熊本県議会 > 2021-12-08 >
12月08日-02号

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  1. 熊本県議会 2021-12-08
    12月08日-02号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和3年11月 定例会               第 2 号              (12月8日)  令和3年   熊本県議会11月定例会会議録     第2号令和3年12月8日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  令和3年12月8日(水曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   白 石 伸 一 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 早 田 章 子 さん     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   村 上 義 幸 君     会計管理者  手 島 和 生 君     企業局長   國 武 愼一郎 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(小早川宗弘君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(小早川宗弘君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 髙木健次君。  〔髙木健次君登壇〕(拍手) ◆(髙木健次君) 皆さん、おはようございます。合志市選挙区・自由民主党の髙木健次でございます。久しぶりの登壇になります。そして、本日はまた、今定例会のトップバッターの登壇をさせていただきました。まだまだ未熟者ではございますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。 さて、1年たつのは、本当に皆さん、早いですね。今年もコロナで明け暮れたというような感じがいたしますけれども、コロナのほうも、第5波のほうもここに来て収束傾向にあります。これも、医療関係、そして関係者の皆さん方の御尽力と御協力のたまものであろうというふうにも思っております。 ただ、この第6波といいますか、オミクロン、新しい変種の株が、世界でも50か国ですか、日本でももう3例出てきているということで、これからもこの第6波に備えての対策が肝要だというふうにも思っております。 また、先般、南関町で鳥インフルが発生いたしまして、大変熊本県の対応が早くて、極寒の中、厳しい条件の中で、県職員の皆さん方、本当に関係者の皆様方、一生懸命活動していただきまして、72時間のタイムリミットを54時間で感染措置対策を完了したということで、これも本当に皆さん方の力強い御支援のたまものだと、この場をお借りして敬意を表したいというふうにも思っております。 そして、皆さん、今日は、くしくも12月8日、日本海軍が単冠湾から出撃し、真珠湾を奇襲攻撃したその日でございます。あの太平洋戦争で、日本人、軍人含めて310万人の犠牲者が出たということで、このことは我々も、もう戦後生まれがほとんどになりましたけれども、しっかりと胸に刻んで、風化させることなく、世界平和を願いたいというふうにも思っております。 そんなこんなでいろいろ不幸なニュースもたくさんありましたけれども、1つ私がうれしいことがありました。大変私ごとで恐縮ですが、3か月前に4人目のひ孫が誕生しました。授かりました。私が産んだわけじゃないんですよ。大変、子供というと、本当にかわいいですね。万葉集に、山上憶良の「銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」という歌がありますけれども、金銀珠玉の財宝よりも、子供に勝る宝はないということであります。まさしく子供は世界の宝であるというふうに感じた次第でもございます。 そういうことで、この際、やしゃごを見るまで頑張ってみようかなというふうに思っておりますので、しばらくの間皆さんとのお付き合いもよろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。 ちょっと前置きが長くなりましたけれども、早速質問順に従いまして質問に入りたいと思います。 まず、TSMCの熊本進出への対応について。 知事の所感と県の取組についてお尋ねいたします。 去る11月9日に、TSMCとソニーが、半導体製造受託サービスを提供する新会社を設立し、菊陽町への工場建設を発表されました。 このTSMCという会社は、台湾に本社を置く半導体関連企業で、半導体の製造を請け負う半導体受託サービス市場において5割を超えるシェアを誇り、2021年の売上げが6兆円を超え、時価総額がトヨタ自動車の2倍近い約60兆円という、世界の半導体業界を牽引する企業の一つです。 報道によりますと、熊本の新工場は、2022年に建設を開始し、2024年末までの生産開始を目指して、約8,000億円の設備投資と1,500人以上の雇用創出が見込まれるとのことです。 今回の投資規模は、これまでの熊本県の企業誘致の中でも最大級とのことで、本県経済の浮揚とさらなる発展につながるものと大いに期待をしております。 また、知事は、日頃から、熊本県における半導体関連企業の集積を生かし、熊本の地から国の安全保障の一翼を担いたいと話されております。私の地元である合志市にも、三菱電機や東京エレクトロン九州が立地しておりますが、このたびのTSMCの熊本進出は、本県の強みである半導体産業の集積をさらに加速させるものであり、知事の考えを実現する上で、極めて大きな前進であると考えます。 今回のTSMCの誘致につきましては、半導体の安定調達を国家戦略と位置づける経済産業省が主導したと報じられておりますが、その実現に当たっては、半導体企業の集積を進めてきた熊本県のこれまでの取組が大きく貢献したのではないかと考えています。 熊本県は、1960年代の三菱電機やNEC九州――現在はルネサスと言いますが、の進出をきっかけに、東京エレクトロンやソニーなどの半導体関連企業の誘致を積極的に行ってまいりました。また、産業政策として、テクノポリス構想や熊本セミコンダクタ・フォレスト構想といった先進的な取組を通じ、半導体を本県の主要産業に育ててきました。 蒲島知事も、就任後から知の集積を掲げ、ソニーの研究開発部門を神奈川県から熊本に誘致されました。このことが、ソニー熊本工場の拠点性を向上させ、今回TSMCが進出先として熊本を選ぶ際の大きな要因となったのではないでしょうか。 熊本地震の際は、集積した半導体関連企業も大きな被害を受けられ、撤退も危惧されましたが、結果として、一件も撤退されることはありませんでした。これもひとえに知事と誘致企業との固い信頼関係があってのものであると思います。 こうしたことから、私は、今回のTSMCの熊本進出は、これまで知事が先頭に立って進めてこられた企業誘致の大きな成果であり、そしてその半導体関連産業の集積が実現させたものだと考えています。 最近の経済活動を見ますと、半導体不足により自動車産業が減産を余儀なくされるなど、半導体の重要性がますます高まっております。そうした中、今回のTSMCの工場建設は、熊本県への効果に加え、半導体の国内安定供給という観点からも、日本全国に恩恵があるものと認識しております。 知事には、ぜひこの効果や恩恵を、本県はもとより、シリコンアイランドと呼ばれる九州、そして日本全体の経済発展の起爆剤につなげていただきたいと考えています。 TSMCの工場建設発表からわずか1か月ですが、既に先月18日には、知事をトップとする半導体産業集積強化推進本部を設置して、組織体制を整えられるとともに、22日には、第1回会議を開催されました。そして、24日には、萩生田大臣と面談され、人材育成、確保等の課題について、解決に向けた方向性を共有されるなど、大変スピード感を持って精力的に取り組まれており、今後の展開に大きな期待を抱いております。 ただ、TSMCの工場建設については、人材確保以外にも、今後様々な課題が発生することが考えられます。 そこで、国家プロジェクトでもある今回のTSMCの進出について、今後県としてどのような考えを持って対応されるのか、知事のお考えをお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) TSMCによる日本で初めての工場進出は、本県の強みである半導体関連産業の集積をさらに加速させるものであります。県経済の活性化はもとより、半導体の安定供給等を通じ、日本の様々な産業分野の発展に貢献するとともに、世界に向けて熊本をアピールするビッグチャンスと認識しております。 国家プロジェクトである今回の新工場建設を全力で支援し、その波及効果を最大限に高めていくため、私は、3つの視点に立って取組を進めます。 1つ目は、TSMCとの信頼関係の構築です。 今回の投資について、規模や雇用見込みは示されたものの、工場の詳細や必要とする人材像など、これから明らかになる点が数多くあります。そのため、TSMCや合弁会社の関係者との意思疎通を図り、信頼関係を築く中で、企業のニーズや考えをしっかりと把握してまいります。 2つ目は、新工場の円滑な稼働に向けた課題への迅速な対応です。 新工場の建設に当たっては、これまでも取り組んでいる人材の育成、確保や交通渋滞対策をはじめ、様々な課題に迅速に対応していく必要があります。 また、今回の進出を、県内企業の取引増加や技術力の向上、そして新産業の創出に結びつけていくことが求められます。 そのため、先月18日には、関係部長などで構成する半導体産業集積強化推進本部を立ち上げました。この推進本部を中心に、全庁一丸となり、様々な課題へ丁寧かつスピーディーに取り組んでまいります。 先日、岸田総理大臣や萩生田経済産業大臣などと面談し、国に対し全面的な支援を要望するとともに、国と県が連携して取り組んでいくことを確認いたしました。 引き続き、国や地元菊陽町をはじめ、県内の市町村とも連携し、新工場の円滑な稼働に向け、万全の体制で取り組んでまいります。 そして、3つ目は、今回の進出を契機とした地方創生の推進です。 これまでの企業誘致という枠を超えて、様々な分野で熊本の可能性を最大限に高めてまいります。 例えば、熊本と台湾は、高雄市との友好交流協定の締結など、様々な交流を進めてまいりました。今後は、半導体分野での経済的な交流促進をはじめ、観光や文化など、これまで培ってきた良好な関係をさらに深めながら、県内全域に効果を波及させる取組を進めてまいります。 また、世界的企業であるTSMCの進出を機に、これまで県外に流出していた人材を含め、国内外を問わず、優秀な人材が熊本に集まってくるような知の集積に向けた取組を積極的に進めてまいります。 今回の新工場建設が、熊本地震からの創造的復興を目指す本県にとって、50年後、100年後の発展につながるよう、全力で取り組んでまいります。 そして、県内はもとより、シリコンアイランド九州の復活、さらには日本経済全体の発展へとしっかりとつなげていきます。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 今、TSMCの熊本進出への対応について、3つの視点に立った取組を進めると知事から力強い答弁をいただきました。 知事は、熊本地震に加え、新型コロナウイルス、令和2年7月豪雨という3つの困難からの復旧、復興に全力で取り組まれております。知事におかれましては、TSMCとしっかりと信頼関係を築いていただくとともに、関係市町村とも連携しながら、半導体産業集積強化推進本部を中心として、全庁一丸となって取り組んでいただきたいと思います。 次の周辺道路の整備について質問いたします。 TSMCが進出するセミコンテクノパーク周辺では、既に朝夕の通勤時間帯を中心に交通渋滞が常態化しており、TSMCの工場が稼働することにより、約1,500人を超える従業員が増えることで、渋滞が深刻化するのではないかと心配する声もあります。 そこで、TSMCが進出するセミコンテクノパーク周辺道路の整備について、県はどのように考えているのか、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長村上義幸君登壇〕 ◎土木部長(村上義幸君) セミコンテクノパーク周辺の道路整備についてお答えいたします。 この地域では、多くの企業が立地し、朝夕の通勤時間帯を中心に交通渋滞が発生しており、大きな課題であると承知しております。 これまでの調査により、セミコンテクノパーク周辺では、朝の通勤時間帯に、東西方向の道路よりも国道57号から北へ向かう道路に渋滞が集中していることが分かってまいりました。 これは、東西方向の県道大津植木線、大津西合志線について、交差点改良や左折レーンの設置などにより、一定の効果が現れてきたものと考えられます。 一方、南北方向につきましては、国道57号の北側にJR豊肥本線が通っており、これを立体交差で越える3本の道路に交通が集中していることが要因の一つと考えています。 このため、新たに県と菊陽町が連携し、豊肥本線を越えて南北をつなぐ都市計画道路菊陽空港線を事業化しました。 事業化に当たりましては、一定の将来交通量の増加を見込んでおり、この道路の整備により、周辺交通の分散が図られ、交通渋滞の緩和に効果があるものと考えられます。 また、本年7月には、県、合志市、大津町及び菊陽町が連携し、菊池南部総合交通研究会を設置しました。この研究会では、交通渋滞の現状を把握し、その対策として、公共交通の利活用策や道路ネットワークの整備及びボトルネック対策などの検討を始めています。 今後は、交通研究会の検討結果を庁内でも共有しながら、必要な対策をスピード感を持って進めてまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 土木部長に答弁をいただきました。 セミコンテクノパーク周辺の渋滞問題については、JR豊肥本線をまたぐ南北方向の道路が不足しているのが原因であり、TSMCが進出しても、都市計画道路菊陽空港線を整備すれば渋滞緩和に効果があるとのことでした。 しかし、地元では、その菊陽空港線がつながる県道大津植木線及び県道大津西合志線の渋滞に拍車がかかるのではないかと心配されており、これらの道路の4車線化に大きな期待を寄せられています。 今年7月に、県と地元が連携し設置された菊池南部総合交通研究会で、現状の把握や対策を検討するとのことですので、その中でしっかり検討していただきたいと思います。 また、私は、セミコンテクノパーク周辺の渋滞解消の鍵を握っているのが、中九州横断道路の早期整備であると考えています。 中九州横断道路については、昨年4月に、合志市から熊本市までの9.1キロメートル区間が事業化され、7月には、熊本地震を受けて整備が進められた北側復旧道路が開通するなど、着実に整備が進んでいます。 本県が日本経済の安全保障の一翼を担い、TSMCの進出効果を九州全域に波及させるためには、中九州横断道路の整備をさらに加速させることが不可欠です。とりわけ、既に国の計画段階評価が完了して事業化を待つばかりとなっている大津から合志市間の事業化、九州縦貫自動車道から熊本西環状道路の間の計画段階評価着手を早期に実現する必要があります。 このことは、知事も、県議会の九州横断道路建設促進議員連盟の前川会長とともに、去る10月28日に、国土交通省に対して要望されておりますが、引き続き、チーム熊本一丸となって取り組む必要がありますので、議員各位におかれましても、積極的な御支援をお願いいたします。 そして、もう1つ、中九州横断道路の整備で私が心配していることがあります。 中九州横断道路では、現在、合志から熊本市間が事業化されていますが、その起点となる仮称合志インターチェンジは、合志市役所北側の県道住吉熊本線との交差部に計画されています。 セミコンテクノパークから中九州横断道路のアクセスについても、最寄りの大津西合志ICまでの整備が完了するまでの間、この合志ICが役割を担うことが想定されます。しかし、合志ICへのアクセス道路は、集落を迂回するバイパスとなっており、土地カンのない人は、誤って集落の中に侵入してしまうことが懸念されます。 県においては、合志インターチェンジへのアクセスについても、しっかりと検討していただくよう要望いたしまして、次の質問に入ります。 次に、空港アクセス鉄道についてお尋ねします。 今、土木部長から答弁いただきましたが、TSMCの進出に伴う渋滞対策として、さらなる道路整備が重要であることは間違いありません。一方で、自動車利用の利便性を高める道路整備だけでなく、SDGsの理念の下、多くの人が利用しやすい公共交通機関を整備し、様々な方に積極的な利用を促進していくことも重要であると考えます。 知事は、11月30日の議案説明において、現在、空港周辺地域における新たな公共交通機関として検討が進む空港アクセス鉄道について、TSMCの立地決定を踏まえ、県内全域の交通ネットワークの利便性向上につながるよう、現在の三里木ルート案のみならず、より効率的で効果の高いルートについて、スピード感を持って検討してまいると述べられました。 私も、空港アクセス鉄道は、空港アクセスの改善としての役割だけでなく、セミコンテクノパークを含む空港周辺地域全体の交通利便性の向上につなげていくことが重要であると思います。 また、TSMCは、台湾の高雄市に新たな工場を建設するとの報道もなされていますが、高雄市は、熊本県と友好交流協定を締結しており、かつ、本県と直行便で結ばれております。加えて、TSMCの本社は、いわゆる台北空港がある桃園市の近隣に位置しています。 このような関係性を考えた場合、今後、熊本と台湾との人、物の動きが加速化していくものと考えます。また、長年の懸案だった台北への直行便も現実味を帯びてきますし、さらなる経済効果が見込まれると考えます。 このように、TSMCの進出により、さらなる渋滞の悪化などの懸念はあるものの、国内外との人流、物流の増加に大きな期待を抱いているところですが、知事は、今回のTSMCの進出を受け、空港アクセス鉄道について、今後どのように検討を進めていこうとお考えなのか、お尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 空港アクセス鉄道の整備は、JR豊肥本線とともに、空港周辺地域における公共交通の基盤となるものであり、道路整備と併せて、渋滞対策としても重要な取組です。 空港アクセス鉄道については、これまで、空港利用者の定時性、速達性、大量輸送性を確保するとともに、県民総合運動公園へのアクセスの改善が可能な三里木駅からの分岐ルートを軸に検討を進めてきました。 しかしながら、空港周辺地域は、TSMCの進出により、本県における半導体産業の集積拠点としてのみならず、国の経済安全保障にとっても重要な地域となります。空港アクセス鉄道の検討を開始した平成30年頃と比べ、取り巻く環境が大きく変化しています。 議員御指摘のとおり、TSMCの進出や今後想定される関連企業のさらなる集積により、空港を含め、人や物の流れが大きく変化します。これらを踏まえ、空港周辺地域の可能性を最大化するため、ハード、ソフト、その両面から対策を講じていく必要があります。 そのため、空港アクセス鉄道についても、豊肥本線の輸送力増強によるセミコンテクノパークへのアクセス向上、さらには県内全域の交通ネットワークの利便性向上につなげることを目指し、追加の検討を行うこととしました。 具体的には、三里木ルートに加え、セミコンテクノパークに最も近い原水駅で分岐する原水ルートや豊肥本線の電化区間の終点である肥後大津駅から分岐する肥後大津ルートについても調査を実施します。 各ルートの概算事業費を算出するとともに、需要予測を行い、収支採算性の確認や費用便益分析、いわゆるB/Cを算出し、いずれの案が最も効率的で効果の高いルートであるかを比較検討します。 三里木ルートの検討に当たっては、1年以上の調査期間を要しましたが、追加調査は、これまでの調査のノウハウを生かすことで、可能な限り短縮に努め、スピード感を持って進めます。そして、検討の状況や結果については、これまでと同様に、県議会や空港アクセス検討委員会において丁寧に説明を行い、県民の皆様の御理解をいただきながら進めてまいります。 なお、追加の調査検討に必要となる予算については、今定例会に追加提案を予定しております。 空港アクセス鉄道の整備は、熊本地震からの創造的復興の総仕上げと考えています。熊本の将来の礎として、最大限の効果が発揮できるよう、早期実現に向け、引き続き検討を進めてまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 知事から、TSMCの進出が決定し、検討開始当初と比べ、取り巻く環境が大きく変化した、また、空港周辺地域の可能性を最大化するため、空港アクセス鉄道の整備ルートについて、現在の三里木ルートに加えて追加の検討を行うというような答弁がありました。 どのルートになるにしても、しっかり調査をしていただきたいと考えますが、一方で、TSMCの操業開始や空港ターミナルビルの開業を考えると、時間的な余裕はないと思います。期待される県内全域への波及効果に対し、空港アクセス鉄道の整備の遅れが足かせとならないよう、一刻も早く整備に着手することも必要です。 このような観点も考慮し、知事には、ぜひ、可能な限り早期に、できる限り来年中には事業化を判断されますことを期待します。100年後の熊本の県民から、よくぞあのとき空港アクセス鉄道の整備を決断してもらったと評価されるようにしていただきたいと思います。 次に、球磨川流域における新たな流水型ダムについてお尋ねします。 昨年発生した令和2年7月豪雨から1年半近くがたとうとしています。この未曽有の災害により、県全体で災害関連死を含む67名の方の貴い命が失われ、今もなお2名の方が行方不明となっておられます。犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた全ての方々とその御家族に改めてお見舞いを申し上げます。 さて、蒲島知事におかれましては、昨日、国とともに五木村、相良村を訪問され、村及び村議会に対して、新たな流水型ダムの諸元と今後の村の振興について説明されました。 知事は、昨年11月に本会議で、現行の貯留型川辺川ダム計画の完全な廃止と、命と環境の両方を守る新たな流水型ダムの整備を国に求めることを表明され、その後、当時の赤羽国土交通大臣に直接要請されました。それから1年余りを経て、今般ようやく新たな流水型ダムの諸元の一部が国から示されました。 今後、ダムの整備にはかなりの時間がかかるとされており、多くの流域住民が、ダムが完成するまでの間、安全、安心な生活ができるのか、不安を持たれています。そのため、現在進められている法と同等の環境アセスメントを速やかに完了させた上で、一日も早く完成させることが必要です。 さらに、ダム問題に長年翻弄され続けてきた五木村の振興や生活再建については、県議会としても最重要課題と認識しており、新たな流水型ダムを前提として、村民の方々が今後も末永く住み続けられるよう、最大限の支援を行っていくことが喫緊の課題です。 そこで、知事にお尋ねします。 まず、国から示された新たな流水型ダムについて、どのように受け止めておられるのか。 また、整備の長期化が懸念される中で、今後の整備の見通しと、ダムが完成するまでの間、流域住民の安全、安心をどのように確保していくのか、お尋ねします。 さらに、五木村やダム建設地となる相良村の振興に取り組む決意について。 以上3点、お尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、国から示された新たな流水型ダムの受け止めについてお答えします。 私は、昨年11月19日、この議場で、球磨川流域において、緑の流域治水の一つとして、住民の命を守り、地域の宝である清流をも守る新たな流水型ダムを国に求めることを表明し、翌日、当時の赤羽国土交通大臣に直接要請いたしました。 大臣からは、その後の会見で、最新の技術を極限まで取り入れながら、安全と環境の両立をできる限り追求するとの心強い発言をいただきました。 その後、国は、本年3月に策定、公表された球磨川水系流域治水プロジェクトに基づき、4月から新たな流水型ダムの調査検討に着手されました。 そして、昨日、国から、五木村、相良村に対して、ダムの諸元の一部が示されました。その中で、ダムの位置、高さ、湛水範囲については、治水計画上の必要な洪水調整機能を確保するとともに、これまでの付け替え道路などの各種の生活再建の状況やダム本体関連工事などの現地の状況を踏まえて、従来の貯留型ダムと同じとされました。 国においては、流域の安全と環境を守るという私の要請をしっかりと受け止め、迅速かつ丁寧に調査検討を行っていただきました。ただ、流域の命と清流を守る緑の流域治水の取組は、これからがスタートだと考えています。 今後、球磨川の環境に極限まで配慮し、清流を守る新たな流水型ダムとして整備が進められているのか、これを流域市町村及び住民の皆様と一体となって確認する仕組みを構築し、命と清流の両方を守る新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水の取組を着実に進めてまいります。 次に、新たな流水型ダムの今後の整備の見通しとダムが完成するまでの間の安全、安心の確保についてお答えします。 球磨川水系流域治水プロジェクトにおいて、新たな流水型ダムの工程については、おおむね5年間の第1段階で調査検討の進捗を図り、令和11年度までの第2段階で整備の進捗を図った上で、第2段階以降で完成を図るとされています。 今後、調査検討及び河川整備計画の策定が進む中で、放流設備などの構造や異常洪水時防災操作も含めた洪水調節操作ルール、そして事業費や具体的なスケジュールなどについても、順次示されるものと考えています。 一方で、このように新たな流水型ダムの完成までには一定の期間を要することから、その間においても、住民の皆様の安全、安心を早急に確保することが必要です。 そのため、緑の流域治水の理念の下、ハード、ソフト両面で、国、県、流域市町村と住民の皆様が協働し、流域の安全、安心が着実かつ早期に実現できるよう、できる対策から速やかに取り組んでまいります。 具体的には、ハード対策については、流域治水プロジェクトのロードマップに基づき、河道掘削、輪中堤、宅地かさ上げ、遊水地などに取り組んでまいります。 また、ソフト対策については、情報伝達の強化や避難訓練の実施など、住民の避難行動に関する取組を進めるほか、避難地や避難路の整備を進めてまいります。さらに、家屋への浸水被害への備えとして、火災保険のうち水災補償に相当する保険料の一部について、復興基金による支援も進めてまいります。 最後に、五木村、相良村の振興に取り組む決意についてお答えします。 昨日、私は、五木村に対し、県として、今後できるだけ早く新たな流水型ダムを前提とした村の新たな振興の方向性をお示しし、具体的な振興策について、村と一緒にまとめ上げ、実施していくことなどをお伝えしました。 また、相良村に対して、清流川辺川を生かした村の振興に全力で取り組むことなどをお伝えしました。 そして、国からも、五木村、相良村に対して、過去の経緯も踏まえつつ、村の新たな振興について、国、県でしっかりと連携を図りながら取り組む旨の説明がありました。 五木村からは、新たな流水型ダムや村の振興について、村民の理解が進んだ後に最終判断がある、そういう意味で本日を協議のスタートとしたい、ダムが貯留型から流水型へ転換した経緯や流水型ダムが村へ及ぼす影響などが分からない状況では容認できない、相良村からは、15年連続水質日本一の清流川辺川を子々孫々まで残したい、河道掘削や遊水地などの河川改修や道路整備など目に見える事業を速やかに進めてほしいなど、これまでのダム問題の経緯を踏まえ、また、村の将来を見据えた率直な御意見をいただきました。その中で、両村から共通して、新たな流水型ダムについて、村民に丁寧に説明してほしいという御意見をいただきました。 今後、県としては、新たな流水型ダムを含む緑の流域治水について、国と連携し、五木村、相良村の皆様に御理解、御協力をいただけるよう、丁寧に説明を尽くしてまいります。 その上で、五木村、相良村の皆様の御意見をしっかりお伺いしながら、国、県が一体となって、これまで以上の責任と覚悟を持って、両村の振興に全力で取り組んでまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 知事の答弁が思わず長くなりました。それだけ知事は丁寧に進めていこうということの表れだというふうに思います。 知事から、3点について答弁をいただきました。 まず、今回国から示された新たな流水型ダムの諸元は、位置や高さ、湛水面積や総貯水量などが、従来の貯留型ダムと同じとなったとのことです。国が、知事の要請をしっかりと受け止め、敏速かつ丁寧に調査検討が行われたことは評価すべきと考えます。 一方で、球磨川水系流域治水プロジェクトのロードマップによれば、新たな流水型ダムの完成は、令和11年度までの第2段階以降になるとのことであり、ダムが完成するまでの間、ハード、ソフト両面でできる対策から速やかに取り組むとのことです。 気候変動が進む中で、ダムが完成するまでの間も安全、安心な生活ができるよう、県としても最大限努力すべきと考えます。 そのため、環境アセスメントをはじめ、必要な手続を速やかに進めるなど、引き続き、国と密に連携、協力して、一日も早くダムが完成するよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。 さらに、ダム問題に長年翻弄されてきた五木村、相良村の振興についても、新たな流水型ダムを前提として、国、県一体となって、これまで以上の責任と覚悟を持って全力で取り組むとの決意を示していただきました。 今後、引き続き、村の御意向をしっかり踏まえながら、スピード感を持って最大限の支援に取り組んでいただきたいと思います。 次に、本県におけるDXの取組について質問いたします。 社会経済環境が大きく変化する中、デジタル技術は急速に進展しており、その技術を活用し、様々な社会課題の解決や経済の発展に向けた取組が求められているところです。 国では、今年、デジタル改革関連法案が成立し、さらに9月には、デジタル庁が設置され、デジタル化に関する取組が強力に進められています。 11月8日には、内閣に設置された新しい資本主義実現本部にて緊急提言がなされ、成長と分配の好循環の起爆剤として、デジタルトランスフォーメーションやグリーン分野の成長を含めた科学技術立国を推進し、抜本的なイノベーション力強化の必要性に言及されています。 また、そうした取組を推進するには、民間がイノベーションを起こし、官が支援していくことが求められており、産学行政が緊密に連携して取り組んでいく必要があります。 本県においても、昨年12月にDXくまもと創生会議を設置し、その推進に向けた産学行政の共通の羅針盤となるグランドデザインの策定が進められています。 私が委員長を務める地域対策特別委員会においても、DXを本県の発展につなげていくために、その可能性等について活発な議論を行っています。 DXを通じたイノベーションは、大企業だけに恩恵をもたらすものではなく、地方の中堅・中小企業等を含めて、幅広い産業や企業の生産性向上に資するものでなければなりません。 健康福祉や災害対応など、県民に安心感を与え、よりよい県民生活を実現する上でも、大変重要なものです。そのためにも、産学行政が一体となって取り組み、県民にDXの重要性を周知し、機運醸成を進め、裾野の広い取組としていくことが大事だと考えています。 このような広範な取組の推進を担う県の組織体制も重要だと思います。県では、情報政策を中心となって進める部署として、令和元年度には情報企画課を情報政策課に再編され、今年度はデジタル戦略推進班を設置するなど、組織体制の整備が進められてきています。 しかしながら、今年3月にまとめられた令和2年度の包括外部監査の報告では「システムを含めた情報戦略を部署横断的に把握し、戦略立案をすることが求められる。そのためには情報戦略を専門に扱う部署と責任者を設置し、主導していくことが必要」「その前提として、熊本県においてもCIO職を設置し、システム管理も含めた情報戦略を全庁的に統一して進めることのできる体制を構築することが、今後求められる。」といった意見が出されています。 また、7月に総務省が作成した自治体DX推進手順書では、CIOのマネジメントを専門的知見から補佐するCIO補佐官等について、外部人材の活用を積極的に検討することも示されているところです。 県には、本県全体のDXをリードしていく役割が期待され、そのエンジン役となる県の所管部署も、しっかりとした体制を整えることが重要と考えます。 そこで、本県におけるDXの取組をどのように進めていくのか、また、DX推進に向けた今後の県の組織体制の強化についてどのようにお考えか、蒲島知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、本県におけるDXの取組についてお答えします。 デジタル技術による社会経済活動の変革を目指すデジタルトランスフォーメーションの推進は、本県においても将来の発展につながるものです。 県では、昨年12月にDXくまもと創生会議を設立し、私とJR九州の石原特別顧問が共同座長となり、産学の中心的メンバーと一緒に、DX推進による熊本県の可能性等について議論を重ねています。 10月に開催した第4回の会議では、県民総幸福量の最大化に向けた2つのビジョンと7つの方向性、その実現手段を示し、産学官共通の羅針盤となるグランドデザインの原案について議論をいたしました。 今後、県内の産業界、大学、市町村等の関係団体との意見交換を深め、グランドデザインの最終案を年度内に取りまとめます。さらに、グランドデザインの目指すビジョン実現のため、産学官一体で推進できるよう検討してまいります。 次に、県の組織体制の強化についてです。 今後、DXに関する全庁的な取組を統括し、産学官のDXの推進、市町村におけるDXの支援、庁内のシステム改革などの取組を強力に進めていくためには、県の組織体制のさらなる強化が必要と考えています。 そのため、来年度に向けて、現行の所管部署である情報政策課の再編拡充により、企画振興部内にDX推進を担う新たな局を設置し、組織体制を強化してまいります。 さらに、DXの戦略的なマネジメントを行うため、高度な専門知識を持つ民間人材の幹部職への登用についても検討を進めているところです。 引き続き、産学官が一体となってしっかりとDXの取組を進め、熊本のさらなる発展につなげてまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) DXとは具体的にどのようなことか、県民にはどのようなことが求められ、また、どのような恩恵があるのか、現時点ではまだ抽象的で分かりにくいところがあるため、できる限り具体的に分かりやすく説明し、県民の理解を得ながら取組を進めていただきたいと思います。 また、今後のDX推進やデジタル化の取組は、ハードルが高いところもあるため、一部の大企業だけで終わらせてしまうのではなく、中堅・中小企業の皆さんも幅広く巻き込み、裾野の広い取組となるように十分な配慮を行っていただきたいと思います。 最後に、スポーツを活用した地域活性化についてお尋ねをしたいと思います。 今年のスポーツを振り返りますと、7月から9月にかけて行われた東京2020オリンピック・パラリンピックが最も大きな話題だったと思います。 コロナ禍で1年の延期を余儀なくされ、その間も多くの国際大会が中止になりました。日常の練習も制限されるなど、大きな逆境を乗り越え、全身全霊でプレーするアスリートの姿は、世界中の人々に感動を与えました。賛否両論はあったものの、我が国でオリンピック、パラリンピックを無事に開催できたことの意義は大変大きかったと思います。 熊本県ゆかりの選手の活躍もすばらしいものがありました。オリンピックでは、何といっても野球の村上選手でしょう。決勝戦で村上選手が放ったホームランが、金メダルを引き寄せたと言っても過言ではないと思います。また、パラリンピックでは、銀メダル1つ、銅メダル2つを獲得した水泳の富田選手の活躍が光っていました。非常に多くの困難を乗り越えて3つのメダルを獲得された富田選手の活躍に、多くの県民が勇気づけられたことでしょう。 また、熊本では、3つのプロスポーツがそれぞれに盛り上がりを見せています。サッカーのロアッソ熊本は、先週の日曜日の最終戦で、4期ぶりとなる悲願のJ2復帰を果たしました。バスケットボールでも、熊本ヴォルターズが上位をキープしています。野球の火の国サラマンダーズは、9月に九州アジアリーグの初代王者となりました。このような熊本のプロチームの頑張りは、県民のスポーツ熱の高まりにつながっています。このように、熊本県内のスポーツ界には、非常にいい流れができていると感じます。 2019年のラグビーワールドカップと女子ハンドボール世界選手権の開催後、1年の延期を経て東京オリンピック・パラリンピックが開催され、3つのプロスポーツチームがそれぞれに活躍を見せてくれています。 スポーツは、県民や地域を元気にするとともに、大変大きな経済効果をもたらします。2019年に開催された女子ハンドボール世界選手権は、98億円の経済効果を生み出しました。また、本県で開催されたラグビーワールドカップ2試合で、106億円の経済効果だったそうです。 このように、大きな可能性を持つスポーツの力をどのように生かし、どのような取組を行っていくのか、観光戦略部長にお尋ねします。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長(寺野愼吾君) スポーツは、する、見る、支えるという点で、幅広い世代、多様な方々が参画し、親しめるものであり、人や地域を元気づけ、さらに輝かせる大きな力を持っております。 国内におけるスポーツツーリズムの関連産業の消費額は、2019年には3,600億円となっており、新型コロナによる影響は受けたものの、今後も拡大が期待されます。 県では、ラグビーワールドカップや女子ハンドボール世界選手権大会のレガシーとして、スポーツが持つ多様な力を県の活力につなげるべく、熊本県スポーツツーリズム推進戦略を今般策定いたしました。 この推進戦略では、国際大会の開催などによる従来型の誘客に加えて、コロナ禍で生まれた新しい生活スタイルに対応したスポーツツーリズムの創造を目指し、スポーツと観光を結びつけた3つの戦略を掲げております。 戦略の1つ目が、スポーツと観光を組み合わせた旅行コンテンツの開発です。中でも、熊本の温泉や食を健康や美容に活用するウエルネスツーリズムを推進することとしております。 2つ目が、各コンテンツのネットワーク化及びブランド化でございます。各地域で開発された旅行コンテンツをつないで、県内統一のくまもっと旅スポブランドとして打ち出し、国内外への訴求力をより高めてまいります。 3つ目が、集客力のある大規模スポーツ大会の開催です。具体的には、自転車競技の国際大会となるツール・ド・九州の開催やバドミントン国際大会などの誘致に精力的に取り組みます。 さらには、東京オリンピックで注目を浴び、今後の成長株として期待されるスケートボードなどのアーバンスポーツについても、積極的な活用を検討してまいります。 こうした取組を効果的に推進していく母体となるスポーツコミッションを、来年1月に官民一体となって立ち上げるよう、鋭意準備を進めております。 これからも、行政、経済界、スポーツ界の皆さんの力を結集し、スポーツと観光を基軸とした地域の活力創造に全力で取り組んでまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 私は、スポーツは、今後大変大きな産業に育つと考えております。ぜひ、熊本でも、スポーツを大きな産業に育てていただきたい。 最後に、スポーツによる地域活性化を進めるに当たって、私が懸念していることを述べたいと思います。 国際スポーツ大会の開催やプロチームの公式戦開催など、いわゆる見るスポーツを推進するには、野球場をはじめとしたスポーツ施設の充実が不可欠と思います。 私は、これまで、野球場を含めたスポーツ施設の在り方について、何度か質問を行ってまいりました。 県の第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略には、スポーツ施設の整備の在り方について、県民的議論を深め、方向性を取りまとめると掲げられており、さきに述べた知事のスポーツ施設への認識が総合戦略にも表れていると思います。 私は、スポーツ施設は、スポーツをするためだけの施設ではなく、見て楽しむこともできる施設であると考えます。しかし、本県のスポーツ施設に関して言うと、建設から数十年経過し、スポーツイベント等の興行の誘致には適さない状況にあると思います。 また、藤崎台県営野球場の例で言えば、昨年度の収支は、収入がおよそ1,500万円に対して、支出はおよそ6,000万円と、赤字の状態となっております。この状態が毎年続くのであれば、スポーツイベント等の使い勝手がよく、多くの観客を呼び込むことができる新たなスポーツ施設を建設したほうが、長い目で見れば県財政にもよいのではないかと考えます。 昨年、プロ野球独立リーグで火の国サラマンダーズも創設され、新たな野球場を求める声も上がっています。また、熊本ヴォルターズでは、アリーナ建設の動きもあると聞いております。 九州各県でも、近年、子供から大人まで、入っただけでわくわくするような気持ちになるすばらしいスポーツ施設が建設されており、このままでは、熊本県は、誘客の面でも他県に後れを取ることが危惧されます。 熊本地震、令和2年7月豪雨、新型コロナウイルス感染症対策の3重苦にあえぐ県の厳しい財政事情は理解をしておりますけれども、今すぐに新たなスポーツ施設を建設すべきというものではありません。しかしながら、PFIなど民間資金を活用した建設方法もある。また、他県では、スポーツ施設の建設に当たり、企業版ふるさと納税を活用した例もあると聞いており、このような民間資金の活用も選択肢としながら、例えば庁内でプロジェクトチームを設置するなど、十分な議論をした上で方向性を出していただきたいと、新進気鋭の寺野観光戦略部長に切に切にお願いを申し上げまして、私の質問を全部終了させていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時休憩    ――――――○――――――  午前11時11分開議 ○議長(小早川宗弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 西聖一君。  〔西聖一君登壇〕(拍手) ◆(西聖一君) 立憲民主連合・熊本市第一選挙区の西聖一でございます。 地球温暖化現象が言われて久しくなりましたが、本年も、大変暑い日が夏から秋にかけて続き、この冬はどうなるんだろうかと思っておりましたところ、12月の声が聞かれると、やはり厳しい寒さが訪れ、あっという間に冬らしくなってまいりました。今年の冬は、ストーブはあまり使わなくて済むかなと淡い期待も抱いておりましたが、朝晩ストーブが手放せなくなると同時に、最近の灯油の値上がりが大変気になるところです。 さて、先ほど髙木議員も触れられましたが、本日、12月8日は、太平洋戦争開戦の日に当たります。既に80年を数えますが、今朝の各社の新聞でも大きく記事が取り上げられておりました。歴史をしっかり認識し、二度と戦争を起こさない不戦の誓いを新たにする日です。 地球温暖化防止や原油価格の高騰抑制に向けての取組は、日本だけで解決する事柄ではありませんから、世界と協調して取り組まなければなりません。決して戦争による紛争解決などということにならないよう、国際協調の不断の努力が政治外交に求められていると思います。 少々前置きが長くなりましたが、本日は6問質問させていただきます。様々な角度からの質問になりますが、執行部の答弁をよろしくお願いいたします。 まず、映画「MINAMATA」を契機とした水俣病に係る取組についてお尋ねいたします。 先日、ジョニー・デップ主演の映画「MINAMATA」を鑑賞しました。前評判のよさは聞いていましたが、鑑賞後は涙が止まらない感動を覚えました。作品の出来栄えはもちろんのことですが、水俣病患者訴訟団団長と株式会社チッソ社長との息詰まる交渉状況や関係者の生活実態、そして水俣病を世界に知らしめるに至ったユージン・スミスの葛藤模様を改めて知ったからです。 蒲島知事も鑑賞され、感銘を受け、世界的な位置づけがあるという記者発表をされています。 そして、この映画をきっかけに、水俣病に関わってきた様々な方の功績等が改めて紹介され始めました。つなぎ美術館では「ユージン・スミスとアイリーン・スミスが見たMINAMATA」と題する未公開の写真展も開催されましたし、水俣病情報センターでは、水銀分析法を開発した赤木洋勝さんの業績を紹介する展示会、また、患者団体等で組織するMICOネットでは、改めて水銀使用を規制する水俣条約参加への呼びかけを行うなど、水俣病に関する啓発活動が動き出しました。 しかしながら、行政が患者を救済する動きは停滞しています。県は、公健法に基づく申請者に対して認定審査業務を実施していますが、先日も14人が棄却された報道を目にしました。 これまでの認定状況を伺いますと、平成27年7月以降の認定者は5人、棄却者1,339人という結果です。このことから、水俣病と思われる症状で苦しみ、救済を望む人にとっては、公健法による救済は厳しい現状が横たわっていると考えます。 このような中に、特措法でも救済を受けられなかった天草の水俣病原告の方々をはじめ、多くの方が救済に向けての裁判を係争中です。 公害病ではありませんが、原爆症に関する黒い雨訴訟では、国は、対象となる線引きの非を認め、救済拡大の方向に向かっています。水俣病も、水銀に暴露した魚介類を摂取したことが起因しているということからすれば、特措法による地域の線引きで申請をちゅうちょした方や天草・不知火海沿岸、水俣湾で取れた魚を日常的に摂取していた山間地域の方まで健康調査をするべきだという意見が以前からあることは、知事も十分認識されていると思います。 そこで、改めて知事にお尋ねしますが、この「MINAMATA」の映画を見られて、これまで以上にいまだ被害を訴えている県民に寄り添った健康調査に向けた取組を強化するべきだと思いますが、いかがでしょうか。 次に、教育長にお尋ねしますが、私が中学校のときには、体育館で映画鑑賞会が実施されていました。当時、チャップリンの「独裁者」という映画でしたが、今でも鮮明に覚えています。チャップリンの演技力もさることながら、ヒトラーという独裁者がいかに問題であるかというのを実感し、反戦、平和が必要だと子供心に感じました。 最近は、このような映画鑑賞の取組は少なくなってきていると伺っていますが、この映画「MINAMATA」もその一つとして活用すれば、本県で発生した水俣病の歴史や患者の生活実態を通しての人権教育につながるものだと思います。 今は、義務教育の児童生徒は全てタブレットを持っていますから、校内のICT教育もしやすいでしょうし、さらには県の水俣の環境センターでも一部放映して紹介するコーナーを設ければ、一般の方にもより切実に伝わると思います。 先日の読売新聞に掲載された記事によりますと、この「MINAMATA」の映画を見て触発され、水俣病に関心を持ったミラノ日本人学校中学部の生徒の12名が、COP26の関連行事に国を代表して参加し、オンライン会議を通じて世界各国に、水俣病のことを学び直し、そこで得たことを英語で発表したそうです。 この映画をきっかけとして、子供たちに水俣病に対する認識が広がったことは、本当にすばらしいことだと考えます。映画の内容には、事実と異なるフィクションの場面もありますが、この映画は、学校や地域社会の啓発につながるものと考えますが、いかがでしょうか。教育長にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕
    ◎知事(蒲島郁夫君) 健康調査についてお答えする前に、まず、水俣病の救済について述べたいと思います。 私が知事に就任した平成20年当時、4,000人を超える方々が公健法に基づく認定申請をされており、裁判においても多くの方々が救済を求めておられました。 その切実な声に応えるため、私は、水俣病特措法の成立に全力を傾けました。特措法成立後は、あたう限りの救済を行うため、可能な限りの周知を行い、本県だけでも3万7,000人を超える方々が救済されました。 ただ、今もなお、公健法に基づく認定申請や裁判において、救済を求める方がおられます。 認定申請については、特措法による救済の後、3期目の知事就任時には、1,200人を超える方々が申請されておりましたが、丁寧かつ着実に審査を進め、先月、11月末時点では335人となっています。 水俣病の認定については、平成25年の最高裁判決において、司法の判断が示されています。私は、水俣病の救済について、県としてなすべきことは、この最高裁判決を最大限尊重し、丁寧に認定審査を進めていくことだと考えています。申請される方がおられる限り、丁寧に審査を行ってまいります。 御質問の健康調査については、特措法の規定に基づき、国において、メチル水銀が人の健康に与える影響を客観的に評価する手法の開発が進められています。 国は、来年度秋頃をめどに、これまでの研究開発の成果を整理することとしており、先週、11月30日には、研究を担う国立水俣病総合研究センターにおいて、進捗状況の中間報告が行われました。 私は、健康調査の実施に当たっては、科学的正当性を有する手法の確立が必要と考えます。そのような観点から、国が進める手法の開発について、しっかりと成果を出すことが重要です。 先日、山口環境大臣とお会いした際にも、健康調査に向けた取組の加速化を直接お願いいたしました。 県としては、引き続き、国に対して取組の加速化を求めるとともに、必要な協力を行ってまいります。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 現在、水俣病に関する県教育委員会の啓発の取組としては、児童生徒が水俣病を正しく理解し、人権尊重の意識や態度を身につけることができるよう、県内の公立小学校の5年生全員を対象に、水俣に学ぶ肥後っ子教室を実施しております。 また、知事部局と連携し、水俣病患者の方などが県内の学校を訪問し、児童生徒との交流を通して水俣病の教訓を伝える取組を実施しております。 さらに、教職員一人一人が水俣病に関する基本的認識を高めるため、研修や資料提供を行っているところです。 議員御提案の映画「MINAMATA」については、国内外の多くの方々が水俣病に関心を持ち、水俣病の歴史や教訓を学ぶきっかけになったと伺っております。 一方で、現在、県内の学校で視聴されている映画の多くは、児童生徒等への教育、啓発を目的として制作された、例えば拉致問題啓発映画「めぐみ」などの映画であり、児童生徒の発達段階に配慮した上で制作されております。 映画「MINAMATA」に関しては、教育、啓発を目的に制作されたものではないことから、学校等で児童生徒に一斉に鑑賞させることには、子供たちの受け止め等を含め、十分に配慮が必要であると考えております。 県教育委員会としましては、熊本県人権教育・啓発基本計画やくまもと「夢への架け橋」教育プラン等を踏まえ、引き続き、児童生徒が水俣病の歴史や事実を正しく学び、人権尊重の意識や態度を身につけることができるように取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 知事が答弁されましたように、特措法では3万7,000人もの方が救済されました。しかし、公健法による救済については、平成27年度以降、1,300人余りが棄却されており、残り335人の審査は今後も丁寧にされるのでしょうが、救済を受けられるのかどうかは極めて難しいことが想定されます。 特措法に基づく客観的診断手法については、来年の22年秋をめどに研究開発の結果を整理されることや、知事からも、環境大臣に取組の加速化を直接お願いしたという答弁をいただきました。 あわせて、県も必要な協力を行っていかれる答弁ですので、国の手法が示されれば、健康調査を行う準備体制に速やかに着手すべきだと私は思います。そして、その結果を基に、今裁判を係争している方々も含め、症状に苦しんでいる方の新たな救済に結びつく制度設計を国に求めていくべきだと考えます。 被害者に残された時間は限られています。知事のあたう限りの救済の実現に向けて、県当局の対応を期待いたします。 また、教育長からは、困難に近い答弁をいただいたかなと思います。実際、活用しようとしても、まだ上映中であり、著作権や使用料等もろもろの判断がある中では、現時点で困難があることは理解しますが、今後チャンスがあれば、ぜひ活用してもらいたいと思います。 以前は、夏休みや春休みには、文科省推薦の映画の割引券が学校で配られ、親子で映画を見に行くことは楽しみでしたが、最近はそのような制度も聞かなくなりました。そういう制度があれば、本映画も、県が協賛することで多くの子供や家族が見に行き、水俣病に対する理解が進んだのではと考えると、制度がなくなったことは大変残念だと思います。 次に、マンガ県くまもとの始動についてお尋ねいたします。 県内の大学や民間企業、自治体など54団体でくまもとマンガ協議会が設立され、10月24日のキックオフシンポジウムの内容が熊日に掲載されていました。いよいよマンガ県くまもとの始動が宣言されたものと理解しています。 その後の各社新聞でも、アニメを活用した地域活性化の取組など、県内外の事例が取り上げられています。 水俣市出身の江口寿史さんが水俣市の観光大使第1号に選任され、来年度開催予定の全日本スタンドアップパドルボード選手権のPR用イラストが完成したことの記事を目にして、郷土出身の漫画家の活躍の場がまた一つ増えたことに喜びを感じます。 また、「今日どこさん行くと?」の鹿子木灯さん、「あさりちゃん」の室山まゆみさん、「夏目友人帳」の緑川ゆきさんらの活躍も掲載され、本当に多くの著名漫画家が熊本にゆかりのあることが知られてきました。 また、この紅葉の時期、県庁プロムナードでは、イチョウの黄葉を楽しむ方が多く訪れ、ルフィの銅像と写真を収める家族連れ等を見ていると『ONE PIECE』が熊本県民にもしっかり溶け込んできたなと感じています。 『ONE PIECE』については、熊本復興プロジェクトの一環で順次建立が進んでいるルフィの仲間の銅像も、最後の大津町のゾロを残すのみとなっていましたが、今議会の予算にも計上されているようですが、最新の仲間となったジンベエ像が加わることとなり、さらに楽しみが増えることになりました。 私も、現時点での建立された銅像を全部巡ってみましたが、熊本市を9時に出発して、3時頃までには周遊できるような日程が組めました。このことから、熊本市や阿蘇を宿泊地として観光するコースづくりも容易で、これから観光客が増えてくれば、そういうツアーで、また各地がにぎわうのではないかと考えます。 加えて、熊本空港に巨大壁面パネルが設置されたことも公表されましたが、熊本の玄関口でこれらを見た観光客等は、おのずと興味が湧き、ちょっと寄ってみるかという関心を引くことは間違いありませんから、さらに観光の進展が望まれます。 さらに、11月20日から21日に、花畑広場でくまフェスが開催されましたが、多くのアニメファンや家族連れでにぎわっており、熊本のイベントとして定着してきているようです。 私は、以前から漫画コンテンツの活用は県の活性化につながると発信してきましたが、着実にそのことが花開いてきていると、大いに期待感を感じているところです。 さて、冒頭述べたくまもとマンガ協議会のキックオフシンポジウムでは、これからの様々な取組について意見が出ています。 関心があったのは、熊本大学文学部長の水元さんは、熊大を国際研究拠点にし、アーカイブをつくり、人材育成の拠点にしたい、熊本マンガミュージアムプロジェクト代表の橋本さんは、県全体を収蔵施設にしたいという意欲的な意見が出されていることです。 この意見は、マンガ県くまもとの位置づけを確固とする重要な視点ではないかと思います。アニメの聖地を形成し、長くファンを魅了するためには、様々な資料を集積してバックボーンを厚くすることが重要だと考えるからです。 しかし、基礎的な資料の収集や学術的研究には、それなりの経費が必要です。行政は、費用対効果の観点から、イベント重視の傾向があり、学術的なものは、その分野にお任せ的な面があると思いますが、せっかく産官学の連携体制が整い、マンガ県くまもとが始動したわけですから、お互いがウィン・ウィンの関係になって、県の活性化につながるような仕組みができればと考えます。 マンガ県くまもとに向けて、これからの取組はどのように考えているのか、観光戦略部長にお尋ねいたします。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長(寺野愼吾君) 漫画、アニメなどのコンテンツには、いわゆる聖地巡礼による誘客増などの直接的な経済効果に加え、地域を元気にするなど、様々な効果がございます。 県では、これまで、本県にゆかりのある『ONE PIECE』をはじめ、「夏目友人帳」や「クレヨンしんちゃん」などの作品とタイアップした取組を進めてまいりました。また、県内各地においても、地元を舞台にした作品による地域活性化など、様々な形で盛り上がりを見せております。 この流れをより大きく、加速化していくためには、県全体でより一体化した戦略的な取組が必要となります。そのため、県も、構想段階から参画し、本年10月に設立された産官学で構成されるくまもとマンガ協議会と緊密に連携した取組を促進いたします。 マンガ協議会では、漫画、アニメについて、文化的視点からの保存や研究、漫画家や編集者などの人材育成、新たな観光、経済活動の創造及び地域の再生、振興、元気づくりを活動の中心に据え、それぞれの活動を有機的に結びつけることで、マンガ県くまもとを目指すこととしております。 県では、主として、新たな観光、経済活動の創造を念頭に、漫画、アニメと地域の観光資源を掛け合わせた取組を推進しております。 また、漫画の保存、収蔵の在り方や研究手法、人材の育成、活用策などについても、大学やNPO、教育委員会などとともに検討を進めております。 さらに、こうした取組に加え、熊本での漫画、アニメの盛り上がりをより高めながら全国へ発信できるよう、節目の年を効果的に活用する周年事業に力を入れたいと考えております。 折しも、来年は『ONE PIECE』連載25周年、「クレヨンしんちゃん」アニメ30周年、再来年は、「夏目友人帳」連載20周年と、本県ゆかりの作品が軒並み節目の年を迎えます。この機を逃すことなく、皆さんから注目されるような事業をしっかりと考え、誘客や地域の元気づくりに取り組んでまいります。 今後、県内各地に地域ゆかりのキャラクターや漫画の観光スポットが誕生し、地域の盛り上がりとともに、それぞれのネットワークを形成することで、国内外からの観光客や関係人口の増加といった県全体の地方創生につなげてまいります。 漫画、アニメを第2のくまモンとすべく、マンガ協議会をはじめ、様々な関係機関と力を合わせ、マンガ県くまもとを目指してまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 観光戦略部長から、節目の年を活用し、様々な関係機関と連携しながら、マンガ県くまもとを目指すことを力強く答弁いただき、大変楽しみです。 現在、県庁のロビーでも『ONE PIECE』関連の掲示物が展覧されていますし、そこには「週刊少年ジャンプ」の冊子も置かれています。以前なら、漫画本が置いてあったら、とっとと片づけられていたと思いますが、今は、芸術的な展示物となっています。 また、先日の熊日に、牛深で牛深海賊団が結成され、「港町の魅力を生かし、元気なまちづくりを目指す。」とありました。手始めに『ONE PIECE』のキャラクター銅像設置の署名活動を始めるそうですが、漫画コンテンツの活用で、地域の魅力発信は今後とも広がっていくと思われます。 そのためにも、アーカイブや収蔵庫というものは重要と考えられますので、答弁にありましたように、取組の支援を重ねてお願いしたいと思います。 続きまして、公契約条例についてお尋ねいたします。 この質問は、2014年の12月に行っており、実に7年ぶりの再質問となります。 この間、鎌田議員も質問を重ねていますが、県では、課題等について、当面研究を重ねてまいるとして、庁内横断的な公契約のあり方検討チームを設置し、入札契約事務を通じて推進可能な施策の調査や、他自治体の検討状況について整理等を行うところとなっていました。 今年度に入って、弁護士の渡辺絵美さんを委員長に、5人で構成する熊本県公契約に関する条例検討委員会が設置され、既に2回検討会が実施されていると伺いました。 改めて、公契約条例について触れますが、公共事業の請負や業務委託におけるダンピング受注の横行、それに伴う従事労働者の労働条件の劣悪化、事業者の廃業に伴う技術伝承の断絶、さらには基本的な技術研修を受けないまま就業を余儀なくされる非正規労働者の増大など、公共サービスの請負の現場での雇用の劣化を防ぐために必要な条例だということで、既に様々な自治体で導入されているものです。本県でも、いよいよ条例制定に向けて議論が進んでいることを歓迎いたします。 議論の中では、どのような問題点を認識し、条例化によってどう改善していこうとしているでしょうか。また、今後どのような過程を経て条例化に至るのでしょうか。 最後に、既に9つの県で条例が制定されており、他県よりもよい条例になることが望まれますが、本県の条例にはどのような特色が盛り込まれる見込みなのでしょうか。 公契約条例制定に向けての進捗状況等を会計管理者にお尋ねいたします。  〔会計管理者手島和生君登壇〕 ◎会計管理者(手島和生君) 公契約条例については、平成26年1月に庁内の関係14課で構成する公契約のあり方検討チームを設置し、条例の必要性について検討を行いました。翌年8月に、条例制定の状況は整っていないものの、国や他の自治体の動向を注視しながら、関係団体との意見交換を進めることとする中間取りまとめを公表いたしました。 また、平成31年3月には公契約に関する庁内連絡調整会議を設置し、労働条件の確保や改善に係る各種施策等について県の取組をまとめ、ホームページで公開するなど、見える化を行ったところです。 その後、持続可能な社会をつくるための政策を進める手段として、公契約条例が注目されるに至ったことから、昨年11月に公契約条例の制定に関する庁内検討会を設置いたしました。 さらに、本年6月には経営者団体や労働者団体の代表者や弁護士、大学教員といった有識者で構成する公契約に関する条例検討委員会を設置し、条例制定に向け、具体的な検討に着手いたしました。 検討委員会では、委員それぞれの立場から、貴重な御意見、御提言をいただいているところでございます。契約制度の適正な運用や質の高い公共サービスの提供といった基本的な在り方を明らかにするとともに、本県の特色として、県と事業者等が相互に協力し、働き方改革の推進や環境への配慮など、持続可能な社会の実現に資する条例となるよう検討を進めていただいております。 今後は、今年度中に条例の素案を検討委員会で取りまとめていただき、来年度、パブリックコメントなどの必要な手続を経た後、県議会に条例案を上程する予定でございます。 引き続き、関係者の御意見に耳を傾けながら、条例制定に向け、しっかりと取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 先日、連合から知事への提言を行い、意見交換の場で知事からも、公契約条例についてはしっかり取り組んでまいるというお話を伺いました。本日の答弁でも、来年度には条例案が上程される予定と、着実な取組に安心をいたしました。さらに、本県の特色として、働き方改革の推進や持続可能な社会実現を目指して検討されているということです。 コロナ禍を経験して、雇用の安定や適切な賃金の支払いは、労働者にとって大変重要な課題と改めて認識されています。一日でも早く公契約条例が制定されて、自治体が行う公共事業が県下の労働者の環境改善や優良事業の規範につながることを期待して、終わります。 次に、子供の貧困対策についてお尋ねいたします。 2008年は、日本の社会政策学者の間で、子供の貧困元年と言われる年だそうです。その後、国の早急な対応の下、2013年には、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立いたしました。 主な内容は、子供の貧困を表す25の指標を提示、そして教育支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する職業生活の安定と向上に資する支援、経済的支援の大きな4項目について対策を施すとされました。 その後、2019年には見直しが行われ、25の指標が39の指標にまで広げて測定することとなり、指標の改善に向けた具体的な施策も追加されました。 特に、支援が届きにくい子供、家庭がいるということは、支援の現場で長く問題とされていたにもかかわらず、そもそも行政の窓口に来ないのでどんな人なのか分からない、支援者とのつながりがないため、実態、ニーズが把握できないといったことが起きていたため、議題に上りにくく、制度設計にも組み込まれない状態が続いていました。 しかし、そこに焦点を当てる強いメッセージが大綱に示され、現物支給を含めた様々な取組により「日本の将来を担う子供たちを誰一人取り残すことがない社会に向けて」と、法律の内容が見直しをされています。 さて、コロナ禍において、仕事がなくなり、生活苦に陥る方が多く出ていると言われています。全国における生活保護の申請件数は、令和3年5月以降、前年同月比で5か月連続で増え続けているという報道もありました。 そこで、本県の子供の貧困の状況が悪化しているのかを県にお尋ねしたところ、具体的なデータは、平成30年に公表されて以降、追跡調査は行われていないとのことでした。当時の県の取りまとめ結果では、相対的貧困率は15%、そのうち独り親世帯では43.8%となっています。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 何か現状が分かるデータがないかと、国が公表している平成27年から令和元年の5年間の就学援助を受けている児童生徒数の推移を調べてみました。 お手元の資料を御覧ください。 これによりますと、援助を受けている児童生徒の割合は、平成27年の14.62%からほとんど変化をしていません。この数字は、7人に1人が貧困の子供であると言われている数字とほぼ一致します。 このデータの中で、就学援助を受けている要保護児童生徒は、生活保護を受けている児童生徒で、準保護児童生徒数というのは、あくまでもみなしの数字であります。 その推移を見ると、要保護児童生徒の割合は、1.1%から0.81%に減少していますが、逆に、準保護児童生徒の割合は、13.52%から14.01%に若干ながら増えています。 就学支援制度が周知されれば、まだ増える可能性が十分ありますし、令和2年から3年にかけてのコロナ禍の経済状況からすれば、生活保護は受けずに生活が困窮している家庭の子供が増えているのではと想像されます。そういう家庭や子供に対して、何らかの支援が求められているのではないでしょうか。 また、子ども家庭福祉課では、ひとり親家庭福祉協議会に事業を委託して、独り親やその子供支援に取り組んでおられますが、LINEアプリを活用したアンケートの実施結果がありましたので、引用させていただきます。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) お手元の資料を御覧ください。令和2年5月と令和3年9月のアンケート結果です。 ここで私が注目したのは、アンケート対象者数が倍増していることです。これは、コロナ対策の一環で実施された物資配布会を通じた登録で増えたことも一因と伺っています。 行政とのつながりが少ないと、子どもの貧困対策法の見直しの中で指摘があったところですから、SNSで厳しい環境に置かれている独り親家庭とのつながりが広がったことは、取組の大きな成果の一つだと考えます。 このアンケート結果からは、全般的に令和2年より3年のほうが経済的に落ち着いてきていることが割合の変化から読み取れます。これは、国や自治体の支援が機能してきているからだと考えます。 しかし、割合は減っても、絶対数は増えています。対象者がより把握できた結果ではありますが、先ほど述べた事例と併せて、子供の貧困対策は今以上に力を入れていかなければならない部分が出てきたのではと、改めて思いました。 これだけの資料で判断をするというのは無理があると思われるかもしれませんが、私は、貧困対策の指標の実態調査が追いついていないことのほうが、より大きな問題だと思います。 法律の中では、国は、毎年子供の貧困に関する実態報告をするとされていますが、最近の指標の報告を見ると、教育の支援に関するデータは追跡調査されていますが、生活の安定に資する支援、保護者に対する就労支援、経済的支援に関する指標は、平成30年度以降更新がされていない状況です。 ちなみに、イギリスでは、貧困の指標は、相対的貧困率、絶対的貧困率、相対的貧困率と物質的剥奪指標を合わせた指標、持続的貧困指標を用いて、これらの指標数値を2020年度までに削減することを明確に目標としています。 また、ユニセフでは、子供のウェルビーイングに関する指標を何十という項目で示していますが、これらを全部クリアできれば貧困対策は十分となるのでしょうが、とても一遍にやれるようなものではありません。 世界各国や日本政府も、様々な指標を掲げて貧困撲滅に取り組んでいますが、本県では、どういう指標を取り上げて子供の貧困対策としていくのか、姿勢が問われるところです。 また、法令の中では、市町村においても子供の貧困対策計画の策定が求められていますが、本県では、令和2年3月時点で、県下の約3分の2に当たる32の市町村にとどまっています。残りの13の市町村策定について、県はどのように対応されているのでしょうか。 以上の点を申し上げ、本県の子供の貧困対策について、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) 本県では、令和2年3月に策定した第2期くまもと子ども・子育てプランにおいて、子供の貧困対策の推進を掲げ、教育、生活、保護者に対する就労、経済的な支援を4つの柱に取組を進めています。 その中でも、貧困の連鎖を教育で断つという知事の強い決意の下、全国に先駆けて、平成24年度から子供への学習支援である地域の学習教室をスタートさせ、令和6年度末までの利用者延べ人数1,500人を目標に取り組んでいます。 また、新型コロナウイルスの感染拡大は、子育てと仕事を1人で担っている独り親世帯に特に大きな影響を与えていると考えられるため、熊本県ひとり親家庭福祉協議会とも連携し、独り親世帯の現状やニーズの把握を行っています。 協議会が実施したアンケート結果によると、議員御指摘のとおり、収入の減少や支出の増加などにより家計が圧迫されるとともに、精神的にも厳しい状況に置かれていることが明らかになりました。 このような状況を踏まえ、県と協議会が連携して、県内各地での食材、生活用品の配付、オンラインによる就業支援や出張相談会などの取組を強化しました。 また、子供の貧困対策を進めるに当たっては、子供一人一人について様々な情報を保有する市町村の役割は大変大きいと考えています。 そのため、県では、市町村が子供の貧困対策に計画的に取り組むことができるよう、平成30年度から計画策定や具体的な事業を行うための支援を行っており、その結果、32市町村が計画を策定されました。 引き続き、計画策定の趣旨や取組内容に関する具体的なアドバイスを行うなど、全市町村における計画策定に向け、働きかけてまいります。 今後とも、市町村をはじめ、関係団体と連携しながら、子供の貧困対策を推進し、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指し、取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 一言に貧困対策と言っても、様々な取組があり、相互に関連しています。答弁にありましたように、県の丁寧な対応を今後とも求めたいと思います。 先日、熊本市では、新型コロナウイルスの関連で2020年度の生活困窮相談件数が、前年度の約10倍で5,000件超あったということが明らかになりました。本年度も、同程度の相談が寄せられているようです。 そういう家庭では、食費や学費をまず最初に削っていくものと想像されます。昨日は、私学助成を願う署名を持参した高校生徒との意見交換の場に参加しましたが、学費の負担が大きいことから、家庭や本人は大変負担に感じていることが切々と述べられました。コロナ禍で、高校や大学での中途退学者も増えているのではないでしょうか。そういう実態もしっかり調査し、対策を実施していただきたいと思います。 さて、政府は「こどもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しする」理念の実現に向けて、2022年にこども庁の設置を掲げていましたが、報道によりますと、2023年に先送りしたとありました。厚生労働省が担う児童虐待防止や障害児支援、内閣府が担う貧困対策、文科省が行う学校、幼児教育等、様々に行われている子供に関する施策をこども庁に一元化をして実施することがいかに難しいかということの表れだと思います。 今後も、国の動向で県の施策も変わってくると思われますが、貧困の連鎖を教育で断ち切るという知事の強い決意の下、本県の子供の貧困対策が進み、夢と希望を持って成長していける熊本県にしていただきたいと思います。 続いて、地球温暖化に対する農業研究機関等の対応についてお尋ねいたします。 毎年のように国内で発生する豪雨被害に代表されるような気象災害は、地球温暖化がその一因になっているのではないかとも言われる中、県民の環境に対する関心は高まっています。 農業県熊本においては、四季折々の季節の変化を機敏に捉えながら、地域に最も適切な品種を選択し、よりおいしいものをより多く消費者の皆さんに届けるという営みがなされています。そこには、生産者の努力はもとより、それを支えてきた県の研究機関の役割は大きなものがあります。 かつて、戦後の日本では、食料増産のため、農業研究所による技術開発、そして緑の自転車に乗った農業改良普及員が農村部を駆け回り、農業技術の普及向上を図り、日本の食料事情は大きく改善され、農業技術が進展してきました。その結果、米の国内自給率が100%を達成するなど、国民の胃袋を満たすことを実現することができました。 その後は、食生活の多様化が進んだことなどにより、国内の食料の多くを輸入に頼るようになって、食料自給率は大きく低下し、今に至るわけですが、本県において、農業が基幹産業であることは揺るぎのない事実であります。 さて、冒頭に述べました環境の変化による農業への影響を大変心配しており、温暖化に伴う試験研究機関の対応について、さきの議会で質問させていただき、病害虫発生予察への対応や耐暑性品種、高温下での栽培技術の確立等に取り組むとの答弁をいただいたところです。 こうした中、先日、熊本県病害虫防除所が、トマトなどに寄生して被害を与える害虫トマトキバガが国内で初めて確認され、特殊報を発表したとの報道を目にしました。全国初の発見が熊本県であったことは驚きでしたが、それ以上に、本県農業が侵入病害虫による大きなリスクにさらされていることへの危機感を改めて感じました。 さらに、調べを進めていくと、これまでは沖縄や鹿児島などでは例年飛来による侵入が確認されていたミカンコミバエが熊本県や長崎県でも多数確認され、その数が鹿児島県を上回っていることが分かりました。 こうした病害虫への対応は、水際対策が肝心であり、一旦定着を許してしまえば、出荷停止や根絶に向けた徹底的な防除作業といった大きな代償を払わなければならなくなりますので、農林水産部、特に農業研究センターや病害虫防除所が中心となった迅速かつ的確な対応が求められてきます。 そこで、新たな病害虫リスクが高まっている中、県としてどのような対応を取っていくのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 本県農業の持続的な発展のためには、高品質な農産物を安定的に生産し続ける必要があり、病害虫の防除対策は、非常に重要な課題です。 このため、本県では、病害虫防除所が、主要作物20品目において、病害虫170種類を対象に、県内145か所で定期的に巡回調査を行い、そのデータに基づいた病害虫発生予察、病害虫防除の指導を行っております。 さらに、海外や他地域からの侵入が警戒される県内で未発生の害虫につきましては、捕獲するためのわな、誘殺トラップを設置し、早期発見に努めております。 また、農業研究センターでは、病害虫の生態に基づき、薬剤や天敵などの生物農薬による防除と病害虫に強い抵抗性品種の導入などを効果的に組み合わせた総合的な病害虫管理技術の開発等を行っております。 議員御指摘のとおり、近年、新たな病害虫のリスクが高まっており、その一つが、本年多数捕獲されたミカンコミバエです。 捕獲された地域では、国の植物防疫所や県の関係機関に加え、地元の市町村、農業団体、生産者とも連携し、駆除するための誘殺板を延べ900人体制で約6万枚設置するなど、初動防除を迅速に実施し、定着を防ぐことができました。 このため、今後は、他の地域におきましても、県の普及組織が中心となり、産地ごとに市町村、農業団体、生産者を含めた初動防除体制づくりを進めることとしております。 また、トマトキバガにつきましては、11月16日に、県内全域の関係者を集めた対策会議を開催したところです。 蔓延防止のためには、早期発見と防除が重要であり、農業団体や生産者に対して、警戒と情報提供を呼びかけております。 この害虫は、植物防疫法の特例による薬剤防除が可能ですが、知見がほとんどないため、農業研究センターにおいて、国の試験研究と連携して、生態解明やより効果的な防除方法の開発に取り組み、総合的な防除マニュアルを取りまとめます。 今後とも、誘殺トラップの増設など侵入警戒態勢の強化や迅速な病害虫診断、的確な発生予察と防除技術の開発を核として、病害虫防除所、農業研究センター、普及組織が地域と一体となって対策に取り組み、農産物の安定生産を図ってまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 農林水産部長の答弁にありましたように、しっかりとした体制、そして対策方針の下で、これからの環境変化で新たに発生する病害虫対策にも取り組まれることを期待しております。 12月3日に判明した高病原性鳥インフルエンザの抑え込みに県庁一丸となって、封じ込めが実施されました。全国でも、早期の発生が見られていた中で、本県においても、この時期の発生は今後も大変心配です。関係者の御尽力により、これ以上の広がりがないことを心より願うばかりです。 また、質問にも取り上げたミカンコミバエですが、南西諸島及び小笠原列島のミカンコミバエは、昭和61年に根絶を達成したとされていましたので、本県にもその存在が認められたという報道は驚きでした。 このような事例も含めて、温暖化に伴うものだけではなく、既存の病害虫や疫病も、常に監視や対策が求められます。病害虫防除所をはじめとする研究機関は、病害虫等の発生予察等、地道な業務を実施していますが、一旦発生すると大被害をもたらすことを未然に防ぐ重要な部署です。予算や人員体制を惜しむことなく、今後とも取り組んでいただきますよう、重ねてお願いいたします。 続いて、熊本県立高等技術専門校の指導体制についてお尋ねいたします。 熊本市南区幸田に熊本県立高等技術専門校があります。職業能力開発促進法に基づき、都道府県に設置されている学校です。昭和21年の設立以来75年を経過しますが、この間、多くの人材を育成し、本県の産業振興に寄与しています。 現在は、自動車車体整備科、電気配管システム科、総合建築科の3科で、毎年50名定員の募集です。修了者の就職率は100%と、就学予定者にとっては魅力ある学校の一つであり、本県企業の即戦力となっています。 本校のこれからの在り方について、令和2年に県のビジョンが示されました。「志高く、高い技能と現場対応力を有する人材」を大目標として掲げ、自動車整備科では「新技術に対応した整備技術を身に付けた人材」、電気配管システム科では「建築設備工事全般に対応できる、施工管理技士に必要とされる基礎知識・技能及び関連資格を身に付けた人材」、総合建築科では「古民家再生から現代住宅に対応できる建築大工に必要な基礎知識・技能及び関連資格を身に付けた人材」等と、学科ごとの育成目標を定めるとともに、このビジョンに基づき施設の改修も順次行われ、令和9年度には改修が完了する予定となっています。 今回質問に取り上げたのは、このような育成目標を掲げている高等技術専門校ですが、その指導体制が非常に弱いのではないかということです。 現在の指導員体制は、指導課長含めて正規職員9名、再任用職員3名、会計年度任用職員7名の合計19名となっています。しかし、現在は、会計年度任用職員1名が欠員の状態が続いております。 また、年齢構成も、再任用や会計年度任用職員を含めると、50代以上が10名と半数以上となっており、今後の指導員確保及び指導員の育成が困難になってくると考えます。 また、学科によっては、午前の座学、午後からの実習、それらに必要な準備をほぼ1人で担当している状況もあり、土日出勤の代休も取れず、病気になったときの代わりもいないため、大変厳しい労働環境が続いていると伺っています。 指導員の確保、育成が困難であれば、一番影響を受けるのは生徒であり、さきに述べたビジョンの目標達成には程遠いものがあると言わざるを得ませんし、県内の産業振興の低下にもつながりかねません。 また、日進月歩の先進的な技術を習得し、生徒への指導につなげねばなりませんが、そういった時間も取れていないのではないかと思います。このままでは、希望を持って入校した生徒からすれば、大変残念な状況があると言わざるを得ないと思います。 高等技術専門校と同様な職業実践校の一つに県立農業大学校があります。指導者には農業改良普及員の資格を持った職員が当たり、農業研究センターで学んだ知識や現場での実践経験を基に学生指導を行っていますし、農業高校との連携の中で教職員が派遣されるなど、今後も安定した指導員体制にあると考えますが、それと比較すると、高等技術専門校の場合は非常に心細いものがあります。 今のままでは、10年後の指導者は、ほぼ再任用や会計年度任用の職員に頼らざるを得ない状況になるのではないでしょうか。県内では、大工さんをはじめ、技術を持った人材は不足しており、技術専門校の役割は今後とも大きくなっていくと考えます。 このような現状を鑑み、指導体制をどう構築していくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) まず、議員御指摘の高等技術専門校の指導員の欠員についてお答えします。 会計年度任用職員の欠員については、現在、指導員を臨時的に外部から招聘して対応しており、今後、新たな任用、補充を行うこととしております。 次に、将来を見据えた指導員の確保と育成についてです。 本年4月に、40代の指導員を新たに2名採用しております。現在、経験豊富な先輩職員が指導、助言を行うほか、指導力向上のための研修への派遣など、同校にふさわしい人材となるよう育成に努めております。 次に、指導員の労務環境についてです。 時間外勤務が過剰にならないよう、服務監督責任者である校長や事務長が、事務職員も含む全職員とコミュニケーションを取りながら、良好な労務環境の醸成に努めております。 高等技術専門校は、これまで長年にわたり、本県の産業を支える実践技術者の育成に大きく貢献してまいりました。今後とも、即戦力の人材を安定的に地域社会に送り出すことができるよう、指導体制の充実強化に取り組んでまいります。 ○議長(小早川宗弘君) 西聖一君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 指導員の確保に関係機関と連携しながら、対応に当たるという、今まで以上に積極的に取り組む答弁をいただいたと思います。 これから施設の改修を行い、さらなる県産業界の人材育成の拠点としていくということですから、仏作って魂入れずにはならないようにお願いをしたいと思います。 以上をもちまして本日の質問を終わらせていただきます。 終わりに、今年の流行語を交えて、一言申し上げます。 今年の流行語大賞は「リアル二刀流」と「ショータイム」でした。 私も、名前は聖一ですので、議会質問は、私にとってのショータイムであります。今回で23回目のショータイムとなりました。 本日は、子供の貧困対策について質問いたしましたが、「親ガチャ」という言葉が今年の流行語になったことは、大変残念な日本の状況です。あまりごちゃごちゃ述べますと「うっせぇわ」と議場内から聞こえてきそうですが、もうこれでやめますけれども、次回の質問に当たっては、県民のための「ゴン攻め」となるような質問に心がけ、今後も研さんを重ねてまいりたいと思います。 最後までの御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時11分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(山口裕君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 城下広作君。  〔城下広作君登壇〕(拍手) ◆(城下広作君) 公明党の城下広作でございます。 今日、午前中の2人の議員からも、12月8日のことを触れられました。いわゆる80年前の真珠湾攻撃の日でございます。太平洋戦争の開戦の日でもございますが、当時、アメリカと日本の差は、GDPで約10倍、石油備蓄量比で約700倍あったそうです。国力の差は歴然でありました。戦争ほど悲惨なものはないとの教訓を持ち続けたいと思います。 去る12月3日、南関町の養鶏場で鳥インフルエンザが確認され、県は、早速約6万7,000羽の殺処分を行いました。蒲島知事、また、県職員の機敏な対応に敬意を表します。これ以上感染拡大がないよう県民は期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 本県は、これまで、地震、洪水、コロナと三重苦に悩まされていましたが、鳥インフルエンザが加わり、四重苦になりかねない状況でございますが、知事のリーダーシップでぜひ乗り越えていただきたいと思います。知事は、くれぐれもお体には気をつけてください。 それでは、質問に入らせていただきますが、今年最後の議会でありますので、今回、私は、非常に答弁しやすい質問をそろえました。答弁予定者の皆様、明確な答弁をくれぐれもよろしくお願いいたします。 それでは、第1問でございます。 これまでのコロナ感染症対策に関する総括について。 新型コロナウイルスが我が国で初めて確認されてから、およそ2年がたとうとしています。 国は、当時聞き慣れない緊急事態宣言を発令し、我々国民は、日々感染の恐怖と闘いながら、今日まで、第1波から第5波まで、月日を共にしてきました。この間、国も感染予防対策に積極的に取り組み、本県も国と連携しながら対応してきたと理解しています。 そこで、本県の取組を具体的に見てみますと、感染者対策では、PCR検査の対象について、国の検査基準の3要件の県独自の弾力的な拡大運用、クラスター対策チームの創設、派遣、自宅療養体制強化のための熊本県療養支援センターの設置を行い、また、感染拡大防止策では、県・市合同専門家会議の設置、運営、県独自のリスクレベル基準の策定、運用、国のまん延防止等重点措置適応前の感染拡大初期に熊本蔓延防止宣言を発令し、医療を守る行動強化期間を設定、さらに市町村のワクチン接種を補完する目的で県民広域接種センターを運営するなど、様々な取組を行ってきました。 このような取組などもあり、最近、新型コロナウイルスの感染拡大が県下でも落ち着きを見せています。専門家等の意見では、ワクチン接種の進展、人々の行動抑制などの要因が挙げられていますが、明確なことは分かっていないようです。今は、このまま推移することを願うばかりであります。 そこで、第1点目の質問ですが、確かに県は、先ほど述べましたように、感染者の発生当初からあらゆる手だてを行ってきました。そして、関係職員は、無我夢中で対応してきたと思います。この場を借りて、改めて感謝を申し上げたいと思います。 今、感染拡大が落ち着きを見せています。私は、このようなときこそ、過去の取組がどうであったか、冷静に見ることができると思います。 そこで、これまでの第1波から第5波の対応について、感染症対策の陣頭指揮を執ってこられた蒲島知事はどのような総括をされているのか、お尋ねをします。 次に、コロナ感染症対策の不安的要素の改善策についてお尋ねします。 今現在は、新型コロナウイルスの感染状況が小康状態にありますが、専門家の意見では、必ず第6波が来ると言われています。現に、世界の新型コロナウイルス感染者は増加傾向にあり、特にヨーロッパ全域で増えているのですが、最近は新たな変異ウイルス株、オミクロン株の動向も気になります。何とかして日本での感染拡大を食い止めなければならず、そのための3回目のワクチン接種や経口薬の開発、抗体カクテル療法などに期待をしているところです。 そこで、第2点目の質問ですが、これまでの取組の中で特に私が気になった3点について、今後の対応をお尋ねします。 まずは、ワクチンの管理とキャンセルワクチンの有効利用についてですが、ワクチン管理について、一部で冷蔵庫のコンセントが外れたり、本体そのものが壊れたりと、管理の途中で気づかなかったのか、疑問が残ります。早く気づきますと、大切なワクチンは守れたと思います。 また、キャンセルワクチンも相当あったと思いますが、どのような対応をされたのか気になります。必ずキャンセルは起こり得ます。無駄をなくすための最善の取組が求められると思います。ワクチンの管理は基本的に市町村ですが、県としての認識をお尋ねします。 次に、新型コロナウイルスに感染した感染者の対応の在り方についてですが、例えば、保護者が感染した場合、子供を預ける場所に苦慮するなど、必ずしも対応ができたかといえば、そうではなかったと聞きました。 行政の対応は、まずは親戚等に預ける提案をされると聞いていますが、簡単に預かってもらえるとは限りません。むしろ難しいケースが多いのではないでしょうか。やはり対応を充実すべきと思います。 また、老老世帯も同じようなことが言えます。片方が万が一感染した場合、どうしても1人にしておけない方もおられます。しかし、経済的な理由や施設の受入れができない場合は、行き場をなくします。 今2つの例を挙げましたが、感染者を出したことによる自宅に残る家族等への対応をしっかりすべきではないでしょうか。お尋ねをいたします。 最後に、もし新型コロナウイルスに感染しますと、大まかに言いまして、重症または中等症の方は入院、軽症または無症状の方は原則として宿泊療養となりますが、家庭の事情等により、医師が可能と判断した場合については、自宅療養となります。私は、この自宅療養について、非常に心配でなりません。 無症状であったとしても、ウイルスには感染しています。同じ屋根の下で家族が暮らしていますと、よほどお城みたいな家に住んでいませんと、お風呂やトイレは大体共有ですし、部屋は別だとしても、移動することは必ず出てきます。こういう状態では、感染のリスクを抑え切れません。また、単身で無症状の方が、ある日突然容体が急変し、死亡したケースも、全国では多く見られています。 いずれにしても、自宅療養はリスクが大きく、私は、自宅療養を特別な事情がない限りなくし、宿泊療養施設で対応するほうが望ましいと思いますが、県としては、国の対応には反するかもしれませんが、自宅療養ゼロの取組ができないか、早田健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 本県では、昨年2月21日に初の感染者が確認されて以来、第1波から第5波までに、1万4,000名を超える方が新型コロナウイルスに感染されました。 特に、今年の夏から秋にかけての第5波では、感染力が強いデルタ株の影響もあり、感染者数が1日300名を超える日もあるなど、昨年春の第1波のときには想像できなかったほどに感染が急拡大しました。 このように、この感染症は、先を予測することが難しく、感染の波も繰り返されるため、発生当初から初動を重視し、私自らが先頭に立ち、対策に取り組んでまいりました。 それでも、昨年夏の第2波では、大規模なクラスターが発生しました。さらに、昨年末から今年初めにかけての第3波では、高齢者施設におけるクラスターが頻発し、重症患者が増加し、病床も逼迫するなど、対応は困難を極めました。 このような経験を踏まえ、本年2月に開催した対策本部会議において、初動は迅速に、解除は慎重にという方針をより徹底することを決定しました。 具体的には、営業時間短縮要請等の強い対策を、感染拡大の端緒が見られたら即座に講じるとともに、感染の減少傾向が見られても、一定期間は継続することとしました。 また、感染拡大に備えて、入院病床や宿泊療養施設の確保に取り組みました。ワクチンの接種も、希望される全ての県民の皆様が円滑に接種を受けられるよう取り組んだ結果、全国よりも早いペースで接種が進み、現在、2回目までの接種率は88%を超えています。 このような取組により、本年春の第4波や夏から秋にかけての第5波では、感染者数は増加したものの、医療崩壊を防ぎ、想定よりも早く感染を抑え込むことができたと考えています。 これもひとえに、県民や事業者の皆様が対策に御協力いただいたこと、医療従事者の皆様が昼夜を問わず御尽力いただいたおかげであると、心から感謝しています。 しかし、先週、新たな変異株であるオミクロン株が国内でも確認され、第6波への懸念が高まっています。 そのため、県としては、第6波が来ても対応できるよう、できる限りの備えを進めることとし、11月28日に専門家会議で了承を得ました。 具体的には、入院病床のさらなる確保や宿泊療養施設の体制強化を行うなど、保健医療提供体制を拡充しました。 また、ワクチン接種についても、今月から始まった3回目接種を迅速かつ円滑に進めるため、市町村をしっかりと支援してまいります。 引き続き、県民の皆様には、基本的な感染防止対策の徹底をお願いするとともに、県民の生命と健康を守るため、新型コロナ対策に全力で取り組んでまいります。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) まず、ワクチンの適切な管理と有効利用については、ワクチン接種を迅速かつ円滑に進めるために大変重要なことであると認識しています。 そのため、市町村において、冷蔵庫の管理が不十分だったこと等によりワクチンを廃棄する事案が発生した際には、再発防止に向け、直ちに市町村や医療機関に対し、ワクチンの適切な管理に関する注意喚起を行いました。 また、キャンセルが発生した場合のワクチンの有効利用については、本年5月に、市長会や町村会と連携し、都道府県では初めてとなるワクチン廃棄防止指針を策定しました。 市町村は、この指針に沿って、接種会場の従事者や市町村職員等を登録したリストをあらかじめ作成し、突然のキャンセルが発生した場合には、このリストに基づいて速やかに接種を行うことで、ワクチンの廃棄を防いできました。 引き続き、市町村や接種医療機関と連携し、ワクチンの適切な管理等を徹底してまいります。 次に、感染者の御家族に子供や要介護者等がいらっしゃる場合の対応についてですが、県では、関係機関や市町村と連携し、必要な支援を行う体制を整えています。 例えば、子供だけでは自宅での生活が困難な場合は、児童相談所での一時保護等を行うこととしており、これまで4件の事例に対応しました。 また、要介護者の場合は、市町村の協力を得て、ケアマネジャーや介護事業者等と連携し、必要な支援を行うこととしています。 今後も、関係機関等と連携の上、適切に対応してまいります。 最後に、感染者の自宅療養ゼロの取組については、議員御指摘のとおり、入院の必要がない軽症、無症状の方は、原則として、自宅療養ではなく、宿泊療養の対象としています。 今後の感染拡大も見据え、宿泊療養施設を第5波時点の789室から1,000室まで拡充するとともに、医師や薬剤師が施設を定期的に訪問するなど、健康管理体制を強化しています。 しかしながら、感染された方の中には、やむを得ない家庭の事情等により自宅での療養を希望される方もいらっしゃいます。そのため、宿泊療養の対象となる方のうち、年齢や家族構成、居住環境等を踏まえ、医師が可能と判断した場合に限り、自宅療養で対応することとしています。 なお、県では、自宅で安全に療養していただくため、自宅療養者へパルスオキシメーターを貸与し、1日2回の健康観察を実施するとともに、体調が悪化した場合には、医療機関と連携して迅速な外来受診につなげる体制を構築しています。 引き続き、適切に療養先を決定するとともに、安全、安心な療養体制の確保に全力で取り組んでまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 知事の総括では、知事は、ある程度対応ができたということでございます。私も、県としてはおおむね対応がよかったのではないかと評価をしたいと思います。 ただ、2番目の質問の部分で、ワクチンの有効利用とか、その廃棄の問題ですけれども、これは具体的な数は全然分からないということです。統計も取らないということでございます。この辺が実際にどうだったのかというのは、ちょっと気になるところでございます。 それと、児童相談所に預けたのが4件ということですけれども、まだまだ実際には、私の感覚としては、多いのかなという感じがしました。結局、説得をされて、自宅でやむなく見た方もおられるんじゃないかということのような感じがいたします。 それと、県では、原則的には、感染しますと療養施設ということですけれども、中にはそのことを断られてやむなく自宅で待機している人が多いような気がしたんですけれども、そういうのがないというのが感覚的に私もちょっと違うのかなという感じがしますけれども、いずれにしましても、そういう対応をするということで、仮に第6波が来たら、少なくとも陽性になりましたら、我々は、最低でも宿泊療養施設、こういうところである意味では診てもらうという体制がしっかり確立されればいいかなというふうに思います。 それでは、第2点でございます。 半導体製造企業、TSMCの本県誘致について質問させていただきます。 このTSMCの菊陽町誘致に関する質問は、午前中の髙木議員も質問で取り上げられました。詳細な内容は後日議事録を見なければ分かりませんが、大まかに、TSMCの本県誘致に対して県の対応、そしてそれに付随して、周辺道路の整備のことが中心ではなかったかというふうに思います。 私も、このTSMCの本県進出に関しては非常に関心があり、本県誘致のうわさが流れ始めた4月頃には、執行部に状況を尋ねたり、6月の経済常任委員会においても進捗状況を尋ねたりしましたが、当時は、この問題は国主導で行われており、県には情報が全くなく、よく分からないとの返答でありました。 そうした中、11月9日、TSMCが日本に半導体の新工場を建設すると正式に発表しました。 私は、この報道に大変感動し、本県の今後の経済活動に多大なプラス効果をもたらすと確信しました。 しかしながら、私は、そもそも半導体についてあまり詳しくなく、また、これまでTSMCのこともほとんど知りませんでした。どちらかといえば、フライング的に喜びが先行した感じでした。それから、半導体のことについて詳しい知人に尋ねたり、半導体について書かれた本を読むことで、わずかではありますが、イメージが湧くようになりました。 そこで、私が読んだ本の中で、半導体誘致に関連し、その対応と課題について述べてありましたので、本県に照らし合わせてお尋ねをします。 まず、半導体製造には、大きく分類すると前工程と後工程に分かれること、製造に当たっては、精密なクリーンルームが必要となり、薬液として硫酸、フッ素、塩酸など、また、ガスの供給として窒素、酸素、水素などが必要となり、それらを保管する貯蔵庫の確保が必要となります。 また、製造過程において最も重要なのが、大量の超純水、地下水を必要とし、その処理水を浄化する設備や安定した電源確保、そして作業に従事する優れた人材確保が絶対に欠かせないと記してありました。 そして、最後に、必須条件として、地元との立地協定の重要性を訴えてありました。 そこで、TSMCの本県誘致に際し、今後どのような対応をされるのか、4点お尋ねいたします。 まず第1点目ですが、用地確保についてお尋ねします。 大型の半導体工場が建設されますと、一般的に、その機能を補うために様々な関連企業が集積します。例えば、材料関係の企業、それに関連する倉庫、また、先ほど述べた薬液やガスの貯蔵庫など、また、人的な関係では、今回の誘致で雇用が約1,500名見込まれるという話もありますが、その一部の方は、周辺に居住を希望される方も出てくると思います。 このように、TSMCの誘致に関しては、相当な用地を必要とすると予想されますが、2年後の製造開始に向け、周辺の整備は大丈夫なのか心配します。しかも、誘致先のセミコンテクノパーク周辺は、市街化調整区域で用地取得はなかなか難しいと思われます。 そこで、県も、菊池テクノパークやくまもと臨空テクノパークなど工業団地を持っていますが、今回の誘致で活用の動きはあったのでしょうか。また、今後の用地取得に関する対応についてはどのように考えているのか、お尋ねします。 次に、2点目ですが、地下水の利用についてお尋ねします。 半導体の製造に当たっては、とにかく純水が必要とされることはよく知られています。今回の誘致に関して、新たにどれだけの純水を必要とされるのか、執行部に尋ねたら、生産規模の情報漏えいにも関わるので、通常、使用量は公表されないとの返答がありました。ただ、半導体企業が大量の純水を利用するのは一般的に知られていることです。そのことを承知で誘致を受け入れることは覚悟しなければならないことではないでしょうか。 来年は、熊本市で世界水サミットが行われます。水の大事さを世界に発信するイベントです。地下水の利用について、県の考え方をお尋ねします。 次に、3点目ですが、人材確保についてお尋ねします。 半導体製造に関しては、やはり人材確保が欠かせないと言われています。ましてや、世界最大手の半導体企業ですので、製造する技術も相当な技術を要すると聞いています。そのような人材を僅かな歳月で確保しようとすれば、大変苦心されるのではないかと想像します。 蒲島知事も、地元の大学と連携し、人材育成を図ると過日言われていましたが、私の知人からは、人材育成といっても、机上で学ぶことは限界がある、それを補う機械等の確保は高額で、教育機関では簡単に入手できないのだろうと言われていました。やはり、現場で作業しながら身につけることが一番重要とも言われていました。 また、人材確保について、半導体に関わる経営者からは、今回の誘致により、一部従業員が引き抜かれたり、転職するのではないかとの不安の声も聞きました。仮に、このようなことがあちらこちらで起これば、既存の関連企業に混乱が生じる可能性があります。 今後の人材確保、また、人材育成について、県の考え方をお尋ねします。 次に、4点目ですが、立地協定についてお尋ねします。 企業誘致が決定した場合、基本的には、立地協定は誘致企業とそれを受け入れる自治体との間で交わされ、県が立会人として協定を結ぶと理解しています。今回は、TSMCとソニーとの合同会社と菊陽町になりますが、それに県が立ち会うという立場ですが、私が読んだ本には、協定書の重要性が書かれてありました。 企業側にとっては、地元自治体の協力的なサポート、地元自治体は、建設や雇用に関する地元に対する最大の配慮などを協定書で明記され、実行されることが最も重要だからであります。 こうした重要な協定書の内容について、県はどのような関わりを持とうとされているのか、お尋ねをいたします。 以上4点、今回の誘致決定を受け、半導体産業強化推進プロジェクトチームのトップである三輪商工労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) TSMCの本県誘致に関して、順次お答えいたします。 まず、1点目の工業用地の確保についてです。 現在県が所有する10ヘクタール以上の大規模な工業団地は、議員が触れられた菊池市の菊池テクノパークと益城町の臨空テクノパークの2か所となっています。TSMCの進出が報じられて以降、その2か所をはじめ、様々な企業から用地に関する問合せを数多くいただいております。 県が所有する工業団地が限られている中、新たな大規模工業団地の整備には、計画から分譲まで数年にわたる期間を要することから、県では、企業の要望等を踏まえつつ、新たな工業団地の整備について検討を進めています。 この機会を最大限に活用し、多くの企業に立地いただけるよう、市町村の工業団地や民有地の活用なども含め、用地の確保に努めてまいります。 2点目の地下水の利用についてです。 今回の新工場では、大量の水を使用することが予想されます。熊本の宝である地下水を守るため、地下水の適正な採取及び合理的な使用に加え、敷地内だけでなく、敷地外においても、十分な地下水涵養対策を要請してまいります。 3点目の人材確保についてです。 議員御指摘のとおり、今回の進出を受け、県内企業からは、人材の確保、流出に関する不安の声が寄せられています。 そのため、まずはTSMCが必要とする人材を正確に把握するとともに、県内企業の活動に影響を及ぼさないよう、学卒者の県内就職の推進や熊本へのUIJターンの強化など、庁内各部局と連携して取り組んでまいります。 また、先日、萩生田経済産業大臣から、九州地区の高等専門学校や大学が連携したカリキュラムの開発を検討しているとの力強いお言葉をいただきました。県としては、国や教育機関をはじめ、関係団体とも課題を共有しながら、人材の確保、育成に全力で取り組んでまいります。 4点目の立地協定の内容への県の関与についてです。 協定書には、地元からの優先調達や地元出身者の優先雇用など項目を設けており、立地に伴う地元自治体への波及効果が高まるよう、県としても最大限のフォローアップを行ってまいります。 以上の4点については、TSMCの進出に際して重要な項目ですので、庁内に設置した半導体産業集積強化推進本部のプロジェクトチームでスピード感を持って取り組みます。 今回のTSMCの進出を県民の皆様に歓迎していただけるよう、そして、県内はもとより、全国にその波及効果を届けられるよう、しっかりと対応してまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) もう1つ教わったことがありまして、このTSMCは、半導体、前工程と後工程があると言いました。今回のTSMCは前工程、ですから完成ではありません。後工程の作業が必要になります。この後工程は、熊本でできるか、まだ今後課題でしょうが、私も分かりません。問題は、TSMCは、今までこの後工程を外国で行っていたというのがありまして、今回は、政府の経済の安全保障ということで、日本で作ることによって安全保障が保たれるけれども、日本でせっかく作ったのがまた外国で最終的に作られるとなれば、その安全保障というのはちょっと崩れるんじゃないかという、違う角度で心配をしています。中には中国で作っている部分もあるそうです。また、違うアジアの国々でも。最終的には、やっぱり後工程の部分がちゃんと日本でできるようにとか、せめて関係する国々で担保しないと、ちょっとこれは厳しいのではないかという、違う角度の心配もございます。 また、地下水に関しては、熊本の強みですから、これはこれで大事な部分、企業誘致のときには大事なある意味では材料でございますので、このことは否定するつもりはありませんけれども、その重要性と管理、このことをしっかりと理解していただくということは、熊本の宝という意味で、ぜひ譲れない部分として力強く訴える必要が、私は、遠慮なく言うべきだというふうに思っております。 では、次の質問をいたします。 空港アクセス鉄道の再検討についてでございます。 蒲島知事は、今議会初日の議案説明で、空港アクセス鉄道の再検討を発表しました。理由は、先ほど質問しましたTSMCの菊陽町進出に伴い、セミコンテクノパークへのアクセス向上、県内全域の交通ネットワークの利便性向上につながるよう、現在の三里木ルート案のみならず、より効率的で効果の高いルートについて、スピード感を持って検討してまいるとの説明でした。 私は、この発表に対して、少し疑問を感じました。それは、そもそも空港アクセス鉄道は、空港と熊本都市圏とを、50年後、100年後を見据え、定時性、速達性、大量輸送に対するための時間と予算をかけ結論を出したものと理解していました。 そうしますと、今回の再検討の理由の一つであるセミコンテクノパークへのアクセス向上とは、私はあまり関係ないと考えます。あるとすれば、既存の豊肥線の三里木駅、原水駅、肥後大津駅などからの道路による整備で十分でないかと考えます。 また、今回の決定で、もう1つ気になる点があります。それは、これまで空港アクセスのルートの決定に至るまで、空港アクセス検討委員会の方には大変お世話になったと思います。この委員会の方々の今回の反応はどうだったのか、気になります。 また、知事は、今後スピード感を持って検討してまいると言われましたが、今後検討するに当たり、検討委員会の在り方についてはどのように考えておられるのか、メンバー構成も含めお尋ねいたします。 以上2点、蒲島知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、ルートの追加調査についてお答えします。 空港アクセス鉄道については、これまで、空港と同様に長年の課題である県民総合運動公園へのアクセス改善が図られる三里木駅からの分岐ルートを軸に検討を進めてきました。 このような中、TSMCの進出等により、空港周辺地域の人や物の動きは大きく変化することが予想されます。 議員御指摘のとおり、道路の整備は大変重要ですが、同時に、公共交通機関による利便性の向上の検討も不可欠であると考えます。 空港周辺地域においては、既にJR豊肥本線が基幹的な公共交通機関として存在しており、鉄道による輸送力の強化も大きな課題になります。 今回の追加調査は、これらの変化や課題への対応のために必要と判断したものです。御指摘の点も踏まえて、セミコンテクノパーク及び空港へのアクセス向上を図り、ひいては県内全域の交通ネットワークの利便性向上につながるよう、しっかりと検討を行ってまいります。 次に、空港アクセス検討委員会についてお答えします。 今回の決定の経緯については、検討委員会の皆様に個別に説明を行い、追加調査の方針について御了解をいただいております。 委員には、有識者や交通事業者、経済界など幅広い分野の専門性を有する方々に就任していただいていることから、引き続き、様々な角度から御意見をいただき、今後の検討に反映させていただきたいと思います。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) このアクセスルートに関しては、またしっかり検討委員会がどう結論を出していくか、見守っていきたいというふうに思います。 では、次に、4番目の質問に移ります。 GIS、地理情報システムの推進についてお尋ねをいたします。 国では、本年9月1日からデジタル庁がスタートしました。私は、本年2月の代表質問で、国のスタートに合わせた本県のデジタル社会に対応する体制づくりについて質問しました。 それ以降、県の取組として、3月に熊本県情報化推進計画を策定し、8月には、推進計画に基づき、熊本県情報化施策実施計画を策定されたと認識しています。 また、この実施計画は、推進計画に基づき、県民誰もがICTの恩恵を享受し、安全、安心、便利な暮らしができる超スマート社会くまもとの実現に向け、全庁一丸となって地域や行政のデジタル化の取組を着実に進めるため、令和3年度に知事部局、警察本部、企業局、教育庁の各課別に実施する事業の内容や予算額を提示していますが、結果が出ることを期待します。 しかしながら、今回、私の提案は、今後デジタル化社会を目指すとなれば、最も便利な活用法の一つとして、GISの活用があると思います。 GISを簡単に説明しますと、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ、空間データを総合的に管理、加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術です。 このようなシステムを、行政が所有しているデータを活用して、もっと利用価値を上げてはどうかということです。 例えば、土地利用図、都市計画図、ハザードマップや路線網図、地名情報に遺跡地図、また、国土調査等々、挙げれば限りがありませんが、これらをうまく整理し、基準となる基盤地図情報に必要に応じて重ねて使えば、防災対策や社会経済活動でもっと効果を発揮すると思います。 現在、土地利用図は、図面が紙ベースで提供されています。しかし、これでは、現場との確認を取るためには、詳細な部分が把握できにくく、確認のため役所に出向かなければなりません。 ここでスクリーンを見ていただきたいと思います。(資料を示す) これは、ちょうどTSMCの場面のところでございますが、例えば、これはもともとの平面図の部分があります。そこに、例えば、県下で遺跡図の分の遺跡という部分が緑のところにあります。こうやって、ここに遺跡がありますよと。ブルーのところは、ここは浸水想定図。ここは雨が降ると浸水しますよという図面。これは、全くデータは別です。それを1つの地図に一つ一つ重ねると、1枚の地図でこれがいろいろ分かる。これに地籍図を仮に重ねますと、所有者が分かる、そして地番が分かる、こういう形の考え方でございます。 また、次に、防災、減災に欠かせないハザードマップも、ほとんどが平面図に色分けされるなどして作成されていますが、例えば、避難所情報やレッドゾーンなどの危険箇所情報をグーグルとかの衛星画像に反映しますと分かりやすくなります。 今、画面にあります――これは、画面のカラーを見てもらうと分かります。赤は、1,000分の1の人吉地域の想定図です。1,000分の1、1,000年に1度雨が降ったという図、青い部分は、去年の令和2年の実際に浸水した場所でございます。 こういうので比べてくると、こういう形で分かるというふうになるわけです。私は、これに、例えば、ダムを造った場合、そうすると、どういう形で浸水がこれだけ縮まりますと、こういうことを図面で分からせるような形のやり方、これがGISというわけでございますけれども、全国の市町村では、既にGISへの取組を推進しているところが多く見受けられます。 また、文部科学省では、来年度の高校の授業において、地理総合は必須科目となり、GISを用いた「現代世界の様々な地理情報について、地図や地理情報システムなどを用いて、その情報を収集し、読み取り、まとめる基礎的・基本的な技能を身に付けること。」として授業を開始するようです。世界を視野に入れますと、GISを活用した視点は今後ますます重要となります。 本県では、平成20年8月、汎用型GISとして、くまもとGPMapや行政情報インターネット地図公開システムを提供、運用してきました。 地図公開システムには、県下31市町村が参加し、一時避難所マップや熊本市認定路線図、遺跡地図等提供されていましたが、令和2年度末をもって終了しました。私も使ってみましたが、使いにくく、県民からはあまり利用されていなかったようです。 あの頃のソフトは、今に比べますと性能が悪く、仕方ない理由もあったと思いますが、今は、無料で性能のよいアプリが出回っており、これらを活用しますと、GISは無限に広がる可能性があります。 問題は、予算とデータを管理する人材ということですが、国も、平成19年5月に地理空間情報活用推進基本法を制定しています。また、GISに関するモデル事業も、他県では取り組まれています。 そこで質問です。 これまでGISの必要性を述べてまいりましたが、本県の熊本県情報化推進計画においても、県民も閲覧できる浸水想定区域図等のデータ整備が掲げられていますが、私は、ぜひこのGISの取組を全庁的に推進していくべきと考えます。 本県におけるGISの取組についてどのように考えておられるのか、高橋企画振興部長にお尋ねをいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 議員御指摘のとおり、行政が保有する複数の地図情報を重ね合わせて表示するGISの活用は、区域や地点を分かりやすく把握でき、県民や事業者の利便性向上に資するものと認識をしております。 県においても、防災情報の共有や農地の管理などにGISを活用しています。また、現在、公共土木施設台帳等のデータを一元管理し、市町村、受注者、県民などが地図上で閲覧できるシステムの構築についても検討をしております。 また、国において、地図情報だけではなく、法人情報や公共施設情報等、行政が保有するデータベースを整備して、自治体、関係団体等が利用できる環境や情報のオープン化などの検討が進められています。 県としては、こうした国の動向を踏まえながら、議員御指摘の地図情報を活用したGISの推進を含め、行政データのオープン化を通じて、防災や社会経済活動などに貢献してまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) このGISというのは、本当に、いわゆる情報化を、見えるという形にするには、地図にそのことをいろいろと情報を重ねてみると意外と分かりやすい。例えば、鳥インフルエンザが発生しました、では県下に現在鶏舎はどこにあるのかということを地図で全部一遍に示すと、非常に分かるわけです。基本的には、今エクセルで一覧表になって、この場所、この場所というふうになっていますけれども、地図に全部落とされているかは、ちょっと甚だまだ疑問です。あるか分かりません。 例えば、それに豚舎なんかも、今度は地図にばっと記しておく、また、牛舎もしておく、そうしますと、必要に応じて、鳥インフルエンザが出た場合には、鶏舎は県にこれだけあると、半径3キロだったらどの鶏舎に影響するというようなことが一発で見える。説明もしやすい。 例えば、豚コレラが発生した場合には、じゃあ豚舎はどこにあるのかと、そこには誰が、どの経営者なのか、何棟用意してあるのかと、こういうことも地図で全部重ねると一遍に分かるというような管理の仕方を図面でやっておくと、非常に対応がしやすいということがGISの特徴ですので、こういうことを、これはいろんなものに、災害にも使えるし、こういうのにも使えますので――まだ多分ないと思います。これをやるように頑張ったらどうかという提案ですので、ぜひ前向きに考えていただきたいというふうに思います。 次に、5番目、太陽光発電設備の設置に係る条例の制定についてでございます。 今、世界の関心事の中に、地球温暖化の問題が加速を増しています。 先々月の10月31日、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議、いわゆるCOP26の首脳級会合に岸田首相が参加されました。 会議では、脱炭素を最重要課題と位置づけ、新たに23か国が石炭火力の段階的な廃止に賛同し、欧州、アジアなど幅広い地域から46か国が共同声明に合意しました。日本は、国内のエネルギー事情から、賛同を見送ったことは御承知のとおりでございます。 COP26が開催される前の10月5日、今年のノーベル物理学賞に輝いたのは、地球温暖化防止に道筋をつけたとして評価された日本人の眞鍋淑郎さんでした。 眞鍋さんは、今ほど温暖化に注目が集まっていなかった頃、CO2の排出増加に伴って温暖化が進むと予測したことが受賞の理由であると言われています。おとといメダルの授与式がなされたと報道があっていました。 経済維持のために化石燃料に頼らざるを得ない日本にとっては、この受賞に対して、何かしら複雑な気持ちになるのは私一人ではないと思います。 このように、地球温暖化の意識が国内外でますます高まる中で、政府も、脱炭素社会への移行は急務と捉え、エネルギー政策の中長期的指針、エネルギー基本計画を約3年ぶりに改定しました。 その中で、電気をつくり出す方法のうち、CO2排出量が多い火力発電の割合を、現在の75%から30年度に41%まで引き下げる目標を設定。代わって太陽光など再生可能エネルギーを、現在の2倍の36~38%まで高め、原子力発電の割合は、従来計画と同じ20~22%に据え置くと決めました。 こうした背景もあることから、固定価格買取制度、いわゆるFITですけれども、後押しもあり、大規模太陽光発電所、メガソーラーの建設が全国的に広がり、本県でも、既に設置されたところや今後申請がなされるところがあると聞いています。 私も、再生可能エネルギーの推進は、間違った方向ではないと思いますし、進めるべきと考えます。 ただし、昨今設置されている場所を拝見しますと、こんな急斜面の山地に設置され、排水処理は大丈夫だろうか、また、このような景観のいい場所にそぐわないと思わせるところをよく見かけます。中には、大雨により、パネルに当たった雨がそのまま地面に流れ込み、斜面崩壊の原因になったところもあるようです。 このような心配から、菊池市では、既存の太陽光発電施設に対し、断固反対の住民運動も起こっています。ある大学教授は、再エネ関連問題は令和の公害と指摘する方もおられます。 ただ、現在設置されている太陽光発電施設は、違法設置以外は、基本的には林地開発など設置に必要な手続を踏まえて設置されたもので、行政としてはどうしようもできないと悩まれているようにも伺います。 このような現状から、今、全国の自治体では、太陽光発電施設等の適正な設置と自然環境との調和を図るため、その設置を規制することを目的とした単独の条例を制定しています。 本県でも、菊池市が、菊池市太陽光発電設備の適正な設置及び維持管理等に関する条例として、本年9月29日公布、来年4月1日施行されることになっています。 そこで、今後、県内でも太陽光発電施設の推進が予測されることから、住民に安心感を与える内容を盛り込んだ条例を本県としても制定すべきと考えますが、蒲島知事に条例制定の考えをお伺いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 世界的に脱炭素化の流れが加速する中、国において、本年10月に新たなエネルギー基本計画が閣議決定されました。この計画では、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再エネ最優先の原則で取り組み、地域との共生を図りながら、最大限の導入を促すこととされました。 再エネ施設は、再エネ特措法、いわゆるFIT法に基づく国の認定はもちろん、土地利用規制に係る各種関係法令に基づく許認可や環境アセスメントによる環境影響評価等を経て整備が行われています。 本県では、これらの手続に加え、地域と共生した再エネ施設を掲げ、メガソーラーを中心に、県、事業者、地元市町村との環境保全や災害防止等に関する協定の締結を促しつつ、再エネ導入を推進しています。 しかしながら、議員御指摘のとおり、再エネの急速な導入拡大に伴い、様々な事業者が参入する中、景観や環境への影響、安全面、防災面等に対する地域の懸念が高まっていることも事実です。 そこで、県としては、規制の強化と適地への誘導に取り組んでいくことが必要だと考えています。 まず、規制の強化については、林地開発に係る要項を見直します。開発行為者の責務の明確化、防災施設の先行設置の義務化、県による段階確認制度の導入など、開発行為に当たって事業者が守るべき基準の厳格化や手続の明確化を行います。 さらに、全庁横断的なプロジェクトチームにおいて、盛土による災害防止の対策を検討するなど、防災面の強化に向けた取組も進めています。 適地誘導については、県内全てのメガソーラー施設の現地調査をはじめ、再エネ施設の情報収集や整理を進めるとともに、太陽光発電施設に係る適地誘導のためのゾーニングに向けた基礎調査にも着手しました。 全国では、兵庫県など4県が、太陽光発電施設等を対象として、設置規制区域の設定や一定規模以上の施設に対する事業計画の提出、地域住民への説明義務などを定めた条例を制定しています。 一方で、再エネ施設等の適切な整備、維持管理については、全国的な課題となっているために、早急な法整備を国に要望しています。現在、国としても、危険な盛土の防止や再エネ施設の安全面の強化に向けた検討を進めています。 このような国の動向を踏まえつつ、県内再エネ施設の調査結果や市町村の意見等も参考に、条例制定も含め、総合的な対策を検討してまいります。 雄大な阿蘇や有明海、天草の島々など、本県の豊かな自然環境や景観を守りながら脱炭素化を進めることは、私が考える環境の安全保障にもつながるものです。 今後も、再エネ導入に対する地域の理解を促進するとともに、再エネ導入と環境保全の両立を図りながら、2050年県内CO2排出実質ゼロの実現に向け、しっかりと取組を進めてまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) これまで水も飲まずにしゃべったものですから、少し最後の質問に間に合うようになりました。これで安心しました。教育長、ゆっくりまた原稿を読んで答弁できますので、安心してください。 また、知事の分の先ほどの答弁も大分長かったんですけれども、条例をつくるとはっきり言っていただければ一番私は安心したんですけれども、条例を含め、総合的に検討してまいると、これはつくるという前提だというふうに捉えていきたいというふうに思います。 それでは、最後の質問でございます。 よくこだわって取り上げた問題でございます。夜間中学の開設についてでございます。 夜間中学の設置については、以前から本会議で取り上げ、直近では本年2月議会の代表質問で取り上げました。 このときは、政府の方針で、今後5年間で全ての都道府県と政令指定都市に少なくとも1つは夜間中学等が設置されることを目指し取り組むとの当時の総理の表明を受け、本県の対応を質問しました。 答弁として、古閑教育長は、国の委託を受け、アンケート調査や先進地視察などを実施し、アンケート調査では、夜間中学があったら通いたいと回答した方が一定数あったという報告に加え、今後は、夜間中学の検討を進めていくに当たり、実際に入学対象者となる方々のニーズ等につきましては、より詳細な把握に努めてまいるとの答弁がありました。 この答弁を踏まえ、夜間中学があったら、入学し、勉強したいと思っている人の声を、夜間中学を設置する前提で、11月1日から11月26日の日程でアンケートを実施したと伺っています。私としては、もう少し早い時期に実施できなかったかなとの思いはありますが、結果が気になります。 これがアンケート用紙でございます。(資料を示す) そこでお尋ねします。 今回のアンケートは、日本語、中国語、韓国語に対応したはがきを市町村役場や国際交流、就労支援施設など約500か所で2万枚配ることや、専用のQRコードや県教委のホームページからも回答を受け付けたようですが、広く県民に周知は徹底できたのでしょうか。また、アンケートの結果についてはどうだったのでしょうか。 今現在、公立夜間中学の設置は、12都府県36校にとどまっています。そうした中、福岡県の福岡市では、来年4月に、市教育委員会の研修施設である市教育センター内に開設することが決定しました。九州では初めてとなります。残念ながら、九州で一番の開設はかないませんでしたが、本県においても夜間中学はぜひとも必要と考えます。 改めて、古閑教育長に設置の考え方をお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 夜間中学の開設についてお答えをします。 夜間中学は、教育を受ける機会や学び直しを保障するための重要な場であると認識をしております。 今年度に入り、総務部など関係部局と、さらには政令市である熊本市教育委員会と連携して、より正確なニーズ把握のためのアンケート調査等の検討を進めてまいりました。 今回の調査では、夜間中学への入学が想定される方々のニーズ把握を目的としているため、入学を希望する方々と関連が深い職能団体、ハローワーク、社会福祉協議会、外国人材受入支援センター、フリースクールなどに対して、日本語のほか3か国語での回答ができるようにしたアンケート用紙計2万枚を直接配付いたしました。 アンケートの結果につきましては、11月末時点で139件の回答が寄せられております。このうち、夜間中学で勉強したいと回答される方が108名、その半数を超える方が熊本市を含む県央学区に居住している方でした。 今後、アンケートの回答内容をさらに分析し、その結果を踏まえ、熊本市教育委員会等の関係機関と調整を図りながら、年度内を目途に設置に関する基本的な考え方を取りまとめてまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 2万枚アンケートを配って、回答があったのは139件ということで、まあ、配ったけれども、徹底された、ある意味ではこの内容といいますか、周知の度合いというのがもう少し上がれば、その件数が増えたのかなという感じがいたします。 ただ、139件回答があったうち108名は、あったら勉強したいと、そしてその半数以上が熊本市で、やっぱりあれば学びたいという人は間違いなくいるということがこのアンケートで分かったと思います。 過日、テレビの報道等でも夜間中学の報道がなされて、大変関心を持たれた方がおられます。何かしらの理由で義務教育もなかなか勉強できなかった、様々な角度でもう一回そういう学ぶ場所があれば学びたいという方がおられることに、我々は、教育を受けさせる、ある意味では環境を整えることが大事ではないかというふうに思います。ぜひ設置を早めに考えていただきたいと思います。 これで私が用意した質問は全部終わりました。御清聴本当にありがとうございました。(拍手) ○副議長(山口裕君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明9日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時9分散会...