• デジタル教科書(/)
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  1. 大分県議会 2003-12-01
    12月03日-04号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成15年 第4回定例会(12月)平成十五年十二月三日(水曜日)     ------------------------------ 議事日程第四号          平成十五年十二月三日              午前十時開議第一 第一三五号議案   (議題、提出者の説明)第二 一般質問及び質疑     ------------------------------ 本日の会議に付した案件日程第一 第一三五号議案     (議題、提出者の説明)日程第二 一般質問及び質疑     ------------------------------ 出席議員 四十五名  議長     佐々木敏夫  副議長    阿部英仁         長田助勝         古手川茂樹         三浦 公         元吉俊博         平野好文         佐々木哲也         油布勝秀         御手洗吉生         桜木 博         麻生栄作         首藤勝次         堤 俊之         田中利明         大友一夫         井上伸史         渕 健児         佐藤健太郎         近藤和義         志村 学         阿部順治         矢野晃啓         安部省祐         和田至誠         荒金信生         日野立明         牧野浩朗         平岩純子         吉田忠智         江藤清志         久原和弘         塙  晋         小野弘利         内田淳一         佐藤博章         高村清志         後藤史治         梶原九州男         伊藤敏幸         矢野征子         竹中万寿夫         加藤純子         吉冨幸吉         賀来和紘 欠席議員 一名         古田き一郎     ------------------------------ 出席した県側関係者  知事     広瀬勝貞  副知事    石川公一  出納長    二宮滋夫  教育委員長  西 太一郎  代表監査委員 原  貢  総務部長   井上良司  企画文化部長 溝畑 宏  企業局長   矢野孝徳  教育長    深田秀生  警察本部長  柴田 健  福祉保健部長 池辺広司  生活環境部長 安部 裕  商工労働  観光部長   飯田隆俊  農政部長   渡辺節男  林業水産部長 財津 功  土木建築部長 井上芳明  人事委員会  事務局長   斉藤 哲  地方労働委員  会事務局長  一木克治  総務部参事  兼次長    福浦裕介  財政課長   下仲宏卓  知事室長   松丸幸太郎     ------------------------------        午前十時三分 開議 ○佐々木敏夫議長 これより本日の会議を開きます。     ------------------------------佐々木敏夫議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第四号により行います。     ------------------------------ △日程第一 第一三五号議案(議題、提出者の説明) ○佐々木敏夫議長 日程第一、第一三五号議案を議題といたします。     ------------------------------第一三五号議案 特別職の常勤職員及び教育長の給与等に関する条例の一部改正について     ------------------------------佐々木敏夫議長 提出者の説明を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 提案理由のご説明に先立ちまして、去る十一月二十八日に県南地域を襲いました大雨の被害状況についてご報告を申し上げます。 この大雨によりまして、鶴見町、米水津村、蒲江町におきまして、家屋の半壊六戸、一部損壊二戸、床上浸水三十九戸、床下浸水百三十六戸のほか、道路等に大きな被害が発生いたしました。被災された方には、心からお見舞いを申し上げます。 県といたしましては、直ちに鶴見町に救助内規を適用し、被災者の救援に万全を期すとともに、災害復旧に向けた対策を講じているところでございます。 それでは、ただいま上程されました追加議案につきましてご説明を申し上げます。 第一三五号議案特別職の常勤職員及び教育長の給与等に関する条例の一部改正につきましては、既に給料、期末手当の一部減額を行っているところでありますけれども、厳しい財政状況を勘案いたしまして、行財政改革プランの策定に先駆けまして、さらなる減額等を行うものであります。 何とぞ、慎重ご審議の上、ご賛同いただきますようにお願いを申し上げます。 ○佐々木敏夫議長 これをもって提出者の説明は終わりました。     ------------------------------ △日程第二 一般質問及び質疑 ○佐々木敏夫議長 日程第二、第一一五号議案から第一一八号議案まで及び第一二〇号議案から第一三四号議案まで並びに第四号報告を一括議題とし、先ほど議題となりました第一三五号議案を含め、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。 渕健児君。  〔渕議員登壇〕(拍手) ◆渕健児議員 おはようございます。十六番、自由民主党の渕健児でございます。 質問に入ります前に、広瀬知事に一言御礼のごあいさつを申し上げます。 十月五日付朝刊の「キヤノン 大分市に進出」という大きな活字が目に飛び込んできました。日本を代表する、世界に冠たる企業、キヤノン株式会社が大分市の岡団地に工場を建設するというビッグニュースに、大変な驚きと、言いようのないうれしさがこみ上げてきました。 私たち県民の想像をはるかに超える、とてつもない大きな人脈をお持ちの広瀬知事にしかできないトップセールスが功を奏し、キヤノン誘致につながったものと確信し、心から感謝と御礼を申し上げます。 六カ月前、あの厳しい選挙で広瀬知事を選んだ喜びと、私たちの選択は間違いでなかったことを県民一人一人が実感し、喜んでいることと思います。 新聞報道によりますと、当工場はデジカメを生産し、世界制覇を目指す拠点工場と伺っています。デジカメは、長期不況から脱出する牽引役として期待されているデジタル家電のエースであり、夢多き商品であります。従業員は二〇〇六年には千五百名が予定されており、地元を中心に県南までその波及効果が期待されています。 当面の工場建設から完成後の経済活動がよりスムースに運ぶように、人、物の動きにも一層関心を持ち、地元議員として精いっぱい協力していかなければと考えております。 また、大分市の東部地区にとりましては、キヤノンの進出という新しい展開が出てきたことから、夢であった大野川新橋が現実味を帯びてきましたし、大野川大橋の無料化の検討や道路の整備等、大分市と連携の上、格段のご配慮を賜りますようお願いを申し上げておきます。本当にありがとうございました。 それでは、通告に基づきまして、順次質問をしてまいります。 今、日本は危機的状況にあります。外交では、イラク問題、北朝鮮による核開発や拉致問題など難題を数多く抱え、経済では、十年以上にわたり不況に苦しんでおります。財政赤字や不良債権は増大し、失業率も高く、国家財政は極めて厳しい状況にあります。 社会は、自由競争という市場原理のもと、弱肉強食のちまたへとひた走りし、容赦ないリストラや貧富の差がますます拡大するなど、不安定で安らぎのないものとなっています。 世界一と言われた治安のよさも失われてしまいました。正業につかず、勝手気ままに生きる若者が増加し、恐るべき援助交際や少年非行に加え、金銭に絡む不正が政、官、財、民に蔓延するなど、日本人の道徳も地に落ちたと言わざるを得ません。 何もかもうまくいかなくなっており、政治家、官僚だけでなく、財界人の判断力や学者の見識も驚くほど落ち、先生や親もかつてはあった教育者としての力量を失いつつあります。地域社会は閉塞感いっぱいで、まさに国難のときであります。 教育に目を転じますと、経済と同様に、改革という改革が裏目に出ています。十年ほど前からゆとり教育路線が本格化してから生徒の学力は着実に低下し続け、ゆとり教育が解決を目指した落ちこぼれ、いじめ、不登校、学級崩壊など、依然として憂慮すべき状況にあります。 我が国の直面する危機的な状況は、手が痛い、足が痛いというような局所的なものではなく、いわば全身症状であり、すなわち日本という国がひどく劣化したことだと言われています。 国家の体質は、当たり前のことですけども、市民一人一人の体質の集積であります。一人一人の体質は教育により形づくられているということであります。この国家的危機の本質は、誤った教育にあると私は思っています。教育を立て直すこと以外に、日本を立て直すことは無理であると言わざるを得ません。 そこで、学校教育において教材として重要な役割を果たしている教科書についてお伺いします。 現在の教育現場は、学級崩壊、不登校、校内暴力と問題が山積しています。今日、少年による痛ましい事件が多発しており、教育のあり方、教科書のあり方がさまざまな観点から議論されています。 現在、教科書会社は八社ありますが、以前からある七社の歴史教科書は、どの教科書も日本の国を悪者扱いにし、子供に日本の歴史に対して誇りを持つことをさせない偏向した内容になっています。 一例ですけども、七社を代表する東京書籍の教科書について、明治期の日露戦争の記述を検証してみたいと思います。 東京書籍の教科書には、日露戦争の主役とも言うべき小村寿太郎東郷平八郎などの指導者の名前は全く記さずに、開戦に反対した幸徳秋水や内村鑑三が登場しています。戦争は悪であり、悪を行った政治家や軍人の名前や功績など学ぶに値しないという大前提があるように思われてなりません。 また、日露戦争の意義について、「アジアの諸国に刺激を与え、日本に倣った近代化や民族独立の動きが高まった」と触れてはいますが、すぐに「国民には日本が列強の一員となったという大国意識が生まれ、アジアに対する優越感が強まってきた」と、その意義を打ち消してしまい、「戦争の犠牲の大きさに比べて日本の得た権益が少なかったとして、国民は激しく政府を攻撃し、暴動が起きた」と記しています。 この教科書日露戦争を一貫して否定的にとらえていることはだれの目にも明らかであります。一番大切なことが欠落していると思います。 当時、ロシアは世界最大の陸軍国であり、朝鮮半島への南下は日本の政治家にとって何としても食いとめねばならない安全保障の命題であったという背景が何も記されておりません。 この教科書で学ぶ子供たちは、日露戦争が日本の生き残りをかけた壮大な国民戦争であり、日本はこれに勝利し、自国の安全保障を確立したという国民的常識を学校では学べず、共有できないということであります。 実際に、ある学校で書かれた児童の作文によると、「自分が日本人であることが恥ずかしい」とか、「犯罪者の子孫であることが悲しい」というような内容のものがあったとのことであります。このようなことで未来の日本を担う気持ちや自他の生命に対する尊重の念が生まれてくるのでありましょうか、悲観的にならざるを得ません。歴史認識がおかしくなってくると言えます。 七社の教科書は、余りにも左翼的に偏向し過ぎている、自虐度が強過ぎる、日本の歴史をもっと正しく教える教科書があってもいいんではないかということで、新しい歴史教科書がつくられ、扶桑社という会社が新規参入し、教科書会社は現在八社となったのであります。ところが、この扶桑社の教科書教育現場に入れてはならないと大変な抵抗運動が起こったのであります。 ねじ曲げられた教科書に沿ってなされる教育は、先祖や国家を憎悪する子供たちしか生み出せません。そして、社会に対する敵意や秩序に対する反抗心を芽生えさせ、子供たちを反社会的行動に駆り立てるのではないでしょうか。 教科書は、本来、学習指導要領に基づき、厳正、中立な立場から文部科学省によって検定されるのが建前ですが、その検定機能が後退し、むしろ、特定勢力によって裏検定がなされているとも言われております。 世界のどこの国でも、その歴史には明と暗が同居しているのであります。世界のどこの国の教科書も、自分の国を悪者扱いにして教育している国はなく、自分の国がいかに誇らしい活動をしてきたか、他の国に対して自分の国がどのようなよい影響を与えたのかを誇りにすべきと教えています。 そこで質問に入ります。 日本の歴史教育の現状について、広瀬知事はどのような感想をお持ちなのでしょうか、ご所見を伺います。 次に、補助教材について教育長に伺います。 去る平成十三年十月十五日付教委学第一七八七号により、当時の石川教育長から各市町村教育長あて補助教材の適正な取り扱いについて通知がなされています。 その内容は、学校における補助教材の選定に当たっては、学習指導要領等に適合したものであること、選定に当たっては校長の責任においてこれを採用すること、いやしくも保護者等から批判、疑念等を受けることのないよう留意すること等となっています。 これに関して、その後の実態調査はどのように実施されたのか、申すまでもなく、補助教材教育委員会の管理下にあるべきものですが、現状を把握しているのか、「夏の友」「冬の友」などにその後全く改善が見られません、どうしてこのような事態になっているのか、伺います。 次に、教科書問題をめぐるこれまでの経緯を振り返ってみたいと思います。 今使用されている歴史教科書は、昭和五十七年に検定の段階で「侵略」を「進出」と書きかえさせたという誤報がなされて、近隣諸国から批判され、教科書検定基準に近隣諸国条項が入ったのが発端であります。 その後、昭和六十一年の検定に際し、中国や韓国から内政干渉があり、文部省は数次にわたり異例の修正を行いました。平成四年には、時の総理が訪韓の際に植民地支配と慰安婦について謝罪し、翌年、平成五年には、慰安婦問題で、事実上、軍の強制連行を認め、平成八年には、文部省が中学校教科書の検定結果を発表するや、歴史教科書全七社七冊に慰安婦の記述が登場しました。その直後から各地の地方議会において中学校歴史教科書から従軍慰安婦の記述の削除を求める請願書が提出され、採択をめぐって世論が盛り上がってきました。 平成九年には、西尾幹二氏などによる「新しい歴史教科書をつくる会」が結成され、全国的な活動が展開されるようになりました。 平成十一年に東京書籍と教育出版の中学校歴史教科書からは慰安婦表記で「従軍」と「強制」の字句が自主的に削除申請され、文部省がこれを許可いたしました。各地の地方議会では、教科書採択の正常化を求める請願や一般質問などが起こり、国民の関心が高まってきております。 以上が簡単な経緯であります。 そこで、教科書採択に関連して質問します。 まず一つ目は、教科書はどのような手続を経て採択されたのか、その仕組みを詳しくお示しください。 二つ目は、現在使用している教科書はどの教科書会社のものですか。中学校社会科、歴史の教科書について明らかにしてください。 三つ目は、中学校社会科、歴史の教科書が採択された理由があるはずですが、それを明らかにしてください。 四つ目は、教科書の採択と学習指導要領の関係について伺います。 平成十四年度から新しい学習指導要領が施行されています。この新しい学習指導要領で最も注目される改正点は、歴史に対する愛情や愛がつけ加えられたことであります。 「社会」の目標に「我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め」と新たに「愛情」が書き加えられ、さらに、「歴史的分野」の目標にも、現行の「国民としての自覚を育てる」という文言の前に、「我が国の歴史に対する愛情を深め」という文章が書き加えられました。これは大きな変化と見ることができると思います。 したがって、教科書の採択に当たって、選定協議会採択協議会市町村教育委員会それぞれにおいて新しい学習指導要領に示された目標を踏まえて行わなければならないと考えます。ご所見を伺います。 あわせて、採択の選考過程で愛情や愛について配慮した具体的な事例があればお示しください。 五つ目、念のために伺いますが、教科書の調査研究を行う調査員等については教員の中から選任されています。その場合、学習指導要領に反対している団体に推薦を求めているようなことはないと思うが、この点はどうなっているのか、お尋ねをいたします。 六つ目、教科書採択の責任と権限はどこにあるのか、伺います。 七つ目、教科書採択に関する情報公開について伺います。 選定協議会採択協議会市町村教育委員会それぞれについて、委員数、委員氏名、委員選任の方法、審議の様子、結果等について、すべてを公開しているのか、非公開があるとすればどの部分か、また、その理由もお示しください。 八つ目、拉致問題に関連して質問をいたします。 北朝鮮による日本人拉致事件は、平和の幻想の中で惰眠をむさぼっていた私たち日本人は大きな衝撃を受けました。拉致は、平和時に何の罪もない民間人をいきなり連れ去るという国家犯罪であり、国家に対する主権の侵害であります。国内においては、かつてない人権侵害事案でもあります。 この問題は国家が解決すべき問題であるとともに、国民一人一人が自己の胸にとめ、考え、行動すべきときであります。既に文部科学省も、この問題を学校教育に取り入れる方針を明らかにしています。 今後、県として、教師の研修や人権教育、小中学校の平和指導に取り入れるべきと考えますが、ご所見を伺います。 次に、少人数学級の導入について広瀬知事にお伺いします。 知事は、七月議会において、我が党の牧野議員の代表質問に対し、「少人数学級を含め、教育環境を整備充実することが教育行政に課せられた重要な課題であり、教育委員会の検討結果を真摯に受けとめて対応する」と答弁されております。 また、知事は就任以来、教育に関して、「県や国の将来を担う子供たちをいかに正しく教育していくかが重要な課題である」ともおっしゃっております。私も大いに賛同するところであります。 さて、十一月二十日に県教育委員会は、少人数学級導入についての検討結果を知事に報告し、十六年度からの実施を要望いたしました。 この報告は、対象学年を小学校一年とし、学級規模については三十人学級を適当としており、その場合の教員配置の方法等についても具体的に言及しております。 私もいろいろな機会に保護者等から、小学校低学年の児童には先生の目の行き届く落ち着いた雰囲気の中で学校生活を送らせたいという切実な声をよくお聞きしております。 少人数学級については、既に全国三十都道府県で導入されており、去る十一月二十五日には、保護者の全県的組織である大分県PTA連合会から正式に県議会に対し請願がなされ、我が自民党を初め、広瀬県政与党の全会派の代表議員が紹介議員となり、受理いたしました。 また、今回の教育委員会の検討結果は、現場実態や財政状況を考慮し、工夫を重ねたものであり、財政負担も全国最少額レベルに抑え、一億円を下ると承知いたしております。まさに機は熟したの感があるのであります。 行財政改革の真っただ中でありますが、必要なものにはお金を使う選択と集中も大切なことであります。多くの県民が期待する少人数学級の導入について、知事のご英断をお聞かせください。 クリスマスも間近です。県民に知事からのすばらしいクリスマスプレゼントを期待しております。 最後は、中学校教師の不祥事に関連して質問をいたします。 十一月に日田市郡の中学校教師わいせつ図画販売目的所持で現行犯逮捕され、続いて、文化祭の打ち上げで生徒と飲酒をし、自宅謹慎を命ぜられる事件など、次々に不祥事が発生しました。 教育委員会が綱紀粛正を声高に唱えていますが、相次ぐ不祥事に、あきれて言葉も出ません。学校現場は一体どうなっているのか、いつになったら正常化され、親が信頼する教育環境になるのか、不安が募るばかりであります。 さて、事件を起こした二人は、音楽と美術の専門教科の担当教師と聞いております。学校には教員の代替がおらず、指導ができず、やむを得ず、他の教科の授業をしたり、自習で対応したと伺っています。 保護者を初め地元から、代替教員を速やかに配置して授業できるようにしてほしいとの要望を出したところ、地元の教育委員会は、本人の処分が確定しない段階では代替教員の手当てはできない旨、回答があったと伺っています。 その後に非常勤講師の代替教師を配置したようでありますが、教師の資質向上が叫ばれている現在、教育委員会がみずからの手ではっきりとけじめをつけ、信頼回復に努めるべきと考えます。 優先すべきは、職員の処遇や人事ではなく、子供たちの教育であります。生ぬるい体質から脱却し、厳しさを前面に出し、処分を早くして、代替教員の配置等の処理も速やかに行うべきであったと考えます。県教育委員会としての見解を求めます。 以上で私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手) ○佐々木敏夫議長 ただいまの渕健児君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 渕議員のご質問にお答えいたします。 渕議員には、冒頭、キヤノン大分進出につきまして、身に余るお言葉をちょうだいいたしました。しかしながら、キヤノン大分進出は、大分県が人材も育ってきた、そして、産業集積も随分できてきた、さらには、まだまだ不十分ではございますけれども、社会資本、社会インフラの整備も整ってきたというような総合的な力のおかげでやってきたんだろうというふうに思っております。むしろ、ここまで大分県をつくり上げていただいた皆さん方のご尽力のおかげだと思っております。 キヤノンは、ご承知のとおり、先端産業として、今、世界で大変厳しい競争、激しい競争を展開しているわけでございます。一日も早く操業が開始できるということが先端産業にとっては非常に大事なことでございます。そんな意味で、せっかく大分進出が決まりましたから、これからは、この計画どおりの操業開始に向けて、できるだけの協力をしていく、また、事業上の支援等もやっていかなければならないというふうに考えております。この点につきましても、ひとつご理解を賜りたいと存じます。 さて、渕議員には、県や国の発展にとって大変大事な教育の問題について広範なご質問をちょうだいいたしました。 まず、日本の歴史教育の現状についてお答えをいたします。 私といたしましては、歴史教育は、客観的、学問的な研究成果を踏まえながら、小、中、高等学校の各段階におきまして事実を事実として正しく指導し、我が国及び世界の歴史に対する理解を深め、国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を育成することを目指しているというふうに心得ております。 したがいまして、歴史を教えるに際しましては、我が国の今日よって来るところを広い視野に立って考えさせるとともに、何より我が国の歴史に対する愛情を深めて、国民としての自覚を育てることが大切であるというふうに認識をしております。 この大分県も多くの歴史上の人物を輩出し、六郷満山文化、あるいは南蛮文化を花開かせるなど特色のある歴史を展開してまいりました。こうした地域の発展に尽くした先人の業績や地域に残る文化遺産などにつきまして学ばせ、郷土に対する誇りや愛情を育てるということが、ひいては歴史教育のねらいとされている我が国の国土や歴史に対する理解を深めるとともに、愛情を育てていくことになるというふうに考えております。 二十一世紀は、いかなる国、地域も、他国や他地域との関係を離れては存在できません。子供たちには、ますます複雑化、多様化する国際社会をたくましく生き、我が国と世界の発展に貢献してほしいと強く願っているところであります。そのためにも、歴史学習を通して自国の理解を深め、日本人としてのアイデンティティーを確立するということが、他国や他地域との協調関係を導いていく上で今後さらに重要になってくるというふうに考えております。 大分県の発展のためには何よりも人材の育成が肝要でありまして、学校教育はその最も大事な場であります。 私は、子供たちが自信と誇りを持って他の国々や地域の人々とともに生きていける社会の実現を目指す教育を進めるということで、郷土大分を愛し、日本はもちろん、世界に羽ばたく人材を育てていきたいというふうに考えております。 次に、少人数学級の導入についてのご質問でございます。 先日、十一月二十日に、県教育委員会の西教育委員長から、少人数学級の導入につきまして、県教育委員会の検討結果のご報告をいただきました。 この報告では、導入が望ましいとされる学年や学級規模につきまして、小学校一年を対象に、三十人などの少人数学級として、二十人を下限学級としていること、また、当該学級を導入した場合の教員配置の方法等について、既存の教員定数の活用やその後補充として非常勤講師の配置等にも言及しております。 人材をしっかりと育てて、将来の発展可能性豊かな大分県をつくっていくということは何よりも大きな課題であります。そのためには、教育委員会の報告にありますように教育環境の整備充実を図っていくことが重要であるというふうに考えております。 ご案内のとおり、ただいまは行財政改革を県政の重要課題として取り組んでおります。行財政改革プランの策定を進めている厳しい時期ではございますけれども、議員ご指摘のように、選択と集中の精神に立って、何とか工夫をいたしまして、今回の教育委員会の報告に沿って、平成十六年度から少人数学級を実現してまいりたいというふうに考えているところであります。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当の部長からお答えをさせていただきます。 ○佐々木敏夫議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 初めに、補助教材についてお答えいたします。 これまでもその取り扱いについて、各市町村教育委員会に対し、年度当初や長期休業前など、年四回、その適正な取り扱いに万全を期すよう指導してまいりました。また、年二回、選定状況等の調査を実施しており、それによりますと、多くの小中学校におきまして校内に選定委員会などの組織が設けられ、二つ以上の教材を比較考量の上、学校長の責任において決定し、当該市町村教育委員会へ事前届出を行うなど、適正な手続がとられております。 議員ご指摘の補助教材であります「夏の友」「冬の友」につきましては、その内容は学習指導要領に適合しており、論議が分かれるような内容は除かれるなどの改善が図られてきております。 また、その教材としての選定につきましても、他の補助教材と同様の手続を経て、学校長の判断のもとで決定されております。 今後とも、補助教材につきましては、教材としての内容の公正確保や選定手続の透明性の向上が図られるよう、引き続き市町村教育委員会を指導してまいりたいと考えております。 次に、教科書の選定手続についてお答えいたします。 市町村立小中学校におきます採択は、法により、市や郡の区域またはこれらの区域を合わせた地域を教科書採択地区として設定することが義務づけられておりまして、採択地区内では同一の教科書を使用するように規定されております。 本県では、採択地区といたしまして、現在、教育事務所単位の六地区を設定しております。 採択地区内の市町村教育委員会では、共同して教育長及び保護者で構成する地区採択協議会を設けます。この協議会は、教科書の調査研究をし、選定資料を作成するため、下部組織といたしまして校長及び教頭職等で構成する選定協議会を設置します。 地区採択協議会は、選定協議会作成の資料をもとに選定をすることとなります。さらに、市町村教育委員会は、その選定結果に沿って使用する教科書を採択し、県教育委員会へ報告をします。 なお、県教育委員会は、保護者を初め一般県民の方に教科書を理解していただくため、教科書採択時期に合わせまして、県内二十の会場で国の検定済みの教科書の展示会を開催するほか、学識経験者などから成ります県教科用図書選定審議会を設置して、採択基準及び各教科書の特徴などをまとめた資料を作成いたしまして、教科書の採択を行う市町村教育委員会を指導、助言いたします。 次に、県立学校の教科書採択につきましては、県教育委員会の指導、助言のもと、各学校において調査研究を行い、校長が選定いたしまして、県教育委員会が採択する仕組みになっております。 次に、中学校社会科、歴史の教科書及び教科書採択と学習指導要領の関係についてお答えいたします。 まず、現在使用されております中学校歴史教科書の発行者につきましては、中津、佐伯、竹田の各採択地区は教育出版、別府、大分、日田の各採択地区は東京書籍となっております。 市町村立小中学校の教科書採択の責任と権限は市町村教育委員会にありますが、公表された採択理由では、「学習指導要領に沿って内容が厳選されており、資料や図表も工夫され、系統性があり、生徒の学習への興味を高めやすい」等となっております。 次に、教科書採択と学習指導要領との関係については、現在使用されている教科書はいずれも新しい学習指導要領に沿ってつくられていることから、それぞれの地域に最もふさわしいものを地区採択協議会選定協議会市町村教育委員会の各段階で判断して採択されているものと考えております。 次に、教科書の調査研究を行う調査員等についてお答えをいたします。 教科書の調査研究は、県教科用図書選定審議会における調査員と地区採択協議会における選定協議会委員とが行っております。調査員等は、それぞれ審議会規則や協議会会則に基づいて任命等がなされておりますが、選任に当たっては、それぞれの教科に精通し、現場での経験も豊富な学校長、教頭職等にある者の中から市町村教育委員会教育長に推薦をお願いしているところであります。 次に、教科書採択の責任と権限についてお答えいたします。 市町村立小中学校の教科書採択については市町村教育委員会に、県立学校の教科書採択につきましては県教育委員会にあります。 次に、教科書採択に関する情報公開についてお答えいたします。 どの範囲まで公表するかはそれぞれの市町村の情報公開条例によるものでありますが、県教育委員会といたしましては、開かれた採択と公正確保の観点から、採択に関する一連の情報を積極的に公開するよう市町村教育委員会を指導、助言してまいりたいと考えております。 次に、拉致問題についてお答えいたします。 北朝鮮における日本人拉致事件は、人間の尊厳、人権及び基本的自由の重大かつ明白な侵害であると認識しています。 県教育委員会といたしましては、この問題を人権にかかわる今日的課題ととらえ、学習指導要領に基づき、社会科や総合的な学習の時間などで取り上げるよう市町村教育委員会を指導するとともに、教職員研修にも努めてまいりたいと考えております。 最後に、中学校教師の不祥事についてお答えいたします。 教職員の不祥事が本年度に入りましても依然として発生しておりますことは、県教育委員会といたしましても、県民の教育に対する信頼を損なう憂慮すべき深刻な事態であると受けとめております。 教職員の不祥事につきましては、県教育委員会市町村教育委員会が危機意識を持って一層の協議を重ね、その根絶に向けての方策を見出す必要がありますことから、先日、十一月二十六日に緊急市町村教育委員会教育長会議を開催し、不祥事の根絶対策について、これまで以上の取り組みを確認し、お願いしたところでございます。 さて、議員お尋ねの教職員の不祥事にかかわります代替教員の配置についてでございますが、基本的には、懲戒処分が確定するまでに生徒の授業に支障が生じないよう、校内での同教科の教員が授業を担当したり、一時的に他の教科に振りかえて授業を行ったりする等の措置がとられております。しかしながら、今回は、音楽、美術といいます特別な教科で、学校に一人のみの配置であることから、教育課程の実施が困難になったとの当該市町村教育委員会からの要望もあり、非違行為が発生して十五日経過後の十一月二十五日付をもって非常勤講師を配置したところであります。 今後とも、不祥事の根絶に向けた取り組みの一層の強化を図るとともに、懲戒処分手続を迅速に行い、不祥事に係る学校での授業に支障が生じないよう最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○佐々木敏夫議長 再質問はありませんか。--渕健児君。 ◆渕健児議員 まず、知事に御礼申し上げます。三十人学級、ありがとうございました。ぜひひとつよろしくお願い申し上げます。 時間が限られておりますので、要約して申し上げたいと思うんですが、教育長の答弁の中で今お話がありました件ですけども、補助教材、歴史教科書もすべてこれと同じライン上にあると、こういうように私は思っておるんです。補助教材、特に問題はなかったと、こんな回答でありましたが、実は私、今手元に「夏の友」一九九九年、それから二〇〇二年、二〇〇三年と三冊持ってきておるんです。当時の石川教育長が通達を出されたのは二年前であります。ですから、二〇〇一年だったと思うんですが、その後に出た二〇〇二年、二〇〇三年も、あるいは、その前の一九九九年も、中身が全く変わってないんですよ。 特に私が問題にしておることは、アメリカとの戦争の中で日本に広島と長崎に原爆を投下したこと、もう簡単に言いますと、原爆を落としたアメリカが大変いい国で、日本の兵隊が日本人を殺したと、歴史教科書なり補助教材の中でこういう表現になっておるわけですね。こんな教科書って、世界じゅう探してもないんじゃないかと思うんですよね。 こういうのが、さっき教科書の中でいろんなことを申し上げました、自虐度が多過ぎるとか、偏向しておるとか申し上げたのも、まさにそのものがあるわけですね。 しかも、教育長への報告の中では何も問題はなかったという報告、これは非常に体質的に問題があると、このように思うわけでありまして、言い過ぎかもしらんけども、改革がこれほど問われておる中で教育界というのは、ずばり言わしてもらえば、まだ五五年の体制引こずっておるなと、そんな思いが強くするわけであります。ぜひ教育長にお願いしたいわけです、ちょっと気持ちもお聞かせいただきたいと思うんですけど、もう一回調査してみてください。そして、またいろんな場で報告を求めたいと、こういうように思っておりますので、ぜひそれを、お気持ちをまず聞かせていただきたい。それが一つであります。 それから、申しおくれましたけども、「夏の友」補助教材につきましては、石川教育長は通達を出した経過もあるわけです。実は、文部省から「大分の教材はなってない」と、こういうこと、はっきり言って物すごく厳重注意されておるわけですよ。そういう中にあって教育委員会がちゃんと動いて、教育長としての指令や通達を出しておるわけです。にもかかわらず、まだ何にも変わってない。これに私は非常に不審でならないわけです。そして、何も問題はないちゅう報告を教育長にしておるというところにも、物すごく体質的に、どうなっておるのかな、こんな思いをいたしております。 それから、この補助教材ですけど、ここに情報があるんですが、二〇〇三年の七月九日付の報道でありますけど、石川県は、当時、大分と同じような形のものを採用しておったわけですけども、こういう問題が出て、教育長から通達が出たら、二百四十三校採用しておったのが、通達が出た途端にそれが三校に減っておるんですよ。石川県なんか、すぐ変わっておるわけです。何で大分変わらないのかなという感じを強く持っております。お気持ちをちょっとお聞かせください。 それから、もう一つ、教科書の採択の話でございますけども、答弁がございましたようにシステム的にはきちっと、民主的な運営ができるような形になっておると、こういうように思っております。それはもう私も率直に認めたいと思っております。 ただ、それぞれの機関がきちっと機能してこそ初めて、民主的に運営されて、いい教科書が選択されるという結果が出てくるわけでありまして、例えば、先ほどもお話がありましたが、選定協議会の中で教育現場の方が一番詳しいと、詳しいこともこれも認めますが、詳しい方々が言ったことがそのままストレートに認められてしまうと。 中には、例えば、組合の役員をしておったとか、あるいは、理科だったら理科の教科書に特別オーソリティーであるとか、そういう人たちが、偏向した思想を持っておられる方が、その人が「右」と言ったらみんな右になってしまうというようなシステムがあるやにうわさとして聞いておるわけであります。 ですから、教科書の選択も、やっぱり抜本的に、選考の仕方、それから氏名とか、あるいは協議会の内容の問題、そういう問題について、やっぱり私たちも一つ一つこれから関心を持ってチェックをしていかなければいけないと、こういうように思っております。 先ほど答弁の中で、情報公開が、私聞き漏らしたんかもしれませんが、答弁がなかったようにあるんですが、全部これに絡んでいるんです。すべて情報公開されれば、どういう審議を、例えば、教育委員会がどの程度の時間をかけて、どの程度加わって責任を果たしておられるのかとか、そんな問題が一つ一つ皆わかってくると思うわけでありまして、そういう面では情報公開をすべてしてほしいと。現実に情報公開をやっておる県もあるわけでありますので、そういうことも強く求めておきたいと思いますし、この点についても教育長にちょっとお気持ちだけでもいいですから、お聞かせください。 それから、拉致の問題でありますけども、私は非常に一歩も二歩も前進したご答弁をいただいたなと、こういう理解の仕方をしておりますけども、先ほども私は質問の中で申し上げましたように、大変なテロであるわけでありまして、そういうものをほっとく手はない--ほっとく手はないというのはちょっと表現が適切じゃないですけども、現実から逃避せずにそういう具体的な例を、例えば、今大変熱心にやっておられますが、平和教育のなんかでもどんどん取り入れてほしいと。学校現場で、どんどん平和教育の中でそういうものを取り入れてやってほしいと、そういうことを強く求めておきたいと思っております。 平和教育の話が出ましたので、ちょっと申し上げますが、実は、名前出していいんですかね、これ、大分市の城東中学の子供が書いた作文にこういうのがあるんですよ。参考までにご紹介します。 「何で平和授業って、こういう戦争に行きたくないシリーズばっかりなんだろう」。これ、中学生が書いておるんですよ。「私だって怖いし、行きたくないけど、昔の戦争に出ていって日本のために戦ってくれた人は尊敬している。だから、そういう愛国心を持って今の日本のために生きた人たちのことを教えた方が平和につながるんじゃないだろうか」と。 子供の作文でありますけども、こういう例もございます。さまざまな例がございますけども、時間がございませんので、以上でございますが、ちょっと、二、三、ご答弁をいただきたいと思います。 ○佐々木敏夫議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 数点ございましたけども、お答え申し上げます。 まず一点の補助教材につきましてでございますが、特に「夏の友」「冬の友」につきましては、私どもとしては、十三年度以降、市町村教育委員会に対しまして補助教材の適正な取りかえについて指導するとともに、年二回、県教育委員会によります、「夏の友」につきまして内容の調査をしてきてまいっております。その改善が逐次図られてきたものと考えておりますが、今後とも、これら「夏の友」が学習指導要領に適合しているか、児童生徒の発達段階に即したものになっているか等の観点から、より一層、慎重に調査を行ってまいりたいと、このように考えております。 次に、教科書の選定委員会の委員の件でございますが、この選定協議会委員は、あらかじめ県教育委員会が作成しております選定資料を参考にしながら、選定地区の児童生徒の発達段階や地域の特性を踏まえまして、公正にすべての教科書を調査研究した上で、その意見を採択協議会に報告しております。 採択は各市町村教育委員会にその権限がございまして、調査研究された報告書をもとに公正に採択されたと考えておりまして、個々、調査委員の恣意的な思考による採択は考えにくいと考えております。 また、県教育委員会としましては、市町村教育委員会の権限と責任のもとに適正かつ公正に採択をするよう指導してまいりたいと考えているところでございます。 次に、教科書採択に係る情報公開でございますが、県教育委員会といたしましては、開かれた採択と公正確保の観点から、採択に関します一連の情報を積極的に、可能な限り公開するよう市町村教育委員会に働きかけてまいりたいと、このように考えているところでございます。 最後に、拉致につきましては、先ほどお答え申しましたが、今後ともこの問題を各学校で取り上げるよう市町村教育長会議や担当者の会議等々を通じまして働きかけてまいりたいと、このように考えているところでございます。 以上でございます。 ◆渕健児議員 議長。
    佐々木敏夫議長 渕健児君。 ◆渕健児議員 もう答弁は要りませんが、実はこの「夏の友」を随分調べてみたわけですけども、発行しておる会社が大分県学校用品株式会社という会社なんですね。ここの社長が元県教組の副委員長でありますし、現実に県教組の今、委員長とか、そういういわゆる県の教組の役員ばっかりが全部籍を連ねておる。教組の委員長ももちろん入っておりますし、あるいは元役員の奥さんが入っておったり、あるいはお父さんが入っていたりということで、まさに県教組一色という状態の会社であります。この会社が編集しておるのがこの「夏の友」「冬の友」であるわけであります。 ですから、その会社だから悪いと申し上げておるんじゃないんです、内容が悪いから困ると、こういうぐあいに申し上げておるわけでありますので、誤解されたら困るんですけども、会社はそういう会社です。 こういうような資料を出してください、ああしてくださいと執行部にお願いしたら、最初はわかりませんとか、資料自体も即座に出てこないというような、そういう面もありまして、先ほども申し上げましたように、やっぱり古い体質を何となく引こずっておるし、傷をなめ合っておるような体質があるんではなかろうかなと大変危惧をいたしておるところであります。 これからいろんな改革が問われておるわけでありますし、深田教育長はいろんな意味で期待されておる教育長だと私思っておりますので、教育長にこれからも一層のリーダーシップをお願いしたいと思っておりますし、広瀬知事からもぜひその辺につきまして、今後、いろんな面での大所高所からのご指導をお願い申し上げておきたいと思っております。 これから私たちも一層関心を持ちまして、大分県の教育がよりすばらしいものになるように、日本の教育のレベルが落ちておるという中で、センター試験で大分は四十五番なんて言われておるわけですから、ずうっと低空飛行が続いておるわけでありますので、さまざまなものを引こずっておると思いますので、教育の正常化に向けて私も努力してまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。 ○佐々木敏夫議長 以上で渕健児君の質問に対する答弁は終わりました。 佐々木哲也君。  〔佐々木(哲)議員登壇〕(拍手) ◆佐々木哲也議員 おはようございます。六番、自由民主党の佐々木哲也でございます。 県議会に議席をいただいて、はや八カ月が経過しましたが、ここに初めて質問の機会を得ましたこと、先輩議員各位のご配慮、ご指導に対しまして心より厚くお礼を申し上げます。 また、何かと忙しい中に傍聴においでいただきました地元の大野郡の皆様、まことにありがとうございます。 広瀬知事におかれましては、「安心」「活力」「発展」を政策理念と掲げられるとともに、県下一円を公私ともにくまなく訪問され、県政に反映しようとするその姿に、私はこれからの大分県の発展と躍進を確信する次第であります。今後とも引き続き地域住民の声をお聞きいただき、県政に生かしてくださいますようお願いいたします。 また、僣越ではございますが、この場をかりまして、大分トリニータJリーグ一部残留のお喜びを申し上げます。 予想以上のJ1リーグの厳しさでありましたが、先週土曜日にビッグアイ三万三千人の後押しを受けて見事に残留を決定いたしました。あの熱狂を目の当たりにして私は、トリニータが大分の希望と誇りであると思ったのであります。来期も苦しい戦いが続くものと思われますが、大分県とて同じであります。皆様が力を合わせて一歩一歩階段を上っていけば、必ず光が見えてまいります。私自身も、大分県とトリニータの躍進の一助となるべく、なお一層の精進を重ねてまいる所存であります。 さて、私は、「水を守る」を公約に県議選を戦い、大野郡の皆様の温かいご支援をいただいて当選することができました。まず、この公約の実現に向けて、第一の質問に入らせていただきます。 私が生まれ育ったのは、清流大野川の源流部である傾山のすそ野に広がる、透き通った空気と透き通った川の水に恵まれた白山という地区であります。 大野川の支流である白山川は、地域住民の合成洗剤にかわる洗濯石けんの普及拡大や台所排水への油脂類混入廃絶運動等、流域住民の長年にわたる努力により蛍の乱舞する川として、その豊かで美しい水を大野川へと注ぎ込んでおります。昭和六十年には環境省の全国名水百選にも選ばれ、近年は数多くの観光客が訪れるようにもなりました。 また、大野川上流域の豊肥地域から下流域の大分市までの地域住民で組織する大野川流域ネットワーキングは、清掃活動の実施や流域懇談会の開催、生態系の調査、支流の浄化等さまざまな活動を行っております。その結果、大野川は、九州にある一級河川二十河川のうち、九州一美しい川としてランクされたところであります。 しかし、流域の住民が川を汚さない努力をするだけでは、水はその質と量において安定的に供給されるものではありません。山に降った雨が森の木の根を伝い、山肌へと浸透し、わき水を生む。四方からわいた水は、小川を形成して、だんだんと大きな川へと成長していくのです。つまり、森を守ることこそが、水をつくり、川を守ることにほかならないのであります。 水は、私たちが生きていく上で欠くことのできない大切な資源です。しかし、今まさにその命の水を生む森林が荒廃し、広瀬知事が提唱している「安心」「安全」が脅かされようとしております。 大分県の総面積は約六十三万四千ヘクタール、そのうち森林面積が約四十五万七千ヘクタールと、実に大分県の七二%を森林が占めており、全国で十六位、九州では二位の林野率を誇っております。平成二年と平成五年の台風による風水害では、手入れの行き届いていない森林の風倒木がその被害をさらに拡大したことは皆様もご存じのとおりです。そして、今なお地域の森林が手入れもされずに放置されつつあるのです。 一方、木材価格を見ますと、昭和五十五年には杉の直材一立米が三万九千六百円していたのですが、平成十四年には一万五百七十四円と、実に三分の一以下にまで暴落をしております。手塩にかけて四十年近く育てた杉一立米を業者に委託して出荷しようとすれば、伐木費に四千百円、搬出費に三千四百円、運賃に千八百円、はい積み料には千四百円、手数料には七百円、雑費に千百円の経費がかかり、何と出荷総経費が約一万二千五百円と木材販売価格一万五百七十四円を二千円も超過し、出荷すればするほど損失が発生するという状況になっております。 このような状況では、下刈りや枝打ち、間伐といった経費の支出さえもままならず、荒れる山をただ呆然と眺めているしかないというのが現状です。また、林業従事者の高齢化が進み、後継者もなく、このままでは技術の伝承もままならない状況であります。大野郡においても手入れをされずに放置されている森林が年々目立つようになってきました。 森林は、私たちが生きていく上でなくてはならない水や酸素をつくり出しています。また、二酸化炭素を取り込んで地球温暖化を防ぐ働きをしたり、虫や鳥、動物などの生活の場として生態系を支えるなど、環境の面からも大きな役割を果たしております。 あの忌まわしい日田、竹田の風水害から十年を経た今、荒廃した森林は、いつ集中豪雨が襲い、大きな被害が出てもおかしくない状態なのです。私は、今こそ広瀬知事の提唱する「安心」のためにも、郷土大分県の森林保護に本気になって取り組むときではないかと思うのであります。 そこでお尋ねしますが、まず本県の森林保全対策の基本方針についてお聞かせください。 また、さきの九月議会でも先輩の井上議員が質問されましたが、美しい川の水を守り、水害のない安全な町をつくっていくため、森林・環境保護税を新たに導入して、基金として蓄えたお金を造林、間伐への助成やボランティアの植樹補助等に活用できないものでしょうか。 ご案内のとおり、高知県では、本年四月から森林環境税として、県税に五百円を加算して五年間の徴収を条例で定め、施行しております。前向きな答弁をお願いいたします。 また、近年の住宅はツーバイフォーなどの外材を使ったものが多く販売され、国産材住宅でも県産材は他産地に比べて競争力が弱く、県産材の需要低迷にも拍車をかけております。今後の県産材の販路拡大対策について、県産材利用促進補助等の新設も含めて、見解をお聞かせください。 あわせて、間伐材の利用促進策についても、新たな用途開発への助成や公共事業での利用拡大、試験研究の充実なども含めて、お考えをお聞かせ願えないでしょうか。 次に、障害者福祉についてお伺いをいたします。 去る十一月十七日の新聞紙面に障害者福祉にかかわる二つの記事が大きく取り上げられておりました。 一つは、言うまでもなく、十六日に開催された第二十三回大分国際車いすマラソンであります。 この大会は、身体障害者の社会参加意欲の喚起と県民の障害者に対する理解醸成を目的に一九八一年に第一回大会が開催され、現在では規模やタイムから名実ともに世界トップクラスの大会に成長いたしました。今年も数々の感動のドラマが生まれ、各地で県民との心温まる交流が繰り広げられました。 広瀬知事も開会式から交歓の夕べまで出席され、感銘を受けたとおっしゃっておられましたが、私もこの大会は大分が世界に誇るべき文化であると考えております。一時期、廃止も検討されたと伺っておりますが、こうした文化は一朝一夕に成るものではなく、末永い取り組みがあってこそ花開くもので、一度やめてしまえば二度と取り戻すことはできないと思うのであります。 そこでお伺いしますが、現在策定中の行財政改革プランの検討項目にイベント、大会等の見直しが掲げられ、来年度の当初予算編成方針においてもイベント等の廃止、縮小方針が示されており、当然、この車いすマラソン大会も見直しの対象であると認識しておりますが、どのような見直しをお考えなのでしょうか。 確かに、私もいわゆるイベント的行事や形式的な式典要素を廃止し、競技会主体、参加者本位の大会に衣がえをする時期が来ていると考えるのでありますが、この大会の存続と具体的な見直し案について答弁願います。 二つ目は、障害者支援費制度についてであります。 新聞報道によりますと、本年四月から始まった障害者自身がサービスを選び、契約をする支援費制度の利用が増加し、事業費が前年度の一・五倍になっており、自治体への国の補助金が約五十億不足をするというものであります。特に、身体介助や外出支援などのホームヘルプサービスが急増しているとのことであります。 私自身は、これまでサービスを受けていなかった障害者が活発に制度を利用しているのですから、支援費制度の趣旨からも好ましく感じているのですが、危惧されるのは、国庫補助金が削減されることで市町村のサービス供給が縮小するのではないかということであります。特に問題なのは、この補助金は国の義務負担ではないため、二分の一を下回って補助される可能性があるということです。 そこでお伺いしますが、県ではこうした状況をどうとらえ、どう対処しようとしているのか、本県の支援費制度の利用状況や県負担額の最終見込みを含めて、お答えください。 次に、大野郡圏域の産業振興策についてお伺いいたします。 大野郡においては、過去の竹田大水害以降、土木建設業が景気の牽引役となり、地域経済に大きな貢献を果たしてまいりました。これは、建設業就業者数の全就業者に対する割合が県全体では一二・二%であるのに対し、大野郡の場合は一三・一%と高い割合を示していることからもうかがえます。建設業関連業者も含めれば、大野郡内のかなり多くの人々が公共事業によって生活を支えられていることがおわかりいただけると思います。 一方、県の公共事業費を見ますと、平成十年度の千六百五十五億円をピークとして、平成十五年度にはピーク時の約半分の八百六十六億円に減少しております。大野郡においても公共事業は確実に減少しており、地域経済は疲弊寸前にまで追い込まれております。 また、大野郡の主力産業は農業であると言われてきました。大野郡に農道空港や農業大学校、農業技術センターなどが設置されたのも、そのあらわれであると思っております。しかしながら、農業産出額においても、やはり平成六年の二百二十三億円をピークとして、平成十四年にはピーク時の七二%にまで落ち込んでいるのが現状であります。 このように大野郡では、基幹産業である農業においても、建設業においても、大幅な生産高減少が続いております。このような状況が続けば、大野郡の農業はもとより、建設業、商工業、すべての産業が今後生き残っていくことが困難となり、雇用創出ができない状況から過疎化の一層の進行が懸念されるのであります。 この状況については、今年十月の有効求人倍率が県全体では〇・七一倍であるのに対し、大野郡では〇・五六倍と〇・一五ポイントも下回っていることからも明らかであります。 県北地域においては、テクノポリスやキヤノン、ダイハツといった大企業誘致が行われ、地域経済の活性化が大いに期待されるところであり、県南地域においても、東九州自動車道の延長により臼杵や津久見では観光客が増加するなど将来的な発展が見込まれるところであります。 しかし、大野郡地域においては、かつてリバーポリス構想があったものの、これに伴う新たな企業立地や社会資本の整備はほとんど行われず、これといった成果も上がっておりません。加えて、先日は百三十五名の従業員を抱える千歳村の都築紡績大分工場が会社更生法の手続に入るなど、地元には言い知れぬ不安と動揺が広がっております。こうした状況を見るとき、私は、このまま大野郡が取り残されていくのではないかと、危機感を強く抱くのであります。 確かに、今後、市町村合併が進めば、新しい市が特性を生かしながら自助努力によって発展していかなければなりませんが、私は、それぞれの地域がバランスよく発展できるよう支援していくことは、依然、県の重要な責務であると思っております。 そこでお尋ねしますが、このように地域産業が大きく低迷する大野郡の現状に対してどのような産業振興ビジョンをお持ちなのか、具体論も交え、お聞かせください。 また、特に農業については、大野郡は県内でも有数の農業地帯であり、中でも園芸作物については、ピーマン、ニラ、スイートピーなどが遠く関西市場まで出荷をされております。地産地消の取り組みも盛んで、農産物直売所の売り上げは年々着実に伸びており、清川村でも特産のクリーンピーチや四季の野菜をそろえた直売所が好評を得ております。 しかしながら、大野郡農業の牽引役として期待された県央空港を利用したフライト事業については、豊肥地区フライト農産物出荷促進協議会の解散や輸送回数の削減など事業の大幅な縮小が決定をされました。 現地では、フライト事業の縮小により、県はこの地域の園芸振興から手を引いてしまうのではないかとの町村長の心配する声や、これまでのフライト産地育成に注いだエネルギーをこの地域での新たな園芸振興に向ける取り組みをする必要があるのではないかとの意見もお聞きしております。こうした不安を払拭する意味でも、大野郡地域の園芸振興について基本的なお考えをお聞かせください。 次に、地域高規格道路「中九州横断道路」及びアクセス道「三重新殿線」の整備について質問させていただきます。 今まさに大野郡では地域高規格道路「中九州横断道路」が建設中であり、現在は大野町までの開通を目指しているところであります。本線につきましては、広瀬知事の絶大なるご支援をいただき、工事も着々と進行しておりますが、アクセス道「三重新殿線」につきましては計画が大幅におくれていると聞き及んでいるところであります。 大分市や高速道へのアクセスを実現することは、農業や商工業にとっては大きなビジネスチャンスであり、これからの大野郡の経済発展を考える上で大きなインパクトになるものと思われます。 また、これからの町村合併を考える上からも、犬飼町、千歳村、三重町、大野町がアクセス道と高規格道で相互につながることは、地域格差の解消の面からも非常に好ましいものと考えます。 そこでお尋ねしますが、アクセス道「三重新殿線」の今後の建設の見通しについてお伺いいたします。 最後に、農業大学校の大分県農業に対する役割強化についてお伺いいたします。 大分県農業大学校は、農業後継者の育成を目的に昭和四十一年に設置され、これまで多くの農業後継者や農業関係者を輩出し、本県農業の振興に大いに寄与してきました。 しかしながら、開設以来四十年近くが経過して、多くの施設が老朽化し、建てかえの時期を迎えております。 また、平成十三年の九州の平均新規就農者数が百五十四人であるのに対して、大分県の新規就農者数は六十四人と、九州平均に比べて四二%弱にとどまり、これからの農業の担い手不足が心配されております。 また、今後の農業には企業感覚あふれる有能な農業者の育成が不可欠であり、本県農業の大きな課題であると考えます。 農業大学校は、新卒者や新規就農者等の農業の担い手育成の拠点として、また、農業者の再教育、研修施設として、さらには、広く県民へ開かれた農業研修、体験の場として多くの役割が期待されているところであります。 そこへ今回、地域高規格道路建設に伴って、アクセス道「三重新殿線」により大学の敷地が二つに分断される計画が進んでおり、現在の施設をベースに一部建てかえが計画されていると聞いていますが、このままでは大分県の農業拠点が十分に機能しないばかりではなく、今後の農業振興や農業後継者の育成に多大な影響を及ぼしかねません。 そこで質問しますが、大分県、とりわけ大野郡の基幹産業である農業のさらなる発展を考えるならば、これを機会に、先進的な研究ができる最新設備を導入した新たな農業大学校への変身を考えるべきであり、地元のみならず、衰退する農業後継者の育成と大分県農業の未来を学習できる場を確保すべきであると考えます。 また、優秀な外部講師の採用や職員の研修体系の充実もこれからの大学校にとっては必要であると思われます。 県としては、どのような教育施設、教育体制の充実策をお持ちなのか、お伺いいたします。 以上、大分県の発展と大野郡の輝かしい未来のために、命の水を守るという公約及び所信のあるところについて質問を述べさせていただきました。 貴重な時間を賜り、ご清聴いただきましたことに厚く感謝を申し上げ、大分県政のかじをおとりいただく広瀬知事のさらなるご健康とご活躍を心から祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○佐々木敏夫議長 ただいまの佐々木哲也君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 佐々木哲也議員のご質問にお答え申し上げます。 ご心配をおかけいたしましたけれども、おかげさまで大分トリニータがJ1に残留することができました。県民の皆さん方の応援に心から感謝を申し上げますとともに、今後とも、県民を中心に、企業、行政が一体となって大分トリニータを支援してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ただいま佐々木哲也議員からは、地元の大野郡のさまざまの問題をベースにいたしまして、大分県発展のための諸課題についてご質問をいただきました。私からも順次お答えを申し上げたいと存じます。 まず、国際車いすマラソン大会の件でございます。 先月の十六日に開催されました第二十三回の大分国際車いすマラソン大会は、外国から十九の国、そして国内は三十七の都道府県から参加をいたしました三百四十八名の車いすランナーが大変白熱した競技を展開いたしまして、輝かしい成果をおさめたというふうに考えております。 今回、大会会長といたしまして初めて、開会式、競技のスタートから、沿道での応援、表彰式、あるいはレース後の選手交流の場である交歓の夕べまで、大会のすべての場面を拝見してまいりましたけれども、競技する選手、あるいは大会を支えていただく多くの方々の姿に大きな感動を覚えたところでございます。 おかげさまで、国際的にも非常に大きなスポーツイベントとして定着をいたしまして、大会への参加が多くの障害者に自信や意欲をもたらして、障害者の自立と社会参加の促進に大きな役割を果たしております。 大会の運営は、企業、学校、団体など三千人を超えるボランティアの協力をいただきまして、障害者への理解、あるいは福祉マインドの醸成という面でも大きな成果を上げているというふうに考えております。 ボランティアの中には、県内の福祉協力校の小学校から選定されました七つのキッズボランティアサークルの児童百八十名も含まれておりまして、幅広い層の支援による大会運営が国際的にも高い評価を受けております。 また、開催に当たりましては、大会の趣旨に賛同する県内外の企業を初め、多くの方々から、毎回、多大な資金援助もいただいているところでございます。 この大会は、障害者の社会参加やスポーツ振興、県民の障害者に対する理解促進に大きな役割を果たし、また、ボランティアの育成や国際交流の推進を図る上でも引き続き重要であると考えております。多くの選手やボランティアの方々から、議員ご指摘のように継続を望む声も伺いました。私は、閉会式において来年の再会を約束したところでございまして、ぜひ、ご指摘のようなことで続けてまいりたいというふうに考えております。 他方、現在策定を進めております行財政改革プランの中で、イベントの見直しの項目として、大会の簡素効率化を検討しているところでございます。 大会運営に携わりました印象からいたしまして、開会式や交歓の夕べなど前後の行事の簡素化とか、あるいは参加選手の関連経費や表彰方法の見直しなどを行いまして経費や業務量の削減について工夫を続けてまいりますけれども、同時に、国際競技会としての地位を維持できるように、共催者や協賛企業、あるいは協力団体とも十分に相談をしてまいりたいというふうに考えているところであります。 次に、大野郡地域の産業振興ビジョンについてのお問い合わせでございます。 大野郡は、南に祖母・傾山系、北に神角寺山系を有しまして、中央に大野川が流れる大変肥沃な土地であります。そしてまた、自然環境がそこに住む人々の心を豊かにして、伝説や民話、あるいは伝統芸能などを大切に守り、受け継いでいる地域でもあります。 このような大野郡の産業振興につきましては、私は三つの視点で考えておるところであります。 第一は、この地域において、何より農業の振興が重要な課題であります。とりわけ、県下最大の畑作地帯でありまして、その特性を生かした振興を重点的に進めることが必要だというふうに考えております。このため、露地園芸から施設園芸に至る総合的な園芸産地の育成に努めてまいりたいというふうに考えております。 また、特色のある収益性の高い農林業を目指す農業法人等の誘致、あるいは創業に力を入れることも必要でありまして、現在、県外から菊やお茶の大規模経営体の進出も具体化していますので、それらの先進的な企業経営のノウハウを生かした大型団地づくりを進めてまいりたいというふうに考えておるところであります。 二つ目は、観光と農業が一体となった産業の振興であります。 県境を超えた広域的な市町村のネットワークづくりを行いまして、豊かな自然や文化を生かした滞在・体験型ツーリズム産業を興すことであります。交流人口が増加して、道の駅、里の駅などを通して消費者と生産者の交流が進むことは、農林産品の付加価値を高めるだけでなくて、地域に元気を与えるものというふうに考えます。 三つ目は、大野郡が有している豊富な水や多種多様な農産物等を生かした食品、あるいは医薬品等の地域密着型の関連産業を誘致することであります。 このような三つの視点を中心に大野郡の産業振興を考えておりますけれども、そのためにはインフラの整備もまた非常に大事でございます。大野郡を貫く中九州横断道路の整備促進とアクセス道路の整備を進めるとともに、国道、県道など住民生活に密着した道路の整備を推進して、循環型道路網の形成を図っていきたいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、町村合併を控えて、地域が一体となって新市建設計画の中で将来の産業振興策を真剣に考えることが大変大事なことでございます。町村合併の議論もようやく緒についたようでございますので、今後のご議論に期待を申し上げるとともに、県としましても、その方針と歩調を合わせながら大野郡地域の振興を図ってまいりたいというふうに考えているところであります。 私からは、以上お答えをさせていただきました。その他のご質問につきましては、担当部長から答弁をさせていただきます。 ○佐々木敏夫議長 財津林業水産部長。  〔財津林業水産部長登壇〕 ◎財津功林業水産部長 まず、森林保全対策の基本方針についてお答えいたします。 森林は、水源涵養や山地災害防止などさまざまな公益的機能を有しており、これらの機能の維持増進を図ることは、安全で安心な県民生活を送る上で欠かすことのできないものであります。このような森林の持つ機能を高度に発揮させるため、特に重要な地域につきまして、民有林面積の二七%に当たる十万九千ヘクタールを保安林に指定し、治山事業を実施するなど、積極的にその機能維持に努めております。 また、近年の集中豪雨や台風災害を教訓として、復旧造林に際しては広葉樹植栽を義務づけるとともに、森林整備に欠かせない間伐を確実に実行するため、緊急間伐実施五カ年計画を策定し、公共造林事業の上乗せ補助や八、九齢級の間伐に対する支援等を実施しているところであります。 さらに、森林所有者の意欲を喚起するため、森林整備地域活動支援交付金を交付するとともに、本年度から、再造林に際して二割以上の広葉樹を植栽した場合、補助率の上乗せを行い、公益的機能の低下防止に努めているところであります。 一方、森林を県民共通の財産としてとらえ、県民一人一人がそれぞれの立場で森林を守り育てる活動に参加することが重要であります。 そこで、森林ボランティア活動の推進や企業参画の森づくりなど県民総参加の森づくり運動を展開しているところであります。 今後ともこれらの施策を総合的に実施し、豊かな水をはぐくみ、災害に強い森づくりに努めてまいりたいと考えております。 次に、森林・環境保護税の創設についてお答えいたします。 新税の創設は、洪水の緩和や水質の浄化、さらには地球温暖化防止等森林の持つ公益的機能を維持する上で重要な検討課題であります。あわせて、県民の皆様に森林や環境の大切さを考えていただく契機ともなるものと考えております。 このため、現在、九州地方知事会において、広域的な取り組みを含め、共同研究を進めるとともに、庁内におきまして森林環境税に関する研究会を設置し、先行県の状況や制度のあり方などについて調査研究を行っているところであります。その中で、議員ご指摘の基金の設置や造林、間伐への助成、ボランティアへの支援等、その使途についても研究を行っております。 いずれにいたしましても、新税の創設に当たりましては県民の皆様のご理解が前提となることから、今年度は普及啓発活動に重点的に取り組んでいるところであり、森林保全の重要性を幅広く訴えることといたしております。 特に、この十二月十九日には、県民各界各層参加のもと、「おおいたの森林を守る百人フォーラム」を開催することといたしており、かけがえのない本県の森林を県民全体でどのように支えていくかについて議論をいただくこととしております。 最後に、県産材の販路拡大と間伐材の利用促進についてお答えいたします。 県ではこれまで、オーウッドの県外共同出荷や首都圏でのモデル住宅の建設など県外への販路拡大に取り組んでおります。また、おおいたの家21建設促進利子補給や高耐久で健康的な安心・健康住宅の建設助成、消費者が納得する家づくり活動への支援など木造住宅対策を進めるとともに、市町村が行う公共施設の木造化や内装の木質化に対する助成など県産材の需要拡大にも積極的に取り組んでまいりました。 しかし、厳しさを増す産地間競争の中で県産材の販路拡大を図っていくには、さらに品質の向上を図り、安定した供給体制を整備することが欠かせません。 このため、現在、行政や業界関係者で構成する検討会を設置し、消費者への情報提供や品質、在庫の一元管理、製材品等の効率的な供給の実現に向けて検討しているところであります。 また、間伐材の利用につきましては、健全な森林整備や林業の活性化を図るために大変重要であることから、庁内に設置しております県産材利用拡大会議などを通して、土木工事や農業用施設などへの利用促進を図っているところであります。 さらに、用途開発として、林業試験場で杉内装材等の製品開発を進めるほか、森林組合と民間企業との連携による間伐材利用内装材の商品化や市場開拓に対しても支援をすることといたしております。 今後とも、間伐材を初めとする県産材の販路拡大と利用促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○佐々木敏夫議長 池辺福祉保健部長。  〔池辺福祉保健部長登壇〕 ◎池辺広司福祉保健部長 障害者支援費制度についてお答えいたします。 本県における利用状況につきましては、平成十五年九月時点におけるホームヘルプサービスの一人当たりの利用時間実績が平成十四年度に比べまして一・八倍になるなど、デイサービスやショートステイを含めた居宅支援サービス全体の利用量が増加しております。これに伴う居宅支援サービス全体の所要額は、平成十四年度に比べ、約一・二倍と見込まれます。 県としましては、この事業費の四分の一に相当する県費補助額は確保しておりますけれども、国においても十分な予算を確保していただくよう、去る十一月十四日に要望を行ったところであります。 現在、国におきましては、必要な事業費の二分の一が補助できるよう最大限の努力をしていただいていると聞いておりますが、今後とも引き続き国や市町村に対して必要な予算を確保するよう働きかけてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○佐々木敏夫議長 渡辺農政部長。  〔渡辺農政部長登壇〕 ◎渡辺節男農政部長 大野郡地域の園芸振興についてお答えいたします。 当地域ではこれまで、広大な畑地を利用したたばこやカンショ、サトイモなどが生産の中心となっていましたが、フライト事業により京浜市場等への流通ルートを開き、コネギやスイートピーなど付加価値の高い施設園芸の振興が図られたところであります。 今後は、この間に築いてきた大市場との結びつきを生かして、園芸産地のさらなる振興に努めてまいりたいと考えております。 既に当地域では、七月に生産者、関係機関が一体となり、大野郡野菜振興プロジェクト会議を設置し、ピーマンやゴーヤなどの面積拡大に向けた取り組みが進んでおり、さらに、関東や関西の市場関係者もたびたび当地域を訪れ、サトイモやアスパラガス、カボスなどの生産を拡大し、出荷してほしいとの提案も受けているところであります。 このため、県段階においても、関係機関、農業団体と一体となった支援体制を整え、大市場との連携を一層密にし、市場評価の高い品目の拡大や導入を進めるとともに、機械化や分業化による雇用型経営への転換、大規模経営体の誘致などを図りながら、地域特性を生かした活力ある園芸産地の育成に努めてまいることとしております。 加えて、当地域は、早くから農産物などの直売事業に着目し、消費者との交流の中から生産者の顔が見える関係を築いてきた実績がありますので、多様化する消費者ニーズに対応する少量多品目の生産体制づくりについてもきめ細かく支援をしてまいりたいと考えております。 次に、農業大学校の充実策についてであります。 農業大学校は、本県農業の担い手育成の拠点施設と位置づけており、これまでも自動制御が可能な園芸温室や自動で搾乳できるミルキングパーラー、光ケーブル通信が可能な情報機器など、学生が高度で先進的な技術を習得できるよう学習教育施設を計画的に整備してきたところであります。 あわせて、県内のすぐれた農業者を外部講師として招聘するとともに、試験研究や普及現場で豊富な経験を積んだ職員を配置するなど、教育体制の充実にも取り組んできたところであります。 最近の新規就農者の状況を見ますと、新規参入者やUターン者が多く、就農訓練の場づくりが求められています。一方、地域の農業者からは、技術革新のための技術習得の場を求める声が高くなってきております。 このようなことから、これからの農業大学校は、在校生の教育にとどまらず、新規就農を志す人々や地域の農業者のニーズにこたえられるよう、これまで以上に試験研究機関、農業振興普及センターとの連携を強めながら、研修教育施設としての機能を強化する必要があると考えております。 また、施設移転につきましては、技術の高度化に対応できる教育環境の整備、魅力ある学生生活の実現などの視点に立ち、本年度からおおむね五年間で本館、寮などの施設整備を進めているところであります。 今後とも、魅力ある農業大学校として、教育施設、体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○佐々木敏夫議長 井上土木建築部長。  〔井上土木建築部長登壇〕 ◎井上芳明土木建築部長 県道三重新殿線の整備についてお答えいたします。 本路線は、大野郡の振興や宮崎県との交流を促進する上で非常に重要な幹線道路でございます。 現在は、中九州横断道路の千歳インターチェンジの接続部となる新殿工区と三重町中心部で国道三二六号と接続する赤嶺工区の事業に着手しております。 このうち、新殿工区につきましては、本年度末の完成に向け、現在、鋭意整備中でございます。 また、赤嶺工区につきましては、平成十五年度末での用地取得が約七五%の見込みで、順調に進捗しておりまして、千歳インターチェンジの開通に間に合わせることを目標に、現在、事業展開を図っております。 残りの区間についても、構造規格とか暫定計画の見直しによりコスト縮減を図り、本路線の早期完成に向けて積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○佐々木敏夫議長 再質問はありませんか。--佐々木哲也君。 ◆佐々木哲也議員 ご丁寧なる答弁、まことにありがとうございました。 再質問ではありません。要望にとどめさせていただきますが、昨日は、広瀬知事におかれましても、中小企業危機突破総決起大会にご参加いただきまして、まことにありがとうございました。きのうの知事のごあいさつの中に、非常に景気は明るい、先が見えてきたという言葉もございましたが、確かに都会、また大分市等では景気の回復等が見られるところでありますが、特に我々郡部におきましては全くそういったものの影響がない地域であります。今までにおいても、過去のバブル期においても、そういった状況がない地域でありますので、何としてでもやはりこの郡部、我々の大野郡地域の振興につきましては、もう少し目をいただけないかなという気がしております。 先ほどは本当にご答弁ありがとうございましたが、我々、特別委員会で長野県の方に視察に参りました。長野県、ご存じのように非常に知事がユニークな取り組みをしている中で、私も、長野県はもう公共事業はやらないのではないですかという質問をさせてもらって、じゃあこれから、今までの、これだけ公共事業で支えてきたものが、公共事業がなくなったとき、地域は何で支えるんですかという質問をさせていただいたんですが、そうしたところが、各振興局に林業の特別な指導者を配置して、そういう建設業会社に対して林業の指導をして、またそこにそういう事業をつくっているというようなお答えもいただいたわけですが、やはり何らかの形で、この大野郡というのは本当に公共事業によって支えられた地域でありますので、何とかこの地域経済を支える次の施策をぜひともお考えをいただきたいというふうに思います。 それから、特に、先ほどお答えいただきました、大野郡は農業地帯であるということのご認識はいただいておるんですが、非常に私もびっくりいたしましたが、これは十三年度のデータになっておりますが、新規就農者、先ほどもちょっと述べましたが、九州平均は百五十四人でありますが、鹿児島を見ますと三百三人、熊本県では二百二十四人が新規就農しているのに対して、大分県はたったの六十四人というような状況にあるわけですから、やはりこうした根本的なところからの取り組みをやっていかないと、今後の農業は本当に衰退してしまうんじゃないかなという危惧をいたしております。 非常に県民も大分県の財政、また、特に国の状況、小泉総理が痛みを伴ったということをおっしゃった中で、本当にみんなが今我慢をしているときであろうと思います。大分県民もそうであろうと思いますが、やはり我慢をする先には何かが見えるから我慢ができるわけであって、何か先に希望の見えるような施策を打ち出して、今は我慢してくれと、こういったことを述べていただければ、県民もやはりそれに向かって努力をするし、また、希望の持てる県民意識と申しますか、そういったものも出ると思いますので、何か夢を与えていただけるような施策、お言葉もいただきたいというふうに思っております。我々も一生懸命、地域づくりに頑張ってまいりますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○佐々木敏夫議長 以上で佐々木哲也君の質問に対する答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。     午前十一時五十七分 休憩     ------------------------------        午後一時四分 再開 ○阿部英仁副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 久原和弘君。  〔久原議員登壇〕(拍手) ◆久原和弘議員 皆さん、こんにちは。三十三番、社会県民クラブの久原和弘でございます。 私は、去る四月の十三日、県民の審判をいただき、県政に参画する三期目の機会を与えていただきました。県民の皆さんの私に対する期待をしっかりと受けとめて、そしてその負託にこたえるべく、県政は常に県民のためにあるという認識に立って頑張る所存であります。 私は、議員と執行部とのあり方は、単に質疑を行うというのではなくて、積極的に議員の側から提案するという、いわゆる提案型議会が望ましいという立場をとってきました。この選挙期間中にも県政に対するさまざまな意見、要望をいただきました。その中から幾つか問題提起をさせていただきたいと思います。 きょうは、傍聴席の方に地元のふじが丘の皆さんや、あるいは南大分の後援会、野津から、そして組織の皆さんも参っております。知事、執行部の積極的な答弁を期待して、提起に入りたいと思います。 まず、県財政について伺いたいと思います。 この課題は、平松知事時代から定例会の都度、質問されてきました。もちろん、広瀬知事就任以来、二回の定例会の中で、この財政問題を中心に提起がされています。 平成十四年度の普通会計決算によると、ついに経常収支比率は九一・九%になりました。健全財政の指数はおおむね八〇%以内、八〇%を超えると注意信号、九〇%を超えれば危険信号と言われています。その危険信号を超えました。公債費比率は二〇・五%であります。この指数も、一般的には一五%が警戒ライン、二〇%が危険ラインとされています。いずれもが危険信号を超えています。 本年十一月十七日の合同新聞の論説によると、「市町村財政 硬直化一段と深刻に」という大きな見出しで、経常収支比率は県平均で九三%という財政の危機的状況を報じています。そして、結びに、「もはや自治体を維持するだけできゅうきゅうとし、住民サービスの質的向上など期待できない市町村の姿だ」としています。その指導的役割を果たさなければならない本県も、まさにその危機的状況にあると私は思っておるところであります。 そのような中、知事は、平成十五年第二回定例会の中でこう言っています。「現在、ゼロベースの行財政改革をスタートさせる前提として、平成二十年度までの中期的な財政収支の試算を作成しております」から始まり、「毎年度、収入の不足が生じた場合、これを財政調整基金や減債基金等から繰り入れて賄うということをしますが、これができるのも平成十八年度まででございまして、それでももう、十九年度には百八十億円の赤字が生じます。そして、十九年度には財政再建団体とならざるを得ないわけでございまして、二十年度には累計で約四百六十億円の赤字が生じるという試算結果でございます」と言っています。 なるほど、そうであろうと私も納得するのでありますが、半年前の平松知事時代の平成十四年第四回定例会で、平松知事はこう答弁しています。「大分県におきましても、道路、都市計画、防災等生活関連の幅広い分野で社会資本の整備に取り組んできた結果、十三年度決算で名目的に見ますと九千六百四十億円の県債残高があります。しかし、私は、この県債の借り入れにつきましても、有利な財源、いわゆるその返済には交付税が充てられるという有利な財源措置のあるものの発行に非常に努めておりますので、この九千億余に上る残高の六割は国の交付税等で措置されますから、県が実質的に負担する残高というのは三千五百五十二億円、県民一人当たり二十八万九千円、よく県民当たり七十万円以上の借金があると言いますが、実質で見る限り、今のところ、そういうことにとどめておるところでございます」。そして、必ず最後に、「今後とも地方財政計画にのっとった財政運営を行うことにより、健全財政の枠組みを堅持してまいりたいと考えております」と言っています。 「財政再建団体」と「健全財政の枠組みを堅持」、全く相反する見解、なぜこの半年間にこのようになるのでしょうか。このことについては九月の定例会で我が会派の内田議員の質問に対する知事の答弁がありましたが、再度、私を含め、県民にわかりやすく答弁を願いたいというふうに思います。 次に、広瀬知事就任以来、あなたの議会答弁や行動を見るにつけ、私は思うんでありますが、こういう表現が一番当てはまるかなと思うんです。「県内につめ跡残し「守」去りし、後の始末に「勝丸」船出」、こんな思いがしていますが、どうでしょうか。 厳しい財政運営の中で知事は、「選択と集中」を掲げています。よもや、一番手っ取り早く人員削減や人件費削減などと安易な道は選ばないと思いますが、どこをどう選択し、集中していくのか、知事の見解を伺いたいと思います。 次に、公共交通の果たす役割について伺いたいと思います。 公共交通の果たす役割について、過疎化、高齢化、環境、そして通学、通勤、通院という観点から、地域で最も身近な公共交通機関であるバスを活性化することによるまちづくりを考えてみたいと思います。 結論から言うと、市民、自治体、バス事業者の協働なくして、もはやこれら課題は解決できないということであります。 バス事業を取り巻く環境は、乗り合いバスの乗客減少や規制緩和の実施など大きく変化しており、需給調整規制の廃止に伴う本格的な競争の時代を迎えるなど、極めて厳しい状況にあります。 一方、規制緩和の実施に伴い、不採算路線からの撤退が原則自由化され、今後、地域の生活交通をどのように確保していくかが重要な問題となっています。 そこで、基本的な自治体の役割として私は、予算委員会のときにも言いましたが、第一に、バス利用者をバス会社の顧客と見るか、市民の移動の一場面と見るか、第二に、バス事業者を勝手に商売している企業と見るか、自治体の交通体系の一翼を担う組織と見るかによって自治体の果たす役割というのは大きく違ってくると思います。 私の手元に長崎県県営交通事業在り方検討懇話会の資料があります。その最終意見書が本年六月に提出されています。それによると、第一に、公営の直営形態--経営効率化を図り、公営企業の形態により存続する、二つ目に、公営の間接営形態--公営として存続するが、経営の自由度の大きい形態(民間企業に近い形態)に移行する、三つ目に、民営化--路線の譲渡、株式の売却等により民営化(狭義)する、これが長崎県営バスの今の基本的な考え方を答申されたわけです。  「そして、このような類型を認識しつつ、それぞれの選択肢ごとに我が国の公営バス事業の事例を分析、検討した。その上で、本懇話会では、まず一番極端な類型である民営化が本県のバス事業のケースに現実に適用可能か否かを、広く民営化の海外の適用例や実績を評価しつつ検討を行った。  その結果、民営化を行うことにより、経営の自由度や効率性が増す一方で、不採算路線からの撤退などサービス水準の低下が懸念されるなど、民営化は利点ばかりとは言えないため、民営化への移行については、交通政策上の観点を含め、さらに慎重に検討していく必要があると考えた。  そこで、本懇話会としては、公営としての存続(第一、第二類型)の考え方を基本として、そのもとで実際に何をすべきか、その具体的提案を行うべきであると考えた。ただし、公営としての存続に当たっては、一定、県の一般会計の負担が生じることについて県民の理解が得られることが前提となるべきである。  乗合バス部門の乗客数は、景気低迷の影響による雇用調整や週休二日制の普及による通勤利用者の減少、少子化による通学利用者の減少等により、毎年三から五%程度の減少が続いている。県営交通事業においても、平成五年度以降、三から四%程度の自然減少が続いており、今後ともこの傾向が続くものと予想される。  そのため、乗合バス部門の七割以上の路線が赤字となっており、部門別の収支で見ても、乗合部門だけで毎年八億円程度の赤字が生じている。  さらに、平成十四年二月から乗合バス部門の規制緩和が実施され、運賃等が原則自由化されており、経営環境は一層厳しくなっている。  平成十五年度から十九年度までの収支見通しを策定しているが、乗客減少により、毎年、前年比一億円以上の減収が避けられないほか、規制緩和の影響として、平成十四年度から二億円余りの減収が見込まれている。  これに伴い、一般会計からの繰入金総額は、ピーク時の平成十七年度には五億九千六百万円程度に上り、経過措置が終了する平成十七年度以降は、毎年三億九百万円程度の補助金を見込んでいる。これらの補助金を含めても、平成十九年度には五億円を超える収支不足が生じることになる」。 以上、長い引用でありましたが、この懇話会は、障害者や高齢者の援助の確保、地球環境の保全の点などからも検討しています。 長崎県のみにとどまらず、公営バス事業は全国的に財政的に厳しい環境にさらされています。例えば、平成十二年度の札幌市二十八億一千二百万円、仙台市三十五億九千三百万円、北九州市四億一千七百万円など、毎年、一般会計から公的な役割として補助金を交付しております。それでも、市民の、県民の足を守るために各自治体は頑張っているのであります。 私がなぜ執拗にこの問題を取り上げたかというと、本県における民間バス事業者に対し、大分県として公的役割を果たすという認識に立ってもらいたいがゆえであります。 そこで、過疎化市町村率全国一位、高齢化率全国九位、九州二位という本県の実情、さらに、大分市への一極集中による交通渋滞対策及び環境対策などバス事業者の果たしている役割は極めて重要と考えられますが、まずその認識の上に立って、厳しい経営環境にある民間バス事業者に公的役割分担を行うべきと考えますが、まず所見を伺いたいと思います。 さらに、各市町村とバス事業者との連携が必要と考えられますが、県としてどのように指導していくのか、その方針を伺いたいと思います。 次に、雇用情勢とその対策について伺いたいと思います。 労働者を取り巻く環境は、雇用情勢を見るだけでも非常に厳しく、本年十月の全国の完全失業率は五・二%と、三年連続五%台が続いています。特に、二十五歳未満の若年層では九・二%の高水準となっています。 完全失業者数は三百四十三万人で、前年同月比十九万人減となっているものの、やはり大量失業の傾向は否めず、このうち、九十二万人は世帯主となっています。また、自己都合の失業者が百十八万人で、リストラなど勤め先の都合で離職した人は百四万人となっています。 また、厚生労働省の調査によると、来年度卒業予定の大学生の十月一日現在での就職内定率は、過去最低の六〇・二%であります。高校生に至っては三四・五%、中でも女性は二九・九%で過去最低を更新しているのであります。 こうした中、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」をスローガンに未組織労働者を組織している大分ふれあいユニオンに寄せられた本年一月から十月までの労働相談は、労災が四件、退職強要六件、退職金未払い三件、賃金退職金未払い九件、解雇二十六件、企業分割・倒産三件、職場でのいじめ二件、労働条件の改悪九件、組合結成四件、その他五件の計七十一件という極めて憂慮する実態にあります。厳しい中小企業の経営実態の中で、やはり労働者が解雇、賃金未払い等のしわ寄せを受けているのであります。 その内容は、労働組合の存在を徹底的に否定する労使の対立型、経営が行き詰まり、倒産による解雇型、労使で企業再建を求める型、一方的な不当解雇型などさまざまであります。近年の傾向としては、労使で一体となり、企業再建に努力する型が多くなっています。これは、不況の反映により、労使でなりふり構わず、お互い協力し合っている姿がそこにあります。しかし、まだまだ対立型が後を絶たず、裁判で争っているのは四件、地労委二件となっています。 ユニオンは、こうした闘いを進めながら、日々の労働相談に対応し、不安定雇用労働者の権利擁護に向けた運動を連日展開しています。 これまで私が議会の中でたびたび取り上げてきました大分ふれあいユニオンに対し、どのような認識に立っているのか、所見をお聞かせ願いたいと思います。 さらに、厳しい雇用情勢に対して、新卒者の雇用、リストラに遭って失業している人の再雇用をどのように進めるつもりなのか、伺いたいと思います。 いま一つは、緊急地域雇用創出についてであります。 緊急雇用創出森林整備推進事業など県事業で四十七事業を、平成十三年度、十四年度で行っています。この事業は、雇用期間が六カ月と制約があるものの、この制度を通してどう常用雇用に結びつけていけるかが大きな課題であると思います。この二年間で市町村事業を含め、四千六百三十八人が雇用され、五十八人が常用雇用に移行したとなっています。 九州各県の常用雇用への移行数を見てみると、福岡の二百八十一名、熊本の二百六十八名などで、大分は佐賀に次ぐ、九州では七番目という大変厳しい結果が出ています。 今後、平成十五年、十六年の最終年度が実施されますが、緊急雇用創出で採用された労働者をどう正式採用に持っていこうとしているのか、過去二年間の総括を踏まえ、考え方を伺いたいと思います。 最後に、環境創造型農業の確立について伺いたいと思います。 二十一世紀の人類生存の共通課題は、その第一に食糧の確保、第二は環境保全、そして第三はクリーンなエネルギーの確保だと思います。しかし、国会に提出された米改革への食糧法の改正は、米を市場原理の手にゆだねてしまうことにあります。その帰結がどうなるかは明らかであります。家族農業をつぶし、株式会社農業への道を開くことにあります。水田を中心とする日本農業が国土と環境と景観等の守り手と成り得たのは、農家が村に住み、相互扶助的地域社会を形成しつつ、農業を営んできたからであります。これを株式会社農業に切りかえたらどうなるか、論をまちません。 農業生産の効率化、工業化を図るのではなく、自然の摂理にかなった生産が食の安全の確保につながり、自然をよみがえらせる環境型農業の基礎となるのであります。川上があって、川下がある。川下の都市があっての川上ではないのであります。 畜産にしてもしかり、一昨年、BSEが発生したとき、だれもが「食糧生産の効率化、工業化がBSEを生み、濃厚飼料の全面輸入依存の状況がBSEの侵入を許した」と言っておりました。常識とも言えるこの判断からすれば、BSE発生の事後処理の基本は、飼料の対外依存からの脱却と、BSE発生の英国にもまさる畜産生産の効率化、工業化からいかに脱却し、国土と自然に根差した畜産をどう再生するかに置かれるべきであったと思います。 本県の農家数は年々減少傾向にあります。平成十五年一月現在、五万四千七百戸となっています。また、九州各県に比較し、主業農家の占める割合が最低の七位であります。耕作面積に占める中山間地域の割合が約七〇%という地理的条件を見た場合、大規模経営のシフトも離農や高齢化によるマイナス面を補い切れず、近い将来、頭打ちになるのではないかと危惧しているところであります。 本県の地理的条件からして、平成十二年度から中山間地域等直接支払い制度に取り組んでいますが、この制度のさらなる充実と延長、そして、思い切った施策として、高知県が取り組んでいます森林環境税を参考にと思っています。 午前中、佐々木議員の方からもこの高知県の問題は取り上げていましたが、私たち社会県民クラブとして、去る九月一日から三日間、調査研究をしてきました。そのことを紹介し、本県のあり方を検討してみたいと思います。 高知県では、二十一世紀は環境の世紀、そして地方分権の方向性が定着するという時代であるとの認識に立ち、「森林」をテーマに、森林の荒廃と環境、そして分権と税、これを結びつけ、私たち自身の生活環境にかかわる深刻な問題を県民みずからの手でどう解決していくか、この視点に立って二つの目標を掲げています。 第一に、県民参加の森林保全--森林の荒廃イコール水源涵養機能の低下、土壌の流出、生態系の悪影響、気候の緩和機能(二酸化炭素吸収など)。税収自体を目的とするのではなく、広く薄い負担によって森の重要性を認識しつつ、県民みんなで森を守っていく。 二つ目に、分権時代における自治への取り組み--情報公開と住民参加イコール参加型税制。税収と支出がだれの目にも見える形で結びつき、地域の実情に即した政策の実現を目指す。 森林環境税は、税収を目的とするのではなく、広く県民が県政に参加することであります。例えば、日本清流の一つと言われている四万十川の水質汚濁防止に関心を持ち、その流域の生活排水対策のあり方まで住民自身が考えていくなど、県民総参加の県政実現を目指していました。ちなみに税額は、均等割超過課税として、個人、法人とも年額五百円であります。 そこで、本県で考えるとするならば、「食」をテーマに、食の安全性をキーワードにして農林水産と結びつけ、第一次産業の振興を図り、発展させていく。その基本を県民総参加体制にどう構築していくかに視点を置いて、食の果たす役割、それが水源涵養機能であり、生態系、森と海の関係、気候の緩和機能、食の安全性、食糧自給率の向上の重要性、そして、税収を目的にするのではなく、広く薄い負担によって住民参加の税制のあり方と分権自治に結びつけていく、いわゆる県民への啓発を主眼に置いて取り組んでいくことが肝要であります。  「日本は世界一の食糧輸入国だ。世界人口の二・二%の日本人が、魚も肉も木材も家畜飼料のトウモロコシも大豆も、世界一、二の量を輸入し続けている。海外に頼っている農地の面積は実に千二百万ヘクタール。国内農地四百九十五万ヘクタールの二・五倍に近い。台所から捨てられるごみの約四割は食べ残しか、古くなった食品だ。膨大に捨てられる食べ物の向こう側には、既に八億人もの飢えた人々が目に栄養失調であることを示す白い星を浮かばせ、途上国にひしめいている。そういう国から多くの食べ物を輸入して、私たち日本人の食事は成り立っているのだ」。 これは、「農から環境を考える 二十一世紀の地球のために」、原剛さんが書いた本の中に載っておりました。 平成七年版環境白書では、「人類とは有限な資源と環境を際限なく消費し、人口を著しくふやし、生態系に負担をかけてやまない地球のお荷物であるということを自覚することから、環境の危機を克服する道が始まるのだ」と訴えているのであります。県民が食を通して税を考え、県政に参画していくということが重要であります。 例えば、知事、食の安全管理税なるものを創出したらと思うが、知事の考え方を伺いたいと思います。 さらに、現実問題として、選択と集中という観点から県の農業予算を考えるときに、予算に占める農業土木にかかわる予算が農家数がやや似ている宮崎県に比較して異常に高い、これを農業費、畜産費に傾斜配分する必要があると考えられるが、所見を伺いたいと思います。 以上で私の問題提起を終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手) ○阿部英仁副議長 ただいまの久原和弘君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいまは久原議員から、財政、公共サービス、あるいは雇用、農業と、広範にわたりまして、提案も交えてご質問をいただきました。私の方からも順次お答えを申し上げます。 まず、中期的な財政収支についてのご質問でございます。 平成十四年度の当初予算編成にあわせまして、昨年三月でございますが、中期的な財政収支の見通しを作成して、これに基づいて財政健全化の枠組みを堅持するという方針により財政を運営してきたというふうに聞いております。 私も知事就任後、この七月に肉づけ予算編成を踏まえまして、私自身、中期的な財政収支の試算を作成したところでございます。 今回の試算と前回の見通しとの主な相違点でございますが、まず第一に、景気の低迷が予想以上に長引いておりまして、県税収入が一段と厳しい状況になっております。本年七月現計予算における県税は、前回の見通しと比較しまして、約六十四億円もの減少を見ております。今回の見通しではこういった厳しい税収を試算の基礎として計算しているというところが第一の違いでございます。 第二は、前回は、対象期間を平成十八年度までとしておりましたけれども、今回は二十年度までといたしました。特に、十九年度、二十年度につきましては、二巡目国体の準備だとか、あるいは開催、そしてまた、退職手当の増加等によりまして財政の厳しさが増すために、前回の見通しと差が生じたのではないかというふうに考えております。 三つ目は、前回は普通建設事業につきまして、毎年三%の削減努力を見込んだ今後の見通しをつくっておりました。今回、試算に当たりましては、インフラ整備の必要性だとか、あるいは苦しい建設業の現状等を勘案いたしまして、今後の普通建設事業の規模等につきまして、現行の水準を五年間仮置きした試算というふうになっているところでございます。 このような前提に立ちまして試算をしました結果、平成二十年度には累計で四百六十億円の赤字が生じるということになっておりまして、本県財政が危機的状況にあるという認識に至ったところであります。 次に、財政運営における選択と集中についてのご質問でございました。 現在、県政の最重要課題として行財政改革に取り組んでおります。民間有識者から成る行財政改革推進委員会等からも忌憚のないご意見を伺いながら、行財政改革プランの素案の検討を進めているところでございます。年内にはこのプランの素案を公表いたしまして、さらなる議論を行っていただきたいというふうに考えているところであります。 プランの策定に当たりましては、大規模施設の維持管理の見直し、公社等外郭団体の見直し、時代の変化に応じた事務事業の見直し、市町村合併を見据えた組織・機構の簡素効率化などを見直し対象としているところであります。 これに加えまして、職員定数の削減等による総人件費抑制についても検討を進めております。十一月二十八日の第二回行財政改革推進委員会におきまして、知事部局一般行政部門等につきまして、今後五年間で国民体育大会開催による人員増を除きまして一〇%以上、十年間で一五%以上を目標とする定数削減案をお示ししたところであります。この案に対しましては、委員の方々から厳しい意見も出されたところでございまして、引き続き検討するようにと、こう言われているところでございます。 このようにプラン策定を進めておりますけれども、行財政改革を進めるに当たりましては、すべてを一律に切り捨てるということではなくて、既存事務事業の必要性や効果等を見直しまして廃止、縮小を図りながら、県民だれもが安心して心豊かに暮らすことができ、活力があり、そして発展する大分県をつくり出すために、議員ご指摘のように施策の選択と集中を図ることが重要であるというふうに考えております。 そこで、平成十六年度当初予算につきましても、プラン実行初年度の予算といたしまして厳しい要求基準を設定する一方で、例えば、子供を産み育てやすい環境づくりだとか、あるいは新産業、新事業の創出などの分野に財源の重点的かつ効率的な配分を図るために、一般財源ベースで十億円の特別枠を設けまして、質的に充実した予算の編成を目指しているところであります。 将来に向けて希望を抱くことのできる財政運営への道筋をつけながら、時代の変化や県民の皆さんのニーズを的確にとらえて、創意工夫を凝らした、将来に夢を与えるような施策の展開を図っていきたいというふうに考えております。 次に、食の安全管理税の創設についてご提言をいただきました。 食は生きる根源であります。食糧を供給する農業は、生命をはぐくむ産業であると言われております。それだけに、食糧の多くを海外に依存している我が国では、国民の多くが国内での生産拡大を望み、これ以上の食糧自給率の低下を危惧しているところであります。そのことは平成十二年に総理府が行ったアンケート調査からも明らかでありまして、「食糧はできるだけ国内で生産すべきである」と答えた人が八〇%を超えております。 私は、こうした国民の期待にこたえて本県農業の維持、発展を図っていくためには、より生産性の高い産業へと誘導していくことが極めて重要であると確信しております。そのためには、生産意欲の高い経営体に農業施策を集中・重点化し、農業を生計の柱とする農家の経営安定を図るとともに、家族経営にとどまらず、企業的経営体の育成を図っていくということが重要であると考えております。 近年、食の安全への関心が高まっておりまして、生産履歴等の情報提供も積極的に行われるようになりました。また、グリーンツーリズム等の都市、農村交流とも相まって、消費者と生産者の顔の見える関係も築かれつつあります。 消費者の関心が食の生産現場にも向けられるという動きもあらわれ始めておりまして、消費者に対する啓発活動等を一層強化することによって、農業、農村の現状、あるいは存在意義を理解してもらう段階にあると考えております。 食の安全管理税の創設についてのお尋ねがありましたけれども、安全な農産物を安定的に供給するということは我が国の農業に課せられた使命でありまして、農業生産に携わる方々にその気概を持って取り組んでいただく必要のある農業振興上の基本テーマと考えております。 したがいまして、課税という新たな負担を消費者に求めるということではなくて、農業、農村に対する理解を深める方向で努力することがより重要ではないかというふうに考えております。 今後とも、生産者と消費者の顔の見える関係づくり、都市、農村の交流促進、食の大切さへの理解を進める食育の推進などに取り組むことによりまして、食糧自給の重要性とか、環境の維持、国土の保全など、農業の多面的機能について広く県民の理解を求めることが重要であるというふうに考えておるところであります。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当部長から答弁をさせていただきます。 ○阿部英仁副議長 溝畑企画文化部長。  〔溝畑企画文化部長登壇〕 ◎溝畑宏企画文化部長 民間バス事業に対する県の役割分担についてお答えいたします。 乗り合いバスは、地域に根差した公共交通機関として県民の日常生活に大きな役割を果たしていますが、マイカーの普及や沿線での過疎化、高齢化の進行などによりまして、利用者は昭和四十年代前半のピーク時に比べまして約三分の一まで減少しております。 このため、各バス事業者は、利用者の需要に即したダイヤ改正やバス停留所などの施設設備の改善、地域子会社への一部路線の移管などの経営改善に努めております。 県としましては、生活交通の確保を通じまして県民の一定の生活水準を維持するために、県及び国、市町村が公的にバックアップしていくことが必要であると考えております。 現在、県は、地方バス路線維持対策事業といたしまして、国と協調して広域で幹線的なバス路線の維持に当たるとともに、県単独で廃止路線代替バスの運行に対する補助や平成十三年度の国の補助制度改正及び道路運送法の改正に対応した支援を行い、乗り合いバス事業の維持・活性化を図っております。 県といたしましては、引き続き国、市町村と連携しながらバス事業者に対します効率的な支援、協力に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、市町村とバス事業者との連携についてお答えいたします。 平成十三年度の補助制度の改正に伴いまして、生活交通路線維持費補助といたしまして国と県がともに補助する乗り合いバス路線は、基幹的、広域的なものが対象とされました。一方、同一市町村内、あるいは隣接市町村間において運行されるような地域住民の日常生活に密着いたしました短距離、小輸送量の路線の維持確保に関する検討は、地方財政措置の充実等とともに基礎的自治体であります市町村が中心になって行うことになりました。 県としましても、国、市町村、バス事業者から成る大分県バス対策協議会及び大分県バス活性化委員会などにおけるバス路線の維持対策や走行環境の改善に関する議論などを通じまして、生活交通路線の確保に対する市町村の積極的なかかわりを促しております。 今後も、地域のニーズに適した生活交通の確保のため、国、市町村、バス事業者などとの一層の連携を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○阿部英仁副議長 飯田商工労働観光部長。  〔飯田商工労働観光部長登壇〕 ◎飯田隆俊商工労働観光部長 最初に、大分ふれあいユニオンについてお答え申し上げます。 社会経済情勢や雇用就業形態が大きく変化する中で、パートタイム労働者や派遣労働者などが増加をいたしております。 大分ふれあいユニオンは、労働ホットラインの開設などによる労働相談や、あるいは労災問題に対する取り組みなど未組織労働者の労働条件改善を活動の柱として、労働者の社会的地位の向上に向けて取り組みを進めている団体として認識をいたしておりまして、発足以来十五年間、自主的な多彩な活動を展開されていることに対しまして敬意を表します。 近年、雇用情勢の厳しさを反映して、賃金不払い、解雇など、個々の労働者と事業主との間の紛争が増加をいたしております。このため、県におきましては、平成十四年の四月から個別労働関係紛争解決制度により、個別の紛争を迅速、適正に解決するため、相談、あっせんなどを国と連携して実施をいたしております。 今後とも労働紛争を未然に防止するため、経営者や未組織労働者に対してきめ細かな指導、啓発を行ってまいりたいと考えております。 次に、新卒者、失業者の雇用対策についてでありますけども、新卒者の雇用環境は、長引く景気の低迷を反映して厳しい状況にあります。さらに、企業側の即戦力や高学歴を求める傾向や、高い離職率などから、とりわけ高卒者に厳しい状況となっております。 県といたしましては、知事から経済五団体に対しまして、高校生の積極的な採用について直接要請を行うとともに、県下の千六百事業所に文書による求人要請を行ったところでございます。 一方、新卒者に対しましても、大分労働局や教育委員会との連携による職場見学会や職業体験を行うインターンシップ事業、就職面接会を行うほか、特に高校生に対しましては、在学中からの職業意識の醸成を図るために、就職ハンドブックや職場ガイドブックの作成、配布を行っているところであります。 また、リストラ等による失業者につきましては、引き続き緊急地域雇用創出特別基金を活用した臨時応急的な雇用の場を確保するとともに、雇用のミスマッチの解消を図るための職場体験講習やカウンセリングの実施、あるいは新規求人の多いケアマネジャーや給食調理員といった職種での職業訓練を行っているところであります。 今日、雇用情勢は若干改善の兆しが見えるものの、依然として厳しいことから、このような就職支援策に加えまして、雇用機会の確保を図るために、今後とも企業の経営革新や新産業の創出、企業誘致を促進するなど雇用環境の一層の改善を図ってまいりたいと考えております。 最後に、緊急雇用創出事業後の常用雇用についてでございますけれども、県としましては、厳しい雇用情勢に対応して、一人でも多くの失業者の方に就業の場を提供するために、基金を前倒しで活用することによりまして新規雇用者の創出を重点に努めてまいりました。その結果、十四年度末までに市町村を含めて四千六百三十八名の新規雇用を創出したところであります。 もとより、この基金事業は緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図ることを目的としたものでありますけども、これを短期的な雇用に終わらせることなく、安定した雇用につなげることが必要でありますので、県独自の奨励金制度を創設して継続雇用を働きかけてきたところであります。 今後は、受託事業主に対しまして制度の活用や継続雇用について直接要請をするほか、市町村に対しましても常用雇用の視点を踏まえた事業を企画、実施するように一層の働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○阿部英仁副議長 渡辺農政部長。  〔渡辺農政部長登壇〕 ◎渡辺節男農政部長 農業予算の配分についてお答えします。 農業、農村関係予算は、国における公共事業費縮減の方針もあり、本県でも減少傾向が続いております。 これまで農業農村整備事業は、他県に比べ中山間地域が多く、農地が標高ゼロメートルから千メートル近くまで広がるという本県特有の起伏の多い地勢を克服するため、農業用水の確保、圃場の整備、農畜産物の流通の改善などを目指して実施してまいりました。その結果、圃場整備率は七一・五%となり、農道も着実に整備が進み、農地の高度利用、物流機能の向上など、農村の生活と生産の基盤整備に寄与してきたところであります。 農業農村整備事業に係る予算額の農政予算に占める割合を九州各県と比較した場合、本県は九州中位に位置しております。 厳しい財政状況ですが、今後とも最少の投資で最大の効果を発揮できるよう配慮していくことが重要でありますので、農業の情勢変化や国の予算編成の動向を見きわめながら、バランスのとれた農業予算の構築、執行に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○阿部英仁副議長 再質問はありませんか。--久原和弘君。 ◆久原和弘議員 大体、回答的に見て、知事、食の安全管理税という問題と考える、確かに都市近郊農家の場合は、そういう形で一つはできたとしても、大分県の場合は中山間地域で、食では採算が合わないちゅう地域が多いと思うんです。そういうところに対して、やっぱり村に住んでいただいているちゅうことだけでも、これは大変に重要なことだと思うんですよ。そういう立場で考えた方がいいんかなと思ったんで、あんまり紋切りにしないで、よく調査をして、今後もまた継続して考えてみてください。 それと、もう一つ、今も知事の発言の中にも出たんですが、私、この提案理由の説明、一番最初に説明を受けたときに、ここん中に行財政改革推進委員会というのができていますね。私は、あれ、これ何かななんて思ってみたんですが、議会とはもう全く関係ない、知事の諮問機関かなんかでこれはつくったんですか。 そして、同時に、行財政改革推進委員会と、議会の中では特別委員会という立場で行財政改革特別委員会ちゅうのがあるんですね、それとの関係なんかいうのは、もう全然関係ないわけですか。 それとか、これはミックスに載っちょったんですけど、私、これを見て初めて知ったんです、県有財産活用検討専門会議だとか、あるいは大規模施設管理検討専門会議、こういうもんは、議会は何にも知らんで、とっとっとっと、これつくっていいわけ。 そういう形で私考えてみたんですけどね、何となく今まで、平松さんの知事時代のときに議会と執行部で一緒にやってきたんじゃから、自分たちが悪いちゅうことを言われんがために、こういうのをつくって、そこから「おまえたち、何しよったんか」ち、こう言わせるためにつくりよるような気がしてならぬのやけど、そんな感じかな。 ま、どっちだってん、ちょっとここら近所、もうちょっとすきっとした方がいいような気がしたんで、そこのところについてはちょっと質問な。 ほんで、あと、企画部長、後でいいですから、県が今ちゃんと公的役割として負担しよるち、今言ったですわな。何ぼぐらい負担しよるのかを後で出してみてください。 ○阿部英仁副議長 井上総務部長。  〔井上総務部長登壇〕 ◎井上良司総務部長 行財政改革プランの策定の件でございます。 現在、素案の策定に向けまして、先ほどご指摘のありました行財政改革推進委員会等々のご意見も伺いながら策定を進めておるところでございまして、議会関係で申し上げますと、行財政改革特別委員会に素案が固まりました時点でご説明を申し上げ、十分意見を聞かせていただく予定をいたしておるところでございます。 それから、その後で広く県民からご意見を伺うということでパブリックコメントという手続も考えているところでございます。 また、ご指摘のありました大規模施設の専門家会議等につきましては、素案の策定に当たりまして、やはり民間の専門家の方、あるいは経営について知識をお持ちの方のご意見を伺うということで設置をし、検討していただいておるところでございまして、これも素案に反映させまして、それから、各方面、皆様方のご意見を伺うというための準備のための委員会、専門家会議ということで考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、年内に素案がまとまりまして、それから議会、あるいは県民の方々のパブリックコメントということで意見を伺っていくようにいたしておるところでございます。よろしくお願いします。 以上でございます。 ◆久原和弘議員 議長。 ○阿部英仁副議長 久原和弘君。 ◆久原和弘議員 だから、知事の諮問機関で、知事部局でつくったということでいいんかい、勝手にこれは。この委員会ちゅうのは。 ○阿部英仁副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 行財政改革は緊急の課題でございまして、この間の議会で県に行財政改革推進本部を設けて、そしてプランをつくりますというふうに申し上げました。そのときにあわせて、民間有識者のご意見も伺いながらやっていきますというふうに申し上げたと思いますけども、それがこれでございまして、私どもが責任を持ってつくっております行財政改革プランの策定に当たって民間の有識者の意見を聞くというものでございます。 それで、議会との関係でございますが、議会との関係については、先ほど総務部長からご説明申し上げたとおり、特別委員会ができておるわけでございます。そこにもいつでもご説明に伺って私どもの考え方をご説明すると。当然、行財政改革プランの試案ができた段階では、もちろんご説明をさせていただきたいというふうに思っております。議会のご理解とご協力も得ながら、この行財政改革を進めていきたいという基本的な方針でやってまいります。 ○阿部英仁副議長 以上で久原和弘君の質問に対する答弁は終わりました。 田中利明君。  〔田中議員登壇〕(拍手) ◆田中利明議員 十三番議員、自由民主党の田中利明であります。 本当に皆さん、大変お疲れさまでございますが、気合いを込めて頑張りますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 私は、今期定例会におきまして一般質問の機会を与えていただき、心から感謝を申し上げます。また、本日は、市町村合併を契機に新しい県南の発展を願う広瀬知事の熱き思いを一心に受けとめようと期待し、初冬の番匠川を見据えながら傍聴にはせ参じていただいた地元の皆様に厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。 さて、私は常々、佐伯市がこの大分県を変え、大分県が日本を変えるという強い信念と自信を持ち、地域からの現場改革を着実に実行し、誇りに満ちた創県の志をしっかりと抱きながら、この地方受難の時代を広瀬知事を先頭に、県民の皆様とともに一気に走り抜きたいと考えているところであります。 そこでまず、県南地域の振興対策について質問をいたします。 ご案内のとおり、県下における平成の大合併は、紆余曲折を繰り返しながら、県民の理解も徐々に深まり、おおむね順調に推移しているようであります。私の出身地であります佐伯市、南郡八カ町村も、県下のトップを切って本年八月三十一日に無事に調印式を終え、現在、新市の誕生に向けて各方面の調整を行っています。地域住民は、今回の合併を地域が変わる絶好のチャンスととらえ、農山漁村と市街地とが連携し、潤いと活気に満ちた新しい都市の誕生に大きな期待を寄せています。 これまで佐伯・南郡地域は、佐伯市の商工業を中心にして、海岸部町村は豊かな水産資源を生かした漁業、山村部町村は豊富な森林資源やシイタケなどの特産品を中心にした農林業が互いに共存して地域経済を築いてきました。また、昭和四十年代には、佐伯市の造船、合板、人絹パルプ工場を中心に産業が発達し、多くの雇用を生み、周辺町村から多くの労働者が集まり、商業もこれに伴い発展してきました。加えて、公共工事など社会資本整備も積極的に行われ、建設業も地域の主力産業として多数の労働者を吸収してきました。 しかしながら、第一次オイルショックを境に、佐伯市の主力産業は相次いで倒産し、昭和五十年代にはついに特定不況地域に指定されるなど、雇用の場は急速に失われ、これに伴い地域の商店街は寂れ、現在においても有効求人倍率は他地域に比べ低位傾向が続いています。 このように地域経済を支える中心的企業が減少し、雇用の場が限られる中で地域経済は農林漁業に託され、関係者はその振興に一生懸命に励んでいますが、残念ながら有効な雇用の場を創出するまでには至っておりません。 その結果、中心市としての佐伯市の求心力の低下により地域の若者の大部分は転出し、圏域での人口は、昭和五十五年に九万六千五百三十四人であったものが、平成二年では九万千二百十七人、平成十二年では八万四千四百四十九人と、この二十年間で一二・五%もの人口減となっており、徐々に体力低下が進んでいるというのが地域の現状であります。 このような地域の歴史と実情を踏まえて私なりに角度を変えて考えてみますと、過疎化が進み、地域産業が疲弊する中でも地域住民は、豊かな地域資源に恵まれている関係から、個々の町村で何とか生活できるという意識があり、広域的視点からの産業再生や新たな産業創造に対する取り組みの認識は低く、行政の取り組みにおいても、掲げた理念と現実の対応はかなりかけ離れていたように思います。 しかるに、今回の合併協議の中で地域住民は、時代が大きく変わり、生活圏域がこれまでの町村単位ではなく、佐伯市、南郡八カ町村が一体となった圏域であることを自覚いたしました。そういう意味からも、今回の合併により誕生する新佐伯市には並々ならぬ期待があり、新市をリードする行政には、地域経営の哲学と戦略的な発想、さらに着実な実行力が求められており、大変な責任が課せられています。 現在、佐伯市、南郡の合併協議会では、既に新市建設計画も策定され、合併後の新たな方向性も一応決められています。しかしながら、この計画は新市の将来をあらゆる観点から抜本的に詰めたものでなく、今後、新市の振興発展を考慮した綿密な長期計画を策定しなければなりません。新市の振興は地域みずから取り組み、努力することはもちろんでありますが、大分県全体の発展の意味からも県行政の適切な指導と支援が不可欠であります。 そこで、県の立場から、県南地域の振興、特に合併後の新佐伯市の産業振興等地域活力の創造についてどのような期待と戦略を考えているのか、広瀬知事のご所見をお伺いいたします。 次に、地域振興と地方振興局のあり方について質問いたします。 さて、大分県政はさまざまな課題を抱え、県勢発展のため各種施策に取り組んでいますが、本県の発展は、申し上げるまでもなく、県下各地域の振興なくして成り立ちません。そういう意味で、地域振興のために何が大事か、何をしなければならないかなど、それぞれの地域の現状と課題を常に把握し、個々の市町村の施策との調整を図っていくことが大変重要であります。 現在、県政施策の大部分は本庁で企画、立案、決定されますが、実施に当たっては、大部分が地方振興局、県税事務所、教育事務所、福祉事務所、そして保健所などの県の出先機関を通して各種施策が実施されています。 中でも、最も大きな役割を担っているのが県下に十二カ所ある地方振興局であります。振興局には、保健、医療、福祉、土木、教育関係を除いて、ほとんどの施策と事業が集中しており、地方振興のかなめとして大変重要な職責を担っております。 県当局もこれまで組織の改編を行う中で地方振興局の重要性を考慮して、その機能を高めてきました。農林商工行政など、県の手足としての機能はかなり果たしているものの、振興局みずからの地域戦略や施策の実施など、現場の声を施策に反映するといった施策企画はほとんど行われておらず、機能面では大変物足りなさを感じているところであります。 確かに本庁と出先とでは機能や権限も違うとは思いますが、私は、地方振興局長は、出先機関の長であり、各部の施策遂行責任者としてだけではなく、知事の分身として、地域施策全般にわたって関係市町村長や地域住民と議論、検討し、地域の実情に合った施策実現のため、予算編成や企画にも加わるぐらいの権限と責任を持たせるべきであると考えております。 個々の地域が元気を出し、活力ある地域となるためには、地域特有の施策が大変大事になっております。しかし、残念ながら今の施策体系を見ますと、本庁中心型の傾向が強く、出先機関の職員が施策の企画に加わったということはありません。私は、これからの地域発展を考えるとき、地方振興局にも本庁と同じくらいの企画調整機能を持たせるべきであると考えます。 また、今後、市町村合併が進んでいきますと、それぞれの地域ごとに振興局長は市長と対等に渡り合っていかねばならず、部局長と同格か、それ以上の権限と人格を有する人材が求められてくると思います。 現在では地域の大小により局長の格も違うようでありますが、地域事情が確実に変化する中で何をしなければならないかといった目的がはっきりとすれば、十二振興局の統廃合はもちろんのこと、地方振興局の体制強化が一層求められてくるものと考えます。 今後、県民中心の広瀬県政を実現するためには、県民のさまざまな意見や自由な発想を生かし、現場の声を県政の施策に反映させるばかりでなく、地域の発展に対する体制強化が喫緊の課題であると考えます。現在、行財政改革プランの策定に取り組まれていますが、予算的な観点ばかりでなく、機能的な組織改革も大変重要であります。 そこで、地域振興と地方振興局のあり方、地方振興局の機能、権限等についての見直し、さらに地域分権型県政の実現について知事のご見解をお尋ねいたします。 次に、県の地域文化振興対策について質問をいたします。 去る九月二十八日に開催された第五回大分県民芸術文化祭のオープニングステージは、「故郷、夢は今もめぐりて」と題して、明治の文豪、国木田独歩がこよなく愛した佐伯・南郡地域の自然と人のすばらしさを新しい感性で表現した県民詩劇が上演され、佐伯市の比翼塚長音頭保存会を初め、十二の地元文化団体が参加いたしました。市町村合併を目前に控えた県南地域の船出にふさわしい地域文化が理解され、大きな感動を与え、高い評価を受けたところであります。知事を初め、関係者の皆様のご労苦に感謝とお礼を申し上げます。 さて、近年の文化行政について見ますと、平成四年に県文化行政推進指針を策定し、平成七年に新県立図書館、公文書館、先哲史料館及びビーコンプラザを開館し、平成八年には香りの森博物館、さらに平成十年には県立総合文化センターが開館、平成十一年には、文化立県の実現のため、豊の国文化立県21ビジョンを策定し、また、先般十月六日には、国の文化芸術基本法に呼応して大分県文化振興条例の制定に向けて検討会議が設置されたところであります。 これまでの文化振興の道筋は、文化振興のためのインフラ整備、特に大型文化施設の建設に力点が置かれ、多くの県民がプロの芸術文化に触れたり、地域の伝承芸能を発表する場の提供をした点については大いに評価されるところであります。 しかしながら、県民が文化の対象とはなり得ても、文化の主体や文化の担い手でないために新しい県民文化の創造には至らず、地域が元気になるための文化振興にはなっておりません。それゆえに県の文化振興は、文化施設中心型の振興から新しい地域文化の創造や育成に方向転換しなければならないとの声があります。 今後、市町村合併により、ますます過疎化に拍車がかかり、地域文化の衰退が心配される中で、地域を活性化するための地域文化の振興が重要な課題となっています。 そこで、どのような基本的ビジョンと具体的な地域文化戦略を持っているのか、また、厳しい財政状況の中で地域文化振興のための財源確保対策についてどのような見解を持っているのか、あわせてお尋ねをいたします。 次に、第二点は、地域文化と観光産業との連携について質問をいたします。 最近、臼杵市の文化施設と商店街を訪れる機会があり、南蛮文化と石仏文化、さらにフグを中心にした食文化が見事に融合した文化都市を形成し、高速道路効果も加わり、観光客数も、平成十一年に四十四万七千五百七十五人であったものが平成十四年には五十七万七千四百二十七人となり、この三年間で実に十二万九千二百五十二人の増加となっています。 また、先日、「プロジェクトX 挑戦者たち」という番組で放映された湯布院町の「潤いのある町づくり条例」の制定のバックボーンには地域文化を守るという文化戦略に裏打ちされた対応があり、豊後高田市の「昭和の町」も文化コンセプトによる地域振興であります。二十一世紀は文化の時代と言われる中で、私は、文化戦略を持たない地域振興はあり得ないとさえ思っており、特に、地域文化と観光産業をどのように結びつけるかが今後の重要なテーマであると考えております。 そこで、地域文化と観光産業の連携、文化の産業化、産業の文化化にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いをいたします。 次に、教育問題について三点にわたり質問をいたします。 まず第一点は、県下一斉学力テスト実施問題についてであります。 去る十月二十二日に中学校百四十三校の二年生約一万千六百人を対象に、引き続き十一月十日には小学校三百四十二校の五年生約一万千二百人を対象に、学習内容の定着状況等に関する実態調査が実施されたところであります。 大分県の学力低下が大変心配される中で、今回の試験実施とその結果の公表に対して、学校はもとより、教育関係者、保護者、PTA、さらに地域関係者を含めて、高い関心と期待が寄せられております。 しかしながら、先般の新聞記事の中で、県内の約四十校の小中学校で既に今春の四月と五月に業者テストによる同一試験問題が実施されており、教育関係者からテスト結果の信頼性を疑問視する声が出ているとの報道がありました。 これに対して県教育委員会学校教育課では、「今回の調査は、全国と比較して大分県の状況を把握するために全国的に使用されている業者テストを採用したが、重複は避けられなかった。他県の例から見ても特に問題はない」とコメントしております。 しかし、私が思うに、通常、同一試験問題が重複されれば、第一回目の実施後には問題の解答や説明が与えられ、試験内容が十分に消化されていると判断するのが常識であり、重複しても結果に大きな差が出ないという説明では納得できず、時間とお金のむだ遣いをしてなぜ重複実施したのか、また、業者説明を信頼し、何ゆえに常識的な判断を回避したのか、さらに、重複実施した学校現場からの事前の情報提供や相談及び実施拒否の反応は全くなかったのか、多くの疑問が残るのであります。 率直に申し上げて、今回の問題が、学力低下や青少年の非行、さらに教職員の不祥事が続く中で多数の県民が教育改革の必要性と断行を願うときに、大きな失望感を与えたのではないかと危惧するものであります。 そこで、今回の学力テストの重複試験問題について教育長としてどのように考えているのか、また、今後の実施のあり方、さらに、学力向上対策のための試験結果の公表についてどのような対応を図っていくのか、お伺いをいたします。 次に、第二点は、特色ある学校づくりのための人材確保問題についてであります。 私は常々、地域の元気さはその地域に存在する学校の元気さであり、学校が活性化すれば地域も活性化すると信じております。 私が住んでいる佐伯市には、現在、小学校十二校、中学校五校、公立高校三校及び私立高校一校があります。特に高校は、佐伯市、南郡地域の小学校三十八校と中学校十四校の児童生徒が将来的に選択しなければならない対象となっており、その意味で公立、私立の四高校の特色ある学校づくりが強く求められています。 従来は、公立高校の場合、普通科は佐伯鶴城、商業科は佐伯豊南、農業土木科は鶴岡高校と進路選択も限られていましたが、それぞれの学校の個性がはっきりとしていて、学校選択も差別ではなく、区別がきちんとされておりました。 ところが、ここ近年の高校はその特色が薄れ、学校の個性も見えづらくなってきました。それゆえに最近は、総合学科を設置したり、大学進学や職業進路に各学校の特色づくりを打ち出そうとしております。 しかしながら、例えば、総合学科を選択しても広範な教科に対応する専門性を持った教員が不足したり、大学進学率を向上させようとしても教員の情熱や力量不足のため実績が上がらず、小学校や中学校の段階で大分市に流出する児童生徒の数が増加傾向にあります。 私は、地元の子供たちは地元の学校を選び、子供たちの進路希望にこたえることのできる特色ある学校づくりをしなければならないと考えております。 さて、毎年実施される全国大学入試センター試験で常に上位にランクされている京都府の中で、教育の先進都市として着実に成果を上げている京都市が、来年度より、特色ある学校づくりのために、教職員の希望転任制度と教員公募制を導入することが報道されていました。 資料によりますと、希望転任制度は、教員版のフリーエージェント制であり、教員の情熱や意欲を生かし、一定の経験を有する者がみずからの専門性や得意分野をアピールして転任先を希望する制度であります。また、教員公募制は、人事異動における校長の裁量権を拡大し、自校の教育活動の充実に向けて必要とする人材を募集する制度であります。 私は、教育先進地の果敢な挑戦と、子供たち一人一人を大切にし、教職員一人一人の意欲と指導力、実践力を高めていく姿勢に感動と共感を覚えるものであります。 そこで、本県における特色ある学校づくりのための人材確保対策及び校長の人事裁量権の拡大についてどのような見解を持っているのか、また、京都市の希望転任制度及び教員公募制についてどのように考えているのか、ご所見をお伺いいたします。 次に、第三点は、学校経営のための管理職体制の強化について質問をいたします。 経済状況が一段と厳しさを増す中で、県下の中でも企業倒産や廃業等が連日、身近なところで起こっています。その企業の盛衰興亡が経営者の資質や経営能力、さらに組織の経営理念や技術力等の要因で決まり、特にトップリーダーの経営責任は重く、時として社会的責任も果たさなければなりません。 これに比べて、学校社会では、学校経営と言いながら、経営者たる校長の資質や経営能力や哲学、理念は問われることなく、管理者の位置づけしかなく、経営者に備わる人事権もなければ、予算執行にかかわる裁量権もないのが現状であります。 私は、校長の任用及び着任期間が短く、しかも経営手段を持たない中で、経営能力は発揮できず、経営理念を変えたり、経営スタッフを育成することは至難であり、学校経営という言葉は事実上死語となっていると考えています。経営者不在の形式主義に陥った学校組織では、人を生かし、地域を活性化することもできず、本当に特色ある学校づくりができるのでしょうか。 さて、東京都教育委員会では、学校経営を重視し、既に平成十一年より教育管理職任用制度を改正し、校長、教頭と指導主事の選考を一本化し、特に学校経営に意欲のある若手教員を将来の学校経営者として養成しており、その研修制度も充実しているところであります。 また、一方では、来年度からは経営能力に欠ける校長、教頭に一般教員への降格を勧告する制度を実施する予定であり、管理職に対する経営責任が強く求められています。 私は、大分県教育の最大の課題は管理職体制の強化にあると考えています。 そこで、学校経営のための管理職体制の強化についてどのような具体的な対策を持っているのか、また、教育管理職任用制度の見直し及び降格勧告制度に対してどのように考えているのか、お尋ねいたします。 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手) ○阿部英仁副議長 ただいまの田中利明君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま田中議員から地域振興策、あるいは教育の問題についてご質問をいただきました。お答えを申し上げます。 まず、新佐伯市の振興戦略についてのご質問でございます。 初めに、佐伯・南郡地域の皆様方の県下に先駆けた合併の取り組みに対しまして敬意を表したいと思います。 今回の合併によりまして九市町村が一つの自治体になれば、行財政基盤の強化や行政能力の向上が図られまして、新しい佐伯市が地域の振興、発展を担い、新しい時代を切り開いていくものと大いに期待をしているところであります。 県といたしましては、地域を支える基盤整備を進めるため、まず第一に東九州自動車道の早期完成を国等に強く働きかけるとともに、国道二一七号の佐伯弥生バイパスを初め、各地域間を結ぶ国道、県道等の道路網についても引き続き積極的に整備を進めてまいりたいと考えております。 情報面におきましても、地域全域にケーブルテレビ網を早急に整備し、この活用によりまして住民に身近な行政の実現や地域の一体感の醸成を図っていただきたいというふうに思っております。 地域の皆さんの期待を受け、誕生する新佐伯市には、議員ご指摘のように多くの課題があると思います。新佐伯市の新市建設計画に基づきまして、これから具体的な事業について計画が策定されると思いますけれども、合併に伴い措置される四百億円の合併特例債事業や新たに創設される四十億円の基金、あるいは県の措置する十億円の交付金などを有効に活用して対応していただきたいというふうに思っております。 また、私は地域の活力の源は人材だと考えております。佐伯市では、すしサミットやすし列車により「世界一佐伯ずし」で町のにぎわいを取り戻そうと頑張っておられる方々がいますけれども、このように志を高く、活力に富み、そしてホスピタリティーを持った人々の活動が大切でありまして、私は地域で頑張っておられる方々をしっかりと応援していきたいというふうに考えております。 また、このような地域の動きは、若者に魅力を与え、やる気を育て、地域に若者が残ることにつながるものと期待をしております。 さらに、当地域は九州屈指の清流番匠川や日豊海岸国定公園の美しい海岸線などすぐれた自然環境があり、海と山の連携やそれぞれの特色を持つ地域のネットワーク化によりまして地域の魅力が一段と高まり、交流人口の増加も期待できるものと考えております。 期待や課題さまざまありますけれども、地域の皆さんの力を結集されて、新市建設計画が目指す、豊かな自然の中で人々が連携し、潤いと活力に満ちた触れ合いの都市を実現していただきたいというふうに考えております。 私も、新しい佐伯市が住民の負託に十分にこたえて、地域の振興、発展を図っていけるように積極的に応援をしてまいりたいというふうに考えております。 次に、地域振興と地方振興局のあり方についてのご質問でございます。 市町村合併が進められる中で、県もその役割、あり方を見直さなければなりません。合併によりまして、市町村は、その行政区域や財政的、人的規模が拡大強化されるとともに、行政能力も一層向上することになります。 したがって、県は、市町村と協力して地域の発展を図り、住民へのサービスの提供は原則として住民に最も身近な市町村に任せて、広域的な対応が必要な、あるいは高度、専門的な行政課題への対応にシフトしていきたいと考えております。市町村の能力向上に合わせて権限移譲も進めていきたいと思っております。 そして、市町村が行おうとする施策を後押しできるように、現場の声をしっかりと聞き取って施策に反映させるという、議員ご指摘のような企画立案、調整の能力を高め、県の一体的、総合的な発展をプロデュースできる政策自治体に転換していかなきゃならぬというふうに考えております。 地方振興局を初めとする県の地方機関につきましても、所管区域の見直しや集約化を図るなど効率化を進めるとともに、地域の行政課題に柔軟に対応できて、地域振興の一翼を担うことができるように、地域振興局の企画調整機能や権限の充実、あるいは土木、保健行政等との連携策が必要だと考えております。 現在、県と市町村の新たな関係のあり方を検討するために、最も合併作業が進んでおります佐伯・南郡地域をモデルにいたしまして、新佐伯市となった場合をケーススタディーとして、県の業務に与える影響などを調査しております。この結果も参考にしながら、地方振興局のあり方について具体的な検討を進めていきたいというふうに考えているところであります。 私からは以上でございます。残余のご質問につきましては、担当部長からご答弁をさせていただきます。 ○阿部英仁副議長 溝畑企画文化部長。  〔溝畑企画文化部長登壇〕 ◎溝畑宏企画文化部長 地域文化振興対策についてお答えいたします。 市町村合併などによる行政の広域化が進む中で、地域のアイデンティティーであります地域文化の果たす役割はますます大きくなっております。このため、現在、策定作業を進めております大分県文化振興条例、これ仮称でございますが、その中で、文化の担い手は一人一人の県民であり、その自由な発想や文化活動を尊重する基本理念と、県民が主体となった大分県独自の文化の確立に向けた基本的施策を検討いたしております。 この条例を受けまして、県といたしましては、新しい地域文化の創造、質の高い芸術文化の鑑賞機会の確保はもちろんのこと、地域の貴重な伝統文化の継承、文化ボランティアの育成、文化施設のネットワーク化の推進などに力を入れてまいりたいと思います。 また、厳しい財政状況であることから、既存制度の活用や民間企業、個人からの寄附金や協賛金の確保などにより必要な財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○阿部英仁副議長 飯田商工労働観光部長。  〔飯田商工労働観光部長登壇〕 ◎飯田隆俊商工労働観光部長 地域文化と観光産業との連携についてお答えいたします。 これからの観光振興には、地域の創意工夫による地域の自然や文化、歴史などに根差した個性的な地域づくりが最も重要であると考えております。 本県には、別府の温泉文化や国東半島の仏教文化を初め、多彩な文化遺跡、神楽などの伝統芸能、豊富な食材に支えられた食文化など特色あるさまざまな文化が地域に根差しております。しかし、そのままではなかなか観光資源にはなりません。本物のみが持つ魅力、迫力をクローズアップし、それらを組み合わせ、見せるだけではなく、歴史や物語を聞かせるとか、あるいは体験させるといった新たな魅力を加え、地域の誇りとして育てていくことが必要であります。 現在、温泉文化を生かした別府八湯オンパクや農村文化を体験するグリーンツーリズム、あるいは食文化を生かした佐伯のすし列車など、県下各地で地域文化を生かした観光振興の取り組みが行われており、このような取り組みはこれからの観光振興の重要な柱になるものと考えております。 また、アルゲリッチ音楽祭のような芸術文化や大分トリニータの活躍に見られるようなスポーツ文化など、新たな地域文化も育ってきております。 今後ともこうした動きを積極的に支援し、地域ごとに、あるいは広域のネットワークを組みながら強力に情報発信していくとともに、地域文化を継承し、発展させる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○阿部英仁副議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 初めに、県下一斉学力テストについてお答えをいたします。 今回の学力検査は、児童生徒の基礎、基本の定着状況を把握しまして、本県児童生徒の学力水準と本県の取り組むべき課題を明らかにするという目的を持って実施いたしたものであります。 今回実施した学力検査は、いわゆる通常の試験とは性格が異なり、児童生徒一人一人の持つ学力を正確に把握するよう工夫されております。したがって、同じ程度の学力を持っている児童生徒が受検した場合、大きな差が生じにくく、ほぼ同じ結果が出るように作成されております。 また、実施方法は、例えば、小学校国語では、書くことや読むことなど項目別に分けて配列された問題ごとに解答していくものです。その際、制限時間が決められており、教員の合図によって問題の最初から順次解答させて、一つの項目の問題を終了するしないにかかわらず、一定の時間経過後には次の項目の問題に進む方法を繰り返す形式となっております。 さらに、検査後は問題用紙及び解答用紙のすべてを回収することから、児童生徒が再び目にすることはありませんし、同一の問題を用いての事後指導もできないものと考えております。 そこでまず、重複の影響についてですが、県教育委員会では慎重に検討しましたが、先ほどご説明いたしましたこの学力検査の性格、実施方法、問題及び解答用紙の回収など、通常の試験とは異なることや、大半の重複校で受検間隔が六カ月程度あることなどから、影響は少ないと考えました。 その上で、結果の集計に当たっては、重複校を含めた場合と除いた場合とで分析、考察する必要があると認識していたところでありますので、ご理解賜りたいと存じます。 なお、県教育委員会といたしましては、このような事情をあらかじめ県民の方々にご説明すべきだったと反省しているところでございます。 次に、今後の実施のあり方につきましては、可能な限り年度の早い時期に実施するとともに、事前に市町村教育委員会等にその旨を周知して、重複受検を避けるよう働きかけていくなどの措置を講じたいと考えています。 最後に、検査結果の公表については、児童生徒のプライバシーの保護等を考慮し、県全体及び郡市別に教科ごとの偏差値並びに大項目別正答率、例えば中学校数学では、「数と式」「図形」「数量関係」などの項目別の正答率を、検査にあわせて実施いたしました児童生徒の意識調査の結果とともに分析、考察し、報告書にまとめ、公表したいと考えております。 次に、特色ある学校づくりのための人材確保対策についてお答えいたします。 これからの学校では、保護者や地域住民等の多様な期待にこたえていくために、学校の特色を打ち出していくことが重要であります。このためには、得意分野を持ち、意欲と情熱のある教員の確保が不可欠でありますので、校長の人事裁量権を拡大し、校長がみずからの教育理念や教育方針に基づき、創意工夫を生かした特色ある教育活動が展開できる人事配置を行うことが重要であると考えております。 このため、これまで校長からの意見聴取を年三回実施し、校長の求める人材について十分に把握し、各学校の適正な教員構成と教職員の職能育成などの観点から広域的な教員配置を進めております。 なお、京都市の希望転任制度と教員公募制につきましては、教員の意欲向上や教職員人事等に校長の意見を可能な限り反映する有意義な方法であると思いますが、来年度からの実施でもあり、その成果と課題等について研究してまいりたいと考えております。 最後に、管理職体制の強化についてお答えいたします。 今、学校経営を行う校長の資質、能力としては、教育に対する深い理解と高い理念、識見、リーダーとしての教育的実践力はもとより、経営者的な力量も求められています。 県教育委員会といたしましては、校長が学校経営に能力を十分発揮できるよう、学校規模による教頭複数制の導入、職員会議の校長補助機関としての位置づけ及び学校評議員制度や学校自己評価制度の実施を行うなど、校長権限強化に向けた支援体制の整備に努めてまいりました。 また、管理職への任用に際しましては、管理職としての資質、能力を多面的に評価するため、学校経営や教育法規などの論述試験や個人面接を実施するとともに、可能な限り若手を校長に登用し、在任期間の延長を図っております。 さらに、平成十三年度から特色ある学校づくりを推進するビジョン・サポート21事業を実施し、各校長の裁量が十分発揮されるよう支援を行っております。 東京都の教育管理職任用制度の見直しや降格勧告制度につきましては、他に例を見ない取り組みでありますので、研究をしてまいりたいと考えております。 今後とも、県教育委員会といたしましては、教育に対する新しい時代の要請に十分対応できる学校経営体制の確立に努めてまいりたいと考えています。 以上でございます。 ○阿部英仁副議長 再質問はありませんか。--田中利明君。 ◆田中利明議員 一般質問で今、答弁を聞いていまして、世の中はどんどん変化もし、進化もしているんですが、答弁だけは余り進化しないなあというふうに思っておりまして、答弁に関して、本当にもう少し具体的な答え方をしてもらわないと、この場でただ言いっ放しで終わってしまうような感覚を持ちます。本当に我々も小さな頭で十何日間も考え考えあぐんでつくってきた質問でありますので、その意味でひとつ、もっと具体性に富んだ答弁をしてもらわないと、傍聴者の方も、何を言いたいのか、何を聞きたいのかわからないような感想を持ってるんじゃないかと思いまして、その辺についてもう少し詰めた話をしてもらいたいなと思っております。 まず、佐伯市の新市の建設計画に絡んだ問題ですが、従来、県は、マリノポリスという具体的な地域のイメージカラーをつけて推進してきたわけです。これは平松県政とともに終えんしたわけですが、やはりこれから佐伯市、南郡の新市建設計画においても、県と市、あるいはまた振興局が一体となった、何か地域をイメージづけるようなキャッチフレーズ、具体論を含めたものをつくっていただきたいなと、このように思います。 ただ、合併したけど、どんな町になるのかなあというぼやけたようなイメージだけでは、やはり力強い合併の効果というのが発揮できないんじゃないかと、このように私は考えておりますので、この点について何かのご意見がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。 それと、地方振興局の改革につきましては、先般、特別委員会の中で三重県と岐阜県に視察に行ってまいりました。両県ともやはり、生活者起点とか、県民中心とか、まさしく広瀬知事のお考えと同じような、県民中心のスタートラインは同じなんですが、それらの中で特に職員の意識改革とか、そのための数値目標、特にマニフェストの作成とか、こういう具体的なものに踏み込んだ改革に入っております。 それと、予算重視とか、あるいはまた計画主義から、これからはもう決算重視、成果重視への転換とか、あるいはまた、組織改革においては地方分権型県政へのシフトがえとか、こういう躍動した改革が先進地では行われておるわけです。 その意味で、財政の問題について、今、知事が取り組まれていることはよくわかりますが、やはり組織としての問題がこれからどのように大分県を変えていくかのキーポイントになりますので、こういう問題につきましても、先進地のただ単なる研究じゃなくして、一つでも二つでもそういうものを身につけていただきたいなあということを強く要望しておきたいと思います。 それと、県下一斉学力テストにつきましては、まあ何とかというような言いわけじゃなくして、重複したことについてのきちんとした、済みませんでしたというような言葉がまずありきで出発してもらわないと、こういう問題について幾ら言いわけをされても理解しがたいなあという感じがいたします。 要は、この事業の成否というのは結果の利用法にあるというふうに思いますが、その意味で多面的な分析結果を関係者に公表していくという、何かの秘密とか、ここまでは隠しとこう、ここまで言うていいちゅうような、そういう問題じゃなくて、これからは情報公開の時代ですから、悪いものは悪い、いいものはいいというめり張りのきいた公表結果をきちっと示すべきであると思います。この点について、教育長の再度の答弁をお願い申し上げたいと思います。 それと、改革につきましては、ただ単なる研究なんていうあいまいな言葉を使ってもらってですね、これでは何十年たっても改革はできないと私は思います。研究じゃなくして、そこの現場に行って取り込めるものは取り込んでくるという、こういう強い改革意識を持っていただかない限り、教育改革ちゅうのはできないというふうに思いますので、この点についてのご答弁も再度お願いしたいと思います。 以上です。 ○阿部英仁副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 私から二点申し上げます。 一つは、新佐伯市の振興計画についてでございますけれども、具体的なキャッチフレーズが欲しいということでございますが、これまでキャッチフレーズで南郡に光が当たってきたか、そうではないんではないかと。むしろ大事なことは、一つ一つ着実に物事を進めていくことが大事なんではないか。今、キャッチフレーズよりも実行のときだという思いで進めてまいりたいというふうに考えております。 次に、地方振興局のあり方についての再質問でございます。 最初のご答弁で申し上げましたように、既に新佐伯市をケースにして、具体的に新市と、それから振興局、県の関係、整理の作業を進めております。もう既に作業は始まっておりますので、この点につきましても、決して一般論で申し上げておるわけではありません。 以上でございます。 ○阿部英仁副議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 まず冒頭に、この試験につきまして、私どもが十分、県民の方にご説明が欠けていたと、そういうことでもってこういう事態が生じたこと等につきまして、深くおわびを申し上げます。 まず第一点の公表でございますが、個々の学校や市町村の教育委員会に対しましては、それぞれ必要なデータを配付いたしまして、それぞれの学校等におきまして必要な学力向上のための対策をとっていただくことはもちろんのことでございます。 県レベルの公表についてご説明申し上げたわけでございますが、この公表につきましては、児童生徒のプライバシー保護の観点、また、他県の公表の状況を見ますと、おおむね平均の偏差値、それと項目別の正解率、例えば、算数におきましたら、図形と数の計算とか、いろんな項目がございますけども、その正解率の公表、この二項目、二種類がございます。 まず、偏差値、平均偏差値につきましては、全国的に見ましても県全体のものを公表しているところが四県、また、教育事務所ごとが一県でございまして、大分県はこれよりも一歩詳しいデータということで、全国から見ましても詳しいデータということで、市郡ごとに踏み込んだデータと申しますか、市郡ごとの基礎学力の傾向を見ると、そういうことを考えたわけでございます。 また、先ほど申しました項目ごとの点に入りますと、この項目で公表していますのは、他県状況を見ますと、学校ごとに公表しているのは一県のみでございます。そういう状況等々から見まして判断いたしまして、大分県は郡市別に公表することが現在のところ妥当であると、そういう判断に至った次第でございます。 三点目の先進的に取り組まれております京都市等のいわゆるフリーエージェント制等につきます研究につきましては、当然私もこれから当県を訪れまして実態等々を研究を重ねてまいりたいと、このように考えております。 以上でございます。 ◆田中利明議員 議長。 ○阿部英仁副議長 田中利明君。 ◆田中利明議員 先ほど少し、私も興奮し過ぎて、ちょっと強い発言になりましたが、思いはやはり、県政改革と県民のための改革であります。そういう意味でひとつ、今後ともしっかりと頑張っていただきたいなということを思いまして、要望にかえさせていただきます。本当にありがとうございました。 ○阿部英仁副議長 以上で田中利明君の質問に対する答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○阿部英仁副議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。     ------------------------------ ○阿部英仁副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。     ------------------------------ ○阿部英仁副議長 本日は、これをもって散会いたします。      午後二時五十七分 散会...