大分県議会 2011-03-01
03月09日-07号
平成23年 第1回定例会(3月)平成二十三年三月九日(水曜日
) ------------------------------- 議事日程第七号 平成二十三年三月九日 午前十時開議第一 一般質問及び質疑、委員会付託第二 議員提出第二号議案 (議題、提出者の説明、質疑、
委員会付託) ------------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 一般質問及び質疑、委員会付託日程第二 議員提出第二号議案 (議題、提出者の説明、質疑、
委員会付託) ------------------------------- 出席議員 四十二名 議長 安部省祐 副議長 渕 健児 古手川茂樹 牧野浩朗 土居昌弘 嶋 幸一 毛利正徳 濱田 洋 三浦 公 元吉俊博 末宗秀雄 御手洗吉生 桜木 博 麻生栄作 田中利明 大友一夫 井上伸史 佐藤健太郎 近藤和義 志村 学 阿部英仁 荒金信生 佐々木敏夫 玉田輝義 深津栄一 酒井喜親 首藤隆憲 平岩純子 吉冨幸吉 佐藤博章 梶原九州男 賀来和紘 江藤清志 久原和弘 小野弘利 内田淳一 河野成司 伊藤敏幸 竹中万寿夫 衛藤明和 高村清志 堤 栄三 欠席議員 なし 欠員 二名
------------------------------- 出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 平野 昭 副知事 二日市具正 教育委員長 林 浩昭 総務部長 佐藤 健 企業局長 町田 薫 病院局長 照山龍治 教育長 小矢文則 警察本部長 太田滋徳 企画振興部長 首藤博文 福祉保健部長 高橋 勉 生活環境部長 重本 悟 商工労働部長 山本和徳 農林水産部長 片岡登喜男 土木建築部長 梅崎健次郎 会計管理者兼 油布正春 会計管理局長 人事委員会 田中敏雄 事務局長 監査事務局長 野中信孝 労働委員会 花畑康彦 事務局長 財政課長 尾野賢治 知事室長 草野俊介
------------------------------- 午前十時四分 開議
○安部省祐議長 これより本日の会議を開きます。
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○安部省祐議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第七号により行います。
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△日程第一 一般質問及び質疑、委員会付託
○安部省祐議長 日程第一、第一号議案から第一九号議案まで、第二一号議案から第二三号議案まで及び第二五号議案から第四四号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。麻生栄作君。 〔麻生議員登壇〕(拍手)
◆麻生栄作議員 皆さん、おはようございます。自由民主党の麻生栄作でございます。 今任期最後の一般質問に際し、一言御礼申し上げます。 私は、平成十九年四月、改革による格差やひずみが社会問題化する中、再び県議会に送り出していただきました。特に、子育て世代の代表として、子育てや教育の視点からの提言に全力を傾けてまいりました。この四年間、私なりに精いっぱい愚直に取り組むことができましたのも、同僚議員や県民皆様の後押し、あるいはご指導、さらには知事を初め、執行部のご理解とご協力のおかげであります。心から感謝申し上げます。 一般質問最終日、トップバッターではありますが、あとの三名の先輩方が今期限りのご勇退を表明されておられます。今期限りでご勇退されます九名の先輩方の長年にわたる県勢振興のご尽力に心から敬意を表し、今後のご健勝をお祈り申し上げます。 後ほど、県政にかけてきた熱い思いを、含蓄のある質問によって我々後進にご指導いただきますことをお願い申し上げ、早速、その前座を務めさせていただき、質問に入ります。 将来を見据えた政策、県政運営方針について伺います。 政権交代以降、現金給付方式のばらまき政策が横行していると言っても過言ではありません。平成二十三年度政府予算を見ても、子ども手当、戸別所得補償、高校無償化、高速道路無料化など、政策効果に比べ、巨大な財源を必要とするものばかりであり、ばらまき四Kとも言われています。このツケは、子や孫の代に先送りされるばかりであります。こうした政策の背景には、目先の
利益追求型社会風潮も見逃してはなりません。今さえよければいいのではない、自分さえよければいいのではない、自助、共助、公助を基本とする社会の仕組みを充実させることが重要です。長い歴史と伝統に裏打ちされた日本のよき社会風潮の崩壊を食いとめるには、人々の悩みや苦しみを実感する保守政治家が地道に現場を歩き、お一人お一人の声に耳を澄まし、しがらみにとらわれず、将来を見据えた責任ある政策を練り上げ、政治を前に進めることが求められています。 私の好きな詩に、二宮尊徳の「遠きをはかるもの」があります。 「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う まして春まきて秋実る物においてをや 故に富有なり 近くをはかる者は 春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず 唯眼前の利に迷うてまかずして取り 植えずして刈り取る事のみ眼につく 故に貧窮す」二宮尊徳 この詩に目指す政策像のヒントが隠されているように思います。 将来を見据えた政策とは何か。百年先のために植える杉苗とは、今の時代に置きかえると何か。新しい視点で、戦略的思考によって具体的な政策づくりが求められております。 限られた財源の中で成果を出すには、政策の優先順位ももちろんですが、地方こそ原点であり、血が通わなければ政治とは言えません。そういう意味において、現政権からは政策の柱や軸が伝わってまいりません。当然、政策の優先順位や予算配分の基準に対する思いも示されていないのであります。しかも、猫の目のように日がわりでくるくると国会答弁も変わり、軸もぶれております。平成の開国や
地方自主戦略交付金など大ぶろしきを広げ、無用な混乱を生み続けております。党の綱領すら持たない浮き草のような中央政府の実態の中で、骨格予算と言いつつ、広瀬知事は予算編成に大変ご苦労されたものと思います。 そこで、今の社会風潮や目先の利益追求型の中央政府のばらまき政策の中、将来を見据えた政策についてどのように心がけていらっしゃるか。県政運営の中で気にかけていることをお伺いいたします。 〔麻生議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○安部省祐議長 ただいまの麻生栄作君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいま麻生栄作議員には県政運営についてご質問をいただきました。 私は、知事就任以来、県民中心の県政を基本に、将来の大分県の姿を見据えながら、「安心」「活力」「発展」の大分県の実現に向かってさまざまな施策を講じているところでございます。 まず、県民の安心です。 少子・高齢化が進行する時代にありまして、子供を産み育てることに喜びを感じられる環境づくりを進め、少子化の流れを少しでも緩和するとともに、高齢者の方々に対しましては、いつまでも元気で安心して暮らしていただけるように後押しをしていかなければならないと思います。障害者の自立支援も忘れてはならない大きな課題であります。 また、安心して心豊かに暮らせる大分県づくりのために、本県の持つ豊かな天然自然を守っていくということもまことに大切でございます。地球環境問題の深刻化が懸念される中で、エコエネルギーの導入や循環を基調とする地域社会を構築していくということも必要であると考えております。ごみゼロおおいた作戦をますます強力に進めていきたいと思っております。 第二に、地域の活力であります。 企業誘致や地元の中小企業の振興などによりまして産業集積を進めてまいります。特に、本県にとってなくてはならない農林水産業におきましては、進展する国際化も視野に入れまして、構造改革を進めるとともに、力強い担い手の育成などを加速する必要があります。さらに、成長著しいアジアの活力を取り込んで今後の県の発展につなげていくということも大事でございまして、現在、海外戦略の策定にも取り組んでいるところでございます。 第三には、これからの大分県の発展ということであります。 県の将来を担う子供たちのために三十人学級の導入など教育環境の整備に力を注いでまいりましたけれども、課題となっております学力、体力の向上には引き続き取り組んでいかなければならないと思います。 あわせて、生活の利便性向上や地域の活性化等の観点から、懸案の社会資本の整備も着実に進めていく必要があります。 第四は、分権に対する備えでございます。 一昨年の政権交代以降、地域主権への取り組みが強化されるなど地方分権への流れが加速しております。九州広域行政機構の設置など広域的な連携、協調によりまして、地方としての競争力を高める取り組みを進めていくことも必要だと考えます。 現在、大分県を取り巻く内外の情勢は、いまだかつて経験したことのないほど大きな変革のうねりの中にあります。常にアンテナを高く掲げるとともに、現場主義に徹しまして、足元をしっかりと見据えながら、知恵と勇気を持って県政を推進していきたいというふうに考えております。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 「安心」「活力」「発展」ということで、高めよう大分の底力という呼びかけをしていただきながら力強いリーダーシップを発揮していただいておりますが、そこで、二十三年度において特に優先し、意識された将来を見据えた政策や事業があればお示し願います。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 「安心」「活力」「発展」の大分県づくりというのは常に我々が考えていかなきゃならないテーマでございますけれども、特に二十三年度におきましては、まず安心の分野でございますけれども、
子育て満足度日本一ということを目指しまして、よりきめ細かな子育て支援をやっていきたいというふうに考えております。 「いつでも子育てほっとライン」、二十四時間、三百六十五日、子供、子育てについて相談を受け付けるというシステムをつくっておりますけれども、これをフリーダイヤル化して、もっともっと使いやすいようにしたいというふうに考えております。 一歳六カ月児の健診を受けておられない方もたくさんおられます。そういう方に対しては戸別訪問などを行いまして、やはり届ける子育て支援も充実していきたいというふうに考えているところでございます。 高齢者が住みなれた地域で安心して暮らしていただける仕組みづくりも大変大事なことでございます。新たに支え合い組織の立ち上げや
ひとり暮らし高齢者の見守りの体制というのを県下全域で広げていきたいというふうに考えております。 さらに、環境問題に関しましては、電気自動車の普及への取り組みなどを進めてまいりたいというふうに思います。 次に、活力の分野でございますけれども、おかげさまで産業集積の進化が図られてきております。こういうものをベースにしまして、ようやく県内企業でも大規模な設備投資をするような力のあるものが育ってまいりましたから、そういう県内企業の設備投資、あるいは雇用を創出する取り組みに支援を行う、こういったことも創設していきたいというふうに考えております。 また、こういう産業集積の進化をベースにいたしまして、
東九州地域医療産業拠点など新しい先端的な取り組みにも力を入れていきたいというふうに考えているところでございます。 また、農林水産業の力強い経営体の育成に向けましては、担い手の確保や新規就農者へのサポート体制を格段に充実していきたいというふうに思っております。 発展の大分県づくりのためには、課題になっております子供の学力、体力の向上策といたしまして、
学力向上支援教員、体育専科教員の配置による授業改善の取り組みなどを進めていきたいというふうに考えております。 さらに、社会資本の整備でございますけれども、東九州自動車道初め、中九州横断道路、中津日田道路など広域交通網の整備をより促進したいと考えております。あわせて、日豊本線の高架開通に向けまして取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ただいま知事から注力いただいておる分野についてお話がありましたが、先ほどもご指摘を申し上げました現政権の現金給付型のばらまき政策で受益者は真の幸せを感じることができるのかどうか、私はここに疑問を持っております。知事がお考えの幸せの本質とはどこにあるとお考えか、この一点についてお伺いをさせていただきます。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 なかなか難しいご質問でございますけれども、私なりに考えますと、幸せの意味するところは、時代により、また、受けとめる人によって随分変わってくるものだというふうに思っております。 私は、一つは、物の豊かさだけではなくて、心の豊かさということが非常に大事なんじゃないか。物の豊かさとあわせまして、心の豊かさということも幸せの基本ではないか。あわせまして、県民一人一人に光が当たる公平、公正な豊かさということも考えていかなければならないというふうに思います。さらに、環境と共存することのできる豊かさということも、また、現代的な意味で大変大事なことだというふうに考えております。こういった豊かさが充実していくということが県民の幸せ感につながっていくんではないかというふうに思っております。 もとより県民も賢明でございますから、そういった幸せが持続可能なものであるかということもよく考え、よく見ておられますから、健全な財政の裏打ちがあるということも大変大事なことだというふうに思っております。 こういった観点から大分県では、安全に安心して暮らせる豊かさ、将来に夢を持つことのできる豊かさの実現に向けまして、県民中心の県政という基本に立って県政を進めていきたいと考えているところでございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ただいまは、軸、柱にかかわる部分についての大変重要なお話をいただいたところであります。 そこで、これからは景気雇用対策について質問させていただきます。 今回上程されました予算では、景気雇用に特に配慮されたとの説明がありました。県産材を利用した住宅の建設や改修に対する助成など、県内循環型経済の模索といった新たな視点が見受けられます。 この県産材利用促進に関して、それが進まない理由として、煩雑な手続と申し込み期日が限定されていることにもかかわらず、支払い日も時間がかかり過ぎるなど問題が多いことも判明しております。さらに、木材利用は火災保険の掛金が高く、幼稚園や保育園など本来使用したい施設にとって施設運営コストを圧迫することも大きな壁となっております。こうした問題への検討を強く求めておきます。 次に、雇用・
就労支援関係事業に関しては、ここ数年、莫大な予算投下を続けております。つなぎ雇用にとどまらず、安定、継続的雇用につなぐとの議会答弁がなされておりますが、真の雇用、就労に結びついているのか、また、そのことによって本当に幸せになっているのか、また、県が抱える課題解決に寄与する分野へ配慮された重点配分比率になっているのか、検証が必要です。 そこで、平成二十一年度
ふるさと雇用再生事業や
緊急雇用創出事業について分野別の実績を調べてみました。総額三十三億三千四百七十四万七千円の事業費によって三千百十人の新規雇用が生み出されております。 分野別の事業費と新規雇用者数はこの表のとおりであります。県政の最大の課題である農業や教育の再生分野への雇用拡大が図られていることは、この数字からも読み取れます。また、介護・福祉分野は、事業費、新規雇用者数ベース、いずれも三%程度でありますが、現在、介護職の確保のため、
緊急雇用介護プログラム推進事業を別枠で事業費を確保し、実態に即した取り組みが始まっており、その成果に期待がかかっております。 そこでまず、雇用・
就労支援関係事業の成果についてお聞きします。 雇用・
就労支援関係事業でこれまで成果を上げている分野区分をお示し願います。
○安部省祐議長
山本商工労働部長。
◎
山本和徳商工労働部長 お答えいたします。 雇用・就労支援対策の重点施策として、離職者等の再就職を促進する職業能力開発と雇用機会を創出する基金事業の充実に取り組んできておるところでございます。 今年度、継続的雇用を提供する
ふるさと雇用再生事業、つなぎの短期就労を創出する
緊急雇用創出事業、この両事業によりまして、市町村事業もあわせまして約三千六百人の雇用を確保する見込みとなってございます。 また、基金事業では、新たな手法により雇用を創出する就労対策にも取り組んできております。例えば、県民参加による雇用創出といたしまして、企業やNPO等を対象にいたしました提案公募型事業を実施いたしまして、農林漁業など六分野、三十七事業におきまして二百二十一人の新規雇用を創出してきております。 また、未就職新卒者が職場実習を行うトライアル就業を今年度から新たに実施しているところでございます。 これらの取り組みによりまして、介護や農林、環境、観光など成長分野での雇用機会を創出するとともに、ふるさと事業の農林漁業では三百一人の方が後継者等として継続雇用される見込みとなってございます。 さらに、慢性的な人手不足で求人が多ございます介護分野におきましては、介護福祉士を委託訓練で七十七人、基金事業で二十九人、合わせて百六人を養成しているところでございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 それでは次に、今年度強化する雇用・
就労支援関係予算分野区分があれば、その分野と事業内容の説明を求めます。
○安部省祐議長
山本商工労働部長。
◎
山本和徳商工労働部長 お答えいたします。 現在の雇用状況でございますけれども、一月の県内有効求人倍率は〇・六二倍となっておりまして、九州ではトップとなっておりますけれども、厳しい雇用情勢が続いておりまして、引き続き雇用対策をしっかりやっていく必要があると存じます。そのため、雇用関連基金を活用いたしまして、市町村事業とあわせて約三千八百人の雇用を創出していくことを考えてございます。 特に新規学卒者の就職内定率が、昨年を上回ってはいるものの、依然厳しい状況にございますため、来年度はトライアル就業に資格取得研修を盛り込むなど内容を充実いたしまして早期就職を支援してまいる所存であります。 また、高校生の就職時のミスマッチの解消を図りますため、教育委員会と連携いたしまして、インターンシップの期間や受け入れ企業等を拡充することを実施いたします。 離転職者の職業能力を開発する委託訓練の分野におきましては、介護、医療、保育分野等の職員養成コースの訓練内容を充実いたしますとともに、定員を三割増加させまして、再就職の促進を一層図ってまいる所存であります。 さらに、
障害者雇用率全国第一位に向けまして、障害者の民間企業等への就労を促進するため、企業側の
受け入れ体制整備等を支援することとしております。 加えまして、出産や育児等でやむを得ず一たん離職をされた女性の再就職の支援措置といたしまして、求人が多いコールセンターでの職業訓練等を新たに実施する予定としてございます。 これらの施策に来年度しっかり取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 医療分野にも力を入れるという答弁をいただきましたが、現場が大変過酷な勤務実態にあるように伺っております。 そこで、看護職確保対策について伺います。 本県では、平成二十三年に、新卒、退職者、再就職、完全退職などを勘案し、就業者数は一万八千七百八十七名にとどまり、二百六十四人の不足、平成二十四年で二百八十人、二十五年で二百九十人が不足するとされております。 そこで、就労支援事業について、介護と同じように別枠で国の事業を利用し、重点的に取り組む考えはないか、お伺いをします。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 まず、介護分野の取り組みの仕組みでございますけれども、介護分野は、離職あるいは失業者対策として、国の
緊急雇用介護プログラム推進事業を活用いたしまして、介護保険施設等で働きながら介護福祉士の資格取得を目指す仕組み、こういうふうになってございます。 看護師養成の現状でございますけれども、県内の看護師等養成所の定員充足率が非常に高うございまして、特に准看護師養成所では一〇〇%を超えている状況で、働きながら資格取得を目指す仕組みが定着をしております。 議員ご指摘の看護師不足の現状でございますけれども、看護分野における不足の状況というのを見ますと、二十年度では、本県の離職率は一〇・六%でございます、十人に一人は離職している状況ございますけれども、県内の潜在看護職員数というのは約五千五百人いるというふうに推計してございます。 離職の理由は、臨床現場へ出た後の新人看護職員のいわゆる
リアリティーショックとか、あるいは出産、育児で一時的にということでございました。このため、
看護職員確保対策そのものにつきましては、新人看護職員に対して、まず、離職しないという形の教育体制の充実を図っていく、それから、出産、育児等で離職された看護職員に対して、再就労支援とか、そういった形の短時間勤務とかいうことで働き続けられる職場づくりをしていくというふうに考えてございます。 こうしたことから、ご提案ではございますが、介護福祉士と同じスキームで就労支援事業を行うということは、ちょっとなじみにくいのかなというふうに思ってございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 であるならば、何らかの形で重点的にそういったことを、看護師に限らず、医師とか薬剤師、こういった国家資格者、大変苦慮、先行き不透明だということで患者さんも心配せざるを得ない状況になっては大変でありますので、県庁挙げて考えていただくことを要望しておきたいと思います。 それでは次に、子育て支援、教育環境の充実について伺います。 本県は、
子育て満足度日本一を掲げ、全国トップレベルの取り組みもあります。妊婦健診支援や不妊治療費助成、
子ども医療費助成などであります。いずれも過酷な勤務実態の中、産科や小児科の医療現場の皆さんの特段のご協力のおかげで維持できています。しかし、先ほど、雇用関係事業に関する分野区分において子育てはわずか一%にすぎないことを指摘しました。そうした中、新年度、子育て家庭訪問サポート事業が新たに実施されるようであります。一歳六カ月児健診の未受診家庭を主任児童委員が戸別訪問し、相談、援助するものであります。乳幼児健診の受診率が全国平均に比べて低い本県にとって、受診率の向上につながればと思います。 その他、今回、不登校やひきこもり、ニート対策も強化されているようですが、真の弱者の絞り込みと真の弱者と正面から向き合う姿勢も問われ、子育て支援や教育環境の充実に関する優先順位も考え直す必要がありそうです。そのことを踏まえ、
子育て満足度日本一について質問をいたします。 乳幼児健診の受診率について。 まず、一歳六カ月児健診と三歳児健診の未受診率の本県と全国平均の数値をお示しください。あわせて、受診率の向上に向けた取り組みをお聞かせ願います。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 お答えをいたします。 まず、一歳六カ月児健診、三歳児健診の根拠でございますが、これは母子保健法に基づきまして市町村が実施することとされております。 受診率そのものは、二十一年度の一歳六カ月児健診の受診率は、本県では九一・九%、全国平均が九三・六%でございます。三歳児健診の受診率は、本県が八八・一%で、全国平均は九〇・八%となってございます。いずれも改善傾向にありますものの、全国平均よりか二ないし三ポイント低い状況にあります。 受診率向上に向けた取り組みでございますが、市町村では未受診者に対する個別の受診勧奨を実施しておりまして、市町村によりましては健診前日にも電話連絡を行ってございます。 県といたしましては、来年度から、健診未受診者による実態を把握いたしますため、主任児童委員による訪問調査を行う市町村を支援いたしますほか、受診してよかったと思える健診となるよう、面接技法などの健診スタッフのスキルアップを図る研修を行ってまいることとしております。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 受診率をまず上げていただいて、きのうのやりとりがありましたような発達障害児の問題等々、対応、療育の問題も含めて取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。 そこで、もう一点は、本県には保育所の待機児童が存在しないというデータが示されているような気がいたしますが、これは事実でしょうか。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 お答えをいたします。 まず、待機児童の定義でございますけれども、厚生労働省の通知によりますと、入所申し込みが提出されており、入所要件に該当しているが、入所していない児童というふうにされてございます。しかし、ほかに入所可能な保育所があるにもかかわらず、特定の保育所を希望することによりまして待機している場合には待機児童には含めないこととされてございます。 待機児童数の状況でございますが、待機児童数は、毎年度四月一日及び十月一日現在のものを把握して国に報告をしております。 平成二十二年四月一日現在の待機児童数は、昨年九月の厚生労働省発表によりますと、中核市である大分市を除く大分県十七市町村分の待機児童数はゼロでありますが、大分市では十二人となっております。 平成二十二年十月一日現在では、大分市が四十四人、豊後大野市が十二人、日出町が八人の計六十四人となっております。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 大分市内に六十六あります認可保育所のうち、四十九の私立認可保育園を私は調査いたしました。年度末には待機児童が約千人にも上るそうです。しかも、子供は年度途中に生まれるわけですから、乳幼児の受け入れが特に滞っているようにあります。 保育園の保育士は、年度当初の定数しか雇用できません。しかし、毎年、年度途中に受け入れる乳幼児のために保健師や看護師の追加臨時雇用を余儀なくされております。しかし、過酷な勤務実態と処遇が合わず、その雇用の確保ができずに、待機児童が千人にも上るそうであります。 毎年、年度途中に定数の二割近い増員受け入れを臨時雇用で受け入れるのではなく、当初から常時雇用できるふるさと雇用再生や
緊急雇用創出事業などの国の子育て支援メニューがないのか、あるいは県独自の重点分野子育て支援事業として取り組みを検討することはできないのか、お伺いをいたします。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 お答えをいたします。 ふるさと雇用再生特別基金事業及び
緊急雇用創出事業は離職を余儀なくされた方の雇用機会を創出することが目的でありまして、臨時雇用の保健師等を常勤雇用するために活用することは難しいのではないかと考えてございます。 県では、待機児童解消などのために安心こども基金を活用いたしまして保育所の増改築等を支援しておりまして、大分市につきましても、平成二十二年度に二十施設で百十名の定員増を支援しておりますし、二十三年度も一施設四十名の定員増を支援しているところでございます。 また、大分市は、来年度、待機児童解消先取りプロジェクトに取り組んでおりまして、保育所の緊急整備のほか、家庭的保育の実施を予定しているので、県としても支援できるよう検討しているところでございます。 なお、待機児童が千人というお話でございますが、きのう厚生労働省が発表した平成二十二年十月一日現在の待機児童数でございますが、待機児童が千人を超えてございますのは、県単位では東京、千葉、埼玉など、あるいは市単位では横浜、川崎、大阪などの大都市圏でございまして、大分市の待機児童は四十四人となってございます。 大分市に直近の三月一日現在で確認したところ、八十五人という、先ほどの待機児童の定義に基づく待機児童数というのはそういう数字になってございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 待機児童と現実に現場で申し込みがあるというそのギャップがありますんで、いずれにしても女性の社会進出等々含めて、こういった実態に即した形で対応をもう一度検討を求めておきたいと思います。 それでは次に、保育所の体制について伺います。 認可保育所がインフルエンザの流行対策に苦慮し、それぞれがまちまちの対応をしていることにも気づきました。小中学校では、学校医や学校薬剤師の指導によって専門的な対策が実施されております。幼稚園も、教育基本法の改正によって、明確な位置づけの中、同様にドクターや薬剤師の指導を受けるようになっており、インフルエンザが流行すると学級閉鎖という対処法もあります。しかし、保育園は、共働き家庭もあり、閉鎖ができません。保育所の皆さんは、それぞれに工夫を凝らし、独自に対策をしておりました。
子育て満足度日本一と言いながら、これが実態であります。保育園にも保育園ドクターや薬剤師といった専門職の指導が行き届くような支援策が求められます。こうした問題認識について考えをお聞かせ願います。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 お答えをいたします。 医師と薬剤師の配置でございますが、すべての保育所には児童福祉法に基づく設置基準によりまして嘱託医が配置されておりますが、薬剤師の配置は義務づけがされておりません。 疾病等の対応でございますが、保育中に疾病等により体調不良を起こした場合は、学校と同様に医師に相談をいたしまして、その指示に従って適切な措置を行っております。 感染症の対応でございますが、保育所におけるインフルエンザなどの感染症の発生予防につきましては、毎年度行っている実地監査などを通じまして、感染症対策ガイドラインの周知やうがい、手洗いの励行などを指導しているところであります。 感染症の発生や疑いがある場合には、嘱託医や保健所等に連絡しまして、その指示に従うように指導をしております。 保育所は、抵抗力の弱い乳幼児が集団で生活しておりますので、こうした感染症対策が重要でありまして、今後とも対策を徹底してまいりたいと考えてございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 県の薬剤師会さんの方で問題認識を持ってらっしゃって、協力もでき得るということでありますので、また話を詰めていただければと思います。 それでは次に、学校図書館活用推進事業について伺います。 教育環境の充実に関して、読書習慣を幼児期からつけることが重要と考えます。今回の事業内容の説明をまず求めます。
○安部省祐議長 小矢教育長。
◎小矢文則教育長 学校図書館活用推進事業についてご説明します。 本事業は、学校図書館を活用する教育を推進して、児童生徒が進んで本を読む習慣やみずから必要な情報を集めて活用できる力を身につけさせることを目的としておりまして、県内小中学校から十八校をモデル校に指定しまして、図書館を授業の中で活用できるように机やいすの必要数をそろえたり、リラックスして本が読める畳スペースを確保するなど図書館のハード整備を行いますとともに、手にとりたくなるような本の配列を工夫したり、発達段階に応じた良質な図書を購入して蔵書を充実させるなどソフト対策も講じることとしております。 人的支援としましては、教育事務所に学校図書館教育アドバイザーを配置した上で、図書館での授業を援助するサポーターをモデル校に配置いたしまして、学校図書館の機能向上、活性化を図ることにいたしております。 このような読書環境の整備、人的配置の充実によりまして図書館教育の成果を県内に広げて、児童生徒の豊かな心をはぐくんでいきたいと考えております。 以上であります。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 教育環境の整備に目を向けていただいておりますが、モデル校十八校の実施について、新しい視点の戦略的思考が見えてきません。本県県民の読書習慣は、車通勤が主流で、通勤時に読む都会の大人社会と全く違います。親や先生の読書習慣が少ない中で、児童生徒から実施する入り口の優先順位も一考の余地があろうかと思います。 幼児期の保育園や幼稚園での読書習慣を芽生えさせる事業構築を求め、て見解を伺います。
○安部省祐議長 小矢教育長。
◎小矢文則教育長 幼児期の読書習慣を芽生えさせるための事業構築ということでございます。 私ども、幼稚園教育の取り組みについて指導しております。これは、小中学校の指導要領に当たります幼稚園の教育要領というのがございます。その中に、幼稚園の園児につきましても絵本の読み聞かせ、こういったものがカリキュラムの中に入っておりまして、こういうことから、現在、幼稚園におきましては、給食、また、帰る前の時間、こういったときに本の読み聞かせを幼稚園現場で行っておりますし、また、保護者向けの読み聞かせの研修会も実施をいたしております。 それから、県立図書館の取り組みも幾つか申し上げますと、幼児向けの推薦図書を本にいたしまして、県内の幼稚園、それから子育てリーダー、グループ、こういったところに配布をいたしております。さらに、図書館の方に読み聞かせ文庫というものも整備いたしております。幼児のための本でございます。それから、幼児向けの図書の貸し出しセットも宅配で制度化いたしております。 このように幼稚園現場、そしてまた、県立図書館としましても幼児の段階から読書に親しめるように取り組みを行っておりますが、まだまだ十分とは思っておりません。これからも充実強化していかなければならないと思いますし、特に市町村に対しまして取り組みを強化するように指導してまいりたいと考えております。 以上であります。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員
子育て満足度日本一を目指すには、教育によって可能性の再配分を実現できる県となることであります。他の都道府県では、議会において教育方針演説も行われ、県民が目標に向かって、教育現場の先生方とも一丸となって、情報や目標を共有し、取り組んでいるそうであります。本県でも改選後には教育方針演説の実施を強く求めておきます。 次に、文化、スポーツの振興について伺います。 美術館建設についてであります。 私は、大分市議会議員当時、大分市美術館建設に際し、全国の公共、民間の美術館を回り、もろもろの視点から十年をかけ提言をし、建設にかかわってきた経験に基づき、気がかりなことを数点指摘しておきたいと思います。 その前に、まず、今回のパブリックコメントを求める手法が県庁ホームページ上などに限られていたことやその詳細データの公表に対する疑問の声が私にも寄せられていることをご報告申し上げたいと思います。 今回、大分県美術館構想検討委員会により県立美術館基本構想答申がなされており、機能、コンセプト、運営に関しても、とてもすばらしい内容が記されております。また、大分経済同友会からも「県立美術館整備の方向性 クリエイティブな美術館と都市づくりに向けて」という新しい発想での提言が寄せられております。今後の具体的な検討、準備に生かされることを期待します。 また、大分市美術館基本構想策定時に、当時の県芸術会館館長及び県芸術文化振興会議関係者に参画していただいておりました。そうした中、県芸術会館の展示スペースの問題から、現在のアートプラザを初めとする磯崎建築や大理石の土台とドーム屋根を持つ赤レンガ館の産業遺産など町全体を生かした分館的構想や遊歩公園の路上博物館構想なども議論をされました。さらに、福田平八郎画伯や高山辰雄画伯の作品収集に関して、市と県の役割分担など、どちらかがその一方に集めるといった収集方針も議論しましたが、その問題はいまだに解決しているとは思えません。 答申の内容の中で運営に関しても触れられておりますが、開館時間も大きな問題であります。 当時、大分市観光開発懇話会の意見では夜の時間も鑑賞できるスポットを求めておりましたが、行政の直営ではハードルが高過ぎました。せめて二十時まで営業してほしいものであります。 あるいは、収蔵庫機能やそのキャパの問題に関して民間倉庫業界の方は、利用されていない県有建物での美術品収蔵機能コンテナで、十分、コスト削減も図れるとの提案もあります。 幾つかの指摘を申し上げましたが、当然、立地場所も大きな論点の一つとなります。 先日、大分上野丘高校新聞卒業記念号を読みました。これがそうであります。紙面には、美術館建設についての規模や立地場所、展示すべき美術品等さまざまなアンケート調査結果が掲載されており、皆様のお手元に実物を配付させていただいているとおりであります。次代を担う高校生が他人事でなく、自分のこととして美術館のあり方を考えていることを頼もしく感じました。具体的な計画を作成していく過程でこういった高校生などの若者の意見を多く取り入れる仕組みも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○安部省祐議長 首藤企画振興部長。
◎首藤博文企画振興部長 美術館建設についてお答えをいたします。 美術館についてのパブリックコメントでは、千九百名を超える多くの県民の方々から多様なご意見が寄せられました。その中で芸術緑丘高校の生徒さん約百名からもご意見をいただいたところであり、その中には「建物自体を美術作品としてほしい」や「アートの資料や画集を置いてほしい」「芸術に興味のない方にもご来館いただいて、芸術の幅広さを知ってもらうような活動をしてほしい」など参考とすべきものが多く含まれております。 今後、美術館の建設に向けましては、施設の名称、運営方針など検討事項は多岐にわたりますが、県民に親しまれる美術館とするため、県民のご意見を十分取り入れていくこととしております。 特に美術館には、あすの大分を担う子供たちの豊かな感性と創造性をはぐくむことが期待されておりますので、教育との連携を深めていきながら、随時、若い世代の意見も反映できるよう努めてまいりたいと思います。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 県下の各高等学校の美術部員あたりの意見も取り入れていただきますように要望しておきたいと思います。 それでは次に、大銀ドームの活用促進について伺います。 大銀ドームは、大分が誇る地域資源の一つであります。サッカーJ2大分トリニータのホームグラウンドでもあり、ことしは若手中心に生まれ変わって、初戦も、アウエーにもかかわらず、見事勝ち点三を上げ、トリニータも期待できそうです。県民の応援によって大化けしそうな感がいたします。 そこで、ホームグラウンドを盛り上げるための仕掛けも重要となってまいります。 昨年のEXILEコンサートの経済波及効果は大きなものでありました。以来、アーチストの大銀ドームへの関心は高まっております。まして、九州新幹線の開通効果も重なり、全国ドームコンサートツアーの際、福岡に続いて、九州二会場目としてのオファーが必ずふえます。しかし、交通インフラを初め、騒音、不法駐車、ごみ、渋滞、警察、消防、自治体、公共交通機関などとの打ち合わせを一プロモーション会社が解決する労力は半端なものではないようであります。現在、指定管理者に業務委託しているものの、行政の協力なくして、こうした大イベントの開催は困難をきわめます。 このドーム、かつて、ある人気グループのコンサート開催オファーを、既に申し込みのあっていた先着のゲートボール大会と重なっているからと、調整努力もなく断ったことがアーチストの間でも有名らしく、行政が非協力的であるとして、二度と申し込みたくないといった声も聞こえてきます。こうした悪評を払拭するためにも、利活用推進協議会を、関係当事者で常設組織として、ドームの所有者である県が責任を持って設立する考えがないか、伺います。
○安部省祐議長 首藤企画振興部長。
◎首藤博文企画振興部長 大分銀行ドームの活用についてお答えを申し上げます。 施設の利活用を促進するため、平成十九年度に指定管理者、県、その他関係団体等から成る利活用促進協議会を設置し、これまでキリンチャレンジカップ等のサッカー日本代表戦における交通輸送対策や子供のサッカー大会などスポーツ関連事業を中心に活動しております。 一方で、EXILEコンサートのような集客効果の高いイベント等を受け入れる場合には、指定管理者と県の関係部局があらかじめ主催者側のご要望を受け、渋滞対策や輸送対策について十分協議し、対応しているところでございます。 今後とも県の関係部局が指定管理者との連携を密にしまして大規模コンサート等の主催者のニーズにきめ細かに対応し、ドームの利活用を促進していきたいと考えております。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ぜひお願いをいたします。 大銀ドームは世界一のドームであるそうでありまして、イギリスのテレビ局も取材に来られたというふうに聞いています。大分トリニータの試合やコンサートなどのイベントのときに大分をPRするアンテナショップとしても情報発信したらどうかと思いますが、これについて答弁を求めます。
○安部省祐議長 首藤企画振興部長。
◎首藤博文企画振興部長 今年度は、大分トリニータのホームゲームを活用しまして、七月と十月に「大分県民デー」と銘打ちまして、県内の特産品の展示販売、観光PRビデオの上映や豊後牛のPR、郷土芸能の披露など大分ならではの観光地域情報の発信を行ったところでございます。 今後も大規模コンサートなど多くの集客が見込まれる機会をとらえまして、大分銀行ドームを活用した情報発信を行っていきたいと考えております。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 それでは、よろしくお願いします。 次に、地域振興について伺います。 九州新幹線の全線開業が迫り、西九州との競争や連携が課題であります。特に関西圏からの観光客の誘致のチャンスでもあります。 そこでまず、九州新幹線開業を本県の地域振興にどのように生かすお考えか。また、関西と結ぶ空や海の交通機関への影響をどう予測しているのか。その対応策についてもお示し願います。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 九州新幹線全線開通による影響と地域振興についてのご質問でございました。 九州新幹線の全線開通は、関西圏が非常に近くなるということだけではなくて、九州内の交流が活発になるということも考えられまして、沿線地域のみならず大分県にも大きな変化をもたらすものと、むしろ期待をしているところでございます。 まずは、何といいましても観光面での変化でございます。 九州の西側に新幹線が通るということによりまして、そちらにお客さんが集中するんじゃないか、逆に、東側、我々の方は、マイナスの影響を受けるんじゃないかというご心配の声もよく聞かれます。そういう面もあるかと思いますけれども、むしろ関西圏から九州を訪れる観光客の増加が大幅に見込まれるわけでございますから、大分県にとりましてもそれを大きなチャンスにしていくということが大事じゃないかというふうに考えております。 新幹線に乗って鹿児島まで足を延ばす方は多いと思いますけれども、この時代でございますから、せっかく九州に行くのならば、やっぱり湯布院や別府の温泉にも寄ってみよう、あるいは天草の魚を食べてみようという人も、これに負けないぐらい大勢いるというふうに思います。こうした観光客をいかに多く本県に呼び込むかというところがこれからの勝負ではないかというふうに考えております。 そのためには、新幹線の縦軸に対しまして、九州を横軸で結ぶことが重要となってくるわけでございます。そこで、途中駅で観光散策を楽しめるまち歩き観光列車を久留米から大分まで運行するなど、鉄道やバス、レンタカーなどによる新幹線沿線からの誘客対策を強化しなければならないというふうに考えております。 もちろん、大分県そのものの認知度がまだまだ低いわけでございまして、その向上にも、まず努めなければいけないというふうに考えます。このため、新幹線によって観光客の増加が見込まれます特に関西圏に向けまして、県内市町村と連携した観光キャンペーンの開催だとか、あるいはメディアの活用などによりまして本県の魅力を集中的に情報発信していくということが大事でございます。そういう予定にもしております。 もう一つは、人の交流が盛んになるということによって、また、いい影響が九州全体に来るんじゃないかというふうに考えております。 観光のみならず、ものづくり、あるいは農林水産業等にも大きなポテンシャルを持っております九州経済全体の活性化ということがこれによって見込まれると思います。 例えば、半導体産業における関連企業の交流、半導体は設計段階、前工程、後工程とございます。そして、そういう企業が九州各地に散らばっているわけですから、そういうものの交流によってさらに高度な半導体産業が生まれていくということも考えられます。あるいはまた、産業の壁を超えまして農商工の連携が促進されるというようなことも期待されるわけでございます。新しい分野がこういうことによって開けてくるんではないかと思います。 また、九州は、どちらかというと、ものづくりは盛んでございますけれども、まだまだ研究開発分野の仕事がおくれているというふうに考えます。この分野でも、人の交流とともに大きな成果が期待されるというふうに思います。それぞれの地域にあります大学が本当に近くなるわけでございますから、そういったものの交流等を通じまして産学官の交流が盛んになるというふうに思います。 こういう新たなビジネスチャンスが生まれるわけですから、大分県の経済発展につながるいい機会になるんではないかと、積極的に考えていきたいというふうに思っております。 議員ご指摘の本県と関西を結ぶ空や海の交通機関につきまして、観光面では、開業当初に多少の影響があるかもしれませんけれども、全体としては大きく悪化要因に働くというふうには考えておりません。むしろ、逆に、この機をとらえまして、例えば、関西から新幹線と在来線で大分に来てもらって、そしてフェリーで関西に戻るといった新たな旅行商品の造成などにつきましても支援をしていきたいというふうに考えております。 このように、今回の九州新幹線全線開通をチャンスととらえまして、積極的に本県の振興に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ありがとうございました。 私は、むしろ空がちょっと心配でありますので、この部分については注視をお願いしておきたいと思います。 先般、大分県出身の大阪商工会議所佐藤会頭とお会いする機会をいただきました。その際、関西圏からの観光客の誘致などにとても協力的なお話をいただきまして、「熊本の知事はいつも出てくるぞ。大分も積極的に出てこい」というようなお話もいただいておりますので、連携をお願いしてはいかがでしょうか。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 関西圏でのキャンペーン等がこれから大変大事になってくると思いますし、そのことをやっていきたいというふうに思っております。そういう場合には、関西の大分県人会の皆さんだとか、あるいは、商工会議所初め、いろんな経済団体のお力もいただかなきゃならぬ、そういうところと連携をしていかなければならないというふうに思っております。 今、お話のありました佐藤会頭は、大分県人会の会員でもありますし、商工会議所の会頭でもございますから、当然、ご協力をお願いしたいと思っております。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 佐藤会頭は京阪電鉄のCEOでいらっしゃいますから、京阪電車の中づり広告に大分キャンペーンがずらっと出ているようなことをぜひ期待申し上げておきたいと思います。 それでは次に、大分パルコ対策会議の取り組みについて伺います。 県都大分市駅前のパルコ撤退対策について。 大分市府内町一丁目一番地一号の駅前一等地のビルのともしびを消すことは、大分の顔として、大分を訪れた観光客の印象に大きな影響を与えるのみならず、県民の元気度にも影を投げかけます。 以前から大分経済同友会の皆さんがバーチャルリアリティーを活用して駅前の国道一〇号線対策など提言を市にされておりましたが、結果としてパルコの撤退という現実が突きつけられています。 本来、一義的には大分市が先陣を切って対策を練る立場なのでありましょうが、県としても全面的にこの対策を後押ししていただくことを強く求め、現在の対策協議会の取り組みについてご報告を願います。
○安部省祐議長
山本商工労働部長。
◎
山本和徳商工労働部長 お答えいたします。 昨年二月の撤退表明を受けまして、昨年三月に大分商工会議所を事務局として立ち上がった大分パルコ対策会議でございますけれども、こちらの方には県も当初から参画しておるところでございます。 これまで六回にわたり開催されておりまして、ビル所有者であります大分開発からの状況報告を受けるとともに、テナントの入居継続や新規誘致に向けた対応について検討を重ねてきていたところであります。 本年一月十八日に開催された第六回の会議におきましては、パルコ撤退後も引き続き商業ビルを基本に、事務所等としての活用も視野に入れながら、再オープンに取り組むことが確認されているところでございます。 県といたしましても、対策会議メンバーとも連携しながら、昨年九月には、テナントの迅速な出店を図ることができるよう、本ビルを大規模小売店舗立地法の特例区域に指定いたしました。これとともに、これまで大分開発に対しまして積極的にアドバイスなどを行ってきているところでございます。 また、昨年十月に設けられました大分商工会議所内の大分パルコのテナント向け特別相談窓口とも密に協力してきているところでございます。 今後とも、県として関係者の取り組みをしっかり後押ししてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 次に、大分駅高架後の駅ビル建設に伴う大分市中心商店街への影響と対策について伺います。 JR九州は大分駅に二〇一四年中に「アミュプラザ」という専門店街を開業予定とのプレス発表を見ました。延べ床面積約六万平方メートル規模と聞いております。駅前の再開発計画に弾みがつくことは喜ばしいのでありますが、既存商店街との共存共栄を今から模索しておかないと対応がおくれてしまいます。 中心商店街関係者への情報開示並びに情報提供をお願いし、テナント出店などその参画を含め、対応策についてお示し願います。
○安部省祐議長
山本商工労働部長。
◎
山本和徳商工労働部長 新しいJR大分駅ビル開発でございますけれども、大分駅高架化が完成する平成二十四年度以降に実施されると聞いておりまして、私どもといたしましても、駅周辺の中心市街地の魅力の向上と集客力の強化につながるものと期待しておるところでございます。 この新しい駅ビルにつきましては、JR九州はまだ公式には発表はございませんけれども、現在、計画を策定しているところであるというふうに認識してございます。 県といたしましては、JR九州に対しまして、新しい駅ビルがもたらす活性化への期待に加えまして、駅ビルが既存商店街とともに発展し、回遊性のある中心市街地となってほしい旨を働きかけてございます。JR九州としても積極的に対応するということでございました。 JR九州と地元商店街との情報交換も始まっていると承知してございますので、県として関係者の取り組みをフォローしていきたいと考えてございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 それでは次に、大学キャンパスの市中心部への誘致を提案申し上げたいと思います。 パルコが撤退し、郊外の大型ショッピングモールに車で人が集まるようになり、ますます中心商店街が心配になってまいりました。若い人の歩く姿が減ってきたようにも感じます。 また、お隣の松山市は、大学が町中に立地し、観光客も多く、若い人がたくさん歩いており、町に活気があふれています。 山口大学も大分大学と同じように郊外に立地しておりますが、現在、北九州市小倉駅前にサテライトキャンパスを持っています。九州新幹線の開業に合わせて、小倉から博多駅前にそのキャンパスを移動させるそうです。 元日本経済新聞論説委員で日経時代から高等教育問題をライフワークにしてこられた黒羽亮一氏の著書「大学政策 改革への軌跡」、玉川大学出版部の第五章の二「大学立地政策の観点から見る」を参考に幾つかの提案をさせていただきます。 少子化の中、大学の全入時代と定員割れ大学の増加が迫り、町中キャンパスと郊外キャンパスの立地条件による大学格差が出始め、大学も変貌を迫られております。 一方、社会人枠での大学院生は、仕事を終え、郊外のキャンパスに学びに通っているわけでありますが、現在、大道陸橋工事の影響もあって大変時間がかかってしまっているようであります。そうしたことが影響しているためか、大分大学医学部の志願者数が三百八人と、昨年よりことしは五十人も減っていると聞きました。岐阜大学の医学部志願者は三千八百五十四人と、昨年より四百五十四人もふえていると聞いております。 広瀬知事は、国立大学法人大分大学の経営委員にも参画、ご尽力をいただいていると伺っております。 そこで、大学キャンパスのうち、サテライトキャンパスとしてでも構いませんが、大学院や社会人講座、あるいは大学図書館を市内中心部に行政の支援で誘致する考えはないか、伺います。また、大分市と連携を図り、取り組む考えはないか、見解を求めます。
○安部省祐議長
山本商工労働部長。
◎
山本和徳商工労働部長 ただいま大学キャンパスを活用した市中心部活性化のご提案をちょうだいいたしました。 大分市におきましては、現在、市中心部の大分駅南地区におきまして、平成二十五年に複合文化交流施設のオープンを予定しておりますけれども、この施設の中にサテライトキャンパスを設置する計画であると承知しております。 現在、サテライトキャンパスのあり方について大分市で検討しているところでありまして、県としては、その動向を見守るとともに、必要な対応をしたいと考えてございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 駅前のビルは空きビルだらけというような状況もありますんで、大学キャンパス、そういったものをうまくマッチングしていただければと思っております。 次に、大分市寿町厚生学院跡地の駐車場について伺います。 市内中心商店街が危機感を高める一方、中心部はどこもかしこも駐車場になっています。環境先進県を標榜するとき、県有地が駐車場だらけでは示しがつきません。電気自動車専用駐車場と言っても逃げにしかなりません。そういう意味では、市内中心部にある県有駐車場のあり方も見直さなければなりません。中心市街地活性化に結びつく利用促進を検討する必要が出ています。その象徴であるのが寿町の厚生学院跡地駐車場並びにOASIS周辺駐車場と言えます。 ここは、中央町商店街からガレリア竹町、さらにはソフトパーク、フレスポ春日浦を経由し、西大分のウオーターフロントにつながる導線の中核に位置いたします。また、鉄道の玄関大分駅と海の玄関大分港の真ん中でもあります。ここを駐車場以外で生かしたいものであります。利用方法を見直す考えはないか、伺います。
○安部省祐議長 佐藤総務部長。
◎佐藤健総務部長 おっしゃるように当該土地は、大分市の中心部に残された貴重な財産でありまして、今後、例えば、文化施設や商業施設など、中心市街地の活性化、さらには県勢発展につながるさまざまな使い方の可能性があるというふうに思います。 その活用策につきましては、いろんな方々のご意見も伺いながら慎重に検討する必要があるのではないかと考えているところであります。その間、更地にしておくというわけにもまいりませんので、当面、有料駐車場として有効活用をしているものでございます。 以上です。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 きょうは、まず第一回目の提言でありますので、今後ぜひ検討を求めておきたいと思います。 それでは最後に、豊予海峡ルートについて伺います。 私の選挙区である大分市は、合併によって佐賀関、野津原が加わり、海と山の地域資源によってそのすそ野や可能性が広がりました。また、九四フェリー乗り場を持ったことによって、大分市が真の東九州の玄関口になりました。しかし、ここがまだ生かし切れていない気がします。 東九州と西四国は国内きっての陸の孤島かもしれませんが、日本の原風景と歴史ロマンあふれる地域資源があふれております。天然自然に恵まれた国内屈指の環境エリアでもあります。環境先進県も目指していることなどから、電子自動車専用豊予海峡トンネルの早期実現を私は夢見ております。 夢は、実現に向かって歩を進めなければかないません。これまで関連調査に、大分県分として三億二百四十万円、豊予海峡ルート推進協議会として四千九百万円、日本鉄道建設公団も、額は不明ですが、昭和四十九年から五十七年まで多額の費用をかけ調査しており、豊予海峡架橋調査委員会によっても行われております。それぞれにその調査結果報告書がまとめられ、技術的にも実現可能であるとの国会答弁も議事録に残っているように聞いています。こうした議事録や調査結果資料は、大分県にとっては貴重な夢の種であります。これらのバックデータは、他の政策実行にもとても有効なものばかりであります。確かに、新幹線構想を前提とした調査であったり、架橋であったりしたため、その費用対効果の経済的側面だけでお蔵入りとなっている感は否めません。 トルコ共和国首都であるイスタンブールのボスポラス海峡には日本の円借款の経済援助と技術力によって橋もトンネルもできていることを勘案すれば、国家プロジェクトとして前進させる運動展開は大分県として当然の責務であります。今の閉塞感を打破するためにも、着実に歩を前に進める地道な取り組みが求められます。九州新幹線が開通する今、その節目に東九州の将来像を議論する必要があります。 今まで検討してきた第二国土軸としての新幹線や架橋構想とは違った、関西エリアとの観光連携や電気自動車専用道路、環境エリアなど新しい視点での戦略的な構想実現に向けた見直しの検討をしてはどうかと思いますが、考えを伺います。
○安部省祐議長 首藤企画振興部長。
◎首藤博文企画振興部長 豊予海峡ルートについてお答え申し上げます。 豊予海峡ルート構想は、九州と四国経済文化圏の交流を促進する国や愛媛県、大分県を初めとする関係県、経済団体及び市町村などが一体となって推進してまいりました。しかしながら、昨今の社会経済情勢や国、地方の厳しい財政状況を踏まえると、近い将来の実現は難しいと言わざるを得ません。 豊予海峡ルートは、県といたしましても将来の実現に向けて夢をつないでいくため、議員ご提案のような視点もこれから勉強しつつ、引き続き関係県等と連携しながら国への働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 この夢の種であります豊予海峡ルート関連の資料について最後に伺います。 保存期間三十年、十年、五年といった保存期間を過ぎた調査結果報告書が発生していると思われます。その保存状況についてお聞かせください。
○安部省祐議長 梅崎土木建築部長。
◎梅崎健次郎土木建築部長 お答えいたします。 本県では、豊予海峡ルートに関する調査を昭和四十八年度及び平成七年度から十五年度の間に実施しており、いずれの調査報告書も文書管理規程に基づき保存しているところでございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 大分県民にとって夢でもありますし、このプロジェクトこそ、日本の政治に血を通わせ、日本を立て直すきっかけとなる人と人をつなぐ
コミュニティー事業になると私は信じております。ぜひこの夢の種をしっかりと保存していただくことを求めておきたいと思います。 最後に、大変限られた財源の中、厳しい財政運営、そして事業構築をしていかなければならないわけでありますが、真の弱者の絞り込みと真の弱者と真正面から向き合う姿勢、あるいは社会風潮、こういったものについてこの統一地方選挙で大いに議論し、また、この場でその議論を闘わせられるように、私自身、今度の選挙を頑張り抜くことをお誓い申し上げ、質問を終わります。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
○安部省祐議長 以上で麻生栄作君の質問及び答弁は終わりました。内田淳一君。 〔内田議員登壇〕(拍手)
◆内田淳一議員 私は、平成三年、初めて県議会に議席をいただきました。そのときから二十年がたちましたが、今任期限りで議員を辞することにしました。本日の質問が私の最後の質問になります。感慨無量という言葉がございますが、今はまさにその気持ちであります。 まずは、知事初め、県職員の皆さん、同僚議員の皆さん、そして長年にわたって支えてくださいました支持者の皆さんに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。 それでは、質問に入ります。 県政の幾つかの課題について私の思いを述べながら、知事及び教育委員長に質問したいと思います。質問の真意をぜひお酌み取りいただき、お答えをいただきたいと考えます。 議員となって初めの三期十二年間は平松知事の時代でした。この時代は、もろもろの大型プロジェクトが次々に積極的に取り組まれ、実現をした時代でした。 平成三年の一村一品クラフト公園ハーモニーランドの開園から、四年のマリンカルチャーセンター、農道空港、新県立病院、五年の大分県共同庁舎、七年には新県立図書館、ビーコンプラザ、八年には大分香りの森博物館、十年には県立看護科学大学、県立工科短期大学校、OASISひろば21、十二年には立命館アジア太平洋大学、十三年には大分農業文化公園、大分スポーツ公園「ビッグアイ」、大分流通業務団地、十四年にはFIFAワールドカップの開催、このように多くの事業が数十億から二百数十億円の巨費を投じて次々につくられたのであります。 当時の県予算は大体六千億から七千億円台を推移し、平成十年には過去で最も大きな七千五百八十一億円に達しました。 今から考えますと、実に多くの事案、事業に遭遇したことになります。これらの事業費は、当然、起債によるところが大きかったわけですが、財政的に大丈夫なのかという漠然たる不安を抱きながら、いろいろな局面において議論をしてきたことを思い出します。しかし、当時の知事初め執行部の答えは一貫して、「健全な財政運営に努めている。県債残高の約六〇%は地方交付税で措置されるもので、実際の県債残高は多くない」の繰り返しでありました。こうした状況の中でそれぞれの事業に対して判断をしてきましたが、今になってみますと、果たして正しい判断であったのか、じくじたる思いもございます。 なぜかといえば、平成十五年、広瀬知事は就任後の第二回定例会において中期的な財政収支の試算を明らかにし、その中で、「このままの財政運営を続けていけば、平成十九年度には百八十億円の赤字が生じ、財政再建団体となる。そして、二十年度には累計で約四百六十億円の赤字が生じるという試算結果となった。この推計は、歳入確保対策や歳出削減努力を行わなければ本県財政が破綻するという危機的状況にあることを示す」として、厳しい行財政改革をスタートさせるに至ったからであります。 ともかく、広瀬知事による行財政改革は成果をおさめ、県財政は事なきを得ました。しかしながら、その成果が強調されるたびに、複雑な思いと苦い思いを禁じ得ないのであります。知事初め執行部の皆さんの発言や説明の重みは大きいことを改めて申し上げますとともに、県政の根幹である財政に関する説明の重みについていかにお考えか、伺います。 次に、県行政の推進に当たって、執行部の姿勢についてであります。 施策や事業について、成果やメリットは強調しますけれども、デメリットや失敗はほとんど明らかにしないか、答えようとしない、すなわち隠そうとする傾向が極めて強いことを感じております。当局にとって都合のよい指標や数字を羅列することに腐心をすることが多過ぎると感じるのは私だけではないと思うのですが、どうでしょうか。 私は、これまでの幾つかの質問の中で、何度かこのことを感じました。成果を強調することは結構ですが、誤りや失敗も率直に認めることも大切であり、そのことがまた、より県民に信頼される県政につながるのだと思いますが、いかがでしょうか。 私は、県職員は一事務職員であってはならず、常に県政の推進者として、企画力、実行力を持ち、積極的に提言し、それを実現できる行政組織であることが望まれていると思っています。知事は、聞き上手であり、即決対応能力にすぐれていると高く評価をしています。今後も県職員のモチベーションをより高めるためにも、より多くの職員との対話に努めていただきたいと思っています。 知事は、さきの議会で引き続いて県政を担っていく決意を明らかにされましたが、三期目は職員との年齢差もさらに大きくなります。前県政のころに、私はその弊害を幾つか感じました。いわゆるパイプが詰まることのないようにと念ずるところですが、ご見解をお聞かせください。 次に、教育行政について、思いを述べながらお尋ねいたします。 教員不正採用事件の発覚以来、大分県教育行政は大きくさま変わりをしたと思います。それまでの教育行政が否定された感さえいたします。教育委員会から教育職の職員が減少し、かわって知事部局からの行政職職員が増員され、あたかも教育委員会は教育行政局になったかの感さえします。いわゆる教育とか教育的とかいう概念が薄くなり、機械的に教育という名の事業が進められているように感じられてなりません。学力に特化した教育行政、教員不正採用事件に端を発した教育改革という名の教職員管理、これで大分県教育はよみがえることができるのか、甚だ疑問を抱かざるを得ないのであります。 教育委員会制度の本旨をいま一度見つめ直す必要はないのか、教育委員会の独立性はどうなっているのか、原点から大分県教育を考えるときだと思いますが、どのように考えているのか、お尋ねをいたします。 少子化の進行は教育行政に大きな変化をもたらしました。生徒数の減少と偏りによって小、中、高等学校の再編や統廃合は大幅に進み、さらには市町村合併の進展とあわせて地域経済や地域文化に大きな影響を与え、地域から活力を奪ったと思っています。この十年間に実に分校を含む八十一の小学校、二十四の中学校、分校を含む十七の高等学校が姿を消しました。小、中、高すべての母校がなくなったという人もいます。 私は、こうした統廃合を見るにつけ、割り切れない思いを感じてまいりました。うがった見方をすれば、少子化にあわせて、金のかかる部分、一見効率的でないと思われる部分を合理化したのではないか。例えば、適正規模学校の論理が強調されたり、あたかも小規模校では子供の競争ができないとか、それが親の願いであるかのごとき理由を並べて、小規模校を廃止したり、定時制高校を廃止したりしました。昔から小規模校はたくさんありましたし、そこにはまた別の教育的利点も多くあったと思うのであります。また、地元の皆さんの存続の願いもたくさんありました。金をかけずに効率的に教育をと考えるのは、いかにも教育的ではないと思うのでありますが、いかがでしょうか。 本来、教育とは、子供たちの多様な才能や個性を引き出すことであり、学力はその一つだと思います。教育は、理想や希望を求めて進められなければならないと私は思います。近年の教育委員会施策の中で前進的にとらえられるものとしては、少人数学級編制の取り組み、あるいは独立単位制高校爽風館高校の新設などありますけれども、そのほかは余りないと私は思っています。むしろ、教育の理念から次第に遠のいていっているように思えてなりません。 高校再編は、地域の過疎化に拍車をかけ、学校間格差を拡大し、保護者の教育費の負担増につながっています。学力向上の名のもとに子供の教育の場になじまない競争主義の導入やいわゆる学力テストの導入は、子供たちや教職員からゆとりを奪っており、いじめや不登校などを生み出しています。教職員の健康、メンタルの面にも影響を及ぼしていることが指摘をされています。教職員の多忙化は、今や限界に達していると私は思っています。どのように対策を講じているのか、お答えをいただきたいと思います。 いま一つ、見解をお尋ねいたします。 教員不正採用事件について、知事部局及び教育委員会は、大変な努力の末に被害者の救済に尽力されたことに敬意を表するところであります。前議会に続いて三名の被害者との話し合いがつき、その賠償金が本議会に上程され、さきに議決されました。 この事件は、大分県及び大分県教育界にとって大きな汚点を残しました。事件発生以来、二年が経過をしたわけでありますが、問いたいのは、この事件のけじめはついたと考えているのかどうかということであります。 それぞれの時点で処分等は行われてきたことは承知をしていますが、多くの県民は必ずしもけじめがついたとは理解していないように思われるのです。どのように考えているのか、お聞かせください。 私は、二十年前、平成三年九月二十五日に行った初めての質問の折に、大分市東部地区の交通問題について質問をいたしました。その中で、大野川をもっと渡りやすくしたい、大野川にもう一つ橋をかけてほしい、それが大分市東部地区、佐賀関、坂ノ市、大在地区住民の願いであり、悲願であると訴えました。それから二十年、事あるたびに繰り返してそのことを言い続けてまいりました。地元の皆さんも大野川新架橋促進期成会を組織し、県、市に要望を続けてきましたが、いまだ先が見えないままであります。このことが私の心残りの最たるものであります。 もちろん、私たちの訴えに対して多くのことに取り組んでいただいたことも事実です。大在、坂ノ市地区の区画整理事業、臼坂有料道路の無料化、企業誘致による岡団地問題の解決、国道一九七号の佐賀関トンネル、志生木トンネル、大分東バイパスなど幹線道路の整備、河川整備や急傾斜地崩壊対策事業の実施、日吉原泊地のポンツーンの整備、そして大野川有料大橋の無料化など、大分市東部地区住民の多くの願いが実現をしました。地元の皆さんや行政の皆さんとともに苦労したことがきのうのことのように思い出されます。大変お世話になりました。 終わりに、議会のありようについて感じたことを述べてみたいと思います。 ご承知のとおり、県政は二元代表制のもとに進められています。その片方を担うのが議会であり、議員であります。しかしながら、果たしてそれにこたえ得る存在であるかといえば、疑問もあります。執行部側に比べて圧倒的に少ない情報量や、それを得るすべを持たないことから、やむを得ないことなのかもしれませんが、知事や執行部に対して、私は余りに要望的発言や事業執行に対する謝意が多過ぎるというふうに思っています。県民の思いをそんたくして、みずからのものとして、矜持を持って行政に対して意見を述べること、よしあしをただすことが必要と思うのですが、そのことが議会の存在感を高め、県民の信頼を得ることになるのだと思います。 私は、この二十年間、常に少数会派に身を置いてまいりました。議会とは数の世界であることを感じ続けた二十年間でした。多数決が民主主義であることも事実であります。しかしながら、少数会派の考えや訴えに耳をかすことも大切だと思います。決して、決めつけや押しつけであってはならないと考えています。再選を期して頑張っておられる皆さんに、さらなる大分県議会の発展を託したいと思っています。 いろいろと失礼なこと、あるいは口幅ったいことを申し上げましたが、最後の質問ということでお許しをいただきたいと思います。 終わりに、三期目の県政を担うべく決意をされた広瀬知事、そして再選を期してご努力をされておられます各議員の皆様のますますのご健勝、ご活躍を祈念申し上げますとともに、執行部席の皆さん、議会事務局職員の皆さん、さらには長年にわたって支えてくださいました傍聴席におられる支持者の皆さんに重ねてお礼を申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔内田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○安部省祐議長 ただいまの内田淳一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 内田淳一議員には、県立高校の教諭としてご活躍された後、大分市議会議員を経まして、平成三年から県議会議員として五期二十年、県政に対するさまざまなご指導、ご支援を賜ってまいりました。 議員には、教員経験を踏まえ、高い理想、理念を持って、教育問題、特に高校教育改革について数々ご指導をいただきました。また、岡団地の活用、流通業務団地の開発、鶴崎橋付近の交通渋滞など、大分市東部地区の抱える諸課題につきましてご尽力をいただいたところでございます。 内田議員には、さらに議会の県民クラブの会派代表として会派の取りまとめに尽くされるなど、県議会の発展のためにも数々ご尽力を賜りました。この場をおかりしまして、厚く御礼を申し上げます。 それでは、私の方から、まず財政に関する説明について答弁をいたします。 内田議員が県議として歩まれた二十年間を顧みますと、まずはバブル景気に沸き立ち、その崩壊後は失われた十年に苦しみ、近年ではリーマンショックの荒波にさらされるなど、激動の二十年であったと思います。 地方行政におきましても、バブル期には、起債の元利償還を地方交付税で措置する地域総合整備事業債を活用した大型公共施設が全国各地に続々と姿をあらわしました。本県の大型施設の建設ラッシュもこの時期と重なりますけれども、当時は地方交付税が右肩上がりでふえ続け、ピークの平成十二年度は近年の一・五倍に当たる二千三百七十七億円に上りまして、あわせて堅調な税収にも支えられ、財政指標はすべて良好な数値を示していたと思います。そうした背景もあり、財政状況を健全と判断したんではないかと今になって推測をするところでございます。 しかしながら、ちょうどこのころから潮目が変わり始めて、十三年度には、本県も四十四年ぶりのマイナス予算を編成し、交付税の不足分を補う臨時財政対策債を初めて発行したところでございます。以後、国も財政健全化路線へと大きくかじを切って、三位一体改革が地方財政をむしろ襲うということになってしまいました。 議員のご指摘のように私は、平成十五年の知事就任早々、本県財政の危機的状況に直面いたしまして、厳しい行財政改革への転換を打ち出しました。迷った末の決断ではございましたけれども、今振り返りますと、現状と将来見通しをすべて明らかにしたからこそ、議会初め、県民の皆さんと危機感を共有し、改革の成果を上げることができたんではないかと考えております。 また、現在実行中の中期行財政運営ビジョンでは、財政運営の基本として、不測の事態に備えるため、財政調整用基金を常に三百億円以上確保すること、そして臨時財政対策債を除く通常債の残高を減少させることを明示しまして、その状況については予算や決算の公表の都度、つぶさにお知らせしているところであります。 県政、とりわけ財政を預かる者といたしまして心すべきことは、常に現状を包み隠さず説明する、その上で、中長期的な見通しを明確に示し、県民の理解のもとに政策を実行することであると思います。 今後とも、議員のご指摘を日々念頭に置きながら、県民の皆さんへの説明責任をしっかり果たしてまいりたいと思います。 次に、県民への情報提供についてのご注意を込めたご質問がございました。 公務員のさがといいますか、何事か起これば、それを公表するだけでは現場に混乱を招くだけではないか、何か対応策を考えた上で公表すべきではないかと慎重になってしまうことがあると思います。しかしながら、議員ご指摘のとおり、むしろ都合の悪いことも公にし、県民と情報を共有するということが、かえって県民の信頼を得、課題解決の近道になるということも多々あると思います。 私は、県民と情報を共有することによりまして幾度となく課題解決が図れた経験をさせていただきました。 例えば、先ほど申し上げましたとおり、知事就任直後の大きな課題の一つは行財政改革でありましたけれども、県民との情報共有を第一に考えて、何とか乗り切ることができたんではないかというふうに考えます。 また、鳥インフルエンザや口蹄疫など危機管理が問われる場面にも何度か直面いたしましたが、その際も、時を移さず事実を公表し、県民の協力をお願いした上で対策を講じたことが大きな被害を防ぐことにつながったものと考えております。 まことに残念ながら、また、まことに申しわけないことでございますけれども、いろいろな不祥事もありました。これも、まず県民に率直に説明し、謝り、それから二度と起こすことがないように対策を考えるという手順で進めてまいったと思います。 現在、監査委員におかれましては、監査の透明性を高めるために、その結果について、より詳しくわかりやすい表現とするなど、公表の充実を検討していると聞いておりますけれども、これは行政を進める上で緊張感につながるものと考えております。 よいことには胸を張らせていただきますけれども、謝るべきものは率直に事実を開示し認める、そういう中で県民との信頼関係を築いていくという姿勢で今後とも臨んでいきたいというふうに考えております。 次に、職員との対話についてもご心配をいただきました。 私は、平成十五年以来、二期八年にわたりまして県政の運営に当たってまいりましたけれども、現在のような変化の激しい、また、予測できないさまざまな行政課題が発生する時代の中にあっては、やはり、県庁職員全体が県民のためにという共通した思いを胸に総力を挙げて事に当たらなければならないと改めて感じているところでございます。そのためにも、自由闊達な議論のできる風通しのよい職場、組織づくりが肝要でありまして、私もあらゆる機会を通じまして職員との対話や意見交換に努めております。 例えば、職員からの報告、連絡、相談、いわゆる「ホウレンソウ」には気軽に応じるように心がけておりますけれども、その際には、一方的に指示するということではなくて、幹部職員と一緒に入ってきた若い職員からの意見も努めて聞くようにしているところでございます。 また、新採用職員研修を初め、課長級や係長級に昇任した職員を対象とした研修の際にも、必ず私の講話と職員との意見交換の場を設けまして、私の目指す県政を理解してもらうとともに、職員の生の声も聞かせていただいております。 職員との年齢差のご心配もいただきました。確かに、今の部長さん方も、私が県政を預かったときには、ようやく課長級になったばかりだったと思いますし、経験ということでいえば、これまで、例えば総務部長は四人かわっております。年齢や経験の差が、私にとってはおごりになり、職員にとりましては引け目になってしまうということのないよう、よほど自重、自戒しておかなければいけないと思っております。 各職員はいろんな分野で経験を重ねて貴重な情報を豊富に持っておられるわけですから、率直に意見交換を行いながら、そのところをしっかりと引き出して、総力で県政に当たっていきたいというふうに思っているところでございます。 引き続き県政運営を任せていただけるということになりましたら、より心して胸襟を開いて職員と対話を行い、職員からの意見も積極的に聞き入れるように努力をいたしまして、県庁職員の総力を結集して、県民のための県政、県民の期待にこたえる県政を推進してまいりたいと考えているところでございます。 その他のご質問につきましては、教育委員長から答弁をさせていただきます。
○安部省祐議長 林教育委員長。
◎林浩昭教育委員長 まず、教育委員会についてお答えいたします。 二年九カ月前の事件は、教育行政に対する県民の信頼を根底から揺るがすものでありました。だからこそ、このような事件が二度と起こらないよう、責任と権限が明確で透明性の高い教育行政システムの確立を目指して徹底的な改革を進めてまいりました。教育の質の向上を図る大前提として、採用試験や人事制度、組織の改編など、早急かつ抜本的な改革が不可欠であったことをご理解いただけると考えております。 私ども教育委員が常に念頭に置いているのは、どうすれば子供を中心に据え、教育を充実させられるかということであります。このため、委員会時に教育委員同士で自由討議を行ったり、地域に赴き、市町村教育委員や小中学校長、PTAなど関係者の皆さんと直接意見交換を行うなど、全国でもまれにみる取り組みを進めております。 議員ご指摘の教育委員会事務局の構成については、事件以来、意識改革を進めるため、知事部局職員との人事交流を積極的に進めておりますが、構成比そのものには大きな変化はありません。大事なのは、どの部局出身かではなく、教育の質の向上と改革に取り組む意欲であるというふうに考えております。 こうした私ども教育委員の考え方が教育行政全般に反映されておりますが、今後さらに、教育委員会制度の機能が発揮できるよう、あらゆる努力を重ねていく所存であります。 次に、学校の統廃合についてお答えいたします。 学校の再編や統廃合は、少子化が進んで、地域によっては子供がいないところも出てくる状況の中では避けて通れない大きな課題であります。 私は、まず、子供たちが社会性を身につけるために多くの友人と切瑳琢磨する必要があること、次に、各教科の専門教員をしっかりとそろえる必要があること、さらに、部活動等の選択肢が広がることなど、やはり学校は一定の規模がある方が望ましいと考えております。 当然ながら、こうした問題は地域振興や財政的な観点ではなく、常に子供たちにとって一番いい教育環境とは何かを中心に考えられるべきであり、これまでも真摯な議論を重ねてきたと考えております。 高校については、高等学校再編整備懇話会や教育委員会等で、社会の変化や子供たちのニーズに対応するため、どのような配置が望ましいかを何度も議論し、関係者の合意を得て再編整備計画を作成いたしました。 小中学校では、設置者である市町村教育委員会が、子供の将来を見据え、より望ましい教育環境とは何かを保護者や地域住民と十分に話し合い、理解と協力を得て配置のあり方を決定しております。 私自身、通っていた中学校が在学中に閉校となり、悲しい思いを経験しましたが、統合した中学校では多くの新しい友人や先生方と充実した学校生活を送ることができたと思っております。子供たちがお互いに影響し合い切瑳琢磨していく姿に、私は明るい大分の未来を感じております。 次に、教職員の多忙化についてお答えいたします。 どのように時代が変わろうとも、子供たちが夢に挑戦し、自己実現できるよう、一人一人が基礎的、基本的な学力、体力を身につけ、豊かな心をはぐくむことは、県民の願いであり、教育に携わる者としての責務であります。 また、少子・高齢化の急速な進展など地域社会が大きく変化する中で、教育を取り巻く環境が厳しさを増しているのも事実であります。 こうした状況を踏まえ、県教育委員会では、教職員が教育活動に専念できる環境づくりが重要との認識から、これまで現場教職員との意見交換を通じて、負担軽減に向けたハンドブックを作成し、実践するなど、業務の簡素化や効率化を進めてまいりました。 メンタルヘルス対策でも、これまでの保健師や医師等による相談体制に加え、「こころのコンシェルジュ」を新たに配置し、各学校に直接出向いて相談に応じるなど、心の病の未然防止に努めております。 今後は、統一的に全高校で使用できる成績処理システムの構築、小学校の教員がいつでも活用できる算数の問題データベースの導入などさまざまな観点から負担軽減を進めるほか、県教育委員会、市町村教育委員会、学校等が連携して、研修、会議等の見直しなどについて、問題意識を共有しながら、さらに協議を進めてまいります。 最後に、教員採用選考試験の贈収賄事件についてのご質問にお答えいたします。 この事件が教育行政に対する県民の信頼を著しく失墜させたことについては、大変申しわけなく思っており、改めておわび申し上げます。 事件発生後、教育委員会が行政機関としての権限と責任のもとで徹底的な調査を行い、結果はすべて報告書に記載し公表するとともに、関係者二十七名に厳正な処分を行ったところであります。 先般の十一月議会及び本議会では賠償に関する和解について議決をいただいたところでありますが、教育委員会としては、二度とこのような事件が起こらないよう徹底した改革を進め、責任と権限が明確で透明性の高い教育行政システムの構築に努め、できる限りのことは、迅速に、かつ着実にやってきたというふうに考えております。 大事なことは、将来にわたってこの事件を決して風化させないことであり、私たち教育委員が先頭に立って、引き続きあらゆる視点から徹底的な改革を不断に進め、教育の再生を図ることであります。 県民の願いは、子供の学力や体力を向上させ、豊かな心をはぐくみ、教育の実を上げることであり、このような県民の期待にこたえていくことが私ども教育委員会の果たすべき責任であると考えております。 以上です。
○安部省祐議長 内田淳一君。
◆内田淳一議員 もう再質問はしないつもりで最初に質問書に書いたんですが、もうしません、中身はしませんが、今、知事から丁寧な答弁をいただきまして、私の思いが杞憂に終わることを念じるところなんでありますが、ただ、私、ちょっと一つだけ教育委員会に関して感じていることを言いますと、教育委員会だけではないんですが、行政というのは、よく、検討委員会だとか、審議会だとか、あるいは懇話会だとか、外部のいわゆる有識者に委託をする形でいろんなことを検討していただいたり、諮問をしていただいたりということをやるんです。そして、そこから報告とか答申とかいったようなものが出ますと、それがもう金科玉条みたいに、寸分ももう変えられないというような姿勢でいろんなことを推し進めるということを私は感じるんです。もう少し、そういうものが出たときに、本当に、議会の場でも論議をする、案としてこういうものが出たとして論議をする、そういった場が欲しいということを一つは感じました。 それから、もう一つは、教育委員会の会議録を私はホームページで見させていただくんですが、項目の羅列で、どういうことが本当に論議をされたかというのが全くわからないんです。ここも、難しい問題だとは思うんですけれども、もう少し、教育委員会だとか、公安委員会だとか、いろんなところで論議をされた中身が県民にわかるように、例えば、一つの学校を廃校にする、そのときにどういう意見があったのか、それはもう全然見えないんです。といいますのは、教育委員会の場合は、その教育委員会の前に、聞くところによると教育委員協議会という勉強会をする。そこでもう全部話し合われておって、教育委員会は形式的に終わっているというふうに聞いておりますけれども、それも何かすっきりしないものを感じるわけであります。 ひとつそういったこともあわせて問題提起させていただきますので、今後とも十分そういうところにも目配りをいただいて行政を進めていただきますことをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○安部省祐議長 以上で内田淳一君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。 午後零時 休憩
------------------------------- 午後一時四分 再開
○安部省祐議長 休憩前に引き続き会議を開きます。佐藤健太郎君。 〔佐藤(健)議員登壇〕(拍手)
◆佐藤健太郎議員 自由民主党の佐藤健太郎でございます。 今期最後の定例会において質問の機会をいただき、議員の皆さんに感謝申し上げます。 また、きょうは、漁連の会長さんを初め、皆さんがご出席いただきまして、ありがとうございます。 それでは、質問に入ります。 私は、昨年十二月、今期をもちまして大分県議会議員を引退することを決意いたしました。平成二年から日出町議会議員を務め、その後、平成十一年に大分県議会に議席をいただき、三期十二年間、通算で二十一年間の議員生活でありました。 本日は、私にとりまして議員生活最後の質問であります。ここに登壇するのが最後となりますと、大変感慨深いものがあります。これまでの議員生活を振り返りまして、県政について質問をしたいと思います。 私が二期目を迎えた平成十五年四月に広瀬知事が就任されました。光陰矢のごとしと申しますが、早いもので二期八年が過ぎようとしています。 知事はこれまで終始一貫して県政の中心に県民を置き、県民一人一人の声を大切にしながら「安心」「活力」「発展」の大分県づくりに邁進してこられました。このぶれることのない政治姿勢に、私は敬服いたしているところでございます。 これまで、大分キヤノン、ダイハツ九州を初めとする大企業を次々に誘致し、産業の活性化を図るとともに、小学校一、二年生、中学校一年生で三十人学級の実施に踏み切るなど教育の充実に努められ、また、子育ての分野では乳幼児医療費の助成拡大、産業面では農林水産業のブランド化などさまざまな施策を展開されてまいりました。 また、私が副議長職を賜っていた平成二十一年に新型インフルエンザが大流行しました。六月に県内で初の感染者が確認されるや、事態に冷静かつ迅速に対応され、県民の安心、安全の確保に努められました。今回の鳥インフルエンザや口蹄疫においても、その危機管理能力の高さがうかがわれます。 以上のような広瀬県政の状況を踏まえ、水産業など県政の諸課題について質問をしたいと思います。 まず、水産業の振興についてお伺いします。 私はこれまで水産業の振興に対する執行部の姿勢を問いただしてまいりましたが、今回、最後の質問になりまして、やはり大分県の漁業者を代表して水産業の振興について質問したいと思います。 本県は、総延長七百五十九キロメートルとなる長い海岸線を有しています。その海岸部に点在する漁業集落と漁港、港湾を漁業活動の基地、生活の拠点として漁業者は、新鮮な魚介類を供給するため、日夜努力しています。また、水産業は、国民が求める安全、安心な食料を供給し、地域産業を支える大事な産業であります。しかしながら、近年の水産業を取り巻く環境は、漁獲量の減少や魚価の低迷に加え、飼料の高騰、燃油の高騰など非常に厳しい状況が続いています。 平成二十年の燃油高騰時には、私は漁業者を代表して一般質問において窮状を強く訴え、知事はすぐに、省エネ型エンジン、機器等の導入にかかる経費への無利子融資制度の創設や省エネ型操業への転換に取り組む漁業者グループの燃油購入経費への支援など迅速な対応をしていただきました。 その後も厳しい経済情勢の中、経営難に陥り、多額の借金を抱え、何とかそれを返済しながら漁業経営を続ける漁業者に対して、国が創設した経済危機対策における緊急保証支援制度を活用できるよう、漁業緊急保証対策資金により十八億円の新たな融資枠を確保するとともに、利子補給により末端金利を引き下げる支援をいただきました。 これらの迅速な対応により漁業者は既存の借入金を一たん整理でき、新たな返済計画のもとでの経営が可能となり、厳しい経営環境の中ではありますが、新鮮な魚介類を供給するため、日夜努力をしているところであります。しかし、依然として漁業を取り巻く状況は厳しいものがあります。 そこで、その状況を打破し、どう本県の水産業の振興を図っていくのか、知事の思いをお聞かせください。 担い手対策について。 また、県下の漁業者の年齢構成を見ますと、六十歳以上の男性就業者の占める割合は、最新の漁業センサスでは五一・〇%と、漁業者の半数以上を占めるという高齢化の実態があります。担い手の不足に加えて、高齢化も大きな課題となっております。生産力の維持、漁業集落の維持、漁業そのものの存続のためにも、担い手対策が喫緊の課題であります。 そこで、漁業の担い手対策について県の見解をお伺いします。 次に、県立美術館についてお伺いします。 昨年十一月二十五日に県立美術館の基本構想について構想検討委員会から知事に答申がなされ、十二月十五日から一月末まで県民の意見募集が行われました。非常に多くの県民から意見が寄せられたと聞いております。 知事は、こうした意見を踏まえ、二月二十三日、本定例会開会日の提案理由説明の中で新しい美術館をつくることを表明されました。私も新しい美術館の整備につきましては賛成であります。 さて、九州で話題の美術館の一つに、平成十七年に開館した長崎県美術館があります。運河を挟み、西側のギャラリー棟と東側の美術館棟、二つの棟によって構成される美術館は、日本を代表する建築家の一人である隈研吾氏による設計で、石を使用した優秀な建築をたたえる世界的な賞を受賞したすばらしい美術館です。私も訪問しましたが、東洋有数の規模を誇るスペイン美術や長崎ゆかりの美術が常設展示されており、長崎港を一望できる屋上庭園やミュージアムショップ、カフェなどの憩いのスペースも設置され、長崎県美術館のコンセプトである「街や地域と呼吸する美術館」のとおり、長崎県の芸術文化活動の新たな拠点になっていました。長崎県美術館は、江戸時代、外国との接点であった出島の先、長崎の拠点とも言うべき海岸沿いに建っており、長崎らしい美術館という印象を受けました。 私は、構想検討委員会の答申の大分らしい美術館というコンセプトに共感を覚えています。大分県は、海あり山ありの豊かな自然に恵まれ、その中で先人たちが大分県の美術の伝統をつくり、きょうまで脈々と続いています。江戸時代を代表する南画家、田能村竹田、文化勲章を受章した彫刻家の朝倉文夫、日本画の福田平八郎、高山辰雄、最近では日展の中山忠彦理事長など数多くの芸術家を輩出しています。 そこで、知事に二点質問いたします。 一つ目は、大分県の芸術的なポテンシャルを踏まえて、長崎県以上に、大分らしい美術館をつくっていってほしいと思っていますが、知事のイメージする大分県らしい美術館とはどのようなものか、お伺いいたします。 二つ目は、美術館の建設は、他県の事例からすると百億円程度の投資が必要ではないかと推察されますが、大分県のあすを担う子供たちへの投資として必要であると考える一方で、将来世代の負担増につながらないか心配をしているところであります。 そこで、美術館を整備する場合の財源をどのように検討しているのか、お尋ねします。 また、日出町は、別府湾に面した風光明媚な地域であります。大分空港からの交通アクセスがよく、大分市からも高速道路を利用すれば三十分かからないという位置にあります。JRの駅もあります。交通の利便性の面からも、美術館の建設地として申し分ありません。ぜひ建設地の選定に当たっては、日出町も検討していただくことを要望します。 次に、産業廃棄物最終処分場における行政代執行の再発防止についてお伺いします。 近年、地球温暖化や廃棄物などの環境問題については強い関心が持たれ、特に産業廃棄物の不適正処理問題は大きな課題となっています。国においては、産業廃棄物を適正に処理することができる体制を整備すべく、数次にわたり廃棄物処理法を改正し、不適正処理防止に関する規制の強化を行ってきたところです。しかし、全国的に巧妙かつ悪質な不適正処理は後を絶たず、また、産業廃棄物処理に対する住民の不信感から産業廃棄物処理施設の設置が進まないといった悪循環も生じています。 十数年も前のことですが、私にとっては忘れようにも忘れることのできない産業廃棄物に関する出来事がありました。 私の地元であります日出町真那井で、中津市の業者が平成元年に県の許可を受けて産業廃棄物最終処分場の操業を開始しました。当初の最終処分場は設置許可が必要とされる三千平方メートル未満の二千九百平方メートルで、処分できる産業廃棄物はコンクリート殻など安定五品目でありました。その後、処分場の面積が無断で拡張され、しかも持ち込みが禁止されている木くずなどの廃棄物を埋め立て処分したことが原因で、平成八年には周辺住民は火災や吐き気を催す悪臭に悩まされる事態となりました。県は、業者に対してこのような事態を是正するよう措置命令を発しましたが、既に業者は資金不足から責任を果たす能力がなかったことや、周辺住民の安全を確保するため、一億円近くの貴重な税金を使って、県内で初の行政代執行に踏み切りました。 県は、その後、このような事態が発生しないよう監視指導を徹底するということでありましたが、平成十三年には竹田市直入町において倒産した業者にかわって、そして現在、やはり私の地元に隣接する杵築市日野において倒産した業者のしりぬぐいが行われています。 今回の行政代執行では県の努力により大幅に代執行経費が削減されたことは評価していますが、やはり起こらないようにすることが大前提であると私は思います。 そこで、産業廃棄物の不適正処理防止に向けた取り組みについてお伺いします。 また、県が行政代執行を行う必要性、理由は何なのか、また、今後、行政代執行の再発防止にどう取り組むのか、お伺いいたします。 最後に、教育の再生についてお伺いします。 私は、平成二十年第二回定例会の一般質問で、子供たちに大分県でとれる魚介類を少しでも食べてもらい、漁業のことを少しでも知ってもらいたいという思いから、学校での地産地消についてお伺いいたしました。 県議会議員を三期務め、今回引退を決意したわけですが、次の時代を担う子供たちにもっと大分のことを勉強してふるさとを愛してもらいたい、ふるさと大分のために頑張るような大人になってほしいという思いが強くなりました。こうした思いを込めて、県の教育行政について伺います。 平成二十年六月に発覚した教員採用選考試験等をめぐる贈収賄事件は、大分県のみならず、全国を揺るがす大事件であり、大きな汚点を残しました。それ以来、県教育委員会は、県民の信頼を回復すべく、七月には教員採用選考試験では全国的に例を見ない教育委員会と県人事委員会との共同で選考試験を実施し、八月には教育行政改革プロジェクトチームが再発防止策を盛り込んだ調査結果報告を取りまとめました。 その後、県教育委員会を初め、教育関係の皆さんは、ピンチをチャンスに変えるという思いでスピード感を持って各種試験の見直しや教職員人事管理の見直しなどの改革に取り組んできたことと思います。しかし、肝心の子供たちの状況は、全国学力テストでは、一昨年に続き、昨年も全国四十位程度にとどまっており、体力・運動能力調査の結果も全国的に下位に低迷しており、私も非常に心配をしています。 やはり学校は子供たちが主役です。子供たちのやる気を引き出し、社会に出ても困らないような基礎的な学力、体力、社会性などを身につけるよう導くことが教員の使命です。全国調査の結果を真摯に受けとめ、教員にはこれまで以上に奮起を促したいのです。教員だけでは難しいなら、ボランティアなど地域の方を活用すべきです。 県内では豊後高田市のようなすばらしい成功事例もありますので、よいところは積極的に取り入れてほしいものです。 大分県といえば、もともとは教育県です。教育県として、子供たちは郷土を愛し、基礎的な学力、体力、社会性を備えている、そして他県の方が大分県に引っ越してでも子供の教育を大分県で受けさせたいというようになってほしいと私は思うのです。 そこで、教育長の教育再生に向けた決意をお聞かせください。 以上で私の質問は終わりますが、最後に、私が県議会議員として、十二年間、職責を全うできましたのも、地元の皆様、先輩、同僚議員、さらには知事を初め、執行部の皆様、さらに、これまでの議員活動を裏方として支えていただいた議会事務局の皆さんのご支援のたまものであり、皆様方のご厚情に対して心から感謝申し上げます。 今後は、一県民として頑張っていきたいと思っております。何といっても五体満足でなければ何もできないということをしみじみと感じているところであります。若いころからの暴飲暴食、若さに任せた生活を反省しているところでありますが、もう遅いのであります。 皆様方には、健康に十分注意されまして、県勢発展のためにご尽力されることを心からお願いするところであります。 広瀬知事におかれましては、三期目を目指して県知事選に臨まれるわけでありますが、県民の圧倒的な支持を得て再選されることを心からご祈念申し上げます。 また、引き続き県議会議員選挙に出馬される議員の皆様におかれましても、必ず勝利し、再びこの議場に戻られますことを心からご祈念申し上げますとともに、議会基本条例にもうたわれているように、県民の皆さんの負託に全力でこたえていただくようお願いするところであります。 以上、皆様方のご健闘をお祈りいたしまして、私の県議会議員としての最後の質問とさせていただきます。 ご清聴いただき、まことにありがとうございました。(拍手) 〔佐藤(健)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○安部省祐議長 ただいまの佐藤健太郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいまは、佐藤健太郎議員におかれまして、大変心のこもったご質問を賜りました。 まずもって、佐藤健太郎議員には、これまで、日出町議会議員として三期九年、県議会議員として三期十二年、合わせて二十一年にわたる議員生活を通じまして地方自治の振興発展にご尽力をいただきました。私自身、この八年間、大変温かくご指導いただき、心から感謝をしております。 議員は、平成二十一年三月から第八十八代県議会副議長としてご活躍をいただきましたけれども、このときちょうど、お話がありましたように新型インフルエンザの問題があり、大変ご心配をいただきました。また、百年に一度と言われる経済不況もありまして、これを乗り切るために四度にわたった補正予算案につきまして審議に大変ご尽力をいただいたところでございます。 また、議員のライフワークでもあります水産業の振興につきまして、さまざまなご提言をいただきました。速見インターと宇佐別府道路を結ぶ日出バイパスの建設促進等にも大きな貢献をいただきました。もろもろ県勢発展のためにご尽力を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。 それでは、まず私の方からお答えをさせていただきます。 長い議員活動におきまして一貫して佐藤議員が取り組んでこられた水産業の振興についてご質問を賜りました。 我が県にとりまして水産業は、食の供給というばかりではなくて、地域の経済、あるいは社会を支える大変大事な産業であります。変化に富んだ漁場に恵まれ、多様な漁業を営むことのできる、そしてまた、中高級魚が豊かな本県の特性を生かした施策を展開していきます。 第一点目として、水産物の販路の開拓、拡大に取り組まなければなりません。 全国に誇る関あじ、関さばや豊後別府湾ちりめんに続く品目としてブランドチャレンジ七魚種を選定いたしまして、鮮度の向上対策、飲食店の協力を得たPR活動によりまして商品力の向上を図ります。マアジ等の大衆魚につきましては、昨年八月から県漁協と大手量販店との直接取引が開始され、取り扱い量や品目が拡大しております。また、本県独自の養殖ブランド魚として、昨年末の「坐来」での求評会でも高く評価されました「かぼすブリ」「かぼすヒラメ」につきましては、生産の拡大を図り、マーケターによる大都市圏での販売をさらに促進してまいりたいと思います。 今月十一日には佐伯市米水津に県漁協のフィレ加工場が竣工いたしまして、ブリを主体に大量ロットの集出荷が可能となります。既に商社からの引き合いもありまして、今後は取引の拡大や加工業者との連携強化を図りながら、海外輸出も念頭に販路の開拓を進めてまいります。 二点目として、つくり育てる漁業を推進いたしまして、資源管理漁業や栽培漁業、養殖業を振興いたします。 昨年六月に締結されましたマアジ・マサバ資源管理協定で一本釣りとまき網漁業が三日間休漁いたしましたことにより、産卵前のマアジが約十トン、五万尾が保護されたと試算しておりまして、漁獲量の増大が期待されるところであります。他地区の漁業者や遊漁者にも参加を呼びかけて、さらに資源管理の効果を高めてまいります。 栽培漁業では、瀬戸内海十一県が連携して平成十四年度からサワラの種苗放流等に取り組んだ結果、漁獲量が約一・五倍に増加いたしました。今後は、漁獲量全国第二位の重要資源でありますクルマエビのほか、ガザミなどの種苗放流につきまして、資源管理を含めた取り組みを支援していきたいと思います。 また、総生産額の四九%を占めております養殖業につきましては、全国的に生産額が減少する中、本県の二十一年の養殖生産額は二十億円増加いたしました。これは、赤潮などによる被害を未然に防止したこと、生産量全国第三位のブリ類の品質が評価されたことなどの成果であります。今後は、コスト削減を図るため、低魚粉のえさの開発、普及や魚病対策を促進するとともに、環境に優しいイワガキやヒジキ養殖を普及し、生産拡大を図ります。 こうした多様な取り組みによりまして、厳しい環境を克服し、もうかる水産業、後継者も続いてくれる水産業を実現してまいりたいというふうに思っております。 次に、県立美術館についてのご質問を賜りました。 美術館構想検討委員会の答申で強調されたのは、大分らしい美術館というコンセプトでありました。議員からもご賛同をいただいておりますし、パブリックコメントの結果を見ましても、多くの県民の皆さんからもこの大分らしい美術館ということに共感をいただいております。しかしながら、この大分らしい美術館というのはなかなか難しいテーマでありまして、現在いろいろ思いをめぐらしているところでございます。 私なりに考えますと、まず一つは、大分の芸術文化の発信拠点となる美術館ということでございます。 本県は、議員ご指摘のように数々の芸術家を輩出しております。これまで収集いたしました本県出身の著名な芸術家の収蔵品や県内の美術団体の創作活動など本県の芸術文化を紹介し、次代を担う子供たちにしっかりとつなぎ、次の世代が大分の文化を創造していくことであります。 二つ目は、県民が支え、参加する美術館ということではないかと思います。 つくる段階から開館後の運営に至るまで、県民、ボランティアの方々にかかわっていただいたり、企画のアイデアを出していただくなど、県民の皆さんに参加していただいて、守り立ててもらえる美術館となることが大切だと思います。 大分らしい美術館を考えるに当たって三つ目は、時代や県民のニーズを的確に吸収し、成長する美術館ということであります。 館長から学芸員まで美術館に携わるスタッフが時代の潮流をよく読み、また、県民との対話を大事にし、ニーズをよく聞いて運営していくことが大変重要だと思っております。 四つに、県民の皆さんに自分たちの応接間として気軽に訪れていただけるような美術館となることも大事だというふうに思っております。 このようなことが私の考える大分らしい美術館でありますけれども、今後も県民の皆さんの知恵を拝借しながら検討したいと思っております。 次に、美術館の整備に要する財源についてご心配をいただきました。 私が常々申し上げておりますのは、これまで取り組んでまいりました行財政改革は、それ自体が目的ということではなくて、改革から生まれた財源を「安心」「活力」「発展」の大分県づくりのために、県民にとって有意義な事業のために活用することが本来の目的であります。美術館もその一つと考えております。 芸術文化への投資は、教育やまちづくりなど他の分野の活性化に果たす役割も大きく、経済的な価値を生み出すことにもつながります。このようなことを踏まえまして、できるだけ早期に建設してほしいという県民の期待をしっかりと受けとめて対応していきたいと考えているところであります。 なお、美術館の建設をようやく決断したところでありまして、どこに立地をするかは今後の課題でありますが、佐藤議員から日出町の建設の要望をいただきました。大変感謝を申し上げているところでございます。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 その他のご質問につきましては、担当部長から答弁をさせていただきます。
○安部省祐議長 片岡農林水産部長。
◎片岡登喜男農林水産部長 水産業の担い手対策についてお答えをいたします。 漁業の新規就業者数は、平成十四年度にはわずか十四名でありましたが、十八年度以降は毎年五十人前後で推移をしており、「おおいた農山漁村活性化戦略二〇〇五」の目標数値四十五名を上回っております。 内訳を見ますと、漁業種類別では、一本釣り漁業が五割と多く、まき網漁業や養殖業は二割程度となっており、年齢別では、三十代までの若者が約四割、四十代以上が六割を占めています。 県といたしましては、若い担い手を確保するため、海洋科学高校の生徒を対象にしたインターンシップなどで新規就業者の確保に努めており、本年度はインターンシップに参加した三名全員が研修先の養殖業者に就職することが内定をしております。 また、来年度は、船びき網漁業や養殖業などの水産会社が漁業経験のない若者を半年間雇用することにより、現場での実践的な技術習得をするとともに、就労につなげる取り組みが始められます。 今後とも若い漁業就業者の確保を積極的に進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○安部省祐議長 重本生活環境部長。
◎重本悟生活環境部長 私から二点についてお答えさせていただきます。 まず一点目の産業廃棄物の不適正処理防止については、現在、保健所の環境衛生指導員が県内二十五カ所の最終処分場について定期的に監視を行っているところであります。 平成十七年度に導入した産業廃棄物税や十八年度からの環境保全協力金を活用して、十名の産業廃棄物監視員を配置するとともに、最終処分場への監視カメラの設置、スカイパトロールなどを実施しております。 さらに今年度からは、県外産業廃棄物専任監視員を二名配置し、県外の排出事業者に対する事前指導や県外に出向いての事業所の立入検査を実施、また、受け入れ施設では、廃棄物の適正な展開検査の指導などにより不適正な県外産業廃棄物の排除を強化しています。 不適正処理の早期発見、早期対応が重要なことから、市町村職員を県職員に併任する制度を新設し、地元市町村との連携により地域密着型の情報収集体制を強化しました。 今後の対策としまして、安全・安心な大分づくり特別委員会の提言にありますように、不適正処理の防止に努め、周辺住民の安全、安心の確保、不安の解消に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、行政代執行についてお答えいたします。 まず、その必要性についてでございますが、不適正な産廃処理により火災や硫化水素ガスの発生、廃棄物の飛散流出、悪臭や水質汚染など周辺住民の生活環境に支障が生じると認めた場合は、廃棄物処理法により知事は発生または拡大の防止措置を講じることができることとなっています。 再発防止の取り組みについてですが、これまで廃棄物の処理方法に重点を置いた監視に終始していたため、再発を防止できなかったことを反省しております。 今回の事案を検証した結果、事業者が過当競争などにより経営を悪化させ、粗悪な産業廃棄物を安価で受け入れる無理な営業が経営破綻を招き、不適正処理に至ることが判明しました。このため、来年度からは、産業廃棄物の適正処理に対する監視、指導の徹底に加え、公認会計士を活用し、最終処分場設置者の経営状況にも監視を強化することにより行政代執行の再発を未然に防止することとしております。 以上でございます。
○安部省祐議長 小矢教育長。
◎小矢文則教育長 教育の再生についてお答えします。 平成二十年の事件発生から二年九カ月が経過しましたが、この間、まずは、このような事件が二度と起こらないように、採用試験や人事制度、組織の改革などの責任と権限が明確で透明性の高い教育行政システムの確立を目指して徹底的な改革を進めてまいりました。今後も不断の見直しを行い、果敢に改革を続けてまいります。 その上で大事なことは、学力、体力を向上させ、豊かな心をはぐくみ、教育の実を上げることであり、これまで教職員とともに取り組んでまいりました現状の学力調査、体力調査では、これまでの取り組みがまだまだ結果に結びついておらず、県民の皆様に申しわけなく思っております。 このような状況でありますけれども、学力、体力の向上に向け、秋田県や福井県、さらには豊後高田市のような先進的な取り組みに触発された新たな動きが出てきておりまして、これまで進めてきました教育改革の方向性に誤りはないものと考えております。 今年度は、こうした効果的な取り組みを全県下に広げていくため、点から面へ展開し、徹底して行うことを重点目標に掲げておりまして、全小中学校長に県の考えを直接説明するとともに、地区ごとに市町村教育委員や校長の意見を伺い、お互いの共通認識を深めながら取り組みを進めております。 こうした取り組みを来年度も継続し、組織的に取り組み、しっかり定着させていくことで、必ずや学校現場で成果があらわれてくるものと確信をしております。 以上であります。
○安部省祐議長 佐藤健太郎君。
◆佐藤健太郎議員 漁業の担い手不足についてでございます。 現在、本当に漁業者が、先ほど私言いましたが、五一%というような割合で、これから先どうなるんかというような思いがしておるわけでございます。そういう中で、県としては、若者の漁業者としての修行も四、五年はかかります。四、五年修行させて、五年間辛抱していただいて、そうして自分が起業、事業、漁業をやろうかというときには五百万ぐらいの支援はできないか。それはもう五年先の話なんですが、五年間修行すると、すばらしい漁業者になると私は思います。そういう若者を育成していって、漁業の担い手となられることが一番いいんじゃないかというふうに私は思うわけです。そういうことで、五年先、修行できたら、五百万ぐらいの船を買うとか、自分が事業をしようとかいうときにはご援助ができんかということを一つ申し上げます。 教育長に一つお伺いしますが、平成十九年五月に教育長になられてからいろいろなことがあったと思いますが、教育長の就任以来のこれまでの思いをちょっと聞かせていただきたいと思っておるところでございます。 国体があったり、いろいろなことがあったりで、私も引退をする身でございますから、教育長さんにその辺を、しっかりこういうことがあったんだ、こういうことは反省しなきゃならないんだというようなことをお聞かせいただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。
○安部省祐議長 小矢教育長。
◎小矢文則教育長 十九年の五月に教育長を拝命いたしました。思いということでありますけれども、何と申しましても、やはり三年前の教員採用試験にかかわる贈収賄事件の発生でありまして、県民の皆様の信頼を失ってしまいました。県教育界に大きな汚点を残しました。そして、県政に多大なご迷惑をおかけしました。 教育委員会としまして、二度とこういうことを絶対に起こさない、再発防止、そして、必ずや教育県大分の教育の再生を強く誓って、これまであらゆる改革を断行してまいりました。まずは、教育行政システムづくり、そして、市町村教育委員会、学校現場の校長先生方、PTAの役員の方々、そういう方々と広く意思疎通を図りながら課題認識の共有化を進めてまいりました。 十二月議会に続きまして、今議会におきましても和解関連議案のご承認をいただきました。ここまで何とかたどり着けたわけですけれども、これは、県民の皆様、そして知事、県議会の皆様のおかげでありまして、心から感謝を申し上げます。御礼を申し上げます。 また、今日、早急に対応しなければならない課題も残っておりますが、やはり県教育委員会としましては、かつて経験したことのない、いわば大きな試練を受けたわけでありまして、この試練を糧に、あの大分県県教委がここまで変わったか、ここまでよくなったかと言われるように、教育委員会職員一万人の総力を結集して、その姿を県民の前に、全国に示さなければならない、そういう思い一つであります。
○安部省祐議長 佐藤健太郎君。
◆佐藤健太郎議員 私、ちょっと耳が悪いんで聞き落としたんじゃけども、重本生活環境部長さん、何を反省すると言ったんですか。
○安部省祐議長 重本生活環境部長。
◎重本悟生活環境部長 代執行が起こらないように、そのためには、今まで監視が、廃棄物ばっかし見た指導に終始してきた。そういうことを反省して、経営からもあわせて見るということで、今後、代執行が起こらないように努めたいということでございます。反省は、要は廃棄物、物ばっかし見た指導がよくなかったということで反省しているところでございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 佐藤健太郎君。
◆佐藤健太郎議員 わかりました。 私の質問はこれで終わらせていただきます。大変ありがとうございました。(拍手)
○安部省祐議長 以上で佐藤健太郎君の質問及び答弁は終わりました。古手川茂樹君。 〔古手川議員登壇〕(拍手)
◆古手川茂樹議員 一番、古手川です。 今議会最後の質問者となりました。本当にここに立つのは久しぶりです。分割にて質問させていただきます。どうぞ、皆さん、お疲れでしょうが、しばらくお時間をください。 私にとりましては、市議十二年、県議二十八年、四十年、人生の半分を議員として務めてまいりました。今、ここに立って、これが最後と思うと、いろんな思いが走馬灯のように浮かんでまいります。この間、私を支持していただきました市民の皆様、県民の皆様に、また、友人としておつき合いいただきました先輩、同僚の皆様に心から感謝いたします。何とか私が、十分とは言えないまでも、今日まで議員を務めることができたのは皆様のおかげです。本当にありがとうございました。 本年三月をもって退職されます首藤企画振興部長さん、
高橋福祉保健部長さん、重本生活環境部長さん、片岡農林水産部長さん、各部長さんを初め、油布会計管理者、松村議会事務局長、田中人事委員会事務局長さん、花畑労働委員会事務局長さん、町田企業局長さん、森下農林水産部理事を初め、多くの職員の皆さん、本当にご苦労さまでございました。皆さんは、まだまだお若い。第二の人生の活躍をご期待いたします。本当にご苦労さまでした。 本日は、感謝の気持ちを込めて、今後課題となると思われる諸問題を一、二検証したいと思います。一部重複する問題もありますが、どうかご了承ください。 まず、九州広域行政機構についてお尋ねいたします。 二十二年十月、九州地方知事会では、九州広域行政機構の設立を目指すことで合意しました。その目的は、国の地方支分部局の権限の移譲を受けて行う事務及び事業の効率的かつ効果的な実施を図り、住民の福祉向上並びに地域経済の健全な発展に資するとしています。 また、さきの二月十七日に開催されました第一回のアクションプラン推進委員会では、九州地方知事会長として招聘された広瀬知事から広域行政機構法の骨子について説明し、その際、片山総務大臣からは、問題点がよく整理されているとの評価を受け、九州の考え方を今後の法整備に反映していくとの考えが示されたと伺っています。 しかしながら、出先機関の原則廃止をうたい、「出先機関の事務、権限、人員、財源を丸ごと包括的に受け入れ、都道府県は、国の地方支分部局の権限移譲を受けて当該事務を共同で処理するための機構を設置することができる」とありますが、現在なおスリムな行政が求められ、県を初め、市町村においても行革を進めている現時点で、出先の国家公務員を大量に引き取ることはいかがなもんでしょうか。国はさきに国家公務員の大幅減を打ち出したところであり、国の行革は、まず国で行うべきだと思います。 また、知事会では知事連合会議を置くようですが、直接県で受け入れることの方がよい部門も多分にあるのではないかと思います。 さらに、さきの報道では大分県道州制研究会の協議は一時休止するとありましたが、今後どうなるのかといった心配も一方では感じております。 ただ、現政権のもとで遅々として進まない地方分権改革について地方から積極的に提案していく、地方からその壁をぶち破っていくために九州地方知事会長として強いリーダーシップを存分に発揮している広瀬知事に対し、議会としても、その実現に向けて連携を密にしながら積極的に論議していかなければならないのではないかと考えています。 そこで、知事は、この九州広域行政機構の設立を通じて、これからの九州地域全体の発展可能性やその中での大分県の将来像についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 次に、環太平洋戦略的経済連携協定についてお伺いします。 内閣においては、平成の開国と称し、協定参加を目指して関係国との協議を開始する基本方針を閣議決定しました。平成の開国と言っていますが、少し、はしゃぎ過ぎではないでしょうか。 これは、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四カ国で二〇〇六年五月に締結した自由貿易協定を広く環太平洋地域全体に適用しようとするもので、二〇一五年までに工業製品、農産物、金融サービスなどすべての商品の関税、その他の貿易障壁を撤廃して貿易自由化を実施しようとするもので、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシアが新たに参加し、交渉を開始しています。果たして日本の場合、最も弱い農業を自由化してよいのかという反対の声が大きく叫ばれています。 世界人口の増加と新興国の食生活が高まる中で、近い将来、飢餓の人口が大幅に増加する心配さえあります。現にロシアでは、天候不良で小麦が不作となりますと、すぐ輸出をとめるというような自国中心であります。 食料は、中東においては社会混乱の要因の一つでもあり、アメリカの中西部やブラジルでは農地の値上がりが伝えられている現在でもあります。食料価格は急騰し、金余りのヘッジファンド投機筋の介入で相場は大きく動くなど不安定であります。 経済力さえあれば自由に将来にわたって食料が輸入できるという保障は、今は揺らいでいます。食料は、安定供給を将来にわたって確保していかなければなりません。少なくとも穀物を中心に自国で供給可能な食料はできるだけ賄うという考え方で食料自給率の向上をとの意見が対峙しています。開国か鎖国かと単に二分するのは、余りにも拙速と考えられます。 貿易拡大のためには、食料、ひいては農山漁村切り捨ても例外ではないという考え方はいかがなものでしょうか。基礎的食料を自由貿易の対象外とする原則は守られるべきだと考えますが、何だか一方的なご都合主義の考え方の発言としか思えません。いま一度、日本の農業のあり方を考えるべきではないでしょうか。 「TPPに参加しなければ、日本は国際的に取り残される」と大声です。政府は世界貿易機構の多角的貿易交渉の政府方針見直しの作業に入り、農業補償に力を置いた守りの姿勢を変えて交渉への姿勢を打ち出すことを目指して、二〇〇一年のドーハ・ラウンドの農業交渉では日本政府は七七八%の関税などの米を筆頭に、でん粉、砂糖など保護措置の温存を主張し続けています。ところが、政府内の意見はいまだばらばらで、海江田経済産業大臣が出席した先般の会議でも日本政府の再検討はなされなかったようであります。閣内でもまだ意見不一致で、何事でも突発的な発言が多くの国民に不信感を抱かせることは寂しい限りであります。 八日の合同新聞の夕刊に、「交渉後、不参加も」と報じられました。また何かというような感じです。 現在、政府が行っている戸別所得補償制度で農業の崩壊を防ぐことが本当にできるのでしょうか。米農家に十アール当たり一律一万五千円を支給する、麦や大豆にも配るという。生産が伴わず、また、労働も伴わない社会保障とするのか。人々は物はつくらない、働かない、何のための生きがいかとなります。山も畑も守れなく、自然は荒廃します。 TPPの農業に与える影響についてどう受けとめていますか、お伺いいたします。 次に、農業大学校について触れてみます。 今、農業人口は減少し、農業集落は高齢化が進み、農山漁村の再生が求められています。TPP問題を契機として、いま一度、農林水産業の再生、農山漁村を元気にするための方策を考えますと、何といっても農林水産のリーダー育成が最も重要と思います。農業ほど難しい職業はありません。生産、販売、流通、その他多くのもろもろの条件を克服し、加えて農村社会にあって地域リーダーも務めなくてはなりません。 大分県には農業大学校があります。農学部と専攻科を含め、毎年四十名程度の卒業生を送り出していますが、これらの人が直接農業生産に携わるかは別として、何らかの形で農業の中心的な役割を果たしています。 現在、農業高校は総合高校として選択の中で学んでいますが、一部の人は、さらに専門学校、あるいは大学に進む生徒もいるようです。県として対応できるのは農業大学校の活用と思います。大分県の農業を支える人材、その中心になっていただく人は農大卒業生と思います。 政治もリーダーを求めますが、農家、農村にも有能な指導者が今ほど必要なときはありません。強い農業に対する思いや総合的に農村地域を支えることのできる人材なくしては、大分県の農村、農業を守り育てることはできません。毎年入学する四十名前後の農業大学生を二年程度、全寮制として、寮費、学費ともに農業政策として無償で人材の基礎をつくることを考えてはいかがでしょうか。 農業関係者には農業高校の復活を望む声も聞こえますが、ただ農業をするのみでなく、農業企業家、経営者の育成を図り、地域の中心的な人材として誇りを持って地域社会、地域農業、大分県農業を支えていただくことができれば大分県農業の再生につながると考えますが、いかがでしょうか。 次に、県財政についてお尋ねします。 国会においては、平成二十三年度予算について審議中であり、ようやく予算案は衆議院を通過し、成立の目鼻が立ちましたが、予算関連法案については全くの目鼻が立っていません。各地方自治体は予算編成に不安視しながらの対応に迫られています。 県でも、第一回定例会では骨格予算と言いながら、現在の経済情勢にかんがみ、できるだけ当初予算に重点を置いた予算編成がなされたと受け取っています。しかしながら、大変厳しい財政下で、国との関係で中長期的な展望は開けません。市町村においては、なおさらと思います。 国の国債及び借入金残高は一千兆円とも言われ、今後さらに増加が予想されます。頼みの個人金融資産も二〇〇九年末で千四百五十六兆円、ピークは二〇〇六年の千五百五十三兆円で、国債の引き受け限度額は千五十兆円ではなかろうかと言われています。九五%が国内保有ですが、限度に近い金額となり、心配です。 現在、日本での国債十年物の利回りは一・二三ないし一・三%程度です。シンガポールでは二・六三二%、アメリカ国債では三・三八九%で、国債の利回りの低い日本の利率は半分以下です。日本のマネーは外国債は買っても、外国のマネーは低利の日本国債は買いません。 物の値段が下がり、経済全体が縮んでいくデフレーションです。先進国でデフレになったのは日本だけです。物価の下落、景気の悪化、物価の下落と悪循環が連鎖的に続いては、デフレから脱却できません。デフレ脱却には、少なくとも経済成長率が二ないし三%とでもなりませんと無理です。国債利回りがいつまでも低金利水準を維持できるのかも心配です。金利が、例えば〇・一%上がれば、利息は一兆円です。その対応はほとんどできないのではないでしょうか。 また、国の国債発行は二〇〇〇年度で三十三兆円、二〇〇五年度は三十一・三兆円、二〇一〇年は四十四・三兆円と大きく増加し、税収を大幅に上回る借金です。債務残高の国際比較を見ますと、二〇一一年の対GDP比では、日本が二〇四・二%に対し、フランス九七・一%、アメリカ九八・五%、ドイツ八一・三%と、圧倒的に日本は債務超過の状態です。二年分にも当たる、諸外国の二倍以上になっております。 国は、本気で財政再建に対応しようとはせず、選挙のために国民の気を引こうと耳ざわりのよい話ばかりで、我が国の将来を考えた政治とは言えないと思います。私は、このままでは、数年待たずにして日本は破綻してしまうのではないかと心配しております。 国の財政に大きく左右される地方でありますが、本県の財政を見ますと、県債残高は一兆三百九十四億円、臨時財政対策債を除く実質的な県債残高は七千八百五十一億円であり、九年連続で減少する見込みであるということでありますが、これまで以上、一層の財政健全化が求められます。 そこで、本県の財政のかじ取りについて知事のお考えをお伺いします。 次に、市町村の財政運営についてお伺いします。 地方債の金利では政府資金の金利が高いために、各自治体はこぞって金利の安い市中金融機関に借りかえを行い、金利負担の軽減を図っていますが、県債は市中金融では三%以上の金利債はありません。政府資金分をさらに積極的に民間に借りかえることを進めている方向にありますが、さきに愛知県発行の県債五年物で、発行額二百億ではありましたが、表面利率〇・二五五%と、前回五月の〇・四八二%に比べ、大幅な金利低下での落札が報じられていました。 また、中津市の場合、市民から銀行金利に見合った直接の借り入れ方法が報じられ、今後、県によっては、また、市町村においても、金融機関の査定によっては金利の格差が進むと思われますが、県がかかわることもあるでしょうか。県下の市町村の財政もかなり厳しいようですが、どのように受けとめていますか。 さきの総務省の公表によると、市町村の財政健全度を示す実質公債費比率が一八%以上の市町村は、起債に当たり都道府県知事の許可が必要とされるため、債務削減の見直しを示す計画策定を義務づけられ、財政の黄信号と言える状況の市町村数は今回の調査で一七%です。比率二五%以上になると単独事業向けの一部起債に制限がかかり、強制的な財政再建を迫られる赤信号となります。 全国知事会でも再建団体制度の改革案をまとめる方針を決めていますが、北海道、東北、北陸、山陰、四国が悪く、関東、九州はまずまずのようです。その中でも本県は、一八%以上の団体はありません。特に、何か県の方で指導しているのでしょうか。県下の市町村財政の健全化についての考えをお聞かせください。 次に、県南の産業振興について触れさせていただきます。 戦後二十年代は食料問題を中心に、戦後復興は農林業を中心としてまいりました。三十年代半ばに新産都臨海工業地帯や海外に向けた日本の重厚長大産業の設備投資が始まり、大分県の海域は最も適地と位置づけられ、九州石油、九州電力、鶴崎パルプ、さらには富士製鉄と相次いで企業が進出してきました。 木下知事のもとで剛健国体と銘打って初めての国体開催も往時のことでした。戦後復興から経済成長の時代に向けて石油ショックやインフレ狂乱物価とさまざまな問題はありましたが、着実に成長の時代に入り、大分市にはトキハオンリーから、ダイエー大分店、ジャスコ、ニチイ大分店の開店により活気づいてまいりました。また、ホテルも次々と開業し、サービス業も別府から大分へと大移動して、県下では大分市一極集中の様相が強くなってきましたが、現在では、また新たな時代の変化も感じております。 その中にあっても、日田市においては平成十二年にサッポロビール、別府市には立命館アジア太平洋大学、杵築市にはキヤノンマテリアル、中津市にはダイハツ九州と企業進出が見られ、関連企業も進出し、県内企業も参加するなど地域づくりが進展してまいりました。 高速道路も、平成二年に大分県境まで、平成四年には別府、八年には大分と、その後十年の歳月を経て、ようやく佐伯までの開通を見ました。二十六年には宮崎までの開通を目指して関係者の努力が続けられていることはご案内のとおりであります。 ダイハツ九州は不況下にあっても順調に進展し、日田市ではキヤノンの日田工場も着工の運びとなり、明るい展望が開けています。しかし、残念ですが、今、県内で最も活性化を求められているのは県南地域であります。今まで企業誘致の話があっても、高速道がない、工場用地がないと言われました。高速道も一応の目安も立ち、今回は不幸にして太平洋セメント佐伯工場が閉鎖されましたが、工場跡地は海岸に面し、五十万平米の遊休地を生み出しました。また、津久見市でも、道路整備で新しいバイパス計画によって採掘場の跡地に数十万平米の用地が生まれます。今後の企業誘致の場合、ぜひこの土地を活用していただきますよう強く要望いたします。 これから質問席の方に移りますが、ここで、小矢教育長さん、本当に大変でした。労をねぎらいたいと思います。 〔古手川議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○安部省祐議長 ただいまの古手川茂樹君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 古手川茂樹議員には、ただいまは、冒頭、県庁をこのたび退職いたします職員に対しまして温かいねぎらいの言葉を賜りました。心温まるご配慮に心から御礼を申し上げます。 古手川議員には、これまで、津久見市議会議員として三期十二年、県議会議員として七期二十八年、合わせて四十年の長きにわたる議員生活を通じまして、地方自治、県勢の発展のために大変なご尽力をいただきました。 平成九年三月からは二年にわたり第六十一代県議会議長として幅広い知識と豊富な経験に基づく卓越した指導力を遺憾なく発揮され、また、お地元の農林漁業の振興をリードしていただいたほか、東九州自動車道の津久見-蒲江間の早期着工に向けた国への要望など県内の交通体系の整備にも大変なご尽力をいただきました。 議員のモットーとする行財政改革につきましては、二度にわたり行財政改革特別委員長として、そのらつ腕を振るっていただきました。 また、自由民主党の議員会長として、会派の取りまとめはもとより、長く議会運営委員会に携わり、委員長、副委員長を歴任され、議会運営全体の取りまとめにも尽くされるなど、県議会発展のためにご尽力を賜り、厚く御礼を申し上げる次第でございます。 私はもちろんでございますけれども、多くの県職員が、時に厳しく、時に温かくご指導、ご鞭撻をいただいたことを感謝を込めて思い起こしているものと思います。本当にお世話になりました。 それでは、まず私の方から答弁をさせていただきます。 九州広域行政機構についてのご質問でございました。 九州広域行政機構は、地方に受け皿がないことを理由に国が出先機関廃止を拒む状況を地方の方から打破しようということで、出先機関の仕事や人員、財源などを丸ごと受け入れるという大胆な提案をしたものであります。九州地方知事会でも慎重に、かつ思い切った議論をいたしまして、合意をして、こういう提案になった次第でございます。 議員のご心配、ご指摘のとおり、直接、県で受け入れる方がよいものもあるのではないか、そういうことも予定されていたはずだということもございました。また、大変な行革の時代、まず国の方にスリム化努力を求めてから、それを受け入れた方がいいのではないかというご指摘もございました。全くそのとおりだ、こう思います。しかし、その議論を始めますと、時間ばかりかかりまして、結局は実現しないというこれまでの轍を踏むおそれがあるというふうに考えたところでございます。たびたびそういう経験があるわけでございます。そこで、とにかく丸ごと受け入れようということで、国に迫っていこうということにしたわけでございます。料理の方は後からすればいいじゃないかということもあるわけでございます。 機構が実現しますと、国の出先機関の仕事を、大臣にかわりまして、住民の代表としての知事連合会議が指揮監督をする、議会代表者会議がこれをチェックするということになりまして、地域のニーズを迅速かつ的確に反映した事業の実施、無駄を省いた効率的な運営などが期待できるわけでございます。当面、道州制の議論は横に置いてはおりますけれども、九州の一体的な発展を目指すという点では前向きな一歩になるのではないかというふうに考えております。 そこで、私の考える九州の発展可能性ということでございますけれども、九州は、面積、人口とも日本全体のおよそ一割を占めている、ご存じのとおりでございますけれども、GDPでは全国の八・七%しか占めておりません。このうち、我々は自慢をしておりました製造業の方でございますけれども、こちらはさらに低くて、七・一%にしかすぎないということでございまして、まだ、GDP全体、あるいは製造業におきまして伸び代が十分にある、これからやりようによっては大いにそこんところが伸びていくんではないかというふうに考えているわけでございます。 他方、農林水産業の方でございますけれども、全国の約二割の生産シェアを占めておりまして、九州と地理的に近いアジアが著しい成長を続けているということは、これから九州の大きな強みになっていくというふうに思っているところでございます。 今後、アジアの活力を取り込みながら、九州ワイドの成長戦略を実現していくということが、九州、ひいては大分県の発展にもつながるという視野に立ちまして考えていくことが大事じゃないかと思っているところでございます。 例えば、九州の基幹産業である自動車、半導体を初めとする本県の産業集積は、九州の今後の発展にとって、まさにエンジンとなり得る部分であります。血液血管関連産業や次世代電磁力に関する研究などの新分野とあわせまして、対アジア戦略をしっかりと考えて取り組んでいく必要がある。そういう面では、このあたりは、これからの九州全体の取り組みの中で大分県がリードしていく部分ではないかと思っているところでございます。 また、観光や人材育成の分野でも、日本一の温泉やAPUを持っている大分県には九州全体を牽引する役割が期待されているところでございまして、ここにも一層力を入れて取り組んでまいります。 農林水産業につきましては、TPPを初め、大きな環境変化が心配されますけれども、九州が総力を結集しまして九州ブランドとしての輸出戦略など攻めの農林水産業に取り組むことで活路を見出せるんではないかというふうに考えております。 九州の発展、大分県の将来像を語る上で欠かすことのできない東九州自動車道を初めとする社会資本の整備につきましても、私自身、全国知事会の地方の社会資本PTのリーダーを務める立場でもありまして、引き続き全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。 九州、大分の希望あふれる将来像に向けて、まずは九州広域行政機構を着実に実現するとともに、諸課題につきまして、九州全体のリーダーという気概を持って取り組んでいきたいと思います。 次に、環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPの農業に与える影響についてご質問をいただきました。 TPPに参加し、関税が全廃された場合、本県農業への影響を国と同じ手法で試算いたしますと、何も対策を講じなければ、米や麦、肉用牛、酪農を中心に産出額で約五百六十億円が減少するということになります。今、農業全体の産出額千四百億円を目指してやっているわけでございますから、そのうちの五百六十億円、大変大きな額になります。 農業は、食料の供給のみならず、地域経済の重要な柱でございまして、地域社会に与える影響は大変大きなものがございます。本県にとっても、農業はなくてはならない産業でございまして、TPPへの参加の有無にかかわらず成り立っていけるようにしっかりとした道筋を示すことが大変大事でございます。それがなければTPPの是非につきましても議論をできないというぐらい、やっぱりそこのところとあわせてしっかりと議論をしていかなきゃならぬというふうに思っているところでございます。 そういう意味で、国の方はTPPに関連しまして、食と農林漁業の再生推進本部を設置して、いかに持続可能な力強い農業を育てるかということを検討しておりますけれども、どうすれば輸入農産物と競争できるのか、財源の裏づけはどうなるのかなど具体的な内容を示すにはまだ至っていないわけでございます。何よりも大事なことは、農業の持続的経営が確保され、意欲ある経営体が伸びていけるようにする、そこのところをしっかり考えてもらいたいというふうに思います。 本県の農業は、現状においても中山間地域が多く、高齢化が進み、経営規模が小さいなど構造的な課題を抱えております。 県といたしましては、産地間や国際間の競争に耐える条件整備など必要な対策はしっかりと国に求めるとともに、これまで進めてまいりましたマーケット起点のものづくりと力強い経営体の確保育成をさらに加速させていかなければならないと考えております。 まず、水田農業では、これまで以上に地域の合意形成を図りながら、生産コストを下げるため、集落営農や意欲ある担い手への農地の集積を進めます。加えて、水利施設など生産基盤につきましても、低コストかつ省力的な管理方策を検討しなければならないと思います。 また、肉用牛や酪農は、飼養技術の向上や規模拡大等によりまして商品性、生産性を高めていくとともに、コントラクター組織を拡充して、飼料用稲等の国産飼料生産や放牧の拡大によりまして経営体質を強化いたします。 野菜や果樹につきましても、県域生産体制をさらに拡大して、大型小売店だけではなくて外食や加工産業との直接契約等も進めて、経営の安定を図っていきたいと思います。 さらに、海外への挑戦ということも重要でございます。日田梨や牛乳の輸出拡大に加えまして、新たな商品、相手国の開拓にも戦略的に取り組んでまいります。 いずれにしましても、将来にわたって持続可能な力強い農業を実現するために今すべきことは、ザ・オオイタ・ブランドに磨きをかけるとともに、企業的な経営体の育成など経営構造改革の取り組みをなお一層進めていくことだというふうに考えております。 次に、県財政についてご質問でございました。 私は、知事就任以来、県財政が危機的状況にあったことから、財政再建に向けて行財政改革プランに基づく取り組みを進めまして、議会を初め、県民の皆さんのご協力をいただいて、目標を大きく上回る千八百三十五億円の収支改善を達成したところでございます。 こうした基盤に立ちまして夢と希望あふれる大分県づくりへの挑戦を始めたわけでございますけれども、三位一体改革の思わぬ影響やリーマンショック後の世界的な金融、経済危機等によりまして財政収支の悪化が見込まれましたことから、これからの挑戦を下支えできるように、二十一年度から三年間の行財政運営の羅針盤として中期行財政運営ビジョンを策定いたしました。 「子供に夢を、地域、暮らしにぬくもりを」という思いのもとで
子育て満足度日本一など三つの目標を掲げまして、それを実現するための確固たる行財政基盤の構築に向けまして、さらなる行革の取り組みを進めてきたところでございます。 その結果、財政調整用基金につきましては、二十二年度末で四百億円を確保し、二十三年度末につきましても、目標としております三百億円以上が確実なものとなってきました。 県債残高につきましては、二十二年度末で一兆三百九十四億円と前年度に比べ増加するものの、発行抑制、あるいは繰り上げ償還などに努めたことから、臨時財政対策債を除く実質的な残高は七千八百五十一億円と前年度と比べまして三百三億円減少しております。 しかしながら、議員ご指摘のとおり、国の財政状況は一段と悪化しておりますし、財政健全化の取り組みは遅々として進んでおりません。景気につきましても、まだまだ予断を許さない状況でございます。 こうした中でございますから、本県の財政運営に当たりましては、まずは、守りを固めるという意味で、健全性を高めていくということが重要でありまして、引き続き財政調整用基金残高の確保と県債残高の抑制に努めてまいります。 歳出面では、義務的経費を抑えていく必要がありまして、高齢化に伴い、扶助費が増加する中ではありますけれども、人件費や公債費につきましては、定数削減や県債の発行抑制を図って、減少させるように努力をしてまいります。 もとより、これだけでは緊縮の道をたどるのみとなることから、攻めの県政に向けての取り組みも大事でございます。財政の自立性を向上させて、社会資本整備を初め、福祉、医療、教育、産業分野等における新たな政策に振り向ける財源を生み出すことが大事だと思います。そのためには、本県の強みである産業集積を一層進めまして県税収入の増加を図るなど、自主財源を強化していくことが不可欠であるというふうに考えております。 今後とも、議員のご心配をしっかり受けとめさせていただきまして、本県の持続的な発展が支えられるように、攻守両様の構えで財政運営を行っていきたいというふうに考えております。 私からは以上でございますが、その他のご質問につきましては部長からお答え申し上げます。
○安部省祐議長 片岡農林水産部長。
◎片岡登喜男農林水産部長 先ほど古手川議員には身に余るねぎらいのお言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。 それでは、農業大学校についてお答えを申し上げます。 農業大学校の卒業生は、昭和四十一年の設立以来、二千六百人を超え、その多くは企業的経営者や指導農業士として県農業を牽引しております。 農業大学校は、県農業を支える人材育成のための研修教育機関として、その機能強化を図るため、十九年度から教育内容の充実強化など農大改革に取り組んでいるところでございます。 具体的には、園芸、畜産に重点化した学科に再編するとともに、学校教育法上の専修学校化により四年生大学への編入を可能にいたしました。 また、授業料等の有償化も行いながら、学生、教職員の意識改革と実習施設や教育環境の整備充実を図っているところであります。 こうした取り組みにより、入学者数は二十年度以降、二十九名、三十五名、四十九名と毎年増加をしております。 今後も、外部講師として先進的な農家、他分野のすぐれた経営者の招聘や農業法人での実務研修など、より実践的な教育を行い、県農業の人材育成の拠点として一層の充実を図るとともに、資質の高い企業的経営者、地域の農業、農村を担うリーダーの育成に力を注いでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○安部省祐議長 佐藤総務部長。
◎佐藤健総務部長 市町村財政に関する質問に関してお答えをいたします。 市町村発行の地方債に関しまして、過去の高金利の公的資金につきましては、金利負担を軽減するため、補償金免除繰上償還制度を最大限利用するように助言をしております。 また、民間資金につきましては、借入額や償還期間などの発行条件、市場金利の動向等によりまして異なりますので一概には申し上げられませんが、現時点においては、特に高い金利で借り入れを行っている市町村はございません。 二十一年度の県内市町村の実質公債費比率は県平均で一一・三%ということで健全な水準にございますけれども、これは県の助言によるものというよりも、各市町村が無駄な事業を行わないように努めるとともに、起債に当たって交付税措置のある過疎債や合併特例債などの有利な地方債を活用するよう努めている結果というふうに認識しております。 県下市町村の財政状況についての認識でありますけれども、決算を見ますと、実質公債費比率などの財政健全化指標には問題はございませんが、依然として経常収支比率九〇%以上という団体が十団体ありますし、扶助費等の社会保障関係経費が今後増加していくことになるだろうという課題もございます。 また、今後、合併団体では地方交付税の優遇措置であります合併算定がえの期間が終了していくといったような厳しい環境が控えておりまして、慎重な財政運営が必要であると思います。 県としても、市町村が中長期的な視点で持続可能な財政運営を行えるように積極的に助言をしてまいりたいと考えております。 以上です。
○安部省祐議長 古手川茂樹君。
◆古手川茂樹議員 まず、今回も県議会議員に立候補されます議員の皆さん、どうか選挙選を勝ち抜いて、全員がご当選されますよう期待し、必勝を祈念いたします。どうぞ頑張ってください。 最後に、知事さん、新しい三期目に向かって県民の全幅の信頼を得てスタートされることになると信じています。常に変わらない知事さんの温かさ、どのような場合でも県民とともに歩く姿、円熟した人間性、理想のリーダーであります。政界も経済界も、また、地方自治体においても真のリーダーを求めています。県民の信頼にこたえ、ご自愛の上、さらなるご活躍を期待し、知事さんの決意のほどをお伺いいたします。 知事さん、壇上でひとつよろしくお願いします。
○安部省祐議長 広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 恐縮でございますが、ご指示でございますから、壇上から答弁をさせていただきます。 ただいまは、古手川議員には、温かく、また、身に余るお言葉をいただきまして、新たな気力みなぎる思いでございます。 私は、県民中心の県政を旨といたしまして、県民の皆さんと直接触れ合う中でいろんな言葉をお聞きしてまいりましたけれども、まさに、くめども尽きせぬ泉のごとく、多くのことを教えていただきました。しかしながら、そのことは、また同時に、自分自身のこれからの道のりの遠さも思い知らされるものでございます。 例えば、古手川議員お住まいの津久見市には、樫の実少年少女合唱団というグループがございます。人口二万人の市に百人を超える子供たちの合唱団が存在しているということ自体が驚きでございますけれども、大変立派な指導者に恵まれて、作曲家の青島広志さんには日本最高レベルと絶賛され、オリジナルのミュージカルはいいちこグランシアタを超満員の観衆であふれさせました。今春の別府アルゲリッチ音楽祭では、マルタ・アルゲリッチさんに見込まれまして、彼女との共演が予定されていると聞いております。一体、津久見という地域は、このような子供たちを育てる力をどうやって培ってきたのか、地域の底力とは何かということを含めまして、勉強しなければならないことがいろいろまだまだ多いと痛感しているところでございます。 このように、私自身もまだまだこれからではありますけれども、もし三たび県民の皆さんの信任をいただけるということになりますれば、引き続き県民一人一人の思いを大切にしていくことを第一に、大分県の県土の隅々まで目配りが行き届くように努めまして、決してどの地域も粗末にすることのないように刻苦精励してまいりたいというふうに思っております。 大きな変革期にある時代でございます。潮の流れをアンテナを高くしてよく見きわめながら、また、現場主義に徹しまして、現場に課題と知恵をいただきながら、夢の多い大分県をつくってまいりたいというふうに思います。 最後になりますけれども、改めまして、古手川議員初め、このたびをもちまして退かれる県議の皆さん方に心から御礼を申し上げ、そしてまた、再びチャレンジをなさいます議員の皆さん方のご健闘を心からお祈りをいたしまして、答弁とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○安部省祐議長 以上で古手川茂樹君の質問及び答弁は終わりました。 次に、上程議案に対する質疑に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。 〔堤議員登壇〕
◆堤栄三議員 お疲れさまでございます。日本共産党の堤でございます。 上程議案、特に当初予算に対する質疑を行います。 まず、農林水産業の振興にとって壊滅的な打撃を与えるTPP参加問題についてです。 これに参加することは、日本の農業に壊滅的な打撃を与えます。大分県でも九〇%の米生産がなくなり、全国的にも自給率が一三%に低下をしてしまう。県内の農林水産業関係七団体はTPP参加阻止の決起集会を開催し、関係者による発言はいずれも、「食料生産は工業製品みたいに増産などすぐにはできない。自分たちの食料は自国で生産するものだ」など深刻な実態を報告し、参加阻止の決意がみなぎっていました。 知事は、昨年の議会答弁で「国際的な動きもあり、大分県農業への影響も大きい。両立が大切」と言っていますが、両立など、できようはずがありません。知事のTPPについての基本的な考え方はいかがでしょうか。答弁を求めます。 以下、対面演壇にて。 〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○安部省祐議長 ただいまの堤栄三君の質疑に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 TPPに対する認識についてお答えを申し上げます。 少子・高齢化の中で人口減少が進み、国内市場が減少する中、成長する海外市場の活力を取り込んで経済発展に結びつけていくために貿易、投資の自由化や円滑化を進めるということは重要な課題であると考えます。 TPPにつきましては、現在、交渉国間で協議が進められておりますけれども、我が国にとって有利、不利を見きわめ、我が国の利益を強く主張していくということが大切だと考えます。 一方で、これまで関税等で保護されていた分野では、海外との競争にさらされ、何も手を打たなければ大きな悪影響を受けることも考えられますので、しっかりとした国内対策を国に求めるとともに、本県の産業全般につきまして、国際競争力のある、より強固なものにしていく必要があると考えます。 特に農業は、我が国にとりましても、もちろん我が大分県にとってもなくてはならない重要な産業ですので、持続的な発展が図られ、生産者が安心して営農できるよう国内対策を講ずることが不可欠でございます。それができなければ、TPPも何もあったものではないというふうに考えます。そのため、国に対しましてしっかりした対策を求めるとともに、本県としても、TPPへの参加の有無にかかわらず、これまでも進めてきたマーケット起点のものづくりと力強い経営体の確保育成をさらに加速していく必要があると考えます。 今大事なことは、攻めと守りの両方の観点から必要な対策を講じていきまして、自由貿易の促進と農業等国内産業の振興の両立のために知恵を絞り、備えを固めていくということであると考えております。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 TPPそのものについては、それぞれ他国においては、EPAだとか、FTAを結んでいるところも結構あります。この中で、日本だけがアメリカとオーストラリアに対してFTA、EPA等については結んでない。つまり、今度のTPPの議論そのものは、アメリカとオーストラリアからのそういう要求の強い部分だというのも知事ご存じだというふうに思いますけれども、そういう中で、これまで自民党農政によって農業をつぶされてきた。今度はTPPによって壊滅的な状況にされてしまうという、こういうふうな状況の中で、やはり私は、六月にも参加表明を決定しようかという状況の中で、知事として、やはり、大分県の農業を守るという立場から参加阻止ということを明確に言うべきだというふうに私は思うんですけれども、再度答弁を求めます。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 現在、TPPでは、関税の自由化に加えまして、投資だとか、あるいは政府調達などにつきまして、二十四の作業部会で、透明で予見可能性の高い共通のルールづくりというのを目指して、その扱いが協議されているところでございます。 協議内容の詳細については、議論の途上であり、十分な情報が得られておりませんけれども、今後、その動向を見きわめて、産業や国民生活に及ぼす影響をよく分析して、我が国の利益を強く主張していくということが大事だというふうに考えております。 一方で、TPPは、参加国に幅広い分野の自由化や規制緩和を求めるものでありまして、日本国内のルールの変更が必要になることも考えられます。現在のところ、その具体的な内容や方向性については不明ですけれども、今後詳細が明らかになれば、それが国民生活、あるいは県民生活にどのような影響が出てくるか吟味をして適切な対策をとっていくということが大事だというふうに思います。 最初からこの問題は反対だということではなくて、どういう影響が出てくるのか、どういうことがどういう対策で避けられるのか、交渉の中で、これは例外にしてくれということもあるでしょうし、それから、それができなければ国内対策としてとれる対策もあるかもしれない。それもできなければ、これはやはり反対ということにせざるを得ないということになると思いますけれども、そこのところを、最初から、とにかくTPP反対ということは、今の日本の置かれている立場からして適当ではないというふうに考えております。今は両方が成り立つような知恵と努力が必要なんじゃないか、こう思っているところでございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 日本は、今、TPPについての情報収集をやっています。ことし一月の日米貿易フォーラムの中でも、TPP交渉に関する情報収集という中で、先ほど言われたとおり、二十四業種、二十四分野での交渉等が始まろうというふうにしておりますけれども、この情報収集の中でも食の安全を脅かすという、こういうふうな一つの提言も含まれているんです。 例えば、アメリカは、BSE対策のための輸入牛の月齢制限を撤廃せよということをこのフォーラムの中でも発表しているわけです。あわせて、添加物表示は不必要だというふうに、対日要求というのを強めているんです。つまり、具体的にこういうふうな中身で話が進んできているわけです。ですから、それが日本の農業、また、大分県の農業にとってみれば非常に大きな打撃を与えるし、食の安全を脅かすというふうな問題点をやっぱり指摘をしなければならないわけです。 ですから、国内対策をとれなければ反対ということじゃなくて、今でもこういうふうな状況が対日要求として出されてきている。TPPに参加をすれば、これはもっと強まるんです。だからこそ、今の時期に反対を明確にすべきだというふうに私は申し上げるわけです。 あわせて、これは当然、そういう食の安全とあわせて、労働条件の悪化だとか、混合診療の拡大で国民皆保険制度の崩壊など多方面に影響をもたらします。県民生活そのものが、やはり塗炭の苦しみに追いやられてしまう、こういうふうな立場も、やはり明確にそれはわかるわけです。ですから、先ほど言ったフォーラムの問題も含めて、こういうふうな状況が出てくる中で、やはり私は、知事として、本当に反対という立場を明確に打ち出してやるべきだ、他県でも当然、反対を打ち出している知事さんもおられますけれども、そういう立場と共同歩調をとっていただきたいというふうに思うんですけれども、再度求めます。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 今、堤議員からお話がありましたように、交渉はどんどん進んでいるわけでございます。日本はまだこの協議に入ることを決めておりませんから、いろいろ情報を収集するという立場でございまして、非常に隔靴掻痒、情報そのものもよくわからないところがあるし、かつまた、日本の主張を、これは危ない、これはよくないからやめようというようなことを主張することも今のところできない。そういう中で交渉はどんどん進んでいるという、非常に私はそこのところを心配しているわけでございます。 したがいまして、これが、全く無視して、何もやらないで済むということであればいいんですけれども、そういうふうになかなか、日本経済の状況、世界の貿易のグローバル化、経済のグローバル化の中で、なかなか日本だけ例外という、門戸を閉じておくというわけにはいかない世の中になっておりますから、したがって、やはり国際的なつき合いもする、あわせて、そのために大事な大事な日本の農林水産業等を守っていくという両方が成り立つような知恵をまずは出してみる。それがどうしても出ない、どうしてもこれは農業が成り立たなくなるということであれば、それはもう、そのとき、反対をせざるを得ないということになりますけれども、最初から壊滅的な打撃が来るぞと。本当に来るかどうか、よく検証もしないで、そういうことをやるというのもいかがかというふうに思っているところでございます。 食の安全、安心、これはもう関税どころの話ではございませんから、それはそれでしっかりと守っていかなきゃいかぬ、こう思いますし、その他、いろんな分野についても交渉が行われると思いますけれども、そういうものと日本の制度との整合性を図るため、まずは主張し、そして、それが受け入れられるときに、今度は国内でどういう対策を講ずるかということも考えていくということではないか、こう思います。 実は私は、総理が平成の開国と言われたときに、あれだけ大きく言われたわけだから、きっと背景には立派な国内対策も準備されているんだろう、こう思っておりましたけれども、それは何もなかった。これからやるんだということになりまして、これから農業再生のための本部の検討もやるんだということになっておりますけれども、これもなかなか進捗状況が目に見えないということで大変心配はしているんですけれども、しかし、やっぱり今、我々の置かれている立場からすると、日本が置かれている立場からすると、これが両方成り立つような方策はないものかということを考えていかなきゃならぬのじゃないか、こう思っているところでございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 TPPと日本の食料の主権を守るということは、これはやっぱり両立しないんです。実際にそういうふうなことをやられているところでは、ほとんど穀物生産が壊滅状態になっているとか、そういうふうな状況の中ですから、やはり食料主権を守るという立場で、私は、米というのは、自分たちの一番主食ですから、この米生産の九割はなくなるという方向性も出ているわけですから、そういう点からもぜひこの参加阻止を、反対を唱えていただきたいということをお願いして、続いての質問に入ります。 二つ目は、まず国民健康保険税の徴収問題等についてであります。 国民健康保険税は、大分市の場合、家族四人世帯で生活保護基準と同程度の約二百万円の給与収入がある家庭であれば二十六万七千四百円にもなるわけです。これが払えなくなる世帯がふえてくるのは当然であります。その結果、大分県内の滞納世帯は三万七千五百四十八世帯、資格証明書発行世帯も四千四百六十八世帯となっています。 高くて払えなくなる原因は、国による交付金の削減であります。県として国に対し、国保への交付金削減をもとに戻すよう要請すべきだというふうに思いますけれども、答弁を求めます。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 国民健康保険についてのご質問でございましたけれども、これは国民皆保険の最後のとりでとも言うべき医療保険制度でございまして、将来的にも安定した運営を維持するということが重要だと思います。 市町村国保は、高齢化、低所得者層の増加によりまして十分な保険料収入が確保できずに保険財政が恒常的に逼迫をしているというのは、もう議員ご承知のとおりでございます。しかし、運営主体を財政規模の小さい市町村としている限り、運営が不安定となりやすくて、国民健康保険を将来にわたって維持するためには都道府県単位の広域化を進めるという必要があると考えます。 他方で、ふえ続ける医療費をだれがどのように賄うかという財源の問題でございますけれども、社会保障と消費税を含む税制改革の一体的な議論を進めていかなければならないんではないかというふうに思います。旧に復せば成り立つかというと、なかなかそういかないからここまで来たんではないか。やっぱり社会保障と税の一体的な改革の中で議論をしていかなければならないところまで来ているんではないか、こう思っているところでございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 交付金の削減をやめろというふうなことを国に要請すべきだと思うんですけれども、それについて、再度お答えください。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 昭和五十九年と平成十七年などに国庫負担率が変更されたということはございました。 先ほど申し上げましたけれども、ふえ続ける医療費をだれがどのように賄うかというのは財源の問題でございますけれども、社会保障と消費税を含む税制改革の一体的な議論という中でやっていかないと、ただ旧に戻せというだけでは、もうだれもが乗り切れないような状況になってきているんではないかというふうに思っています。しかし、負担が大変だということもよくわかりますので、社会保障と消費税を含む税制改革の一体的な議論の中でやらざるを得ないんではないか、こう思っているところでございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 それは、またちょっと議論していきましょう。 先ほど言いました生活保護世帯並みの一割を超える国民健康保険税、これは高いというふうな認識はないでしょうか。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 福祉のレベルと負担のレベルの問題というのは常に国民的な議論のあるところでございまして、そういう全体の中で位置づけていくということが大事ではないか、こう思っております。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 もう少し突っ込んで話をしたいんですけれども、国民健康保険に関して、差し押さえの問題で少し話をします。 宇佐市では、振り込まれた子ども手当を差し押さえをして、通帳に入ったやつが残高ゼロになってびっくりしたと。それで調べたら国保の差し押さえされとったということなんですけれども、その親御さんは「子供のために学校で使うピアニカを買ってあげよう」というふうに話し合っていたやさきの出来事なんです。このような実態についての認識はどうでしょうか。答弁を求めます。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 国民健康保険は被保険者全体の相互扶助で成り立っております社会保険制度でございまして、国民皆保険の基盤となっているものでございます。その財源となる国保税の収納確保というのは、制度維持にとって大変大事なことだというふうに思います。 県といたしましては、医療費に見合った国保税の確保ということが図られるように、適正な賦課徴収に努めるよう助言をしているところでございます。 お話のありました滞納処分につきましても、法に基づいて適正に執行しているものだというふうに考えております。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 つまり、知事の認識は、こういうふうな事例があったとしても、法に基づいて執行しているということで、当然だという認識でよろしいですね。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 これ自体は、法に基づいて適正に執行している、こう思います。個別の案件として大変お気の毒なところもあるかと思いますけれども、これも、国保税の収納確保というのがこの国民健康保険制度維持のために非常に重要であるというところも、やっぱりご理解をいただきたいというふうに思っているところでございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 続いて部長に聞きます。 県の広域化等支援方針の中身を見ますと、目標収納率の目標を各保険者別に設定しておりますけれども、これを未達成の場合には、県として助言等々いろいろする、技術的な指導もするというふうになされてるんですけれども、ここにやはり、なりふり構わずそういう差し押さえをするという姿勢が出てくるんではないかというふうに私は思うんです。強引な差し押さえはやめるべきだというふうに私は思いますけれども、部長はどうお考えでしょうか。答弁を求めます。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 保険者規模別な目標収納率の設定を今回いたしましたけれども、昨年十二月に策定をいたしました広域化等支援方針における目標収納率そのものは、規模別に分けた市町村間で国保税の収納率に格差が生じないように、全市町村と県とで検討委員会を設けて十分協議した上で設定して、市町村の合意を得て決定したものでございます。 国保税の差し押さえ等の滞納処分につきましては、これは市町村の判断で実行するものでございますけれども、処分に当たっては、過去の交渉経過や滞納者の生活状況等を考慮した上で適正に執行されているというふうに考えてございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 目標未達成の状況に応じた県の技術的な助言、勧告というふうになっております①の中に「今後の徴収方法の具体的目標を定めた計画書を作成し、県に提出させる」というふうな項目がありますけれども、これは具体的にはどういうふうな中身の報告書になるんでしょうか。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 今回策定した広域方針の中で、項目としては基本的に四項目ございました。広報啓発から広域化ということと、それから議員ご指摘の目標収納率の設定というのがありまして、これに対して、その目標達成率の状況に応じて県の技術的な助言、勧告ということが四項目めにありました。 ただ、具体的な助言、勧告につきまして、現在、その広域化に関する詳細なスキームは、当然、まだ示されてございません。今回、私どもも、その四項目を、項目として提出はいたしましたけれども、判断材料は基本的はまだ出てございません。具体的にどういう助言のやり方をやるか、ご指摘のような徴収、あるいは収納に関することについてという部分についての具体的な話は全然出てございませんので、どういう助言、勧告かという部分については、まだ判断材料そのものは出てございません。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 問題なのは、資格証明書等の発行も含めて、短期保険証の発行というのは非常に大きな問題です。全日本民医連の調査によると、受診おくれで二〇一〇年の一年間に七十一人亡くなっているんです。このうち、保険証等の短期また資格証明書の発行で亡くなった方は四十二例もあるんです。こういうふうに、まさに保険証の取り上げは命の取り上げと一緒なんです。このような実態があるということを、まず、部長、認識をされてるんでしょうか。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 被保険者証の取り上げといった形の資格証明証の発行というのは、国民健康保険そのものの制度の中で収納確保として行われていることだと認識しておりますけれども、実際には、おっしゃられたように国民健康保険証がない状態、いわば無保険の状態であるがゆえに医療が受けられずに亡くなっているというような、新聞報道等では認識いたしてございますけれども、実際にこの資格証明書、それからこういう形のものを交付するというものに関しましては、これは十分留意しながら発行するようにということでは指導いたしてございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 無保険じゃないです。資格証明書と短期保険証によって亡くなった例が四十三件あるというのが民医連の調査の結果なんです。ちゃんと病院で全部調査をしているやつですから。こういうふうな認識をされているということと、大分県内での実態を、こういうふうな事例で亡くなっている実態というのは、大分県内ではつかんでいるんでしょうか。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 資格証明書を有していて県内で亡くなっているという方について、私の方で、現在、手元には持ち合わせておりません。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 ぜひ調査をしてつかんでいただきたいのと、あわせて、私はこういう事例をなくすためには、やっぱり無条件交付というのが、絶対、前提条件だというふうに思うんです。保険証がなけりゃ、やっぱり病院に行けないんです。ですから、そういう点では、無条件交付をすべきだというふうに思うんですけれども、再度、この件についてお尋ねをいたします。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 やはり広域化した場合も含めまして、国民健康保険そのものは、先ほども答弁いたしましたように、被保険者全体の相互扶助で成り立つ社会保険制度でございますから、その財源となるための保険税の収納確保というのは制度を維持していく上で極めて重要でございまして、資格証明書そのものは、おっしゃいましたように、滞納しているからといって直ちに交付するというわけではございませんし、納税相談等によりまして被保険者の状況を十分に把握して、負担力があるにもかかわらず国保税を滞納しているというような方に限って交付するということになってございますので、そこんところの指導、助言はしっかり行っていきたいというふうに考えてございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 この数十年間で五〇%から二四・一%に国庫負担というのは引き下げられているんです。つまり、ここが原因なんです。ここが原因によって保険税が高くなってくる。それがイコール、皆さんの保険料にはね返るわけですから。これをやはりきちっと国に求めるということとあわせて、無条件交付をするということ、これをやはり県としてやっていかなければ、こういう不幸な事例というのはなくならないと思います。再度、その二つについてお答えください。
○安部省祐議長
高橋福祉保健部長。
◎
高橋勉福祉保健部長 一点目の国庫負担率をもとに戻すようにということで国に求めるということでございますけれども、先ほど知事からも答弁いたしましたように、三十五年前の負担率、そこで負担率が下がったことが一つの大きな原因だということは認識いたしてございますけれども、今議論しなければならないことは、既に国民皆保険制度を維持するための国保の財政安定について社会保障全体の枠組みの中で考えるかどうかという段階に、ある意味では来ているという意味で、社会保障全体の中で税制改革とあわせて議論しなきゃならないんだというふうに考えてございます。それで、国の方に負担率の軽減そのものを求めるということは直ちには考えてございません。 それと、資格証明書の交付につきましては、先ほど申し上げましたように、滞納しているからといって直ちに求めているわけではございませんので、ここは十分、市町村を指導、助言しながら資格証明書を発行するということで指導、助言していきたいというふうに考えてございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 社会保障等の一体改革の中で税のあり方、つまり消費税の増税も含めた検討をするということは、これは全く国の言い方と一緒なんです。そうじゃなくて、消費税の増税をしなくても社会保障の財源というのは十分捻出することができるわけですから、そういう点もぜひ考えていただきたいというふうに思います。 続いて、最後に、おおいた安心住まい改修支援事業についてお伺いをいたします。 住宅リフォーム助成制度に向けて、私は、これは一歩前進だというふうに思います。国会での日本共産党の志位委員長の質問に対して首相は、「住宅市況を活性化させる観点から住宅リフォーム推進は極めて重要」と、社会資本整備総合交付金の活用も認めております。県として、この予算を活用して、ぜひこの予算の増額を今後検討していただきたい、そのことについて部長の答弁を求めます。
○安部省祐議長 梅崎土木建築部長。
◎梅崎健次郎土木建築部長 お答えいたします。 社会資本整備総合交付金の本事業への活用につきましては、基幹事業とされております公営住宅整備と関連づけ、その効果を促進する事業として計画上の位置づけが必要なことや、全体に占める効果促進事業費の割合に限度があることなど窮屈な制約が課せられていることから、本県独自の政策目的を盛り込む今回の対策には国の交付金事業を充当しておりませんでした。 二十三年度の新規事業では、高齢者が安心して暮らせる簡易耐震やバリアフリー改修、子育て世帯の住宅改修の支援といった明確な政策目的のために予算計上しているところでございます。 あわせて、この事業は地域経済を支える中小建設事業者の受注機会の拡大にもつながることから、早期に事業をスタートさせ、市町村と協力して推進することが先決であると考えております。 以上でございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 社会資本整備総合交付金の活用は、これ、住宅リフォームに使えないという認識なんですか。
○安部省祐議長 梅崎土木建築部長。
◎梅崎健次郎土木建築部長 いえ、そういうことではございません。使えます。ただ、私どもの県として進めております耐震化とか、子育て日本一とか、こういったことをまずは施策として進めるのが先であって、県独自のこの施策をやってみるということでいきたいというのが私どもの考えでございます。 以上でございます。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 最後に知事に、今回こういうふうな予算がつきましたけれども、ぜひ今後の創設、一般的な住宅リフォームについての今後の創設及び今の大分の支援事業についての拡大について知事の基本的な考え方を聞かせてください。
○安部省祐議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 ただいま部長からお話ございましたように、とにかく今の大分県の
子育て満足度日本一だとか、あるいは高齢者に対する支援だとか、県産材の活用推進といったような、県の独自の需要に、ニーズに応じて制度をつくったわけでございますから、それをとにかく利用していただいてというふうに、それからまた考えていけばいいかな、こう思っているところです。まずは、ここまでようやく来たということでございますから、どうぞご理解を願いたいと思います。
○安部省祐議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 ぜひ、住宅リフォーム、中小業者の仕事拡大、県産材活用のためにも重要な施策ですので、今後とも検討のほど、研究よろしくお願いいたします。 以上で終わります。
○安部省祐議長 以上で堤栄三君の質疑及び答弁は終わりました。 これをもって一般質問及び質疑を終わります。 ただいま議題となっております各案及び今回受理した請願三件は、お手元に配付の付託表及び請願文書表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。 なお、他の委員会にも関連のある案件につきましては合い議をお願いいたします。
-------------------------------付託表件名付託委員会第一号議案平成二十三年度大分県一般会計予算関係委員会第二号議案平成二十三年度大分県公債管理特別会計予算総務企画第三号議案平成二十三年度大分県母子寡婦福祉資金特別会計予算福祉保健生活環境第四号議案平成二十三年度大分県中小企業設備導入資金特別会計予算商工労働企業第五号議案平成二十三年度大分県流通業務団地造成事業特別会計予算〃第六号議案平成二十三年度大分県林業・木材産業改善資金特別会計予算農林水産第七号議案平成二十三年度大分県沿岸漁業改善資金特別会計予算〃第八号議案平成二十三年度大分県就農支援資金特別会計予算〃第九号議案平成二十三年度大分県県営林事業特別会計予算〃第一〇号議案平成二十三年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計予算土木建築第一一号議案平成二十三年度大分県港湾施設整備事業特別会計予算〃第一二号議案平成二十三年度大分県用品調達特別会計予算総務企画第一三号議案平成二十三年度大分県病院事業会計予算福祉保健生活環境第一四号議案平成二十三年度大分県電気事業会計予算商工労働企業第一五号議案平成二十三年度大分県工業用水道事業会計予算〃第一六号議案包括外部監査契約の締結について総務企画第一七号議案大分県情報公開条例の一部改正について〃第一八号議案大分県使用料及び手数料条例の一部改正について〃第一九号議案大分県福祉のまちづくり条例の一部改正について福祉保健生活環境第二一号議案権利の放棄について〃第二二号議案大分県自殺予防対策強化基金条例の一部改正について〃第二三号議案大分県心身障害者扶養共済制度特別会計設置条例の廃止について〃第二五号議案大分県消費者行政活性化基金条例の一部改正について〃第二六号議案大分県男女共同参画計画の策定について〃第二七号議案大分県生活環境の保全等に関する条例の一部改正について〃第二八号議案大分県産業廃棄物の適正な処理に関する条例の一部改正について〃第二九号議案工事請負契約の変更について〃第三〇号議案大分県病院事業の設置等に関する条例の一部改正について〃第三一号議案大分県立職業能力開発校の設置及び管理に関する条例の一部改正について商工労働企業第三二号議案大分県
緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部改正について〃第三三号議案平成二十三年度における農林水産関係事業に要する経費の市町村負担について農林水産第三四号議案大分県就農支援資金特別会計設置条例の制定について〃第三五号議案大分県中山間地域等直接支払制度基金条例等の廃止について〃第三六号議案工事請負契約の締結について〃第三七号議案平成二十三年度における土木事業に要する経費の市町村負担について土木建築第三八号議案権利の放棄について〃第三九号議案大分県公共用地先行取得事業特別会計設置条例の廃止について〃第四〇号議案工事請負契約の変更について〃第四一号議案工事請負契約の変更について〃第四二号議案大分県港湾施設管理条例等の一部改正について〃第四三号議案訴えの提起について〃第四四号議案大分県立学校の設置に関する条例の一部改正について文教警察
-------------------------------
△日程第二 議員提出第二号議案(議題、提出者の説明、質疑、委員会付託)
○安部省祐議長 日程第二、議員提出第二号議案を議題といたします。
-------------------------------議案提出書 議員提出第二号議案 大分県がん対策推進条例の制定について 右の議案を別紙のとおり会議規則第十五条第一項の規定により提出します。 平成二十三年三月九日 提出者 大分県議会議員 渕 健児 〃 〃 久原和弘 賛成者 大分県議会議員 桜木 博 〃 〃 田中利明 〃 〃 佐藤博章 〃 〃 伊藤敏幸 〃 〃 高村清志 〃 〃 堤 栄三大分県議会議長 安部省祐殿
-------------------------------(別紙) 議員提出第二号議案 大分県がん対策推進条例の制定について 大分県がん対策推進条例を次のように定める。 平成二十三年三月九日提出大分県議会議員 渕 健児 大分県がん対策推進条例 (目的)第一条 この条例は、がんが、県民の疾病による死亡の最大の原因となっており、県民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状に鑑み、がん対策に関し、県の責務並びに市町村、がんの予防又はがんの治療等を行う医療機関(以下「保健医療機関」という。)、県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、がんの予防及び早期発見並びに科学的知見に基づく適切ながんに係る医療(以下「がん医療」という。)に関する施策の基本的な事項について定めることにより、県民の視点に立ったがん対策を総合的に推進することを目的とする。 (県の責務)第二条 県は、国、市町村、保健医療機関並びにがん患者及びその家族(以下「がん患者等」という。)で構成される団体その他の関係団体(以下「関係団体等」という。)との連携を図りつつ、がん対策に関し、本県の特性に応じた施策を策定し、実施するものとする。 (市町村の役割)第三条 市町村は、県、保健医療機関及び関係団体等と連携し、がんの予防及び早期発見に関する施策の推進に努めるものとする。 (保健医療機関の役割)第四条 保健医療機関は、県が講ずる施策の実施に協力し、がんの予防に寄与するよう努めるとともに、がん患者等の置かれている状況を深く認識し、良質ながん医療を行うよう努めるものとする。2 保健医療機関は、がん患者等に対し、これらの者が求めるがんに関する情報を提供するよう努めるものとする。 (県民の役割)第五条 県民は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に細心の注意を払うとともに、積極的にがん検診を受けるよう努めるものとする。 (事業者の役割)第六条 事業者は、従業員ががんを予防し、又は早期に発見することができ、従業員本人又はその家族ががんに罹患した場合であっても、安心して治療し、療養し、又は看護することができる環境の整備に努めるものとする。 (がんの予防及び早期発見の推進)第七条 県は、がんの予防及び早期発見に資するため、市町村、保健医療機関及び関係団体等と連携し、及び協力して、次に掲げる施策を講ずるものとする。 一 喫煙、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんの罹患に関する知識の普及及び啓発 二 県の庁舎、学校、病院、公園、歩道その他多数の者が利用する施設における受動喫煙防止対策の推進 三 性別による特有のがん及びがんに罹患しやすい年齢を考慮したがん予防に関する正しい知識の普及及び啓発 四 がんの発生に関与するウイルスに対する感染防止及びがんの罹患を予防するための医学的管理の推進 五 がん検診受診率の向上のための施策 六 がん検診に携わる医療従事者の資質の向上を図るための施策 七 前各号に掲げるもののほか、がんの予防及び早期発見のために必要な施策 (がん医療に関する施策の実施)第八条 県は、がんによる死亡者の減少を図るとともに、がん患者等の苦痛の軽減及び療養の質の維持向上を実現するため、次に掲げる施策を講ずるものとする。 一 手術、放射線療法、化学療法その他のがん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成及び確保 二 緩和ケア(がん患者の身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安の軽減等を目的とする医療、看護その他の行為をいう。以下同じ。)に関する専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成、治療の初期段階からのがん患者の状況に応じた緩和ケアの推進、在宅において緩和ケアを受けることができる体制整備の支援その他の緩和ケアの充実のために必要な施策 三 がん患者等の意向に基づく在宅におけるがん医療の充実 四 がん診療連携拠点病院(都道府県がん診療連携拠点病院及び地域がん診療連携拠点病院をいう。以下同じ。)の整備及び機能強化並びにがん診療連携拠点病院の相互間及びその他の医療機関との連携協力体制の推進 五 がん患者等に対する相談体制の充実強化及びがん患者等の経験を生かした支援活動等の推進 六 地域がん登録(がん患者のがんの罹患、転帰その他の状況を把握し、分析するためにがんに係る情報を登録する制度をいう。)の推進 七 前各号に掲げるもののほか、がん医療の向上のために必要な施策 (財政上の措置)第九条 県は、がん対策に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 附則 この条例は、平成二十三年四月一日から施行する。 理由 県民の生命及び健康にとって重大な課題となっているがん対策について、県民とともに課題の解決に取り組み、県をあげて行うがん対策に関連する各種施策を推進するため、この条例案を提出する。
-------------------------------
○安部省祐議長 提出者の説明を求めます。渕健児君。 〔渕議員登壇〕
◆渕健児議員 ただいま議題となりました議員提出第二号議案大分県がん対策推進条例の制定について提案理由のご説明をいたします。 全会派から八名の委員で構成しております政策研究協議会では、本県のがん対策を推進するため、議員提案の政策条例の制定に向け、これまで十二回にわたり検討、協議を重ねてまいりました。このたび、条例案を取りまとめましたので、協議会の委員八名の連名で提案をいたします。 がんは、本県における死亡原因の第一位となっており、高齢化の進展に伴い、今後もがんになる人が増加することが懸念されます。 現在、がん対策基本法に基づき、本県でもがん対策推進計画やがん対策推進アクションプランを策定し、さまざまながん対策が進められておりますが、がんによる死亡者の減少、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上という大きな目標が達成されなければなりません。 このため、県議会といたしましても、その一助となるべく、県民の生命及び健康にとって重大な課題となっているがん対策について、その現状と課題を十分認識した上で、行政機関、医療機関、県民それぞれの責務や役割を明らかにするとともに、県を挙げて行うがん対策に関連する各種施策を推進するため、本条例を制定し、県政の柱である安全で安心な大分県づくりにつなげたいと考えております。 案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただきます。 何とぞ、慎重にご審議の上、ご賛同賜りますようお願いいたします。
○安部省祐議長 以上で提出者の説明は終わりました。 これより質疑に入ります。--別にご質疑もないようでありますので、質疑を終結いたします。 ただいま議題となっております議員提出第二号議案は、所管の福祉保健生活環境委員会に付託いたします。
-------------------------------
○安部省祐議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 お諮りいたします。明十日及び十一日は常任委員会開催のため、十四日は議事整理のため、それぞれ休会といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部省祐議長 ご異議なしと認めます。 よって、明十日、十一日及び十四日は休会と決定いたしました。 なお、十二日及び十三日は、県の休日のため休会といたします。 次会は、十五日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。
-------------------------------
○安部省祐議長 本日は、これをもって散会いたします。 午後三時二十九分 散会...