熊本県議会 > 2019-06-13 >
06月13日-03号

  • JET(/)
ツイート シェア
  1. 熊本県議会 2019-06-13
    06月13日-03号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和元年 6月 定例会               第 3 号              (6月13日)  令和元年  熊本県議会6月定例会会議録     第3号令和元年6月13日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第3号  令和元年6月13日(木曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(49人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            磯 田   淳 君     部長     農林水産部長 福 島 誠 治 君     土木部長   宮 部 静 夫 君     国際スポーツ            寺 野 愼 吾 君     大会推進部長     会計管理者  能 登 哲 也 君     企業局長   岡 田   浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  小 山   巌 君     人事委員会            本 田 充 郎 君     事務局長     監査委員   濱 田 義 之 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 井 淳 一     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     議事課長補佐 下 﨑 浩 一    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(井手順雄君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(井手順雄君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 髙島和男君。  〔髙島和男君登壇〕(拍手) ◆(髙島和男君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・熊本市二区選出・髙島和男でございます。 御代がわりが行われました。昭和天皇の崩御時と違い、今回は、生前譲位とあって、列島はお祝いムードに包まれました。また、改元直前まで平成の陛下の歩みを振り返る特番が相次ぎ、両陛下の被災地訪問の細やかなお心遣い、国民にかけられる優しいお言葉、映像から伝わる慈愛の姿に、連日感動を覚えました。 平成最後の4月30日、私は、県立劇場で開催された熊本県奉祝委員会主催の天皇陛下御即位30年式典に多くの議員と参列しました。陛下は、皇太子時代に4度、即位後に3度本県を訪問されました。当日は、陛下と接する機会があった4人の県民が感謝の言葉を述べられました。中でも、皇居での清掃奉仕に2度参加した、荒尾市出身で佐賀大学3年生の伊藤陽奈子さんの、いずれ教職につき、日本の歴史や伝統文化や皇室のことを学び、子供たちに伝えたいとのメッセージに強い感銘を受けました。 そして、一夜明けた5月1日、新時代がスタートしました。国民の一人として、上皇御夫妻が健やかな日々をお過ごしいただくよう祈念し、令和の時代が、新天皇陛下のもとで、麗しく平和に生きる時が続くことを祈りながら、通告に従い、質問を行います。 まず最初に、新時代における地方自治体のあり方についてお尋ねいたします。 平成が始まった1990年前後は、バブル経済の崩壊直後で、戦後一貫した成長時代が終えんした転換点でした。失われた20年、リーマン・ショックという未曽有の金融危機、国民は物質的に富裕になり、ものづくりの現場は海外移転を余儀なくされました。その後、阪神・淡路、東日本、そして私たちを襲った熊本地震等の災害が頻発をしました。輪をかけて、我が国は、少子高齢化、人口減少と、かつてない局面にあり、課題先進国と言われています。以前は、他の先進国が解決し、それに倣えばよかったのですが、前例がない以上、座標軸を早急に再考し、先陣を切って解決しなければなりません。しかし、問題の多くは、平成に生まれたものではなく、根源はそれ以前にさかのぼり、克服もまた令和の時代に持ち越すものと思われます。 地方自治体に目を向けると、平成時代は、厳しい経済情勢や国の方針転換に翻弄され続けたように思えます。今や多くの自治体は人口減少期に入り、中には移住者の獲得に力を入れる自治体もありますが、しょせん地域間の奪い合いにすぎず、国全体で減少が進む現状では、果実を得られる自治体も限られます。また、平成18年に改正された大店立地法を初めとしたまちづくり3法も、店舗の大型化と郊外化を加速させ、地方における商店街の衰退やスプロール化を食いとめることはできませんでした。 加えて、平成の地方自治体を語る上で避けて通れないのが、平成の大合併です。平成17年をピークに全国で進められた合併は、市町村の行政基盤を強化するため、合併特例法に基づくさまざまな支援策により進められました。その結果、全国の市町村数は、平成11年の3,229から、現在1,718まで減少しました。 合併に関しては、今も評価は二分されています。全国町村会によると、メリットとして、重複投資の解消などによる財政支出の削減、合併特例債等を活用した基盤整備、職員の意識の変化、専門性の向上が示される一方、デメリットとして、財政規律や住民サービスの低下、周辺部の衰退、地域格差の拡大等があります。 現に、人口の少ない地域では、行政サービスの拠点の撤退や集約化が現実と化し、利便性が損なわれることで流出を加速させています。さらに、当時十分な議論や理解がないまま合併した代償が、今も住民の不満としてくすぶり、地域コミュニティーや防災力の低下といった形で表面化しています。 気候、風土、生い立ちも異なる自治体に、国があらかじめ枠組みを設定し、標準化、共通化を求めることで問題が生じます。さかのぼると、古くは、地方開発事業団広域市町村圏、定住自立圏、そして現在の連携中枢都市圏まで、圏域単位での構想が浮かんでは消え、その間に市町村合併が実行されました。いわば広域連携と合併が繰り返されることで、その都度、地方は振り回されてきました。その意味では、昨年7月、総務省が設置した自治体戦略2040構想研究会の第2次報告内容も、これまでの延長線上にあると言えます。 そこで、3点伺います。 まず、新時代の話の前に、これまでの検証が肝要と思われます。そこで、本県及び県下自治体の現状を鑑み、先述した施策も含めて、平成時代、国が進めたもろもろの施策について、所見をお尋ねします。 2点目に、地方自治体は、従来に増して積極的に議論をリードし、行動で示す姿勢が問われます。過去に経験のない異例の事態だからこそ、将来の姿を県民によりわかりやすく提示する必要があります。新時代における本県の進むべき指針についてお尋ねします。 3点目に、国は、都道府県と市町村の二層制を柔軟化し、機能を結集した共通基盤の構築を進める気配も見受けられますが、本県の実態を念頭に、県として、今後、市町村に対してどう向き合っていくのか。 以上3点、知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、平成において国が進めた地方自治体に対する施策についてお答えします。 平成の時代においても、大きな地方自治制度の改革が行われてきました。 具体的には、平成12年に地方分権一括法が施行され、国と地方の関係が対等な関係に位置づけられるとともに、自治体への大幅な権限移譲が行われました。 また、行政体制の充実や財政基盤の強化などを図るため、いわゆる平成の大合併も行われ、県内市町村数は、94から45へと大きく再編が進みました。 これらの施策は、さまざまな制約がある中で、自治体の行財政基盤の強化や地方分権の進展など、行政サービスの提供体制を強化するものであった点は評価できると考えています。 一方で、権限移譲とセットで行うべき財源の移譲は、三位一体の改革もあり、十分とは言えず、自治体は、厳しい財政運営を強いられることとなりました。 今後の地方自治制度の見直しにおいては、地方の行財政運営にも十分配慮がなされるよう、国に対して求めてまいります。 次に、新時代における本県の進むべき指針についてお尋ねがありました。 時代は、平成から令和に移りました。令和は、熊本地震で大きな被害を受けた熊本にとって、大災害からの創造的復興を、地方創生、ひいては熊本のさらなる発展につなげていく時代だと考えます。 私は、熊本復旧・復興4カ年戦略のもと、全力で創造的復興に取り組んでいますが、これまでの取り組みの中に、新しい時代にも通じる幾つかの種があると考えています。 例えば、1つ目は、県民の皆様が安心、安全に暮らせるよう、災害に強い熊本づくりを進めるとともに、今後も起こり得る大規模災害に備え、九州における広域防災拠点の機能強化などに取り組みます。 これらの取り組みにより、災害が多発する社会の中でも安心して暮らせる熊本づくりにつながるものと思います。 2つ目は、インバウンドの獲得です。阿蘇くまもと空港の創造的復興とコンセッション、八代港のクルーズ拠点形成を進めることで交流人口を拡大し、観光の基幹産業化を図り、経済拡大につなげていきたいと考えています。 3つ目は、産業の集積です。熊本地震後に企業立地件数は過去最高を記録するなど、産業の集積が進んでいます。今後、AI、IoTといった最先端技術を活用した新産業の創出に取り組むなど、強い産業を築いていく必要があります。 令和の時代にあっても、これらの取り組みをしっかりと進めることで、熊本のさらなる発展につながっていくものと考えています。 最後に、今後、本県が市町村に対してどう向き合っていくかについてお答えします。 総務省に設置された自治体戦略2040構想研究会では、昨年7月、圏域マネジメントと二層制の柔軟化など、今後の自治体行政の基本的考え方が報告されました。 報告の中で、都道府県は、広域自治体として、核となる都市のない地域の市町村の補完、支援に本格的に乗り出すことや、専門職員を柔軟に活用していく仕組みを構築することなどが示されています。 人口減少社会において、過疎化が進み、地域格差が広がる中で、全ての市町村が一様にフルセット型の行政を行っていくことには限界があります。 また、災害が多発する近年においては、市町村同士、あるいは県と市町村の間における緊密な連携が不可欠と考えています。 県としても、市町村間連携のさらなる強化に向けた調整役や推進役を担うほか、県による市町村の補完としてどのような役割を担えるのか、市町村と議論をこれからも深めてまいりたいと思います。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 知事から答弁を頂戴しました。 国の施策については、賛否評価が分かれ、地方自治制度の見直しは、国に配慮するよう求めるということでございました。また、進むべき指針については、新しい時代に通じる種として、災害に強いくまもとづくり、インバウンドの獲得、産業の集積と、3つの視点から説明をいただきました。 私見ながら、右肩上がりの時代は、富と利益の分配で全国一律事なきを得ました。ところが、今は、一定の負担を求め、時に不利益を分配しなければなりません。それゆえ、国が打ち出す政策を独自にカスタマイズする政策形成能力と県民が納得する指針を掲げ、県民に理解していただくことが必須ではないでしょうか。 市町村とのかかわりについては、きのうの答弁、そして今の発言にもございましたが、2040構想研究会の提案にのっとったお答えでございました。今年度は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の第1期の総仕上げにもなり、これまで以上に、実情や意向を踏まえて、きめ細かな対応、配慮をお願いしたいと思います。 次に、復興基金についてお尋ねをいたします。 ことしも4月14日を迎えました。午前10時、熊本地震犠牲者追悼式が、御遺族を初め、この議場にいる多くの皆さん、国会議員、県下の市町村長列席の中で厳かに始まりました。遺族代表の南阿蘇村の増田敬典さんは、60年連れ添った奥様を亡くされたこと、南阿蘇が大好きだから、微力ながら復興の手伝いをしたいとお話しされました。 人間の記憶は、月日の流れとともに薄れていくのは否めません。しかし、2度の恐怖を経験した県民の一人として、熊本地震を風化させることなく後世に伝える義務があること、それに、議員として、3年が経過した今、当初の施策が現状に合致しているのか、見直す必要はないのか、あの日、私は、式の最中、自席で考えたのでした。 そこで、今回、復興基金に焦点を当てました。今さらですが、復興基金は、国の特別交付税510億円、被災地支援宝くじ交付金13.2億円を原資としています。国や県、市町村が実施する事業では対応できない、被災された個人や団体等の早期復興のために行う事業に活用し、補助事業の裏負担軽減や既存の補助事業で実施すべき事業に充てるものではありません。また、使途については、被災者等の負担軽減や地域活動の拠点施設への復旧支援、地域の防災能力の向上、被災した産業の復旧や観光拠点づくりへの支援と限定されています。 総額523.2億円の配分については、県が活用事業の統一ルールを定めた基本事業分58事業373.2億円、特定被災市町村30団体に対して配分される創意工夫分86.8億円、熊本市を除く被災の大きかった団体に対して配分された県宝くじ交付金分13.2億円、さらに、広域的な課題に対応する県事業の財源として活用する広域的課題対応分50億円の4つに分類されます。 そのうち、基本事業分に着目すると、市町村分36事業には、わかりやすいところで、被災宅地復旧支援事業として、宅地ののり面、擁壁、地盤の復旧工事、住宅基礎の傾斜修復工事があります。また、住まいの再建支援事業としては、転居費用や民間賃貸住宅入居支援等が、地域コミュニティー施設等再建支援事業には、祭りや行事などのコミュニティーの場の再建等があり、当初の設計額293.2億円に対して、平成30年度までの執行額142億円、約5割程度となっております。 なお、創意工夫を含めた枠配分100億円については、各市町村が被災者のきめ細かなニーズにより効果的に対応しつつ、住まいの再建や産業・物産振興等に充当し、昨年12月までに32.4億円を予算化しています。 そこで、復興基金について3点お尋ねします。 過去の事例でも、基金の期限は10年、当然追加はなく、当局がいかに有効活用するか頭を悩ませているのは承知しています。一方で、各市町村の執行状況次第では、今後、不用額が発生することも考えられます。被災市町村長や担当者との意見交換会も数度開催され、新事業の追加、拡充もなされました。しかし、発災から3年がたち、復旧、復興の段階が移り行く中で、改めて、使途について被災市町村の意見を調整、収れんした上で、よりよい活用方法をまとめる必要があるのではないでしょうか。考えを伺います。 次に、事業には要件等が細かく設定され、執行状況が芳しくないものも散見されます。交付事務においても必要以上の書類提出を求められ、自治体からは、事務負担が増加傾向にあるとの声も聞かれます。基金の本来の目的を再認識し、市町村が被災者支援に使いやすい制度の再構築が不可欠ではないでしょうか。所見をお尋ねします。 3点目に、熊本市では、液状化対策など、今後多額の経費を要する事業があります。液状化防止事業は、国の要件では、地下水位低下工法格子状地中壁工法に限定されますが、一部に、2つの工法が実施できない地区があり、その他の工法を模索しています。熊本市も、その工法が補助対象となるように国交省とやりとり中と聞いておりますが、対象とならない場合もあります。こうした多額の経費が必要な事業を有し、枠配分で不足するやもしれない市町村に対して、例えば、まだ使途が示されない広域的課題対応分から追加配分するなどの措置も必要ではないでしょうか。 以上3点、総務部長にお尋ねします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 復興基金につきまして、まず、被災市町村の意見を踏まえた復興基金の活用方策の検討につきましてお答えいたします。 復興基金の活用に当たっては、被災者に最も近い立場の市町村の意見を丁寧に伺いながら事業を考えていく、こういったことが大切であると考えております。これまでも、市町村との意見交換会などの機会を通じてニーズを酌み上げ、復興基金の事業化を行ってまいりました。その結果、7つの事業で開始した市町村向けの基金事業は、復興の段階に応じまして、住まいの再建なども含めた36事業となっております。また、現在、市町村へのアンケート調査を行っており、この結果も参考にしながら、事業の見直し、さらなる追加の必要性を見きわめてまいります。 次に、市町村にとって使いやすい制度へとの御質問についてです。 市町村の事務負担軽減の観点から、交付事務等のできる限りの簡素化は重要と考えております。これまでも、一部の証明書類を提出不要とする取り扱いや確認項目リストを配付するなど、負担軽減の取り組みを行ってまいりました。今後も、適正な事務手続の確保という観点も踏まえつつ、市町村が速やかに事業を進められるよう、運用を改善してまいります。 最後に、復興基金の配分についてお答えします。 復興基金につきましては、まず、宅地被害の復旧など、全ての被災市町村において同水準の支援を受けられるよう、統一ルールによって活用する基本事業分を設けております。また、既存制度や基本事業分のメニューでは拾い切れない被災者のニーズにきめ細かに対応するための市町村の創意工夫分や、今後の執行状況を見きわめながら、広域的な課題に対応する県事業財源として活用するための広域的課題対応分があります。 議員から御指摘のありました熊本市の事業につきましては、現在、市においてどのような対応が可能かを検討されている段階と承知しております。このような復旧、復興の進捗に伴う新たなニーズにつきましては、基本事業分や創意工夫分での対応を含めまして、それぞれの市町村と丁寧に情報交換を行いながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。 今後も、基金の執行状況や執行見込みにつきまして、市町村とも情報を共有しつつ、復旧、復興の進捗を見きわめながら、基金の活用を進めてまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 総務部長から答弁をいただきました。 そもそも、復興基金は、復旧、復興に活用するための県及び被災市町村共通の貴重な財産です。これまで被災者と最前線で対処してきた市町村の意向は、すなわち被災者の思いであり、声と言って過言ではありません。基金の活用、制度の再構築についても、被災市町村の声に耳を傾けた上で改善するとのことでした。ぜひ丁寧に聞き取って、願わくば、共同で見直していただきたいと思います。 次に、入管法改正についてお尋ねをいたします。 日本は、かつて国策として移民を進めた時期がありました。きっかけは、江戸幕府が倒れ、明治の世になり、突如世界の舞台に躍り出たことに端を発します。経済混乱と急速な社会変化に見舞われ、地方では、農村部を中心に、余剰労働力や貧困化する状況が生まれ、ハワイやオセアニアに渡る出稼ぎ労働者が急増しました。なお、当時の渡航者は、数年間の契約労働を目的にした出稼ぎ労働者でした。 明治から大正になると、さらに多くの日本人が、メキシコを初めとしたラテンアメリカ、北アメリカに渡り、差別や排斥の対象となるなど、過酷な環境にありながらも、必死で順応しようとしました。そして、関東大震災後は、社会問題の解決策として、ブラジルへの移民事業を重視し、渡航費補助を始めました。それから、昭和4年、国は、拓務省を設置し、海外移住及び植民の指導と奨励を行い、周辺地域を植民地化し、多くの日本人を流出させ、特に満州国成立後は、特定の地方の家族、村単位で定住移民事業を行いました。ところが、敗戦が決まってからは、私の母を含めて、引き揚げをめぐり、数奇な運命をたどることとなりました。 終戦の後、高度経済成長期、金の卵と称した地方の若人を労働力として確保することで、我が国は、世界に冠たる地位を築きました。その後、業種によって労働者が不足し出すと、外国人受け入れを開始、以後、不足が顕著になると、外国人技能実習制度を創設して、受け入れを拡大しました。 すなわち、労働力の視点で近現代を分けると、戦前までの輸出期、戦後自前で賄った時期、そして直近の輸入期に整理されます。 近年の外国人労働者受け入れ政策は、首尾一貫しているとは言いがたく、パッチワークでしのいできたのが実情です。それを昨年、骨太の方針2018で受け入れ拡大を宣言し、今日までの慎重姿勢を大きく転換した入管法改正が4月1日施行されました。変化のゆえんは、生産年齢人口の減少、東京への一極集中と地方における労働力不足、人手不足倒産の増加等が深刻化したためです。改正の最大のポイントは、これまでの高度外国人材、技能実習生、留学生等の資格に、特定1号、2号の新たな在留資格を設けたことです。今後5年間で、最大34万人程度の受け入れが見込まれています。 そこで、入管法改正に当たり、2点お尋ねいたします。 少子高齢化が急速に進む地域では、農漁業や介護等の分野で外国人を待望する声も聞かれる一方で、外国人材の受け入れ経験が乏しいことから、混乱やあつれきを懸念する声もあります。今回の改正は、受け入れ要件が先行し、施策は具体性を欠き、体制についてはいまだ整備されておらず、不安が募ります。そこで、1点目に、入管法改正に関する本県の取り組みの現状を伺います。 次に、入管法改正の関連で、外国人の自治体職員における在留資格について、複数の職種につくことを包括的に認める仕組みが導入されました。これまで、学校の外国語指導助手など、1つの業務に絞って在留資格を申請し、資格外の業務で活動する際は、業務ごとの活動許可申請が必要でしたが、これからは、教育、通訳、スポーツ指導等、複数の就業を認めることになり、自治体にとっても多様な仕事を機動的に求めることができます。現在、本県でも、外国語指導助手や国際交流員として多くの外国人が従事していますが、導入後の新たな可能性についてお尋ねします。 以上2点、商工観光労働部長にお尋ねします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) まず、入管法改正に関する本県の取り組みの現状についてお答えします。 外国人材の受け入れに当たり、県としては、雇い手と働き手がウイン・ウインの関係を構築することにより、選ばれる熊本の実現を目指すこととし、外国人材受け入れに向けた企業支援等に積極的に取り組んでいます。 具体的には、入管法改正以前の平成29年11月に、人手不足による外国人材へのニーズの高まりを受け、企業からの相談窓口となる熊本県外国人材受入支援センターを全国に先駆けて設置しました。同センターには、これまでに900件を超える相談が寄せられています。 また、昨年8月には、庁内連絡会議を立ち上げ、情報共有化を図るとともに、外国人材の確保や受け入れ環境整備に関する施策を全庁的に展開しているところです。 改正入管法施行後の今年度からは、新たな取り組みとして、経済団体等が行う外国人材を受け入れる企業を支援するためのコーディネーターの設置やセミナーの開催等に助成するとともに、外国人材受け入れに関するパンフレットを活用した啓発にも力を入れていく予定です。 さらに、国の外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に沿って、生活者としての外国人を支援するための総合相談窓口を整備するため、今定例会に関係予算を提案しております。外国語に堪能な相談員の配置や通訳システムの活用等により、11言語以上で、日常生活等に係るさまざまな相談に対応してまいります。 今後とも、本県で生活する外国人の方々に、できるだけ早く熊本になれ親しんでもらい、安心して働き、生活していただけるよう取り組んでまいります。 次に、自治体での外国人職員の新たな活用の可能性についてお答えします。 現在、国の外国青年招致事業、いわゆるJETプログラムにより、県内自治体で145人の外国人材が活躍しています。 今回の入管法改正により、事前に許可を受けることで、もともとの在留資格である外国語教育や国際交流などの業務に加え、在住外国人との共生に向けた取り組みや地域の観光情報の発信など、多様な業務に携わることができ、活躍が期待されます。 海外インバウンドへの対応など、県内の自治体においても外国人材の必要性が高まっており、この制度について、関係市町村へも積極的に周知してまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 私の身近に、長年外国人技能実習制度を活用している事業所がありますが、そちらは、これまで中国人を雇用されていましたが、最近は、ベトナム、カンボジアにシフトされています。それは、中国の賃金水準が高くなったことと、働き方改革導入により、長時間働きたい彼らの要望に応えられないからです。 今回の改正も、日本で働きたいと思う外国人からすると、台湾、韓国などと比べて、高いハードルがあります。また、これまで労働力を輸出してきた中国がいずれ反転することを考えると、外国人労働力の奪い合いは、ますます激化するものと思われます。 今部長の答弁では、選ばれる熊本の実現として、連絡会議の立ち上げ、今年度からは、パンフレットの作成、相談窓口の整備等、環境整備に取り組むとのことでした。今後、一体どれだけの外国人が本県に来るのか皆目見当がつきませんが、万事遺漏なきよう、遂行すべきを整理し、市町村初め関係機関と情報共有することを要望しておきたいと思います。 次に、新たな空港運営会社との連携とこれからのインバウンドについてお尋ねをいたします。 統一地方選告示前日の3月28日、国交省は、コンセッション方式を導入する熊本空港特定運営事業等の公募型プロポーザルを実施した結果、三井不動産を代表企業とするMSJA・熊本コンソーシアムを優先交渉権者に決定。4月22日、基本協定を締結。そして、5月31日、国交省は、MSJAが設立した熊本国際空港株式会社と、熊本空港の運営に関する実施契約を締結したことを発表しました。構成員には、九州電力ほか地元企業を含めた計11社が名を連ね、今後、ビル運営事業開始は7月、空港運営事業開始は来年4月を予定しています。 今回のプロポーザルには、3コンソーシアムが参加し、石井大臣の会見によると、全体的な事業方針、地域との連携、運営権対価などの項目において相対的に高い評価を得て、MSJAが一番高い点数になったとのことです。熊本空港が国管理の空港であることから、一連の動向は、国交省発表を報道で知るしかありませんでした。 MSJAが公表した提案概要は、ごらんのとおり、心躍る文字が並び、新ターミナルビルのきらびやかなイメージが描かれています。これからこの提案が速やかに実現していくことが問われ、県としても、新会社との意思疎通はもちろん、提案が確実に履行されるか、チェック機能を果たすことが求められます。特に、提案で示されている地域との連携強化や2次交通の拡大、拡充は、これまで以上に県が主体的に取り組まねばなりません。 そこで、今後33年にわたり民間による空港運営が行われますが、県と新会社がどのように連携を進めるのか、企画振興部長にお尋ねします。あわせて、今後、出資や役員を派遣するなど、経営に参画する予定の有無についてもお尋ねします。 続いて、これからのインバウンドについてお尋ねします。 先日、県は、昨年の県内における外国人宿泊者数が、過去最高だった前年度実績を約32%上回り、98万人に達するとの見通しを明らかにしました。近年、訪日外国人の数は順調に推移していますが、本来、我が国の経済成長やGDP増大の観点から注視すべきは、何人訪れたかではなく、訪れた外国人がどれだけ消費活動を行ったかではないでしょうか。 ひところ、インバウンドを象徴する爆買いが注目されましたが、最近では、めったに聞く機会もありません。それは、観光庁の訪日外国人消費動向調査でも如実にあらわれ、消費額の微減傾向が続いています。物消費から事消費の言葉も聞かれますが、私たちは、そろそろ視点を変える必要があるのではないでしょうか。 インバウンドと言えば、私たちは、訪日外国人を必ず観光客として扱います。しかし、インバウンドには、ビジネスで訪日するビジネスインバウンドが存在します。ミーティング、インセンティブ、コンベンション、エキシビション、4つの頭文字をとったMICEを含めたビジネスインバウンドは、開催地初め周囲にも大きな経済効果が期待されます。なぜなら、ビジネスインバウンドの一定数が、その前後に観光も行うからです。日本人には余りなじみがありませんが、このような出張の機会に観光を楽しむことをブレジャーと呼び、海外で注目を集めています。 ビジネスインバウンドに関する消費は、外国人自身の宿泊費や飲食費等に加え、参加する催事を主催する国内企業や団体などの消費が喚起されます。当然、会場の利用費、機材費、スタッフの宿泊、飲食、交通費も発生します。さらに、学会であれば、製品を出展する企業も存在するため、その出展企業による消費も発生することになります。 幸い、今秋、桜町地区再開発事業で熊本城ホールが整備されます。桜町は、新設されるバスターミナルを基点に、空港や駅との交通アクセスにすぐれ、熊本城も目と鼻の先にあり、再開発事業で、宿泊、商業施設もさらに充実をします。ホールは約3万平方メートル、全館を一体で利用すれば、3,000人規模のコンベンションを単独で開催でき、市民会館や国際交流会館など近隣施設を合わせると、5,000人規模の学会にも対応が可能になります。 本県としても、今後のインバウンドのあり方、そして経済浮揚の見地からも、産学官と連携を図って、内外のMICE誘致に取り組むべきと思いますが、商工観光労働部長の所見を伺います。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 新たな空港運営会社である熊本国際空港株式会社との連携に当たっては、民間の専門性やノウハウが最大限発揮されるよう、新会社が県に期待する役割を踏まえて、県として、最も効果的な方法で空港運営に参画することが重要です。 また、コンセッション方式の導入効果を最大化させるためには、観光振興や新たな産業、雇用の創出など、さまざまな分野における連携も不可欠です。 現在、新会社と精力的に協議を進めているところですが、滑走路や駐車場を含む空港全体の運営が来年4月から開始されることを踏まえ、今年度中には、出資や役員派遣の有無を含め、新会社との連携のあり方を決定したいと考えております。 県としては、空港とその周辺地域の活性化を県経済のさらなる発展につなげるため、新会社との長期にわたる強固な連携体制を構築してまいります。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 本県の外国人宿泊者数は、5年間で2倍に急増し、過去最高の98万2,000人となりました。インバウンドは、観光産業の震災からの復興を後押しするとともに、今後、本県経済を力強く牽引する原動力の一つになると考えております。 インバウンドによる経済効果を引き続き拡大していくためには、議員御指摘のとおり、観光客のさらなる増加とともに、ビジネスで本県を訪れた方の観光目的の滞在期間の延長や仕事後のグルメスポットでの飲食等による旅行消費の増加を図っていくことも有効な取り組みであると考えております。 県では、外国人観光客に熊本を満喫していただくため、専用の旅行商品の造成や、熊本の観光やレジャースポット、食の豊かさやお店の情報等をウエブなどで多言語で紹介するなど、さまざまな取り組みを推進しております。 これらを、観光客のみならず、ビジネス客へも届けることにより、ビジネス客の旅行消費の拡大に努めてまいります。 次に、コンサートや会議等のMICEの誘致につきましては、一度に数多くの方々が訪れるため、経済効果が大きく、また、観光以外の目的で訪れた方々が本県の魅力を体験する機会となり、さまざまな効果が期待されます。 熊本地震後、復興を応援する目的で本県での会議等の開催が増加しており、また、本年12月に熊本城ホールがオープンすることから、このチャンスを確実に捉えることが重要です。 これらを踏まえ、県では、熊本市や関係団体、大学等と誘致に取り組んでおり、その成果の一つとして、1万5,000人が参加する国内最大規模の学会、日本外科学会の2022年熊本開催が先日決定したところです。 現在、本県では、空港、駅、港及びバスターミナルといった交通結節点の整備が次々と進んでおります。これらを見据え、国内外からのMICE誘致を関係団体等と連携しながら積極的に進め、その効果が県内全域に波及するよう取り組んでまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 答弁にもありましたように、新空港ビル、滑走路、駐車場を一体運営することで、重複していたコスト削減が可能になります。民営化する以上、利益追求は当然です。しかし、あくまで空港は、県民初め内外の多くの人々が利用する公器です。利用者が民営化になってよくなったと感じる運営を心がけていただきたいし、そのことを私たちもチェックしていく必要があります。 また、MICEについては、2017年の観光庁のデータによると、訪日外国人の来訪目的は、観光、レジャーが全体の約75%でした。つまり、旅行以外の目的が約25%あり、そのうちの16%を業務目的が占めます。実は、この業務目的こそがMICEを指し、ビジネスで訪日する外国人をあらわします。同じく、観光庁は、MICEの2016年の日本における経済波及効果を1兆590億円と発表しています。ただいま部長からうれしい報告もございました。これから続々と内外のMICE誘致が実現することを期待し、私どももしっかりと後押しをしてまいります。 最後に、化血研から事業譲渡を受けた新会社の状況等についてお尋ねします。 まず、化血研が事業譲渡に至った概要を振り返ります。 化血研は、人体用の血液製剤製造について、1974年ごろから、製造時に、添加剤の量の変更、製造申請時の承認書にない添加剤の添加、加熱方法の変更などを行っていましたが、許可を得ていませんでした。つまり、医薬品の製造管理と品質管理の基準に関して違反をしていました。また、違反の発覚を避けるため、1997年ごろから、製造記録を実際のものと査察用に分け、査察用の資料は、古く見せるために加工するなどの隠蔽工作をしていました。医薬品製造は、厚生労働大臣の許可事項であり、定期的に更新する制度となっているので、違法だったことは間違いありません。 2015年12月、内部からの情報提供を受けた厚労省は立入検査をし、組織の抜本的見直しと製品の安全確保を求める行政指導を行い、年が明けた1月には、110日間の業務停止命令の処分と同時に、組織の継続は前提とせずに検討するようと、事業譲渡を強く求めました。 その後、事業譲渡交渉の決裂や新たな事業譲渡先の募集、理事長の交代など、紆余曲折を経て、2017年12月、明治ホールディングスと県内企業7社、そして県が共同出資する新会社に、化血研の製薬事業が譲渡されることが決定しました。新会社は、議決権ベースで、明治ホールディングスと地元連合7社がそれぞれ49%、県が2%を出資して設立されました。それは、事業譲渡の条件として、従業員の雇用、事業の継続、本社機能維持の3つの条件の確保が至上命題だったからです。民間企業のMアンドAに県が出資するのは異例であり、出資は、扇のかなめの役割と新会社経営に一定の責任を負うことになりました。 それから8カ月が経過した昨年7月2日、化血研の事業を承継したKMバイオロジクスは、明治ホールディングスの連結子会社として事業を始め、発足式が行われました。その3日後、新会社の松尾正彦会長と永里敏秋社長が知事と面会し、その席で松尾会長は、信頼が全てだ、公正、透明化の中で意思決定し、開かれた経営体制で世界へ羽ばたく会社を目指すと強調されました。それに対して、知事は、確固たるガバナンスとコンプライアンス体制を持ち、熊本の企業として発展を期待すると発言された旨が報じられました。 一連の経緯を大まかに振り返りましたが、当時、私は厚生委員会に所属し、新会社への出資金4億円を盛り込んだ予算案を審議する立場にありました。 そこで、4点お尋ねいたします。 最初に、2018年3月7日の設立から1年が経過し、他のライバル会社の4種混合ワクチンやB型肝炎ワクチンの生産一時停止もあり、業績はアップしたと聞きますが、新会社移行後の実績について伺います。 2点目に、以前の化血研時代、県内業者からの納入金額は年間約60億円だったそうですが、新会社では、原材料や資材調達等の仕入れ先が変更されているようです。現在の県内事業者からの納入金額についてお尋ねをいたします。 3点目に、新会社では、能力主義的資格制度が廃止されたことで、資格手当が今年度以降毎年度カットされるようです。モチベーションの低下、人材の流出も続いているとのことですが、実際のところ雇用は守られているのか、お尋ねします。 最後に、事業譲渡した化血研の現状についてお聞かせください。 以上4点、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、KMバイオロジクスの業績についてお答えします。 公表されている決算関係資料によると、2018年度の売上高は312億円、営業利益は34億円となっており、業績は、おおむね計画どおりに順調に推移していると認識しています。 次に、2点目のKMバイオロジクスにおける県内事業者との取引についてお答えします。 企業活動における原材料や資材などの調達は、基本的に事業計画を達成するための...... ○議長(井手順雄君) 残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) (続) 経営判断に基づいて行われるものであると認識しています。その上で、KMバイオロジクスは、地元に根差した企業として事業活動を行われており、化血研からの事業譲渡の前後で、県内事業者との取引に大きな変化はないと伺っています。 次に、3点目の雇用の維持についてお答えします。 KMバイオロジクスでは、昨年、管理職を対象とした人事制度の変更に伴い、手当の見直しが行われています。これは、企業における通常の人事管理の範疇のもので、賃金水準は維持され、人材の流出が続いている状況にはないと伺っており、雇用は維持されているものと考えています。 県としては、今後も、KMバイオロジクスが、化血研時代から長年培われてきた高い研究開発力と明治グループの幅広いネットワークという強みを生かしながら、熊本の企業として世界に飛躍していくよう、扇のかなめとしての責任をしっかりと果たしてまいります。 最後に、化血研の現状についてお答えします。 化血研は、本年4月に国の認可を得た公益目的支出計画に基づき、研究助成や奨学金給付、顕彰事業などの公益的事業に取り組むこととされています。公益的事業の内容等については、今後、化血研において、財団の設立目的を踏まえ、研究助成額の増額など、必要な見直しが行われるものと考えております。 県としても、化血研が取り組まれる事業に関して、必要に応じて提案や協力等を行ってまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 今回、退職された方々の声をもとに質問いたしました。答弁には限りがあり、伝聞調になるのもやむを得ませんが、物の見方、数値の捉え方に、双方の見解に差異があるようでもございました。 いずれにせよ、県の出資は、個人や民間企業と違い、大変重たいものがあると思います。今後、3つの条件が堅持されるように精査していただくことを強く要望しておきます。 私も2期目の議員活動に入りました。今後とも、知事初め執行部の皆さん、そして議員各位におかれましては、引き続きの御指導と御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井手順雄君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時1分休憩    ――――――○――――――  午前11時10分開議 ○議長(井手順雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 山本伸裕君。  〔山本伸裕君登壇〕(拍手)
    ◆(山本伸裕君) おはようございます。日本共産党の山本伸裕です。 おかげさまで、どうにかこうにか2期目となる議席を確保させていただきました。県民の皆様に役立つような務めが果たせるよう、また全力で取り組んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、早速質問に入らせていただきます。 気候変動に伴う適応計画の策定についてお尋ねします。 昨年、気候変動適応法が施行されました。それまで、我が国においては、地球温暖化対策の法律はありましたが、気候変動による被害の防止や軽減を図るための措置を位置づけ、推進を図る法的根拠は存在しませんでした。そこで策定されたのが気候変動適応法であります。 地球温暖化を防止するための緩和策と温暖化による被害軽減を図る適応策は車の両輪であり、両者それぞれに推進を図ることが重要であります。 適応法では、地方公共団体に対し、地域気候変動適応計画等を策定し、地域の実情に応じて細やかに適応策を推進するよう求めています。 私は、昨年6月の有明海・八代海再生及び地球温暖化対策特別委員会で、この適応計画の策定状況についてお尋ねしました。県は、既に平成27年度から策定に取り組んでいるとのことでありました。 ちなみに、鹿児島県の計画ですが、農林水産業、水環境、生態系、自然災害、健康、産業、国民生活などなど、各分野について、それぞれに起こり得る変動を予測し、必要な対応策がかなり詳細に検討されています。 私は、我が県としても、新しく制定された法に則した適応計画書を策定する必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。環境生活部長にお尋ねします。  〔環境生活部長田中義人君登壇〕 ◎環境生活部長(田中義人君) 気候変動に伴う県の適応計画についてお答えをいたします。 現計画は、気候変動適応計画に係る国の閣議決定を踏まえ、他県に先駆け、2016年2月に策定したものでございます。 その内容は、本県に重大かつ緊急的な影響を及ぼすおそれがある防災、農業、水産業、健康の4分野について、対策をまとめたものでございます。 これについては、2020年度までの5年間を期間とする県の第5次環境基本計画の中に盛り込み、その取り組み状況について、毎年度フォローアップを行っております。 御質問の気候変動適応法の施行を踏まえた対応でございますが、現計画が2020年度までとなっていることから、次期計画は、2年後の2021年度をスタートと考えております。 今後、国の計画に明記された農林水産業、水環境・水資源、自然生態系などの7分野について、最新情報等を収集、整理の上、地域への影響を改めて精査し、本県の実情に応じた計画策定を進めてまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 熊本県が、他県に先駆け、全国に活用されるような適応計画を策定し、取り組まれてきたことは、積極的に評価します。 次期策定予定の第6次環境基本計画において、気候変動適応法に基づく適応計画を策定されると伺っております。加速度的に気候変動が進行するもとで、県民の生命や生活環境を守り、社会の持続可能な発展を図るためには、温室効果ガスの削減に全力で取り組むとともに、被害の防止、軽減を図る適応策に、国、県や市町村、多様な関係者の連携、協議のもと、一丸となって取り組むことが重要であります。ぜひ、熊本県も、全庁挙げた積極的、先進的な取り組みを展開していただきたいと思います。 さて、その気候変動のもとで、これまでのやり方を見直すべきではないかと思われるものの一つが治水対策であります。 資料1をごらんください。(資料を示す)これは、全国の1時間降水量50ミリ以上の年間発生件数を、1976年から2018年の期間について示したものであり、気象庁がホームページに掲載しています。 最近10年間の平均年間豪雨発生回数は、グラフにある最初の10年の平均件数と比べて、1.4倍に増加しています。 (資料を示す)次に、資料2のグラフは、気象庁のデータをもとに、東京大学の中村尚教授が作成されたグラフであります。 日本上空1,500メートルの水蒸気量の変化をあらわしたものですが、これも増加傾向であります。近年は、記録的豪雨が各地で報告されていますが、それは、発達した積乱雲が発生しやすくなっているからであります。 現在、日本の治水対策は、30年に1回とか、150年や200年に1回降る雨に対応するものとして行われています。しかし、過去最大規模の大雨がことし来るかもしれないし、また、来年はさらにそれを上回る大雨が降るかもしれません。何年に1回という発想が、もはや通用しなくなっています。 そこで、土木部長にお尋ねしますが、まず1点目、これは一般論として伺います。 これまで経験したことのないような大雨が右肩上がりで増加しているという今日の気候変動のもとで、河川の上流に水をため込み、洪水調節を行うという治水ダムは、極めて危険な構造物となりはしないでしょうか。なぜなら、ダムは、想定を超える雨が降れば、洪水調節機能が失われ、緊急放流、自然放流に任せるしか手だてがなくなってしまうからであります。 自治体研究社出版の「豪雨災害と自治体」という本の中で、神戸大学の田結庄良昭名誉教授は、ダムによる洪水被害について書かれています。要約して一部紹介します。 愛媛県の肱川では、洪水により家屋が浸水し、9人が亡くなった、上流のダムからの計画量を超える放流も水害を大きくさせた要因と思われる、愛媛県の鹿野川ダムは、安全とされる基準の6倍の水量を放流し、堤防から水があふれ、家屋浸水、4人が亡くなった、また、野村ダムのある西予市でも、放流量が最大になり、5人の死者が出た、ダムの放流による洪水の拡大については、2011年の紀伊半島豪雨水害など枚挙にいとまがなく云々とあります。 私は、これまで経験したことのないような大雨が毎年のように発生する今日の気候変動のもとでは、ダムを前提とした治水政策は危険であり、見直す必要があると考えますが、土木部長の見解を伺います。 2点目です。建設中の立野ダムについてお尋ねします。 熊本地震とその直後の豪雨災害によって、立野峡谷は、あちこちに大規模な土砂崩落が発生しました。立野ダム湛水地周辺の地盤にも崩壊が多数発生し、直後の6月豪雨災害で、崩壊地がさらに拡大しました。この場所にダムをつくるなどということは、余りに危険だと、誰もがそのとき感じたことだと思います。 ところが、国交省とかかわりの深い方々で構成された技術委員会は、報告書をまとめ、この中で、土砂の崩壊は、数年かけて少なくなっていく、斜面の安定化対策や土砂の流出抑制対策は、技術的には可能であり、崩壊斜面の対策が順次講じられることで、土砂の流出は抑制していく、さらに、流木については、水理模型実験を行って、閉塞を生じることはないと確認した、立野ダム建設は十分可能であると結論づけたのであります。 果たして、最近の湛水地付近の現状はどうなっているか。 (資料を示す)写真1は、6月9日に撮影されたものであります。この写真は、建設現場付近の村道から北向山方面を撮った写真ですが、土砂崩れを起こした斜面は、ブロックで固められたり、緑地化が図られたりしております。ただ、まだまだ人工林が残っており、また、今後の大雨で大量の木々が流されるのではないかという不安があります。また、もやでわかりにくいですが、奥の斜面を見ると、幾筋もの崖崩れが現在も発生していることがわかります。 (資料を示す)次の写真2ですが、北向山の崖崩れが発生している箇所を拡大して撮影したものです。さらなる崩落がいつ発生しても不思議ではありません。 (資料を示す)次の写真3は、川からそそり立つ斜面で、大量の土砂崩落が発生している箇所であります。ダム湛水時にこのような土砂崩落が起きれば、ダム津波が発生し、下流域に甚大な被害を及ぼす危険があるのではないでしょうか。 (資料を示す)次の写真4は、長陽大橋の上から真下の土砂崩落の岩石を撮影したものですが、そこに置かれている重機と比較して、岩石の大きさがどれだけ大きいものかがわかります。地震や豪雨が発生すれば、このような巨大な岩石がダム湛水域に流れ込んでくる懸念があります。 土木部長に伺いますが、ただでさえ熊本地震や豪雨災害で生じた崩壊地の多くが、そのまま放置されているわけであります。加えて、現在の活発な地殻活動、先ほど申しました気候変動のもとで、3年前のような、あるいはそれを上回るような大災害の発生さえあり得る状況であります。そうすれば、さらに大規模な崩落が発生する危険があります。ダム津波、穴詰まりの発生など、ダムの存在が危険な事態を引き起こすのではないでしょうか。 次に、3点目、白川の河川改修について、やるべき箇所の改修をやらずして、立野ダム建設を推し進めることは許されないという点であります。 私は、先日、県管理区間である白川中流域の状況を見てまいりました。(資料を示す)写真5は、三協橋であります。少しわかりにくいですが、左岸側の橋のたもと付近の護岸が出っ張っており、橋梁によって河道が狭くなり、流れを妨げる状況となっております。洪水時には、非常に危険な箇所になるのではないかと懸念されます。 中流域には、このように、洪水時、流下の妨げになると思われる橋梁が複数ありますが、こうした箇所こそ、ダム建設に予算をつぎ込む前に、最優先で改修に取り組まなければならないのではないでしょうか。 以上3点、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) まず、1点目の治水に対する考え方についてお答えいたします。 治水計画は、河川ごとの特性を踏まえつつ、河川の拡幅や堤防のかさ上げ等の河川改修あるいはダムなど、さまざまな手法を適切な役割分担のもと策定するものです。 一方で、近年、全国で記録的豪雨が発生しております。そこで、私たちは、このような豪雨によって、河川改修やダムなどのハード対策だけでは防ぎ切れない大洪水は発生し得るものと、意識を転換する必要があります。 そのため、流域市町村と連携して、防災情報の伝達等、住民の予防的避難につながるソフト対策も含めた、総合的な防災、減災に向けた取り組みをしっかりと推進してまいります。 次に、2点目の立野ダムにおけるダム津波や放流孔の閉塞についてお答えいたします。 まず、ダム津波についてですが、原因になると危惧される斜面崩壊のうち、湛水予定地周辺斜面については、熊本地震後、事業主体の国が各分野の第一人者から成る立野ダム建設に係る技術委員会を設置し、必要に応じて対策工を実施することにより、湛水に対する斜面の安定性を確保できると考えられるとの結論が出されております。 既に、一部の斜面では対策に着手されており、技術委員会で抽出された残りの斜面につきましても、現在、対策工の必要性などを精査中であり、ダム建設事業完了までには、必要な対策を適切に実施すると伺っております。 また、湛水の影響を受けない斜面上部等の崩壊斜面の一部につきましても、林野庁や県の治山事業により対策工を実施しています。 さらに、国は、ダム完成後においても、湛水地内及び湛水の影響を受けない斜面の状況についても、モニタリングや関係機関等による情報収集をもとに、湛水地への影響を把握するなど、適切な維持管理を実施していくと伺っています。 次に、崩落した大きな石により放流孔が閉塞するのではないかとの御指摘ですが、国が実施した石の移動についての解析では、洪水調節中に移動する可能性があると考えられる石の大きさは、最大で60センチメートル程度とされており、放流孔内に大きな石が固定されるような閉塞が生じることはなく、洪水調節能力にも影響はないとの結論が出されております。 仮に、議員御指摘のような大きな石が流れてきた場合におきましても、放流孔の上流に鋼製スリットを計画しており、流木や大きな石を捕捉することができます。 これらの結果から、技術委員会において、熊本地震後も立野ダムの建設に支障となる技術的な課題はなく、立野ダムの建設は技術的に十分可能であると考えられるとの結論が得られています。 最後に、3点目の白川河川改修についてお答えいたします。 白川の治水対策につきましては、当面の整備目標を掲げた白川水系河川整備計画を、平成14年7月に国とともに策定し、現在、この計画に基づき、河川改修を着実に進めております。 その結果、県管理区間の白川中流域につきましては、計画に位置づけられた施設整備がおおむね完成しつつあります。 議員御指摘の三協橋などの区間においては、現在の計画で目標とする流量を安全に流すことができるため、整備を必要とする区間の河川堤防などの施設を優先的に整備してまいりました。 現在、さらなる治水安全度の向上を図るため、国とともに白川の河川整備計画の変更作業を進めており、今後は、この変更後の計画に基づいて、治水対策として必要となる橋梁や河川改修などの整備を進めてまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 私は、1点目に、一般論として、ダムは、想定を超える雨が降れば洪水調節機能を失い、逆に、緊急放流など、下流に危険を及ぼすことになるのではないかということをお尋ねしました。そのことについてお答えいただいておりませんので、もう一度御回答をお願いします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) 先ほど申し上げましたとおり、治水計画につきましては、ダムにかかわらず、河川改修、さまざまな手法を用いながら、適切な役割分担のもとに策定をしております。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 結局、ダムは、想定を超える雨が降れば、危険な構造物になるのではないかという私の質問については、否定されなかったように思います。 たとえ想定外の大雨が降ったとしても、決して住民の生命、安全、財産を脅かすような事態を招かないようにすることが、ハード対策の大命題に据えられなければならないと思います。そういう点で、ダムを前提とした治水対策は、大きなリスクが生じるということを確認しておきたいと思います。 また、念のために、土木部長がおっしゃるかもしれないと予測しておりましたことを申し上げますと、ダムがあれば、避難する時間が生まれるというお話がございます。緊急放流によって一気に水かさが増し、堤防決壊の危険性があるという事態は否定しようがないわけであります。 現に、ダム放流によって急激に水かさが増し、堤防が決壊し、死者が発生するなどの被害が現実に起こっていると指摘されていることを、もっと重大に考えるべきだと思います。なぜなら、ダムを含む治水対策の場合、堤防の高さや川幅の広さは、ダムによる洪水調節を前提に設計されているからであります。ダムが洪水調節機能を失えば、より甚大な被害が下流域に及ぶことは明白ではないでしょうか。 第2点目、斜面崩壊については、技術委員会において、必要に応じて対策を実施することにより安全性を確保できるとの結論が出されているとのことでありました。 ただ、蒲島知事は、昨日の本田議員の質問に対し、北向山の崩壊は、自然の力での復旧との立場を強調されました。文化庁、環境省、林野庁、そして蒲島知事の見解はそうだけれども、しかし、ダム建設推進の国土交通省からすれば、技術委員会が指摘するように、対策工事を実施すると。 結局、ダム建設と北向谷原始林を自然のまま残すということは、両立できないということがはっきりしたのではないでしょうか。天然記念物を破壊し、コンクリートで固めた地域を景勝地にというのは、いかにも国土交通省らしい発想かもしれませんが、しかし、巨大な人工的構造物であるダムは、阿蘇の雄大な自然、景観を壊してしまうものだということを指摘したいと思います。 さらに、穴詰まりの件ですが、技術委員会は、放流孔内に大きな石や流木が固定化される状況はないと断言しました。ところが、そのことを検証する実験は、爪ようじなどを流木に見立てて模型で流してみるという実験は行っているけれども、岩石については行われておりませんし、ましてや、実際の洪水で想定される、水気をたっぷり含んだ枝葉、根っこのついた流木、岩石、土砂がまざり合って押し寄せてくる、そうした想定のもとでの検証は行われていないのであります。これでどうして穴詰まりを起こさないという結論をうのみにすることができるのか、私にはずさんであるとしか思えません。 3点目、国土技術研究センターがまとめた、河川を横過する――横切る橋梁に関する計画の手引きによると、河川を横切る橋梁は、狭窄部など「河川流況が変化する区間を避けること」とあります。河川の流れを妨げるような箇所があれば、その箇所から越水したり、堤防が決壊する危険が高まります。 現に、国管理区間の代継橋、龍神橋は、河道拡幅に伴い、橋のかけかえを行いました。龍神橋は、私の地元・渡鹿にあり、地元の人たちから長く親しまれてきた橋で、何とか残せないかという要望がありましたが、河道が狭くなる箇所を解消しなければ洪水被害につながるとの説得に、やむを得ず承諾した経緯があります。 一方で、中流域では、このような狭窄部が放置されています。洪水発生の原因箇所となりかねない危険箇所を残したままでは、行政の瑕疵が問われる。ダム建設の前に、先にやるべきことがあるのではないでしょうか。 蒲島知事に見解をただしたいと思いますが、ダムを一旦つくれば、少なくとも半世紀あるいはそれ以上という長い期間、ダムは存在することになります。 毎年のように、これまで経験したことのないような豪雨が発生している気候変動、そして活発な地震活動も、今なお各地で発生しています。島原地溝帯が走り、断層が集中している立野峡谷、しかも、崩れやすい、大変もろい地質から成り立っており、湛水域上部の斜面には広大な人工林が広がっています。こんなところにダムをつくれば、極めて深刻な人災をもたらしかねない、危険な構造物を後世に残すことになります。 国交省が示した流下能力算定表を見ても、日常的な河道掘削と堤防強化により、ダムによらない治水対策は十分に可能であります。 立野ダム建設がもたらすものは、人災の危険だけではありません。公益財団法人日本交通公社は、阿蘇山岳を、日本を代表する観光資源である特A級の指定を行っています。また、立野峡谷は、世界が認定した阿蘇ジオパークのジオサイトの一つでありますが、ジオパークは、地層、地形、断層などを保護し、研究に生かし、科学教育や防災教育の場、観光資源として、地域振興に生かすことなどを目的にしています。 その世界の阿蘇の玄関口である立野峡谷が、ダムと土砂崩落対策のコンクリートで固められてしまったら、雄大で貴重な自然、景観を壊し、教育面でも、後世に残すべき貴重な財産を失ってしまうのではないでしょうか。 こうした点からも、立野ダム建設は中止すべきであると考えますが、知事の御見解を伺います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 立野ダム建設については、熊本地震後の国による技術的な確認、評価の結果、支障となる課題はないという結論が出されています。 これを受け、ダム建設予定地及び下流域の全ての市町村も、喫緊の課題である洪水リスクへの対策として、立野ダムの早期完成を強く要望しています。 そのため、県としての白川水系における治水対策の方向性は、これまでと変わるものではありません。 阿蘇は、熊本県民の宝であると同時に、世界に通用する観光資源です。私は、阿蘇を再生し、さらに魅力を高めていくことがとても重要であると考えています。 その阿蘇の入り口でもある立野ダムの建設予定地周辺の景観、環境の保全について、十分検討していただくよう、国に対し要望してきました。 その結果、国は、専門家や県、地元町村も参加した検討委員会を設け、良好な景観を保全するための検討を行っています。 加えて、インフラツーリズムの取り組みや、阿蘇ジオパーク推進協議会や地元市町村と連携しながら、観光振興や学びの場などの取り組みも進めています。 県としては、景観の保全や地域振興についてもしっかりと取り組まれるよう、引き続き、国に対し要望してまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 昨日の北向谷原始林についての答弁の中で、蒲島知事は、阿蘇は、熊本県民の宝であると同時に、世界の阿蘇でもある、阿蘇北向谷原始林は、太古の自然を今に残す貴重な財産だと強調されました。私は、ふと、球磨川は守るべき宝と強調された知事のかつての御発言を思い起こしましたが、結局、立野ダムについては、従来の立場から一歩も変わらない答弁でありました。 残念でありますが、私は、知事の御判断が熊本の後世の歴史に重大な影響を及ぼしかねないということ、ぜひもう一度しっかりと考えていただきたいと思いますし、また、私たちとしても、十分な県としての主体的な検証を今後とも求め続けていくことを申し上げて、次に移ります。 仮設住宅の供与期間の問題についてお尋ねします。 昨年、民間賃貸住宅を探しているが見つからないという理由では、仮設入居の延長が認められなくなったことにより、被災者を追い詰める深刻な事態が広がっております。 先月、一般紙で「「強制退去」焦る被災者」と題する記事が掲載されました。退去の期限が7月に迫っているけれども、行く当てが見つからないという方の事情が紹介されております。私たちのもとにも、延長が認められず、どうすればいいだろうかという相談が複数件寄せられております。 4月、5月に入居期限を迎えたみなし仮設入居者の74%が、延長が認められなかったと報道されています。みなし仮設の入居延長をしない場合は、入居者を無理やり退去させなくても、県としては業者との契約を終了すれば済むわけで、つまり、延長を打ち切りやすいわけであります。 なぜ、熊本県は、強制退去と報道されるほど、仮設からの退去要請が強められてきたのでしょうか。私は、蒲島知事が、御自身の3期目の任期までに、すなわち2020年の4月までに仮住まいゼロを実現し、住まい再建を終えると宣言されたことと無関係ではないと感じています。 しかし、仮設住宅から強制的に退去させたとしても、それで住まい再建完了と宣言できるような状況には決してなりません。いまだ自宅再建の見通しが立たず、仮設住宅にとどまっている方々は、その多くがいわゆる災害弱者であり、収入や健康面で心配を抱えておられる方々であります。生活状態や健康に不安を抱えた状態のままで退去すれば、一層の生活悪化に陥ります。 そこで、まず第1点目に、入居延長要件を狭めたことを撤回し、基本的には延長を希望する方々の要望を受け入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。この点は蒲島知事にお尋ねします。 次に、被災者の孤立と生活悪化の問題であります。 熊本地震における医療費の窓口負担等の免除措置を求める会の皆さんが、昨年11月からことし3月にかけて、益城町、西原村、甲佐町、熊本市の9つの仮設住宅団地と一部のみなし仮設入居者について、被災者の健康と生活に関する実態調査に取り組まれました。 その中で、寄せられている被災者の訴えは切実であります。地震後眠れなくなった、病院に行く回数を減らした、収入が少なく、貯金を取り崩して生活している、電気代が高いのでエアコンは使わない、特に食費を切り詰めている、近所に知り合いはおらず、挨拶もしない、地域活動に参加することもない、相談相手は特にいないなどなどであります。 こうした方々が、これからどんどん仮設から退去されていくことになれば、一層の健康悪化、孤立、生活困窮が進行することが心配されます。こうした方々に、必要なサポートを行っていかなければならないことは当然だと、私は考えます。 国も、被災者の生活再建について、継続して行政が支援を行っていくことの必要性を認めています。被災者見守り・相談支援事業について、厚生労働省は、熊本地震については、2020年度まで国の100%補助を継続し、さらに、仮設退去後も、災害公営住宅や民間賃貸物件に入居された方あるいは自宅に戻られた方々も含め、支援の対象とすることを表明しています。 私は、こうした国の支援なども積極的に活用し、まずは県として、仮設入居中の世帯、退去された世帯について、その後の生活実態を調査すること、その上で支援が必要と判断される方々についての情報を、市町村や関係機関、医療や介護、福祉、ハローワーク、教育などの機関との連携を図っていく、こうした取り組みが重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。 また、関連して、孤独死調査について、県は、災害公営住宅入所者を含めないと発表しました。しかし、災害公営住宅は、仮設団地などと比べても、集会所も少なく、入居者同士のコミュニティー形成も困難となります。 災害公営住宅での孤独死の増加は、他の被災地でも大きな問題となっています。被災者を孤立させない取り組みが効果を発揮しているかどうか検証するためには、孤独死の調査は必要だと考えますが、いかがでしょうか。 以上、これは健康福祉部長にお尋ねします。 3点目の質問は、災害公営住宅の家賃の問題であります。 災害公営住宅に入居される方の大きな心配の一つは家賃負担であります。東日本震災では、建設から最長10年の、収入が少ない方を対象とした特別低減措置がつくられました。そのため、最大で通常の家賃のおおむね3分の1程度に家賃負担が抑えられました。 熊本地震で災害公営住宅に入所される方々も、低所得者の方々が多数であります。県独自にでも家賃低減措置を設けるべきであると考えますが、いかがでしょうか。これは土木部長にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、被災者の住まいの再建なくして熊本地震からの復興はないと、常々申し上げてきました。 仮設住宅は、あくまで被災された方々の一時的な仮の住まいであり、恒久的な住まいを一日も早く再建することが何よりも大事だと考えています。そのため、私は、3期目の任期中に仮設住宅の入居者をゼロにするという目標を掲げて、被災者の方々の早期の生活再建に全力で取り組んできました。 しかしながら、昨日の池田議員の質問に対して答弁しましたとおり、第1に、工事のスケジュール上、自宅の建設が今年度末に間に合わない場合、第2に、災害公営住宅の入居手続中の場合、第3に、益城町のまちづくりのように、公共事業の進捗を待たなければならない場合など、やむを得ない理由で、来年4月以降も引き続き仮設住宅での生活を余儀なくされる方が約1,700世帯いらっしゃいます。 議員は、私が今年度末に仮設住宅の入居者をゼロにすることにこだわっていると懸念されておりますが、そのようなことはありません。この1,700世帯のように、やむを得ない理由がある場合には、仮設住宅の供与期間の延長が必要だと考えており、今後、国との協議を進めてまいります。 そのほかにも、希望する民間賃貸住宅の物件が見つからない、あるいは自宅再建の資金調達が難しいなどの理由で、いまだ再建が見通せない世帯が、現在148世帯おられます。 この方々に対しては、地域支え合いセンターや住まいの再建相談員が重点的に訪問し、被災者の希望に沿った物件を案内するとともに、災害公営住宅での再建を提案するなど、被災者お一人お一人の気持ちに柔軟に寄り添う形で伴走型の支援を行っています。議員が指摘されるように、決して再建先が決まっていないまま強制的に退去を求めることはありません。 今後も、被災者お一人お一人の実情や意向を踏まえ、一日も早い恒久的な住まいの再建に向けて、市町村と連携しながら全力で支援してまいります。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、仮設住宅退去後の被災者の見守りや相談支援活動についてお答えします。 県では、仮設住宅を退去された方々が、再建先で孤立することなく、安心して生活を営んでいただくことが、本当の意味での生活再建であるとの認識のもと、被災者支援を進めています。 そのため、仮設住宅入居者だけでなく、住まいを再建された方々についても、地域支え合いセンターの生活支援相談員の訪問等を通じて、生活状況の実態把握や必要に応じた見守りの支援等を行っています。 国においても、地域支え合いセンターの支援対象について、仮設住宅に入居中の方に限らず、必要に応じ、災害公営住宅や再建した自宅へ転居した方なども含めるとしており、引き続き、国の補助事業等を活用し、市町村等と連携して見守りや相談支援などに取り組んでまいります。 次に、孤独死の実態把握についてですが、県では、これまで、仮設住宅入居者の孤立化防止策の一環として、仮設住宅で誰にもみとられることなく亡くなられたひとり暮らしの方について、市町村を通して把握し、対策につなげてきました。 現在、市町村において、災害公営住宅の整備が進んでいます。これらの災害公営住宅についても、関係機関と連携して孤独死の実態を把握し、今後の被災者支援の施策等に生かしてまいります。 仮設住宅を退去された方々が、その後も再建先で孤立することなく、地域の中で安心して生活していただけるよう、引き続き、市町村を初め関係機関と連携し、きめ細かな支援を行ってまいります。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) 災害公営住宅の家賃についてお答えいたします。 熊本地震被災者の方々のための災害公営住宅につきましては、県内12市町村において、今年度中の整備完了に向け、工事が進められています。 これらの住宅の家賃は、既存の市町村営住宅と同様に、住宅に困窮されている方に低廉な家賃で住まいを提供するという公営住宅設置の趣旨に沿って、事業主体である市町村が定めるもので、同じ地域内の民間賃貸住宅と比べて、低い額に設定されています。 さらに、入居されている方の収入が著しく低い場合や病気等で入院されている場合などに家賃を減免できるという制度もあります。 議員御指摘の家賃低減のための支援制度を県独自に設けることは困難と考えますが、被災者の方々の経済負担を軽減できるよう、先ほどの家賃減免制度の活用等を市町村に働きかけるとともに、災害公営住宅のほか、既存の公営住宅、さらには木造の仮設住宅を活用した市町村管理の住宅などへの入居についても支援してまいります。 また、仮設住宅からの転居費用や公営住宅入居の際の支度費用を助成するなど、被災者の新しい生活に向けた支援も行っております。 今後も、被災された方々お一人お一人に寄り添い、安心して生活を送っていただけるよう、住まいの再建支援に取り組んでまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 私は、知事が、任期中に仮設住まいゼロを実現する、住まい再建を終えると宣言されたことによって、結果的にその目標がひとり歩きしてしまったのではないか、数追いになってしまったのではないかということを申し上げました。 実際に、仮設供与期間の延長がどのように検討されてきたでしょうか。仮設入居者に1枚の調査票が配付され、延長を希望するかどうかの意向調査が行われました。 その内容ですが、まず、住まいの再建について、自宅再建か民間賃貸住宅への転居か、公営住宅入居を希望するのか、その他か、該当する項目にチェックする、また、供与期間内に退去できない理由は何か、下に書かれた3つの項目のうち、該当するものにチェックするというものであります。3つの項目とは、先ほど知事がおっしゃられた条件であります。 これでは、御家族がどんな困難を抱えているのか、わかりようがありません。なぜ延長を希望しておられるのか、理由を書ける場所はどこにもありません。これで、1件1件の実情に寄り添った対応が担保されるのでしょうか。 ピーク時には、4万8,000人もの方が仮設住宅などの避難生活を余儀なくされました。延長を希望したが認められなかった、あるいは、本当は延長したかったのだが、要件を見て諦めたという方も多数いらっしゃいます。もちろん、順調に生活再建の道を進んでおられる方もおられると思います。 ただ、その一方で、無理して仮設を退去したがために、健康が悪化した、生活が困窮している、商売が立ち行かなくなったなどの困難に直面しておられる方の数も多数に上ると思われます。 お一人お一人の被災者、一つ一つの被災家族に寄り添って支援するというのであれば、当然、県として、全ての仮設入居者、退去者の生活実態の追跡調査を行うことが必要であります。 住まいを失った方が、その後どこに居住し、どんな生活を送っているのか、どのようなサポートが必要なのか、そうした実情を把握している支援団体と行政との情報共有、支援活動が継続されるための体制的、財政的な保障など、国の支援も積極的に活用し、県が市町村としっかりと連携して取り組んでいただきたいと思います。 災害公営住宅の家賃補助の問題でありますが、これも東日本震災の被災者と熊本地震の被災者で格差がつくられた問題であります。 蒲島知事は、東日本震災のような特措法は実現しなかったが、さまざまな支援により、東日本と同等の、あるいはそれを超えるような支援が実現したと、これまでも強調されてきました。しかし、岩手、福島では、いまだに継続している被災者向け医療費免除制度が、熊本ではわずか1年半で打ち切られ、仮設住宅からの強制退去と批判されるような延長要件が持ち込まれ、家賃補助は実現せず、被災者向け生活支援という点では、非常に大きな格差がつくられました。 一人一人の被災者からすれば、自宅をなくした、生活が困難になったという実情は、東日本震災でも熊本地震でも変わらないのであります。被災者に寄り添うという言葉が、スローガンだけでなく実体あるものになるよう、今後の県の取り組み強化を求めたいと思います。 次に、国民健康保険制度についてお尋ねします。 高過ぎる国民健康保険料、保険税が、住民の暮らしを苦しめています。国保料が払えず、滞納している世帯数は、2018年、全国で267万世帯にも上り、全加入世帯の約14.5%にも上っています。 国保制度の最大の問題は、加入者の平均所得は他の保険制度に比べて低いのに、保険料負担率は逆に一番高いという問題であります。 例えば、熊本市に住む給与年収400万円の4人世帯という御家族の場合で比較しますと、仮に協会けんぽに加入していた場合、保険料の本人負担分は年24万円でありますが、同じ年収、家族構成の世帯が国保加入だと、保険料は年48万円、ほぼ倍額になります。 知事にお尋ねしたいことのまず1点目は、この高過ぎる保険料問題を解決することは、県民の暮らしと健康を守るためにも重要な政治課題であること、そして、高過ぎる保険料を引き下げるためには、公費を投入する以外に道はないことは明白ではないかと考えますが、こうした認識を共有していただいているかどうかについて、まずお尋ねします。 全国知事会、全国市長会、全国町村会なども、国保の定率国庫負担の増額を政府に要望しております。ところが、安倍政権は、国民健康保険料、保険税のさらなる大幅な値上げを検討しています。 5月31日、安倍首相が議長を務める経済財政諮問会議では、国保の都道府県内の保険料水準の統一などに取り組む先進・優良事例を全国展開すべきだとの提言が出されました。 もともと、国保都道府県化は、これまで市町村ごとに分かれていた国保の財政を都道府県に集約し、一般会計からの繰り入れなど、市町村独自の国保料軽減策をやめさせ、その分を保険料に転嫁させるというところに大きな狙いがありました。 また、差し押さえなどの収納対策の強化、病院統廃合や病床削減による医療費削減などの推進について、都道府県と市町村の取り組みを政府が採点し、実績を上げた自治体に予算を重点配分するという、保険者努力支援制度も導入されました。 こうした政府のやり方を、熊本県は、追随し、推進するのか、それとも、さらなる負担増から住民を守る防波堤となるのか、熊本県の役割が鋭く問われています。 そこで、2点目の質問ですが、あくまで国保の運営主体は市町村と都道府県であることを踏まえ、保険料の設定や一般会計からの法定外繰り入れは自治体の判断でできることを保障すること、生活困窮者への自治体独自の軽減策は尊重されること、強権的な保険料取り立てをしないよう市町村に徹底を図ること、こうした姿勢を知事に貫いていただきたいと思いますが、御見解を伺います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の国民健康保険制度への認識についてお答えします。 今般の国保制度改革は、国民皆保険の最後の受け皿である国保財政の安定化を図ることで、持続可能な医療保険制度の構築を目指すものであります。 国保は、被保険者の年齢層が高く、医療費水準が高い、また、年金生活や無職の方も多いため、所得水準が低く、保険料負担が大きいという構造的課題があると認識しています。 県としては、他の医療保険制度との保険料負担の格差をできる限り縮小するため、国負担割合の引き上げ等、さらなる財政支援の拡充について、引き続き、全国知事会等と連携しながら、国へ要望してまいります。 あわせて、毎年ふえ続ける医療費の伸びを抑えるため、健康づくりを初めとする医療費適正化の取り組みも進めてまいります。 次に、2点目の御質問についてお答えします。 保険料率の決定や法定外繰り入れを行うかどうか等については、各市町村の判断となります。 一方で、持続可能な医療保険制度の構築が求められており、その一環として、昨年度から県と市町村による共同運営を開始しました。 共同運営に当たっては、市町村との協議を重ね、統一的な指針である熊本県国保運営方針を策定しました。 この運営方針において、法定外繰り入れについては、被保険者の急激な負担増にならないよう十分配慮しつつ、健全な制度運用の観点から、計画的、段階的に解消していくこととしています。 また、保険料の徴収については、お一人お一人の実情をよく把握し、必要に応じて分割納付や減免の措置を講じるなど、丁寧に対応するよう市町村に助言しているところであります。 引き続き、市町村としっかりと連携し、国保の安定運営に努めてまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 国に対して、さらなる財政支援の拡充について、知事会等と連携して要望してまいりたいという御答弁がありました。あわせて、毎年ふえ続ける医療費の伸びを抑えるために、健康づくりを初めとする医療費適正化の取り組みも進めていくとのことであります。 医療費適正化を進めていくためにも、病気の早期発見、早期治療が大事であります。ただ、昨年度、厚生労働省が実施した調査によると、国保料が払えていない滞納世帯の比率は、熊本県は全国3番目の高さであります。また、滞納世帯の中で、正規の被保険者証を取り上げられてしまっている世帯の比率は、全国平均34%に対し、熊本県は42.3%であります。安心して医療を受けられない深刻な状況にあります。 受診抑制によって病状が悪化し、結果的に医療費がさらに膨らんでしまう、そうすると、ますます保険料が上がり、払えない世帯がふえるという悪循環に陥ります。この悪循環を断ち切る上でも、公費投入で保険料を引き下げる以外に道はありません。 全国知事会が提案しているように、公費を1兆円投入すれば、協会けんぽ並みに保険料を引き下げることができます。これが実現すれば、頑張って法定外繰り入れを行っている市町村も救われます。引き続き、ぜひ国に強く声を上げていただきたいと思います。 政府が保険料徴収率を自治体に競わせるようなことになると、当然、強権的な、あるいは違法な取り立てが横行する状況になりかねません。このことについて、熊本県がしっかりと被保険者の立場に立って対応されるよう、改めて強く求めたいと思います。 最後に、LGBTについてお尋ねします。 県議会でも、鎌田議員、城下議員が既に質問で取り上げられ、県の取り組みをお聞きしております。 ことし、同性婚を容認することを求める訴訟が、全国4都市で始まりました。同性パートナーシップ条例、制度を持つ自治体は、ことしの4月現在で、全国20自治体に広がっています。 日本経団連が実施した「LGBTへの企業の取り組みに関するアンケート」では、90%以上の企業が、性的少数者に関して社内の取り組みが必要と回答しています。性的マイノリティーに対する差別をなくすための運動が、社会を大きく動かしております。 質問準備でこの問題を学習いたしまして、私自身もつくづくこれまでの認識不足を痛感しております。多様な性のあり方への無理解や偏見に苦しみ、自尊感情を育てることができずにいる子供や若者たちが、実は身近なところに存在している可能性があり、知らず知らずのうちに、そうした方々を苦しめるような言動をとっているかもしれないということを自覚しなければならないと思いました。 そういう点では、あらゆる分野で理解を深め、取り組みを促進しなければなりません。多様な性のあり方を認め合う社会ほど、社会の全ての構成員が個人の尊厳を大切にされ、暮らしやすい社会となります。 こうした立場で、熊本県も、進んだ他の自治体の取り組みにも学び、さらに積極的な施策の推進を御検討いただくよう求めたいと思います。 具体的な取り組み強化方向として、これは既に着手されておられますが、公的書類における不必要な性別欄の撤廃、同性カップルを結婚に相当する関係と認定する条例や施策を制定すること、それぞれ企業が、規模に応じて、相談窓口の設置や福利厚生、社内研修など、適切なSOGI、LGBT対策を実施すること、県として、SOGI、LGBT対策に積極的に取り組む企業の顕彰を行うこと、こうしたことを要望したいと思いますが、環境生活部長の見解を求めます。  〔環境生活部長田中義人君登壇〕 ◎環境生活部長(田中義人君) 性的指向や性自認等において、いわゆるLGBTの方々は、周囲の偏見や無理解から、日常生活でさまざまな困難に直面している現状がございます。この問題に係る社会の関心が高まり、マスコミの報道等がふえ、法制定に向けた動きも出ております。 もとより、県といたしましては、性の多様性が尊重され、当事者の方々に安心して暮らしていただくことは、重要な人権課題と認識をいたしております。 このため、県では、職員を初め県民の皆様が正しい知識を持って適切な対応がとれるよう、研修会の開催や啓発資料の作成を行ってまいりました。また、昨年度から、各種申請等における性別記載欄について、法令等の定めや業務上の必要がある場合を除き、原則廃止の方針のもと、全庁的な見直しを進めております。 引き続き、県民一人一人の正しい理解が深まるよう、国等の動きを注視しながら、啓発等に取り組んでまいりたいと思います。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 性の多様性を認め合い、性的マイノリティーへの差別をなくし、尊厳を持って生きることを求める運動が、年々大きくなっています。 こうしたLGBTの問題も含め...... ○議長(井手順雄君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 ◆(山本伸裕君) (続) 一人一人が大切にされ、誰もが自分らしく生きることができる社会、個人の尊厳とジェンダー平等が守られる社会を実現することが大切だと思います。 私たち日本共産党としましても、こうした考え方を共有できる全ての皆さんと、党派、立場を超えて手を取り合って、差別、分断のない社会をつくるために頑張ってまいりたいと思います。そうした決意を最後に申し上げまして、私の一般質問を終わります。 大変御協力ありがとうございました。(拍手) ○議長(井手順雄君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時9分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(田代国広君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 橋口海平君。  〔橋口海平君登壇〕(拍手) ◆(橋口海平君) 皆さん、こんにちは。自由民主党・熊本市第一選挙区選出の橋口海平です。この場に立つととても緊張しますが、最後まで頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 本日6月13日は、小さな親切運動スタートの日です。小さな親切運動とは、昭和38年3月の東京大学の卒業式で、茅誠司総長が、卒業生に向けて、小さな親切を、勇気を持ってやっていただきたい、大学で学んださまざまな知識や教養を、ただ頭の中に百科事典のように蓄えておくだけでは立派な社会人とはなれません、その教養を社会人としての生活の中に生かしていくには、やろうとすれば誰にでもできる小さな親切を絶えず行っていくことが大切です、小さな親切はばらばらな知識を融合させる粘着剤の役目を果たすのですと述べられました。そして、卒業式から3カ月後の6月13日に運動がスタートしたことから、小さな親切運動スタートの日として制定されました。 ぜひ、本日の質問も、小さな親切という優しい気持ちで前向きな答弁をしていただくことをお願いして、質問に入らせていただきます。 まず初めに、建設産業の働き方改革について質問いたします。 日本の人口は、2008年の1億2,808万人をピークに人口減少が始まり、令和元年が始まった5月1日は1億2,620万人となり、人口ピーク時に比べると188万人も減少しました。 本県の人口も、1956年の190万3,000人をピークに、令和元年5月1日には174万8,990人となり、15万4,000人減少しており、現在も減少が続いております。 国立社会保障・人口問題研究所の推計に準拠すると、このまま何も対策を講じなければ、2060年の熊本の人口は117万6,000人に減少するとされております。 そのような中、政府が発表したまち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」では、2060年に1億人程度の人口を確保するとの目標も打ち出されました。 本県でも、まち・ひと・しごと創生法第9条に基づき、熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定するに当たり、本県における人口の現状を分析し、人口減少に関する認識を県民の皆さんと共有し、2060年の人口の見通しや今後目指すべき将来の方向性を示すために、熊本県人口ビジョンを策定しました。それには、2060年の人口の展望を144万4,000人と打ち出しております。 このように人口が減少していく中で、地域に与える影響は非常に大きいものだと思います。 熊本県人口ビジョンでも、「人口の変化が本県の将来に与える影響」として、さまざまな影響が記載されております。「生産年齢人口の減少により、各地域における労働力不足が深刻化し、それに伴う生産額や生産量の縮小が懸念されます。」「老年人口の増加及び生産年齢人口の減少により、商工業、農林水産業、建設産業等の地域の産業における担い手の高齢化や減少が進み、地域産業規模の縮小や産業の存続が懸念されます。」そのほかにも「さらに、例えば農林水産業においては耕作放棄地や適切に管理されない森林の増加、建設産業においては社会インフラの維持管理などが困難になるといった社会問題も懸念されます。」「担い手の減少は、ものづくり分野における技術・技能を指導できる人材の減少につながり、技術・技能の継承が円滑に進まない、又は技術・技能が継承されないといった問題が懸念されます。」と記載されております。まさにそのとおりだと思います。 その中で、災害が多い日本では、建設産業の役割は非常に大きいのではないかと思います。 建設産業の就業者数は、全国では、1997年の685万人をピークに、2018年には503万人となり、182万人も減少しております。本県の人口と同じくらいが減少しているのがわかります。技術者は41万人から33万人に、技能者も455万人から328万人に減少しております。 また、建設産業の就業者の高齢化も問題となっております。このままでは、災害が起こった際の復旧、復興の工事、また、通常の社会インフラの維持管理等もままならなくなるのではないのでしょうか。 そのような中、現在、働き方改革において、日本企業の労働環境を大幅に見直す取り組みが進められております。 働き方改革では、長時間労働の是正、正規、非正規の不合理な処遇差の解消、多様な働き方の実現という3つの柱のもと、改革が進められております。建設産業も、これに伴い、改革を進めていかなくてはなりません。 本県では、熊本地震からの復旧、復興を優先するために、先延ばしにしてきました。しかし、これからは、働き方改革を進めていかなければなりません。 平成30年6月議会において、知事は、熊本地震が発生し、ライフラインの途絶に見舞われ、私たちは皆、社会インフラの重要性を再認識した、社会インフラの強靱化やリダンダンシー、代替性の確保などの必要性を感じた、これらを支えるのは建設産業であり、県民の暮らしに欠かすことのできない社会インフラの整備や維持等のため不可欠な存在である、しかし、建設産業は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、担い手の確保が喫緊の課題となっている、技術力、経営力の強化に取り組むとともに、若者にとって魅力ある産業となるよう、週休2日の推進など、働き方改革等に取り組むと答弁しております。 髙野会長率いる熊本県建設業協会青年部を中心に、建設産業のイメージアップ戦略等を行っておりますが、なかなか入職者はふえない状況が続いております。 知事は、若者にとって魅力のある産業となるよう、働き方改革に取り組むと発言されました。まさにそのとおりだと思います。しかし、働き方改革を行うに当たって、建設産業の皆さんは不安も大きいように伺っております。 そこで質問です。 本県の建設産業の働き方改革を進めていく上で、どのような考えで進めていくのか、また、進める上での課題は何か、期待されるものは何か、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) 本県では、ことし3月、第3次熊本県建設産業振興プランを策定し、人材の確保、育成を大きな柱の一つとして位置づけております。 建設産業は、ほかの産業よりも休日が少なく、時間外労働が多い傾向にあります。そのため、人材を着実に確保し、建設産業が将来にわたり持続可能な産業であるために、働き方改革は、極めて重要であると考えております。 県では、これまで、債務負担行為の活用等による施工時期の平準化や適正工期の確保などに取り組んでまいりました。 働き方改革につながる環境整備のため、これらの取り組みをさらに積極的に進めていくとともに、今年度からは、週休2日工事や生産性向上に寄与するICT活用工事の試行を始めます。実施に当たっては、週休2日を考慮した工期設定や工事費の割り増し、ICT建設機械での施工を想定した積算等を行い、受注者が積極的に取り組める環境を整備いたします。 また、今国会で、建設業法等のいわゆる担い手3法が改正されたことから、この趣旨も踏まえ、長時間労働の是正や現場の処遇改善等にも取り組んでまいります。 今後、働き方改革を進めていくためには、県だけではなく、市町村を含めた発注者全体で取り組むことや、受注者である各企業がみずからの改革として実施していくことが不可欠です。 県としても、建設産業が今後も優秀な人材が確保できる魅力ある産業となるよう、建設産業の皆様とともに、全力で改革推進の取り組みを進めてまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 働き方改革を進めていく上で、経費や工期の不安、また、日払いで働いている方の手取りが少なくなるのではというような声も聞こえてきます。これからもしっかりと業界と打ち合わせをしながら、現状に合わせた働き方改革を進めていただきたいと思います。 また、建設産業だけではなく、全ての産業での働き方改革を進めていく上で、労務管理の専門的な知識を持っている社会保険労務士会の方々の意見なども参考にする必要があるのではないかと思います。 例えば、労務監査など、そういったものを必要な場合には行い、働きやすい環境を整えていくことも、これからは必要になってくるのではないかと思います。 働き方改革を進めていく上では、ぜひとも社会保険労務士会の皆様方とも意見交換なども行っていって、しっかりと安心して働ける環境を整えていっていただきたいと思います。 続きまして、県立高等技術専門校の今後について質問いたします。 県立高等技術専門校は、昭和21年に、県立熊本特設補導所として熊本市宮内に設置され、その後、何度かの移転を経て、昭和38年に、現在の南区幸田に移転されました。名称もさまざま変わってきたのですが、平成25年に、現在の県立高等技術専門校となりました。 専門校は「それぞれの科目に応じた技術と知識について訓練を行い、有能な中堅技術者を養成し、さらに職業人としての人間形成に努め、職業の安定と働く人の地位向上を図ること」を目的としております。 また、1、「少数定員の訓練生に対し、きめ細かな指導を行います。」2、「即戦力となる技術者を養成するため、実技に重点を置いた指導を行います。」3、「社会ニーズに沿った、職業人としての自覚が養われる指導を行います。」4、「各種の資格取得に向けての実践的な指導を行います。」5、「実習に必要な工具類のほとんどは訓練期間中貸与されます。」などの項目を訓練の方針として掲げております。 過去には、ラジオ・テレビ科や謄写筆耕科など、歴史を感じさせる科もあったのですが、現在では、自動車車体整備科、電気配管システム科、総合建築科、販売実務科の4つの科で運営されております。 自動車車体整備科は、高卒以上、3年課程で、定員が15人、電気配管システム科は、高卒以上、2年課程で、定員が20人、総合建築科は、義務教育修了者以上、2年課程で、定員が15人、販売実務科では、知的障害のある方を対象とした職業訓練で、訓練期間が1年で、入校時期も4月と10月の2つに分かれており、13人と3人の定員となっております。 全ての科において就職率は100%となっており、また、学生寮も完備しており、遠方からの学生も受講できるなど、本県における重要な人材育成機関となっているのではないのでしょうか。 しかしながら、専門校も耐用年数が最大で24年超過している建物もあり、建てかえまたは大規模修繕が必要となってきております。 そのような中、本県は、昨年度、県立高等技術専門校及び(仮称)技能振興センターに関する今後の方向性(案)を決定しました。 この方向性では、建物が老朽化し、再整備が必要な県立高等技術専門校について、平成29年度から同校を技術短期大学校隣接地に移転することも選択肢の一つとして、さまざまな面を総合的に検討した結果、県立高等技術専門校を現在地で再整備し、技能検定試験会場として、仮称ではありますが、技能振興センターを同校施設内に設置、熊本県職業能力開発協会の事務所を敷地内に招致し、一体的に産業人材育成に取り組むと聞いております。 職業能力開発協会とは、職業能力開発促進法の規定に基づく都道府県所管の法人です。主な業務は、技能検定の実施や技能五輪等への参加、人材育成を目的とした研修、講演会の実施等です。 新しい施設の中に、専門校と職能協会、そして新設予定の、仮称ではありますが、技能振興センター、この3つの機能が集まるということは、技能関係者にとって、とてもありがたいことだと思います。 過去の質問でも何度も申し上げていますように、現在では、技能士不足が続いており、さまざまな面で影響が出てきております。また、技能検定試験の会場の場所もなく、職能協会が職種ごとに会場を探して運営実施しており、また、検定資材の保管場所などで苦労している状況です。 このように苦労が多かった状況が少しでも緩和されるのならば、この再整備される施設への期待はとても大きいものです。 そこで質問です。 この県立高等技術専門校及び(仮称)技能振興センターに関する今後の方向性の現在の検討状況、そして今後のスケジュール、また、この施設についての期待も含めて、商工観光労働部長にお尋ねします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 議員御紹介のとおり、職業能力開発施設の拠点化については、高等技術専門校の現地での再整備、同校敷地内への技能振興センターの設置、熊本県職業能力開発協会の活動拠点の移転を一体的に行う方向で、現在、来年度からの設計着手等に向けて、ソフト、ハード両面から、具体的な検討を進めております。 本年3月には、外部の有識者や関係団体による検討委員会を設置しました。この委員会では、専門校の各訓練科の訓練内容や技能振興センターの設置による産業人材育成施策の充実等について意見を交わしており、年内にはその結果を取りまとめる予定です。 また、専門校の建物再整備の規模や配置計画、技能振興センターの整備内容等について検討を進めており、今年度中に基本構想を取りまとめることとしております。 これらにより、技能検定試験や各種の訓練、研修の実施体制の充実が図られるとともに、研修などを通した技能士や訓練生等の相互交流が広がり、さらには、職能協会が持つ情報発信機能が強化されることを期待しています。 県内においては、多くの業種で人材不足が常態化しており、産業人材の育成は、喫緊の課題となっております。今後とも、職業能力開発施設の拠点化の実現に向け、着実に取り組んでまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 労働人口が減少していく中で、この施設の役割というものは、とても大事なものだと思います。ぜひ、着実に基本構想をまとめ、早期に実現できるよう頑張っていただきたいと思います。 続きまして、外国人材の教育支援について質問します。 技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術または知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う人づくりに寄与することを目的として創設された制度で、現在では、我が国の産業人材として必要な存在となっております。 現在、本県でも、外国人技能実習制度を活用し、本県の産業人材として活躍しているところではないのでしょうか。 技能実習生の受け入れには、企業単独型と団体監理型の受け入れ方式があり、企業単独型は、日本の企業が、海外の現地法人、合弁企業や取引企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方法、団体監理型では、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する方法です。この団体監理型は、商工団体やJA等が該当します。 日本に入国し、在留していくためには、1年目と3年目に技能検定等を受検し、合格することで在留期間が更新され、最大で5年間在留することができます。 このように、技能実習生は、勉強しなければ帰国しないといけないため、しっかりと教育する必要があります。 そのような中、この4月に、日本国内で人材不足が顕著な分野の労働力を確保するための新たな在留資格である特定技能が創設されました。技能実習生は転職はできなかったのですが、この新しい制度は、同一の業務区分内であれば転職することも可能です。転職が可能ということは、賃金が高い企業に、特に大都市圏の高賃金の企業への転職が可能です。熊本で働き出した後に、インターネットやSNSなどで給料が高い情報があると転職するというような懸念があるのではないでしょうか。 この懸念は、本県だけではなく、大都市に比べると賃金が安い地方都市の全てにおいて言えるのではないかと思います。そのようなことを考えると、これからは、外国人材受け入れの競争が激化してくるのではないかと思います。その競争に勝っていくには、受け皿をしっかり整えていく必要があります。 その中でも、特に教育が必要だと思います。例えば、技能実習生は、入国後に日本語教育や労働関係法令等の必要な知識等についての講習を受けることとされており、団体監理型での来日の場合は、監理団体が講習を実施しております。これからさらに増加していく外国人労働者に対して、言葉や技術、技能だけではなく、日本の文化、熊本の文化など、さまざまなことを教えていき、安心して働ける環境を整えていくことで、熊本に人材が集まり、また、他県への転職が少なくなるのではないかと思います。 しかしながら、逆に受け皿がひどい状況であれば、現在はSNSなどで発信され、つながっている外国人材に熊本を選んでもらえなくなります。 このように、受け入れ環境を整えること、教育をしっかりしていくことがとても大事です。 そこで質問です。 これからますます増加していく外国人材に対しての教育をどのように考えているのか、また、県として率先して取り組んでいかなければならないと考えますが、今後の取り組み状況を商工観光労働部長にお尋ねします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 外国人材の受け入れに当たっては、外国人を労働力不足を補う安価な労働者とする発想ではなく、パートナーとして受け入れ、スキルアップを支援する環境を整えていくことが重要です。日本語や生活習慣等の教育は、その実現に向けた第一歩であると考えます。 今回創設された特定技能制度では、教育を含めた外国人労働者の支援は、一義的には受け入れ企業が行う制度となっており、日本語学習機会の提供や社会生活上のルールやマナーを教えるためのオリエンテーション、地域住民との交流促進などが実施されています。 県では、企業の外国人材受け入れに当たっての取り組みを支援するため、今年度、新たに外国人材活躍促進支援事業を創設しました。本事業では、企業の教育担当者を対象に、日本語の教え方や異文化理解に関する講習会等を開催します。また、外国人労働者の日本語学校への通学や通信教育等を支援する企業への助成を行います。 このほかに、平成29年に設置した外国人材受け入れに関する企業からの相談窓口においては、教育支援を含む企業からのさまざまな悩みに対応しております。 また、生活者としての外国人を支援する総合相談窓口を整備するため、今定例会に関係予算を提案しております。 こうしたさまざまな取り組みにより、本県で働く外国人の方々が安心して働き、活躍できる環境を整備し、外国人材に選ばれる熊本となるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 外国人がふえてきて、県民も、また、外国人材の方にもさまざまな不安が出てくるかと思います。しっかりと日本の文化や熊本の文化、また教育を行うことで、お互いが理解し、安心して働くことができる環境を整えることが重要だと思います。ぜひ、外国人材の教育にこれからもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 続きまして、交通分野におけるインバウンド対策について質問します。 クルーズ船の寄港、そして、秋にはラグビーワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権大会の開催を控え、本県においては、これまでにないほどインバウンド需要が高まっています。 さらに、熊本地震で大きな被害を受けた阿蘇くまもと空港が、現在進められているコンセッション方式による経営の民間委託により、創造的復興を果たし、令和5年、2023年に予定されている新しいターミナルビルの開業を迎えますと、外国人旅行者の数は、ますます増加すると見込まれます。 そうした状況において、早急な対策が望まれるのは、県内の公共交通機関のインバウンド対策であります。 例えば、空港はもちろん、駅やバス停の表示の仕方です。行き先や路線図を、英語や中国語、韓国語等で併記するのはもちろん必要ですし、切符の買い方、乗り物への乗り方、乗りかえの仕方などをわかりやすく説明する必要があると思います。 また、運賃を電子マネーで払えるかどうかも重要なポイントです。外国人旅行者、国内旅行者を問わず、旅行の際は、今や電子マネーでの支払いが主流となりつつあります。 交通系のICカードは非常に便利なカードで、私も、Suicaのアプリをスマホに入れており、出張や旅行のときにはとても役に立っております。ICカードをバスや電車の料金の支払いに使いますと、切符の購入や両替が不要であり、乗りかえもスムーズにできます。多額の現金を持ち歩かなくてよいことも、旅行者には魅力の一つです。 しかし、ある県に出張した際、バスに乗り込み、自分のSuicaをタッチしたのですが、Suicaは使えませんよと言われてしまいました。そのバス会社のカードしか使えない、地域カードと言われるシステムで、よそのカードは使えなかったのです。 ICカード乗車券には、SuicaやSUGOCA、PASMOといった全国相互利用カードと、限られた地域でしか使えない地域カードがあり、くまモンのICカードは、地域カードに当たります。通常は、同じ地域内でも両者の相互利用はできません。 5年前にさかのぼりますが、ICカードの導入時、バス事業者は地域カードを、熊本市電はでんでんnimocaという全国相互利用カードを導入したため、でんでんnimocaでバスに乗ることができなくなってしまいます。そこで、平成26年6月の県議会にて、全国相互利用カードをバスで使えるようにする片利用機能を付加するための補正予算を計上し、県民にとって高い利便性を求めるとの附帯決議つきで可決いたしました。 片利用機能により、SuicaやSUGOCAなどのカードをバスで使うことができるようになりました。その後、くまモンのICカードは、県内で普及し、ことし4月末で、発行枚数は21万8,642枚に上っておりますが、阿蘇くまもと空港にはくまモンのICカードの発券機しかなく、外国人観光客が同空港から入国した際にくまモンのICカードを買った場合、県外では使用できないため、その後、九州を周遊する際には、全国相互利用カードも別途買う必要があります。私が他県で経験したように、その外国人観光客も困ってしまうおそれがあります。 高まるインバウンド需要の中で、公共交通機関をますます使いやすいものにしていくことが求められていると考えます。ふなれな旅行者にとって、訪問地の公共交通機関が使いやすいものかどうかは大変重要であり、訪問地の印象を左右するポイントにもなります。 そこで質問です。 今後、インバウンドにもさらに力を入れ、阿蘇くまもと空港が建てかえられて、海外からの旅行者がふえていくことを考えると、外国人観光客にも使いやすい公共交通機関となるような対策を考える必要があると思いますが、どのように考えているのか、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 公共交通機関における多言語表示や決済環境の整備等、インバウンドの利便性を高める取り組みは、観光立県を目指す本県にとって、重要な課題と考えております。 現在、バス事業者が、路線バスの行き先案内表示を、漢字と数字の組み合わせから、アルファベットと数字の組み合わせという外国人旅行者にもわかりやすい表示への変更に取り組んでおり、県も事業費を支援しているところです。本年秋の熊本桜町バスターミナル開業や国際スポーツ大会の開催時には変更が完了する予定です。 また、4月から運用が開始されたバスロケーションシステム・バスきたくまさんが英語表示に対応するなど、環境改善が進んでいます。 運賃支払いに係る電子マネーについても、くまモンのICカードは、片利用機能を追加したことにより、SuicaやSUGOCAでも料金を支払うことが可能となっております。 一方で、議員御指摘のとおり、他県の公共交通機関で利用できないといった課題もあります。利用者の利便性を高めるために、例えば、SUGOCAを運営するJR九州が訪日外国人向けに熊本駅等で発売するくまモンデザインのカード、SUGOMONPASSなどの全国相互利用カードとくまモンのICカードとの併用を周知するなど、利用環境の向上に努めていきます。 また、ICカード以外のキャッシュレス決済として、全国的にはQRコード決済の普及が始まっています。県内のタクシー事業者や肥薩おれんじ鉄道などでは導入が進められており、他の公共交通機関においても導入の可能性を検討してまいります。 本県に観光やビジネスで訪れる外国人旅行者が、県内あるいは九州内をスムーズに移動できるよう、各事業者と連携しながら、引き続き、公共交通機関の利用環境整備を推進してまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) きのうでラグビーワールドカップまで100日だったり、また、女子ハンドボール世界選手権大会があります。そういったことを考えると、これからますますインバウンドというのはふえてくるのではないかと思いますが、選んでもらえるためには、交通分野のインバウンド対策もとても大事だと思っております。SNSは、人を呼び込む武器にもなりますが、逆にマイナス点があっても、すぐに発信されてしまいます。熊本に観光に来た方々が、熊本に来てよかったと思えるような、交通分野でのインバウンド対策をお願いいたします。 続きまして、手話言語条例の制定について質問します。 平成27年6月議会において、手話の理解を広げる取り組みについて要望いたしました。そのときも申し上げましたが、聾者にとって手話とは、例えば、耳が聞こえないまま生まれた子供は、母親が、はい、おにぎりだよと話して、聞こえない子供に与えても、おにぎりは見てわかるが、おにぎりという音声はわかりません。しかし、母親がおにぎりをつくる姿を見て、おにぎりはこうすればできると、おにぎりをつくる動作を覚え、そして、その動作を示して要求することができる、これが手話の心です。視覚的情報によって知り得た情報の形態や意味などを加えて、一定のサイン的形態を築いてきたのが手話であり、聾者にとっては、手話は思考する武器であり、言語と言えます。 2006年、平成18年には、国連総会において、あらゆる障害者の尊厳と権利を保障する、障害者の権利条約が満場一致で採択され、手話は言語であると明記されました。 その後、聾教育国際会議で「国家が合法的に承認する言語に、自国のろう市民の手話を追加し、多数派である聴者の言語と平等に取り扱うことを、すべての国家に要求します。」と宣言し、新たな手話活用の教育が始まりました。現在では、聾者の団体では、日本手話言語法の制定に向けて活動をしている途中でございます。 また、熊本県議会でも、平成25年12月議会で「手話言語法」制定を求める意見書を国に対して提出しております。そして、県内全ての市町村においても、手話言語法制定を求める意見書を提出しました。 平成29年には、蒲島知事も手話を広める知事の会に入会し、現在では全ての都道府県の知事が加入しており、手話言語法制定に向けても機運が高まってきているのではないかと思います。 しかしながら、日本では、事実上日本語のみが広く使用されている状況であり、そこに手話言語を広めていくことは簡単なことではありません。問題は何なのか、一つ一つ課題をクリアしながら、法整備に向けて進んでいかなければなりません。 私たちは、ふだんの生活においては、主に音声による言葉でコミュニケーションをとっております。手話を使う方にとっては、手話が主なコミュニケーションの手段です。 しかしながら、手話を使わない方と使う方のコミュニケーションは難しい場合があります。手話に対して一人一人が理解し、手話でもコミュニケーションがとれるよう広げていく必要があると思います。 そのためには、まず、自治体で手話言語条例を制定し、理解を広める必要があるのではないのでしょうか。令和元年5月での手話言語条例の制定状況は、26道府県、5区、202市、39町、1村の合計で273自治体ございます。熊本県内での制定はまだございません。 そのような中で、平成30年9月、熊本市議会の大石浩文市議の質問で、市長に対して、手話についての認識、手話言語条例の必要性、条例制定に向けての具体的な取り組みを質問されました。 大西熊本市長は、手話は障害者権利条約において言語の一つとして位置づけられ、障害者基本法においても言語と明記されているところであり、聴覚障害者の皆様にとって単なるコミュニケーション手段にとどまらない大切なもの、手話通訳者や要約筆記者の養成、派遣事業、手話通訳者の区役所への配置等を行い、情報提供の充実に努めており、手話に対する理解の広がりや手話を使用することができる環境づくりに取り組んでいる、そして、誰にとっても情報の獲得や利用が自由にできるということは大事なことであり、その権利は保障されなければならないと考えている、手話を使用して生活を営み、手話による豊かな文化を享受できる社会環境を整備していくためにはどうあるべきかという観点から、手話言語条例の制定に向け、具体的に検討してまいりたいと答弁されました。 先月5月25日の新聞の朝刊に、ことし11月までに関係団体と協議を重ねて条例案をまとめ、来年2月の定例市議会に提出し、来年4月の施行を目指す方針と記事になっていました。 このように、熊本市は前向きに条例制定に向けて取り組み始めたものだと思いますが、県内の市町村に広げるためにも、やはり県が条例を制定する必要があると思います。 そこで質問です。 本県での手話に対する取り組み、また、手話言語条例の必要性、制定に向けてはどのように考えているのか、健康福祉部長に質問します。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、本県での手話に対する取り組みについてお答えします。 本県では、平成23年7月に、障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例を制定し、障害の有無にかかわらず、地域で支え合いながら、安心して生き生きと暮らすことができる共生社会づくりに取り組んでいます。 共生社会づくりを進めるに当たり、聴覚に障害のある方にとっては、手話を含めたコミュニケーション手段が十分に確保されていることが、社会参加をする上で大変重要です。 このため、県としましては、手話通訳者や要約筆記者を養成するとともに、県庁に聴覚に障害のある方が訪問された場合に、手話通訳に対応できるよう、専任の手話通訳者を配置しています。 また、聴覚障害者向けの情報提供施設である熊本県聴覚障がい者情報提供センターを設置し、手話や字幕が入ったDVDなどの録画物の作成、貸し出しなど、情報のバリアフリーに向けた取り組みを推進しています。 次に、手話言語条例の必要性、制定に向けての考えですが、手話は、音声言語と並ぶ言語であり、聴覚に障害のある方にとって、情報獲得とコミュニケーションの重要な手段です。 議員御指摘のとおり、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語であると位置づけられておりますが、手話を理解する人はまだまだ少なく、聴覚に障害のある方が地域で円滑に生活を営める環境が十分に整っている状況にはありません。 このため、県としましては、障がいのある人もない人も共に生きる熊本づくりの実現の観点から、手話に対する理解を深め、その普及等を図るため、手話言語条例の検討に着手します。 具体的には、今年度の前半に、まずは、部内に検討組織を立ち上げます。さらに、障害者団体との意見交換を行いながら、条例制定による県民への理解促進や普及などの波及効果等について、検討を進めてまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 手話言語条例の検討を進める、そして、今年度の前半に庁内に検討組織を立ち上げ、障害者団体との意見交換を行うとのことですが、熊本市が手話言語条例を制定する予定でございますので、ぜひ熊本市の考えや取り組みなども参考にしていただければと思います。そして、ぜひ本県でも手話言語条例が制定され、手話に対する理解が深まればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 続きまして、家庭での省エネ対策について質問します。 現在、日本列島では、さまざまな地域で異常気象が起こっております。日本気象協会によると、全国アメダス140地点で、5月の最高気温を更新する暑さとなりました。特に、北海道の佐呂間では39.5度と、信じられない猛暑となり、各地で熱中症でお亡くなりになられた方もいらっしゃいます。 また、近年、各地で豪雨災害が発生しております。その原因の一つとなっているのが地球温暖化ではないかと思います。 地球温暖化の主な要因となっているのが温室効果ガスです。 本県の温室効果ガス排出量の約5分の1が家庭から排出されています。家庭の中で最もCO2を排出しているのが電気であり、48.6%と圧倒的に多くなっております。その中で消費電力が多い順番は、冷蔵庫、照明器具、テレビ、エアコン、電気温水器の順となっております。そのようなことを考えますと、私たち一人一人が節電を心がける必要があるのではないのでしょうか。 パリ協定を踏まえ、日本は、2030年度に、温室効果ガスの排出を2013年度比で26%削減する目標を掲げています。この目標では、2030年度の家庭部門におけるエネルギー起源二酸化炭素排出量の目安は、2013年度比で約4割減とされており、政府は、低炭素社会づくりに貢献する製品の買いかえ、サービスの利用、ライフスタイルの転換など、地球温暖化対策に資するあらゆる賢い選択を促す国民運動、クールチョイスを推進しています。 現在、クールチョイスでは、5つ星家電買換えキャンペーンを行っており、統一省エネルギーラベルの星の数の多い家電への買いかえやLED照明への買いかえ、交換などを呼びかけております。 そのような中で、熊本市では、5つ星の省エネ家電やLED照明を購入された世帯を対象に、補助金を交付しております。対象の主な条件は、4月10日から2月末までに、熊本市内に所在する店舗で、新品の5つ星省エネ家電やLED照明を合計5万円以上購入した方、先着400件に1万円の補助金を出すものです。 福岡県では、家庭における地球温暖化対策を促進するため、省エネルギーや省資源に取り組む家庭をエコファミリーとして募集しております。参加した家庭には、さまざまな特典や、取り組みが顕著な家庭を毎年度表彰しています。 特典としては、エコファミリー応援パスポートが発行され、協賛店舗で割引やドリンクサービスなどの特典や、CO2削減に役立つ取り組みをすると、取り組みに応じて最大6,000円分のエコチケットがもらえたり、半年ごとに電気や水道使用量などの取り組み結果を報告すると、協賛企業から提供されたギフトカードや特産品などの協賛企業賞がもらえたりと、さまざまな特典を用意し、省エネに取り組んでおります。 そこで質問です。 地球温暖化防止のために、産業界だけでなく、一人一人が意識をし、CO2削減に取り組んでいく必要があると思いますが、熊本県としてどのように考えているのか、また、家庭での取り組み、特に排出量の多い家電などの買いかえを推進していかなければならないと考えるが、どのように考えているのか、環境生活部長にお尋ねします。  〔環境生活部長田中義人君登壇〕 ◎環境生活部長(田中義人君) 環境立県を掲げる本県は、2016年2月に、第5次熊本県環境基本計画を策定し、地球温暖化防止のため、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度より30%削減するという目標を設定しております。これは、国の目標である26%を上回るものであります。 この目標達成には、行政、事業者、県民一人一人が幅広く連携して、温暖化防止に取り組むことが重要であります。 そのため、平成20年度から、熊本県ストップ温暖化県民総ぐるみ運動を展開し、県民の生活スタイルや企業活動の見直しを進めております。 具体的には、一人一人が身近で取り組みやすい観点から、エコドライブの推進、グリーンカーテンの設置、家庭から回収したてんぷら油を精製したバイオディーゼル燃料であるくまもとのBDFの普及に重点的に取り組んでおります。 また、議員御指摘のとおり、本県では、家庭からの温室効果ガス排出量が全体の5分の1を占めることから、家庭での省エネ対策も重要と認識しております。 このため、県民総ぐるみ運動の一環として、平成25年度から、各家庭の省エネ行動や省エネ家電製品の買いかえについて、省エネアドバイザーによる診断や助言を実施いたしております。 また、九州各県と連携し、家庭での節電活動に応じて、スーパーやコンビニで使用できるポイント券を交付する九州エコライフポイント事業にも取り組んでおります。 こうした取り組みの結果、平成25年度以降、本県における温室効果ガス排出量は、家庭及び県全体ともに減少をいたしております。 今後も、県民一人一人が、家庭で身近に続けられる省エネ対策の普及や県民総ぐるみ運動を通して、地球温暖化防止に取り組んでまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 家庭での温室効果ガスの排出量というのは、5分の1というようなお話です。非常にこの量は大きいので、ぜひ本県でも率先して、家庭での省エネ、また、家電の買いかえが進むよう取り組んでいただければと思っております。 最後に、くまもと県産酒で乾杯の推進について要望します。 この質問は、平成30年11月定例会にて、くまもと県産酒で乾杯条例が制定され、それに伴い、吉田孝平議員が本年2月の議会で質問をされております。吉田議員は、条例の策定を機に、事業者はどのような取り組みを行うのか、また、県は、いかに後押しし、その趣旨の実現を図るのか、商工観光労働部長にお尋ねされました。 商工観光労働部長は、例えば、酒造メーカーでは、ホームページや新聞広告、新酒祭りのイベント等を通して条例を周知し、酒類販売店では、県内の蔵元お勧めの酒を紹介するなど、県産酒愛飲の機運を高める取り組みを行っている、このような事業者を後押しするため、県では、ポスターやのぼりを作成し、県産酒を取り扱う飲食店等に配付する、加えて、県主催の宴席等においては、県産酒による乾杯を率先して行うことを徹底してまいると答弁しております。 現在は、議会の入り口にも「乾杯」と大きなのぼりを掲げており、乾杯条例の取り組みを推進しているところであります。 しかしながら、民間が主催しているイベントや懇親会に出席すると、県産酒で乾杯している会はまだ少ないと感じています。 確かに、条例ができて、司会の方から、昨年12月にくまもと県産酒で乾杯条例がつくられたから、本日の乾杯は県産酒で乾杯しますと紹介していただくこともありますが、まだまだ少ない状況です。 もちろん、事業者が率先して営業活動等を行う必要はあるのですが、条例の第3条第1項に「県は、県産酒による乾杯を推進するための取組を総合的かつ主体的に実施するよう努めるものとする。」と定めてあります。 ぜひ、本県が後援をするものや、また、民間団体が行うホテルでの酒宴の席の際にも、ホテル側から県産酒で乾杯をお願いしてもらえるような取り組みもさらに進めていただくことを要望いたします。 この条例の目的にも記載があるよう、「本県経済の活性化及び郷土愛の醸成に寄与すること」が進むことを期待しております。私も率先して県産酒を飲みたいと思います。 これで本日用意しておりました質問と要望の全てを終わらせていただきました。 令和が始まり、これからも、令和の時代が、この熊本がよくなるよう、皆様とともに頑張っていきたいと思いますので、これからも御指導のほどよろしくお願いします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(田代国広君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明14日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第4号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時5分散会...