熊本県議会 > 2021-06-18 >
06月18日-02号

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  1. 熊本県議会 2021-06-18
    06月18日-02号


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    令和3年 6月 定例会               第 2 号              (6月18日)  令和3年   熊本県議会6月定例会会議録     第2号令和3年6月18日(金曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  令和3年6月18日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            前 田 憲 秀 君            濱 田 大 造 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   白 石 伸 一 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 早 田 章 子 さん     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工労働部長 藤 井 一 恵 君     観光戦略部長 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   村 上 義 幸 君     会計管理者  手 島 和 生 君     企業局長   國 武 愼一郎 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  岸 田 憲 夫 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(小早川宗弘君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(小早川宗弘君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 内野幸喜君。  〔内野幸喜君登壇〕(拍手) ◆(内野幸喜君) おはようございます。自由民主党・玉名郡区選出・内野幸喜です。 今日で通算15回目の質問ということになります。今日から来週の水曜日にかけての4日間の一般質問、トップバッターを務めさせていただきます。今回、一般質問、非常にタイトなスケジュールとなっておりますので、早速質問のほうに入らせていただきます。 まず1点目、新たな流水型ダム環境アセスメントについて質問します。 昨年発生した令和2年7月豪雨から間もなく1年がたとうとしています。この未曽有の災害により、県全体で65名もの貴い命が失われました。そして、今なお2名の方が行方不明となっています。改めて、犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた全ての方々とその御家族に心からお見舞いを申し上げます。 さて、蒲島知事は、昨年の豪雨災害を受けて、緑の流域治水という球磨川流域の治水の方向性を決断し、その一つとして、新たな流水型ダムを国に要請されました。 あわせて、新たな流水型ダムが、安全、安心を最大化するものであるとともに、球磨川の環境に極限まで配慮したものであることを確認するため、法に基づく環境アセスメントあるいはそれと同等の環境アセスメントも要請されました。 3月には、新たな流水型ダムを含む球磨川水系流域治水プロジェクトが取りまとめられ、先月、国は、新たな流水型ダムについて、環境影響評価法の対象外となるものの、法と同等の環境アセスメントを実施することを公表しました。 これについては、国として、本来、法の対象外でありながら、知事の要請も踏まえて、環境アセスメントを実施することとされたものと受け止めています。 一方で、通常、法に基づく環境アセスメントには、数年の期間を要すると言われ、法と同等の環境アセスメントの場合も、相当の期間を要することが考えられます。 甚大な被害を受けた球磨川流域の住民の方々にとっては、一日も早く安全、安心な暮らしを取り戻し、復旧、復興を果たすことが何よりの願いです。そのためには、新たな流水型ダムは、環境に極限まで配慮しながらも、早期に整備することが重要です。 そうしたことからも、環境アセスメントを実施した場合、整備が長期化し、球磨川流域の復旧、復興が大きく遅れてしまうことが懸念されます。 これまでのダム事業でも、国は、様々な環境調査や保全対策の実施、検討を行ってきています。これらの成果も活用するなどして環境アセスメントを速やかに完了させ、早期のダム整備を実現すべきと考えます。 そこで、新たな流水型ダム環境アセスメントについて、県としてどのように受け止めているのか、また、法と同等の環境アセスメントとはどのようなものが想定されるのか、さらに地元が待ち望んでいる早期のダム整備への影響についてどのように考えているのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、新たな流水型ダム環境アセスメントに対する県の受け止めについてお答えします。 私は、球磨川流域の今後の治水の方向性を決断するに当たり、流域の多くの皆様とお会いし、直接治水の方向性や復興に向けた課題、思いを伺ってまいりました。 その中で、流域住民の方々に共通する心からの願いは、命と環境を守ることであり、この両立こそが現在の民意だと受け止めました。 そして、私は、昨年11月19日、この議場において、住民の命を守り、地域の宝である清流をも守る新たな流水型ダムを国に求めることを表明いたしました。 緑の流域治水を進めるに当たっては、この新たな流水型ダムが、安全、安心を最大化するとともに、球磨川の環境に極限まで配慮したものであることが大前提となります。それらを確認するため、法に基づく環境アセスメントあるいはそれと同等のアセスメントの実施を国に求めました。 これに対して、国は、今年3月に策定、公表された球磨川水系流域治水プロジェクトに基づき、新たな流水型ダムの調査、検討に4月から着手されました。 また、5月に、新たな流水型ダムは、平成11年の環境影響評価法の施行前から関連工事を進めているため、環境影響評価法の対象外とはなるものの、私の要請なども踏まえて、環境省と連携し、法と同等の環境アセスメントを実施することが示されました。 このことは、流域住民や私の思いをしっかり受け止めていただいたものと考えています。 次に、法と同等の環境アセスメントとして想定されるものについてお答えします。 私は、法と同等の環境アセスメントとは、法に基づくものと同様の評価項目や手続によって行われるものと考えています。 具体的に、国が実施する環境アセスメントにおいては、法に基づくものと同様に、評価項目を設定して、環境影響の調査、予測、評価を行うこととされています。 また、環境アセスメントの各段階で、知事、市町村長、一般の方々の意見を聴取し、国土交通大臣から環境大臣に意見を求めることとされています。 これらを踏まえると、法に基づくものと同様の評価項目や手続によって、法と同等の環境アセスメントが実施されるものと考えています。 なお、新たな流水型ダムの環境への影響や環境保全措置などについて、各分野の専門家の助言を受けて検討を行うため、流水型ダム環境保全対策検討委員会が今月16日に設置され、第1回委員会が開催されたところです。 県としても、新たな流水型ダムの整備が円滑に進められるよう、環境アセスメントの実施について、全面的に協力してまいります。 最後に、環境アセスメントのダム整備への影響についてお答えします。 新たな流水型ダムについては、命を守り、環境にも極限まで配慮されていることを確認するためにも、環境アセスメントが重要です。その上で、球磨川流域の一日も早い復旧、復興に向けて、早期に整備されることが必要と考えています。 国は、環境アセスメントについて、今後、新たな流水型ダムの諸元や構造などの検討に加え、河川整備基本方針の見直しや河川整備計画の策定などとも並行して実施されるものと考えています。 また、実施に当たっては、これまでのダム事業における環境調査や環境保全の取組の成果も活用することとされています。 県としては、今後、新たな流水型ダムについて、国において客観的かつ科学的な環境アセスメントをしっかりと実施した上で、できるだけ早期に整備していただくことで、共に緑の流域治水を実現してまいります。  〔内野幸喜君登壇〕 ◆(内野幸喜君) 今知事から答弁をいただきました。今回のこの環境アセス、流域住民の思いや私の思いをしっかりと受け止めていただいたものと考えているという答弁がありました。 確かにそうだと思いますが、一方では、環境アセスをやることによって、ダム整備が遅れるのではないかという懸念があるのも私は事実だと思います。やっぱり住民の安全、安心な暮らしが確保できない中、復興のまちづくりの支障となるのではないかと、このように懸念をしております。 知事は、提案理由説明の中で、時間的緊迫性を持ってという発言がありました。しっかりとこれが早期にダム整備ができるように、まさに時間的緊迫性を持って国のほうにも働きかけていただきたいというふうに思っております。 次に、新広域道路交通計画について質問します。 県は、今週の火曜日、15日に、広域的な道路整備の基本的な計画となる新広域道路交通計画を公表しました。 これまで、本県の幹線道路整備は、平成5年に策定された広域道路整備基本計画に基づき、九州中央自動車道南九州西回り自動車道中九州横断道路熊本天草幹線道路などの整備が鋭意進められてきました。 私の地元を通る予定となっている有明海沿岸道路でも、本年度当初予算でようやく橋梁工事に着手することが公表されました。今後は、整備が加速化し、有明海沿岸道路全線の早期完成につながることを大いに期待しています。 こうした状況の中、今回策定された新広域道路交通計画では、3大都市圏を除く政令市の中で最悪と言われる熊本都市圏の渋滞解消に向け、熊本市中心部と九州縦貫道路を結ぶ南北2つの連絡道路と空港までとを結ぶ熊本空港連絡道路の3つの道路が新たに高規格道路として位置づけられています。 さらには、主要な地域拠点間の連絡を強化するための道路として、八代・天草シーライン阿蘇山都道路阿蘇高千穂道路のほか、有明海沿岸地域と熊本市中心部を結ぶ有明海沿岸連絡道路が構想路線として明記されました。 これにより、本県が九州の中心に位置する地理的優位性を生かし、防災面や経済面において担うべき役割を果たすために必要な道路ネットワークが網羅的に示されたものと思っています。 これらの道路は、現在計画や建設が進められている道路と一体となってその整備効果が発揮されるものであり、本県の将来を見据え、この計画をぜひとも実現すべく、着実なる歩みを進めていくことが重要だと考えます。 そこで、この新広域道路交通計画の実現に対する思いを知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 新広域道路交通計画の実現に対する私の思いについてお答えいたします。 私は、九州の中心に位置する熊本県の地理的優位性を最大限に発揮し、熊本の発展につなげていくためには、広域的な幹線道路の整備が不可欠との思いから、その整備を強力に推し進めてまいりました。 昨年7月の豪雨災害では、県南地域の主要な国道が寸断しましたが、九州縦貫自動車道南九州西回り自動車道が通行できたために、速やかに救援活動等が行えました。これは、幹線道路のダブルネットワークの効果が発揮されたものと実感しました。 また、熊本地震で傷ついた阿蘇へのアクセスルートについては、昨年度、北側復旧道路や新阿蘇大橋などが次々と開通し、創造的復興が実を結んでまいりました。これらの開通により、新型コロナウイルスが収束していない状況にもかかわらず、阿蘇地域への交通量は地震前の水準に回復しています。 今後は、道路の回遊性が高まったことで、さらなる観光客の増加など、観光、経済の再生につながるものと確信しています。 このようなことから、平常時のみならず、災害時であっても、安定的に人や物の流れを確保する幹線道路ネットワークの重要性を改めて認識しました。 今回策定した新広域道路交通計画は、九州各県や県内主要都市との確実な結節に加え、喫緊の課題である熊本都市圏の渋滞解消や道路の多重性、回遊性の向上に向けた基本的な方向性を示すことができたものと考えています。 今後は、国や関係自治体、経済界などと連携を図りながら、全ての道は熊本に通じるとの考えの下、本計画の実現に向け、全力で取り組んでまいります。  〔内野幸喜君登壇〕 ◆(内野幸喜君) ありがとうございました。 熊本は、やっぱり車社会ですね。それにもかかわらず、やっぱり道路の整備というのは、他の都道府県等に比べて遅れていると思います。特に、渋滞については、先ほど質問の中で述べましたが、非常にほかと比べてもひどいんですね。やっぱりこの汚名を回復するというか、この渋滞解消というのは喫緊の課題であるというふうに思っています。 今回、そうした中で、九州縦貫道と北と南で連絡する道路、そして熊本空港までの連絡道路というのが明記されました。しっかりとここは早期に実現できるようにやっていただきたいというふうに思います。 これは笑い話じゃないんですが、よくこういう話をすると、これはもう20年、30年たってもできないなと、自分が元気なうちはできないと、場合によっては自分が死んでからできるんじゃないかとか、こういう話がやっぱりあるんですね、道路については。この熊本が道路についてはやっぱり遅れているという認識の下、しっかりと早期に整備できるように頑張っていただきたいというふうに思います。 次に、空港アクセス鉄道について質問します。 1点目として、空港アクセス鉄道の令和2年度調査結果について質問します。 空港アクセス鉄道については、令和元年度の調査で、概算事業費や需要予測等の算出が行われました。一方で、費用便益分析、いわゆるB/Cについては、空港アクセス整備の最も重要な目的の一つである定時性の確保が算定されないという課題が判明し、数値の算出には至っていません。 この調査結果について、知事は、今後空港アクセス鉄道の整備を進めることについて、県民や県議会の理解を得るためには、まずは令和元年度調査で確認された課題を明らかにする必要があると説明してこられました。 そして、令和2年度においては、この課題を解決するため、継続調査を実施してこられたということですが、その調査結果はどのようなものであったのでしょうか。令和2年度調査結果について、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 昨年度、県民負担の最小化に向けた事業費縮減や前回調査で課題が確認されたB/Cの算出を中心に、独立行政法人鉄道・運輸機構による継続調査を実施しました。 まず、概算事業費については、昨年お示しした3ルート4案のうち、菊陽町の国道57号沿線市街地地下トンネルの長さを可能な限り短縮した、税抜きで459億円のルートを基本に検討しました。その結果、ルートの一部の線形やトンネルの工法を見直したことなどにより、最大で24億円のコスト縮減を図ることができました。 B/Cの前提となる需要予測については、学識経験者の意見を伺いながら、精度の向上を図りました。具体的には、鉄道利用者の乗換えや運賃などに対する負担感を精緻に反映することにより、1日当たり、前回調査の7,500人から5,000人に減少しました。 採算性については、JR九州に総事業費の3分の1を上限に拠出いただくという画期的な事業スキームを踏まえ、国からも総事業費の3分の1の補助を得られた場合、採算性を見込むことができました。 一方、国が18%を補助する現行の補助制度を前提とした場合、採算性は見込めず、今後、補助率のかさ上げなど、制度拡充の必要性が確認されました。 前回調査で課題とされたB/Cにつきましては、定時性の確保による便益を適切に算出したことなどにより、国の予算化の目安とされるB/Cが1を上回りました。 このほか、今回の調査においては、鉄道整備により期待される様々な効果についても整理いたしました。空港駅や中間駅周辺のアクセス改善だけでなく、新たな観光ルートの形成や企業集積、防災機能の向上など、様々な効果が期待されます。 調査結果は以上のとおりですが、将来にわたり持続可能な鉄道路線となるよう、国に対し、収支採算性の確保に向けた財政支援などの特別な配慮を要望していきます。さらに、鉄道利用者を増やすための様々な施策についても検討してまいります。 今回の調査結果、さらには新型コロナウイルスの影響を含む様々な課題について、空港アクセス検討委員会や県議会で議論を深めていただき、県民の皆様のさらなる理解を深めてまいります。  〔内野幸喜君登壇〕 ◆(内野幸喜君) 引き続き、一旦次の質問に入らせていただきます。 新広域道路交通計画との関連について質問します。 私は、熊本県議会議員に当選するまで、飛行機を利用する場合は、阿蘇くまもと空港ではなく、福岡空港を利用していました。それはなぜか。ずばり、阿蘇くまもと空港が不便な空港だと認識していたからです。不便というのは、便数や路線数の多い少ないではなく、アクセスに関する不便さです。さすがに、現在では阿蘇くまもと空港を利用するようになったものの、その認識は、今も変わっていません。実際、私が住む長洲町の住民の中でも、このような認識の方は多いです。 私の自宅から阿蘇くまもと空港へと行く場合は、自家用車利用のほぼ1択のみです。それに対して、福岡空港へと行く場合は、九州新幹線やJRの在来線、西鉄電車、高速バス、自家用車等と、幾つもの交通手段があります。 所要時間に関しては、阿蘇くまもと空港までがおおよそ1時間20分、福岡空港までの所要時間は、先ほど述べたいずれの交通手段とも1時間20分以上の時間を要します。つまり、福岡空港までの所要時間のほうが余計にかかるにもかかわらず、福岡空港を利用される方が多いのは、公共交通機関をはじめとする交通手段の選択肢が多いからだと思います。そして、そのことが、福岡空港は便利、阿蘇くまもと空港は不便という認識にもつながっていると思います。そういう点からも、私は、空港アクセス鉄道について、大きな期待を寄せている一人です。 経済界からも、平成31年1月、令和3年1月と2度にわたり空港アクセス鉄道整備の要望がなされています。経済界としても、将来的に阿蘇くまもと空港までのアクセス向上が実現できれば、新規就航路線の誘致による観光客の増加や企業誘致への優位性といった様々な効果を本県にもたらしてくれる大きなプロジェクトであると捉えているからこその要望だと思います。こうしたことからも、実現に向けた次の段階に進むべきだと考えます。 一方では、新広域道路交通計画に関する質問の中で述べたように、高規格道路を整備し、熊本市中心部から阿蘇くまもと空港まで20分という構想を掲げる熊本空港連絡道路も検討されています。 鉄道と道路という2つの計画は、空港アクセスの改善という共通した目標であり、一部に、どちらか一方を整備すればよいのではといった声が出てくるかもしれません。しかし、私は、鉄道と道路のいずれも必要であると考えます。それは、先ほど述べたように、福岡空港の優位性も、幾つもの交通手段、アクセス方法があるからだと考えているからです。 鉄道は、熊本市中心部と空港を結ぶ都市圏内の大量輸送性のある空港アクセスとしてはもちろん、既存の鉄道ネットワークを生かし、県北、県南地域、さらには九州全体の広域的な交通網の拡充につながるものです。 また、アクセスの改善により、新型コロナウイルス感染症収束後の新たな国内・国際航空路線誘致にも大きく寄与するとも考えます。さらに、県民総合運動公園付近に中間駅が設置されることで、イベントの増加による経済効果や新駅周辺の新たなまちづくりも期待されます。 一方、道路は、空港アクセスの改善に加え、交通渋滞の解消を図りながら、空港周辺の企業集積や人口増加にも寄与します。また、旅客だけでなく、将来の貨物便の拡充を図るための物流輸送道路としても必要です。 この道路計画が、具体的に検討され、早期実現に向けて着実に進んでいくことを期待しています。 このように、アクセス鉄道熊本空港連絡道路の整備促進は、50年後、100年後の将来の熊本の発展のためには必要だと考えます。 しかし、道路の計画は、先日示されたばかりで、具体的な検討はこれからということになります。そのため、既に具体的な事業スキームについてJRの同意が得られ、調査結果を踏まえた事業化の判断の時期に来ている鉄道を先行して整備すべきと考えます。 そこで、空港アクセス鉄道空港連絡道路との関連について、知事の考えをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、阿蘇くまもと空港とその周辺地域を一体のものとして捉え、地域の可能性の最大化を図る大空港構想に取り組んできました。 そのような中、熊本地震により甚大な被害を受けた空港を創造的復興のシンボルとするべく、空港のポテンシャルを最大限に引き出し、空港周辺地域の活性化を目指す大空港構想Next Stageを策定しました。 この構想に基づき、阿蘇くまもと空港にコンセッション方式が導入され、現在、熊本国際空港株式会社による新旅客ターミナルビルの建設が始まるなど、大きく生まれ変わろうとしています。 現在、新型コロナウイルスの影響により空港の利用は大きく落ち込んでいますが、将来的には622万人の利用を見据えており、コロナ収束後には、観光客を中心に大きく回復に向かうものと考えています。 また、阿蘇くまもと空港は、九州の中心に位置することから、福岡空港をはじめとする九州一円の空港との連携も含め、九州のハブ空港として位置づけられるものと確信しています。 このような状況を踏まえると、増大する空港利用者の円滑な移動を確保するために、定時性、速達性、大量輸送性に優れ、早期実現性が高い鉄道の整備が不可欠と考えています。 空港アクセス鉄道の早期整備については、経済5団体からも要望をいただいております。それが空港の活性化につながり、交流人口を一層拡大させ、県経済活性化の起爆剤になるものと考えます。 鉄道と道路は、競合するものではなく、互いの特性を生かすことで補完し合うものであります。それぞれの強みを相乗効果として発揮することで、航空利用者の交通手段の選択の幅や行動範囲が広がり、九州におけるアジアのゲートウエーにふさわしい空港連絡交通網が実現します。 また、災害などの緊急時においても、人や物を確実に輸送することが可能となり、阿蘇くまもと空港が九州を支える広域防災拠点としての役割を果たすことにもつながります。 そのような中、アクセス鉄道の整備に関しては、事業着手に向けて、既に詳細な検討を進めている段階にありますが、高規格道路については、ルートや構造、事業主体等をこれから決定していくことになります。 その中でも、3大都市圏を除く政令市の中で最悪と言われる熊本都市圏の渋滞対策は喫緊の課題であり、まずは中心部から高速道路までの整備を優先して進めていく必要があります。 その上で、高規格道路の空港アクセス部分の具体化については、鉄道との関係に十分配慮しながら、相乗効果が最大限発揮されるよう取り組んでまいります。 これらの多様な空港へのアクセスが整備されることにより、多くの方々がいろいろな手段を選択できるようになります。 さらに、民間活力を呼び込むことにもつながります。知の集積により、新産業の創出を図るUXプロジェクトやさらなる企業集積の加速化が進み、空港及び空港周辺の拠点性が一層高まっていくものと考えます。 鉄道と道路が連携した高速交通網の整備が熊本の経済の礎となり、50年後、100年後のさらなる発展につながるものと確信しています。  〔内野幸喜君登壇〕 ◆(内野幸喜君) 答弁をいただきました。 まず、令和2年度調査結果について、様々な課題も浮き彫りになったと思いますが、その中でやっぱり24億円のコストが縮減できるようになった、これは一ついい調査結果だと思いますし、B/Cについても、国の予算化の目安とされている1を上回ったと、これは率直にいい調査結果だと思います。 ただ、さっき言ったように、いろんなまだ課題がありますから、この課題の解決に向けて、いろいろこれから働きかけていくことも必要になってくると思います。特に、この財政的な国の支援、これがやっぱり一番気になるところです。これは、県、議会一丸となって、今後、国のほうにしっかりと要望をしていかなければならないというふうに思っています。 それから、広域道路交通計画との関連ということで、最後に50年後、100年後のさらなる発展という答弁がありました。私も、まさにそうだと思います。 少し鉄道のことを調べてみたのですが、鹿児島本線については、1891年、今から130年前に開通しているんですね。県内のJR等を見ても、ほとんどが明治時代、大正時代、遅いのでも昭和の初期と。ということは、100年間、この熊本の中に新たな鉄道というのは開通していません。そういう意味では、本当、100年のプロジェクトなんですね。鉄道が通ることによって、利便性の確保だけではなくて、新たな町もできます。格好よく言えば都市計画ですね。新たな都市ができるんですね。いろんなこういう効果もありますので、本当100年のプロジェクトという強い思いで、私はこれはぜひ進めていってほしいなというふうに思います。 先日、台湾の半導体メーカーのTSMCの話がありました。これは、恐らく国同士で話が進んでいるのだと思いますが、私の知り合いで半導体メーカーに勤めている友人がすぐ電話をかけてきて、もしこれが実現できれば、日本の半導体イコール熊本だよと、いや、世界の半導体イコール熊本になるかもしれない、それぐらいの可能性があるんだということを言っていました。 これからしっかりと、この鉄道があることによって様々な可能性も広がっていくと思いますので、ぜひ私は応援していきたいと思いますので、県のほうとしても、ぜひとも覚悟を持って進めていただきたいなというふうに思います。 続きまして、ゼロカーボン社会くまもとの実現について質問します。 2019年11月定例会で、蒲島知事自ら、地球温暖化によるリスクを低減し、持続可能な未来を実現していくため、国に先駆け、将来の目指すべき姿として、2050年熊本県内CO2排出実質ゼロを宣言されました。そして、今回新たに、本定例会に温室効果ガスの新たな削減目標が盛り込まれた第六次環境基本計画が議案として提案されています。 知事は、6月14日の議案説明の中で、2030年度の温室効果ガスの削減目標について、全国トップレベルとなる2013年度比50%削減を目指すことを表明されました。これは、菅総理が4月の気候サミットで表明された46%削減という目標を超え、まさに挑戦レベルの極めて高い目標となります。 この目標の達成と2050年県内CO2排出実質ゼロの実現に向けては、知事が先頭に立ち、県民や事業者の皆さんとともにしっかりと取り組まれることを期待しています。 しかし、県民や事業者の皆さんの中には、2030年や2050年の非常に高い目標を前にして、何をどのように取り組めば達成できるのか分からないとおっしゃる方や悩まれている方も相当数いらっしゃると思います。 私は、そのように高い目標であればこそ、今できることから着実に行動を始めることが必要だと考えますし、その道筋を示すのも、国や県の役割ではないかと思います。 そういった点も含め、県としては、50%削減に向けてどのように取り組むのでしょうか。目標達成に向けた強い決意も含めて、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、一昨年の12月、この議場において、国に先駆けて、2050年県内CO2排出実質ゼロを宣言しました。 この目標の達成に向け、本県の今後の取組の方向性や施策を盛り込んだ第六次環境基本計画を今定例会に提案をしております。この中で、本県の2030年度までの温室効果ガスの削減目標を50%と定めました。これは、国の目標である46%を上回るものです。 ここ数年、地球温暖化の影響とも言われる豪雨災害や台風被害が各地で頻発しています。本県においても、昨年の7月豪雨災害は、甚大な被害をもたらしました。まさに、地球温暖化に伴う気候変動を痛感いたしました。 県民生活を守るためにも、温暖化対策の加速化が必要であり、水俣病を経験し、環境立県を目指す本県だからこそ、私は、国を上回る目標を掲げることを決断いたしました。 目標に向けての取組については、議員御指摘のとおり、国の施策や技術革新等を待たずに、今できることを着実に実施することとし、まず3つの取組から重点的に進めてまいります。 1つ目は、家庭部門におけるCO2削減です。 これまで、省エネの推進など身近な取組を進めてきましたが、さらなる県民の理解と実践が必要となります。その一例が、先月県庁で実施したバイオディーゼル燃料の原料となる家庭で使われた植物油、いわゆる天ぷら油の回収です。 バイオディーゼル燃料とは、軽油の代替燃料となるものですが、頭文字を取ってBDFと呼ばれています。原料となる植物油が植物の生育過程でCO2を吸収しているため、BDFを使用した際のCO2の排出は、ゼロカウントとなります。そして、このBDFは、7月豪雨災害の廃棄物処理施設や熊本地震で被災した宇土市役所の基礎工事などで、重機や発電機の燃料として使用されています。 私も県庁での回収に協力しましたが、小さな行動の積み重ねが地球温暖化の防止につながり、さらに社会の役に立つということを見える化することが大変重要と考えます。このような取組を県民運動として県全体に広げ、家庭でのCO2削減を進めてまいります。 2つ目は、産業・業務部門における取組です。 県内の企業とCO2削減について意見交換する中で、多くの企業から、今後の企業活動においてゼロカーボンへの取組は不可欠ではあるが、有効な手だてを模索しているとの御意見を伺いました。 そこで、県が主導し、温室効果ガスの排出削減に意欲的な企業を中心に、電力会社、金融機関、国などにも参加いただき、CO2削減に係る協議を7月から開始します。この中で、ゼロカーボンに向けた課題や情報を共有し、課題解決に向けた検討を行います。県内企業において、CO2削減が進むだけでなく、それに伴い新たなビジネスが創出されるなど、地域経済の発展につなげてまいります。 3つ目は、県庁率先行動です。 本年4月から、再生可能エネルギーで発電された電力の調達を、球磨地域振興局や芦北地域振興局、環境センター等において開始しました。加えて、7月からは、球磨川流域の県南広域本部や地域振興局において、再生可能エネルギーの発電設備及び蓄電池の導入調査にも着手します。 できる限り早期に設備導入を図るとともに、その成果を基に、他の県有施設や市町村等における取組を促進し、県内における再生可能エネルギーの地産地消につなげてまいります。 2030年度までの50%削減は、非常に高い目標です。しかし、ゼロカーボンの取組は、気候変動等から県民生活を守るだけでなく、地域経済活性化の新たな起爆剤となり得るものであります。 これまで以上に県民や事業者の皆様と連携し、あらゆる施策を総動員し、私自身が先頭に立ち、全力で取り組んでまいります。  〔内野幸喜君登壇〕 ◆(内野幸喜君) 今答弁をいただきました。 3つの取組から重点的に進めるという話がありましたが、私は、この温暖化対策については、非常にいろんなものを求められると、努力しなさいというふうに受け止められがちだなというふうに思うんです。ただ、温暖化対策の先には、新たな産業の創出や新たな雇用の確保、創出というのがあるんですね。こういう前向きな話でこれから進めていってほしいなと思います。その中で、最後に地域活性化の新たな起爆剤と、まさにそういう前向きな話でこの温暖化対策については進めていってほしいなというふうに思います。 次に、新型コロナウイルスワクチン接種について質問します。 国内外の様々な調査や研究により、新型コロナウイルス感染症に対し、ワクチンの有効性が認められている今、希望する人が速やかに接種できる取組が必要です。 政府が7月末までの65歳以上の高齢者に対するワクチン接種100%を目標に掲げて以降、本県の各自治体でもワクチン接種が積極的に進められています。 当初、厚生労働省の聞き取りに対し、7月末までの接種完了が困難と回答していた幾つかの自治体も、医師会等の協力の下、7月末までの完了が見通せるまでになってきています。 また、来週の月曜日、21日からは、自治体での接種とは別に、企業や大学等での職域接種も始まります。これにより、ワクチン接種もさらに加速することが期待されています。 そこで、まず1点目として、県内の現在のワクチン接種状況について、課題や今後の見通しも含め、健康福祉部長にお尋ねいたします。 次に、2点目として、ワクチンの優先接種について質問します。 これまで本県では、ワクチンの優先接種の範囲に、医療従事者のみならず、高齢者施設の入所者や職員なども含めるなど、他都道府県と比べ、柔軟かつ積極的に優先接種を進めてきました。このことは、率直に評価してよいと思います。そして、この高齢者施設の入所者等の優先接種は、各自治体が主に行ってきました。 こうした中、接種を実施する市町村からは、こうした方以外にも、例えば万一の際の行政サービスの低下防止や危機管理の徹底、安全、安心の確保の観点等から、住民と接する機会の多い自治体職員や保健所職員、消防士、警察官等への優先接種もできないかといった意見も上がっています。日々生徒や児童、園児と接する教員や保育士、幼稚園教諭等も同様です。 現在、この一般接種における優先接種の対象については、接種そのものを行う自治体の裁量に任せられています。しかし、65歳以上の高齢者へのワクチン接種が完了し、64歳以下の方への一般接種へと移行していく過程において、自治体の裁量に委ねるだけではなく、県が一定の指針を示すことが優先接種の対象の拡充につながると思います。14日の熊本ワクチン接種モデルの公表会見でも、県独自の優先対象者を検討するとのことでした。 そこで、ワクチンの優先接種についての県の考えを健康福祉部長にお尋ねいたします。 最後に、接種後の副反応発症時の対応について質問します。 予防接種によって健康被害が出た場合、自治体ごとに予防接種健康被害調査委員会を開催し、調査または審議を行い、答申することとなっています。 現在進められているワクチン接種についても、副反応発症後に健康被害が出た場合、これまでと同じように調査委員会を開くことになるのでしょうか。初めて、かつ専門的な調査であり、県として一体的に進めることはできないのでしょうか。そうすることで、各自治体もワクチン接種により専念できるとも思います。 そこで、3点目として、予防接種健康被害調査委員会についての県の考えを健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) 1点目のワクチン接種状況、課題や今後の見通しについてお答えします。 先行して開始された医療従事者等の接種については、来週中に終了する予定です。また、高齢者の接種については、課題であった打ち手の確保にめどが立ったことから、全ての市町村で7月末までに終了できる見込みです。さらに、一部の市町村では、早ければ8月中に一般の方々への接種も終了すると聞いております。 先日、県内において、いつでも、どこでもワクチンを打つことができる将来ビジョンを描いた熊本ワクチン接種モデルを発表しました。このモデルを踏まえ、今年度は、人の動きが活発になる年末の感染拡大を防ぐため、遅くとも11月中に、希望する全ての方々への接種の完了を目指すこととしています。 そのために、県としては、市町村支援の観点から、昨日時点で41件の企業等が申請されている職域接種の支援や県民広域接種センターの運営等に取り組むことで、迅速な接種を実現してまいります。 2点目の優先接種の対象についてですが、県民広域接種センターにおいては、感染リスクが高い高齢者及び障害児者の福祉サービス従事者、乳幼児、児童生徒等との接触機会が多い保育士や教職員、県民の安全、安心を担う警察官などの接種を優先することとしました。 これを基本として、市町村の意見も伺った上で、早期接種対象者の考え方を近日中に市町村へお示ししたいと考えています。 3点目の予防接種健康被害調査委員会については、議員御指摘のとおり、定期予防接種においては、被接種者からの請求があった場合は、市町村は、必ずこの委員会を開催することになっています。 一方、新型コロナワクチン接種においては、アナフィラキシー等の場合は、市町村が委員会の開催を省略することが可能となっています。 さらに、先日、複数市町村での合同委員会の開催や都道府県への開催の委任も認められました。 県としては、引き続き、希望する方へのワクチン接種を円滑に進める観点から、市町村の意向を確認しながら、必要な支援を検討してまいります。  〔内野幸喜君登壇〕 ◆(内野幸喜君) ありがとうございました。ワクチン接種、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 このワクチン接種が、今やっぱり経済の回復に向けて、非常に大きな、これが特効薬になるんじゃないかなと私は期待しています。県も、今回、この議会の中で、飲食店向けの認証制度等の予算も入っていますが、やっぱり経済もこれは上向かせていかないといけない、そして感染拡大防止もやっていかないといけない。まさに知事がいつもおっしゃっているベストバランス、しっかりとこの中で今後感染拡大防止対策もやっていただきながら、いろんな経済の面での施策も積極的にやっていってほしいなというふうに思います。 それから、次、国際バカロレア認定に向けた取組について質問します。 6月1日、県教育委員会は、県立八代中学校・高等学校を国際バカロレア認定校として目指すことを決定しました。 そもそも国際バカロレアとは、国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムで、課題論文、探求活動等の特色的なカリキュラム、双方向・協働型授業により、地域や国際社会の発展に貢献できるグローバル人材の育成を図る教育プログラムです。 既に、国内の学校教育法第1条に規定されている学校、いわゆる1条校の中で、本年3月末現在、中学校12校、高校35校が認定されています。今後、県立八代中学校・高等学校が認定された場合、九州内の公立学校としては初めての認定校となります。 なお、本県では、いわゆる1条校には該当しないものの、熊本インターナショナルスクールの小学部が本年5月1日に認定されています。 県立八代中学校・高等学校が認定を目指すことになるプログラムは、ミドル・イヤーズ・プログラムとディプロマ・プログラムという2つのプログラムがあります。そのうちの1つ、高校で導入することになるディプロマ・プログラムでは、国際的に通用する大学入学資格、いわゆるIB資格を取得することが可能となります。このIB資格の取得こそが、国際バカロレアの大きな特徴です。これにより、海外の大学への入学も認められます。また、グローバルな人材としての評価にもつながります。 こうしたことからも、海外の大学への進学希望者や国際的な感覚を身につけたいと考えている本県生徒にとっては、とても魅力的な教育プログラムだと思います。県立八代中学校・高等学校には、ぜひとも認定を受け、多くのグローバルな人材を輩出してほしいと思います。 しかし、認定までには、教員の確保や国際バカロレアのプログラムの内容に精通した専門性の高い教職員を養成する必要性等といった課題もあると思います。 そこで、国際バカロレア教育プログラムを県立八代中学校・高等学校及び本県に導入する意義と、認定に向けた今後の取組やスケジュールについて、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、国際バカロレア教育を本県に導入する意義についてですが、大きく2点ございます。 1点目は、国際バカロレア教育における探求活動等の特色的なカリキュラムや双方向・協働型授業を通して、地域や国際社会の発展に貢献できるグローバル人材を育成するという考え方が、新学習指導要領が目指す主体的、対話的で深い学びの実現や英語教育日本一など本県が目指す教育と合致しているという点であります。 2点目は、最終試験で所定の成績を収めると、日本を含め、国際的に通用する大学入学資格を得ることができるという点です。 これらの点から、国においても、成長戦略2020にも掲げられております。 今後、この国際バカロレアの認定が、県全体のグローバル人材の育成や教育水準の向上につながり、多くの生徒たちの海外も視野に入れた夢への挑戦を大きく後押ししてくれるものと確信をしております。 なお、県立八代中学校及び八代高校の選定に当たっては、4名の外部検討委員の方々から御意見を伺い、国際バカロレア教育等に必要と考えられる学力、グローバル人材育成や探求活動の状況、生徒確保の視点から評価項目を作成し、評価を行っていただいたところであります。 今後は、八代市におけるクルーズ船の受入れなど、八代港を活用した観光・経済戦略や国際交流等の各種施策の後押しにもなると考えております。 最後に、認定に向けた今後の取組やスケジュールについてであります。 今年度は、国際バカロレアの認定に向けた準備委員会を立ち上げ、教育内容などの検討を行うとともに、国際バカロレア機構主催のワークショップに参加し、必要な教員の育成を開始いたします。 来年度以降は、同機構から講師を招いた研修の実施など、国際バカロレアの教育プログラムの実践に向けて、教育環境の整備に努めてまいります。 最終的には、令和6年度から、県立八代中学校においてミドル・イヤーズ・プログラムのスタートを、令和9年度から、八代高校においてディプロマ・プログラムのスタートを目指して、関係機関と連携しながら、しっかりと準備を進めてまいります。  〔内野幸喜君登壇〕 ◆(内野幸喜君) ありがとうございました。ぜひ認定がなされるよう、しっかりと取り組んでほしいというふうに思います。 熊本県では、これまでも、熊本時習館海外チャレンジ推進事業という、海外の大学への進学について応援をしてきました。過去には、MIT、マサチューセッツ工科大学に進学した生徒もいます。こういう形で、本県から世界で活躍するようなグローバル人材を輩出してほしいというふうに思っています。 これは、大学進学だけではなくて、今本当に若い人が日本を飛び出して、世界で活躍している人、多いですね。最近で言うと、ゴルフでは、マスターズで優勝した松山英樹選手。これはもう、すぐ日本を飛び越えてアメリカに行きました。先日、笹生優花選手、それから畑岡奈紗選手も活躍していますし、大谷翔平選手なんかもそうですね。本当に世界で活躍する若い日本人は多いです。ぜひこの熊本から、そうやって世界でグローバルに活躍できる人材の輩出に向けて頑張ってほしいというふうに思います。 それから、最後、新たな動物愛護センターの整備と動物愛護について質問を用意しました。恐らく答弁もつくっていただいていると思うんですが、どうしても時間がちょっとなくなってきましたので、大変申し訳ないのですが、これはちょっと要望という形で切り替えさせていただきたいというふうに思います。 今、県では、動物管理センターから動物愛護センターへと名称を変更して、新たな動物愛護センターの整備を進めています。 私たち自民党県議団では、吉永政調会長をはじめ10人ほどで、2020年の1月に神奈川県動物愛護センターを視察に行ってきました。 神奈川県動物愛護センターというのは、その前年の2019年6月に開所したばかりのきれいな動物愛護センターでした。 そして、この神奈川県は、動物愛護については先進的な取組を行っています。例えば、この動物愛護センターの整備についても、神奈川県の場合は、動物愛護センターの建設基金というのを設けて、広く県民の皆様方に建設資金の一部を募りました。結果として、約2億9,000万円ほどの建設基金が集まって、これを建設基金の一部に充てたと。当初の目標は11億円だったので、それには及んではいないのですが、やっぱり意義としては、動物愛護の精神を広く普及させることに大きく寄与したとおっしゃっていました。 そういう意味で、本県でも、今整備を進めている動物愛護センターについても、こうした建設基金の導入を検討してほしいというのが私の要望です。 現在、県では、くまもと応援寄附金というふるさと納税の中に、動物愛護には使わせていただきますという項目があります。しかし、そのふるさとくまもと応援寄附金のサイトからじゃないと、そのところに行かないんですね。ですから、やっぱりもしそういうことを積極的に活用するのであれば、動物愛護のサイトからもそちらに飛んで、しっかりと...... ○議長(小早川宗弘君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔にお願いします。
    ◆(内野幸喜君) (続) そういう方向でしっかりと結びつけてほしいなというふうに思います。 それと、動物愛護の取組についても要望なんですが、今私たちの周りには、非常に多数の野良猫がいます。1匹の雌猫から、1年後には2回から4回出産して20頭、そして2年後には80頭以上と、とてつもなく増えていくんですね。 今、県も、様々なボランティア団体の協力をいただきながら譲渡会等を実施しています。これは非常に大事なことです。しかし、やっぱり譲渡だけではなくて、そういった野良猫等を発生させない取組というのも必要だと思います。 やっぱり無責任な餌やり等をやらないということです。かわいそうだと思って餌をやることが、結果としてかわいそうな野良猫を生んでいきます。 今、県では、野良猫の避妊や去勢の手術についての助成を行っています。皆さんも見られた方いらっしゃるかもしれないですが、野良猫の耳がカットされている。これは、桜の葉っぱに似ているということから桜耳、そのカットされている猫を桜猫と言います。右耳がカットされている猫は雄猫で、去勢手術を施されている猫ですね。左耳がカットされている猫は雌猫で、避妊の手術を施されている猫。恐らく誰かボランティアの方々がそういった取組をやっていらっしゃるんですね。 ですから、これから県としても、そういったこれからどんどん増やさないという取組をしっかりとやっていっていただきたいなというふうに思います。やっぱり啓発ですね。啓発が大事だと思いますので、しっかりとお願いしたいというふうに思います。 以上で私が準備しました質問、全て終了いたしました。残念ながら、最後の質問は要望に切り替えさせていただきました。本当にその点は、執行部の皆さん方には申し訳ないなというふうに思います。 最後までの御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時休憩    ――――――○――――――  午前11時11分開議 ○議長(小早川宗弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 鎌田聡君。  〔鎌田聡君登壇〕(拍手) ◆(鎌田聡君) おはようございます。立憲民主連合の熊本市第二選挙区選出の鎌田聡でございます。 今回で36回目の登壇になります。36という数字、特に切りのいい数字でもございませんし、質問のほうもいっぱい準備しておりますので、早速質問のほうに入っていきたいというふうに思います。 まず、熊本地震から5年経過後の諸問題についてです。 熊本地震の発生から5年が経過をいたしました。新阿蘇大橋の開通など、地震によって失われたインフラの整備は、関係者の御尽力によって進んできましたし、被災者の住まいの再建についても進んできましたが、5月末現在で、313人が仮設住宅での生活を余儀なくされています。最後のお一人の住まいの再建まで、寄り添った対応が必要です。 住まいの再建ができた人の中には、災害公営住宅に入居された方もたくさんいらっしゃいます。 災害公営住宅は、これまでの生活の場所と違う場所での生活となり、コロナ禍で住民同士の交流機会が減ってきています。そういう状況の中で、心配されるのが孤立化です。 災害公営住宅では、高齢者世帯が半数を超えていますし、病気や独居などで支援を必要としている方も多くいらっしゃいます。孤立を招かないように、息の長い見守りが大切で、相談、支援の強化が必要であると考えます。 県は、今年4月に、復興住宅2例目の孤独死を確認したことを公表しました。東日本大震災では、発生から5年目以降に孤独死が増えたとのことですので、これからが心配です。 そこで質問ですが、災害公営住宅で生活する被災者がどのような生活環境、どのような健康状態にあるのか、把握して支援していくべきだと考えますが、今後の取組についてお尋ねします。 続けて、次に、災害の際の避難所の環境改善についてお尋ねします。 熊本地震の死者268人のうち、避難生活での体調悪化や過労などが原因の災害関連死は、その8割の218人の方でした。 災害関連死は、避難生活、避難所生活の中で容体を悪くされて命を落とされた方々であり、その環境が違っていたら、もしかすると救えた命だったかもしれません。今後の災害に備えて、避難生活や避難所生活で命を落とすことがないように、熊本地震や昨年の豪雨災害で経験した避難所運営や避難所の在り方などを検証していくべきです。 そこで、まず福祉避難所についてお尋ねをいたします。 災害時に特別な配慮が必要な高齢者、障害者、妊婦、乳幼児などのために設置される福祉避難所については、熊本地震では、開設予定だった福祉施設が被災したり、一般避難者の殺到で混乱したり、十分に機能しなかった側面があります。 福祉避難所は、市町村が開設をしますが、災害時に特別の配慮を必要とする方々が安心して避難生活を送ることができるよう、福祉避難所の機能強化が必要です。 そこで質問ですが、県として、福祉避難所の機能強化についてどのような取組を行っているのか、お尋ねをいたします。 次に、ペットの同行避難支援についてです。 熊本地震を踏まえて、平成28年8月に、環境省の防災業務計画において、災害時のペット対策に関する記述が強化され、地域防災計画の策定に当たっては、人とペットの災害対策ガイドラインを参照することが追記されました。 ペットは、飼い主の自己責任が基本であっても、自治体には、同行避難支援が法律とガイドラインで求められています。また、同行避難を飼い主の自己責任として放置しておけば、それは飼い主だけではなく、被災者全体の問題に発展し、最終的には復興の遅れにもつながる事態になります。 例えば、避難所から完全にペットをシャットアウトすれば、ペットが理由で自宅に残った被災者は二次災害の危険性があり、自治体は対応を迫られます。そうならないためにも、平常時からガイドラインに沿った災害時のペット同行避難の支援の枠組みをつくっておく必要があります。 現在、ペットを飼育している世帯は、住民の3~4割だと聞いています。それだけ多くの人たちがペットを飼育している今、災害時のペット同行避難は、被災者全体の問題として考えるべきです。 そこでお尋ねですが、環境省のガイドライン、チェックリストを参考にして、熊本県の同行避難ガイドラインを策定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 また、災害時の同行避難支援を行うために、平常時から民間団体と連携し、人材の育成を行うことも重要だと考えますが、その点も含めてお尋ねをいたします。 次に、避難所以外の避難者への対応についてです。 熊本地震では、多くの県民が車中泊を経験しました。指定避難所には、18万人を超える県民が身を寄せていましたが、その人数を超える人たちが車中泊を経験したのではないかと思われます。 車中泊には、エコノミークラス症候群の懸念があり、長期の車中泊は推奨できませんが、コロナ禍で避難所の密を避けるためには必要な避難手段であると言えます。 また、家が損壊しながらも、避難所に行けずに、損壊した家、倉庫、ビニールハウスなどで避難生活を送った人たちも多かったと思います。そこへの食料や水、健康面のチェックなどの支援が必要です。 そこで質問ですが、災害時における車中泊や自宅避難などの避難所以外の避難者を把握し、対応するため、県ではどのような取組をされているのか、お尋ねをいたします。 以上、1点目から3点目までは健康福祉部長に、4点目は知事公室長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) まず、災害公営住宅で生活されている被災者の孤立化対策についてお答えします。 住まいの再建先の一つである災害公営住宅には、本年3月末で1,657世帯の方々が入居しておられます。入居世帯に占める高齢者世帯の割合は、5割を超え、そのうち6割が単身高齢者世帯であり、安心して暮らしていただくためには、被災者の生活状態や健康状態を把握した上で、必要な支援を行うことが重要であると考えています。 そのため、県では、災害公営住宅等の恒久的な住まいに入居される時点で、訪問などによりスクリーニング調査を実施し、生活再建上の課題が生じていないか把握しています。 また、入居された後も、心のケアなど健康状態に関する調査を毎年実施し、あわせて民生委員やボランティア、熊本見守り応援隊といった民間事業者の協力による日常的な見守り活動も通じて、幾重にも漏れがないよう支援が必要な方を把握することとしています。 支援が必要な場合は、市町村や関係機関との連携の下、健康相談や福祉サービス等、必要な支援につないでいます。 加えて、災害公営住宅の住民同士の絆を強めるため、地域の縁がわなど、住民主体の地域福祉活動に対する補助や、さらには地域福祉活動のリーダーとなる人材の育成に取り組み、災害公営住宅の住民同士だけでなく、地域全体で互いに支え合うコミュニティーの形成を支援しています。 今後も、再建された方々が、孤立することなく、地域の中に溶け込み、安心して生活していただけるような体制の構築に努めてまいります。 次に、福祉避難所の機能強化についてお答えします。 災害時に特別な配慮が必要な高齢者等が避難される福祉避難所が、その機能を十分に発揮するためには、必要な数の確保に加え、運営体制や施設の整備、さらには要配慮者が確実に利用できるよう、住民に対する制度の周知等を一体的に進める必要があります。 そのため、県では、熊本地震の経験を踏まえ、災害時のみならず、平常時からの取組を体系的に示した福祉避難所運営マニュアルを平成29年8月に作成し、市町村への助言や意見交換会を通して市町村の取組を支援してまいりました。 その結果、県内の福祉避難所は、熊本地震前の平成28年3月末の461か所から昨年12月時点では543か所に増加し、確実に数の確保が進んでいます。 また、県では、福祉専門職による熊本県災害派遣福祉チームを設置し、運営体制を強化するとともに、介護が必要な方のための簡易ベッド等の導入補助や県政広報番組を通した福祉避難所の制度周知等も行っています。 今後も、災害時に特別な配慮が必要な方々が、確実に、かつ安心して避難できるよう、市町村とも連携しながら、福祉避難所の機能強化を進めてまいります。 最後に、災害時におけるペットとの同行避難支援についてお答えします。 災害時に安心してペットと同行避難できることは、議員御指摘のとおり、被災者を守る観点からも重要です。 そこで、県では、平成28年3月に、平常時の対応も盛り込んだペットの受入れに関する避難所運営の手引を策定しており、熊本地震の際には、この手引を基に、市町村におけるペットとの同行避難の受入れを支援しました。 また、令和2年7月豪雨の際には、この手引や平成30年3月に環境省が策定した人とペットの災害対策ガイドラインに沿って、獣医師会などの関係団体と連携して、同行避難したペットの情報収集、健康相談やケージなど必要な物資の調達及び提供などの支援を行いました。 これらの経験を踏まえ、ガイドラインに関しては、県で策定している手引の見直しの中で検討してまいります。 また、熊本地震以降、毎年、保健所職員等を対象として、民間団体から専門の講師等を招いた研修会の開催や国主催の研修会への参加などにより、災害時にペットの同行避難に対応できる人材の育成を行っており、今後は、さらに研修の対象をボランティア団体や市町村職員等に広げることとしております。 今後とも、災害時には、飼い主が安心してペットと同行避難できるよう、獣医師会をはじめ関係団体や市町村ともしっかりと連携しながら、体制整備を進めてまいります。  〔知事公室長小牧裕明君登壇〕 ◎知事公室長(小牧裕明君) 避難所以外の避難者への対応についてお答えいたします。 熊本地震では、度重なる余震により、多くの方が車中泊など避難所以外の場所へ避難されました。これらの避難者は、実態の把握が困難であり、物資や情報の提供などの支援に支障を来しました。 この経験を踏まえ、本県では、昨年4月に、全国に先駆けて、発生の抑制、点在の抑制及び効率的な把握の3つの柱から成る車中泊等の避難場所以外避難に関する今後の取組の方向性と具体的な取組例をまとめました。 また、その実効性を高めるため、地域防災計画にも避難所外避難者への対応を位置づけ、市町村における取組を後押ししています。 このことを受け、県内市町村においては、指定避難所の追加や施設の耐震化、大型商業施設の駐車場利用協定の締結、さらには自主防災組織やNPO法人、民生委員等との連携による把握体制の構築など、それぞれの地域の特性に合わせて、様々な取組が進められています。 このような中、昨年7月の豪雨災害においても、避難所以外の場所へ避難された方が多く見られました。 各市町村では、県が示した取組の方向性に沿って、自治会や福祉団体などと連携し、多少時間は要しましたが、県も積極的に関わり、避難所外避難者の把握に努め、必要な物資や医療、介護サービスなどの支援を行いました。 県としては、引き続き、市町村と連携して、避難所外避難者お一人お一人に必要な物資や情報の提供、医療、福祉サービスなどの支援が確実に行えるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔鎌田聡君登壇〕 ◆(鎌田聡君) それぞれの諸課題について御答弁いただきまして、本当に取組を進めていただいているということでございますから、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 それと、1点だけ、今日は申し上げませんでしたけれども、やっぱり避難所の課題として、学校が、皆さん多く身を寄せた避難所でありましたけれども、ここで文科省の調査によりますと、県の学校における防災設備の保有率が全国平均を軒並み下回っているという状況でもございますし、あと、車椅子使用のトイレ、体育館に整備率が4割ということで、これも低い数値になっておりますので、こういったところの改善もぜひよろしくお願いを申し上げながら、次の質問に移りたいと思います。 新型コロナウイルス対策についてです。 現在、県内においては、65歳以上の高齢者を対象にしたワクチン接種が進められていますが、これから64歳以下のワクチン接種が始まります。 高齢者のワクチン接種は、対象が54万人でしたが、12歳以上64歳以下は104万人と、その対象者の人数だけ見ても、その対応は大変になるだろうと予想がつきます。 そこで、高齢者接種で学んだ点も含めて、今後のいわゆる現役世代のワクチン接種に備えて対策を講じていかなければなりません。 県は、県民広域接種センターを設置して取り組む考えを示されましたが、課題として想定される二重予約を回避できるように、市町村と十分連携して取り組む必要があります。 また、打ち手の確保も課題ですが、これは奈良県では行っていますが、県内には、現在179名の研修医がいると聞いています。その研修医に協力要請するなどして、打ち手を確保して、ワクチン接種を希望する人に早くワクチン接種ができるように取り組んでいただきたいと思います。 そこで、県民広域接種センターを取り組むに当たって、県は、市町村の接種を補完していくという立場に立って、市町村と十分連携して、二重予約の回避や打ち手の確保にしっかりと取り組んでいただくよう要望しておきます。 それでは、質問に移ります。 まずは、職員のワクチンの優先接種についてです。 現在、コロナ感染者の宿泊療養施設の担当をしている県職員は、まだワクチン接種をしていないと聞いています。私は、感染者に直接接する業務ではないものの、施設内で業務に従事する職員に対しても感染のリスクがあると思いますので、早急にワクチン接種を行い、感染リスクが少しでも軽減される状況で業務に従事できるようにすべきだと考えます。 現に、先月末、神奈川県の宿泊療養施設では、看護師、県職員、運営スタッフが感染したクラスターが発生しています。早急に宿泊療養施設の担当職員へのワクチン接種をすべきですが、その考えはないのか、健康福祉部長にお尋ねします。 次に、東京オリパラに関する件ですが、私は、現在の感染状況やワクチン接種の進捗状況を踏まえて、人流が促進してしまう東京オリンピック・パラリンピックについては、中止または再延期すべきだと考えますが、政府は、IOCにその中止を求めることなく、今準備が進められています。 東京オリンピック・パラリンピックがこのまま予定どおりに開催されることになれば、熊本県警察からもたくさんの警察官が警備に行くと聞いています。何名行かれるのか明らかにされませんが、100名規模ぐらいではないかと勝手に推察しております。 ただ、驚いたことに、現在、警備に行く警察官が、コロナ感染防止対策として、東京に日帰りでワクチン接種に行っているそうですが、なぜわざわざ東京に行っているのでしょうか。なぜ県内で接種できないのでしょうか。 ワクチンの接種とはいえ、現在は緊急事態宣言地域の東京に行くことに対しては感染リスクがありますし、何よりもワクチンは2回打つ必要がありますので、その2回分の交通費を考えた場合、県内の市町村の優先接種枠、これを活用して対応すべきであると考えます。 そこで質問ですが、なぜ緊急事態宣言地域である東京にワクチン接種に行かなければならないのか、その理由についてと、接種のための交通費はどこが負担するのか、警察本部長にお尋ねします。 質問を続けます。 東京2020オリンピック・パラリンピックのライブサイトについてですが、東京オリンピック・パラリンピック開催期間中、東京都とオリンピック組織委員会でパブリックビューイングを含むライブサイトを熊本城ホールで開催することが企画されています。 御案内のとおり、多くの人が集まり観戦するパブリックビューイングに対しては、コロナの感染拡大につながるのではと懸念する声が高まっています。埼玉県や千葉県、神奈川県知事は、県内でのパブリックビューイングを含むライブサイトの中止を決定しました。 コロナ禍において、人流抑制が求められる中で、自宅のテレビで十分に観戦できるオリンピック、パラリンピックを、わざわざ人を集めて観戦する必要はないと考えますし、大西熊本市長も開催は慎重にすべきと要望されています。 そこでお尋ねですが、熊本で開催されるライブサイトの実施内容と知事の受け止めについてお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) コロナ宿泊療養施設の担当職員のワクチン接種についてお答えします。 県内の宿泊療養施設は、現在、4施設520室であり、これまでに約1,800人が療養しておられます。 療養生活中には、看護師による定期的な健康観察や体調悪化時の受診調整などにより、医療と連携して受入れ体制の充実を図ってきています。 療養者により安心して療養生活を送っていただくためには、これらの前提となる施設内の感染防止対策の徹底及び感染者と頻繁に接する感染リスクの高い職員の感染防止が何より重要であると考えております。 そこで、施設内で健康管理を担う看護師及び感染エリアで弁当配付や消毒清掃などを行うスタッフや県職員については、国が示したワクチンの優先接種者となる医療従事者等として、既にワクチン接種を進めています。 議員御指摘のとおり、他県では、宿泊療養施設でのクラスター発生事例も報告されており、感染者を受け入れる施設においては、安定した施設運営の観点から、感染リスクのさらなる軽減は大変重要な課題です。 そのため、施設の非感染エリアで連絡調整を担当する県職員など、感染リスクの比較的高い職員等については、一般接種の段階で、新たに立ち上げる県民広域接種センターの活用も含め、早期の接種を検討してまいります。 引き続き、感染拡大防止対策を徹底するとともに、職員の健康状態にも最大限の配慮をしながら、宿泊療養施設の安定的な運営に万全を期してまいります。  〔警察本部長岸田憲夫君登壇〕 ◎警察本部長(岸田憲夫君) 東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う警戒警備に従事するため、本県から派遣する警察官へのワクチン接種は、感染拡大防止の観点から重要な課題であると認識しております。 派遣する警察官の一部については、東京都で実施されている警察官、消防士等へのワクチン接種の対象に含まれることとなり、現在接種を受けているところであります。 これらの警察官については、東京都公安委員会の援助の要求に基づき派遣され、期間中、東京都での警戒警備に従事することなどを踏まえ、接種対象者に加わることとなったものです。 また、今回の上京の旅費については、国が負担するものと承知しております。 上京に当たっては、感染防止対策を徹底するとともに、ワクチン接種後の体調管理にも努めてまいります。 さらに、そのほかの警察官についても、可能な限り早期に接種できるよう、関係機関との調整を進めてまいります。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 東京2020オリンピック・パラリンピックのライブサイトについてお答えします。 熊本城ホールでのライブサイトは、復興五輪の一環として、東京都と組織委員会が共同で開催を予定されているものです。 会場では、オリンピック、パラリンピックのライブ中継を行うとともに、バドミントンやボッチャなどの競技を紹介し、スポーツの意義や楽しさを感じていただく内容で企画されています。 東京オリンピック・パラリンピックについては、2016年10月に、私から小池都知事に対し、東北3県に加え、熊本県についても復興五輪に位置づけてもらい、熊本地震からの復興をぜひ応援してほしいと要望いたしました。そのことがきっかけとなって、今回のライブサイトの開催という形となりました。東京都と組織委員会の御配慮に大変感謝しています。 本県と東北3県で行われるライブサイトについては、人数制限や事前予約などの感染対策を講じて実施する方向で、現在準備を進めておられます。 熊本市からの感染状況を十分に考慮し、慎重に判断していただきたい旨の要望については、東京都と組織委員会に伝えています。 県としては、県内の感染状況を注視しながら、県民の安全、安心の観点に立って対応してまいります。  〔鎌田聡君登壇〕 ◆(鎌田聡君) 宿泊療養施設の担当職員のワクチンについては、今後一般接種の段階でやっていくということでありますけれども、やっぱり一日も早く――宿泊療養所は、確実に感染されている方との業務になりますので、一日も早くワクチンを打ってあげて、職員が安全に、安心に業務に従事できるように、そしてまた、家族も非常に心配だと思いますし、そこから職員が社会活動の中で感染を拡大してしまわないように、県としてやっぱり責任を持って一日も早く打たれるよう要望しておきます。 県警のワクチン接種の話ですけれども、日帰りで東京までワクチン接種に行っていると。私は、最初まさかと思いましたけれども、本部長は落ち着いて答弁されましたけれども、私の感覚が異常か分かりませんが、ちょっと信じ難い行為なんですね。 今熊本市で高齢者接種をやっていますけれども、1回1,000円の交通費は送ってあげていますけれども、東京まで日帰りが2回、これでいくとやっぱり10倍ぐらいになりますけれども、そういう状況の中で打ちに来いと言う東京都も東京都だと思います。小池知事は、東京に来ないでなんて言っていましたけれども、実際、やっぱり東京に打ちに来いという話にもなっていますし、また、それにやっぱり応えていく熊本県警も県警だろうというふうに思います。 私はあきれて物が言えませんけれども、物を言っとかないといけませんので言っときますけれども、もう即刻このワクチンは、これからの、まあ1回目は終わっていると思いますから、2回目分は、やっぱり熊本の自治体の中で優先接種できるように調整をしていただくように強くお願いをしておきたいと思います。 それと、最後にライブサイトの話。こちらから頼んで開催していただいているということでございますけれども、やっぱり知事に考えていただきたいのは、そういう体裁じゃなくて、やっぱり県民の安全、安心のことについて第一義的に考えていただきたいと思います。 ライブサイトは、やっぱり競技を見るだけにとどまらないと思うんです。今イベントの話もありましたし、やっぱり行ってみれば、黙ってテレビ見ておくだけならお通夜みたいになってしまいますので、やっぱり興奮してしまう状況ができてくるわけでありますから、中止を決断していただきたいと思いますし、そしてまた、やるのであれば、浪花節みたいな感染対策じゃなくて、しっかりと、感染レベルが3になったらやらないとか、ワクチンを打っている人しか入れないとか、そういうような徹底した感染対策、こちらのほうもぜひ働きかけをしていただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。 空港アクセス鉄道についてです。 アクセス鉄道については、先ほどの質問の中でも触れられましたけれども、鉄道・運輸機構に委託していた継続調査で、事業費や需要予測、収支採算性、費用対効果、B/Cの調査委託期限が5月下旬まで延期されて、今議会で明らかにするということになっておりました。先ほどの質問の中で答弁されましたけれども、改めてその結果についてお尋ねいたします。 その上で申し上げますが、いずれにしても500億円の事業費ということになります。多額の費用がかかることは間違いありませんので、事業を拙速に進めるべきではありません。コロナ禍で空港利用者が激減をしている現状の中で、急ぎ結論を出す必要は全くありません。空港へのアクセス改善は、必要性があるといえ、ほかの選択肢についてももっと幅広に検討を行うべきです。 ほかの交通モードとの比較検証もされていますが、これも先ほど議論になりましたけれども、先日作成された熊本県新広域交通計画の道路ネットワークとの比較検討、こちらも行うべきです。 この計画では、熊本市中心部と空港を約20分でつなぐ熊本空港連絡道路が、今後整備される新規路線として追加されています。この道路が整備されれば、空港アクセス鉄道よりも短い時間で熊本市中心部から空港までをバスで結ぶことができます。その道路を利用したバスとの比較検討も行うべきです。 そして、どうしても鉄道のほうが大量輸送性で優位との思いが強いのであれば、ただ単に鉄軌道で結ぶということではなくて、より多くの人が利用したいと思えるように利便性を高めるために、私は以前から申し上げていますが、乗換えなしの直接乗り入れにしなければだめだと思います。 これからの検討材料に、直接乗り入れを行う場合の事業費、そして以前私がここで提案をしましたけれども、直接乗り入れでも、大津駅方面の利便性が担保できるように、空港に向かう車両と大津方面に向かう車両に分ける連結切離し方式の事業費も算定した上で、やっぱり事業費の比較検討を行うべきです。 どの場合も、多額の税金を使うことになります。どうせ整備するのであれば、多くの皆さんが使いたいと思える運行形態にしておくべきだと思います。 空港アクセス鉄道事業に対する県民の納得性を高めるためには、そもそもこの事業をやる必要があるのか、鉄道を整備することが何よりもベターなのか、三里木駅で乗換えをしなくて済む直接乗り入れは本当にやれないのかなどをしっかりと調査検討した上で、県民に示すべきです。 そこで質問ですが、空港アクセス鉄道の事業費や需要予測などの調査結果と、私が申し上げました比較検討のための調査について行うつもりはないのか、知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、昨年度の調査結果については、先ほど内野議員の質問に対して答弁しましたとおり、需要予測は、1日当たり5,000人となり、国、県、JRがそれぞれ総事業費の3分の1を負担した場合、採算性を見込むことができました。また、前回調査で課題が確認されたB/Cは、1を上回っております。 次に、高規格道路との比較検討については、鉄道と道路は競合するものではなく、互いの特性を生かすことで補完し合うものと考えています。高規格道路の整備に当たっては、鉄道との関係に十分配慮した上で、相乗効果が発揮されるよう検討を進めてまいります。 最後に、鉄道の利便性については、平成31年2月のJR九州との同意において、空港アクセス鉄道は豊肥本線への乗り入れをしないこととしています。そのため、三里木駅での乗換えが必要となることから、乗り継ぎ時間の短縮や対面乗換えなど、利用者の利便性を極力低下させない方策を検討しています。 直通乗り入れや分割併合など、利便性の向上について、多くの御意見があることも承知しています。他の交通モードとの比較だけでなく、利便性向上の方策についても、様々な可能性について、空港アクセス検討委員会でも議論を深めていただきながら、引き続き検討してまいります。  〔鎌田聡君登壇〕 ◆(鎌田聡君) 今御答弁をいただきました。 B/Cは1を上回ったということでありますけれども、辛うじてだろうと思いますが、またこれは特別委員会の中での議論でしっかりと深掘りもさせていただきたいと思いますが、先ほど高規格道路との比較検討、それぞれ補完し合うものということで、2つあればそれはいいでしょうけれども、それを造れるような、今、財政状況を含めまして、あるかどうかということもしっかりとやっぱり見ていかなきゃならないと思います。災害対策、コロナ対策、重要なときに、両方が補完し合えるようなということではなくて、やっぱりどちらが優位な、有効な手段をしっかりと絞って進めていく必要があるのではないかと思っています。 JRの3分の1の負担もありましたけれども、これはあくまでも必ず3分の1負担するということではなくて、アクセス鉄道を造った部分で豊肥線がちょっと上回れば、その上回った分を3分の1の上限まで払うということでありますから、はなから3分の1払うということではありませんので、そういったことも――まず豊肥線が上回るかどうかということも、しっかりとやっぱり需要予測を見ていかなければならないというふうに思います。 まあ、百歩譲って、鉄道ということになれば、それはもうやっぱり利便性が伴うような、先ほど言いました直接乗り入れ、これにしなければ絶対だめだと思いますので、やっぱり将来に責任の持てるような事業にしていくためにも、これは県民の様々な意見と、そして様々な比較検討、これを行った上で――一旦立ち止まって検討するという話だったけれども、どうも何か立ち止まらずにごんごん行っているような答弁を先ほどから感じておりますので、そういうふうに、ぜひ県民の声をしっかりと受け止めて、本当に将来に禍根が残らないような、そういった進め方をやっていただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。 ヤングケアラー支援についてです。 ヤングケアラーとは、慢性的な病気や障害、精神的な問題などを持つ家族の介護や世話をしている子供のことを指します。 厚生労働省と文部科学省が、昨年12月、公立中学校と全日制高校の2年生などを対象に、初の全国調査を行いました。その結果、中学2年生の6%、高校2年生の約4%が世話をしている家族がいると回答し、およそ中高生の20人に1人がヤングケアラーであるという実態が浮き彫りになりました。 ヤングケアラーが世話に費やす時間は、1日平均4時間で、中には7時間以上とする回答も約1割ありました。 世話する対象は、兄弟、父母、祖父母が多く、その内容は、食事の準備といった家事、保育園の送迎、入浴やトイレの介助、薬や金銭の管理、外出時の付添いなど、多岐にわたっています。 そして、その半分以上の子供たちは、誰にも相談したことがないと答えていて、自らがヤングケアラーという自覚もなく、誰にも相談もせずに孤立化している可能性もあります。 また、ヤングケアラーは、欠席や遅刻をしがちで、宿題ができないことも多い傾向が見られています。学校に通いながら家族を介護したり、介護のために進学や就職を諦めたりして、教育や就職の機会など選択肢が狭められているおそれがありますが、ヤングケアラーを支援する方策は整っているとは言い難い状況です。 この状況を踏まえて、厚生労働省と文部科学省の共同プロジェクトチームで、ヤングケアラーの支援策をまとめて、政府の骨太の方針に反映させるよう取組が進められています。 その動きに先駆けて、埼玉県議会では、このヤングケアラーの支援を盛り込んだ条例が昨年3月に可決され、施行されています。 条例では、県にヤングケアラーを含むケアラー支援に向けた推進計画の策定を義務づけていて、計画には、学級担任らによる個人面談や家庭訪問、校内生徒指導員会などの情報共有、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携、協力などの支援策を行うとされています。 また、神戸市では、本年4月にヤングケアラーを支援する専門部署を設けて、社会福祉士ら専門職が教員からの相談をメールや電話で受け付け、学校や介護担当部署などと協力して対応しているとのことです。また、福祉関係者や教員に対する研修に力を入れて、子供同士が語り合う場をつくる予定だと伺っています。 そこで、本県も、他県等の取組を参考にしながら、ヤングケアラーの支援を行っていただきたいと考えます。 そこで質問ですが、まず、本県におけるヤングケアラーの実態はどのような状況なのでしょうか。全国の調査では、中学2年生と高校2年生が対象となっていましたが、対象を広げて、小学生も含めて実態調査をしていただきたいと思います。 そして、このヤングケアラーへの支援について、学校と福祉部門、民間支援団体との連携を図って取り組むべきだと考えますが、知事の考えをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、知事就任以来、熊本の希望であり、また、宝である子供たちが、健やかに育ち、夢に向かって挑戦できる環境づくりが大切であると考えてきました。 そのため、独り親家庭の子供たちなどを対象とした学習支援や大学進学への経済的支援などを行うことにより、全ての子供たちが自らの夢を実現できる社会づくりを進めています。 そうした中で、子供の年齢に見合わない家事や兄弟の世話、家族の介護などを日常的に行うことで、健やかな育ちや学業に影響が及ぶなど、子供自身の権利が守られていないヤングケアラーへの支援は、重要課題だと認識しております。 まず、1点目の実態についてお答えします。 国の実態調査は、全国の1割程度の公立中学校及び公立高校が対象とされ、ヤングケアラーが存在することが明らかになりました。 この実態調査では、本県の学校も対象となっておりますが、都道府県ごとのデータが公表されていないことから、県内の実態把握には至っていません。 そのため、国の実態調査をベースとして、本県の状況を具体的に把握し、支援策につなげるため、対象者数を拡充し、調査項目を追加して、秋頃までに実態調査を行いたいと考えております。 次に、支援についてお答えします。 ヤングケアラーは、早期に発見し、適切な支援につなげていくことが何よりも重要です。 そのため、県の実態調査を踏まえつつ、福祉や教育などの関係部局での認識向上、学校現場などにおける早期発見、子供たちが相談しやすい体制の充実、市町村をはじめとする関係機関との連携体制の構築など、より具体的な支援策の検討を行ってまいります。 蒲島県政の基本方針に掲げる誰一人取り残さない社会の実現に向け、関係機関と連携を図りながら、ヤングケアラーの支援について、しっかりと取り組んでまいります。  〔鎌田聡君登壇〕 ◆(鎌田聡君) 県の実態調査も、対象を広げてやるということでございました。 なかなかやっぱり聞き取りだけでは、先ほど申し上げましたように、自分にその自覚がないとか、人にはやっぱり言うのがどうもはばかられるとか、そういう思いの子供たちもいると思いますので、しっかりとそういった皆さんの声が抽出できるような実態調査のやり方、これをやっていただきたいと思いますし、特に定時制の子とか通信制の子、こちらになってくると、またそのヤングケアラーの割合というのはかなり高まってきておりますので、そういったところにもしっかりと目を当てた実態調査とそれに基づく支援策、こちらもやっぱり講じていただけるようにお願いをしておきたいと思いますので、ぜひ、誰一人取り残さない社会の実現ということでございますから、その基本方針に基づいて対応していただきますようにお願いをしておきます。 それでは、次の質問に移ります。 生活福祉資金の特例貸付けの審査等についてです。 熊本県社会福祉協議会は、新型コロナウイルスの影響で収入が減った生活困窮世帯を対象に、無利子で生活資金を貸し付ける生活福祉資金の特例貸付けを、昨年3月下旬に受付を開始しました。 特例貸付けには、緊急に必要な資金を20万円まで1回限りで貸し付ける緊急小口資金と、生活を立て直すまでの資金を月20万円まで継続的に最大9か月間貸し付ける総合支援資金があります。 これまで、県社協が新型コロナウイルス関連で生活福祉資金の特例貸付けを認めたのは、3月末日時点の速報値で2万1,678件、申請件数の2万3,836件の9割となっています。残りの1割には、審査中のほか、貸付けが認められなかったケースも含まれています。 昨年3月下旬の特例貸付けの受付開始時点では、県社協は、熊本地震の際の貸付けの滞納がある人には貸付けできないと対応していましたが、それではコロナ禍における生活困窮者を救えないと、私たちも運用改善を求めて、幾つかの段階を経た上で、昨年5月20日からは、滞納のあるなしではなくて、申請者ごとに資金の使途や必要性、償還能力を総合的に審査して貸付けを決定することになりました。しかしながら、その後も、一部の申請者から、貸付けを断られたとの声が寄せられていました。 厚生労働省は、都道府県向けの事務連絡で、生活費が必要な方に必要な額を迅速に貸し付けるため、申請者の返済能力を厳密に審査せず、柔軟に貸し付けるように求めています。一方で、過去の貸付けで著しく不誠実な対応をした者を除くともしています。 この規定を踏まえ、県社協は、過去の貸付けで返済の督促に応じなかったり、連絡が取れなくなったりした申請者には貸付けを認めていません。 しかし、その不承認理由を申請者に明らかにしていません。なぜ不承認になったのか、自分に思い当たる節がなく、その理由が分からないという方がいらっしゃいましたので、県社協の担当者と話をしましたところ、個別の不承認理由は答えられないとした上で、熊本県社協が不承認とする主な理由として、次の3点を挙げました。 1つに、コロナの影響による減収が認められない方、2つに、同一世帯からの二重申請の方、3つに、過去の貸付けにおいて著しく不誠実な対応をされた方、以上の3点に該当する方は不承認とされていましたが、このとき同行した不承認とされた3人のうち2人は、今申し上げました不承認とする主な理由の3点に該当されていませんでした。 何で貸付けを認められないのか、申請者がその理由が分からなければ、次の方策が行き詰まってしまいます。せめて申請者本人には不承認の理由を明らかにして、次にどうすればほかの支援策も含めて支援が受けられるのか、県社協はもっと寄り添った対応を行うべきです。 この事業は、県がその貸付原資を支出しています。県としても、貸付けをする側の恣意的な理由で真に困っている人が不承認とされていないのか、この制度が公平、公正に行われているのか、県社協の運用をしっかり見ていく必要があると考えます。 そこで質問ですが、緊急小口資金、総合支援資金の審査で不承認とする場合の申請者への理由の開示と、さらにその方々への寄り添った支援について、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) 生活福祉資金の特例貸付けは、新型コロナウイルス感染症の影響による収入減によって生活に困窮された世帯に対し、一時的または生活を再建されるまでの間貸付けを行うもので、支援が必要な世帯に必要な額を速やかに貸し付けることが極めて重要です。 そのため、実施主体である県社会福祉協議会は、資金の使途や必要性、償還能力等を確認した上で総合的に審査し、貸付けの可否を迅速に決定しています。 この審査手続は、国の通知に基づいた全国一律の取扱いであり、お尋ねの不承認理由について、個々の理由は開示しないこととされています。あわせて、そのことについて、全ての申請者から事前に同意を取ることとされており、県としては、県社会福祉協議会における審査、運用は適切になされていると考えています。 一方で、議員御指摘のように、不承認とされた方に対して、ほかの支援策へのつなぎなど、寄り添った支援を丁寧に行うことが必要です。 県社会福祉協議会では、市町村社会福祉協議会と連携して、お一人お一人の状況に合わせ、生活困窮者自立支援制度などにより様々な支援を行っています。 例えば、離職等により住居を失うおそれのある方には、住居確保給付金制度の紹介や、生活必需品等が必要な方には、生計困難者レスキュー事業などの活用を促しています。 県としては、この特例貸付けが適切に運用されるよう、引き続き、県社会福祉協議会へ必要な指導や支援を行うとともに、本貸付けも活用しながら、生活に困窮されている方々の自立に向けた支援にしっかりと取り組んでまいります。  〔鎌田聡君登壇〕 ◆(鎌田聡君) 今、不承認の理由については、開示できないと、教えられないということで、これは全国一律の取扱いということで答弁をされました。 これを問題視した神奈川県では、申請者に理由を伝えた上で、やっぱり市町村でしっかりと寄り添った対応をやっていくということでやられているようでありますので、そういうこともやっている県もありますから、熊本においてもそういった対応をしていただきたいと思います。 なぜこれを言うかといいますと、これから困窮世帯へ――今回また議案出てまいりますけれども、最大30万の支援金が給付されるんですけれども、この貸付けを借り切ってないと、この給付金、対応できないんですね。だから、こういった生活困窮者が入り口のところで今はじかれているという状況にあるということをぜひ御認識いただいて、できるだけその返済のハードルというのを下げていただいて、困っている方に対応していただくように社協のほうに御指導、また、いろいろと対応いただきますようにお願いをしておきたいと思います。 それでは、最後の質問に移りたいと思います。 一昨年、競泳女子の池江璃花子選手が白血病を公表したことをきっかけに、骨髄移植のドナー登録に関心が高まりました。 本年3月末のドナー登録者数は、全国で約53万人、県内では約8,600人です。 全国的にこのドナー登録に助成をしている都府県が26あります。助成内容は、勤務先にドナー休暇制度がある場合は、勤務先に1日2万円、制度がなくて有給休暇を取得する場合は、本人に1日1万円を、7日間を上限に助成するなどの内容です。 都府県の直接助成ではなくて、市町村が主導して助成制度を導入した場合に、県が予算の半分を市区町村に補助する制度となっておりまして、現在、県内では、宇土市、美里町、八代市がドナー登録者への助成をしていますが、県からの補助は全くありません。 そこで、1点目の質問ですが、熊本県としても、ドナー登録者への助成について取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 さらに続けます。 次に、ワクチン再接種費用の助成についてです。 骨髄移植などの造血幹細胞移植を受けますと、一度接種したワクチンの効果が失われる場合が多くて、感染症予防には再接種が必要となります。4種混合ワクチンや日本脳炎ワクチンなどの定期接種は、予防接種法に基づいて原則市町村が費用を負担しますが、再接種の場合は、任意接種となって、1回1万円が自己負担になります。定期接種ワクチンを全て受け直すと、10万円以上かかると見られています。 県内で造血幹細胞移植を受ける人は、年間約15人前後と聞いています。 現在、熊本県内で再接種への独自助成を実施しているのは、八代市、山鹿市、宇土市、上天草市、阿蘇市、甲佐町とあさぎり町です。県として、独自助成を行う市町村に対して費用の一部を補助していただき、今後県内全域で感染症予防に取り組んでいただきたいと思います。 そこで質問ですが、定期予防接種で得た免疫が消失、低下した子供などを対象に、県として再接種への助成を行うことができないか、1点目の質問と併せて健康福祉部長にお尋ねいたします。 ○議長(小早川宗弘君) 健康福祉部長早田章子さん。――残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔にお願いします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) 初めに、骨髄ドナー登録と助成制度についてお答えします。 骨髄ドナー登録者は、全国的に増加傾向にあり、本県でも増加しています。 助成制度を導入している自治体は増えてはおりますが、その自治体の骨髄移植数は、横ばいで推移しており、制度に対する評価は難しい状況です。 県としては、骨髄移植の施策については、全国統一的な実施が望ましいと考えており、国に支援策を要望するとともに、国やほかの自治体の動向を注視しながら、必要な施策について検討していくとともに、普及啓発に努めてまいります。 次に、ワクチン再接種費用の助成についてです。 全国では、9府県が費用助成を行う市町村への補助を実施しています。県としては、先行で実施している自治体や県内市町村の実情を踏まえ、助成の必要性も含めて検討してまいります。 なお、本来、この再接種は、定期予防接種に位置づけるべきと認識しており、引き続き国に要望してまいります。  〔鎌田聡君登壇〕 ◆(鎌田聡君) 国とか自治体の動向を見ながら検討していくということでございまして、先ほど申し上げましたように、移植は大体年間15人ぐらいなんですよね。それに10万円の半分出したとしても、そんな額にはならないわけでありまして、ここはやっぱり思い切って、県としてしっかりと助成をしていく、それこそがやっぱり命と健康を守る、こういった県行政につながってくるんじゃないかと思いますので、ぜひ前向きに御検討いただいて、実現に向けて御努力いただきますようにお願いをしておきたいと思います。 以上をもちまして、一般質問、通告しました項目、全部終わりました。 御清聴いただきまして、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) 昼食のため、午後1時15分まで休憩いたします。  午後0時11分休憩    ――――――○――――――  午後1時15分開議 ○副議長(山口裕君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 本田雄三君。  〔本田雄三君登壇〕(拍手) ◆(本田雄三君) 皆さん、こんにちは。熊本第一選挙区選出・公明党の本田雄三でございます。皆様の御配慮で3回目の質問の場をいただきました。心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。 冒頭でございますけれども、コロナウイルス感染症については、予想もしなかった第4波の襲来によりまして、延べ6,400人を超える方が感染され、お亡くなりになった方が111名という猛威に驚嘆するばかりでございます。 改めまして、新型コロナ感染症でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、罹患された皆様、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、多忙の中にも、日々感染者の把握やワクチン接種対策に尽力されている関係者の皆様に心より敬意を表するものでございます。 それでは、通告に従いまして質問に入らせていただきます。 今回、7項目質問を用意させていただきました。 1点目の質問は、新型コロナウイルスの収束が期待できるワクチン接種について質問をさせていただきます。 先進国における接種対象者に対する2回目の接種完了の割合は、アメリカやイギリスが約44%でありまして、日本は約6%と大きく乖離をしております。接種が進んだアメリカ等の現状は、マスクの着用も必要なく、大型イベントやスポーツ観戦も通常の状態に戻りつつあります。このような先進国の状況から、ワクチンの効用は、期待を裏切らない効果が得られていると実感する次第です。 本県も、政府が定めましたワクチン接種期間、令和3年2月17日から令和4年2月末までに基づきまして、各自治体主導により、現在、先行して医療従事者の皆様方と高齢者への接種が進んでおります。ほとんどの自治体が7月末までに接種を完了予定とお聞きしております。その後は、基礎疾患を有する方とかそのほか一般の方を対象に広く接種が進めていかれる見込みとなっておるところであります。 次の接種対象者が、当初は16歳以上から64歳までの約100万人となっておりましたが、文部科学省は、12歳から15歳までの中学生世代についても接種対象にするという方針を提示され、承認をされています。 接種対象年齢の拡大に伴い、本県といたしましても、接種に向けた方向性や具体的な推進方法を確立する必要がありますので、その内容について質問をさせていただきます。 まず、今回拡大された接種対象者は、未成年者でありますので、保護者の同意の下、希望者に対して接種することになると思われますが、保護者同意の署名はどのように行うのかなど、そのほかにも懸念される事項があります。 接種するワクチンはファイザー製に限定されますが、いつから、どこで接種が可能になるのでありましょうか。病院に複数のワクチンが存在することになれば、誤接種の可能性が出てまいります。また、接種を受ける際、保護者が同伴で病院に行くことが想定されますけれども、非正規雇用の方は、休業即給与減となりますので、影響も大きいと思われます。 そのような状況から、県としては、政府の方針や見解がふくそうする中、判断が難しい面もあるかと思いますが、想定できる状況を的確に把握し、円滑なワクチン接種を推進する立場の上で、このような課題に対する諸対策案をどのように考えておられるか、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) 中学生へのワクチン接種についてお答えします。 従来16歳以上が接種対象となっていたファイザー社のワクチンは、5月31日に接種対象年齢が拡大され、12歳以上への接種が可能となりました。一方、中学生等へのワクチン接種には、慎重な意見もあります。 このような中、接種を希望する中学生については、現段階では、各市町村の接種計画に基づき、個別接種会場や集団接種会場において、ファイザー社のワクチンにより行われる予定となっています。 中学生への接種に当たっては、原則として保護者の同伴が必要です。なお、保護者がワクチンの効果や副反応を十分理解した上で接種に同意する場合には、同伴なしで接種を受けることも可能です。 また、議員が懸念されている複数の種類のワクチンが存在することによる間違い接種については、現段階では、1つの接種会場において1種類のワクチンしか取り扱うことができないため、間違い接種が発生する可能性は極めて低いと考えています。 県としては、まずは、接種を希望する中学生の安全、安心と保護者のお考えを第一に、今後の国の判断等を踏まえて、適切に対応してまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 中学生における接種方法といたしまして、個別接種会場あるいは集団接種会場でファイザー社のワクチンを接種する予定であると、さらに1種類のワクチンしか取り扱わないので、誤接種の可能性は極めて低いとの答弁でありました。 言い換えれば、各市町村において、中学生専用の接種会場を設けると理解しますが、個人的にかかりつけ医での接種希望もあると思いますので、柔軟な対応体制が必要ではないでしょうか。 いずれにいたしましても、接種の有無等でいじめや差別につながらないよう、くれぐれも御配慮をお願いしたいと思います。あわせて、副反応への対策も、確実に対処できるようよろしくお願いをしたいと思います。 次の質問に移らせていただきます。 令和2年12月に改定されました第2次熊本県総合エネルギー計画の2030年度の熊本の再エネ、省エネに係る将来像と全体目標についてお尋ねをしたいと思います。 本県は、平成24年に、全国に先駆けて再生可能エネルギー利用促進と省エネルギー推進策のマスタープランである熊本県総合エネルギー計画を策定しました。 その全体目標は、令和2年度末における新エネルギーの累計導入量と省エネルギー等によるエネルギー削減相当量の合計で、県内の家庭が年間に消費する電力消費相当量を賄うという高い目標でありましたが、県民の皆様の意識の高揚や関係者の方々の努力により、平成27年度、そして平成28年度と前倒しで達成した実績があります。 この改定は、平成28年の熊本地震や異常気象における豪雨や台風被害の多発等による地球温暖化防止や再エネ普及等に重点を置くくまもと版グリーン・ニューディールの考え方を軸にするよう有識者会議からの提案を踏まえたもので、地球規模での気候変動対策が強く求められる中、その取組に資するため、蒲島知事は、令和元年12月に、2050年までに県内CO2排出実質ゼロを目指すことを宣言されました。 本計画の将来像「くまもとを再エネ・省エネ先進県に!」は、2050年までに県内CO2排出実質ゼロを達成するための初めの一歩として、令和12年度、これは2030年になりますが、ここに向けたエネルギー政策の基本に係る基本方針や再生可能エネルギー利用促進と省エネルギー推進に関する施策の方向性を定めた内容であります。 具体的な目標は「2030年度に、再エネ電力を消費電力比50%にすることを目指」すとなっておりますので、実現性や計画についてお尋ねをいたします。 1点目の質問です。 施策体系の中の「再エネ供給を増やす」という項目に、当然風力や太陽光が含まれております。導入促進に向けて、本県エネルギー政策課は、今年の5月26日に、球磨地域に陸上風力促進エリア設定の基礎調査事業委託の公募を開始されておりますが、大容量の風力発電設備であれば、測量から工事用道路の敷設、調査など、設置工事に数年単位の長期間を要することが想定されます。 また、同計画の中に「自立的で災害に対して強靱なエネルギー源の確保」、さらに「電力系統への依存を減らす再エネモデルの」「普及を図る」とも明記をされています。 計画実現に向けては、様々な課題が想定されると思いますが、今後の再エネ導入に向け、どのように取り組んでいかれるかをお尋ねします。 私としては、部分的にでも、政府や自動車産業も将来性を期待する水素の利活用を検討すべきではないかと考えております。国際的にも、水素社会に向けた諸施策が活発に展開され、技術革新は一層の飛躍を遂げています。 政府の水素基本戦略には、2030年までの行動計画及びガソリンやLNGと同程度のコスト実現を条件を付して定めるなど、具体的に示されているところであります。 風力や太陽光発電は、気象状況により出力を一定に保つのは難しい面がありますが、水素は、貯蔵が可能であり、安定した電源確保にも貢献できると思います。水素の利活用についても併せてお考えをお尋ねします。ぜひ前向きな御答弁をお願いしたいと思います。 2点目は、小水力発電についてお尋ねをいたします。 南阿蘇村で運用が開始された話題が報道されていますが、私は、農業県である熊本は、豊富な水資源の利活用が期待できるのではないかと思っています。出力は限られますが、一定の水量を維持できる河川や農業用水が活用でき、建設期間や維持管理の面からも有益な小水力発電を大いに推進すべきではないかと考えておりますが、いかがでございましょうか。 以上2点、知事の御見解をお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、令和元年12月、この議場において、2050年県内CO2排出実質ゼロを宣言いたしました。国に先駆けて掲げたこの極めて高い目標を達成していくためには、あらゆる施策を総動員していく必要があります。 そのため、まず、昨年12月に策定した第2次熊本県総合エネルギー計画において、2030年度の電力消費量に占める再エネ割合50%を目指すこととしました。 この目標達成には、家庭や産業部門の省エネの取組を推進することはもとより、民間事業者等の再エネ発電の導入を積極的に促進していかなければなりません。 国の調査によれば、本県には、県内エネルギー消費量の最大1.6倍程度を賄えるほどの豊かな自然環境がもたらすエネルギー源が存在しています。現在、県南地域を中心に、風力発電に関する環境アセスメントに着手する複数の案件が出てきています。また、FIT認定済みで、まだ稼働していないメガソーラーが数十件あります。 これらを地域と共生する形で進める必要があります。そのため、県では、風力のポテンシャルが高い球磨地域で、地域と共存した風力発電の早期導入に向けた基礎調査に取り組みます。また、メガソーラー等再エネ事業者と県、地元市町村との環境保全協定の締結をさらに進めてまいります。 加えて、世界的なRE100等の流れの中、事業者による再エネ電力調達を促進するとともに、送電網の増強、新設について国への要望を行うなど、計画実現に向けた環境づくりを積極的に進めてまいります。 一方で、2050年の目標達成には、既存技術の活用だけでは非常に困難な面もあり、国を挙げた新技術の導入が不可欠と考えています。 現在改定が進められている国のグリーン成長戦略では、議員御指摘の水素が、発電、運輸、産業など幅広い分野で活用が期待されるカーボンニュートラルのキーテクノロジーと位置づけられています。発電への活用、製造、貯蔵する技術やサプライチェーンの実証実験など、水素の産業化に向けた研究開発が始まったところです。 県では、2016年に燃料電池自動車を導入するとともに、簡易型水素ステーションを県庁敷地内に設置し、普及啓発を進めてまいりました。今年の8月には、県内初となる商用水素ステーションが熊本市内で営業を開始され、民間の取組にも広がりが出てくるものと考えます。 県としては、国や民間のこうした動きを注視しながら、時期を逸することなく、必要な取組をしっかりと進めてまいります。 次に、小水力発電についてお答えします。 議員御指摘のとおり、本県は水資源が豊富であり、農村地域に根差した再エネ電源として、小水力発電の可能性に期待しています。 発電事業者、地域住民が一体となって4月に始まった南阿蘇の小水力発電のほかにも、県内10数か所で調査や計画が進められており、これらの実現に向け支援していきたいと考えております。 県としては、2050年のCO2排出実質ゼロの実現に向けて、今後とも国や市町村、民間事業者など関係機関と連携し、水素などの新技術などの進展にも対応しつつ、本県の有するポテンシャルを最大限活用した再エネの導入拡大にしっかりと取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 具体的な答弁をいただきまして、ありがとうございました。 6月15日のアジア経済ニュースに記載されてありましたが、「車や発電で水素本格活用へ」との見出しとともに「日本は官民連携で主導権を狙う。」と掲載されてありました。 本文には、政府は、本年6月中に決定する成長戦略で、2030年までに水素ステーションを現在の160基から1,000基まで増設する方針、さらに2035年までに新車販売は全て電動車にするとの目標を掲げるとの記載でありました。 知事が、県としては、国とのこうした動きを注視し、時期を逸することなく、必要な取組をしっかりと進めると答弁いただきましたので、課題はありますけれども、官民が一体となり、知事の力強いリーダーシップで第2次熊本県総合エネルギー計画が着実に推進されることを切望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。 地下水保全関係について御質問します。 本県は、水道用水の8割――全国平均は2割となっておりますが、を地下水で賄っており、特に熊本市やその周辺市町村では、ほとんどを地下水に依存しております。 熊本の地下水保全対策の取組は、平成16年から、農業従事者の皆様による地下水涵養域保全として、水田営農の安定化や人為的な地下水涵養対策の推進、また、企業団体やボランティアの皆様の植樹活動など、県民が一体となった地下水保全に対する取組が功をなし、良質な地下水の維持ができていると実感しております。 そのような中、来年4月には、世界49か国・地域の首脳級や国際機関等の代表をお迎えして、第4回アジア・太平洋水サミットが熊本市で開催される予定であります。 我々の子孫にも、この良質で豊かな地下水を継承するためには、地下水は公共水であるという認識に立ち、SDGsに関連する持続可能な地下水を守り、育んでいかなければと考えております。 本県では、地下水の定点検査を定期的に実施されておりますが、一部地域においては、硝酸性窒素が基準値を超過し、飲用不可となっている井戸があると聞いております。 参考でありますけれども、地下水保全に詳しい熊本電波工業高等専門学校の名誉教授のお話を伺った際、熊本の地下水は、名水の名にふさわしい水質を維持しているが、昭和初期から使用した肥料が地下水に溶け込み、硝酸性窒素などの濃度が若干高い地域もある、硝酸性窒素は、いわゆる栄養源なので、河川に混入した場合、河原の水草や湖の藻が増殖する原因にもなっている、対策としては、長期間を要するが、現行の地下水保全対策に加え、不純物の吸着率が高い自然由来の竹炭や木炭を活用し、家畜のふん尿に混ぜることも、地下水の保全と水質改善に寄与できるとおっしゃっておられました。 そこで質問です。 平成31年3月に策定された熊本市及びその周辺市町村を対象とする熊本地域地下水総合保全管理計画に基づく第3期行動計画においては、令和6年度までに全ての指標井戸で硝酸性窒素濃度を基準値以下にするとあります。 地下水保全対策は、長い期間が必要であると聞いておりますが、そろそろ計画期間の折り返しを迎えるに当たりまして、熊本地域の硝酸性窒素の濃度削減に向けてどのような対策を行っておられるのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長藤本聡君登壇〕 ◎環境生活部長(藤本聡君) 硝酸性窒素の濃度削減に向けての取組についてお答えします。 高濃度の硝酸性窒素は、健康被害を引き起こす場合があることから、飲用に際して、水質基準が定められています。 硝酸性窒素の地下水への浸透には、主に3つの要因があります。1つ目は、生活排水の不適切な処理によるもの、2つ目は、農地で使用された化学肥料によるもの、3つ目は、家畜排せつ物の不適切な処理によるものです。県内約600の井戸で地下水の常時監視を行っており、硝酸性窒素についても、その状況を把握しています。 その中で、議員御質問の熊本地域については、水質基準を上回る井戸が多く見られたため、平成16年度に、20年間を計画期間とする熊本地域硝酸性窒素削減計画を策定し、対策を実施してまいりました。 具体的には、市町村や農業団体も参画した対策会議を設置し、生活排水や家畜排せつ物の適正処理、化学肥料の削減などに取り組んできました。特に、地下水と土を育む農業推進条例を施行した平成27年以降は、条例に基づき、化学肥料のさらなる削減や家畜排せつ物からの良質な堆肥作りとその利用が進んでいます。 また、肥料の使用状況等について、農業者への聞き取りを行い、硝酸性窒素のもととなる窒素の量の把握や地下水の年代調査等も行ってきました。 その結果、現在では、一部の指標井戸では基準超過が見られますが、指標井戸全体の平均濃度は、改善してきています。 地下水は、対策の効果が現れるまで長い時間を要します。そのため、現在の対策に加えて、水質基準を満たしている地域においても予防対策を講じていくなど、県内全域で対策に取り組むことが必要と考えております。 熊本の宝である地下水を守り、将来に引き継いでいくことは、今を生きる私たちの責務です。引き続き、関係機関と連携し、実効性ある対策に継続して取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 関係各位の皆様の御努力で、監視井戸における硝酸性窒素の平均濃度は改善をしてきているとの答弁でございました。 私が中学生の頃、同級生の家が牧場を営まれておりまして、牛の餌やりを手伝ったことがありました。そのとき、餌の中に炭を細かく砕いて入れておられましたので、不思議に思い、なぜ炭を入れるのかと尋ねたところ、牛の体調維持と、肉質がよくなるし、ふんがあまり臭くないからと教わりました。 今回、熊本電波工業高等専門学校の名誉教授にお話をお聞きした際、そのときのことを懐かしく思い出しました。化学肥料の削減や良質な堆肥作りとともに、自然由来の竹炭や木炭の活用も意味があるのではないでしょうか。熊本の宝である良質な地下水を将来に引き継いでいくためにも、私たち一人一人の意識の高揚も大切ではないかと思います。 それでは、次の質問に移らせていただきます。 今回は、自然災害の備えについてということでお尋ねをしたいと思います。 昨年7月の豪雨災害から約1年が経過いたしますが、本年は、例年より1か月近くも早く梅雨入りとなり、早々から激しい雨が降り続き、高齢者避難や避難指示が多くの自治体で発せられ、5月としては観測史上最多の降雨量を記録するなど、予断を許さない気象状況が続いております。 6月2日付の熊日新聞に掲載されていましたが、昨年の7月豪雨による球磨川流域で発生した渓流内の倒木堆積状況を県が流域12市町村で調査をした結果、80か所で倒木の堆積が見受けられ、市町村では、この情報を基に住民の早期避難等に活用するということになっておるそうです。 一方、これからの季節は、豪雨のみならず、台風による風の影響での倒木の発生が考えられます。 これについて、特に強風による倒木の影響としては、私たちの生活と密接な関わりのある道路、電線等のライフラインでの被害が懸念されますが、この抜本的対策としては、令和2年9月の定例議会でもお尋ねをしましたとおり、日頃からの予防伐採が有効かつ急務であると考えます。 そこで、1点目のお尋ねでございます。 予防伐採については、モデルとなる事例を積み重ねながら検証するとのことでありましたが、その取組状況を農林水産部長にお尋ねをします。 2点目は、無電柱化推進計画について御質問します。 都市部においても、熊本地震や近年の大型台風、豪雨等の災害では、倒木や飛来物起因の電柱倒壊による停電並びに通信障害が長期間に及ぶケースも散見されており、電力や通信設備のレジリエンス、つまり復元力、回復力の強化も求められているところであります。 このような状況から、令和2年12月に、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策により、電柱倒壊のリスクがある市街地等の緊急輸送道路の無電柱化を進めることが閣議決定されております。 次期無電柱化推進期間が令和3年度から令和7年度までの5か年になっていますので、頻発する自然災害の猛威への重要な防災対策も含めて、計画的かつ迅速に進める必要があると考えております。 県内無電柱化の進捗状況及び今後の取組について、土木部長にお伺いします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 予防伐採は、道路や電線などへの倒木などによる被害を防止する観点から、重要な取組です。 しかしながら、道路や電線を守るための予防的な伐採を森林所有者に一方的に求めることは困難です。 そこで、予防伐採に係る課題を整理し、自治体や施設管理者等の役割分担の在り方を検討するため、まず、球磨地域振興局において、ライフライン支障木の処理等に係る対策会議を設置し、検討を深めてきたところです。 令和2年7月豪雨災害の影響もあり、現在までモデル的な予防伐採に取り組むまでには至っておりませんが、他の地域を含めて、市町村や電気事業者からの情報収集や意見交換を行いながら、取組の重要性に理解を示された幾つかの市町村とその実施に向けた検討を進めているところでございます。 こうした中、森林環境譲与税を用い、森林所有者の自発的な予防伐採を支援している先行事例として、小国町の取組があります。 情報収集を行っていく中で、この支援制度に取り組む森林組合からは、電線の断線事故の場合の賠償責任の所在や、電線を避けて伐採するためのかかり増し経費を森林所有者のみが負担していることなどの課題があるとの意見がありました。 こうした状況からも、ライフライン施設の保全のための予防伐採については、電気、通信、道路等の管理責任に応じて、費用分担や役割分担について、関係者間の合意形成が不可欠であり、この合意を前提とした制度を構築することの重要性を改めて強く認識したところでございます。 引き続き、関係者の役割分担の明確化と合意形成を進めながら、予防伐採のモデルを構築できるよう取り組んでまいります。  〔土木部長村上義幸君登壇〕 ◎土木部長(村上義幸君) 2点目の無電柱化についてお答えいたします。 無電柱化の推進については、災害時の救急活動のための道路空間の確保や歩行者の安全性、快適性の確保、また、良好な景観形成を図る上で必要と考えております。 一方で、無電柱化の推進には、電柱を使う場合に比べ工事コストが高いこと、電線管理者や関係住民との調整に時間を要することなどの課題もございます。 本県の無電柱化の進捗状況は、昭和61年度に着手し、昨年度までに都市部を中心に約107キロメートルの整備を完了いたしました。 現在は、国土強靱化の予算を活用し、益城町の熊本高森線の4車線化事業の区間や山鹿市の国道325号など、約8キロメートルの無電柱化事業を進めております。 また、今年度から始まる次期無電柱化推進計画については、現在、国や市町村、電線管理者と協議を行いながら、計画の改定作業を進めているところです。 本県における今後の無電柱化事業につきましては、電線類をできる限り浅い位置に埋設するなど、コスト縮減を図るとともに、国や市町村と連携し、市街地の緊急輸送道路をはじめとする優先度の高い区間から重点的に整備を進めてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 予防伐採は、課題も多いと存じますけれども、誰かが取り組まなければ改善できない懸案だとも思っております。人命を守る手段でもありますので、モデル的な予防伐採の構築を何とぞよろしくお願いをしたいと思います。 無電柱化の推進につきましては、土木部長の御答弁にありましたように、計画から完成まで相当の期間を要しますので、決裁事項等の効率化を図り、速やかな進捗をお願いしたいと考えております。 基本的には市街地の無電柱化がクローズアップされておりますけれども、私は、頻発する自然災害への備えといたしまして、山間部における唯一の生活道路が倒木や電柱倒壊で往来不能になり、長期間にわたり孤立する実態を見るにつけ、低コストの浅層埋設にしておけば、道路の復旧も格段に早いと実感しております。 ぜひ、集落の孤立が懸念される地域については、無電柱化等を検討いただきたいと強く申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。 近年頻発しております集中豪雨をもたらす線状降水帯の予測精度向上に向けた国の気象観測体制情報及びマイタイムラインの活用についてお尋ねをいたします。 気象庁は、近年の全国各地での豪雨災害の頻発を踏まえ、令和3年4月に、連続して発生した積乱雲が同じ場所に停滞することで大雨をもたらす、いわゆる線状降水帯の発生を早期に捉えるため、新たに気象庁の観測船や海上保安庁の測量船に衛星利用測位システム、GPSを搭載し、洋上での観測強化に着手されたということであります。それで、昨日、6月17日午後1時より、線状降水帯の発生情報の提供が開始をされております。 まず、1点目の質問です。 これまで各市町村は、気象庁が発表する注意報や警報に基づき、自ら判断して避難指示等の発令を実施されていますが、新たに線状降水帯の発生情報が提供されれば、県及び各市町村は、防災危機管理対応においてどのように活用されるのかをお尋ねいたします。 本県は、住民一人一人が取るべき防災行動を時系列にまとめたマイタイムライン、事前防災行動計画の普及を推進しています。 昨年各戸に配布されました熊本市の洪水ハザードマップを見ると、仮に昨年の7月豪雨の降雨量が襲来した場合、あらかじめ避難場所として決めていた場所も水没する可能性があります。広範囲にわたる浸水エリアの皆さんが避難できる場所をどのように決めていただくのかと併せて、住民自身もどこに避難するのかをあらかじめ検討しておくことが必要であります。 また、避難される際には、多くの方が車を使用されると思われます。徒歩による避難は、御高齢の方や障害がある方にとっては大変なことでございます。東日本大震災では、渋滞で動けなくなり、被災された方が多く発生したことは、脳裏から離れません。 対策としては、例えば、可能な限り、金峰山等の高台に、舗装はしなくてもよいので、駐車スペースを確保し、一定時間は車両内に待機できるような避難対策を講じることなども必要ではないかと思います。 これらのことを考えると、災害時において、どこに、どのような方法で避難をするのかを日頃から考えておくことが大変重要であると思われます。 マイタイムラインの目的は、災害時の早期避難に対し、計画立案を通じて自ら命を守る意識を高めることであります。防災は、行政だけでできることではありませんので、自助、共助の意識啓発とともに、地域リーダーの育成が急務ではないでしょうか。 そこで、2点目の質問です。 このマイタイムラインについて、県は、今後どのように普及、活用していこうと考えておられるのか。 以上2点について、知事公室長にお伺いします。  〔知事公室長小牧裕明君登壇〕 ◎知事公室長(小牧裕明君) まず、線状降水帯発生情報の活用についてお答えいたします。 令和2年7月豪雨では、線状降水帯の長期停滞により、人的被害をはじめ、甚大な被害が発生しました。 この線状降水帯の発生が事前に予測できれば、住民の予防的避難がより可能となり、大雨による被害を未然に防ぐことが期待できます。 そのような中、気象庁は、2025年度を目標に線状降水帯予報の開始を目指しており、その一環として、昨日から線状降水帯の発生情報の提供を開始されました。 この情報は、直前3時間の積算降水量が100ミリ以上となるなどの基準を超えた地域に発表されるものです。 これは、予測ではなく、発生した事実をお知らせするものであり、既に避難指示が発令されている状況が想定されます。 このため、県としては、この線状降水帯の発生情報が出された場合は、より一層の危機感を持って、警察、消防、自衛隊等の関係機関との即応体制を確保してまいります。 また、住民の逃げ遅れをなくすため、市町村と連携し、垂直避難などを含めた命を守る行動の徹底を繰り返し呼びかけてまいります。 次に、マイタイムラインの活用についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、災害から命を守るためには、自らの命を守る意識を高め、避難先の確認など、自らの避難行動をあらかじめ考えておくことが大変重要です。 そのため、県では、7月豪雨の教訓を踏まえ、逃げ遅れゼロを目指し、住民一人一人の防災行動計画、マイタイムラインの普及を進めています。 これまで、全世帯への配布をはじめ、県職員を派遣し、地域を巻き込んだ普及や避難訓練などでの活用を促してきました。 その結果、多良木町では、住民参加の下、ハザードマップの確認とマイタイムラインの作成を取り入れた避難訓練が実施されました。また、球磨工業高校では、防災教育の中でマイタイムラインを作成するなど、この取組は着実に進んでいるものと考えています。 今後は、火の国ぼうさい塾のカリキュラムにマイタイムラインの作成、活用を取り入れるなど、地域防災リーダーの育成を進め、高齢者をはじめ、幅広い世代への普及につなげてまいります。 県民の皆様が、自分の命は自分で守るという意識を持ち、早期の避難行動を実践していただけるよう、誰一人取り残さないとの強い思いの下、自助、共助、公助の取組をさらに強化してまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 梅雨に入りまして、今からが本格的な豪雨や台風シーズンとなります。県下の各市町村における避難所開設や高齢者避難指示は、非常に迅速に行われていると実感をしております。 答弁にありましたとおり、線状降水帯発生情報は、当面、予測ではなく、発生の事実をお知らせするとありました。残念ながら、何分後に豪雨が襲来するとは言い難く、襲来時は、豪雨のため、ほかの場所への移動は危険が伴うと推測できます。そのような状況であれば、災害から身を守ることは、お一人お一人が油断を排し、危機管理を高めて行動していただくしかありません。 県では、お一人お一人の認識を高めていただくためにマイタイムラインを作成し、全戸配布されているところで、これは大いに評価できると思います。 避難指示が発令された際は、線状降水帯が襲来するかもしれないとの自覚で、各自避難をするように呼びかけることが必要ではないでしょうか。その上での自助、共助、公助でないと、早期の避難につながらないと思われますので、御考察をお願いし、次の質問に移らせていただきます。 教育におけるICT化の状況についてでございます。 文部科学省の新学習指導要領において、児童生徒の情報活用能力の育成や各教科におけるICTを活用した学習活動の充実が求められております。 特に、小中学校においては、令和3年度から、1人1台端末環境での学習が開始され、県立高等学校においても、1人1台端末の環境を順次整備される運びとなっております。 今後、教職員の皆様のICT活用指導力向上が図られ、学校等の実態に応じ、各教科等の特質や学習課程を踏まえた学習ツールの一つとして、ICTを積極的に活用されることを期待しております。 そこで、1点目の質問をさせていただきます。 義務教育、高等学校の生徒の保護者の方から、1人1台端末を活用して、日常の授業においてインターネットの活用が可能となり、災害や臨時休校時においても自宅でオンラインによる学習が受けられるようになると聞いているが、自宅のネット環境が整っていないのでどうしたらいいか、そういうことの御相談が寄せられることがあります。 そもそも通信環境が未整備の地区もあると聞いておりますので、通信環境が整っていない家庭に対して、どのような対策を考えておられるのかをお尋ねします。 2点目の質問です。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、高等学校も休校になり、オンラインを活用した学習支援が進められるなど、教育環境も大きな変革を迎えております。 そのような中で、県立高校の志願状況を見ると、郡部の多くの学校で定員割れという、少子高齢化の影響が顕著になっております。 そこで、大胆な考えではありますが、これだけICTが普及し、充実しているのであれば、都市部の大規模校と郡部の県立高校とをオンラインで結んで遠隔授業を導入し、生徒の希望に応じた教育を可能にすることで、地元の県立高校を選択する子供が増えるのではないでしょうか。 遠隔授業に当たり、様々なハードルはあると思いますが、既成概念にとらわれない改革も必要ではないかと考えますので、この2点について、教育長の見解をお伺いいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、1点目の通信環境が整っていない家庭への対応についてお答えをします。 新型コロナウイルスや大規模災害等により学校が臨時休業を余儀なくされた場合においても、ICTの活用等によって、子供たちの学びを止めないことが重要であると認識しております。 現在、県内全ての市町村において、学校の臨時休業時の対応方針が整理されております。その中で、例えば通信環境が整っていない家庭に対しては、モバイルルーターの貸出しのほか、高速通信環境が整っている学校の空き教室や自宅近くの公民館等を活用した学習など、地域の実情を踏まえた取組が行われることとなっております。 また、県立学校においても、昨年度、モバイルルーターを約2,000台整備し、臨時休業時に迅速かつ的確に対応できるよう体制を整えております。 今後も引き続き、子供たちの学びの保障にしっかりと取り組んでまいります。 次に、2点目の遠隔授業についてお答えします。 県教育委員会では、今年度から3年間、文部科学省のCOREハイスクール・ネットワーク事業の指定を受け、郡部の県立高校と都市部の大規模高校との遠隔授業について、全国に先駆けて調査研究に取り組みます。 郡部の県立高校においては、特に、進学から就職まで進路希望が多様であることから、それに応じた教育に取り組む必要があります。しかし、学校の教職員数に限りがあり、生徒のニーズに応じた科目開設等が難しい場合もあります。 そこで、今年度中に、郡部の県立高校と都市部の大規模高校との間にネットワークを構築し、時間割や教材の共通化を図ります。そして、来年度からは、生徒の多様な進路希望に応じた科目について遠隔授業を開始します。 具体的には、第一高校と県立教育センターを主たる配信拠点とし、小国高校、牛深高校、球磨中央高校をオンラインで結び、年間を通して数学、地理、英語などの授業の配信を計画しております。 今後は、この事業のノウハウを生かして、他の県立高校においても県独自のネットワークの構築を図ることで、県立高校の教育活動のさらなる充実やより一層の魅力化につなげてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 明快な御答弁、ありがとうございました。 県内の全ての市町村及び県立学校においても、モバイルルーターの整備と臨時休業時の対応がきちんと図られているとのことであり、保護者の皆様も安心をされていると思います。 また、COREハイスクール・ネットワーク事業につきましては、初の試みであり、今後の高等学校の教育活動の充実と魅力化を醸成する非常に大事な取組でありますので、丁寧かつ円滑な推進により郡部と都市部の一体化が図られるよう期待をしております。よろしくお願いをしたいと思います。 最後の質問に移らせていただきます。 県営住宅の空き住戸の増加に伴う共益費の負担軽減についてであります。 本県の県営住宅は、昭和35年度から県営住宅条例に基づき運用され、多くの県民の皆様の住居として利用された歴史があり、県勢発展に大きく貢献してきていると認識をしております。 しかしながら、昭和から平成、令和と時代変遷の中で、住宅事情も変化の一途をたどっており、近年の県営住宅の空き室率は15%と、年々増加傾向にあると聞いております。 私が20代の頃の県営住宅や市町村営住宅は、常に多くの子供たちの声が響いていたと思います。昨今の少子高齢化の波は、子供たちの声まで少なくしてしまったのかと危惧するしかない状況であります。 私に、県営住宅の自治会長様から、悲鳴に近いお声が寄せられることがあります。入居者が減ってしまい、清掃活動や自治会役員をお願いしても、できる人がいないなどの問題が多いようです。 最も危惧される御相談は、約500世帯の県営住宅に400世帯程度しか入居していないため、共益費が赤字になり、電気料金も支払えない状況になっているということです。やむなく自治会長や会計の皆さんが負担し、急場をしのがれたそうですが、憂慮すべき時代であると思います。同様の声がほかの県営住宅からも寄せられております。 共益費については、県営住宅条例に基づき入居者が費用負担しなければならないものでありますが、空き住戸の増加に起因する共益費の負担増加については、県としても何らかの対策が必要かと思われます。 そこで、空き住戸の解消も含め、共益費の負担軽減のための取組として、土木部長にお尋ねをします。  〔土木部長村上義幸君登壇〕 ◎土木部長(村上義幸君) 県営住宅の空き住戸の増加に伴う共益費の負担軽減についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、県営住宅の空き住戸は、近年少しずつ増加している状況です。 このため、県では、居住性を高めるための改善工事やニーズの高い単身者向け住戸の入居基準の緩和など、空き住戸を減らす取組を行っています。 これらの取組により、1世帯当たりの共益費の負担軽減にもつながるものと考えております。 また、共用部分の照明設備について、消費電力の少ないLED化工事を進めるとともに、植栽管理につきましては、入居者の作業に危険を伴う場合、県で剪定を行うなど、柔軟に対応しています。 これらについても、共益費の負担軽減に一定の効果が期待できるものと考えております。 今後とも、県営住宅における安全、安心な住環境の確保に努めてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 県営住宅の入居基準の見直しを行っていただけるとの前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。 入居者減少対策といたしまして、ぜひ効果が出るように推進をお願いしたいと思います。 共用部分における照明のLED化工事につきましては、即効性が求められますので、計画的に迅速な対応をお願いしたいと思います。 以上、今回私が準備いたしました質問は終了となります。勉強不足や知識不足でお聞き苦しい点もあったかと思いますが、皆様、御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山口裕君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明19日及び20日は、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る21日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時12分散会...