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  1. 大分県議会 1995-07-01
    07月10日-02号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成 7年 第2回定例会(7月)平成七年    大分県議会定例会会議録(第二号)第二回平成七年七月十日(月曜日)     ----------------------------- 議事日程第二号        平成七年七月十日     午前十時開議第一 議員辞職の件第二 代表質問     ----------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 議員辞職の件日程第二 代表質問     ----------------------------- 出席議員 四十四名  議長  長田助勝  副議長 牧野浩朗      池田秀人      相良補三郎      志村 学      安部省祐      佐藤 錬      阿部英仁      堀田庫士      馬場文人      盛田智英      諌山秀夫      和田至誠      荒金信生      佐々木敏夫      岩尾憲雄      日野立明      古田き一郎      長尾庸夫      仲道俊哉      古手川茂樹      友岡春夫      壁村史郎      後藤利夫      本多睦治      首藤健次      久原和弘      賀来和紘      塙  晋      小野弘利      江藤清志      内田淳一      浜田 博      吉山和人      木許 晃      古屋虔郎      重野安正      挾間 正      菅 正雄      冨沢泰一      山田軍才      竹中万寿夫      阿部順治      緒方喜代美 欠席議員 三名      安部紀昭      堤 隆一      相良勝彦     ----------------------------- 出席した県側関係者  知事     平松守彦  副知事    帯刀将人  出納長    池辺藤之  教育委員長  永岡惠一郎  総務部長   木内喜美男  企画総室長  飯田益彦  企業局長   二宮正和  教育長    田中恒治  警察本部長  竹花 豊  福祉生活部長 小野進一郎  保健環境部長 工藤真一郎  商工労働         板井政巳  観光部長  農政部長   友永 清  林業水産部長 坂本陽一郎  土木建築部長 矢野善章  人事委員会         中村信幸  事務局長  監査事務局長 神矢正樹  地方労働委員         長野雅明  会事務局長  総務部次長  外山邦夫  財政課長   山田朝夫  秘書課長   小松紘一郎     -----------------------------     午前十時三十八分 開議 ○長田助勝議長 これより本日の会議を開きます。     ----------------------------- △諸般の報告 ○長田助勝議長 日程にはいるに先立ち、諸般の報告をいたします。 第七〇号議案職員特殊勤務手当支給条例等の一部改正について、第七一号議案職員の育児休業等に関する条例の一部改正について及び第八三号議案職員へき地手当等に関する条例の一部改正については、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を聴取した結果、いずれも適当と考える旨、文書をもって回答がありました。 以上、報告を終わります。     ----------------------------- ○長田助勝議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第二号により行います。     ----------------------------- △日程第一 議員辞職の件 ○長田助勝議長 日程第一、議員辞職の件を議題といたします。 安部紀昭君から議員の辞職願が提出されました。 まず、その辞職願を朗読させます。     ----------------------------- 〔職員朗読〕  辞職願 今般、一身上の都合により議員を辞職したいから、許可されるよう願い出ます。 平成七年七月十日       大分県議会議員 安部紀昭大分県議会議長 長田助勝殿     ----------------------------- ○長田助勝議長 お諮りいたします。安部紀昭君の議員の辞職を許可することにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○長田助勝議長 ご異議なしと認めます。 よって、安部紀昭君の議員の辞職を許可することに決定いたしました。     ----------------------------- △日程第二 代表質問 ○長田助勝議長 日程第二、これより代表質問にはいります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。 日野立明君。 〔日野議員登壇〕(拍手) ◆日野立明議員 まず初めに、去る七月六日、アジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞に、今年度の受賞者として平松知事が決定をされたという発表がありました。政府部門の受賞は日本人で三番目ということで、我々大分県民にとりましても大きな喜びでありますし、また誇りでもあります。心から知事にお祝いを申し上げます。 さて私は、平成七年第二回定例県議会におきまして、自由民主党を代表いたしまして知事並びに部長に質問を行います。 本年は、平松五期県政のスタートの年であります。平松知事におかれましては、四月に行われました統一地方選挙で圧勝をされました。悪天候にもかかわらず、得票数は前回を約一万五千票近く上回っただけでなく、同時に行われた多くの知事選の中で全国一の得票率を得たという特記的な付録つきでございます。これは、これまで四期十六年間にわたる平松県政に対し高い評価を示し、さらに二十一世紀までの橋渡し役として平松知事に引き続き県政を運営してほしいという期待のあらわれと分析をいたします。 我が自由民主党大分県連も大分県勢の浮揚のため、平松県政発足以来、一貫して県政与党として支えてまいりました。その結果、大分県政は、高速交通網の整備を初め、福祉、医療、農業、林業、水産業や商工業、観光の振興など産業政策、下水道、住宅整備など生活環境、国際化、情報化への先進的な取り組みや若者に夢を与えるワールドカップの招致、国民文化祭の誘致、さらにはアジアを中心としたローカル外交の推進、地域を担う人づくりなど、全国、いや世界の自治体のトップランナーとして数々の実績を上げてこられました。特に平松知事は、最近クローズアップをされてきました地方分権では、地方のオピニオンリーダーとして重要な役割を果たしておられます。 このことは、これまで平松県政を支えてきた我々の期待に十分こたえるものであり、二十一世紀を展望しながら、今後とも常に緊密な連携と協調のもとに県民福祉の向上を目指し、豊かで住みよい大分県づくりのために全力を挙げて協力をしてまいることを改めて表明をする次第であります。 そこで、第五期平松県政のスタートに当たり、今後の抱負と基本姿勢についてお伺いをいたします。 本年は、年明け早々から予期せぬ重大事件が相次いで発生しました。死者五千人を超える空前の被害を出した阪神・淡路大震災は、自然災害の恐ろしさをまざまざと見せつけるとともに、危機管理の大切さが貴重な教訓となりました。 また、地下鉄サリン事件や学校におけるいじめ問題など陰湿な事件が後を絶たず、社会的に不安定な状況が続いております。 最近における急激な円高や歯どめのきかない株価低迷などから景気も思うように上向かず、製造業を中心とする海外投資の活発化などから国内産業の空洞化も懸念をされています。 しかし、このような社会、経済不安を早く払拭し、二十一世紀に向けて大分県民が安心して、地域で豊かに暮らせる大分県づくりをやっていかねばなりません。 そのためには、厳しい県財政のもとで災害に強い県土づくりにどう取り組むか、また円高不況に強い産業構造をどう構築していくか、また若者の地方定住を進め、高齢化、過疎化を克服して地域活性化をどのようにして進めていくのか、さらに農産物の自由化、地球環境問題への対応や地方分権の推進など、二十一世紀に向けて解決すべき多くの課題が山積しているところであります。 知事は、当選後の記者会見の中で、「新しい地方分権のパイオニアとして、二十一世紀に向けて扉を開いていかなくてはならない」との決意を述べられています。 そこで知事に、二十一世紀に向けて大分県が直面するさまざまな課題を踏まえ、五期県政にどのように挑まれるのか、抱負と基本姿勢をお伺いをいたします。 次に、地方分権についてお伺いをいたします。 これまで地方を挙げて要望してまいりました地方分権推進法が去る五月十五日、第百三十二通常国会において可決、成立をいたしました。地方分権の必要性については各界各層からいろんな提言や論議がなされながら、一向に具体化しなかったわけですが、この地方分権推進法地方分権実現に向けての手続を包括的に定めた初めての法律です。 これまで我が国の中央集権的なシステムは、戦後、我が国の飛躍的な発展を支え、地方に生活する者にとっても、全国津々浦々で同質かつ同水準の行政サービスが受けられるようになったわけで、その歴史的な役割は評価できます。しかしながら、今日のように社会経済の成熟に伴って、それぞれの地域でその特性を生かした個性ある地域づくりを進めることが強く求められるようになってきますと、この中央集権的なシステムにはマイナス面もございます。 例えば、都市計画について見ると、現行法上、決定権者は原則として市町村とされているにもかかわらず、市町村の計画については知事の承認が、また県の都市計画については建設大臣の認可が必要であるなど、最終的に国がコントロールする体制のもとでは、地方独自の創意と工夫を凝らした施策を展開することが困難となってまいりました。 また、農業の分野においてもしかりです。全国一律の補助金行政や減反政策では、それぞれの地域の自然環境や特性を生かした特色ある農業を展開することが困難です。 また、高齢化、少子化社会を迎えていますが、今後の高齢者対策も、福祉、保健、医療等の連携や生涯教育など地方においては総合的な行政が必要であり、国の縦割り行政が障害となっているのが実態でしょう。 こうした諸課題に対処し、あくまでも住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体で敏速に処理し、住民のニーズに的確に対応した行政サービスの向上を図るという考え方に立って分権型行政システムヘの転換を図ることが必要であり、だからこそ地方分権が時代の大きな流れとなってまいりました。 平成五年六月、衆参両院において「地方分権に関する決議」が憲政史上初めて全会派の賛成で可決され、その後、政府においては、国会決議や全国知事会の意見等を踏まえ、昨年十二月には地方分権の推進に関する基本的な法律案を次期通常国会に提出することなどを内容とする地方分権の推進に関する大綱方針を閣議決定され、本年二月二十八日、地方分権推進法案が国会に提出をされました。 国会での審議の過程で法案は一部修正をされたものの、地方分権推進委員会の設置、地方分権推進計画の作成及び実施を柱とする地方分権推進法が成立をしたわけであります。 この地方分権推進法を見ますと、国と地方の役割分担の見直しや機関委任事務等の廃止、さらには地方税財源の確立については、必ずしも明確に規定はされておりません。 また、この法律は五年間の時限立法です。早期に委員会において指針の勧告がなされることがぜひとも必要で、委員会での指針の検討や政府の計画づくりの各段階において、権限や財源を手放すまいとする中央官僚組織の、これまでと同様の非常に強い抵抗が予想されます。 平松知事においては、この法律についてどのように評価し、今後、地方分権推進へどのように取り組んでいくのか、基本的な考え方をお伺いをいたします。 次に、平成七年度一般会計補正予算案についてお伺いをいたします。 まず、国内の経済情勢。 昨年六月、三年余りにわたる後退局面を終えて、景気は回復に向けて一歩を踏み出したと発表をされて以来、景気は緩やかながらも回復基調をたどっていましたが、急激な円高の影響等により回復は足踏みぎみになっております。住宅建設は高水準を維持していますが、このところ弱含みに転じ、鉱工業生産は緩やかな増加傾向にあるものの、雇用情勢は厳しい状況が続き、今年の就職戦線は「超氷河期」「凍りづけ」という流行語を生むほど、暗い見通しになってまいりました。 肝心な県内の状況ですが、日銀大分支店によると、住宅投資は引き続き高水準にあり、個人消費も好調を継続している一方、設備投資は依然低調な状況で、公共投資は六カ月連続で前年割れになるなど回復のテンポは極めて緩慢なものとしており、足踏み状態に入っている感さえあります。 このような景気回復のおくれの影響等により、国の平成七年度当初予算は税収が〇・一%の微増にとどまったことなどから、昭和三十年度以来四十年ぶりのマイナス予算となったものの、その中でも景気回復を後押しするため、公共事業関係費は四・〇%の伸びを確保し、赤字国債発行による所得税減税も継続実施されたところであります。また、この五月には、緊急円高・経済対策、阪神・淡路大震災の復旧を柱とする第一次補正予算二兆七千億円余りが計上されました。 このような状況のもとで本県の予算を見ますと、当初予算では五千六百一億円余りの計上にとどまったものの、今回の補正予算案では、これまでの肉づけ補正予算規模を大幅に上回る九百七十六億二千百三十七万一千円を追加し、補正後の予算総額は六千五百七十七億四千三十七万一千円となっております。昨年度の当初予算に比べると〇・三%と微増ですが、昨年度に含まれていたNTT債繰り上げ償還分を除いた実質の伸び率は四・一%で、国、地方を通じて厳しい財政事情にある中で、平松県政五期目のスタートの予算としては、知事の積極的な姿勢が十分感じられるものとなっております。 なお、現在の厳しい財政環境の中で、このたびの積極予算編成のため各種基金を活用したり、本年度の県債発行額が初めて一千億を超えるなど財源の多くを県債の発行に頼らざるを得ず、後年度の償還が大きな負担になるものと考えますので、長期的な展望に立って健全な財政運営を確保されるようお願いをいたします。 私は、この平松県政五期目の四年間は、二十一世紀を間近にして大変、大分県に重要な期間であると考えます。 知事は就任以来、一村一品運動の推進を初め、創意と工夫を凝らして県勢の振興に取り組んでこれら、これまでも相当の成果を上げられてきたと評価をしていますが、なお過疎化への歯どめと若者の定住、交通体系の整備、昨年十月のウルグアイ・ラウンド農業合意を受けた今後の農業振興、阪神・淡路大震災を教訓とした震災・災害対策など、県政の重要課題は山積をしております。 生活大県実現のために、スポーツ公園の整備、アグリカルチャーパークの建設、県病跡地の文化ホール等大型プロジェクトの着実な推進を図っておられますが、中でも過疎対策については、農林水産業の振興を初めとして、道路、住宅、生活排水、産業廃棄物処理等生活環境の整備、雇用の場の確保など地域のバランスある発展を図り、若者の定住を推進するためにはさらなる取り組みが求められております。 また、最近、不透明さの増した景気対策につきましても、こうした時期に機動的に公共投資を行い、県内景気浮揚の後押しをする必要があるのではないかと考えます。 そこで、平成七年度補正予算において、過疎対策、県内景気浮揚対策という点を踏まえ、どのような基本的な考え方で編成をされ、具体的にどのような施策が講じられているのか、お伺いをいたします。 次に、定住と交流の促進についての過疎対策についてであります。 昭和三十年代後半からの我が国経済の高度成長は、農山漁村地域を中心に地方の人口を急激に都市、特に大都市に吸引していき、地方にいわゆる過疎問題を引き起こしました。 本県の場合、総人口は昭和三十年に百二十七万七千人のピークに達しましたが、その後、減少を続け、現行の過疎地域活性化特別措置法に基づく指定市町村は四十五団体で、県内市町村数に占める過疎市町村の割合、すなわち過疎市町村率は七七・六%で、全国一となっております。 これらの過疎地域市町村の人口は、昭和三十五年国勢調査では五十三万一千人を数えましたが、昭和六十年国勢調査では三十五万一千人にまで減少、これが平成二年国勢調査ではさらに三十三万一千人へと昭和三十五年の六割にまで減少して、心まで冷えこんでいるところであります。 こうした人口の大幅な減少は、過疎地域市町村にさまざまな影響を与えており、このため、国、県、市町村を挙げて過疎対策に取り組んでまいりました。 すなわち、過疎対策については、昭和四十五年の過疎地域対策緊急措置法以来、昭和五十五年の過疎地域振興特別措置法に引き続いて、現行法である平成二年の過疎地域活性化特別措置法と、十年ごとに過疎地域の実態を踏まえて法律による過疎対策の充実強化が行われてきたところで、平成六年度までに実に二十五年が経過をしております。この間実施をされた過疎対策事業は、県で七千五百億円、市町村で七千二百億円という膨大な投資額となっております。 その結果、過疎市町村においては、公共施設の整備が進むとともに、人口の減少率も鈍化しているものの依然として人口の減少が続いており、若者が少なく高齢者が多いといった長期にわたる構造的な課題に加え、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意都市的行政サービスヘの需要の高まり、高度情報化、住民の社会活動の広域化への対応などの新たな課題に直面しており、引き続き厳しい環境下に置かれていることは周知のとおりでございます。 こうした中で県では昨年度、「人口の定住を目指した豊かな地域の構築に向けて」を基本目標とする後期の過疎地域活性化方針を策定し、これに基づいて県、市町村では、平成七年度から平成十一年度までの五カ年間を期間とする過疎地域活性化計画を取りまとめていますが、その計画額は県で三千七百億円、市町村で三千五百億円の合計七千二百億円に上ると聞いております。 こうした計画額の状況を見ると、一概に過疎対策といっても、過疎の現象や原因が社会の構造的な要因と多元的かつ密接に絡んでいることから、その対策としては幅広い取り組みが必要で、現に県も各部を挙げて過疎対策に真剣に取り組んでおられることが十分にうかがえます。 とは申せ、過疎地域市町村においては若者を中心に人口の減少が続いており、現状のまま推移すれば、地域社会の活力や社会的機能の低下はもとより、集落の崩壊なども予想をされます。また、県土の約七割を占める過疎地域は、国土保全等の上からも重要な公益的な機能を有しており、過疎地域における定住と交流を一層促進するなど、過疎対策の充実が切に望まれます。 そこで、第五期県政のスタートに当たって、引き続き過疎対策を県政の最重点課題に掲げ、その積極的な推進を図る決意を表明されておられますが、改めて今後の過疎対策の基本的な考え方と定住、交流の効果的な促進策についてお伺いをいたします。 次に、県北地方拠点都市地域の拡大についてお伺いをいたします。 去る六月五日、知事は、県北地方拠点都市地域を拡大し、日田市郡を含める意向を発表されました。今回の地方拠点都市地域の拡大によって都市機能の強化など日田地域の社会基盤の整備が期待され、大変結構なことだと思っております。しかしながら、今回の拡大は日田市郡までであり、これまで一体的な広域行政に取り組んできた日田・玖珠広域圏のうち玖珠郡だけが取り残されることになり、結果としてこの広域圏が分断されはしないか、地域の住民ともども懸念と不安を抱いているところであります。 そこで、玖珠郡が外された理由と今後の日田・玖珠地域の一体的な振興について、県としてはどのように考えておるのか、お伺いをいたします。 次に、災害に強い県土づくりについてであります。 知事は、第五期県政のスタートに当たり、災害に強い県土づくりを最重点課題として掲げ、各種防災対策を積極的に展開されていることは、阪神・淡路大震災を目の当たりにした県民にとってまことに心強い限りであります。 さて、我々日本人は有史以来、地震と共存してきたという歴史的な経過の中で、近年耳目を集めていたのは、関東、東海地方におけるプレート境界型の巨大地震でした。しかしながら、活断層に起因するこの阪神・淡路大震災は、内陸直下型地震の恐怖をまざまざと見せつけました。本県においても、別府から島原に至る地溝帯に沿って活断層の存在が明らかにされており、この大震災を対岸の火事として見過ごすことはできません。 また、大分県は県土の七一%が森林に覆われ、これらの山地を水源とする多数の河川が県下を潤しており、昨年の大渇水においても、幸いにして大きな被害には至っておりません。しかし一方では、流路が狭く、急峻な地形を駆け下る無数の河川は、はんらんや土石流等による災害発生の危険をはらんでおり、このことは平成二年の集中豪雨、同三年の台風十九号、五年の台風十三号の例を見ても明らかです。 このように災害の発生の要因を多く抱えた大分県において、地震や風水害等の自然災害に対し県はどのように取り組んでいかれるのか、その基本的な考え方を知事にお伺いをいたします。 次に、地震対策について総務部長にお伺いをいたします。 阪神・淡路大震災を教訓とした大分県の地震対策につきましては、本年三月の第一回定例県議会において、多くの議員が執行部の考え方をただしました。 そこで明らかにされたことは、副知事を委員長とする直下型地震等対策会議を設置し、職員の初動態勢の検討、自主防災組織育成強化対策、大震災の発生を想定したシミュレーションの実施、県地域防災計画の抜本的な見直しを行う等でした。このうちシミュレーションは、別府市を震源地とする直下型地震が発生したものと想定し、職員の参集から防災関係機関を中心とする災害応急対策について四十八時間の行動を検証したものと聞いております。今後、このシミュレーション結果をより実効性のあるものとするために、具体的にどのように生かしていくのか、お伺いをいたします。 また、同時多発的かつ広域的な災害が発生した場合、防災関係機関の活動は制限をされ、効果的な防災活動ができないことは、さきの阪神・淡路大震災の例を見ても明らかです。かかる状況にあっては、住民の適切な行動が被害の軽減に大きな効果をもたらすものと考えられますが、こうした事態を想定しての県民啓発はどのように実施をしているのか、あわせてお伺いをいたします。 次に、円高対策についてお尋ねをいたします。 国内の景気は、バブル崩壊による後退期から抜け出し、幾分明るさが見え始めていると言われてきましたが、この時期になって景気回復は足踏み状態にあります。特に為替相場は最近五年間で実に二倍近くにもなっており、六月十三日に報告をされました経済企画庁の月例経済報告では、総合的な景気判断は「緩やかながら回復基調」と前月までの判断を踏襲しているものの、「一部で弱い動きが見られる」という表現を加えるとともに、これまでは景気に悪影響を及ぼすおそれがあるとしていた円高の影響についての判断を「日本経済に円高の悪影響が一部に見られる」と改めています。 また、四月の完全失業率は三・二%と過去最高を記録し、雇用情勢は一段と厳しさを増しているようであります。経済の専門家の最近の発言でも、景気の腰折れやデフレ悪循環を懸念する声が高くなっております。 松下日銀総裁も七月五日に「景気回復の力は引き続き働いているものの、足元については回復は足踏みぎみになっている」と述べ、一九九四年秋以降「穏やかに回復をしている」としてきた基本的な判断を後退させており、六月九日発表の短期経済観測調査によります業況判断でも、円高の企業マインドヘの悪影響が指摘されました。 景気回復がこのように足踏みぎみである背景は、従来の景気環境と異なり、国際化の進展に伴う分業構造の一層の深化、一向に進まない貿易黒字の削減、製造業の空洞化、価格破壊等、いわゆる大規模な構造変革の中で国内における企業の体質が次第に弱体化し、そこに超円高と言われる相場の動向が重なったためと考えられます。 翻って、県内の状況を見ますと、日銀大分支店の調査によれば、景気回復のテンポは極めて緩慢な状況にあるものの、引き続き回復していると判断をされています。 また、日本開発銀行の調査による県内主要企業の平成七年度の設備投資計画を見ると、対前年度増減率は全産業平均でマイナス二%となっており、これは平成五年度、六年度対比マイナス二四%に比べれば、かなり回復に向かっていると言えます。 しかし一方で、新産都関連企業に見られるとおり構造変革への対応、いわゆるリストラも計画的に進められており、県内の雇用に対する悪影響が極めて心配をされております。 この三月以降の円の急激な高騰のためか、県内でもメンズコスモ野津、日田テキスタイルなど繊維関係工場の閉鎖問題を初め、電気、自動車関連の下請中小企業の受注量が激減するなど、極めて深刻な影響が生じているようであります。さらに、企業倒産も今年に入って件数が増加する傾向にあり、この状況では経営者の心理が冷え込み過ぎるのではないかと懸念をされます。 下請中小企業などに対する厳しいコストの引き下げや製造業の空洞化も懸念されるなど、県経済の先行き不透明感が強まっていることは、今やだれの目にも明らかであります。 平松知事は、五期目の県政の公約として定住・交流人口の増加を掲げられておりますが、若者の定住条件である雇用の場の確保、雇用の安定がまずもって喫緊の課題であろうと考えます。 四期十六年間の実績を踏まえながら、持ち前のアイデアと強力なリーダーシップによって、これまで以上に県勢の持続的発展に全力を注いでいただきたいところでございます。 そこで、円高に対する県の対応についてでありますが、先般、県内経済界のトップの方々に県内の実情や行政に対する要望などを尋ねる緊急経済対策懇談会も持たれたようでありますが、県下産業界、中小企業等への円高の影響はどの程度あると認識をしておられるのか、また、こうした円高傾向に県としてどのように対応する方針であるのか、さらに具体的対応はどう考えておられるのか、特に中小製造業者の育成振興対策を中心にお答えを願います。 次に、県下で市販をされている石油類の販売価格が他県に比べて余りにも高いと言われる問題について質問をいたします。 石油類の中で通常、一般消費者が最も多く利用されているガソリンを例にとりますと、一リットル当たり大分県内では福岡県に比べて二十円から三十円ほど高く、重油や灯油についてもかなり高値となっております。 一例を挙げますと、玖珠町がこのほど建て直した学校給食センターでは、大量の重油を町内販売業者から競争入札で購入したと聞いておりますが、町内の花卉、シイタケ栽培業者等が他県の石油販売業者から購入している価格に比べて高いのではないかという点が、町議会の文教民生委員会で論議を呼んだとのことです。細かな内容については町行政の問題ですので差し控えますが、たとえ石油の価格が高くとも町内業者を育成するために購入すべきか、安い重油を購入し、給食費を極力抑えて保護者の立場を優先すべきか、自治体として決して小さな問題ではありません。 県下の消費者団体が県石油販売業者と石油類の高価格問題で協議した事例は、新聞報道で承知をいたしています。県内の石油販売業者は零細業者が多く、他県並みの価格では経営が成り立たないという内情も聞いたことがございます。しかし、現状のままでは多くの県民に経済的に負担をかけ、結果的に他県の販売店から購入することにもなり、県内の石油販売業者はみずからの首を絞めることになりはしないかということでございます。 そこでお伺いいたしますが、県はガソリンを中心とする県下の石油類販売価格の実態を調査し、分析をしたことがありますか。また、どうすれば他県並みの価格になるか検討したり、関係業界と協議をしたことがありますか。県民全体の問題として、これからどのように取り組まれる方針でしょうか。 以上、あわせてお聞きをいたします。 次に、ゴルフ場開発問題についてであります。 旧東京協和、安全両信用組合の乱脈融資事件で東京地検特捜部は六月二十七日、安全信組から約二百七十三億円を両元理事長の関連企業に無担保融資や迂回融資を繰り返し、巨額の不良債権を発生させたとして、元理事長を初め、本県に関係の深いゴルフ場開発会社、長湯リゾートゴルフクラブ、宇佐観光開発、大分フラワーカントリークラブ社長河野博晶氏の四人を背任容疑で逮捕いたしました。 過疎化の進む市町村では、雇用創出や人口増にもつながる地域振興策として、わらにもすがる気持ちでゴルフ場開発計画を受け入れてきました。 これまでのマスコミ情報によりますと、不幸にも大分県内の四つのゴルフ場、長湯リゾートゴルフクラブ、宇佐観光開発、エー・ジー・シー、大分フラワーカントリークラブが迂回融資等金融スキャンダルの舞台に利用されたことは、まことに不愉快きわまりないことであります。 聞くところによりますと、安岐町の大分フラワーカントリークラブを除いては事業はほとんど進んでおらず、特に朝地町のエー・ジー・シー、宇佐市の宇佐観光開発については、昨年の早い時期から計画を断念していたという情報もあります。 また、地域住民の中には、ゴルフ場開発が計画どおり進むものとして、将来計画を立てている方もいると思われます。 このような状況の中で四つのゴルフ場の実質的なオーナーである河野博晶氏が逮捕されたことで、果たしてこの事業が計画どおりに実施されるかどうか懸念をされております。 このように先行きの見通しが全く立たないことにより、地元市町村や地権者は大きな不安を持っていると推察をいたしますが、四つのゴルフ場開発計画について県の指導に問題はなかったか、また今後どのように対処していくのか、県の考え方を確かめます。 次に、農業問題についてお伺いをいたします。 我が国の農業、農村を取り巻く情勢は著しく変化し、農業の担い手の減少、高齢化が進んでおり、特に中山間地域においては農業労働力の脆弱化、耕作放棄地の増加などの現象が顕著となるなど、農村の活力が低下をしております。 このような状況の中で、国は平成四年に「新しい食料、農業、農村政策の方向」、いわゆる新政策を打ち出し、日本農業の展開方向を明らかにいたしました。この中で、農業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものとするために、他産業並みの労働時間で生涯所得が他産業従事者と遜色のないものとすることを目標に掲げ、そのため経営規模の拡大、食糧の国内自給率の維持拡大、農業の持続的、安定的発展をうたいました。 これを受けて経営基盤強化法や特定農山村法が制定をされ、これに基づいて経営体の育成や農地の流動化などの各般の施策が実施されています。 さらに、平成五年十二月にウルグアイ・ラウンド農業交渉が合意され、米のミニマムアクセス、その他の農畜産物の関税化を受け入れることになりました。 政府は、この合意が農業、農村に及ぼす影響を極力緩和し、農業、農村を経済社会における基幹的な産業及び地域として次の世代に受け継いでいくために必要な対策として昨年十月に農業合意関連対策大綱を決定をし、農業合意の実施期間である平成十二年までに総額六兆百億円の補助事業を、そして一兆二千億円の地方単独事業を実施することといたしたところであります。 こうして農業政策については多くの事業が実施されておりますが、日本の農業、農村は依然として、過疎化、高齢化の進行、担い手の不足に悩みながら産地間競争の激化、国際化の波にさらされていることに変わりはありません。 大分県においても例外ではなく、むしろ全国平均を上回る高齢化、過疎化が進んでおり、後継者不足も特に中山間地域において目立ちます。 本県は、耕地面積では中山間地域が大部分を占めており、これらの地域の農業振興が今後の大分県農業の浮揚のかぎを握っていると言っても言い過ぎではなく、その対策が最も重要であると考えております。 知事は、農業の振興なくして地域社会の発展はないと常々述べられておりますが、私も全く同じ思いです。私の出身地であります玖珠地域を見ると、メルヘンローズのバラ団地や九重町の泉水バラ団地、特別栽培米生産地域など活力に満ちた団地もありますが、多くの中山間地域は今後の農業継続に不安を抱いているのが実情ではないかと思います。今こそ大分県農業の浮揚を図るため、中山間地域の農業の振興を強力に推進しなければならないときです。 そこで、知事は中山間地域の農業振興、活性化をどのように推進していこうと考えておるのか、お伺いをいたします。 次に、経営不振農協の再建についてお伺いをいたします。 農業を取り巻く環境が、農畜産物の輸入自由化や担い手の高齢化、兼業化等大きく変化していく中で、生産資材の供給、農産物の販売、営農指導や農業金融の大宗を占める農協が、農家組合員の負託にこたえるよう地域農業の再編や農家組合員の経営改善に寄与することは不可欠となります。このような情勢のもとで、農協の経営環境は正組合員の減少、金融の自由化、他の業態との競争等に見られるように非常に厳しい要素があり、これらの要因による組織、経営基盤の弱体化は、組合員に対するサービスの安定的供給や事業の伸長を困難なものとしています。 さて、県下総合農協の中には多額な累積欠損金や固定化債権を有し、経営不振の状況に陥っている農協が多い中で、元来、農協の経営については経営体として自己完結的な責任を持っており、組合員の相互扶助の精神に基づく協同組織体として自主性を尊重されるべきものと考えられますが、このまま放置すれば、農協としてのサービスが低下し、結果として農家組合員がその損失をこうむり、ひいては地域農業に大きな影響を与えかねない事態が憂慮されます。 そこで、経営不振に陥った農協の経営再建に関する基本的な考え方についてお伺いをいたします。 次に、本県特用林産物の代表であるシイタケ生産にかかわる問題についてお伺いをいたします。 シイタケを初めとするキノコ類の生産は、農山村における重要な産業として、木材とともに地域の振興に大きな役割を果たしてきたことは周知のとおりです。本県のシイタケ等キノコ類の生産につきましては、乾シイタケが一村一品の顔として、平成六年の生産量が約一千九百トンで全国シェアの二三%を占めるとともに、全国乾椎茸品評会において本年度も団体優勝を遂げ、四十三回中三十二回の団体優勝、その他はすべて準優勝と、名実ともに全国一の座を保持しております。 また、生シイタケ生産量は約二千トンで全国十三位、エノキタケ生産量は約三千トンで全国五位、その他ヒラタケ、ナメコ等も全国上位を占めるなどキノコ類の生産県として大いに健闘しておることは、生産者一人一人の血のにじむような努力のたまものであるとともに、県を初め関係団体のご支援、ご指導のおかげと考えております。 さらに、平成元年には全国で初めてのキノコ専門研究施設である大分県きのこ研究指導センターが設置をされ、指導並びに研究の両面から強力な体制が整えられたことは、生産者にとりましても大きな喜びであり、今後ともシイタケ生産を続けていくための大きな励みともなっております。欲を言えば、きのこ指導センターもこの時期によき成果を上げることを期待をいたしております。 しかしながら、近年、シイタケ生産を取り巻く環境は非常に厳しくなるばかりで、生産者の高齢化、後継者の不足、生産コストの上昇、加えて中国産シイタケ等外国シイタケの輸入の急増による価格の低落、生産者はシイタケ産業の未来に対して大きな不安を持っております。 そこで、今後のシイタケ生産の対策についてどのようにするのか、お伺いをいたします。 次に、交通体系の整備の問題を取り上げます。 県では多くの市町村で過疎化が進む一方で、大分市への人口の一極集中が進んでおります。知事の本年のテーマは「定住と交流」であると聞き及んでいます。これは、過疎地域に若者が住み、お年寄りが豊かな生活を送ることにより定住人口が増加し、道路網を初めとして交通体系の整備が進むことによって、世界じゅう、日本じゅうの人が大分に集まってきて交流人口がふえていくことと認識をいたしております。 定住と交流の実現には交通体系の整備、なかんずく道路網の整備が第一の条件であると考えます。 幸いにして平松知事は、県政の最重点課題として交通体系の整備を掲げ、その目標達成のために大変なご努力をされ、おかげをもってその成果も着々と姿をあらわし、道路網の整備につきましては、昨年は中津-大分間の北大道路の開通、本年度は九州横断自動車道玖珠-湯布院間が開通をする予定で、開通をいたしますと大分市-博多間が二時間余りで結ばれることになり、県民こぞって知事に感謝と敬意を表しているところであります。 また、東九州自動車道についても既に工事に着手しており、その早期完成を期待しているところです。 さらに、知事の理解のある道路関係予算配分により、県内の国道、県道の整備は着々とその効果があらわれているものと思われます。特に県単道路改良事業につきましては特段のご配慮をいただき、この機会に感謝を申し上げます。 これら道路網の整備について二点ほどお伺いいたします。 第一点目は、地域高規格道路の整備についてであります。 高規格道路の整備は、先ほど述べましたように着々とその実現を見ています。地域高規格道路は、高規格幹線道路と一体に機能し、地域集積圏間の交流を図る道路、空港への連絡の役割を果たす道路等々、自動車専用道路と同じ程度の機能を有する質の高い道路と位置づけられ、このような事業を強力に推し進めるためにも、また知事が目指しておる大分が九州のハブとなり得るためにも、地域高規格道路の整備がぜひとも必要であると考えます。 そこで、県内の地域高規格道路の現状と今後の整備方針についてお伺いをいたします。 第二点目は、県内六十分・圏域内三十分交通圏構想についてお伺いをいたします。 これは、21大分県長期総合計画の中で道路整備の基本方針として定められているもので、県内の十一圏域から大分市におおむね一時間、さらに圏域内では、その中心都市から市町村役場までをおおむね三十分で結ぶ構想です。この構想を実現するために、高規格道路、地域高規格道路を補完する国、県道の整備もあわせて行う必要があると考えます。私は、この構想の実現が定住の重要な条件の一つと考えております。 そこで、この計画が策定されてから五年が経過をいたしましたが、その整備状況と今後の整備方針をお伺いをいたします。 次に、公立図書館の振興についてお伺いをいたします。 現代社会は急速な発展を遂げており、県民がみずからの生活を豊かにし、人生をより楽しく過ごすためには生涯にわたり絶えまざる学習が必要となっており、いわゆる生涯学習社会の構築が求められております。広く国際的な視野に立って物事を考える力を養成するなど、幅広い学習に対応できるあらゆる分野の必要な情報が集積され、住民の身近にあって自主的な学習を支える施設が図書館であります。 幸い本県では、県民が待望した新県立図書館が全国有数の規模と内容を誇りつつ開館をし、四カ月を経過いたしました。聞くところによりますと、広く明るく利用しやすい閲覧室、充実した図書、職員の適切な対応など利用者の評判もよく、開館から五月末までに入館者は累計で十六万一千人、一日平均で見ますと旧館の約二・五倍、貸し出し冊数は二十四万五千冊、同じく四・八倍、登録者数は二万七千人、累計で三・四倍と多くの県民が利用していると伺っております。特に青少年の利用が多く見受けられるということであり、活字離れが指摘されている今日、大変喜ばしいことで、関係者の努力に拍手を添えて高く評価をいたします。 しかし、図書館は、建設ですべてが終わったということではありません。社会状況の変化、県民の多様なニーズや学習意欲にこたえるためには、今後とも新しい情報の収集と提供が継続して行われなければなりません。開かれた生涯学習のキーステーションとして、文化、情報の発信活動も期待をされています。さらに、県立図書館である以上、全県民へ等しくサービスが提供されるシステムも考えられなければなりません。 また、生涯学習社会において、その拠点施設となる市町村立図書館の整備が不可欠であると思われますが、本県の市町村立図書館の設置状況は、平成六年度末現在で十六館、設置率で二七・六%、全国的に見ても低位であり、憂慮すべき状況と考えます。 そこで、今後、県として県立図書館の図書資料の整備及び県民サービスの方策についてどのように行っていくのか、また市町村立図書館の振興についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。 最後に、交通事故の防止、とりわけとうとい人命を守るため、交通死亡事故の抑止について警察本部長にお伺いをいたします。 昨今は交通事故の発生は日常化していると言っても過言ではなく、先月末も宇目町と弥生町の国道一〇号線で正面衝突による重大事故が相次ぎ、四人が死亡したほか、多数のけが人が出たばかりであります。 伺いますところ、六月末現在の人身事故は三千六十七件で、昨年に比べて八・九%の増加、中でも交通事故死者は六月末現在で五十二人と、昨年に比べて三人の増加となっております。 私は、交通事故の増加の主な要因といたしましては、運転免許保持者数、車両保有台数が増加したこと、車社会に十分対応し切れない高齢者の社会進出の機会がふえたこと、週休二日制の普及などレジャー時間の増加により休日の交通量がふえたこと、県民の生活パターンの変化により夜間の交通量が増加したことなどが上げられると思います。 このような社会的背景のもとで多くの交通事故が発生し、毎年百十人近くの方が亡くなっていることは非常に悲しいことであります。本年もこれまでの半年で五十二人の方々が亡くなる死亡事故が発生し、とうとい人命が失われているところであります。 新聞、テレビなどで報道されたこれらの交通事故の内容を見ますと、スピードを出し過ぎている、中には時速百キロを超えて暴走しているものがあること、依然としてシートベルトを締めていない人がいること、飲酒運転をする人がいる、またその結果としてひき逃げ事故を起こしていること、お年寄りが道路を横断中にはねられていることなどが目立ちます。 これらの状況を踏まえて、今年から県下では、黄色信号でとまることをキャッチフレーズにして交通ルールを守ろうということで、県民運動としてイエローストップ運動を展開をしておりますが、この運動は、決められたルールをきちんと守り、交通事故の防止を図るために大変よい運動だと思っております。 これから下半期に向け、県民の悲願とも言える交通事故死者数二けた台抑止に向けた対策についてお尋ねをいたしまして、私のすべての質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手) ○長田助勝議長 日野立明君の質問に対する答弁を求めます。 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 日野議員に対する私のお答えを申し上げたいと思います。 まず、五期県政の基本姿勢でございます。 その前に、このたび図らずもマグサイサイ賞受賞に当たりまして、ただいまご祝辞を賜り、大変ありがとうございました。この受賞は、大分県の各地域で地域活性化に地道な取り組みをいたしている人々に対する受賞と私は受けとめておるわけでございまして、この受賞によってこういった方々、そしてまた世界じゅう、またアジア地域において地域活性化に取り組んでおる方々にも大きな励ましを与えるものと考えているところでございまして、喜んでお受けいたしたいと、このように考えているところでございます。 さて、現在、日本を取り巻く情勢は、円高、平成不況による経済不安、地下鉄サリン、いじめの問題などの社会不安、そしてまた政治不安の三大不安の時代と言われております。このような中におきまして私は、地方分権を推し進めて地方のことは地方において決めていく、みずから地方の未来を切り開く、こういった意味で二十一世紀の扉を開く、これからは重要な時期であると位置づけております。 これからの県政執行に当たりましては、「継続と改革」ということをモットーといたしまして継続すべきものは継続、また思い切って改革するものは改革していく、この精神に立ちまして選挙の際、公約に掲げました、災害に強く安心して暮らせる地域づくり、交通通信体系の整備、定住と交流の促進の三点を中心として、具体的には次の五本の柱によって施策の推進を図りたいと思っております。 第一番目は、災害に強い県土づくりと安全対策であります。 災害に強い県土づくりにつきましては、阪神大震災の教訓や昨年、一昨年の干害や台風による自然災害の経験を踏まえまして、県土の保全、県民の生命、財産の保護を基一本として、救援物資の備蓄、災害資機材の充実、自主防災組織の育成強化、水資源の確保、治山治水、砂防対策といったことを積極的に行いたいと考えております。 また、福祉のまちづくり条例を基本に、やさしい福祉のまちづくりをこれから県下各地で進める、そしてまた地球環境、生活環境問題を視点に置きました環境保全問題にも力を入れたいと考えております。 第二番目は、交通通信体系の整備であります。 九州横断道も来年三月には全線が開通いたします。東九州自動車道の着工、地域高規格の早期着工といった交通体系の整備とあわせまして、これから大分港のFAZ、そしてまた大分空港の国際化、また二十一世紀を展望した第二国土軸--太平洋新国土軸構想、陸海空にわたる交通体系の整備、またマルチメディア時代に対応した交通通信体系といったことを整備して、大分県をこれからは九州の玄関口、そしてまたアジアの人、物、情報の交流拠点、こういったハブ地域として整備をしてまいりたいと考えております。 第三番目は、農林水産業の振興であります。 農林水産物につきましては、特に農業は農産物の自由化を初め非常に厳しい状態に置かれておりますが、特に農林水産業は地域の基幹産業であります。地域の振興は、農業の振興なくしてあり得ないのであります。したがって、地域への定住促進を図る上で、これからは足腰の強い農業、また後継者が喜んでその跡継ぎになり得るような魅力ある農業、こういったことを特に中山間地域の整備を初め諸般の施策を重点的に行いまして大分県の農業の再生を図ってまいりたいと、このように考えておるところであります。 第四番目は、商工業、観光であります。 現在の円高対策ということで、先般、円高対策のための緊急会議をいたしまして、皆様方からの直接の要望もお聞きし、こういったことに対する相談窓口や、また新しい融資制度等を考えてきたわけでございますし、特に今度卒業される高校生の皆さん方の雇用が非常に今減っております。非常に氷河期である、凍っておる時代と、このようにも言われておりますので、先般、直接大分県の経済団体の方にも、このような不況の時期にこそ将来の人材を採用していただきたい、大分県の県内就職の比率がだんだん上がっておりますので、これが後退しないように強く要請をいたしたわけであります。 また、観光につきましても、これから特に道路網をよくして、すべての人が大分県にやってくる、こういった観光客の誘致、観光拠点の整備、そのネットワーク化ということを図っていきたいと考えております。 第五番目は、二十一世紀を担う人材の育成と文化、スポーツの振興であります。 特に、二十一世紀の大分県を担う人材のために教育が一番大きな問題であります。教育の一層の充実を図る、また将来、平成十年には国民文化祭、アジアの文化との交流を視点に置いた文化祭をつくる、また世界じゅうの方がやってくるワールドカップサッカーを二〇〇二年に大分で開催する、二〇〇八年、平成二十年に二巡目国体を大分で開催するということで、医界に通用する文化、スポーツの基盤を整えてまいりたい。 特にまた、大分県で大学の教育ができるといったようなことで芸術短期大学を四年制に移行する、県立看護大学の四年制の大学を大分につくる、また県立職業能力開発短期大学校を設立するといったことで、大分県内で直接、人材の養成にも努めてまいりたいと考えております。 現在、県政を取り巻く政治、経済、社会はいずれも流動的でございますが、これからは、このようなときでございますからこそ、みずからの展望を開き、若者に夢を、女性に魅力を、高齢者に安らぎを与える新しい大分の未来を創造していく決意で臨んでまいりたいと、このように考えておりますので、議員各位の皆様方のご理解とご支援を賜るようお願いを申し上げる次第であります。 次に、地方分権の推進であります。 私は、これからの五期県政においては地方分権のパイオニアとして行動したいと申し上げたわけでございますが、既に村山内閣におきまして地方分権推進法が七月三日に施行され、同日、地方分権推進委員会が発足しました。この初会合で具体的な指針が来年中に勧告されるということになりましたので、これはまことに画期的なことであります。私は今年を地方分権元年と位置づけまして、これからこの地方分権の具体化に向けてさらに私自身も行動してまいりたいと考えておるところであります。 ただ、私が常に申し上げておりますが、地方分権というのは手段であって、これは目的ではありません。目的はあくまでも地域住民の方々の生活がよくなっていく、今のような中央集権の画一的縦割り行政ではこれからの多様化する住民の皆さんのニーズにこたえられない、住民の身の回りの行政は市町村、また県が行うべきである、なるべく中央政府の権限は市町村や県に位置づける、移管する、こういった体制をとることが地方分権のためでございますから、このためにはやはり村の役場、町の役場、県庁に立派な有為な行政官がいて、住民の皆さんに十分満足できる行政が行われるような体制がないと、これは中央集権から地方分権にした意味がないのでありますので、こういった地方市町村の財政基盤の充実、人材の充実が受け皿づくりとして絶対に必要な条件でございます。 したがって私は、地方分権には、一つは権限の移譲の分権、第二は分財、財源の分配、第三は分人、人材の分権であります。この分権、分財、分人の三つの分権がないと、地方分権は本当の姿が、感謝される地方分権にはならない、地域住民の方に評価される地方分権にはならないと、このように考えておりますので、こういった意味でやはり市町村の財政基盤を充実する、また高速交通体系、太平洋新国土軸、社会資本によって地方都市を振興するといった受け皿づくりを並列的に進めていかなければなりません。 五月九日に開催されました参議院の地方公聴会においても、この地方分権推進委員会における指針の検討、政府による地方分権推進計画の作成、実施については、まず地方の声を聞いてもらいたい。したがって、ぜひこの委員の方も地方に出かけて、東京ではなくて地方で国民、住民の皆さんの声をまず聞いてもらいたい。そして、いろいろ反対があっても、中央官僚の反対があっても、まず思い切って地方に任せるという考え方に立って分権をやらないと、なかなか分権はできない。地方分権UFO論というのがありまして、いつも話題になるけども実体を見た人がいないというのがまあ地方分権UFO論でありますから、UFOにならないようにこれを進めていく必要があると思っております。 議員のご指摘のように、今後の指針や計画づくりの過程において中央省庁の強い抵抗が予想されますが、村山総理は、地方分権委員会の提言や勧告が実施できるように全力で取り組みたいと、こういったことを言っておられます。この総理の強いリーダーシップに大いに期待をいたしたいと考えており、これをまたバックアップをいたしたいと私は考えておるわけであります。 特に、分権基本法は五年の時限立法でありますから、五年以内に地方分権のめどをつけるという時限が決まっておるわけでございますので、待ったなしであります。この待ったなし地方分権を進めるとともに、単なる権限の移譲だけでなくて、この受け皿、今の三千三百の市町村というのがいいのか、もっとこれをまとめていくのがいいのか、そしてまた今四十七都道府県がいいのか、もっとこれをさらに大きく広げて大きなブロック制にしていくのがいいのか、こういった意味で行政単位の見直し、都道府県と市町村という地方制度の二層制についての検討も進めなければなりません。 また、国にお願いするだけではなくて、まず「隗より始めよ」ということで、大分県庁の持っておる権限をまず市町村に移すということで、全国で一番、大きな権限移譲を昨年末決めて市町村に分権を行ったわけでございますが、市町村もお金がない、予算がないというんで、予算までつけてこの分権を行うことにいたしたわけでございます。 こういったことで、これから地方分権推進委員会におきまして、私がかねてから申し上げております九州府構想など広域行政圏の検討を含めて幅広い論議がなされることを期待いたしておるわけでございます。 次に、平成七年度の補正予算についてでございます。 この予算編成に当たりましては、景気の現在の動向が極めて難しい動向でございますが、県税の方は若干持ち直してきております。また、地方財政全般の大幅な財源不足に伴う地方交付税の伸び悩みもございまして、大変今厳しい段階でございますので、できるだけ既定経費を節減合理化、スクラップ・アンド・ビルド、またサンセット方式ということで財政の健全性の確保に留意しながら各種の基金を取り崩し、また有利な地方債の発行ということで財政も確保いたしまして、何といっても景気をよくする景気対策、第二番目は過疎対策、第三番目は安心安全対策、この三点に重点を置きまして実質四・一%の増という積極的な補正予算を組んだわけでございます。 まず、景気対策であります。 景気対策の一番中心は公共事業であります。公共事業の数字を示す爵通建設事業費でございますが、これは五・八%という高い伸びでございまして、歳出に占める割合にいたしますと、この投資的な経費、普通建設事業費、また普通建設の中の県犀独事業費、いずれも九州各県の中では大分県のシェアが一番ということで九州の第一位になっております。 特に、具体的な内容で申しますと、地方の特定道路の整備事業ということで県単の改良事業が一二・五%ということで、県内の道路もかなりよくなりましたが、まだまだ県道、町道、また高速自動車道とつながるところ、こういったようなところをまだ整備をしていかなきゃなりませんので、こういったところにこれから大いに気配りをして道路の整備をしていきたい。 また、下水道を初めとする生活排水対策といったものの整備、そしてまたこれからお客さんがそれぞれの地域にやっていけるようなアグリカルチャーパーク、また新しいハイテクニュータウンといったような事業もこれから進めていかなければならないと思っております。 また、七半期の公共事業を騏く前倒しでやらなければなりませんので、国の動きに合わせて、国はまあ七五%という指導でございますが、大分県の場合は今回は、ただいまご審議をいただいている補正予算分を含めまして国を上回る八〇%の目標率にすることに本日決めまして、本日午後発表する予定でございます。八〇%の予算の前倒しを行いまして、景気を大分県から回復していこうということでございます。 また、円高対策といたしましても、今恐らく全国では一番低い利率と思われますが、融資利率二・五%の特別資金を創設した次第でございます。 第二番目は、過疎対策であります。 この過疎対策につきましては、過疎市町村が単独で行う道路整備に対しまして県の単独の助成制度を今度つくりまして、市町村が行う道路でも県が助成をする、また生活排水などについての助成措置ということで、これから市町村が行う都市の住民との交流に資する道路、施設の整備を推進するため、過疎地域交通・交流基盤整備事業を新設することにいたしました。 特にこれからは、農業の問題では中山間地域の問題、ご質問がございました。中山間地域保証基盤拡充基金造成事業、中山間地域稲作生産体制整備事業、また、ご質問がありましたが、椎茸産地活性化緊急事業、特に人工ほだ場をこれからつくってやっていく、また漁業後継者育成資金利子補給事業、こういった対策を新たに打ち出して第一次産業を振興する。 また、医療の問題で、県単独の僻地の保育所の運営費の補助、また地域の福祉センターの整備事業といった福祉、医療の充実、それから特に長者原地区、これはいよいよ自然公園の大会が行われますので、こういった過疎地域における自然公園の整備事業を行う、また過疎地域の商業振興資金を新しくつくる、また地域国際交流、直入町で行われておりますが、こういったものに対する助成をするということであります。 第三番目は、安心と安全ということで震災対策についての緊急事業、防災情報システムに地震等に関するソフトの追加、また地震防災訓練を実施する、災害救助対策事業、備蓄体制、避難所資機材の整備、特に各福祉施設の中で地震が起こったときに、いろんな必要な資機材を全福祉施設に整備をする助成をいたしたいと考えております、こういった防災対策、また国の震災対策の関係公共事業を積極的に受け入れたい。 また、高齢者や障害者にやさしいまちづくり、道路の歩道と車道の段差をなくする、公共施設に手すりをつくる、また駐車場の中に車いすの方には特別の場所をこさえる、こういったことをきめ細かくそれぞれの町にやっていく助成事業を大幅に拡充をいたしたわけでございます。 こういった三点に重点を置いた補正予算になっているわけでございます。 今後の過疎対策の基本方向であります。 議員もご指摘されましたが、過疎地域において現在はだんだんと人口減少の伸び率が鈍化をしている。今度の国勢調査、十月に行われますが、人間がこの前は一万人近く減ったわけでございますが、今度はまあ若干横ばいにぜひいきたいと思いますが、まあ二千人ぐらいの減少でとどまるようにいたしたいと思っております。 何とかこういった意味で、特に大分の一極集中じゃなくて、過疎地域でも逆に人間がふえていく。三光村や日出町といったところは若干、人間のふえる地区もございますが、おおむね多くの地域はまだ人口が減っておりますので、何とか若者がここに定住をするということをこれからとも努力をしたいということで、過疎地域には三つの柱があります。 第一番は、定住人口の確保。 これには何といっても、職場をそれぞれの過疎地域につくらなければなりません。今度新しく東九州自動車道、また九州横断道路が全線開通ということになりますから、この高速道路のそばに団地をこさえて、例えば玖珠のインターチェンジのところに新しい工業団地をこさえる、また豊後高田に地域振興事業団による新しい工業団地をつくるということで、臨海、臨空、臨ハイウエー、臨海工業地帯、臨空テクノポリス、これからはこの九州横断道の沿線に新しいこういった工業団地をつくって、物流や工業の誘致を図って若者がそこに住めるようにいたしたい。 そしてまた、新しく住宅を、それぞれの各市町村に定住条例をつくっていただいて住宅をつくって--これからは何も大分に全部住む必要はないんで、大分の郊外の町村からそこに通っていく、また玖珠や九重にそれぞれ若い人が定住して、そこからまた必要なときにはそれぞれの地域に行くということで、美しい自然環境の中に住宅をつくっていくという、住宅団地を整備していきたい。 特にまた、第一次産業が中心であるこういった過疎地域においては、農林水産業の力をつけて若者が定住できるように、農家がこういった家をつくるときにも低利の融資で支援をする、また最近大分では新規就農者、県外からサラリーマンの方で大分で農業をやりたいという方がだいぶふえてきておりますので、こういった方々に新しく休耕田を提供する、また生産資金を安い金利で貸すということで新しいニューファーマーズポリスというものをつくっていくわけでございます。 また、保健医療として僻地医療の確保のための診療所の整備、僻地の患者の輸送の助成といったこと、またこの過疎地域に新しい大学をつくる、野津原町に県立看護大学をつくるといった、若者定住のための教育施設の整備などをさらにそれぞれの地域で考えてまいりたいと思っております。 第二番目は、交流人口。 道路がよくなると都会と農村との交流ということで、都市と地域との間で非常に交流が進んでいくということでこの過疎地域を、地域の住民の人のみならず都市の住民の人にも明るく時間が過ごせるような地域として整備しようと、このたび玖珠でウエストファームということで観光牧場を、この九州横断道の沿線のそばにウエストファームを考えておりまして、これから玖珠のインターチェンジで下りてこのウエストファームでゆっくりした空間を皆さんが楽しむ、そしてまたそこの一村一品を買い上げるということで、農業、畜産の振興にも役立つような新しい形態の施設をここにつくることを考えております。 また、山香町と安心院町にまたがるアグリカルチャーパーク、山国町の「コアやまくに」、また野津原町の香りの森博物館といったような、それぞれ過疎地域に若者が交流できるような施設というようなことも考えておりますし、また、こういった中核施設を整備するための過疎地域等振興プロジェクト推進事業、津久見市の図書館や三重町の文化会館といったものの施策も、こういったことでつくれるような基金をつくりました。 また、この過疎地域において交通・交流基盤整備基金ということで、市町村道の道路整備をさらに進めろということであります。特に玖珠・九重地域においては、国道三八七と九州横断道が今度交わるということで交通体系が飛躍的に整備されますので、この横断道につながる市町村道、県道、三八七につながる市町村道、こういった末端の血管道路--血管というのは、血液の循環するような道路が末端まで行くような道路まで整備していくといろんな交流がこれから進んでいける、こういうことをやっていきたいと考えております。 次に、第三番目は適疎であります。 私はかねて申し上げておるように、過疎、過疎と言わないで、これは適疎。心の過疎が一番怖いのでございます。心の過疎というのは、おれはもうこんな町は嫌だ、こんな町より都会に行きたいとみんなが思ってはいけないので、それぞれの地域が自分の地域に誇りを持って住んでいけるようにすることが一番大切であります。この心の過疎を我々は除かなければなりません。 そのためには、一村一品運動、一村一文化、一村一スポーツということでそれぞれの地域に皆さんが誇りを持って文化を育てる、また特産品を育てていく、こういう気概を持って生活していただきたい。玖珠町におけるメルヘンローズ、また九重町において氷の祭典といったものを若者が行って地域の活性化に努力をいたしております。また、朝地町の朝倉文夫記念館、こういったようにそれぞれの地域の文化を興し、また特産品を興して若者がそこに誇りを持つ、こういう地域活性化をこれからとも続けてまいっていきたいと考えているところでございます。 次に、自然災害への取り組みに対する基本的な考え方であります。 議員も指摘をされましたが、大分県は台風の常襲地帯であり、活断層の存在も指摘をされております。したがって、阪神の震災は人ごとではありません。我々は常に、いつ災害がやってくるかわからない。また、昭和五十年には湯布院町の直下型地震もあったわけでございますので、災害は決して待ってくれないということで、早くこの災害対策としての対応を考えなきゃいけないということで、今度の補正予算にもそういった予算を重点的に盛り込んだわけでございます。 これまでも治山治水事業、自主防災組織の育成といったハード、ソフト面からの予防対策、また災害時の即応体制、通信体制、被害施設が起こったときには、原形復旧にとどまらず本格復旧をやろうということで今までも取り組んでまいりましたが、これをさらに、今度の阪神大震災を教訓として抜本的に見直して、必要な予算を現在ご審議をお願いしておるわけでございます。 具体的に申し上げますと、まず市町村に地震・津波情報を迅速に伝達するための大分県の高度情報ネットワークシステムの機能をアップするわけであります。まあ先般の阪神の震災ではNHKの放送が全部、総理官邸から一般の庶民まで同じ情報で行われたわけでございますが、より早く、より正確な情報が一番に来ることが必要でございますので、こういった災害のときにおいても災害のネットワークシステムがちゃんと稼働するようにダブルシステムを設けて万全を期したい。 それから、実際に震度、マグニチュード七の地震が起こったときには知事はどうするか、市長はどうするか、住民の方はどの地域にどう避難するか、これを実際に一回やってみないといけませんので、まずことしの九月に、別府市で同じような地震が起こったときに自衛隊がいつの段階でやってくるのか、それぞれの地域の人はどこに避難して、どういう食料の備蓄をしておくのかといった訓練をまずやるわけでございます。 また、この県庁全体がやられたときに、中心となる臨時の災害対策本部をつくらなきゃいけません。したがって、この施設が全部やられたときには、この庁舎のちょっと前に空き地がございます、あすこを今度は臨時の災害対策本部にすることに決めておりまして、そこに資材を全部整備することを考えております。 また、市町村が行う防災資機材、特に避難所において身体障害者の方、高齢者の方の資機材、また大分県のすべての社会福祉施設に防災用の資機材を整備してもらう、懐中電灯とか、乾パンでございますとか、そういったいろんなものを全部整備するときの助成を行う。また、学校において防災計画をつくる。また、学校や県の施設でたいぶ耐用年数がたっておるものもございますので、こういった大きな地震に耐え得るかという耐震診断をこれから進めることにいたしております。 また、風倒木関連二次災害防止のためのスリットダム、梅雨のシーズンになりましたので、このスリットダムが非常に大きな力を発揮します、この建設。また、国の一次補正を受けました震災関係の公共事業ということを受け入れております。 また、大分県だけではできませんので、大きな地震が来たときには九州、山口各県と広域支援体制の協定を結ぼうと、私が現在、九州知事会長をいたしておりますので、先般、知事会議でその提案をいたしまして、大きな地震が来たときには県同士で支援の協定を結ぶということで現在、具体的な詰めを各県の担当事務局で行っておりまして、九州で起こった地震は九州全体でお互いに協力していこうという支援協定を締結することにいたしております。 こういった意味で、全体的にこの大分県の地域防災計画の見直しに今取り組んでおるわけでございます。 特にこの梅雨のシーズン、二日からの梅雨前線で大きな雨が降りまして、幸いに大分県は人的な被害はございませんが、住宅、道路、河川、農業基盤施設に若干被害が生じております。特に日田・玖珠地域で全壊、また半壊をされた宅もございまして、被害を受けた皆様には心からお見舞いを申し上げますとともに、まだ梅雨は終わっておりませんので、これからとも市町村、消防、警察、自衛隊の防災関係機関と連絡しながら、これからの災害に強い県土づくりの実現に向けて万全を期してまいりたいと考えております。 次に、円高問題であります。 議員もご指摘をされましたが、現在の円高経済対策、大変難しい局面であります。先般、商工会議所、経済同友会、また商工会、皆様方のトップの方にご意見、要望をお聞きしたわけでございます。三月以降、一ドル八十円台、まさに超円高でございます。決して日本のファンダメンタルズを反映した値段にはなっておりません。しかしながらこれはなかなか直らないということで、だんだん日銀、政府も、景気の緩やかな回復という言葉が一部景気の腰折れ、またむしろデフレというような言葉すらちょくちょく出るようになりまして、いよいよ景気の悪循環ということで極めて先行きが不透明になっております。 私は、この問題については、これからの経済は三つのK、Kというのはローマ字でございます。一つは構造改革、第二番目は空洞化のK、第三番目は規制緩和のK。この構造改革、空洞化、規制緩和の三つのKの対策を大分県も考えていきたい。 まず、県みずから規制緩和をしなきゃいかぬということで、昨年の末に採石法の関係など二十四件に及ぶ規制緩和をいたしました。また、国に対しましても、先ほど言われた都市計画等々いろいろ緩和をするか分権をしてもらうか、こういったことを強く全国知事会等を通じて積極的に働きかけたい。今度の七月に全国知事会が別府のコンベンションホールで行われますので、この席上でも強く国に対して要望したいと考えております。 また、構造変革、空洞化につきましても、今回の補正で円高対策の予算を計上いたしております。具体的には、まず、一番しわが寄る下請中小企業の経営の維持安定、事業転換の促進といったために、中小企業の県制度資金に新たに融資枠二十億円、金利二・五%という超低利の円高対策特別資金を創設することにいたしました。また、貸付基準も可能な限り緩和をいたしまして、中小企業が幅広くできるように弾力的に運用をいたしたいと思っております。 しかし将来的には、円高、産業の空洞化といったためにはやはり技術力、東南アジアの各国と競争していくためには高度の技術力がこれから必要になりますので、この産業技術の中核として開設した大分県産業科学技術センター、工業試験場を改組いたしましてこのセンターの機能を強化いたしまして、新しい技術、新技術、新製品の開発に対する助成を行うため、例えば佐伯のメカトロセンターを応援するとか、こういった創造的中小企業の振興事業、また21テクノ関係研究開発事業、それから下請取引の安定化を推進する中小企業マーケティング支援事業、下請取引問題苦情紛争処理・情報提供事業、またこれから一番大きな発展が望まれる東アジアとの産業交流、産業の垂直分業、水平分業といったための東アジアの産業事情を調査するための産業空洞化対策調査、調査団の派遣、こういったことで国際競争力を持った独自な技術、高付加価値製品が開発可能になるような独創的な中小企業の育成に努めまして、アジアと共生できる大分県の産業を構築してまいりたいと考えておるわけでございます。 次に、中山間地域の農業振興であります。 大分県においては、県土の七割が中山間地域でございます。これまでもいろんな対策をしておりましたが、さらにガット・ウルグアイ・ラウンドと同時に新しい農業合意の関連対策が農林水産省でもスタートいたしましたので、その中できめ細かい中山間地域対策をこれから引き続き強力に進めてまいりたい。 第一番目は、この中小農家の方々の資金対策で、野菜や花卉の施設化を行う場合に、自分たちがなかなか担保がなくて金を借りられないといった人に県が基金をつくって保証をする。したがって、その人自身には担保がなくても銀行から借りられるような保証制度、保証枠十六億円ということで中山間地域の保証基盤拡充基金というものをつくることにいたしました。 また、これからの農業の認定農業者を目指す農業者に対して低利資金を融資する豊の国農業振興資金利子補給事業ということを考えております。 特に第二番目は、高付加価値の農業対策として果樹産地生産基盤強化緊急対策事業、主要落葉果樹振興特別対策事業、ミカン、ナシ、ブドウといった施設整備の補助率の引き上げ、こういうことであります。 また第三番目には、特に有機栽培米、玖珠を中心にお米の産地の育成ということが非常に大切でございますので、産地の育成を図ってまいりたい。 第四番目は、農家に若者が定住する農村集落対策ということで、これから総合的な集落デザインを考え、玖珠・九重地区では農林大臣賞をもらった多くの農村集落があるわけでございますが、ああいうのをモデルにして、生産基盤の整備と生活基盤の整備を重点的にやろうというモデル地域づくりを考えているわけでございます。 今後とも、こういった国の施策を取り入れ、また本県独自の施策を入れて、中山間地域に本当に実効の上がる対策をきめ細かくやっていく。特に圃場整備なんかは、今までの畦畔、あぜ道といったものが曲がりくねっておりますから、これを取り払ってきれいな畑にするとか、こういうようなことで中山間地域独特の地形についての改善といったようなものにも予算を組んで、魅力とやりがいのある農業の実現を目指したいと考えております。 次に、経営不振農協の再建でございます。 非常に今、県下農協の経営が厳しいわけでございますが、この経営不振の原因は自己資本の不足、役職員の経営意識、経営管理体制、また不良債権の発生、いろいろ構造的な問題もあるわけでございますので、これにいよいよ本格的な対策を講ずるということで平成五年度に、農協中央会、各連合会とともに、経営不振に陥った要因の調査を行ったわけであります。この結果に基づきまして平成六年度に、再建が急務となっている農協、四農協につきまして、これを自主再建農協として指定をいたしました。で、事業、組織の合理化、債権保全の徹底といった経営の再建に向けた具体的な取り組みについて指導を行ったわけでございます。 本来、農協の使命は、農家の方々の、組合員の営農と生活の発展を図る地域農業の振興、地域の活性化に寄与することにありますので、まず農協が経営体として自立できるような組織基盤、経営基盤の拡充、合理化を通じた経営体質の強化を図ることが不可欠でございます。したがいまして、こういった自主再建農協でそれぞれの地区に応じた広域合併も視野に入れながら、農協中央会とも連絡をとって農協の再生に向けた指導を行いたい、そして農協の経営健全化に向けた自助努力を前提といたしまして支援措置を講ずることにいたしました。 そこでまず、こういった不良債権を自分で償却をする、その残りの分について系統の農協団体で支援をする、そして県も支援する。農協支援と県の支援を七対三ということで、これからの基金を造成することに県としても予算措置を講じた次第でございます。 次に、地域高規格道路でございます。 地域高規格道路は、国の十一次道路五カ年計画、十一次五計の中で全国で二千キロというものを事業着手することになっておるわけでございます。 この地域高規格道路にはいろんな路線の定義がございまして、まず太平洋新国土軸、豊予海峡から四国を渡って紀淡海峡、伊勢湾口に至る、いわゆる太平洋新国土軸、これの一翼でございます豊後伊予連絡道路がまず候補路線に平成六年の十二月に指定をされております。 次に、事業着手に向けての検討を行う計画路線ということで中九州横断道路、これは大分、竹田、熊本に至る道路、これは計画路線、それから中津日田道路、それから大分空港道路--大分空港道路というのは日出のバイパスと今現在の料金所のあるところまで、大分空港道路が中心の大分空港道路、それから大分インターチェンジから大分の市街地を結ぶ大分中央幹線道路、この四路線が指定をされます。 その中で既に事業に着手をしております中九州横断道路の犬飼町から千歳までの間は、既に事業の着手にはいっております。 また、大分空港道路の北大道路の速見インターチェンジから空港道路の安岐インターチェンジまでの間、また大分中央幹線道路の大分市大道町から金池南までが整備区間として指定をされておるところであります。 今後の取り組みでございますが、中津日田道路につきましては、ルートの調査、環境アセスメントの調査を行って、整備区間の指定に向けて努力をいたしたい。また、他の三路線についても、既指定区間の延伸並びに整備促進に向けて推進をしてまいりたい。 特に豊後伊予連絡道路、いわゆる豊予海峡につきましては、この必要性、整備効果の調査を橋の部分とトンネルの部分について国が行うことになっております。また、それと並行して大分県と愛媛県との間で合同で、橋をかける技術的な可能性調査を行うことにいたしております。また、鉄道建設公団がことしは一千万円かけて具体的なトンネルの調査を行うことになっております。 いずれにいたしましても、二〇一〇年を目標年次とする次の国土開発計画の中で位置づけられるように最大の努力をしてまいりたいし、また今度の景気対策第二次補正の中でこの第二国土軸--新太平洋国土軸を、新しい公共事業による景気回復策としてぜひとも取り上げてもらうように今、私も村山総理に直訴いたしておるところでございます。 その他のご質問につきましては担当部長より……。 ○長田助勝議長 飯田企画総室長。 〔飯田企画総室長登壇〕 ◎飯田益彦企画総室長 まず、県北地方拠点都市地域の拡大についてお答えいたします。 ご案内のとおり県北地方拠点都市地域は平成五年二月に指定を行ったところでありますが、その後、中津-日田間の地域高規格道路の基本計画路線の指定やダイハツ自動車の中津進出の本格化、あるいは中津港の整備と連携したウッドコンビナートの整備、さらには福岡県との県際交流拡大の動きなど、県北地域と日田地域の経済文化交流が活発化する状況が出てまいりました。また、国が平成六年度策定しました九州北東部地域整備計画におきましても、中津から日田市郡を経由する道路が広域交流型道路として位置づけられたところでございます。 このような情勢の中で県としましては、中津-日田間の地域高規格道路等の沿線地域を一体として連携整備する必要があると考えまして、今回、大分県北地方拠点都市地域のエリアを日田市郡まで拡大することとして、国にその理解を求めたものでございます。 玖珠地域を含めることにつきましては、地方拠点法の趣旨、あるいはまた国が定めました基本方針に照らしまして、拡大地域の面積やその基盤となる経済的一体性の点から困難な状況でございます。 しかしながら、県としましては、日田・玖珠地域はこれまでも自然的、歴史的、さらには社会的にも一体であると考えてまいりましたし、今後とも同一の広域市町村圏、地方生活圏として都市機能の強化や居住環境の向上を進めますとともに、九州横断自動車道を活用しました工業団地や観光施設の整備、さらには農林業の振興など、玖珠地域の活性化につきましても地元二町とともに積極的に推進してまいりたいと、かように考えております。 次に、ゴルフ場開発問題についてでございます。 県は、平成二年にゴルフ場の開発事業に関する事前指導要綱を制定し、県土の一%枠という全国的に見ても厳しい総量規制を設け、ゴルフ場開発の事前指導等を行ってきたところでございます。 問題のゴルフ場に対する事前指導では、指導基準との適合性を検討し、所要の指導を行ったものでありまして、特に開発事業者の事業完遂能力につきましては資金計画、預貯金残高証明等によりまして調査を行っておりますが、今回の事態は悪質な迂回融資に利用されたというケースでありまして、まことに遺憾でございます。 今後は、開発業者の信用や資金につきまして、可能な限り必要な調査を行いますよう市町村を指導しますとともに、県としてもその実態の把握に努めてまいりたいと考えております。 また、関係する四つのゴルフ場計画につきましては、それぞれ進捗状況が異なりますので、現時点での実情を調査しますとともに、地元市町村の意向を十分踏まえながら今後の対応を考えてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○長田助勝議長 木内総務部長。 〔木内総務部長登壇〕 ◎木内喜美男総務部長 震災対策についてのご質問でございますが、まずシミュレーションの実効性確保につきましてお答えいたします。 県におきましては、さきに作成したシミュレーションの結果をさらに実効性のあるものにするため、市街地におきます初の実動訓練を含みます総合防災訓練を九月三日の日曜日に別府市で実施する予定にしております。この訓練によりまして、初動態勢の確立、情報通信体制の確保、関係防災機関等との連携、陸海空の救援ルートの確保などについての問題点を明らかにいたしまして、今後の防災体制の充実と地域防災計画の見直しに反映させていくことにいたしております。 次に、県民啓発についてでございます。 大規模災害時におきましては、地域住民一人一人が日ごろから災害に対する基礎知識を身につけ、迅速、的確に行動することが重要であると考えております。そこで県といたしましては、全県民を対象とした啓発事業といたしまして、地震や台風に対する基本的な留意事項を取りまとめたリーフレットを作成いたしまして県内全世帯に配布いたしますとともに、災害に強く、安心して暮らせる地域づくりということをテーマといたしまして、年間十回でございますが、そういう防災シリーズを新聞紙上に掲載いたしまして周知を図っているところでございます。 また、地域住民や防災関係者を対象とした防災講演会や防災セミナー、さらに本年八月に地震防災講演会を初めて開催いたしますほか、先ほど申し上げましたとおり防災訓練も行うなどしておるところでございます。 今後とも、防災意識の一層の普及、啓発を図ってまいりたいと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○長田助勝議長 板井商工労働観光部長。 〔板井商工労働観光部長登壇〕 ◎板井政巳商工労働観光部長 円高による県下産業界への影響についてお答えいたします。 本年四月の県の調査では、特に影響を大きく受けているものは中小製造業関係でございまして、「影響がある」と答えた企業が三五・六%、「今後、影響が出る」と答えた企業が四七%となっております。 また、その内容も、親企業や取引先の単価引き下げ要求の激化、受注量の減少となっていますが、中には親企業の生産拠点の海外移転等に伴い、海外への移転を要請されているものもあります。 ご承知のとおり、現時点でも、繊維、衣料や自動車関連の一部において工場閉鎖や生産規模の縮小といった具体的な影響が出ておりますが、円高基調がこのまま推移いたしますと影響の拡大も懸念されますので、雇用面にも十分な配慮をしなければならないものと認識いたしております。 なお、為替相場は現在も八十円台で推移しており、今後とも的確な状況把握に努めながら、きめ細かな対応をしてまいりたいと考えております。
    ○長田助勝議長 小野福祉生活部長。 〔小野福祉生活部長登壇〕 ◎小野進一郎福祉生活部長 県内の石油類の販売価格のご質問でございます。 石油製品につきましては、毎月、県の職員、それから消費生活モニターによる調査を実施いたしておりまして、価格動向、需給動向を把握するとともに、他県の情報を入手して、比較検討を行っております。 ご指摘のとおり、本県の石油製品の販売価格は他県に比べて高い状況にありますが、ご案内のようにガソリン等の石油製品の価格は、他の商品と同様に競争原理に基づく市場の自主性にゆだねられているのが原則でございます。しかしながら、県民生活に関連の深い物資でありますので、これまでも消費者、事業者、行政の三者による懇談会を開催したり、事業者に対して経営の合理化等に取り組み、適正価格での供給に努めるよう要請をしてまいっているところであります。 最近の調査によりますと、県内でもガソリンの販売価格はやや値下がりする傾向にはありますが、今後とも各般の努力をいたしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○長田助勝議長 坂本林業水産部長。 〔坂本林業水産部長登壇〕 ◎坂本陽一郎林業水産部長 シイタケ生産対策についてお答えをいたします。 本県のシイタケ産業が、年々ふえ続ける外国産シイタケや国内の産地間競争に打ちかっていくためには、徹底した品質管理と低コスト化を図ることが必要であります。このため、これまでも労働の軽減と高品質、低コストのシイタケ生産を目指し、平地での人工ほだ場、散水施設、ハウス等の整備や簡易作業路の開設など生産基盤の整備を積極的に推進をしてまいりました結果、質、量ともに全国トップの座を守ってきているところであります。 しかしながら、議員ご指摘のように国内の総生産量を凌駕するような輸入量の急増や生産者の高齢化など生産環境は一層厳しくなっており、生産意欲の低下も危惧されておりますので、シイタケ産業の一層の振興を図るため、このたび椎茸産地活性化緊急対策事業を創設し、乾シイタケ、生シイタケとも従来の県費補助率の引き上げを行うなど助成措置を拡大し、生産者の負担の軽減を図ることといたしたところであります。これによりまして、今後ともさらなる生産意欲の向上と生産量の増大を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○長田助勝議長 矢野土木建築部長。 〔矢野土木建築部長登壇〕 ◎矢野善章土木建築部長 県内六十分・圏域内三十分交通圏構想についてお答えいたします。 県内六十分構想につきましては、計画を策定してから五年が経過した現在、昨年度に日出ジャンクションが開通いたしましたので、中津市までおおむね六十分で到達できるようになりました。さらに、本年度末には九州横断自動車道の玖珠-湯布院間が開通の予定でありますので、日田市と玖珠町が新たにおおむね六十分で到達できるようになり、また国道四四二号の栗林地区の改良が完成いたしますので、竹田市につきましてもほぼ達成いたします。 残る佐伯市、国東町の二圏域につきましても順次整備を進めており、平成十二年度までには計画が達成できるよう努力してまいる所存でございます。 また、圏域内三十分構想につきましては、六年度末において、対象市町村四十六のうち三十二市町村が達成しております。今後の三十分構想路線の整備に当たりましては、県単道路改良事業費等を重点的に配分して計画の達成を図りたいと考えております。 以上でございます。 ○長田助勝議長 田中教育長。 〔田中教育長登壇〕 ◎田中恒治教育長 公立図書館の整備についてお答えをいたします。 県立図書館の資料整備につきましては、県民の学習ニーズに的確に対応できるよう、開館に合わせ約五十三万冊の図書資料を整備したところであります。今後は、開架図書の更新を中心に、毎年度、約五万冊の図書資料を購入し、整備充実に努めてまいる所存であります。 また、全県民が県内のどの地域からでも県立図書館の図書を利用できるよう、市町村立図書館や公民館などとのコンピューターによるネットワークの整備を図るとともに、各種の講座や講演会などを実施し、生涯学習の拠点施設としての役割を果たしてまいりたいと考えております。 次に、市町村立図書館の振興につきましては、一村一館を目指し、建築に際しては過疎地域等振興プロジェクト推進事業費補助金の活用を奨励しているところであり、現在、建設中の津久見市の図書館は、この制度により建設を行っているものであります。 また、図書資料の整備につきましては、図書館を新設する市町村に対する補助制度の一層の充実を目指し、現行の補助限度額、町村二百万円、市三百万円をそれぞれ一千万円に改定し、さらに補助期間も延長し、三年間で三千万円を助成するよう計画しているところであります。 さらに、未設置市町村において設置の機運が醸成されるよう図書館づくりマニュアルの作成や、希望市町村に対し、年間五千冊の図書の貸し出しを行う図書館振興文庫などの施策を積極的に実施してまいる所存であります。 以上でございます。 ○長田助勝議長 竹花警察本部長。 〔竹花警察本部長登壇〕 ◎竹花豊警察本部長 交通死亡事故の抑止についてお答え申し上げます。 議員ご指摘のとおり、本年の交通事故は六月末現在、前年同期に比べ、件数、死者、負傷者、いずれも増加しておりまして、私といたしましても危機感を持って諸施策の推進に当たっておるところでございます。 本県ドライバーの交通ルールの遵守状況は、決して芳しいと言える状況にはないと考えております。また、交差点での交通事故も多発しておりますことから、本年は交通ルールの徹底を図るイエローストップ運動を推進していることはご案内のとおりでございます。 また、昨年は特に夏の時期に交通死亡事故が多発したことなども踏まえまして、本年はこの七月以降、パトカーやミニパトカーを活用し、交通事故の原因となる悪質、危険な交通違反者の取り締まりを一層強化していくこととしております。 加えて、ドライバーばかりではなく、歩行者や自転車利用者にも、自分の命は自分で守るという意識を強く持ってもらうための広報や安全教育を関係機関、団体と連携を図りながら推進することといたしております。 そこで、これらの啓発活動をより充実させるため、新ハートフルおおいたプランを実施する予定にいたしております。 私どもといたしましては、交通事故死者年間二けた台抑止を目指しまして精いっぱい努力を続ける所存でございますので、県議会議員の皆様方を初め県民の皆様方のご協力をお願い申し上げる次第でございます。 以上でございます。 ○長田助勝議長 以上で日野立明君の質問に対する答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。     午後零時三十一分 休憩     -----------------------------     午後一時四十分 再開 ○牧野浩朗副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 吉山和人君。 〔吉山議員登壇〕(拍手) ◆吉山和人議員 私は、平成七年第二回定例県議会に当たり、発言の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げ、社会県民クラブを代表いたしまして、平松知事を初め教育長並びに関係部長に質問をいたします。 質問に先立ちまして、まず最初に、平松知事におかれましては去る四月の統一地方選挙におきまして、県民から安定と実績を評価され、今後の大分県発展に対する熱い期待のもとに五十五万七千余票の圧倒的な支持を得られ、五期目の県政に携われることになりましたことを心よりお喜びを申し上げます。 さて、年月のたつのは早いもので、平成七年もはや半年を過ぎ、世紀末の中で戦後五十年が経過しようとしています。私は、客観的な時間の流れの中で、時間的な一つの区切りを迎えるということ自体にさほどの意味があるとは思いません。重要なのは、そこに生じたさまざまな出来事や事件を、歴史の隠された次元を映し出す兆候として把握する態度であると考えるからです。例えば、この半年間に阪神大震災とサリンを使った無差別テロ事件が起こりました。 大震災によって映し出されたのは、人間の予測能力をはるかに超えた自然の力によりもたらされました都市型文明社会での人間の大量死の問題であり、経済至上主義に貫かれた現代の都市構造の脆弱さの問題、また一方では、数多くの在日韓国人、朝鮮人や多くの民族からなる外国人労働者を含めながら、そこに厳然とした階層制の社会構造を再生産し続けてきた我が国の歴史の問題点でありました。自然災害を通じて、近代日本の文明や歴史のあり方が顕在化してきたのであります。 また、松本市やその後、東京地下鉄などでのサリン事件にしましても、多くの事柄が明るみに出されつつあります。私たちはまず、人間を物としてガス室で処理したナチスの非人間性が今なお過去の悪夢ではないことに衝撃を受けました。また、その事件が、あるカルト的な宗教集団と結びついているとすれば、そこには科学的な合理性と非合理、非科学的なカルト性とが混在する宗教を生み出す現代文明の問題があります。また、そのような宗教によりどころを求めざるを得ない人々、とりわけ多くの若者が現実に存在するという日本社会の問題があります。そして、これらをただ単に犯罪として処理するだけでは本質を見誤ることになり、より進歩した未来へとはつながりません。 私たちは二十一世紀を間近に控え、世紀末、戦後五十年という一つの歴史の節目を契機として過去を検証して、二十一世紀を豊かな文明社会へと創造していかなければなりません。この発想は、まさに平松知事がおっしゃっております過疎を逆手にとるとか、過疎ではなくて適疎の発想であり、逆転の発想の考え方であります。マイナスをプラスに転化させることこそ、発展への糸口であります。 若干前置きが長くなりましたが、以下、私が質問をいたします基本的なスタンスがここにあるのだということをご理解いただきまして、多少の耳ざわりはご容赦をいただきたいと思います。 まず最初に、県政についての反省と展望についてであります。 知事は昭和五十四年就任以来、地方の時代の到来と定着に対する期待の中で一村一品運動やむらおこし運動を展開し、地域に内在するエネルギーを喚起した内発的発展と先端技術産業等の企業誘致を中心とした外発的発展、さらにこれらを支えていくための人づくりとしてグローバルに考えローカルに行動する人づくりの三つを県勢振興の基本戦略とし、新しい豊の国づくりの基本目標として健康で心の触れ合う福祉社会、交通体系の整備と均衡のとれた地域づくり、新しい時代の農林水産業を目指して、明るい未来を担う商工業と観光を目指して、活力ある人づくりと豊かな地方文化の五つの柱を設定し、物と心のバランスのとれた県づくりを目指してまいりました。 その具体化は、テクノポリス、グリーンポリス、マリノポリス、リバーポリスの各構想として地域発展の中核目標を定め、地域の特性を生かし、地域に内在するエネルギーを引き出す手だてを設定し、進めてきました。 また一方では、空の玄関大分空港の三千メーター滑走路の完成、県内初の高速自動車道の導入、北大自動車道の完成、さらに東九州自動車道の大分-津久見間の着工、豊予海峡道路の現実化など、本格的な高速交通体系の整備が着々と進んでいます。 また、県内一般国、県道整備も、知事の提唱する県内六十分・圏域内三十分構想に向け着々と改良、改修が進められ、また交通弱者対策の歩道整備や交差点改良など総合交通対策も確実に進められています。 さらに、新県立病院や介護研修センター、産業技術センター、新県立図書館、国際コンベンションホール等の完成は、県民の福祉、文化、芸術の向上や産業の発展に大きなインパクトを与えるものと期待されるところであります。 また、旧県病跡地の再開発や大分駅高架事業、新スポーツ公園構想等、県勢のさらなる発展へとつながることが期待されます。 また、知事は、県民にやる気を起こさせ、「継続は力」との発想により、物事に執着心を持たせる作風を醸成しました。一村一品の初期段階から一村一文化、一村一スポーツ、一村ゼロ事故、一村一風運動等々、これらはそのネーミングのすばらしさと同時に、一つのことに向かって個人や地域住民、県民にやる気を起こさせる精神高揚の運動としても高く評価されます。それだけに、この作風は大分県の貴重な財産として後世にも残されるべきものであると思います。 まさに平松県政十六年は、九州の片田舎の県、大分県を国内的にも国際的にも脚光を浴びさせるまでに引き上げたと言え、その実績を高く評価し、敬意を表する次第であります。 以上、県政におけるプラス面を述べましたが、光の部分は必ず対照的に影の部分を従えております。これについては、去る十二月と三月の議会において、今は勇退されました柴田明、後藤国利両前県議が触れておりますが、昨年十二月に報道された県内市町村別人口動態調査では、昨年より八百三十九名増加したものの、依然として深刻な問題である過疎化の問題、九州七県における農業所得最下位という農業問題、全国的にユニークさで脚光を浴びたものの効率の上がらない農道空港問題、累積損失九十二億八千万円となったハーモニーランドの問題などであります。 これらは県政における今日的課題であり、県政のマイナス部分でもあろうかと思われます。そして、それぞれの問題はまた、弱点となるべきマイナス要因を持っています。これらマイナスをプラスに転化させることこそ県政に安心と安定をもたらし、今春オープンしましたビーコンプラザや将来に向けて計画されている香りの森博物館やアグリカルチャーパークなどの成功に向けての重要な足がかりとなると思われます。それはまさに、知事が豊の国づくり塾で講話をなさっているように、逆転の発想でもあろうかと思われます。 そこで、五期目に当たり、向こう四年間、県政執行に当たられる知事としまして、山積する県政課題にどのように対処されるか、お考えをお伺いいたします。 次に、平成七年度補正予算についてであります。 日本経済の現況は、円高の影響が広がり、失速するのではないかと心配をされています。それを裏づける指標としては、完全失業率が四月段階で三・二%と過去最悪となっています。製造業を中心に人減らしが進行し、加えて価格破壊の波が押し寄せ競争が激化し、流通業界の雇用も減少していると言われます。鉱工業生産も四月は三カ月ぶりに前年比マイナスになり、五、六月も引き続き落ち込むと予測されています。 また、景気の動向を左右する個人消費も、総務庁発表の家計調査によりますと、消費支出の前年比マイナスが続いており、消費者が、長期化する不況の中でみずからの生活防衛に入っていることがうかがえます。 また、もう一方の景気動向を支配する企業の設備投資も、今年度の計画では今のところプラスでありますが、昨今の引き続く円高傾向の中で下方修正をする企業が増加するのではないかと言われています。 さらに、好調であった住宅建設についても頭打ちの現象が見え始めたと言われますし、輸出も、海外景気の減速で伸びが鈍ることが懸念されます。 加えて、四十兆円にも及ぶと言われる金融機関の不良債権問題は、金融システムの不安感により株価の低迷を来し、また巨額な不良債権の処理に追われ、金融機関本来の役目である産業界への円滑な資金供給が十分に果たせない状態だと言われています。 このような厳しい我が国の経済状況は、本県にとっても無縁ではありません。日銀大分支店が行いました全国企業短期経済観測調査の大分県関係分にもあらわれています。それによりますと、五月時点で、業況判断指数は前回二月調査と同じマイナス五で足踏み状態、九月までの予測では、景気の不透明感がぬぐい切れずマイナス七と、マイナス幅を拡大しています。製品需給は依然、供給過剰、在庫水準は過大割合が多く、生産設備、雇用人員とも過剰感が出ているとされています。 また、雇用状況も厳しいものがあります。今年二月以降だけでも、自動車、電気、機械関連の下請企業や衣類関係で倒産や合理化による解雇が出ており、その数二百六十二名で、昨、一昨年の年間分の二〇%を占める急増ぶりであります。 一方、四月の有効求人倍率は〇・七二倍となり、昨年四月からの十三カ月間で最低となりました。大分県内の雇用情勢が一段と厳しくなっており、この経済・雇用不安に対する早急な対応が求められているところであります。 このように円高不況の中での経済・雇用不安、依然として歯どめのかからぬ過疎化、全国に先駆けて進む高齢化、阪神大震災に見られる震災災害対策、低迷する県農業の再生など、山積するこれら課題の解決に向けて県は新年度予算案を提示しました。 当初予算五千六百一億一千九百万円に補正予算額九百七十六億二千百三十七万一千円と合わせて、一般会計予算の総額は六千五百七十七億四千三十七万一千円、〇・三%の伸び率であります。特定資金公共事業債償還金を除く実質伸び率は四・一%でありますが、国の地方財政計画の伸び率四・三%を〇・二%下回る予算となっており、予算編成のご苦労と厳しさをうかがうことができます。 その内容を見ますと、まず歳入では県税収入見込み一千五十億、一一・五%増を見込んでいます。県税の内容が事業税に三割近く依存している状況で考えたとき、昨今の円高不況下で経済活動の消極化、投資の停滞等の中で果たして予測どおりの県税収入があるのか、懸念されます。この点について知事はどのようにお考えでしょうか、また県内景気についてどのように予測をお持ちか、お伺いをいたします。 次に、歳入面でのもう一つの問題は、県債千十二億円の発行であります。 知事は、財源不足と景気回復という二律背反の中で、県下の不況を克服するためにやむを得ず県債の発行に踏み切っていることは理解をいたします。しかし、平成七年度末で県債残高が六千六十億円に達しているということは、来年度以降に想定されるスポーツ公園や旧県病跡地開発の大型プロジェクトの推進を加味して考えたとき、極めて憂慮せざるを得ません。 私は、県債の果たす役割が財政負担の年度間調整、世代間の負担の公平、応急的な財源補完という極めて有効な機能を持っていることは理解できますが、これはあくまで緊急避難的、臨時的なものというのが原則であろうかと思いますが、いかがでしょうか。 知事は、マスコミ報道によりますと、今のような伸び率なら、大きなプロジェクトを平準化し償還のピークが大きくならないように工夫していけば、これから始める事業も全部おさめていけるとのことですが、後年度負担である公債費が増加するということは、多極分散型の国土形成のため、個性豊かな魅力あふれる県土づくりや県民福祉の向上を図っていくためには阻害要因とならないでしょうか。 公債費にかかわる一定の比率、すなわち起債制限比率は二〇%を超えると、県が地方債を起こす場合、制限を受けることになり、危険ラインと言われていますが、今後の公債費の償還のピークはいつごろで、その推移はどのように推定されていますか。また、景気の動向予測を勘案して、危険ラインを突破し、県財政の硬直化を来すことはないのか、お考えをお聞かせください。 次に、歳出についてお伺いをいたします。 知事は、予算の編成に当たり、県政施策の基本を、一、災害に強い県土づくりと安全対策、二つ目に定住と交流の進む地域づくりと交通通信網の整備、三つ目に将来に展望ある農林水産業の振興、四つ目に新時代の商工業、観光の振興、五つ目に二十一世紀を担う人材の育成と文化、スポーツの振興、この五つに置き、極めて厳しい財政事情の中で、増大、多様化する県民の期待と要請に応じ、数多くの施策を計上したとしています。 内容を見ますと、商工労働観光関係や教育関係、また企画総室関係予算で伸び率マイナスとなっていますが、いずれもコンベンションホールや県立図書館等施設建設の完了に伴うものであり、理解できます。 一方、農政関係予算は一一・三%、土木建築関係一五・九%と大幅な伸び率を示しております。これは、ウルグアイ・ラウンドの農業合意や最近の円高による輸入農産物の価格低下による不安など農業環境の厳しい状況の中で、中山間地域農業の活性化のための諸事業や果樹産地生産基盤強化対策、主要落葉果樹振興特別対策事業、豊の国農業振興資金利子補給事業など営農支援策として、また土木建築関係は長期にわたる不況の克服、景気回復として理解できますし、意欲的に取り組まれていることを高く評価いたします。 ただしかし、農政にかかわっております部長さんを初め職員の方々の並み並みならぬ努力にもかかわらず、県農業は厳しいものがあります。 九州農政局大分統計事務所の発表した大分県農業の動向によりますと、平成五年度の生産農業所得は一戸当たり八十八万九千円で九州各県で第六位、全国で二十八位、十アール当たり八万九千円で九州で六位、全国で三十二位であります。 また、最近のマスコミで次のように報道されていました。畜産関係ですが、「豊後牛、平成六年子牛価格、雄子牛の平均で四十一万九千円で全国第二位、飼育頭数七万二千頭で全国第十位」と報じられ、また一方では「正念場の豊後牛ブランド作戦、肥育農家の粗収入減少、生産利益はマイナスに」と報道されています。「肥育牛を出荷した後の子牛購入などの再生産費が出ない」とも書かれています。 新農業プラン21によりますと、肉用牛十万頭を目標に推進しています。昨年と一昨年との頭数比較では、平成五年七万一千七百頭で、平成六年は七万二千百頭でありますから四百頭、〇・六%の増であります。 そこでお伺いしますが、全国第二位の高品質の子牛を生産しながら、増頭率わずかに〇・六%というのはどこに障害があるとお考えですか、十万頭増頭作戦は可能でありましょうか。 また、肉用牛に対する補助金は、平成二年から平成六年の間、十五億七千八百万円充てられ、平成六年は肉用牛肥育活性化総合対策として四億一千万円が補助されています。結果として、頭数は一年で四百頭しか増加していませんが、補助事業による効果はどのようになっておるのでしょうか、お伺いをいたします。 また、知事は五月一日の定例記者会見で「改革が必要な分野では思い切った改革を進め、特にガット・ウルグアイ・ラウンド受け入れ後の米対策や畜産の十万頭増頭計画などについては、これまでのプランを見直し、新しい情勢を踏まえて地域に即応したプランを打ち出す」とのお考えを示されました。この報道が小さな記事の報道でありましたので、知事の真意が那辺にあるかはわかりませんが、私は、軽々にプランを見直すことには疑問を感じざるを得ません。端的に言って、慎重につくり上げた新農業プラン21であります。見直されなければならないとすれば、それはむしろ、プランそのものではなく、プランを達成されるためになされたこの五年間の施策であるべきであります。 例えば、畜産における十万頭増頭計画など安易なプラン見直しは、情熱を持って取り組んでいる畜産農家のやる気を阻害し、モラールの低下になりかねないと思われます。プランに従ってその達成に向けてたゆまぬ努力を続けることこそ進歩につながり、まさに「継続は力」であります。 そこで、知事の農業政策全般についてのお考えを改めてお聞かせください。 次に、後継者問題であります。 後継者問題では、平成六年度は特筆すべき年となりました。農業高校卒業生の就職者は、昭和五十年には四十三名、五十五年三十三名、六十年十四名、平成三年七名、平成五年三名、そして平成六年にはついにゼロとなったのであります。 私は昭和三十三年、県南の農業高校に奉職しましたが、当時の農業高校には地域でも優秀な子供たちが集まり、そのほとんどが卒業後は農業に従事しました。まさに今昔の感がいたします。 平成六年の新規就農者は五十五名、うち新規学卒者は十名で一八%、新規参入者は二十名の三六%、帰農者は二十五名の四五%となっています。 また、三十歳未満の農業従事青少年数は、昭和五十年千九百三十八名、昭和六十年千五百四名、平成元年千九十名、平成三年五百六十九名、平成六年三百六十三名となっており、ここ四年間の逓減率から見て極論をさせていただくならば、五、六年後には三十歳以下の農業従事者は限りなくゼロに近づくと言えましょう。 以上のように、若年層の激減、一方で新規就農者中新規参入者、いわゆる脱サラ就農者が四割近くを占めている状況、また、帰農者も含めれば、脱サラ就農者は新規就農者の八割強となります。 そこで提起させていただきますが、新規高卒就農者や若年就農者の激減は、今日の日本農業や本県農業の実態をそのまま反映をしています。一口に言って、農業に魅力を感じない。しかし、それではいけないのであります。農業は、国の礎であり、大分県の礎であります。我々人間の生命、文化の礎であり、国土、県土保全の礎であります。そのためには、その重要性に値する施策をしなければなりません。 私たちはかつて数十年前、農業県大分から農工併進という名のもとに工業県への脱皮に夢をかけました。その結果、工場群の林立する煙突の雄姿の陰で疲労こんぱい、衰弱し切っているのが、言い過ぎかとは思われますが、農業ではないでしょうか。 今まさに私たちは、かつて工業に夢はせたように、農業の再建に真剣に取り組まなければならないと思います。農業を保護するのではなくて、農業を再建する道筋を示す必要があります。それが平成二年に立案された新農業プラン21でありましょう。 平成七年度の大分県農政の基本方針にも「この難局を変革への好機とし、将来展望のもと、誇りと自信を持って取り組める農業、農村を構築するため、新農業プラン21に基づいて各種施策を展開しているところである」云々と掲げられています。そして、新しい大分県の農業、農村を創生していくため、内発的発展力に富む農業経営者の養成、以下十一項目を重点に推進していくことにしています。大いに県農政に期待をいたします。 そこで、やる気のある就農者として、新規参入者を大胆に大幅に増やすことはできないものでしょうか。また、農政の基本方針を確実に実のあるものとして実行する。そして、プランに照らして検証するプラン・ドゥ・チェックを厳密に行い、魅力ある農業を再生させてください。そうすれば若者が集まるでしょうが、そこに至るまでの過程で、新規学卒者を確保するために、農業で自立を希望する若者に農業高校や大学の就学奨励の方策を講じることはできないでしょうか、お伺いをいたします。 また、私はかつて、農業経営者の方から次のようなことをお聞きいたしました。「行政は、農家の人々に対して施設栽培を勧め、補助金を出す。そうすると、金が出るならやってみるかということで始める。しかし、本当にやる気のある農家は、補助金を当てにせず、既にやっている。補助金につられてやるような人は、すぐだめになるのです。結果論として、やる気のある農家には補助がなく、やる気のないところに補助金が出る。結局は金をどぶに捨てるようなものです」。すべてがすべて、そのようなことはないと思います。しかし、実際にそのように考えている営農者がいるとすれば、農政に対する大きな不信となります。 県農政では、例えば平成二年から六年まで農業施設の整備として、園芸課所管分で野菜に五十三億五千七百万円、果樹に七億七千二百万円の補助金を出しています。それ以前の資料は出していただけなかったのでわかりませんが、過去にさかのぼればさらに膨大なものになると思われますが、その補助効果はどのようになっているのでしょうか、お伺いをいたします。 次は、福祉関係についてお伺いをいたします。 厚生省は去る七月二日付で、一九九四年簡易生命表による日本人の平均寿命を発表しました。それによると、女性は前年より〇・四七歳延びて八十二・九八歳、男性は〇・三二歳延びて七十六・五七歳となり、長寿世界一をまた更新したとのことであります。しばらくは寿命は延び続けると予測しています。超高齢化社会の到来に向かい、福祉のさらなる充実が求められるところであります。 県では、国の高齢者保健福祉十カ年戦略、いわゆるゴールドプランの策定を受けて、全国に先駆けて平成三年五月に豊の国ゴールドプランを作成し、施策を強く推進してまいりました。そして、国における老人保健、老人福祉の各法の改正により、昨六年、プラン内容をさらに充実させ、豊の国新ゴールドプランを策定しました。このプランは、平成六年度を初年度とし、目標年度は平成十一年であります。知事や私どもが県政に携わる今任期中に、このプランのほとんどの目標達成を義務づけられているのであります。 知事は、この豊の国新ゴールドプランの策定に当たって、「真の豊かさとは、自分の住みなれた地域や家庭で安らかな高齢期が送れることです。そこで、だれもが高齢期を豊かに送れる地域社会の実現を目指す」と述べられています。まさにおっしゃるとおりであります。人間が人としての尊厳を持ち続け、一回限りの人生の終えんを迎えるほど、豊かで幸せなことはありません。 プランの推進も二年目に入りました。平松県政五期目の初頭に当たり、超高齢化社会を迎え、高齢者福祉についての知事の所信を改めてお伺いいたします。 また、県は本年二月、第一回定例議会におきまして、大分県福祉のまちづくり条例を制定しました。この条例は、高齢者、障害者を含むすべての県民が自由に行動し、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することができる福祉のまちづくりを進めるため、県、市町村、県民及び事業者が協力して進めていくために制定されました。 この条例の完全な適用は平成八年四月一日であり、学校や病院等の特定施設に係る措置等は現在、周知徹底期でありましょうが、条例が完全施行となった暁には、高齢者や障害者に優しいまちづくりが徐々にできていくものと期待をしています。 そこでお伺いしますが、県有の現存する施設について、第十二条一項の新築や改築などにかかわらず、市町村や事業者、県民に範を示すため積極的に条例を適用し、可能な限りの改善を進めるつもりはありませんか。 今、補正予算に、本条例の趣旨を生かすため、一万人の県民が福祉活動に参加、促進するためのまちかどボランティア推進事業や福祉のまちづくりモデル計画策定のための福祉のまちづくり重点地区整備計画策定事業が新規事業として早速盛り込まれています。知事の福祉にかける情熱のあらわれと高く評価をいたします。 つきましては、この両事業の内容と今後の進め方、全県をにらんだ展開はどのように計画されていくのか、お伺いをいたします。 次に、教育についてお伺いをいたします。 まず冒頭に、平松県政五期目の初めに当たり、県政の重要な柱である人づくりを担う教育委員会で、教育のプロパーとして教育長にご就任された田中教育長に心からお喜びを申し上げます。 さて、いよいよ超高齢化社会が目前に迫っています。二十一世紀まであと五年、平成十二年、西暦二〇〇〇年には我が国の高齢化率は二〇%、五人に一人が六十五歳以上、平成二十二年、二〇一〇年には高齢化率二五%、四人に一人は六十五歳以上の高齢者と一般的に言われています。まさに二十一世紀は高齢化社会であります。そして、その社会を支える人々は、とりわけ若者は今、小学校から高校で学んでいる児童や生徒であります。それゆえに、二十一世紀の高齢化社会、福祉社会を支え得る人づくりが現在の教育に課された使命であろうと思われます。 そこで、教育長の教育にかける情熱の一端をお聞かせください。 次に、高校入試についてお伺いをいたします。 現行の入試制度は、平成五年度末に多くの県民の反対署名が提出されたにもかかわらず県教委が強行し、現在に至っております。事のいかんにかかわらず、本年三月には高校入試大綱による初めての入試が行われました。その結果、どのように分析し、評価されているのでしょうか。また、推薦制度について、そのあり方や定員について問題指摘があったやに聞き及んでいますが、今回の入試でどのような問題点があったのか、お聞かせください。 次に、総合学科の設置についてであります。 総合学科は、一九九三年二月、高等学校教育の改革の推進に関する会議における審議の結果、普通科と職業科に二分されている高校の体系に第三の学科として総合学科を置くとの取りまとめ報告を受け、文部省が一九九四年度から設置できるよう省令を改正し、新しいタイプの高校、総合学科高校の創設を進めています。本県でもこれを受けて、平成八年度から総合学科高校を設置すると聞いております。私は、総合学科は総合制高校への一過程と位置づけて考え、一定の評価はいたします。 しかし、ある学校現場の声として、県教委は総合学科の導入を教育現場である学校が決定するまではよく相談に乗ったが、決定してしまうと、それ以降は学校現場の声に耳を傾けないと、強い不満を持っていると聞いております。 教育は、ただ単に上からの文部省の下請であってはなりません、教育はできません。地域の人々や教育関係者の声を十二分に反映させて初めて、地域に根差し、地域住民から愛され、支えられる学校づくりが可能となると思います。 そこで、現在、県教育委員会が導入しようとしている総合学科高校について簡単にご説明ください。 また、学科設置については、教育現場や地域の意見を十分に聞いて進めていくことを強く要請いたしておきます。 次は、環境問題についてお伺いをいたします。 平成七年版の環境白書によりますと、「持続可能な社会づくりの基盤は地域の環境の保全であり、地方公共団体の役割は極めて大きい。このため地方公共団体は、地域の自然的条件に応じて、取り組みの目標、方向などの設定・提示、各種制度の設定や社会資本整備等の基盤づくり、各主体の行動の促進など、国に準じた施策やその他の独自の施策を自主的、積極的に策定し、国、事業者、住民等と協力、連携しつつ、多様な施策を地域において総合的に展開することが期待されている」と記されています。 さらに、平成六年十二月に閣議決定された環境基本計画においては、こうした認識に立って地方公共団体に期待される役割として七項目を決定していますが、そのうちから二点を抜粋してみますと、一つは、地域づくりにおいて、地域の自然的、社会的条件に応じて、汚染の防止はもとより、リサイクルの促進などにより環境への負荷を低減していく、二つ目は、市町村は基礎的な団体として、地域づくりにおける取り組みを初め多様な施策を実施する。都道府県は、主として広域にわたる施策の実行や市町村が行う施策の総合調整を行う、とされています。 私は、今から七年ほど前、環境保全の立場から古紙問題に関連して、県当局における事務用紙に再生紙の使用を訴えました。最近では再生紙の使用、そしてけい紙も裏表にけいが入り、環境保全に配慮されていることがうかがえ、担当の職員の方々に敬意を表します。 さて、そこでお伺いいたしますが、今や古紙回収業は成り立たないところまで来ており、私の住む団地でもほとんど、回収業の車を見ることはありません。したがって、紙資源、特に家庭のものは大部分が焼却されていると想定されています。県当局として、古紙等の有価ごみについて環境保全の立場からどのようにお考えでしょうか。あわせて、県下での回収状況など把握できているならば、お知らせください。古紙回収の効率を上げるため、何らかの有効な方策はないのでしょうか。 以上、お伺いいたします。 次に、ゴルフ場開発の問題についてお伺いをいたします。 東京協和、安全の両信用組合の乱脈融資事件で、県下の三つのゴルフ場開発計画が迂回融資の場となっていたことが明らかになりました。 東京地検特捜部によりますと、そのゴルフ場開発会社は東京に本社のある宇佐観光開発、大分市に本社のあるエー・ジー・シー、同じく大分市の長湯リゾートゴルフクラブの三社が舞台となったとのことであります。そして、この三社によるゴルフ場開発計画は、県下の四つの市と町、宇佐市、直入町、朝地町、安岐町にかかわっています。東京協和、安全の二人の元理事長とゴルフ場開発会社の社長が逮捕され、四つの市や町及びこの開発に関連している市町民に少なからぬ影響を与えています。市や町に対して指導的立場にあり、開発行為に対し許認可の権限を持っている県として、この件についてどのように把握していますか。また、この三つのゴルフ場開発の計画について県当局はどの程度のかかわりを持っているのか、お伺いをいたします。 さらに、県として、四市町に対し今後どのような指導、助言をしていくつもりか、お伺いをいたします。 最後に、高度情報化、マルチメディアについてであります。 二十一世紀の日本の基幹産業は、間違いなくマルチメディアだと言われています。マルチメディア・パソコンの登場と光ファイバーによる高速通信回線の結合、それにアメリカのゴア副大統領の二十一世紀初めまでに全米を結ぶ情報スーパーハイウエーを実現するという構想により、一層の拍車がかかったと言われています。 我が国でも対抗して、同じころまでに全国に光ファイバー網を敷設すべく、NTTや郵政省が本格的に動き出しています。NTTの計画では、二〇〇〇年までに県都は一〇〇%、光ファイバー化を行い、二〇一〇年までには全国に光ファイバー網の敷設を終わるとしています。そして、その予算規模は数十兆円、また、ある試算によれば、マルチメディアのマーケットは巨大で、西暦二〇〇〇年の予測市場規模は国内だけでも六十兆円、世界全体では四百五十兆円と言われ、まさに怪物産業であると言えます。 また一方、マルチメディアは社会、文化を変えると言われます。確かに情報の一方向への伝達であるテレビが出てきただけでも、世の中は大きく変わりました。それだけに、相互伝達機能を持つマルチメディアであれば、なおさらであろうかと想像できます。 ところで、知事は通産省におられたときに、我が国にコンピューターを導入した主役であったとお聞きをしています。だからこそ、都道府県として唯一のNTTの地域実験に指定されたのであろうかと思います。そして、県では本年度から、高度医療相談システムの構築や学校教育におけるマルチメディアの活用方法の研究等の実験が行われることになっています。地域実験に参加する唯一の県であるだけに、ぜひ成功させなければならないと思いますし、成功させまして全国のマルチメディアをリードしていくことを願いつつ、以下の項についてお伺いをいたします。 一つ目は、今回の地域実験の概略をご説明ください。 二つ目に、この実験をさらに拡大し、将来的に発展させるということは考えられないのでしょうか。 三つ目としまして、県としてのマルチメディアに対します構想をお聞かせいただきたいと思います。 以上で、若干、午前中にやりました日野議員の代表質問と重複する部分もあるわけでございますが、私の代表質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。(拍手) ○牧野浩朗副議長 吉山和人君の質問に対する答弁を求めます。 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 吉山議員の私に対するご質問にお答え申し上げます。 まず、五期県政執行に当たっての県政課題の対処についてであります。 私は、知事就任以来、県土の均衡ある発展を県政の最大課題であると考えておりまして、一村一品運動とともに五大プロジェクト--テクノポリス、マリノポリス、グリーンポリス、リバーポリス、また大分・別府情報経済圏を県下全域に配置いたしまして、それぞれの地域の特性を生かしながらバランスのとれた地域づくりを推進いたしまして、県民の一人一人がそれぞれの地域で真の豊かさが実感できる、いわゆる総満足度社会、総生産所得社会、GNP社会からGNS社会の実現を目指したところでございます。 最近の統計によりますと、大分県の一人当たり県民所得でございますと約二百四十万円、一ドル八十五円で換算すると二万八千ドルでございます。全国三十一番目でございますが、アメリカの一人当たり国民所得は一万八千ドルから二万ドルでございますから、大分県の県民所得の方が高いという数字になるわけでございます。 また、豊かさ指数として先般、経済企画庁で発表されました豊かさ指数の総合指数では十九位、九州各県のトップでございます。この指数は、住みやすさ、暮らしやすさ、遊び、交流、学びやすさ、こういったことについてそれぞれに各指標で数値を出したものでございます。したがいまして、GNPにおいても、またGNSにおいても県政のこれまでの施策によって相当のところまできておるわけでございます。 しかしながら、議員もご指摘のように県政を取り巻く環境は依然として厳しいものがございます。また、過疎問題、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意後の農村、農業対策、いろんなものに課題もあるわけでございます。 そこで、五期県政の推進に当たりましては「継続と改革」ということで、これまで取り組んでまいりました各般の施策につきまして十分点検をしながら、伸ばすべきは伸ばし、またご指摘のあったいろんな問題につきましても十分力を入れまして、こういった問題についてさらにマイナスからプラスヘ逆転の発想で、プラス志向でこれをさらに努力してまいりたい、解決してまいりたいと、このように考えておるわけでございます。 特に今期の県政に当たりまして私が一番力を注いでおりますのは、交通対策、安心安全対策と並んで定住と交流の促進であります。国におきましては、これから我が国の人口減少時代を展望した国土政策を検討しているところでもございます。しかし、大分県においては、これからは定住人口の増加を目指した諸施策、それからまた同時に都市と農村の交流、いわゆる交流人口を重視した地域活性化対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 定住人口施策の展開としては、特に過疎地域に若者の定住を促進する、何といっても第一番目は足腰の強い農業、林業、水産業の振興、地城中小企業の体質改善、魅力ある商店街づくり、高速道路の沿線における物流団地、工業団地の造成、また企業誘致による雇用機会の創出、こういった職の確保を図るということで若者の定住と過疎からの脱却をさらに促進する。 第二番目は、それぞれの地域、下水道や質の高い住宅団地の建設、特に農村地域における若い家族の住宅の建設ということで、快適な住環境をこれから各過疎地域につくりまして、交通体系を整備すればそこが一つの住宅の場所になる、そこからいろんなところに通っていくというようなこともできるようにいたしたいと考えております。 第三番目は、地域福祉、地域医療、特に僻地医療、また過疎地域における保育所の充実、こういった点についてこれからとも充実をさせていきたい。 こういうことでそれぞれの地域にまた若者や住民がやってくるような交流人口をふやすためのムラの豊かさふれあいモデル事業を進めまして、また同時に過疎地域交通・交流基盤整備基金というのをつくりまして、こういったものを利用してこれから都市住民とそれぞれの農村地域、山村地域、また漁村地域との交流の場をつくるということも考えておるわけでございます。 県といたしましても、それぞれの地域の特性を生かした交流拠点施設を県下につくりまして、これを中心にそういった交流が進んでいくように考えてまいりたいと思っております。そういう地域交流圏の形成というものを考えるわけです。 こういった定住、交流を進めるためには、何といっても交通通信体系、特に交通網の整備はかなり、高速道路、国道、県道、市町村道、進んでまいりましたが、同時にハイパーネットワーク、またマルチメディア、通信体系の整備を行って過疎地域においても都会の情報がどんどんマルチメディアによって手にはいる、また仮想現実、こういったもので都市と農村の情報格差をなくするということを考えていかなければなりません。 こういった意味で、陸海空の交通体系と情報通信基盤の一体的な整備によって大分県を中心にして人、物、情報の交流が行われる、九州の玄関口、またアジアのハブ、車輪の軸の中心ということを目指して考えているわけでございます。 今後とも、県政十六年の実績を踏まえて、ここで初心に立ち返りまして県民の声に謙虚に耳を傾けまして、明るい部分を伸ばし、またこれから力を入れなければならぬ部分についてもさらに力を入れたい。その意味では、これからもう一回、過疎地域の行脚、また農村地域、山村地域の行脚をそれぞれの地域にいたしまして、それぞれの問題を自分の目で確かめて、またさらに逆転の発想、議員の言われたもので新しい対策を組み立ててみたいと、このように考えておるわけでございます。まさに「継続は力」でございまして、これからとも世界に開かれた豊の国づくりに全力を注ぎたいと考えているところでございます。 第二番目は、県税収入の確保でございます。 県税収入につきましては、地方財政計画や最近の税収動向等を参考に算定をいたしているところでございます。特に法人税につきましては、大口の六十数社を選定いたしまして、個々に照会を行い、正確を期しているところでございます。本年度は、景気の先行きに非常に不透明感がございます。景気の腰折れ、またデフレではないかという議論すらあるわけでございまして、県税収入の大宗を占める法人事業税については、現在までのところ、地元金融機関の収益が非常に多い、また電力といったものを中心に伸びが期待されておりまして、特にまた大手法人よりも地場企業が非常に健闘しておることが注目をされます。 さらに二番目に、構成比率の高い個人県民税も、六月の当初課税の速報では、全国の地方財政計画並みの伸びが報告されているところでございます。 こういったことを考えますと、景気の厳しい状況にもかかわりませず何とか予算額の確保はできるのではないかと、このように考えておるわけでございます。 しかし、議員もご指摘されましたが、円高等これからの状況によっては景気が再び悪化することも考えられますので、税収動向には十分注意し、特にこの徴収対策、徴収率向上に万全を期してまいりたいと考えているところであります。 次に、県内景気の予測であります。 最近の県内の経済状況を見ますと、鉱工業生産について見ますと、一部業種を除きまして、半導体、化学、セメント、造船を中心に堅調でございまして、全体としての生産活動は回復基調にございます。 一方、個人消費関連でも、百貨店、スーパー、大型小売店の売り上げは前年割れとなっておりますが、乗用車、家電等の耐久消費財は堅調を持続し、観光関連も上昇気配で推移をいたしております。 しかし、議員ご指摘されましたが、県内企業の業況判断でございますと、いろんなアンケートでございますと、先行きに対する不安感が増大をしておりまして、企業の設備投資も、一部では増加がございますが、全体としては低調でございます。 雇用の面でいくと、五月の有効求人倍率は〇・七一、全国は〇・六三でございますから、大分県は九州でもトップの有効求人倍率でありますが、この〇・七一も前年をさらに下回っておりまして、雇用の先行きも懸念をされております。 大分県経済は、バブルの影響が少なかったので、バブルの際にもそれほどいい目にも遭っておりませんが、こういうときにおいてはまた逆に回復のテンポは全国よりも少しは速い、こう言われております。全体、総じて緩やかながら回復基調を維持しておるように思いますが、ここに来ましてまたさらに景気が一段と混迷をしております。 株価は若干戻りましたけれども、最近の日銀総裁の修正発言、いろいろ見まして景気の腰折れというような表現やデフレではないかという議論がまたぞろ出てきておりまして、これらのことから考えますとさらに厳しい状況になることも予想をされておりますので、県といたしましてもこういった動向を注意深く見守りながらこれからとも景気対策に力を入れたい、公共事業費を大幅に伸ばしまして、それを前倒し八〇%実施ということも本日決めたわけでございますし、さらに国におきましても第二次補正においては公共事業を中心とした大幅な景気対策、特に第二国土軸、太平洋新国土軸を中心とした新しい公共事業を別枠で行って景気をさらに盛り返してもらいたいということも国に強く今要望をいたしておるところでございます。 次に、農業政策全般についての考え方であります。 現在、日本の農業、農村を取り巻く環境は大変著しい変化に当面をして、さまざまな課題に応じた方向づけが必要となっております。特にウルグアイ・ラウンド農業合意がいよいよ本年度から実施され、国の関連施策も本格的にスタートしたところでございます。大分県においてもこういったことを見通しまして既に新農業プラン21というのを考えまして、平成十二年には大分県の農業の所得を倍増しようということに向けてそれぞれ目標値を掲げた政策をスタートさせております。こういったことをさらに続けまして、二十一世紀に向けて持続的に発展する農業、農村を構築する必要があると考えております。 まさに、議員も言われました、農業は日本の礎であり、大分県の礎であり、農業の発展なくして大分県の地域の発展はありません。こういったために、この新農業プラン21におきまして創造的農業への転換、また開かれた文化的な農村社会、こういう理念のもとに、第一番、産業として自立する農業、第二番、新たな産業を生み出す農業、農村、第三、豊かな生活環境、文化環境に恵まれた農村社会、この三つの基本的な目標を掲げてこれまでも農業政策を進めたわけでございます。 農業所得の点について議員も申されましたが、平成二年から平成五年までの大分県農業所得の伸び率は二二・三、九州で一番高い伸びでございますが、実額としてはまだ九州の中では低位であります。これは大分県の農業が複合経営、二種兼業の農家が非常に多いということでございますので、私は農林省に、これから農業所得については農業専業者の農業所得と兼業者の所得を分けてもらいたいということを申し上げております。専業者所得だけについては、大分県は別途、大分県の農業白書で数値を近く発表いたしたいと、そう、各県において大きく劣っているような数字ではないということは事実でございます。 具体的には、一番問題は、これからは県下の耕地面積の三割を占める平たん地域においては、恵まれた土地の条件と機械化による生産の効率化によって大規模土地利用型農業経営が可能でございますので、稲作、特に施設園芸の施設化について大幅な補助制度をつくりまして、今施設化を進めております。こういったことで、野菜、果樹といったものについては非常に大きな今、伸び率になっておるわけであります。特に法人組織の経営体による効率的、企業的な経営を実現してまいりたい。 また、耕地面積の七割を占める中山間地域、これについては経営規模の拡大による生産性の向上には限界がございますので、夏の非常にすずしい気候や昼夜の温度差、標高差など平たん地域にない特色のある自然条件や地域資源を生かして、高付加価値型、高収益型農業の展開を図りたいと考えております。 また、農村そのものの基盤整備、景観の維持、また環境、アクセス道路の整備、こういったことでこれから快適な生活環境と伝統文化、一村一文化で新しい農村空間をつくり、若者が農村に定住していくような条件を整備していきたい。その意味で、大分県の子供たちに日本の農業をわかってもらうような新しいアグリカルチャーパーク、農村文化パークを山香町及び安心院町につくりたいと考えております。 このように二十一世紀の大分県で、地域の特性、資源を最大限に活用して、後継者が育ち、また新規就農者が就農できるような魅力ある農業を展開したい。特に議員も言われましたが、新規就農者が大分県では相当ふえておりますので、宇目町にニューファーマーズポリスというので新規就農者を一っところに集めまして農業の勉強をしてもらい、お互いに情報を交換しながら大分県で新しい農業を展開するというニューファーマーズポリスも考えております。 そこで、現在進めておる新農業プラン21の見直しでございます。 米や肉用牛などの五大プロジェクトにつきまして、それぞれ数値を掲げて今まできておるわけであります。この花卉百億、これは非常に今、伸び率が順調でございます。平成十二年の百億は平成八年度ぐらい、現在が七十億ぐらいまで、二十億ちょっとの花卉が今、七十億のところまできておりますので、これはかなり目標が早く達成できる。また、野菜の四百億も前倒しで目標が達成できる。また、果樹、果物の関係は三百億でございますが、台風その他でちょっと足踏みもございますが、何とかこれも十二年以内に目標が達成できる。 問題は、畜産の十万頭であります。現在、七万頭ちょっとでございまして、和牛能力共進会を機にいい種牛を入れて新しい肉質のある子牛を育て、子牛の値段はかなり上がってまいりましたが、子牛の段階で売りますので肥育のところがまだちょっと弱くて、全体の頭数が十万頭を平成十二年に達成するかどうか、ここは大変難しいところであります。 問題は、十万頭の目標を掲げることを変えないで、目標達成に向けての政策手段を充実させろというご意見でございます。私も同感でございますが、ただこれも一つの実現可能な政策目標でございますので、十年が若干ずれ込むかもしれません。ほかのものは皆、前倒しですが、牛につきましてはこの十年が十二年になるか、若干後にずれるかもしれませんので、この目標についての問題も含めて検討を、政策をしていきたいというのがこの前、私がしゃべった言葉でございます。したがって、これを変えるというよりも、実現目標が若干ずれるというところを頭に置いた発言とご理解を賜りたいと存ずる次第でございます。 したがって、こういったことを含めてこれからの新しい農業施策をもう一回見直して、果樹や野菜や花卉等は一応百億の目標を達成するものはまた新しい目標を設定して、さらなる前進に向けて頑張っていきたい。そして、プラン・ドゥ・チェックということでこの施策を実現に向けて努力をし、特に農業者の人づくりについて、例えば農業大学の助成等いろいろ新しいご提案もございますので、そういうことも積極的に取り入れまして、高度の農業の学問を修得した農業後継者を育てるための人づくりと、行く行くは農業大学校を県立農業大学、四年制まで持っていきたいと私は考えておって、今その研究もいたしておりますが、こういったいろんな制度で農業の新しい技術習得の人づくりも努力してまいりたいと考えております。 それから、高齢者福祉についてでございます。 真の豊かさとは、高齢者の方が安んじてそれぞれの地域で人生が送れるということが私は真の豊かさであると常々申し上げております。五期の県政推進に当たっても、高齢者や障害者に優しい福祉のまちづくりの推進を掲げているところでございます。 平成三年の五月に全国に先駆けて豊の国ゴールドプランを作成いたしまして、高齢者福祉施策を強力に推進をいたしました。その結果、在宅三本柱と言われております、第一番、ホームヘルパー、第二番、ショートステイ、第三番、デイサービス、この平成四年度の総合利用率は全国第八位でございます。中でも、デイサービス事業は全国第四位の成績でございます。 平成五年の十一月に、県民総介護時代に向けた人づくりの拠点施設で、全国で初めての大分県社会福祉介護研修センターを開設いたしまして、老いも若きも、男も女も、年寄りになったときの介護を自分みずからでやる技術を勉強してもらう施設をつくり、大変多くの方が今ここで研修をいたしております。もちろん、専門の指導員も勉強するのが中心でございます。 また、介護研修の実施、福祉機器の展示、また同時に、この敷地に高齢者向けに配慮いたしましたウエルフェアテクノハウス、高齢者の人が快適に住めるような住宅をオープンをして県民から高い評価をいただき、こういった高齢者向けに住宅を改造するときの援助措置も予算化をいたしているところであります。 さらに、昨年三月に、だれもが高齢期を豊かに送れる地域社会の実現を目指して豊の国新ゴールドプランを策定いたしました。昨年度は計画の初年度でございまして、各市町村との協力によって着実に年次計画の達成が図られております。 本年度におきましても、この計画の推進を図るためにホームヘルパー、ショートステイ、デイサービス、こういった在宅福祉、また特別養護老人ホームの創設などの施設福祉の面の充実を考えておりまして、また今回の補正予算で特に新しいものとして、痴呆性老人の方が毎日通所できるデイサービスセンターのうち中津市など四カ所で日曜日や祝祭日にもデイサービスを行う休日デイサービス、休みの日、休日デイサービス推進事業など新しい施策も織り込んでおるわけであります。 また、九州で初めての障害者の人たちのデイサービスを行う重度心身障害者のサービス事業も始めております。 また、昨年から九州各県に先駆けて創設いたしました高齢者の住宅改造助成事業も好評でございまして、昨年の八十件を大幅にふやして、今回は二百五十件を頭に置いた予算を組んでおるところでございます。 今後とも豊の国新ゴールドプランの着実な推進を図り、県民の皆様と手を携えて、超高齢社会を活力のある、障害者に優しい豊かな長寿社会にしてまいりたいと決意をいたしておるところでございます。 最後に、マルチメディアでございます。 私は、二十一世紀前半に到来するであろうマルチメディア社会というのは、これはテレビ、ラジオ、電話、ファックス、コンピューター通信といった情報がすべてデジタル化されることによって伝達手段の統合が可能となる、一つの光ファイバーの通信回線ですべての情報がデジタル化されて、デジタル符号で送られる、ここが一番のポイントでございます。したがって、コンピューターと光ファイバーの結合によりましてコンピューター・アンド・コミュニケーション、大容量、双方向、この技術が各家庭まで浸透するということを考えておるわけでございます。 こういったマルチメディア社会の到来に備えて、いち早くハイパーネットワーク社会研究所をつくり、またNTTの地域実験への参加、さまざまなマルチメディア化政策に取り組みました。 私は、このマルチメディアの普及実験に対して三原則を常に、この議場でも申し上げました。第一番目は、地域住民の皆さんの生活に役立つ、いわゆる医療とか福祉とか、こういうようなものに役立つマルチメディアでなければならない。第二番目は、大分からいろんな情報をアジア、世界、日本各地に発信できるものでなきゃならぬ。第三番目は、こういうマルチメディア関連企業、ソフトウエア産業を含めてこれを誘致し、その技術を地場産業に移転をするというマルチメディア産業の確立であります。 この三つを原則として今、マルチメディア政策を進めたわけでございまして、まず地方自治体では唯一のNTTの光ファイバーが今、福岡まで来ておりますが、NTTの光ファイバーを大分までNTTが持ってきまして、大分の中で二十本、それぞれの企業や県の施設につなぎまして、マルチメディアの地域実験を行うわけであります。 今、この二十の中で県の施設で言うと、県庁、産業技術センター、芸短大、コンベンションビューロー、ソフトパーク、また大学で言いますと大分医大、大分大学、大分高専、企業は新日鐵大分、トキハインダストリー、大分ケーブルテレビ、大分銀行、また中央商店街、大分県医師会、こういったそれぞれの団体や企業にこの二十本の回線を配置いたしまして、それぞれのマルチメディアの情報の伝達を行う実験が始まるわけでございます。これは通産省であります。 また同時に、郵政省の支援を受けまして、大分のアルメイダ病院と姫島の診療所を結んで、姫島でレントゲンを撮れば、それがそのまま光ファイバーで送られまして大分のアルメイダ病院でそのレントゲンを解析する、こういうことができるわけでございます。 そういった過疎地域の医療のシステム、また文部省が実施する僻地教育へのマルチメディアの活用ということで、全国唯一の衛星通信と光ファイバーを使った遠隔授業の実験校として津久見市の無垢島小学校が選ばれたわけでございます。 したがって、こういった地域の住民の方の教育、医療、福祉といったものに役立つ原則の第一番目、これをまずここに役立てようとする試みが本県で次々に開始をされるわけでございます。 特にこういったことをやるためには、料金が安くないと、マルチメディアの回線使用料が高いといけませんので、全県どこからでも大分市内のデータベースに市内料金でアクセスできるような豊の国情報ネットワークをつくらなければなりません。そのいわゆるRII--リージョナル・インフォメーション・インフラストラクチャー、ゴア副大統領の言っておるナショナル・インフォメーション・インフラストラクチャーと並んで地域情報手段の確立ということをやらなけりゃなりません。また、そのための通信としてパソコン通信のニューコアラを育成して、マルチメディアとはどういうものなのか、市民本位の立場で、利用者の立場から研究するハイパーネットワーク研究所をさらに充実してまいりたいと考えております。 こういった意味でこれからこの地域実験、それから大分県の中での地域情報基盤、RIIの整備、さらに第二国土軸の太平洋新国土軸の線上に通信回線を全部埋設いたしまして、日本全体のNII--ナショナル・インフォメーション・インフラストラクチャーを整備する。したがって、太平洋新国土軸は道路交通軸と並んで情報軸としての役割も果たす、このように申し上げておるわけでございます。さらに、将来はこれを世界のインターネットとつなげていきたい、このインターネットに加入することによりましてアジアの各国との交流も深めていきたい、こう考えているところでございます。 その他のご質問につきましては担当部長より……。 ○牧野浩朗副議長 木内総務部長。 〔木内総務部長登壇〕 ◎木内喜美男総務部長 まず、県債の果たす役割につきましてお答えいたします。 本年度の県債発行額は一千十二億一千九百万円であります。このうち三百五十億五千百万円、三四・六%に当たりますが、これは、住民税減税に伴う減税補てん債と地方財源不足を補てんするための臨時公共事業債など地方財政計画に基づいた臨時的な県債でありまして、いずれも後年度交付税措置がなされるものとなっております。そして、残りの六百六十一億六千八百万円が通常の建設地方債となっているところでございます。 議員ご指摘のとおり、県債には財政負担の年度間調整、世代間の負担の公平化といった機能もございますが、そのほか、例えば不況時におきましては国の財政政策と一体となって、いわば呼び水として公共事業を行い、その乗数効果により景気浮揚を図る、その際の財源として使われるといった機能もあるところでございます。 これらの観点から、本県におきましても、地域総合整備事業債など後年度に交付税措置のある優良起債を積極的に活用いたしまして、道路など県民に直結したインフラ整備、大型プロジェクト等の計画的な推進を図っているところでございます。 次に、公債費の今後の見込みについてお答えいたします。 今後の発行見込みにつきましては、経済情勢、国の動向等により変動することもございますことから、正確な把握は困難ではございますが、平成六年度までの発行済み額及び平成七年度の発行予定額、これらに係ります今後の公債費を推計いたしてみますと、五年後の平成十二年度がピークとなり、本年度と比較いたしますと約百九十億円の増加が見込まれているところでございます。 これは、平成四年、五年度の景気浮揚対策と昨年度からの地方財源の不足対策に伴います県債の増発等に起因するもの、それと新県立図書館、コンベンションセンターなど大型プロジェクトの実施に伴うものが主なものでありますが、大部分はいずれも償還時に地方交付税が措置されるものでございます。 これらの起債はいずれも地方財政計画にのっとって発行されるものでありますので、その償還につきましても、マクロ的には地方財政計画により保証されることとなるものであるというふうに考えているところでございます。 ちなみに、平成五年度の起債制限比率を見てみますと、本県は全国平均と同じ九・五%という水準にあるところでございますが、今後とも財政運営に当たりましては、一般行政経費の節減合理化、事務事業の見直しの一層の推進を図りますとともに、借換債の発行による償還の平準化、減債基金を活用した繰り上げ償還など公債費対策を適切に講じながら、財政の硬直化を招かないよう健全財政に十分配慮してまいりたいと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○牧野浩朗副議長 友永農政部長。 〔友永農政部長登壇〕 ◎友永清農政部長 まず、肉用牛の増頭についてでございます。 肉用牛の飼養頭数は、平成五年と六年を比較してみますと、全国的に担い手の高齢化などによりまして飼養戸数の減少から、全国では一〇〇・五%と伸びが非常に鈍化しております。中でも子とり用の雌牛、子牛をとる雌牛でございますが、本県では九九・七%でございますが、全国的には九七・三%と減少傾向にありまして、この分を肥育牛でカバーしている現状でございます。 本県の肉用牛生産は、全国的傾向と同様に年々、飼養戸数が減少していること、また本県は従来、子牛生産が主体であり、子牛産地としての優位性を追求しているところであり、肥育への取り組みがおくれたこともありまして、生産された子牛の県外への移出率が高いということから、増頭のテンポが鈍っているものと考えております。 肉用牛十万頭プロジェクトにつきましては、本年は新農業プラン21の見直しの年に当たっておりますので、その中で関係者とも十分協議しながら検討してまいりたいと考えているところでございます。 次に、肉用牛に対する補助金についてでございますが、本県では従来より肉用牛につきましての各種施策を講じてきたところでございます。特に肥育牛対策としては、平成二年度より豊後牛肥育総合対策事業、さらに五年度より肉用牛肥育活性化総合対策事業によりまして、肥育施設の設置による増頭の推進、肥育技術の向上による豊後牛のブランド確立など、肥育経営基盤の強化を図るため多岐にわたる施策を展開しているところでございます。 この結果、肥育牛につきましては、平成二年と六年を比較してみますと、百頭以上の規模の層では約三千五百頭の増頭が図られております、本事業による投資効果があらわれておると思っておりますが、一方では、高齢化などによりまして小規模層の減少から、全体の頭数の伸びは緩やかなものになっており、繁殖部門についても同様の傾向が見られるところでございます。 肉用牛は、中山間地等における重要な作目であるとともに、今後とも消費の伸びが期待できると思っておりますので、本県農業の基幹作目として振興すべきものとの基本的な考え方に立って、生産コストの低減並びに上質肉生産技術の普及、拡大等により積極的に取り組み、地域の特性を生かした肉用牛の振興を図ってまいりたいと考えております。 次に、農業高校等への就学奨励についてでございます。 活力ある県農業を展開するためには、新規就農者の確保対策は最優先の課題でございます。このため本県では、農業副読本の配布や農業、農村を学ぶ子供塾、あすなろ平成塾の開設などにより、児童期から農業、農村への関心を高めるよう努めているところであります。 また、新規参入者を受け入れるため、全国に先駆け実施しました新規就農促進対策事業やニューファーマーズポリス建設事業などにより、優秀な青年農業者の確保に努めました結果、新規就農者は、平成二年の三十九人から六年には五十五人と増加しております。 なお、ご指摘のように農業高校卒業後、就農した者は平成六年度ゼロではありますが、就農を目的とする大学、短大等への進学者は三十八名となっております。大いに今後期待しているところでございます。 県におきましては、就学奨励策として平成六年度から、農業大学校等において技術、経営方法を習得するための実践的な研修教育のための無利子の就農研修資金を創設したところであります。 また、市町村におきましても、農業高校、農業大学校等への進学者に対し就学補助金等の制度を設け、記体的に取り組んでいただいているところであります。 今後とも体系的、永続的に人材の発掘と育成対策を積極的に講じてまいりたいと考えております。 次に、野菜及び果樹に対する補助効果についてでございます。 本県では、平成二年に策定しました新農業プラン21に基づきまして、野菜、果樹、花卉の施設化による生産性の向上と高所得農業を目指し、各種の施策を講じているところでございます。 野菜につきましては、野菜四百億円プロジェクトの達成に向けた施設拡大のための緊急対策事業、果樹では、果樹三百億円プロジェクトの達成に向けた栽培の施設化、優良品種への改植、防災営農施設の整備などの事業を推進しているところであります。 平成二年から平成六年の間、野菜は三百八十八ヘクタール、果樹は五十一ヘクタールの施設が整備され、これにより高単価や安定生産が図られ、農家の経営安定につながっているところでございます。 この結果、野菜では中期目標であります平成七年の三百七十億円に対しまして、平成六年には四百十億円が見込まれ、目標を大きく上回る成果を上げております。 また、果樹では、近年の相次ぐ気象災害により露地物の生産に影響がありましたが、平成六年産のハウスミカンの販売額は四十億円を突破いたしまして、平均販売単価も日本一というふうな評価も得ております。 このように施設化による経営メリットがあらわれておるというふうに考えております。 今後とも、二十一世紀の農業を展望し、災害に強い農業の構築、足腰の強い産地づくりに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○牧野浩朗副議長 小野福祉生活部長。 〔小野福祉生活部長登壇〕 ◎小野進一郎福祉生活部長 県有の現存施設に対して、やさしいまちづくり条例の基準を適用してはどうかということについてお答えを申し上げます。 県有施設の改善につきましては、市町村や事業者の模範という意味におきましても、積極的な改善が必要と考えております。これまでも昭和五十八年から六十一年度まで障害者のための庁舎整備事業として、また平成三年度からは高齢者、障害者にやさしいまちづくり事業として、身体障害者用トイレ、自動ドアあるいは歩道の段差解消、点字ブロックや弱者感応式の交通信号機の整備を進めているところでございます。 本年度は予算額を大幅に伸ばしまして、国東総合庁舎など四カ所にエレベーターを設置するなど十八の県立施設について改善を行うとともに、国道一九七号など十四の路線につきまして、段差解消や点字ブロックなどの改善を予定いたしております。 なお、今後とも早期の改善に向けて努力をいたしてまいりたいと考えております。 次に、まちかどボランティア推進事業などについてお答えをいたします。 まず、まちかどボランティア推進事業についてでございます。 福祉のまちづくりは、建物や道路などの整備に加えて、県民一人一人が優しい心、思いやりの心を持ち、お互いに助け合う風土を育てる、これが大切であります。このため、例えば、点字ブロックの上にある自転車を移動させる、障害者やお年寄りと一緒になって歩道を渡る、こういうだれにでもできるちょっとした手助けをしていただこうとするものでございます。 まちかどボランティアは、新聞広告やポスターなどによりまして一万人を公募し、活動の仕方やエチケットなどを解説した手帳とバッジを交付し、気軽に活動できるようにしたいと考えております。 次に、福祉のまちづくり重点地区整備計画策定事業でございます。 既存の公共の建物や道路などの改善を進めるために、多くの人々が利用する地域約一キロメートル四方を重点地区として指定し、地区内の建物、歩道、信号機、側溝等の改修箇所及び改修の方法などを盛り込んだ整備計画を策定することといたしております。本年度は日田市、津久見市、豊後高田市におけるモデル計画を県が策定し、平成八年度以降はこの県のモデル計画を参考に各市町村で計画をつくっていくよう指導をいたしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○牧野浩朗副議長 田中教育長。 〔田中教育長登壇〕 ◎田中恒治教育長 まず、教育にかける情熱についてお答えをいたします。 近年の国際化、情報化や、議員ご指摘の高齢化の進行など社会の変化が急速に進む中で教育に対して求められているのは、豊かな心を持ち、変化に主体的に対応できる資質や能力、すなわちみずから考え判断し、行動できる能力を持った人材を育成することであろうと考えております。 そのためには、児童生徒一人一人の多様な能力、適性などを踏まえた個性を生かす教育を推進することが肝要であると考えております。また、高齢化社会を迎え、生涯を通じた幅広い学習機会の提供や地域文化、スポーツの振興にも努めていく必要があります。 今後とも、県民の信頼や期待にこたえるよう情熱を持って教育行政諸施策を積極的に推進してまいる所存であります。 次に、入試結果の分析、評価などについてでございます。 今春の高校入試につきましては、関係者の努力によりまして円滑に実施できましたことで、新しい制度の趣旨は大方の県民のご理解を得ることができたものと受けとめております。 推薦入試につきましては、新しい制度でもあり、志願状況について地域により若干の差があったものの、教科の学習成績だけでなく多面的に生徒の個性を評価するという推薦入試の趣旨は、おおむね理解されたと考えております。 高等学校側からは、部活動などに参加する生徒がふえたとか、推薦入学者が意欲を持って活動しておるなどの報告も受けております。 また一方で、高等学校が事前に特定の生徒を名指ししたとか、同窓生などによる独自の働きかけがあったなどの指摘もありますが、今後とも推薦入試の趣旨が理解されるよう指導してまいる所存であります。 そのほかにも、今春の高校入試についてご意見をいただいておりますが、来年度入試の円滑な実施に向け一層努力してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと思います。 最後に、総合学科の設置についてお答えをいたします。 平成八年度に県下で初めて総合学科を日田三隈高校に設置することにしていますが、この学科は従来の普通科や専門学科と異なり、普通教育と専門教育を総合的に行う新しい学科であります。 この総合学科は、生徒が自己の興味、関心、進路希望などに応じて多くの選択科目の中から主体的に選択し、意欲を持って学習することにより、一人一人の個性を伸ばすことをねらいとした学科でございます。 新しい学科の設置に当たりましては、議員ご指摘のように学校関係者や地域からの要望などに十分配慮し、対処してまいっているところであります。 以上でございます。 ○牧野浩朗副議長 工藤保健環境部長。 〔工藤保健環境部長登壇〕 ◎工藤真一郎保健環境部長 古紙等の有価ごみについてでございます。 さきの国会におきまして、ごみの再生利用のための、いわゆる包装ごみリサイクル法が制定されたところでございます。県といたしましては、いわば国の施策を先取りする形で平成三年度にごみの減量化や資源化についての基本方針を策定いたしまして、資源ごみの効果的な回収等について市町村を指導するとともに、ごみの減量化、リサイクルに積極的に取り組んでいるところでございます。 平成五年度、市町村による古紙や空き缶等の資源ごみの回収量は二万三千トンで、回収率は四・九%となっております。また、昨年の調査では、民間事業者による回収量は古紙が六万三千三百トン、空き缶が八千九百トン、瓶が千三百万本などとなっております。 なお、本年度はごみの減量化とリサイクルを推進するため、資源ごみ回収ルート整備モデル市町村を指定することといたしております。 また、各地域において、市町村の広域的な取り組みを行うため市郡別ごみ問題対策協議会を設置いたしまして、ストックヤードやリサイクルセンターの整備のあり方等について検討するとともに、住民一人一人に対する啓発を図るなど、古紙を初めとする資源ごみの効果的な回収について、市町村と一体となって積極的に推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○牧野浩朗副議長 飯田企画総室長。 〔飯田企画総室長登壇〕 ◎飯田益彦企画総室長 まず、ゴルフ場開発問題についてお答えいたします。 先ほど日野議員にお答えしましたとおり、今回の事態は開発事業が悪質な迂回融資に利用されたとされる、まことに遺憾なケースでございます。 現在、指導要綱に基づく事前協議を終えまして、森林法等の個別法令による開発許可等につきまして、申請のための事前打ち合わせを行っている段階でありますが、それぞれの進捗状況が異なりますので、用地取得の状況や、あるいは事業実施の見通しにつきましてさらに十分な調査を行うよう市町村を指導しますとともに、県としましても可能な限り実態把握に努めてまいりたいと、かように考えております。 次に、マルチメディアの地域実験の概略についてであります。 平成七年度、県内で計画されておりますマルチメディアの地域実験は、各省庁のマルチメディアに対する積極的な取り組みもありまして、多方面に展開しております。先ほど知事からも申し上げましたが、まず、NTTとの共同実験において整備されます大分地域の約二十カ所の実験参加者を結ぶ光ファイバー網を活用しまして、通産省の先進的なアプリケーション施設整備事業の支援を受けましたコンピューターネットワークを構築しまして、文字だけでなく動画、音声なども伝達できるマルチメディア通信網を実現することとしております。 この実験では、大学や研究機関、企業、商店街等の実験参加者が、県が設置します情報発信用のコンピューターを使いましてマルチメディア情報を発信しますほかに、電子メールをやりとりしたり、あるいは電子会議室において情報交換を行うことなど、地域におきましても日本全国あるいは全世界を対象地域とした情報交換が可能となるような環境を構築することとしておるわけであります。 県としましては、これらの実験を通じまして直接、地域住民の生活に役立つマルチメディアの導入あるいは推進を図ってまいりたいと考えております。 次に、地域実験の今後の拡大についてであります。 NTTのマルチメディア地域実験は、実験地域内の光ファイバーの無料使用期限が平成九年の三月までとなっておりまして、一応平成八年度末をもちまして実験終了ということになっておりますけども、しかしながら、実験終了後も、実験で得ましたノウハウや施設設備を活用しましてマルチメディアの一層の普及、浸透を図り、地域の活性化や、あるいはこれを通じた地場産業の育成、あるいは新しい産業の創造などに役立ててまいりたいと考えております。 そのためにも、国の関係省庁あるいはNTT等の関係企業の協力を得ながら、利用しやすい通信基盤の確保あるいは拡充に努めますとともに、世界百五十カ国、三千万以上の人々が現在利用していると言われますインターネットヘの接続も図ることによりまして、全世界につながる高度情報通信網へと展開を図っていきたいと、かように考えております。 以上でございます。 ○牧野浩朗副議長 以上で吉山和人君の質問に対する答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の代表質問はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○牧野浩朗副議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の代表質問を終わります。     ----------------------------- ○牧野浩朗副議長 以上をもって、本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。     ----------------------------- ○牧野浩朗副議長 本日は、これをもって散会いたします。     午後三時二十一分 散会...