平成25年 第4回定例会(12月)平成二十五年十二月三日(火曜日
) ------------------------------- 議事日程第二号 平成二十五年十二月三日 午前十時開議第一 第九八号議案から第一一二号議案まで (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)第二 一般質問及び
質疑 ------------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 第九八号議案から第一一二号議案まで (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)日程第二 一般質問及び
質疑 ------------------------------- 出席議員 四十二名 議長 近藤和義 副議長 田中利明 阿部英仁 志村 学 古手川正治 後藤政義 土居昌弘 嶋 幸一 毛利正徳 油布勝秀 衛藤明和 濱田 洋 三浦 公 末宗秀雄 御手洗吉生 桜木 博 麻生栄作 三浦正臣 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 深津栄一 酒井喜親 首藤隆憲 吉冨幸吉 平岩純子 江藤清志 久原和弘 小野弘利 元吉俊博 井上伸史 荒金信生 佐々木敏夫 戸高賢史 吉岡美智子 河野成司 堤 栄三 竹内小代美 欠席議員 なし 欠員 二名
------------------------------- 出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 二日市具正 副知事 小風 茂 教育委員長 岩崎哲朗 代表監査委員 米浜光郎 総務部長 島田勝則 企業局長 坂本美智雄 病院局長 坂田久信 教育長 野中信孝 警察本部長 大沢裕之 企画振興部長 塩川也寸志 福祉保健部長 平原健史 生活環境部長 冨高松雄 商工労働部長 西山英将 農林水産部長 工藤利明 土木建築部長 畔津義彦 会計管理者兼 小野嘉久 会計管理局長 人事委員会 城 尚登 事務局長 労働委員会 安東忠彦 事務局長 財政課長 長谷尾雅通 知事室長
岡本天津男 ------------------------------- 午前十時十九分 開議
○近藤和義議長 これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○近藤和義議長 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。 まず、監査委員から、地方自治法第百九十九条第九項の規定により知事室など百九カ所の定期監査について結果に関する報告がありました。 なお、調書は朗読を省略いたします。 次に、第一一六号議案職員の給与に関する条例の一部改正について及び第一一七
号議案災害派遣手当の支給に関する条例の一部改正については、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を聴取した結果、適当と考える旨、文書をもって回答がありました。 以上、報告を終わります。
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○近藤和義議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第二号により行います。
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△日程第一 第九八号議案から第一一二号議案まで(議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)
○近藤和義議長 日程第一、日程第一の各決算議案を一括議題とし、これより委員長の報告を求めます。
決算特別委員長玉田輝義君。 〔玉田議員登壇〕
◆
玉田輝義決算特別委員長 決算特別委員会の審査の経過と結果についてご報告申し上げます。 本委員会で審査いたしました案件は、第三回定例会で付託を受けました第九八号議案平成二十四年度大分県
病院事業会計決算の認定について、第九九号議案平成二十四年度大分県
電気事業会計利益の処分及び決算の認定について、第一〇〇号議案平成二十四年度大分県
工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、第一〇一号議案平成二十四年度大分県
一般会計歳入歳出決算の認定について及び第一〇二号議案から第一一二号議案までの平成二十四年度各
特別会計歳入歳出決算の認定についての決算議案十五件であります。 委員会は、十月一日から十月三十日までの間に八日間開催し、会計管理者及び監査委員ほか関係者の出席説明を求め、予算の執行が適正かつ効果的に行われたか、また、その結果、どのような事業効果がもたらされたか等について慎重に審査しました。 その結果、各般の事務事業は、議決の趣旨に沿った適正な執行が行われており、総じて順調な成果をおさめているものとの結論に至り、第九八号議案、第一〇二号議案から第一〇四号議案まで、第一〇六号議案から第一〇九号議案まで及び第一一二号議案については全会一致をもって、第一〇一号議案、第一〇五号議案、第一一〇号議案及び第一一一号議案については賛成多数をもって、認定すべきもの、第九九号議案については全会一致をもって、第一〇〇号議案については賛成多数をもって、可決及び認定すべきものと決定いたしました。 なお、決算審査の結果、検討あるいは改善等を求める事項について、お手元に配付の
決算特別委員会審査報告書のとおり取りまとめたところであります。 そのすべての朗読は省略いたしますが、幾つかの項目について申し述べたいと思います。 まず、財政運営の健全化についてであります。 昨年は、九州北部豪雨災害への対応などがあったものの、
財政調整用基金残高を四百三十四億円確保するなど、一定の成果を上げられました。しかしながら、経常収支比率の上昇や県債残高の増加、さらに景気回復の先行きは依然不透明であることから、今後も、大分県行財政高度化指針に基づき、各財政指標に留意しながら、引き続き事務事業の選択と集中、歳入の確保と歳出の削減に努め、中長期的展望に立った健全な財政運営に尽力されたい。 次は、収入未済額の解消についてであります。 関係機関で収入未済の解消に向けた取り組みの強化が図られた結果、一般会計及び特別会計の収入未済合計額は三年続けて前年度を下回っていますが、いまだ多額に上っております。厳しい財政状況のもと、財源の確保及び負担の公平性の観点から、引き続き、市町村や関係機関との連携を強化し、適切な債権管理と厳正な回収、職員の資質の向上に取り組み、収入未済の発生防止と早期回収に努められたい。 次に、個別事項について何点か申し上げます。 まず、
買い物弱者支援事業についてであります。 本事業は、地域での日常の買い物が不便な小規模集落対策として、平成二十四年度から開始された県民の関心が高い事業でありますが、初年度の支援実績は二地域にとどまっています。 今後の事業実施に当たっては、市町村との連携を強化し、地域住民の要望や声を聞くなどして、地域の実態を十分に把握の上、より効果的な事業となるよう取り組まれたい。 次は、
中小企業金融対策についてであります。
中小企業金融対策費及び保証承諾件数とも前年度を下回っております。今後、
中小企業金融円滑化法終了の影響も懸念されることから、本年三月に策定した大分県
中小企業活性化条例の理念を踏まえ、中小企業の元気につながるよう、金融面からの支援及び対策を検討されたい。 最後に、
県立特別支援学校における就学奨励費についてであります。 特別支援学校十四校のうち十三校で就学奨励費の支給に誤りがあったことは、事務処理体制に組織的な問題があったと言わざるを得ません。 過不足額の取り扱いについては、関係法令に照らし適切な事後処理を行うとともに、今後は、研修や内部のチェックを強化するなど事務処理体制を徹底的に見直し、再発防止に努められたい。 このほかに個別事項を九項目挙げておりますが、当委員会でまとめたこれらの事項については、今後の事業執行及び来年度の予算編成に反映させるなど、適時適切な対応を講じられるよう要望いたしまして、決算特別委員会の報告といたします。(拍手) 〔
委員会審査報告書は会議録別冊に掲載〕
○近藤和義議長 以上で委員長の報告は終わりました。 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。--別にご質疑もないようでありますので、質疑を終結し、これより討論に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。 〔堤議員登壇〕
◆堤栄三議員 日本共産党の堤栄三でございます。 私は、今回上程されました第一〇一号議案平成二十四年度大分県
一般会計歳入歳出決算の認定について討論を行います。 平成二十四年度決算額で、歳入は五千八百四十二億七百九十七万円となっています。この決算は、知事が表明した「県民が夢と希望を持ち、心豊かに暮らせる大分県づくり」に果たしてなっているでしょうか。 まず、歳入全般では、自主財源の県税収入は、二十二年度税制改正の個人県民税の年少扶養控除の廃止、特定扶養控除の見直し等によって、対前年比一・六三%増の約十六億円増加となり、県民負担がふえたことになります。さらに、景気後退による給与の減少、中小企業の倒産、廃業によって、県税の不納付欠損は前年度比約二千万円増の二億五千七百四十一万円となっています。また、分担金及び負担金、県営住宅の使用料などの使用料、手数料、諸収入等の不納付欠損は約二千七百九十三万円で、収入未済額でも八億二百三万円となっています。これらの数字から見えてくるのは、県民の暮らしが本当に厳しくなっているという実態であります。 自主財源をふやすためには投資的経費も必要ですが、その際、事業所の九割を超える中小企業の景気回復や個人所得を伸ばすことによって家計消費を暖めていくことが重要であります。しかし、決算では、相変わらずの大企業誘致や
工業団地造成事業など補助金等が目につきます。 日本共産党は、歳入の改革として、大企業減税をもとに戻すこと、内部留保を社会へ還元させること、自社従業員への給与引き上げ等に活用させ、県経済を活性化し、税収増に結びつける努力が必要と考えます。 一方、歳出予算は、決算はどうでしょうか。 安心の県政では、
子育て満足度日本一を標榜し、津波対策など東日本大震災を教訓とした整備を進めるとなっています。 ひとり親家庭医療費助成は親が一日五百円の自己負担となっており、保護者からは「一部負担金をやめてほしい」との意見も出されています。 また、重度障害者医療費についても、いまだに現物給付になっていない点など、子育て日本一を目指すのであれば、子供医療費の無料化こそ推進すべきであります。 また、国による社会保障の改悪の一環として、生活保護費の受給額がことし八月より減額され、これに対し、県下の生活保護世帯から百六十六件もの不服審査が県に提出されています。生活実態を無視した国の基準引き下げに怒りがわくと同時に、県として、県民の暮らしを守る観点から、今後、引き下げに反対の立場をとるべきであります。 さらに、国民健康保険の広域化推進によって、市町村の一般会計から繰り入れができなくなり国保税が値上がり、さらなる負担増となります。今でも負担できず、滞納世帯が増加し、資格証明書の発行は各自治体で続いています。県独自の補助制度を設け、国保税の引き下げに努力すべきであります。 本来、自治体としては、このような国民の暮らし犠牲の悪政から防波堤の役割を果たさなければなりません。自立できる雇用環境、子育て環境、生活環境を整えることこそ、県の役割のはずです。財政調整基金の残高を積み上げることに腐心するのではなく、国保税等の値上げ抑制のため思い切って繰り入れを行い、暮らし応援の予算へと今後転換させるべきであります。 また、現在の津波地震対策の地域防災計画は大津波の対策がメーンとなっています。県は、今後、南海トラフ地震や伊方原発等の事故による複合災害を想定して具体的な要領の策定を行う予定となっていますが、早急に策定し、各自治体や県民に周知徹底させるべきであります。今後の方向を注視しておきます。 活力では、もうかる農林水産業を目指したブランド化の推進や補助金漬けの企業誘致、産業集積の促進がうたわれています。 農林水産業の経営体も大変な状況が決算でもわかります。事業用の各貸付金が経営の悪化によって収入未済額が生じ、廃農等や行方不明などで貸付金が返済されない実態が発生をしています。 さらに、農業の大規模化や企業参入を推進してはいますが、わずかな件数となっています。参入した中小企業へのフォローアップもしなければならないのは当然ですが、地域に根を張って頑張っている小規模農家にもしっかりとした助成をしなければなりません。しかし、今の農林水産予算の方向はそうなっていないのが現状です。 今後の農林水産業の振興には、再生産を保障する価格保障、所得補償制度を構築させるとともに、これ以上の輸入野放しを許さないという県としての姿勢が県内農林水産業の再生にとって不可欠です。県内農林水産業を活性化させ、小規模経営への支援などを通じてこそ、
農林水産業産出額の増加、食料自給率の向上が達成されるのではないでしょうか。 あわせて、国が協議に参加しているTPPへの参加に対し明確に反対の立場を表明し、日本農業及び県内農林水産業を守るべきであります。 また、企業誘致のための各補助金、事業費は約三十二億円の決算となっています。企業が進出しても、自動車関連にわずかな県内企業の下請が見られる程度で、半導体、メディカル等の大企業では地場下請企業もないのが実態です。
中小企業活性化条例に基づき、大企業の役割も明確にして、地場中小企業への仕事拡大を図り、地域循環型経済の輪にしていくことが重要です。 また、雇用の面でも、誘致をしても、県内では非正規雇用の拡大、ワーキングプアの拡大になってしまっているのが実態です。大分県で働いてよかったと思えるような雇用対策を行い、大企業としての社会的責任をきっちりと果たさせるような姿勢が必要と考えます。 さらに、工業団地等の整備事業やその開発事業などを進めていますが、これは、団地を造成して企業誘致を推進しようとしたが、うまくいかなかったという過去の失敗の教訓を生かさないやり方であります。これ以上の工業団地に投資を続けることは税金の無駄遣いであります。 発展では、子供たちの学力、体力の向上や社会資本整備に取り組むと言っています。 子供の学力対策として、
小中学校学力向上対策事業など、これまで九年間実施をしてきていますが、テスト至上主義では子供の学力向上にとって有益でないのは明白であります。 さらに、進学力向上として、最難関大学等への入試対策で予備校講師による講座等を実施していますが、難関大学へ入ることが主目的となり、人格形成等がおろそかになってしまう懸念があります。 また、同じように習熟度別学習の実施でも、できる子とできない子を分けてしまい、子供間や学校間で格差を拡大してしまうおそれがあります。 一方で、人権同和教育決算では、事業費として二千四百七十六万六千三百十六円支出をされています。さらに社会福祉費では、運動団体に八百二十万八千円も委託料という名で補助金を出しています。同和問題は終結したという国の方向からも逸脱しているような
同和事業関連予算は廃止をすべきであります。 学力向上対策として、三十人学級の拡大と教員の増員、正規化によって、一人一人の子供に寄り添って指導ができる環境づくりこそ必要であります。 また、教育リストラとして進めてきた農業系単独校の廃止や高校の統廃合などは直ちに中止すべきであります。 また、社会資本の整備として、大企業の輸送ルート確保のための大型港湾の整備、新日鉄住金しか利用できない堤防の補修などを実施しています。さらに、豊予海峡ルートの推進のために、いまだに協議会などにしがみついています。これらはいずれも無駄な大企業優遇の大型事業の推進であり、中止すべきです。 県内中小企業の仕事拡大や県産材の活用、地域経済への経済効果も約十倍あるおおいた
安心住まい改修支援事業や暮らしの道再生事業など生活密着型の公共工事をふやす予算こそ増額して実施すべきであります。 以上のように、日本共産党として、大分県の基幹産業である農林水産業や、雇用の受け皿及び経済活動の活性化の底上げとして、建設業やサービス業、卸小売業など県内中小企業へ支援を重点とした予算を今後組むこと、あわせて、消費税増税や社会保障切り捨て、医療費の負担増にあえぐ住民の暮らし福祉応援の予算に切りかえることを強く求め、討論といたします。 以下、特別会計決算について討論を行います。 第一〇五号議案平成二十四年度大分県
流通業務団地造成事業特別会計歳入歳出決算の認定について。 今期特別会計の決算は、公債費や防災環境対策として七千三百九十五万円になっています。平成十三年度分譲開始から平成二十四年度までの分譲率は六五・一%で、当初の販売計画どおりにいってないのが現状です。平成二十四年度末の起債残高見込みも九十二億円あり、売れなければ、さらなる県民負担につながってしまいます。県内には、たくさんの塩漬け土地があります。これらも含めて、今後、造成費の利払いなど、販売が進まなければ、さらに大きな県民負担となります。このような事業の決算には反対をいたします。 第一一〇号議案平成二十四年度大分県
臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出決算及び第一一一号議案大分県
港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算の認定について。 この決算は、大企業日産への呼び込み方式の土地造成事業であり、港湾管理と重要港湾などの施設建設を目的とした事業です。いずれも一部大企業のための事業であり、県民の税金投入には反対をいたします。 最後に、第一〇〇号議案平成二十四年度大分県
工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について。 この事業会計は、低廉で豊富な水を臨海工業地帯の大企業群に供給する事業会計です。大企業群に供給している水の料金は、一般家庭の水道代の十四分の一から二十四分の一となっています。まさに大企業優遇の水道行政であります。 また、新日鉄住金、鶴崎共同動力、新日本石油などは、工業用として安く仕入れた水を船舶などへ飲料水として一トン百八十二円から百九十七円で転売し利益を得ていることは、県民にとって納得できるものではありません。 さらに、両事業の内部留保も平成二十四年度末で約百九十億円あります。一部、地域振興基金として一般財源に繰り入れることになっておりますが、企業立地促進のための予算ではなく、社会保障等の充実に使えるよう求めて、討論といたします。 以上で各決算認定議案に対する討論を終わります。
○近藤和義議長 以上で通告による討論は終わりました。 これをもって討論を終結し、これより採決に入ります。 まず、第九八号議案、第一〇二号議案から第一〇四号議案まで、第一〇六号議案から第一〇九号議案まで及び第一一二号議案について採決いたします。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤和義議長 ご異議なしと認めます。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。 次に、第九九号議案について採決いたします。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤和義議長 ご異議なしと認めます。 よって、本案は委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定いたしました。 次に、第一〇〇号議案について、起立により採決いたします。 本案に対する委員長の報告は、可決及び認定であります。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○近藤和義議長 起立多数であります。 よって、本案は委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定いたしました。 次に、第一〇一号議案、第一〇五号議案、第一一〇号議案及び第一一一号議案について、起立により採決いたします。 各決算に対する委員長の報告は、認定であります。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○近藤和義議長 起立多数であります。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
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△日程第二 一般質問及び質疑
○近藤和義議長 日程第二、第一一四号議案から第一三二号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。阿部英仁君。 〔阿部議員登壇〕(拍手)
◆阿部英仁議員 皆さん、おはようございます。 いよいよ本日から一般質問が始まります。まず、質問の一番手として登壇の機会を与えていただきました自由民主党・無所属の会の阿部英仁でございます。 本日は、大勢の後援会の皆様に傍聴いただいております。皆さん、本当にありがとうございます。中には、私の今回の質問のメーンである県立武道館建設に熱い思いを寄せる関係者の方々もお見えいただいております。それぞれの方々の期待にしっかりとこたえていただける答弁をお願いいたしまして、始めさせていただきます。 質問に入ります前に、この場をおかりして、大変恐縮ではございますが、去る九月二十四日、我が会派の渕健児先生の突然のご逝去に際しましては、広瀬知事を初め、執行部の皆さん、そして、各会派、同僚議員の皆様には、大変お世話になりました。また、二十六日、議会初日には、首藤隆憲先生より追悼のお言葉を賜りました。ここに、自由民主党・無所属の会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。 さて、私は、去る十月三十一日から十一月七日までの八日間、議員派遣により、ドイツを初めとする欧州四カ国を訪問し、それぞれの国の状況、動きや、さまざまな取り組みなどについて調査を行ってまいりました。 それぞれの国の訪れた地域の一こま一こまに大きな感銘と文化の違いをひしひしと感じながらも、世界のボーダーレス化が進む中、今や国や地域が抱える課題は世界に共通のものもたくさんあり、本県においても、諸外国の動きや取り組みを参考にしながら地域の課題解決や魅力ある地域づくりにつなげていくことの重要さを感じたところであります。 今回、調査を行って、まず思うことは、言い尽くされた言葉ではありますが、「百聞は一見にしかず」であります。インターネットが普及し、パソコンがあれば世界じゅうの情報が瞬時に集まる時代ではありますが、特に外国の現状や人々の考え方や伝統、習慣、文化等を本当に理解するためには、自分の目で見て、空気を感じて、耳で聞いて、言葉を交わして、人の心に接するということが非常に重要であることを実感いたしました。県職員にも以前は海外派遣研修という制度があったと聞いておりますが、現在廃止されているのは大変残念でなりません。 今議会では、一般質問に登壇する派遣された同僚議員からも報告があろうかと思いますので、私は一、二点について触れさせていただきます。 まずは、諸外国での私ども地方議員の第一歩の窓口はジェトロであります。最初の訪問国ドイツでは、ジェトロ・ベルリン事務所で、ドイツの社会経済の動きや東西ドイツ統一後の推移などについて丁寧な説明をいただき、活発な意見交換も行ったところであります。 また、ドイツの車といえばフォルクスワーゲンやベンツであります。特にフォルクスワーゲンの本拠地では、単に車の生産だけではなく、自動車のテーマパークであるアウトシュタット、いわゆる自動車の町、博物館ができており、国内外から多くの観光客が訪れる観光都市となっております。本県にも中津市のダイハツ九州を中心とした自動車関連企業が集積をしており、今後の自動車産業と連携したまちづくりのため、大いに参考となるものでありました。 次のオーストリアでは、海を超えた人間関係も構築させていただきました。 まず、演劇博物館のトラビッチ館長、そして演劇博物館や美術史美術館に関係するポール博士や久保博士、また、演劇博物館や美術史美術館においては、隅から隅まで美術工芸品の宝庫を館長みずから案内していただきました。 当然、これらのすばらしい機会を与えていただきましたのは大分県立美術館の新見館長であります。新見館長のかの地における人脈の太さに触れることができたと思っております。 館長を挟みまして、私どもに与えられた使命である大分県立美術館企画展へのそれぞれの所蔵作品の貸し出しについて、大分県議会議長からの要請文書も添えて協力のお願いをいたしました。トラビッチ館長からは、新見先生の要請は断われないという理解を得まして、来る県立美術館開館後の企画展へ全面的協力を快諾いただきました。 夜には、トラビッチ館長の住まいのあるウィーン郊外のホイリゲと呼ばれる居酒屋でできたてのワインを酌み交わしながら、新見館長、ウィーン在住で数々の国際的な美術展を企画しておられるポール博士や久保博士、また、地元の人々も交えて、さまざまなことについて語り合い、今後、お互いに交流のきずなを深めていくことを誓い合ったところであります。 貸し出し要請中の作品につきましては、配付の資料にあるクリムトの作品であります。 以上、報告いたしたいことは山ほどありますが、来年予定の報告会で行わせていただきます。 なお、いま一つ、海外視察につきまして、一言、私の思いも含めて述べさせていただきます。 私は、常々、広い視野で見聞きした一こま一こまを大分県議会議員として検証し、県政に反映させていくことは、大変大事なことであると思っております。四年の任期中、実質的には一度だけ与えられている海外調査については、積極的に参加して見聞を広めてまいりました。 今回の視察につきましても、二〇一五年春の県立美術館開館、運営に備えての視察として、九月議会の最後の本会議で賛成多数で承認をいただいてのことであります。 また、今回の調査は、これまで多かった単一の会派の議員によるものだけではなく、複数会派の議員が参加して、さまざまな課題について、大分県議会として行動をともにし調査を行ったものであり、団長には田中副議長がみずから就任していただきました。これは、今回の調査が大分県議会として非常に重要かつ必要であると認識しているということでもあり、今後、さまざまな政策提言やチェック機能の強化を含めて、議会活動の活性化を図るという意味でも、大分県議会の新しい流れをつくるきっかけの一つにもなるのではないかと期待をいたしております。 今回の海外調査においては、我々は有形、無形のお土産を持ち帰ることができたと自負いたしておることも申し上げて、報告とさせていただきます。 それでは、県政において最も重要な点から順次伺わせていただきます。 広瀬知事におかれては、去る十月十一日から十月二十二日までの十二日間、胃の粘膜の一部をはぎ取る治療を受けるため、東京の順天堂大学医学部附属病院順天堂医院に入院するとの報道がされました。 十月二十四日の報道によれば、二十三日には公務に復帰され、定例記者会見で「経過は良好で、仕事には差し支えないと思う」と順調ぶりをアピールしたとの報道でありました。また、通院は必要なく、一カ月半後に検査を受けるとのことであります。 日々の激務をこなす県政のリーダーたる知事の体調には多くの県民が大変心配をいたしておりますが、今議会の姿を拝見しますと、ますます元気に職務に取り組んでおられるようにお見受けし、まずは一安心しているところであります。 そういう中、先日公表された県政推進指針によれば、知事は、平成二十六年度を、将来発展のための基盤固め、また、新たな政策展開の芽出しとも位置づけられており、知事の秀でた手腕に対する県民の期待は引き続き大きいところであります。 そこで、広瀬知事は、今後の県政のビジョンをどのように描き、諸政策に取り組もうとするのか、今後の県勢発展に向けた知事の思いをお聞かせください。 これからは対面演壇で行わせていただきます。 〔阿部議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○近藤和義議長 ただいまの阿部英仁君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 阿部英仁議員を初め、議員の各位には、このたび、議員派遣により、欧州での調査を実施していただきました。この調査、これからの県行政のグローバルな展開が求められる中で、今後の県政にも生かされることを大いに私どもも期待をしているところであります。 私の入院についてもご心配を賜りまして、大変恐縮でございます。その後も経過良好でございまして、お医者さんからは大嫌いなお酒をもうしばらくセーブするようにと、こう言われておりますので、少し言うことを聞こうかな、こう思っているところであります。ご心配をおかけして、申しわけありません。 県勢の発展についてご質問を賜りました。 本年度は、豪雨災害からの復旧、復興はもとより、南海トラフ巨大地震への備えだとか、国の緊急経済対策に呼応した景気雇用対策に努めているところであります。 また、「プラン二〇〇五」は、目標とする平成二十七年度に向けて、政策実現への取り組みを加速させておりまして、二十六年度はプランの実質的な仕上げの年度となります。一方で、東九州自動車道の開通や県立美術館の開館など、新しい大分県の発展に向けての基盤づくりが着々と進んでいるところであります。 このため、二十六年度の県政推進指針では、将来の大分県発展のための基盤固めと新たな政策展開の芽出しを図ることといたしまして、国の成長戦略も踏まえた再生と成長、「プラン二〇〇五」の政策の仕上げ、そして転換期における新たな政策展開の芽出しの三つを方針に掲げたところであります。 新たな政策展開の芽出しの第一は、人口減少社会を見据えた特徴ある地域づくりであります。 これまでの企業誘致やU、J、Iターン、観光ツーリズム等による定住、交流人口の拡大等に加えまして、世界農業遺産やジオパークなど各地域の特徴を生かした取り組みを進めていかなければならないというふうに思っております。人口減少社会を見据えた特徴ある地域づくりは、大変重要なテーマだというふうに思います。 第二は、東九州自動車道の全線開通をにらんだ新たな取り組みであります。 開通後は、九州全域が循環型の高速道路でつながることから、九州内における交流の促進だけではなくて、九州の東の玄関口として、産業、物流、観光の一大拠点化を目指すなど、関西、中四国から九州全体までを見渡す広域的な戦略づくりが重要になります。加えて、東九州自動車道は、九州全体の防災減災面においても頼もしい命の道となることが期待されております。 これからの県政運営の第三の課題は、県立総合文化センターに加えまして県立美術館が開館することにより、この二つを連携した芸術文化ゾーンを核に、政策の展開を図ることであります。 県下各地と連携、協力をして、芸術文化の振興はもとより、福祉・医療、産業や教育分野など、社会的、経済的な課題に取り組む拠点として、県民の皆さんとともに、その活用のあり方を考えていかなければならないと思います。 今後、プランの仕上げと検証を行いながら、時代の新たなニーズに対応する政策の芽出しも行って、将来への新しい政策展開の必要性や可能性を追求していきたいと考えているところであります。 これからの県政は、県民の価値観やニーズの多様化をいかにとらえて、どう政策に反映していけるか、いずれも、なかなか一筋縄ではいかない難しい時代になると思います。気持ちを引き締めて、引き続き県政の推進に努めていきたいと考えております。
○近藤和義議長 阿部英仁君。
◆阿部英仁議員 県政運営につきましてはさまざまな苦労があろうかと思いますが、しっかりと、今まで同様の、また、それ以上の取り組みも、よろしくお願いをいたしたいというふうに思っております。 ところで、知事も、私どもと同様、今任期も一年四カ月を残す余りというふうになってまいりました。新しく年が明けますと、いよいよ選挙モードに突入するわけでございます。知事はそういうことはないと思いますが、特にここにおられる県会議員は、全員が選挙モードに突入するわけでございます。多くの県民は、広瀬知事に引き続き県政のかじ取りをしていただき、そして豊かな大分県をつくっていただきたいということを願っておると思います。そのためには、まず健康こそ大事であります。健康にはこれまで以上に十分留意をされまして、県勢発展、そして県民の幸せのためご奮闘いただきますように、特にお願いをいたしたいと思います。 それでは、次の質問に移らせていただきます。 県立武道館構想についてでございます。 去る十二月一日は、第五回大分県武道祭が開催をされました。この武道祭には、大変お忙しい中、広瀬知事を初め、野中教育長、近藤県議会議長も来賓としておいでいただき、お言葉を賜わりましたこと、この場をおかりいたしまして、厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。 さて、この武道祭の主催は、大分県武道協議会であります。この協議会は、県立武道館をつくっていただきたいという切実な願いを込めて、これまで各団体単位で武道館建設の要望活動をしていたのを、一堂に会して行動していこうと、九つのスポーツ連盟と武道教育推進議員連盟で結成したものであります。平成二十一年九月六日に、心技体を中心に据え、第一回の武道祭を開催し、今日に至っております。 まずは、平成二十年十月十日に制定されました、日本武道館が中心となって構成する日本武道協議会、私どもの大分県武道協議会もこの日本武道協議会に参加をいたしておりますが、ここの武道の理念をまず紹介させていただきます。 「武道は、武士道の伝統に由来する我が国で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道を修錬して心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、国家社会の平和と繁栄に寄与する人間形成の道である」とうたっております。 また、武道は、礼で始まり、礼で行い、礼で終わるという礼節を学び、心身を鍛え、おのれを磨き、相手を敬う精神を身につけるもので、青少年の健全育成にも大いに役立っていると思っております。 加えて、教育基本法の第二条第五項、「教育の目標」に、正義と責任、自他の敬愛と協力、伝統と文化の尊重、我が国と郷土を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する等と示しており、教育改革の一環として、平成二十四年度から、中学校の体育分野は、中学一年、二年の二年間で武道が必修化されております。 この武道教育をしっかりと進め、先ほど申し上げた武道の精神を広く県民の皆様にご理解いただくためには、武道指導者の人材育成となる武道の聖地、いわゆる核となる県立武道館が必要だと思うところであります。 私は、平成三年四月の県議会議員選挙で当選し、本議会に加えていただきました。平成三年七月の第二回定例会におきまして、武道場、特に剣道場建設の請願の紹介議員となり、提出をいたしました。何度か継続審議となっておりましたが、その間、県立武道館として十三名の紹介議員にて請願を差しかえて、平成七年第一回定例会において県立武道館建設に関する請願が採択されたところであります。 ここで、今日までの本会議の私の議事録を見ますと、私も随分粘り強くこの武道館を懇願してきたと思っております。 平成三年第四回定例会、平成十年第一回定例会、平成十二年第四回定例会、平成十七年第一回定例会、その間、平成六年第三回定例会では安部省祐元議員が、平成二十一年第四回定例会では首藤隆憲議員が、そして平成二十五年第二回定例会では嶋幸一議員が一般質問で取り上げておられます。 まさにこの武道館建設は、多くの県民、そして多くの同僚議員が必要性を強く感じていただいているということであろうかと思います。 加えて、十一月十九日には野中教育長に対し、県立武道館建設の協力者として大分県武道協議会が、平成二十四年五月から実施をいたしました県立武道館建設の署名活動の結果を提出いたしました。署名は、全県民の五人に一人以上の二十六万二百七十名という非常に多くの方々から熱い思いを寄せていただきました。皆さん方には、まずもって、この場をおかりして厚くお礼を申し上げます。また、これほど多くの県民の声を集めていただいた関係者の皆さんにも敬意を表すものであります。 今回集まった多くの署名は、県内で武道に親しむ者やその周りの方々の切実な声として重く受けとめていただけるものと思っております。 第二回定例会において教育長は、我が会派の嶋議員からの質問に対して、「平成二十一年第四回定例会において、県立武道館の建設については厳しいものがあると答えており、その状況に変化はない。しかし、武道館の必要性やあり方については慎重に検討する」と答弁をされております。 ここで、県立武道館について少し振り返らせていただきます。 明治三十六年に大分市荷揚町に本県武道の振興の場として武徳殿が建設をされました。当然、柔剣道等の昇級、段位の授与はこの武徳殿で行われており、ここで授与された段位は大変権威あるものでありました。まさに、本県における武道の聖地であったと思います。 当時の写真、非常にちょっとわかりにくいんですが、また、古い地図でありますが、皆さんにお配りしておりますので、また、お目通しいただきたいというふうに思います。 しかし、昭和四十九年、老朽化のためにこの武徳殿は解体をされ、同時に武徳殿の周りを囲っておりましたあの荘厳な庭等も跡形もなくなり、今日では武徳殿の言葉すら聞くことはなくなりました。その後、昭和五十三年、大洲運動公園内に、柔剣道場をあわせて総合体育館が建設され、また、公園内に弓道場も建設されました。これにより武道関係施設はかなり充実してきたと、平成三年、当時の宮本教育長はおっしゃいましたが、大洲体育館内の柔剣道場を見たとき、私は、決して充実したとは言えないというふうに思っておりました。 全国各県の武道館のあるなしにつきましては、お配りした別紙のとおりであります。全国三十七都県では武道専用施設を所有しており、本県においてもこの建設を前向きにとらえることも必要ではないでしょうか。 そこで、武道館建設についてどのようにお考えか、改めてお伺いをいたします。どうぞよろしくお願いします。
○近藤和義議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 お答え申し上げます。 一昨日、十二月一日でございましたけれども、私も第五回大分県武道祭にお招きをいただきまして、参上いたしました。開会式と弓道等の演武を拝見いたしましたけれども、武道をきわめようとする皆さんの凛とした姿に大変感銘を受けたところであります。 武道は、今、阿部議員から心技一如というお話がありましたけれども、心身の鍛練を通じまして、人格を磨き、識見を高める我が国固有の伝統文化であります。青少年の健全育成にも大きく寄与することから、中学校の武道必修化にもつながったのではないかというふうに思っております。 また、社会のグローバル化が進む中で国際人材に求められるのは、我が国の伝統文化を十分に理解した上で国際感覚を養っていくということでありまして、そういう意味でも武道の普及、振興に期待が寄せられるところであります。 去る十一月十九日に大分県武道協議会から武道館建設についての署名が教育委員会に提出されたというふうに伺っておりますけれども、私といたしましても、関係者の皆さんの熱意と二十六万人を超える県民の武道への思いや期待を強く感じている次第であります。 現在、本県の武道専用施設といたしましては、県立総合体育館内の柔道場、剣道場、大洲総合運動公園内の弓道場があります。しかしながら、県立総合体育館は、昭和五十四年の開館から既に三十四年を経過いたしました。空調や電気系統等の老朽化が見られるとともに、時の経過の中で柔剣道場の広さや観客席等の附帯設備も不十分であります。この間、私もよく見せていただきました。各種競技会の開催や全国大会の誘致にも支障を来している状況であります。拝見いたしましたけれども、そのとおりだと思います。 そのような中でも、今年度開催されました北部九州総体や東京国体では、柔道、弓道などでもすばらしい成績をおさめておりまして、今後、県民に夢や感動を与える選手をより多く輩出したいと考えております。また、その可能性も強いんではないかというふうに期待しているところであります。 他方、「安心・活力・発展プラン二〇〇五」におきまして、県民スポーツの振興施策として、国内トップレベルの競技会や県民の幅広いスポーツ活動に活用できるスポーツ施設の計画的な整備の推進も掲げているところであります。 このようなことから、財政的に厳しい中ではありますけれども、本県の中核スポーツ施設である県立総合体育館の老朽化対策を含めまして、県立スポーツ施設のあり方についてさまざまな観点から検討していかなければならない時期に来ているというふうに考えておりまして、検討委員会を設置いたしまして考えていくということも、また視野に入れておかなきゃならぬというふうに思っているところであります。
○近藤和義議長 阿部英仁君。
◆阿部英仁議員 ありがとうございました。 財政的には大変厳しいものがあるということであろうかと思います。これはいつのときでも財政的には大きな負担がのしかかるわけでございますので、まず、そのことが前面に出て、この解決を見ながら進めていかなきゃならぬというふうにも思っております。 しかし、検討委員会の設置について考えるということのご答弁をいただきました。今までずっと私も何度かお願いをしてまいったわけでございますが、検討委員会がいつも仮称になっておりまして、この仮称という括弧が取り払われるかどうか、これが私は大きな、私がお願いをしているまず第一の課題だというふうに、私はそう思っておりました。知事の口から検討委員会を設置しようというような、私は、ありがたいお話を今承ったというふうに思っております。私どもがお願いをしております武道館建設につきましては、私は、大きく踏み込んでいただいたものというふうに受け取らせていただきました。 知事の英断に本当に心から感謝を申し上げ、一日も早い武道館の完成を、私、また関係者、そしてまた、署名をいただいた二十六万二百七十人の方々も待ち望んでおりますので、どうかよろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。 武道館完成の暁には、きょう、十二月三日でございますが、この十二月三日が武道館建設の始まりであるということが、それぞれの署名をいただいた県民、そして武道関係者の皆さんにも大きく刻まれる、きょう、十二月三日だというふうに位置づけておるところでございまして、重ねてよろしくお願い申し上げまして、次に移らせていただきます。ありがとうございました。 次に、国東半島宇佐地域世界農業遺産関係についてお伺いをいたします。 まずは、認定後の取り組み状況についてであります。 ご案内のとおり、国際連合食糧農業機関、FAOが伝統的農業や文化、土地景観の保全と持続的な利用を目的に創設した世界農業遺産に、本年五月三十日、国東半島宇佐地域が認定をされました。現在、日本では五カ所が、世界十一カ国で二十五地域が認定をされております。 本年第二回定例会で広瀬知事は、「申請から認定を受けるまで短期間であったが、この地域の素材がすばらしいため、高く評価されたのだ」と答弁をされました。私も、「クヌギ林とため池がつなぐ農林水産循環」という申請内容は世界に誇れるものであると思っておりますが、知事もおっしゃるように、認定はスタートラインに立ったにすぎず、これからどのように地域振興につなげていくかが非常に重要になってくるわけであります。 私の出身地は旧山香町の立石というところでございますが、その山香町立石もこの認定地域に入っております。しかし、御多分に漏れず、過疎化と高齢化が進行いたしておりまして、人口は先細りしているのが実情であります。私の母校の中学校は、五年前にとうとう廃校になってしまいました。今、もうございません。また、一次産業が主要な地域でありますので、担い手の問題や伝統行事の継承などさまざまな課題が山積をしております。今回の認定を契機として、自分たちの地域に誇りを持ち、そして地域に人が残り、農林業はもとより、地域の伝統文化、行事をこれからも受け継いでいくような機運が醸成され、それが具体的な取り組みにつながっていくことを強く願っております。 これまで県議会としても、二度にわたり世界農業遺産の推進に向けた補正予算を可決し、その取り組みを後押ししてまいりましたが、まずは、これまでの取り組みの進捗状況についてお伺いをいたします。 次に、農業文化公園の活用についてであります。 農業文化公園は、大分自動車道や空港道路と接続する宇佐別府道路にインターチェンジを有するなど、県内外からのアクセスが容易であるというすぐれた立地条件を備えております。また、国東半島のちょうどつけ根に位置し、宇佐、国東半島ルートへの分岐点として、周遊観光の玄関口にもなっております。さらに、この農業文化公園のコンセプトである「農業を知る、農業で遊ぶ、自然と親しむ」は、今回認定を受けた世界農業遺産の趣旨である次代に農林水産業を引き継いでいくための重要な要素でもあります。まさに、この農業文化公園が世界農業遺産認定を広く情報発信する拠点としてふさわしいと考えるのは衆目の認めるところではないかと考えております。 さきの第三回定例会では、農業文化公園が世界農業遺産の情報発信の拠点となるよう、学習コーナーの設置や園内のシイタケほだ場等に見学路を整備するなどの補正予算を可決したところですが、重要なのは、農業文化公園がこの世界農業遺産の認定を契機として、さらに集客力を高め、県民に対して国東半島、宇佐地域の各種情報を発信することにあります。そのためには、施設の管理運営を指定管理者に任せきりにするのではなく、積極的に県が関与していくことが必要だと考えます。 また、当該地域に目を向けると、宇佐神宮や富貴寺といった国宝クラスから、六郷満山の峯入りや修正鬼会、どぶろく祭りやケベス祭り、昭和の町など、数えれば切りがないほど文化的遺産がたくさんあります。加えて、昨年度から、国東半島の魅力を高め、新たな来訪者層を発掘することによる交流人口の増加を目指す「国東半島アートプロジェクト」を実施しております。これは、神仏習合が今なお生活に残る国東半島全域を舞台に、新たな芸術祭のあり方を展開し、場所の力を引き出すアートと、それらをめぐり、地域の歴史や魅力と出会う旅をテーマとする「国東半島芸術祭」につながっております。 これらを紹介するためには、農業文化公園を高速道路によるアクセスポイント、大分空港を空からのアクセスポイント、宇佐駅をJRからのアクセスポイントと位置づけ、情報提供することが重要であり、必要であると考えます。 そこで、今回の世界農業遺産認定を契機に、県として、農業文化公園を大分県観光の情報発信窓口としてどう位置づけ、また、今後、具体的にどう活用していくお考えなのか、お伺いをいたします。 あわせて、この農業文化公園から続くアクセスでございます。特に、農業文化公園から豊後高田市へ続く県道久木野尾山浦線や県道佐田山香線が最も重要な路線と考えますが、これらの路線は、まだ少し未整備箇所が見られます。この路線の整備計画についてもお伺いをいたしまして、私の質問といたします。
○近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎工藤利明農林水産部長 世界農業遺産認定後の取り組みについてお答えいたします。 世界農業遺産認定の意義は、よいものを残すだけでなく、地域を元気にすることにあります。そのため、地域環境の維持に向けた保全啓発、地域の魅力を広く理解してもらうための情報発信、付加価値をつけるブランド化の施策を三本の柱として取り組んでいるところであります。 まず、保全啓発でありますが、地域の方に認定の意義を理解してもらうため、シンポジウムを十月に開催いたしました。約五百人が参加をしていただきました。また、次の世代の担い手の育成に向けて、域内二十四の中学校の二年生を対象にして特別授業をただいま実施中であります。 次に、情報発信についてでありますが、四季を通じて世界農業遺産を紹介したプロモーションビデオや地域の顔となるシンボルマークの作成、農林水産祭での展示やモニターツアーの開催など、あらゆる機会を通じて積極的にPRをしているところであります。 また、ブランド化につきましても、地域の特産物に付加価値をつけるための認証制度の創設、ガザミやクルマエビの販促活動など、生産や流通の後押しをしているところであります。 引き続き、農林水産業の振興はもとより、地域の振興を図っていきたいというふうに考えております。 以上です。
○近藤和義議長 塩川企画振興部長。
◎塩川也寸志企画振興部長 農業文化公園の観光発信拠点としての活用についてでございます。 農業文化公園は、国東半島の入り口に位置しておりまして、農業体験、それから四季折々の花が楽しめる魅力ある施設として、既に多くの観光客が訪れているところであります。 今回、国東半島宇佐地域が世界農業遺産に認定され、従来の歴史文化遺産など観光資源への付加価値が高まる一方、現代アートへの取り組みも進められており、地域観光の魅力が高まっております。 近年、学習や体験を楽しむ着地型観光へのニーズが高まっている中、農業文化公園では、ジオラマ、シイタケほだ場設置等、世界農業遺産の起点として、学習体験機能の整備も進められております。 これからは、農業農村文化の拠点である農業文化公園を地の利を生かした観光情報の発信窓口としても活用し、杵築市など関係市町とも連携して、情報発信機能の充実を図ってまいりたいと考えております。 以上です。
○近藤和義議長 畔津土木建築部長。
◎畔津義彦土木建築部長 私からは、県道久木野尾山浦線、それから佐田山香線についてお答えをいたします。 県道久木野尾山浦線及び県道佐田山香線は、大分農業文化公園インターチェンジから豊後高田市を初め、国東半島地域へのアクセス道路として重要な路線でございます。当該路線には、幅員が狭く、通行に支障が生じている区間が残されていると認識をしております。 そこで、県道久木野尾山浦線におきましては、平成二十年度より川床工区として六百メートルの改良事業を進めており、今年度より農業文化公園側の約一キロメートル間につきましても、川床二工区として事業着手したところでございます。 また、県道佐田山香線におきましても、今年度より国道一〇号に接続する約六百メートル間につきまして、立石工区としてバイパス事業に着手をいたしました。 これらの事業区間が整備されますと、両路線の未改良区間が解消され、大分農業文化公園インターチェンジから豊後高田市や田染の荘を初めとする世界農業遺産群へのアクセス向上が図られます。 引き続き、早期供用へ向け、事業推進に努めてまいります。 以上でございます。
○近藤和義議長 以上で阿部英仁君の質問及び答弁は終わりました。 傍聴席の入れかえを行いますので、しばらくお待ちください。三浦正臣君。 〔三浦(正)議員登壇〕(拍手)
◆三浦正臣議員 皆さん、こんにちは。十九番、県民クラブの三浦正臣でございます。 まず、冒頭に、九月二十四日にご逝去されました渕健児先生のご冥福をお祈りいたします。渕先生の県勢発展へのこれまでのご功績、ご尽力に、若輩ながら深く敬意と感謝を申し上げます。 さて、本日は、私の地元日出町から、師走の大変お忙しい中にもかかわらず、多くの皆さんに傍聴に来ていただいております。心より感謝と御礼を申し上げます。まことにありがとうございます。 それでは、早速、質問に入らせていただきます。 まず、ツーリズム戦略について伺います。 本県は、観光という面において、地球上にある十一種類の泉質のうち十種類を有しており、源泉数、湧出量ともに日本一を誇る温泉を初め、豊かな天然自然にはぐくまれた新鮮で安全な食材、さらには貴重な歴史的文化遺産や地域の伝統文化などすぐれた観光資源に恵まれています。 また、九州新幹線全線開通や国内外の航空路線の拡充のほか、最近では豪華寝台列車「ななつ星」の運行開始も話題を集めるなど、定年を迎えた団塊世代や海外富裕層などを中心として、九州においては新たな観光需要の創出も期待されています。 県は、昨年八月にツーリズム戦略を策定し、市町村や観光協会を初めとする関係団体と県が一体となって、厳しい地域間競争に立ち向かい、交流人口をふやすなど、より多くのお客様に来県いただけるような取り組みを進めてきました。話題となった「おんせん県おおいた」の商標登録などアイデアあふれる取り組みによって、全国的なPRにも成功しています。 ことしは、五月の国東半島宇佐地域の世界農業遺産認定に続き、九月には姫島村と豊後大野市が日本ジオパークに認定されました。また、来年にはNHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送開始を控えるなど、新たな観光素材が次々と誕生する今、大分県は、全国のどこよりも追い風に乗っている状況にあります。 これまでのツーリズム戦略の取り組みは十分に評価をするところですが、これを一過性に終わらせることなく、今後、観光素材に磨きをかけ、さらなるステップアップを期待しています。 そこで、ツーリズム戦略を来年度以降どう展開していくのか、お示しください。 次に、東京オリンピック、パラリンピックを見据えた誘致誘客策について伺います。 二〇二〇年に東京オリンピック、パラリンピックの開催が決定し、日本全体の躍動が期待されています。 また、オリンピックイヤーに向けての今後七年間にあっては、恐らく国際大会の日本開催も数多く企画され、
各国代表選手が調整のために行う国内各地での事前合宿も見込まれています。本県にとっても、これを千載一遇の好機ととらえ、県内への誘致、誘客につなげるさまざまな知恵を絞らなければなりません。 オリンピックの事前合宿について言えば、既に九州では佐賀県や宮崎県などが誘致に名乗りを上げています。合宿地となれば、ワールドカップサッカーでカメルーンを迎えたときのように、選手や関係者、さらに見学者の宿泊などがもたらす経済効果が期待されるところです。そのため、今後、各自治体による誘致誘客合戦が激しさを増すことが予想されます。 事前合宿誘致を表明している佐賀県は、ことし四月に佐賀県スポーツコミッションを設立し、国際大会や全国大会レベルのスポーツイベント等の情報収集、誘致活動、受け入れ支援などに、早くも県を挙げて取り組んでいます。 本県も今年度予算でMICE誘致に力を入れ始めましたが、とりわけ七年後のオリンピックに向け、事前合宿の誘致についてどのように取り組んでいくのか、また、全国に負けない日本一の温泉、豊かな自然や食材を初め、おもてなしの心を持ち合わせている本県の強みをどう情報発信し、国内、国外からの誘客につなげていくのか、あわせて伺います。 次に、スポーツツーリズムについて伺います。 全国的に多くの自治体が、スポーツを観光資源として活用するスポーツツーリズムの推進に取り組んでいます。その一つに、都市圏の大学生運動部やサークルなどが行う合宿を呼び込んで、自治体のスポーツ施設を利用してもらい、それに伴う飲食や宿泊、周辺地の観光等により地域振興を図る取り組みがあります。 例えば、宮崎県内では、多くの自治体がスポーツ合宿の受け入れ支援制度を設けており、延べ宿泊数などの一定の要件を満たせば、スポーツ団体に対して宿泊費の助成や地域の特産品の贈呈などをしています。宮崎県も、要件を満たせば、市や町とは別に一人一泊につき五百円を助成し、また、県内自治体の合宿支援の内容を県の観光情報サイトに掲載して、情報の一元化、発信強化を図っています。 本県でも、中津市や佐伯市などはスポーツ合宿に対する助成を行っていますし、豊後大野市では、市商工会が市の補助金を活用して、施設をまとめたパンフレットを作成し、関西や福岡などの都市部での誘致を進めています。しかし、残念なことに本県では、各自治体の独自の誘致活動にとどまっているのが現状です。 一方、県内の宿泊客の発地別傾向としては関西方面からが伸び悩み、九州の海の玄関口としてフェリー発着場を有する本県とすれば改善の余地が多分にあるところです。観光客の年齢層は十代、二十代が少ない傾向にあることから、フェリーを活用して関西から多くの学生を合宿などで呼び込むことができれば県内宿泊客をふやせるのではないかと考えます。こういった観点から見ても、スポーツ合宿の受け入れを支援していくことは有意義ではないでしょうか。 そこで、県もしくはツーリズムおおいたが主体となり、まずは、県内自治体の合宿支援の内容やスポーツ施設やホテル、旅館等の情報の一元化を図るべきではないかと考えます。さらには、合宿支援に取り組む県内自治体と連携し、関西圏の大学などを対象としたスポーツ合宿誘致のPR活動や資金面の支援を行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。 これ以降は対面より質問させていただきます。 〔三浦(正)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○近藤和義議長 ただいまの三浦正臣君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいま三浦正臣議員には、我が県にとりまして大変重要な政策課題でありますツーリズムについてご質問をいただきました。まず私からお答えを申し上げます。 県では、今年度をツーリズム戦略の実行元年というふうに位置づけまして、「日本一のおんせん県おおいた 味力も満載」のキャッチフレーズのもとに、温泉の魅力を初め、県内のさまざまな食について情報を発信し、官民挙げて誘客活動に取り組んでいるところであります。 本年一月から十月の県内の宿泊客の数でございますけれども、前年に比べますと五・二%増となるなど、順調に伸びているというふうに思っております。 また、「おんせん県おおいた」も先月ようやく商標登録が認められまして、観光事業者はもとより、県内の企業の商品、名刺、ホームページなどに活用されるなど、本県観光は、まさに民間事業者や県民をも巻き込んだ、かつてない盛り上がりを見せているというふうに思います。 こうした動きを加速するために、来年度は三点に重点を置いた取り組みを行いたいというふうに考えます。 一つは、情報発信、誘客対策の強化ということであります。 国内の誘客では、これまで力を入れてきた福岡、関西圏域に加えまして、首都圏域での情報発信を強化して、積極的な誘客活動を展開したいと思います。あわせて、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送を好機ととらえまして、姫路市や福岡市などと連携した幅広い誘客対策にも取り組みたいと思います。 団体誘客で力を入れておりますMICEでは、既に来年度の日本診療放射線技師学術大会や全国商工会議所観光振興大会などの大規模な会議の開催が決定するなど成果が上がってきておりまして、引き続き誘致活動を強化していきたいというふうに考えます。 海外誘客についてでございます。これも大変大事でございますけれども、九州観光推進機構を中心に九州一体となりまして、第二期九州観光戦略に基づいて、東アジアを主体に商談会やセールス活動を展開することにしております。そのため、本県では、外国人観光客の増加に伴い不足する観光ガイドの育成やおもてなし研修など受け入れ体制を強化したいと思います。 二つ目は、平成二十七年夏の「おんせん県おおいたデスティネーションキャンペーン」に向けた取り組みであります。 キャンペーンが本県観光の一層の発展につながるように、地域の観光素材に磨きをかけるとともに、来年九月には全国宣伝販売促進会議を開催し、全国の旅行会社に大分ならではの魅力のPRと旅行商品の造成を働きかけていきます。あわせて、心温まるおもてなしや県内各地を周遊できる二次交通など受け入れ体制を整えます。 デスティネーションキャンペーン自体は二十七年の夏でございますけれども、来年度、いろんな準備に取りかかりたいというふうに思います。 三つ目は、東九州自動車道全線開通に向けた対応ということであります。 開通に伴いまして来県者数の大幅な増加が期待される北九州地域や中国、四国地方などをターゲットに情報発信を強化するとともに、広域的な観点から宮崎県と連携した誘客活動を強化したいと思います。 このようなことを念頭に置きながら、来年度も積極的にツーリズム戦略を推進していきたいというふうに考えております。 そのほか、東京オリンピック、パラリンピックに伴う誘客、それからスポーツツーリズムについて、ご提案を交えたご質問を賜りましたけれども、これにつきましては担当の部長からお答え申し上げます。
○近藤和義議長 塩川企画振興部長。
◎塩川也寸志企画振興部長 私の方からは、東京オリンピックを見据えた誘致誘客策について、それからスポーツツーリズムについての二点についてお答えを申し上げます。 初めに、東京オリンピックを見据えた誘致誘客策でございますけれども、世界じゅうの注目が日本に集まるオリンピック開催は本県にとっても大きなチャンスであると考えております。 本県には、FIFAワールドカップが開催された大分銀行ドーム、国体、障害者スポーツ大会の会場となったさまざまなスポーツ施設がございます。これらの施設を活用し、オリンピックの合宿地として誘致することは、かつての日田市中津江村の例を見るまでもなく、世界への情報発信とともに、県民スポーツの振興や国際交流の観点からも有意義なことであると考えております。また、議員ご指摘のとおり、経済効果も期待されるということは私どもも承知しております。 事前合宿の誘致につきましては、設立が予定されております大会組織委員会や競技団体などの関係機関からの情報収集に努めるとともに、県内スポーツ施設の設備状況等を取りまとめるほか、最大の強みであります温泉を生かした疲労回復や豊富で質の高い食による体調管理をアピールするなど、市町村等と連携して誘致に向けた準備を進めたいと考えております。 あわせまして、本県への誘客促進を図るため、九州観光推進機構や九州各県などとの連携も図りながら、効果的な情報発信や受け入れ環境の整備など体制づくりにも努めてまいりたいと考えております。 続きまして、スポーツツーリズムについてでございます。 スポーツ合宿は、団体客が長期にわたって滞在するため、経済波及効果も大きく、県内各地に整備された競技施設の活用策としても有効であると考えております。 スポーツ公園など県有施設におきましては、施設活用の観点からも積極的な誘致活動を展開しておりまして、陸上、あるいはテニスなど多くの合宿が既に行われております。 また、中津市や佐伯市のほか、熱心に誘致に取り組んでいる団体もあり、例えば、竹田市や九重町では陸上競技、別府市ではサッカーなど球技の合宿が盛んに行われております。 ツーリズムおおいたにおきましては、競技施設や宿泊、医療施設などの情報をまとめた「スポーツツーリズムガイド」を作成いたしまして、旅行会社等への情報提供を一体的に行っております。 今後は、市町村との連携をさらに密にしながら、旅行会社やフェリー会社に働きかけるなど取り組みを促進していきたいと考えております。 なお、支援策といたしまして、大規模なアマチュアスポーツ大会等にも助成できる基金を設置しておりますけれども、スポーツ合宿についてもその適用ができないか、今後検討してまいりたいと考えております。 以上です。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 七年後のオリンピック、パラリンピックを見据えた誘致誘客対策については、国内、国外に向けて、あらゆるところに、あらゆる角度からの情報発信をしていくことが大事だと思います。今後もぜひ、お互いに知恵を絞って、大分県を守り立てていきたいというふうに考えています。 ツーリズム戦略のさらなる可能性という点で、スポーツツーリズムについて、再度、見解を伺います。 宮崎県の昨年度の県外からのスポーツキャンプ、スポーツ合宿の受け入れ実績を見てみますと、団体数は千二百四十一団体、延べ参加人数が十六万八千十七人でした。 また、鹿児島県の昨年度の実績を見ても、団体数千二十三団体、延べ参加人数は十二万一千九百五人で、両県とも年々増加傾向で推移している状況です。 先日、会派で両県のスポーツツーリズム先進市であります日南市と志布志市に視察に行ってきました。両市の関係者の方のお話では、増加の主な要因として、県、市町村及び宿泊施設や関係団体等が一体となり、積極的な誘致活動が成果を上げているということでした。 このように本県としても、このスポーツツーリズムの推進に当たっては、スポーツ施設の管理を行っている教育委員会の協力が不可欠となりますが、そういった点も踏まえ、今、部長より前向きなご答弁をいただきましたが、今後のスポーツツーリズムの推進を具体的にどう展開していくのか、再度、見解を伺います。
○近藤和義議長 塩川企画振興部長。
◎塩川也寸志企画振興部長 スポーツツーリズムについてのお伺いでございます。 スポーツ施設につきましては、もともと地域住民等の利用目的のためにつくられたものも多く、県、あるいは市町村の教育委員会等が管理しているものも多数ございます。 そこで、これらの施設をスポーツツーリズムに活用していくためには、どういうふうな問題があり、どのように解決していけばいいのか、関係機関と協議していくためのシステムづくりも含めまして、今後、連携を密にしてまいりたいというふうに考えております。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 ありがとうございました。 スポーツツーリズムは、一年を通じて安定的に集客が見込めます。本県は、学生が手ごろな料金で来県しやすい交通手段として、福岡からはバスでの移動、九州全体からはJRでの移動、関西からはフェリー、東京からは航空会社の格安チケット等で条件は整っています。県内の豊かなスポーツ資源を生かし、県がサポートすることによって、スポーツツーリズムとしての大分県の新たな観光価値を創造することができます。 スポーツツーリズムは、今あるグリーンツーリズム、ブルーツーリズム、さらにはエコツーリズムやヘルスツーリズムと連携することにより、大分県のツーリズム戦略の未知なる可能性を秘めていると確信しています。 県として、スポーツツーリズムの推進をぜひ前進させていただきますよう期待をし、次の農林水産業の振興について質問に入らせていただきます。 ことしの十月二十九日に玖珠町で「県西部の観光と農林業の振興」をテーマに出前県議会を開催しました。観光や農林業に携わる六人の方から意見発表をしていただき、意見交換を行いました。その中で、牛の繁殖農家の方から、九州各県の農業産出額と飼養頭数の推移や農家の年齢構成などの表により、本県の肉用牛の現状と課題についてご説明いただきました。高齢化による後継者不足や価格の低迷など厳しい状況の中、質の高い生産に取り組んでいる現状をお伺いし、改めて農林水産業の厳しさと大切さを痛感させられました。 肉用牛農家にとどまらず、平成二十二年の県内の基幹的農業従事者の平均年齢は六十八歳で、全国平均の六十六・一歳よりも高く、極めて憂慮される状況です。 さらに、国は、TPP交渉が本格化する中、減反を廃止する政策を打ち出しており、今後ますます農業従事者が減少していくのではと危惧しています。 本県では、新規就農者数がここ数年ふえているという明るい兆しもありますが、高齢化等による離農には追いついていない現状です。 担い手不足は、農業のみならず、林業、水産業にとっても深刻な課題であり、生産者の方々が希望と誇りが持てるような農林水産業の振興を図っていくことが重要です。本県の農林水産業は本県で必ず守っていくという知事の力強いご答弁をお願いします。 次に、農業産出額について伺います。 平成二十三年の九州七県の農業産出額を見ると、三位の宮崎県は二千八百七十四億円であるのに対し、六位の大分県は千三百三十一億円と二・二倍もの開きがあります。 昭和三十五年当時、宮崎県の産出額は本県とほぼ同じでした。その後、十年間ほどは本県とほぼ同じ曲線を描いて推移していましたが、徐々に伸びを示し、平成二年には熊本県を追い越し、九州二位となって以来、宮崎県は九州トップクラスの産出額を維持しています。 このように、農業産出額において本県は宮崎県と大きな開きがあります。この点に関しては十分に反省しなければなりません。そのためにも、この背景、原因をどのようにとらえ、認識されているのか、伺います。 次に、地産地消について伺います。 全国の自治体が地産地消に取り組んでいる中、富山県では、地元農産物の消費拡大を図るため、対象品目に張ってある県産シールを集めて応募すると抽せんで富山県産の農畜産物が当たるという取り組みを行っています。同じような取り組みは長野県でも行われています。 また、岐阜県では、学校給食地産地消推進事業を進めています。県産米、県産小麦粉の利用を促進するために、主食である米飯、パン、米粉パン、麺類について助成を行っています。また、大豆、キノコ類、野菜、果物及び畜産物などの副食についても、あわせて助成を行っています。 本県の恵まれた自然環境の中で、生産者の顔が県民に見える安全、安心な食材を提供することや地産地消の学校給食を通じて少年期からの食農教育を推進することは、地場農林水産物の消費拡大につながるものと考えます。他県のこうした取り組みを参考にしながら、地産地消の推進に向けた集荷や販売方法等の流通システムのさらなる拡充について、県主導で策を講じていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○近藤和義議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 農林水産業の振興につきまして種々ご質問を賜りました。まず私からお答え申し上げます。 担い手の問題でございますけれども、担い手不足の解消、大変大事なテーマだと思います。そのためには、マーケット起点のものづくりによりまして、もうかる農林水産業を実現し、魅力ある産業とするということが大変大事だと思います。そして、こうした構造改革を担う力強い経営体を確保育成することが急務でありまして、このため、さまざまな取り組みを行っているところであります。 その第一は、経営感覚を持った企業的経営体の育成ということであります。 県では、拡大を目指す農家への農業ビジネススクール開講によりまして、大規模経営体への展開を後押ししております。 竹田市荻町で夏秋トマトを一・九ヘクタール栽培する「エコファーム21」では、計画的に規模を拡大し、農業大学校卒業生を積極的に雇用するなど、県農業を牽引する経営体に育ってきているところであります。 親子二世代で経営する由布市塚原の竹内牧場では、自家製牛乳やアイスクリーム等を提供するほか、フレンチレストランも好評で、こうした六次産業化への取り組みも支援しております。 また、中山間地域の多い本県では集落営農組織の育成も大変大切でございます。シイタケ等で経営の多角化を進める杵築市山香町の「こめ・こめ・くらぶ」など、これまで百八十一組織が法人化をしておりまして、経営計画の作成や人材育成、機械導入や畦畔管理の省力化等の取り組みを支援しているところであります。力強い経営感覚を持った経営体をつくっていくということ。 それから、第二でございますけれども、農業への企業参入も大事だというふうに思っております。 平成十九年度以降、先月まで、全国トップレベルでございますけれども、百六十三社が参入いたしまして、千六百七十八人の雇用、七百八十ヘクタールの農地活用、百四十五億円の産出額が見込まれているところであります。この農業への企業参入によって、農業の担い手を育成していこうというふうに考えます。 第三は、新規就農者の確保でございます。これも大変大事なことでございます。 平成二十四年度の新規就農者は二百二十一人と、調査記録のある昭和五十年以降、最大となりました。うれしいことには、その過半数の百十一名は三十五歳未満の若い方であります。十九年度から改革に取り組んできた農業大学校でも、卒業生の就農率が八二・九%と全国トップになっております。若い人の就農が大変盛んになってまいりました。 こうした成果を追い風に、国東市の「こねぎ学校」など、産地がみずから将来の担い手を育成する新たな就農システムを各地で整備いたしまして、支援体制をさらに充実していきたいというふうに思います。 林業の方では、素材生産を担う林業事業体の木材生産力強化とあわせまして効率的な加工体制整備を進めるなど、川上から川下まで一貫した取り組みを進めているところであります。佐伯広域森林組合宇目工場は、十万立方メートルを超える全国有数の製材工場となりまして、五十五人の就業の場となっております。 漁業の方でございますけれども、十九年度から県立津久見高校の海洋科学校の生徒がインターンシップに参加いたしまして、十三人が就業しております。また、都市圏での漁業就業支援フェアへの参加や社会人対象の実践的な漁業研修も行われておりまして、昨年度の漁業への新規就業者でございますけれども、五十人を目標にしておりましたところ、これを上回る五十八人の新規就業がありました。成果が出てきたというふうに思っております。 今後もこうした取り組みを進めまして、生産者等の関係者が希望と誇りを持って農林水産業を営むことができるような、そういう大分県をつくっていきたいというふうに考えております。
○近藤和義議長 工藤農林水産部長。
◎工藤利明農林水産部長 私の方から農業産出額の問題と地産地消についてお答え申し上げます。 まず、農業産出額についてでありますが、戦後、日本は、水田農業中心に食糧の増産を行ってまいりました。本県におきましても、耕地面積は小さいものの、水田の割合は全国平均を上回り、米を中心とした農業を展開してまいりました。しかし、昭和四十六年度から始まった減反政策によりまして米の生産が制限をされたという状況にありました。 そういった中で宮崎県は、本県よりも耕地面積で一万ヘクタール広い、畑の面積は約二倍、さらには平均気温が十七・四度と当県よりも一度高い温暖な気候に恵まれているということであります。こうした好条件を生かして、丘陵地やシラス台地での園芸作物、畜産の生産が行われ、また、食生活の洋風化とともに拡大したものと認識をしております。 一方、本県におきましては、中山間地域の割合が全国第三位といった不利な条件の中でありますけれども、例えば、土地の高低差を生かした干拓地から高原までのシロネギの周年栽培や高冷地での夏秋トマト、ピーマンなど西日本トップクラスの産地も確立をされてきたところであります。 今後とも、本県の土地や気候などの自然条件を生かし、マーケット起点のものづくりによって、もうかる農業の実現に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、地産地消についてであります。 地産地消は、県産食材の県内消費を拡大するとともに、消費者と生産者相互の理解を促進する、農林水産業を支える重要な取り組みであると認識をしております。 県産食材を利用する「とよの食彩愛用店」は、平成二十三年度の二百五十店舗からことしの十一月末で四百二十四店舗と大きく伸びてきております。 また、先月を地産地消強化月間と定めまして、県産食材の利用を広く呼びかける地産地消キャンペーンを全県的に展開し、期間中、三百六十九の店舗や団体の参加がございました。 さらに、学校給食への県産食材の導入拡大を図るために、食材情報の提供や受注、配送まで一元的に行う供給システムを今運用しております。 文部科学省の調査によりますと、学校給食における県産食材の使用率は、二十四年度、全国平均が二五・一%に対して四七・八%と、全国でもトップクラスの状況にございます。 今後とも、流通業者などの関係団体と連携をして県産食材の導入促進に努めるほか、新たな取り組みとして、学生のアイデアを生かしたコンビニとの商品開発を進めるなど、地産地消運動の輪を広げてまいりたいと考えております。 以上です。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 知事に再質問させていただきます。 先日、週刊誌の「モーニング」というのがありまして、「会長島耕作」というのがあります、に大分県の農業のことが書かれているから見てと、私の東京時代の学生から連絡が入りました。早速、私も読んでみますと、十六ページにわたり、本県の農林水産業に関することが見事に描かれていました。 この週刊誌は、三十代を中心とした幅広いサラリーマン層が読者で、三十五万部を超えて発行されているそうです。 このように週刊誌等に取り上げてもらうことで、幅広い世代に本県の農林水産業に興味、関心を持ってもらえるのではないかと思いました。県内での消費はもちろんのこと、県外、あるいは国外に向けて、あらゆる分野で魅力的な仕掛けをしていくことが本県農林水産業のイメージアップ、ブランド力アップにつながると考えますが、知事の見解を伺います。
○近藤和義議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 議員ご指摘のとおり、あらゆる機会をつかまえて、大分県、あるいは大分県の農業についてPRをしていくということは大変大事なことだというふうに思っております。 お話のありました「会長島耕作」の件でございますけれども、私、取材に来られた作者の弘兼憲史氏にもお会いしまして、大分県の農業、なかんずく企業誘致についてPRをさせていただきましたけれども、ああいう形で掲載していただけるとは思いもしなかったんですけれども、大変いいPRになったかなと思います。 これから全国で、やっぱり意欲のある方に大分県の農業に関心を持ってもらって、場合によっては大分県で農林水産業に携わっていただくということも期待をしたい、こう思いますので、そんなことで大いにやっていきたいと思います。 このほかに、最近、乾シイタケの需要が伸び悩んでおりますけれども、さる全国販売の女性週刊誌でこの乾シイタケを特集してくれまして、これまた、大変よかったなと思っているところでございます。 宣伝料無料というところも大変魅力でございますので、あらゆる機会をつかまえて雑誌等に売り込んでいきたい、こう思っております。ありがとうございました。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 今、本県の農林水産業は、かつて経験したことのない大きな変革に直面しており、さらなる強化策が必要となっています。 今後はさらに、生産者、流通業者、行政等、あらゆる団体が一体となって、緊密な連携を図り、新しい発想を取り入れながら策を講じていくことが求められているというふうに思います。 今後も、一次産業従事者が明るい希望が持て、労働意欲の向上につながる施策をぜひお願いし、次の質問に入ります。 次に、
子育て満足度日本一の実現に向けた取り組みについて伺います。 本県では、平成二十一年三月に策定した中期行財政運営ビジョンにおいて、
子育て満足度日本一を目指す大分県を政策目標に掲げ、子供が心身ともに健やかに育つ社会、安心して子供を産み育てられる社会を実現するための施策を優先的、重点的に進めてきました。「安心・活力・発展プラン二〇〇五」でも、
子育て満足度日本一の実現を重要な政策課題とし、高い目標指標を掲げています。しかしながら、大分県の人口は急ピッチで減少し、県は新たな政策として、人口減少社会を見据えた地域づくりの検討に着手しています。並行して、人口減少に歯どめをかけることも忘れてはいけません。 平成二十四年には、女性一人が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は、全国平均で〇・〇二ポイント上昇し、一・四一になりましたが、本県では、逆に〇・〇二ポイント下がり、一・五三でした。人口千人当たりの出生数である出生率も前年を下回り、九州・沖縄八県では最下位の状態です。
子育て満足度日本一を掲げてからことしで五年目になりますが、十分な効果が数値としてあらわれていないと言わざるを得ないこの状況をどのように分析しているのか、また、今後どうすれば効果が出てくるのか、対策とあわせてお聞かせください。 次に、若者の定住対策について伺います。 先日、野村総合研究所顧問の増田寛也元総務大臣の基調講演を拝聴いたしました。増田さんの話では、子供を産む女性の九五%が二十歳から三十九歳までの世代ということです。しかしながら、二十歳から三十九歳の女性は首都圏等に集中しがちで、地方の出生率が伸びない状況となっています。本県も例外ではなく、転入者よりも転出者が多い年がほとんどで、この世代の女性は減っています。
子育て満足度日本一を実現するためにも、若年層の県外流出を食いとめ、さらに県内に呼び込み、定住人口をふやすことはとても重要であると考えますが、どのように策を講じていくのか、伺います。 次に、少子化対策について伺います。 私は、十月十五日から十七日まで、人と自然の環境・資源対策特別委員会で秋田県の調査を行ってきました。秋田県といえば、子育てや教育に大変力を注いでいる県です。 秋田県では、県の運営方針である「ふるさと秋田元気創造プラン」における県民参加による脱少子化戦略として、事業者、子ども・子育て支援団体及び県民と協力連携して子育て支援を総合的に推進する少子化対策応援ファンド事業や市町村事業への交付金などの事業を実施しています。 まず、少子化対策応援ファンド事業は、県、県民、企業が一体となって基金を造成し、そこから民間団体や企業が行う少子化対策の取り組みに助成するものです。約二億円の基金となっています。 本県にもめじろん共創応援基金があり、これにより対応も可能ということですが、少子化対策に特化している点、そして基金の規模も大きく異なり、秋田県のファンド事業と比較をしても、まだまだ不十分と感じます。 次に、市町村事業への交付金ですが、これは、地域社会全体で少子化対策に取り組むため、市町村が地域の実情に応じて行う対策について市町村子どもの国づくり支援事業により支援を行っており、交付総額は年間二億円であります。この支援事業により、市町村が行う出会い・結婚支援、妊娠、出産等に関する取り組み、保育サービスの充実、きめ細やかな子育て支援の分野における少子化対策事業に対して市町村子どもの国づくり交付金を交付し、市町村の取り組みを支援しています。 県民全体で少子化はあらゆる世代に影響するものという認識を共有し、県民全体がそれぞれの立場で少子化克服に向けて取り組んでいこうという熱意が感じられ、本県でも見習うべき観点であると思いました。 本県は、少子化対策のために、次代を担う子供を社会全体で支えていく必要があり、子育て環境を取り巻く多くの課題解決に向け、打つべき施策や事業がさらにあるんではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○近藤和義議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事
子育て満足度日本一についてのご質問でございました。
子育て満足度日本一というのは、私どもの「安心・活力・発展プラン」の中でも大変重要な政策目標として位置づけておりまして、その実現に向けて集中的、計画的に取り組んでいるところであります。 具体的には、保育料や子供医療費など子育て世帯の経済的な負担の軽減だとか、あるいは保育所や地域子育て支援拠点の充実など地域で子育てを支える体制づくりだとか、男性の家事や育児への参画などに取り組んで、一定の評価をいただいているというふうに思いますけれども、そのことが、確かに、議員ご指摘のとおり、残念ながら合計特殊出生率の向上には必ずしも結びついていないところであります。 こうした要因といたしましては、若者の雇用の情勢、あるいはまた、ワーク・ライフ・バランスの問題、あるいはまた、経済的な状況や保育の環境、育児に関する不安などさまざまなものが考えられるわけでございます。いろんな要因があると思いますけれども、その関連施策を総合的に分析しながら取り組んでいくということが大事かなというふうに思っているところであります。 そのため、まず何よりも、企業誘致の促進によりまして経済の土俵を拡大し、若者の雇用を確保するということが大事だと思います。また、U、J、Iターンも推進して、若者を中心とした人口の定着、流入を図っていきたいというふうに考えます。あわせて、モデル企業の指定によるワーク・ライフ・バランスの推進、あるいは就業体験の実施による女性の就職支援などによりまして、県内で子育てをしながら働きやすい環境というのをつくっていかなければならないというふうに思います。 また、子育て家庭へのサポートにも力を入れていかなければなりません。保育料や子供医療費の助成に加えまして、二十四時間、三百六十五日体制の電話相談「いつでも子育てほっとライン」を実施しておりますけれども、今では年間三千件を超える相談が寄せられているところであります。 さらに、待機児童ゼロに向けまして、保育所の整備だとか、保育士の人材確保にも取り組んでおりまして、本年度は約五百人の保育所定員の増加を図ります。 こうした取り組みを通じまして、大分県は子育てがしやすい、また、大分県で子育てをしたいと思ってもらえるように、
子育て満足度日本一をぜひ実現していきたいというふうに思っております。これからもよろしくご指導のほどお願いします。
○近藤和義議長 塩川企画振興部長。
◎塩川也寸志企画振興部長 私の方からは、若者の定住対策についてお答え申し上げます。 今の知事答弁、あるいは、この後の少子化の方の答弁とダブる部分もあるかと思いますが、ご了承いただきたいと思います。 本県の将来発展を見据え、若者の定住や活躍、こういったものは大変重要であると考えております。そのため、三つの柱により、若者にとって暮らしやすく魅力ある地域づくりを積極的に推進しております。 第一に、若者の雇用の場づくりとして、企業誘致、あるいは農業企業参入に力を入れております。 U、J、Iターン希望の若者に対しては、都市圏での移住説明会、空き家情報等の提供を行うとともに、おおいた産業人財センターを設置し、県内企業とのきめ細やかなマッチングに取り組んでおります。 第二に、子育て支援策の充実やワーク・ライフ・バランスの推進など、地域で子供を産み育てやすい環境づくりを図っております。 第三に、若者が楽しく夢を持って暮らせるよう、県立美術館の開館や国東半島芸術祭の開催等、すぐれた芸術文化の鑑賞機会の提供などにも努めております。 さらに、議員ご指摘の二十代、三十代の女性の定着については、女性向けの職業訓練など、社会で活躍できる環境づくりを進めております。 こうした取り組みによりまして、県外からの転入も含め、若者、とりわけ女性の県内定着を促し、本県の持続的な発展を図ってまいりたいと考えております。 以上です。
○近藤和義議長 平原福祉保健部長。
◎平原健史福祉保健部長 私からは少子化対策についてお答えいたします。 少子化の背景には、保育サービスなどの子育て環境のほか、雇用や経済状況といったさまざまな要因が関連を持つと考えられます。このため、県では、
子育て満足度日本一を政策目標に掲げまして、その実現に向け、乳幼児医療費助成などの経済的な支援を行うとともに、病児、病後児保育などの保育サービスの充実、さらにはワーク・ライフ・バランスの推進など総合的に取り組んでいるところでございます。 中でも、子育て中の方々に地域全体が見守り支えてくれていると実感してもらうことは、子育て満足度を高めていく上でも大変重要であると認識をしております。 そこで、県では、これまで取り組んできました地域子育て支援拠点の充実や地域ボランティアによる家庭訪問型子育て支援でありますホームスタートの拡充などを引き続き進めるとともに、子育てに関する情報発信にも、より一層力を入れまして、社会全体で子育てを支える機運を醸成してまいります。 以上でございます。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 国において、平成二十四年八月に子ども・子育て関連三法が成立し、公布されました。この三法に基づき、幼児期の保育や学校教育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するための子ども・子育て支援制度が平成二十七年度に本格施行する予定です。 各市町村が事業計画の策定の準備を進めているところだと思います。
子育て満足度日本一を掲げる本県にとって、県内のどの地域でも安心して子育てができるよう、県が的確にニーズをとらえ、対応していくべきと考えます。市町村にどう指導し、今後どう生かしていくのか、お聞かせください。
○近藤和義議長 平原福祉保健部長。
◎平原健史福祉保健部長 お答えいたします。 子ども・子育て支援新制度の施行に向け、その準備が大変大切になってきているというふうに考えております。 県では、子ども・子育て応援県民会議を設置いたしまして、各界各層の方のご意見を伺い、政策に反映するなどの取り組みを行ってきております。 新制度におきましては、実施主体となる市町村が、その地域における必要なサービスの質と量を的確に把握することがまず重要であろうと考えております。このため、県では、市町村に対する説明会や勉強会等の実施、市町村版の子ども・子育て会議の設置の働きかけ、あるいは全県共通のニーズ調査票の提示など、市町村の取り組みを支援してきたところでございます。 今後とも、国の情報の収集に努めるとともに、その提供等に努めてまいります。 以上でございます。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 当然、ひとり親や障害児を持つ親等へのさらなる配慮についてもお力入れをよろしくお願いします。 現在の新おおいた子ども・子育てプラン、子育て応援プランについては、来年、平成二十六年度までの計画でありますので、新たな計画策定には、子育て世代の代表でもある私の本日の一般質問の内容についてもぜひ実行いただきたいというふうに思いますが、再度、部長の見解を伺います。
○近藤和義議長 平原福祉保健部長。
◎平原健史福祉保健部長 お答えいたします。 ぜひとも参考にさせていただきたいと思いますし、今後ともまた、ご提言等をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 最後に、日本テキサス・インスツルメンツ日出工場について伺います。 日出町や大分県に多大な貢献をしてきた半導体大手、日本テキサス・インスツルメンツ日出工場が閉鎖してから五カ月が経過しました。いまだ離職者の多くが再就職できておらず、厳しい状況が続いています。 六月末のTI日出工場の完全閉鎖後、職業訓練のコースや定員をふやすなど細やかな対応をとっていただいたことには感謝申し上げます。 昨年の第三回定例会、ことしの第二回定例会に続き、三回目の質問でございますが、執行部の真摯なご答弁をお願いします。 まず、再就職等の状況について伺います。 私の地元日出町では、町内で最大の会社が閉鎖されたことにより、いや応なしに町の活気も以前に比べると失われがちです。求職中の方々の雇用保険受給終了後、町の経済がどのようになっていくのかもかなり気がかりです。 第二回定例会で、「県としても、地域の方が安心して働けるよう、職業訓練や産業支援などによる雇用の確保などの取り組みを着実に進めることで地元経済への活性化に寄与していきたい」とご答弁をいただきました。 実際に職業訓練を受けた方の人数とその成果、さらに、県が設置した連絡本部が確保した求人に対し何名が就職されたのか、また、今後の再就職者の見通しをどうとらえているか、伺います。 次に、半導体関連産業雇用創造事業について伺います。 七月末に採択された半導体関連産業雇用創造事業は、雇用情勢の厳しい地域を中心に、安定的かつ良質な雇用を創造していくために、地域の産業政策と一体となった地域の自主的な雇用創造の取り組みを支援し、労働者の就業の安定に資することを目的とする事業で、三年間で事業費は四億五千万円と聞いています。 そこで、半導体関連産業雇用創造事業の実績と来年度以降の取り組みについて伺います。
○近藤和義議長 西山商工労働部長。
◎西山英将商工労働部長 お答え申し上げます。 まず、日本テキサス・インスツルメンツ日出工場の再就職等の状況についてであります。 TIからの報告によれば、元従業員五百十名のうち、社内異動も含め、現時点で約四割の方の再就職が決定しているという状況です。このうち職業訓練では、生産技術、介護福祉、IT等さまざまな分野で三十三名が受講され、訓練を終了した十二名のうち七名の再就職が決定しております。 また、これまでに県が県内企業を中心に開拓した約七十社、三百六十名の求人のうち、約三十名の方の再就職が決定しております。 加えて、現在、県が実施している継続雇用も見込める起業支援型の緊急雇用事業においても、元従業員の雇用対策に取り組んでいるところであります。 こうした状況ではありますけれども、テキサス・インスツルメンツによる就職支援とともに、県としても、労働局と連携して職業訓練受講を促進するなど、今後とも再就職支援に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、ご指摘のありました半導体関連産業雇用創造事業についてであります。 この事業は、今後三年間で三百人の雇用創出を図ることを目的としております。 事業推進に当たり、県では、LSIクラスター形成推進会議や大分労働局、金融機関等とともに協議会を立ち上げ、まず、事務局にTI日出工場離職者の三名の方の採用をしたところであります。 この三カ月間、半導体関連企業を中心に、研究開発や新分野進出、求職者への研修などを精力的に働きかけてきました。その結果、これまで、十二社で三十八名の雇用を実現しているとともに、今後についても、既に十三社から七十八名の具体的な雇用計画をいただいているところであります。 引き続き、テキサス・インスツルメンツの離職者を初めとした求職者の円滑な再就職につながるよう、企業に対する新分野進出やスキルアップ研修などの支援に取り組み、雇用の場の創出に努めてまいりたいと考えております。
○近藤和義議長 三浦正臣君。
◆三浦正臣議員 私の地元日出町では、町民一人一人がよりよく暮らしていけるようにと、これまでも、子供からお年寄りまで、だれもが住みやすい福祉の町を目指してやってまいりました。しかし、町内で最大の会社が閉鎖されたことが、財政面はもちろんのこと、町民の気持ちをふさいでいることは事実であり、大変厳しい状況となっています。 県内では、日出町のように厳しいやりくりをしながら地域の方々の暮らしに目を向けている市や町が幾つも存在します。これからの時代、少子・高齢化、人口減少社会を迎える中、大分県内の隅々にまで目を配り、その声に今まで以上に耳を傾け、取り組んでいくことが、県民の安心、安全はもとより、大分県全体の発展へとつながっていくものと確信しています。 これからの来年度予算編成に向けて、これまで以上に地域への配慮をお願いし、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○近藤和義議長 以上で三浦正臣君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。 午後零時四十分 休憩
------------------------------- 午後一時三十三分 再開
○田中利明副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。土居昌弘君。 〔土居議員登壇〕(拍手)
◆土居昌弘議員 五番、自由民主党・無所属の会、土居昌弘。ただいまから一般質問を始めます。 まずは、玉来ダムについてです。 今から三十年以上前になりますが、昭和五十七年七月に大水害に見舞われました竹田地域では、県と竹田市を中心として、将来にわたっての再発防止に向けて、稲葉川と玉来川の治水対策を早急に検討することとなりました。 当時は、その結果、稲葉川はダム事業と河川改修を併用することとし、玉来川につきましては河川改修を進める計画が策定されました。早速、両水系で河川改修が始まるとともに、稲葉ダムの建設に向けては、実施計画に必要な調査に着手いたしました。 しかし、わずか数年後の平成二年七月初旬、再びこの地を襲った豊肥大水害によって、前回を上回る大きな被害を受け、稲葉、玉来両水系の治水のあり方については根本的な練り直しを迫られる事態に陥りました。稲葉ダムに加えて、玉来川においてもダムの必要性が検討され、結果、平成三年に竹田水害緊急治水ダム建設事業としての採択にこぎつけ、二つのダムを整備していく運びとなったのです。 その後、二十年の長い歳月を費やして、ようやく平成二十二年に稲葉ダムが完成いたしましたが、もう一方の玉来ダムは、いまだ整備の途上にあります。特に、平成二十一年には、当時の民主党政権におけるダムによらない治水への政策転換のあおりを受け、事業が検証対象とされたため、約二年間の足踏みを余儀なくされました。 そういった中で、昨年七月に起こりました九州北部豪雨災害において竹田地域は、再度、復旧の重荷を抱えることとなりました。ダムのできていない玉来川流域の被害はやはり大きく、荒れ狂った濁流が轟音を立てて押し迫り、私たちの暮らしやとうとい命も容赦なく奪っていったのです。大変つらいことでした。 被災後、半年を経過したことしの一月二十四日、広瀬知事とともに玉来川流域の竹田市志土知を訪れた際に、私は、「ムラサキの里営農組合」の女性部の皆さんからお聞きした話が大変印象に残っております。「例年、正月過ぎには、竹田の直売所に七草を出品して販売しておりましたが、ことしはそれができません。田や畑が崩壊したままで、七草も生えず、私たちの心には大きな穴があいてしまっています」という訴えでした。 このたびの被災につきましては、知事を筆頭とした関係者のご尽力により、災害復旧が迅速、着実に進んでおり、改めて感謝申し上げる次第でございます。しかし、玉来ダムの早期完成を待ち望む地元住民の切なる願いには、まだ形としてこたえ得る成果が見えておりません。 豊肥地域のたび重なる災害の歴史に終止符を打つためにも、引き続き玉来ダムの早期完成を強く求めていきますが、県事業の今後の見通しについて、そして知事の決意もあわせて、改めてお聞かせください。 〔土居議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○田中利明副議長 ただいまの土居昌弘君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいま土居昌弘議員には、歴史的な由来も説きながら、玉来ダムの必要性についてご質問を賜りました。 まず、昨年七月の豪雨災害からの復旧、復興に懸命に取り組んでおられる豊肥地域の皆様に対しまして、改めまして、心からご慰労を申し上げるとともに、そのご努力に敬意を表したいと思います。 二カ月ほど前でございますが、竹田市を訪問いたしまして、不通となっていましたJR豊肥本線の全線復旧を契機に、地域をより一層盛り上げようと活動されている皆様にお会いいたしました。そのとき、「過去の水害で二度も浸水し、家屋を移設した。ぜひとも玉来ダムの早期完成をお願いしたい」という痛切な思いを伺ったところであります。 今回の水害を振り返りますと、三年前に完成した稲葉ダムの下流域では、浸水被害が最小限に食いとめられまして、河川改修とダムをあわせた総合的な治水対策の効果が発揮されましたけれども、ダムが完成していない玉来川沿いでは甚大な被害を被ったところであります。 こうしたことからも玉来ダムは、市街地を守るもう一つのダムとして、地域の安全、安心に欠くことのできない重要な施設であり、整備を急ぐ必要があると考えます。 さきのダム検証の影響で二年程度のおくれが生じましたけれども、これまでに地質調査や用地測量、設計を並行して進めるなど、おくれを少しでも取り戻そうと鋭意取り組んでまいりました。 竹田市周辺は複雑な地質でありまして、技術的な課題があることから、ダムの設計や施工方法について、稲葉ダムで培った技術と経験をもとに、現在、国や研究機関と綿密な検討を進めているところであります。 また、本年三月には、地元の玉来ダム対策協議会との間でダム建設に関する基本協定の調印を行いまして、ダム建設に向けて弾みがついたところであります。 今後、用地取得の前提となる損失補償基準について、協議会と早期に合意を図り、用地買収に着手したいと思っております。 今まさにダム本体着工に向けた大きな節目のときを迎えておりまして、その準備作業をさらに加速していきます。 竹田市民の悲願である玉来ダムの一日も早い完成に向けまして、地域の皆様や関係する機関の協力をいただきながら、早期にダム建設のつち音を響かせることができるように全力で取り組んでまいりたいと思います。ぜひ、よろしくご協力のほどお願いします。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。 今現在の竹田ダム建設事務所の仕事ぶりでございますが、例えば、管理用道路の設計をしております。そして、通常ならば、地形の測量、そして、実施設計、それから、用地の立ち会い、用地の測量と、またそれぞれで、地元の説明をしながら順次していくわけなんですが、先ほど知事が答弁でおっしゃいましたように、これをまとめて、一緒に今やっているところでございます。私どもにとりましても大変ありがたいことでございます。しかしながら、これから地元の皆様のご協力とご理解をいただいていかなければなりません。 先月の四日には、宮城分館で玉来ダム対策協議会と玉来川下流域自治会長との意見交換会が開かれました。そこでは、互いに意見を交わし合いながら、ダムの一刻も早い完成を願うという共通点を見つけ出し、一致団結していこうということになったところでございます。とは申しましても、やはり地元からもいろいろと要望がございます。そこで、今の竹田ダム建設事務所の体制でいいのかどうかという問題でございます。 現在、事務所は、竹田市からの派遣職員一名を含んで、十七名体制です。用地交渉をするチームは、三名で一チームしかいません。これで建設のピッチを上げろといっても難しいんではないかと思います。また、ダム建設工事につきましても、本体設計と周辺工事を今一緒にやっている現状がございます。これを何とかできないのかと思っております。これから、地元の皆様とじっくりと協議をして、周辺整備も含めてダムの完成を早めようと思えば、このダム事務所の体制についても考えていただきたいと思うんですが、その辺についてお聞かせいただきますようお願い申し上げます。
○田中利明副議長 畔津土木建築部長。
◎畔津義彦土木建築部長 お答えをいたします。 来年度の体制につきましては、現在、検討中でございます。いずれにしましても、一日も早いダム建設に向けまして、本庁、そして地方機関一体となって対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ただいま検討中という答弁いただきましたが、皆さん、早期完成を求めています。県の方もその体制をとりつつありますので、ぜひとも、来年度、十分に仕事ができるような体制を組んでいただきたいと思っております。 本日は、傍聴席に玉来川流域に暮らす方々がお見えでございます。つまり、昨年の水害では、また被災した皆様です。ぜひとも、こういう方々、竹田市民も含めて、豊肥地区で暮らす皆さんを含めて、早く安心、安全が届きますよう願って、私の最初の質問を終わらせていただきます。 次に参ります。 次は、ぐるっとくじゅう周遊道路についてでございます。 夏休みも終わりに差しかかったことしの八月二十七日の午前十一時ごろ、由布市庄内町阿蘇野の県道田野庄内線を走行していた大型観光バスがカーブを曲がり切れずに脱輪するという事故が起こりました。事故現場の急カーブは幅員わずか四メートル、道路周辺も道幅が非常に狭かったことから、道路をふさいだバスをレッカー車で引き揚げることができずに、クレーンを使っての撤去となったため、上下線ともに八時間にも及ぶ通行どめになりました。 この県道は、ちょうど久住山を取り囲む、ぐるっとくじゅう周遊道路の一角でもあり、平成二十一年に改定されました大分県中長期道路計画「おおいたの道構想21」では、観光振興の観点からも利便性を高めていくことが盛り込まれております。また、この周遊道路を軸とした地域ブランドを確立するということで、地域の魅力の向上にも努めていくとされております。しかしながら、八月の脱輪事故が示すように、この周遊道路の整備が着実に進んでいるとはとても言いがたい状況にあるのではないでしょうか。 そこで、今回の事故を踏まえ、現場周辺を含めたこの、ぐるっとくじゅう周遊道路の整備を今後どのように進めていくのか、また、この周遊道路の整備目的でもある地域ブランドの確立を見据えた県の方針をお伺いします。
○田中利明副議長 畔津土木建築部長。
◎畔津義彦土木建築部長 お答えいたします。 ぐるっとくじゅう周遊道路につきましては、くじゅう連山周辺の観光振興に寄与することを目指しまして、愛称やシンボルマークを用いた統一的な案内標識の設置等を行ってまいりました。 周遊道路を構成する道路の整備といたしましては、現在、阿蘇くじゅう公園線沢水工区や庄内久住線新田工区、飯田高原中村線豊後渡工区などにおきまして改良工事等を実施しております。 ぐるっとくじゅう周遊道路や日本風景街道に指定されましたやまなみハイウェイなどの路線につきましては、地域の生活道路としての整備に加えまして、観光道路としての機能にも着目し、地域の実情に合った改善に努めてまいります。 今後も、すぐれた自然景観を生かした道路設計の工夫や景観を阻害する樹木の伐採などによりまして魅力的な道路景観を創出し、温泉や食、体験を絡めたツーリズム等による地域ブランドづくりを進め、観光振興や地域活性化につなげてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。 観光目的の道路ということで、そこをやはり確立していくためには、県の部局間での連携も必要ではないかと思っております。その辺についてお伺いいたします。 また、この周遊道路が走る九重町、由布市、そして竹田市の多くの市民、町民の皆さんが、もっと活用してほしいという願いを持っております。例えば、この沿線自治体で、もしくはその住民で周遊道路の活用推進連絡協議会とかいうものをつくって、活用について考えてみるとか、そういった策もあるんではないかと思いますが、その二点についてお伺いします。
○田中利明副議長 畔津土木建築部長。
◎畔津義彦土木建築部長 お答えいたします。 もとより、本庁内関係部局の横断的な取り組み、必要だと考えております。これまでも周遊道路の活用につきまして、沿道の景観整備や観光マップの作成等、庁内の企画振興部、土木建築部で取り組みを行ってまいりました。 また、住民の力の活用というお話もございましたが、これまでも日本風景街道やまなみハイウェイ協議会というものが設置されております。これは、ぐるっとくじゅう周遊道路も含まれるエリアでございますが、そうした協議会の中に、沿線の自治体を初め、沿線の住民の方々、そして、私ども県、そして、国の担当者も入りまして、これまでも沿道の樹木伐採、あるいは看板の集約等の作業をしてまいりました。今後も、そうした住民の方々の協力をいただきまして、観光面における道路の利活用、沿道のにぎわい創出によるツーリズムの振興に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 八月のバスの脱輪事故もありますけれども、やはり道路の整備はまだ進んでないなというのが実感でございますし、まだまだ観光を生かしたルートにはなり切れていないと私は感じております。 県の土木の職員は、皆様、地域づくりのスペシャリストです。私が言うまでもなく、単なる道の工事屋さんではございません。その辺をぜひとも再確認して、地域づくりのスペシャリストとなるようにご尽力いただきたいと思っております。 それでは、次に移ります。 竹田市におけるジオパークの取り組みについて質問です。 このたび、姫島村と豊後大野市が見事、日本ジオパークの認定を受け、地元の皆さんによる地域づくりがいよいよ本格化していきます。 「ジオ」とは大地や地球を示す言葉で、ジオパークは、貴重な地層や地形を守りながら、一方で教育や地域振興にも生かしていく自然公園であり、大地の遺産、あるいは大地の公園とも言われます。 我が竹田市においても、市民による地域づくり団体「岡の里事業実行委員会」が中心となって、平成十五年から大分地質学会の工藤幸久先生をお迎えし、「地域の岩石・地層・化石観察会」を定期的に開催しております。そこでは、竹田市民はもちろん、市外からの参加者も交えて、竹田市のジオについて学び、関心を高める取り組みを行っているところでございます。この十月二十日には、第十二回竹田ジオウォークを開催し、「竹田での西南戦争と阿蘇火砕流堆積物」と題して、竹田の町の周辺を散策しながら、薩摩軍と官軍が竹田の大地をどのように利用して戦ったのかなどについて学習しました。 また、竹田市には、二十七万年前の噴火から四度にわたって噴火した阿蘇山の火砕流堆積物が分布しており、時代の異なる四回の噴火の火砕流堆積物、阿蘇一から四まですべてが観察できるということが評価され、平成二十一年に日本地質百選に選定されたほか、平成二十三年には国の天然記念物にも指定されました。このようなことから、学者の間では「火砕流堆積物研究のメッカ」と評されているほどです。 現在、竹田市では、この誇れる大地の魅力を活用したまちづくりに向けて鋭意検討を進めているところでございますが、日本ジオパーク認定を視野に入れた場合、今後どのように取り組んでいくべきなのか、また、県として、竹田のジオ活動にどのような支援が可能なのか、県の考えをお伺いします。
○田中利明副議長 冨高生活環境部長。
◎冨高松雄生活環境部長 お答えします。 ジオパークの取り組みについてです。 竹田市には、阿蘇の火砕流堆積物や、溶結凝灰岩を利用した岡城址の石垣、くじゅう火山群の噴火の痕跡など、大地や地域の歴史、文化の成り立ちを明らかにする学術的価値の高い地質遺産や文化財が随所に存在しています。 そのような中にあって、ジオパークの認定を目指すには、地元自治体や関係団体がしっかりとした運営組織を設け、学術研究機関等と連携して、地質学的な調査研究や普及啓発等を計画的に行うことが重要です。さらに、地元の皆さんが、地道な学習会等を通じまして、自分たちの地域の魅力に気づき、認定を目指そうとする機運が高まることが大切です。 県としましては、こうした地元の動向を注視するとともに、ご要望があれば、これまでの取り組みを通じて蓄積しましたジオパーク活動の推進に向けたノウハウの提供や、国内の研究者やジオパーク関係者とのネットワークづくりに向けての情報提供などの支援を行ってまいります。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 わかりました。 組織をつくって体系的にジオパークの取り組みを進めていくというところで、県もそれと一緒になって支援をするということですね。はい、わかりました。 今後、竹田市においても、その取り組みが可能なのか、また、別の活動で行くのか、そういったところを一緒になって協議をしていきたいと思っております。 日本の小学校では、一年生に平仮名や片仮名、あるいは数の計算などを教えますが、オーストラリアの小学校では、百数十億年前にビッグバンという現象が起きて宇宙が生まれ、四十六億年前に私たちの地球ができた、それから四十六億年という気が遠くなる歳月をかけて、私たちの命が生まれてきた、そうした長いつながりの上に私たちの命をいただいているということを教えるそうです。ジオについて考えるということは、こういうことを考えるとても大事な機会ではないかと思っております。ぜひともこういう機会を、単に日本ジオパークの認定をもらったという自治体だけではなくて、県民全体に届けていただきますようお願い申し上げて、次の質問に入りたいと思います。 次に、肉用牛振興についてでございます。 先日、玖珠町で開催された出前議会「議員と語ろうイン西部地域」に参加した際、日田市や玖珠町、九重町の皆さん方から県への要望などをさまざまお聞きしました。 その一つとして、先ほど三浦議員の一般質問でも話題となりました玖珠町認定農業者「高志会」の宿利会長さんの話では、農林水産統計を見ると、県内の肉用牛繁殖雌牛の飼養頭数は、平成二十五年で一万七千三百頭となっており、この十年間で三割減、また、肥育農家は、同じくこの十年間でほぼ半減の千四百八十戸と、牛も農家数も大きく落ち込んでしまい、加えて、肉用牛農家のうち七十代、八十代の方が何と四割近くを占めているそうです。また、久大地域における肉用牛農家の廃業理由としては、意欲の減退と高齢化によるものが合わせて六割を占めており、県として今後どのようにして肉用牛の増頭に取り組んでいくのかを真剣に考えていただきたいと強く訴えられておりました。 そこで、繁殖牛と繁殖農家のこのような減少傾向について、県はどのようにとらえ、今後どのような打開策を講じようとしているのか、お伺いします。
○田中利明副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 ただいまは、繁殖牛の増頭対策についてご質問だと思います。 県内の子牛価格でございますけれども、先月の市場平均が五十三万六千円と全国平均を上回りまして、この二十年間で最も高い価格となっております。二カ月連続で五十万円を超えるという高値で取引されているところであります。 一方、配合飼料の価格も高値が続いておりまして、飼料の自給率が低い経営体においては、飼料購入費の増加など、経営を圧迫する要因となっております。 これまで、県では、意欲のある農家を中心に、増頭と牛の若返りのための繁殖雌牛導入や牛舎の増築、改造による規模拡大を支援してまいったところであります。その結果、十八年から二十四年までに施設整備に取り組んだ百二十二名の平均飼養頭数は五十八頭から八十頭に拡大いたしまして、県の肉用牛経営の柱となる担い手が育ってきているところであります。しかしながら、繁殖雌牛の半数は六十歳以上の方が飼育をしておりまして、今後いかにして世代交代を進めていくかということが課題となっております。 こうした状況を踏まえまして、県では、本年四月にブランド名を「おおいた豊後牛」に統一し、これをきっかけにして、生産から流通、販売までを見据えた戦略的な計画を策定し、繁殖牛対策として次の三点を柱に取り組んでいるところであります。 まず一つでありますが、飼育技術を次代につなぐ取り組みであります。 長崎全共では三位の成績をおさめましたけれども、これは、優秀な肉用牛とその能力を発揮させる飼育技術を持った方々が県内に多くいるというあかしであります。優秀な繁殖雌牛を集約するキャトル・ブリーディング・ステーションの導入などによりまして、牛とたくみのわざを担い手に継承するシステムづくりに取り組みたいと思います。 第二に、力強い担い手の確保と企業的経営体の育成であります。 農業大学校や企業的経営体との連携によりまして、後継者、新規就農者の確保に努めるとともに、足腰の強い持続力のある経営体を育成したいと思います。 第三に、久住飯田地域を中心に開発された二千ヘクタールに及ぶ草地の有効活用であります。 遊休牧野での放牧の再開などによりまして、コストの低減と省力化による規模拡大を推進したいと思います。 この三つの柱を中心に、規模拡大の意欲ある担い手を企業的経営体に誘導するとともに、他産業、他品目からの参入や第三者継承を推進するなど、本県の繁殖基盤を盤石なものにするための支援を充実させていきたいと思います。 このたび、産子の肉の質、量ともにすぐれ、スーパー種雄牛への期待が膨らんでおります「平福安号」が誕生したところであります。市場関係者も大いに期待しておりまして、これを起爆剤に県内子牛市場を活性化させ、「おおいた豊後牛」の生産振興につなげていきたいというふうに考えております。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。 まずは、「平福安」の誕生、まことにおめでとうございます。 久住の畜産試験部に行っては、もっと農家の皆さんがつけたくなるような待機表をつくってくれよという願いをいつも申しておったんですけれども、少しずつですが、前に進んでおるというのを実感しております。 また、増頭計画の中に草地の有効活用というのがございました。 肉用牛農家の経営状況を見ますと、生産規模の拡大に伴って省力化、効率化を進める余り、購入飼料に依存する経営が増加しております。 先日、ある生産者から、「子牛の発育もよくなり、値段も高くなったが、放牧をしているときより、もうけが少なくなった」という話を伺いました。 県は、もうかる農業の実現を目指しております。そのためには、子牛を高く売ることはもちろんですが、あわせて、諸経費の大きな割合を占める飼料費を軽減するため、低コストの飼料を安定的に生産する技術の普及があわせて重要であります。 未利用、あるいは低利用の状態にある草地や転作田などの有効的な活用など、自給飼料の確保対策を今後どのように進めていこうとされているのか、お伺いします。
○田中利明副議長 工藤農林水産部長。
◎工藤利明農林水産部長 自給飼料対策についてお答えをいたします。 現状、肉用牛繁殖経営におきまして、子牛一頭当たり生産費の約三分の一を占める飼料費の低減が経営の安定化のために大変重要な課題であります。 県では、これまで、広大な草地を改良した共同利用牧野を初め、クヌギ林や耕作放棄地などでのおおいた型放牧の推進、さらには、水田を活用した稲発酵粗飼料などの生産拡大や耕畜連携のかなめとなるコントラクターへの収穫機などの導入を支援してまいりました。 また、県内で排出される焼酎かすなどを活用して製造する飼料の研究開発、普及にも、農林水産研究指導センター畜産研究部を中心に取り組んでいるところであります。 放牧では、農家や飼養頭数の減少などによって遊休化した改良草地の有効利用を支援するなど、引き続きおおいた型放牧を推進してまいります。 水田では、国の米政策の見直しで増産が見込まれます稲発酵粗飼料や飼料用米による飼料自給力の強化に取り組むとともに、より安くて使いやすい飼料の開発などを進め、肉用牛農家の経営安定に努めていきたいと考えております。 以上です。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。 県の今後の流れ、また、国の流れというのはわかりました。しかし、この大分県、やはり中山間地域でございます。シイタケと一緒に牛を飼っていて、米もつくってと、いろんな複合経営でやっているところもございます。そこを強化して、もうかる農業にしていくというのも、私、研究してみる価値はあると思っております。ぜひともその辺も検討しながら、今後の畜産の振興に努めていただければと思っております。 最後に、障害者福祉について、三点伺います。 まず初めは、特別な支援を必要とする児童の保育についてです。 国内では、最近の少子化の潮流の中、児童が減少傾向にある一方で、特別な支援を要する子供は、逆に年々ふえており、県内でも、また、竹田市でも同様の状況が見られます。 保育園に通う子供たちの中にも、障害があったり、あるいは、そう思われる園児も少なからず含まれているのが実情であり、それぞれの子供たちの状況に応じた保育を提供したいという声をしばしば保育園の運営者からお聞きします。つまり、現状では、その子たちそれぞれに適した保育がなかなかできていないという現状がございます。 本県では、犬飼にある発達障害者支援センター「イコール」で養成した支援専門員を保育所に派遣して、発達障害児の保育に関する相談、指導を行っていますが、このような外部からの支援だけでは、保育所のスタッフに障害児に対する専門的な保育スキルが根づかないことも一方で懸念されます。 そこで、県内の保育所において発達障害児の保育にかかわる専門的なスキルやノウハウを広く定着させていくために、県としてどのように支援をしていくのか、お伺いします。
○田中利明副議長 平原福祉保健部長。
◎平原健史福祉保健部長 発達障害児の保育についてお答えをいたします。 現在、保育所には、発達障害児を初め、ネグレクトが疑われる要保護児童や生活困窮家庭の児童など、特別な配慮を有する児童が多く通園をしております。 このうち、発達障害児への支援といたしましては、これまで、議員ご指摘の発達障害者支援専門員の派遣のほか、専門の機関が保育所を訪問し、保育所職員や児童へのアドバイスを行ってきたところであります。 一方、核家族化の進行や地域コミュニティーの希薄化等により地域の子育て力が低下する中で、子育ての専門機関である保育所の役割はますます重要となっていると認識をしております。 このため、医療、保健等に精通した専門的保育士を養成し、発達障害を含めた特別な配慮が必要な児童や家庭に応じた専門的な支援を行うとともに、医療機関など関係機関と連携して適切な時期に適切な支援につなげられるようにするなど、保育所の機能強化を推進していきたいと考えております。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。 再質問を二つさせていただきたいと思います。 特別な配慮や支援を要する幼児や家族に対して、学校の就学前、就学中、それから卒業後と、それぞれのライフステージを見通した保育や教育計画をつくって支援をするべきだと私は考えております。こういうことをしようと思ったら、一体どこがやるのか、それについてお伺いします。 それから、幼稚園と小学校の連携の中で、今、大分県では、五歳児健診の結果を個人ファイルにして幼稚園から小学校に受け渡すようになっておりますが、保育園ではどうなっているのか。また、三歳児健診している自治体もあります。三歳児健診の結果はどうなっているのかについてお伺いします。
○田中利明副議長 平原福祉保健部長。
◎平原健史福祉保健部長 お答えをいたします。 特別な配慮や支援を要する発達障害児等に対し、お子さんの個別の支援計画を作成することは重要だと考えております。 計画の策定は、保護者の意向を最大限に尊重しつつ、日々、お子さんに接している保育所や幼稚園、小学校等、それぞれの機関において策定するものと考えております。 議員ご指摘のように、ライフステージを通じた支援を行うためには、この各機関が作成した計画の情報を共有し、支援を引き継いでいくことが重要だと思っております。 現在、市町村に対して、こうした情報をまとめたファイルの活用を呼びかけているところでありますが、今後は保育所に対しても、ファイルの活用を直接呼びかけていくこととしたいと思います。 また、三歳児健診において障害の疑いがある児童が見つかった際にも、五歳児健診と同様に、ファイルを活用して、福祉、保健、教育各関係機関がいち早く連携して支援に当たるよう市町村に働きかけてまいりたいと思います。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 さまざまな課題はありますが、それを解決しようとしているのはわかります。その計画も保育園や幼稚園や学校でというんですが、さてそれで先生方ができるのかどうかということです。 先日、厚労省の村木厚子事務次官と話をしました。発達障害児の支援について、こう話されました。「ある発達障害児が学校の廊下を走っていた。そのとき、何と指導するか。廊下を走ってはいけませんではありません。廊下は歩きましょうと指導します。そのときに最も大事なのが、その子に寄り添いながらという態度、姿勢です」と言うんです。やはり、障害者とその家族に接するときにどういう接し方をしているのかというところがとても大事だと思っております。 県は、発達障害者支援センターで専門支援員を養成して、その専門員が保育所に行って相談指導して、専門的な技術や方法を保育所に定着させると言っておるんですが、そのときに、障害の専門家でない保育園のスタッフがきちんと障害を理解して寄り添ってあげる余裕があるのかどうかというところが問題です。 また、そもそも障害のある児童が特別な支援を受けるためには、まず、保護者が自分の子供に障害があることを受け入れることが前提となりますが、現実には、そう簡単に割り切れない親の思いもあります。そして、本来、特別支援を要する子供たちに適切な保育がなされず、問題を潜在化させている一因となっているんではないでしょうか。 保護者が自分の子供の障害にいち早く気づき、支援策を受け入れるために、どのような啓発が効果的と考えているのか、お伺いします。
○田中利明副議長 平原福祉保健部長。
◎平原健史福祉保健部長 保護者への啓発についてお答えいたします。 保護者に対しましては、これまでにも、パンフレットや講演会等を通じて、発達障害の特徴や支援内容などを周知するとともに、専門の医師や作業療法士等が保健所で巡回療育相談に応じることなどにより、障害を早期に発見することに努めてまいりました。 また、特に障害に気がつきにくい発達障害につきましては、昨年度から、市町村が実施する五歳児健診や発達相談会に専門医を派遣し、発達障害の早期発見、診断体制の整備を進めているところです。 こうした中で、障害が発見された児童の保護者に対しましては、保護者が障害を受け入れ、療育の必要性について理解してもらえるよう、保健師による相談や療育機関への紹介を行うとともに、必要に応じて発達障害者支援専門員を派遣して丁寧な説明を行っているところであります。 今後はさらに、保育士の専門性を高める取り組みを通じまして、保育所における保護者への支援も強化していきたいと思っております。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 親が子供の障害を受け入れるというその現場に、私は人をつけていただきたいと思っております。ここでも指摘しておきたいのは、支援をする人が、本当に障害者とその家族に寄り添っていけるかどうかというところではないかと思います。診断や相談結果から自分の子に障害があるかもしれないと告げられる親、特に母親です。そのときに、私は、カウンセラーがかかわってあげることが有効ではないかと考えます。それも、寄り添ってあげられる仲間のような、決して、私は違うけれども、あなたはそうよという思いを読み取られるようなカウンセラーではだめです。同じ立場に立って、一緒に悩み、一緒に解決策を探してくれる方がそばにいることがとても有意義に思えます。そして、その方と障害について語り、今できることを考え、これからについて計画することができたらすばらしいんではないかと思いますが、カウンセラーというよりコーディネーターです。こういう仕組みを保育期に構築することがとても大事だと思いますが、その辺のお考えをお聞かせください。
○田中利明副議長 平原福祉保健部長。
◎平原健史福祉保健部長 保護者や子供さんたちに対する支援について、寄り添って支援をしていくということは大変大事なことだというふうに思います。 今お答えしましたように、市町村の保健師さんとか発達障害の支援専門員さんが支援をしておりますけれども、そういった気持ちで接しているというふうに思います。 また、保育所におきましても、保育所の保育指針というのがありますけれども、「子育て等に関する相談や助言に当たっては、保護者の気持ちを受けとめ、相互の信頼関係を基本に、保護者一人一人の自己決定を尊重すること」ということで、基本的に、今、議員おっしゃられたように、寄り添いながら支援をしていくということがうたわれておりまして、基本として身につけていると思いますけれども、県といたしましては、そうした人材を、さらに研修を通じて、資質の向上、維持に努めていきたいというふうに思っております。 以上でございます。
○田中利明副議長 土居昌弘君。