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02月12日-03号

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  1. 熊本県議会 2020-02-12
    02月12日-03号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和2年 2月 定例会               第 3 号              (2月12日)  令和2年   熊本県議会2月定例会会議録     第3号令和2年2月12日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第3号  令和2年2月12日(水曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(49人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            磯 田   淳 君     部    長     農林水産部長 福 島 誠 治 君     土木部長   宮 部 静 夫 君     国際スポーツ            寺 野 愼 吾 君     大会推進部長     会計管理者  瀬 戸 浩 一 君     企業局長   岡 田   浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  小 山   巌 君     人事委員会            本 田 充 郎 君     事務局長     監査委員   濱 田 義 之 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 井 淳 一     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     議事課長補佐 下 﨑 浩 一    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(井手順雄君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(井手順雄君) 日程に従いまして、日程第1、一昨日に引き続き一般質問を行います。 濱田大造君。  〔濱田大造君登壇〕(拍手) ◆(濱田大造君) 皆さん、おはようございます。立憲民主党・熊本市第一選挙区選出・濱田大造でございます。本日は、今期2回目の質問となります。一生懸命努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。 早いものでして、蒲島知事が知事に就任されて満12年がたとうとしています。私、1期目のとき、12年前を思い出しますと、この議場でいろんな印象深いことがあったんですが、知事が就任されて半年後、9月の定例県議会川辺川ダムの決断をされました。ずっと箝口令がしかれていまして、一体どうなるんだろうと固唾をのんでこの議場で12年前見守っていましたら、建設反対と、建設中止を表明されまして、本当に大きな決断だったんだと思います。2,000億円を超える大型公共事業がこの国でとまったのは、その前にも後にも川辺川ダムだけということでして、それぐらい歴史的なことだったんだと思います。ですが、12年たってみまして、ダムにかわる代替案がまだ確定してないという現実もありまして、政治というのはある面で非常に難しいなというのを思いながら、私も議員の一人として携わっております。 きょうも、県政課題5つ取り上げました。一生懸命質問してまいりますので、執行部の皆様、よろしくお願い申し上げます。 では、最初の質問に参ります。 プログラミング教育への県の対応について質問いたします。 科学技術、その中でもIT関連技術及びIT産業は、私たちの想像をはるかに超える速さで発展を続けています。そして、あらゆる産業、分野が、IT化、そしてAI化の流れの中にあると言われています。 よって、これからの時代を生き抜いていくためには、どんな職業につくにしても、パソコンを自由自在に扱える能力はもちろんのこと、IT関連の技術、つまりコンピューターがどのような仕組み、プログラミングを経て制御されているのかを理解する能力が今以上に求められるようになってくると考えられています。 そこで、政府は、新しい時代を見据えた教育改革の一環として、プログラミング教育を掲げました。文部科学省の新学習指導要領では、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力と位置づけ、2020年度より順次小学校でプログラミング教育を必修化とするとともに、中学校や高等学校においては、プログラミング教育をより充実させることになっています。 新学習指導要領によれば、2020年度から小学生が、そして2021年度から中学生でプログラミング教育が学年を問わず全面実施されます。高校は、年次進行で、2022年度の高校1年生から新たな教科書で学習をする予定となっています。これまでも工業高校や商業高校ではプログラミング教育は行われてきましたが、新学習指導要領では、普通高校の生徒も情報Ⅰという科目の中で学習することになります。 今回の質問で調べてみてわかったことですが、プログラミングという科目が新設されるわけではないということです。小学校の場合、算数や国語や社会、理科、生活学習や音楽といった従来の教科学習の中にプログラミングが入ってくることになります。高校では、全ての生徒が必ず履修する科目である情報Ⅰの中でプログラミングを扱うことになります。つまり、学校教育の中で扱う題材にプログラミングが入ってくるという捉え方が実態に近いと言えます。 では、今回のプログラミング教育の必修化で、子供たちは一体何を学ぶのでしょうか。この問いの答えを考えるキーワードは、プログラミング的思考です。プログラミング的思考とは、新学習指導要領と同時に公示された学習指導要領解説で、次のように定義されています。「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」となっています。 プログラミングを通してプログラミング的思考を育むことが文部科学省の意図するところでしょう。決してプログラミングのスキルを身につけることが目的ではないのです。特にコンピューター関連の技術は、日進月歩で進化しており、学校でスキルを学んでも、社会に出るころには時代おくれとなってしまうものが多くあります。しかし、その根底にある考え方や思考のパターン、基礎技術などは、時代を超えて必要とされるものであり、学校教育ではそのようなものを身につけてほしい、そのことが将来のIT人材育成に寄与するのみならず、現代社会を生き抜くために必要な力を身につけることになるだろうという思いが見えてきます。 繰り返しますが、この4月から、小学校でプログラミング教育が本格的に始まります。算数や理科といった教科学習の中にプログラミングが入ってくるわけです。そして、そのプログラミング学習を効率的に行うためには、基本的にパソコンが必要になってくることがわかります。 現在、政府は、2023年度までに全ての小学生に1人1台のパソコンを整備する方針を立てています。 では、本県における小学生のパソコンの設置状況はどうなっているかといいますと、2019年3月31日時点で、本県の小学生数は9万7,303人いまして、教育用パソコンの設置台数は1万7,160台でした。つまり、5.7人に対してパソコン1台の設置でした。全国平均は6.1人につき1台でしたので、全国平均よりは上回っていました。 それでは、質問に入ります。 まず、この4月から、小学校でプログラミング教育が始まりますが、県内45市町村で教育用パソコンの設置状況が違ってきています。100%設置の自治体がある一方で、そうでない自治体もあります。政府は、2023年度までに全ての小学生に1人1台のパソコン整備を表明していますが、それまでの間、県はどのように対応していくのか、お知らせください。 また、プログラミング教育は、新しい時代を見据えた画期的な教育と言えますが、画期的な改革には、それなりの困難や難しさが伴います。都道府県によっては、その対応に開きが出ているという指摘もあります。本県の対応はどうなっているのか、また、現場の小学校の先生の間で、プログラミング的思考を教えるに当たって、混乱などの問題が起きていないのか、質問します。 最後に、2022年度からは、県立高校の普通科でもプログラミング教育が始まります。全ての生徒が必ず履修する科目である情報Ⅰでは、情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザインコンピュータープログラミング情報通信ネットワークとデータの活用といった内容が必須となりますが、その情報科目を教える教員にはどういった人員を充てるのでしょうか、新卒の教員を採用するのか、商業系や工業系の教員を充てるのか、どのような方針なのか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) プログラミング教育への県の対応に対しまして3点御質問がありましたので、お答えをいたします。 まず、1点目の小学生1人1台のパソコンが整備されるまでの間の対応についてであります。 今回の小学校におけるプログラミング教育の導入は、プログラミングの言語や技能の習得が狙いではありません。プログラミングの体験による論理的な思考力の習得やコンピューター等の上手な活用態度を育むことを目的としております。 そのため、授業では、パソコンを使う学習に加えて、子供たちがパズルやカードを使ってプログラミングの仕組みについての学習等をバランスよく織りまぜながら、グループでの意見発表などを行うこととしております。 県教育委員会では、パソコンの整備状況に応じ、こうした子供たちの学習効果を高める指導方法について、プログラミング教育の担当教員に対する研修会を通じて、学校現場に浸透を図っているところであります。 次に、2点目の小学校におけるプログラミング教育の導入に当たっての学校現場の状況についてお答えをいたします。 平成25年度から、高森町や山江村などの小学校をモデル校に指定し、プログラミング教育を含むICTを活用した授業方法の研究を行ってきました。 その成果を踏まえ、平成29年度からは、担当教員を対象とした研修を計画的に実施しております。 また、市町村教育委員会からの要請等に応じて、県から指導主事等を小学校に派遣して、個別に研修を実施するなど、これまでに延べ1,400人が受講しております。 さらに、モデル校での先進的な授業の様子を研修動画としてホームページに掲載するなど、教員がいつでもインターネット上で活用できる環境も整備しております。 これらの取り組みにより、この4月からのプログラミング教育の円滑な実施に向けて対応しているところであります。 最後に、3点目の高等学校普通科において科目、情報Ⅰを担当する教員についてお答えをします。 情報に関する授業は、平成15年度から既に始まっており、現在は、全ての生徒が社会と情報または情報の科学のうち1科目を選択し、必ず履修することとなっております。 令和4年度から導入されます新学習指導要領における科目、情報Ⅰでは、現在学んでいる情報機器の活用や情報モラルの学習などに加え、プログラミングの内容がより充実されることとなります。 現在、情報の授業は、原則として情報の免許を取得している教員が担当しております。この免許の取得の要件には、プログラミングの内容も含まれております。 新しい情報Ⅰでも、引き続き、情報の免許を有する教員が中心となって担当していくこととなります。 また、来年度からは、プログラミング教育の教材等の開発、改善を目的とした研修を充実するなど、情報Ⅰの授業実施に向けて、計画的に準備を進めてまいります。 さらに、今後、情報の免許を有する教員採用のあり方についても、急速に進む学校教育の情報化を踏まえ、検討してまいります。 県教育委員会としては、引き続き、プログラミング教育の充実に向けて、市町村立学校における1人1台のパソコン導入を促進するとともに、担当する教員の指導力向上に取り組んでまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 今回の質問では取り上げませんでしたが、ことしの4月から、小学校で英語が正式な科目となります。新学習指導要領では、3、4年生が外国語活動、5、6年生の外国語科が新たに始まります。3年生から6年生の授業時間数は、年間35時間、週1こまふえることになっています。同時にプログラミング教育も始まりますので、現場の先生たちの負担はかなりのものになっているのではないかと指摘する声もあります。英語の授業とプログラミング教育が同時に始まるわけですから、何らかのひずみや問題が発生してもおかしくないわけです。ぜひ、教育委員会には、現場の声に寄り添いながら、教育行政を推し進めていただくことを期待いたします。 次の質問に参ります。 県立電子図書館の創設について質問いたします。 昨年11月から、熊本市立図書館では、電子書籍貸出サービスを開始しました。熊本市立図書館ホームページにアクセスすれば、365日24時間、いつでもどこでも電子図書を利用できる時代になったのです。 熊本市立図書館ホームページによれば、いつでもどこでも、お手持ちのパソコンタブレットスマートフォンから利用でき、日中の来館が難しいビジネスパーソンや子育て、介護をされている方、身体的に来館困難な方、最寄りの図書館が遠い方も、手軽に御利用いただけますとありました。 また、電子図書には、文字の拡大、文字色の反転、音声読み上げなどの機能があり、高齢者や障害者の方も使いやすいように工夫されており、人気小説や実用本のほか、子供向けの絵本や図鑑なども利用でき、さらには行政資料の電子サービスも行っており、熊本市の計画書や実績報告書を初め、熊本地震の記録など貴重な行政資料をデジタル化して提供していました。 利用案内としては、以下のことが書かれていました。利用できる方は、熊本市に居住または通勤通学されている方で、市立図書館に利用登録されている方、利用方法は、インターネットを通じて電子図書館にログインすると、お好きな電子図書が24時間365日借りられ、貸出点数は3点まで、貸出期間は2週間以内で、貸出期間満了後は自動的に返却され、予約申し込みがない資料に限り、1回のみ2週間の延長が可能となっていました。 電子出版制作流通協議会ホームページで公表している情報によると、県内45市町村のうち、現在電子図書サービスを行っているのは、熊本市のほかには、八代市の八代市立図書館及び菊池市の菊池市立図書館でした。2020年度から、高森町がタブレット図書館を開始することになっています。ほかの市町村でも、図書のデジタル化、電子化の流れ、ニーズが今後も高まっていくだろうことが予見できます。 では、熊本県にも県立図書館があるわけですが、今回の質問をするに当たって、関係部署にヒアリングを行いましたが、今のところ、県立図書館電子書籍貸出サービス導入の計画はないそうです。 基本的に、市町村の図書館は、そこに住む住民しか利用できない仕組みにあります。熊本市の電子図書を水俣在住の水俣市民が利用することは基本的にはできないわけです。しかし、県立図書館電子図書サービスが始まるならば、県民なら誰でも利用可能になることが理解できます。水俣に住んでいようが、阿蘇市に住んでいようが、荒尾市に住んでいようが、県立図書館電子図書を利用することができるわけです。そういう仕組みをつくっていくべき時期なんだと考えています。 さきの質問でも述べましたとおり、政府は、2023年度までに、全国の全ての小学生に教育用のパソコン、恐らくタブレット式パソコンを配付する計画を立てています。少なくともそれまでに県立図書館電子図書サービスを開始し、優良な電子図書を全ての県民に提供できる環境整備を実施すべきだと考えています。 ちなみに、本県には、既存の図書館が54あります。図書館の数としては、全国の都道府県中23位でした。人口100万に対しての割合で考えるなら、22位でした。箱物の図書館を建設するなら、建設費用だけで数億円はかかります。しかし、電子図書館なら、数千万円で設立が可能と言えます。 県は、県民に対し、県内どこに住んでいても優良なサービスを提供するミッションがあります。また、電子図書には、地域間格差をなくし、過疎地域の可能性を高める効果が大いに期待できると考えています。 では、質問に入ります。 昨年の10月1日の時点で、電子図書サービスは、全国で89の自治体が行っていました。都道府県では、東京都、秋田県、山梨県、高知県、徳島県、岐阜県が既に導入済みでした。今後多くの自治体が独自の取り組みを実施することが予想できます。 県立電子図書館は、技術的には十分可能ですので、あとはやるかやらないかの判断だけです。幸い、蒲島知事は、4期目へ向けての選挙を控えております。知事のお考えの中に県立電子図書館的なものがあるのかどうか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、幼いころから本が大好きで、たくさんの本を読んできました。読書によって自分の世界が広がり、人生に夢を持つことができました。知の宝庫とも言える図書館は、私も含め、誰もが知的で心豊かに暮らすために大切な場所であると思っています。 その上で、県立図書館の大きな役割の一つが、研究書籍、古文書や絵図等の専門書の収集、提供であります。一方、小説や実用書などの収集、提供は、主に市町村立の図書館等に委ねています。 また、県立図書館には、県内の市町村立図書館等への支援という役割もあり、蔵書数の少ない図書館等に対して蔵書を貸し出す取り組みを行っています。 さらに、貴重な古文書等のデジタル化についても積極的に進めています。 お尋ねの県立電子図書館の創設についてですが、議員御指摘のとおり、電子書籍の活用は、過疎地域等における地域間格差の解消につながる可能性はあると考えています。 ただ、電子書籍については、現在はまだ種類や分野が限られており、結果的にコミックや文庫が多く、研究書籍などの専門書は少ない状況です。そのため、専門書の収集、提供という県立図書館の役割の観点からは、まだ課題が多いと考えています。 また、図書館向け電子書籍は、価格的に通常の図書より高価となり、貸出回数にも制限があるなど、費用対効果の面で課題があります。 既に電子書籍貸出サービスを導入した県においては、こうした課題や利用者数の低迷によりサービスを休止しているところがあります。 教育分野においては、昨年、児童生徒1人にパソコン1台を整備する方針が国から示されるなど、情報化は急速に進展しつつあります。このような中、今後の電子書籍の出版状況、さらには県立図書館の果たす役割等を見きわめながら、導入の効果や課題の整理を市町村とともに進めてまいりたいと思います。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 知事の答弁をいただきまして、明確には設置とはならなかったんですが、まあ状況を踏まえてということで、ぜひ、知事選もありますので、公約の中にちょこっと入れていただければ、私も俄然やる気が出るかなと考えていますので、ぜひよろしくお願いします。 次の質問に参ります。 地方自治について質問します。 まず、小規模市町村における技術職員不足への対応について質問いたします。 私は、現在、地域対策特別委員会に所属しています。昨年の11月定例県議会地域対策特別委員会で、小規模市町村における技術職員不足への対応に関する取り組みに関して議論が行われました。 執行部の説明によれば、現在、小規模市町村を中心に、交通インフラの維持補修など、専門的な知識が必要な分野において技術職員が不足しており、現行の小規模市町村の組織規模では、技術職員の採用、その後の人材育成、人事管理などの困難性が生じてしまっている、技術職員不足に対応するためには、県による市町村事業の受託や県からの職員派遣が有効な手だてとなっている、支援スキームとしては、県の技術職員を上乗せして採用、育成し、事業受託や職員派遣など、市町村の希望に応じた支援を行う仕組みの構築を考えている、県における採用の状況を踏まえ、市町村の要望に沿いながら、2020年度から段階的に実施していくとの説明を受けました。ちなみに、他県では先行事例はありませんが、福井県でも同様の取り組みを実施予定とのことでした。 私からは、以下の質問をしました。地方自治の観点から考えて、県内市町村で生じている技術系職員を県が代替して採用するのはおかしいのではないか、地方自治では、職員の採用から教育まで首尾一貫してその地方自治体が責任を持つのが基本であり、県内地方自治体の慢性的な技術職員の穴埋めを、県が、一時的ならまだしも、永続的に行うのはいかがなものか、また、先行事例はないとのことだが、このような措置は法的に認められていることなのか、認められるなら、その根拠を示してほしい旨の質問をしました。委員会では、残念ながら執行部からは満足のいく回答は得られませんでした。 なぜ県内の自治体の中で技術職員が慢性的に不足しているのかに関しては、明確な理由があります。 現在、県内には45の市町村がありますが、2019年10月1日現在、人口1万人未満の町村は県内に19ありました。人口5,000人未満で考えるなら、9町村がそれに該当し、人口4,000人未満なら、7町村がそれに該当しました。自治体の規模が小さくなればなるほど職員の数自体も減りますし、技術職員を独自に採用するのも、また、仮に採用したとしても、育てていくことも、さらには人事管理においても、非常に困難になることは容易に想像できるわけです。必然的に小規模市町村では、技術系の職員が不足する事態に直面しているわけです。 小規模市町村の抱えている問題や困難は理解できますが、基本的に、地方自治は、それぞれの自治体が自前で職員を採用し、育成し、人事管理をすることを前提として成り立っています。今回の件は、自治体として独立を保ちたいが、技術職員の確保は難しいから、そこは熊本県さんお願いしますといった話であり、それはちょっと虫がよ過ぎるのではと感じてしまいます。 そこで質問です。総務部長に質問します。 県は、新しい取り組みとして、2020年度から、小規模市町村にかわり技術職員を上乗せして採用していく予定ですが、初年度は何人程度の上乗せを考え、そして最終的には何人程度の上乗せとなるのでしょうか。 また、県と小規模市町村間での合意形成が行われたとしても、県民に対してはどのような説明をされるのでしょうか。 また、上乗せ採用する県職員は、県に就職したのに、市町村の仕事がメーンになるのでしょうか。 最後に、今回の新しい取り組みは県単独事業と考えられますが、その法的根拠と財源をお知らせください。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) お答え申し上げます。 深刻化する人口減少を見据えまして、いかに行政サービスを維持し、その質を向上させていくのか、この課題に対しまして、市町村、県は、従来の枠組みにとらわれず、柔軟に連携していくことが求められていると考えております。 また、県内全市町村を対象に、昨年度、アンケートを実施しております。この調査におきましては、市町村から、専門知識を有する職員の不足が懸念されるといった意見等が多く寄せられてきたところでございます。 こうした市町村の不安の声に対しまして、昨年9月の定例会の知事答弁におきまして、県といたしましても、市町村間での水平補完に向けた取り組みの支援、また、県による垂直補完についても検討を進めていく、このことを表明させていただいております。 今回の市町村事業の受託や技術職員の派遣につきましては、県による垂直補完の具体的な事例といたしまして、有効な対応策の一つと考えております。 この取り組みでは、県におきまして、毎年度の技術職員の採用をふやした上で、県の業務に当たることを基本としつつ、市町村の意向に応じて適任者を派遣したり、県において受託事業に当たることとなります。 支援を開始させていただきます来年度につきましては、まずは熊本地震の被災町村へ重点化いたしまして、職員派遣など3名程度の支援を想定して、現在調整を行っているところでございます。 今後、上乗せする採用数は、例えば、県におきましても、土木職では、毎年度10名程度の募集に対しまして十分な確保ができない場合もあるなど、近年厳しい採用状況もございますし、また、当然のことながら、市町村のニーズを踏まえていく必要がありますけれども、令和3年度の採用分から、数名程度を検討しているところでございます。 また、市町村に対する職員の派遣は、地方自治法第252条の17に基づく派遣となります。派遣先市町村が人件費を負担することが基本となると考えております。加えまして、本県を含めた先行県での検討を踏まえまして、令和2年度からは、国におきましても、技術職員不足の市町村支援や被災地への中長期派遣のために増員した技術職員分の人件費を普通交付税で措置する仕組みも予定されているところであります。このことは、本県からも積極的に要望してきたことが実現したものと認識しております。 お尋ねのありました財源につきましては、市町村に応分の負担を求めることを基本としつつ、こうした国の新たな制度も活用しながら対応していきたいと考えております。 県民にとりまして、人口減少下においても行政サービスが適切に提供されていく、このことが重要であると考えております。県としましては、県民の皆様に情報発信も行いながら、広域連携支援や垂直補完などさまざまな手法により、これまで以上に積極的に取り組んでいきたいと考えております。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 大変詳しい答弁をいただきました。よく理解できました。 令和3年から、技術系職員を数名程度上乗せして採用していくことを検討とのことですが、予期せぬ事態が生じることも予想できます。県が技術系職員を上乗せして採用することで、小規模市町村には安心感が広がります。結果、小規模市町村技術系職員を独自に採用し、育成することへの意欲は減るでしょうし、また、小規模市町村へ就職を希望する技術系人材自体がさらに減ることだって考えられるわけです。 地域対策特別委員会では、先月、増永委員長のもと、奈良県へ管外視察を行いました。奈良県でも、小規模市町村技術系職員不足の問題が起きていました。そこで、奈良県では、希望する市町村を募って、技術系職員の採用を統一試験で行っていました。採用試験では、第1希望から第3希望まで自治体を選べる仕組みがありました。第1希望の自治体に受からなくても、ほかの自治体に採用される可能性が残る仕組みでした。 本県でも、採用に際しても、他県の先行事例を取り入れるなどの工夫が必要になってくると考えています。今後とも柔軟な対応をお願いいたします。 次の質問に参ります。 県内市町村の再編統合について質問いたします。 国主導で行われました平成の大合併の結果、県内市町村の数は94から45市町村へと減少しました。県内自治体の数は、半分以下まで減ったわけです。しかしながら、県内市町村の数は、全国的に見ると、かなり多いことを皆さん御存じでしょうか。 スクリーンをごらんください。(資料を示す)都道府県の自治体数を一覧表にしたものです。 何と熊本県の45市町村数は、47都道府県で8番目に多い県となっています。熊本県の人口は、2018年10月現在、約175万人でしたので、人口規模は全国で23番目となっています。人口規模が23番目の熊本県が、市町村の数では全国で8番目なわけです。 熊本県の市町村の数が、人口規模のはるかに大きい大阪府や神奈川県の市町村数より多いことには驚かされるわけです。ちなみに、熊本県と人口規模がほぼ同じの三重県、人口179万人は、自治体数は29で、順位は27位でした。 もちろん、地方自治は、それぞれの自治体に住む住民の皆様の意見、考えが尊重されるべきであり、県の人口規模と市町村数を比較して、何をもって適正とするかは難しいことなのかもしれません。しかしながら、それを考慮しても、熊本県の市町村数は、多いと言わざるを得ません。人口規模から言えば、市町村数30前後が本来の数なのかもしれません。 昨年10月1日現在の本県の人口は174万6,740人でした。御承知のとおり、本県の人口は減り続けています。死亡者が出生者を上回る自然減及び県外への転出者が転入者を上回る社会減により、2018年10月1日からの1年間だけで9,702人の減少、人口増減率マイナス0.55%が見られました。2017年10月1日からの1年間の減少数9,076人から拡大し、減少率もマイナス0.51%から増加していました。傾向としては、本県の人口は、2002年以降はほぼ一貫して減り続け、ここ17年間で約12万人の人口減となっています。 では、県内市町村の人口の増減はどうなっているかを言いますと、2018年10月から2019年9月の1年間の市町村別の人口増減数では、増加したのが、合志市プラス534人、菊陽町プラス378人、大津町プラス360人、嘉島町プラス149人、益城町プラス70人、西原村プラス20人の6市町村でした。減少したのは、天草市マイナス1,456人、八代市マイナス1,163人、山鹿市マイナス616人など、39市町村という結果でした。 人口増減率で見ますと、市町村別の人口増減率では、嘉島町1.62%が最も高く、次いで大津町の1.05%、菊陽町0.89%、合志市0.88%の順となっていました。益城町、西原村では自然減を上回る社会増があり、嘉島町、大津町、菊陽町、合志市では、いずれも自然増と社会増が見られました。また、減少率が最も高かったのは、五木村マイナス4.1%で、次いで湯前町マイナス3.78%、球磨村マイナス3.33%の順となっていました。 繰り返しますが、39もの市町村で人口減少が起きており、最近では、毎年1万人規模で県の人口が減り続けていることがわかるのです。 さきに述べました技術職員不足の問題も、根底には、平成の市町村合併が本県では思ったほど進まなかった結果生じている問題でもあると言えます。また、それに加えて、急激な人口減少が引き起こした問題とも言えることがわかるのです。 本県の人口減少は、残念なことにペースアップしている状態です。このままの状態を放置するなら、行政サービスの低下は否めず、小規模市町村技術職員不足問題に見られるように、今後ともさまざまな困難やトラブルが各方面、各分野で生じるであろうことが予見できます。対症療法では済まされないところまで来ているのではないでしょうか。 そこで質問です。蒲島知事に質問いたします。 知事が考える地方自治の姿とは、どこにあるのでしょうか。また、現在、蒲島知事は4期目を目指されていますが、4期目の課題として、県が主導して45市町村を再編統合するお考えはあるのか、お尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、地方自治の目的は、住民の幸福量の最大化にあると考えています。そのためには、地方自治の担い手である県と市町村がそれぞれの強みを生かし、柔軟に役割を果たしながら、行政サービスを維持し、その質を向上させていくことが必要であります。 いわゆる平成の市町村合併においては、人口減少や少子高齢化などの社会経済情勢の変化や地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立を目的とし、全国的に市町村合併が推進されました。 県内でも45市町村に大きく再編が進み、行政体制の充実や財政基盤の強化などの成果が上がったものと評価しています。 一方で、支所機能の縮小に伴う利便性の低下や周辺地域の活力が低下したという声があることは承知しており、県としましては、各地域の実情をきめ細かに把握しながら、地方創生の実現に全力で取り組んでいます。 市町村の姿は、地理的状況や歴史、文化、そしてその時代の住民が望む地域のあり方などに応じて、さまざまな形があり得ると思います。 平成の市町村合併において、地域住民を巻き込んださまざまな議論が積み重ねられた結果が今の市町村の姿であり、私はその選択を尊重すべきであると考えています。 一方、近年ますます人口減少や過疎化が進み、各地域の様相が多様化する中で、全ての市町村が一様にフルセット型の行政を行っていくことには限界が出始めています。 そのため、市町村合併のみならず、市町村間の広域連携、民間活力の活用、県による垂直補完など、さまざまな選択肢の中から、県と市町村がお互いの強みを理解し、相互に役割を補い合って取り組んでいくことが必要になります。 全国よりも早く人口減少局面を迎える本県においては、熊本が国をリードしていくという気概を持って、引き続き、市町村の意向を十分に踏まえた上で、行政サービスの維持向上に向け、積極的に取り組んでまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 知事から答弁いただきました。一応納得いたしましたので、そのとおりだなと思います。 今月4日、政府は、3月末で期限切れを迎える合併特例法を10年間延長して、2030年3月までとする改正法案を閣議決定し、国会に提出しました。平成の大合併では、政府は、合併を促すため、合併を決めた自治体に対しては、合併特例法を適用し、地方交付税の優遇措置などを行ってきました。また、政府は、これまで、人口1万人未満の町村の合併を促してきた経緯があります。その合併特例法が、今回さらに10年間延長されるわけです。 10年の時間軸で考えるならば、全国8番目の自治体の数を誇る熊本県で再度合併協議が始まったとしても、何ら不思議な話ではないことがわかります。県内自治体で少子高齢化と人口減少がさらに進んでしまってから合併協議をしたのでは、遅過ぎるという意見もあります。合併協議は、余力があるうちに行うのが基本のようです。蒲島知事には、柔軟な発想のもと、県政のかじ取りを今後ともお願いしたいと考えております。 次の質問、最後の質問に参ります。 県営住宅の連帯保証人制度について質問いたします。 民法が改正され、2020年度から、賃貸住宅契約者の連帯保証人が責任を負う上限額の明示が義務づけられることになりました。従来、連帯保証人は、無限責任を負わされていましたが、今回の民法改正で、上限額が設定されたわけです。 民法改正施行に先立ち、国土交通省は、平成30年3月、公営住宅の入居条件から連帯保証人確保を外すように、全国の自治体に通知を出しています。 現在、我が国は、高齢化問題や格差問題などに直面しています。高齢化に伴い、単身高齢世帯がふえ続け、今や600万世帯を数えるまでになっており、未婚や離婚、非正規などを背景に、低所得世帯も増加の一途をたどっています。また、誰ともつながりがないことをあらわす無縁社会なる言葉も生まれています。結果として、連帯保証人が見つからず、公営住宅に入居できないという問題が全国的に発生しているのです。 そこで、国は、公営住宅が持つセーフティーネットの機能を有効活用するため、今回の法改正と通知により国の方針を示したのです。 ただし、国は、その一方で、地方分権の観点から、連帯保証人規定の存続判断を各地方自治体に委ねました。その結果、連帯保証人を廃止するか存続するかは、各地方自治体で判断が分かれる状況にあります。 昨年12月の西日本新聞の報道によると、九州で言えば、福岡県は廃止の方向、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県の4県は存続の方向です。本県は、その時点では検討中とされていましたが、本定例会において、保証人廃止のための条例改正が提案されています。 連帯保証人がいることのメリットもあります。家賃滞納の抑止力になりますし、万が一家賃滞納が生じた際の担保となるわけです。 ちなみに、現在、本県では、毎年70万円前後の家賃滞納が発生しており、平成30年度末現在、累計で47件分、約550万円の滞納額となっています。また、3カ月以上家賃滞納が続き、支払いの意思が確認できない場合は、明け渡し訴訟に至るケースもあります。 では、質問に入ります。 自治体間で判断が分かれる中、本県では、連帯保証人を廃止するための改正条例案が提出されました。まず、この改正についての考え方をお尋ねします。 また、連帯保証人を廃止した場合の家賃滞納への影響について、今後どのように対応していくのか、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) まず、条例改正の考え方についてお答えいたします。 公営住宅の連帯保証人については、以前から全国共通の課題として指摘されており、本県におきましても、年に数件、保証人が確保できないことを理由に入居を辞退された方がおられます。 今後、身寄りのない単身高齢者がふえることが想定される中、本県では、住宅に困窮する方々へのセーフティーネットという県営住宅の機能を十分に果たすため、新たに入居される方に対しては、連帯保証人を廃止する条例改正を提案することといたしました。 なお、連帯保証人廃止後は、入居者の安否確認等の必要が生じた際に協力いただくため、緊急連絡先を届けていただくこととしております。 次に、連帯保証人を廃止した場合の家賃滞納への影響についてお答えいたします。 本県では、これまで、滞納初期の段階から、専門の徴収嘱託員が入居者御本人と直接お会いして、それぞれの御事情を把握し、例えば、分納でお支払いいただくなど、個別の状況に即したきめ細かな対応を行うことで、滞納解消に努めてまいりました。その一方で、高額、長期の滞納が続き、督促に全く応じないなど、悪質と判断される場合には、最終的に訴訟を含む法的措置も辞さず対応してまいりました。 その結果、15年ほど前は80%台半ばであった家賃徴収率が年々向上し、平成30年度は99.6%となっております。 また、昨年度、保証人の方から直接県にお支払いをいただいたのは8世帯にとどまっており、連帯保証人廃止により直ちに多大な影響が出るものではないと考えております。 今後も、大きな滞納が発生しないよう、訪問徴収等の取り組みをより一層丁寧に進めることで、家賃収入の着実な確保に努めるとともに、住宅困窮者へのセーフティーネットとしての県営住宅の責任を果たしてまいります。  〔濱田大造君登壇〕 ◆(濱田大造君) 連帯保証人の廃止は、県の役割が一層高まることを意味しています。今回の質問では尋ねませんでしたが、本人が亡くなった場合、これまでは、連帯保証人がその亡きがらの引き取りや葬式、遺品の整理や後片づけを行っていた場合が多いとされてきました。連帯保証人が廃止されますと、その役割を誰が担うのかという問題も生じてきます。恐らく入居に際して何らかの手だてを講じていくことになろうかと思いますが、想定されるさまざまな事態に備え、県民が安心して暮らせる住環境を提示していくことを期待いたします。 これで全ての質問を終わらせることができました。 今回で、蒲島知事、3期目、もうじき任期が満了ということですが、ぜひ――すばらしい知事だと私は個人的には思っています。いろいろ議場ではやりとりがあったことも過去ありましたけれども、まあそれはそれということで。 選挙というのは、本当もう大変です。精神的にも身体的にも大変で、周囲の方、家族を初め大変だろうと思いますが、お体にだけは気をつけて進んでいかれることを期待します。 これで質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(井手順雄君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時56分休憩    ――――――○――――――  午前11時6分開議 ○議長(井手順雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩本浩治君。  〔岩本浩治君登壇〕(拍手) ◆(岩本浩治君) おはようございます。阿蘇市選出・自由民主党・岩本浩治でございます。1時間よろしく御清聴をお願いしたいと思います。 まず、早いもので、熊本地震が起きまして3年10カ月になりました。そして、その間、知事はもとより、執行部、そして県議会の皆様方、広くは熊本県民の皆さん方のお力によりまして、未曽有の大地震を受けました阿蘇地区も、国道57号北側復旧ルート、国道325号阿蘇大橋、JR豊肥線、国道57号現道の復旧により、令和2年の今年、阿蘇はよみがえり、阿蘇地域は夢と希望を持って未来に向かっていくという、すばらしい2020年の年を迎えられました。知事を初め執行部、県議会、そして県民の皆さん方に、創造的復興とスピードある復旧、復興の采配に深く敬意を表しまして、質問に入らせていただきます。 まず、阿蘇の世界文化遺産登録推進についてでございます。 阿蘇ユネスコジオパークを象徴する世界有数の巨大カルデラは、数十万年にわたる火山活動でつくり出されたものです。また、阿蘇カルデラ内の中央に位置する中岳は、有史時代を通じて今日に至るまで、活発な活動を繰り返してきた国内有数の活火山です。そのため、周囲には、特殊な火山景観や植物、それと向き合う人々の文化が形成されました。 火山群の山麓の清らかな湧水やカルデラとその周辺に点在する多くの温泉地など、数十万年にわたる火山活動は、地域で暮らす人々に大きな恵みをもたらしてきました。また、阿蘇の各地に広がる広大な草原は、1,000年以上にわたって放牧、採草、野焼きを繰り返してきた歴史的産物であります。活火山とともに人々が自然との共生を図り、自然に畏敬の念を抱いて育んできた独自の文化が今も息づいております。 阿蘇カルデラの中には、文化遺産、自然遺産が数多く残されています。熊本を代表する古墳群、中通古墳群は、5~6世紀にかけて築造された県下最大級の前方後円墳を初め、10基の古墳群があります。ほかに、山岳仏教の遺跡である古坊中遺跡、横穴式石室を有する上御倉・下御倉古墳があり、古代から栄えた地域であったと言えます。 この豊かな地では、国指定重要無形民俗文化財として今なお続いている阿蘇の農耕祭事、田作行事、風鎮祭、御田植神幸式、火焚神事などの農耕祭事が、阿蘇神社を中心としてとり行われております。阿蘇の開拓祖とされる健磐龍命を初め、12神を祭る由緒ある神社で、2,500余年の歴史を持つと伝えられ、楼門は日本3大楼門の一つに数えられ、末社は全国500社を超えております。また、全国的にも珍しい横参道も有名です。 豊作を祈願するため、阿蘇神社に奉納したのが始まりの阿蘇の虎舞、田植えが終わった時期に農家の庭先で豊年を祝って舞う阿蘇の牛舞があります。 ほかに、神事は、阿蘇神社と同様に、阿蘇の農耕祭事として国の重要無形民俗文化財に指定された手野の神の杉がある国造神社、古くから阿蘇中岳火口は神霊池と呼ばれ、上の宮とされていた阿蘇山上神社、火焚乙女が火焚殿で火を燃やし続ける火焚神事で知られる霜神社など、数多くの神社が阿蘇の地を守っています。 このほかに、国選択無形民俗文化財となっている中江岩戸神楽、横堀岩戸神楽も定期的に保存会が公演を行うとともに、地区及び学校においても神楽継承に力を入れているところです。阿蘇西国33カ所観音霊場の1番札所、西巌殿寺など、数多くの寺院が今もなお現存しております。 南北約25キロ、東西約18キロ、面積約350平方キロメートルの阿蘇のカルデラの中には、涅槃像を映し出す阿蘇五岳と噴煙を上げる中岳を望み、絶好のロケーションを誇る緑の草原の景色が広がる草千里ヶ浜、また、対照的に火山灰で覆われた荒野で、無機質な黒い砂地が延々と続く砂千里ヶ浜、火山が噴火したときの様子を今に伝えている米塚を形成するスコリア、文豪徳富蘇峰が名づけた大観峰、天然のミネラルウオーターのふるさとと九州の水がめと言われ、また、多種多様な温泉群など、自然豊かな地域が阿蘇です。 この文化財、自然と景観、豊かな営みは、後世に残すべきもの、保存すべきものとして、必要不可欠であると考えます。 県では、阿蘇郡7市町村とともに、平成19年に世界遺産暫定一覧表に係る提案書を国に提出し、世界遺産暫定一覧表記載に準ずるカテゴリーⅠaに選定されました。 その際、課題として示された世界遺産としての価値の証明などについて、世界遺産に造詣の深い有識者から成る学術委員会において検討を進めてこられたと伺っております。 また、先月、1月16日には、阿蘇の景観を守る宣言を行いました。この宣言の意味するところと今後の阿蘇の世界遺産登録に係る取り組み状況について、蒲島知事にお答えをお願いします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、岩本議員の阿蘇へのあふれんばかりの愛情と造詣の深さに、心から敬意を表します。議員からの御質問をお聞きし、改めて、阿蘇は、世界文化遺産登録を目指す、そこにふさわしいものとの思いを強くいたしました。 私が思う阿蘇の価値とは、議員御紹介のとおり、阿蘇に暮らす人々が自然に対して畏敬の念を持ち、いにしえより火山と共生する中で育んできた壮大な景観にあると思います。また、農耕文化を守ってきた信仰や数々の文化財なども、阿蘇の人々が紡いできた歴史、文化のすばらしさをあらわすものであります。 阿蘇の景観を守る宣言は、先人から受け継がれてきた県民の宝である阿蘇の景観を守り、育み、後世に伝えるという決意表明として、阿蘇郡市7市町村長とともに行ったものです。 阿蘇の世界文化遺産登録を推進する観点からも、着実に景観の保全に取り組む必要があります。この宣言により、開発行為が周辺景観に与える影響について、住民の方々が考えるきっかけにしていただきたいと思います。そして、県民全体の意識が高まることで、景観と著しく調和を欠く開発の抑制につなげていきたいと考えています。 次に、阿蘇の世界文化遺産登録に係る取り組み状況ですが、平成19年に国へ提案書を提出した際に、構成資産の保護措置の充実などの課題が示されました。 その課題に対応するため、関係市町村と連携しながら、文化財保護法に基づく重要文化的景観の選定や阿蘇の全市町村での景観条例の制定など、取り組みを進めてまいりました。 また、2年間にわたり、阿蘇世界文化遺産学術委員会で世界遺産としての価値や保護措置などについての検討を重ねてまいりました。人々が長年の営みの中で、火山との共生という困難を克服し、形成した壮大な景観を、阿蘇の普遍的な価値として位置づけた新たな提案書を作成しているところであります。 令和2年度は、阿蘇へのアクセス道路やJR豊肥本線の復旧など、阿蘇の復興に向けた節目の年となります。それに先駆け、再度、世界遺産暫定一覧表掲載に向け、国に対し、この提案書を提出するとともに、地元の熱意と取り組み状況をしっかりと伝えてまいります。 また、阿蘇の景観を守る宣言を効果的なものとするために、守るべき景観に関する調査、啓発を行うほか、阿蘇の景観を広域的に保全するための仕組みづくりについても検討を進めてまいります。 今後とも、関係市町村や民間団体などと連携しながら、世界文化遺産登録に向けた取り組みを着実に進めてまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 知事より答弁をいただきました。知事が思われる阿蘇への価値観は、生粋の阿蘇生まれ、阿蘇育ちの私でも及ばないところがあります。 先日、阿蘇世界文化遺産登録推進九州会議シンポジウムin熊本が開催されました。「阿蘇の世界文化遺産登録を目指して」と銘打って、「世界遺産としての文化的景観『阿蘇カルデラ』の価値について」との北海道大学の西山教授の講演がありました。 阿蘇地域内の100の集落には、阿蘇の景観をつくる水田、集落、山林、草地の4要素がほぼ備わっている点を挙げ、本来なら人を寄せつけない火山地帯に、地元農家が草地で育てた牛馬を使って水田を開き、独自の景観が生まれたと述べられておりました。 聴講した主婦の方が、しみじみと、私は阿蘇に生まれてよかった、何でかよく言えぬけど、うれしくなったとおっしゃっておりました。思うに、カルデラと共生してきた先人の生きざまと阿蘇の悠久なる歴史や雄大なる景観についての講演に、勇気と誇りを感じられたのではないかと、阿蘇人として推察するところです。 答弁にありましたように、宣言を効果的なものとするため、守るべき景観に関する調査、啓発を行うほか、阿蘇の景観を広域的に保全するための仕組みづくりについて検討を進めていくとのことで、阿蘇の世界的価値を知り尽くされた知事に、ぜひとも阿蘇の世界文化遺産登録推進をお願いいたします。 次の質問に移ります。 生活困窮者の自立支援についてです。 生活困窮者自立支援法は、生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講じ、生活困窮者の自立を促進するため、平成27年4月に施行されました。 生活困窮者自立支援制度は、第1のセーフティーネットである社会保険制度や労働保険制度等では十分な対応ができない生活困窮者等の増大を背景として、生活保護制度の前段階である第2のセーフティーネットの一環として構築された制度であります。 一方、生活保護法は、困窮する全ての国民に対し、困窮の程度に応じ必要な保護を行い、また、自立を助長することを目的に昭和25年に施行されたもので、いわば最後のネットで、第3のセーフティーネットと呼ばれております。 そんな中、平成30年10月、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律が施行され、法律の基本概念や困窮者の定義を改めて明確にし、困窮に至る背景として、他者との接触がほとんどない社会的孤立者を明示し、その人に病気や失業などの問題が起きると困窮状態に陥りかねないため、早急の予防的な支援を行う方針を打ち出したものであります。そのために、行政の関係機関同士や民間団体との緊密な連携を掲げております。 生活困窮者が抱える問題としては、経済、家庭、住居、健康など、さまざまな問題があります。ハローワーク、消費生活センター、医療機関等は、これらの問題を抱える住民から相談を受ける中で、生活困窮者を発見し、自立相談支援機関につなげる橋渡しの役割を担い得るものであります。 税金、健康保険、給食費、授業料等の費用の支払い困難となっている市民は、経済的に困窮しており、その生活再建のため、自立支援窓口と緊密な連携を図ることが強く求められるところであります。 申請や相談を待つことなく、いわゆるアウトリーチが困窮者救済につながります。福祉や教育を含む関係機関が困窮者の情報を共有する支援調整会議の法定化も、効率的に支援するための理念の共有化を形としたものと思います。 熊本県社会福祉法人経営者協議会では、社会貢献事業として、生計困難者レスキュー事業を行っております。財源の確保のために、単独施設経営法人は1口2万円、複数経営法人は1口5万円の拠出金をお願いし、活動費として充当しております。 レスキュー事業の実施状況を申し上げますと、まず、原資となる各法人からの拠出金が、平成26年度から30年度の5年間で、延べ394法人、2,043万円、支援実施実績が、27年度から30年度の4年間で583件実施し、1,462万円を支払っております。さらに、相談員となるコミュニティーソーシャルワーカーの研修を377法人、524名に実施しております。 具体的な支援例としまして、ネットカフェ難民に食事、入浴、宿泊提供、離職で生計維持困難者に再就職のための滞納料金の代納、無職母子家庭食材提供、また、刑務所出所者に施設で宿泊、食事、入浴を提供し、社会復帰支援等、平成30年度は、県下36市町村で231件の支援を行っております。 熊本地震後の被災者への支援は、応急仮設住宅やみなし仮設住宅に住む被災者等に対し、61件の支援要請を受け、57件、137万4,456円の支援を行い、具体的には、被災後、避難所などから応急仮設やみなし仮設住宅等に転居し、災害救助費や義援金の給付などを受けたものの、疾病や失業で預貯金が枯渇し、生活困難となり、生活保護受給までの間、レスキュー事業で医療費の支払いや食事の支援が行われました。 さて、このような事業を毎年行っていますが、実施状況を検証しますと、対象者は、減少するどころか増加傾向にあります。熊本県でも、社会福祉協議会が、7カ所の社協を拠点に、全市町村の社協や一部4市を窓口とした支援を実施しておられます。 熊本県の実施状況と今後あるべき運営機関との連携について、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕
    健康福祉部長(渡辺克淑君) 本県の生活困窮者自立支援事業においては、全国で唯一、就労や家計相談など、全ての支援メニューを県内全域で利用できる体制を構築しており、平成30年度は293名の方の一般就労につながるなど、各方面から高い評価をいただいています。 今年度からは、新たな取り組みとして、生活困窮世帯の高校生に対する中退防止や学び直しの支援など、また、ひきこもりの方に対する訪問支援などにも取り組んでいます。 さらに、議員から御紹介のありました社会福祉法人の生計困難者レスキュー事業との連携も進んでおり、自立支援事業の窓口に来られた方をレスキュー事業につなぐ、あるいはレスキュー事業から自立支援事業につなぐといった取り組みも行われています。 県としましては、このように行政が民間団体を初めとする機関と緊密な連携を行うことは、さまざまな課題を抱える生活困窮者の自立を支援する上で極めて重要であると考えています。 このため、生活困窮者自立支援事業やレスキュー事業に係るそれぞれの相談員が情報交換できる場を設けるほか、関係機関が持つ専門知識やスキルについて学ぶ新たな研修を実施し、これまでの連携をさらに深めてまいります。 さらに、生活困窮者の個々の支援に当たっては、各地域で開催されている生活困窮者自立支援事業の支援調整会議を活用し、レスキュー事業を含むより幅広い関係機関との緊密な連携のもと、必要な支援を総合的に実施してまいります。 今後も、社会福祉法人を初めとする民間団体や地域とのさらなる連携強化に努め、さまざまな課題を抱える生活困窮者の自立支援を充実してまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 健康福祉部長より答弁をいただきました。 熊本県では、全国で唯一、就労準備支援事業や家計相談支援事業、子どもの学習援助事業、一時生活支援事業など、全ての支援メニューを県内全域で利用できる体制を構築しているとのことでした。また、高校生の中退防止に向けた個別面接、家庭生活の支援強化、高校に通ってない高校世代への学び直し等の支援に新たに取り組むとのことでした。 民間団体である熊本県社会福祉法人経営者協議会が実施している生計困難者レスキュー事業の平成30年度の集計データを分析しますと、生計困難者の相談、利用における紹介経路は、直接来所するケースはほとんどなく、市町村社協からの紹介が49%、行政からの紹介が44%となっており、大半が生活保護や生活困窮者自立相談支援事業の実施機関の紹介であり、両事業が連携した取り組みが行われているので、行政と民間団体等の緊密な連携が重要であり、事業の連携を深めるために、それぞれの事業の相談員の情報交換できる場の設定や新たな研修の実施、また、個々の支援に当たっては、各地域の支援調整会議を活用して幅広い関係機関との連携を図り、自立支援を進めることで第2のセーフティーネットの拡充と充実の構築ができるものと、ぜひお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。 次の質問は、阿蘇警察署の移転に伴う阿蘇市一の宮地区の治安対策について質問をいたします。 阿蘇は、さきの震災後、熊本県は、創造的復興で県民の夢実現を掲げ、復旧、復興を推進してまいりました。おかげで、今年度には、国道57号北側復旧ルート、国道325号阿蘇大橋、JR豊肥線、さらに国道57号現道が開通予定となりました。また、中九州横断道路の滝室坂トンネル工事も順調に進んでおります。阿蘇神社も、国指定重要文化財5棟は修復済みで、楼門も2023年完成を目指して復元が進められております。 阿蘇市への外国人観光客は、平成26年、8万4,500人、平成30年、17万8,200人と倍増しております。また、今年は、オリンピック、パラリンピックもあります。インバウンドによる観光客増加と経済波及効果が期待されるところです。同時に、阿蘇くまもと空港の国際化及び道路網整備で、大分・湯布院、別府への観光ルートの開発も進み、より阿蘇観光の増加が期待されます。 昨年4月から開始されました外国人雇用促進のための特定技能による農業部門入国者も、阿蘇市農協が先陣を切って採用しているところです。今後、介護分野や建設業部門でも雇用が増加するものと思われます。 本題に入ります。 阿蘇警察署が、経年による老朽化に加え、前面道路である国道57号よりも低い位置にあり、過去2回にわたり土砂災害に見舞われるなど、災害時の警察活動拠点としての機能が十分に発揮できないとの理由で、今年、一の宮町から旧阿蘇町である阿蘇市黒川地区に新築移転となります。 現在、旧一の宮町は、署所在地が管轄していることから、駐在所、交番は設置されておりません。一方、旧阿蘇町は、内牧交番、赤水駐在所、坊中駐在所と、3カ所の施設が管轄しております。旧一の宮町の面積、人口は、約105キロ平方、4,000世帯9,000人、一方、旧阿蘇町は、200キロ平方、6,780世帯1万5,400人であります。 事件、事故の取り扱いは、県警本部の管轄別統計によりますと、旧一の宮町を管轄する所在地が刑法犯認知30件に対し、旧阿蘇町を管轄する内牧交番と2駐在所で56件です。人身交通事故は、前者が23件に対し、後者は50件となっております。 今回、旧阿蘇町に警察署が移転することにより、旧一の宮町は、警察施設がない状態となります。この地域には、県の地域振興局や阿蘇市役所を初め、国の出先機関である税務署、ハローワーク、裁判所等の公共機関、病院、報道機関の支局等が集中しております。 日本は、交番、駐在所等が地域ごとに設置されているため治安がよいと、世界的にその機能性が注目されていることは周知のことと思います。しかし、警察署が移転し、105キロ平方、4,000世帯ある地域には交番も駐在所もないとなると、地域住民等の安心、安全のよりどころがなくなり、不安は募るばかりです。加えて、雇用により外国人労働者の居住が増加し、また、インバウンドによる観光客もふえてくると、さまざまな問題も出てくるかもしれません。総合的に集落及び主要観光地周辺、例えば宮地駅、阿蘇神社等の身近なところにあるべきものと思われます。 熊本県警察交番・駐在所機能強化推進基本プランにおいて、小学校区と交番等の所轄区域の整合化、パトロール強化や犯罪等に迅速、的確に対応し、また、各種相談等に常時対応できる体制の構築を進められておりますが、旧一の宮町は、警察施設の空白地域になってはならないと考えます。 昨年12月、県警において、熊本県警察交番・駐在所機能強化ビジョンを策定、公表され、将来に向けた交番や駐在所の整備に関する基本方針が示されました。 そこで、県警本部長にお尋ねします。 今後、このビジョンに従って交番等を整備していかれるとお聞きしておりますが、その中で、阿蘇警察署の移転に際し、阿蘇市一の宮地区への交番設置を含めた治安対策についてどう考えておられるのか、お尋ねいたします。  〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌君) 交番、駐在所の設置に関しましては、将来における人口減少や治安情勢の変化等の課題に的確に対処すべく、昨年12月に熊本県警察交番・駐在所機能強化ビジョンを策定しました。これにより、既存施設の耐用年数、管内の世帯数や人口、事件、事故の発生状況などを踏まえながら、全県下的かつ中長期的な視点に立って検討を進めていくこととしております。 一の宮地区への交番設置につきましても、その視点に立って、警察署移転後の治安情勢の変化等を踏まえながら、適切に判断してまいりたいと考えております。 なお、阿蘇警察署が移転しましても、一の宮地区は、これまでどおり、警察署内で勤務する地域警察官が巡回連絡やパトロール等の警察活動を行うこととしております。これに加えて、移動交番車を活用した治安対策を検討するなど、一の宮地区に治安の間隙が生じないよう努めてまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) ただいま本部長より答弁いただきました。 平成21年6月に策定されました熊本県警察交番・駐在所機能強化推進プランでは、地域住民と連携、協働した犯罪等の抑止活動を一層充実させるため、小学校区と交番等の所管区域との整合、交番等を地域住民等にとってわかりやすい場所へ設置するほか、バリアフリー化やコミュニティールームの設置など、利用しやすい施設としての整備、パトロール強化や犯罪等に迅速、的確に対応する一方で、警察官や交番・駐在所相談員が各種相談に常時対応できる体制の構築、また、犯罪等の発生状況などの治安情勢を中心に、人口、面積、警察署や隣接する交番等との距離等を総合的に勘案し、施設の再編等により複数の警察官が勤務する複数駐在所の設置など、交番等が県民に身近な警察活動の拠点であるとともに、地域住民等の安全、安心のよりどころとなるよう機能強化されてこられました。 私は、近代警察の父と言われております川路大警視の著書である「警察手眼」の探索心得六八番に「探索ノ道微妙ノ地位ニ至テハ聲無キニ聞キ形無キニ見ル」と記載されており、これは、表面的、外形的な現象にとらわれることなく、奥深く隠されたものを見逃すことなく、真実を探求することの意味かと思います。 今回、新たに、令和元年12月26日に熊本県警察交番・駐在所機能強化ビジョンが示され、県下の警察運営体制を整備するとの説明がありました。阿蘇警察署移転に伴う一の宮地区の安全、安心については、県下警察署では初めての移動交番車やパトロール強化等を図り、万全の体制で臨むとの力強い答弁をいただきました。警察署移転後の阿蘇市に治安上の空白が生じないように、よろしくお願いします。 次の質問に移らせていただきます。 阿蘇の農業に関連しまして、農業振興について農林水産部長に2点質問をさせていただきます。 まず1点目は、褐毛和種、あか牛の遺伝資源保護についてお尋ねします。 平成30年6月、和牛の凍結精液や受精卵が日本国内から中国に不法に持ち出されるという事件が発生しました。その後、日本特有の貴重な財産であるこれら遺伝資源の国外への流出を防止するため、農林水産省の有識者会議が幾度となく開催されてきました。 このような状況の中、令和2年1月20日には、和牛の受精卵や精液などの遺伝資源の海外流出防止に向け、悪質な取引に刑事罰を設けることを柱とする中間報告を了承したと報道されました。 この罰則の目的は、和牛精液等の遺伝資源を知的財産とみなして保護を図り、不正な転売や生産、輸出の差しとめを可能とするものです。 褐毛和種は、現在、阿蘇地域を中心に飼育されております。私の地元である阿蘇で褐毛和種を飼っている畜産農家では、阿蘇のあか牛ありがとうをキャッチフレーズに、ヘルシーで美容にも効果があると言われている褐毛和種の肉を、ステーキ、あか牛丼やあか牛バーガーとして積極的に売り出しております。 また、褐毛和種の肉はヘルシーであることを前面に出し、国際間競争力を高めるため、健康志向が高い欧米市場の開拓にも挑戦していると聞いております。この欧米市場への売り込み等によって、褐毛和種の魅力が認知され、褐毛和種の、あか牛の需要の拡大につながることを大いに期待しております。 しかし、一方では、欧米諸国において、生体での飼育意欲が高まることで、貴重な褐毛和種の遺伝資源が国外へ流出する可能性も否定できません。 褐毛和種は、阿蘇の畜産農家が長い年月をかけてつくり上げ、守ってきた熊本の宝であることから、私たちは、今後も永久に種を保存する義務とその魅力を後世につなぐ責務があると思います。 そこで、熊本の宝である褐毛和種、あか牛の遺伝資源を保護するため、県として今後どのような対策をとっていかれるのか、お尋ねします。 次に、2点目は、阿蘇草原1万6,000ヘクタールに自生するススキについてでございます。 通称カヤと呼ばれ、古代から屋根材として利用されてきました。麦わらよりも脂分が多く、茎が強靱で雨に強く、室内保温力があり、雨音が響かず、耐久性にすぐれた屋根材として、近代まで利用されてまいりました。現在では、牛の餌や敷きわらとして利用されております。 皆さん御存じのとおり、草原を維持するには、毎年野焼きをして新芽を出させ、他の灌木等からその成長を守らなければ、草原は数年で雑木林となってしまいます。野焼きを継続するためには、多くのマンパワーと経費がかかりますので、阿蘇の牧野組合では、その維持に苦慮しているところです。 そのため、牧野組合では、カヤの利用方法について、飼料以外の利用も含め、試行錯誤を繰り返してきました。 そのような中、2014年に阿蘇市で開催された全国草原サミット・シンポジウムで、国の重要文化財等のカヤぶき屋根を専門に扱う業者との出会いがきっかけで、地元ではカヤぶき屋根のふきかえ材として利用を検討してまいりました。 カヤぶき屋根の文化財は、全国に400カ所ほどあり、約15万束の年間需要があることがわかりました。生産地は主に静岡県御殿場市で、阿蘇のカヤも一部利用されておりますが、需要に供給が間に合わない状況と聞いております。 阿蘇の草原は、御殿場の富士山裾野原野と比べ約3倍の広大な面積を有しており、日本一のカヤ産地となれる可能性があり、大きな期待が寄せられます。品質がよく、安定的な供給体制が整えば、阿蘇のカヤが日本中のカヤぶき屋根に利用されることとなり、地元経済発展に大きく貢献するものと思います。 阿蘇の草原は、農業の営みの中、人の手によって脈々と維持され、その取り組みは世界農業遺産として認定されております。その草原を構成している阿蘇のカヤは、野焼きによって維持される循環型の安全かつエコな資源であります。このすばらしい資源を経済活動にも生かすことで、草原維持の意欲にもつながり、ひいては世界文化遺産の登録にも寄与するものと考えます。 そこで、阿蘇のカヤという資源について、県ではどのような振興策を図ってきたのか、また、今後どのような推進を図るのか、お尋ねします。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) まず、1点目の褐毛和種の遺伝資源保護についてお答えします。 本県は、全国で最大の褐毛和種の生産地であり、阿蘇地域を中心に約6,800頭の繁殖雌牛が飼育されています。また、県内における褐毛和種の基幹種雄牛は、唯一農業研究センターで飼育し、凍結精液の製造、販売を行っています。 褐毛和種の凍結精液につきましては、今回の和牛精液不正輸出事件が発覚する以前から、本県では、畜産関係団体である経済連、畜連及び酪連のみと販売契約を結び、厳正な管理のもと供給してまいりました。 現在、農林水産省においては、不正輸出時の罰則の強化等を初めとした家畜改良増殖法の改正に着手されていますが、県では、法の施行を待つことなく、来年度の畜産関係団体との契約から、国外での利用禁止や違約金の徴収に関する条項を新たに追加することとしております。 さらに、団体から農家等への販売、譲渡につきましても、同様の契約を確実に結ぶよう徹底するなど、関係機関一体となって、熊本の宝である褐毛和種の遺伝資源の保護に努めてまいります。 次に、2点目の阿蘇のススキを利用したカヤについてお答えします。 議員御紹介のとおり、阿蘇地域の草原は、農業というなりわいを通じて田畑と一体的に維持されており、その仕組みが評価を受け、世界農業遺産に認定されています。 県では、阿蘇地域の市町村や各種団体と組織する阿蘇地域世界農業遺産推進協会の活動の大きな柱として草原の利用拡大を進めており、平成27年度から、カヤの利用推進にも取り組んでおります。具体的には、カヤ材の商品化や事業化の推進を図るため、全国的な需要調査や文化財等で使用できる品質のカヤを生産するためのマニュアルづくり、さらにはカヤ材の品評会等を行いました。 これらの取り組みにより、協会の構成員である公益財団法人阿蘇グリーンストックと牧野組合との連携体制が構築され、昨シーズンは、若手農家も参加し、これまで利用されていなかった8ヘクタールを超える草原でカヤ刈りを行い、3,000束を超えるカヤ材を供給することができました。今シーズンは、さらに周知啓発が図られ、他の牧野にもカヤ場としての取り組みが広がり、9,000束を出荷する予定と伺っております。 カヤぶき屋根のふきかえ材としてのカヤは、全国的にも供給地が限られており、阿蘇地域の新たなビジネスとして大いに期待が持てます。また、野焼きの前にカヤを刈り取ることで、野焼き作業の省力化や延焼防止、作業員の安全確保にもつながるものと考えております。 県としましても、引き続き、地元の方々の取り組みを後押しし、阿蘇地域の草原の維持拡大と利活用を推進してまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 農林水産部長より答弁いただきました。 国では、不正輸出時の罰則の強化等を初めとした家畜改良増殖法の改正に着手しているとのことでありますが、熊本県では、国の法改正を待つことなく、来年度から、畜産団体との契約で、国外での利用禁止、違約金徴収を織り込んでいるということでございます。また、凍結精液の販売先は、厳正な管理のもと供給しており、団体から農家等への販売、譲渡についても、同様の契約を確実に結ぶよう徹底するなど、関係機関一体となって褐毛和種の遺伝資源の保護に努めるとの回答をいただきました。 熊本県では、全国で最大の褐毛和種生産地であり、阿蘇地域を中心に約6,600頭の繁殖雌牛が飼育されており、褐毛和種の基幹種雄牛は農業研究センターで飼育され、凍結精液の製造、販売を行うことで、畜産農家が先祖代々伝え、守ってきた褐毛和種、あか牛を安心して飼育ができるとのことでありました。今後とも、この阿蘇の褐毛和種を守っていただくよう、政策をお願いしたいと思います。 次に、カヤについてでございますが、全国的な需要調査や文化財等で使用できる品質のカヤを生産するマニュアルづくり、カヤ材の品評会開催等積極的に行っておるということでございますし、協会の構成員である阿蘇グリーンストックや牧野組合との連携体制を支援し、利用拡大を推進していくという回答をいただきました。 また、野焼きの前にカヤを刈り取ることで、野焼き作業の省力化や延焼防止、作業員の安全確保にもなり、全国的にも不足しているカヤぶき屋根の材料を供給することで、世界農業遺産地域の阿蘇で新たなビジネスとして将来の活路が見出されます。このカヤビジネスの取り組みを後押ししていくとの強い回答をいただきました。 今カヤぶき屋根の後継者は、20代から40代が多いそうです。阿蘇に若者の拠点確立のためにも新産業振興をお願いし、次に、降灰対策に移らせていただきます。 降灰対策についても、農林水産部長に質問をいたします。 我が阿蘇山は、大小の噴火を繰り返してまいりました。平成31年4月14日14時30分、大規模噴火活動により、大量の火山灰を巻き上げました。その後、噴火と休止を繰り返していましたが、10月7日からは、降灰を伴う連続噴火が現在も続いております。平成31年4月14日から現在までの降灰量は、大量なものとなりました。 特に、令和元年9月3日の噴火による阿蘇市北側の降灰は、国道の中央線や外側線が判別できないほど積もり、視界不良による対向車線誤認や降灰によるスリップで、衝突や追突、信号確認不足、横断歩行者見落とし等、重大な交通事故の発生が懸念されました。 それと同時に、市民生活や農業、畜産、林業関係にも多大な影響を与えました。学校、幼稚園、保育園では、校庭、園庭への降灰による使用制限のため、運動不足や行事取りやめ等の影響も出ております。 また、洗濯物が外に干せず、乾燥機の購入や洗濯干し場改築への出費が家計の負担となっております。特に、体の不自由な高齢者ひとり暮らしの場合は、室内乾燥を余儀なくされ、雨天が続く場合は、衛生上の問題が発生することも懸念されます。 阿蘇山と富士山の違いは、観光で見学するものか、そこで一体となり、自然と人間が共生していくかの違いにあります。 私は、露地野菜を栽培している農家に被害状況を聞きに訪れたとき、言われたことが強く心に残っております。俺たちは、昔から何代にもわたりここで農業をしてきて、火山灰や自然災害とつき合いながらやってきた、それが嫌ならとっくによそに行っとる、そっでんここにおっとは、やっぱここがよかけんたい、山のおかげでこん家もこん畑もあっとだけん。そう言われ、火山灰を嫌うどころか、阿蘇の火山活動を日常の自然と捉え、あがめておられることに深い感動を覚えたものでした。それゆえに、私は、火山灰対策に粉骨砕身取り組んでおるわけでございます。 阿蘇の火山活動に対応しながら営農を続けていくためには、幾つかの支援が必要であると考えております。降灰が大量に降れば、農地が酸性化し、作物の育成に影響を与えることが懸念されます。土壌酸性化により収量が著しく低下することは御存じのとおりです。苦土石灰等を散布し、中和する必要が出てきます。 そこで、まず1点目として、降灰による酸性化が懸念される圃場の土壌改良への支援についてお伺いします。 次に、ハウス栽培では、降灰の影響は直接に受けにくいと思われがちですが、降灰により日照遮蔽になるばかりでなく、大量の降灰や酸性の灰によりビニール等が劣化しやすくなると言われております。収量低下の原因となるため、支援対策が必要と思います。 また、牧野では、牧柵として使用している有刺鉄線が降灰による酸化で劣化が進むことにより、予想より早く断線し、その崩れた箇所から観光客が牧野に入ることで、人の事故や家畜伝染病の発生リスクが高まることが懸念されております。 そこで、2点目として、降灰による資材等の劣化への支援についてお伺いします。 3点目は、高額な機械への支援についてお伺いします。 私が調べた範囲では、降灰被害軽減のため、お茶などの摘採前洗浄機約650万や摘採機能付除灰機約950万、ついた灰を落とす据え置き型洗浄施設、牛馬の飼料を安定して収穫するための飼料作物栽培管理用機械などがあるとのことです。これらの機械は高額で、とても個人で購入できるものではありません。 そこで、集団的使用者への購入助成や補助金、今後の県の支援策について、あわせて農林水産部長にお尋ねします。 ○議長(井手順雄君) 農林水産部長福島誠治君。――残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) まず、1点目の土壌改良への支援についてでございますが、県では、関係20市町村と連携し、28地点で定期的に降灰量調査を実施しております。 今のところ、降灰量、酸性度、いずれも土壌改良が必要な水準には達しておりませんが、今後は、土壌の酸性化に十分注意しながら、引き続き火山活動を注視するとともに、必要に応じて石灰資材の購入支援を行ってまいります。 次に、2点目の資材等の劣化への支援でございます。 ビニールフィルム等は、降灰で劣化が進みやすいということで、更新への支援要望が上がっております。国の補助事業が活用できますが、その要件として、光の透過率がおおむね7割を下回っている必要があります。現在、その調査を行っております。それらの結果を踏まえまして、今年度予算で早期に更新が必要な施設から順次対応し、これを超える要望につきましては、来年度予算で対応できるよう、早急に国に要望してまいります。 また、劣化した有刺鉄線につきましても、牧野組合等が安全に利用できるよう、牧柵等の放牧資材の導入を支援します。 最後に、3点目の機械購入への支援でございます。 こちらにつきましては、これまでも洗浄機や除灰機等の整備を支援してまいりました。この際には、農業者3者以上での導入を対象に、機械の有効利用を進めております。来年度につきましても、関連予算を今定例会に提案しております。また、飼料作物栽培管理用機械につきましては、畜産クラスター事業等の活用により導入を進めてまいります。 降灰が営農に支障を来さないよう、今後ともソフト、ハード両面にわたって対策を進めながら、悠久の宝である阿蘇山との共生による農業振興にしっかり努めてまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 今回も時間が足らなくなってまいりました。 ただいま農林水産部長より答弁いただきました。 終わります。(拍手) ○議長(井手順雄君) 昼食のため、午後1時まで休憩いたします。  午後0時7分休憩    ――――――○――――――  午後0時59分開議 ○副議長(田代国広君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩田智子さん。  〔岩田智子さん登壇〕(拍手) ◆(岩田智子さん) こんにちは。熊本市第一選挙区・くまもと民主連合の岩田智子でございます。きょうで通算8回目の質問になります。どうぞよろしくお願いいたします。 今回の質問も、県民の皆さんからの声をもとにつくってきました。県政の方向性を確かめたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、通告に従い質問を始めます。 最初に、県民に愛される熊本の農業について。 まず、稼げる農業について知事にお尋ねをいたします。 知事は、農業を県政の最重要分野として位置づけ、取り組まれておられます。そこには、1番に稼げる農業があり、意欲ある経営者の所得が最大化するよう、販売価格の上昇、安定した生産、出荷量の確保、コスト縮減という3つの要素を挙げておられます。 私自身も、熊本県は農業県であり、熊本で生産されるおいしい農産物を県外の方々にも大きくアピールしています。うちには土地もなく、農産物の生産は農業者にお任せで、専ら消費者として毎日を過ごしていますが、地産地消で、安全で安心できるおいしい農産物を購入できる幸せを感じています。 さて、今回質問することは、稼げるという言葉のことです。実は、ずっと気になっております。辞書で調べると、稼ぐの意味は、働いてお金を得る、努力して利益を得る、生計を立てるために一生懸命働くです。当たり前のことですよね。農業を仕事にしている方々にとっては、収益の安定が一番の目標であるのは当たり前です。 しかし、知事の言われる稼げるの意味がちょっとよくわからないのです。県政報告会の中で、知事が答弁したことを報告します。知事は稼げる農業を進めていますと報告をすると、稼げるっていうと、何か安心、安全はどうでもよくて、もうければいいみたいな感じがするとか、県産の農産物に魅力がなければ、TPPや日米貿易協定などの貿易協定で安ければいいってそっちに流れて稼げぬよねとか、稼げるっていうと、大量生産とか、何か工業的なイメージがあるねというような言葉が返ってくるんです。このように、稼げるのイメージは、人それぞれ、人によって大きく異なるようです。 私は、稼げるには、消費者が望む安全、安心な農作物をつくるといった消費者目線の取り組みを初め、多くの内容が含まれているはずだと思っています。稼げるの言葉の中にある知事の農業に対する思いをいま一度お尋ねしたいと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 農村に生まれ育った私は、農業をこよなく愛しています。多分、日本中の都道府県知事の中で農業経験のあるのは、私だけだと思います。そのような形で、農家に対する尊敬も、とてもあります。 私は、農業は、食料供給だけでなく、地域に根差し、人と人をつなぎ、豊かな環境を育む存在だから、とてもすばらしいと思います。そして、県民の健康と豊かな生活を支えることができる、夢と誇りが持てる職業だと思っています。 私が知事に就任した当時、農家の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加や農産物の価格低迷など、農業を取り巻く厳しい環境に大変な危機感を覚えました。 そこで、私は、熊本の宝である農業が、何よりなりわいとして確立されなければならないとの強い思いから、稼げる農業を掲げました。 そして、その実現に向けて、3つの要素、価格P、生産量Q、そしてコストCの最適化を進め、意欲ある農業者の所得が最大化するよう取り組んでまいりました。 具体的には、くまもとの赤、また、くまモンの活用によるブランド化による価格の上昇、収量が多いイチゴ「ゆうべに」の普及のような生産量の拡大、これを向上させる取り組みを進めました。 さらに、私は、それまで余り熊本の農業の哲学になかったコストの削減を重視し、農地集積や大規模法人の設立、ICTを活用した低コスト栽培技術の導入など、全国に先駆けたさまざまな取り組みを進めてまいりました。 ただ、稼げる農業は、農産物を買っていただく消費者の信頼なくしては成り立ちません。生産される農産物が安全、安心であること、環境にも配慮したものであることがとても重要です。 そこで、地下水と土を育む農業推進条例を制定し、水田での地下水涵養や環境と安全に配慮したグリーン農業の推進など、安全、安心な農産物づくりに取り組んでまいりました。 その結果、農業者によるグリーン農業の生産宣言数や購入して応援いただける消費者の応援宣言数は、いずれも目標を達成し、グリーン農業に対する理解は深まってきています。 こうした取り組みにより、本県の農業産出額は、熊本地震という未曽有の災害を経験した中においても全国6位を堅持しており、平成30年の生産農業所得は、前年の6位から5位に上昇しました。 農業が未来の世代に確実につながっていくよう、今後とも、安全、安心を大事にした稼げる農業を、私が先頭に立って推進してまいります。 きょうの岩田先生の御質問で、私がそこまで考えていなかったことがわかりましたので、やはりさまざまな方の考え方を常に考慮しながら発言していかなきゃいけないなと思いました。また、稼げる農業にかわるようなすばらしいスローガンができたら御紹介したいと思います。ありがとうございました。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 知事が最後に言われましたけれども、知事の稼げるの言葉の中にある農業に対する思いなどは今の答弁でわかりましたが、私としては、やはり皆さんの思い、稼ぐという言葉の中にあるものがなかなか県民に広がってないというかな、そういう思いがあって、あえて質問しました。 稼ぐ、安定した暮らしができるということは当たり前のことで、そこが、今までもありましたけれども、SDGsとか持続可能なというようなことを考えていかなければいけないので、稼げるの言葉はどうかなというふうに思って質問をしました。 ある農家の人は、まあ暮らせる農業でよかっじゃなかとというような方もいらっしゃいましたが、私は、やっぱり持続可能なというような、そういうものがついたらいいんじゃないかなというふうに思っています。それは当たり前なんですよね。農業が持続可能でないと、私たち命がつながりませんからね。 次に、知事からも話が出てきました地下水と土を育む農業について質問をいたします。 豊かできれいな地下水や自然環境を守る、このことこそ今大切にしていかなければならないと感じています。次世代に今の環境を残していくための重要なミッションです。 平成27年に、地下水と土を育む農業推進条例が施行されました。この条例の施行とあわせて、熊本県では、本県の宝である地下水と土を育む農業の推進に関する計画を策定し、本県の宝である地下水と土を、50年先、100年先の未来に引き継ぐという目標を掲げ、くまもとグリーン農業を初めとしたさまざまな施策を進めておられます。大変応援しております。 くまもとグリーン農業とは、土づくりを基本に、化学肥料や化学合成農薬を慣行栽培より減らした、環境に優しい農業のことです。 県では、第2期地下水と土を育む農業の推進に関する計画の策定に向けて、昨年末パブリックコメントを実施し、今後のさらなる充実に向けて取り組まれることと思いますが、アピールもまだまだ足りないと実感しております。 生産宣言をされている方が本年1月末時点で2万1,046件、応援宣言をされている方が3万2,944件、まだまだ広がるはず、いや、もっと広げなければと思っています。 小学校の副読本として県が発行している冊子の中には、本当にわかりやすく農業の力を使って地下水や土を守る仕組みや取り組みが書いてあります。改めて読んでみると、本当にわかりやすく、大事なことが簡潔に書かれています。多くの人に学んでいただきたい内容です。 農業産出額全国6位――先ほど5位と言われましたが、6位を誇る熊本の生産者の多くが、農業生産活動の中で、熊本の宝である地下水や土といった自然環境の保全に心を砕かれていることは大変意義深いものであり、これから先もしっかりと発信していただきたいと願っています。 そこで、次年度から新たなる計画のもとで始まる第2期地下水と土を育む農業について、今後どのように展開していかれるのか、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) 地下水と土を育む農業につきましては、条例に基づき、県民運動を基本として展開してまいりました。先月28日には、知事を本部長とする関係15団体で構成する県民会議を開催し、令和2年度から5年間を期間とする第2期計画について、関係機関が相互に連携し、協働して取り組むことを確認したところです。 第1期計画では、先ほどの知事の答弁にもありましたとおり、くまもとグリーン農業の生産宣言数や応援宣言数が、いずれも目標を達成することができました。ただ、その一方で、グリーン農業農産物の販売店舗数や堆肥の広域流通は、目標を達成することができませんでした。 そこで、第2期計画においては、第1期の成果と課題を踏まえながら、次の4点を中心に施策を展開することとしております。 まず1点目は、県民運動のさらなる展開です。 特に、未来を担う子供たちに、農業体験や副読本を活用した授業等を通じて興味や関心を高めてもらうなど、幅広い世代での理解促進を図ってまいります。また、グリーン農業農産物の販売店舗数を県内外に拡大し、消費者がより身近に購入できる環境を整備します。 2点目は、くまもとグリーン農業の高度化です。 具体的には、害虫を捕食する天敵資材の活用やアルコールを使った土壌消毒といった技術の導入などにより、化学肥料や農薬のさらなる削減に取り組みます。 3点目は、良質な堆肥生産と利活用の促進です。 質の高い堆肥生産にたけた「たい肥の達人」認定者をふやすとともに、耕種農家と畜産農家の意見交換の場を創設し、議論を深めながら、広域流通をより強力に進めます。 4点目は、水田湛水の推進です。 白川中流域はもとより、周辺の台地部等において、水稲作付時に加え、作物がない時期の湛水にも取り組むことで、地下水の涵養量の拡大に努めます。 このように、第2期計画を総合的かつ計画的に推進していくことで、より多くの県民の方々が、熊本の宝である地下水と土に思いを寄せ、未来に向けた行動をとっていただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 熊本の宝である地下水は、阿蘇の地層と畑や田んぼのおかげであります。質のよい地下水のためには土が大切、これを守り続けていくことは、先ほども言いましたけれども、農家が安定して農業を営めること、そして熊本に住む人々の命の源だと思っておりますので、本当に大きな運動にしていかなければならないと思っています。 大規模農業とか農地集積というところがスポットライトに当たりますが、地産地消とか環境保全とか、そういうところももっと前面に出して訴えていかなければならないのではないかなと思っています。 次の質問に移ります。 性暴力、性犯罪被害防止について質問をいたします。 「あなたが望まない性的行為は性暴力です。性暴力はあなたに対する著しい人権侵害であり、犯罪行為です。」熊本県の性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターであるゆあさいどくまもとのパンフレットに書かれているものです。 性犯罪とされる強制性交、強制わいせつを合わせた熊本県内における性犯罪の過去10年の認知数、検挙率を見てみると、平成25年、認知数106件、検挙率69%をピークに、認知数は減少し、令和元年には53件、検挙率は上がり、94%となっています。 先ほどのゆあさいどくまもとでは、平成27年6月から、県の委託を受け、24時間体制で相談に応じています。平成30年度中は、970件の相談を受け、39人の被害者に119件の付き添い支援を行っています。そのうち、21人、81件を未成年者が占めているということです。 2014年度の内閣府の調査で、異性から無理やり性交された経験があると答えた女性は15人に1人、被害を受けた人のうちで警察に相談したのはわずか4.3%、誰にも相談しなかったという人は67.5%にも上り、多くの人が一人で苦しみ続けているという結果が出ています。また、顔見知りからの被害が75%です。 このことを見ると、犯罪認知件数や検挙率、相談件数は、氷山の一角ということになります。一人で悩んでいる被害者、犯罪とはわからないまま犯罪を重ねている加害者がたくさんいるということになります。 2017年には、110年ぶりに性犯罪に関する刑法が改正され、強姦罪が強制性交等罪と罪名が改められ、これまで被害者を女性だけに限定していたものを、性別を問わないとなりました。また、性犯罪が厳罰化され、被害者の告訴がなくても起訴できるようになりましたし、18歳未満の者に対して、親などの監護者が、影響力があることに乗じて性的行為をした場合は処罰されるようになりました。しかし、13歳以上の者に対しては、加害者による暴行または脅迫があったことを証明できなければ、強制わいせつ罪等では立件が難しいなどの課題もありますし、被害者が泥酔状態であった場合などは、被害の立証自体が困難であることもあります。 このように、性犯罪から県民を守り、その被害者を十分にケアするにはさまざまなハードルがあるわけですが、福岡県では、性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例をつくっています。福岡県は、性犯罪が全国的にも多い県ですが、熊本でも、取り組んでいかなければならないと思っています。 そんな格好していたからでしょ、夜中に歩いとったけんでしょと被害者が責められるケース、2次被害は、後を絶ちません。 性犯罪被害防止、性犯罪被害者の相談しやすい体制づくり、被害者支援、未成年者の被害防止の啓発、そして加害者への再犯指導をどのように取り組んでいるのか、警察本部長に、また、性犯罪被害者支援の取り組みについて、環境生活部長にお尋ねします。 また、このことに関連して、災害時のことについてお聞きします。 阪神・淡路大震災のときに、避難所での性暴力が発生したと問題提起がありましたが、被害届などがないなど、客観的資料がないためにデマ扱いをされ、バッシングも起こりました。 しかし、東日本大震災のときには、民間女性団体が「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査を行い、報告書をまとめ、ようやくきちんと形にして語ることができるようになりました。 この調査では、さまざまな性暴力の実態が浮かび上がりました。そして、熊本地震でも、避難所で強制的な性交、盗撮など、約10件に上ったとの報道もありました。 避難所で、10代の少女の布団に少年が入り込み、服を脱がされ、恐怖で声を出せずに耐えたということがありました。親が子供の様子に気づき、事件は明るみに出ました。しかし、強制性交等罪は適用されませんでした。その後の民事訴訟では被害が認定され、全面勝訴でした。平時でさえ訴えにくい性暴力が、災害時はさらに潜在化しやすいと指摘されています。 当時から、内閣府も、性犯罪防止策の検討が必要と、避難所運営ガイドラインに盛り込んでいました。しかし、被害防止のポスター掲示をお願いしても、うちはそんなことはないからと掲示を断られたり、男女共同参画の視点の必要性も理解されにくかったりという課題も浮き彫りになったようです。 これからも、いつ災害が襲うかもしれません。全国の女性議員の集まりがあるのですが、災害時の性暴力、性被害の問題は、各自治体で取り上げられているようです。熊本県からの男女共同参画の視点での発信は全国に広がっていますよとの声もいただいています。性犯罪防止には、男女共同参画の視点も重要なのだと、改めて確認しました。 そこで、災害時の性暴力、性被害防止のための男女共同参画の視点からの取り組みについても、環境生活部長にあわせてお尋ねします。  〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌君) まず、性犯罪被害防止対策及び未成年者の被害防止の啓発についてお答えします。 県警察では、防犯カメラの設置促進を初め、声かけ等の前兆事案への速やかな対応、早期検挙など、性犯罪被害防止対策を推進しています。また、児童生徒に対し、インターネットを介する犯罪被害に遭わないよう、あらゆる機会を捉えて啓発を行っています。 次に、性犯罪被害者が相談しやすい体制づくり及び被害者支援についてお答えします。 性犯罪被害者が相談しやすくするため、平成8年から性被害相談電話を運用し、昨年、41件の相談を受けております。また、被害者の初診料、処置費用等を公費で負担する制度を整備し、昨年、13人の方へ支援しております。加えて、くまもと被害者支援センターと連携し、被害者等の求めに応じて検察庁への付き添い、裁判の代理傍聴等の継続的支援も行っております。 最後に、加害者の再犯防止についてお答えします。 13歳未満の者に対する強制性交等の性犯罪を行い、懲役または禁錮の刑を執行された者のうち、組織的かつ継続的に措置を講ずる必要があると認めた場合については、出所後、継続的な所在確認、面談等を実施しております。 今後も、関係機関と緊密に連携し、徹底した性被害対策を講じてまいります。  〔環境生活部長田中義人君登壇〕 ◎環境生活部長(田中義人君) 性犯罪等の被害者は、被害を受けているときやその直後だけでなく、相当の期間経過後も、さまざまな困難や苦しみを抱えておられます。 県では、性犯罪等の被害者を支援するため、ワンストップ支援センターゆあさいどくまもとを開設し、相談対応のほか、病院や警察への付き添いなど、総合的な支援を行っております。 相談は、支援の入り口として重要であり、被害者が一人で悩まず、相談しやすいよう、36人の女性相談員が24時間体制で電話やメールでの相談に応じております。その結果、平成28年度が619件、29年度が783件、30年度が970件と、相談件数は年々増加しており、今後も、相談しやすい体制づくりに努めてまいります。 また、県では、犯罪被害者等基本法に基づき、犯罪被害者等支援に関する取り組み指針を定め、全市町村への相談窓口の設置や被害者に対する県民の理解促進を図る広報活動等の取り組みも進めております。来年度には指針の見直しを行い、支援の充実に努めてまいります。 次に、男女共同参画の視点からの災害時の性暴力、性被害の防止のための取り組みについてお答えをいたします。 東日本大震災時に被災した女性を支援している民間団体の調査報告書によれば、災害時には、避難所など、不特定多数の方々が集まる場所で、性暴力を初めとする性被害発生のリスクが高まることが指摘をされております。 このことから、熊本地震の際には、避難所での性被害を防止するため、直ちに、県と熊本市が連携して、注意喚起のポスターを作成し、全市町村へ避難所等での掲示を依頼いたしました。また、就寝場所や女性専用スペースの巡回警備など、女性に配慮した避難所運営についても、文書で依頼をいたしました。 一方で、議員御指摘のとおり、一部の避難所でポスター掲示に難色を示された事例があり、男女共同参画の視点について理解が不十分であったことも事実でございます。 県では、熊本地震の経験を踏まえ、市町村向けの避難所運営マニュアルに、男女別の更衣室の確保や避難所運営への女性の参画等を新たに盛り込みました。 このマニュアル等を活用しながら、庁内関係課や市町村と連携し、災害時の性被害防止に向け、平時より男女共同参画の視点についての啓発に努めてまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 性暴力を告発する動き、ハッシュタグでミー・トゥー運動と言うんですが、世界中に広がりました。日本では、昨年3月、19歳の娘に対する実父の性的虐待などの性暴力の無罪判決が4件相次いだんですよね。これらに抗議する意味で、性暴力の撲滅を願ってフラワーデモというのが、毎月11日、34都道府県で開催をされています。熊本でも、きのうの夜、静かに開催されました。 性暴力は心が壊されます。そして、声を上げれば、あなたも悪いと責められます。被害者が孤立をさせられる、こんなことは終わらせたいと思います。 先日、熊本警察学校の卒業式のニュースで、女性警察官が、被害者に寄り添える、そういう警察官になりますというふうにインタビューをされていまして、お願いしますよと、テレビに向かって言ったことを覚えています。本当にうれしいインタビューでしたが、徹底した性被害防止対策を講じるとの答弁をいただきましたが、本当にお願いしたいと思います。 被害者支援をされているゆあさいどくまもとでの支援は、本当に重要です。相談員の皆さんも、24時間、ボランティアのような待遇で相談に応じておられます。国からの補助もありますが、足りません。本を寄附してそれを活用するホンデリングなどの寄附も、みんなで取り組んでいけたらなというふうに思っています。 災害時のことですけれども、熊本から、成果や課題をしっかりと検証して、全国へと率先して発信してほしいと願います。 地震後、女性防災士もたくさん誕生していますので、男女共同参画の視点での取り組みも積み上げられていくと思います。そして、性暴力、性犯罪被害の根絶を願います。被害者が責められるのではなく、悪いのは加害者です。 次の質問です。 若年の人工妊娠中絶、妊娠、出産についてです。 これまで、少子化対策をどうにかしていかなければ、産みたいと思う人が安心して産める社会をと思い、議会でも発言をしてきました。気になっていることがあり、今回質問をします。 1点目が、人工妊娠中絶について、中でも10代の人工妊娠中絶について取り上げたいと思います。 なお、ここで言う人工妊娠中絶とは、母体保護法の規定に基づいて医師会が指定する指定医が、本人、配偶者の同意を得て行うことができるとされている手術のことです。 平成30年度の10代での人工妊娠中絶実施件数は、全国で1万3,588件で、前年度の1万4,128件に比べ、540件、約3.8%減少しました。 熊本県を見てみましても、実施件数は、211件で、前年度の248件より37件、約14.9%減少しています。10代の人口比で見る人工妊娠中絶実施率も、平成29年度の6パーミルから、平成30年度の5.1パーミルに減少しています。しかし、都道府県別に見たときに、熊本県は、全国でも10代の中絶率が比較的高く、この傾向はずっと続いています。 厚労省によると、必ずしも居住地域において数値が計上されるものではないので、匿名性を保つために都道府県を越えて人工妊娠中絶を受ける可能性もあるとのことですが、10代での人工妊娠中絶の減少に向けて、県ではこれまでどんなことに取り組んでこられたのかについて、健康福祉部長にお尋ねします。 2点目は、10代の妊娠、出産について取り上げたいと思います。 平成15年に日本産婦人科医会が行った10代の人工妊娠中絶についてのアンケート調査によると、人工妊娠中絶に至った10代の対象者のうち、妊娠がわかったときに、うれしかったと思った者が32.6%あり、また、産みたいかと問われたところ、産みたかったと回答した者が39.3%であったとのことです。 10代といえばまだ子供というのが一般的な捉え方かもしれませんが、自身の体内に生命が宿るというのは、10代の女性にとっても、うれしく、また、いとおしいと感じる特別なものであることがよくわかる結果です。 しかし、人工妊娠中絶を選択した理由に関する設問では、収入が少なくて育てられない、若過ぎる、未婚のため、子育てに自信がない、学業に差し支える、親の反対など、若年妊娠に必ずつきまとうであろう課題が順に挙げられます。 私は、家庭科の教師として、社会において自立的に生きる基礎を培う観点から、生きる力を育むことを目指して、家族と家庭生活の分野で子供たちに伝えてきましたので、出産に関しては、経済的、生活的、精神的な自立の上での自己決定を望んでいます。 平成20年から28年までの厚生労働省人口動態統計によると、我が国における全出生数のうち、母親の年齢が10代の若年割合は、1.3%前後で推移しています。実際に、熊本県での若年出産の出生率は、29年度では、14歳以下で1人、15歳から19歳で198人となっています。 その一方で、心中以外の虐待死事例における10代の若年妊娠の占める割合は、平均17%であり、その高さは顕著です。また、家庭の経済状況は、不明であるものを除けば、市町村民税非課税世帯が45.9%と最も多く、さらに、家計を支えている主たる者は、実母と実父が最も多く、生活そのものが困難な状況にあることがうかがえます。 このように、若年妊娠を取り巻く現状は、大変厳しいものがありますが、生まれてきた子供の健やかな成長を支えていく必要があります。また、その親についても、母体保護の観点はもとより、本人の生活力も含めた生活基盤そのものが脆弱であるケースが多く、将来にわたって負の連鎖に陥ってしまわないよう、複数の支援機関をつなぐ伴走型の切れ目のない支援が求められます。 国は、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の提供を目的として、子育て世代包括支援センターの全国展開を進めています。この事業は市町村事業ですが、保健師等を配置して妊産婦等からの相談に応じ、健診等の母子保健サービスと地域子育て支援拠点等の子育て支援サービスを一体的に提供できるよう、必要な情報提供や関係機関との調整などを行う機関です。 特に、若年妊娠のようにさまざまな困難を抱えているケースでは、多くの関係機関が支援にかかわる必要があります。このセンターが窓口となり、各関係機関のサポートやサービスをつなぐ支援プランを策定することにより、包括的で切れ目のない支援が期待できるのではないでしょうか。 国の資料を見てみましたが、イメージ図には、このセンターが、医療機関、保健所、児童相談所、子育て支援機関、利用者支援実施機関、障害児支援機関、民間機関、関係団体とのネットワークを築き、母子を包み込んでいる様子が描かれており、これが全市町村に設置されると大変心強いです。 法律上の正式名称は母子健康包括支援センターですが、平成29年4月1日施行の改正母子保健法第22条においては、「市町村は、必要に応じ、母子健康包括支援センターを設置するように努めなければならない。」と規定され、国は、令和2年度末までの全市町村設置を目指しているとのこと。 しかし、設置が進まない市町村もあり、その理由の多くが、母子保健担当課と子育て支援担当課との間で、どちらがセンターの担当課になるか、なかなか調整がつかないためという話をよく耳にします。そうした市町村には、改めて、住民の立場に立って、トップダウンでの設置指示を希望するものであり、また、県においても、母子保健法において想定されている市町村に対する必要な技術的援助を期待したいと思います。 そこで、県内市町村における子育て世代包括支援センターの設置状況、さらに、同センターに対する県の認識と今後の対応について、1点目の質問とあわせて健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、1点目の10代の人工妊娠中絶の減少に向けた取り組みについてお答えします。 議員御指摘のとおり、本県の10代の人工妊娠中絶実施件数、実施率は、いずれも平成14年をピークに減少を続けているものの、全国的に見ると高い水準にあります。 人工妊娠中絶は、女性にとって身体的にも精神的にも影響を及ぼすものであり、望まない妊娠を予防することが何より重要な課題であると認識しています。 このため、県では、平成22年から、高校生を対象に、医師や助産師等を講師とした思春期講演会を延べ189校で実施してきました。 また、思春期の性や妊娠、出産に関する悩みなどに保健師等が対応する専用の相談窓口を女性相談センター内に設置し、県下全ての高校生に対し、周知のためのカードの配付なども行っております。 引き続き、教育機関ともしっかりと連携を図りながら、望まない妊娠の未然防止に努めてまいります。 次に、2点目の県内市町村における子育て世代包括支援センターの設置状況等についてお答えします。 現在、県内で子育て世代包括支援センターを設置しているのは、9市町村で、設置率は、全国平均の57%を大きく下回る20%となっています。 子育て世代包括支援センターでは、10代の妊婦のように、出産前からの手厚い支援が特に必要なケースについては、保健師が家庭訪問を行い、本人や家族の抱える課題を丁寧に聞き取った上で、医療機関など多くの関係機関が連携して個別支援プランを策定し、継続的にフォローを行っています。 県としましても、このように手厚い支援が必要な妊婦を早期に発見し、適切な支援につなぐセンターの役割は、安心して出産、子育てできる環境を整える上で大変重要と考えています。 県では、これまでも、市町村に対し、意見交換会や研修会、先進事例の情報提供などを通してセンターの設置を働きかけてきました。しかし、議員御指摘のような、センターの組織上の位置づけをどうするかといったことなどが課題となり、設置が進まない市町村も多く見受けられます。 このため、今後は、さらに市町村長を交えた個別協議の実施など、働きかけを強化し、センターの全市町村設置が早期に実現するよう取り組んでまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 答弁いただきました。 人工妊娠中絶については、そのものに対する是非もあります。望まない妊娠をした場合の現状を受けとめた上、中絶の件数は少なくあるべきだと思って質問をいたしました。 学校でも、性教育を計画的になされておられますよね。性交や避妊という言葉は、高校生ぐらいからしか使わないような感じなんですよね。でも、性交同意年齢は13歳とされているんですよ。そうしながらも、性交とかそういうきちんとした知識を教えようとすると、行き過ぎだというバッシングが起こったりもします。正しい知識を持たせることが大事なことだと私は思っています。産婦人科の先生などの出前授業は、本当に学校でもとても効果的だと思います。 若年出産の場合は、ママたち自身がネグレクトや児童虐待などの環境に置かれていたり、いじめや不登校の経験があったりといった社会的な条件不利の中で育っている場合もあります。通学中の場合、学歴がその後の就職や賃金などに影響するため、退学をしないという選択もとってほしい。 さまざまな機関と連携した支援は、これこそが最重要だと思います。しっかりと取り組んでいただきたいし、市町村にもぜひ頑張ってつくっていただきたいなというふうに思っています。 ここで、言っておきたいことが1つあります。妊娠というのは、女性だけでできるものではありません。ここで、男性の責任もあるということだけは、改めて言っておきたいと思います。 次に、幼児教育、保育の無償化についてお聞きします。 令和元年10月1日から始まった幼児教育、保育の無償化について質問をします。 無償化前は、幼稚園に通う1号認定子供は、保育料と副食費、主食費の実費が保護者負担でした。保育所等に通う2号認定子供は、副食費を含んだ保育料と主食費の実費が保護者負担でした。それが、無償化後、1号認定子供は負担方法に変わりはありませんが、2号認定子供では副食費も実費となりました。年収360万円未満相当世帯及び国の多子世帯算定基準の第3子以降は、徴収が免除をされています。 熊本県では、無償化前よりも新たな負担が発生する場合の激変緩和措置として、9月の補正予算で対応をされました。 幼児教育、保育の無償化については、どんどん進めてほしいと願っていましたが、3歳から5歳児は、全員が無償化の対象ですが、0歳から2歳児は、住民税非課税世帯だけが対象です。また、3歳から5歳児のうち2号認定子供の場合、副食費は実費徴収になりました。県内の幾つかの市町村では、それも無償にするところもありました。 副食費は、4,500円を目安にしています。これについては、内閣府も、令和2年度の取り扱いについて、これからの議論の中で改めて検討を行うとしています。 保育指針には、第3章、健康及び安全の中に食育の推進が書かれています。「保育所における食育は、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標とする」「乳幼児期にふさわしい食生活が展開され、適切な援助が行われるよう」などの文言があります。食育の環境整備についてもしっかりと書かれています。 副食費を保育料から切り分け、実費徴収しなければならないことはおかしいと感じています。食育などの保育の質の低下を招くおそれはないかという心配があります。実費徴収ということで、保育現場の混乱はないのだろうかという心配もあります。全国的にも、徴収免除者に誤って負担を求める通知を出していた問題もありました。自治体職員の仕事もふえたという状況です。 全国知事会や地方3団体からも、内閣府に、保育人材確保や認可外施設の質の向上を要望されています。また、全国町村会からは、無償化で保育ニーズがふえ、待機児童がいなかった地域でも発生しているという声も報告があったとのことです。 また、保育認定を受けた児童は、今回、全ての認可外の施設も無償化の対象となりました。全国的に最低限必要な認可外の指導監督基準さえ満たしていない施設が4割以上あることで、質の悪い施設を温存することになるのではという心配もあります。また、3歳での保育所や認定こども園への希望が殺到し、希望どおり入園できないという悲痛な声も聞いています。 熊本県内の幼児教育、保育の無償化について、副食費に関しての問題は出ていないのか、認可外施設の質を保つために、県としては、それぞれの市町村、施設にどんな指導をされているのかを健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、副食費についてお答えします。 議員御指摘のとおり、保育所等に通う3歳から5歳児の副食費については、無償化に伴い、保育料から切り分けられて、実費徴収へと変更になりました。 そのため、各保育所等では、対象児童の保護者から副食費を新たに実費徴収することになりましたが、現在までのところ、大きな問題や混乱が生じているとの報告は受けておりません。 これは、世帯構成や収入の情報を有する市町村から、各保育所等に対し、対象児童のリストが適切に提供されたこと、各保育所等では、延長保育料や行事費など実費徴収の実務経験があること、口座振替等の現金を授受しない方法が活用されていることなどによるものと考えています。 次に、認可外保育施設の指導についてお答えします。 無償化では、認可保育所や幼稚園等に加え、認可外保育施設についても対象とされました。 県では、従来から、認可外保育施設の適正化を図るため、毎年、所管する施設への立入調査を行っています。 立入調査では、保育従事者の数や資格、保育室の面積、保育内容など、国が定めた基準が満たされているかどうかを確認し、改善すべき事項があれば是正を指導しています。 また、これまで、立入調査は県のみで行ってきましたが、無償化に合わせ、今年度から、保育の実施者である市町村にも立入調査に同行してもらうなど、情報共有を図りながら、連携して指導に取り組んでいます。 加えて、改善事項の指導を徹底するため、来年度から新たに施設の巡回指導を行う専任指導員を配置する予算を今定例会に提案しております。 今後とも、無償化が児童の健やかな成長に資するものとなるよう、市町村としっかりと連携して取り組んでまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 答弁いただきました。 熊本県では、大きな問題や混乱はないという答弁でしたけれども、幼児教育、保育料の無償化後、現場に行って、現場からの声とか預けたい親御さんたちの声も聞いてまいりました。現場をこれからも――今あんまりないということでしたけれども、これから、4月後とか、新年度からどうなるのかというところもしっかり見ていってほしいなと思っています。 未満児と言われる0歳から3歳までの子供の保育料は高くて、3歳で預けようとすると待機になる。大変なことになっています。子供たちに安全、安心な御飯をと、給食に力を入れている施設もどんどんふえてきています。 今回、無認可の保育所も無償化の対象になって、私が先ほど質問したように、心配なことがやっぱりあります。事故のないように、やっぱり保育環境等をしっかり見ていただきたいと思っています。新たに市町村にもしっかり見ていただいているということでしたので、続けてしっかり見ていっていただきたいと思っています。子供はやっぱり宝なので、大事にしていってほしいという、方向性を大事にしてほしいと思います。 それでは、最後の質問です。 給特法改正への対応について伺います。 学校現場の先生方の働き方、待遇について質問を続けています。 私が危惧したとおりに、問題は山積しています。先日も、全国紙に、新規採用教職員が精神を病んで教員をやめる人数などが掲載をされていました。熊本の場合、私だけではなく、多くの議員の方が議会で質問をされてきたこともあり、よい方向に進んでいると思っています。 働き方改革や教職員の長時間労働是正は、行政による業務縮減、定数改善が絶対条件であり、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆるこれが給特法です。給特法の廃止や抜本的見直しが必要だと訴えてきました。 第200回臨時国会では、給特法改正法案が審議され、たくさんの附帯決議をつけて可決されました。 改正されたのは、主に2つの条文です。第5条は、休日のまとめ取りのため、1年単位の変形労働時間制を選択的に導入できるようにするための規定整備です。また、第7条は、今回新たに1条追加され、文部科学省が教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を定めるものとされました。第5条は令和3年4月1日から、第7条は令和2年4月1日から施行することになっています。 第7条に基づく文部科学省の指針は、昨年1月に文部科学省が公表した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの指針化であり、先月告示されました。 指針では、教育職員の服務を監督する県または市町村の教育委員会は、教育職員の在校等時間から正規の勤務時間を除いた時間について、通常は月45時間、1年間360時間の範囲内、児童生徒等に係る通常予見することのできない業務量の大幅な増加等があった場合は、月100時間未満、1年間720時間の範囲内とするため、業務量の適切な管理を行うこととするとされています。 また、服務監督教育委員会は、この指針を参考にしながら、学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針、これを指針では上限方針としておりますが、教育委員会規則等において定めることとされています。 県では、昨年11月に、熊本県の学校における働き方改革推進プランのたたき台を公表していますが、その中で、今回国の指針が示した在校等時間の上限と同様の方針が示されています。 ただし、その資料にある勤務時間の状況把握では、令和元年9月の45時間以上の教職員の割合は、県立学校で45.4%、市町村立学校で49%、また、80時間以上の教職員の割合は、県立学校で13.8%、市町村立学校で8.4%となっており、今後、県や市町村の教育委員会で上限方針を策定するに当たっては、実効性のあるものとしていただきたいと考えています。 そこで、まず、上限方針策定の進捗状況と方針を実効性あるものとするための取り組みについて、教育長にお尋ねします。 次に、第5条は、休日のまとめ取りのための変形労働時間制の導入です。この変形労働時間制という制度を簡単に説明すると、1年間を繁忙期と閑散期に分け、年度初めや学期末などの忙しい学期中には勤務時間を延長し、延長した分、夏休みなどの長期休業期間にまとめて休みをとるというものです。 参議院では、現職の公立高校教員で、改正法案に盛り込まれている1年単位の変形労働時間制の導入に反対する署名活動を、斉藤ひでみのペンネームで取り組んだ西村祐二氏が参考人として呼ばれました。 西村氏は、冒頭、1年単位の変形労働時間制の導入について、率直に言って大変憤っている、政府の言うように教員の長時間労働を改善するための方策ではない、むしろ、現場実感として業務をふやす可能性が大きい、大多数の教員はこれを望んでいないと考える、教職の魅力を向上するものにもならないと反対を表明、変形労働時間制の導入によって、公教育の質が保証できなくなると指摘しました。 それでも国会は可決しました。現場の声を無視した形です。国会で可決されて、現場の先生たちは、これからどうなるのだろうと不安の声が出ています。 現在、公立学校の勤務時間は7時間45分。この変形労働時間制で繁忙期は1~2時間ほど延長され、定時が遅くなります。夜の7時、8時の退勤時間は、今では早いほうです。また、夏休みが閑散期かといえば、そんなことはないのです。このままの導入では、今よりも時間が長くなることもあり得ます。根本的な働き方改革ではなく、改悪だと思っています。 勤務実態を熊本できちんと調べるようになってまだ数年、現場も混乱しています。このような中、変形労働時間制についての現状と対応の方向性を教育長にお尋ねします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 給特法改正への対応について、2点お答えをいたします。 まず、1点目の上限方針の策定状況についてです。 国の指針等を踏まえ、教員の時間外在校等時間を月45時間、年間360時間の範囲内とすることを基本に、現在、県立学校等との調整を図りながら、県教育委員会としての関係規定の整備や方針の策定に向けて、鋭意準備を進めているところです。 また、市町村教育委員会に対しても、必要な情報提供を行い、連携を密にしながら、策定に向けた支援を行ってまいります。 次に、上限方針を実効性あるものとするための取り組みについてですが、熊本県の学校における働き方改革プランを本年夏ごろに策定するため、現在、働き方改革検討委員会を開催するなど、協議を重ねているところであります。 現時点においては、このプランには、勤務時間の適正な管理、人材の確保、活用、業務の削減、効率化など、6つの方針を掲げることとしております。 その中で、特に、小中学校におけるスクールサポートスタッフの拡大や県立学校の一部に学校徴収金業務を担う事務補助職員の新たな配置など、教員の負担軽減を進めていくための予算を今定例会に提案しております。 このように、外部人材の積極的な活用のほか、教員の意識改革等に総合的に取り組みながら、学校現場での実効性ある働き方改革を進めてまいります。 次に、2点目の変形労働時間制についてですが、本制度は、教員がまとまった休日を取得し、自己研さんやリフレッシュの時間を確保することで、子供たちに対する効果的な教育に資すると考えられております。また、教職の魅力を向上させ、意欲と能力のある人材が教員を目指す後押しにもつながるとされております。 現在、国において、令和3年4月の施行に向け、関係省令や指針の制定等の作業が進められております。 県教育委員会としましては、今後も、国から示される制度の詳細を踏まえつつ、県立学校及び市町村教育委員会等の意見も伺いながら、制度の導入について検討を進めてまいります。 ○副議長(田代国広君) 岩田智子さん。――残時間に注意してください。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 答弁いただきました。 学校の働き方改革、本当に今やらなくていつやるのという感じなんですけれども、今回の法改正で文科省の示した教育委員会規則を踏まえて制定していただきたいと思っています。 附帯決議に「勤務時間の記録が公務災害認定の重要な資料となることから、公文書としてその管理・保存に万全を期すこと。」という文言があります。教員の命にかかわることですので、まず勤務時間の管理を徹底させていただきたいと思っています。 しかし、現場の意識改革も、まだまだ始まったばかりというか、途中です。保護者や地域住民にも周知徹底をしていただきたいし、市町村教委との連携も進めていってほしいと思っています。 変形労働制も、本当にどうかなと、私はさっきの西村さんの意見に賛成なんですけれども、県教委は、英語教育とか、国に先んじていろいろ取り組んでおられますので、この働き方改革についても、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 今回は、私のもとに届いた声をもとに質問をつくらせていただきました。これからの方向性が、私としてはいい方向性になるのではないかなと感じたところもありましたので、よかったなと思っています。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(田代国広君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明13日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第4号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時散会...