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06月12日-02号

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  1. 熊本県議会 2020-06-12
    06月12日-02号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和2年 6月 定例会               第 2 号              (6月12日)  令和2年   熊本県議会6月定例会会議録     第2号令和2年6月12日(金曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  令和2年6月12日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            西 村 尚 武 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     知事公室            倉 光 麻里子 さん     政策審議監     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工観光労働            藤 井 一 恵 君     部    長     理    事 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   上 野 晋 也 君     会計管理者  本 田 充 郎 君     企業局長   藤 本 正 浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  小 山   巌 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(池田和貴君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(池田和貴君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 藤川隆夫君。  〔藤川隆夫君登壇〕(拍手) ◆(藤川隆夫君) 皆さん、おはようございます。熊本市第一選挙区選出・自由民主党の藤川隆夫でございます。本日は、自民党県議団を代表しての一般質問となります。 まず初めに、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。また、感染された方にも、併せてお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。 それでは、早速質問に入らせていただきます。 まず初めに、県政課題への知事の抱負についてお伺いいたします。 4期目の蒲島県政がスタートして初めての定例会であり、本来であれば、2月の骨格予算に引き続き、肉づけ予算を審議する会議となるはずだったけど、知事選挙の前より中国・武漢市で発生したとされる新型コロナウイルス感染症が大流行し、世界各国に拡散し、世界全体での感染者は700万人を超え、死者も40万人以上となっています。 我が国においても、感染者は1万7,000人以上、死者900人以上で、熊本県での感染者は47人、死者3人と多数の感染者が見られ、国、県、市町村レベルで様々な施策が展開されていることもあり、定例会は、主に新型コロナウイルス感染症対策の事業、予算を審議することになっています。 また、熊本県は、4年2か月前の熊本地震で、4月14日の前震及び知事3期目就任の4月16日の本震により、益城町、西原村を中心に広範な地域で壊滅的な被害が発生しましたが、県民一丸となって創造的復興に向け努力し、阿蘇大橋、豊肥本線、国道57号の現道及び北側代替道路、益城町の土地区画整理事業県道熊本高森線の4車線化など、ある程度復興が見えてきたときに今回の新型コロナウイルス感染症が発生し、県民にとって二重苦の状態となっています。蒲島知事にとって、3期目に引き続き、4期目も連続して逆境の中での県政運営となります。 まず、被災者の住まいの再建について、まだ仮設住宅に約1,600名の方が住まわれており、その方々への対応をどのように考えていかれるのか。 次に、新型コロナウイルス感染症は、ワクチンが製造されるまで、また、薬が見つかるまで、第2波、第3波と幾つもの波が来ながら長期化していくものと考えられます。 そのような中に、ワクチンに関しましては、地場産業のKMバイオロジクスが開発、製造に着手するということで、大変うれしく思っておりますし、すばらしい製品ができて、我々の安心のためにワクチンが供給されることを願っております。 そのような中に、医療体制の確保、経済対策など、バランスを取りながらの県政運営となると思いますが、知事の考え、方針について、また、9月定例会で示されると思われる県政の4か年計画についても、新型コロナウイルス禍の影響を踏まえ、知事は確とした方針をお持ちと考えますが、一端でも御紹介いただければと思います。 以上について、知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、被災者の住まいの再建についてお答えします。 私は、住まいの再建なくして熊本地震からの復興はないとの強い思いから、これまでも自らが先頭に立ち、全力で取り組んでまいりました。 平成29年度に、本県独自の高齢者向け新型住宅ローンに対する利子助成など、4つの支援策をパッケージとして打ち出し、再建の段階に応じた拡充を図りながら、現在6つの支援策でサポートしています。 また、本年3月には、災害公営住宅が全て完成したことで、ピーク時の95%以上に当たる4万6,000人の住まいの再建が実現し、現在の仮設住宅の入居者は615世帯、1,632人となっています。 今後も被災者に寄り添った継続的な支援を行うことで、本年9月には残りが400世帯に、今年度末には約200世帯までに再建が進むと見込んでおります。 一日も早く、そして最後のお1人まで住まいの再建が実現できるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。 次に、県政運営に当たっての方針についてお答えします。 新型コロナウイルス感染拡大県民生活や県経済に甚大な影響を及ぼす中、私の4期目はスタートしました。私は、国難とも言えるこの危機を県民一丸となって乗り越え、熊本の再生を果たすことが4期目における最大の使命であると考え、全力で取り組んでおります。 具体的には、感染拡大を防止するため、PCR検査体制について、全国に先駆けた独自基準による検査対象の拡大やPCR検査能力の拡充などを図っています。また、感染者受入れ病床軽症者等宿泊療養施設の確保など、第2波に備えた医療提供体制の強化も進めています。 なお、議員からも御紹介のありました、郷土の企業であり、県が出資しているKMBの国とのワクチンの共同開発については、私も大変心強く、誇らしく思い、一日も早い開発の成功を願っています。 次に、経済的な影響を受けた事業者に対しては、いち早く金融支援制度を創設し、現在融資枠を1,800億円まで拡充させるなど、様々な対策を組み合わせたパッケージによる支援を行っています。 このような対策や県民、事業者の一丸となった感染拡大防止の取組により、県内の感染状況は落ち着きを見せています。しかし、一旦気を緩めると、急速に感染が拡大し、第2波が現実のものとなりかねません。 さらに、世界全体では、新型コロナウイルス感染症は終息しておらず、その終息時期や生活、経済への影響など、先行きを見通せない状況が続くことが予想されます。 このような中、県として進むべき方向性や取組を県民の皆様と共有するため、感染拡大防止県民生活や県経済の再生、発展のベストバランスを図る取組や熊本地震からの創造的復興など、喫緊の課題への対応を基本方針として取りまとめ、9月議会でお示ししたいと考えています。 また、新型コロナウイルスの影響により、社会は大きく変容しようとしています。例えば、テレワークの急速な普及などによる新たな働き方や生活様式であります。 これを好機として、都市から熊本への人や企業の流れを創出する新たな取組や新しい観光産業への変革を全国に先んじて進めることにより、新型コロナウイルスからの経済復興のみならず、地方創生を加速してまいります。 私は、この厳しい状況を乗り越えるため、県民の皆様とともに全力を挙げて果敢に取り組んでまいります。そして、逆境の中にこそ夢があるという信念の下、新しい熊本を創ってまいります。  〔藤川隆夫君登壇〕 ◆(藤川隆夫君) 今知事から答弁がございまして、地震からの住まいの再建については、今年度末までには約200世帯まで減少するという話がありましたので、これは、このまま進めていっていただければと思います。 また、新型コロナに関しましても、これを何とかしていくのが自分の使命だというような抱負も語られておりました。 知事は、人生の中でも、逆境の中からそれを乗り越え、そして熊本県知事として今仕事をされておりますけれども、3期目のときは熊本地震があり、その中で創造的復興ということを表に出し、そして熊本が地震前よりもよりよくなるようにということで、今までも取り組んでこられております。 今回は、新型コロナウイルスが4期目で始まり、そして、これに関しましても、やはり県民の健康、安全、これを守り、そしてこの熊本県の経済がよりよくなるようにということで、今いろんな形で施策も進められているところではあります。 このような中に、このコロナ禍、これ自体を、今度は逆境と捉えるのではなく、好機として捉え、そして、いろんな形で知恵を出し、県民総ぐるみでこの熊本が飛躍できるようにやっぱりしていかなきゃいけない。それの先頭に知事は立って、県民を引っ張っていっていただきたいというふうに思っておりますし、我々自民党県議団も、これをできる限りサポートしていきたいというふうに考えております。 それでは、続きまして、空港アクセス鉄道についてお伺いいたします。 熊本地震で被災した阿蘇くまもと空港については、2023年春の供用開始を目標に、熊本県及び地場企業も参画している熊本国際空港株式会社による国内線、国際線一体型の新旅客ターミナルビルの工事が始まっています。 新空港会社が掲げる2051年度の目標値が、国際線17路線、旅客数622万人、うち国際線175万人、貨物取扱量4.2万トンとされていて、九州のセントラルゲートウエーとして、観光客の誘致や農産物、工業製品等の輸出が期待されるなど、県経済の発展に必要であり、創造的復興のシンボルとなる施設です。 一方、以前から空港へのアクセスが課題となっており、改善に向けて、県において、平成30年度に鉄道延伸モノレール新設、市電延伸の3つの交通モードが比較検討され、定時性、速達性及び大量輸送に優れ、事業費を相対的に低く抑えることができて、早期に実現できる可能性が高いとの結論で鉄道延伸が選択されています。 この鉄道延伸については、JR三里木駅から分岐し、年間100万人以上の方々が利用される県民総合運動公園を経由して阿蘇くまもと空港へ至るアクセス鉄道の計画が示されています。 平成30年度の県の概略調査では、1日の利用者を約6,900人と予測、事業費の380億円についても、平成31年2月に、鉄道整備に向けた基本的方向性に関するJR九州の同意を得て、JR九州が開業後に整備費の3分の1を上限に拠出するという、これまで全国に例のないスキームをつくっており、国へ最大限の支援を要望しているところです。 昨年度は、県から鉄道整備に多数の実績を持つ独立行政法人鉄道・運輸機構にルートや事業費、需要予測等詳細調査を委託し、その調査結果が本年3月末に出され、その後、県において精査が進められてきたと思います。 その調査結果を踏まえ、今後、具体的にアクセス整備に向けた計画を進めていかれるものと考えますが、まず、昨年度の調査結果は具体的にどのような結果になったのか、お尋ねします。 また、いずれにせよ、多額の費用がかかる事業であり、県民に説明し、理解を得ることが必要と考えます。 そこで、県民への説明責任を含め、詳細調査後の今後の事業計画について、どのように進めていかれるのか、知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の昨年度実施した詳細調査の結果についてお答えいたします。 初めに、概算事業費について御説明いたします。 まず、平成30年度の概略調査で検討したルートは、三里木駅を起点に、中間駅を設置予定の県民総合運動公園付近を通り、空港に至るものでした。高架構造を基本とし、事業費は、税抜きで380億円でした。 詳細調査では、平成30年度の概略調査を検討したルートを基に、現地調査や地盤の状況等を踏まえ、4つの案を検討いたしました。 第1のルート案は、概略調査ルート案に最も近く、菊陽町の国道57号沿線の市街地を高架で通過するもので、事業費は、税抜きで437億円となりました。 概略調査時の事業費380億円と比較して57億円の増加となりましたが、これは、地盤の状況等を踏まえ、空港への登り口のトンネルを長くするなど、構造の一部を見直したことによるものです。 第2のルート案は、第1のルート案と経路は同じですが、菊陽町の国道57号沿線の市街地を、高架ではなく、トンネルで通過するもので、事業費は、税抜き493億円となりました。 第3のルート案は、第2のルート案トンネルの長さを可能な限り短縮したもので、事業費は、税抜きで459億円となりました。 第4のルートは、空港への登り口について、空港、周辺の既存施設を避けるため大きく迂回させたもので、事業費は、税抜き561億円となりました。 いずれの案においても、結果として事業費が概略調査を上回ったことについて残念に思っており、可能な限りコスト縮減に取り組んでまいります。 次に、運行計画については、三里木―空港間で1日49往復の運行で、所要時間は、熊本駅と空港間で、三里木駅での対面乗換えに要する時間を含めて、約40分と試算しました。 また、需要予測については、熊本国際空港株式会社が掲げる2051年度の航空旅客者数622万人を前提に、開業時点をおおむね10年後と想定して試算した結果、1日当たり約7,500人の利用を見込みました。 概略調査時の6,900人と比較して、600人の増加となります。これは、中間駅や空港駅の周辺住民等による利用を精査したことなどによるものです。 以上の予測を基に事業の採算性について検討した結果、国、県、JRがそれぞれ総事業費の3分の1を負担した場合、採算性は十分に見込むことができました。 一方、国、県がそれぞれ18%を補助する現行の補助制度を前提とした場合、追加の補助金がなければ採算性は見込めないとの結果になりました。 次に、費用便益分析、いわゆるB/Cについてです。 B/Cとは、鉄道事業の許可要件ではありませんが、事業の予算化の判断の指標とされているものです。 空港アクセス整備の最も重要な目的の一つに定時性の確保がありますが、鉄道プロジェクト評価手法マニュアルでは、定時性の価値の算出については、学識経験者等による技術的な検討が必要とされています。 しかし、昨年度調査では、現地調査を踏まえたルートの検討などに膨大な時間を要したため、学識経験者等の検討に至らず、最終的なB/Cの算出には、継続した調査が必要となりました。 次に、2点目の今後の事業の進め方についてお答えします。 現在、インバウンドを中心とした航空旅客者が大幅に減少するなど、昨年度の調査の際に前提とした状況と新型コロナウイルス感染拡大後の現在の状況は大きく異なっています。 そこで、空港アクセス鉄道の事業化の判断については、一旦立ち止まり、さらに議論を深めるため、昨年度の調査結果の課題であるB/C、いわゆる費用便益分析等について、精度の向上を図ってまいります。 また、今年度、新たに有識者や経済界などから成る検討委員会を設置します。そこで、新型コロナウイルスが交通・観光業界に与える影響やBRTを含めた他交通モードの比較についても、幅広く意見を伺いながら検討を進め、議会をはじめ、県民の皆様から一層の御理解を得られるよう努めてまいります。 このような状況を踏まえ、今定例会には、議論を深めるための調査費及び検討委員会の費用のみを計上させていただいております。 また、県民負担の最小化を図るため、構造、工法の精査を行い、コスト縮減を追求してまいります。 さらに、JR九州には、整備費の3分の1を上限に、既存路線の増益効果の一部を拠出いただくというスキームに同意いただいております。この他県に類のない画期的な取組を踏まえ、国に対し、整備費の3分の1について、財政支援等の特別な配慮を継続して要望してまいります。  〔藤川隆夫君登壇〕 ◆(藤川隆夫君) ただいま知事のほうから、昨年度実施した詳細調査の結果について報告があり、4つのルート案を検討している、また、運行計画、所要時間、需要予測等についても、今発表があったとおりかというふうに考えております。また、空港アクセス鉄道の事業化の判断について、一旦立ち止まりという話も出ておりました。 この件に関しまして、これは私の考えなんですけれども、当然、今新型コロナウイルス感染症によってインバウンドも止まっていますし、国内の需要も低迷しております。しかし、新しい阿蘇くまもと空港は、2023年の春にはリニューアルオープンするわけなので、これに向けたということを考えていかなきゃいけない。特に、九州の中央にあるこの阿蘇くまもと空港の優位性、利便性、これを発揮するためには、やっぱりこの鉄道の分岐延伸というのは、私は必要だろうというふうに考えております。 そのためには、今立ち止まって、いろんな形で前向きの手を打つというための一旦立ち止まりだというふうに私は理解をしておりますので、この中で、さらに精度を高めて県民に説明責任もされるという話でありますので、これをされながら、これの事業化に向けて進んでいっていただければというふうに思っております。 特に、事業化をしようと思っても、環境影響調査等、鉄軌道を分岐延伸しようと思えば、そういうこともやっていかなきゃいけない。そのためには、時間もかかるわけなので、できるだけ早く着手の方向に向けてかじを切っていただき、動き出すということが私は大事になってくるのかなと思います。 これが、実は、熊本県の経済、観光業をはじめ、全ての面において、この空港に鉄道アクセスがあるということが起爆剤に私はなるというふうに考えておりますので、ぜひそういう観点もお忘れなく検討いただければというふうに思っています。 それでは、続きまして、新型コロナウイルス感染症の諸課題について。 医療体制等について、介護施設等についての1、2については、併せて質問させていただきます。 まず、医療体制等について。 新型コロナウイルス感染症の国内1例目は、本年1月16日に確認され、全国に拡散し、熊本県での1例目は、2月21日に熊本市で確認、その後、感染は広がりを見せ、6月1日現在、県内感染者は47人で、死者3人、入院中の方は、最後の方が10日に退院され、ゼロとなっています。 WHOは、3月11日にパンデミックを宣言、政府においては、緊急事態宣言が、最初4月7日に東京、大阪など7都府県に出され、4月16日に対象が全国に拡大されました。 これを受けて、都道府県が行った外出自粛要請や休業要請に国民が協力した結果、全国の感染者数は減少に転じ、熊本においても、5月8日を最後に新規感染者は出ていません。 しかしながら、まだワクチンや有効な治療薬はないことから、感染は続くものと考えられます。そのため、感染が落ち着いている今のうちに、PCR検査体制の整備及び医療崩壊を招かない医療体制の整備を行う必要があるのではないでしょうか。 まず、PCR検査については、現在、県内で1日184件が検査できる体制で、5月22日までの総実施件数は5,674件、人口比では全国3位となっています。また、知事の判断により、他県より検査対象を広げていることも大いに評価しますが、県民の不安解消のためにも、これまで以上に検査体制を拡充し、県下各地で、医師の判断で必要とされた人が、待たずにPCR検査を受けることができるよう、充実を図るべきと考えます。 このほか、新型コロナウイルスの感染歴が分かる抗体検査については、東京、大阪、宮城で開始されました。感染しているかどうかを短時間で調べられる抗原検査については、感染者の多い都道府県から検査キットが優先供給されています。県民の安心のために、本県でも抗体検査抗原検査を可能となるようにすべきと思いますが、県としてはどのようにお考えでしょうか。 また、第2波が到来した場合においても、医療崩壊を招かないために、引き続き医療提供体制の整備を進めていく必要があります。 現在、県では、感染症患者の入院病床として378床を確保し、400床を目標に取り組まれています。さらに、重症患者を受け入れる重点医療機関を4か所設定するとともに、熊大病院と連携し、患者の転院調整や診療相談に24時間対応する県調整本部も設置されています。加えて、軽症者等を受け入れる宿泊療養施設も1,300室以上と、人口比では全国でもトップレベルの確保数となっています。 このように、本県の医療提供体制は着実に強化されており、一定の成果を上げていると評価できますが、今後の2波を見据えた際に、まだまだ課題も残されていると感じています。 その一つは、現在妊娠されている方や乳幼児を育てておられる方の不安は非常に大きいものがあり、こうした不安を解消するためには、事前に感染者が発生した際の対応を整えておくことが重要です。 また、院内感染対策も必要で、一たび院内感染が発生し、クラスター化してしまうと、地域の医療崩壊にもつながりかねないことから、院内感染を絶対に起こさないよう、対象の徹底を図ることが重要だと考えます。 そこで、今後の検査体制の充実に向けた取組と、第2波に備えて医療提供体制の強化を図る上で、小児、周産期における医療提供体制の構築や医療崩壊につながりかねない院内感染対策にどのように取り組んでいかれるのか、健康福祉部長にお尋ねします。 続きまして、介護施設等での対応についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の流行により重篤化しやすいとされる高齢者が多数生活している介護施設等では、感染者が発生しないように対策を講じています。 例えば、私が関わる施設では、職員の検温を1日3回やっています。手指消毒も当然です。マスクの着用も行い、対応しています。また、面会については原則禁止、要望があれば、ガラス越しあるいはタブレットを使用してのオンライン面会としていますし、ボランティアの訪問も中止したままで、感染の施設内流入阻止に全力で取り組んでいますが、新規入所者を受け入れていますし、通所事業は継続しており、いつ感染が発生しても不思議ではない日常となっていて、日々緊張しながら仕事をしています。 なお、全国各地で介護施設等でのクラスター発生が見られ、多くの人が死亡しています。現在、緊急事態宣言は解除され、世の中は新しい生活様式で通常生活に戻りつつありますが、介護施設等で活動を通常に戻すにはリスクが高く、厳密に考えれば、ワクチンができるまでは現状維持していくことになりますが、入所者、家族、職員ともに長期間にわたり耐えることは困難と思います。 そこで、流行前の状態で介護施設等を運営していくには、厚労省が指針を示すべきと考えますが、現在まで出されておらず、難しいようです。代わりに、県、市などで、地域の実情に合わせ、通所や入所の利用に関わる運営指針などが出せないでしょうか。 以上2点、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、PCR検査体制についてお答えします。 新型コロナウイルスの感染が収まっているこの時期に、PCR検査体制を充実させ、第2波に備えることは、最優先であると考えています。 そのため、まずは、県央、県北、県南、天草の4圏域において、検体の採取から検査まで迅速に対応できるPCR検査センターの開設を支援します。加えて、現在、帰国者・接触者外来等の医療機関において、専用プレハブ診療棟の設置や検査機器の整備を進めています。 このことにより、各地域で、医師が検査を必要と判断した患者に対して、確実に検査ができる体制を整備し、感染者の早期発見と重症化防止、院内感染リスクの低減を図ります。 なお、抗体検査は、感染の広がりを推測する上で有効な検査であると認識しておりますが、現時点では、検出された抗体と再感染の関係が不明である等の課題があることから、先行して実施される都道府県の状況を見ながら対応を検討してまいります。 また、短時間で結果を得られる抗原検査は、救急医療の現場で、症状のある患者の陽性を確認するためには非常に有用ですが、陰性であった場合は、確定診断のためにPCR検査も行う必要があります。現在は検査キットの供給量が限られており、供給の状況等を注視してまいります。 続いて、医療提供体制の強化についてお答えします。 まず、小児、周産期医療については、県が設置する小児科医や産婦人科医による協議会において、感染症の専門家を交え、具体的な対応を検討し、取組を進めてきました。 具体的には、小児医療では、重症化に対応する医療機関の設定などの体制整備を行っています。また、周産期医療も、安心して出産ができるよう、分娩可能な医療機関の設定や出産後の新生児搬送体制の整備などを進めています。 また、院内感染については、本県においても、医療従事者の感染等により、救急や外来患者の受入れを一時休止する事態が発生しました。 これを踏まえ、県では、感染症対策の専門家で構成される熊本県感染管理ネットワークと連携し、医療機関が、ゾーニングなどの院内の感染防止対策について、専門家から助言や技術的支援を受けられる体制の構築を進めています。 さらには、自衛隊に協力を頂き、防護服の着脱訓練を医師会と共同して実施するなど、医療従事者の感染防止対策も実施しています。 今後も、検査体制の充実と医療提供体制の強化を第2波への備えの両輪として、着実に取り組んでまいります。 次に、介護施設等での対応についてお答えします。 全国的に緊急事態宣言は解除されましたが、介護施設等においては、今なお感染拡大防止の観点から、通所サービスの利用や面会の制限などが行われています。 県で実施した実態調査では、当初、約1,000事業所ある通所系サービス事業所のうち約100事業所が、感染防止のため、自主的に新規利用者の受入れ停止などの利用制限を行っていましたが、県内における新規感染者の発生が減少したことを踏まえ、これまでに約70事業所が利用制限を解除されています。 また、入所施設については、ガラス越し等による面会を実施している施設が8割を超えており、このうちオンラインによる面会を併用して実施している施設が約4割となっています。 緊急事態宣言が解除され、新しい生活様式の定着等を前提として、段階的に社会経済の活動レベルが引き上げられる中、県内の介護施設等においては、それに対応した取組が進んでいるものと考えております。 こうした状況を踏まえ、県としても、それぞれの地域や施設の実情に応じた取組を支援するため、各施設における好事例を情報発信するとともに、国の支援策を活用し、オンラインによる非接触型面会のさらなる普及を図る取組などを進めてまいります。  〔藤川隆夫君登壇〕 ◆(藤川隆夫君) 今部長のほうから答弁頂きましたけれども、PCR検査センターについては、さらに拡充していくということで、ちょっとほっとしております。 ただ、抗原・抗体検査、まだ精度的な問題はあろうと思います。PCR検査もそうなんですけれども、これからやはり検査キット自体はよりいいものになってくるというふうに考えておりますので、これが使える段階になったときに、きちっとした体制を取っておかないとやっぱりいけないというふうに考えておりますので、その部分は考えていただければというふうに考えております。 また、医療提供体制についても、現在、専門家と連携しながら体制強化を進めていかれているというふうな話でありました。 現在、入院される方、あるいは介護施設に入られる方のリスクというのは、やっぱり極めて高いわけで、これをどうしようかというのが恐らく課題に今なっているというふうに思います。その中で、入院される方に対してPCR検査をするとか、あるいは介護施設に入所される方にPCR検査をするとか、そういうようなことによってきちっとした体制を取ることが、逆に、中で仕事をされている医療従事者、介護従事者にとっての安心に私はつながるというふうに考えております。 そのような意味において、この抗原・抗体検査並びにPCR検査、これをうまく組み合わせて使うことで、今言った形で医療崩壊も防げるし、介護現場での混乱も防ぐことができるというふうに今考えておりますので、ぜひ検討のほどをよろしくお願いしたいと思います。 それでは次に、県経済への影響についてお尋ねいたします。 緊急事態宣言での企業活動の制限もあり、影響は、商工業、農林水産業、観光業、サービス業など、ほぼ全ての業種に及び、ダメージは、2008年9月に起きたリーマン・ショック以上と言われています。 倒産の増加が予測されていて、6月1日時点での倒産は、全国で200件、熊本県で4件となっています。好調だった有効求人倍率も低下し、雇用環境も悪化して、解雇、雇い止め、また、新卒者の内定取消しなど、抑制傾向も出ています。また、失業者数も、1年前と比べ100万人以上増えると予想されています。 このような状況を改善するため、国では、日本政策金融公庫等による資金繰り支援や信用保証協会による保証、持続化給付金、雇用調整助成金や特別定額給付金など、事業者向け、個人向けの支援メニューが多数創出されています。 県でも、独自に中小企業向けの資金繰り支援、休業要請協力金、事業継続支援金、生活困窮大学生のための給付金などの支援策を実施していますし、また、市町村においても、独自の支援対策が多数出されています。 しかし、新型コロナウイルス感染の流行は長期化するものと考えられ、また、新しい生活様式での経済活動で、生産性を含め、いろいろな影響が出てくると思われます。 そこで、現時点での予測で構わないので、県経済のダメージが各分野でどの程度になるのか、雇用環境の影響や県税収の落ち込みなどについて、また、このような状況を踏まえた県の取組の方向性について、併せて商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工観光労働部長(藤井一恵君) まず、県経済への影響についてですが、内閣府が発表した4月の全国の景気動向指数速報値では、前月比7.3ポイント減となり、リーマン・ショック直後を超える過去最大の下げ幅になりました。 また、先週発表された日銀の金融経済概観において、県内は2か月連続で熊本地震以来の「厳しい状態」という表現が使われ、今後も、当面、厳しい状態が続くとの見方が示されています。 業種別に見ますと、今回特に大きなダメージを受けている旅行・宿泊業については、県内主要宿泊施設における宿泊数が約9割減少し、それに伴う経済的損失額は、4か月間で514億円を超えるものと推計されます。 農林水産業では、花卉やスイカ、牛肉や馬肉等の畜産物、水産物などの需要が低迷し、4か月間で39億円を超える影響額が生じたと推計されます。 また、製造業では、特に県内にも関連企業が多い自動車産業で、主要8社の4月の国内生産台数が昨年同月比で約5割減少となるなど、大きな影響が顕在化してきており、今後も懸念されます。 雇用の面におきましても、全国の解雇、雇い止め件数がこの2週間で倍増し、県内の有効求人倍率は、4か月連続で減少しております。 また、県経済のダメージは税収へも影響します。現時点ではどの程度の減収になるのか不明ですが、リーマン・ショックでは、200億円を超える減収が5年間続きました。県経済への影響がリーマン・ショックを超えるようであれば、そのとき以上に税収が落ち込むことも懸念されるところです。 次に、県経済の回復に向けた県の取組の方向性についてです。 資金繰り対策などパッケージでの支援を継続するとともに、第2波にも備えながら、新しい生活様式に合わせた事業者のビジネス展開を支援するなど、収束を見据え、各フェーズに応じた取組を進めることが必要だと考えております。 企業におけるテレワークの導入や感染症に強い魅力ある商店街づくり、飲食業や宿泊業等の需要喚起、県産農林水産物の消費喚起など、現場の声を伺いながら、しっかりと進めてまいります。 また、特に先日スタートさせた県内での旅行、飲食、買物で地域経済を支える県民総ぐるみの応援運動についても、各団体とともに取組を強化していきたいと考えております。 今後とも、国の経済対策も最大限に活用しながら、各フェーズに応じ、必要な対策を迅速かつ積極的に展開してまいります。  〔藤川隆夫君登壇〕 ◆(藤川隆夫君) 今部長のほうから答弁ありましたけれども、まず、この新型コロナウイルス感染症に熊本県の経済のダメージがどの程度出るのかという、まずここを知らないと、恐らく手が打てないというふうに思ったので、今回こういう形で質問をさせていただきました。 やはりリーマン・ショック以上にどうもなりそうな話でありますし、国もそのような状況で見ているというふうなところがあります。当然、今後、今まで影響が出たところ以外にも恐らく様々な業種で影響が出てくると思いますし、当然、長期化すれば異なった課題も出てくるというふうに考えておりますので、現場の声を聞きながら、丁寧に対応していただきたいと思っております。 特に、この中に医療関係のダメージというのが書かれておりませんし、実は医療関係も大変な状況に今なっておりまして、場合によっては閉院するようなところも私は出てくるんじゃないのかなと。そうなれば、やはり医療崩壊にもつながってくるというふうに考えておりますので、そこも目配りをしていただきながら、経済的なダメージが医療機関に恐らくあると思いますけれども、それが軽減するような形での対応もぜひ取っていただければというふうに、よろしくお願いします。 それでは次に、メンタルヘルスケアについてお尋ねします。 4年2か月前の熊本地震において、トラウマや生活環境の急激な変化などにより、鬱、ひきこもり、不眠、アルコール依存症、認知症悪化など、心のケアが必要な被災者が多数出現し、県では、対応のために、地震から半年後に熊本こころのケアセンターを設立し、相談支援を開始しました。相談は現在も続いていて、ことし3月末での相談件数は3,307件となっています。 今回の新型コロナウイルス感染症は、長期化すると予測されており、ワクチンや薬がないこともあり、罹患に対する不安や経済状況悪化などによるストレス、鬱、依存症、自殺、DVなど、熊本地震と同様の状況が既に出現していて、長期化により時間とともに増加していくと考えられます。 現在、新型コロナウイルス感染症の心のケアの相談窓口は、熊本県精神保健福祉センター、これは市外が対象です。熊本市こころの健康センター、これは熊本市が対象、及び県下各地の保健所というふうになっています。 4月に入ってから電話相談件数が急速に増加していると聞いており、特に保健所業務は、PCR検査対応など多岐にわたり業務量が増大し、大変な状況となっていますし、熊本地震の被災者への対応も続いており、人員増は急務と思います。 5月に専決で対応されているものの、十分とは言えず、さらなる相談体制の強化が必要と考えますが、現在の相談状況及び今後の方針について、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) メンタルヘルスケアについてお答えします。 まず、現在の相談状況ですが、県の精神保健福祉センターに寄せられた心の健康相談の件数は、本年2月から3月の2か月で56件でしたが、感染者が急速に増加した4月には100件を超え、5月はやや減少しましたが、50件と依然として多い状況です。熊本市におきましても、増加傾向にあると聞いております。 相談内容も、感染が怖くて外出できない、マスクが買えずパニックになりそうだ、仕事が休みになり経済的に不安など、感染拡大に対する不安やストレスを訴えるものとなっています。 現在、県内では、新型コロナウイルス感染状況は落ち着きを見せていますが、感染が再び拡大した場合には、議員御指摘のように、不安やストレスによる心身の変調を訴える方の増加や症状の悪化が懸念されます。 そのため、依存症や自殺対策の拠点機関である精神保健福祉センターに、新たに専門の相談支援員を配置するとともに、来所など対面による相談が困難な場合等に対応したオンライン相談を導入し、相談支援体制の充実を図っております。 医療や福祉等の関係機関としっかり連携しながら、新型コロナウイルスの影響を受けている県民の皆様の心のケアにしっかり取り組んでまいります。 また、新型コロナウイルス感染症について正しく知ることが、不安やストレスの軽減にもつながるものと考えています。そのため、様々な媒体を通して、新しい生活様式の定着や感染拡大に備えた医療提供体制の整備、県民や事業者に対する各種支援策等について、引き続き積極的な情報提供に努めてまいります。  〔藤川隆夫君登壇〕 ◆(藤川隆夫君) 今メンタルヘルスケアについて答弁を頂きました。 現在、保健所、本当にPCR検査等の対応も含めて非常に多忙で、職員自体は疲弊しているというのが現状だろうというふうに思っております。やはり人員体制をさらに充実させることが重要ですし、この保健所のみならず、恐らく今後、子供に関する問題も出てくると思いますし、DVも出てくると思います。児相等を含めて、セーフティーネットの部分の施設の事業所の人員体制というのを、さらに今回見直しをし、よりよいものにやっぱりしていってもらうというのが大事だろうと思います。 また、感染者並びにその家族あるいはその方が勤めていた事業所に対してのこの新型コロナウイルスに関してのバッシング等がやっぱり出ております。これに関しても、やっぱり心のケアというのを、その事業所並びにその対象者に対してやっていくことも重要だというふうに考えておりますので、ぜひその部分も含めての対応をよろしくお願いしたいというふうに思っています。 それでは、教育についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、県内の学校は臨時休校となっていましたが、6月1日から再開しています。 約3か月に及ぶ休校期間中の学習支援は、先生方の御努力により、プリントや問題集等による課題、県教委や各学校作成の動画、テレビ講座などにより対応がなされ、学習状況は登校日やICTを活用して把握していくとされていますが、学習に対する生徒本人の自覚や家庭での学習環境、ネット環境などにより効果は様々で、学力格差が生じていると考えられます。 この3か月のブランクは、学習面に、生徒の心身成長に大きな影響を及ぼしていると思います。特に来春に受験を控えている生徒にとっては、これからの人生を左右してしまう可能性もあり、対応が必要です。夏休み、冬休みの短縮、土曜授業をするとか、学校行事の中止などで授業時間を確保していくとの話がありますが、授業方法についても、密を避けるため、分散登校などの対策も取られるとのことで、学習への影響が考えられます。 そこで、主に受験生に対して、不安解消に向けた学習やメンタルサポート、高校入試をどのような形で実施されるのかについて、県教委の考えをお尋ねします。 また、今後、第2波、第3波により再度臨時休校の事態になった際の対応について、今回の経験を踏まえ、どのように学びを保障していくのか、教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、受験生への学習面でのサポートについてですが、どのような状況であっても、持続的に子供たちの学びを保障していくことは、県教育委員会の果たすべき役割であると考えております。 特に、受験生及び保護者の不安を解消していくためには、これまでの学習の遅れを取り戻し、学習内容の定着が不十分な児童生徒への補習や個別指導等の学習支援を充実していく必要があります。 このため、県立高校では、補習等での授業内容の定着や動画等を活用し、受験に向けた学習支援に取り組んでいきます。さらに、生徒の進路志望に応じた添削指導や面談などの取組例を示すなど、生徒一人一人に応じた丁寧な指導ができるよう支援してまいります。 また、夏休み期間中に学習支援員を配置する市町村に対し、その経費を支援する予算を今定例会に提案しているところであります。 さらに、受験生へのメンタル面でのサポートについては、受験生の思いに寄り添った三者面談の実施など、個別にサポートしていくとともに、必要に応じ、スクールカウンセラーによるカウンセリング等も実施してまいります。 次に、高校入試については、今年度から、新型コロナウイルス感染症により受験できない生徒のため、後期一般選抜において、追検査を新たに設けます。 また、出題範囲については、受験生の不安解消に向け、中学校での学習の進捗状況等を踏まえ、8月末には発表する予定であります。 また、入学者選抜の実施に当たっては、感染防止対策の徹底を図っていくとともに、今後も、状況の変化に応じて柔軟に対応してまいります。 最後に、第2波等により再度臨時休業になった際の対応についてお答えをします。 まずは、分散登校などにより授業を行う登校日の設定や受験を控えた最終学年を優先的に登校させるなどの対応を進めてまいります。 家庭学習についても、教科書を中心とした学習課題を課し、登校日などでの学習状況を把握するとともに、これまでの好事例の紹介などにより、授業と家庭学習を効果的に組み合わせ、計画的な学習指導ができるよう支援してまいります。 さらに、今後は、ICTの活用を積極的に図ってまいります。国では、臨時休業時においても学びを保障できる環境の実現のため、義務教育課程での1人1台の端末について、今年度中に前倒しして整備ができる財政措置が講じられ、現在、県内全ての市町村で端末等の整備が進められているところであります。 県立高校では、将来的な1人1台端末の整備に向け、まずは3校に1校程度の端末整備を先行的に実施する予算を今定例会に提案しております。第2波等による再度の臨時休業時においては、当該端末を活用し、生徒の学びの保障につなげてまいります。 今後も、受験生はもとより、全ての子供たちの学習面やメンタル面について十分な支援ができるよう、市町村教育委員会と連携し、可能な限りの措置を講じてまいります。  〔藤川隆夫君登壇〕 ◆(藤川隆夫君) ただいま教育長のほうから答弁を頂きました。 受験に向けては、学習支援、メンタルサポート、当然やっていくと、また、保護者に関しても、きちっと対応していくというような話でありました。 特に入試に関して、やっぱり恐らく受験生、今不安でいっぱいだろうというふうに思っております。やっぱりこの不安を解消するというのが一番だし、受験に際しての不公平感、これをなくして受験ができるような体制をつくるというのがやっぱり大事なんだろうなというふうに思っております。県のほうでは、出題範囲については8月末に発表するというような話でありますので、少しは公平感を担保できるのかなというふうに考えております。 また、それ以降でも、学校が休校になった対応については、ICTを活用しながらやっていかれるという話でありますし、現在3校に1校の割合で端末整備の予算もついているわけでありまして、これはやっぱり全校に行き渡るようにやっていただきたいというふうに考えております。 ただ、このICTを活用するというのは、学習面においては極めて有用なツールだというふうに考えておりますけれども、やはり生徒というのは人間でありますから、人の成長という部分においては、やはりこれは、人が関わりを持たなきゃいけないというふうに思っております。やはり先生であり、仲間であり、保護者であり、周囲の大人であり、様々な方が生徒に関わりを持って生徒の成長を促していくというのも私は大事な側面だろうというふうに考えておりますので、こういう学習はICT化で構わないんですけれども、人間性の成長のためには、今言った形で、先生との関わりというのはやっぱりより強くしていかなきゃいけないというふうに考えておりますので、この部分も考えながらやっていただければというふうに思っております。 それでは次に、コロナ禍における災害時の避難対応についてお尋ねをいたします。 近年は、地震、台風、豪雨などの自然災害により、全国各地で死者も発生する甚大な被害が毎年頻発しています。昨日より熊本も梅雨に入りましたし、既に台風も発生しており、当然、今年も、どこかで自然災害が発生すると思われます。熊本で起こることも想定しておくべきです。 熊本は、熊本地震や豪雨災害の経験もあり、県、市町村では、地域防災計画に基づき毎年防災訓練を行っていますが、今年は、新型コロナウイルス感染症の流行時の避難所開設や運営に際し、感染症対策に万全を期すようにと内閣府等からの通知が出されていて、各市町村では対応の検討が始まっていると思います。 まず、現時点での各市町村の地域防災計画に新型コロナウイルス等の感染症対策が定められているのか、その進捗状況についてお尋ねをします。 次に、具体的な避難所運営等については、益城町で5月24日に訓練が実施され、他市町村でも実施が予定されており、多くの課題が出てくると考えられますので、早急に整理し、対応に反映させていく必要があります。 まずは、3密を避けるための対応をどうしていくのか、今までの体育館等の施設でいいのか、トイレ、洗面所等の共用部分への対応はどうするのか、夏の場合は熱中症対策も併せて求められますし、冬になればインフルエンザ流行時にどうするのか、換気が必要だが、台風や豪雨の際にはどうするのか、避難所でコロナウイルス感染症が疑われる避難者が発生したときどうするのかなど、課題山積みと考えます。 自然災害発生は待ってくれません。避難所における新型コロナウイルス感染症対策について、県としての対応を併せて健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、市町村の地域防災計画における感染症対策の規定状況についてお答えします。 現在、21市町村が、地域防災計画で、避難所における新型コロナウイルス等の感染症対策を定めており、今月中には36市町村となる予定です。残る9市町村についても、具体的な事例の提供や助言を行い、早期に定められるよう働きかけてまいります。 次に、避難所における新型コロナウイルス感染症対策に係る県の対応についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の現状を踏まえると、避難所を開設する場合には、感染症対策に万全を期す必要があり、県では、5月に対応指針を取りまとめ、各市町村に通知しました。 指針では、避難所における感染症防止対策として、避難者の健康状態を十分確認することやパーティション等を活用し、避難者間に十分なスペースを確保すること、手洗いやせきエチケットを徹底することなどを示しています。また、発熱、せき等の症状が出た方専用の個室を確保するとともに、保健所との連携体制を構築することとしています。 さらに、安全が確保されていることを前提に、自宅や親戚、友人宅への避難も選択肢の一つとして、適切な避難行動を取るよう住民への周知を求めており、これらのポイントをまとめたチェックリストも示しています。 これらを踏まえ、市町村では、レイアウトの詳細な検討やパーティション等の備蓄が進み、運営訓練の取組も始まっています。 梅雨期を迎え、一刻の猶予もありません。県としては、避難所の感染症対策が迅速に進むよう、緊迫感を持って市町村に働きかけてまいります。 ○議長(池田和貴君) 藤川隆夫君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔藤川隆夫君登壇〕 ◆(藤川隆夫君) ただいま災害時の避難対応について、部長のほうから答弁を頂きました。 地域防災計画、まだつくられていないところが9残っているという話でありますので、やっぱり全市町村が早急につくっていただいて、市民に対して、この新型コロナウイルス感染症を含めた対応をどうするのかというのを知らしめていくことが重要だというふうに考えておりますので、ぜひ速やかにやっていただきたいというふうに考えております。 現在、体育館等での訓練等を見ておりますと、やはり共用部分をどうするのかというのが恐らく最終的には問題になってくると思います。トイレであり、洗面所であり、これを使った後に一々消毒するのかどうかという話も出てくるでしょうし、やはりトイレ等をじゃあ中に持ち込むのかというと、これはこれでまた問題もあるでしょうし、様々な課題が恐らくこれから出てくるというふうに考えております。だから、これを全部クリアしていかなきゃいけない課題だろうというふうに考えております。 もう一つは、この3密というのが余りにも知れ渡って、周知されていることによって、豪雨災害があって、土砂災害が起こりそうな場合でも、いや、もう3密があるけん、私はあそこには行かぬという話があると、これは困った話なんですよね。やはり、その部分に関して、市民、県民にきちっと伝えておく必要があると思います。やはりどちらが危険かというのを知らしめておくということが、この災害時の対応につながってくるというふうに考えておりますので、ぜひこれをよろしくお願い申し上げたいというふうに考えております。 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。お世話になります。(拍手)
    ○議長(池田和貴君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時休憩    ――――――○――――――  午前11時10分開議 ○副議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 西聖一君。  〔西聖一君登壇〕(拍手) ◆(西聖一君) 熊本市第一選挙区・会派くまもと民主連合の西聖一でございます。本日は、20回目の登壇となりますが、質問の時間を頂き、誠にありがとうございます。 まずは、災害とも言うべき新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方にお悔やみを、そして重篤な症状で苦しまれた方々にお見舞いを申し上げます。 この間、知事を先頭に、対応に当たられている職員や様々な関係者の皆様、そして病院の第一線で御尽力された医療従事関係者の皆様には、心から敬意を表します。 約3か月にわたる国を挙げての一連の感染拡大防止の取組の下で、国の緊急事態宣言は解除をされましたが、これで安心するのではなく、今後も感染症の対策は進めていかなければなりませんし、100年に1度と言われるほど失速した経済の復興に向けて、様々な知恵を絞りながら進めていかなければならない時期を迎えています。県民からの声をしっかり受け止めて、コロナ禍を乗り越えるための県議会の役割をしっかりと果たしていかなければならないと思います。 このような中で、知事並びに県政運営を支えてきた小野副知事の突然の辞任は、大変残念に思います。 知事にとっても、これからの県政運営の中で、小野副知事の辞任は大きな痛手ではないかと察しますが、新型コロナウイルス感染症により逆境に陥った熊本県政のかじ取りを任された知事に対する県民の声は、待ったなしです。 その期待に応えるためにも、私なりに感じている喫緊の課題やこれからの課題等を知事並びに執行部にお尋ねをしたいと思いますので、答弁をよろしくお願いいたします。 まず、蒲島知事4期目の施策方針についてお尋ねいたします。 蒲島知事におかれましては、県政史上初めての4期連続当選を果たされました。新型コロナウイルス感染症対策に追われ、選挙活動も自粛される中において、40万を超える県民の支持を得たことは、これまでの実績、そしてこれからの県政運営に期待をされた結果として、改めて敬意を表します。 これまでの3期12年では、県民幸福量の最大化という概念を掲げ、種をまき、育て、花を咲かせるという県政運営、言い換えれば、ホップ、ステップ、ジャンプという段階を踏まえて、県政発展の礎を築かれてきました。 4期目は、さらに、蒲島県政のレガシーを創るという意気込みで、今後の県政運営をされるのだと思います。 4年前の3期目においては、就任直後に熊本地震という大災害に見舞われ、県民幸福量の最大化を目指す知事の思いを十分に生かすべき計画が、地震からの復旧、復興という課題に重きを置かなければなりませんでした。 4期目に当たっては、蒲島県政のレガシー実現に向けての思いが、御自身の中に相当描かれていたと思われますが、今期も、新型コロナウイルス感染症の拡大により、疾病対策、そして経済復興対策にまず取り組まなければならない状況になっています。 本来であれば、6月の議会において公表されるものだったのでしょうが、この状況ですから、いまだ方針が示されないことは十分理解の上で、ぜひとも、これから申し上げる点についてどのように政策に取り組むのか、お尋ねしたいと思います。 まず、熊本地震からの創造的復興についてです。 蒲島県政の3期目は、まさに地震からの復旧、復興の4年間でありました。その取組内容、結果については、改めて申し上げるまでもないことかと思いますが、本当に、この4年間でここまで復旧、復興ができたことは、すばらしいスピード感だと思います。 県関連土木工事が95.2%の完了、農業についても再開予定者はおおむね100%再開などの数字がそれらを表しています。さらには、本年度末までには、懸案の阿蘇への連絡道となる国道57号、JR豊肥本線の開通も実現することが公表され、関係者は、大いに期待を寄せているところです。同時に、阿蘇くまもと空港、八代外港、熊本駅等の施設整備も堅調に進み、インバウンド対策も創造的復興の下に進められています。 しかしながら、一方では、いまだに1,600人以上の方が仮設等の住宅に住み、生活再建に苦しんでいる方も数多くいます。 4期目においても、熊本地震からの創造的復興という考えが県政運営の基調であると思いますが、これまでのハード事業重点的な施策からは変わってくると思います。 今後の創造的復興とはどのように進められるのか、そしてその到達目標はどのようなものかをお尋ねしたいと思います。 次に、JR三里木─熊本空港間の鉄軌道の敷設についてです。 さきの知事選でも争点の一つとなったところですが、計画目標の妥当性、事業費について、県民からも疑問の声が上がりました。この事業については、先ほどの藤川議員からの質問で明らかになったところでございますが、阿蘇くまもと空港が民営化され、ハブ空港機能を強化して、インバウンドを進めていくのは理解できますが、今回の全世界的発生による新型コロナウイルス感染症により、グローバル経済の伸展やインバウンド政策の見直しが必要となっている中、本事業を早急に進める必要があるのでしょうか。 熊本市でも、市長が、新型コロナウイルス感染対策のために、市の新庁舎建設や市電延線事業について、当面中断とする発表がされていますが、本事業も、空港利用のインバウンド回復基調が安定するまで、現計画は一旦立ち止まって考え直すべきではないでしょうか。 次に、立野ダムの建設についてです。 既に事業も着工し、3年後の完成に向けて進められています。事業の是非については、いまだ住民の反対もあるところですし、ましてや、コロナ対策に国、県の財政出動を重点的にしなければならない中、立野ダムの工事は一時ストップすることも検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、水俣病問題についてです。 先月、5月1日に、公害の原点である水俣病の公式確認から64年を迎えました。本来であれば、水俣病犠牲者慰霊式がこの日に開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となりました。 一方で、この日の水俣病に関する報道で、患者団体主催の乙女塚慰霊祭が紹介されていましたが、参加されていた方々は、一様に水俣病は終わっていないと話されていたことが印象的でした。 水俣病問題には、多くの課題が積み残されています。平成21年の特別措置法成立により最終解決を図られたはずなのに、いまだに認定申請が続き、訴訟が続いています。 知事は、3期目において、1,200人の審査完了を目標に、認定審査を迅速に進められてきましたが、今なお、4月末現在で422人の方が認定審査をお待ちだと伺っています。 申請される方々も高齢化が進んでいます。新型コロナウイルス感染症の影響で、申請者との接触も控える状況にあると思いますが、多くの審査結果をお待ちの方に、一日でも早く審査結果をお伝えする必要があると思います。 また、胎児性、小児性患者やその御家族の高齢化が大きな問題となっている中、地域福祉の重要性がますます高まっていますが、新型コロナウイルス感染防止のため、社会参加が停滞している患者の方々もいらっしゃると聞いています。 このような状況を踏まえつつ、これからの4年間、認定審査や胎児性、小児性患者支援をはじめ、水俣病問題の解決に向け、どのように取り組まれるのでしょうか。 最後に、地球温暖化対策についてです。 知事は、2050年までにCO2排出実質ゼロ宣言を高らかに昨年の11月議会で宣言されました。宣言を受けて、県内の熊本連携中枢都市圏の18市町村が続き、その機運が醸成されていることは、大変評価しています。 今回の新型コロナウイルス感染拡大により、全世界が経済活動を停止したことで、CO2排出量が激減し、環境が圧倒的に改善した事例が数々報告されています。 これから世界的に経済復興を目指すことになりますが、環境改善の事例を踏まえて、今までより地球温暖化を防止し、環境に配慮した社会構造へのダイナミックな変革が求められていくと考えます。 このような中、本年度は、第4次の県環境基本指針並びに第6次の環境基本計画も改定される予定となっています。 世界の動向を見ながら、知事の宣言を実現するためにも、これから10年の方針等にしっかり盛り込むべきだと考えますが、2050年までにCO2排出実質ゼロ宣言にどのように取り組まれるのでしょうか。 以上について、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 蒲島県政の4期目の施策方針について、その取組の方向性をお答えします。 まず、熊本地震からの創造的復興についてです。 私は、地震で傷ついたふるさと熊本を再び元の姿へと復活させ、さらに発展させることが、与えられた最大の使命と思い定め、3期目の4年間、県民の皆様と歩みを進めてまいりました。その結果、確実に県土の復興は進んでいます。 特に住まいの再建については、最重要課題として全力で取り組み、仮設住宅に入居された被災者のうち、ピーク時の95%以上に当たる4万6,000人の方々が再建されました。いまだ仮設住宅で生活されている615世帯、1,632人の方々についても、自宅再建の方向性は定まっており、来年3月には、残り約200世帯まで再建が進むと見込んでおります。 また、産業の面では、グループ補助金を活用した企業の98.9%が事業を再建され、99.8%の被災農家が営農を再開されています。 さらに、阿蘇へのアクセスルートについても、国道57号やJR豊肥本線などがいよいよ全線開通します。 地震からの復旧の姿が目に見える形となり、県民の皆さんの安心感につながっていくものと期待しています。 創造的復興に向け、現在進行形の取組についても、着実な進展が見られます。 益城町の復興まちづくりでは、県道熊本高森線の4車線化のモデル地区が一部完成し、土地区画整理事業については、今月末に5か所の宅地を権利者の方々に引き渡しできることになりました。 阿蘇くまもと空港は、4月から空港運営の民間委託が全面的に開始され、国内線の暫定ターミナルビルの供用も開始されました。 このような創造的復興の取組については、9月議会でお示しする基本方針に位置づけ、しっかりと取り組んでまいります。取組を進める中においても、被災された方々の住まいの再建や暮らしの再建が一日も早く実現できるよう、引き続き、一人一人の状況に寄り添い、継続的な支援を行ってまいります。 次に、空港アクセス鉄道の整備については、先ほど藤川議員の質問に対して答弁しましたとおり、現在、インバウンドを中心とした航空旅客数が大幅に減少するなど、昨年度の調査の際に前提とした状況と新型コロナウイルス感染拡大後の現在の状況は大きく異なっています。 そのため、空港アクセス鉄道の事業化の判断については、一旦立ち止まり、さらに議論を深めるため、昨年度の調査結果の課題である費用便益分析等について、精度向上を図ってまいります。 また、今年度、新たに有識者や経済界などから成る検討委員会を設置します。そこで、新型コロナウイルスが交通・観光業界に与える影響やBRTも含めた他交通モードの比較についても、幅広く意見を伺いながら検討を進め、議会をはじめ県民の皆様から一層の御理解を得られるよう努めてまいります。 次に、立野ダム建設についてお答えします。 白川流域では、平成24年の熊本広域大水害など、これまでも激甚な災害が度々発生しています。 白川は、多くの資産が集中する熊本市中心部を流下し、想定氾濫区域内の人口は、約31万人に上ります。そのため、白川の治水安全度の向上は、県政の重要かつ喫緊の課題です。 また、ダム建設予定地及び下流の全ての市町村も、この洪水リスクの対策として、立野ダム建設事業の推進を要望しています。 これらのことから、県としても、流域市町村とともに、立野ダムの完成を国にお願いしています。 次に、水俣病問題についてお答えします。 新型コロナウイルスの影響で、今年の水俣病犠牲者慰霊式は延期となっていますが、5月1日は、私にとって水俣病問題への責任の重さを心に刻む特別な日であります。当日の朝、私は、水俣の慰霊碑と乙女塚を訪れ、犠牲となられた全ての方に哀悼の意をささげてまいりました。 今後4年間の取組ですが、公健法に基づく認定審査については、まず、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底します。その上で、寝たきりで移動が困難な方など、申請者の個別事情にこれまで以上に配慮しながら、平成25年の最高裁判決を最大限尊重し、引き続き丁寧に審査を進めてまいります。 また、胎児性、小児性患者の方々については、地域で安心して暮らしていただけることが大切です。御本人や御家族お一人一人のお気持ちを尊重しながら、日常生活をきめ細かに支援してまいります。 あわせて、第7次水俣・芦北地域振興計画を策定し、地域の再生と振興に精いっぱい取り組んでまいります。 水俣病は、私の政治の原点です。被害拡大を防げなかった責任を自覚し、被害に遭われた方々に寄り添い、一日も早い解決に向け、全力を尽くしてまいります。 最後に、地球温暖化対策についてお答えします。 2050年CO2排出実質ゼロの達成のためには、様々な分野で新たな対策が必要となります。 現在、新型コロナウイルスの影響で経済活動が縮小し、また、生活面ではテレワークなどの広がりもあり、CO2排出量は減少していると推計されています。ただ一方で、収束後は、反動で急増するとの懸念があります。 今後の取組については、新型コロナウイルス感染症への対応も踏まえ、環境負荷の軽減と経済回復を両立できる持続可能な施策や日常生活でCO2削減につながる行動を定着させる取組なども必要になると考えます。 このような新たな対策について、専門家や企業、県民から御意見やアイデアを頂き、令和3年度から10年間の第4次環境基本指針や、その具体的な取組となる5年間の第6次環境基本計画に盛り込みたいと思います。その上で、2050年のあるべき姿を見据え、まずは今後5年間の取組をしっかりと進めてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 創造的復興については、使命感を持ってやり遂げる知事の強い思いを確認いたしました。 残された事業、そして一日でも早い住まいの再建や暮らしの再建も実現していただきたいと思います。あわせて、9月には、コロナ禍で沈滞した県経済に新たな活力を与えていただくような方針を期待したいと思います。 立野ダムについては、答弁にありましたとおり、一日も早く進めるということで、まさに止められない大型公共事業だと思います。 6月5日に、立野ダムの事業費が243億円増え、1,160億円にまで膨らむことが報道されて、やはりという思いがあります。 知事は、昨年の9月の鎌田県議の質問に対して、国の総事業費の見直しの報告はなく、引き続き、コスト縮減に向けて十分配慮していただくよう国に要望してまいる旨の答弁をされています。 今回の国交省の事業費が膨らんだ件について、知事は、事業費縮減に向けての行動をされたのでしょうか。今後の検証が求められると考えます。 そういう点で、空港アクセス鉄道も大型の公共事業ですから、一旦着工すれば止められなくなります。既に事業費は380億円では足りないという話になっています。 さらに、先般JRの赤字路線の報道があり、路線の存続が懸念されています。沿線住民にとっては、空港アクセス鉄道の新設よりも、既存の路線存続のほうが施策の優先順位が高いと考えます。 知事は、検討委員会を設置し、一旦立ち止まるということでございますが、空港アクセス改善は鉄道敷設ありきではないということを強く申し上げ、また、大きな財政負担を伴いますので、しっかりとした判断を取っていただきたいということをお願いしたいと思います。 水俣病については、患者団体等から不知火海沿岸の健康調査を実施してほしいという要望が依然としてあります。 また、コロナ禍によるチッソの経営不振が報道され、患者救済のための経済的支援や地域経済振興に当たって、大変不安な要素が新たに出てきています。 知事には、これからも水俣病救済のために全力を尽くすと強い思いを答弁頂きましたが、健康調査の件や地域振興もしっかり念頭に置いて、さらなる対応をお願いしたいと思います。 2050年CO2排出実質ゼロ宣言の取組ですが、今回の新型コロナウイルス感染症は、これからの社会生活の変化を大きく変える契機になっていると思います。県の指針や計画等の策定に当たっては、ぜひとも、有識者だけの意見ではなく、これからの社会を担う、スウェーデンのグレタさんのような、若い県民の方の感覚やアイデアも積極的に取り入れて、実効性の高い県民運動につなげていただきたいと思います。 続いて、持続可能な家族農業の支援強化についてお尋ねいたします。 本県の農業振興方針の大きな柱は、他産業並みの所得を目指し、低コストの農業生産体制を構築し、高品質、高付加価値によるより高い販売価格の実現をするというものです。 そして、近年は、稼げる農業を掲げ、大規模農業、企業的農業の推進、海外競争力のある農畜産物の生産体制の構築が重要施策の一つとなっています。 これらの施策により、本県の農業は、他産業並みの所得、また、競争力を持った産業としての成長も見せています。 政府の成長戦略の中で、大資本を持った企業の参入や大規模な農業経営体の実現も見られますが、残念ながら、そのような経営体が産出する農業生産物の占める割合はごく一部で、国内農業は、2015年統計で、138万経営体のうち98%に当たる134万経営体の家族経営体により国内の農業生産が支えられています。本県も同様で、生産額のほとんどが家族経営農業によるものです。 このような中、国連では、食料安全保障と貧困・飢餓撲滅に大きな役割を果たしている家族農業をしっかり維持するために、2019年から2028年を家族農業の10年と定めて、家族農業がSDGsに貢献できる環境整備の責務を負って世界行動をすることが決定しています。 そのビジョンは、多様で健康的で持続可能な食と農のシステムが花開き、レジリエンスの高い農村と都市のコミュニティーで質の高い生活を送れて、貧困と飢餓から解放される世界を目指すとされています。 今回の新型コロナウイルス感染拡大防止のための経済活動の停止が、サプライチェーンのストップを引き起こし、マスクをはじめ食料などの物資不足を引き起こしましたが、改めて、安心して生活できるために、食料安全保障の観点から、自給率の向上、域内流通システムを見直す機会に直面しています。 そのためには、国連が唱える地域で活躍している家族農業に対する環境整備が重要だと考えます。 しかし、本県の家族農業を持続するためには、様々な現状と課題があります。これらについて、幾つか問題を取り上げ、その対応をお尋ねしたいと思います。 1点目は、補助事業の在り方です。 例えば、トマト、メロン等の施設園芸に取り組む農家は、台風等の気象災害に強い耐候性ハウスの導入に積極的です。 しかし、その建設単価は、10アール当たり1,000万から1,500万、30アール区画で建設すれば、ざっと3,000万から5,000万円近くかかります。家1軒分の投資です。そのため、補助金なしでは建てられないような代物です。 このような施設の導入については、国からおおむね2分の1補助率の補助事業が創設されていますが、一定の条件を満たしたハイリスク・ハイリターン的な農業を目指す農家が利用可能となっています。 このような補助事業に対して、農家からは、もっと普通の農業経営でもハウス施設や農業機械の導入に利用しやすい補助事業にしてほしいという要望をよく伺います。 農業を営むためには、様々な農業機械、施設、資材が必要ですが、購入費は年々上昇している一方、農産物の価格は据え置かれているため、年間生産額が上がっても、所得率は落ちており、農家経営の厳しさは、離農に直結していきます。 食料安保や地球環境保全の観点から、都市近郊、中山間地、条件不利地域等でそれぞれ頑張っている家族経営農家が、これ以上減少していくことは、大きな問題だと考えます。 そこで、家族農業の営農持続をしやすくするためには、高額な耐候性ハウスよりも、農業資材等の負担軽減に対する補助事業へとシフトする必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 2点目は、地球温暖化対策についての取組です。 温暖化に伴って、様々な病害虫が発生してきています。本県においても、近年、これまでに見られなかった生物、昆虫、魚類等が見受けられるようになってきました。 これらが農畜産物の生産にどれだけの影響をもたらすかは未定ですが、今からの備えとして、病害虫防除所等の体制を強化し、研究機関、普及センターが連携して、防除技術等の支援の技術向上を図らなければならないと考えます。 また、本県は、米の「くまさんの力」、ミカンでは「EC11」などの耐暑性のある品種を既に開発、育成しているところですが、温暖化が進めば、さらに耐暑性の品種が求められてくると考えます。 県農業研究センターは、県内農家のよりどころとして、今後の品種の育成、開発が大いに期待されています。 地球温暖化が進む中、本県において、耐暑性品種の開発とその栽培技術の確立に向けて、今後、農業研究センターにおいてどのように研究を進められるのでしょうか。 3点目は、外国人就労に頼らない農業経営の推進です。 本県でも、農業経営の人材不足を補うため、技能実習生や特定技能就労制度の活用に積極的に取り組んでいます。 しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、外国人実習生の処遇が大変難しいことがわかりました。国と国との間の移動が制限される中で、入国や帰国ができない実習生も出てきており、大変な問題となっています。 このことで、外国人を農業経営に取り入れている農家にとっても、今後の安定した外国からの人材確保ができるのかは、大きな課題となっています。 新型コロナウイルス感染症の終息とともに、外国人の実習制度も落ち着いてくるとは思いますが、この際、私は、スマート農業の特徴の一つであるITやロボットを取り入れることで、労働力不足を軽減し、外国人就労に頼らない家族農業を実現していくことが大きな施策の方向と捉えていますが、いかがでしょうか。 4点目は、地産地消による県産農畜産物の県内消費の推進についてです。 これまでも、県は、地産地消条例を策定し、農業だけではなく、他産業の産品も併せて、地産地消に取り組んできましたし、子供たちの食の関心を高めるために、学校給食支援事業にもしっかり取り組んでいただくなど、県民の熊本の農畜産物の地産地消に対する認識も高まってきたところです。 また、今回の新型コロナウイルス感染症により経済活動が萎縮し、消費の落ち込みから農畜産物の販売が滞りました。 本県は、県民に対する購買促進など、花卉、牛肉に対する減収支援に対する取組も早かったところですし、牛乳消費、スイカ、メロンの販売促進にもしっかり取り組んでいただいていることは、農畜産家にとって大変心強い対応だと思います。 農畜産物の安定消費を都市部で支えることで、都市と農村の共生関係が保たれ、持続的農業が継続していくことになります。 豊富で高品質、良食味な農畜産物の生産を支えているのが県内の家族農業である点を踏まえて、農畜産物の地産地消対策をさらに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 以上の点を申し上げ、県内の家族農業の持続支援にどのように対応していくのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 持続可能な家族農業の支援強化という観点で、4点御質問頂きました。 まず、1点目の補助事業の在り方についてですが、耐候性ハウスは、御指摘のとおり、建設費が高額ではあるものの、台風被害を回避でき、施設園芸農家の経営安定に寄与することから、導入者の経営力や技術力なども確認の上、引き続き導入を推進していく必要があると考えております。 また、安定的な農業生産力を維持していくためには、現場の実情に沿った、より効果が高い補助制度が必要です。 そこで、県では、毎年、国に提案を行い、制度改正につなげております。これまでに、パイプハウスの資材や機械のリース導入、ハウスの補強、保守管理など産地強化や経営安定に資するものは、補助対象となっております。加えて、新型コロナウイルス感染症への追加対策を盛り込んだ国の2次補正予算には、家族経営でも広く活用できる経営継続補助金も含まれております。 さらに、県独自に、自動かん水装置などの省力化機械や炭酸ガス発生装置など生産現場で広く活用される設備についても、きめ細かく支援対象とすることで、国の補助事業と併せ、家族農業者の負担軽減を図っています。 次に、2点目の地球温暖化対策の取組についてお答えします。 近年の病害虫の発生は、暖冬で早い時期から増加する傾向にあり、本年も、2月にはミカンハダニ、3月には果樹カメムシ類について、注意報を発出しております。 今後とも、農業者が的確に対応できるよう、病害虫防除所において、発生予察調査にしっかりと取り組んでまいります。 一方、耐暑性品種の開発については、米やかんきつ類で、品質や収量に優れた品種を創出するため、農業研究センターにおいて、議員から御紹介のありました品種のほか、「くまさんの輝き」などを開発しております。 さらに、高温下での栽培技術の確立にも取り組んでいます。デコポンでは、梅雨明け後から秋にかけ、高温乾燥が続くと果皮に傷みが発生することを解明し、かん水と施肥を組み合わせた技術を確立してきました。 また、施設園芸における夏場のハウス内温度を低下させる遮光資材の活用や赤外線カットフィルムなど、新たな被覆資材の効果検証にも取り組んでいます。 地球温暖化が進行すれば、今世紀末には、本県の平均気温が現在よりも約4度上昇するとの報告もあることから、農業研究センターにおいて、引き続き、高温耐性品種の開発や選抜、生産技術の確立に取り組んでまいります。 次に、3点目の外国人就労に頼らない経営についてですが、現在、県内では、3,300人を超える技能実習生と昨年度から始まった特定技能制度による66人が活躍されています。 県では、これらの外国人材が農業の現場で力を発揮できるよう、日本語学習機会の提供や地元での交流活動の推進などを支援しています。 今後とも、本県の農業生産力の維持向上のため、外国人材を含め、国内外の意欲ある人材の確保に積極的に取り組んでまいります。 一方で、労働力不足を補完するためには、IoTやロボットの活用など、スマート農業の推進が有効ですが、通常の機器に比べ導入経費が割高という課題があります。 そこで、県では、昨年度から、ドローンや搾乳ロボットなど9種類の機器について、労働時間や収支を調査し、費用対効果の分析を進めております。 今後、これらの分析結果を基に、農業者が導入に踏み出せるよう、経営シミュレーションシステムを構築していきます。 さらに、機器の能力を最大限活用するための操作や分析に係る知識も身につけられるよう、農業団体、農業大学校や県内農業関係高校と連携を図りながら、スマート農業に実際に触れる機会を増やしてまいります。 このように、導入に当たっての課題を一つ一つ解決し、スマート農業が労働力不足を補うための農業者の選択肢の一つとなるよう取り組んでまいります。 最後に、4点目の地産地消についてですが、県では、条例に基づき、学校給食での県産食材の利用促進や国際スポーツ大会でのPR活動など積極的に推進しております。その結果、学校給食における県産農林水産物の活用率は、平成30年度時点で49%と、全国平均の26%を大きく上回り、県内の直売所や飲食店等から成る地産地消協力店は817店舗を数えるなど、地産地消の取組は、着実に広がっております。 このような中、新型コロナウイルス感染症による外出自粛などの影響で、地産地消協力店の一部でも売上げが大幅に減少し、生産者の収入減も生じております。 そこで、県では、新たに、インターネットショッピングを活用した県産品の販売機会の創出に加え、新型コロナウイルスの終息期を見据え、観光分野と連携した地産地消協力店での消費促進フェアの開催など、取組を強化しております。 人口減少が進む中で、本県の農業生産力を維持向上させていくためには、規模拡大による効率化や競争力強化は重要です。一方で、本県の販売農家の4割以上は中山間地域にあるなど、生産条件の違いがあり、全ての農家が大規模経営を実現できるわけではありません。 そのため、今後とも、それぞれの生産現場の実情を踏まえ、家族農業も含めたバランスの取れた支援を進めることにより、本県農業の持続的な発展につなげてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 少し幅広く質問させていただきましたが、竹内農林水産部長から丁寧で具体的な答弁を頂き、これからの県農政運営に当たっての並々ならぬ意欲も感じ、大変心強く思います。 一方で、近年、政府は、農林水産業を成長分野として位置づけ、アグリビジネスとして、市場に資本家の投資を呼び込もうとしています。種子法廃止や種苗法の改正などは、まさにグローバル企業の農業参入をしやすくする一連の取組だと私は捉えています。 熊本の認定農業者を中心とする家族農業は、本当に優秀な経営を実践していると思いますが、大資本を背景に企業等が農業に参入し、競争下に置かれると、経営的には太刀打ちできません。 アグリカルチャーである農業がアグリビジネスとなって誰が得をするのか、また、国民や県民の食の安全、安心の確保の点から大変疑問です。 私は、家族農業の持続的経営をしっかり支援していくことが、本県の基幹産業である農業が多様でレジリエンスの高い産業となり、地域振興につながると考えていますので、答弁にありましたように、今後とも、力強い取組をお願いしたいと思います。 続きまして、オンライン授業などの教育情報化の取組についてお尋ねをいたします。 新型コロナウイルス感染拡大防止のために、全国的に学校が一斉休校となりました。本県でも、2月28日付の通知後、国の緊急事態宣言の延長もあり、5月31日までの休校となりました。 このことにより、約3か月にわたり授業ができなかったことで、受験を控えた生徒の不安や、中体連や高校総体の中止等により、大会に臨むはずであった生徒たちの無念な思いが心配です。 また、小中高校に入学した新1年生の教育も不安視されている中、政府や文科省は、この対策として、9月入学制の導入検討など、学校教育制度改革まで議論が及んでいます。 感染収束とともに教育の再開が始まっている中、子供たちが順調に学校教育をスタートできるのか、注意深く見守っていかなければならないと思います。 さて、今後の教育の進め方に様々な課題が出てきましたが、その中の一つに、タブレット端末を利用したオンライン授業があります。 新型コロナウイルス感染防止対策のために、年度末に一斉休校を実施しましたが、当初の短期間での収束のもくろみは外れました。 そこで、4月から、学校に集まることなく授業を実施するため、タブレット端末を活用したオンライン授業が注目を浴びました。 先駆的に取り組んでいた学校では、スムーズに取り入れることもできたようですが、そうでなかった学校や端末がない、使えない地域の学校現場は、思うに任せない状況にあったと考えます。 このオンライン授業は、教育の手法も確立していませんし、その教育効果がどのように現れてくるのかも未知数だと思います。 ただ、世界がソサエティー5.0の社会実現を目指している中で、日本の情報機器を使った教育が各国に比べて遅れていると私は思いますので、今回の取組を契機に、大きく進展していくべきだと考えます。 文科省では、今後、全ての児童生徒にタブレット等の端末を配給して教育を進めるという方針も伺っていますが、喉元過ぎれば熱さを忘れるという言葉もあるように、学校教育の再開後にタブレット機器が充足されても、教育の情報化は頓挫をしてしまう可能性は十分にあると考えます。 県の教育委員会として、オンライン授業などの教育の情報化の取組を今後どのように対応していくのでしょうか。教育長にお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、今回の新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業中の児童生徒の学びについては、4月に作成した学習支援に関する基本方針に基づき、教科書等に沿ったプリントや問題集等による家庭学習を基本に取り組みました。加えて、約8割の県立高校では、県立教育センターやスーパーティーチャーのほか、各学校等が作成した授業動画の活用を行いました。また、テレビ会議システムを活用して、オンライン授業に取り組んだ県立高校も、約3割ありました。 このようなオンライン授業については、県教育委員会としましても、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波や大規模災害時において、有効な手段であると考えております。 さらには、小規模校における教育環境の格差解消が可能となるなど、取組をより拡充していく必要があると考えております。 その一方で、今後の課題としては、端末や通信環境が整っていない家庭に対しては、多くの生徒が所有しているスマートフォン等を最大限活用したり、あるいは動画を録画したDVDの配付や学校端末の使用により個別に対応してまいりました。また、臨時休業当初は、多くの教科で生徒の実態に応じた授業動画の作成に時間と労力を要したことなどがあると考えております。 このため、ハード面の整備としては、県立高校については、3校に1校程度の端末整備を先行的に実施するための予算を今定例会に提案しております。また、ソフト面では、県立教育センターが中心となって、教員向けの研修を充実するとともに、各学校のホームページ上での動画配信や確認テストの送受信等が実施できるような技術的な支援を行っていきます。さらには、今回の様々な経験を生かして、各学校において実施された好事例の周知やそのノウハウの提供を行うなどして、教員のより一層の指導力向上に取り組んでまいります。 県教育委員会としましては、児童生徒一人一人の習熟度に応じた最適で効果的な学びを実現するため、学校教育の情報化を着実に推進してまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 今回の質問に当たり、学校現場の視察をさせてもらう中で、様々に苦労されている点を知らされました。 例えば、Zoomアプリが今回注目されていますが、その使用マニュアル的な解説書が県内の本屋では1種類で、わずかな部数しかないということで、まさに各学校、各教員は、手探り状態での取組であるということです。 先生方も、マニュアルもなく、試行錯誤の中で取り組まれていますが、今、教育長の答弁にもありましたとおり、子供たちの教育に格差が出ないよう、県教育委員会が市町村教育委員会と連携を取り、足並みをそろえていただくようお願いをしたいと思います。 続きまして、保健所の業務継続のための体制整備についてお尋ねいたします。 今回の新型コロナウイルス感染症対策に対して、知事を先頭に、保健所、保健環境科学研究所、病院等を所管する健康福祉部におかれましては、対応に忙殺される日々が続く中、大変な奮闘をされていることに敬意を表します。そして、常に感染の不安を抱きながら対応頂いている医療現場の皆様に感謝を申し上げたいと思います。 さて、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受けて、改めて感染症に対する実態を調べてみました。 感染症全般については、国内で1999年に感染症予防法も制定され、抑制されているのかと思いました。しかし、実態は、感染症による死亡者数は、1996年には1万7,742人だったものが、2018年には2万4,127人に増加しています。 このような中にあって、感染症の対応に当たる保健所や病院の施設機能が縮小されていることに驚きました。 保健所は、1991年には全国で852設置されていたものが、2019年にはほぼ半分の472か所になっており、しかも、名称が保健所から健康福祉センターなどとなり、福祉行政と併用となってきているところも多く、医師、検査技師等による専門的な検査業務体制が縮小しています。 同様に、感染症指定医療機関も、近年の医療改革の中で減らされており、併せて関係の医療用ベッド、医療関係従事者も削減されています。 今回の新型コロナウイルス感染症により医療現場の崩壊が懸念されていますが、原因はこういうところにもあったのではと思います。 現在、新型コロナウイルス感染症は終息の傾向が見えますが、第2波、第3波もあり得ると言われていることや今後新たな感染症も出現することを想定すれば、問題点を検証し、対策を立てていくことが重要です。 様々な論点があると思いますが、私は、保健所の業務継続のための体制整備についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症対策の最前線で対応に当たっている保健所は、各保健所とも、帰国者・接触者相談センターとして、土日を含む毎日、24時間態勢で、県民からの相談に当たっておられます。 また、感染者が確認された管轄の保健所の職員は、身辺で感染者が発生したことに不安を感じた県民からの鳴りやまない電話への対応、検体の搬入、濃厚接触者等の感染経路の追跡業務などに不眠不休の対応を行い、先の見えない業務の多忙化と自身も感染するかもしれないという不安の中で、大変な負担があったと伺っています。 厳しい職場環境の中でも、職員の高い士気の下、高い対応レベルが維持されていますが、これまで限られた人数で対応し、疲労も蓄積しているであろう保健所の職員が、今後も新型コロナウイルス対応業務をきちんと継続していくためには、保健所体制の強化が必要になってくるのではないでしょうか。 第2波や長期化が予想される中で、保健所の業務継続のための体制整備をどのように考えているのか、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 県民の健康を守るため、地域保健の第一線で活動する保健所は、新型コロナウイルス対策における要でもあり、その体制整備は、第2波への備えとしても不可欠であると考えております。 このため、まずは、それぞれの広域本部、地域振興局内で、保健所に応援職員を配置するとともに、6月1日からは、保健師、看護師の資格を持つ方などを会計年度任用職員として、保健所ごとに最大3人任用することとし、必要な増員を図っています。 また、感染事例発生に伴う保健所の一時的な業務増加に対応するため、これまで延べ34人の保健師を本庁から派遣しており、今後も、この体制は継続します。 さらに、各保健所で24時間対応している相談電話については、他県で実績のある民間事業者へ業務を委託し、5月21日からは、専用のコールセンターで、新型コロナウイルス感染症に関する一般的な相談に対応しています。これにより、保健所では、帰国者・接触者外来への受診調整など専門的な対応に集中することができるようになりました。 保健所は、最前線で住民や患者の対応に当たるとともに、医療機関における患者受入れ体制の構築など地域医療を支える役割を担う大変重要な機関です。 引き続き、保健所の体制強化を図り、新型コロナウイルス感染症対応の長期化にも耐え得る万全の体制を整えてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 部長の答弁にありましたとおり、増員体制の堅持や業務の負担軽減に取り組み、長期化に耐え得る組織体制になるということで、少し安心をいたしました。 なお、今議会で、特殊勤務手当の特例に関する条例の一部改正で、新型コロナウイルス感染の軽症者を受け入れる宿泊施設等で行う作業に従事した職員には、日額3,000円の手当が支給されるようになりますが、検体の搬出や濃厚接触者との現場での聞き取りなどの感染の危険性がある業務に従事する職員については、手当の対象となっていません。 現在、これらの業務従事者も手当の対象となるよう検討中と伺っていますので、この点もよろしくお願いしたいと思います。 ここで、新型コロナウイルス感染症対策後の医療機関の支援について要望をいたしますが、時間も押し迫ってまいりました。少し割愛をさせていただく中で、非常に病院経営が困っていることは、先ほど藤川議員からの質問でもあったとおりでございます。このような中に、日本医師会も、5月18日には、政府に対して、6項目にわたる医療機関への支援の要望が上がっているところです。 新型コロナウイルス感染症終息後は、経済復興に力を注がなければならないことは、衆目の一致でありますけれども、やはり安心、安定した医療提供体制があってこそ、復興に向けて前進できると思います。 県においては、新型コロナウイルス感染症対策で最前線に立ち、風評被害や経営悪化に直面している医療現場の状況を国に対してしっかり訴えながら、医療機関に対して、県のさらなる積極的な支援を行っていただくよう要望をしたいと思います。 最後に、八代児童相談所一時保護所の設置についてお尋ねをいたします。 本県の児童虐待相談件数が著しく増加している中、早急に児童相談所の体制を充実するよう、私は質問を重ねてきました。 その結果、昨年度の増員配置に加え、本年度も、中央児童相談所で6名、八代児童相談所で5名の増員配置並びに体制の組織強化があったこと、また、八代児童相談所は、執務室の改修も行い、児童虐待防止のための環境整備については、積極的な対応を頂き、大変ありがたく思います。 先日、八代児童相談所を視察させてもらいましたが、以前の執務室と比べて面積も広くなり、相談者にとって好印象を与えると思いましたし、心なしか業務に従事する職員の活力も高まってきているように感じました。 しかしながら、懸案の一時保護所がいまだ設置されていません。 八代児童相談所のエリアは県南地域ですが、具体的な事例箇所は述べることを控えさせてもらいますが、先日も、夜中に、八代市からかなり距離のある市町村で、一時保護をしなければならない事例が発生しています。 さらに、5月27日には、八代市で、4歳の娘を虐待し、けがをさせたとして、父親が逮捕されるという事件が大きく報道されました。このケースも、緊急に一時保護を行う必要があったと伺っています。 児童の保護を行う場合、現在は、熊本市にある中央児童相談所の保護所で一時保護をすることになりますが、担当職員や保護された児童にとって、移動にかかる距離や時間を考えると、八代に一時保護所があることが望ましいと考えます。 また、新型コロナウイルス感染防止対策で外出の自粛が要請されましたが、このことが原因で、これから家庭内暴力等の児童虐待が増えてくるということを、既に専門家が警鐘を鳴らしています。 さきの11月議会において、地元の磯田県議から一時保護所の設置が要望され、健康福祉部長から検討中であると答弁が出ているところですが、国の財政措置も追い風が吹いている中、早急に設置していただきたいと考えています。 現在の進捗状況はどのようになっているのか、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 児童相談所は、児童虐待等から子供たちを守る最後のとりでとして、一時保護体制を常に確保し、必要があれば、ちゅうちょなく一時保護を行っていく必要があります。 本県では、議員御指摘のとおり、八代児童相談所に一時保護所が設置されておらず、中央児童相談所に併設された一時保護所までの移送に時間を要するとともに、児童と担当児童福祉司等との面接が頻繁に行えないといったことが課題になっています。 このため、本年3月に策定した熊本県社会的養育推進計画において、八代児童相談所管内における一時保護専用施設について、可能な限り早期の設置を目指すとしたところであり、そのために必要な補正予算を今定例会に提案しているところです。 具体的には、八代児童相談所管内の児童養護施設等に一時保護専用施設を設置することにより、一時保護機能の強化と職員の負担軽減を図ってまいります。 また、今回の一時保護所は、地域の学校などに通学できる、いわゆる開放型の施設を予定しております。 子供の権利が守られ、かつ安全、安心な環境で適切なケアが提供できるよう、引き続き、一時保護体制の充実に向け、取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 児童相談所関連では、10年間にわたり5回の質問を重ねてきました。この間、配置職員も20名以上増え、八代児相の一時保護所についても、この議会で予算承認後、開設される予定と伺い、大きな前進だと考えます。 児童虐待がなくなり、一時保護所が必要のない社会になっていくことが最も肝要だと思いますが、先日の報道でも、県の虐待相談件数は、3年連続で過去最高になっているとありました。 他県では、近年の虐待件数増加から、児童相談所や一時保護所を県有施設として新設している動きもあります。 今後も、虐待件数の推移を見ながら、県として、現状に対応した適切な運営を実施していただくよう、重ねてお願いしたいと思います。 以上をもちまして、本日予定した質問は終わります。 冒頭に述べましたように、今回で20回目の質問となりましたが、これまでも6月議会の質問が多いなと感じていましたので、振り返ってみますと、2011年は東日本大震災、2014年は高病原性鳥インフルエンザ、2016年は熊本大地震、そして今年は新型コロナウイルス感染症と、これまでに経験のない災害が発生した直後の議会で質問をするタイミングとなっており、必然的に危機管理体制を中心とした質問になっていることに改めて気づきました。 災害直後で、執行部も対応に追われる中での答弁となり、大変だったと思いますが、議論した内容が次の災害時に生かされている項目も、何点かあります。 今回の質問の論議した内容も、次なる災害時に生かされ、県民の安全、安心な暮らしを実現することにつながっていくことを祈念いたしまして、本日の質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明13日及び14日は、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る15日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後0時9分散会...