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09月16日-02号

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  1. 熊本県議会 2021-09-16
    09月16日-02号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和3年 9月 定例会               第 2 号              (9月16日)  令和3年   熊本県議会9月定例会会議録     第2号令和3年9月16日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  令和3年9月16日(木曜日)午前10時開議 第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            前 田 憲 秀 君            濱 田 大 造 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   白 石 伸 一 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 早 田 章 子 さん     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工労働部長 藤 井 一 恵 君     観光戦略部長 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   村 上 義 幸 君     会計管理者  手 島 和 生 君     企業局長   國 武 愼一郎 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(小早川宗弘君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 代表質問 ○議長(小早川宗弘君) 日程に従いまして、日程第1、代表質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人100分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 自由民主党坂田孝志君。  〔坂田孝志君登壇〕(拍手) ◆(坂田孝志君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・八代市・郡区選出の坂田孝志でございます。自由民主党県議団を代表し、当面する県政の諸課題について質問をさせていただきます。 質問に先立ちまして、去る8月11日から降り続いた線状降水帯による大雨特別警報が発令され、全国に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々の御冥福と被災された全ての皆様方にお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 また、今年の夏の東京オリンピックパラリンピックは、コロナ禍の中とはいえ、多くの国民、県民に大きな夢と希望と感動を与えてくれました。中でも、本県出身の村上宗隆選手の決勝戦でのホームランにはしびれました。よくやったと、知事からくまもと夢づくり賞が贈呈されることとなりました。 パラリンピックでは、失ったものよりも今あるものを大事にしていくとの理念の下、本県の11名の選手の8競技に及ぶ目をみはる活躍が、県民を大きく勇気づけてくれました。アスリートの皆さんの一挙手一投足に心を打たれる思いでした。競泳の富田宇宙選手は、くまもと夢づくり賞ゴールボール浦田理恵選手車椅子ラグビー島川慎一選手、乗松聖矢選手は、熊本県スポーツ特別功労賞を受賞されることとなりました。 活躍された全てのアスリートの皆さんに心からなる祝福と称賛の言葉を送り、通告に従いまして質問に入らせていただきます。 まず初めに、熱海市の土石流災害を受けての県の対応についてお尋ねします。 去る7月3日午前10時半頃、静岡県熱海市伊豆山において大規模な土石流災害が発生し、死者26名、行方不明者1名、流失家屋128棟、甚大な被害が発生しました。 お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。また、いまだに捜索できていない行方不明者の方の早期の発見を心から願うものであります。 今回の災害は、神奈川県小田原市の不動産管理会社が、土砂災害警戒区域に指定されている現場周辺の外側の上流部に、熱海市に申請した以上の大量の不法盛土を行い、数日前から降り続いた大雨によりその盛土が崩壊し、下流域の市街地が濁流にのみ込まれる大惨事となったものであり、言わば人災とも言える大災害であります。 この状況を鑑みて、知事は、熊本でも同様の被害が起こり得る、市町村の危険箇所を把握しなければならないとして、直ちに盛土の点検を指示し、これを受け、県砂防はじめ各関係は、7月8日、県内の土砂災害警戒区域等の上流に危険な盛土がないか、1,012か所について緊急点検を行うこととし、8月末までに完了することとしました。 その結果が9月8日に公表されましたが、南関町の太陽光発電施設の造成地を含む6か所において土砂流出が確認され、現在、その是正改善に向けて、各課において対応を急がれている状況だと思いますが、その対応状況についてどのような対策を講じられようとしておられるのか、まずお尋ねします。 加えて、今回熱海市で崩落した盛土は、5万4,000立方メートルにも及び、建設残土の処分として不法に持ち込まれたものであり、いわゆる宅地開発を主たる目的での造成ではないため、宅地造成等規制法に抵触せず、土砂崩れを防ぐ措置も施されていませんでした。 また、建設残土は、工事や埋立てに転用するのが一般的であり、廃棄物処理法に基づく廃棄物ではなく、こちらも該当せず、崩落対策もなされておりませんでした。さらには、砂防法や森林法などの法による規制の対象外となり、法的根拠に乏しいことが判明しました。まさに法の規制を擦り抜けた悪質な行為であり、確信犯的所業とも言えると思います。 この件に関して、本県としましても、何らかの規制を設けるなど対応しなければ、類似の事例が何度も起こり得る可能性が大であり、看過できるものではありません。 そこで、まず第1に、国に対して、現行法の改正あるいは新法も含めた法的措置の整備を求め、再発防止に努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。 また、それでも対象として扱いにくい、対象から漏れる事柄については、全国の26都府県で制定しておられる土砂の埋立て等の規制に関する条例などを本県も制定し、盛土規制の強化を図り、災害、事故を未然に防ぐ手だてが必要ではないかと考えますが、県の御見解を知事にお示しいただきたいと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、熱海市の土石流災害を受け、直ちに県内の盛土の緊急点検を指示いたしました。また、8月の大雨を踏まえて、149か所の地滑り区域等を加え、合わせて1,161か所の点検を8月末までに完了しました。 その結果、11か所で土砂撤去等が必要であると判断し、既に県において対策を講じています。 また、林地開発を許可した太陽光発電施設の造成地6か所で土砂流出などを確認したため、開発事業者に対し、防災工事の実施を指導しました。現在、県の監視の下、工事が進められています。 特に、南関町の土砂流出については、許可条件である防災工事が完成する前に本体工事に着手したことが大量の土砂流出につながっています。 私は、県民の安全を守るためには、速やかに、より徹底的に許可内容を遵守させる枠組みが必要だと感じました。 そこで、まずは現行の許可要項を改正し、事業者に対し、防災工事や造成工事の段階ごとに県の検査を受けることを義務づけます。 さらに、工事中止や許可取消しの行政処分に速やかに移行する基準を定めるなど、許可内容が確実に履行されるよう見直しを行ってまいります。 次に、盛土の規制についてお答えします。 議員御指摘のとおり、全国26都府県においては、それぞれ独自に盛土に関する条例を制定しています。しかし、都府県ごとの条例による規制では、罰則の上限や規制が緩い隣県への土砂の搬出などの課題もあります。このため、まずは全国知事会を通して、全国一律の法規制を国に対して強く求めているところです。 同時に、県としても、県内の盛土の現状把握や課題の分析などを行い、新たな条例の制定も含めた対応を検討するため、全庁横断的なプロジェクトチームを立ち上げました。 今後も、国の動向を踏まえつつ、危険な土砂災害から県民の生命、財産を守るための対策にしっかりと取り組んでまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) ただいま、南関町の事例を踏まえ、林地開発許可要項の改正や県の指導に従わない場合は許可の取消しもあり得るとのこと。あわせて、盛土に関しては、条例制定に向けて全庁横断的なプロジェクトチームを設置したとの極めて前向きな答弁をいただきました。 今後、不法な土砂処理対応により人災となることがないよう、法整備をしっかりと整えて対処していかれますことを切望して、次の質問に入ります。 続きまして、将来を見据えた財政運営について、知事にお尋ねします。 今現在、熊本県においては、3つの大きな課題に直面しております。1つ目は、御承知のとおり、熊本地震からの復興であります。 発災から5年が過ぎ、国から最大限の協力をいただきながら、チーム熊本として復旧、復興に取り組んでまいりました。その結果、生活再建や新阿蘇大橋の開通など、着実にその歩みを進めております。 しかし、一方では、いまだに仮設住宅にお住まいの方がいらっしゃること、益城町の土地区画整理や4車線化事業など、なお復興への道半ばにあり、さらに事業を加速化していかねばなりません。 2つ目は、今も猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症です。 県民生活や様々な経済分野において、甚大な影響を及ぼしております。ワクチン接種が進んできておりますが、変異株への対応など、まだまだ予断を許さない状況であり、しっかりと取り組んでいかねばなりません。 3つ目は、昨年の7月豪雨からの復旧、復興であります。 67名もの貴い命が奪われ、球磨川流域に甚大な被害をもたらしました。被災者の生活再建、国道219号をはじめとするインフラの復旧、さらには流水型ダムの建設を含めた緑の流域治水など、これからが復興に向けた正念場と考えております。 これらの三重苦とも言える3つの課題に対して、県では、熊本地震対応に約1兆円、感染症対策に約3,500億円、豪雨災害関係に約2,000億円、都合約1兆5,500億円、当初予算で言いますと、2年分に相当する莫大な予算を計上してこられました。 ただ、先ほどから申し上げておりますように、いずれの課題もまだ道半ばの状況であり、さらに国が提唱しておられる防災・減災、国土強靱化への取組などにも対応していく必要がある中で、今後も、空港アクセスなどのビッグプロジェクトも含め、相当な予算を必要とするのではないかと考えるところであります。 一方で、県の貯金であります財政調整用4基金の残高は、令和2年度、県政史上2度目の枯渇、ゼロとなり、令和3年度当初予算編成後には56億円、蒲島知事が就任された平成20年度の53億円に近く、考えようでは当時の財政再建戦略の取組の水準に戻ってしまったようにも思われます。また、熊本地震豪雨災害で発行した県債残高は、1,670億円にも上り、財政への将来負担にも大変気がかりな状況であります。 そこで、これらの点を踏まえて、知事に2点お尋ねします。 令和4年度の予算編成作業に間もなく着手されると思いますが、先ほどの3つの課題への対応と健全な財政運営というこの2つの二律背反する命題を同時に達成するという難しい、大きな使命があろうかと思いますが、どのように取り組まれるお考えなのか、来年度当初予算編成の基本的な方向性についてお尋ねします。 2点目は、熊本地震豪雨災害に係る県債残高が増加する中で、今後、公債費も徐々に増えてくると思いますが、中長期的な財政状況をどのように捉えておられるのか、将来に向けた財政運営の考え方を含めてお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 1点目の来年度当初予算編成の基本的な方向性についてお答えします。 議員御指摘のとおり、本県は、今三重苦の逆境にあり、それらへの対応は最優先課題と考えています。 まず、熊本地震への対応では、益城町の土地区画整理事業など、創造的復興の取組を着実に進めています。 感染症への対応では、医療提供体制の整備やワクチン接種の推進、飲食店等の事業者支援など、刻々と変化する状況を見極めながら、緊迫感を持って取り組んでおります。 豪雨災害への対応では、発生後すぐ復旧・復興プランを策定し、住まいやなりわいの再建、緑の流域治水の推進などに全力で取り組んでおります。 そのような中で、感染症への対応は予断を許さない状況にあり、今後も事態の変化に即した取組を続けていく必要があります。また、地震や豪雨災害からの復旧、復興については、誰一人取り残さないという強い決意の下、取組をさらに加速していかなければなりません。 そのため、引き続き、これらの3つの課題への対応を最優先にしながらも、新しいくまもと創造に向けた基本方針に沿った事業などは、選択と集中を徹底し、さらに将来負担も考慮しながら、予算編成を進めたいと考えております。 そして、財政調整用4基金については、私の4期目の任期中に80億円程度を確保すること、通常県債残高については、現在の水準をできる限り維持、抑制していくことを目標に財政運営に取り組んでまいります。 2点目の中長期的な財政状況、将来に向けた財政運営についてお答えします。 これまで、熊本地震豪雨災害への対応に全力を挙げて取り組んでおりますが、引き続き、益城町の復興まちづくりや緑の流域治水の取組など、多くの事業に取り組む必要があります。さらに、国土強靱化の取組も必要です。 このようなことから、今後も一定規模の投資事業を着実に進めていく必要があり、御指摘のように、公債費は、年々増加していくことが見込まれます。 そのため、今後の公債費の増加見込みや8月末に公表された国の地方財政対策の仮試算などを反映した中期的な財政収支の試算を来年度の予算編成方針と併せて策定し、10月上旬を目途に公表を予定しています。 その上で、毎年度の予算編成において、歳入歳出を精査しながら公債費の増加に備えた対応を検討するなど、将来にわたって健全な財政運営ができるよう取り組んでまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) ただいま、財政調整用4基金について、80億円程度を確保するとのこと、また、中期的な財政収支の試算については、来月上旬に公表すると明言されました。 財政運営の基本原則は、入るを量っていずるを制するにありと言われるように、限られた予算を、無駄を排し、必要なもの、緊急性の高いもの、県民が求めているものなど、最大公約数を導き出しながら当初の目的を達成することができれば、これこそ真の財政健全化なのではないかと思います。 今後とも、よく内容を精査していただき、健全な財政運営に努めていただきますよう強く申し入れまして、次の質問に入らせていただきます。 続きまして、昨年7月の熊本豪雨に関しまして、何点かお尋ねいたしたいと思います。 令和2年7月4日未明、線状降水帯の停滞による集中豪雨が球磨川流域を襲い、死者67名、行方不明者2名、16本の道路橋、3本の鉄橋が流失、崩壊し、交通、生活インフラは完全に麻痺状態となる未曽有の激甚災害が発生しました。 改めて、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみと被災された全ての方々にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。 発災から1年2か月が過ぎましたが、球磨川本川の堤防決壊の応急復旧が4月に終え、堆積土砂の撤去も、国、県も5月に完了し、球磨川の流失した橋梁のうち、4橋も仮橋として5月中には通行可能となりました。日に日に復旧、復興が進んでおり、目に見えて動き出しているなと感じており、大変ありがたく思っているところであります。 そこで、まず1点目、球磨川沿川の道路、鉄道の復旧、復興についてお尋ねいたします。 昨年の豪雨により、人吉・球磨地域と八代間を走る国道219号や各県道、JR肥薩線やくま川鉄道に甚大な被害が発生しました。これらは、人吉・球磨地域や沿川の住民にとって極めて重要な交通インフラであり、特にJR肥薩線は、通勤通学等地元利用者だけでなく、多くの観光客にも利用されてきました。 県で今回取りまとめられた復旧・復興に向けた重点10項目におきましても「国道219号をはじめとした道路・橋梁の創造的復興」あるいは「鉄道の復旧」として、ロードマップを示されたところであります。 一方、JR九州は、治水対策の方針を見極めた上で復旧方針を示すとおっしゃっておられます。 私は、河川や道路の復旧などでどれだけJRの復旧を支援できるかが鍵であると考えております。 球磨川本川の護岸、沿道の復興事業が今後本格的な工事を迎えることとなりますが、球磨川沿川の各県道は、並行して走っているJR肥薩線より低いところが大部分となっております。これらの箇所をJR線と同じ高さにして、一体的に整備していくことが工事を進める上でも極めて重要なことだと思います。 今現在、県道の復旧工事では、数か所で迂回路をJR線の線路を利用して工事を進められており、非常に効率的な手法を取っておられます。JR線と県道とを同じ高さとするなら、球磨川の護岸も必然的に高くなりますので、治水の安全度も高まります。 また、JR線と同じ面、フラットにすることで線路の路盤工事も進み、山腹側の工事も、復旧代行工事の範疇として、さきの熊本地震の国道57号の道路復旧事業と同様の手法を取り入れることにより、JR側の負担軽減につながります。 そうすることにより、JR九州のほうでは、復旧代行工事の終了後、線路の敷き込みと第一、第二橋梁の復旧、駅舎の整備等が主な工事となり、大幅に復旧費用の縮小、軽減につながることとなります。治水の安全度は高まり、復旧事業は加速し、JR側も助かると、一石三鳥の画期的な復興事業となります。 また、途中にあるJR線と各県道の交差するところ、今現在ほとんどが立体交差となっており、県道のほうが低いため、少々の雨でもすぐに冠水してしまい、通行止めとなる状況でありますが、これも県道を高くしてアンダーパスでの交差をやめて平面交差にすることにより、冠水は免れ、大雨時でもいつでも通行できることとなります。 さらには、県道中津道八代線で唯一通行不能となっております深水川口付近のJR線のトンネルを解体し、JR線と県道も沿線と同様にフラットな状態に整備することにより、県道が通行可能となり、球磨川沿川道路も、219号と県道中津道八代線と2系統の沿道として災害時のリダンダンシーとしての機能を併せ持ち、沿線住民の利便性もさらに高まるものと期待されるところであります。 これは坂本町の住民の長年の悲願であり、一日千秋の思いで待っていた住民にとっては、まさにありがたい吉報であり、災害で打ちひしがれた住民の心に明るい灯を打ちとぼす光明となり、復旧、復興のまた違う観点からのシンボルとも言える存在となり得ることを信じて疑いません。 沿線住民の利便性、公益性、球磨川の治水の安全度、復旧工事の迅速化、JR線の復旧の加速化、負担の軽減等々、数々の有益性、相乗効果を生み出す県道とJR線との一体的な整備が最高で最善の策と考えますが、球磨川沿川の道路、鉄道の復旧の取組の現状と創造的復興をどのように進めていかれるのか、知事の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、昨年11月に、令和2年7月豪雨からの復旧・復興プランを公表いたしました。 このプランには「いかなる災害が起きても、生命・財産・教育環境を守り抜くインフラの強靱化」を掲げ、国道219号をはじめとする道路等の創造的復興に取り組んでおります。 そこで、現在の状況ですが、国の権限代行による復旧工事により、全10橋のうち、既に4つの仮橋が設置されました。また、球磨村の大野大橋から人吉方面までの国道219号において、一般車両の通行が可能となりました。これにより、被災された方々の住まいの再建や復旧工事の促進が図られるものと考えています。 次に、創造的復興の今後の進め方についてですが、鉄道の復旧については、JR九州の復旧方針を踏まえて進められることになります。早期の復旧を図るためには、JR九州の負担をいかに軽減するかが重要であり、国に対して必要な支援を要望してまいります。 また、球磨川沿いの道路の復旧については、現在、集落の宅地かさ上げ等の検討がなされており、集落再生の取組と調整を図りながら、道路や橋梁の復旧方針について国と協議を行ってまいります。 これらインフラの復旧に当たっては、単に元に戻すだけでなく、より強靱で信頼性のあるものとなるよう、議員御提案の道路かさ上げ等についても検討し、国と連携して、一日も早い復旧、復興に全力で取り組んでまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) ただいま申し上げました踏切の件については、恐らくJRさんのほうから、立体交差から平面交差になることによる列車の運行の安全面を主張されるかもしれませんが、鹿児島本線も、一般道路と交差する踏切はほとんどが平面交差の踏切となっており、1日何十本も走る路線が平面の踏切で、1日数本しか走らない路線を立体交差にしなければならないとの論理は矛盾し、その整合性は取れないものと言えると思います。 国、県、そしてJRさんと、互いに胸襟を開いて虚心坦懐に話を進めていただくことが、県民が望む最良の結果を見いだすことにつながると思います。善処に期待を込め、次の質問に入らせていただきます。 次に、土砂災害特別警戒区域からの移転の促進についてお尋ねいたします。 昨年の7月豪雨において、多くの家屋が倒壊、流失しました。全壊1,491棟、半壊3,112棟、多くが球磨川やその支川の決壊、氾濫によるものでありましたが、球磨川沿岸は、目の前には球磨川が流れ、裏には山肌が迫る土砂災害警戒区域が多数存在します。 県内においては、土砂災害警戒区域が2万2,425区域、このうち2万861区域が土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンに指定されており、そこには2万戸以上の人家が立地しております。 先般の熱海市の土砂災害もありましたように、私は、土砂災害から身を守る上からも、このレッドゾーンからの移転は最も必要なことと考えます。 県では、平成15年7月の水俣市土石流災害、平成24年7月の熊本広域大水害など、甚大な土砂災害が発生しており、これらを踏まえ、平成27年度より、土砂災害から住民の生命、財産を守るため、土砂災害危険住宅移転促進事業が、蒲島知事の英断により、県単独事業として創設されました。具体的には、これまで対象とならなかった1戸からの住宅建設費など、300万円を上限として補助するものであります。 これまでの事業実績として、平成30年度13件、令和元年度23件、昨年度31件と、年々利用される方が増加しておりますものの、全体の対象区域数からいきますと、まだまだ程遠い感であります。 この事業の利用者は、新たな土地を求め、家を建て、引っ越さなければなりません。300万円では到底無理な話。また、山間の地域では、移転先の確保にも苦労されているという話も聞いております。 昨年の7月豪雨で県内223か所という大変な数の土砂災害が発生している本県の現状を踏まえ、お尋ねしますが、移転を希望する方々に対し、例えば、土地を買い取って金銭的な負担を軽減することや、移転先を紹介し、手続的な負担を軽減することに取り組むことで、さらにこの事業の促進が図られるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。見解をお示しください。 あわせて、今般の政府要望として、新たな交付金制度の創設を国に求めておられますが、いまだ実現には至っておりません。財政面を考慮した上で、移転をさらに推進するためには、国の支援は不可欠と考えますが、県は、今後の国への要望の在り方をどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。 また、似通った事業として、防災集団移転促進事業が国の制度としてあります。この事業は、災害が発生した地域または災害危険区域などにある住居を集団的に移転する際、当該地方公共団体に対し、事業費の一部補助を行うものであります。 事業を実施する際には、市町村が策定する事業計画に移転促進区域を設定する必要がありますが、移転元の住居については、1~2戸しかない小規模な集落に関しても、他の集落とまとめて移転対象とすることができます。また、移転先の住宅団地の造成のほか、道路、集会所、公園等の整備も行うこともでき、さらに移転前の元地を市町村が買い取り、住宅の移転に対する経費も補助対象となります。これらの件に対して、国が94%を支援していただく手厚い制度となっております。 令和2年度に当該事業の採択要件が緩和され、移転先の住宅団地が10戸以上から5戸以上と、より小規模な移転も対象とされることになりました。 そこで、今後の事業促進に当たっては、前段で申し上げました県事業とただいまの国事業とを大いに活用して、広く県民にこの制度を周知し、土砂災害特別警戒区域からの移転を促進し、県民の生命、財産を守り抜くことが県としての最大の責務と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 令和2年7月豪雨災害では、多くの貴い人命や財産を奪った災害の猛威を目の当たりにし、災害による被害の未然防止の重要性を改めて痛感いたしました。 去る12日には、八代市の仮設住宅を訪問し、坂本町で被災された皆様から、安全な住まいを求める切実な御意見を伺いました。私は、その場で、全ての皆様の生活再建に向け、全力で取り組むことをお伝えしてまいりました。 議員御指摘の土砂災害危険住宅移転促進事業は、私が、これまでの災害の経験から、全国に先駆けて県独自に創設した事業です。 令和元年度には、より活用いただける制度とするため、土砂災害警戒区域内にお住まいの方へアンケートを行い、地域への愛着や高齢化による移転困難など、移転に踏み切れない様々な事情を把握することができました。 本事業を活用した移転を促進していく上では、こうした課題を踏まえ、住民に最も身近な市町村としっかり連携しながら、地域の実情に応じた住民の負担軽減に取り組んでまいります。 さらに、生活再建が喫緊の課題である被災地においては、より安全な場所での再建を進めていただくために、県独自の住まいの再建支援策との併用など、お一人お一人に寄り添った支援を行ってまいります。 また、国に対しては、財政負担軽減のために、地域の実情や事業の必要性などを訴えながら、災害による被害の未然防止に向けた制度の新設を引き続き粘り強く要望してまいります。 次に、国、県事業の活用による移転の促進についてお答えします。 国の防災集団移転促進事業については、今年度から土砂災害特別警戒区域が対象区域に追加され、市町村の区域指定に係る手続が簡素化されるなど、より使いやすい制度へと改正が行われました。 この取組を発災前から効果的に進めるためには、単に防災の観点だけでなく、人口減少や少子高齢化を見据えた地域の持続可能なまちづくりの観点が重要だと考えます。 まずは、市町村に対し、国、県事業の仕組みを分かりやすくお伝えする勉強会を開催するなど、災害による被害の未然防止につながる意識の醸成を促し、安全なまちづくりの実現に向けて支援してまいります。 一たび発生すれば一瞬で貴い命を奪う土砂災害から県民を守るために、究極の予防的避難である危険区域からの住宅移転を、県民の皆様に寄り添いながら、市町村とともに進めてまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 一軒でも多くこのレッドゾーンからの移転を進めていただき、土砂災害から身を守る行動を取ってくださることを切望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。 次に、球磨川河川整備基本方針の見直しを踏まえての対応についてお尋ねします。 先般、国土交通省において、河川整備基本方針検討小委員会が開催され、球磨川水系河川整備基本方針の変更について議論されました。 それによりますと、これまでの治水計画を、過去の降雨実績に基づく計画から気候変動による降雨量の増加などを考慮した計画に見直すものであり、九州北西部においては、降雨量で1.1倍となることになりました。 これを受け、球磨川の基本高水のピーク流量は、人吉地点で毎秒7,000トンから毎秒8,200トン、坂本町の横石地点で毎秒9,900トンから毎秒1万1,500トンに引き上がることとなりました。 これを昨年の7月豪雨と同規模の洪水のピーク量と比べてみますと、例えば横石地点で毎秒1万2,600トンとなり、今回の見直しの値より毎秒1,100トンも上回ることとなります。 国交省として、これらに対応するべく、河川改修やあらゆる洪水調節施設等を整備したとした場合でも、水位は計画堤防高を上回らないものの、人吉地点から下流の大部分の区間で計画高水位は超過する結果となりました。 これらの説明をお聞きしたとき、私は、特に球磨川下流域に住める者として、はい、そうですかとはなかなか言い難く、不安感が募りました。 この件に関して、県としてどのように受け止め、また、今後、不安の払拭に向けてどのような対策を講じられようとしておられるのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 今月6日に開催された河川整備基本方針検討小委員会では、球磨川の河川整備基本方針の基となる降雨量や流量が審議されました。 委員会では、気候変動の影響による降雨量の増加などを考慮した基本高水のピーク流量や洪水調節施設による調節流量及び河道への配分流量が示されました。 これらによると、令和2年7月豪雨と同規模の洪水の水位は、計画堤防高を超えないものの、人吉市より下流で計画高水位を超過する区間があることが示されました。その上で、このような洪水に対して、流域治水を多層的に進めることにより、水位の低下や被害の最小化を図ることが示されました。 私は、この審議に参加し、地球規模の異常気象が進む中で、令和2年7月豪雨災害がいかに大きいものであったかを改めて認識しました。 委員の皆様には、このような大きな洪水を最大限考慮し、今できる最善の案を示していただいたのではないかと思います。これは、本年3月に、国、県、流域市町村で策定した球磨川水系流域治水プロジェクトの内容と整合しております。 そして、それと同時に、私が昨年11月19日に表明した緑の流域治水を着実に進めていくことこそが、気候変動時代に球磨川流域の安全、安心を実現し、命と清流を守る最良の道であると確信いたしました。 そのため、今後、一日も早く球磨川の河川整備基本方針の変更及び河川整備計画の策定を行い、国、流域市町村、住民の皆様と連携して流域治水プロジェクトを強力に推進してまいります。 具体的には、河道掘削や中流域での宅地かさ上げ、新たな流水型ダム、遊水地などの河川の対策に加え、田んぼダムや森林整備などを着実に進めてまいります。 また、整備の途中段階や基本高水を超過する洪水が発生した場合には、浸水被害の最小化を図るため、災害リスク情報の積極的な提示や避難体制の強化などを総合的に進めてまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 先ほどの球磨川の道路、鉄道の復旧のところでも述べましたように、計画高水位を超過する区間においては、球磨川の護岸を高くすることにより、県道もJR線も高くなり、必然的に治水の安全度も高まることにつながると思います。 今後においても、流域の皆さん方が、心穏やかに、ゆっくりと日々の暮らしが送れるよう、十分な安全対策を国とともに講じてくださることを強く要望して、次の質問に入ります。 続きまして、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種状況及び医療提供体制の整備について、何点かお尋ねいたします。 中国・湖北省武漢市で発生しました新型コロナウイルスによる感染症は、世界中で猛威を振るい、人類を震撼させ、パンデミックに陥れ、世界経済を混乱、衰退させるなど、本県経済にも甚大な影響を及ぼしております。 本年2月から全国的にワクチン接種が始まり、政府も、1日120万回の接種を目指すなど、すごい勢いで精力的に取り組まれており、ワクチン供給が追いつかず、接種予約も一時中止し、接種計画の見直しをせざるを得ない状況も生まれております。 私も、7月7日第1回目、7月28日第2回目の接種を終え、一応の安堵感を覚えているところですが、まだまだ接種に至ってない方々も多数いらっしゃいます。 そこで、何点か県民の素朴な疑問としてお尋ねします。 今現在、県民のワクチン接種の状況はどうなっているのか、度々報道があっておりますので、現時点での接種率をお示しください。そして、希望する県民全員が接種を打ち終えるのはいつ頃になるのか、併せてお聞かせください。 また、8月2日から開始された県民広域接種センターでの大規模接種について、優先接種の対象となられた方々の接種状況や妊婦の方や子育て世帯も含めた全体の進捗状況について、あわせて当該センターは、市町村接種を補完する役割を担っていると考えておりますが、今後、接種数を増やす予定はないのか、お尋ねします。 これらには、ただいま申し上げた件で最も重要なのがワクチンの供給だと思いますが、十分な量が届いているのかどうか、本県の状況についてお尋ねします。 そして、県民に最も関心の高い事柄として、国産ワクチンの迅速な開発、実用化と思います。熊本市にありますKMバイオロジクス社が、ウイルスの感染性や毒性を失わせて作る不活化ワクチンの新型コロナ対応のワクチンを開発されておられると聞いておりますが、いつ頃県民が望む国産ワクチンとして供給できるのか、その見通しはどうなのか、お尋ねします。 また、これには当然国の薬事承認の手続を必要としますが、その手続を、緊急事態の下、極力急いでいただけるよう、また、治験者も、他社のワクチン接種が進み、プラセボ――偽薬でございますが、プラセボを用いた安全性、有効性の証明が難しくなるのであれば、他社製品との比較の中で判断していただけるよう併せて国へ要望すべきと考えますが、どのような対応をなされておられるのか、お尋ねいたします。 また、昨年5月、薬事特例承認されたレムデシビルやデキサメタゾン等の新型コロナウイルスの治療薬に加えて、国内の製薬会社の抗体カクテル療法が厚生労働省に承認され、初期患者への投与が期待されております。また、国内の製薬会社数社や海外の製薬会社2社も、国内で臨床試験を開始されたと伺いました。さらには、飲むタイプのコロナ治療薬の年内の臨床試験開始を目指しておられるともお聞きしますが、これらの治療薬の開発が急がれるべきだと考えますが、実用化の見通しはどうなのか、お尋ねします。 さらに、県内ではワクチン接種が進んでおりますが、感染力が強いとされる変異株、デルタ株が拡大するなど、第4波より速いペースで第5波が到来し、県内全域に蔓延し、コロナ専用の病床が切迫する時期もありました。 新型コロナ対策特別措置法は、第31条の2で、医療提供に支障が生じる場合に、都道府県知事は、臨時の医療施設を開設し、医療を提供しなければならないと定めてあります。必要な方が必要な医療を受けられる体制が一番大事なことであろうと思いますが、本県の臨時医療施設の設置の必要性を含めた今後の新型コロナウイルス感染症に関する医療提供体制の整備についてどのように考えておられるのか、併せて木村副知事にお尋ねいたします。  〔副知事木村敬君登壇〕 ◎副知事(木村敬君) まず、ワクチンの接種状況についてお答え申し上げます。 ワクチンは、新型コロナウイルス対策の切り札であり、県では、市町村や医療機関と連携いたしまして、積極的に接種を進めているところでございます。 一昨日、9月14日時点の接種状況は、県内の12歳以上人口である約158万人に対しまして、1回目が約121万人の77%、2回目が約106万人の67%となっております。医療従事者を除いた全国順位では、1回目が6位、2回目が3位と、全国の中でもかなり速いスピードで接種が進んでいるものと認識しております。 9月初めに実施しました市町村の意向調査の結果によりますと、県内で接種を希望されている方は、12歳以上人口の88%に当たる約139万人と見込まれまして、先ほど申し上げた接種済みの方を引きますと、残る接種回数は約51万回と推計しております。 現在の県内での接種スピードは、1日当たり約1万回であることから、これを維持できれば、あと50日少し、11月の前半には希望する県民への2回の接種をおおむね完了できると考えております。 また、県民接種センターでは、既に5万2,000人の接種を行っておりまして、このうち教職員や保育士の方など約3,000人の方に優先的に接種をさせていただきました。 8月末には、熊本の宝である子供たちを守るために、子育て世代や妊婦の方を対象といたしました5,500人分の専用の予約枠を設けました。既に、子育て世帯専用枠は予約で満杯になりまして、妊婦専用枠も半分以上が埋まっております。 こうした状況を踏まえまして、県民広域接種センターの接種人数を、当初予定しておりました7万人から10万人に3万人拡大いたしまして、明後日、18日から新たな予約の受付を開始したいと考えております。 重要なワクチンの確保につきましては、これまで国に対する要望を行うなど、県として積極的に取り組んでまいりました。県選出国会議員の皆様の御尽力もありまして、9月10日の国からの通知で、県内で接種を希望する、先ほど申し上げました約139万人の方に2回接種できるワクチンを配分する旨の連絡がございました。これにより、本県では、十分な量のワクチンが確保できたものと考えております。 今後とも、希望する県民への接種が迅速に進むよう、全力で取り組んでまいります。 次に、KMバイオロジクス社が開発中の不活化ワクチンについてお答え申し上げます。 インフルエンザワクチンと同様の手法で製造される国産の不活化ワクチンは、国民にとって希望の光です。また、これが本県で製造されることは、熊本の復興にも力を与えてくれると大いに期待しております。 KMバイオロジクス社からは、現在、最終段階の治験に向けた準備を進めているところであり、2023年度までの実用化を目指していると聞いております。 県では、本年5月に蒲島知事が菅総理を御訪問させていただきまして、薬事承認の迅速化などを要望させていただいております。今後とも、一日も早い実用化に向け、できる限りの支援を行ってまいります。 また、治療薬につきましては、既に4品目が実用化されています。このほか、2品目が承認申請中で、7品目が申請に向けた準備を進めていると聞いておりますが、実用化の時期はまだ明らかにはなっておりません。 国は、開発に向けた支援を積極的に進めているところであり、新たな治療薬が実用化された際には、熊本県内でも直ちに利用が進むよう、医療機関と連携してまいります。 最後に、医療提供体制の整備についてお答え申し上げます。 第5波の感染者急増に伴いまして、入院受入れ病床は、平時の614床に加え、緊急時の122床を早期に活用し、全736床とすることで、入院が必要な方が必要な医療を必ず受けられる体制を整えております。 議員御指摘の臨時の医療施設につきましては、万一に備えまして、設置の検討を行ってはおりますが、本県としては、専門家からの御意見を基に、まずは療養環境の優れた宿泊療養施設、いわゆるホテルを活用した施設の充実を進めているところでございます。 今月中に3施設増設し、県央、県北、県南、天草の全圏域に7施設、1,000室を確保したいと思っております。さらに、医師の往診や緊急時の酸素投与ができる体制を整備するなど、医療面の機能も強化してまいります。 また、現在の本県の医療提供体制を最大限に生かす取組といたしまして、医療機関と宿泊療養施設が連携した抗体カクテル療法を今月から実施することといたしました。 抗体カクテル療法の実施によりまして、軽症者などの重症化を防ぎ、長期の入院を減らすとともに、宿泊療養施設にあらかじめ退院した後の受入れの部屋を用意することで、より多くの方へ必要な入院病床を提供することができると考えております。 今後とも、万一に備えた臨時の医療施設の検討も含めまして、様々な対策を講じて県内の医療提供体制強化に全力で取り組んでまいります。 以上でございます。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 先月、自民党県連吉永政調会長の下、KMバイオロジクス社を訪問し、視察研修を行いました。 永里社長から、御丁寧な、詳しい説明を伺いましたが、特に治験のこと、既にフェーズ3に取り組む準備に入ろうとしておられるようですが、その後の厚生労働省の薬事承認期間を少しでも早めていただくことが、早期の実用化に向けた最大のポイントと述べておられました。 また、この不活化ワクチンは、現在、乳幼児のインフルエンザとか4種混合、日本脳炎などに使っておりますが、今打っておられるコロナワクチンは、12歳以上の方となっておりますので、一刻も早くこの不活化ワクチンの実用化を急ぎ、乳幼児に早く接種できるようにしたいと強調されておられました。これが今一番急ぐべき大事なことであろうと思います。 県として、県民が、いや、全国民が待ち望んでおります純国産ワクチンが一刻も早く実用化できるように、国に対して緊急承認を認めていただくよう要請されることを強く要望して、次の質問に入らせていただきます。 続きまして、2050年ゼロカーボンに向けた県の取組についてお尋ねします。 本年6月、記録的な熱波に見舞われた北米やロシアでは、大規模な山火事が広がっております。 カナダの西部、ブリティッシュコロンビア州リットンでは、49.6度と観測史上最高気温を記録し、大規模な山火事に見舞われ、町の9割が焼失しました。カナダでは、今年になって、日本の関東の面積を超える3万3,500平方キロの森が燃え尽きました。 米国では、カリフォルニア州デスバレーで、7月、54.4度を記録し、東京都に匹敵する面積を焼失し、全米13州での山火事での焼失面積が1万3,000平方キロに達しました。 ロシアのシベリアでは、2020年――昨年です。平均気温が1981年から2010年の平均より5度以上高くなり、永久凍土が解けて地中のガスや細菌が放出されるリスクが高まっております。 国内では、大型台風や各地での土砂災害、大雨特別警報、県内でも、昨年の熊本豪雨、8月に入ってからの記録的な大雨、線状降水帯の発生など、世界中で明らかに異常気象が多発しております。 また、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCによりますと、産業革命前と比べた世界の気温上昇が、2018年発表の報告より10年早く、2021年から2040年に1.5度に達すると先月公表されました。 加えて、熱波や豪雨、干ばつ等の異常気象の増加の要因は、人間活動の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことに疑う余地がないと言明され、人類に警鐘を鳴らされました。 私は、地球温暖化による異常気象の頻発化は、人類の生存権をも脅かすまさに脅威であり、これ以上の気候変動を防ぐためには、これらの温暖化対策は待ったなしの課題であり、次の世代に豊かな地球環境を継承すべく温暖化対策に取り組むことは、今を生きる私たちの大きな責務であり、避けて通ることのできない宿命的なものを感じております。 そのような中、本県においては、先般の6月議会の議決を経て、7月に第六次熊本県環境基本計画を策定されました。その中で、2030年度の温室効果ガス削減目標として、2013年度比50%削減を目指すことを大きく掲げ、2050年までに県内のCO2排出量を実質ゼロを目指すこととしております。 このゼロカーボンとかカーボンニュートラル、あるいは脱炭素とかの言葉は、最近では連日のように新聞紙上をにぎわせておりますが、まだまだ県民の方々には、その必要性、重要性、また、具体的に何をすればいいのか、どうすればいいのか、全く浸透していないように思います。 国では、地方自治体が所有している建築物や土地の半分に、太陽光パネルを設置する方針を示されました。また、戸建ての新築住宅の6割に太陽光発電設備の設置を目指すとしております。 本県としましても、ゼロカーボンの実現に向けまして、家庭や各種産業など各分野において戦略的に取組を進め、県民や事業者にCO2削減に向けた具体的な行動や活動を促す必要があると思っております。 そこで、今後、県として、2050年ゼロカーボンの実現に向けて、どのような取組をどのような手順で進めていかれるのか、具体的な取組について、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、国に先駆けて、2050年県内CO2排出実質ゼロを宣言いたしました。本年7月には、第六次環境基本計画を策定し、2030年度までの県内の温室効果ガスの削減目標を50%と定めました。 議員御指摘のとおり、ここ数年、世界各地で熱波や豪雨が発生しています。本県においても、昨年は7月豪雨、本年は5月の梅雨入り、8月の長雨など、例年には見られない気象が続いており、私自身、地球温暖化による気候変動への危機感が高まっています。 ゼロカーボンの実現に向けては、あらゆる分野でCO2削減の取組を加速化しなければなりません。 まず、産業、業務部門については、本年7月に開始したCO2の排出削減に意欲的な企業等との協議の中で、中小企業には、自らの温室効果ガス排出量を把握することからの支援が必要といった意見などを伺いました。 県としても、県内企業の大部分を占める中小企業の取組は重要と考えています。そのため、県内200社以上の企業が参加する熊本県環境保全協議会と連携し、排出量の算出方法や設備の省エネ化の事例を紹介する研修会を来月開催することとしました。 今後、このような研修や個別の相談等にも応じるとともに、排出削減に関心の高い中小企業を支援することで、省エネ設備への転換等の成功事例として見える化し、各企業の取組につなげていきたいと考えています。 また、先月は、九州電力株式会社と地球温暖化対策に関する連携協定を締結しました。電力会社との連携協定は、都道府県では、本県が初めてです。協定に基づき、九州電力の社員が本県に派遣され、既に県の職員として業務を行っています。 この連携を基に、県内企業への技術的支援をさらに強化し、特に化石燃料から電力等へのエネルギーシフトの取組を加速してまいります。 また、家庭部門の取組については、各家庭でぜひとも実践していただきたいエコ活動の事例を年内にお示しできるよう、現在準備を進めています。その上で、新たな県民運動をスタートさせ、県全体で行動する機運を醸成してまいります。 今を生きる私たちの行動が、次の世代の生活環境を守り、持続可能な熊本の未来をつくります。こうした思いを県民や事業者の皆様と共有しながら、ゼロカーボン社会くまもとの実現に全力を挙げてまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) ただいま知事から、ゼロカーボンに向けた新たな県民運動をスタートさせるとおっしゃいました。まさにその方向に、県民お一人お一人が、俺も温暖化対策に貢献したぞと自尊心をくすぐるような形に持っていくことも、方策として大変意義あることと思います。また、関心の薄い方にも、何らかのインセンティブを付与しながら、対策を推し進めていく政策誘導的なものも必要なことと思います。 考えられるありとあらゆる政策を駆使しながら、その目標に向かって、県民こぞって小さな事柄でも協力し合う方向に導いていくのが県の主導的な役割であろうと思いますので、総合力を結集し、熟慮断行していただきますことを心から期待申し上げ、次の質問に入らせていただきます。 続きまして、八代・天草シーライン構想の推進につきましてお尋ねいたします。 この件につきましては、これまで都合37人の質問となっており、県政史上長期にわたり大きな県政課題として残存し続けております。 私も、平成30年2月議会においてお尋ねし、知事からは、地元の期成会の取組をサポートしながら「県として、国に対し、地元のこのような動きや盛り上がりをしっかりと伝えてまいります。」との力強い前向きな答弁があり、今日に至っております。 私は、この件に関して、近年大きく進んだこととして5点ほどあろうかと思います。 1点目は、私が議長をさせていただいた折、県として、政府要望に正式に取り上げていただき、きちんと要望書にうたい込んだこと。2つ目は、知事の4期目のマニフェストにおいて、八代・天草シーライン構想の推進により、県南、天草地域の新たな観光・物流圏の創出に向けて取り組むことを約束されたこと。3つ目は、新しいくまもと創造に向けた基本方針に、将来に向けた地方創生の取組として、本構想の推進を盛り込まれたこと。4つ目は、これまでにある5つの促進期成会を1つに束ねるような形で、本年2月、知事を先頭に、県議会、関係自治体、県レベルの経済団体のトップも名を連ねる八代・天草シーライン建設促進協議会が発足し、事業予算250万円が計上され、本年度の活動が期待されるところとなったこと。5つ目は、熊本県道路マスタープランが改定され、熊本県新広域道路交通計画が本年6月に公表され、その中にこの八代・天草シーライン構想が明確に位置づけられ、重要事業として取り上げられたこと。 これらのことは、地方自治体、関係諸団体、そして私どもにも大きな勇気と力をいただいたようで、確かな一歩を踏み出したものと力強く感じているところであります。 しかし、物事はこれからが大変であります。現段階では、熊本県でしか描き切れていない、いわゆる県独自の構想プランにしかすぎないものであります。これを国の構想、プランにきちんと位置づける、そのことが何よりも重要であります。それに向けて、知事を先頭に、全ての関係者が一丸となって、国への要望、本構想の必要性、重要性を訴えていかねばなりません。 しかし、単に国にお願いします、何とかしてくださいとおうむ返しのように繰り返し言い続けても芸がない。無味乾燥、進展しません。同じ訴えでも、受ける人に共感を呼ぶ、関心を持たせる内容、中身が必要と思います。 そこで思い浮かんだのが、九州縦貫道八代インターチェンジから分岐し、熊本天草幹線道路の松島インターに結合する地域高規格道路八代・天草シーラインであります。 そもそも八代・天草シーライン構想は、県レベルではどうしようもできない、県道整備との位置づけでは絶対無理な話、国の力を借りなければ、いや、国が主体的に取り組んでいただかねば進まない事柄であります。そういう点から考えますと、単なる橋、シーラインということではなく、国が関わる道路整備の路線での位置づけでないと、一向に前に進む気配すら感じられません。 そこで考えついたのが、前述の地域高規格道路構想であります。これを活用することにより、主要な都市と地域を結ぶことによる経済波及効果は計り知れないものであり、高速自動車国道と一体的に機能する広域的な道路ネットワークを形成することとなり、地域高規格道路の設置趣旨にかなうものとなります。 さらにもう一歩踏み込んで、じゃあ財源はどうするんだと問われたときに考えついたのが、現在、南九州西回り自動車道が順次整備が進み、水俣インターまでが平成31年3月に供用開始、現在、鹿児島県との県境8.5キロを目指して順調に工事が進捗中であります。毎年の年間予算規模が60数億円であり、今のペースで進捗すると、向こう5~6年後には県境まで達するのではないかと考えております。 そうなったとき、その予算を進捗が遅れている鹿児島県側にみすみす渡してしまう、そういうことがあってはなりません。その前に、熊本県として次期道路整備事業をきちんと計画し、その整備に向かう方策を事前に打ち立て、準備しておくことが極めて重要であり、6月公表の熊本県新広域道路交通計画こそがまさにそれに当たるものと確信いたします。 目の前にある予算を有効に活用し、新たな財政負担を伴うことなく、県民生活の利便性の向上、経済の限りない発展につなげていくことが県政の最大の使命であり、最高の政策と考えますが、知事はどのように考えておられるのか、御見解をお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 八代・天草シーライン構想については、県南地域と天草地域をつなぐ横軸のアクセスを整備し、新たな経済圏や観光ルートを創出するものとして、大きな可能性を持つプロジェクトであると認識しております。 平成30年2月定例会における議員からの御質問にも、こうした考えをお答えしました。その後、今日に至るまでの3年余の間に、本構想を県全体で取り組んでいくための推進体制の整備を進めてまいりました。 また、本年6月に策定した、今後20年から30年の県の道路整備の基本的な方向性を示す熊本県新広域道路交通計画に、八代・天草シーラインを構想道路として位置づけました。 さらに、7月に国が策定した九州地方新広域道路交通計画にも、本路線がしっかりと位置づけられています。このことは、構想実現に向けた大きな一歩であり、今後、高規格道路として構想を具体化するための出発点に立つことができたと考えています。 八代・天草シーライン建設促進協議会の活動初年度の動きとしては、まず、来る12月12日に、上天草市において構想推進大会を開催します。また、年明けには、協議会として初めて国への要望活動を行い、本構想の目的や必要性を訴えるとともに、高規格道路への位置づけを強く要望してまいります。 こうした推進体制を基盤に、本構想を着実に推進していくため、今後も必要な取組を進めてまいります。  〔坂田孝志君登壇〕
    ◆(坂田孝志君) ただいま、県としての高規格道路八代・天草シーラインとしてしっかりと位置づけていただきました。そして、12月には構想推進大会、年明けには初めて正式に協議会として国への要望も行い、この構想の必要性を訴えていくとのこと、極めて明快な、前進的な御答弁をいただきまして、誠にありがたく、意を強くしているところであります。 これまで多くの関係者の皆さん方と、地道に、しかも粘り強く取り組んできたことが、今こうして、やっとこれまでの暗がりから一筋の光明が差し込み、次のステップに向かって新たなスタートを切ったのだと実感しているところであります。 これからも、多くの皆さんの力を結集し、高規格道路八代・天草シーラインの事業採択に向けて、打って一丸となり、勇往邁進してまいりますことを力強く宣言し、次の質問に入らせていただきます。 続きまして、現状を踏まえ、コロナ後を見据えたこれからの観光戦略についてお尋ねします。 知事におかれては、4期目を目指すマニフェストの中に、くまもと観光の推進などを掲げられ、世界と大きくつながることで、地方創生の実現に向けた熊本の活力を創造していこうとされたところであります。 しかしながら、4期目の就任直後から、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に加え、昨年7月には、県南を中心とした豪雨災害が発生し、甚大な被害を生じました。それらの影響により、熊本地震からの創造的復興の流れを太く、さらに大きくし、地方創生へと確実につげていくためのエンジンとも言うべき観光産業や飲食をはじめとするその関連産業は、これまで経験したことのない大変な打撃を長期にわたり受け続けております。 そのような状況を踏まえ、知事は、県政のかじ取りにおきまして、コロナ対策と経済対策のベストバランスをいかに図るかということに大変腐心されていると拝察するところであります。 とりわけ、観光分野におきましては、知事の肝煎りで庁内に観光戦略部が新たに設置され、今回策定されましたようこそくまもと観光立県推進計画の中で「くまもと観光イノベーション」を基本目標として掲げ、さらに基本方針として、まず初めに、新型コロナウイルスの感染拡大により生じた「ニューノーマルを意識した「新しい観光スタイル」の実現」、2つ目に「災害に強く、安全・安心・満足度の高い観光地域づくり」、そして3つ目として「「地域産業を潤す観光立県」を実現する観光基盤づくり」を目指すとして、2023年までに延べ宿泊客数800万人、観光消費額3,500億円を目標とし、観光デジタルトランスフォーメーションの導入など、多種多様な政策を推進されておられます。 今後、ワクチン接種が国内外で随時進んでいくことにより、世界は新たな日常を取り戻し、あらゆる面においてその環境が大きく変容を遂げながら、新たな関係性を構築していくだろうと考えられます。 そのような世界の潮流を察知しながら、観光分野におきましても、激烈な誘客競争を何としてでも勝ち抜いていく必要があると考えるところであります。 そのためにも、知事の強力なリーダーシップの下、疲弊した観光産業を立て直し、熊本の経済を早期に回復基調へと押し上げ、知事が目指す地方創生へと確実につなげていくべきだと考えるところであります。 そこでお尋ねしますが、コロナ後を見据えたこれからの観光戦略について、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 4期目を目指すに当たり、私は、熊本を発展させるためには、成長を続けるアジアをはじめ、世界の活力を取り込むことが必要と考えました。そのため、マニフェストにおいて、観光くまもとで世界とつながることを目標に掲げております。 その実現に向けて進めていた陸海空の玄関口となる熊本駅、くまモンポート八代は既に完成し、阿蘇くまもと空港も、大空港構想の下、コンセッション方式によるリニューアルが進んでいます。 残念ながら、海外とのつながりは、世界中に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、大部分がオンラインに頼らざるを得ないのが現状です。しかし、近い将来、人々の往来による世界とのつながりは、必ず回復します。そのときのために、ピンチをチャンスに変える新しい熊本の観光スタイルの創造に向け、今なすべきことを確実に実行していくことが重要です。 この考えの下、本年6月、ようこそくまもと観光立県推進計画を策定し、戦略的に取組を進めています。 まず、デジタル技術を活用した観光MaaS等のDXの推進、観光の満足度を高めるガイド養成等により、世界中の人々がストレスなく熊本の魅力を堪能できる旅行環境の整備を進めます。また、インバウンドの人気の高いアニメコンテンツと地域資源を組み合わせた観光商品開発や国内外のスポーツイベント等の誘致により、熊本の国際競争力の向上を目指します。さらに、文化財の活用等により、熊本ならではの魅力を発信してまいります。 こうした取組は、世界とつながる上で確実に熊本の強みになるとともに、国内誘客においても十分に力を発揮するものです。往来のできなかった今だからこそ、しっかり取り組み、将来への飛躍へつなげていきたいと考えています。 そのためにも、今、新型コロナウイルス感染症により疲弊している観光産業を、しっかりと下支えする必要があります。人流が抑制された中での支援策の構築とともに、時宜を捉えたくまもと再発見の旅の再開や隣接県との相互誘客など、需要喚起策を拡充しながら、にぎわいを取り戻してまいります。 目の前の大逆境の先にある新たなスタイルによる観光立県の実現を目指し、関係団体の皆様とともに、常にイノベーションの視点を持ちながら、全力で取り組んでまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 今や旅行業や観光業界は、泣き面に蜂、どうにもならない悲惨な状況でございます。もう何か月も、旅行の予約一つもなし、飛行機のチケットも発券ゼロ、宿泊も8割、9割減、どうすればいいのかと落胆と悲痛な叫びであります。アルバイトを始めた方もおられます。 業界を最大限支援し、盛り上げて、にぎわっていた熊本を取り戻し、多くの方々が熊本にお越しいただいて、熊本のよさ、うまさ、見どころを満喫してもらい、県民が潤いと幸せあふれる熊本を実感できるよう、協力一致、全庁挙げて取り組んでいただきますことをお願い申し上げ、次の質問に入らせていただきます。 次に、第13次鳥獣保護管理事業計画についてお尋ねいたします。 鳥獣保護区は、環境大臣または知事が、鳥獣の保護の見地から、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づき、鳥獣の種類、生息状況を勘案して、当該鳥獣の保護を図るために特に必要と認めるときに指定します。 環境大臣は、国際的または全国的な鳥獣の保護のため、知事は、県内の区域内の鳥獣の保護のため指定することとなっております。指定期間は、20年を限度として適切な期間を設定しますが、20年以内で存続期間を更新することは妨げられないこととなっています。 本県では、102か所を指定し、指定期間は10年間としております。中でも、八代市の球磨川河口鳥獣保護区は、球磨川河口域及びその周辺の広大な干潟が形成された箇所で、四季を通じて野鳥が飛来し、オオズグロカモメやクロツラヘラサギなどの国際的な希少種の飛来も確認されており、多くの水鳥にとって主要な地域となっていることから、鳥獣保護区に指定されております。 ところが、その実態はどうでしょう。スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 近年、カモやヒヨドリなどの有害な鳥類の大群が押し寄せ、農作物への被害が続発しております。 国の野生鳥獣による農作物の被害状況調査によりますと、八代地域における鳥類による農作物の被害額は、そちらにございますように、平成28年度2,096万円、平成29年度5,360万円、平成30年度7,146万円、令和元年度1億6,484万円と、年々急増している現状であります。御覧のとおりでございます。 次の写真は、レンコンのカモによる食害で、カモが食害したところから土がしみ込み、商品価値全くなし。また、カモやヒヨドリの食害により食い荒らされたキャベツやレタスの無残な状況でございます。後のスクリーンでも出てまいりますが、カモが横一列に並んで一斉に作物を食べ尽くし、壊滅的な被害を与えております。 希少種を保護するとうたいながらも、有害鳥獣の安住の地となり、今や全国の食料生産基地として名高い八代産地の冬野菜を食い荒らす無法状態となっており、看過できない状況であります。 県では、生産者と一体となって、被害防止に向けて、吹き流しやカイト――大きな鳥の模型であります。カイトやあるいは超音波機器による追い払いなど、様々な取組を行っておりますが、一向にその効果が見られません。 有害鳥獣捕獲も、許可期間内においては可能ですが、期間も短く、捕獲数も限定され、狩猟者も年々減少し、保護区域内ではためらう人も多いようで、その実効が上がりません。 このような状況の中、農家の方々は、これまで黙って耐え忍んでこられたが、もう我慢の限界だと立ち上がり、地元の市政協力員さんやJA関係者に働きかけ、それらの方々の連名で、熊本県に鳥獣保護区の見直しを求める要望書を去る6月22日に知事に提出され、それと併せて八代市より、被害の状況等を指し示す進達書も、要望書とともに提出されたところであります。 県では、前回の第12次鳥獣保護管理計画の策定を行う際に、指定に関する中長期的な方針として、鳥獣による農林水産業被害が増大し、首長や関係団体、地元で農林水産業等の生産活動に直接携わっている人や団体等の利害関係人からの意見に合理性があると認められ、また、その結果、指定を継続することが困難とされた場合は、期間満了、指定解除及び指定区域の変更を行うとあります。 つまり、平たく言うと、利害関係者の中に異議を唱える者がいれば、指定解除もあり得るということであります。まさに、この球磨川鳥獣保護区は、それに該当します。八代市、JA、農業者、漁業者、森林組合、猟友会の利害関係人は、継続はしないで見直してくれとの切なる叫びであります。 以上のような現状を踏まえるとき、見直しは避けられないものと思料しますが、県として次期計画にどのような考え方で臨もうとしておられるのか、環境生活部長の見解を求めるものであります。  〔環境生活部長藤本聡君登壇〕 ◎環境生活部長(藤本聡君) 球磨川河口鳥獣保護区は、干潮時には広大な干潟が広がる球磨川河口の河川区域内にあります。国際的な絶滅危惧種や希少種も含め、多くの渡り鳥が飛来しており、県が約253ヘクタールの区域を平成24年度に指定しました。 このような集団渡来地の保護区は、全国に304か所があり、県内では、同じく県が指定した長洲町及び玉名市の有明保護区、また、国が指定した荒尾干潟保護区の3か所があり、いずれも渡り鳥の重要な生息地となっております。 第13次鳥獣保護管理事業計画における球磨川河口鳥獣保護区の指定につきましては、現在、必要な手続の一つとして、地元農業関係者や自然保護団体等の利害関係人からの意見聴取を行っております。また、議員の御質問にもありましたように、先般、地元の方々から、指定の見直しについての御要望もいただきました。 県としても、保護区に隣接する農地での鳥類による農作物の被害の実情を改めて認識したところです。 今後、利害関係人からの意見聴取に加え、さらに専門家や有識者の意見も踏まえ、鳥類による被害状況も含めて総合的に検討し、県としての考えをまとめてまいります。 なお、保護区の指定更新の有無にかかわらず、農作物への被害については、効果的な対策を講じていく必要があります。 このため、保護区内でも有害鳥獣捕獲が認められていることのさらなる周知や捕獲のための担い手の確保などに取り組んでまいります。 加えて、冬場の露地野菜の鳥類による被害防止対策への支援や地域ぐるみでの効果的な被害防止策の検証に要する経費を今定例会に提案しております。 このように、まずは、すぐにでもできる対策を、農林水産部、地元自治体、関係機関、地元の方々とも連携し、工夫しながら進めてまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 地元の農家の方々の切実な声を聞きました。お一人は、朝早うから晩遅うまで鳥の被害に振り回されっ放し、鳥のふんがついたらクレーム、業者の信用はゼロ、引取りがなくなる。もう一人の方は、干拓に入植して65年、鳥の被害でこぎゃん精神的にダメージを受けるとは思ってもおらんだった。また、別の人は、わしどもは作物を守るため畑に網を張ったら、鳥獣保護団体から訴えられた。行政は、鳥は守るが、わしどもは守ってくれぬ。 部長、これこそが生の声であります。どうぞこのような現状を御賢察いただいて、賢明なる御判断を賜りますようお願い申し上げ、最後の質問とさせていただきます。 次に、国の土地改良長期計画を踏まえた県の取組についてお伺いします。 国におかれては、本年3月、新たな土地改良長期計画を閣議決定されました。 この計画は、土地改良法に基づき策定されたもので、今年度から令和7年度までの5か年の計画となっております。 この中で、人口減少の中における我が国農業の持続的な発展、多様な人が住み続けられる農村の実現を掲げ、大きく3つの政策課題を設定しております。1点目は、いわゆる産業政策の視点となる生産基盤の強化による農業の成長産業化であります。2点目は、地域政策の視点となる中山間地域等における所得と雇用機会の確保や交流、定住の促進であります。3点目は、ずばり農業、農村の強靱化であります。 この中で、頻発化、激甚化する災害に対応した防災重点農業用ため池の防災工事、排水機場の整備、改修、農業用ダムの洪水調節機能の強化を推進するとしております。 また、これらの取組の推進に必要な事柄として、土地改良区の運営基盤の強化や人材の育成、喫緊の課題であります大規模災害への備えや復旧、復興についても推進すると明記してあります。 とりわけ、農業、農村の強靱化につきましては、本県には、8か所の農業用ダムや167か所の排水機場、700キロメートルを超える基幹的農業用用排水路など多くの土地改良施設があり、農業用水の安定供給など、農業の生産基盤としての機能はもとより、農村を災害から守る防災施設としても必要不可欠な施設となっております。 しかしながら、施設の大半が昭和40年代から50年代にかけて整備されており、既に数十年が経過しており、老朽化による機能低下や突発事故が多発しております。 そういう中に、地元の八代市では、県が整備を進めてこられました大型の排水機場が昨年度供用開始され、昨年の7月豪雨でも大きな被害もなく、安心して営農できるようになったと伺っており、大変感謝しているところであります。 このように、土地改良施設の計画的な更新、整備を今後も引き続き進めていく必要があります。 さらに、平成28年の熊本地震、昨年の7月豪雨と立て続けに発生した大災害からの復旧、復興も喫緊の課題であることは言をまちません。被災箇所の迅速な復旧はもちろんのこと、排水機場やため池整備などの防災対策や流域治水の取組をしっかりと進めていく必要があると考えます。 また、これらの課題に適切に対応するためには、土地改良施設の適切な維持管理はもとより、地域の合意形成や共同活動の中心的役割を担っている土地改良区の運営基盤の強化が必要であります。 農家の減少や土地改良区の組合員や役職員の減少、高齢化も進んでおり、このままでは農業用水の安定供給や土地改良施設の維持管理に支障が生じ、農業生産の継続や多面的機能の発揮にも深刻な影響を与えるのではないかと危惧しております。 このように、本県においても、国の土地改良長期計画で掲げられた課題と同様の状況が生じており、県でもこの計画を踏まえた取組を進めていく必要があると考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 県では、本年2月に熊本県食料・農業・農村基本計画を策定し、将来的な農家人口の減少に対応するため、国の土地改良長期計画と同様に、農地集積や高収益作物の導入に資する農地の大区画化や汎用化、土地改良施設の戦略的な保全管理などを進めております。 特に、県内に167か所ある排水機場は、本県の干拓地域を中心とした平野部における施設園芸や露地野菜の生産に不可欠であり、農業、農村の強靱化にも大きく貢献する重要な施設です。 一方で、老朽化が進み、機能低下や突発事故のリスクが高まるなどの課題も生じております。そのため、設置後40年以上経過した施設をゼロとすることを目指し、計画的な更新整備に取り組んでおります。 また、県土の7割を占め、高齢化が進んでいる中山間地域においては、スーパー中山間地域の創生や農泊の推進などにより、安定的な所得や雇用の維持、確保を進めてまいります。 さらに、土地改良施設の管理を担う土地改良区については、組合員の減少や高齢化が進行する中でも、将来にわたってその機能を維持できるよう、県土地改良区総合整備計画に基づく合併など、運営基盤の強化を支援してまいります。 今後とも、国や市町村、土地改良区等と緊密に連携して、これらの事業を推進し、農業産出額全国第6位の食料供給基地としての役割を果たすとともに、土地改良施設を礎とした稼げる農業や豊かな農村を次世代に引き継いでまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 計画を進めていく上では、予算の確保が絶対必要条件であります。民主党政権下で3分の1まで削られたNN事業当初予算がいまだに回復せず、事業を計画的、安定的に推進していく上での大きな障壁となっており、県でもそのあおりを食って、まさに厳しいものとなっております。 必要十分な予算の確保に向けまして、松田会長を先頭に、土地改良議連として粉骨砕身取り組んでまいりますことを公言して、質問はこれまでとし、最後に要望を申し上げます。 八代地区直轄海岸保全施設整備事業の推進について要望させていただきます。 平成28年4月、震度7の巨大地震が2度も熊本を襲いました。その中で、県民の生命線とも言える海岸堤防も深刻な状況となりました。 この復旧に際しては、国の権限代行による直轄復旧工事を行っていただき、今日に至っておりますが、私は、このとき、今回は布田川断層が震源地でありましたが、これがもし日奈久断層を震源とする今回のような震度7クラスの地震が発生したら、八代海の海岸堤防にどれだけの被害となるのか、ましてやこの日奈久断層帯は、国の機関によると、今後30年以内にマグニチュード7以上の地震が起こる確率が最も高いSランクに位置づけられていることから、早急に県に調査を求めました。 その結果、昭和海岸で1.5メートル、郡築海岸で86センチの堤防の沈下が生じ、耐震・性能不足が判明しました。 すぐさま、県と協議し、耐震対策を早急に進める必要性を共有したものの、多額の予算と高度な技術力を要することから、県管理農地海岸とはいえ、いっそのこと国でやってもらったらどうかと考え、農林水産省に直轄海岸保全施設整備事業として取り組んでいただくこととし、それから2年余り要望攻勢をかけ続け、本年4月、国の直轄事業として、事業費300億円、工期、令和3年度から令和21年度までの19年間とし、本年4月、八代市に九州農政局八代海岸保全事業所が開設されました。 本事業によりまして、農地3,800ヘクタール余り、住宅や農舎、公民館や学校などの公共施設、道路や鉄道などの重要な生活インフラが防護されることとなります。 住民の方々は、大変ありがたい事業だと期待に胸を膨らませておられる一方、両海岸で5.3キロメートルにも及び、排水樋門も、大型の大鞘樋門など7か所、潮遊地もあり、今後どのように整備していかれるのか、営農に支障は来さないのか等、非常に心配しておられます。また、工期が19年間と長く、この間に大型地震が起こりはしないか、危惧しておられます。 これらの点を国にしっかりと説明していただき、工期のほうも、半年でも1年でも短くなるよう国へ申入れしていただくよう要望をいたします。 以上をもちまして私の代表質問の全てを終結させていただきます。 長い間の御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) 昼食のため、午後1時まで休憩いたします。  午前11時40分休憩    ――――――○――――――  午後0時59分開議 ○副議長(山口裕君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 立憲民主連合岩田智子君。  〔岩田智子君登壇〕(拍手) ◆(岩田智子君) 皆さん、こんにちは。熊本市第一選挙区選出・立憲民主連合の岩田智子です。今日、初めて会派を代表しての代表質問の機会を得ることができまして、大変緊張しております。 まず、新型コロナ感染で亡くなられた方、そして8月の長雨、大雨で亡くなられた方に哀悼の意を表したいと思います。また、毎日のコロナ対応で、医療関係者、そして保健所職員の皆さんが毎日御尽力をされていることに感謝をいたします。 第5波が少し落ち着いてきています。でも、ここで楽観しないように気をつけていきたいなと思っています。 それでは、早速通告に従って質問を始めます。 まず、東京オリンピックパラリンピックについて質問をいたします。 緊急事態宣言下であった主催地東京で、1年延期されたオリンピック、パラリンピックが開催されました。昨年延期を取り決めた頃よりも、感染状況は悪くなっていました。 東京オリンピックは、復興五輪という理念で始まりましたが、東北の福島、岩手、宮城では、海外選手との交流やイベントが中止になりました。そして、無観客となりました。 熊本では、聖火リレーの実施やインドネシアバドミントンチーム、ドイツ水泳チーム、アンゴラハンドボールチームが事前キャンプに招致されましたけれども、コロナ禍での市民、県民との生の交流はできませんでした。 7月13日、世界で3位であるグローバルマーケティングリサーチ会社、イプソス社が、世界の主要28か国、1万9,510人を対象に世論調査をし、その結果を発表しました。新型コロナウイルスによるパンデミックが終息しなくても、東京五輪を2021年に開催すべきかとの問いに、反対が57%、賛成が43%でした。62%はパンデミックを受けた世界が一つになる重要な機会だとの回答でした。 日本では、開催前、朝日新聞の5月15、16日の調査ですが、中止が43%、再び延期が40%で、今夏の開催に83%が異を唱えていました。 オリンピック開催後、JNNでの世論調査では、開催してよかったという人が61%、開催すべきではなかったが38%と、スポーツの持つ力で世論は大きく変わりました。しかし、オリンピックが感染拡大につながったという人は60%だったという結果が出ています。 このような一連の世論調査の結果を見ると、オリパラの開催とコロナ感染対策に関しては、大きな世論の分断を生んだと思っています。知事はどう思われるでしょうか。 オリンピックでは、県ゆかりの選手の活躍に加え、本県でキャンプを実施したインドネシアバドミントンチームは優勝を勝ち取り、喜ばしい結果でした。幸い、熊本においでになった選手や関係者に新型コロナウイルス感染はなく、県の担当者も、細心の注意をして職務を全うされたと思います。 パラリンピックも、緊急事態宣言下の東京で、8月24日開会しました。開催前の採火式は、縮小して3市町で催されました。県ホームページからは、そのときの動画を見ることができます。県立盲学校の生徒たちと陸上自衛隊第8音楽隊とのコラボは感動的です。県内の出場者も、開会式から、選手宣誓の浦田選手、パラリンピック旗を持って入場した富田選手など、大活躍でした。 知事は、8月4日の記者会見で、オリンピックについて、テレビで観戦し、選手の活躍を見ている、個人的には人々に明るさを与えていると思っている、キャンプをしたインドネシアを応援したけれども、女子ダブルスで優勝できたことをうれしく思った、応援できてよかった、悪かったところはありませんと言われました。 コロナ禍の中での県で実施された聖火リレーや事前キャンプなどの総括とオリパラが熊本にどんな活力を与えてくれたのか、知事のお考えをお聞きします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、県が実施した聖火リレーや事前キャンプの総括についてお答えします。 今回、県内13市町村で行った聖火リレーは、熊本市を除き、予定どおり公道で実施しました。県民の皆様には、お住まいに近い地域での観覧やライブストリーミングでの視聴を呼びかけました。その結果、密を避けた観覧が行われ、復興が進む熊本の姿を国内外に発信することができました。 また、インドネシアバドミントンチームの事前キャンプについては、県民と選手団の動線が交わらないように、感染防止策を徹底いたしました。その上で、選手たちがよりよい状況で試合に臨むことができるよう、ホテル内のおもてなしや安全、安心な練習環境を提供することに努めました。 その結果、選手やスタッフから感染者を出すことなく、見事に女子ダブルスが金メダル、男子シングルスが銅メダルを獲得されました。ホストタウンとして、心からの喜びを実感した瞬間でした。 今回のキャンプについては、インドネシアバドミントン協会からも高い評価をいただき、お礼状が届くなど、今後のさらなる交流につながるものになったと考えています。 次に、オリンピック、パラリンピックが本県にどのような活力を与えたかについてお答えします。 無観客開催という厳しい状況の中で、オリンピックでは過去最多となる58個のメダル、パラリンピックでも51個のメダルを獲得するなど、日本代表選手団の活躍は目をみはるものがありました。 県ゆかりの選手の活躍も顕著であり、オリンピックでは、野球の村上宗隆選手の金メダル、パラリンピックでは、水泳の富田宇宙選手の3つのメダル獲得をはじめ、メダリスト5名を輩出いたしました。 県では、その功績をたたえ、くまもと夢づくり賞、熊本県スポーツ特別功労賞をメダリストの皆さんに贈ることにしています。 様々な障害を克服し、前に向かうアスリートの皆さんの姿を通じて、改めてスポーツの持つ力を実感しました。それは、あらゆる困難に対して、決して諦めない心、立ち向かう勇気、そして共に乗り越えるエネルギーです。これこそが、三重苦の逆境に立ち向かう熊本県民の心の復興につながるものと確信しています。 オリンピアン、パラリンピアンの雄姿をしっかりと心に刻み、大逆境を克服し、県民の幸福量の増大を図るとともに、共生社会の推進に取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 知事に答弁をいただきました。 実は、私の元には、このオリンピックの期間中、新型コロナウイルスの感染拡大の中、オリンピックなんかやっていいんですかとか、延期や中止をしたらいかぬ、絶対せないかぬというような様々な声が私の元に届いたんですね。 私は、新型コロナウイルスの感染防止のために、そのときやっぱり不要不急の――今もそうですけれども、外出自粛、そして飲食店等の時短営業、大変な思いをして必死に我慢をしていらっしゃる中、海外からたくさん人も来られる、できるんだろうか、していいんだろうか、でもやんなきゃ、やったら楽しいだろうな、応援するだろうなと、そういう気持ちがすごくあったんですね。でも、知事が言われるように、本当に選手たちのパフォーマンスがすごくて、本当に熱いものをいただけたんですよね。スポーツの力って本当に不思議だなと、見ながら思いました。特に、パラリンピックには、本当にそういう気持ちがとてもたくさんあって、言われたように、夢とか感動とか勇気とか、そういうものをもらえたんです。 でも、一方、こっちのコロナ感染を考えると、自宅療養で亡くなられた方が出てきたというようなこともあって、何か本当に今でも私の頭の中は混乱しているんですが、でも県内の聖火リレーや事前キャンプが与えてくれた活力に関して、選手の活躍、そして心の復興、そして最後に言われましたけれども、共生社会の推進という言葉を言われたのがすごくやっぱりうれしいです。 本当に、そこで共生の社会を、このパラリンピック、オリンピックの後、私たちがどうつくっていくかということがすごく大事になるんじゃないかなと思っていますので、どうぞ、本当に総括をしながらやっていきたいなと思っています。選手に本当に感謝を申し上げたいと思います。 次の質問に移ります。 令和2年7月豪雨災害からの創造的復興について伺います。 被災者の御意見と住まいの再建について伺います。 昨年の7月豪雨災害では、災害関連死を含めると67人の方が亡くなられました。 知事は、仮設住宅に住む昨年の豪雨被災者の方々との意見交換会を始められています。7月25日の芦北町、津奈木町を皮切りに、8月1日には球磨村で、9月12日は坂本町で開かれました。知事自ら仮設住宅の現地で意見交換をされることは、住民の皆さんもどんなに心強く思うかと感じています。 この意見交換会では、知事が被災者の声を直接聴くことと、国や県が3月に策定した川辺川への流水型ダム建設を柱とする球磨川水系の流域治水プロジェクトへの理解を深めてもらうという目的があると思います。 まず、知事は、被災住民の方々の声を聴いて、一番に取り組まなければならないことは何だと感じられましたか。 また、流水型ダム建設を柱とする流域治水プロジェクトへの理解はどうだったのでしょうか。命と環境を守るという知事の言葉は理解されたのでしょうか。 報道によれば、住まいの再建への不安の声が出ていると伝えられています。今年の3月から5月に県と市町村が調査した住まいの再建場所に関する調査では、再建場所を決めていないのは56%、再建場所を決めているという44%の世帯は、もともと住んでいた場所を希望されています。 被災地のかさ上げの計画や公共治水工事が決定するまでは、希望もかなうかどうかも不安の材料となります。高齢世帯のみの世帯が、この調査では37%に上り、この数は、熊本地震のときよりも8ポイント高くなっています。 このような世帯が、特に住まいの再建に不安を抱いたり、再建まで時間を要すると考えます。このような方々の住まいの再建への道筋についても伺います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、仮設団地での意見交換についてお答えします。 意見交換では、緑の流域治水の考え方や復旧・復興プランの進捗状況、さらには住まいの再建に向けた県独自の支援策について、私が直接御説明しています。 意見交換の後は、仮設住宅の玄関先に足を運び、多くの方々とお話をし、現在の状況を伺いました。皆様からは、自分の住む場所は安全になるのか、宅地かさ上げのスケジュールを知りたいなど、多くの御意見をいただきました。 そうした皆様の復旧、復興に向けた思いや不安の声を直接お聴きし、最重要課題である住まいの再建とその前提となる緑の流域治水に全力で取り組む決意を新たにしました。 意見交換の中では、私の説明と併せて、流域治水プロジェクトの具体的な内容や、道路や河川、農地や山林などの各地域の身近な復旧、復興の状況なども丁寧に説明を行いました。 皆様には、昨年11月に新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水を決断した私の思いや住まいの再建に向けた具体的な治水対策の内容を御理解いただけたと考えています。 来週は、山江村と相良村を訪問し、その後、人吉市も訪問する予定です。引き続き、被災された皆様お一人お一人と丁寧に意見交換を重ねてまいります。 次に、住まいの再建についてお答えします。 議員御指摘の住まいの再建に関する意向調査では、13%の世帯から回答がなく、また、回答をいただいた世帯のうち、再建場所が決められないと答えられた世帯が56%に上りました。 その理由として、今回の意見交換でも聴かれた公共工事の内容やスケジュールが不透明なこと、資金のめどが立たないことなど、様々な御事情がありました。 このため、まずは、市町村や地域支え合いセンターと連携して、意向調査に回答されなかった世帯、そして再建場所が決められないと答えられた世帯を最優先で訪問しています。 特に、御高齢の世帯が多いために、より丁寧に御事情をお伺いしながら、自宅再建のリバースモーゲージ制度や災害公営住宅を御案内するなど、それぞれの世帯の状況に応じて寄り添った対応をしております。 また、意見交換の中で、宅地かさ上げや遊水地などの公共工事の影響を受ける世帯の方々から、仮設住宅の供与期間を心配する声が多く聞かれました。 私は、このような方々には、熊本地震でも、供与期間が来たからといって、すぐに仮設住宅を出ていってくださいと申し上げたことはありません。実際、熊本地震で公共工事完成を待っておられる方は、現在も入居されています。同様に、今回の7月豪雨災害においても、延長が必要な世帯については、国に対して供与期間の延長を強く要望してまいります。 現在、各地域で、宅地かさ上げや遊水地などの公共工事の事業説明会が順次開催されています。また、災害公営住宅や新たな宅地造成などの市町村の取組も進められています。 今後の事業計画の内容が住まいの再建に大きく影響するため、それぞれの事業の進捗に合わせ、各世帯の状況を細かく把握しながら、住まいの再建を支援してまいりたいと考えています。 そして、私の4期目の任期中には、全ての被災者の住まいの再建にめどをつけ、再建に向けた全ての事業に着手できるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 知事にお答えをいただきました。 7月豪雨の後、現地で被災者の声を聴くということは、これこそ復興の原点だと思います。丁寧に意見交換を重ねていくという答弁がありました。 県の提示されている新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水には出てこない瀬戸石ダムが坂本町にありますが、その辺のことについても、疑問を呈される被災者の方々の声も受け止めていただきたい。 公共事業のために延長が必要な世帯への仮設住宅の供与期間の延長にも触れられましたけれども、先日の、先ほどもちょっと触れられましたが、小委員会で、国交省が出した球磨川河川整備基本方針の洪水の想定最大流量を、基準地点で1.2倍に引き上げたということがありました。 ニュースを見ると、小委員会の委員長も驚くほどの早さで国交省が決められたということでしたけれども、このことでまた被災者の方々は揺れ動いていらっしゃいます。推定水量が正確なら、もう本当に助からないのではないかなというようなことを言って心配をされる方もいらっしゃいます。被災をされた方々からしっかりとお話を聴くことからしか始まらないと思っています。事業着手ありきで、被災者を置いていくことがないようにお願いをしたいと思います。 知事が、国交省の流量について、例え話をテストの問題づくりでされましたけれども、それもよく分からないという声もいただいていますので、しっかりと説明をしていただければなと思っています。 では、次の質問に移ります。 水とみどりの森づくり税についてです。 災害を防ぎ、県土を保全するなど、山には公益的な機能があります。大量の土砂の流出や崩壊には、治山対策や森林整備が必要です。 被災後の山の様子も見に行きました。鹿の食害の痕や木材の皆伐で土がむき出しになっている山からの土砂流出があちらこちらにありました。 県は、令和2年7月豪雨による山腹崩壊や土石流などの山地被害は846か所で発生したと発表しています。人工林の手入れ、野生鳥獣による森林被害を防ぐこと、広葉樹林の保全などの取組を実施することは、災害防止という観点で大変重要だと思います。 現在4期目となる熊本県水とみどりの森づくり税は、個人で、1人当たり年間500円、法人は、法人県民税均等割の5%相当を納めています。単年度で約4億円強のこの森づくり税は、その課題を解決するための税金です。 2019年の県民アンケートでは、この熊本県水とみどりの森づくり税の取組に対し、今後もこの取組が必要だと答えた県民は、90%以上に上っています。 水とみどりの森づくり税は、第4期となる令和2年度からの5年間の方向性が示されており、熊本地震等の経験を踏まえ、県内の森林、林業を取り巻く課題に対応されています。 そこで、昨年発生した7月豪雨災害を踏まえて、水とみどりの森づくり税を活用して、森林、林業の課題にどのように対応をするのでしょうか。農林水産部長に伺います。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 水とみどりの森づくり税は、森林を全ての県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的として、平成17年度に創設されました。令和元年度までの3期15年間で、公益的機能を高めるために実施した森林整備の面積は、約1万6,000ヘクタールに及んでおります。 その効果は、約27万人分の生活用水の確保、ダンプトラック約62万台分の土砂浸食の防止及び自家用車約10万台分の二酸化炭素の吸収に相当すると試算しております。 昨年、令和2年度から始まっております4期目では、熊本地震豪雨災害など頻発する自然災害を踏まえまして、県民の安全、安心に着目し、流れ木の発生抑制に向けた渓流沿いの森林の強度間伐や伐採跡地の植栽などを推進しております。 他方で、議員御指摘のとおり、昨年7月の豪雨においては、森林の保水力を超える多量の雨が降ったことから、根より深い部分から森林が崩壊し、土砂流出が発生しました。多くは、谷など水が集中しやすい箇所や地質的にもろい箇所で起きたものですが、皆伐箇所の集材路等からの土砂流出も散見されました。 現在、治山対策により災害復旧を進めておりますが、これからは、住民の早期避難につながる事前防災対策にも力を入れていく必要があると考えております。 また、激甚化、頻発化する自然災害を受け、森林が有する保水や土砂災害を防ぐ機能への期待が高まっており、林地保全に配慮した森林施業の推進も求められております。 このようなことから、今後は、山地災害から県民の生命と財産を守るためのソフト対策の強化や、土砂災害の未然防止を念頭に置いた森林施業の導入にも、水とみどりの森づくり税を活用することで、災害に強い森林(もり)づくりを進めてまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 部長のおっしゃるように、水保全、そして防災、CO2削減など、森林はこの国の社会基盤です。昨年の豪雨災害では、山腹崩壊のために亡くなられた方もおられました。人工林の手入れ、伐採方法、鹿の食害を防ぐためにできることをすべきだと思っています。 そんな視点で山を見ると、ここの林は何かすごく手入れがされているなとか、私のような素人でも、目で見ると分かります。一人一人がこの森づくり税で関わっていることをしっかりとアピールをすべきだと思っています。 昨日、NHKの「クローズアップ現代」を御覧になった方、いらっしゃいますかね。持続可能な林業とはということで放映がされました。戦後の木材需要でどんどん木が伐採をされ、外国木材輸入自由化で林業が打撃を受けて、そして最近は、木材の高騰で何と森林ごと奪うというか、盗伐というのが頻発しているというようなことを見て驚きました。自分がよければそれでいいというような行為が未来へのツケになると、そのテレビを見ながら思いました。本当に森林を大事にしなければいけないと改めて感じました。 7月豪雨後の球磨村も、放映に出ていました。大規模な皆伐を進めてきた国の責任もあるというふうに放映では言われていました。 この森づくり税がしっかりと活用されて、自伐的林業などの担い手や災害の未然防止を期待して、次の質問に移ります。 次は、再生可能エネルギー発電所建設についてです。 風力発電や太陽光発電など、再生可能エネルギーを普及させることはよいことだと思っています。 県道熊本高森線を益城町方面に向かうと、山の斜面が光っています。何事なのかなと思っていたら、大規模メガソーラーだったんですね。何だか違和感はあるけれども、再生可能エネルギーだから何も言えないのかなというふうな感じを持っていました。 しかし、数年前から、再生可能エネルギー建設に伴う様々な問題が浮かんできています。市民の方々からは、自然が壊される再生可能エネルギーはどうなのかという指摘も受けていました。しかし、再生可能エネルギーを推進していかなくてはならないと感じていましたので、仕方ないかなというふうに思っていました。 これまで、この県議会では、太陽光パネル設置について、安全性や適正管理についての議論があり、任意の協定を結ぶなど、きちんと対処できるよう取り組まれてきてはいます。 この問題は、全国各地で起こっており、岡山県や山梨県では、安全な導入、適正な設置と維持管理などを盛り込んだ条例も制定されました。風力発電建設に関しても、たくさんの声をいただいています。 熊本県は、第2次熊本県総合エネルギー計画を策定し、県内の風力発電のポテンシャルが高いと示しています。実際、風力発電所の建設計画を県内でも数多く聞くことになりました。 阿蘇車帰風力発電に関しては、風況の乱れによる故障と発電量不足でうまくいかなかったことが頭をよぎりますが、水俣、芦北の境界山間部にも、風力発電建設計画が持ち上がっています。 電源開発、日本風力サービス、ジャパン・リニューアブル・エナジーの3社が、海抜902メートルの大関山、海抜735メートルの鬼岳、海抜678メートルの矢筈岳の尾根を中心に、64基の予定をしています。1基当たりの最大出力は4,300キロワット、高さは150メートルという巨大風力発電機です。これまでにこの規模の風力発電機は設置されたところはありません。 この建設について、事業所側は、法にのっとり住民説明会を開催しています。業者は、造りたいので、粛々と進められているようです。 しかし、地元の方々は、この巨大発電機による自然破壊と健康被害を相当心配されています。実際に、尾根の麓集落のほとんどが急傾斜地特別警戒区域、土砂災害特別警戒区域で、山に降った雨は80分から120分で市街地に達する傾斜があります。災害の危険性も心配をされています。計画地の麓におられる方々は、自分たちの声を聴いてほしい、現地を見てほしい、きちんとした話合いをしてほしいと訴えられています。 このように、風力発電などの再生可能エネルギーを促進していくことが、地元の住民の方々の暮らしに影響があるとすれば、問題になるのではないでしょうか。これらの再生可能エネルギーの建設と地域との共生をどう進めていかれるのか、商工労働部長にお聞きします。  〔商工労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工労働部長(藤井一恵君) 本県では、2050年県内CO2排出実質ゼロに向けて、2030年度の電力消費量に占める再エネ割合を50%にするという意欲的な目標を掲げ、取組を進めております。 この目標の達成には、太陽光、風力、水力等の本県の持つ豊かな資源を最大限に活用し、県民、事業者、関係機関等が総力を挙げて取り組む必要があります。 事業者は、再エネ特措法、いわゆるFIT法に基づく国の認定や土地利用規制に係る各種関係法令等に基づく許認可の手続はもちろん、環境アセスメントによる影響評価等を行います。国や県も、そうした関係法令等に基づき、必要に応じて事業者に指導を行っています。 しかしながら、議員御指摘のとおり、再エネ施設の建設に伴う自然破壊や災害発生等について、懸念する声が寄せられています。 そのため、県では、これまでも、メガソーラーを中心に、事業者と県、地元市町村との環境保全や災害防止等に関する協定の締結を積極的に進めてきております。 この協定は、地域との共生等に関する事業者の意識を高めるとともに、国のガイドラインの遵守や災害発生時の適切な対応等を事業者に要請し、行動を促す点で大変重要と認識しております。 5月にメガソーラー建設地から濁水が流出した事案では、協定に基づき迅速な対応を要請し、改善策が講じられました。 今年度からは、球磨川流域において、地域と共生する風力発電の導入に向け、促進エリアや保全エリアなどにゾーニングするための基礎調査に取り組んでおります。 また、今定例会には、その調査対象地域を拡大するとともに、メガソーラー等再エネ施設に係る現地調査やデータの一元化を行い、加えて協定締結を加速化するための予算を提案しております。 さらに、国に対しては、住民の方々からの御意見を踏まえ、事業者に対して、地域住民への説明会の実施等を義務づける関係法令の整備について要望しているところでございます。 再エネ導入には、地域との共生が不可欠であると考えております。県としては、協定締結の加速化などの取組をしっかり進めるとともに、引き続き、国への要望等も行いながら、地域と共生する再エネ導入の促進に積極的に取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) CO2排出実質ゼロに向けて再生可能エネルギーを進めることには、全く異論はありません。しかし、再生可能エネルギーとしての太陽光や風力などの、特に自然エネルギーの発電機建設によって、自然が壊されるということや災害を引き起こすのではないかという大きな不安があります。台風や地震で発電機自体が破壊されることも前例があります。風力の回転で出る低周波による健康被害なども問題です。 これまでにない規模のもので予定されている風力発電機は、ヘリコプターで運ぶのかなと思っていたんですけれども、ヘリコプターじゃなくて車で運ぶのです。車で運ぶということになると、道を造らなければいけません。森林への影響もどれだけになるのかなというふうに考えます。大きな林道が災害の引き金になることもあります。 この建設予定地に行ってまいりました。大関山から南の鬼岳、それで矢筈岳を見ました。江戸時代の学者で頼山陽という人がいらっしゃるんです。私、知らなかったんですけれども、頼山陽とググるとすぐ出てくる有名な学者なんですけれども、この辺りの景色を見て、漢詩に残しておられるんですよね。そのぐらいすばらしい景色がそこには見えました。 そして、国の天然記念物であるヤマネの生息地でもあります。自然林は山頂付近にしかなく、ほとんどが人工林ではあったのですけれども、2003年の土砂災害で19人の死者を出した宝川内と湯出新屋敷地区は近い場所にあります。 環境省でも、再エネの適正立地の促進地域について、有識者の議論が始まりました。山梨県は、条例をつくりましたけれども、もう大きな森を切り開いて太陽光発電所を造ることはないというふうに知事はコメントを出されました。 地域との共生が不可欠であるという部長の答弁がありましたけれども、そういう認識で本当にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。よろしくお願いします。 次に、水俣病問題について伺います。 コロナ禍のため、今年も水俣病慰霊式は中止となりました。公害の原点と言われる水俣病は、今年5月1日で公式確認から65年がたちました。私は、もうすぐ60歳になります。水俣病の歴史とともに生きてきた感じがしています。胎児性水俣病の患者さんたちは、同じ世代です。 当時、水俣病をはじめ、イタイイタイ病、新潟水俣病、四日市ぜんそくと、3つの地域名が入った名前の公害病が高度経済成長の陰で起こり、たくさんの人たちが犠牲となり、社会問題となりました。 公式確認前後から、水俣湾周辺地域で水俣病が多発し、原因調査等の動きが生じる中、チッソは、排水ルートを百間排水口から水俣川河口に変更しました。排水の汚染濃度を下げる狙いがあったのでしょうが、そのことが不知火海一円に被害を広げました。 これまで、熊本県では、水俣病の解決に向けて、ずっと動いてこられました。沢田知事の時代には、現地に水俣病検診センターと熊本県水俣湾公害防止事業所ができ、認定業務やヘドロ処理事業、仕切り網設置等、激動の時代でした。細川知事時代には、環境復元のアピールと和解促進に乗り出されました。福島知事時代には、1960年以来24年ぶりに初めて水俣湾埋立地にて水俣病犠牲者慰霊式が開催されました。また、水俣病資料館、熊本県環境センター、親水護岸、竹林園の整備がされ、公式の会議で初めて水俣病患者団体代表が登壇した、産業による環境破壊と地域社会の対応に関する1992水俣国際会議が開かれ、水俣再生への大きな歩みとなりました。潮谷知事時代には、国に水俣病対策独自案を正式に提示し、迫りました。胎児性水俣病患者の方々の地域生活支援事業も創設、県議会と連携をして、国と県の財政負担割合の多くを8対2に変更。蒲島知事は、水俣病問題は私の原点として、特措法の成立、水銀に関する水俣条約の採択に御尽力をされました。 しかし、半世紀以上たった今でも、水俣病は、まだ完全解決には至っていません。私は、水俣病の解決は、被害者の方々に、原因企業であるチッソはもとより、国や県が責任を認め、わびることであり、救済を必要とする方々を水俣病被害者として受け止め、紛争を終結することだと思っています。 そのためには、徹底的に被害者の側に立って考えることが必要だと考えています。そして、その上で、もやい直し、地域の中での連帯や水俣病の正しい学びをしっかりと進めた地域づくりを行うことだと思っています。 2009年に特措法が施行され、3万7,613人が救済されました。期限や年代、地域での線引きがなされましたけれども、線の外側にも認定された方々がおられました。ここでも被害者救済は終わらず、今に続いています。 熊本県からの積極的な提案を受けて実施することになった不知火海沿岸の住民健康調査も、客観的診断法の研究中で、実施されてはいません。このことは解決を遅らせています。 天草地域の被害者の方々に、倉岳の頂上で海を見ながらお話を伺いました。 水銀が高く出た人がおったけど、差別されるかもしれぬと申請をしていない人もいる。水俣よりも漁師が多いこの海岸、食べるものは魚ばっかりだった。劇症型の患者さんだけが水俣病だとみんな思っていた。御所浦からこっちは海に線が引かれて対象地域外とされた、線は見えるねと言われました。 また、牛深や倉岳にお住まいの被害者の方々の話も聞きました。 中学生の頃から手足がしびれるようになり、結婚前には手先がうまく使えなくなり、よくつまずくようになりました。原因も分からず悩んでいました。特措法が切れて5年後に、同じ地域出身の人たちが水俣病で救済を受けていることを知りました。検診を受けたら水俣病と診断されました。自分の苦しみの原因が有機水銀であることが分かり、同じ苦しみを持つ人が取り残されていることを知りました。しかし、認定救済はされていません。漁師の家に生まれ、父母は手足のしびれなどで苦しんでいたが、そのまま晩年苦しみながら死んでしまった。自分は手足の激痛があり、平地でよく転びます。手先もよく動かせません。特措法ができ、自分の症状と同じだということで申請をした。夫や親戚は認定され救済をされたが、自分は切り捨てられた。こんなきつい思いをしているのに、偽患者扱いをするチッソや国や県に謝ってほしい。心は折れそうですが、補償をしてほしい。 このような声があることは、知事をはじめ熊本県の担当の方々は、十分に御存じだと思います。 私は、水俣病を、熊本の、日本の宝、世界の宝にしなくてはならないと思っています。水銀に関する水俣条約の採択は、一つの宝です。 映画「MINAMATA」は、実話を基にしています。全世界で上映が予定されています。この映画を契機に、世界中の人たちが熊本県水俣市に注目することを思えば、これはすばらしいことです。 これまでも、水俣には、世界中の大学から論文作成のために研究に訪れる学生や学者やジャーナリストや政府の関係者が多くいました。映画「MINAMATA」のユージン・スミスさんもその一人です。人権、環境、福祉、産業、SDGsなどの学ぶ場所にもなり得ます。水俣は、様々な学びの宝庫です。 2021年8月末現在の水俣病認定の現状は、申請件数2万2,238人、認定件数1,790人、棄却件数1万3,124人、取下げ等件数6,975人となっています。現在の認定申請件数は349人です。 熊本県としては、認定業務が法定受託事務のため、当面は公健法にのっとって処理していくしかないのかもしれませんが、この公健法による補償や救済システムが不十分であるからこそ、幾つもの訴訟や、これまで2回の政治解決があっても解決されていない今があると思います。 多くの方が高齢で、毎年たくさんの方が無念の中で亡くなられています。認定されず、苦しんでいる被害者の声があります。差別を恐れ、黙ったままの方もおられます。 知事にとって、寄り添った取組とは具体的にどんなことなのでしょうか。知事の考える水俣病の解決とは、どのようなことで、どう実現していかれるのか、お尋ねをします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、被害者の方々に寄り添った取組についてお答えします。 私が知事に就任した平成20年当時、4,000人を超える方々が公健法に基づく認定申請をされており、裁判においても、多くの方々が救済を求めておられました。 私は、知事就任当初から、その切実な声に応えるため、県議会にも多大な御尽力をいただき、また、与野党に働きかけて、特措法の成立に全力を傾けました。 特措法成立後は、あたう限りの救済を行うため、可能な限りの周知を行い、本県だけでも約4万3,000人の方々から申請があり、3万7,000人を超える方々が救済されました。 また、救済の実施で県の取組が終わったということではなく、患者、被害者の安心した暮らしの確保にも継続して、それから取り組んでいます。 特に、胎児性・小児性患者の方々には、お一人お一人の気持ちに寄り添い、本人や家族の希望を丁寧に酌み取りながら、日常生活を支援しています。 このほか、公健法に基づく認定審査においても、一定の要件を満たした申請者への医療費等の支給や寝たきり等で移動が困難な方の検診について、往診や送迎支援を行うなど、個々の事情に丁寧に対応しています。 次に、水俣病問題の解決についてです。 水俣病問題は、救済だけでなく、その後の支援、偏見や差別への対応、環境の復元、地域の再生、融和など、様々な課題を包含しています。 救済については、公健法に基づく認定申請者数は、8月末時点で349人となっています。 水俣病の認定については、平成25年の最高裁判決において、司法の判断が示されています。私は、水俣病の救済について、県としてなすべきことは、この最高裁判決を最大限尊重し、丁寧に認定審査を進めていくことだと考えています。申請される方がおられる限り、丁寧に審査を行い、その結果をできるだけ早くお伝えしてまいります。 また、患者、被害者とその御家族の安全、安心な暮らしの確保や水俣病の教訓の発信、地域の振興などについても、継続して取り組んでいかなければならないと思っています。 水俣病は、私の政治の原点です。そして、水俣病問題については、その解決に向けて全力で取り組むということが今の私の考えです。 被害の拡大を防げなかった責任を自覚し、被害に遭われた方々に寄り添い、今後も水俣病問題の解決に向け、精いっぱい取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 水俣病の問題について、初めて質問をしました。私の父は、芦北生まれで、母は、水俣生まれです。住んだことがなくても、小さな頃は、ずっと芦北や水俣を訪れていました。親戚もたくさん住んでおります。県南ルーツの家族の中で、水俣病の話が出たことはほとんどありません。母が、若い頃チッソに勤めていたんですが、そんな話も本当にずっと後に知りました。活動していた人たちへの差別や偏見があったのかもしれません。 歴代知事時代の話をしましたけれども、本当にすさまじい時代の中で、被害者の方々は、国や県の施策の中で揺れ動かされて、本当にすさまじい思いをされてきたと思います。水俣の町がチッソとともにあったということで、複雑な思いが解決を遅らせた一つの原因だと、それも思います。 何をもって知事が原点と言われているのか、多分被害者の視点に立ってこの問題を解決しなければいけないというふうなことなんだろうと私は思っていますけれども、申請をしたまま亡くなっていかれた方々がどういうお気持ちで亡くなられたのか、棄却をされた方々が棄却という言葉をどう感じるのかを想像すると、本当につらいです。その思いを共有することしかできない。課題を封じ込めるのではなくて、外に出していくことが必要なんだと思います。 映画の「MINAMATA」はまだ見ていませんが、再販されたユージン・スミスさんの写真集を見て、私たちが何に怒って、どう動いていくべきかを考えています。分断ではなくて、分かり合って、知り合うこと、そういうことに全力を、私は、ここにいる場で全力を尽くしたいと思っています。 加害側がねぎらわれて、被害者側が非難されるようなことがあっては絶対にいけないと思っています。知事が、この問題の事実を理解されて、責任を感じておられることが分かります。昨年9月の鎌田議員の質問の答弁で、国に健康調査の加速化も求めていくとありました。その辺りも変化があるのかどうか分かりませんが、今映画によって全世界から注目をされている水俣、そして熊本です。知事の動きも注目をされていると思います。何らかの動きをと本当に訴えて、次の質問に移ります。 技能実習生をはじめとする外国人に対する支援について伺います。 ベトナム人技能実習生の女性が、2020年11月19日に、死体遺棄容疑で熊本県警に逮捕をされました。彼女は、2018年8月、150万円の借金をして日本に来ています。妊娠が分かれば、母国に帰国をさせられ、家族に迷惑がかかることを恐れ、1人で妊娠の事実を抱え込んでいたと言われています。彼女は、妊娠した実習生たちが何人も帰国させられていたことを聞いていたのです。誰にも相談できず、起こってしまった事件です。 自宅自室で双子を出産し、すぐに死産であることが分かり、ダンボールにタオルを敷いて、子供らを箱に納め、上からタオルをかけて、名前を考え、その名前と安らかに眠ってくださいというメッセージを上に乗せ、台の上に置きました。それが、葬祭義務違反で死体の放置であるとして、死体遺棄罪として起訴されました。 外国人技能実習生の妊娠や出産で実習継続が困難になったとする受入れ企業などからの届出が、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行された2017年11月から2020年12月までの約3年間で、637件に上ることが厚生労働省の調査で分かりました。 この中には、実習中の女性が妊娠を理由に解雇や帰国を迫られたケースや、それを恐れ、乳児を遺棄する今回のような事件が数件発覚しており、637件の中には違法な事例が含まれる可能性があります。妊娠したからといって仕事を辞めさせられ、帰国させられることは、この法律では違法です。でも、彼女はそう信じていたのです。 これまでの歴史を振り返ると、1993年から始まった外国人研修制度は、働き手ではない、労基法の適用外でした。2年目から実習生とみなされることになりましたが、当時は、金銭的なトラブルが多発していました。 2009年に旧植木町で起こった殺人事件がありましたけれども、この事件がきっかけになり、2010年、入管法が改正され、研修生制度はなくなり、1年目から実習生として働き、労基法の適用がされるようになりました。 先ほど述べたように、2016年には、技能実習生を保護する法律もできました。金銭面や待遇面での課題は改善され、落ち着いてきました。今年2月には、実習実施者と監理団体宛てに、出入国管理庁、厚生労働省、外国人技能実習機構の連名で、妊娠等を理由とする技能実習生の不利益取扱い等についての注意喚起の文書も出されました。 熊本県で働く外国人労働者は、2020年10月時点で1万2,928人となっています。コロナ禍で移動制限もありますが、増加中です。国籍別では、ベトナム人が5,937人、次いで中国、フィリピンの順です。経済を担い、働き手として欠かせない外国人技能実習生が、今回のような悲しい出来事を発生させない施策が必要です。 熊本県では、雇用主に対する研修や様々な言語対応が可能な相談窓口、外国人サポートセンターを備え、対応されています。天草市や長洲町など、ワンストップ窓口も設置され、支援されています。 電車通りを車で走っていると、大勢の、自転車に乗った若い外国人実習生と思われる人々を見ます。年頃の実習生だからこそ心配しなければならない性の問題について、そして妊娠や出産ということになったときの正しい知識を実習生本人が持つべきだと考えています。自国との生活習慣やしきたりなどのギャップを埋めることも必要です。 技能実習生が多く訪れ、働いておられる熊本県として、実習生をはじめとする多くの外国人に正しい情報を、特に妊娠、出産、健康、労働者としての権利に関することを届ける支援について、観光戦略部長に伺います。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長(寺野愼吾君) 技能実習生をはじめとする外国人は、年々増加の一途をたどっており、経済活動や地域活動を支える上で重要な役割を担いつつあります。 ベースとなる考え方や生活習慣が異なる外国人の方々が、地域で生き生きと活躍できる多文化共生の地域づくりは、喫緊の課題でございます。 今回のような痛ましい事件を防ぐためにも、正しい知識や情報を確実に届け、かつ困ったときに相談できる体制を整えることが最も重要と考えております。 技能実習生につきましては、事業主や派遣元となる監理団体による研修や外国人技能実習機構からの通知により、妊娠などを理由とする不利益な取扱いの禁止について周知されておりますが、さらにきめ細かに情報を届け、困り事を察知した際に、細かくフォローしていく工夫が必要と考えております。 そのため、県では、国と共同で事業主向けのセミナーを行うとともに、外国人の生活上の幅広い問題に一元的に対応できるよう外国人サポートセンターを設置し、様々な関係機関と連携し、問題の解決に当たっております。 また、災害や新型コロナウイルス、ワクチン接種をはじめ、生活する上で必要不可欠な様々な情報については、リアルタイムでホームページなどに掲載するとともに、国籍別コミュニティーを通じたSNSなどによるプッシュ型の情報提供を行うなど、複数のチャンネルでの周知を図っております。 特に、妊娠や出産など、生命や人権に関わり、専門的な対応が必要な場合につきましては、相談者が正しい情報をきちんと把握するとともに、事業主や身近な団体などが本人に寄り添いながら、医療機関や外国人技能実習機構などの関係機関へ確実につなげていくことが必要です。 そのため、外国人サポートセンターをはじめとする相談窓口や市町村、関係機関などによるネットワークをさらに強固なものとし、誰一人取り残さない社会の実現に向けた取組を加速してまいります。 外国人を熊本の将来を担うパートナーとして受け入れ、活躍できる環境を整備することが、御自身の幸せにつながり、ひいては本県の発展につながるとの認識の下、引き続き、多文化共生の地域づくりに取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 今コロナ禍で、技能実習生の方々、本国で足止めになっていたり、帰れないままでいたりというような状況です。予定の実習生が入ってこないということで、人手不足に悩んでいらっしゃる事業主の方もおられるような状況だと聞いております。 今回の事件を繰り返さないためには、技能実習生や外国人留学生たちが困ったときに相談できる体制、言われましたけれども、私たち受け入れるほうが、パートナーとしてしっかりと認識を高めることが大事だと思っています。 いろんなツールがあって、国別に何かその情報を発信し合うとか、情報を共有し合うツールがそれぞれ違うということを聞いています。ベトナムの方々は、電話よりもフェイスブックやそういうものを、それから中国の方は、ウィーチャットとか、それぞれ何か違うということがありますので、たくさんのチャンネルを用意して発信をするということでお願いをしたいと思っています。 こういう問題がやっぱり全国で発生しているので、上智大学では、田中雅子先生が、外国人の日本での妊娠、出産、健康に暮らすための学習プログラムなんかをプログラムをしていらっしゃるんですよね。動画配信などもされているので、セミナーをされるということもありましたので、ぜひこういうところにもアクセスしていただければなというふうに思っています。 今回、多文化共生というところで寺野部長に聞きましたけれども、商工の藤井部長も、労働のことでしっかりと見ていっていただきたいなというふうに思っていますので、タッグを組んでよろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 障害のある人もない人も共に生きる熊本の学校を目指す取組について伺います。 一番初めに、公立小中学校のバリアフリー化推進について伺います。 2020年にバリアフリー法が改正され、バリアフリー基準適合義務対象に公立小中学校等が加えられました。それに伴い、文部科学省が主催した学校バリアフリー調査研究協力者会議での議論を経て、2020年12月に「学校施設におけるバリアフリー化の加速に向けて~誰もが安心して学び、育つことができる教育環境の構築を目指して~」という報告書が出されました。 これを受けて、文部科学省は、学校施設バリアフリー化推進指針を改定しました。その報告書には、幾つかの重要なポイントがあります。 まず第1に、基本的な考え方として、障害のあるなしに関わらず、誰もが支障なく学校生活を送ることができるよう環境を整備することや、学校施設は避難所、生涯学習など地域の拠点であること、誰一人取り残さない持続可能で多様性、包摂性のある社会の実現を目指し、学びの基盤となる環境整備をすることなどが示されています。 そして、大変重要な点として、新築の学校施設の義務化はもちろんのこと、既存の学校施設もバリアフリー化の努力義務が課せられることになりました。 熊本県は、既に、熊本県高齢者、障害者等の自立と社会的活動への参加の促進に関する条例で、公立小中学校等を基準適合義務の対象に追加しておりましたが、今回の法改正に伴い、国の取組として、令和7年、2025年度末までの5年間を集中整備期間とし、整備目標が設定されました。そして、国と都道府県と連携して、定期的に進捗状況についてフォローアップをして公表することになっています。国、自治体ともに、整備目標、計画、予算措置をすること、教育振興基本計画や個別施設計画への積極的な位置づけをすることです。 令和7年度までの5年間に、既存施設の改修を加速させるために、国は、現行の3分の1の国の補助率を2分の1にかさ上げしました。加えて、起債に対する交付税措置率を引き上げ、実質的な地方負担を減らしています。また、避難所となっている学校施設のバリアフリー化に活用可能な緊急防災・減災事業債も、令和7年度まで延長されました。公立小学校の設置者は自治体ですから、この機を逃がさずに取り組むことが重要です。 公立学校を設置する自治体は、まず、要配慮の児童生徒及び教職員の在籍の実態や避難所の指定などを的確に把握し、国が設定する目標を踏まえ、バリアフリー化の整備目標を設定し、国の財政措置を積極的に活用し、整備を進めることが求められています。新築、増築については言うまでもなく、既存施設についてのバリアフリー化も推進しなければなりません。 そこでお尋ねします。 今回のバリアフリー法改正とそれに伴う文部科学省の学校施設バリアフリー化推進指針を受けて、具体的な取組を進めている市町村は少ないかと思われます。小中学校のバリアフリー化が進むよう、県としてどのような方策を取られていますか。 次に、高等学校入学者選抜における障害のある生徒への配慮について伺います。 障害者差別解消法では、障害のある方への合理的配慮が求められており、障害のある生徒への合理的配慮の例として、別室受験や試験時間の延長などが考えられます。 県教委は、2019年に、インクルーシブ教育の実現に向けて、高等学校における合理的配慮事例集を出されています。その事例集の中には、入学者選抜における合理的配慮について提示されています。 障害のある受験者への配慮は、中学校を通して高校へ連絡され、高等学校は、教育委員会に申請をして、承認を受けて適切な措置を講じるということになっています。そこには、ほかの受験生との公平性の担保の検討や、中学校在学中からの配慮の妥当性と実績や積み重ねが必要だとされています。 障害のある生徒と一言で言いますが、何が障害となるのかは千差万別です。進路を決めるときに、障害のある子供たちが勉強の成果を発揮できる受験への環境づくりが安心につながります。 そこでお尋ねします。 高等学校入学者選抜における障害のある生徒への配慮について、熊本県教育委員会として、これまでどのような配慮事項を行ってきたのかを伺います。 続けて、先ほど紹介した合理的配慮事例集には、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮をしないことの禁止を具体的に提示されています。また、丁寧な実態把握と対話によって合理的配慮の内容を決定することや、障害を障害当事者の医学的な心身機能の状態を示す医学モデルではなく、社会における様々な障壁との相互作用によって障害が生じるという社会モデルで捉えるとされています。 社会モデルで捉えるということはどういうことかといいますと、車椅子利用の生徒が、入学した高等学校にエレベーターが設置をされていなければ、車椅子を抱えてもらうなど、誰かの援助なしには2階に移動できません。しかし、エレベーターを設置すれば、自分の行きたいときに、自分の意思で自由に2階に移動することができます。このように、できなくされている環境を変えること、障害のある人を阻む社会的障壁を取り除くことが、学校生活への意欲や期待につながるということです。 地域の普通高校や専門高校へ進学する障害のある子供たちが、社会的障壁に悩むことなく、安全、安心な高校生活を送るための環境整備と支援が必要です。 そこで、ハード面である県立高等学校の施設のエレベーター設置などバリアフリー化と、校長をはじめ教職員の方々へのソフト面での合理的配慮についての認識の向上について、どんな取組をされているのかを教育長に伺います。よろしくお願いします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、1点目の公立小中学校のバリアフリー化推進についてお答えをします。 学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であり、災害時には避難所としての役割も果たすことから、施設の安全性の確保とバリアフリー化は大変重要であると認識をしております。 そのため、議員御紹介のとおり、本県では、学校施設のバリアフリー化に関して、全国に先駆けて条例で規定し、公立小中学校のバリアフリー化を推進してきました。 その結果、本県の整備状況は、国の整備目標となっている車椅子用トイレやエレベーター、スロープについて、全国平均を3から11ポイント上回っている状況にあります。 国では、令和7年度末までの整備完了を目指しております。このため、県教育委員会としましては、公立小中学校におけるバリアフリー化をさらに促進するため、現在、市町村による目標設定や整備計画策定等の状況調査を進めております。 今後は、この調査結果を踏まえ、国の支援制度を積極的に活用したバリアフリー化を働きかけていくとともに、専門家が少ない市町村に対しては、技術的な相談に応じるなど、学校施設バリアフリー化推進指針に沿った丁寧な支援を行ってまいります。 次に、2点目の入学者選抜における合理的な配慮についてお答えをします。 県教育委員会では、現在、県立高等学校入学者選抜要項に手続方法や具体的な配慮を明記するとともに、高等学校における合理的配慮事例集を作成し、入学者選抜において、中学校などと連携を図りながら、障害の状態に応じた適切な措置を講じております。 具体的には、別室の確保、検査問題の読み上げや用紙の拡大、支援者による解答の代筆、医療的ケアを行う介助者の入室など、この5年間で98人の生徒に応じた様々な合理的配慮を実施してきました。 今後も、県立高等学校入学者選抜において、障害のある受験生が自己の持てる力を十分に発揮できるよう、一人一人の障害の状態に応じて丁寧に対応してまいります。 最後に、3点目の県立高等学校における合理的な配慮についてお答えをします。 まず、ハード面については、生徒の円滑な動線の確保に向け、多目的トイレやエレベーター、スロープ等の設置を計画的に進めております。 例えば、多目的トイレについては、全ての学校で設置が完了しており、普通教室棟のトイレの洋式化についても、令和6年度までに完了の予定です。また、エレベーターについては、令和4年度中には全ての普通高校で設置完了の見込みであります。 次に、ソフト面についてですが、令和元年度までに、熊本市を除く公立小中高校の全ての教員を対象に、障害等を有する児童生徒に対する指導力の向上を図る研修を実施してきました。 この研修では、合理的配慮の基本的な考え方に加え、教室内の座席配置やタブレットを活用したコミュニケーションなど、具体的な取組事例を取り上げることによって、教員一人一人の丁寧な指導につなげております。 さらには、生徒への学習面及び生活面に対する日常的なサポートを通じて、高校に配置している特別支援教育支援員とも協働しながら、合理的配慮に対する理解を個別具体に深めております。 今後も、多様化する生徒のニーズに応じ、適切な指導と必要な支援を行いながら、障害等を有する生徒が安全、安心に高校生活を送ることができるよう、全力で取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 答弁いただきました。 今学校施設へのエレベーター設置を求めている方がいらっしゃって、その支援者の方が、舩後参議院議員、あの車椅子を使用されている参議院議員を通じて、文科省に問合せをされたそうなんです。そうしたら、文科省は、現在、自治体による助成申請がそれほど上がってきてないんですというような回答だったそうなんですね。だから、今回、文科省の指針が十分周知されていないのではないかというような意見をいただいたのです。でも、教育長言われたように、ちゃんと調査を今していらっしゃるということで、本当進むといいなと、この5年間を使ってしっかりと地域の小中学校がバリアフリー化されると、避難所としての活用も本当によくなるなというふうに思っています。 5年間の集中期間を活用しての地方のその負担というのが、地方財政措置の拡充で地方負担が20%となるんですよね。それでも、ちょっと地方としては大きなお金だということになると、また、県のほうでも何とか補助とかができるようになると、もっと進むのではないかなというふうにも思っています。 入試に関してなんですけれども、中学校や介助者からの情報を得て、しっかりと受け取って、一人一人にきめ細やかに対応していただいているという、私もこのところの動きもしっかり見せていただいているので、本当にありがたいなと思っています。 公平性を見ながらも、障害のある子供たちが持てる力を発揮できる、そういうような対応をこれからもしていただきたいなと思っています。 県立高等学校のハード面、すごく進められているというのが、今回本当に分かりました。障害のある生徒がハード面、ソフト面での配慮がなされるのが、法的には当然であるというふうになっているはずなんですけれども、なかなかそうなっていないような状況もあるという事実もありますので、しっかりと整えていっていただきたいなと思っています。 先生方の研修に、ぜひ、障害当事者の方々の話も入れてほしいと思っています。その方々が、学校時代にどういう思いで過ごされたのか、こういうことを変えてほしかったというようなこともよく分かると思います。 今回、県立高校について教育長にお伺いをしたんですが、私学のほうも、ぜひどんどん進めていただきたいなというふうに思っております。お願いをいたします。 次の質問に移ります。 児童養護施設等出身の若者の支援について伺います。 2021年4月、日本社会に生きる若者の苦境を考える上で、多くの問題を含んだ調査結果、児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査が厚生労働省から発表されました。 今回の調査は、19年度までの5年間に施設などを退所した約2万人を対象に行われたものです。ケアリーバーと呼ばれています。 本人記入調査の回答は、2,980人、14.4%です。悉皆調査にもかかわらず、施設や里親から調査票が案内されたのは、全体の3分の1にとどまりました。残りは、不明などの理由で調査票の案内すらできなかったという現実の厳しさも露呈しています。案内できたのは、どちらかといえば施設や里親と良好な関係にある、相対的によい状態にあると思われる若者たちです。 熊本県の結果は、453人に調査依頼をし、91人が回答しています。20.1%です。全国平均14.4%なので、回答率は少し高い結果でした。 昨年、橋口議員からも、県としての支援について質問をされ、社会的養護自立支援事業できめ細やかな支援をしていくとの答弁がありました。 県では、スムーズな独り立ちのために、高3段階で職業指導員が関わり指導を行ったり、昨年度からは、ブリッジフォースマイルに委託をし、親を頼れない子供たちの巣立ち支援を始めたりしています。 18歳で施設を退所する子供たちの困り事は、この調査を見ますと、家計の苦しさが目立ちます。約3,000人の回答によると、毎月の収支が赤字であると答えている人は23%に上ります。過去1年間に病院を受診できなかったことがある人は2割に達し、そのうちの7割が経済的な理由でした。 この調査は、施設職員や里親家庭にも調査をしています。施設職員や里親家庭の心配は、進学や就業の継続、金銭管理、実親や親戚との関係や人間関係に高く回答をされていますが、施設退所をした子供本人は、就業の継続、生活費や学費、住居のことについて心配をしています。やはり生活困窮をしている実態が浮き彫りとなりました。 県社協を通じての貸付制度で、養護施設等の退所者を対象とした自立支援資金制度があり、生活支援費月5万円、家賃支援費月3万円、資格取得支援費最大25万円が支援されます。 支援対象は、施設入所中もしくは里親等に委託中の者または退所もしくは委託解除後4年以内にある者です。進学者の場合は5年間、資格取得希望者の場合は2年間の就業を継続した後は、免除されます。昨年度は21件の申請があったと聞いています。 この支援金貸付けの申請には、原則、保証人が要ります。これ以外でも、新しく家を借りるとき、携帯電話の契約、学校入学、就職決定時に保証人が必要となり、親や血縁者に頼れない若者たちは、そのたびごとに説明を余儀なくされ、また、保証人が見つからない場合もあるでしょう。貧困の連鎖は断てない社会であることが露呈をしています。 そこで質問です。 養護施設退所後の若者たちへの支援の取組について、健康福祉部長へお尋ねします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) 今回国が実施した初めての全国実態調査では、施設等を退所した後に不安定な生活を強いられる若者の姿が浮き彫りになりました。 児童養護施設や里親家庭等の退所者は、保護者等から必要な支援を受けられない場合が多く、経済的問題や対人関係、健康面など、日常生活や社会生活を送る上で様々な悩みを抱えています。また、相談する場所も乏しいことから、退所者への支援は重要な課題として認識しております。 そのため、本県では、経済的な支援として、退所者への生活費及び家賃等の貸付けを行うとともに、就職や進学に伴う身元保証人の確保など、退所後の自立支援に取り組んでまいりました。 また、児童養護施設等に入所している子供たちは、原則として18歳で措置が解除され、自立が求められますが、本県では、子供たちの夢の実現や退所後のより安定した生活につなげるため、積極的に措置の延長を行い、大学や専門学校への進学を支援しています。 加えて、措置解除後に引き続き大学等に就学する場合などに、住居や生活費等を支援する制度を昨年10月に創設しました。さらに、本年4月には、就学する場合に限らず、病気などにより支援を継続して行うことが必要な場合も対象とするなど、内容を拡充し、実施しているところです。 また、退所後のスムーズな自立のためには、入所中から金銭管理や人間関係の構築、医療保険制度の知識などを身につけておくことが必要です。 そのため、本年1月に、児童養護施設等から社会に巣立つ子供たちへの自立を支援しているNPO法人ブリッジフォースマイルに委託し、入所中から退所後まで継続したサポートを開始しています。 具体的には、退所者の居場所や相談、支援の拠点となる、かたるベースくまもとを設置するとともに、支援コーディネーター等が、生活面や就労面など、自立に向けたきめ細やかな支援に取り組んでいます。その結果、居場所ができて落ち着く、相談に乗ってもらって楽になったとの御意見をいただくなど、高い評価を得ているところです。 今後も引き続き、誰一人取り残さない社会の実現に向け、児童養護施設等から社会に巣立つ子供たちが安定した生活を送れるよう、自立支援の取組をしっかりと進めてまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 重要な課題と捉えられているということです。18歳または20歳で、頼れる場所もないまま、失敗の許されない一発勝負の自立をしなければならない若者たちを、しっかり支えていかなければならないと思います。本当に重要な課題だと思っています。 このコロナ禍で、やっぱり仕事がなくなったり減ったりということで、誰かに頼ろうと思って、施設に帰ろうかな、相談しようかなと思っても、コロナの陽性かもしれない、うつすかもしれないからやっぱり行けないということで、本当に孤独に感じていて、そして経済的にもやっぱり困窮すると、もっとその孤独に追い打ちをかけられるようになっているという状況もお聞きしました。 公的支援制度には、いろんな保証人の問題とか、それを援助するようなやり方をしていくというふうに答弁があったので少し安心をしているんですけれども、親元にいても、奨学金とかを、その子じゃなくて親が使ってしまうというような状況もあるという話も聞きましたので、本当に悩ましい問題だな、本当に大事にしなければいけない問題だなと思っています。 貧困や虐待の連鎖をなくすために、経済的な支援とかが本当に重要になってくると思いますので、今後とももっと力を入れてやっていってほしいなというふうに思っております。ありがとうございます。 次に、8番です。 男性の育児休業取得の広がりについてお伺いをします。 コロナ禍でテレワークが進み、家庭と仕事の両立が必要な子育て世代にとっては、育児時間が増えたことで、主体的な子育ての大事さを改めて感じた男性も増えています。 2022年4月から、民間企業等で男性の育児休業が取りやすくなる改正育児・介護休業法が段階的に施行されることになりました。 法改正前の今の男性の育休制度は、子供が1歳になる前日までの間、育児のために取得できるお休みです。基本的に1歳までですが、いろんな、延長されるパパ・ママ育休プラスやパパ休暇というような制度があって、通常育休の取得は1度だけですが、出産後8週間以内に育休を取得したパパは、再度育休を取得できます。 今回の改正では、妊娠、出産の申出をした従業員に対し、育休の制度周知、取得意向の確認を行うことが企業に義務づけられます。働きかけを怠れば、社名の公表などもされます。やっとここまで来たかという感じがしています。義務化が必要なほど、育児休業を男性が取得することが難しい社会だということです。 来年10月からは、父親が生後8週までに最大4週間の育休が取れる制度が新設されますし、その次の年には、従業員1,000人超の企業に対し、育児取得の状況の公表が義務づけられます。明らかに進みました。 私は、2年前に、この男性の育児休業取得について質問をしたんですね。2017年度、男性の県庁職員の育休取得率が0.37%、これは教育庁、県警を含んだ取得率だったんですが、この数字が全国最下位だったんです。覚えていらっしゃるのではないでしょうか。2018年度、知事部局の育休取得率は1.1%になり、2019年度は8.9%、そして2020年度は17%になりました。2020年4月に策定された熊本県特定事業主行動計画では、男性の育休取得を令和7年度末で13%を目標にしていましたので、目標を達成しているということです。目標に向けて、具体的な取組があったのだと思っています。 厚労省の2020年に発表された調査によりますと、男性の育休取得率は12.65%となり、過去最高となりました。これは、小泉進次郎環境大臣が育休取得をしたことも影響があったのかと思います。 2020年までに13%の目標には少し及びませんでしたが、今政府は、2025年までに30%と、目標を上げています。今回の法改正で、熊本県でも男性の育休取得がさらに広がるといいなと思っております。 日本労働組合総連合会――連合ですね。男性の育児等家庭的責任についての意識や実態を把握するために意識調査をされました。20歳から59歳までの働く人1,000人のサンプルを集計したそれによりますと、男性の31%、女性の24%が「取得したかったが取得できなかった」と答えています。 その理由は男女で大きく異なって、男性は「仕事の代替要員がいない」が理由の1位、女性は「収入が減る」が1位だったんです。そして、男性の4人に1人が「勤め先には育児休業がない」と答えていることを見ると、企業の周知不足と労働者の知識不足があることが分かります。 男性の家事、育児参加率と出生率には、相関関係があることが明らかになっています。法改正への働きかけを続けてきた厚労省の推進委員である駒崎さんも「男性育休が広がることは、人口縮退社会の日本において、非常に重要な役割を担う」と言っています。 熊本県の男性育休取得率は、2020年、7.0%です。法改正に伴う取得率の引上げを目指してどのように取り組んでいくのか、環境生活部長にお尋ねをします。  〔環境生活部長藤本聡君登壇〕 ◎環境生活部長(藤本聡君) 男性の育児休業は、女性に偏りがちな育児や家事などを男女が共に担い、お互いを支え合うことで、それぞれの自己実現につなげる男女共同参画の取組の一つとなるものです。 県では、本年3月、第5次男女共同参画計画を策定し、県内事業所における男性の育児休業取得率について、令和7年度に13%とする目標を掲げました。 取得率の向上のためには、男性も育児や家事を担うことへの理解をさらに浸透させるとともに、男女ともに取得しやすい職場の環境づくりを進めていく必要があります。 このうち、職場の環境づくりについては、育児・介護休業法が改正されました。議員の御質問にありました取得日数のほかにも、取得促進のため、申出期限がこれまでの原則休業の1か月前までから2週間前までに延長され、さらに休業を2回に分割して取得できるなど、より柔軟な制度となりました。 来年10月の施行に向け、県内の多くの事業者の導入につながるよう、あらゆる機会を通じて法改正の内容や助成金等についての周知啓発を行ってまいります。 また、取得促進のためには、事業者のそれぞれの取組も重要です。このため、産学官の多様なメンバーで構成する熊本県女性の社会参画加速化会議を通じて、その構成団体等に対して、取得促進に向けた独自の取組についての検討を依頼しました。 県としても、制度の導入が魅力ある企業づくりにつながることから、ブライト企業の認定において、男性の育児休業取得の実績を審査項目に追加したところです。 今後、県職員のさらなる取得促進を図るとともに、目標の達成に向け、経済界や市町村、関係団体等と連携し、男性の育児休業取得率向上に努めてまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 男性が家事、育児に積極的になると、2人目、3人目を産もうと思う意識が高まるなどの調査結果が出ています。知事部局、どんどん上がっているんですけれども、全体的にはまだもうちょっとで、今朝の毎日新聞で、男性の育児力は沖縄が日本一ということで、家事や育児の幸福度は福岡が1位ということで、九州、何かすごく育児や家事に男性が関わることで幸福度が上がっているという情勢があったので、ぜひ進めていただきたいと思います。 では、最後の質問になります。 公務員65歳定年引上げについて伺います。 公務員は、2023年度から31年度までに、2年ごとに定年が1歳上がり、8年後には65歳定年制度が出来上がるという、国家公務員の定年年齢引上げに係る改正法と地方公務員の定年引上げに係る改正法が今年6月4日可決され、成立しました。地方公務員にも、今後65歳定年制度が導入されていくことになると考えられます。 制度が導入されると、これから条例制定などで示されることになりますが、気になることが幾つかあります。 附帯決議にもあるように、全世代の職員のワーク・ライフ・バランスを確保することや非常勤職員と常勤職員の格差解消、災害が続く現在、明らかになった課題を踏まえ、超過勤務縮減等のため、将来にわたって必要な定員の確保を考えていかねばなりません。 また、総務省は、役職定年制を全自治体で一律に導入するとしています。役職定年というのは、管理職が管理監督勤務上限年齢に達したとき、翌年度以降は管理監督職以外の職に任用を替える制度です。 この制度により、かつての上司と部下が逆転し、モチベーションや人間関係に支障が出る心配があります。さらに、定年前再任用短時間勤務制度も導入されますが、60歳前に退職した人は対象になりません。制度完成までの間、60歳超えの正規職員と暫定再任用職員、定年前再任用短時間勤務職員が一緒に働くことになります。 また、1年置きに退職者が出るということで、採用計画についても、これまでとは違ってくることで、採用を希望する学生に大きな影響を与えるのではないでしょうか。給与制度や新規採用計画について、自治体の実情に沿った制度設計と運用も必要です。 2年後の施行となりますが、熊本県としては、制度導入の課題をどう捉えておられるのか、これからどう取り組まれていかれるのかを総務部長にお聞きします。  〔総務部長白石伸一君登壇〕 ◎総務部長(白石伸一君) 公務員の定年引上げについてお答えいたします。 平均寿命の延びや少子高齢化の進展を背景に、職員が培ってきた能力や経験を最大限生かすことができるよう、国家公務員法及び地方公務員法が改正され、令和5年4月1日から定年が段階的に引き上げられます。 また、定年引上げに合わせて、組織全体としての活力の維持や高齢期における多様な働き方を確保するため、役職定年制や定年前再任用短時間勤務などの新たな制度が設けられることとなっております。 これらの制度の円滑な導入はもとより、定年引上げに際して、全ての世代のワーク・ライフ・バランスの確保なども重要な課題であると認識しています。 そのため、県においては、現在、役職定年となる職員や定年前再任用を希望する職員等の数を想定しつつ、若年層職員の登用など、人材育成への影響も踏まえながら、役職定年後の職員が担う役割や業務内容について検討を進めています。 また、1年置きに定年退職者が出ることになる令和13年度までの定年引上げの移行期間においても、組織の活力の維持や持続的な人材育成、将来にわたっての安定的な行政サービス提供のため、採用数の平準化など、継続的な一定数の新規採用の確保についても検討しています。 県としては、定年引上げ後も、引き続き職員が高い意欲を持って業務に取り組んでいけるよう、制度の円滑な導入に向けた検討を進めるとともに、関係条例の改正など、必要な準備をしっかりと進めてまいります。 ○副議長(山口裕君) 岩田智子君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 頼もしい御答弁で、多様な働き方があって、それぞれが力を発揮できる職場であれば理想です。 公務員を目指す学生たちのことがとっても心配だったんですけれども、継続的な採用確保という方向での検討をされているということで安心をしました。教職員の場合も、これから制度設計されると思うんですが、しっかりと準備を進めていただきたいと思っています。 これで今日準備した質問は終わりました。 新しいくまもと創造に向けた基本方針には、全てSDGsの視点が明記されています。持続可能で誰一人取り残さないという施策が進むよう、私も微力ながらしっかり動いていきたいと思っております。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山口裕君) 以上で本日の代表質問は終了いたしました。 明17日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時38分散会...