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  1. 大分県議会 2012-03-01
    03月12日-06号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成24年 第1回定例会(3月)平成二十四年三月十二日(月曜日)  ------------------------------- 議事日程第六号      平成二十四年三月十二日           午前十時開議第一 一般質問及び質疑  ------------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 一般質問及び質疑  ------------------------------- 出席議員 四十三名  議長        志村 学  副議長       井上伸史            阿部英仁            近藤和義            古手川正治            土居昌弘            嶋 幸一            毛利正徳            油布勝秀            衛藤明和            濱田 洋            三浦 公            末宗秀雄            御手洗吉生            桜木 博            麻生栄作            田中利明            渕 健児            三浦正臣            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            後藤政義            竹内小代美            玉田輝義            深津栄一            酒井喜親            首藤隆憲            吉冨幸吉            平岩純子            江藤清志            久原和弘            小野弘利            元吉俊博            荒金信生            佐々木敏夫            戸高賢史            吉岡美智子            河野成司            堤 栄三 欠席議員 なし 欠員   一名  ------------------------------- 出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       二日市具正  副知事       小風 茂  教育委員長     岩崎哲朗  代表監査委員    米浜光郎  総務部長      奥塚正典  企業局長      緒方浩史  病院局長      坂田久信  教育長       野中信孝  警察本部長     太田滋徳  企画振興部長    池辺英貴  福祉保健部長    永松 悟  生活環境部長    照山龍治  商工労働部長    山本和徳  農林水産部長    阿部良秀  土木建築部長    梅崎健次郎  会計管理者兼            平田茂雄  会計管理局長  人事委員会            岡 正美  事務局長  労働委員会            光永 尚  事務局長  財政課長      尾野賢治  知事室長      草野俊介  -------------------------------     午前十時十三分 開議 ○井上伸史副議長 これより本日の会議を開きます。  -------------------------------東日本大震災犠牲者に対し黙祷 ○井上伸史副議長 日程に入るに先立ち、昨年三月十一日に発生した東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするため、黙祷をささげたいと思います。 全員、ご起立を願います。黙祷。  〔黙祷〕 ○井上伸史副議長 黙祷を終わります。 ご着席願います。  ------------------------------- △諸般の報告 ○井上伸史副議長 次に、諸般の報告をいたします。 監査委員から、地方自治法第二百三十五条の二第三項の規定により二月の例月出納検査について結果に関する報告がありました。 なお、調書は朗読を省略いたします。 以上、報告を終わります。  ------------------------------- ○井上伸史副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第六号により行います。  ------------------------------- △日程第一 一般質問及び質疑 ○井上伸史副議長 日程第一、第一号議案から第四〇号議案まで、第四二号議案から第五五号議案まで及び第一号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。堤栄三君。  〔堤議員登壇〕(拍手) ◆堤栄三議員 皆さん、おはようございます。日本共産党の堤栄三でございます。 今も黙祷をささげましたけれども、昨日、三・一一から一年が経過をいたしました。これまで多くの方々が犠牲となり、そして、いまだに行方不明者も多数おられる、三十四万人を超える方々が避難所暮らしを余儀なくされております。こういう方々に心から哀悼の意を表すとともに、一日も早く復旧、復興のために、日本共産党としても、また、皆さんと力を合わせて全力でやっていきたいというふうに思っております。 それでは、早速、質問に入らせていただきます。 まず、広瀬県政全般についてです。 知事は、「安心」「活力」「発展」の大分県づくりを標榜し、「プラン二〇〇五」を改定しました。この計画は、助成の充実、工業団地の整備など補助金漬けの相変わらずの大企業誘致を推進しようとするものです。しかし、そういうやり方では、県経済や雇用の安定にはつながっていないのが明らかであります。 県が誘致をした大分キヤノンから派遣切りをされた若者は、「ハローワークに週三日通ったが、書類審査だけで、すべての会社から落とされてしまい、自分自身が情けなく、どうにかなりそうであった」とそのときの状況を訴えていました。このような非道な派遣切りに対し、静観しているような県政では、若者の将来はないではありませんか。 農林水産業の対策はどうでしょうか。知事は、TPPへの交渉参加について賛成の立場であり、幾らブランド化など構造改革を推進したとしても、TPPに参加をすれば、低コストの米がアメリカから流入してしまい、日本の米自給率が一割以下という状況に陥ってしまいます。本県農業を破壊してしまうTPPには断固反対すべきであります。 具体的に問題提起をしてまいります。 まず、大分県内の雇用の安定についてです。 これまで百六十三億円もの各種補助金をばらまきながら大企業誘致を推進してきましたが、大分キヤノン等による大量の派遣切りに続き、昨年には東芝大分工場の縮小に伴う五百人もの配置転換、ことしの日本テキサス・インスツルメンツ日出工場の閉鎖に伴う五百十五人もの労働者の解雇問題等が起きています。このような大企業の社会的責任を無視した身勝手なやり方は許せません。 日本共産党は、雇用を守るため、先日、日本テキサス・インスツルメンツ日出工場の工場長や日出町役場、大分労働局県商工労働部にも要請に行ってまいりました。 日出工場に勤務をする労働者は、「ことしの七月までに工場と労働者込みの譲渡ができるかどうか結果が出るが、できなければ四十歳代の自分にとって定年まであと十数年ある。退職金をもらっても再就職は難しい。何とかしてほしい」という声が寄せられています。 また、東芝北九州工場では、豊前工場や石川県、兵庫県への配置転換が行われようとしています。大分工場でも県外への配置転換や解雇になれば、家族や地域に与える影響は甚大です。 県として、雇用と地域経済を守るために、知事みずから誘致のときのような熱心さで日本テキサス・インスツルメンツや東芝の本社へ出向き、一方的な工場の縮小や閉鎖を中止し、労働者の安定した雇用の継続を求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。 以下、対面演壇にて行います。  〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○井上伸史副議長 ただいまの堤栄三君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 堤栄三議員のご質問にお答えいたします。 初めに、雇用安定についてのご質問でございました。 議員ご指摘の百六十三億円の内容がよくわかりません。平成十五年度以降進出した企業に対する補助金は約七十二億円となっております。これまで百八十六件の企業立地によりまして、約六千八百億円の設備投資と一万四千二百人の雇用に結びつき、また、これらの進出企業からは県税だけでも約二百八億円の収入があったことを申し上げておきたいと思います。 テキサス・インスツルメンツ日出工場の閉鎖発表につきましては、私から和田社長に対しまして、工場の存続、県、日出町との連携を求めております。和田社長からは、「雇用を第一に考え、六カ月をめどに譲渡先を探したい」とのお話がありました。重大な関心を持って、企業の取り組みを注視していきたいと考えております。 一方、直ちに県と日出町との連絡会議を開催いたしまして、情報共有を図るとともに、日出町、別府市において相談窓口が設置されたところであります。 また、東芝大分工場については、北九州工場の再編に伴って、平成二十一年以降約七百人が大分に異動してまいりましたけれども、厳しい経営環境のもと、東芝全体での再配置の一環として約五百人の配置転換を進めているというふうに聞いております。 申すまでもありませんが、半導体産業は、国際競争が激化し、世界経済の混迷や円高、電力供給の制約等によりまして、国内での事業再編や工場の統廃合を余儀なくされているところであります。県といたしましては、企業とコミュニケーションをとって、雇用への影響についても早目にこれを把握し、必要な対策を適切に講じていかなければならないと考えております。 他方、このような国内でのものづくりをめぐる厳しい環境の中で、大分県をものづくりの拠点として企業に選択してもらえるように県としてしっかりと取り組むことが必要であります。そのため、日ごろから企業が抱える課題を把握し、企業に競争力を高めるための対応を促すこと、産学官や地場企業との連携に対する支援等、産業の底力を高める取り組みが重要だと考えております。 産業集積に磨きをかけるという点で、半導体分野では、地場企業が進出企業と連携して技術を磨き、経営力を高め、ビジネスチャンスの拡大に取り組んでおります。この結果、半導体製造の後工程分野で地場企業が国内トップクラスに成長しているのはご承知のとおりでございます。 今後は、世界市場で存在感を増すアジア地域での事業拡大に向けて、韓国や台湾とのビジネス交流に積極的に取り組みます。また、半導体で培われた技術や人材を活用し、エネルギー分野医療機器産業への参入を目指す県内企業の動きも活発化していることから、県としてもこれをしっかり支援してまいりたいと思います。 進出企業と地場企業が共生、発展する産業集積の進化を図るとともに、引き続き企業誘致を積極的に進めて、県内の産業活力の創造と雇用の場の確保に全力で取り組んでまいりたいと思っております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 百六十三億円の補助金は、これまで、キヤノン等の用地の造成の差額の分だとか、工場の進出に伴う直接の補助金だとか、そういうさまざまな補助金を積み立てしたものです。これ、県からいただいた資料でございますので、間違いないと思います。 それで、一つはTI、テキサスの関係なんですけれども、これ、ことし譲渡先を決める、今、国際的な、世界的なコンサルタントを使って譲渡先を探しているというふうに日出工場の工場長も言っておられました。しかし、同じ条件でその雇用が守られるとは限りません。ですから、そういう点では、テキサスに勤めている方々は、技術力も高い、自分たちの能力もあるということで、非常に自負を持って仕事をされている方々が多いわけです。そういう技術を持っている方々を本当に安定した雇用で継続してもらうためには、その譲渡先等が決まれば、ちゃんと雇用の確保を、今と同じような雇用条件をやはり県としても要請すべきだというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょう。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 先ほど、テキサス・インスツルメンツ日本の和田社長にお会いしてお話をしたというふうに申し上げましたけれども、そのときにも先方からは、「やはりこのTI日出工場の非常な強みは、立派な従業員が立派な生産活動をしていただいている、そのことがやはりこれまでの強みだと思っている。そういう人たちがいる工場だから、そこをセールスポイントにして譲渡先を探しているんだ」というふうなことを言っておりました。 したがいまして、私どもといたしましては、やはり、雇用の継続という意味で、従業員も含めた企業の買い取り先ということができれば、こんなにいいことはないし、また、そのことでいろんな条件整備について必要なことがあるかもしれません。その場合には、大企業優先のための補助金と言われようが何をしようが、とにかく、しっかりと応援をしていきたいというふうに思っているところであります。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 それと、TIも東芝も内部留保をかなり持っているわけです、数兆円規模で。本来、この内部留保金を、そういう工場閉鎖だとか、また、配置転換だとか、そういうことをしないで、本来は、そのためにこそ使うのが内部留保だというふうに私は思うんです。ですから、そういう立場でぜひ、工場の整理縮小だとか、または廃止は、県としてもやめるように言っていただきたいし、あわせて、日本共産党は、別に企業立地そのものに反対しているわけじゃありません。その補助金をやめなさいと。企業立地は、やっぱり企業というのは、そこの需要があるかどうか、それによって彼らは来るわけです。補助金の額というのは、本当にそんなに高い順位じゃないのがアンケート結果に出ております。そういう点で、補助金をなくしても企業立地というのは可能なんだというところで、そういう立場で我々は臨んでいきたいというふうに思いますし、内部留保を使って、きちっと工場閉鎖をやめなさいという立場に私は知事として立っていただきたいんですけれども、それについてはいかがでしょう。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。
    広瀬勝貞知事 企業誘致そのものに反対しているわけではない、補助金がおかしいんだというお話ございましたけれども、まさにこの企業誘致というのは、国際社会の中で日本に企業にとどまってもらおう、そしてまた、とどまるときには大分県に来てもらおうということで、国際社会との競争もあるし、地域間の競争もある、そういう中で、いい条件を提示しながら大分県に立地を促すというものでございます。 そしてまた、一たん促すと、それによって地域の設備投資もふえるし、そしてまた、雇用の機会も相当にふえてくる、かつまた、県税収入ですら、その補助金を相当上回るものが入ってくるという計算のもとにやっているわけでございまして、企業誘致はおかしくないけれども、補助金はおかしいというお話には同調できません。 それから、その次に、内部留保のお話がございましたけれども、これは、私も、内部留保を取り崩して企業が存続でき、そして工場がそのまま維持できるということであれば、それはもう当然、そうしてもらいたいというふうに思いますけれども、今度の問題もそうですが、企業が工場を、人員の配置転換をやったり、あるいは閉鎖をして、ほかに売却をしなきゃならぬというような事態になるというのは、やはり、産業構造の大きなうねりの中でどうやって生き残っていくかという大きな問題でございますから、内部留保を取り崩して、そこで当面の危機をしのぐというような問題ではないんじゃないか、そこのところがその企業の悩みでもあるし、それを踏まえた我々の悩みでもあるということをご理解願いたいというふうに思っております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 ぜひ内部留保を活用して、工場閉鎖をやめさすように言っていただきたいというふうに思います。 続いて、社会保障と税の一体改革の問題であります。 一つは、消費税の増税についてです。 政府は、社会保障・税の一体改革の大綱を閣議決定いたしました。これは、消費税増税と一体で社会保障分野を改悪するものにほかなりません。 総務省実施の全国消費実態調査における大分県の実態は、二〇〇九年度では、十年前に比べて年間収入が九十七万円減少し約六百五十九万円に、可処分所得は七十八万円減少し四百四十二万円、消費支出も二十九万円減少して三百七十三万円と、いずれも大きく減少しております。このような中、さらに消費税が一〇%へ増税をされれば、県民の生活そのものが破壊されてしまいます。我が党が総務省の地方税に関する参考係数資料をもとにした試算では、増税の影響額は本県で一千二百七億円にも上り、住民税の負担よりはるかに上回ります。 先日、私のところにも、「今でも、年金が下げられ、月五万円で生活している。買い物にも、足が痛いけど、医者にも行けない。その上、消費税が一〇%なんてとんでもない」と怒りの声。さらに中小業者からは、「今でも消費税はお客からもらえず身銭を切って出しているのに、倍になれば商売を続けられない」という悲痛の声が上がっています。 県内の中小企業家同友会消費税増税に反対する決議を上げ、他の業界団体でも増税反対の声を上げています。 県民生活を守るためにも、消費税増税中止を政府に求めるべきではありませんか。答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 我が国の社会保障制度は、国民皆保険、あるいは皆年金という基本に立って整備されておりまして、今や先進諸国に比べて遜色のないものとなってきているというふうに思います。しかし、この間、少子・高齢化の進展だとか、雇用形態の多様化だとか、あるいは家族形態、地域社会の変化などが生じてきておりまして、新たな対応が求められてきているというふうに思います。 今後も高齢者数は増加し続け、平成三十二年には高齢化率が三〇%近くに達するというふうに見込まれておりますけれども、国の来年度予算案を見ますと、社会保障関係費が一般歳出の五割以上を占める一方で、九十兆円の歳入のうち四十四兆円を国債で賄って、そのうち三十八兆円が赤字国債という状況であります。 今回の社会保障と税の一体改革というのは、こうした状況を踏まえまして、国民が安心して生活ができるように、社会保障の機能強化とともに持続可能性の確保を図るということによって、全世代を通じた国民生活の安心を確保する社会保障制度の構築を目指すというふうに考えております。 その財源がなぜ消費税なのかということにつきましては、一つは、消費税は広く国民で負担するものであるということから、皆で社会保障を支えるという理念に適合しているんではないかということ、二つ目は、消費税収は、経済の動向や人口構成の変化に左右されにくいことから、社会保障の財源に適しているということだというふうに思っております。そういうことから消費税というところに着目されたんではないかというふうに思います。 一体改革では、引き上げ分のうち一定部分が地方の財源とされておりますけれども、地方自治体では、子育て、医療、介護などの住民に身近な社会保障サービスを提供していることから、その財源確保が不可欠でありまして、一定割合は地方に配分されるものだというふうに考えております。 なお、消費税につきましては、その逆進性が指摘されておりますけれども、低所得者への配慮として、給付つき税額控除の導入だとか、あるいは六十五歳以上の介護保険料の軽減など、きめ細かな対策を講ずることとされております。 また、所得税につきましても、特に高い所得階層に一定の負担増を求めることが検討されておりまして、これらによって税制全体としての再分配機能の回復を図ることとされているというふうに思います。 とはいえ、社会保障・税の一体改革大綱を拝見いたしますと、社会保障制度の将来像が明らかにされているとは言えないように思います。また、財源についても、これで全体を賄えるのか、歳出の見直しをどのように行うのかなど、改革の全体像、将来像が見えにくいことから、今後、そのような全体像、歳入、歳出両面でございますけれども、そういった姿もできるだけ示してもらいながら、広く国民的な議論が必要ではないかというふうに考えております。 大分県は、子育て満足度日本一を目指すとともに、高齢者の元気づくりだとか、障害者の自立支援に力を入れて、だれもが安心して心豊かに暮らすことができる地域づくりを進めておりまして、今後とも安定した制度とその財源の確保が重要だというふうに考えております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 消費税の増税の問題について。 予算の中で社会保障が五〇%を占めている。それは、つまり、歳入がやはり、税収が減ってきているというのが一つ大きな原因でもあるんです、法人税制。 安定的な社会保障の財源と政府はよく言うんです、その社会保障のためにと。しかし、これまで二十三年間、消費税ができて二十四年になりますが、二十三年間、消費税額というのは二百三十八兆円あるんです、国庫に入ってきたのが。しかし、実際に、法人三税の減税と減収で二百二十三兆円が消えていっているわけです。つまり、消費税分が、イコール法人税の減収、また、景気後退による税収減によって消えていっているというのが実態なんです、この二十三年間。ですから、そういう点では、法人税をやっぱりきちっともとの水準に引き上げていく、歳入を確保していくというふうな立場は、絶対にこれが必要ですし、大分県民の生活としても、この消費税と社会保険料の値上げで、全国的には今回約二十兆円、負担増になるわけです。これは一世帯二十五万五千円の負担増になるわけです。これでどうやって、年金だけで生活されている方、低所得者の方々、給付つきのそういう減税があったとしても、生活そのものがやっぱりできなくなってしまう。こういうところにやはり県政として、知事として、やっぱり心を寄せていくという、そういう立場が私は必要だというふうに思いますし、そういう立場からの増税中止をやはり明確に知事としても出していただきたいというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 県政を推進するに当たりまして、だれもが安心して心豊かに暮らすことができる大分県をつくっていくということが大事だというふうに考えております。そういう意味で、やはり、今お話のありましたような、低所得層の皆さん方がこの消費税によって生活そのものが大変苦しくなると心配をしておられるということについては、やはり、我々もしっかりそれを受けとめていかなければならないというふうに考えておりますし、そういう意味で、給付つきの税額控除の導入だとか、あるいは介護保険料の軽減だとか、そういったことがいろいろ議論されているんだというふうに思っております。 その分を直接税の方で見るようにするということも一つのご提案でございましたけれども、これにつきましても、非常に激しい国際競争の中で、今、法人税がむしろ国際的に大変厳しい、そのために、内部留保、あるいは研究開発等に資金が回せない、新たな設備投資に資金が回せない、そこで日本の経済の活力が落ちてきているというようなことも課題として挙げられているわけでございまして、やはり、それこそ社会保障と税の一体改革、そこらあたりを、全体としてどういう給付がいいのか、それを賄うため、どういう財源構造がいいのかということについて幅広く国民的な議論をしていただくということが大事なんではないかというふうに考えているところであります。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 消費税の増税によって、これ、九七年に三%を五%に上げられました。そのときに、大体、景気が上向きのときだったんです。九兆円近くの負担増によって、また景気が下降線に行ってしまった、こういうふうな状況ですから。それも当然、大分県経済に大きな影響を与えるわけです。ですから、やはり消費税の、おまけに今回二十兆円近くあるわけですから、大分県に与える影響というのはかなり深刻だというふうに思います。 消費税の増税について、県経済にどのように影響があるというふうに知事としては認識をされてますか。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 これまでの消費税の導入、あるいは税率の引き上げ等の先例もいろいろ学びながら影響を考えていかなきゃいかぬというふうに思いますけれども、経済活動が活発化している時期であれば、ある程度の段階を踏んだ消費税の引き上げということは社会が対応できることになるし、逆に活動が非常に低迷しているということになりますと、これはむしろ、マイナスの影響が大変深刻になってくるというようなことだと思います。 要するに、どういう時期にどのくらいの税制をとるのか、そのためにどういう対策を講ずるのかというようなことを総合的に判断していかざるを得ないんじゃないかというふうに考えております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 消費税の増税はきっぱりと中止を求めておきます。 続いて、社会保障の内容についてです。 今回、国民健康保険税や介護保険料、後期高齢者医療制度の保険料が相次いで値上げをされようとしています。 全日本民主医療機関連合会の調査によりますと、経済的理由で国民健康保険税を払えず無保険者となり、病院に行きたくても行けずに受診のおくれで、全国で六十七人もの方が死亡していると発表されています。 今、県が進めようとしている国民健康保険の広域化を行えば、さらに国民健康保険税が値上げをされ、差し押さえなど滞納処分の強化や、ますます滞納による受診抑制が生じてしまいます。 また、介護保険制度も、施設から在宅へのかけ声のもと、厚生労働省は、医療と介護の両方を必要とする長期療養患者が入る介護療養病床について、報酬を引き下げ、医師、看護師の少ない老人保健施設などに転換させる姿勢を示しています。 また、老人保健施設についても、ベッド回転率が高いなどの要件を満たす施設への報酬を新設し、その他の施設への報酬を引き下げて、入所者追い出しを進める方針を示しています。 その上、介護保険料も第五期改定で、四月より県平均額が月額四千百五十五円から五千四百円にもはね上がります。 また、後期高齢者医療制度では、政府は名前だけ変えて制度は基本的に残すような改悪を行い、保険料も県平均二千九百八十一円の値上げを行うと決めています。 多くの高齢者からは、「今でも国民健康保険税や介護保険料が高くて払えんのに、これ以上上げられたら生活ができない」「年金も下げられ、近所や身内の葬儀や四十九日にも行くことができない。これ以上上がったら、どうやってやりくりしていけばいいのか」など、本当、悲鳴にも似た声が上がっています。 県として、一般財源から各市町村国民健康保険会計への補助を実施するとともに、介護保険財政安定化基金の県、国分を介護保険料の値上げを抑えるために使うべきであります。また、後期高齢者医療制度は、政府に対し廃止を求め、もとの老人保健制度に戻すべきと言うべきであります。これら一連の社会保障の充実こそ、県の標榜する安心の大分県づくりになるのではないでしょうか。答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 永松福祉保健部長。 ◎永松悟福祉保健部長 お答えいたします。 まず、国民健康保険の支援についてでございますが、県は、平成二十三年度において、市町村国保に対し、法で定められた財政調整交付金など九十三億円余りの支援を行っております。今後とも国保財政が安定的に運営されるよう、まずは法定の負担をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。 次に、介護保険財政安定化基金の使途についてでございますが、改正介護保険法によりまして、基金の国、県拠出分は、それぞれの介護保険に関する事業の経費に充てられることとなっております。このため、県では、増加する介護給付費の県負担金や高齢者を切れ目なく支える地域包括ケアシステムの構築に必要な費用に充てることとしております。 三点目の後期高齢者医療制度につきましては、国は、社会保障と税の一体改革大綱をもとに、関係者の理解を得た上で、今国会に高齢者医療制度改革法案の提出を予定しておりますが、その財源論が欠如しているなど多くの問題点があると考えております。 県は、国に対して、新たな高齢者医療制度について、財源の確保策を明示した上で、国民の合意のもと、わかりやすく持続可能な皆保険制度を構築するよう提言しているところでございます。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 国民健康保険については、当然、法律で規定しているわけですから、出すのは当然です。ではなくて、値上げはもうどんどんされているわけだから、それに対して県としての独自の助成をしてほしいというのが一つの要請です。 介護保険料についても、月平均が千二百四十五円も上がるんです。これで、本当に年金だけの人が暮らしていけると思います、これだけの値上げをされれば。 先日、地方議員団として県へ、九億円の基金を使って値上げを抑えるようにというふうに要請に行きましたけれども、このとき、今、部長が言ったとおり、給付費の上昇分に充てるという返事なんです。やはり、せめてその九億円を使って値上げを抑えるという、そういう姿勢は県としてとるべきじゃないですか。再度、答弁求めます。 ○井上伸史副議長 永松福祉保健部長。 ◎永松悟福祉保健部長 今の介護保険の保険料の負担軽減に使うべきではないかということでございますが、県拠出の財源は、市町村の分とは違いまして、一般財源でありまして、法定割合を定め、皆で介護保険財政を支えるという制度の趣旨に合わないというふうに考えております。給付費負担金への充当は、介護保険関係の事業に充当という私ども県の状況からしますと、法の趣旨にもかなっている。 それと、あと、より長期的制度全体の視点に立ちまして、地域包括ケアシステムの推進であるとか、給付費や保険料の上昇抑制につながる取り組みが必要と考えておりますので、その分にも県の分は使っていきたいというふうに思っております。 それから、そのほかにも、市町村が保険者でございますけれども、保険者機能の強化の支援、それから、あと、有料老人ホームへの立入検査等、市町村ではなかなか難しい事柄に県として積極的に取り組んでいきたい、そういうところにこの費用を使っていきたいと考えております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 その財政安定化基金について、厚生労働省は、値上げを抑えるために使ってよろしいというふうに回答しているでしょう。つまり、法律によって給付費に充てるということだけじゃなくて、こういう値上げを抑制するために使ってよろしいと厚生労働省が通達を出しているし、岩手県は、これによって二十八億円、この県基金分を値上げを抑えるために使おうとしているんです。これ、今、議会の中で審議をされているようですけれども。これが本来、こういう介護保険だとか、また、後期高齢者医療制度も含めて、本当、低所得者の方々に対する県としての最低の責務だというふうに思うんです。 九億円を全額、給付費の引き上げに使うんじゃなくて、いわゆる保険料の方に使っていくという、こういう立場は絶対に必要だというふうに思います。これは強く要望しときます。 あわせて、後期高齢者医療制度について、この滞納も、今増加しているんです。全国で千七百九十二人の高齢者が、大分県でも滞納によって十八人が差し押さえをされてるんです。これ、普通徴収ですから、年間年金額十八万円以下の方がこれだけの滞納をしているんです。つまり、払えないから。だから、そういう点では、県の財政調整基金も含めて、本当に県民の命を守るという、こういうところにこそ、こういう基金というのは使うべきじゃないですか。これは、再度、答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 永松福祉保健部長。 ◎永松悟福祉保健部長 繰り返しになりますけれども、県といたしましては、やはり法定で定められた費用につきまして、やはり九十三億円余りの支援を行っている。これをこういう形で使わせていただいて、あとは、税と社会保障の一体改革の流れを見きわめながら、また、そういう形で国保の低所得者層の方にどんな支援ができるのか、そういった国制度の状況を見きわめながら、まずは九十三億円余りを使いまして、国保財政が安定的に運営されるように法定の負担をしてまいりたい、そう考えております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 法定の負担は当然です。そうじゃなくて、先ほど来、安定化基金、また、財政調整用基金、四百億円ぐらいあるわけですから、それを使って、ほんの一部を取り崩して値上げを抑えるという、これは、どうして県としてそういう立場に立てないんですか。私はこれが、大分県の標榜する、本当に安心な県づくりというふうな立場に立つというふうに思うんです。すべて上がるんです、国保も介護も後期高齢者も。これで年金は下げられるんです。この中で生活できますか。こういうところにこそ心を寄せるという、そういう立場に県として立っていただきたいというふうに私は思います。再度、答弁、知事、いかがでしょう。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 お話よく承っておりましたけれども、本当にいろんな社会保障関係の負担が上がるということになるわけですけれども、これを県でどのくらいカバーできるかというと、本当に、ほとんどカバーできないんじゃないか、こういうふうに思っております。むしろそれよりも、持続可能な制度を早くつくり上げてもらう、そして、そのための財源措置もしっかりとってもらう、そこが非常に今、大事なところじゃないかというふうに思っております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 社会保障と税の一体改革は消費税の増税が前提になってますから、私はそれについては、当然反対いたしますし、そういう社会保障の上昇分をぜひ県として、あの九億円を使ったとしても数十円なんです。しかし、数十円でも助かるんです、一般の加入者は。そういうふうな立場にぜひ立っていただきたい。このことは強く要望しておきます。 続いて、日本共産党の提言なんですけれども、財源論と社会保障を充実させる提言を、二月七日に、「消費税大増税ストップ 社会保障充実、財政危機打開の提言」というのを発表いたしました。これは、きょう事前に皆さんにも示しているというふうに思いますけれども、その最大の核心というのは、財源を確保しながら社会保障を段階的に充実すること、国民の所得をふやす経済の民主的改革を進めるという、この二つの柱を同時並行で進めるというところにあります。 社会保障の充実は、将来の不安を取り除き、国民の懐を暖めます。そして、内需主導の経済改革によって、国民の所得がふえ、社会保障の財源も豊かになり、財政の立て直しも進みます。 この中で、社会保障をよくする第一段階として、大きく崩された社会保障を再生させる社会保障再生計画を作成し、その実行に直ちに着手をしてまいります。そして、その財源は、八ツ場ダム建設の再開等の大型開発や政党助成金等の税金の無駄遣い一掃と、高額所得者や大資産家等の富裕層への増税と大企業優遇の不公平税制を見直すことで賄っていきます。 次の第二段階として、最低保障年金制度の創設、医療費の窓口負担の無料化、介護サービス利用料の無料化など、先進水準の社会保障への抜本的拡充を進め、憲法二十五条の生存権を保障する水準へと引き上げます。その財源は、国民全体で、その力に応じて支える必要があります。もちろん、その場合も、所得の少ない人に重くのしかかる消費税に頼る道はとりません。財源は、応能負担の原則に基づき、累進課税を強化する所得税の税制改革によって賄います。 以上、この提言の方向こそ、県民の安心、活力、発展につながるのではないでしょうか。答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 永松福祉保健部長。 ◎永松悟福祉保健部長 お答えをいたします。 社会保障の機能強化、機能維持のための安定財源確保と財政健全化という大きな目標につきましては、社会保障と税の一体改革とも同じ方向性にありまして、子育て、医療、介護、障害者施策や就労支援など幅広く社会保障の現場を担っております県といたしましても共通の認識であります。 また、そのためには歳出の見直しや税制改革が必要ということも一般論として理解できるところでございます。 県といたしましては、具体的な負担と給付のあり方につきましては、今後、国民的な議論が必要と考えておりますが、消費税は、若年層、高齢者など世代を通じて広く負担するものであること、景気に左右されにくいものであることから、社会保障の財源としてはふさわしいと考えております。 しかし、一方で、社会保障と税の一体改革につきましては、税制の議論に重点が置かれ、社会保障の将来像が明らかでない面がございます。 県としましては、住民に身近な福祉サービスを担う地方の立場から、今後の社会保障の制度設計に地方の実情が反映されるよう、これからも積極的な提言を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 部長、消費税が社会保障の充実で一番すばらしい財源である、これはどういう意味ですか。消費税こそ社会保障の財源とすれば、社会保障を受ければ消費税が上がるということでしょう。つまり、先ほど話したとおり、社会保障のあの一体改革の中には、どんどんどんどん改悪をしていくと。で、老健施設からも追い出しを図っていくという、さまざまな改悪の中身というのがオンパレードなんです。そういう財源として消費税を充てると言ってるんでしょう、一体改革は。これに対して私は反対の立場であり、また、県としてもそういう立場に立つべきだというふうに私は述べたんです。消費税こそ、社会保障、庶民の暮らしにとってみれば本当に大変な税金ですから、これの増税というのは絶対しちゃいけないという立場に立たないかんです、これは。ぜひそういう立場に立ってください。 確かに大分県だけでこの目標を達成するということはできませんけれども、やはり国にも、この提言、こういうふうな提言があるということも含めて、会議の中なんかにぜひ出していただきたいというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょう。 ○井上伸史副議長 永松福祉保健部長。 ◎永松悟福祉保健部長 国に対して、県の中で、市町村であるとか、各種団体とか、そういったところの意見の中で、今ご提案ありましたような意見につきましても、また、各省庁に出向きましたときはお話はしていきたいと思います。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 では、TPPの問題について移ります。 TPP交渉について政府は米国と事前協議を始めましたが、昨年十二月二十三日には大分県保険医協会が反対集会を、先日の二月二十八日には大分県TPP交渉参加阻止共闘会議とJAグループ大分が大規模な「TPPの幻影と真実に関する講演会」を開催しています。これらには多くの医療や農林水産業関係者、一般市民が参加をし、TPPの危険な内容を告発し、交渉中止を訴えていました。 二月七日の日米協議では、日本側が「センシティブ品目の配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉の対象にする」「関税以外の二十一分野に対応する用意がある」と表明しました。アメリカ業界側は、対日要求として、米などの重要品目の例外扱い排除、牛肉の月齢制限撤廃、かんぽ生命と共済の競争条件の改善、投資家対国家の紛争解決ISD条項の導入等を要求しています。このような要求に対し、政府の対応は、「配慮をお願いする」という弱腰となっています。 また、交渉過程の情報公開においても、ニュージーランド政府の発表文書では、「TPPプロセスの初めは、そのような書類が率直で生産的な交渉を容易にするために秘密に扱われることについて、それは同意をしました」と、公式に交渉の内容について四年間は秘密に扱うと言っています。これは今後の日本の交渉にも大きく影響する問題です。 先日の国会でも、我が党の笠井亮衆議院議員が「米側に懸念事項を踏まえた質問リスト」の国会への提出を求めたら、「相手国との信頼関係に配慮する必要があり、そのままの形で公開することは困難である」と答弁しました。まさにこれが政府の対応です。国益を守ると言いながら情報も開示しないのでは、国民の利益を守ることなど到底できないではありませんか。 知事は、十二月議会の私の質疑に対して、「日本の国益をしっかり主張するとともに、国民生活や国内産業への影響についてしっかり情報を開示し、議論を尽くすことだ」と答弁していますが、このようなことにならないことがニュージーランド政府文書や国会の中で明らかになったではありませんか。 情報が開示されないまま交渉になれば、国益は当然守れませんし、国民には、やみの中で結果だけが押しつけられることになりかねません。明確に交渉中断を政府に求めるべきであります。答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 TPPについてのご質問でございました。 私は、TPPについて、今、政府に求めるべきは、やはり交渉の経過や内容、あるいはとるべき対策などについてしっかりと情報提供を行ってもらって、そして国民的な議論を経た上で結論を出してもらうということだというふうに思っております。 TPPは、アジア太平洋自由貿易圏に向けて唯一交渉が行われている枠組みでありまして、将来、アジア太平洋地域の実質的な基本ルールとなる可能性があります。そのため、我が国が交渉に参加せず、何も主張できないまま、最終的な貿易の枠組みを受け入れざるを得ないという状況になったときは、日本経済に不利が生ずることを大変心配をしております。 昨年十一月に野田首相がTPP交渉に参加する方針を表明した後に、ことしに入りまして交渉参加に向けた関係国との事前協議が進められております。その事前協議においてすら、交渉参加への前提条件だとか、あるいは関係国の業界からの要求が出されておりまして、後から参加した場合の不利益さというのを痛感させられたところであります。まして、我が国にとって不利な内容が決定されたこの取り決めの後ということになってしまいますと、我が国の選択肢は大変に限られてくるというふうに思います。だからこそ、まずは交渉に参加して、我が国にとって有利なルールとなるよう、政府としてしっかりと国益を主張していくということが大事ではないかというふうに思います。 交渉に当たりましては、相手国の主張などさまざまな情報が得られるわけですから、国民生活や国内産業への影響について情報を開示して、デメリットに対する対策も明示しながら、十分議論を尽くすということが重要だというふうに思います。 近々、大分県でも政府のTPPに関する説明会が開催されるというふうになっております。TPPにつきましてはこれからが大事なところでありまして、政府としてしっかり情報提供を行って、国民的な議論を経て、納得できる結論となるよう努力していただきたいというふうに考えているところであります。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 先日、JAの講演会で、「アメリカのねらいというのは、関税撤廃と非関税障壁の撤廃に軸がある。深刻なアメリカ国内の高失業率を改善させるために、ドル安を誘導し、TPPへの日本加盟を求めている」というふうなお話もございました。また、TPPによってアメリカへの輸出がふえるわけではありません。それよりも、アメリカ資本が流入して、日本の金融も投資も、当然農業も、アメリカの利益のためのえじきとなってしまいます。日本がとるべき道というのは、内需拡大で国内消費をふやすことというふうに強調をされておりました。私もこのとおりだというふうに思います。 やはりTPPに参加すれば、もう遅いんです。ですから、中止を求めて、内需主導の経済政策への転換こそ私は必要だというふうに思います。 あわせて、FTAAP、エフタープ、この基本となるのがTPPというお話がございましたけれども、これもう、まさに自由貿易をアジア太平洋地域全体に広めるという状況です。これでは、日本がすべて、日本のGDPというのは国際的にも高いわけですから、ここに外国の資本が入ってくる。日本国民のそういう食料主権だとか、また、さまざまな日本の規制がなくなっていけば、本当にさまざまな国から入って来るわけです。 そうじゃなくて、私は、貿易のルールというのは、やはり相手の国と自分の国の国民を守るというのが基本ですから、そういう対等、平等の互恵のルールの確立をぜひこれはすべきだというふうに思います。そういうふうな立場にぜひ知事としても立っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 おっしゃるとおり、もう国際社会の中でルールをつくるというふうなことを言っておりますけれども、大事なことは、そういう中で日本の国民生活と国の経済発展を守っていくということだと思います。まさに、そういう視点で対応していかなきゃならぬというふうに思っているところでございます。 その思いの中で、TPPに全く無縁で、もうそれとは関係を遮断して、そして内需振興だけで日本の経済の将来があり得るのかどうかということを考えると、私にはなかなか、それは難しいという気がいたします。やはり、アジアの活力を取り込みながら日本の経済、社会の発展を図っていくということを基本に置かざるを得ないんじゃないか、そういう中で国益を守っていくということが大事なんじゃないか、そういう考えに立ってこのTPPに対処していくことが大事なんではないかというふうに考えております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 TPPというのは、結論的に言うと輸出産業の利益を守るための政策協定なんです。ですから、そういう点では、内需をふやして、そういう経済成長を国内でやっぱりやっていく。それの妨げとなるTPPについては、ぜひ反対の立場をとっていただきたいというふうに要望しておきます。 続いて、県民の安心、安全についてです。 原発の再稼働問題についてです。 福島原発の事故については、事故の全容が解明されていないにもかかわらず政府は、原子炉が安定した冷温停止状態であるとして、収束宣言を出しています。しかし、福島県議会では、実態解明には全く至っていないと、収束宣言の撤回を求める意見書を全会派一致で採択をしております。そして、ストレステストに対しても、原子力安全委員会の委員長みずからが「一次評価だけでは安全性の確認が不十分」と指摘しているにもかかわらず、政府は原発の再稼働の方向性を明らかにしました。 九州電力の玄海原発や川内原発、四国電力の伊方原発のすべてが今、停止状況になっています。四月までには、全国すべて、五十四基の原発が停止になります。これまでも議案質疑の中で、原発の非安全性を訴えてきました。 県として原発の再稼働を許さないという立場に立つべきと考えますけれども、認識はいかがでしょう。 ○井上伸史副議長 山本商工労働部長。 ◎山本和徳商工労働部長 お答えいたします。 原発の再稼働につきましては、まず、首相と関係三閣僚で安全性の確認を行いまして、地元の自治体に説明し、地元のご理解を得て再稼働決定を最終判断するという国の考え方が最近明らかにされたところでございます。 発電量の三割を占めておりました原子力発電のすべてを停止させたままとすることにつきましては、国民生活や経済活動に多大な影響が及ぶことが危惧されるところであります。少なくとも当面は、原子力発電につきまして、国及び電力会社の責任におきまして、しっかりと安全性を確保し、住民のご理解を得ることが重要であると考えておるところでございます。 以上であります。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 現実に、今、五十二基がとまっているわけです。あと二基しか動いてないわけです。これも四月はとまるんです。これによって電力需要が大幅に後退をする、そういう状況じゃないでしょう。その間に、火力発電だとか水力発電だとか、自然エネルギーへの転換を本当に政府としてやっていけば、エネルギー政策の転換をやっていけば、このエネルギー需給というのは調整できるわけです。そういう立場にぜひ県としても立っていただきたいというふうにも思います。 あわせて、震災瓦れきの問題等が今、非常に大きな問題にもなっております。この原発事故によって、やはり大分県にも入ってくる危険性が非常にある、そういう立場で、今、県として、基本的な考え方はどういうふうにされておるでしょうか。 ○井上伸史副議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 震災瓦れきにつきましては、まずもって、やっぱり、県民の安全、安心というのが大事だというふうに思っておりますので、私どもも、瓦れきは基本的に市町村の権限になりますけれども、市町村の支援を、今現在の、私申し上げました安全、安心という観点から支援しながら対応していきたいというふうに思っています。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 ぜひ、瓦れきの問題も含めて、原発の再稼働を許さないというふうな立場に立っていただきたいというふうに思います。 あわせて、地域防災計画についてですけれども、県は伊方原発からわずか四十五キロしか離れていません。 先日、二月十四日に、防災指針検討ワーキンググループによって「原子力発電所にかかる防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方」を発表しております。プルーム通過時の被曝を避けるための防護措置についての目安は五十キロというふうに想定をされて、骨子も出されておりますけれども、具体的に、こういう骨子について、提案について、県として地域防災計画の中にどのように反映をさせるのかということをお聞きいたします。 ○井上伸史副議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 お答えします。 まず、安定沃素剤に関する提言についてでございますけれども、原子力安全委員会の防災専門部会被ばく医療分科会より「原発から五十キロ圏内では、安定沃素剤の各戸事前配布、あるいは屋内退避期間中配布も検討されるべきである」との提言がございました。近く専門部会や原子力安全委員会にも報告されるということになります。 その中で本県の安定沃素剤の備蓄についてでございますけれども、伊方原発から五十キロ圏内には約四千人の方が居住しておりますが、県では安定沃素剤一万人分を備蓄しているところでございます。 事故発生時には、職員などが現地に搬入しまして、被曝のおそれのある住民に対して、医師等が副作用の危険性等を説明した上で、服用を希望する方に投与するということとしております。 そして、地域防災計画への反映についてでございます。 国では、現在、原子力災害対策特別措置法と防災基本計画原子力災害対策編の改定を進めておりまして、また、原子力施設からおおむね三十キロメートル以内を防災対策重点地域とする方向で防災指針の見直しも進められておりまして、近々まとまると聞いております。こうしたことから、提言内容を地域防災計画にどのように反映させるかにつきましては、国の見直しを見きわめて対応していくこととしております。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 続いて、米海兵隊による日出生台演習の拡大と県道走行についてです。 日出生台演習場で米海兵隊による百五十五ミリりゅう弾砲の演習が二月十日から十九日までの十日間行われております。ローカルネット大分日出生台によると、この間、六百九十三発の砲撃を行い、七日間も夜間訓練が実施をされております。最大規模の訓練なんです。 あわせて、二月十日には県道川上玖珠線を走行するという前代未聞の事件が発生をしております。地元からも、「たまたま今回発見されたけれども、これまでも走行していたんではないか」という声が聞こえてきます。 県として、このずさんな行動に対して毅然と抗議をし、訓練中止を防衛省に求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 お答えします。 まず、訓練拡大の認識についてでございますけれども、日出生台演習場における米軍の実弾演習訓練につきましては、県民の安全、安心を確保して、訓練が拡大しないように、他の演習場にはない「日出生台演習場の米軍使用に関する協定」を九州防衛局との間で結んでいるところでございます。 今回の十日間の射撃訓練では、砲射撃訓練が八日、小火器訓練が二日行われました。そして、砲射撃につきましては、九州防衛局から射撃数の正式な公表はございませんが、七日間行われた夜間訓練も二十一時までに終了しております。そのため、協定に定める日数、規模の範囲内で訓練は実施されたものであり、規模拡大とはとらえておりません。 次に、訓練中止の要請についてでございます。 訓練の実施につきましては国の専管事項でありますが、この訓練に対する県の姿勢は、将来にわたる縮小、廃止でございますので、これまでも機会あるごとに国に要請を行っているところでございます。 そして、県道走行への抗議についてでございますが、今回の米軍車両の県道走行に対しましては、翌日直ちに四者協として九州防衛局現地対策本部長に対して事実関係の確認と再発防止策の徹底について申し入れを行ったところでありますし、また、私も現地対策本部に出向きまして、直接、同様の申し入れを行ったところでございます。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 訓練の拡大について、そういう認識がないと、本当に縮小、廃止という立場に立てません。ですから、将来、国に対して本当に縮小、廃止を求めるんであれば、この小火器を使った訓練、または過去最大の砲弾数、あわせて小火器の訓練も拡大という認識をぜひ持つべきだというふうに思うんですけれども、それがなけりゃ、どうして国に縮小、廃止言えますか。これがあるからこそ言えるわけです。ですから、そういう立場に立つべきだというふうに思うんですけれども、再度、答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 繰り返しにはなりますけれども、協定には射撃数や夜間訓練日数の規定はございません。そのため、協定に定める日数、規模の範囲内で訓練は実施されたものでございますので、訓練拡大とはとらえておりません。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 協定は、ことしで改定になります。その協定の中身について、今回の教訓も含めて、どういう形で締結をされるんでしょうか。 ○井上伸史副議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 ご指摘のとおり、平成十九年十一月に締結した協定はことしの秋に期限を迎えます。このため、これまでの訓練で問題となりました野火、あるいは今回の県道走行など含めまして、しっかりと検証した上で、地域住民の意見も十分お聞きしながら、協定の取り扱いについて、地元一市二町と協議したいと考えております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 本気になって縮小、廃止を求めるという立場にぜひ立っていただきたいというふうに思います。 次の地域主権改革問題についてです。 国の出先機関の廃止問題です。 地域主権改革において国の出先機関を移譲するという問題が審議をされる中、本県は、九州広域行政機構を創設させ、丸ごと受け入れるという方向性を打ち出しております。しかし、議論のみで、全くその内容が明らかにはされておりません。 さまざまな国土交通省の出先機関を受け入れた場合、これまでの二百四十五兆円もの建設国債も地方に移譲される危険性も非常にあるわけです。財源論も非常に不明確なまま、この移譲の話だけは進んできているという状況です。 この問題は国の責任を放棄するものであり、中止を求める声というのは地方の市町村長からも上がっております。県としても中止を求めるべきですけれども、答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 奥塚総務部長。 ◎奥塚正典総務部長 お答えを申し上げます。 九州広域行政機構は、国の出先機関の原則廃止という方針に呼応いたしまして提案をしたものでありまして、現在の出先機関の事務、権限、人員、財源等をより地域に身近な機構に丸ごと移譲しようとするものであります。 出先機関の丸ごと移譲が実現をいたしますと、現在の地方整備局等の専門性、機動力がそのまま機構に移りますことから、今までの役割を十分果たしつつ、住民の意思をこれまで以上に反映させることが可能となると考えております。 一部の市町村長が懸念をいたしております大規模災害など緊急時の対応につきましては、現行の災害対策基本法等の仕組みを参考に、国が機構に対し必要な指示を行えるような制度を構築すれば、全国の他の地域の出先機関との人員や資機材の相互動員による広域的な対応も可能と考えております。 維持管理等に必要な財源についても、丸ごと移譲されるべきものと考えております。そのため、財源を確保する制度的な担保が必要であることを国に対し強く主張しているところであります。 引き続き、地方分権改革の流れをとめることのないよう、市町村の理解も得ながら機構の実現に向けて取り組んでいく所存であります。 以上です。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 最後に、国家公務員の給与削減問題について。 国家公務員の給与削減法案が参議院で通過成立をいたしました。この中で、地方公務員についても引き下げにつながりかねない附則を法律に盛り込んでいます。法律のように平均七・八%もの給与削減になれば、地域経済や地方自治体に与える影響は莫大なものになります。 労働運動総合研究所は、国家公務員等六百二十五万八千人の賃金が七・八%削減されれば二兆七千七十三億円の減少となり、家計消費額も二兆二百三十一億円の大幅減少になり、さらに国と地方の税収も四千二百十三億円の減少になってしまうと試算をしております。 仮に本県職員給与の七・八%削減が実施をされれば、削減額は約百三億七千九百万円で、消費に与える影響は約三十六億一千八百万円にもなり、税収減も六億二千三百万円と推計されています。 そして、今回の国家公務員の給与削減は、さらに民間の賃下げを加速させ、内需を縮小させ、地域経済にも大きく影響を及ぼしてしまいます。震災復興のための財源は、年間三百二十億円もの政党助成金こそまずやめて、復興財源に回すことです。 県として、国に対し、給与削減を中止するよう求めると同時に、附則があろうと「県は職員の給与削減を行わない」と明言すべきであります。答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 今回の特例法に基づく給与削減でございますけれども、これは国家公務員にとって厳しい内容だと思いますけれども、国の厳しい財政状況だとか、あるいは東日本大震災に対処する必要性ということで、国が独自に判断したものだというふうに思っております。 他方、地方といたしましては、職員の給与は、給与の公民比較に基づく人事委員会勧告を尊重すべきであるという基本に立って、職員団体との話し合いを経て、議会の議決により決定するということが基本だというふうに考えております。 また、本県では、厳しい財政状況を考慮いたしまして、他県に先駆けて大幅な定数削減だとか級別構成の見直しなど総人件費の抑制に前広に取り組んできた結果、これまで約四百五十五億円の削減効果を上げてまいりました。 したがって、給与決定の基本的な考え方だとか、あるいは地方が国に先んじて行財政改革に取り組んで総人件費の抑制に努めてきたということ、実績を考慮すれば、国が独自に給与の削減を行ったからといって、直ちに地方も削減するということにはならないと考えております。また、国が地方にも給与の削減を強いるようなことはすべきではないというふうに思っております。 そういう考えに立ちまして、九州地方知事会だとか、あるいは全国知事会を通じまして、国に対しまして、これまでの地方の独自の行革努力を踏まえて、地方交付税や義務教育費国庫負担金を減額するなど、国が地方に対して給与削減を実質的に強制するようなことのないように要望をしてきたところであります。 今後とも、この基本に立って、地方の考え方を国に主張していきたいというふうに考えております。 なお、大分県におきましても総人件費の抑制は重要な課題であることはもちろんでございます。職員定数のゼロベースからの見直しなどによる適切な定数管理だとか、あるいは給与制度の適切な対応を通じまして、引き続き総人件費の抑制を図って、職員の給与について県民の理解を得られるように努めていかなければならないというふうに考えております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 今の答弁でいきますと、法律に準じて削減はしないけれども、今後とも総人件費の抑制を行うというふうに聞かれますけれども、これは実質的には削減を行うということにつながりかねない発言だというふうに思います。 それと、国の判断だからというのでなくて、明確にその削減を実行させないと言うことが、私は、知事としても、県としても大切な取り組みだというふうに思いますし、大分県内にも多数の国家公務員というのは生活をしているわけです。この給与引き下げについては、本当、先ほど言ったとおり、地域経済にも大きな影響というのが出るわけです。中小業者の倒産、廃業にもつながってしまう。こういうふうな状況になるわけですから、県として、ぜひ、公務員の給与削減は実施をするなという立場に立って国に上げていただきたいというふうに思いますけれども、再度、その部分で答弁を求めます。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 今度の国の措置というのは国の独自の判断に基づくものだ、地方は、既にこの行財政改革に取り組み、成果を上げているんで、そこも理解をしてもらいたいということを言っております。 また、加えて、地方交付税や義務教育費国庫負担金を削減するということによって、間接的ではあれ、地方公務員や教職員の給与削減につながるようなことはやってくれるなということも言っておりまして、今、我々が言えることはそういうことではないか、こう思っております。 ○井上伸史副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 地域経済を守るという立場からも、私が今主張した中身でぜひやっていただきたい、このことを最後にお願いいたしまして、一般質問を終わります。(拍手) ○井上伸史副議長 以上で堤栄三君の質問及び答弁は終わりました。竹内小代美君。  〔竹内議員登壇〕(拍手) ◆竹内小代美議員 皆様、こんにちは。二十七番、県民クラブの竹内小代美でございます。 きょうは、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。 傍聴の皆様には、わざわざ議場まで足をお運びいただきまして、本当にありがとうございます。 きのうは三月十一日、東日本大震災で命を落とされた皆様には心から哀悼の意を表します。そして、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復興をと願っております。 さて、県政で知事は、「安心・活力・発展プラン」の大幅な見直しを行い、二〇一二年改定版を出されました。 「安心」「活力」「発展」の大分県を、県民が主役、県民の多様な価値観の尊重、県民の発想と活動の支援で実現していく構想は、さすが日本一というふうにほれぼれしているような私でございます。しかし、現実におきましては、多様な意見をすべて採用するわけにはまいりません。政策に優先度をつけて選択し、集中していかなければなりません。時には、県民がはっきりとは意識していないんだけれども、これは絶対重要だという政策があるはずです。それをリーダーが言語化していくことになります。また、時代が大きく変化する中で、福祉や地域開発、さまざまな問題におきまして、各部が連携するだけでなく、トータルプランを出していくということが必要です。その中で、縦割りの今の行政組織というのに私たちは非常な不便を覚えています。そういう中で、知事が県民の多様な意見や分野の中から政策の選択と集中を図るに当たって、知事ご自身の信条、価値観をお聞かせください。 以後、答えは質問席から伺います。よろしくお願いします。  〔竹内議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○井上伸史副議長 ただいまの竹内小代美君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいまの竹内小代美議員のご質問にお答え申し上げます。 政策を遂行するに当たって政策の選択と集中ということをせざるを得ないんだけれども、そのことについてのご質問というふうに考えます。 東日本大震災だとか、欧州経済危機だとか、国内外の情勢が大変不透明な中で、少子・高齢化等によりまして社会保障関係費は増加の一途をたどるなど、今後も厳しい財政運営を強いられる見込みであります。そのために、限られた行財政の資源を最大限に活用する選択と集中ということが欠かせないというふうに思います。 一方で、社会の成熟だとか、あるいは複雑化に伴いまして、個人の価値観だとか、生き方も大きく変化する中で、県民の多様な価値観を尊重するということも、また大切になってきております。 このような考え方から、県政運営に当たりましては、日ごろから県民中心の県政ということを基本にして臨んでおります。時に、どの道を選ぶか、右に行くか左に行くか迷うこともありますけれども、その際もやはり、どうすることが県民のために一番よいのか、どうすれば県の将来を担う子供たちのためになるのかという、そのことを頭に置いて判断させていただいているところでございます。 そのためにはやはり、県民のお考え、思いというのをしっかりと受けとめて、把握をしておくということが大事でありまして、職員に対しましても、現場主義に徹して、現場の声をよく受けとめておくようにということを求めておりますし、私自身も、県政ふれあいトークなどで、直接、県民皆さんのお声をお伺いしているところであります。 また、議員からご指摘のありました、はっきりと言語化できていない県民の声を酌み取るということも大事だということでございまして、そのこともやはり、県行政を預かる者として、しっかりと心がけていかなければならない点だというふうに考えているところでございます。 それとあわせて、やはり、時代の流れをよく判断して、そしてそれに沿った決定をしていくということが大事だというふうに思います。 少子・高齢化に伴う人口減少社会が到来する中で、どうやって地域力を維持強化していくのかだとか、あるいは、消費や労働力が減少する中で、産業の底力をどのように維持、拡大させていけばいいのかとか、あるいは、加速する国際化の中で、いかにして、むしろ積極的にアジアの活力を取り込んでいくのかといったことも当然考えていかなければならない、時代の要請だというふうに考えております。 目指すべきは、県民一人一人に、住んでよかった、住んでみたいと思われる夢と希望あふれる大分県であります。 先ほどから申し上げておりますようなことをさまざま考えながら、夢と希望あふれる大分県づくりに邁進していきたいというふうに考えているところであります。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ご丁寧なご答弁、ありがとうございました。 私は、社会全体がこの不透明な時代にどのように進んでいくのか、大分県が少子・高齢化の中で産業構造や一人一人の生活構造をどう組み立てていくかということをしっかりと見据えて、政策の選択をしておられることだと思っておりますが、いま一つ、知事は、点については一つ一つ丁寧に答えておられるんですが、社会全体が、大分県全体が、十年後、二十年後、自然環境はどうなり、人々はどのような心を持って生きているかということがいまいち私には見えておりません。今からとても不透明な時代にこそ、力強く能動的で自分から働きかけていく、行政を待つのではない、積極的な県民性が育っていくことが必要だと思っていますが、知事の、そういう長期にわたる、県全体を見渡した人間観、環境観についてお伺いしたいと思います。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大変難しいご質問でございますけれども、県民それぞれが抱える課題の中には、個人の生き方だとか、あるいは価値観にゆだねられる分野と、それから政策課題として位置づけられる分野があるというふうに考えております。 前者につきましては、例えば、県では少子化対策ということに取り組んでおりますけれども、それに関連して、結婚観だとか、あるいは子育て観といったようなことについては個人の思いとして尊重されなければならないことだというふうに考えております。そこのところに行政としてみだりに立ち入っていくということは、やはり控えなければならないことだというふうに思っております。 一方で、政策課題とする分野につきましては、先ほど申し上げましたが、選択と集中によって優先度を判断して取り組んでいかなければならない。 その際、行政を預かる者の責任といたしまして、時代の潮流ということを見据えながら、五年先、十年先を見て、先手を打って対策を講じていくということもやはり重要な責任だというふうに思います。 例えば、小規模集落対策でありますけれども、人口減少と高齢化が進行してコミュニティー機能が低下している集落に暮らす方々が将来にわたって安心して住み続けられるように、生活用水だとか交通手段の確保などに取り組んでいくということもやはり大事なことだと。 また、本県の活力を維持、発展させるために、産業政策にもしっかりと手を打って、働く場というのを確保していくということも大事であります。 そのために、農業の新たな担い手の受け皿となる企業参入に力を入れる、あるいは、ものづくり産業では、今後の成長が見込まれる医療機器関連だとか、再生可能エネルギーなどの新たな産業分野にも目を向けて育成をしていくといったようなことで、先を見ながら手を打っておくということも大事だというふうに思います。 議員各位のお力をいただきまして全国に先駆けて取り組んでまいりました行財政改革というのも、その一つではないかというふうに考えております。聖域を設けずに、あらゆる政策をゼロから見直しをしてまいりました。その結果、来年度の予算でも、見直しプラン実行元年として、新たな政策の芽出しができて、おかげさまで充実した内容を盛り込むことができたんではないかというふうに考えているところであります。 このように将来を見据えた取り組みを進めているところでございますけれども、時代は大変大きなうねりの中にありまして、内外の情勢は予断を許しません。今後とも、議員各位のご指導も賜りながら、アンテナを高く張って、県民の声に耳を傾けながら、新たな県政課題を掘り起こしていきたいというふうに考えているところであります。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ありがとうございました。 もう、その面に関して、知事の手腕は、本当に私は日本一だと感服しております。 そして、私は、将来、例えば二十年後、大分県の産業構造は、第一次、第二次、第三次、あるいは第六次、いろんなものがまた出てくるかもしれません。知事のビジョンとして、「安心」「活力」「発展」というのがビジョンですが、その背後に理念があって、そのビジョンをどの方向に導こうとしていくかということがいまいち見えません。私は、二十年後の大分県はどうなっているのだろうというのを、いつも知事の答弁をお聞きしながら考えるのですが、やはり私の生活が見えません。もう少し、産業構造、それから人口構造を踏まえて、ご答弁をお願いします。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 五年後、十年後の県民生活の姿というのは、なかなか難しい面があると思いますけれども、我々、少しでもやはりそういうことを考え、そして県民の皆さんに提示できないだろうかということで、「安心・活力・発展プラン二〇〇五」の見直しに当たりまして、冊子の最後の方に、将来の県民生活、県民の暮らしはどうなっているだろうかというようなことをいろいろ書かせていただいているところでございます。 いろいろありますけれども、やはり、だれもが助け合い支え合いのきずなを持って、地域で安心して暮らしているという姿、そして、その安心を裏づける活力といいますか、だれもが、知恵を出し、汗をかいて、その分だけ報われるような、そういう活力のある社会、そして、将来に向かっても我々は発展していくんだという確信が持てるような、そういう基盤の整った社会ということが大変大事なことではないかというふうに思っているところでございます。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ありがとうございました。 とてもすばらしい答弁で、感激しております。 次に、知事ご自身がまだ言語化できてないんだけれども、こういうことをやってみたいと思っておられる対策等がございましたら、お願いします。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 その対策は、「安心・活力・発展プラン二〇〇五」改定プランの中につぶさに書かれておりますので、ぜひごらんを賜りたいと思います。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。
    ◆竹内小代美議員 知事ご自身としては完璧というふうに受けとめましたが、よろしいでしょうか。--では、続けて、次の質問に移ります。 構造改革を初め、豊かな発想による政策が必要な時代ですが、現行の部局制の縦割り体制では、部局横断的な構想や立案は生まれにくいと存じます。また、各部局、あるいは同一部局内で複数の課にまたがる連携さえもスムーズにいっていない場合が多々ございます。担当を超えた横断的な企画が生まれ、それがスムーズに進行するための企画の立案体制についてお考えをお聞かせください。 ○井上伸史副議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 県民ニーズが複雑多様化している中、複数の部局に関係します課題の解決に向けては、その垣根を超えて横断的に対応することが重要であると考えております。 そのため、部局長や振興局長による部長会議や課長級職員で構成します政策企画委員会で、「安心・活力・発展プラン」や防災計画の見直し、県立美術館の活用策や小規模集落対策等々について議論してまいりました。 また、海外戦略の展開や鳥獣被害対策など、それぞれ政策課題ごとに対策本部やプロジェクトチームなどを設置しまして、部局が連携して課題の解決を図っているところであります。 今後も、政策県庁を推進していくため、課題に応じて、臨機にプロジェクトチーム、あるいはワーキンググループを立ち上げるなど、部局間連携をより強化してまいります。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 今、政策県庁のすばらしい政策について、部局横断的な連携体制が整いつつあるということをお聞きしました。 そして、私は常々、県民側からの新しい、大きなプランを提案するときに、どこの部局に行っていいかわからないということが生じております。そういうときに、部局横断的な企画立案部局がありますと。県庁内の方は、まずは自分の部局を丁寧に行われます。それはもう完璧だと。私が議員になって、本当に県庁マンはすばらしいというふうに思いました。ただ、私どもが私どもの県民視線でこういう大きなプランが要るといったときに、体制が、なかなか、今の縦割りでは難しいということがございます。そのことについて答弁をお願いします。 ○井上伸史副議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 先ほども申し上げましたとおり、それぞれの部局はございますが、それぞれの部局ごとで完結できる、そういったものは、やはり、これだけ行政ニーズが複雑多様化する中では非常に困難になってきている、私もかように認識しております。 したがいまして、先ほど申し上げました政策企画委員会であるとか、あるいは部長会議、これらにつきましては、それぞれの部局ごとの課題を、それを全庁的な課題として整理して議論させてみたいと思います。 例えば、課長級で構成する政策企画委員会でも、基本的に各部局から代表して職員が出てきております。その職員についても、当然、部局の立場は認識しながらも、かといって、それに縛られて、全体を見据える目、そういうことがなくなると、これも困ります。かといって、出身部局のことを一切忘れると、これまた、活発な議論もできません。まさにその辺のバランスが非常に大事なことだと思いますが、そういった形の中で、部局を超えての政策連携を図るということは大変重要なことであると認識しております。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ありがとうございました。 大変前向きな答弁で、部長のところの責務はますますこれから大きくなることと期待しておりますので、よろしくお願いします。 その企画をもっと有効にするために、私は、昨年九月の一般質問におきまして、県民発案の政策提案をどのような手段で聞いていただけるかを質問いたしました。県民側から本格的な政策提案すること自体が県政におきましては新しいことであったためか、私の意図したことに対するご答弁はいただけませんでした。 そして、それ以後も、各種の委員会や執行部からの説明、ご意見をお聞きする中で、県民からの政策提案や意見について、政策や意見そのものの是非を超えて、県民の発想と活動を生かす方向ではない言葉を耳にいたしました。具体的には、まず、「国を待って」という答えです。国を待ってはいられない問題が私たちの周りにはたくさんあります。地方主権は、ここから始まると私は思っております。ほかにも、「ニーズがあればやります」「数値になりにくく、成果が県民にわかりにくい問題です」「担当ではありません」「問題が大き過ぎます。統合する部署がありません」「難しい。できません」と言って、結局は取り上げてもらえないという県民の皆さんの意見を多々耳にいたします。 これは、発言者個人の問題ではないと思います。やはり、長い間、縦割りで、皆様が一生懸命政策をつくり、実行してこられた結果、県民の提案を積極的に取り入れていく前に、ご自分たちの一生懸命やられている時代の産物であった。個人攻撃をするつもりは全くありません。これでは、「安心・活力・発展プラン」の、時代が大きな潮目が変わるときに、必要な新しい政策を県民からも取り入れていくということに対して、意識の改革が必要ではないかと思いますが、そのことについてご意見をお伺いします。 ○井上伸史副議長 奥塚総務部長。 ◎奥塚正典総務部長 お答えをいたします。 大分県では、職員一人一人が県民の思いをしっかり受けとめ、政策を企画立案し、実行する政策県庁の実現を目指してまいりました。 それぞれの職員が、県民中心の県政、現場主義などの基本姿勢に基づきまして意識改革に取り組んできたところでありますが、今後ともさらに県民の声を具体的な施策につなげていくことが重要だと考えております。このため、現在策定中であります行財政高度化指針でも、行政の質の向上を主眼といたしまして、職員の能力向上や意識改革に重きを置いた取り組みを進めることといたしております。 具体的には、県職員に求められている、一つ、専門性、二つ、現場感覚、三つ、幅広い知識、ネットワーク、すなわち横に連携する力、四番目、コミュニケーション能力、五番目、特に管理職のマネジメント能力、この五項目の向上に重点を置きました職員研修体系の整備充実を初め、OITAチャレンジ運動など職員提案制度の充実などによりまして職員の改善意欲の向上を図りますとともに、職場を挙げて改革に取り組む組織風土づくりを推進することといたしております。 今後とも、このような取り組みによりまして、職員の意識改革をさらに進め、政策県庁の実現に努めてまいりたいと考えております。 以上です。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ありがとうございます。 とても立派な案ができていると思います。そして、その中に私が言いました具体的なことも組み込んでいただいて、よい研修をされて、それが実際に機能しているということまで、いわゆるPDCAを行っていただいて、報告をいただくとありがたいと思いますので、よろしくお願いします。 次に、元気な大分県づくりについて提案をいたします。 子育て、教育に始まり、職場、地域、医療、福祉、政治などあらゆる社会生活は、人間関係を通して営まれます。そして、生活のあらゆる場面で、人間関係がうまくいかないことで大きな問題が多数発生しています。 資料、図一をごらんください。自己と他者の関係を図にあらわしたものですが、縦軸は自己尊重力の有無、横軸は、自分と違っている他者を認める他者尊重力の有無をあらわしています。左上は、自己尊重力はあるが、自己と違うものを排除する、他者尊重力がない排他主義の人間関係です。戦闘的で攻撃的で、いらいらしやすく、心臓病になりやすいタイプです。そして、右下は、私も以前そうでしたが、自信がなく、人がどう思うかが気になり、納得しないまま我慢をして心を閉ざすタイプで、うつ病や不登校、ひきこもりになりやすい人々です。さらに、左下では、自他を受け入れられず、自殺、犯罪など破滅に至ります。 多様な価値観を尊重する知事の基本方針は、まさに図一の右上に当たります。本当にすばらしいと思います。自分と他者が違いを認め合いながら尊重し合い、目標を共有し達成していくことで元気な大分県づくり間違いなしです。ありがとうございます。 自他尊重は、まず、だれもが無条件に大切です。大切でない人なんていないんです。だれもが遺伝子に無限の可能性を持ち、体験と学習により、だれもが変化し、成長できる、そのことを知っていることから始まります。 そして、自他尊重は、今のことに始まりますが、これを具体的な政策に落とすのは難しい、心理の問題と思うかもしれません。しかし、工夫でいろいろな方法を展開することができます。例えば、自他の成功を喜ぶ標語づくりやエッセイの募集、失敗を肯定的にとらえる標語や事例集の応募などで、自己尊重力とは何かを県民が意識します。他者尊重力の育成のためには、いろいろな部署で、自分と違う他者を理解し、尊重する傾聴などのコミュニケーションの実践練習講座をふやします。さらに、自他尊重の態度で、目的や目標を明確にして、みんなが意見を出し合って合意を得るという会議の仕方や体験の学習をいたします。これにより、子供を初め多くの人が、失敗を恐れず積極的になり、他者を信じられるようになり、家庭、学校、地域、職場などで人間関係が良好になり、組織や集団の日常活動が活発で元気になります。元気な大分県が実現します。 精神保健におきましても、社会から孤立して生きる人々を減らし、いじめ、不登校対策やメンタルヘルス、自殺の予防、介護、福祉、障害者の支援などに効果があり、福祉予算も減額できます。 自他尊重による集団づくりの意識を高め、実践訓練をふやすことで、元気な大分県を実現することが必要な時代であると考えています。 そこで、行政、議員、民間が一体となって元気な大分県づくり推進のための協議会を設置することを提案いたします。この協議会では、例えば、大分県心の元気づくり宣言を作成するなどに取り組みます。そして、行政、議員、民間がこれに基づいた施策の構築、推進を図ることになります。私の提案に対するご見解をお聞かせください。 ○井上伸史副議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 議員ご指摘のとおり、自殺やいじめ、不登校といった問題につきましては、自分や他者をともに尊重する社会の実現が重要であると考えています。そのため、今回見直しました「安心・活力・発展プラン」におきましても、一人一人の多様な生き方をともに支え合う社会の実現などを目指した「人権を尊重する社会づくりの推進」を盛り込んでいます。あわせて、助け合い支え合いによる豊かな地域生活の実現や豊かな心をはぐくむ学校教育の推進なども盛り込んだところでございます。 これらの施策につきましても、関係部局において、民間の方も参加する組織を設けまして取り組んでいるところであり、議員からお話のございました自他尊重も踏まえまして対応していくことが肝要であると考えております。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 政策県庁として大変立派に取り組んでおられることは高く評価しております。しかし、十分でないからこそ、自殺が日本全国の中でも多い、不登校も多い、いじめも多い。それは、自他尊重というのではなく、ケアとして、マイナスになったものを解消していくという形での政策しかとられていないからではないかと私は考えています。 ご答弁も、マイナスからの立ち上がりからまず始まりました。もうちょっと、逆に、プラスの社会をつくるために自他尊重を利用するということが必要であるため、私は協議会の設置をぜひお願いしたいと思います。 そして、議員の皆様もご一緒に、やっぱり議会活性化のためにも、会派ではなく、私は、一人一人の意見が尊重されて、よい大分県になるということが議会の務めであるというふうに思って、議会に立候補いたしました。そのことも踏まえまして、ただ政策県庁をちゃんとやるだけではなく、県民を巻き込んでやるという視点からのご答弁をお願いします。 ○井上伸史副議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 プラス面の発想から自他尊重の社会づくり、まさに、すべての人が自己決定を尊重され、また、すべての人が多様な価値観、そしてまた、その生き方を認め合う社会、これはやはり、行政として希求すべき課題だと考えております。その目的達成に向けて、今も既にそれぞれの課題ごとに協議会が設置されております。まずは、こうした既設の協議会等がその役割を十分に担っていくことが重要であると考えております。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ありがとうございます。 今のご答弁は、目を治し、耳を治し、足を治し、部分を治していく、しかし、全体としてはどこへ行っているのか。骨が弱り、血液循環が滞る、そのように私には受けとめられます。やはり、県全体が自他尊重に向かって推進していくのだという強い決意が要るのだというふうに考えております。 これは、きょう答弁をいただくのは、部長の権限としてはご無理でしょうか。 ○井上伸史副議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 先ほど申し上げましたとおり、自他尊重の社会づくり、これはやはり、行政として希求すべき姿だと、かように考えております。 以上でございます。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 大変前向きな答弁で、今後いろいろなことが起こってくるのではないか、私が次回の質問のときには、もう本当に躍り回って喜ぶのではないかと思いますので、よろしくお願いします。知事も笑っておられますので、私も安心いたしました。よろしくお願いします。 次に、これからの農業についてお尋ねいたします。 農村の過疎化、村落の崩壊がみるみる進んでいます。そして、都市郊外から田んぼが消え、更地が目立ち、アパートがふえ、そして農業といえばハウスが主流になっています。 そんな中、高校統廃合による再編成で、県下から単独の農業高校は、いずれ全くなくなることになりました。最終的には農業系学科は県下に十クラスとなり、そのうち二クラスは平成二十五年四月に大分東高校に設置されます。 大分東高校の農業系学科新設の取り組みは、水田も畑もない、花卉栽培のためのハウスを百五十平米掛け八棟のみという状態からのスタートでした。その後、テニスコートをつぶし、畑地を百六十平米掛け四枚用意し、農機具の実習には、遠く離れた現山香農業高校の農場や宿泊施設を利用すると聞いております。 ほかにも、高校の統廃合により使わなくなった農地、農機具などの施設設備が大分県内には眠っておりますが、行方が気になるところでございます。 ところで、私たち県民クラブは、政務調査活動で北海道でのTPPへの取り組みを調査いたしました。北海道は、国や大分県の目標とする耕地面積を既に達成しています。作物ごとに試算した結果、TPPにより北海道農業は壊滅するとのことで、道を挙げてTPPに反対しておられました。TPPの賛否は別にして、圃場整備による営農だけでは水田は消えてしまうでしょう。 大分市の青果市場を訪ねました。大手スーパーを訪ねました。熊本、北海道産などの県外産の野菜があふれています。一方、関西を中心とした県産農林水産物の県外出荷が新聞などに大きく報道されています。これも大変大切なことだと存じております。 同じく政務調査活動で訪問した長野県では、農業単独高校が七校、そして農業系科目を学習できる高校が五校、計十二校存続しておられます。そして、「エコロジカル・アグリ・ハイスクール」を宣言し、その中で、農業系高校は、自然と地球環境を守り、命をとうとび、我が国が持続可能な循環型社会に移行するために、その積極的役割を果たすと宣言し、具体的実践教育をしておられます。 私が先ほど知事に未来像を伺ったのは、このことも関連しております。 そのうちの一つ、下伊那農業高校を訪問いたしました。太陽のもとで広い農地を耕し、畜舎で牛の出産に立ち会う生徒たち、一方で、重油高騰のあおりでトマトのハウス栽培がストップしておりました。 一方、我が大分県では、農業の構造改革がもうかるに焦点化し、数値目標二千百億円が先行し、もうからない環境や命を守る農業は背後に退いています。稲作を知らないで、重油を使うハウスで花卉栽培や水耕栽培を教えられた生徒には、環境や命のとうとさの担い手としての誇りは、やや弱いものになると存じます。 そこで、今後の大分東高校を初めとする農業系学科の教育内容と施設設備についてどのような方針か、お聞かせください。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 農業系学科の教育についてお答えします。 本県の農業教育では、人間性豊かで幅広い知識、技術を持ち、社会の変化にも対応できる農業の担い手の育成を目指しています。 農業系学科では、学習指導要領に基づき、農業の基礎的、基本的な知識と技術を習得するとともに、それぞれの地域に合った農業を学習しています。 こうした中、露地圃場での実習では、農薬をできるだけ使わない栽培方法など、環境や食の安全についての学習に取り組んでいます。 施設整備では、既存の畑や水田なども有効に活用しながら、ハウスなど必要な施設について、それぞれの学校の実情に応じて整備をしてまいります。 大分東高校についてですが、地元大分市では野菜を中心とした施設園芸が盛んなことなどを踏まえ、農業の担い手育成を軸に、農業大学校や大学農学部への進学にも力を入れ、施設栽培や食品加工などの都市型農業教育を推進する方向で検討を進めています。 施設設備についても、底面給水や養液栽培などさまざまなタイプのハウスや食品加工室など、その特色に沿って整備したいと考えています。 以上です。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 大きな問題ですので、これから教育委員会を中心に、私の意見も入れていただいて、教育長がまた音頭をとっていただいて、立派な大分東高校に学ぶ生徒が巣立つのを希望しておりますので、よろしくお願いします。 次に、お手元に配付の資料の図二をごらんください。 私なりの考えとして、大分東高校の農業系学科設置を核にしながら、新しい地域づくりの構想を図式化してみました。そこでは、地域の人に協力をいただいて、水田バンク、畑地バンク、果樹園バンク、農機具バンク、人材バンクなどをつくります。地域の土地と人に感謝しながら、子供たちは、営農や六次産業化などのもうかる農業を学ぶとともに、環境と命をとうとぶ農業を学びます。現行の農業検定試験を充実し、県が積極的に進路先を開拓します。農業大学校や他県の農学部だけではありません。環境学科が大分大学にできます。農がわかると、非常に有力な職業となる。子供たちを栄養士や食育士や保育士や作業療法士、社会福祉士、精神保健福祉士ですが、これも農を知っていると知っていないのでは全く違います。 私は、不登校の生徒を農業ツーリズムの方に連れていったりしました。この前、作業療法士と行きましたら、大根を知りませんでした。子供たちを農業を知っている社会人にするということは大切なことだと思っています。そして、それは大学や専門学校にとっても魅力的なはずです。地域の子供たちや大学生も、この各バンクを利用することで、農業に親しみ、農業系学科への関心が高まることでしょう。 これも政務調査活動で訪問したのですが、三重県の相可高校では、生徒が地元の農産物を使って、自分たちでメニューを考え、調理し、お客さんに提供するというような本物のレストラン経営を行っていました。本物は、教育においてとても大切です。レストランは大繁盛で、生徒の職業意識が高まり、高校卒業後の職場定着率が高いため、求人が四倍以上の実績を上げていました。 将来的には、この地域では、佐野流通団地などを利用した施設園芸や六次産業化、ヨットハーバーを利用してのレストラン経営なども計画できます。地域の底力がまさに発揮できる条件が整っていると思います。 私たち、特に女性、高齢者かもしれません、土に生え、太陽と水の恵みで育った新鮮な作物を家族に食べさせたいんです。家族の健康と食の楽しみを守りたいと思っています。重油や化学肥料はできるだけ使いたくありません。飛行機に乗ってきた土地も知らないようなきれいな野菜を食べるだけでは、私たちは幸せではありません。 狭い水田も、耕作放棄地になりますと、鳥獣被害もふえます。私たちは、何とか耕作放棄地を少なくして、水田を残していきたい。そして、緑のツーリズムを観光資源としても利用していきたいと思っています。 六次産業の方が複合営農という言葉を教えてくれました。自分たちの主食、あるいは自分たち以外の何人かの主食をつくる水田耕作をしながら、複合的にもうかる農業を工夫します。定年退職後、少し農業をしたい人、農業外の仕事をしながら少し農業をしたい人、県庁の六十歳以上の方も入るかもしれません。水田や畑の提供者とのコーディネーターも必要です。 手の届かないところで私たちの環境や命が損なわれるのは困ります。国を待っていても、らちがあきません。環境と命を守りながら、しかも知事のおっしゃるもうかる農業を目指す体制をつくることこそ、農業の構造改革だと私は考えています。 大分東高校の農業系学科の生徒が、環境と命をとうとび、六次産業化を初めとした多様な農業経営を身につけ、新しいタイプの農業のスペシャリストになっている姿を想像すると、わくわくするのは私ばかりではないと思います。非公式ですが、大分市や地元の皆さんにもお話をしてみました。すべてお話しした方は協力的でした。できないはずはないんです。できないと決めたときに、構想がしぼみます、できなくなります。行政、学校、地域が協力して、モデルケースをつくり、全県下に、日本全国に発信することを提案いたします。 これは、美術館ほどお金はかかりませんが、大分県、大分市、地元住民、地域内外の農業、商工業などの専門家が協力する体制を必要とする大事業です。知事のご英断のもとに、いろいろな知恵と汗が結集されることで初めて実現する大きなプランだと思います。私の提案についてご見解をお伺いします。 ○井上伸史副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大分東高校の農業科でございますけれども、それぞれの地域に合った農業を学習できるように、県内各地にバランスよく農業系学科を配置するという方針に沿いまして、大分市内では初めての設置となるものであります。 議員のご質問の中で、同校に対する議員、あるいは地域の方々のご期待を、強いものを受けとめまして、大変うれしく思ったところであります。 農業科につきましては、これからの農業を担う若者には幅広い学習が必要になるということで、総合選択制を導入いたしました。専門性が失われるんではないかというご心配を初め、いろんなご心配をいただいておりますけれども、例えば、同じ総合選択制を取り入れております国東高校でございますけれども、安全、安心を農業生産の工程管理手法として確立しておりますJGAPを高校としては全国三番目、九州では初めて取得しておりまして、なかなか元気にやってくれております。こうしたことも、議員ご提案のように、農業科を設置する高校が農林水産部や大分大学などとの連携を密に行っている成果だと思っておりまして、今後、農業教育を充実させていくためには非常に大事なポイントだというふうに思います。 大分市は、オオバやミツバ、ニラ、イチゴなど企業的経営を中心とした生産が盛んであります。そこで、生産技術や農業経営などについて、そうした方々から直接学ぶ機会を持ったり、あるいは振興局などの関係機関と連携をとって最新の知識や技術に触れるなど、地域と積極的にかかわるような工夫が必要だというふうに思っております。 大分東高校では、歩道沿いの花壇の整備などに地区住民と協働して取り組んでいると聞いていますけれども、こうした活動も今後一層進めて、地域とともに発展する高校になってもらえればというふうに思っております。 休耕田や使用しなくなった果樹園などをどうするのかということも大変大きな問題でありまして、みんなで知恵を出し合っていかなければならない課題だというふうに思います。 新設する農業科の施設につきまして、学校周辺に生徒の実習に活用できる土地があれば、ぜひ使用したらいいじゃないかということで調査をしてもらいました。残念ながら、久しく耕作されず、すぐには使えない状態であったり、あるいは、実習で使用する水の確保や生徒の安全管理上の課題が多いといったようなものでして、最終的には、学校の敷地内に生徒の学習上必要な施設等を整備するということにしたところであります。 大分東高校の農業科の生徒が意欲的に学習に取り組んで、学校全体が活性化する中で、あわせて地域とのつながりが出てくるということになれば大変にありがたいというふうに考えております。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ありがとうございました。 私は、第二の地元としておりますので、地域住民で、もっと土地を提供したい、もっと知恵を提供したいと思う人が、教育委員会で把握しておられない方でたくさんおられますので、私がコーディネートなどをできればというふうに存じますので、その際には、ぜひ積極的に利用していただきたいと思います。 次に、教育についてお尋ねします。 教育委員会からよく教育の信頼回復という言葉を聞きます。教育委員会が考える本県の教育の信頼が回復した状態とはどのような状態をいうのか、わかりやすく説明をお願いします。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 教育の信頼回復についてお答えをします。 平成二十年の事件は、教員採用選考試験に関することだけではなく、本県の教育そのものへの不信を招いたと考えています。 このようなことを二度と起こさないよう、採用試験や人事制度、組織の見直しなど徹底した改革を行い、権限と責任が明確で透明性の高い教育行政システムを構築してまいりました。 その上で、子供たちが夢に挑戦し、自己実現できるよう、知、徳、体の調和のとれた子供を育成することが大切です。このような教育本来の目的を実現することによって、県民の皆さんから信頼をいただけるものと考えています。 これまで、学力向上支援教員や体育専科教員を活用した教員の授業力の向上、夏休みの補充学習、学校、家庭、地域が協力して県民総ぐるみで子供を育てる取り組みなどを進めてきました。こうした中で、地域独自の学力、体力向上に向けた新たな動きも出てきており、成果もあらわれ始めています。今後とも、こうした取り組みを継続し、しっかりと定着させることで、大分県教育への信頼回復につなげたいと考えています。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 教育につきまして、先日も教育長の答弁にありましたが、噴出する教育課題について、それぞれ立派な対応をしておられると思います。 先ほど言いましたが、全体として子供がどのように育つかということは、何の法律によって、あるいは何の文部科学省の通達によって定まるか、教育長のご見識をお願いします。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 学校教育において子供が身につけるべき力、そして、どのようにそれをつけていくかについては、学習指導要領に定められているというふうに私は理解をしています。教員が学習指導要領にのっとって授業等を進めることによって必要な力がつくというふうに考えています。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 この三月、教育基本企画の見直しが行われました。それは、時代の潮目を読んで、これからの混沌とした不透明な二十一世紀で、日本が国際人として育つにはこのような人格が育たなければならないというものを定めたものであります。そのことについてお伺いします。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 残念ながら、私、存じ上げておりません。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 そのことが大変心配です。 私は、教育長は法の専門家であるというふうに聞いております。教育内容が今から大事というときに、国が出している教育基本企画はインターネットにも出ています。 私は、職員さんのお計らいで文部科学省にも直接行ってきました。その中で伺いました。そのときに、目を治し、鼻を治し、耳を治し、そして知力や心の力や体力というのは時代を超えていつでも必要なものです。次代を担う子供たち、日本の未来を託す子供たちがどのようにあればということは、しっかりと把握を願いたいと思います。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 ここ十月以来、それなりに一生懸命やってきましたけれども、まだまだ勉強不足というご指摘だと思います。 国の動き、あるいは県の中での、それぞれの現場、しっかり情報を把握し、いろんな情報も得ながら仕事を進めていきたいと思います。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 誠実なお人柄を感じました。ありがとうございます。 そして、やっぱり二十一世紀を担う子供がどのように成長するか。教育基本企画の中では、まず能動性ということを言っております。それから、多様な経験と多様な見方、そして、自分が学んだものを社会に生かす力というふうに言っております。 そのほかにも、大変、これからは私はこのとおりだと思うことを書いておりますので、ぜひお読みになって、また、できましたら、私どもとしっかりと教育談義を交わしていただけたらと思います。いかがでしょうか。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 教育談義を交わすことにやぶさかではありません。やりましょう。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 ありがとうございます。 そうすると、もう第二の質問はいいんですが、教育委員長や教育長におかれましては、ぜひ私どもと、やはり、教育の内容の専門家はたくさんいますので、今、教育庁は、あつものに懲りてなますを吹く状態で、教育内容の専門家が入りにくい状況があるというふうに私は感じております。それで、よろしくお願いします。 次に、公文書の管理について。 三年前、公文書の改ざんや紛失が起こりました。それについて、防止や抑止のための法整備が必要だと私は考えていますが、その辺はどのように進んでいますでしょうか。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 公文書の管理についてです。 公文書の改ざんは、刑罰法規にも抵触する可能性もある許されない行為であり、文書管理や服務規律の研修などを通じて、繰り返し徹底を図ってまいります。 紛失の再発防止については、教員採用等の選考試験に係る文書の専用書庫を確保し、かぎつきのキャビネットで厳重に保管するなどの見直しを行ってまいりました。 規定の整備に関しては、県教育委員会文書管理規程及び事務決裁規程を改正し、保存期間や廃棄の決定に係る決裁権限を班総括から所属長に引き上げるなどの対策を講じています。 また、毎年、文書取扱主任や学校事務長等に対し研修を実施するとともに、職員が常時業務に活用できるよう手引書を作成するなど意識の徹底を図っているところです。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 できれば法整備し、処罰まで規定していただけるとありがたいというふうに思っています。 次に、県では不登校生徒への対策としてスクールカウンセラーをふやしています。スクールカウンセラーは、すべてが非正規雇用です。その勤務体制についてお尋ねします。 年齢構成、時給、勤務校の決定の仕方、平均通勤時間、研修制度、研修内容についてお尋ねします。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 本県では、小、中、高等学校百九十八校に八十人のスクールカウンセラーを配置しています。 年齢構成は、二十歳代二十九人、三十歳代十一人、四十歳代十一人、五十歳代七人、六十歳代十八人、七十歳代四人です。 時給には二通りありまして、臨床心理士などの資格を有する者には三千七百七十円、心理業務や教育相談業務に一定期間従事した経験を持つ者は二千四百円です。 勤務校は、スクールカウンセラー本人の配置希望に加え、学校や市町村教育委員会の意見を聞いた上で決定をしております。 通勤距離は、例えば県立高等学校に配置している二十人の場合、自宅から平均で二十六キロメートル程度であり、平均通勤時間は、交通状況にもよりますが、片道四十分程度です。 研修は、スクールカウンセラーをより効果的に活用できるよう、学校や市町村教育委員会、関係機関との連携方法等についての研修会を年三回実施しております。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 研修については、ヘビーな事例を研修している場合が多くて、軽い不登校の人をどうやって復帰するかという研修が必要だと思っております。 次に、うつ病の治療や自殺予防に認知行動療法の有効性がクローズアップされています。自己や他者や状況に対する認知のゆがみを知り、修正する治療法です。 不登校やメンタルヘルスによる休職の予防対策として、認知行動療法を改編した、生徒用や職員用のテスト用紙を作成し、生徒の保健教育授業や教師の日常研修に利用することを提案いたしますが、ご意見をお聞かせください。 ○井上伸史副議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 議員ご提案の認知行動療法については、うつ病や自殺防止対策として、県こころとからだの相談支援センターや大分大学等が医師などへの専門研修を実施しております。 県教育委員会では、これまで教職員のメンタルヘルス対策として、専門医や保健師、こころのコンシェルジュ等による組織的な相談活動やストレス診断の全員実施の徹底に取り組んでおります。 児童生徒の不登校や教職員のメンタルヘルスによる休職にはさまざまな要因があり、対策としてどのような方法が有効であるか、年々研究を重ねているところです。 認知行動療法のメンタルヘルス対策への活用については、同療法についての知識や技術の習得方法等にも課題があることから、今後の相談活動にどのように生かしていけるか、さらに研究を進めてまいりたいと考えています。 ○井上伸史副議長 竹内小代美君。 ◆竹内小代美議員 前向きなご答弁をありがとうございます。 認知行動療法というのは、治療だけではないんです。日常活動の中で私たちは認知のゆがみを、私自身も、きっとこの中のすべての人が持っていると思います。どれが認知のゆがみなのかを知っていく、そして自分の脳を変えていく、そして前向きに明るく生きることは、自他尊重と同時に、私たちが元気な大分県をつくる上でとても役に立つと信じております。 前向きなご答弁を、さらに予防へ、元気な大分県づくりに生かしていただきますようお願いして、答弁に対する私のお答えといたします。とても大切なことをたくさん答えていただきました。ありがとうございました。(拍手) ○井上伸史副議長 以上で竹内小代美君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。     午後零時三十二分 休憩  -------------------------------     午後一時三十三分 再開 ○志村学議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。嶋幸一君。  〔嶋議員登壇〕(拍手) ◆嶋幸一議員 嶋幸一でございます。質問の機会を賜りまして、大変ありがたく思っております。 先ほどの質問で、自他尊重の話がございました。私も自他尊重の精神を持って質問してまいりたい、こう思っております。 東日本を襲った大震災、大津波から一年が経過をいたしました。この一年間、多くの方々の懸命な支援や協力によって今日があるわけでございますが、本当の意味での被災地の復興、自立に向けた本格的な取り組みはこれからでありまして、復興への道のりを一歩ずつ踏み固めて進んでいかなければならない、そう思っております。 そういう中で、大分県として被災地の復興へ向けてどのような支援ができるのか、改めて問い直す時期でもあると思います。被災地自治体としっかり連携を図って、被災された方々の立場や目線で、一日も早く復興に結びつく支援というものを継続して行っていくということが大切だというふうに思います。 大震災で発生した瓦れきは、東北三県で推定二千二百五十二万トン。宮城、岩手両県では全力でこの瓦れきの処理を行っておりますけれども、その量は、宮城県で通常の処理量の約十九年分、岩手県では約十一年分、現時点で処理を終えた量は全体の六%にすぎないということでございます。 このような厳しい現実を前にして、私たちに今求められていることは、新たな行動であるというふうに思います。 そういった状況の中、先般、知事は、この大震災の瓦れき、もちろん放射能の心配のないものについてでございますが、その受け入れに前向きな姿勢を示されました。 東日本大震災では、全国の人々が自分たちでできることは何かということを考え、行動してきたと思います。こうした他者への思いやりや責任感こそが、私たち日本人が本来持っている力だと思います。ですから、被災地へ私たちが手を差し伸べて、この国難を国民全体で乗り越えていこうとする姿勢は極めて当然のことだと思います。私は、このたびの知事の姿勢というか、考えに、最大限の賛意を表するところでございます。 そこで、知事の被災地復興の思いと中長期的な復興支援の取り組み、どのように考えているのか、お尋ねをしたいと思います。  〔嶋議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○志村学議長 ただいまの嶋幸一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 嶋幸一議員のご質問にお答えいたします。 先ほどのご質問のお話がございましたけれども、あの質問の際に、余り責め立てられると殻にこもってうつになるというお話でございましたので、どうぞお手やわらかにお願い申し上げます。 被災地の復興についてのご質問でございました。 未曾有の大震災から一年が経過いたしました。振り返りますと、日本全体で被災地を支えたいという強い思いの中、大分県でも支援物資の輸送に始まり、職員やボランティアの派遣、被災者の受け入れなど、まさに県民一丸となって被災地支援に努めてまいりました。 去る一月二十五日には最後の支援物資が搬送されましたけれども、その総数は一万七千箱を超えまして、また、現在でも港湾や道路の復旧など町の再生に向けて、専門技術職員や警察官四十四名を派遣し、支援活動を続けているところであります。 先日、福島県で被災し、大分県に避難されたご夫婦から手紙をいただきました。そこには、大分での暮らしぶりや県民への感謝の言葉が丁寧につづられておりました。その中で特に印象に残りましたのは、「大分県にて心の復興ができた」という言葉であります。心身とも元気になったお二人は、「これからは福島に戻って、地域の力になりたい」と、この三月にはふるさとに帰られるということであります。 被災地が一刻も早い復興を遂げることは、私たち大分県民の願いでもあります。国難とも言うべき事態にかんがみまして、被災地の復旧、復興への歩みにこれからもしっかりと寄り添って、支援していくことが大事だというふうに思います。 他方、今回の災害は、原発事故が重なりまして、放射性物質による広範囲な影響が心配されました。 県では、震災後直ちに大気中の放射線測定の対応を強化し、また、測定機器を追加配備するとともに、測定に従事する専門職員の育成を行っているところであります。 既に、県外から持ち込まれる産業廃棄物につきましては、県外の事業所に出向いて搬入前の検査と県内の最終処分場への搬入後の検査を徹底するなど、放射性物質についても安全対策を講じておりまして、これまで問題は発生しておりません。 今、被災地の復興に向けて当面急がれるのは、大量に発生した瓦れきの処理であります。 震災瓦れきにつきましても、県として既に実施しております産業廃棄物処理と同様に、厳格な安全確認体制のもと、県も市町村と一体となって放射性物質による汚染の心配のないことを適宜確認していきたいと思います。 あの震災の際、被災地の方々が助け合い支え合う姿は、国民のみならず、世界じゅうから感動を呼び起こしました。今、その被災地の方々が求めているのは瓦れきの処理であります。 県といたしましても、被災地とのきずなに思いをいたしながら、市町村のご理解もいただいて、広域処理の実現をしっかりと目指していきたいというふうに考えております。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 ありがとうございました。 では、瓦れきについてお尋ねをいたします。 この瓦れきを本県で受け入れるに当たっては、知事の答弁の中にもありましたけれども、まずは安全性の確保だと思います。その上で、一般廃棄物処理施設は市町村の管理でございますから、市町村の理解を得なければなりません。 安全性については、岩手県、宮城県の瓦れきでございます。岩手や宮城では地元の瓦れきを処理しているわけですから、そのデータをとったり、あるいは東京での処理情報もある。さらなる安全性の確保はできると思いますが、知事の考えを受けて、当局は、そこらあたりの作業は進めておられるのか、それから、県内市町村は受け入れの可否についてどのような状況なのか、お知らせをいただきたいと思います。 ○志村学議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 お答えいたします。 まず、市町村の受け入れの状況についてでございますけれども、震災直後の昨年四月に国が広域処理の意向調査を行った時点では、全国で五百七十二、県内では七市二事務組合が受け入れを表明いたしました。 その後、放射性物質による土壌や農畜産物への汚染被害が発生いたしましたことから、十月の再調査では、受け入れ検討を表明した自治体は全国で五十四に減少いたしまして、県内では受け入れを可能とする市町村はなくなりました。 次に、市町村への対応についてでございますけれども、これまで災害廃棄物関係会議を二回開催いたしまして、被災地の実態や広域処理の必要性を市町村に説明いたしました。 そうした中、広域処理に当たりましては県民の不安解消に努めることがまずは必要であることを国に対して申し入れるとともに、県内外から寄せられた多くの意見等もしっかり伝えたところでございます。 今後は、先行している東京都、山形、青森の事例を積極的に情報収集いたしまして、市町村にも随時提供しながら、災害廃棄物に理解を求めていきたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 県内の市町村、物理的にも難しいというところ、あるんでしょうが、まずは安全基準の確保だというふうに思います。 放射性物質対処特措法に基づく国の基準、これはIAEAが国際的にも整合性がとれているとしておりますが、可燃物のセシウム濃度二百四十から四百八十ベクレル、焼却灰の濃度は八千ベクレル。しかし、国の基準ではなかなか理解が得られないということならば、県民の安心、安全の確保、県民や作業員の不安を取り除くために、山形県のように県が独自の基準を設ける、その上で徹底した安全管理体制をとるとか、安全処理のための方法の確立が必要だと思います。その辺のことはやっぱり独自でやるぐらいの意気込みというのが欲しいと思いますが、どうでしょうか。 ○志村学議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 大分県の産業廃棄物につきましては、従来からクリアランスレベル、百ベクレル以下という基準を設定いたしまして、受け入れを行っております。 一方、災害廃棄物につきましては、現在既に受け入れを実施している東京都では、実績で百ベクレル以下、青森では百ベクレル以下、山形は二百ベクレル以下というように独自基準を設定してございます。これらのことを参考にしながら、県民の方々に安心していただけるような基準を考えていきたいというふうに思っている次第でございます。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 受け入れを現実的なものにするために、まずは安全基準をしっかり明確にするということが大事だと思います。その上で、県内のすべての市町村長に知事が直接訴える、住民の皆さんに対する理解というものを真剣に求める。市町村は、知事がそこまで言うんなら、それにこたえようという気持ちになるんだと思います。 大分県として、瓦れきの処理を進め、大震災の痛手に苦しむ東北の被災地の復興を全力で支えるんだという知事のリーダーシップというものが必要だと思います。 知事は、この瓦れきの処理、どういうスタンスで臨まれるのか、知事の決意をお聞かせください。 ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ただいま嶋議員から大変貴重なご示唆をいただきました。 県独自で、全国的な動向も見ながら基準を定めるということも一つ大事な、前に進める大事な手だてになるかもしれません。あるいはまた、直接、市町村長さんに私からお願いするということも大事かもしれません。県内の状況を見ながら、今ご指摘のあったようなことも含めて検討して、前に進めていくように努力をしていきたいというふうに思います。 ここで、やはり、助け合い支え合いの気持ちを大分県民も示すということが大変大事な時期だというふうに思っておりますから、そんな気持ちで、安全をしっかり確保しながら、その気持ちをあらわすように努力したいというふうに思っております。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 受け入れに当たっては細かい課題というものがたくさんあると思いますが、まずは受け入れを現実的なものにするために、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。 次に、我が大分県の県民を守る防災対策についてでございます。 大分県の地域防災計画の見直し、佳境に入っておりますが、いずれにしても万全な備え、あらゆる準備をしておかなければなりません。 そういう中で、防災、災害対策において最も大事なことだと私はいつもあちこちで申し上げておりますが、それは私たちの意識改革だと思います。 日本人は、もっと自国の国土というものを理解しなければならない。特に、大分県の私たちは、自然現象によって日本一の温泉という恩恵を受けているわけですから、自然環境、自然現象と共存する宿命にあるということを深く理解しなければならないと思います。その理解に基づいて、意識を高めていかなければなりません。そのためには教育であります。 昨年の議会でも触れられておりました釜石の奇跡。これは、岩手県は釜石市の中学校で、三月十一日、部活をしていた中学生が、揺れる大地の中、みずからの意思で駆け出した。隣の小学生、日ごろから合同避難訓練をしていたという小学生の手を引っ張って走った。それを見た地域住民も避難を始めた。子供たちは、その避難場所も危ないと思って、さらに奥まった場所に移動した。間もなく、最初の避難場所は津波にさらわれたという実話でございます。 この子供たちは、想定にとらわれるな、置かれた状況で最善を尽くせ、率先避難者たれということを防災教育で学び、実行したということでございます。 大分県においても、こうしたみずからの意思で生き抜くという姿勢を身につけることができる防災教育というものをしていかなければならないと思います。それが、先ほど申し上げた私たちの意識改革、県民の防災意識の向上につながるんだと思います。 小学校から高校まで体系的な防災教育が必要だと教育委員会も考えているようでございますが、今後、具体的にはどのようにこの防災教育を進めていくのか、お尋ねをいたします。 ○志村学議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 お答えします。 学校教育では、自分の命を自分で守る自助を基本とし、主体的に判断、行動できるよう発達段階に応じた防災教育を推進し、防災意識の定着を図ることが重要と考えています。 このため、従来の避難訓練に加え、災害時に臨機応変に対応できるよう、休み時間や登下校時での災害発生も想定した、より実践的な訓練を繰り返し行うよう指導しています。 あわせて、来年度はモデル校において、防災安全マップの作成、水の流れに逆らって歩き、津波の威力を実感する学習、緊急地震速報を使った事前予告なしの避難訓練などを実施することとしています。 こうした取り組みの成果を検証しながら、実践事例集を作成し、全学校に普及していきたいと考えております。 以上です。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 先月ですけれども、私どもは、会派の調査で、岩手県は、これも釜石ですが、ある保育園に行ってまいりました。この保育園、昨年の地震で津波にのみ込まれて消失をしておりました。この保育園の施設は消失しましたけれども、八十名の子供たち、そして職員、全員が無事でありました。 地震発生時、大きな揺れを感じた園長先生は、その後、五十センチの津波予報を受けた。津波情報は五十センチでしたけれども、これはただごとではないということで、子供たち、職員を連れて、日ごろ行っている避難訓練で避難している場所に避難をした。さらに、子供たちをもっと安全な場所へということで、二次的に避難をしたという話を聞きました。私は、この園長先生の適切な判断、行動、見事だと思いました。子供たちのかけがえのない命を守った園長先生の行動力、私たち全員が敬服をしたところでございます。 子供たちだけでなくて、親や学校の先生、保育園の指導者はもとより、社会全体の意識が変わっていくように、私どももあらゆるところで発信をしていきたいと思います。ともに力を合わせて頑張っていこうではありませんか。 子供たちの安全、安心を守るために、学校の防災対策にも力を入れなければなりません。 教育委員会は、昨年九月に防災・避難対策マニュアルを作成し、地域や児童生徒の実態に即した防災計画の見直しを図り、想定にとらわれず、災害に立ち向かう主体性を持った、実効性のある対策を考えてほしいとしております。 それぞれの学校が主体性を持って危機に立ち向かう、大変結構なことでありますが、震災発生時には通信網、交通機関の麻痺などで帰宅困難者が多く発生をする、通信遮断時の連絡手段の確保、命令系統の整理、児童生徒の保護者への引き渡しの判断など、児童生徒の安全を最優先に考えた学校の防災対策について、教育委員会が主体性を持って取り組むべきこともあると思いますが、いかがでしょうか。 ○志村学議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 お答えします。 学校における防災対策は、児童生徒に対する防災教育のほか、学校施設の整備や学校防災計画作成などの防災管理、校内の指導体制づくりや家庭、地域との連携などの組織活動を総合的に推進することが重要です。 防災管理の面では、避難場所や経路、防災計画の見直し等について指導助言する県の防災アドバイザーを派遣し、各学校の防災体制の整備を図ります。 組織活動の面では、教職員の実践的、組織的な防災対応能力を向上させるため、学校安全防災研修会を開催いたします。 家庭との連携が特に重要となる通信遮断時の連絡手段や保護者への引き渡しなどについては、あらかじめ学校と保護者の間でルールを決めておくよう指導しているところです。 学校の防災対策においては、それぞれの学校の実情を踏まえ、家庭や地域との連携を図りながら、学校みずからが取り組むことが重要であり、県教育委員会としては、市町村教育委員会と協力して、防災対策の充実に向け、指導、支援してまいりたいと考えています。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 次に、私学の防災対策について伺います。 本県の公立高校、二十三年度予算ですべての施設の耐震化が終了すると聞いておりますが、私立学校は、公立に比べ取り組みが進んでおりません。今後は、私立学校における児童生徒の安全確保へ向けて、私学の耐震化を早急に進める必要があると思います。 県は、来年度から、国庫補助に県が補助を上乗せするなどして、平成二十七年までに耐震化工事を完了するということであります。県下のすべての子供たちの生命、安全をひとしく守ることが県の基本的な責務であり、県のこの取り組み姿勢に期待をしているところでございます。 私は、国の補助率、特に補助対象の拡大も必要だと思いますが、二十七年度までに完了するというこの県の責務を果たすため、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。 ○志村学議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 お答えします。 私立学校の施設百八十一棟のうち、耐震化済みの施設は二十三年度末で百二十五棟、率にいたしまして六九・一%となる見込みでございます。 これまで耐震化への補助率拡充につきまして国に要望してきましたけれども、制度の改善には至っていません。そのため、引き続き要望を続けていく所存でございます。 このようなことから、新年度は、県単独の補助を拡大いたしまして、耐震補強工事に重点を置いて支援を強化いたします。 具体的には、建物の強度を示すIs値が〇・三未満という倒壊の危険がより大きい施設には、国庫補助と合わせて工事費の三分の二を、その他は国庫補助と合わせて二分の一を補助することといたしまして、また、国庫補助が受けられない場合は、県単独で三分の一を補助するように充実することといたします。 また、全部の改築に対しましても、補強工事相当額を新たに補助することといたします。 そのほか、私学振興・共済事業団の低利子融資や認定こども園を目指す私立幼稚園に新設されます耐震改築への国の基金事業などとあわせて、設置者に一層強く働きかけていきます。 このような取り組みによりまして、二十三年度末までに私立学校施設の耐震化の完了を目指していく所存でございます。 以上でございます。 (一三八ページに訂正発言あり) ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 ありがとうございました。 目標達成に向けて、私学関係者の意見もよく聞いて取り組んでいただきたいと思います。 ごめんなさい。防災教育のところで聞かなくてはいけなかったんですが、私学の防災教育、どのような施策を考えておられるか、お答えください。 ○志村学議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 お答えいたします。 自然災害時の児童生徒の安全、安心確保、これは公私に関係なく非常に重要であるというふうに思っております。そのため、これまでも教育委員会と連携いたしまして、防災・避難対策マニュアルの作成、あるいは研修会の開催などに取り組んできたところでございます。 その中で私立学校に対しましては、新たに私立学校防災教育支援事業を創設いたしまして、紙芝居等の教材を活用した指導、あるいはヘルメットなどの防災グッズを活用した避難訓練、外部講師を招いた勉強会など、このような防災教育に取り組む市町村に支援したいというふうに考えております。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 それでは、次に、私学振興についてお尋ねをいたします。 私立高校は、それぞれの建学の精神にのっとり、各校が特色ある教育により、スポーツ、文化、進学にと、着々と成果を上げています。中でもスポーツの分野では、県内の私立高校は全国に誇れる成績を残しております。春の高校バレーでは、東九州龍谷高校が大会史上初となる五連覇を達成しました。全国高校サッカー選手権大会では、大分高校が県勢初のベストフォーに進出したことは記憶に新しいところでございます。大学の進学においても目覚ましい実績を上げるとともに、県立高校にはない調理や看護などの分野においても魅力的な教育を展開しており、県立高校と切磋琢磨し、教育そのものを主体的に担う重要な存在になっております。 本県の学校教育の中で私立学校は重要な役割を果たしておりますが、園児、児童数の減少や平成二十二年度から実施されている公立高校の授業料無償化の影響によって県立高校との納付金の格差が拡大するなど、私立学校を取り巻く状況は決して楽観視できない状況にあります。 教育基本法では、「助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない」と、地方公共団体に対してもその役割を求めています。 今後のさらなる私学の振興についてどのように取り組んでいかれるのか、私立学校についての基本的な考え方もあわせてお伺いをいたします。
    ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 私学振興についてのご質問でございました。 なかなか難しいこの時代でございますけれども、そういう中で、本県の底力を高め、あるいは発揮していくというためには、やはり、人、人材が重要だと思います。そのため、あらゆる層、あらゆる分野で、これまで以上に人材育成を図っていくということが大事です。 とりわけ教育の分野におきましては、私立学校と公立学校が互いに切磋琢磨し、それぞれの学校づくりに磨きをかけて、二十一世紀の大分を担うすぐれた人材の育成に車の両輪として取り組んでもらいたいというふうに思います。 私立高校は、特色のある学科配置とともに、学業、スポーツ面における活躍もすばらしくて、不登校などで支援が必要な生徒の受け入れも積極的に行っていただいております。また、私立幼稚園は、広く三年保育や特別支援教育を行いまして、小学校就学前の幼児教育の充実に努力をしていただいております。 県では、このような私立学校の取り組みを応援し、各校が特色を発揮して魅力ある学校づくりを推進できるように、次の三つの観点から支援を行っております。 一つは、個性豊かで特色のある教育の充実とそれを支える経営基盤の健全性の確保ということであります。 新年度は、運営費助成の拡充を初め、進学や就職支援の強化、文化、スポーツの振興など特徴を生かした取り組みに対しまして補助を行う個性輝く私立学校づくり事業を実施するなど、さらなる私立学校の魅力づくりに支援をしております。 二つ目は、児童生徒が安心して学びを継続できる条件をつくり上げていくということであります。 保護者負担軽減策として、公立高校無償化に対応した私立高校生への就学支援金の給付とともに、低所得世帯の生徒に対しまして、県単独で上乗せの授業料減免を行いまして、実質無償化をしております。加えて、入学時の負担を軽減するために入学支度金貸与制度も設けておりまして、学ぶ意欲のある生徒が修学の機会を失うことのないように支援をしてまいります。 三つ目は、安心して学べる安全な環境づくりであります。 先ほどご指摘がありましたけれども、東日本大震災を受けまして、新年度は、施設の耐震改修への補助を拡充いたしまして、二十七年度末の完了を目指すとともに、防災教育への支援も開始するなど、子供たちの安全確保を図っていきたいというふうに思っております。 このようなさまざまな取り組みによりまして、私立学校の自主性、独立性を確保しながら、特色を生かせるように、私学振興を図っていきたいというふうに思っております。 ○志村学議長 照山生活環境部長から発言の申し出がありましたので、これを許します。照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 先ほどの私立学校施設の耐震化についてでございますけれども、目標年次を、二十七年度末までに私立学校施設の耐震化の完了ということでよろしくお願いいたしたいというふうに思います。二十七年度末ということでございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 それでは、観光についてです。 観光というのは、地域のすぐれたものを心をこめて多くの人々に見せるということであります。したがって、大分のすぐれたもの、魅力を的確に発信していかなければなりません。 大分県の魅力、ふと考えてみましても、大分で生まれ、大分で育ち、大分に生きる我々にとっては、豊かな温泉資源、おいしい農水産物や自然豊かな海や山、歴史ある神社や寺、我々にとっては日常でございます。 観光における大分の魅力というのは、県民の考える視点ではなくて、県外、海外の方々が大分の魅力を何と感じるのか、大分に、あるいは九州に何を期待して訪れるのかという大きな気づきというものが必要なんだと思います。あわせて、新たな魅力づくりが求められておりますが、原点はお客様の側の視点だと思います。 いずれにしても、お客様がいて初めて成り立つものですから、お客様が求めているものは何か、それをテーマにした観光商品をつくり、提供することが重要なのであります。このお客様が心から欲しいと感じる何かを探求する、すなわちマーケティング、このマーケティングというのは、人間の感性と密接な関係があり、大変難しい分野ではありますけれども、極めて重要なものであります。 観光振興に向けて、このマーケティングをこれまでどのように行ってきたのか、伺いたいと思います。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 議員ご指摘のとおり、観光施策の展開に当たりましては、お客様の視点に立った取り組みが必要であります。 そこで、お客様のニーズを把握するため、県独自で年四回、県内約五十地点の宿泊施設や観光施設で、来訪者約一万二千人の方々に対しまして聞き取り調査を実施しております。 その中で、出発地でありますとか、訪れた回数、あるいは大分の魅力や満足度等の情報を収集し、分析しています。 その結果、福岡圏域を中心に九州域内の観光客が六割を超え、来訪率も高いことから、これまでこの圏域をターゲットに、しゅんな情報を発信し、リピーター確保に努めてきました。 また、九州新幹線全線開業により観光客が大きく伸びている関西圏域を最大のターゲットとしまして、昨年、大阪千里中央駅前広場の観光誘客イベントでは、来場者へのアンケート調査を実施し、今後の旅行商品づくりや効果的な情報発信の参考にいたしております。 今後とも、お客様視点に立った観光施策を展開するため、地元が売りたい観光資源や商品について、観光客の認知度と関心度を把握する調査を継続実施し、課題の把握と魅力ある商品づくりに努めてまいる所存です。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 観光の調査といいますと、これまで、ただいまご答弁にあったように、いわゆる統計調査とマーケティング調査の区分がなくて実行されてきたんだと思います。動向調査やアンケート調査など、要するに統計調査、もちろん大事でありますが、これは、わかりやすく申し上げれば、きのうまでの人の行動であります。このきのうまでの人の行動をもとに、あしたからの人の気持ちを探り、引きつけていくということがマーケティングであります。 もちろん、大分県が取り組んでいるターゲットを絞っての誘客活動もまさにマーケティングでありますが、これをさらに進化させて、産業であれ、観光であれ、知事がトップセールスをするんですから、そのトップセールスがしっかりと成果に結びつくように、大分県としてさらに踏み込んだマーケティング調査をしていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 きのうまでではなく、あすからの気持ちを探り、引きつけることが大切だ、まさに同感でございます。観光振興にとってやはり大事なことで、それこそがマーケティングであると認識しております。 県としては、これまでも、従来の集客施設と旅行者のイメージのギャップを明らかにする、いわゆるギャップ調査、これを実施し、観光施策の方向性を検討してまいりましたが、このたび、プランの見直しにおきましても、観光事業者の方々との連携を強め、地域資源を商品化し、国内外への戦略的な売り込みを図る旨を加えたところでありまして、新年度、早速着手する観光戦略の中でも、さらなる観光マーケティングの強化についても積極的に盛り込んでいきたいと考えております。 以上でございます。 ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ただいまの答弁にちょっと補足をさせていただきたいんですけれども、おっしゃるように、マーケティング調査というのは、やっぱり、これから先、お客さんを得るために、お客さんの気持ちをつかまえる、そこに着目をしながら、どういうことを今お客さんは求めながら大分県に来てもらえるのかというところをちゃんとつかまえていくということではないかと思います。 よく言われるんですけれども、最近はやはり、大変、日常性と異なる空間を求めてお客さんが来るんだとか、あるいは、それこそ貴重な時間を新しい体験をしたいというんで来るんだとか、あるいは、歴史をともに学ぶために来るんだとか、あるいは、いろんな地域の物語性を楽しみながら来るんだとか、いろんなニーズが出てきていると思いますけれども、そのあたりをもう少しきめ細かくつかまえて、そしてこれからの戦略に生かしていくということが大変大事なんじゃないか、こう思っています。それこそが将来のお客さんをつかまえるためのマーケティング調査ではないかというふうに思っています。そんな意味で、戦略づくりに当たって、よくそこを考えていきたい、こう思っているところです。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 知事みずからご答弁いただきましたので、大いに期待をしたいというふうに思います。 先ほどから部長の答弁の中にも出てきております言葉、ターゲット、人間がやることですから、すべての企画が百発百中とはいきませんが、それでもなお、お客さんに喜んでいただけるような商品づくりに挑戦するためには、ターゲットをより明確に設定しなければなりません。そのターゲットが国内では関西圏だということですから、関西からの観光客誘致についてお尋ねをいたします。 昨年、新幹線で九州を訪れる関西圏からの旅行者を列車で横軸に引き込む初めての取り組み、久大線で日田や玖珠、由布院などに途中下車しながら、ゆっくりと地域の風物や沿線の観光スポットをめぐる大分まちあるき観光列車が県とJR九州の共同運行で実施をされました。これがなかなか好評とのことであります。来年度は、豊肥線や日豊線にも拡大する予定と報道されました。 大分の魅力をPRする効果は大きいと思いますし、九州新幹線対策、関西圏の開拓と目のつけどころもいいんですが、少し自虐的に、「九州観光、そんなに急いでどこに行く」というようなキャッチがあると、もっとよかったのかなと思っております。 ただ、一駅での停車時間が短いとか、車両が窮屈だという声もあったものの、利用者の満足度は高かったようですが、乗車率は六〇・二%でありました。今後は、単純に拡大するのではなくて、どの地域からどれくらいの人が参加したのか、また、関西圏での売り込みはどうだったのかなど改善すべき点もあると思います。まずは、効果や課題の分析を十分行う必要があります。そこらあたりはどうとらえておられるのか、伺いたいと思います。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 まず、取り組みの効果でございますが、九州新幹線から横軸で誘客するこの観光列車は、関西をターゲットとする観光戦略として、大阪千里中央駅前広場での観光誘客イベントと並び、施策の大きな柱と位置づけています。 この観光列車は、二次交通としての役割に加えまして、沿線地域の協力により着地型観光を盛り込んだ全国的にも画期的な取り組みでありまして、乗客の満足度は約九割と極めて高く、テレビや新聞等メディアでの情報発信も活発で、旅行雑誌にも掲載されるなど、九州を横軸で結ぶ広域観光ルートをアピールできたと考えています。 一方、取り組みの課題でございます。 初の取り組みとして観光列車のコース設定等に手間取りまして、関西発の旅行商品の周知、販売がおくれたため、結果として、九州内からの乗客が多数を占め、関西へのアピール度が不十分であったこと、また、ダイヤを組みやすい久大本線に絞って運行したため、県全体への波及効果が乏しかったこと等が挙げられます。 こうした課題を踏まえまして、新年度は、円滑な事業推進を図り、引き続き関西圏域をターゲットとして事前の広報と販売活動を強化するとともに、運行路線を拡大していきたいと考えています。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 関西圏での売り込みに問題があったというご認識でございます。 このまちあるき観光列車も含めた大分県観光の売り込み、何といっても大阪事務所が関西の大分県観光の総合案内所として大きな役割を果たすべきだと思います。今後、この大阪事務所とどう連携して対策を行っていくのか、お尋ねをいたします。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 関西における大分県観光の前線基地としての大阪事務所、その役割は非常に大きいものがございます。 今年度のまちあるき観光列車につきましても、観光雑誌を初めとする関西メディアへの売り込み、また発信、観光列車を使った関西発の具体的旅行商品の造成等に主体的に取り組んだところでございます。 今後とも、各種プロモーションのサポートやマスコミ、エージェントへの働きかけなど、大阪事務所の地の利を生かしまして、庁内各部各課はもとより、県内市町村とも連携しながら、関西圏域に大分県観光を積極的に売り込んでいくこととしております。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 関西から新幹線で久留米や熊本に来る人をいかにして本県に呼び込むのかという横軸連携の課題に対しては、大分県単独でできることには限りがあります。 そこで、このまちあるき観光列車の取り組みについて、来年度の計画をお示しいただきたい。 特に、豊肥線沿線での九州各県等と連携した広域横軸連携事業の取り組みについて、今後どのように展開していくのか、伺います。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 先ほどもお答え申し上げましたが、まちあるき観光列車につきましては、関西誘客の大事な柱であることから、来年度も事業を継続してまいりたいと考えております。 課題のところで、県全体への波及、少し触れさせていただきました。そういうこともありまして、この波及効果を県内全体へ広げるため、久大本線に加えまして、豊肥本線、日豊本線でも運行することにより、九州内を広域でつなぐ観光ルートをアピールしていきたい、そちらの方向で今検討を進めているところでございます。 各県との連携でございます。 特に豊肥本線におきましては、現在、熊本駅と宮地駅間を走る観光列車「あそぼーい」がございます。この「あそぼーい」と本県のまちあるき観光列車とを連携させる等の新たな取り組みも検討していきたいと考えております。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 豊肥線、日豊線でも検討をしているということでございますが、久大線の特急も久方ぶりに別府への乗り入れが復活をいたしました。久大線も豊肥線も、このまちあるき観光列車の発着、大分駅ではなくて、大分県の観光の一大拠点である別府にすることでもっと魅力が高まるんではないかと思いますが、そこら辺はどうでしょうか。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 議員ご指摘のとおり、別府は大分県観光の拠点と認識いたしております。 来年度、久大線、日豊線、豊肥本線での、在来各線での運行を検討してございますが、このまちあるき観光列車についても、いずれも別府駅を発着の起点として検討しているところでございます。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 大変ありがとうございます。 ところで、ことしは別府港に、中国からは昨年に引き続き、そして新たに韓国からもクルーズ船がやってまいります。当然、昨年の反省点も踏まえて、また、韓国のクルーズ船については、どのような層の方が乗船するのか等々調査の上、中国とは違う受け入れの準備をしておくなど、来年以降のクルーズ船寄港につなげていかなければなりません。 そんな中、昨年、県は、国の総合特区、外国客船の出入国ができる国際観光港特区として、関税法上の開港、別府港での出入国手続を可能にする特別措置の申請をしました。同時に、国家資格である通訳案内士の資格要件緩和を求める九州観光おもてなしの輪特区も九州七県で共同申請をしております。 外国客船が直接出入りでき、九州エリアに限定した特区ガイドを活用できるようになれば、新たなクルーズ船の誘致、大分県の観光振興もさらに進んでいくと思っておりましたが、残念ながら指定とはなりませんでした。 この特区申請、次回の申請受け付けは五月以降を予定しているというふうに聞いておりますけれども、当然、申請に向けた準備は進めておられると思いますが、ご所見を伺います。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 今回の総合特区の申請では、税関、入管、検疫、いわゆるCIQ港指定につきましては、別府港の外国船受け入れ実績が少ないこと、また、通訳案内士につきましては、九州七県と福岡市、太宰府市の重複申請であったため、相互の調整が必要とされ、残念ながら指定に至りませんでした。 今後の方針につきましては、別府港につきましては、内閣府の助言も得まして、検疫に特化した規制緩和を目的とします構造改革特区に切りかえまして、二月末に既に提案書を提出したところでございます。 また、通訳案内士等のおもてなしの輪特区につきましても、福岡市等と共同実施の合意が先ごろ整いました。再度の申請に向けて準備をしているところでございます。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 通訳案内士についてですけれども、大分県に限定した、都道府県知事が行える地域限定通訳案内士制度もあるというふうに聞いております。これは外客来訪促進計画をつくって許可を得るというものだと思いますが、これを進めてもいいのではないかと思いますが、いかがですか。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 通訳案内士につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、九州七県と福岡、太宰府市との調整が整いまして、来年度改めて共同申請する運びになりました。今回の申請が認められれば案内士の確保が満たされることとなりますので、特区の指定がなされますよう万全を期していきたいと考えております。 以上でございます。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 長崎県は独自で地域限定の通訳案内士制度をやっているんで、どうかなというふうに申し上げたんで、その辺はご理解をください。 次に、教職員の勤務実態についてお尋ねをいたします。 昨年十月、北海道と沖縄県の公立小中学校の教職員延べ約八百五十人が、架空の研修届を提出したり、勤務時間中に教職員組合の活動をしたりしていたという新聞報道がありました。これは会計検査院の調査で、対象は北海道、石川、鳥取、沖縄県で抽出した計約二百八十校、二〇一〇年度までの四年間を調べたところ、北海道の約百七十校、沖縄の約二十校で不適切な勤務実態が判明した。不適切な勤務は、合計で四千五百時間を超えていたということであります。 北海道では、勤務時間中に組合代表などとして市町村の教育委員会と話し合いをしていたケースが見つかった。また、学校が夏休み中の出勤日に勤務していなかったり、校長に届け出ていた校外研修が実際には行われていなかったりしている。本来なら教職員がいる時間帯に、校内が無人だったこともあったということ。 沖縄県では、夏休み中の休憩時間を勝手に延ばしたり、教育研究団体の会合に出席したりした教職員がいたそうであります。 この調査、北海道教職員組合による政治資金規正法違反事件に絡み、教職員が勤務時間中に組合活動をしていたことが発覚して実施したものであります。 まず、このことについて、教育長に素直な感想をお聞かせいただきたいと思います。 ○志村学議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 お答えします。 ご指摘の会計検査院の調査結果に関しては、職務専念義務が課され、より高い倫理観と法令遵守が求められている教育公務員としては、あってはならないことと考えます。 本県においては、児童生徒の学力、体力の向上など、教育の現場で着実に成果を上げ、教育への信頼回復を確かなものとするために、学校現場の教職員と教育委員会が一体となって取り組んでいるところです。 こうした中、本県の教職員の勤務に対し同様の指摘がなされることが決してないように、市町村教育委員会と連携して、これまで以上に服務規律の保持に努めていかなければならないと考えています。 以上です。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 私は、大分県の将来を担う子供たちが心身ともに健やかに成長していくためには、学校が保護者や地域の方々の信頼を得ながら一体となって教育活動を推進していくことが大切だと思っていますし、子供たちの教育に直接携わる教職員の方々の責任や使命は非常に大きいものであると思います。 そして、大分県の教職員、先生方には、このような不適切な実態はないと思います。ないと思いますが、北海道や沖縄の一部教職員のこととはいえ、イメージの悪化が大分県の教員に及び、教育に対する県民の信頼を損ねるようなことがあってはならないと思います。当然、教育長としては、本県の教職員の勤務実態、把握しておられると思いますが、いかがですか。 ○志村学議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 県教育委員会では、平成二十二年四月に服務研修テキストをすべての学校、教職員に配布し、学校内はもとより、あらゆる研修の場で活用するなど、教職員の服務規律の保持に努めています。 職員団体との交渉に関する事務取扱及び夏季休業期間等における教職員の勤務管理については、平成十四年にそれぞれ市町村教育委員会や学校長あてに通知を発するとともに、その徹底に努めてまいりました。また、昨年四月には、各職員団体あてに、地方公務員法など法令遵守の観点から、交渉のあり方について通知を行ったところであります。 本県の教職員の勤務については、県民の信頼を損ねるような実態はないと考えています。 一たび指摘を受けることになれば、教育への信頼回復は遠く厳しい道のりになることから、常にそのことを念頭に置き、この四月から教育事務所等に配置する管理主事も活用しながら、服務規律保持の取り組みを徹底してまいります。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 実態はないと思いますというご答弁でしたけれども、把握しておられるのかおられないのかよくわかんないんですが、もう一度ご答弁ください。 ○志村学議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 小中学校における教職員の勤務の状況につきましては、教育事務所が五月の連休の後に一斉に小中学校に状況の把握に行くんですけれども、それは、とりたてて勤務実態ということではありません。各小中学校が教育諸課題にどのように取り組んでいるか、そういう実態を教育事務所の職員がすべての小中学校に参ります。その中で、教育諸課題の取り組み状況とあわせて、問題があれば、そういった勤務状況についても把握できる、そういう仕組みが一つあります。 それから、もう一つは、秋にですけれども、各校長先生から、全部、話を聞く機会がございます。これもその学校での教育の状況等を把握するんですけれども、そういった機会を通じて入ってくる教職員の勤務実態の中には、特段、問題のある状況があったということの報告は受けておりません。そういう意味で、私が把握している限りでの勤務実態の中では、そういうものはありません。そういうお答えです。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 この会計検査院の調査で不適切な実態が判明した前の年、要するに一昨年、北海道教育委員会は、勤務時間中の組合活動など公立小中高校の教職員の実態調査を実施しているんです。ところが、昨年、会計検査院が道内二百九の公立小中学校で実施した検査で新たに不適切な勤務実態が見つかり、文部科学省は、調査が不十分として、改めて小中学校での調査を指導しております。 大分県の子供たちのため、そして先生方のためにも、厳格な調査を実施して、大分県は適切な教職員のもとで健全な教育を進めているということを県民に示していかなければならないと思います。どうでしょうか。明快な答弁をしてください。 ○志村学議長 野中教育長。 ◎野中信孝教育長 教職員の勤務時間、服務については、これまでも機会あるごとに指導をしております。現時点で具体的な問題ある事象というのは把握しておりませんので、教育委員会として調査を実施することは考えておりません。しかしながら、勤務時間や服務管理については学校現場の管理者の考え方や姿勢によるところが大きいということがございます。したがって、繰り返し指導することが大事だというふうに思っております。 また、議員ご指摘のように、教育に対する県民の皆さんの信頼を損ねるようなことは決してあってはならないというふうに考えておりますので、再度、文書通知等により学校長に対する指導を徹底したいと考えております。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 しっかりやっていただきたいと思います。 最後に、県と市町村職員の研修の一元化について伺います。 平成二十二年国勢調査結果によれば、大分県の総人口数は、平成十七年の前回調査と比較し約一万三千人減少し、百二十万人を切りました。 市町村別では、大分市、日出町以外の十六市町村で前回調査より減少し、中でも姫島村は一一・三ポイント、竹田市では八・〇ポイントと大幅な減少となっております。 このような人口減少によって、小規模集落問題や鳥獣被害など住民生活に直接かかわる課題が生じており、それらの課題に対応するため、県、市町村ともに職員の政策形成能力、実行力が求められており、人材育成が喫緊の課題であります。 県職員の人材育成については、大分県行財政高度化指針の素案の中で、職員の能力向上、意識改革について推進していくとしています。 市町村職員の人材育成については、県から市町村職員研修センターへの技術的、財政的支援とあわせて、平成二十一年度より職員を一名派遣し、研修実施の支援を行ってきた結果、研修センターの講座数、研修受講人数は、平成二十年度がそれぞれ四十一講座、千五百六十二人であったのに対し、平成二十二年度では五十三講座、二千三百七十五人まで拡大し、徐々に充実してきていると聞いています。 しかし、市町村職員研修センターは、組織体制が弱いため、研修ノウハウの蓄積がなかなかできず、また、自前の研修施設を持たないことから計画的な研修実施が困難でありまして、大変苦労しているようであります。 そのような中、先月、市町村側から、効果的、効率的な研修実施を行うため、県へ研修一元化に関する要請がありました。 要請の主な内容は、研修の一元化と、研修施設を現在の県職員研修所に県と市町村の応分の負担により整備すること及び平成二十六年四月に研修一元化のもとでの研修を開始することなどであります。 私も、非常に時宜にかなったもので、前向きに対応していただきたいというふうに考えていますが、この要請について県はどう受けとめ、県、市町村職員の研修一元化についてどう考えておられるのか、見解を伺います。 ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 行政ニーズにつきましては、近年、大変、高度化、多様化しておりまして、これに対応するために、県、市町村におきましては、みずからの判断と責任によってさまざまな課題に対応することのできる行政能力の向上ということが大変必要になっております。 このような現状認識のもとで、県では、行政の質の向上を目指す大分県行財政高度化指針を策定したところであります。この指針の中でも職員の資質向上を重要課題と位置づけまして、職員研修体系の整備充実に努めることとしております。 同様に、市町村職員の人材育成も大変大事な課題と考えておりまして、これまでも財団法人大分県市町村職員研修センターに対しまして人的、財政的な支援を行うとともに、県と市町村の合同研修の拡充だとか、あるいは実務研修職員の受け入れ、人事交流なども推進してきたところであります。 このような中でございましたけれども、今、議員がご指摘ありましたように、先月の二十三日に全市町村を代表して、市町村職員研修センター会長の西嶋佐伯市長を初め、市長会長の釘宮大分市長、町村会長の坂本九重町長から県に対しまして、県職員と市町村職員の研修の一元化についての要請があったところであります。 その内容は、新たな研修機関を組織するとともに、合同研修を拡充することなどを求めているものでありまして、これにあわせまして、県と市町村が応分の負担によって、現在の県職員研修所の場所に施設を整備してほしいというものでありました。 県といたしましても、この要請は、今必要と思われる研修の効果的、効率的な実施が期待できるというふうに考えておりまして、市町村と歩調を合わせていきたいというふうに考えております。要請を受けた形で、一緒に取り組みたいというふうに答えました。 現在、研修一元化に向けた事務レベルの協議を市町村側と始めておりますけれども、今後、研修メニューや組織体制、施設整備などについて協議を重ねまして、双方にとって望ましい人材育成体制を構築したいというふうに考えております。 市町村が要望しております平成二十六年四月には、新しい組織と施設を整えた上で、充実した研修をスタートさせたいというふうに考えているところであります。 ○志村学議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 今、国であれ、県であれ、市町村であれ、公務員のあり方については強い関心が寄せられております。そういう中ですから、公務員に対する県民の信頼、理解に結びつくような研修というものが重要であるというふうに思います。 新組織での研修が、これからの大分を担う職員を育成して、そして大分県の活力、県民の安心、安全に資するように、研修の中身についても、これまで以上に濃いものにしていただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○志村学議長 以上で嶋幸一君の質問及び答弁は終わりました。深津栄一君。  〔深津議員登壇〕(拍手) ◆深津栄一議員 二十九番、県民クラブの深津栄一でございます。 今期定例会におきまして質問する機会をいただきまして、心より感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございます。 さて、昨年の三月十一日午後二時四十六分に国内観測史上最大級の大地震が発生をし、昨日で早くも丸一年の月日がたちました。私たちにとって決して忘れられない、いや、忘れてはならない災害でありました。 この悲惨な災害から一年が経過しました現在も、災害で亡くなられた一万五千八百五十人を超える方々、また、行方不明の三千百五十人を超える方々のとうとい命に、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 また、貴重な財産を地震、津波で失われたり、放射能汚染によって、住みなれたふるさとに帰りたくても帰れない避難生活をされておられる方々に、心よりお見舞いを申し上げます。 このような大災害は、いつまた発生するか予測できません。二〇一二年一月二十三日の読売新聞の記事によりますと、昨年の三・一一の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化をしておるそうであります。気象庁の観測では、十二月までにマグニチュード三から六の地震が一日当たり平均一・四八回発生しており、これは震災前の約五倍に上がっておるそうであります。東日本大震災の影響で地震活動が活発化していることを受け、東京大学地震研究所の研究チームは、マグニチュード七級の首都直下地震が四年以内に七〇%の確率で発生をするという試算をまとめております。 地震研の平田直教授は、「東日本大震災が起き、大地震はしばらくないと考えてしまう人がいるようだが、他の地域での発生確率は、むしろ高まっていると認識しなくてはならない。また、してほしい」と話されております。 多くの被害をもたらしました地震、津波、原発は、我々に多くの課題を残しました。東日本大震災の教訓を今後の防災対策にどのように生かしていくかが問われております。 それでは、早速、一問一答で、具体的な質問に入らせていただきます。 初めに、災害時多目的船の誘致についてお尋ねをいたします。 さきの東日本大震災では、交通通信網、医療施設等の社会インフラが完全に破壊され、被災地では多くの傷病者が迅速な治療を受けることがままならない状態が続きました。この背景には、病院施設の損傷により病床数が絶対的に不足し、医師や看護師も被災者という現状、そして交通網の遮断等によって即時に救急活動に従事できる人数が限られていたことなどがあります。 また、昨年九月三日に上陸をいたしました台風十二号は、三重県、奈良県、和歌山県を中心に大きな被害をもたらしました。三県においては、九十九件の土砂災害が発生し、土砂ダム湖ができるなど交通手段が寸断され、救援や医療体制も十分確保できない中、地域住民に避難勧告が発令をされました。 広域的な被害をもたらす大規模災害におきましては、災害応急活動の迅速、的確な実施は非常に重要であります。その災害応急対策といたしまして、現在、国において、災害時多目的船、病院船とも言いますが、を建造、保有し、緊急時に医療サービスを可及的速やかに提供できる体制を整備することが検討されております。 内容につきましては、エコシップ、これは二隻の建造を計画しておるそうであります、その船には、ヘリコプター二機、ベッド数は五百床、ホーバークラフト一機の搭載、無線管理など司令塔機能など、国内二カ所を計画しております。 これは、昨年の十二月九日に、国会議員超党派のメンバーによりまして、内閣府の防災担当大臣あてに決議がなされております。 二〇一一年度には調査費として三千万が予算化され、内閣府で災害時多目的船検討会が開催をされております。そして、二〇一二年度に設計、二〇一三年度には建造、二〇一四年度完工を目指すスケジュールとなっております。 そのような中、佐伯市においては、昨年十二月二十六日に災害時多目的船誘致推進協議会を立ち上げ、災害時多目的船の母港誘致活動に取り組んでおります。 災害時多目的船は、海に浮かぶ大学病院と言われ、本県に限らず、全国どこで災害があっても、母港から駆けつけて、とうとい命を守るのが使命であります。 佐伯市が災害時多目的船を誘致する理由につきましては、大きく六点あると考えております。まず一点は、太平洋、瀬戸内海、日本海にアクセスが容易であること、二点目は、天然の良港であり、静穏域が広いこと、三点目は、造船業が盛んで、建造、修理などの体制が充実していること、四つ目が、医療スタッフの確保が容易であること、五点目、番匠川の豊富かつきれいな水でライフラインの確保が可能であること、六点目、風光明媚な風景といやしの自然があることなどであります。 現在、全国では函館市と北九州市が手を挙げて、積極的に誘致活動に取り組んでいると聞いております。 本県は、東九州メディカルバレー構想により医療産業の集積を進めていくこととしており、また、佐伯市の誘致理由にある地理的条件からも、今後、本県の果たすべき役割の一つとして考えなければならないと思いますが、佐伯市と連携をいたしまして誘致活動を行う考えはあるのか、知事のお考えをお聞かせください。 あとは対面質問席で行います。  〔深津議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○志村学議長 ただいまの深津栄一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 東日本大震災から一年ということで、改めまして、亡くなられた方に哀悼の意を表し、また、今なお不自由な生活を強いられておられます被災者の皆さん方にお見舞いを申し上げ、一日も早い復興をお祈りする次第であります。 さて、その中で、国の社会保障審議会医療部会によりますと、今回の災害で東北三県の医療施設の七八・九%が被災をし、沿岸部では、ほぼすべての医療機関が機能の全部ないし一部を失ったということが報告されております。 また、交通通信網等の社会インフラの壊滅的な被害によりまして、医療スタッフの派遣や医薬品等の供給がおくれて、被災者への医療提供が十分に行われなかったということが大きな問題となりました。 このような教訓から、広域的な被害をもたらす大規模災害時における迅速な医療支援体制の確立が重要な課題であるというふうに思います。 昨年十二月に超党派議員連盟により提案された災害時多目的船は、その対策の一つであるというふうに思います。 その内容は、国内災害対応のみならず、国際貢献、離島、僻地の医療支援を目的として、災害時はもとより平時の運用までを見据えて、災害時多目的船を新たに二隻建造すること、支援拠点となる母港を国内に二港整備することとされております。 現在、内閣府におきまして、災害応急対策を実施する際に必要となる船舶のあり方や導入の可能性について、関係機関の参加のもと、国内外の事例を含めて、調査、検討が行われておりまして、本年に入って四回の検討会が開催されております。 こうした中、昨年末でございますが、佐伯市が中心となって、佐伯港への災害時多目的船の母港誘致に向けて協議会が設立され、シンポジウムを開催するなど、市を挙げて取り組んでいるというふうに聞いております。 佐伯港は、議員からご紹介がありましたように、古くから、その地形を利した天然の良港であり、災害時多目的船の建造、点検時の維持補修が可能な造船業等の関連企業が立地しているなど環境が整っておりまして、母港となる条件は十分だというふうに考えております。 一つだけ、県南地域は津波の被害が予想されておりますけれども、このことについてもしっかりと検証をしていくということが必要かなというふうに思っております。 県といたしましては、国の検討状況を注視しながら、引き続き情報収集に努め、必要なときには応援をしていきたいというふうに考えているところであります。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 災害時多目的船、海に浮かぶ大学病院として、全国的にも多くの地区が関心を持っている一つであります。 私たち大分県として、先ほど申し上げましたように、医療、安心、安全で、本当に住みたくなる大分県づくりの大きな役割を県内外に知らせる大きな役割を私は果たせるんじゃないかという立場から、大分県、特に県南の佐伯が良港であるという知事の今の答弁もいただきましたし、我々も、まず、大分県からそういう声を上げるために手を挙げようということで、今、一丸となって取り組みをいたしておるところであります。 私は、これまでの取り組みと同時に、これから多くの課題があることは認識をいたしております。課題というよりも、てこ入れというんですか、補強というんですか、当然のことながら、今の推進協議会のメンバーをさらに強固にしながら、県内外の皆さんにお知らせをしながら、国の目を大分県に向けてもらう。 例えば、具体的にいえば、今の推進協が二十名ほどのスタッフでやっておるんですが、そこに医療関係者もしくは医師会とか、薬剤師会とか、そういう方々をスタッフに入れながら、大分県の県の関係者も一緒に入っていただいて、国に対して強いアピールをしていきたいというふうに思っておるところであります。 そういう状況の中で、最終的に誘致できるかどうかは別として、大分県がそういう安全対策に大きな目を向けている、また、力を入れているというのをお知らせしながら、安心対策、安全対策を進めていく必要があると私は思うんですが、知事に改めての決意と、そういう、県と市が一緒になって組織の中で頑張っていく体制ができないのかどうか、お尋ねしたいというふうに思います。 ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 この災害時多目的船、今、内閣府を中心に国の方で検討が進められておりますけれども、構想によりますと、議員お話しのように、病院スタッフの確保だとか、あるいは医薬品の供給体制の確保だとか、いろんな意味での幅広い協力関係を確立していくということが必要になってくると思います。そういうところも話を呼びかけながら、県としても、この佐伯市の動きに呼応しながら、応援をしていく体制をつくっていくということが必要かな、こう思っております。そういうことを念頭に置きながら、もう少し様子を見守っていきたいというふうに思っております。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 ぜひ見守りながら、一緒に汗をかいて、そして、日本の安心、安全を守る大分県から発信の場にしていただきたいし、我々も、全国のとうとい生命と財産を守るために、災害船、病院船の一日も早い誘致に取り組んでいきたいと思っておりますので、県の、知事を初め、多くの方々のご協力をいただきながら頑張っていきたいというふうに思っております。 次に、離島振興と防災対策についてお尋ねをいたします。 まず、離島振興についてお尋ねいたします。 本県には六十九の島があり、人が住んでいる島は、人口二千百八十九人の姫島を初め、八島あります。姫島の人口は、十年前に比べますと、努力はしておるものの、五百七十二人減少し、他の島も、年々、人口減少に歯どめがかからず、厳しい状況に苦労しているのが現状であります。 島の振興にとって産業の発展は欠かすことはできませんが、代々受け継がれてきた島の文化や歴史を継承することも大切ではないでしょうか。高齢化や若者の島離れによって後継者が育たなくなり、産業だけでなく、伝統ある島の文化なども衰退をしている現状であります。島の生活は成り立たなくなります。 島を守るためには、今後、さらなる若者の定住策、離島への支援策が必要と考えますが、離島の現状をどのように考え、今後どのように島の振興を図っていこうとしておるのか、その対策についてお聞かせください。 ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大分県にとりまして大変大事な離島振興についてご質問をいただきました。 県内の離島につきましては、これまで離島振興法に基づく振興計画を実施いたしまして、生活環境や産業基盤を整えてまいりましたけれども、議員ご指摘のとおり、人口減少が進み、基幹産業である水産業の不振等も相まって、その定住環境は依然として厳しいものがあるというふうに考えます。 一方、昨年、島民も参加して制作されたNHKドラマ「無垢の島」でも描かれたように、離島には温かい触れ合いが残り、島民は強いきずなで結ばれております。 また、今月八日に国の選択無形民俗文化財に指定されました姫島の盆踊りに代表される独自の伝統文化が継承されているほか、水産物の安定供給、豊かな自然環境や生態系の保全など、県民生活に果たす役割も大きなものがあります。 そこで、今後の離島振興につきましては、まず、基幹産業である水産業の振興に力を入れていきたいと思います。 これまで大入島では、生きたまま出荷できるハモの活かし箱の開発やチリメンの水揚げの機械化、保戸島のマグロの稚魚養殖といった取り組みを積極的に支援してまいりました。 今後も、このような流通の改善や作業の省力化など創意工夫した新たな取り組みのほかに、魚礁の設置やクルマエビなどの種苗放流など水産資源の維持増大を引き続き推進しながら、水産振興を図っていきたいというふうに思っております。 次に、島民が安心して暮らせるよう、生活環境の改善も大事だというふうに思います。 無垢島では、新造船「カメリアスター」の就航や桟橋の整備を行いまして、大量の飲料水を島に運搬できるようになりました。また、深島では、緊急時のヘリコプターの離着陸場を整備するなどの支援を行ったところであります。 今後とも、離島航路の維持、地域医療・福祉サービスの充実など、関係市村と連携いたしまして、着実に取り組んでいきたいというふうに思います。 さらに、外からの活力を呼び込むという、交流人口を拡大していくということも大事かなと思います。 大島では、神奈川県から移住してきた若者が地域おこし協力隊として、ブログによる情報発信や島民の買い物支援等を行っております。 保戸島では、名物のマグロ料理を楽しめるボランティアガイドによる島歩きツアーの造成などを支援してまいりました。 そのほか、姫島のジオパークや屋形島、深島での美しいサンゴ礁を活用したマリンスポーツの推進、県内七つの離島をめぐるスタンプラリーの実施など、今後とも観光客の誘致等による地域活性化に取り組んでまいりたいと思います。 現在、離島振興法が平成二十五年三月末に期限切れとなりますので、その延長を強く国に対し要望しておりまして、今後とも関係市村と連携して、島民が誇りを持って、快適で住みやすい活力のある島づくりを推進していきたいと思います。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 次に、離島の防災対策についてお尋ねをいたします。 先ほど述べましたように、本県には、姫島を初め、八島の有人の離島がありますが、離島では、地震、津波が発生した場合、島民は避難するのも容易ではありません。これまで地震、津波の防災対策は沿岸部と考えておりますが、その中でも一番不安なのは島の人々であることを抜きに防災対策は語られません。島は、逃げ場に限界があります。少人数での島の生活、あるいは地区のほとんどの住民が高齢者で、避難するにも人の手が必要となります。若者が減少し、いつ発生するかわからない災害にどのように立ち向かうのかが島民の大きな課題となっております。 現在、大分県地域防災計画の見直しをされておりますが、県として、離島における特別な避難マニュアルの作成及び避難対策をどのように考えておるのか、お聞かせください。 ○志村学議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 お答えします。 まず、大震災の検証についてでございますけれども、東日本大震災では、港などの被災によりまして、物資の輸送経路、あるいは通信手段が途絶いたしまして、孤立化した島がございました。 一方、大分県の離島につきましては、人口二千百八十九人の姫島、あるいは人口二十人の深島など環境は異なりますけれども、総じて高齢化率は高くて、災害を想定し、離島の実態に応じた避難方法をあらかじめ検討しておくことが大事であるというふうに考えております。 そのため、今後の取り組みについてでございますが、県では、市町村と一体となって地域防災計画の見直しを今行っておりますけれども、離島も含めまして、孤立化が考えられる地域の避難マニュアルの基本となる避難の訓練モデルについて、新たに盛り込むことを検討してございます。 この訓練では、人口や年齢構成等を踏まえて、発災時の通信手段の確保、避難及び救出方法、医療活動、水、食料などの搬入等について、課題の抽出やその解決策の検討を行います。 具体的には、防災担当者と自治会役員が自衛隊、海上保安部、港湾管理者、フェリー会社等と協議しながら、緊急ヘリの離着陸場所や船舶の接岸場所の想定を行うほか、衛星携帯電話の活用や避難誘導方法など避難対策等を地域の実態に即して検討することとしております。 以上でございます。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 そういう島ですから、フェリーとか、交通手段がもう限界があります。と同時に、島の中に高台というんですか、陸地であれば、すぐそばに山があるところもありますけれども、島となると限られた山しかないというふうに思うんですが、近くの民家から山に避難できる避難路の状況はどういうふうになっていますか。 ○志村学議長 照山生活環境部長。 ◎照山龍治生活環境部長 例えばでございますけれども、姫島が九月四日に避難訓練をしております。この避難訓練は、今回の暫定緊急想定の避難場所については三倍という高さで避難訓練したわけでございますけれども、訓練によりますと、十分以内に目標地点に到達できたというような検証がなされております。これは、消防団員が担架に乗せて運んだということでございまして、検証結果につきましては、例えば、医療が必要な人については、役場の離島センターに集めて、そこでトリアージをしていこう、そういうことを積み上げながら、島はそれぞれ実態が異なりますので、そういう避難マニュアルを島ごとにつくり上げていくことが大事じゃないかというふうに思っております。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 ぜひ、島民が安心して暮らせるための防災対策に今後もさらに力を入れていただいて、住民の声を聞いていただくことをお願い申し上げたいというふうに思っております。 次に、公共交通の確保についてお尋ねをいたします。 公共交通機関では、日々、利用者のニーズにこたえるべく、新規路線の開拓や、少しでも利用しやすいようにとお客様重視のダイヤや路線の変更、改善に努力をいたしております。 また、一昨年からは、従来のバスカードにかわるICカード「ニモカ」やバスの位置情報などをパソコンや携帯を通じて提供するバスロケーションシステムを導入するなど利便性の向上を図り、現在は低い乗客率であっても、安心安全運転とサービス向上を第一に路線バスの運行に努めております。 ここ近年の路線バスの運行状況を見ますと、時間帯や路線によって違いはありますが、乗客がゼロ、あるいは一人、二人で運行していることがたびたび見受けられます。それでも運行を継続されております関係機関のその努力には感謝をいたしておるところであります。 路線バスは、地域の高齢者の方々や子供たちにとって欠かせない交通手段であります。しかし、厳しい運行状況にも限界があり、将来の路線の継続には大きな不安があります。 県内に五十八ありました市町村は、二〇〇五年一月一日の大分市の一市二町の合併、臼杵市の一市一町の合併から、二〇〇六年三月三十一日の国東市の合併によって、現在の十八市町村となっております。 二〇〇五年と二〇一〇年の国勢調査によりますと、人口動向を見ますと、県全体で五年間に一万三千四十二人の減となっております。人口増の地区は、十八市町村の中でも、大分市と日出町の二市町のみであります。特に合併以降は、旧町村地域では若者が減少し、高齢者ばかりになったと地域の方々の声が聞かれております。 また、市町村合併によって役場がなくなり、小中学校の統廃合が進み、子供たちの通学などを考えて若者は市街地に移転をしていきました。買い物をしていた商店も高齢化によって店を閉め、路線バスの減少で、高齢者は毎日買い物さえもできない、病院にも行けない不自由さの中での生活を余儀なくされております。まさに、買い物難民、診療難民となっておるのであります。 このような実態をどのように受けとめ、公共交通の確保としてどのような対策を考えておるのか、お聞かせください。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 まず、現状認識でございますが、民間路線バスや市町村が運行しますコミュニティーバスなどは地域住民の日常生活を支える重要な移動手段と認識しておりまして、県は、市町村や交通事業者に対しましてバス等の運行費の一部を助成しているところでございます。しかしながら、過疎化の進展、自家用車の普及等により利用者の減少が続き、公共交通を取り巻く状況は厳しさを増しています。このため、地域の公共交通を今後も安定的に確保するには、利用者が少ない地域での運行効率を向上させていく必要があると考えております。 特に、ニーズに合ったルートやダイヤに見直して利用拡大を図るよう、市町村や交通事業者に対応を求めることが肝要であると考えています。 また、地域特性に応じまして、より効率的な運行が可能なデマンド運行への移行により経費の削減も働きかけてまいります。 今後の公共交通のあり方につきましては、それぞれの地域で主体的に検討する必要があると考えております。このため、国とともに市町村に出向きまして、地域特性や利用実態に応じ、引き続き必要なノウハウの提供や指導、助言を行ってまいる所存でございます。 以上でございます。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 公共交通の必要性というのは、私があえて言うまでもなく、先ほど言われましたように、必要性はわかるけれども、現実はそれに沿ってないというのが今の現状ではないか。しかし、公共の役割、行政の役割は、やっぱり、どこに住んでいても同じように住民サービスを受けられる、このこともやっぱり鉄則、基本だというふうに私は認識をいたしております。 田舎は我慢せいと言うんじゃなくて、やっぱり、田舎に住んでても、どこの都市に住んでても、同じように、すべてとは言わなくても、同じぐらいのやっぱり行政サービスを受けて、同じような生活が営める、これはやっぱり我々として、生活する平等の権利だというふうに認識をいたしておりますので、これから役割が大変だというふうにはお互い認識をしておりますが、ぜひ行政の役割として、公共交通、弱い者の足を守るという、買い物弱者を含めて守っていただくことを強く求めておきたい。改めてその決意をお聞かせください。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 まさに地域の住民にとりまして、病院に行ったり、買い物に行ったり、あるいは通勤、あるいは通学含めまして、日常生活に欠かせない足の確保というのは、これはやはり喫緊の課題であります。 一方で、先ほども申し上げましたが、昭和四十年代に九千万人あった利用者が今は二千万人を切っております。ですから、その辺のところも、地域の中で主体的に、住民参画のもと、どういった交通体系のあり方がより住民の利益にかなうのか、その辺のところを、デマンドの運行も含めまして、やはり私ども、市町村と一緒になって考えていく必要があろうと考えておりますので、今後もその辺のところについては十分意を配りたいと思っております。 以上でございます。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 限られた時間でありますので、一つだけ提案をしておきたいと思うんですが、私もこれから研究、調査をしなくちゃならないですが、鹿児島県、宮崎県でエコ通勤という制度を県が中心になってやっておるんです。こういうエコ通勤を週に一回でも、一日でもいい、決めて、その日は、多くの市民、県民の方がバスを利用して、そして身近なバス利用をしようという運動が宮崎や鹿児島の方でやっておるそうであります。私も近いうちに、さらにそういう研究をしたいというふうに思いますので、行政の方も一回機会をつくって、そういう研究をしてみていただきたい。これはもう答弁は要りませんので、強く要望しておきたいと思います。 次に、伝統、文化の継承についてお尋ねをいたします。 現在、県には、六つの重要無形民俗文化財と四十八の無形民俗文化財があります。四百三十四の民俗芸能もあります。旧町村地域の伝統芸能や文化は、これまでに先人たちが守り続けてまいりましたが、年々進む高齢化と財政的負担が大きくなり、それらを守り育てていく厳しさをひしひしと感じさせられております。そのような中、豊後大野市清川町の左右知獅子舞保存会では、新たに市内外から二十一人の会員が加わるという明るいニュースもありました。 これまで地域で築き上げられてきました伝統、文化は本県の大切な財産であり、それを守り、次の世代へ受け継いでいくことは県民としての義務でもあります。それがまた、地域の振興と発展にもつながっていくのではないでしょうか。 心の豊かさが問われる今の時代において、家庭、地域、学校、そして行政が一体となって取り組む課題として見直す必要があると思いますが、県の伝統、文化の継承に対する現在の取り組みと今後の方針についてお聞かせいただきたいというふうに思います。 ○志村学議長 池辺企画振興部長。 ◎池辺英貴企画振興部長 お答えいたします。 まず、現在の取り組みでございますが、地域で守り続けられた伝統、文化を継承するためには、後継者の育成が何より重要であります。そのため、これまでも、例えば、大分市野津原町の岡倉こども神楽の継続的な公演活動に向けまして、衣装や音響機器の購入費を支援するなどの取り組みを行ってまいりました。 また、次第に継承が難しくなりつつある地域には、ふるさとを離れた若者などの協力によりまして復活した佐伯市宇目町の木浦すみつけ祭りで、会場改修の支援などを行っています。 また、佐伯市指夫地区では、祭りののぼり旗の設営を応援隊が担うなど、これまでつながりのなかったボランティアが協力する仕組みをつくりまして、担い手不足に対処しております。 今後の方針でございますが、議員ご指摘のとおり、地域の伝統、文化は、家庭、地域、学校、そして行政が一体となって守り育てるべき県民共有の財産でありまして、地域住民の誇りやきずなの礎となるものと考えています。 今後も、国の助成制度や県の総合補助金等を活用しまして、公演施設の改修や衣装の新調などを初め、後継者の育成や外部からの応援体制づくりなど、伝統文化の継承を引き続き支援してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 文化は、一回消えてしまうと、なかなか復活は難しいと言われております。ぜひ種火は残して、最後は消さないように、行政がしっかり市町村と連携をとりながら、力いっぱい残していただくことを強く求めて、次に参ります。 次に、ひとり暮らしの高齢者に対する支援についてお尋ねをいたします。 二〇一一年十月二十六日に総務省が公表いたしました二〇一〇年国勢調査によりますと、県内の一般世帯約四十八万世帯のうち、一人世帯が三〇・九%と最も多く、六十五歳以上の人がいる一般世帯は四二・四%を占めており、二〇〇五年に比べ、六・一%増加をしております。さらに、一人世帯は一一・九%、ひとり暮らしの六十五歳以上人口は一二・七%増加をしており、本県の一人世帯の増加と高齢化が見てとれます。 また、内閣府が二〇一一年七月に発行いたしました高齢社会白書でも、六十五歳以上のひとり暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著となっており、特に高齢者人口に占める割合は、男性九・七%、女性一九・〇%と、女性は極めて高くなっております。今後もひとり暮らしの高齢者は増加し、特に男性の割合が伸びると予想をされております。本県の高齢化率も二〇三五年には三五・六%になると見込まれており、超高齢社会と一人世帯の増加に伴うさまざまな課題への対策が、今後一層、重要なものとなってまいります。 二〇一〇年度に株式会社ニッセイ基礎研究所が行った「孤立死に関する調査研究報告」によりますと、全国の六十五歳以上高齢者の孤立死数の推計は一万五千六百三人と言われております。また、内閣府が同年四月に公表いたしました「高齢者のライフスタイルに関する調査」の報告では、孤独死を身近に感じる人が四二・九%、特に単身世帯では、その三分の二に当たる六四・七%が孤独死を身近に感じると答えております。 高齢者の方々にとって孤独死は身近な問題であることは間違いありません。孤独死には明確な定義がなされておらず、判断は難しいと思いますが、実態の把握は、今後、高齢者のひとり暮らし対策を考える上で必要不可欠なものと考えます。 また、高齢者のひとり暮らしでは、自分の健康や病気の際の対応に不安を感じている人が多いという結果もあります。 さらに、地域のつながりは必要だと感じながらも、ふだん近所づき合いがほとんどない人は、一人世帯では男性一七・四%、女性六・六%と、二人以上世帯に比べて社会的孤立が多くなっております。 互いに助け合い支え合う安心安全の大分県は、「安心・活力・発展プラン二〇〇五」の基本目標であります。ひとり暮らし高齢者に生じる社会的孤立を未然に防止するための仕組みづくりこそ、プランが目指すべき対策であると考えます。 そこで、今後ますますふえてくることが予想されるひとり暮らし高齢者に対する支援について、特に社会からの孤立化と孤独死の防止の観点から、今後の対策についてお考えをお聞かせください。 ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ひとり暮らし高齢者は、気をつけないと、やはり社会的に孤立しがちでありまして、そうなりますと、生きがいの低下だとか、あるいは健康、経済面の不安からひきこもりがちになったり、あるいは消費者被害に遭ったり、さらには、ご心配のように孤独死に至るというようなこともあるわけでございます。 高齢者の社会的孤立を防ぐには、住民が主体となって支え合うコミュニティーの構築が大切だと思います。 安否確認を含めた見守りと高齢者が気軽に集える交流の場づくりを二つの大きな柱として支援対策を進めているところであります。 まず、見守りの取り組みといたしましては、老人クラブの会員がひとり暮らしの高齢者を訪問いたしまして、安否確認だとか話し相手を務める友愛訪問活動だとか、あるいは地域包括支援センターが民生委員などと連携をして福祉保健ニーズにこたえる相談支援活動を行っているところであります。 また、高齢者の緊急連絡先等の情報を入れた冷蔵庫保管型救急バトンのすべての高齢者世帯への配備を進めておりまして、今後、民生委員等が定期的に訪問をして、緊急連絡先や身体状況の変化について確認する中で、さりげない見守りが行われることを期待しているところであります。 交流の場づくりといたしましては、レクリエーションや文化活動などを通じまして高齢者の生きがいづくりを推進するサロンの普及に努めているところでありまして、今、その数は千二百四十九カ所に達する広がりを見せております。 例えば、豊後高田市におきましては、玉津商店街に昨年十月、サロン「プラチナ笑話館」を開設いたしまして、商店街のにぎわいを取り戻すとともに、笑話館に集う高齢者がひとり暮らし高齢者などに電話をかける「見守りほっとコール」の取り組みが始まっております。 県では、ひとり暮らしの高齢者がより気軽に参加できるように、ウオーキングや体操、料理教室などの健康づくりを目的とした交流の場を拡充することとしております。 災害に備えた支援ということも忘れてはなりません。今回の地域防災計画では、自主防災組織や自治会の活動を通じまして高齢者の状況を把握して避難誘導を行う体制を整備するとともに、福祉避難所の確保を急ぐこととしております。 今後とも、ひとり暮らしの高齢者の生活状況の把握に努め、見守り活動や交流の場づくりを推進することによりまして、ひとり暮らしでも地域で孤立することなく、安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 今の答弁をいただいて、ある意味では、心強く思うと同時に、これからのひとり暮らしの対策は奥深く、また、多くの課題があるとひしひしと感じております。 先日、テレビを見ておりましたら、国東の方が宅配事業で一生懸命頑張っておる、見守りも兼ねてでありますが、そういう事業も県の支援をいただきながら頑張っておるようであります。 私たち佐伯も、宇目の地区で、そういう事業に地域挙げて、みんなで育てながら頑張っておるわけでありますが、周辺部に行けば、旧町村部に行けば行くほど、そういう地域の方々の協力をもらいながら、みんなで、お互いに見守りながら頑張っております。 これからも県として、市町村と一緒になって、そういう見守り活動が支援できるような体制をさらに構築していただくことをお願いしたいと思うんですが、改めて知事の見解をお尋ねします。 ○志村学議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 本当に高齢の方の、特にひとり暮らしの高齢の方のケアというのは、これから大変重大な課題になっていく、こう思います。 ひとり暮らしということは、ある意味で、やはり社会とのつながりを求めているということでございますから、そこのところに着目して、ちゃんと体制をとることによって見守りを強化していくということが大事かなと思っております。 今お話しのありました買い物弱者対策というのは、ある意味で、高齢の方がやはり買い物に困っているということでございますから、そこに支援の手を差し伸べるということによって、やはり、何らかの交流、コミュニケーションができて、これがまた見守りにつながっていくということでございますから、そういった意味で、いろいろと支援活動を拡充する中で、決して高齢の方が孤独の中で困り果てるということのないようにしていかなければならないというふうに考えております。
    ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 次に、県有財産の有効活用についてお尋ねをいたします。 県では、二〇〇九年三月に新県有財産利活用推進計画を策定し、財産のさらなる有効利活用に取り組んでいることと思います。この計画期間は二〇〇九年から二〇一三年度となっており、あと二年で終了となりますが、未利用の建物及び土地についての計画の進捗状況と今後の取り組みについてお聞かせください。 ○志村学議長 奥塚総務部長。 ◎奥塚正典総務部長 利用計画の進捗状況でございますが、平成二十一年度から五カ年間の歳入確保目標額三十三億六千五百万円に対し、この二月までの状況は、旧衛生環境研究センターの売却など十三億一千二百万円と、進捗率としては約三九%となっております。 しかしながら、中身を見てみますと、旧運転免許試験場を県立高校の共用グラウンドとするなど、新たな政策目的のため活用するものもあります。これらを対象から除けば、進捗率は約六五%と、五カ年計画の三年目としては一定の成果が上がっているものと考えております。 今後の取り組みでございますが、地価が下落基調にあることから、荷揚町体育館跡地など高額な物件につきましては適切な売却時期を見きわめることといたしておりまして、当面は駐車場用地での貸し付け等を行っているところでございます。 また、二十四年度に、当初貸し付けの予定でございました未利用庁舎等を豊後高田市に売却するなど、実績の上積みを図っているところでございます。 今後とも、土地の境界確認など利活用条件を整えた上で、それぞれの財産の特性に応じて、さらなる有効活用に努めてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○志村学議長 深津栄一君。 ◆深津栄一議員 新県有財産活用推進計画によりますと、今、部長が申されたような状況になるわけであります。 より具体的に申し上げますと、ここに県有財産利活用のそれぞれの多くの計画があります。計画を一つ一つ挙げると、これはもう何時間あっても足りませんのであれですが、アバウトに申し上げますと、この計画に基づいて、それぞれ今、職員の方々が頑張って、また、地域の方々と相談しながらやっていただいているというふうに私は認識をいたしておりますが、機を外すと、要するにその時期を外すと、なかなか売ろうにも売りにくくなる、また、使う方も、そういうタイミングを逃すと処分しにくくなる。いろんなやっぱり要素があると私は思うんです。 あるところに言いますと、つくった時点においては使う予定やった。しかし、時期を逸して、ちょっと使えなくなった。それがずるずる来たというような場合もあるようであります。そういう立場から、ぜひ、今後そういうことのないようにやっていただきたいし、県営住宅も同じであります。 最後、答弁を一緒にまとめてお願いいたします。 ○志村学議長 奥塚総務部長。 ◎奥塚正典総務部長 いわゆる未利用地、あるいは要らなくなった建物等につきましては、今、ご指摘ありましたとおりに、やっぱりタイミングを逃すと売れないというようなこともございますので、行政目的がなくなった場合には、できるだけ迅速に売却、あるいは転用というようなことで考えていきたいと思います。 地価の動向、あるいは個々の物件の性質を踏まえながら、県有財産、また県営住宅も、有効活用に全庁的に取り組んでまいりたいと思います。 以上です。 ○志村学議長 以上で深津栄一君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○志村学議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○志村学議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。  ------------------------------- ○志村学議長 本日は、これをもって散会いたします。     午後三時四十分 散会...