熊本県議会 > 2019-06-12 >
06月12日-02号

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  1. 熊本県議会 2019-06-12
    06月12日-02号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和元年 6月 定例会               第 2 号              (6月12日)  令和元年  熊本県議会6月定例会会議録     第2号令和元年6月12日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  令和元年6月12日(水曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(49人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            磯 田   淳 君     部長     農林水産部長 福 島 誠 治 君     土木部長   宮 部 静 夫 君     国際スポーツ            寺 野 愼 吾 君     大会推進部長     会計管理者  能 登 哲 也 君     企業局長   岡 田   浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  小 山   巌 君     人事委員会            本 田 充 郎 君     事務局長     監査委員   濱 田 義 之 君     選挙管理     委員会    松 永 榮 治 君     委員長  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 井 淳 一     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     議事課長補佐 下 﨑 浩 一    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(井手順雄君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(井手順雄君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 池田和貴君。  〔池田和貴君登壇〕(拍手) ◆(池田和貴君) 皆さん、おはようございます。天草市・天草郡選出の池田和貴でございます。私の17回目の登壇は、統一地方選挙後初めての定例県議会、また、令和になって初めての定例県議会でございます。4年間の任期をまたいただきましたので、しっかりと住民の負託に応えるように頑張ってまいりたいと思っております。また、先生方もよろしく御指導をお願い申し上げます。 それでは、早速一般質問に移らせていただきたいと思います。 人口減少については、昨年9月定例会でも、人口減少社会における地域の課題解決というテーマで、地域における医師確保と在宅医療の推進について質問したところであります。 先日の選挙を含め、地元の天草で御意見を伺っていますと、本当に多くの人々が人口減少を実感し、将来への不安があることを感じました。改めて、この人口減少問題が顕在化していることを感じております。 ここで、天草地域の人口の状況をちょっと見ていただきたいと思います。(資料を示す) 熊本県推計人口調査によると、天草地域――上天草市、天草市、苓北町の平成30年10月1日現在の人口は11万710人で、前年度の11万2,934人から2,224人の減少、減少率は1.97%であります。5年前の平成25年からは、1万361人の減少、減少率8.56%となっており、いずれも県全体よりも減少幅がかなり大きくなっております。 平成26年5月に日本創成会議が発表した通称増田レポートでは、2040年までに、全自治体の約半数に当たる896自治体が消滅するおそれがあるとされ、全国的に人口減少問題への関心が高まりました。 その後、平成26年9月に、地方創生担当大臣、まち・ひと・しごと創生本部の設置、11月に、まち・ひと・しごと創生法の成立、12月に、まち・ひと・しごと創生長期ビジョン、まち・ひと・しごと創生総合戦略の閣議決定を経て、今日に至る具体的な地方創生取り組みが始まりました。 本県では、平成27年10月に熊本県人口ビジョンを、また、同年度中に県内全ての市町村がそれぞれの人口ビジョンを策定しております。 県人口ビジョンでは、国立社会保障人口問題研究所による2060年の推計人口117万6,000人を144万4,000人とする将来展望が示されております。減少を26万8,000人抑制しようということであります。 この将来展望に向けて、今まさに、県庁各部局及び市町村が総力を挙げて取り組んでいるところでしょうが、私は、人口減少対策については、地域ごとに、直面をしている状況も課題も異なるのではないかと考えております。 また、人口減少により、15歳以上65歳未満の生産年齢人口の減少も進むわけであり、産業を担う人材の確保が課題となっております。 さらに、国では、2040年ごろを見据えた行政上の課題や対応策について議論が行われています。市町村の行政サービス維持向上に向けた取り組みも必要ではないでしょうか。 そこで、質問です。 国でも2020年度以降の次期5カ年の総合戦略策定の動きがあり、県、市町村でも同様に、総合戦略を策定することになると思います。その際の議論の土台となるように、今改めて県内各市町村の人口減少の状況分析を進める必要があるのではないでしょうか。知事の考えについてお尋ねをいたします。 また、人口減少が進む中、産業人材の確保と市町村の行政サービス維持向上に向けてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。こちらも、知事の考えについてお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、県内各市町村の人口減少の状況分析についてお答えします。 本県は、平成27年10月に、人口ビジョン、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、地方創生に積極的に取り組んできました。 そのやさき、私の3期目の任期初日に、熊本地震の本震が発生しました。私は、復旧、復興が3期目の使命であり、創造的復興地方創生につながるとの思いで、総合戦略と一本化した熊本復旧・復興4カ年戦略のもと、全力で取り組んでいます。 発災直後から迅速な復旧、復興に取り組み、地震後、一時大きく増大した社会減は、1年後には地震前の水準に回復しました。 また、多子世帯への保育料軽減など、子供を育てやすい環境づくりを進め、出生率は上昇し、全国5位と高い位置にあります。 しかし、依然として人口減少傾向は続いており、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足、地域経済規模の縮小などが懸念されます。 この3月には、産官学金などの幅広い関係者で構成する「まち・ひと・しごと」づくり推進会議を開催し、人口減少社会、中でも、若者の県内就職に向けた環境整備について議論を深め、今後の方向性を共有しました。 県議会におかれましても、今定例会で、人口減少に起因する産業人材の確保と市町村の行政サービス維持向上の課題解決に向け、地域対策特別委員会が設置されたところであります。 人口減少に歯どめをかけることは容易なことではありません。熊本地震からの創造的復興が進む中にあって、この問題に対して、今まさに、危機感を持って、最優先で取り組んでいくことが必要と考えています。 引き続き、県内各市町村の人口動向の分析を進め、これまでの取り組みの成果をしっかりと検証するとともに、特別委員会での議論を踏まえ、地方創生の新たな展開につなげてまいります。 次に、人口減少の中での産業人材確保取り組みについてお答えします。 これまで、県では、ブライト企業の認定やよかボス宣言の推進など、働きやすい環境整備や奨学金返還等支援制度の創設による若者の県内定着推進などに取り組んできました。 また、中山間地域を初めとした農林水産業担い手確保対策や新たな補助制度による県下全域での企業誘致といった取り組みも進めています。 さらに、今年度から新たに、東京圏からのUIJターンを促進する移住支援事業などにも取り組みます。 先日開催された九州地域戦略会議でも、各県が同様の課題を抱えていることが共有されました。このため、新たに「多様な人材の活躍・活用」プロジェクトチームが立ち上がり、私がチームリーダーを務めます。 県内産業の将来にわたる持続的な発展に向け、国や九州各県での議論や先進事例も参考にしながら、県議会とも連携しながら、これまでの取り組みを深化させ、関連施策をさらに進めてまいります。 最後に、市町村の行政サービス維持向上に向けた取り組みについてお答えします。 人口減少社会において、過疎化が進み、地域格差が広がる中で、全ての市町村が一様にフルセット型の行政を行っていくことには限界があります。 今後、市町村がどのように行政サービスを提供していくのかについては、画一的に考えるのではなく、地域の実情に応じ、市町村が主体性を持ち、みずから選択、実行することが重要です。 県では、市町村における今後の行政サービス維持向上に向けた支援のあり方を検討するため、昨年度、県内全市町村を対象に、アンケート調査を実施しました。 市町村からは、専門知識を有する職員の不足が懸念されるため、市町村間の広域連携や県による人的支援が必要といった御意見等をいただいているところです。 これらを踏まえ、県としても、市町村間の調整役や連携の推進役を担うほか、県による市町村の補完としてどのような役割を担えるのか、市町村と連携して検討を進めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま知事からは、丁寧にお答えをいただきました。 知事の御答弁で、ここまで丁寧にいろんなことをおっしゃっていただくとはちょっと思いもしませんでしたが、それだけこの問題の大切さを御認識した上で、この議場で発表していただいたものだというふうに思っております。私たち議会といたしましても、特別委員会を設置し、ともにやっていく姿勢でおりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。 人口減少の状況分析について、知事のほうからも御答弁いただきましたが、私、もう1つ、ここでちょっとお伝えしたいのが、県内の各市町村では、例えば、大都市圏の熊本市に近いとか遠いとか、そういった立地的条件や、もう既に人口減少局面での今第1段階、第2段階、第3段階、特に第3段階の急激な人口減少に入るような、どの位置に今いるのかということを把握しながら議論を進めていくことがすごく大事だというふうに思うんですね。ですから、そこを、各市町村ごと、やっぱりしっかりと今の現状を調べていただきたいのがまず1つございます。 それと、報道でもございましたが、生まれた赤ちゃんの数から死亡数を引いた自然減、これが、2018年度、もう44万人を超えているということでございます。これはもうだんだんだんだんこれから大きくなっていくんですね。そういった意味では、本当に大変な時代に入ってきたというふうに思いますが、ぜひ、この困難を克服するために、一緒に頑張っていければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 続きまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。 熊本地震からの復旧、復興についてでございます。 これは、先ほど知事の御答弁の中にありましたように、3期目の初日に熊本地震が発生して、この3年間、知事が一生懸命取り組んでこられたことでもございます。3つの観点から御質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 熊本地震から3年が経過しましたが、現在も1万4,000人の方が仮設住宅などで生活をされております。これから復旧、復興を果たすためには、何よりも被災された方々の生活再建が最も重要であるというのは、知事もいつもおっしゃっているとおりでございます。 被災者の生活再建については、我が党としても最重要課題と考えており、これまでも、昨年度の9月定例会の代表質問では、私が質問をし、また、2月定例県議会においては、溝口議員が代表質問をさせていただきました。これを踏まえて、今回も、被災者の生活再建の中で、まず、仮設住宅からの住まいの再建についてお尋ねをしたいと思います。 入居者数の推移を見ますと、ピーク時の4万8,000人から、既に7割の方が退去をされ、住まいの再建は進んでいるように感じています。 建設型の仮設住宅においては、空室が多くなり、防犯上の観点や今後の被災者の見守りの支援の観点から、仮設団地の集約を検討している市町村も多くなってまいりました。 そのような中にあって、住まいの再建に見通しが立っている人とそうでない人との二極化が進み、中には、みずからの力だけでは再建が難しい世帯も顕在化してきているのではないかと考えております。 そこで、1点目として、現在仮設住宅で生活されている方の中で、再建の見通しが立っていない世帯はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。また、今後、そのような方々に対し、具体的にどのように支援をしていかれるつもりなのか、知事にお伺いをいたします。 続けて、仮設住宅から恒久的な住まいへ再建された方への支援についてお尋ねをいたします。 仮設住宅入居中においては、地域支え合いセンターによる見守りやサロン活動などを通じて、被災者の孤立化を防ぐための取り組みが行われております。 仮設住宅の入居者は、今後、災害公営住宅など、被災前とは別のコミュニティーで生活される方も多く、これまでのような見守りがなくなることへの不安や、生活環境の変化に対するストレスや孤立感を感じる方も多いのではないかと思います。 そこで、2点目として、恒久的な住まいへ再建した後の被災者の見守りやコミュニティー形成等の支援について、今後どのように考えておられるのか、あわせて知事にお伺いをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の住まいの再建についてお答えします。 私は、被災された方々の住まいの再建なくして熊本地震からの復興はないとの思いから、復興への最重要課題として全力で取り組んでいます。 具体的には、高齢者世帯子育て世帯に配慮した住宅ローンの利子助成や保証人不在者への支援など、熊本型の6つの支援策を講じました。また、地域支え合いセンターや生活再建支援専門員によるきめ細やかな相談・支援体制を整えてきたところです。 このような取り組みにより、ピーク時の仮設住宅入居者の7割を超える1万5,000世帯、3万6,000人の方が住まいを再建されました。また、今なお仮設住宅での生活を余儀なくされている5,000世帯、1万2,000人の方々についても、大半の方が再建先のめどが立っています。 ただ、再建のめどは立っているものの、今年度末までに実現できない世帯が約1,700世帯おられます。 具体的には、契約が終了しても自宅の再建を待っておられる方が約800世帯、建設された災害公営住宅への入居手続中の方が約650世帯おられます。また、益城町の土地区画整理事業や4車線化など公共事業の完了を待っておられる方が約250世帯おられます。 このような方々については、仮設住宅の供与期間のさらなる延長に向け、国と協議を進めていきたいと考えています。 一方で、民間賃貸住宅で希望する物件が見つからない、あるいは自宅再建の資金調達が難しいなどの理由で、いまだ再建が見通せない方もおられます。 これらの方々に対しては、地域支え合いセンターや住まいの再建相談員が重点的に訪問するなど、伴走型の支援を行っています。 また、本年4月から、生活再建支援専門員による支援体制を強化するとともに、県や市町村の関係部署も含めたケース検討会議を開催し、福祉施策の活用を含めた総合的な支援を行っています。 これらの取り組みにより、重点的に支援が必要な世帯は、2カ月間で、年度当初の211世帯から148世帯まで減少しています。 引き続き、一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援を粘り強く続けていくことにより、今年度末までには、全ての被災者の方が住まいの再建を見通せることを目指しています。 次に、2点目の再建後の見守りやコミュニティー形成支援についてお答えします。 私は、住まいを再建された方々が、再建先で、孤立することなく、安心して生活を営んでいただくことが、本当の意味での生活の再建であると考えています。 そのため、市町村においては、仮設住宅入居者だけでなく、住まいを再建された方々についても、地域支え合いセンターによる見守りや災害公営住宅入居前の顔合わせ会などの交流事業に取り組んでいます。 県においても、被災地の自治会長等を対象にした地域福祉リーダーの養成や住民主体の活動を促進する手厚い助成制度を創設し、コミュニティー形成を後押ししています。 今後とも、共助と公助による支援を効果的に組み合わせることで、被災者が一日も早く安心した生活を取り戻せるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) 知事のほうから、被災者の生活再建について、具体的な数字を出していただいて御答弁をいただきました。やはり前進しているなというのは、この御答弁を聞いて感じているところでございます。 再建のめどは立っているが、今年度末までに実現できない世帯について、1,700世帯があって、それがどういう状況であったのか、また、県の施策によって、今まで困難だと思われていた皆さん方が、211世帯から148世帯に減少したとの説明がございました。 ただ、これからが非常にやっぱり大変な人たちが残っていかれますので、今まで以上に複雑なことを解決していかなければいけないんじゃないかというふうに考えておりますので、知事もおっしゃられているように、ぜひこの住まいの再建が進み、さらに、本当の意味での生活再建、再建先で孤立することなく安心して生活を営んでいただくことができるような、そういった状況をつくっていただくようにまた頑張っていただきたいと思います。県議会でも、しっかりと一緒にやらせていただきたいと思っております。 次の質問に移らせていただきます。 次に、環境生活部で実施されている消費者自立のための生活再生総合支援事業についてお尋ねをいたします。 本事業は、その対象者が、当初の多重債務者から、平成28年6月に、熊本地震の被災者、平成29年4月には、DV、虐待や依存症、法律問題、就労問題等の個別要因に起因する消費生活問題を抱える方にまで順次拡大し、平成29年度からは、消費者自立のための生活再生総合支援事業として実施をされております。 ここに至る経緯といたしましては、平成19年4月、国において、多重債務問題改善プログラムが策定され、その背景として、多重債務を苦にした夜逃げや自殺が社会問題として深刻化していた状況がありました。 多重債務問題改善プログラムは、既存の借り手等を対象として、丁寧に事情を聞いてアドバイスを行う相談窓口の整備及び強化、借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティーネット貸し付けの提供などをその内容としたものであります。 このプログラムに基づき、本県では、多重債務者対策協議会の設置、協議会主催での多重債務無料相談会の実施、全市町村への相談窓口の設置等の対策等を進めてまいりましたが、その時点で欠けていたのが、セーフティーネット貸付制度の整備でした。 これらの状況を踏まえ、平成21年9月に、県弁護士会から、本議会に対し、改正貸金業法の完全施行に向けた消費者向けセーフティネット貸付制度の創設を求める請願が行われ、採択をされております。 この状況を受け、平成22年6月から、セーフティーネット貸し付けの機能を備えた多重債務者生活再生支援事業が、国の基金を原資として県により事業化され、グリーンコープ生活協同組合くまもとへの業務委託によって開始をされました。 この事業は、相談者との直接面談による家計診断を通して、具体的な解決方法に向けた助言や、必要に応じて法律専門家や税金、公共料金の窓口等への同行支援を行い、債務整理後または債務整理中の一時的に発生した生活資金の不足に対する貸し付けを行うとともに、債務の整理後は、ここからが、これが重要なんですが、その生活指導を継続しながら、再び多重債務に陥らないよう、対象者の生活再生まで一貫した支援を行うものです。 また、この貸付利率は、熊本地震の被災者については、1.5%の特別利息での貸し付けを期間限定で行っていると聞いております。 私は、本事業が、多重債務者を初め、生活に困窮された多くの県民にとって、大切な事業に成長しており、生活再生への大きなよりどころになっているのではないかと思います。 そこで、熊本地震被災者支援を含む本事業のこれまでの実績はどのようになっているのか、また、本事業の効果をどのように捉えておられるのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長田中義人君登壇〕 ◎環境生活部長(田中義人君) 消費者自立のための生活再生総合支援事業についてお答えをいたします。 本事業では、主として多重債務者に対し、家計見直しの助言、債務整理に関する法律相談、必要な資金の貸し付けなど、生活再生に必要な支援を行っております。 また、熊本地震被災者の方々にも、家計見直しの助言等に加え、仮設住宅から転居する際の敷金や引っ越し費用などへの貸し付けを行っております。 本事業の実績でございますが、相談件数については、平成30年度で805件、事業を開始した平成22年度以降9年間の累計では6,000件となっております。 また、貸し付けにつきましては、平成30年度は69件、約2,000万円の貸し付けを行いました。事業開始以降の累計では588件、約2億5,000万円の貸し付けを行っております。このうち、熊本地震被災者への貸し付けは、累計で130件、約4,500万円の貸し付けとなっております。 次に、本事業の効果でございますが、これまで相談を受けて行った債務整理では、累計で1,472件、総額約61億円に上っております。また、貸付金につきましては、返済計画に基づき順調に返済をされております。 このように、本事業は、多重債務や地震による被災を初め、消費生活面におけるさまざまな困難を抱えた県民の皆様の生活再生に確かな効果を上げており、大変重要な事業であると認識をいたしております。 今後も、県民の皆様が安心して暮らせるよう、精いっぱい取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま部長のほうから、この事業についての効果について御説明いただきました。 やはり10年間やってくると、かなりの件数があるということがわかりましたし、地震の被災者の皆さん方にとっても、活用されているということがわかったというふうに思います。 この中で、相談を受けて行った債務整理が、累計で1,472件、総額61億円となっております。これで特筆すべきことは、答弁の中にはなかったんですが、ほとんどこれは貸し倒れが発生をしてないんですよね、この事業においては。というのは、先ほど話をしたように、非常に伴走型で、貸した後の生活に密着した指導というのが、これは効いているんだというふうに思っております。 本当に自立をしたいという人たちを側面から支援をして、それを助ける大切な事業でございます。ぜひ継続をお願いしたいというふうに思っておりますし、今、実は、国の交付金でこの熊本県の事業がスタートをいたしました。これは、全国に先駆けて、熊本県が最初で、今でも熊本しかやってないというふうに聞いております。 ただ、国の交付金が、ここ数年大きく消費者行政に関する交付金が減らされている現状で、各市町村によっては、事業の縮小や廃止を余儀なくされているところもあるというふうにも伺っておりますので、弁護士会のほうからも、今議会に請願も上がっておりますし、ぜひこれについても継続できるように取り組んでいただきたいというふうに要望しておきたいと思います。 続きまして、次の質問に移らせていただきます。 ONE PIECE熊本復興プロジェクトの今後の展開についてお尋ねをいたします。 ことし4月の復興祈念ウイークでは、県と株式会社集英社との間で覚書が締結をされ、麦わらの一味の像の設置場所が、益城町や南阿蘇村を初めとする8市町村に決定をいたしました。 発表されたストーリーは「麦わらの一味「ヒノ国」復興編」と名づけられており、熊本こと「ヒノ国」に上陸した麦わらの一味が地震の被害を目の当たりにし、船長ルフィの指示で仲間たちが被災地に駆けつけ、それぞれの得意わざでその地域の困り事を解決し、再会を誓う内容になっております。 これまでの状況からすれば、県庁プロムナードに設置されたルフィ像だけでも異例中の異例ではありますが、仲間の像8体についても、尾田先生や集英社の了解が得られ、いよいよ正式にプロジェクトがスタートすることは、非常に感慨深いものであります。 県庁には、今でも国内外からの見学者が訪れ、休日には、外国人観光客や家族連れ、若者グループが楽しそうに写真撮影するなど、熊本観光の一つの名所になったと感じております。今後、仲間の像が設置されることで、その効果はさらに大きなものとなり、県内の設置スポットを周遊する流れができるものと期待をしております。 これまでの発表では、今年度に、船医のチョッパーが熊本市の動植物園に、料理人のサンジが益城町のミナテラスに、狙撃手のウソップが阿蘇市の阿蘇駅前に、音楽家のブルックが御船町のふれあい広場への設置が予定されていますが、像の設置を控える市町村や住民の皆さんにとって、大変待ち遠しい状況だと思います。 ただ、一方で、今回の仲間の像では設置がかなわなかった市町村に対しても、その効果を波及させていく取り組みは必要であり、県には、仲間の像を目的に来た方々に、県内各地を訪れてもらうための方策も求められるところであります。 今後、設置場所の市町村と力を合わせて、まずは除幕式などの準備を進めていかれると思いますが、いつごろ、どのような形で設置し、さらに、県内各地への波及効果をどのように生み出していかれるのか、知事の考えをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 漫画『ONE PIECE』と連携した復興プロジェクトは、ふるさとの復興を願う尾田栄一郎さんの思いから生まれた特別な取り組みです。麦わらの一味とともに、熊本の復興を応援してくださる尾田さんや集英社の皆様にも心から感謝いたします。 このプロジェクトは、被災した地域の応援だけでなく、地震の記憶や教訓を語り継ぐ回廊型震災ミュージアムにおいても重要な役割を果たすと考えています。全国に広く発信していくことで、記憶の風化防止とともに、日本全体の災害対応力の強化につなげてまいります。 今年度は、いよいよ仲間たちの像の設置が始まります。県民やファンの皆様の期待も非常に大きく、私も大変楽しみにしています。 御質問にありました制作状況については、ポーズを含むデザインを尾田さんに監修いただいており、既に制作に着手しました。完成のめどは、年内のできるだけ早い時期に2体、その後、年度内に2体を予定しています。 私は、今回のプロジェクトについて、復興の後押しという意義を効果的に発信する形で進めていくことが重要だと考えています。 この考えのもと、制作期間や設置場所の準備状況などを踏まえ、初めに益城町のサンジと阿蘇市のウソップ、次に熊本市のチョッパーと御船町のブルックの順で設置していくこととしました。 今後、設置される仲間たちがふえるごとに、その効果はさらに高まります。作品の世界観を大切にしながら、像の制作を進めてまいります。 また、設置されなかった市町村を含め、県内各地にその効果を波及させることが今後の課題であると認識しています。既に庁内の関係課によるプロジェクト会議を立ち上げ、検討を始めました。 今後、位置情報を利用したスマートフォンアプリの活用や地域資源と組み合わせた誘客など、像を訪れた方々が、楽しみながら、県内各地を周遊できるアイデアを実現させてまいります。 引き続き、『ONE PIECE』、麦わらの一味の応援を追い風に、日本全国、さらには世界中から熊本を訪れてもらえるよう、知恵を絞って取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) 今知事のほうからも御答弁がございましたように、この『ONE PIECE』像によって、いわゆる地震の記憶の風化の防止というのは非常に効果をもたらすことが、知恵を絞ればできるのではないかというふうに思っております。 益城町のサンジと阿蘇市のウソップが年内に設置をされ、熊本市のチョッパーと御船町のブルックが年度内には設置をされるということでございます。 また、設置に漏れた市町村に対する支援についてもお触れをいただきましたが、ぜひ、こういった県内全部の人たちが、この尾田先生や集英社の皆さん方を初め、関係者の皆さん方がやっていただいた厚意が広く広がるように、ぜひ知恵を絞っていただきたいというふうに思っているところでございます。 これについては、本当、もう頭が下がる思いで、改めて、尾田先生や集英社や関係者の皆さん方にお礼を申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。 次は、国土強靱化の実効性を高める取り組みについて質問させていただきます。 平成28年熊本地震を初め、これまで数多くの自然災害に見舞われてきた本県では、平成29年10月に、熊本県国土強靱化地域計画を策定いたしました。以来、国の国土強靱化に関する動向を踏まえ、その被害を最小限に抑え、迅速な復旧、復興へつながる、災害に強く、安心、安全な熊本づくりを着実に推進をしております。 政府においても、地域の強靱化を後押しするために、国土強靱化地域計画に基づき実施される取り組みについて支援を講じているところであり、昨年12月には、おおむね7兆円規模となる防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が閣議決定をされました。本県では、平成30年度補正予算と令和元年度当初予算との合算で、国土交通省関連で全国4位となる予算額を確保するなど、3か年緊急対策を有効に活用しながら、熊本の復旧、復興と強靱化を進めていると言えます。 ところで、強靱化地域計画の全国の策定状況を見てみますと、都道府県は全て策定をしている一方、市区町村では、策定済みの団体は111市区町村と、策定が進んでおりません。県内市町村はといえば、策定済み団体はゼロで、策定中は熊本市のみという状況です。 なぜ市町村において地域計画の策定が進まないのでしょうか。市町村からは、計画を策定するためのマンパワーが不足をしているとの声や地域防災計画との違いがわかりにくいなどの声が上がっているようであります。 国土交通省は、3か年緊急対策終了後、2021年度以降の強靱化対策を見据えて動き始めております。本県に対しても、市町村計画策定の働きかけと県計画の充実について依頼があっているとのことです。これにしっかり対処していくことが、県全体の強靱化の推進につながるものと考えます。 そこで質問ですが、地域計画の策定は義務ではないものの、地域の国土強靱化の取り組みの指針として、また、2021年度以降の強靱化対策の実効性確保のためにも、市町村においても計画を策定することが重要ではないでしょうか。内閣官房からも、都道府県に対し、市町村計画策定への働きかけ、支援を依頼する文書が出されております。このことを踏まえて、県として、市町村の計画策定をどのように支援をしていくのか。 また、県計画については、熊本地震の大規模災害の教訓を踏まえて策定したものであり、具体的なKPIも設定をされておりますが、強靱化の取り組みの実効性を高めるため、どのように取り組んでいかれるのか。 以上2点、企画振興部長にお尋ねをいたします。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) まず、市町村計画の策定支援についてお答え申し上げます。 国土強靱化地域計画は、平時から大規模自然災害に備えることで、被害を最小化し、住民の生命と財産を守るとともに、被災後の迅速な復旧、復興につなげるためにも、極めて重要なものと認識しております。 県では、本年5月、改めて市町村に対して文書により計画策定を呼びかけました。また、5月から7月にかけて、各広域本部、地域振興局で実施する重要事業説明において、計画策定の意義や必要性について市町村長に直接説明し、早期の策定を働きかけています。 今後さらに、市町村の実務担当者を対象とする説明会や国の出前講座等において、国のガイドラインによる策定手順や県の策定ノウハウを共有するなど、できる限り早期に市町村計画が策定されるよう支援してまいります。 次に、県計画に係る今後の取り組みについてお答え申し上げます。 県は、地震対応に関する検証結果や復旧・復興プラン等を踏まえ、平成29年10月に策定をしました。昨年度に初めて重要業績指標、KPIでございますけれども、等による評価を行いましたが、全市町村で住宅耐震化補助制度が整備されるなど、着実に取り組みを進めております。 また、議員御指摘のとおり、2021年度以降を視野に入れつつ、本県の強靱化を着実に進めるためには、さらに計画を充実する必要があると認識しております。そのため、例えば、強靱化に即効性がある公共事業等を記載していくなど、より計画に具体性を持たせられるよう取り組んでまいります。 国、県の計画と市町村の計画の調和を保ちながら、おのおのが計画に沿って円滑に事業を実施し、県全体で災害に強い熊本の実現に努めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま企画振興部長のほうから丁寧にお答えをいただきました。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。 これは、普通、何か土木部が答えるようなイメージがあるんですが、企画振興部長がやったというのは、内閣府からこういったものが出されているということが関係しているというふうに思っておりますし、これは、いわゆる国土交通省だけではなくて、全庁的に必要なことであるというふうに思っております。 そういった意味では、先ほどの答弁の中では、県の施策の中で、公共事業等について記載をしていくというような御答弁がございましたが、もちろんこれはもうおわかりだと思いますが、公共事業だけではなくて、例えば、福祉や公共事業以外の防災、また、避難所となる教育施設とか、そういったものも含まれてくるんだというふうに考えておりますので、ぜひ、企画振興部としてリーダーシップを持って取り組んでいただきたいというふうに思います。 6年前のリーマン・ショックのときに対応した緊急経済対策で、本県は808億円の予算を獲得することができました。いわゆるチーム熊本として、そこから何かスタートをしたような記憶がございます。まさにこの国土強靱化計画というのは、そういったものとして対応していくべきものだというふうに思っております。 また、時間的に見ると、時間的緊迫性というものがあるというふうに思うんですね。2021年度以降の予算ということになると、もう来年の6月の概算要求のときには、そういったことを中心として話をすることになると思います。そういった意味では、時間的緊迫性を持ってぜひ頑張っていただきたいと思いますし、私たち自民党県連といたしましても、前川会長を先頭として、一生懸命取り組んでいきたいと思っておりますので、またチーム熊本として一緒に頑張ってまいりましょう。よろしくお願い申し上げます。 続きまして、次の質問に移らせていただきます。 天草地域のポテンシャルの最大化に向けてということで、2つの質問を用意させていただきました。たくさんポテンシャルを持っているものはあるんですが、この2つにちょっと的を絞って質問させていただきたいと思います。 﨑津集落が、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産として世界文化遺産に登録されて、間もなく1年が経過をいたします。昨年度の﨑津集落への来訪者は、前年度比2倍を超え、ことしのゴールデンウイークにも約1万5,000人が訪れるなど、登録の効果が続いている状況にあります。 しかし、他の世界遺産の例を見ても、その登録効果は永続的なものではありません。持続的に天草地域に人を呼び込んでいくには、﨑津集落だけではなく、その他の資源の活用が必要になります。 天草は、キリスト教布教のためにヨーロッパに派遣された天正遣欧少年使節が帰国後に学んだ地でもあり、﨑津集落以外にも、大江天主堂やロザリオ館、天草コレジヨ館といったキリスト教にまつわる歴史的な資源があります。 また、ローマ法王が、ことし11月に来日し、長崎にも訪問されるとの報道があります。長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産は、日本語では天草という言葉が入っておりますが、英語名では、ヒドゥン・クリスチャン・サイツ・イン・ザ・ナガサキ・リージョンとなっており、熊本県の天草地方は含まれておりません。ローマ法王の来日を機に、天草市でもローマ法王に接触できる機会を持ちたいと考えているようであります。 もしローマ法王から天草市に何かしらのアクションがあった場合、世界文化遺産・﨑津を含め、天草のキリシタンの歴史がさらに輝くきっかけになるのではないかと思っております。地元と連携して天草・﨑津についてもしっかりPRすべきではないかと考えます。 﨑津集落が、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産として、世界文化遺産に登録された効果の最大化及びローマ法王の来日をチャンスと捉えた取り組みについて、知事の考えをお伺いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 世界文化遺産に長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が登録され、﨑津集落が熊本の宝から世界の宝となりました。12の構成資産の中でも、﨑津集落には、長崎の大浦天主堂に次いで多くの人が訪れています。 天草は、キリスト教潜伏期の遺産として位置づけられている﨑津集落のみならず、キリスト教伝来期の史跡や資料が現存するなど、日本独自の宗教的伝統を深く学ぶことのできる貴重な地域であります。 世界遺産登録を契機に、多くの方々にこの地域を訪れていただくため、これまでも、講演会やイベントの実施、SNSを活用した魅力発信などを行い、積極的にPRを行ってまいりました。 今後も、世界遺産ブランドと天草が持つ豊かな歴史や文化を最大限に生かし、7月から開催する熊本デスティネーションキャンペーンや海外の旅行博でのPRなどを通じて、国内外からの誘客の取り組みを展開してまいります。 また、地元では、河浦中学校の子供たちがボランティアガイドを務め、住民の方が沿道に花を飾るなど、訪れる人々へのおもてなしにあふれています。このような取り組みは、﨑津集落の魅力を高めるものです。 今後も、次世代を担う子供たちや住民の方々が一層の愛着と誇りを持って活動していただけるよう、地域が元気になる取り組みを進め、登録効果の最大化を図ります。 次に、ローマ法王の来日を生かした取り組みについてですが、法王の来日が実現すれば、国内外からの高い関心を集めている﨑津集落が、さらに脚光を浴びる機会になると考えています。 現段階では法王の来日が確定しているとは承知しておりませんが、県としましては、そのような機会を含め、あらゆるチャンスを生かし、天草市や長崎県と連携をとりながら、世界文化遺産・﨑津集落の魅力発信に努めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま知事から御答弁をいただきまして、﨑津集落を含め、天草市の世界文化遺産に対する期待や、また、それに対する地元の対応というのは、非常に評価が高いんだというふうに思っております。こういった地道に続けることは続けていきながら、ただ、やはり話題性というのは非常に重要なことになるんだろうというふうに思っております。 先ほど知事からも触れていただきましたが、天草は、いわゆる潜伏キリシタンが世界文化遺産として評価をされましたが、その以前にも、キリスト教伝来をしてから潜伏キリシタンに移るまでにも、いわゆる九州の文化の中心として栄えたような南蛮文化が開かれた地域でもございます。1591年には、長崎の島原・加津佐からコレジオが天草に移されまして、いわゆる神学校が天草に置かれました。そのときには、九州各地から宣教師を目指す各地の秀才たちが天草に集結をし、そこで学習をしながら布教のために散っていったというふうに思います。 そういった輝かしい文化がなかなかまだ表に出てきていないというのは残念であります。こういったものを広めていくこともぜひ頑張っていただきたいというふうに思いますし、また、ローマ法王の来日については、まだ正式に承知してないというふうなことでございましたが、6月中旬には大体日程が公表されるのではないかと今言われております。今政府の中で、いつなのか、日程をどういうふうにするのか、場所をどこにするのかというのが、多分6月中には明らかになると言われておりますので、もし7月であると、多分ここの答弁は変わったのではないかというふうに思うんですが、私も、やっぱりこれは千載一遇のチャンスと考えて、いろんな団体や長崎の皆さん方とも、何とかローマ法王から天草に対してのお言葉がもらえないかとか、来ていただけないかという活動をやっております。天草市も、また、長崎県の大村市も一緒にこれからやっていこうという動きが始まっておりますし、苓北町も期待をしているところだというふうに聞いております。 そういった動きが明らかになったときには、ぜひ県のバックアップが必要だと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。 続いて、イルカと共生したイルカウオッチングの今後についてお尋ねをいたします。 平成5年に本格的にスタートした天草のイルカウオッチングは、今や年間10万人を呼び込み、自然、歴史、グルメ等と並んで天草観光の核となっています。これを全国に目を向けてみますと、日本イルカウオッチング協議会の情報では、今やイルカウオッチングは、全国約20カ所で行われており、観光客の人気を集めています。 このような中、天草市通詞島近海は,約200頭のミナミバンドウイルカが生息をし、定住をしている貴重な海域であります。 このため、平成20年に、天草市が中心となって、行政や事業者で構成する協議会を設立され、関係自治体及びイルカウオッチング事業者相互の連絡調整や安全運航及び海洋観光の振興が図られております。現在では、対岸の南島原市の事業者も含め、ほぼ全ての事業者が参加されており、安全でイルカにも負担の少ないウオッチングができるようになっています。 一方で、水上バイクなどのマリンアクティビティーの多様化やインバウンド客の増加等、イルカウオッチングを取り巻く環境も変化をし、新たなステージに入ってまいりました。そこでは、協議会の自主ルールを知らない方も多く、ルールを無視したイルカウオッチングがSNSなどで発信されると、天草のイルカウオッチングのイメージの低下が懸念されるばかりではなく、イルカに悪影響を及ぼすことも考えられ、今後、イルカがこの海域に生息しなくなることすらあるのではないかと危惧をしております。 今後も永続的にイルカがこの海域にすみ続け、イルカウオッチングをこの海域で行っていくためには、地元の方々を初め、事業者や観光客、マリンスポーツ愛好家の方々など、この価値を多くの人たちで共有し、守っていく必要があると考えております。 天草の海域では、縄文時代から続く素潜り漁を初め、漁業が盛んであるにもかかわらず、イルカと共存してきたという歴史があります。昨年には、イルカ事情を調査するために世界を回り、天草の海に魅了されて東京から移住された女性が、イルカとの共生を目指した民間団体、天草イルカラボを設立されるなど、新たな動きも出ております。 継続的な観察が容易な天草は、イルカの社会構造の研究に最適であるだけではなく、縄文時代からイルカと共存してきた生活史を踏まえ、これまでの人類との共存していた関係性の学習を通じて、未来における自然と人類の共生を実地研究するために最適な地であり、イルカの聖地と呼ぶにふさわしい地域であります。私自身、今後、単なるウオッチングだけではなく、イルカセラピーなど滞在型の観光として、また、学習や学術研究の場などに進化をしていく可能性を秘めていると気づかされました。 県としては、天草観光の柱となっているイルカウオッチングの現状について、どのように認識し、今後どのように取り組んでいくのか、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 天草の自然をダイナミックに実感できるイルカウオッチングは、年々人気が高まっており、今や多くの観光客に癒やしと感動を与える、天草観光のハイライトの一つとなっております。 港から出航してわずか30分の海域にイルカが生息し、98%の高い確率で出会うことができます。これは、天草の海の美しさとともに、地域とイルカとが共生してきた、天草の貴重な歴史や文化をあらわしています。 こうした天草のすばらしい海の環境を守り育て、将来に受け継いでいくことは、極めて大切です。 現在、天草市を事務局とし、上天草市や南島原市、県などで構成するイルカウオッチング安全運航協議会において、事業者向けの研修会などを実施しております。しかしながら、議員御指摘のとおり、水上バイクなどマリンスポーツの愛好者の中には、まだウオッチングを行う上で配慮すべきことなどのルールを御存じでない方もいらっしゃいます。このため、県では、この協議会を中心に、新たな取り組みを進めてまいります。 まずは、マリンスポーツを行う方々に対し、チラシの配付などさまざまな機会を捉えて、ウオッチングを行う上でのルールについて周知徹底を図ります。 次に、ルール自体についても、水産や環境の専門家の意見を伺いながら、さらに留意する点がないか、検証してまいります。 また、今月、天草市がオープンした天草イルカセンターでは、イルカの生態や人とイルカの共存の歴史などを学ぶことができます。この施設を通して、地域住民や観光客の方々に、イルカが泳ぐ海は天草の宝であること、そして、将来にわたってイルカとの共生を続けていくことの重要性を伝えてまいります。 イルカウオッチングは、生態系の保護と観光資源の活用のバランスの上に成り立っています。イルカが暮らす天草の豊かな海の魅力を広く発信しながら、将来にしっかりと引き継いでいけるよう、地元市町とともに取り組みを進めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま、磯田部長のほうから、このイルカウオッチングの進化に向けて、県としても取り組んでいくということを御答弁いただきました。 最初は、天草市の五和町からスタートをいたしました。それで、もう今では長崎県、また、ほかの市町村でもイルカウオッチングをする方がふえております。いわゆる天草市だけでは問題解決することができなくなったのではないかというふうに思っております。 当然、長崎県の事業者の方もいらっしゃいますので、やはり県同士、この海域についてどう話をしていくのかということは、今後重要になってくるのではないかと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っています。 私は、今のイルカウオッチングだけで満足することなく、例えば、世界的に有名なフロリダであるとか、ここはドルフィン・リサーチ・センターというのがあって、いわゆるイルカセラピーや、また、イルカに対する教育のために、滞在型の観光に育っているところがございます。また、ハワイでは、ハワイ島で、ハワイ州が先頭となってイルカウオッチングを厳しく監視をしながら共存の歴史をつないでおります。また、オーストラリアのパースのモンキーマイアというところでは、地元の高校生がレンジャーとして教育を受けて、子供たちにイルカとの共生の歴史を教えていくなど、そういったところに発展をしていると思います。 先ほども質問の中で申し上げましたように、有明海のこの環境は、それを、そういった世界の各地に負けないような観光に育てていけるポテンシャルを私は持っているんじゃないかというふうに思って、考えて、気づかされたというか、今回の選挙を通じて気づかされたところでありますので、ぜひ皆さん方にもよろしくお願いしたいと思います。 これで、残り10秒を切りました。何とか時間どおりに終わらせることができました。御清聴いただきましたことに心から感謝を申し上げまして、また4年間頑張ることをお誓いして、私の質問を終わります。 お世話になりました。(拍手) ○議長(井手順雄君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時1分休憩    ――――――○――――――  午前11時10分開議
    ○議長(井手順雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 西聖一君。  〔西聖一君登壇〕(拍手) ◆(西聖一君) 新会派・くまもと民主連合・熊本市第一選挙区の西聖一でございます。池田議員に引き続き、令和元年度初の本議会において質問の登壇の機会をいただき、感謝をいたします。これから4年間、県民の声を議場に届け、暮らしに身近な政治の実現に取り組んでまいりたいと思います。 私ごとではありますが、3年前の熊本地震直後の代表質問の場では、初めての防災服による、しかも本議場以外での、全員協議会室での登壇を経験し、また、改修後の新しい本議場の初日にも登壇の機会を得、議場の改革の目玉となるスクリーンも使用させていただきました。本日も、令和最初の議会質問の登壇の機会をいただきました。緊張しながらも、わさもんではありませんけれども、ある種の感動を覚えながら質問をさせていただきます。 今回の質問は、統一地方選挙直後で、十分な練り込みが足りない部分も多いかと思いますが、未来に向けての展望が持てるように執行部にお尋ねいたしますので、よろしく答弁をお願いいたします。 まず最初に、選挙の投票率向上についてお尋ねをいたします。 統一地方選挙も終わりましたが、県議選の投票率は46.53%と、初めて50%を割り込む結果となりました。有権者の過半にも満たない投票数で議員が選出されたことになります。統一地方選挙だけではなく、国政選挙や首長選挙についても、毎回のように投票率が下がってきています。 また、立候補者数も、定数49に対して60人と過去最少となり、全国的ななり手不足が本県議選でも見られました。21選挙区のうち12選挙区は無投票区となっており、有権者からは、投票する場もなかったという意見や議会の改革が必要ではないかという意見も数多く出ているところです。 民主主義の意思決定のプロセスで最も重要な手法が選挙制度だと、私は考えています。 日本国では、明治時代に、市民の代弁者を決める選挙制度が導入されましたが、自由、平等をうたう民主主義とはいえ、当時は不平等な選挙制度であったため、先人たちが、平民の選挙権や婦人の参政権を得るために、大変苦労されて現行の選挙制度ができ上がっています。 そのような苦労のもとにできた選挙制度を理解している御高齢の方は、選挙だけは必ず行かなくてはならないという行動意識が高いのですが、年齢が若くなるほど選挙に無関心となり、投票に対する意識も下がっているようです。 国のほうでも、選挙制度の見直しもさまざまに行われる中、先般は、投票権を18歳まで引き下げて参政権の拡大をし、選挙に対する関心度を引き上げ、その対応も実施されましたが、一向に投票率の低下の歯どめは見られません。 一体どこまで投票率は下がるのか、そして、低い投票率の中、選出される議員、さらには、信任投票もなく選出される無投票区の議員は有効なのかという素朴な疑問が私にはあります。 選挙管理委員会にお尋ねすると、現行の選挙制度では、無投票区の選出議員も当然に問題はなく、たとえ10%の投票率でも選挙結果は有効だということです。 議員や首長の選挙だけではありません。これから憲法改正の是非やさまざまな問題を国民に問う国民投票制度も実施しようとする国の動きもありますが、100%近い国民の意思が投じられるような制度であれば、民主主義として結果を尊重するものとなりますが、現在のような、過半数を割り、40%、30%と下がっていく投票率、そして、その結果の信頼性は、どこまであるのでしょうか。 この点について、政治学を専攻されている蒲島知事に、今後の投票率の低下がもたらす民主主義政治のあり方をどのように受けとめているかをお尋ねし、選挙管理委員長には、投票率を上げる対応として、今後どのような対策を講じていくのか、お尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 投票率低下がもたらす民主政治への影響に関する私の受けとめ方についてお答えします。 私は、参加民主主義という立場をとっています。これは、人々は、政治に参加することによって、政治に関心を持ち、政治的決定に帰属感を持つということになる、そのような理論です。そして、よりすぐれた民主的な資質を持った市民になるという考え方もあります。この考え方から、投票率の低下は、大変懸念すべきものであると考えています。 有権者の投票・棄権行動を決定する要因は、大きく4つあると考えています。 1つ目は、有権者の心理的な要因です。投票義務感や政治的関心、政治的信頼などがこれに当たります。投票義務感が強いほど、政治的関心や信頼が高いほど、有権者は、投票に出かけることになります。 2つ目は、組織的な要因です。人々は、何らかの組織に属していると、より投票に参加する傾向があります。 3つ目は、政治的ネットワークです。メディアと多く接触する人、また、政治的な議論をする人は、投票率が高い傾向にあります。 4つ目は、私が選挙の舞台装置と呼んでいるものです。これは、有権者の個人的特性とは別のもので、選挙の競争度や選挙日の天候など、選挙をめぐる状況のことであります。候補者間の競争が激しいときには投票率が上がり、雨の日など天候が悪い場合は投票率が下がります。 このように、投票・棄権行動は、さまざまな要因によって決定されます。若い世代を初め、多くの人々の政治参加を促すためには、社会的な教育によって投票義務感などを強めるとともに、誰もが地域に愛着を持てるような政治、高い関心や信頼が得られるような政治を行うことが重要であります。 また、魅力ある候補者をそろえ、住民の幸福度の向上に向けて競い合う、興味ある舞台をつくることも大切だと考えています。 私も、皆様とともに、多くの方々に参加していただけるような県政となるよう、日々努力してまいります。  〔選挙管理委員会委員長松永榮治君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(松永榮治君) 民主主義の根幹をなす選挙は、有権者がみずからの意思を政治に反映する大切な機会です。今回、県議会議員選挙の投票率が過去最低となったことについては、大変憂慮しております。 投票率の向上について、県選挙管理委員会は、県教育委員会、市区町村選挙管理委員会、明るい選挙推進協議会などと連携して取り組んでまいりました。 具体的には、啓発活動として、各種広報誌の発行や明るい選挙啓発作品コンクールの実施、高等学校等において講義や模擬投票を行う出前授業等を行っております。 また、投票しやすい環境づくりとして、市区町村選挙管理委員会が、大型ショッピングセンターへの期日前投票所の設置や投票所への送迎などに取り組んでおります。 県選挙管理委員会としましては、これまでの取り組みを地道に続けていくとともに、将来有権者となる子供たちが選挙に興味を持つきっかけづくりとして、小中学校での出前授業の実施や保護者への子供連れ投票の推奨などに取り組み、引き続き、投票率の向上に努めてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 知事の政治学者としての見解をお聞きし、なるほどなと、私も同感だと思いました。幅広い見識を持った知事のもとで県政が展開されることは、県民にとって何よりのことだと思います。県民に関心を持てる政治を私たちも実践していかなければと、改めて考えたところでございます。 さて、答弁の中に、社会的教育によって投票義務感を強めることが重要であるとありましたが、学校教育の現場では、生徒たちもしっかり投票の重要性を認識していると思いますが、社会に出てから若者に誰が教育していくのか、そこが鍵なのかなと思います。 報道等のマスコミの重要性はあると思いますけれども、時として劇場型の選挙になりそうですし、著名な芸能人やユーチューバーなどからの呼びかけは、若者に対しては効果的でしょうが、それに頼らざるを得ない現状も残念なものがあるのではと思います。 昔は、青年団等の若者が参加していた団体が社会的教育の役割を担っていたのではないかと考えると、今はそのような組織はなかなか見当たらないのかなと思います。 若者の投票行動だけではないと思います。先日、熊日の社説にも、今回の投票率についての疑問が掲載されていました。有権者の意識を問われていますが、有権者が関心を持つような候補者や公約の実現対応ができていないなど、候補者側の問題もあるのでしょう。知事も述べられたように、魅力ある候補者が競い合う舞台づくりも重要だと思います。 私たち県議会の会派、くまもと民主連合は、同名の地域政党も立ち上げたところですが、有権者の関心を引き、投票率が上がるような政治の舞台づくりを行い、多くの方が参加する県政の一翼を担っていきたいと考えているところです。 選挙管理委員長からも、特に若者に対してのさまざまな取り組みに尽力している答弁がありました。 高校生、小中学校にも出前講座を実施し、模擬投票を経験させていますが、学校現場は、拘束された時間の中での投票の体験です。しかし、社会に出てしまうと、その拘束力がなくなってしまうのが現状です。 社会の中で、選挙に行かなくてはいけないような雰囲気づくりをしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、投票所の検討、投票方法、投票したくてもできない人への対策など、答弁で示されたとおり、改善の余地はあると思われます。 これから国民投票も実施される動きがありますが、しっかりとした民意があらわれるように、投票率の向上を目指し、それらに必要な取り組みを重ねてお願いを申し上げ、次の質問に移ります。 SDGs、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズの取り組みについてお尋ねいたします。 これは、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発のための2030アジェンダであり、働きがいも経済成長もや全ての人に健康と福祉を、海の豊かさを守ろうなどといった17ゴールと、ゴールごとに設定された合計169のターゲットで構成されています。 今私が胸にバッジをつけていますが......(資料を示す)これがSDGsのマークです。最近、市内を歩いていても、通りすがりの民間企業の方もつけているのをよく見かけます。17色も使っているので、少し派手さも加わり、大変目立つバッジとなっています。 また、ことしの県立高校の入試問題では、SDGsが目指す17分野のロゴマークが取り上げられ、話題となりました。(資料を示す)今スクリーンに映っていますけれども、試験に出たときに、これを東京オリ・パラのスポーツのロゴマークと勘違いした生徒さんもやっぱり多かったようで、まだまだ認知度が足りていないというような感じであります。 この、国連でも推進されている経済、社会、環境の3側面における持続可能な開発目標の達成に関する取り組みについて、昨年の2月議会で、前田議員からも質問があり、山川企画振興部長から、モデル事業等を通じて機運醸成を図り、県の4カ年戦略の各施策について、SDGsを意識し、持続可能な社会を目指して取り組んでいく旨の答弁があったところです。 この1年間の動きを見ますと、小国町でのモデル事業の取り組みや、熊本市では、幹部職員等に対しての職員研修を実施し、行政施策に反映をさせるような啓発活動の取り組みが見られ、さらには、先ほど述べたように、企業の積極的な取り組み姿勢を感じるところですが、このような流れの中で、県も、率先して取り組みを図っていくべきではないでしょうか。 一口にSDGsの取り組みといいましても、17の分野があり、全ての分野についてただすことはできかねますので、最近世論の注目となっている事案を取り上げ、今回は、ゴール、住み続けられるまちづくりの観点から、公共交通網の整備推進をお尋ねしたいと思います。 最近は、高齢者ドライバーによる事故の多発により、免許を返還するべきだという世論が進んできました。高齢化による身体的な衰えにより、運転操作の過ちから悲惨な交通事故が発生するのを防止するためには、車の運転をさせないようにすることが対策として有効でしょう。そのため、免許返納をする基準等に衆目が集まっています。 しかし、交通手段を失うことで、一気に交通難民になり、買い物、病院その他さまざまな活動範囲が縮小し、特に公共交通機関がないところでは、より一層住み続けることが困難となってしまいます。自動車運転免許を返還することは、個別的な死活問題にかかわってきます。 公共交通機関の不足は、高齢者だけの問題だけではありません。近年は、バスの運転手不足等から路線の廃止や減便もふえており、通勤や通学等の移動にも支障を来し、そのことが地域での定住や移住の妨げになり、若者が地方に住むことをためらい、公共交通機関がしっかりしている利便性の高い地域への人口移動を助長し、結果的に地域疲弊を加速させる要因にもつながってきています。 このことは、地方だけではなく、都市部でも同様であり、公共交通の利便性が定住要件の大きなポイントとなっています。 熊本都市圏については、交通対策の基本構想やアクションプログラムも作成され、実行段階には来ていますが、課題解決の困難性が立ちはだかっています。 それ以上に、地方都市、中山間地や海岸島嶼地域の公共交通機関の維持、確保は、持続的なまちづくりを進める上で深刻な問題です。 さらに、別の視点から申し上げますと、これから熊本県の経済政策の一つに観光立県としてのインバウンド対策があります。JR熊本駅、阿蘇くまもと空港、八代外港の整備は確実に進んでいますが、旅行客がそこから移動するためのバス等の交通移動手段が不足していることが大きな障害になってきています。 今般、JR三里木駅と阿蘇くまもと空港間の軌道敷設の計画も、阿蘇くまもと空港からの旅行客の移動手段の改善の対策の一つだと理解します。 これを機に、JRを活用して県内の主要都市へ移動した後、その地域の観光地などに行きやすいように、駅からのバス、タクシー等の交通網整備も一体的に進めるべきではないでしょうか。公共交通機関の充実が、旅行者にとって、また、地域定住者の観光産業の振興や暮らしやすさの進展に寄与するという、地方創生のための持続可能なゴール目標になると考えます。 以上申し上げ、2030年後も住み続けられるまちづくりの実現に向けて、県として、公共交通機関、軌道、バス網、タクシー等の体制整備とそれに必要な人材や財源の確保を、これまで以上のスピード感を持って取り組み、熊本県のSDGsの成果となるように取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。 これからのSDGsの取り組みについて、企画振興部長にお尋ねいたします。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) まず、県全体の取り組みについてお答え申し上げます。 本県においては、持続可能な社会を目指すSDGsの理念と同一の方向性を持った熊本復旧・復興4カ年戦略に基づき、各施策に取り組んでいるところです。 例えば、地域資源を生かし、持続可能な社会の形成を目指す地域循環共生圏づくりプラットフォーム構築事業等に取り組んでいます。また、県内市町村においても、国の自治体SDGsモデル事業に選定された小国町に続き、他の市町村でもモデル事業への提案の動きが出ています。 今後も、より多くの県民の皆様に、世界共通の目標であるSDGsについて認識を深めていただけるよう、民間企業等と連携した周知啓発に取り組んでまいります。 次に、公共交通網整備の取り組みについてお答え申し上げます。 県では、持続可能なまちづくりに必要不可欠な公共交通網整備を喫緊の課題と捉え、取り組みを進めています。 県民に最も身近な路線バスについては、本年3月、県、熊本市、県内バス事業者5社により、熊本におけるバス交通のあり方検討会を発足させ、県全体のバス路線網再編等の検討に着手しました。 検討会では、持続可能で利用者ニーズや時代に合ったバスサービスの提供を目指し、ビッグデータの分析等により、あるべきバス路線網を描くとともに、その実現に必要な事業形態等について、年内をめどに検討を進めています。 中山間地域等における交通手段の確保については、これまでも、市町村の交通会議等に県も積極的に参画し、助言等を行ってまいりました。既に、八代地域のコミュニティーバスや鹿本地域の乗り合いタクシーなど、県内各地域の実情に応じた持続可能な公共交通が導入され始めたところです。 また、公共交通機関の結節拠点である駅や空港からの交通手段の確保についても、関係機関と連携し、バス網や鉄道の整備等に取り組んでいます。定時性や速達性、大量輸送性にすぐれた空港アクセス鉄道の整備により、熊本駅や中心市街地のほか、県内各地へのアクセスが容易となります。さらには、自家用車から公共交通機関へのシフトによるCO2や排出ガスの削減は、SDGsにも寄与するものと考えます。 県としては、関係機関との連携により、公共交通網を一層充実させ、今後もSDGsの住み続けられるまちづくりの実現に向け、取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) SDGsのバッジをつけていますと、それは何のバッジですかとよく聞かれます。認知度調査ではまだ19%程度しかないようですが、徐々に認知度も上がってきているようです。SDGsの取り組みは、政府も取り入れているところですし、これからの企業戦略の根幹を占めていくものだと考えています。 本県も、答弁にありましたとおり、SDGsと同一の方向性を持った熊本復旧・復興4カ年戦略に取り組んでいるとのことです。さらに、人口減少や自然環境の変化等をしっかり踏まえて、安心して熊本で生活できるSDGsが示す持続可能な社会づくりを目指した考えを、県の職員にもしっかり共有していただくことを強く申し上げ、期待をしたいと思います。 また、公共交通問題についてですが、部長から丁寧に取り組み等の報告をいただきました。熊本におけるバス交通のあり方検討会を発足し、バス路線網再編等の検討に着手をされたということです。 この点について、さきに政府は、これからの成長戦略案の一つとして、地銀、バスの事業については、統合や共同運営を加速し、地域の基盤となるサービスの維持を後押しするために、10年間の時限措置で独占禁止法を除外する特例法の整備を考えていることが報道されました。 バス事業者の統合等についての是非についてはここでは触れませんが、山間部での路線を維持することを条件に、事業者間で便数や路線を調整し、集まった収入を分け合う運賃プールと呼ばれる共同方式を認める案を示したことは、あり方検討会でも大いに朗報ではないかと思いますので、地域住民の路線確保の要望にしっかり応えていただきたいと考えます。 さらに、知事から、今議会冒頭に、熊本都市圏の交通の円滑化や渋滞の解消に向けての国、県、市の3者の連携会議を設立することが報告されましたが、ぜひともこの中でもバス等の公共交通機関の充実を検討していただきたいと思います。 3番目ですけれども、会計年度任用職員制度についてお尋ねをいたします。 働き方改革の一環で、地方公務員法及び地方自治法が改正され、これまで臨時・非常勤職員で任用されていた職員のほとんどが、来年4月から、会計年度任用職員として採用され、基本給のアップやボーナスの支給も可能となる制度となります。 私は、昨年の9月議会で、本制度の適正な運用をするために、職場の実態を把握して、今後の任用条件等を県としていち早く公表し、各市町村の模範となるようにお願いをしたところです。 今回の6月議会に関連の条例案が提出されているところですが、具体的な報酬制度内容等は、人事委員会との協議が必要であり、未定と伺っています。 パートタイムやフルタイムなど、さまざまな勤務形態がある中で、詳細な詰めはこれからでしょうが、来年の4月の任用に向けて、できるだけ早く具体的な制度内容を決定し、各自治体にも示していただきたいと考えています。というのは、制度運用で必要な人件費がどれくらいになるのか、財源的な不安を感じているからです。 給与については、これまでも各自治体でも支払い実績がありますから、一定程度の人件費を確保していると思いますが、一時金支給については、この制度で初めて導入されます。県が定める一時金の支給割合が、自治体の制度導入に大きな関心事となるのではないかと懸念しています。 国のほうでは、制度導入に当たって、人件費の財源は確保するとしながらも、給与体系や一時金支給数等については各自治体の財政状況に委ねられており、制度運用に市町村格差が出てくるおそれがあります。 また、任用期間についても、現在の非常勤職員については、同じ職場で、毎年度更新採用しながら、原則3年間までは任用できますが、会計年度任用職員への移行に伴う見直しに当たっては、地方の人材不足の中、民間における求人状況などを踏まえると、短期雇用職場で人員を確保できるのかということも考える必要があります。 このようなことから、県にはいち早く制度運用の骨子を示していただき、各自治体が県に準じた制度運用等を導入しやすいようにしていただきたいと考えているところです。 今後の制度を適切に推進するために、県及び市町村における会計年度任用職員制度導入に向けた準備状況と今後のスケジュールについて、総務部長にお尋ねいたします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 会計年度任用職員制度の導入についてお答えいたします。 制度の導入に当たりましては、現在の臨時・非常勤職員から会計年度任用職員に移行する職の設定、任用手続、勤務条件など、全庁的に検討を進めてまいったところでございます。 これまでに整理すべき事項の検討を終えまして、今定例会に、給与に関する枠組みを定めました熊本県会計年度任用職員の給与等に関する条例の制定その他関係条例の改正を提案させていただいているところでございます。 条例案におきましては、給与水準などの勤務条件について、会計年度任用職員のそれぞれの職務内容に応じて、また、国家公務員の非常勤職員や本県の常勤職員との均衡なども考慮しながら、人事委員会規則などで定めることとしております。 関係条例案を御議決いただきました後、速やかに、必要な手続を進めるとともに、制度内容についての周知も図ってまいりたいと考えております。 次に、県内市町村における準備状況についてお答えいたします。 県では、市町村に対しまして、国から示された制度の内容、本県及び他の自治体の取り組み状況につきまして、地域ブロックごとの説明会や個別ヒアリングなどを通じまして、丁寧に情報提供や助言等を行ってまいりました。 市町村におきましても、必要な検討が進められており、ほぼ全ての団体におきまして、9月議会での条例提案を予定していると伺っております。来年4月の制度導入に向けた準備が着実に進んでいるものと認識してございます。 会計年度任用職員制度の導入は、県や市町村における人材確保の観点からも重要だと考えております。引き続き、制度の円滑な導入に向けまして、県における準備を着実に進めるとともに、市町村に対する必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。 また、御指摘のありました制度導入に伴う必要な財源の確保についてでございますが、国に対しまして、全国知事会等を通じた要望のほか、直接の施策提案も行っているところでございます。国において、適切に地方財政措置が講じられるよう、引き続き、関係機関とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 総務部長から、丁寧に、そして積極的な答弁を引き出せたかなというふうに感じています。 各市町村も、9月議会には条例を設ける方向で動いており、来年4月1日からの実施については順調かと考えます。しかし、現在、臨時職員等で任用されている方からも、賃金が改善されることについて期待がある一方で、勤務時間を短時間に調整して、結局手取りが変わらない雇用になるのではという不安の声も聞こえています。 具体的な処遇等については、条例案の議決後必要な手続を経た後、制度内容について周知を図っていくということですが、人事委員会との協議に当たっては、労使協議の意見も十分踏まえていただきたいと考えます。 働き方改革の中で、公務職場にも同一労働、同一賃金の考え方が導入され、賃金の底上げ改善が期待されているところですが、募集をかけたら人が集まらないということにならないように、市町村と連携して、財源の確保もしっかり行い、適切な制度運用となるようにお願いをいたします。 続きまして、獣医師、薬剤師の確保についてお尋ねをいたします。 県庁職員にはさまざまな職種がありますが、その職種によっては、国家資格を所持している者しか従事できない業務も数多くあります。その中でも、獣医師、薬剤師は、大学で6年間高度な教育を受け、国家試験に合格した後、本県採用となり、家畜保健衛生所、食肉衛生検査所、病院、保健所を中心に配属され、家畜保健衛生、公衆衛生、動物愛護、環境、試験研究、調剤等、幅広い分野で活躍しています。 本県では、獣医師は、農林水産部と健康福祉部に配属されています。農林水産部に所属する獣医師職員は、家畜保健衛生所を主な職場として、日々の業務に当たられています。 皆さん御存じのように、本県においては、過去2回、鳥インフルエンザが発生しました。その際、本県の獣医師が防疫作業の先頭に立って、迅速かつ的確な対応をした結果、近隣の農家に蔓延することなく、短期間で終息させることができました。 このことは、報道等で大きく取り上げられるとともに、その防疫対応は全国的にも高く評価され、その結果、家畜保健衛生に携わる獣医師の職務の重要性や必要性は、県民に広く認識されたところです。 家畜保健衛生所の獣医師職員は、家畜伝染病発生時の防疫対応だけではなく、家畜の病気を発生させないために、農場への立入検査、各種精密検査、輸入家畜の着地検査に加え、家畜の病気の原因を究明するための年間500件以上にも上る病性鑑定や生産者に対する衛生指導などを行っています。 これらの業務は、各種疾病の発生を予防し、生産者の所得の向上につながっており、生産者の方々にとても感謝されております。 また、健康福祉部に所属する獣医師は、保健所や食肉衛生検査所などの公衆衛生分野に配置されています。 保健所では、食品衛生、狂犬病予防、動物愛護、環境関係などの県民の健康や生活の安全に直結した業務に従事しています。近年は、特に動物愛護業務が全国的に高く注目されており、業務量もふえてきているところです。 食肉衛生検査所では、安全な食肉を提供するため、主として屠畜検査や食鳥検査業務を行っています。最近は、食肉の輸出増加に伴い、円滑な輸出を推進するためのHACCP導入支援や輸出証明書の発行業務なども行われています。 このような業務を円滑に実施するためには、高い専門性を持つ獣医師の存在が欠かせません。近年は、在学中にさまざまな情報に触れ、畜産振興や人の健康確保に関する公務員を目指す学生や、一旦臨床獣医現場に就職したものの、家畜保健衛生業務や公衆衛生業務を担う公務員に魅力を感じ、転職を希望する獣医師も最近全国的にふえつつあると聞いておりますが、なお獣医系大学の学生の多くが動物の治療を行う民間の臨床獣医師を目指しています。 そのため、獣医師の採用数が依然として不足しています。例えば、食肉衛生検査所の業務は、正規職員24名、うち獣医師が21名、非常勤職員37名、うち獣医師が30名の体制で実施しており、業務もふえている中で、非常勤職員に支えられている状況です。 県でも、これまで給与等の処遇改善やインターンシップの受け入れなどに取り組んできていますが、獣医師不足の解消には至っていません。現場では、獣医師が不足する中、危機管理や輸出業務への対応などで、1人当たりの業務量は増加しているのではないかと思われます。 現在活躍している獣医師の負担軽減に加え、さらなる本県畜産の振興、公衆衛生の向上を図るとともに、危機管理体制を維持するために重要な役割を担っている獣医師職員の安定的確保は、喫緊の課題であると思われます。 次に、薬剤師についてです。 現在、本県で薬剤師として採用された職員は、本庁、保健所、保健環境科学研究所、病院局等で、衛生行政、環境行政、試験研究、調剤業務など、幅広く専門業務に携わっています。大変重要な職務を担わなければならない職員ですけれども、近年は受験者の減少が続いており、平成30年度に実施した採用試験では、7名の採用予定に対して受験者数は6名で、採用者が2名という結果になり、5人も採用予定者数を下回りました。 そのため、これまで以上にリクルート活動に力を入れ、2回目の採用試験を実施し、5名の採用に至り、何とか当初予定の採用人数は確保できたということです。 この間の御苦労は大変なものがあったと推察します。引き続き人員確保に力を入れるということも伺っていますが、今後も、職員を確保するのはなかなか難しいのではないかと考えています。 保健所に配置された職員は、薬事監視員として、医療機関、薬局等の監視指導を日常的に実施するとともに、薬物による事件、事故や食中毒が発生した場合には、昼夜問わずにその対応に当たっています。 研究所に配置された職員は、食中毒や感染症が発生した場合、その原因成分などを究明し、行政的判断の根拠を提供するとともに、新たな検査法の開発や研究調査も行っています。 きのうは、山鹿市の小学校で、ノロ集団感染の疑いの事例が発生していますが、まさに今このとき、この関係者は、原因究明のためにすばらしい努力、日夜惜しんで今研究中ではないかなというふうに想像しております。 これらの業務は、県民の健康と暮らしを守り、県民の生命に直結する業務ですから、日ごろから優秀な人材を確保していくことは、県政運営にとって大変重要です。 やりがいを感じることができる職場づくりとともに、公衆衛生、環境に関する行政指導や普及啓発など、民間では経験できない魅力的な薬剤師関連業務を外部へ発信し、本県の薬剤師職員が不足し、ひいては県民へのサービスが低下することのないよう、しっかりとした薬剤師確保対策を進める必要があると考えます。 また、獣医師・薬剤師職員双方とも、最近は女性がふえてきています。産休や育児休業の代替職員となる獣医師や薬剤師の資格を持った方が確保しづらいために、代替職員が見つからない職場には大変な負担となっています。 獣医師や薬剤師などの免許職の人材不足は、本県に限ったことではないでしょうが、地方分権が進む中、地方の自主性を発揮しながら、将来にわたり持続的かつ安定的な県政運営を行うためには、優秀な人材を確保し続けることが不可欠であります。 その点を踏まえ、本年度、熊本県政の発展のために総務省から赴任されました山本総務部長に、本県の獣医師、薬剤師についての現状認識とこれからの人材確保に向けてどのように取り組まれるか、お尋ねいたします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) 獣医師、薬剤師の人材確保について、現状認識と今後の取り組みについてお答えいたします。 獣医師でございますけれども、家畜伝染病の発生予防、食品、食肉の安全性確保等の分野に従事してございます。また、薬剤師につきましては、医薬品の安全性確保、衛生、環境に関する試験研究等の分野に従事してございます。いずれも、それぞれの専門性を発揮し、県民の健康、暮らしを守るため、欠かせない職務を担っているというところでございます。 しかしながら、獣医師、薬剤師は、学生の民間志向もございます。また、公務の認知度不足もございまして、採用数がその予定数を下回るなど、人材確保が難しい状況となってございます。本県といたしましては、公務に対する学生の理解を深めるなど、人材の確保に地道に取り組むことが必要と考えております。 こうした認識のもと、獣医師の確保につきましては、これまでも、全国の大学へのリクルート活動を通して、公務員獣医師の業務内容やその魅力について学生に訴えるとともに、インターンシップで実際に業務を体験できる機会を提供しております。 平成28年度からは、大学卒業後に県職員として働くことを要件にいたしまして、返還が免除される修学資金貸与制度を創設いたしました。また、獣医師を目指す高校生をふやす取り組みといたしまして、県内高校で公務員獣医師業務や、さきに申しました修学資金貸与制度を紹介する出前講座を実施しております。さらに、採用後につきましても、各種研修等に積極的に派遣するなど、専門性やモチベーションの向上につながる取り組みを進めているところでございます。 薬剤師の確保につきましても、昨年度から、薬剤師確保プロジェクトチームを立ち上げまして、大学へのリクルート活動、職場体験などを実施いたしまして、業務の魅力発信を強化してございます。また、採用試験をより受験しやすくするため、時期や科目の見直しなども行っております。今年度からは、新たにインターンシップの受け入れや採用後のきめ細かなキャリア支援研修の導入など、これまで以上にやりがいを実感できる職場づくりに取り組んでまいります。 獣医師、薬剤師の確保は、本県にとっても重要な課題でございます。今後とも、両職種におきまして、今申し上げましたような活動を継続していくとともに、公務員を目指す学生にとっても、また、働く職員にとっても魅力ある職場となるよう、関係部局一丸となって取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 総務部長から、現状の認識と今後の確保の方針が示されました。さまざまな取り組みをしていただいていることに期待をしたいというふうに思います。 公務員の獣医師、薬剤師の重要な役割は、質問の中でも述べさせていただきましたが、そこに勤務される方のモチベーションが以前と比べて下がってきているのは、これからの人材確保を考えた場合、大きなマイナス要因です。 今回、薬剤師職員のキャリア支援研修が導入されることは、モチベーション改善の大きな一歩になるかと考えます。ただ、現状の人員配置体制で研修をする時間的余裕がとれるのかは、疑問の残るところです。やはり人員の確保がまず一番だと思います。 人員確保について、各部と連携してリクルート活動等にしっかり力を入れていくということですが、各県の人材の奪い合いの中で、その交渉を有利にするためにも、手当等の処遇改善が、在職の職員にとっても、これから就職を考える若者にとっても有効であることは言うまでもありません。その点は、引き続き、人事委員会や、そして総務部長にも、本県の人材確保のために頑張っていただきたいと考えています。 さらに、免許職となっている職場ですから、代替職員を確保することも容易ではありません。そのことが在職の職員に過重労働となってきていることを踏まえると、人員の確保と業務内容の見直しを国と協議していく必要があるのではないかと私は考えます。 その点を、総務省から赴任された山本部長におかれましては、地方の実態を中央に届けていただき、自治体運営のあり方や職員確保について、中央省庁としっかり改善していただければというふうに思います。県民への安全、安心を確保するためにも、今後の山本総務部長の御活躍に期待をしたいと思います。 最後に、教職員の人材確保に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。 先日、5月30日に、来年度、令和2年度の教員採用選考考査の申し込みが締め切られました。 小中学校の教職員採用については、平成25年、この年から県教育委員会採用枠から一部熊本市教育委員会採用枠に大きく移行した年に当たりますけれども、採用数を増加させたこともあり、小学校における志願倍率が5.1倍と、以前から大きく下がりました。さらに、年々志願倍率は減少し、昨年は2.3倍と半減しています。単純に高ければいいという話ではありませんが、志のある多くの若者の中から熊本の教育を担う人材を選考できるということは、まだいいほうなのかもしれません。 一方、臨時的任用職員の不足も問題となっており、前年度は24名、ことし4月には、熊本県と熊本市合わせて、欠員は88名に達している記事が報道されました。 不足の理由を調べてみますと、国からの加配数が増加し、必要とする教職員の数がふえたことや特別支援学級もふえており、それに必要な臨時的任用教員数が不足したと伺っています。これらの傾向は全国的な状況のようであり、教職員の確保は喫緊の課題となっています。 教員離れの要因として、あらゆる分野で人材不足が言われる中、より条件のよい他の職を選ぶケースもあると思いますが、教員の業務の大変さや子供たちに起こるさまざまな事件、事故に対応する教職員の姿が大きく報道される中、学校の先生はきつい、大変な職場というイメージから敬遠されている部分もあるのではないかと思います。 さらに、教職員の高年齢化が進み、ここ数年で大量退職が続く一方、学校現場では、特別支援教育の充実や新しい学習指導要領への移行など、時代に応じたさまざまなニーズへの対応が求められており、職員の新陳代謝、世代交代を図りながら、熊本の教育を支えていく必要があると考えます。 そのためにも、熊本で教員となることに魅力を感じる若者を一人でも多く輩出するように、県内外の若者に情報発信し、引き寄せ、その中から優秀な方に教職についていただくことが重要だと考えます。 私は、昨年の9月の代表質問で、当時の宮尾教育長に、教職員の配置をきちんとしなければ、子供たちの教育に大きな影響が出るとし、経験を積んだ臨時教職員等が正規教職員として採用されやすい改善を提案させていただいたところです。 早速、ことしの教員採用選考考査実施要領の中で、臨時的任用教員等を対象とした考査内容の一部免除の条件緩和や、他県からの現職教諭等受考者については年齢制限が59歳以下まで緩和されるなど、県教育委員会に対応をしていただき、感謝を申し上げる次第であります。この要件緩和が、意欲ある教職員の確保につながればと期待をしているところです。 以上の点を申し上げ、今年度新たに就任された古閑教育長は、子供たちのために取り組みたいと、熊日の取材で就任の意気込みを述べられていますが、子供たちの成長にしっかりと向き合い、そして、時代のニーズに応じた教育環境を担っていく優秀な教職員を確保するための魅力発信等をどう進めるのか、また、現状の臨時的任用教員の不足への対応をどうするのか、お尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 教職員の人材確保に向けた取り組みについて、2点お答えをいたします。 まず1点目は、教職員の魅力発信についてです。 子供たちがみずからの夢を実現していくためには、多くの教職員の支えが必要であり、すぐれた人材を確保するための取り組みは大変重要であります。 そのため、まず、大学生や教員を目指す方々に広く周知を図る取り組みとして、教員の魅力を紹介するパンフレットを作成しております。パンフレットでは、若い教員の生の声や児童生徒と触れ合う教員の写真とあわせ、熊本の暮らしやすさなど、本県の魅力についても紹介をしております。今年度は、作成時期を早めて、より多くの人の目に触れるよう努めております。 また、直接大学生等に働きかける取り組みとして、教員採用説明会や県内外の大学訪問を実施しており、そこでは若手教員みずからが仕事の魅力を伝えております。今年度からは、訪問する県外の大学を10校に倍増させており、今後も、よりきめ細やかなリクルート活動を積極的に展開してまいります。 そして、何よりも、学校で働く魅力そのものを高めていくことが重要であります。そのための取り組みの一つとして、学校現場における働き方改革を推進しております。現在、部活動の社会体育化や部活動指導員の導入、学校閉庁日の設定などに取り組んでおります。 今後も、保護者や地域の方々、市町村教育委員会の御意見を伺いながら、大学生等から選ばれる、魅力ある職場環境づくりを目指してまいります。 次に、2点目の臨時的任用教員不足への対応です。 現状としては、担任の教員は全て確保することができております。不足しておりますのは、少人数指導などを担当する加配の教員ですが、現在、鋭意その解消を図っているところです。 これまでのホームページ等を活用した募集に加え、退職教員等をリストアップし、個別に働きかけを行うなど、人員の確保に努めています。さらに、他県の状況も踏まえて、任用要件の見直しを検討するなど、今後も、臨時的任用教員の人材確保に向けた取り組みを進めてまいります。 教育は人なりと言われるように、未来を担う本県の子供たちのためにも、魅力ある仕事である教職員の人材確保に向け、全力を尽くしてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 教育長から、募集パンフレット作成の早期作成や学校訪問によるリクルートの強化など、具体的なアクションについての答弁をいただきました。 きのう、ことしの小学校の教諭等の志願倍率は2.1倍だったという報告が発表されました。 ○議長(井手順雄君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 ◆(西聖一君) (続) 昨年が2.3倍ですから、さらに減ってきています。中学校、高校、養護、栄養の教諭についても、前年度の志願倍率を下回っているそうです。 また、教員の障害者採用枠は、熊本市ではゼロ、県でも0.6と伺っています。障害者の教員に対する合理的な配慮や働く場の魅力を上げていかないと、こういう対策を打っていかないと、ますます教職を志す若者が減っていくものと思われます。 また、リクルート活動とあわせて、何よりも学校で働く魅力を高める取り組みに言及していただいたことには期待いたします。親の姿を見て子は育つと言いますが、先生が生き生きと教鞭をとっている姿が、一番子供たちに教職を志す動機を与えることになると思います。 しかし、最近は、ゆとりもなく、メンタルダウンに陥る教職員もふえているのも事実です。働き方改革を通じて、部活動の社会体育化や部活動指導員の導入、学校閉庁日の取り組みにより休日もとりやすくなるということですから、結果が出てくることを大いに期待したいと思います。 また、臨時職員の確保については、これから大変厳しい状況になっていきそうです。処遇改善の見直しにも触れていただきましたが、他県と比較しても、まだまだ処遇改善の余地がありますので、この点はしっかり取り組んでいただきますようお願いをいたします。 以上で本日の質問を終わります。 今回の質問では、熊本県職員、教職員の確保に関する質問を中心にさせていただきましたが、冒頭の投票率の低下の質問でも取り上げましたが、議員のなり手も不足しています。また、SDGsの国際的な動きは、右肩上がりの急激な成長路線ではなく、持続発展可能な社会、共生の社会がゴールとなっています。 質問を考えながら、いずれの問題にしても、人口減少から来ることに大きくかかわっていると感じます。本県の人口も、これからますます減少していく中で、2060年の本県の人口について、国に準拠した推計では117万6,000人となるところを、144万4,000人までの減少に抑えるという将来展望を示した熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略を作成していますが、それを実現するためにも、やはり県で優秀な人材を確保していくことが必要だと思います。 これからの熊本の発展に向けて、熊本で若者が住みたい、暮らしたいと思えるような施策を展開していくことにこれからも取り組んでいくことを申し上げまして、本日の質問を終わります。 最後までの皆様の御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) ○議長(井手順雄君) 昼食のため、午後1時15分まで休憩いたします。  午後0時10分休憩    ――――――○――――――  午後1時14分開議 ○副議長(田代国広君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 本田雄三君。  〔本田雄三君登壇〕(拍手) ◆(本田雄三君) 皆さん、こんにちは。熊本市第一選挙区選出の公明党・本田雄三でございます。令和元年初回の定例議会、私で3番目の質問になりますが、初めての一般質問で、要領を得ないところがあり、お聞き苦しい点もあると思いますが、先輩・同僚議員、そして蒲島知事初め執行部の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。 私は、前職が九州電力の事務職でありまして、36年間勤務をしておりました。残念ながら、規模の大小はありますが、災害がなかった年は一回もありませんでした。 とりわけ、3年前の熊本地震の際は、九電大津営業所に在籍しており、発災直後から、地元自治体の皆様と情報共有を図りながら、懸命の復旧支援を行った経験は、生涯の宝でもあると自負しております。 皆様も記憶に新しいと思いますが、平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震では、大型発電所の電源喪失により、需要と供給のバランスが崩れ、ブラックアウト、これは域内全域停電ということが発生し、復旧までに相当の時間を要しました。 熊本地震では、ブラックアウトの発生は免れましたが、阿蘇の立野地区の大崩落で、阿蘇全体に供給していた唯一の送電鉄塔――これは隣県の大分や宮崎からの連絡ルートがないということでございます。が、倒壊寸前となり、恐らく電力始まって以来の超突貫工事で急場をしのぎ、約10日間の工事期間中の電源については、これも前代未聞だったのですが、国、県、そして全国の電力会社の応援をいただき、150台以上の高圧発電機車で電力を供給いたしました。このときほど防災、減災の必要性を感じたことはありませんでした。 今回の質問は、この経験に基づいた質問から始めさせていただきます。 まず最初に、私の出身地であります阿蘇地域における熊本地震からの復興、特に観光の側面から御質問をさせていただきます。 阿蘇地域においては、多くの関係機関、そして地域の皆様のおかげをもちまして、交通網等のインフラや日常生活に不可欠なライフラインの復旧は、顕著な成果を上げていると実感しております。 その中で、熊本市方面から阿蘇地域への主要なアクセス手段である国道57号北側復旧ルート及び国道325号阿蘇大橋ルートについては、一昨年4月に、2020年度末での全線開通を目標に復旧工事を進めると公表が行われ、復旧の見通しが不透明でありましたJR豊肥本線についても、本年4月に、2020年度内の全線運行再開を目指すと発表されたところです。 また、阿蘇観光の目玉である阿蘇山ロープウエーも、2020年度の運行再開を目指すとの発表がなされ、そして、熊本地震からの創造的復興のシンボルと位置づけられた阿蘇くまもと空港の復興についても、国と地元企業5社も出資する特別目的会社との間で運営に関する実施契約が締結され、2023年には、新たな空港ビルの供用開始が予定されています。 また、本年5月の熊日新聞の記事では、熊本空港の昨年度の利用客数が346万人となり、2年連続過去最高を更新し、国際線の増便効果に加え、国内線も好調で、熊本地震による落ち込みからV字回復した前年度を約12万人上回ったとありました。 このような空港利用客の増加による追い風と主要なインフラ復旧の見通しを受けて、阿蘇地域の関係機関や住民の皆様の阿蘇観光復興への期待も一段と高まっております。 このような中、被害の大きかった阿蘇地域において、国や県などによる復旧、復興が鋭意進められているところですが、阿蘇の観光や文化を支える重要な要素である景観の整備については、県と市町村等で組織をする阿蘇の世界文化遺産登録に向けた公共事業の景観配慮に係る実務者会議で示されている取り組み事例や指針等のほか、環境省等の公共工事における許認可の条件となる指示事項等を踏まえ、復興事業が進められていると思います。 しかし、その景観整備について、1つ私が懸念している点があります。 世界的に有名な観光地・阿蘇への玄関口である立野地域では、復旧されずに残された崩落斜面が見受けられ、阿蘇を訪れる観光客の視点や景観配慮の点からも対策を行う必要があるのではないかと考えます。 そこで、まず第1点目は、立野地域の白川左岸に位置する国指定の天然記念物、阿蘇北向谷原始林についてです。(資料を示す)今スクリーンに全体が映っております。 熊本地震により、この原始林に複数箇所の山腹の崩落が発生しておりますが、これにより、立野地域の景観を損ねているだけでなく、昨年の西日本豪雨のように、過去に例を見ないような集中豪雨が頻発していることから、さらなる侵食被害のおそれがあるのではないかと考えています。写真は、崩落場所の拡大版でございます。 そこで、私は、この崩落箇所には何らかの対策を早急に行う必要があるのではないかと考えます。これについての知事の見解をお尋ねいたします。 2点目は、同じ立野のJR豊肥線側についてですが、治山・砂防工事等は順調に推移しておりますが、阿蘇地域の特性を踏まえた景観形成の観点からも、景観に配慮した工事を進める必要があると思います。 さきの公共事業の景観配慮に係る実務者会議では、「阿蘇の文化的景観」実務者ハンドブックで示された指針等により、「見る人にとって周囲と調和した美しさを感じさせるよう配慮する。」とされており、具体的には、構造物は、周辺景観との調和配色、自然素材の利用、のり面保護では、景観と調和した配色とあわせて緑化に努めるなどとされております。 そこで、立野地区で施工される工事については、これらの指針等に準じた配慮が必要ではないかと考えますので、農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 阿蘇は、熊本県民の宝であると同時に、世界の阿蘇でもあります。世界農業遺産や世界ジオパークに認定され、阿蘇くじゅう国立公園は、世界水準のナショナルパークを目指す全国8つの先導的モデル実施地区にも選ばれています。 議員お尋ねの阿蘇北向谷原始林は、国指定の天然記念物で、阿蘇くじゅう国立公園の特別保護地区にも指定されるなど、太古の自然を今に残す貴重な財産です。 この原始林の崩壊箇所の復旧については、文化庁、環境省、林野庁の間で協議が行われ、生態系への配慮、種の保存の観点から、自然の力での復旧を目指すという方針が示されました。 このような考え方で、種の多様性を大切にし、さまざまな動植物が自然のままに維持されている例として、世界最古の国立公園で世界遺産でもあるアメリカのイエローストーンがあります。 この公園は、1988年の山火事で、公園の3分の1を焼失しました。このとき、アメリカ国立公園局は、自然発火の山火事は自然の摂理であり、火災で焼失しても新しい森林がよみがえるという理由から、人がつくった構造物以外は、あえて消火しなかったのです。そして、その言葉どおり、森林はみずからの力でよみがえりました。 県としては、阿蘇北向谷原始林に対する国の方針を尊重し、自然のままに回復していく推移を見守りたいと考えています。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) 2点目の景観に配慮した工事の施工についてお答えします。 立野地域のJR豊肥本線側の県工事につきましては、治山事業、砂防事業合わせて17カ所の復旧対策を実施しており、工事に当たっては、阿蘇地域の景観との調和を図る観点から、さまざまな配慮を行っております。 具体的には、まず、土砂等の流出防止を図る谷どめ工や砂防堰堤については、全ての壁面を黒または焦げ茶色で着色しています。また、崩壊斜面については、種子と肥料等を混合した基盤材を吹きつけたり、森林状態に誘導するための緑化工や植栽工を実施しております。 なお、立野地域では、平成24年の熊本広域大水害の際にも、景観に配慮した工事を行っており、1年後には緑化が進み、今では、草木の成長により森林状態に移行し、地域の景観になじんだ状況となっております。 県としましては、引き続き、阿蘇地域の特性を踏まえ、景観に配慮した工事を進めつつ、立野地域の早期復旧に向けて全力で取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) ただいま知事、農林水産部長から御答弁をいただきましたが、阿蘇北向谷原始林は、生態系に配慮し、自然の力での復旧を目指すことは、私も理解できます。しかし、すぐ近くには立野ダムの建設も進められており、将来的には景勝地としての観光名所に位置づけられると思われますので、自然の脅威により、さらなる被害が生じることがないよう、定期的な検証及び防災監視カメラ等を設置するなどの体制構築が必要ではないでしょうか。 万一崩落拡大等の被害が見受けられるようであれば、速やかに関係省庁へ働きかけ、世界に誇れる阿蘇の景観維持に努めていただきたいと要望いたします。 また、JR九州の擁壁工事箇所については、周辺景観と著しい差が生じないよう、「阿蘇の文化的景観」実務者ハンドブックの指針に沿った施工をぜひお願いしたいと思います。 次の質問に移らせていただきます。 引き続き熊本地震関連となりますが、災害発生時に最優先で必要となるのが、避難所、水、トイレではないかと実感しております。 私も、熊本地震発災直後から、大津町や阿蘇郡市の避難所に行かせていただき、停電復旧計画等の説明を行いましたので、各市町村や避難所における課題は、肌で感じてまいりました。 多くの避難所等では、断水や下水管の破損で、長期間にわたり仮設トイレでの排せつを余儀なくされ、なれない和式トイレで立ち上がれずに倒れていた方や体調を崩された方、また、車椅子の方は援助が必要なため、遠慮をされて水分をとらないなど、見るにたえがたい状況でありました。 複数台の仮設トイレを設置するため、悪臭対策や衛生面も含め、浄化槽設備や下水処理施設の機能維持がどれだけ大事かを痛感せずにはおられませんでした。 また、下水処理施設につきましては、長引く停電や設備破損等により、深刻な事態を招いておりました。 特に、被災直後の下水処理施設では、停電となり非常用発電機も燃料切れが心配されたので、必死の思いで高圧発電機車を手配し、送電しましたが、下水処理に携わる関係機関及び協力団体の皆様は、大変な御苦労をされておられました。 そこで、御質問と確認をさせていただきます。 頻発する自然災害への備えとして、熊本地震での教訓を生かし、下水処理場や管路が被災した場合の対応は今後どうするのか。また、避難所の仮設トイレは、衛生面やくみ取りの煩雑さが課題と思いますが、下水道サイドでこれらを改善できる取り組みはないのかについて、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) まず、下水処理場や管路が被災した場合の対応についてお答えいたします。 熊本地震では、県が管理する流域下水道及び9つの市と町で、下水処理場や管路が被害を受けました。特に、益城町の下水処理場においては、機械設備が重大な被害を受けて、能力が3分の1まで低下いたしました。このため、下水道関連の団体や企業の方々の支援により、破損した施設の復旧や代替設備の配備を行いましたが、機能の回復には2週間を要しました。 このような経験から、県では、熊本地震後に、日本下水道事業団などの関係団体と、災害時に迅速に対応するための支援協定を締結いたしました。 また、地震による被害を最小限に抑えるため、県管理の流域下水道施設の耐震対策を実施しています。 さらに、下水道施設を管理運営する市町村に対しましても、災害支援協定の締結や耐震対策、非常用発電機の設置などを働きかけています。 今後とも、あらゆる対策を講じながら、災害発生時の汚水処理に支障が出ないよう対応してまいります。 次に、避難所の仮設トイレに関する取り組みについてお答えいたします。 地域防災計画では、仮設トイレは市町村が設置することと位置づけられており、県は必要な支援をすることとされています。 災害時の仮設トイレの一つとして、し尿を直接下水道管路に流下させるマンホールトイレがあります。熊本地震の際には、熊本市に20基のマンホールトイレが設置され、利用者からは、洋式で使いやすい、段差がなく、手すりもあって助かる、においが少ないなどの声が寄せられています。 現在、県内では、6つの市と町で170基が整備されています。今後も、引き続き、市町村に対する普及啓発を進め、マンホールトイレの整備を促進してまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 大規模災害等における下水道施設の維持管理については、県及び県内下水道関係全市町村において、下水道業務継続計画――これは俗に言う下水道BCPでございますが、を策定され、計画に基づく訓練も実施されておられます。このような取り組みこそが、いつ発生するかわからない災害に対する県民の皆様の安心と安全に貢献できる行政の姿勢であると思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。 また、マンホールトイレは、下水管が配備されていないと使用できませんので、下水道未整備地域における仮設トイレについては、車椅子での使用を想定した対策が急務であると考えております。値段等はよくわかりませんが、電気、水道が不要で、バイオ活用により、においもなく、衛生的な仮設トイレもあると聞いております。 各市町村に対し、出水等の災害発生リスクが高くなる季節でもありますので、マンホールトイレの整備とともに、福祉型の仮設トイレの検討もぜひ必要があるとの徹底をお願いしておきたいと思います。 次の質問に移らせていただきます。 高齢社会における今後の県営住宅のあり方ということでございます。 我が国は、先進国の中でも高齢化のスピードが顕著であり、平成22年10月1日の国勢調査による総人口1億2,805万7,000人、そのうち65歳以上人口2,948万4,000人で、高齢化率は23.02%、これに対しまして、平成30年10月1日の推計総人口1億2,644万3,000人、65歳以上人口3,557万8,000人で、高齢化率は28.14%となっています。総人口は減っておりますけれども、65歳以上の人口はふえているという状況でございます。 熊本県の平成30年10月1日の推計総人口は175万7,000人で、65歳以上人口は53万7,000人となり、高齢化率は30.56%と、全国平均を2.42ポイント超える状況となっております。 そのような中、本県における住宅事情といたしまして、持ち家があっても、ひとり暮らしになったから県営住宅等の公営住宅に入りたいとのお話をよく耳にすることがあります。 しかしながら、県営住宅に入居希望をされても、基準以上の収入や持ち家があれば対象外であり、持ち家を処分されてまで入居を希望されるかは不透明ですが、内閣府の資料によりますと、市営住宅や民間のアパートに入居されている高齢者は、増加の一途をたどっていると報じられています。 私も、住民相談等で県営住宅に行かせていただく機会が多くありますが、御高齢の方が買い物袋を両手に抱えられ、休憩しながら階段を上がられるお姿は、見るに忍びないものがあります。 一方で、一部の県営住宅では、立地条件はよいのですが、上層階に入りたくないとの理由から、空き室が出ているようです。 そこで、上層階には極力若い人が入居していただくなどの配慮をすることにより、高齢者の方が低層階に入居しやすくなるような施策が必要ではないでしょうか。 例えば、以前テレビの特集で放映されていましたが、空き室対策として、3階以上の空き室を今風にリフォームして公募した結果、全室入居が決まったという内容でございました。 いずれにしましても、近い将来、県営住宅の高齢化における対策を求める声が増加することは避けられない状態であると推察いたします。 多くの課題があると思いますが、高齢社会における住宅政策や新たな空き室改修など、今後の県営住宅のあり方を土木部長にお尋ねします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) まず、県営住宅は、住宅に困窮されている低額所得の方に低廉な家賃で提供し、その生活の安定に寄与することを目的としております。また、高齢者、障害者、子供を養育する家庭など、住宅確保に配慮を要する方々に対し入居倍率の優遇を行うなど、住宅のセーフティーネットとしての役割も担っております。 熊本県住宅マスタープランにおいて、床の段差を解消し、低い浴槽や手すりを設置するなど、高齢者を初め全ての方々が利用しやすい県営住宅の住戸の割合を、2025年度までに40%とする目標を掲げています。 これまでに、県営住宅8,528戸のうち、28%となる2,367戸の整備、改修を行ってまいりました。また、ソフト面の対策として、階段昇降が困難な方々に対し、低層階への住みかえ案内なども行っています。 今後、時代のニーズや社会状況の変化に対応できるよう、議員御紹介の内容を初め、さまざまな事例を参考に工事内容を改善しながら、県営住宅として良好な住環境を整備してまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) ただいま土木部長に答弁をいただきましたが、これまでに、県営住宅の約28%がバリアフリーや浴槽の改修等が完了しているとのことですが、残りの約72%は改修が必要であると認識をいたします。 質問で触れました今風のリフォームというのは、例えば、2部屋を1部屋にされるような内容もございました。課題はあると思いますが、入居者のニーズを考慮することも大事ではないかと考えております。前向きな御検討をお願いいたします。 時代の変遷とともに、家族形成や住宅事情も変わってきています。費用対効果が前提であることは当然ですが、高齢社会に対応し得る住環境の整備が急がれていると実感しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 それでは、次の質問に移らせていただきます。 4番、国際スポーツ大会機運醸成への取り組みについてということでございます。 いよいよことし、県民待望の2つの世界的規模の国際スポーツ大会が開催されます。 まず、全国12の都市で開催されるラグビーワールドカップ2019が、9月20日の日本代表対ロシア代表で開幕し、本県では、10月6日のフランス代表対トンガ代表戦及び10月13日のウェールズ代表対ウルグアイ代表の2試合が行われます。 また、2019女子ハンドボール世界選手権大会は、11月30日に開幕し、県内3市5会場で、全96試合が行われます。開催国の日本代表・おりひめJAPANや前回優勝国フランス代表を含む参加24カ国が先週決定したところでございます。 これら2つの国際スポーツ大会の開催は、本県にとりまして、熊本地震からの復興を大きく後押しする二度とないビッグチャンスであると実感する次第です。国内を初め世界各地から来県される多くの皆様には、できる限り県民の皆様との相互交流を図り、よき思い出を築いていただきたいと思っております。 皆様の記憶にあると思いますが、2002サッカーのワールドカップで、カメルーンの選手がお隣の大分県日田市の旧中津江村にキャンプに来られた際、チームの到着が大幅におくれたことで、一躍日本中で有名になったことがありましたが、私は、当時、日田市で勤務をしておりましたので、そのときの模様を元村長にお聞きしたことがあります。 村民の方々は、チームの到着を首を長くして待っておられましたので、明け方の到着にもかかわらず、村を挙げての出迎えから始まり、炊き出しや地元伝統行事への招待、子供たちとの交流など、言葉の壁はありましたが、多くの村民が精いっぱい心を込めてもてなされ、カメルーンの選手は、村民の方々との連日の触れ合いを終生忘れないと、涙ながらに喜んでいたそうでございます。 それを契機に、今でも旧中津江とカメルーンの交流は続き、昨年の5月、新聞にも掲載されていましたが、毎年東京でしか開催されたことがなかったカメルーンの建国祝賀会が、初めて旧中津江村で開催されたそうであります。 ことし熊本で開催される2つの国際スポーツ大会においても、県産品の販路拡大や経済波及効果も重要でありますが、この旧中津江村の例と同じく、海を越えてわざわざおいでいただく海外の選手や関係者、そして観戦される皆様に、日本、そして熊本のよいイメージがどれだけ残るかが、より重要ではないかと思います。そのためには、県民を挙げての熊本らしい記憶に残るおもてなしをすることが必要ではないでしょうか。 また、多くの県民の皆様が、もっとラグビーやハンドボールという競技のルールなどを知ることで、そのおもしろさを御理解いただくとともに、興味を持っていただくことが大切であると考えております。競技のルールや楽しさについて、各種メディアの活用やさらなる広報手段の工夫などで、より一層の県民機運の醸成につながるのではないでしょうか。 加えて、本県で試合を行う選手や海外からの観戦者との交流を通じ、国際スポーツ大会開催で目指されている3つの成果の一つである、大会から得られる成果をレガシーとして活用し、地域、経済、国際・文化交流等の拡大を図る、これも重要であると私は思います。そして、2つの大会が大いに盛り上がり、大成功につながることを切に願う次第であります。 いよいよ大会が間近に迫り、国際スポーツ大会推進部長も満々たる力強いパワーがみなぎっていると御推察申し上げますので、ぜひ、大会の大成功に向けて、意気込みのほどをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。  〔国際スポーツ大会推進部長寺野愼吾君登壇〕 ◎国際スポーツ大会推進部長(寺野愼吾君) 国際スポーツ大会の機運醸成についてお答えいたします。 県では、大会の3つの成果として掲げます円滑な大会運営、観戦者数目標の達成、レガシーの構築や、広く県内に経済効果を波及させるためのさまざまな取り組みを加速させております。 この取り組みの中で、まず、熊本ならではのおもてなしにつきましては、県内の経済・文化団体、商店街などの皆様と密に連携しながら準備を進めているところでございます。 例えば、中心市街地の商店街や国際交流団体などとともに、海外の方との円滑な意思疎通を支援します多言語の指さしシートを作成しております。また、経済団体と連携し、企業の御協力もいただきながら、歓迎フラッグなどの都市装飾を実施することとしております。さらに、ハンドボールにつきましては、企業・地域・学校単位での応援を通じ、全てのチームを温かくお迎えする準備を進めているところでございます。 次に、県民機運の醸成につきましては、県としましても、競技のルールの理解が県民の関心につながると考えまして、公民館講座や各種イベントなどで、ラグビー、ハンドボールのルールや魅力を伝えてまいりました。 今後、特に本県単独開催のハンドボールに関しまして、ルールや参加チームなどを紹介する小冊子を作成し、チケットの販売促進や学校現場での学習などで活用することで、試合観戦に向けた期待値を高めてまいりたいと思っております。 メディアの活用や広報の工夫につきましては、定期的に記者との懇談会を開催しておりまして、効果的な広報に関する意見交換を行っております。 そして、今回、県内の5つのテレビ局の男女看板アナウンサーによります共同コマーシャルの制作が実現しました。男性アナウンサーによりますラグビーのコマーシャルにつきましては、先月から放映しております。女性アナウンサーによるハンドボールのコマーシャルを、来月上旬から放映する予定でございます。 引き続き、地元メディアなどと連携し、さらなる機運醸成を図ってまいります。 最後に、海外の方々との交流を通じましたレガシーの実現についてでございます。 選手との交流につきましては、アスリートファーストの精神を踏まえながら、学校における一校一国運動の展開、地域での競技体験や地域文化などによる交流を目指しております。 海外からの観戦者との交流につきましては、ファンゾーンや大会期間中の各種イベントで、多くの県民が直接触れ合う機会を設けまして、それがレガシーとして後世に残るよう、しっかりと取り組んでまいります。 いよいよ間近に迫ってまいりました2つの大会を、県民の皆様とともに盛り上げ、本県を訪れた全ての方々に、熊本の大会はすばらしかったと強く記憶に残り、大成功の大会となりますよう、全身全霊で取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) 推進部長の力強い意気込みに、メーン会場のにぎわいや商店街での歓迎シーンが目に浮かぶようで、楽しみでいっぱいでございます。 小冊子の作成もありがとうございました。有効な活用をぜひお願いしたいと思います。 広報等をされる際には、ぜひ入場券の購入方法もあわせて御周知をいただければと思っております。特にラグビーは、インターネットを介してしか入場券の購入ができないという状況でございまして、どのサイトを見ていいかわからないというような声がよくございますので、よろしくお願いをしたいと思います。 文化やスポーツに垣根はありませんので、大いに盛り上がり、歴史に残るような国際スポーツ大会になりますよう、あらゆる手段を駆使し、大会から得られる成果、円滑な大会運営、観戦者数目標の達成、レガシーの構築につながることを期待しております。 それでは、次の質問に移らせていただきます。 不登校等の児童生徒への対応についてでございます。 子供たちの将来を託す学校教育の現場は、文科省から出されている文部科学白書にもあるとおり、児童生徒数の減少や学校における働き方改革、時代の変遷とともに生じる新たな課題や学習支援制度の見直しなど、多岐にわたる改善項目が示されており、学校、家庭、官民一体での認識共有が大事ではないかと考えております。 学校教育における大きな課題の一つでもあります小中学校の不登校についてですが、平成29年度の実態として、在籍児童数に対し、全国は1.5%、本県は1.3%、1,942人の児童生徒が不登校となっています。実は、この不登校の数値には、御病気の生徒は含まれておりません。 今回、ある保護者の方から、お子さんが起立性調節障害のため欠席がふえ、困っているとの御相談を受けました。聞きなれない病名でありましたので、詳しく調べてみたところ、朝起きられない、立ちくらみや頭痛などの症状があり、思春期に発症する自律神経機能不全の一つとされており、上半身、脳への血流低下が主要因で発症する病気と位置づけられておりました。 宮城県仙台市で、この起立性調節障害の子供さんをお持ちの保護者の方々が親の会を立ち上げて、積極的に理解活動を展開されておられまして、その活動を公明党の仙台市議団と宮城県議団が支援をしていましたので、取り組み内容を確認してまいりました。 結論は、前述しましたとおり、症例的に午前中は体調が悪く、午後には回復するケースが多いのですが、遅刻や午前中休むことがきっかけで、不登校やいじめの対象につながってしまったとの状況がありました。 症状にもよりますが、この病気は特効薬はなく、要するに、周囲の環境、家族や学校、友人の理解で、早い人は数週間で、長くても2~3年で克服できる病気であるということでございました。 残念ながら、私も含め、子供が朝起きられないとか体調が悪いと訴えられても、怠けや気合いが入っていないと直感的に判断するのではないかと思います。しかし、真逆で、しっかり理解し、体調が整うまで、時間がかかっても見守ることが一番の薬だそうです。 専門医は、不登校になっている児童生徒の3から4割は、起立性調節障害の可能性が高いと言われておりますので、本県の約2,000人の不登校の児童生徒のうち、600から800人が該当するのではないかと思われます。場合によっては、医師の診断をきちんと受けて、理解ある対応を行うならば、人生を左右する思春期の大事な時期の心のケアにつながり、少しでも不登校やいじめを回避できるのではないかと思います。 前置きが長くなりましたが、不登校等に対する全般的な取り組みや県としての支援について、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 不登校等の児童生徒への対応についてお答えをします。 本県の不登校児童生徒数は近年増加傾向にあり、議員御指摘のとおり、本県教育の重要な課題の一つであります。そのため、県教育委員会では、初期対応が重要であるとの認識から、愛の1・2・3運動プラス1の徹底を図っております。 その具体的な内容ですが、まず、1の欠席1日目で電話連絡、2の2日目で家庭訪問、3の3日目以降は管理職や他の教員も加わった不登校対策委員会を開催するなど、組織的に対応をしております。それでも欠席が続くようであれば、プラス1として、欠席が10日に達する前にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家と連携して、欠席の要因を探り、さらなる支援を行っているところです。 また、不登校の保護者への支援も重要です。各学校では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを交えた保護者の会を開催するなど、悩みの共有や不安の軽減などにも取り組んでいるところです。 病気による欠席や不登校により、長期欠席を余儀なくされている児童生徒は、その状況が一人一人異なっており、それぞれに個別の支援が必要です。 中でも、議員の御指摘のあった起立性調節障害など、理解が十分に進んでいない病気については、医師の診断に基づき、保護者とともに学校も理解を深め、共通認識のもと支援を行っていくことが重要であると考えております。 今後も、関係機関や医療、福祉等の専門家との連携を深め、チーム体制による支援を進めるとともに、児童生徒一人一人やそれぞれの保護者の思いに寄り添いながら、不登校等への対応に取り組んでまいります。  〔本田雄三君登壇〕 ◆(本田雄三君) ありがとうございました。 小中学校における不登校の児童数は、さまざまな理由によると思いますが、増加傾向を払拭できていません。 本県の取り組みであります愛の1・2・3運動プラス1は、非常に重要だと実感をしております。 初期の段階から細やかな対応をされておられますが、専門医が主張される不登校の3~4割が起立性調節障害による可能性が高いという見識があるのであれば、見過ごしを防止するためにも、関係者である御家族や教職員の皆様の認識が大事ではないでしょうか。 知識があれば、それなりの初期対応につながると思いますので、県としても、保護者や教職員の皆様に対し、定期的な周知を行う必要があると考えております。 未来ある子供たちに少しでも手を差し伸べられればと、心より願ってやみません。よろしくお願いを申し上げます。 最後になりますが、要望をさせていただきます。 視覚障害者の日常生活用具給付等事業についてでございます。 皆さんは、網膜色素変性症という目の病気を御存じでありましょうか。この病気は、医療費助成の対象となる指定難病の指定を受けておりまして、目の中で光を感じる組織である網膜に異常がある遺伝性の疾患で、8,000人に1人の割合で患者がいると推定されております。 特徴的な症状は、暗いところで物が見えにくくなる夜盲、視野が狭くなる視野狭窄、視力低下の3つであります。極めて個人差はありますが、眼科疾患の中でも進行の遅い疾患で、長い経過の後に矯正視力が0.1以下になる方も多いそうです。 現在のところ、網膜の機能をもとの状態に戻したり、進行をとめる等の確立された治療法がないのが現状でございます。 このような中、昨年、九州大学と民間企業、日本網膜色素変性症協会との共同研究によりまして、暗所視支援眼鏡という商品が開発をされました。 この暗所視支援眼鏡は、小型カメラで捉えた映像を明るい状態で使用者の目の前のディスプレーに投影する仕組みになっておりまして、暗いところで物が見えづらくなる夜盲症の方を補助するための眼鏡型の機器で、私も実物を拝見しましたが、一般的な眼鏡より少し太目の形状をしておりました。 網膜色素変性症の患者さんの中には、夕方以降、視界が真っ暗で、怖くて外出を控える方も多いと聞きますが、この眼鏡をかけることで、夜間にひとりで外出することも可能となり、生活の質の向上や就労支援にもつながることが期待されております。 昨日、公明党の熊本市議団で、盲学校のほうに、言うならば紹介に上がらせていただきました。テスト的にその眼鏡を使用していただいたら、こういうものがあるのかというぐらい、非常に喜んでおられたということでございました。 そういうことで、また夜間に災害が起こった場合、この眼鏡があれば、周りの手助けがなくとも、患者さん御自身で避難することが可能になるのではないでしょうか。 そこで、天草市では、全国に先駆けて、この暗所視支援眼鏡を日常生活用具給付等事業の対象用具とすることが検討されております。対象用具に認められれば、患者さんの経済的負担は、大きく軽減されます。 この給付事業の実施主体は市町村でありますが、地域生活支援事業費等補助事業の一つであり、負担割合は、国が2分の1、都道府県と市町村が4分の1ずつとなっており、補助金全体として、国からの交付率が低いと聞きます。 日常生活用具給付等事業を着実に実施できるよう、安定した財源の確保を国に対してさらに働きかけていただくとともに、この暗所視支援眼鏡について、まだまだ御存じない市町村もあろうかと思いますので、市町村への情報提供もあわせてお願いしたいと考えております。 時間が13分ほど余っておりますけれども、私の今回の、本日時間をいただきました質問内容につきましては終了いたしました。 皆様、最後までの御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(田代国広君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明13日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時2分散会...