令和5年12月 定例会 第 2 号 (12月6日) 令和5年
熊本県議会12
月定例会会議録 第2号令和5年12月6日(水曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第2号 令和5年12月6日(水曜日)午前10時開議 第1
一般質問(議案に対する質疑並びに県の
一般事務について
) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1
一般質問(議案に対する質疑並びに県の
一般事務について) ――――――○――――――
出席議員氏名(49人) 星 野 愛 斗 君 髙 井 千 歳 さん 住 永 栄一郎 君 亀 田 英 雄 君 幸 村 香代子 君 杉 嶌 ミ カ さん 立 山 大二朗 君 斎 藤 陽 子 さん 堤 泰 之 君 南 部 隼 平 君 本 田 雄 三 君 岩 田 智 子 君 前 田 敬 介 君 坂 梨 剛 昭 君 荒 川 知 章 君 城 戸 淳 君 西 村 尚 武 君 池 永 幸 生 君 竹 﨑 和 虎 君 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 前 田 憲 秀 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 西 山 宗 孝 君 河 津 修 司 君 楠 本 千 秋 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 山 口 裕 君 岩 中 伸 司 君 城 下 広 作 君 西 聖 一 君 鎌 田 聡 君 渕 上 陽 一 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 池 田 和 貴 君 吉 永 和 世 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君 前 川 收 君
欠席議員氏名(なし
) ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君 副知事 木 村 敬 君
知事公室長 内 田 清 之 君 総務部長 平 井 宏 英 君
企画振興部長 富 永 隼 行 君 理 事 小金丸 健 君
企画振興部 球磨川流域 府 高 隆 君 復興局長
健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君
環境生活部長 小 原 雅 之 君
商工労働部長 三 輪 孝 之 君
観光戦略部長 原 山 明 博 君
農林水産部長 千 田 真 寿 君 土木部長 亀 崎 直 隆 君
会計管理者 野 尾 晴一朗 君
企業局長 竹 田 尚 史 君
病院事業 竹 内 信 義 君 管理者 教育長 白 石 伸 一 君
警察本部長 宮 内 彰 久 君
人事委員会 西 尾 浩 明 君
事務局長 監査委員 藤 井 一 恵 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 波 村 多 門
事務局次長 村 田 竜 二 兼総務課長 議事課長 富 田 博 英 審議員兼 濱 田 浩 史
議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時開議
○議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1
一般質問
○議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、
一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 前川收君。 〔前川收君登壇〕(拍手)
◆(前川收君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の前川收でございます。 通告に従い質問に入りたいと思いますが、今朝の朝刊を見て、私はびっくりいたしまして、今日、今から私が聞くことを既に断定的に結論として書いてありました。知事、後ほど質問いたしますが、できれば、新聞辞令を覆すような、期待感のある御答弁をいただければありがたいなというふうに思っています。 ちょっと風邪を先週からこじらせておりまして、聞きづらいところもあろうかと思いますが、御容赦いただければと思います。 早速質問に入っていきたいと思います。 まず、
新生シリコンアイランド九州の実現について。
インフラの整備についてお尋ねをいたします。
セミコンテクノパーク近隣に建設中の
TSMCの工場については、来年末の本格操業に向けて急ピッチで工事が進んでおり、ほぼ完成の形も見えてきました。既に台湾からは多くの社員の方が熊本に来ておられ、研修も始まるなど、操業に向けて着実に準備は進んでおります。 このような中、国は、11月29日に成立した令和5年度
補正予算に、国内の
半導体生産や開発を支援するための予算として、約1兆9,000億円を計上しました。 このうち、
TSMCが本県での建設を優先的に検討すると表明しております第2工場に対する補助金、7,500億円規模になるものと報道があり、第2工場の本県進出がますます現実的なものとなってきたと思っております。 また、5月に土地取得の意向を表明したソニー、7月には24ヘクタールの開発許可を受け、土地の造成工事を進めており、今後さらなる
関連企業の集積が見込まれております。 一方で、企業を受け入れる周辺の道路や下水道といった
インフラ整備については待ったなしの状況であり、短期間な予算の集中投資など、整備に向けた課題もたくさんあります。 このため、8月には、知事自ら、直接岸田総理に対し、
インフラ整備に要する予算の別枠確保を要望され、その結果として、国において、自治体が進める
インフラ整備を支援する新しい
交付金制度、
地域産業構造転換インフラ整備推進交付金――かなり長い名前でありますけれども、が創設をされました。 そこで、新たな
交付金制度の創設を踏まえて、今後の
道路整備に必要な財源確保の見通しと、現在取組が進められております
県道大津植木線の多車線化等の進捗状況及び今後の整備目標について、知事にお尋ねをいたします。 次に、
企業排水を受け入れる下水道の整備についてでありますが、現在建設中の
TSMC第1工場の排水は、既設の
熊本北部浄化センターで受入れ可能だと聞いておりますが、しかし、さらに同規模の工場が立地した場合、既設の施設だけでは対応できなくなると思います。 さらなる企業の動きについて、様々な情報が飛び交う中、
排水対策についても待ったなしで対応しなければならない状況でありますが、その方策について、一向に具体的な手法や方向性が示されずに、とても案じておりました。 ところが、県が
事業主体となって進めていくという方針が示されましたので、そこで、県が
事業主体となった今、企業の
開発スピードに対して遅れることなく、企業からの排水について、県はどのように対応していくのか、知事にお尋ねをいたします。 次に、
県南工業団地についてお尋ねをいたします。
TSMCの進出決定から2年が経過し、それ以降、県内では
半導体関連企業の投資も進んでおります。 今回の
TSMCの進出は、100年に1度の
ビッグチャンスと知事も言われておりますが、この
ビッグチャンスを最大限生かすためには、県議会も含めた多くの
皆さん方の
TSMCの
波及効果についての様々な議論というものが必要だというふうに思われます。 また、知事は、
九州知事会会長として、
新生シリコンアイランド九州の実現を訴え、九州が日本の
経済安全保障の一翼を担っていきたいと、総理官邸で行われました
国内投資拡大のための
官民連携フォーラムで発言をされておられますし、また、日頃から
TSMCの
進出効果を全県に波及させるともおっしゃっていただいております。
企業進出の受皿としては、
工業団地は絶対に必要な要件でありますが、
工業団地の整備の最大のリスク、これは、企業が進出してこないということによって、その土地が塩漬けになってしまうということであります。 今、様々な
関連企業が、工場の立地を模索しながら、あらゆる地域で
工業団地をしっかり探しているようなこの状況が、まさに100年に1度の
ビッグチャンスということであり、今やらなければいつやるのかというような時期であるというふうに思っています。 県では、
中九州横断道路の沿線地域に、それぞれ25ヘクタールの2か所の
工業団地の整備を進めていますが、県土のバランスを考慮し、受皿をしっかりと整備すれば、県南には、八代港も、それから
高速道路等の
インフラも整備されていますので、
県南地域への企業の進出も十分可能であるというふうに私は思っております。
県南地域にも
県営工業団地を整備していただきたいと思いますが、知事のお考えをお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 現在、県では、JASMの新工場が来年末から本格稼働することを見据え、県庁一丸となり、様々な取組を進めています。 さらに、議員御指摘のとおり、今後も
半導体関連産業のさらなる集積が見込まれ、渋滞・
交通アクセス対策、
排水対策など、
受入れ環境の構築は喫緊の課題であります。 あわせて、将来にわたって、企業が本県での立地を決定し、思い切った投資ができるよう、今後の
インフラ整備の見通しを示すことも重要です。 そのため、道路等の社会資本を短期集中的に整備する必要があり、今後多額の財政負担が見込まれます。 私は、国による別枠での予算措置などを求めた8月の緊急要望に続き、10月には、
国内投資拡大のための
官民連携フォーラムで、岸田首相に対し、
インフラ整備の必要性を述べました。 岸田首相からは、戦略分野の
事業拠点に必要な
インフラ投資を、追加的に複数年かけて安定的に対応できる機動的な仕組みを創設するとの力強いお言葉をいただきました。 これらの取組が結実し、今回の経済対策として、国において、
デジタル田園都市国家構想交付金に
地域産業構造転換インフラ整備推進タイプが創設されました。 この新たな交付金の創設により、これまでの国の通常予算とは別枠で、今後5年、10年後の
整備計画を見据えた安定的な財源の確保が可能になると考えます。 なお、来年度事業の前倒しとして、早速、本交付金を活用した
補正予算を今定例会に追加提案する予定です。 次に、取組を進めている
道路事業の進捗状況についてお答えします。 まず、
企業集積地への主要な縦軸となる
菊陽空港線は、今年7月に改良工事に着手し、現在、今年度内の
JR豊肥線をまたぐ
橋梁工事着手に向けた準備を進めています。 また、
大津植木線の多車線化及び
合志インターチェンジアクセス道路は、先月、
都市計画決定に向けた説明会を開催し、将来の計画をお示ししながら、年度内の
都市計画決定を目標に取組を進めております。 今後の整備については、目標とする5年、10年後の
道路ネットワークの姿をお示ししながら、
スピード感を持って取組を進めてまいります。 次に、
工場排水への対応についてお答えします。
スピード感を持って
工場排水対策を進めるためには、県と市町が連携して新たな
下水処理場を整備する必要があると考えました。 先月20日には、今後の
セミコンテクノパーク周辺の
排水対策に関する基本的な事項や協力体制を確認する基本協定を、県、合志市、菊陽町で締結いたしました。 今後、県が
事業主体となることで、時間的緊迫性を持って新たな
下水処理場の整備を強力に進めてまいります。 また、この
下水処理場を整備するまでの間に増加する
工場排水については、
熊本北部流域下水道を暫定的に活用することで、適切に対応してまいります。 引き続き、県議会をはじめ、国や
地元自治体としっかりと連携しながら、
半導体関連産業の
受入れ環境の整備に全力で取り組んでまいります。 次に、県南の
工業団地の整備についてお答えします。
TSMCの
進出効果を全県に広げることは、蒲島県政の重要な使命であり、私が先頭に立って全力で取り組んでいるところであります。 JASMの
工場周辺地域では、
半導体関連企業の進出が相次いでおります。 その一方、
県南地域の皆様からは、
TSMC進出効果を感じられないとの声が上がっていることも事実です。
半導体関連企業などからの本県に対する注目度が高まる中、本県への工業用地の需要は確実に高まっております。 その
波及効果を実感していただくためには、
県南地域にも新たな企業が進出できる環境を整えることは、大変意義のあることと認識しています。 そのため、県南のみならず、南九州の拠点を目指す
八代地域における
県営工業団地の整備の検討に着手いたします。
八代地域は、重点港湾の八代港、高速道路の3つの
インターチェンジ、
九州新幹線の駅といった
交通インフラに優れ、球磨川の豊富な水資源も活用できます。 また、
熊本高等専門学校や八代工業高校など、
産業人材育成のための教育機関も充実しております。 県が主体性を持って企業誘致の受皿となる
工業団地を整備することで、物流や
半導体関連にとどまらず、
食品関連企業など地域の特性が生かせる企業を呼び込み、
TSMC進出効果を着実に
県南地域に波及させることが期待されます。 現在の
企業進出の機運を確実に捉えるためには、できるだけ早期に整備することが極めて重要です。一日でも早い分譲開始を目指して、全庁を挙げて取り組んでまいります。 〔前川收君登壇〕
◆(前川收君) ただいま知事より御答弁をいただきました。 まずは、いわゆるこの
インフラ整備、熊本県に
TSMCの工場が進出するということは、とてもありがたいことで、物すごくうれしいことでありますが、同時に、周辺の地域の
インフラ整備をやらないと、今でも非常に厳しい状況にあることは十分分かっておりました。ただ、それを県だけの力でやろうとすれば、できないことはないかもしれませんが、10年間で約1,140億の新たな投資が生まれるということでありまして、それを県だけで賄うことは非常に厳しいと、また、賄ってしまえば、地域以外の
皆さん方のこれまでの
既存事業に対して、とても大きな影響を出してしまうという懸念を持っておりました。 とはいえ、他県の皆さんから見れば、熊本は誠に羨ましい限りですという羨望のまなざしで見られている状況も踏まえながら、私は、党幹部の
皆さん方、知事も一緒になって党本部に何度となくお邪魔をしながら、こう言ってまいりました。熊本県は、
TSMCが来たことを大歓迎いたしておりますと、県としては、その
受入れ体制については、県が倒れるまで県として頑張りますと、しかし、倒さないでくださいというお願いをしてまいったんです。 最初からお願いしますというわけにはいかない。それは、羨望という言葉が他県からあるということを前提としながら対応をしていかなければいけないということだったというふうに思っています。 おかげで、新しい枠組みの交付金ができました。画期的なことだと思います。予算の単年度主義は全国一緒でありますが、この単年度主義を打ち破りながら、その時々にしっかり交付金で対応していくという対応を総理から言っていただいたわけでありますから、憂いなくこの
周辺整備に対してしっかりと取り組んでいただけるというふうに思いますので、ぜひ緩めずに頑張っていただければというふうに思っております。 それから、県南の
工業団地について、県土の均衡ある発展というのは、なかなか簡単ではないと思います。そう簡単にできることではありませんが、これだけやっぱり
TSMCの効果が言われている中にあって、県南の皆さんから非常に御不満の声があったと。それは、私も、同じ県南の人間であれば、同じことを言っただろうなというふうに思います。そこは、いろんな日常活動の中で皆さんにも聞こえてきたと思いますけれども、いいですね、県北はとか、いいですね、菊陽町はとか、そういった話があるわけであります。 ただ、このことを成功させていくためには、やっぱり県民一丸となった思いの結集というのが必要であり、そのためには熊本県全体に波及させると、
TSMCの効果を全体に波及させるということが絶対に必要であり、その象徴として、その象徴としてですね、ぜひ
八代地域に――もうはっきりお答えになられましたから、
八代地域に
工業団地を造ってもらいたいというふうに思います。 ただ、これもまた時間との勝負でありまして、今が旬でありますけれども、進出をされている、希望を持っている企業がたくさん来ているうちに造っていって完成させないと、塩漬けという言葉をあえて先ほど使いましたけれども、そうなってしまうと。 ただ、やっぱり行政は、それを恐れてはいけないと思います。塩漬けにならないように努力するということの前提の中で、一歩踏み出していくということだと思いますので、その結論については、知事を高く評価したいというふうに思っております。 次の質問に移ります。 物流の2024年問題への対応についてお尋ねをいたします。 物流の2024年問題とは、働き方改革の関連法によって、2024年4月1日以降、猶予されていた自動車の運転業務に対し、年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する数々の問題のことであります。 国においては、物流の2024年問題に対して、何も対策を講じなければ、2024年度、来年度でありますが、14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性があるということから、本年6月、
物流革新に向けた
政策パッケージというものが策定されました。 今般、2024年が迫る中、賃上げや人材確保など、早期に具体的な成果が得られるよう、可及的速やかに各種施策に着手するとともに、2030年度の輸送力不足の解消に向け、可能な施策の前倒しを図るべく、必要な予算の確保も含め、緊急的に取り組むこととされております。 また、
荷主企業と
物流事業者が相互に協力して物流を改善しようとする
ホワイト物流の取組が進められておりますが、残念ながら、県内では、
自主行動宣言を行っている企業は24者しかないという状況にあり、浸透しているとは言い難い状況でございます。 2024年の4月が目前に迫る中、運送業界の方々にお話を直接お伺いすると、なかなか
荷主企業の理解が得られず、一向に準備が進んでいないという印象を受けております。 言うまでもなく物流は、
社会インフラで、経済活動を維持していく上で必要不可欠なものであり、今回の問題は、運送業だけの問題ではなくて、
荷主企業を含めた
物流システム全体の問題で、何より
荷主企業の意識改革が必要であります。
システム効率化に向けて、
当事者意識を持って取り組むべき課題でもあります。 また、農業県である本県における農産物の輸送は、非常に大きな問題であります。 熊本県においては、これまで、
農協青果物輸送改善協議会と連携し、中継基地やモーダルシフトの実証実験を行ってきましたが、地域や品目により温度差があるため、9月定例会では、県産
農産物県外流通効率化緊急支援事業というものを予算化し、県内JAの
輸送効率化に向け、話合いや
パレット輸送体系の導入等の取組の一部の経費を補助するなどして、効率化に向けた取組を後押ししているところであります。 現在、県内の
運送事業者の7割は、保有車両20台未満の
小規模事業者でありますが、こうした事業者が県内の物流の下支えをしている現状にあります。仮に、こうした事業者が倒産や廃業となれば、県経済に与える影響は甚大なものとなります。 国の補助制度はあるものの、燃料費の高騰の影響は小さくなく、これに人件費や車両価格、
タイヤ代等の高騰による影響も重なり、
小規模事業者は厳しい経営を強いられており、事業継続することができるのか、大変危惧をしているというところであります。 適切な
価格転嫁への機運醸成や物流の効率化に向け、県として緊急的な対策をさらに講ずるべきではないかというふうに考えておりますが、2024年4月を目前とし、県の物流の2024年問題への対応について、
商工労働部長にお尋ねをいたします。 〔
商工労働部長三輪孝之君登壇〕
◎
商工労働部長(三輪孝之君) 物流の2024年問題は、議員御指摘のとおり、
運送事業者だけでなく、
荷主企業を含めた
物流システムに関わる事業者全ての問題です。来年4月に向け、既に一部の
荷主企業では、
運送事業者との協議を重ね、着実に準備を進められていると伺っています。 しかし、現時点においては、この問題に対する
荷主企業の理解や必要な対策が必ずしも進んでいる状況にはないと認識しています。 国においては、
物流革新に向けた
政策パッケージに続き、10月には
物流革新緊急パッケージが取りまとめられ、これに基づく様々な施策が進められています。県としても、本県独自の
政策パッケージを取りまとめ、実効性のある対応策を講じてまいります。 農産物に関しては、この問題に対する
啓発セミナーの開催に加え、今月19日には、荷役契約の明確化に向けた2回目の
セミナー開催を予定しています。 あわせて、議員の御紹介にもありましたとおり、9月
補正予算において、輸送の効率化に向け、荷主を対象とした事業にも取り組んでいます。 また、熊本県
トラック協会と協力し、県民や
荷主企業への啓発など、理解促進のための取組も進めてまいります。 さらに、こうした取組を推進するため、国の関係機関や
経済団体等と相互に連携協力し、適切な
価格転嫁に向けた機運醸成を図ることを目的とした協定を、今月19日に締結することといたしました。 この協定には、主たる荷主である
農業協同組合中央会等にも参画いただく予定としており、全国初の枠組みになります。これにより、農産物等の輸送における荷主と
運送事業者の負担の在り方についての議論が深まるものと期待しています。 加えて、国の
ホワイト物流推進運動に参画し、物流の効率化に向けて連携して取り組む
運送事業者と
荷主企業を強力に後押しします。 具体的には、
ホワイト物流推進運動に取り組む
運送事業者に、
貨物自動車1台当たり5万円で最大20台分となる上限100万円、同じく
荷主企業については、物流の効率化に要する経費の一部を助成したいと考えています。 このため、これらの取組を進めていくための予算を今定例会に提案することとしています。 また、商工団体の会員企業の方々に
運送事業者の
価格転嫁について理解を深めてもらうための取組や物流の効率化を図る
荷主企業等への
専門家派遣など、様々な施策を速やかに実施します。 県としては、国の施策に加え、今回策定した本県独自の
政策パッケージを着実に進めてまいります。そのことにより、目前に迫った物流の2024年問題に的確に対応し、関係する団体、事業者の皆様と一緒にこの困難を乗り越えていけるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。 〔前川收君登壇〕
◆(前川收君) 御答弁をいただきました。 2024年問題、もう来年の4月でありますから、これはもう5年ぐらい前から分かっていたことであり、国も含めて、我々の取組の甘さというものを改めて感じているところであります。 恐らく、このままでいけば、さっきお話をしました20台以下の中小の企業がほとんど厳しい環境になると。この
皆さん方が県内物流の7割から8割ぐらいを支えているというお話でありますから、その部分をしっかりと支えていくということができていかなければいけないというふうに思っています。 また、問題点の一つは、
運送事業者との商習慣、いわゆる商いの習慣というのがずっと潜在的にはあったわけでありまして、
運送事業者の
皆さん方も、仕事を得るためにはある程度のサービスというものは――これは自由競争の中でありますから、あってきたというふうに思いますが、ここに来てそれを続けると、いわゆる労働時間の残業のところで引っかかってしまいます。それで引っかかると、残業を少なくしなきゃいけない、残業を少なくすると、ドライバーの
皆さん方に対する給料を下げざるを得ないと、そうなったら、今でも不足しているドライバーの成り手がなくなるという、そういった負の連鎖が始まるかもしれないというふうに思っておるところでありますので、今、本県独自の
政策パッケージということをつくっていただき、まずは国の関係機関や
経済団体等と一緒に
価格転嫁に向けた機運醸成をしっかりやっていくと、協定を結んで頑張っていくということであります。特に、主な荷主である農協の
皆さん方にも参画をいただくということであります。 少し長くなりますが、農協の話は、
価格転嫁が物すごくしにくいわけでありまして、市場で価格が決まるから、輸送費は50円上がりましたから、50円高く落札してくださいということがなかなか言えない状況にあります。そこは、今、食料・農業・農村基本法の中にも議論をされておりますけれども、どうやってそういった部分を転嫁するか、最終的には生産原価が幾らなのかということを科学的に我々が把握しながら、プラスオンできるという形をつくっていかなければいけないなということを感じております。 当面、
ホワイト物流の推進運動にしっかりと、
運送事業者だけではなくて、
荷主企業に対しても御参画をいただく、そのためのインセンティブとして100万円、20台5万円の100万円上限という形で、貨物事業者に対しては、そういう上限で助成をいただくということでありますが、そこもとても大事でありますが、やっぱり
荷主企業の皆さんにも御理解をいただくということについて、ぜひこれも速やかに、来年の4月はあっという間でありますから、取り組んでいただきますようによろしくお願いを申し上げ、次の質問に移ります。 蒲島県政の成果と課題について質問をいたします。 今年度は、蒲島県政4期目の最終年度であります。知事は、今年度を4期目の集大成の年と位置づけ、様々な目標の達成に向け、果敢に取り組んでおられます。 私は、蒲島県政4期16年が終わりに近づいている今、知事が一貫して目標とされてきた県民総幸福量の最大化に向けたこれまでの取組で、県政がどう変わったのか、あるいは変わらなかったのか、その成果と課題を総括する必要があるというふうに思っております。 改めて蒲島県政を振り返りますと、まずは1期目の4年間、県民総幸福量の最大化に向け、財政再建、川辺川ダム問題、水俣病問題という、いわゆる3つの困難の克服、そして稼げる県、長寿を恐れない社会、品格あるくまもと、夢のある教育という4つの夢の実現を掲げられました。そして、3つの困難に果敢に挑戦されるとともに、4つの夢についても着実に成果を上げてこられたというふうに思います。 2期目の4年間は、「幸せを実感できるくまもと」を掲げ、「活力を創る」「アジアとつながる」「安心を実現する」「百年の礎を築く」という4つの約束の実現に力を注がれてこられました。 その中で数々の成果を上げられていますが、この2期8年間で、県政は確実に勢いを増してきたというふうに感じておりますし、この4年間の取組が、
TSMCをはじめとした今の政策にも生きているなということを、私は個人的に感じております。 そして、このよき流れをさらに大きく、強くしていくということで、「"幸せを実現でき、躍動し続けるくまもと"の創生」を掲げ、見事3選を果たされ、蒲島県政がまさに3期目に突入しようとした矢先、4月16日でありましたが、あの熊本地震が郷土を襲いました。 未曽有の被害を前に多くの県民が途方に暮れる中、知事は、ふるさと熊本の復活のために、全身全霊をささげてこられました。 熊本地震からの復旧、復興の過程では、例えば熊本の空の玄関口である阿蘇くまもと空港の活性化、空港へのアクセス改善、中九州の横軸の整備など、これまでその必要性は指摘されながらも、なかなか事業化に至らなかったものが、知事が掲げた創造的復興の理念の下で、一気に実現に向かって動き出しました。 これらは、熊本地震という大きなピンチを、創造的復興という形でチャンスに変え、熊本のさらなる発展につなげてきた例であります。 そして、3年前、国難とも言うべき新型コロナウイルスの感染拡大の中、告示後は選挙運動は一切やらずに公務に専念されるという、全国でも例のない異例の事態の中で、知事は、熊本地震からの創造的復興と新型コロナウイルスの感染症への対応を使命と掲げ、見事県政史上初となる4選を果たされたということであります。 そうした中発生したのが令和2年7月豪雨災害であります。知事は、この4期目において、熊本地震からの創造的復興、新型コロナウイルス感染症への対応、そして豪雨災害からの復旧、復興に積極果敢に取り組んでこられました。 7月豪雨から復旧、復興も着実に進み、また、
球磨川流域の治水対策についても、緑の流域治水の理念の下、国、県、流域市町村等あらゆる関係者が連携し、様々な対策を進めておられます。 しかしながら、令和2年7月豪雨からの創造的復興をはじめ、まだ課題として残されていることがたくさんあるのではないかというふうに思います。
TSMCの本県進出という
ビッグチャンスを基に、将来の熊本の発展に向け、知事が4期目の集大成に取り組まれている中、県民の総幸福量の最大化を目指してきた蒲島県政の成果と課題をどのように総括されるのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 蒲島県政の成果と課題についてお答えします。 これまでの蒲島県政の歩みは、県政の最大目標である県民総幸福量の最大化に向けた挑戦の連続でありました。 まず、1期目の4年間では、議員がおっしゃったように、財政再建、川辺川ダム問題、水俣病問題という3つの困難に取り組み、それに対して挑戦する1期目でありました。 一定の道筋はつけたと思いますけれども、後で述べますように、川辺川ダム問題は、2008年に白紙撤回をいたしましたけれども、その後、
球磨川流域の大豪雨災害で、それについての方向転進を行いました。それについては後で述べたいと思います。 また、マニフェストに掲げた4つの夢についても、熊本市の政令市移行などの目標を実現することができました。 そして、2期目の4年間は、「幸せを実感できるくまもと」の実現に向け、掲げた4つの目標達成に全力で取り組んだ期間でありました。 その中では、1期目に種をまいた様々な施策が成果を出し、稼げる農業の実現やくまモンの活躍など、多くの花が咲き始めました。 こうした県政のよき流れをさらに大きな流れとし、地方創生を実現する意気込みの中で3期目を迎えた矢先に、ふるさと熊本を襲ったのがあの熊本地震であります。 私は、この県政史上最大の逆境を乗り越え、熊本を一日も早く再生させることが自らの天命であると思い定めました。そのために、発災直後に復旧、復興の3原則を掲げ、地震からの創造的復興に向け、全力を尽くしてまいりました。 私は、熊本地震からの創造的復興は、今、目に見える形で着実に進んだと考えております。熊本空港も新しくなり、そして私が知事になったときに、熊本駅は何でこんなにみすぼらしいんだろうと思いましたけれども、安藤忠雄さんにお願いして、すばらしい駅に生まれ変わりました。そして、くまモンポート八代も、クルーズ船の拠点として、これから最高の働きをするんじゃないかなと、このように思います。 そのような形で、創造的復興が――ここで大事なことは、創造的復興で、負担の最小化を目指しながらその復興が進んだということが、私はとても大きいのではないかなと思います。それを可能にしたのが、チーム熊本として、本県の持てる力を一つに結集して困難に立ち向かったことであります。 議会も国会も、そして県も市町村も、一緒になって同じ方向で要望に行き、そして同じ方向の要望を行いました。これは、普通、当たり前のような感じがしますけれども、これができているのは熊本だけであります。同じ方向で全てが進んでいる、それでチーム熊本というのは、とても本県の持てる力を一つに結集して困難に立ち向かったことにあります。 そして、3期目もいよいよ終盤に迫った令和2年当初、本県はもとより、全国を新型コロナウイルスが襲いました。 蒲島県政4期目は、熊本地震からの創造的復興に加え、新型コロナウイルスという大逆境を乗り越え、熊本の再生を果たすことを最大の使命としてスタートいたしました。 そのような中で、令和2年7月豪雨災害が発生しました。この未曽有の災害を経験し、私は、改めて
球磨川流域の治水の問題に正面から向き合わなければならないと考えました。そして、流域の皆様に共通する心からの願いは、命と環境をともに守る、そのことだと受け止め、新たな流水型ダムを含む緑の流域治水を推進していくことを決断しました。これは、2008年の川辺川ダム白紙撤回から全く違った判断でありました。 現在、国や市町村などと連携しながら、一日も早い流域の安全、安心と復旧、復興に向けて全力で取り組んでいます。 私は、4期目においても、幾多の逆境に立ち向かってまいりました。そして今、熊本県では、
TSMCの熊本進出を契機とした
新生シリコンアイランド九州の実現に向けた取組など、将来の熊本の発展を見据えた礎が着実に築かれつつあります。 これまで幾多の困難を経験した本県は、その克服の先に、本県のポテンシャルを最大限生かした地方創生を実現し、熊本の5つの安全保障に貢献し得る存在となっています。これが、これまでの蒲島県政の成果であると考えています。 しかし、残された課題もあります。 1つ目の課題は、令和2年7月豪雨からの創造的復興の完成です。 まず、最重要課題である住まいの再建について、任期中に全ての被災者の住まいの再建にめどをつけなければなりません。 また、私は、被災地の人口減少に大きな危機感を抱いています。人口減少に歯止めをかけ、将来にわたり持続可能で魅力的な地域として再生していくためには、引き続き、緑の流域治水を力強く国、県、流域市町村と推進し、創造的復興を成し遂げなければならないと思っています。 その点、命と清流を守る流水型ダムについては、国において最新の知見と技術力を結集した検討が行われており、川辺川、球磨川の環境に極限まで配慮したものに限りなく近づいていると感じております。国においては、引き続き、しっかりと検討を進めていただきたいと考えております。 県においても、今般、国から示された環境影響評価準備レポートへの知事意見を、この任期中にしっかりと取りまとめてまいります。同時に、五木村、相良村に対しても、両村の振興を力強く進めるとともに、ダムの環境影響の丁寧な説明を行ってまいります。 また、JR肥薩線の再生については、今般、再生協議会で地元負担分の負担割合の枠組みが合意されました。全国に誇る地方創生ロールモデルとして、鉄道復旧により地域の再生を成し遂げられるよう、JR九州との協議を加速してまいります。 2つ目の課題は、日本の
経済安全保障に貢献する上で鍵となる
TSMC進出への対応です。 今後の
半導体関連産業の集積を見据え、道路等の社会資本整備に加え、地下水等の環境保全対策もしっかりと進めていく必要があります。さらには、地方創生の実現を見据え、
TSMCの
進出効果を県内全域に波及させ、県土の均衡ある発展へとつなげていく必要があります。 今般、有識者の提言を踏まえて策定した新大空港構想もその一環であります。空港を軸とした熊本の発展を確実にするため、構想に盛り込んだ空港アクセス鉄道の整備実現などの取組をしっかりと進めてまいります。 私の4期目の任期も、残り4か月であります。これらの課題に任期中にめどをつけること、そして4期目の集大成に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。 〔前川收君登壇〕
◆(前川收君) 蒲島県政の成果と課題について、自ら御検証をいただきました。 とてもじゃないけど、この16年間を全て振り返ることは当然できません。しかし、今のお話を聞くだけでも、本当にたくさんのことがあったなと、厳しい環境も含めて、乗り越えてきていただいたなということを感じておりました。 知事がまだ知事に就任なさる前、東大の教授だった頃だと思いますが、「逆境の中にこそ夢がある」という本を書かれました。逆境の中にこそ夢がある、まさか知事になってこんな逆境を体感なさるとは思ってなかったと思いますが、2期目までは別として、3期目以降は、本当に逆境の中で頑張っておみえになったと、その背景で県議会の
皆さん方や県民の皆さんがたくさん知事を支えてきたということもお感じになっているんじゃないかなというふうに思っています。 多くは述べられませんでしたが、1つ、くまモンの話だけしたいと思います。 私は、くまモンというのは、政治的政策の中で生まれたものだと思っています。隣県のある知事が、自らの知名度を生かして、何とかブームということをつくられました。そのブームは、その方が知事のときには確かにブームであったんです。しかし、その方が知事を辞めた瞬間から、そのブームは消えて終わりました。くまモンは、これから未来永劫、我々県民がしっかりと育てていけるものでありまして、これこそが、私は戦略というふうに思っていまして、当時からその比較をさせていただいていた。蒲島県政の戦略の中で引き継いでいける大きな資産、これをくまモンという形でもつくっていただいたというふうに私は評価をいたしております。 最後に、次期知事選への決意についてお尋ねをいたします。 御答弁のように、これまで知事は、15年余りの間――約16年間です。県民の総幸福量の最大化という目標の下に、様々な課題に果敢に取り組み、着実に成果を上げてこられたと思います。 いよいよ来年4月15日は、4期目の任期満了日を迎えます。知事は、残された任期いっぱい、目標達成に向け全力を尽くすというふうにおっしゃっていただいております。 ただし、ただいまの御答弁にもありましたように、現在の県政には課題もたくさん残されておりますし、その課題のほとんどが蒲島知事でなければ解決が難しい課題であります。また、100年に1度のチャンスも、蒲島知事でなければ生かせないというふうに私は思っております。 知事は、最近のある会合で、ダイバーシティーという言葉があるけれども、そう言われながら、私は日本一高年齢の知事というふうに言われていますと、自らを卑下して発言をされ、苦笑いをされたという話をつい最近耳にいたしました。多くの県民は、次の4年間も引き続き蒲島県政を求めているというふうに思っておりますので、そのことを卑下することはやめていただきたいというふうに思います。 そして、その根拠は、11月の初めに我々自民党県連の世論調査によって出てきた答え、77%という圧倒的な支持率であります。現職で4期目を終えようとしている知事としては、まさに驚異的な数字だと、支持率だというふうに思います。 次にそういった機会があれば、ぜひこう言ってください。私は、日本一高年齢の知事と言われていますが、日本一県民の信頼を得ている知事であるとも言われておりますと、知事、ぜひそう言っていただければというふうに思っております。 朝の新聞辞令も出ておりますけれども、ぜひ知事には前向きな御答弁をいただきたいと思います。 最後のお尋ねをいたします。 知事、5期目に向けた決意のほどをお聞かせください。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 次期知事選に向けた私の決断についてお答えします。 私が自分自身の進退を判断する基準は、県政の流れが私が最大の目標とする県民総幸福量の最大化に向けて確かな歩みを進めているかという、その一点にあります。その観点から、私が知事の職を退くことで県政の流れを妨げることはないのか、県民の期待はどうか、自身の気力と体力は十分かと、熟慮に熟慮を重ねてまいりました。 本県は、今、そのポテンシャルを最大限に生かした地方創生を実現し、日本の経済、感染症、災害、食料、環境の5つの安全保障に貢献し得る存在となっています。 次の4年間は、蒲島県政の成果を踏まえ、課題を確実に解決しながら、熊本の将来に向けた礎を強固にしていく極めて大事な期間です。そして、議員からは、多くの県民の皆様が私に期待を寄せてくださっていることを、ありがたくも御紹介いただきました。私自身といたしましても、県民の皆様の期待の高さを心からうれしく思っています。 顧みれば、4期目の4年間、熊本は、熊本地震、新型コロナウイルス感染症、令和2年7月豪雨災害のトリプルパンチとの戦いでした。しかし、チーム熊本で困難に立ち向かう中で、令和3年11月には、
TSMCの熊本進出という、それまで誰もが予想できなかった
ビッグチャンスが訪れました。このように、政治というものは、逆境と将来の夢の追求が重なり合いながら、未来に向けて続いています。 しかし、人には命の限りがあります。政治に携わる者には、一人の人間として、自身の進退を真に見極めるときが必ず訪れます。私にとって進退の決断は、県民総幸福量最大化の理念に照らし、県政の将来展望に沿ったものでなければなりません。 この観点から、改めて本県の現状を見ますと、チーム熊本の力で、今、創造的復興は目に見える形で進んでいます。そして、令和2年7月豪雨についても、災害からの創造的復興と緑の流域治水の取組が着実に進んでいます。 流水型ダムについても、環境に極限まで配慮したダムの姿が、国の努力によって見えつつあります。長年ダム問題に翻弄された五木村、そして相良村の振興についても、その実現に向け、全庁を挙げた取組が進んでおります。
TSMC本県進出への対応についても、岸田首相が、複数年にわたる国の支援を明快に約束してくださいました。 そして、この流れの中で、将来に向けた県政のリーダーシップの担い手を考えたときに、仮に私が新たなリーダーに県政を託すとすれば、今が最も適切な時期ではないかという思いに至りました。 私は、全国47の都道府県の中で最年長の知事であります。しかし、仮に次の選挙で県民の負託をいただいたとしても、次の任期の途中で限界を迎える可能性もあります。 県政は、今、将来の夢に向けてよき流れを加速しております。活躍を続けるくまモンの存在や安藤忠雄さんの手により近く完成するこども図書館も、未来に向けた夢の一つであります。この流れを踏まえるならば、今このときに、有能な人物に県政を託すこと、それが、本県の今のよき流れをさらに強く、さらに大きくし、そして将来的な県民総幸福量の最大化を目指し続ける上で、最も望ましい選択ではなかろうかと思い至りました。 熟慮に熟慮を重ねた上、この思いから、私は、与えられた今の任期を全うした上で、次の知事選には出馬しないことを決断いたしました。 私は、これまで長きにわたり、県民の皆様をはじめ、議会の皆様、国や市町村の皆様からも、蒲島県政の推進に対する深い御理解と多大なる御支援をいただいてまいりました。常に県民総幸福量の最大化を願いながら県政の推進に当たるというこの重要な任務を、皆様からの深い信頼と私自身の皆様への変わらぬ敬愛、尊敬を持って続けてこられたことを、私は心から感謝いたしております。 私は、15年前、この議場で川辺川ダム計画の白紙撤回を表明いたしました。そのとき、県民の85%は、私の決断を支持してくださいました。しかし、3年前、令和2年7月豪雨災害は、それをはるかに超える豪雨災害でありました。そして、それをどうやって乗り越えるかということで、私は、30回にわたり
球磨川流域の皆様の民意と向き合い、そこで得られた、また、私が感じた
球磨川流域の皆様の民意は、命と清流の両方を守ってくれと。そのことによって、新たな流水型ダムを国に求めることを決断いたしました。 通常であれば、このような方向転換は、県民の皆様に受け入れられてもらえないものです。しかし、今井亮佑教授の調査では、その直後の調査で71.4%の県民がこの方向転換を支持してくださったことを、私は今も忘れることはできません。 そして、今でも、前川議員がおっしゃったように、多くの県民の皆様が私を支持していることを、感謝の念に堪えなく思っています。 私は、このよき流れを強く、大きくし、本県の今後の発展を導く有能なリーダーに県政をつないでいきたいと思っています。 この思いを胸に、残る課題の解決に向けためどをつけること、そして今のよき流れをさらに加速させ、50年、100年先の本県の発展に確実につなげる覚悟を持って、残る任期を全力で務めてまいります。 皆さん、本当にありがとうございました。(拍手) 〔前川收君登壇〕
◆(前川收君) ただいま、知事の重い重い決断を、この議場で皆さんと一緒に聞かせていただきました。多くの県民も、メディアを通じながら、その結論を耳にしたと思います。 ちょうど16年前の12月、私は、蒲島知事と東京でお会いいたしました。そのときに、ぜひ熊本県知事になってください、熊本に戻ってきてほしいというお話を1対1でさせていただいたことを鮮明に覚えています。 そのとき私が感じた印象は、蒲島さんは、ハーバードを出て東大の教授であると、いわゆるインテリジェンスの塊みたいな人だというふうに先入観としては思っていたんです。ところが、実際にお会いした御本人は、今と少しも変わらない性格の方でありました。私たちをしっかり受け入れてくれて、いろんな話にちゃんと耳を傾けてくれる、インテリジェンスのかけらも見えない、出さない、そういう人だなというのを当時感じたというふうに、その当時思いました。 そして、私たち自民党熊本県連は、知事選に臨むに当たって、県連のための、自民党のための知事をつくるのではないと、あくまで県民のための知事をつくろうという思いの中で、異例なことをこれまでやらせていただきました。公認でも推薦でもないけれども、公認より重い候補者、多分全国に誰もいません、今まで。それが蒲島知事であったというふうに思っています。 様々な戦いを我々は政党としてやりますけれども、知事選以外の戦いに知事を駆り出したことは一回もございません。そうやって支えてきたつもりであります。 しかし、この16年間、考えてみれば、本当によく頑張っていただいたというふうに思います。県民の一人として、その16年間の重みに心から感謝と敬意を表したいというふうに思います。ありがとうございました。 これから先、まだまだ県政は続いていくわけでありますから、知事の思いをしっかりと受け止めながら、次に向かって我々も邁進していかなければならないというふうに思っておりますので、どうぞ御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。 知事のこの答弁を受けながら、明日から大変だなということを、実は私、内心考えておりますけれども、しかし、それはそれで我々の責任という言葉があります。責任をしっかりと果たしていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げ、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(渕上陽一君) この際、5分間休憩いたします。 午前10時59分休憩 ――――――○―――――― 午前11時11分開議
○議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩田智子君。 〔岩田智子君登壇〕(拍手)
◆(岩田智子君) おはようございます。熊本市第一選挙区選出・立憲民主連合の岩田智子です。 先ほどの前川議員の御質問で、知事が、今度はもう出ないというふうにおっしゃいました。そして、成果と課題についても、本当に心を込めて、ぐっときながらお話をされまして、私が議員になってからもずっと蒲島知事でしたので、ずっと地震のときから振り返ってお話を聞かせていただいていました。でも、そうとはいいながらも、まだ任期はこれからも続きますので、今日も知事に答弁をしていただく質問を幾つか用意をしておりますので、しっかりと御答弁をよろしくお願いしたいと思います。 私、3期目初めての質問になりますけれども、通算13回目の質問になります。女性議員も、この3期目、今期は5人、5倍増ということで、とてもうれしく思う一方で、まだまだ女性議員足りないなというふうにも感じています。 今日、前川議員の質問とはちょっとまた逆のところからの視点で質問をさせていただきますけれども、早速通告に従って質問をさせていただきたいと思います。 まず1つ目です。県助成金不適切受給問題についてお尋ねをいたします。 県の旅行支援事業の助成金を旅行会社が不適切に受給した疑いがあるとされている問題ですけれども、9月議会でも代表質問で取り上げられ、知事に質問がなされました。 知事は、答弁で、報告を受け、第三者に調査を任せる、丁寧、迅速に調査を行う、私が見逃しを指示したことは一切ございません、返納は完了している、タクシー券未使用分の適法性を調査する、制度設計は、関係者間の連携不足や誤認が重なった、外部弁護士の選定を急ぎ、丁寧、迅速に調査を行うと、それぞれの質問に答弁されました。 また、定例記者会見では、マスコミの質問に、TKUヒューマン側からの要求について、少なくとも知事にはなかったし、知らなかった、私は第三者委員会にお任せをしています、そういう判断です、私の判断が必要なとき、公文書として残すときは私がしますが、内部調査もしてほしくないとのことだったので、皆さんや世論が調査はしないでと言われるので、ガバナンスの一つとして第三者に任せている、県は事務局に徹しなさいと言っているなど、質問した議員やマスコミに対してお答えという形で発言をされています。 しかし、県民は、この問題が明るみになったことでの、県行政のトップとしての責任がどうなのかということの発言を求めているんです。 問題解決に向けては、第三者委員会の結果が出てからとしても、知事から県民に御自分の責任についてお話をしていただきたいと思います。知事、よろしくお願いいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 旅行助成事業「くまもと再発見の旅」については、コロナ禍で苦しむ観光関連事業者を何とか支援しようと、国の支援策発表に先駆ける形で、いち早く事業を実施しました。 これまで、延べ約280万人の方々に利用いただき、多くの観光関連事業者から、この事業のおかげで事業継続ができているなどの声が届けられています。 このような中、このたび、補助事業の対象について、公益通報制度による指摘を受けたので、真摯に対応しています。 公益通報が行われた事項については、事実関係の確認も含め、中立、公平に判断いただくため、第三者調査委員会を設置し、現在、調査が進められています。 この調査により事実関係を明らかにすることが、知事である私が今なすべき責務と考えております。 調査結果を受けて、その対応の中に、知事としてどのような対応をすべきかということについては、責任を持ってやります。 〔岩田智子君登壇〕
◆(岩田智子君) 知事に答弁いただきました。 私も、様々なところに出かけていって、様々な人にお会いをします。幸い、よくお声がけもしていただきますんですけれども、私を議員と知らない人もたくさんいるんですね。私が議員ということが分かったら、ああ、あんた議員さんだったんねということで話が始まります。で、この話題がよく出るんです。それで、熊本県民のために働く熊本県のトップとして、また、県庁職員のトップとしての今回の問題を、この知らなかったという発言は、一般企業の社長なら許されぬと言われた方もおられますし、もし、知事ではなくて、一県民ならばどう思うか考えてほしい、そういうことを言われた方もおられました。 今日の答弁で県民の方々が納得されたか分かりませんが、知事がいつも考えるのは、県民のことだと思います。そして、県民、そして当事者である職員の方もそうです。真面目に制度にのっとり、事業への助成金を厳格に対処していたからこその通報だったと思います。部下である職員の方も、しっかり思いをはせていただきたいと思っています。 特に、公金については、県民は厳しく見ておられることをこの場でお伝えをしておきたいと思います。 次の質問に移ります。 水俣病問題についてお尋ねをいたします。 10月7日から11月14日まで、2017年に熊本県立美術館分館で開かれた水俣展が、福岡アジア美術館で、6年ぶりに水俣・福岡展として開催されました。今回もたくさんの入場者だったと聞いております。 本人の責任ではないところで、原因が分かっていたのにも関わらず、流され続けた排水でメチル水銀中毒にさせられた上、地域の人たちからも差別されてきた患者さんたち、また、そのような状況の中で、自分が水俣病であるのではということすら考えられなかった人たち、言い出せなかった人たちがおられます。地域では、差別、排除、分断が渦巻いていました。 そんな状況を、これまで熊本県は、水俣再生という形でリードし、ばらばらだった被害者団体や市民団体を丁寧な聞き取りなどを続けてつないできました。もやい直しが進められてきました。水俣市の資料館も、また、百間排水口の件も、熊本県がリードをしてきていると思っています。 二度とこのようなことを起こさないようにすることが政治の役目だと思います。人の命や健康よりも、経済発展、経済成長のみ見ていた時代を繰り返さないことだと思っています。 そこでまず、知事に率直にお尋ねします。 知事がおっしゃる、水俣病は私の政治の原点とは、具体的にどのようなことなのでしょうか、お尋ねをいたします。 私は、9月27日、水俣病と認定されておらず、救済策の対象にもならなかった関西などに住む128人の原告全員を水俣病と認定して、原告全員に各275万円の賠償を命じた大阪地方裁判所の判決に、これで、水俣病の解決、被害者救済がまた一歩進んだと大喜びしました。 原告は、昭和30年から40年に熊本県や鹿児島県に住み、その後、関西などに移り住んだ方々です。ちょうど私と同じ年代です。集団就職で出られた方も多かった時代です。原告の平均年齢は、70歳を超えています。全国の新聞、テレビでは、早期救済への決断を迫っていました。 判決は、水俣病の罹患の判断は、メチル水銀の暴露や感覚障害が認められることを前提とした上で、ほかの症状の有無、発症に至る経過、他原因の可能性の有無などの個別的事情を総合的に考慮するのが相当としました。 暴露の判断としては、毛髪水銀値の調査結果を見ると、不知火海沿岸は、水俣と同等またはそれ以上の水準の地域もあり、水俣病を発症し得る程度の暴露が広がっていたと推認されることにより、特措法の対象地域外でも、水俣病を発症し得る程度にメチル水銀を摂取したと推認するのが合理的である、また、除斥期間についても、起算点は神経学的検査などに基づき水俣病と診断されたときなので、除斥期間を経過した者はいないなど、これまで被害者が訴えておられたことが認められた判決でした。 しかし、県は、その判決を、国とともに、不服として控訴しました。 控訴した理由について、蒲島知事は、県庁で記者団に対し、今回の判決の最大の争点である水俣病の罹患の考え方について、過去の最高裁で確定した判決等と大きな相違がある、水俣病の行政の根幹を揺るがすものであることから、上級審の判断を仰ぐ必要があると判断したと述べられました。 その上で、水俣病は私の政治の原点であり、被害者や患者の方にずっと寄り添ってきたつもりだ、原告の方が長年にわたって様々な症状に苦しんでいることもあり、苦渋の決断だった、ただ、司法の一貫性はとても大事で、それがないと水俣病の行政はできないと思っていると述べました。 私にはよく分かりませんでした。水俣病問題を有する県として、法定受託事務だから、国の方針どおりにするべきだというスタンスにしか感じられませんでした。 私は、2004年10月15日、水俣病拡大に対する国、県の行政責任が確定した関西訴訟最高裁判決以降、熊本県行政としての主体性が強かったと感じています。 2004年には、県は、環境省へ4項目を提案、要請し、2005年4月、この提言、要請が環境省の「今後の水俣病対策について」に反映されましたが、残念ながら、健康調査は除かれました。 その後、2009年、蒲島知事時代に特措法が制定されましたが、その特措法自体、補償救済を時限的なものにしたり、県がリードした2006年に実施した健康調査事前検討結果が生かされたりしていないと思うのです。 環境省が研究している水俣病の客観的な評価法を活用した調査の在り方についても、新たに研究班を立ち上げ、今年度から3年間を上限に、また検討を行うとされています。 今後、水俣病早期解決、早期救済に向けて、熊本県がどのようなリーダーシップを取っていかれるのか、お聞きします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 水俣病問題についてお答えします。 熊本県に生まれた私にとって、水俣病問題は、私が常に関心を寄せ続けてきた問題でした。特に、ハーバード大学で政治学を学んでいた28歳のときに、日本の公害問題の研究者であった友人と出会い、水俣病が公害の原点として世界的にも注目されていることを知りました。以来、政治学を学ぶ上で、水俣病は、私の大きなテーマとなりました。 その後、知事として、ぜひとも水俣病の解決に関わりたいという思いから、15年前に知事選に立候補し、現在に至っております。 水俣病被害者の方々の無念さに何とか応えたい、それが、弱い立場の人の目線に立つという知事としての私の政治の原点につながっています。 私が知事に就任した当時は、4,000人を超える方々が公健法に基づく認定申請をされており、裁判においても、多くの方々が救済を求めておられる状況でした。 私は、その切実な声に応えるため、特措法の成立に全力を傾けました。 これまでの熊本県政では極めて異例とも言える知事自身による与野党国会議員への直接交渉を行い、時間的緊迫性を訴えながら、与野党双方の橋渡しを務めることで、法の成立につなげました。 法成立後は、あたう限りの救済を行うため、可能な限りの周知を行い、本県だけでも3万7,000人を超える方々が救済されました。 患者、被害者の安心できる暮らしの確保については、蒲島県政において積極的に取り組んでまいりました。 特に、胎児性・小児性患者の方々には、お一人お一人の気持ちに寄り添い、御本人や御家族の希望を丁寧に酌み取りながら、日常生活を支援しています。今年9月の患者訪問で患者の方々から直接御要望いただいた地域生活支援事業の自己負担軽減についても、来年度からの実現に向け、現在その検討を進めております。 また、公健法に基づく認定審査に関しても、平成25年の最高裁判決を最大限尊重し、申請者の個々の事情に丁寧に対応しながら、着実に進めています。 健康調査については、これまで、環境大臣とお会いする機会を捉え、取組の加速化を粘り強く求めてきたことで、本年6月、研究班が立ち上がりました。環境大臣は、研究期間は3年上限だが、できるだけ早く検討を進めていきたいと国会で答弁もされています。県としても、引き続き、国に対して、
スピード感を持って対応していただくよう要望してまいります。 さらに、地域の融和、偏見や差別への対応、水俣・芦北地域振興計画に基づく地域の再生や振興などにも、地元市町とともに取り組んでいます。 今後も、水俣病問題の解決は県政の最重要課題であり、様々な課題に対して、全庁一丸となって積極的に取り組んでまいります。 〔岩田智子君登壇〕
◆(岩田智子君) 答弁をいただきました。 政治の原点、弱い立場の人の目線に立つこと、そのとおりだと思います。今回の知事の政治の原点としての水俣病問題については、詳しくお聞きできてよかったなと思っています。ハーバード大学の話をされましたけれども、世界からも注目をされている公害の原点なのだと改めて感じることができました。 今年の水俣病犠牲者慰霊式、知事も行かれましたけれども、小学生の祈りの言葉がありましたね。その子が、水俣に住む私たちにできることは、正しい知識を身につけ、水俣病のことや水俣のよさを未来に伝えていくことだと考えます、差別に負けず、全ての人が幸せに暮らしていくことができる社会をつくっていきたい、水俣の環境保全に取り組み、二度と同じ過ちを起こさず、水俣病の教訓を生かし、すばらしい未来をつくっていくことを誓うと話してくれました。これこそ政治の原点だと私は感じます。このような小学生が育っているのも、これまでの県政があったからだと改めて感じています。 大阪地裁に控訴した知事は、苦渋の決断だったと言われました。その苦渋に関しても、被害者との対話が今後も必要ではないかなというふうに思っています。これからも要望していきたいと思っています。 そして、既に行かれていると思いますけれども、百間排水口、あそこから大体水俣学習というのは始まるんですよね。フィールドワークとかをされています。ぜひフィールドワークにも任期中に行かれたらどうかなというふうに思います。 環境省への要望も、また本当に力強くやってほしいと思います。スピーディーにということをいつも言われておられるので、本当に環境省のほうがやってほしいんですけれども、知事のほうからもしっかりとまたよろしくお願いいたします。 私も、これからも、解決するまで、こだわって水俣病問題には取り組みたいと思っております。 次の質問に移ります。 熊本の地下水保全について伺います。 有機フッ素化合物、PFOS、PFOAの汚染は、全国的に広がりを見せています。熊本県も例外ではなく、KKTによる水質検査の結果でも、指針値を上回る結果が出ています。 スライドを御覧ください。(資料を示す) この資料は、民間団体の熊本の環境を考える会が、京都大学の原田浩二准教授に、熊本市近郊の河川、井戸水等の水質分析を依頼し行った調査結果を一覧にしたものです。 調査結果について、番号④と⑤の坪井川では、熊本市北区鶴羽田の2地点で本年9月3日に採取し、表の一番右側のPFOSとPFOAの合計濃度が24.36、22.47ナノグラム・パー・リットル、また、番号⑥の木葉川では、熊本市北区植木町轟で本年9月3日に採取し、PFOSとPFOAの合計濃度が21.71ナノグラム・パー・リットルでした。さらに、番号⑮の上生川では、合志市御代志で本年9月8日に採取し、PFOSとPFOAの合計濃度が39.89ナノグラム・パー・リットルとなっており、いずれも指針値の50ナノグラム・パー・リットルは超えていないものの、それに近い値が確認されています。 地下水汚染は、水道事業に大きな影響を与えているだけではなく、井戸水を直接水源とする膨大な数の飲用井戸の汚染を通じて、県民の日常生活や健康に対して不安材料となっています。 熊本県では、今年7月から8月に県内17か所で調査した結果は、全て指針値を超過していませんと9月議会で報告がありました。次年度以降は、調査地点を見直し、調査継続をするとしています。 環境省では、PFASに対する総合戦略検討専門家会議が、今年7月に対応の方向性について発表しています。国際的にも、POPs条約において、人の健康の保護の観点から、規制対象物質とされています。そのことも踏まえて質問をいたします。 1点目として、PFOS、PFOAによる地下水汚染の状況をどのように受け止めているのか、まず、県としての基本的な認識をお伺いします。 熊本県は、世界的にも類を見ない良質で豊富な地下水を飲用に用いてきた歴史があります。湧水として河川等の公共用水域とつながり、土壌環境とも深く関連しています。地下水環境の保全は、熊本県ではとても大切な課題です。その中の汚染の広がりは衝撃的で、住民から大きな不安を感じる声が上がっています。 水俣病事件が起きた熊本県において、二度と同じ間違いを起こさないために、経済より命と健康を優先することは言うまでもありません。 そこで、2点目として、国のPFOS及びPFOAに関する対応の手引きにある汚染井戸周辺地区調査や排出源特定のための調査、また、県民の健康実態を把握するための疫学調査は、今後どのように行うのかというところまでの計画はありますか。 現在、PFOS、PFOAに関する調査は、市や県でそれぞれされています。情報の相互活用や検証を行っていかれると思います。人体への影響が心配される化学物質ですので、県や市町村間の連携を密にし、井戸水の独自調査を行っている各自治体との協力体制を一刻も早くつくるべきだと思います。 そこで、3点目として、蓄積されつつある汚染状況データを効果的に活用して、オープンに比較検証できるよう、調査地点、汚染地点の公開、計画的かつ継続的な検証体制を確立することはできないのか、質問をいたします。 40年ほど前、熊本では、半導体工場や化学工場の進出で、トリクロロエチレン汚染が問題となり、地下水を守る大きな運動が起こりました。1日1,000トンの地下水を使う工場建設の折、当時の熊本市長の星子氏は、地下水保全に悪影響を及ぼすと発言をされ、その後、県では、全国で初めての地下水保全に関する要綱をまとめ、地下水保全条例の策定へと動きました。その後、自治体では、水を大量に使う企業とは地下水保全の協定をそれぞれ結んでいたようです。 熊本県は、今回、JASMと4団体との水の涵養に関する協定を結んでおられますが、量だけではなく、質の保全も必要ではないでしょうか。 そこで、4点目として、守るべき地下水のため、熊本県として半導体企業との水保全に関する協定等をつくるべきではありませんか。 以上4点、
環境生活部長にお尋ねします。 〔
環境生活部長小原雅之君登壇〕
◎
環境生活部長(小原雅之君) まず、PFOS及びPFOAに関する認識についてお答えいたします。 今年度、熊本市を除く17地点で実施した県の調査では、指針値の超過は確認されていません。しかし、熊本市調査での指針値超過や全国的な検出に関する報道等により、県民の関心も高くなっています。このような状況から、来年度以降も調査を継続して実施いたします。 県としては、調査結果や指針値を超過した場合の対応方策など、客観的かつ科学的な情報を市町村や県民へ周知することが重要と認識しております。 2点目の指針値を超える井戸等への対応についてお答えいたします。 県では、令和2年度から、市町村などの水道事業者に対し、水道水中のPFOS及びPFOAの調査実施を働きかけています。指針値を超える場合は、国の手引きに沿って、市町村等と連携し、周辺住民に飲用を控えるよう周知徹底を図るとともに、汚染範囲を把握するための追加調査を行うこととしています。 なお、有機フッ素化合物に関する健康リスクや疫学調査については、現在、国の専門家会議で議論されている段階であり、その内容を注視しているところでございます。議論の結果を踏まえて、関係部署と連携し、必要な対応を行いたいと考えています。 3点目のデータの検証及び公開についてお答えいたします。 県内の水質調査のうち水道については、市町村などの水道事業者が実施し、河川や地下水などの環境調査については、熊本市の地域は熊本市が、それ以外の地域は県が実施いたします。 県や熊本市が実施する水質等の環境調査については、専門家等で構成する環境審議会の意見を踏まえて、調査項目、調査地点等を決定しています。 なお、調査結果については、環境審議会で検証いただく体制を整備しています。そして、調査結果については、今年度と同様、結果が判明次第、市町村と共有するとともに、速やかに公表いたします。 最後に、協定についてお答えいたします。 昨年4月、県を立会人とし、JASMと菊陽町が立地協定を締結いたしました。協定には、法令を遵守し、環境の保全に努める旨を規定しており、新たな協定を締結することまでは考えておりません。 なお、JASMの
工場排水は、全て下水道に排出される計画となっており、PFOS、PFOA及び令和6年から製造や輸入の原則禁止が決定したPFHxSについては、使用されないことをJASMに確認しています。 県としては、水質汚濁防止法、熊本県地下水保全条例、下水道法等の環境関係法令に基づき、関係市町と協力し、地下水を含む環境の保全に引き続きしっかりと取り組んでまいります。 〔岩田智子君登壇〕
◆(岩田智子君) 答弁いただきました。 私は、江津湖の近くに住んでいるんです。小学校の頃、まあ今から50年ほど前なんですけれども、とてもきれいな水がどこそこに湧いていて、水生生物もたくさんいて、自然豊かなところだったんですけれども、その後10年ぐらいで、とてもやっぱり環境が悪くなってきたんです。環境の悪化が深刻になりました。その頃から環境を守るという運動が盛んになって、地下水を守る運動が官民一体となって進められてきました。おかげで、今でも熊本の水道水のほとんどを地下水で賄う、おいしい水が熊本では飲めます。その地下水や川から濃度がちょっと高い有機フッ化物が検出されたことは、とても心配なことではあります。 有機フッ化物は、4,700ぐらい種類があって、その中の幾つかは輸入禁止とか製造禁止とかなって、JASMにお尋ねもされているので、それは分かってよかったなと思ってますけれども、たくさんあるので、これまで私たちが知らないようなものもあるのではないかなというふうにも感じていますが、半導体のその工場においては、やっぱりそういう撥水というか、つるつるになるような効果のある有機フッ化物というのをたくさん使われますので、とてもやっぱり心配なことはお伝えしたいと思います。 中村議員も、前回、有機フッ素のことを質問されていますが、今回、水質汚濁防止法にのっとって、工場からの排出水の基準値もありますけれども、来年度以降、調査を増やして対応策などにも取り組むと答弁をされました。おっしゃるように、市町村や県民への周知とか広報とか規制とかがとても大事になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 半導体工場との水保全の協定については考えていないという御答弁だったんですが、望む声は大きいと思います。先人たちの熊本の水を守る取組をしっかりとつないでいかなければならないと思います。 私が教員になったとき、教育長が安永蕗子さんだったんです。覚えていらっしゃいますか。 安永蕗子さんが、水を守ることは人の命を守ることである、水を守ることは芸術運動である、水の守り人になろうと文章を残しておられます。 地下水取水と使用後の排水、行政は、県民の命を徹底的に守り、熊本の環境を守り抜くという強い姿勢を持っていっていただきたいと思います。 企業も、大量の地下水を使うならば、できるだけ水のリサイクル率を上げるような努力もしていくべきだと思っています。 先ほど質問をした水俣病問題を経験した熊本だからこそ、水量と水質についてはうるさがられるくらいの態度をもって取り組んでいただきたいと思います。そのような行政の姿勢は、県民にも企業にも伝わると思います。 次の質問に移ります。 再エネ施設建設と県民の幸福量について伺います。 約束5、県民の安心・安全なくらしを創生、持続可能な社会を実現、これは、知事の10の約束の5つ目に書かれている言葉です。そして、そこには、災害に強いエネルギー源を確保し、県民生活のライフラインを守るため、太陽光発電や中小水力発電など、自立分散型の再生可能エネルギーの導入を進めますと書いてあります。 今回、水俣、芦北の山間部に建設予定の大規模風力発電建設計画について伺います。 この件については、令和3年9月議会でも取り上げました。そのとき、再エネ事業は地域との共生が不可欠だと
商工労働部長がお答えになりました。その後、今年度には、再エネ促進区域の設定に関する熊本県基準も出されました。 改めて確認しますが、ここに予定されている風車は、高さ150メートル、ブレードの長さは60メートル、これまでにないものであること、トラックで資材を運ぶこと、想像してみてください、湯の鶴温泉に向かう道を10トントラックが資材を積んで毎日300台ほど通ることを。知事は、湯の鶴温泉の風景がお好きだと聞いたことがあります。静かな川沿いの小さな温泉、私も大好きなところです。想像を絶します。 この事業に関しては、現在、環境アセスメント手続が行われています。準備書の手続で、先日住民公聴会が開かれ、今月末に知事の意見が出される手はずになっています。 準備書の前の方法書での知事意見を見てみますと、知事は、低周波音について、水の濁りについて、水源について、鳥類など野生生物について、景観や自然との
触れ合いについて意見を出されています。これは非常に納得のいく意見書で、さすが知事と言わせていただきます。 水俣市長からの意見書には、低周波音による影響及び生態系の変化、土砂災害の懸念、工事車両の通行等について地域住民から多くの意見が寄せられている、地域住民の理解を得るように最大限努めることと書かれています。また、この地域はクマタカが生息する地域でもあり、バードストライクの危険性についても詳しく書かれています。 公聴会では、3つの会場で、住民65人の方が意見を述べられました。それぞれ、騒音や低周波、景観、絶滅危惧種クマタカの生息状況などの内容で、反対の意見を述べられました。 制度にのっとってアセスメントが進められているのですが、もともと、再生可能エネルギーは、自然生態系の保全と人類への悪影響の排除を目的としています。再生可能エネルギー施設建設で、公害や土砂災害などを引き起こすのであれば本末転倒です。 他県では、青森県、北海道、宮城県、山口県で、同じような住民の意見を尊重した風力発電建設事業見直しなどが実際に行われています。 熊本県は、多くの災害や公害を経験し、再生を目指してきた県です。環境アセスメントで強く企業に意見することは必然だと思っています。 そこで質問です。 環境アセスメントのこれまでの流れを見て、知事の意見を準備しておられると思います。この大規模風力発電施設計画が住民の幸福量の最大化にどうつながるとお考えなのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 地方レベルで持続可能な社会づくりを進め、地球温暖化等の世界的な環境問題の解決に貢献することは、豊かで活力に満ちた熊本を実現するために重要なことであります。そして、そのような熊本を実現することは、蒲島県政の目指す県民総幸福量の最大化につながるものと考えます。 風力発電など再生可能エネルギーを導入する際には、地域との共生を図ることが重要であり、きめ細かな環境への配慮と地域との対話プロセスが不可欠であります。 水俣市、鹿児島県の出水市、伊佐市にまたがる地域に計画されている風力発電施設については、環境影響評価法に基づく手続が進められ、現在、事業者が環境影響評価書を作成する前の準備書審査の段階であります。 県では、この計画に対する最終的な知事意見を国に提出する必要があります。このため、本年6月に、知事意見の参考とするため、環境影響評価審査会を開催し、環境分野の専門の方々から意見をお伺いしました。また、地域の方々の意見を聴くための公聴会を、10月20日に水俣市の総合もやい直しセンターで開催いたしました。 公聴会では、議員御紹介のとおり、公述人65人から、土砂災害、大型ダンプカーが温泉街などを走行することへの危険性、絶滅危惧種であるクマタカへの影響などを懸念する意見をいただきました。その後、水俣市長からも、生活面や環境面への影響を懸念する同様の意見をいただきました。 県としては、専門の方々からの客観的、科学的な観点からの意見に加え、地域の方々の意見を踏まえた適切な知事意見を形成し、国に対してしっかりと意見を述べてまいります。 引き続き、県民総幸福量の最大化に向けて、再生可能エネルギーの導入と地域共生とのベストバランスを目指してまいります。 〔岩田智子君登壇〕
◆(岩田智子君) 御答弁いただきました。 環境アセスメントという制度は、事業者側が、事業内容について、行政や市民、県民の声や疑問に答えて事業内容を見直していくというものなんですけれども、事業者は造りたいので申請をしますから、なかなか住民の意見とかみ合わないことが多々あるんです。 ずっと読ませていただいたんですけれども、例えば、理解をしていただけるように努めてまいりますとか、災害が発生しないように努めてまいりますとか、皆様の御理解が不可欠ですなどの答えがずっと書いてあるわけです。でも、地元の人々の理解がもう一番だと、もう本当に思うんですよね。 質問でも述べたように、再生可能エネルギーの推進の目的は、自然生態系の保全と人類への悪影響の排除、これが目的ですので、しっかりとその辺を捉えていただきたいと思います。 ベストバランスを目指すとの答弁があったんですけれども、私もそう思います。ベストバランス、住民の皆様がそんなふうに思えるように知事は動いてくださるだろうと思っております。 全国各地で再エネ開発による地元住民とのいろんな反発を招く事例も目立ってきております。 熊本県では、この風力発電建設以外にも、メガソーラーや再エネの施設に加えて、半導体工場とかがいっぱいできますので、それに関連する企業などからのその増加が原因なのか分かりませんが、産業廃棄物処理場とか最終処分場とかエネルギー回収施設建設なども環境アセスメントの手続が行われています。誰一人取り残さない上での総幸福量が大きくなる施策をと願っております。 何で私が水俣とかこだわるのかと、もう不思議に思っていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、私の父母は水俣、芦北の出身で、ふるさとなんですね。それでやっぱり本当にこだわっていきたいなと思っていますので、質問させていただきました。 では、次に移ります。 里親への支援について伺います。 児童虐待相談対応件数は、毎年過去最多を更新しており、社会問題となっています。全国の児童相談所が対応した令和4年度の児童虐待相談対応件数は、約22万件と最多を更新しました。また、熊本県においても、令和4年度の児童虐待相談対応件数は、2,764件と過去最多を更新しています。 そのような中、多くの子供たちが、家庭での養育を受けられず、乳児院や児童養護施設、里親家庭などで生活をしています。 児童福祉法では、家庭養育優先の原則が明記されており、より家庭環境に近い里親家庭で生活をすることが求められておりますが、熊本県の里親委託率は、これまで全国で最下位レベルという状況でした。そのような中、県内では、里親の新規開拓やマッチングなどを行うフォスタリング機関が設置され、里親委託率が3年連続で上昇するなど、家庭養育優先の原則に向けて、順調に推移をしていることは評価ができると思います。 里親になられている方々の状況は様々です。子育てを通して社会に貢献したいという思いの方が多く、実子がおられる方もいらっしゃいます。また、子供を授かることができず、不妊治療を断念したという子育て経験のない方もおられます。 さらに、里子になる子供たちは、何らかの障害がある場合が多く、児童相談所や専門家のサポート、子育て仲間、里親同士のサポートを必要とされています。 熊本県里親協議会が里親会員に対して実施したアンケート結果を拝見しましたが、養育上の困り事があると回答した里親は59.4%、体調不良や急な用事などで里子を預ける必要を感じたと回答した里親は68.4%と、日常的に困り事を感じておられるという結果が出ています。 里親になられている方々にも実際お会いしてお話を伺いました。兄弟がいる一般家庭でも、1人が熱を出し、病院に行かなければならないときは、その子以外の子供たちを親や祖父母に預けたり、ママ友に見てもらったりすることがありますが、里親の場合は、子供が好きでお金ももらっているのに、どこかに預けるとか言えないのではないかなどの理解不足の声をよく聞くそうです。また、里親制度への理解がなく、学校や病院、行政の窓口などで、里子との関係性を証明するのに苦労し、手続に非常に時間がかかることがあるそうです。 そこで質問です。 里親委託が増加していることはとても喜ばしいことですが、里親への支援が必要だと思っています。熊本県における里親への支援についてどのように考えておられるのか、
健康福祉部長にお尋ねいたします。 〔
健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎
健康福祉部長(沼川敦彦君) 虐待などにより社会的養護を必要とする子供たちは、心身に様々な影響を受けている場合が多く、信頼できる特定の大人と愛着関係を形成し、安心して暮らすことができる家庭的な養育環境が必要であると考えています。 そこで、県では、令和2年3月に策定した社会的養育推進計画に基づき、様々な取組を進めております。 具体的には、里親の新規開拓やマッチング、養育支援といった業務を包括的に担うフォスタリング機関を開設するとともに、児童相談所の職員と児童養護施設等に配置されている里親支援専門相談員が連携を強化し、里親家庭の現状把握や個別の相談対応など、継続的な支援に取り組んでいます。 その結果、計画策定時と比べ、里親登録者数は124人増加し316人に、里親委託率は4.1ポイント上昇し17.5%となるなど、着実に成果が現れています。 一方、里親制度に対する理解が社会全体に十分浸透しているとまでは言えません。また、社会的養護を必要とする児童が何らかの障害を抱えているケースが増加傾向にあるなど、里親の負担は大きくなっています。 そこで、県では、県内各地で説明会や出前講座を開催するとともに、毎年10月の里親月間では、国の動きに合わせてパネル展の開催や市町村広報誌への掲載など、集中して里親制度の理解促進を図っています。 また、里親の負担を軽減するため、児童を一時的に預かるショートステイやレスパイトケアの利用促進などに取り組んでおります。 さらに、里親は、医療機関や行政の窓口等での手続といった様々な場面で、委託児童との関係性を明らかにすることが必要であることから、その負担軽減を図るため、今年度から里親の携帯用証明書の発行も行っています。 加えて、来年4月の改正児童福祉法の施行に伴い、任意の民間機関であるフォスタリング機関は、一貫した体制で継続的に支援等を行う里親支援センターとして、児童福祉法に位置づけられます。現在、その移行に向けた準備を進めており、里親からの様々な相談や里親同士の交流促進など、さらなる支援の充実を図ってまいります。 今後も、関係機関等としっかり連携を図りながら、里親への支援を充実させ、社会的養護を必要とする子供たちが、家庭と同じような生活ができる環境づくりに努めてまいります。 〔岩田智子君登壇〕
◆(岩田智子君) 御答弁いただきました。 しっかり現状を踏まえていただいていると感じております。 18歳未満の子供たちへの虐待が32年連続で過去最多が続いていること、それから私がとても心配をしている特定妊婦も8,327人と年々増加をしています。一時保護、緊急保護もそうです。子供たちには何の罪もなく、穏やかな家庭的な養護の中での成長を保障するのが里親です。 2017年に、新しい社会ビジョンとして、里親委託率を、3歳未満はおおむね5年以内に75%以上としていましたが、令和3年度、熊本県はまだまだでした。 フォスタリング機関が県の委託を受けて里親委託率は増加をしてきたんですけれども、今度、里親支援センターということで、フォスタリング機関が法人となるというふうに聞いております。 登録里親家庭の60世帯を基準に4人の専任配置、それから20世帯増えるごとに1人を新たに配置するというふうに人員配置がされているんですけれども、先ほど言われたように、障害のある子供たちが多いこととか、虐待体験があることなどを考えると、愛着障害なんかもいろいろあるわけです。この人員配置では何か足りないのではないかなというふうに感じています。 里親さんたちの困り事は、周りの理解とともに真実告知、そういう問題についても相当悩まれています。頼りになるのは専門の方々なので、充実をさせていただきたいなと思います。 子供の1年は、大人の10年にも匹敵します。これまで、熊本は施設での養護が中心だったので、施設のある校区の学校では研修などがあったんですが、県下各地に広がるわけです。学校、行政窓口、病院窓口など、様々なところまで里親への支援が行き届くように、研修なども、また取り組んでいただきたいと思っています。 今回質問では触れなかったんですが、児童相談所での里親担当職員を増やすことや一時保護所を充実すること、弁護士など法律のプロを職員として採用することなども必要ではないかなというふうに思っていますので、ここで要望をしておきます。 次の質問に移ります。 熊本県立天草拓心高校の実習船「熊本丸」についてお尋ねをします。 熊本県立天草拓心高校マリン校舎にある海洋科学科海洋航海コースは、定員20名の県内唯一の海や船や漁業について学ぶことのできる場所です。授業の一環として「熊本丸」が運航をしています。2019年2月に5代目として竣工した「熊本丸」は、495トンの船です。くまモンのマークもついていて、新しい船です。 県内各地、また、県外からこの学校に入学して学びたいとやってくる子供たちは、ここ最近の入学者選抜の状況を見てみますと、令和3年度前期(特色)選抜1.6倍、令和4年度1.64倍、令和5年度1倍、後期(一般)選抜は、令和3年度0.8倍、令和4年度1.67倍、令和5年度0.83倍となっています。 「熊本丸」には、船長をはじめ機関長、機関士、機関員、通信士、航海士、甲板長、甲板員、司厨長、司厨員など、当初18名の配置がありました。熊本県職員の身分での勤務です。年間3分の1を実習のために生徒たちと寝食を共にして、海の上で生活を行っています。ちょうど今も、12月21日までの22日間、航海に出ています。 現在、船に乗船している乗組員は、11名です。実は、この間ずっと欠員が続いており、定員に満たないままだとお聞きしています。今年は、既に5人の方が辞職をされたそうです。 海事職は、今どこも人を必要としていて、民間会社の船の仕事に移られたともお聞きしました。船は5人いれば動かせるとお聞きしていますが、生徒たちの安心、安全、命を預かる実習船だからこその18人定数なのだと思います。 そこで質問です。 まず、海のスペシャリストとして学び、生徒たちが卒業後どのような道に進んでいるのか、実習船乗組員の欠員についての原因と、それに対してのどのような対策を取っているのか。 また、乗組員は、乗船している生徒たちの実習や生活の指導を教育職員と共に行うなど、幅広い業務になっていると思います。これらの点は、ほかの海事職にはないものもあると思います。これらを考慮した給料体系になっているのかも疑問です。そのことを踏まえ、乗組員の給料、手当、処遇改善についてどのように考えられているのか。 以上2点について、教育長にお尋ねします。 〔教育長白石伸一君登壇〕
◎教育長(白石伸一君) まず、天草拓心高校海洋科学科海洋航海コースの生徒の進路についてお答えいたします。 同科海洋航海コースは、本県の将来の水産業や海運業を担う人材の育成という重要な役割を担っています。卒業した生徒たちは、海運会社や水産庁などに船員として就職したり、さらに専門性を高めるために進学したりするなど、海のスペシャリストとして活躍しています。 次に、実習船乗組員の欠員の原因とその対策についてでございますが、全国的に船員が不足する中で、民間との給与格差などもあり、本県の実習船でも人材確保が非常に厳しい状況にあります。 このため、県教育委員会では、県のホームページをはじめ、
地元自治体の広報誌などによる乗組員募集や船員養成機関である海上技術学校の生徒へのPR活動に取り組んでいます。また、今年の8月には、海上自衛隊やフェリー業者等を訪問するなど、OBや退職予定者への再就職の働きかけを行っているところでございます。 最後に、乗組員の給与や処遇改善についてお答えいたします。 令和元年度に、高度な水準で安心、安全な航行を確保し、実習の充実や質的向上を図る観点から、乗組員に適用する給料表を技能労務職から行政職へ見直しを行いました。また、海上での業務の特殊性に鑑み、給料の調整額を加算するなど、処遇の改善を図ったところでございます。 今後も、県の水産業や海運業を支える人材の育成に努めるとともに、乗組員の給与や処遇について、他県の状況等の研究を深めながら、乗組員が確保できるようしっかり取り組んでまいります。
○議長(渕上陽一君) 岩田智子君。――残り時間が少なくなりました。発言を簡潔に願います。 〔岩田智子君登壇〕
◆(岩田智子君) 御答弁いただきました。 状況を把握されて取り組まれているということが分かります。 天草拓心高校海洋科学科海洋航海コースの生徒さんたちの進路も、海運会社とか水産庁だったり、進学など、様々に飛び立っていることが分かります。「熊本丸」での実習も大きな影響を与えていると思います。大事な実習船です。乗組員の船員の方々の不足について、様々な取組をまた続けていっていただきたいと思います。 教育長がおっしゃるように、不足の原因が、海事職が全国的に不足していることとか給料格差があることがあります。実際にお話を聞けば、子供たちのためにやっぱり続けているとか、ここで自分も卒業したから母校愛でやっていますという方がたくさんいらっしゃいます。でも、民間からの誘いは揺さぶられますというふうにもお聞きしています。 これからも、早急に、乗務員の確保と離職の原因である処遇改善に努めていただきますように強く強く願います。 これで私の質問終わりますけれども、今日は知事の進退のみに光が当たっていますが、主人公、私は県民だと思っております。様々な県の課題を解決していくことを、私も県民の代理人として、これからも頑張っていきたいと思っております。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(渕上陽一君) 昼食のため、午後1時15分まで休憩いたします。 午後0時10分休憩 ――――――○―――――― 午後1時14分開議
○副議長(内野幸喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 前田憲秀君。 〔前田憲秀君登壇〕(拍手)
◆(前田憲秀君) 皆さん、こんにちは。熊本市第二選挙区選出・公明党の前田憲秀でございます。今回の改選後初の質問になります。今回で17回目の質問になります。今までどおり、これまで議論してきたこと、最近の出来事や要望等からピックアップをして質問をさせていただきたいと思っております。 午前中は、蒲島知事が5期目に不出馬を表明されました。今ちょっと言いにくかったのは、そういう想定じゃなかったもんですから、お昼に原稿も書き直して、どういう言い回しがいいかと悩んだ結果でございます。この動向によっては質問のトーンも変わってくるのかどうか、本当に今日は難しい質問の日となってしまいました。これまで蒲島県政を支えさせていただいた自負を持つ議員として、残念でなりません。よき流れを確実に継承していただくためにも、予定どおり質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 午前中と違って、マスコミさんの数も非常に少なくなり、カメラは1台もなくなりました。非常に残念でなりませんけれども、しっかりと私は質問を続けさせていただきたいというふうに思っております。 それでは、通告に従って質問に入らせていただきます。 いつものように、蒲島知事、執行部におかれましては、明快で前向きな御答弁を期待して質問をさせていただきます。 初めに、アリーナ等スポーツ施設の整備についてお尋ねをいたします。 知事は、前回9月定例会において、同じ会派の本田議員の質問に対して、スポーツ施設整備の在り方については、知事の任期中に取りまとめることが困難な状況であるとの答弁をされました。このことは、同じ会派の代表質問に対しての答弁であっただけに、私としては、かなり衝撃でした。 もちろん、その前段としましては、県政の喫緊の課題である災害からの創造的復興や
TSMC進出に伴う効果の最大化など、率先して対応すべき課題が山積していることを理由として述べられています。それは理解できますが、知事の任期を当時半年残しての発言は重く、翌日の新聞1面を大きく飾るものでありました。 しかし、一方では、プロスポーツチームの振興はもとより、交流人口の拡大や地域経済の活性化など、地域経済の解決に貢献するスポーツ施設の整備は重要であるとの認識も明らかにされています。まさに断腸の思いでの答弁であったと拝察いたします。 ここでは、アリーナについて述べますが、バスケットボールのみならず、バドミントンや卓球など、屋内スポーツ観戦の魅力を最大化できるアリーナの整備は、今後の熊本におけるプロスポーツ振興はもとより、イベント等での経済振興の起爆剤になり得る、欠かせない重要な施設であると私は考えています。 確かに、アリーナ建設に関する他県の事例を見ますと、佐賀県では、2024年に国体開催を控えることや、愛知県では、2026年にアジア大会を控えているなど、アリーナ建設を進める必要性が高い事情も抱えています。また、長崎県におきましては、御承知のように、強力なスポンサーによる潤沢な民間資金導入による建設が進んでいます。 このように、各県において、アリーナ建設に向けた機運や社会情勢は、様々であり、濃淡もあるようです。 そこで、前回9月定例会の答弁で知事が言及された、県民の機運の盛り上がりや社会情勢を慎重に見極め、民間事業者や市町村とも連携して、施設の整備の在り方について、引き続き検討を進めるとの見解に沿って、少なくとも検討を進めるための協議会組織の立ち上げや検討を前に進めるためのスケジューリングなどが最低限必要であると思われます。 よき流れを後世に続けるためにも、検討そのものを断念したわけではない以上、いま一度、アリーナ等スポーツ施設の整備に向けて、どのように検討を進める予定なのか、蒲島知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、9月定例会において、スポーツ施設の整備の在り方について、その方向性を任期中に取りまとめることは困難と答弁いたしました。この答えに至るまで熟慮を重ねましたが、最終的には、施設やプロスポーツチームに求められる基準の変化、新たな民間や市町村の動きなどもあり、やむを得ず決断いたしました。 議員御指摘のとおり、アリーナ等のスポーツ施設は、周辺産業への経済波及効果、雇用創出も期待できるなど、県民の夢や誇り、地域活性化に大きく貢献する潜在力を有していると考えています。 去る10月、佐賀県で行われました九州地方知事会議において、国民スポーツ大会を控え、本年5月に開業したSAGAアリーナを視察しました。スポーツイベントのみならず、コンサートなどの大型イベントも誘致可能であり、交流人口の拡大や地域経済の活性化をさらに進めていくためには、このような多目的に活用できる施設が重要であると改めて認識したところであります。 一方、県内に目を向けると、幾つかの市町村において、スポーツ施設の整備に関する検討が始まっています。また、新アリーナについては、プロバスケットボールチームの熊本ヴォルターズが、全国の先行事例を十分に吟味しながら、慎重に検討することを発表されました。 このような県内の状況も十分に注視した上で、市町村や民間と連携を図りながら、アリーナを含めたスポーツ施設整備ができるだけ早期に実現できるよう、その在り方について、引き続き丁寧に検討を進めてまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 9月の答弁で、知事は、質問でも触れたように、スポーツ施設整備の在り方について、任期中に取りまとめることは困難であると言いつつも、施設の整備の在り方について、引き続き検討を進めるとの御答弁でありました。 今回の答弁は、コピペではないでしょうけれども、スポーツ施設の在り方について、引き続き検討を進めてまいるというものでありました。3文字追加されております。 私は、協議会組織を立ち上げるとか、少しでも前に進めるためのスケジューリングが必要ではないかと問うたつもりですが、残念でなりません。ただ、周辺産業への経済
波及効果、雇用創出も期待できるなど、県民の夢や誇り、地域活性化に大きく貢献する潜在力を有していると考えるとの考えは、私とも共有ができました。 今回、私は、アリーナについて質問いたしましたが、今このアリーナの存在は、全国的に旬です。質問で紹介した佐賀、名古屋、長崎のほかにも、全国で地域の核となるアリーナ建設が計画されています。 過日、台湾のプロバスケットボールチームと熊本ヴォルターズの親善試合が開催されました。台湾でもバスケット熱が高いことを強く感じました。
TSMCの進出で、
半導体関連企業が続々と熊本に進出との報道がある中、県は、それらの企業とのマッチングに努める等、熊本をアピールする好機ではないでしょうか。 今回改めて感じたのですが、担当の県職員と話す中で、知事が、経済
波及効果、雇用創出の期待、県民の夢や誇り、地域活性化に大きく貢献すると考えるならば、実際、担当の職員が、直にバスケット、野球、サッカー等の会場に足を運び、そのことを自ら検証し、体感してほしいと強く感じた次第であります。私は、ただただスポーツが好きなだけでこうした訴えをしているのではないと申しておきます。 今回、スポーツ施設整備の在り方については、私が尊敬申し上げる髙木先生が、野球場をテーマに明日取り組まれるとお聞きをしております。私は残念ながら座礁しましたので、明日はがんがん質問していただければと思っております。 次の質問に移らせていただきます。 がん検診受診率の向上と健康寿命の延伸を目指してというテーマで質問させていただきます。 本県において、がん検診受診率を向上させるなどの取組を通じて、健康寿命の延伸を実現していくためには、がん検診受診率の向上に向けた取組や各種ワクチンの接種機会の拡充等の施策展開が必要不可欠であるため、おのおのの観点から質問をさせていただきます。 まず、がん検診受診率についてお尋ねします。 がん、悪性新生物は、昭和55年から熊本県の死亡原因の第1位を占めています。 本県におけるがん検診受診率は年々増加しており、令和元年においては、全てのがん検診受診率が全国平均を上回るまでになりました。 しかし、新型コロナウイルス感染症対策の影響もあり、日本対がん協会の調査では、令和2年に検診受診者は前年比で27%減少したため、がんの早期発見が遅れ、がんが進行した患者が増加する懸念があります。 本県においても、がん検診の受診の必要性を引き続き県民に強く訴え、周知していただいているものと認識しているところです。 県としては、これまで以上にがんの予防や早期発見を広く県民に働きかけるとともに、がん患者の状況に応じた適切ながん医療や支援を受けられる体制を整備していくことが求められています。 がん検診の受診率向上については、前回の質問でも議論してきたところですが、その際には、規定にとらわれず、思い切った施策に取り組む必要性を指摘いたしました。その後、受診率向上に向けた取組はどうなっているのでしょうか。 次に、HPVワクチンのキャッチアップ接種についてお尋ねをいたします。 昨年度から積極的接種勧奨が再開されたHPVワクチンにつきましても、前回質問時に、市町村などと連携をし、周知等の取組を積極的に進めるとの答弁をいただきました。 特に、接種後の副反応の報告により、ワクチン接種の積極的勧奨が控えられた時期に接種対象を迎え、機会を逃した平成9年度生まれから平成18年度生まれの女性に対しては、救済措置として、令和4年4月から令和7年3月までの3年間、公費による接種機会が得られるキャッチアップ接種が実施されていますが、これについても周知の徹底を訴えたところです。 この救済期間も折り返しの時期を迎えています。このワクチンは、3回接種する必要があり、第1回後、第3回の接種までに半年間間隔を空ける必要があることから、接種措置期間が終了する令和7年3月までに全ての接種を終えるには、来年の9月には、遅くとも1回目の接種を行わなければなりません。 これまでの接種の情報提供と実際の接種状況は、どのような状況なのでしょうか。 最後に、帯状疱疹ワクチンの接種機会の拡充に向けた取組についてお尋ねします。 帯状疱疹につきましては、水痘帯状疱疹ウイルスに初感染後、いわゆる水ぼうそうに感染し、その後、生涯にわたって、神経に潜伏感染しているウイルスが、加齢、疲労、免疫抑制など、免疫力を低下させるなどの病態が発現するとの指摘がなされています。加齢がリスクとされ、50歳以降で罹患率が高くなります。人から人へは感染せず、発症した場合は、重篤化することがあります。 最近、CMなどで、感染予防には帯状疱疹ワクチンが有効と報じられており、ワクチンの公費助成につきましては、令和5年9月現在で、全国で281の自治体で実施されていると聞きます。 この現状を踏まえますと、県内の現状と健康寿命の延伸を目指す県の立場から、公費助成を含めた何かしらの関与に向けた検討が必要ではなかろうかと考えます。 そこで、まず1点目に、新型コロナウイルス感染症対策が落ち着いて以降の本県のがん検診受診率の向上に向けた取組について、2点目に、HPVワクチンのキャッチアップ接種の情報提供と実際の接種状況について、3点目に、帯状疱疹ワクチンの接種機会の必要性を踏まえた公費助成を含めた検討状況について、それぞれ
健康福祉部長にお尋ねをいたします。 〔
健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎
健康福祉部長(沼川敦彦君) 1点目のがん検診受診率の向上に向けた取組についてお答えします。 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により、がん検診の受診者数が減少しており、令和3年は、令和2年に比べ増加したものの、コロナ禍前の水準には戻っていない状況です。 発見が遅れることで、進行がん患者が増加するおそれがあるため、今年度は、国のコロナ交付金を活用した新たな取組として、「そうだ♪がん検診に行こう!」をキャッチフレーズに、受診率向上のキャンペーンを大々的に実施しています。 この中で、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんという5種類のがん検診動画等を、SNSをはじめとする様々な媒体で配信し、県民に対する検診受診の動機づけを行っています。 とりわけ、受診率向上の鍵を握る健康無関心層にも届くよう、ロアッソ熊本や熊本ヴォルターズのホームゲームでの啓発、映画館でのCM放映など、様々な場面で目につくような工夫も行っています。 また、がん検診を受けると県産品等が当たるプレゼントキャンペーンなども実施しております。 市町村や関係機関とも連携し、引き続き、様々な機会を捉えて、がん検診受診の必要性を県民に強く訴えてまいります。 2点目のHPVワクチンのキャッチアップ接種についてお答えします。 前回の議員からの御質問後、県では、県政ラジオやテレビCM、県ホームページ等の広報媒体を活用した周知等に取り組んでまいりました。 本年4月から9月末までの接種者数は延べ6,100人余りで、昨年度の同時期における接種者数の約1.5倍となっており、着実に接種が進んでいるものと考えています。 一方、議員御指摘のとおり、キャッチアップ接種が自己負担なしで接種できる期間は、令和7年3月末までとなっています。 県としては、接種を希望される方が期間内に接種を終えられるよう、新たに県内の大学等への働きかけやSNSの活用など、様々な方法で周知を強化するとともに、医師会や市町村とも連携し、接種対象者に必要な情報が確実に届くよう取り組んでまいります。 3点目の帯状疱疹ワクチンの公費助成についてお答えします。 県内では、3町村が独自にワクチンの接種費用を助成しております。一方、都道府県で助成を行っているのは東京都のみです。 帯状疱疹ワクチンについては、現在、公費負担が可能となる定期接種化も見据え、国の審議会において、その有効性等について、専門的、科学的な見地から議論されております。 このような状況を踏まえ、県としては、全国衛生部長会を通じ、検討を急ぐよう国に要望しているところでございます。 引き続き、その動向を注視するとともに、他道府県の公費助成の状況を含めた情報収集に努めてまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) がん検診の受診率向上については、引き続き、市町村や関係機関との連携を密に、全国を上回る受診率に向け頑張っていただきたいと思っております。 HPVワクチンについては、今年初めに、厚労省が、全国で対象者約2,500人にアンケート調査を実施したと聞きました。 その中で、子宮頸がんを知っている、深刻な病気であるとの回答は、8割、9割が認識。ただ、HPVワクチンの存在や有効性については、半数程度の人しか認識がなかったとの結果。キャッチアップ接種については、知らないと答えた人が半数以上を占めたという結果だったそうです。 私がお付き合いのある産婦人科のドクターは、とにかく今行政は対象者にしっかりと周知をしてほしい、相談を受ける我々は責任を持って重要性を訴えるからと言われておりました。 昨日テレビでも放映があっておりましたが、熊本大学でもHPVワクチンを考える集いがあり、実際、対象者である学生には反響を呼び、今大学病院で接種を実施しているとのことであります。 キャッチアップ接種については、当事者は当然ですが、家族で話し合うきっかけをつくるさらなる周知の徹底を強く望みたいと思っております。 帯状疱疹ワクチンは、質問でも触れたように、過去に水ぼうそう、水痘を発症した50代以降が、年を重ねるごとにリスクが高まるとのこと。まさしく仕事盛りの我々が、これから本当に危機が高まってくるという話でございます。 同年代の人からは、この帯状疱疹ワクチン、実行できるのかどうか、そういう問合せも今非常に増えております。働き盛りの発症は、健康寿命の延伸にも大きく影響いたします。 県下自治体でも助成の実態がある以上、効果を検証し、独自の働きかけも早急に検討していただくよう望ませていただきたいと思います。 次の質問に移ります。 サーキュラーエコノミー、循環経済に向けての挑戦と題して質問をさせていただきます。 現在、気候変動防止に向けた社会の脱炭素化、カーボンニュートラルや生物多様性の保全と活用への自然再興、ネイチャーポジティブについては、人類社会を持続可能なものにしていく上で欠かせない最も重要な課題の一つとなっています。 資源効率性の最大化と環境負荷の低減、これら2つの課題を同時に解決するためには、大量生産から大量廃棄を生む従来型のリニアエコノミー、直接型経済から、廃棄される製品や原材料などを資源と捉え、循環させる新しい経済システムであるサーキュラーエコノミー、循環型経済への転換が今こそ必要な時代を迎えていると考えています。 そのためには、日常生活を支えている物品の生産段階において、材料の生成や加工、製品の製造から廃棄までの各過程で、自然の破壊やエネルギー消費を抑制するサーキュラーエコノミーの考え方を取り入れた国民生活全般のライフスタイルを変革するような大きな流れを社会全体で醸成していく必要があります。 具体的には、家電製品や製紙、衣類など国民生活に密着した製品の資源循環を推進するために、製品を生み出す動脈産業と廃棄物の回収や再利用などを担う静脈産業が連携した産業構造を構築することが重要となります。 これまで、国においては、1R、リサイクルから3R、リデュース、リユース、リサイクルの総合的な推進へと転換し、その政策効果として、1990年代以降、国内における最終処分量は減少し、個別リサイクル法の下でのリサイクル率は大きな進展を見せるに至ったところであります。 しかしながら、その後、国内はもとより、国際的な状況も大きく変化したため、社会経済システムの大きな見直しが急務となってきています。 国際的には、人口増加に伴い資源需要が増加し続ける中、中長期的に安定的な資源確保が担保できるかという資源枯渇に関する懸念が増しています。さらに、気候変動が一因と考えられる異常気象が世界各地で発生したり、海洋プラスチックごみが国際問題化したりと、世界中の消費者や投資家から、環境配慮に関する要請の声が高まりを見せている状況です。 サーキュラーエコノミーへの移行に向けた取組については、国も世界に先駆けて取り組んでいるところであり、本県も同じ考えで動いていく必要があります。 特に、プラスチックごみの処理につきましては、プラスチックごみによる海洋汚染等の環境問題がクローズアップされる中、2022年4月に、プラスチック資源循環促進法が施行されるなど、プラスチックの削減とリサイクル促進に国を挙げて取り組んでいるところです。 PETボトルリサイクル推進協議会によりますと、私たちに身近なプラスチックごみであるペットボトルのリサイクルにつきましては、我が国の指定ペットボトルの回収率は世界でもトップレベルにあり、温暖化防止等の観点では、温室効果ガス排出量の削減に貢献するなど、大幅に環境負荷を低減しているとの分析がなされています。 しかし、その一方で、ペットボトルの回収過程において、異物の混入という問題も生じています。 その要因としては、例えば、公共空間におけるごみ箱の撤去が進んでいることが挙げられ、ペットボトル専用のごみ箱に、それ以外のごみを投棄するケースが後を絶たないことが指摘されています。 現状では、こうしたペットボトルごみ以外の異物は、飲料メーカーや自販機事業者が自主的に処理しているとのことです。 事業者からは、本来は負担しなくてもよい異物である一般廃棄物処理費用等の負担が増大し、死活問題となるとの声を受け、ペットボトルごみ以外のごみ投棄がしにくい自販機リサイクルボックスの導入推進等が議論されているところです。 環境省は、この異物低減は、自販機業者だけではなく、行政機関も協力して問題解決に当たるべきとの見解を示しており、国、地方、業界団体との協議の場が発足し、問題解決に向けて取り組まれていると聞いております。 この異物混入防止に関する考え方は、完全リサイクル、サーキュラーエコノミーの観点からも重要であり、そもそもごみ箱の設置が必要なのかといった抜本的な意見も出ているようで、国民一人一人のごみの出し方について、その意識の転換を図ることが必要との議論もあっているようです。 今、脱炭素社会の構築に向けて、国民一人一人の意識は変わりつつありますが、その代表例が、私も含めて、ここにいらっしゃる
皆さん方もそうだと思いますが、マイバックの携帯です。 これまでも述べてきたように、県民に対して、脱炭素に向けた大きな意識転換を促していくためにも、このような取組が引き続き必要であると考えています。 そこで、県としてのサーキュラーエコノミーに対する認識やペットボトルなどプラスチックの分別、リサイクルに向けた取組の現状と今後の対策について、
環境生活部長にお尋ねをいたします。 〔
環境生活部長小原雅之君登壇〕
◎
環境生活部長(小原雅之君) まず、サーキュラーエコノミーに対する認識についてお答えいたします。 サーキュラーエコノミーは、資源投入量や消費量を抑えつつ、廃棄物発生の最小化につなげる考え方であり、2050年県内CO2排出実質ゼロを宣言し、循環型社会の実現を目指す本県にとって、大変重要であると認識しています。 国では、サーキュラーエコノミーへの移行に向けて、現在、具体的な施策や指標等を議論、検討していることから、県としても、国の動向をしっかりと注視してまいります。 次に、プラスチックの分別、リサイクルに向けた県の取組についてお答えいたします。 プラスチック資源循環促進法において、市町村は、プラスチック使用製品廃棄物の分別収集と製品原料などへのリサイクルに向けた取組が求められており、また、製造・販売事業者は、自主回収や再資源化に向けた取組などが求められています。 こうした取組には、住民の理解と協力が前提となり、加えて、分別収集やリサイクル処理に多額のコストがかかります。 そこで、県では、県民への意識啓発について、プラスチックごみなどの環境問題を学んでいただくためのパネル展示やクイズによるイベント、PR動画の放映等を行うとともに、環境センターやエコアくまもとを活用した環境教育にも取り組んでいます。 また、市町村に対し、新たにプラスチックごみの分別を始める際の費用を補助するとともに、事業者に対しては、廃棄物の排出抑制やリサイクル等に資する施設整備への補助を行うなど、分別、リサイクルの取組を後押ししています。 なお、ペットボトルについては、既に県内全ての市町村で分別収集が行われており、白色トレーについても、県の補助金の活用等により、今年度中に県内全ての市町村で分別収集が行われる見込みです。 混ぜればごみ、分ければ資源と言われています。議員御指摘のとおり、資源の循環を進めるためには、県民一人一人が意識を転換し、適切に分別を行うなどの行動を積み重ねていくことが重要です。 今後も、啓発等を通じて、県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、国や市町村、事業者と連携して、分別、リサイクルの取組を推進してまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) サーキュラーエコノミー、循環経済の考え方は、国でも具体的な施策や指標をさらに議論、検討しているとのことでありました。循環型社会の実現を目指す本県としても、受け身ではなく、何か発信できるものはと認識をしていただきたいというふうに思っております。 プラごみ対策では、環境学習も大事ですが、様々な生活に密着しているプラスチックの扱いを県民一人一人がどう意識改革していくかが重要だと思ってます。 県は、プラスチックごみの削減に取り組んでいる店舗を、くまもとプラスチックスマート店として登録を推進していますが、そのことを県民としてどう捉えればよいのか等、プラスチック、ペットボトルの廃棄も含めて、何をどう県民が意識転換すべきなのか、引き続き啓発をお願いしたいと思っております。 次の質問に移ります。 若者の地元定着へ向けてというテーマで、奨学金の返還支援制度について質問をさせていただきます。 自治体の奨学金返還支援制度につきましては、2015年から、負担額を特別交付税措置の対象とするなど、国による財政支援がスタートいたしました。 内閣府の担当者によりますと、実施自治体への調査の中で、この返還支援制度がUIJターンの決め手となったとか、自治体内の企業の採用活動を有利に進めることができたとか、制度を歓迎する声が寄せられているということです。 一方、企業による返還支援は、一昨年4月から、社員に代わって企業が、奨学金を貸与する日本学生支援機構に直接返還できる代理返還制度が始まったことで、導入企業が拡大されており、昨年10月末時点では、全国で約500社が制度を設けていると聞きます。 公明党は、党青年委員会の政策懇談会などで寄せられた奨学金の返済負担を軽くしてほしいとの声を基に、返還支援制度の拡充や国、地方のネットワークを生かした実施地域の拡大を進めてまいりました。 奨学金支援制度は、自治体や企業が奨学金の返還を肩代わりする制度であり、公明党も推進に力を入れ、全国に今広がっておりますが、自治体によっては、推進の度合いに濃淡がまだあるようです。 令和4年6月1日現在では、36都道府県、615の市町村が奨学金返還支援に取り組んでいます。 これまで、公明党では、学びたい人が経済的な理由などにより進学を諦めることのない社会を目指して、奨学金制度の対象者拡大や返済不要の給付型奨学金の実現に取り組んできました。 日本学生支援機構によりますと、現在、大学生の2人に1人、年間128万人の学生が奨学金を利用するまでになるなど、制度拡充が着実に図られてきたところであります。 しかし、そんな中、卒業後の若者の皆さんからよく聞くのが、奨学金の返済が苦しい、負担が重いという声です。 2019年度末の返還延滞者数は32万7,000人で、延滞債権は約5,400億円に上ると聞きます。 延滞の主な理由は家計の収入減や支出増で、延滞が長引く背景には、本人の低所得や延滞額の増加が指摘されていると聞きます。 奨学金の返還支援制度につきましては、自治体と地元企業などが基金をつくることを条件に、国が自治体の負担額の2分の1を特別交付税で支援する枠組みで制度をスタートさせましたが、現在では、この制度が拡充され、市町村については基金の設置が不要になり、国が支援する範囲も、負担額の2分の1から全額にまで拡大されています。 本県では、くまもと創造人材奨学金返還等サポート事業、通称くま活サポートとして、奨学金返還支援制度が実施されております。 そこで、この制度内容に関しまして、1点目、制度の利用状況や対象者への周知、募集企業の登録増加に向けた取組などの現状について、2点目、この制度は、利用者が利用しやすい制度へと変化してきていると認識していますが、本県の特徴的な取組について、3点目に、制度実施に伴い、本県への若者のUIJターンなどのふるさと回帰、地元定着がどの程度図られてきたかについて、それぞれ
商工労働部長にお尋ねをいたします。 〔
商工労働部長三輪孝之君登壇〕
◎
商工労働部長(三輪孝之君) 本県が将来にわたり発展していくためには、次世代を担う若い方々の地元定着が重要であると認識しています。 このため、本県では、そうした貴重な人材に県内で働いてもらう、また、県外から熊本に来てもらう、そして県内で知識や技術力を高めるという3つの視点に立って、様々な取組を進めています。 議員が触れられたくま活サポートも、奨学金の返済に苦しむ若い人たちの声を踏まえたその中の一つの事業でございます。 まず、1点目の御質問の制度の利用状況については、募集開始から昨年度までの3年間で、延べ238社の企業と664名の学生等に参加、登録いただき、その数は年々増加する傾向となっています。 また、制度の周知と募集企業の登録増加に向けた取組については、これまで、就職活動中の方を対象とした説明会を開催するとともに、SNSなどの媒体による情報発信を行ってまいりました。 これに加え、今年度からは、東京、大阪、福岡及び熊本に設置しているUIJターン就職支援センターや県外の就職支援協定締結校19校を通じまして、大学生等の求職者やセンター登録企業への周知等にも取り組んでいます。 次に、2点目の御質問の本県の特徴的な取組としては、企業と学生がそれぞれ登録する方式を取り入れ、専用サイトで企業情報等をダイレクトに伝えるなどのマッチング機能を高めていることがございます。さらに、奨学金返還を10年間という長期にわたりサポートしているほか、奨学金を利用していない方にも就職時の赴任費用を支援するなど、幅広い人材を対象とした支援を行っております。 最後の御質問の取組の効果については、これまでに登録された方の中から、累計で120名を超える方が県内企業へ就職されました。まだまだ成果として強調できる実績ではないかもしれませんが、制度を活用された企業の方からは、この制度をきっかけとして、優秀な人材を採用できたという声もいただいております。 今後、
半導体関連産業のさらなる集積に伴う人材確保といった課題にしっかりと対応していくためにも、より多くの学生や企業の方々にくま活サポートを知っていただき、御活用いただくことが重要と考えています。 引き続き、商工団体等とも連携を図りながら制度の周知を図り、多くの方々に参加、登録していただけるよう努め、若い世代のふるさと回帰や地元定着を力強く推進してまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) この奨学金返還支援制度の熊本版くま活サポートは、奨学金の返済が苦しい、不安だという声にしっかりと応えるものと実感をしております。さらに、県内で働く、県外から熊本に来てもらう、県内で知識や技術力を高めるという視点にマッチしていると思います。 この制度では、大学院修了者で約450万円、4大卒で約244万円を10年間に分けて企業と県が折半をして支援するものであります。その収入は一時所得扱いで、所得税はかからないとのこと。企業側も全額損金扱いとのことで、優秀な人材が熊本に定着してもらう大事な取組であり、双方の利用者にとってもありがたい制度と認識をいたします。 ただ、年々利用者は増えているとの答弁ではありましたが、昨年の支援予定数に対する実際の対象者はまだ4分の1にとどまっているのは残念な結果であります。周知に問題があるのか、登録自体に何か問題があるのか、企業側のニーズとマッチしているのか等々、答弁にもありましたように、今後の
半導体関連企業等のさらなる集積による人材確保の上でも、さらなる検証が必要ではないでしょうか。 若い世代のふるさと回帰や地元定着へ向け、目標を定めしっかりとさらに取り組んでいただきますよう要望をさせていただきます。 質問では最後です。 誰もが安心して暮らせる街を目指してというテーマで質問をさせていただきます。 誰もが安心して暮らせる街熊本を実現するため、交通と生活という2つの視点から、それぞれの安全、安心を確保するための取組についてお尋ねをいたします。 まず、交通安全についてです。 近年、広く国民の間で健康志向が高まっていることやシェアサイクルが普及していることなどに伴い、自転車利用のニーズが高まってきています。 熊本市内におきましても、市内の回遊性向上、中心市街地の渋滞対策、市電の混雑緩和など、様々なニーズに伴い、昨年4月から、チャリチャリと呼ばれるシェアサイクルが普及しています。利用者数も利用回数も増加傾向にあると聞きます。今後も、このチャリチャリの利用エリアは拡大される見通しであると伺っています。 一方で、特に中高生の並走や信号無視など、交通ルールを守らない自転車の利用に対する住民の方々からの厳しい意見を耳にすることも多くあります。 本県において、良好な自転車秩序が確立された住みよい社会を実現することは、大変重要な課題であると感じています。 さらに、自転車のヘルメット着用については、今年4月から努力義務化されていますが、熊本県の着用率は、全国に比べて低い水準であると聞いています。 また、今年7月にスタートした特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードの普及も見込まれるため、これらを含めた自転車等の安全利用に向けた取組が、今後ますます重要になってくるものと思われます。 次に、県民生活の安全確保についてです。 本県における電話で「お金」詐欺の被害状況につきましては、認知件数が増加傾向にあり、被害額も数億円単位に上るなど、深刻な状況であると聞いています。 電話でお金の話が出たら詐欺であるという意識を、県民一人一人に深く認識していただこうと、県警察独自に「電話で「お金」詐欺」というキャッチコピーを掲げ、被害防止や被害根絶に向けて取組をされていると聞いていますが、ますます複雑化し、多様化する犯罪手口に対して、ゴールのない戦いが続いているのが現状と聞きます。 さらに心配なのは、ネット犯罪被害です。 スマートフォンがあらゆる世代に普及し、かつ、誰もがインターネットを気軽に利用できる社会になったことは歓迎すべきことでありますが、巧妙な手口でのネット犯罪が続発しており、その被害根絶に向けた対策が課題となっています。 私のところにも、世界的なネット通信販売を模したメールが、本物のメールと見分けがつかないような状態で頻繁に配信されます。 また、口座を持ってもいない大手銀行から利用者確認のためと称したものや宅配業者から留守対応の連絡と称したものなど、一見真実かと勘違いしてしまいそうなメールが多数送られてきます。 最近では、マイナポイントの取得期間が延長されました、ポイントの確認ができますなどと語った偽メールも、本物そっくりに頻繁に送られてきます。 県内のサイバー犯罪に関する相談も増加していると聞きます。ネットの必要性を感じながらも、利用することに不安を感じている県民の方は多いのではないでしょうか。 県民の皆様が安心してインターネットを利用できるような、ネット犯罪被害のない社会とするための対策が強く望まれているところです。 そこで、まず1点目に、自転車の交通事故の情勢や安全利用に向けた取組と今後普及するであろう電動キックボードの安全対策について。 2点目に、電話で「お金」詐欺やネット犯罪に関する被害の状況と安全対策について。 以上2点につきまして、それぞれ
警察本部長にお尋ねをいたします。 〔
警察本部長宮内彰久君登壇〕
◎
警察本部長(宮内彰久君) 議員御指摘のとおり、自転車利用のニーズの高まりが指摘されている一方で、交通ルールを守らない自転車利用者に対する批判的な意見も見られるところであり、良好な自転車交通秩序の確立は、重要な課題であると認識しています。 まず、本県における自転車の交通事故の現状ですが、10月末現在で、自転車が当事者となる人身交通事故が406件発生し、2人が亡くなり、415人が負傷されています。 交通事故全体が減少傾向にある中で、自転車の交通事故が全交通事故に占める割合は増加しており、10月末現在で、10年前の同時点よりも約4ポイント増の15.3%となっています。 また、自転車の交通事故のうち、約半数は自転車利用者側にも何らかの法令違反が認められるなど、自転車利用の交通ルールが遵守徹底されているとは言い難い状況にあります。 自転車利用の交通ルールが遵守されない要因は様々あるかと思いますが、自転車が自動車と同じ車両であるとの認識が低く、車道の左側通行が原則であることなど、基本的な交通ルールの遵守意識が希薄であることも要因の一つであると考えられます。 県警察では、自転車の安全利用に向けた対策としまして、小中学生や高校生等に対する交通安全教育を充実させることにより、基本的な交通ルールの周知を図っていますほか、自治体や教育機関等と連携して、ヘルメットの着用促進に向けた啓発活動を行っています。 あわせまして、自転車の交通事故発生が懸念される場所を中心に、交差点での一時不停止や車道における右側通行など、危険性、迷惑性の高い違反行為に重点を置いた交通指導取締りを実施しています。 また、議員御指摘の特定小型原動機付自転車につきましては、今のところ、本県では人身事故の発生はありませんが、今後、自転車とともに、その安全利用を確保していくため、電動キックボード等の販売や貸出しを行う事業者と連携し、購入者や利用者に対する交通ルールの周知に取り組むなど、必要な安全対策を進めてまいります。 次に、電話で「お金」詐欺やネット犯罪の現状と安全対策についてお答えします。 県内の電話で「お金」詐欺の発生状況は、10月末現在で、認知件数が、前年同期と比べて17件増の99件、被害額は約2億3,997万円となっており、前年同期と比べて認知件数が増加するなど、深刻な状況が続いています。 また、ネット犯罪、いわゆるサイバー犯罪についても、10月末現在で、県警察が受理した相談件数が、前年同期と比べて150件増の3,803件となっており、過去最多であった前年を上回るペースで増加しています。 県警察では、電話で「お金」詐欺の被害防止対策としまして、テレビCM等を活用して、最新の手口や対策について広報啓発を行っていますほか、高齢者宅を個別訪問するなどしまして、被害防止に向けた注意喚起を行っています。 また、固定電話を常時留守番電話に設定することや防犯機能つき電話機や自動通話録音機を活用することなど、犯人から電話を受けないようにするための対策についても広報啓発を行っています。 加えまして、金融機関やコンビニエンスストア等と連携して、ATMでお金を振り込もうとしている方や電子マネーカードを購入しようとしている方への声かけを行うことによりまして、被害の未然防止を図っています。 次に、サイバー犯罪への対策につきましては、他の都道府県警察と連携した取締りを推進していますほか、不審なメールやSNSに記載されたリンクをクリックしないことや、メール等の内容を確認するときは、公式のサイトやアプリを利用することなど、サイバー犯罪の被害に遭わないようにするための広報啓発を行っています。 県警察におきましては、県民の皆様が安全で安心して暮らせる熊本を実現するため、引き続き、電話で「お金」詐欺やサイバー犯罪の被害防止に向けた各種対策を進めてまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 自転車の交通事故が交通事故に占める割合は年々増加しており、自転車利用の交通ルールが遵守徹底されているとは言い難いとのこと、全く私も同感であります。 警察庁は、携帯電話を使用しながら自転車を運転する行為の罰則を強化することを検討していると聞きます。これは携帯電話使用に起因する自転車事故が増加しているからだと聞きます。ただ、自転車の事故摘発は全国地域によって偏りがあり、反則金の対象に入れるにも、免許証を持っているわけでもなく、さらに議論が必要というふうにもお聞きします。 答弁にもありましたように、全国でも低い着用率と言われるヘルメットの着用促進の啓発活動を含め、若い世代に交通ルールの周知の徹底をお願いしたいと思います。 電動キックボードは、東京で気軽に乗っている若者を見ましたが、非常に危険で心配です。事故が起きたときの賠償など、普及する前にルールの周知と危険性も発信すべきではと思います。 電話で「お金」詐欺については、認知件数は増加、被害額も2億円超と深刻です。ネット犯罪も相談件数が増加で、過去最多の前年を上回るとのこと。質問でも述べましたように、内容は巧妙化し、不審とさえ感じない状況もあるのではと推測します。残念ですが、全てにおいて安全な通知なのか、行動する前に気軽に相談先を充実させるなどの対策に努めていただくよう強く要望をさせていただきます。 質問は以上でございますけれども、今回質問になかなかなり得なかったことを2つ、要望として述べさせていただきます。 1点目は、水素の可能性を諦めるなという、ちょっと過激なタイトルにはなりましたが、これまでずっと水素に関して質問に取り上げさせていただきました。今熊本県にとって、私なりに危機的状況ではないかという思いで要望させていただきます。 次世代エネルギーへの水素の利活用につきましては、これまでも毎回議論してまいりました。 政府は、2017年に決めた水素基本戦略を改定し、供給量を、現在の200万トン、30年に300万トン、50年に2,000万トンを目指し、官民合わせて15年で15兆円の投資計画を打ち出しました。 富山県は、10月、富山大学、富山県立大学、県内企業が会員となっている富山水素エネルギー促進協議会と水素やアンモニアの燃料利用で連携協定を結びました。脱炭素化を進める中で、サプライチェーンの構築を目指しての先進的な取組と聞きます。 経済産業省は、9月に、都内で開いた国際会議で、有力な次世代燃料とされる水素について、2030年までに世界全体で活用する量を1億5,000万トンに増やす目標を示しました。必要な規模や時期の目安を設けて、国際的な供給網の構築に向けた早期の投資を促す姿勢を示したところです。 活用目標の1億5,000万トンのうち、6割の9,000万トン分は、再生可能エネルギー由来かCO2発生を抑える脱炭素技術で製造した水素で賄うこととされています。 また、長野県の金属加工業者は、太陽光発電と燃料電池を組み合わせて利用できるシステムの実証実験を始めました。 このように、水素をテーマにした様々な動きが全国で見られているところです。 さて、熊本県庁に設置されている水素の供給施設、いわゆるスマート水素ステーションは、耐用年数が経過し、修理のための部品の供給も困難であり、今後メンテナンスにも支障があるとのことで、このままでは撤去もやむを得ない状況にあるのではないかと私は危惧をしております。 今県がリースしている燃料電池自動車、FCVは、EV車に比べて航続距離で勝ります。長距離を運行する機会が多いトラックやバスは、将来的にはFCV、燃料電池車に切り替えられることが見込まれています。 県庁内に設置されたスマート水素ステーションは、脱炭素化や次世代エネルギーの構築に向けて、水素の可能性追求を発信する熊本県の象徴的な存在であっただけに、これを失うことになれば、非常に残念でなりません。 これからも、水素という魅力あるエネルギーの可能性を追求し続ける熊本県であるべきだと私は固く信じております。 そして、熊本県には、水素を諦めない、引き続きこれを追求するという姿を内外に発信し続け、県内経済界、とりわけ産業界に対する水素エネルギーの製造や関連技術の開発への機運醸成を強力に推し進めていただきますよう、ここに強く要望させていただきますとともに、引き続き、水素については、また議論をさせていただきたいというふうに思っております。 そして、もう1題、県営団地の今後の在り方についてというテーマで要望をさせていただきます。 県営団地の空室率が2割ということで、近年で最高の水準であるとの報道に接しました。県内6市町にある県営団地は、その8割が熊本市に集中しており、空き家対策とともに、老朽化対策が急務となっております。 先日、熊本市営団地も、老朽化、空室対策として、2055年度までに、全体の3割に当たる約4,000戸を削減するとの報道もあったところであります。 県営団地の場合には、その多くが高度成長期に整備され、築35年以上が約8割を占めるまでになっています。中には、風呂釜の設置、撤去は入居者の負担としている団地もあり、団地によって入居条件などは様々なようです。 私もよく相談を受けることがあります熊本市西区の八島団地は、築年数が最も古く、1960年代の建物で、築60年を超えている棟もあります。公会計制度に基づく固定資産台帳に記載されているこの建物の評価額は、備忘価格に相当する1円の評価になりますが、一方で、この土地の評価額については、八島団地の帳簿価格は約18億9,000万円に上ります。しかも、これは取得当時の価格であるため、現在の価値にしてみれば、この帳簿価格よりもはるかに高い評価額になることが見込まれ、熊本市内や熊本市近郊に位置する県営団地の土地は、いずれも活用策としては様々なマネジメントを検討する余地があるのではないでしょうか。 熊本県公共施設等総合管理計画では、経営戦略的視点に立った県有財産の総合的な管理に関する基本方針を示しておられます。その中で、マネジメントの手法としては、総量最適化、効率的活用、長寿命化の視点を持つこととされています。 マネジメントの一般的な手法は、人、物、金を有効に評価、分析、選択などをし、その後の改善や調整を経て、統制、組織化していくことであると私は考えます。 こうしたことを踏まえた上で......
○副議長(内野幸喜君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。
◆(前田憲秀君) (続) 公会計制度改革で示された県有財産の細かな分析などを含めて、県営団地を含めた県有財産の評価やマネジメントの姿が見える化された中で、透明性を高めた議論を進めていただくよう強く要望をさせていただきたいと思っております。 以上で私が今回用意をした質問と要望は終わりました。 最初にも述べましたように、今日の午前中で本日の県議会は全てが終わったかのように、午後は、皆さん、大変時間との戦いで苦労をおかけしたかと思います。 蒲島知事におきましては、まだ任期までにはいろいろとやることもたくさんあると思いますし、また、バトンタッチをすべく人、どういう方になるか分かりませんけれども、蒲島知事がこれまで行ってきたことをしっかりとバトンタッチできるまで頑張っていただきますようエールを送らせていただき、私の今回の質問を終わらせていただきたいと思います。 最後まで御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(内野幸喜君) 以上で本日の
一般質問は終了いたしました。 明7日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時14分散会...