熊本県議会 > 2021-12-13 >
12月13日-05号

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  1. 熊本県議会 2021-12-13
    12月13日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和3年11月 定例会               第 5 号              (12月13日)  令和3年   熊本県議会11月定例会会議録     第5号令和3年12月13日(月曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  令和3年12月13日(月曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 第2 議案等に対する質疑(第1号から第33号まで) 第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第33号まで) 第4 請願の委員会付託 第5 休会の件  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに  県の一般事務について) 日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第33号まで) 知事提出議案の上程(第34号) 日程第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第34号まで) 日程第4 請願の委員会付託 日程第5 休会の件    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   白 石 伸 一 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 早 田 章 子 さん     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   村 上 義 幸 君     会計管理者  手 島 和 生 君     企業局長   國 武 愼一郎 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(小早川宗弘君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(小早川宗弘君) 日程に従いまして、日程第1、10日に引き続き一般質問を行います。 岩本浩治君。  〔岩本浩治君登壇〕(拍手) ◆(岩本浩治君) 皆さん、おはようございます。コロナウイルスも、この1か月近く感染者は発生してません。県民の皆さんが、感染防止対策、規則に取り組んで、日々自粛生活をされた結果だと思います。今年の年末、来年の年始、非常に楽しみで、飲む覚悟でおります。これも皆さん方のおかげだと思うわけでございます。 まず、今回質問いたします阿蘇地域の防災、振興について。阿蘇山の防災対策について質問させていただきます。 本年10月20日正午前、阿蘇中岳が噴火により、火砕流が火口より1キロ以上に達し、火口周辺では大きな噴石が確認されました。気象庁は、噴火警戒レベルを2から3の入山規制に引き上げ、厳重警戒態勢を取り、国の官邸危機管理センターには情報連絡室も設置されました。その後も同程度の噴火が予測され、厳戒態勢が続きました。 十分な観測体制が整備され、噴火時の観測データが豊富な火山でも、噴火の時期や規模、影響範囲等を的確に予測することは難しく、明瞭な前兆が観測されないままに噴火に至る場合がほとんどです。仮に、噴火の発生を予測できたとしても、大きな噴石、火砕流、火山泥流といった生命に危険を及ぼす火山現象が、噴火発生から短時間で火口周辺や居住区域近辺に到達します。 避難までの時間的猶予は限られております。このため、噴火前に的確な予測をすることは困難であるという前提に立ち、平常時の防災対策警戒避難体制の立案、噴火時の災害対応に当たることが必要であります。 近年、災害が激甚化し、頻発化している中、国は、災害への備えを進めており、本年5月に施行された改正災害対策基本法では、勧告と指示ではどちらが深刻な状況なのか分かりにくいなどの声を受け、避難勧告を廃して、避難指示に一本化されました。 また、改正法のもう一つの柱が、災害時の避難行動要支援者の個別避難計画の策定であります。避難情報が出ても、行動に移せない障害者や高齢者は少なくありません。そこで、個人の状況に合わせた避難ルートや避難先、支援する人などを個別計画で事前に決め、避難につながるようにした避難計画づくりが市町村の努力義務とされました。 そのような中、本県においても、平成28年の熊本地震や昨年の7月豪雨などの災害経験を踏まえ、災害対応訓練を行うとともに、今回の阿蘇山の噴火に対しても、気象台等関係機関からの情報収集と警戒に当たっていたと聞いております。 近年、地震や水害などあらゆる災害が発生している状況下においては、今回を上回る阿蘇山の大噴火がいつ発生してもおかしくありません。このような火山災害に対して、避難等に関する防災計画災害対応訓練等について、県はどのように備え、対応するか、知事公室長にお尋ねいたします。  〔知事公室長小牧裕明君登壇〕 ◎知事公室長(小牧裕明君) 議員御指摘のとおり、火山の噴火については、事前に的確な予測が困難であるという前提に立ち、噴火時の適切な災害対応はもとより、平常時からの防災対策警戒避難体制の確保が重要と考えます。 阿蘇山の防災対策については、昭和42年に、地元市町村が主体となり、県も参加する阿蘇火山防災会議協議会が設置されました。人的被害が発生した昭和54年の噴火後、当協議会で阿蘇火山防災計画が策定され、現在まで見直しを経ながら、噴火警戒レベル3までの対応である登山者などの入山規制避難対策に取り組んできました。 その後、平成26年の御嶽山噴火を機に行われた活動火山対策特別措置法の改正により、県が主体となる熊本県火山防災協議会を平成29年に設置しました。溶岩流の発生など、居住地域に重大な被害が予想される噴火警戒レベル4以上の噴火は、これまで発生していませんが、県としては、このような事態の発生も想定し、当協議会において、平成30年に阿蘇火山広域避難計画を、令和元年に阿蘇火山広域避難行動計画を策定し、備えを進めています。 また、災害発生時の登山者の避難、人命救助、応急措置などが円滑に実施できるよう、地元市町村を主体とした防災訓練が毎年行われており、阿蘇地域振興局や本庁からも参加し、連携して取り組んでいます。 去る10月20日の噴火の際にも、直ちに阿蘇火山防災会議協議会により、入山規制などの措置が取られるとともに、県では、災害警戒本部を設置し、気象台をはじめ関係機関からの情報収集と警戒に当たりました。 さらに、来年度は、火山の噴火に伴う広域的な影響を想定した県総合防災訓練を実施したいと考えており、既に地元市町村との協議を進めています。 県としては、引き続き、地元市町村関係機関と連携し、阿蘇山の防災対策にしっかりと取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 知事公室長より答弁をいただきました。 10月20日の噴火の際にも、直ちに阿蘇火山防災会議協議会により、入山規制などの措置が取られ、県では、災害警戒本部を設置し、気象台をはじめ関係機関からの情報収集と警戒に当たったとのことであります。 火山の噴火については、事前に的確な予測が困難であるという前提に立ち、噴火時の適切な災害対応はもとより、平常時からの防災対策警戒避難体制の確保が重要であるとし、災害発生時の登山者の避難、人命救助、応急措置などが円滑に実施できるよう、地元市町村を主体とした防災訓練が毎年行われておるとのことで、阿蘇地域振興局や県本庁も参加するなど、連携して取り組んでいるとの答弁をいただきました。 平成26年の御嶽山噴火を機に行われた活動火山対策特別措置法の改正により、県が主体となる熊本県火山防災協議会を平成29年に設置され、レベル4以上の噴火の事態発生を想定し、阿蘇火山広域避難計画阿蘇火山広域避難行動計画を策定され、県として、地元市町村関係機関と連携し、阿蘇山の防災対策に取り組んでいくとの答弁をいただきました。 続きまして、阿蘇観光の振興策について、観光戦略部長に質問をいたします。 平成28年の熊本地震以降、阿蘇地方では、国、県の支援の下、各種の復旧・復興事業が完工いたしました。令和2年に、国道57号とその北側復旧ルート及びJR豊肥本線が開通しました。本年3月には、復旧、復興の総仕上げとしての新阿蘇大橋も完成し、県内外の大きな期待の下、阿蘇観光が再出発しました。しかし、間もなく日本全体が世界的なコロナ感染の第4波、第5波に見舞われてしまいました。 国、県、市町村及び医療関係者の御尽力と御指導により、まさに国難と言える厳しいコロナとの闘いが収束に向かい、阿蘇の観光にまた希望の光が見えてまいりました。観光客も増え始め、宿泊客の予約も増加する中、阿蘇中岳が爆発しました。 世界ジオパークに認定されているように、阿蘇山は、世界的な自然遺産であります。阿蘇くじゅう国立公園にも指定されており、九州観光の代表でもあります。熊本城で歴史を学び、阿蘇で雄大な自然と活火山に出会うことで、県外からの多数の観光客が訪れております。 今回の阿蘇山噴火については、テレビやネットで再三放送されました。噴火の映像は、阿蘇地域の住民にとりましては見慣れたものでしたが、火山噴火の経験のない人々にとっては衝撃的だったと思います。観光客、行楽客への影響が心配されました。 蒲島知事は、それを憂慮され、噴火翌日の午前中には関係市町村を視察、いずれの自治体も農業や観光への影響を心配していたと話し、生きている阿蘇を見られるというポジティブな気持ちで阿蘇を楽しんでもらいたいとの談話がありました。 噴火から1週間ほどの10月27日に、県商工会連合会調査の飲食・宿泊業者に尋ねた阿蘇中岳噴火に伴う影響緊急調査結果が発表されました。それを受けた報道は、飲食業で売上げが減少したのは62.9%で、うち2割は減少幅が50%以上だった、業者からは、風評被害でキャンセルが相次いだ、週末の集客が激減したなどの声が聞かれたと伝えております。 一方、宿泊業で売上高が減少したのは20.7%、増減なしが72.4%、増加したのが6.8%であり、問合せは多かったが、キャンセルは限定的だったと伝え、さらに連合会は、コロナ重点措置の解除と行楽シーズンが重なり、本来ならもっと集客を見込めるところに噴火でブレーキがかかった可能性があると分析、観光客の安心につながる情報を積極的に発信するよう、行政や報道機関に求めていくとありました。 ちなみに、宿泊業で減少が少なかったのは、的確な情報提供による安心の確保と、噴火している生きた阿蘇を体験するのがお勧めです等のポジティブな発想による観光客誘致が奏功したものと思えます。引き続き、阿蘇の魅力周知のために、一段の工夫を凝らした発信が必要と思われます。 元来、阿蘇観光は、阿蘇山の噴火状況に左右されてきました。しかし、自然と融合した持続可能な観光事業への挑戦も始まっています。火口頼みの観光からの脱却です。 自然公園財団阿蘇支部では、二酸化炭素を出さない電動カートで牧野をゆっくりと自然観察し、雄大な景色を楽しみ、地元の食材で作られた弁当を楽しむ電動カートツアー実証実験をしています。最高速度は20キロ以内で、高齢者や障害のある方も、ゆとりを持って阿蘇の自然を味わえる観光を目指しております。 今後は、見学から体験にシフトした体験型観光の需要促進と同時に、ウィズコロナを見据えた旅行者の動向の変化等に対応した取組も求められております。 このような観光を取り巻く状況を踏まえ、阿蘇観光の推進策について、観光戦略部長にお尋ねいたします。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長寺野愼吾君) 世界に誇る雄大な阿蘇は、熊本の観光だけではなく、九州全体の観光の魅力向上に欠かせない存在です。 本年6月に策定しましたようこそくまもと観光立県推進計画において、阿蘇の観光振興の方向性として、世界文化遺産の登録も見据えた世界水準ブランド化を掲げているところでございます。 観光戦略部では、阿蘇への主要なアクセスルートの復旧を契機に、阿蘇観光創造的復興世界水準ブランド化に向けて、観光キャンペーン「I'm fine! ASO」を展開しております。 具体的には、国内外への阿蘇の魅力の発信、体験型観光周遊観光の促進、コロナ禍を踏まえた新しい観光スタイルの実証の3つの柱で取り組んでおります。 まず、1つ目の阿蘇の魅力の発信では、阿蘇山上に不時着した宇宙人が阿蘇に魅了される姿を描いたウェブ動画「阿蘇の不時着」を制作し、この秋から配信しております。 既に、ユーチューブでの再生数が66万回を超えており、動画の視聴者から、感動した、阿蘇を訪れたいといったコメントが寄せられるなど、好評を得ております。 次に、2つ目の体験型観光周遊観光の促進です。 ウェブで体験型旅行商品を販売します「くまもっと旅行社。」において、阿蘇の雄大な草原での乗馬体験や朝の絶景を楽しむ熱気球体験などの販売促進を行い、多くの観光客に阿蘇ならではの観光を体験いただいております。 また、くまもとふっこう応援隊に就任した「クレヨンしんちゃん」の野原しんのすけ一家が登場し、阿蘇地域の23のスポットへの周遊を促すデジタルスタンプラリーを展開しております。 3つ目の新しい観光スタイルの実証では、観光客が事前に購入した旅行商品のチケットを顔認証で利用する実証実験阿蘇手ぶら観光プロジェクト」を実施しております。 また、観光体験と二次交通をICTで組み合わせる熊本型観光MaaSの実現に向け、先週末から、実証実験「車がなくてもお得に阿蘇Be MaaS」を、阿蘇、小国、南阿蘇の3つのエリアで開始しました。多くの皆さんに公共交通機関で巡る阿蘇を楽しんでいただくことを期待しております。 さらに、本日から、くまもと再発見の旅の対象を、県民限定から隣県居住者まで拡大いたします。九州各県の観光客が、阿蘇を訪れ、阿蘇を起点に県内各地を周遊し、熊本を満喫していただきたいと考えております。 阿蘇は、九州観光の要です。観光をめぐる様々な環境の変化を踏まえながら、阿蘇観光の振興に全力で取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 観光戦略部長に答弁いただきました。 ようこそ熊本観光立県推進計画において、世界文化遺産の登録も見据えて、世界水準ブランド化を掲げ、阿蘇への主要なアクセスルートの復旧を契機に、観光キャンペーン「I'm fine! ASO」を展開し、国内外へ阿蘇の魅力を発信、体験型観光周遊観光の促進、コロナ禍を踏まえた新しい観光スタイルの実証に取り組んでいるとの答弁をいただきました。 一つの柱である阿蘇の魅力の発信で、ウェブ動画「阿蘇の不時着」を作成、配信し、好評を得ており、2つの柱は、体験型観光周遊観光の促進で、「くまもっと旅行社。」により、草原の乗馬体験など、阿蘇ならでは観光体験をしていただくということでございます。 3つ目は、「クレヨンしんちゃん」の野原しんのすけ一家が登場し、阿蘇地域の周遊を促すデジタルスタンプラリーの展開だそうです。 また、新しい観光スタイルの実証として、旅行商品のチケットを顔認証で利用する実証実験阿蘇手ぶら観光プロジェクト」も実施しているとのことでございます。熊本型観光MaaSの実現に向け、先週末から、実証実験「車がなくてもお得に阿蘇Be MaaS」を開始し、13日から、くまもと再発見の旅の対象を県民限定から隣県居住者まで拡大し、九州各県の観光客が、阿蘇を訪れ、阿蘇を起点に県内各地を周遊し、熊本を満喫していただきたいということでございます。 阿蘇は、九州観光の要です。観光をめぐる様々な環境の変化を踏まえながら、阿蘇観光の振興に全力で取り組んでいくとの力強い答弁をいただきました。 続きましては、熊本地震震災ミュージアムの実現に向けた取組について、観光戦略部長に質問をいたします。 28年4月に発生した熊本地震は、県下全域に大災害をもたらしました。中でも、地震発生の原因とみなされた布田川断層帯上に位置する益城町、西原村、南阿蘇村は、甚大な被害を被りました。南阿蘇村の立野、黒川一帯は、その活断層の中心部に位置していたため、山々は崩壊し、阿蘇大橋も崖崩れとともに崩落し、貴い人命が失われました。黒川地区にある東海大学阿蘇校舎も、地震の直撃を受け、大きな損害を受けました。 その校舎は、熊本地震を後世に伝えるために、震災遺構として現在保存されております。そこでは、地震という自然のとてつもないエネルギーを脅威を持って感じることができます。校舎の真下には断層が貫き、隆起、陥没した大地は大きくうねっています。震度6強の揺れを受けながら倒壊しなかった建物と断層が一体的に保存されている事例は、国内に例がないということであります。ここは、地震を直感として肌で感じることができる熊本地震の伝承館でもあると思います。 さて、台風、地震、洪水と毎年のように繰り返される我が国の長い災害の歴史をたどるように、国内には幾つかの災害記念館があります。関東大震災の東京都復興記念館雲仙岳噴火雲仙岳災害記念館、阪神・淡路大震災では、人と防災未来センターが設立されました。また、東日本大震災では、関連する各市町村に伝承館やミュージアム等ができております。 熊本県では、熊本地震の経験や教訓を後世に伝える、今後の大災害に向けた防災対応を強化する、熊本の自然の特性を学び、自然を畏れ、郷土を愛する心を育む、国内外からの交流人口の拡大を図り、本県のさらなる発展につなげるを基本コンセプトとして、熊本地震震災ミュージアムの取組が進められております。 その震災ミュージアムは、広範囲にわたる県下の震災遺構や各地域の拠点をつなぎ、広域的に巡ることができる回廊形式が採用されるということであります。 県策定の熊本地震ミュージアムの実現に向けた基本方針では、震災ミュージアムの活用として、地域振興観光振興の資源が挙げられています。その目的達成のためには、国の天然記念物指定の布田川断層帯等、各市町村の震災遺構を守るとともに、震災から復興しつつある熊本城や奇跡的に湧水が回復した水前寺公園などの観光施設との広域的な連携が必要不可欠と考えられます。 また、震災ミュージアムの中核拠点の一つである旧東海大学阿蘇キャンパスは、その立地からも、阿蘇火山博物館国立公園満喫プロジェクト阿蘇ユネスコ世界ジオパーク等との関わりも重要と考えられます。 そして、もう一つの大切な視点として、基本方針では、震災ミュージアムの活用に、熊本地震の記憶や経験、教訓の伝承、家庭や学校における防災教育が挙げられております。 災害は忘れた頃にやってくるとよく言われます。熊本地震が歴史に風化しないよう、震災遺構の適切な管理と最先端技術の応用で、修学旅行生防災教育や全国の防災担当者の研修、訓練等に活用できるよう、震災ミュージアムを完成させ、明日の防災につなげてもらいたいと思います。 2020世界災害語り継ぎフォーラムでは、全てのミュージアムが共通して、子供たちに焦点を当てていたとの報告があります。数十年に一度とか言われる大災害に遭遇する確率が一番高いのは、今の子供たちであります。子供たちが、家族や友達同士で、楽しみ学びながら防災意識を持てるようなミュージアムが求められていると思います。 以上、震災ミュージアムの取組を進めるに当たって重要と思われる点を述べましたが、このような視点を踏まえ、いかに震災遺構や拠点を活用し観光振興へつなげるか、また、どのように若い世代に対して防災意識を持たせるか、具体的な策について、観光戦略部長にお尋ねいたします。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長寺野愼吾君) 震災ミュージアムは、旧東海大学阿蘇キャンパス県防災センターの2つの中核拠点と各地に点在する震災遺構や地域拠点により、回廊形式で構成しております。 これらの遺構や拠点を巡ることで、熊本地震について、幅広く学び、今後の災害への備えや自然との共生についても、自分事と捉え、深く考える契機となります。 より多くの方々に来ていただくことで、被災した地域への観光・経済面での波及効果が増大し、地震からの創造的復興にもつながります。そのため、地域の観光資源との組み合わせにより、人を呼び込む仕組みづくりを進めるとともに、県と8つの市町村による連携会議を設置し、教育、観光施設などの関係機関と連携しながら、回廊ルートの充実や教育旅行の誘致に力を入れております。 その結果、阿蘇火山博物館や地域の物産館、県内各地に設置した『ONE PIECE』の仲間の像と震災遺構などを併せて巡る人の流れも目立つようになってまいりました。 本年10月、旧東海大学阿蘇キャンパス内にロビン像が設置されましたが、一月の来場者数が約1万人となり、それまでの3倍を超える結果となっております。訪れた方がロビン像と震災ミュージアムをSNSで発信し拡散するなど、記憶の継承と観光振興の相乗効果が発現しております。 今後は、震災ミュージアムと熊本の地下水の成り立ちを学ぶプログラムを組み合わせるなど、多面的な自然の営みを学ぶメニューの充実にも努めてまいります。 また、未来を担う若い世代への防災教育は、震災ミュージアムの役割の中でも特に重要でございます。災害経験のない若者に防災意識を持ってもらうためには、一方的に伝えるだけでなく、自分自身で考えてもらう工夫が必要です。 そのため、旧東海大学阿蘇キャンパスに整備する体験・展示施設は、地震の巨大なエネルギーと豊かな自然の双方が感じられ、災害への備えと自然との共生について来場者に考えてもらう場といたします。 もう一つの中核拠点である県防災センターに設置予定の学習・展示施設は、防災・減災や災害対応のノウハウなどを実践的に学び、いつ直面するか分からない災害への対応力を身につける場といたします。また、県内の児童生徒向けの防災教育につきましても、関係機関と連携し、この2つの中核拠点の特性を生かしながら進めてまいります。 これからも、自然の雄大さを満喫しながら、正しく畏れ、自然との共生について考える、熊本ならではの震災ミュージアムの実現に向けて、しっかり取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 震災ミュージアムは、回廊形式により、熊本地震を幅広く学び、災害への備えと自然との共生を考える契機になると同時に、観光、経済面の波及効果が増大し、創造的復興につながっており、このことが記憶の継承と観光振興の相乗効果が出ているとのことであり、また、地域観光資源との組合せにより、現在、さらなる回廊ルートの充実、教育旅行の誘致に力を入れておられるとの答弁をいただきました。 また、未来を担う若い世代への防災教育についても、震災ミュージアム及び県防災センターに設置予定の学習・展示施設の拠点の特性を生かし、体験学習の機会をつくり、実践していくとのことで、防災意識を高め、災害への対応力を身につける場としていくとの力強い答弁をいただきました。よろしくお願いしたいと思います。 続きまして、南阿蘇鉄道のJR豊肥本線乗り入れについて質問をいたします。 平成28年熊本地震発生から5年の歳月が経ち、阿蘇地域創造的復興は着々と進んでいます。阿蘇へのアクセスルートのうち、残るは、通勤通学のための地域住民の足であり、また、有数の観光資源でもある南阿蘇鉄道の全線開通です。 現在の南阿蘇鉄道は、旧国鉄高森線の存続危機の中、1985年、第三セクターの南阿蘇鉄道株式会社として設立され、翌年開業いたしました。開業以来、地元の公共交通機関として、観光、通学、通勤、通院を中心に、住民のライフラインとして利用されております。 熊本地震以前は、インバウンドなどによる観光客が南阿蘇地域を訪れ、南阿蘇鉄道のトロッコ列車や特色ある各駅のたたずまい、カルデラを走る高原列車からの風景を大いに満足されたことと思います。 ところが、熊本地震により、鉄道沿線は甚大な被害を受け、休業せざるを得ない状況になりました。鉄橋損壊、トンネル内壁の崩落や線路の流失など絶望的被害を被り、再建不能かと思える状況になりましたが、沿線町村の関係者の御尽力により、鉄道再建の道筋がつけられ、現在は、復旧工事も順調に進み、令和5年夏頃の全線開通を目指しております。 また、全線開通と同時に、JR豊肥本線への乗り入れによる肥後大津駅までの直通運転が計画されており、先日開催されました南阿蘇鉄道再生協議会では、乗り入れに向けてJR九州と順調に協議を行い、設計に着手しているとの報告がありました。 大津駅乗り入れ計画を知った住民の方からは、週に3回、大津の学習塾に子供を送迎している、乗り入れが実現すると、高校、大学も通学圏になるので、選択肢が増え、経済的にも大変助かるといった声もあります。 大津駅乗り入れ直通となれば、南郷谷一帯の観光、経済、産業に与える恩恵は、大変大きいものがあると考えます。熊本市内まで通勤通学圏となり、阿蘇の魅力に引かれた移住者の増加で人口が増え、経済が活性化します。菊陽町に計画されている半導体関連工場等も通勤圏となり、職域が広がることで人口流出も防げます。鉄道の利便がよくなり、観光客の誘致が促進され、また、空港からのアクセスが強化されることにより、南阿蘇へのさらなるインバウンド効果も期待されます。 私は、南阿蘇地域にこのような多大なる恩恵をもたらす豊肥本線への直通乗り入れは絶対に必要だと考えますし、実現に向けて、県にも後押しをしてほしいと思います。 乗り入れには、新たな設備の整備など、多額な費用が発生します。しかし、南阿蘇鉄道は、新型コロナウイルスの影響により、鉄道事業の収益が過去最低にまで落ち込んでおり、南阿蘇村と高森町が赤字補填を行っている状況です。 そのため、先般の再生協議会において、両町村から県に対し、鉄道の経営を維持しながら、生活利便性や観光の周遊性を高める乗り入れを目指す南阿蘇鉄道に対する財政的な支援の要望もありました。 そこで、豊肥本線直接乗り入れに対する県の支援についてどのように考えられますか。蒲島知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 南阿蘇鉄道は、阿蘇への玄関口である立野から県内有数の観光地である南郷谷一帯を結ぶ重要な鉄道です。 熊本地震により甚大な被害を受けましたが、地震の翌月には全線復旧を決定し、県と地元自治体及び関係団体が一体となり、地域ぐるみで南阿蘇鉄道の復旧、復興を推進してまいりました。 令和5年夏頃と見込まれる全線再開後は、県と沿線自治体が鉄道施設を保有する上下分離方式により、南阿蘇鉄道の持続可能な運営を確保することとしています。 現在鉄道会社間で協議が進められている豊肥本線への乗り入れが実現すれば、沿線自治体と熊本都市圏、さらには熊本駅や熊本空港等の交通結節点とのアクセスが向上いたします。沿線住民の生活利便性向上に加え、観光周遊性も大きく高まり、この効果は、県内全域に及ぶものです。 これは、まさに熊本地震における復旧・復興の3原則、単に元あった姿に戻すだけではなくて、創造的な復興を目指す、復旧・復興を熊本のさらなる発展につなげるに沿ったものであると考えています。 そのため、私は、新型コロナによる減収に苦しみながらも、熊本地震からの創造的復興を進める南阿蘇鉄道を県として強力に後押しするため、乗り入れ費用に対する地元負担を大幅に軽減する方向で財政支援を行いたいと思います。 具体的な支援内容については、来年度当初予算の編成過程で検討を進めてまいります。 南阿蘇鉄道の創造的復興と持続可能な運営が図られるよう、県議会の皆様の協力をいただきながら、沿線自治体と連携し、全力で取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) ただいま蒲島知事より御答弁いただきました。 南阿蘇鉄道は、阿蘇への玄関口の立野から県内有数の観光地である南郷谷を結ぶ重要な鉄道でございます。今回、知事より答弁をいただき、そして県議会の皆さん方の御理解の下、大幅な財政を支援するというようなお言葉をいただきました。これは、まさに熊本地震の復旧・復興の3原則、姿を戻すだけでなく、創造的な復興を目指す、復旧・復興を熊本のさらなる発展につなげるに沿ったものであると。知事が掲げております創造的復興の後世に残るシンボルと思います。これで安心して次の質問に移らせてもらいます。 コロナ禍における高校生の県内就職状況について、教育長にお尋ねいたします。 文部科学省の調査によりますと、今年の3月に卒業した全国の高校生の就職内定率は97.9%と、昨年より0.2ポイント減少しております。本県の高校生については98.8%であり、昨年より0.1ポイント減少しているとのことです。 また、新型コロナウイルス感染症については、2020年の当初から全国的に広がり、2月には県内で初めて感染者が確認され、それ以降、拡大と収束を繰り返しながら、今もなお見通しが立たない状況にあります。 このような中、高校生の就職活動が始まる今年7月末の県内求人数は、昨年に比べ9.7ポイント回復しているものの、コロナ禍前の2019年と比べると22.3ポイント減少しており、依然として非常に厳しい状況にあります。 一方で、本県及び県教育委員会における若者の地元定着に向けた様々な施策により、今年の3月に卒業した県立高校生の県内就職者の割合は60.2%であり、5年前になる平成28年度卒業生の53.4%と比較すると6.8ポイント増加するなど、年々上昇傾向にあると聞いております。 本県においても、進学時や就職時における若者の県外流出は、本県において大きな課題であり、新型コロナウイルス感染症の影響により、本県における県内就職へのこの流れを止めるわけにはいけないと考えます。 熊本地震と令和2年7月豪雨からの創造的復興、そして今後の県内産業の発展を支える人材の育成、確保の必要性からも、本県で大切に育てた優秀な人材である高校生が、将来に不安を感じることなく、安心して本県企業への就職を選択し、そして活躍できる十分な支援体制が必要だと思われます。 そこで、教育長に質問いたします。 コロナ禍における本県県立高校の県内への就職状況は、現時点でどのようになっているのでしょうか。また、県内就職率をさらに高めるため、高校生やその保護者に対して、今後具体的にどのような取組を推進していかれるのか、お尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 県教育委員会では、就職時における若者の県外流出は大きな課題の一つと捉えており、商工労働部や熊本労働局等の関係機関と連携した取組を進めております。 その結果、今年度の県立高校の県内への就職状況は、10月末時点で、前年比0.7ポイント増の60%となり、コロナ禍においてもその割合は年々上昇しております。 今後、県内就職率をさらに高めるために、特に次の2点に取り組んでまいります。 1点目は、インターンシップや就職支援体制のさらなる充実です。 令和元年に作成した県内企業約1,600社を検索できる事業所検索データベースを活用し、生徒の進路希望に応じたインターンシップ受入先の新規開拓を進めながら、生徒及び保護者の県内企業に対する理解促進を一層図ってまいります。 また、キャリアサポーターの配置期間を年度末まで延長し、就職未決定の生徒に最後まで寄り添った支援を行うとともに、2年生に対しても早期の段階から支援を行っていきます。 今後も、生徒及び保護者の希望に応じたきめ細やかな就職支援に取り組んでまいります。 2点目は、産学官が一体となった産業人材育成の取組です。 今年度から、八代工業高校をマイスター・ハイスクール事業の指定校として、DX人材の育成に向け、県内企業と一体となった取組を始めております。 県内企業の役員を事業全体のマネジメントを担当するCEOとして、技術者を実務家教員として派遣していただき、より実践的な授業や実習に取り組んでおります。 この取組により、生徒の最新デジタル技術への対応力を高めるとともに、地域産業への理解促進や県内企業が必要とする人材の育成にもつながるものと考えております。 今後は、八代工業高校での取組成果を県内の専門高校に広げていく予定です。 先日、台湾のTSMCが日本初となる工場を本県に建設すると発表がありました。このことにより、県内関連産業への波及効果も期待され、多くの雇用が創出されるものと考えております。 県教育委員会としましては、高校生の県内就職に向けて絶好の機会と捉えており、新たな時代に対応できる人材の育成に向け、本県の産業教育のさらなる充実に全力で取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 教育長より答弁いただきました。 10月末での本県県立高校の県内就職状況は、前年比0.7ポイント増の60%で、割合は年々上昇しているとのことであり、県内企業情報を検索できる事業所検索データベースを活用し、生徒の進路希望に応じたインターンシップ受入れの新規開拓や生徒及び保護者の希望に応じたきめ細かな就職支援に取組を進めていくとのことでございました。 産学官連携による産業人材育成に取り組み、マイスター・ハイスクール事業の指定校により、デジタルトランスフォーメーション人材の育成に努め、県内企業と一体となった取組を行い、地域産業への理解、関心を高め、県内企業が必要とする人材の育成につなげることで、熊本県の産業教育をさらに充実発展させ、新たな時代に対応できる人材の育成に向け、全力で取り組むとの答弁をいただきました。 続きまして、過疎地域における情報通信インフラの整備促進についてでございます。 本年、新たにデジタル庁が設立されました。デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDXを大幅に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成につくり上げることを目的とし、徹底的な国民目線でのサービスの創出やデータ資源の活用を図り、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会の実現を目指すとされております。 こうした状況の中にあり、我々にとって特に身近な情報媒体であるテレビ、携帯電話、インターネット等の利用環境は急速に進歩し、大きく変わりつつあります。 テレビは、デジタル化により高品質な映像、音声を提供し、視聴者参加型の番組も可能となりました。携帯端末のスマホ等は、インターネット接続がいつでも自由にでき、パソコン以上の利便性を提供しておりますが、その一方、このデジタル社会から取り残され、その恩恵に浴することができない人々が多数存在するというのも現実であります。言わば、通信、放送などの情報通信インフラから取り残された人々です。放送や通信の電波が届かない、届きにくい山間部などの不感地帯に住む人々です。この不感地帯問題は、携帯やスマートフォンなどがつながらない、テレビが見られないというだけでなく、防災上の重要な問題も含んでおります。 台風、集中豪雨等の大規模な災害が頻発化し、激甚化しております。放送機関は、放送法に基づき信頼できる情報を的確に提供し、国民の生命、財産を保護するという大きな役割を担っています。 しかしながら、最近、テレビ放送が受信できなくなったという声もあります。現に、私の地元である波野地区にもそういった地域があります。これは、放送事業者が対応するものであるということは理解しておりますが、台風の災害情報がうまく受信できないとの地元からの不安が上がっておるのも事実です。住民は、台風、大雨、降雪等への情報不足で、防災や農作業、日常生活に不安を抱えて生活しなければなりません。ぜひ、これらの解消に向けて、関係機関への働きかけをお願いしたいと思います。 それと同時に、デジタル化に不慣れな高齢者への対応についてでございます。 新型コロナウイルス感染症で、ワクチン接種の申込みがネットで行われました。コールセンターによる電話予約を受け付けた自治体もありますが、申込みが殺到して、電話は一向につながらず、ネットからならスムーズに予約できたという状況もありました。 行政サービスのデジタル化に伴い、オンラインサービスが幅広い分野で拡大していますが、オンライン化についていけないデジタル弱者がいます。弱者救済対策として、各種相談会や操作研修会が開かれているところもあります。ある自治体が開いた高齢者向けのスマホ相談会では、身近に聞ける人がいないので、気軽に聞けてとても助かった、周りにネットが使えず困っている人がいる、スーパーなど身近なところでやってほしいなどの声が紹介されております。高齢者がスマホを使い始めるきっかけとして、無料貸与事業を始めた自治体もあると聞いております。 行政サービスのデジタル化がますます拡充されていく中で、山間部などの過疎地域は通信環境が整備されず、デジタル化の恩恵を享受できない方々が増えていくのではないでしょうか。 このようなデジタル格差解消に向け、過疎地域における情報通信インフラをどのように進めていくのか、企画振興部長にお尋ねいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 地域や行政のデジタル化に取り組む上で、情報通信基盤の整備は重要であると認識しています。 本年3月に策定した熊本県情報化推進計画において、ICTインフラの整備促進を掲げ、令和5年度までに、光ファイバーの未整備地域をなくすことを目標にしています。 現在、光ファイバーが整備されていない地域を有する市町村は、5市、5つありますが、全ての市において整備が進められており、令和4年度中には完了する見込みとなっています。 県としては、さらに高度化が進む情報通信等のインフラ整備について、引き続き、国や市町村、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 情報通信の基盤となる光ファイバーは、都市部と比べて、過疎地域等の条件不利地域での整備が遅れている状況にあります。光ファイバーが整備されていない地域はまだあるとのことですが、令和4年度には完了する見込みということでございます。 熊本県情報化推進計画において、ICTインフラの整備促進を掲げ、令和5年度までには光ファイバーの未整備地域をなくすことを目標にしているということでございます。県民誰もがICTの恩恵を享受できることになれば、災害への備え、地域産業の活性化、さらには企業誘致や全国からの移住、定住につながることが期待されます。さらに高度化が進む情報通信等のインフラ整備について、国や市町村、関係機関と連携し、取組をお願いいたします。 ○議長(小早川宗弘君) 残り時間が少なくなりました。発言を簡潔に願います。 ◆(岩本浩治君) (続) 最後になりました。日常生活自立支援事業の充実について要望をいたします。 日常生活自立支援事業は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方々が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理サービス、年金証書などの重要な書類の預かりサービスを安価または無償で提供する事業です。 当事者の意思決定を尊重し、権利擁護を進めるために、介護保険制度の導入に合わせて、成年後見制度とこの事業が車の両輪として導入されました。事業の主体は、都道府県社会福祉協議会と市町村社会福祉協議会であり、国が2分の1、県が2分の1を補助して実施されております。 市町村社協の現場では、専門員と生活支援員を配置し、支援を行っております。専門員は、困り事や悩み事について相談を受け、本人の希望に沿った支援計画を作成し、生活支援員は、その支援計画に基づき、利用者宅を月に2回から4回程度訪問し、サービスを提供しております。 利用者からは、この事業のおかげで必要なときに福祉サービスの利用ができるようになった、年金や預金を計画的に使えるようになった、消費者被害に遭わなくて済んだなど、本人はもとより、親族や近隣からも大変喜ばれております。 令和2年度の総事業費は4,967万円、財源内訳は、国と県からの補助金合計が78%の3,865万円、残りは県社協の自主財源になっております。多くの県では100%の補助金が交付されておりますが、全国平均に熊本県は大きく差があります。このような状況では、新たなニーズに対応することも難しくなると思われます。 多くのニーズに対応できるよう、ぜひ熊本県の助成をお願いしまして、これで終わりたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時1分休憩    ――――――○――――――  午前11時10分開議
    ○議長(小早川宗弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 吉田孝平君。  〔吉田孝平君登壇〕(拍手) ◆(吉田孝平君) 皆さん、こんにちは。自由民主党・宇城市・下益城郡選出の吉田孝平でございます。 今回通算7回目の質問となりまして、令和3年最後を締めくくる、いわゆる大トリの質問者となりました。このような機会を与えていただきまして、大変感謝の気持ちと大変なプレッシャーを抱えているところでございますが、トリにふさわしい質問になるか分かりませんが、最後まで務めさせていただきたいと思います。 話は替わりますが、先日、ZOZOTOWN創業者の前澤友作氏が、2人合わせて100億円と言われていますけれども、宇宙旅行に出発されました。数十年前からすれば、民間人が宇宙旅行に行けるとは誰も思っていなかったと思います。御本人は、子供の頃からの夢だったとお話をされていますが、一つは未来への投資でもあると思います。何十年後かは宇宙にもっと行けるようにしたい、また、多くの方に興味を持っていただきたいという思いもあると思います。 本県も、未来への投資、10年、20年、100年後と先を見て投資をしていただき、その先にいろんなものがついてくると思います。そのことを踏まえまして、質問に移らせていただきたいと思います。 まず初めに、大空港構想Next Stageの今後の展望について御質問します。 早いもので、熊本地震の発生から間もなく5年8か月が経過しようとしています。発災直後は、本当に元の熊本の姿を取り戻すことができるのかと思われた未曽有の大災害でありましたが、被災前よりもよいものをつくり上げるという知事の号令の下、まさに創造的復興が目に見える形で進んでいます。 阿蘇へのアクセスルートは、今年3月の新阿蘇大橋の開通により、主要なルートが全て回復し、さらに、熊本城は、天守閣の復旧が完了し、6月から特別公開が開始されました。また、八代港には、クルーズ拠点となるくまモンポート八代が整備され、世界最大級22万トン級の大型クルーズ船も受入れ可能な施設になり、ターミナルや大型バスが余裕で止められる駐車スペースもでき、コロナ禍が収束したときには、大変期待される施設になると考えられます。 最重要課題である住まいの再建についても、99.7%の方が自宅再建を果たされ、住まいの再建を果たせてない被災者の多くは、県が復興のために進めている公共事業の完了を待っている方たちで、知事は、誰一人取り残さない決意で創造的復興につなげたいとの考えを示されました。 そして、熊本地震からの創造的復興のシンボルと位置づけられているのが、阿蘇くまもと空港であります。 県では、平成28年12月に大空港構想Next Stageを策定し、空港のポテンシャルを最大限生かした創造的復興を行うことにより、地震の被害が大きかった空港周辺地域の活性化につなげることを目指して取組が進められています。 その中核となる空港については、民間のノウハウ、資金を活用するコンセッション方式を導入し、昨年4月から、熊本国際空港による空港運営事業が開始されました。 今年1月には、新旅客ターミナルビルの工事が開始され、国内線と国際線が一体となった新ターミナルビルは、2023年春の開業予定であり、国内外から熊本を訪れる多くの方々を出迎える魅力的な空の玄関口として生まれ変わることが期待されています。 着々と新旅客ターミナルビルの整備が進む一方で、空港周辺地域における状況の変化にも目を向けていかなければいけないと考えます。 県では、半導体、自動車関連産業に続く、県内産業の第3の柱となる新産業を創出すべく、空港周辺地域を拠点としたUXプロジェクトの取組を開始されました。ライフサイエンス分野を中心に、研究者や企業、起業家などが集う知の集積を目指し、熊本テクノ・リサーチパークなどに拠点施設を整備する計画とされています。 さらに、先月9日、台湾の半導体企業TSMCが、ソニーとともに合弁会社を設立し、菊陽町に半導体生産の新工場を建設することを発表しました。TSMCは、世界の半導体受託生産の5割超を占め、世界のファウンドリーであります。現在は、9割以上の半導体を台湾で生産し、海外では中国に大型の工場を持っており、さらに、米国に新工場を建設中で、日本の工場が完成すれば、海外の主力生産拠点としては、米中に続く3か国目となります。 TSMCは、2024年末までには生産を開始する計画で、約1,500人の新規雇用が生まれるとのことであり、本県における災害やコロナ禍からの復興への後押しになるのではないかと考えます。 また、知事は、9月定例会において、本県が目指す地方創生の姿として、熊本が持つ強みを生かした5つの安全保障について発言されました。 その中の一つである経済の安全保障は、空港周辺地域に集積する半導体関連企業をはじめとした産業の活性化により実現するものと考えられ、これはまさに大空港構想が目指す新たな産業や雇用創出に大きな効果があるものと思います。 こうした周辺地域の状況の変化は、空港を利用する人流、物流の動きにも大きく影響を与えるものであり、新たな需要増加に対応するためには、空港そのものの機能強化についても、より前向きな検討が必要ではないかと考えます。 大空港構想Next Stageの策定からちょうど5年が経過しました。知事が言われる創造的復興の先にある地方創生の夢を実現していくためには、この5年間の状況の変化を踏まえて、構想の前向きな見直しが必要ではないかと考えます。 そこで、大空港構想について、改定の可能性を含めた今後の展望を知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、この5年間、大空港構想Next Stageを旗印に、熊本地震からの創造的復興のため、様々な事業に取り組んでまいりました。 中でも、阿蘇くまもと空港は、新しいターミナルビルの整備により、2023年春、世界と地域に開かれた空港に生まれ変わります。 また、先般公表されたTSMCとソニーの新工場建設計画は、半導体の国内生産拠点の整備を目指す国の経済安全保障の一翼を担うという本県の取組を強力に後押しするものであります。 このような空港周辺地域を取り巻く変化は、創造的復興を目指す大空港構想Next Stageの取組を加速させるとともに、熊本の将来の発展に向けた追い風になるものと認識しております。 そのためには、次の3つの視点から構想を見直す必要があると考えています。 まず、1つ目は、九州を支えるセントラルゲートウエーとしてのさらなる空港機能の強化です。 議員御指摘のとおり、人流や物流の増加に対応するには、空港機能の強化を図る必要があります。新規航空路線の誘致とともに、将来的な発着枠の拡大に向けた空港運用時間などの課題整理や航空貨物の輸送拡大のための需要動向調査、研究などの取組が必要です。 次に、2つ目は、経済安全保障の一翼を担うための空港周辺地域における拠点性向上に向けた環境整備が必要です。 継続した企業誘致活動に加え、TSMCの進出に係る様々な対応やUXプロジェクトの推進によるさらなる企業の集積や雇用の創出などの取組が必要だと思います。 最後に、3つ目は、空港周辺地域の交通ネットワークの強化です。 課題である公共交通の利便性の向上や交通渋滞の緩和などを図るために、道路やバス路線網の整備に取り組むとともに、空港アクセス鉄道のルートについても、追加の検討を行ってまいります。 創造的復興を成し遂げ、本県のみならず、九州経済を力強く牽引し、熊本の拠点性向上につながる原動力となるよう、これらの3つの視点を踏まえ、構想の見直しに取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 知事から、熊本の拠点性向上につながる原動力となるよう、3つの視点を踏まえて、構想の見直しに取り組むと御答弁をいただきました。 私は、その中でも、1つ目の九州を支えるセントラルゲートウエーとしてのさらなる空港機能の強化とありましたが、半導体企業TSMCの建設に当たりまして、新規航空路線の誘致、そして航空貨物は大変重要な課題だと思います。 国際貨物の取扱量では、北九州空港が、海上空港ということもありまして、騒音問題もなく、2020年の貨物の取扱量を大きく伸ばしており、3年連続で過去最高を更新しているということでございます。航空貨物は、空港周辺の騒音、あと滑走路の問題等々ございますけれども、どうか前向きに御検討いただきますようよろしくお願いいたします。 それでは、続きまして、激甚化する自然災害に対する総合防災力の強化についてお尋ねいたします。 本県は、これまでも、平成24年熊本広域大水害や平成28年熊本地震、そして、昨年7月、甚大な被害をもたらした豪雨災害と、幾度となく苦難に見舞われてきました。その都度、円滑に対応できた点、また、改善が必要な点、反省すべき点など、災害対応を振り返り、これまで培った教訓を生かし、市町村や関係機関と連携し、災害対応力の向上に取り組んでこられたと思います。 振り返ると、私が住む宇城地域では、平成11年9月24日、当時私は大学生でありましたが、熊本気象台で観測史上最大の瞬間風速66.2メートルを記録した台風18号による高潮災害が起こり、不知火町松合地区で多くの被害が発生しました。 この地域では、これまで高潮、高波による大きな被害を受けたことがなく、前日には災害対策本部が設置され、職員10名ほどが泊まり込みで警戒をされていたものの、事前に住民に対し避難勧告などは出されていませんでした。 そのような中、午前6時には、高潮と台風が重なり、堤防の開口部から海水が浸入し、5分から10分の短い間に家屋の1階の屋根まで冠水したのです。 また、災害時用のサイレンも、強風の影響でスピーカーが飛ばされ、鳴らすことができず、犠牲者12名の災害をもたらしました。その犠牲となられた方は、平家住宅に住まいの方が多く、車椅子の御夫婦や身体の不自由な方、高齢者や子供、また、独り暮らしの方などで、避難場所がなく、素早く逃げることができず、犠牲になられました。 この災害の後、住民意向調査が実施され、約9割の方が、台風ということもあり、外に出るほうが危険と思っていたと答えられました。 その後も全国各地で大災害が発生し、平成23年3月11日の東日本大震災では、大津波が発生し、多くの犠牲者を出し、今もなお仮設住宅に住まわれている方がおられます。この災害のとき、私は、地元が海に面しているという地域でもございますが、初めて津波というものは存在するものなのかと考えさせられた瞬間でありました。 本県では、その後も平成28年熊本地震や昨年の7月豪雨災害が発生し、各地に甚大な被害をもたらしました。この2つの災害でも、逃げ遅れにより被災された方々が多く、逃げたくても逃げ切れず、以前の不知火高潮災害のときと同じように、多くの高齢者や体が不自由な方などが犠牲になられたと思います。 また、幸いにも大きな被害はありませんでしたが、昨年9月には、史上最大規模と言われた台風10号が本県へ接近し、今年に入っても、例年より20日程度早い梅雨入りをはじめ、時期外れの8月の前線停滞により、長期間にわたる大雨となったのは記憶に新しいところです。 全国各地を見渡しても、梅雨期以外の大雨や不規則な台風の進路などによる様々な災害が発生し、そこに住む人たちの生活に大きな影響を与えており、過去に経験したことのない記録的な大雨や台風が続く状況を踏まえると、大規模な災害が、いつ、どこで発生してもおかしくない現状ではないかと思われます。 このような中、本県では、逃げ遅れゼロを掲げ、様々な対策を進められていますが、一層の防災力の強化に向けては、自助、共助、公助それぞれがしっかりと役割を果たし、相互に関わっていくことが重要であると考えます。 本県の豊かな自然は、我々に大きな恵みを与えてくれる一方で、風水害や地震、火山など、多岐にわたる大きな災害リスクも抱えています。 現在、知事は、5つの安全保障を提唱され、その一つに、災害に対する安全保障を掲げ、取組を進めておられます。また、本県の災害時において様々な支援をいただいた皆様への恩返しも常々述べられています。 今後も、自然災害が頻発化、激甚化することが想定される中、これまでに本県が培った経験や教訓を、本県の防災力強化はもとより、他の自治体にも発信することで、これから想定される大規模災害にも備えることができるのではないでしょうか。 そこで質問です。 これから起こり得る自然災害に対し、県ではどのように防災力を強化していくのか、また、これまでの災害から得た経験や教訓を今後どのように発信していくのか、以上2点について、知事公室長にお尋ねいたします。  〔知事公室長小牧裕明君登壇〕 ◎知事公室長(小牧裕明君) 激甚化する様々な災害から命を守るためには、行政をはじめ、地域や住民一人一人がしっかりと役割を果たし、相互に関わりながら、総合的な防災力の強化を図ることが重要です。また、本県がこれまでの災害で得た経験や教訓を発信していくことが、全国の災害対応力の向上につながると考えています。 まず、防災力の強化については、これまで、自助、共助の取組支援として、自分の命は自分で守る意識の醸成に向けた住民一人一人の防災行動計画であるマイタイムラインの普及のほか、地域ぐるみで命を守る取組として、要支援者の個別避難計画の策定や自主防災組織への支援などを進めてまいりました。 一方、高齢者など自ら避難することが困難な方々に対しては、公助による支援が重要です。このような方々の早期避難に向け、専用小型端末を活用した避難支援や顔認証システムなど民間企業が有する最新技術を活用した避難所支援システムの構築、さらには、避難情報などを確実に届ける通信網の強靱化にも取り組んでいます。 また、発災直後の対応は、人命救助やその後の復旧、復興に大きく影響します。そのため、初動対応力のさらなる向上に向け、過去の経験や教訓を生かした本県独自の実践的シナリオを基に、市町村や消防、警察、自衛隊などと連携した訓練を繰り返し実施しています。 次に、災害の経験と教訓の発信についてです。 現在整備を進めている新たな防災センターの1階は、防災教育の拠点としての機能を備え、南阿蘇村の旧東海大学阿蘇キャンパスとともに、震災ミュージアムの中核拠点にも位置づけています。 県としては、このセンターを、自治体職員はもとより、地域防災リーダー、さらには県民の皆様など幅広い方々を対象に、防災、減災や災害対応のノウハウを学べる場とし、人材育成に積極的に活用したいと考えています。 その一環として、本県独自に市町村と連携して行っている災害対応訓練のシナリオなどを教材としてパッケージ化し、センターの訓練見学とセットで提供します。 また、これまでの災害対応の振り返りやデジタルアーカイブで収集した災害の記録などについても、広く発信してまいります。 今後も、あらゆる事態に適切に対応するため、不断に総合防災力の強化に努めるとともに、全国の災害対応力向上に貢献してまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 知事公室長より、全国の災害対応力向上に貢献していくというお言葉をいただきました。 本県の防災力の強化を図ることは、特に大事なことだと思いますが、今では全国各地で地震が発生しております。最近では、トカラ列島近海で地震が相次いで発生しているということで、大変心配しているところでございます。 私も、熊本地震を経験して思うことは、地震の前まで、自分の住んでいる地域では地震は起きないだろうと思っていた方が多く見られたと思います。本県が災害で得た経験や教訓を全国に発信していただき、やはり一人一人が災害はいつ起こり得るか分からないと、しっかり自覚をしていただくことも大事だと思います。引き続き、全国の災害対応力の向上に貢献していただくよう、よろしくお願いいたします。 それでは、続きまして、家庭経済環境が学力に及ぼす影響と学力向上への取組についてお尋ねいたします。 令和3年度の全国学力・学習状況調査において、本県の結果は、例年と同様、小学生は、全国平均程度、中学生は、依然として全国平均を下回っているとの結果でありました。 全国学力・学習状況調査は、小学6年生及び中学3年生の全児童生徒を対象に、国語、算数・数学の2教科で実施されていますが、昨年は、新型コロナウイルス感染症に係る学校教育への影響等を考慮し中止となり、今年は2年ぶりの調査となりました。 この調査の目的は、国の責務として果たすべき義務教育の機会均等や一定以上の教育水準が確保されているかを把握し、教育の成果と課題などの結果を検証すること、また、教育委員会及び学校等が、広い視野で教育指導等の改善を図る機会を提供することなどにより、一定以上の教育水準を確保するという目的で調査をされています。 子供たちが向かう未来の社会のことを考えると、先行きは依然見通せず、目まぐるしく変化し続ける社会の中で生きていく必要があります。科学技術は日々進歩し、AIは高度に発達し、グローバル化や効率化も今後ますます進んでいくものと考えられます。 現に、我が国内でも活躍できるような高い能力を持つ海外の人材が活躍したり、身の回りのいろいろなことが自動化することによって、従来は人が担っていたことが機械に取って代わられてきており、自分の将来に対し不安を抱えている子供もいるのではないでしょうか。 子供たちが予測困難な社会を生き抜いていくためには、すぐには答えが出ない課題や答えのない問いから目を背けず、粘り強く考えたり、周りの人の協力を得て、納得解を生み出し、主体的に判断していくことが必要ではないでしょうか。 そのためには、一定程度の基礎学力が不可欠だと思います。しかしながら、先ほど述べたとおり、本県の小中学生の学力については課題があるように思います。 また、昨年度以降、新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休校等、緊急事態の中で、子供たちの学びが十分に保障できていないと考えられます。 本県においては、平成28年熊本地震、令和2年7月豪雨からの復旧、復興の過程にあり、地震や豪雨災害では、校舎が損壊したり、学校が避難所と利用されて休校が続き、仮設校舎での授業や、新型コロナウイルス感染症予防対策として、ICTを活用したオンライン事業と、誰もが予想していない事態になりました。 このような中、経済的な影響を受けた家庭も多いのではないかと思われます。家庭の経済状況が子供たちの学力に影響することは、これまでの調査で明らかになっています。 例えば、内閣府が発表した平成30年度子供の貧困の状況及び子供の貧困対策の実施状況を見ると、大学や専門学校への進学率については、全世帯が72.9%であるのに対し、生活保護世帯は36%となっており、直近の令和2年度調査においても、生活保護世帯の大学等への進学率は37.3%にとどまっている状況であります。 このような大学進学率にも影響する学力の差は、高校の段階ではなく、既に義務教育の段階から生じているのではないかと考えられます。 2017年11月に日本財団が調査した結果によると、年齢別に見る経済的に困窮している世帯の子供と困窮していない世帯の子供の偏差値の推移は、国語に関しては、8歳から9歳頃は、それほど大差はありませんが、10歳になると、困窮していない子供が50.6なのに対し、困窮している子供は45.1と、5.5も差が生じている結果となっています。また、その差は、10歳以降も縮まることなく、14歳では、困窮していない子供が53.1、困窮している子供が47.3と、5.8も離される結果となっています。 この結果を踏まえると、家庭の事情により学習塾へ通えるかどうかも関係すると思います。やはり貧困による影響で学習に集中できない、新しい教科などに興味を示さないといったことが関係しているのではないかと思われます。 明日の熊本、ひいては日本を支えていくのは、今を生きる子供たちであり、家庭の経済状況によって子供たちの将来が狭まることは、決してあってはならない喫緊の課題です。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 本県における学力の状況や家庭の経済状況が学力に及ぼす影響について、どのように捉えているのか、また、本県の学力向上の取組について、現在どのように取り組み、さらに、今後どのように取り組んでいかれるのか、2点についてお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、本県における学力の状況についてお答えをいたします。 全国学力・学習状況調査では、教科によって差はありますが、小学生では、全国平均程度かそれ以上、中学生は、全国平均程度かそれ以下という状況です。 小中学生の学力について、特に課題と捉えていることが2点あります。 1点目は、学力が十分に身についていない子供たちが中学生になると増えるという点です。 昨年度の県学力・学習状況調査の数学、英語においても、中学2年生の約2割が正答率30%未満の状況にあり、単純に比較はできないものの、小学生の約5倍となっております。 2点目は、日本財団の調査によりますと、既に小学校の低学年の時点で、貧困を背景に学力の格差が生じているという点です。 次に、学力向上に向けた現在の取組についてお答えをいたします。 本県では、令和元年度に策定した熊本の学び推進プランに基づき、子供たちを中心とした授業の改善や授業力向上のための研修に取り組んでおり、課題を抱えている学校や地域への重点的な支援も行っております。 また、一昨年から実施しております新しい県学力・学習状況調査を活用し、子供たち一人一人の学力に応じた指導の充実に取り組んでおります。 これらの取組により、昨年度のこの調査では、学年、教科ごとに13項目のうち7項目が全国平均を上回る結果となっており、小中学校とも着実に成果に結びついております。 最後に、今後の取組についてお答えをいたします。 先ほどの課題を踏まえ、今年度から実施しております「熊本の学び」アクションプロジェクトをさらに展開し、誰一人取り残さない学びの保障と教員一人一人の授業力向上に取り組んでまいります。 特に、蒲島県政の貧困の連鎖を教育で絶つ、誰一人取り残さないという姿勢を踏まえ、小学校低学年から経済状況に関係なく学べる環境を整備し、学力の向上を図っていくことが重要であると考えております。 このため、子供たちの習熟度に合わせた個別指導の工夫や小学校低学年からの基礎学力の定着を図る授業改善の徹底などに取り組んでいきます。 さらに、福祉部局と連携し、独り親世帯や生活困窮世帯等の子供たちが学習できる環境の整備を進めるなど、豊かな育ち、学びのための総合的支援を推進していきます。 今後も、誰もが自らの夢に向けて挑戦できるよう、市町村教育委員会や福祉部局等と連携しながら、子供たちの学びを保障し、さらなる学力向上に取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 教育長より御答弁をいただきました。 県として、学力向上のため、いろんな取組をしていただいております。これはすぐに成果が出るものではないかと思います。本県の学力は、全国平均程度となっていますが、市町村別で見ても、学力の差があるように見られます。ちなみに、県立中学校はというと、学校生徒数は少ないですが、全国平均より約20点ほど高い結果となっております。これだけ差がつくとは思ってもいませんでした。 そして、今最も重要なのが、経済状況で学力の差をなくしていくことが必要だと思います。今では、子供がどんな家庭環境に生まれるかという意味で、親ガチャという言葉を聞くようになりました。お隣の国、韓国では、スプーンの色で階級論というのがございます。職業や経済力の違いで、スプーンの色で判断されるということでございまして、このような言葉をなくしていくためにも、福祉部局としっかり連携を図り、格差のないよう努めていただくようにお願いいたします。 続きまして、大口西部基盤整備におけるかんきつ農家の経営安定について御質問します。 本県の果樹農業は、平たん地域から山間地域において多様に展開されており、全国1位のデコポンや全国4位の温州ミカンなど、全国有数の生産量を誇るかんきつの産地であり、本県果樹産出額の約7割を占めています。中でも、海岸沿いの中山間地域においては重要な基幹作物であり、経営の安定を図ることが必要だと思われます。 私の地元の宇城地域は、いち早くデコポンを導入するなど、現在県内一のデコポンの産地であり、温州ミカンとともに、一大かんきつ産地となっております。 大口西部基盤整備事業が行われている宇城市三角町は、私の生まれ故郷であり、実家の目の前にはミカンの選果場があり、子供の頃から毎日のように選果場を見てきました。三角町の基幹産業は農業であり、特にかんきつ類のミカン農家が多く、毎日のようにトラックが並び、大変活気があったのを思い出します。 しかし、かんきつ産地の縮小は顕著であり、県全体及び宇城地域の農家戸数は、共に10年間で79%に減少しています。それに伴い、栽培面積は、県全体では10年間で77%に減少し、宇城地域では61%となっており、宇城地域の減少が顕著であると考えられます。 また、果樹は、中山間地の傾斜地での栽培が多く、生産者の減少や高齢化が進むと見込まれており、耕作放棄地の発生も多く、産地存続に危機感を覚えているところであります。 さらに、果樹農家は収穫など機械化が困難な作業が多く、園地も狭小で、土地利用型作物等と比較してみると、労働時間が長く、生産性も低く、多くの労力と手作業で頑張っておられます。 そのようなことを踏まえ、これからは、園地基盤整備等により、生産の効率化を図り、規模拡大の意向がある若手等への農地の集約化や優良樹園地を次の世代の担い手に継承していき、高品質な生産に取り組む必要があると思います。 そのような中、宇城市三角町大口地区は、地元農家の熱意が非常に高く、平成14年度から18年度にかけて、樹園地の大規模基盤整備が行われました。農道や園内道が張り巡らされ、農薬散布や収穫等の作業がしやすい樹園地ができ上がり、その結果、次代を担う若手後継者も多く残っており、担い手確保にもつながっています。 さらに、現在、その後継者たちが中心となって、隣接する大口西部地区において、耕作放棄されていた水田を畑地化し、かんきつを植栽する基盤整備事業が進められております。県内だけでなく、全国のモデル地区となるものと大変期待をしているところであります。 先月、11月8日には、農林水産常任委員会で視察があり、委員の皆様には現地を見ていただき、また、地元生産者の方々との意見交換なども行われました。見ていただいてお分かりだと思いますが、若手生産者が多く、彼らは、切磋琢磨し、競争力を持ちつつ、栽培技術を共有し、頑張っておられる方々でございます。 この大口西部の基盤整備については、低平な干拓地であるため、豪雨時の湛水被害が心配されていましたが、今年、排水機場が完成し、大雨の際も湛水被害がなかったとのことで一安心しました。しかし、さらなる果実の品質向上のためには、農地の排水性の改善は大きな課題であると考えられます。 また、今回の事業では、それぞれの農家で経営規模が拡大するため、適期作業ができるのか、また、品質を上げるためにハウスの導入も必要ですが、初期投資が大きくなるため、経営面に大変不安を抱えている農家もおられます。実際に、視察の際に、そのようなお話を農林水産部長はじめ執行部の皆様の前で伺ったところです。 この農家の不安を解消し、稼げる農業を実現するためには、それぞれの農家がどのような営農ビジョンを描くのか、営農基盤をどう整備していくのかが重要と考えます。 そこで、県は、今後かんきつ産地のモデルとなる大口西部基盤整備において、農家の経営安定に向けてどのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 宇城市大口西部地区のかんきつ農家の経営安定と発展のためには、水田平たん地での果樹導入のメリットを生かしながら、高品質な果実を安定的に生産していくことが不可欠です。 そのため、県では、まず、水田から転換された樹園地の最大の課題である排水対策として、排水機場の設置に加え、当地区に適した園地整備の試験施工を実施し、農地の勾配や畝の高さの規格などを決定しました。 現在は、市やJAなど関係機関と連携し、農家との個別面談を重ねながら、営農計画づくりを支援しております。デコポンでは、収量や商品果率の向上と作業労力の分散にもつながるハウスや暖房機の導入を、温州ミカンでは、マルチを被覆した上で、施肥とかん水を同時に行い、土壌養水分を制御して糖度を高める新技術の導入などを提案しております。 今後、農家が思い描く稼げる営農ビジョンとなるよう、これらの施設や技術の最適な組合せについて助言してまいります。 営農計画策定後は、その実現に向け、必要な施設や機械の導入支援に加え、その次のステージとして、さらなる生産性の向上を目指し、ドローンや無人防除機などのスマート先端機器の導入も推進してまいります。 また、農家から懸念が示されている頻発する気象災害への備えといたしましては、現地が海に近いこともあり、強風や塩害を防ぐ施設設置の必要性について、農家や関係機関の方々と検討を始めたところです。 基盤整備事業は、実施に際して、必ず地域の将来像を話し合うことから、農地集積を促進するなど、若手農業者が夢を持って農業に取り組める環境を創出します。そのため、大口西部地区の取組を参考に、他の産地でも基盤整備を目指す動きが出てきております。 県といたしましては、大口西部地区が次世代型の果樹産地モデルとなるよう、関係機関と連携し、農家の経営安定と発展を支援してまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 大口西部基盤整備は、既存の樹園地と同等の受益面積を整備していただくということで、地元の方は大変感謝されている一方で、やはり今までの倍作業しなくてはいけないと、また、人手、ハウスなどの投資もかかるということで、不安を抱えている方もおられます。 県としても、しっかり連携を図っていただき、受益農家の皆様の不安を解消していただくように努めていただきたいと思います。 また、強風や塩害を防ぐ施設設置に関しましては、検討を始めたということでございますので、前向きな御検討をよろしくお願いいたします。 そして、この基盤整備が、何度もしつこいようでございますが、全国のモデル地区となるよう、最後までの整備をよろしくお願いいたします。 それでは、続きまして、地域で取り組む鳥獣被害対策についてお尋ねいたします。 私は、これまでの一般質問で、農作物の鳥獣被害に対する今後の対策についてや鳥獣被害対策のさらなる推進についてと、鳥獣被害対策に関する質問を行ってまいりました。 農林水産部長からは、野生鳥獣捕獲のための担い手育成、確保に努めることや、対策を実践できる人材を幅広く育成し、地域主体での自発的な活動が進むように取り組むとの答弁をいただいたところでございます。 県においては、集落や農地を守るため、野生鳥獣が生息しにくい環境整備と管理を地域ぐるみで行う「えづけSTOP!」対策により、農地への侵入防止、捕獲の取組を進めてこられました。その効果もあり、平成22年に8億4,000万円だった農作物等の被害額も、近年では5億円前後で推移していると聞いています。 一方、地域によっては、冬場のカモ類による露地野菜の被害や鹿によるかんきつ類の被害など、新たな被害が拡大していることや、コロナ禍により、若い世代が里帰りができずに農村の人流が減少したり、草刈り作業等、地域で人を集めての共同作業ができず、草が茂ったことにより、鹿やイノシシが出やすくなったなどの被害が拡大したという声もよく聞くようになりました。 特に鹿については、令和元年度に県が実施した生息頭数調査では、全県で約8万9,000頭と、平成26年度に実施した調査の約5万8,000頭から3万頭以上も増加しています。特に県南地域では、約2万9,000頭から約5万3,000頭と、2万4,000頭以上も増え、全県の増加頭数の8割を占めています。早めの対策を行わないと、ますます被害が拡大し、手後れになるのではないかと危惧しております。 また、イノシシについても、地元のくまもと農家ハンターの話では、捕獲した雌イノシシの中には、10頭もお腹に入れていたイノシシがいたとのことで、餌が豊富に確保でき、生育環境が良好なあかしではないかと思われます。 農作物への被害対策については、地域一体となった取組が必要であり、野生鳥獣にとって良好な生育環境にならないよう「えづけSTOP!」対策は重要です。このような取組のトップランナーは、くまもと農家ハンターであると私は認識しております。 農家ハンターについては、これまで何度か鳥獣被害の一般質問をさせていただいた際に、その中で紹介させていただきましたが、自分たちの農地は自分たちで守るという信念の下、宇城市三角地区で農業等を行う私の後輩でもある2人の若手リーダーを中心に、各地で農地を荒らすイノシシの捕獲活動を行っている県内若手農家のグループでございます。 農家ハンターの始まりは、高齢の農家の方が、イノシシの被害が多く、離農を考えていると相談されたことから、地域の消防団のように、自分たち農家の手で鳥獣被害から農地を守り、離農ゼロを目指して立ち上がりました。 また、昨年11月には、私も驚きましたが、全国ネットである「情熱大陸」に出演し、全国からも注目される団体になりました。 農家ハンターも、立ち上げ当初は、わなを設置してもなかなか捕まえることができず、地元猟友会の指導を受け、自らも学び、捕獲の実績を上げてきました。 そのような経験を踏まえた農家ハンターから、ぜひ教育の場でも、柵や電線の設置、また、箱わな等の設置など、例えば、農業学校、林業学校などで、農業、林業の技術や経営だけでなく、農地や森林を鳥獣被害から守る授業なども取り入れていけば、就農したときに必ず役に立つのではないかという話を伺いました。実際に取組をされている学校もあると聞いていますが、教育との連携も必要ではないかと考えます。 まずは、被害をもたらす鳥獣に対する正しい知識を身につけ、餌となる収穫残渣等の除去、潜み場となる雑草等の刈り込みや農地への侵入を防ぐための正しい柵の設置を地域として取り組んだことで、わなによる捕獲の効率を上げることができたと聞いています。このことからも、農家ハンターの協力を得て、活動を普及させていくことが必要だと考えます。 そこで、地域で取り組む「えづけSTOP!」対策の成果の普及や、カモ類や鹿による新たな被害拡大に対応するため、農家ハンターの知識や技術をどのように生かしていくのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 本県では、平成22年度に、農作物被害額が8億4,500万円と過去最高額になったことを踏まえ、鳥獣被害対策を強化してまいりました。 平成23年度から、地域ぐるみの取組の支援に着手し、平成28年度からは、「えづけSTOP!」対策により総合的な鳥獣被害対策を実施するとともに、その普及に協力できる先導的な集落を鳥獣被害対策マイスター集落として、これまで4集落を認定しております。 また、今年度も、11月22日からの1か月間を鳥獣被害対策強化月間に設定し、啓発活動や鳥獣被害対策に携わる担い手の育成、確保のための現地研修会等を開催しております。 さらに、庁内プロジェクト会議を設置し、部局横断的に情報共有と効果的な鳥獣被害対策を推進してきたこともあり、近年の被害額は5億円前後となっております。 一方、くまもと農家ハンターは、議員御紹介のとおり、地域の高齢農家からの鳥獣被害による営農断念の声がきっかけとなり、平成28年に県内の若手農家22名により活動を始め、現在約130名が活動されております。 具体的には、集落全体で被害を防ぐという強い気持ちで、効果的な侵入防護柵設置の実践やICTを活用した箱わな捕獲システムの導入などにより、捕獲活動の効率化に取り組まれております。加えて、捕獲したイノシシを食肉や加工品として有効活用するために、ジビエ処理加工施設を建設されるなど、鳥獣被害低減に向け、一貫した取組を展開されており、県にとって大変心強い存在です。 今年度は、県の鳥獣被害対策実践塾の講師として農家ハンターの代表を招き、これまでの経験や知識を基に、地域の鳥獣被害対策リーダーの育成に貢献していただいております。 また、県立農業大学校の集中講義で農家ハンターの活動を講義していただくなど、将来を担う人材の育成にも御活躍いただいております。 このように、農家自らが鳥獣被害対策に取り組む農家ハンターの姿勢や先駆的な取組を波及させ、地域の将来を担う人材を育成し、県全体の農作物被害の低減につなげてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 農家ハンターも、これまで、イノシシから農地を守るということで、箱わなや防護柵などを実践しながら勉強し、強化してこられました。今では、年々、生態系の変化が見られまして、イノシシや鹿など、今まで見なかった地域でも出没するようになってきました。今では、イノシシだけではなく、鹿やカモなど鳥類の被害も多く見られるようになり、農家ハンターも鹿やカモなどの駆除や防護にも取り組んでいこうとされています。 今では、農作物をつくるだけでなく、守ることも大変重要なことであり、県としても、農家ハンターの取組を県内全域に波及し、被害低減につなげていただくようによろしくお願いいたします。 それでは、続きまして、中山間地域における農業振興地域整備計画についてお尋ねいたします。 今後、我が国の人口は、年々減少していく傾向にあり、本県においても、大きな企業がある自治体や利便性がよい地域を除けば、人口減少は大きな課題となっております。 特に、中山間地域や僻地での人口減少は著しく、近い将来、自治体としての存続も危ぶまれる状況であります。 このような中、他県など他の自治体で暮らしていた方が故郷に帰ってくる、いわゆるUターンや他の自治体から移住するIターンなどの話も少なからずあると聞いております。 が、しかし、そこで問題になるのが住む場所です。特にUターンの方は、もともとの故郷に帰ってくるわけですから、先祖代々の土地はあります。先祖代々の土地に家を建てて、家族で新しい生活をスタートさせようとしても、その土地が農振地域であったら自由に家が建てられない。農業委員会に相談して、県と協議してもらっても、農振が外れず困っているといった話も直接伺っているところです。 また、中山間地域においては、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンに居住されている方が、毎年のように頻発する豪雨等による土砂災害から命を守るため、熊本県土砂災害危険住宅移転促進事業が創設されました。しかし、移転しようとしても、中山間地域においては、安心、安全な土地、また、近隣に学校、病院、商業施設など立地条件の整える土地は、かなり限られてきます。 ところが、平地で立地条件がよく、人口も増加している地域ほど、大型施設や企業誘致等で農振が大きく除外され、ますます人口も増えていくような状況であると思われます。そうなれば、ますます中山間地域においては、人口減少が進み、人材が失われます。 国は、地方創生を声高に叫びますが、人材なくして地方創生はありません。人材なくして、今後荒廃が進むであろう田畑や山林を守ることはできません。まさに、過疎化が進む地域にとって、UターンやIターン、地方に残る人材は宝であります。 地方では、農道が生活用道路として使われている地域も多々あり、その道路に隣接する先祖の土地に家が建てられず、それらの人材が移住や定住を諦めるのは大きな損失と言えます。 県としては、様々な問題があるかもしれません。しかし、何度も言いますが、人材なくして地域を守ることができない、人材なくして地方創生はないとの思いをお酌み取りいただき、農振除外についての柔軟な対応ができないものかと思いますが、県としてどのようにお考えか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 農業振興地域整備計画は、農振法に基づき、市町村が、おおむね10年先を見通して、地域の農業振興を図るために必要事項を定めたものです。この中で、集団的に存在する農地や生産性の高い農地などを農用地区域として設定しており、食料生産の基盤となる農地を守る上で極めて重要な制度となっております。 この区域を住宅など農業以外の用途に供するには農振除外が必要ですが、除外に当たっては、農地の集団化、農作業の効率化に支障を及ぼすおそれがないなどの要件が法律で定められており、県の同意も必要です。 このため、都市部平たん地や中山間地域を問わず、虫食い的な除外はできません。除外は、農用地区域の縁辺部などに限られることとなります。 一方で、Uターンなどで中山間地域に住みたいという方々がいるのも事実であり、移住、定住に欠くことのできない産業として、農業の振興を図る観点からの柔軟な対応を求める声も伺っております。 このような観点からの市町村の相談には、地域の農業の振興に資する施設として、その位置や規模を特定した計画を市町村が策定する中で、その可能性を市町村とともに検討するようにしております。 県内の事例としては、農業の継続と集落共同体の維持を目的とした農家住宅などがあります。 食料需要の増大や気候変動等による生産減少など、食料の安定供給が世界的に不安視される中にあって、食料生産の基盤である優良農地の維持も重要であることから、食料安全保障と地方創生の両立が図られた農業振興地域となるよう、市町村と連携して取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 農地を守るということは、もう十分分かっております。しかし、農地を守るのも人であります。中山間地域や過疎地域などは、年々人口減少、高齢化が進み、その農地を守る人材がいなく、耕作放棄地が拡大している状況でもあります。農振除外も法律で定められていることは分かっていますが、中山間地域などは、急傾斜地や急流河川などが多く、災害から守れる安心して住んでいただく宅地というのは限られています。そのような市町村は、やはり人口減少を一番危惧されていますので、県としては、このような現状を知っていただき、両立が図れるよう、市町村との連携をお願いしたいと思います。 これをもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 今年1つだけ反省しなければいけないことがございます。2年前、前々回の一般質問のときに、この場で皆様方にメタボを脱出しますと豪語させていただきましたけれども、去年は、順調に体重が減っておりました。ただ、今日は、完全にリバウンドという形になってしまいまして、いま一度気を引き締めて健康増進に努めさせていただきます。 これをもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) 以上で通告されました一般質問は全部終了いたしました。 これをもって一般質問を終結いたします。    ――――――○―――――― △日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第33号まで) ○議長(小早川宗弘君) 次に、日程第2、目下議題となっております議案第1号から第33号まで等に対する質疑を行いますが、ただいままで通告はありません。よって、質疑なしと認めます。    ――――――○―――――― 知事提出議案第34号 令和3年度熊本県一般会計補正予算(第15号) ○議長(小早川宗弘君) 次に、お諮りいたします。 知事提出議案第34号が提出されましたので、この際、これを日程に追加し、議題といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小早川宗弘君) 御異議なしと認めます。よって、知事提出議案第34号を日程に追加し、議題とすることに決定いたしました。 知事提出議案第34号を議題といたします。  ――――――――――――――――― 第34号 令和3年度熊本県一般会計補正予算(第15号)  ――――――――――――――――― ○議長(小早川宗弘君) 次に、ただいま議題といたしました議案に対する知事の説明を求めます。 知事蒲島郁夫君。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 本日追加提案しました議案について御説明申し上げます。 一般会計補正予算は、ワクチン・検査パッケージ等の活用に向けたPCR等検査の無料化に要する経費など、44億円を計上しております。 これにより、一般会計は、冒頭提案分と合わせて91億円の増額補正となり、補正後の一般会計予算額は、9,961億円となります。 この議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。 ○議長(小早川宗弘君) 次に、ただいま議題といたしました議案第34号に対する質疑を行いますが、ただいままで通告はありません。よって、質疑なしと認めます。    ――――――○―――――― △日程第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第34号まで) ○議長(小早川宗弘君) 次に、日程第3、目下議題となっております議案第1号から第33号までにつきましては、さきに配付の令和3年11月熊本県議会定例会議案各委員会別一覧表のとおり、議案第34号につきましては、さきに配付の同一覧表(追号)のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。  〔各委員会別一覧表は付録に掲載〕    ――――――○―――――― △日程第4 請願の委員会付託 ○議長(小早川宗弘君) 次に、日程第4、今期定例会において受理いたしました請願は、議席に配付の請願文書表のとおりであります。 これを所管の常任委員会に付託して審査することといたします。  〔請願文書表は付録に掲載〕    ――――――○―――――― △日程第5 休会の件 ○議長(小早川宗弘君) 次に、日程第5、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。 明14日は、各特別委員会開会のため、15日から17日までは、各常任委員会開会のため、20日は、議事整備のため、それぞれ休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小早川宗弘君) 御異議なしと認めます。よって、明14日から17日まで及び20日は休会することに決定いたしました。 なお、18日及び19日は、県の休日のため、休会であります。    ――――――○―――――― ○議長(小早川宗弘君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 次の会議は、来る21日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後0時12分散会...