熊本県議会 > 2020-09-25 >
09月25日-05号

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  1. 熊本県議会 2020-09-25
    09月25日-05号


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    令和2年 9月 定例会               第 5 号              (9月25日)  令和2年   熊本県議会9月定例会会議録     第5号令和2年9月25日(金曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  令和2年9月25日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            早 田 順 一 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工観光労働            藤 井 一 恵 君     部    長     理    事 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   上 野 晋 也 君     会計管理者  本 田 充 郎 君     企業局長   藤 本 正 浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  岸 田 憲 夫 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君     選挙管理     委員会    松 永 榮 治 君     委員長  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(池田和貴君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(池田和貴君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 橋口海平君。  〔橋口海平君登壇〕(拍手) ◆(橋口海平君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・熊本市第一選挙区選出の橋口海平です。4月の知事選が終わってから初めての一般質問をさせていただきます。その知事選が終わって、この間様々なことが起こっておりますが、知事部局、そして議会、そして民間の方々一丸となって、この難局を乗り越えていきたいと思います。 それでは、通告に従いまして質問に入らせていただきます。 最初の質問は、職業能力開発施設の拠点化についてです。 私は、過去にも、建設技術者や技能士の人材確保、育成について、一般質問で取り上げさせていただきました。皆さんも御承知のことと思いますが、建設技術者、また、建設関係の技能士については、その人数が年々減少しており、人材育成が喫緊の課題となっているところです。 本県では、令和2年7月豪雨など、大きな災害が続いていますが、このような大きな災害が起こりますと、災害に伴う復旧・復興工事が増加し、もともと人手不足の建設業界において、さらに人手が不足するという状況が生じているところです。 現在、国土交通省においては、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指すため、調査、測量から設計、施工、検査、維持管理、更新に至る全ての事業プロセスでICTを導入するアイ・コンストラクションを進めており、ICT技術を活用することで、人手不足の解消にも努めているところです。 しかしながら、幾らICT技術を活用したとしても、やはり人の手でないとできないたくみの技があります。それが技能だと思います。 技能士の方々は、ICT技術を駆使してもまねできない細かな作業など、日夜研さんを積み、たくみの技を磨いておられます。減少する建設関係の技能士について、県でも、その人材育成のため、様々な取組を行っておられますが、さらにハード面、ソフト面の両方から支援をしていただきたいと思うところです。 そのような中、9月5日の熊日新聞には、県は、老朽化した県立高等技術専門校の建て替えとこの専門校の敷地内に技能検定試験の会場となる技能振興センター(仮称)を新設するとの方針を決め、ここをものづくり分野の人材を育てる拠点に位置づけるとの記事が掲載されました。 現在、県立高等技術専門校には、自動車車体整備科電気配管システム科、総合建築科、販売実務科の4科が設置されており、各訓練科に対する本県の関係産業界からの期待は非常に大きいものがありますが、建物や設備の老朽化が著しく、最近の技術進歩や環境変化に対応し切れてない状況でした。また、技能検定試験についても、会場の確保が課題だったことから、今回の報道は、私にとりまして大変うれしいものでした。 そこで質問です。 県立高等技術専門校の建て替え及び技能振興センターの新設について、今後のスケジュールをお聞かせください。 次に、これらの施設をものづくり分野の人材を育てる拠点と位置づけるとのお考えですが、今後どのようにこれらの施設を活用していくのか、また、人材を育てる拠点として期待する役割は何か、商工観光労働部長にお尋ねします。  〔商工観光労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工観光労働部長(藤井一恵君) まず、今後の施設整備のスケジュールについてお答えします。 今定例会に関連予算を提案しておりますが、今年度から設計に着手し、令和4年度の着工を目指しています。 特に、今回の整備では、訓練を行いながら、順次、実習棟など11棟について、安全かつ効率的に建て替えや大規模改修等を進めていく必要があります。 そのため、公募型プロポーザル方式により、民間の知恵とノウハウを生かした優れた技術提案による設計を採用することとしており、その設計の中で、具体的なスケジュールを固めていく予定です。 次に、施設の活用についてですが、新しい施設では、例えば、次世代自動車やIoTと連動したスマートハウスといった先進技術、伝統構法の基礎技術をより深く学べるようになります。このような環境を高い技能と現場対応力を有した人材育成に生かしてまいります。 また、新設する技能振興センターは、技能検定試験会場のほか、校内に移転する職業能力開発協会が新たに実施する階層別研修等に活用します。さらに、企業や技能団体等が実施する人材育成のための講習の場としても活用を予定しております。 最後に、人材を育てる拠点として期待する役割についてお答えします。 今回の施設整備により、訓練内容の充実はもとより、研修や技術講習会などを通じた技能士等の相互交流の広がりが期待されます。また、職能協会が持つ情報発信力が強化されることにより、若者の技術、技能分野への関心を高め、県内でのさらなる活躍の場につながることを期待しております。 今後とも、地域産業を支え、県民生活に必要な技能の継承や人材を輩出する拠点となるよう、しっかりと取組を進めてまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) スケジュールに関しても、今年度から設計に着手し、令和4年度の着工を目指すとの答弁がありました。この職業能力開発施設の拠点化は、関係者にとって本当に望んでいたものでもあるし、また、それが県の将来につながる重要なものと考えています。ぜひ遅れが出ないよう取り組んでいただきたいと思います。 また、この新施設では、先進技術や伝統構法の基礎技術が学べるとのことですが、先進技術は日進月歩進んでいくものです。これから様々な団体と打合せをしながら、将来の先進技術がどのようなものになっていくのか、そういったことも考慮して設計を行っていただければと思います。そして、技能の継承、そして本県の将来を担う人材が育つよう期待しております。 次の質問に入ります。 次の質問は、地域防災力の向上に向けた取組について質問します。 本県では、ここ数年、甚大な被害を与える災害が数年置きに起きております。私が当選した以降、2012年に発災した九州北部豪雨、2016年の熊本地震、国内でも地震や台風、豪雨、噴火と数え切れないくらい災害が多発しており、その都度多くの人命が失われており、本当に悲しい気持ちになりますが、それを乗り越え、災害が起こっても、災害に負けない地域をつくっていかなければと思うところです。 令和2年7月豪雨では、人吉、芦北を中心に過去に例のないような非常に強い雨に襲われ、球磨川やその支流が氾濫、決壊し、水が町を襲い、多くの大事なものが失われました。発災した次の日に片づけの手伝いのため人吉に行きましたが、そこには信じられない光景がありました。車がひっくり返り、自分の身長よりも高いところまで水が来ており、辺り一面の泥。本当に住民の皆さんは怖かっただろうし、不安でしようがなかったかと思います。被害も様々なところに及んでおり、復旧、復興には時間がかかるのではないかと思います。本県でも、企画振興部内に球磨川流域復興局を立ち上げ、全庁一丸となって取り組んでいるところだと思います。 そのような中、本県では、地域防災計画を作成し、防災に取り組んでいるところですが、この地域防災計画の中に自主防災組織等の育成について記載があります。 自主防災組織とは、地域住民が協力して、自分たちの地域を自分たちで守るために立ち上げる組織のことです。 防災については、県民、市町村、県、国とそれぞれ役割があり、しっかりと体制を整え、相互の連携を密にし対応することが求められていますが、国、県及び市町村など行政が行う公助については、災害発生時にはおのずと限界があり、自らの安全は自らで守るという自助と、それと同じように、自分たちの地域は自分たちで守るという共助が重要になってきます。 4年前の熊本地震では、住民の安否確認や情報の収集と伝達、避難の運営など、地域の特徴や人材を生かし、地域が一体となって自主的に活動した事例が多数ありました。このような地域の連携による自主防災組織の活動の重要性は大変大きいと言えます。 そこで質問です。 今後ますます増えていくかもしれない災害に関して、ハードの整備はもちろん十分に必要なことは承知しておりますが、過去に例がないような大規模災害では、ソフト面も充実し、減災、何よりも人命を失わない対策が極めて重要であると考えています。 特に、自主防災組織の充実というものは、組織率だけではなく、地域の実情に合わせた活動にもしっかりと取り組んでいく必要があると思いますが、現在の活動はどのように行っているのか、また、今後どのように活動内容を充実させていくのか、知事公室長にお尋ねします。 また、今年4月には熊本県知事選が行われ、蒲島知事が4選され、現在、コロナ対策、災害対応などを必死で取り組んでおられますが、選挙の際の公約に「広く県民の防災意識の高揚を図るとともに、地域防災力自主防災組織)の向上のため、熊本地震時と比較して防災士を倍増させます。」とありました。 確かに、公助には限界があることから、自助、共助を充実させることが強く求められ、防災士は、地域における自助、共助の要とも言え、公との連携の窓口の役割が期待されていることから、重要な公約であると思います。 そして、本年8月末現在、本県では2,946名の防災士の方が登録されておりますが、お隣の大分県は1万1,301名、宮崎県は5,353名となっています。 そこで、2点目です。 防災士の倍増に向けた現状と今後の取組について、こちらも知事公室長にお尋ねします。  〔知事公室長白石伸一君登壇〕 ◎知事公室長(白石伸一君) まず、1点目の自主防災組織の現在の活動状況とその充実についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、自主防災組織は、共助の要であり、平時には防災知識の普及啓発や防災訓練の実施、災害発生時には住民への避難呼びかけ、避難の開設、運営など、地域ぐるみで命を守る活動を行っています。 県としましても、災害に強い地域づくりのためには、自主防災組織の活動内容のさらなる充実、活動の活性化が重要であると認識しております。 そのため、市町村と連携した研修や救出救護用具などの活動に必要な器具等の整備に対する支援に加え、昨年度からは、新たに自衛隊OB等2名を自主防災活動支援員として採用し、活動支援を行っています。 昨年度は、15市町村の355組織に対して、それぞれの地域に出向いて、防災講演やハザードマップを活用した訓練等の支援を行いました。 今後も、災害時に役立つ実践的な活動につながるよう、今回の豪雨災害でも課題となった避難行動要支援者の避難支援など、実際の災害事例や経験等を研修や訓練に取り入れてまいります。 さらに、自主防災組織による地区防災計画の作成など、全体で自分の命は自分で守る意識を醸成する取組を支援し、一層の活動活性化を目指してまいります。 次に、2点目の防災士の倍増に向けた現状と今後の取組についてお答えします。 県では、平成18年度から、火の国ぼうさい塾を開催し、防災士など地域の防災リーダーの養成に取り組んでいます。平成29年度からは、熊本地震の経験を踏まえ、定員を100名から200名に倍増し、防災士の養成を加速させています。 この結果、本県の防災士の登録数は、熊本地震があった平成28年度末時点の1,313人から令和2年8月末現在では2,946人となり、大幅に増加しています。 引き続き、火の国ぼうさい塾の開催をはじめ、市町村や民間団体とも連携し、防災士の養成を積極的に進めてまいります。 また、防災士の資格取得者が、地域の防災リーダーとして、実際に地域で活動いただけるよう実践的なスキルアップ研修を行うなど、地域防災力のさらなる向上に努めてまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 現在、県民に対して、災害のおそれがあるときは、予防的避難など早目の避難を呼びかけておりますが、自主防災組織に対しても、何かしら働きかけを行うことで、災害から身を守ることにつながるのではないかと思います。また、自主防災組織があることすら知らない県民がたくさんいると思います。自主防災組織の活動の充実、活動の活性化に加えて、県民に対しても、自主防災組織の存在を知ってもらう必要があると思います。そうすることで、防災に対する意識も向上し、地域防災力がついてくるのではないかと思います。県民一人一人が防災に関して考える取組をお願いします。もちろん、ハード面の整備をしっかりと行った上で、ソフト面を充実させなければいけないと思っております。ハード面の整備も着実にお願いいたします。 次の質問に入ります。 次の質問は、観光戦略について質問します。 観光は、現在、地方創生の起爆剤になり得るツールとして、国でも力を入れ、推進しているところです。 観光庁は、本年7月14日、今後1年をめどとした観光行動計画として、観光ビジョン実現プログラム2020を決定いたしました。このプログラムでは「現在、我が国の観光は厳しい状況にあるが、自然、食、伝統文化、芸術、風俗習慣、歴史など日本各地の観光資源の魅力が失われたものではなく、国内外の感染症の状況を十分に見極めつつ、国内旅行とインバウンドの両輪により、観光立国を実現できるよう、本プログラムを政府、民間、地域が一体となって着実に実行していく。」としており、新型コロナウイルス感染の影響を踏まえた政策が打ち出されています。 そこで、本県の観光の状況を見てみますと、新型コロナウイルスの影響だけではなく、7月に起こった豪雨災害、また、4年前の熊本地震と、知事がおっしゃるようにトリプルパンチに見舞われております。 県による主要な宿泊施設を対象とした調査では、今年3月から9月の宿泊者数は、前年同月比約74%減の見込みとなるなど、非常に厳しい状況となっております。 このように、旅行者は大幅に減少しており、また、旅行のキャンセル、予約控えや外出自粛の影響を受け、観光需要は大きく減少し、旅行業、宿泊業はもとより、地域の交通や飲食業、物品販売業など、多くの産業に深刻な影響が生じているのではないかと思います。 しかしながら、知事が常日頃おっしゃっている逆境の中にこそ夢があるの言葉のとおり、この逆境の中、今ここで、県が新しい観光スタイルを見据え、先手を打って様々な取組を行うことで、反転攻勢でV字回復できるチャンスがあるのではないかと思います。 実際、日本政策投資銀行が発表した「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」によると、新型コロナウイルス流行終息後に観光旅行したい国、地域においては、日本が45.6%と圧倒的に多く、2番目の韓国は21.9%となっており、2倍近い開きがあります。 この数字にも現れているとおり、日本に訪れたい外国人は多数いることが分かります。この調査は、アジアと欧米豪の計12か国・地域に住む海外旅行経験者インターネットで実施し、6,266人から回答を得た結果ですが、今しっかりと外に向かって観光政策を打ち出すことによって、旅行先に日本を、さらには熊本を選んでもらえるのではないのでしょうか。 そこで質問です。 現在、熊本地震、新型コロナウイルス、豪雨災害のトリプルパンチに見舞われている本県の観光を今後どのように再生させていくのか、知事にお尋ねします。 また、感染症の拡大以降、リモートワークオンライン会議インターネットでの買い物など、新たなライフスタイルが定着しつつあります。このように、観光においても、デジタル技術の活用など、新たな取組が不可欠であると考えます。 そこで、観光の再生に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、観光経済交流担当理事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 蒲島県政4期目のスタートに当たり、私は、熊本地震からの創造的復興を本県のさらなる発展につなげていくため、世界各国からのインバウンド誘致を柱とした観光戦略の展開を描いていました。 しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大と、その後の球磨川流域を中心とした未曽有の豪雨災害により、その戦略は、大きく変更を余儀なくされました。 現在、熊本は、熊本地震、コロナ、そして今回の豪雨災害というトリプルパンチに見舞われています。 特に、新型コロナウイルスの世界的な拡大は、人と人とのつながり方をはじめ、世界中の社会の在り方を根本から変えようとしています。新しい生活様式が私たちの生活の一部となる中で、新たな観光スタイルをいち早く確立していくことがこれからの観光戦略の基本となります。 このため、本県では、既に、顔認証システムの導入など、非接触、デジタルといった視点を取り入れたスマートツーリズムの仕組みづくりに着手しています。 また、くまモン、『ONE PIECE』をはじめ、アニメーションなどのソフトコンテンツの力を誘客の中に活用するなど、これまでにない新たな取組も行っています。 豪雨災害で傷ついた人吉・球磨地域の観光産業の復旧、復興については、なりわい再建補助金による支援のほか、応急補修したホテル、旅館等を避難として利用するなど、早期復旧を後押ししています。 さらに、宿泊、飲食などといった地域観光の要となる産業の再生に力を注ぎ、観光産業を復興の拠点として、多くの人を呼び込めるように取り組んでまいります。 今後、住民の安全、安心を確保するとともに、球磨川流域の自然や豊かな恵みなど、地域の魅力を輝かせるグリーン・ニューディール、いわゆる緑の流域治水を哲学に、創造的復興を成し遂げてまいります。 その実現に向け、地域の魅力を生かした新たな体験型旅行商品の造成や余暇を楽しみながら仕事を行うワーケーションの推進など、新たな産業と雇用の創出につなげてまいります。 熊本地震からの復興では、いよいよ鉄道と道路による阿蘇へのアクセスルートが回復し、観光再生の絶好のチャンスを迎えます。世界に誇る阿蘇の多彩な魅力を国内外に発信し、阿蘇をはじめ県全体への誘客につなげてまいります。 さらに、海外との往来が可能となる時期を見据え、これまで私が培ってきた海外とのネットワークを新たな視点から活用し、観光や県産品の販路拡大に最大限生かしてまいります。 こうした戦略に機動的に取り組むため、今定例会において、観光を基軸にイノベーションの視点で確実に成果を上げていくための新たな組織として、観光戦略部の設置を提案しています。 強化する体制の下で、熊本が誇る観光資源を磨き上げるとともに、新しい生活様式にしっかりと対応し、観光の競争力を高めてまいります。 そして、日本中、世界中の旅行者から選ばれる熊本を実現し、熊本の観光、地域の経済を着実に再生してまいります。  〔理事寺野愼吾君登壇〕 ◎理事(寺野愼吾君) デジタル技術などを活用しました具体的な取組についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの生活の中にITが一層浸透し、テレワークなどが普及しつつあります。 本県では、新たな観光スタイルの早期の確立に向けまして、デジタル技術などを活用したスマートツーリズムを推進し、新しい観光産業への変革に取り組んでおります。 まず、動画やSNSなどを活用しましたデジタルマーケティングに取り組んでおります。具体的には、配信したウェブページへのアクセス状況から、本県に興味や関心を持っている年代、居住地などを詳細に分析し、その結果を今後の誘客に向けた施策の展開に反映してまいります。 また、デジタル技術の活用は、観光地を訪れる旅行者の利便性の向上にも効果があります。先月包括連携協定を結んだ、世界トップレベルの顔認証技術を有するNECの協力を得て、観光施設への顔認証システムの導入に向けた取組をスタートします。施設への入場や決済、ホテルのチェックインまで顔パスで完結する手ぶら観光がより現実的なものに近づくよう、今年度から阿蘇地域での実証実験に取り組んでまいります。 本県には、空港や鉄道の駅から観光地までのアクセス、いわゆる2次交通に課題を持つ地域がございます。そこで、スマートフォンでバスやタクシー、レンタカー、シェアサイクルなどの交通手段や体験型旅行商品の予約機能などを連携させるサービス、MaaSの検討を開始いたします。 これらの技術や情報の蓄積が進むことで、季節や天候、旅行者の趣味や嗜好に合わせた最適でタイムリーな交通手段や観光情報を提案することも可能となります。 このような最新技術を活用した新たなおもてなしにより、本県のファンを増やすとともに、リピーターの獲得にもつなげてまいります。 次に、新たな観光需要の創出や地域経済の再生に向けた取組についてお答えいたします。 新型コロナウイルスの影響でテレワークが浸透しつつあるこの好機を生かし、企業の方々が観光地での余暇を楽しみながら仕事を行うワーケーションの取組を進めてまいります。 また、本県ゆかりのアニメなどのコンテンツを活用した新たな誘客を推進してまいります。 さらに、甚大な被害を受けました熊本が誇る球磨焼酎の産業再生を目指し、大手小売店などと連携した取組を行うなど、ブランド力の向上を図ります。 目の前の逆境を新たなステージへ進む大きなチャンスと捉え、本県の観光と地域経済の飛躍を目指して、果敢にチャレンジしてまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 観光は、本県にとっても非常に大事な産業です。しかしながら、観光産業も、コロナ対策として、また、コロナ後に向けて、様々な投資をしたいところではありますが、これだけ観光が落ち込めば、投資したくても投資できない状況です。ぜひ県が先頭に立って、様々なコンテンツを駆使して発信していただきたいと思います。 そして、以前、吉永先生がMaaSの質問をされましたが、その際は、導入の可能性について検討を進めてまいるとの答弁でしたが、今回は、検討を開始するとなり、少し前進したのかなと思います。ぜひこの取組に関しても進めていただければと思います。 また、今定例会で、観光戦略部の設置を提案しているとのことでした。もし設置が決まれば、非常に期待は大きいものだと思います。本県でも、昨年、ラグビーワールドカップと女子ハンドボール世界選手権がありました。それに取り組んだノウハウがありますが、昨日の髙野先生同様、誰が部長に就任するかは分かりませんが、ぜひまた盛り上がるようなこの取組をお願いいたします。 次の質問に入ります。 次の質問は、県の情報化政策やデジタル化の今後の取組についての質問です。 今回、新型コロナウイルス感染防止対策の取組で、密を避けるため、インターネットを利用し、自宅等でテレワーク、在宅勤務をされていた方も多かったのではないかと思います。私たち自民党熊本県連でも、ウェブ会議ツールのZoomを使い、毎週2回程度、意見交換会や勉強会を開催していましたが、大変便利で使い勝手がよいものだと改めて感じたところです。 そこで、デジタル化についてですが、新型コロナウイルスがはやる前になりますが、令和元年12月にデジタル手続法が施行されました。このデジタル手続法の基本原則は、簡単に言いますと、行政手続を電子申請にして、パソコンやスマートフォンなどを利用してオンラインで全てできるようにする、情報の提供は一度だけで済むようにする、関連する手続をワンストップで完結するということで、申請者の利便性向上だけではなく、県や市町村などの行政事務の効率化も進められているところです。 また、先週、菅内閣が発足しましたが、菅首相の肝煎りで、2021年秋までにデジタル庁を新設することが公表されました。新型コロナウイルスの感染拡大への対応の中で明らかになった国内のデジタル化の遅れを取り戻し、省庁間の縦割りの弊害を打ち破る省庁として進めるとの報道がありましたが、今後、行政をはじめ、国内のデジタル化が急速に加速するものと期待されるところです。 このような動きの中、国では、全ての行政手続を一度棚卸しして、押印、対面を求めている手続を全て洗い出し、その中から優先順位の高いものをデジタル化したり、そもそも手続をなくしたりしています。また、県においても、県や市町村の仕事のやり方を見据えた情報化の推進、IoT、AIなどの革新的技術の活用促進による生産性向上等の促進に向けた検討を進めていると伺っております。 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちは、急速に新しい生活スタイルに変化していくことを求められており、県や市町村などの行政機関においても、申請者が自宅などからパソコンやスマートフォンを使用し、行政手続を行うオンライン化の必要性がますます高まっていると思います。また、政府の規制改革推進会議や経済団体等からも、書面、押印、対面の行政手続の見直しの提言があっているところです。 そこで質問ですが、行政手続のオンライン化など、県として、今後どのように情報化政策やデジタル化に取り組んでいくのか、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) デジタル技術は、行政においても、住民サービスの向上や業務の効率化など、多くの効果が期待されており、その積極的な活用が求められています。 国は、昨年12月に、行政のデジタル化に関する基本原則などを定めたデジタル手続法を施行し、地方公共団体は、法律に沿った施策の推進に努めることとされています。 また、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、テレワークやオンライン会議など、新しい働き方に取り組んでおり、感染症収束後の新たな日常に向け、しっかり対応していくことが必要と考えています。 県では、昨年度から、2040年問題等を見据えて情報政策課の体制を強化するとともに、庁内に設置している高度情報化推進本部において、デジタル技術を活用した庁内の働き方や業務プロセスの改革、地域課題の解決、市町村における利活用の促進など、取組の具体化を進めています。 国の動向や社会環境の変化を踏まえると、今後さらにスピード感を持って施策を具体化していくことが必要と考えています。 そのため、年度内に新たな情報化推進計画を策定し、県民の利便性の向上や県経済の活性化、行政の効率化などにつながるよう、デジタル技術を活用した取組を加速化してまいります。 さらに、行政手続のオンライン化につきましても、この推進計画の中で具体化し、積極的に取り組んでまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) ぜひデジタル化のスピードを上げていただき、県民の利便性が上がるよう期待しております。また、昨日、発言通告書に押印しながら、この押印は何なんだろうと思いながら押印したところです。 次に、児童虐待防止対策について質問します。 児童虐待防止については、過去にも多くの先生方が質問をしておられ、児童虐待をなくさなければならないという関心の高さがうかがえます。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 県全体の児童虐待相談件数は、平成27年度、28年度は1,090件だったのが、令和元年度は2,028件となっており、3年で倍近く増加しており、児童虐待防止体制の強化が喫緊の課題と考えます。 また、本年4月に、新型コロナウイルス感染拡大により、熊本を含む全ての都道府県に緊急事態宣言が発令され、外出の自粛、学校の休校、施設や店舗の休業など、緊急事態宣言が解除される5月25日まで活動自粛が続きました。 さらに、緊急事態宣言が解除された現在でも、新型コロナウイルス感染拡大がなかなか収まらないことから、感染拡大防止のため、様々な活動の自粛を求められているところです。 私は、外出自粛など、新型コロナウイルス感染防止のための活動自粛が長期化することで、家で過ごす時間が長くなり、子供の見守りの機会が減り、児童虐待のリスクが高まっているのではないかと危惧しております。県外の一部の市町村では、新型コロナウイルスの影響から、4月、5月の児童虐待相談件数が急増したとの報道もされているところです。 そこで、本県の児童虐待について、新型コロナウイルスの影響はないのか、お尋ねします。 次に、児童虐待の相談経路別対応件数についてですが、昨年度一番多いのが警察で45.7%、次いで学校等が11.3%、近隣知人が9.5%、市町村保健センターが8.1%、家族が6.1%、医療機関が4.6%と続いており、家族以外からの相談が大部分を占めております。 児童虐待を早期に発見するためには、虐待に関する近隣住民等からの情報提供や相談しやすい環境整備が重要ではないかと考えます。 国では、平成27年7月1日から、虐待かもと思ったときなどに、すぐに児童相談に通告、相談ができる全国共通の電話番号189、「いちはやく」を設置しました。この189に電話をかけると、近くの児童相談につながり、電話料は無料となっています。私は、この相談ダイヤルの存在を知人、友人に聞いてみましたが、ほとんどが知りませんでした。 そこで、2つ目の質問は、私は、児童虐待の早期発見のためには、この相談ダイヤルの189の存在を今以上に周知することが必要と考えますが、県としてどのように考えているのか、また、周知はどのように行っているのか、お尋ねします。 続いて、3つ目の質問です。 今年7月17日に、骨太の方針2020が閣議決定されました。骨太の方針は、来年度の予算にも反映される大事なものです。骨太の方針の「新しい働き方・暮らし方」の「少子化対策・女性活躍」の項目の中に、児童虐待防止対策について記載されており、今年は新たに「市町村の体制強化」という文言が入っています。今までは児童相談の体制強化という表現だったのが、新たに市町村が入ったということは、さらに現場に近い場所で子供たちを見つめ、支援していくということが重要との考えだと思います。 平成28年5月に成立した児童福祉法等の一部を改正する法律においては、市町村は、子供とその家庭及び妊産婦等を対象に、実情の把握、子供等に関する相談全般から通所、在宅支援を中心としたより専門的な相談対応や必要な調査、訪問等による継続的なソーシャルワーク業務までを行う機能を担う拠点、市区町村子ども家庭総合支援拠点の整備に努めなければならないと規定されています。 現在、県内市町村で、子ども家庭総合支援拠点を設置している自治体は、熊本市を含め9市町となっており、このように身近に相談拠点があると、親も安心して子育てができるのではないかと思います。 そこで、3つ目の質問は、今年度の骨太の方針にも記載されている市町村の体制強化について、子ども家庭総合支援拠点の設置を含め、どのように取り組んでいくのか、また、地域における児童虐待防止体制の充実について、今後どのように取り組んでいくのか。 以上3点について、健康福祉部長にお尋ねします。 引き続き、次の質問に入ります。 次は、児童養護施設や里親家庭等から巣立った子供たちへの支援についてです。 先ほどの質問では、児童虐待防止対策について質問しましたが、親からの虐待や貧困などの理由により、児童養護施設や里親家庭等で育つ子供が多数います。 親と一緒に暮らせない子供たちは、全国に4万5,000人おり、そのうち約2万5,000人が児童養護施設で生活し、里親家庭で暮らしている子供たちは約6,000人となっています。本県では、児童養護施設で生活する子供は、令和元年度末で551人、里親の家庭で生活する子供は、84人です。 子供たちは、いずれは児童養護施設等を離れ、自立していかなければなりません。自立後は、一生懸命頑張ってアルバイトで学費や生活費を稼ぎながら、進学したり、就職したりと、厳しい条件の下、自分の人生を自分で切り開いて歩んでいかれると思います。 しかしながら、施設等を巣立った後も生活が厳しく、精神的に不安定な状況に置かれている方も少なくないようです。 9月2日の読売新聞の記事では、美容系の専門学校を卒業し、その後、美容室に就職したが、新型コロナウイルスの感染拡大により、美容室は休業することになった、再開後も客が減って休みになる日が多く、手取りも大幅に減少したが、相談できる人がいなく、気持ちが落ち込むようになり、今は仕事を休んでいるという21歳の女性について掲載されており、このような状況を受け、厚生労働省は、現在、児童養護施設等出身者らの生活のサポートをめぐり、自立支援事業を実施しているが、さらなる支援の充実に向け意見交換を行ったとの内容でした。 児童養護施設等は、原則18歳で自立することが求められ、自立後、子供たちは、実の親を頼ることができず、厳しい条件の下、生活しているのではないかと思います。特に、今は新型コロナウイルスも大きく影響し、この新聞記事の女性のように、収入が減り、精神的に追い詰められている方が増えてきているのではないのでしょうか。 そこで質問です。 児童養護施設や里親家庭等で育った子供たちに対して、退後、自立した後も様々な支援をすることで安心して生活が送れるようになると考えますが、県として、今後どのように児童養護施設等出身者の支援に取り組んでいくのか、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 児童虐待防止対策について、まず、1点目の新型コロナウイルス感染症の児童虐待への影響についてお答えします。 本県では、イベントや外出の自粛要請を行った本年3月から5月の児童虐待対応件数が前年比で3割程度増加しています。従来からの増加傾向に加え、議員御指摘のような新型コロナウイルス感染症の影響がさらなる虐待の増加につながり得るとの危機感を持って対応する必要があると考えています。 このため、本年4月、市町村に対し、要保護児童対策地域協議会を中核として、学校などと連携した見守りの強化を要請しました。 引き続き、関係機関と連携し、児童虐待の未然防止と早期対応に努めてまいります。 次に、2点目の児童相談虐待対応ダイヤル「いちはやく」についてお答えします。 この「いちはやく」は、虐待を受けたと思われる子供を見つけたときや子育てに悩んだときに、ためらわずに通告、相談できる重要な仕組みであり、令和元年度は、約300件の通告等が「いちはやく」を通して県内の児童相談に寄せられました。 県では、これまで、11月の児童虐待防止月間のイベント等において「いちはやく」の周知啓発に努めてきました。さらに、本年は、新型コロナウイルス感染症の児童虐待への影響が懸念されることから、4月から6月にかけて、テレビやラジオ等を通して、改めて周知を図っております。 引き続き、様々な機会を活用して、県民への周知啓発に努めてまいります。 3点目の市町村や地域における虐待防止体制強化についてお答えします。 児童や家庭への支援は、その家庭に身近な場所で行われることが肝要であり、児童虐待件数が急激に増加する中、市町村と児童相談が役割を分担しながら、連携して対応していく必要があります。 そのための体制整備として、国は、令和4年度末までに、全市町村で子ども家庭総合支援拠点を設置することを目指しております。 県としても、国のアドバイザーを活用し、虐待防止体制整備の重要性を市町村に認識していただき、総合支援拠点の設置を促進してまいります。 さらに、市町村の支援を主たる目的の一つとした児童家庭支援センターを現在の1か所から4か所に増設するための予算を今定例会に提案しています。それぞれの地域で、市町村、児童家庭支援センター、児童相談の3層構造による充実した児童相談体制を確立し、子供の安全、安心の確保に努めてまいります。 続いて、児童養護施設等退者の自立支援についてお答えします。 児童福祉法は、18歳未満の児童を対象としており、措置延長制度はあるものの、子供たちは、原則として18歳で自立が求められます。 議員御指摘のとおり、児童養護施設等の退者は、日常生活や社会生活を送る上での経済的問題や対人関係、健康面など、様々な悩みについて、アドバイスを求めることができる支援者が乏しい状況にあります。 今定例会に予算を提案している社会的養護自立支援事業は、こうした児童養護施設等退者の相談支援拠点を設置し、支援コーディネーターや相談支援員が入所中から退後まで継続してサポートすることにより、生活面や就労面など自立に向けたきめ細かな支援を行うものです。 新型コロナウイルス感染症による厳しい状況の中、児童養護施設等から社会に巣立つ子供たちが少しでも安心した生活を送れるよう、必要な自立支援の取組を進めてまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) ぜひ児童虐待がなくなるように精いっぱい頑張ってもらいたいと思います。私たちも、しっかりそのことについても常に頭に入れながら、ふだんから生活していきたいと思っております。 最後の質問に入ります。 最後は、コロナ禍における高齢者の健康維持対策について質問します。 新型コロナウイルス感染症の流行により、国が緊急事態宣言を出したことで、多くの皆さんが不要不急の外出を控えられたと思います。5月末に緊急事態宣言が解除されましたが、現在も、高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが高いため、外出を極力控えておられるのではないのでしょうか。 実際、私の祖父も、ふだんだったら、運動とまではいきませんが、体力が衰えないように進んで外出や散歩をしていたのですが、現在では、新型コロナウイルスに感染することを恐れ、私たち家族も外出を控えさせており、また、本人もできるだけ外出しないように気をつけています。家の中に閉じ籠もっている時間が長くなり、本人は、ストレスもたまる上、運動不足になっているため、以前と比べて足腰が弱ったように感じます。 また、高齢者施設でも、感染防止のため、外出自粛や面会制限が求められており、このような状況が続けば、入所者にとっても、家族にとっても、不安や心配が大きくなるものと思います。 このように、高齢者が外出自粛により体を動かす機会が少なくなると、体や頭の働きが低下し、歩くことや身の回りのことなど、日常生活動作が行いにくくなったり、疲れやすくなったりするフレイル、虚弱が進んでいきます。 国立長寿医療研究センターでは、新型コロナウイルス感染拡大後に運動が継続できず、活動量が減少している高齢者が非常に多く、新型コロナウイルス感染症の収束後に要介護高齢者が増加してしまう可能性を指摘しているところです。 本県では、コロナ禍における高齢者の健康を守るため、令和2年4月22日に、熊日新聞が発行している「くまもと生活情報」で、高齢者向けの新型コロナ対策を特集しました。 「高齢者の皆さまが新型コロナウイルスの感染を防ぎ心身の健康を守るために」と題して、新型コロナウイルスの感染を防ぐため、3密を避けること、手洗い、咳エチケットなどが紹介されております。また、新型コロナウイルスに負けない体をつくるため、いきいき百歳体操くまもと県バージョンが、イラスト入りで非常に分かりやすく説明してあります。 このような県の取組は、高齢者の心身の健康を維持する対策として大変重要かと思います。一刻も早い薬やワクチンの開発が望まれるわけですが、まだいつできるか分からない状況の中で、今後も外出を控えられる高齢者は多数おられると思います。 この「くまもと生活情報」は、4月22日に発行しており、5か月も前のことですが、ここまで新型コロナウイルスの影響が長引くとなると、高齢者が感染に気をつけながら、健康を維持していくための取組を継続して行っていかなければならないと思うところです。 また、取り組むに当たっては、高齢者は、インターネットなどの環境がない方もおられると思いますので、このような情報弱者である高齢者に対しても、しっかりとその取組が伝わるような配慮も必要です。 そこで質問です。 このコロナ禍において、高齢者の健康維持や認知症対策を行っていかなければならないと思いますが、現在の取組の状況、また、これからの取組はどうしていくのか、また、情報弱者に対してどのように発信していくのか、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 県では、高齢者の介護予防を推進するため、市町村とともに、高齢者が身近な場所に集い、体操や交流等を行う通いの場の設置促進に積極的に取り組み、昨年度までに3,200か所を超える通いの場を設置することができました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、通いの場の取組に支障が生じており、この状況が続くことで、心身の機能が低下して日常生活動作が困難になる高齢者が増加することが懸念されます。 このため、県では、新たな介護予防の取組に着手しており、議員にも御紹介いただきましたが、高齢者にも取り組みやすく、効果的な運動をイラストで説明したパンフレットを作成し、新聞や市町村の広報誌に折り込んで、県内のほぼ全世帯に配布したほか、「県からのたより」でも紹介しました。 また、社会全体が新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けている中、環境変化の影響を受けやすい認知症の方については、御家族向けに日常生活での留意点や相談窓口を紹介したリーフレットを作成し、市町村等を通して情報提供を行っています。 さらに、現在、専門家の指導の下、身体、認知、口腔の3つの機能の維持向上を図るくまもと笑顔でよかよか体操の動画の制作を進めています。 この動画では、高齢者が笑顔で楽しく体操に取り組めるよう、地元タレントが体操にチャレンジする形にしており、県民の関心を高めるため、8月から順次、週2回、夕方の民放放送でも放映しています。 今後、地域包括支援センター等に協力いただき、この体操を収録したDVDを多くの高齢者に提供し、自宅等での介護予防に活用していただくとともに、高齢者を支える御家族や地域の方々にも、介護予防の理解を深めるために活用していただく予定でございます。 県では、このように、市町村や関係団体と連携し、高齢者にも分かりやすく、取り組みやすい方法を活用しながら介護予防を展開してまいります。 ○議長(池田和貴君) 橋口海平君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 高齢者のこの予防なんですが、やっぱり情報が行き届かない方たちもたくさんいると思いますので、しっかりとそこまで配慮して届けていただけるようによろしくお願いいたします。 昨日は畳の日ということでしたが、今日は主婦休みの日ということです。これから私もしっかりと休みたいと思っております。 以上で質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(池田和貴君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩    ――――――○――――――  午前11時8分開議
    ○議長(池田和貴君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 末松直洋君。  〔末松直洋君登壇〕(拍手) ◆(末松直洋君) 皆さん、おはようございます。宇城市・下益城郡区選出の末松直洋でございます。今回で6回目の質問になります。 まず、新型コロナウイルス、そして7月の豪雨災害におきましてお亡くなりになられた皆様に心より御冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 今回の質問は、主に新型コロナウイルス禍の中での県の取組や令和2年7月豪雨に関しましての、この大きく2点を幾つかの角度から行いたいと思います。 それでは、通告どおり質問に入らせていただきます。 まず最初に、コロナ禍における県の対応について、ニューノーマルを見据えた人や企業を本県に呼び込む取組について。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社会経済構造が大きく変革し、世界的な新しい生活様式、すなわちニューノーマルを迎えつつあると言われています。 このニューノーマルにおいては、例えば人の流れについては、大都市から地方への大きな流れが発生することが期待されています。また、サプライチェーンの再構築においても、進んでいくのではないかと考えられています。 そこでまず、人の流れについてお尋ねしたいと思います。 世界的に見て、首都に人口が一極集中しているのは東京とソウルくらいだと言われており、江戸時代の1822年に関東圏の人口は日本全体の16%だったのが、平成27年には33.8%まで増えています。 他の国に目を向けてみますと、フランスのパリ、イギリスのロンドンが15%前後、アメリカのニューヨーク、イタリアのローマ、ドイツのベルリンにおいては10%以下という人口比率です。また、スペインでは、都市に対して地方という言葉はないと言われています。 こういうことから見て、我が国の関東圏及び東京への一極集中は、世界的に見ても例を見ない状況になっているのは確かです。 昔の若者は、東京に憧れていました。東京で一花咲かせるぞという思いで上京してきた人たちも多かったと思います。しかし、最近は、地域に移住したいと思っている若者も増えてきました。 ただ、このような思いがあるにもかかわらず、地方から都市への一極集中の流れは、ずっと現在まで続いてきております。都市と地方との人口格差は広がるばかりで、特に若者の流出が顕著であり、地方の活力を奪いかねない状況であります。 一方、先日の新聞記事に、目を奪われる記事がありました。総務省の集計で、東京圏において、初めて転入に対し転出が1,459人と人口流出に当たる転出超過となったとありました。総務省では、「この傾向が一時的なものなのか即断できない。今後の動向を注視したい」とコメントしていますが、私は、首都圏の新型コロナウイルスの感染拡大が広がりを見せる中、都市から地方への移住が始まったのではないかと思います。 そこで、質問に入ります。 今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人と人との距離を置くということで、人口が密である東京圏から脱出したいと考えている人は相当おられると思います。私は、今回のコロナという非常事態は、東京一極集中から地方への人の流れを進める一つのきっかけになったということで、地方にとってはチャンスになり得るときだと思います。 現在、移住、定住に関しては、人を呼び込むため、全国どこの県も市町村も様々な施策を実施されていますが、ニューノーマル時代と言われる中、熊本県の移住、定住促進に向けた今後の取組について、企画振興部長にお尋ねします。 次に、企業のサプライチェーンの再構築について触れたいと思います。 今回の新型コロナウイルス感染拡大の中で、当初はマスクやアルコール消毒液の不足に国民は随分心配をされました。最近になってそれも解消されてきたと思いますが、不足時には、相当な高値で販売されたり、転売されたりしたこともあったようです。経済発展の中で、できるだけコストを下げて利益を追求するあまり、いかに生産費の安い海外に生産を依存していたかが分かる事態でした。 国も、新型コロナウイルス感染拡大により、我が国のサプライチェーンの脆弱性が顕著化したことから、生産拠点等の国内回帰等を進めることになりました。 具体的には、特定国に依存する製品、部材等または国民が健康的な生活を営む上で重要な製品等について、国内への生産拠点を整備する場合にその設備導入等を支援するというもので、令和2年度補正予算額で2,200億円が計上され、既に全国で数十件が採択されています。 このように、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、企業のサプライチェーン再構築に向けた動きが起きており、それに伴い、企業の国内回帰が進んでいることがうかがえます。 そこで、質問に入ります。 このようなニューノーマルにおける企業のサプライチェーン再構築に伴う国内回帰の動きが起きている中で、企業を本県に呼び込むためにどのような取組をされているのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 移住、定住促進に向けた取組についてお答えいたします。 県では、これまで、東京や大阪への相談窓口の設置、それから市町村と連携した移住セミナー、移住体験ツアーの実施など、各種施策を展開してまいりました。その結果、昨年度の移住相談件数は1,340件と過去最高を記録するなど、移住に向けた関心が高まっています。 今年度からは、地域振興課内に移住定住推進班を新設し、移住支援金や起業支援金の本格運用を開始するなど、取組をさらに強化しております。 また、昨今の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、移住セミナーなど全てのイベントをオンライン化することとし、デジタル技術を有効に活用した新たな取組としてスタートしております。 今後実施予定のオンライン移住セミナーでは、バイクやアウトドアなど熊本らしい趣味をテーマに設定するなど、コンテンツの充実に努めます。 これからも、熊本の魅力を積極的に発信することで、ワーケーションや移住につながるよう取組を進めてまいります。 あわせて、新しい生活様式に即した働き方を把握するため、首都圏と熊本を必要に応じて行き来する2拠点居住やサテライトオフィスに関するニーズ調査を首都圏において実施します。その調査結果を踏まえて、ターゲットを絞った移住、定住施策を展開していくこととしています。 新型コロナウイルス感染症の影響による社会の変容に的確に対応し、都市から熊本への人の流れを促進するとともに、移住先として選んでいただけるよう、各種施策について、引き続き積極的に取り組んでまいります。  〔商工観光労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工観光労働部長(藤井一恵君) 企業を本県に呼び込む取組についてお答えします。 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染拡大により、マスクをはじめ、自動車や電子部品等に至るまで、幅広いサプライチェーンが影響を受けました。 そのため、企業においては、海外に依存していた物資の国内生産や国内外の拠点の分散化を改めて検討されております。県内においても、複数の企業が新たにマスクやアルコール消毒液の生産を始められており、また、東京に本社があるIT企業が熊本に研究開発部門の拠点を新設するなど、既に動きも出てきています。 県としては、まさにサプライチェーン等のリスク回避に向け、企業が新たな投資先を検討し、選定していく大きな流れがあると考えております。 県では、6月に、国の新たな補助制度に合わせて、その補助要件を満たす企業を対象に、県の立地促進補助金の補助率を最大2倍に引き上げる制度拡充を行ったところです。 これまでに、本県の基幹産業である自動車や半導体関連に加え、医療、化学関連等の幅広い業種の企業に対してアプローチしてきました。現在、複数の県内企業が国の補助制度に申請されていると伺っており、県の補助制度に関する問合せも受けているところです。 県としましては、アンテナを高く張り、このような企業の国内回帰、地方への拠点分散化の動きを迅速かつ的確に捉え、本県へのさらなる投資につながるよう、引き続き、誘致活動に全力で取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) まず、企画振興部長にお答えいただきました。 今年度から課内に移住定住推進班というのを新設され、相談件数もかなりあるということで、大幅に拡充されております。また、市町村をはじめ関係団体、熊本県の東京事務所、大阪事務所と連携を図り進めていくということで、力強い思いが伝わりました。本県の魅力をアピールすることで、他県と差別化を図るということは、どこの県も市町村もアイデアを絞ってくると思いますので、それに負けないすばらしいアイデアを期待しております。 次に、商工観光労働部長にお答えいただきました。 国内の動き同様に県内も動きがあるということで、非常によいことだと思います。本県も、6月には、立地促進補助金の補助率を2倍近くまでに引き上げられたということで、自動車関連や半導体関連企業にも積極的にアプローチをして、また、実際に国への補助申請を幾つかの企業が申請をされているということで、本県の投資につながる誘致活動に全力で取り組むとの力強い答弁でしたので、今後、熊本県が発展することを期待しております。 それでは、次の質問に入らせていただきます。 効果的なオンライン学習に向けた取組について。 今回、新型コロナウイルス感染症の影響で春先から学校が休校になった影響により、夏休みが短いところでは9日間、長いところでは30日間と、県内でも大きな差が開きました。保護者の中には、学習の遅れを心配する人も多く見られたところであります。 新型コロナウイルス感染症の発生を契機として、災害や感染症の発生等による学校の臨時休校等の緊急時にも全ての子供たちの学びを保障するためには、ICT活用が重要であるとの認識が広がっており、学校におけるICT環境整備を早急に実現する必要があると思います。 国においては、緊急経済対策の中に、GIGAスクール構想の実現として、令和元年度補正予算2,318億円、令和2年度1次補正予算2,292億円の計4,610億円の国庫補助等を創設しました。 これを受け、県も、積極的に環境整備に取り組まれているところだと思います。市町村によっては、既に1人1台のタブレットの貸与を行っているところもあるようです。家庭学習のための通信機器整備支援や学校からの遠隔学習機能の強化、学びの保障オンライン学習システムの導入の予算もあっているので、有効に活用されていくことと思います。 今回、ハードについては、多額の予算を費やし、整備が進むことになると思いますが、実際に学校現場で運用するのは教職員の方々です。教育を進めるに当たって、各教職員の熱意に期待するだけでは学校間の取組に格差が生じるのではないかと思います。機材は整備したけど、使用しないままになってしまったという結果にもなりかねません。学校現場が効果的に学習を進められるシステムづくりが併せて必要だと思います。 そこで、質問に入ります。 これからネットワーク環境整備や学校からの遠隔学習機能の強化が図られていくと思いますが、オンライン学習を含む教育を推進するための研修や指導等、今後の取組及び計画について、教育長にお尋ねします。 次に、小中学校に通えていない子供たちへのオンライン学習の提供についてお尋ねします。 先日、不登校の子供たちに向けて、熊本市南区の中学校がオンライン学習の支援を行っているという記事が熊日に掲載されていました。オンライン学習を実施した結果、不登校である子供が健康観察や学習に参加できたという報告が相次いだとあります。また、コロナウイルスが不安で登校できない生徒にもタブレットを貸し出しているということです。これにより、現在不登校の生徒の母親は、集中して机に向かう時間が目に見えて増えたと喜んでおられます。市の担当課長は、登校できない理由は様々で、それぞれに合った学びを保障することが重要で、オンライン学習をきっかけに学びやコミュニケーションの選択肢が増え、継続して学校とつながれるようにしたいとあります。 一方、福岡市の場合は、オンライン学習を受けられる対象を、コロナを理由に登校できない子供たちに限ってオンライン学習を行ったため、不登校の保護者からは落胆の声があったとあります。 そこで、質問に入ります。 不登校の子供たちをはじめ小中学校に通えていない子供たちに向けてのオンライン学習について、県はどのように考えているのか、教育長にお尋ねします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、ICT教育を推進するための研修や指導など、今後の取組及び計画についてお答えをします。 現在、児童生徒1人1台端末の整備が進む中、ICT機器を最大限活用していくためには、教職員一人一人の情報活用能力の向上は不可欠であると認識しております。 そこで、県教育委員会では、現在、教職員が体系立ててICTスキルを身につけることができるよう、研修を大きく3項目から成るICT活用推進研修パッケージとして、11月を目途に整備を進めております。 1つ目は、全ての教職員が基本的に身につけるべき共通実践事項、2つ目は、小中高、特別支援の学校種別、学科別の実践事項、3つ目は、遠隔学習、オンライン学習などに対応したテーマ別実践事項の3つに分類し、必要なスキルを身につけることができるようにしております。 これらの研修は、ガイドブックの配付、集合研修や指導主事による訪問支援研修、オンライン研修の様々な組合せなどにより、教職員の習熟度や学校の実態、ニーズに応じて実施することが可能となります。 さらには、現場の教職員だけでなく、管理職向けにも、校内の情報化を組織的に進めるための研修を予定しております。 パッケージのうち、既に、共通実践事項の研修については、全ての教職員がオンラインで受講を始めているところです。また、学校種別の実践事項についても、今回の休校中における県立高校の学習支援の事例を取りまとめて提供するなど、鋭意取組を進めております。 また、お尋ねがありました今後のICT教育に係る計画につきましては、現在、国において学校教育情報化推進計画の策定が進められていることから、その内容を踏まえて取り組むこととしております。 今後とも、教職員が効果的かつ実践的に学べるよう、研修内容を更新しながら、ICTを活用した学習活動の充実を図ってまいります。 次に、不登校の子供たちをはじめ小中学校に通えていない子供たちに向けてのオンライン学習についてお答えをします。 オンライン学習は、様々な理由で小中学校に通えていない子供たちの学習支援の方法として、有効な選択肢の一つであると考えております。 本県においても、休校期間中に学習動画の配信を行ったことで、不登校の児童生徒が自宅で学習に取り組んだ事例や入院中の生徒に授業の様子を中継して学習した事例、授業の様子を校内の別室に中継して教室に入ることができない児童生徒が学習した事例などがございます。 一方で、実際にオンライン学習を行っていくためには、ICT環境の整備とともに、限られた教職員の中で、誰がどのようにオンライン学習を進めていくかなどの指導体制の課題もあります。 また、文部科学省の通知においても、オンライン学習の活用により、不登校の長期化を助長しないよう留意することが求められております。 さらに、オンラインによる各教科の学習だけでなく、実際の学校生活の中での体験活動などを通して、豊かな心や健やかな体を育成することも大切であります。 県教育委員会としましては、このような現状や課題を踏まえまして、市町村教育委員会と連携しながら、これまでの家庭訪問や学校外での学習支援に加えまして、オンライン学習の進め方やその効果についての検討を踏まえつつ、取組を進めてまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 教育長にお答えいただきました。 ICTに関しては、教職員の情報能力向上のため、研修制度を整理し、本年度、全ての教職員にオンラインも活用しながら必要な共通実践研修を行うということ、また、国の学校教育情報化推進計画を踏まえて取り組んでいかれるということであります。 今回のコロナウイルスは非常事態ということで、ICT教育の重要性をさらに進めたことは間違いではないと思いますので、しっかりお願いします。 次に、小中学校に通えていない子供たちのオンライン学習については、有効な選択肢の一つだということであります。私は、学習はもちろんでありますが、学校、友人と直接またはオンラインでもつながっているということが一番大事なことではないかと思います。蒲島知事がいつも言われる一人も取り残さないということを胸に、ぜひとも前に進めていただきたいと思います。 次の質問に入ります。 技能実習生等をめぐる対応について。 今や、国内及び熊本県もそうであるように、様々な産業において、労働力を技能実習生に頼っているところは大きいものがあります。 本年に入り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、帰国、入国困難な状況であり、研修先である方たちからは、不安の声が上がっているところであります。今回の質問は、主に農業者に絞って行いたいと思います。 本県の外国人労働者は、昨年度で1万2,345人で、そのうち農業が最も多く約30%を占めて、ほとんどが技能実習生です。平成22年頃は中国が一番多かったのですが、近年ではベトナムが最も多く、次に中国、フィリピンとなっています。平成24年時には890人であった技能実習生が、昨年度では約4倍に増えています。 県内の技能実習生の人数を地域別に見てみますと、最も多いのが八代で1,676人、次に玉名の737人、宇城、阿蘇などがおのおの300人弱であります。この数字を見ますと、施設園芸が盛んな地域が外国人技能実習生を雇用しているように見受けられます。施設園芸等の規模拡大が進む中、熊本県の農業が外国人技能実習生に支えられていることが分かります。 最初に申しましたように、帰国期限を迎えている技能実習生の中には、早く家族が待つ本国への帰国を待ち望んでいる人もいますが、新型コロナウイルスの影響で、帰国が困難な人も多いようです。逆に、日本へ向かうはずの技能実習生も、日本への入国がいつになるか分からない状況で、不安を抱えておられると思います。 不安を抱えられているのは、受入れ側の農業者も同じで、急遽、国の事情が改善し、技能実習生が帰国をして、受け入れるべき技能実習生の来日が遅れてしまい、技能実習生がいない空白の期間が発生することを非常に心配されている農家もおられます。実際、本年の作付を減らすということも考えている農家もあられるということです。このことが長く続けば、熊本県の農業生産の衰退、ひいては熊本県の活力にも影響を与えかねない重要な案件だと思います。 また、昨年スタートした特定技能外国人材の受入れが熊本でも始まっていると聞いています。先日の農業新聞の記事の中に、特定技能外国人材の県間リレーが掲載されており、長野県と長崎県のJAが連携して通年雇用を実現したとありました。農繁期が異なる地域同士で人材を行き来させ、通年で働く環境を提供して、産地維持や規模拡大を狙う取組のことです。 そこで、質問に入ります。 現在の技能実習生の出入国が困難となっていることの影響と対策、また、本県における特定技能外国人材の受入れ状況について、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、技能実習生の出入国が困難となっていることの影響と対策についてお答えします。 今般の新型コロナウイルスの影響により、2月以降、技能実習生の方が来日できず、全国的に産業活動への影響が懸念されることとなりました。これに対し、国においては、在留している技能実習生の方が継続して就労できるよう、新たな在留資格を設けるなどの対策が示されております。 この動きと呼応し、県では、緊急的に、新たな在留資格の内容などを分かりやすく説明したチラシを作成し、市町村や農業団体等を通して農業者に配付し、周知を図りました。その結果、監理団体のJAによりますと、帰国対象者の約8割が、この新たな在留資格等により継続して就労されています。 また、先月からは、本県の主力品目であるトマト、ナス等の定植が始まりましたが、主要な産地からの聞き取りによりますと、不足する労働力については、複数の農家が互いに作業を手伝う、いわゆる手間替えで対応し、現時点では、作付面積はほぼ維持されております。 しかし、技能実習生の方々が今後も出入国できない状況が続いた場合、雇用に空白の期間が生じたり、収穫作業が本格化した際の農作業への影響が懸念されます。 その対策として、県では、短期的に農業生産活動の補完ができるよう、請負業者など民間事業者のノウハウを活用した国内人材の確保を進めることにしています。あわせて、代わりの人材を新たに雇用した農業者に対し、かかり増し経費を助成する国の事業について、関係団体と連携して周知するとともに、申請への支援などを行い、農家の負担軽減も図ってまいります。 次に、特定技能外国人材の受入れ状況についてお答えします。 県では、特定技能外国人材を本県農業の持続的発展に欠かせない人材と位置づけています。そこで、昨年度から、熊本農業のパートナーとして活躍できるよう、農業経営や日本の文化などを研修する本県独自の人材育成も含めた受入れ体制の整備を進めてきました。その結果、本年6月時点で、全国で3番目に多い79人の方に本県の農業現場を選んでいただいております。 技能実習生と同様、予定していた方が入国できない状況が続いておりますが、特定技能外国人材は、雇用主が請け負った別の業務にも従事できることから、現在、県内の農繁期の違いを生かした産地間連携の取組を検討しております。 具体的には、冬は農閑期となるJA阿蘇が雇用されている外国人材を、冬が農繁期となる平たん地域での業務に従事してもらう取組をモデル的に実施する予定です。 これらの取組を通して、新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても、国内外の人材が熊本を選んでいただける体制を構築し、本県農業生産力の維持発展を図ってまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 農林水産部長にお答えいただきました。 今回、コロナ禍の中、県は、市町村、また、JAと連携を図り、国の対策を活用して、帰国対象者の8割の実習生が継続して就労されていることと、農家の皆さんがお互い助け合うことで県内の作付は今のところ確保できているということで、少しは安心しました。 ただ、技能実習生の入れ替わりの空白期間については、請負業者や民間事業者のノウハウを活用するということですが、なかなか人は来てくれぬもんねとよく言われます。不安を持たれている方がおられるのも事実でありますので、そこのところをよろしくお願いします。 そして、昨日の熊日だったですか、来月初めから、全世界からの入国を条件付で再開する方向で動き出すということでありましたので、少しずつは外国人技能実習生の受入れ体制、出入国も緩和されていくのではないでしょうか。 そして、特定技能外国人材についても、全国で3番目に多い79人の方が現場で活躍されているということで、その方たちが産地間のリレーでやっていただければ、農家の皆さんも非常に期待が大きいものがありますので、引き続きの御支援をお願いいたします。 次の質問に入ります。 令和2年7月豪雨を受けての県の対応について、洪水浸水想定区域内における要配慮者利用施設の避難体制の確保について。 本年2月の一般質問で、私は、この問題を取り上げさせていただきました。まさに私の懸念が現実のものとなり、令和2年7月豪雨におきまして、県南地域を中心に甚大な被害が発生しました。このような状況を踏まえ、今回も、引き続き質問をすることにしました。 洪水浸水想定区域については、平成27年に改正された水防法に基づき、河川管理者が洪水予報河川や水位周知河川を対象に、想定し得る最大規模の降雨、いわゆる1,000年に1度発生する確率規模以上の降雨を前提とした浸水想定の区域を指定することになっております。 県においては、令和元年度までに、全ての水位周知河川について、洪水浸水想定区域図を作成され、公表されたと聞いています。 また、水防法では、洪水浸水想定区域内にあり、市町村の地域防災計画で定められた要配慮者利用施設は、避難確保計画の作成及び避難訓練の実施が平成29年から義務化されております。 今述べた要配慮者利用施設における避難確保計画の作成状況は、前回私が質問した時点では、熊本県は全国最下位で、その後、6月末時点での全国調査でも19.3%と、いまだ全国で一番低い状況下にあります。 今回の豪雨災害では、球磨村渡地区の特別養護老人ホーム千寿園が浸水被害に遭い、14名の貴い命が犠牲になられました。施設では、避難確保計画を作成され、避難訓練も実施されていたとのことですが、線状降水帯の停滞に伴う豪雨により、河川の水位が急激に上昇し、施設職員の皆さんも懸命な救助作業を行われましたが、全員を避難させることはできなかったとのことです。 八代市坂本地区のグループホームまどかの場合は、平成27年に作成された計画では、避難先を球磨川上流にある公共施設とされていましたが、2年前に計画を見直し、系列の社会福祉施設に変更し、今回の豪雨災害では、春と秋に実施している避難訓練どおりに避難することができたとのことでした。 先日の熊日の記事に、人吉市に住まわれている方の洪水時の実体験が掲載されていました。「防災マップ被害想定大きく変化」というタイトルの記事によりますと、市の防災マップに示されたその方の自宅の浸水深は、いわゆる深さですが、0.5メートル以上1メートル未満であったとのことでした。 この防災マップは、河川整備において基本となる降雨、すなわち80年に1度発生する確率規模の降雨を前提として、国と県から提供された洪水浸水想定区域図を基に、人吉市が平成29年に配布されたものでした。 平成27年の水防法改正により、人吉市に関係する新たな洪水浸水想定区域図が出そろったのは、人吉市が防災マップを配布した翌年の平成30年12月だったとあります。想定し得る最大規模の降雨を前提とした新たな洪水浸水想定区域図によれば、この地区の浸水の深さは、5メートル以上10メートル未満の浸水の可能性があるということでした。 記事にもありましたが、新たな洪水浸水想定区域や浸水深を住民の方々が知っておられたならば、要配慮者利用施設の避難体制も同様に違っていたのではないかと考えます。 そこで、質問に入ります。 今回の豪雨災害を踏まえ、人命を守るためには、要配慮者利用施設の避難確保計画の作成は急務であると考えますが、作成率の向上に向け、県としてどのように取り組んでいかれるのか、また、計画を実際の避難につながる質の高い内容としていくために、県として施設管理者にどのような支援を行っていかれるのか、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) まず、要配慮者利用施設に係る避難確保計画の作成率向上に向けた取組についてお答えをいたします。 県では、これまで、計画作成の手助けとなる独自の手引書の作成や施設管理者向けの説明会の開催など、計画作成を支援する様々な取組を進めてきました。しかし、議員御指摘のとおり、令和2年6月末調査時点の本県の作成率は、19%と低い状況にありました。 県では、今回の豪雨災害も踏まえ、改めて市町村長宛てに各施設の計画作成を促す文書を発出するとともに、各市町村長等に直接作成に向けた協力を働きかけました。さらに、県立学校等の県の機関や県が指導、助言を行う老人福祉施設等に対しては、庁内関係課からも計画作成について強く働きかけを行いました。その結果、8月末時点の計画作成率は、65%まで向上しております。 作成率のさらなる向上を図るため、施設から問合せが多い、浸水の原因となる河川や浸水の深さを容易に把握できるよう、今月中に県ホームページ「防災情報くまもと」に機能を追加する予定です。また、作成率が低い市町村と合同で、施設管理者向けの説明会を重点的に開催してまいります。 次に、計画の実効性を高めていくための施設管理者への支援についてお答えをいたします。 作成された計画は、避難訓練等で検証を行い、抽出された課題については、その都度改善を重ね、実効性を高めた計画にすることが重要です。 そこで、今後は、施設管理者を対象に実際の避難訓練を視察いただく研修の開催も検討してまいります。 県としては、これらの取組を通して、全ての対象施設の計画作成の早期完了を目指すとともに、利用者の方々の円滑かつ迅速な避難につながるよう、市町村と一体となってしっかりと施設管理者を支援してまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 土木部長にお答えいただきました。 要配慮者利用施設の避難計画は、本年6月の19.3%から8月末では65%まで上がったということで、このことは、7月の豪雨を受けて危機感を募らせたことと、県が積極的に、市町村長をはじめ、計画作成に強く働きかけを行ったからではないでしょうか。この避難計画を基に実際に機能するのは施設管理者、市町村でありますので、引き続き御支援をお願いします。 次に、河川からの浸水深を容易に見ることができるように県のホームページに掲載されるということでありますが、自分の住んでいる地区がどれだけ水が来るかは、ほとんどの人が知らないと思います。ただ、県のホームページで入っていくのになかなか見つけにくいということがありますので、誰でも分かりやすいような掲載の仕方をぜひお願いいたします。 次の質問に入ります。 農業用ため池の防災対策についてであります。 私の地元である宇城市にも、萩尾ため池や八ツ枝ため池など140か所程度の農業用ため池があり、用水の確保に苦労してきた宇城地域の重要な用水源となっています。また、多様な生物の生息場所になったり、地域住民の憩いの場にもなっています。 このように、地域にとって重要な農業用ため池ですが、近年は、豪雨などにより決壊するなどの被害が発生しております。広島県では、農業用ため池の決壊により幼い命を奪ったことも記憶に残るところであります。 本県においても、本年7月の豪雨により、決壊や堤体の洗掘など、5か所のため池が被災したと聞いています。また、平成28年熊本地震の際、地元の宇城市の鐙ヶ鼻ため池が被災した状況を目の当たりにしており、ため池の防災対策を進めていくことが重要ではないかと思います。 一方、農業用ため池は、利用者である農家の方々によって管理が行われてきました。近年は、農家の減少や高齢化等によって、日常点検や補修などの管理ができなくなっていると感じているところです。 このような中、国においては、令和元年に、農業用ため池を適正に管理、保全することにより、農業用水の確保と決壊による被害を防止することを目的として、ため池管理保全法が施行されました。 また、本年6月には、農業用ため池の防災工事等を集中的かつ計画的に推進することを目的に、いわゆるため池工事特措法が可決、成立しました。この防災工事等の推進計画策定やこれに基づく事業等に係る国の財政上の措置等を定め、防災工事等を集中的かつ計画的に進めようとするもので、近いうちに施行されると聞いています。 そこで、質問に入ります。 近いうちにため池工事特措法が施行されますが、県は、本法に基づき、防災重点農業用ため池の防災工事等をどのように進めていかれるのか、また、日常的な管理が厳しくなってきた農業用ため池について今後どのように対応していくのか、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 防災重点農業用ため池の防災工事等の進め方と日常的な管理への対応の2点についてお答えします。 まず、1点目の防災工事等の進め方については、本年6月に公布されたため池工事特措法において、県は、防災重点農業用ため池の指定を行った上で、今後10年間の防災工事等推進計画を策定し、この計画に基づき、調査と防災工事を進めることとされております。 県内には、2,320か所のため池がありますが、このうち、国が示した指定要件の決壊により人的被害を与えるおそれのあるため池に該当する873か所について、今後、市町村長への意見聴取を行った上で、防災重点農業用ため池として指定する予定です。 今後10年間の防災工事等推進計画につきましては、調査や工事を行うため池の優先順位の考え方を明確にした上で、劣化の状況や豪雨等の災害に対する耐久性の調査と防災工事の実施計画を定める必要があります。 このため、県では、浸水想定区域内にある病院などの防災活動拠点施設や避難道路の状況、住宅の数など、地域の実態を踏まえて優先度を決定し、市町村などと協議を行い、今年度中に推進計画を策定することとしております。来年度からは、この計画に基づき、市町村とも連携しながら、調査や防災工事を計画的に進めてまいります。 なお、防災工事は、着工から完了まで、1か所5年程度を要するため、この間の緊急時の避難対策に生かせるよう、市町村と連携して、ハザードマップの作成と周知にも併せて取り組んでまいります。 次に、2点目の日常的な管理への対応についてお答えします。 ため池は、農業用水の安定的な確保はもとより、災害の未然防止のためにも、日常点検や補修など、適切な維持管理が不可欠な施設です。ため池の管理は、地域の農業者の方々が自ら行われていますが、管理者の高齢化や担い手の減少などにより、堤体の定期的な除草や適時適切な補修など、維持管理に支障を来しつつあります。 そこで、県では、市町村や土地改良区、熊本県土地改良事業団体連合会とも連携し、ため池管理者からの相談対応や研修会の開催、日常点検への技術指導などにワンストップで対応するサポート体制の構築に取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 農林水産部長にお答えいただきました。 1点目の防災工事の進め方は、ため池工事特措法において、今後10年間の防災工事推進計画を策定され、決壊のおそれがある873か所を中心に、市町村と意見交換をして防災重点ため池を指定していくとのこと。防災工事推進計画では、浸水想定区域内にある病院などの防災活動の拠点施設や様々な地域の実態を踏まえて、市町村と連携して進めていくということでありますので、しっかりお願いいたします。 2点目の維持管理体制は、市町村や土地改良区、また、熊本県土地改良事業団体連合会と連携して、ため池管理者からの相談や技術指導などをワンストップでするサポート体制の構築も取り組んでいくということでありますので、農家の皆さんも心強く思われると思います。 次に、最後の質問に入ります。 2050年CO2排出ゼロを目指して。 昨年12月の吉田県議の地域温暖化に関する質問に対しまして、蒲島知事は、2050年にCO2排出量の実質ゼロを目指すことを宣言されました。本県の最終エネルギー消費量は、2017年で原油換算519万キロリットルであり、長期的には微減傾向ですが、近年、横ばいから増加に転じています。この要因としては、家庭部門のエネルギー消費量削減が進んでいないことが考えられます。 最近、異常気象と言われる台風や豪雨などにより、以前では想像できないような大きな災害が毎年のように発生しています。今回の令和2年7月豪雨も、県南を中心に大きな被害をもたらしました。 国立研究開発法人海洋研究開発機構と国立大学法人北海道大学の共同研究では、気温上昇が1度上昇した場合に対する降水量の増加率は、従来考えられていた7%よりも大きい場合があり、11~14%に上るということが分かりました。 世界の平均気温は、100年当たり0.7度上昇しています。日本の平均気温は、100年当たり1.19度の割合で上昇すると予測されています。将来、2100年ですけれども、さらに現在より1.1~4.4度上昇すると予測されています。 熊本県は、年によっても変動ありますが、平均すると100年で1.83度の割合で気温が上昇しており、温暖化が進行していると言えます。 この大きな要因として、温室効果ガスがあります。このガスは、二酸化炭素や一酸化炭素、メタン、フロンガスなどで構成されており、特に二酸化炭素が大半を占めています。温室効果ガスが全くないことも、地球の熱は全て放出されるということで、気温はマイナス18度になると言われています。現在のように過多になり過ぎても弊害があり、適度に温室効果ガスが覆っていれば、平均気温は15度程度に保たれると言われています。 日本の2018年の温室効果ガスの排出量は、12億4,000万トンで、2014年から5年連続で減少しています。国は、温暖化対策として2つの目標を立てており、1つは、2030年までに2013年の対比で26%の温室効果ガスの排出削減を定めており、もう一つが、長期の目標として、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すというものであります。 そこで、質問に入ります。 熊本県は、国の目標よりも高い2030年までに30%の排出削減という目標を立てておられますが、2050年に排出ゼロを目指すに当たり、今後の県の取組で、なかなか進んでない家庭部門のエネルギー消費削減について、県はどのようにお考えなのか、環境生活部長にお尋ねします。 次に、温室効果ガスを削減するには、エネルギー政策自体も考えていかなければならないと思います。 現状では、エネルギー供給は、温室効果ガスを排出する火力発電を主としていますが、7月に、梶山経産大臣が、2030年までの非効率石炭火力発電のフェードアウトや再生可能エネルギーの主力電源化を目指す上で、より実効性のある新たな仕組みの導入に向けた検討を表明されたところです。 すぐさま火力発電を停止し、再生可能エネルギーに変えてしまうことは困難かと思いますが、今後のエネルギー政策の方向性や再生可能エネルギーへの転換を進めていく中で、エネルギー源の柱となるものは必要かと思います。この点について、県はどのようにお考えなのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔環境生活部長藤本聡君登壇〕 ◎環境生活部長(藤本聡君) 本県では、県内で排出される温室効果ガスを2030年度までに2013年度から30%削減するという目標を掲げ、産業、運輸、家庭などの部門ごとに各種対策を進めてきました。 その結果、温室効果ガス排出量は、4年連続で減少し、最新のデータである2017年度では、2013年度に比べて17%減と着実に削減が進んでいます。 家庭部門については、県民、事業者、市町村等で構成するストップ温暖化県民総ぐるみ運動推進会議を核として、ノーマイカー通勤やマイバック利用の呼びかけ、また、エコドライブやグリーンカーテン等の身近な省エネ活動を推進してきました。 しかし、削減率は、産業部門等に比べて小さく、2050年CO2排出実質ゼロに向けて、さらなる県民の理解と協力が必要です。 8月に温暖化対策についての県民アンケートを行いましたが、節電など何らかの取組を実践されている方は、全体の9割を超えました。対策の必要性の理解は進んでいると思われることから、今後は、効果的な取組をさらに進めていく必要があるものと考えます。 その一つとして、新たなCO2削減策を募集するアイデアコンテストを10月から実施いたします。その中で、家庭部門については、専門家の御意見もいただき、誰もが無理なく、また、納得して取り組むことができる削減策を選定し、多くの県民の実践につながる取組として展開していきたいと考えております。 県としては、2050年CO2排出実質ゼロに向け、県民の自発的、持続的な行動が着実に広がるよう、様々な取組を工夫しながら進めてまいります。  〔商工観光労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工観光労働部長(藤井一恵君) 議員御指摘のとおり、国は、7月に、非効率な石炭火力発電の約9割を2030年までに休廃止し、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を図るという方針を示しました。 国全体の電力源の割合は、石炭を含む火力発電が77%、再エネは17%となっています。国のエネルギー計画では、2030年度の再エネの割合を22~24%程度にするとしていますが、経済界や全国知事会は、目標を現計画の2倍程度に引き上げるべきとの提言を行っており、国は、来年度の見直しで、この目標を引き上げるものと思われます。 本県では、2012年に策定した熊本県総合エネルギー計画に基づき、再エネ導入に力を入れてきました。FIT制度の導入を背景として、事業用、家庭用ソーラー発電の大幅な増加などにより、再エネの割合は、2017年度までの5年間で10%から19.4%と約2倍となり、全国平均を上回っております。 県内には、風力、太陽光、小水力、バイオマス、地熱など、豊かな自然環境がもたらすエネルギー源が多く存在しています。中でも、風力の導入可能量が最も多く、県南地域を中心に、風力発電に関する環境アセスメントに着手する複数の案件が出てきており、再エネ導入の加速化、そして拡大につながるものと考えております。 このような状況を踏まえ、現在改定作業を進めております県の次期エネルギー計画では、再エネの利用、導入の促進、省エネの推進等により、2030年度の再エネ割合を50%とする目標を掲げる予定です。 今後、それぞれの地域特性を生かした再エネの導入を一層促し、2050年までにCO2排出実質ゼロを達成できるよう、国や市町村など関係機関と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) まず、環境生活部長にお答えいただきました。 2030年までの30%削減目標に向けて、それぞれの部門で取り組んでおられること、本県の取組としては、減少率が少ない家庭部門では、やはり県民のアイデアをまた募集するということでありますので、すばらしいアイデアを持っている方たちもおられると思いますので、しっかりその意見を捉えていただきたいと思います。 次に、商工観光労働部長にお答えいただきました。 本県の総合エネルギー計画は、ソーラー発電の増加で、2017年までの5年間で10%から19.4%の約2倍になっているということであります。部長が述べられましたように、県内には様々な自然エネルギーがあるという中で、最も導入可能量が高いのが風力発電ということでありました。県南地域を中心に、環境アセスメントに着手するという案件が複数あるということなので、ぜひとも進めていただきたいと思います。2030年には、再生エネルギー割合50%を目標に立てられるということでありますので、やはり省エネと再エネ、この両輪で地球温暖化対策に取り組んでいかなければならないと思います。 最後になりますが、これで私の一般質問は全て終了しましたが、今回、新型コロナウイルスという影響で、様々な問題が起きてきました。先日お亡くなりになられた作家C・W・ニコルさんが語られているのが、バランスという言葉でした。新型コロナウイルスにしても、各国が進めた都市封鎖など、このバランスが非常に大事だったということで、例えば国と国、動物と植物、都市と地域、酸素と炭酸ガス、自然と経済のバランス、全てに通ずるものがあると思います。このバランスが崩れたとき、様々な問題が起きてくるのではないでしょうか。これまでの価値観を一変させてしまうような世界的な大きな問題でありました。 今回、実は、蒲島知事に質問はありませんでした。次回は、ぜひ、このようなことを頭に入れながら、知事にも質問をしていきたいと思います。 最後まで御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(池田和貴君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時8分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 髙島和男君。  〔髙島和男君登壇〕(拍手) ◆(髙島和男君) こんにちは。自由民主党・熊本市二区選出・髙島和男です。 7月4日未明、観測史上最大となる大量の雨を降らせた梅雨前線は、人吉市や球磨村はじめ県南部に甚大な被害をもたらし、その後も次々発生する線状降水帯は、九州を上下し、山鹿市など県北部にも大きな爪痕を残しました。このたびの豪雨災害で貴い命をなくされた方々、被災された皆様に謹んでお悔やみ、お見舞いを申し上げます。 2か月半が経過し、地震時同様、県政の最重要課題は復旧、復興であることは論を待たないところです。一方で、コロナウイルスも全国に拡散し、県下でもクラスターが発出、現在、レベルも下がり、小康状態を保っているものの、欧州諸国の近況、そして冬に向けて息を抜けない状況にあります。 目下の豪雨災害、コロナ対策は、県民の命や暮らしを守る急務であり、歳出拡大も避けられません。しかも、経済が大きな打撃を受け、歳入の大幅減収が予想され、自治体自身、従来の事業、歳出を精査し、単年度収支だけでなく長期的なコストの低減と新たな税源の捻出も必須です。 今回、こうした視点で、新しい局面を迎えた政策を含めてただしてまいりますが、まず、半年前の知事選で感じた投票入場券と開票作業の在り方についてお尋ねをいたします。 当時を振り返ると、蒲島知事は、コロナ対応と感染拡大防止のため、集会や街頭演説会は中止、遊説カーすら目にしない異例の選挙戦でした。 そんな中、有権者から漏れてきたのは「やっぱりこんなときは」の表現でした。「やっぱり」の文言は、前回の知事選直後の熊本地震の際、被災された多くの方々から発せられた言葉でもありました。県民は、得体の知れないウイルスが拡散している有事だからこそ、復旧、復興はじめ、3期12年に及ぶ実績を勘案し、安心と安定を求めたと思います。 さて、今回の知事選挙で、有権者の多くは、事前に届いた投票入場券を手に投票に足を運ばれたと思います。入場券は、あらかじめ、投票、投票日時、期日前投票についてお知らせし、投票で選挙人名簿に登録された本人であることの確認、棄権防止の意味合いから、公示日、告示日以降に送付されます。ただし、裏面に入場券がなくても投票できることが記されているように、期日前でも投票日当日でも、住所、氏名、生年月日が選挙人名簿に登録されていることが確認できれば、紛失しても忘れても投票できます。 この入場券、近年、自治体によって、様式や発送に変化が見られます。本県の多くの自治体が採択する個別にはがきで郵送する方式から封書で世帯主宛てに世帯分を一括送付する方式等に変更する自治体が、徐々に広がっています。そのほかにも、世帯単位に圧着はがきを郵送し、各自切り離して投票に持参する自治体もあります。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 圧着を剥がすと、世帯4人の名前が印刷され、裏には期日前投票で記す宣誓書欄があり、各自切り離せるようになっています。入場券を持たずに投票できる現実を鑑みると、入場券がなくても何の不都合も生じません。 そこで、投票入場券の位置づけと様式、発送に関して所見を伺います。 引き続き、開票作業についてお尋ねします。 一般的な作業の流れをおさらいすると、受付時間の夜8時に蓋が閉まり、開票まで投票箱を搬送、投票箱から投票用紙を取り出し、読み取り分類機で候補者別に振り分けます。機械で正しく振り分けられたか人の目で確認し、計数機で候補者ごとの票を数えた後、集計、当選者を決定、公表の手順となります。当然、その間の作業に当たる自治体職員には時間外手当を支給する必要があります。 そこで、私は、3つの理由で、次回の知事選挙では、開票作業を翌日にしてはどうかと思います。 1点目は、公職選挙法第65条で「開票は、すべての投票箱の送致を受けた日又はその翌日に行う。」と明記してあること。2点目に、今回3月22日が投票日で、任期満了日は4月15日でした。投開票日を任期満了の前日に設定することは考えにくく、翌日開票でも支障がないこと。3点目は、自治体職員の時間外手当の経費削減です。翌日開票なら、作業は通常の勤務時間内業務となり、同じ結果を低廉で得ることになります。 国政選挙や統一地方選は、全国的なバランスもあり、やむを得ません。知事選開票が先鞭をつければ、その余波は県下の各種選挙に広がり、歳出削減につながります。 投票入場券と知事選の翌日開票の2点、選挙管理委員長の見解をお尋ねします。  〔選挙管理委員会委員長松永榮治君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(松永榮治君) まず、投票入場券についてお答えします。 投票入場券は、公職選挙法施行令により、特別の事情がない限り、市区町村選挙管理委員会が速やかに交付に努めるものとされています。また、交付の方法につきましては、市区町村選挙管理委員会の裁量に委ねられています。 投票入場券は、投票の日時や場所の周知だけでなく、投票での本人確認を短時間で行う役割を果たしており、国からも、投票入場券の発行と持参の周知が求められております。投票入場券を交付しない場合には、氏名、住所の聞き取りなどにより本人確認を行うという必要が生じることから、市区町村選挙管理委員会におきましては、交付が選択されているものと考えております。 様式や発送方法につきましては、世帯単位でまとめて交付するものを含め、市区町村選挙管理委員会の判断により、地域の実情を踏まえた運用がなされているものと認識しております。 次に、開票作業についてお答えします。 開票につきましては、公職選挙法により、選挙の結果を速やかに選挙人に知らせるように努めなければならないとされております。また、即日開票するようにという国からの通知も出されております。 翌日の開票とする場合、投票箱の管理業務のほか、翌日の勤務時間中に開票作業を行うための人員確保など、新たな対応が必要となります。 開票に当たりましては、市区町村選挙管理委員会において、このような国からの通知を踏まえ、適切な人員配置や計数機の導入など、開票作業の効率化が図られているところであります。 県選挙管理委員会といたしましては、今後も、市区町村選挙管理委員会と連携して、法の趣旨や地域の実情を踏まえ、適正な選挙事務の執行に取り組んでまいるつもりであります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 入場券は、市区町村選挙管理委員会の裁量、判断とのことでありましたけれども、県の選挙に関する事務、すなわち県知事選挙に関しては、技術的助言や勧告、資料提出の要求、是正の指示ができるのではないかと思っております。 開票に関して、結果を速やかに知らせるようにとのことでしたが、先ほど触れたように、公職選挙法「(開票日)」の第65条に「翌日」という文言も併記してあることを改めて再度申し上げておきたいと思います。 また、即日開票するよう通知が出されているとのことでしたが、答弁の根拠は、昨夏の参議院選挙における総務省選挙部の通知であり、果たしてその通知が熊本県知事選挙にも適用されるのでしょうか。 ちなみに、知事選で、入場券は約145万通送付され、郵送代は8,100万円でした。仮に世帯単位ごとになれば、約73万世帯でほぼ半額、印刷代も低減されます。また、昨年の参議院選挙の際、開票作業に当たった県内自治体職員の手当の合計は、約4,100万円でした。改めて、私は、一考の余地があるのではないかと思っております。 次に、今年度第2ステージへ移行した地方創生に関連してお尋ねします。 2015年からの第1期地方創生は、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることが最大の目標でした。この7月に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生基本方針2020は、テレワークの推進や地方大学への支援強化などを柱にしています。 第1期を顧みると、国と地方が相反する施策を展開したように思えます。東京では、オリンピックを契機に都市再開発を進め、多様なビジネスが誕生することを後押しして、アクセルを、片や地方では、人口流出を食い止めるために総合戦略を遂行し、ブレーキを、その結果、アクセルを踏んだ東京は、人、物、金を吸い込むブラックホールが一層巨大化し、ブレーキの利いた地方は、停滞に拍車がかかったと言えそうです。 そもそも、国が地方自治体に策定を求めた総合戦略は、努力規定とはいえ法律に明文化され、全国1,741の自治体が同時期に同じ趣旨の計画を一律に作成する構図は、分権とは程遠い気がします。地方創生のように国が基本法を定め、自治体に計画作成を求める規定は、1992年の157件から昨年は390件と大幅に増加しています。危惧するのは、計画策定が自治体の自由度を狭めてはいないか、立案力に陰りが生じないかということです。 先月、新聞各紙は、総務省の都道府県別人口動態調査を基に1月1日時点の前年度比較で、東京都が全国最多の6万8,547人の増となり、一極集中の構図が鮮明になったと報じました。他方、政令指定都市では、2015年から5年の間に12の都市で人口が増え、上から川崎、福岡、埼玉、大阪、名古屋、札幌が並んでいます。つまり、東京プラス限定都市集中化が今の正確な実態です。そして、これらの都市は、感染症リスクの高い構造があり、東京同様、拡大しました。 くしくも、今回のコロナ対策は、自治体間で対応が分かれました。切迫した財政状況、感染者数、拡散動向に差異があることから、対応が異なるのはむしろ当然です。全国知事会も、国の施策に再考を促したり、緊急提言を発したりと、闘う知事会以来存在感が際立ちました。 そこで、1点目に、第2ステージへ移行した地方創生を踏まえて、コロナ以降の国と地方の関係について、知事の所見を伺います。 次に、6月、内閣府が公表した意識調査で、東京23区に住む20代の35.4%が地方移住に関心が高まったと回答しました。新しい動きが都市の在り方を変える力になるか、現時点では分かりませんが、多くの企業、国民が現在のありようを見直すきっかけになったのは間違いありません。重要な視点は、東京と地方が共存共栄を目指し、後日コロナを契機に両者が住みやすくなったという施策を進めることです。 そこで、2点目に、今回拡大方針が盛り込まれた観光以上移住未満と言われる関係人口への取組について、企画振興部長に伺います。 3点目に、コロナで疲弊した経済状況にあっては、以後感染症対策に配慮しつつ、県内の経済循環を高める必要があります。 現在、通販サイト等による県産品、農林水産物の販売促進を行っていますが、ふるさと納税のさらなる利活用も考えてはいかがでしょう。 現在、県内市町村が返礼品として扱える共通の地場産品は、馬肉とあか牛ですが、これに県が音頭を取って市町村と連携し、取り扱える地場産品を新たに加えるのです。あくまで従来取り扱っている自治体の理解と合意が前提ですが、球磨焼酎を筆頭に、各地の代表的な農、海産物を扱えるようになれば、生産、加工者の販路拡大、自治体の歳入増加、そしてブランド強化にもなります。 ふるさと納税の市町村共通返礼品の追加について、総務部長にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、地方創生を踏まえた新型コロナウイルス発生以降の国と地方の関係についてお答えします。 私は、人口減少、超高齢化という本県が直面する課題に対して、地方の発意によって、各地域の特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生していくことが地方創生であると認識しています。 私は、知事就任以来、農地集積、企業の農業参入、研究開発部門を中心とした戦略的企業誘致など、地方創生の動きを先取りした取組に果敢に挑戦してきました。 また、国が平成26年にまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定したことを受け、ブライト企業の認定や県南フードバレー構想に沿った取組などを主体的に進め、地方創生を加速化させてきました。 熊本地震という逆境の中でも、創造的復興を通して地方創生の実現を目指し、阿蘇地域へのアクセスルートの回復、大空港構想の具体化、クルーズ拠点の整備のほか、くまモンや『ONE PIECE』といったコンテンツを活用した本県独自の施策を展開してきました。 7月豪雨により被災した球磨川流域についても、将来にわたる安全、安心を確保するとともに、球磨川流域の自然や豊かな恵みを享受し、将来にわたって持続可能な地域の再生、さらには創造的復興を目指してまいります。 また、新型コロナウイルスの影響によるテレワークなどの社会の変容をチャンスと捉え、都市から熊本への人や企業の流れを創出する新たな取組を全国に先んじて進めてまいります。 私は、このように、熊本地震と球磨川流域創造的復興を両輪に、新型コロナウイルスによる社会の変容に的確に対応しながら、新しい熊本を創造していきたいと考えています。 国に対しても、意欲と熱意を持って取り組む地方への情報、人材、財政面での後押しを期待しています。 先日、本県選出の坂本哲志先生が地方創生担当大臣に就任されました。地方の実情を熟知しておられる坂本先生の深い知見により、地方創生の取組をさらに進めていただけることを期待しています。 これからも、国と県が協働しながら、地方創生を推し進め、熊本のさらなる発展に向け、着実に取り組んでまいります。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 関係人口への取組についてお答えいたします。 関係人口とは、議員御紹介のとおり、長期的な定住人口でも短期的な交流人口でもない人々で、ふるさと納税や県産品の購入、ボランティアの活動などを通じて、地域と多様なつながりを持つ人々のことです。 昨年12月に国が策定しました第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略では、地方移住の裾野拡大等に向け、関係人口の創出、拡大が地方創生の新たな政策の柱として位置づけられました。 本県では、平成28年度に、全国に先駆けて、県外在住の熊本とゆかりのある方々をネットワーク化した熊本コネクションプロジェクトをスタートさせ、現在までに600名を超える会員を獲得しています。 県内自治体においても、このネットワークを活用し、地域課題解決に向けた取組が見られるようになりました。例えば、南小国町では、会員から施策の提案を受け、観光客の周遊を促進する具体的な事業に結びつけられました。また、天草市では、会員向けに地域物産の試食会などを実施し、首都圏をターゲットとした効果的なPRが行われました。 今後、このような熊本との関わり合いを持つ人々が地域づくりの担い手となり、ひいては移住の契機となることも期待されます。また、新型コロナウイルスの感染拡大により地方への関心が高まっており、関係人口を拡大していくことが、移住へ向けた最初のステップとしても、大変重要であると考えております。 以上のような関係人口の意義を踏まえて、一人でも多くの熊本のファンを獲得できるよう、熊本の魅力の向上と積極的な情報発信等を行い、関係人口の創出、拡大に向けて、全庁を挙げて取り組んでまいります。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 3点目のふるさと納税の市町村共通返礼品の追加についてお答えいたします。 ふるさと納税は、住所地団体に納める個人住民税の一部をふるさと等へ実質的に移転させる効果を持つ制度であることから、寄附金の使途も高い公益性が求められているところであります。返礼品を提供する場合も、当該返礼品そのものが、雇用創出や地域資源の発掘等、当該地域経済の活性化に寄与するものであることが必要とされております。また、その市町村の区域内で生産などがされていなくても、複数の市町村で共通の地域資源として相当程度認識されているものにつきましては、県で共通の返礼品として品目、該当市町村を認定することができることとされております。 本県におきましては、ふるさと納税の制度の趣旨やこれまでの返礼品についての議論等も踏まえまして、市町村から御要望をいただいたものにつきまして、法令等による特定地域の産品としての客観的な位置づけがあるもので、流通、消費量の全国シェアが高いものなど、広く地域資源として認識されていると考えられるものについて認定することとしております。 この方針に基づきまして、昨年6月に、馬肉とあか牛を県内全市町村の共通返礼品として認定しております。また、今月18日には、天草大王を新たに共通返礼品として県で認定をさせていただいたところであります。 この認定を行うに当たりましては、既に返礼品として取り扱っている生産地の市町村に影響を及ぼす可能性があることから、県といたしましては、関係市町村と十分な調整を行いまして、合意の上で認定することとしているところでございます。 現在、このほかにも、市町村から幾つか御要望をいただいております。今後も、市町村の意向を伺いながら、認定の可否を判断いたしまして、順次認定をしてまいりたいと考えております。 また、県が関与しなくても、その返礼品を取り扱う市町村と近隣の市町村が合意の上で共通返礼品として取り扱うこともできることとされてございます。例えば、人吉市、球磨郡町村が球磨焼酎を、玉名市、和水町がランニング足袋「KANAKURI」をそれぞれ共通返礼品として取り扱っているところでございます。 県といたしましては、このような取扱いも働きかけながら、今後とも、ふるさとへの感謝や応援の気持ちに応える返礼品の提供に向けまして、市町村を支援してまいりたいと考えております。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) コロナという外的要因が、国と地方の関係、そして住まいを見直す誘因になりました。財源、権限が限られた中で、地方が国に先んじて施策を打ち出すことは容易ではありませんが、知事もおっしゃったように、幸い、今回坂本大臣が誕生されましたので、ぜひ、国と今まで以上に協働を図りながら、本県の独自性を高めていただきたいと思います。 ふるさと納税は、九州の他県と比較しても、取扱高は多くありません。種々評価はありますが、知名度の高いこの制度をルール内でさらに活用していただきたいと思います。 次に、今後の空港運営とアクセス検討委員会についてお尋ねします。 コロナ感染拡大がもたらした最大の経済的災禍は、人の移動制限で、各方面に計り知れない影響がありました。その最たるものが航空会社で、世界の名立たる企業が大きな打撃を受けています。日米欧の主要各社4-6決算は、最終利益が軒並み巨額の赤字に陥り、感染拡大の影響が長期化することを見据えて、余剰人員の削減等の動きも広がっています。 私たちは、コロナ禍で、用件の一部が柔軟な時間設定と費用も格段に安いオンライン上で済むことに気づきました。現に、九州の世界的産業用ロボットメーカーの経営者は、中国との年間延べ1,600回の社員出張が3分の1に減少すると発言されています。 さて、近年、インバウンドの増加に伴い、主要国際空港のみならず、本県はじめ地方空港も、東アジア中心に国際線の新規就航が増加傾向にありました。加えて、国も、地方空港の民営化による活性化を目指し、地方には、まさしく追い風が吹いていました。 熊本空港も、4月1日、熊本国際空港株式会社による滑走路や駐機場、駐車場を含む空港運営事業が開始され、7日には国内線別棟ビルが供用開始され、民営化の華々しいスタートを切るはずでした。 ところが、コロナで国内全ての路線が壊滅的な影響を受け、国は来月にも全世界からの入国受入れを緩和する方向ですが、本格的な再開にはまだ時間がかかることが予想され、需要回復は、先の見えない状況が続いています。 これからコロナとの共存社会が日常における移動量の縮小を目指すのであれば、もはや拡大を前提としたビジネスモデルは成り立ちません。先ほどの出張に関する発言はじめ、在宅勤務の制度化やオフィス面積の縮小を発表した大手企業も多く、今後、人の大量移動の縮小が社会的に肯定されるとすれば、交通戦略を問い直すことになるやもしれません。 そこで、1点目に、熊本国際空港株式会社は、創造的復興のシンボルとしての新ターミナルビルの建設、そして2051年度を目途に、国際線17路線、旅客数622万人、さらに最高ランク5スター取得の目標を掲げています。特に、目標数値は、新会社選定の際の大きな要因でもありました。 しかし、今やコロナ以前の右肩上がりの航空旅客需要は望むべくもなく、短中期的に目標を維持するのか、変更するのか、滞在型ゲートラウンジ等の施設整備も当初の予定どおりか、不安は尽きません。民営化したとはいえ、県として、少なくとも何らかの指針を明らかにすべきではないでしょうか。所見を伺います。 次に、アクセス鉄道に関しては、6月定例会で、一旦立ち止まり、調査を継続し、新たに設置する検討委員会で論議を深めるとのことでした。熊本市も、コロナで中断しましたが、市電を新しい市民病院まで延伸し、リムジンバスと結節し、空港に乗り入れることを検討しています。 様々な地点から空港に向かう利用者からすると、リスク分散の視点からも、選択肢が多いにこしたことはありません。また、将来事業を進めるに当たっては、沿線自治体の理解と協力も不可欠と思われます。検討委員会における沿線自治体との協議の機会の有無について伺います。 以上2点、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) まず、今後の空港運営に対する県の考え方についてお答えをいたします。 県では、熊本国際空港株式会社によります自由な発想に基づいた空港運営がなされることを前提に、民間と行政が適切に連携して空港の公共的な機能を高めていくため、昨年度末から空港運営に参画をしています。 現在、新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境にある中で、運営会社では、足元の状況や中長期的な旅客数の回復の見通しなどを分析、議論した結果、現時点では、2051年度の最終目標を変更しないと表明されています。 このため、将来に備え、当初計画どおり、2023年春の新ターミナルビルの完成に向けた旧ビルの解体工事や新たな駐車場の整備などが進められています。 県としては、運営会社の事業方針や計画を尊重し、創造的復興の取組を後押しすることで、その効果が地域の活性化につながっていくことが重要と考えています。そのため、運営会社の施設整備や地域との共生を図る事業が円滑に進みますよう、関係機関との調整等の支援を行っています。また、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復のベストバランスの達成に向け、空港運営における新型コロナウイルスの影響を軽減するため、8月の補正予算により、運営会社の感染防止対策に助成を行います。さらに、需要回復のため、県内外の感染状況や水際対策等を注視しながら、運営会社と情報共有しながら、首都圏でのPR活動等を通じた航空利用促進の取組も検討しているところです。 新型コロナウイルスの影響下における社会の変容も見据えつつ、運営会社の取組が円滑に進み、安定した空港運営が確保されるよう、引き続き緊密に連携して取り組んでまいります。 次に、空港アクセス鉄道についてお答えします。 検討委員会については、新型コロナウイルスが交通、観光業界に与える影響やBRTを含めた他の交通モードとの比較について、有識者や経済界等から幅広く意見を聴く場と位置づけています。 しかし、現在、豪雨災害への対応に全力を挙げていることや意見を伺う予定の交通事業者の方々も被災されているということから、開催を見合わせています。 空港アクセス鉄道の整備に当たっては、沿線自治体の方の理解や協力を得ることが重要であることから、随時情報の共有に努め、各自治体からいただいた意見については、今後の検討に反映させてまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 答弁では、2051年度の最終目標は変更しないとのことでした。新しい生活様式やテレワークの常態化は、航空需要の構造を多様化させていくと思います。観光とビジネスを切り分けるなど、市場動向を注視する必要があり、今まで以上に熊本国際空港株式会社と意思疎通を図り、運営をしていただきたいと思います。 アクセス鉄道に関しては、JRとの協議はよく耳にしますが、沿線自治体の声はあまりこれまで記憶にありません。何らかの形で意見は聴取するとのことなので、それぞれの考えをしっかりと受け止めて進めていただきたいと思います。 次に、今後の広報の在り方についてお尋ねします。 コロナ禍で、真偽の定かでない情報が錯綜し、疑心暗鬼を生み、週替わりの新情報に右往左往する状況が続きました。ゆえに、自治体は、不安や疑念を軽減し、正確かつ有用な情報を速やかに分かりやすく公開する責任があります。 実は、この情報伝達を意識したのは、2月定例会の折に、感染者が5人を数え、全員協議会が招集され、執行部の説明を聞いたときでした。説明では、電話相談窓口を設け、各保健所で24時間対応するとのことでした。しかし、通常、保健所は身近な存在ではないことから、自分がどの保健所に該当するのか、電話番号は何番か、のっけから混乱を来すのではと懸念しました。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、平成30年度から直近までの本県の広報活動の事業名と内容、予算の内訳です。様々なツールを用いた発信に敬意を表しますが、果たして発信者の思いが県民に届いているのか、ニーズに応えているのか、私は、以前からもやもやしたものを感じていました。 そこで、第1波のさなか、3月末からの1か月間、自治体発信の情報を県民がどう受け止めているのか、独自にアンケート調査を実施しました。質問項目は数を絞り、選択式のシンプルな形式で、往復はがき、インターネットを通じて、計969人から回答いただきました。 そこで、集計から読み取れることを2~3紹介します。 年代、性別ごとに見ると、20~30代の若年層は、テレビとネットが主流で、紙媒体よりスマートフォン等のネットから情報収集していることが明らかです。40~50代では、新聞、テレビ、ネットと様々な媒体を活用し、女性のほうがテレビやネットを閲覧している傾向があります。60~70代になると、新聞とテレビの割合が一挙に増え、ネットも3割超の数値を示し、高齢者層にも徐々に浸透していることが分かります。80代以上は、ほぼ新聞とテレビで、ネットの利用はごくわずかになります。 広報誌に関しては「県からのたより」「市政だより」ともに高齢者層に行くほど数値が上がりますが、読んだことがない若年層も多く、県や市の情報を手に取って読む習慣があまりないようです。ホームページは、20代から50代で閲覧され、高齢者層においても「よく見る」「時々見る」の割合が5割前後を示し、今後は、ネットの活用が不可欠になると思われます。 一方で「見たことがない」の数値も世代を超えて存在していることから、格段の工夫が求められます。広報番組は、若年層のテレビ離れの傾向があるものの、全体的には高い数値を示し、広報には欠かせない媒体と言えそうです。 そこで、アンケート結果を踏まえて、2点お尋ねします。 1点目に、国民の既存メディアの利活用は急激に変化しています。アンケートからも、発信者と受信者に若干のずれがあるように見受けられ、変化に即した対応が須要です。 ついては、従来の事業内容、予算等の費用対効果を吟味、検証する必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。 2点目に、コロナ対応で、厚労省や一部自治体は、LINEと連携し、データ収集、分析、そして接触確認アプリ、COCOAを開発しました。SNSには功罪両面ありますが、即時性が高いことは群を抜きます。 本県も部分的にSNSを活用していますが、今後ますます情報発信の高度化と県民への事前周知を図っておく必要があると思いますが、見解を伺います。 以上2点、知事公室長にお尋ねします。  〔知事公室長白石伸一君登壇〕 ◎知事公室長(白石伸一君) まず、1点目の事業内容等の検証についてお答えいたします。 県の広報は、県政のビジョンや方向性を広く県民に伝え、県民の県政への理解と協働を促進する重要な役割を担っていると考えております。 そのため、県では、受け手の県民に正しく、タイムリーに伝わるよう、広報の内容や媒体、ターゲット等が適切であるかを常に意識し、情報を発信するよう努めております。 例えば、日々刻々と状況が変わる新型コロナウイルスに関する情報は、最新の情報が幅広い世代に届くよう、知事からのメッセージ動画をはじめ、あらゆる媒体を活用して積極的に発信しています。 議員御指摘の電話相談窓口につきましても、5月に窓口を一本化したコールセンターを設置し、即時性の高いホームページをはじめ、様々な媒体で発信したところでございます。 さらに、テレビスポットCMや新聞などでの情報発信の際には、より詳細な情報や新しい情報を入手できるよう、2次元コードを付して、ホームページの記事に直接誘導するような取組も行っております。 また、県政の重要な施策を全世代に伝える広報誌「県からのたより」は、若年層のいわゆる紙離れに対応するため、今年度から電子版も作成し、スマートフォンでも手軽に読めるようにしております。 今後とも、広報の内容や媒体が適切かなどの検証を行いながら、効果的な情報発信に努めてまいります。 次に、2点目の情報発信の高度化と事前周知についてお答えいたします。 近年のスマートフォン等の普及に伴い、SNSは、幅広い世代で活用されており、即時性や拡散性に優れている点から、県の情報発信のツールとしても非常に有用であると認識しています。 これまでも、県では、県の施策や観光情報等の発信にツイッターやフェイスブックなどを活用しているところでございますが、さらに県民のニーズを踏まえ、広報での活用の幅を広げる必要があると考えております。 そこで、今年度は、利用者の情報を登録するSNSの特性を生かし、広報する内容に応じて、特定の年齢や居住地域の方々をターゲットとしたSNS広告に取り組んでいます。 引き続き、SNSの特性を生かした情報発信を積極的に進めるとともに、あらゆる媒体を活用し、県民お一人お一人に情報が届くよう不断に見直しを行いながら、分かりやすい広報に取り組んでまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 自治体が発する情報は、住民に届き、流通してこそ価値が生まれます。発信者は、常に膨大な情報の中から、伝えたいこと、伝えなければならないことを選択しなければなりません。と同時に、住民が今一番欲している情報は何か、ニーズを酌み取る取組も欠かせません。広域自治体として発信の難しさは十分承知していますが、引き続き、県民に最大かつ有益な内容と手段を追求していただきたいと思います。 最後に、4月から全面施行された改正健康増進法についてお尋ねいたします。 この件は、一昨日、磯田議員も取り上げられましたが、私は、少々違う角度から質問をいたしたいと思います。 なお、私自身は、たばこをたしなまないことも申し上げておきたいと思います。 この改正健康増進法は、3つの基本的な考え方で成り立っています。 第1に、受動喫煙による健康への影響が小さくない反面、喫煙者が一定程度いる現状を踏まえて、望まない受動喫煙をなくすこと、第2に、特に健康への影響が大きい子供や病者が利用する施設や屋外について、受動喫煙対策を一層徹底するよう配慮すること、第3に、施設の類型、場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、掲示の義務づけなどの対策を講じること、直ちに措置を取ることが困難な小規模事業者にも配慮することなどが記されています。 なお、国及び地方公共団体の責務として、1つ、受動喫煙による健康影響等について、パンフレット資材の作成、配布等を通じて周知啓発を行う、2つ、飲食店等における中小企業の事業主等が、受動喫煙対策として一定の基準を満たす喫煙専用室等を整備する際、その費用について助成を行う、3つ、屋外における受動喫煙対策として、自治体が行う屋外における分煙施設の整備に対し、地方財政措置による支援を行うとあります。 今回、望まない受動喫煙をなくす全面施行ですが、一方で、喫煙者が一定程度いることから、対策を進めつつ、喫煙場所の設置等に配慮することも記されており、喫煙者と非喫煙者双方のバランスを取った現実を直視した内容であることも押さえておく必要があります。 さて、国と地方は、たばこから、国たばこ税、都道府県と市区町村を合わせた地方たばこ税、たばこ特別税、消費税の4種の税金を徴収しています。国において、たばこ税の税収は、毎年、年間2兆円を上回り、地方財政では、2017年度、地方たばこ税として1兆32億円の税収がありました。他の税金と比べて、徴収に労力が不要で、かつ安定的に得られ、しかも各自治体の一般財源として使える地方たばこ税は、コロナ禍の今、貴重な財源であることは言うまでもありません。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 県下市町村ごとのたばこ税納付額を示したものです。 元来、たばこ税は、医療費抑制や健康増進等の理由から増税の対象になりやすく、来月以降の値上げを含めて、財源調整のしわ寄せで引き上げられてきた経緯があります。あわせて、昨今の喫煙を取り巻く環境は厳しさを増し、価格上昇と喫煙率の減少が納付額の漸減に現れています。 さきの豪雨災害で、葉たばこの有数の生産量を誇る球磨地域は、耕作面積の3分の1が被災されました。昨年度、球磨地域を含めた本県の耕作面積、買入れ実績は、ともに日本一で、520戸の農家が994ヘクタールの面積で耕作、その販売代金は、57億円に上りました。また、たばこを売る販売店は、2,483軒を数え、それぞれがたばこを通して生計を立てていらっしゃることも忘れてはなりません。 そこで、3点お尋ねします。 今回、経過措置として、既存の経営規模の小さな飲食店は、喫煙可能な場所であることを掲示すれば店内喫煙が可能です。店頭掲示は、コロナ対策同様、利用者の入店の際の判断材料になります。届出の現状と今後の周知の取組について伺います。 2点目に、たばこ税は、自治体歳入において、額、割合ともに枢要な部分を占めています。各自治体でたばこ税の果たしている役割について、認識を伺います。 3点目に、ある自治体は、敷地内の屋外喫煙所を廃止したことで新たな受動喫煙が生じています。受動喫煙防止を進めつつ、税収を確保するには、責務で示されているように、自治体が屋外における分煙施設も整備する必要があるのではないでしょうか。現に、大阪府では屋外分煙の整備、千代田区では喫煙トレーラーを運用しています。喫煙者と非喫煙者の共生の環境整備について、自治体はどう取り組むべきか、見解を伺います。 1点目、3点目は健康福祉部長、2点目は総務部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、1点目の喫煙可能店の届出の現状と今後の周知の取組についてお答えします。 客席面積100平方メートル以下の既存飲食店のうち、経過措置である喫煙可能店の届出を行ったのは、本年8月末現在で、熊本市内を含め2,096店舗となっています。引き続き、関係団体を通じて経過措置の内容を周知するとともに、各保健所を窓口として、事業者に対し適切に助言してまいります。 次に、3点目の喫煙者と非喫煙者の共生の環境整備についてお答えします。 たばこの煙は、喫煙者本人だけでなく、周りの方の肺がんや脳卒中等のリスクを高めることが確認されており、望まない受動喫煙が生じないようにすることが大変重要です。 望まない受動喫煙をなくし、喫煙者と非喫煙者が共生できる社会をつくり上げていくためには、まずは、自治体、事業者及び喫煙者それぞれが受動喫煙防止の意識を共有し、高めていく必要があります。 県では、これまで、受動喫煙の防止に関する意識や喫煙マナーの向上のための啓発を行うとともに、施設の種類に応じて、施設の管理者が講ずべき措置について周知してまいりました。 また、昨年6月から各保健所の相談窓口に専任職員を配置し、県民や事業者からの相談に対応してきたところです。 一方で、議員御指摘のとおり、改正法では規制できない場所での新たな受動喫煙が生じることも考えられます。 このため、県としては、これまでの取組に加え、市町村と連携し、喫煙者に対する啓発を強化するとともに、自治体を含む施設管理者が屋外分煙施設を設置する場合の留意事項について情報を発信するなど、喫煙者と非喫煙者が共生できる環境の整備に努めてまいります。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 2点目の自治体におけるたばこ税の果たしている役割についてお答えいたします。 地方のたばこ税は、製造者等が小売販売業者に売り渡したときに課税される税金です。製造者等が納めますが、商品価格に上乗せされますので、最終的には、たばこの消費者に御負担いただき、市町村や県の収入となっているところであります。 令和元年度における県内の市町村たばこ税収は、市町村税収全体の約5%であり、約120億円となっております。また、県たばこ税は、県税収全体の約1%を占め、約20億円となっております。 市町村や県のたばこ税収は、緩やかに減少傾向にあるものの、今なお貴重な一般財源として、重要な役割を果たしていると、そのように認識しております。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 「税金は明るい未来のカギになる」「あなたの税金が日本を創る」、確定申告が近づいてまいりますと、ポスターや標語が散見されます。たばこ税は、今総務部長がおっしゃったように、間違いなく日本をつくっている、地方を支えている税の一つです。あくまで私見ではありますが、歳入でたばこ税が大きな割合を占める自治体は、少なくとも納税者が肩身の狭い思いをしないで済む配慮があってしかるべきではないでしょうか。 以上で私の用意した質問全て終了をいたしました。 最後までの御清聴、ありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明26日及び27日は、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る28日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時7分散会...