熊本県議会 > 2020-09-29 >
09月29日-07号

  • アマ(/)
ツイート シェア
  1. 熊本県議会 2020-09-29
    09月29日-07号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和2年 9月 定例会               第 7 号              (9月29日)  令和2年   熊本県議会9月定例会会議録     第7号令和2年9月29日(火曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第7号  令和2年9月29日(火曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の  一般事務について) 第2 議案等に対する質疑(第1号から第34号まで) 第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第34号まで) 第4 請願の委員会付託 第5 休会の件  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに  県の一般事務について) 日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第34号まで) 日程第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第34号まで) 日程第4 請願の委員会付託 知事提出議案の上程(第56号及び第57号) 日程第5 休会の件    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            早 田 順 一 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工観光労働            藤 井 一 恵 君     部    長     理    事 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   上 野 晋 也 君     会計管理者  本 田 充 郎 君     企業局長   藤 本 正 浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  岸 田 憲 夫 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○副議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○副議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 南部隼平君。  〔南部隼平君登壇〕(拍手) ◆(南部隼平君) 皆様、おはようございます。自由民主党・熊本市第一選挙区選出の南部隼平です。本日が、議員となって2度目の質問となります。今回は、スポーツや地元地域の課題を中心に、質問を5つ、そして要望1つを準備しております。 今議会の一般質問は、実は私で10人目となります。大変長丁場ではありましたが、本日が最終日となりますので、知事はじめ執行部の皆様には、ぜひとも前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。議会の皆様も、いつもどおりの温かい目で見守っていただければと思います。 まず、質問に入る前に、7月4日に発生しました球磨川流域を中心とした九州豪雨災害でお亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に対してお見舞いを申し上げます。 今回の質問では取り上げておりませんが、私自身も、この災害を風化させないため、支援を続けていくことをお約束して、通告に従い、質問に入らせていただきます。 まず、最初の質問は、スポーツによる地方創生について質問いたします。 来年3月に九州独立プロ野球リーグが開幕する予定です。それに伴い、熊本にも新しい球団が誕生します。 現在、独立プロ野球リーグは、四国アイランドリーグplus、北信越を中心としたBCリーグなど、全国各地で広がりを見せています。野球の独立リーグというのは、簡単に言うと、セ・リーグやパ・リーグがある、いわゆる皆さんがよく御存じのプロ野球と社会人野球との中間にあるようなリーグのことを言います。プロになりたくても、プロ野球のドラフト会議で指名されなかった若い有望な選手やプロ野球を自由契約になり、もう一度チャレンジしようとする選手などが集まります。 日本初の独立リーグである四国アイランドリーグplusは、2005年に設立され、その直後にBCリーグが2007年に発足しています。両リーグとも、元メジャーリーガー、元プロ野球選手の参画や所属選手のプロ野球へのドラフト選出などもあり、一定の野球ファンを獲得しています。 最近では、ソフトバンクホークスで活躍した川﨑宗則選手BCリーグの栃木に入団し、話題となりました。さらに、BCリーグは、当初の6チームから現在は倍の12チームに拡大し、地域に根差したリーグとなっています。 これらの球団は、ただ野球をするという集団ではありません。ボランティア活動や子供たちへの指導、さらには食育活動など、交流人口の増加はもとより、多岐にわたる分野で地域に貢献し、今やその存在が地域に欠かせないものとなっています。私自身、学生時代から今現在に至るまで野球を続けてきた一人として、大いに期待をしているところです。 一方、本県のスポーツ分野では、昨年、ラグビーワールドカップ、そして女子ハンドボール世界選手権大会という2つの国際大会が開かれ、大成功を収めました。これらの国際大会開催の成果やノウハウを次世代に引き継いでいくことが重要であると考えます。 今熊本は、熊本地震、新型コロナウイルス、豪雨災害というトリプルパンチに見舞われております。落ち込んだ地域や県民を元気づけるためにも、スポーツの役割は非常に大きいのではないでしょうか。 一昨日前に、大相撲の正代関が熊本出身力士として初めて幕内優勝を果たしました。この話題によって、多くの県民が勇気づけられたことは記憶に新しいところです。 このような中、昨年開催された2つのスポーツ大会のレガシーを継承、そして展開していくためには、官民一体となって、全国的なスポーツ大会やイベント、キャンプや合宿等の誘致などを専門的に行っていく組織が必要だと考えます。 現在、国の施策として、スポーツ庁が2017年3月に策定した第2期スポーツ基本計画では、スポーツの成長産業化を推し進めるべく、市場規模を現在の5.5兆円から2025年には15兆円まで拡大させる計画を掲げています。その重要な柱の一つがスポーツによる地域活性化です。 実際、さいたま市のサッカーを軸としたスポーツのまちづくり、沖縄、宮崎のように、プロ野球やJリーグのキャンプ誘致など、スポーツによる地域活性化に成功している例は、既に全国各地に存在をしています。それらの自治体においては、マーケティング、誘致活動、受入れなどをワンストップで行う官民一体の専門組織が重要な役割を占めています。 そこで、質問いたします。 現在、設立に向け取組が行われている九州独立プロ野球リーグについての所感と、県におけるスポーツを通じた交流人口の拡大を図るための推進体制と今後の取組の方向性について、知事のお考えをお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、独立リーグの創設についてですが、熊本初のプロ野球球団の誕生は、地震、新型コロナウイルス、豪雨災害のトリプルパンチに見舞われている中、県民を勇気づける明るい話題であり、大変喜ばしく期待しています。 既にプロスポーツチームとして活躍しているロアッソ熊本熊本ヴォルターズに続き、子供たちに夢を与え、熊本を元気にしてくれるものとして、今後の展開を楽しみにしています。 県としても、球団の今後の展開に合わせ、県全域を巻き込んだ交流の拡大や地域活性化へとつなげていけるよう、球団関係者としっかりと話し合ってまいります。 次に、スポーツを通じた交流拡大に向けた推進体制と今後の取組についてお答えします。 私は、昨年開催されたラグビーワールドカップ、そして女子ハンドボール世界選手権大会で、多くの人であふれ返った会場やファンゾーンでの歓声や熱気、選手と子供たちとの交流に触れました。そこで、スポーツが人々に夢や希望、元気を与えるものだと実感をいたしました。 この大会で培われたスポーツ大会開催のノウハウやボランティアの経験のほか、国内外から熊本に来られた多くの方々との交流は、貴重なレガシーとして引き継いでいく必要があると考えます。 そこで、このレガシーを継承し、県民に元気を届け、経済の活性化を図るため、官民一体となったスポーツによる誘客を推進する組織、スポーツコミッションの設立に向けた取組を進めてまいります。 このコミッションでは、スポーツ大会の開催や合宿誘致のみならず、温泉、健康、ITとの相乗効果を狙った新たなスポーツツーリズムを展開し、継続的な集客につなげていきたいと考えています。 例えば、自然豊かなロケーションでランニングやサイクリングなど、それへのスポーツに県内各地の温泉や食などを組み合わせた、熊本ならではの取組を検討してまいります。 また、このようなスポーツツーリズムを被災地の復興支援にも積極的につなげたいと考えています。 スポーツを通して新たな熊本の魅力を創造し、交流人口の拡大と経済効果の最大化に取り組んでまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) 知事からは、期待の声をいただきまして、誠にありがとうございます。 この野球団のミッションというのは、1つは、子供たちに夢を持つことの大切さを伝えること、そして2つ目は、地域活性化に貢献をすること、そして最後、3つ目は、傷ついた熊本を元気に、そして世界に誇れる熊本をブランディングする、この3つのミッションを掲げています。 野球をする前に、地域に貢献することをこのチームは第一として掲げてスタートしますので、ぜひ、県としても御支援をよろしくお願いいたします。 また、答弁の中で出てきましたスポーツコミッションについては、全国都道府県並びに市町村の様々な地域で今広がりを見せています。熊本県のスポーツコミッションは、これから立ち上げに向けた動きが始まるということで、大変期待をしております。 これまで先行して行ってきた他の事例を参考に、他県や熊本県内市町村とも連携を強めながら、さらには民間で活躍するスポーツビジネスの専門家の意見を取り入れて、熊本独自の、先ほど話にもありました、温泉、健康、ITとの相乗効果を狙った新たなスポーツツーリズム、こういった熊本独自のスポーツによる地域活性化を成し遂げていただきたいというふうに思います。 この質問の最後となりますけれども、私が今携わっている熊本県民球団をつくる目的というのは、もちろん地域活性化が一番の目的です。その中でも、実はもう1つ大きな目的があります。それは、新球場の建設です。 地域全体を野球というツールで活性化し、球団が熊本県民に愛され、なくてはならない存在となって、熊本県民の総意として、この球場建設の民意を醸成し、新球場建設につなげていく、こういった思いがあります。 具体的な提案についても、今後さらに検討を進めていきます。そのためにも、このプロジェクトを必ず成功させて、子供たちに夢を与え、未来へしっかりつないでいきたいと思います。 それでは、次の質問に入ります。 ここからは、熊本市東部地域の振興についての質問をいたします。 まず、1つ目は、東バイパス周辺の渋滞解消への取組についてお尋ねします。 私が住む熊本市東部地域では、長年渋滞に悩まされてきました。特に国道57号線東バイパスは、北バイパスとの接点である新南部交差点、国体道路と交わる保田窪北交差点等を中心に慢性的な渋滞が起こり、さらにそれに伴ってその周辺の生活道路でも渋滞が問題となっています。昨年の県議会議員選挙でも、私の公約の柱の一つとして、この渋滞解消を訴えてきました。 県議会においても、この渋滞や都市圏交通に関しては、今まで数多くの方が質問され、委員会でも議論がされております。今回の一般質問でも、昨日、松村県議より、東バイパス連続立体化について改めて提案がされています。 今回、私は、生まれた頃から30年以上、この渋滞に多くの時間を奪われ続けてきた当事者の一人として、地元地域の意見を代弁して、質問をさせていただきます。 最近の熊本都市圏の渋滞に対する動きとして、昨年より、熊本都市道路ネットワーク検討会が国、県、熊本市、経済界及び学識者により行われています。そして、この検討を踏まえ、毎回、高速交通ネットワーク整備推進特別委員会では、多くの委員から、検討ではなく、具体的な行動を起こす時期との声が上がっています。 この渋滞問題は、短期的な効果のある車線の増加や交差点改良などは今までも行われておりますが、抜本的な対策については、財政面の課題解決に至らず、放置されていたと言っても過言ではありません。 また、防災という観点から見ると、4年半前の熊本地震の際は、連日の大渋滞で熊本都市圏道路の脆弱性があらわとなりました。その中で、熊本東部地域の主要道路である東バイパスは、国所管であり、私の住む熊本市内の県道においても、政令市である熊本市の管轄であることは、もちろん承知をしております。しかし、明らかに道路と交通量のバランスを欠くこの状況を改善させるために、県ができる具体的な取組を進める必要があるのではないでしょうか。 そして、昨年12月に行われた第3回熊本都市道路ネットワーク検討会においては、熊本市中心部からインターチェンジまで約10分という構想が打ち出されました。インターチェンジからの定時性、速達性を確保するには、東バイパス国体道路等熊本市東部地域の幹線道路の連続立体化または有料道路を前提とした熊本都市高速の実現なくしては現実的に不可能と言えます。 検討会の中でも議論されていますが、道路計画を進める上で大切な考え方があります。それは、新しい有料道路整備などの長期計画、都市計画道路や個別交差点の立体化などの中期計画、ソフト対策交差点改良などの短期計画というそれぞれのフェーズに合わせた対策を同時進行で進めていくことが重要です。これらの3つのフェーズがそれぞれ機能することで、渋滞問題の早期解決につながると考えます。 長期計画を早急に計画、実行に移していくことが抜本的な道路状況の解決への近道であることは間違いありません。しかし、それに加えて、短期的な対策である交差点改良信号制御システムの活用、さらにソフト対策として企業への時間差出勤、テレワークの奨励、車へのキープレフトの励行運動、さらにはバス優先道路の拡張など、様々な施策を同時に行っていくことが重要です。そして、これらの渋滞解消の計画を国、県、市が相互に連携を強め、実行に移していくことが求められます。 そこで、質問をいたします。 熊本都市圏の渋滞に対しての中長期的な検討状況、さらに東バイパス周辺の短期的な対策の国、県、市の取組について、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) まず、熊本都市圏の渋滞について、中長期的な計画の検討状況をお答えいたします。 熊本市内の交通渋滞の解消に向けては、昨年、国や熊本市、経済界とともに熊本都市道路ネットワーク検討会を設置し、地域経済発展のためには新たな道路ネットワークが必要であるとの認識で一致をいたしました。 そこで、新たな道路ネットワーク機能イメージを昨年12月に公表したところです。 中長期的な計画を実現するためには、公表した道路ネットワーク機能イメージを多様な観点から具体化し、その過程で明らかとなる様々な課題の解決が必要となります。このため、関係者間でさらなる検討や議論を行い、スピード感を持って進めてまいります。 次に、東バイパス周辺の短期的な対策についてお答えをいたします。 短期的に渋滞を緩和するハード対策、ソフト対策については、国、県、熊本市の役割分担の下、持続的に取り組んでおります。 具体的には、国は、東バイパス新南部交差点保田窪北交差点などにおいて、右折レーンの延伸を進めております。これにより、直進車が右折する車両に阻害されることなく進行でき、交通渋滞の緩和につながっております。 熊本市では、主要な渋滞箇所である御領2丁目交差点や新外交差点において、新たに右折レーンなどを整備する事業に着手をしております。 県では、自動車の交通量削減のため、朝夕の通勤時間帯に集中する自動車交通を公共交通に乗り換えるパーク・アンド・ライドの利用促進に努めてきました。 今年度は、乗換拠点となる新たな駐車場やそれに連携する路線バスなどの検討を行い、来年度以降、その結果を基に社会実験などを実施する予定です。 また、渋滞箇所が集中する区域を抽出し、複数の交差点の交通データの集積や交差点の改善を実施します。 これは、交通管理者である県警と連携して、信号機の周辺に高性能の車両感知器を設置し、それぞれの車両が進む方向別の交通量データを基に、各交差点を円滑に通過できる信号制御の見直しや右折レーン延伸などの改善に取り組むものです。 このように、短期的な対策を着実に、かつ段階的に進めることが東バイパス周辺の渋滞解消に寄与するものと考えております。引き続き、国や熊本市と連携を図りながら、全力で取り組んでまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) 検討会の開催については、非常に重要な議論の場となりますので、開催に向けて、しっかり県が主導して、前に進めていただければと思います。 昨年度末の高速交通ネットワーク整備推進特別委員会の中で、前川議員が都市圏渋滞に関して質問した際、当時の土木部長でありました宮部土木部長が、来年度――今年度ですけれども、までに計画の策定を目指すという答弁をされました。もちろん、現在は、コロナや災害など全く予想しなかった状況になっているというのはありますけれども、ぜひ前向きに計画の策定を進めていただきたいというふうに思います。 東バイパスの渋滞対策に関しては、国、県、熊本市ともに短期的な対策について連携を強めて事業が進んでいるということをお聞きして、非常に安心をいたしました。ぜひ、まずはできることを、県と政令市の垣根を取っ払って、早急に進めていただきたいと思います。 この交通渋滞での経済的な損失というのは、様々資料ありますけれども、1年間に日本全体で約10兆円から12兆円と言われております。単純に人口換算すると、少なくとも熊本県で1,000億円近くの損失がある計算になります。この損失を一刻でも早くなくす、そして県民の期待に応えるためにも、抜本的な計画の策定を重ねてお願いをいたします。 私たちも、職員の皆様と連携しながら、国への要望等含めて、全力で協力をしていきますので、ぜひよろしくお願いいたします。 それでは次に、空港アクセス鉄道開通による地域活性化についての質問をいたします。 昨年、アクセス鉄道構想が発表され、今年4月に行われた知事選でも争点の一つとなるなど、県民の中で非常に関心が高まっています。 しかし、先般6月議会では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、知事から、一旦立ち止まるとの発言があり、私も少々心配していましたが、今9月議会では、自民党代表質問での松田県議への答弁の中で、これまでどおり検討を進める考えに変更はない、実現に向け、県民の皆様の御理解が得られるよう、引き続き取り組んでいくとの力強い知事の答弁があり、安心したところです。 今熊本は、大きな逆境の中にあることは承知をしておりますが、私の地元である熊本市東部・託麻地区では、この事業の早期実現への期待が高まっています。特に、運動公園周辺に予定されている中間駅の開設については、非常に関心が高いところです。 私は、地元に住んでいる立場から見て、この新しい駅ができることは、2つの大きなメリットがあると考えます。1つは、交通アクセスの改善、もう一つは、新たな開発による地域の活性化です。 1つ目の交通アクセス改善については、この地域は、かねてより公共交通の脆弱さが大きな課題となっていました。どこに行くにも車が必要で、特に免許を返納した高齢者にとっては、非常に住みにくいという声を多くいただいております。 東バイパスや国体道路など主要な幹線道路では、慢性的な渋滞が起こり、定時性を確保できないため、バスに乗る利用者は減少し、それに伴い、バス路線数とバス自体の本数が減少するという負のスパイラルに陥っています。 今回、新たな鉄軌道が敷かれ、新しい駅ができることで、空港へのアクセスはもちろん、町なかや熊本駅へのアクセスも改善が見込まれます。 そして、もう一つ地元からの期待が大きいのは、新しい駅を中心とした新たな開発についてです。今まで、運動公園開設以来、この地域は、白川の恵みを受けた優良農地であり、農業振興地域に囲まれ、周辺の都市開発がほとんど行われていませんでした。熊本市が政令市になった際にも、大きな開発は行われず、政令市でありながら、一部地域を除いては、人口減少、高齢化が非常に進行をしています。 全国の事例を見ると、昨年高速交通ネットワーク整備推進特別委員会で視察した仙台空港アクセス鉄道が、熊本とも条件が近く、参考になるのではないかと考えます。 鉄道沿線にある杜せきのした地区と美田園地区では、それぞれ大型ショッピングセンター等の商業施設に加え、県教育・福祉総合施設等が設置されるなど、定住人口、交流人口を増やす取組が行われ、新たな町のにぎわいが生み出されています。 今回の事業は、地元に住む私としても、すばらしいチャンスだと認識しています。 中間駅については、現在様々な議論がされていますが、住民の思いは、地元に住む方が利用しやすく、運動公園に来られる方を含め、多くの人が集まりやすい駅になることです。しかし、現状では、高圧線や白川など多くのコントロールポイントが存在し、それらを考慮すると、運動公園の敷地内や中心近くに設置することは難しいことが予測されます。 こういった議論が進む中、果たして運動公園の利便性向上という当初の目的が果たせるのか、大変心配をしております。私は、この問題がアクセス鉄道事業を成功させるための重要なポイントになると考えています。 そこで、質問いたします。 中間駅の活用について、どのような考えを持って場所の選定とその活用について計画を進めていくのか、企画振興部長にその見解を求めます。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) まず、県民総合運動公園付近に設置予定の中間駅の位置についてお答えをいたします。 6月定例会でお示しをしました4つのルート案については、運動公園内の大型施設のほか、高圧送電線などのいわゆるコントロールポイントにも配慮した上で検討したものです。 中間駅につきましては、長年の課題でありました県民総合運動公園へのアクセスを改善することを目的としており、さらには免許センター利用者や地域住民の方々の利便性を考慮し、検討を行っています。 次に、中間駅の活用に対する考え方についてお答えをいたします。 県では、阿蘇くまもと空港を熊本地震からの創造的復興のシンボルと位置づけ、空港周辺地域の活性化につなげるため、平成28年に大空港構想Next Stageを策定いたしました。 この構想では、空港の活性化を周辺地域に波及させることで、新たな産業や雇用の創出、住みたい、暮らしやすい地域の実現を目指しています。 中間駅周辺の活性化についても、この構想に基づき、関係する市町村との連携の下、地域の特性や資源を最大限活用できるよう取り組んでまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) 今回のこの空港アクセス鉄道事業に関して考えてみると、どこに線路が通るのか、どこに駅ができるのかといった表面的な話題が注目されやすいかと思います。しかし、大空港構想の本来の目的である、この路線を地域活性化にどう生かすのか、将来的にどのようなメリットがあるのか、こういったことをしっかりと県民に説明をする必要があると思います。特に、この事業を進めていく上で協力をいただく地元住民の皆様に対しては、より詳細に説明を尽くしていく必要があると考えます。 将来性を含め、地元にとっても地域活性化につながるすばらしい事業であることを理解してもらうためにも、この鉄道の目的を改めて明確にして、その上で、沿線に住む住民の皆様の意見に耳を傾けていただければというふうに思います。もちろん、私も、地元議員の一人として、先頭に立って協力をしていきます。 この新型コロナウイルスの影響で、当初の前提が大きく崩れたことは十分承知をしております。しかし、この空港アクセス鉄道事業は、熊本市に住む私たちはもちろんのこと、菊陽や益城、西原など、周辺市町村においても早期実現への期待は大変大きいものがあると思います。 今の熊本の現状は、逆境以外の何物でもありませんが、将来の子供たちのため、熊本の持続的な発展のために必要な事業であることは間違いないと、地元に住む私たちも確信をしておりますので、事業をさらに前へ進めていただければと思います。 それでは次に、1点要望をさせていただきます。熊本県民総合運動公園の再開発について要望をさせていただきます。 熊本県民総合運動公園は、1978年供用が開始され、1999年の国体の際には、一部敷地を拡大し、再整備された歴史があります。しかし、整備初期に造られた施設や設備に関しては、再編計画やそれに伴う再整備は、ほとんど行われておりません。 さらに、長期計画に基づく整備が行われず、その時代の必要性によって造成を繰り返してきたため、施設の間に集落が存在していることや駐車場が分散しているなど、利用者にとって使いやすい施設とは言い難いのが現状です。 さらに、周辺に住む住民からは、大きなイベントや大会での違法駐車問題や隣接する市道が抜け道となり、子供たちの安全が脅かされているという現状も起こっています。 施設の中では、例えば音楽広場に代表されるように、使用用途、目的が不明瞭で、十分なスペースを生かしているとは言えない場所が点在をしています。時代とともに、県民のスポーツに対するニーズは変化していく中で、それに対応できているとは言えないのではないでしょうか。 来年夏には、東京オリンピックが開催予定となっています。今大会では、様々な新しい競技が採用され、その競技人口も増加しています。その中で注目すべき競技として、スケートボードが挙げられます。 今現在、熊本市内には、競技を練習できる公的な場所がないため、やむなく路上や民間駐車場、公園等で練習を行うことにより、住民からは苦情が上がり、社会問題となっています。 先日の報道では、運動公園近くの未来大橋下に設置されていた白川スケートパークと呼ばれるジャンプ台などの設備が設置されていた場所が、周辺住民の度重なる苦情により、やむを得ず行政が撤去に踏み切るという事象が起きています。この場所は、私の地元にも近いということでもあり、苦情を受けていた立場にありました。しかし、運動公園のような管理された場所の中で競技ができる環境を整備できていれば、このような社会悪のように報道されてしまう状況は防げたのではないでしょうか。 このように、時代に合わせた施設を運動公園内に整備すれば、周辺住民の苦情はなくなり、また、競技力向上につながるのではないかと考えます。 先日、熊本県スケートボード協会の理事の方へ意見をお聞きしました。その中で、国際的な基準のスケートボードパークの設置は、1,000万円程度の予算で整備可能であるとの意見をいただきました。 あくまで私の個人的見解ですが、野球場や体育館と比べると、比較的安価であるとの印象を受けました。もちろん小さい額ではありませんが、今後スポーツでの交流人口増加を目指していく上で、一考の価値は十分あると思います。 今回紹介したスケートボードに限らず、新しいスポーツに目を向け、時代に応じた県民の使いやすい運動公園を考える必要があるのではないでしょうか。 今回、空港アクセス鉄道整備という大きな事業を進めるに当たり、同時に、新しい運動公園整備計画の策定を行い、時代に即した新しい競技に対応できる、そして駐車場とその周辺道路整備を含め、地域住民との共存を十分配慮した計画を、ぜひ土木部と教育委員会が連携して行っていただくよう強く要望をいたします。 それでは、次の質問に移ります。 新学力向上調査の導入について質問をいたします。 本県の学力調査は、2003年から、知識、技能のみならず、思考力、判断力、表現力や関心、意欲までを問う県独自の評価問題、ゆうチャレンジとして実施してきました。 しかし、近年、全国学力・学習状況調査の結果によれば、特に中学校の結果では、全国平均と比べ、長年低下傾向にあります。さらに、児童生徒質問紙調査結果から、学習への主体的・意欲的な取組や家庭学習の取組等も、本県の継続的な課題となっていました。 そこで、それらの課題を解決し、子供たちが自分自身の学びの成果と課題を把握し、自ら課題を克服しようとする環境を整えること、家庭に適切な情報を伝え、学校とともに子供たちの学びを支援する仕組みを構築することが必要と判断し、昨年、2019年度より新たな学力調査の取組を開始しています。 一方、世界の中での日本の教育水準を見ると、2018年のOECD、経済協力開発機構の調査では、数学的リテラシー及び科学的リテラシーは、世界トップレベルを維持できているが、読解力については、平均より高いグループに位置しているものの、前回調査と比較して、平均得点は低下傾向となっています。 さらに、その順位においても、2012年は、加盟国35か国中1位だったのが、2018年には、加盟国37か国中11位と順位も大きく低下しています。 今後さらに進むと予測されるグローバル社会において、世界的に見た日本の教育水準が低下することは、結果として、世界での競争力の低下につながると懸念されます。 さらに、日本国内に目を移すと、昨年、2019年度の全国学力・学習状況調査で、熊本県は、全国平均を上回ったのは小学校国語のみであり、その他は平均以下という大変厳しい状況にあります。今後の熊本を持続的に発展させていくためには、子供たちへの質の高い教育が最も重要な課題の一つと私は考えます。 本県は、少子高齢化が全国平均と比較して10年早く進行しております。もちろん学問が全てではありませんが、これからは、高等教育も含め、教育の質を重視し、海外でも活躍できる優秀な人材を育成していくことが必要ではないでしょうか。今まさに未来への投資という大胆な政策シフトが求められています。 現在本県で行っている学力調査は、昨年から民間への外部委託に変更となりました。分析結果のフィードバックや結果がデータベース化されているため、実際の学校現場からも好意的な意見が聞かれています。しかし、コンピューターを使用して実施するテスト、いわゆるCBTには非対応であること、個人の経年変化が見えづらいことなど、課題も見られます。 全国の事例を見ると、先進的な取組を行っている埼玉県では、平成27年度から平成29年度にかけて、大規模な経年調査を行っています。この学力調査では、どういう要素が学力向上につながるかについて詳細な分析をしており、特筆すべき点は2つあります。 1つは、一人一人の学力の伸びを継続的に測れること、2つ目は、非認知能力の測定も同時に実施し、生徒一人一人に合わせた指導改善が可能になるという点です。 これらの施策により、生徒は、自分の学力が目に見えて分かるため、主体的に学習に取り組みやすく、先生にとっても、生徒一人一人に対してのきめ細かな指導につながるため、非常に有効であると考えます。 こういった他自治体の知見を本県でも生かし、一人一人の経年調査を行って、個々人の学習の伸びに着目していくこと、そしてその知見により、学力の底上げと教師の指導力向上に生かすことが必要ではないでしょうか。 民間に任せる部分、県教育委員会として取り組む部分について役割を整理し、子供たちの意欲的な学習につながる取組を行っていく必要があると考えます。 そこで、質問をいたします。 本県の学力調査における現状と課題、そして今後のさらなる取組について、教育長にお尋ねします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 本県では、義務教育段階の学力向上に向け、平成30年度に熊本の学び総合構想会議を立ち上げ、本県の学びの在り方や学力調査などに関する熊本の学び推進プランを昨年12月に策定をいたしました。 新しい熊本県学力・学習状況調査につきましては、このプランを踏まえ、教師の授業改善や児童生徒が自らの学習につなげることを目的に、民間のノウハウを活用してスタートをさせたところであります。 新調査は、従来と異なり、児童生徒に対して、各教科の成果や課題、学習アドバイス等を示した個人票、一人一人の課題に応じた学習プリントを提供することが可能となり、より主体的な学習につながります。 特に、学習プリントに関しては、今般の新型コロナウイルス感染症による休校期間中の家庭学習の取組にも活用され、学びの保障への一助となったところであります。 さらに、学力調査と併用して、学習への取組状況等に関する調査を充実させたことで、議員御指摘の自己肯定感や協調性といった非認知能力に関しても把握できる調査となっております。学校からは、生活と学習の両面から状況が把握でき、学力との相関から課題が明らかにできる、また、授業改善だけでなく、学習の基盤となる学級経営や生徒指導を行う上で役立つなどの感想が寄せられております。 また、御指摘のあった個人の経年変化が見えづらいという課題に対しても、新調査では、各教科の調査結果について、昨年度との経年変化が見られるものとなっております。 なお、コンピューターを使用して実施する調査、いわゆるCBTへの対応につきましては、現在、国において、CBTによる全国学力・学習状況調査の試行が検討されている段階であり、今後、国の動向を見据えつつ、検討を進めてまいります。 県教育委員会としましては、本県調査の長所である個人票と学習プリントが効果的に活用されるよう取組の徹底を図っていくとともに、各学校における学力向上に向けて、調査結果の分析や活用方法を示していきたいと考えております。 今後も、先進自治体の学力調査について情報収集を行うなど、不断に検証や研究を重ね、本県の学力・学習状況調査のさらなる質の向上に向けて取り組んでまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) 今現在の県の学力調査に関しては、昨年から民間のノウハウを活用した新しい方法に変更したばかりだということでした。これをすぐに別の方法を検討するというのは、まだ時期尚早かというふうに思いますけれども、教育現場でのデジタル化のスピードというのは、それに伴う環境の変化と相まって、急激にこれからも変化していくというふうに考えられます。 もちろん、この学力調査だけを変えればいいという問題ではありませんが、しっかり世界に通用する子供たちを育てることは、今後、熊本の未来に向けて、非常に重要なポイントであるというふうに思います。 現状の学力調査についての検証をしっかり継続的に行うと同時に、特に、学習の伸びに対する評価、さらに生徒個々人の非認知機能の評価、これをしっかりと活用していきながら、それを学習の指導の方法に組み込んでいく、そういったような調査をまた今後とも検討をしていただければというふうに思います。 この質問に関しては、実は、全国の自民党の青年局で、こういった学力調査を広げていこうということで今回質問をさせていただきました。ぜひ、こういった見えないものというものへの投資というふうになりますけれども、教育現場へのさらなる予算の拡充を知事にもしっかりお願いをしたいと思います。 それでは、最後の質問に移ります。 庁内のデジタル化の施策について質問をいたします。 私は、1年前の9月議会で、デジタル化による県民の利便性向上の取組について質問をしました。今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年と状況は一変し、デジタル化の需要は格段に高まっています。デジタルトランスフォーメーションという言葉を共通項として、民間、行政を問わず、デジタル化へのシフトが加速化しています。 そこで、今回は、特に庁内でのデジタル化の取組の進捗、さらにそれに伴うセキュリティーの問題について質問をします。 国では、昨年6月に示されたIT戦略において、デジタルガバメントやデータ利活用の政策を加速させることで、国、地方、民間の効率化を徹底するとともに、データを新たな資源として活用しながら、全ての国民が不安なくデジタル化の恩恵を享受する社会の実現を目指すとしています。 さらに、今年9月に発足した菅新内閣では、デジタル庁新設に向けた動きが始まり、国を挙げてデジタル化の推進が進められています。 一方、熊本県においては、昨年、熊本県官民データ活用推進計画が策定され、2021年までの3年間で達成する目標が示されました。その内容は、行政手続全てのオンライン化、人口や介護事業所等の県データのオープン化、さらにはRPAと呼ばれる事務作業を自動化するシステムの導入など、随時デジタル化への取組が進められています。 さらに、今年は、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、様々な会議がオンライン化になるなど、業務効率化にも、デジタル化が一定の効果を発揮しています。 他県の事例を見ると、鳥取県では、県内市町村と連携し、行政システムの共同化を進めています。仕事の仕方が各自治体で異なるため、システムの開発、導入には大きなコストがかかります。その問題を解決すべく、市町村と連携し、定型業務を標準化し、それらの業務を自動で行うことのできるRPAを導入しています。さらに、情報システムを共有化し、ソフトを共同調達とすることで、デジタル化のコスト削減にも貢献しています。 一方で、課題となるのが、いわゆるデジタル化の守りの部分であるセキュリティーの問題です。記憶に新しいところでは、昨年起こったセブンイレブンのセブンペイでの個人情報不正利用による被害、今年夏に発覚したドコモ口座での不正引き出し問題など、大手民間企業であっても、セキュリティーへの認識の甘さから大きな問題へと発展をしています。 これらの問題を行政のデジタル化に当てはめると、2つの考えるべき課題が浮き上がります。1つ目が、外部からのハッキング等の攻撃をどう防ぐか、2つ目が、データの信頼性をどう担保するか、それら2つの点をどう解決するかが重要であると考えます。 1つ目の外部からの攻撃に関しては、分かりやすいところで言うと、情報の暗号化、さらに2段階認証などの対策が有効であると考えられます。2つ目のデータの信頼性に関しては、トラストサービスと呼ばれるものが非常に重要になります。このトラストサービスというのは、デジタル社会において様々なものが電子化される中、そのデータが改ざんされていないことの証明やそのデータの信頼性のチェックなどが行える技術サービスのことです。いわゆるデータが書き換えられたり、なりすましなどを防ぐ仕組みのことです。 昨年11月に発表された、総務省で行われているトラストサービスに関するワーキンググループの最終取りまとめによると、今後、民間、行政問わず、データの信頼性を確保し、それを支えるデータの流通基盤整備が鍵を握ると結論づけており、国でも徐々にその重要性について議論が進んでいます。 そこで、質問いたします。 デジタル技術の活用についての庁内の取組の進捗並びにセキュリティーへの課題についてどう対応していくのか、以上2点について、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 県では、行政のデジタル化が県民サービスの向上や業務の効率化につながるという認識の下、高度情報化推進本部において全庁的に議論を行い、デジタル技術を活用した働き方や業務プロセスの改革などに取り組んでいます。 例えば、昨年度から新たに、RPAによる業務の自動化やオンライン会議システムの利用促進に向けた環境整備、ペーパーレス会議システムの導入、AIを活用しました議事録の自動作成システムの導入、テレワーク環境の整備に取り組んでまいりました。 引き続き、庁内業務をはじめ県行政へのデジタル技術の積極的な活用に取り組むとともに、そのノウハウについて市町村との共有を進めてまいります。 次に、情報セキュリティー対策についてですが、まず、外部からの脅威に対しては、国の方針に基づき、平成28年度から、インターネットと庁内業務のネットワーク、個人番号を利用する事務のネットワークの3つに分離をし、セキュリティーレベルを高めています。 また、市町村と共同で自治体情報セキュリティークラウドを構築することにより、特にインターネット接続に対し、不正侵入の検知や不正サイトへのアクセス防止など、高度なセキュリティー対策を実施しており、これまでで重大な情報漏えい事故等の発生はありません。 データの信頼性の確保については、県としてもその重要性を認識しています。現在、国において、信頼性を担保する社会基盤として、送信元のなりすましやデータの改ざんを防止する仕組みであるトラストサービスの普及に向けて議論が進められているところです。 引き続き、国の動向やサービスの普及状況等を注視しつつ、情報セキュリティーの確保に取り組んでまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) 以前から早期のデジタル化の重要性を訴えてきた私としては、今のこの新型コロナウイルスによる新しい生活様式での、このデジタルトランスフォーメーションの流れというのは大きなチャンスだと思っております。 庁内のデジタル化の進展によって、県内各所及び県外地域ともテレビ会議等で移動せずに連携が取れるということは、職員の皆様にとっても、少なからず負担軽減につながっているというふうに思います。 ただ、私も、自分のやっている仕事で経験したことがありますけれども、新しいものを導入して、初めのうちは我慢して使っているけれども、使いづらかったり、パソコンにそもそも慣れていなかったりと、こういった理由で、逆に業務の負担となり、定着しないということはよくあります。 ぜひ、庁内を挙げて、システムの専門家と上司の皆さんが率先垂範して、現場の意見を取り入れながら、さらなるデジタル化の推進を進めていただきたいと思います。 そして、もう一つ、セキュリティーの問題ですが、行政機関は、民間企業にも増して厳格な情報管理と外部攻撃からの防御が必要となります。庁内でのセキュリティーの管理はもちろんですが、対外的な申請が電子化されることで、その情報の正当性を担保することができるこのトラストサービスの活用がとても重要になります。 これは、専門職員だけが知っていればいいという問題ではありませんので、一般の職員の皆様への知識の共有と周知を行い、個々人のセキュリティー意識の醸成を促していただければと思います。 デジタル化の推進は、同時にセキュリティーの確保も重要な課題となります。うまくこのアクセルとブレーキのバランスを取りながら政策を進めていただければというふうに思います。 これで、本日準備した全ての質問が終了いたしました。 今回は、スポーツによる地方創生や地元の要望等を中心に質問をさせていただきました。 今熊本は、大変な状況にありますが、熊本の大きな課題である少子化や人口減少問題は、この瞬間も刻一刻と深刻さを増しております。そして、それを解決していくためには、安心して暮らせるまちづくり、そして魅力ある熊本をつくっていかなくてはなりません。優先順位があるのは十分承知をしておりますけれども、アクセス鉄道や教育、地方創生など未来に向けた政策についても、ぜひ時間的緊迫性を持って取り組んでいただければというふうに思います。 蒲島知事がよくおっしゃっている逆境の中にこそ夢があるとのスローガンの下、県民一丸となってこの難局を乗り越えていかなくてはなりません。 今大変な状況にある県民の皆様にしっかり寄り添い、力になるのが私たち政治家の務めです。私も、この言葉をしっかりと胸に刻みながら、自分の役割を精いっぱい果たしていきたいと思います。 本日は、御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩    ――――――○――――――  午前11時9分開議 ○副議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 荒川知章君。  〔荒川知章君登壇〕(拍手) ◆(荒川知章君) おはようございます。自由民主党・葦北郡選出・荒川知章です。昨年6月定例会に続いて、2回目の一般質問となります。今回は、令和2年7月豪雨の1つに絞って質問したいと思います。 7月豪雨では、県南地域で極めて甚大な被害が発生いたしました。まずは、今回の豪雨災害でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げます。 また、ボランティアに来ていただいたり、支援物資を届けていただいたり、心配と励ましのお言葉をかけてくださったりと、多くの皆様方に御支援をいただきましたことに、この場をお借りして心からお礼申し上げます。 今日は、私の恩師である前県連会長の山本先生も傍聴席に来ていただいております。一生懸命務めますので、知事はじめ執行部の皆様、よろしくお願いいたします。 7月3日深夜から翌4日未明にかけて降り続いた大雨で、私の地元芦北地域も、1時間最大雨量129ミリ、24時間最大雨量619ミリという過去に例を見ない記録的な雨に見舞われました。 結果、県南地域では、河川の氾濫や崖崩れ等が発生し、60名を超える方々が犠牲となられました。さらに、全半壊、床上浸水合わせると6,000数百棟もの住宅被害、風水被害では過去最高となる940億円を超える農林水産関係の被害、道路の寸断や橋の流失、地域の足としてなくてはならない鉄道2路線への被害等々、その被害は枚挙にいとまがありません。 被災直後から、自衛隊をはじめ、国からは、プッシュ型支援により早々に対応いただきましたし、県内外の自治体や関係機関からも御支援いただきました。大変ありがたいことと感謝申し上げます。 県では、7月4日未明には、知事を本部長とする災害対策本部を設置し、国や関係機関との連絡調整や要望等の対応、被災市町村や避難所等への人材の派遣や地域振興局や保健所への応援など、被災市町村に寄り添った迅速な対応が行われました。 また、8月21日には、知事を本部長とする令和2年7月豪雨復旧・復興本部を設置し、復旧、復興に係る課題を全庁的に共有し、的確な復旧、復興策の協議、検討を開始され、8月30日には、専門家の皆様によるくまもと復旧・復興有識者会議を開催され、今後も、専門的見地からも様々な意見が出され、策定予定の復旧・復興プランに生かされるものと期待しています。 さらには、それを着実に推進するための新たな組織として、球磨川流域復興局の設置と人事異動、917億円もの災害関連予算を迅速に手当てしていただきました。 そこで、1点目として、被災した県民、事業者、市町村に対してどのような決意を持って支援に取り組まれるのか、蒲島知事にお尋ねします。 2点目は、球磨川流域復興局についてです。 球磨川流域復興局は、第1回の復旧・復興会議の中で知事が発言されているとおり、球磨川流域の復興に特化して取り組む組織とのことでありますが、その名称に「球磨川」とつけられていることから、被害が甚大であった私の地元の芦北町佐敷川流域と津奈木町の住民の方々からは、自分たちが支援の対象から外されるのではないかとの不安の声が上がっております。私としては、当初発表された県南復興局の名称のとおり、県南地域の被災市町村の市街地や集落の再生支援など、復旧、復興に全力で取り組む組織であると認識しています。 そこで、改めて確認ですが、今回設置された球磨川流域復興局が復興に取り組まれる支援対象地域に佐敷川流域、津奈木町などの球磨川流域以外の被災地域全体も含まれるのでしょうか。併せて知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、発災直後から、幾度となく被災地を訪問し、自らの目で被災状況を確認してまいりました。 芦北町の佐敷川流域についても、土砂で家屋が押し流された田川地区、家屋や店舗、温泉旅館など多くの浸水被害に見舞われた佐敷地区などを訪問いたしました。 また、同じ日に、土砂災害により甚大な被害が発生した津奈木町の平国地区にも赴き、その惨状を目の当たりにいたしました。 こうした過酷な被害の状況を見て、地域の安全、安心を確保するとともに、球磨川流域の自然や豊かな恵みを享受しながら、一日も早い復旧、復興に全力を挙げることこそ私の使命であると決意をいたしました。 この決意の下、豪雨災害からの復旧、復興を迅速かつ強力に推進する専任組織として、8月21日に球磨川流域復興局を設置いたしました。 この球磨川流域復興局は、復旧・復興プランの策定、推進のほか、市街地や集落の再生支援、球磨川流域の治水対策の検証などに取り組みます。そして、球磨川流域のみならず、御質問にあった芦北町佐敷川流域や津奈木町も含め、広域的に対応してまいります。 この球磨川流域復興局を中心に、私が先頭に立ち、県庁一丸となって、今回の豪雨災害からの復旧、復興にスピード感を持って、かつ集中的に取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 知事から、復旧、復興に対する力強い決意の言葉をお聞きすることができ、また、被災した球磨川流域以外の復旧、復興に対しても、県庁一丸となって取り組むという答弁をいただきました。 発災直後、知事には、芦北町、津奈木町の被災現場をくまなく見ていただきました。私も、被災現場を見て、慣れ親しんだ風景が一変していることに愕然といたしました。芦北町、津奈木町には、不自由な暮らしをされている方がたくさんおられ、残念ではありますが、この先まだしばらくは今の状況が続くものと思います。球磨川流域以外の県内被災地も、甚大な被害を受けています。被災地の皆様が一日も早く安心、安全で平穏な日常を取り戻すことができるよう、しっかりとした対応をぜひよろしくお願いいたします。 次に、球磨川の治水対策についてお尋ねいたします。 球磨川が流れている地域として人吉市や球磨郡の印象が強いですが、球磨川の左岸側に位置する芦北町も、約15キロが球磨川に接しています。 芦北町内では、今回の球磨川の氾濫で、今なお行方不明者が1名おられるとともに、多くの集落が孤立状態になるなど、大きな被害を受けました。その集落の中で、最後まで孤立状態にあった集落が白石地区でした。 白石地区は,球磨川中流部に位置し、川沿いの僅かな平地を利用して集落が形成されています。御承知のとおり、中流部は、そのほとんどが川幅が急に狭くなる狭窄部であり、以前は、洪水氾濫により度々大きな被害を受けていました。この地区は、築堤方式、つまり、堤防を築く方式による改修を行えば、災害を受けるおそれのある多くの家の移転を余儀なくされるため、平成7年度から12年度にかけて、直轄河川改修と併せて、白石地区宅地等水防災対策事業、通称宅防事業により改修が行われてきました。 その内容は、集落全体を最大約5メートルかさ上げするというもので、その戸数は、26戸でした。また、今なお行方不明者がおられる小口地区においても、平成13年度から平成16年度にかけて、8戸の集落を同様の手法でかさ上げしました。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) かさ上げした白石地区の状態です。1階は完全につかっています。短時間で床上から天井まで水位が上がっており、最大約5メートルかさ上げしてもなお天井まで水が来たことになります。建設時の経緯等を調べてみると、この事業は、川辺川ダムの建設を前提として計算され、設計されたものでした。 ダム建設を前提にかさ上げした住宅が天井までつかった悲劇を目の当たりにし、短時間に水位が上昇した状況を鑑みると、洪水対策として、また、避難する時間を確保することが可能となるダム建設は、非常に重要かつ有力な選択肢であり、私は、それを踏まえた治水対策を議論すべきであると考えています。私たちは、もう二度と同じ経験を繰り返してはいけません。お亡くなりになられた方、いまだ見つからない行方不明の方を思うと無念でなりません。今回の状況を見れば、答えは必然的に導かれるものと思います。 ただ、一方で、ダム建設に反対される方々の中には、緊急放流が怖いからダムは心配だとの思いもおありです。こうした声にも耳を傾けて、緊急放流をしなくてもいい対策もしっかりと検討した上で、住民の方が安心して暮らせる環境づくりを実現していくことが行政の役割だと考えます。 おのおのの選択肢にはそれぞれ賛否の意見が必ず出てくると思いますが、人命を守ることを最優先として、ありとあらゆる検証をした上で、知事には最善の選択をしていただきたいと願っています。 今回のこの白石地区や小口地区など球磨川沿い集落の悲劇を踏まえ、今後の治水対策をどのように進めていかれるのか、知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕
    ◎知事(蒲島郁夫君) 球磨川沿いの集落の洪水被害を踏まえた今後の治水対策の進め方についてお答えします。 球磨川中流部の川沿いに位置する芦北町の白石地区や小口地区は、背後を山に囲まれており、河道の拡幅を行うと、宅地が十分確保できなくなる場所であります。 そのため、これらの地区では、洪水から集落を守る対策として、国や県において、川辺川ダム計画を前提とした水位を基に、宅地のかさ上げを実施してきました。また、ダムによらない治水を検討する場で積み上げた対策として、国において河道掘削を実施してきました。 さらに、芦北町において、県の球磨川水系防災減災基金を活用して、住民向けのハザードマップの作成や配布、水防資機材の整備などのソフト対策にも取り組まれてきました。 しかし、今回、これまでの想定をはるかに超える豪雨により、これらの地区においても、甚大な洪水被害が発生しました。 私は、このような被害を二度と生じさせないという覚悟の下、まずは、今回の豪雨災害を科学的、客観的に検証することが必要と考えました。 そこで、令和2年7月球磨川豪雨検証委員会を立ち上げ、国及び流域市町村と連携して、時間的緊迫性を持って、科学的、客観的な検証に取り組んでいます。 このような中、9月17日に、流域市町村で構成する川辺川ダム建設促進協議会から、流域市町村の総意として、今回の検証でダムの有効性が認められた際は、川辺川ダム建設事業を含めたあらゆる対策に直ちに取り組むべきとの要望書を頂きました。 また、国土交通省は、本年7月に、今後の治水対策について、気候変動による災害リスクの増大に備えるため、流域全体で総合的かつ多層的に取り組む新たな治水対策である流域治水へ転換する考えを示しています。流域治水については、専門家の方からも検証委員会に提言が届けられています。 さらに、流域住民の方々からは、ダムを早急に整備すべきという意見やダムに批判的な御意見など、様々な御意見が私の元に届けられています。 加えて、今後、私自身が、流域住民の方々や商工業、農林水産業などの様々な団体の方々に直接お会いし、治水の方向性や今後の復旧、復興に向けた御意見、御提案も伺ってまいりたいと考えています。 今後の球磨川流域の治水の方向性については、検証委員会での検証を踏まえ、また、これらの御意見などを参考に、あらゆる選択肢を排除せず検討してまいります。その上で、年内に、それもできるだけ早く、県として治水についての考え方を整理しお示しするとともに、国、県及び流域市町村が連携して、治水の方向性を定めてまいりたいと考えています。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 知事が流域治水という考え方を紹介されました。流域治水とは、河道掘削、堤防整備、遊水地整備、ダム整備などがあり、これらが総合的に整備されることで、流域全体で治水を行うことであると理解しています。流域治水については、専門家から検証委員会へ提言が届けられているほか、流域住民からは、ダムを早急に整備すべきといった御意見やダムへの批判的な御意見が届けられているとのことでありました。 さらに、8月20日に開催された川辺川ダム建設促進協議会定期総会においては、流域住民の水害への不安解消と復旧、復興は待ったなしの状況から、ダム建設を含めた抜本的な治水対策を求めることを流域市町村全会一致で採択されたところであります。 私は、流域治水の総合的かつ多層的な取組の大きな柱はダムによる治水であり、それを抜いては考えられないと思っています。しかし、そのためには、ダムの運用について、流域にお住まいの方々の不安とならないよう、しっかりと寄り添った対策が必要不可欠であると考えます。 第2回目の豪雨検証委員会が来週6日に開かれるようですが、検証委員会の議論が長引けば、県の考え方の取りまとめが遅れることになり、流域の復興がスタートできません。また、これまで治水の議論に翻弄されてきた五木村や相良村など関係市町村については、引き続きしっかりと寄り添った上で、流域住民の水害への不安解消につながる抜本的な治水の考え方を一日も早く示していただきますようお願いいたします。 次に、なりわい再建について質問します。 まず、農林水産業についてですが、さきの豪雨災害において、当地域の基幹産業である農林水産業についても、壊滅的な被害を受けました。 農業関係では、河川の氾濫による水田の流失、土砂の流入、地域の基幹作物であるデコポンやアマナツなどの樹園地の崩壊や土砂の流入、ビニールハウスの倒壊、広域農道や水路等の崩壊など、被害は、芦北町、津奈木町の広範囲に広がっております。 その中で、芦北町宮浦地区では、農家の方が待ち望んでおられた圃場整備が県の中山間地域総合整備事業により今年5月に完成したばかりの地区であり、整備が終わった約9.4ヘクタールの水田の実に7割以上が河川の氾濫による土砂の流入により壊滅的な被害を受けられ、被災された農家の落胆は言葉に尽くせません。 加えて、地域の農業や地域経済を牽引しているJAあしきたも大きな浸水被害を受けており、さきの震災で被災し、今年3月に竣工したばかりのJA本所やファーマーズマーケットでこぽん、レストランぎゅーぎゅー亭、加工場や直販施設に加え、JA斎場やコンビニも被災し、被害額は、実に約17億円と聞いています。 また、JAあしきた以外にも、多くの農業関係者が被害を受けています。 林業関係においても、大規模な山腹崩壊や林道や作業道の崩壊、製材所などの林産施設の浸水など、被害件数で350件以上になっていると聞いており、昨年10月の消費税の増税や今年春からのコロナ禍などの影響による住宅着工件数の減少に伴う木材価格の低迷が続いている中での、まさに三重苦となっております。 さらに、水産関係では、漁港の護岸の損傷や養殖施設への被害などに加え、河川からの流木等の流出により漁に出られない時期が長期間にわたるなど、漁業者にとっても非常に厳しいものでした。 被災後、地域を回り、農家の方のお話をお聞きすると、これを機会にもう農業をやめようかなと言われる方が少なからずいらっしゃいます。今回の甚大な被害により復旧を諦め、リタイアされる方が数多く出ることになれば、地域を支える農林水産業がますます衰退し、地域経済がより一層落ち込むのではないかと大きな危機感を持っています。 私は、常日頃から地域経済を支えている農林水産業の振興が何より大切だと考えています。被災された多くの方々の不安を取り除き、もう一度希望を持って将来に向かって取り組んでいただくためにも、農林水産基盤の早期の復旧、復興や今回被災された農林水産業に携わる方への手厚い支援による意欲の向上を図ることが急務だと考えます。 そこで、県として、今回の豪雨災害により大きなダメージを受けた農業、林業、水産業それぞれのなりわい再建について、どのように取り組まれるのか、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 令和2年7月豪雨では、芦北、球磨地域を中心に大きな被害が生じており、これまで判明しております農林水産関係の被害額は、県全体で約1,019億円と、この30年の間で熊本地震に次ぐ2番目の1,000億円を超える規模となっております。芦北地域においても、約177億円と甚大な被害が生じております。 議員御指摘のとおり、地域の基幹産業である農林水産業の復旧、復興には、被災された農林漁業者の方々の不安を取り除き、経営継続に向けた意欲を維持していただくことが何よりも大切です。 このため、県では、発災直後から、農作物への被害拡大を最小限に抑えるため、排水対策や病害虫防除などを網羅した技術対策を生産者の皆様へ周知するとともに、栽培管理以外の経営や復旧事業などを含めたあらゆるお困り事に対応するため、全ての広域本部、地域振興局内に営農相談窓口を設置しております。 また、営農再開に不可欠な農業用機械や施設の復旧、再建については、国の予算を活用するとともに、県も、市町村と連携し、補助率が最大9割となる支援策を講じております。なお、地域農業の牽引役であるJAあしきたの復旧につきましては、国のなりわい再建支援補助金の活用などに向けて、商工観光労働部や関係機関とも連携し、しっかりと支援してまいります。 さらに、被災された生産者の皆様が速やかに経営を再開していただくためには、農地や水路、林道や治山関係施設など、農林業を支える生産基盤の早期復旧が大変重要となってまいります。 このため、特に被害が甚大であった芦北、球磨地域の各地域振興局に専任の技術職員を増員し、市町村が行う災害復旧事業への積極的なサポートを行っております。なお、圃場整備の完成直後に被災した芦北町の宮浦地区につきましては、県営事業として、その復旧を進めてまいります。 また、漁業の支障となる流木等の漂流、漂着物につきましては、国や漁業関係者の皆様と連携し、迅速な回収、処分に取り組んでおります。漁業施設や共同利用施設の復旧等につきましても、国の事業を活用し、早期復旧を支援してまいります。 なお、農林漁業者の皆様がお困り事から支援策を検索できるよう、いわゆる逆引き形式で一覧表を作成し、県のホームページへ掲載するとともに、関係団体に周知するなど、積極的な情報発信も行っております。 今後とも、被災された地域に寄り添い、一日も早く復旧、復興ができるよう、必要な支援策の実施に向け、全力で取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 地域に寄り添い、一日も早く復旧、復興ができるよう、全力で取り組んでまいるという力強い答弁をいただきました。 芦北地域の振興を図る上で、農林水産業の発展は、極めて重要であります。ぜひこういった施策を十分活用していただき、一日も早い復旧、復興を進めていただきたいと思います。そして、被災された農林水産事業者全ての方々に情報が行き渡るように周知の徹底を図っていただくとともに、手続が煩雑とも伺いますので、そういう点も配慮していただきたいと思います。 次に、商工業についてですが、こちらも、農林水産業と同様に、商業施設や工場等への冠水や土砂の流入が見られ、事業者に甚大な被害が生じています。特に、コロナ禍にさいなまれた中小企業にとっては、極めて厳しい経営状況の中、再建に向けて少しずつ歩み出した矢先の今回の災害で、一段と厳しい局面に立たされております。 私も災害が発生した直後から被災地を回りましたが、明治12年創業、141年の老舗旅館の1階部分が1メートル以上浸水して土砂に埋もれていたり、創業90年以上のしょうゆ蔵が水没し、製品製造が不能となったり、球磨川支川沿いにたたずむ温泉旅館の露天風呂つき離れが全壊した姿を目の当たりにしますと、ショックで言葉を失いました。 このように、被災された多くの事業者の方々にお話を聞きますと、高齢で後継者もいない方々からは、将来が不安で多額の再建費用をかけられないとの理由で、再建を断念せざるを得ないとのお声もありました。 一方で、8月6日に芦北町民総合センターで開催されたなりわい再建支援補助金の説明会には、200名を超える事業者の方々が参加され、事業再建に向けた意欲を持っている方々も多数おられました。 今回のなりわい再建支援補助金については、従来のグループ補助金と同様に、被災地域の中小企業等の復旧、復興に重要な一翼を担っており、一企業の施設復旧のみならず、地域の経済や雇用の早期回復に大変重要な役割を果たすものと考えています。 特に、コロナ禍の影響、熊本地震による影響、加えて、今回の豪雨災害の影響を受けている三重苦の被災事業者については、一定の要件を満たせば、上限5億円で10分の10の定額補助を受けられるという特別な支援の枠組みが措置されております。このことから、当補助制度をできるだけ多くの方々に知っていただき、活用していただきたいと考えております。 施設を復旧し、事業を再開するまで長い期間を要する事業者を支援するため、施設復旧等のハード整備に対する支援に加えて、新たな商品開発やECサイトでの販売支援、情報発信など、地域の産業を総合的に後押しするソフト面での支援も必要と考えます。 そこで、商工業のなりわい再建に欠かせない今回のなりわい再建支援補助金をできるだけ多くの被災事業者に活用していただくための支援体制をどのように構築しているのか、また、被災事業者のなりわい再建に向けたソフト面での支援についてどのように取り組まれるのか、商工観光労働部長にお尋ねします。  〔商工観光労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工観光労働部長(藤井一恵君) 議員御指摘のとおり、熊本地震の際のグループ補助金が拡充されたなりわい再建支援補助金は、被災事業者の方々の事業再建を強力に後押しし、地域経済や雇用の早期回復につながるものであります。被災事業者の方々に積極的に活用いただくことが大事であると考えております。 まず、この補助金の活用のための支援体制についてですが、国が対策パッケージを閣議決定した翌日には、被災事業者からの相談が予想される商工団体などと情報共有を図りました。 あわせて、被災事業者の皆様に制度概要を周知するため、8月6日から10日にかけて、県内7会場で合計20回、国と連携して説明会を開催いたしました。その際、事業者ごとに様々な多くの御質問があり、熊本地震のときと同様、個別相談の重要性を強く認識いたしました。 そのため、県では、なりわい再建支援補助金の予算措置後、8月31日から補助金交付申請の第1次受付を開始すると同時に、商工団体、熊本県よろず支援拠点及び熊本県行政書士会と連携して、県内19か所に窓口を設け、申請書作成の相談等に対応しております。 新型コロナウイルスの影響を踏まえて、予約制としておりますが、9月25日までに延べ700名を超える方々が各種相談に来られております。 さらに、専用の受付センターを設置し、郵送での申請書の受付とともに、電話による相談も始めており、相談件数も増えてきております。 議員御紹介のとおり、被災事業者の皆様から、この補助金に対する大きな期待が寄せられております。 今後とも、商工団体等と連携を密にして、個々の状況に応じたきめ細かな対応を行い、この制度の活用がスムーズに進むよう、しっかりと支援してまいります。 次に、ソフト面での支援についてです。 被災事業者のなりわい再建には、施設設備の復旧とともに、売上げ回復等につながるソフト面での支援も重要です。 国は、今回の豪雨災害により被災した小規模事業者が、備品購入、店舗改装のみならず、広告宣伝などのソフト面でも活用できる持続化補助金の制度拡充を行われました。 具体的には、限度額を通常の50万円から200万円に、また、一定の要件を満たせば、なりわい再建支援補助金と同様に、10分の10の定額補助が措置されることとなっております。この持続化補助金についても、県内各地域の窓口等でしっかりと対応してまいります。 また、本県独自の取組として、被災地域産業再興支援事業を8月専決により創設しました。 この事業は、被災事業者の当面の収益確保や地域産業一体となったにぎわいの創出など、地域の核となる団体の活動を支援し、地域産業全体の再生を総合的に後押しするものです。 現在、球磨焼酎酒造組合や水俣・芦北地域雇用創造協議会などから事業計画書を提出いただいたところです。 この中では、将来の新たな収益の柱を創出するため、既存商品の高付加価値化、オンライン販売向けの新商品の開発などの取組が計画されております。 また、施設の復旧に時間を要する旅館や飲食店における当面の収益確保のため、仮設の食堂設営や移動販売などに関する取組も盛り込まれております。 事業の円滑な実施や地域産業の再生に当たっての様々な隘路の解消に向けて、担当職員も配置したところであり、各団体の取組を積極的に支援してまいります。 県としましては、地域経済の早期復旧が図られるよう、ハード、ソフトの両面から、被災事業者のなりわい再建、復興をしっかりとサポートしてまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) ハードとソフトの両面から被災事業者のなりわい再建をしっかりサポートしてまいると前向きな答弁をいただきました。 ハード整備に対する支援については、事業者ごとにいろいろな課題が山積していると思いますので、個別相談会などで被災事業者に寄り添ったきめ細やかな対応をしていただけるようよろしくお願いいたします。 また、ソフト面での支援については、以前、熊本地震の際には、復興の原動力として『ONE PIECE』の麦わらの一味の銅像が県内被災自治体に設置されました。 今回の被災自治体に対しましても、復興に向けた活力となるよう、例えば、うたせ船の帆に『ONE PIECE』の麦わらの一味の絵を描いたり、ラフティングのボートや球磨川下りの船に同様の絵を描くなど、地域の観光資源を活用した支援についても、ぜひ検討をお願いいたします。 次に、土砂災害防止対策について質問いたします。 毎年、全国各地で豪雨による土砂崩れでお亡くなりになられる方が後を絶ちません。令和2年7月豪雨による土砂災害について、8月31日現在の国土交通省の発表によりますと、発生件数は941件、死者が17名、家屋被害は160戸と、甚大な被害が出ております。 県内の土砂災害でお亡くなりになられた方のうち、芦北町で8名、津奈木町で3名の11名が芦北地域であり、全国でお亡くなりになられた方の実に70%近くとなります。 7月3日、4日の豪雨時には、芦北地域においても、気象状況に応じて土砂災害警戒情報が発表され、これを受けて、芦北町、津奈木町でも避難勧告などを発令されています。しかしながら、残念にも、御自宅におられた方が土砂災害によりお亡くなりになられました。 一方で、今月初旬の台風10号通過の際は、気象予報やテレビによる報道が台風発生直後から多くされたこともあり、強風域に入る前から避難されるなど、命を守る行動をされた方が多くありました。私も、当日、不安な思いで、避難所であるしろやまスカイドームに行き、一晩台風が過ぎるのを待ちました。 豪雨による災害を経験していたことから命を守る意識が強く、台風通過前に多くの方が避難されたのではないかと感じました。これが、豪雨による被災がなかったなら、避難する、命を守る行動をされる方は少なかったのではないかとも思います。 7月豪雨と台風10号を経験して、空振りでもよく、いかにあらかじめ避難すること、避難を促すことが、自分の命、大切な人の命、県民の命を守ることにつながるのだと改めて感じた次第です。 そこで質問ですが、今回の豪雨や台風10号のように観測史上最大と言われる自然現象が頻発する近年において、自分の命を守る、大切な人の命を守る、県民の命を守るため、ハードの整備ももちろん大事です。その上で、ハードのみに頼るだけではなく、いち早く避難する、そのための意識づけと実際に避難を促すことがとても大事だと考えますが、県は、今後どのように取り組まれるのか、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) 土砂災害からの住民の早期避難につながる県の取組についてお答えをいたします。 県では、危険な区域として、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンやイエローゾーンを指定しており、平成29年度までに約2万1,000か所を指定いたしました。現在は、熊本地震後に危険な区域となった可能性のある約6,000か所の調査を進めており、令和5年度までに追加の指定を完了させる予定です。 指定時には、指定の根拠となる土石流、崖崩れ、地滑りの内容及び早期避難の重要性を地域ごとに住民の皆様に周知をしております。 また、指定区域の情報につきましては、県のホームページ及び市町村のハザードマップにおいて周知徹底を図っているところです。 さらに、住民の避難への意識向上に向け、昨年度、レッドゾーン、イエローゾーン内の約7万8,000戸全てに、市町村と連携して、土砂災害の危険性と避難の必要性を戸別に訪問して御説明したところです。 具体的には、土砂災害が発生しやすい土地に住んでいること、土砂災害警戒情報が発表されたら、迷わずすぐに安全なところへ避難する必要があること、急な集中豪雨などで間に合わないときは、自宅の2階や山から離れた部屋へ避難することなどを説明しております。 また、可能な限り、消防団や自治会長と協働して周知を行うことで、共助の防災意識が向上するように努めてまいりました。 今後は、7月豪雨及び台風第10号などの避難状況を調査検討し、実際の避難意識の向上につながるよう、引き続き、避難訓練等を実施してまいります。 県としましては、土砂災害から人命を守ることを最優先に考え、砂防施設などのハード対策を進めるとともに、ソフト対策として、レッドゾーンからの安全な区域への住宅の移転や早期避難につながる対策も、市町村や地域住民の皆様と連携し、しっかりと取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) ハード対策とともに、早期避難につながるソフト対策も取り組んでまいるとの答弁をいただきました。 いつ同じような災害があるかもしれません。今回の災害では、レッドゾーンやイエローゾーン以外でも災害が起こっていますので、そういう可能性のある箇所についても、早期避難につながるソフト対策をしっかりとお願いします。 一方で、やはりハード整備も非常に大切であります。芦北管内では、今回の豪雨により土砂災害のあった箇所について、砂防や急傾斜関係では、災害関連緊急事業として10か所の採択があったと聞いております。また、治山関係では、36か所が林野庁による代行事業が決定されたとも聞いております。私も、実際に現場を見に行って、被害の大きさを痛感いたしました。実際にそこに住んでいる方がたくさんいらっしゃいます。安心して暮らせるよう、来年の梅雨時までに一定の対策が整うべく、スピード感を持った対応をよろしくお願いいたします。 次に、災害復旧と防災、減災について質問いたします。 道路や河川などの公共土木施設の災害復旧については、原形復旧が原則とされていると聞いておりますが、知事は常々、被災者の痛みの最小化、前よりもいい形での創造的な復興を目指す、本県のさらなる発展につなげるを復旧、復興の3原則と言われています。今回の豪雨により被災した施設の復旧は、可能な限り3原則に沿い、かつ早期に進めていただきたいと思っています。 一方、今回の豪雨を経験して、災害を未然に防ぐことができなかったのか、災害を軽くできなかったのかとも思うものであります。 御承知のとおり、芦北町、津奈木町においては、今回の豪雨により、佐敷川では広範囲の浸水被害や、津奈木川などでは多数の施設が被災したところであります。私はかねがね、地域の皆様から、川に土砂がたまっている、以前と比べて川底が浅くなったとの声を聞くことがありました。現在、国が、平成30年度から、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を実施されており、県においても、国の補助事業により様々な対策が講じられていますが、今年度が3か年の最終年となります。豪雨災害からの復旧、復興はもちろん最優先ですが、県民の命を守り、安全、安心を確保するためには、引き続き、国の強力な支援が必要だと感じています。 そこで質問ですが、今後、被災した施設の復旧工事が始まるとは思います。その件数は膨大であるため、完成には相当な期間を要すると思いますが、復旧、復興の考え方、今後の見通しについてお尋ねします。あわせて、河川に堆積する土砂などが散見される状況において、防災、減災の視点からどのように取り組まれるのか、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) まず、令和2年7月豪雨における災害復旧の考え方と今後の見通しについてお答えをいたします。 今回の豪雨では、道路や橋梁、河川及び下水道など、4,700か所を超える公共土木施設が被害を受けました。 これらの施設は、地域の住民生活や経済活動の基盤であり、まずは、孤立集落の解消に向けた道路啓開や出水に備えるための護岸の応急対策等を実施してまいりました。現在、本格復旧に向けて国の災害査定を受けており、査定を終えた施設から順次復旧工事を進めてまいります。 なお、復旧に当たっては、原形復旧が基本となりますが、洪水により川沿いの市街地が広範囲で浸水した佐敷川等については、再度災害を防止する観点から、改良復旧の実施に向け、国と協議を進めております。 県としましては、国による代行等の支援をいただくとともに、市町村への積極的な支援を行い、県全体の一日も早い復旧、復興に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、河川内に堆積している土砂の対応についてお答えをいたします。 従来、河川に堆積した土砂の掘削につきましては、県の単独事業により実施してきました。そうした中、近年激甚化する災害を踏まえ、国は、平成30年度に、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に基づく国補助事業、令和元年度には、有利な地方債制度として、緊急自然災害防止対策事業を創設されました。県は、これらの事業を活用し、一定要件を満たす河川について、必要な掘削等を推進してまいりました。しかし、これらの事業は、今年度までとされていることから、現在、来年度以降も事業を継続いただけるよう、国に強く求めています。 また、今年度から、維持管理として実施する土砂の掘削を対象に、緊急浚渫推進事業が創設され、より多くの河川の掘削を推進することができるようになりました。 県としましては、これらの事業を活用し、河川の特性や防災、減災上の緊急性等を考慮しながら、計画的な堆積土砂の掘削に取り組み、今後の出水による災害の未然防止に努めてまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 洪水により広範囲で浸水した佐敷川等は、前よりもいい形での創造的な復興を目指していただけると理解しました。ほかの河川や道路についても、ぜひ前よりもいい形での早期復旧をよろしくお願いします。 また、一番気になっていた事前防災への取組についても、計画的な取組をされるという答弁をいただきました。 芦北地域の佐敷川、湯浦川、津奈木川など比較的小さな河川は、一雨で土砂が堆積したりします。いつこのような災害が起こるか分かりません。常に事前防災の意識を持ち、地域住民の皆様が安全で安心な日常が送れるよう、あらゆる事業を活用し、しっかりと対応をお願いいたします。 最後に、田浦港排水機場の機能強化について質問します。 7月の豪雨により、芦北町の旧田浦町中心地である小田浦地区が冠水し、床上浸水など、大きな被害が発生しました。この地区は、宮の浦川と小田浦川に挟まれた中に、肥薩おれんじ鉄道肥後田浦駅や国道3号、県道田浦港線の交通インフラのほか、福祉センターや公民館、JA基幹支所やコンビニエンスストア、東海カーボン田ノ浦工場などが集まっています。 この地区は、昭和57年7月には、今回と同規模の浸水被害が発生しましたが、地区内を歩いてみると、当時の洪水痕跡を示すプレートが至るところに掲示されており、地区全体が浸水への危機感を持っておられることが分かります。また、被災された方からは、今回は浸水する時間が速かった、排水機が役に立たなかったと、今回の豪雨が経験したことのないものだったことと、排水機があったにもかかわらず浸水したことへの諦めと怒りが混じっているように感じました。 また、浸水被害があった東海カーボン田ノ浦工場は、昭和10年に工場が設立され、以来85年間、半導体をはじめ、最先端の科学技術を支えているファインカーボンの国内有数の製造拠点であり、芦北地域で作られた製品が世界中の人々の暮らしを豊かにしてくれることを誇りに感じます。地域の雇用を支え、県の経済発展に多大な貢献をされている田ノ浦工場は、黒鉛化するための炉が浸水し、7月4日に火災が発生しました。幸い、人的な被害はなかったものの、鎮火まで丸一日を要しました。 今回の豪雨が観測史上最大であったかもしれませんが、災害を未然に防ぐために設置されている排水機が機能しないようなことがあってはならないことだとも感じます。 そこで、今後、今回の豪雨以上の雨がいつ降るかも分からない近年の気象状況の中で、県経済の発展に多大なる貢献をしている企業が立地する小田浦地区の安全と安心が担保されるよう、排水機場が浸水しないような対策や排水機場そのものの能力向上を図ることが急務だと思いますが、今後どのように取り組まれるのか、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) 田浦港排水機場につきましては、昭和57年の芦北町小田浦地区における浸水被害を受け、県が整備を行い、その後、平成22年には、芦北町が排水機を増設しております。これらの整備により、当排水機場は、集水面積当たりの排水能力が県内でも高い施設となっております。 しかしながら、気象庁田浦観測所で観測史上最大の日降水量を記録した令和2年7月4日の豪雨により排水機場が浸水したことで、排水機が十分に機能しませんでした。 そのため、豪雨直後の7月5日に排水機の応急対策に着手し、同日中に機能の回復を図りました。 今後の浸水対策としましては、今回と同程度の豪雨が発生した場合でも排水機が十分に機能するよう、排水機場開口部からの雨水浸入を防止するための施設整備や電源設備への浸水防止対策を来年の梅雨前までに完了できるよう取り組んでまいります。 また、排水機の機能強化につきましては、今回の豪雨において排水機が十分に機能していた場合の浸水状況等を検証した上で、その必要性について、芦北町と連携し検討してまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 今回の水害直後、東海カーボンの長坂社長が芦北町長を訪問されましたが、その際、知事から、被災した工場の復興に向けて全力で支援する旨の親書を、芦北町に派遣されていた県の局長を通じて、社長に届けていただいたことにつきまして、長坂社長はじめ工場関係者一同、大変喜んでおられました。まずは、知事の速やかな対応に改めて感謝いたします。 質問の中でも述べましたが、今回の被害は、昭和57年以来2回目となります。三たびこのような被害に遭うことは、会社の存続にも大きく関わってくる問題です。会社と株主は、その対策に大変注目しているということを念頭に置きながら、しっかり取り組んでいただきたいと思います。 実は、私は、吉永県議とともに、今月上旬に東海カーボン田ノ浦工場にお邪魔をし、工場長から、浸水や被害の状況、課題などの御意見をお聞きしました。その中で、浸水被害を解消する、あるいは軽減するためには、排水能力の問題、排水機場に流れ込む水路や遊水地の維持管理の問題が顕在化しているようにも感じました。 芦北町の経済と雇用を支えている企業が万が一撤退にでもなれば、芦北町の復興は、到底あり得ません。そのことをしっかりと認識していただき、企業にも寄り添った対策をスピード感を持って進めていただくようお願いいたします。 今回は、令和2年7月豪雨災害の復旧、復興について質問させていただきました。復旧、復興のほかにも、今般の大きな課題として、新型コロナウイルス感染症への対応もあります。私の地元でも、新型コロナウイルスの感染者が発生しました。これについても、後手に回らないように先手先手の対策をお願いいたします。 私としては、今後も、地元の皆様の安心、安全な生活のために、若者が希望の持てる地域づくりのために、そして県勢発展のために誠心誠意、全力で取り組んでまいります。 これで質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時6分休憩    ――――――○――――――  午後1時8分開議 ○議長(池田和貴君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 髙木健次君。  〔髙木健次君登壇〕(拍手) ◆(髙木健次君) ただいま議長より御指名をいただきました自由民主党・髙木健次でございます。 まずもって、さきの7月豪雨でお亡くなりになられた方に心から哀悼の意を表し、また、被災された方々にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。 さて、今定例会、代表質問、一般質問合わせて15名の方の登壇がありまして、今回、最後の締めくくりとしての登壇をいただきました。図らずも最終で登壇をさせていただきましたけれども、本当に最終バッターの難しさ、重責をひしひしと今感じております。バッターといいますと、今回、いろいろな方々から新球場の建設はという話がありました。ただ、本来ならば、連続8回目の質問になるところでしたけれども、度重なる災禍に鑑み、見送ることにいたしました。古閑教育長には、答弁の機会がなくなりまして大変残念かと思いますが、御理解をいただきたいと思います。 また、今までの質問によりまして、大きな問題、課題は既に出尽くしておりますけれども、これからの質問は、皆さんが取りこぼされたものの中からの質問になると思います。どうぞ、知事をはじめ皆さん方の的確な御答弁をよろしくお願いをしたいと思います。 それでは、通告書に従い、質問に入ります。 まず、土砂災害に対する事前の備えについてお伺いします。 7月4日未明、県南を中心に発生した線状降水帯は、県内各地で記録的豪雨となり、大きな水害を引き起こしました。死者65名、行方不明者2名などの甚大な被害が発生し、中でも、球磨川流域での浸水被害は、特に顕著であり、浸水面積は、人吉市が518ヘクタール、芦北町が492ヘクタールとなっており、市街地や農地など広範囲にわたっております。そのため、浸水被害の大きさが注目を集めましたが、一方で、土砂災害も県南地域を中心に多数発生し、県内で220件の土砂災害が確認され、土砂崩れによって亡くなられた方は11人に上っております。 これらの土砂崩れ現場は、県が土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンや土砂災害特別警戒区域、レッドゾーンに指定されている区域か、または今後指定される予定の区域が数多く含まれております。すなわち、今回被害が発生した地区は、土砂崩れの危険性が事前に予測されており、住宅の移転促進や予防的避難の徹底などが必要であったと考えます。 こうした中で、県では、レッドゾーンの区域内にある住宅に住まわれている方を対象に、その区域外の安全なところに移転していただくため、移転に必要な費用などを上限300万円まで補助する土砂災害危険住宅移転促進事業を他県に先駆けて平成27年度から開始しています。 そして、蒲島県政3期目の県政運営の基本方針であった熊本復旧・復興4カ年戦略においても「土砂災害特別警戒区域等居住者の土砂災害警戒区域外への移転を支援します。」と定め、目標値を設定した上で、この事業に取り組んでこられました。 改めて今回の被害を見てみますと、現場が急傾斜地法に基づく崩壊危険区域であり、県が対策事業によりコンクリート擁壁を設置していたにもかかわらず、擁壁を越えて土砂が住宅へ流入するといった被害が複数ありました。近年の想定を超える豪雨を前にしますと、ハード対策のみで土砂災害を防ぐことは困難であり、また、早めの避難を呼びかけても避難行動につながらない場合があります。 こうしたことを考えますと、現在レッドゾーン内にある住宅は、県内に約2万軒と言われておりますが、危険な区域内にある住宅については、できるだけ安全な区域へ事前に移転することが望ましいと考えます。 一方で、この事業を活用して移転された方は、制度の創設から5年半で僅か127件と、なかなか移転が進まないという実態があります。 補助事業があるのに、どうして移転が進まないのでしょうか。300万円という補助限度額が低いからなのでしょうか。また、補助対象範囲の問題でしょうか。もしくは、県民がこの制度を知らないからでしょうか。あるいは、今住んでいる場所への愛着から長年暮らしてきた場所を離れたくないとの思いからでしょうか。様々な理由があると思いますが、県では、こういった点についてどのように分析されているのか、お尋ねします。 また、昨今の激甚な災害が頻発する状況などを踏まえ、今後より多くの方に安全な地域へ事前に移転していただくためには、移転することへのインセンティブを高める必要があると考えます。 加えて、本事業は、イエローゾーン内でレッドゾーンと同規模の土砂崩れ災害が発生しても、イエローゾーンの居住者は事業を利用できないことになっていますが、この点は、何らかの救済措置を検討すべきと考えます。 今後、レッドゾーンからの移転を促進するため、その重要なツールである土砂災害危険住宅移転促進事業の見直しなどを含め、県としてどのように取り組んでいくお考えか。 以上2点を、本日、部長も5回目の登壇となり、大変お疲れでしょうけれども、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) まず、住宅移転促進における課題についてお答えをいたします。 土砂災害は、一たび発生すれば、一瞬で貴い命を奪う、とても危険な災害です。今後も激甚な土砂災害が起こり得る現状では、レッドゾーンから安全な区域へ移転していただくことは、とても重要であると考えております。 県では、土砂災害危険住宅移転促進事業の利用を促進するため、昨年度、レッドゾーン内の全戸に事業を周知いたしました。この結果、昨年度の申請件数は、過去最高の43件となりました。 一方で、これまでの実績や昨年度に行ったアンケートの結果によれば、地元コミュニティーへの愛着、なりわいの維持、高齢化による移転困難等が移転を決断できない主な理由であると考えております。 このため、県としましては、レッドゾーンにお住まいの皆様お一人お一人の事情に寄り添いながら、土砂災害の危険性を周知するとともに、それぞれの抱える課題を少しでも解決し、移転につなげるよう努力をしてまいります。 次に、事業の見直しも含めた移転促進の取組についてお答えをいたします。 本事業は、レッドゾーンからの移転を対象としておりますが、それ以外の区域でも土砂災害により地形が変状している場合は、必要に応じて調査を行い、被災後の地形がレッドゾーンの基準に該当すれば、本事業の対象となる場合があります。このこともしっかりと周知をしてまいります。 また、本事業の利用促進のため、レッドゾーン内の住宅を解体せずに農業用倉庫等に改造して使用する場合も交付対象にするなど、本年7月に見直しを行いました。 さらに、本事業は、がけ地近接等危険住宅移転事業との併用や公費解体等の支援も併せて活用できることとしております。 今後も、住民の皆様がより利用しやすい事業となるよう改善を図りながら、利用促進に取り組んでまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 今土木部長から答弁がありました。 住宅移転促進の課題は、主として、地域、地元コミュニティー、あるいはなりわい、そしていろいろな事情があるということでありますけれども、私もやっぱりそう思います。私も2回被災地に足を運びましたけれども、被災された家屋等の被害を見ますと、本当に心が痛むような感じで帰ってきました。やっぱり地域には地域の、本当にコミュニティー、絆というものがありまして、大変その場所を、お金を出すからほかのところに移転をと言っても、なかなかやっぱりそれなりの事情がたくさんあって、地域の人との今までの付き合い、そして、ふるさとということもあるだろうというふうに思います。 被災された方々が、今回、球磨川を恨まない、憎まないというお話がありましたけれども、全くそのとおりだというふうに思っております。やっぱり我がふるさととしてずっと住んでおられる方々からすると、非常に様々な意見があって、これはやっぱり県が進める上で、本当に一人一人に寄り添う形での対策を講じていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。 また、補助事業について、対策もちょっと見直しをしたということで、今までレッドゾーンとイエローゾーンの区別が一線を引かれておりまして、レッドゾーンの場合は、被害に遭ったら災害対応になるんですけれども、イエローゾーンは、1メーター違っても、やっぱりこの対象にならないんですね。ですから、こういうことは、やっぱり同じような被害あるいは地形が崩れたといった場合には、この制度を活用していただけるならば、大変いい改正あるいは見直しになるんじゃないのかなというふうに思っておりますので、県としても、よろしくお願いをしておきたいというふうに思います。 続きまして、新防災情報システムについてお尋ねいたします。 先ほども申し上げましたとおり、近年、本県はもとより、全国各地で数十年に1度の自然災害が毎年のように発生しております。 こうした中で、災害発生の前には、早めの、そして確実な住民の避難行動を促し、発災時には、災害箇所や逃げ遅れまたは孤立などの状況を迅速に把握し、救命救助などの対応に当たる県や市町村等の危機管理、防災部門の任務の重要性が一段と高まっていることは言うまでもありません。 このような背景の下、熊本県では、県や市町村等の関係機関と一層の連携を図り、災害への対応を効率化するための新たな防災情報共有システムを約1億3,000万円の費用をかけて整備し、本年度から運用を開始しております。 このシステムは、災害の状況や避難に関する情報などを市町村職員が直接入力できるため、これまでに比べ、情報収集や発信が迅速にできるようになったということで、大いに効果を発揮してほしいと期待をしております。 今回の災害で、国も、新たに整備した物資調達・輸送調整等支援システムを導入し、これが初期段階のプッシュ型支援において効果を発揮したということでした。しかし、その後、被害の大きな自治体では、人手不足からシステムの入力等ができずに、うまく運用できなかったとも聞いております。 本県の新たな防災情報システムも、運用開始後間もないタイミングで7月豪雨が発生し、大規模災害としては初めての実践運用でありました。そのため、今回の豪雨災害に、県職員、市町村職員がシステム操作を十分理解し、迅速な情報入力を行うなど、問題なく使うことができたのでしょうか。実践での運用で見えてきた課題などはなかったかと考えます。 また、本システム導入に合わせて、県民向けの防災情報を提供する専用ホームページ「防災情報くまもと」も整備されています。 今スクリーンに表示されていますので、御覧ください。(資料を示す) このように、パソコンやスマートフォンを使って、気象情報や避難に関する情報、土砂災害に関する情報、雨量の情報など様々な情報を地図上で見ることができますし、これらを重ねて見ることもできます。また、どこにどういう情報が出ているかを一覧で見ることもでき、とてもいいものができたかと思いますが、認知度は、まだまだのようです。 このたびの災害で、ふだんからの備えの大切さと早め早めの対応の必要性を改めて痛感しました。公助だけでは命を守れない、住民自らあるいは住民同士が協力し合って命を守る行動を取る自助、共助も重要となってまいります。その行動を後押しする的確な情報発信が求められますが、そのツールとして、このホームページを大いに活用すべきと思います。災害の危険が迫るときは、皆がこれを見るように県民に広く知れわたり、命を守る行動を起こすための一助となればと願っております。 以上述べましたが、近年の異常気象、気候変動などにより、今後も想定以上の災害発生に備える必要があり、この防災情報システムは、大変重要な役割を担うと考えます。そのためにも、今回の災害対応において運用上の課題があれば、しっかりと検証し、その結果を今後確実に反映させていくことが必要です。 そこで、1点目、新たな防災情報システムについて、今回の豪雨災害で有効に活用できたのか、また、課題があったのであれば、今後どのように対応していかれるのか。 また、2点目として、新たに整備した「防災情報くまもと」のホームページを活用し、今後どのように県民の防災意識の向上と適切な避難行動の促進につなげていかれるのか。 以上2点を知事公室長にお願いします。  〔知事公室長白石伸一君登壇〕 ◎知事公室長(白石伸一君) まず、1点目の新たな防災情報システムについてお答えいたします。 県では、災害対応における迅速な災害情報の把握、各市町村等との連携強化などを目的に、本年6月から、新たに防災情報共有システムの運用を開始いたしました。 これにより、7月豪雨の際には、県と各市町村が相互に、避難勧告等の発令状況や避難所開設状況など、リアルタイムで情報共有が可能となり、県では、市町村による避難勧告等の発令情報を住民へ速やかに提供するなどの支援を行いました。 また、これまで県や市町村の職員がそれぞれ手作業で行っていた被害件数や避難者数の集計、報告作業をシステム上で自動化するなど、事務の迅速化、簡素化にもつながりました。 システム導入に当たっては、市町村の防災担当職員に対する研修などにより、操作習熟度の向上を図ってまいりました。しかしながら、運用後間もない7月豪雨の際には、研修を受けていない職員もシステム操作に当たる必要があったことなどから、操作に関する問合せが多く寄せられました。県では、引き続き、防災担当職員だけでなく、より多くの職員への操作研修を行うとともに、操作マニュアルをより分かりやすくするなど、システム運用体制の一層の充実強化に努めてまいります。 次に、2点目の防災情報専用ホームページの活用についてお答えいたします。 県では、防災情報共有システムと併せて、防災専用ホームページ「防災情報くまもと」の運用を開始いたしました。 この「防災情報くまもと」は、スマートフォンなどの携帯端末からも、気象情報をはじめ、洪水浸水想定区域等の危険箇所や避難所などの防災関連情報を見ることができます。また、これら複数の情報を電子地図上に重ね合わせて同時に確認できることも大きな特徴でございます。 これまで、テレビ、ラジオをはじめ、県や市町村の広報誌などを通じて周知に努めており、運用を開始した6月1か月間のアクセス数は、約6,500件でしたが、9月は、先週末時点で既に10万件を超えています。引き続き、より多くの県民の皆様に活用いただけるよう、あらゆる機会を捉えて積極的な周知に努めてまいります。 また、このシステムで提供する情報を地域での自主防災組織の活動等で実際に活用いただくなど、県民の一層の防災意識の向上と適切な避難行動の促進につなげてまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 今知事公室長から答弁をいただきました。 このシステムは、非常に始まったばかりであるけれども、今年6月までに、県、市町村の関係職員を対象とした操作研修や操作訓練の実施をしてきたと、また、このシステムも、いろんな方から県への問合せがあっとると、そういうことであります。 ただ、このシステムは、県が、市町村あるいは行政関係、自衛隊、警察、そういう関係機関のところに、今IDとパスワード、これを示して、そこからの情報を収集している。また、その逆もあるんですけれども。 これはやっぱり、例えば、今のテレビ等でも放映されておりますけれども、地域に住む方々あるいはそこを見た方々からでも、リアルタイムで、今回の場合、鉄橋が流れたとか、このような、ちょっとテレビ報道もされましたが、そういう情報がもっとあれば、まだ災害の早急な対策、対応ができるのかなというふうに思っております。 例えば、消防団とか、この辺にも――地域の消防団、こういう防災関係に就いておられる方には、やっぱりIDとパスワードを提示して、これをちょっと利用してくれという働きかけも大変一番大事な部分ではないのかなと。そういうことによって、地域に住まわれている、今回の場合も、被害地域におられた方々がリアルに情報を提供していただければ、県のほうももっと早く対応できるのかなというふうに思っております。 今回も、市町村のほうでは、死亡者等をちょっと確認しておりましたけれども、県では、救命救済が大変大事だということで、その辺でちょっと確認が遅れた分も御指摘をされておりましたが、この辺は十分、公室長、大変幅広く情報を集めるためにも、そういうID、パスワードをいろんな方に配付、配付というんですかね、これは。供与していただいて、この防災システムをより有効に活用していただきたいというふうに思っております。 続きまして、今後の県財政の運営について、蒲島知事にお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症や7月豪雨災害へ対応する中での今後の県財政の運営についてお尋ねします。 これまで、蒲島県政における財政運営については、平成20年に知事が就任されて間もなく策定された財政再建戦略に基づく取組をはじめとして、財政の健全化に向けた不断の努力を続けてこられました。 その成果の一つとして、今回の議会にも報告があっておりますように、財政健全化法に基づく将来負担比率をはじめとした財政指標は、平成20年度の時点と比べると大きく改善してきております。 一方で、知事3期目のスタートとなった平成28年には、熊本地震が発生しました。知事の3期目は、まさに熊本地震からの復旧、復興に全力で取り組まれた4年間ではなかったかと思います。 そのような中で、知事選を控えた今年の年明け早々には、今や世界的な危機となっている新型コロナウイルス感染症の拡大が始まりました。そして、コロナ禍の中、さらに熊本では、追い打ちをかけるように7月豪雨災害まで発生し、県南地域を中心に甚大な被害をもたらしております。 このような大変厳しい状況の中でも、知事を先頭に積極果敢に対応しておられることに心から敬意を表し、引き続き、本県の復旧、復興、県民の皆様の生活や経済を一日も早く回復させるため、必要な事業については、思い切って取り組んでいただきたいと思っております。 しかしながら、新型コロナウイルスや災害へ対応するために、かなりの財政出動を続けておられることも事実です。 今回の9月補正後の予算額は、県政史上2度目の1兆円超えとなり、一方で、財政調整用4基金を全額取り崩し、残高はゼロという状況になっております。 私が先ほど改善してきたとお話しした令和元年度の将来負担比率についても、平成30年度の194.9%から205.6%へと10%ほど悪化しております。熊本地震や豪雨災害への対応がしばらく続くことを考えますと、このような財政指標も、今後さらに悪化していくのではないかと懸念しております。 また、コロナ感染症は、いつまで続くのかさえ分からず、長引けば長引くほど、失業や倒産が増加し、景気が低迷していくことになり、ひいては県の税収も大きく減少することが予想されます。現に、先日の新聞報道では、新型コロナウイルス感染拡大により、全国の都道府県と市町村の88%が財政悪化を見込んでいるというアンケート結果が掲載されました。県内では、7月豪雨で甚大な被害を受けた8市町村を除く37市町村と県が回答し、県及び31市町村が悪化が見込まれるとしており、多くが地域経済の低迷による税収減を懸念しているとのことです。 さらに、豪雨災害への対応では、被災した肥薩線などの鉄道の復旧をはじめとして、これからさらに多くの費用が必要となる事業が出てくるのではないかということがとても気がかりになるところです。 今回の9月議会では、松田議員も代表質問で県財政について質問をされましたが、その際、知事が答弁されたように、国の手厚い支援などがあるため、当面の財政運営に支障は生じないのかもしれません。ただ、一方で、中長期的には楽観視できないとも述べておられますし、頼みの綱である国の支援も、いつまでも手厚い支援が続くとは限りません。 私も、ここまで述べたような状況を考えますと、果たして本当に今後の県財政の運営は大丈夫なのか、大変心配していますし、県民の皆様も不安になっておられるのではないでしょうか。 そこで、これまでの県財政の運営も踏まえた、今後極めて厳しい状況が想定される中での県財政の運営について、知事がどのように考えておられるのか、お尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) これまでの財政運営を踏まえた今後の県財政の運営についてお答えします。 本県は、熊本地震からの復旧、復興に全力で取り組む中で、新型コロナウイルスへの対応、さらには今回の豪雨災害へと、まさにトリプルパンチに見舞われています。 私が知事に就任した平成20年の時点においては、本県の財政は危機的状況にありました。財政調整用4基金、いわゆる貯金の残高は、53億円と枯渇寸前でした。また、通常県債残高、いわゆる借金は、約1兆700億円もありました。 そのため、就任直後直ちに財政再建戦略を策定し、私自身の給与を月額100万円カットをはじめ、職員の皆様の給与引下げや人員削減、公共事業や各種団体への補助金の削減、見直しなど、県民の皆様の痛みを伴う方針についても御理解を求めながら、財政再建に取り組んでまいりました。 その結果、4基金の残高は、熊本地震への対応で一時的にゼロとなることはあったものの、近年、おおむね80億円程度は維持してきました。また、借金に当たる通常県債残高は、熊本地震からの復旧、復興を着実に進める中にあっても、令和元年度末には約8,700億円と、就任当時から約2,000億円の削減を実現いたしました。 このように、財政再建に着実に取り組んできたからこそ、大規模な災害等が発生したときも、迅速かつちゅうちょなく様々な対策に取り組むことができたと思っています。 一方で、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症については、現時点で収束の見通しが立てづらく、さらには今後県税収入の減少なども懸念されます。 また、熊本地震や今回の豪雨災害関連事業に係る県債残高や償還額の増加等により、財政健全化法に基づく本県の将来負担比率や実質公債費比率も、健全な状況にあるものの、徐々に上昇していきます。 このような中で、今後、令和3年度当初予算の編成作業に当たっては、まず、国の地方財政対策における税収見込みなどを踏まえて、本県への影響がどの程度生じるのか、しっかりと見極めたいと考えております。 その上で、新型コロナウイルス感染症や豪雨災害等への対応を最優先としながら、そのような中でも、熊本のさらなる発展のために必要な事業については、選択と集中の徹底や将来負担を考慮して取組を進めてまいります。 こうした取組により、私の4期目の任期中においては、貯金に当たる財政調整用4基金については、これまでのように80億円程度を確保するつもりです。また、借金である通常県債残高については、今回の大水害に的確かつ大胆に対応する中にあっても、現在の8,700億円程度の水準を維持してまいります。 さらに、今後、中長期的な財政見通しの策定を通じて、その先の将来も見据えた健全な財政運営に努めてまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 今知事から力強い答弁をいただきました。 本当に知事が財政再建に一生懸命頑張ってこられたということで、また、今後の予算編成は、財政調整用4基金を80億円程度まで確保する、そして現在の8,700億円程度の通常債残高については、水準を維持していくということで、大変私も安心しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、私もそうですけれども、県民の方が、なかなかやっぱり心配をしておられる部分があるというふうに思いますので、これは、前川議員のほうからも政審会で指摘されておりますが、要所要所で知事が記者会見をするなり、県民に訴えるといいますか、そういう記者会見をしていただければ、非常に県民も分かりやすいのではないのかなというふうに思っております。 大変、知事から、これからの県政に対する意気込みを聞かせていただきましたので、これからもよろしくお願いを申し上げて、次の質問に入りたいというふうに思います。 悪性家畜伝染病の防疫対策についてお聞きします。 今私たちは、新型コロナウイルスの脅威にさらされていますが、発生当初は、他国の出来事といった楽観的な見方だったように思います。しかし、瞬く間に感染が拡大し、世界中で猛威を振るっており、国内でも1,500人以上の方々がお亡くなりになるなど、深刻な被害をもたらしております。このコロナウイルスの発生で、私たちは、改めてウイルス感染症の怖さを思い知らされました。 そして、人間がこの危機に直面しているように、家畜においても、同じような脅威が襲いかかるということをいま一度考えておく必要があると思いましたので、質問いたします。 10年前、宮崎県で口蹄疫が発生し、29万7,000頭余りの牛や豚が殺処分されました。家族同然の家畜を犠牲にしなければならなかった農家の方々の悲しみはいかばかりかと思うと、胸が痛みます。また、経済損失は、約2,350億円に上りました。本県では、平成26年と28年に高病原性鳥インフルエンザが発生し、約20万羽の鶏が殺処分されました。 これらに加え、国内では、一昨年から豚熱が発生し、畜産農家での発生は、本年3月以降収まっていましたが、今月26日、3日前に、群馬県で約半年ぶりに発生が確認されました。また、ウイルスを媒介すると言われる野生イノシシの感染がいまだ収束しておらず、再び広がることが心配されます。 この豚熱について、日本は、9月3日に国際獣疫事務局が認定する清浄国の資格を失い、日本産豚肉の輸出への影響が懸念されます。そして、近隣諸国では、アフリカ豚熱が猛威を振るっており、その侵入も危惧されている状況です。 本県は、過去2度の高病原性鳥インフルエンザ発生の際に、非常に迅速な、そして的確な防疫措置によって蔓延を防いだ実績があります。そうした経験も踏まえ、県では、鳥インフルエンザだけでなく、県内では幸いにして発生していない口蹄疫や豚熱、アフリカ豚熱についても、防疫対策マニュアルの整備や防疫演習等を行っているとお聞きしておりますが、私たちを脅かす新型コロナウイルス感染症への対策は今後も喫緊の課題ですが、熊本県の畜産の生産基盤を揺るがすおそれのある家畜伝染病もまたその存在を忘れてはならないと思います。 そこで質問です。 県として、家畜伝染病の発生防止に向けた今後の取組と万が一発生した場合の対応について、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 現在国内で発生している悪性家畜伝染病は、3日前に群馬県でも発生が確認された豚熱のみであり、海外から持ち込まれたものです。また、アジア地域では、アフリカ豚熱も蔓延しております。このほか、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザを含めて、国内侵入のリスクが高まっており、その侵入防止対策は、非常に重要です。 このため、国においては、家畜伝染病予防法の改正により、空港や港における肉製品の持込み防止に係る家畜防疫官の権限及び違反者の罰則が強化され、養豚農場におきましては、野生動物対策として、防護柵や防鳥ネットの設置が義務化されました。 また、本県におきましては、全ての主要な家畜伝染病について防疫対策マニュアルを整備し、法令の改正や発生状況などを踏まえ、随時改定を行っております。さらに、今年度、畜産防疫体制強化事業の創設により、地域ぐるみで消毒を強化する取組への支援も開始しております。 個々の農場におきます防疫体制につきましては、改正された飼養衛生管理基準の遵守により強化されるため、日頃から家畜保健衛生所が各農場を巡回して、その基準を満たしているかどうかを確認し、必要な改善策を具体的に指導しております。 また、万が一発生した場合には、県内5か所に設置している家畜保健衛生所が防疫対策の拠点となります。そのため、ウイルスなどを安全に取り扱うことのできる高い基準に合致するよう施設の改築を順次進めており、令和4年度までには、5か所全ての整備を完了する予定です。 加えて、迅速かつ的確な検査を行うため,多くの検体を効率的に処理できるPCR検査用の機器を整備するとともに、職員の分析力を維持するための試験を定期的に行うことで、検査結果の正確性も確保しております。また、防疫協定を締結している県建設業協会などの御協力も得て、毎年実践的な防疫演習を実施することで、レベルの向上も図っております。 今後、防疫先進県として他県の手本となるよう、引き続き、職員及び畜産関係者が一丸となり、悪性家畜伝染病の発生予防に万全を期してまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 農林部長から、熊本県は万全のリスク対策を進めているという答弁をいただきました。 先日、私も、今の農業研究センターのほうに訪問させていただきまして、視察をしてまいりました。大変、この農業研究センター、畜産、本当に万全の体制を取っておられました。ただ、一番私が危惧するのは、この農研センターのすぐ近くに、1キロ範囲内ぐらいに九州沖縄農業試験場もあるんですね、国の機関も。そこで、家畜等を両方で研究、飼育をされているということで、大変その点は心配しております。 10年前の宮崎の口蹄疫、やっぱり心配されたのが、非常に――隣の県で、その時間的な余裕があったからリスクの回避もある程度余裕があってできたということですけれども、それでも緊張したと。こういうのが熊本にいざ発生すると、その両研究施設も非常に心配をされます。できるならば、そういう何か、特に種雄牛は、熊本県では、すばらしい、美津福重とか光重球磨七とか、本当に種雄牛を見てきましたけれども、すばらしい種牛がおって、研究育成をされております。宮崎の家畜農家の人が、すばらしい自分でつくった種牛が口蹄疫で殺処分されたと非常に悲しんでおられました。 こういうことのないように、ひとつまたこれからもリスク感染に力を込めていただきたいというふうに願いまして、次の質問に入りたいというふうに思います。 岸田本部長、ようこそ熊本へお越しくださいました。本部長とは、今定例会が初顔合わせになりますけれども、議員のいい質問に対しては何回もうなずいておられまして、向こうから見ておりまして、非常に親近感を感じる次第であります。 本部長は、富山県警、そして大阪府警などで、交通機関の要職を歴任されて、24日に熊本に着任をされました。改めて、本部長の着任を心から歓迎しまして、2点について、一括で質問させていただきます。 安全、安心な自動車社会の実現に向けて、まず、あおり運転根絶に向けた取組についてお尋ねしたいと思います。 平成29年6月、神奈川県内の東名高速道路において、ワゴン車が執拗なあおり運転を受けた上、追越し車線に停止させられ、そこに大型トラックが衝突し、ワゴン車の一家4人が死傷するという痛ましい事故が発生し、大きく報道されました。 また、昨年8月には、茨城県で、男女が乗った車が、ほかの車に対して蛇行運転などを繰り返し、無理やり停止させた上、暴行に及ぶという社会的耳目を集める事件が発生し、そのほかにも、こうした事件、事故が相次いでおります。いわゆるあおり運転が大きな社会問題となりました。 こうしたあおり運転事案に対し、従来は、それを取り締まる法規定がなく、ほかの違反規定や暴行罪などを適用し、処罰や取締りが行われてきました。県警察においても、あらゆる法令をもって取締りを行ってこられたと思いますが、やはり明確な規定がなく、対策にも限界があったと思われます。 こうしたことから、悪質、危険な運転に対し、厳正な処分を望む声が高まり、県議会では、昨年11月定例会で「あおり運転」に対する厳罰化とさらなる対策の強化を求める意見書を可決し、国へ提出をしました。 こうした状況を踏まえ、本年6月、道路交通法が改正され、あおり運転の明示と厳罰化が図られた改正道路交通法が6月30日に施行されました。違反しますと、3年から5年以下の懲役または50万円から100万円以下の罰金、そして即免許取消しとなります。施行後は、ヘリコプターを投入した取締りなども行われ、これであおり運転の抑止が図られると大いに期待をしましたが、改正法の施行後間もなく、東京都や大阪府、千葉県などであおり運転の摘発事案が発生し、先月8月18日には、大分県で全国初の逮捕者が出るなど、厳罰化のことは十分知れわたっているはずですが、相変わらず悪質、危険な運転は絶えません。進路変更などのちょっとした他車の行為にかっとなり、衝動的な感情を抑えられないドライバーが一定程度いると考えざるを得ません。また、誰しもそういう側面を大なり小なり持っていると思われます。 そこで、本県におけるあおり運転の根絶に向けて、実効性のある取組を今後どのように進めていかれるのか、本県の現状も含めて、警察本部長にお尋ねします。 続いて、横断歩道における歩行者優先意識の向上等についてお尋ねします。 昨年の熊本県における交通事故死者数は、69人で、これまで最も多かった昭和48年の265人に比べ、約4分の1となっており、これまでの交通安全対策の成果が現れているものと敬意を表します。 しかし、昨年10月に発表されたJAFによる信号機のない横断歩道における歩行者優先についての全国実態調査の結果では、歩行者がいる場合に横断歩道の手前で停止した車の割合が、全国平均で17.1%でした。つまり、8割以上が停止しないという結果です。そして、熊本県は、11.0%とさらに低く、全国で33位、九州では最下位という不名誉な結果です。私も、県外の人に、熊本は車の運転が荒いと言われたことがありますが、このような結果を見まして、とても残念な気持ちになり、何とかこれを改善したいと考えます。 心に余裕のないドライバーが多いのは、先を急ぐがため、相手に譲る思いやりの運転ができないのでしょうか。しかし、それが重大な事故につながることをよく考える必要があります。 実際、県内で歩行者が被害に遭った交通事故は、469件ですが、その約3割が横断歩道で発生しています。このことからも、歩行者のいる横断歩道での車の一時停止を推進することは、極めて重要です。 そこで質問です。 運転者はもちろん、歩行者も含めた双方の意識の向上がさらなる交通事故抑止に欠かせないと考えますが、その点も含めて、横断歩道における歩行者優先意識の向上のため、どのように取り組まれるのでしょうか。 以上2点を警察本部長にお尋ねします。  〔警察本部長岸田憲夫君登壇〕 ◎警察本部長(岸田憲夫君) まず、1点目のいわゆるあおり運転につきましては、本年6月の道路交通法改正を契機としまして、あおり運転厳罰化の周知及び徹底した取締り活動を推進しました。その結果、あおり運転に係る通報件数が前年上半期の229件から本年上半期の140件へと大幅に減少しており、改善傾向にあります。また、あおり運転に起因する交通事故につきましては、昨年中、また、本年中の発生はありませんでした。今後も、あおり運転について、県警ホームページをはじめ、あらゆる媒体を活用し、啓発していくとともに、悪質違反の取締りも継続してまいります。 2点目の横断歩道における歩行者優先意識の向上についてお答えします。 議員御指摘のとおり、日本自動車連盟が昨年行った全国調査によりますと、歩行者がいる場合に横断歩道手前で停止した車の割合は、全国平均が17.1%であるところ、本県におきましては11.0%と、全国平均を大幅に下回る結果となっております。また、県内におきましては、昨年1年間で、信号機のある横断歩道を含む横断歩道上で129件の事故が発生しており、これは、人と車の交通事故全体の27.5%を占める結果となっております。 横断歩道における安全対策としましては、従来より、悪質な違反に対して横断歩行者妨害違反として検挙しておりますが、御指摘のように、道路交通法に定められた交通ルールについて、まだまだ運転者側の理解が十分でないというふうに考えられます。そのため、運転者に対しまして、横断歩行者妨害罪について分かりやすい啓発を再度強化するとともに、年間を通じて、人と車の交通事故が増加する傾向にある10月以降、横断歩行者妨害罪の取締り強化を重点的に進めてまいります。 他方で、過去3年間、横断歩道ではない場所を横断中に交通事故にお遭いになって亡くなられた方が33人おられるということがありますので、歩行者に対しましても、極力横断歩道を利用することを強く求めることとしまして、車両の運転者に対する指導取締りと相まって、人と車のよりよい関係をスローガンに、人と車の交通事故防止に取り組んでまいります。  〔髙木健次君登壇〕 ◆(髙木健次君) 県警本部長、どうも答弁お疲れでした。 今本部長のほうから、あおり運転については、県警ホームページや県警ツイッターをはじめ、あらゆる媒体を活用し、啓発をしていくとともに、悪質違反の取締りも継続していく、また、2点目の横断歩道における歩行者優先意識の向上については、県内においては、昨年1年間で、信号機のある横断歩道を含む歩道上で129件の事故が発生している、また、歩道で33人も亡くなっている、これは、人対車両事故全体の27.5%になるというふうなお話でしたけれども、本当にこのあおり運転、テレビで今時々見ておりますと、怖いですよね、あれ、やっぱり。皆さんにもお願いしておきますけれども、あおり運転、何か相手の運転の人たちが文句言ったときに、ウインドーを開けちゃ駄目なんですよね、これは。ウインドーを閉めているうちは、どんな力を加えてもなかなか割れにくいですけれども、「何ですか」なんか、少しでも開けたら、そこをたたき割られるんですね。ですから、非常に危険が増すということで、必ず、向こうから、そういうやからの方がおられた場合でも、窓だけはきちんと閉めて対応していただければというふうに思っております。 それで、最近一番思うのは、やっぱりレコード、何といいますか、あれは。レコーダーといいますかね......(「ドライブレコーダー」と呼ぶ者あり)ドライブレコーダー、これは非常に乗っている方の安心、安全にもつながるのかなというふうに思っています。もしも、万が一そういう場合に直面しても、あれを見れば一目瞭然ですよね。 今回のいろいろな各高速道路とかの事故、傷害等においても、あれが決め手になった、あれがなかったら言い訳されても仕方ないのかなと。非常にこの辺では、ドライブレコーダーの活用をお願いをしておきたいと、私のほうからもお願いを申し上げたいと思います。 いずれにしても、岸田本部長、これから熊本の、先ほどの非常に不名誉な順位を本部長が着任しておられる間に改善をしていただけるならば大変ありがたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 最後に「熊本県民の歌」による県民力の結集について要望をいたします。 皆さんは、本県に「熊本県民の歌」という歌があるのを御存じでしょうか。(発言する者あり)ありがとうございます。 「熊本県民の歌」は、今からちょうど60年前、昭和35年に開催された第15回国民体育大会熊本大会を前にして作られた歌です。県実行委員会が公募し、多数の応募の中から選定されたと聞いており、作曲は、平成音楽大学創設者の故出田憲二、私と同じ名前の先生です。 当時、東京五輪を目指す選手強化が強く叫ばれた年であり、国体を前に、県民の心を一つにして盛り上げようという歌であったと思われます。私も、子供の頃、音楽の時間に先生のオルガンに合わせて何度も何度も歌った記憶があり、今でも歌詞を見ずに歌える思い出深い歌であります。 ちなみに、当大会で熊本県は、男女総合成績で第2位を獲得しております。この「熊本県民の歌」は、現在県庁舎の電話の保留音として使用され、県統計協会が発行する県民手帳、ページ、44ページに楽譜と歌詞が掲載をされております。 改めて「熊本県民の歌」を聞いてみますと、とてもいい歌であると思います。「大阿蘇の煙絶えせず 銀杏城高くそびゆる」とのフレーズから始まるこの歌は、熊本の雄大な自然や県民の誇り、志が歌詞の随所に盛り込まれております。 また、そのメロディーは「一つ心に この国を振るい興さん」という歌詞とともに、県民が一体となって、オール熊本で郷土を盛り上げようという気持ちを奮い立たせる明るさ、力強さがあります。 そして、平成28年には、本県出身で毎日書道会理事の永守蒼穹先生が、熊本地震からの復興を祈念して、歌詞全文を書にして県に寄贈されており、こうした思いの詰まった歌でもあります。 私が、地元の成人式で祝辞を述べた際に、この歌を歌いましたら、会場から拍手喝采、手拍子までいただきました。新成人の心にも響いたのだろうと思います。 ところで、本県は、熊本地震からの復興に立ち向かい、ようやく道筋が見えたところにコロナ禍、そして今回の豪雨災害と三重の災難を受け、苦境の中、県民は心身ともに大変疲弊し、しかし、平穏な日常を取り戻すため、一人一人が懸命に頑張っておられるのが今の状況です。 ぜひこの歌を県挙げていろいろなところで活用していただき、この本当に疲弊した熊本県が力強く、今からまた前進をするぞということを皆さんに示してほしいというふうに思っております。 先ほど知事に、大変今苦難な状況が熊本県でも続いているということも申し上げました。ただ、3日後に国道57号線、また、北側ルート、これも開通、そして阿蘇大橋も来年の3月には開通するという非常に明るい兆しも見えてきております。この辺も含めて、ぜひこの歌が、何とか熊本県民の皆さんの心を一緒にできるならばということで思っております。 この困難をやっぱり県民が心を一つにして乗り越えていかなければならない今だからこそ、その思いを新たにするため、この歌をぜひとも県のほうで活用していただきたいと考えております。 そのような思いで、老若男女、広く県民にこの歌が広まることを――例えば、公共の場でもっと流していただきたい、そして幅広く県民に伝わるような方法を検討していただくならばありがたいというふうに思います。「熊本県民の歌」を応援歌として大いに活用し、幾多の災害からこの復興へ向けた県民力の結集につなげていただくことを切に要望をいたします。 大変早口になったりしましたけれども、今回、締めくくりとして登壇をさせていただきました。締めになったかどうか分かりませんけれども、今後とも、熊本県の発展を心から願いたいというふうに思っております。 最後までの御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(池田和貴君) 以上で通告されました一般質問は全部終了いたしました。 これをもって一般質問を終結いたします。    ――――――○―――――― △日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第34号まで) ○議長(池田和貴君) 次に、日程第2、目下議題となっております議案第1号から第34号まで等に対する質疑を行います。 質疑の通告があっておりますので、発言を許します。 なお、発言時間は10分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 山本伸裕君。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 日本共産党の山本伸裕です。知事の議案説明における球磨川流域の復旧、復興の問題に関し、特に球磨川の治水問題についてお尋ねします。 2008年9月、知事は、ダムによらない治水を極限まで追求することを選択し、川辺川ダム計画の白紙撤回を表明されました。知事は、そのときこう語っておられます。「そもそも治水とは、流域住民の生命、財産を守ることを目的としています。」中略「いろいろな方々からお話を伺ううちに、人吉・球磨地域に生きる人々にとって、球磨川そのものが、かけがえのない財産であり、守るべき宝」「ではないかと思うに至ったのです。」「そのような球磨川という地域の宝を守りたいという思いは、そこで生まれ育った者でしか理解できない」「価値観かもしれません。」「しかし、このローカルとも言うべき価値観は、球磨川流域に生きる人々にとって、心の中にしっかりと刻み込まれているような気がします。また、その価値を重んじること」「が、自分の地域をみずからが守り、発展させていこうという気概を起こさせることになります。」以下省略。 治水とは、住民の生命とともに財産を守らなければならないと。人吉・球磨地域に暮らす人々にとっての財産とは、守るべき宝とは、球磨川そのものであると。知事のこの判断、決断は、球磨川流域住民の実に80%が賛同し、ダムか非ダムかという持ち込まれた対立構図は雲散霧消しました。そして、それ以来の12年間、これは空白の12年間などと言われるようなものではなく、宝である球磨川からの豊かな恵みが守られた12年間でありました。 今回の水害発災後、私は、多くの被災された方から共通してお聞きしたことがあります。それは、球磨川は悪くない、球磨川を憎む気持ちにはならないというお話であります。大変な苦難に直面されているというのに、それでもなお球磨川と共にこれからも暮らしたいという思いに触れたとき、私は、知事の12年前の決断は、民意を見事に酌み取った県政史に残るすばらしい決断であったし、その功績は色あせるものではないと実感した次第であります。 ただ、一方で、気候変動の下で、これまで経験したことのない豪雨が甚大な被害を及ぼすという新たな事態を受けて、これからの治水対策をどう進めていくのかという問題に今直面しております。 新たな事態の下で、知事は、川辺川ダムを含め、あらゆる選択肢を排除しないと表明されました。私は、2つの点について、知事にお尋ねします。 第1点、気候変動により、これまで経験したことのないような豪雨災害が、いつどこで発生してもおかしくない状況であります。もし仮にダムを造るという結論に至ったとしても、そのダムができるまでに再び豪雨災害に見舞われたらどうするのかという問題は、当然想定しなければなりません。例えば、仮に5年後にダムができるから、そうなれば、河床掘削も堤防かさ上げも必要ありませんなどと言っている場合ではありません。ダムが存在しないうちは、いやが応でもダムなし治水に最大限の力を傾注し、極限まで進める責任が国、県にあります。 この12年間、流域自治体から、何度も河床掘削、堤防強化などの要請が繰り返し九地整に出されていたにもかかわらず、川辺川ダム建設事業の復活を想定していた国交省は、河川改修の要求を聞き入れませんでした。こうした不作為は、もはや絶対に許されないということを国に強く迫るべきであると考えますが、いかがでしょうか。 第2点、球磨川豪雨検証委員会では、市房ダムにより多良木地区で水位が90センチ低減されたとのことでありますが、それは、今回、紙一重のところで緊急放流が回避されたことによるものであります。 近年の豪雨災害では、ダムの緊急放流は、もはや想定外の事態ではなくなってきています。ましてや、今後、どこに線状降水帯が発生し、地域ごとにどのような雨の降り方が発生するのかということは誰にも分かりません。特定の降雨パターンに当てはめ、一定の条件の下でしか機能しないダムの洪水調節機能が必ず働くということを前提とした河川整備では不十分であります。 もしもダムからの放流によって急激に増大した流水で堤防の決壊が引き起こされ、住宅などが押し流されたとしても、ダムのおかげで逃げる時間ができました、ダムがあってよかったですねなどという話にはなりません。 もはや今日、貯留型であろうが流水型であろうが、ダムの洪水調節機能喪失という事態を想定した治水対策を講じなければならないのは当然であり、ハード対策においては、ダムによる水位低減を前提としない河川整備を目指すべきであることは至極当然のことだと考えますが、いかがでしょうか。 以上2点、知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 今後の球磨川の治水対策に関する2点のお尋ねについて、一括してお答えします。 私は、今、今回のような洪水被害を二度と生じさせないという強い覚悟で、復旧、復興の取組を進めています。 同時に、これまでの川辺川ダム問題における地域の対立の歴史を繰り返すことなく、復旧、復興の前提となる球磨川の治水対策を導き出していくことが重要だと考えています。 そのため、現在、今回の豪雨災害を科学的、客観的に検証するため、令和2年7月球磨川豪雨検証委員会を設置し、流域の安全に責任を負う国、県及び流域市町村で検証を進めています。 そのような中、河川工学の専門家の方々からは、流域のあらゆる関係者が、流域全体で総合的かつ多層的に取り組む流域治水を進めるべきとの御提言を検証委員会にいただいています。 また、流域住民の方々からは、ダムを早急に整備すべきとの御意見や、ダムの効果だけでなく、その危険性についても検証すべきとの御意見など、様々な御意見が私の元に届けられています。 今後の球磨川流域の治水の方向性については、検証委員会での検証を踏まえ、また、これらの御意見などを参考に、ダムあるいはダムによらない治水対策を含めて、あらゆる選択肢を排除せず、時間的緊迫性を持って検討してまいります。 その上で、地球規模での異常気象下において、将来に向かって球磨川流域の安全、安心を築き上げること、さらには球磨川の豊かな自然の恩恵を引き続き享受できるようにすることを、私に課された使命として全身全霊で取り組んでまいります。 ○議長(池田和貴君) 山本伸裕君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 近年の豪雨災害は、もはやダムだけで洪水を防ぎ切れるものではないということは国土交通省も認めています。しかも、ダムは、構造上、緊急放流あるいは自然放流を想定しているというのに、その下流は、あくまでもダムによる水位低減を前提とした河川整備にとどめるというのでは、行政側の瑕疵責任は免れません。ダムによる治水効果は限定的なものであるということを踏まえる必要があります。 今回の水害を受けて、全国のダムを手がけているスーパーゼネコン、大成建設の会長が、蒲島知事を批判する発言をされています。また、首相となった菅さんも、そのときは官房長官でありましたが、ダム建設に言及されています。 国の権限代行による災害復旧が進められる中、かなりあからさまに知事にはプレッシャーがかかっているのではないかと存じますけれども、どうか流域住民の皆さんの思いと共に歩む姿勢をなくさぬよう知事に訴えて、質疑を終わります。 ○議長(池田和貴君) これをもって質疑を終結いたします。    ――――――○―――――― △日程第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第34号まで) ○議長(池田和貴君) 次に、日程第3、目下議題となっております議案第1号から第34号までにつきましては、さきに配付の令和2年9月熊本県議会定例会議案各委員会別一覧表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。  〔各委員会別一覧表は付録に掲載〕    ――――――○―――――― △日程第4 請願の委員会付託 ○議長(池田和貴君) 次に、日程第4、今期定例会において受理いたしました請願は、議席に配付の請願文書表のとおりであります。これをそれぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。  〔請願文書表は付録に掲載〕    ――――――○―――――― 知事提出議案第56号及び第57号 ○議長(池田和貴君) 次に、お諮りいたします。 知事提出議案第56号及び第57号が提出されましたので、この際、これを日程に追加し、一括して議題といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(池田和貴君) 御異議なしと認めます。よって、知事提出議案第56号及び第57号を日程に追加し、一括して議題とすることに決定いたしました。 知事提出議案第56号及び第57号を一括して議題といたします。  ――――――――――――――――― 第56号 副知事の選任について 第57号 教育委員会委員の任命について  ――――――――――――――――― ○議長(池田和貴君) お諮りいたします。 ただいま議題といたしました議案第56号及び第57号に対する提出者の説明は省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(池田和貴君) 御異議なしと認めます。よって、そのように取り計らうことに決定いたしました。    ――――――○―――――― △日程第5 休会の件 ○議長(池田和貴君) 次に、日程第5、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。 明30日は、議案調査のため、10月1日は、各特別委員会開会のため、2日、5日及び6日は、各常任委員会開会のため、7日は、議事整理のため、それぞれ休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(池田和貴君) 御異議なしと認めます。よって、明30日から10月2日まで及び5日から7日までは、休会することに決定いたしました。 なお、10月3日及び4日は、県の休日のため、休会であります。    ――――――○―――――― ○議長(池田和貴君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 次の会議は、来る10月8日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第8号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時21分散会...