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03月08日-05号

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  1. 熊本県議会 2021-03-08
    03月08日-05号


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    最終取得日: 2023-05-26
    令和3年 2月 定例会               第 5 号               (3月8日)  令和3年   熊本県議会2月定例会会議録     第5号令和3年3月8日(月曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  令和3年3月8日(月曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            前 田 憲 秀 君            濱 田 大 造 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工労働部長 藤 井 一 恵 君     観光戦略部長 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   上 野 晋 也 君     会計管理者  本 田 充 郎 君     企業局長   藤 本 正 浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  岸 田 憲 夫 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○副議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○副議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、5日に引き続き一般質問を行います。 濱田大造君。  〔濱田大造君登壇〕(拍手) ◆(濱田大造君) 皆さん、おはようございます。立憲民主党立憲民主連合の濱田大造でございます。熊本市第一選挙区選出でございます。今回で今期4回目の質問となります。通算で16回目の登壇となります。一生懸命頑張りますので、最後まで御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 昨日、新阿蘇大橋が開通いたしました。5年前、御承知のとおり熊本地震を私たちは経験しまして、私は、当時2期目の議員でしたが、多くの議員の皆様と一緒に現場を見に行ったことを昨日のことのように思い出します。ああ、あれから5年たったんだなというふうに思いまして、本当に開通をうれしく思いました。まだまだ復興は道半ばでございますが、微力ではございますが、これからも頑張ってまいりたいと思います。個人的にはちょっと予定しなかったことになりまして、あといっとき県議会で頑張りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 それでは、質問に入ります。 流水型ダムの建設及び流域治水の取組について質問いたします。 昨年11月、蒲島知事は、これまでの方針を転換し、川辺川での流水型ダムの建設を国に求めることを決断し、表明されました。 では、立憲民主党の党としての立場はどうであるかというなら、蒲島知事の決断を重く受け止め、尊重するというものです。そして、今後の推移を注視していくというものでした。これは党本部の見解です。私は、個人的にも蒲島知事の苦渋の決断は理解しているつもりです。 その後、治水対策の在り方が見直され、12年間実現できなかった幾つかの治水対策が進もうとしています。 1月の第3回球磨川流域治水協議会終了後の記者会見で、蒲島知事は、記者から、なぜ治水対策が10年間進んでいなかったのかとの質問を受け、それに対し、人間のさがかもしれないという趣旨の発言をされていました。 私は、そのニュースをテレビで見ていたのですが、正直、ずっこけそうになりました。当事者である知事が、12年間治水対策全般が思うように進まなかった理由を、人間のさがに求めてはならないと考えたからです。12年間治水対策が進まなかったのには、それなりの理由があったはずです。意図的に進めなかったのか、職員の怠慢か、もっとほかに何かしらの根本的な原因があったはずなのです。人間のさがの問題ではないはずです。 では、質問に移ります。蒲島知事に質問します。 川辺川ダムの白紙撤回以降12年間、治水対策が思うように進まなかったのはなぜなのか、また、今後、流水型ダムが完成するまでの期間、流域治水は、どのような方針の下進めていくのか、その間、流域住民の安全はどう確保していくのか、その意気込みも込めて質問いたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 川辺川ダム計画の白紙撤回以降の治水対策及び流域治水の取組についてお答えします。 平成20年の白紙撤回以降、国、県及び流域市町村において、ダムによらない治水を検討する場及びその後の球磨川治水対策協議会において、ダムによらない治水を極限まで追求してまいりました。 このうち、球磨川治水対策協議会では、新設のダム以外の方法で、引き堤、河道掘削、堤防かさ上げ、遊水地、放水路、市房ダム再開発などを組み合わせた10案の検討を進めました。 この10案は、当時、戦後最大の被害をもたらした昭和40年7月洪水に対応できる治水安全度を目標とし、国、県及び流域市町村で共通認識を得ることを目指しました。 しかし、各案について、事業費が2,800億円から1兆2,000億円、工期が30年から50年以上かかること、また、例えば引き堤案は、人吉市の中心部の大規模な移転を伴うこと、放水路案は、河川、海域の環境への影響や下流の水位上昇などについて懸念が示されました。そのため、共通認識を得ることはできませんでした。 一方で、この間、検討を行う中にあっても、ダムによらない治水を検討する場で積み上げた対策のうち、地域の理解が得られた堤防補強や河道掘削、宅地かさ上げなど、実施可能なものについては、着実に実施してきました。 また、今回の洪水では、市房ダムの有効活用として、事前の予備放流を実施し、異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流を回避できたほか、県の基金を活用して整備された緊急用ヘリコプター離着陸場が孤立した住民の方々の救助活動に活用された事例などもあります。 このように、平成20年以降の12年間で実施したハード、ソフト対策は、今回の洪水で全ての被害を防ぐことはできませんでしたが、水位低減や住民の避難などに一定の効果があったものと考えています。 しかし、そうした中で、これまでの想定をはるかに超える豪雨により、未曽有の洪水被害が発生しました。 私は、当時、このような洪水被害が起こることを現実のものとして捉え切れていなかったのではないかと、そのように思いました。本当の意味での危機に遭ったときとそれ以前との違い、それをいかんともし難い人間のさがかもしれないと会見で表現したものです。 今回の豪雨災害を経験した今、私は、このような甚大な被害を二度と生じさせないという強い覚悟の下、命と環境の両立を目指し、新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水の実現に不退転の決意で取り組んでまいります。 1月に公表した球磨川水系緊急治水対策プロジェクトでは、令和11年度までの10年間で早急に取り組む対策を取りまとめました。 具体的には、河川区域での対策として、今年の出水期までに、可能な限りの堆積土砂の撤去や堤防決壊箇所の復旧を実施します。 次の段階として、上下流バランスや環境などに配慮の上、河道掘削を最大限実施するとともに、地元住民の皆様の御理解、御協力をいただきながら調整を進め、宅地かさ上げなどを完了させます。 そして、令和11年度までに、河道拡幅や堤防整備、遊水地などを完了させるとともに、この間を通じて、流水型ダムや市房ダム再開発の進捗を図ってまいります。 また、集水域での対策として、田んぼダムについて、来年度から実証実験に着手し、効果の検証を行った上で普及拡大を図ります。あわせて、保水力の維持向上に向けた森林の整備、保全、土砂や流木の流出抑制に向けた砂防・治山対策などにも計画的に取り組みます。 さらに、この間は、氾濫域での対策として、特に流域住民の皆様の命を守るためのソフト対策が重要となります。 そのため、防災行政無線などの戸別受信機の設置や河川監視カメラ、水位計の増設などの情報伝達機能の強化を図ります。また、最大規模の洪水に対応したハザードマップの作成、周知、避難行動要支援者の個別計画の策定など、避難体制の強化を図ってまいります。 このように、国、流域市町村、また、流域住民の皆様と連携して、これらの対策に早急に取り組むことで、流域住民の皆様の安全を確保してまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 川辺川ダムの議論が始まって、既に60年以上の時間が経過しています。ダム問題は、流域住民の皆様の生命と財産に直結する問題です。流水型ダムを含む今回の知事の判断が最終的な解決策につながるようにバックアップしてまいりたいと考えております。 次の質問に進みます。 県庁におけるテレワーク推進について質問いたします。 新型コロナウイルスは、人々の生活を根本から変えてしまったと言えます。日本で最初に感染者が確認されたのが、昨年の1月15日でした。それから1年以上たちましたが、収束の兆しはまだ見えていません。 菅総理大臣は、1月7日、11都府県を対象とする緊急事態宣言を発出しました。その際、菅総理は、テレワークの導入による出勤者の7割減を呼びかけました。 感染拡大を防ぐ最も有効な手だては、直接人と会わないことです。よって、テレワーク、つまり在宅勤務が奨励されたわけです。 本県でも、県独自の緊急事態宣言が行われています。新型コロナウイルス発生以降の本県における在宅勤務の動きを振り返ってみます。 まず、本県では、昨年2月28日に、新型コロナの影響を受けて、在宅勤務制度が導入されています。その後、4月8日に、県では、職員密度の3割から4割の低減を目標に在宅勤務が実施され、4月21日には、出勤者の4割低減を目標とする在宅勤務に切り替わっています。 第1回目の緊急事態宣言が終了した5月14日には、業務の状況などに応じて、可能な範囲で在宅勤務を実施するという方針に改まっています。そして、10月1日には、リモート通信ツールが導入され、同時に、恒常的な在宅勤務制度導入に向けた取組が開始されています。 年が替わり、県独自の緊急事態宣言が出された1月14日には、県民との面談や窓口対応、現場での作業などの業務が主である職員を除いた出勤者の5割低減を目標に在宅勤務が実施されました。 現在、県庁職員は約4,200人います。窓口対応などの一部は除かれたとしても、多くの職員が在宅勤務に切り替わったということです。 多くの職員を対象とした在宅勤務は、ある意味ではかなりの影響をもたらすであろうことが考えられます。 まず、バスや市電などの利用者の減少が考えられます。県庁周辺の飲食店の売上げも減少するでしょうし、弁当の売上げも大幅に減ることが予測できます。 県庁は、県内最大の事業体と言えます。予算規模はもちろん県内最大で、職員の数も県内最大級と言えます。県内には様々な事業体がありますが、その象徴的存在とも言える県庁で在宅勤務が進むことは、民間も含めて全ての事業体に影響が出るであろうことは避けられないことを意味しています。また、在宅勤務における残業代や諸費用の発生など、労務管理に関する見直しもさらに進める必要があると考えられています。 そこで質問です。総務部長に質問します。 まず、コロナ対策として、出勤者の5割削減を目指した取組は、実際はどの程度まで実施できたのか、質問します。 次に、今後、コロナ対策にかかわらず、恒常的に在宅勤務が制度として定着していく中で、県経済や労務管理の在り方などへの影響も考えられますが、県としてどのように考えているのか、総務部長に質問いたします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 県におけるテレワーク、在宅勤務の取組についてお答えします。 県では、今年度、職場内及び通勤時の人との接触機会を減らし、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、在宅勤務を積極的に推進してまいりました。 本年1月の県独自の緊急事態宣言下では、出先機関等での県民への直接対応や現場対応、感染症対策などを行う職員を除けば、1日当たり約35%の職員が在宅勤務を行い、週休日の振替や休暇取得等も含めますと、約4割の出勤者削減を実現できたところでございます。 全国で進むテレワーク、在宅勤務の普及は、場所にとらわれない多様な働き方が可能となることで、UIJターンを含めた働き手の確保に資するものと考えております。 一方で、テレワーク、在宅勤務が普及していくことにより課題が生じる場合には、必要な対策を講じながら対処していくものと考えております。 県においても、今回のような感染症対策にかかわらず、恒常的な制度としての在宅勤務を2月に開始しております。 県では、各職場の組織としての対応力の確保を前提に、職員の働きやすさの向上を図っていくことを目的として、在宅勤務を進めています。 労務管理面では、長時間労働を招かないよう、在宅勤務では時間外勤務を命じないこととしております。 また、勤務状況の把握のため、事前に所属と予定する業務の確認を行うとともに、勤務開始・終了時の連絡や事後に業務報告を行うなど、よりよい手法を検討しながら取り組んでいるところでございます。 県といたしましては、引き続き、課題等を把握し、適宜制度の見直しを図りながら、在宅勤務の推進に取り組んでまいりたいと考えております。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 新型コロナウイルスは、結果としてテレワークを加速させました。仕事の在り方ががらっと変わった感があります。この流れは、さらに前に進むことはあれど、戻ることはないと考えられています。県庁の仕事の在り方が、時代の最先端であり続けるようお願い申し上げます。 次の質問に参ります。 県庁における押印廃止について質問いたします。 昨年9月に発足した菅政権は、政権の目玉政策として、デジタル庁の創設を掲げ、同時に押印廃止を掲げました。 内閣府が昨年12月18日にまとめた地方公共団体における押印見直しマニュアルには、以下のような記載があります。 「新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、また、デジタル時代を見据えたデジタルガバメント実現のためには、書面主義、押印原則、対面主義からの決別が喫緊の課題となっています。デジタルガバメントは国と地方が二人三脚で取組を進めることによって大きな効果を発揮しますが、特に、住民に身近で多くの手続の窓口となる地方公共団体が果たす役割は大きく、積極的な取組が期待されます。」とありました。 また、昨年の秋以降「「どうしても残さなければならない手続を除き、速やかに押印を見直す」という考えの下、押印の見直しを強力に推進した結果、民間から行政への手続の99.4%において廃止又は廃止の方向となり、特に認印については、全て廃止される見込み」となったとありました。 また、内閣府によれば「これまで押印見直しに取り組んだことのない地方公共団体においては国や先進地方公共団体の取組を参考に、」「更なる押印の見直しに取り組んでいただきたい」とありました。 そして「今我々がやろうとしていることは、デジタル技術を最大限活用することによって、省力化できることはAIやロボットに任せて省力化を進め、人が寄り添わなければいけないところに人が寄り添うことができるよう、人手を寄せていく、そういう人のぬくもりが感じられる行政とするための規制改革・行政改革で」あり「今般の押印の見直しは、押印をなくすこと自体が目的で」なく「行政手続における国民の負担を軽減し、国民の利便性を図ることが目的」だとありました。 とにかく、昨年の12月18日時点で、民間から行政への手続の99.4%において、押印は廃止または廃止の方向が決まり、特に認め印については、全て廃止される見込みとなったのです。 日本の押印、判こ文化は、日本に長く定着してきた日本独特の文化でした。しかし、テレワークの推進や行政手続のデジタル化の上では、大きな阻害要因とみなされてきました。 例えば、テレワーク、在宅勤務をしているのだが、押印が必要で、出社しなければならないといった問題点が指摘されてきたのです。押印廃止で、そういった問題点の多くが解消されていくことが期待されています。 そこで質問です。総務部長に質問いたします。 内閣府は、民間から行政への手続の99.4%において、押印廃止または廃止の方向が決まったとしていますが、現時点で、本県での押印廃止はどの程度進んでいるのか、お尋ねします。 また、県庁内部での手続においても、これまでは、課長印や部長印、知事の押印が必要とされてきましたが、それらの見直しはどの程度進んでいるのか、質問いたします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 県における押印廃止の取組状況についてお答えいたします。 県では、行政手続における住民負担を軽減し、利便性の向上を図るとともに、申請手続のオンライン化を推進するため、押印の見直しを進めております。 まず、個人や事業者等から県に提出いただく文書について、廃止可能な押印は令和2年度中に廃止するとの考えの下、全庁的な見直しを進めているところであります。 これによりまして、契約行為に係る押印を除き、県が県民等に押印を求めている申請手続など1,919手続のうち1,718手続、約9割につきまして、年度内に押印を廃止することとしております。 このうち4手続は、条例により押印を定めておりまして、押印を廃止する改正案を今定例会に提案させていただいております。 なお、今回押印を継続する201手続は、国の法令等を踏まえて押印を求めている手続でございます。これらにつきましては、国の見直し状況に応じまして廃止を検討してまいります。 次に、県の内部手続での押印の見直しにつきましては、文書管理システムによる電子決裁の活用を進めているところであります。 既に、県議会への議案の提出や旅行命令、休暇の承認など、電子決裁により運用している手続もありますが、添付書類が多い事業計画の決裁処理など、電子決裁が進んでいない事務処理も多く存在するところでございます。 そこで、令和3年度に文書管理システムを改修いたしまして、機能の向上を図りながら、電子決裁のさらなる拡大を進めたいと考えております。 引き続き、行政手続における住民の利便性向上、行政事務の効率化、迅速化に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 判こ文化には、連名で判こを押すことによって、連帯責任を負う、もしくは責任の所在を曖昧にするという日本独特の文化がありました。 しかし、このやり方では、組織決定まで時間がかかるなどのマイナス面も指摘されていました。ただ、じっくり皆で判断するということは、重要なことでもあり、マイナス面ばかりではないことが分かります。 今後、押印廃止によって様々な課題が見えてくることになろうかと思いますが、柔軟な対応をお願いいたします。 次の質問に参ります。 ONE PIECE熊本復興プロジェクトについて質問いたします。 コロナ禍で暗いニュースが多い中、本県には明るいニュースもあります。ONE PIECE熊本復興プロジェクトの取組は、まさに全国に誇る明るい話題だと思います。 御承知のとおり、世界的な人気漫画『ONE PIECE』は、本県出身の尾田栄一郎氏が描いた作品です。尾田様と集英社の御厚意によって、2018年11月末に、主人公のルフィ像が県庁プロムナードに設置されました。その後、麦わらの一味の仲間の像は、益城町ミナテラスにサンジ像、JR阿蘇駅前ウソップ像、熊本市動植物園にチョッパー像、御船町ふれあい広場にブルック像、高森駅前にフランキー像が設置されてきました。予定では、残り3体が順次設置され、最終的には9つの像が県内に設置される予定です。 現在までに6つの像が設置されていますが、昨年11月、本県では、ミッション名「ヒノ国を冒険せよ!」と題したデジタルスタンプラリーmawaru」が、昨年11月から先月末までの4か月間実施されました。参加方法は、観光周遊サイトmawaru」にアクセスし、麦わらの一味の像のスタンプを獲得するという方法です。 このデジタルスタンプラリーmawaru」では、期間中に1か所でもスポットを回った方には、スマートフォンにダウンロードして使える『ONE PIECE』のオリジナル待ち受け画像が全員にプレゼントされます。さらに、期間中に6か所全てのスポットを回った方の中から抽選で、500名様限定で、特別メダルがプレゼントされる仕組みになっています。また、これまで、ルフィ像、サンジ像、ウソップ像を紹介する記念カードの配布も行われています。 私は、2019年2月の定例県議会で、ルフィと仲間の像に関する一般質問を行っています。その質問では、スマホや最新のIT技術を活用した周遊方法を導入するように、執行部に政策提言しています。 当時の質問を引用します。 「アプリをダウンロードして、スマホを設置した像にかざすなら、何かしらのアイテムを手に入れることができる、そして全ての仲間の像をめぐり、アイテムを全て手に入れたら、ルフィから何かしらのメッセージが届く、オリジナルのグッズがもらえる、そんな楽しみ方があってもいい」のではないか。 その後、県は、一般質問で政策提言した内容とほぼ同じことを実行してくれたことになります。議員として、とてもうれしい限りです。 御承知のとおり、尾田栄一郎氏の描く『ONE PIECE』は、2015年には、最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズとして、ギネス世界記録に認定されています。海外での人気も高く、海外では、翻訳版が42以上の国と地域で販売されており、海外でのコミックス累計発行部数は、2020年4月時点で8,000万部を突破、全世界累計発行部数は、2021年2月の時点で4億8,000万部を突破しています。連載は続いており、今なおギネス記録を更新し続けています。 つまり、私たちが想像している以上に『ONE PIECE』は、本県に様々な恩恵をもたらしてくれる可能性を秘めていることが分かります。 そこで質問です。知事公室長に質問します。 ポストコロナを見据え、様々な施策展開が待たれますが、ONE PIECE熊本復興プロジェクトは、今後どのような展開を迎えるのでしょうか。デジタルスタンプラリーは、好評を得ていると聞いておりますが、実際はどうだったのか。また、成果や今後の課題、問題点をどう考えているのか。今後、世界に向けてどのような情報発信をし、そして誘客に結びつけていくのか、お尋ねいたします。  〔知事公室長白石伸一君登壇〕 ◎知事公室長(白石伸一君) ONE PIECE熊本復興プロジェクトでは、熊本地震からの復興を後押しするため、麦わらの一味の像9体の設置を進めています。 昨年11月のチョッパー、ブルック、フランキー像の除幕式では、新型コロナウイルス感染症への対応として、ユーチューブでライブ配信を行いました。全世界での再生数は27万回を超え、世界中の皆様に熊本の復興する姿を見ていただくとともに、熊本のPRにもつながったものと考えています。 熊本地震から5年となる今も温かい御支援を続けてくださる尾田さんや集英社の皆様に、改めてお礼を申し上げます。 議員お尋ねのデジタルスタンプラリーにつきましては、県の観光周遊サイトmawaru」と連携し、昨年11月から本年2月までの4か月間で1,600人を超える方々に参加していただきました。 新型コロナウイルスの影響もありましたが、1人当たり平均4か所を回られており、多くの方に楽しみながら周遊していただけたものと、一定の評価をしております。 また、昨年の尚絅大学の調査では、ルフィ像単体の経済効果が、1年間で約26億円と試算されています。来年度は、ゾロ、ナミ、ロビンの3体の像の設置を予定しており、ルフィ像を起点に仲間の像へと周遊が広がることで、その効果はさらに大きくなっていくものと期待しております。 一方で、像以外の観光地への誘客やポストコロナを見据えた国内外へのプロモーションが今後の課題だと考えております。 来年度は、麦わらの一味の像9体が全て完成します。SNSを活用して、世界への発信を強化するとともに、地域の伝統文化、芸能とのコラボレーションなど、新たな取組にもチャレンジし、従来のファン以外の層にもアプローチしてまいります。 引き続き、像設置の効果を点から線へ、線から面へと広げることで、この復興プロジェクトを熊本地震からの創造的復興と交流人口の拡大につなげてまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) もう本当に非常にうまくいってると思いますので、特に何もないです。頑張ってください。 次の質問に参ります。 子ども食堂の支援について質問いたします。 本県では、現在、県内に88か所の子ども食堂が確認されています。これは令和3年1月現在の数です。熊本市内に40か所、熊本市以外に48か所の計88か所です。 子ども食堂の数を県が最初に確認できたのが、3年前の平成29年8月でした。当時、熊本市内に16か所、市外に15か所の計31か所が確認されています。3年間で31か所から88か所に増えたことが分かります。 数が増えたことは、それだけ社会的なニーズが増えたことを意味しています。また、ここまで数が増えてきますと、NPOやボランティア団体の努力だけでは子ども食堂が維持できないことを意味しました。さらに、新型コロナの影響で、活動を休止せざるを得ない食堂も多く、運営は厳しさを増しています。 そこで、本県は、昨年から、子ども食堂活動緊急支援事業として、補助金の交付を開始しています。 その対象となる経費は、マスクや消毒液、手袋などの衛生用品代、パーティション、空気清浄機購入代、弁当、総菜などを配布する場合に必要となる容器代、野外活動に必要な備品購入費その他感染拡大防止に必要となる経費などでした。 補助額は、年4回から10回開催される子ども食堂は10万円、11回から20回が20万円、21回以上が30万円となっており、期間は、令和2年5月20日から令和3年3月31日までとなっています。 県の説明によれば、この事業は、株式会社再春館製薬所様からの寄附金を活用して実施されているとのことでした。 そこで、質問に入ります。健康福祉部長に質問します。 この事業は、県内企業からの寄附金で成り立っていますが、寄附金がなくなった場合どうなるのか、質問します。 子ども食堂のニーズは年々高まり、主催するNPOやボランティア団体からは、恒久的な県からの具体的な支援を要請されていますが、その対応策をどう考えているのか、お尋ねいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 子ども食堂は、NPO法人や任意団体、個人等、多様な実施主体により運営されており、困難を抱えた子供たちへの食事の提供はもとより、学習支援や居場所づくりなど、様々な活動に取り組まれています。 このような重要な役割を担っている子ども食堂の活動が、新型コロナウイルスの影響を受け、厳しい状況にあることから、議員御紹介のとおり、今年度の補正予算で、感染防止に必要な経費に対する助成事業を創設し、子ども食堂の活動を支援してきました。 これまでに41か所の子ども食堂に助成を行いましたが、新型コロナウイルスの影響は今後も続くものと考えられることから、国の地方創生臨時交付金を活用して、来年度も助成事業を継続することとし、2月補正予算において御承認いただいたところです。 さらに、子ども食堂からの御意見を踏まえ、来年度からの新たな取組として、子ども食堂の新規立ち上げや運営をサポートするコーディネーターを配置し、各食堂の実情に応じたきめ細かな支援や助言を行うための予算を今定例会に提案しております。 今後とも、県内各地に子ども食堂の活動が広がるよう、関係団体や市町村等と連携しながら支援してまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 子ども食堂の数は、僅か3年で31か所から88か所に増えました。驚きの増加率です。政治には、子ども食堂がなくても生活できる社会をつくっていくことが求められていますが、残念ながら、子ども食堂は増え続けています。県には、NPOやボランティア団体の皆様と連携し、子ども食堂の負担部分を少しでも軽減できるような行政支援をお願いいたします。 次の質問に入ります。 中小企業の事業承継について質問いたします。 高齢化に伴い、中小企業の後継者不足問題が深刻化しています。経済産業省によりますと、現状のままだと、2025年までに、日本企業全体の3分の1に当たる127万人の経営者が70歳以上かつ後継者未定となることが予測されています。また、後継者が見つからず、廃業が増加した場合には、多くの雇用やGDPが失われるとの試算も出されています。 独立行政法人中小企業基盤整備機構による2019年度に認定支援機関等が実施した事業引継ぎ支援事業に関する事業評価報告書によると、19年度、事業承継の相談は、全国で1万1,514件寄せられ、結果、事業承継まで至った成約件数は、1,176件で、その事業承継された企業で働く従業員数は、合計1万835人でした。 本県では、19年度に161件の相談が寄せられ、結果、事業承継まで至った成約件数は、16件、その企業で働く従業員数は、計131人という結果でした。 相談件数のうち、結果的に成約まで至るのは、全国、熊本県でも約10%という結果でした。残りの約90%は不成立となりますので、いかに事業承継が難しいかが見えてきます。 ちなみに、2020年版の中小企業白書によりますと、2019年に休廃業、解散した企業のうち、黒字企業の割合は、61.4%に上っていました。中小零細企業の場合、黒字であっても後継者が見つからないケースが多いことが分かるのです。 今回、事業承継の質問をしようと考えたのは、私自身が事業承継を経験し、その難しさを体験したからです。 現在、私は、2つの会社を経営していますが、そのうちの1つは、事業承継した会社です。その会社では、グループホームと小規模多機能、そしてデイサービスの3つの介護事業を行っています。従業員数は約30人、約20年の歴史がある会社ですが、後継者問題が長年の課題となっていた会社でした。 私の場合、事業承継の話が持ち上がってから、事業承継が完了するまで、実に約2年半の時間がかかりました。小さな会社ですが、事業承継には、それなりの手間や時間がかかったという印象です。 自身の経験を通じて、事業承継には、大きく分けて4つのパターンがあることが分かりました。会社の規模に関係なく、4つのパターンに分類できます。 1つ目は、銀行主導の事業承継、2つ目は、コンサルタント主導の事業承継、3つ目は、仲介業者を介さない売手と買手との直接的な事業承継、4つ目は、県や市町村などの行政が主導する事業承継、以上の4つのパターンです。 銀行やコンサルタント主導の事業承継は、一見うまくいきそうですが、実際は手数料が高く、なかなか思ったほど進んでいないのが現状のようです。これは考えてみれば当たり前のことです。 例えば、年商5,000万円の会社があるとします。従業員数は10人、年間の黒字額は200万から300万円、会社の借入金は5,000万円、そんな会社を事業承継する場合、その買手には、それなりの金額が必要になります。もちろん、事業承継者は会社の借金も背負うことになります。仲介業者を通すなら、売手も買手も双方が、銀行やコンサルに予想以上の手数料を支払うことになります。会社の規模に比較して手数料が割高になるなら、買手である事業承継を考えていた人は、やっぱりやめておこうとの結論に達し、売手である企業のオーナーは、やっぱり廃業して清算した方がよいかとなるのだと思います。結果として、なかなか事業承継が進まないという現実があるのだと思います。 3つ目の仲介業者を介さない直接的な事業承継は、売主と買主が直接出会い、かつ、諸条件が折り合わない限り、なかなかうまくいかないことが分かります。 そこで、今注目を集めているのが、行政が主導して事業承継するパターンです。 政府は、事業承継問題に本格的に取り組み始めています。中小企業庁は、2021年度の予算案として、中小企業再生支援・事業承継総合支援事業として、95億円の予算案を計上しています。 政府が考える事業承継総合支援事業の事業イメージは、以下のようになっています。 各都道府県に事業承継ワンストップ窓口を設け、地域の金融機関や商工団体などを通じ、事業承継や引継ぎ支援のニーズの掘り起こしを行い、後継者不在の中小企業の具体的な課題への相談対応に当たるとしています。 事業引継ぎ支援策としては、民間事業者などと連携した譲受け希望企業とのマッチング支援、後継者人材バンクを通じた創業希望者とのマッチング支援、さらには金融機関や仲介業者などへの橋渡し役や、専門家派遣や経営資源引継ぎ支援などを掲げています。 そのほかにも、国が指定した業種の事業承継において、県が事業承継者として適当と認めた場合には、日本政策金融公庫から優先的に借り入れることができる制度などがあります。 私の場合、グループホームや小規模多機能の介護事業は、国が定める事業承継の業種に該当しませんでしたので、行政に頼ることはできませんでした。 では、質問に入ります。商工労働部長に質問します。 本県におきまして、中小企業や小規模事業者の事業承継問題は、喫緊の課題になりつつあります。現状、県は、どのような立場で、どのような取組を行っているのか、お尋ねします。また、これまで、県が主導の結果、事業承継はどのくらい進んでいるのか、また、今後の課題などに関してもお知らせください。  〔商工労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工労働部長(藤井一恵君) 経営者の高齢化が進み、事業所数の減少が続く中、事業承継問題は、早急に取り組まなければならない重要な課題であると認識しております。 事業承継は、経営方針等に関わることでもあり、経営者の思いを十分に酌み取り、その気持ちにしっかりと応えていく必要があります。 そのため、県では、経営者の方々に、自社の経営の現状と将来像を認識し、事業承継に円滑に取り組んでいただけるよう、国が設置した事業承継ネットワークと事業引継ぎ支援センターを最大限に活用した取組を進めています。 具体的には、商工団体、金融機関、産業支援機関など、県を含む33の機関で構成される熊本県事業承継ネットワークにおいて、60歳以上の高齢の経営者を中心に、事業承継診断を行ってきました。 その中で、後継者が既に決まっている場合には、後継者育成塾等に参加していただき、意識改革や経営に関するスキルアップに向けた支援を行います。また、その一方で、後継者不在の場合には、事業引継ぎ支援センターにつなぎ、意欲ある方とのマッチング支援等を進めているところです。 こうした取組により、4年間で1万件を超える事業承継診断を実施し、相談対応等の個別支援を行った件数は、延べ1,000件を超えています。 特に、後継者が不在の場合、事業の引継ぎ先を様々な可能性の中から見つけていくことが必要になります。このため、地域おこし協力隊の方々に任期後の選択肢の一つとして考えていただけるようなセミナーの開催や創業希望者の中からマッチング先を見つけ出す取組も行っています。 これまで、後継者育成塾等の参加者からは、気軽に相談できる機関があってよかった、助言をいただき、大変参考になったなどの声も寄せられています。 この4月からは、事業承継ネットワークと事業引継ぎセンターが統合され、事業承継の支援体制が強化されます。 今定例会には、事業承継に係る支援体制や制度等をより一層事業者の方々に活用していただけるよう、その広報、周知に重点を置いた予算を提案しております。 今後とも、経営者の方々のそれぞれの状況に応じ、円滑な事業承継につなげられるよう、関係機関等とさらに連携を深めながら、全力でサポートしてまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 県行政が事業承継の様々な取組を始めたことは、まだほとんど知られるに至っていません。高齢化に伴い、事業承継問題は、さらに注目されることになろうかと思います。さらなる取組、広報に期待します。よろしくお願いします。 最後の質問に参ります。 起業家支援について質問いたします。 県内で雇用先を創出する方法は、基本的に3つしかありません。1つ目は、既存の県内企業の売上げが増え、雇用者の数が増える方法、2つ目は、企業誘致、つまり県外資本を県内に呼び込む方法、3つ目が、起業、つまり会社を起こす方法です。 今回の質問では、3つ目の起業について質問します。 現在、本県では、新規起業者を支援する様々な取組が行われています。 具体的な事例を挙げるとするなら、共同創業者創出支援事業や熊本県スタートアップ支援補助金や熊本県起業化支援センターの取組などがあります。 共同創業者創出支援事業では、起業家、経営者、研究者、技術者、学生など、県内外の人材同士をSNSやイベントなどを通じて結びつけ、コミュニティー形成の場をつくることにより、自発的にビジネス及び共同創業者が生まれる土壌を構築することを目的としています。 熊本県スタートアップ支援補助金では、県内における起業のさらなる促進に向けて、財務体質が弱くなりがちな創業初期向けの支援策を講じ、起業事例のモデルケースを創出することを目的としています。 また、このスタートアップ支援補助金は、技術、サービスに高い将来性が見込める創業期の企業に対する補助という側面があります。ただし、補助対象事業は、商品開発、サービス向上または販路開拓のための取組が対象であり、補助率は2分の1以内で、補助限度額は100万円で、採択テーマ数は3件程度でした。募集期間は、昨年の5月13日から6月22日となっていました。 県では、新たな産業を創出する循環型の仕組みづくりを目指しています。県の説明資料によれば、革新的事業を生み出すためには、単なる創業支援の仕組みだけではなく、継続的なイノベーションの創出も必要、地場企業の新事業やベンチャー企業に対して、段階に応じた成長支援を行っていく、それによって成長した企業は、情報及び資金提供やオープンイノベーションによる連携を通じて、その成果を新たな産業創出に還元する、また、イノベーションスクールなどの既存事業や支援機関などの支援策のシームレスな連携を目指すとともに、令和2年度は、新規事業としてコワーキング施設と連携した創業支援を行い、継続的な新産業創出を目指すとありました。 最後に、熊本県起業化支援センターについてです。 この一般財団法人熊本県起業化支援センターは、新規起業者や新分野進出企業を支援することにより、長期的視点に立って熊本県勢の発展を支えていく新しい産業・企業を起こし、もって県内の雇用の確保と県民所得の向上を図ることを目的として設立されています。また、このセンターでは、資金面の起業化支援事業や資金面以外のコンサル業務、起業化の推進に関する調査研究などを行っています。 このように、起業家を支援する様々な取組が行われていることが理解できます。 ただし、ここで忘れてはならないことは、本県に限らず、どこの都道府県でも、恐らく同じような考えの下、同じような起業家支援策が打たれているということです。そして、厳しい見方になるかもしれませんが、概して目をみはるような結果が出ていないということなんだろうと思います。 今、日本は、先進国中、起業率、開業率が最も低い国になっています。日本の開業率は、過去20年間、毎年約4~5%で推移し、G7の中では、最も低くなっています。アメリカの開業率は、約10%で推移し、英国、フランスは、14~15%前後の開業率で推移しています。とにかく、日本だけが突出して開業率、起業率が低い状態が続いています。 ちなみに、日本の小学生に、将来なりたい職業はとアンケートしたら、どの職業が1位になるか御存じでしょうか。答えはユーチューバーなんだそうです。野球選手でもサッカー選手でもなく、第1位はユーチューバー。 しかし、そんな小学生も、大学生になると将来の夢が変わってきます。大学生の将来就きたい職業は何かといいますと、第1位が公務員なんだそうです。民間企業に就職しても、ノルマ、ノルマに追われ、挙げ句はリストラされる。リストラされず社内でやっと出世できたと思ったら、会社が吸収合併されてしまった。そんな話を聞くと、公務員志向の学生が増えるのは当然なのかもしれません。 日本で開業率が低い理由が何となく理解できるわけです。それでも、行政の仕事は続きます。起業家を呼び込み、育て、支援することが求められています。 そこで質問です。商工労働部長に質問します。 私は、熊本県独自の起業家支援策が必要だと考えています。 例えば、どんな業種でも構いませんが、IT関連の技術を使った起業家に補助金を出す。分野は、農業でも教育でも介護でも医療でも構いませんが、とにかくIT技術を活用したビジネスアイデアがあること。 補助金を出す条件は、シンプルにすることが必要です。そして、年間10社程度を目標に補助金を出す。補助金は500万円を上限にして、規模や条件に応じて支給。もちろん、予算が確保できれば、その上限金額も件数も増えて構いません。 こんな取組が10年続けば、最低でも100社のIT関連企業が本県に誕生し、集積することになります。そういった政策が打てないのか、質問します。 また、現在、本県は、様々な起業家支援策を行っていますが、その成果と課題がありましたらお知らせください。また、今後行っていく取組などがありましたらお知らせください。  〔商工労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工労働部長(藤井一恵君) 県では、これまで、起業から成長に至る様々なフェーズで起業家支援を行っております。 その中でも、熊本県独自の起業家支援策として、平成28年度に、産学官連携による熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアムを設立し、ベンチャー等の取組を後押ししてきました。そのコンテストに参加した延べ150チームに対して、経営ノウハウの助言等、伴走支援をしてきた結果、約5年間で、11社の起業と約50名の雇用創出につながっています。その中の1社は、全国販売も始められ、株式上場を目指しておられます。 起業に当たっては、事業化までに期間を要し、多額の研究開発資金等が必要になることが最も大きな課題であったため、議員も御紹介されたスタートアップ支援補助金により、創業間もない企業等に対し、研究や開発支援等の幅広い支援を行っているほか、熊本県起業化支援センターによる出資も行っています。 加えて、起業家が研究者等の場合、経営面における課題解決が成長への鍵であり、今年度から、コワーキングスペースを活用し、起業家と県内外の経営者等との交流、コミュニティーを形成する取組を開始しております。こうしたことで、課題解決や新たなビジネスにつながる好循環を生み出していきたいと考えております。 県としては、新しい技術やシーズが生まれ、起業につながるUXプロジェクト等の取組を強化することとしており、これから様々な検討を進めてまいります。 引き続き、関係機関と連携を図りながら、ビジネスの成長段階に応じた起業家に寄り添った支援にしっかりと取り組んでまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 起業すれば、そこに仕事が生まれ、仕事は雇用を生み出します。新しいことにチャレンジする人が多くいるところには、活気が宿るものです。本県には、これからも起業家支援の最先端を行くような取組を大いに期待します。よろしくお願いします。 これで通告どおり全ての質問が終わりました。 本当に、特にこの5年間、いろんなことがありましたが、皆さんと一緒に仕事ができたことが本当にありがたいことです。まあいっとき頑張りますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩    ――――――○――――――  午前11時8分開議
    ○副議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 城戸淳君。  〔城戸淳君登壇〕(拍手) ◆(城戸淳君) おはようございます。無所属で玉名市選出・城戸淳でございます。今回2回目の質問となりました。どうぞよろしくお願いいたします。 冒頭に一言だけ御紹介させていただきます。 今、コロナウイルスの感染症が拡大して、もう1年になります。いまだに第3波の中にあり、なかなか収束の見通しもつかない状況の中で、実は、玉名地域に新たに熊本県北最大規模の基幹病院であるくまもと県北病院が新玉名駅北側に完成しました。 この病院は、公立玉名中央病院と地域保健医療センターの統合により、全国でも珍しい地方独立行政法人の病院でございます。2月14日には竣工式もあり、蒲島知事にも御挨拶をいただいたところでございます。また、開院は3月1日から始まり、外来診療ももう始まっております。この病院は、地域の安心と、そして信頼を提供する県北の中核病院として、非常に期待をされております。私も大いに期待するところでございます。 それでは、通告に従いまして質問に入りたいと思います。 最初に、蒲島知事4期目についてです。 知事は、見事再選され、4期目に突入して1年がたとうとしております。知事は、コロナ対応や7月豪雨の復旧、復興の先頭に立って、最善を尽くしておられます。私は、県としても大きな危機を迎えている中で、知事が懸命に民意を捉え、県民総幸福量の最大化に向けて努力されている姿に敬意を表すると同時に、通常とは言えない状況でも前を向いて闘う組織づくりに尽力されたからこそ、今の県政があると感じております。 その蒲島知事は、熊本地震からの創造的復興を完結させながら、コロナの対応をしっかりと進め、さらに7月豪雨の復旧・復興プランを着実に進めていかれると思います。この3つの危機に対応した先に何を目指していかれるのか、この4期目、蒲島県政にとって総仕上げとも言える期間、どういった熊本にしていきたいと思っているのか。 今定例会では、蒲島県政4期目における県政の進むべき方向性を示す新しいくまもと創造に向けた基本方針が提案されています。今後は、この基本方針に示された方向性に沿って県政を進めていかれると思いますが、特に、選挙戦中に示された「蒲島郁夫10の約束」の中でも掲げておられた「稼げる農林水産業を実現!」や「"観光くまもと"で世界とつながる!」についてお尋ねをしたいと思います。 まずは、農林水産業に関しては、スマート農林水産業の導入の加速化、新規就農者数日本一と外国人労働者に日本一選ばれる農業県を実現などと示されています。私も、今年度は、コロナのことを含めて、地元の農家の方々から、将来を不安視する声を聴く機会がございました。具体的に、どういった政策を進めて稼げる農林水産業を実現する考えなのか、知事の農林水産業にかける思いも含め、取組をお聞かせください。 また、観光面では、熊本ゆかりの漫画・アニメコンテンツの発信を強化することで、誘客回復を促進、世界遺産やユネスコ無形文化遺産、日本遺産を活用した誘客を推進などとあります。荒玉地域にも、世界遺産の万田坑、菊池川流域日本遺産がありますが、蒲島知事の思い描く観光戦略とはどういったイメージなのか、今期必ず取り組む事業や施策などがあればお聞かせください。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 現在、本県は、熊本地震、新型コロナウイルス、令和2年7月豪雨災害という3つの大きな困難に直面しています。私は、この困難を克服し、明るい未来へとつなげていくことを蒲島県政4期目の最大の目標として、全力で取り組んでいます まず、農林水産業についてです。 私は、農業経験のある知事として、稼げる農林水産業の実現を目標に掲げ、くまもとの赤やくまモンを活用したブランド化、全国に先駆けた農地集積の促進などにより、価格、生産量、コスト、いわゆるPQCの最適化に一貫して取り組んできました。その結果、知事就任3期目までの間に、熊本県の生産農業所得は、大幅に増加しています。 4期目を迎え、稼げる農林水産業をさらに発展させ、魅力と活力ある持続可能な農山漁村づくりに取り組んでまいります。 まず、稼げる農林水産業を加速化するために、省力化、収量、品質の向上、技術の見える化を図るスマート農林水産業を推進します。 また、人口減少が進む中、新たな担い手の確保、育成がますます重要になってまいります。 そこで、研修制度をはじめ、学びの場の充実に加え、経営継承のためのマッチングなど、就業希望者への支援を強化してまいります。加えて、農業の重要な担い手である外国人の方々については、パートナーとして活躍できるよう、研修制度や生活環境の整備など、本県独自の取組を進めてまいりました。その結果、農業分野の特定技能外国人の数は全国3位と、選ばれる県になっております。 このような取組を積極的に進め、あらゆる人材を農林水産業を支える宝と捉えることで、担い手の確保、育成に努めてまいります。 また、県土の約7割を占める中山間地域をはじめ、持続可能な農山漁村づくりを進めることは、本県の均衡ある発展に不可欠であります。そのため、豊かな農林水産物や食文化などの多彩な魅力を磨き上げ、田園回帰の機運を追い風に、人の流れを呼び込んでまいります。 次に、観光についてです。 新型コロナウイルスにより、人々の行動様式や価値観は大きく変容しつつあります。ポストコロナ時代の観光に対応し、国内、そして世界から選ばれる熊本となるよう、他県に先駆けて新しい観光スタイルを確立させていきます。 そのため、市町村、観光事業者などとの連携体制やデジタル技術を活用したシステムの構築、自然志向、健康志向を捉えた新たな観光プログラムの開発を進めてまいります。 人口減少が進む中、地域社会の活力を維持していくためには、交流人口の拡大が不可欠です。そのためには、世界とつながりを強め、将来のインバウンド需要に備えることが必要です。さらに、国内外の熊本ファンを増やし、交流人口、関係人口を拡大させ、最終的には、様々なキャリアを持つ幅広い世代の方々の移住、定住につなげてまいります。 観光は、あらゆる分野に経済効果が及ぶ裾野の広い産業です。私は、観光産業を本県の基幹産業となるよう全力で取り組んでまいります。 これまで、蒲島県政は、様々な困難に遭遇しながらも、県民の総力を結集し、乗り越えてまいりました。これからも失敗を恐れずチャレンジすることで、目の前の大逆境を必ず克服し、県全体の地方創生を実現してまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 収益性の高い次世代型農林水産業の先進県を目指す、そして新しい観光スタイルを確立するという力強い答弁をいただきました。私は、1期目の新人ではございますが、蒲島知事となら、この最大の危機を好機として、熊本県の持続可能な発展を実現することができるのではないかと感じております。同じ県北出身でもありますので、本県の明るい未来を共に創造してまいりましょう。 それでは、次に参ります。 コロナ支援策の評価と今後の支援策についてです。 昨年は、コロナに始まり、コロナで終わったと言っても過言ではない1年になりました。熊本県内も、12月14日にレベル5に引き上げられ、GoTo事業が年末年始の期間中停止されるなど、回復の兆しを感じていた観光関係の業者にとっては、大きな衝撃が走りました。 年が明けても感染拡大に歯止めがかからず、1月8日に、1都3県に対して、緊急事態宣言が出され、1月14日には、福岡県を含む11都府県に範囲が拡大され、熊本県も同日より独自の緊急事態宣言を出すこととなり、熊本市を中心に医療機関が逼迫している状況が続きました。 その後、県民の御協力もあり、2月18日に、県独自の緊急事態宣言は解除することができました。しかし、政府は、1都3県に発令中の緊急事態宣言を3月21日まで延長することを決め、変異種の広がりに懸念が広がっています。 こうしたコロナの影響を受ける経済活動を回復させるために、国では、雇用調整助成金の特例措置が延長されました。国のコロナ支援策である持続化給付金や家賃支援給付金は、2月15日で申請期限を迎えました。 本県におきましても、休業要請協力金や事業継続支援金をはじめ、事業者への無利子無担保融資、生活困窮大学生等のための給付金、県民を対象とした宿泊助成キャンペーンや観光拠点支援など、各方面に対する政策を着実に実施してきたところだと思います。 その後、ワクチンの承認が進み、国内の接種が進みつつある状況にあり、第3波は収束傾向にありますが、今後もどのような形で感染が拡大するか、明確な見通しは立っておりません。 そこで質問いたします。 現在、県として、これまでの国の支援策の利用状況や効果についてどういった分析をしているのか、さらに、県独自の支援策の実施状況とその効果についてどう考えているのか、また、今後県として新たな支援策を実施する考えはあるのか、あるとすれば、今後どういった支援策を実施しようと考えているのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工労働部長(藤井一恵君) 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者への支援については、まずは事業継続と雇用確保に向けた支援が何よりも重要と考え、国に先駆けた県独自の資金繰り支援をはじめ、国の雇用調整助成金や各種給付金等の活用促進、各種助成事業の実施等により、パッケージで支援を行ってまいりました。 このうち、雇用調整助成金については、県としても、社会保険労務士などのアドバイザー派遣や奨励金の給付により利用を促進してきました。その結果、本県では、雇用保険未加入者への助成も含め、2月までに、延べ6,926社に対して、3万3,164件が支給されています。 国が2月時点で公表した解雇、雇い止めの見込数は、全国の9万185人に対して、県内は479人にとどまっており、熊本労働局も、人口や経済規模から見て、制度の活用による効果が出ているのではないかと分析しています。 また、県の制度融資では、2月末時点で2万1,149件、約2,958億円と過去最大の融資が実行されており、多くの事業者の方々の資金繰りを支えることはできていると考えております。 さらに、休業要請協力金等については、これまでに約6,400件を支給し、また、新しい生活様式に合わせた事業者の業態転換等補助金には100件を超える申請があり、53件の事業者が活用されました。 民間調査によると、新型コロナウイルス関連の倒産は、2月時点で、全国は1,107件、県内は15件となっているなど、リーマン・ショック時の状況と比較しても、企業の倒産件数は低い水準に抑えられていると分析されている状況です。 事業者の皆様には、国や県、市町村の支援制度を有効に活用いただいているものとは考えておりますが、商工会連合会の調査では、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化などに伴い、廃業を考える事業者が増えているとの結果も出ており、引き続き、状況を注視していく必要があります。 こうした状況を踏まえ、時短要請協力金に加え、事業者の事業継続、再開に向けて、甚大な影響を受けた事業者への一時金の創設、感染拡大防止対策の強化に取り組む事業者への支援、ニーズの高かった業態転換等補助金など、新たなパッケージ支援を行うこととしております。 事業者の皆様には、これらの支援制度を積極的に活用いただき、この難局を何とか乗り越えていただきたいと思います。 引き続き、経済界をはじめ関係者や現場の御意見を踏まえながら、県として、フェーズに応じた的確な支援に全力で取り組んでまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 今年度は、コロナ対応に加え、7月豪雨の復旧、復興が急がれる中、県の予算も通常の1.5倍以上になっており、県の財政状況を心配する声もあります。しかし、ここで社会経済活動を止めないことが私は重要であると考えます。執行に部におかれましては、こういった県民の前に進もうとする気持ちにしっかりと向き合っていただき、ふさわしい支援をちゅうちょなく行っていただきますようにお願い申し上げます。 それでは、続きまして、企業誘致について質問をいたします。 本県は、地場産業の育成はもちろんのこと、県外からの企業誘致に向けて、様々な取組を進めてきました。近年でいえば、県南のフードバレー構想は、県としても並々ならぬ力を注いだものと認識をしております。 日本立地センターが、2017年に、製造業と物流業の企業に対して行った新規事業所立地計画に関する動向調査においても、国内を強化すると答えた企業が6割を超えています。 さらに、コロナの影響で、生産拠点を国外から国内に移す企業もあります。マスク一つ取ってみても、生産を海外に頼ることは、国民の命と健康を守る上で、大きなリスクがあることが明らかになりました。 政府も、本社機能を東京から地方に移すことに対して支援する取組を行っており、平成30年度の税制改正において、東京から地方に本社機能などを移転した企業の税負担を軽減する措置を拡充しました。 また、大胆な優遇措置を行う自治体も見られます。長野県では、法人事業税を3年間95%、富山県、石川県では90%、群馬県や香川県では、初年度は50%の軽減措置を行っています。地方には、採用面での競合企業が東京に比べると少ないため、優秀な地元の人材を採用し、長く働いてもらいやすいというメリットもあるようです。 本社機能の移転までいかなくても、県内に新しい生産拠点が誘致されれば、たくさんの雇用が創出できるのみならず、自治体の税収も増え、結果として地域が活性化する効果も期待できます。 実際に進出を検討している企業もあると聞いております。本県における令和2年度の誘致件数は、先月までで、全体が30件、うち有明地区は2件となっております。コロナ禍の厳しい状況の中で、ターゲットを絞りながら取り組んでいる結果が現れていると感じます。 私は、企業を誘致しようとする際、最も大切なことは、進出しようとする地域に用地があるかどうかだと思います。市町村によっては、遊休地等の情報を収集し、企業側に紹介しているようなところもありますが、やはり工業団地を持っている市町村が有利と言えます。 しかしながら、工業団地整備には多額の費用がかかるため、市町村単位では独自に整備する財力がないという課題もあるかと思います。そのため、工業団地整備における県の役割は大きいと考えます。 実際に、本県では、平成6年に城南工業団地、平成9年にセミコンリサーチパーク、平成26年に菊池テクノパークと、工業団地の整備を着実に進められております。私は、こうした県の取組が経済の振興と雇用の創出に結びつくと思っております。 私の地元玉名市でも、市で整備するのではなく、民間での産業用地整備に対して、取付け道路や水道、排水設備等のインフラ整備に対して負担金を市が交付して、民間での産業用地整備を推進しております。近々整備が始まると聞いております。 そのような民間での産業用地整備への支援を県として実施することは、企業誘致を進める上で有効だと思いますが、県としてはどのように考えますか、お尋ねをいたします。 次に、企業誘致に欠かせないのが、企業側と県の職員との信頼関係だと考えます。 お隣の佐賀県では、関わっていた職員が人事異動で異動した後も、窓口として永続的に誘致企業のフォローアップをする誘致企業永続支援委員制度を設けて、企業側から高い評価を得ていると聞きました。 本県では、どのような体制で企業側に接しているのか、また、そのような企業誘致をフォローアップする制度を設ける考えはないのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工労働部長(藤井一恵君) まず、民間での工業団地の整備への支援についてお答えします。 工業団地は、水道などのインフラが整い、開発が容易であることなどから、企業のニーズも高く、自治体が誘致に取り組む上で重要な武器であります。 自治体が工業団地を整備する場合、多額の整備費用や長期間の進捗管理が必要となりますが、自らの産業政策やまちづくり計画等に沿った企業を呼び込むことができるなど、大きなメリットがあります。 一方、民間による工業団地の整備は、開発資金の確保に加え、民間のノウハウを活用した迅速な整備ができるなどの特徴があります。 ただ、多額な整備費用などもかかるため、議員御紹介の玉名市のような案件は、県内では初めてではないかと思います。そのため、県においても、計画当初から注目しており、市と情報を共有するとともに、庁内関係部署と連携して、必要な助言等を行ってまいりました。 県では、自治体と立地協定を締結して進出される企業に対して、企業立地促進補助金等による支援を実施しております。こうした制度を最大限に活用しながら、引き続き、市との連携強化と誘致活動への支援を行ってまいります。 次に、企業誘致のフォローアップについてですが、議員御指摘のとおり、企業と県職員との信頼関係の構築は、企業誘致にとって極めて重要なものであります。 本県では、佐賀県の手法とは異なりますが、立地企業ごとの担当者を決め、ワンストップできめ細やかな対応を実施しています。また、日頃から組織全体で企業ニーズにしっかりと対応しており、特に、担当者が交代する場合は、企業とのやり取りを含めた全てのデータを丁寧に引き継ぐなど、フォローアップ体制を強化しております。 その結果、企業の皆様からは、スピーディーな対応と職員の情熱を高く評価いただいています。 新たな企業進出の例を申し上げますと、昨年12月に立地協定を締結した株式会社湖池屋との最初の接触は、10年以上も前でございました。担当者は何人も交代しましたが、誘致のたすきをつなぎ、立地に結びつけることができました。 企業のフォローアップについては、各県で体制が異なりますが、今後も、本県の強みであるスピーディーな対応と職員の情熱という伝統を引き継ぎながら、選ばれる熊本を目指して全力で誘致活動を進めてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 答弁の中に、スピーディーな対応と職員の情熱を伝統として引き継ぐとのことでした。企業誘致のフォローアップはしっかりと行われているということで安心をいたしました。 企業誘致は、企業自体の努力もさることながら、自治体が戦略的に努力を重ねることを求められます。その自治体の資源や特徴を十分に考慮し、その企業との相乗効果を発揮するように、誘致企業のフェーズに合った支援を自治体が行うことで、その企業が地域に定着できるからです。その意味で、私は、県内の企業誘致を進める上で、民間の意欲をしっかりと支援することも大切な要素だと考えます。前例にとらわれないで、民間と行政が一体となって、この企業誘致のチャンスを逃がさないように、引き続き努力を重ねていただきたいと思います。 それでは、続きまして、次に移ります。 次は、映像等を活用した観光振興についてです。 昨年公開された「鬼滅の刃」が、興行収入で歴代の記録を更新し、注目を集めています。このコロナ禍の中で、兄弟愛や正義を貫く主人公らの姿に共感が集まっているようです。 「鬼滅の刃」は、漫画からアニメ化、そして映画化したものですが、漫画でストーリーを知っているファンを中心に、複数回も映画館に足を運ぶファンも多いようです。大きな画面で見る映像は、迫力と臨場感があり、テレビにはない魅力があります。私は、この映像の持つ力の大きさを強く感じております。 全国的に見ても、それぞれの地元を最大限に活用した映画作りが行われており、熊本でも地域に密着した映画作りが行われております。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、映画「光を走る人」のポスターです。 県北地域では、昨年から注目されている郷土の偉人、金栗四三先生の精神を取り入れた映画「光を走る人」の撮影が県内の数か所で行われ、間もなく完成とお聞きしております。玉名市のほうでは、スポーツイベントの企画やエンターテインメントなどのツールを活用し、大河ドラマを一過性で終わらせないよう取り組んでいると聞いております。 そこで質問いたします。 県として、地域経済の活性化につながるようなエンターテインメントの活用のお考えはあるのか。熊本には、どこにも負けない自然、史跡及び偉人など、様々な素材の宝庫であると思います。今後、それらの素材をフルに活用し、例えば、映画のロケ地などを熊本に誘致したり、動画の撮影を行うなど、何らかの支援や活用の計画的な戦略があるのか、観光戦略部長にお尋ねをいたします。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長(寺野愼吾君) 熊本が物語の舞台やロケ地となりました映画やドラマが公開されることで、非常に多くの方々に本県の魅力を印象づけることができます。 とりわけ、大ヒットした作品の場合、ファンの皆さんによる、いわゆる聖地巡礼によりまして、舞台となった地域への交流人口の継続的な増加と経済効果が期待されます。 そのため、平成24年に県観光連盟に設立されたくまもとフィルムコミッションを通じまして、これまで映画を中心にロケ地誘致を行ってまいりました。また、今年度、観光戦略部におきましても、漫画やアニメなどを専門的に扱う班を設置するなど、エンターテインメント産業への関わりをより強化したところでございます。 一方、国内には、150程度のフィルムコミッションが設立されており、地域間での誘致競争が激しさを増しております。また、新型コロナウイルスの影響により、映画ロケのニーズが大幅に減少しており、誘致の方向性について、より工夫を凝らす必要がございます。 そのため、観光戦略部では、映像などを活用した観光振興について、次の3つの方針の下、取組を進めてまいります。 1つ目は、映画などの誘致には、監督などとのつながりが最も重視されることから、過去に熊本でロケをされた監督や関係者の皆さんとのネットワークをフル活用してまいります。 例えば、ロケ候補地の穴場スポットや地域情報をメールなどで定期的に送るなど、日頃の関係性を大切にし、一件でも多くのロケ地誘致につなげてまいります。 2つ目は、映画やドラマだけでなく、テレビのコマーシャル、情報番組や若者向けのインターネット配信映像まで間口を広げ、熊本の露出が増えるよう取り組んでまいります。 そのため、映像制作会社からの問合せに効率的に対応できるよう、フィルムコミッションのホームページをリニューアルし、ロケ候補地だけでなく、本県のユニークな情報を併せて発信してまいります。 3つ目は、フィルムコミッションの活動に加え、地域ゆかりのアニメを活用した映像を県が新たに制作し、デジタルマーケティングの視点で配信することで、より効果的に本県の認知度向上を図ってまいります。 これら3つの取組により、熊本の魅力をより多くの人に届け、交流人口の拡大と地域の活性化へつなげてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) エンターテインメントに関しては、映画の撮影スポットを視聴者が訪れるということも期待されます。佐賀県では「Timeline」という映画がタイでヒットしたことをきっかけに、タイからの観光客が大幅に伸びたことが知られています。これは、ロケ地として佐賀県をPRしてきた粘り強い取組と佐賀空港に中国や韓国からのLCCが就航するようになったことなどが要因に挙げられております。 本県では、熊本地震からの復興に向け、地元出身の漫画家の協力を得ながら、アニメキャラクター像の設置なども着実に熊本のPRにつながってきていると思いますので、さらに熊本の魅力発信に向けた多角的な取組を期待したいと思います。 それでは、次に参ります。 農業用ため池及び田んぼダムについてです。 まずは、農業用ため池についてお尋ねします。 農業用のため池は、農業生産に不可欠な施設として、重要な役割を果たしていますが、江戸時代以前に造られた古い施設が多く、近年は、自然災害により被災する事例が全国で発生しています。 このようなことから、令和元年7月には、ため池の所有者や行政の役割分担を明確にし、ため池の適正な管理及び保全が行われる体制を整備する目的で、ため池管理保全法が施行されました。さらに、令和2年10月には、防災工事等を集中的かつ計画的に推進することを目的に、ため池工事特措法が施行されております。 県においては、県内に2,320か所あるため池のデータベース整備、決壊により人的被害を与えるおそれのあるため池873か所の指定、調査や防災工事を行っていくための推進計画の策定などを進めていると伺っております。法律に基づいてしっかり対応いただいているものと認識しております。 そのような中、昨年7月の豪雨では、私の地元である玉名でも、ため池の取水設備が破損して、貯水していた水の一部が流れ出すなどの被災があったと聞きました。 玉名地域には約700か所のため池がありますので、知り合いの、ため池を管理している農家の方から話を聞いたところ、豪雨や地震にも耐えられるきちんとしたため池なのだろうか、農家も高齢化が進んでおり、今後きちんと管理していけるのか不安であるとの心配の声が上がったとのことであります。 この話を聞き、私は、農家の減少や高齢化などにより、ため池を管理できる人が少なくなってきているのではないかと感じており、農家にとって大切なため池を今後とも適切に使えるように維持していくためには、県の支援が必要であると考えています。 そこで質問に入ります。 県では、調査や防災工事を計画的に行っていくための推進計画の策定が進められていますが、調査や防災工事にどのように取り組んでいかれるのか、また、9月定例会において、ため池の管理をサポートする体制の構築に取り組むとの答弁がありましたが、その取組状況はどうなっているのか、農林水産部長にお尋ねをします。 続けて、田んぼダムについてもお尋ねをしたいと思います。 令和2年7月豪雨の復興プランが、昨年11月に提示されました。県では、流域住民の意見を聴き取りながら、流水型ダムを含めた緑の流域治水に取り組む計画です。 現在検討中の緊急治水対策プロジェクトでは、ソフト面では、ハザードマップや避難計画の策定、関係機関が連携し、住民の避難行動につながるきめ細やかな情報提供、ハード面では、ダムのみに頼るのではなく、河道内の土砂掘削や護岸補修、堤防整備、宅地かさ上げなど、流域のあらゆる関係者が協働し、まちづくりと連携した総合的な対策が必要になると考えられます。 そんな中、年明けの報道で、田んぼダムという言葉を初めて耳にしました。これは、水田に降雨をためて洪水被害を軽減するという考え方のようですが、兵庫県や新潟県でも実用化されているとのことでした。もちろん、既に実用化されている方法とはいえ、本県で実用化しようと思えば、地形などの違いもあるかと思います。 今後、人吉・球磨地域において実験事業を行うとのことですが、その取組内容や人吉・球磨地域で今後どのように広めていくのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、1点目の農業用ため池についてお答えいたします。 ため池の調査につきましては、決壊により人的被害を与えるおそれのある防災重点農業用ため池873か所全てについて、その劣化状況調査を来年度から2年かけて行います。そのうち、防災活動拠点や緊急輸送路に被害が及ぶ可能性がある249か所につきましては、豪雨や地震など災害に対する耐久性調査も併せて実施いたします。 また、防災工事につきましては、劣化状況や耐久性の調査の結果とため池の貯水量や浸水想定区域内の住宅の数などから優先順位を決定し、対策を進めていくこととしております。 今後、市町村や地元の方々と協議を行い、推進計画に位置づけた上で、計画的に実施してまいります。 さらに、ため池の突発事故や豪雨による決壊を未然に防止するためには、堤体や取水施設の異常を速やかに把握し、適切な補修、補強を実施することが必要です。 このため、県では、地元の管理者からの問合せなどに専門スタッフが対応するサポートセンターを熊本県土地改良事業団体連合会に設置し、次の出水期までにスタートさせる予定としております。 サポートセンターでは、ため池に不具合が生じた場合の相談対応だけでなく、ため池ごとに日常点検のポイントを明確化し、管理者へ周知するとともに、現地での技術指導、点検や補修等の知識習得のための研修会の開催などに取り組みます。 また、劣化状況調査で変状が確認されたため池につきましては、定期的に現地パトロールを行い、変状の進行状況の観測と観測結果の蓄積も行います。 このように、ため池が決壊することがないよう、サポートセンターを軸といたしました管理者への支援を強化してまいります。 次に、2点目の田んぼダムの取組についてお答えいたします。 田んぼダムは、近年豪雨による洪水被害が多発する中、水田が有する貯水機能を高め、下流への流量を一時的に減少させる取組です。 その仕組みは、水田ごとに設置してある排水口に専用の堰板を設置することにより、豪雨時に一時的に雨水を水田の中にためるもので、人吉・球磨地域において、緑の流域治水の一環として取り組むことといたしました。 しかしながら、本県では初めての取組であり、本格導入に当たりましては、地形条件や作付状況など、地域の特性に応じた検討が必要なことから、まずは2年間の実証事業として取り組んでまいります。 この事業では、今回は、人吉・球磨地域の8市町村においてモデル地区を設定し、約270ヘクタールの水田において、雨水の貯留量や流出量等の検証、さらには水稲や葉たばこ等の作物への影響などについて、農家や専門家の協力を得ながら検証することとしております。 また、協力いただける農家の方々が安心して取り組むことができるよう、農業保険加入への一部助成や作物被害が生じた場合の補填についても用意しております。 さらに、地元の南稜高校生による堰板の試作品製作や子供たちによる田植や稲刈りなどの体験活動を通じ、世代を超え、地域に根差した取組となるよう進めてまいります。 県といたしましては、2年間の実証事業の成果をしっかり検証した上で、多くの農家の方々が安心して田んぼダムに取り組めるような制度を構築し、防災、減災に貢献できるよう、この取組を広げてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 7月豪雨の際、私の住む玉名市でも、幾つかのため池を視察いたしました。玉名市岱明町のため池では、水草がため池から水田に流れ出し、水路があふれて道路との境目が分からなくなり、子供を乗せた車が水没しそうになったという報告もありました。 農業用ため池については、来年度から2年間かけて、劣化状況の調査や耐久性調査を行うとのことでした。ぜひ丁寧な調査をお願いしたいと思います。 また、サポートセンターを設置するというのは必要なことだと思います。しっかりと機能できるように準備を進めていただきたいと思います。そして、県内自治体と連携しながら、ため池周辺の安全確保に努めていただきたいと思います。 田んぼダムについては、モデル地域を設定し、2年間の実験事業を取り組むとの答弁でした。私は、この田んぼダムは、水田の貯水機能を改めて見詰め直す機会になると思いますので、農家の方々が安心して取り組めるような制度の構築をお願いしたいと思います。 それでは、続きまして、次の質問に参ります。 有機農業の推進について質問をいたします。 今、日本の農林水産業は、大きな課題に直面しています。地球温暖化と気候変動による大規模自然災害が増える中、生産者の高齢化や減少が進み、生産基盤が脆弱になっていることが懸念されています。今後も安定して食料を供給するために、災害や温暖化に強い農林水産業、コロナ後の農林水産業の確立に向けた取組が求められています。 農林水産省は、こうした課題を解決するために、みどりの食料システム戦略の策定を進めており、日本の食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションによって実現するとし、今年5月までに戦略を策定する予定で、3月5日の中間取りまとめでは、2050年までに有機農業を全耕地面積の25%、100万ヘクタールに拡大するという数値目標を提示されました。 我が国は、平成18年に、有機農業の推進に関する法律、有機農業推進法が施行され、令和2年4月に、有機農業の推進に関する基本的な方針が改定されました。 国内の有機食品の需要は、2009年、1,300億円から2017年、1,850億円と拡大をしております。2030年には3,280億円になると見通しており、有機農業の取組面積も、2017年の2万3,500ヘクタールから、2030年までに6万3,000ヘクタールまで拡大させ、3万6,000人まで有機農業者を増やすことを目指しておられます。 本県は、全国に先駆けて、土づくりを基本に、化学肥料や農薬の使用を極力減らした循環保全型農業に取り組んできており、平成17年度から、本県の特性を生かした環境保全型農業への取組をくまもとグリーン農業として推進しております。そうした取組の効果もあって、本県は、全国に比べて有機農業面積も多く、有機農家も増えていると聞いています。 私も、荒尾市で、無肥料、無農薬で野菜作りに取り組む農家の話を直接聞く機会がありました。有機農業といっても、使用する資材や取組方など、農家ごとによって異なってくる関係で、出荷される農産物の品質や価格などにも大きな差が生じているとのことです。 その農園では、菊池川の河川敷の草や稲わら、キノコの菌床などを畑で発酵させて土づくりを行い、生産コストも抑えて野菜を生産しており、玉名市の幼稚園の給食や地元の福祉施設の昼食の食材として納品をしているとのことです。 ポイントは、微生物が活動しやすい環境を畑の中でつくることです。自然の森や林のように発酵型の土壌をつくることです。そこで出てくる二酸化炭素は光合成に使われるため、循環型の農法になっているのです。 地球温暖化の進行などを考えると、今後、あらゆる産業分野における地球規模での環境の持続性に配慮した取組が重要となってくる中にあって、農業分野における有機の取組は、環境への貢献度が高い取組であると考えています。 しかしながら、有機農業は、農薬を使用しない関係で、除草をはじめとした栽培管理に労力を要するといった生産上の苦労が多いことに加え、農家の多くが個人単位で活動されており、販路の開拓に困難な面があり、取り巻く環境は厳しく、県としてしっかりとした支援が必要ではないかと考えています。 そこで、質問をいたします。 有機農業の推進に当たり、県として何か課題があると考えているのか、また、今後どのように進めていくのかを農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 本県では、豊かな自然環境の下、多彩で魅力のある農産物が生産されております。平成27年度には、この農業の力で地下水と土を育むことを目的とした全国初となる条例を制定し、有機農業を含む環境に優しいくまもとグリーン農業の推進を図っております。 県内の有機農業の面積は、全国3位となる約1,300ヘクタールで、全国的な表彰事業におきましても、本県の有機農業者が上位に入賞するなど、有機農業の先進県として高い評価を得ております。 国におきましては、今後10年間で有機農作物の需要が1.8倍程度まで伸びると見込んでおり、本県におきましても、引き続きグリーン農業を推進する中で、有機農業の取組を進めていくこととしております。推進に当たりましては、生産と流通、消費の両面からの課題解決を図ってまいります。 まず、生産面では、有機農業の栽培技術が様々あることに加え、農業者は少数で点在しているため、技術の習得や販売情報を得る機会が少ないのが現状で、新規に参入を図る上でも定着までのハードルが高い状況にあります。 このため、新規参入者を含めた農業者が日々の農作業の中で感じる疑問などにベテランの有機農業者がオンライン上で助言を行うサポート体制等を整備し、技術力の向上や経営安定を図ることで、有機農業者の増加と生産拡大につなげてまいります。 次に、流通、消費面では、大都市でチェーン展開している有機食品専門店等で、今以上に安定的な供給を求める声がありますが、小ロットでの出荷が主体である本県では、このような需要への対応が難しくなっております。 このため、県内の流通業者と複数の生産者が連携し、生産物を集出荷できる新たな仕組みを構築することで、大都市への安定的かつ効率的な供給体制を整え、さらには販路開拓に向けた生産者と実需者のマッチングを実施することとしております。 現在、第3期となる熊本県有機農業推進計画の策定作業を進めているところであり、この中にこのような取組をしっかりと位置づけ、本県の有機農業を推進してまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 生産と流通、消費の両面の取組を答弁いただきました。特に流通、消費の面では、流通業者と複数の生産者が連携し、生産物を出荷できる新たな仕組みを構築するとのことです。期待したいと思います。 私は、既存の生産者が有機に転換するよりも、新規就農者が有機農業に取り組むのを支援するほうが現実的ではないかと考えています。答弁の中にも、オンライン上で助言を行うサポート体制を整備するとありましたが、ベテランの有機農業者の技術を新規就農者が習得できるよう、しっかりと支援をしていただきたいと思います。 また、試験的に、期間を決めて新規就農者の農産品を県が買い取るなど、いろんなアイデアを駆使し、有機農業の拡大を進めていただきたいと思います。 それでは、これから2つの要望をさせていただきます。 1つは、有機農業の関連で、オーガニック給食の導入についての要望をいたします。 私は、オーガニック給食が有機農業を拡大する大きな起点になるのではないかと考えます。給食は、食育の場として注目されており、本県では、地元産の食材を多く利用した給食が提供されていることをうれしく思っています。 千葉県いすみ市は、アカウミガメやゲンジボタルなど環境保護の意識が高い地域です。2017年10月から、市内の13全ての小中学校給食で食べる米を無農薬、無化学肥料の有機米にしました。約2,300人の給食ですから、年間42トンに上ります。 いすみ市は、2013年に有機米の生産を始め、3人の農家で0.24トンの収穫だったそうです。翌年、有機稲作の専門家の指導を受け、有機米作りに取り組む農家も増え、5年後に、農家は23人、面積は14ヘクタール、収穫量は50トンまで拡大をすることに成功しました。 現在も、給食の全てのお米を有機米にしたほか、ニンジンやタマネギ、ジャガイモなど7品目についても、有機野菜を給食で扱っているとのことです。この有機米は「いすみっこ」というブランドでJAが販売をしております。食育や地域の認知度向上など、幾つかの相乗効果が見られるようです。 こうした取組に倣い、給食のお米をオーガニックに切り替える事業に取り組んでいる自治体やオーガニック給食の日を定めている自治体も出てきています。 オーガニック給食という提案は、小中学校の場合、予算等の問題もクリアしなければなりませんが、実現すれば、給食を食べる子供たちにも、食と環境を考える効果があると考えられます。 日本では、自校式ではなく、センター式で提供されるところもありますので、課題もあるかと思います。その点では、保育園や幼稚園などのほうが取り組みやすいのかもしれません。 玉名市でオーガニック給食に取り組む幼稚園では、園児同士のけんかが減ったり、基礎体温が上がるなどの効果も出てきていると聞いております。 ぜひ、県としても、オーガニック給食の導入に向けて、積極的な取組を進めていただきますように要望をいたします。 最後に、県北地域における県営スポーツ施設の整備について要望をさせていただきます。 いよいよ今年、延期となっていた東京オリンピック・パラリンピックが開催予定となっております。 本県におきましても、スポーツイベントはたくさん行われ、2019年には、世界女子ハンドボール選手権大会やラグビーワールドカップなど国際規模の大会が開催され、大成功を収められたことは記憶に新しいところです。その運営に御尽力された関係者や執行部の皆様には、改めて敬意を表するところです。 恐らく、本県だけではなく、日本中においてスポーツに対する熱気が盛り上がっていたと推測されますが、昨年の新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くのスポーツイベントがやむなく中止となりました。 一方、段階的ではありますが、プロ野球観戦や劇場鑑賞などに対し、十分な感染予防対策を講じながら収容人数を増やす取組を進められ、安心、安全なスポーツイベントの開催ができるように試行されているようです。 コロナ禍による自粛生活が続く中、改めてスポーツやエンターテインメントの持つ人々に勇気や希望などの意義を実感された方も多かったと思います。 本県においても、ハンドボールやラグビーを筆頭に、スポーツ全体に関心が高まっていただけに、残念でなりません。我々としましても、せっかく盛り上がった機運を一過性のものとして終わりにすることなく、対策を整えるのが必要だと考えます。 具体的には、特に国際大会などの大規模な大会を誘致できるような国際基準に準じた施設整備などのハード面の強化、さらには県内外からの来熊者に対し、交通アクセスの整備などを行い、あわせて、熊本県民がワンチームとなり、大会を盛り上げ、運営することが必要だと思います。 現在の状況を考えますと、各競技やイベントに対する熱量の温度差、地域差があると思っています。県営の施設をとっても、それぞれの施設ごとに、一概に、均一に整備されている状況ではないと感じております。 そこで要望いたします。 現在の県全体の県営スポーツ施設の設置状況を見ると、県北地域はゼロとなっております。先般から検討されている藤崎台県営野球場や熊本武道館に関しては、熊本県と熊本市の検討委員会が開催されたと聞いております。藤崎台球場は、先般、城下先生が代表質問され、25年間使用できるとの答弁でしたが、本県のスポーツ振興と観光振興に向けて、県営の施設の整備は重要な課題だと考えます。 私は、県北地域は、県営スポーツ施設を整備する意義が大きな地域だと考えます。福岡県に隣接している荒尾市、新幹線駅のある玉名市、この荒玉地域に、アリーナや体育館または陸上競技場といった県営の施設が整備されれば、玉名市が進めている新玉名駅周辺整備の大きな目玉になるとも思います。 ぜひ、県内のバランスも十分に考慮しながら、県北地域におきましても、県営スポーツ施設の整備を進めていただくことを要望いたします。 準備した質問と要望は以上のようになります。 今年度は、様々な政治活動も制限されながら、私にとって、より地域の課題が浮き彫りになり、地元の切実な声を聞く機会が多かったように思います。これからも、そうした地域の声、県民の声にしっかりと向き合いながら、県政の発展に向けて情熱を注いでまいります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時7分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○議長(池田和貴君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 河津修司君。  〔河津修司君登壇〕(拍手) ◆(河津修司君) こんにちは。自由民主党・阿蘇郡区選出の河津修司でございます。本来なら昨年6月に質問する予定でしたが、新型コロナの影響で今日になりました。前回の質問から1年9か月の間隔が空いており、質問項目が多くなっております。おまけに、この1年間、コロナの影響で人前で話をしておりませんので、うまく話ができるか自信ありませんが、早速始めさせていただきます。 まず初めに、令和2年7月豪雨でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げます。また、被災された方々にお見舞いを申し上げます。被災地の一刻も早い復旧を願っております。 早速、質問1点目ですが、阿蘇の道路について質問いたします。 平成28年の熊本地震では、幹線道路が断絶され、阿蘇地域は陸の孤島と化しました。その際、国、県には、グリーンロードやミルクロードなど、県道、農道を整備して、遠回りながら阿蘇地域への道路を確保して、復旧、復興を推進していただきました。その懸命な作業により、発災から8か月後の12月には俵山トンネルが、翌年8月には長陽大橋が復旧し、そして昨年8月にJR豊肥本線、10月に国道57号北側復旧ルートと立野地区の現道部が開通しました。 さらに、昨日には、阿蘇の住民にとって待望の新阿蘇大橋が、予定より1年4か月も早く完成し、赤羽国交大臣をはじめ、知事、議長、県議の皆様方にも出席いただき、盛大に開通式が行われました。これもひとえに国並びに熊本県の御尽力によるものと、阿蘇郡を代表し、お礼を申し上げます。 おかげさまで、震災後5年をたたずに全ての阿蘇へのアクセスルートがより強靱化され、短時間にストレスなく通れるようになりました。南阿蘇地域にとっては、これからが観光や地域振興の復興本番になると期待しております。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 御覧のとおり、阿蘇地域の地形は、中央に阿蘇五岳が鎮座しておりまして、その周囲を外輪山が取り囲んでおります。このため、この地域の道路は、一部を除いて傾斜がきつく、狭隘なカーブの多い道となっており、住民は大変苦労している状況です。特に冬には、雪や凍結で危険な状況も多々発生しております。これらを解消して、安全に、確実に通行できることを住民は願っております。 そこで、まず1点目ですが、地図にある事業箇所のとおり、阿蘇の市町村が毎年要望を出している国道や県道をはじめ、住民が整備を切望している道路が多くあります。また、新阿蘇大橋の開通に間に合うようにと県に急いで進めていただいた東海大学の阿蘇キャンパス横を通る県道河陰阿蘇線の付け替え改良工事を含め、各路線の整備について、今後どのように進めていくかをお尋ねします。 次に、2点目は、広域的な幹線道路についてです。 将来、国道57号北側復旧ルートは、現在工事中の滝室坂トンネルと結ばれ、中九州横断道路の一部になるものと期待しているところです。早く阿蘇地域にこの九州の中央を東西に結ぶ重要路線が通ることを願っております。そうなれば、阿蘇地域が、この横断道路上のハブとしての役割を果たすことになります。 今後、阿蘇地域が九州全域の農業や観光の振興に重要な役割を果たすためには、県内の市町村や隣接する他県とスムーズにつながる道路整備が必要です。 東西に横断するそれぞれの中九州横断道路、国道57号、国道325号を補完する南北に縦断する道路が必要になると考えています。地域活性化を促すのは、それを支える道路や鉄道等のインフラ整備であり、この整備には長い時間が必要であります。熊本県と阿蘇地域の市町村、住民が一体となり、できれば今のうちから構想を練ることが必要と考えますが、県ではどのようにお考えでしょうか。 以上、阿蘇の地域内道路の整備の進め方とこの地域の広域的な幹線道路整備の考え方について、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) まず、1点目の阿蘇地域内の道路整備の進め方についてお答えをいたします。 昨日の新阿蘇大橋の開通により、熊本地震で傷ついた阿蘇地域にアクセスする国道及び県道の全てが復旧しました。今後、阿蘇地域の創造的復興を図るには、人や物の流れを阿蘇全体に波及させることが重要であると考えております。 この考えの下、引き続き、県道河陰阿蘇線のバイパスや現在整備中の滝室坂トンネル出入口と国道57号を結ぶ県道内牧坂梨線など新たな道路網の整備を図るとともに、地域の要望を踏まえた国道や県道の整備を推進してまいります。 次に、2点目の阿蘇地域における広域的な幹線道路の整備の考え方についてお答えをいたします。 現在整備が進む中九州横断道路は、熊本と大分両県を結び、広域的な交流を促進する九州の横軸です。平成24年の熊本広域大水害を契機として着手された滝室坂道路に加え、昨年度は竹田阿蘇道路が、今年度は大津熊本道路が事業化されるなど、大きく加速をしております。 県としましては、阿蘇地域の観光振興などによる活性化を図るには、この道路が一日も早くつながることが重要であると考えており、引き続き、地域の皆様と一体となって、早期の全線開通を国に働きかけてまいります。 また、議員御指摘のとおり、阿蘇地域における南北方向の道路整備は、九州の横軸の整備効果を高めるものと考えられます。このため、中九州横断道路の整備状況を踏まえながら、今後、阿蘇地域を縦断する道路に求められる機能や役割について検討をしてまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 前向きの答弁ありがとうございます。 南北に縦断する道路は、特に外輪山を通るところが難所で、例えば南阿蘇村から山都町に抜ける予定の県道矢部阿蘇公園線は、1982年、40年前に主要地方道に指定されておりますが、いまだにこの部分は未開通です。 また、国道212号線の外輪山部分の大観峰付近は、改良済みとはなっていますが、急カーブの連続で、特に冬は危険な状況です。地元では、ここにトンネルを通してほしいとの要望が強く出ております。高森町から阿蘇市の一の宮まで抜ける道も、要望を私も聞いております。 このように、阿蘇を縦断する道路整備は、地元住民からは切実な願いですから、一刻も早い整備を目指して頑張っていただくようお願いしておきます。 続きまして、2点目の阿蘇の農業、中山間地のスマート農業について質問します。 熊本地震の被害が大きかった阿蘇地域ですが、経営体育成支援事業や畜産クラスター事業で支援していただいたおかげで、阿蘇の農畜産業も復興が進んできました。県をはじめ、支援いただいた方々に感謝申し上げます。 さて、日本の農業の課題の一つとして、担い手の高齢化が急速に進み、労働力不足が深刻になっています。特に、中山間地でその傾向が強くなっています。私の住む阿蘇郡内の町村も同様であり、農地の草刈りや水路の維持管理にも苦労しています。中山間地は、のどかな田園風景が広がっているものの、その景観や集落を維持するのも大変だと感じています。 そこで、県も推進するスマート農業を条件不利の中山間地で生かしながら、農業や集落の維持を図るべきだと思います。 スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術、ICTを活用して、省力化、精密化や高品質生産を実現するなどを推進している新たな農業のことです。全国各地でもスマート農業を進めているようですが、各県の令和3年度予算を見ても、スマート農業推進費が計上されています。メーカーとタイアップして、自動運転トラクターやコンバイン、遠隔操作型の草刈り機、アシストスーツ、防除、追肥用のドローンなど、スマート農機の実演や操作体験などを行う研修会やスマート農機の貸出事業も行っているようです。 一方で、国では、先端技術を生産現場に導入し、技術面、経営面の効果を明らかにすることを目的に、スマート農業実証プロジェクト事業が展開されており、この事業に取り組む自治体もあります。必要なのは、導入を考えている農家や組織などが最適な技術を見定められるようにすることだと思います。 どんなに高性能で便利な技術でも、営農や経営や地域の実情に合わなければ、無駄な過剰投資になります。それを防ぎ、費用対効果の高い技術を導入できるよう、情報の収集や学習、体験などができて、指導助言も受けられる体制をJAやメーカーと連携してつくっていくべきだと思います。 また、農作物の病害虫の画像を人工知能、AIで解析し、すぐに何の病害虫か判定することもできるようになっていると聞いています。昨年、阿蘇地方では、数十年ぶりに1億円を超す甚大なウンカの被害が出ました。農家が油断したのかもしれませんが、例えば、ドローンを使い早期発見や防除ができていれば、被害を少なく抑えられたかもしれないと思っております。 このように、スマート農業技術を活用することにより、農作業の効率化や省力、軽労化をさらに進めることができるならば、新規就農者の確保や栽培技術の平準化等の効果が期待されます。 スマート農業は、日進月歩の段階であり、今後さらに発展していくと思われますが、阿蘇地域を含む中山間地で、どうスマート農業を進めていこうとしているのか、農林水産部長にお伺いします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) スマート農業といえば、大規模な営農のイメージが強く、水田区画が不整形で狭小である中山間地域では取り組めないのではないかとの声も聞かれます。 しかし、スマート農業技術の導入は、担い手不足や高齢化が顕著な中山間地域においても有効であると考えております。その導入に向けましては、費用対効果の検証も含め、研究、実証、普及を繰り返しながら、地域の実情に応じた機器や技術を選択できるよう取り組んでおります。 具体的には、収穫した野菜や果実などの重い荷物を運んだり荷下ろしする際、肩や足腰に常に大きな負担がかかります。この体への負担の軽減のために、近年、様々なタイプのアシストスーツが開発されております。平たん部に比べ作業条件が悪く、高齢化が進む中山間地域での導入も視野に入れ、作業動作や姿勢に応じた効果測定を農業研究センターにおいて取り組んでおります。 また、中山間地域に多く見られる傾斜地での除草作業は、身体的負担が大きく、夏場の作業においては、熱中症などの事故にもつながるおそれがあります。 このため、多くのリモコン式草刈り機を農家の方々の目で直接確認していただく実演会を開催し、実際の現場で利用できるかを判断いただくとともに、改善点についても意見を伺うこととしております。この農家の声を機械メーカーに伝え、より現場の実情に応じた商品作りにつなげてまいります。 さらには、病害虫防除で広く普及してきたドローンにつきましては、作物の生育診断や病害虫被害をいち早く発見するために活用され始めております。 今後、圃場の段差がある中山間地域でも効率的に活用できる技術を確立するとともに、中山間地域でドローンを操縦するオペレーターの育成にも力を入れてまいります。 県では、農家の皆様からの相談に対応するため、昨年度から各地域振興局に相談窓口を設置するなど、支援体制づくりも進めており、今後、中山間地域農業の維持発展につなげられるようなスマート農業技術の導入に取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 答弁ありがとうございました。 スマート農業で使う機械やドローンやシステムは、まだまだ高価であるし使いにくいようで、改良の余地があると思いますが、中山間地でも使える安価で実用的な機械やドローンが定着することを願っております。ドローンの操縦研修を開催する町もあります。市町村や農協などと協力して、今後進めていってほしいなと願っております。 次の質問に移らせていただきます。 阿蘇の観光について。 昨年4月、国から新型コロナウイルス感染症流行による緊急事態宣言が発出されました。私たちにとって初めての経験であり、感染者が急増し、社会全体に混乱が広がっております。特に、このコロナ禍で、全国の飲食業や観光関係者が苦境に立たされています。阿蘇地域も例外ではありません。 昨年の阿蘇地域への入り込み客数について、現時点では正確な数は分かりませんが、統計がある南小国町を例に取ってみますと、昨年3月まで、宿泊、日帰り合わせての入り込み客数は、毎月8~9万人でしたが、4月に入ってからは、4分の1の2万人前後と激減し、中でも宿泊者の減少が目立っております。国のGoToキャンペーンが始まってからは、前年並みかそれ以上の8~12万人に来ていただいておりましたが、通算では、前年比約60%の84万人にとどまっています。 そして、本年1月に第2回目の緊急事態宣言が発出されてからは、飲食店やホテル、旅館等観光事業者は、再度、いえ、それ以上に厳しい状況にさらされています。 南阿蘇地域の旅館関係者は、さきのGoToキャンペーンのときは、まだ旅館の建て替えが完成しておらず、お客様を迎えることがかなわず、キャンペーンの恩恵を受けることができませんでした。ですから、県の緊急事態宣言が解除されたこの時期に新阿蘇大橋が開通し、観光客の増加を大いに期待しているところです。 さて、県には、今まで様々な地震からの復旧、復興の取組をしていただきました。その一つとして、震災ミュージアムの中核拠点となる東海大学阿蘇キャンパス校舎と断層の保存工事もしていただき、地元住民の語り部が震災の記憶や教訓を伝えていただいて、来場者にも好評のようです。 また、新しい復興のシンボルとして、人気漫画『ONE PIECE』のキャラクターのうち、阿蘇地域には4体、設置または設置される予定になっていて、人気スポットになると期待しています。そして、昨日開通した新阿蘇大橋とそのたもとに立つ展望所、ヨ・ミュールからの眺望もすばらしいと評判です。 熊本地震以来、5年近く待ち続けた新阿蘇大橋の開通により、南阿蘇地域はもとより、他の阿蘇地域や県内はじめ、隣接する大分県や宮崎県の観光にも波及効果が大きいと思っております。 阿蘇は、熊本県だけではなく、九州全体の観光復興のシンボルになると信じています。阿蘇へのアクセスルートが大幅に改善された今、コロナ禍で難しい面もありますが、阿蘇観光を盛り上げるために、熊本県としてどう取り組むかをお聞きします。 もう一点は、今は、感染防止の見地から、密閉、密集、密接の3密の回避とソーシャルディスタンスが叫ばれ、非接触型社会への対応が求められています。 現在、企業では、自宅をオフィスとして使用するテレワークが浸透しています。一歩進んで、テレワークを環境のよい温泉地などで行うワーケーション、いわゆるリゾートテレワークも模索されています。これからは、観光地においても、非接触型社会に対応していくべきかとも考えます。 国内有数の観光地である阿蘇地域にとって、コロナ禍の中での観光またはアフターコロナでの観光振興対策は、重要な政策と考えています。 つきましては、今後のアフターコロナにおける阿蘇地域の観光振興対策について、併せて観光戦略部長に御答弁をお願いします。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長(寺野愼吾君) 昨日、待ちに待った新阿蘇大橋が開通し、JR豊肥本線、国道57号線とあわせて、阿蘇への主要なアクセスルートが復旧いたしました。 県では、この機会を捉え、熊本地震や新型コロナウイルスの影響で落ち込みが大きかった阿蘇観光の創造的復興を成し遂げる観光復興元年と位置づけ、様々な観光施策を展開し、開通効果の最大化を図ってまいります。まず、今月から、観光キャンペーン「I'm fine! ASO」の一環として、阿蘇の自慢の逸品を集めたマルシェイベントやクイズラリーなどを展開しております。県内からの誘客を中心に、感染症対策にもしっかりと取り組んでまいります。 また、来年度は、感染症の動向を見極めつつ、九州新幹線全線開業10周年に合わせ、誘客の対象を関西圏などへまで広げ、幅広い層を対象に、阿蘇の復興状況と魅力を積極的に発信してまいります。 さらに、阿蘇地域を周遊し、新たな魅力を感じていただけるようなイベントを開催し、阿蘇のファンを増やし、今後のリピーター増加につなげてまいります。 あわせて、地震で落ち込んだ教育旅行の回復に向け、震災ミュージアムなどを活用した誘致に取り組んでまいります。 次に、ポストコロナにつきましては、他県に先駆け、新しい観光スタイルを確立する必要があります。 議員御指摘のとおり、人々の行動様式や価値観が変容し、いわゆる3密の回避や非接触型社会が求められており、これからの観光客は、自然豊かな地方を好むことが想定されます。その意味でも、阿蘇地域をはじめ本県は、優位にあり、今が絶好のチャンスと捉えております。 また、観光スタイルも、団体旅行から個人旅行へのシフトが加速していくものと考えられます。そのため、観光戦略部では、観光者のニーズを的確に捉えるため、非接触、デジタルによるスマートツーリズムを、新しい観光スタイルの大きな柱の一つと位置づけております。 この取組の一環として、観光施設への顔認証システムの導入や、観光体験と2次交通をICTで組み合わせる観光MaaSの導入に向けた取組に着手しております。 まずは、阿蘇地域をフィールドとして実証実験を行い、一定の成果が得られた後、豪雨災害の被災地をはじめ県内全域への展開を考えてまいります。 世界に誇る阿蘇は、本県の宝であるとともに、九州観光の要でもございます。アクセスルート開通効果の最大化と新しい観光スタイルの確立を両輪に、阿蘇観光の復興に全力で取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 答弁ありがとうございました。 まずは、県内のお客さんを対象にキャンペーン等で来ていただき、その後、九州あるいは関西方面と広げていくというような誘客に努めていきたいということですが、今の状況では、そういったことでよろしくお願いしたいと思っております。 また、非接触型の取組をスマートツーリズムというようなやり方でこれからやっていこうとしておられます。阿蘇地域は、ワーケーションを進めようともしております。どうかそういった面においても御支援をお願いして、次の質問に移らせていただきます。 阿蘇の世界文化遺産登録に向けた取組は、2007年に平成19年度の文化庁提案公募に提案書を提出し、カテゴリー1aに記載されてから14年たちました。この間、構成資産の文化財指定や有識者による学術的価値の再検討を進めてきたと聞いております。 さて、阿蘇の草原は、重要な構成資産ですが、毎年野焼きを行う牧野組合員や野焼きボランティアの方々の高齢化が顕著になっています。この人たちの負担軽減のためにも、草原の草管理は重要と考えます。野焼きをしやすくするために、畜産振興はもちろんですが、カヤ場利用を進め、野焼きを安全にできるようにして、草原維持につなげていくべきではないかと思います。 先ごろ、ユネスコは、日本のかやぶき、カヤ採取を含む「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を無形文化遺産に登録しました。 ユネスコ無形文化遺産とは、芸能や伝統工芸技術などの形のない文化であって、土地の歴史や生活風習などと密接に関わっているもののことです。 阿蘇のカヤは、量と質を兼ね備え、文化財の屋根のふき替え材料として魅力的と評判で、以前から一部では出荷されていました。また、今でもかやぶきをなりわいにしている職人さんもおられます。 今後、カヤ刈りが盛んになれば、世界文化遺産登録の一助になるのではないかと考えます。地元牧野の冬場の収入源として定着させ、野焼き事故のリスク低減や草原保全につなげられたらいいと思います。 本県の世界遺産は、2015年には、万田坑、三角西港を含む明治日本の産業革命遺産が登録され、2018年には、天草の﨑津集落を含む長崎の教会群とキリスト教関連遺産も世界文化遺産に登録されました。これらの遺産が登録されたことにより、現在、暫定リストに記載された国内の文化遺産は、6件になっています。 文化庁では、暫定リストの見直しについて審議を始めており、世界文化遺産の国内候補を追加する際に、自治体からの公募には基づかず選定手続を進めると伺っています。本県としても働きかけを進めるべきではないかと考えます。 つきましては、阿蘇の世界文化遺産登録に長年携わってこられた知事の取組と強い思いをお聞きしたいと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 阿蘇の景観や文化は、地域の方々の1,000年の長きにわたるなりわいにより保たれてきました。このいにしえから受け継がれてきた阿蘇の価値は、本県が世界に誇る貴重な宝であり、守るべき人類的な資産であります。 この熊本の宝が世界の宝となるよう、私は、1期目のマニフェストに、阿蘇の世界遺産入りを強力に推進すると掲げ、これまで登録に向け全力で取り組んできました。 まず、平成21年に、県と阿蘇郡市で阿蘇世界文化遺産登録推進協議会を設置し、シンポジウムを行うなど、機運醸成を図ってきました。 次に、国から示された資産の保全の課題に対しては、文化財保護法による重要文化的景観の選定や阿蘇全市町村での景観条例の制定などを進め、昨年1月には、7市町村長とともに阿蘇の景観を守る宣言を行ったところです。 また、専門的な対応として、協議会に設置した学術委員会による検討を深め、昨年3月、国に提案書を提出しました。来年度には、国際的な視点から見た阿蘇の価値について、内外の有識者を交えた検討を行い、提案書のさらなるブラッシュアップを進め、国へ提案してまいります。 現在、国の文化審議会では、世界遺産暫定一覧表の見直しについての議論が行われています。その中で、ユネスコの世界ジオパークや無形文化遺産との連携が行われる資産は新たな候補となり得ると、そういう方針が示されています。まさに、世界ジオパークに認定され、無形文化遺産ともカヤ採取を通じて関連する阿蘇は、近い将来、暫定一覧表に掲載されることを期待しています。 今月21日には、県と民間団体との共催で「茅葺」「茅採取」ユネスコ無形文化遺産登録記念フォーラムを開催します。今回の無形文化遺産登録を契機に、阿蘇の世界文化遺産への登録に向けたPR、機運醸成に弾みがつくと考えています。 阿蘇を世界文化遺産に登録することは長年の悲願です。国において新たな動きが出てきたこの機会をまさに悲願達成への絶好の機会と捉え、市町村と一丸となり、国に対して強くアピールしてまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 力強い知事の決意表明、ありがとうございました。 阿蘇の草原は、毎年野焼きをしなければ草原として維持できません。組合員も高齢化する中で、いかに安全に省力化してやれるかにかかってくるのではないかと思っております。そういう意味では、カヤ刈りをすることは有効だと思っております。 また、今年、暫定リストの見直しがあるとすれば、阿蘇は一級品の有力候補に間違いありません。災害続きで知事も大変だろうと思いますが、知事の情熱で暫定リスト入りを果たしてください。よろしくお願いいたします。 次は、想定を大きく上回る浸透量が再び発生した大蘇ダムについて質問します。 熊本県産山村と阿蘇市、大分県竹田市の1,865ヘクタールを受益面積とする大蘇ダムは、昭和54年度に起工し、平成17年度に完成したものの、水漏れが確認されたため、平成25年度から浸透抑制対策が行われ、昨年4月から供用開始されています。 総事業費720億6,000万円のうち、浸透抑制対策への県の追加負担は行っていないこともあって、熊本県が21億8,000万円、阿蘇市が4億7,000万円の計26億5,000万円と、全体に占める本県関連の負担率は4%未満で済んでいるものの、昨年11月に想定を上回る浸透量の発生が分かり、地元には不安が広がっています。 農家からは、水が必要な夏の時期に水不足にならないか心配、今になって水がないではどうしようもない、何とかしてほしいなど、不満の声が多く寄せられております。 農家は、大蘇ダムからの用水がこれまでの水不足を解消し、冷涼な気候を生かし、効率的かつ付加価値の高い農業が始められると大いに期待していただけに、その心配と落胆の大きさが伝わってきます。 一方、前回11月の本県議会において、必要な農業用水やダムの安全性の確保など、国が責任を持って対応することを強く求める決議を全会一致で採択したところです。最も懸念していることは、農家にとって全容が見えず不安な状況にあること、さらにはダム本体がある産山村をはじめ、下流域の住民は、ダムの安全性について大きな不安を抱えておられることです。 ところで、3月3日現在のダム貯水量は139万8,000立方メートルで、貯水率は33%と伺っております。2月に比べると浸透量は少し少なくなっているようですが、この貯水量において、今後、農業用水の供給に支障が生じないか心配しております。 そこで質問ですが、現時点における国の対応状況、ダム本体の安全性、さらには現状において農業用水の供給に支障が生じないかについて、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、国の対応状況についてお答えいたします。 昨年11月25日のダム完工式の前日に、九州農政局から、浸透量が増え、大きく水位が低下しているとの報告を受けました。そこで、完工式の場で、木村副知事から、最終的な漏水対策をしっかり完成させ、安定的に農業を営めるよう、国に求めたところです。 その後、12月2日には、九州農政局長が知事のもとを訪れ、地元に心配と不安を与えていること、ダムの状況について十分な説明ができていなかったことに対してのおわびと、ダム本体に問題は確認されていないが、今後、国が責任を持って技術的な検証、評価を行い、丁寧に説明していきたいことを述べられました。 現在、九州農政局は、職員3人をダムに常駐させ、日々点検、監視が行われております。 次に、ダム本体の安全性につきましては、国は、その評価を行うため、昨年12月10日に、学識経験者6名による大蘇ダム安全性評価委員会の現地調査を行っております。翌11日には、検討会を開催し、12月22日に、県に対して、安全性評価委員会においてダム堤体は健全であることを確認したこと、今年度中に再度委員会を開催し、その結果については、関係者に速やかに情報共有を行うこと、来年の農業用水の確保に影響がないよう、関係機関と調整を進めていくことという説明が九州農政局からありました。安全性評価委員会の見解は、今月中に示される予定とのことであり、その状況を注視しているところです。 本県の計画受益農地261ヘクタール分の農業用水につきましては、平成26年の浸透抑制対策工事着手時に、国から、抑制対策がなくとも確実に配水できると説明を受けております。 現在の受益面積は、計画の半分以下の約100ヘクタールで、昨年も、県内受益者が必要とする農業用水は確保されております。国は、地元関係者に、用水需要がピークを迎える代かき期の農業用水確保に影響がないよう取り組むと説明しており、現在も、昨年同期の水位を維持しておりますが、貯水状況を引き続き注視していく必要があると考えております。 水がなければ農作物は育ちません。農家の皆さんにとって、ダムからの水は、まさに命の水です。そのため、知事から九州農政局長に申し入れた、農家が安心して営農できるよう、必要な用水が確実に確保され、ダム本体がある産山村をはじめ、下流域の皆さんの水位低下に対する不安が払拭されることが実現するよう、引き続きしっかりと対応してまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 答弁ありがとうございました。 しっかり注視をしていただき、また何かあったら地元へしっかりとした説明と、また県のほうで農政局と交渉して対策を取らせるようにしてほしいと思っております。 続きまして、県立高校の魅力づくりについて質問いたします。 県立高校について、これまで県教育委員会では、平成19年に県立高等学校再編整備等基本計画を策定し、教育環境を整備するとともに、特色ある学校づくりを進めてこられました。 こうした中で、令和2年7月に、県立高等学校あり方検討会が設置され、再編整備後の現状と課題を踏まえて、新しい時代に対応した魅力ある高校づくりに向けた取組の方向性が議論されています。 魅力ある高校づくりについては、例えば阿蘇郡にある高森高校は、定員が1学年80名の小規模校でありますが、南阿蘇地域唯一の県立高校として、県からスーパーグローカルハイスクール事業の指定を受けています。このグローカルとは、地球規模の視野で考え、地域の視点で行動するという意味で、高森高校は、この指定を受け、国際社会、地域社会の両方に貢献できる人材を育成しています。 高森高校は、地域に根差し、地域の期待に応える学校として発展しており、これからも地域になくてはならない学校として、地域の中での教育、文化の中心的な役割を期待されています。 しかしながら、県立高校を取り巻く現状は厳しく、少子化の影響などにより、特に熊本市以外の地域で定員割れが進行している状況です。高森高校も例外ではなく、これまで以上に入学者を確保するためには、新たな魅力を加える何かが必要であると思います。 一方で、高森高校が所在する高森町では、株式会社コアミックスとの連携協定により、漫画を核とした新たな産業創出に取り組んでおられます。 コアミックス社は、東京都武蔵野市に本社があり、漫画雑誌編集、アニメーション制作、キャラクター事業などを行っている会社です。代表取締役社長の堀江信彦氏は、週刊少年ジャンプの歴代最高販売部数を記録した伝説の編集長としても有名で、熊本市の御出身でありますが、幼少期を高森町で過ごされた経験をお持ちであります。 堀江社長は、日本のみならず、海外を含めた若い世代の漫画クリエーターや漫画から発展するエンタメ業界のアーティストたちの活動、移住、定住の拠点を整備する事業計画を掲げられておられます。そうした中で、昨年末には、高森町に、国内外のクリエーターを育成する施設として、アーティストビレッジ阿蘇096区を設立されました。 コアミックス社が着実に事業展開されている現状を見ると、この会社が持っておられる人材や事業力、エンタメ業界に関するノウハウなどを活用すれば、例えば、高森高校に漫画を核とした学科やコースを設置することも可能ではないかと感じています。そうした学科やコースが設置されれば、全国的にも特色ある公立学校となり、高森高校の大きな魅力向上につながると思いますが、いかがでしょうか。 以上、県立高校の魅力づくり、高森高校に漫画を核とした学科やコース設置をすることについて、教育長にお尋ねします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 県立高校の魅力づくりについてお答えをします。 現在、県立高等学校あり方検討会において、県立高校の魅力化等について協議が重ねられており、今年1月には提言の素案が示され、今月末には最終提言をいただく予定であります。 この素案においては、今後の魅力ある学校づくりに向けて14の取組が示されており、その一つに、社会や地域の期待に応える魅力ある学校づくりを進めるため、地域のニーズに対応した学科等の設置を検討していくこととされております。 高森高校への漫画に関する学科やコース等の設置については、こうした高校魅力化の方向性にも沿ったものであると考えられます。また、漫画を核とした地方創生を進めている高森町と連携して、魅力化を展開することにより、これまでにも増して、生徒が地域社会との関わりの中で成長していくことが期待されます。 また、今年1月に出されました中央教育審議会の答申では、地域の持続的な成長を支える人材育成のために、企業と高校が一体となった教育課程の開発、実践が必要とされております。 このような観点から、各分野で幅広いノウハウと実績を有している企業の協力を得て、特色のある学科等ができれば、高校の魅力化につながることが期待されます。 一方、新たな学科を設置する際には、卒業後の進路の確保、教育課程の具体化、教員の配置などの課題の検討、整理が必要となります。さらに、県内外から広く生徒を募集する際には、寄宿施設の整備なども必要になることが考えられます。 今後、高森高校をはじめ県立高校の新たな魅力づくりに資する学科等の設置、改編につきましては、地元市町村などの関係機関と緊密に連携を図りながら、必要な情報収集や課題の整理を行うなど、丁寧にしっかりと検討を進めてまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 前向きな答弁、ありがとうございました。 小規模校については、普通科で生徒を増やすことは容易ではないと思っております。新しい学科やコースを設置することで、魅力が増してくる場合もあるかと思います。ただ、その際、一過性の流行で設置するのではなく、しっかりと将来性を見極め、生徒たちが卒業後の人生を楽しく、学びや仕事に役に立つ学科やコースでなければならないと思います。その点は、地元の自治体や保護者、関係者と十分話し合って決めてほしいと思います。しかし、時間的余裕はないと思っておりますので、早く決めてほしいなと思っております。 なお、高森町にお聞きしましたら、全国募集に伴う寄宿舎等の整備等については、町のほうでも考えているというふうな考えを聞いております。 消防団についての質問をさせていただきます。 3月7日、昨日は消防記念日だったそうです。私も、過去に20年ほど消防団に入っておりまして、消火活動はもとより、水害対策や行方不明者の捜索などの活動をしてきました。その活動や訓練の中でしかできない経験をして、人間関係の勉強ができたような気がします。 近年災害が頻発する我が国において、被害を最小限に抑えるには、初動が肝腎で、地域密着型の消防団は欠かせない組織です。熊本県を中心とした昨年7月の豪雨では、12県で延べ5万6,000人が救助、巡視警戒、避難誘導などで重要な役割を果たしたと聞いております。 消防団は、市町村の非常備の消防機関で、全ての市町村に設置されています。そして、消防団員は、本業を別に持つ農業者、自営業者、会社員や公務員など一般住民で構成されており、自治体から装備及び報酬が支給される非常勤地方公務員であるとされています。日曜日や夜などに訓練し、災害時には、消火活動や住民の避難誘導、救助活動、救助が必要な人の捜索などに当たっております。 ただ、全国的にも、本県においても、消防団員の高齢化が進んでいて、団員の減少も続いていると聞いています。災害の多発化や激甚化と団員数の減少で、団員1人の役割も増しております。地域の防災力を維持するために、団員の減少を食い止める必要があると考えます。 この課題を検討するために、消防庁は、昨年末に、研究者や首長などによる消防団員の処遇等に関する検討会を開いて、改善策を探り始めたと聞いております。 問題は、急速に少子高齢化と人口減少が進む農山村地帯ではないでしょうか。対応を急がないと、成り手がいなくなり、地域防災の基盤が揺らぐことになるおそれがあります。また、災害に対して、住民による地域の防災力を高める日頃の活動が重要ですし、その中核となる消防団活動に参加しやすくする職場の理解も欠かせません。 以前は、農林業者や自営業者など、割と時間が自由になる団員が多くいましたが、今は、会社勤めの人が多くいますので、職場の理解が進むような対策も必要と考えます。 そのほか、処遇改善や過度の訓練削減など、地域住民が消防団に積極的に参加できるよう、総合的な取組も急ぐべきだと思います。 消防団は、市町村の非常備の消防機関ではありますが、県としても、団員の確保に向けて支援すべきだと思います。総務部長にお考えをお聞きします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 消防団は、地域防災の要として、熊本地震や令和2年7月豪雨でも、被災地において、その力が大いに発揮されており、県民の生命及び財産を守るために重要な組織であると認識しております。 今年度4月現在の本県の消防団員数は、約3万1,000人で、全国5位の規模を維持しておりますけれども、近年、全国の消防団員数は減少の一途をたどっており、本県でも、5年間で約2,600人減少している状況です。 県では、消防団機能の充実確保のため、消防車両の整備に係る助成を行っているほか、市町村などと連携して、消防団員の確保や活動しやすい環境づくりのため、県民や事業所に向けた広報活動を実施しております。 消防団員の確保対策として、今年度は、新たに女性や大学生をターゲットとした消防団のPR動画等を作成し、SNSや雑誌広告を活用した情報発信を行いました。 また、消防団活動に対する職場の理解促進も重要であることから、消防団協力事業所表示制度の普及にも取り組んでおります。現在、県内の33市町村がこの制度を導入しており、令和2年12月時点で、延べ327事業所が認定されております。 この表示制度の周知と協力事業所の拡大を図るため、従来の広報に加えまして、今年度は、協力事業所を紹介する新聞広告を行っております。広告掲載後は、消防団員を雇用している企業からの問合せなどの反響もあり、さらに協力事業所のPRに取り組むとともに、制度を導入していない市町村に導入の働きかけを行ってまいりたいと考えております。 また、県内の団員数が年々減少している現状におきましては、処遇面の改善も団員確保の有効な方策の一つであると考えております。 国では、消防団員の処遇等に関する検討会を設置し、報酬や出動手当をはじめとした団員の適切な処遇の在り方等について検討を始められたところであります。 県では、これまで、国に対して、市町村の実情に応じた一層の財政支援を要望してきたところであり、国の検討も踏まえながら、市町村に対して改善を促してまいりたいと考えております。 引き続き、地域防災力の充実強化のため、消防団員の確保に向けた広報活動などの支援を行ってまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 御答弁ありがとうございました。 県から消防団に対して様々な支援をしていただいていることが分かり、ありがたいことだと思っております。報酬面の改善も団員確保の有効な方策の一つということでありまして、そういったことで、報酬の改定も促すというようなことでありますけれども、ただ、市町村は、財政的には厳しいものがあります。ぜひ、国から財政措置を取ってもらうよう要望していただければというふうに思っておりますし、総務部長からもよろしくお願いしておきたいと思います。 2点ほど要望させていただきます。 阿蘇の医療、特に産科についてですが、世界中でパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症ですが、残念ながら、日本も例外ではありませんでした。新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた皆様に心からの哀悼の意を表します。 また、昨年2月からの新型コロナウイルス感染症の蔓延により、昼夜を分かたず献身的に診療、看護に携わられている医師並びに看護師をはじめ医療従事者の方々、保健所職員の皆様方に深甚なる感謝を申し上げます。 阿蘇地域でも、新型コロナウイルス感染症に罹患された方がおられますし、新型コロナウイルスの感染力の強さに驚くばかりですが、自分自身も感染しないよう、また、ほかの人に感染させないよう、しっかりとした対策をしなければと、心を新たにしているところです。 さて、阿蘇地域は、医師の不足などから、以前から医療提供体制が脆弱なところがありました。熊本地震後は、極端な看護師不足に陥り、窮地に立たされました。その際、熊本県では、くまもと復興応援ナース制度を創設し、全国に募集され、阿蘇地域の医療提供体制の立て直しを支援していただき、感謝しているところです。 しかし、地震から5年を迎えようとしているこの時期でも、医師や看護師の不足は続いています。 このような中、阿蘇地域で唯一の産科を有する民間病院が昨年10月から分娩を休止され、阿蘇郡市内での出産ができなくなりました。出産を控えた妊婦の方やその御家族の方は、遠方への通院を余儀なくされ、御心配だろうと思います。また、結婚して嫁ぎ先で生活する娘さんが出産を機に実家に戻り、安心して出産する里帰り出産が私たちの住む阿蘇郡内でも度々見られますが、そちらへの影響も懸念されます。 現在、我が国の少子化は深刻さを増しており、産み育てやすい環境づくりは、行政の責務だろうと思っています。 今回の分娩休止の理由として、助産師不足もあるようです。県においても、これまで、大学などへの積極的な働きかけを行っておられますが、助産師の確保に向けた働きかけの継続、関係機関との連携強化による阿蘇地域での一日も早い分娩の再開に向けた支援を要望いたします。 ○議長(池田和貴君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 ◆(河津修司君) (続) 2点目の要望ですが、南阿蘇鉄道とJR豊肥本線の接続強化についてであります。 昨年12月22日に、南阿蘇鉄道再生協議会からJR九州に対して、熊本地震からの創造的復興として、南阿蘇鉄道の全線再開と同時に、南阿蘇鉄道がJR豊肥本線の肥後大津駅まで直通での乗り入れが実現するよう協力を求めたところです。 南阿蘇鉄道とJR豊肥本線の接続強化は、地域住民の通勤通学や高齢者の移動の面で利便性が向上するだけではなく、熊本市や空港からのアクセスが向上することにより、観光客の利便性が向上することも期待されます。 接続強化の実現に向け、これからJR九州と技術面や費用面で具体的な協議を行うことになります。 引き続き、県においては、再生協議会とJR九州との協議が円滑に進むように、また、費用面において、関係団体に過度の負担が及ばないよう、強力な支援をお願いして、要望とさせていただきます。 久しぶりの質問で、慣れないところもあって、大分早口になってしまいました。聞きづらいところもあったかと思いますが、最後までお付き合いを願いまして、心から御清聴にお礼を申し上げて、お礼の言葉とさせていただきます。 ありがとうございました。(拍手) ○議長(池田和貴君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明9日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時9分散会...