伺いたいと思います。 まず、基本構想の中でも「命の大切さを学ぶ場」というのは、とても大切な部分であると思っています。特に、教育学習のところで、「人と動物の関係、人と人との関係を育む教育」とありますが、具体的にはどのように命の教育を推進していこうと考えているのか、教育長の見解を伺います。 また、新たな施設については、動物の避難救護活動の拠点としての位置づけも担っており、管理棟の中に災害時の関連物資倉庫を設備するとしています。 被災時関連物資については、現時点で人向けの災害時の備蓄倉庫の整備状況として、県立学校の廃校活用や空き教室の利用等で保管場所としては一定の確保ができているようですが、被災時の地理的なバランスを考えた上では、問題があるのではないかとも感じています。 新施設が、ある程度の広さの敷地を確保できるということを考えると、福祉保健部とも連携し、動物愛護センターの一部を活用し、人向けの備蓄倉庫機能も持たせてはどうかと考えますが、
生活環境部長の見解をお伺いします。 あと、パブリックコメントの内容を見ますと、ボランティアの積極的な受入れや研修会の開催を求める意見が寄せられています。ボランティアや関係団体とどのように連携していくのか、
生活環境部長の見解をお伺いしたいと思います。 それと、私は2013年の第2回定例県議会の一般質問において、野生鳥獣の保護活動で、県下の動物病院の獣医の皆さんがボランティアで、けがをしたり病気になった野生鳥獣を保護し、野生の場に返すまでの面倒を見ており、中には大変な苦労をされている方もいらっしゃる状況があることを御紹介しました。 そのような方々の活動を支援する方策がないものかと思い、この動物愛護センターとも連携がとれるとよいのではないかと投げかけてきたところですが、これまでの間の検討状況について、
農林水産部長にお伺いしたいと思います。
○末宗秀雄副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 命の教育についてお答えいたします。 生命及び自然を尊重する精神を養うことは、学校教育の中でも極めて重要であります。学校教育においては、人間の命のみならず、身近な動植物の「生命の尊さ」にも気づかせ、命あるものは互いに支え合って生き、生かされていることに「感謝の念」を持たせることが重要であります。 小学校の生活科では、例えばモルモットを飼育する中で、餌を食べるしぐさや新しい命の誕生に親しみや感動を覚える体験をさせております。 中学校の道徳では、生命倫理に関わる出生前診断や脳死などの課題を考え、議論し合うような学習が行われております。 これに加えて、生き物の命をいただき、自分の命が存在するという理解を深めるために畜産公社を見学したり、動物愛護センターで動物とのつき合い方を学ぶなどの活動を通じて、命の大切さを実感させることも重要だと考えております。 今後とも、道徳の授業を充実させて、命を考える学習を積み重ねるとともに、実際の体験活動を増すことで命の大切さを実感できる教育を進めていきたいと思っています。
○末宗秀雄副議長 柴田
生活環境部長。
◎柴田尚子
生活環境部長 まず、災害時の備蓄倉庫機能についてでございます。 大分市と共同整備を進めております動物愛護拠点施設では、災害等緊急時における動物の避難救護活動の拠点として、飼養者とペットとの同行避難の受入れ施設としての機能や、地域で不足が想定されるペットケージやペットフード等の動物用物資の備蓄機能を備えることとしております。 人向けの災害時の備蓄機能につきましては、その設置の可能性、あるいは必要性も含め、関係部局と協議してまいりたいと存じます。 次に、ボランティア等との連携についてでございます。 県では、平成15年度から県獣医師会と連携し、ボランティアを養成してきており、ボランティア団体、獣医師会との協力体制が構築されております。 ボランティア団体は、保護した犬猫の譲渡活動、市町村での命の授業や図書館での写真展などで中心的な役割を担っており、動物愛護を推進する上で大変重要な存在となっております。 また、獣医師会も、保健所等から譲渡された犬猫の不妊去勢手術の助成を行うなど、大きな役割を果たして頂いております。 新しい動物愛護拠点施設では、しつけ方、飼い方教室の拡充、常時見学、譲渡できる体制整備等の機能強化を計画していることから、ボランティアや獣医師会に、これまで以上に大きな役割を担って頂きたいと考えております。 このため、センターの基本構想では、ボランティアが施設内で作業や情報発信を行えるようなスペースの確保や研修の充実を図ることとしております。 多くの人が集い、体験や学びを通して、動物に関する理解を深める場とするため、ボランティア等との連携を一層進めてまいります。
○末宗秀雄副議長 尾野
農林水産部長。
◎尾野賢治
農林水産部長 野生鳥獣の保護活動についてお答えをいたします。 動物愛護センターとの連携につきましては、26年に開催された動物愛護拠点施設調査検討委員会で協議を行ったところです。 その際、委員から犬や猫のペットを対象とする施設で、野生鳥獣の保護治療を行うのは感染症の問題があるとの意見や、野生鳥獣との接し方はペットと異なり、一定の距離感が必要であり、そういうことが分かるようなコーナーがあるといいといったような意見を頂きました。 このため、愛護センターには、「野生動物と人の関わり方の啓発・展示コーナー」を提案し、昨年末の基本構想に盛り込まれたところです。 具体的な展示内容については、今後、専門家等の御意見をお聞きして検討したいと考えています。 一方、傷病野生鳥獣の保護については、県獣医師会等に委託し、動物病院等の鳥獣110番救護所を県内28カ所に設置し対応しており、来年度は委託料を増額し、更に迅速に保護できる体制をつくっていきたいと考えております。 また、獣医師の負担を軽減するため、治療後、野生復帰まで飼養するボランティア制度を設けており、現在48名の方に登録をして頂いております。 今後とも、鳥獣110番の活用促進と傷病鳥獣介護ボランティア登録者の拡大を図ってまいります。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。この動物愛護センターが完成するまでの間に、是非この施設が開所当初から、命の大切さを学ぶ、身につける場として活躍できることをお願いしておきたいと思います。 最後の質問に移りますけれども、様々な民間企業で超過勤務が問題となっています。総務省の労働力調査の資料を見ると、週60時間以上働く方が450万人おられて、全労働者5,474万人の8%を占めています。これらの方々は、月に80時間以上の超過勤務をこなしているということになるわけです。 2016年4月からは、月残業時間80時間超の場合、監督対象となるように監視機能も拡大をされています。 このように、働き方について規制が厳しくなっているわけですが、私は労働者の皆さんが健康ではつらつと働けることが、企業の業績向上や社会全体の生産性の向上に欠かせないと考えています。それは県庁も同じことだと思います。 県の職場を見ると、災害対応、県民ニーズの多様化や新たな行政課題の発生により、県の業務量は増加するばかりで、超過勤務が対前年200%増という職場もあると聞いています。 先日、行財政改革グローバル戦略特別委員会の県外所管事務調査で、神奈川県庁を訪問する機会がありました。 神奈川県では、スマート県庁改革に取り組み、時間内勤務の厳守を掲げ、アクションプランを策定し、プランに基づいて残業ゼロに向けた取組を行っています。超勤縮減と一口に言っても、今までと同じことをしていたのでは超勤縮減はできようがありません。 また、超勤縮減のために県民サービスを低下させるというわけにもいきませんから、資料の簡素化、内部協議等、調整に係る時間の縮減や意思決定の効率化、会議手法の計画やICT化の推進等により内部事務を簡素化し、県民サービスを低下させることなく超勤縮減を実現するための具体的な行動計画を共通認識し、実践していくということが必要でしょう。 働き方改革という言葉をよく耳にするようになりましたが、職員一人一人が時間的なストレスから解放され、自らのパフォーマンスを思い切り発揮できる環境や体制をつくるということが、健康的に生き生きと働くことにつながりますし、県民へのサービス向上にもつながってまいります。それが、働き方改革として真に必要なことではないかと考えるわけです。 超過勤務縮減に向けて内部業務を簡素化するためのアクションプランを作成してはどうかと考えますが、総務部長の見解をお伺いします。
○末宗秀雄副議長 島田総務部長。
◎島田勝則総務部長 県職員の超過勤務についてお答えいたします。 超過勤務の縮減は、職員一人一人が心身ともに健康で、その能力を最大限発揮するためにも重要な課題と認識しております。 現在、国を挙げて「働き方改革」が議論をされております。御質問の中で、神奈川県庁の事例を言及されましたけれども、本県でも、これまでも業務改善や超勤縮減に向けた取組を行っているところです。 職員が主体的に業務の効率化を図る「OITAチャレンジ運動」や超過勤務や年休取得の状況等を点検し、評価・表彰する「ワーク・ライフ・バランス推進のための職場環境点検」などはその一例です。 今年度の「OITAチャレンジ運動」では、287件の改善報告があり、従来は土木事務所職員を参集して行っていた研修を、映像配信に改めた事例など、他部局でも応用のできる超勤縮減効果の高いものもございました。 29年度からは、振興局の農業普及指導や土木事務所の監督業務等においてタブレットを活用したモバイルワークを行うなど、ICTを活用した多様な働き方を推進し、業務の効率化に努めてまいります。 これらの取組が実効性を上げるためには、各職場の状況に応じて目標を設定することが重要であると考えておりまして、部局長自ら「超勤縮減宣言」を策定し、効率的な業務遂行に取り組んでいるところであります。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 努力をして頂いているというのは、今お話を伺いましたけれども、実際それによって超勤そのものが少なくなったかというと、たまたま災害の発生だとか、そういう通常業務以外の要因もあって、なかなかそれが実現できていないということもあるのだろうとは思いますけれども、逆にいうと、日常的な業務の中で超勤がない状況をつくり上げれば、災害発生時に、その災害のためだけに超勤をすればいい。その災害によって、日中働く時間を、夜、余裕を持って対応できるということにもつながっていくんじゃないかというふうに思っています。 人を増やせばいいという話にもなかなかならない財政状況があるだろうとは思うんですが、今いる職員で、どのように、より効率的に働き、そして、より一人一人がやりがい、働きがいを感じながら働くことができるかということが大事だろうと思っています。 そういった中で、これはひとつ提案にもなろうかと思うんですけれども、県庁の中で、どういうことを工夫して内部事務をスムーズにやっているよ、内部の意思決定を迅速に決めているよという情報を、ある意味、民間にお流しするとか、逆に、民間からどんな工夫をしているかという情報をもらいながら、いわゆる公務職場でこういうふうに工夫をして超勤縮減していますよということが、民間で情報を得ることができる。逆に、民間のやっていることを公務職場に取り入れができるという環境をつくって、それぞれが超勤縮減に向けて努力していくということが、ある意味重要になってくるし、逆に、民間の中でサービス残業になってしまっているような実態、そういったものも目にとまってくるんじゃないかと思いますが、そういうことについて何かお考えはあるでしょうか。
○末宗秀雄副議長 島田総務部長。
◎島田勝則総務部長 先ほど県庁の業務改善の取り組みとして、「OITAチャレンジ運動」の紹介をさせて頂きました。先だって、優良事例の表彰式を行ったんですけれども、その際にも、社会保険労務士の方にお越し頂いて、講評を頂いております。先ほどの土木事務所のテレビ会議の例、それから、こども未来課では、若手職員がチームを組んでアイデアを出しまして、個々の職員が、きょうは自分は定時退庁をしますといったカードを机の上に出して、定時退庁しやすい雰囲気をつくるというような事例の紹介もございました。 ちなみに、こども未来課は、前年度と比べまして、マイナス35.1%の超勤縮減を達成しております。そういった取り組み、社会保険労務士の方からも大変関心されて、「県庁もよく頑張っているね」という評価も頂いたところです。 いろんな具体的な取り組みを民間の方にも見て頂きながら、我々も民間から学び、民間の方にも県庁のいいところを参考にしていただけるような取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。取り組んだ中で超勤が減ったけど、その分がサービス残業に回ったということのないように、是非注意も、気を配っていただければと思っております。 また、働きがいを感じる、そしてゆとりを持って働ける職場づくりに向けて、知事、何かコメントがあればお願いしたいと思いますが。
○末宗秀雄副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 働き方改革、今、国も県も挙げて議論が進んでいるところでございますけれども、やっぱり県庁といたしましては、民間における改革を先に進んでもらって、こっちの方は後からついてくる方がいいのかなというぐらいに思っていたんですけれども、今、議員からお話がありましたように、むしろ工夫をして、率先、いい実例をつくって、そして、それをまた県内のいろんな企業にお示しをして参考にしてもらうというやり方も大事かなと思っております。これからは率先、創意工夫をしていきたいなと思っております。
○末宗秀雄副議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。今の話を聞いた職員の皆さんも、やる気を更に高めるんじゃないかと思いますが、それが逆に、県下の各企業の活性化、県民の皆さんの幸せ、笑顔につながることを祈念して質問を終わらせて頂きます。ありがとうございました。(拍手)
○末宗秀雄副議長 以上で守永信幸君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○末宗秀雄副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。
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○末宗秀雄副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。
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○末宗秀雄副議長 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時52分 閉会...