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12月08日-02号

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  1. 熊本県議会 2022-12-08
    12月08日-02号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和4年12月 定例会               第 2 号              (12月8日)  令和4年   熊本県議会12月定例会会議録     第2号令和4年12月8日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  令和4年12月8日(木曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            堤   泰 之 君            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            井 手 順 雄 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     理    事 小金丸   健 君     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(溝口幸治君) おはようございます。 これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(溝口幸治君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 松田三郎君。  〔松田三郎君登壇〕(拍手) ◆(松田三郎君) 皆様、おはようございます。自由民主党県議団・球磨郡区・松田三郎でございます。 今ワールドカップサッカーが行われておりまして、日本は非常に残念な結果であるかなと思っておりますが、昨日帰国なさって、この一連の快進撃を見ておりまして思うところがありました。事前にしっかりした準備をして強い思いで事に当たれば、大概のことは何とかなるな、このように、教訓といいますか、希望を与えてくれたのではないかと思っております。これは、私たち議員活動にも、そして選挙にも当てはまることではないかと思いますので、皆さんそれぞれの感想があったかと思いますが、私からトピックとして披露させていただきました。 私の後ろには、地元の同僚であります溝口幸治議長がお座りでございます。高校では私のほうが先輩でございまして、当選回数も多うございますが、今日は溝口議長に見下されながら、もとい、見守られながら質問を進めたいと思います。皆様よろしくお願い申し上げたいと思います。 まずは、令和2年7月豪雨災害関連についてでございます。 あの忌まわしい大水害から2年5か月が経過いたしました。被災なさった方々の御努力をはじめ、国、県、被災自治体及び関係者の皆様の絶大なる御支援、御協力によりまして、復旧が、そして復興が、かなりの部分進みました。 地域住民の方々のコンセンサスが必要であったり、また、不調、不落などによりまして、まだまだ時間がかかりそうな部分もございますので、引き続き、皆様方の御支援、御協力をよろしくお願いいたします。 さて、今回は、数ある論点の中で、まず五木村の振興について質問したいと思います。 そもそも論になりますが、なぜ五木村を支援し、振興しなければならないのか、その理由を理解するためには、五木村の歴史や今置かれている状況を整理しなければならないと考えましたので、しばらくお付き合い願いたいと思います。 昭和38年からの度重なる水害を受け、川辺川ダム建設計画が表明されたのが昭和41年であります。この問題により、村は二分、三分され、裁判闘争にまで発展しました。その後、紆余曲折あり、平成8年にダム本体着工に同意したのであります。まさに苦渋の決断でありました。 しかし、その後が問題であります。それまでダム建設を要望していた下流域の一部から、反対運動が起こりました。あの悪名高い住民討論集会などを経て、平成20年、蒲島知事川辺川ダム計画白紙撤回表明がありました。 ダムによらない治水を検討する場などでの議論もありましたが、令和2年の大豪雨災害を契機に、流水型ダムを建設することに至りました。 改めて申し上げますが、ダムが建設されても、その上流に位置する五木村にとって、治水上の恩恵は全くありません。全て下流域のためのダム建設であります。造ると言ったり、造らないと言ったり、そしてまた造る。極端に言うと、五木村にとっては、どちらでもよいから早く決めてくれという思いが強いのではないでしょうか。 ただ、結論によっては、ダムを前提とした村づくりを考えるべきか、はたまたダムを前提としない村づくりを考えるべきか、村の振興の方向性に大きく関わる問題を抱えたままでありました。 五木村には何の責任もなく、下流域の要望により、また、国、県の政策に翻弄された結果が、ピーク時の6分の1ほどに減ってしまった1,000人を割る現在の人口ではないでしょうか。 このように傷んだ五木村の振興を最大限支援するのは、ダム建設とともに、県の最重要課題と言えるのではないでしょうか。 少々前置きが長くなったかもしれませんが、知事は、9月の我が党の池田議員代表質問に対して、秋頃をめどに振興計画を村に示すと答弁され、五木村への感謝の気持ちを忘れず、不退転の決意で取り組むとの強い決意を表明なさいました。 五木村の振興に向けては、10月に、県から五木村振興計画案を示し、現在、国、県、村で計画内容や具体的な取組について協議を重ねている状況だと聞いております。 そこで質問でありますが、流水型ダムを前提とした新たな五木村振興計画における村の目指す姿や方向性をどのようにお考えなのか、知事にお尋ねいたします。 次の質問です。 五木村においては、流水型ダムに係る、いわゆる水没地である湛水区域への環境影響維持管理、また、現在の施設の取扱いを含めた湛水区域の利活用が今までどおりにできるか否かについて、村民から心配の声も多く、また、関心も高いようであります。 そのような心配や関心に応える必要もありますし、結論によっては、村の振興を大きく左右する問題であるとも言えます。 そこで質問ですが、今後の湛水区域の取扱いに関する県の考えをお尋ねいたします。 以上2点につき、蒲島知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、新たな五木村の振興計画についてお答えします。 議員御指摘のとおり、長年川辺川ダム問題に翻弄され続けてきた五木村の振興は、県政の最重要課題であります。 このため、本年6月、流水型ダムの決断に至った経緯と新たな五木村振興計画の方向性について、私自ら村の皆様に直接説明し、御意見を伺いました。 その後、新たな五木村振興について、村及び村議会と意見交換を重ねるとともに、村が主催した25回の村政座談会全てに県の担当者が出席するなど、様々な機会を捉えて村民の皆様の御意見、御要望を伺ってきました。 そうした御意見やこれまでの振興の成果と課題を踏まえ、県庁全部局で知恵を絞り、国とも調整の上、流水型ダムの完成後も見据えた、おおむね20年を期間とする計画案を、10月に村と村議会にお示しいたしました。 この計画案では、目指す姿として「誰もが安全・安心に住み続けられ、若者が集まる"ひかり輝く"新たな五木村」の実現を掲げました。 そして、それを成し遂げるための4つの取組の方向性として、第1に「生涯にわたり住み続けられる医療・福祉・教育の推進」、第2に「豊かな恵みを生かした持続可能な産業と雇用の創出」、第3に「新たな時代を見据えた安全・安心を確保する生活基盤整備」、第4に「"清流川辺川"と"流水型ダム"を生かした新たな振興」を掲げております。 さらに、従前の川辺川ダム建設計画水源地域整備計画に基づく事業、水没予定地に整備された施設の取扱いなど、流水型ダムへの転換に伴う新たな対応の整理も位置づけております。 そして、五木村の人口減少に歯止めをかけ、流水型ダム完成後の2040年には、年少、生産年齢の人口比率を県平均まで向上させるという数値目標を掲げました。 現在、この計画案を基に、計画に盛り込む具体的な取組や事業などについて、村と協議を行っております。 全国的に人口減少が加速する中、特に高齢化や過疎化が進展する五木村において、人口減少に歯止めをかけることは容易ではないことは認識しています。 しかしながら、ダム問題に翻弄され続けてきた村の振興を図るためには、村民の皆様が将来に希望を持てる目標を明確に掲げ、その達成に向けて、これまで以上の責任と覚悟を持って、村と一緒に取り組んでいかなければなりません。 そのためにも、実効性と継続性が担保された新たな振興計画が不可欠であります。 村や村議会からは、振興計画は絵に描いた餅になってはいけない、振興に関する財源の見通しを知事の任期中に明確に示してほしいなど、振興計画を実行するための中長期的な財源確保に係る御要望を伺っています。 また、村として、計画的かつ柔軟に振興に取り組めるよう、県の交付金を村の基金に積み立てたいなどの御要望も伺っています。 そうした御要望を真摯に受け止め、それらが一つ一つ実現できるよう、知事として、全庁的に具体的な検討を行うよう指示をいたしました。 五木村が将来にわたり安心して村の振興に取り組んでいけるよう、県議会の御支援を頂きながら、今年度末を目途に、新たな振興計画を国や村と一緒に策定してまいりたいと考えています。 次に、今後の流水型ダム湛水区域の取扱いについてお答えします。 流水型ダム湛水区域、特に旧頭地地区周辺は、かつて多くの方々が暮らした村の中心部であり、この場所に対する村民の皆様の特別な思いを私は大切にしなければならないと考えています。 湛水区域環境影響維持管理に関しては、村民の皆様の中にも、水がたまった後、土砂や流木などが堆積するのではないかなど、御心配の声があることは伺っています。 この点については、現在、国において環境アセスメントの手続が進められており、今後、必要な環境保全措置が検討されるものと考えています。 県としましても、流水型ダムの建設、供用後も、ダム上流域河川環境を良好に保全するため、湛水区域のより効果的な管理やより高度な利活用が実現できるよう、管理者である国と連携しながら、主体的に取り組んでまいります。 また、湛水区域の利活用については、これまで、いわゆる水没予定地を生かした振興を重点的に進めてきました。 流水型ダム完成後は、一定規模以上の洪水時には湛水区域に水がたまりますが、平常時には水はたまらず、周辺地域の自然、清流が残されます。 今後、この特徴を生かし、国、県、村の連携の下、五木源パークやコテージなど、既に整備された施設の取扱いを含め、村の振興に資する湛水区域利活用方針を定めてまいりたいと考えています。 今なおダム問題に翻弄され続けている五木村の苦難の歴史を受け止め、下流域の方々のために苦渋の決断をされた五木村の皆様への感謝の思いを胸に、誰よりも責任と覚悟を持って、引き続き、五木村の振興に取り組んでまいります。  〔松田三郎君登壇〕 ◆(松田三郎君) 御本人を前にして大変言いにくいことではございますが、五木村の多くの方の根底には、知事に対する一種の不信感があるような気がいたしております。ただ、答弁にありましたように、五木村の振興についての知事の思いは、偽りなく本物だと、このように思いますし、それは私も保証をしたい、このように思うわけであります。 どうか県執行部におかれましては、振興に必要な中長期的な財源の確保はもちろんでございますが、五木村への人的支援という点についても御検討をいただければとお願いするところでございます。 実は、我々自民党といたしましても、五木村の振興を強力に後押しするため、今議会において五木村振興推進条例の改正を提案し、計画の実効性、継続性を担保したいと考えております。どうか議員の皆様におかれましては、御理解と御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。 また、知事は、9月の代表質問で、事業の方向性や進捗を確認する仕組みについては、環境アセスメントの動向を注視しながら、速やかに構築すると答弁されております。方法レポートの公表をされた今、その仕組みについても速やかに設置していただきたいと要望したいと思います。 次に、相良村の振興についてでございます。 言うまでもなく、流水型ダム建設予定地は、五木村ではなく、球磨郡相良村であります。ダム建設計画に伴い、相良村でも多くの方が村内外に移転なさっておられます。 このような事情から、相良村の中には、五木村と同程度とは言わないけれども、五木村と比較して相良村への支援があまりにも少な過ぎるのではないかとの不満が以前からあったように感じております。 これまで様々な事情もあったとは思いますが、建設予定地である相良村の振興も決して忘れてはなりません。 相良村による熱心な御要望もあり、既に、県庁内の推進体制として、田嶋副知事をトップとする相良村振興推進会議を立ち上げたと聞いております。 今後の相良村の振興に向けた知事の意気込みと取組状況についてお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 相良村は、新たな流水型ダムの建設地であり、上四浦地区で60戸が移転を余儀なくされるなど、川辺川ダム建設計画により大きな影響を受けてこられました。 相良村の振興については、こうした歴史を踏まえた上で、国とも連携しながら、しっかりと取り組んでいく必要があると考えています。 このため、私は、本年7月に相良村を訪問し、流水型ダムを含む緑の流域治水にかける思いと今後の相良村の振興に向けた県の考えを村民の皆様に直接お伝えしました。 その中で、今後、村の意向を踏まえながら、村の振興に全力で取り組んでいくこと、また、そのために村の振興を後押しする全庁的な推進体制を構築することをお約束いたしました。 その後、10月に、吉松村長から、村の振興策について御提案を頂きました。これを受け、直ちに、田嶋副知事をトップとする相良村振興推進会議を中心に、全庁一丸となって振興策を取りまとめるよう指示しています。 御提案があっている農業基盤整備については、県と村によるプロジェクトチームを設置し、事業着手に向けた課題等の抽出、整理を始めています。 また、川辺川を生かしたアユのやな場やキャンプ場など、廻り観音周辺拠点整備については、県の補助制度を活用して、必要な機能等を検討するための村の実証実験が始められています。 これらの取組などを通して課題等を整理した上で、今年度末を目途に振興策を取りまとめていきたいと考えています。 令和2年7月豪雨災害からの村の復興の理念である「未来につなげるむらづくり」が実現できるよう、国と連携し、村と一緒になって全力で取り組んでまいります。  〔松田三郎君登壇〕 ◆(松田三郎君) 相良村には大分待ってもらっておりますので、相良村全体に行き渡る振興策を、一つ一つ確実に、目に見える形で支援していただきたい、改めて私からも要望したいと思います。 次に、JR肥薩線の復旧についてでございます。 私は、くま川鉄道とJR肥薩線の復旧については、豪雨災害直後の令和2年9月定例会の代表質問において、詳しく質問し、要望をしております。 まず、くま川鉄道については、その後の関係者の御努力により、大きく進捗しております。 現在は、肥後西村駅から湯前駅までの部分運行ではありますが、最も大きな被害となった球磨川第四橋梁の復旧工事にも着手し、いよいよ令和7年度中には全線運行再開することが決定をいたしております。関係者お一人お一人に対して、深く感謝申し上げたいと思います。 次は、いよいよ肥薩線の番であります。いまだ見通しが立たない肥薩線の復旧を、目に見える形にすることが重要であると考えます。 去る11月18日には、「SL人吉」を牽引する現役最古の国産蒸気機関車が完成から100年を迎えるということで、百歳記念イベントが開催されました。会場となった八代駅には、多くのSLファンを含め、子供から大人までたくさんの人でにぎわっていたそうであります。 同時に、JR九州から、令和6年3月末での引退も発表され、誠に残念な思いであります。 しかし、鉄道というものが、単なる移動手段というだけではなく、多くの人をまさにわくわくさせる特別な乗り物だということを改めて感じた次第であります。 県においては、肥薩線検討会議肥薩線再生協議会などを通じて、国やJR九州関係市町村と協議を行っていただいておりますが、いまだ鉄道での復旧にめどが立っていないのが現状であります。 ただ、地元と鉄道事業者の協議により、地方の赤字ローカル線を再構築していくことを求める国の有識者会議による提言が本年7月に出され、国がしっかりと関与する方向性が打ち出されたことも追い風になるのではないかと期待をいたしております。 いずれにしましても、肥薩線は、人吉・球磨地域にとって、外から観光客を呼び込むためになくてはならないものであり、一日も早い鉄道としての復旧が望まれるところであります。私も、地元県議として、復旧に向けてしっかりと貢献していかなければならないと覚悟を決めております。 そこで、JR肥薩線の復旧に向けた現在の検討状況及び今後の復旧のめどについて、知事にお伺いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 肥薩線は、明治42年の開業以来、100年以上にわたって地元住民の生活を支え、球磨地域の木材を搬出するなど、地域の物流を担ってきた大事な路線です。 加えて、坂本駅、大畑駅などの駅舎や令和2年7月豪雨により流失した球磨川をまたぐ2つの橋梁などの鉄道施設は、近代化産業遺産群にも指定されています。球磨川沿いを走る川線や日本三大車窓とたたえられる山線など、魅力あふれる本県有数の観光資源です。 議員御紹介のとおり、肥薩線の復旧に向け、国、JR九州、県で構成するJR肥薩線検討会議と県、地元市町村で構成するJR肥薩線再生協議会を車の両輪として協議を進めているところであります。 今後の復旧に向けては、多額の復旧費用に加え、人口減少が進む中で、復旧後の持続可能な運行が課題となっています。 国の有識者検討会による提言では、地元と鉄道事業者の協議により、赤字ローカル線を、真に地方の発展に貢献し、利用者から感謝され、利用してもらえる公共交通に再構築していくことが求められています。 本県では、全国に先駆けて、検討会議において、国やJR九州とともに協議を進めています。 今週6日の検討会議においては、国土交通省から、国の補正予算を活用して肥薩線の持続可能性について調査を実施し、検討を深めてはどうかとの提案がありました。県、地元再生協議会としても大変ありがたい話であり、調査検討に要する予算を今定例会に追加提案する予定です。 復旧後の肥薩線を上下分離により支えていく覚悟は、既に地元市町村と共有しており、現在、地元負担財政的枠組みや具体的な各市町村の負担について検討を進めています。 しかし、これらの協議をまとめ上げていくためには、歳入基盤が脆弱な地元市町村を支える国の財政支援の拡充が必要であり、国に対して、あらゆる機会を捉えて要望してまいります。 全国のローカル鉄道のロールモデルとして、沿線地域やくま川鉄道でつながる球磨郡全域に新たな人の流れをつくるため、地元市町村とともに、私の任期中に復旧の道筋をつける覚悟を持って、全力で取り組んでまいります。  〔松田三郎君登壇〕 ◆(松田三郎君) 調査検討に要する予算を今定例会に追加提案する予定であるという御答弁がありまして、大変期待をするところであります。 あくまで私見ではございますが、JR九州が、現在は民間企業であり、株主の意向を気になさるということは重々理解をしております。ただ、歴史的には公的な会社であったわけでありますし、不動産業、ホテル業などが好調とはいえ、あくまで――これは私見でございますが、本業は鉄道事業なのではないかと思うわけでございます。どうかJR九州にあっても、さらに踏み込んだ御協力というものをお願いしたい、私から要望をするところであります。 そして、一番重要なのは、地元の情熱であります。沿線だけではなく、周辺の自治体、地域を含めた、そして首長や議会だけではなく、一人一人の地域住民を含めて、全員で熱い情熱を持った要望、陳情をし続けなければなりません。引き続き、知事も一緒に頑張りましょう。うんとおっしゃっていただきまして、ありがとうございます。 次に、空港アクセス鉄道についてであります。 私がこの問題を取り上げるのは、実は今回で4度目であります。平成29年11月定例会、平成30年11月定例会、令和2年9月定例会、そして今回であります。その時々で知事の判断を後押しする意図を持った質問でありました。 今定例会初日の議案説明の中で、知事は、肥後大津ルートとすることを決断され「一日も早い実現に向け、具体的取組を加速化」すると述べられました。 我々自民党は、この知事の英断を高く評価し、全面的に支援し、共に取り組んでまいる覚悟であることを、ここに高らかに宣言いたします。 9月定例会において、中間的な調査概要が示されましたが、その後の大きな動きとして、11月9日に開催された空港アクセス検討委員会で、最終的な委員会の見解として、肥後大津ルートが妥当であるとの意見がまとめられました。 また、11月29日には、JR九州の社長に直接会われ、肥後大津ルートについての確認書がJR九州との間で取り交わされました。 これらを踏まえ、肥後大津ルートの将来の発展性への期待は確信へと変わり、今回の決断に至ったとの御説明ではなかったかと思います。 私も、知事の決断に至った経緯や先述の中間的な調査概要などを踏まえると、肥後大津ルートが最適であると、まさに確信しております。 さらには、TSMCや関連企業の進出、九州東海大学の移転、新空港ビルの開業、南阿蘇鉄道の乗り入れ、阿蘇観光へのさらなる拡大などは、知事の決断を補強するものとなり得ると思います。 一方で、知事は、9月議会での我が党の池田議員代表質問に答えて、解決すべき課題、つまり、JR九州との協議、国の財政支援、県民総合運動公園のアクセス改善の3つの課題が残っており、対応の方向性を整理し、県議会及び県民の皆様へ説明を尽くしたいとも述べられております。 そこで、知事にお尋ねいたします。 まず、肥後大津ルートに決断された理由を改めてお尋ねいたします。 次に、9月議会で答弁されました解決すべき3つの課題について、現在整理されている対応の方向性とはどのようなものなのか。 最後に、一日も早い実現に向け、具体的取組を加速化させると説明されましたが、今後どのように進められるのか、知事の決意も含めてお尋ねいたします。 以上、3点について質問いたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、肥後大津ルートに決定した理由についてお答えします。 9月定例会において、三里木、原水、肥後大津の3ルートに係る中間調査概要を報告しました。その際、早急に県としての方針を固める旨説明するとともに、肥後大津ルートについて将来の発展性を感じると、その時点での私の感想を述べました。 そして、先月9日、空港アクセス検討委員会を開催し、有識者や交通事業者、経済界など、幅広い分野の専門性を有する委員の方々から、熊本駅と空港が直通で結ばれることは、県外や海外の旅行者にとって非常に分かりやすい、鉄道事業としては肥後大津ルートが素直なルートであるなど、様々な御意見を頂きました。その上で、肥後大津ルートが妥当であると、委員会としての最終判断を頂いたことは、私の決断の後押しになるものでありました。 また、JR九州とは、空港アクセス鉄道の早期実現に向けて、実務的な協議を進めていました。先月29日に、肥後大津ルートを採用する場合の運営方法や費用負担に関する確認書を取り交わし、公表することができました。 このことは、JR九州の主体的な参画を期待している私にとって、ルートを決定するに当たって、非常に重要な要因となりました。 さらに、菊陽町の原水駅周辺の地域においては、新たなまちづくりの計画づくりが進んでいます。また、肥後大津駅周辺地域では、民間投資による多くのマンションなどの建設計画が進んでおります。 TSMC進出に伴う関連企業の進出により、民間投資の動きが豊肥本線周辺部を中心に活発化しており、沿線地域全体を幅広くカバーできる空港アクセス鉄道が実現すれば、さらなる発展は現実的になるものと確信しています。 このような状況を踏まえ、今回、肥後大津ルートを空港アクセス鉄道の整備ルートとする決断に至りました。 次に、ルート決定に伴い、整理すべき課題についてお答えします。 1点目は、JR九州との協議についてです。 9月定例会以降、JR九州との間で、空港アクセス鉄道の早期実現に向け、肥後大津ルートとする場合の具体的な運営方法や費用負担について、精力的に協議を進めてまいりました。 その結果、先ほど申し上げたとおり、空港アクセス鉄道と豊肥本線全体の利便性の最大化及び運営の効率化という目標を共有し、早期実現に向け、協働して取り組んでいくことをお互いに確認できました。 運営方法や費用負担などの詳細については、引き続き協議していく必要がありますが、確認書を取り交わしたことは、大きな前進であります。 2点目の課題は、国の財政支援実現に向けた対応状況であります。 10月18日に、地元経済界や県選出国会議員とともに斉藤国土交通大臣に直接お会いし、現行の補助制度を超える、整備費の3分の1の財政支援について、要望を行いました。 大臣からは、簡単ではないが、これは有意義な事業であり、一緒になって知恵を絞りたいとの発言を頂きました。 今回のルート決定で、より具体的な案を示しながら、国との協議を進めることができます。 引き続き、あらゆる機会を通じて国との意見交換や情報共有を密に行い、財政支援の拡充、確保について理解を求めてまいります。 3点目の課題は、県民総合運動公園へのアクセス改善策についてです。 ロアッソ熊本の今シーズン終盤の活躍は目覚ましいものがあり、J1昇格まであと一歩のところまで迫りました。一方で、県民総合運動公園周辺の渋滞が頻発しており、イベント時のアクセス改善は喫緊の課題です。 これまで、基本的にはイベント主催者に対して対策を取るように要請してきたところですが、今後は、スポーツコミッションの活性化を図るためにも、運動公園の機能を最大限活用できるよう、県が主体的に対策を講じてまいります。 具体的な対応策については、現在取りまとめ中であり、今定例会の各常任委員会や特別委員会の中で御報告したいと考えています。 最後に、鉄道整備に向けた今後の進め方についてお答えします。 今回、肥後大津ルートに決定したことから、事業化に向けた検討を加速化する必要があります。そのため、具体のルート案を検討するための調査等に要する予算を今定例会に追加提案する予定です。 空港アクセス鉄道の整備は、私が知事に就任した直後から提唱している大空港構想を牽引する事業として、また、熊本地震からの創造的復興の総仕上げとなるプロジェクトであると考えています。 熊本の輝ける未来の礎として、早期実現に向けて全力で取り組んでまいります。  〔松田三郎君登壇〕 ◆(松田三郎君) 力強い御答弁を頂きましたが、一部に3分の1の国の財政支援は絶対条件であるかのごとき誤解があるようでございます。国の支援の拡充が得られないなら事業を断念するというような半端な覚悟ではないということでございます。要は、財源についての様々な工夫により柔軟に対応して、実質3分の1に一歩でも二歩でも近づけるように、チーム熊本の総力を結集して頑張っていこうということではないかと思います。 県民総合運動公園の渋滞対策については、御答弁ありましたが、かつて三里木ルートの検討の過程において期待をさせてしまったという点もありますので、大変この点は申し訳なく思っておりますが、御答弁にありましたように、今までイベント主催者任せだったのを、県が主体的に対策を講じるということでございますので、この点は安心したわけでございます。 どうか、関係部局、さらには熊本市などともしっかり連携して、できることはすぐにでも実行に移していただきたい、私からも改めて要望いたしたいと思います。 最後に、子供医療費助成についての質問でございます。 この問題の議論は、市町村への通院の医療費助成が4歳未満までである本県の取組が、実は全国的に最低水準であるとの指摘に端を発しております。 我々自民党は、この不名誉なポジションを脱するため、助成対象を拡大すべきと提言し、勉強会を重ねてまいりました。 それに対して、県執行部は、仮に県が助成対象を拡大したとしても、市町村の財政的な負担軽減にはなるものの、直接的な住民サービスの向上にはつながらないとの立場を堅持し、限られた財源をより効果的な子育て支援策に活用するという考えの下、本県独自の様々な施策に取り組んでいるとの回答でありました。 私も、本県独自の施策が、特色があり、成果を上げていることには一定の評価をいたしております。例えば、AIが子育て等の質問に回答するシステムの運用でありますとか、結婚、妊娠、出産などの支援を市町村が主体的に選択できるよう、パッケージで手厚く支援する総合交付金事業の創設でありますとか、3人以上の子供を持つ世帯を支援する事業などであります。 さらには、新生児の先天性疾患を発症前に発見し、早期治療につなげるための検査費用の助成を全国で初めて開始したところ、実際に発症前に発見することができた結果、早期治療につながり、順調に発育されているという例もあったそうでございます。 しかし、本県と同じく最低水準にあったある県が、助成対象の拡大を検討しているとの情報を得、文字どおりの単独ワーストワンになってしまうことを考えると、不名誉というだけではなく、県民の少子化対策に対する理解や協力を得にくくなってしまわないかとの懸念を抱くわけであります。 また、財源の付け替えのように見えても、余裕の出た財源で市町村が独自の施策に取り組むことも期待できるのではないでしょうか。 このような議論のやり取りを経て、9月議会で、知事は、市町村と一緒になって子ども・子育て支援に取り組んでいくため、市町村に対する調査を早急に実施し、必要となる新たな施策等について検討し、子供医療費助成制度の在り方について、方向性を固めると答弁されました。 市町村が既に取り組んでいる施策や必要と判断しても財政運営上実施できていない施策、さらには実施に必要な費用などを詳細に、そして丁寧に尋ねた調査を行ったと聞いております。 そこで、その調査結果を前提に、今後の子供医療費助成の方向性についてお尋ねしたいと思いますが、知事が答えをしやすいように、ここで松田式三択質問を復活させたいと思います。知事、よろしいですか。 次の3つから選んでください。A、私はやりたいが、健康福祉部長が反対するのでやれない、B、私はやりたいが、財源の検討が不十分で、先送りせざるを得ない、C、通院、入院ともに来年度から助成を拡充する方向で検討したい、以上3つの中からお答えいただきたいと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 9月定例会において、市町村と一緒になって子ども・子育て支援に取り組んでいくため、まずは市町村への調査を実施し、県と市町村の役割分担等について検討した上で、子供医療費助成制度の在り方の方向性を固めていきたいと申し上げました。 市町村を訪問し、調査した結果、全ての市町村が、来年度から新たな施策や施策の充実に取り組みたいと考えていることが分かりました。 これらの中には、産後ケアの充実や子供の居場所づくりなど、子供を安心して産み育てることができる環境を充実するための重要な施策も多く含まれていました。 そこで、県としては、国が掲げるこどもまんなか社会の実現に向け、市町村と一緒に子ども・子育て支援に取り組み、県全体として施策の底上げを図りたいと考えています。 この観点から、今後も市町村と意見交換を続けてまいりますが、県が負担する子供医療費助成を来年度から拡充したいと考えています。 議員に対する答えはCですけれども、拡充内容は、通院費は就学前まで、通院費用と比較して高額となる入院費は義務教育期間まで拡大する方向で検討を進めています。 国においては、来年度創設するこども家庭庁が司令塔となって、こども政策を強力に推進していくためには、国と地方自治体が車の両輪となり、それぞれの役割を十分に果たしていく必要があるとしています。 私も、施策の効果を最大化するためには、国、地方自治体が、それぞれの立場だからこそ実行できる施策に注力することが重要だと考えています。 そのため、既に全国の地方自治体が実施している子供医療費助成については、国が一律に実施すべきだと考えています。 全国知事会でも同様の考え方であり、先月には、岸田首相へ直接提言されたところであります。本県としましても、引き続き、全国知事会と連携し、国へしっかりと要望してまいります。 こどもまんなか社会を本県において実現するため、今後とも、市町村や関係団体と一体となって、真に効果的な子ども・子育て施策に取り組んでまいります。  〔松田三郎君登壇〕 ◆(松田三郎君) 県が行った調査というものは、いろいろ聞きますと、各市町村の首長もしくは副首長――市町村長です。そのレベルの方から具体的で詳細な聞き取りをした、こういう調査だそうでございます。 その結果、知事の御答弁にもありましたように、金があれば独自の施策を幾つもやりたいという前向きな意見が多かったそうでございます。 来年度からこども家庭庁も発足するわけでございますし、県においても、そして県内の市町村においても、これから来年度の予算編成作業が本格化する時期でありますから、まさに本日の表明はいいタイミングではないかと思うわけでございます。 繰り返しになりますが、知事の御答弁に、来年度から、通院費は就学前まで、入院費は義務教育期間まで拡大との答弁でありました。まさに歓迎すべきことではありますが、知事と同様、私も、国が一律に実施すべきであると、このように思いますので、御答弁にあったように、全国知事会と連携をして、引き続き、本県としても国に要望を続けていかなければならないと改めて思った次第でございます。 最後に、新たな財源をこれから捻出する、そういうときには、よくあることではございますが、その分を、その言い出した課の内部で、あるいは部の内部で、他の事業をやめたり、諦めたり、調整するように言われるということがままあるそうでございます。総務部長、財政課長、それは駄目です。 少子化対策は、喫緊の課題と言われて久しいわけでございます。国も予算を倍増すると言っているわけでありますので、単発の、また、一過性の施策で終わらせるのでは成果が期待できません。子供医療費助成も拡充する、そして成果を上げている県独自の施策も継続する、ぜひこの方針で来年度の予算編成をお願いしたいと思いますが、総務部長、よございますか。財政課長、よございますか。うなずかれたようで、期待をしたいと思っております。 若干時間を残しましたが、どうか皆様、すばらしい年をお迎えいただきますように期待を申し上げまして、私の質問を終了したいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時56分休憩    ――――――○――――――  午前11時7分開議 ○議長(溝口幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩田智子君。  〔岩田智子君登壇〕(拍手) ◆(岩田智子君) おはようございます。熊本市第一選挙区選出・立憲民主連合の岩田智子です。 今日は12月8日、太平洋戦争が始まった日です。いまだにロシアとウクライナの戦争は終わっていません。戦争が始まると、やっぱりなかなか終わらないというか、止められないということを学んできたはずなのにと思っています。とてもやっぱり怒りが湧いてきます。あらゆる外交努力こそが政治の役目だと改めて感じております。 議員になって2期8年、12回目の質問になります。今回の一般質問は、いつもそうなんですけれども、子供、若者、女性、そして高齢者の暮らしを見詰めた質問になっています。 早速、通告に従って質問を始めます。 まず、いじめ問題や不登校の解決について伺います。 文科省は、10月27日、全国の学校を対象に、2021年度に実施した問題行動・不登校調査の結果を公表しました。病気や経済的理由などとは異なる要因で30日以上登校せず、不登校と判断された小中学生は24万4,940人、小中高と特別支援学校のいじめの件数は61万5,351件で、ともに過去最多という結果が出ました。 熊本県では、暴行行為の状況が前年度比57件の増で274件、ここでは、中学校では減少していますが、小学校で130件と、前年度から62件も増加しています。 また、いじめの状況は、認知件数5,309件で前年度より368件減少していますが、高校や特別支援学校で増加をしています。さらに、重大事態の発生件数は、前年度より16件増え、23件となっています。 一方、長期欠席、不登校の状況は、小中学校で前年度より1,939人増の6,141人、高等学校で前年度より31人減の1,990人でした。また、高等学校の中途退学者は、前年度より98人増の422人であると公表をされました。 これらの暴力行為やいじめに関しては、長引く新型コロナウイルス感染症のストレスやSNSなどのインターネットを使うことが日常的になってきたことなどが要因とされているようです。 また、小中学校の不登校の児童生徒は、9年連続で増加をしています。このことは、学校のシステムそのものを考え直す時期に来ているのではないかと感じています。 今回、いじめに関することと不登校について質問をいたします。 近年、児童生徒の自殺いじめに関する調査の申出が続いていると思います。学校で起こったいじめは家庭だけで解決することはできません。7年たって、やっといじめいじめだと認められたケースでは、やっと前を向いて生きていけると、調査を申し出た元生徒は言っていました。彼が長期欠席をしていたことを重大事態と捉えていれば、問題が長引くことはなかったのではないかと感じています。 そこで質問です。 県教委として、これまでのいじめの重大事態の調査などから、同じようなことが再び起きることのないようにするために、改善が必要だと思うことはありますか。 次に、不登校問題ですが、今回の調査結果を踏まえ、小中学校での不登校生徒数の増加が止まらない原因と高校での不登校生徒数が減少した原因をどう捉えておられるのか、教育長にお聞きします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、いじめ問題についてお答えいたします。 いじめは、理由のいかんを問わず、決して許されるものではなく、教育委員会及び全ての学校、教職員が自らの問題として切実に受け止め、徹底して取り組むべき重要な課題であると認識しております。 これまで、県教育委員会では、いじめの重大事態の発生及び調査の経験等を踏まえ、適宜対応の改善に努めてまいりました。 具体的には、各学校に情報集約担当者を配置し、いじめ問題に係る一元的な窓口を設置いたしました。また、いじめ問題を迅速かつ的確に把握するため、不登校調査で把握された30日以上の欠席者の情報に関して、学校から報告を受け、いじめが影響するものでないかなど、確認を行うこととしています。 また、昨年度から新たに、県立学校の管理職を対象に、重大事態における初期対応等の実際の事例を用いて、再発防止に向けた研修を実施しています。 いじめ問題への対応は、早期の認知及び丁寧な対応が重要であり、10月の元県立高校生のいじめ事案での調査委員会からの御指摘も含めて、今後とも適切な対応ができるよう改善に努めてまいります。 次に、不登校児童生徒の生徒数の増減の原因についてお答えいたします。 例年の全国調査によれば、不登校の原因は、学校生活における不安や生活リズムの乱れなどが最も多い状況にあります。本県においても同様の傾向であり、特に令和3年度は、10代未満や10代の新型コロナウイルス感染者の割合が高くなったことから、感染への不安が増し、集団生活から距離を置こうとする心理が働き、小中学校の不登校児童生徒の増加につながったと考えております。 また、平成29年度に施行された教育機会確保法により、学校に登校するという結果のみを目標にせず、一人一人の状況に応じた支援により社会的自立を目指すという法の趣旨が浸透していることも増加の背景にあるものと考えております。 一方、高校においては、小中学校と異なり、学校規模や学びたい選択肢が広がり、学校や学科について自ら選んで進学することで、ミスマッチが減ったり、新たに気持ちの切替えができたりすることで、結果的に不登校の生徒は減少傾向にある状況です。 県教育委員会としては、引き続き、安全、安心に過ごせる学校を目指し、いじめや不登校への問題に全力で取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 御答弁いただきました。 いじめによって、将来のある貴い命が失われるという悲しい出来事が続いています。いじめられる側にも問題があると言う人がいます。学校での体罰に関しても、打たれがつしかなかと言う方もいらっしゃいます。 私は、学校教員時代、子供たちや保護者に教わったことがたくさんあります。学校で事件が起きたときにきちんと確かめること、間違ったことをしたときは、大人の教員であっても、きちんと子供に謝ること、そういうことを学ばせてもらいました。大人なんだから何でも正しく、子供は何も知らないというのは大間違いです。 大人の世界でもいじめがありますよね。差別や偏見をなくす役目の総務大臣政務官も、そういうことで今いろいろやられていますけれども、子どもの権利条約を1994年に批准してから26年がたちます。国連子どもの権利委員会は、2019年に、子供の意見の尊重や体罰に対して緊急措置を取るべきだと公表をしています。 文科省のガイドラインによると、いじめの重大事態を「心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがある」場合、「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」とあります。また「学校は、詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」という」ような「判断をしない」ということを明記されています。 熊本県の規則には、教育委員会が認めなければ重大事態とはなりません。学校が認めず、教育委員会にも報告がなければどうなるのだろうかと感じておりました。でも、今答弁で、30日以上の欠席、きちんと報告をするようにということを答弁されましたので、ちょっと安心をしました。そして、いじめ事件などは、やはりそこに第三者の目は絶対に必要だと感じています。 文科省が、生徒指導提要というのを12年ぶりに改訂をしたんです。289ページという膨大な内容なんですけれども、子供の権利の重視がうかがえます。 また、不登校の件なんですけれども、先ほど答弁にもありました多様性を認め合う視点を学校が広く持たなければならないと思っています。 不登校を自ら選ぶ子もいますし、行きたいけれども行けないという子供もいます。 私は、学校というのは他者を知る場でもあると思いますので、今はネットでつながってZoom授業とかもできますので、柔軟に対応していっていただきたいと思いますし、全国では、不登校特例校の設置も進んでいます、公立で。考えていく価値はあるのではないかなと思っています。 とにかく、いじめや不登校が発生する原因の一つは、教職員の多忙と余裕のなさも関係していると思いますので、関連して、次の質問に入ります。 教職員の働き方改革と教員志願者の確保について伺います。 子供たちが安心して学校生活を送るためには、教職員、先生方の余裕を持った対応が必要です。私は、議員になった8年前から、教職員の働き方や学校現場の課題を質問してまいりました。 2015年9月の一般質問では、教員採用試験における志願者の減少と教職員の負担軽減、免許外教科担当について、そして臨時的任用教職員の処遇についてお聞きしました。当時の田崎教育長は、志願者に対しては、大学へ出向き、志願者確保に努める、また、負担軽減については、管理職の意識改革は必要と考え、労働安全衛生法に関する事例検討を行う、免許外については、兼務発令などを進めると答弁されました。 一方で、全国的にも働き方改革が進められ、文科省は2019年に答申をまとめ、学校が担うべき業務、必ずしも教師が担う必要がない業務、教師の業務だが負担軽減が可能な業務を提示し、取組の徹底を通知しました。今年の8月、永岡文部科学大臣は「学校の働き方改革は専門職である教師のこれまでの働き方を見直し、子供達に対して効果的な教育活動を行うことができる時間を確保することこそが目的です。教育の質の向上を図り、我が国の未来を創る上で極めて重要な取組です。また、優れた教師を十分に確保するための教職の魅力化の観点からも、必要不可欠なものであると考えています。文部科学行政の最重要課題の一つである学校における働き方改革の推進を、本日の議論も踏まえ、積極的に取組を進めていただくようお願いします。」と話し、文部科学省として、学校における働き方改革の重要性を改めて強調し、今後も取組を一層推進するように伝えました。 そして、6年ぶりとなる教員勤務実態調査が8月から始まっています。今回は、夏季休業中の8月と10月と11月の3か月のそれぞれ1週間分の勤務実態の調査ということです。 県教委は、今年の9月に、2021年度の公立学校での働き方推進プラン検証報告を出されました。それによりますと、改善が見られ、時間外在校等時間月45時間超えだった教職員の割合が減少し、改善されています。が、年360時間以内である教職員の割合は改善されず、ストレスチェック値も改善がなかったということでした。 なお、市町村立学校の教職員については、月45時間超えの教職員の割合は改善されず、月80時間超えの割合は改善ということになっています。また、時間記録をしないまま仕事をしていたり、一旦打刻をした後仕事を続けたりしている先生の話も聞いています。 また、現場の先生方から、どんな業務が減らされたのか、どんな人員配置があっているのか、現場にいるとよく分からない、何も変わっていないような気がするという声も届いています。 そこで質問です。 文科省から通知が出て以降、具体的に何の業務が減らされたのかを教えていただきたい。あわせて、年々厳しい状況になっている教員志願者の確保については、今後どういう取組をしていくのか、教育長にお尋ねします。  〔教育長白石伸一君登壇〕
    ◎教育長(白石伸一君) 働き方改革と教員志願者の確保についてお答えいたします。 この2つの取組については、教職員が児童生徒と向き合う時間を十分に確保する上で、集中的に推進すべき喫緊の課題であると認識しております。 まず、働き方改革についてですが、議員御指摘の国の通知を踏まえて、令和2年度に熊本県の公立学校における働き方改革推進プランを策定するとともに、昨年度から、教員の負担が大きい分野ごとに、教育庁内にプロジェクトチームを設置し、重点的に取り組んでおります。 具体的な例としましては、ICTを活用したデジタル教材の導入による授業の準備に要する業務量の削減や、業務のサポートを行う支援員の配置による採点業務等の時間の縮減などがあります。また、部活動においては、週2日以上の休養日の設定や部活動指導員の活用により教員の勤務時間の縮減が図られています。 さらに、来年度から県立学校における学校徴収金や給食費の業務をシステム化することにより、帳簿作成や支払いの会計処理などの業務の効率化を進めるとともに、市町村立学校に対しても好事例の情報提供を行うなど、引き続き、学校現場における業務量の削減に取り組んでまいります。 次に、教員志願者の確保に向けた取組についてです。 今年度実施した教員採用選考考査において、年齢制限の撤廃や東京会場での考査実施等に取り組むとともに、採用予定枠を前年度から56名増やしました。 今後、現在教職に就いていない免許保有者を対象とした職務内容等に関する講習会など、教員志願者の発掘にも努めていくこととしております。 また、志願者確保のため、PR動画をホームページに掲載するとともに、現職教諭が県内外の大学に出向き、教員のやりがいなどを積極的にアピールするなど、本県教員の魅力発信にも取り組んでいます。さらに、今年度からは、熊本大学と連携して、高校生に対する教員魅力発信講座を開催するなど、より若い世代への発信も積極的に行っています。 今後とも、働き方改革と教員志願者の確保に全力で取り組み、教員が子供たちとしっかり向き合うことができる魅力ある学校づくりを進めてまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 御答弁いただきまして、現役の先生たちからの話を聞く機会が多くて、いろいろ話を聞きます。電話がかかってきたり、メールが来たりします。どうにかしてください、今3人先生が足りないんです、産休代替の方がずっと決まらずに1人いないんです、支援学級の先生が足りないので、1人で8人持っています、学年ばらばらでトイレに行く暇もありません。そういう方々の声。 それから、免許外の教科を持っていて、その教材研究に物すごく時間がかかって、授業がある前の日は、これでいいんだろうかと、すごくもう眠れないんですというような話も聞いています。 それから、これは小学校、中学校のことなんですけれども、週案というのがあって、毎時間、目当てとか目標とか書いて、それに赤字で反省を1時間ごと書いて、それを提出しなければいけない、それに相当の時間を使いますというような先生の話も聞いています。 現場では、本当に大きな改革というのがなかなか感じられていなくて、こういう状況になっています。 小中学校での市町村への働きかけもされるということで、とてもうれしい答弁だったんですけれども、市町村というのは、服務権者が市町村なので、県が採用していますけれども、それぞれの市町村でのいろんな仕事があります。独自性は仕方がないことだと思うんですけれども、その独自性がどんどんどんどん増えていくというようなこともありますので、ぜひ進めていってほしいなというふうに思っています。 先ほども言ったんですけれども、289ページの生徒指導提要というのが出て、それが教員の責任がそれだけ大きくなったという意味でもページ数が増えているということも感じられます。 それから、教員志願者の減少に関しては、熊本だけの問題ではなくて、SNSを見ていると、全国各地の教員募集のプロモーションの動画が流れたりしています。でも、教員不足全国ワーストワンという記事が出たときは、ちょっと私もショックで、先ほど熊大の話にもありましたけれども、熊大も、TSMC関係で新しい学科をつくるということで、すごく力を入れていらっしゃいますけれども、教育学部のある熊大で教育学部にも力をしっかり入れていただきたいなというふうに個人的には思っています。 これまでも、あの51年前にできた給特法、この前も議会でも何度も出されていますけれども、教職調整額4%について異論が出ています。仕事に見合った給料や報酬が見直されるべきであるとも思っています。 国家の基本は教育です。どなたも承知のことだと、これは思います。防衛費を増加するならば、教育費を2倍、3倍と、本当に考えなければ、目の前の子供たちが本当に大変な思いをすると思います。そのぐらい強く感じています。これはもう国に言うしかないんですけれども、そういうことも考えています。そういう意見は、先生方からいっぱい聞いています。 では、次の質問に移ります。 性犯罪、性暴力による若年層被害者への支援について伺います。 私は、2020年2月議会において、性暴力、性犯罪被害防止について質問をしました。ちょうど刑法が110年ぶりに改正され、性犯罪を防止するという観点からの質問でした。現在も、性犯罪規定については国会で様々な議論がなされているところです。 今回は、若年層被害者への支援について質問をします。 県内の犯罪情勢を見ますと、犯罪件数は減少しているようですが、お聞きしたところ、2021年の重要犯罪認知件数108件のうち、強制性交等、強制わいせつなどの性犯罪が約7割を占めています。その被害者の3~4割が20歳未満であるとのことでした。 しかし、前回の質問の折にも言いましたが、大人と子供の力関係で被害が表に出づらいこと、また、加害者が顔見知りの場合も多く、被害者が申告しづらいということもあり、氷山の一角ということは否めない状況です。 性暴力被害者のためのサポートセンターのゆあさいどくまもとへの相談件数を見てみますと、2020年度1,242件、2021年度1,628件と増加しています。ここでも被害者の年齢別内訳を見てみますと、半数が10代、20代です。相談は、電話がほとんどで、メールや面談での相談も受けておられます。直接的な支援として、産婦人科への付添いなどをされています。 そのような中で明るみになっていることは、若年層の女性への被害が多いこと、家庭内での性虐待の顕在化、教師や上司などの地位、関係性を利用した性暴力、被害の多くが相談されず、ケアにつながらないなど、どうにかしなければという問題ばかりです。 被害を受けることによって生じるものは、身体への影響、精神的な影響、生活への影響、経済的な問題、加害者からの報復への恐れ、二次被害の多さと深刻さなど、様々です。 被害者が、性被害の後、トラウマによって日常生活に支障が出ることも多いようです。特に若年層にとっては切実な問題となります。 熊本県では、2020年12月に熊本県犯罪被害者等支援条例が制定され、支援を着実に実行していくことになりました。 そこで質問です。 性犯罪、性暴力による若年層被害者への切れ目のない支援をどう構築されているか、環境生活部長にお聞きします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 県では、令和2年12月に制定した熊本県犯罪被害者等支援条例に基づき、これまでの犯罪被害者等支援に関する取組指針の内容を見直し、新たな取組指針を令和3年4月に策定いたしました。 取組指針では「日常生活の回復に向けた支援」「県民の理解の増進」「支援体制の充実・整備」を3つの基本方針とし、それぞれの具体的施策を整理し、関係部局が連携して取組を行っていくこととしております。 性犯罪、性暴力被害者への具体的な取組としては、性暴力被害者のためのサポートセンターゆあさいどくまもとにおいて、24時間の電話相談や病院や警察への付添い支援、弁護士などによる専門相談を行っています。 また、児童への性的虐待事案の場合には、児童相談所と関係機関が連携し、二次被害防止に配慮しながら対応しています。例えば、児童心理司によるケアや医師の意見等を踏まえた受診調整など、児童の被害状況に応じた支援を行っております。 さらに、精神保健福祉センターでは、電話相談や精神科医師の診察、臨床心理士等による面談を実施しており、トラウマケアなどの精神科医療が必要な場合は、専門医療機関の紹介などの支援も行っております。 このほか、県警察では、性犯罪被害者が相談しやすい環境整備を目的に、性犯罪被害相談電話等を設置し、相談に対応するとともに、経済的負担を軽減するため、人工妊娠中絶やカウンセリングなどの費用への支援が行われております。 議員御指摘のとおり、性犯罪、性暴力被害の相談件数は年々増加しており、そのうち約半数が10代、20代となっています。 被害が相談されず、ケアにつながらないことが生じないよう、若年層にも相談しやすい体制を整えるとともに、相談者の個々のニーズを酌み取り、国や市町村、関係機関とも連携し、県全体として切れ目のない支援に取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 環境生活部長に答えていただいたんですけれども、この問題は、警察本部と、あと、健康福祉部と連携をしながら進めていくという中身なんです。縦割り行政と言われる中で、熊本県が、この横軸を通しながら被害者支援に取り組むという姿勢が今見られたのではないかなと思っています。 熊本県の犯罪被害者支援に関する取組の指針も作成されています。連絡協議会も開かれていて、様々な機関が支援の概要をまとめられています。連携をさらに深めてほしいなというふうに思っています。 内閣府の、これは男女共同参画局なんですけれども、そこが調査した若年層の性暴力被害の実態に関するオンライン調査、オンラインのアンケートがあったんですね。それによると、被害の後の状況なんですけれども、被害によって、自分自身に自信がなくなったとか、異性に会うのが怖くなったとか、眠れないとか、生きているのが嫌になったとか、小さい頃だったので、自分が何をされたのか分からなかった、そういうような声もそのアンケートの中に出ています。 そして、その調査では、相談までに要した時間も聞いているんですけれども、相談できなかったケースが半数を超えていて、でも相談できたケースにおいても、相談まですごく時間を要することがあります。それから、性交を伴う性暴力の被害を受けた人は、被害からの回復にも長い時間がかかるという結果になっています。 相談しやすい環境づくり、若者にも、10代、20代の子供たちが、若い人たちが相談しやすい環境づくりをするとおっしゃっておられますし、医療や福祉への連携、精神科や診療内科とか、そういうところへの連携で、二次被害のないような取組をしっかりと支援していただきたいなと思っています。 やっぱりいろんな人がいろんなことを聞くと、やっぱり話したくないこといっぱいあって、だから、そこを一元的に、ワンストップというか、そういうところで皆さんで連携をしていかれると本当に相談もしやすいし、その後の支援も安心して委ねられるのではないかなというふうに思っています。 では、次の質問に移ります。 特定妊婦への支援について伺います。 特定妊婦とは、児童福祉法において「出産後の養育について、出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」と定義されています。 厚生労働省においては、妊娠期から適切な養育環境を確保するために、特定妊婦に対する支援が行われることは、子供の虐待の発生予防の観点から重要であり、心の問題のある妊婦、経済的に困窮している妊婦などを特定妊婦の指標として挙げられています。 近年、核家族化や地域の希薄化が進み、育児の孤立や育児の負担感が増加するなど、家庭の養育力の低下により特定妊婦が増加していると考えられます。また、市町村において要保護児童対策地域協議会の設置が進み、特定妊婦への支援が必要との認識が高まったことなどにより、この10年で8倍に増えているという特定妊婦ですが、収入基盤が不安定で貧困状態にあったり、知的障害や精神障害などで育児困難が予想されたり、DVや若年妊娠など複雑な事情を抱えていたりと、状況は様々です。 熊本県での特定妊婦の数は、2019年度123人、2020年度182人と公表されています。この数は、何らかの支援につながった数だと思いますが、実際はつながれていない人は、より深刻な状況だと思います。 そこで質問ですが、県として特定妊婦への支援にどのように取り組んでおられるのか、健康福祉部長にお尋ねをします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 令和2年度に全国で発生した児童虐待の死亡事例のうち、子供の年齢がゼロ歳の割合は40%を超えています。このような虐待死を未然に防ぐため、予期せぬ妊娠や貧困、DV、若年妊娠など様々な困難を抱える特定妊婦への支援は、重要な取組だと認識しています。 特定妊婦については、市町村が関係機関からの情報等を基に、要保護児童対策地域協議会に登録し、保健師による家庭訪問や各種制度の紹介などの支援を行っています。 県では、市町村の取組を補完する観点から、全国に先駆け、平成29年度より、産科医療機関にコーディネーターを配置し、妊娠、出産に関する相談支援体制を取っています。令和3年度は、約3,500件の相談を受け付け、50人を超える特定妊婦を把握し、市町村につなぐとともに、児童相談所や医療機関等と連携することで、早期支援につなげることができました。 また、本年10月からは、自宅などで生活できない特定妊婦等に対して、居場所の提供を行う取組を開始しています。 まだ2か月余りですが、望まない妊娠や経済的に困窮している妊婦を既に2名受け入れ、関係機関と連携の上、育児援助や生活支援などを行っています。 今後も引き続き、蒲島県政の基本方針に掲げる誰一人取り残さない社会の実現に向け、関係機関と連携を図りながら、特定妊婦への支援にしっかりと取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 9月議会での補正予算で、今答弁がありました医療機関やNPO法人で居場所の提供をするという補正予算が組まれて、そのほうがとても私はうれしかったんです。 それで今回質問を考えたんですけれども、厚生労働省の調査によると、毎年虐待で亡くなる子供のうち、言われたように約半数がゼロ歳児です。子供が虐待を受けるなどして行政から要支援とされた割合について、一般の家庭約2%に対し、特定妊婦の場合は50%に上るという調査結果も出ています。出産前後に落ち着いて過ごせる居場所があるというのは本当に大事なことだなというふうに感じています。 支援については、今言われたように、本当に全国に先駆けて取組を進めていただいて、とてもいいんです。深めていただきたいと思っているんですけれども、私は、この特定妊婦がなぜこんなに増えているのかを考えなくてはいけないというふうに思っています。 性教育、私が教員をしていた頃、小学校1年生から計画的に性教育が行われていました。動物の交尾から性交とか避妊とか中絶とか、高校までのカリキュラムをつくってやっていたんですけれども、今も行われています、性教育。 でも、1998年の学習指導要領の改訂時に、小学校5年生の理科で人の「受精に至る過程は取り扱わない」ものにするとか、中1の保健体育で「妊娠の経過は取り扱わない」ようにするというような歯止め規定が記載をされてから、この20年ぐらい、性交とかセックスとかいうことについて教えることが避けられています。性暴力被害の質問もしましたけれども、そもそも性交とかセックスとかを説明せずして、性暴力や性被害が何なのか、子供たちには理解ができないと思いますし、望まない妊娠についてもそうだと思っています。 特に、特別支援学校の生徒たちには、正しい知識を分かりやすく教えるために、人形を使った性教育を進めていた東京都立の旧七生養護学校ではバッシングを受けました。最高裁では、このバッシングした――都議会議員がバッシングしたんですけれども、その違法性を認められましたが、相当な性教育の萎縮につながったんです。特定妊婦の増加は、このような背景もあるのではないかなと私は考えています。 統一教会の政治への介入が取り沙汰されていますけれども、エバ国はアダム国に貢ぐべしというような、そういうことを教義としている団体ですけれども、女性を低い位置に置くジェンダー差別を根っこに置く教義の団体にとっては、この統一教会も大分バッシングに関わっていたということが言われています。子供たちが正しい知識を得ることを妨害することが、この団体にとっては正しいことだったのかもしれませんが、私は、本当にこの20年を返してほしいというふうに思っています。 特定妊婦への支援をしていくことは重要ですし、しっかりと取り組んでいただきたいと思っています。このように、特定妊婦が増えないように、望まない妊娠をしないように、そういうふうな教育もとても大事なことだと思って質問をいたしました。 次の質問に移ります。 安心、安全な学校給食について伺います。 先日、宇城市が、2024年4月から、小中学校の学校給食費の無償化をすることが明らかになりましたが、県内で言えば、これまで山江村、水上村、玉東町の3自治体のみでしたが、市で制度化するのは県内初ということで、すばらしい決断だなと思っております。 去る10月26日に、全国オーガニック給食フォーラムが開催されました。千葉県いすみ市の市長が実行委員長でした。このいすみ市は、有機米100%の学校給食を実行されている自治体で、今年の10月からは、学校給食の無償化にも取り組んでおられます。フォーラムには、農林水産省、文部科学省及び環境省から、行政の支援事業の説明がありました。 このフォーラムでは、フランスや韓国からも取組の発表がありました。 フランスでは、地方自治が先頭に立ち、学校給食の改善に着手し、広がっています。さらに、フランスでは、エガリム法、農業・食品業の均等な取引及び健康で持続可能な食生活の推進に関する法律が成立し、給食に持続可能で高品質の食材を50%、うち有機食材を20%入れることなどが広がっているそうです。 また、韓国では、親たちの運動と農民団体が一緒になり、全国の幼稚園、小学校、中学校の給食が無償になり、新環境給食――有機農産物や無農薬農産物を使った給食ですが、それに取り組まれているそうです。 一方、熊本県でも、給食食材に対して、様々な地産地消の取組が行われています。例えば、菊池市は、地産地消の重要性を伝える食育学習に積極的に取り組んでおられますし、山都町では、有機米の米飯給食の取組も行われています。 さらに、熊本県では、給食のパンが100%国産小麦粉使用になりました。このことも、このフォーラムで大きく紹介されました。これは反響が大きく、食、特に子供たちの給食に対する関心がとても高いことが改めて分かりました。 なぜなのか。輸入小麦粉は、乾燥する際にグリホサートなどの農薬をかけることが一般的で、そのことを危惧されていたからです。 農水省からは、みどりの食料戦略の中で、オーガニック給食などの取組を応援していますし、文科省は、今、有機農産物や地場産物の使用を推進しています。 オーガニックは、有機という意味で、有機JAS認証マークなどで判断します。化学肥料や農薬の不使用を基本に作られた農産物です。また、遺伝子組換え技術を使用しないものでもあります。 食は、命の源です。全国では、現在、123市町村が有機農産物を使用した給食を実践されています。実践されている自治体からの報告によると、子供たちの年間の欠席日数が減少したり、アトピーの改善や集中力がついたなどの報告がされています。また、移住者の増加や有機農業へ移行する農業者の増加、ブランド米ができたなどの報告がありました。 私は、熊本県として、このような進んだ取組ができないかなと考えています。 そこで質問です。 県立学校での安心、安全な給食食材の取扱いの現状や今後の取組を教育長にお伺いをいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 給食食材の取扱いの現状と今後の取組についてお答えいたします。 学校給食において、有機農産物をはじめとする地元で生産されたものを地元で消費する、いわゆる地産地消を推進することは、新鮮な食材提供に加え、子供たちの郷土理解、郷土愛の育成、地場産業の振興にもつながるものと考えています。 このため、平成20年度から、毎月19日を食育の日、ふるさとくまさんデーとして、県産食材を活用した熊本の郷土料理の学校給食を実施しています。また、学校給食で使用されている牛乳及び米は、100%県内産を使用しています。 このような取組の結果、令和3年度の文部科学省の調査では、本県給食の地場産物の使用率は、64%で、全国平均の56%を上回っています。さらに、今年度の2学期からは、県内産小麦粉50%以上を含む国内産小麦粉100%のパンを県内全域の学校で提供しています。この取組は、九州で初の取組です。 議員お尋ねの今後学校給食に有機農産物を使用するためには、安定的な供給体制など解決すべき課題もあることから、まずは有機農産物を使用した学校給食を提供している市町村等と情報交換を行い、どのような取組ができるか研究してまいります。 また、農林水産部とも連携しながら、地産地消のさらなる推進など、学校給食の充実を図ってまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 地場産物活用率64%ということで、全国平均を上回るというのは、やっぱり農業県熊本ならではだなと思っています。 次代を担う子供たちには、なるべくやっぱり体にいいものを食べさせたいというのは共通する願いだと思っています。国も、みどりの食料システム戦略を定めて、耕作面積の約25%まで有機農業を拡大するというような持続可能な国づくりを示しています。 教育長がおっしゃるように、地産地消とか安全、安心な給食を進めるためには、生産者とか納品業者とか調理員の方、教職員、農林水産部などのいろんな連携を、システムづくりをしなければいけないというふうに思います。ぜひ、県立学校での給食での実践も構築をしていっていただきたいなと願っています。 また、2017年の文科省調査で、全国1,740自治体のうち76自治体が給食の無償化をしていますという結果が出て、その後この調査はされていないんですが、今年の11月23日の朝日デジタルの記事によれば、全国で200以上の自治体が無償化をしているということが確認できているそうです。 熊本県でも、これから夜間中学開校とかもありますし、そういうことをきっかけにして、この無償化というところにも考えて進めていってほしいなというふうに感じています。 次の質問に移ります。 認知症サポーターの活用について伺います。 私の母なんですけれども、認知症で、前回までは介護認定が要介護1だったのですが、今年の認定では要介護3となりました。今は施設に入っていますが、一度、外に出てしまって、どこにいるのか分からなくなって大変だったことがありました。歩道で立ち止まっていたのでしょう。通りがかりの人に声をかけていただいて、警察にも連絡をしていただき、事なきを得ました。その方は、認知症サポーターの資格を持った方でした。やはり、研修を受けることで、どうすればよいか行動できるということで、大切な取組だと改めて思っています。 平成21年から13年連続日本一の養成が達成されている認知症サポーターは、39万9,912人となったんですね。すばらしいことだと思っています。コロナ禍では、オンラインなどでの講座で、小中学校でのサポーター数が増加していることもすばらしいことだと思います。 先日、県外の方、岐阜県の方だったんですけれども、メールを頂いたんです。メールが届きました。熊本県はすごいですね、認知症サポーター養成、ずっと日本一ですね、ところで、養成後のフォローアップはどうされていますかというメールでした。岐阜県も22万人のサポーターがいます、アプリで活動紹介などされているのですが、それだけではどうかなと思っていますというような内容でした。それで、今回の質問につながりました。 厚生労働省による認知症サポーターに期待されることは、1、認知症に対して正しく理解し、偏見を持たない、2、認知症の人や家族に対して温かい目で見守る、3、近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する、4、地域でできることを探し、相互扶助、協力、連携、ネットワークをつくる、5、まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍するです。 熊本県では、認知症サポーターアクティブチーム認定事業を2018年から取り組まれ、サポーターのフォローアップに取り組まれています。2022年3月31日時点で26のチームが認定されているようです。学生の団体をはじめ、自治会や個人でボランティアをされている方々が集まってグループをつくり、活動をされている事例集も読ませていただきました。 認知症を理解し、認知症の人や家族への支援活動を行っていくことは、とても重要なことだと思っています。認知症予防をしながらも認知症になってしまうことに不安を感じている人は、人や自分は大丈夫だという人に対しても、幅広く認知症の正しい理解を進めていくことも必要です。 そこで質問です。 認知症サポーター日本一、また、認知症サポーターアクティブチームによる広がりやフォローアップの中で今課題となっている点、また、今後の取組の中で重点に置いているところはどこなのか、お答え願えればと思います。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 議員御指摘のとおり、高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の増加が見込まれる中、認知症の方が今後も住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けていくためには、県民が認知症のことを正しく理解し、行動することが必要です。 そのため、県では、引き続き、市町村と連携して幅広い年齢層の理解促進を図るとともに、認知症高齢者の生活を支える観点から、小学生、高校生をはじめ、金融機関や公共交通機関などの従業員の方を対象とした認知症サポーターの養成を進めてまいります。 また、そのサポーターが各地域で積極的かつ能動的に活動できるよう、地域で活動を行うサポーターのグループをアクティブチームとして認定し、その活動を広く周知したり、活動費の助成を行うなど、サポーター活動の活性化にも取り組んでまいります。 さらに、今後は、認知症の方やその御家族に寄り添って取組を進めることも重要と考えております。 そこで、昨年度から、認知症の方とその御家族の気持ちや生活の様子を直接語っていただくシンポジウムを開催し、当事者の思いを皆で共有する機会を設けております。 また、今年度は、認知症の方に、御自身の生活や症状、認知症になってからの思い、音楽活動などを通じて生き生きと輝いている姿を発信していただくくまもとオレンジ大使を任命するため、現在募集を行っているところです。 このように、認知症の方やその御家族の視点を重視しながら、認知症サポーターのさらなる養成と積極的かつ能動的なサポーター活動を支援することで、認知症になっても希望を持ち、支える側も支えられる側も安心して暮らすことができる地域づくりを推進してまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 私の年齢以上の方にとっては、有吉佐和子さんの「恍惚の人」というあの小説が、または映画とかを御覧になって認知症を知った方もおられると思います。1972年の出版なんですね、あれね。 当時は、介護保険制度もなくて、社会的な介護がなかった時代ですが、認知症の介護が社会問題として認識をされるようになったきっかけとなりました。それと同時に、認知症に対する偏見とか誤解も生んでしまったと思います。 私の母は、自分で病院に行ったんです。そこでアルツハイマーという言葉を聞いたのですが、私には、もう病院に行ったことも、そう言われたことも全く言わなかったんです。多分ショックだったのだろうと思っています。 2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると推測をされている今、認知症になることは怖いことではなくて、これまでのように自分らしく暮らしていけるという、そういう取組をされているということで、とてもうれしく思います。オレンジ大使の取組も、充実をするといいなと思っています。 当事者が自分のことを発信する取組は、認知症の正しい理解にもつながると思っています。どうぞよろしくお願いします。 最後に、要望です、これは。 市町村における就学援助制度の運用について要望します。 シングルマザーの方々から困り事を聞く中で、就学援助費のことがよく出てきます。就学援助については、学校教育法第19条に「経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」と定めています。 具体的な援助の仕組みは、生活保護世帯である要保護者への援助制度と、生活保護世帯に準ずる程度に困窮している世帯、いわゆる準要保護者への援助制度から成っています。 このうち、準要保護者への援助制度については、2005年の三位一体の改革によって国庫補助が一般財源化され、その後の市町村における取扱いに少しずつ違いが生じてきています。 具体例を挙げますと、合志市では、国公立の小中学校に在籍する児童生徒の保護者が対象になっていますが、そのほかのほとんどの市町村では、本市、本町、本村が設置する小中学校の児童生徒の保護者に限定され、国立大学の附属小中学校や私立中学校は対象外となっております。つまり、住んでいる場所次第で、必要な援助が届く場合とそうでない場合があるということです。 2021年12月、文科省は、全国の都道府県教委を通じ、市町村教委に対して、2020年度の要保護、準要保護児童生徒数及び就学援助実施状況調査の結果をまとめて公表しました。 その結果では、援助率は、14.42%で、8年連続減少しています。児童生徒数の減少や経済状況の変化と回答されています。制度の周知については徐々に広がっていますが、気になることは、準要保護認定の基準です。 児童扶養手当の支給を基準に加えているところ、収入金額を基準にするところなどがありますが、生活保護基準額に一定の係数を掛ける場合、その係数は1.1倍以下から1.5倍超まで幅があります。熊本県内の市町村を見てみますと、最低1倍から最高1.4倍となっております。 熊本県内の子供たちの保護者への支援が住む場所によって違うということでは、非常に問題があると思っています。また、子供が進みたい進路保障についても、国立、私立問わず、考えなければならないのではと思います。 今回、県教委を通じて、それぞれの調査結果を取りまとめてありますので、ぜひ各市町村へ援助が確実になされるよう、基準の見直し等についても助言や指導をしていただきたいと要望をいたします。 各議員の皆様におかれましても、地元の状況を把握していただきたく思っております。 これで私の今日の質問は終わります。13回目の登壇ができるように、しっかり頑張っていきたいと思っております。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時5分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 本田雄三君。  〔本田雄三君登壇〕(拍手) ◆(本田雄三君) 皆さん、こんにちは。熊本市第一選挙区選出の公明党・本田雄三でございます。1期目の任期中、最後の質問となります。一般質問代表質問を合わせまして5回目の質問の場を頂き、感謝申し上げます。 午前中、松田議員もおっしゃっておられましたが、多くの皆さんが深夜にもかかわらず熱烈に観戦されたサッカーワールドカップは、ベスト8入りはできなかったものの、強豪ドイツとスペインに勝利したことは、誰もが喜ぶ快挙ではないでしょうか。 地元でも、ロアッソやヴォルターズの活躍をはじめ、プロ野球3冠王達成の松中選手に続き、史上最年少で3冠を達成した村上宗隆選手の活躍など、胸躍るシーズンでありました。 一方、そういう選手を輩出している県として、施設整備がいま一歩かなと思っているのは私だけではないと思いますが、県内を見渡していただき、野球、サッカーなどの公式試合ができる施設整備を進め、スポーツのメッカ熊本を目指したいなと思っております。 そういう喜びの半面、依然として猛威を振るうコロナウイルス感染症の影響やロシアのウクライナへの侵攻、半導体の供給不足や、ひいては薬品不足、さらに燃油や物価の高騰など、先行き不透明な状態が続いておりますが、政府の様々な施策とともに、県独自の支援策も今議会に提出されていますので、少しでも早く具現化し、県民の皆様が健やかな年末年始をお迎えできればと切に願っております。 それでは、通告に従い、質問に入らせていただきます。 最初の質問は、令和3年6月の定例議会で、本県の地下水保全対策について質疑を行いました。約1年半が経過いたしましたので、本県が掲げる熊本地域地下水総合保全管理計画に基づく第3期行動計画には、令和6年度までに全ての指標井戸で硝酸性窒素濃度を基準値以下にする指標がありますので、その取組の成果及び地下水の需要と供給面における利活用についてお尋ねをしたいと思います。 本県の水道用水の8割は、地下水で賄っております。我々の子孫にも、この良質で豊かな地下水を継承するために、地下水は公共水であるという認識に立ち、SDGsに関連する持続可能な地下水を守り育む責任があります。 本県の地下水保全対策につきましては、農業従事者の皆様や企業、団体、ボランティアの皆様の植樹活動等、県民が一体となった地下水保全対策に対する取組で、良質な地下水保全に尽力をされておられます。 本県では、地下水の定点検査を定期的に実施される中で、一部地域においては、硝酸性窒素が基準値を超過し、飲用不可となっている井戸があると聞いております。 そこで、1点目の質問です。 地下水保全対策は、長い期間が必要であることは理解しますが、熊本地域の硝酸性窒素の濃度削減の現状と今後の対策についての御見解を環境生活部長にお尋ねします。 2点目の質問は、現在、県民の大きな期待と本県経済の起爆剤とも言えるTSMCの工事が着々と進められております。一方で、半導体の生産に大量の地下水を使うため、環境保全の仕組みに対する心配の声が多いのも事実であります。 JASMさんの発表によると、1日に採取する地下水の量は、約1万2,000立方メートル、年換算では、438万立方メートルになるようです。熊本市と周辺の計11市町村で2020年度に採取された総量1億6,505万立方メートルの2.7%に相当することになります。 菊陽町を含む11市町村は、県地下水保全条例で地下水の水位が低下している重点地域に指定されておりますので、重点地域では、くみ出し口の断面積が19平方センチを超えるポンプで地下水を採取するには、知事の許可が必要となっております。 知事の許可を得た上で地下水の供給が始まりますが、いわゆる需要と供給のバランスをどのように管理していくのかが重要であります。 自然から得た恵みでもある良質な地下水は、涵養されてから流出するまで、流域の地層や岩石の性質により異なるようでありますが、数か月から数百年、さらに地下数百メートル以深に存在する地下水は、もっと長い時間が必要と言われております。 そこで、2点目の質問です。 TSMCさんが操業を開始されるに当たり、周辺地域の涵養量の見直し及び地下水の保全をどのように担保されるのか、知事の御見解をお尋ねいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 熊本地域の硝酸性窒素の濃度削減の現状及び対策についてお答えいたします。 熊本地域については、平成16年度に、20年間を計画期間とする熊本地域硝酸性窒素削減計画を策定し、生活排水や家畜排せつ物の適正処理、化学肥料の使用量削減などの対策に取り組んでまいりました。 その結果、指標となる井戸全体の平均濃度は改善しています。一方で、依然として基準を超過している地点もあり、その原因の究明及び対策に引き続き取り組んでいく必要がございます。 地下水は、長期間かけて流動し、その間に様々な汚染要因の影響を受ける可能性があることから、原因を特定することが困難です。 そこで、これまで行ってきた地下水質の観測に加え、地下水の流動状況調査及び年代調査に関する情報を収集した上で、これらの情報に周辺の詳細な土地利用状況等の地図情報を付加した解析を実施し、汚染原因及び汚染メカニズムの解明に努めております。 議員御指摘のとおり、地下水の保全は、対策の効果が現れるまで長い時間を要します。また、流動していることから、汚染原因が基準を超過している井戸の近くにはないことも考えられます。 このことから、水質基準を満たしている地域も含めて、広域的に、合併浄化槽の設置促進、良質な家畜排せつ物由来堆肥の生産と有効利用の推進、土壌分析に基づく効率的、効果的な施肥方法の普及などの対策を実施することが必要と考えています。 熊本の宝である地下水を守り継いでいくことは、今を生きる私たちの責務です。今後とも、関係自治体や農業団体等と連携し、実効性のある対策に継続して取り組んでまいります。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 世界的企業であるTSMCの進出は、日本経済の安全保障の一翼を担うという本県の目標に貢献するものであり、その波及効果は、その大きさの点でも地方創生に向けたビッグチャンスであります。 また、半導体生産に必要となる地下水は、熊本都市圏100万人の生活と産業を支える未来に守り継がなければならない、かけがえのない熊本の宝です。 私は、この熊本の宝である地下水を守り、そしてこの宝を生かすことで、熊本のさらなる発展につなげることができると考えています。 そのため、県では、地下水保全条例に基づく取組を着実に進めるとともに、半導体産業集積強化推進本部に環境保全部会を設け、地下水保全に必要なさらなる取組を検討しています。 まず、JASMの新工場における地下水の取水には、地下水保全条例に基づく県の許可が必要であるため、事業者による試験的な取水段階で、水位低下などの影響が生じないか、しっかりと確認しています。 もう一点が地下水の涵養です。JASMは、県の要請を踏まえ、地下水取水量の100%を超える涵養を行うことを公表されています。 県では、JASMの事業展開に合わせて、涵養量を確保できるよう、水田湛水の期間や面積の拡大など、具体的な方策について検討し、白川中流域の関係市町や団体と協議しています。 また、今後、半導体関連企業のさらなる集積なども見据え、宅地への雨水浸透ますの設置、未利用水の利活用など、様々な対策を検討することとしています。 地下水は、県民生活と経済発展の礎です。私は、地下水を未来へ守り継ぐとの強い決意の下、JASMの進出を契機とした経済発展と地下水保全の両立を成し遂げることができるよう、全力で取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 硝酸性窒素の削減の取組においては、井戸全体の平均濃度は改善をしているとの説明でありましたが、基準値超過の井戸がどの程度存在するのかが重要であり、令和6年度までに全ての井戸で基準値以下の指標が達成できないのであれば、対応策とともに、熊本地域地下水総合保全管理計画の見直しが必要になると考えます。 平成16年から約20年近く、生活排水や家畜排せつ物の適正処理、化学肥料の使用量削減などの対策を実施しても改善できない地域があるということですので、水質基準を満たす施策がいかに困難であるかを改めて認識する次第であります。今後の対策で早期改善がなされるよう、よろしくお願いをしたいと思います。 地下水の保全につきましては、知事からは、事業展開に合わせた涵養量確保や、水田湛水の期間や面積の拡大に向け、具体的な方策を関係市町や団体と協議されるとのことでありました。様々な対策が必要と思われますが、まずは、少しずつ減少している阿蘇の草原面積を増やすことが最優先課題ではないかと思います。 昭和初期の野焼き面積から現在を比較すると、驚くほど減少しております。理論上、阿蘇の伏流水は、明治、大正、昭和時代あるいはそれ以前の恵みではないかと考えますので、ぜひ効果的な利活用と保全の取組を確実に推進していただきますようお願いをいたします。 次の質問に入らせていただきます。 熊本都市圏における長年の課題である慢性的というよりは常態化する渋滞対策についてお尋ねをします。 私が小学生の頃、旧国道57号の竜田口駅付近には踏切があり、長蛇の列が続いていたのを記憶しております。中学生になると、東バイパスの開通や龍田の踏切も高架化されるなど、都市化の様相を顕著に実感しておりました。 ところが、社会人となり、車を運転するようになって40年以上経過しましたが、主要道路の改良や整備は行われているのにもかかわらず、車両増加や都市部への人口集中により、熊本市及び周辺の交通渋滞は一向に解消されないまま、今に至っている感が払拭できない状態です。 私は、対策が放置されているというような気持ちは全くありません。様々な対策を講じても、多くの課題や住環境の問題など、解決策を模索するのに相当な困難が生じることも理解をしております。 そのような中で、本年8月に、熊本県と熊本市が中心となり、熊本都市圏3連絡道路建設促進協議会が設立され、政令市でワースト1位の渋滞解消を目指し、3本の高規格道路の実現に向けた取組が進められることとなりました。 また、公明党熊本県本部に設置をいたしました熊本地震創造的復興検証プロジェクトチームで調査活動を展開しておりますが、10月に第2次となる調査を実施いたしました結果、早急なインフラ整備と渋滞解消に対する県への期待が寄せられていました。具体的には、発災時の交通遮断で速やかな避難ができなかったことが強く印象に残っていると考えられます。 平成24年度に実施された熊本都市圏の人の移動目的や手段を調査する第4回パーソントリップ調査では、公共交通機関のうち、バスの利用者減が続き、路線の維持が困難な状況になっていることや自動車を利用した移動の割合が依然として増えていること、市街地部や放射・環状道路上における朝ピーク時間帯の交通渋滞の恒常化などの問題点が明らかになりました。 平成27年度に策定された都市交通マスタープランでは、この問題に対応するため、将来交通計画の対応方針において、これまでのように全ての地域が過度に自動車利用に依存してきた交通体系を見直し、住民意識の転換や関係市町村の連携の下、地域特性に応じた公共交通ネットワークや道路空間の再構築により、利便性と効率性を兼ねた新たな交通体系、ベストミックスの構築を図っていくこととされております。 また、マスタープランで掲げた将来像を実現するための実行計画となるのがアクションプランであります。公共交通、道路及び町なか交通に係る225の施策について、事業主体や実施時期等を明記して掲げられ、現在、これに基づいた事業が実施されております。 私は、現在、東区に居住しておりますが、平日の朝の通勤時間帯の熊本駅までの所要時間は、平均1時間20分です。距離は10キロ弱でありますが、雨天時は、2時間程度必要となります。 原因は、様々な要因が複合的にあると思いますが、国体道路や産業道路、県庁通りなどを経由しても、至るところで渋滞が発生しており、アクションプランは着実に進めていただくとしても、抜本的な施策の効果が出るのは10年以上先の話になります。 取りあえず、暫定的でも結構ですので、アクションプランの施策の前倒しなど、現状の環境に対する超短期の対策がぜひ必要であります。 具体的には、東バイパスと交差する主要な交差点における交差点改良の検討やバスレーンの確保など、思い切った公共交通の利用促進が不可欠であると考えます。 所要時間が均平化すれば、公共交通の利用も増え、熊本市中心部への流入車両の減少にもつながると思われますので、万難を排し、県民の皆様の御期待にお応えすべきではないでしょうか。 深刻化する渋滞に対する即効性のある緩和策についてどのように進めていくのか、土木部長の見解をお伺いいたします。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 熊本市及び周辺地域の主要道路の慢性的な渋滞対策についてお答えします。 熊本都市圏では、平成30年に熊本都市圏総合交通戦略を策定し、公共交通や道路に関係する短期、中期、長期の施策を、国、県、熊本市と交通事業者等が相互に連携しながら推進しております。 議員御指摘のとおり、熊本都市圏の交通渋滞は喫緊の課題であり、中九州横断道路などの幹線道路ネットワークの整備や10分・20分構想の新たな熊本都市圏3連絡道路の早期実現に向けた取組などと合わせて、即効性のある渋滞緩和策の実施が重要であると認識しております。 これまで、国道266号蓍町橋の上仲間交差点におきまして左折レーンを新たに整備したことで、直進車が左折する車両に阻害されることなく進行でき、交通渋滞の緩和につながっております。 また、県道住吉熊本線の光の森周辺におきましては、交通管理者との連携により、信号機の周辺に車両感知器を設置し、それぞれの車両が進む方向別の交通量を基に、信号制御の見直しが実施され、各交差点を円滑に通行できる効果が確認されております。 さらに、熊本市中心部の国道3号や県道熊本高森線などにおいて、車両感知器で収集した路線バスの通過情報を基に、信号機を優先制御する公共車両優先システムの導入により、バスの定時性運行の確保を図っております。 加えて、バス事業者によるバス路線網の再編に伴う待ち時間の平準化やバスロケーションシステムの導入により、バス利用者の利便性向上につながっております。 今後も、交差点改良や信号制御の見直し、自動車交通量の削減に向けた公共交通の利用促進など、即効性のある渋滞緩和策を前倒しして取り組んでまいります。 また、議員御指摘の熊本市が検討を進めていますバスレーンの確保につきましては、検討の場に参画し、実現に向けて必要な支援を行ってまいります。 引き続き、国や熊本市、関係者と連携し、あらゆる手段を講じながら、渋滞解消に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 土木部長から、前向き、あるいは力強いというか、前倒しで検討していただけるというお話がございました。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。 12月7日の新聞報道によりますと、韓国のティーウェイ航空が、熊本─ソウル間の運航を令和5年1月から再開すると報じられました。 阿蘇くまもと空港のターミナルビルも、令和5年春に運用開始となるなど、インバウンド需要も期待が膨らむところであります。 しかし、空港周辺の主要幹線道路の交通事情は改善ができているとは言い難く、また、鉄道等もまだ今からのお話でございますので、待ったなしの対策が求められるところであります。 熊本市議会の今定例会でも渋滞対策が論じられているようでありますが、早期の改善には、県と市がさらなる強固な意思で敢行しない限り、実現は遠くなる一方だと思います。せっかく熊本都市圏3連絡道路建設促進協議会が設置されていますので、県の出席者である土木部長の力強い牽引力が頼りでございます。よろしくお願いをいたします。 国道266号の上仲間交差点改良や光の森における信号制御の見直しで効果が出ているようでありますので、具体的に、国体道路の保田窪北交差点、第二空港線の桜木交差点及び県庁入り口交差点については、早急な対策が必要かと思われます。 少しでも早い、住みよい環境づくりを期待し、次の質問に移らせていただきます。 少子高齢化で危惧される様々な要因の中で、増加傾向にある認知症の発症に関する質問を行います。午前中、岩田議員の中にも少しありましたが、重複するところもありますので、よろしくお願いをしたいと思います。 厚生労働省・認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランによると、2025年には、約700万人、65歳以上の5人に1人が認知症になる可能性を示唆されております。本県の65歳以上の人口は約55万人でありますので、約11万人の方が認知症発症の可能性があるということになります。 本県における認知症対策の取組といたしましては、平成20年に知事に就任された蒲島知事は、認知症対策を県の重点施策に位置づけ、同年8月に、知事としては全国初となる認知症サポーターとなられ、これを契機に県と市町村が協力して養成を進めたところ、県内の認知症サポーター数が急増しまして、令和4年現在、40万人目前となっております。人口比における認知症サポーター数は、知事のリーダーシップにより、全国一を維持されている状況です。 知事は、御自身の経験も踏まえ、長寿を楽しむ社会づくりをキャッチフレーズに、認知症になっても安心して住み慣れた地域で暮らし続けることができるを目指し、医療、介護、地域が連携した熊本づくり、日本一の認知症施策推進県を目標と発信され、全国初となる医療、介護、地域支援の3つの柱を核として、認知症高齢者等の効果的な早期診断、診療体制を構築し、県民がより身近な病院で相談、治療を受けることができるよう、平成21年度に、地域での拠点機能を担う地域拠点型の7か所と県全体を総括する基幹型の1か所の2層構造、熊本モデルとしてスタート、現在は12か所となった認知症疾患医療センターを整備されました。 ここでスクリーンを御覧いただければと思います。(資料を示す) 真ん中に熊大があって、周辺に2層、3層というくくりでスタートしております。 さらに、平成23年度からは、2層構造から新たに3層構造の熊本モデル構築へと発展し、認知症疾患医療センターと専門医、かかりつけ医との連携強化が図られているところであります。 しかし、居住地における病院等から認知症の詳しい検査を勧められていても、県内12か所に設置された認知症疾患医療センターでの検査受付に、地域差はあると思いますが、約2か月を要するとお聞きしました。 検査希望の方が多く、順番待ちというのは理解できますが、早期診断により、発症後の病状進行を遅らせるなど、人生の大きな選択を考えなければならない方々にとりましては、検査を待つ2か月というのは不安で仕方がないと推測できます。 せっかく全国に先駆けてスタートされた日本一の認知症施策推進県でありますので、より効果的な3層構造の活用により、少しでも早期診断につながる施策が必要ではないかと考えますので、健康福祉部長の御見解をお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の増加が見込まれていますが、全国に比べ高齢化が進んでいる本県において、認知症対策はまさに喫緊の課題です。 このため、本県では、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けられるよう、医療体制、介護体制及び地域支援体制の整備という3つの柱で総合的に認知症施策を推進してまいりました。 特に、認知症医療については、議員御紹介のとおり、基幹型と地域拠点型等が連携した2層構造の認知症疾患医療センターに加え、全国に先駆けて、3層目として、認知症の方に身近なかかりつけ医や介護事業所、地域包括支援センターなど多数の機関が連携する体制を構築してきたところです。 現在、認知症疾患医療センターでの受診までに要する期間は、平均で2か月弱となっております。このため、各センターでは、受診をお待ちの期間にも面談を行い、相談内容や緊急性等に応じて、早期の受診や入院対応、連携する医療機関への案内を行うなど、可能な限り早期の診断につながるよう柔軟に対応しております。 しかしながら、今後も増加が見込まれる認知症高齢者へ早期かつ適切に対応するためには、より地域住民に身近な3層目のさらなる充実が不可欠です。 そのため、県では、かかりつけ医など3層目を担う医療機関等の拡充を図るとともに、各センター主催の研修会や事例検討会を開催するなど、各地域における認知症に関わる人材の育成と連携に努めております。 認知症は、御家族が認知症になることも含め、どなたにとっても非常に身近な課題です。今後も、関係機関の協力をいただきながら、3層構造の熊本モデルの活用により、認知症の方が必要なときに早期に診断できる医療体制の充実強化を進めてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 私も、約10年くらい前に認知症サポーターの研修を受講いたしまして、サポーターのリングを頂きました。しかし、時間の経過とともに、受講内容で覚えているのは、不安げな方がいらっしゃった場合の声かけは、後ろから優しくとのことでありました。申し訳ない限りですが、再受講なり、パンフレット等を頂いて見直す等の努力が必要であると反省をしております。 自分自身が親近者の世話を行わなければならない可能性は十分にありますので、日頃からの意識の備えが大事であると実感をしております。 健康福祉部長の答弁にありました3層目、いわゆる各地域における医療機関の拡充や各センターでの研修会等を活用され、早期診断の体制構築に取り組まれているとのことでありますので、ぜひ、全国に先駆けた熊本モデルがさらに充実強化され、県民の皆様の安心につながる医療体制が整うことを切望いたします。 次の質問は、令和3年10月から運用が開始されましたマイナンバーカードの保険証利用システムについてであります。 マイナンバーカードの普及については、国、都道府県、市町村が総力を挙げて取り組まれておりますが、県民への交付枚数は、令和3年3月が46万1,814件、26.1%に対し、マイナポイント第1弾等で拍車がかかり、令和4年5月は76万898件、43.3%と倍増の勢いで増加をいたしましたが、令和4年10月現在では88万6,231件、50.7%と少し鈍化傾向になり、ようやく50%を超えた状況であります。 マイナンバーカードの普及率が伸びない要因として、個人情報におけるセキュリティー面での不安要素があり、登録を危惧されている方が多いのではないかと推測できます。 執行部の説明では、個人情報については、個人情報保護法に基づき、本人の同意が必要であり、公開先を限定できるとのことでありますので、このことは、県民の皆様へ確実に周知徹底を図る必要があるのではないでしょうか。 そのような背景の中、国では、マイナンバーカードの保険証利用システムにより、患者本人が自身の特定健診や薬剤情報等が確認できるとともに、当該情報を医療機関等とも共有し、よりよい医療が可能となると周知しております。 本県でも、医療・介護関係施設で患者及び利用者情報を共有するための地域医療等情報ネットワーク、くまもとメディカルネットワークの構築を進めてきており、登録は無料でやって、今8万人の県民が利用されておられます。利用施設――病院、診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護施設等をネットワークで結び、患者さんの診療、調剤、介護に必要な情報を共有し、医療・介護サービスに生かすシステムであります。 メリットの一例といたしまして、複数の医療機関での診療歴、検査歴、処方歴やアレルギー情報等の共有で重複検査等が解消できる、2つ目が、かかりつけ医が専門医の診療所を活用することで、質の高い診療が期待できる、3番目が、災害で医療機関が被災し、カルテを消失した場合、そういう場合でも速やかに既往歴や処方歴等を参照できる、4点目が、医療施設、介護施設での情報共有により、きめ細かな医療・介護サービスを受けられるなどであります。 ここでスクリーンを御覧いただければと思います。(資料を示す) さらに大きなメリットとして、診療等情報共有の即時性があります。マイナンバーカードのシステムでは、反映するまでに1~2か月後となるのに対し、くまもとメディカルネットワークは翌日に反映するという大きな差異があります。 このため、現行では、マイナンバーカードのシステムは、急を要する診療行為等に対応できないおそれがありますので、即時性を確保するためには、くまもとメディカルネットワークとマイナンバーカードのシステムの連携が不可欠ではないかと考えます。 もし連携が難しいようであれば、多くの県がくまもとメディカルネットワークのような地域連携ネットワークを構築されておりますので、保険証は、マイナンバーカードではなく、くまもとメディカルネットワーク等の地域連携ネットワークへひもづけてもよいのではないでしょうか。 同様の意見として、デジタル庁・マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループなど、政府や自治体で数多くの委員を経験されている武蔵大学の庄司昌彦教授も、20年ほど地域情報化を研究してきた経験から、業務システムを含む基盤の部分はデジタル庁が主導してつくるにしても、それをどう活用するかは、各自治体に任せるべきではないかと主張されています。 そこで質問です。 県では、くまもとメディカルネットワークを推進する中で、マイナンバーカードの保険証利用システムにおける診療等情報の即時性といった課題をどのように捉え、今後どう対応していかれるのか、健康福祉部長の御見解をお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) マイナンバーカードの保険証利用システムの課題に係る県の認識と対応についてお答えします。 県民が、地域で質の高い医療・介護サービスを適切に受けるためには、診療等情報を共有する医療分野におけるDXの推進は極めて有効と考えます。 国では、令和3年度より、マイナンバーカードを保険証として利用するシステムを構築し、全国の病院などで、患者の同意の下、診療等情報を共有し、診療に生かす仕組みが稼働しています。 ただし、このシステムで共有される診療等情報は、病院などが保険者に月ごとに提出するレセプトを基にしているため、情報の反映が診療から1か月程度遅くなります。 例えば、人工透析の治療を受けている方が他の病院を受診された場合、このシステムでは、直近の情報をすぐに閲覧し、診療に生かすことができないことになります。 一方、国に先駆け、平成26年度より県が推進しているくまもとメディカルネットワークの診療等情報は、翌日には最新の情報が反映され、即時性に優れています。 しかし、こちらは、県内のネットワークであるため、県外の病院などでは閲覧できないといった課題があります。 このため、県では、マイナンバーカードのシステムとメディカルネットワーク双方の強みを生かすため、国に対し、両者の連携を要望しております。 所管の厚生労働省は、各地域のネットワークの優れた部分は活用できるよう連携策を検討したいとの見解を示しています。ただし、連携の実現には、技術的な課題もあり、時間を要するとのことです。 今後も、国の検討状況を注視しつつ、将来、マイナンバーカードのシステムと効果的な連携ができるよう、引き続きくまもとメディカルネットワークの充実に向けた取組を進めてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 健康福祉部長より明快な答弁がありました。 私は、質問をさせていただきましたが、まだくまもとメディカルネットワークの登録をしておりませんでしたので、早急に登録をしたいと考えております。 デジタル化は、動きながら構築されている面もあり、変化変化の連続だと思いますが、将来的には運転免許証もマイナンバーカードと併合されるようでありますので、大事なのは、使用する側の分かりやすさと利便性の向上、そしてセキュリティーの確保だと考えます。 以前、テレビで、今カード類を何枚お持ちですかとのインタビューを見ておりましたら、平均10枚程度を持ち歩き、家に置いている病院の診察券などを含めると、約25枚程度保有している人が圧倒的に多かったようでありました。ある意味、カード社会になっていると言ってよいほど各種カードが使われていますので、マイナンバーカードのように公的証明が可能なカードの一元化は、カードの管理面からも有益であると感じます。 厚生労働省も、各地域のネットワークの優れた部分は活用できるよう連携策を検討しているようでありますので、時間を要してでも実現に向けた推進を期待しております。 次の質問に移らせていただきます。 過去最多の不登校対策について質問いたします。 本年2月の定例会で、不登校の児童生徒が増加の一途をたどる現状について、対策の一助としてフリースクールへの支援の在り方について質疑を行いました。 その後、文科省が10月27日に公表した2021年度の問題行動・不登校等調査によりますと、小中学校における不登校児童生徒数は、本県を含め、過去最多となっております。要因は多岐にわたると考えられますが、万難を排し、減少対策に取り組む必要があると思いますので、再度質問を行います。 文科省から公開された全国不登校数は24万4,940人、前年度は19万6,127人でありました。前年度から4万8,813人増加し、9年連続で厳しい状況が続く中、約55%の不登校児童生徒が90日以上の欠席となっているようであります。 本県の状況は、前年度比1,155人増の4,151人で、過去20年で最多となっています。県教育委員会は、コロナの感染が子供にも広がり、不安が強まったことが影響したと増加の理由を説明、休校や学級閉鎖で生活のリズムが崩れたり、学校を休むことへの抵抗感が薄れたりしたことも起因をしている、対策として、スクールカウンセラーによる対応やフリースクールなどと連携を図るとコメントがなされております。 さらに、文科省が、本年6月10日に、不登校に関する調査研究協力者会議からの、今後重点的に実施すべき施策の方向性についての報告書を公開されました。 その中に「フリースクール等民間団体との連携」と題し、不登校の要因や支援ニーズは多岐にわたり、その全てを学校、教育委員会のみで担うことは限界があるため、不登校児童生徒の支援を実施する際には、国、地方公共団体は、民間団体その他の関係者相互の密接な連携の下で施策を実施するよう、教育機会確保法及び基本方針に規定されております。文科省においても、令和2年度から実施している不登校児童生徒に対する支援推進事業において、教育委員会等とフリースクール等の民間団体が連携し、不登校児童生徒の支援の在り方等について協議を行う不登校児童生徒支援協議会の設置や教職員研修会、保護者向け学習会等を実施し、対話を通じた双方の顔が見える関係の構築を行っていただくようお願いしたいとまとめられております。 様々な課題に直面されておられる児童生徒の皆さんやその御家族、教職員の皆様も相当の御努力をされておられると推察をいたします。一概に解決できる状況ではないと理解はしておりますが、少しでも不登校の児童生徒の皆さんが減少し、安心して学べる機会づくりが喫緊の課題であると申し上げ、質問を行わせていただきます。 まず、1点目は、フリースクール等の民間施設での学びについて、一定の要件の下、在籍校の学校長が出席扱いを認めることができる制度がありますが、その仕組みについてどのようになっているのか、また、フリースクール等に通う児童生徒の出席扱いの状況についてどのような状況であるのか、お尋ねをします。 2点目に、フリースクールとの連携の必要性を文科省も認めておられますので、国へのさらなる財政支援の要望もさることながら、県として、独自の支援についてどのようにお考えであるか、お尋ねをしたいと思います。 以上2点を教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、1点目のフリースクール等の民間施設で学ぶ児童生徒の出欠の仕組みやその状況についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、令和元年度の文部科学省通知により、民間施設で学ぶ児童生徒の出欠の取扱いについては、児童生徒が在籍する学校の校長が市町村教育委員会と連携して判断することとされました。 具体的には、校長は、該当する民間施設の学習計画や内容、さらには一人一人の社会的自立を目指した支援の状況などを踏まえ、個人ごとに出欠を判断することとなります。 県教育委員会では、不登校児童生徒への支援を行う民間施設や市町村教育委員会等との連携強化を図るため、関係機関による連絡協議会を開催し、情報の共有化などを行ってきたところです。 その結果、4年前の平成30年度は、不登校児童生徒が民間施設に通い、出席扱いとされた割合は43%でしたが、令和4年9月時点では82%となっており、学校、民間施設及び市町村教育委員会の連携が確実に進んでいるものと考えております。 次に、2点目のフリースクール等の民間施設への県の支援等についてお答えいたします。 文部科学大臣に対して、民間施設への財政的支援のための新たな補助制度の創設について、本年の上期と下期の2回にわたって要望を行いました。 また、今後、市町村教育委員会が設置する教育支援センターの運営をフリースクール等の民間施設へ委託する場合についても、現行の補助制度を活用して支援を行うことができるよう検討を進めているところでございます。 引き続き、不登校児童生徒の意思が十分に尊重され、個々の児童生徒の状況に応じた学びが選択できるよう、関係機関としっかり連携して、教育機会の確保に努めてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 令和元年度の文科省通知により、民間施設で学ぶ児童生徒の出席扱いは、校長が市町村教育委員会と連携して判断するとされ、出席扱いの割合が43%から82%と向上していることは、大きな変化ではないかと思います。良好に図られたということであり、残りの18%については、現状の聴取や調査を行い、ケースによっては、民間施設における学習内容や社会的自立を目指す方針など不足する内容を具体的に協議することも必要ではないでしょうか。 一方、フリースクール運営者の皆さんが大きな課題として捉えておられますのは、運営資金であります。県教育委員会からも、本年2回にわたり、文科大臣に民間施設への補助について要望されております。 継続して民間施設運営者及び保護者の皆様の負担軽減に向けた支援の検討を行っていただき、将来の熊本県及び各地域を担う大事な児童生徒の皆さんが、一人でも多く学びの場を得て、自立できる環境づくりの推進をお願いしたいと思います。 続きまして、最後の質問となります。 新型コロナウイルス感染症の最大の防御として大きな効果を発揮しているワクチン接種後に生じた健康被害の救済手続の迅速化についてお尋ねをします。 長期化する新型コロナウイルス対応については、医療従事者の皆様をはじめ、多くの関係者の皆様の御尽力に心より感謝を申し上げておきたいと思います。 昨年の9月中旬に、私の知人から相談があり、ワクチン接種後に体調が悪くなり、結果的に救急医療が備わった病院に5日間入院をし、病院からは、副反応だと思われるので、入院費用等を自治体に申請してくださいと診断書も渡され、速やかに役場に申請を行ったが、厚生労働省に提出するので、半年程度の時間を要すと説明があったということで、間違いないのかというお尋ねでありました。 厚生労働省の資料を確認したところ、国が申請を受理してから審査結果を県に通知するまでに4か月から12か月程度を要すると記載されていましたので、その旨を説明し、理解を得たところであります。 しかし、半年経過した時点で何の返事もないので、市町村の担当者から県の健康福祉部に対し進捗を尋ねられましたが、厚生労働省からの回答としましては、個別の案件には答えられないということで詳細は不明、同様のやり取りが数回続き、御本人は接種から1年が経過したため、再び私に相談の連絡がありました。 再度健康福祉部に確認しましたが、厚生労働省からは、一切の情報、進捗状況や書類不備は公開できないとのことで、全く情報が得られない状況でありました。 審査に時間を要すことは理解できますが、診察していただいた医師から本人に対し、副反応による健康被害の疑いがあるので、国に申請を促されているのに、半年どころか1年近く経過しても何の説明も報告もないというのは理解し難いし、当事者に対する誠意も感じられない。長期化するコロナ禍の中で、入院加療等の出費は生活に大きな支障を来します。 また、直接対応される市町村の担当の方や県の健康福祉部の方々も、コロナウイルス感染症対策の対応に追われていますので、的確な対応ができなければ、業務遂行にも影響が生じると思われます。 国も、緊急事態であるからこそ、国策として様々な支援給付や事業貸付けを行っている状況に対し、重篤ではない入院加療等については、国の審査を簡略化し、問題がなければ早期給付を要望するなど、県としても、国に対し、アクションを起こすべきではないでしょうか。 国の方針でワクチンを接種し、万一副反応による健康被害が発生した場合、責任を持って国が対処すると国民に説明しておられますので、国における審議、審査の迅速化について、県はどのような見解をお持ちか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) ワクチン接種は、感染症を予防する上で最も有効で重要な手段ですが、極めてまれに副反応による健康被害が生じることがあります。 このような場合に備え、国は、予防接種法に基づく救済制度を設けています。申請先は市町村で、県を経由し国に進達された後、国の審査会でワクチン接種による健康被害があったかどうかを個別に審査し、厚生労働大臣が認定した場合は、市町村から医療費等の給付を受けることができます。 新型コロナワクチンについては、これまで約3億5,000万回接種され、そのうち、健康被害救済制度に基づく申請は、先月末時点で約5,000件となっています。国は、この申請に対応するため、新型コロナワクチン専門の審査部会を新設するなど体制を強化し、手続の迅速化に取り組んでいます。しかしながら、審査が終了した件数は、全体の約3割にとどまり、申請件数の増加に追いついていないのが現状です。 本県でも、新型コロナワクチンの接種が開始された令和3年2月以降、84件の申請を国に進達し、先月末時点で審査が終了したのは約2割の16件にとどまっています。残る審査中の68件のうち約6割が、国に進達後半年以上が経過しており、早急な改善が必要であると考えております。 県としては、これまでも、全国知事会を通じて要望してきましたが、今後も引き続き、審査手続の迅速化を国に強く働きかけてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 副反応の審査は、健康被害救済制度に基づき、専門の審査会で個別審査を行うので、ある程度の時間を要することはやむを得ないと思います。本県の健康福祉部も、国からの審査結果が示されない限り、なすすべがないというのが現状であります。 私は、途中経過でも結構ですので、何らかの進捗状況をお知らせすることが必要だと思います。全国知事会でも要望していただいておりますので、健康福祉部長から御答弁いただいたとおり、国に対し、引き続き、審査手続の迅速化の要望をよろしくお願いをしたいと思います。 以上で本日準備をいたしました質疑は終了いたしました。 これからも、環境の変化や課題を的確に把握し、県民の皆様の御期待にお応えできるよう活動を展開してまいります。 ありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明9日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時7分散会...