○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 そういう未加入者も含めた手厚い対策を今後ぜひよろしくお願いいたします。 続いて、第四一
号議案大分県
農地中間管理事業等推進基金条例の制定についてお伺いをいたします。 この
基金条例は、昨年の国会で成立した
農地中間管理事業の推進に関する法律などに基づき条例化をするものです。この法律の趣旨は、
TPP対応の
日本再興戦略として位置づけられ、今後十年間で、全
農地面積の八割が担い手によって利用され、産業界の努力を反映して、担い手の米の
生産コストを、現状、
全国平均一万六千円から四割削減をし、
法人経営体数を二〇一〇年比で約四倍の五万社とすることを目標として、
農業構造の改革と
生産コストの削減を強力に推進する手段としています。 大分県農業にとってこのような目標の設定は大変厳しいものとなるのではないでしょうか。
企業参入や大
規模経営や担い手に農地が集約されて、果たして国が言うようにコストが下がるんでしょうか。大変疑問だと考えますけれども、答弁を求めます。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 米の
生産コストについてでございますが、国は、
生産コストを四割削減するために、平均の
経営規模を十から十五ヘクタールまで拡大することとあわせまして、経済界との連携による低
コスト生産技術の開発、
生産資材経費を低減する施策などを展開することとしております。 本県でこれを実現するには、これまでの
構造改革をさらに加速し、
農地集積にあわせまして、圃場の大区画化や
水利施設の整備など圃場管理の省力化を進める必要があると考えております。 ちなみに、集積が進んだ国東市の
見地生産組合では、
生産コストが米六十キログラム
当たり平均一万円以下という状況になっております。 しかし、大
規模集積が難しい中山間地域では、
個人経営、集落営農を問わず、多
収性品種の導入、機械、施設の共同化などをさらに進めて、
経営強化によりまして
コスト削減を実現していく必要があると考えております。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 生産コストの削減等を言われておりますけれども、非常にこれ、経済的な対策の中で打ち出した
農業分野での改革でもあります。 もう一つ、ちょっと心配になるのが、農村の機能の問題が非常に心配されるんですけれども、結局、今後十年間で全農地の八割が、担い手とか
企業参入による農地の集積化のために、この
中間管理事業で集積した農地を借り受けするようになります。しかし、本格的な
優良農地への
企業参入を進める場合は、企業というのが農村にやっぱり足場がないだけに、どうしても落下傘型の
企業参入になってしまう危惧があります。これでは、
農村そのものの機能が果たせなくなってしまうんではないかと非常に心配するんですけれども、そういう対策というのは、具体的に何かとる予定にされてるんでしょうか。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 今、農地の集約が企業等に偏るのではないか、それによって
農村機能そのものがそがれるのではないかというご質問でありますけれども、この農地の
中間管理を進めるに当たっては、まず地域内の
話し合い、それから「人・
農地プラン」というものを前提にしながら集約をするということであります。ですから、これが大層を占める形、つまり、集落内でのいろんな合意があって初めて事が進むという整理になっております。 もちろん、そこでうまくいかないということであれば
企業参入等でカバーをしていくということになりますけれども、ベースはそういった形で、まず集落内での
話し合いが前提になるということであります。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 では、二つ目、
農業委員会の問題にいきます。
農業委員会というのは、効率的な
農地利用について農業者を代表して公正に審議する
行政委員会で、農地の
権利移動の許認可だとか、
土地転用申請書の受理や意見書の添付、農地の
利用状況調査等の業務等を執行しています。 これまで、この
農業委員会が
農地利用集積の中心的な役割を果たしてきたのは間違いありません。この役割が今後の
農地中間管理機構に移ってしまうんではないでしょうか。また、今後の
農業委員会の位置づけはどうなっていくのでしょうか。答弁を求めます。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 農業委員会についてのご質問でございますが、
農業委員会は、農地法に基づく農地の
権利移動の許可を初め、農地に関する事務を執行する
行政委員会として、各市町村に設置をされておりまして、農地に関する
各種情報が蓄積されております。 今回、
農地中間管理機構が
中間的受け皿となって農地の集約を進めていくためには、この情報が集中しております
農業委員会の協力というものも必要でありますため、しっかりと連携をしていくように求めてまいります。 今後の
農業委員会の業務や体制などのあり方については、現在、国の
規制改革会議において議論をされているところでもありまして、その行方を注視していきたいと考えております。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 昨年九月二十日の
産業競争力会議農業分科会の中で、「
農地集積の迅速化の観点から、機構を活用するスキームにおいて、
農業委員会の許可を不要とする」というふうに発言されています。まさにこれまでの
農業委員会が培ってきた役割を投げ捨てるものではないでしょうか。企業に
優良農地を解放することが主目的ではないでしょうか。このようなやり方に対して反対すべきだというふうに考えますけれども、再度、答弁を求めます。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 確かに、
中間管理機構が農地を借り受けて、受け手に渡すという場合に、
農業委員会の許可は不要であります。ただ、今申し上げましたように、農地に関する基本的な情報というものは委員会が持っておりますので、そこはしっかり、お互いに
情報共有をして連携をしていくということは必要であろうと思います。 ですから、
許可そのものは必要ではありませんけれども、農地全体を管理している
農業委員会でございますので、そこら辺の連携というのはしっかりやっていこうと。 また、
企業一辺倒でやるということではなくて、先ほども申し上げましたように、地域の中の農地を渡すということですから、地域内の
話し合い、それから「人・
農地プラン」というものをしっかり見据えて対応していく必要があるというふうに考えております。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 まさに、
農業委員会の許可が不必要というところが非常にみそなんです。許可というのがあれば、いろんな許可があれば
農業委員会の関与としては強くなるんだけれども、必要なくなるわけですから。だから、
農業委員会としての役割が非常になくなってしまう。先ほども指摘しましたけれども、農地の
利用状況調査だとか、さらには
転用申請書の受理とか、意見書の添付とか、こういうふうな業務というのがその
農業委員会ではなくなってしまう。これは本当に
農業委員会の形骸化につながってくると思いますし、三つ目の質問にもかかわってきますけれども、この機構によって県は、これで
遊休農地の対策や
耕作放棄地の対策が進展するのではないかという期待を持っていると思われます。しかし、
産業競争力会議は、「生産性の向上につながらない業務を機構は行うべきでなく、機構が専ら
耕作放棄地対策として用いられることのないように留意する」、あるいは、「
耕作放棄地を
借り入れる場合は、農地として再生した後、
貸し付けの見込みがあるところに限定する」、さらに、「本機構は、
耕作放棄地対策として創設されるものではない」として、「この
農地中間管理機構が
耕作放棄地対策としてフルに機能することを牽制する」と言っております。これでは、
耕作放棄地、非常に大きな課題ですけれども、解決につながらないというふうに思います。そもそも
大分県内の
耕作放棄地はどれぐらいあるのでしょうか。また、本県のように
条件不利地が多いようなところは、優良地のみが
貸し付けされてしまう危険性があると考えられますけれども、あわせて答弁を求めます。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 耕作放棄地に関するご質問でございますけれども、県内の
耕作放棄地につきましては、毎年度、
農業委員会が悉皆調査を行っておりまして、二十四年度では、
再生利用可能なものが二千九百六十一ヘクタール、困難なものが五千八百十一ヘクタール、合わせて八千七百七十二ヘクタールと
耕地面積の約一五%を占めております。 農地の借り手が見つからずに
耕作放棄地となっている農地は、これが再生可能であれば、機構が受け手を公募し、
条件整備を行って
貸し付けることで農地として再利用されてまいります。 また、
農業委員会が
耕作放棄地やそのおそれのある農地の所有者に
利用意向調査を行って機構に貸す意思を確認することで、
耕作放棄地発生の抑制効果も期待ができると考えております。
農地中間管理機構が行う農地の
貸し付けにつきましては、「人・
農地プラン」、それから、その過程となる合意が前提でありまして、
優良農地のみを対象とするような想定にはなっておりません。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 農地中間管理事業の推進に関する法律の中では、農地の借り受け、
貸し付け等において、利用することが著しく困難な農地は
借り入れずというふうになっております。
大分県内の
耕作放棄地、先ほど、困難は五千八百十一ヘクタールあるというふうに言いましたけれども、この規定でいくと、この
耕作放棄地の困難な部分というのは一体どうなっていくんでしょうか。再度、答弁を求めます。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 ここで言う
再生利用が困難なものというのは、もう端的に言いますと、現状で山に戻ってしまっている、これはもう、木が茂って、とても農地に戻せる状況ではないというようなものを指しております。ですから、草が生えて少しやぶになりかけているというようなところは、戻せるんであれば戻して使う。もう山になってしまったものにさらに大きなコストをかけるということは少し趣旨が違うということでありまして、今の、二十四年度の調査の見込みでは、二千九百六十ヘクタールがそういう戻せる状況にあるのではないかというふうに見ております。 以上です。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 まさにそういう困難なところの対策も本当にとっていかないと、
生産性コストの問題とか拡大の問題とかいうのにもひっかかってくると思いますから、それをあきらめるんじゃなくて、それを具体的に、全部が全部、山じゃないでしょうから。どういうふうな状況かというのもしっかり調べて対策をとっていただきたいというふうに思います。 この問題での最後の質問です。 この
農地中間管理機構法の問題点の一つとして挙げられているのが、賃借権または
使用貸借権の解除の問題があります。農業者が離農して農地を機構に
貸し付けても、相当の期間を経過してもなお機構からの
貸し付けが見つからないときは、機構としては解除できるというふうになっております。離農した農業者に農地を返却されても、もう返却された離農者は、機械も売ってしまったという中で途方に暮れるしかありません。その点について、こういう離農者に対して県としてどういう対応をされるつもりなのでしょうか。答弁を求めます。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 農地の賃貸借のあり方についてでありますけれども、農地の借り受けと、
貸し付けは同時並行で行うということが基本であります。全くめどのないところで管理機構が受けるという形にすれば戻さなければならないという事態も発生しかねませんので、そこは、借り手、貸し手の状況を見ながら
中間管理機構が受けるということになります。 借り受け希望者が不足をしているという地域もありますが、そういうときには、他地域の担い手にも積極的な勧誘を行うとともに、市町村やJA等関係機関一体となって集落営農組織の設立を進めるなど、受け手の拡大を図るということで不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 同時並行で進めていくと。しかし、法律的には解除できるとなっているわけです。つまり、そういうふうな想定もしているわけです。そうしたときに、県とすれば、いや、同時並行だから、全くそういう対策はとらないでいいというわけにはいかないわけでしょう。だから、具体的にそういうふうな、解除できると法律の中身になっている以上は、県として、その対策というのはどういうふうにとっていかれるのか。ここを再度、お伺いをいたします。
○
近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎
工藤利明農林水産部長 今申し上げましたように、返すことを前提にして借り受けるということはございません。できるだけ借り手を探すという努力をするのが今回の趣旨だろうと思っております。 大分県、日本で三番目に中山間地域が多いということで、山間地も大変多ございます。そこをどうやって渡すかということをまずしっかりやっていくべきだろうと思っております。その先のことだけで、ここを手を緩めるというようなことになってはいけないと思っております。
○
近藤和義議長 堤栄三君。
◆
堤栄三議員 本来、農業というのは、家族経営というのを基本として営々として営まれてきたわけです。そういう、本人から子供、子供から孫、農業の継続性ということが位置づけられることを意味しているので、そういう点からの立場から、ぜひこの問題については処理もしていただきたいというふうに思います。 以上で終わります。
○
近藤和義議長 以上で通告による質疑は終わりました。 これをもって質疑を終結いたします。 ただいま議題となっております各案は、お手元に配付の付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。
-------------------------------付託表件名付託委員会第四一
号議案大分県
農地中間管理事業等推進基金条例の制定について農林水産第五三号議案平成二十五年度大分県
一般会計補正予算(第三号)関係委員会第五四号議案平成二十五年度大分県公債管理特別会計
補正予算(第一号)総務企画第五五号議案平成二十五年度大分県母子寡婦福祉資金特別会計
補正予算(第一号)福祉保健生活環境第五六号議案平成二十五年度大分県中小企業設備導入資金特別会計
補正予算(第一号)商工労働企業第五七号議案平成二十五年度大分県流通業務団地造成事業特別会計
補正予算(第一号)〃第五八号議案平成二十五年度大分県林業・木材産業改善資金特別会計
補正予算(第一号)農林水産第五九号議案平成二十五年度大分県沿岸漁業改善資金特別会計
補正予算(第一号)〃第六〇号議案平成二十五年度大分県就農支援資金特別会計
補正予算(第一号)〃第六一号議案平成二十五年度大分県県営林事業特別会計
補正予算(第一号)〃第六二号議案平成二十五年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計
補正予算(第一号)土木建築第六三号議案平成二十五年度大分県港湾施設整備事業特別会計
補正予算(第二号)〃第六四号議案平成二十五年度大分県用品調達特別会計
補正予算(第一号)総務企画第六五号議案平成二十五年度大分県病院事業会計
補正予算(第二号)福祉保健生活環境第六六号議案平成二十五年度大分県工業用水道事業会計
補正予算(第一号)商工労働企業第六七号議案工事請負契約の変更について福祉保健生活環境第六八号議案平成二十五年度における農林水産関係事業に要する経費の市町村負担について農林水産第六九号議案損害賠償の額を定めることについて土木建築第七〇号議案平成二十五年度大分県
一般会計補正予算(第四号)関係委員会
-------------------------------
○
近藤和義議長 以上をもって本日の
議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。
-------------------------------
○
近藤和義議長 本日は、これをもって散会いたします。 午前十時三十分 散会...