令和2年 9月 定例会 第 2 号 (9月18日) 令和2年
熊本県議会9月
定例会会議録 第2号令和2年9月18日(金曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第2号 令和2年9月18日(金曜日)午前10時開議 第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について
) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ――――――○――――――
出席議員氏名(49人) 前 田 敬 介 君 城 戸 淳 君 本 田 雄 三 君 南 部 隼 平 君 坂 梨 剛 昭 君 荒 川 知 章 君 西 村 尚 武 君 島 田 稔 君 池 永 幸 生 君 竹 﨑 和 虎 君 松 野 明 美 さん 山 本 伸 裕 君 岩 田 智 子 さん 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 大 平 雄 一 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 西 山 宗 孝 君 河 津 修 司 君 楠 本 千 秋 君 濱 田 大 造 君 前 田 憲 秀 君 磯 田 毅 君 西 聖 一 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 山 口 裕 君 早 田 順 一 君 渕 上 陽 一 君 城 下 広 作 君 鎌 田 聡 君 田 代 国 広 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 小早川 宗 弘 君 池 田 和 貴 君 井 手 順 雄 君 吉 永 和 世 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君 前 川 收 君
欠席議員氏名(なし
) ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君
知事公室長 白 石 伸 一 君 総務部長 山 本 倫 彦 君
企画振興部長 高 橋 太 朗 君 理 事 水 谷 孝 司 君
健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君
環境生活部長 藤 本 聡 君
商工観光労働 藤 井 一 恵 君 部 長 理 事 寺 野 愼 吾 君
農林水産部長 竹 内 信 義 君 土木部長 上 野 晋 也 君
会計管理者 本 田 充 郎 君 企業局長 藤 本 正 浩 君 病院事業 吉 田 勝 也 君 管理者 教育長 古 閑 陽 一 君
警察本部長 岸 田 憲 夫 君
人事委員会 青 木 政 俊 君 事務局長 監査委員 福 島 誠 治 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 吉 永 明 彦
事務局次長 横 尾 徹 也 兼総務課長 議事課長 村 田 竜 二 審議員兼 富 田 博 英
議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時開議
○副議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1 代表質問
○副議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、代表質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人100分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。
自由民主党松田三郎君。 〔松田三郎君登壇〕(拍手)
◆(松田三郎君) 皆さん、おはようございます。
自由民主党・球磨郡区・松田三郎でございます。代表質問、よろしくお願いいたします。 一昨日、菅新内閣が誕生いたしまして、調査によりますと、滑り出し、非常に高い
内閣支持率、国民の多くの高い期待を表していると、このように思うわけでございます。 私個人的には、県選出の国会議員、久しぶりの就任でございます
坂本哲志大臣の就任、ひとしおに喜んでいるところでございます。実は、私の大学の先輩でもございまして、非常に高い能力をお持ちの方でございまして
......(笑い声)ここは笑いが出るところじゃないと思いますが、大いなる期待をしているところでございます。この
県選出国会議員であられる坂本大臣をはじめ菅内閣には、熊本特有のいろいろな課題につきましても、前の安倍内閣同様、引き続き支援をしていただきたいと、改めて要望するところでございます。 御存じのように、先般の6月議会は、コロナ等の関係で短縮をいたしておりました。それで、知事の4期目の就任後初めての代表質問ということになるわけでございます。代表質問ではございますが、通告書を見ていただければ分かるように、私の中では何といっても災害と治水がメインでございまして、必ずしもその順番にはなっておりませんが、これは単なる私の時間配分などの都合からこのようになっているわけでございますので、そういうのをお含みおきながらお聞きいただければと思うところでございます。 それでは、通告に従いまして質問に入らせていただきます。 まず初めに、いわゆる4か年戦略について質問いたします。 通常であれば、知事選挙が行われた年、つまり知事の任期が始まる年に、マニフェストをベースとして4か年戦略が作成されます。6月定例会までに作成されるのが通例であり、今後4年間の県政運営の重要な指針となるべきものであります。ただ、今年に限っては、先の見えない
コロナ対策などの影響により、6月作成は無理で、9月以降に先送りということになっておりました。 事実、6月定例会の我が党の藤川議員の質問に対して、知事は「県として進むべき方向性や取組を県民の皆様と共有するため、
感染拡大防止と県民生活や県経済の再生、発展の
ベストバランスを図る取組や熊本地震からの
創造的復興など、喫緊の課題への対応を基本方針として取りまとめ、9月議会でお示ししたいと考えています。」との答弁をなさっておられました。 さらには、御存じのとおり、7月の豪雨災害への対応も加わり、今議会にも提案されておりませんので、さらに先送りせざるを得ない状況ではないかと考えます。 今後のことを考えると、丸4年間はないこと、
コロナ対策や災害対応などに予算を重点化せざるを得ないこと、
マンパワーや時間や労力をそれらにつぎ込まざるを得ないことなどから、非常にタイトであると思います。 そこで質問です。 いわゆる4か年戦略に相当するものについて、その内容や
策定スケジュール等について、おおよそのイメージで結構でございますから、知事の頭の中にあるものをお聞かせいただきたいと思います。 次の質問です。 今質問しましたことにも関連いたしますが、
新型コロナ対策、災害対応などで、今年度、度重なる
補正予算を組んでおります。例年にはないことではありますが、年度当初には想定し得なかった災害など、緊急度の高い、しかも多額の支出を余儀なくされた側面もあり、私は致し方ないと考えております。いや、積極的に言うならば、専決処分を含め、
スピード感のある、時宜を得た機動的な予算執行であったと評価をいたしております。 ただ、今
議会提案分を含めると、今年度予算が1兆円を超えてしまうことなどから、県民には、今後の県財政は大丈夫かと心配する向きがあるのも事実であります。 県庁、県議会が一丸となって努力をし、国へ要望した成果として、有利な補助金等の創設、補助率のかさ上げなどが実現した結果、県の実質的な持ち出しは、全体の総額の見かけほど多くはないとも言えるかもしれませんが、起債の償還などの後年度負担が長く、重くのしかかったという他県の例を考えると、中長期的な視点も必要になってくると言えるでしょう。 一つ言えることは、過度にセーブし過ぎて、県経済を窒息させたり、災害の被災者や
被災自治体の復旧、復興をちゅうちょさせたりすることは絶対にあってはならないということであります。そのような意味では、絶妙な
ベストバランスを取っていくというのは、我々が言うほど簡単ではないとは思いますが、これからの財政運営のかじ取りは非常に神経を使うだろうと予想をいたしております。 そこで質問ですが、通常、知事選挙の年は、2月に骨格予算、6月に肉づけの
補正予算という
スケジュールでありますが、今年度は、6月に
コロナ対策が大部分を占めたことから、他の肉づけは9月以降となっております。7月の豪雨災害を経て、他の肉づけ分は多少窮屈になっているのではないでしょうか。もともと6月補正で肉づけを検討していたが、9月までに予算化されていない事業については、今後どうされるおつもりなのか。あわせて、これからの財政運営のかじ取りの基となる今後の中長期の
財政見通しについて、知事にお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 本県は、令和2年7月の豪雨災害により多くの貴い命が失われるなど、甚大な被害が生じました。そのため、一日も早い被災地の復旧、復興に全庁を挙げて取り組んでおり、今定例会において基本方針をお示しすることは見送らざるを得ませんでした。 蒲島県政4期目において、熊本地震からの
創造的復興、
新型コロナウイルス感染症への対応、そして豪雨災害からの復旧、復興に全身全霊で取り組んでいく所存であります。 熊本地震からの
創造的復興については、阿蘇への
アクセスルートのうち、8月には
JR豊肥本線の全線開通、そして来月には国道57
号北側復旧ルート及び現道部が同時に開通します。また、大空港構想など、熊本のさらなる発展につながる、目に見える成果が着実に現れてきています。 また、
球磨川流域については、将来にわたる安全、安心を確保するとともに、歴史や地域資源を生かした持続可能な復旧、さらには
創造的復興を果たし、県全体の発展につなげていくことを目指してまいります。 そして、
新型コロナウイルスについては、まずは
感染拡大防止と大きな打撃を受けた県経済や県民生活の回復との
ベストバランスを図ってまいります。 逆境の中にこそ夢があるという信念と誰も取り残さないという強い思いを持ち、熊本地震と
球磨川流域の
創造的復興を両輪に、
新型コロナウイルス等の喫緊の課題への対応も進めながら、新しい熊本を創造し、地方創生を実現してまいります。 これらを踏まえ、11
月策定予定の令和2年7月豪雨からの復旧・
復興プランを公表した後に、年度内を目途に、今後の県政の歩むべき方向性や取組を基本方針として、県民の皆様にお示ししたいと考えています。 続いて、今後の
補正予算を含む
財政見通しについてお答えします。 まず、今年度当初予算に計上せず、補正予算で計上することを検討していた事業の取扱いについてです。 今回提案している9月
補正予算では、
新型コロナウイルスや豪雨災害への対応を最優先とする中においても、県として喫緊の課題あるいは継続的な取組が必要な事業について、その大部分を予算化しております。 今回予算化に至らなかったものについては、今後、事業の必要性や緊急性を十分に精査しながら、予算化を検討してまいります。 次に、今後の中長期的な
財政見通しについてです。 県議会の御理解をいただきながら、9月補正までに、累計で3,449億円の
補正予算を編成しております。その結果、今年度の予算額は1兆604億円と、県政史上2度目の1兆円を超える水準となっています。
財政調整用4基金の残高は、9月
補正予算編成後に一旦ゼロとなりますが、令和元年度の
決算剰余金の活用などにより、当面の財政運営に支障が生じることはないと考えております。 また、
感染症対応については、国の
臨時交付金などを活用できます。さらに、
豪雨災害対応については、県議会の皆様に御尽力いただいた結果、国庫補助のかさ上げや拡充、手厚い
地方財政措置が実現し、県の負担の最小化が図られる見込みです。 一方で、今後、
熊本地震関連事業に係る県債の償還が本格化するとともに、今回の
豪雨災害関連事業に係る県債の償還も加わります。さらに、
新型コロナウイルス感染拡大による県経済や税収への影響も不透明であることから、中長期的には決して楽観視できる状況ではありません。 こうした状況を踏まえ、必要な事業にはちゅうちょなく取り組みながら、将来への影響も加味した中期的な
財政見通しについて、令和3年度当初予算を踏まえて策定してまいります。 こうした取組により、今後とも健全な財政運営に努めてまいります。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) 知事の答弁の1点目については、新しい熊本というような御発言もありました。新しい熊本を創造すると。そして、11
月策定予定の復旧・
復興プランを公表した後、年度内を目途に今後の県政の進むべき方向性や取組を基本方針として、県民の皆様にお示ししたいというような答弁でございました。 2点目につきまして、一番最後におっしゃったことが印象的でございますが、将来への影響も加味した中期的な
財政見通しについて、令和3年度当初予算を踏まえて策定するという
スケジュールでございました。 財政がいいとか、財政が悪いとかというのは、一応数字では分かるわけでございますが、なかなかそれが県民の生活、経済にどう影響するのか、そういう実感として乏しいときがあるわけでございます。ぜひ、後でしまったとならないように、先ほど知事の答弁にあったとおりでございますが、早め早めの対応というのが必要ではないかと、私からも要望するところでございます。 次に、
新型コロナウイルス感染症対策と県経済との両立について質問いたします。 正しく恐れるというのは大変難しいことだと、改めて思っているところでございます。何が正しいのか、恐れる度合いも人それぞれでありまして、新型なるがゆえに正体もつかみにくく、我々は大変苦労しているわけであります。加えて、連日、東京では何名が、あるいは全国では何名が感染したとか、様々なデータや情報の提供を受けていると、本質を見失いがちではないかと心配をいたしております。 しかし、少しずつ分かってきたこともあるわけであります。この状況はしばらく続くであろうこと、そして誰でも感染し得る可能性があり、ゼロにすることは難しいこと、だからこそ感染者に対する差別、偏見は絶対だめだということであります。 我々は、感染によって死亡する人を絶対に出さない、重症化を防ぎ、そのために医療崩壊を何としても食い止めるということを目標に、これまでいろいろとやってきたはずであります。 数ある情報の中から、感染者の累計だけに目を奪われることなく、この中には症状が改善して退院した人なども入っているわけでしょうから、それらの人を除いた数字はどうなのか、重症者は何名で、その増減はどうなのか、全体の中でベッドをどれぐらい占有していて、まだ余裕はあるのかなどの情報は、とても有益ではないかと思います。 ちなみに、検査件数をどんどん増やせという意見がかつてもありましたし、今もあるわけでございます。可能な範囲で検査件数を増やしていくということは確かに必要かもしれません。しかし、保健所がパンクし、医療崩壊につながるような状況は避けなければなりません。 そもそも、
PCR検査も、その精度は70%程度と言われておりますし、その時点での判定であるということからして、陰性の結果判明の翌日に感染するかもしれないというような可能性を考えると、毎週検査をやるということでしょうか。検査を過信するのはあまりよくないと考えられます。 さて、本題でありますが、
感染拡大防止を徹底するならば、外に出るな、家にいろということになるでしょう。また、経済を回すことを徹底するならば、感染は気にするな、どんどん外に出て、飲み食いをし、観光に行ってくださいということになるでしょう。どちらも極論でありまして、知事がかねがねおっしゃっておられます両者の
ベストバランスというのが必要だと思います。 命と経済をてんびんにかけるなと言う人がいます。経済人にとって、自らの稼業がコロナの影響で廃業もしくは倒産ということになれば、それは死に匹敵する場合もあり、思い悩んで病む人、命を落とす人も出てくるかもしれません。そういうことを想像すると、どちらも命に直結する問題と言えるのではないでしょうか。さらには、経済が回っても、感染者や死亡者が増えるようでは元も子もありません。 また、
感染拡大防止ができても、その間に経済が壊滅してしまえば、その種がなくなり、その後の経済の復活は著しく困難となるでしょう。治療薬やワクチンが開発されれば、社会に一定の安心感は生まれるでしょう。それまでは非常に難しいかじ取りが要求されます。 そこで、知事に質問です。
感染拡大防止と県民生活、経済活動との
ベストバランスを図るため、どう取り組んでいくつもりなのか、お尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君)
新型コロナウイルス感染症への対応は、未知のウイルスとの闘いという先行きが見通せない中で、私は、正しく恐れて、迅速かつ果敢に対応していくことが重要であると考えています。 そのため、県議会、
医療関係者、経済界の声をしっかりと踏まえながら、
感染拡大防止と県民生活や地域経済の回復の
ベストバランスを図るための様々な取組を進めております。 まず、
感染拡大防止については、県独自に設けた
リスクレベルにより、専門家の御意見も踏まえて感染状況を的確に判断し、レベルに応じた対策を講じてきました。 県内の感染者数は、大規模なクラスターの発生などにより、7月下旬から急増いたしました。このため、
リスクレベルを最も高いレベル4までに引き上げ、
クラスター化を防ぐ対策や接待を伴う飲食店への実地確認など、リスクの高い部分に焦点を絞った対策に取り組みました。 感染者数の累計は、昨日までで570名となりましたが、
新規感染者数は、既にピークを越えて減少傾向に転じています。 現在の
入院患者数は、重症者なし、中等症7名、軽症者16名及び無症状者7名の計30名です。そして、
最大確保病床400床に対して、稼働率は7.5%です。既に多くの方が回復に至り、退院されています。 今後も、感染状況に応じ、警戒を怠ることなく、めり張りの利いた
感染拡大防止対策に取り組んでまいります。 次に、県民生活や地域経済の回復についてです。
新型コロナウイルスの感染拡大により、県民生活や地域経済は大きな影響を受けています。 県としては、まず第1に、
中小企業等の事業継続、雇用維持、確保に向け、県独自の
資金繰り支援をはじめ、拡充された国の
雇用調整助成金や
持続化給付金の活用など、パッケージとして支援しています。 また、
外出自粛等の影響を最も受けている宿泊業、飲食業等に対し、県独自の
宿泊キャンペーンや市町村と連携した
感染防止対策に係る補助事業を実施してきたところであります。 さらに、新しい生活様式に合わせた事業者の
ビジネス展開や
生産性向上の取組について、
専門家派遣や助成制度により後押しするとともに、
テレワークなどの
リモート環境を活用した
経済振興策を展開してまいります。 加えて、離職を余儀なくされた方々に対しては、再
就職支援プログラムにより
人材不足分野への再就職を促進したいと考えております。 さらに、影響を受けた
生活困窮者等に対しては、個人向けの
緊急小口資金の制度拡充、
独り親世帯や
生活困窮大学生等への
給付金支給などの支援を行っています。 これからも、
感染拡大防止と
社会経済活動との両立については、険しい道のりが予想されますが、アクセルとブレーキをうまく調整しながら、この難局を乗り切りたいと考えています。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) 知事の最後の御答弁にありました、アクセルとブレーキをうまく調節しながら云々と。限られたその知事に与えられた権限なり条件の中で、非常に、県職員全体としてですが、うまくハンドリングしていただいているなと思うわけでございます。 ただ、一部では、いわゆる特措法の改正の議論、改正をしてほしい、改正をしてほしいと全国の知事からもあっているようでございまして、まあざっくり言いますと、知事にもっと権限とお金を渡してほしいというような中身が大きいんだろうと思っております。 私もこの方向性には全く賛成でございまして、蒲島知事のように、現場に近いところにいるこういった知事に、まさに
フリーハンドを与えるというのは、さらに効果的なめり張り、さっきおっしゃったアクセルとブレーキ、こういう使い分けも必要ではないかと思いますので、今後の国の改正に向けての動向というのも注視していきたいと思うわけでございます。 次に、
空港アクセス鉄道についてであります。 私がこの問題を取り上げるのは、今回で3度目であります。まず、最初の平成29年11月定例会における私の質問に対して、知事は、
空港アクセスは長年の課題であり、さらには熊本地震後の
創造的復興の
重点的取組の一つとして前向きに取り組むと答弁なさいました。 これに対し、私は、特に
阿蘇くまもと空港への定時性を重視する人が多いという視点でしっかり検討してほしいと述べ、この
アクセス改善の取組を大きな期待を持って受け止めたのであります。 これを踏まえて、2度目となる平成30年11月定例会での私の質問に対して、知事からは、定時性、速達性及び
大量輸送性に優れ、事業費を相対的に低く抑えることができ、あわせて採算性が見込める鉄道延伸が、最も効果的かつ、より早期に実現できる可能性が高いという結論に至り、
JR三里木駅からの
分岐延伸ルートを軸に検討を進めるとの答弁がありました。 この
三里木分岐ルートは、同じく本県の長年の懸案である
県民総合運動公園への
アクセス改善も図ることができ、県民の
利便性向上につながる大変魅力的な案であります。 さらに、この答弁の後、
アクセス線開業後に整備費の3分の1を上限に拠出していただくという、これまでに例のない画期的な
事業スキームについて、JR九州からも同意が得られ、昨年度は、
アクセス鉄道整備に向けた詳細な調査の実施に至ったところであります。 この一連の知事の対応を見て、私は、いよいよ県として
空港アクセス改善に向けた本格的な動きがスタートしたのだと思い、大いなる期待を寄せたのであります。 しかし、昨年度の調査結果についての6月定例会での藤川議員の質問に対して、知事は、
アクセス鉄道の事業化の判断については、一旦立ち止まり、さらに議論を深めるため、昨年度の調査結果の課題である
費用便益分析、いわゆるB/Cなどについての精度の向上を図る、また、事業費のコスト縮減を追求するとともに、
新型コロナウイルスが交通・観光業界に与える影響やBRTを含めた他の交通モードとの比較についても幅広く意見を伺うため、今年度、新たに有識者や経済界などから成る検討委員会を設置し、議会をはじめ県民の皆様から一層の御理解を得られるように努めていくと答弁なさいました。 調査は、調査を受託した独立行政法人が公平、公正かつ専門的な観点で実施されたものであり、結果的に事業費が増額となったことは、私はやむを得ないと思っております。 そこで、安全性、利便性を維持した上で、コスト縮減を図るためのさらなる調査を行うことは、まさに冷静で賢明な判断であると思います。 一方で、知事が一旦立ち止まると表明されたことについては、後退したのかとか、知事は迷っているのではないかなどの県民の懸念もあるようですし、私といたしましても、今年度は、具体的な整備計画作成あるいは概略設計と、次のステップに進むだろうと期待していただけに、非常に残念であります。 以前から申し上げているとおり、この
空港アクセスは、道半ばである熊本地震からの
創造的復興の総仕上げとして、また、将来の熊本の発展にとって絶対必要なものであると、私は確信しております。 そこで質問であります。 BRTのほうが安いのではないかとか、7月豪雨で被災した鉄道の復旧のほうが先だろうとか、中には採算が取れずに失敗するのではないかなどの御意見、御批判も一部にはあるようですが、このような御意見なども頭に入れて、昨年度調査で結論が出なかったB/C算出、コスト縮減などの継続調査の進捗状況や
空港アクセス鉄道検討委員会での検討状況、そして最後に、この
アクセス鉄道にかける意気込みについて、改めて知事にお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、6月定例会において、事業化の判断については、一旦立ち止まり、さらに議論を深めると答弁いたしました。 この趣旨は、
空港アクセス鉄道の整備を進めることについて、議会や県民の皆様に御理解をいただくためには、まずは昨年度の詳細調査で確認された課題を明らかにする必要があると考えたためです。さらには、
新型コロナウイルスによる社会の変化などを検証し、有識者等からも意見を聴く必要があると考えました。 現在、昨年度の調査で課題が確認された
費用便益分析、いわゆるB/Cの精度向上や県民負担の最小化に向けた事業費縮減のための継続調査について、今年度末をめどに作業を進めています。 また、検討委員会については、県として、豪雨災害への対応に全力を挙げていることや意見を伺う予定の交通事業者も被災されていることから、現時点では開催を見合わせています。 検討委員会は、県民の皆様からの一層の御理解を得るために重要であり、復旧、復興の状況を見極めながら、可能な限り早期に開催したいと考えています。
空港アクセス鉄道の整備は、定時性、速達性向上などの空港利用者への直接的な効果はもちろん、鉄道ネットワークがつながることによる県全体への波及効果が期待されるものです。 また、空港周辺や
アクセス鉄道沿線地域では、新たな先端産業の集積も期待され、今後の地方創生に資する取組でもあります。 さらに、長年の課題であった
県民総合運動公園へのアクセスが大幅に改善され、スポーツ大会やイベントの誘致も期待できます。 このほか、自家用車から公共交通機関への転換によるCO2削減効果も期待されます。 このように、
空港アクセス鉄道は、単なる交通
アクセス改善にとどまらず、様々な効果を生み出すものであり、まさに熊本地震からの
創造的復興の総仕上げとしての取組であります。 50年後、100年後を見据え、将来の熊本の発展に必ずや貢献するものと確信していますので、これまでどおり検討を進める考えに変更はありません。実現に向け、県民の皆様の御理解が得られるよう、引き続き取り組んでまいります。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) 答弁の中に、検討委員会設置予定だが、いろいろな諸事情によって、現時点では開催を見合わせていると。いろいろ事情をお伺いすると、被災なさっているところもあるということで、これはこれでやむを得ないのかなと思うわけでございます。 また、いろいろ効果をおっしゃいました。繰り返しになりますが、空港利用者への直接的な効果あるいは県全体への波及効果、また、新たな先端産業の集積も期待されると、スポーツ大会やイベントの誘致も期待できる、そして、さらにはCO2の削減効果も期待できると、いろいろいいことずくめでございまして、まさに
創造的復興の総仕上げ、最後には、50年後、100年後を見据えて云々、検討を進める考えに変更はないという知事の力強い表明を聞くことができて、安心したところでございます。どうぞ頑張ってください。 次に、犯罪被害者支援条例の制定について質問いたします。 この問題については、鎌田議員が以前質問なされているようでありますが、知事は、知事選のマニフェストにおいて「犯罪被害者を守り、痛みを和らげる犯罪被害者支援条例の2020年度中の制定に取り組みます。」ということを掲げておられます。 犯罪被害者等に対する支援の必要性については言うまでもありません。身体や財産への直接的な被害だけでなく、事件に遭ったことによる精神的苦痛、医療費の負担や失業、転職等による経済的困窮、捜査や裁判の過程における精神的、時間的負担、周囲のうわさ話や加熱報道によるストレスや不快感などの問題を抱えており、犯罪被害者等が安心して暮らすことができるようになるには、多くの時間と支援が必要であります。 県は、これまで、犯罪被害者等基本法に基づいて定めた熊本県犯罪被害者等支援に関する取組指針により、犯罪被害者等の支援に取り組んできたところでありまして、一定の成果を上げてきたこともあり、必ずしも条例制定の必要性を認識してこなかったと言えるかもしれません。 しかし、県が昨年度開催した外部有識者による熊本県犯罪被害者等支援懇話会において議論された、今後の犯罪被害者に対する支援の在り方の中身を吟味してみると、そうも言っていられないというように思うわけであります。 当該懇話会では、犯罪被害者支援における県警などと市町村との連携や犯罪に伴い生じる副次的な被害の防止等に課題があることが指摘され、県民への広報啓発等の根幹となる県条例の制定、犯罪被害者等のニーズに対応した的確な情報提供や支援策の充実、確実に支援につながる体制の充実が必要との意見が取りまとめられたのであります。 参考までに申し上げますと、全国で犯罪被害者支援に特化した条例を制定しているのは、令和2年4月時点で21の都道府県であり、そのうち九州では、福岡、佐賀、長崎、大分の4県であります。また、県内においては、南阿蘇村と長洲町が特化した条例を制定しているとのことであります。 もう1点、県弁護士会と公益社団法人くまもと被害者支援センターから、条例の早期制定を求める要望書が、昨年度、県へ提出されているそうであります。 知事がマニフェストに掲げられたのは、こういった経緯等も踏まえてのことだと思いますが、条例制定についての考えを改めて知事にお伺いいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 犯罪被害に遭われた方々への支援は、人権に関わる重要な取組の一つであると認識しています。 このため、県では、平成20年に熊本県犯罪被害者等支援に関する取組指針を策定し、以後改定を重ねてきました。現在は、第3次となる指針の下で取組を進めています。 これまで、この指針に沿って、全市町村に相談窓口が設置されるとともに、被害者の方々に対する県民の理解や共感を醸成する広報活動などを行ってまいりました。また、県警や公益社団法人くまもと被害者支援センターとの連携、協力により、裁判等への付添い支援やカウンセリングを行うなど、被害者に寄り添った支援にも取り組んできました。 このような取組を進める中で、昨年度、外部有識者による懇話会を設置し、今後の犯罪被害者の支援の在り方について議論いただき、大きく3つの意見をいただきました。 1つ目は、行政職員の資質向上に努め、ニーズに応じた支援策を進めていくこと、2つ目は、必要な支援を途切れなく行うため、支援体制の充実を図ること、3つ目は、それらの前提として、県民、事業者等の意識醸成の根幹となる条例を県が率先して制定することであります。県弁護士会などからの条例の早期制定を求める要望も、そのような趣旨からいただいたものと受け止めています。 犯罪被害に遭われた方々が安心して暮らしていくためには、行政だけでなく、社会全体が被害者の方々に寄り添い、支援を行っていく必要があると考えます。 私は、犯罪被害者支援に県としてより一層取り組む姿勢を明確にし、市町村や関係機関、県民、事業者等、県全体として途切れることのない支援を行っていくためには、条例制定が必要と判断しました。早期の条例制定に向け、鋭意準備を進めてまいります。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) 条例を制定する必要があると判断したと明確に御答弁をいただきました。 最後におっしゃった、どうしても条例化する必要がある、条例化する意義というのが最後のくだりだと思います。より一層取り組む県の姿勢を明確にする、そして県全体として途切れることのない支援を行っていくというところが、その条例化の必要性、意義ということに当たるのではないかと思うわけでございます。 どうぞしっかり準備を進めていただいて、他県に、さっき言いましたように、もう既に特化した条例はあるとは思いますが、他県に負けないというか、それ以上のしっかりした中身の条例をしかるべき時期に提案をしていただきたいと私からもお願いするところであります。 続きまして、令和2年7月豪雨災害関連についてであります。 7月の豪雨災害は、
球磨川流域に人的、物的、精神的に甚大な被害を及ぼし、自治体の在り方を根本から覆すほどの激甚災害でありました。お亡くなりになられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災なさった方々にお見舞い申し上げます。 発災から2か月半ほどが経過をいたしました。応急対策から本格的な復旧、復興へとフェーズが変わりつつある状況と言えるでしょう。 この間、県及び県議会は、国に対して2度にわたる緊急要望を行い、国もそれに応えるように、なりわい再建支援補助金に代表されるような、熊本地震並みあるいはそれ以上の対応をしていただきました。 県におかれましても、初動から人的、物的、予算的支援をいただき、大変感謝をしております。知事はじめ県職員の皆様にとって、熊本地震のときの経験や教訓が血肉となり、生かされたなということを改めて実感をいたしました。 そして、今議会の議案等の中で特筆すべきは、
球磨川流域復興局の新設と30億円の
球磨川流域復興基金であります。知事の並々ならぬ決意と意気込みを感じるのであります。
球磨川流域復興局の業務内容は、復旧・復興本部、くまもと復旧・復興有識者会議の運営、復旧・
復興プランの策定及び進捗管理、豪雨災害に伴う県南地域の市街地・集落再生支援、ライフライン、交通等の復旧に向けた取組の調整、
球磨川流域の治水対策の検証などとなっております。 復旧・
復興プランについては、議会初日の議案説明の中で、11月を目途に策定、公表する旨の発言がございました。特に、被害の大きかった人吉市、球磨村などの意向もしっかり聞きながら進めなければならないと考えますが、知事の頭の中でどのようなイメージを描いておられるのか、その一端をお聞かせ願います。これが1点目の質問であります。 次に、30億円という額は、熊本地震のときの復興基金520億円に比較すると少なく感じられるかもしれませんが、現段階で国の資金提供がないのに県独自に基金の造成をしていただいたことは、大変ありがたいことと感謝をいたしております。あくまで当面の、そして第1弾にすぎないと考えておりますが、どのような事業メニューを考えておられるのか。 以上2点につき、お尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、復旧・
復興プランについてお答えします。 今回の豪雨災害では、特に
球磨川流域を中心に甚大な被害をもたらし、65名の貴い命が失われ、今なお2名の方が行方不明となっておられます。 こうした人的被害に加え、全半壊が4,600棟以上、床上浸水が1,500棟以上と、住民の皆様の財産や生活環境にも大きな被害をもたらしました。 私は、発災直後直ちに防災センターに駆けつけました。そして、時間の経過とともにモニターに映し出される水没した人吉市街地、濁流にのまれた球磨村や八代市坂本地区の映像に大変な衝撃を受けました。 その後、幾度となく現地を訪問し、泥や流木、瓦礫で埋め尽くされた
球磨川流域の変わり果てた姿を目の当たりにしました。 私は、胸が張り裂けるような思いで、なぜこの災害を防げなかったのか、なぜ多くの人命を守ることができなかったのか、自らに問い続けてきました。 そして、明日にも起こり得る想定以上の豪雨に対して、
球磨川流域の安全、安心を守り抜くこと、さらに球磨川の恵みを享受しながら、歴史に残る復旧、復興を成し遂げることこそ、私に課された4期目の使命であると受け止め、全身全霊をささげる覚悟でこれに立ち向かうことに決めました。 豪雨災害から2か月が経過し、応急的な対策から暮らしや生活の再建といった本格的な復旧、復興の段階に移っています。 そのため、まず8月21日に、私を本部長とする復旧・復興本部を設置し、県庁が一体となって復旧、復興を迅速かつ強力に推進する体制を整えました。さらに、
スピード感を持って集中的に復旧、復興に取り組む専任組織として、
球磨川流域復興局を設置し、体制の強化を図りました。 この
球磨川流域復興局は、1930年代のアメリカで、大恐慌からの復興を目指し設立されたテネシー川流域開発公社のイメージを重ねたものであります。将来も語り継がれる歴史的プロジェクトとして、必ずや
球磨川流域の復興を成し遂げたいという私の強い決意を表すものでもあります。 そして、8月30日には、五百旗頭座長をはじめ、日本を代表する英知を結集したくまもと復旧・復興有識者会議を開催しました。 会議前日には、酷暑の中、被災地を視察していただき、被害の甚大さ、過酷さを直接確認いただくとともに、
球磨川流域の持つ雄大な自然やその豊かさ、特性も体感していただきました。 会議では、住民の生命、財産を守り、安全、安心を確保するとともに、
球磨川流域の豊かな恵みを享受し、将来にわたって持続可能な流域の再生を目指すグリーン・ニューディールという新たな復旧、復興の哲学が示されました。 この哲学は、
球磨川流域の地域の魅力や誇りを磨き上げ、
創造的復興を成し遂げるための重要な指針になるものと確信しています。 今後、この指針を基に、必要な取組を大胆に、かつ一つ一つ丁寧に積み上げながら、復旧・
復興プランを具体化していきたいと考えています。そのためにも、流域市町村や被災された方々の意向をしっかりと把握することが重要です。 現在、
球磨川流域復興局を中心に、流域市町村や地域の方々との意見交換を行っています。さらに、県の担当職員が各市町村の復興計画の策定に積極的に参画するなど、復興に向けて連携を強化しています。 今後、私が、流域住民の方々や商工業、農林水産業などの様々な団体の方々に直接お会いし、復旧、復興に対する考えや治水の方向性に対する御意見、御提案をしっかりと伺ってまいります。 その上で、有識者会議の御意見や流域市町村、さらには被災された方々の意向などを十分に踏まえ、11月を目途に復旧・
復興プランを取りまとめることができるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、
球磨川流域復興基金についてお答えします。 この基金は、球磨川水系防災減災基金条例を改正し、これまでの防災、減災の取組に加え、今回の豪雨災害からの生活再建、市街地や集落の復興を推進することで、
球磨川流域の安全、安心な地域づくりを目指すものです。 この基金により、熊本地震復興基金と同様、住まいの再建や公共施設、地域コミュニティー施設の復旧など、被災地や被災者のニーズに対して、地域の特性も加味しながら、きめ細かに対応していきたいと考えています。 既に庁内では、流域市町村の要望を酌み取りながら事業化に向けた検討を進めており、必要なメニューについて、速やかに事業化し、実施してまいります。そして、議会の御理解をいただきながら、今後の事業の実施状況も踏まえて、基金の増額も検討してまいります。 被災された方々一人一人の生活の再建なくして
球磨川流域の再生はありません。
球磨川流域の復旧、復興を一日も早く実現し、熊本のさらなる発展につながるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) 質問しといて言うのもなんですが、長かったですね。力がついつい入っての答弁だと思いますが。以前も政策審議会で申し上げましたが、御答弁の中のグリーン・ニューディール、これは少なくとも自民党の中ではあまり評判がよくないようでございまして、ただ――笑っていらっしゃいますが、知事は非常に頑固な一面をお持ちでございます。我々が評判が悪い、反対だ反対だと言うと、それだったら使ってやろうというお考えになる、多分使われるんだろうと思いますが、使われますか。 もし頑固な一面を発揮して使われるのであるならば、中身はみんなそう反対はしてないわけでございますが、このグリーン・ニューディールと聞いたときの――まあイメージの問題です。イメージがどうも正確に伝わりにくいというような心配がございますので、その点は、しっかり丁寧に、イメージが正確に伝わる、そういう丁寧さは必要ではないかと思います。グリーン・ニューディール、使われますか。答えは後で結構でございます。 基金についても御答弁をいただきました。 これは、熊本地震のときに、補助事業にはなかなかのりにくい、そういう事業に非常に重宝した、ありがたかったというような記憶も経験もございますので、そういう意味じゃ大変ありがたい基金の造成でございます。基金の増額も検討していくということでありますので、ぜひ第2弾以降の増額も私からも要望をしたいと思いまして、次の質問に移りたいと思います。 被災した鉄道の復旧についてであります。 今回の令和2年7月豪雨では、JR肥薩線、肥薩おれんじ鉄道、くま川鉄道が施設や車両に甚大な被害を受けました。 災害により突然の運休を強いられた各鉄道会社においては、真っ先に通学利用の生徒たちの輸送を検討いただき、バス会社の協力、県の支援の下、くま川鉄道とおれんじ鉄道については、7月20日から代替バスの運行が始まり、また、JR肥薩線についても、9月10日から代替輸送が開始されたところであります。 地元の高校に通う生徒の保護者の一人といたしまして、鉄道会社及び関係機関にお礼を申し上げたいと思います。 さて、鉄道の被災状況でありますが、肥薩おれんじ鉄道は、被害は佐敷トンネルへの土砂流入など92か所に及びましたが、応急復旧が進み、早ければ11月には全線再開の見通しと聞いております。 一方、2つの橋梁の流失をはじめ、450か所に上る被害を受けたJR肥薩線及び同じく球磨川に架かる橋梁の流失など甚大な被害を受けたくま川鉄道は、いまだ具体的な復旧の見通しが立っていない状況であります。 そのような中、くま川鉄道は、8月27日に開催されました取締役会で、鉄道としての復旧を進めていくことが決議され、被害状況を目の当たりにし、復旧は厳しいのではないかと心配していた地域住民にとって、希望の光がともる明るい知らせであり、非常にうれしく思っております。 ただし、くま川鉄道は、経常損益が30年連続赤字と非常に厳しい経営を強いられている中、鉄道の復旧には多額の事業費と期間がかかると考えられます。 また、JR肥薩線については、今年JR九州が発表した令和元年度の八代―人吉間の収支は6億余りの赤字と、大変厳しい状況となっております。 熊本地震で被災した
JR豊肥本線は、先日、8月8日に4年4か月ぶりに全線再開を果たしましたが、九州北部豪雨で被災した日田彦山線は、多大な復旧費用と利用者減少を理由に、JR九州は鉄道による復旧を断念し、BRTに転換することが決定されました。 肥薩線は、現在、復旧方針が明らかになっておりませんが、球磨・人吉地域で生まれ育った者として、ぜひとも鉄道として残ってほしいと願っております。 両鉄道ともに、沿線自治体の人口減少などにより利用客は減少しており、復旧には公的支援は欠かせないと考えます。熊本地震で被災した鉄道の復旧に中心的役割を果たした県に、今回も同様の役割を期待するところであります。 そこで、今回被災した鉄道の復旧に対する知事の思いをお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 今回の豪雨により被災した鉄道は、いずれも長い歴史を持ち、地域の産業や人々の暮らしを支えている重要な交通機関です。JR肥薩線の「SL人吉」をはじめ、特色ある観光列車が結ぶ南九州の周遊観光の目玉にもなっていました。 鉄道の復旧は、
球磨川流域の復興のシンボルとなる重要な取組の一つと認識しており、熊本のさらなる発展につながるものと考えています。 そのような中、くま川鉄道においては、出資者である地元市町村が鉄道事業による復旧をいち早く決断されました。全線復旧には多くの時間と費用を要することになりますが、県としても、地元の決断を受け止め、しっかりと連携して、一日も早い復旧に向け、先頭に立って取り組んでまいります。 JR肥薩線については、被害状況の調査を経て、これからJR九州として復旧方針等を検討していくと聞いており、まずはその状況を注視していく必要があると考えています。 先月8日には、熊本地震で傷ついた豊肥本線が全線開通し、阿蘇の田園風景を走る列車の姿に多くの県民が喜びをかみしめていました。私は、肥薩線もそのような復活をぜひとも果たしてほしいと思い、JR九州に私の気持ちをお伝えしているところであります。 肥薩線の復旧については、豊肥本線と同様に、国、県、地元市町村が協力していくことが重要であり、県としても、しっかりと取り組んでまいります。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) くま川鉄道についての御答弁の中で、県として、先頭に立って取り組んでまいるという力強い御答弁をいただきました。 熊本地震の後、南阿蘇鉄道、そのときの例というのが非常に参考になるんだろうと思います。しかし、その前提としては、地震のときがそうであったように、これからのくま川鉄道の復旧には、地元の市町村が復旧に対しての熱い情熱、何とか支援をお願いしたいと、こういうものがもちろん前提として必要ではないかと思うわけであります。 一方、肥薩線についても言及がありました。知事の御答弁の中で、豊肥本線の全線再開のときの阿蘇の田園の光景がというようなくだりがありました。 私もあえて申し上げますならば、こういう鉄道には、採算ももちろん、民間会社ですから必要でございますが、それを超えた感動とかロマンというものもあるのではないかと思います。取り立てて私は鉄道ファンではございませんが、一旦廃止すると復活はもうなかなか困難、不可能でございますので、先ほどJR九州に私の気持ちをお伝えしているというようなありがたい取組もありますので、引き続き、知事のほうからも、地元と一緒になって要望し続けていければと思うわけでございます。よろしくお願いいたします。 次に、球磨川の抜本的な治水対策についてであります。 7月豪雨は、
球磨川流域市町村だけでも、死者60名、行方不明者2名を出す大惨事を引き起こしました。私の選挙区であり、ふるさとでもある球磨、人吉の光景は、大きくさま変わりし、壊れてしまいました。 昭和40年7月洪水を前提に、球磨川治水対策協議会などで議論し、ダムによらない治水対策を極限まで追求してきた案を吹き飛ばすに余りある規模の洪水でありました。川辺川ダムが治水対策の一つの有力候補として再び浮上してきたのは、至極当然の成り行きであります。 ダムによらないなどという枠をはめたり、予断を持つことなく、何ものも排除することなく、原点に戻り、科学的、客観的で抜本的な治水対策を真剣に、
スピード感を持って考え、決めていかなければならないと改めて思った次第であります。 知事は、12年前の平成20年9月11日、この本会議場で、現行の川辺川ダム計画の白紙撤回を表明されました。くしくも、その日は私の誕生日でありました。 改めて当時の議事録を読み返してみました。あらかじめ申し上げておきますが、これから私が述べることは、当時の知事の発言の揚げ足を取って非難する意図は全くなく、発言の中の論理の組立てを再確認して、状況の大きな変化をお示ししたいという趣旨でありますから、御理解をいただきたいと思います。 発言の中で「有識者会議において確認できたことは、河川工学の観点からは、
球磨川流域の水害に対して抜本的な対策を実施する場合には、川辺川ダムが最も有力な選択肢であるということでした。」と述べておられます。 また、知事いわく「川辺川ダムの最大受益地である人吉市では、田中市長が現行のダム計画の白紙撤回を求めることを表明されました。ダム建設予定地である相良村の德田村長も、川辺川ダム建設は現時点では容認しがたいと意見表明されております。そのほか、流域市町村の町村長も、ダム建設についての意見が分かれてきております。」この点が、知事の表明を決定づけた大きな要因ではないかと考えられます。 御存じのように、人吉市長も相良村長も、当時と顔ぶれが変わっております。加えて、球磨川最上流の水上村から最下流の八代市までの
球磨川流域全12市町村で構成されている川辺川ダム建設促進協議会が、速やかに検証結果を出し、川辺川ダム建設を含む抜本的治水対策を講じてほしいという趣旨の総会決議、県議会への請願、そして知事への要望をなさっておられます。一人もこぼれることなく、一丸となってまとまっているところが、12年前と大きく異なっている点と言えるのではないでしょうか。 そしてまた、知事いわく「過去の民意は、水害から生命、財産を守るため、ダムによる治水を望みました。現在の民意は、川辺川ダムによらない治水を追求し、今ある球磨川を守っていくことを選択しているように思います。未来の民意については、人知の及ぶところではありません。地球環境の著しい変化や住民の価値観の変化、画期的な技術革新などによって、再びダムによる水害防止を望むことがあるかもしれません。その場合には、既に確保されているダム予定地が活用されることになり、未来に向けて大きな意義があるものと思います。」というように、民意の捉え方を論理の大きな柱とされているようであります。 私は、この12年間で状況が大きく変わり、特に今回の豪雨災害を境にして、民意も大きく変わったと感じております。 民意の捉え方は、様々あるかもしれません。しかし、少なくとも
球磨川流域の抜本的な治水対策を考えるに当たっては、第1に、住民を代表している市町村長の意見を最大限に尊重すべきであります。 この場合の民意は、流域の市町村長の意見が大部分を占めると考えるのが妥当であります。なぜならば、住民の生命、身体、財産をあらゆる危険から最前線で守る責務を負っているのが市町村長の方々だからです。 ただ、事洪水に対しては、いわば丸腰で闘わざるを得ない状況であり、住民を守るためにしっかり闘える武器を自分たちにも与えてほしいという悲痛な叫びが、今回の一丸となっての総会決議、請願、要望という一連の行動につながっていると思われます。 そうは言っても、ダムに反対する人がいるのも事実であります。反対の理由は、大きく2つあると思われます。環境面とダムアレルギーであります。 環境の観点からは、例えば環境に配慮したいわゆる穴空きダムなどもあり、他の手段も含めて、いろいろ工夫の余地はあると考えます。 また、ダムにより水害が拡大するとか、とにかくダムはだめなんだなどとおっしゃる方もいらっしゃるようでありますが、私から言わせていただくならば、多少誤解に基づく部分もあるのではないかと思います。 例えば、いわゆる緊急放流という用語でありますが、これはマスコミ用語のようなものであり、行政上は使わない言葉だそうであります。それでは、行政的には何と言うか。これのほうが難しいんですが、異常洪水時防災操作。もう一回言います。異常洪水時防災操作と言うそうであります。 緊急放流、いわゆる緊急放流と言うと、何かダムが耐え切れずにたまっている水を自ら全部下流に流してしまう、そういうイメージを持たれるかもしれませんが、ダムというものは、流入量以上のものを流すことはなく、入ってきた水量を上限として下流に水を流すことにより洪水を調節し、下流に時間的余裕を与える機能を有するのであります。 事実、第1回目の球磨川豪雨検証委員会において、市房ダムがなかった場合、多良木観測所付近では計画高水位を超えていたものと推測される、市房ダムの洪水調節により、おおむね90センチ程度の水位低減効果があったと考えられ、球磨川上流域に流れ込む支川周辺の内水被害軽減等に貢献したものと考えられるとの報告がなされております。 関連して、同検証委員会では、仮に川辺川ダムがあった場合を想定した報告もなされております。 今回の洪水の人吉地点のピーク流量をおおむね毎秒8,000立方メートル程度と推定すると、市房ダムでの洪水調節後のピーク流量が、500立方メートルカットのおおむね7,500立方メートルと推定され、さらに川辺川ダム洪水調節後の人吉地点のピーク流量はおおむね毎秒4,700立方メートル程度、つまり最大で4割程度抑えられ、洪水被害をかなり軽減できた可能性があったとしております。 これほど効果のある対策を、最初からあえて排除する必要性はどこにも見当たりません。私は、今後の球磨川の抜本的治水対策を検討していくに当たって、川辺川ダムを有力な選択肢の一つとして当然含めるべきと考えますが、知事の所見をお尋ねします。これが1点目でございます。 2点目の質問です。 県の復旧・
復興プランを11月を目途に作成するという、先ほどの答弁でございましたが、人吉市や球磨村などの特に被害が大きかったところからするならば、少なくとも治水対策の方向性が決まらなければ、被災者は、元の家に戻れるのか、元のところにまた店舗を構えてよいものかなど意向が固まらず、各自治体のプランや今後のまちづくりを進めたくても進められないという状況ではないでしょうか。 県の復旧・
復興プランと球磨川の抜本的治水対策との関係性、つまり、治水対策は、今後どのような場で、どのようなメンバーで検討され、決まっていくのか、その決まり方と
スケジュールについてお尋ねします。 以上2点について、知事に質問いたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 球磨川の抜本的な治水対策についてお答えします。 私は、12年前、ダム、非ダムという地域の対立により混迷を極めていた川辺川ダム問題の解決に向けて、
球磨川流域で暮らす方々、さらには県民の幸福量の最大化のために、いかなる選択が最善か、熟慮を重ねました。 その中で、様々な専門分野の研究者に科学的、客観的かつ多角的な意見を求めるために、有識者会議を設置しました。 有識者会議においては、河川工学の観点から、
球磨川流域の抜本的な治水対策として、川辺川ダムが最も有力な選択肢であるということが示されました。一方で、ダムが環境に与える影響や環境が損なわれることによる地域社会への影響についての懸念があるため、現行の川辺川ダム計画については見直しが必要であるとの御意見もいただきました。 また、治水上の受益地である相良村長や人吉市長から、ダムに反対する旨の意見表明がありました。さらに、流域の多くの皆様と意見交換を重ねる中で、私は、民意は川辺川ダムによらない治水を追求し、今の球磨川を守っていくことを選択していると確信しました。 そのために、平成20年9月11日に、川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきであると表明いたしました。 その後、直ちに国土交通大臣にダムによらない治水対策を検討するように求め、大臣も合意され、それ以来、国及び流域市町村とともに検討を進めてきました。 そのような中で、今回、これまでの想定をはるかに超える豪雨により、未曽有の洪水被害が発生しました。 私は、このような被害を二度と生じさせないためには、まず、今回の豪雨災害がどのようなものであったかを科学的に検証することが必要と考えました。そこで、令和2年7月球磨川豪雨検証委員会を立ち上げ、国及び流域市町村と連携して検証に取りかかりました。 本委員会は、国、県及び流域市町村が保有するデータなどに基づき、今回の降雨量、河川の水位、被害状況、浸水範囲、氾濫形態及び洪水流量の検証を行うものです。 さらに、発生後の初動対応やダムによらない治水対策の評価、仮に川辺川ダムが存在した場合の効果などについても、網羅的に検証を行います。 8月25日に開催した第1回委員会では、昭和40年7月洪水をはるかに超える豪雨により、人吉地点の流量がおおむね毎秒8,000立方メートル程度であったことをお示ししました。また、市房ダムの予備放流を含めた洪水調節により、多良木観測所でおおむね90センチ程度の水位低減効果があったことをお示ししました。さらに、市房ダムによる洪水調節後の人吉地点のピーク流量はおおむね7,500立方メートルであり、仮に川辺川ダムが存在した場合、その流量は毎秒4,700立方メートル程度に低減されたのではないかと推定されました。 また、会議では、ダムによらない治水を検討する場で積み上げた堤防補強や河道掘削などの直ちに実施するべき対策を実施した地域では、今回、洪水被害を防ぐことができたと評価する御意見もいただきました。 一方、昨日は、流域市町村で構成する川辺川ダム建設促進協議会から、流域市町村の総意として、今回の検証でダムの有効性が認められた際には、川辺川ダム建設事業を含めたあらゆる対策に直ちに取り組むべきとの要望書を頂きました。 また、国土交通省は、本年7月に、今後の治水対策について、気候変動による災害リスクの増大に備えるため、流域全体で総合的かつ多層的に取り組む新たな治水対策である流域治水へ転換する考えを示しています。流域治水については、専門家の方々からも、検証委員会に提言が届けられています。 さらに、流域住民の方々からは、ダムを早急に整備すべきという御意見やダムに批判的な御意見、五木村を再び翻弄すべきではないといった御意見など、様々な御意見が私の元に届けられています。 私は、今、これまでの川辺川ダム問題における地域の対立の歴史を繰り返すことなく、球磨川の治水対策を導き出していくことが重要だと考えています。また、そのような思いの下、流域住民の方々や商工業、農林水産業などの様々な団体の方々の御意見、御提案を伺ってまいりたいと考えています。 今後の
球磨川流域の治水の方向性については、検証結果を踏まえ、また、これらの御意見などを参考に、川辺川ダムなどを含めて、あらゆる選択肢を排除せずに検討してまいります。 次に、今後の治水の方向性の決まり方と
スケジュールについてですが、まずは時間的緊迫性を持って、科学的、客観的な検証に取り組んでまいります。 次回の委員会では、人吉市や球磨村渡地区などの主要地点における流量に加え、仮に川辺川ダムが存在した場合の水位や浸水面積、各種施設への影響などをお示しする予定です。さらに、ダムによらない治水対策の評価、初動対応の実施状況などもお示しいたします。日程については、現在、10月上旬の開催を目途に調整を進めています。 今後の
球磨川流域の復旧、復興を進める上では、治水の方向性を定めることが大前提となります。私としては、年内に、それもできるだけ早く県としての治水についての考え方を整理し、お示しするとともに、国、県及び流域市町村が連携して治水の方向性を定めてまいりたいと考えています。 私は、今回の豪雨からの一日も早い復旧、復興を実現するとともに、将来に向かって
球磨川流域の安全、安心を確保することが私に与えられた天命であるとの覚悟を持って、全身全霊で取り組んでまいります。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) 私は、今回の質問を考えているときに、知事の御答弁にもありましたように、第1回目の検証委員会は開催されましたが、まだ2回目が今度10月の上旬で調整ということで、1回目と2回目の間でありますから、なかなか知事としても、かねがね検証に基づいてこれから考えていくと、まず検証結果が出ないことには進まないんだろう、答弁もしにくいんだろうと思いながら、なかなか質問が見当たらなかったというのが実情でございますが、明確に、川辺川ダムも含めて、あらゆる選択肢を排除せずに検討と、しかも年内のできるだけ早い時期に県としての考え方を示す、国、県及び流域市町村が連携して治水の方向性を定めていくという、
スケジュールにも言及した答弁をいただいたわけでございます。 さっき言いましたように、非常にまだ難しいタイミング、難しい時期ではございましたが、ぜひ、知事がおっしゃった、その間に、そのプロセスに流域住民あるいはいろいろな団体からも意見をお伺いしたいと。これはある意味当然でございますが、私たちは、かつて住民討論集会という非常に苦い経験もございますので、この聞き取る手法に関しては、非常に神経を使って、その方式などにも気をつけていただきたいというのを要望しておきたいと思いますし、定例の会見等でも、何事も排除をせずに、川辺川ダム建設も選択肢に含めてという発言はなさっておられます。まあ、よもや明日の新聞で、知事が考え方を変えたとか、いずれ――例えばそういうときに、何か見出しが想像つくようではございますが、そうではなくて、私が先ほど申し上げましたように、12年前に表明をなさってからの12年間で、気象状況でありますとか、あるいはこの大災害を境に住民のあるいは市町村長の民意、考えというものが大きく変わってきた、だからこそ知事もそれに合わせて判断をしていただいたわけでございます。何もこの場でダム建設をするんだと言ってほしいとかいうのを期待しているというわけではなくて、さっき言いました、この時期は、まずはダムも排除することなく選択肢の中に入れてこれから検討をしてくださいというような、非常に穏当な意見でございますので、どうか、この期に及んでも、60名ほどの方が亡くなっている事実を前にしても、ダムありきの議論は許さないという方はいらっしゃいますが、言いましたように、ダムを造る造らないじゃなくて、まずダムを選択肢として入れて検討してくださいというような今の段階での要望でございますので、しっかり明言していただいたというのはありがたいことでございます。 また、今後のことではございますが、どのような結論になろうとも、国及び県のいろいろな、何度となく政策の転換等により翻弄されてきました五木村あるいは相良村、こういうところに対する再生の支援というものは、引き続きやっていかなければならないということは思っておりますので、この点はぜひ頭の中に置いて議論、検討を進めていただきたいと思います。 最後に、発達障害児への高校から就職までの切れ目のない支援について質問いたします。 発達障害については、これまでもたびたび質問してまいりました。実は、私の娘が幼少の頃、発達障害のグレーゾーンとの診断を受けたのをきっかけに、いろいろと関心を持ちました。新生児の段階から、就学前、小学校、中学校、高校、そして進学、就職へと、それぞれの発達段階に応じて、まさに切れ目のない支援が必要であるとの思いから質問をしてまいりました。 国、県、市町村の支援はもちろんのことでありますが、御家族、地域、保育園、幼稚園、学校、企業など、関係者の協力は大変重要であります。 今回は、高校生活を送り、卒業して就職するという一連の期間についての支援を聞きたいと思います。 というのも、発達障害児と言われる子供さんの中には、不得意の分野を周囲がよく理解してあげて、しっかりフォローしてあげれば、思わぬ能力を発揮し、あるいはすばらしい成果を上げる場合があるわけであります。そのような状況は、本人はもとより、御家族も幸せになり、採用する企業にとっても大きなプラスとなります。 にもかかわらず、その前の段階で門戸が閉ざされ、大きな壁にぶつかり、断念せざるを得ないということであるならば、本人にとっても不幸であり、社会にとっても大きな損失であると言えるのではないでしょうか。 発達障害児が、希望する企業に就職し、やりがいを持って仕事をし、自己実現、幸福追求できるような社会づくりができればいいなと思います。 法定雇用率という目標もありますが、企業にとっても、何かメリットやインセンティブがなければ、なかなか採用も進まないかもしれません。また、反対に、企業側に一度採用してみたらよかったという成功実感や成功体験があれば、採用も進むかもしれません。 いずれにしましても、行政によるコーディネートや一定期間のフォローなどの支援が必要であります。その点、県庁の中で、高校側においては教育委員会、発達障害という特性に着目すれば健康福祉部、それぞれに関係し、それぞれの連携が必要となってくると思います。 そこで質問ですが、今日までどのような取組をしてきたか、そして今後の課題があるならば、それは何かという点につきまして、教育長、
健康福祉部長、それぞれにお尋ねいたします。 〔教育長古閑陽一君登壇〕
◎教育長(古閑陽一君) 発達障害は、他人との社会的関係の形成に困難さがあるなど、その就職支援に当たっては、障害に対する理解や切れ目のない支援が大変重要であると考えております。 現在、全ての県立高校において、発達障害を含む特別な支援を必要とする生徒への支援を組織的に行うため、校内委員会を設置するとともに、特別支援教育コーディネーターを中心に支援体制を整備しております。 あわせて、県教育委員会では、平成27年度から令和元年度にかけて、全ての教職員を対象に、障害の理解や指導の在り方、個別教育支援計画の作成などについて研修を実施し、教職員一人一人の発達障害等に関する専門性の向上を図っております。 これらの取組により、昨年度の県立高校における教育支援計画の作成率は約73%、高校卒業後の進路先への同計画の引継ぎ率は40%となっており、学校卒業後までの一貫した教育的支援につながっております。 また、県立高校では、生徒本人の希望を最大限かなえるため、障害の状況等に応じて細やかに対応した就職支援などの進路指導を行っております。例えば、ハローワークと連携して、生徒に対して就職に向けての準備支援を行い、働くことに対する不安の解消を図っております。 加えて、関係機関や企業との連携、調整などについては、近隣の特別支援学校が県立高校をサポートする体制を取っており、就業体験を通したマッチングやジョブコーチの活用による職場への適応支援につなげております。 今後の課題としましては、教職員の障害に対する理解をさらに深め、生徒本人や保護者との合意形成、企業の障害に関する理解啓発と就職後の職場定着に向けた支援が必要であると考えております。 そのため、今後も、個別の教育支援計画の作成率の向上や進路先への支援計画の引継ぎに努めるとともに、関係機関との連携強化を図りながら、切れ目のない支援の一層の充実を図ってまいります。 〔
健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕
◎
健康福祉部長(渡辺克淑君) 発達障害には、脳機能の発達のバランスが異なることによって、得意なことと不得意なことの差が大きいという特性があります。 発達障害児が、その特性を生かし、仕事においても力を発揮することは、本人の自己実現とともに、社会の活力にもつながります。職場において、仕事を一つ一つ具体的に指示することや得意な分野に集中してもらうことなど、本人に寄り添った支援によって、本人の強みを生かした仕事に就くことができます。 このため、県では、本人への支援として、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センター、学校等と連携し、仕事における得意不得意の整理やストレスへの対処方法についての助言等を行っています。 また、就労先の企業や福祉サービス事業所などに対しては、発達障がい者支援センターを通じて、発達障害の特性や支援方法についての研修を実施するとともに、個別の相談への対応等を行っています。 今後も、発達障害児が企業等において能力を十分に発揮し、活躍できるよう、企業等における発達障害の特性等についての理解の促進と関係機関との連携強化を図り、支援に取り組んでまいります。 〔松田三郎君登壇〕
◆(松田三郎君) 教育長から、そして
健康福祉部長から、それぞれ御答弁をいただきました。 結構と言うと失礼ですけれども、この質問をするまでは、いろいろと取組をしていただいているというのを初めて知った項目もございまして、そういう意味ではちゃんとやっていただいているんだなというのは、改めて実感をしたわけでございます。 今回は取り上げませんでしたが、県庁の中で言いますと、もう1つ、企業サイドとの関わりで
商工観光労働部も取組をいろいろやっていただいておりますが、主に熊本労働局あるいはハローワークと連携をして、そっちが主になってやっているという事情で、なかなか今回はちょっと質問までには至っておりませんが、その
商工観光労働部の労働部門においては、やはり国の機関と連携をしながらいろいろ取組をしていただいているということは、皆さんにもおつなぎしたいと思います。 一方、御答弁にありましたように、今後の課題というものもある程度明確になってきたわけでございますので、やはりこれを克服するためには、そのキーワードは、それぞれの御答弁にありましたように、関係機関が幾つもまたがるわけでございますが、県庁内だけではなくて、いろいろな複数の関係機関との連携を強化する、言うほど簡単ではございませんが、こういうところがまた課題を克服するには大きなキーワードになってくるのではないかと思いますので、引き続き、関係部署にはよろしくお願いを申し上げたいと思います。 以上、用意した質問はこれで終了いたしますが、質問の中で申し上げましたように、今回、県南を中心に大災害に見舞われまして、いろいろなフェーズが変わってくるという話もございました。当面、まずはこの11月に向けてというのが、検証結果が出て、そして、あるいは治水対策の議論も始まって、そして復旧・
復興プランも11月をめどに作成するということで、非常に大きなターニングポイントを迎えるのではないかと思います。 と同時に、熊本地震のときもそうでございましたが、やはり被災を受けた自治体、被災を受けた方々は、周りの方々にそのあったこと自体を忘れ去られてしまうということを非常にやっぱり懸念したり、寂しがられるわけでございますから、折に触れ私も質問に取り上げたいと思いますし、どうか議員各位におかれましても、頭の隅にはきっちり置いといていただければとお願いするところでございます。 重ねて、以上で私の自民党を代表しての質問を終了させていただきたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(渕上陽一君) 昼食のため、午後1時まで休憩いたします。 午前11時37分休憩 ――――――○―――――― 午後1時開議
○議長(池田和貴君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 くまもと民主連合鎌田聡君。 〔鎌田聡君登壇〕(拍手)
◆(鎌田聡君) 皆さん、こんにちは。くまもと民主連合の鎌田聡でございます。代表質問ということで、質問をさせていただきたいというふうに思っております。 一昨日、菅新政権が誕生いたしまして、まあそちらはどうでもいいんですけれども、その前日に、野党のほうも新しい体制が出来上がりまして、いずれにしましても、この間、国会も開催がなかなかできておりませんでしたので、新しい政権と、そしてまた新しい野党の体制の中で、やっぱり今本当に重要な時期を迎えているわけでございますので――ただ、今国会行われていますけれども、今日で何か終わりということでございまして、真剣な議論をして、このコロナ禍の中で、どう国民生活を上向かせていくのか、非常に重要な課題だと思いますから、そういった取組をぜひ期待したいと思います。 新党をめぐるよもやま話もいろいろしたいんですけれども、時間がございませんので、早速質問に入らせていただきたいというふうに思っております。 まずは、令和2年7月豪雨災害についてということで、まずは被災者の生活再建についてお尋ねをいたします。 7月3日から4日朝にかけて県南地域を中心に襲った豪雨は、
球磨川流域を中心とした県南地域に甚大な被害をもたらしました。改めて、お亡くなりになられました方々に対し御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げます。 県としても、発災直後から災害対策本部を設置して、被害の全容把握、被災者の人命救助、不明者の捜索活動、復旧作業など、関係機関の総力を挙げて取り組んでこられました。 特に、コロナ禍において、3密を避ける避難所運営や復旧作業でのボランティアが県民のみという制約をせざるを得ないというような、これまでの災害対応と違った対応が求められる中での取組を進めてこられたことに対しまして、改めて関係者の皆様の御労苦に敬意を表します。 本県においては、熊本地震からの復興途上に
新型コロナウイルス感染症対策に追われる中で、今回の豪雨災害と、まさに3つの困難が重なりました。かつてない複合災害であり、被災者の生活となりわい、地域経済の復興を進める上で、これまでにない規模と、そしてまた
スピード感を持って力強い支援策に取り組まなければなりません。 当面の住まいの確保に向けての仮設住宅の建設と被災住宅の再建に向けた公的支援、なりわい再建補助金を活用しての中小企業の再建支援、道路の復旧、教育施設の復旧と児童生徒のケア、被災市町村に対する支援など、私たちも、これまで被災者の方々の声を聞き取り、その要望を知事にもお伝えしてきましたが、さらなる取組の強化をお願いしたいと思います。 県は、今後、復旧・
復興プランを策定して、被災地の復旧、復興に向けた取組を進めていかれますが、熊本地震の際の経験を生かして、被災地、被災者にしっかりと寄り添って、その取組を進めていただきたいと思います。 そこで、1点目として、被災者の生活再建支援についてお尋ねをいたします。 御自宅に大きな被害を受けた被災者の皆さんは、現在、避難所や御家族、親戚等身内の方の自宅に身を寄せていらっしゃる方が多いわけですが、中には、持病の関係等で避難所での生活ができずに、被害を受けた御自宅での生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。いわゆる在宅避難と言われていますが、その在宅避難者に対しての支援は行き届いているのでしょうか。ぜひ実態把握を進めていただき、支援を行っていただきたいと思います。 そして、被災者の皆さんの次なる住まいとなるのが仮設住宅となりますが、現在737戸が10月下旬までの入居予定で建設されていますが、これによって、みなし仮設、公営住宅も含めて、入居希望者全ての住まいの確保となるのでしょうか。その見通しについてお尋ねをいたします。 次に、孤立化の防止についてですが、熊本地震の際、特にみなし仮設で課題となっていましたが、もともとの居住地と別の住み慣れない地域での生活となり、地域コミュニティーとの交流ができずに孤立化して、孤独死につながるケースがありました。熊本地震の際には、地域支え合いセンターで戸別訪問による見守り活動を行い、仮設入居者に対しての個別の支援計画を策定して、対応を進められてきましたが、ぜひ、今回の豪雨災害被災者に対しても、同様の対応を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 あわせて、これは先の話になりますが、仮設住宅の入居期間は2年間ですが、そこまでに住まいの再建が様々な事情があって進まない場合には、入居期間の延長を対応していただきたいと思いますので、その延長要件についても、がちがちとせずに、被災者の個別事情を十分勘案して柔軟に対応していただくようにお願いします。 そして、これからの住まいの再建ですが、熊本地震の被災者に対しては、住まいの再建の6つの支援策というものをつくられました。自宅再建希望世帯を対象に、60歳以上の方に向けては、リバースモーゲージ型の融資に対して月々支払う利子の一部を助成、子育て世帯に対しては、借入額850万円までの利子を助成、民間賃貸住宅の入居を希望する世帯に対しては、入居費用を一律20万円、保証人不在者に対しては、一律10万円を助成、公営住宅への入居を希望する世帯に対しては、入居費用を一律10万円助成して、そして全ての世帯に対して、引っ越し費用を一律10万円助成するという支援策ですが、今回の豪雨災害被災者に対しても、この支援策をぜひ適用していただきたいと考えます。 以上、幾つか申し上げました被災者の生活再建に向けての諸課題への対応について、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 今回の豪雨災害においても、熊本地震直後に掲げた3原則、1つ目に、被災者の痛みの最小化、2つ目に、
創造的復興、3つ目に、熊本のさらなる発展につなげるという信念の下、私が先頭に立って取り組んでいます。 まず、在宅避難者の支援についてです。 被災市町村では、発災直後から全ての在宅避難者の安否を確認しています。加えて、保健師等による在宅避難者の自宅訪問、各種申請の受付などを通して、被災者の健康状態や生活再建に向けた意向を把握し、必要なサービスの提供や支援につなげています。 県としましても、市町村と連携して、在宅の高齢者を支援する専門職団体へ補助を行うなどの後押しをしてまいります。 また、被災された方々の当面の住まいの確保は最優先の課題です。市町村が実施している被災者の意向調査の結果などを踏まえ、仮設住宅を必要とする方々全てに住まいが提供できるよう全力で取り組んでまいります。 さらに、熊本地震の経験から、被災者の孤立化を防ぐための見守りを実施し、個々の状況に寄り添った支援を行うことが大変重要です。そのため、県では、コミュニティー形成を図る場として、仮設団地にみんなの家を設置します。また、県社会福祉協議会に設置している県地域支え合いセンターの支援員を増員し、仮設住宅を建設する7市町村全てに地域支え合いセンターが速やかに設置されるよう準備を進めています。 今後、センターの訪問活動等を通じて、仮設住宅入居者や支援が必要な在宅避難者の個別支援計画を策定し、見守りや生活再建に向けた支援をしっかりと進めてまいります。 最後に、仮設住宅の供与期間の延長についてお答えします。 被災された方々は、被災した地域の状況、家族構成、学校や職場など、それぞれ事情が異なります。住まいの再建を進めていく上では、世帯ごとの状況に応じたきめ細かな対応が必要です。 熊本地震においては、関係市町村や地域支え合いセンターと連携しながら、伴走型の支援を実施してまいりました。今回も同様に、まずは一日も早い再建に向け、被災者に寄り添った支援を行います。それでもなお、2年間では再建が困難な世帯については、その状況を把握し、仮設住宅の延長について、内閣府と協議してまいります。 また、住まいの再建に当たっては、経済的支援も重要です。今回の豪雨災害についても、県議会の御理解をいただき、
球磨川流域復興基金等を活用した熊本地震並みの支援策をできるだけ早期に打ち出したいと考えています。 私は、生活の再建、とりわけ住まいを再建することが被災者の心の復興につながると考えています。 今回の豪雨災害においても、一日も早く被災前の生活を取り戻していただけるよう、関係市町村と連携し、県庁一丸となって取り組んでまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 今答弁をいただきました。 在宅避難者の支援については、しっかりと把握した上でお願いをしたいと思います。あと、孤立化につきましても、様々な課題が出てきておりますので、今後、個別支援計画を策定するということでございますので、しっかりと支援計画を基にまた見守りの支援を行っていただきたいというふうに思っています。 最後の経済的な住まいの再建の支援策につきましては、これから熊本地震並みの支援策について早期に打ち出すということでございますので、ぜひ同様の支援策をしっかりと講じていただきますようにお願いをしたいと思います。 あわせて、やっぱりこれは国政の課題でもございますけれども、生活再建支援金、これについても、やっぱり増額をこの間議会のほうでも求めてきた経緯もありますけれども、そういった取組と併せまして、もう1つ、医療費の自己負担につきましては、10月末までということに今のところなっておりますけれども、こちらも熊本地震のときは1年半近く延ばした経緯もございますので、ぜひ、市町村とそしてまた被災者の要望を酌み取りながら、そういった医療費自己負担免除期間の延長、これについてもぜひ取り組んでいただくようにお願いを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。 球磨川の治水対策についてです。 被災地、被災者にとっては、今後の生活再建をどうするのか、なりわいをどうするのか、同じ場所で生活していくこと、営んでいくことが非常に大きな不安となっています。その不安を払拭するためには、安心であり、安全な地域再生に取り組まなければなりません。 したがって、これからの被災住民の生活再建や地域再生にとって重要なことが球磨川の治水対策です。 知事は、球磨川の治水対策に川辺川ダムも選択肢に含むと、これまでの川辺川ダム事業の白紙撤回という方針を転換されました。 8月25日に球磨川豪雨検証委員会が開催され、私もリモートで傍聴しましたが、議論の方向が川辺川ダムの必要性になってしまっているように受け止めました。豪雨災害を検証するならば、川辺川ダムが存在した場合の効果だけでなく、まずは知事が極限まで追求するとおっしゃっていたダムによらない治水の案が実現できていた場合の効果を明らかにするべきです。 昨年、球磨川治水対策協議会で、10パターンのダムによらない治水対策案が示されました。その10パターンの案については、工期が長いとか費用が膨大などと言われていますが、それは国交省がはじき出した数字であり、その費用や工期についても検証をしていくべきです。 そこでお尋ねですが、知事は、昨年示された10パターンの案についてどう評価されているのか、その案を極限まで追求する気持ちはないのか、お尋ねをします。 質問を続けます。 検証委員会での国の説明では、各支流からの水が本流に合流できずに水位が上がって浸水が広がったとの説明がありましたが、結論としては、支流の川辺川と本流最上部の市房ダムで完全に水害をコントロールできるというように結論づけているように受け止めました。 線状降水帯の雨の降り方や球磨川本流だけでなく支流の状況がどうだったのか、支流での大量の土砂と流木による水の出方についても見ていかなければなりません。川辺川上流部の雨よりも万江川、
小川、胸川や川内川などから流れ込んだ水量の多さなどにも着目した対策が必要です。 また、今回の規模の雨の降り方では、ダムを造っても、ダムの緊急放流への不安が高まるだけという声もあります。市房ダムの緊急放流でも大きな不安を抱かせていたのに、これに川辺川ダムの放流が重なるなら、その不安や危険性はさらに大きくなります。そのようなダムがあった場合のリスクなども明らかにして、ダム治水に積極的な人だけではなく、慎重な意見を持った人の意見も踏まえて、偏らない議論の進め方が必要だと思います。その上で、球磨川の治水をどうするのか、最終的には流域住民の声を踏まえて判断すべきです。 そして、ダムや堤防というハード面だけで災害を抑えることは困難ですので、避難の在り方などのソフト面の対策も進めなければなりません。 豪雨災害発災後の7月6日、国交省が豪雨後に公表した防災・減災総合対策では、河川の氾濫を点や線としての地域ではなく、面としての流域全体で制御する重要性が強調され、ダムや堤防頼りからの転換を明記して、国、自治体に加えて、住民らあらゆる関係者が対策に参加する流域治水の必要性を打ち出しています。 流域治水は、具体的には、時間と費用がかかるダムや堤防の整備だけではなくて、土砂災害などの危険がある地域は、開発を規制して、住宅移転も促進し、調整地などで雨水をあらゆる場所でためられるようにすること、そして既存のため池や田んぼなどの貯水機能も活用し、農業用、発電用などの利水ダムでは、大雨の前に放流し、雨をせき止める容量を増やすという内容です。 気候変動による水害リスク増大に備えるには、このような国や自治体、企業、住民らあらゆる関係者による流域治水が必要ですので、検証委員会で結論を出すのではなく、くまもと復旧・復興有識者会議でも、住民投票や討論型世論調査などを行って民意をしっかりはかるべきとの意見も出ていますので、あらゆる人たちと議論をして、川辺川ダムありきではない新たな流域治水としての結論を出すべきです。 そこで、2点目の質問ですが、球磨川の治水対策について、国、県、流域自治体に加えて、住民や国とは異なる見解を持つ専門家や川辺川ダム問題に向き合ってきた住民団体なども交えて、多様な視点で検証すべきと考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか。 そして、3点目ですが、知事は、9月9日の記者会見で、球磨川治水について、11月中をめどに県の方針がまとまった上で民意を問うと発言され、民意が県方針と異なった場合は責任を取ると述べられています。 非常に気になる発言ですので、お尋ねします。 知事は、民意の酌み取り方についてどのような手法を考えておられるのでしょうか。そして、民意と県方針が異なった場合、どのように責任を取られるおつもりなのか、お尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 球磨川の治水対策についてお答えします。 まず、球磨川治水対策協議会で議論している10案については、これまで戦後最大の被害をもたらした昭和40年7月洪水に対応できる治水安全度を目標としました。 そして、この治水安全度を確保するための治水対策の手法を比較検討し、国、県及び流域市町村の間で共通認識を得ることを目指してきました。 この10案は、球磨川水系の地形などを踏まえ、引き堤、河道掘削、堤防かさ上げ、遊水地、市房ダムの再開発、放水路などを組み合わせたものであります。 その上で、ダムによらない治水対策を実施する場合のコストや工期、また、環境や社会的な影響などをお示ししたものでしたが、残念ながら、共通認識を得るには至りませんでした。 しかし、新設ダムを除く対策としては、コスト、実現性、地域社会との関係などの観点から、それまで検討してこなかった対策を含め、考えられる対策を網羅的に検討したものであり、言わばダムによらない治水を極限に近いところまで追求したものではないかと考えています。 ただ、今回の洪水は、この昭和40年7月洪水をはるかに上回る、これまで経験したことのないような極めて大規模なものでした。 私は今、今回のような洪水被害を二度と生じさせないという強い覚悟を抱いています。そして、
球磨川流域の安全、安心の確保に向けて、流域の安全に責任を負う国、県及び流域市町村が連携して、治水の方向性を導き出さなければならないと考えています。 このため、まずは、今回の豪雨災害を科学的、客観的に検証するため、令和2年7月球磨川豪雨検証委員会を設置し、国、県及び流域市町村で検証を進めています。 また、これまでも、ダムによらない治水を検討する場や球磨川治水対策協議会において、国、県及び流域市町村で議論を重ねてきました。 その中で、地域の理解が得られ、現段階で実施可能な対策を着実に実施してきました。 例えば、国、県において、堤防補強や河道掘削などを実施しています。また、農業者など利水者の御理解を得ながら、球磨川水系内の6つの利水ダムにおける事前放流を実施しています。 さらに、全ての流域市町村において、県の球磨川水系防災減災基金を活用して、住民向けのハザードマップの作成や水防団組織の強化などのソフト対策に取り組まれています。 これらの流域全体でハード、ソフトが一体となった取組は、流域のあらゆる関係者が流域全体で総合的かつ多層的に取り組む流域治水の考え方を先取りしたものと考えています。 今回の豪雨災害を受け、流域市町村で構成する川辺川ダム建設促進協議会においては、川辺川ダムの建設を含む抜本的な治水対策の早期実施が決議され、県への要望がなされています。 また、河川工学の専門家の方から、流域治水を進めるべきとの御提言を検証委員会にいただいています。 さらに、流域住民の方々からは、ダムを早急に整備すべきとの御意見や、ダムの効果だけでなく、その危険性についても検証すべきとの御意見など、様々な御意見が私の元に届けられています。 今後の
球磨川流域の治水の方向性については、検証委員会での検証を踏まえ、国、県及び流域市町村が連携して検討していくことになると考えています。 その中で、私自身が
球磨川流域の治水についての考え方を整理する際は、あらゆる選択肢を排除せず、これまでいただいた御意見などを参考としてまいります。 あわせて、午前中の松田議員への答弁でお答えしたとおり、流域住民の方々や商工業、農林水産業などの様々な団体の方々から今後いただく御意見も参考としてまいります。 私は、これまでも、県政の様々な局面で決断をしてまいりました。そして、その結果については、全て自分が責任を取る覚悟で行ってまいりました。 そのため、今回、私の決断が民意と大きく異なっていると考える場合は、政治家として、その時点で責任の取り方について考えたいと思います。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 今答弁をいただきました。 ダムによらない治水対策の10案については、極限に近いところまで追求したということでありますので、ぜひ極限まで追求をしていただきたい。今後の検証委員会でそういった議論にもなるかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 あらゆる選択肢を排除せずに、いろいろと、これまでいただいた意見等、そしてまた、これからいただく意見等も含めて、それを参考にしていくということでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思いますし、そしてまた、あらゆる選択肢という中で、やっぱりあらゆる要因、これもあるわけでございます。先ほど言った問題もございますし、山の手入れとか、瀬戸石ダムの存在、これに対する影響もあると思いますので、そういったところも含めて、治水の考え方を整理していただきたいと思いますし、あわせて、ダムを造るというふうになったときの財政負担、川辺川ダム、当時の事業費で3,300億円、そしてまた、県負担が700億円強ということでございましたけれども、現在に引き直すと、これはかなりまた上がってくるんじゃないかなというふうに思っておりますし、その点もやっぱり頭の中に入れていただきたいと思います。 それともう1つ、やっぱり五木村、相良村の振興ですね。12年前の知事の白紙撤回によって、水没予定地は、既に観光に力を入れて取組を進めておられますから、そういったふうに、そこも含めて、やっぱり12年前の知事の判断、決断、これは非常に重いものということも改めて考えていただいた上での方向性を出していただきたいと思います。 そしてまた、ちょっとお尋ねした中でお答えいただけてないのが、民意をどう酌み取っていかれるのかということについてお答えいただいておりませんので、その民意の酌み取り方について再度お尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 先ほど申しましたように、様々な方々、団体、そして市町村長、そして議会、様々なところから私のところに御意見が寄せられています。そして、河川工学の専門家の方々、特に、流域治水をやるべきだという報道もありましたけれども、その前に、私のところに論文が寄せられています。そして、それらを踏まえながら、私が県の方針を決める前には、流域市町村の方々、とりわけ様々なグループの方々とお会いするということを今日午前中申しましたけれども、それが民意の私の捉え方であります。 最後に、その決断をした後で、新聞社が行うか、どこか分かりませんけれども、何らかの形でそれに対する評価が出てくるものだと思います。それも大きな民意です。その民意というのは、どのように方向性が決まったのか、知事の責任において、どのような治水計画が出てきたのか、それが多分明らかになるんじゃないかと思います。それが本当の意味での民意かなと思います。 例えば、最初、2008年に、私が白紙撤回をしたときの直後の民意も今でも残っておりますけれども、大きな民意ではないかなと思っています。 そういう意味で、私は、世論調査の専門家ですから、民意の捉え方というのは、単なる世論調査じゃなくて、民意は変わると。政治家というのは、また、有識者会議に出ましたように、民意を超えたリーダーシップも政治家ではないかということも言われました。そういう意味で、民意の捉え方をどう捉えるかというのは、ぜひ鎌田議員も自分なりに考えていただきたいなと思います。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 私なりに捉えても分からなかったものですから質問をしましたけれども、ますますちょっと分からなくなりましたが、いずれにしても、その民意と違った場合に責任を取るというお話でございましたので、その民意をどう取るのか、決まったのを世論調査でそこは取れるのかな。まだ理解がちょっとできませんけれども、僕は、もう住民投票とか、そういったものでしっかりと――やっぱり流域住民の声、意見、これが私は一番だというふうに思っておりますので、そこをしっかりと酌み取っていただいた上での結論を――そして、知事が、責任ということで、責任の取り方はそのとき考えるということでございますけれども、普通、責任というのは進退だと思いますけれども、そこに及ばないような方向性が、皆さんと同じような、やっぱりそういった結論をぜひ出していただくようにお願いして、次の質問に移ります。 今回、県南地域の3つの鉄道が大きな被害を受けました。その一つの肥薩おれんじ鉄道は、本年11月の運行再開に向けて、現在、復旧作業が進められていると聞いています。くまがわ鉄道は、8月27日に臨時取締役会を開き、国の財政支援を受けて、鉄道事業を存続させて、数年後の完全再開を目指す方針を決められました。 あと一本のJR肥薩線の復旧については、まだ方針が示されていません。球磨川沿いを走る肥薩線は、災害によって鉄道が曲がりくねり、球磨川に架かる鉄橋が2本も流され、跡形もなく流された駅もあり、その被害の甚大さから、いまだに復旧について見通せないのだと思います。 JR九州の青柳社長が、7月下旬の記者会見で、復旧には1年以上かかるだろうという発言はされていますが、復旧を進めるかどうかは明言されていません。 JR九州が先月公表した2019年度の線区別収支では、肥薩線八代─人吉間で6億2,100万円の赤字となっておりまして、今後の復旧や路線存続が危惧されます。 鉄道復旧のスキームは、2018年に施行された鉄道軌道整備法で、赤字路線であれば災害復旧事業費補助の対象となって、国と自治体から復旧費の最大4分の1ずつ補助を受けることができます。8月に全線再開した豊肥線は、この枠組みを使い、復旧しました。 今回の肥薩線の場合も、このスキームを活用することになると思いますが、復旧費用は100億円は超えると見通されているようですが、その半分をJR九州は負担する気持ちがあるのでしょうか。また、県も、その4分の1の負担となりますが、その負担について、県はどのように考えているのでしょうか。 復旧に向けては、構造上の課題もあります。今回流失したJR肥薩線の鉄橋が、現行の河川管理施設等構造令の基準を満たしていないので、現行の構造基準に照らして再建するには、橋桁の高さを2メートル上げなければなりません。それに伴い、橋の前後の線路も緩やかに傾斜をつけてかさ上げする必要があります。 いずれにしても、復旧するに当たっては、損壊した護岸や道路などの復旧や将来の治水対策など、国や自治体との連携が必要になります。 復旧に向けての課題は大きいですが、肥薩線は、地元住民の足であり、人吉観光の生命線とも言えます。県として、JR肥薩線の復旧に向けて、JR九州に働きかけを強めていただきたいと思います。 また、この肥薩線の不通のため、高速バスでの通学を余儀なくされ、通学費が5倍以上になっている高校生をはじめ、通学に活用していた高校生の負担軽減のための補助を8月の専決予算で決めていただきました。私たちも要望をしていたことでもあり、本当にこの対応はありがたいことです。ただ、JR肥薩線は、まだ復旧が見通せませんので、期間は長くなると思いますが、どうか支援の継続をよろしくお願いいたします。 そこで、1点目の質問ですが、JR肥薩線の復旧費用は、概算でどのくらいかかるのでしょうか。JR九州は、肥薩線の復旧についてどのように考えているのでしょうか。そして、県として、肥薩線の復旧をどのように考えているのか、お答えください。 また、通学費の支援について、JR肥薩線復旧まで継続的に支援を行っていただきたいと思いますが、その点についてもお答えください。 質問を続けます。
空港アクセス鉄道についてですが、この事業につきましては、多額の事業費が必要となる事業なので、詳細な事業費を知事選前に県民に示して民意を問うべきと、2月の本会議の際に申し上げましたが、結局、詳細調査結果が報告されたのは、知事選後の6月議会でした。 6月議会で、
JR三里木駅から熊本空港までの4ルートが示され、事業費は、当初の概算事業費の380億円から、それぞれに60億円から180億円の増額となっていました。案の定の結果であり、だからこそ知事選前に示すべきだったと申し上げてきたわけです。 その詳細調査結果では、事業を進めるのに必要な
費用便益分析、B/Cについて、専門的な分析ができていないので、まだ出せないとのことでしたが、これだけ時間をかけて詳細調査を行ってきていて出せないというのは、
費用便益分析が事業を進めるのに妥当な1を割っているから出せなかったのかと疑いたくもなります。 いずれにせよ、立ち止まって、今後、詳細調査を深めた上で事業化について判断するとのことですので、コロナの影響も加味した需要予測や詳細な事業費を正確に、分かりやすく県民に示した上で、県民の声をしっかり聴いて判断してもらいたいのですが、現在、県南の鉄道が大変な状況にあります。先ほど申し上げた肥薩線だけでなく、これから具体的に復旧に向けて動き出していくくまがわ鉄道や肥薩おれんじ鉄道の復旧にも多額の事業費が必要です。 県南の鉄道の復旧がまだ見通せない状況にある中で、一方で
アクセス鉄道建設の検討を進めることは、県民感情として受け入れ難いことです。今急ぎ必要としている県南の鉄道の復旧に向けて、まずは集中的に取り組むべきです。 JR九州も、
アクセス鉄道の事業費が増加したことに対して、これまでの約束だった3分の1の費用負担について、そのまま負担するのかも分かりません。 そこで質問ですが、JR九州は、
アクセス鉄道事業費増加に伴う費用負担についてどのように考えているのか、そして知事は、
空港アクセス鉄道事業の検討について凍結する考えはないか、お尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、肥薩線の復旧についてお答えします。 復旧に係る費用及び復旧方針については、被害状況の調査を経て、これからJR九州として検討していくと聞いています。 県としては、熊本地震の被災から全線開通を果たした豊肥本線のように、肥薩線も復活してほしいと思っており、今後の検討状況を注視してまいります。 また、運休となっている肥薩線に係る通学支援について、県では、9月7日から、通学が困難な生徒に対して、高速バスの運賃助成や通学タクシーの運行といった支援を開始しました。 その後、JR九州において、9月10日から、八代駅─坂本駅間及び人吉駅─一勝地駅間のジャンボタクシー輸送が開始されました。 このため、県では、このジャンボタクシーへつなぐ通学タクシーと高速バス利用の運賃助成の支援を続けてまいります。 今後の支援の継続については、代替輸送区間や肥薩線の復旧状況などを踏まえて、学習機会を保障する観点から、被災地の生徒の通学手段の確保に取り組みたいと考えています。 次に、
空港アクセス鉄道についてお答えします。 6月定例会でも答弁しましたとおり、昨年度の詳細調査においては、現地調査や地盤の状況を踏まえ、一部構造を見直したことなどにより、事業費が概略調査を上回っております。 詳細調査について、JR九州からは、技術的支援や情報提供の協力をいただいており、事業費の増額を含めた調査結果についても、県から説明を行っているところです。 調査結果に対しては、事業費や
費用便益分析に関して、精査が必要との御意見をいただいています。 県としましても、引き続き協力をいただきながら、まずは、さらなるコスト縮減を含めた継続調査を着実に完了させることとしています。その上で、御質問の費用負担については、今年度の調査結果を踏まえ、協議を行いたいと考えております。 私の
空港アクセス鉄道に関する考えは、午前中の松田議員への答弁でも申し上げましたとおり、50年後、100年後を見据え、将来の熊本の発展に必ずや貢献するものと確信しています。熊本地震からの
創造的復興の総仕上げとして、その実現に向け、必要な調査検討を進めてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) JR肥薩線の復旧については、やっぱり復活してほしいということでございますので、多額の事業費、かなりの事業費だろうというふうに思っております。ぜひしっかりと、JR九州ということになりますけれども、対応を詰めていただきたいと思います。あと、通学補助についても、ぜひ引き続き継続して行っていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。 あと、
アクセス鉄道につきましては、今答弁がございました。今後の熊本の発展に必ず貢献するものということでございますけれども、これも380億円から500~600億円という多額な事業になります。これこそやっぱり民意をしっかりとはかった上で、やるのかやらないのか、そういった取組が、私は、これこそ必要になるというふうに思っておりますけれども、だからこそ知事選できちんとした額を出していただきたかったわけでございますが、ぜひそういった取組をやっていただきたいと思います。 そして、現在、そういった
アクセス鉄道をつくっているような状況ではないということは、ぜひしっかりと受け止めていただきたいと思います。これからのやっぱり復旧、復興費用、そして治水対策、そしてまた、ダムとなれば、そういった事業費もかかってくるわけでございます。いろんなものに事業費がかかる中で、やっぱりこの
アクセス鉄道がこれから検討されていくこと、これについては、非常にやっぱり違和感を持っておりますし、そしてまた、
創造的復興の総仕上げと言い続けられておりますけれども、
創造的復興とはまた違うというふうに思っています。これは、やっぱり空港までの路線の中で、どっかが地震でやられたかといえばそうでもないわけでございますから、これは復旧、復興とはまた違った形でやっていただきたいと思います。 やっぱり
創造的復興の仕上げというのは、いまだに熊本地震で仮設に1,000名弱の方がいらっしゃいますけれども、そういった方々の生活再建、ここはやっぱりしっかりと終わって前に歩み出していける、こういった状況こそが
創造的復興の総仕上げだろうというふうに思っておりますので、ぜひそういった観点からも、現時点での検討は凍結していただきたいということを改めて申し上げまして、次の質問に移ります。
新型コロナウイルスに関して、対策に対しまして数点質問をいたします。 今年になって世界各国で猛威を振るい出した
新型コロナウイルスですが、日本においても、第1波は一定収束をしたものの、いわゆる第2波において、感染者数は大幅に増えています。 本県の状況を見てみますと、第1波の今年3月から5月までの3か月間の感染者数は43人でしたが、6月から8月までの3か月間の感染者数は473人と、10倍以上に拡大しています。死亡者数も、第1波の3か月間では3人でしたけれども、6月から8月までの3か月間では4人と増えておりますし、そしてまた、今月に入って1人お亡くなりになられていますので、コロナの死亡者は8人となっております。 引き続き、
感染防止対策を徹底していく必要がありますが、一方では、
社会経済活動も進めていく必要があります。 そこで、誰でも
PCR検査を受けることができれば、感染者には、隔離と治療、感染していなければ、移動などの自由を保障することで、感染症対策と経済活動を両立し、行動制限を徐々に解除することが可能になります。 世界では、
PCR検査を徹底して、感染拡大を抑え込んだよい事例がたくさんあります。感染拡大が深刻だったニューヨークでは、クオモ知事の指示の下、
PCR検査や抗体検査を徹底、検査は、症状を問わず、希望者全員が無料で受けることができ、いつでも、何度でもと呼びかけました。ニューヨークの市保健所も、全てのニューヨーカーは検査を受けるべきと呼びかけ、1日6万件を超える検査を実施、感染を抑え込んで、経済活動が徐々に再開するに至っております。ロシアの首都モスクワでも、7月中旬からPCRを無料にして積極的な検査を市民に呼びかけています。 日本では、世田谷区が、誰でも、いつでも、何度でも検査ができる世田谷モデルを提唱、無症状で自覚がない段階の感染者を早期発見し、迅速に対応することで感染拡大を抑える方針を進めています。 このようなことが熊本でもできないでしょうか。これからインフルエンザ感染の流行期の秋冬を迎えます。感染の早期発見、早期抑え込みにつなげるためにも、これまでの
PCR検査実施対象の濃厚接触者の定義を超えて、
PCR検査を実施することが重要です。 また、厚労省は、クラスターが発生している地域にある医療施設、高齢者施設等の職員、入所者については、当該施設に感染者がいなくても検査が可能と通知を出していますが、そのような対応は取らないのでしょうか。 そこで質問ですが、県としても、
PCR検査を積極的に受けられるように対応すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 次に、雇用対策の取組についてお尋ねをします。 厚生労働省は、
新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めが9月11日時点で5万4,817人と、前の週より2,309人増えて、そのうち7割が非正規労働者だったと発表しました。このうち熊本県は335人とのことですが、実際は、この数字以上にいらっしゃるのではないかと考えられます。 そして、熊日新聞社が行った県内主要企業の決算調査では、今期の純損益の見通しについて、減益または赤字と回答した企業が64%と過半数を占めており、前年調査の40.7%から大幅に増えています。そのような県内主要企業の状況を踏まえますと、これから雇用情勢はますます厳しくなるのではと懸念をしております。 私は、早い段階から、リーマンショック後に雇用情勢が悪化して取り組んだ緊急雇用対策基金をつくって、自治体が直接雇用を行う事業を展開していくべきだと要望をいたしておりましたが、まだそこまでの取組はなされていません。しかし、雇用状況は、さらに深刻さが増すと思われます。 県は、8月補正で、派遣会社において、失業者を雇用して就業に必要な研修を行い、
人材不足分野の企業に派遣をして、知識、技術を習得させて、派遣先企業への就職を促進する新型コロナ対応再
就職支援プログラムを事業化しました。この事業で雇用予定者は200名を見込んでありましたが、この事業だけでは、今申し上げましたように対象人員は200名ですので、335名の失業者を受け止めることはできません。 今後、コロナの影響が懸念される中で、熊本県においては、災害の影響もあり、県内雇用環境の悪化が懸念されます。 そこで質問ですが、新型コロナ感染症における雇用対策についてお尋ねをいたします。 3点目に、感染者等への偏見、差別防止の取組についてお尋ねをします。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、感染者だけでなく、医療従事者など自らの感染リスクと背中合わせで闘っている人々やその家族までが、偏見や差別、いじめなどの不当な扱いを受けるという問題が起きていると聞いています。このようなことは、絶対にあってはならないことです。 感染症は、誰もが感染し得るという事実や誰もが気づかないうちに感染させてしまう可能性があることを理解して、病気に対して生じた偏見や差別がさらに病気の人を生み出し、感染を拡大させるという負のスパイラルを招かないようにしなければなりません。 私たちが向き合う相手はウイルスであって、誰もがなり得る感染者でないことを再認識して、冷静な行動が必要です。偏見、差別がひどいと、それを恐れて病状を隠したり、感染者が濃厚接触者の追跡調査に協力しなければ、感染を広げてしまったり、感染拡大を防ぐ活動の障害になり、感染症の封じ込めを困難にしてしまいます。 そこで質問ですが、これまで感染者や家族などへの誹謗中傷や差別的扱いを受けた事例は報告されているのか、教えていただきたいと思います。そして、県として、感染者や医療従事者などに対する偏見、差別防止についてどのように取り組まれるのか、先ほどの2つの質問と併せて、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、
PCR検査についてお答えします。 私は、
新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためには、必要な検査が適切かつ迅速に受けられる体制を整えることが極めて重要であると考えています。 そのため、県内で6例目の感染が確認された3月の時点から、本県独自に検査対象を拡充し、濃厚接触者だけでなく、患者の接触者で症状のない方まで検査の対象にするなど、弾力的な取扱いとしてきました。 さらに、地域における
PCR検査センターの設置や医療機関における検査機器の導入等への支援を行い、着実に検査体制の整備を進めています。 7月以降、県内でも感染が拡大する中、必要な検査は適切に実施してきました。そして、次の季節性インフルエンザの流行を見据えながら、熊本市や各郡市医師会とも連携し、県民が身近なところで必要な検査を確実に受けられる体制の構築にしっかりと取り組んでまいります。 次に、雇用対策の取組についてお答えします。 まずは、雇用の維持、確保が重要であります。そのため、県では、大幅に支援内容が拡充された
雇用調整助成金の活用により雇用を守るため、いち早くアドバイザー派遣に取り組みました。 この取組などにより、県内の
雇用調整助成金の申請は、9月11日時点で1万5,231件となっており、約9割が既に支給されています。 また、県独自の取組として、事業者負担の軽減を図り、一層の雇用維持につなげるため、
雇用調整助成金を申請した事業者に対し、定額10万円を支給する雇用維持奨励金制度を8月に創設いたしました。3週間で1,500件を超える申請をいただいております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、県内での従業員の解雇や雇い止めが増えているのも事実であります。 このため、国と連携し、離職者等の就職支援にも力を入れています。新型コロナ対応再
就職支援プログラムのほか、離職者が失業手当などを受給しながら、職業スキルや知識を習得できる職業訓練にも取り組んでおり、今年度は、国と合わせて約3,000人の募集を行っています。 離職者等には、これらの各種支援プログラムをフル活用しながら対応している状況であり、今後も、きめ細かな支援を行ってまいります。 さらに、求人数の減少が懸念されている新規学卒者の就職支援として、オンラインと対面を組み合わせた企業説明会の開催に関する予算についても、今定例会に提案しております。
新型コロナウイルスの影響が長期化することも懸念されることから、今後とも、雇用情勢を注視し、熊本労働局やハローワークなどと連携しながら、雇用を守り、雇用をつなぐ取組をしっかりと進めてまいります。 最後に、偏見、差別防止の取組についてお答えします。 感染者等への心ない言動は、そのほとんどが感染症への恐れと誤った知識に基づくものと考えられます。誹謗中傷は、受けた方々の心をひどく傷つけるだけでなく、人権にも関わる問題です。 県では、人権センターの常設の相談窓口に加え、3月に、感染者等を対象とした専用相談窓口を人権同和政策課内に開設しました。これまで、この2つの相談窓口で、
新型コロナウイルスに関わる相談を50件ほど受けております。また、各保健所やコールセンター、市町村にも様々な相談が寄せられています。これらの中で、保育所等での登園自粛要請、また、医療機関での診療拒否をはじめ、感染者と同居していない親族に対して出勤の自粛が要請されるなどの事例を確認しています。 このため、県では、感染者や医療従事者に対して不適切な扱いはしないことなどについて、3月以降、継続して各種媒体を活用した広報啓発を行っています。 また、各市町村に対しましても、未然防止のための広報啓発に努めていただくよう繰り返し依頼しています。 さらに、福祉や医療、教育等の各種団体を通じて、それぞれの事業者が未然防止に取り組むよう再度の要請をしたところです。 感染に係る偏見や差別は、絶対にあってはなりません。県としては、感染防止とともに、正しい情報の発信や広報啓発に引き続きしっかりと取り組んでまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君)
PCR検査につきましては、県民の身近なところで必要な検査が確実に受けられる体制構築、これにこれから取り組むということでございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 新しい菅政権も、この
PCR検査の拡充ということも言っておりますし、費用負担の軽減、こういったことも取り組まれるわけでございますので、しっかりと、やっぱり不安に思う方が受けられる、こういった身近なところで受けられる、こういった体制を今後つくっていただきたいと思っております。 あと、雇用の関係、大変厳しい状況でございますけれども、これまでは、
雇用調整助成金は年内ということになりましたし、持続化の給付金とか定額給付金とか、こういったものがございましたけれども、これが切れてくる段階で非常にやっぱり厳しさがまた増してくる状況もございますし、そしてまた、派遣労働者の多くは、この9月末が契約更新時期ということになります。雇用の調整弁と言われてまいりましたけれども、本当にそういった状況がまた懸念をされるわけでございます。その7割は女性であり、また、高齢者、大変な状況に追い込まれていく可能性もございますので、そういった状況から、最後はセーフティーネットとして生活保護というのもありますので、こういったものも──やっぱり生活保護に対する誤解や偏見をまだまだお持ちの方もいらっしゃいますけれども、そういったものの払拭と、やっぱり必要な方にはそういった支援を施していけるような、そういった対策もしっかりと講じていただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問に移ります。 35人学級の導入についてでございますが、コロナ禍で例年より短い夏休みも終わりまして、現在2学期の学習が行われています。県内児童生徒の感染者も出ている中で、既に様々な学校における
新型コロナウイルスの
感染防止対策が講じられてきていますが、全国的には、学校関連でのクラスターが出ていることから、なお一層の取組が求められます。 私も、小中学校に数校、コロナで休校した後の学校再開後の様子を見に行きました。マスクの着用、手洗いの励行、消毒液の設置、教室の消毒、給食の食べ方など、工夫をしてコロナ
感染防止対策が取ってありますが、児童生徒が多い教室の3密対策は回避されていない状況でした。 児童生徒の距離、いわゆるソーシャルディスタンスは1メートル目安ということで、辛うじてその距離は取れているものの、40人定員のクラスの教室では、密状態は避けられません。公立小中学校の教室の面積は、平均64平方メートル。40人学級では感染防止に必要なスペースを確保できないと思います。 現在、県は、国の基準どおり、小学校1、2年生で35人学級となっています。熊本市では、国の基準に加えて、小学校4年生までと中学校1年生を35人学級にしています。全国知事会などからの緊急要望では、現在の40人学級では、感染予防のために児童生徒間の十分な距離を確保することが困難として、少人数編制を可能とする教員の確保を求めていますので、国はこれから検討していくということになるようですが、それに先んじて、ぜひ県内の全ての学年で密を回避するために、35人学級を導入していただきたいと思います。 もちろん、少人数学級の推進は、
コロナ対策だけではなく、子供たち一人一人に目が行き届き、学習のつまずきの発見や個々の学習進度に応じた指導が可能になります。また、少人数になると、子供が抱える悩みや相談に親身に答える時間が確保できて、いじめ防止にもつなげることができます。そして、これから進めていくべきICTを活用した教育が進めやすい環境もできると考えます。 そこで質問ですが、県内小中学校における35人学級の導入についてどのようにお考えか、教育長にお尋ねをいたします。 〔教育長古閑陽一君登壇〕
◎教育長(古閑陽一君) 小中学校における35人学級の導入についてお答えをいたします。 まず、現状ですが、本県では、小学校1、2年生を35人学級編制としております。その他の学年につきましては、チームティーチングや少人数指導の加配措置によって、個に応じたきめ細やかな指導の充実を図っております。 また、
新型コロナウイルス感染症の予防対策としては、持続的な学校運営のためのガイドラインを策定し、全ての学校で、人と人との距離の確保や小まめな換気等の3密対策を徹底することで、学習環境を維持しているところであります。 今後、
新型コロナウイルスの感染リスクの最小化と児童生徒の学習保障の両立は、大きな課題であります。 このため、現在、知事も委員の一人として参画しております国の教育再生実行会議におきましても、35人学級の導入は有効な方策の一つとして議論が進められているところでございますが、その実現に向けては、教員や教室の確保など、解決すべき課題も多くございます。 当面の緊急的な対策として、国の第2次
補正予算を活用し、13の学校の小学6年生と中学3年生につきましては、少人数による授業が実施できるように、今月から加配措置を行っております。 35人学級を含みます少人数学級編制の推進につきましては、これまでも毎年、国に対して施策提案を行っております。 今後も引き続き、国の動向を注視しながら、少人数学級の拡大に向けた検討を進めてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 今御答弁をいただきました。 国の教育再生実行会議でも今検討が進められているということでございまして、9月8日は、たしか少人数学級を令和時代のスタンダードとして推進する方針で合意したというふうなことも聞いております。これは、安倍政権下での有識者会議でございましたけれども、菅政権も安倍政権の路線を引き継いでいくということでございます。悪い部分は引き継がなくていいんですけれども、こういった部分はしっかりと引き継いでいただいて、新政権の中でぜひ具体化を進めていただきたいというふうに思っております。 そしてまた、全国的にこの少人数学級の状況がどうなっているのかということで、他県の状況も含めて調べたところ、やっぱり国の基準以上に少人数学級を実施している都道府県は、熊本県以外全部やっているという状況でございまして、ぜひ熊本においてもやっていただきたいと思います。ただ、課題としては、教職員の増配置ということで、大体今県内でこれを全部やってしまえば250人ぐらいの教職員の増ということになるというふうな試算も出されているわけでございますけれども、今後、拡大に向けて検討を進めていくということでございますので、ぜひよろしくお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 水俣病問題についてです。 1956年、水俣湾近くに住む5歳と2歳の姉妹らが原因不明の病となって、入院先から水俣保健所に報告されました。この日、5月1日に、公害の原点、水俣病は公式確認されました。それから64年が経過をしました。水俣病発生の原因は、チッソ水俣工場がメチル水銀を含む排水を湾に流し続けたことです。疑いは早くからありましたが、国や県は規制をせずに、施設操業は68年まで続きました。住民の健康よりも経済の論理が優先をされてしまった結果です。 水俣病と認定し、経済的にも補償対象とした患者は、これまで熊本県、鹿児島県合わせて2,000人余にすぎません。その症状や居住地域を限定的に定義したため、多くの人々が認定申請を棄却されています。 そうした中で、最高裁は、2004年に、被害拡大を防げなかった行政の責任を認定し、国の認定基準より幅広い救済を認めました。これを受けて制定された被害者救済法で、国が未認定だった5万3,000人余りを被害者と認めて、救済の道を開きましたが、それでも対象外とされる被害者は多く、救済を求めて現在1,700名を超える人たちが裁判で争っています。 水俣病は、公式確認から64年たっても終わっていないのです。なぜ終わらないかといいますと、やるべきことをやっていないから終わらないのです。 水俣病被害者救済法、特措法の施行から10年以上過ぎましたが、法で定められた住民の健康調査は、いまだに実施されていません。この間、県議会の質問でも何度もやり取りをしてきましたが、調査の手法すら確立できずに、いつ実施できるのかのめどさえも示されません。 8月31日現在、認定申請者は433名、この4年間で、1,159名を審査して認定されたのは、わずか1人です。 さきの知事選のマニフェストには「認定申請者の立場に立ち、個別事情に可能な限り対応しながら、認定審査を着実に進めます。」と記載してあります。個別事情に対応しながらとは、どういう意味でしょうか。国の認定基準に基づいて判断して、切り捨てていく考えに変わりはないのではないでしょうか。 私は、昨年の代表質問で、特措法の救済策の申請受付に間に合わなかった人の再受付と、被害の広がりの実態に即した救済地域や年代の線引きの変更について国に求めるべきと申し上げましたが、それはやらないとの答弁でした。しかし、それをやらないと裁判は終わりませんし、全ての被害者救済はできないと考えます。 また、健康調査については、知事は、マニフェストで「国に実施を求めるとともに、円滑な調査手法の開発に向けて、必要な協力を行っていきます。」と掲げられていますが、特措法制定から10年以上が経過をしています。いつまでにどうするという方針を掲げて、事に当たらなければいけないのではないでしょうか。 環境省は、今月11日、MRIと脳磁計を組み合わせた客観的な診断手法が健康調査に使えるかどうかを1~2年をめどに判断すると、大臣会見で明らかにされました。これまで被験者を増やすのが難しいなどの課題があったので、この客観的な診断手法が健康調査に使えるかどうかを今後検討するとのことですが、この手法で被害の広がりを把握することができるのでしょうか。この手法に対する受け止めと健康調査の実施時期についての考えをお聞かせいただきたいと思います。 水俣病の被害者は高齢化をしています。命あるうちに救済をすべきです。知事の任期であるこれから4年間の取組が非常に重要です。水俣病問題に具体的にどのように取り組んでいかれるのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、マニフェストに記載した「個別事情に可能な限り対応しながら」の意味についてお答えします。 3期目の4年間、認定審査が進み、8月末で、審査未了の方は433名となっています。 この433名の方々の中には、寝たきりなどで検診場所へ行くことができない、移動が困難な方、疫学調査や検診に応じていただけない方、転居先が不明などで連絡がつかない方、死亡され医療機関への調査が必要な方など、時間を要する方が一定数おられます。 このため、例えば、移動が困難な方には往診や送迎支援を行っています。また、疫学調査や検診に応じていただけない方には、その理由を確認し、可能な限りその意向に沿えるよう、文書や訪問により調整を重ねるなど、申請者個人の事情に応じて、より丁寧な対応を行うという方針を示したものです。 今後4年間の水俣病問題への取組ですが、公健法に基づく認定審査については、申請される方がおられる限り、平成25年の最高裁判決を最大限尊重し、申請者の個別事情にもこれまで以上に配慮しながら、引き続き丁寧に審査を進めてまいります。 健康調査については、国において、特措法に規定された調査研究を行うための手法の開発が行われています。 先週、小泉環境大臣から、今後1~2年程度をめどに、これまでの研究開発の成果を整理したいとの発表がありました。本県の度重なる要望も踏まえ、見通しが示されたものと受け止めています。 現在進められている手法の開発は、脳から出る微弱な磁気を調べて脳の機能を検査する脳磁計とMRIの2つの装置を用いて、メチル水銀が人の健康に与える影響を客観的に評価するというものです。 私は、調査研究の実施に当たっては、科学的正当性を有する手法の確立が重要と考えます。そのような観点から、手法開発についてのこれまでの研究成果がどのように整理され、評価されるのかがまず大事なことだと考えます。 健康調査の実施時期については、今回の発表では言及されませんでした。県としては、引き続き、国に対して、健康調査に向けた取組の加速化を求めていくとともに、必要な協力を行ってまいります。 水俣病は、私の政治の原点でもあります。今後も、被害拡大を防げなかった責任を自覚し、被害に遭われた方々に寄り添い、水俣病問題の解決に向け、全力を尽くしてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 答弁をいただきました。 先月、黒い雨訴訟というのがございました。これは、広島に原爆が投下された際に、黒い雨を浴びた人たちが健康被害を訴えて、被爆者手帳の交付を求めて裁判されているんですけれども、国が指定した区域というのが――長さ19キロ、幅11キロの援護区域にこの人たちが入っていないということで、国が認めずに裁判が行われている、これは黒い雨訴訟なんですけれども、全くこれは水俣病の構図と同じだなというふうに思っています。居住地域で線引きして、それ以外は魚をたくさん食べたという証明を出さなければ認めないということでございます。 先ほど申し上げましたように、全ての被害者が高齢化をしている状況でありますので、これ以上先延ばしすることないように、一日も早く救済できるように取り組んでいただきたいと思っております。 健康調査の話も今ございました。これから客観的なやり方が採用できるのかどうなのかということでございますけれども、そもそも健康調査というのは、やっぱり被害の広がりをきちんとはかっていくためにやっていきましょうということでありましたので、客観的ではなくて、今本当に、そこに住んでいる方、そして被害に苦しんでいる方々をしっかりと調べることによって、被害がどう広がっているのか、こういったふうな調査を私はやるべきだと思っていますけれども、10年かけて手法を開発してきて、このような検討課題が出てきているのが非常に残念でなりませんけれども、いずれにいたしましても、国に対して取組の加速化を求めていくということでございますので、しっかりと、先ほど言いましたように、もう被害者は高齢化しているわけでございますから、そういったことからも、しっかりと任期中に、政治の原点と言われておりますこの水俣病問題に対応していただきますようによろしくお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 公契約条例についてです。 公契約とは、国や地方自治体の事業――工事、サービス、物の調達などを民間企業などに発注、委託する際に結ぶ契約のことです。公契約に基づく事業やサービスの質を向上させ、地域経済の健全な発展を図ることが公契約条例制定の目的です。 この目的を達成する手段として、地方自治体が公契約を締結する際に、民間企業や民間団体に対して、国が定めた最低賃金よりも高い賃金をそこで働く労働者に支払うことを義務付ける例もあります。また、雇用労働政策以外にも、例えば、災害時協定、地域産資材の使用、地元企業の活用などを公契約の相手方決定の基準とすることによって、住民の福祉向上につながる様々な政策実現に公契約を活用できます。 私は、この公契約条例については、2015年9月議会の代表質問で制定を求めましたが、その際に知事から、庁内横断的な検討チームを設置して、関係法令や県の諸施策の整理を行ったこと、労働関係団体、事業者団体及び地方公共団体に対する調査を実施し、2015年8月に中間取りまとめを行ったことについて報告いただいた上で、その時点においては、公契約条例を制定する状況が整っているとの判断に至らないものの、労働条件の改善は重要な政策課題であるため、今後も関係地方公共団体の情報収集や国の動向を注視し、庁内連絡体制も継続していくとの答弁をいただいています。 あれから5年が経過し、現在、他県においては、山形県、長野県、奈良県、岐阜県、岩手県、愛知県、沖縄県の7県で制定されていて、ほか8県で検討中ということを伺っています。 さきの知事選のマニフェストには「公契約条例制定の検討を進めます。」と記載されていますが、ぜひ条例制定に向けて取り組んでいただきたいと思います。 そこで質問ですが、公契約条例制定に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 公契約条例については、庁内検討チームを設置し、これまで検討を進めてきました。その結果、賃金水準を契約の相手側に対して条例で義務付けることは、労働法との関係において課題があることが分かりました。 一方で、適正な労働環境の確保や質の高い公共サービスの提供につながるという評価もありました。 今日の社会において、働き方改革や環境保全、男女共同参画など持続可能な社会をつくっていくことは、大変重要なことであると考えます。この政策を進める手段としても、公契約条例が注目され始めています。 このようなことから、私は、公契約条例の制定に思いが至り、さきの知事選のマニフェストにおいて、検討を進めることを掲げました。 現段階では、
新型コロナウイルス感染症対策や豪雨災害からの復旧、復興という喫緊の課題に全力を注いでいますが、公契約条例の制定についても、今後、関係団体や有識者の意見も伺いながら、しっかりと検討を進めてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 答弁をいただきました。 マニフェストでは「公契約条例制定の検討を進めます。」と書いてありますので、マニフェストどおりの答弁だったと思いますけれども、公契約条例の制定の検討を進めますというマニフェストというのも珍しいなと思っておりまして、ぜひ、検討から先の制定に向けて、この4年間の中で取組を進めていただきたいと思います。 これまで、本当に私の質問以降、いろいろと御検討も進めていただいてきております経過もお伺いをさせていただいておりまして、これ以上何を検討されるのかよく分かりませんけれども、ぜひ、先ほど言いましたように、公契約条例、他県でももう制定が進んでおりますので、県の仕事、業務をやる事業者が、やっぱり働く環境とか賃金とか、そういったものがしっかりしたところじゃなければいけないと思いますし、そしてまた、せっかくつくるのであれば、県特有の要素も入れていただきたいなと思っています。 せっかくブライト企業というのを県は認定しているわけでございますので、そういったところにもしっかりと発注するというような一つの例として申し上げましたけれども、そういった検討も含めまして、これから検討をさらに進めていただいた上で、次期定例会あたりでは検討後の条例案が出されてくるようなことを期待しながら、次の質問に移りたいと思います。 県立高校の在り方についてです。 8月24日、県教委は、第1回県立高等学校あり方検討会を開催しました。この検討会の設置目的は、2007年10月に策定された「「県立高等学校再編整備等基本計画」による再編整備後の現状と課題を踏まえて、県立高等学校のあり方及び今後の取組の方向性について検討するため」とされています。 県立高等学校再編整備等基本計画は、1学年の適正規模を4~8学級とし、県立高校61校を50校にする統廃合や、8学区であった通学区域を3学区にする通学区域の拡大、学区外入学枠を定員の6.5%から13%に拡大することなどを進めてきました。 再編統合後の新設高校においては、再編当初は一定の入学者数が確保できたものの、その後、現在に至るまで、ほとんどの新設高校で定員割れが続いております。それだけにとどまらず、各地域の拠点校とされた普通高校においても定員割れが生じ、熊本市以外の地域では、多くの高校が定員割れをしている現状にあります。 また、再編整備計画において、地域拠点校を活性化させるために導入された併設型中高一環教育の3校、八代高校、宇土高校、玉名高校においても定員割れをする年もあったり、特色ある学校、新しいタイプの学校としてスタートした普通科系総合学科や総合選択制の取組も入学者の増加につながる効果もなく、結果として多様な科目選択が保障できない実態にあるなど、県立高校再編整備計画は、決して計画どおりに進まなかったものと考えます。 このような課題認識は、県教委も同様にお持ちだと思いますが、特に、それまでの高校の在り方とは違う取組、例えば、今回のような、高校において単位制、総合学科、総合選択制を行っていく場合には、多様な科目設定とそれを担う人の配置が必要になります。つまり、ある程度の予算を担保せずに、学校の努力だけに頼っていてはうまくいかないことを証明していると思います。 そこで、教育長に対して2点質問します。 まずは、高校における魅力づくりを行っていく上での条件整備についてです。 先ほど申し上げましたように、新たな取組を行っていくためには、それを担う人と活動財源が不可欠です。その意味でも、教職員の定数改善に関して、先ほどの質問で、県内小中学校における35人学級の導入について申し上げましたが、高校に関しても、今日まで40人学級のままで運用されていますので、この際、
コロナ対策もありますので、子供の数が少ない地方の高校などにおいては、同様に35人学級で運用するなどの措置を行い、教職員の確保を図ることも考えられるのではないかと思います。この点について、教育長の考えをお尋ねします。 次に、定員割れをしている郡部の高校における取組の支援についてです。 県教委としては、当面は中学卒業者数が減らないことを理由に、今後4年間をめどに、高校の魅力づくりに取り組むとされていますが、10年先を見据えた際には、多くの地域で中学卒業生徒数は減少していき、いずれにせよ、今後も1学年4学級以上を維持することが困難な地域、高校がさらに増えることが懸念されます。 そこで、今回の県立高校のあり方検討会の議論においても、各高校が腰を据えて、地域との連携による教育活動を行っていく条件整備として、現行の1学年の適正規模4~8学級の見直しもしくは3学級以下の存続を認める特例措置をきちんと高校再編整備の基準に明記して、1学年3学級以下である高校が安心して取り組んでいけるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、今後の県立高校の在り方に関する2点の質問について、教育長にお尋ねをいたします。 〔教育長古閑陽一君登壇〕
◎教育長(古閑陽一君) 県立高校の在り方についてお答えをします。 県立高等学校再編整備等基本計画に基づく再編整備は、高校における教育環境の確保という観点から進めてまいりました。その結果、学校規模の適正化、履修科目や進路の選択幅の拡大、学校行事や部活動の活性化など、教育環境の向上や充実につながったと考えております。 一方で、生徒数の減少等による定員の確保や高校教育を取り巻く環境変化への対応など、新たな課題が生じているのも事実でございます。このため、県立高等学校あり方検討会を本年8月に設置し、今後の取組の方向性等について議論を行っているところであります。 まず、お尋ねがありました高校の魅力づくりを行っていく上での教職員の確保についてです。 議員御提案の35人学級等の少人数学級の実現には、教員や教室の確保といった課題がございます。そこで、現在、単位制や多様な科目を開設する高校に対しましては、教職員を加配することにより特色ある学校づくりに取り組んでいるところであります。 今後、全ての高校の魅力化の実現に向けて、加配等による教職員の確保やICTの最大限の活用、さらには地域の実情に応じた少人数学級の在り方の検討などに取り組んでまいります。 次に、県立高校の適正規模についてですが、再編整備計画の策定当時は、特にその下限を1学年4学級としてまいりました。これは、様々な専門性を有する教員の配置や、多くの出会いや体験を通じて社会性やコミュニケーション能力を身につけることが重要との視点によるものです。 しかし、現在、ICT教育環境の整備を進めていく中で、ICTを活用した遠隔授業で複数の学校が連携することなどにより、生徒の多様な科目の選択や他校の生徒と一緒に学ぶことが可能となり、小規模校における課題の改善につながり、教育の充実を図ることが可能になってきております。 そのため、特に定員を下回っている県立高校における規模の在り方やその魅力化につきましては、今後、あり方検討会において、地域の実情等を踏まえながら、しっかりと議論を行ってまいりたいと考えております。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) ぜひ、地域と高校と連携した取組を行っている学校、そしてまた、自治体に対して、しっかりと支援のほうも行っていただきたいと思います。 高校の適正規模については、今申し上げましたが、熊本は1学年4学級ということになっておりますけれども、これも、全国的には6県ほど、ここを定めないとか3学級以下にした県もあるわけでございますので、そういったことも今後ぜひしっかりと検討をしていただきたいと思います。 いずれにしましても、過疎地域の高校は、地域にとってのセーフティーネットでもあるというふうに思っております。高校がなくなることによって、やっぱり空洞化をしたり、過疎化が加速するということも、これは地方創生と逆行していく話でもございますので、再度申し上げますけれども、やっぱり1学年3学級以下、これで特例校として位置づけて存続できるように御検討をお願いして、次の質問に移りたいと思います。 2017年10月から、改正住宅セーフティーネット制度がスタートしています。 この制度は、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯などの住宅の確保に配慮が必要な方に対して、今増えている民間の空き家や空き室を活用して入居支援を行う制度です。 その流れは、まず、空き家などの所有者が、いわゆる住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅として、県や政令市である熊本市に登録しますが、高齢者らの入居を拒まないことや耐震性があることなどが登録条件で、登録住宅には、耐震改修やバリアフリー化に最大200万円の助成や低所得者の家賃を月額4万円まで補助するなどの支援策があります。 県は、登録住宅の情報を対象者に広く提供し、住宅確保要配慮者が、登録した賃貸人の方に入居を申し込むという仕組みです。 そして、入居に当たっては、NPOなどの居住支援法人が、入居に関わる情報提供、相談、見守りなどの生活支援、入居者への家賃債務保証等の支援を行います。この居住支援法人の指定は県が行うというものです。 しかし、この制度の認知度は、まだ低いのではと思います。空き家の登録数も、熊本市を含めて、まだ47戸と伺っています。空いている県営住宅の活用なども含めて、さらに周知、啓発を行い、セーフティーネット住宅の確保や居住支援を充実させるべきです。 そこで、改正住宅セーフティーネット制度の現状における課題と今後の取組についてお尋ねをします。 次に、高齢者向け優良賃貸住宅の家賃補助について質問します。 この略称高優賃と呼ばれる住宅は、60歳以上の単身、夫婦世帯の方たちを入居対象に、バリアフリー化され、緊急時対応サービスが利用可能な賃貸住宅です。県内では、平成12年度より供給を始め、平成23年度まで972戸を認定していますが、平成23年度に改正高齢者の居住の安定確保に関する法律が施行され、高優賃制度は廃止となって、現在は、新制度が創設され、その登録が進められています。 高優賃は、平成12年度から16年度までに整備した438戸に対して、20年間を限度に国と県の負担で入居者の収入に応じた家賃補助を行ってきていて、平成12年度の入居者が今年度その20年を迎えます。 国は、県が家賃補助を延長するなら、引き続き負担するようですが、県として家賃補助を継続する考えはないのでしょうか。20年前に60歳で入居したと仮定しますと現在80歳で、平均2万円弱の家賃補助がなくなれば、いきなりこの負担増になるわけです。何とか補助を継続することはできないでしょうか。 それが困難な場合は、既に20年も家賃収入がある家主に対して、家賃補助の減収分を入居者の家賃に転嫁させないように要請していただきたいと思います。高齢者の入居者の急な負担増とならないよう、家賃補助の継続もしくは何らかの激変緩和措置をとることができないのか、先ほどの質問と併せて、土木部長にお尋ねをいたします。 〔土木部長上野晋也君登壇〕
◎土木部長(上野晋也君) まず、住宅セーフティーネット制度についてお答えをいたします。 県では、これまで市町村、不動産・福祉関係団体や居住を支援する法人から成る居住支援協議会と連携し、制度の普及に取り組んできたところです。 しかしながら、賃貸住宅の所有者が管理上の不安を感じており、登録件数が伸び悩んでいること、また、制度改正から日が浅く、住宅確保要配慮者の方々の制度理解が十分進んでいないことの2点が課題と考えております。 そこで、管理上の不安を少しでも軽減するため、入居後の要配慮者への見守り支援等について、所有者に対して丁寧な説明を行ってまいります。 また、要配慮者への制度周知に関しては、直接働きかけを行う居住支援法人の役割が重要と認識しております。 このため、連携強化や情報共有のために、熊本市、居住支援法人とともに、今年度から熊本県居住支援法人連絡会を設置しており、要配慮者が相談しやすい環境づくりを進めてまいります。 次に、高齢者向け優良賃貸住宅の家賃補助についてですが、本県では、制度が創設された平成12年度から16年度までの間に整備された438戸に限り、建築後20年間の補助を行っております。これは、初動期における民間事業者の参入促進を目的としたものです。 平成23年には制度改正が行われており、入居者の安否確認と生活相談サービスが付加されたサービスつき高齢者向け住宅に移行し、現在までに3,122戸が整備されております。 このように、新しい制度による住宅整備が進んだ現在、旧制度に基づく一部の住宅への優遇措置を延長することは、公平性の観点から困難であると考えております。 しかし、議員御指摘のとおり、入居されている高齢者にとっては、急な負担増となれば、生活にも影響が及ぶことが考えられます。 そのため、今後、20年の補助期間が終了する事業者に対して、順次補助終了をお知らせするとともに、個別に面談等を行い、入居されている高齢者が安心して居住を継続できるよう配慮を促してまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 高優賃につきましては、入居者が急な負担増にならないように配慮を促していくということでございますので、ぜひ、補助の継続というのは非常に難しい話かなと思いますが、そういった配慮をぜひ事業者に対して求めていっていただきたいと思います。 それでは、最後の質問となります。 ギャンブル依存症についてです。 2018年10月に施行されたギャンブル等依存症対策基本法は、各都道府県に対しまして、地域の実情に合わせた依存症対策の計画をつくるように求めていますけれども、今年4月時点で、計画を策定しているのはまだ7道府県と伺っています。今年度中に策定を予定しているのは19都府県で、来年度に策定予定は2県であり、熊本県を含む残り19県は未定とされているというふうに伺っております。 また、今年度中には、依存症の治療拠点や相談拠点を整備するように国は求めていますけれども、本県の状況はどのような状況でしょうか。 そこで質問ですが、ギャンブル依存症対策の取組について、
健康福祉部長にお尋ねをいたします。
○議長(池田和貴君)
健康福祉部長渡辺克淑君。――残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。 〔
健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕
◎
健康福祉部長(渡辺克淑君) 県では、ギャンブル依存症対策として、精神保健福祉センターにおいて、関係機関と連携し、相談対応、回復支援プログラムや家族ミーティングの実施、債務整理の助言などを行っており、今年度は、新たに、議員から御指摘ありました依存症専門医療機関と依存症治療拠点機関を選定し、医療提供体制の整備に取り組むこととしております。 ギャンブル依存症は、適切な治療と支援で回復が可能な疾患でございます。今後は、ギャンブル依存症対策推進計画の策定にも取り組み、対策の総合的、計画的な推進に努めてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) これから依存症の専門医療機関を選定して、ギャンブル依存症対策推進計画の策定に取り組んでいかれるということでございますので、しっかりと取組をいただきたいと思います。 これは、ギャンブル依存症の問題については、カジノを含む統合型リゾート、IRの問題が出てきて、こういったギャンブル依存症対応が必要だということで、取組を今進められているわけでございますので、ギャンブル依存症についても、やっぱりIR、こういったものが誘致によって広がらないような取組を進めなきゃならないと思っていますので、熊本県においては、こういったカジノの誘致など絶対に考えないように知事にお願いをしておきたいというふうに思います。 いろいろと盛りだくさんで質問をさせていただきまして、時間のほうも気になりましたが、何とか時間内に終わることができました。本当に、災害、そしてコロナ、そしてまた熊本地震と、大きな苦しみの中での県政運営でございますけれども、私ども、しっかりといろんな場面で、是々非々の中で、また知事と一緒に議論し合いながら、前にこの取組を進めてまいりたいと思いますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げ、そして御清聴いただきましたことに改めて感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(池田和貴君) 以上で本日の代表質問は終了いたしました。 明19日から22日までは、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る23日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時41分散会...