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09月23日-03号

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  1. 熊本県議会 2020-09-23
    09月23日-03号


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    令和2年 9月 定例会               第 3 号              (9月23日)  令和2年   熊本県議会9月定例会会議録     第3号令和2年9月23日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第3号  令和2年9月23日(水曜日)午前10時開議 第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 第2 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 日程第2 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            早 田 順 一 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工観光労働            藤 井 一 恵 君     部    長     理    事 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   上 野 晋 也 君     会計管理者  本 田 充 郎 君     企業局長   藤 本 正 浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  岸 田 憲 夫 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(池田和貴君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 代表質問 ○議長(池田和貴君) 日程に従いまして、日程第1、18日に引き続き代表質問を行います。 公明党城下広作君。  〔城下広作君登壇〕(拍手) ◆(城下広作君) 改めまして、おはようございます。公明党の城下広作でございます。公明党の会派を代表して質問をさせていただきます。 まず、質問に入る前に、7月の豪雨で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。 また、本日の質問の項目は、この7月豪雨の検証、この角度と、そしてコロナ禍においての今後の取組、さらにいろんな形で頑張らなきゃいけないんじゃないかということで、これを中心に質問させていただきたいと思います。そして、知事の4か年戦略、このこともまた触れさせていただきたいと思います。 今日は、知事の横の席を見てみますと、ちょうど田嶋副知事の横に空席がありまして、ソーシャルディスタンスかというふうに思っていたんですけれども、いろいろ訳があって空席になり、ここが空席だと隙間風が吹くものですから、早く埋まったほうがいいなというふうに思っていますけれども、まあ埋まる予定ということは報道でいろいろ聞いておりますので、しっかり新たな体制で、また蒲島県政頑張っていただきたいというふうに思います。 また、今日は、代表質問だと知事の答弁というのが基本的には主流になるんですけれども、より多くの執行部の皆さんにも答えていただきたいということで、数名の部長さんにも答弁をしていただきます。ちょうど連休のこの4日間、大変天候にも恵まれて、ある意味では秋空の健やかな日でございました。今日もそういう分でございますけれども、ぜひ答弁もすがすがしい答弁で、私が今日は満足して終われるように、よろしくお願いをしたいと思います。 では、もう時間もだんだんなくなってきますので、早めに質問に移りたいと思います。 まず、第1点目でございますけれども、球磨川流域における雨量の検証と治水対策について、そして県下1級河川の今後の治水対策についてお伺いをしたいと思います。 本年7月の豪雨は、過去に球磨川で起きた氾濫とは比べものにならない規模でした。昭和40年7月に球磨川を襲った洪水を当時の映像や写真で拝見しましたが、ただただ驚くばかりで、川が暴れると本当に怖いと心底おびえ、自然の怖さを改めて痛感していました。 その球磨川がまた氾濫したと聞き、同僚議員と、氾濫翌日の7月5日、人吉市に現地視察に行きました。清流と霧が似合う人吉市内の風景は、私が知る城下町ではありませんでした。こんなところまで水が、1階の屋根に水草が絡まる様子を見て、これが現実であることを疑うばかりでありました。 雨がやみ、球磨川の水が引き始めた頃、大粒の汗をかきながら、変わり果てた我が家の泥かきに一心不乱に取り組む方々の姿を拝見したとき、政治の力で一日も早い復興を手助けしなければと決意しました。 その後、何回か人吉市をはじめ流域の市町村を訪ねますと、被災者との会話から、ここまで水が来るとは思わなかった、流れが速くて、逃げるのが遅かったら命がなかったかもと、生々しい話とともに、ダムがあったらここまで水は来なかっただろうと悔しさをにじませる方、ダムがあってもここまで水が来るとどうしようもなかっただろうと諦め顔でつぶやく方など、悲喜こもごもでした。 先週の代表質問で、自由民主党の松田議員くまもと民主連合の鎌田議員がそれぞれ川辺川ダム問題に触れられました。特に松田議員は、球磨川流域の住民でもあり、地元の声を反映しての意見だったとも理解しています。 私は、このダム問題は、今後の球磨川流域市町村まちづくりや生活に大きく関わる重要な問題だと認識しています。 例えば、今回の洪水で、球磨川に架かる橋が10橋破損、落下しました。いずれの橋も、住民にとってはなくてはならない施設ですが、ありがたくも今回の復旧は国が直轄事業で行うことになり、財政面や技術面、それにスピードの面で大変安心感が得られます。 ただ、問題は、この橋の復旧方法で、災害復旧の原則である原形復旧で進められるのか、それとも球磨川の計画流量など根本的な見直しを行い、策定する新計画の下で復旧するのか、大変気になります。仮に、新計画に基づき復旧するとすれば、橋や堤防の高さから設計し直す必要が生じ、復旧が遅れてしまう可能性があります。 そこで、今後重要になるのが、8月25日に第1回が開催された球磨川流域災害対応の検証を行う球磨川豪雨検証委員会の行方です。その中では、ぜひ科学的根拠に基づいた、誰もがその内容を理解、納得できるようなデータを示していただき、それに基づき、球磨川流域の今後の治水対策が決まることを望みます。 そこで、第1点目の質問ですが、私は、第1回の検証委員会の論議を聞く中で、分かりにくい点がありました。例えば、ダムの有無による流量の違いについて、人吉地点でのピーク流量が毎秒8,000トンであったが、川辺川ダムがあれば4,700トンまで軽減できたと説明がありました。しかし、専門知識のない一般市民は、流量で示されても状況がイメージできません。例えば、球磨川流域の各地点での水位の差を示していただくほうが、誰にでも分かりやすく、今後の治水対策を自分のこととして考える際の判断材料になると思います。 そこで、次回以降の検証委員会において、県は、これまで私が述べた視点も含め、どのようなデータを国に求めていくのか、お尋ねします。 また、今回の水害は、人吉地点でのピーク流量が昭和40年の1.5倍に及んだと言われていますが、最近、国は、L2、洪水浸水想定区域、1,000分の1の作成を地方自治体に呼びかけています。今回の洪水は、L2までには及んでいません。国は、温暖化などの影響で異常気象がないとは言い切れず、L2の作成をお願いしていると思いますが、今後の論議の中で、どのようにして安全基準を定め、それに基づく治水対策を求めるのか、県としての立場をお示しいただければと思いますが、いかがでしょうか。 次に、第2点目の質問ですが、7月の豪雨は、特に球磨川流域を中心に発生しました。仮に、この豪雨が県下のほかの1級河川、緑川、白川、菊池川において発生していたら、どのような状況になっていたのか、大変気になります。 この問題については、本年9月の熊本市議会で、我が党の藤永議員が、白川における想定について質問しました。その結果、白川では、0.5メートル以上の浸水が熊本市内96校区のうち48校区あると答弁がありました。熊本市内の半分の校区が浸水することになります。 そこで、そのほかの県内1級河川における想定について、県としてはどのように認識しているのか、また、1級河川は国管理とは承知しておりますが、今後の治水対策についてどのように対処していくお考えなのか。 以上2点、蒲島知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、球磨川流域における雨量の検証と治水対策についてお答えします。 今回の洪水被害を受けて、8月25日に開催した第1回令和2年7月球磨川豪雨検証委員会では、今回の降雨量、河川の水位、被害状況、浸水範囲、氾濫形態及び洪水流量をお示ししました。 また、市房ダムの操作とその効果、ダムによらない治水を検討する場で積み上げた対策及び仮に川辺川ダムが存在した場合の効果もお示しいたしました。 このうち、洪水流量については、人吉地点におけるピーク流量の速報値をお示しいたしました。 次回の委員会では、精度を向上させた上で、人吉市や球磨村渡地区などの主要地点における流量と水位をお示しする予定です。 また、川辺川ダムが存在した場合の効果については、主要地点の流量、水位、浸水面積及び各種施設への影響などをお示しする予定にしております。 県としては、県民の皆様に分かりやすく検証結果をお示しできるよう国に求めるとともに、引き続き、時間的緊迫性を持って、科学的、客観的な検証に取り組んでまいります。 その上で、今回のような洪水被害を二度と生じさせず、将来にわたって球磨川流域の安全、安心が確保できるよう、国及び流域市町村と連携し、治水の方向性を導き出してまいります。 次に、県内の1級河川の今後の治水対策についてお答えします。 近年、全国各地で記録的な豪雨による大規模な氾濫が相次いでおります。堤防や河川掘削などのハード対策だけでは防ぎ切れない大洪水が発生し得るものと改めて認識する必要があります。 国土交通省は、本年7月に、今後の治水対策について、気候変動による災害リスクの増大に備えるため、流域全体で総合的かつ多層的に取り組む新たな治水対策である流域治水へ転換する考えを示しております。 県内の1級河川である緑川、白川、菊池川においては、それぞれの地域で、国、県及び流域市町村が連携し、流域治水を計画的に推進するための協議会が既に立ち上がっています。 今後の治水対策については、異常気象下における想定を超える豪雨に対しても備えていくことが必要です。 そのため、従来の堤防整備やダムなどによるハード対策や、避難体制の強化などソフト対策に加え、流域治水の考えに基づいた対策を推進することで、地域の防災力向上にしっかりと取り組んでまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 知事の答弁がありました。 やはり我々が、今後、川辺川ダムといいますか、いろんなことを知事サイドが検証するに当たっては、やはり誰もが納得するようなデータが全て開示されて、そしてそれを基に、やはりこれはダムが必要である、じゃあこれはダムによらない治水が必要であるということを、双方の考え方がある中で、いろいろとしっかりとした論議ができるためにも、ぜひ検証委員会では、大事なデータの開示を県からもしっかり訴えていくことが大事だというふうに思っております。 例えば、今の川辺川ダムの計画は、計画流量が7,000トン、しかし今回は8,000トンの、まあ学者でいえば8,500とか言われますけれども、それだけの流量があったと。そうしますと、そもそもその数字自体をまた見直すのかということも、今後考えられるか知りませんけれども、仮にこの数字がずっと上がっていきますと、実際にやることとして、橋の高さも変わる、道路の高さも変わると、これは簡単にまたできるのかなということもちょっと私はそういうふうに思いますし、いずれにしましても、安全度というのをどこに求めるのかということも、しっかり論議の中で検証できればというふうに思っております。 そして、今回は球磨川でしたけれども、それ以外の1級河川でも同じようなことが起こるということを考えたときには、そのほかの河川もしっかりと同時に対策を考えていただくということは、県全体として大事なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。 いずれにしましても、我が党としても、この問題は、この何か月間、大変大事な、ある意味では論議をしながら結論を出していきたい、やっぱり基本は、生命と財産を守るということをするためにはどうあればいいのかということを基軸として考えていきたいというふうに思っております。 では、次の質問でございますけれども、この河川の洪水に対して、では命をまず守るということに対しては、じゃあどういうことがあるかということで、その角度からちょっと述べさせていただきたいと思います。 避難勧告等の発令、ハザードマップの活用及び通信機能の強化についてでございます。 県の発表によると、今回の豪雨では、65名の方が亡くなり、2人の方は現在も行方不明であります。この数は、熊本地震のときの直接死50人を超え、今回の被害の大きさがうかがえます。 また、亡くなられた65名のうち、85%に当たる55名の方は、65歳以上の高齢者でありました。この中には、自力で避難できない、いわゆる要支援者以外も多く含まれており、決して避難ができなかったわけではなく、避難誘導の難しさが浮き彫りになったとも言えます。 一般的に、避難を決断する目安としては、やはりテレビやラジオ等で流れる気象庁の予報や市町村が出す避難情報を参考にすると思いますが、この情報に機敏に反応する方がおられる一方、高齢や肢体不自由、聴覚、視覚が不自由な方で、すぐには対応できない方々もおられます。また、健常者でも、日頃から災害情報にあまり興味を示さない方もおられるかもしれません。 こうした状況を踏まえ、命を守る行動を取っていただくために、避難誘導の在り方を改めて検証する必要があるのではないかと考えます。 まず、第1点目の質問ですが、災害対策基本法においては、避難勧告等を発令する権限は市町村長に付与されています。 私は、県下の防災情報をつかむために、県の防災情報メールを利用しています。そのおかげで、各市町村から警報が発令されるたびに呼出し音が鳴り、どの地域で何が発令されたかを知ることができ、大変参考になります。 ただ、疑問に思うことは、発令される自治体の順番にあります。例えば、今回の被害があった球磨川流域での市町村の洪水警報の発令で考えてみますと、上流に降った雨は下流に流れ込みます。そうなれば、上流のどの地域で大雨が発生し、中流部のどの地域から水かさが増し、その結果、下流部で氾濫の危険性が高まり、洪水警報の発令へつながると理解しています。 そこで、お尋ねします。 避難勧告等の発令は市町村長の権限ですが、災害対策基本法では、都道府県は、広域的な地方公共団体として、自ら防災に関する対策を実施するのみならず、市町村の事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う責務を有しているとあります。 そこで、今回の7月豪雨災害において、県は、市町村が出した避難勧告等の発令については、連携は取れていたのか、お尋ねします。 また、国は、南海トラフ地震発生時の大規模な広域防災拠点として熊本空港を選定するとともに、九州地方における政府現地対策本部候補施設として最も適しているのは熊本合同庁舎B棟としています。 本県も、九州広域防災拠点構想を打ち出し、県境を越える広域的な災害に備えて、防災拠点の整備に取り組んでいますが、今回のように県内で起きた災害については、それらの施設は、どのような位置づけで、どのような役割を果たしたのか、また、大規模な広域防災拠点として選定されているメリットについてお尋ねします。 次に、第2点目の質問ですが、大雨や台風など災害の発生が予想される場合には、自治体は、住民に対して、ハザードマップを参考にしてください、避難所等に避難してくださいと呼びかけられます。このハザードマップ、場所や地形に詳しい方には大変参考になるのですが、高齢者や地図そのものに苦手な方には、あまり機能しないと思います。 例えば、洪水が発生した場合、決められた避難所に行こうとしても、当日の浸水状況次第では通行できないこともあります。いわゆる地図上と現場は、災害時において、何が起こってもおかしくないということです。 大事なことは、ハザードマップを目安として、災害の種類により、どのタイミングで、どこに避難すればよいのか、自分自身で理解し、素早い行動を取ることだと思います。それを手助けするのが国や市町村が作ったハザードマップなのですが、果たしてどのくらい住民に理解されているか、疑問に思います。 例えば、今回の人吉市での豪雨被害、国が示す想定最大規模、L2での浸水高は、青井阿蘇神社辺りでは5メーターから10メーターと予想されていました。仮に、今回の場合、いつ、どこで、どのくらいの雨が降ると、国が示す高さに青井阿蘇神社付近がなると理解していれば、住民誰もが避難することをためらわなかったと思います。 そこでお尋ねしますが、災害に関する情報は、国、県、市町村と、それぞれの管理下において情報を持っていると思いますが、こうした情報は、今回、共有され、有効に機能したのでしょうか、また、市町村が作るハザードマップについて、県の関わりはどのようになっているのか、お尋ねします。 次に、第3点の質問ですが、県と市町村を結ぶ通信機能についてお尋ねします。 今回の豪雨災害では、球磨地域振興局管内全域で通信障害が発生しました。原因は、八代―人吉間の通信幹線が別ルートで2重化されていましたが、その2ルートとも被災したことであり、その結果、固定電話、ファクス、インターネット等が3日間ほど使えない状況になりました。 言うまでもなく、被災直後は、安否の確認、被災状況の把握などでなくてはならないのが通信機能であります。取りあえず、障害発生時は、防災行政無線衛星携帯電話、一部携帯電話などで対応されましたが、不自由はあったと聞いています。 そこで、今後の通信機能についてお尋ねしますが、例えば、今回の八代―人吉間の通信回線、1つは山間部、もう一つは球磨川の橋梁に共架した有線回線でした。御承知のとおり、橋が数か所流されました。その一つの橋に大事な有線が共架されていたのです。もう一つの山間部にある有線も、いつ復旧に時間を要する被害に遭うか分からない状況だと聞いています。いずれにしましても、大変重要なインフラであり、何重もの備えが必要だと思います。 そこで、球磨地域振興局管内はもとより、その他の県内地域振興局管内においても、民間の通信会社等と連携して通信機能の強化を図っていくべきと考えますが、今後の対応をお尋ねします。 以上3点、白石知事公室長にお尋ねをいたします。  〔知事公室長白石伸一君登壇〕 ◎知事公室長(白石伸一君) まず、1点目の避難勧告等の発令についてお答えいたします。 避難勧告等は、国のガイドラインに沿って、各地域の雨量や河川水位、土砂災害警戒情報等気象情報に基づき、発令エリアタイミングも含めて、各市町村の総合的な判断の下に発令されております。 県では、市町村が適切に避難勧告等を発令できるよう、これまで毎年、市町村長向けトップセミナー担当者向けの実務研修を開催してきました。 また、県と各市町村が相互に避難勧告等の発令状況や避難所開設状況などをオンタイムで確認できるよう、今年度から新たに、熊本県防災情報共有システムの運用を開始しました。 7月豪雨の際も、このシステムを活用し、避難勧告等の情報を市町村と共有するなどの連携、支援を行いました。これらを含む初動対応につきましては、次回の球磨川豪雨検証委員会で検証するよう準備を進めているところでございます。 県としましては、今後も引き続き、できるだけ速やかな関係情報の提供、共有に努めてまいります。 次に、広域防災拠点の役割等についてです。 今回の豪雨災害において、阿蘇くまもと空港防災駐機場では、全国から参集した緊急消防援助隊警察航空隊の応援ヘリ17機を受け入れ、円滑な救助活動につながりました。 また、グランメッセ熊本は、県の物資集積拠点として、国からプッシュ型で送られた大量の支援物資を受け入れ、被災市町村に迅速に物資を供給いたしました。 このように、県内の施設が広域防災拠点施設に選定されたことなどにより、本県の防災拠点施設の整備及び体制強化が進み、災害対応力が向上したと考えております。 次に、2点目のハザードマップの活用等についてお答えいたします。 災害時において、それぞれの地域の災害危険度を適切に反映したハザードマップは、重要な役割を果たします。 基礎資料となる浸水想定区域の情報は、おおむね1,000年に1度程度の規模を上回る洪水を想定した平成27年の基準見直しを受け、平成29年5月に国管理河川、令和2年3月に県管理の水位周知河川の浸水想定区域が変更されています。この情報は、市町村にも提供されており、さらに国、県においても、それぞれのホームページで公表しています。 一方、市町村が作成する住民向けのハザードマップは、これらの変更に伴う見直しが終了していない市町村もあり、7月豪雨の際は、最新の浸水想定区域について、住民との情報共有が十分でなかった可能性も否定できません。 県といたしましては、今後、ハザードマップの見直しを終えていない市町村に対し、速やかな見直しと住民への周知を一層促すとともに、最新の浸水想定区域図の周知にも取り組んでまいります。 あわせて、実際にハザードマップを活用した避難訓練を実践するなど、住民のハザードマップへの理解を深め、活用が促進されるよう、取組の強化を図ってまいります。 次に、3点目の通信機能の強化についてお答えいたします。 7月豪雨災害では、御指摘のとおり、発災当初、球磨地域振興局管内全域において、固定電話やインターネット等が利用できなくなり、改めて災害時における確実な通信確保と通信機能強化の重要性を認識しました。 今後、民間の通信会社と連携して、地域振興局ごとの通信障害リスクを洗い出すとともに、通信回線の多重化やバックアップ電源の長時間化、さらには通信障害発生時の移動基地局車の設置など、通信機能の強化について検討を進めてまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) この避難勧告でございますけれども、やはりしっかりと、これを大事な自分のものとして捉えていくと。しょっちゅうとなると、もう安心し切って、まだ大丈夫だろう、大丈夫だろうというのが、結果的に命を落とすような形にもつながる可能性があるということで、しっかりと県は市町村と連携しながら、例えば、この間の台風のときも、みんな避難指示が出ているけれども、ある市町村だけ全然出てないところがあったと、かなりこれは認識のずれがあって、そういうときには整合性があるのかなということで、そのときにやっぱり県の役割として、各市町村に、それが今出てない場合、周りが出ていて出てない場合には、なぜなのかと確認しながら、そしてその認識を問いただしていくということは大事だなというふうに思います。 それと、九州防災拠点、全くこれは東南海での想定としてつくってあるんですけれども、自分の県であったときに、果たしてそれが何かプラスになるのかなと確認しましたら、いろんな意味でいろいろプラスになっているということを聞いて、防災拠点ということの部分で、非常にこれは大事なことだなと新たにしました。 それと、ハザードマップですけれども、作ればいいというものではなくて、これが生かされるということで、作ったら安心して住民は理解するだろうと、なかなかそれを理解してない、だから結果的にこれは絵に描いた餅になるというケースが大いにあります。 特に、国がL2というのは、1,000年に1度の想定という分です。まさかここまで来ないだろうというのがL2だから、なかなかなじみがないし、これを作っていない市町村がたくさんまだありますよという答弁でありました。 それは、国は作りなさいというふうに言っております。ですから、作ってないところは、しっかりとそういうことを作りながら、洪水の認識を高めるというような形が大事じゃないかなというふうに思います。 では、次の質問に入りたいと思います。 住まいの確保と住民移転についてでございます。 地震、台風、豪雨災害等で家屋の倒壊や浸水に見舞われれば、住宅の再建や改修ができるまでは、避難所をはじめ、建設型仮設住宅や借り上げ型みなし仮設住宅、公営住宅、また、身内を含め、どこかに身を寄せなければなりません。 今回の7月豪雨では、県南を中心に7市町村で、全壊1,469世帯、大規模半壊2,791世帯、床上浸水1,631世帯が被害に遭い、当面もしくは長期にわたり住まいの確保が求められます。先ほどの数字は、9月9日現在でございます。 このような状況を受け、県は、8月19日、応急仮設住宅の必要数を最大2,000戸とすると発表しました。既に、ムービングハウス等を設置し、住まいの提供がなされているところもありますが、ほとんどはこの秋に完成予定で、とにかく被災者の状況を考慮すれば、一日も早い住まいの確保が求められているのは確かです。 そこで、第1点目にお尋ねしますが、特に住まいの確保となれば、建設型住宅の役割が大きくなりますが、この最大の障害となるのが場所の選定であり、用地の確保であります。 これを、災害が発生してから準備に取りかかりますと、人手の確保、場所の選定、用地交渉と、ハードルは高くなり、場所によっては、必要とみなされる住宅の確保が難しくなることも起きてきます。これらは、過去の災害や熊本地震の経験で学んできたことでもあります。 そこで、この問題を解決するため、各自治体は、平時より災害を想定し、災害時用の住宅用地確保や空き家の状況等を把握していると思いますが、今回の被災地での状況、具体的には、建設型仮設住宅の建設に当たり、事前に用地が確保してあった割合と災害後に用地を確保した割合はどうだったのか、また、県としては、用地の事前確保についてはどのように考えておられるのか、お尋ねします。 また、近年、空き家の有効活用が叫ばれ、各自治体も、日頃より空き家の調査に力を入れていると思います。今回の災害で、空き家も相当被害を受けたと聞いていますが、被害を受けていない空き家は、住宅確保の大事な候補となります。 そこで、今回の災害で、空き家の活用状況についてはどうだったのか、また、今後の災害発生時における空き家の利活用について、県の考えを渡辺健康福祉部長にお尋ねします。 次に、住民移転についてお尋ねします。 私は、人吉・球磨地方または八代地域の山間部の歴史や文化を熟知しているわけではありません。その地域ごとの関わり、町並みが形成された歴史、幾つもの沢に点在する住宅、その一つ一つに歴史があり、人々のつながりや生活があったものと理解しています。 今回の7月豪雨に関連する報道の中で、特に印象に残った記事があります。それは、地元住民への取材時の言葉で、水害は怖いが、球磨川は怖くないし、球磨川は悪くないとのくだりでした。この言葉は、その地域に住んでいる人しか使えない、意味深い言葉と感じました。 そこでお尋ねしますが、今回の水害は、過去の水害と比べても比較にならない被害をもたらしました。仮に、ダムやダムによらない治水対策が施されても、正確なことは言えませんが、何かしらの被害はあったと思います。 また、昨今の異常気象からすると、今回以上の豪雨に見舞われることもあり得る中で、例えば、ある地域では、将来のことを考え、今の場所を離れて、より安全な場所へ移動を考えておられる方もおられるのではないかと想像します。 私は、かつて自分の故郷である旧牛深市で、大島という離島の集団移転を取り上げたことがあります。やはり移転のきっかけとなったのは、度重なる災害、また、電気や水道、嵐の場合の交通手段など、インフラ整備の問題があったと聞いています。 そこでお尋ねしますが、今現在、住民移転に関する声や相談が県や市町村に届いているのでしょうか、また、県としては、今回被災した地域における住民移転についてはどのような御見解をお持ちか、水谷球磨川流域復興担当理事にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 被災者の住まいの確保についてお答えします。 災害で住宅を大きく損なわれた被災者にとって、まずは当面の住まいを確保し、居住の安定を図ることが何より重要です。 このため、発災後速やかに被災者に住まいを提供できるよう、県の地域防災計画において、市町村は、応急仮設住宅の建設予定地を確保し、県は、その状況を把握し、調整することとしています。 このことにより、今回の豪雨災害では、これまでに着手した仮設団地のうち、6割が事前に確保されていた用地での建設となっており、残り4割についても、自衛隊の待機地、災害廃棄物集積場等として予定されていた用地での建設となっています。 また、建設用地が不足する市町村では、近隣市町村から建設予定地を提供いただき、建設に着手することもできました。 引き続き、災害時に仮設住宅の建設にいち早く着手できるよう、市町村と連携して建設予定地の確保を進めてまいります。 次に、災害時における空き家の活用についてお答えします。 多くの家屋に甚大な被害をもたらす大規模災害時においては、被災者の当面の住まいを迅速に確保する上で、空き家の活用は大変有効であると考えています。 そのため、県としても、市町村に対し、研修会等を通じて災害時における空き家の活用を働きかけてきたところであり、今回の災害では、いわゆるみなし仮設住宅として空き家を借り上げる申請が約20件に上っています。 現在、41市町村で空き家バンクが整備されていますが、これらの活用事例を広く紹介することにより、災害時にも活用可能な空き家の登録を進め、空き家の有効活用につなげてまいります。 引き続き、災害の発生に際し、被災者に対し迅速に住まいを提供できるよう、市町村と連携して、応急仮設住宅用地や空き家の確保など、平時からの備えに万全を期してまいります。  〔理事水谷孝司君登壇〕 ◎理事(水谷孝司君) 2点目の住民移転についてお答えします。 先月設置された球磨川流域復興局においては、現在、広域本部や地域振興局とともに被災市町村の復旧、復興に向けた取組に積極的に参画しており、連携強化を図っています。 私自身も、現地を訪問して被災現場や復旧状況を確認するとともに、住民移転についても、国も一緒になって地元の市町村長の皆様と意見交換するなど、状況や課題の共有を進めています。 このような意見交換の場などを通じて、今回の豪雨で被災された方々には、住み慣れた元の場所へ早く戻りたいという方がおられる一方で、より安全な場所で生活を取り戻したいという方、まだ気持ちの整理がつかないと言われる方もおられることが分かり、今後の進め方について、市町村と慎重に協議を進めています。 被災された方々には、個々に様々な御事情や御意向があります。安全、安心な暮らしの再建を円滑に進めるためには、それぞれの状況に応じた支援策を県や国が市町村と一緒になって整理し、各支援策の特徴を住民の皆様に説明した上で、今後の流域の安全確保に向けた方向性や取組を示すとともに、起こり得る自然災害のリスクも含め、十分御理解いただき、選択してもらうことが何よりも重要だと考えております。 既に、生活再建や町の将来像に関する意見を伺う住民アンケートや地区懇談会などを始めている市町村もあります。県としても、地域の方々の御意向をしっかり把握し、市町村とともに住民の皆様の御意向にきめ細かく応えてまいりたいと考えております。 被災された地域の方々の一日も早い安全、安心な暮らしの再建に向け、引き続き、寄り添いながら、丁寧に対応してまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 最初の建設型仮設住宅、災害が起こった後、用地を確保する作業をしますと。述べましたように時間がかかりますと、そのために、平時より、万が一あってはならないが、災害があった場合には、我が市町村ではここに災害公営住宅を建てるという備えをしておく、このことが大事だということでございます。 今回は、6割が事前に確保していた用地で建設型の住居を造ることができたということでございます。私は、これがある意味では限りなく100%に近くなるような形で事前に備えておくと、そうすると、一刻も早く建設型が着手できるということにつながると思います。ぜひ、これは、県下の市町村、仮に遅れているところがあれば、そういう考えをもう一度しっかり県もまた話をしていただければ、指導していただければというふうに思います。 それと、近年、人口減少で空き家がたくさん増えている中で、有効利用という言葉はばんばん走りますけれども、なかなか現実になると難しい。また、地方にあっては、誰も住んでいないけれども、そこにはやっぱり人に貸したくない、もしくは、逆に言えば自分たちが年に1回か2回帰るから、他人に貸すことは難しいとかいう状況もありますけれども、こういう災害という条件があれば、それは使ってもいいですよという、そういう心が変わる可能性もあります。こういう運動も、今後は空き家を有効活用するのには、利用することが大事じゃないかなというふうに思います。 そして、住民移転の問題は、大変これは難しい問題で、そこに住んでいる方しか最終的には判断できないことでございますけれども、しかし、いろいろ災害が近年多い中で、極端に言えば山の上に1軒とか、極端に言えば土砂崩れが間違いなく来るだろうという近くにいる人はなかなか危ないから、ちょっと肩をたたいてこちらのほうに移動するということも協議していく、こういうことも少しはあってもいいのかなということで、いずれにしましても、住民の皆さんに寄り添って、希望に応えられるような政策をしっかり県としても今後頑張っていただきたいというふうに思います。 では、災害関連では最後の1点になります。 山腹崩壊を防ぐ森林整備等と太陽光パネル施設の管理についてお尋ねをします。 7月の豪雨災害に当たり、私は、県下で特に被害の大きかった市町村を視察してまいりました。具体的には、県下に10か所の振興局がある中で、7か所の振興局管内の被災現場に足を運びましたが、特に印象に残ったことは、自然林や人工林から成る山々が、山頂から大きく地滑りを起こし、大量の土砂と流木で山肌をえぐり、あるところは人家をなぎ倒し、貴い人命を奪い、悲しみが残る無残な光景でした。 特に、今回豪雨災害が発生した球磨川流域の山々は、人工林が多く、大量の人工林が流木となり河川に流れ込んだ結果、橋などに詰まり、大きな被害を与えました。過去にも、豪雨に見舞われるたびに、全国はもちろん、県下の山々はこのような光景が見られ、多くの犠牲を払ってきました。 そうした被害を受けるたびに、本県は、復旧に尽力し、さらに人工林の間伐や渓流部の危険木の除去等の森林整備も進め、また、森林を守るため、針葉樹や広葉樹が適度に入り混じった森林へ誘導することや広葉樹林化を図るなど、多様な森林づくりにも推進してきたと理解しています。 そこで、第1点目の質問ですが、これまで、様々な方法で、ある程度の災害に耐えられるよう森林崩壊対策や流木対策を取ってこられましたが、最近は、地球温暖化などの影響により、全国的に今までに経験したことがない大規模災害の発生が多くなり、今後ますます増えると予想されています。そうなれば、今後、県内においても、7月に起こった同規模の豪雨災害が十分に起こり得るかもしれません。そのたびに、また同じ被害が発生するのは絶対避けなければなりません。 そこで、今後取るべき対策として、私は、今までに取ってきた森林崩壊対策をさらに強力に推進していくべきと考えていますが、今後の取組方針についてどのように考えておられるのか、竹内農林水産部長にお尋ねします。 次に、第2点目の質問ですが、県下に設置してある1メガ以上の太陽光パネル設備の災害時における安全性についてお尋ねします。 この太陽光パネル問題は、以前、運営会社の倒産等により、太陽光パネル設備の適正管理が行き届かず、最終的には環境破壊の温床になる危険性を心配した質問を行った経緯があります。 ちなみに、私は、太陽光パネル設備の存在について、決して否定的な考えを持っているわけではありません。むしろ、自然エネルギーの有効活用としては、最も身近で優れた利活用方法だと理解しています。ゆえに、管理者は、適正管理に真面目に取り組まなければならないと考えています。 今県下では、1メガ以上の設置の許可を受けているのが263か所あり、そのうち193か所が稼働している状況です。私も、県下を動き回るとき、こんなところにもある、この規模はすごい、こんな斜面に造って大丈夫だろうか、のり面崩壊はしないだろうかと、独り言を言いながら拝見していました。 そこで、7月豪雨により県下の1メガ以上の設置場所での被害状況を調べたところ、8市町村10か所で、パネルフェンスが土砂で埋もれたり、水没したり、また、パネル架台の基礎部分の地盤沈下や敷地内ののり面崩壊などで農道に土砂の堆積を発生させたりと、被害を受けているようです。 やはり、太陽光パネルが設置された場所は、以前は山林や畑地等の場所が多く、こうした場所は、ある程度の雨であれば、浸透能力が働き、被害を受けにくいのですが、大雨の場合は、直接パネルに雨水を受け、浸透する間もなくそのまま地面に流れ込むことから、のり面崩壊等が起きやすい状況となるようです。 そこで、今後起こり得る豪雨に対して、設置者は、より適正管理に努め、大規模災害を招かないような対応及び万が一被害が発生した場合の復旧費用の確保が求められます。それを担保する一つの方法として、行政と事業者との協定があると思いますが、現状では、現在稼働している全ての事業者とは結んでいないと聞いています。これは大変心配な状況だと思います。 太陽光パネル設置箇所の災害等における安全対策については、どのように考えておられるのか、藤井商工観光労働部長にお尋ねをいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 山腹崩壊を防ぐ森林整備等についてお答えします。 御指摘のとおり、昨今の集中豪雨等の頻発により、山腹崩壊の発生リスクも高まってきております。 このため、県民の安全、安心な暮らしを守るため、防災、減災に寄与する治山対策だけでなく、災害に強い森林づくりについても、強力に推進していくことが重要だと考えております。 まず、治山対策では、土石流発生の危険性が高い渓流や山地崩壊箇所について、国による平成30年度からの防災・減災、国土強靱化3か年緊急対策も活用しながら鋭意対策を進めており、土砂災害等の軽減に一定の効果を果たしてきました。 しかし、近年、毎年のように激甚な災害が全国各地で発生しており、このような自然災害の状況を踏まえ、より効果的な治山対策を講じていく必要があります。 そこで、山地災害危険地区における対策の重点化、流木災害に有効な流木捕捉式治山ダムの設置、既存施設の機能強化や老朽化対策などを積極的に推進し、山地防災力を強化してまいります。 次に、災害に強い森林づくりについては、これまで、人工林の健全な育成のための間伐を進めてきたほか、奥山等に放置された人工林については、強度な間伐を実施することで、針葉樹と広葉樹の混交林化に取り組んできました。 混交林化に当たっては、熊本地震や相次ぐ豪雨災害を踏まえ、急傾斜地や渓流沿いの整備を優先して進めるとともに、現地で発生した間伐材について、安定した場所に移動集積させることを徹底するなど、防災、減災を重視し、一昨年度から制度の見直しを行っております。 加えて、国も、山地災害危険地区等について、災害に強い森林づくりを優先して進めていくこととしており、平成30年度には、防災・減災対策を目的とした国庫補助事業を創設されました。県では、この補助事業も積極的に活用しながら、災害危険地区等における森林整備を進めることとしております。 今後とも、市町村をはじめ、林業関係機関と緊密な連携を図りながら、治山対策や災害に強い森林づくりを推進し、森林の総合的な防災機能を向上できるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔商工観光労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工観光労働部長(藤井一恵君) 太陽光パネル設置箇所の安全対策についてお答えします。 太陽光発電事業者は、再エネ特措法、いわゆるFIT法に基づき、国のガイドラインに沿って、設計、施工から事業終了までの事業計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。また、建設場所が林地の場合には、森林法の林地開発許可などの各種法令に基づく許認可の手続が必要です。 これらの許認可における災害等の防止に係る調整池の設置など安全対策については、発電事業者によって講じられており、関係部署が現地確認を行っています。 さらに、県では、議員御指摘のとおり、問題発生時には適切な対応を事業者に要請できる関係を構築するため、市町村と連携して、協定の締結を事業者に求めています。 この協定は、任意ではありますが、環境保全への配慮や発電施設の維持管理などの安全対策について、事業者の意識を高め、行動を促すもので、大変重要であります。実際に、メガソーラー建設地から濁水流出が発生した際には、協定に基づき対応を要請し、改善策が講じられた事例があります。 そのため、昨年度から、専任の職員を配置し、順次メガソーラー事業者等に対して積極的な働きかけを行ってまいりました。新たに41件の協定を締結し、現在までに122件となっております。 今後とも、安全対策などにつながる協定の締結に向け、全ての事業者に対してしっかりと働きかけを進めてまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 森林対策は、ぜひよろしくお願いいたします。 また、太陽光パネル、本当に協定を全て結んで、何かしら問題があれば、すぐさまちゃんと原形復旧、元どおり、また、周りに迷惑をかけた場合には、早急に対応してまいるということをしっかりとやっていただくためにも、協定というのは大事なことでございます。なかなかやられてない方の協定の締結にさらに頑張っていただきたいというふうに思います。 では、次からちょっとコロナに関係する質問をさせていただきます。 今年度初頭から新型コロナウイルス感染者が我が国で報告されてから、約9か月がたとうとしています。 発生当初は、まさかこんなに感染者が増え、影響が長期にわたるとは、感染症に詳しい知識を持ち合わせていない方々にとっては、私を含め、予想できなかったのではないでしょうか。また、今では、県下で1日に2桁の感染の報告がなされても、特段大きなニュースになることもなく、県民の皆様にも慣れが生じているのではないかと心配する声もあります。 しかし、新型コロナウイルスに感染しますと、一定の割合で必ず重症化する方はおられ、その中から死亡者も出ます。やはり、国が言う新型コロナウイルスを正しく恐れ、適切な行動を取ることが感染拡大の阻止につながるようです。 こうした状況を踏まえ、8月7日、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会が、感染状況を4ステージに分け、どのステージに当たるかを判断するための6項目の指標を提示しました。 これを各自治体は感染拡大措置の目安と位置づけ、複数の指標を総合的に判断し、対策を講じてほしいとの意図を持って打ち出したものと理解しますが、本指標作成前に、本県は、熊本市と合わせ、独自の基準、リスクレベルを5段階に設けており、結果的に、これは国が示す基準と違うことになります。ちなみに、県と市の独自基準では、現在、最高レベルのレベル4、特別警報に位置づけられています。 そこで、まず第1点目にお尋ねしますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止策については、国や県が出す具体的な指標が大きな役割を果たします。しかし、国と県の基準が違えば、県民は、どちらの基準が正しいのだろうか、どちらの基準で行動すればよいのか、迷うおそれもあります。 今の状況から言えば、二重基準と言われても仕方がないと思いますが、この現状についてどのように認識を持たれているのか、また、国や県の基準について、もっと分かりやすく、具体的な指示を出してほしいとの意見もありますが、メッセージの発信の在り方についてどのような考えをお持ちか、お尋ねをします。 次に、第2点目の質問ですが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、県民から多くの声を聞くのが、保健所の体制を強化する必要はないのかという声であります。 この問題は、さきの6月議会でも質問があり、答弁として、保健所の職員はここ10年減らしていないとの答弁があったと記憶していますが、あの時点から比べてみますと、県下でクラスター等も発生し、感染者数も当時と比べものにはならないくらい感染者が増えています。最近はちょっと減っていますけれども。また、正規の保健所の職員の数は、新型コロナウイルスの影響がなかったときの数であり、今の状況とは程遠いものがあると思われます。 このような現状に加え、仮に、今後、今回の事態が収束する前に新たな感染症、災害が発生した場合を想定すると、保健所職員の充実をさらに図るべきかと思いますが、どのように考えているのか、お尋ねをします。 次に、第3点目の質問ですが、PCR検査については、現状として、基本的に保健所が濃厚接触者とした方、医師が新型コロナウイルス感染を疑う方がPCR検査の対象となりますが、例えば、明らかに濃厚接触者と一緒に過ごされた行動歴があっても、濃厚接触者が陽性と判断されなければ新たな濃厚接触者とはならず、その間、自分自身から申し出てもPCR検査が受けられません。そのまま仕事など続ける場合、感染者を増やすおそれがあります。 このような状況を踏まえ、今後のPCR検査対象者の拡充についてはどのように考えているのか、お尋ねします。 また、最近では、PCR検査と同等の正確性のあると言われる検査方法も話題になっています。具体的に言えば、唾液を用いた抗原検査や神奈川県が導入を決めているSmartAmp法による検査であり、どちらも、PCR検査とは比べものにならないほど短時間で結果が得られると聞いています。このような検査方法の導入については、どのように考えておられるのか。 以上3点、蒲島知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の国が示した6つの指標と県の指標との関係についてお答えします。 こちらのスクリーンを御覧ください。(資料を示す) 国は、全国一律の基準で各都道府県の感染状況を把握することを目的に、8月に確保病床使用率やPCR陽性率など6つの指標を示し、4段階のステージ1から4に分けて、このステージに応じた対策を求めています。 一方で、国は、地方公共団体が、地域の実情に応じた判断の下、積極的な対応を行うことを期待しています。 本県においては、国に先んじて、4月に、感染拡大の兆しを早期に察知するため、独自の感染状況地域区分を定めました。この区分は、熊本大学の原田学長を座長とする専門家会議の意見を踏まえ、新規感染者数と感染経路が不明な、いわゆるリンクなし感染者の2つを指標としています。その後、6月からは、県民に分かりやすくするために、判断基準や対策例などについて、熊本市と整合性を持たせたリスクレベル、0からレベル4までといたしました。 国が定めたステージ分類では、全国一律基準での指標となり、人口規模、都市集積の状況が異なる大都市と地方では単純に比較できないため、本県の感染状況が正確に捉えられないおそれもあります。本県では、拡大傾向をより的確につかむため、独自のリスクレベルで運用し、感染拡大防止に努めています。 また、県では、県内における直近1週間ごとの感染状況を基に、専門家の御意見も伺った上で、毎週リスクレベルの発表を行っています。 直近の例で申し上げますと、9月8日から14日までの1週間の新規感染者数は22人、リンクなし感染者数が10人であったため、現在、レベル4の特別警報を維持しています。 今後想定される感染拡大に備え、国の指標も参考にしながら、県民にとってより分かりやすい指標となるよう改善を図るとともに、引き続き、先手先手かつめり張りの利いた対策をちゅうちょなく講じてまいります。 また、私は、日頃から、情報発信に当たっては、県民の皆様にタイムリーに、かつ分かりやすくお伝えすることを大切にしています。このため、毎週のリスクレベルの発表において、県民の皆様へのお願いとして、感染流行地域への移動を控えることなど、取るべき行動を具体的にお示ししています。今後とも、様々な媒体を駆使し、情報発信に努めてまいります。 次に、2点目の保健所の体制についてお答えします。 保健所は、県民の健康を守るためになくてはならない重要な機関です。7月のクラスター発生や豪雨災害に際しては、最前線において、これまでにない規模の積極的疫学調査や避難所における感染防止対策、熱中症対策など、大変大きな役割を果たしました。 今後も、感染が拡大する局面への備えや季節性インフルエンザの流行を見据えた地域医療体制の整備など、大変重要な役割を担っていく必要があります。 そのため、会計年度任用職員、いわゆる臨時職員を増員するとともに、クラスターや災害が発生した際には、本庁や他の保健所、他県からの保健師等の派遣により、一時的な業務増加に対応してまいりました。また、新型コロナウイルス感染症対策の負担軽減として、コールセンター業務や検体、患者搬送業務の民間委託を実施してまいりました。 今後も引き続き、保健所の体制強化と業務負担軽減を図り、大規模クラスターや災害発生にも即応できる体制を整えてまいります。 最後に、3点目のPCR検査対象者の拡充についてお答えします。 私は、新型コロナウイルスを県民一丸となって取り組むべき身近な危機であると考え、県民の健康と生命を守るために、強い覚悟を持って感染拡大防止に取り組んできました。 全国に先駆け、3月の早い段階で、検査対象者を、濃厚接触者だけでなく、患者の接触者で症状のない方にまで拡充したのも、感染拡大防止に必要であると判断したからであります。 今後とも、感染拡大防止のために検査が必要と判断した場合には、検査対象者の拡充を図ってまいります。 次に、PCR検査以外の検査方法の導入についてお答えします。 私は、感染の拡大が懸念されている中、県民の皆様に少しでも安心して暮らしていただけるためには、身近な医療機関において迅速に検査できる体制を整えることが必要であると考えています。そのため、地域におけるPCR検査センターの設置に加え、医療機関の検査機器の導入等に対し支援を行っています。 その際、医療機関が、国が認可した新しい検査方法の導入を希望した場合は、円滑な導入を支援してまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 知事の答弁は、パネルを使ってしっかり説明をしていただき、全体的にコロナ対策には自信をみなぎらせるような答弁だったと思います。結構頑張ってきたと知事は自信を持っているような感じで伝わりましたので、ぜひ今後も頑張っていただきたいと思います。 では、次に、専用病棟の設置についてお伺いしたいと思います。 新型コロナウイルス感染症に関する県民の不安の中には、万が一自分自身が感染した場合、どこの病院で治療を受けられるのだろうか、もし感染者が急増したら、病床の数は足りるのだろうかといった医療提供体制に対する不安もあります。 こうした県民の不安をなくすため、県は、新型コロナウイルス感染者の受入れ病床を最大400床確保し、軽症、無症状の方を受け入れる宿泊療養施設を1,430室確保して体制を整えています。また、圏域を越えた入院、転院調整を行う県調整本部を設置し、感染された方が安心して治療、療養ができる体制を県全体で確保しています。 県内での感染拡大が始まった7月下旬以降の状況を見ますと、8月6日に入院患者数のピークを迎え、156名の方が入院されています。入院病床が最大400床確保されており、県民の皆さんにこのことをしっかり説明することで、一定の安心はしていただけるものと思いますが、それでも今回、基礎疾患をお持ちの方について、入院までに時間を要したケースもあったとの報道もなされています。 また、今後の新型コロナウイルスの感染状況の行方は、これから冬場を迎えることを考えますと、予断を許さない状況にあると言え、この夏場の経験を踏まえながら、医療提供体制の充実を図っていくことが不可欠であります。 そうした中、今全国では、医療提供体制の強化策の一つとして、コロナ専用病院の開設が進められています。具体的に見てみますと、東京都では、9月中旬と11月中旬に2か所開設予定で、神奈川県や愛知県、大阪府でも、開設や開設準備が進められています。 このように、コロナ専用病院が開設される背景には、病床のさらなる確保のほか、日本集中治療学会理事長・藤田医科大主任教授・西田修氏が言われる、専用病院はコロナ患者と一般患者を分けて診療する必要がないため、患者の管理がしやすく、医療の質の向上が期待できますとの指摘が念頭にあると思われます。 こうしたコロナ専用病院は、都立や県立の総合病院が運営主体になることが多く、本県での実現は難しいと思いますが、コロナ患者と一般患者をしっかり分けて診療するという考えについては、大いに参考にすべきと思います。 特に、入院病床の安定的な確保、基礎疾患をお持ちの方の感染予防、一般の患者さんが安心して医療を受けることができる環境整備のためには、医療機関での院内感染防止対策の徹底が重要であり、そのために、まずは物理的に一般患者とコロナ患者が交わらないように、しっかり病棟を分けて診療を行う体制の整備が必要です。 そのために、今後の新型コロナウイルスの感染拡大を見据え、県内において、コロナ患者にしっかり対応できる専用病棟の設置を進めるべきと考えますが、蒲島知事の御所見をお伺いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 新型コロナウイルス感染症患者の専用病棟の設置についてお答えします。 県としましても、新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れる医療機関においては、院内感染防止の観点から、可能な限り専用病棟を設置していただくことが望ましいと考えています。 加えて、今後のさらなる感染拡大を想定した場合、県民の命を守るため、重症または中等症の患者に対応できる医療提供体制の整備をさらに進める必要があります。 国の基準では、酸素投与が可能な設備等を有し、一般患者の診療スペースから完全に隔離された病院内のフロアや区画を専用病棟と位置づけています。県では、この基準に基づき、専用病棟を確保した29の医療機関を、今月中に重点医療機関に指定します。 こうした取組により、専用病棟を継続的に確保し、入院患者の受入れ体制を強化することで、今後とも、県民の安全、安心につながる医療提供体制の充実を図ってまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) ぜひ、専用病棟というのは、コロナに感染された方も大変安心できるある意味では施設でございますので、29医療機関、新たに重点医療機関として指定していくということですけれども、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、事業所の関係者への連絡と誹謗中傷対策についてお尋ねをします。 新型コロナウイルスの感染者が事業所で確認された場合の対応について、気になる点がありますので、お尋ねします。 例えば、ある事業所で、新型コロナウイルス感染の疑いのある従業員が確認された場合、その従業員は、症状や行動歴の状況により、PCR検査がなされます。その結果、陽性となれば、その従業員の濃厚接触者や関係部署、場合によっては職場全体を対象としてPCR検査が実施されます。一方、事業所に出入りする事業所以外の関係者は、感染者が発生した場合、事実を知らなければ、通常どおり出入りします。仮に、その事実を知ることができれば、訪問を避けるなどの対応が取られると思います。 ただ、現状では、感染者が発生した事業所は、初期段階で事業所名を公表することはほとんどなく、その間、事業所外の関係者は、感染状況の情報がないため出入りは続くことが多く、結果的に感染するリスクを高め、クラスターの発生にもつながるおそれがあります。 そこで、事業所で感染者が出るなどした場合、できるだけ感染リスクを避けるため、事業所は、最初の感染者が出た段階で、出入りする関係者に対して感染状況を正確に伝え、注意喚起を促す配慮が大事だと思います。事業所からの感染拡大阻止の取組として、県はこれをどのように考えておられるのか、お尋ねします。 次に、新型コロナウイルスの感染者やその家族、また、感染のリスクがある従事者への誹謗中傷への対応についてお尋ねします。 この問題は、さきの6月議会において質問させていただきましたが、あえて今回も取り上げさせていただくのは、7月から8月にかけ、県下ではクラスターが発生し、その結果、家族感染が拡大し、特に児童生徒への感染が目立つようになったからであります。 通常より短い夏休みが終わり、2学期が始まりましたが、その間、感染者が出た学校では、消毒がされたり、臨時休校になったり、また、児童生徒にはPCR検査が行われたところもあり、関係する児童生徒にとっては、計り知れないほどのストレスがかかったのではないかと心配します。 9月1日、県教育委員会が発表した新型コロナウイルスが子供に与えた影響についての報告では、児童生徒の約3割が不安や悩みがあると回答したとのことでした。恐らくこの中には、自分や周囲の方々に対する誹謗中傷への不安も含まれていると思います。 また、7月、8月頃は、県下でクラスターが発生し、一気に感染者が増えました。児童生徒だけではなく、大人もストレスを抱える方が多くなり、また、今までにも増して感染の恐怖を抱く方が増え、その警戒心からか、感染者に対し厳しい視線を向け、誹謗中傷する方も増えてきたとも聞きます。 国も、こうした状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策分科会に偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループを設置し、9月1日には初会合を開催し、今後、医療・介護関係者からヒアリングを行う予定と聞いていますが、国が今までにない取組を行う背景には、相当ひどい誹謗中傷が蔓延してきたからだと思います。 先週、鎌田議員への答弁で、県内における誹謗中傷の実態及びその対策をお聞きしたところですが、他県においては、誹謗中傷等はしてはならない旨を条例の中で定めるところもあります。県民の皆様に安心してもらうためには、本県においても、何かしらの形で施策の方針等を明確に示すべきと思いますが、この点についてはどのように考えておられるのか。 以上、蒲島知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、感染者が確認された事業所への対応についてお答えします。 事業所内で感染者が確認された場合、感染を職場内で拡大させず、ひいてはクラスターにつなげないために、職場内での対策を徹底する必要があります。 そのため、事業所内での連絡体制や事業休止のルール、対策責任者や対応者をあらかじめ定めることを各事業所に要請しています。 なお、本県では、濃厚接触者が特定できず、感染拡大のおそれがある場合には、事業者の同意の有無にかかわらず、事業所名の公表を行うこととしております。 引き続き、気を緩めることなく、県民、事業者の皆様と一丸となって、感染拡大防止に取り組んでまいります。 次に、誹謗中傷対策についてお答えします。 本県においては、国内における新型コロナウイルス感染症の発生初期の段階から、新型コロナウイルス感染症に係る基本的対処方針を定め、人権に配慮しながら県民への感染拡大の防止や社会活動の継続を図っています。 また、県では、いかなる差別も許されないという理念の下、人権教育・啓発基本計画を定めており、人権が尊重される社会の実現を目指して取り組んでいます。 現在、第4次計画の策定を進めていますが、感染者等に対する偏見、差別への対応は、人権に関わる重要な課題であります。それらに対する取組等を明記した次期計画を本年中のできるだけ早い時期に策定してまいります。 感染された方や御家族、関係者の方々への誹謗中傷は、絶対にあってはなりません。今後も、感染症に関する偏見、差別をなくすための取組をしっかりと進めてまいります。  〔城下広作君登壇〕
    ◆(城下広作君) 県では、事業所名をちゃんと公表するとは言われているんですけれども、問題は、それが、感染者が出た、そしてそれをすぐ言うのか、1日、2日たつのかということに問題があって、実は、それが1日、2日後になりますと、その間、民間の業者はその会社に出入りして、そのときに感染するリスクがあるから、できるだけ早く、関係する方には、うちは今感染者が出ました、だから出入りはちょっと今はやめてくださいという連絡を事前にやっていただくと、あそこに出入りする人はそれを控える、それが少しでもある意味では感染拡大につながるんじゃないかということの趣旨でございましたので、よくよくまた理解をしていただきたいというふうに思います。 それと、コロナの誹謗中傷でございますけれども、人権教育・啓発基本計画の中に、第4次計画として、具体的に、これは新型コロナに対する誹謗中傷をやめるようにということをここで盛り込むということでございますので、こういうことを通して、言葉、理念では分かっていても、実際にはついついそういう行動になってしまうということを、こういう場をしっかりと捉えてまた訴えていただきたいというふうに思います。 では、これでコロナも終わりましたので、今度は、知事の4か年戦略のことについて、1点触れさせていただきたいと思います。 4か年戦略と今後の県政運営についてでございます。 今年3月22日、知事選挙投票日、蒲島知事が4期目の当選を果たされ、約半年がたちます。 本来であれば、知事選において、知事は、1番目「創造的復興を強力に推進」、2番目「「大空港構想」を実現」をはじめとした県民の夢実現に向け掲げられた、いわゆる10の約束を街頭や集会場で県民の皆様に直接力強く訴えるはずが、今年に入ってからの新型コロナウイルス感染症の全国、本県での広がりを受け、その機会を逸することとなり、大変残念な思いをされたのではないかと推察いたします。 また、当選後、10の約束を中心に、本県の今後4年間のより具体的な取組を示される予定だったと思いますが、当面の最重要課題である新型コロナウイルス対策に集中する必要から、4か年戦略を打ち出す余裕がなかったのかと思います。 そのような状況の下、さきの6月議会では、新型コロナウイルス対策を優先するため、質問者も絞られる中、私は、質問の機会をいただき、知事の4か年戦略については、空港アクセス問題だけに絞り、後は9月議会でじっくりお尋ねしようと考えていましたが、これもまた、7月4日の県下を襲った豪雨災害により、これまでの新型コロナウイルス対策に加え、災害復旧及び被災者支援にも全力で取り組まなければならず、この9月議会を前にしても、4か年戦略の構想づくりになかなか踏み込めなかったのではないかと心配します。 改めて考えてみますと、本県は、今、4年半前に起きた熊本地震、今年に入り広がった新型コロナウイルスの感染対策、そして7月の豪雨災害と、まさに三重苦の真っただ中にあると言えます。 そこで、まず第1点目にお尋ねしますが、蒲島知事が昨年暮れから知事選に向け練り上げ、公約にしてきた10の約束、これをこの4月から、3期12年間の経験を生かし、県民の夢実現に向けスタートを切ろうとしていた最中、新型コロナウイルスの感染拡大や7月の豪雨災害を受け、大幅に予定が狂ったと思いますが、今現在、10の約束の実現について、蒲島知事はどのような思いを持っておられるのか、お尋ねをします。 次に、第2点目の質問ですが、蒲島知事が描く10の約束、県民の夢の実現も含め、今後4年間で蒲島県政が目指すものは、新型コロナウイルスの感染の状況次第では、取組の内容が変わってくると思われます。 例えば、新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収まらず、ワクチンや薬が開発されない時期が何年も続いた場合、または年末や年始など早い時期にワクチンや薬が開発され、終息めどがつくようになった場合など、様々な展開が考えられますが、コロナの影響期間によって、今後の県政が目指す内容に与える影響がどのように変化するのかが大変気になります。 国も、コロナ禍における新しい生活様式を打ち出し、また、財政支援では、地域の実情を踏まえた新型コロナウイルス対策に活用できる地方創生臨時交付金、地域未来構想20オープンラボ等を発表し、コロナ禍においての新しい国づくりのアイデアを示してくれているようです。 そこで、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、蒲島県政の今後4年間の県政運営についてお尋ねします。 次に、第3点目の質問ですが、県下の観光業や飲食業等を中心に、人の流れに大きく左右される業種の方々は、現在、新型コロナウイルス感染拡大で、これまでにない非常に厳しい経営状況にさらされています。 こうした厳しい現状に対して、国は、貸付金の上積み緩和、持続化給付金、雇用調整助成金、住居確保給付金、また、税の猶予など、きめ細かな支援を打たれてきました。 関係者からは、これで倒産が免れた、これで事業継続にやる気が出たなど、支援が開始されてしばらくの間は事業が継続できましたが、新型コロナウイルスの再びの流行により経営は再度悪化し、よほどの支援がない限り、この秋頃には限界で、廃業を余儀なくされる事業者が多いと聞きます。現に、県下では倒産数も上がっています。 今後打ち出される4か年戦略に夢を抱き、熊本の将来に期待をする方もいる一方、現状があまりにも厳しく、乗り越えられない事業主が多い中、こうした方々の声にどのように応えようとしているのか、現状認識と今後の支援について。 以上3点、蒲島知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 1点目の10の約束と2点目の今後4年間の県政運営についての2つの質問は、相互に関連するため、まとめてお答えします。 私は、4期目の知事選挙のマニフェストにおいて、これからの4年間は、熊本地震からの創造的復興を熊本の発展につなげていく重要な時期と位置づけ、大空港構想の実現、持続可能な社会の実現など10の約束をお示しし、県民の負託を受けました。 この10の約束にお示ししたものは、いずれも熊本の将来の発展に不可欠なものであり、実現に向けて具体化していかなければならない重要な取組であると考えています。 そのため、本来であれば、10の約束を中心に4か年戦略を取りまとめ、6月定例会でお示しする予定でありました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、先行きが見通せない状況となりました。 新型コロナウイルスの感染拡大防止に当たっては、密を避け、人と人との距離を取ることが求められており、発想の転換が必要です。既に、テレワークやキャッシュレスなど、新しい働き方や生活様式、消費活動の変化が生じており、これまでも数次の補正予算などによって対応してきました。 このような社会の変容を踏まえ、都市から熊本への人や企業の流れを創出する新たな取組や事業者の取組に対する支援など、県経済の回復に向けちゅうちょなく進めていきたいと考えています。 また、感染拡大防止についても、これまでPCR検査体制の充実と医療提供体制の強化を両輪として取り組んできており、今後の感染拡大局面も見据えながら、引き続き各体制の強化を進めてまいります。 さらに、7月豪雨災害における被災地の一日も早い再生など、喫緊の課題に迅速かつ最優先に取り組んでいかなければなりません。 このような状況を踏まえ、今後の県政運営においては、新型コロナウイルスの影響下における社会の変容を見据え、情勢の変化にも適切かつ柔軟に対応してまいります。 また、熊本のさらなる発展に向けた取組である10の約束についても、必要性や優先順位をしっかりと見極め、年度内を目途に進むべき方向性をお示ししたいと考えています。 続いて、3点目の中小企業者の現状と今後の支援についてお答えします。 中小企業者の皆さんは、この非常に厳しい経営状況を乗り切ろうと必死で頑張っておられます。県としては、事業継続、雇用確保に向けた支援が何よりも大事であると考え、取組を進めてきております。 まず、商工団体等と連携し、国の雇用調整助成金や各種給付金等の活用を促すとともに、融資枠3,000億円の県独自の制度融資をはじめとした資金繰り支援、休業要請協力金や事業継続支援金などにより、パッケージで支援しています。 また、新しい生活様式に合わせたビジネス展開や生産性向上に取り組む事業者に対して、専門家派遣や助成制度などにより、幅広く支援を行っています。 さらに、観光事業者等への感染防止対策の支援とともに、県独自の宿泊キャンペーンを実施しました。今後、新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら、国のGoToキャンペーンと併せて、さらなる需要喚起策にも取り組んでまいります。 今後とも、事業者の皆様に寄り添い、現場の声を伺いながら、この難局を乗り切っていきたいと考えております。 県としては、引き続き、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復とのベストバランスを目指すとともに、地方創生の実現に向け果敢に取り組んでまいります。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 熊本県といいますか、日本全体でございますけれども、特に熊本県の場合は、熊本地震、そして新型コロナ、そして7月の豪雨災害と、三重苦でございますけれども、これは、蒲島知事だったら乗り越えられると思います。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。 それと、特に観光業、また、飲食業、大変厳しい状況がございます。昨日で終わりましたシルバーウイーク、いろいろ、GoToトラベルキャンペーンを、いろんな批判もたくさんありましたが、昨日のニュースをずっと見ていますと、全国的に相当な観光地で、人の、ある意味ではにぎわいがあった、このことが結果的にコロナの感染につながらなければ大変ありがたいことであり、こういう社会が本来の日本の姿であり、経済活動として、また豊かな国になるという流れでございます。 ぜひ感染の拡大が広がらないことを本当に期待をしたいと思いますし、我々も、正しく恐れて、しっかりマスクをして、手洗い、うがいをやっていくと感染を阻止することができるということは少しずつ明らかになっていますので、さらにこれを強化しながら、経済も回るような形、そのときに県の後押し、また、国の後押しで、本当にある意味では事業をやめる方が一者でも少なくなるように、ぜひ今後とも手厚い支援をお願いしたいというふうに思います。 では、最後でございます。 これはちょっとごみ問題について質問をしたいと思います。 すみません、このごみ問題で大事な道具を持ってきましたが、そこに忘れましたので、ちょっと取りに帰ります。小道具があったほうがちょっと分かりやすいと思いまして。 この問題は、昨年9月の議会における代表質問で取り上げました。そのときの内容は、海中に流出した廃プラごみで海は汚染され、その一部がマイクロチップ化し、海洋生物に被害を与えている事例が世界中で報告されていることから、本県でも深刻な海洋汚染をこれ以上広めないよう、廃プラごみ回収の推進を訴えるものでした。 国も、昨年5月、プラスチック資源循環戦略を策定し、容器や包装といった使い捨てプラごみ排出量を2030年までに25%削減することや、使用済みプラスチック製品のリサイクルや再利用など進め、2030年までに100%有効活用するとの目標を掲げています。 その一つの取組として、皆様も御承知のとおり、今年7月からレジ袋が有料化になりました。私もコンビニやスーパーに買物に行くことがありますが、マイバッグを常に持ち歩いていませんので、買物の量次第では、片手で持ったり、わしづかみで受け取るなどして、なるべくレジ袋を頂かないように努力をしています。 過日の報道で、レジ袋の有料化により、コンビニ各社は、以前に比べレジ袋の量が相当減ったと聞き、国民の理解と協力が着実に進んでいると感じています。 こうした中、大変気になることがあります。それは、昨今のコロナ禍の中で、なくてはならないものとしてマスクがあります。このうち、一般に多く使われている不織布マスクがプラスチックとしての処理が必要ということです。 今日、手作りでおしゃれなマスクやアイデアに富んだマスクを見かけることがありますが、やはり圧倒的に多いのは不織布マスクのようです。 問題は、この不織布マスク、最近、道端に落ちている光景を目にします。この御時世、親切心で落ちたマスクを拾ってごみ箱に入れる方はおられないと思います。道端に落ちた不織布のマスクや何かしらの原因でごみとして適切に回収されなかった不織布マスクが、川や海面に漂い、海岸に打ち上げられた光景が世界中で報告されていると聞きます。 また、最近は、マスクの代わりにフェースシールドの普及もありますが、こちらも量が増え、ごみ袋に捨てられている光景を目にすることがあります。 (資料を示す)ちなみに、これが不織布マスク、一般的に使われる分、これがよく議長がつけられているフェースシールドという形の分でございますけれども、この道具がそこにあったものだから取りに行きました。 今日、コロナ感染者数の世界情勢を見てみますと、収まる気配は見受けられません。したがって、感染拡大を防ぐために有効な手だてとしてのマスク着用は今後も求められます。 基本的に毎日取り替えられる不織布マスク、県内だけでも毎日相当な量が使用され、捨てられます。それが日本全体で捨てられるとなれば、その量は膨大になると予測されます。また、廃棄される不織布マスクを処理したり、ごみ回収の際、袋からこぼれ落ちた場合、回収業者に感染のリスクを与えかねません。廃プラごみ処理問題は、深刻なリスクをはらんだ問題と痛感しています。 そこで、リサイクル可能なフェースシールドの回収やコロナ禍において大量に出る不織布マスクの処理については、どのようにされているのか、また、海の廃プラごみの減量や適正処理を進めるためにチラシなど作成されると聞いていますが、県民の方々への啓発にどのように取り組まれるのか、藤本環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長藤本聡君登壇〕 ◎環境生活部長(藤本聡君) フェースシールドや不織布マスクは、感染防止の必需品ですが、いずれも素材はプラスチックであり、使用後は、感染防止だけでなく、海洋への流出防止の観点からも、適正に処理する必要があります。 使用後のマスクについては、市町村等で燃えるごみとして処理するのが基本です。家庭や事業所からの出し方については、収集事業者等がマスクに直接触れることがないよう、小さな袋に入れた上で所定のごみ袋に入れて出すことを推奨しており、市町村にも繰り返し周知しています。 フェースシールドについても、マスクと同様に焼却処理が基本となります。医療分野だけでなく、飲食関係などでの使用も広がっていると思われますが、リサイクルを進めるためには、回収方法や処理過程での感染リスク等が課題と考えています。今後、リサイクルの可能性について、処理事業者等と協議を行ってまいります。 プラスチックごみ減量に係る県民への啓発については、7月のレジ袋有料化を契機に、新たな取組として、マスクも含めたポイ捨て防止や分別を呼びかけるポスター、チラシ、ステッカーを作成しました。これらを市町村や関係団体のほか、コンビニエンスストアでも掲示していただいております。 海洋に流出したプラスチックごみは、世界的な環境問題となっていますが、身近なところからできることを積み重ねていく必要があります。市町村や関係団体とも連携し、引き続き、県民への周知啓発にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(池田和貴君) 城下広作君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔城下広作君登壇〕 ◆(城下広作君) 今回は、前回と違って時間が少し余りましたので、安心をしました。 先ほどのこの不織布マスクでございますけれども、やはり私も何回か道路に落ちたのを見たことがあります。どういう経緯で落ちたかは分かりません。ただ、拾う気には当然なりませんでした。どこに捨てていいかも分からないし。 また、これが川とか海に漂うと、非常にやっぱりあまり気持ちがいいものじゃなくて、魚なんかも、これをクラゲと間違えるんじゃないかというふうになったりもしますので、それはやっぱりほかにも、イルカにもちょっと悪いのかなという感じがいたします。海に流れないようにやっぱり回収。 それと、先ほど答弁がありました、小さい袋で――ごみ袋の大きい分じゃなくて、小さい袋に一回この分だけ別に入れて、そしてごみの大きい袋に入れるということで、ごみ回収業者は非常に――これが大きい袋は破れると、これを結果的に触ってまた入れなきゃいけない、そういうリスクというか、感染のことが出ますので、ぜひ回収業者への配慮の意味からも、小さいごみ袋に入れて、しっかり密封してまた入れていくということをやっていただきたいと思います。 それと、このフェースシールドでございます。これはプラスチックですので、ペットボトルと同じような形でリサイクルが可能です。ペットボトルはリサイクルするけれども、これはリサイクルしないという理屈は成り立たないと思いますので、事業者もこれをリサイクルするように頑張っているところもあると聞きますので、ぜひリサイクルに頑張っていただければというふうに思います。 これで予定した質問を全部終わります。本当に御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(池田和貴君) 以上で通告されました代表質問は全部終了いたしました。 これをもって代表質問を終結いたします。 昼食のため、午後1時まで休憩いたします。  午前11時40分休憩    ――――――○――――――  午後0時58分開議 ○副議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第2 一般質問 ○副議長(渕上陽一君) 次に、日程第2、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 磯田毅君。  〔磯田毅君登壇〕(拍手) ◆(磯田毅君) 八代市・郡区選出・くまもと民主連の磯田毅です。どうぞよろしくお願いします。 今回は、今期2回目の質問になります。地震からの復興途上にある中、災害とも呼べる新型コロナへの対応、そして7月の豪雨災害と、次々に起こる災害への対応を迫られる執行部に対し、ねぎらいと感謝の気持ちを持ちながら、災害を通じて私が気づいた幾つかの課題について質問してみたいと思います。 まず、第1番目に、豪雨災害への対応と温暖化による環境リスクへの対応について質問します。 まず、豪雨災害への対応について、3点質問します。 今回の7月豪雨は、県南部を中心に線状降水帯が発生したことで、過去に例がないすさまじい豪雨災害となりました。被害の凄惨な光景は、まるで津波に襲われた後かと思えるほどで、とある家の2階に瓦礫に混じって大きな流木が突き刺さっているのを見たときは、この災害が尋常ではない激しさだったことを示す象徴的な光景に思えました。 ここで、私は、7月豪雨でお亡くなりになられた方に哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた多くの方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。 災害が起きた7月4日の朝早く、私は、地元の排水機場を4か所ほど見て回りました。一部の田んぼで浸水はあったものの、事前排水をしていたためか、大した被害はありませんでした。 その後、球磨川の氾濫がとても心配でしたので、河口に近い八の字堰の様子を見に行きました。大きく膨れ上がり、茶色に濁った球磨川は、不気味な音を立てながら、家電製品やプラスチック製品など昨日まで人々の暮らしと共にあったものが、大量の流木に混じりながら、物すごい速さで流れています。水位は、右岸の木々の半分近い高さまで達しており、このように暴れる球磨川を見たのは初めてで、自然の猛威に恐怖さえ覚えました。 国道219号は既に通行止めになっており、これより上流の状況がさらに心配されましたが、結局、坂本町の現場付近に入ったのは6日になってからでした。その日も、二見から入るルートしか見つからず、中畑付近まではようやくたどり着いたのですが、国道219号に出ることはかないませんでした。 途中、百済来川沿いの土砂で埋まった田んぼの前で、高齢の女性があぜ道に長い間たたずんでおられる姿を見たとき、その姿に胸を締めつけられるような気がしました。 私は、災害現場にはボランティア活動と合わせて10数回ほど行きましたが、被害の全貌がだんだんと分かるにつれ、この曽有の災害対応について、幾つかの気になる点が見えてきました。 1点目は、避難情報の出し方についてです。球磨川の氾濫は、朝方暗い時間帯に始まり、夜明けから昼にかけて起きました。この発災のとき、住民に避難情報が正しく伝わったのか、確かめてみたいと思います。 今回の豪雨において、各市町村が発信する避難情報の出し方には、それぞれ違いがありました。熊日新聞の記事などによると、球磨川流域の球磨村では、前日の17時に避難準備、高齢者等避難開始が出され、22時20分には避難勧告が出されています。特別警報が出る4日の4時50分より少し前の3時半には、避難指示も緊急も出ています。 一方、人吉市は、4日の4時に避難勧告、氾濫危険水位に達した5時15分には全域に避難指示を出しています。八代の坂本地区では、4日の4時3分に避難指示、緊急が出され、防災行政無線で放送されました。その1時間半後の5時半には、坂本支所一帯が浸水したのです。 こういった市町村の出す避難情報は、流域の違いによるタイムラグがあるものの、情報発信のタイミングや避難レベルの判断にずれがあったように報道されています。確かに、線状降水帯の発生予測は、現在非常に難しく、しかも未明の避難は危険を伴うことから、朝方の呼びかけは、難しかったものと思われます。 早い災害情報は防災につながることから、国のほうでは、気象予測の精度を上げようと研究開発が進められています。つくば市にある防災研究所は、12時間後に線状降水帯が発生する可能性をメールで知らせる実証実験を昨年から始めています。さらに、水蒸気の観測情報から、2時間先の発生を高精度で予測する実験も始めていますので、その開発が急がれます。 高齢世帯の多い山間地域では、避難所に着くまでに時間がかかることが予想され、早めの避難情報は特に重要です。さらに、避難行動を安全に進めるためには、明るいうちに準備できることも大事なところです。 災害に関する早めの気象情報は、住民ばかりでなく、洪水の危険を前もって減らすダムの事前放流においても重要になります。国は、今年の6月から、全国で99ある1級水系のうち、利水や多目的ダム計955基で事前放流の運用を始めたばかりでした。放流には、3日前にその判断が必要とされており、今回は、雨量予測が間に合わず、実施されませんでした。 先日の台風10号は、数日前から特別警報クラスの勢力で北上すると予想されていましたので、事前の避難が叫ばれていました。ホテルへと避難する人や有料駐車場へ車を避難させたりする人も多く、狂暴化する異常気象を前に、こうした事前避難という新しい形の行動が広まりつつあるようです。 予想に反し、台風10号の被害は最小限で済みましたが、熊日新聞は、9月8日の社説で「空振りを恐れず続けたい」との見出しをつけ、課題は残るものの、事前避難を定着させ、新たな日常としたいと書いています。 数日前からの予報がある台風と予測の難しい線状降水帯を伴う豪雨とでは比較が難しいかもしれませんが、災害情報は、早ければ早いほど安全な避難につながりますので、ぜひ欲しいところです。 早めの避難情報とともにさらに重要なのは、住民に情報が確実に届いたかという点です。私は、実際に避難された坂本町の数人の方にお聞きしましたが、避難を呼びかけるマイク放送が激しい雨音や川の流れの音によってかき消され、放送があっているのは分かったが、何を言っているかは分からなかったと複数の方から聞きました。そして、いつもとは違った川の音を聞いて、危険を察知し、自らの判断で逃げた、あるいは近所の人と一緒に助け合って逃げた、あるいは自治会の役員さんから、逃げろと指示されたなどのお話を伺いました。 このことから、災害情報を確実に住民に知らせる方法がほかになかったのかと思います。政府のほうでも、避難情報のレベル4で分かりにくいとされていた避難勧告と避難指示の表現を統一するようですので、今までよりは分かりやすくなるとは思います。現在、防災ラジオや防災無線のほかにも、SNSなど、伝える方法は幾らでもあるように思いますが、気象が強靱化する中、災害情報の出し方に課題があるのではないかと思います。 そこで、1点目に、気候変動時代という新たな世界を迎えた今、流域市町村が的確な避難情報を出すために、県はどう取り組むのか、知事公室長にお聞きします。 さて、災害が発生してから既に3か月近くたとうとしています。仮設住宅の建設も始まっており、一部では入居も始まっています。復旧、復興は次の段階へ進もうとしているときですが、土砂崩れなどで道路や橋などが壊れ、行き来が難しく、孤立している地区がまだ残っています。先日、こうした電気や道路など生活インフラの回復がないままに、避難所や親戚の家などで暮らしておられる方々のお話を聞く機会がありました。誰もいない住宅にイノシシやシカが食べ物を求め、中に入り、家中を荒らしている写真を拝見しました。玄関の扉や縁側の戸も破られ、足の踏み場もないくらいひどい状況です。浸水の被害を受けていないので、罹災証明も受けられずに困っているとのことです。豪雨災害の間接的被害とも思えるこのような事例に対し、痛みの最小化をうたう本県はどのような対応を図られるのでしょうか。 2点目として、公共の生活インフラが壊れたことによって孤立し、長期の自主避難を余儀なくされている方々の支援についてどのようにお考えでしょうか、健康福祉部長にお聞きします。 さて、気候変動時代という新たな世界を迎えた今、私たちには、既存の気象予測やそれに伴う治水計画の見直しが必要になってきました。球磨川の治水計画の見直しも、それぞれの地点での正確な降水量や流水量のデータが必要となります。 8月25日に開かれた第1回球磨川豪雨検証委員会の説明資料では、県南部を中心に、7月3日から4日の2日間で400ミリ以上の大雨が降り、平年の7月1か月分に相当する雨量だったとし、人吉地点の流量はおおむね毎秒8,000トン程度との推定結果を示しました。今回の豪雨は、県南部を中心に、全域で400ミリから500ミリの雨量を記録しており、線状降水帯の怖さを示す結果となっています。そのうち、球磨川の流量は、人吉地点で、球磨川水系河川整備基本方針の基本高水のピーク流量とされる毎秒7,000トンをはるかに超す毎秒8,000トンだったと推定していますが、別の報告では、人吉の下流に当たる横石地点で、4日の12時ごろには毎秒1万トン近い数字を記録したとあります。 今後、検証された正確なデータが発表されるとは思いますが、気候変動時代に即した新しい治水計画は、正確な流量や降雨量を基にする科学的論拠が必要でしょう。 今回の球磨川豪雨で、川辺川ダムの建設問題が再びクローズアップされてきているようですが、新たな治水をめぐる論議は、地元住民の意向が正しく反映されることに加え、正確なデータを前提とした論議が必要なのは言うまでもありません。 そこで、質問です。 氾濫した球磨川の正確な流量や降雨量のデータの公開について、県はどう図っていかれるのか、球磨川流域復興担当理事にお尋ねします。  〔知事公室長白石伸一君登壇〕 ◎知事公室長(白石伸一君) 的確な避難情報の出し方についてお答えいたします。 国の避難勧告等に関するガイドラインで、市町村は、土砂災害警戒区域や浸水想定区域など各地域の特性を考慮し、きめ細かな避難勧告等の発令を行うよう求められています。そのため、県では、市町村が適切に避難勧告等を発令できるよう、これまで毎年、市町村長向けトップセミナー担当者向けの実務研修を開催してきました。 7月豪雨の際も、市町村においては、国や県をはじめ関係機関が提供する気象情報などから、総合的に避難勧告等の発令の判断が行われました。 また、県では、今年度から運用開始した県防災情報共有システムを活用し、避難勧告等の情報を市町村と共有するとともに、防災情報メールや緊急速報メールを活用して、市町村が発令する避難勧告等の住民への速やかな情報提供を支援いたしました。 これらを含む初動対応については、次回の球磨川豪雨検証委員会で検証するよう準備を進めているところでございます。 今後、多様化する通信・連絡手段に対応するため、今年度から新たに運用を開始した防災情報共有システムの機能を活用して、市町村のSNSなどと連携した情報発信にも取り組んでまいります。 加えて、避難情報を確実に住民に届けるため、防災行政無線などこれまでの取組の強化も必要と考えております。八代市坂本町では、今回の豪雨も踏まえ、防災行政無線について、屋外の拡声装置の設置場所の変更、必要に応じた戸別受信機の設置などの検討を進められています。 議員御指摘のとおり、災害の被害を最小限に抑えるためには、明るいうちの早めの避難が重要でございます。県では、引き続き、住民への早めの避難を促すとともに、市町村が的確に避難情報を発信できるよう支援してまいります。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 孤立地区の長期避難者への支援についてお答えします。 住家には直接被害はないものの、やむを得ない事情により、長期にわたり自らの住居に居住できない方についても、応急仮設住宅の供与や被災者生活再建支援金の支給の対象となる場合があります。 まず、応急仮設住宅については、道路等ライフラインが途絶している場合や地滑りにより避難指示等を受けている場合などに、市町村からの申出により、現地の状況や復旧の見通し等を確認した上で、内閣府と協議を行って入居を決定しております。 現在、球磨村や八代市坂本町など7市町村、44集落について、内閣府との協議が調っており、既に仮設住宅への入居が始まっています。 次に、被災者生活再建支援金に関しては、災害による危険があり、住宅に居住できない状態が長期間に及ぶ世帯について、県が長期避難世帯として認定することにより、全壊世帯と同様の支給を受けることができます。 平成28年熊本地震の際には、3市町村6地区で、合計483世帯の認定を行いました。今回の豪雨災害についても、現在、市町村を通して、長期間にわたり避難状態を解消する見通しが立たない地区の把握を行っているところです。 県としては、これらの支援を通して、長期避難を余儀なくされている方々の当面の住まいの確保や将来的な生活再建につなげてまいります。  〔理事水谷孝司君登壇〕 ◎理事(水谷孝司君) 球磨川豪雨の正確なデータの公開についてお答えします。 今回の洪水被害を受けて、現在、国、県及び流域市町村で構成する令和2年7月球磨川豪雨検証委員会において、今回の洪水に係る検証に取り組んでいます。 本委員会は、国、県及び流域市町村が保有する各種データを基に、客観的かつ科学的に検証を行うものです。 具体的には、今回の降雨量、河川の水位、被害状況、浸水範囲、氾濫形態、洪水流量、これまでのダムによらない治水対策、仮に川辺川ダムが存在した場合の効果、初動対応などを検証対象としています。 また、会議は、インターネットを含め傍聴可能で、その資料も公開しています。 8月25日に開催した第1回委員会では、球磨川及び川辺川の国の雨量観測所の時間雨量やそれを活用した流域の等雨量線図、主要地点で実測した水位情報をお示ししました。 さらに、全国的に採用されている国の河川砂防技術基準に基づく流出解析の手法を用いた人吉地点での洪水流量も速報値としてお示ししました。 次回の委員会においては、県が現地で実際に確認した洪水痕跡と比較するなど精度をさらに向上させた上で、人吉市や球磨村渡地区などの主要地点の流量、水位、浸水面積及び各種施設への影響などをお示しする予定です。 この検証委員会の検証結果は、今後の球磨川流域の治水の方向性を検討するための大変重要なものであり、引き続き、時間的緊迫性を持って、科学的、客観的な検証に取り組んでまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 早めの避難とか事前避難といった行動は、気象情報が真っ先の頼りです。しかし、予報の難しい豪雨や地震、津波などに関する災害情報は、緊急になる場合が多く、難しい面があるのは分かりますが、安全な避難には、こういったソフト面の充実が欠かせません。しっかりとした対応をまとめていただきたいと要望します。 2点目の孤立集落への対応は、被災者生活再建支援金に関して、県が長期避難世帯と認定すればできるとのことでしたので、執行部には、被災者に寄り添う気持ちを強く持って対応していただきたいと思います。 球磨川の治水対策は、検証を経て、年内にも方向性が示されると聞きましたが、その検証に必要不可欠である川の流量と降雨量のデータは、いつでも、誰でも自由に見ることができ、行政や専門家だけでなく、球磨川と共に暮らしていかれる流域住民にも公平な情報が行き渡るよう願いながら、次は、知事にお聞きしたいと思います。 温暖化による環境リスクへの対応についてお聞きします。 昨年の12月議会で、私は、気候変動によって厳しくなる一方の気象災害に対し、どう向き合うのかと知事に質問しました。それから7か月たつ今年の7月4日、恐れていた集中豪雨が、県南部を中心に、現実として発生しました。当時の質問は、温暖化による気候変動は、1時間100ミリを超す大雨や1日500ミリを超す異常気象を呼び寄せ、どこでも災害発生の可能性があることから、新しい治水の考え方を探るために取り上げたつもりだったのですが、残念なことに、議論は深まりませんでした。 さて、激しい豪雨や勢力の強い台風の発生は、温暖化による海水温の上昇が原因とされています。実際、今年の8月、沖縄付近の海面水温が、平年よりも2.1度高い30.7度に達し、過去最高だったことが分かりました。地球温暖化は、異常気象の日常化を促し、災害も激甚化するという事態をもたらします。 蒲島知事は、球磨川豪雨の凄惨な被害状況を踏まえ、川辺川ダム建設は選択肢の一つだ、あるいは治水の考え方は変わっていくとも述べられております。 以前、知事は、ダム計画の白紙撤回を表明され、ダムによらない治水対策の協議を続けられてきました。今回の災害が、想定を超し、悲惨な結果を伴ったことから、そう述べられたものと思いますが、報道では、白紙からの方針転換かと騒がれました。確かに、1,200年の長い歴史を持つ人吉市の青井阿蘇神社が過去に記録のない高さで浸水していますので、今回は、史上最大の豪雨だったとは言えます。 災害後、知事と一緒に坂本駅近くの被害状況を見ましたが、昭和40年の大水害時に当時の建設省が電柱に記した水位より3~4メートルほど高い到達点に、知事も驚いておられました。 先ほども述べましたように、球磨川の治水対策を考える上で大切なのは、科学的根拠を基にした議論です。ダム建設の是非は、温暖化による環境リスクから考えると、結論はおのずから出てくるものかと思います。 さて、新型コロナの状況と同様かもしれませんが、私たちは、これまでと違う日常、つまり気候変動と共存する新たな日常を迎えています。こういった新たな日常と呼ばれる世界に、私たちは、果たしてうまく軟着陸できるのでしょうか。 先ほどの熊日社説欄の下にある囲み記事「射程」には、地球「温暖化に歯止めをかけることは私たちの責務」だと書いてありました。私も全くそのとおりだと思います。 そこで、このように地球温暖化によって高まる環境リスクについて、県はどのように対応されるのか、知事にお伺いします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 温暖化による環境リスクへの対応についてお答えします。 先月、気象庁の異常気象分析検討会において、今回の7月豪雨は、長期的な水蒸気量の増加が降雨量を増やしたと、その可能性があるとし、背景に地球温暖化があるとの言及がなされました。 福岡県や大分県に大きな被害をもたらした平成29年7月九州北部豪雨、広島、岡山などを襲った平成30年7月豪雨、そして今回の令和2年7月豪雨と、ここ数年、豪雨災害が頻発しています。地球温暖化に伴う様々な環境リスクに備えることの重要性は、より高まっているものと考えます。 現在、本県の環境施策の今後10年間の方向性を示す第4次環境基本指針とその方針を踏まえた第6次環境基本計画の策定を進めています。この中において「様々なリスクに備えた社会」を新たな項目として掲げ、今回のような災害への備えなどについて検討を進めてまいります。 また、気候変動による社会経済への被害の回避あるいはその影響を最小限に抑えるための適応策を盛り込んだ気候変動適応計画についても、策定を進めています。本県の現状や課題を踏まえ、基幹産業である農林水産業や防災、県民の健康に関わる熱中症などへの対処等を重点事項とする見込みです。 温暖化が進むと、気候変動だけでなく、生態系の変化、水や食料の不足、伝染の拡大など深刻な影響が予測されます。 こうした危機感から、私は、昨年の11月定例会で、2050年までに県内CO2排出実質ゼロを目指すことを宣言いたしました。この目標の実現に向けて、県民や事業者と連携して取組を進めることで、地球温暖化の防止を図ることができると思います。 県としては、様々な環境リスクに備える必要性を県民に周知するとともに、地球温暖化を防止する緩和策と被害を回避、軽減する適応策の両面から、地球温暖化対策にしっかりと取り組んでまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 18日の代表質問を受けて、翌日の熊日新聞は「ダム必要論急拡大」との見出しをつけ、トップ記事として大きく報じました。大災害を前に、これからの治水対策で最も象徴的と思われるこのダム問題に関心が大きく寄せられていることが分かります。しかし、私には、災害の根源的な原因である温暖化問題への考察が後回しにされているように思え、少し違和感を覚えました。 温暖化による異常気象は、想像を絶する強さとスピードで迫っています。気候が大きく変動するという時代を迎えた今、私たちには、問題の本質がどこにあるのか見えているのでしょうか。よく使用される抜本的とは、一体どのレベルを指しているのでしょうか。自然の力は人知を超えるものと理解している私からすれば、地球が怒っているかのような自然の猛威を前にすると、焦点がずれている気がします。 これまで球磨川と長く向き合ってこられた流域の方々は、自然に対する畏敬の念と深い知恵があります。執行部は、そのことを学ぶ気持ちでこの問題に接してほしいと願います。 次、海洋プラスチックごみ対策について質問します。 今年の7月1日から、レジ袋の原則有料化が始まりました。話題になるものと期待していたのですが、新型コロナを前に、プラスチックごみへの関心度はそう高くなかったように感じます。 全国で年900万トン近く廃棄されるプラスチックのうち、レジ袋の占める割合は、ほんの数%にしかすぎません。プラスチックごみ問題は、深刻な環境問題であり、その海洋汚染は、人の健康や世界経済に影響する重要な問題です。レジ袋の有料化は、廃プラの減量化を象徴し、身近な環境や生活の在り方を考えるいい機会になればと思い、取り上げてみました。 昨年大阪で開催されたG20サミットは、首脳宣言で、プラスチックごみの新たな海洋流出を2050年までにゼロにするという目標、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを発表しました。海洋に流れ出るプラスチックごみは、小さなマイクロプラスチックに変わり、回収が難しくなります。海に漂うプラスチックは、海洋生物への悪影響や人への健康も懸念され、21世紀最大の環境問題の一つになっています。 ところで、我が国は、1人当たりの使い捨てプラスチック使用量で、アメリカに次ぐ使い捨て大国になっています。どのような状況なのか、レジ袋の場合を調べてみますと、我が国が年間に消費するレジ袋の数は、スーパーで305億枚、コンビニも合わせると450億枚になるそうです。1人当たり年300枚以上を使用していることになりますので、本県の場合だと、年間に5億枚以上が使用されていたことになります。有料化がスタートして間もないときの調査ですが、レジ袋の辞退率が7割に上ったそうですので、マイバッグの普及が相当進んでいるものと思われます。通常の袋は、1枚約3円から5円ですので、このままだと、年間に数で3.5億枚以上、金額にして10億円以上のレジ袋が節約されることになります。 我が国でプラスチックが大量に使用されているのは、食品や日用品に使用される箱や袋、ボトルなどの包装品です。2018年に廃棄された891万トンのうち、その約半分は、食品などの容器や包装に使用されていたものです。 こういった廃プラはどう再利用されているのか調べてみると、再びプラスチックへ加工するマテリアルリサイクルは、僅か23%しかありません。エネルギーとして回収するサーマルリサイクルが半分以上を占めているのです。これは、焼却されて発電や熱源として利用されるために、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出につながり、国際的にはリサイクルに含めないというのが一般的だそうです。つまり、本来の意味での再利用は少ないのです。せっせと家庭ごみを分別する私たちからすると、これは驚きです。 再利用する場合の処理は、2017年まで海外に多くを依存していたのですが、主な輸出先であった中国が2017年末に輸入を禁止しました。その代わりとして輸出先となった東南アジアは、来年の1月から、バーゼル条約という国際条約により、汚れた廃プラは、相手国の同意がなければ輸出できなくなります。 県内への影響を考えれば、本県の環境問題だけにとどまらず、基幹産業である農業にとっても、状況はだんだん厳しくなってくるかと思います。 気候変動や感染症も含め、SDGsの世界からしても、また、有明海や八代海といった美しい海岸を持つ本県にとって、海洋プラスチックごみをなくす努力はもっと必要ではないかと考えます。 そこで、お聞きします。 海洋プラスチックごみ対策について、県はどう取り組んでいかれるのか、環境生活部長にお尋ねします。  〔環境生活部長藤本聡君登壇〕 ◎環境生活部長(藤本聡君) 海洋プラスチックごみの多くは、レジ袋やペットボトル、農業や漁業の資材などが水路や川を介して海へ流れ出たものです。 そのため、陸域と海域での取組を一体的に進めることが重要です。県では、昨年度開催したくまもと海洋プラスチックごみ『ゼロ』推進会議の提言を受け、回収、排出抑制、リサイクルを3つの柱として取り組んでいます。 1つ目の回収については、洪水時などに大量のごみが川へ流れ出ないよう、特に梅雨時期前に、地域の自治会等による陸域での一斉回収を呼びかけています。また、海域での回収として、漁業者の協力により、操業時に網にかかったプラスチックごみを市町村が処分する取組も始めました。 2つ目の排出抑制については、陸域での新たな対策として、農業用プラスチックを各地域の農業団体と連携して回収するための予算を今定例会に提案しています。これまでも各地域で回収の取組は行われていましたが、所有者不明のものなどは手がつけられておらず、今回、一掃できるように取り組みたいと考えています。 3つ目のリサイクルについては、回収を行う市町村の取組が重要です。分別回収が進んでいない団体もあるため、先進事例やリサイクル事業者等の具体的な情報を提供し、市町村の取組を後押ししてまいります。あわせて、リサイクルに関する研究や施設整備を行う事業者等への支援も、引き続き行ってまいります。 海洋に出たごみを回収するには、大きなエネルギーを必要とします。県としては、海洋プラスチックごみ削減に向け、幅広く県民の理解と協力を得ながら、3つの柱の取組を積極的に進めてまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) プラスチックへの質問は、もう3回目になりますが、今回は、気候変動を促す温暖化防止の観点から捉えたつもりです。私たちがふだん行っているごみを分別する際に、プラスチックは、ペットボトルと同様、再利用されるものと思っていた方が多いのではないかと思います。回収したプラスチックごみが温暖化を進めるエネルギーとして燃やされるのは4分の3あるとは、私も知りませんでした。 プラスチックごみの再利用を進めるには、まだ課題があるとは思いますが、この深刻な温暖化問題を考えれば、急がなければならない開発目標だと思います。 続いて、農家の収入保険と野菜価格安定制度についてお聞きします。 販売農家の経営安定を目的とする収入保険制度と、消費地へ野菜を供給する役割を持ち、指定産地が加入する現在の野菜価格安定制度との違いを考えてみたいと思います。 政府が進める収入保険制度の場合、価格の下落によって収入が減る場合や自然災害などによって収穫が少なくなる場合にも、減収に対する補填があります。ただし、保険料は、自分で基準収入と補償割合を決めることができるため、申し込むランクに応じて保険料が高くなる仕組みになっています。ただし、積立方式と併用した場合、基準収入に応じて負担は高くなる課題もありますので、加入条件は、青色申告者であれば可能ですし、全ての農産物が対象となっています。 一方、野菜価格安定制度の場合、国、県の基金負担が8割もあり、積立方式だと農家負担が少なくて済む制度です。ただし、品目ごとに限られることや補填の限度がついていること、また、最近増えてきた自然災害などによる収穫の減少には対応できないという欠点があります。この制度は、消費地へ安定して野菜を供給する役割もありますので、市場出荷したものが対象となっており、加入条件として、指定産地であることや一定の面積が必要など、限定的な部分もあります。 国は、制度のどちらかをすぐ選択するよう生産農家に求めてはいませんが、両制度の重複加入は認めていませんので、保険制度を選択する場合、農家にこの違いを理解してもらうことが重要になります。気候変動による自然災害が増す中、持続可能な農業を実現するには、経営を支える保険制度の充実が欠かせません。 そこで、お聞きします。 制度の選択を考える上で、農家経営を安定させる保険制度をどう進めていかれるのか、農林水産部長にお聞きします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 収入保険制度は、品目の枠を設けることなく、農業者ごとに収入全体を見て、補償を行う制度として創設されました。平成31年から保険制度が始まりましたが、2年目となる本年の保険対象者は、目標の2,200経営体に対して1,389経営体にとどまっており、十分に普及が進んでいる状況にはありません。 県としては、収入保険制度は、現在の新型コロナウイルスの影響による減収など、自然災害以外の予測を超える収入減にも対応できるため、有効なセーフティーネットとして、より多くの農業者の方々に正しく理解していただくことが必要と考えております。 そのため、農業共済組合や農業会議と連携し、各種会議や個々の農業者の方々が集まるJA生産部会などで積極的に説明を行っております。さらに、本年6月には、農業共済組合が事務局となり、県や生産者団体などで構成する熊本県収入保険推進協議会を設立し、重点推進地域を設け、関係機関が一体となり、加入を促進しているところです。 一方、野菜価格安定制度は、産地の維持を目的として、市場価格が基準価格より低下した場合に生産者へ補給金を交付することで、経営に及ぼす影響を緩和できる制度です。現在、64団体、約5,300人が加入しており、出荷量に対する加入率は、5割を超えています。 あらかじめ産地ごとの出荷量を決めておくため、計画生産と安定供給につながるなど、収入保険にはない役割も持っており、農業団体は、本制度の維持も要望されています。 このように、収入保険制度と野菜価格安定制度は、それぞれの特徴を有しています。そのため、個々の農業者が、経営者として、産地の状況や経営類型、経営方針などを踏まえ、自らの経営に適した制度を選ぶことが必要です。 どのセーフティーネット制度に加入すべきか悩んでおられる農業者に対しては、農業共済組合が個々の農業者の経営状況を踏まえたシミュレーションを制度ごとに行うなどの支援をしております。 県といたしましては、新型コロナウイルスの影響や災害が頻発する状況も踏まえ、多くの農業者が、自らに適したセーフティーネット制度へ加入していただくことが重要であると考えております。 今後とも、関係機関と連携し、セーフティーネット制度へのさらなる加入促進を図り、本県農業の持続的な発展につなげてまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 私の地元のJAやつしろから聞いたところによれば、現在の収入保険加入状況は、圧倒的シェアを誇るトマト栽培農家で1戸だけだそうです。イグサ農家で38戸、果樹農家で11戸、露地野菜農家や農協販売を経ないトマト農家で約100軒、イチゴ農家が33軒、数千戸ある販売農家の中で僅か182戸しかありません。 これには、価格安定制度の積立金が相当な額としてまだ残っており、新たな負担が少ないことも関係しておるようです。ただ、品目が限られることや小さな出荷団体や個人販売農家は加入できず、およそ4割いると見られる農協を通じない販売農家は、加入が難しいのです。その点、収入保険は優れています。何といっても災害にも対応ができますので、気候変動時代に適する制度とは思います。 執行部は、国に対し、両制度のいいところだけを取った新しい制度の改正要求をしていただきたいと思います。 次、4番目に、学校給食における地産地消の取組についてお聞きします。 農産物の自由化が進む中、地元産業を支えようとする取組に、学校給食に地元産食材の利用を進める動きがあります。例えば、隣の宮崎県では、新型コロナの感染拡大で需要が低迷している地元産のものを学校給食に提供するという事業が始まりました。また、石川県の羽咋市では、農協と提携して完全なオーガニックの給食を提供するという取組が始まり、今注目を浴びています。羽咋市長は「農業といえば、これまで生産量が重視されてきましたが、最近は量より質。自然栽培は安全性を追求しており、質の面でトップに立てる」とのコメントを出されています。 こういった取組は、地方創生の切り札になるのではと期待が持たれます。学校栄養士協議会のある理事の方も、食に関する安全が脅かされる中、学校給食は、安全でおいしい給食が大前提、かつ食育になり得るものを提供することが重要と語っておられます。 本県でも、小麦や食用の菜種油などの輸入農産物に対し、くまもとのタネと食を守る会や生協など、不安の声を上げられる消費者が増えてきました。守る会では、学校給食に輸入小麦を使用しないよう署名活動を始められたと聞きます。前回、私は、県産小麦の消費拡大について、県はどう取り組むのかといった質問を行いました。その理由に、収穫前に直接除草剤をまくという輸入小麦への不安がありました。除草剤の残留基準を緩和してまで輸入するという、まさに命よりお金の世界に対する反発でした。 私たち大人には、子供たちの健康を支えるために、安全な食材を提供するという大切な義務があります。将来の熊本を担う子供たちへ提供する食材は、最大限の安全性が要求されます。 熊本県の場合、地産地消を推進する条例が制定されてから既に10年以上がたちました。条例には、豊かな自然を背景として育まれた本県の良質かつ安全で安心な農林水産物は、地域の経済と県民の暮らしを潤し、本県を全国有数の食料供給基地に押し上げる宝であり、その振興、発展は県民の願いだとあります。県産食材を使った地産地消への取組を増やすことをうたっているのです。 地産地消の取組は、食を通じて郷土理解を深める重要な働きもあります。県教育委員会が調べた学校給食の地場産活用は、少しずつではありますが、増えてきているようです。しかし、まだ半分くらいしかありません。 そこで、質問します。 子供たちの安全な食と食育、また、郷土愛の育成にもつながる学校給食における地産地消への取組をどう進めていかれるのか、教育長にお聞きします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 学校給食における地産地消の取組についてお答えをします。 学校給食において地産地消を推進することは、新鮮でおいしく、かつ安全な食材の提供に加え、子供たちの郷土理解、郷土愛の育成にもつながるものと考えております。 このため、県教育委員会としましては、平成20年度から、毎月19日の食育の日をふるさとくまさんデーと定め、県産食材を活用した熊本の郷土料理の学校給食を実施しております。 その結果、本県の県産食材の活用は、全国的にも高い水準にあります。県教育委員会が毎年実施している学校給食に関する調査によりますと、熊本市を含む県全体の県産食材の活用率は約50%で、調査方法は異なりますが、国の調査における全国平均26%を大きく上回っております。 特に、今年度は、農林水産部と連携して、国の事業を活用しながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が減少した県産の牛肉やマダイなどを学校給食に無償で提供しており、子供たちは大変喜んでおります。 県教育委員会としましては、学校給食における地産地消の取組について、学校給食の実施主体である市町村をはじめ関係部局とも連携を図りながら、地方創生の観点からも、より一層の推進を図ってまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 地域経済の基幹とも呼ばれる1次産業は、食の重要性から、時代が変わろうとも持続しなければならない産業です。そのためには、落ち込んだ食料自給率を上げることが大事になります。それに、共通の宝である子供たちの健康には、安全でバランスのとれた学校給食は欠かせません。 韓国では、学校給食の無償化が進んでいますし、有機栽培を推奨したため、地元の有機栽培農家が増え、地産地消が進んでいると聞きました。さらに、2021年、来年までにソウル市内の高校も無償化されるそうですので、地元産食材の比率はもっと高まると見ています。背景に、学校給食は教育の一環であり、子供たちの健康は食からという当たり前の考え方があり、そのための予算措置はしっかりと取られています。 私は、地元産食材の利用は段階的に増やす必要があると思っていますので、予算増額をバックに力強い推進をお願いしながら、最後の質問に入りたいと思います。 受動喫煙防止対策についてお聞きします。 最近は、喫煙の害だけでなく、受動喫煙のリスクも叫ばれるようになり、喫煙者にとっては肩身の狭い時代が広がっているようです。この議場にも喫煙される方がおられるかと思いますが、耳に栓をしないで、最後までぜひお聞き願いたいと思います。 さて、健康増進法の改正によって、4月より、原則として屋内禁煙が実施されるようになりました。しかし、新型コロナの影響が大きく、世間一般の関心は割と少なかったように感じます。喫煙の害に比べて、受動喫煙の害は、最近になって大きく取り上げられるようになってきました。実は、吸い込む煙よりたばこの先端から立ち上る煙のほうが体に悪いことを御存じでしょうか。喫煙者が吸い込む主流煙と比べて、周りに吐き出される副流煙のほうが、悪さをする成分が何倍も多いことが分かっています。 厚生労働省が所管する喫煙に関するある検討会は、喫煙による死亡者数が年間13万人で、高血圧症や糖尿などの死者数より多いことを報告しています。受動喫煙による死者数も、同じ報告で1万5,000人余りとなっていますので、受動喫煙が他人に危害を及ぼすことに驚かされます。 たばこを吸っていると、新型コロナウイルス肺炎にかかったら重症化するという東京中野区の医師会の報告を見ました。厚生労働省のホームページにも、WHOの専門家によるレビューでは、喫煙者は、非喫煙者と比較して、新型コロナの感染で重症になる可能性が高いことが明らかになったと報告しています。愛煙家だったコメディアンの志村けんさんが新型コロナでお亡くなりになったことは、記憶に新しいかと思います。 自分だけに影響する喫煙だけでなく、他人に大きな影響を与える受動喫煙の問題は、新型コロナの感染の収束が見えない今、大きく取り上げるべきではないのかと考えます。 新型コロナによる医療体制の逼迫や、高齢化が進む一方で高騰する医療費の懸念が高まる中、適正な医療費への取組は、医療制度を守る上でとても重要なものです。たばこによる病気を減らし、受動喫煙の害をなくすためには、環境を整備することはもちろん、難しいことながら、禁煙を進めることが一番かと言えます。たばこ税の減収やたばこ生産農家への影響など課題はあるにしても、解決できないものではありません。たばこによる健康被害の防止は、持続可能な社会の実現を促し、医療制度の維持につながる賢明な取組と言えます。 そこで、お聞きします。 改正健康増進法では「なくそう!望まない受動喫煙」とありますが、受動喫煙をなくすために、県はどのような取組をされるのか、健康福祉部長にお聞きします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) たばこの煙は、喫煙者本人だけでなく、周囲の方の肺がんや脳卒中、乳幼児突然死症候群等の発症リスクを高めることが確認されています。望まない受動喫煙の防止は、県民が生涯を通じて健康で、安心して暮らし続けることができる熊本の実現を目指す上で、大変重要な課題であると考えています。 改正健康増進法の段階的施行により、昨年7月から、学校や病院など子供や患者の方に配慮が必要な施設は、敷地内禁煙とされました。また、本年4月からは、それ以外の施設について、原則屋内禁煙とされ、施設の管理者は、屋内で喫煙できるようにするためには、喫煙専用室を設ける等の措置が必要になりました。 これら改正法の内容について、県では、これまで、施設の種類ごとにリーフレットを作成し、市町村や商工団体等を通じて事業者に配付するとともに、テレビ番組や広報誌等、様々な媒体、機会を活用して周知してまいりました。 また、昨年6月からは、各保健所の相談窓口に専任職員を配置し、県民や事業者からの相談に対応できる体制を整え、これまでに1,600件を超える相談に対応してまいりました。 さらに、学校への出前講座を通じて、子供たちへの啓発にも取り組んできました。 今後も、望まない受動喫煙がない社会を目指し、引き続き、様々な媒体を活用して受動喫煙に関する啓発に取り組みます。あわせて、施設訪問による助言等の取組をより一層充実し、事業所、家庭、飲食店等における受動喫煙防止の取組を積極的に支援してまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 今回の法改正で、以前より環境がよくなることは理解できましたが、望まない受動喫煙は、家庭内でも起こり得ます。家庭内での防止には、当然親の理解と行動が必要になりますが、子供たちへの出前講座は、親の理解に一番効果があるかと思いますので、回数をぜひ増やしていただきたいと思います。 最近知ったのですが、受動喫煙には、喫煙者が受ける1次被害と喫煙者が吐き出した煙やたばこから直接立ち上る煙を吸うことで起きる2次被害のほかに、たばこの火がついていなくても、周囲に付着した残留成分によって生じる3次被害があるそうです。喫煙所などでたばこを吸った後、吐き出す息や服にも臭いや成分が残っているのは誰でも知っていますが、それにも害があるとのことです。 先日、京都の高校生が、喫煙後に教室で授業される先生に対して、教室には来ないでと要求したことがニュースにありました。思ったより健康被害は広がっていることが分かりました。小さな声で言いますが、やはり禁煙が一番のようです。 これで私が今回用意した質問は全て終了しました。 ちょっと早口で言ったせいか、時間がちょっと余りましたけれども、最後まで御清聴いただき、誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明24日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第4号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後1時55分散会...