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09月24日-04号

  • 地域創生人事育成事業(/)
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  1. 熊本県議会 2020-09-24
    09月24日-04号


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    令和2年 9月 定例会               第 4 号              (9月24日)  令和2年   熊本県議会9月定例会会議録     第4号令和2年9月24日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第4号  令和2年9月24日(木曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸  君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            早 田 順 一 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工観光労働            藤 井 一 恵 君     部    長     理    事 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   上 野 晋 也 君     会計管理者  本 田 充 郎 君     企業局長   藤 本 正 浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  岸 田 憲 夫 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(池田和貴君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(池田和貴君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 髙野洋介君。  〔髙野洋介君登壇〕(拍手) ◆(髙野洋介君) 皆さん、おはようございます。八代市・郡選出・自由民主党の髙野洋介でございます。 ただいまから、通算13回目の一般質問に入らせていただきます。時間の都合で、大変足りませんので、早速ですけれども、質問のほうに入らせていただきたいというふうに思っております。 まず初めに、令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興に向けて、八代市坂本地域の復旧、復興について、知事にお尋ねをいたします。 7月4日の令和2年7月豪雨により、県全体で65名の方の貴い命が失われ、全半壊4,600棟以上、床上浸水が1,500棟以上となるなど、甚大な被害が発生いたしました。 ここで、亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた全ての方々にお見舞いを申し上げます。 これにより、最も多いときには、約2,500人の方が避難所に身を寄せられ、今なお800人を超える方が避難されておられます。 また、道路や河川、鉄道、農地、農業用施設等の損壊や山地の崩壊、さらには地域の生活を支える商工業や観光業、農林水産業等に甚大な被害が生じており、本県においては、熊本地震に匹敵する過去最大級の災害となっています。 今回の豪雨災害では、私の地元である八代市の坂本地域においても、大きな被害を受けました。私も、発災直後、八代市・郡選出の県議会議員の皆さんや県の振興局の皆さんとともに、直ちに坂本地域に向かいましたが、膝までつかる泥水に行く手を阻まれ、孤立集落までたどり着くことができないほどでした。 ふだんなら、子供からお年寄りまで、笑顔で公園で遊んだり、グラウンドゴルフなどを楽しんでいる場所にたくさんの土砂が堆積し、フェンスにも無数のごみが引っかかっており、その光景に言葉を失いました。 その後も何度も坂本地域に足を運びましたが、地域の拠点となる市役所の坂本支所や駐在所、診療所や郵便局など多くの住民の生活を支える主要施設が泥や流木、瓦礫に埋まり、至るところに車が潰れ、横転するなど、その被害は、目を覆いたくなるものがありました。 現時点で、全壊家屋が522棟、床上浸水が455棟と、地域全体の約6割に当たる家屋の被害が判明していますが、今後の調査により、さらなる被害の拡大も予想されます。 また、坂本橋など球磨川に架かる4つの主要な橋梁が流失し、国道219号をはじめとする幹線道路や生活道路、鉄道が浸水や土砂崩れにより崩壊、電気や水道、通信などの社会インフラが寸断され、多くの集落が孤立し、今もなお避難指示が解除されない地域も残されています。 これまで、県や県内外の自治体からの職員派遣や多くのボランティアの方々の支援により、少しずつ復旧の途に就きつつありますが、まだ復旧、復興は始まったばかりです。 さらに、地域住民の暮らしを支える医療機関や社会福祉施設も被災し、今も医療や介護サービスが一部提供できない状況にあります。特に、坂本地域に2つしかない医療機関の両方が浸水被害を受けており、八代市街地の医療機関に通わざるを得ない住民の方もおられるようです。 高齢化が進む坂本地域において、今後、医療、介護面を含めて、高齢者の方々が安心して生活を送れるための支援が求められています。 そこで、知事にお尋ねします。 今後、八代市の坂本地域の復旧、復興にかける知事の決意と高齢化が進む当地域における復旧、復興をどのように進めていかれるのか、併せてお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、今回の豪雨災害からの八代市坂本地域の復旧、復興に対する私の決意をお答えします。 私は、発災直後から、幾度となく現地を訪れ、球磨川流域の変わり果てた姿をこの目で確認しました。 坂本地域にも赴き、流失した橋梁や、泥や流木、瓦礫に埋まった家屋や坂本支所をはじめ公共的な施設など、すさまじい惨状を目の当たりにしました。 特に、電柱に記された昭和40年洪水の浸水の位置よりもはるかに高い位置まで浸水した痕跡を見たとき、あまりの衝撃に言葉を失ってしまいました。 この坂本地域をはじめとする被災地における豪雨災害の甚大さ、過酷さを痛感し、二度とこのような災害を起こしてはならないと決意しました。 そして、将来に向かって安全、安心を確保すること、さらには球磨川流域の恵みを享受しながら、被災された全ての方々の一日も早い復旧、復興を果たすことこそが私に与えられた使命であると覚悟を決めました。 この覚悟の下、8月21日に復旧・復興本部を立ち上げ、スピード感を持って、かつ集中的に復興に取り組む専任組織として、球磨川流域復興局を設置しました。 今後、この球磨川流域復興局を中心に、私自身が先頭に立ち、八代市など被災市町村と連携しながら、豪雨災害からの復旧、復興に向け、全身全霊で取り組んでまいります。 次に、高齢化が進む坂本地域における復旧、復興の進め方についてお答えします。 坂本地域は、高齢化率が5割を超えており、今後、この地域で安心して生活を送っていただくためには、住まいの再建はもとより、移動手段、さらには必要な医療、介護の確保が前提となります。 被災された高齢者の方々からは、生まれ育ったこの地に最後まで住み続けたいという声も届けられています。私は、そうした思いに寄り添い、実現するためにも、まずは早急に治水の方向性を導き出し、その上で、将来に向かって安全、安心な住まいの確保につなげていきたいと考えています。 そのためにも、急峻な坂本地域の地理的な特性や被災者のニーズを考慮しながら、災害に備えた安全、安心な住まいの確保が求められます。 例えば、川から離れた場所や高台など、より安全な地域での住まいの再建や、洪水に強く、高齢者にも配慮した中高層型の災害公営住宅の整備など、あらゆる方法を地元と一緒になって検討していきたいと考えています。 また、高齢者の暮らしを支えていくためには、医療や介護サービスが安定的に提供される体制が整っていることがとても重要であります。 先日、地域で医療、介護に携わっている方々からも、将来にわたり確保される医療体制の構築などの復旧、復興に向けた御意見が届けられました。 八代市においては、地域包括支援センターの職員が避難所や自宅を訪問し、高齢者の状態の確認や必要なホームヘルプやデイサービスなどの提供がなされています。 県としても、こうした地域の声や高齢者のニーズを丁寧に把握し、医療機関の再建をはじめ、必要な介護サービスの確保などにも支援してまいります。 今後とも、高齢者一人一人に寄り添いながら、坂本地域で安心して暮らしていけるよう、全力で復旧、復興に取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 知事から答弁いただきましたけれども、知事自らが先頭に立って、豪雨災害からの復旧、復興に向け、全身全霊で取り組んでいくというような気持ちは、坂本地域の方々に必ず届くというふうに思っております。 また、早急に治水の方向性を導き出して、安全、安心な住まいの確保につなげていきたいという答弁がありました。やっぱり今坂本地域で問題なのは、今まで坂本地域、支所を中心に、そこが生活の中心でございました。そこが全て被災したということで、これから県が治水計画をどうやってつくっていくのかによって、八代市がどういったまちづくりをするかというのにかかってきますので、そういったことを踏まえて、安全、安心な治水計画というものが一番私は求められているというふうに思いますので、ぜひ早急にやっていただきたいというふうに思っております。 また、介護、医療の件も触れられましたけれども、やっぱりそこが私は一番大切だろうと思っております。今知事もおっしゃいましたけれども、坂本の高齢化率が5割を超えているということです。坂本には、やっぱり医療機関、また、介護サービスが非常に大事だというふうに思いますので、足がない、また、道路も寸断されているという地域もありますので、そういったところを、まず復旧を第一に考えてもらってやっていただきたいというふうに思っております。 私、先日のシルバーウイークを利用させてもらって、坂本地域をくまなく回らせていただきました。そこである人と――前から知っているんですけれども、その人と話をさせていただいたんですけれども、3人家族で、おやじさんと話したんですけれども、ここに残りますかと聞いたら、俺は残りたいけれども、嫁と娘が残りたくないと。これが、今から1年、2年かけて、家庭内で検討しなければいけない、下手すると、家族分かれて生活する場合もあるかもしれないというふうなことを言われました。それぞれの家庭で、それぞれの事情があると思います。ですから、そういったことも踏まえて、しっかりと、県としてどういう情報を仕入れて、何の、どういうニーズがあるかというのも的確に把握してもらって、八代市と強い連携を取って、我々のほうにもしっかりと情報をいただきたいなというふうに思っております。 ただ、1つうれしいニュースもあります。坂本に唯一ありましたスーパーが先日オープンいたしました。こういった災害からの復旧、復興が一日一日確実に前に進んでいるというのは、すばらしいニュースでございますので、そういった企業、また、団体の方々の支援のほうも、これからも継続的にやっていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。 また、医療機関の話に戻りますけれども、2つ被災したわけでございますけれども、そこの病院の裏は球磨川でございますけれども、そこの裏の護岸がまだブルーシートに覆われております。ここが直らなければ、なかなか病院の再建、また、復興のほうも進まないというふうに思いますので、そういった面も踏まえて、今後、知事が先頭になって頑張っていただければと思います。我々もしっかり支援させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたしまして、次の質問に入らせていただきます。 次に、流木等の海域漂流物の効果的な回収体制の構築について御質問いたします。 まず、スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 私の地元八代市には、1級河川である球磨川が流れており、今回の7月豪雨では、本流や多くの支流で大規模な氾濫や浸水被害が発生し、大量の流木や大型ごみなどが海域に流入しました。 これらの海域に流入した流木や大型ごみは、海域から漁港や港湾、海岸に流れ着き、施設の維持管理に支障を来したほか、漂流物は、船舶の航行を妨げたり、漁網に絡まるなど、漁業活動にも大きな影響を与えました。 次のスクリーンを御覧ください。(資料を示す) このため、大量の漂流物や漂着物への対応として、八代海では、国土交通省環境整備船「海輝」など3隻と回収を支援するクレーンつき台船等7隻を確保し、合計10隻体制で流木等の回収を行いました。 また、地元漁業者の方々は、国や県の支援を受け、海洋環境整備船が回収できない浅い海域の漂流物や漂着物の回収に御尽力いただきました。 さらに、海岸漂着物については、県や市の海岸管理者が、建設業協会と連携して、クレーンつき台船や重機などを活用して回収を進めました。 これら関係者の方々の御尽力により、9月中旬頃には、大量の流木や大型ごみなどが回収され、海域の漂流物や海岸の漂着物はほぼなくなっており、八代海は、見違えるほどきれいになっています。 私は、今後もこのような大規模災害が想定される中、流木等の海域漂流物をさらに効果的に撤去できるような方策を追求し続けることは、漁業者への安全、安心や漁業生産力の維持に不可欠だと考えています。 そこで、県において、今後の効果的な漂流物の回収に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 近年、本県は、熊本広域大水害、熊本地震などにより、大量の流木等の海域への流入に見舞われてきました。その経験を踏まえながら、県では、より迅速で効果的な流木等の処理体制確立を目指し、改善を進めてきました。 具体的には、国庫補助事業を活用した漁業者による漂流物の回収処分事業の創設や流木等撤去に係る窓口機能の一元化を行ってきました。また、今年度からは、漁業者による自主的な回収を促進するための漁民の森づくり事業の充実にも取り組んでおります。 今回の7月豪雨災害では、発災後直ちに国に対し必要な財政支援を要請した結果、7月末には十分な予算を確保することができました。早期に必要な財源が確保されたことで、国、県、市町、漁業者などがそれぞれの役割を十分に果たすことができ、これまでになく迅速な対応が可能となり、6万立米に及ぶ流木等の回収をおおむね完了しております。 しかしながら、課題もありました。沖合の流木等については、国土交通省が直ちに回収を進めたものの、大型の環境整備船だけでは、浅い海域での作業はできませんでした。このため、国土交通省は、クレーンつき台船も導入される一方で、漁業者も漁船を使って回収に当たられました。しかし、漁業者の漁船は、小回りは利くものの、台船を使っての回収と比べ、効率が悪く、時間を要しました。 また、熊本県漁業協同組合連合会からは、海域に応じた漁船を準備できる漁業者による回収は効果を発揮した、新たな清掃船を整備し運用するよりも回収費を十分に確保してもらったほうがよい、また、漁業者が集めた流木等をまとめて処分できるようになれば回収効率はさらに向上するとの御意見をいただきました。 このようなことから、海域での漂流、漂着物の回収を今後さらに迅速かつ効率的に行うためには、沖合での国による回収、各海岸管理者が行う漂着物の回収に加え、日頃から海域の状況を把握している漁業者による回収を相互に連携させることが大変重要だと認識しました。 そのため、国、県、関係する市町、漁業団体から成る沿岸域ごみ対策連絡会議を通じて、相互の連携強化を図りながら、クレーンつき台船と漁船が連携した回収作業が可能となるよう、災害発生時の台船活用に関する関係団体との協定締結の検討を進めるなど、さらに効果的な流木等の回収体制の構築に向け取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 農林水産部長より答弁いただきましたけれども、今後、災害発生時の台船活用に関する関係団体と協定締結の検討を進めるということでございますけれども、そこが私、大変大事だろうと思っております。いつ何どき災害があるか分からない、また、梅雨どきでは、いろんな物が流れてきて、特に浅いところはたまりやすいんだけれども、なかなか取りにくいということがございますので、そこをしっかり体制を整備してもらって、いつでもできる準備を整えていただきたいというふうに思っております。 私、4年前の熊本地震時に、当時、農林水産常任委員長をさせていただいておりました。その際、ある漁協の組合長から連絡がありまして、見に来いと、白川で大変ごみが流れていると、流木が流れているということで連絡があって、すぐ通ったわけでございますけれども、非常に危ない。あれだけ大きな木が下にもたまっている、また、流れているというところで、非常にその組合長から怒られながら、それから始まったわけでございますけれども、ようやくこういった形にできたということは大変努力された結果だというふうに思いますので、今後とも努力を怠らず頑張っていただきたいというふうに思います。 次に、令和2年7月豪雨における土砂災害の今後の対応について御質問させていただきます。 今回の7月豪雨により、球磨川など多くの河川が氾濫するとともに、県南地域を中心に、県内各所で多くの土砂災害や土石流が発生しました。 私は、発災直後、地元の八代市坂本地域をはじめ県南地域の被災現場を見て回りましたが、今回の集中豪雨により、至るところで山地等の斜面崩壊や土石流が発生し、多量の崩壊土砂や流木が流出している状況を目の当たりにしました。 被害の状況ですが、スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 八代市坂本町、芦北町の山地崩壊、土石流の状況です。赤茶色の山肌が至るところに見られ、森林はなぎ倒され、下方の家屋や集落へ結ぶ道路などが無残にも押し潰されており、本当に目を覆いたくなるような光景です。 私は、今なお避難生活を余儀なくされている被災住民の方が多数いらっしゃる状況の中、被災地域の方々の安全、安心な暮らしを取り戻すためには、土砂災害が発生した箇所の対策を早急に講じていく必要があると考えています。 そこで、次の2点についてお尋ねいたします。 まず、1点目ですが、八代市坂本町の河内谷川などにおいて、これまで整備してきた砂防堰堤や谷止工等が今回の崩壊土砂等の流出を抑止しており、施設整備の効果があったものと認識しています。 しかし、次の台風時期等の豪雨による土砂災害を防止するためには、喫緊の対策として、今回の7月豪雨により砂防堰堤等に堆積した土砂や流木の撤去が早急に必要と考えていますが、今後、県はどのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。 次に、2点目ですが、今回の7月豪雨で発生した土砂災害や山地災害により、集落や公共施設等が相当な被害を受けており、迅速に対策を講じるべき箇所が多数存在しますが、県としてどのように取り組んでいかれるのか。 以上2点について、農林水産部長と土木部長にそれぞれお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、治山施設に堆積した土砂等の撤去についてお答えします。 今回の山地災害箇所は、熊本地震の約2倍の846か所あり、復旧すべき箇所も相当多い状況です。 このうち、流出土砂や流木が谷止工に異常に堆積している箇所は、34か所あります。これらは、放置すると次の出水時に下流域に被害をもたらすおそれもあります。そこで、堆積土砂等の撤去に要する経費を8月に知事専決により予算化し、今年度中の完了に向けて、緊急度の高い箇所から対応を進めております。 次に、山地災害の迅速な対応についてお答えします。 今回の災害で、集落や道路等の公共施設に被害を及ぼすなど、一刻も早い対応が必要な被災箇所は、173か所あります。このうち145か所については、今年度のみ活用可能な国の災害関連緊急治山事業により早急な復旧を図ってまいります。また、既設の治山施設が被災した28か所については、その機能を速やかに回復させる必要があることから、現年治山災害復旧事業により早急に取り組んでいくこととしております。 さらに、特に被害の大きかった芦北地域振興局管内の36か所については、今回の災害が非常災害に指定されたことを受け、国の直轄代行により実施いただくこととなりました。 以上の箇所につきまして、県施行、直轄代行ともに今年度から着手し、令和4年度までの完了を目指してまいります。 また、これらのほかに、集落等の保全対象に直接的な被害を与えている状況にはないものの、今後の降雨等により著しい被害を及ぼすおそれが高い箇所が178か所あります。速やかに計画的な復旧を図る必要があるため、来年度から治山激甚災害対策特別緊急事業を実施できるよう、国と調整を進めております。 山地災害からの一日も早い復旧、復興が実現できるよう、道路や砂防施設などを所管する土木部や市町村等の関係機関と連携、調整を図りながら、スピード感を持って取り組んでまいります。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) まず、砂防堰堤に堆積した土砂等の撤去についてお答えをいたします。 既設砂防堰堤の臨時点検を8月末までに実施し、県内16か所で土砂の異常堆砂が確認されました。異常堆砂が確認された砂防堰堤につきましては、土砂を捕捉する機能を確保するため、堆積土砂等の撤去に要する経費を7月に知事専決処分により予算化し、8月下旬から撤去を開始しております。今後の出水に備えるため、できるだけ早い時期に堆積土砂等の撤去を終えるよう取り組んでまいります。 次に、新たな土砂災害発生箇所の対応についてお答えをします。 人家等の保全対象施設に被害を与えるおそれがあるなど、早急に対応が必要な40か所を砂防関係事業で実施する予定です。そのうち、特に被害が大きく緊急性の高い22か所については、砂防堰堤等を新たに整備するために、砂防及び急傾斜の災害関連緊急事業で取り組むこととしております。また、残りの18か所についても、県単独事業等で対策を実施する予定であり、来年度末までの完了を目指して取り組んでまいります。 被災地域の一日も早い安全、安心な暮らしが実現できるよう、農林水産部や国、市町村等の関係機関と連携しながら、スピード感を持って、堆積土砂等の撤去や砂防施設の整備に取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 農林水産部長、また、土木部長のほうから答弁をいただきましたけれども、これから、今大事なのは、次の災害にどうやって備えることだというふうに思いますので、しっかりした対策をやっていただきたいと思っております。 ここで問題なのは、取った土砂をどういうふうにするのか、この処分が私、大変大事だろうと思っております。なかなか処分するところがない、また、経費もかかるということで、しっかり計画的にやらなければいけないというふうに思いますので、そういった視点も頭に入れて取り組んでいただきたいというふうに思います。 続きまして、コロナ禍と豪雨災害の中でのイグサの需要拡大についてお尋ねいたします。 本県のイグサは、地域農業の基幹作物であるだけでなく、全国の生産量のほとんどを占めており、我が国の畳文化を支えている作物です。しかし、住宅の洋風化などの生活様式の変化に伴い、畳の間は減少しており、また、本年産のイグサは、ピークだった平成元年の1割を切る農家戸数357戸、栽培面積420ヘクタールまで減少しています。 このような状況下において、本県では、農業者と関係団体、行政が連携して、イ業の振興を図ってきました。例えば、製造が中止されたハーベスタやカセット式移植機の製造再開に向けた協議を重ね、製造再開が実現しました。また、日中農産物貿易協議では、秩序ある貿易の枠組みを粘り強く交渉したことで、外国産畳表の輸入増大を抑えることができました。 対策が功を奏してきたこの数年は、県産畳表の価格は、品質向上の取組と相まって、比較的安定していたところです。しかし、今年に入って新型コロナウイルス感染拡大の影響で畳表替えの需要が急速に減少し、イグサ、畳表の価格は2割以上低下しており、農家は大変厳しい状況に陥っています。 最初の質問でも申し上げましたが、令和2年7月豪雨では、住宅の全半壊、床上浸水など、甚大な住家被害が発生しました。私の地元八代市の坂本地域も大きな被害を受けましたが、この坂本地域は、畳の部屋が多く、1戸当たり30畳、40畳の畳が水につかったと聞いています。 被災者の皆様をはじめ、自衛隊やボランティアの方々は、水を吸った畳を大変な思いをして運び出しておられました。また、その映像がテレビ等を通じて全国に流れましたが、私は、被災者の方々が住宅を再建する際に、畳の間を造らなくなるのではないか、また、映像を見た多くの方々が畳に対し悪いイメージを持つのではないかと心配になりました。畳は、日本古来の伝統というだけでなく、リラックス効果や空気浄化、湿度調整など、様々な機能があることが科学的に分かっています。 コロナ禍と災害イメージで逆風となっているイグサ、畳表の需要拡大やイメージ向上について、県の対策を農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 県では、八代市、氷川町、JAやつしろ、県い業生産販売振興協会をはじめ、地元関係団体と連携し、空港や駅など観光、交通拠点等に畳製のベンチを設置するなど、イグサ、畳表の需要拡大とイメージ向上に取り組んできました。また、昨年度からは、香りに着目した商品開発への支援など、新たな取組も進めております。 このような中、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、5月には、例年と比べ5割以上も販売金額が下落するなど、これまでにないほど環境が悪化しました。 このため、8月には、国の臨時交付金を活用した県産畳表販売促進キャンペーン事業を予算化し、取組を進めております。具体的には、住宅を新築される県民の皆様に県産木材と県産畳表をセットで提供するとともに、このキャンペーンを新聞広告や工務店への広報チラシなどを通じて、畳の持つ空気清浄機能やリラックス効果等を広くPRすることとしております。 議員御指摘の7月豪雨災害による畳利用の減少やイメージ悪化への対応については、まず、被災者向けに建設が進んでいる600戸を超える木造応急仮設住宅全戸に県産畳の和室が設けられることから、被災された方々が畳のある生活を送ることで、必ずやその良さを実感し続けていただけるものと考えております。 加えて、国の臨時交付金を活用して、8月臨時会において予算化した県独自の市町村向けの新型コロナウイルス感染症対応総合交付金のメニューに、今後、被災者の畳替えを支援する事業を追加し、市町村との連携の下で、被災された方々の負担軽減と県産畳の需要拡大を進めてまいります。 そして、このような取組を全国に発信し、本県の畳表のさらなる需要拡大とイメージ向上につなげてまいります。 今後とも、国内唯一のイグサ産地と畳文化の存続に向け、関係団体、関係市町と連携し、生産、販売と担い手対策など、イグサの振興に総合的に取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 農林水産部長のほうから答弁をいただきましたけれども、被災者向けの建設が進んでいる600戸を超える木造応急仮設住宅全戸に県産畳表の和室が設けられるということは、大変ありがたいことだというふうに思っておりますので、今後ともしっかりやっていただきたいと思っております。 また、加えて、8月臨時会において予算化した県独自の市町村向けのメニューにプラスして、被災者の畳替えを支援する事業を追加していただけるということでございますので、こういうところが私、大事だろうというふうに思っておりますので、地道にやっていただきたいというふうに思っております。 実は、今日、9月24日、畳の日ということでございます。皆さん、知っていらっしゃると思いますけれども、畳の日ということでございますけれども、やっぱり畳というものは非常に、質問でも申し上げましたけれども、リラックス効果、また、香りもいいということで、どんどんどんどん議場の皆さん方も、畳替えのほうは、我々八代の県会議員のほうに言っていただければ、あっせんのほうもさせていただきますので、ぜひとも議員自ら頑張って畳替えのほうもお願いをしたいというふうに思います。 次に入ります。 次に、新型コロナウイルス感染症をめぐるSNS上の誹謗中傷等、特に児童生徒に対する偏見や差別の現状、未然防止対策について質問をいたします。 新型コロナウイルス感染症をめぐっては、感染者やその家族、医療従事者等に対する偏見や差別、不当な扱いなどが全国で問題となっているところでございます。 学校現場でも新型コロナウイルス感染症が確認される中、一部の地域では、感染者や家族が差別されたり、クラスターが発生した学校が中傷されたりしている事態が起きているようです。 文部科学省は、先月25日に、大臣名で、児童生徒、学校関係者、保護者や地域住民の方々に向けて、新型コロナウイルス感染症に関する差別、偏見の防止に向けた緊急メッセージを発表しました。このメッセージでは、感染した人や学校の対応を責めるのではなく、感染症対策と教育活動の両立に理解と協力を求めています。 また、あわせて、新型コロナウイルス感染症を理由とした差別や偏見などでつらい思いをした際に利用できる24時間子供SOSダイヤルや子どもの人権110番といった相談窓口も紹介しています。 本県においても、9月22日現在、23人の児童生徒の新型コロナウイルス感染が報告されていますが、SNS上では、感染者やその家族に対する誹謗中傷など、悪質な書き込みや事実と異なる書き込みも見られます。 先週、9月17日の熊日新聞に、国立成育医療研究センターが実施したインターネットアンケートで、子供の3人に1人が、もし自分や家族がコロナにかかったら、そのことは秘密にしたいと考えていることが分かったとの記事が掲載されていました。このことからも、子供たちが、新型コロナウイルス感染症に対する偏見や差別に対して、非常に不安に感じていることが分かります。 新型コロナウイルス感染症には誰もが感染する可能性があり、感染した人が悪いということではないにもかかわらず、感染者やその家族等に対する偏見や差別、誹謗中傷等が発生している状況は、決して許されるものではありません。 そこで、県教育委員会として、新型コロナウイルス感染症に関連して、児童生徒への偏見や差別、誹謗中傷等に対し、未然防止を含めてどのように取り組んでおられるのか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、感染した児童生徒に対する偏見や差別の状況についてです。 学校や市町村教育委員会へ聞き取りを行った結果、これまでのところ、児童生徒が直接差別的扱いを受けたという報告はあっておりません。 しかしながら、県教育委員会が実施している学校非公式サイト等のネットパトロールの調査では、SNS上で、児童生徒や教職員の居住地、家族に関する誹謗中傷等の書き込みを把握しております。なお、書き込み内容については、学校や市町村教育委員会と情報を共有しております。 また、偏見や差別とは異なりますが、6月に、県教育委員会が全ての公立小中高等、特別支援学校で実施した新型コロナウイルス感染症に係る児童生徒の心のケアの調査結果では、約3割の児童生徒が感染症に対して不安や悩みがあると回答しております。 次に、児童生徒への偏見や差別等に対する未然防止も含めた対応として、大きく5点に取り組みます。 1点目は、啓発についてです。教職員や児童生徒の不安を解消するとともに、正しい情報に基づく適切な判断、行動が取れるよう、各学校及びPTAに対し、通知や啓発資料をこれまで7回発出しております。また、来月には啓発ポスターの配付を行い、さらに啓発を強化してまいります。 2点目は、教職員研修についてです。校長や人権教育主任を対象とした研修会のほか、5年経験者などの研修の中でも偏見や差別等の未然防止について説明を行ってまいります。 3点目は、さらなる実態把握についてです。来月には2回目の心のケア調査を実施します。その中で、自分や家族のことでからかわれた、悪口を言われたなどの質問を追加し、より具体的な実態把握に努めたいと考えております。 4点目は、相談対応についてです。各学校で整備している教育相談体制に基づき、スクールカウンセラーも活用するなどして、児童生徒の心のケアを行います。 最後、5点目は、SNS上の書き込みに対する対応です。感染した児童生徒や教職員の人権を侵害するような極めて悪質な誹謗中傷等の書き込みにつきましては、学校や市町村教育委員会と情報共有しながら、知事部局、警察、法務局等の関係機関と連携し、書き込み内容についての相談、さらには削除依頼を進めるなど、対応を行ってまいります。 県教育委員会としましては、今後も、新型コロナウイルス感染症に係る偏見や差別等の未然防止の徹底を図り、児童生徒が安心して学校生活を送ることができるようしっかりと取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 教育長から答弁いただきましたけれども、今回はコロナに限って質問させていただきましたけれども、この誹謗中傷は、コロナに限ったことではないというふうに思っております。 今一番私、懸念しておりますのが、先ほど教育長は、報告はあっていないということを言われましたけれども、報告があっていないからそういうことを何も思っていないのかといったら、そうじゃないと思うんですよね。やっぱり自分が書かれた、また、身内が書かれたとなった場合、なかなか相談もできない状況にあるというふうに思いますので、そういったところをしっかり今後ともやっていかなければいけないというふうに思っております。 1つ例を出しますと、ある県では、そういった書き込みは全て記録に残して、相談があったらその記録を提出するというふうなところもやっております。また、ある県では、そういう書き込みをしたら通報する、また、それをみんなで言い合う、そしてこういうことが書いてあったよということを、ちゃんとそういうことが言える体制を取っている県もあります。 ですから、県として、1人の子供を守る、児童生徒を守るというふうな形で、しっかりと取り組んでいってもらって、なかなか削除依頼をしても、運営会社のほうは削除はできないと、ハードルが高いという話も聞きますので、そういったところを関係機関と連携して、一つもこれから誹謗中傷はないようにしていただきたいと思います。 また、書くほうも、自分は誹謗中傷をしているつもりはなくても、相手がどう思うかということをしっかりとどう伝えるかということを、しっかりと教育現場でも教育をしていただきたいというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。 次の質問に入ります。 次に、コロナ禍における八代港の現状と今後の整備について質問いたします。 八代港では、本年3月に、国際クルーズ拠点となるくまモンポートが完成しました。本来であれば、くまモンポート八代の完成を、蒲島知事をはじめ尽力された皆様とともに盛大にお祝いし、数千人の乗客を乗せた大型クルーズ船が相次いで寄港する、にぎわいにあふれた八代港となる予定でした。 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、期待していたクルーズ船の寄港がないばかりか、ロイヤル・カリビアン社が整備したくまモンパークの開園すらままならない状況が続いており、非常に残念に思っています。 クルーズ船の寄港再開は、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、慎重な対応が必要と思いますが、くまモンパークについては、開園を待ち望む市民の声もありますので、万全のコロナ対策を講じた上で、早急に開園に向けて取り組んでいただきたいと思います。 一方で、くまモンポート八代に整備されたクルーズ船専用岸壁は、県内初の耐震強化岸壁として整備されています。それにより、八代港の防災対応力は飛躍的に向上し、これまでの物流機能に防災能力が加わったことで、八代港のポテンシャルはさらに高くなりました。 さらに、八代港では、近年、水深14メートル岸壁の完成やコンテナターミナルの移転、拡張など、工業港、貨物港として着実な発展を遂げており、昨年のコンテナ貨物取扱量は2万3,065TEUと、4年連続で過去最高を更新しています。 本年2月に横浜港に寄港したダイヤモンド・プリンセス号の中で新型コロナウイルスの集団感染が発生し、その翌月の3月にくまモンポート八代が完成したことで、コロナ禍におけるクルーズ船への影響ばかりが注目されがちですが、私は、コロナ禍における八代港の物流への影響を心配しています。 八代港は、県内最大の物流拠点として、現在のコロナ禍はもとより、いかなる状況下においても、その役割をしっかりと果たし、県南地域、ひいては県全体の経済を支え続けなければなりません。 そこで、まず1点目として、コロナ禍における八代港の物流への影響はどのような状況になっているのか、土木部長にお尋ねします。 また、八代港の物流については、昨年の実績で、取扱貨物量約496万トンのうち約90%に当たる450万トンが外国からの輸入や県外からの移入といった貨物の受入れとなっていますが、八代港が持続的に発展を続けるためには、外国への輸出や県外への移出の増加が必要と考えています。 現在、県では、農産物の輸出機能の強化に向けて、CFS倉庫等の整備が進められていますが、国内第3位の輸出実績を誇る県産木材、いわゆる原木についても、さらなる輸出量の増加を図ることで、八代港の輸入過多解消の一助となるとともに、林業の振興等にもつながるものと期待されています。 八代港の原木取扱量は年々増加しているものの、活用可能な土地が不足し、蔵置スぺースが確保できず、輸出能力は限界に達していると聞いています。 去る6月30日に、八代市の中村市長と八代港整備・活用促進期成会から、知事に対し、八代港の整備促進について要望があり、私も同席をさせていただきました。 要望内容は、水深14メートル航路の早期完成や新コンテナターミナルの附帯施設の充実など6項目でしたが、その中で、原木ヤードの確保とともに、現在埋立工事中の加賀島地区について、埋立て完了を見据えた有効活用の早期検討を行うよう要望がありました。 原木ヤードの確保については、短期的には未利用地や埠頭用地の活用で対応するとのことですが、私は、長期的な視点に立ち、加賀島地区の活用が最も有効であると考えています。 また、加賀島地区は、原木ヤードとしての活用はもとより、新たな企業誘致など、地域経済の発展につながる極めて高いポテンシャルを有しており、今回のコロナ禍のような非常事態においても、八代港が県経済を支えていくためにも、有効活用が不可欠であると考えています。 そこで、2点目として、加賀島地区の有効活用に向けて、県はどのように取り組んでいかれるのか。 以上2点について、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) まず、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う八代港の物流への影響についてお答えをします。 港湾における取扱貨物量の変動は、企業の年間を通じた生産計画等に大きく左右されます。 そのため、現時点で、新型コロナウイルスの影響か否か特定することは困難でありますが、八代港における取扱貨物量は、本年上半期の速報値で、コンテナ貨物が前年同期比4%減、その他の一般貨物が同じく10%減となっております。 県としましては、引き続き、八代港の取扱貨物の現状を注視するとともに、CFS倉庫等の施設整備を進め、物流拠点としての機能強化を図ることで、企業から選ばれる港となるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、八代港の加賀島地区の有効活用に向けた取組についてお答えをします。 八代港においては、原木等の取扱貨物量の増加や工業用地への企業誘致が進んだことなどにより、活用可能な用地が不足していると認識をしております。 議員御質問の加賀島地区は、約76ヘクタールに及ぶ広大な土地を有しておりますが、現在の八代港港湾計画において、その大部分を緑地として位置づけております。 八代港は、県南地域の経済や産業を支える重要な拠点です。加賀島地区の有効活用は、港のさらなる機能強化や利便性向上、活性化につながるものと考えており、八代市や港湾利用者など関係者の意見も伺いながら、港湾計画の変更等に向けた検討について、スピード感を持って取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 土木部長より答弁いただきましたけれども、コロナの影響か否かは分かりませんということで、しかし、コンテナ貨物が前年同期比4%減、その他の貨物が同じく10%減となっております。これをどう取るかと思いますけれども、私は、割と頑張っているんじゃないかなというふうに思います。これは本当に皆様方の御努力だろうというふうに思いますので、今後ともしっかりやっていただきたいというふうに思います。 加賀島地区のほうも、恐らく土木部長の本音は、早くやりたいやりたいというふうに思っていらっしゃるというふうに思いますので、その気持ちをぜひ、スピード感を持って取り組むということでございますので、やっていただきたいと思います。 先ほど質問のほうでも要望の件を触れましたけれども、蒲島知事におかれましては、非常に八代港に対しては頑張っていただいているというふうに思います。これまでの知事とは、私は、数段この八代港に対する思いは違うというふうに思いますので、これからも、知事の任期中、この八代港をぜひ蒲島知事の力で仕上げていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思っております。 それでは、最後の質問に入らせていただきます。 最後に、東京2020オリンピック・パラリンピック延期の影響について質問します。 本年3月24日に、世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受け、国際オリンピック委員会により、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の1年延期が発表されました。 本来であれば、今年の7月24日からオリンピックが、8月25日からパラリンピックが、東京を中心に盛大に開催され、世界206か国、約1万5,000人の選手団を迎えるとともに、様々な国から多くの外国人が訪日されていたと思います。 私も、地元八代の地を聖火リレーが走る姿や、これまで応援してきた本県ゆかりの選手の皆さんの活躍する姿をこの目で見ることを楽しみにしていました。 オリンピック、パラリンピックは、国を挙げてのビッグイベントであり、経済効果の最大化と多くの人に夢や希望を与えられるよう、国や県が連携して取り組んでいく必要があると考えます。 しかし、1年間の延期となったことで、選手のモチベーションの低下や準備されていた事前キャンプが延期になるなど、本県にも様々な影響が出ているかと思います。 そこで、東京2020オリンピック・パラリンピックが延期となり生じた本県への影響と、改めてこのビッグイベントを本県の観光振興、経済効果にどのようにつなげていくのか、観光経済交流担当理事にお尋ねいたします。  〔理事寺野愼吾君登壇〕 ◎理事(寺野愼吾君) まず、東京2020オリンピック・パラリンピック延期の影響についてでございますが、競技によりましては、日本代表選手が決定されていないことや、日本代表合宿、遠征ができない状況になるなど、議員御指摘のとおり、選手にとって、コンディションやモチベーションの維持が厳しい状況にございます。 このため、県関係アスリートを指定選手として位置づけ、活動費の助成、メディカルチェック及びパーソナルトレーナーの派遣など、県スポーツ協会などの関係団体と連携し、きめ細やかな対応を行うことで、選手のコンディションなどの維持に努めております。 また、オリンピックのキャンプの受入れにつきましては、去る7月10日に、インドネシアバドミントン協会関係者と意見交換を行い、来年の本県でのキャンプ実施について同意を得たところでございます。 今後、ドイツの水泳、アンゴラのハンドボール、台湾のバドミントンにつきましても、当初の予定どおり熊本でのキャンプが実現できるよう、受入れ予定の市と連携しながら、相手国と協議を行ってまいります。 また、聖火リレーにつきましては、来年5月初旬の実施に向け、熊本地震や県南豪雨災害からの復旧、復興の状況や本県の魅力を国内外へ発信できるよう、準備を進めてまいります。 さらに、本県の聖火リレー実施日の100日前から、県内各地で聖火トーチの巡回展示を行うなど、オリンピックに向けた機運醸成を図っていきたいと考えております。 次に、オリンピック、パラリンピックを契機とした観光振興についてでございますが、この世界的なスポーツの祭典は、国内外の方々が本県を知り、興味、関心を持つ絶好の機会と認識しております。 本県では、昨年の国際スポーツ大会に参加し、来客も多かったフランス、イギリス、オーストラリアなどの国々に対して、SNSなどを活用したPRを行ってまいります。 訪日の人気が高く、距離も近いアジア地域につきましては、現地旅行会社とオンライン商談会を継続的に実施し、来るべき交流再開に向けて、しっかりと準備してまいります。 また、昨年の国際スポーツ大会の大成功は、行政や競技団体、宿泊施設等の関係者のみならず、県民に大きな自信と誇りをもたらしました。 さらに、オリンピック、パラリンピック開催を好機と捉え、これまでの大会開催の経験やノウハウなどを最大限に活用し、改めて本県への大規模スポーツイベント誘致についてアプローチしてまいりたいと考えております。 このように、国際スポーツ大会のレガシーを生かしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした取組を推進し、本県の認知度向上や誘客を図りながら、経済効果を高めてまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 寺野担当理事のほうから答弁いただきましたけれども、これからオリンピック、パラリンピックで一番大切なのは、あろうとなかろうと、準備はしなければいけないということだと思います。 昨日、IOCの会長がコメントを出されたみたいで、ニュースで見ましたけれども、ワクチンが開発されようがされまいが、影響されることはないというふうな発言もあっております。ということは、やるということだと思います。ただ、どうやるかということが非常に問題だというふうに思いますけれども、事前キャンプ等々やることはいっぱいあるというふうに思いますけれども、やっぱり一番は選手ですね。選手をどうやってコロナ禍の中で支援をしていくのか。会場がなかなか使えない、また、大会もないということで、非常にモチベーションの低下も懸念されますので、ここには元オリンピック選手もいらっしゃるということで、そういった人の意見を聴きながらやっていただければなというふうに思います。 これから、強化指定選手の継続等も、オリンピックが終わってからも、ぜひ私のほうはやっていただきたいというふうに思いますので、頑張っていただきたいと思っております。 また、今議会のほうで上程されておりますけれども、熊本県内部組織設置条例の一部改正についてということでございますけれども、今商工観光労働部という形で部がありますけれども、それを商工労働部と観光戦略部に分かれるということでございます。ですから、そういった意味で、これから国内的な観光振興もそうですけれども、オリンピック、パラリンピックをどうやって外国から迎えるのかということも、新しい部には非常に求められることだと思っております。どの方が部長になるか御存じありませんけれども、しっかり新しい部長になった方は取り組んでいただきたいと思っております。恐らくその方は、このハンドボール、また、ラグビーのノウハウもしっかり頭に入れた方だと私は信じておりますので、指名された方は頑張っていただければと思います。 以上で私が用意いたしました質問は全て終わりました。 本来、最初に言いたかったわけでございますけれども、昨日、コロナの感染リスクレベルが4から3に引き下げられたということで、大変よかったと思います。これは、ひとえに県民の皆様方のたゆまぬ努力のおかげだというふうに思いますので、この努力を忘れずに、気が緩むことなく、これからも感染予防対策にはみんなで力を合わせて頑張っていきながら、元の生活に戻れるよう、私もしっかり頑張っていきたいと思いますので、今後とも御指導お願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(池田和貴君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩    ――――――○――――――  午前11時10分開議 ○議長(池田和貴君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 本田雄三君。  〔本田雄三君登壇〕(拍手) ◆(本田雄三君) 皆さん、こんにちは。熊本市第一選挙区選出の公明党・本田雄三でございます。2回目の質問の場をいただき、感謝申し上げます。 初めに、このたびの豪雨災害及び新型コロナ感染症で亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、被害、罹患された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 また、年明け直後から、新型コロナ感染症の対応、そして豪雨災害の対応に尽力されている皆様に敬意を表するものであります。 熊本地震以降、度重なる災害や感染症が発生しておりますが、国、県、各自治体の賢明な御判断で、早期の経済対策や復興支援を決定していただくなど、多くの皆様を救済できていると実感しております。 しかし、豪雨災害では、現在も800人以上の方が避難所に身を寄せておられます。治水対策や復興事業など課題も山積しておりますが、一日も早く住まいの確保ができればと願っております。 それでは、通告に従いまして、質問に入らせていただきます。 1点目の質問は、大空港構想全般の進捗状況についてです。 大空港構想の一環として、知事は、令和2年2月の定例議会の答弁及び知事マニフェストでも、熊本を新たな知の集積の拠点としたいと、要するに熊本版シリコンバレー構想を述べられました。 しかし、その後発生した新型コロナウイルス感染症や豪雨災害の緊急事態対応により、空港アクセス鉄道等への調査や分析については、大きな進展には至っていないと考えていますが、大空港構想は、将来への構想であり、また、夢でもあり、多くの県民の皆様も期待されていると思いますので、あえて質問をさせていただきます。 執行部におかれましては、コロナ禍や緊急事態対応等で刻々と変化する環境の中での作業になり、御苦労されていることは推察できます。しかし、大空港構想は、多くの部署が携わり、多岐にわたる情報や判断が必要な大プロジェクトであると認識をしております。関係部署が増えれば増えるほど、明確な司令塔とそのステージに合ったロードマップが必要になるなど、様々な環境の変化や課題が生じると思いますが、柔軟な発想と牽引力を発揮していただき、大空港構想実現に向け、前進することを切に願うものであります。 私は、熊本県内の工業団地や商業施設の開発で残念だなと思うことが1つあります。それは、せっかく企業誘致における就職先の拡充や商業施設がにぎわいを見せても、道路事情が後づけで整備されますので、出退時の渋滞や慢性的な渋滞で、交通の利便性が確保できていないと感じるからであります。 比較すると申し訳ないのでありますが、福岡市や他の都市部は、都市交通の在り方を重視した開発を行っているのではないでしょうか。空港や免許センター周辺には、第二空港線と国体道路の環状線がありますが、周辺開発を行った場合の交通事情はどうなっていくのでしょうか。 大空港構想に沿って、これから熊本版シリコンバレー構想に係る検討が進められるに当たり、一般住宅の増加が顕著な東区、それに加え、企業誘致も行い、場合によっては新たな工業団地や教育施設も必要になるかもしれませんが、今からの事業でありますので、まずは都市交通の在り方を県、市、専門家で検討されている計画を視野に入れ、どのように連携されるかが重要ではないでしょうか。 また、検討と同時に、電気、通信、上下水道等のインフラ整備も的確な情報を共有していただき、各企業の長期計画や予算確保など、計画的に敷設できるように進めていくべきだと考えます。 大空港構想は、先ほど述べたとおり、多岐にわたる大プロジェクトであり、現状では、今後の明確な方向性はお示しできないかと存じますが、空港周辺の新たな産業集積やインフラ整備も見据えた大空港構想全般の進捗状況と見通しについて、企画振興部長にお尋ねいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 昨日の知事の答弁にもありましたとおり、県では、令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興や新型コロナウイルス感染症への対応に最優先に取り組んでいるところです。他方、そうした中においても、熊本の将来の発展を見据え、優先順位を見極めながら、必要な事業の検討や準備を進めることも大事であると考えます。 平成28年に策定いたしました大空港構想Next Stageは、熊本都市圏東部地域における熊本地震からの創造的復興を推進するグランドデザインです。阿蘇くまもと空港の活性化の効果を産業や暮らしの分野に波及させることを目指し、50を超える取組例に沿って、庁内の各部や市町村、民間企業との連携により、様々な事業を進めています。 中でも、核となる空港のコンセッション導入については、本年4月に熊本国際空港株式会社による空港全体の運営が開始され、ほかにはないスピードで実現しました。2023年春に予定されます新しいターミナルビルの完成に向けて、空港は、大きな変革を見せつつあり、構想も、新しい局面に入ったと認識しています。 こうした空港の動きと連動しながら、周辺地域に民間活力をさらに呼び込み、イノベーションを創出する知の集積を推進するための新たな検討を始める予定です。 さらに、空港へのアクセス改善については、これまでの国道443号の4車線化や県道堂園小森線などの整備を着実に進めるとともに、引き続き、道路ネットワークの機能強化を推進していきます。アクセス鉄道についても、今年度、継続調査に取り組んでいるところです。 議員御指摘のとおり、大空港構想の実現は、知事のマニフェスト、10の約束にも示された重要施策です。新型コロナウイルスの影響下における社会の変容も見据え、柔軟に、関連する事業の内容や進度を見直したり、新しい事業を加えたりしながら、継続して取り組む必要があるというふうに考えています。 各事業を進めるに当たりまして、最大限の効果を得るためには、関係機関の実施状況や関連する情報を把握しながら、全体としての計画性を高めていくことが重要になります。庁内でさらに連携して、引き続きしっかり取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 熊本県の大プロジェクトを牽引される企画部長の前向きな決意、ありがとうございました。 大空港構想Next Stageは、熊本地震からの創造的復興のグランドデザインとありました。要するに、空港を活性化させることで、産業や暮らし、経済も含め、幅広い分野に効果を得る壮大な構想であり、熊本県の重要施策であるとの答弁でありました。 また、道路ネットワークの説明によりますと、国道443号、これは大津警察署付近から御船インターの前を通るルートでありますけれども、この拡幅工事と県道堂園小森線の整備とありましたが、空港の動きと連動して、周辺地域に新たな民間活力を呼び込み、イノベーションを創出させるのであれば、熊本中心部へ向かう国体道路の日赤病院の前から保田窪交差点や第二空港線の佐土原付近及び県庁通り入口交差点は、現状でも、朝夕、慢性的な交通渋滞が見受けられますので、質問でも述べましたが、ぜひ渋滞緩和の検討も必要だと思いますので、御検討をよろしくお願いしたいと思います。 長期にわたるプロジェクトになると予想されますが、官民一体となり、的確に情報と現状認識を共有され、最大限の効果を発揮できる大空港構想の進展を期待します。 次の質問に移らせていただきます。 昨年11月の定例議会で知事が宣言をされました2050年県内CO2排出実績ゼロへの取組についてお伺いします。 御存じと思いますが、CO2、これは二酸化炭素でありますけれども、主に化石燃料、石炭、石油、天然ガス等を燃焼させると発生します。私たちの生活に不可欠な電気などのエネルギーを作るには、大量の化石燃料が使われており、同時に大量の二酸化炭素が排出されています。また、自動車も化石燃料であるガソリンを燃焼させるので、ここでも二酸化炭素が発生しております。つまり、私たちの生活がエアコン、テレビ、冷蔵庫など多くの電化製品に囲まれ、自動車で好きなところへいつでも行けるように、便利になればなるほど、地球上に二酸化炭素が排出され、地球温暖化を加速させているということであります。 また、エアコンや冷蔵庫に冷媒として使われているフロンや、また、ごみ、水田などから出るメタンなども、温暖化の原因となる温室効果ガスであります。 温暖化が及ぼす影響は、地球規模であり、人類にとって深刻な問題であると認識しております。気候変動による異常気象とも言うべき猛暑や豪雨災害などは、健康被害や農林水産業への影響など、私たちの生活に密接につながる課題でもあります。 熊本県における温室効果ガス総排出量については......(資料を示す)今スクリーンを御覧いただければと思います。2011年の東日本大震災直後から増加し、2013年度が最多となっています。その後、様々な取組の結果、2017年実績は、2005年実績に近づいたものの、大きな減少には至っていないことがうかがえます。 温室効果ガス排出の実態を部門別内訳で見ますと、排出量は、産業、運輸、家庭の順に多くなり、いつまでに、誰が、どのようにCO2削減に取り組むのかが不明瞭であると、対策は進んでまいりません。 そのため、いかにして2050年までにCO2排出実質ゼロを達成するのかを県民の皆様にお示しする必要があると思います。製造、農林業、再エネの推進など、多岐にわたる対策が存在しますので、各分野におけるプランや行動計画の樹立が必要ではないかと考えております。 特に、現時点で排出量の多い産業部門に関しては、エネルギー調達方法など、国や地方公共団体が規制することは難しいと考えますが、一方で、排出削減が必要不可欠な重要な分野とも言えます。 知事のリーダーシップで、あらゆる分野に意識啓発の徹底から進めるべきではないかと考えますが、働きかけが難しいと思われる産業分野に関しましては、再エネシフトにより、何らかのインセンティブを付与できるような仕組みづくりも必要ではないでしょうか。 知事の御見解をお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 本県の温室効果ガス排出削減に当たっては、排出量の約35%を占める産業部門をはじめ、各事業者の理解と協力が必要になります。 このため、県では、2010年に地球温暖化の防止に関する条例を策定し、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対し、温室効果ガス排出の削減目標を定めた計画書と実績報告書の提出を義務づけました。現在、198社の事業者に協力いただいております。 昨年12月、2050年までに県内CO2排出実質ゼロを目指すと宣言いたしましたが、この極めて高い目標の達成のためには、これまでの取組の強化に加え、様々な分野において、新たな取組が必要になってまいります。 宣言後、温室効果ガスの排出量が多い事業者との意見交換を進めており、再生可能エネルギーの導入やさらなる省エネルギーの推進等への協力をお願いしております。また、排出削減の加速化に向けた課題等について、聞き取りを行い、その解決の可能性などを検討しているところであります。 さらに、目標達成に向けた新たな取組の検討や2050年のあるべき姿を見据えたロードマップを作成するため、学識経験者や事業者などで構成する地球温暖化対策専門家チーム設置に係る予算を今定例会に提案しております。 現在、新型コロナウイルスの影響で事業者を取り巻く状況は厳しいものがありますが、専門家チームからの御意見をいただきながら、議員御提案も含め、事業者が意欲的にCO2削減を進めることができる、より実効性のある取組を今後展開してまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 2050年、存命であれば、私は87歳になる年であります。知事は、たしか100歳を超えられると思いますが、30年後、議会で知事に質問したなと思い出せるように頑張りたいと思います。知事も、ぜひ覚えているとおっしゃっていただければと思います。 答弁にございました温室効果ガス排出量の大きい事業者との意見交換の実施など、県内CO2実質排出ゼロへの取組がスタートしていますので、未来の熊本が住みよい環境であるために、立ち止まることなく、施策を着実に進めていくプランを構築していただき、ぜひ熊本で生まれて育ってよかったなと言えるような県づくりを期待しております。 再生可能エネルギーの活用例といたしまして、福島県浪江町に、東日本大震災からの復興のシンボルといたしまして、世界最大級の水素ステーションが2018年から建設が進められ、本年3月に稼働しています。 同施設は、NEDO、これは新エネルギー・産業技術総合開発機構でございますけれども、NEDOと東芝、東北電力、岩谷産業の4者により、約6万8,000枚の太陽光パネルの発電により、その電力を得まして、浪江町の水を電気分解し、水素を製造ということであります。浪江町の水は、上水道を使用しているということでございました。1日当たりの水素製造能力は、水素燃料電池自動車の約560台分または一般家庭150世帯程度の1か月分の電力に相当する製造能力があるそうです。 水素の貯蔵や供給も可能で、開所式で披露された水素運搬トレーラーで、町内や、東京をはじめ全国各地へ浪江産CO2フリー水素の供給がスタートしているということでありました。 本県も、地球温暖化対策専門家チームが設置される予定とのことでありますので、地熱、水力、太陽光等の自然エネルギーをミックスし、市電やバス等への水素エネルギーの活用も検討すべきではないでしょうか。 また、各家庭における環境意識の啓発も重要な取組だと思いますので、本県が進めているくまもとらしいエコライフ宣言への登録推奨など、知事のリーダーシップの下、県民の皆様と一丸となったCO2削減への具体的な行動を期待いたしまして、次の質問に移らせていただきます。 阿蘇草原の歴史と景観維持に伴う野焼き作業の軽減について御質問をいたします。 阿蘇の草原は、1,000年前から人の手によって維持され、多様な生態系と豊かな景観を生み出した、人々が自然とともに生きたあかしでもあります。 一見、阿蘇カルデラ内の草原は、維持できているように見えるということもありますけれども、野草地面積は、1905年当時と比較すると、約100年で半分以下に減少していると警鐘が鳴らされています。 そのような中、地元の阿蘇郡市7市町村と山都町は、内閣府に対し、千年の草原の継承と創造的活用総合特区を申請、認定されるなど、地域の誇りである阿蘇の草原を守り、次世代に伝えていくために、地元市町村と牧野組合、入会権者など地域一丸となり、また、多くのボランティアの皆様の御支援もいただきながら取組を進めておられます。 平成25年度に策定されたかばしまイニシアティブNEXTにより、平成27年度には、約50年ぶりに草千里の野焼きが再開されたことは、大きな喜びでもありました。 しかし、平成28年の熊本地震や豪雨災害により、阿蘇原野の林道や牧道は崩落等で通行が困難な箇所が散見されるなど、野焼きの継続は難しい状況にあります。特に、南阿蘇村の野焼き面積は、地震前が37地区、1,543ヘクタールだったのに対し、地震後は27地区、954ヘクタールに減少しております。 そのような厳しい環境にもかかわらず、牧野組合や地元自治会の方々は、ボランティアの皆様の協力もいただきながら、野焼きを実施されておられます。 野焼きに不可欠なのが、野焼きの炎が周辺に燃え広がることを防ぐために行われる輪地切り、これは防火帯とも言いますけれども、その作業でございます。輪地切りの総延長は、阿蘇全体で約530キロと広範囲であるとともに、急斜面や危険な箇所も含まれています。野焼きの担い手である牧野組合員の高齢化が進む中、少しでも作業の安全性確保と作業量の軽減を図らなければ、野焼きの存続、ひいては1,000年にわたり人の手によって守られてきた阿蘇の草原を子供たちに伝えていくことが難しい状況になっています。 このような状況を踏まえ、野焼きの作業負担の軽減、さらには草原の維持、再生に向けたこれまでの県の取組と今後の施策の方向性について、企画振興部長にお尋ねをさせていただきます。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 阿蘇の草原は、熊本が誇るべき宝の一つであり、将来にわたって継承していくべきものだと考えております。 県では、平成25年に、草原再生に向けた県の基本指針でありますあそ草原再生ビジョンや、具体的な取組を定めましたかばしまイニシアティブNEXTを策定し、草原再生に向けた支え手の裾野拡大や、野焼きが行われなくなった牧野の再開支援等の取組を進めてきました。 その結果、野焼きの面積は、熊本地震で一旦落ち込んだものの、その後は増加傾向にあります。 しかしながら、畜産農家の減少や高齢化などによる担い手不足もあり、草原の維持に欠かせない野焼きの継続が厳しい状況にあると認識しております。 特に、議員御指摘のとおり、野焼きの防火帯を作るための輪地切り作業は、非常に作業の負担が大きく、野焼きの継続を困難にしている大きな要因の一つとなっています。 そのため、県では、平成28年度から、地方創生推進交付金を活用し、輪地切り作業の省力化につながる鉄鋼スラグの恒久防火帯整備の実証事業を行っています。 さらに、急斜面等の作業困難箇所においては、自衛隊のOB団体であります隊友会に輪地切り作業を委託するなど、野焼き作業の負担軽減に取り組んでいます。 これらの取組に加えて、本年2月には、庁内にプロジェクトチームを立ち上げ、野焼きの継続に向けたさらなる施策や財源確保等について、全庁的に検討を進めているところです。 今後も、かばしまイニシアティブNEXTに基づき、地元市町村、牧野組合など関係者の皆様と連携しながら、阿蘇の草原の維持、再生に向けてしっかりと取組を進めてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 着任されたばかりの企画部長から力強い御答弁をいただきまして、誠にありがとうございます。 阿蘇の草原は熊本の宝であると認識され、今後も、かばしまイニシアティブNEXTに基づき、草原の維持、再生に総合的に取り組んでいくとありました。 継続して支援が必要なのが恒久防火帯の整備についてでございます。斜面には、コンクリートを敷設し、平たんに近い場所では、コンクリートの代替品で比較的安価な鉄鋼スラグを活用することで、厳しい財政状況の中ではありますが、費用対効果も期待できると考えております。引き続き取組を進めていただきますよう要望申し上げます。 また、草原維持に興味深い記事が本年5月13日の新聞に掲載されておりました。「阿蘇の湧水量減る」という見出しでございました。内容は、九大、熊大、慶応大学、東海大学等が共同で実施をしておられる阿蘇・熊本の水循環に関する研究の調査結果でございました。九州の水がめと言われる阿蘇の水源、湧水が豊富な南阿蘇村の11か所で調査をした結果、8か所で毎分半分近くまで水量が減少しているとの報告でありました。原因は、熊本地震による水源地からの若干の漏水も考えられるそうですが、深刻なのは、水田や牧草地の減少であると推測されるそうです。 阿蘇カルデラ内の地下水が熊本市内の水道水源になっていますが、全国でも、大きな都市部で100%地下水という県は少ないと思います。 このような調査結果からも、阿蘇の草原維持は、非常に重要であると思います。 一方、景観の維持といたしまして、阿蘇山上付近の人工林については、活火山特有の火山ガスや降灰の影響で針葉樹が枯れるエリアもあり、壮大な草原の景勝を損なってしまっています。 県有林を含め、地元自治体管理地や民有地についても、樹種の変更、杉、ヒノキからクヌギ等を進めていただき、阿蘇の景勝を維持していただきたいと重ねて強く要望いたします。地元の皆様の御期待に沿える支援を何とぞよろしくお願いいたします。 次の質問に入らせていただきます。 新型コロナウイルス感染症の影響で大きな打撃を受けている熊本県経済の活性化についてお尋ねいたします。 全国的な課題でもある経済の落ち込みをどのように復活させるかが最優先で挑まなければならない重点項目であると考えております。特に、長期化する移動自粛等で直接的なダメージを受けている観光業の支援については、あらゆる機会を通じて支援すべきではないでしょうか。 本年4月に、熊本県観光協会連絡会議――構成は、阿蘇広域観光連盟、一般社団法人天草宝島観光協会、一般社団法人宇城市観光物産協会、一般社団法人人吉温泉観光協会、平山温泉観光協会――が公表されました新型コロナウイルス感染症収束後の旅行・観光に関する意識調査、調査報告書を御紹介します。 同連絡会議の調査は、今年の4月27日から29日に無記名でのウェブアンケート方式で行われまして、日本全国の一般消費者を対象にしたものでありました。 同連絡会議の主張は、熊本地震からの復興を経験した私たちは、過剰に希望的でも悲観的でもない、現実的な見通しが事業者には必要だということを学び、今のコロナ禍の中で暗中模索の全国の観光事業者に対し、何かしらの道しるべが必要との思いから本調査を行い、調査結果を公開いたしますとありました。 さらに、先行きがいまだ不透明な感染症の現状を大きく変えることはできないが、他方で、感染症は必ずいつかは収束し、その後、経済や観光業も確実に回復してくる。どんなに目先の対応での厳しい状況があるにしても、それを超えて、アフターコロナとも言うべきその時期についても考え、準備しておく必要があると、非常に前向きな趣旨の調査であり、その調査結果の一部は、当面は近郊への旅行・お出かけ市場が主戦場と。旅行先選びも、3密――密集、密閉、密接――を避けるを意識し、テーマパークや都市部など密集が想定される場所は回避し、自然や解放感のある場所が好まれる傾向とまとめられていました。 同連絡会議の皆様が主張されるように、国が主導するGoToキャンペーン、各自治体が取り組まれた宿泊キャンペーンも功を奏していると思いますが、本県といたしましては、熊本地震からの復興事業が大きな節目を迎える本年秋を大きなチャンスと捉え、弾みをつける必要があるのではないでしょうか。 8月8日に全線開通したJR豊肥本線や国道57号北側復旧ルートの開通及び東海大学震災遺構の完成、さらに8月13日に報道されました、文化庁が全国で10か所を指定した文化観光拠点施設として、阿蘇火山博物館が認定されています。私も阿蘇火山博物館には何度も行かせていただきましたが、以前の雰囲気とは全く違っており、火口内や阿蘇の歴史を動画で再生されるなどの工夫が凝らしてあり、時間を忘れて見入るほどでありました。皆様もぜひ御覧になっていただきたいなと思います。 また、熊本城の見学再開、くまモンポート八代の完成も話題になるなど、多くの魅力を最大限に活用し、コロナ対策を講じながら、当面は県内居住者限定でもよいと思いますが、仮称熊本復興キャンペーンを1年程度のスパンで実施していただきたいこと、重ねてになりますが、豪雨災害の県南地域は、復興後に時期をずらして実施をしていただきたいことを申し添え、今後の熊本県観光復興の活性化に対しどのようにお考えか、観光経済交流担当理事にお尋ねをします。ぜひ前向きな御答弁をお願いいたします。  〔理事寺野愼吾君登壇〕 ◎理事(寺野愼吾君) 本県の観光復興の推進についてお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症は、観光産業に甚大な影響を与えており、その復興は、喫緊の課題と考えております。 県としては、まず、観光客の受入れ環境の整備を図るため、宿泊事業者が取り組む感染防止対策や新たな商品開発の支援などを実施しております。また、国のGoToトラベルに先駆けて、県民を対象とした県内宿泊応援キャンペーンを実施するなど、時期を逸することなく、連続した対策を講じてまいりました。 さらに、議員御指摘のとおり、来月には、熊本地震からの復興を象徴する阿蘇地域へのアクセスルートが回復するなど、観光面においても、これまでの経済損失を取り戻す大きなチャンスと考えております。 既に、交通事業者などと連携した誘客キャンペーンやアクティビティー体験、文化遺産を巡るツアーの造成、販売などを実施しております。このような取組により、集客の状況や新型コロナウイルス感染症のフェーズも見極めながら、来年の観光シーズンを含め、切れ目のない取組を関係者と連携して進めてまいります。 最後に、さきに実施しました熊本県宿泊応援キャンペーンにつきましては、7月豪雨災害や新型コロナウイルスの感染拡大などの影響を受けまして、利用者は延べ約6万人と、想定の約3割にとどまっております。そのため、宿泊事業者からは、キャンペーンの延長など、追加の支援を求める声も多くいただいております。観光需要のさらなる喚起策が必要と考えております。 このため、GoToトラベルにおいて検討されております被災地向け重点キャンペーンの動きと連携を取りながら、適時適切に、より効果の高い誘客キャンペーンを実施し、観光産業の復興を加速化させてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 寺野理事から、コロナ禍における様々な取組を実施されたこと、さらに本年秋の熊本地震からの復興を象徴する阿蘇地域へのアクセスルート回復などを、観光面において、これまでの経済損失を取り戻す大きなチャンスと捉え、切れ目のない取組を継続し、熊本県宿泊応援キャンペーンの延長も前向きに検討され、観光産業の復興を加速化させたいとの力強い御答弁に期待感が膨らみました。 9月の4連休は、全国的に久しぶりの帰省や観光で人の流れが戻ったようだと報道があっていました。本県でも、離着陸する航空機の8割がほぼ満席状態で、高速道路も渋滞箇所が出ていました。熊本城も行列、下通も人の流れが戻り、観光物産施設くまモンスクエアでは、来場300万人突破のセレモニーが開催されるなど、草千里の乗馬体験や火口見学と、枚挙にいとまがないにぎわいの報道に喜びを感じました。 新型コロナウイルス感染症に加え、インフルエンザが心配な季節になりますが、フェーズを見極め、積極的な支援をお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。 令和元年9月の定例議会で、緒方委員が同様の趣旨の質問をされておられますが、頻発する自然災害に対する防災、減災の取組状況について質問をさせていただきます。 気象庁のデータによりますと、本年7月に県南部を襲った記録的豪雨から僅か1週間に、気象庁が最大級の警戒を呼びかける大雨特別警報が3回発表され、気象専門家は、地球温暖化が進み、これまでの防災の常識が通用しなくなるのではと警鐘を鳴らすとありました。 大雨特別警報の目安は、室戸台風、これは1934年、死者、不明者含めて3,000人以上、伊勢湾台風、1959年、同5,000人以上、九州北部豪雨、2012年、同32人に匹敵する大雨が予想される場合に発表すると説明されています。 大雨特別警報は、13年8月の導入以来、既に33都道府県に計16回発表されておりまして、最も多いのが福岡県、長崎県の4回、それに続き、佐賀県、沖縄県の3回と、九州地方に集中している現状です。 近年の九州における豪雨災害といたしましては、2017年7月の九州北部豪雨災害、福岡と大分が被害に遭いました。2019年8月、同じく九州北部豪雨災害、長崎、佐賀、福岡、そして2020年7月の令和2年7月豪雨災害、熊本県南部と、毎年のように大きな豪雨災害が発生しております。 当然、知事、執行部の皆様をはじめ、各自治体、県民の皆様、それぞれのお立場で、防災、減災への取組はなされていると存じますが、特に豪雨や台風襲来による樹木の倒壊で道路の通行支障、河川への流木で橋梁が落橋し、最終的には海洋に流れ着き、大きな被害につながっています。 皆様の記憶に新しい2019年の台風15号の襲来で、千葉県に大きな被害が出ました。倒木で通行できない地域が散在し、被害状況の把握に相当苦慮され、インフラの復旧にも2週間以上の時間を要してしまいました。 先日、新聞報道されていましたが、その千葉県いすみ市は、台風被害から1年、教訓は、暴風による大量の倒木が停電の原因となっており、電力会社の保安伐採に加え、病院や福祉施設の停電回避のため、市が全額を負担して危険な樹木を除去しているとありました。 いつ発生するか分からない災害に備え、少しでも倒木被害を減少させるためにも、公道や公的施設等に隣接する樹木については、まずは所有者に予防伐採を依頼し、様々な理由で応じていただけない場合、県及び各自治体で伐採できるような取組も必要ではないかと思います。 今回の豪雨災害に伴い、第1回目の球磨川豪雨検証委員会及びくまもと復旧・復興有識者会議が8月25日に開催されましたが、今後、同会議で様々な対策も検討されると思いますが、予防伐採の必要性もぜひ議論していただければと思います。 先日、豪雨災害の後に放映されていました「ポツンと一軒家」という番組で紹介されておられました鳥飼酒造の鳥飼社長のインタビューでも、酒造工場を造る際、水と自然環境を守る目的で人工林を除伐し、自然林を植樹して混合林に移行したことで、山道の崩落は数か所ありましたが、工場は守られたとおっしゃっておられました。 大切な県民の皆様の生命と生活を守ることが最優先でございます。その上で、発災時に孤立集落を出さない迅速なインフラ復旧の支援を図る上から、道路周辺等における予防伐採についてどのようにお考えか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 森林所有者の高齢化や木材価格の低迷により、管理の行き届かない森林も増えており、道路周辺等においても、このような森林が見受けられます。 そのため、県が管理する国道や県道沿いについては、通行に支障を及ぼすおそれがある樹木の所有者に対して、剪定や伐採などの管理をお願いしています。今年度からは、県のホームページや市町村広報誌により所有者への周知を行うなど、適切な管理に向け取り組んでおります。 一方で、近年、台風は大型化しており、風倒木による道路の通行止めや電線の切断による停電なども懸念され、新たな対策として、予防伐採の必要性が高まっています。予防伐採は、道路や電線、電柱などへの倒木による被害を防止する観点から、これらの施設管理者以外の方が所有している樹木を伐採するものです。しかし、当該施設への支障が明白でない事前予防的な樹木の伐採まで、森林所有者の方に一方的に求めることは困難です。 このような中、平成30年に森林経営管理法が制定され、林業経営に適さない民有林については、市町村が所有者から経営の委託を受ければ、公的に森林を管理できる制度が創設されました。 これらの状況を踏まえまして、昨年3月に、球磨地域振興局において、局長をトップに、林務行政を担う農林部、道路管理を担う土木部に管内の電気や通信の事業者を加えたライフライン支障木の処理等に係る対策会議を設置し、予防伐採等に関する検討を進めております。 この会議において、地域内に道路や電線、電話線など様々なライフラインが張り巡らされている中で、予防伐採の優先度をどう判定していくのか、また、実行の範囲や実施主体をどのように決定していくのかといった課題が明らかになりました。また、同一箇所に、道路だけでなく、電柱など複数の管理者が混在する中で、車両通行や上空に電線があるため伐採が難しく、特殊な伐採方法も必要な箇所の予防伐採に係る経費を、樹木の所有者も含めて、どう分担し、合意形成を図っていくのかといった課題も浮かび上がってきました。 そのため、県が管理する道路について、樹木の所有者への適切な管理を周知するとともに、予防伐採については、地域での合意形成に向け、公的な森林管理が可能となった市町村も交えた議論を進め、モデルとなる事例を積み重ねながら、引き続き検討を深めてまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 農林水産部長の答弁に、林業への関心が低下とありましたが、答弁のとおり、所有者不明や県外在住者で連絡が取れない、管理放棄といった管理が行き届かない森林が多く見受けられ、今後さらに増加する傾向がある現状から、昨年3月に、モデルケースとして、球磨地域振興局主導によるライフライン支障木の処理等に係る対策会議を発足されたことは、大変に重要だと思います。 コロナ禍の影響に加え、豪雨災害発生により、予定どおりの会議が開催できていないとお聞きしましたが、私は、会議体の設置そのものが有益だと思いますし、今後は、地元市町村にも対策会議への参画を求め、さらに具体的な対策を講じていただければと思います。そして、早期にこのモデルケースを県下の地域振興局に拡大していただき、強固な山林の維持と県民の皆様の安心、安全につながればと切望いたします。 所有者がおられますので、一足飛びにはいかないと思いますが、危険性の排除は、防災、減災の観点から待ったなしの課題ではないかと思いますので、既成概念にとらわれず、思い切った施策の構築が必要であると要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。 災害時における教育支援体制の整備及び不登校児童生徒の現状についてお尋ねいたします。 令和2年7月豪雨災害時に学校も使用不能になるなど甚大な被害の中、他地域への避難を余儀なくされた児童生徒に対し、混乱の渦中ではありましたが、避難場所の学校に登校できるように配慮され、さらに教職員経験者や学生の皆様の支援も受けながら授業を再開されたことに大変感動いたしました。 そこで、1点目の質問は、将来的に被災等が発生した際、同様の取組ができるような支援体制の整備が必要かと思いますが、お考えをお尋ねいたします。 2点目は、昨年6月の定例議会で私が質問させていただきました不登校の児童生徒の対応についてお尋ねをいたします。 学校教育の現場は、コロナ禍における休業で、授業日数の確保に困窮されているとお聞きします。さらに、児童生徒においては、外出自粛や感染リスクを気にしながらの登校など、通常と大きく異なった生活を送っている現状があります。 環境の変化や予定外の休業で、心身のケアが必要な児童生徒もおられると存じます。一方では、指導、教育を遠隔で実施しなければならない事態となり、教職員の皆様も、相当の御苦労が伴っていると推察いたします。 このような状況下で、学校教育における大きな課題の一つでもあります小中学校の不登校についてですが、平成30年度の実態として、在籍児童数に対し、全国は1.7%、本県は1.59%、約2,328人の児童生徒が不登校となっております。 前回の質問で御紹介した起立性調節障害は、小学校高学年から高等学校までの年齢に幅広く見られ、長期欠席を伴うことも少なからずあります。朝起きられない、立ちくらみや頭痛などの症状があり、思春期に発症する自律神経機能不全の一つとされており、サボりと勘違いされやすい症状です。この病気には特効薬はなく、要するに周囲の環境、家族や学校、友人の理解で、早い人は数週間で、長くても2~3年で克服できる病気でもありますので、人生を左右する思春期の大事な時期、一人でも多くの不登校やいじめを回避できればと願っております。 コロナ禍における複雑な状況下ではありますが、不登校等に対する全般的な取組や県としての起立性調節障害に対する周知の現状を教育長にお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、1点目の災害時等における教育支援体制の整備についてお答えをします。 被災した児童生徒等が他地域へ避難を余儀なくされた場合でも、就学の機会を迅速に確保し、学びを保障することは、大変重要であると考えております。 このため、7月豪雨で被災した児童生徒の避難先の公立学校における受入れにつきましては、県教育委員会からの通知を踏まえ、関係する市町村教育委員会の連携、協力の下、迅速に対応していただきました。 また、被災地の各避難所における支援につきましては、NPOの協力により、児童生徒のために開設された学習スペースにおいて、元教職員や大学生による学習支援ボランティアチームの派遣を行いました。さらに、ストレスを抱える児童生徒の心身のリフレッシュを図るため、レクリエーション等の提供も行ったところであります。 これらの災害対応の実績を踏まえ、今後も、災害の規模や地域の実情に応じた教育支援が迅速かつ的確にできるよう、関係機関とも連携しながら、体制整備に取り組んでまいります。 次に、2点目の不登校等の児童生徒に対する取組についてお答えをします。 県教育委員会では、初期対応として、愛の1・2・3運動プラス1に取り組んでおります。欠席1日目で電話連絡、2日目で家庭訪問、3日目以降は、不登校対策委員会を開催するなど、組織的に対応しております。さらに欠席が続くようであれば、プラスワンとして、心理や福祉の専門家と連携して、さらなる支援を行っております。 また、本年3月には、新型コロナウイルスの影響下における状況も考慮し、不登校等の欠席状況等を確実に引き継いでいくことを目的に、本県独自の不登校支援シートを作成し、県内の市町村教育委員会及び県立学校へ通知したところであります。 今後も、関係機関や専門家との連携を深め、児童生徒一人一人や保護者の思いに寄り添いながら、不登校への対応に取り組んでまいります。 最後に、起立性調節障害に対する周知の現状についてお答えをします。 県教育委員会では、昨年度から、各学校の保健主事等が参加する研修会や校長会議等において、症状や配慮事項を周知し、助言を行っております。 今後も、学校が症状を早期に把握し、必要な支援を行うことができるよう、研修等の充実に取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 今後の教育支援体制につきまして、災害等の発生に伴い、迅速に関係機関と連携し、体制の整備に取り組むとの答弁がございました。 ルールの制定等は難しいと思いますが、今回の豪雨災害における教育支援体制の構築は、在校生の把握から授業再開に至るまで、的確な判断に基づいた結果であると高く評価できると思います。実行に移された内容は、記録として継承していただき、いつ起こるか分からない非常災害の備えにすべきではないでしょうか。 不登校の児童生徒の実態といたしましては、平成29年度と30年度のデータによりますと、全国的に児童生徒の数は減少傾向にありますが、相反して、不登校の児童生徒の数は反比例的に増加傾向にあります。 答弁にありました本県の取組であります愛の1・2・3運動プラス1は定着していると思われますが、一人一人の児童生徒の置かれた環境に差異があるため、解消は難しいと思われますが、本県独自の不登校支援シートの活用など、対策の持続をよろしくお願いいたします。 起立性調節障害の周知状況につきまして、昨年度から、各学校の研修会や校長会議等で、症状や配慮事項を周知し、助言をされ、今後も充実していくとのことでありますので、よろしくお願いしたいと思います。 専門医が主張される、不登校の3~4割が起立性調節障害による可能性が高いという見識がありますので、見過ごしを防止するためにも、一番関係が深い御家族や教職員の皆様の認識が大事ではないでしょうか。知識があれば、それなりの初期対応につながるはずです。未来ある子供たちに温かい手を差し伸べ、一人でも多くの児童生徒の支えになればと、心より願ってやみません。 最後に、要望を1点行わせていただきます。 県下の横断歩道等の道路標示の改修についてでございます。 私が今回の要望をさせていただいた理由は、郡部の方から、小学校正門近くの横断歩道がほとんど見えないので、改善してもらいたいとの声をお聞きしたからであります。 私自身、これまで横断歩道等の見え方についてあまり気にしていなかったのですが、その声を聞いてからは、横断歩道や停止線の薄いところが多いように感じるようになりました。特に、子供たちが利用する通学路や幼稚園等の近くに設置されている横断歩道等は、きちんと維持管理がされていないといけないと思います。 昨年、滋賀県大津市で発生した交差点で信号待ちをしていた多数の幼児が被害に遭った痛ましい事故を受け、警察や関係機関が連携して道路点検を行っていただくなど、通学路等での対策をしっかりと行っていただいていると伺っておりますが、一方では、県内には膨大な横断歩道や停止線等があることも事実でございます。 参考といたしまして、一般社団法人全国道路標識・標示業協会が、一般国道及び県道等で、通行日量及び大型車が通るか通らないかの有無を基に、3か月ごとに劣化調査をした結果が出ておりました。通行車両が著しく多い場所は別といたしまして、おおむね18か月で改修が必要な状態になるとの検証がなされております。これは、交差点ですので、道路上を車が通りますから、どうしても傷みが早いということであります。この調査結果が完璧とは申し上げませんが、体感的にも2年程度で改修が必要になる場所が多数あるのではないかと思われます。 交通事故の抑制は、安心、安全なまちづくりの観点からも重要な要素であると考えます。その一つの手段である横断歩道をはじめとした道路標示の維持管理については、的確な点検に基づき、定期的に改修がなされますよう県警察本部に要望いたします。 私が準備いたしました質問、要望は以上となります。 コロナ禍や災害等で、知事の4か年戦略や予算の確定が明確にならない事態となっておりますが、最優先は、被災された方々が一日も早くふだんの生活に戻られることであります。 この秋も、まだまだ台風襲来等の可能性もありますので、県民の皆様の安心と安全を御祈念申し上げ、質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(池田和貴君) 昼食のため、午後1時5分まで休憩いたします。  午後0時6分休憩    ――――――○――――――  午後1時4分開議 ○副議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 濱田大造君。  〔濱田大造君登壇〕(拍手) ◆(濱田大造君) 皆さん、こんにちは。熊本市第一選挙区選出・立憲民主党の濱田大造でございます。今日は、15回目の登壇ということで、一生懸命頑張りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。 では、通告に従いまして、早速質問に入ります。 まず、社会経済活動における新しい日常の基準について質問いたします。 新型コロナウイルスの影響は、深刻さを増しています。コロナ危機が本格化した4月~6月期、日本は、欧米と同様に、過去最悪のマイナス成長に陥ったことが確認されています。内閣府が9月8日に公表した国内総生産GDPの改定値によれば、物価変動の影響を除いた実質で前期比7.9%の減、年率換算では28.1%の減少でした。 マイナス成長は3四半期連続で、コロナ禍の影響が本格化した4月~6月期は減少率が急拡大し、この減少率は、2008年に起きたリーマン・ショック後の落ち込み率、年率17.8%や1974年に起きたオイルショック後の落ち込み率13.1%をも大きく上回っており、事実上、戦後最悪の減少率となりました。また、実質GDPの実額は、年換算で485兆円まで減少し、7年半ぶりに500兆円を下回っている状態です。 コロナ危機は、もちろん雇用にも影響を与えています。緊急事態宣言が出た4月、休業者の数は、過去最多の597万人まで上昇、前年同月を420万人も上回る異常事態となりました。その後、休業者の数は、6月に236万人まで減ったものの、いまだ高い水準にあります。 政府は、この間、失業者を増やさない現実的な政策として、従業員への休業手当を雇用保険などで補助する雇用調整助成金の拡充策などを実施してきました。結果、6月の失業率は2.8%で、何とか踏みとどまっている状態にあったと言えます。 また、政府は、資金繰りにあえぐ企業に対して、持続化給付金などの支援策を実施し、各地方自治体では、家賃補償などの各種休業補償を実施してきました。本県では、県独自の融資制度として、コロナ対策融資枠3,000億円を設定し、県内中小企業の資金繰りなどの支援に当たっています。7月末時点で1万4,729件、2,183億円の融資が実行されていました。 熊本県商工会連合会が実施した調査では、約9割の県内事業者が、5月の売上高が対前年比で減少し、中でも、55%の事業者は、半分以下に減少していました。また、緊急事態宣言解除後も売上げが戻らない事業者が多数存在していることが判明しています。 また、本県では、コロナ禍に加えて、7月4日の豪雨災害が発生しています。蒲島知事がおっしゃるように、本県は、4年前の熊本地震、そして新型コロナ、そして豪雨災害と、まさに三重苦の大逆境の中にあります。 8月、蒲島知事は、県内での新型コロナの感染拡大を受けて、10人以上の会食は控えるよう県民に呼びかけました。その様子は報道されましたので、御覧になった方も多いと思います。その発言を受けて、私が疑問に思ったのは、9人はよくて、10人なら駄目であるとした根拠、基準はどこにあるのかということでした。この基準が続くなら、10人を超える宴会はもとより、結婚式など多人数が集まる各種宴会は、全て開けないことになります。 新型コロナウイルスという疫病により、現在、新しい日常の模索が続いております。全ての場所で感染リスクゼロを求めるなら、社会活動や経済活動を著しく制限せざるを得なくなります。ですから、新型コロナウイルスを正しく理解し、そのリスクをどこまで許容するのかの社会的なコンセンサスを得ていくことが大変重要になってくるわけです。 政治に対しては、感染リスクを抑えつつ、社会経済活動も推進していかなければならないという大変難しいかじ取りが求められており、その新しい基準が、今言われている新しい日常につながっていくのだと考えています。 では、質問に入ります。蒲島知事に質問いたします。 国、県、市町村がどんなに経済対策を打とうが、各種の給付金を出そうが、結局のところ、県民が安心して町に出ない限り、経済は停滞したままです。そして、県民が安心して社会経済活動を行っていく上では、何としても分かりやすい新しい基準が必要になってきます。 県民が安心して社会経済活動を行うための新しい日常の基準をどのように設定しているのか、また、どのように県民に浸透させていくのか、さらにどのような取組を行っていくのか、お尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 社会経済活動における新しい日常の基準についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、私たちには、未知のウイルスを正しく理解し、感染拡大防止に取り組みながら、社会経済活動を行うことが求められています。 県では、県議会をはじめ、医療関係者や経済界の御意見を踏まえながら、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復のベストバランスを図るための様々な取組を進めています。 私は、そのベースとなるのが新しい生活様式の定着だと思っています。 まず、県民一人一人が、手洗いやマスク着用、3密を避けるなど、自ら状況を判断しつつ、基本的な感染防止対策の実践を徹底することが必要不可欠です。 さらに、事業者は、感染者が発生した場合の連絡体制を定め、業界団体が作成したガイドラインや県のチェックリストを遵守することが重要であります。 そのような取組の積み重ねが、議員御指摘の新しい日常につながるものではないかと考えております。 そのため、くまモンのイラストを最大限に活用するなど、様々な媒体を活用し、県民お一人お一人に対して新しい生活様式の徹底を図ります。また、事業者に対しても、業界団体への通知や研修などあらゆる機会を捉えて、引き続き周知を図ってまいります。 あわせて、事業者の皆様に具体的な感染防止対策をしっかりと実行していただけるよう、県では、宿泊施設が行う感染防止対策に対する助成や、市町村が地域の実情に応じて行う飲食店等の感染防止の取組への支援を行っています。 このような取組を一つ一つ積み重ねながら、社会経済活動の基盤となる新しい生活様式の定着を図り、県民の皆様が安心して生活できる環境づくりを進めてまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 新型コロナウイルスの死亡率は、毎年流行するインフルエンザより低く、そんなに恐れるほどのものではないとする意見もあります。しかし、御承知のとおり、新型であるために、いまだにワクチンと治療薬がない状態が続いています。つまり、ワクチンと治療薬が開発されるまで世界的な混乱が続く可能性が高いわけです。 昨日、県は、リスク基準を緩和しました。県には、ぜひ県民が安心して社会経済活動を行っていけるような新しい日常の基準の周知徹底を求めていきたいと考えています。よろしくお願いします。 次の質問に参ります。 球磨川の大氾濫の検証などについて質問いたします。 蒲島知事は、知事に就任されてから半年後の2008年9月11日、9月定例県議会冒頭で「ここにおいて、私は、現行の川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきであると判断したことを表明いたします。」と宣言されました。知事は、川辺川を後世に残すべき宝と位置づけしました。 12年前、この議場で、知事の決断を固唾をのんでお聞きしたのを昨日のことのように覚えています。報道によれば、当時、県民の8割が知事の判断を支持したとされています。翌年の2009年9月に民主党政権が誕生し、その後、川辺川ダム建設計画は、中止となりました。我が国で大型公共事業が止まった前例は、それまでにありませんでした。それから12年がたちます。 その後、本県は、国、そして流域市町村とダムによらない治水を模索してきましたが、結論は出ないまま、今年7月4日の集中豪雨、球磨川の大氾濫を迎えることになりました。結果として、多くの人命が失われ、流域住民の多大なる財産が失われました。当時、蒲島知事の判断を支持した当事者の一人として、じくじたる思いです。 今回、人吉・球磨地方に降った雨の量は、尋常ならざる量でした。湯前町では、たった1日で、7月に降る1か月の降水量とほぼ同じ497ミリもの雨が降りました。7月4日朝方にかけての12時間の降水量は、県南9地点、山江、一勝地、人吉、上、多良木、湯前横谷、田浦、水俣、牛深で観測史上1位を記録。広範囲に降った大量の雨が球磨川に流れ込み、大氾濫を引き起こしました。 川辺川が球磨川に合流する地点より上流部分でも、広範囲で氾濫が起きています。また、仮に川辺川ダムが建設されていたとしても、今回の氾濫は止めることができなかったという意見もあります。 しかし、政治は結果責任です。 それでは、質問に入ります。蒲島知事に質問いたします。 まず、今回の球磨川の大氾濫を受けての蒲島知事の思いをお聞かせください。 次に、球磨川の治水に対する考え方は、抜本的な軌道修正が図られるべきだと考えていますが、どのような方向性を見いだすにせよ、あらゆる角度からの科学的な検証が必要になってくると考えています。どのような方針の下、検証を行っていくのか、お尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、今回の球磨川の大氾濫を受けての私の思いについてお答えします。 私は、発災後直ちに防災センターに駆けつけました。そして、時間の経過とともにモニターに映し出される水没した人吉市街地、濁流にのみ込まれた球磨村や八代市坂本地区の映像に衝撃を受けました。 その後、幾度となく現地を訪問し、泥や流木、瓦礫で埋め尽くされた球磨川流域の変わり果てた姿を目の当たりにしました。 私は、胸が張り裂けるような思いで、なぜこの災害を防げなかったのか、なぜ多くの人命を守ることができなかったのか、自ら問い続けました。 そして、想定を超える豪雨に対して、今回のような洪水被害を二度と生じさせないことを決意いたしました。 その上で、将来に向かって球磨川流域の安全、安心を築き上げること、さらには球磨川の豊かな自然の恩恵を享受できるようにすることを私に課された4期目の使命として、全身全霊で取り組んでまいります。 次に、検証の方針についてお答えします。 今回の洪水被害を受けて、8月25日に、国、県及び流域市町村で構成する令和2年7月球磨川豪雨検証委員会を設置いたしました。 本委員会では、今回の降雨量、河川の水位、被害状況、浸水範囲、氾濫形態及び洪水流量の検証を行います。 さらに、発生後の初動対応やダムによらない治水対策の評価、仮に川辺川ダムが存在した場合の効果などについても、網羅的に検証を行います。 第2回委員会は、10月上旬の開催を目途に調整を進めております。 検証に当たっては、国、県及び流域市町村が保有するデータなどを基に、時間的緊迫性を持って、客観的な事実を確認し、科学的な検証に取り組んでまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) この夏、豪雨被災地の現場に何度か足を運ぶ機会がありました。被災された皆様からは、川辺川ダムがあったならば、浸水被害はここまでひどくならなかったのではという御意見を多数いただきました。ダムがあったならば、5メートルの浸水は3メートルに軽減できたかもしれないし、3メートルの地点は1メートルで済んだかもしれない。これはあくまで感覚的な意見ですが、人間の感覚は、案外当たっていることが多いのかもしれません。私は、そうですねとしか答えようがなかったわけですが、ぜひ県には、あらゆる角度からの科学的な検証、そして流域住民の皆様の御意見を踏まえた上での柔軟な対応をお願いしたいと考えています。よろしくお願いします。 次の質問に参ります。 県産和牛、馬肉の振興について質問いたします。 私は、本年度、農林水産常任委員会に所属しています。8月4日に行われた臨時会では、県内農林水産物への新型コロナウイルスによる影響に関する報告が行われ、その対策について審議が行われました。 報告によると、牛肉、スイカ、花卉、馬肉、茶、天草大王、水産物、メロン、イグサの9品目で、1月から6月までの6か月間で約70.8億円もの需要減少が生じていました。深刻な販売不振の状況にあります。 今回の質問では、県内主要農産物の中でも、特に牛肉と馬肉に絞って質問を行います。 平成30年度の本県の畜産産出額は、1,147億円、全国で7位の産出額でした。うち、肉用牛の産出額は430億円で全国4位、馬肉の枝肉生産量は1,577トンで全国1位でした。本県は国内有数の畜産県であることが、数字の上からも理解できます。 新型コロナの影響で、6月までに、牛肉では30.3億円の需要の減少が生じています。この金額は、9品目の減少額の42%を占める額でした。需要が減少した原因としては、海外からのインバウンドの減少及び外出自粛による飲食店などでの需要低迷などが挙げられます。ちなみに、5月、6月の和牛の価格は、前年比でキロ当たり500円以上も下落しています。販売価格の下落は、当然のこととして採算割れなどの問題を引き起こします。 本県は、和牛の需要喚起策として様々な施策を打っています。切れ目のない県産牛肉の広報、支援の拡充をうたい、8月補正予算では、学校給食への食材提供、肉用牛の生産基盤強化及びブランド力向上、県産牛肉指定店の新規開拓及び消費拡大または海外での銘柄確保及び輸出拡大などの施策を打っている最中です。 新型コロナウイルスは、畜産業を含む農林水産業全般に打撃を与えています。しかし、現在の日本が抱える様々な問題点が新型コロナウイルスによって浮かび上がったとも言えます。和牛の問題一つを考えてみても、それが言えます。 新型コロナウイルスを通して分かったことは、今や和牛は、一般的な日本人には手の届かない食材になってしまったということです。高級食材となった和牛を食べるのは、一部のお金持ちか、外国からのインバウンドのお客さんか、海外の富裕層であり、一般的な日本人は、ほとんど和牛を食べることはないという現実があるのだと思います。 現在、和牛の価格は、東京市場6月卸売価格、和牛A4でキロ当たり1,860円となっています。キロ当たり500円以上下がったといっても、今なお庶民には手が届かない高級食材と言えるのです。 では、一般的な日本人はどんな牛肉を食べているかといいますと、輸入牛肉と肉質面で競合しやすい乳用種去勢の牛肉や役目を終えた乳用牛などの国産牛か、アメリカ産やオーストラリア産の牛肉となっています。 国及び県は、毎年、畜産農家への予算を組み、各種補助金を拠出しています。本県の畜産関係の補助事業の予算額は、昨年度約18億円でした。毎年、国や県は、予算を組んで畜産農家を支援します。結果、生産された和牛は、最高品質の食材と言えますが、高級過ぎて、一般的な日本人では手が出ない食材となっているのです。 これは、考えてみればおかしな話と言えます。税金を納めている一般的な日本人が、補助金が投入されて生産された和牛をなかなか食べられない状況があるわけですから、おかしな話と言えるのです。 また、令和元年の食料自給率は38%でしたが、食料自給率の低下を嘆く声が時として上がりますが、一般的な日本人が食べられない高価格な和牛を幾ら生産しても、ほとんど意味がないのではと思えてくるわけです。本来ならば、おいしくて安全な国産和牛を一般的な日本人が普通に購入でき、かつ、和牛の生産農家も十分に利益が出る、それが理想と言えます。残念ながらそうはなっていません。 今回のコロナ禍で見えてきたことは、和牛に代表される日本の畜産業が抱える根本的な問題や矛盾だったのだろうと考えています。 では、質問に入ります。農林水産部長に質問します。 今回の新型コロナによって、日本の畜産業の脆弱さ、とりわけ和牛の問題点が浮き彫りになっています。コロナの影響が長期に及ぶとするならば、抜本的な畜産政策全般の見直しが必要になってくると考えています。 私としては、和牛に関しては、高級食材としての和牛と、一般消費者が普通に購入できる安全で割安感のある和牛との両立を図るべきだと考えています。割安感のある和牛を生産するのは難しい側面もありますが、補助制度の拡充や最新のIT技術の導入、低価格の飼料などで販売価格を下げることは可能と考えています。県が考える和牛の在り方はどうなのか、質問いたします。 次に、馬肉に関して質問します。 コロナ禍により、牛肉同様、馬肉の需要も減少しています。1月から6月までの6か月間で、馬肉の需要は、5.6億円減少しました。減少の原因は、海外からのインバウンド客の減少及び外出自粛による飲食店などの需要低迷にあります。 県は、その対策として、切れ目のない広報宣伝の拡充、馬肉の生産、流通の体制維持の支援を行っています。 馬肉は、本県と、国内ではほかに長野県などの一部の地域でしか見られない食文化と言えます。また、馬肉は、牛肉や豚肉や鶏肉のように一般化した食材とは言えないため、国の財政支援が基本的に得られない食材となっています。つまり、馬肉の振興は、国策としては行われていないため、県独自の施策として行う必要があるのです。また、このことが、馬肉の振興を難しくしている一因とも考えられます。 我が国における馬肉の供給量は、ここ10年ほど横ばいでしたが、国内生産量は、屠畜頭数の減少に伴い、減少傾向にありました。国内生産量の減少を確保するため、ここ数年は、馬肉の輸入が増加傾向にありました。平成30年の供給量は1万2,724トン、平成10年の供給量は2万7,724トンでしたので、20年で半分以下に減っていることが分かります。 国内生産量の減少に伴い、馬肉の輸入量は上昇傾向にあるとともに、平成30年の輸入馬肉の価格はキロ当たり約900円で、平成24年からほぼ倍増しています。つまり、国内産馬肉の供給量は減少し、価格が上がるという状況がありました。価格が上がりましたので、一般の消費者ではなかなか手が出ない食材になってしまったのです。そこに来て、今回の新型コロナウイルスです。 馬肉というのは、様々な難しい問題を抱えた食材だということが理解できるわけです。 そこで、質問に入ります。農林水産部長に質問します。 馬肉の国内生産量が減り、国内販売価格が上昇し、需要が減っています。しかも、国の支援はほとんど期待できない状態にあります。馬肉は、熊本の伝統的な食文化です。もちろん守っていかなくてはなりません。それを守っていくためにどのような有効な施策を考えているのか、質問いたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、県産和牛の在り方についてお答えします。 牛肉は、和牛、国産牛、外国産に区分され、和牛は、食肉公正競争規約において、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種及びこれらの交雑種と定められており、国内牛肉消費量の約16%と希少なものとなっております。 和牛が高額となるのは、その希少性に加え、生産、流通面にも理由があります。生産面では、交雑種など他の品種に比べ、肥育素牛価格や飼料が高額なこと、肥育期間が長いことによりコスト高になります。流通面では、他の農産物と異なり、食卓に届くまで、屠畜解体、部分肉カットなど多くの処理工程が必要で、その都度経費も生じます。また、季節によりロースやフィレ等の部位ごとの売れ筋が変わるなど、流通上の様々な要因により価格が決定されます。このようなことから、生産サイドの努力だけでは和牛の価格を下げるのは難しい状況にあります。 一方で、本県の肉用牛は、農業産出額全体の約13%、牛肉は、農畜産物輸出額の6割強を占めるなど、肉用牛、特に和牛の生産は、本県農業の核となる部門です。 そこで、県では、消費者ニーズを捉えた生産振興及び国際競争力のある畜産経営の確立を念頭に、価格、生産量、コスト、いわゆるPQCの最適化による和牛づくりに取り組んでおります。 具体的には、県産和牛の品質向上に向けては、赤身志向のあか牛、霜降り志向の黒牛と、特性に応じた家畜改良を進めるとともに、県産牛肉取扱店の新規開拓など、需要拡大、ブランド力強化に努めております。 生産安定に向けては、家畜導入、畜産クラスター事業等による生産基盤強化に引き続き取り組んでまいります。 コスト削減に向けては、コントラクター等の外部支援組織を活用した増頭によるスケールメリットを生かす仕組みづくりを進めてまいります。また、豊富な草資源を生かした熊本型放牧の推進、稲WCSなどを利用し、粗飼料と濃厚飼料を混合したTMRの給与、さらにはICタグを活用した放牧牛管理の省力化など、スマート農業によるコスト低減、省力化を図ってまいります。 今後とも、PQCの最適化を進め、稼げる熊本の畜産業の実現を目指すとともに、消費者ニーズに応えられる和牛の安定供給に取り組んでまいります。 次に、馬肉の振興についてお答えします。 馬刺は、本県を代表する郷土料理の一つです。近年は、高級食材として扱われるようになってきており、本県は全国第1位の生産県です。 しかしながら、馬は、他の家畜と比較し、効率的な生産が難しいことなどにより、飼養戸数、飼養頭数とも減少傾向で推移しており、現在、肥育素馬の大部分は、県外及び外国からの輸入に依存している状況です。 このため、放牧を行う繁殖雌馬の導入事業による増頭対策や家畜保健衛生所が繁殖診断や感染症予防の農家巡回を実施し、生産性の向上に取り組んでおります。 また、流通販売対策として、馬肉事業者が冷凍処理に取り組むための自主認証団体である熊本県馬刺し安全・安心推進協議会が平成24年に設立されております。 県といたしましても、当協議会加盟の食肉処理事業者等が行う馬刺の冷凍処理機器の整備に対し支援しております。 この協議会では、衛生管理向上のための研修会や消費拡大キャンペーン等に取り組んでおり、県でも、講師派遣や広報活動など、協議会と連携した取組を進めております。 今般、新型コロナウイルスの影響により、高級食材に位置づけられる馬肉の需要が激減しております。馬の屠畜が進まず、出荷を控えた肥育馬が滞留する状況となりました。 このため、馬肉生産緊急支援事業を知事専決により5月には予算化し、馬肉の冷凍保管及び保管後の出荷販売の促進を支援いたしました。これにより、減少していた馬の屠畜頭数は、6月頃から回復してきております。 今後も、協議会や生産者団体との連携を密にし、馬肉文化を未来に継承できるよう取り組んでまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 部長から大変詳しい答弁をいただきました。 蒲島知事が就任されてから、稼げる農業ということをうたってまいりましたが、全くそのとおりだと思います。稼げなかったら、もう本当に生産農家にとりましても厳しい状態が続くわけで、ぜひ行政は、稼げる仕組みをバックアップするのが役割だと考えています。 大変難しい問題ですが、普通の消費者が普通に和牛を食べられる体制の構築もぜひお願いいたします。 また、馬肉に関しては、本当、何も対策を打たないと、馬肉文化は消滅しかねない瀬戸際にあるんだと考えています。そうならないためにも、ぜひ県には、柔軟な発想でこの難局を乗り切っていただくことを期待します。よろしくお願いします。 次の質問に入ります。 オンラインによる学習の進捗度について質問いたします。 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍首相は、2月末に全国の小中高校などに一斉休校を要請しました。その後、緊急事態宣言が出され、全国の小中高校の休校は、長いところで約3か月間に及びました。 当初、一斉休校は、5月の連休明けには解除されるはずでしたが、4月22日に突如熊本市の大西市長が、全国の自治体に先駆けて、5月末までの休校延長を宣言しました。宣言は、ツイッターを使っての手法が用いられ、現場の教職員や生徒、その保護者にとっては、言わば寝耳に水の休校延長でした。その後、ほかの自治体も、熊本市長の延長に追随。賛否はともかくとして、結果として3か月に及ぶ長期の休校が実施されました。 3か月の授業の遅れを取り戻すためには、大変な労力が必要となります。6月に学校が再開されると、授業の遅れを取り戻すために、1日の授業時間を増やしたり、夏休みを短縮したり、体育祭や文化祭、修学旅行などの年間行事を取りやめたりと、現在でもなお試行錯誤が続いています。 学校が再開して、ようやく一息つきかけた頃の7月4日、本県では、県南を中心に豪雨災害が発生しました。中には、校舎が浸水し、授業ができなくなった学校もありました。教育現場の大変さは、想像以上のものとなっています。 政府は、3か月間の休校期間中、オンラインによる学習を推奨しました。また、政府は、オンラインによる学習の環境整備のため、小中学生全員にパソコンの端末を1台ずつ配るGIGAスクール構想を推進している最中です。GIGAスクール構想の総事業費は約4,300億円となっており、新型コロナの第2波や近年増加する自然災害に備えるため、目標を3年前倒しにして、今年度末までの整備を目指しています。 3か月の休校期間中、本県の小中高校でのオンラインによる学習の取組はどうだったのかといいますと、今年5月に県が実施した調査結果では、県内の2.9%の小学校、数にして7校で同時双方向型のオンラインによる学習が行われ、78.7%の小学校、数にして188校でインターネットを活用した教材が使用されていました。 中学校では、県内の2.6%の中学校、数にして3校で同時双方向型のオンラインによる学習が行われ、68.7%の中学校、数にして79校でインターネットを活用していました。 今年5月に県が実施した調査結果では、県立高校及び県立中学校では、63校中32%に当たる20校で同時双方向型のオンラインによる学習が行われ、63校全ての県立高校及び県立中学校でインターネットを活用した学習が行われていました。 同時双方向型のオンラインによる学習というのはどういったものかといいますと、パソコンの画面を通して、担任の先生が生徒と双方向でやり取りをする学習のことです。 このオンラインによる学習の環境整備が実に難しい大事業となっています。どこが難しいかというなら、まず、オンラインによる学習に積極的な自治体とそうでない自治体で温度差がありました。また、各家庭で考えても、パソコンを所有している家庭と所有しない家庭があります。さらに、光通信が通い、Wi-Fiが整備されている家庭と整備されていない家庭がありました。まず、そんな個々の事情にどう対応していくのかが問われました。 オンラインによる学習のハード面での環境を整備しただけでは話は終わりません。今度は、先生と生徒がそれを使いこなせるかどうかが問われることになります。また、どのメーカーのソフトを使ってオンラインによる学習をするかも問われることになります。 今回の休校期間中、同時双方向型の学習を実施したのは、先ほど申し上げた63校のうち20校であり、Zoomのみを使用した高校、中学校は16校でした。Zoomとユーチューブを併用した高校が1校、Zoomとマイクロソフト・チームズを併用した高校が1校、マイクロソフト・チームズのみを使用した高校が1校、Zoomとグーグル・ミートとユーチューブを併用した高校が1校ありました。残り43校の県立高校及び県立中学校では、同時双方向型の学習は実施されませんでしたが、インターネットを活用した授業は行われていました。 オンラインによる学習を実施するに当たって、学校によって導入するソフトが違っているわけですが、なぜそうなるかといいますと、明確な基準がないからです。県立高校及び県立中学校でさえ基準がない状態にあります。今回、小中学校までは調べませんでしたが、同じく基準がありませんので、どのソフトを使用するかは、学校現場の裁量に任せられている状態にあります。 もちろん、オンラインによる学習への過渡期であり、どのソフトが本当に適しているのか見極めている状況下でもありますので、早急に基準を作るべき時期ではないのかもしれません。 私も、最近、Zoomを使った会議に参加することが増えましたが、毎回、音声が届かなかったり、画面が止まったりと、様々なトラブルに遭遇します。小中高校生たちにとって、オンラインによる学習が普通のものになるためには、それ相応の時間や手間がかかるのではと考えています。 繰り返しますが、秋から冬にかけての新型コロナウイルスの再来や多発する自然災害に備えて、学校のオンラインによる学習の整備は、急務と言えます。 政府は、今年度末まで全ての小中学生が1人1台のパソコンやタブレット端末を使うGIGAスクール構想を進めていますが、国の補助は、1台当たり4.5万円に限られ、学校内の通信ネットワークの整備費は、半額だけです。また、現状では、端末の更新費には補助の見通しが立っていません。結果、これまでは、財政に余裕があるか、オンラインによる学習の重要性に理解がある首長を有する自治体でしか整備が進んでいない状況がありました。 以上を踏まえて、教育長に質問いたします。 現状、本県では、オンラインによる学習を行うための環境整備がどの程度まで進んでいるのか、質問します。 次に、現状では、どのメーカーのソフトを使うのか、また、どのような内容のオンラインによる学習を行っていくのか、平常時の活用方法などを含めて基準がありません。県は、どのような方針の下、小中高校でオンラインによる学習を推進していくのか、質問いたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、オンラインによる学習を行うための環境整備の状況についてお答えをします。 学校現場における状況では、本県の義務教育課程においては、今年度中に1人1台端末整備が実現する予定です。また、県立高校では、令和4年度からの1人1台端末の実現を目指しております。現在、3校に1校程度を先行実践校として選定し、来年1月末を目途に生徒用端末の整備を進めていくこととしております。 家庭における状況では、通信環境や端末がないなどの理由により家庭におけるオンライン学習が困難な世帯は、義務教育課程でおおよそ4人に1人、県立高校ではおおよそ10人に1人という状況です。 次に、オンライン学習を推進していくに当たっての基本的な考え方についてお答えをします。 オンライン学習は、例えば、大規模校と小規模校を結ぶ遠隔授業や家庭学習の支援など多様であります。また、同時双方向型の学習だけでなく、動画配信やデジタル教材等の活用などにより、日常の学習だけでなく、災害時等においても非常に有効であると考えております。 一方で、オンライン学習には、家庭の通信環境に加え、教職員の情報活用能力の向上などの課題があります。 これらの課題への対応として、家庭に通信環境が整っていない県立高校の生徒に対しては、8月臨時会と今定例会に提案しておりますモバイルルーターの貸出しを予定しております。さらに、取組が進んでいない市町村に対しても、県の取組を周知するなどの働きかけを行ってまいります。 また、教職員の情報活用能力については、ICT機器の初歩的な操作から授業での具体的な活用方法に至るまで、習熟度に応じて体系的に研修を行い、その向上を図ることとしております。なお、テレビ会議用のソフトに関しては、既に様々なソフトの導入が進んでおりますが、いずれにしましても、教職員の十分な活用能力がその前提となります。このため、オンライン学習のガイドブックを11月に作成し、ホームページ上に掲載するなどの支援を行います。さらに、市町村教育委員会や県立学校の要望に応じて、直接訪問し、研修や助言等を行ってまいります。 今後、学校関係者や情報の有識者による熊本県教育情報化推進会議での議論を踏まえ、オンライン学習を含むICT教育の着実な推進に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 教育長から答弁をいただきました。 小中学校では、今年度中に1人1台の端末整備が実現し、県立高校では、令和4年度から1人1台の端末の実現を目指すという答弁をいただきました。学校現場で学習の在り方が本当に大きく変わっていくであろうことが理解できます。子供たちがパソコンを使って楽しい授業をしている姿が想像できます。個人的には、日本の未来は明るいなと考えています。 教育現場では、様々な困難や予期せぬ問題も生じることが予想されますが、一つ一つクリアしていくことを期待します。 それでは、最後の質問に参ります。 マイナンバーカードの普及と地方行政のデジタル化について質問いたします。 新型コロナウイルスは、日本が抱える様々な問題点を浮かび上がらせたとも言えます。以前から、日本では行政のデジタル化がかなり遅れていると指摘されてきましたが、まさにその問題が浮かび上がったと言えます。 4月20日、政府は、新型コロナウイルスの拡大を受けて、全ての国民に10万円の特別定額給付金を配ることを決定しました。申請方法としては、2つの方法が採用されました。1つ目は、郵送による方法で、世帯主が申請用紙に銀行口座などを記入する方法でした。つまり、アナログ的な申請方法です。2つ目の方法は、マイナンバーカードを持った世帯主がオンラインで電子申請をする方法でした。 当初、郵送による方法では、申請用紙が各世帯主に届くまでかなりの日数がかかりますので、オンラインによる申請のほうがはるかに早く給付金が入金されるだろうと考えられていました。しかし、結果としてそうはなりませんでした。 全国のかなりの数の自治体で、オンライン申請でトラブルが続出し、オンライン申請をした人の口座に給付金が入金されるまで、かなりの日数がかかってしまうという事態が続出しました。自治体の中には、途中でオンライン申請の受付自体を中止する自治体まで出ています。 郵送での申請のほうがオンライン申請より早く給付金が届くというブラックジョークのような事態が続出しました。行政手続のオンライン化をはじめ、地方行政のデジタル化が日本でいかに遅れているかが顕在化した事例となりました。 日本では、国益より各省庁の省益が優先されるとよく言われます。これには様々な理由が考えられますが、いまだに各省庁が職員を省別に採用していることなどがその主な理由として考えられています。内閣府が一括して職員を採用して各省庁に人材を振り分けるのではなくて、各省庁が一括採用して省庁別に人材を育成するシステムになっています。すると、国益より省益を優先する行政になってしまうようです。 省益優先が続くと、どのようなことが起こるかといいますと、いわゆる省庁別の縦割り行政が推進されていくことになります。縦割り行政は、様々な弊害を生むと言われていますが、その一つに、省庁別に情報の管理の仕方が全て違ってくるという現象が指摘できるのです。 例えば、税金に関しては財務省管轄下の国税庁が管理し、年金は厚生労働省が管理する、パスポートは外務省、運転免許証は警察庁、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省、医療、福祉は厚生労働省といった具合に、事案ごとに管轄が分かれています。 省庁別に情報を管理する、これが日本の行政の特徴とも言えるのです。つまり、日本では、個人情報が全て省庁別にばらばらに管理されています。個人の納税額や免許証、病歴や通院歴、職歴や年金が省庁別に管理されてきたわけです。 また、各省庁が情報を管理するために用いてきたシステムもばらばらでした。日立のソフトを採用するのか、富士通なのか、ソニー製なのか、IBM製なのか、はたまたマイクロソフト製なのか、ばらばらで管理してきましたので、壮大な無駄が発生してきたと言われております。 政府は、何もしてこなかったわけではなくて、壮大な無駄をなくすべく、マイナンバー制度を創設しています。このマイナンバー制度は、平成28年1月から本格運用が始まっています。4年8か月が経過し、現在どうなったか。令和2年8月1日現在で、マイナンバーカードの人口に対する交付枚数率は、全国平均が18.2%、熊本県は19.0%でした。いまだ本県では、8割を超える県民がマイナンバーカードを取得するに至っていません。 では、なぜマイナンバー制度を普及させる必要があるのかといいますと、以下の理由になります。以下の理由は、第32次地方制度調査会が出した「2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」の概要に基づいています。 答申では、まず、基本的な認識として、2040年頃にかけて人口減少や高齢化などの人口構造の変化が大幅に進み、同時に更新時期の到来した社会資本インフラの再整備をどうするかの問題が増加、さらに加えて、支え手、担い手の減少など人的資源制約に伴い、地域社会の持続可能性に関する様々な問題が顕在化することが予測されていますとあります。 また、今回の新型コロナウイルス感染症の対応を通じ、住民に身近な地方公共団体が提供する行政サービスの重要性や人、組織、地域がつながり合うデジタル社会の可能性が広く認識され、同時に人口の過度の偏在に伴うリスクが浮き彫りになりましたとありました。 結果、答申では、地方行政の在り方を変化やリスクに適応可能なものに転換する必要が生じていると結論づけていました。 続いて、答申では、地方行政のデジタル化にも言及しています。国、地方を通じた行政手続のデジタル化の必要性を訴え、地方行政手続のオンライン化をはじめ地方行政のデジタル化は、住民が迅速、正確に行政サービスを享受するために不可欠と言えること、そのためには、国、地方共通の基盤であるマイナンバー制度の活用とマイナンバーカードの機能発揮を通じた普及を図り、行政手続のデジタル化を推進する必要性を訴えていました。 答申の内容は、個別具体的にさらに続きますが、要は、マイナンバー制度を基盤としてデジタル化をさらに進めよと提言しているわけです。 では、質問に入ります。企画振興部長に質問します。 今回、国は、地方自治体に対して、第32次地方制度調査会を通す形で、マイナンバー制度を通じたデジタル化を進めるべきであるとした答申を打ち出しました。 本県では、マイナンバー制度の活用はどこまで進んでいるのか、また、マイナンバーカードが普及しない限りは、デジタル化の本来的な機能は有効活用できないわけですが、いつまでにどのくらいの普及を目指すのか、また、将来的にどのように行政のデジタル化を進めていくのか、質問いたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) マイナンバーカードは、個人番号のほか、電子証明書がICチップに登載されており、本人確認として民間も含め幅広く利用が可能であります。例えば、カードを利用して住民票等をコンビニで交付する取組につきましては、県内の13市町村で導入されておりまして、県民の70%以上の方が利用できる環境が整備されているところです。 一方、議員御指摘のとおり、本年8月現在におけるマイナンバーカードの交付率は、全国及び県内ともに20%以下にとどまっているところです。 県内の全市町村においては、国の交付枚数の想定に沿って、今年度末までに50%以上、令和4年度末までにほとんどの住民がカードを保有することを想定した計画を策定しています。 県としても、国や市町村と連携し、カードの利便性、安全性に対する理解促進を図るとともに、市町村の普及拡大に向けた取組の支援に努めています。 また、国では、この9月から、マイナンバーカードを使って買い物等に利用できるポイントを付与するマイナポイント事業を展開しています。さらに、来年度には、健康保険証としての活用が開始されるなど、様々な利活用が予定されています。 マイナンバーカードは、デジタル化による住民サービス向上を実現するための重要な社会インフラと考えています。 県民が利便性を実感できるよう、国の動向を見据えながら、市町村と連携し、マイナンバーカードを活用したオンラインでの行政手続の拡充などにより、行政のデジタル化を進めてまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 部長から、マイナンバーカードを本年度末までに50%以上、令和4年度末までにほとんどの住民がカードを保有することを想定した計画を立てているという力強い答弁をいただきました。 ちなみに、熊本県庁職員のマイナンバーカードの取得率は、今年3月末までで70.2%でした。すごく意識が高いなと思って感心した次第です。(発言する者あり)これから申請します。50%という数字が不可能な目標ではないと感じております。私も申請に行きたいと考えています。 御承知のとおり、菅総理大臣は、目玉政策としてデジタル庁の創設を掲げました。そのデジタル化を推し進めるために不可欠なのがマイナンバーカードとなるわけです。 県民に対しては、マイナンバーカードを活用することによって、今より便利で快適な暮らしが可能になること、また、デジタル化の推進は、行政のスリム化、効率化につながることをぜひ周知徹底していただきたいと考えております。 以上で全ての質問が終了しました。 御清聴、最後までありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明25日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第5号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時2分散会...