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  1. 大分県議会 2009-12-01
    12月02日-03号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成21年 第4回定例会(12月)平成二十一年十二月二日(水曜日)  ------------------------------- 議事日程第三号     平成二十一年十二月二日           午前十時開議第一 第一一六号議案から第一三二号議案まで   (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)第二 一般質問及び質疑  ------------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 第一一六号議案から第一三二号議案まで     (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)日程第二 一般質問及び質疑  ------------------------------- 出席議員 四十二名  議長        安部省祐  副議長       佐藤健太郎            古手川茂樹            牧野浩朗            土居昌弘            嶋 幸一            毛利正徳            濱田 洋            三浦 公            元吉俊博            末宗秀雄            御手洗吉生            桜木 博            麻生栄作            田中利明            大友一夫            井上伸史            渕 健児            近藤和義            志村 学            阿部英仁            佐々木敏夫            玉田輝義            深津栄一            酒井喜親            首藤隆憲            平岩純子            吉冨幸吉            佐藤博章            吉田忠智            梶原九州男            賀来和紘            江藤清志            久原和弘            小野弘利            内田淳一            河野成司            伊藤敏幸            竹中万寿夫            衛藤明和            高村清志            堤 栄三 欠席議員 二名            佐々木哲也            荒金信生  ------------------------------- 出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       平野 昭  副知事       二日市具正  教育委員長     林 浩昭  代表監査委員    阿南 馨  総務部長      佐藤 健  企業局長      堤 喜代司  病院局長      照山龍治  教育長       小矢文則  警察本部長     坂井孝行  企画振興部長    楢本譲司  福祉保健部長    高橋 勉  生活環境部長    城井秀郎  商工労働部長    米田健三  農林水産部長    片岡登喜男  土木建築部長    山路茂樹  会計管理者兼            油布正春  会計管理局長  人事委員会            千葉英樹  事務局長  労働委員会            中尾和博  事務局長  財政課長      尾野賢治  知事室長      青木正年  -------------------------------     午前十時十九分 開議 ○安部省祐議長 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○安部省祐議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第三号により行います。  ------------------------------- △日程第一 第一一六号議案から第一三二号議案まで(議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決) ○安部省祐議長 日程第一、日程第一の各決算議案を一括議題とし、これより委員長の報告を求めます。決算特別委員長大友一夫君。  〔大友議員登壇〕 ◆大友一夫決算特別委員長 決算特別委員会の審査の経過と結果についてご報告申し上げます。 本委員会で審査いたしました案件は、第三回定例会において付託を受けました第一一六号議案から第一一八号議案までの平成二十年度各企業会計決算の認定について、第一一九号議案平成二十年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について及び第一二〇号議案から第一三二号議案までの平成二十年度各特別会計歳入歳出決算の認定についての決算議案十七件であります。 委員会は、十月十五日から十一月二十日までの間に七回開催し、予算の執行が議会の議決の趣旨に沿って適正かつ効率的に行われたか、また、その結果、どのような事業効果が上がってきたか等について、監査委員及び会計管理者ほか関係者の出席説明を求め、また、現地調査をも行い、慎重に審査いたしました。 その結果、各般の事務事業は、議決の趣旨に沿った適正な執行が行われており、総じて順調な成果をおさめているとの結論に至り、いずれの決算についても認定すべきものと全会一致をもって決定いたしました。 しかしながら、なお十分とは言いがたい部分も散見されることから、お手元に配付の決算特別委員会審査報告書のとおり意見を付したところであります。 そのすべての朗読は省略いたしますが、ここでは財政運営の健全化と中期行財政運営ビジョンの推進について申し述べたいと思います。 平成二十年度の当初予算は、これまで実施してきた行財政改革プランの成果を踏まえつつ、「チャレンジ おおいた国体」「おおいた大会」の成功と「安心・活力・発展プラン二〇〇五」の着実な推進に向けて、各部局連携のもと、暮らしやすい、住んでみたい、訪ねてみたい大分県づくりに挑戦する気配り予算として編成されました。 その結果、四十二年ぶりに本県で開催された国体、障害者スポーツ大会は、簡素な中にも夢と感動あふれる大会として大成功をおさめたほか、東九州自動車道を初めとする社会資本の整備や地域を守る小規模集落対策の取り組みが進められ、さらには、年度途中に生じた景気・雇用対策や安全安心対策等の緊急課題には補正予算を編成して迅速に対応するなど、「安心」「活力」「発展」を基本理念とした各種の施策が積極的に推進されたところです。 また、平成十六年度から五年間にわたり推進してきた行財政改革プランでは、累計で千八百三十五億円の収支改善を達成するとともに、財政調整用基金については三百五十八億円の上積みを図るなど、いずれも目標を上回る成果を上げました。これは、県民の皆様のご理解、ご協力と、知事以下、職員の皆様の努力のたまものと高く評価するものであります。 しかし、昨今の景気後退を初め、三位一体改革の思わぬ影響や高齢化の進行に伴う扶助費などの義務的経費の増大、県が果たすべき役割、責任の増大など、本県を取り巻く環境がさらに厳しくなるものと思われます。 こうした状況を踏まえ、持続可能な行財政運営の基盤を築くため、本年三月には、今後三年間を視野に入れた大分県中期行財政運営ビジョンが策定されました。 新しいビジョンに基づく行財政改革等の取り組みは既に今年度からスタートしておりますが、今後とも施策の推進に当たっては、変動する社会経済情勢や国の動向等を的確に把握し、職員一丸となって、これまで以上に事務事業の選択と集中を徹底し、歳出の削減と歳入の確保に努めるとともに、引き続き県民の理解と協力を得ながら「安心・活力・発展プラン二〇〇五」を着実に推進し、県民の皆様が夢と希望を持ち、心豊かに暮らせる元気な大分県を実現されることを強く要望し、決算特別委員会の報告といたします。  -------------------------------  決算特別委員会審査報告書 第三回定例会において本委員会に付託された案件は、第一一六号議案から第一一八号議案までの平成二十年度各企業会計決算の認定について、並びに第一一九号議案平成二十年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について及び第一二〇号議案から第一三二号議案までの平成二十年度各特別会計歳入歳出決算の認定についてである。 委員会は、十月十五日から十一月二十日までの間に七回開催し、会計管理者及び監査委員ほか関係者の出席、説明を求め、予算の執行が適正かつ効果的に行われたか、また、その結果、どのような事業効果がもたらされたか等について慎重に審査した結果、次の意見を付し、いずれも認定すべきものと全会一致をもって決定した。   意見 一 平成二十年度大分県一般会計及び各特別会計歳入歳出決算について 平成二十年度の当初予算は、これまで実施してきた行財政改革プランの成果を踏まえつつ、「チャレンジ!おおいた国体・おおいた大会」の成功と「安心・活力・発展プラン二〇〇五」の着実な推進に向けて、各部局連携のもと、暮らしやすい、住んでみたい、訪ねてみたい大分県づくりに挑戦する気くばり予算が編成された。 その結果、四十二年ぶりに本県で開催された国体・障害者スポーツ大会は、簡素な中にも夢と感動あふれる大会として大成功を収め、また、年度途中に生じた景気・雇用対策や安全・安心対策等の緊急課題には、補正予算を編成して迅速に対応するなど、「安心」「活力」「発展」を基本理念とした各種施策が積極的に推進されたところである。 平成二十年度歳入歳出決算の概要は、一般会計と特別会計を合わせた決算総額は、歳入が、七千三百九十五億九千九百一万余円で、歳出が七千二百六十三億百六十二万余円となっている。歳入から歳出を差し引いた形式収支額は、百三十二億九千七百三十八万余円で、これから翌年度へ繰越すべき財源八十一億六千六百四十二万余円を差し引いた実質収支額は、五十一億三千九十六万余円の黒字であるが、前年度の実質収支額五十一億七千三百四十七万余円を差し引いた単年度収支額は、四千二百五十一万余円の赤字となっている。 会計別決算では、まず一般会計の歳入が、予算現額六千百四十六億九千八百二十四万余円に対し、調定額は、五千九百七十八億五千七百九十一万余円、収入済額は、五千九百三十一億六千五百四万余円で、予算現額に対する収入済額の割合は、九六・五〇%となっており、前年度に比べ〇・五四ポイントのマイナスとなっている。 収入未済額は、前年度より八億九千五百七十七万余円増加し、四十四億七千七百十三万余円となっており、県税がその八五・〇三%を占めている。 歳出では、支出済額は、五千八百二十七億八千七十五万余円で、予算現額に対する支出済額の割合は、九四・八一%となっており、前年度に比べ〇・〇六ポイントのマイナスとなっている。 翌年度への繰越額は、前年度より十二億千八百六十四万余円増加し、二百九十億二千五百三十三万余円で、予算現額に占める割合は、四・七二%となっている。不用額は、二十八億九千二百十五万余円となっている。 また、歳入決算の性質別状況では、自主財源は、財産収入や繰入金等が増加したものの、県税が五十一億三千六百九十八万余円減少したことにより、前年度より五十六億二千百四万余円の減、依存財源は、地方譲与税や県債等が減少したものの、地方特例交付金や国庫支出金等が増加したことにより、前年度より六十三億五千五百六十五万余円の増加となっている。 この結果、構成比は、自主財源四〇・六四%、依存財源五九・三六%で、前年度に比べ自主財源の構成比が一・〇ポイント低下している。 歳出決算の性質別状況では、義務的経費は、扶助費、公債費が増加しているが、人件費が減少し、前年度より十八億二千八百二十三万余円の減、投資的経費は、普通建設事業費、災害復旧事業費とも減少したことにより、前年度より百六億二千五百十九万余円の減、その他経費は、物件費、貸付金などが減少しているが、積立金、繰出金などが増加したことにより、前年度より百六十億二千二百二十八万余円の増加となっている。 この結果、構成比は、義務的経費四六・九九%、投資的経費二一・四八%、その他経費三一・五三%で、前年度に比べ、義務的経費が〇・六ポイント、投資的経費が一・九七ポイントそれぞれ低下し、その他経費が二・五七ポイント上昇している。 次に、十三の特別会計の予算現額は、千四百六十七億二百八万余円で、前年度に比べ、七・二八%増加している。 この予算現額に対し、収入済額は、千四百六十四億三千三百九十六万余円、支出済額は、千四百三十五億二千八十六万余円で、予算現額に対する収入済額の割合は九九・八二%、支出済額の割合は九七・八三%となっており、前年度に比べ、それぞれ〇・〇五ポイント、〇・一二ポイント上昇している。 収入未済額は、前年度より一億八千七十三万余円減少し、十一億四千三十八万余円となっており、その主なものは、中小企業設備導入資金特別会計の九億三千百九万余円、母子寡婦福祉資金特別会計の八千九百七十四万余円などであり、貸付金償還金の未収によるものとなっている。 平成二十年度の予算に計上された各般の事務事業は議決の趣旨に沿っておおむね適正な執行が行われており、総じて順調な成果を収めているものと認められるが、今後の行財政運営に当たっては、次の点に配慮され、県政の諸施策を積極的に推進されたい。 1 財政運営の健全化と中期行財政運営ビジョンの推進について 平成二十年度普通会計決算の内容を見ると、財政構造の弾力性の指標である経常収支比率は、九八・〇%(前年度九八・七%)と前年度に比べわずかに低下したものの、依然として高い水準で推移しており、公債費比率一八・二%(前年度一七・七%)及び起債制限比率一一・八%(前年度一〇・八%)も、前年度に比べ高くなっている。 また、県債発行額は、八百十七億四千八百五十万円で、前年度に比べ一・五九%減少しているが、県債残高については、一兆一億余円と、一兆円を突破するなど、財政状況は依然厳しい状況が続いている。 このような中、平成十六年度から推進してきた「大分県行財政改革プラン」の最終年度にあたる平成二十年度は、厳しい財政状況の中、引き続きゼロからの見直しを行い、事業費にシーリングを設定する一方、予算特別枠「おおいた挑戦枠」を設けるなど創意工夫を凝らし、歳入の確保、歳出の削減に取り組んだ結果、プランの目標額三百八十九億円に対し、五百十四億円の収支改善が図られた。 また、五年間の累計では、当初の目標を三百八十億円上回る千八百三十五億円の収支改善を達成するとともに、財政調整用基金残高については、三百五十八億円の上積みを図るなど、いずれも目標を上回る成果を上げ、財政健全化に向けて懸命の努力がなされたところである。 しかしながら、昨今の景気後退をはじめ、国の三位一体改革に伴い地方交付税の大幅な増加が期待できないこと、高齢化の進行に伴う扶助費など義務的経費の増大や県債残高の増加が予想されるなど、本県財政を取り巻く環境はさらに厳しくなるものと思われる。 このような状況を踏まえ、昨年十月に試算した「中期的な財政収支の見通し」では、平成二十二年度末には、財政調整用基金が枯渇、二十三年度末には、累計で二百億円を超す財源不足が見込まれたことから、本年三月には、向こう三年間を視野に入れた行財政運営の羅針盤として「大分県中期行財政運営ビジョン」が策定された。 新しいビジョンでは、これまでの行財政改革プランの枠組みを超え、「安心・活力・発展プラン二〇〇五」の更なる推進のため、喫緊に取り組むべき政策目標を掲げるとともに、これを実現できる強靱な行財政基盤の構築に向けたさらなる改革の取り組みが盛り込まれている。 ビジョンに基づく行財政改革の取り組みは、既に今年度からスタートしているが、その具体的推進に当たっては、変動する社会経済情勢や国の動向等を的確に把握し、財政構造の改革、業務執行体制の改革、パートナーシップの改革の三つの改革を柱に、選択と集中を徹底し、歳出の削減と歳入の確保に万全を期されたい。 これまでの行財政改革が成果を上げてきただけに、さらなる取り組みには相当の困難が予想されるが、今後とも、県民の理解と協力を得ながら、「夢と希望にあふれる大分県」の実現に向けて、ビジョンを推進し、健全な財政運営に一層努められたい。 2 収入未済額の解消について 一般会計及び特別会計の収入未済額の合計は、五十六億千七百五十二万余円で、前年度に比べ七億千五百三万余円増加している。法的措置や滞納整理の強化、徴収職員の市町村への派遣、自動車税のコンビニ納税の導入など、積極的な解消の努力が見受けられるものの、個人県民税を初めとした県税や貸付金償還金の未収額が増加するなど、県税外を含めた収入未済額は、依然として多額にのぼっている。 厳しい財政状況の下、財源の確保及び負担の公平性の観点に立ち、個々の収入未済額の実態把握と細かな検証、市町村との連携強化、徴収体制の効率化、さらに職員の徴収技術の向上に努め、法的措置の実行、滞納整理の強化を図り、特に悪質な滞納者については、関係機関との情報共有による連携策などを検討し、引き続き収入未済の解消を図るとともに、新たな発生防止に努められたい。 また、不納欠損額は四億二千百九十二万余円で、前年度より三億千二百三十三万余円減少している。不納欠損処理にあたっては、日常の債権管理を適切に行うとともに、真にやむを得ないものを除き、法に則した厳正な判断を行い、回収可能な債権が安易に欠損に至ることのないよう一層の努力をされたい。 二 平成二十年度大分県電気事業会計及び工業用水道事業会計決算について 平成二十年度における電気事業の経営成績は、総収益が二十四億三千七百十五万余円に対し、総費用は二十億五千七百三十五万余円で、純利益は、三億七千九百七十九万余円となっている。 工業用水道事業については、総収益が二十一億五千四百八十六万余円に対し、総費用は十六億千四百八十一万余円で、純利益は、五億四千五万余円となっており、両事業とも、安定した利益の確保ができており、財務の安全性も保たれていることから、経営状況は順調に推移している。 しかしながら、公営電気事業を取り巻く経営環境は、電気事業法の相次ぐ改正により、電力分野における規制緩和が急速に進展、電力自由化による電力料金の低廉化要求が顕著となっており、電力料金は平成十二年度以降五期連続で減額改定されている。 こうした中、平成二十二年度から平成三十七年度までの十六年間にわたる電力受給基本契約の締結がなされ、長期の経営安定が図られたところであるが、今年度予定されている二十二・二十三年度の料金交渉の結果によっては、厳しい状況も予想されることから、今後の情勢変化に対応した経営基盤の強化が必要となっている。 工業用水道事業については、責任水量制のもとで安定した経営状況で推移するものと考えられる。財政状況についても、流動比率は減少したものの、自己資本比率は上昇しており、引き続き良好な状態が維持されていると思われる。 しかしながら、新規進出企業に対する給水の確保や大分地区以外の工業用水道事業の実施について検討を要するとともに、更なる給水セキュリティの向上、給水コストの削減を図る必要がある。 また、電気事業及び工業用水道事業に共通して重要な課題となっている大規模施設の経年化対策については、先頃「長期施設整備基本方針」が策定されたところであり、今後はこの方針に基づき、計画的・効率的に施設の改良事業を進めるとともに、将来の負担に備えた経営基盤の強化を図っていく必要がある。 今後とも、大分県企業局中期経営計画の三つの基本目標である経営改革、県民サービス、安全・安心の取り組みを着実に実行し、電力及び工業用水の安定供給に向けて、一層の経営効率化、健全経営の維持に努められたい。 三 平成二十年度大分県病院事業会計決算について 平成二十年度の大分県病院事業会計の決算では、総収益が、百四十一億三千二十三万余円に対し、総費用は、百四十三億四千五百一万余円で、差し引き二億千四百七十八万余円の純損失、当年度末の累積欠損金は、百八億六千三百十八万余円となっている。 県立病院では、平成十八年九月に策定した大分県病院事業中期事業計画に基づき、平成二十年度は、がん診療連携拠点病院の指定を受け、緩和ケアや化学療法などがん診療に積極的に取り組むとともに、救急救命センターの開設により、救急医療体制の強化を図ってきている。 経営状況については、医業収益は、診療単価が増加したが、入院、外来とも延患者数が減少したことなどから、前年度に比べ、五千八十四万余円(〇・五%)減少し、百八億八千百七十五万余円となっている。医業費用については、材料費や諸経費の減少により、昨年度より五百六十四万余円(〇・一%)減少し、百十一億三千六百二十八万余円となっており、医業損失は、二億五千四百五十三万余円で前年度に比べ四千五百十九万余円増加したが、繰延勘定償却などの医業外費用が減少した結果、当年度は、一億四千八万余円の純利益を計上し、二年連続の単年度黒字となっている。 しかしながら、病院事業を取り巻く経営環境は、慢性的な医師不足や医療費の自己負担の引き上げに加え、一般会計からの繰入金の削減などにより、さらに厳しさを増している。 この現状を踏まえ、高度医療等に対応可能な医師の確保、安心して満足できるきめ細やかな患者サービスの提供、病診連携の促進などにより診療収入の確保に努めるとともに、引き続き経費の削減を図り、収益性を向上させる取り組みが必要である。 また、未収金については高額療養費限度額認定制度や出産一時金事前申請制度の活用及び徴収専門嘱託職員による訪問徴収、悪質な滞納者に対しては、適宜法的措置をとるなどの対策が講じられてきているが、現年度発生額、過年度分ともに増加していることから、引き続き積極的な対策により徴収強化と発生防止に職員一丸となって取り組まれたい。 県立三重病院においては、昨年一月の統合申し入れ以降、豊後大野市との協議が重ねられ、十二月には、公立おがた総合病院との統合について、県と豊後大野市との間で、基本協定が締結され、平成二十二年十月の統合に向けて本格的な準備が進められるなど、県立三重病院を取り巻く環境は平成十八年の中期事業計画策定時から大きく変わってきている。 病院の統合問題や医師の欠員等の影響により、平成二十年度は、入院及び外来の延患者数が前年度に比べ、大きく減少しており、医業収益は、前年度に比べ三億五百十六万余円(一六・三%)減少し、十五億六千八百十七万余円となっている。医業費用についても、延べ患者数の減少による材料費の減少、退職給与金の減少などで、前年度に比べ、二億三千四百五十六万余円(一〇・六%)減少し、十九億八千三百四万余円となっており、医業損失は、四億千四百八十七万余円に増加した。 この結果、当年度の純損失は、三億千三百十五万余円となり、累積欠損金は、四十九億八百四十三万余円となっている。 この現状に鑑み、統合までの期間にあっても、経費の縮減を図り、医業損失の抑制に努める必要がある。また、未収金については、新規の未収金の発生を抑制するとともに、過年度分の整理回収にも努められたい。 今後とも、県立病院については、県民医療の基幹病院として、県民が安心できる医療の提供に努めるとともに、高度・専門医療の充実を図るという使命・役割を果たすために、大分県病院事業中期事業計画の最終年度に当たる二十一年度は、計画に掲げた各種の目標が達成できるよう、徹底した改革を進め、将来にわたって持続可能な経営基盤の確立に職員一丸となって取り組まれたい。 県立三重病院については、統合までの間、引き続き、経営改善に努め、地域の中核病院としての機能・役割をしっかりと果たすとともに、地域住民が安心できる、質の高い医療の提供に努められたい。 また、円滑な統合が図られるよう、病院運営の方針、医師の確保対策、県からの人的支援等については、豊後大野市と十分協議・協力しながら進めるとともに、起債の償還や累積欠損金など病院事業会計の財務処理手続には、万全を期すよう努められたい。  ------------------------------- ○安部省祐議長 以上で委員長の報告は終わりました。 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。--別にご質疑もないようでありますので、質疑を終結し、これより討論に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。  〔堤議員登壇〕 ◆堤栄三議員 おはようございます。日本共産党の堤栄三でございます。 私は、各会計決算認定について、反対の立場から、以下の議案について討論をいたします。 まず、第一一九号議案平成二十年度大分県一般会計決算についてであります。 平成二十年度は、自民、公明政権のもと、労働者、高齢者、障がい者、農民、中小業者など、あらゆる層の貧困と格差が拡大した年でもありました。そして、これまで進めてきた構造改革路線は、大企業の競争力を強くすれば日本経済も強くなるとして、財界、大企業を応援する一方で、国民には容赦なく増税や社会保障の負担増、給付削減を押しつけてきました。その結果、日本経済は、国民の所得と消費が伸びず、内需が低迷し続けています。内需主導の力強い経済成長どころか、輸出頼み、外需依存に大きく傾斜するという極めて脆弱なものになっています。しかも、投機資金による原油高、穀物高による生活必需品の値上がりやコスト高が国民の生活と中小企業、農業などの経営をさらに圧迫してきました。 本来、極めて暮らしが厳しくなっているときだからこそ、大分県予算は、住民の暮らしを守る防波堤の役割を果たさなければなりません。しかし、今回の大分県決算はどうなっているでしょうか。 歳入では、個人県民税など定率減税の廃止などによって、平成十七年度より約二十億円の県民の負担増になっています。その反面、大企業には、研究開発減税や原価償却費などの減税措置で、本来、税収増があってしかるべきなのに、見合うだけの税収が上がっていません。その上、国の三位一体改革のもと、地方交付税や国庫負担金などの削減で、大変厳しい財政運営を余儀なくされてきました。 知事の言われる選択と集中は、本来、住民の暮らしや福祉向上、県民生活向上の予算にこそ集中し、補助金ばらまきの大企業呼び込み政策などはやめるべきものであります。 歳出について、私たちはすべての事業に、当然、反対するものではありません。積極的に評価できるものは評価すると同時に、行財政改革プランによる総人件費の削減や住民サービスの引き下げなどには厳しく反対をし、転換を求めていくものです。この観点に立ち、歳出の特徴を述べたいと思います。 無駄な事業を省き、暮らし、福祉、教育応援の決算であったか。 発表された平成二十年度以降の財政収支状況の見通しでは、一兆円を超える県債残高の責任の所在の不透明さが見られます。前知事が進めてきた箱物行政などの無駄遣いによって県債残高が一兆円を超え、これによる公債費の増大は財政運営の硬直化を招いてしまいます。しかし、県は、箱物はそのときのニーズがあったからとして、責任を全く回避してしまい、その責任を県民に押しつけています。責任の所在を明確にしてこそ、県民の目線に立った財政運営ができるのではないでしょうか。 後期高齢者医療制度について総選挙で下った審判は、「世界にも例のない、年齢で医療を差別する差別医療制度だ」「直ちに廃止すべきだ」、これが国民の声でした。一日でもこの制度が続けば、その分、七十五歳になる人がふえ、新たにこの制度に組み込まれる人がふえることになります。 保険料は二年に一回見直しですから、来年四月の保険料改定では一〇・四%もの保険料引き上げになる可能性もあります。特に低所得者は、過大な保険料の負担によって、一年以上の滞納者が八百五十五人、短期保険証発行が四百五十五人にも上っています。 このような過酷な後期高齢者医療制度は廃止以外に道はありません。しかし、新政権は、二〇一二年度に廃止をすると言って、先延ばしにしようとしています。 私たちは、制度設立当初から導入反対の立場をとり、県に対しても廃止の立場に立つべきと要求してきました。しかし、これまで県は、このような声に耳を傾けようともせず、うば捨て山施策をそのまま進めてきました。県としても、即刻廃止をし、もとの老人保健法にまず戻すことを国に求めるべきであります。 また、県立三重病院とおがた総合病院の統廃合にかかわる総合病院の基本設計に関する助成金が支出をされています。 今回の統廃合は、国政の失政により、深刻な医師不足が招いた結果であります。先進国で最低レベルとなっている医師数の抜本増、勤務医の労働条件の改善、産科、小児科、救急医療などへの支援を国の負担と責任で実施することが当然であります。 診療報酬を改革し、病床削減路線を改め、外来でも入院でも、医科でも歯科でも、安心、安全で質の高い治療が受けられる医療提供体制を確立する必要があります。県としても、このような姿勢こそ示すべきであります。 地域の公立病院を一度なくしてしまえば、再起させるのは至難のわざです。存続を前提として、あらゆる知恵を出すべきではなかったのでしょうか。 教育環境の整備では、平成二十年度より中学校一年生への三十人学級を拡大しました。しかし、全学年への拡大は、まだ遠くにあります。どの子にも行き届いた教育の保障のためにも、全学年への拡大が求められます。 県教育委員会の贈収賄事件でも、口ききの実態や、だれが何のためにしたのかなど、県民が知りたい情報が全く出されていません。事件の再発防止と言って、新人事評価システムや民間人校長の起用など管理強化のみが目立っています。全容解明を県教委そのものが行ってこそ、教育に対する信頼を取り戻すことになります。 大企業応援ではなく、中小企業や安定雇用創出、家族経営の農業応援の決算であったか。 中小企業金融対策では、一般資金や創業、経営革新、ベンチャー、不況対策資金などの活用や保証料への助成といった積極的な金融面からの中小企業支援が計上されていました。また、中高年や障がい者の就労支援、離職者居住緊急支援事業などは評価をいたします。 その反面、金融対策費以外で目につくのが、約四十四億円の企業立地推進事業費です。 全国的な誘致合戦の激化による進出大企業に対する補助金漬けの誘致、特に大分キヤノンマテリアルの造成にかかわる契約締結の不透明性、補助要綱を変えてまでの「値引き」という名による税金投入、その上、大分県を舞台とした巨額脱税事件など、どれ一つをとっても県民に納得できる説明はありません。ますます疑惑が深まるばかりであります。 このような解明がないまま、平成二十年度は誘致企業に十七億二千百万円もの補助金を出したことは許せるものではありません。 では、進出企業による安定雇用問題はどうでしたでしょうか。県として、多様な働き方もあるという態度で、非正規から安定雇用、正社員化へ向けた、厳しく、そして積極的な企業への要請さえやろうとしません。その結果、世界的な不況の中、誘致企業による大量の非正規切りが行われ、首都東京や大分市でも派遣村がつくられるという異常な状況をつくりました。 誘致企業があれば大分県が栄えるという神話にいつまでもしがみつくときではありません。労働者の安定雇用、大多数を占める地場中小企業への支援こそ強めるべきであります。 農業分野では、県のやり方として企業誘致を拡大しようとしています。もうかる農業を標榜し、地域での生産、流通、販売など広域的流通体制の整備などに取り組もうとしています。 企業誘致及び法人化によって県農業が発展するとは到底思えませんが、法人化した農業団体への支援もさることながら、同時に、小規模の兼業農家、複合経営農家、多種の生産組織など多様な大分県農業の実態を踏まえて、新たに市町村とも協力、連携を強めて、引き合う所得保障と価格保証の確立を初め、多様な農家を数多く維持する施策を実態に合って進めることが求められているのではないでしょうか。 鳩山新政権のもと、日米FTA交渉の中止を求め、今後、農業の主役である生産者の意欲を高める予算とすることを望むものであります。 以上、一般会計決算に対する討論です。 以下、特別会計決算に対する討論を行います。 第一二四号議案平成二十年度大分県流通業務団地造成事業特別会計決算。 今回の決算で、約九億円を減債基金や公債費等に充てるものとなっています。しかし、県債残高は百十億円であり、いつ借金が終わるともしれない事業となっています。これも前県政の負の遺産の一つであり、職員は営業努力を重ねていますが、平成二十一年度で分譲率は一、二校区合わせて五四・一%、平成十三年度の販売開始以来、ようやく半分を超えた状況であります。 いつ企業が進出してくるのかわからないような事業に税金投入をし、売れなければ県民負担だけが残ってしまいます。これも企業誘致事業の失敗の一形態であります。 第一三〇号議案大分県臨海工業地帯建設事業特別会計決算であります。 この事業も、先ほどと一緒で負の遺産であります。この事業は、大企業日産への呼び込み方式の事業が破綻した事業です。大企業の身勝手な進出中止も許せませんが、確定のないまま造成工事を先に進めたという県の責任も重大であります。だれもその責任をとろうとしない、さらに、売却をしようと思えば大規模な改修工事をしなければならないような土地になっています。まさに大企業奉仕の破綻であり、企業誘致事業の失敗の最たるものであります。 第一三一号議案港湾施設整備事業特別会計決算であります。 この事業は、港湾管理と重要港湾などの施設建設を目的とした事業です。一般会計より二億八千七百九十五万円の繰り入れをし、施設管理費や港の埠頭用地造成等を行っています。 すべての用地造成が悪いとは言いませんが、進出大企業など海上輸送確保のため、重要港湾改修事業や国直轄港湾事業などスーパー港湾建設と一体のものとして進められています。県債残高も約百二十九億円になる見込みであり、一部大企業のための事業に県民の税金投入には反対します。 最後に、第一一八号議案平成二十年度大分県工業用水道事業会計決算。 これは、今までも、低廉で豊富な水を臨海工業地帯の大企業群などに供給するための事業で、一般市民の水道料金に比べ、はるかに安い料金であり、大企業優遇として反対してきました。 さらに私たちは、大野川の豊富な水の水利権を見直し、住民本位の水道行政への転換を強く求め、反対をいたします。 以上で各決算についての討論を終わります。 ○安部省祐議長 以上で通告による討論は終わりました。 これをもって討論を終結し、これより採決に入ります。 まず、第一一六号議案、第一一七号議案、第一二〇号議案から第一二三号議案まで、第一二五号議案から第一二九号議案まで及び第一三二号議案について採決いたします。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することにご異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○安部省祐議長 ご異議なしと認めます。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。 次に、第一一八号議案、第一一九号議案、第一二四号議案、第一三〇号議案及び第一三一号議案について、起立により採決いたします。 各決算に対する委員長の報告は認定であります。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○安部省祐議長 起立多数であります。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。  ------------------------------- △日程第二 一般質問及び質疑 ○安部省祐議長 日程第二、第一三四号議案、第一三五号議案及び第一三七号議案から第一五一号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。嶋幸一君。  〔嶋議員登壇〕(拍手) ◆嶋幸一議員 皆さん、おはようございます。自由民主党の嶋幸一でございます。 今定例会で、僣越ながら一般質問のトップバッターとして登壇する機会をいただきました。同僚、先輩方のご配慮に、まずは厚く御礼を申し上げたいと思います。 心地よい緊張感の中、質問をしてまいりたい、そう思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。 自由民主党結党以来、初めての本格的な政権交代となった衆議院選挙から早くも三カ月が過ぎようとしております。 今回の政権交代は、国民にとって貴重な経験であったと思います。それは、今回に限らず今後も、選挙によって、自分たちの一票で国の政治が変えられるということがわかったということであります。 言うまでもありませんが、小選挙区制度のもとでは、二大政党、政権交代は必然でありますから、政党も政治家も変に落胆したり、いたずらに高揚したりすることなく、与党であろうが野党であろうが、国家、国民のために邁進していかなければならない、そう思っております。 この小選挙区制度と二大政党の是非は議論のあるところですが、この制度のもと、国民の皆さんが望むものは、永遠の民主党政権ではなくて、政権交代可能な二大政党制の定着であると考えます。したがって、政権を担当する準備が既にできている私ども自民党の再生は不可欠であります。 私たちは、今回の国民の選択、国民の皆さんの声、思いを謙虚に受けとめて反省をし、そして、野に下って、またはい上がってこい、そういう国民の皆さんの強いメッセージにしっかりとこたえることができるように行動を起こしていかなければならないと決意を新たにしているところでございます。 いずれにいたしましても、私も県民の幸せのために引き続き汗を流してまいりたい、そう思っております。 知事を初めとする執行部の皆さんも、この政権交代に伴って、いろんなことを想定しながらかじ取りをしていかなければなりませんが、県民の安心、安全と大分県の発展を念頭にご奮闘いただきたいと存じます。 ところで、政府の行政刷新会議の事業仕分け、なかなかおもしろい取り組みをしておりまして、オープンに議論するということは意義があると思いますが、一方、公開の場で、ののしり合っている、そんな印象も受けました。 民主党は、マニフェストで、政策運営は脱官僚を約束しました。脱官僚は大変結構なことですが、脱官僚というのは官僚とバトルをすることではありません。もちろん官僚は、政治が主導性を発揮できるよう全力で補佐するのが当然でありますが、この事業仕分け、財務省が査定マニュアルを配付し、政治主導を演出しているとも言われました。 仕分けの結果が来年度予算にどう反映されるか依然不透明でありますが、廃止や見直しなどとされた事業が予算編成で判定どおりとなった場合、大分県への影響、議会初日にも知事の見解、若干示されましたけれども、どのようにお考えか、お尋ねをするものでございます。  〔嶋議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○安部省祐議長 ただいまの嶋幸一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま嶋幸一議員には、トップバッターとして、心地よい緊張感の中でご質問をいただきました。私は、足が震えるような緊張感でお答えを申し上げます。 初めに、行政刷新会議の事業仕分けについてご質問がございました。 報道によりますと、仕分けによる削減効果は相当になると言われております。この事業仕分けという手法は、事業の合理性や効率性を見直す方法論としてはおもしろいと思いますし、その過程がすべて公開されているということで国民の皆さんの関心も集めたというふうに思います。しかしながら、少人数で、しかも短時間に結論を出すということから、危なっかしいという感じを持った方も少なからずいたんではないかというふうに思います。 実際、例えば地方交付税でございますけれども、制度の抜本的見直しという判定がありました。また、地球温暖化対策関連事業が相次いで廃止だとか削減というふうになりました。地域主権だとか、あるいは二酸化炭素の大幅削減というのを掲げる新政権の大方針との整合性が果たしてどうなるのかと、首をかしげる結果となったんではないかというふうに思います。 また、科学技術分野につきましても多くの事業が削減されるなど、当面の財政確保のみに主眼が置かれまして、長期的な国づくりの視点というのが抜けているんではないかというふうに憂慮したところでございます。 やはり、今回の判定結果というのは、あくまでも一つの参考意見として、予算編成に当たりましては、責任のある内閣が十分に議論をしてもらって、そして結論を出して、責任のある予算をつくっていただくということが必要だというふうに思います。 そういう意味でも、本県に及ぼす影響がどの程度かということについては、現時点では具体的に申し上げる状況にはないと思っておりますけれども、低迷する地域経済を初め、社会資本の整備のおくれだとか、あるいは厳しい財政状況に追い打ちをかけることがないように心配しているところであります。 我々としては、今回の事業仕分けを受けまして、新政権がどのような判断をして新年度予算を編成するか、しっかりと見きわめてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 広瀬知事の率直なお考えをお聞かせいただきまして、ありがとうございました。 この事業仕分け、そもそも法的根拠はなくて、結果に拘束力もないわけでございまして、スーパーコンピューター開発費など、この事業仕分けの結果、意味がなくなる可能性もあるというふうに聞いております。無駄を省くと言いながら、この事業仕分け自体が無駄ではないかと疑問を持つものであります。 今後は国の予算編成作業を見ていく必要があると思いますが、地方にかかわることは地方との協議の場を設ける、もちろん法制化が望ましいものですが、法制化を待たずに、さまざまな細かい問題点ごとの議論を求めていく、あるいは、地方交付税の確保を求めた地方分権改革推進委員会の第四次勧告の実現に向けて、知事会などを通じてさらに声を上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 今度の新政権におきまして地域主権ということが掲げられております。その地域主権を実現するために、地方に権限や財源を移譲する、そして、地域のことは地域で決められるような体制をつくっていくということが大方針として打ち出されているわけでございますけれども、その実現を確保するために国と地方の協議の場を設けよう、それも単なる協議ということではなくて、合意を前提にするようなしっかりした協議の場を設けようということで今作業が進められているわけでございますが、法定の作業が終わるまでの間、いろいろ決めていかなきゃならぬことございますから、それまでの間は、事実上、しっかりと協議をしていこうということで、この間、政府主催の全国知事会がございましたけれども、そこでも鳩山新総理からそういうお話があったところでございまして、我々は、やはりそんな思いで、こういう場を通じまして、中央としてかくあるべしということは、これからも機会あるごとに話をしていかなきゃいかぬというふうに思っているところでございます。 議員ご指摘のとおり、ここのところは大事なところでございますので、しっかりと意見を表明し、理解をしてもらうように努力をしていきたいというふうに思っております。
    ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 知事の一層のご奮闘、心から期待をするものでございます。 続きまして、雇用について質問をいたします。 まずは、高校生のことであります。 九月時点における都道府県別有効求人倍率が厚労省から発表されました。その数値は、全国平均が〇・四三、来春卒業予定の高校生の求人倍率は〇・八九でありました。 大分県の状況はといいますと、求人倍率は〇・四五と全国平均をやや上回っているものの、来春高校卒業予定者で就職を希望する二千八百四十八人に対し、企業からの求人数は千九百九十八人であります。倍率に直すと〇・七〇倍、昨年が一・一三ですから、マイナス〇・四三ポイント、一倍を割り込んでしまいました。単純に言えば、十人の就職希望者がいても七人しか就職できないというのが県内の実態なのであります。 年度末に向けて多少の改善を期待しておりますが、このままの推移だと、来春の高卒見込み者十人中三人は県外に職を求めなければ就職がかなわないということであります。もし大分県に残ろうとするなら、自宅待機か、フリーターを覚悟するか、自分で起業や商売を立ち上げる以外に方法はなくて、生活のためには、やむなく県外へ出ざるを得ないのが現実であります。 本県の総人口、十月一日現在、社会動態も増加傾向の百十九万七千人ですが、このような状況ですと社会動態も減少しかねない。この人口流出は是が非でも食いとめなければなりませんし、県が講じなければならない施策の中でも喫緊を要する課題であろうと思います。 この現状をどのように把握し、きのうの新聞にも出ておりましたけれども、どのような対策をもって新卒者の就職先を確保し、人口の流出を抑えようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ただいま新規高卒者の就職対策についてご質問でございました。大変重要な課題だと思います。 少子・高齢化の進行の中で大分の活力を維持発展させていくためにも、一人でも多くの高校生が県内で就職して、将来にわたって地域で活躍していただくということが大変重要だというふうに思っております。だからこそ、こういう問題意識に立ちまして、私どもは、企業誘致、あるいは地場企業の体質強化を進めまして、県内雇用機会の創出に努めてきたところであります。その結果、高校生の就職先も着実にふえてきております。近年では、県内就職を希望する高校生に対する求人倍率は、年度末時点で二倍前後に上昇するというところまで来ております。確かに、ことしは昨年に比べまして厳しい状況でございますけれども、十月末の県内就職希望者の求人倍率でございますけれども、これは一・〇三ということでございまして、一を実は超えているところでございます。内定率も、前月から約二六ポイント増加いたしまして、六三・五%までなっております。 このように全体としては改善の方向にありますけれども、しかし、いまだ就職先の決まっていない多くの生徒だとか、あるいは、そのご家族にとりましては大変深刻な問題であります。県といたしましても、しっかりと対応していかなきゃならないというふうに思っております。 その対策として、まず、高校生の県内就職内定率を高めようということで、おおいた県内就職大作戦推進事業というのを展開しているところでございます。 この五月でございますけれども、三十七社の企業と県下五十二校の高校との情報交換会を行いました。また、七月には合同企業説明会を別府のビーコンプラザで開催いたしまして、県内全域から高校生や先生約千六百人と県内企業の七十八社が参加して行われました。 高校の先生方からは、「生徒にとって県内企業への理解や就職意識が喚起されて、大変よかった」といった声や「新たな企業との接点が生まれて、生徒のために新規の求人開拓に役立っている」という声が寄せられているところでございます。 高校現場におきましても、これまでの先生による就職支援に加えまして、今年度からは新たに企業OBをキャリアサポーターとして配置いたしまして、求人開拓、あるいは就職希望者への面接指導などを強化しているところでございます。 直近の取り組みといたしましては、十一月上旬に未内定者を対象といたしました就職面接会を開催いたしまして、一昨日は、経済五団体に対しまして、高校卒業予定者の新規、追加採用枠の確保を要請したところでございます。また、急遽、年明けには本年度二回目となります就職面接会を開催するというようなことも考えているところでございます。 今後とも、生徒が卒業する最後の最後まで、就職内定率が一〇〇%に近づくように、一人一人の状況に応じたきめ細かな就職対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 引き続いて、しっかりとした取り組みをお願いするものでございます。 ご答弁にもありましたけれども、大分県は、雇用の増加、若者定着のための対策として、今年度だけでも、厳しい経済状況の中、コールセンター業や食材の物流拠点、太陽電池関連の製造業などの企業を誘致しておりまして、それなりの支援を条件に企業誘致を図り、働く場の確保に向けて大変な努力をなさっているということを私も承知しております。 ただ、企業誘致ができたということで安堵したのでは、このようなご時世、職を求める県民からも高い評価は得られないと思います。 企業誘致を成立させる場合には、どんな職種でどんな人材を必要としているのか、その企業が求めている人材養成の努力、例えば、受け入れ先の企業に対する研修派遣などをして人を送り込んでいく、ここまでやって初めて進出企業と働き手をつないだということになると思います。 進出企業の求人状況と県内就職希望者の雇用をどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 企業立地は雇用創出に直結するため、誘致活動に積極的に取り組んでいるところでございますけれども、今年度を見るだけでも既に十二社の立地表明がございまして、合わせて三百七十二名の雇用が見込まれているところでございます。 また、既に進出した企業につきましても、このような厳しい情勢下ですけれども、例年どおり大量の求人を出している企業も少なからずあるところでございます。 そのような進出企業の求める人材でございますけれども、自動車関連を初めといたしますものづくり産業では、普通科、工業科にこだわらず、しっかりとした人材というものを求めているところでございます。 また、お話にもございましたコールセンター業などでは、業務特性から女性の就業を求めている、そういった傾向もございます。 中でも将来の技術スタッフにつきましては、優秀な工業系の生徒を採用し、企業は時間をかけて育成を行っているという実態でございます。 そこで、こうした企業の要望にこたえられますように、例えば、県立工業高校におきまして、企業現場での実習や企業技術者による直接、指導など、できるだけ実践的な授業を展開しているところでございます。 また、高校生の県内就職を促進するため、進出企業を初め、ものづくり企業との情報交換会や企業見学ツアーなども実施しているところでございます。 このほか、立地企業の人材確保の要請にこたえるため、市町村と連携し、企業の採用担当者を直接高等学校に案内するなど、新規立地企業と学校とのマッチングを支援しているところでございます。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 雇用の拡大については一生懸命やっていただいている、十分に理解をしております。 本当に不透明な時代でございますので、知事部局、教育委員会が知恵を絞って、トータル的な支援体制を築いていただきたいと思います。 あわせて、人口流出を抑えるということも含めて、ぜひとも大きな力を発揮していただきますように期待をするものでございます。 次に、障がい者についてお尋ねをいたします。 経済状況の悪い中、健常者の解雇はもちろん大きな問題ですが、障がい者の解雇にも注意を払わなければなりません。厚労省の発表によりますと、昨年度に勤め先を解雇された障がい者は二千七百七十四人、前年度より八二%ふえております。解雇されたのは、上半期が七百八十七人、下半期千九百八十七人。昨秋以降、徐々に広がっておりまして、月別では、昨年十一月の二百三十四人から、ことし三月は五百四十一人にふえております。 障がい者を解雇した場合、企業はハローワークへの届け出義務がありますが、大分県では、昨年秋以降、どれくらいの方が解雇されたのでしょうか、また、障がい者の雇用の安定にどのように取り組まれたのか、お尋ねをするものでございます。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 平成二十年度の県内の障がい者の方の解雇状況でございますけれども、県内企業の障がい者雇用に対する理解度が高いこともあってか、前年と比べて五人の増というところにとどまっているところでございます。 また、今年度の上半期の解雇者数は十人でございまして、前年同期比で、実は十二人減っております。しかし、いずれにいたしましても予断を許さない状況でございますので、今後の動向を注視しているところでございます。 雇用安定の取り組みといたしましては、今年度から企業に障がい者雇用のアドバイス等を行いますために企業支援員を配置しており、雇用調整助成金などの雇用維持につながる各種制度の情報提供を行うなどしているところでございます。 また、大分労働局と連携いたしまして、七月から大分地区の障害者就業・生活支援センターに精神保健福祉士一名を配置し、職場定着の支援を行い、相談体制の強化による雇用の安定に努めているところでございます。 以上でございます。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 不況下で健常者の雇用問題も大変重要な案件でありますけれども、障がい者を取り巻く雇用情勢も厳しいものがあると思っておりますので、引き続き安定した障がい者雇用に向けた取り組みをお願いしておきたいと思います。 さて、障がい者実雇用率ですが、県内民間企業のそれは、別府市に拠点を置く社会福祉法人「太陽の家」とその協力企業に引っ張られている面はあるにしても、他県と比べると高水準であります。高水準ではありますが、ことし六月一日現在では、対前年比マイナス〇・〇五%の二・一五、対前年比マイナスは全国で三県しかなく、そのうち最も高く、雇用率も全国二位から三位に低下をいたしました。法定雇用率達成企業の割合も前年に比べ減少し、六〇・二と、全国三位から四位となっております。 このように、県内の雇用率は減少、法定雇用率未達成の企業もまだまだある、また、知的障がい者、精神障がい者の雇用についても十分とは言えないというのが実態であります。今後、障がい者の雇用に一歩踏み出す企業をさらにふやしていくための県の取り組みが求められていると考えます。 そんな中、ことしの四月一日より改正障害者雇用促進法が施行、実施されております。今回の改正内容は、障害者雇用納付金と雇用調整金の対象範囲が常用雇用三百一人以上から百一人以上へと拡大、また、障がい者にニーズのある短時間労働が障害者雇用率制度の対象となり、さらには、関係子会社や事業協同組合などを活用する障害者雇用率の算定特例の創設などであります。主に中小企業における障がい者雇用の促進等を内容とし、障がい者のより身近なところで職場の確保ができるということであります。 そこで、県としても中小企業における障がい者の雇用促進に取り組む必要があると思いますが、この改正障害者雇用促進法のもとでの中小企業を対象とした雇用促進の取り組み、また、時限措置ではありますが、雇用率未達成の企業の雇用率改善にもつながると私は思っておりますが、特例子会社等設立促進助成金制度の推進など、障がい者雇用施策をどのように展開をしていくのか、お尋ねをいたします。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 議員ご指摘のとおり、今回の法改正は障がい者雇用の取り組みを促進する好機であると考えております。 そこで、企業支援員を活用いたしまして、障害者雇用率の対象となっているかどうかにかかわらず、障がい者雇用に取り組む企業に雇用ノウハウの提供等を行うとともに、現時点で障がい者雇用に取り組んでいない企業への働きかけも行っているところでございます。 そのような地道な企業訪問活動の中で、例えば、大分市内の小売業者から障がい者雇用に取り組みたいという相談がございまして、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、県の三者合同で幹部社員を対象とした説明会を実施したりもしているところでございます。 今後とも、積極的な企業訪問を行いまして、情報提供や雇用ノウハウの共有化を進めていきたいと考えております。 また、特例子会社の設立については、新たな雇用の創出が見込まれることから、助成金制度を紹介するなど、企業に働きかけていきたいと考えております。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 健常者の就職が大変なわけですから、障がい者はなおさらであります。不況の中でも、働くこと、自立することを目指して懸命に励んでいる障がい者の皆さんの雇用を拡大していくためには行政の取り組みが大事なんであります。 本県では、障がい者を雇用している障害者雇用促進企業を、指名競争入札による物品購入では一者追加して指名する、あるいは、随契による物品購入では、複数以上の見積もりを募るときは一者追加して選定する、一者から見積もりを募るときは障害者雇用促進企業が選定される機会を多くするように努めるとしておりますが、この取り扱いは平成十七年四月一日から施行されておりますが、これまでの実績というか、実態をお聞かせいただきたいと思います。 ○安部省祐議長 油布会計管理者。 ◎油布正春会計管理者 用品調達特別会計では、障がい者を一定数以上雇用する企業を障害者雇用促進企業として申請により登録し、物品調達の際、優遇措置を講じることとしております。 これまで登録した業者は四社で、いずれも印刷業者でございます。 その受注実績は、百七十六件、一億三百六十八万七千円となっております。 以上です。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 今後もこの取り扱い要綱の遵守を徹底していただきたいと思うものでありますが、この要綱の内容を、「追加する」とか、「選定するように努める」という努力義務のようなものではなくて、障害者雇用促進企業を優先指名する、雇用率が一定レベル以上の中小企業に優先的に発注するとか、実効性を担保するものにするなどして、より具体的に、さらに進化、充実に向けたご検討を期待するものでございますが、いかがでしょうか。 ○安部省祐議長 油布会計管理者。 ◎油布正春会計管理者 今申し上げました実績につきましては、四社だけでございましたけれども、私どもとしても少ないというふうに感じております。より適切な要綱制定に向けて検討してまいりたいというふうに思っております。 以上です。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 取り扱いの内容を変更したらいかがか、そういうお尋ねなんですが、その件についてお答えをいただけますか。 ○安部省祐議長 油布会計管理者。 ◎油布正春会計管理者 取り扱いの内容につきましては、指名競争入札で指名業者に一者加えるでありますとか、あるいは、随意契約の際に、一者、随契の場合につきましては指定業者を指名するというようなことになっております。この内容についても検討してまいりたいと思っております。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 それから、県は、国の制度、法律に基づいて障害者就業・生活支援センターを指定しておりまして、昨年の四月には県内の四カ所目を豊肥地区に開設をしております。 今後は、県下全域でより充実した支援体制を構築する必要があると思いますが、どうでしょうか。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 障がい者を継続的に雇用していくためには、就業面だけでなく、生活面の支援が不可欠でありますことから、就業面と生活面を一体として支援するセンターの役割は今後さらに増大すると考えております。 大分県障がい福祉計画第二期では、二十三年度までに県下六カ所に設置して、全域でサービスを受けられるようにすることとしているところでございます。 現在、未設置の東部地域につきましては、来年三月に指定できるよう国と協議をしているところでございますし、南部地域につきましては、二十三年度にサービスを開始できるよう、準備、調整を進めているところでございます。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 県下全域をカバーする六カ所の設置、早期実現を期待するものでございますが、南部地域、平成二十三年度ということですが、国の設置まで県単独でセンターを設置するとか、一日も早い県下全域の障がい者就労支援体制を構築するという県の姿勢というものを示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 大分県障がい福祉計画の第二期に従って、きちんとやっていきたいと考えております。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 どうぞよろしくお願い申し上げます。 教育委員会ですけれども、残念ながら、法定雇用率を達成していない四十一都道府県教育委員会の一つとして適正実施勧告を受けると思います。ほとんどの都道府県教委が達成していないとはいえ、障がい者雇用といえば大分県ですから、達成に向けての取り組みを進めていくべきだと思います。 今後、勧告を受けた県教育委員会がどう対応していくのか、お示しをいただきたいと思います。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 お答えします。 本年六月一日現在の障害者雇用率は一・五九%と、法定雇用率二・〇%を〇・四一%下回っております。 職種別で見ますと、教員以外の職種が二・四二%、教員は一・四九%となっておりまして、教員の雇用率向上が課題と認識しております。 これまで教員採用試験におきまして、十四年度から全国でも三番目に障がい者特別選考を実施いたしまして、雇用率の向上に取り組んでまいりました。ことしは、二名の募集に対しまして受験者が二名と少なく、合格者は出ておりません。 また、教育事務職員につきましても、昨年度から身体障がい者の採用選考を県の人事委員会に依頼をして実施しておりまして、昨年度は一名を採用、ことしも一名を募集しておりまして、現在、選考中であります。 障がい者採用選考の受験者数が低迷しておりますことから、受験者の増加に向けまして、今後、大学や関係団体等へ制度の周知、それから環境改善を図りながら、障がい者の雇用率向上に努めてまいります。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 行政の努力によって、障がい者が働く喜びを感じ、法定雇用率に近づき、達成することができるんだと思います。もちろん、障がいの程度の差はありますが、例えば、一般企業に就労する前段階の職業訓練の場として、単年度だけでも特別支援学校の卒業生を母校の用務補助員に採用するとか、特別支援学校は清掃業務を外注していると思いますけれども、障がい者の方を雇用することを条件にするとか、県教委が率先垂範することで企業にも障がい者雇用をお願いしやすくなり、また、障がいのある方や母校の先輩が仕事をされる様子を生徒たちが見て、そこから自分が自信を持ったり、就労意識につなげていくようなことができ、就労機会の拡大につながっていくのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 特別支援学校を所管しております。そういう意味で、私どもも、そうした学校に、正規であるとか、あるいは非常勤職員であるとかということで採用を促進しております。 これまでも、盲学校、聾学校を中心に、さらに養護学校におきましても、勤務で可能なものについては行っておりますし、県の図書館におきましても、今、そういう取り組みをいたしております。 以上でございます。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 清掃業務の外注についてはどうですか。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 清掃業務の委託につきまして、これは県北の方でも、そういう委託をしているところはございます。そういうところにつきましては、今、引き続き委託をしております。 先生のご質問のご趣旨は、それをさらに拡大せよということでしょうか。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 外注するときに、障がい者を雇用していることを条件に外注するとかしたらどうですかというお尋ねでございます。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 今、全部、私、掌握をしておりませんけれども、そうした委託をする場合に、障がい者の団体を中心に、現実行っております。すべて清掃、障がい者が加わっておるか、条件になっているかどうかというのは、ちょっと今ここでお答えできませんけれども、特別支援学校の、あるいは教育委員会の施設につきまして障がい者団体に委託をしている、そういう実態もありますので、なるべく障がい者の雇用の機会を拡大するように私どもも取り組んでまいります。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 ありがとうございます。 それでは、次に参ります。 先ほども申し上げましたけれども、本県の障害者雇用率は二・一五で全国三位、その内訳は、身体障がい一・七六で一位ですけれども、知的障がい〇・三五で二十四位、精神障がい〇・〇四で十八位でございます。大分県の障がい者雇用が、身体、知的、精神、総合的に、名実ともに全国トップレベルとなるよう、立ちおくれている知的障がい者や精神障がい者の雇用拡大に一層力を注いでいただきたいと望むものであります。 これよりは雇用率が最も低い精神障がい者の就労についてお尋ねをいたしますが、まず初めに精神保健医療について伺います。 本県の平成二十年六月末現在の精神病床への入院患者は四千九百六十二人、通院患者は二万六千五十七人と把握されていますが、精神障がい者の医療については、早期発見、早期治療の導入により入院まで至らないこと、たとえ入院しても、長期にわたらず、速やかな地域生活への移行の促進が大切だと思います。そのためには、県民の多くが、精神疾患が生活習慣病と同じようにだれもがかかり得る病気であり、早期発見と早期治療が大切であるなどといった正しい知識を持つこと、そして、地域生活への移行とその継続を支える身近な地域での住まいの確保、日ごろの悩みなどを分かち合うことができる集いの場などを提供すること等々、環境の整備やサービスの充実が必要であるというふうに思います。 ついては、本県の精神疾患、精神障がい者に対する理解、普及啓発と入院生活から地域生活への移行と継続の支援について、その実施状況と把握された課題とその解決のための今後の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。 ○安部省祐議長 高橋福祉保健部長。 ◎高橋勉福祉保健部長 お答えいたします。 まず、普及啓発につきましては、精神疾患や精神障がい者に対する正しい理解の普及啓発を図るために、二十年度は保健所や精神保健福祉センターで、家族や医療・福祉関係者及び一般県民を対象とした心の健康教育やうつ病研修会等を三十六回実施いたしまして、約二千六百人の参加がございました。しかしながら、一般県民の参加者は半数程度のため、地域移行の受け皿となる企業などを含め、幅広く参加者を募るとともに、マスメディアの活用等により普及啓発の強化に努めてまいりたいと考えております。 また、地域生活への移行と継続の支援につきましては、入院生活から地域生活への移行支援につきましては、病院、施設、行政のネットワークを構築し、グループホームなど住まいの場の確保や日中活動支援などを行う事業を十七年度から実施し、これまで十六名が自立生活に移行しておりますが、退院可能な入院患者全体から見ると少ない状況にございます。 そこで、移行支援の充実を図るため、新たに必要となる寝具、生活物資の購入支援を十月から開始したところです。あわせて、受け皿となるグループホームや就労支援事業所等を計画的に整備してまいります。 さらに、地域移行後の相談支援につきましては、相談支援事業所や就業・生活支援センターが主に対応しているところでありますが、職員の資質向上に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 さらなる環境整備、サービスの充実に向けた取り組みをお願いするものですが、ただ、環境を整えて入院生活から地域生活に移行するだけでは、私は十分ではないと思います。精神障がいのある方みずからが理想とする生き方、もしくは社会的に見て人間らしい生活を送ってもらうこと、要するに生活の質を高めていくことが必要だと思います。 私は、生活の質を高めるには、日々の生活の中で生きがいややりがいがあることが重要だと思います。そのためには就労するということが最も大切なことだと考えます。仕事を通じた社会とのつながりが、連帯感や達成感を高め、障がい者本人の質を高めるだけでなく、社会の大きな利益につながっていくと思います。 そこで、病院から退院した方も含めて、地域生活を送る精神障がい者の方の適性や能力に応じて就労を支援したり、また、精神疾患を理由とした休職者、離職者の職場復帰というものは重要な課題だと思いますが、本県の取り組みとその成果をご答弁いただきたいと思います。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大分県では、「太陽の家」を初めとしまして、先人のご尽力の積み重ねもありまして、障がい者の就労促進については全国的に見てもかなり高いレベルにあるというふうに思っておりますけれども、ただ、議員ご指摘のように、まだまだ全体としても十分とは言えない、とりわけ、雇用率の低い精神障がい者の雇用について一層考えていかなければならないというふうに思っております。 以前、佐伯市の精神障害者通所授産施設を訪問いたしましたけれども、スプレー菊の栽培に熱心に取り組んでおられる精神障がい者の姿に感銘を受けました。障がい者へのきめ細かな対応と周囲の理解ということが大変重要だというふうに感じたところでございます。 そうしたことから、障がい者それぞれの方の働く意欲や能力に応じたきめ細かな支援と障がい者の雇用に理解のある職場づくりという二つを車の両輪として精神障がい者の就労を進めていくということが大事だというふうに思っております。 最初の個々の態様に応じた支援でございますけれども、例えば、日常生活は自立しているものの、一般的な事業所での就労が困難という場合には、授産施設等で福祉的就労や、あるいは職親制度によって、作業を通じてコミュニケーションの能力や集中力や持続力を養っていくということが大事だと思います。また、一般企業への就職を希望する場合には、職業訓練のほか、障害者就業・生活支援センターによる相談だとか、あるいはコーディネーターによる企業とのマッチングといったようなことを通じまして就職への橋渡しを行っていくということが大事だと思います。昨年度は、おかげさまで三十二名の就職が実現したところでございます。 二つ目の理解ある職場づくりについてでございますけれども、雇用に意欲のある企業の開拓を行うとともに、各種の助成制度や支援機関活用などの情報提供を行うほか、企業見学会、あるいは情報交換会を開催して、先進的な取り組みを行っている企業などのノウハウの共有を図っていくということが大事ではないかというふうに思っています。 今後ともこのような両面の取り組みを進めまして、一人でも多くの精神障がい者が自立して、生きがいややりがいを感じながら生活していけるような、そういう環境をつくっていかなきゃならぬというふうに思っております。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 精神疾患を持ちながらも働ける人は実はたくさんいるんです。そして、その多くの方々が仕事を求めているんです。しかしながら、企業は、精神障がい者の雇用についての、知事からも答弁ありましたけれども、ノウハウがまだまだ乏しいというか、要するに、怖いというか、不安を感じているところがほとんどであります。 先日、障がい者の雇用をさらに広げていくことがライフワークだという車いすの会社役員と、精神障がい者の就業支援に一生懸命取り組んでおられる精神保健福祉士、お二人のお話をじっくり聞く機会を得ました。受け入れる側の社会的責任の一環として地道に取り組んでおられる姿と就業を支援する側の情熱に頭が下がりました。 まだまだ、身体も知的も精神も障がい者の就労の場は、就業を支援する側と障がい者を受け入れる側の双方の工夫と熱意で広がっていく、そして、障がい者の就労支援についてはポイントが二つある、そう思わせていただきました。 一つは、彼らの就労や生活を支援する側が問題を抱え込み、孤立しないように、お互いが連携を深め、課題を共有しながら進められるような体制を組むこと、いま一つは、彼らを受け入れる企業をいかにふやしていくかは、いろんな優遇措置もありますけれども、何よりも障がい者雇用企業の実態を広くPRし、やればできるということをもっと企業に知ってもらう努力が必要だと思いました。 厚労省も、精神障がい者の雇用、職場定着のノウハウを構築するために精神障害者雇用促進モデル事業を実施しておりまして、全国で実施企業が九社ありますが、別府に本社を置く特例子会社もその中の一つであります。 この会社では、障がい者雇用に職場内の理解を進めたり、障がい特性に応じた、精神障がい者が働きやすい雇用管理をするなどして、六名の精神障がい者を雇用し、一人はフルタイムの勤務、ほぼフルタイムの勤務がもう一人、あとの四名は午前中のみ、あるいは午後のみの勤務ですが、今後、就業時間の延長も可能で、全く問題なく働いているということでした。文字どおり、精神障がい者を受け入れるモデルの確立に向けた取り組みがなされているということを私も実感いたしました。 大切なことは、こうした事例やノウハウを広く周知し、企業の皆さんに精神障がい者雇用に対する不安を取り除いてあげることだと思いますが、どうでしょうか。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 議員ご指摘のとおり、精神障がい者の求職は増加傾向にございまして、雇用の経験がない企業が一歩前に踏み出せるよう、ノウハウの提供や事例の紹介が非常に大切だと考えております。 今年度から障がい者雇用モデルサポート事業というのを始めまして、障がい者の雇用に成功している企業の見学会や経営者を交えた懇談会の開催によりましてノウハウの共有化や企業同士でアドバイスし合えるネットワークづくりを進めているところでございます。 例えば、障がい者福祉事業所に自動車部品の仕上げ作業を発注したことをきっかけとして精神障がい者の雇用を始め、福祉事業所と連携をうまくとりながら成功した県北にある自動車部品加工の企業の見学会なども実施したところでございます。 このほか、昨年、県内の先進的な取り組みをまとめた事例集を作成いたしまして、障がい者雇用の経験がない企業等に約千部配布したところでございます。 先ほど議員のお話にございました別府の特例子会社もこの事例集の中で紹介しているところでございます。 今後とも、紹介された企業の例も含め、優良事例のPRやノウハウの共有化に努めていきたいと考えております。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 ありがとうございました。 私は、それでも企業への理解、なかなか進まないのではないかと思います。きょうは、ハートコムおおいたで、県内企業を対象に、初めての精神障がい者雇用応援セミナーが開催をされていると聞いております。福祉保健部と商工労働部が連携しての取り組み、大変喜ばしいことでありますが、県内企業に理解を求めていくには、大分県自身が嘱託職員を採用するなどして、就労に向けた訓練として民間企業の持つノウハウを実践した上で、さらに充実したものとし、官民が共有していく必要があると思います。 広瀬県政は、これまで光の当たらなかったところに手を差し伸べていく、光を当てていくことが使命だと思いますが、ご所見をお聞かせいただきたいと思います。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 県内における精神障がい者の雇用につきましては、まだまだ努力が必要であると感じているところでございます。実際、具体的なノウハウがない、相談できる相手がいない等の理由で一歩踏み出せないケースも見受けられるところでございます。 そこで、福祉保健部と連携いたしまして、実際に就労支援を実施している現場、ハートコムおおいたで、本日、セミナーを開催しているところでございます。こうした取り組みを、具体的なノウハウを企業、行政、支援機関が相互に共有化する機会としていきたいと考えております。 加えて、県がみずから精神障がい者を雇用することは、雇用の場の確保のみならず、民間企業に対し、より具体的で有効なアドバイスをすることが可能になると思われます。 実際に県で精神障がい者を雇用するに当たっては、まず、職場実習を行うことにより具体的な課題を整理しまして、その上で非常勤職員としての採用を検討したいと考えております。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 実現に向けて、ぜひ前向きなご検討をお願いしておきたいと思いますが、広瀬県政の使命だと申し上げましたので、広瀬知事のお考えもぜひお聞かせいただきたいと思います。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ただいま、いろいろ、嶋議員からご質問がありました。大変貴重なご提言もいただきましたけれども、障がい者雇用というのは、当人が自立して、そして住みなれた地域で働いていくというためには、どうしても進めていかなきゃならぬ制度で、対策でございます。その人の生きがいのためにも、ぜひ努力してやっていかなければならない。地域にとりましても、やはり、そういう障がいのある方、障がいのない方がともに生きていけるような社会をつくるということは大変大事なことでございますから、そういう両面から我々は進めていかなければならないというふうに思っています。 課題は二つでございまして、やっぱり本人が対応できるような体制をしっかりと支援をしていくということが一つ、それから、受け入れ側がちゃんと受け入れられるような場所をつくっていくということが一つ。この両面から対策を講じながら、ぜひこの障がい者の自立支援をしていきたいというふうに考えております。 特に、これからの課題は、ようやく身体障がい者については全国レベルまで来ております。まだまだその中で知的障がい者、さらに精神障がい者の就労が大変おくれておりますから、そちらの方に力を入れていきたいというふうに思っているところでございます。 まず、こういう問題につきましては、県庁みずからできることをやろうじゃないかということでございまして、実は平成十九年度から知的障がい者の雇用について取り組みを始めたところでございます。平成十九年度でございますけれども、県庁内で二カ月の現場実習をやってもらおうと。そして、適性を確認した上で、翌年度は一年間、非常勤職員として、同じところでやってもらおうというような試みをやっております。二十年度には三人、二十一年度には、そうやって五人を採用したところでございます。 なお、二十年に採用しました三人につきましては、翌年度、いずれも民間企業に就労いたしまして、つながっているところで、やはり、県庁で実習をして、非常勤で働いて、なかなかいいじゃないかということになりますと民間の皆さんも安心をして雇用してくれるというようなことで、つながっていくんじゃないかというふうに思っております。 今度は、いよいよ精神障がい者についてもそういうことを追っていかなければならないというふうに思います。後戻りは許されませんので、やはり慎重に条件を整えながら、この精神障がい者の雇用についても、県みずから取り組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 ありがとうございます。知事のご答弁、大変心強く思わせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。 次に、食育の推進についてお尋ねをいたします。 近年、食生活を取り巻く社会環境が変化し、偏った栄養摂取、朝食を食べないなど子供の食生活の乱れや肥満傾向の増加、過度の痩身などが見られるところであります。また、増大しつつある生活習慣病と食生活との関係も指摘されております。 子供のころに身につけた食習慣を大人になって改めること、これはなかなか困難であると思います。したがって、子供たちが将来にわたって健康に生活していくことができるようにするためには、食の安全、安心に努めることはもとより、学校において、子供に対する食に関する指導を充実し、正しい知識や望ましい食習慣を身につけさせることが大切であります。食育に学校が積極的に取り組むことが重要であるというふうに思います。 学校における食育、これまでどのように行われてきたのか、ご答弁をいただきたいと思います。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 お答えします。 まず、学校における食育でございます。 本年の四月から一部改正されました学校給食法、それから新学習指導要領におきまして「学校における食育の推進」が明確に位置づけられました。 県教育委員会では、平成十八年から「食に関する指導の手引き」を作成しておりまして、指導の目標として、食の重要性の認識、健康の保持増進、食品を選ぶ力を身につけるなど六項目を掲げまして、学校教育活動全体を通じた食育を推進しております。 具体的な取り組みとしましては、担任と栄養教諭が共同して行います理科、あるいは家庭科の授業、また、野菜の収穫、料理教室等の体験学習、地産地消で食育を進める「学校給食一日まるごと大分県」、さらに、県教育委員会によりますモデル地域の指定を行いまして、こうしたことを通じまして食育の推進、食の教育を行っております。 これから、こうした取り組みに加えまして、栄養教諭や学校の食育担当者等には、研修によりまして指導者としての資質向上を図りながら食育の向上に努めてまいります。 以上であります。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 県は、小、中、高校において、栄養教諭などを中心とした校内指導体制を整備充実するとしておりまして、十九年度から栄養教諭の配置を進め、今年度までに二十人を配置しております。 毎日、朝食をきちんと食べるといった生活習慣が定着している児童生徒は、学力成績が上位、なおかつ、体力の数値も高い傾向が見られるという調査結果があるということはご承知のとおりだと思います。 さらには、ことし四月の改正学校給食法には、小中学校で実施されている給食の主目的を、従来の栄養改善から、食の大切さや文化、栄養のバランスなどを学ぶ食育に転換し、これに沿った栄養教諭の役割などを盛り込んでおります。 戦後の食料難を背景に、不足しがちな栄養を給食で補うことを主目的にしていた学校給食法を実態に合った内容にするものであり、学校での食育推進が一層求められているのであります。その中核的な役割を担うのが栄養教諭でございます。現在の二十人の体制では、この流れの中で食育の一層の充実を図るには十分ではないと思います。 今後の配置については、現在、栄養教諭が中心となって進めている取り組みの成果を確認、検証した上で考えるのでしょうが、現段階での効果や課題をどう確認し、検証しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。そして、今後の栄養教諭の配置計画を伺いたいと思います。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 お答えします。 まず、検証でございますが、栄養教諭の配置効果を検証するために、本年の二月に配置先の学校及び保護者にアンケート調査を実施いたしました。五月には、栄養教諭の活動状況を現地調査、そして十二市町村の教育委員会に対しましてアンケート調査を実施してまいりました。その結果、七の市町村におきまして朝食の摂取率が増加した、五市町村において給食の食べ残しが減少したといった報告がなされております。 配置の効果でございますが、栄養教諭の配置によりまして、給食の時間での指導にとどまらず、野菜の知識を生かした理科の授業、それから食事の栄養バランスを学ぶ家庭科の授業など、他の教科と連携した授業を行った効果ととらえております。 なお、PTAの母親部会等と連携して望ましい食習慣に関する講演会を開催した際、参加者からも「食育の必要性を再認識した」という声が寄せられております。 各学校や地域に取り組みの差がまだあります。本年の十月に作成しました実践事例集を活用して、効果的な取り組みを全県下に広げていくことが必要であると思います。 今後の配置につきまして、これまでの課題、それから地域のニーズも踏まえまして、今後の配置箇所、実施事業について、国の加配措置の状況も見ながら検討を進めてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○安部省祐議長 嶋幸一君。 ◆嶋幸一議員 私は、栄養教諭の配置は、食の指導と給食管理を一体的に見て、地産地消についても考えることができ、高い相乗効果があると思っております。 ご答弁にもありましたけれども、今後は、学校間に差が出ないように配置を拡大し、食育を推進すべきと思っております。 これも答弁にありましたけれども、栄養教諭の配置の効果、県教委も確認をしているということですから、順次、配置数をふやしていただきますように強くお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○安部省祐議長 以上で嶋幸一君の質問及び答弁は終わりました。田中利明君。  〔田中議員登壇〕(拍手) ◆田中利明議員 十四番議員の自由民主党の田中利明であります。 今回、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。 また、傍聴の皆さんには、大変時間が過ぎまして、待機の時間が長くなりましたけれども、ご参加いただきまして、重ねてお礼を申し上げます。 さて、私は、先般、十月二十五日から大分県貿易協会の香港・広州貿易促進ミッションに参加いたしました。総勢二十七名中九名の県会議員が参加して、超党派で民間経済団体との広州訪問や懇談会を実施し、画期的な研修となりました。 今回の視察につきましては、県議会の政策研究会で視察内容等について検討し、九月定例会での派遣議決を得たところであります。 また、出発前には香港ビジネスセミナーで香港の経済について事前説明会にも参加し、その成果については、今期定例会一般質問で、私を含む四名の議員が各自の視点で質問に立つ予定であり、また、後日、詳細な視察報告書を作成し、公開する所存であります。 では、私が特に感じた香港、マカオ地域の観光施策の実態と具体的な提案を示しながら、大分県の観光戦略について質問をいたしたいと思います。 ご案内のとおり、我が国では、二〇〇三年に観光立国宣言を行い、経済活性化対策の柱として観光振興が位置づけられ、二〇〇七年には、五年間にわたる観光立国推進基本計画が策定されました。 その基本目標として、二〇一〇年までに訪日外国人旅行者数を一千万人に、日本開催の国際会議件数を五〇%以上増加、一人当たりの宿泊数を年間四泊、日本人海外旅行者を二千万人、国内観光旅行消費額を三十兆円とする内容が示されたところであります。 また、二〇〇三年には、官民一体となって九州地域戦略会議を設置し、その活性化の一環として九州観光戦略を策定して、九州観光推進機構で東アジアなどから九州に人を呼び込む戦略等に取り組んでいます。 本県でも、「おおいたツーリズム戦略」を策定し、旅行者や観光消費額及び宿泊者の増加を目指した取り組みを推進しているところであります。 さて、今回訪問した中国は、今や世界第二位の経済大国になろうとしており、二〇〇九年の経済成長率は八%を超え、人口十三億人中二億人が中産階級市場となっています。特に広東省は、人口九千万人、中国で最大のGDPと消費市場を有しており、その中心が香港であります。 香港の経済は、一八四〇年のアヘン戦争以来、イギリスの植民地となりましたが、一九九七年に中国に返還をされ、一国二制度の政治体制下で、自由経済、法治、低税率を特徴として、サービス産業経済の中で、貿易・金融・サービス・観光都市として発展をしています。 二〇〇八年の香港への観光客は二千九百五十万人で、そのうち中国本土から一千六百八十六万人、約六〇%、日本からは百三十二万人、四・五%となっており、人口七百万人の四倍強の実績を示しています。また、受け入れホテルは、百三十九軒、五万一千五百五室を提供しています。ちなみに、香港から日本への観光客は五十五万人で、対前年比二七・三%増加しています。 加えて、マカオについては、人口五十五万人、主要産業は観光とカジノ産業であり、特に、ポルトガルの植民地であったことから、世界遺産としてポルトガルの風情が漂う町並みが残り、しかも大分県と深い因縁で結ばれたザビエルの終えんの地であり、一五八二年の伊東マンショを初めとする四名の少年をローマに派遣した天正遣欧使節団も寄港し、キリシタン迫害で追放された日本人の殉教者も現在白骨のまま保存されています。観光客は年間二千万人で、大半が中国本土からであり、日本からは三十万人が訪れています。 現地を散策して驚いたことは、地域がきれいに整備され、案内板はポルトガル語、英語、中国語、さらに日本語での表示もあり、外国人観光客にとって親切心にあふれていました。また、カジノ事業という特性から治安面を大いに心配していましたが、意外なことに驚くほど安全性は完全に保たれており、安全できれいな地域でなければ観光客は来ないということを痛感させられました。 そこで、四点について質問をいたします。 一、東アジア地域からの観光客誘致についてであります。 香港、マカオ地域の観光動態でも圧倒的に中国人観光客が増加していますが、こうした大きな可能性を秘めた東アジア地域、特に中国人観光客の誘致活動に、大分県の観光戦略として本格的に取り組むべきであると考えます。九州観光推進機構による取り組みも行われていますが、県は、それらとの整合性を持ちながら、今後の東アジア地域からの観光客誘致にどのように取り組んでいくのか、知事の戦略をお聞かせください。 二番目に、受け入れ体制の整備についてでありますが、香港、マカオでは日本語の案内板が充実していましたが、それと比較すると、本県には中国人向けのものが少なく、ホスピタリティーの精神が十分でない状況です。中国の個人旅行が解禁された中で、本県を訪れる方々のために、案内板の中国語表示をもっと徹底すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 また、交通機関等の外国語案内についてでありますが、JRの車内放送も中国語、韓国語による案内が必要であると思います。西九州では既に九州新幹線を初めとして電光板で表示されていますが、日豊本線にはこうしたサービスがありません。JR九州に対して要望すべきであると考えますが、県として対応する考えがあるかどうかについてお聞かせください。 また、外国人観光客相談支援体制についてでありますが、本県を訪れる外国人観光客の安心、安全を確保するためには二十四時間対応のコールセンターの設置が必要であると考えます。本県の観光戦略としてどのように取り組むのか、ご見解をお伺いいたします。  〔田中議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○安部省祐議長 ただいまの田中利明君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 田中利明議員には、このたびの中国視察におきまして、いろいろ学び、感じられたところが多かったかと存じます。本日は、これを踏まえまして、東アジア地域からの観光客誘致についてのご質問を賜りました。 急速に経済発展を続ける中国におきまして、海外観光も非常に活発化しております。年間四千六百万人が海外に旅行をしているということでございまして、そのうち日本に来ているのはわずか百万人ということでございまして、残念ながら中国からの観光客誘致については大変おくれている、これから力を入れていかなければならないというふうに感じております。 こうした中、本年七月には中国人に対する個人観光ビザが解禁されたということで、観光客受け入れの環境が整ってきたというふうに感じます。 そこで、中国からの観光客誘致につきまして、本県の観光戦略として次の三点を展開していきたいというふうに考えております。 一つは、大分県の認知度向上と個人旅行客の誘致促進でございます。 近年、中国ではインターネットが急速に普及しておりまして、利用者は三億人とも言われております。そして、二十年末の留学生の数でございますが、人口比で大分県はとうとう日本一ということになりました。その本県の強みを生かして、留学生に協力をしていただきながら、彼らの母国である中国の方々の興味を引きそうな大分県の魅力や観光情報をインターネットを用いて発信していったらどうか。そして、彼らの気持ちにぴったりくる形で大分県のPRを行い、認知度を高めていくというふうに考えております。 また、個人旅行者が安心して観光できる環境づくりも大変大事だと思っております。中国からの観光客を受け入れる体制づくりとして、観光案内の中国語表記や観光関係者のおもてなし意識の向上等に取り組んでまいります。中国人にぴったりくるおもてなしの意識の向上も図っていかなきゃいかぬというふうに思います。 二点目は、上海万博を契機とした相互交流の促進であります。 来年、上海市で開かれる万国博覧会を本県PRの好機ととらえまして、九州観光推進機構を中心に共同出展をいたします「九州・沖縄ウイーク」におきまして、中国の方にも参加してもらって、本県の郷土芸能を披露するといったようなことによりまして、大分県の観光の魅力を発信していくということも考えております。 また、上海の大手旅行社やマスメディアを大分に招聘して、大分向けの旅行商品造成を積極的に働きかけていくということも大事ではないかと思っております。 三点目は、中国の青少年を対象とした教育旅行誘致と県内青少年との交流促進でございます。 教育委員会と連携をしながら、中国からの教育旅行誘致に不可欠な学校間交流を進めていきたいというふうに存じております。 こうした取り組みを着実に実行していくことによりまして、国際観光市場として成熟が期待される中国からの観光客誘致を促進して、大分県の観光振興を図っていきたいというふうに考えているところでございます。 私からは以上でございますが、その他のご質問につきましては担当の部長から答弁させます。 ○安部省祐議長 楢本企画振興部長。 ◎楢本譲司企画振興部長 それでは、受け入れ体制の整備につきまして私の方から三点お答えさせていただきます。 まず初めに、外国人観光客用の案内板についてでございます。 本県には、延べ宿泊客数で数えまして年間三十万人の外国人観光客が訪れております。そのうち、中国本土からの宿泊客数は約六千人にとどまっているのが現状でございます。ただ、先ほど知事の答弁でもありましたように、本年七月に中国では個人観光ビザを解禁されるということで、これを機に、今後ますます増大するだろうということを期待しているところでございます。 今、県内で最も多くの外国人観光客が訪れる別府市内におきましては、英語、韓国語表示の観光案内も多くあります。ただ、ほかの地域には少ないというのが現状でございます。 今後の予定でございますが、今年度中に、国の事業を活用しました四カ国語表示、これは日本語、英語、韓国語、中国語でございます、中国語の中には、本土で使われております簡体字、それから台湾で使われています繁体字を含むということでございますが、四カ国語表示の観光案内看板でありますとか、バスの行き先表示、それからバス停留所などの整備が、別府市、大分市、それから由布市の三カ所で予定されております。まずは、その成果を検証していきたいというところから始めようと思っておるところでございます。 二点目の公共交通機関の外国語案内でございます。 現状では、JR日豊本線におきましては、特急ソニックの車内テロップなどにおきまして、一部で英語での案内を行っているところでございます。 ただ、今後、外国人観光客の受け入れ体制を整備するというのが必要でございます。そのために、多言語での車内放送や案内表示、これは韓国語とか中国語を含んだ多言語での表示について、JR九州に対して働きかけを強めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。 三点目の外国人観光客相談支援体制についてでございます。 現在は、別府駅の構内にあります外国人観光客案内所におきまして、英語や韓国語、中国語について、現場での相談、それから電話での問い合わせについては対応ができているところでございます。 なお、議員ご指摘のコールセンターにつきましては、平成十四年のワールドカップサッカー、それから十七年に行われました世界観光学生サミットの際に期間限定で設置されたこともございます。 昨年七月には、福岡市におきまして、日本で初めての外国人向けの観光案内コールセンターが開設されたところでございます。ここでは、英語と韓国語と中国語に対応していると聞いております。 今後の取り組みとしましては、しかしながら、常設のコールセンターを設置するということにつきましては、やはり、広域的な取り組みの方がより大きな効果を期待できるんじゃないかというふうに我々考えております。また、資金面などの課題もございます。そういったことから、国や九州観光推進機構と連携しまして研究を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。 以上でございます。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 今回、中国に行ってまいりまして、本当に感じたことは、一部の豊かさ、あるいはまた、ビルが乱立する中で大都市のような中国の姿を見ながら、一歩外に出ると、もう本当に貧しい人たちがおる。その中で、やっぱり日本人として、こういう貧しい中国の人たちを救ってあげるという、何かそういう、本当に日本人がこれから尽くして尽くしていくという、ここの貢献度というのが物すごく大きいと思います。 政権交代で、どっちかというと重箱の隅をつつくような、本当に内部批判的な国内の雰囲気もありますが、もう少しやっぱり、坂の上の雲じゃないですけれども、もっと外国というものを見ながら、日本が尊敬される国であり、日本人が尊敬される民族であらにゃならぬというのが、私はそういう大きな使命感といいますか、そういう気持ちを抱いたわけでありますが、この観光戦略につきましては、いろんな、国の次元、九州次元、大分県の次元がありますが、何か、うたい文句だけがばんとうたっとって、よく見えない。観光実態も、観光客が幾ら入ってきたとかいう数字的なものだけであって、絵にかいたもちにならないかというようなことが非常に心配であります。 その上で、この観光戦略の総合性とか、戦略の進行過程をもう少し明確に示して、着実に大分県が観光戦略をやっているんだというところを実行してもらいたい、これを要望しておきたいと思います。 また、本県では、中国の経済活動として、上海のジェトロ事務所内に県職員を派遣して、情報収集等、あるいはまた、広報活動を行っていると思いますが、香港、広州、深セン、マカオ地域、この地域は珠江デルタ地帯と称されておりまして、中国最大の消費市場となっております。それで、香港にある大分銀行事務所とか、あるいはまた、広州のジェトロ事務所、そういうところをうまく活用して、珠江デルタ地域の経済活動とか、あるいはまた、大分県の観光情報の提供なんか、どんどん利用すべき組織があるにもかかわらず、まだ着手してない。こういう面が非常におくれていますので、ひとつ県の職員もそういうところに派遣して、若い感性のある職員を派遣して、そういうところからの情報を収集してくる、こういう点を少し、本当に働きかけをしていただきたいことを要望しておきたいと思います。 それと、観光につきまして、この推進のためには何が必要かと考えると、私はやっぱり経済対策というのが必要ではないかというふうに考えておるわけでありまして、今回、特に中国人の元気さ、非常に観光客の元気さを感じてきましたが、この背景にはやっぱり中国経済の大きな発展があって、経済成長率を八%に保つとか、あるいはまた、金融危機に対して約五十五兆円の内需拡大とか、外貨獲得に対して、外需の獲得に拍車をかけている、こういう元気な国の姿があるわけでありまして、かつて日本では、二〇〇一年に、小泉首相のときに構造改革を促進して、円安誘導政策で、外需主導により企業の収益回収を図ってきました。その意味で、二〇〇七年の観光戦略というものが出てきた背景があるわけでありますが、現在、日本国内では、ドル安、円高、あるいはまた、デフレ経済ということで、非常に経済が圧縮して萎縮方向に来ていますが、経済の専門家である知事として、外需の獲得とか、あるいはまた、内需のバランスとか、どのように考えていらっしゃるのか、そこ辺をお聞かせ願いたいと思っております。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 なかなか難しい課題でございますけれども、少なくともこれまで日本は、やはり、大きくは輸出型産業を育成して、そして外需の中で経済発展を遂げてきた、それがまた成功をおさめてきたという歴史ではなかったかというふうに思っております。 今度、世界的な同時不況ということで、この日本型の成長路線がこれでいいのかどうかというような議論があったわけでございますけれども、一つは、そうはいいながら、やはり、依然として外需に頼っているといいますか、今度の経済回復の、景気回復の中心は、どちらかというと、輸出型の企業が輸出を回復する、生産を回復することによって景気が前に進んできだしたという点があるわけでございまして、やはりそういう面は否めないところなんではないかというふうに思います。 これから世界の外需を考えるというときに、そのときに大事なのは、やはり、アジア全体、APEC全体で共存共栄の道を探っていくということが大事なんじゃないかというふうに思っています。 その外需、内需で、我々が外から売り出して、そして外貨を稼ぐというだけではなくて、ともに発展をしていく、そういう全体の中で外需、内需のバランスを考えていくのが大事じゃないかというふうに思っております。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 続きまして、県南地域の振興についてお伺いします。 地域特性を生かした佐伯の発展に向けた取り組みでありますが、地方都市佐伯は、今、時代の変化の中で、ゆっくりと着実に変わろうとしています。その兆候は、東九州自動車道の佐伯インターチェンジ開通による外部入力のみならず、地域の困難や苦しみに甘んじない自発的な挑戦意欲と、ひとりよがりの戦いでない人的ネットワークの内部力が結集しようとしているところに見られます。 そして、そのあらわれとして、企業誘致が困難と思われていた宇目地区に、IT関連企業二社が廃校となった中学校校舎に立地したこと、また、これまで空き店舗対策に失敗し、駐車場建設費の返済負担に苦しみ、平日はもとより、土、日に人けのなかった商店街に「まちの駅番匠」がオープンし、日曜ごとにフリーマーケットを開催して、高齢者や女性客を集客させようとしています。さらに、基幹産業である造船、海運業が結束して、海事産業のまちづくりを目指して、大型船修理ドックヤード構想実現のため、行政を動かし、みずからも東奔西走している姿は、これまでにない佐伯の姿であります。 さて、現在、日本の大型船修理ドックについては、和歌山県の三井造船由良や長崎県の佐世保重工業及び広島県のユニバーサル造船因島などで大型商船の修繕を行っていますが、大半の修理は、海外、特に中国やシンガポールで行われているのが実態であります。しかしながら、これまでの安価な修理費という物理的な視点から、国内安保や経済安保、さらに中国の技術力不足や工期を守らない点を考えると、今後は国内修理ドックの必要性がますます高まってきています。 日本の三大海運会社は、現在、二千四十隻の大型船を所有しており、五年に一回の船検、船の検査と修理が行われ、修理の平準化が行われれば、約一千人規模の雇用が可能となると言われています。 加えて、九州はシリコンアイランド、カーアイランドと言われてきましたが、造船産業についても全国の建造量の約三割を維持し続けており、造船アイランドとも呼ばれています。その意味で県南地域は、造船技術と海運業の盛んな土地柄であり、大型船修理ドックヤード構想の適地であると考えられます。 そこで、二点について質問をいたします。 まず、県南地域における造船産業の振興についてでありますが、本年八月に国土交通省は九州圏広域地方計画を決定し、今後十年間のあり方として、造船アイランドと呼ばれる長崎、大分における造船技術研修拠点の機能強化等を図るとしております。 そこで、県として、造船、海運業が盛んな臼杵、津久見、佐伯の県南地域を造船特区に指定し、造船産業のさらなる発展に向けて取り組む考えはないかについてお伺いします。 次に、大型船修理ドックヤードについてでありますが、現在、地元佐伯市では、本年九月に佐伯市議会が地域開発調査特別委員会の調査項目に大型船修理ドック建設を掲げ、視察や関係機関への要望活動を行っていますが、県として大型船修理ドックヤード構想をどのようにとらえ、取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。 ○安部省祐議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 私からは、県南地域における造船産業の振興についてお答えいたします。 県南地域の造船業は、長い歴史の中で高度な技術が蓄積された地域の基幹産業であり、県としても重要な産業と位置づけております。 平成十九年に策定いたしました企業立地促進法に基づく大分県基本計画におきましても、造船関連産業を自動車関連産業等と並ぶ対象業種に選定しているところでございます。 この制度は誘致企業のみならず地場企業も対象としておりますので、既存の地場企業におきましても新たな設備投資などに税制面等の優遇措置が受けられることになってございます。 また、造船技術者の育成につきましては、佐伯高等技術専門校における溶接技術重視のカリキュラム設定や地域が一体となって設置いたしました地域造船技術センターへの運営費助成などにより、技術人材の輩出を図っているところでございます。 構造改革特区につきましては、地元から具体的な規制緩和等の要望がありましたら対応を検討したいと考えております。 今後とも、各種制度の活用や人材育成等を通じまして、造船業の振興に努めたいと考えております。 ○安部省祐議長 山路土木建築部長。 ◎山路茂樹土木建築部長 私の方からは、大型船修理ドックヤードについてお答えいたします。 大型船修理ドックヤードはビジネスとして持続できることが一番重要な要素であると考えておりますが、現時点ではどのような事業主体が取り組むのか、明らかになっておりません。 また、加えまして広大な敷地が必要と思われることから、佐伯市内で展開する場合でも、どこが適地となるか、十分な検討が必要と思われます。 県といたしましては、このような状況の中、佐伯市を初め、地元の動向を慎重に見守っていきたいと考えております。 以上でございます。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 造船特区の問題につきましては、先般、佐伯の造船三社を回ってきましたけれども、現在は、仕事量が多くて、非常に活況を呈しておるんですが、仕事の予定というのがあと二、三年分しかなくて、しかも円高でキャンセルが続出しているというようなこともあって、大変厳しい状況に陥ろうとしています。 やっぱりその意味で、造船特区という、造船特区になったらどんなメリットがあるのか、それははかり知れないものがあるんでしょうけれども、やはり、自分たちは特区としてやっておるんだという、仕事に対するプライドとか気概とかやる気とか、こういうものがやっぱり動機づけになって、苦しいけれども頑張るんだ、これがやっぱり大事だと思います。そういう意味で、ひとつ、特区に向けての働きかけをやってもらいたい、このように考えるんですが、知事はどのようにお考えになっておるのか、お聞かせください。 それと、大型船修理ドックヤードについては、これは、ある意味では頭出しの質問かもしれません。事業主体がないから県は手は出せない、これはよくわかります。ただ、やっぱり、今までの観点からいうと、県がお世話して企業誘致したというんじゃなくて、民間レベルが、特に商工会議所に事務局を置いて、会頭を中心としてやろうとしています。 先般、「九〇三佐伯のあすを語る会」の席上で、九〇三というのは、九百三平方キロメーターの広大な地域の佐伯市をどうするかという、こういう語る会をつくったんですけれども、二日市副知事も来ていただいて、県の財政事情なんかも語ってもらいましたが、やはり民間が頑張っていく、それに今度は行政が支援していくという、こういう気概というのが僕は大事であって、その意味で、企業誘致という観点から、やはり民間の意向を受けて、やれることはやっていくという、こういう県の支援というものをつくってもらいたいと思っておるんですが、この点について再度お伺いしたいと思います。
    ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 初めに、造船特区の件でございますけれども、本当に県南、大分県の造船業は大変に頑張っていただいている、こう思います。いいときはいいんですけれども、大変苦しい長い道のりがあったわけでございます。そういうときにも、本当に歯を食いしばって頑張っていただいたというふうに思っております。 特区のお話ございましたけれども、我々、特区を設けなくても、心から応援をしておりますし、そのことについては造船業の皆さん方もよくわかっておられるんじゃないかというふうに思います。あとは、何か特区を設けることによって実利があれば、もちろんそれは大いに議論をしていきたいというふうに考えているところでございます。 率直に申し上げまして、向いている方向は同じでございまして、方法論として本当にそれが必要なのかどうかというだけの話ではないかというふうに思っております。 第二番目の大型船修理ドックヤードの件でございますけれども、おっしゃるように、こういう大きなプロジェクトについては、しかも営業として持続的にこれができるような体制をつくっていくというためには、やはり、民間の企業が燃え上がる、そして、民間が、やろうという人が燃え上がるし、また、それを応援する周りの皆さんが燃え上がっていくということがまず大事でございまして、それを抜きにして我々が前に出ていって、こんなものが必要だからこういうふうにつくろうやというふうにやって、余り成功した試しはないような気がいたします。 そういうふうな段取りで物事を考えるべきではないかというふうに思っておりますが、まだ残念ながら民間の動きの気配も見えないというのが私の印象でございまして、もうちょっと様子を見ていきたい、こう思っているところでございます。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 ありがとうございました。 また、この特区にすれば、知事も、そういう予定地の視察なんかも含めて、できるように準備をだんだん我々も進めていきたいと思いますので、その節はまたお願いしたいと思います。 次に、有料道路についてであります。 先般の報道によりますと、大分市内の大野川大橋と米良の有料道路について、地元住民や商工関係者からの要望を受けた際に、知事は無料化に向けて前向きに検討するとの考えを示したということであります。 両路線は、かねてから早期の無料化に向けた要望が強く、県は、料金割引等の対策は講じたものの、計画上の料金徴収期間を十年以上も残す中で、無料化にはなかなか踏み切れない状況であったと記憶しています。その意味で、私は今回の知事の発言を驚きを持って受けとめているのであります。 確かに、無料化されれば地域経済や住民生活にははかり知れない好影響がもたらされますが、これまでの方針を変更することとなった経緯、背景は何なのか、まずお尋ねします。 また、有料道路の無料化ということであれば、空港道路についても検討の俎上にのせてもよいのではないでしょうか。 近年、大分空港の利用者数の減少は著しく、利用促進策が県の喫緊の課題となっています。私の地元、県南方面からの利用者の増加を図るためのアクセス改善の取り組みも始められており、その一方策として空港道路の無料化も一考に値するのではないかと考えますが、ご見解をお伺いします。 また、自民党会派としても、今回の無料化に向けた検討を大いに歓迎しますが、実現に向けては、道路公社の償還金の問題を初め、解決すべきさまざまな課題があるのではないかと思います。 今後、どのような課題をクリアしていかねばならないのか、また、その課題解決策はあるのか、お尋ねをしたいと思います。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 有料道路の無料化についてのご質問でございました。 大野川大橋を初め、道路公社が管理する有料道路の無料化につきましては、以前から多くのご質問をいただいておりました。また、住民の皆さんからも直接ご要望をいただいておりました。その際、私といたしましては、無料化の前倒しということは、一定の財政負担も伴うものだ、したがって高いハードルがあるというふうにお答えをしてきたところでございます。 しかしながら、他方、私も常々申し上げてきたところですけれども、県都の市街地で、だれもが日常的に利用する道路が有料であるということは、住民感情として、なかなか理解しがたい面があるということも事実だと思っております。 また、県都における渋滞対策として、国道一九七号の鶴崎地区の拡幅事業について調査検討を進め、あるいは国道一〇号の中判田地区の拡幅を国に要望しているところでございますけれども、ご案内のように政府において道路の新規事業の凍結方針が表明されるなど公共事業が厳しく抑制されるという見通しになりまして、これらの渋滞対策事業について、残念ながら先が見えないという状況になってきたところでございます。 さらに、そういう中、平成二十三年一月には大分駅付近の高架化に伴う大道陸橋の撤去ということを控えておりまして、市内南北方向の交通混雑への対策として、米良有料道路には迂回路としての積極的な活用が求められているというような状況でございます。 こうした状況の中で有料道路の無料化は、高い効果と即効性が期待できる渋滞対策となってまいりました。加えて、住民感情も考え合わせますと、いつまでも、ハードルが高いです、無理ですとばかりは言っておられないという状況になりまして、そろそろ決断しなければならないと考えて、この間、また、住民の皆さんが大勢お越しになったときに、前向きに検討したいというふうに申し上げたところでございます。 次に、大分空港道路についてのご質問もございました。 空港道路は、大野川大橋や米良の有料道路と同様に、道路公社が管理する道路でございます。 この十一月からホーバーが運航休止となりまして、空港へのアクセスの改善が急務となってまいりました。加えて、国東地域に立地する企業への通勤混雑が見られる国道二一三号の渋滞解消対策も求められておりますけれども、他方、空港道路を無料化して交通量がふえると、渋滞は生じないまでも、これまでの定時性が低下する可能性もまた指摘されているところでございます。 このように空港道路の無料化につきましては、新しい事情も考慮しながら、より慎重な検討を要するところでございますけれども、大分市内二路線について検討する中では、道路公社全体としての財務状況や組織の効率性にも目を向けなければならないということから、今後、空港道路につきましても、やはりあわせて検討をすることが必要だというふうに考えております。 しからば、無料化に向けた検討における課題はどんなことがあるのかということでございますけれども、最大の課題は道路建設の財源となっている借入金の償還の問題でございます。 平成二十一年度末の残高見込みは、公社全体として約四十一億円でございます。市内二路線分が三十八億円となっております。 毎年、計画に沿って償還を進めておりますけれども、借入金残高は着実に減少しておりますけれども、一括償還を行うということになりますと相当額の財源手当てが必要となるわけでございます。 この借入金を前倒し返済するための財源としては、道路公社が料金収入の一部を留保しております損失補てん引当金というのがございまして、この充当が可能ですけれども、この累計額は二十一年度末で約三十一億円ということでございまして、現時点では十分な額には達しておりません。 この差額分を県の支出で埋めるというふうに考えますと、そのために他の地域で待ち望まれている道路整備をおくらせるということになっては適当ではないというふうに考えます。そこのところの財源をどうするかということでございまして、例えば、国の景気対策で今年度交付されます経済危機対策臨時交付金を活用できないかということも一つの案として検討しているところでございます。そうすれば、他の地域で道路の建設を待ち望んでおられる方に直接影響が来ることはないということでございます。 また、公社に対する県からの出資金が約百十億円ございますけれども、そのうち約四十七億円が市内二路線の建設に充てられているところでございます。この出資金は、料金徴収期間満了まで料金収入を積み立てて、公社解散時に県に返還するという計画であります。しかしながら、この通行料収入は計画を下回っておりまして、出資金全額の返還は既に困難な情勢となっているところでございます。無料化を前倒しする場合には、この出資金をどう考えて、どう取り扱うのが妥当かという問題もございます。 加えて、道路整備特別措置法に基づく料金徴収期間の変更及び地方道路公社法に基づく道路公社の定款変更等について議決をし、それぞれ国土交通大臣認可の手続も必要になるというようなことでございまして、こんなことをクリアしながら結論を出していかなきゃいかぬということになるわけでございます。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 丁寧なご説明、ありがとうございました。 検討すべき課題や手続はいろいろ山積しているようでありますが、県民の皆さんが最も気になるのは、いつごろ無料化に移行できるのかということであります。 最後に、その見通しについてお聞かせください。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ただいま申し上げましたとおり、無料化ができるかどうかを検討しているところでございまして、いつ無料化できるかについてはお答えをする段階にはございません。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 十分に検討していただいて、県民の期待にこたえるように頑張っていただきたいと思います。 次に、教育問題について質問をいたします。 まず、私学振興についてであります。 私学の役割と公私立収容比率、いわゆる公私間比率についてであります。 去る十一月十一日に自民党の大分県私学振興調査会と県教育委員会との意見交換会が開催されました。その中で私立中学・高等学校協会の小山会長より私立高校の現状と課題について説明がありましたが、その概要として、「私学は、公教育の一端を担い、進学、就職、スポーツ等の分野で成果を上げている。しかしながら、公立と私立の生徒一人当たりの公費負担は、平成二十一年度で、公立百二十二万一千円、私立三十二万九千円で約三・七倍、また、授業料等の保護者負担は、初年度納付金が公立十二万四千円、私立五十三万六千円で約四・三倍の格差がある。私学は公立に比べ効率的な運営を行っており、保護者負担は九州各県の中で最も低く、全国四十位と低位にある。今後は、民間活力活用の観点で公私比率を見直し、私学を活用してもらいたい」との説明がありました。 そこで、四点について質問いたします。 まず、教育水準向上における私学の役割についてでありますが、私学の役割をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。 また、公私比率の見直しについてでありますが、岡山県では行財政改革の一方策として公私比率を見直しておりますが、本県も民間活力活用の観点で公私間比率を見直す考えはないかについてお伺いします。 三点目は、生徒一人当たりの公費負担や保護者負担の公私格差の是正についてどのように考えているのか。 また、四番目には、同一の県民教育でありながら、公立と私立の二重管理運営を行っておりますが、公立学校行政と私学行政を一元化できないのか、この点について質問いたしたいと思います。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私の方から教育行政の一元化についてお答えを申し上げます。 公立と私立のいずれの学校でありましても、大分県のすべての子供たちが夢に挑戦して、自己実現を図るための基礎となる力を身につけていく、また、社会にとって有為な人材を育てるということが大変重要な課題でございます。それは公私を問わず大事なことだというふうに思っております。 したがって、教育行政を公私立で一元的に行うかどうかということにつきましては、公立学校と私立学校のそれぞれの特性を踏まえまして、その特性をそれぞれに生かしながらやっていくということが大事でございまして、だからこそ教育委員会と知事部局がきちんと責任を分担しながら行政を行っていくのがいいんではないかというふうに考えております。 地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、教育委員会が公立学校、知事が私立学校を所管するということが規定されておりまして、いずれかで一元的に公立学校と私立学校を担当することができないというふうになっておりますのも、こうしたそれぞれの特性、いいところを生かしながらやってもらおうという趣旨からのことだというふうに考えております。 教育委員会と知事部局は責任分担をしながら教育行政を行ってまいりますけれども、ただ、教科指導だとか、あるいは教育センターにおける教員研修など協力できるところは連携をとって取り組みを行っていくことがいいんではないかというふうに考えておりまして、これはやっていこうというふうに思っております。 今後とも、教育委員会、知事部局が一体となりまして、大分県の子供の力を伸ばしていくということをやっていきたいと思います。 ○安部省祐議長 城井生活環境部長。 ◎城井秀郎生活環境部長 私の方から三点お答えいたします。 まず一点目、私学の役割でございます。 私立高等学校は、平成二十一年度には全体の二三・一%の生徒数を占めており、独自の建学精神や教育理念に基づいた特色ある学校づくりを進めております。 大学進学面では、中高一貫教育や特進クラスの設置により、その実績を高め、また、スポーツ面では、甲子園大会出場や東九州龍谷高校の女子バレーの三冠達成に代表される全国的な活躍、その他文化面においても目覚ましい活躍が見られるところであります。 さらに、公立高校にない学科の設置など公立高校の不足分野を補いながら、質、量両面にわたり本県高校教育に大きな責務を果たしております。 県としましても、このような私立学校の振興を図ることは高校教育の発展を図る上で重要であると認識しており、その運営費の一部や特色ある学校づくりを支援しているところでございます。 二点目の公私比率見直しでございます。 公立高校と私立高校の入学定員の公私比率は、県内の教育関係者や学識経験者等で構成する大分県公私立学校教育協議会で三年に一度協議することとなっております。 これまでも、進学率や中学卒業者の数など、その時々の社会背景をもとに、県民ニーズを勘案しながら、公立、私立関係者の意見を取り入れ、設定をしてまいりました。 現在は、基本部分と公私それぞれの経営努力を反映させるための自由競争部分に区分し、公私比率を定めているところでございます。 今後でありますが、来年度が見直しの時期に当たりますので、当協議会におきまして、民間活力活用の視点も含め、公私の役割や県民ニーズ、九州各県の状況などを勘案しながら公私比率について協議をいただくこととなっております。 次に、三点目の公私格差についてでございます。 公立学校と私立学校では、その設立形態の違いによりまして、必然的に公費負担の格差が生じるところでございます。しかしながら、私立学校は公教育の一翼を担っておりますことから、私立学校振興助成法に基づきまして助成を行っているところでありますが、今後とも、私立学校が果たす役割の重要性にかんがみ、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。 保護者負担につきましては、従来から実施しております経済的理由により修学が困難な私立高校生の授業料の減免制度、これをこの九月に拡充するとともに、高校生の奨学金の貸与枠を拡大いたしました。 国では、公立高校授業料実質無償化や私立学校生徒の保護者に対する授業料支援などが検討されており、その動向を注視しているところでございます。 以上です。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 公私間比率、あるいはまた、私学、公立の役割についてなんですが、今までは、県はやっぱり県立高校優先主義をとっておりまして、私学は私学でやりなさいという形で、お互いが関与しないというか、そっぽを向いておったわけでありますが、これからは、少子化の影響で生徒数も激減するし、私学の経営、あるいはまた、今、大分県教育が抱えておる教育レベルの低下、そういうものを含めたときに、私学と公立とが競争し合っていく、しかし、競争で敵対するんじゃなくて、お互いを高めながら教育の水準を高めていく、こういう協力関係というのが僕は必要だと思いますが、言葉では「私学は大事」と言いながら、実態はそうなっていない。ここがやっぱり問題だと思いますので、知事、ひとつ、知事の直属の機関で、私立と公立とを総合的に検討し合う、こういう機関をつくるべきじゃないかと思っておるんですが、まずその点について知事にお伺いをしたいと思います。 ○安部省祐議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 きょうは大変大事なご指摘をいただきましたけれども、今お話があった公私間の比率、あるいは公私間の格差というのは、いつも教育委員会と知事部局で議論をしておりまして、けんけんがくがくやり合っております。そういう中でおのずからバランスのとれた施策が出てくるんだろうというふうに思っておりまして、最近は、そのあたりはかなりいい方向で議論が進んでいるんじゃないかと思っております。これからも心しまして、公私間のバランスをとりながら政策を進めていくということに努力をしていきたいというふうに思っております。 特別な組織をつくるというよりも、知事部局挙げて対策をやりますので、どうぞご安心を願いたいと思います。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 言葉よりも実行が大事だと思いますので、ひとつ前向きにお願いします。 公私の教育の一元化については、ことし三月の大阪府議会で橋下知事に対してこういう質問も出て、総合的な教育庁構想なんかも出ておりますが、やっぱり制度上難しいというような話で橋下知事も答えているようにありますが、しかし、従来の研究からいうと、秋田県とか青森とか茨城とか岐阜県あたりではこの一元化という形をとっておるんですが、現行の制度の範囲内で教育庁が知事の業務補助を執行しているという、こういう状態をつくっておるわけでありまして、やっぱり大分県もこういう次元に近づいて、私学は私学、公立は公立という別物じゃなくて、私学の経営理念とか、あるいはまた、経営とかを尊重しながら、そこの歩み寄りをひとつ重ねていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、全国学力テストについてであります。 新政権は、全国学力テストについて、わずか三回実施しただけで、来年度から、これまでの全員方式を四〇%程度の抽出方式に変更することとしています。教育現場には戸惑いが広がっており、新聞報道によりますと、県内の市町村教育委員会の対応が分かれているということであります。 そこで、四点について質問いたします。 まず、全員参加型の実施を望む県教育委員会は、市町村教育委員会とどのような協議、行政指導を行ってきたのか、また、今後どのように対応していくのか、お伺いします。 また、全国的な学力水準の把握等についてでありますが、抽出方式による参加で、全国レベルの位置づけ、学力水準の把握をどのように確保していくのか、生徒や保護者に対して情報公開、情報提供と説明責任を担保できるのかどうか。 また、全員参加型に伴う財政負担についてでありますが、十八市町村中二市が、抽出されなかった学級の不参加を表明しています。参加を望んでいる残り十六市町村にも、財政負担の問題から最終判断を保留している市町村もあります。財政負担の問題に対して県はどのように対応するのか、ご答弁をお願いします。 また、教育水準の向上と人材育成についてでありますが、学力テストを差別の道具としてしか考えない低レベルの教育観で大分県の教育水準を向上できるのか、また、世界に貢献する人材育成が可能なのか、教育委員長並びに教育長のご見解を示してもらいたい。よろしくお願いいたします。 ○安部省祐議長 林教育委員長。 ◎林浩昭教育委員長 お尋ねのありました教育水準の向上と人材育成についてお答えいたします。 学校教育の目的は、子供たちが夢に挑戦し、自己実現できるよう、知、徳、体のバランスのとれた有為な人材を育成することにあります。とりわけ義務教育段階は、社会に出て自立し、力強く生き抜いていくための土台づくりであり、基礎的、基本的内容をしっかり身につけていただくことが大事であるというふうに考えています。 中期行財政運営ビジョンにおいては、「三年以内に小中学校とも学力テストの正答率を九州トップレベルに向上させる」という目標を掲げています。このことは、単に全国順位を上げることのみが目的ではなく、先ほど申し上げた学校教育の目的を達成するためのものであり、現在、各学校では懸命に取り組んでおります。 私たちは、いかに激しく変化する社会にあっても、子供たちが進路を切り開き、自己実現できるようにしっかりとサポートし、有為な人材の育成を目指してまいります。 まずは、ビジョンに掲げました目的の達成のために、教職員の一層の資質向上を支援するとともに、市町村教育委員会や教職員と一緒になって学校現場のさまざまな問題を解決しながら、あすの大分県を担い、そして我が国や国際社会に貢献できる人材育成を主導してまいりたいというふうに考えております。 以上です。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 四点についてお答えします。 まず、市町村教育委員会との協議についてであります。 文部科学省は、このたびの抽出方式の変更に伴いまして、抽出対象外でも市町村が希望すれば調査問題を利用できるというふうにしております。 県教育委員会では、抽出対象外となる学校におきましても、本県の学力の現状を踏まえ、国の調査問題を利用して参画するように市町村教育委員会に働きかけております。 文部科学省からは、今後、全国テストの枠組みが固まり次第、改めて、正式に利用希望を照会するという通知を受けております。 そのため、抽出されなかった学校や学級におきましても、児童生徒個々のつまずきを把握し、他と比較できる体制をつくるために、希望利用方式を積極的に活用するように市町村に奨励したいと考えております。 次に、全国的な学力水準の把握等についてであります。 全国学力テストにつきましては、国に対して、児童生徒個々のつまずきに対応できる現行の悉皆調査を引き続き実施するよう要望してきました。 現行の悉皆調査が抽出調査に変更された場合、すべての児童生徒個々の状況については把握できません。例えば、市町村ごとに四〇%の抽出であれば、全国における本県の学力の水準は把握できるというふうに考えております。 しかし、本県の学力の状況を踏まえたときに、個々の児童生徒のつまずきに的確に対応して保護者等への説明責任を十分に果たしていくことが求められておりますことから、抽出されない学校におきましても希望利用方式による参画を奨励してまいります。 全員参加に伴う財政負担についてであります。 希望利用方式では、抽出されなかった学校でも、市町村が希望すれば、国の抽出調査と同じ問題が無償提供され、調査を実施することができます。その場合、採点、集計等については、市町村がみずからの責任と費用負担で行うとされております。 各小中学校がみずから採点、集計して、国が公表します全国調査の結果と照合して分析をすれば、特段の費用負担なく、学校の学力水準や児童生徒個々の課題を把握でき、個人のつまずきの解消に役立つものであります。 次に、教育水準の向上と人材育成についてであります。 本県の子供たちが将来どのような道に進もうとも、みずからの進路を切り開き、自己実現できるように、義務教育段階では最低限必要な基礎、基本をしっかりと身につけることが重要であります。 本県の学力水準は、過去三回の全国学力・学習状況調査結果が示すとおり、課題が多く見られます。こうした現状を踏まえますと、学力水準の向上を図ることが極めて重要であります。教育委員会の責務として、現在、県を挙げて学力向上に取り組んでおります。 今年度から、地域人材の参画を得て、放課後や長期休業中に基礎、基本の徹底を図る学びの教室推進事業を始めました。 また、先月から今月にかけまして、学力の向上に成果を上げている他県を県内すべての市町村の先生方が訪問しております。 他県のすぐれた取り組みを直接肌で感じることができますし、自分たちの課題が明らかになり、みずからの教育実践に生かすことが可能となるものであります。 こうした教職員の不断の努力と家庭の理解、協力を得まして、子供たちが自己実現を図り、地域社会に貢献できる有為な人材の育成に全力で取り組んでまいります。 以上であります。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 全国学力テストの参加については、抽出方式になっても悉皆調査と同じように参加を促していくけれども、お金は出さぬということですか。県としては、市町村が負担してやりなさいということをあくまでも貫くということですか。ちょっとその辺をはっきりしてください。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 全国の学力テストに希望して参画する場合は、それぞれの市町村の負担において参画すべきものというふうに考えております。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 ちょっと一問一答方式みたいになって悪いんですけれども、それやったら、参加しないという町村が出たときには、県の指導なり、それは崩れてくるんじゃないですか。そういうときには、どういうふうに事態収拾するんですか。やっぱり県としては、ちゃんと参加しなさい、そのかわり、お金も負担しますというのが筋じゃないですか。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 それぞれの市町村において義務教育の学力向上を図るというのは、これは市町村の大きな責務でありまして、もちろん私どもの責務でもあります。 国の方では四割という想定をしております。六割のところが希望すれば自己負担においてということになるわけであります。 私どもとしましては、市町村がそれだけ熱意を持って、みずからの責任において参画するという、その姿勢も必要ではないかというふうに思います。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 わかりました。これ以上、問答したって進みませんので、特別支援教育について質問いたします。 次に、本県の特別支援教育の人事問題について質問いたします。 県は、二十年三月、大分県特別支援教育推進計画を策定し、養護学校等の再編整備や教育内容の充実、教職員の資質向上に向けて取り組んでいます。その一環として、今定例会に、養護学校の校名を支援学校に変更し、また、別府の三養護学校を再編するための条例が提案されています。私は、この計画を実施していく中で、教職員の資質向上、特に人事問題が極めて重要であると考えています。 さて、本県の特別支援教育の現状について調査してみますと、まず、教職員の現状として、一つ、小中学校からの異動者で病気休職者を充てることが多い、二、退職前に漫然と勤務し、全く給与分働いていない、三、特別支援の免許を取得しようとしない者がいる、次に、管理者の現状として、特別支援教育を本当に目指す人を登用していない、学校運営にかかわる知識が不足している、管理職の中でも特別支援の免許を持たない者がいる等々の現状が浮かび上がっています。私は、このような現状には強い懸念を抱いています。 そこで、四点について質問いたします。 まず、この特別支援学校の教員と普通学校の教員との相互交流についてどのように考えているのか。 また、専門的な知識や技術を持たない、子守や保育の域を出ない、やる気のない教員への対応についてどう考えているのか。 三番目に、特別支援教育を守るための六%の給与の調整額がいつの間にか特別支援教員を衰退させる原因になっている点をどのように考えているのか。 さらに、特別支援学校の管理職や教職員の登用を仕事の待機場所への人事異動として位置づけている本県の教育についてどのように考えているのか、この点についてお伺いいたします。 ○安部省祐議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 四点についてお答えします。 まず、特別支援学校と普通学校の人事交流であります。 特別支援学校においては、障がいの重度重複化に対応できる専門性の高い教職員の育成が課題となっております。 一方で、小中学校、高等学校におきましては、発達障がい等により特別な支援を必要とする児童生徒が多数在籍しておりますことから、特別支援学校以外の教職員についても特別支援教育に関する実践的な知識と専門性の向上が求められております。 特別支援教育専門教員として採用された教職員につきましては、特別支援学校における専門性の確保の観点から、現在、人事交流は行っておりません。 一方、小中学校、高等学校の教員につきましては、特別支援学校との一定規模の交流を行うことによりまして、小、中、高等学校での特別支援教育に関する専門知識の普及、他の教職員の理解促進につなげるという効果とともに、特別支援学校の方におきましても、各教科の専門性の向上という面も期待しているところであります。 次に、特別支援教育担当教員の専門性の向上についてであります。 特別支援学校の教員には、特別支援教育に関する専門的な知識、技能と高い意欲が求められます。 特別支援教育推進計画におきましては、特別支援学校教諭免許状の保有率の向上、専門教員の継続的、安定的な採用、研修の充実、この三つを柱に教職員の資質向上を図り、特別支援教育のさらなる向上を目指しております。 今年度の特別支援学校教諭免許状の保有率は、幼・小学部が九三・六%、中学部が八八・四%、高等部が七四・七%でありまして、特に高等部が課題となっております。 未習得の教員に対しましては、大学の認定講習を受講させるとともに、学校独自で校内研修を実施して日常的な教員の専門性の向上に努めています。 今年度からすべての特別支援学校で公開授業を行いまして、小中学校の教員や保護者の方々にも参画を呼びかけ、地域の理解と協力を得ながら授業力の向上を図っております。 今後も、推進計画に基づきまして、特別支援教育に関する専門性と意欲を兼ね備えた教員の育成に努めてまいります。 次に、特別支援教育に係る給料の調整額についてであります。 特別支援教育に係る給料の調整額は、障がいのある児童生徒の教育を行うという勤務の特殊性から支給されているものでありまして、全国的にほぼ本県と同様の措置が行われております。 平成十九年の三月に出されました教員給与のあり方についての中央教育審議会答申では、従来の特殊教育が特別支援教育として整理されて、通常の学校においても教員全体で特別支援教育を担うことが求められるようになり、他の教員との均衡上、給料の調整額の支給が適切かどうか、廃止も含めた検討の必要性があるとの考え方が示されました。 これを受けまして、国においては、本年度の予算におきまして、既に来年一月からの予算の縮減が盛り込まれております。 本県におきましても、こうした国の予算措置を踏まえて、来年一月から特別支援教育に係る給料の調整額を二五%引き下げることとしております。 当該調整額の取り扱いにつきましては、今後とも国、各県の動向を注視しながら対応してまいります。 次に、教職員の人事異動であります。 まず、管理職の配置におきましては、その人の持つ識見、能力、学校種ごとの経験、さらには配置先学校の抱える課題への対応力等を総合的に勘案して配置しています。 特に、特別支援学校の管理職につきましては、可能な限り特別支援学校経験を有する者を配置するように努めております。やむを得ず特別支援学校経験のない者を配置する場合には、特別支援教育を理解して、課題解決ができる人材の配置に配慮しております。 一般教職員の人事異動に当たりましては、免許状の保有状況や本人の意欲、適性等を考慮して、若手、中堅を中心に交流を行っております。 特別支援学校教諭免許を有さない職員が異動した場合には、異動後、早い段階で資格取得ができるように、教育委員会で資格取得のための認定講習会を毎年開催して、その支援を図っているところであります。 以上であります。 ○安部省祐議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 ありがとうございました。 最後になりますけれども、なぜ特別支援教育の人事問題が大事かというと、先般、教育委員会が全国学力テストの優秀な秋田県を調査したと思いますが、その中に、生徒一人一人に対する丁寧な進学学習指導が取り上げられていると思います。特別支援教育というのは、教師と生徒が一対一の教育の現場の中でやっておるわけでありまして、その意味で、その基本姿勢というのは私はもう大変大事だと思います。そういう意味で、普通科教育の促進についても一人一人を丁寧にする、特別支援教育でも専門性を持って丁寧に指導する、これがやっぱり大分県の教育レベルを上げていくものだというふうに思っています。 どうぞ、特別支援の教育についても、人事に手を抜かずに、しっかりとした適材適所を充てていただくように心からお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○安部省祐議長 以上で田中利明君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。     午後一時一分 休憩  -------------------------------     午後一時五十四分 再開 ○佐藤健太郎副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。賀来和紘君。  〔賀来議員登壇〕(拍手) ◆賀来和紘議員 皆さん、こんにちは。三十四番、県民クラブの賀来でございます。 平成二十一年第四回定例会に当たり、五項目にわたって質問をさせていただきたいというふうに思います。 新政権が誕生いたしまして、早いもので三カ月が過ぎ去ろうといたしています。国における事業の見直し、あるいは永田町、霞が関もうでの簡素化や新制度導入など次々に出される課題について、大分県を預かる知事といたしましても、執行部の皆さんといたしましても、また、地方自治体を預かる皆さんにも、戸惑いと不安を感じられているんではないかと思います。 今日の状況は、地方六団体が求めてきた地方分権、地域主権、国民生活第一の政治を確立するための第一段階とお受けとめいただき、発想の転換をいただきながら、新政権としっかり向き合って、県民の福祉向上に努めていただくことを、まず冒頭にお願いを申し上げておきたいと思います。 それでは、質問に入らせていただきます。 質問の第一は、ホーバークラフト休航問題と空港アクセスの問題についてお伺いをいたします。 大分空港の利用者数は、平成九年度の二百八万七千人をピークに減少傾向にあります。特に平成二十年度の百七十万三千人は、前年に比べ十二万人も減少するなど、大変厳しい状況に置かれております。 大分空港開港とともに運航してきたホーバーフェリーの利用者数は、平成二年の約四十三万九千人をピークに、十五年以降は三十万人前後で推移をしてきましたが、大分空港の利用者減に伴い、経営難に陥っておりました。 今年七月、本県は、羽田空港再拡張に伴う国内航空路線の発着枠の確保について、国に対し強く要望をいたしました。羽田空港の再拡張工事は平成二十二年十月に完成する予定で、これにより年間発着回数は現在より三〇%の増加が見込まれることから、大分空港と羽田空港との路線、便数の拡張やダイヤ改善の絶好の機会と大いに期待を寄せているところであります。 こうした状況の中、国内唯一のホーバークラフトが十月三十一日を最後に別府湾から姿を消してしまいました。このことは、空港とのアクセス利便性の低下だけでなく、大分空港の利用者数に悪影響を及ぼす可能性があるなど、大分空港の将来に大きな影を落とすことになるのではないかと危惧をいたしています。 また、全国広しといえども、ホーバーは大分にしかない乗り物です。国内唯一の大分ブランド、ホーバーフェリーとして、大分観光の目玉商品となり得るのではと、そういう思いもあり、休航に強い寂しさを抱いています。 そこで、国内唯一のホーバークラフトの休航という結果について、出資者である県としてどのようにお考えか、お尋ねをいたしたいと思います。 他の質問は、質問席からさせていただきたいと思います。  〔賀来議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○佐藤健太郎副議長 ただいまの賀来和紘君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま賀来和紘議員からお話がありましたように、新政権が誕生して、はや三カ月ということでございます。大変清新なイメージを持って、私どもも、地域主権等、新しい取り組みに大いに期待をしながら向き合っていきたいというふうに思っているところでございます。 初めに、大分ホーバーフェリーの運航休止についてご質問を賜りました。 大分ホーバーフェリーは、県都大分市と大分空港を約三十分で結ぶ便利なアクセス手段として、最盛期には空港利用者の三分の一を超えるシェアを占める利用がございましたが、平成十四年に大分空港道路が全線開通するなど道路整備が進みました結果、バスやマイカーでのアクセスが便利になったことから、シェアは、その後、減少傾向にありました。 また、昨年のリーマンショック後の景気の急激な悪化の中で、ビジネス客のウエートが高いホーバーの利用者数がさらに減少いたしまして、経営状況が急速に悪化した経緯がございました。 この間、県といたしましても、ホーバーの利用促進に向けまして、割引運賃の提案だとか、さまざまな経営改善策も提案してまいりましたけれども、利用者の減少を補うまでには至りませんでした。 加えて、エンジンが生産中止となりまして、部品の供給が打ち切られたことなども背景にありまして、会社は事業の継続を断念し、運航休止という事態に至った次第でございます。 ホーバーは、ご指摘のとおり、長年にわたって大分空港への便利なアクセス手段として県内外の多くの方々に利用されてきただけに、私としても大変残念に思っているところでございます。 会社による民事再生の申し立て後も、県内の交通関係企業はもとより、県外企業にまで打診先を広げて運航再開の可能性を模索してまいりましたけれども、航空需要の低迷に加えまして、政府による高速道路無料化の方針が打ち出されるなど、ホーバーをめぐる経営環境に明るい兆しがなかなか見えないということから、現在までのところ、運航再開に名乗りを上げる企業はあらわれていないという状況でございます。 このため、県といたしましては、大分空港への陸上アクセスの改善に軸足を移しまして、現在より短時間でアクセスできるような空港特急バスの導入など、空港利用者の利便性の向上を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 大変ご丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。 特に、ホーバークラフト最終日には、あれだけ増便を出すという、ファンもたくさん生まれたわけでありますし、そういったことから考えていくときに、本当に寂しいという感を抱きますし、また、担当者の皆さんと話す中で、この再運航に向けて、一生懸命に知事初め、ご尽力いただいているということについて、私どもも本当に期待を寄せているところでありまして、ただ、今の知事の答弁の中では、もうあきらめられたのかなという、ちょっぴり寂しさを感じますが、ぜひひとつここら辺については、大分の名所として、名物として、これはやっぱり運航を再開するように努めていただくことが大事ではないかというふうに思っていますので、その点、ひとつお受けとめいただきたいと思います。 そこで、今も申し上げましたように、県はホーバークラフトの航路を存続させるために譲渡先を探してきたそうでありますが、「現時点では見つかる見込みはない」と発表されました。 報道によりますと、「船体は、債権者にそのまま引き渡すか、解体して支払いに充てる可能性が出てきた」とされていますが、ホーバークラフトには解体の道しか残っていないのでしょうか。 空港利用者の足として、また、本県の観光の目玉としての利活用も考えるべきではないかという感を抱きますが、今後の見通しについて、再度お伺いをさせていただきたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 楢本企画振興部長。 ◎楢本譲司企画振興部長 ホーバークラフトの利活用についてお答え申し上げます。 先ほど知事の答弁でもございましたように、ホーバークラフトの航路の運航再開について、幾つかの企業に打診をさせていただいたところでございます。県内の交通関係事業者四社、また、県外にも二社ほど航路の引き受けについて打診をさせていただきました。 ただ、現状で申し上げますと、部品の供給がもう既に打ち切られているとか、エンジンをもし交換する場合には一隻四億円以上を要するというようなメンテナンスにかかる費用が非常に高額になるというようなことから、現時点で引き受け手は見つかっていないのが現状でございます。 また、ご提案の観光船として使えないかというご提案もございます。そういった声も寄せられております。ただ、船体がご存じのとおり観光向けにつくられておりません。外の景色が見えないというような状況もございます。また、整備費、燃料費など運航に伴う経費が、やはり特別な船でございますので、非常にかさむというようなこともあって、採算性の確保が非常に厳しいということで、観光面での活用は現時点ではかなり難しいと考えているところでございます。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 船体そのものの構造からして、観光面での活用は非常に難しい。されど、これがそのまま鉄くずとして処理をされるということになってくるとするならば、非常に、この債権者、どういう扱いをしていくのかということにもなってこようかと思いますが、その点について、鉄くず化したときに債権者がどういう扱いを受けていくのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 楢本企画振興部長。 ◎楢本譲司企画振興部長 もし解体された場合は、それぞれでまた、例えば、エンジンはエンジン、外の船体は船体ということでスクラップ等して、また、エンジンの一部として売却をされるということで、最終的に、会社が終わるときといいますか、会社が整理されるときに、債権者にその金額が加わるという形になろうかと思います。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 イエスかノーかでお答えいただきたいと思うんですが、もう二度とホーバークラフトを見ることはなくなるんでしょうか、その点についてお伺いします。 ○佐藤健太郎副議長 楢本企画振興部長。 ◎楢本譲司企画振興部長 イエスかノーかというのは非常に難しいんでございますが、まだ最終的に再生計画、これは、会社を閉じるという形の再生計画が今、最終決定まで至っておりませんので、その間は、まだ可能性はゼロではないというふうに思っております。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 そのゼロではない部分に、仮に一%であっても大いな期待を寄せておきたいというふうに思います。 それでは、空港利用者の足の確保策について、先ほど知事からもご答弁をいただいていますが、もう少しご答弁、細かくお願い申し上げたいと思うんですが、ホーバーの運航休止に伴いまして、大分交通は、十一月一日から大分ホーバー乗り場と大分空港を結ぶ代替バスを暫定運行いたしておるようであります。バスは、飛行機の接続を考慮したダイヤで、ホーバーとほぼ同じ一日十二往復で、来年三月末までの運行予定ですが、同社は「暫定運行をどうしていくかは乗客数を見ながら決めたい」としておるようであります。 ホーバーなき後の交通アクセス策について県のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。 ○佐藤健太郎副議長 楢本企画振興部長。 ◎楢本譲司企画振興部長 ホーバー航路の運航が再開されない場合の空港アクセスの対策についてお答えいたします。 大分空港への交通手段は、ホーバーがなくなれば、バス、マイカーが中心となるということになります。そのアクセスの改善にまず取り組んでいきたいというふうに思っております。 バスにつきましては、ホーバーの利用客がスムーズにバス利用に移行できるように、まずは、ホーバー代替バスを中心に、路線、便数の充実を図りながら、輸送能力を確保してまいりたいというふうに思っております。 その際、可能な限り、所要時間の短縮を図ることが必要だと考えます。このため、高速道路経由のノンストップ便の増加を図るなど運行系統の再編、それから所要時間の短縮といったものをバス会社等関係機関に働きかけていきたいと思います。 さらに、バス利用者のための駐車場の確保にも取り組みまして、特に県民の方が空港を利用する場合が多いと思いますが、そういった方の利便性の向上にも努めていきたいと思います。 また、マイカーにつきましては、ホーバーの運航休止に伴いまして、利用者の増加が想定されるということも考えられます。そうした状況も踏まえまして、空港にあります駐車場の収容台数を拡大する、そういったことを関係機関に働きかけて、何とか利便性の確保に努めてまいりたいと思います。 以上です。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 今、最後に締めくくられましたように、やはり利用者の利便性を図る対策をどう講ずるかということが極めて重要な部分だというふうに思いますし、ぜひひとつ、利用なさる方々の利便性をご考慮いただいた対策をお願い申し上げておきたいというふうに思います。 次に、第二項目めの質問に移らせていただきます。 歳入確保策、とりわけ税外未収金対策についてお尋ねをいたしたいと思います。 本県においては、前政権による国の歳出歳入一体改革に伴う地方交付税の減少など大変厳しい財政状況が続く中、行財政改革を着実に実行し、県民ニーズに対応できる自主自立の強固な行財政基盤の確立に努めていますが、経済状況の悪化などもあり、税や税外未収金の総額は、平成十九年度の五十一億三千万円が二十年度には五十九億二千万円に膨らんでいます。 こうした中、収入未済額の解消に向け、各関係機関とも滞納整理に努めており、県税職員の市町村への派遣や自動車税のコンビニエンスストアでの納入等納付方法の拡大、また、県営住宅家賃については指定管理者と連携して夜間訪問徴収を行うなど、創意工夫を凝らし、徴収率向上に努めています。 今回、お尋ねいたしたい案件は、分担金及び負担金、使用料及び手数料、貸付金元利収入、公営企業会計の料金など、いわゆる税外収入における収入未済金の徴収改善対策についてであります。 平成二十年度決算における税外未収金は、一般会計で約六億七千万円、特別会計で約十一億四千万円、公営企業会計では医業未収金個人負担分が約三億円となっており、合計額は何と二十一億一千万円に上っています。 今日の県財政の厳しい中、税外未収金対策にもっと目を向けるべきではないかと考えますが、以下の税外未収金対策についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。 まず、全庁的な推進体制についてお尋ねをいたしたいと思います。 未収金の回収に当たっては、全庁的取り組みが必要ではないかと考えます。公表されている平成二十年度行政監査報告書によりますと、他県では、九都道府県において全庁的な組織を確立し、債権の整理、回収等に係る計画の策定または目標の設定とその進行管理などを行っているようであります。 また、このうち、組織の設置後一年以上経過した四都道府県において、未収金発生数の抑制や債権回収の増加などの効果を上げているそうであります。 本県として、未収金対策に係る全庁的な推進体制をどのように検討されているか、お伺いをいたしたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 佐藤総務部長。 ◎佐藤健総務部長 未収金対策の推進体制につきましては、昨年度まで実務レベルの債権管理等連絡会議というのがありましたけれども、今年度からは新たに関係課室長で構成をいたします全庁的な大分県税外未収債権縮減対策委員会、これを立ち上げたところでございます。 この委員会で未収債権縮減の進行管理を行うとともに、担当職員を対象といたしました研修会の開催、未収金の回収方策及び発生防止等の情報交換を行いまして、未収債権の縮減に鋭意取り組んでいるところでございます。 以上です。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 はい、ありがとうございました。 対策委員会でその対策を講じている。 そこで、全庁的な推進体制というのは、この委員会がかわって、この九都道府県がやっているような姿として想定をしてよろしいんでしょうか。その点、お願いします。 ○佐藤健太郎副議長 佐藤総務部長。 ◎佐藤健総務部長 各都道府県それぞれの態様に応じた体制があるというふうに承知をしておりますけれども、本県におきましては、所属ごとの債権の様子がやはり異なっているということで、事務局を今、総務部の方で持ってはおりますけれども、先ほど申し上げた委員会において、それぞれの課題を出しまして、そこの中で共通するものについては連絡、情報交換をして進めていくということで、これをもって全庁的な推進体制というふうに考えております。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 二十一億という埋蔵金があるわけですから、これをどう掘り起こすかというのは、県財政にとっても大きな価値ある埋蔵金だというふうに思いますので、ぜひひとつ対策委員会の中でも徹底追及をお願い申し上げたいというふうに思います。 次に、本県では県営住宅使用料について、指定管理者を置いて債権回収を行っていますが、ほかにも強制徴収できない貸付金などの債権回収において民間活用ができるのではないかというふうに思われます。 そこで、債権回収の民間委託についてどのようにお考えになられているか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 佐藤総務部長。 ◎佐藤健総務部長 債権回収を民間に委託することについては、方法論として一つ有効なものというふうには考えております。 債権管理事務の民間委託について、これを進めるという観点で、本年十月に、先ほどご紹介した縮減対策委員会の方で主催をいたしまして、債権回収会社から講師を招きまして研修会を開催いたしたところであります。 保有する債権の種類によりまして、督促、請求ができるという債権と納入の案内しかできない、事実上それしかできないという債権とがありますので、一様にはなかなか難しいところございますけれども、個別に費用対効果を勘案して、民間委託を検討していきたいというふうに考えております。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 その点は十分ご検討を進められているというふうに思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。 次に、お尋ねは、債権管理マニュアルの整備についてであります。 督促や滞納処分などの債権管理事務を適切かつ効率的に処理するためには、実用的な債権管理マニュアルの整備が不可欠ではないかというふうに考えます。 先ほどの報告書によりますと、本県において債権管理マニュアルを作成している本庁所管課は十九所属、四四・二%であり、二十四の所属は未作成となっておるようであります。 未収金に係る債権の内容はさまざまであり、その取り扱いも一様ではないと思われますが、債権の整理、回収に関する県の姿勢、債権管理事務の処理や処分の判断基準など基本的な事項を定めた全庁的な統一マニュアルの整備についてお考えをお聞かせください。 ○佐藤健太郎副議長 佐藤総務部長。 ◎佐藤健総務部長 ご質問にもありましたように、未収金に係る債権の内容とか、取り扱いというのは一様ではないものですから、それぞれの所管課ごとにマニュアルをまずもって作成をするように指導しているところでありまして、前年度末でマニュアルを作成していた所属というのは十九所属、全体の四四%ということでございましたけれども、今年度新たに十九所属がまた作成をするということでありまして、本庁所管課三十八所属、八八%が作成済みとなる予定になっております。 さらに、債務者が民事再生法の適用となった場合などに対応する必要もございますので、債権管理の事務処理や処分の判断基準などを定めました全庁的なマニュアルについても近く策定をする予定としております。 以上です。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 これで三十八所属ということで、残りが五ということになってくるわけです。 今も言われましたように非常に難しい部分もあろうかと思いますが、この五所属は、なぜこの三十八についていけなかったのか、この点の分析はどうなされているか、お聞かせいただきたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 佐藤総務部長。 ◎佐藤健総務部長 それぞれの所属について一個一個理由を述べることは避けますけれども、一応それぞれの所属も、残り五所属についても、マニュアルを作成する方向で今検討しておりますので、早急に進めるように、こちらからも再度申し上げたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 はい、ありがとうございました。 ぜひひとつ、未収金、大変な金額でもございますし、全庁挙げての取り組みをぜひお願い申し上げておきたいというふうに思います。 質問の第三は、養蜂支援策についてお尋ねを申し上げたいと思います。 最近、テレビや新聞等で報道されているミツバチ大量死の問題について、いろいろな角度で調査がされていますが、昨年夏に行った農林水産省の調査によりますと、ミツバチ大量死及び減少の原因としては、一つに、作物に被害を与えるカメムシやアブラムシ等の害虫対策に用いられる農薬によるもの、一つに、寄生ダニやウイルスによるもの、一つに、地球温暖化によるもの、一つに、女王バチの輸入停止措置によるもの、一つに、ハウス室内での湿度などによるミツバチのストレスによるものなどとされています。しかしながら、原因は複合的であることが推察されているだけで、本当のことはわかっていないのが現状であります。 ミツバチは、ハチみつの生産だけでなく、イチゴ、メロンなどの園芸作物生産における花粉交配の手段として用いられ、省力化を図る上で欠かせないものとなっています。 ミツバチ不足の問題が大きくクローズアップされる中、農林水産省は、本年四月、花粉交配用ミツバチの安定供給体制を整備するために、園芸農家のニーズと養蜂農家の供給可能量をマッチングさせる需給調整システムを立ち上げ、全都道府県を対象とした需給調整や情報提供を行ってきているところでございます。 一方、本県におけるミツバチ飼養者数は、昭和五十七年の三百三十一戸をピークに急激に減り続け、平成二十年には百十二戸まで落ち込みました。蜂群数についても、昭和五十七年に一万三千五百二十二群あったものが四千四百二十四群にまで落ち込んでいます。また、みつ源については、ミカンを中心としたかんきつ類の作付面積と並行して減少を続けており、昭和五十年の一万三千二百七十四ヘクタールをピークに、平成十九年には三千二百六十七ヘクタールにまで落ち込んでいるという状況にあります。 そこで、全国的なミツバチ不足の現状の中で、本県における養蜂の必要性についてどのように認識されているか、お伺いをいたしたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 片岡農林水産部長。 ◎片岡登喜男農林水産部長 お答えいたします。 養蜂業は、ハチみつの生産とあわせて、園芸作物の花粉交配の手段として、ミツバチの県内確保は大切であると認識をしております。 県内におけるミツバチの飼養農家数と蜂群数は平成十七年度以降は横ばいで推移をしており、ハチみつの生産額も三億二千万円程度で推移をしております。 県といたしましては、養蜂組合と連携し、ハチみつを安定的に生産するため、養蜂農家間のみつ源の利用調整を実施しているところであります。 また、本年度は、イチゴなどの花粉交配用として必要なミツバチ八百三十九群、五十四ヘクタール相当でありますが、これを養蜂組合のご協力をいただきながら確保してきたところであります。 以上でございます。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 大分県として八百三十九群あれば当面はいいんだということでありますが、将来を見越しての対策も考えておく必要があるんではないかというふうに思います。 次に、みつ源確保策についてであります。 減少したみつ源のうち、特にハチみつの上質なみつ源となるレンゲ畑については、昭和四十五年度に約二千三百ヘクタールだったものが、平成十九年度には約四百ヘクタールになるなど大幅に減少いたしております。県内のハチみつ生産量にも影響を及ぼしていると聞いています。 使われていない農地をレンゲ畑として整備することで、農地を守り、かつ、養蜂家を支援することができるという双方のメリットも生まれるのではないかと考えますが、県は、上質なみつ源の確保策についてどのように考えられているか、お聞かせいただきたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 片岡農林水産部長。 ◎片岡登喜男農林水産部長 みつ源対策についてお答えをいたします。 養蜂農家は、上質なみつ源を確保するため、水田農家にレンゲの種子を提供するなど、作付面積の拡大に取り組んでいます。しかしながら、作付面積の減少とあわせ、近年は、海外からの侵入害虫による被害も増加しているため、実際に利用できるレンゲが減少している状況にございます。このため、県では、養蜂組合と連携して被害状況の把握や播種時期の検討などを行うとともに、未利用農地の活用などにより、レンゲのみつ源利用の拡大を一層推進してまいりたいというふうに考えております。 以上です。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 ぜひひとつ、大分の養蜂業者、特にレンゲのハチみつというのは非常に上質なものだというふうに伺っていますし、そういう意味合いでは、そういう養蜂業者の育成も含めながら考えていただけたらというふうに思います。 次に、ミツバチ飼養者の支援策についてであります。 養蜂技術を身につけるには長い時間が必要で、新規参入も他業種に比べて困難であるというふうに言われています。また、ミツバチ飼養者の高齢化が進み、労力が必要な割に採算性がよくないといった理由で飼育量を減らす農家もあり、このままでは養蜂技術を持った人材が県内からいなくなるという懸念もあります。 ミツバチ飼養者の減という現状に対し、養蜂家支援策について県のお考えをお聞かせください。 ○佐藤健太郎副議長 片岡農林水産部長。 ◎片岡登喜男農林水産部長 養蜂技術の継承についてお答えをいたします。 養蜂農家数は、ここ数年、毎年一名から二名減少しており、二十年現在では百十二戸となっております。こうした中でありますが、幸い本年度は三戸の農家が養蜂組合に新規に加入し、飼養技術の指導等を受けながら養蜂を開始しております。 また、養蜂農家支援策として、本年度、国庫補助事業を活用し、花粉交配用ミツバチを提供する養蜂農家を対象に、巣箱や自動給餌装置などの整備を支援しているところであります。 県といたしましては、今後とも養蜂組合と連携し、みつ源の確保やミツバチ飼養者の育成など、養蜂振興に努めてまいりたいと考えております。 以上です。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 ぜひひとつよろしくお願い申し上げます。 そこで、一つお尋ね申し上げたいんですが、先ほど出しましたレンゲ畑の問題で、あわせてお伺いをしたいと思うんですが、今、レンゲ米というのが非常に評価をいただいているという声を耳に挟みます。 そこで、このレンゲ米を大分県としてどういうふうに見詰めているのか、そういった点について、ひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 片岡農林水産部長。 ◎片岡登喜男農林水産部長 お答えいたします。 レンゲ米は、現在、国東市を中心に、五ヘクタールで取り組まれております。特別栽培米として販売をされておりますが、高齢化、あるいは先ほどお話しした害虫の増加などで、面積は最近は減少しているという状況にございます。 県では、特別栽培米や掛け干し米がございますが、こういう特色のある米の生産を拡大しようということで、平成二十二年には一万五千トンを目指して推進しているところであります。 今後とも、環境に優しい農業として、特色ある米の販売に結びつけた地域の取り組みとしてバックアップをしてまいりたいというふうに考えております。 以上です。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 はい、ありがとうございました。 ぜひひとつバックアップ体制をとっていただき、そういうものにも力を注いでいただけたらというふうに思います。 それでは、四点目の質問に入らせていただきます。 今年の三月議会でも取り上げさせていただきました多重債務問題についてであります。その後の県としての取り組みの進捗状況などについてお尋ねをいたしたいと思います。 既にご承知のように貸金業法の完全施行が来年六月に迫りましたが、貸付残高の総量規制などによって、既存の借り手や相対的にリスクの高い新規の借り手に対して円滑な資金が供給できず、生活困窮者が大量発生したり、いわゆるヤミ金がばっこするという事態が強く懸念されています。 三月議会では、多重債務問題の解決に向けた相談窓口の整備強化や多重債務者対策会議を軸とした関係機関との連携強化、社会福祉協議会の生活福祉資金等の活用、セーフティーネット貸し付けを行っている労働金庫やグリーンコープ等の生協との連携を進めるというお答えをいただきました。 百年に一度の経済不況の中で失業者はふえ続けており、低賃金や失業などがきっかけで多重債務に苦しんでいる多くの人たちにとっては、本当に大変な時代になっています。自殺者やホームレスの急増を防ぎ、これらを減らしていくためにも、対策を急がなければならないというふうに思います。 そこで、多重債務問題を解決していくためには、行政だけではなく、民間組織、団体とも緊密に連携、協力し、重層的な取り組みを実施していくことが強く求められているというふうに考えます。県としての取り組みの進捗状況についてお尋ねをいたしたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 城井生活環境部長。
    ◎城井秀郎生活環境部長 お答えいたします。 県では、国の改善プログラムに沿いまして、相談窓口の整備強化を中心とした対策を進めており、ことし四月から、アイネスの消費生活相談員六人に加えまして、多重債務を専門的に担当する職員を配置しまして、相談体制を強化したところでございます。 あわせて、相談窓口はすべての市町村に整備されましたので、相談担当職員の研修等によりレベルアップを図っていきたいと思っております。 さらに、弁護士会等も参加いたします県の多重債務者対策会議、これによる無料相談会を毎年開催しておりまして、ことしも十一月から今月にかけまして九地域で実施中でございます。 また、各相談機関の連携強化が必要であり、労働金庫や生活協同組合等の民間組織、団体を含めました多重債務相談員の情報交換会を開催する一方、関係機関の相談窓口一覧表等を作成しまして、チラシやホームページ等による周知に努めているところでございます。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 ぜひその取り組み強化をお願い申し上げたいというふうに思います。 次に、県は、国の地方消費者行政活性化交付金をもとに造成した基金を活用して、相談員の養成研修を実施するなど消費生活相談体制の充実を図るとともに、多重債務対策の強化に取り組んでいますが、まず、相談窓口の現状と課題についてお聞かせいただきたいと思います。 また、多重債務問題はセンシティブなことでもあり、より専門的な知識と一定の経験が必要ではないかと考えます。 そこで、地方消費者行政活性化基金について、多重債務相談も受けることになると思われます消費生活相談員への専門的なサポート等に重点を置いた活用は考えられないのか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。 ○佐藤健太郎副議長 城井生活環境部長。 ◎城井秀郎生活環境部長 県及び十八市町村すべてに相談窓口があり、県のアイネスと大分市は常勤の専門相談員を配置し、また、別府市ほか五市では、週二回から月一回、専門相談員が対応しまして、そのほかの市町村は職員が対応している状況にございます。 市町村の相談体制がまだ十分ではなく、県のアイネスに相談が集中しておる状況でございまして、住民に一番身近な市町村の相談機能を向上させていくことが課題というふうに思っております。 そのため、消費者行政活性化基金を活用しまして、議員おっしゃるように、多重債務相談に関する講座や弁護士、ベテラン相談員等によります巡回指導を通じまして市町村の人材育成を図っているところでございます。 今後とも、市町村の相談員等の研修を充実しまして、困難事例等への対処能力の向上を支援していきたいというふうに思っております。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 多重債務者対策会議については先ほどの答弁の中に入っておったようでありますから、飛ばしまして、続いてセーフティーネット貸し付けについてお尋ねをいたしたいと思います。 社会福祉協議会において十月一日から新しい生活福祉資金貸付制度がスタートしていますが、現状と課題についてお尋ねをいたしたいと思います。 また、多重債務から抜け出そうとする人たちにとって、単にお金を貸すだけでなく、その後の生活再建までサポートし続けてくれるセーフティーネット貸し付けの仕組みは大変重要であります。しかし、民間が行う場合、貸す側にとっても多大な資金を要するとともに、リスクも高く、継続的に続けていくことは大変なことと思います。行政として何らかの連携ができないのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 高橋福祉保健部長。 ◎高橋勉福祉保健部長 お答えをいたします。 生活福祉資金貸付制度につきましては、総合支援資金の創設、貸付利率の引き下げや連帯保証人を不要とするなど、十月から抜本的な見直しが行われたところでございます。 この総合支援資金は、失業等による生活困窮者に対して、継続的な相談支援とあわせ、生活費等の貸し付けにより、生活の立て直しを支援するものでございます。自己破産に係る弁護士費用や裁判費用などの債務整理に必要な経費にも充当可能でございますが、これまでのところ、貸付実績はございません。 課題といたしまして、まず第一に、ハローワークや民生委員など地域の関係機関と連携した総合支援資金の周知、二つ目に、借り受け人の自立支援に携わる社会福祉協議会職員の研修の充実、三つ目には、多重債務者への債務整理に係る経費の貸し付けに当たりましては、弁護士等の専門家につなげられるよう連携の強化などが必要であるというふうに思っております。 以上でございます。 ○佐藤健太郎副議長 城井生活環境部長。 ◎城井秀郎生活環境部長 民間との連携についてでございますが、生活福祉資金も利用しやすく見直しをされておるということで、まずはその活用につきまして周知を図っていきたいというふうに思っております。 また、相談者の所得状況等を踏まえまして、必要に応じて民間のセーフティーネット貸し付け等を紹介しながら相談をつないでいくといったことなど、連携をさらに深めていきたいというふうに思っております。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 この多重債務問題で苦しむ人は本当に多くおるんです。私の友人もこの多重債務問題で随分苦しみまして、悩みまして、つい選んだ道は、手を切り、首を切り、自殺という道を選んでしまいました。そして、それから一週間後、隣の町でも自殺という問題が発生をいたしました。そこには、多重債務という大変な問題を抱えて、それを、結局、自殺でしか乗り切ることができなかったという、そういうことを考えていくときに、この対策というのは、自殺予防対策とあわせて非常に重要な課題である、問題であるというふうに思っていますので、ぜひひとつ大分県として、自殺者をできるだけ、三百人という数字ですけれども、これを少なくしていく上では重要な部分になるというふうに思いますので、その点、今後もっと力を入れていただくことをぜひお願い申し上げておきたいと思います。 最後の質問は、高校新規卒業者の就職対策についてであります。 この問題につきましては、午前中、嶋議員もお尋ねをいたしていました。同じような質問になろうかと思いますが、嶋議員の強き願い、私もこの新規卒業者に対する就職一〇〇%という強い願いを持っているだけに、同じような傾向になろうかと思いますが、質問をさせていただきたいと思います。 まず、高校新卒者の就職支援策についてであります。 厚生労働省が発表しました来春卒業予定の高校生の九月末現在、先ほど知事は十月末現在で答弁がございましたが、私の方には九月末現在の資料しかございませんでしたので、これでお話をさせていただきたいと思います、就職内定率は、全国では、前年同期より一三・四ポイント低い三七・六%で、過去最大の下落幅を記録いたしました。本県も同様に、前年同期比八・五ポイントマイナスの三七・六%で、県内求人数については、前年同期比四三・四%マイナスの千九百九十八人となっており、同省では「世界的な景気悪化による企業の採用抑制が高卒者の就職にも影響を及ぼしている」と分析をいたしています。 就職氷河期と言われた平成七年から十七年ごろに社会へ出た世代は、雇用機会を失い、不安定な働き方を余儀なくされた人が多く、「失われた世代」「ロストジェネレーション」と呼ばれています。このため、政府の緊急雇用対策本部である新卒者支援チームは、「第二のロストジェネレーションをつくらないこと」を大きな目標として掲げ、現在、支援に向けた検討を進めているところであります。 来春卒業生を抱える一人の母親は、「就職がいまだ決まらない我が子の将来のことを思うとき、眠れぬ日々が続いている。今は、就職問題は我が家の禁句となっている。このまま年越しをするのかと思うと不安が募るばかりだ。このような思いをしているのは我が家だけではないのではないか」と語っておりました。 一昔前には、十八歳の春は、新しい社会へ旅立つ喜びと希望で胸膨らませているものと考えられていましたが、今や三人に二人が未就職で春を迎えるのかと思うと胸が締めつけられる思いがいたします。 かつて、「十五の春を泣かせるな」と、高校入学試験をめぐって流行した言葉がありました。県として、十八の春を泣かせないための就職戦略について、考え方をお聞かせいただきたいというふうに思います。 ○佐藤健太郎副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 お話しのように、高校を卒業する前途洋々たる若者が就職ができないということがあってはならないと思います。 大分県にとりましても、高校生が県内で就職して、将来にわたって活躍していただくということが大変重要だと考えております。こういう思いから、これまで企業誘致や地場企業において採用の受け皿確保を図りながら、企業が求める人材の育成に努めてまいったところでございます。その結果、高校生に対する求人倍率や県内の就職率では、今や九州トップクラスまでなってきたところでございます。 ことしの状況でございますけれども、昨年に比べますと就職の状況が厳しい中で、十月末現在の県内就職希望者の求人倍率は一・〇三倍ということでございまして、一を超えてまいりました。また、就職内定率は、九月末から二六ポイント上昇して、六三・五%となるなど明るい兆しもおかげさまでうかがえるところでございます。 全体として改善の方向にあるわけでございますけれども、しかし、就職が決まらないということは、その個々の生徒さんや保護者の方にとっては大変深刻な問題でございまして、就職支援をさらに迅速、かつ、しっかりと行っていきたいというふうに思っています。 そこで、高校生の県内就職内定率を高める対策といたしまして、五月に、企業の採用担当者と私立も含めた高校の先生との情報交換会をやりました。七月には、県内全域の高校生や先生方と県内企業の担当者が直接面談する合同企業説明会も開催いたしました。 高校現場でも一層努力をしていただいております。四月から、企業OB十三名をキャリアサポーターとして配置いたしまして、新規の求人開拓や面接指導の強化を行いますとともに、学校が独自に地域企業と生徒との面談会を行うなど取り組みも行っているところでございます。先月からは、サポーターをさらに六名増員いたしまして、私立高校における就職を支援しているところでございます。 こうした取り組みに加えまして、学校長自身も、生徒が卒業する直前まで率先して企業訪問をして、一人でも多くの内定者が出るように取り組んでまいります。 これに加えまして、先月には未内定者を対象とした就職面接会を開催いたしましたけれども、まだまだ厳しい就職状況を踏まえまして、急遽、二回目を年明けに開催することとしております。 この間、企業への働きかけを強めるために、経済五団体に対しまして、高校卒業予定者の新規、追加採用枠の確保の要請も行っているところでございます。 高校生活の努力が実を結んで、夢や希望を抱いて社会の中で生き生きと生活できるように、就職希望者全員の内定を目指して、今後とも県挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 知事の今の答弁を聞いて、テレビで見られている方々、高校のお子さんをお持ちの方は、非常に意を強くされたんではないかというふうに思います。ぜひひとつ、年が明け、卒業するときには、胸を張って旅立てるような、そういう姿をつくり出していただけたらというふうに思います。 最後になりますが、今、知事の方から答弁がありましたキャリアサポーターの活動の問題についてであります。 十三名の方を配置されました。皮肉にも今の状況は、この十三名配置したにもかかわらず、昨年と状況がそう変わっていない。だとすれば、このキャリアサポーターの皆さんが一体どういう活動をなされているんだろうという疑問を投げかけられてもいたし方ないんではないかというふうに思いますが、このキャリアサポーターの活動状況についてお尋ねを申し上げたいと思います。 ○佐藤健太郎副議長 小矢教育長。 ◎小矢文則教育長 キャリアサポーターの活動状況についてお答えします。 キャリアサポーター十三名は、企業における豊富な経験とノウハウをもとに、最新の企業情報の収集や新規の求人を開拓していただいているところであります。 生徒や教職員に対しては、企業が求める人材や職業に関する講話、それから最新の企業情報の提供、職業相談、面接試験に対するきめ細かな指導を行っております。 さらに、各地域のハローワークやジョブカフェとの連携のもとに、学校と企業との橋渡し役として活動していただいております。 また、毎月一回、全員が集まりまして、情報交換を行って、各学校や地域の実態に合った就職支援の強化を図っておるところであります。 以上であります。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 ぜひひとつ、このキャリアサポーターの活動に、ある意味では大きな期待が寄せられていますし、その活動をしっかりと教育長として見詰めて、大きな成果が上がるように大いに期待をいたしています。 最後に、私立高校にもこれは、先ほどお話がありましたが、七名配置ということになっておるんでしょうか。その点についてちょっとお尋ねします。 ○佐藤健太郎副議長 城井生活環境部長。 ◎城井秀郎生活環境部長 私立高等学校生徒に対する支援としましては六名でございますけれども、大分県私立中学高等学校協会、こちらに委託をしまして、就職支援員、いわゆるサポーターということで支援をしております。 内容的には、今、教育長の答弁の内容でございます。 ○佐藤健太郎副議長 賀来和紘君。 ◆賀来和紘議員 いずれにしても、これは、大分県の大事な人材でありますし、ぜひひとつ、公私にかかわらず、しっかりした取り組みをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○佐藤健太郎副議長 以上で賀来和紘君の質問及び答弁は終わりました。高村清志君。  〔高村議員登壇〕(拍手) ◆高村清志議員 皆さん、こんにちは。大変お疲れさまでございます。そしてまた、傍聴者の皆さん、きょうは、お忙しいところ、まことにありがとうございます。四十三番、無所属の会、高村清志でございます。 きょうは、昨年秋のリーマンショックから一年有余、そして政権交代から二カ月余りがたった今日の政治、経済、雇用等の情勢並びにそのもとにおける課題、さらには、さきの香港、広州への海外視察を踏まえまして、以下、通告に従い、分割方式により一般質問を行います。知事初め、執行部の誠意ある答弁を求めておきます。 それでは、早速、質問に入ります。 まず、鳩山政権の評価についてであります。 鳩山政権では、政治主導、内閣一元化、脱官僚支配を掲げ、景気対策の一環として編成されていた二〇〇九年度補正予算を削減し、二〇一〇年度予算編成、なかんずく概算要求に当たっては、「コンクリートから人へ」を理念に、道路整備などの新規事業は原則行わないとした政策転換を行うとともに、無駄遣いや不要不急の事業の根絶などの歳出削減に向けた事業仕分けに取り組むなど、マニフェスト実現に向け、第一歩を踏み出しております。 今後ともそうした姿勢を堅持するとともに、重要な柱の一つとしている地域主権改革を積極的に進めてもらいたいものであります。 しかし、その一方で、マニフェストの実現を優先する余りか、肝心の政権としての国家戦略、とりわけ経済成長実現に向け、深刻な経済実態とどう向き合うのか、景気を重視するのか、それとも財政再建を優先するのかなど、これらへの明確な方針がなかなか示されず、各方面から手厳しい評価を受けることとなっております。 ここに来てようやく、雇用、環境、子供、景気の四Kを柱とする政権の経済成長戦略の姿が見え始めてきましたが、そもそもこのことは政権の誕生と同時に提示されるべきものであって、後先が逆になっていると言わざるを得ません。このほかにも突然のダム建設中止や凍結など、事前の説明不足などが地方では不満の声として上がっております。 知事は、この間の鳩山政権の政治運営をどう評価されているのか、また、県政に与える影響をどのようにとらえているのか、お聞きいたします。 また、鳩山政権の高速道路をめぐる一連の動きや発言を見ますと、高速道路料金の無料化、ガソリン税などの暫定税率の撤廃、地方高速道路の四車線化工事の見送りなどがその主な方針となっております。このままの状態では、道路債務の返済や維持管理費の捻出はもとより、大分県経済の浮揚等にとりまして最重要課題であります東九州自動車道や高規格道の中九州及び中津日田道路の整備促進への影響が危惧されるところであります。 そのような中、十一月十三日に国土交通省九州地方整備局より県に対しまして、来年度概算要求段階の国直轄の道路、港湾など本県の事業計画が説明されたわけでありますが、東九州自動車道佐伯-県境間を除いて、他の道路事業費は本年度当初予算より大幅に減となる見通しにございます。 これまでの取り組みと国の概算要求の状況等を踏まえまして、知事は、今後の国の新年度予算編成に向けまして、県内の高速道路等の早期完成を目指す上でどのような取り組みを行おうと考えているのか、お聞きいたします。 また、ちまたでは、地方と新政権とのパイプがどうも機能していないのでは、このように聞きますが、全国知事会の「地方の社会資本整備プロジェクトチーム」のリーダーとして提言等を行っております広瀬知事は、今後、国への要請に際して、そうした地方の声をどう強めていかれようとしているのか、お聞きいたします。 一方、県内経済の現状と見通しについてでありますが、米国発の世界同時不況は、この間、世界各国に大きな傷を負わせながら一年余りがたちました。新聞報道によりますと、今日、世界経済は最悪期を脱し、ようやく底入れしたと見られております。また、日本経済につきましては、内閣府が十一月十六日に発表した七-九月期の国内総生産、GDPの速報値が、実質で前期比一・二%の増、年率換算では四・八%の増と予想以上の伸びを示しておりますが、今後も回復基調が持続するかは読みにくいと見られております。 そのような中、大分財務事務所は、十月二十七日、本年七月から九月期の県内経済情勢を「厳しい状態にあるものの、持ち直しの動きが見られる」と、二・四半期連続して上方修正しております。また、同様に日本銀行大分支店は、十一月四日、本年八月から十月分の県内金融経済情勢を「持ち直しに転じつつある」と、前回八月に発表した「下げどまっている」から上方修正しております。これは、公共投資が前年を上回ったほか、中国を初め新興国向けの輸出の持ち直し、製造業を中心に企業の業況感が幾分改善したことなどから判断されたものであります。 確かに県内の製造業を見れば、新日鐵大分製鉄所の第一高炉の再稼働やダイハツ九州における新規正社員並びに期間従業員を採用しての増産への対応などが見てとれるところであります。しかし、それは一部の企業であって、県内企業全体でとらえれば需要の減、業績の悪化等によって事業閉鎖などが続いており、周囲の声を聞く限りでは雇用や所得環境は一向に好転しておらず、個々人にあっては景気回復の実感は乏しいと言われております。また、一部には、現在の景気持ち直しの局面は、よくて年末までだとの見方もある中で、政府は、現在の状況を緩やかなデフレ状況との認識だと発表し、デフレについて大変な危機意識を持っていると表明しております。 知事は、県内経済の現状と見通しをどう認識されているのか、お聞きいたします。 また、景気刺激策として公共事業が果たす役割は大変大きいわけであります。本県においては既に知事が十一月の定例会見で明らかにしておりますが、本年度は、当初予算で示した公共事業に加え、国の追加経済対策を受け入れる中、総額約一千百三十億円の規模をもって事業展開しており、この九月までの上半期に七五%を執行しております。これは、知事が景気回復を最優先した結果のものと受けとめております。 しかし、さきに述べましたが、今日の景気持ち直しの局面はそう長くは続かないとする見方もあり、また、今日のデフレ傾向やここに来ての急激な円高などを考慮しますと、切れ目のない対策が必要となるところであります。 そこで、下半期に向け、継続した対策をどのように考えているのでしょうか。また、新政権は年内に経済成長戦略を策定するとのことでありますが、本県としては独自の景気対策並びに雇用対策が早急に必要になると考えます。県は、今後の県政の推進に当たって、これらの対策をどのように考えていこうとしているのか、お聞きいたします。 以上、四項目についてお尋ねし、以降の質問につきましては対面演壇の方から行います。よろしくお願いします。  〔高村議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○佐藤健太郎副議長 ただいまの高村清志君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま高村清志議員におかれましては、新政権の評価、あるいは、それとの関連で県経済の現状と見通し等についてご質問をいただきました。まず私の方から答弁をさせていただきます。 まず、新政権の評価と県政への影響でございますけれども、私は、鳩山政権に対しましては、まさに新しい政権として清新な印象を抱くと同時に、まずは、さまざまな期待を込めて見ているところでございます。 何よりも最も期待するのは、首相みずからが地域主権の実現に向けて強い決意を持っておられることでございます。 これまで国におきましては地方分権が検討されておりましたけれども、地域主権という考え方は、それを飛び越えて、地域の自主、自立に向けた取り組みを実現しようということでございまして、大きな期待を抱いているところであります。 今後、実現に向けて権限や財源の地方移譲を着実に進めていただくことを期待しており、その受け皿となる本県としても、十分な体制を構築していかなければならないと考えているところでございます。 他方、新政権に対しまして期待を持ちながらも、その動向について注目をしている点もございます。 これまでの政権において国民から不満が表明された点などを的確にとらえまして、後期高齢者医療制度や障害者自立支援制度の廃止、農業者への戸別所得補償制度の導入など、生活に直接響く政策が動き出そうとしております。新しい姿を示した上で、廃止を打ち出すという手順が本当は好ましかったんではないかと考えますが、財源などを含めて、今後どのような制度設計をしていくのか、ここのところは非常に注目をしているところでございます。 さらに、政策の中には懸念を抱かざるを得ない点もございます。 新政権によって、これまでの中央集権から地域主権へという、いわばソフトウエアの大転換が行われようとしております。しかしながら、こうしたソフトウエアが十分に機能するためには、やはりそれにふさわしいハードウエアの構築も同時にしっかりやっていかなければならないというふうに考えております。 地域主権のもとに、地方は自立し、競い合って活性化を図っていくべきだと思います。しかし、そのためには、地方が競争力を持つために最低限必要とする、県民の暮らしを守り、県民の経済を発展させるための装置として、道路やダムなどの社会資本の整備が不可欠であります。このハードウエアのところも忘れないようにしてもらいたいと思っているところでございます。 戦後行政の大掃除というの中で、ある程度の公共事業の見直しや抑制はやむを得ないものもあると思いますけれども、活力のある今のうちに選択と集中によって効率よく社会資本を整備すべきでございまして、国としては、これを着実に進めていくことが本来あるべき姿だというふうに思っております。 高速道路整備に向けた取り組みについてのご心配もいただきました。 地方の社会資本整備の必要性につきましてはただいま申し上げたとおりでございますけれども、残念ながら、新政権の社会資本整備に関するこれまでの動きを見る限り、一律、一方的に予算を削減しようとする姿勢が見られます。 先日来、全国知事会のプロジェクトチームのリーダーとして、また、東九州自動車道建設促進協議会の会長として、国土交通大臣ほか関係者と話をさせていただいたところでございますけれども、その際、東九州自動車道の必要性については十分に理解していただいておりますけれども、今後は、その完成時期について明確な見通しを示してもらうことが重要だと考えております。 問題は、中九州横断道路や中津日田道路であります。 先般、国から来年度予算の概算要求について説明を受けましたけれども、今年度に比べまして大幅に削減された要求額となっておりまして、進捗がおくれることを懸念しているところでございます。 新政権におきましては、いろんな政策課題の中で、社会資本整備の優先順位が低いんではないかと心配をしております。しかしながら、道路整備は、私たちにとりまして、地域主権を実現するための前提として最低限必要なものでございます。いわば、命の道、生活の道、活力の道でございます。今後とも、予算確保に向けて、引き続き、大臣ほか関係者に粘り強く訴えていきたいと思っております。 次に、県内経済の現状と見通しについてご心配をいただきました。 本県の九月の鉱工業生産指数を見ますと、いまだリーマンショック以前までには回復していないものの、二月に底を打ってからの上昇率は全国平均の二三・三%を大きく上回る三六・七%となるなど、全体としては生産面でのいち早い回復が見てとれます。また、乗用車の新車販売台数も八月以降三カ月連続で対前年同月比プラスになるなど、国の経済対策の効果によりまして個人消費も一部に持ち直しの動きが見られます。 県内企業の倒産件数も今年度上半期四十八件と、前年同期の約六割にまで減少しておりまして、全国の倒産件数がほとんど変わっていない中で、本県の迅速な金融対策がおかげさまで一定の効果を上げているものと思っております。 このように、中国など新興国の経済成長に牽引された輸出関連企業の業績回復やさまざまな景気対策の効果によりまして県内景気は緩やかに持ち直しつつあると考えております。しかしながら、建設業、小売業など業況が改善していない業種もございます。中小企業全体として回復テンポは鈍く、また、十月の有効求人倍率も〇・四七と、二カ月連続でプラスに転じてはおりますが、依然として低水準で推移しておりまして、景気回復を実感するまでには、もちろん至っておりません。 こうした傾向は、商工労働部で十月から行っております県内企業五百社への訪問調査でもあらわれております。「受注は、最悪期を脱して、前年比六、七割程度まで回復した」との声も多い一方で、先行きに対する不透明感は春の訪問時よりもむしろ強まっているという現状でございます。 加えて、直近の急激な円高がこれまで生産回復を支えてきた輸出型産業に悪影響を与えました。デフレによる足元の消費の冷え込みが消費刺激策に水を差すのではないかと懸念されておりまして、本県の景気回復に対してもダメージを与えるおそれがございます。円高、デフレも心配でございます。 新政権もこのような景気の状況については心配を深めておりまして、金融・経済対策を実施する予定のようでございますけれども、近時の厳しい現状に対応する思い切った対策を打ち出してほしいと考えております。 いずれにしましても、今後とも県内経済の確実な回復のために、あらゆる状況に応じまして臨機かつ柔軟に対応していきたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。 その他のご質問については、担当部長から答弁させます。 ○佐藤健太郎副議長 佐藤総務部長。 ◎佐藤健総務部長 私からは、景気・雇用対策についてお答えを申し上げます。 まず、公共事業等につきましては、議員からもご紹介がありましたように、上半期、前倒し執行に努めました結果、昨年度を大幅に上回る七五%の契約率を達成したところでありますが、また、本年度は六月及び九月に大型の補正予算を編成いたしましたことから、下半期におきましても昨年度を上回る事業費を確保しております。さらに、今回の補正で道路等を中心に債務負担行為十八億円の追加をお願いしているところでありまして、年間を通じた切れ目ない発注ができる体制を整えております。 また、雇用対策につきましても、本年度は緊急雇用創出事業等の補正予算の追加によりまして、県、市町村を合わせ、総額で五十億円、約三千人の新規雇用を計上いたしまして、厳しい雇用情勢に対応しているところであります。 今後の対策でありますが、現在、国において第二次補正予算案に盛り込む追加経済対策を策定中ということでありまして、その動向を十分に注視し、県としても適切に対応してまいります。 また、二十二年度当初予算におきましては、これまでに積み立てました各種基金の活用など財源にも工夫を凝らしながら、必要な社会基盤の整備を初め、就業機会の創出等に積極的に取り組んでいきたいと考えております。 以上です。 ○佐藤健太郎副議長 高村清志君。 ◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 次に、雇用をめぐる問題につきまして質問していくことといたしますが、その前に、午前中の嶋議員、そして先ほどの賀来議員さんの質問にもありましたように、景気が低迷する中、県内の雇用をめぐる環境は殊のほか厳しく、とりわけ来春高卒予定者の就職内定率は、幾分改善はされたとはいえ、依然厳しい状況にあるわけでございます。そういった中、何としても就職浪人だけは出すことのないようにしなくてはならない、このように思うものでございます。 先ほどの答弁からは、県としても、この間、あるいは今後ともいろんな取り組みをしていく、こういう見解が示されておりますけれども、私の方からも、いま一度、県内の各企業一社一社に足を運ぶなど、教育委員会、あるいは商工労働部一体となって、もう一段の取り組み強化を求めておきたい、このように思っておるところでございます。ぜひよろしくお願いします。 ところで、我が国の完全失業率ですが、昨年秋以降の経済危機を受けまして、本年七月には過去最悪の五・七%となったものの、その後は景気回復局面が見られまして、八月五・五%、九月五・三%、十月五・一%と月を追って改善しております。しかし、そうした動きとは裏腹に、来年二月には失業者が急増するという危機説がささやかれております。それは、これまで雇用の安全弁となってきた雇用調整助成金の支給制度そのものの問題からであります。 企業が労働者を一時的に休業させた際の賃金等を助成しますこの制度の受給者はことしの二月から急増しておりますが、この制度の適用を受けた企業の業績がその後、回復し、支給要件を満たさなくなれば、支給から一年目となる来年二月以降、順次打ち切りとなるからであります。この助成金の支給対象者は、八月現在、全国で約二百五十五万人と言われており、それらの対象者が職を失うとなれば、失業率は九%という最悪の事態になると想定されております。政府は、これら失業者の増大等を踏まえ、緊急雇用対策本部を立ち上げ、早速、この十二月から雇用調整助成金の支給要件を緩和することとし、また、介護分野や農林、環境、観光分野での雇用創出、さらには公共事業の削減に伴う建設業者の転職支援などに取り組むこととしております。 そこで、次の三点についてお聞きします。 一点目は、本県における雇用調整助成金の支給企業数と支給対象者数はどうなっているのか。 二点目は、介護や農業分野への新たな雇用の場確保並びに労働力の移動という視点で本県の取り組み状況はどうなっているのか。 三点目は、さきに述べたとおり、全国の十月の完全失業率は五・一%でありますが、中でも二十五から三十四歳の失業率は六・八%と、過去最悪であった九月の七・三%に続き、依然高い数値となっております。本県のこれら若年層の失業率はどうなっているのか、また、就職支援に向けた取り組み内容とその実績はどうなっているのか、お聞きいたします。 一方、県並びに市町村は、厳しい雇用情勢を受けて、既に離職を余儀なくされた失業者の次の雇用までの対策として、緊急雇用創出事業を二十三年度までの計画で実施しております。県はこのほど、本事業の拡充として、新たに、各地域において地域力再生や社会貢献事業に取り組んでおります企業や団体、NPO法人等から緊急雇用創出プランを募集し、実施していくこととしております。 そこで質問ですが、現行の事業に加え、本事業を行おうとするそもそもの背景は何か、また、本事業への応募者を対象とした説明会がこの十一月十八日から二十日にかけて県内三地域の会場で行われておりますが、その参加状況と本事業による雇用創出目標をどのように持たれているのか、お聞きいたします。 ○佐藤健太郎副議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 まずは、雇用調整助成金の支給企業数と対象者数でございますけれども、十月の大分労働局の支給実績は、七百三事業所、一万三千二百二十五人でございます。 次に、介護や農業分野の雇用確保についてでございますが、介護分野では、本年度、離職者に対する民間専門学校での委託訓練の定員を百三十名まで増員したところでございます。また、来年度に向けて、働きながら資格を取る介護雇用プログラムの実施を検討し、さらなる介護分野への就職も支援したいと考えております。 農業分野では、農業への企業参入を積極的に推進するとともに、ふるさと雇用再生事業でも約百名を新規に雇用しているところでございます。また、離職者に対して県立農業大学校で昨年度の三カ月の基礎コースに加えまして、本年度は実践的技術指導の六カ月コースを新設いたしまして、農業法人への就職や就農を推進しているところでございます。 続いて、若年層の失業率についてでございますが、国による抽出調査でありますために、各県別に見てしまうとサンプル数が少ないため、公表されていないという状況でございます。 最後に、若年層の就職支援については、ジョブカフェにおきまして就職相談や各種セミナー等を実施しており、昨年度は千九百四十五名、十六年度からの累計では九千五百三十七名を実際に就職に結びつけており、今後も個々の状況に応じたきめ細かな支援に力を入れていきたいと考えております。 続きまして、緊急雇用創出プランの募集の背景でございますけれども、もともと緊急雇用対策につきましては、国から交付されました基金七十四・九億円を活用いたしまして、二十三年度までの三年間にわたりまして事業を実施し、短期の雇用機会を創出することになってございます。 今年度は、県と市町村合わせて三百四十事業を実施し、二千二百九十名の失業者を新規雇用することになってございます。 そこへ、この十月の国の緊急雇用対策によりまして雇用期間等の要件が緩和されたこともあり、地域力の再生など大分県の将来の発展につながる事業を県民からのお知恵をおかりしながら行うことも必要と考えまして、今回、緊急雇用創出プランとして広く県民から公募することにした次第でございます。 さまざまな分野での事業化が見込まれるので、新たな展開や新しい分野への進出を考えておられる企業やNPO法人等にとっては、はぐくんでこられた企画にチャレンジするきっかけとなる側面がありまして、ぜひこのチャンスを生かしていただきたいと考えております。 事業説明会の参加状況でございますけれども、宇佐市、大分市、佐伯市の三会場合わせまして、企業やNPO法人等から百十九名に参加していただいたところでございます。 最後に、提案事業によります雇用創出目標でございますけれども、こればかりは応募状況にもよると考えておりますけれども、今のところ、十五から二十事業、おおむね百名程度の雇用を創出できればと考えている次第でございます。 以上でございます。 ○佐藤健太郎副議長 高村清志君。 ◆高村清志議員 どうも大変ありがとうございました。 いろんな取り組みを行い、そして、なかなかすばらしい結果も出ておるようでございます。引き続きこの雇用の対策という点では、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。 次に、鳩山政権が掲げます地球温暖化対策に関連しまして、大きく三項目についてお尋ねいたします。 ご承知のとおり、鳩山首相は、本年九月、国連気候変動サミットで演説し、温室効果ガス排出について、二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減を目指す中期目標を表明しました。その前提は、米中両国など主要排出国が参加する新たな枠組みによるものと条件がついておりますが、日本が世界に発した事実上の国際公約となったところであります。 この温室効果ガス二五%削減、その二五%という数値をめぐっては、各界から賛否両論の意見等が今もって出されております。 肯定的な意見としては、「最も厳しい目標設定は、技術革新を促し、新産業や雇用を生み出す。とりわけ、電気自動車や太陽電池といったエコロジー製品が普及するなど、新たな需要が創出される側面がある」というものでございます。 一方、温室効果ガスの排出量が多い鉄鋼やセメント業界などは、「二五%の削減となると、その数値目標の設定によって二割程度の生産抑制に追い込まれる可能性があり、国内での生産が難しくなる。また、石油危機以降、これまで、日本企業は既に省エネ対策に徹底して取り組んできており、この政策は乾いたぞうきんを絞るようなものだ」と指摘しております。 この二五%削減問題で大切なのは、日本の将来を考えて対応していかなければならないということでございます。資源のない日本が今後とも世界の中で生き延びていくには、諸外国から資源を輸入し、それを付加価値の高い製品に加工し、世界各国に輸出して財を生むという、加工貿易のスタイルが重要であると考えます。したがって、日本の将来にとって輸出競争力を持つ産業の存続は必要不可欠であり、この形を一挙に崩してしまうような温室効果ガス削減であってはなりません。 今のところ新政権がどのような具体的な方法、計画をもって進めていくのか示されていませんが、いずれにしても、米国や中国などの参加を条件に、各方面から意見を十分聞いた上での環境と経済成長のバランスをとった対応でなければならないと考えます。 産業のさらなる集積と地場企業の体質強化をもって次代に飛躍する大分の持続的な発展を目指す中で、新産業都市などを抱える本県としては、この鳩山政権が打ち出した温室効果ガス二五%の削減にどう対応していくのか、その考え方をお聞きいたします。 一方、産、学、官で構成する大分県新エネルギー産業化研究会は、二酸化炭素排出削減が産業課題となる中、太陽光発電、太陽電池が新エネルギー産業の中核となるとの認識で、本年九月十七日に、十六の企業、団体から成る太陽光発電分野のワーキンググループを設立し、以降、産業化に向けた課題を具現化するために研究等を行っていると伺っております。 このことは、私も本年第一回定例県議会一般質問で新エネルギー産業の創出ということで求めてきた経緯もあり、その後の状況に大変興味があるところであります。 そのような中、太陽電池産業の集積地は、今や九州は国内では関西に次いで二番目の集積地となっており、とりわけ宮崎県、熊本県、長崎県、福岡県がかなり先行して事業化が進んでいるようにあります。このような状況を見るとき、大分県の取り組みが大変気になるところであり、また、先発の九州他県との競争に本当に勝っていけるのかなどの心配も抱くところであります。 そこで、事業化に向けた進捗状況はどうなっているのか、また、他県に打ち勝つ対策の違いがあるのか、お聞きいたします。 ところで、地球温暖化防止の取り組みとともに、一方では、温暖化に負けない、温暖化そのものに適応した農産物等の研究開発が大事になってきます。そのよい代表例が温暖化対応米であります。九州各県の取り組みを見ますと、既に佐賀県、福岡県、熊本、鹿児島の各県は、それぞれ独自に温暖化対応米を開発し、この秋から市場に出荷し始めております。そのほか、長崎と大分は、県独自の開発でなく、国が開発した「にこまる」などを奨励品種に指定し、作付を行っており、また、宮崎県は、目下、試験栽培中とのことであります。 各県が独自に開発した温暖化対応米は、高温でも主力品種の「ヒノヒカリ」より収量が一割強多く、一等米の比率も高いことから、米農家の救世主として期待されているとのことであります。しかし、素人ながら言わせてもらうなら、地球温暖化への対応は、米に限らず、農林水産物すべてに研究開発等が必要になってくるのではないかと思うところでございます。県は、産地間競争に打ち勝ち、もうかる農林水産業を実現するための研究開発を基本理念とした農林水産研究センターの改革を来年四月から実施しようとしております。 そこで質問ですが、改革素案の中では、重点研究分野の一つに「地球温暖化・環境対策等の推進」が掲げられておりますが、本県独自の温暖化に対応した米の研究開発は行うのか、また、米以外の農林水産物では、何を取り上げ、どのような視点で研究していこうとされているのか、具体的にお聞かせください。 ○佐藤健太郎副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 温室効果ガスの削減問題につきまして、大変貴重なご質問をいただきました。まず私から答弁をさせていただきます。 地球温暖化は、人類共通の重要な問題でございます。その解決策といたしましての温室効果ガス排出削減は、本県にとっても避けて通れない喫緊の課題だというふうに考えております。 このような中、国が表明いたしました二五%の削減目標は、新たな国際的枠組みづくりが前提条件となっております。この点は非常に重要な前提条件でございますけれども、まだ、果たしてどういう枠組みが本当にでき上がるのかどうか、非常に流動的だというふうに考えております。 また、二五%のうち、森林吸収分と排出枠購入分の割合や産業部門などの部門別目標についてはまだ決まっていないという状況でございます。今後の議論の動向を注目していきたいというふうに考えます。 いずれにしましても、ハードルの高い目標となることは間違いありませんで、一定の国民負担を伴うことも覚悟して取り組むこととなりますけれども、同時に、生活の向上や地域経済の発展も持続していくということが重要であります。五十年、百年のお話でございますから、やはり生活の利便の向上等々も、経済発展等々もあわせ成り立っていくような仕組みにしておくということが非常に大事なことだというふうに思います。そんなことで、知恵と技術を駆使して対処していかなければならないんではないかと思います。 産業部門における温室効果ガスの排出削減につきましては、業界団体が定めました自主行動計画での目標達成のために、省エネルギー技術の導入や新たな環境技術の開発が取り組まれております。 例えば、新日本製鐵大分製鉄所では、昨年五月に導入いたしました世界初の次世代コークス炉、スコープ21によりまして、従来のコークス炉に比べましてCO2排出量の二〇%、年間総量にしますと四十万トンの削減を達成しているという状況でございます。また、昭和電工では、二十三年度にかけて、ナフサ分解炉の更新によって六%、総量にしますと年間六万七千トンの削減を図るということにしております。九州電力の新大分発電所では、ガスタービンの更新によりまして、二十四年度以降、年間二十万トン削減するという取り組みが進められております。 このように累次にわたる省エネルギー努力を重ねてきている企業にとりましては、さらなる排出抑制は大きなコスト増となります。これを企業が吸収できない場合には、残念ながら、再び海外立地への傾斜が生じかねないということになるわけでございまして、本県の経済や雇用に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。 したがって、これから最終的な目標の設定だとか、あるいは削減方法の決定に当たりましては、国においてこれらの点を十分に考慮して、そうして持続可能な対策としていただくことが大変大事だというふうに思っております。よくよくここは考えてやっていただきたいというふうに思っております。 ○佐藤健太郎副議長 米田商工労働部長。 ◎米田健三商工労働部長 私からは、太陽光発電の産業化についてお答えをいたします。 本県は、半導体関連産業が集積し、それを支えます人材や技術が蓄積しておりますけれども、半導体と太陽電池とは類似技術であることから、太陽電池産業への新規参入のポテンシャルは非常に高いと考えております。既に、太陽電池セル検査装置や製造装置等の新たな分野で本県の強みを生かしたビジネス展開が始まっているところでございます。 新エネルギー産業化研究会の太陽光発電ワーキンググループでも、これを加速するために、太陽電池の発電効率を飛躍的に向上させる技術など、地場企業の独自の技術力を生かした取り組みについて検討を開始しているところでございます。高効率、低コストな応用製品の研究開発や実証事業を実施しているところでございます。 また、半導体関連企業で構成いたしますLSIクラスター形成推進会議では、太陽電池産業への新規参入に関する講演や研修を実施しているところでございます。今後、太陽電池製造関連の事業化へ向けた研究開発を検討中でございます。 県といたしましては、太陽電池に関し、製造、検査から応用製品までの一貫した研究開発を支援し、太陽電池産業への事業参入の取り組みを加速していきたいと考えております。 以上でございます。 ○佐藤健太郎副議長 片岡農林水産部長。 ◎片岡登喜男農林水産部長 地球温暖化に対応した農産物等の研究開発についてお答えをいたします。 温暖化対応米の研究開発につきましては、研究課題の選択と集中を図る観点から、国などと役割分担を行い、育成された品種の中から本県に適したものを選定するとともに、その栽培技術の確立に取り組むことといたしております。 米以外の農林水産物につきましては、現場ニーズを踏まえ、特に緊急性の高い品目を重点的に取り組むこととしております。 農業の分野では、夏秋トマトの高温による花の落下を防止するため、遮光及び換気などによるハウス内の温度抑制技術やかん水技術の確立に取り組んでおります。 また、温度上昇によって越冬する南方系の害虫が増加しており、これらの生態解明や防除技術の確立に取り組んでおります。 林業では、温暖化に対応できるシイタケ新品種の育成と生産安定の技術開発に取り組んでいるところであります。 水産につきましては、人工衛星からの画像を利用した赤潮の広域監視技術の開発に取り組むとともに、水温上昇による養殖ヒラメの生存率低下を防ぐため、高水温に耐性を持つ種苗の育成に取り組んでいるところでございます。 以上でございます。 ○佐藤健太郎副議長 高村清志君。 ◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 それでは、時間の方もありますので、最後の質問に入りたいと思いますが、最後の質問は一挙に海外に飛びたいと思います。 本日の一般質問で自民党の田中議員さんから、このたびの香港貿易促進ミッションの視察概要の報告や視察結果を踏まえました提言や質問がございました。私もこの視察の一員として参加してまいりましたが、視察の全体感等につきましては田中議員さんの報告にかえさせていただき、私の方からは、このたびの視察先でありますジェトロ広州、香港貿易発展局並びに大分銀行香港駐在員事務所での説明や質疑、さらには香港での日本産農産物の販売価格など調査した結果を報告しながら、県産農産物の香港、中国への売り込みについて提案を交えて質問を行うことといたします。 まず、ジェトロ広州の横田所長さんからは、珠江デルタ地域を含む広東省全体の経済や発展状況について説明を聞きました。それによりますと、広東省の人口は九千万人、GDPは三兆五千七百億元、約四十八兆円で、全中国の約八分の一ということであります。その経済規模を物語るかのように、ジェトロ広州が入居していますビルを含め、中心都市である広州市に林立する高層ビル群の光景を見ますと、まるで東京都をそのままそっくり持ってきたような大都会であります。しかも、そこは、十年前までは一面の水田地帯だったと聞けば驚くばかりであり、また、この十月にはジャスコも開店し、その中にユニクロも入居している、こういうことでございます。 一方、珠江デルタ地域で今後の発展が見込まれます深セン市の状況ですが、三十年前は人口二万八千人だった小さな町が今や人口一千四百万人の大都市となっております。町にあふれる人の数、その服装、身なりなどを見まして、まさに巨大なマーケットがそこにあると実感したところであります。 この深セン市では、今後の大分県の農産物の売り込みの可能性を探るため、スーパーであるカルフールをのぞいてみましたが、まだ日本の農産物は売られていませんでした。売られていたのは中国産で、価格は安いものの、上質なものとは言えず、ミカンなどは日本では摘果してしまう程度のものでした。 一方、現在、日本の農林水産物の輸出先第一位となっております隣の香港では、香港そごうで日本産農産物の販売価格を調べましたが、ナシは、幸水が二個で五百八十円、新高が二個で七百二十円、リンゴは、ふじが二個で五百四十円、温州ミカンは、三重県の南紀産が六個で七百円、青首大根は一本が百四十五円などとなっておりました。また、同じ香港に店舗を持ちます「シティ」では、これよりさらに高い値段で販売しているということでございます。 そこで私は、このような販売価格で売れれば、大分県産の農産物も十分もうけが確保できるのではないかと思うところであり、この香港も有力な輸出先として売り込みに力を入れてはいかがでしょうか。 また、日本の農産物がまだ余り出回っていない広州市や深セン市など珠江デルタ地域の都市の経済力は相当なものであり、私が肌で感じた限りでは、香港と大きな違いがないと思われます。したがって、この地域もターゲットに、今から県産農産物の輸出作戦を立てるのが有効ではないかと考えます。 そして、その輸出方法ですが、今回の調査で、以下二つの進め方があるということがわかりました。一つは広州市や深セン市などに直接売り込んでいく方法、もう一つは香港ルートを活用して売り込んでいく方法であります。 そこで、どちらの方法を選択したらよいかということでありますが、香港貿易発展局での話では、中国ビジネスでは代金の回収が一番のかぎであり、それがうまくいかずに失敗するケースが多々あるので、その点のリスクを少しでも減らすには香港ルートを活用するのが良策とのことでした。それを裏づけるものとして、香港貿易統計があります。それによりますと、農水産物などの食品を含めた二〇〇八年の総輸入額は三兆二百五十三億香港ドルであるのに対し、その九〇%に当たる二兆七千三百三十五億香港ドルが再輸出額として計上され、しかもその再輸出先は中国が断トツの一位で、約半分を占めております。この実態からも、いかに香港経由の中国への再輸出が多いかが読み取れるところでございます。 なぜ香港にこのような貿易形態があるのかということでありますが、それは、香港貿易発展局での質疑を通し明らかになったことでありますが、香港がイギリスに統治されていたことにより、国際標準の法律規制があり、安心できる商取引習慣が保障されているからだと言われております。そのため、諸外国の業者も、中国との直接貿易よりも、この培われてきた商取引習慣を通じて中国との貿易を行っているとのことであります。 以上、今回視察で得た調査結果等を申し述べてまいりましたが、私は、香港はもちろんのこと、広州市や深セン市を含む珠江デルタ地域においても、今後、日本産農産物の安心と安全を求める中間階層や富裕層の増加が見込めるところでありまして、需要はいや応なしに高まってくると考えるものです。 そこで、執行部に提案します。中国への農産物の輸出にはいまだ厳しい制限もあるところですが、現在の上海市場中心の県産農産物の売り込みに加え、香港並びに中国へのゲートウエーである香港を窓口とした広州市、深セン市など珠江デルタ地域をターゲットにした県独自の売り込みを行ってはどうでしょうか。ぜひ今後検討していただくことをお願いし、この点についてどのようにお考えか、お聞かせください。 また、香港では、時々、日本の農産物の模倣品が出回るとのことであります。直近では、福岡産の「博多あまおう」が現地のスーパーで「博王あうおま」という表示で売られていたそうです。中国で販売していくためには、こうした模倣に対する対策が大事と思われます。 国におきましては、このような農林水産物の模倣等に対応するため、ことし六月、農林水産知的財産保護コンソーシアムを設立し、知的財産面での保護強化を図っておりますが、県の対策はどうなっているのか、お尋ねします。 さらに、このような海外への売り込みに当たっては、商工労働部と農林水産部などが連携をとり、流通関係者も含め、県が一体となって取り組んでいかなければならないと考えますが、現状の売り込み体制はどうなっているのか、どのような取り組みを展開しているのか、成果は上がっているのか、お聞きいたします。 ○佐藤健太郎副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ただいま高村議員には、中国ご視察の成果を踏まえまして、貴重な情報、ご提言を交えながらご質問を賜りました。 農産物の海外輸出についてお答えを申し上げます。 近年、世界的な日本食の広がりやアジア諸国の経済発展に伴う富裕層の増加などによりまして、日本人の感性で磨かれた安全、高品質な日本産農林水産物の需要は拡大しております。国内では人口減少などによりましてマーケットの縮小が予想される中、輸出の取り組みは新たな需要の開拓につながるものと考えております。 本県は、アジア諸国に近いなど比較的よい条件でございまして、輸出の取り組みによりまして生産者の所得向上や農林水産業の振興につながることから、意欲を持ち、新たな販路開拓に取り組む生産者などを積極的に支援しているところであります。 まず第一点目の香港や中国への県独自の売り込みについてでございます。 香港は、世界じゅうの農産物が集う競争が厳しい市場ではありますけれども、議員ご指摘のように、今後の中国輸出拡大のゲートウエーとしてとらえて、本年度から現地高級スーパーの販路を県独自に開拓をいたしまして、中間流通業者を介さずに、「おおいたブランド販売協議会」からナシ、シロネギなど青果物の直接取引を始めたところでございます。 また、上海につきましても、ナシを平成十七年から商社へ直接販売する独自の販路を開拓いたしまして、本年度は、現在、七トンの取引となっております。 今後は、現在進めております取引の拡大に加えまして、香港を窓口とした広州等の中国本土への販路開拓につきましても、ジェトロ等の協力を得ながら、信頼できるパートナーを得るべく、取引を進めていきたいと考えております。 第二点目は、知的財産の保護についてでございます。 台湾で日田梨の模倣品と思われる事例も生じたことから、県では、海外での知的財産の侵害に対応するために、国のコンソーシアムに参加いたしまして、積極的な情報収集に努め、日田梨や大分しいたけの輸出先での商標登録の取り組みを農業団体等とともに進めてまいります。 第三点目の連携体制やその成果については、生産部会、流通関係者等で構成する輸出促進協議会によりまして販促活動等を行ってきた結果、高級乾シイタケはタイへ、養殖ブリは北米での販売が拡大しております。ナシにつきましても、贈答用高級果実として高い評価を得て、台湾を中心に百二十五トンまで拡大をしております。 また、加工品を含めた県産品の輸出拡大を図るために、商工労働部と農林水産部が連携をして、上海やタイで「大分フェア」等を実施しております。議員ご指摘のとおり、この両部の連携を図りながら対応していこうということにしております。 中国では、本県からこの四年間で新たにしょうちゅう、しょうゆ、牛乳など約百品目の輸出が始まりまして、多くの商品が定番化されたところであります。 輸出をめぐる環境は、世界的な景気後退や円高の進行等、厳しい状況でございますけれども、長期的な視点に立って、品目ごと、国ごとに戦略的な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。 きょうの情報、あるいはご提言は貴重なものとして、これから受けとめさせていただきます。 ○佐藤健太郎副議長 高村清志君。 ◆高村清志議員 どうも大変ありがとうございました。 特にこの農林水産物の中国本土への輸出について、これまで以上に本格的に取り組んでいくという見解をいただき、まことにありがとうございました。 また、ナシの、今後、海外への販売等々、ナシを送っていく場合の供給体制、特に日田の選果場、かなり設備も老朽化しておるということでございます。一円でも高く売っていくためにも、設備の効率化、近代化等々しながら対応していく必要があると思いますので、どうぞよろしくお願いします。 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手) ○佐藤健太郎副議長 以上で高村清志君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○佐藤健太郎副議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○佐藤健太郎副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。  ------------------------------- ○佐藤健太郎副議長 本日は、これをもって散会いたします。     午後三時五十一分 散会...