平成30年 6月 定例会 第 2 号 (6月14日) 平成30年
熊本県議会6月
定例会会議録 第2号平成30年6月14日(木曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第2号 平成30年6月14日(木曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について
) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ――――――○――――――
出席議員氏名(45人) 松 野 明 美 さん 山 本 伸 裕 君 岩 田 智 子 さん 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 大 平 雄 一 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 前 田 憲 秀 君 濱 田 大 造 君 磯 田 毅 君 西 山 宗 孝 君 河 津 修 司 君 楠 本 千 秋 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 西 聖 一 君 浦 田 祐三子 さん 山 口 裕 君 早 田 順 一 君 渕 上 陽 一 君 田 代 国 広 君 森 浩 二 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 小早川 宗 弘 君 池 田 和 貴 君 吉 永 和 世 君 岩 中 伸 司 君 城 下 広 作 君 氷 室 雄一郎 君 鎌 田 聡 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君 小 杉 直 君 前 川 收 君 西 岡 勝 成 君 山 本 秀 久 君
欠席議員氏名(なし
) ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君 副知事 小 野 泰 輔 君
知事公室長 坂 本 浩 君 総務部長 池 田 敬 之 君
企画振興部長 山 川 清 徳 君
健康福祉部長 古 閑 陽 一 君
環境生活部長 田 中 義 人 君
商工観光労働 磯 田 淳 君 部長
農林水産部長 福 島 誠 治 君 土木部長 宮 部 静 夫 君
国際スポーツ 小 原 雅 晶 君
大会推進部長 会計管理者 能 登 哲 也 君 企業局長 原 悟 君 病院事業 三 角 浩 一 君 管理者 教育長 宮 尾 千加子 さん
警察本部長 小 山 巌 君
人事委員会 田 中 信 行 君 事務局長 監査委員 濱 田 義 之 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 吉 田 勝 也
事務局次長 横 井 淳 一 兼総務課長 議事課長 中 村 誠 希 審議員兼 村 田 竜 二
議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時1分開議
○議長(坂田孝志君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1 一般質問
○議長(坂田孝志君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。
溝口幸治君。 〔
溝口幸治君登壇〕(拍手)
◆(
溝口幸治君) 皆さん、おはようございます。人吉市選出・自由民主党の
溝口幸治です。ここに立ちますと、亡くなられた村上先生の議席のお花が大変目立つところでありますが、いろいろな思い出がありますが、御指導いただいたことを忘れずに、これからも頑張っていきたいというふうに思っております。 久しぶりの質問に立たせていただきます。地震前でしたので、この議場でやるのは本当に久しぶりになります。そして、一般質問の初日の
トップバッターということで、しっかりとその役目を務めたいと思います。 早速質問に入ります。 まず、
国際スポーツ大会に向けた全庁的な取り組みについて。
ラグビーワールドカップ2019は、来年9月20日に
東京スタジアムで開幕し、日本中で44日間、11月2日まで開催をされます。熊本では、10月6日日曜日午後4時45分からフランス対トンガ、10月13日日曜日午後5時15分から
ウェールズ対ウルグアイの2試合が行われます。
ラグビーワールドカップの熱狂冷めやらぬ11月30日からは、世界24カ国の代表が熊本に集結し、
女子ハンドボール世界選手権大会が開催されます。 2015年の
ラグビーワールドカップ・
イングランド大会は、私も視察に行かせていただきましたが、あの熱狂を日本で、そして熊本で味わえることがとても楽しみです。まさに日本で観戦できるのは一生に一度のチャンスだと思います。 ことし4月には、
ラグビーワールドカップの
ボランティア募集が開始されており、この秋にはチケットの一般販売が始まります。
女子ハンドボール世界選手権大会については、12月に本大会の
アジア予選も兼ねる
アジア選手権大会が開催されることが決まったとのことです。 さらに、
東京オリンピック・
パラリンピックについても、これから
聖火リレーの検討が始まると聞いています。 7月の初めには、私も同僚議員、執行部とともに
ウェールズ、フランスを訪問し、関係者や
現地旅行代理店との意見交換などを行うこととしています。我々議会も執行部と一緒になって、大会を成功させるように取り組んでいかなければならないと思っております。
ラグビーワールドカップの開会までの期間はあと463日となり、いよいよ
国際スポーツ大会の開催が近まったと感じています。 そこで、知事にお尋ねいたしますが、知事は、平成27年12
月定例県議会で、内野議員の質問に答えて「特に九州は、熊本、福岡、大分の3県で開催されます。これら3県を初め九州全体が連携し、海外からのお客様を呼び込み、熊本、そして九州の魅力を世界中に発信していきたい」ラグビー、
ハンドボール、「この2つの大会は、熊本がさらに飛躍するまたとない
ビッグチャンスであります。」「今後とも、これらの大会が、
スポーツ、文化や観光の振興、国際交流の促進などを通じて、県民の夢や誇りの実現、そして熊本のさらなる発展の起爆剤となるよう、県民一丸となって取り組んでまいります。」と述べられております。 あれから約2年半がたちました。この間、具体的にどのような取り組みをされてきたのか、そして、今後どのような視点が大事になってくるのか。 大会が近まり、これらの
国際スポーツ大会に向けた準備が本格化していく中、
大会開催に対する知事の思いを改めてお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 来年に開催が迫った2つの
国際スポーツ大会は、熊本地震から復興する姿や多くの支援に対する感謝の気持ちを発信するまたとない機会であり、国内外からたくさんの方々に本県を訪れていただきたいと思っています。 このため、
創造的復興に向けた重点10項目の一つとして、
国際スポーツ大会の成功を掲げ、県庁を挙げて取り組んでいます。この4月からは、新たに
国際スポーツ大会推進部を設置し、大会の開催に向けた準備をさらに加速したところです。 私は、大会の成功には、次の3つの要素が必要であると考えています。1つ目は、円滑な
大会運営、2つ目は、多くの方々に観戦してもらうこと、3つ目は、大会から得られるさまざまな成果をレガシーとして残し、活用していくことであります。 1つ目の円滑な
大会運営については、平成28年度から、熊本市などと合同で
熊本国際スポーツ大会推進事務局を設置し、ラグビーの
国際テストマッチや
女子ハンドボールのプレ大会などを通じて、
国際大会の開催に必要なノウハウの蓄積や課題の整理を行ってきました。また、会場施設の整備も着実に進めているところです。引き続き、選手が最高のパフォーマンスを発揮し、観客の皆様が最高の環境で試合を楽しめるよう、万全の準備を進めてまいります。 さらに、大会の成功に必要不可欠な
ボランティアについても、
ラグビーワールドカップについては、既に募集が開始されていますが、まだまだ厳しい状況です。ぜひ、多くの県民の方々が
ボランティアとして参加し、大会の運営に積極的にかかわっていただきたいと考えています。 2つ目の、より多くの方々に観戦していただくことについては、町なかでの装飾やさまざまなイベントでの広報など、大会の機運醸成に取り組んでいます。
ハンドボールについては、熊本市、八代市、山鹿市で大会が開催できることとなり、県内全域での盛り上げを図っていきます。また、この6月から、くまモンが全国各地の
ハンドボール関連イベントなどを訪問し、大会のPRを行うなど、一層の機運醸成を図ることとしています。 6月9日に大分で開催された
ラグビー国際テストマッチでは、くまモンによるPRに加え、3県の連携強化のため、私も大分、福岡の両県知事とともに観戦しました。7月には、フランスにおいて、九州合同で
観光プロモーションも実施する予定です。引き続き、九州全体で連携した機運醸成にも努めてまいります。 また、1997年の男子大会で好評だった学校や
地域ぐるみでの応援や観戦など、大会が子供たちの記憶に長く残るような取り組みを進めてまいります。 そして、
女子ハンドボールにおいて、1997年大会の28万人を上回る30万人、
ラグビーワールドカップにおいても6万人の誘客を図り、多くの県民の皆様の心に残る大会にしたいと考えています。 3つ目のレガシーについては、平成28年にレガシープログラムを策定し、県内のさまざまな関係者と連携して、
スポーツの普及と振興、
インバウンド観光の推進、国際交流の促進などに取り組むこととしています。多岐にわたる成果をレガシーとして次世代に残せるよう、全庁的な取り組みを進めてまいります。 またとない2つのビッグイベントの開催がいよいよ近づいてまいりました。大会の成功に向けて、県民の皆様とともに取り組んでまいります。 〔
溝口幸治君登壇〕
◆(
溝口幸治君) 知事から、大会成功には3つの要素が必要だという答弁がございました。 ここで私から、この
国際スポーツ大会の経済効果をいかに県下全域に取り込み、
地域活性化につなげていくのかということについて質問をしていきたいと思います。 知事が述べられたとおり、
女子ハンドボール世界選手権大会の試合会場が熊本市、八代市、山鹿市の5会場で開催する方向となり、既に出場が決定している開催国の日本と前回の
ドイツ大会優勝国フランス以外の出場国は、これから順次決定をしていくと聞いております。 また、2020年の
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会では、インドネシアの
バドミントンチームの
事前キャンプが本県で実施されるとのこと。熊本市ではドイツの
競泳チームの
事前キャンプが決定したと聞いています。ほかにも、八代市が台湾の
バドミントンチームの
事前キャンプ誘致を進めているとのことです。 このように、多くの国やチームが大会を契機に本県を訪れますが、これらの大会には、出場する国、チームの選手や関係者のみならず、多くの観戦客も世界中から訪れられます。これは、熊本のさまざまな魅力を世界に発信するとともに、熊本地震で被災した熊本城や阿蘇神社を初め、地震から復興する本県の姿を見てもらう絶好の機会です。そして、何よりも、これらの大会を最大限に活用して、熊本全域に経済効果を波及させ、
地域活性化を図ることが非常に重要だと思っております。 今県では、大会に向けて、欧米や豪州からの誘客への取り組みを強化すると聞いています。また、
県内関係者向けの
国際スポーツ大会対策説明会を開催し、
国際スポーツ大会の概要や多
言語コールセンターの開設等についての説明が行われたとのことです。欧米や豪州からの観光客は、大部分がツアーではなく
個人旅行客が予想されますので、
情報発信等、本県の
認知度向上に向けた取り組みが重要になると思います。 今月末には、天草の﨑津集落の
潜伏キリシタン関連遺産が世界遺産に登録される見込みです。このほかにも、県内には万田坑や三角西港といった世界遺産があり、また、人吉・球磨地域や
菊池川流域といった日本遺産など、魅力的な観光資源が数多くあります。 これらを活用して、国内外からの
観光客誘致などにつなげる取り組みを進めていく必要があるのではないでしょうか。 さらに、熊本が誇る豊かな
農林水産物についても、世界に向けてPR、供給していくチャンスです。何をどのようにアピールし、今後の振興につなげていくのか、大会を最大限に活用する明確な戦略を立てて取り組んでいくことが重要なのではないでしょうか。 加えて、県では、これまでも、
ロアッソ熊本など
県内プロチームの支援など、
スポーツを通じた地域の活性化に取り組んでいます。これらの
プロスポーツチームと連携して大会を盛り上げることで、県内の
スポーツ振興にもつながるのではないでしょうか。 そこで、これらの
国際スポーツ大会の開催効果を最大限に高め、県内一円に経済効果を波及させ、
地域活性化につなげていくための取り組みについて、本来であれば各部長にお尋ねをするところですが、代表して、この4月に設置された
国際スポーツ大会推進部長にお尋ねをいたします。 〔
国際スポーツ大会推進部長小原雅晶君登壇〕
◎
国際スポーツ大会推進部長(小原雅晶君)
国際スポーツ大会を契機として、国内外に本県のさまざまな魅力を発信し、その効果を県内一円に波及させるためには、庁内各部局が一丸となって戦略的に取り組むことが重要であると認識しています。 まず、
大会開催に伴う観光客の増加は、県経済の活性化を後押しし、熊本地震からの観光の
創造的復興を実現していく上で、とても大きなチャンスだと考えています。 既に、
企画振興部、
商工観光労働部などと連携し、欧米やオーストラリアなど、滞在期間が長く消費額も高い地域を主なターゲットとしつつ、国内外からより多くの観光客を呼び込めるよう積極的な取り組みを進めています。 具体的には、国や九州各県と連携した
海外メディアやブロガーの招請、九州合同の
観光商談会の開催、航空会社とタイアップした
プロモーションなどを実施します。また、県の
観光サイトの全面改訂を行い、6カ国語対応とするとともに、SNSをこれまで以上に活用するなど、国内外に向けた情報発信を強化します。 さらに、県内各地域では、来年のデスティネーションキャンペーンと連動し、世界遺産や日本遺産などを組み込んだ
着地型旅行商品の造成を進めています。これらにより、
スポーツ大会観戦者の県内各地への周遊を促進し、広く経済効果が波及するよう取り組んでまいります。 また、
国際スポーツ大会の開催は、熊本の食をアピールする絶好の機会だと考えております。 具体的には、
農林水産部において、
庁内プロジェクトチームを立ち上げ、選手を初めとした
競技関係者が滞在するホテルへの県産食材の使用の働きかけや、観戦者、
旅行者向けの対策として、地産地消協力店に指定している飲食店への協力依頼などを行っています。あわせて、食材や料理を紹介したパンフレットの作成や
協賛イベントでのPRなども予定するなど、積極的に取り組んでいます。 加えて、
県内プロスポーツチームの
ロアッソ熊本や
熊本ヴォルターズの試合会場でも、
国際スポーツ大会に関するブースを設けるなど、PRを展開していきます。また、来月に熊本で開催される
プロ野球オールスターゲームの機会を捉えてPRを行うなど、
各種イベントと連携して
国際大会の機運を醸成することで、
県内スポーツ全体のさらなる盛り上げにもつなげてまいります。 これらの取り組みには、
熊本国際スポーツ大会アンバサダーであるくまモンも、
ハンドボールやラグビーのユニフォームを着て活躍しているところです。 このほか、誰もが楽しめる大会や環境に配慮した大会を目指した取り組みなど、他の部局とも連携しながら、大会の開催が県内一円への経済効果の波及や地域の活性化につながるよう、しっかりと取り組んでまいります。 〔
溝口幸治君登壇〕
◆(
溝口幸治君) 今部長から答弁をいただきました。 まさに全庁的な取り組みがスタートしているというふうに実感をしております。しかし、口では、全庁的な取り組みというのは、なかなか皆さんもおわかりのとおり、全庁的な取り組みというのは難しいんですね。この縦割りの中で横串を刺していくという作業は大変いろいろな苦労もあるかと思いますが、残り463日になりましたので、ぜひ取り組みを加速していただきたいというふうに思います。 知事から3つの要素が必要だというお話がありまして、1つ目は、円滑な
大会運営、2つ目は、多くの方々に観戦してもらうこと、そして3つ目は、大会から得られるさまざまな成果をレガシーとして残し活用していくと。きょう示されたこの3つの要素は、我々議会もしっかり共有しなければならないというふうに思います。この3つの要素を共有しながら、まさに議会と執行部が一体となって、県内全体に波及効果が広まっていくような取り組みを進めていきたいというふうに思っておりますが、1つ私がやっぱり心配するのは、まだまだ県内全体に、この
国際スポーツ大会を迎えるという機運が高まっていないというふうに感じてます。 例えば、私が住んでいる人吉・球磨地域とかは、いや、うちには関係ないだろうと、つい考えがちなんですね。恐らく天草の牛深とか、離れれば離れるほどそういう感じではないかと思いますが、いや、そうではないんだと。この2019、2020年は、しっかり準備をしておけば
経済波及効果は隅々まで広がっていくんだというような機運の醸成を、ぜひ執行部のほうでも心がけていただきたいし、多くの民間の団体や民間の方々を巻き込んで、国内外、そして県内に情報発信をしていく、そのことにぜひ力を注いでいただきたいというふうに思っております。 次の質問に入ります。 次に、教育長にお尋ねをいたします。
教育委員会として、
大会開催に向けてどう取り組んでいかれるのか、率直に教育長の熱い思いを簡潔にお聞かせください。 続きまして、
警察本部長にお尋ねをいたします。 この3月に着任された
小山警察本部長は、これまで
警察庁国際課長を務められており、2019年の
国際スポーツ大会に向けて適任の方に来ていただいたと思っております。 我々も、
国際スポーツ大会で国内外から訪れる方々を安全にお迎えし、安心して熊本を楽しんでいただくことで、世界中の多くの方々に熊本のファンになっていただきたいと考えています。 そのための選手や観客の輸送、会場の警備については、警察との緊密な連携が不可欠です。世界各地では、多くの観客が集まる場所を狙った爆弾テロや群衆に車両で突っ込むテロが発生しており、熊本でもテロが起こらないとは言えません。 そこで、2点お尋ねをいたします。 1点目は、このような情勢の中、多くの国から選手や観客が来熊する大規模な
国際スポーツ大会の安全、安心の確保に向けた意気込みと、どのような点に気を配っていかれるのかについてお尋ねいたします。 2点目に、最近、熊本市の
中心繁華街で客引きやぼったくりが横行して風紀が乱れています。このため、商店街や防犯組織でつくる協議会が、熊本市に対して
客引き防止条例制定の要望書を提出されたと聞いています。
国際スポーツ大会を控え、それまでには悪質な業者は一掃しなければなりません。この繁華街の現状に対してどのような対策を考えておられるのか、お尋ねをいたします。 〔
教育長宮尾千加子さん登壇〕
◎教育長(
宮尾千加子さん) 去る4月28日に行われましたラグビーの
ニュージーランド学生選抜戦を間近で見た子供たちからは、試合の迫力に感動し、本物を見られてうれしかったという感想を聞きました。 来年開催される2つの
国際スポーツ大会は、子供たちが
世界トップレベルの試合を間近で観戦し、夢や感動を抱き、未来への希望と生きる力を育む、またとない機会です。 これらの大会を県民全員の力で成功させるためには、各学校においても、児童生徒、教職員の一人一人が大会への理解を深め、学校全体として主体的に参加するとともに、大会に向けた機運を高めていくことが必要です。
教育委員会では、これまで、
タグラグビーや
ハンドボールの教室開催を初め、
県立学校長会や
市町村教育長会議の場など、機会あるごとに大会や関連する
イベント等の情報を提供することで、来年度の学校の
年間スケジュールに早目に組み込んでもらうなど、大会の機運醸成に努めています。 今後は、保護者や
教職員向けの広報誌等により最新情報を発信するとともに、
大会情報等を盛り込んだ学校用のDVDを制作、配付するなどの取り組みを進めてまいります。 さらに、子供たちが参加国の言葉や文化に触れる
応援国学習ですとか、学校単位での応援や観戦、選手と直接触れ合う交流事業などのいわゆる一校一国運動、この取り組みを
教育委員会と学校現場が一丸となって準備を進めてまいります。 〔
警察本部長小山巌君登壇〕
◎
警察本部長(小山巌君) まず、
国際スポーツ大会に向けた
意気込み等についてお答えいたします。 県警察では、本県の
創造的復興に向けた重点10項目の一つである
国際スポーツ大会の成功に向け、主催者や関係機関との連携を密にし、警備諸対策に万全を期す所存であります。 そのため、テロの未然防止に向け官民一体となった団体を設立準備中であるほか、部内においても、諸対策を的確に推進できるよう、全部門が一体となった体制の構築や本番を想定した訓練の実施などに取り組んでいるところです。 また、一方で、警察活動が県民生活に与える影響は
必要最小限にとどめなければなりません。このため、適切な交通規制や警戒警備、事故防止における資機材の有効な活用、多数の来県が見込まれる外国人との
コミュニケーション能力の向上等により、県民や
大会関係者の安全、安心の確保と円滑な大会実施の両立に努めてまいります。 次に、
繁華街対策についてお答えいたします。 県警察では、熊本市中心街における良好な風俗環境の推進については、大変重要であると考えております。 現在、客引きや無
許可営業等の違法店舗に対する取り締まりや行政処分を重ねるとともに、週末深夜の治安対策や民間との
協働パトロールなどの見せる街頭活動を実施しています。
国際スポーツ大会の開催を控え、これらをさらに強化し、推進していくこととしています。 また、先般、民間団体が、熊本市に対して、客引き等の条例制定に関する要望書を提出したことについては承知しております。 県警察としては、今後、関係機関と連携して必要な支援を行い、誰もが安心して歩ける繁華街を目指してまいります。 〔
溝口幸治君登壇〕
◆(
溝口幸治君) それぞれ御答弁をいただきました。 教育長から、一校一国運動に力を入れていくというお話がありまして、先般2月に池田県議が御提案もなされたところでありますが、まさに子供たちに本物の
スポーツ、本物の選手を見せるというのは、本当に教材としてすばらしいものだと思いますので、ぜひ有効に御活用いただきたいというふうに思います。 それから、
警察本部長から御答弁をいただきました。 テロ未然防止に向けた官民一体となった団体を設立される予定ということでありました。 県警察が中心となって、さまざまな団体や県民の皆さんと協力して取り組むことをぜひ期待をしておきたいと思います。 また、
繁華街対策では、現在でも取り締まりや民間との協働のパトロールをやられているということですが、さらに強化をしていくということです。 先般、数人の先生と夜の街を健全に守ってらっしゃる団体の懇親会等に出させていただいて、非常にやっぱり心配をされております。真面目に健全にやられた方々と――そうやって後から入ってきて悪質にぼったくって客引きをやって稼いでいくと、熊本のイメージ低下にもつながりますし、まさにこの震災からの復興を今一生懸命図っている熊本にとっても、そして、
国際スポーツ大会を迎えて、これからおもてなしの機運醸成をしていこうという、その夜の街で健全に頑張っている方々に対しても水を差す行為だというふうに思っていますので、ぜひここは一掃していただきたいと思います。 数人の先生方と県で条例をということもあったんですが、これはやっぱり局地的にしっかり対応するということで、県の条例よりも熊本市でしっかり条例をつくっていただいて対応するほうが望ましいのだろうというふうに思いますので、熊本市議会でしっかり議論が進むことを期待をしておりますが、場合によっては、県議会としても何か行動を起こさなければならないときには、スピード感を持って対応していきたいというふうに、多分全員の先生方が思われておりますので、何かありましたら御相談をいただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問に移ります。 続きまして、川上哲治生誕100年記念事業についてお尋ねをいたします。 皆さんは、奇跡のバックホームという言葉をお聞きになられたことがあるでしょうか。これは、平成8年の夏、甲子園の決勝戦で熊本工業の悲願の初優勝を阻んだ決定的なプレーのことで、今なお球史に残る名場面として語り継がれております。私もテレビを見ておりましたが、延長戦に入り、サヨナラのチャンスを迎えた熊本工業の打者が放った打球は、犠牲フライには十分であり、その打球を見て誰もが熊本工業の優勝を確信しました。しかし、その外野からのバックホームは、風に乗って弧を描き、ダイレクトでキャッチャーミットに吸い込まれました。まさにこれしかアウトにできない奇跡のバックホームでした。 皆さん御存じのとおり、熊本工業は、春夏合わせて41回の甲子園出場を誇る名門ですが、いまだ優勝はありません。全国大会で勝ち進むことがいかに難しいのかがわかります。しかし、過去に3度の準優勝をなし遂げており、うち2回の準優勝は、ある人物がいたからこそ達成されたと言っても過言ではありません。そうです。その人物こそ、川上哲治氏なのです。 同氏は、大正9年、球磨郡大村、現在の人吉市に出生し、大村尋常小学校、現在の人吉西小学校卒業後、熊本工業学校、現在の熊本工業高校、皆さん熊工と言われますが、人吉でくまこうと言ったら、球磨工業高校のことを指しますので、あえて熊本工業と表現させていただきますが、球磨工業高校は、ちなみに先日のNHK旗で優勝しまして、恐らく甲子園に一番今近いのではないかと、ひそかに楽しみにしているところでありますが、きょうは熊本工業の話ですね。 昭和13年に、東京巨人軍、現在の読売巨人軍に入団されました。国民から、赤バットや打撃の神様と親しまれ、首位打者5回、本塁打王2回のほか、数々のタイトルを獲得されました。 今、イチロー選手が大リーグで活躍しておりますが、通算打率が3割1分2厘なんですね。この川上さんの生涯打率は3割1分3厘ですから、単純に比較はできませんが、いかにすばらしい打者だったかということはおわかりになると思います。 引退後、昭和36年に巨人軍の監督に就任すると、昭和40年から48年まで9年間、チームを連続で優勝に導き、不滅のV9とたたえられております。昭和40年には、野球殿堂入りも果たされております。 監督辞任後は、NHKの野球解説者を務められる傍ら、少年野球の普及に尽力され、全国少年野球教室では、野球を通して強い精神力と体力の養成、人の和の大切さなど人生の指針を説き、青少年教育に貢献されました。私も、実はプレーとかは全然見たことがなくて、この野球教室で来られたときにお会いしたのが初めてであります。 そして、本県の道徳教育用郷土資料「熊本の心」では、こうした川上氏の努力や生きざまが「打撃の神様」というタイトルで掲載され、郷土を愛し、夢を持ち、歩んでいく一助として、子供たちを初め県民に伝承されております。ちなみに、人吉市でも川上哲治氏の副読本がつくられております。 このほかにも、昭和54年に熊本県近代文化功労者、平成3年には人吉市名誉市民を受賞されると、平成4年には勲四等旭日小綬章、さらには、野球界としては初となる文化功労者に選ばれておられます。 川上氏は、平成25年に93歳で亡くなられましたが、同年に県民栄誉賞を受賞されております。 蒲島知事は、川上氏のこの活躍に県民栄誉賞を贈呈するとともに、日本中に感動と勇気を与えてくれた、私も赤バットの活躍に心躍らされたと述べられております。 さて、この川上氏の生誕から、2020年の3月23日には100年を迎えます。 人吉市では、地元関係者を中心に記念事業の開催に向けて機運が高まっており、巨人軍の協力を得てイベントを実施したいなどという声も聞かれております。 ただ、本日るる述べておりますとおり、川上氏の功績の偉大さは、郷土人吉市民のみならず、熊本県民の誇りであり、こうした機運を県全体で高めていく必要があると思います。 そこで、この川上氏の功績をたたえ、生誕100年を迎える2020年に、県を挙げて記念事業を開催すべきと考えますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 議員御紹介のとおり、川上哲治氏の日本野球史上、永遠に語り継がれる偉業は、まさに県民の誇りであり、この輝かしい功績をたたえ、平成25年に県民栄誉賞を贈呈いたしました。 川上さんは、国民的
スポーツである野球を通して、戦後の厳しい状況にあった私たち国民を勇気づけてくれました。川上さんが巨人軍の4番バッターとしてさん然と輝く姿に、私も憧れた一人であります。川上さんのようになりたいと胸を熱くした県民の皆さんも、多数いらっしゃったと思います。 今熊本は、震災からの復興の中にあり、本年7月には、復興支援として
プロ野球オールスターゲームが開催されます。 2020年に生誕100年を迎えるこの機会に、改めて川上さんの功績をたたえることは、
スポーツの力、野球の力で、世代を問わず、県民を勇気づけ、復興をさらに後押しできるものと考えます。 このことにより、県民がふるさと熊本に誇りを持つこと、子供たちに夢を与えることにつながると思います。 このため、県としても、人吉市を初めとする関係者の皆様と一緒になって、生誕100年記念の取り組みについて、ぜひ実現できるよう検討を進めてまいります。 〔
溝口幸治君登壇〕
◆(
溝口幸治君) 知事から答弁をいただきました。 恐らく知事は、川上さんの現役のころ、プレーを見られたことがある、この中では数少ない方だというふうに思いますので、思い入れも皆さんよりも強いのではないかというふうに思います。人吉市を初めとする関係者の皆様と一緒になって、生誕100年の記念の取り組みについて検討を進めるという御答弁をいただきましたので、熊本工業の関係者、あるいは熊本県出身のプロ野球選手、あるいはOBの方々、考えれば考えるほどいろいろ夢は膨らんでくるし、いろいろな可能性があると思います。 実は、私がこの質問をさせていただきたいと思ったのは、もちろん人吉市の中で、うちには川上哲治記念球場という球場があるんですが、その建設のときに一生懸命やられた方々が、今でも川上家と御縁があって、ずっと行き来をされております。その方々から教えていただいたことと、もう1つ、三重県が昨年、沢村賞の沢村栄治さん、この方の生誕100年の記念事業をやっています。その資料を取り寄せたときに、実行委員会組織は、三重県が中心になって、関連の市を巻き込んでやられております。プロ野球のオープン戦をやったり、展示をやったり、講演会をやったりというような内容でしたが、ぜひ熊本県が中心になって、関係者とつくり上げていっていただきたいというふうに思います。 川上さんの貴重な遺品が、水前寺野球場とか人吉の川上哲治記念球場とかにもありますし、去年だったと思いますけれども、東京ドームで川上哲治展みたいなものが開催をされたんですね。私、ちょうど出張で行かせていただきましたけれども、やっぱり野球ファンにとっては、本当に打撃の神様と言われる方ですので、大変大事な方ですので、そういった方々をしっかり顕彰しながら、子供たちにも勇気を与えたり、多くの野球ファンの方々に熊本に来ていただくような、そういうイベントになれたらというふうに思っておりますので、ぜひ県が先頭に立って、つくり上げていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 次に、球磨川流域の治水対策と五木村振興について質問をさせていただきます。 蒲島知事が川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきであると表明されてから、まもなく10年です。この間、ダムによらない治水を検討する場で示された全ての対策を実施しても、治水安全度は、人吉地点で5分の1から10分の1レベルです。 その後、球磨川治水対策協議会が設置され、現在でもさまざまな検討をされていますが、今後どのくらいの期間で結論が出るのか全くわからない状況で、仮に協議会の結論が出たとしても、整備には相当の時間を要するものと思われます。 これに対し地元では、ここ数年、幸いにも集中豪雨がなく、治水対策に関する情報も余り出てこないことから、球磨川水系の治水問題はあたかも解決したような雰囲気になっており、地元に住む者として、非常に危機感を覚えているところです。 全国的に見れば、昨年の九州北部豪雨はもとより、東北地方や北海道などでも集中的な豪雨が頻発しております。一旦水害が発生すると、そこにお住まいの方々を一気に危険な状況に追い込んだり、その地域において、これまで積み上げてこられた財産や地域のコミュニティーを壊滅的に破壊するなど、後々にわたって人々の心に深い傷を残すことになります。 今の協議をしっかり進めていくことも大切ですが、一方、現時点では抜本的な治水対策がとられていない中で、まさかの洪水に備えることも重要であると思います。 そこで、今後の球磨川の治水対策について、知事はどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。 次に、五木村の振興について質問します。 知事は、みずから本部長となり、村の振興に取り組む姿勢をこれまで示してこられました。 一方、県議会も、議員提案により、五木村振興推進条例を制定し、県と村が共同で、平成21年からの10年間を計画期間とするふるさと五木村づくり計画を策定され、村の振興を図ってこられました。 これらの振興の財源として、ソフト事業に10億円の五木村振興基金を設置し、基盤整備事業についても50億円の県負担を約束して進めてこられましたが、平成30年度末での残額は、ソフト事業向け基金が約4,000万円、基盤整備事業向け県負担が6億5,000万円程度になると伺っております。 そこで質問です。 平成30年度をもってふるさと五木村づくり計画は最終年度を迎えますが、これまでの取り組みの成果について、知事はどのように認識しておられるのか、お尋ねいたします。 次に、五木村は、平成31年度以降も県の総合的な支援を要望されており、去る5月22日、県知事と県議会議長宛てに要望書を提出され、松田県議、緒方県議とともに同席をいたしました。 半世紀にわたりダム問題に翻弄されてきた村の歴史に鑑みれば、国や県に要望される村の気持ちは私もよくわかりますし、引き続き一定の支援が必要ではないかと感じています。 知事は、平成31年度以降の五木村の振興について、どのように考えておられるのか、お尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、球磨川流域の治水対策についてお答えします。 現在、球磨川治水対策協議会において、戦後最大の規模となる昭和40年7月の洪水を安全に流下させる治水対策について、国、県、流域市町村が一体となって検討を進めています。 今後、引き堤、河道掘削、放水路など、8つの治水対策を組み合わせ、総合的な評価を行ってまいります。 また、現時点で実施可能な治水対策については、国が人吉橋下流左岸を初めとした掘削や築堤を行い、県が球磨村渡地区の浸水対策を行うなど、地域の理解が得られたものから着実に進めています。 一方で、球磨川の現状において、洪水等の危険が迫ったときには、人命の安全確保を最優先とした迅速な行動が最も重要となります。 このため、県では、球磨川水系防災減災基金を設置し、流域市町村が取り組むハザードマップの作成や水防資機材整備等のソフト対策を支援しています。 さらに、本年度は、球磨川流域に水位計を追加設置し、早期避難につながるきめ細やかな情報提供にも取り組みます。 このほか、人吉市と球磨村では、平成28年度から、全国で初めて梅雨前線性の降雨に対するタイムラインを運用しています。 こうした取り組みは、住民の早目の避難行動につながるものであり、八代市も導入に向けた検討を進めるなど、事前の備えも次第に充実してきています。 今後も、協議会における治水対策の検討を進め、現時点で実施可能なハード対策と迅速な住民避難のためのソフト対策を両面から推進し、国や流域市町村と連携して、地域の防災力向上に取り組んでまいります。 次に、五木村の振興についてお答えします。 私は、川辺川ダム建設の白紙撤回表明以降、五木村の苦難の歴史に応えなければならないという強い思いを持ち、県議会の御支援をいただきながら、村の振興に全力を尽くしてまいりました。 ふるさと五木村づくり計画に基づくこれまでの9年間の取り組みにより、観光客の増加や木材生産量の増加等の成果が上がっています。また、水没予定地の利活用を初めとした基盤整備も、国の御支援もいただきながら着実に進めています。 平成27年度に実施した全村民を対象とするアンケート調査で、振興を実感すると答えた方が45%と、実感していないと答えた方の13.4%を大きく上回ったことからも、一定の評価をいただいているものと考えています。 一方で、人口の社会減に歯どめがかかっていないという現実もあり、村民の収入や雇用等の対策が不十分との御意見もいただいているところです。 このため、平成31年度以降の振興策について、まずは、五木村振興基金を計画期間終了後も弾力的に活用いただくことをお伝えしています。また、現在、村と意見交換を実施しているところであり、村民の皆様が将来にわたって展望を持てるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。 〔
溝口幸治君登壇〕
◆(
溝口幸治君) 知事から御答弁をいただきました。 まず、五木村の振興についてでありますが、計画終了後も弾力的に活用していくということは、もう五木村に伝えているということであります。そして、現在、村と意見交換を実施しているところであって、村民の皆さんが希望が持てるようにやっていきたいということで、引き続きしっかり取り組むというような答弁をいただきました。とてもありがたいことだというふうに思います。 一方で、五木村自体もやっぱり頑張ってもらわなければならないと思っています。職員の皆さん方、それぞれ少ない職員で頑張っていらっしゃるんだと思いますけれども、しっかり五木村の職員さんのモチベーションを高めていただいて、ぐいぐい引っ張っていただいて、五木村の職員さん、五木村とともに振興が図っていけるように頑張っていただきたいと思います。 これまで、予算もそうですけれども、相当人も県のほうから送り込んでいただきました。行かれた方は本当に五木村のために頑張っていただいている方ばかりですので、そういった効果が、恐らく五木村の庁舎全体に、村全体に出てくる時期だと思いますので、そういったことも考えれば、引き続きの支援が必要と思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。 治水対策について、知事から答弁をいただきました。 もう深い議論は避けますが、現時点で実施可能なハード対策とソフト対策両面からやっていくということでございますので、ぜひやっていただきたいと思います。私が心配しているのは、最近水が出てないんです、確かに。球磨川は水が出てない。それで、住民の皆さん方は少し安心をしている。なおかつ、今ダム問題で昔みたいに激しく住民が対立するというようなこともなくなって、それはそれでありがたいことなんだけれども、あたかももう何か治水対策は解決したみたいな雰囲気になっているので、こういった安心感があるときの洪水というのは非常に怖いなというふうに思います。私自身も、その地域に住む者として、しっかり啓発をしていきますが、県としても、できる限りそういったときに備えて、タイムラインもそうですけれども、しっかりとした対応をお願いしたいというふうに思います。 続きまして、人吉市の良好な景観づくりについて質問いたします。 知事が白紙撤回して10年ですが、実は青井阿蘇神社が国宝指定されてからも10年たちます。知事が当選してからも10年になるんですね。非常に思い入れのある10年になるわけですが、人吉市民の生活を彩ってきた国宝青井阿蘇神社とその祭事は、県内初の日本遺産の構成要素として認定され、これからも長きにわたり守り継いでいく宝として、広く認められたところであります。 今後、地域づくりの核として、また、観光振興のかなめとして、この宝の魅力を高めていく中で、その要素の一つとして、日本遺産にふさわしい良好な景観づくりを進めることが重要だと考えます。 既に、人吉市の景観計画等策定審議会から市長に、青井阿蘇神社周辺を景観形成の重点地域とする景観計画案が答申されています。人吉市は、今後、この計画案を踏まえた景観条例の策定に取り組む方針のようですが、私に言わせると、ちょっと遅いんですよね。もっと早く人吉市がやるべきだったと思いますが、そう言いながら、これから取り組むと言っておりますので、県として、国宝青井阿蘇神社周辺の景観形成について、どのように考えて支援をしていくのか、土木部長にお尋ねをいたします。 〔土木部長宮部静夫君登壇〕
◎土木部長(宮部静夫君) 日本遺産の認定を受けた人吉・球磨地域の宝を大切に守り継いでいくことは、人吉・球磨地域の地方創生を支える大きな要素でございます。県内唯一の国宝である青井阿蘇神社は、その中でも代表的な遺産であり、周辺の景観も含め、極めて高い価値があると考えます。 景観は、それぞれの土地における長年にわたる人々の営みの結果が形となってあらわれたもので、地域の文化から育まれたものと言えます。よって、景観づくりに関しては、表面的な美しさだけではなく、地域固有の文化、歴史、風土を大切にし、次世代に引き継ぐという視点が重要です。 また、良好な景観は、地域の文化、歴史、風土と、人々の生活、経済活動等との調和により形成されることから、国、地方公共団体、事業者及び住民がそれぞれの立場において協力しながら、良好な景観形成のために必要な責務を果たしていくことが重要です。 今後、後世に誇れる人吉市の良好な景観づくりについて、地元の皆様の関心がさらに高まり、積極的な意見交換がなされるよう期待しております。 現在、人吉市では、青井阿蘇神社周辺を含めた良好な景観の保全と創造に向けて、主体的な景観行政を推進するための景観条例制定の検討が進められています。県としましても、その取り組みへの支援を行ってまいります。 〔
溝口幸治君登壇〕
◆(
溝口幸治君) 部長から答弁をいただきました。 周辺の景観も含めて極めて高い価値があると考えているということでありますし、景観づくりに関しては、表面的な美しさだけにとどまらず、歴史、文化、風土を大切にして、次世代に引き継いでいくことが重要と。そして、国、地方公共団体、事業者及び住民が協力しながら景観をつくっていくことが大事だというようなお話がございました。ぜひ人吉市の取り組みを後押ししてほしいと思いますが、人吉市にもしっかりその点を踏まえていくように県からも指導をしてほしいというふうに思います。 人吉市の中心街にある球磨病院と人吉中央温泉病院の間の道路・3階部分の上空通路建設許可申請が病院を経営する医療法人から県に出されております。いわゆる上空通路と我々は呼んでおりますが、県としては、建築基準法に基づく許可手続に向けて、人吉市を含む関係機関と現在調整中です。 しかし、地元人吉・球磨地域の多くの住民からは、反対もしくは不安の声が上がっております。 なぜそのような声が上がっているのかといえば、この場所は国宝青井阿蘇神社の門前とも言える場所であり、秋の例大祭における神幸行列のルートであるからです。ルートの上空に通路ができれば、神聖な神幸行列を人間がまたぐことは許されないという人吉市民の思いは強く、そうなると、これまで長い間親しまれてきたルートを変更せざるを得ないという状況になります。 また、青井阿蘇神社の国宝指定や日本遺産認定を生み出してきた青井阿蘇神社を初めとする城下町の風情といった人吉らしい景観を阻害するのではないか、先人たちから引き継いできたすばらしい文化や伝統を次の世代に引き継ぐことができないのではないかとの憂いを持つ方が多いからであります。 申請者の医療法人には、もっと住民の声や思いに真摯に対応してほしいと感じています。 医療法人が説明会を開いたのは1回、その説明会でも、住民からの貴重な意見に耳を傾ける姿勢は見られませんでした。 青井阿蘇神社氏子総代会、奉賛会からも反対の意見書が提出されております。人吉市議会からも県に対して慎重な対応を求める意見書が提出、さらに人吉商工会議所からも上空通路反対の意見書が提出されております。加えて、人吉商工会議所を中心に反対の署名も集められました。 法人側は、意見書に対して、地元新聞社の紙面を買い上げ、人吉商工会議所会頭に対して公開質問状を掲載するという行動に出られました。 また、署名活動については、人吉商工会議所が法人側に手渡ししようとされましたが、拒否。仕方なく郵送で署名簿を送ったところ、受け取り拒否。以前の経営者のときには地域とともに歩む病院として発展してこられたのですが、これまでの対応を見る限り、全く住民に寄り添った対応をされる気配を感じることはできません。まことに残念なことです。 今後、県は、法律に基づいて許可手続を進められると聞いていますが、その際には、地元経済界を初め、多くの市民の中に反対意見があることを踏まえ、慎重かつ地域住民の納得が得られるような対応をお願いいたします。 次の質問に移ります。 地域未来投資促進法に基づく県の取り組みについてです。 去る4月に公表された中小企業白書でも、中小企業の経常利益は過去最高水準で、景況感も改善傾向にあります。 しかし、大企業との生産性格差は拡大しており、中小企業の生産性向上は急務となっています。働き方改革や人手不足への対応など、厳しい環境を乗り越えるためにも、老朽化が進む設備を生産性の高い設備へと一新させる前向きな設備投資が必要だと思います。 昨年7月の地域未来投資促進法施行からもうすぐ1年となります。支援の内容は、アグリ・食品加工などの自然共生型産業やIoTの第4次産業革命の分野など、成長分野に挑戦する事業者の設備投資を減税措置などで後押しするものです。 特に熊本では、減税措置で先進性を課さない被災地特例が設けられました。これは、チーム熊本として県議会と執行部がタッグを組んで要望を重ねてきた成果でもあります。 こうした特例を絶好のチャンスと捉え、多くの事業者による設備投資が進むことを期待しているところです。
創造的復興の早期実現を目指す中、企業が成長投資に前向きにチャレンジされることが地域の大きな力となります。県が掲げた経済的効果の目標も、地域経済を牽引する事業を5年間で100件認定などと意欲的であり、企業をしっかりと後押ししてほしいと思います。
○議長(坂田孝志君) 残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。
◆(
溝口幸治君) (続) 一方で、課税の特例は今年度限りとなっています。県議会も執行部と一緒になって国に延長をお願いしていますが、見通しは不透明です。一層の設備投資を図るためにも、課税の特例が措置される残り期間は大事な局面であります。 そこで質問ですが、県が掲げた経済的効果の目標の現在の達成状況と今後の取り組みについて、
商工観光労働部長にお尋ねいたします。 〔
商工観光労働部長磯田淳君登壇〕
◎
商工観光労働部長(磯田淳君) 県では、全市町村と一体となっていち早く基本計画を策定し、この中で、5年間で地域経済牽引事業認定数を100件、新たに創出される付加価値額を142億円と、意欲的な目標を掲げました。 これまで各地で説明会を開催するなど、広く制度の周知を図ってまいりました。 その結果、現時点で60件の事業を認定し、全国でもトップの活用実績となっています。また、付加価値額も、事業者の計画ベースでは265億円が見込まれています。 今後、課税の特例の延長を国に要望しつつ、残り9カ月余り、県内企業に対して一層の制度周知を図ってまいります。 また、各事業者が計画をしっかりと達成できるよう、産学官が役割分担しながら、各種支援策を積極的に行ってまいります。 〔
溝口幸治君登壇〕
◆(
溝口幸治君) 部長は、きょう初めての答弁だったんだと思いますけれども、私がちょっと早口になったので、早口にさせてしまって済みませんでした。 本県の地域未来投資促進基本計画の中でも、IoTなどを活用したものが支援対象となっておりますが、政府も、成長戦略の中で、IoTとかAIとか、こういったものに力を入れております。IoTは、広島県とかは見せ方が上手なのかもしれませんが、何かどんとやっている感を出すんですね。しかし、熊本の場合は、なかなかこのIoTが何か表に出てこないなというふうに感じておりますので、ぜひそのあたりも、まさに全庁を挙げて検討をいただきたいというふうに思います。 用意した質問は以上となりました。久しぶりに登壇して、やっぱりいいですね。いい緊張感で、いい勉強ができました。皆さん方、ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂田孝志君) この際、5分間休憩いたします。 午前11時1分休憩 ――――――○―――――― 午前11時13分開議
○議長(坂田孝志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 濱田大造君。 〔濱田大造君登壇〕(拍手)
◆(濱田大造君) 皆さん、おはようございます。立憲民主党、県民クラブの濱田大造でございます。 まず、今月の頭に、6月4日、村上寅美先生が急逝されました。本当に御指導いただいていたんですが、野党の私にもいつも声をかけてくださり、厳しいこともおっしゃいますが、本当愛きょうのある方で、最期まで、亡くなる当日まで仕事をされていたということで、ぜひ今後とも見習ってまいりたいと考えています。頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。 では、質問に入ります。 まず、2019年
国際スポーツ大会の
ボランティアについて質問いたします。 御承知のとおり、来年2019年には、本県で2つの大きな
国際スポーツ大会が開催されます。 まず、
ラグビーワールドカップ日本大会が、来年の9月20日から11月2日までの日程で開催され、このうち熊本では、10月6日と10月13日に2試合が行われます。続いて、
女子ハンドボール世界選手権大会が、11月30日から12月15日までの日程で開催される予定となっています。 2つの大きな
国際スポーツ大会が、来年の秋から冬にかけて、立て続けに開催されることになります。この2つの
国際スポーツ大会は、熊本地震からの復興を大きく後押ししてくれるものとして、大いに期待されています。 この2つの大会を成功に導くためには、行政における関係各部署や民間の関係諸団体との連携はもちろんのことでありますが、
ボランティアの存在が欠かせないと考えられています。 また、2つの
国際スポーツ大会の成功に向けては、経済効果に関する話題が取り上げられがちですが、本来の目的は、
スポーツを通じて県民の豊かな
スポーツ文化の振興や県民の健康増進を図ることが主なる目的と考えられています。 今回の質問では、豊かな
スポーツ文化の発展に際して、どのような形で
ボランティアとかかわっていくべきかに関して質問いたします。 まず、
ラグビーワールドカップ日本大会に関して見ていきます。
ラグビーワールドカップ日本大会は、各国の代表20チームを4グループに分けての予選が40試合行われ、その後、決勝トーナメント8試合が行われます。試合会場は全国で12会場が設けられ、えがお健康スタジアムはそのうちの一つです。本県では、予選の2試合がえがお健康スタジアムで行われる予定となっています。 公益財団法人
ラグビーワールドカップ2019組織委員会では、公式
ボランティア、TEAM NO-SIDEを全国12都市で合計1万人募集する予定となっており、このうち熊本県、熊本市では、400人から800人程度の
ボランティアを募集する予定となっています。 その募集概要によりますと、募集期間は2018年4月23日から7月18日まで。募集要件は、1、
ラグビーワールドカップ2019年公式
ボランティアプログラムに賛同いただける方、2、2019年3月31日時点で満18歳に達している方――未成年の方は保護者の同意書を提出する必要があります。3、1日当たり最長8時間の活動に御参加できる方。応募方法は、パソコンまたはスマートフォンからのオンラインによる応募申し込みとなっており、選考方法は、各開催都市で面接を実施することになっています。また、応募状況によっては、面接前に抽選を実施する可能性もあるとのことでした。
ボランティアの主な活動は、1、試合会場周辺における運営補助、2、最寄り駅や空港における案内、3、ファンゾーンにおける来場者サービスを行う予定となっており、面接は、試合会場となる全国12都市で、2018年の8月から12月の間に実施され、面接結果は2019年1月ごろ本人に通知され、合格者は1月以降に
ボランティア研修を受けることになります。また、
ボランティアの活動日や活動時間、活動内容などの配置決定は、2019年夏ごろに決まることになっています。また、
ボランティアの運営は、組織委員会と開催自治体が合同で行うこととなっています。 2015年に行われた
ラグビーワールドカップ・
イングランド大会では、全48試合で観客動員数は約247万人、テレビ視聴者数は全世界で40億人を超え、海外からの観客数は約46万人に上り、決勝戦の視聴者数は1億2,000万人いたと推定されています。また、
イングランド大会では、
ボランティアが大いに大会を盛り上げたとされました。 次に、
女子ハンドボール世界選手権大会における募集について見てみます。
ボランティアの募集開始はことしの7月ごろを予定しており、
ボランティアの種類は、1、競技運営
ボランティア、2、会場運営
ボランティア、3、おもてなし
ボランティア、4、語学
ボランティアを予定しているとのことです。また、
ボランティアの運営は、組織委員会、すなわちその事務局である
熊本国際スポーツ大会推進事務局が中心となって運営する仕組みになっています。 そこで、質問です。 私は、今期の最初の2年間は
国際スポーツ大会推進特別委員会に所属し、2つの
国際大会に関するさまざまな議論に加わってまいりました。その際、
ボランティアに関してもかなり議論されていたように記憶しています。 議論の中には、2つの
国際大会の
ボランティアを連動できないか、または熊本城マラソンの市民
ボランティアの経験を両大会に生かせないかなどの意見もありましたが、その後どうなっているのか、質問します。ラグビーと
ハンドボール、2つの大会の
ボランティアの登録や研修などを連動して行うことができるのでしょうか。 2つ目の質問として、
女子ハンドボール世界選手権大会では、世界24カ国の代表が熊本県内の3市5会場で試合を行います。この大会も、国内外からかなりの数の来訪者が訪れることが予想されています。
女子ハンドボール世界選手権大会においては、ラグビーよりも県や熊本市がより主体的に
ボランティアを運営する役割を担っておりますが、県は、
女子ハンドボール世界選手権大会における
ボランティアの運営をどのように捉え、取り組んでいくのか、質問します。 最後に、3点目の質問です。
ボランティア、
ボランティアといいましても、人様の善意の行為にどこまで甘えていいのかという話もあります。1日8時間の
ボランティアをお願いして、さらに交通費や昼食代まで甘えてしまっていいのかという問題もあります。 なぜなら、県や熊本市の職員などで構成する事務局ほか行政職員にとりましては、これらの
国際大会はあくまで仕事の一環でありまして、これにかかわる仕事で残業や休日出勤をすれば、残業代や休日手当が当然支給されることになります。もちろん、
ボランティアには、日当の類いは支給されません。今の御時世で、
ボランティアだけに無償の働きを求めるのはいかがなものかという意見もあります。
ボランティアの方々への負担やお願いの仕方について県はどのように考えているのか、
国際スポーツ大会推進部長に質問いたします。 〔
国際スポーツ大会推進部長小原雅晶君登 壇〕
◎
国際スポーツ大会推進部長(小原雅晶君) まず、2つの大会での
ボランティア登録や研修などの連動についてお答えいたします。
ラグビーワールドカップの
ボランティアは、
ラグビーワールドカップ2019組織委員会が、開催12都市の
ボランティアを全国で一括して募集をしています。
女子ハンドボール世界選手権については、県、熊本市などで組織する2019
女子ハンドボール世界選手権組織委員会が、来月の募集開始に向けて準備を進めています。 これらの
ボランティアの募集については、各関係団体や企業などに、2つの大会をあわせて協力を働きかけています。 ただ、登録については、個人情報を取り扱うことから、それぞれの大会の主催者が責任を持って慎重に管理することとなります。 研修については、2つの大会の
ボランティアへの登録の機運を盛り上げるため、まずは広く
スポーツボランティアへの関心を高めることを目的とした研修会を行ってきており、今後とも継続して実施してまいります。 さらに、これからは、それぞれの
ボランティア登録者を対象として、各競技に関する専門的な研修を実施することとしています。 また、熊本城マラソンなどの際、多くの
スポーツボランティアが活躍されていることから、このような方々への働きかけも行ってまいります。 次に、
女子ハンドボール世界選手権の
ボランティア運営については、活動可能日時、語学能力、経験などにより従事内容を調整する
ボランティアセンターを設置し、開催都市である熊本市、山鹿市、八代市などと緊密に連携して、円滑な
ボランティア運営ができるよう準備を進めてまいります。 最後に、
ボランティアの負担などについてお答えいたします。 まず、
ラグビーワールドカップの
ボランティアについては、必要なユニホームや食事など、全国的に統一された基準で対応がなされます。
女子ハンドボール世界選手権の
ボランティアについては、この
ラグビーワールドカップの事例を参考にしながら対応をしてまいります。 2つの大会を通じて、
ボランティアとして参加いただく皆様が、誇りを持って、楽しみながら活躍される場を提供できるよう取り組んでまいります。 〔濱田大造君登壇〕
◆(濱田大造君)
ボランティアとの連携がうまくいかないならば、両大会の成功はおぼつかないと言えます。また、約20年前に本県で行われた男子
ハンドボール世界選手権では、行政職員の長時間労働による過労死問題もあったと聞いております。知事も、その辺にぜひ対応していただきたいと思います。県民の皆様と皆で協力できる体制を執行部にはお願いいたします。 次の質問に参ります。 奨学金の返還支援に関する問題点について質問いたします。 本県では、平成30年度の新規事業として、2
月定例県議会でふるさとくまもと創造人材奨学金返還等サポート事業を提案、予算議決を経て事業をスタートしています。本年度は、その事務費として94万8,000円が計上されております。 この新規事業に関して、担当部署から説明を受けましたが、現状の段階では施策としてかなり問題があると判断したため、質問で取り上げることにしました。 まず、この事業が生まれた背景としては、県の説明によりますと、県内の正社員の求人倍率が1を超え過去最高を記録するなど、県内の人材不足が深刻化していること、さらには、進学や就職を機に多くの若者が県外に流出しており、特に県外大学進学者や県内大学で学んだ他県出身者の県外就職志向が顕著なこと、新卒人材の確保が難しくなっていること、特に中小企業では、一段と難しくなっていることなどがあるとのことでした。 また、奨学金の返還支援を通じて、若者の県内就職と定着を促し、県内企業などの中核を担う人材を確保し、将来世代にわたる熊本の発展につなげたいとのことでした。 事業概要としては、県内企業と県が2分の1ずつを負担し、就職する若者の奨学金などの返還を支援し、若者の県内就職と定着を促します。対象となる若者は、県外大学または大学院の新卒者、県内大学または大学院の新卒者、そして県外在住のおおむね35歳以下の社会人経験者などとなっています。 支援対象としては3種類あり、上限額はあるものの、1、高度人材枠、大学院生を対象とし、6年分の借り受け額全額を10年間に分けて支給、2、中小企業人材枠、4年制大学生を対象とし、4年間分の借り受け額全額を10年に分けて支給、3、奨学金非利用者枠、奨学金制度を利用しなかった若者を対象、赴任費用20万円、研修費用30万円を支給といった内容で、対象人数の想定は、大学院卒の高度人材枠が10人、大卒の中小企業人材枠が100人、奨学金非利用枠として110人の合計220人となっています。 県によりますと、今後、経済界などの意見などを踏まえ、制度運用などの詳細を調整し、平成30年度から大学3年生などのエントリー受け付けを開始し、平成32年度から本格運用を目指すとのことでした。また、現在の想定では、220人分の支援に必要な県の予算は2億円とのことでした。この制度が本格運用されるならば、この政策に毎年2億円の県費、税金が投入されることになります。 よかれと思ってやったことが、思わぬ反感や不公平感を生むことはよくあることと言えます。 例えば、大学院まで進んだ学生が、高度人材枠を活用して地元の企業に入社したとします。その学生が、日本育英会から年額80万円の奨学金を6年間受給していたとすれば、返済額は合計で480万円となります。この全額を、この制度は、本人にかわって10年間かけて代位弁済してくれることになります。 一見するとすばらしい政策のように見えますが、この制度を利用できなかった社員、つまり同じ会社に平成32年以前に入社した社員には、とてつもない不公平感が生じることを意味します。年次が1年違っただけで、480万円がチャラになるかどうかが違ってくるわけですから、不公平感が生じて当然と言えます。 また、この制度は、基本、正社員が対象です。今この国では、約4割の労働者が派遣社員などのいわゆる非正規社員として働いています。非正規の方も、もちろん県に税金を納めています。中には、非正規の立場で、歯を食いしばって奨学金を返済されている方も多いと考えられます。非正規社員が真面目に県に税金を払い、その税金を元手に正社員の奨学金の返済がなされる、そんな政策があっていいのか、甚だ疑問に思えてきます。だからこそ、検証、検討が必要だと考えています。 さらには、この制度は、公務員は対象外となっています。これもおかしな話と言えます。公務員の皆さんもきちんと税金を払っていますが、公務員になる人は対象外なんだそうです。 例えば、公務員試験に受かり、さらには民間の就職試験に受かった学生がいたとします。公務員になるか、民間企業で働くかの二者択一を迫られるケース、この制度が始まったならば、公務員を選択する学生は少なくなるのではとの懸念が生じてしまうことがわかります。つまり、県庁みずからが、公務員に人材が来なくなる制度をつくっているとも言えるわけです。 企業にとっても、この制度が始まると、厄介な事態が生じるおそれがあります。同じ業界で、同規模程度の会社があるとします。A社は、この制度に賛同し、2分の1の負担金を支払ったが、B社は見送ることにしました。結果、多くの学生がA社を選択することになるだろうと予測できます。つまり、この政策は、企業に負担を迫り、結果的に企業間格差も助長する制度になりはしまいかと。 そもそも、現段階で地元企業に勤め、奨学金をこつこつ返済している人、やっとの思いで奨学金を全て払い終えた人、または奨学金が払えずに自己破産してしまった人たちから見れば、なんだよ、この政策はと、やってられないよとなってしまう可能性があるわけです。そのほかにも多くの弊害が考えられますが、このくらいにしておきます。 これらの弊害の多くは、安易に県費、つまり税金を投入することによって生じる反感であり、不公平感であることが指摘できます。県費、つまり税金を投入することなく、あくまでこの制度に賛同した民間企業が、民間の資金を投入して政策を進めるなら、不公平感の多くが解消されるはずです。 また、他県の奨学金支援制度と比較しても、金額、そして人数ともに最大規模となっています。本県の財政状況と比較して、身の丈に合った支援と言えるのか、そういった疑問も生じます。 私としては、例えば、奨学金返済支援金として、年収300万円未満の方には月1万円、年収300万円以上は月5,000円といったように、年収で支援の額を決め、入社年次は問わない仕組みをつくったほうが有効ではないかと考えています。そうすれば不公平感は少なくなるはずです。 では、質問に入ります。 以上述べました予想される反感や不公平感に対して、県はどのように考えているのか、また、現時点で県は改善の余地に含みを持たせていますが、どのように改善すべきと考えているのか、
企画振興部長に質問いたします。 〔
企画振興部長山川清徳君登壇〕
◎
企画振興部長(山川清徳君) 新たに創設する奨学金返還等支援制度について、制度の開始前と開始後で生じ得る不公平感、制度を利用する企業と利用しない企業で差が生じ得る点、さらに非正規社員や公務員等の取り扱いについて御指摘をいただきました。 県としましては、まず、制度そのものの有無や制度利用の有無により差が生じ得る点については、多くの補助制度や支援制度において、そのような側面があると考えます。 非正規雇用の取り扱いについては、これを対象外とするということは考えておらず、公務員の取り扱いについては、民間の企業のほうがより人材確保に困難を抱えているという、喫緊の課題を踏まえたものであります。 次に、他県の制度と比べて支援額や若者の募集規模が大き過ぎないかとの御指摘がございましたが、本県の制度は、その財源として、県内企業が2分の1を負担いただくスキームとしており、施策の規模をより拡大することができたものと考えております。 いずれにしましても、現在、このような制度の考え方を、実際に制度を活用いただく経済界や人材を輩出する大学等に対し丁寧に説明し、協議を重ねているところです。今後、これらの意見も踏まえながら、よりよい制度を創設したいと考えております。 また、制度の運用開始以降も、雇用情勢を初め、県内の経済環境を注視しつつ、現場の意見も伺いながら、必要な見直しを行ってまいりたいと考えてございます。 〔濱田大造君登壇〕
◆(濱田大造君) 答弁いただきました。 非正規社員の方も対象にするということですので、これは実は画期的なことだと思います。他県の制度は、基本的に正社員を対象としたものでして、ぜひ、手続上いろんな困難があると思いますが、執行部には頑張っていただきたいと考えています。よりよい制度をよろしくお願いします。 次の質問に参ります。 国民健康保険制度改革及び医療費についてお尋ねいたします。 まず、新たな国保制度への移行に伴う影響と今後の課題について質問いたします。 平成30年度国保制度改革により、県が財政運営の責任主体となる新しい国民健康保険制度が本年4月から始まりました。私は、昨年9月の代表質問でこの問題を取り上げています。 代表質問では、県内45市町村における県民1人当たりの保険料は、今後どのように変わるのか、上がるのか下がるのか、また、県は保険料率の統一を目指すとしていますが、その前提となる医療費水準の平準化に向けてどのように取り組むのか、さらには、保険料水準の統一について、いつごろの達成を目指しているのか、以上の3点について質問しました。 昨年の9月の段階では、いずれの質問に関しても、準備・調整段階であり、満足のいく回答は得られませんでした。ただ、懸念していたとおり、県が算定する理論値である標準保険料率ベースでは、結果として大半の市町村で保険料の個人負担はふえる見込みです。 以下、詳しく見て参ります。 まず、県が算定した結果、平成30年度に必要となる保険料は、県民1人当たり8万8,090円となりました。この額は、平成28年度の8万4,344円に比べて3,746円の負担増となり、率にして単年度に換算してプラス2.2%の伸びとなっていました。 算定額が上がった理由としては、国民健康保険への財政支援を上回る医療費の伸びがあったためとされています。また、市町村ごとに見た場合、医療費や所得の水準が高い市町村、過去の交付金の返還額が大きい市町村において上がる傾向にありました。 ちなみに、県は、保険料が一定の割合、自然増を超えて変動する市町村に対しては、激変緩和措置を行っておりますので、この措置も適用して算定した結果、県内45市町村のうち、33市町村で算定額が上がり、12の市町村で算定額は下がりました。 このように、住んでいる市町村によって、必要となる1人当たりの年間保険料の算定において、かなりの差が生じています。ちなみに、最も高い嘉島町、年間10万5,603円と、最も低い津奈木町、4万9,420円では、2.1倍の格差がありました。 実際の保険料は、市町村が、この県が作成した理論値を参考に、平成30年3月議会または6月議会で決定します。その際、市町村は、市町村の国保特別会計の繰越金や財政調整基金などを活用して、住民の負担を抑えることも検討されます。よって、実際に保険料率が上がるのは数市町村に抑えられる見込みとも聞いておりますが、いずれにしても、理論上は、現時点では、同じ県民であっても保険料の負担額に大きな格差があることが指摘できます。 このような状況でありますが、県は、公平性の観点から、将来的には算定方式などを統一した上で保険料率を統一し、同じ所得、同じ年齢層、世帯構成であれば、県内どの市町村に住んでいても、同じ負担率になることを目指すとしています。 では、質問に入ります。 新たな国保制度の移行に伴い、市町村や県民が混乱するなどの影響は生じていないのか、また、将来的な保険料水準の統一に向けてどのような課題があるのか、
健康福祉部長に質問します。 続きまして、医療費抑制の取り組みについて質問いたします。 平成27年度における国保の1人当たり医療費は38万6,757円で、これは全国13番目に高い金額でした。全国平均が34万9,697円です。平成27年度の1人当たり保険料調定額は8万8,732円でした。つまり、熊本県民は、1人当たり8万8,732円の保険料を支払って、38万6,757円の医療サービスを受けていたことになります。 ちなみに、平成26年度の1人当たり医療費は36万9,590円で、全国で14番目の水準でした。つまり、熊本県の1人当たりの医療費は、他県に比べて高い水準であることが理解できます。 国民健康保険料を低く抑えるには、早い話、医療費を抑制する取り組みが欠かせないことがわかります。 本県は、過去にも健康増進に関するさまざまな取り組みを行って参りました。現在、県は、平成30年度から35年度までの6年間を対象とした第4次くまもと21ヘルスプランを策定し、各種取り組みを実施している最中です。 しかし、正直なところ、どの施策も総花的で、中途半端であると感じています。例えば、昨年の代表質問の際、私は、禁煙対策に関する県の取り組みに関して取り上げましたが、それに対する県の回答も実に中途半端なものでした。教育現場では、敷地内禁煙にはほど遠い状況であり、いまだに県庁ですら全面禁煙にできてないわけですから、中途半端と思われても仕方がないと思います。 そこで、質問です。 本県は全国有数の長寿県ですが、平均寿命と健康寿命の差が9年から13年あるとされています。寿命は長いが、晩年は病院で過ごすというパターンが多いとされています。健康寿命を延ばす取り組み、または病気を未然に防ぐ予防の観点からの取り組みは現在どうなっているのか、質問します。 次に、本県では、医療・介護関係機関をネットワークでつなぎ、患者や利用者の診療、調剤、介護に必要な情報を共有することができるくまもとメディカルネットワークを推進しています。 このネットワークを活用し、患者情報の共有が進めば、例えば急病などで救急搬送され、意思を確認できない場合でも、速やかに既往歴、処方歴、検査データなどを参照でき、迅速で適切な治療が可能となります。また、医療と介護の連携が強化され、これまでの治療歴や処方歴などを踏まえた、きめ細かな介護サービスの提供が可能となります。 一方で、このネットワークを活用した患者情報の共有は、複数の医療機関での重複検査や重複処方が解消されるなど、医療費の適正化にもつながると考えられています。 このネットワークの事業主体は県医師会ですが、県は、熊本大学医学部附属病院とともに、3者で連携協定を締結し、積極的な推進主体となっています。 そこで、くまもとメディカルネットワークが現在どの程度まで進捗しているのか、
健康福祉部長に質問いたします。 〔
健康福祉部長古閑陽一君登壇〕
◎
健康福祉部長(古閑陽一君) 1点目の新たな国保制度への移行に伴う影響と今後の課題についてお答えをいたします。 今回の制度移行は、国民皆保険が始まって以来、半世紀ぶりの大改革であり、本県においては、制度移行が円滑に進むよう、平成26年度から、市町村と50回以上の協議を重ねてまいりました。 また、県民に向けても、テレビや新聞、チラシ等を活用して周知を図ってきたところです。 そのため、これまでのところ、特に大きな混乱はなく、円滑に移行できているのではないかと考えております。 次に、保険料水準の統一を目指すに当たっての課題ですが、大きく3点あると考えております。 1つ目は、市町村間の医療費水準に約2倍の開きがあること、2つ目は、市町村ごとに所得割、均等割などの保険料算定方式が異なること、3つ目は、市町村ごとの保険料収納率に10%を超える差があることが挙げられます。 今後、1つ目の医療費水準の格差につきましては、医療費の高い市町村の水準を県平均に近づけるよう、保健事業を初めとした医療費適正化に向けた取り組みを進めてまいります。 2つ目の算定方式につきましては、現在、県内約半数の市町村で統一されているところですが、引き続き市町村と協議を進めてまいります。 3つ目の収納率の差につきましては、目標収納率を達成した場合に交付金を措置するなど、国保運営方針に沿って、各市町村の収納率の向上を図ってまいります。 今後も引き続き、市町村と連携を図りながら、適切な国保運営に努めてまいります。 次に、医療費抑制並びに健康寿命を延ばす取り組みについてお答えをします。 本県では、40歳代で既に血糖値や血圧が高い人が多いという課題があります。健康寿命を延ばし、生活の質の向上を図るためには、特に働く世代の健康づくりに向けた対応が重要です。 そこで、ことし3月に策定したくまもと21ヘルスプランでは、健康経営に意欲的な企業や団体をくまもとスマートライフプロジェクト応援団として登録し、働く世代の健康づくりを推進することとしております。 本年5月末の登録数は992団体で、今後、さらなる登録の促進を図るとともに、健診受診率の向上や適度な運動の取り組みなど、活動内容の一層の充実を働きかけてまいります。 さらに、本県では、40歳から74歳の4人に1人が糖尿病またはその予備群という現状があります。また、人口当たりの慢性人工透析患者数は、全国で2番目に多く、新規の人工透析患者の原因として最も多いのは糖尿病性腎症です。 このため、ヘルスプランでは、糖尿病対策を最重要施策と位置づけ、重点的に取り組むこととしております。 今後、食生活など生活習慣改善の具体的な行動実践に向けて、市町村や医療保険者、企業等と連携した県民総参加の健康づくり運動を新たに展開してまいります。 さらに、糖尿病の重症化を防ぐため、医療機関等をつなぐ連携パスの活用や、昨年度策定した重症化予防プログラムの普及等にも努めてまいります。 これらの糖尿病対策に重点的に取り組むことで、結果として医療費の適正化にもつながるものと考えております。 最後に、くまもとメディカルネットワークの進捗についてお答えをします。 本ネットワークは、医療の質の向上、患者負担の軽減、地域包括ケアシステムの構築等を推進するため、平成27年12月から運用を開始しております。 本ネットワークに参加している県民数は、5月末現在で5,658人と、この1年間で4,000人近く増加し、医療・介護関係施設の加入数も、199施設から317施設まで拡大をしております。 本ネットワークへの参加は、議員御指摘の重複検査や重複処方の解消のほかにも、検査歴やアレルギー情報の共有による医療過誤の回避など、県民一人一人の安心の実現にもつながるものと考えております。 今後、このメリットの最大化を図るためにも、平成34年3月までに5万人という目標に向けて、関係団体と連携して、参加メリットの周知強化による県民参加のさらなる増加や診療所、薬局等の加入促進など、一層の普及拡大に取り組んでまいります。 〔濱田大造君登壇〕
◆(濱田大造君) 2025年問題というのをお聞きになったことがあると思いますが、団塊の世代が、あと7年たったら全て後期高齢者に、75歳以上になるという年です。日本が、先進国の中で、初めて超高齢化社会に突入することになります。ぜひ、やっぱり医療費の増大の問題が県にとっても非常に重たい問題ですので、医療行為を受けないで済む健康づくり、ぜひ推進していただきたいと思います。 例えば、イギリスという国で、何年か前に減塩運動を国として挙げて、行政が率先して塩をとるのを少なくしようと。これは、いろんな手段を使ってやったら、やっぱり国家として数兆円規模で医療の予算が減ったと、病気になる人が減ったという結果が出ていますので、行政がやっぱり大きな役割を果たすんだなと考えています。ぜひ、執行部には期待していますので、よろしくお願いします。 次の質問に参ります。 化血研への支援について質問いたします。 2015年5月、化血研の不正問題が、匿名の内部告発により発覚しました。紆余曲折を経て、昨年の暮れ、ようやく化血研の事業譲渡先が決定しました。譲渡先決定に関しては、わからないことが多いと感じていましたので、今回の一般質問では化血研問題を取り上げることにしました。知事に直接お聞きしてみようと考えております。 熊本市に本所を置く一般財団法人化学及血清療法研究所、通称化血研、化血研は、人体用ワクチンでは国内製造6社、人体用血液製剤では国内製造3社の一角を占め、2015年の時点では国内製造シェアでは、A型肝炎ワクチンの100%、B型肝炎ワクチンの約80%、日本脳炎ワクチンの約40%、インフルエンザワクチンの約30%のシェアを占有、また、動物用ワクチンを手がける国内製造大手でもありました。従業員数は約1,900人、つまり国内有数のワクチン製造メーカーと言えました。 その地元が誇る化血研で不正問題が発覚。その不正の手口は、巧妙にして、多岐にわたっていました。 化血研は、血液製剤などで、遅くとも1974年ごろから不正製造を開始しています。製造時に、添加剤の量を勝手に変更したり、国の承認書にない添加剤の添加などを行ったり、加熱方法を変更するなどなど、簡単に言うなら、国が定めた製造過程を簡略化していたわけです。 化血研は、こうした法令違反の発覚を避けるために、製造記録を実際のものと査察用に分けるなどして組織的な隠蔽工作を続け、問題発覚の2015年時点では、製造していた血液製剤全12製品、31の工程で不正が行われるようになっていました。 問題発覚を受けて、化血研を管轄する厚生労働省はもちろん激怒。医薬品製造販売の許可取り消しに相当する行為だと厳しく批判しました。人の命にかかわることですから、国が怒るのは当然でした。弁明の余地はありませんでした。 化血研の医薬品製造販売の取り消しは、つまり、そのことは化血研の事実上の取り潰し、清算を意味しました。 化血研には1,900名の従業員がおり、化血研がなくなるならば、地場経済に与える影響は甚大となります。よって、県議会を初めとする関係機関及び関係者は、国に化血研の存続を求めました。 その後、国は態度を軟化。経営権を別の会社に譲渡し、経営陣を一掃するなら存続を認める方針に変わりました。この間、化血研は、人体ワクチンで110日間の業務停止、動物用ワクチンで30日の業務停止を食らっています。 紆余曲折を経て、昨年12月、ようやく譲渡先として基本合意したのが明治製菓で有名な明治グループでした。そして、ことしの3月13日、化血研は、明治グループと事業に係る株式譲渡契約を締結。株式譲渡の方法は、以下のとおりとなっています。 株式取得の方法、化血研が株式会社である子法人(新会社)を設立し、人体用ワクチン事業を初めとする主要事業を現物出資などの方法により承継した上で、新会社の普通株式の全部を以下の株主が設立する株式会社(買い取り会社)に譲渡。 新会社の名称、KMバイオロジクス株式会社。買い取り会社株主、明治グループ、98億円、49%、県企業グループ7社、98億円、49%、熊本県、4億円、2%。株式譲渡実行日、2018年7月2日を予定しています。 今回、新会社に出資する地元企業7社は、以下のとおりです。 えがおホールディングス、学校法人君が淵学園、熊本放送、再春館製薬所、テレビ熊本、富田薬品、あと株式会社肥後銀行です。 新会社に地元のテレビ局が2社出資していますが、どういう経緯で7社に決まったのか、不明です。また、民間企業がもうけたお金を何に使おうが勝手なのですが、問題は熊本県が新会社に4億円も出資している点にあります。2
月定例県議会では、県の4億円出資は妥当か否かが問われました。 そもそも、私たちが暮らしている日本は資本主義の国です。資本主義の国では、自由な発想のもと、株式会社などの法人または個人は、自由に経済活動を行えることが可能となっています。しかし、資本主義の国では、自由な経済活動の代償として自己責任を求められることになります。会社の経営がうまくいこうがいくまいが、その責任は経営者が負うことになるのです。また、資本主義の国では、行政は民間企業の経営に関与しないという大原則が存在します。 この考え方の対極に位置するものとして、社会主義、共産主義の考え方があります。当然、社会主義、共産主義の国では、企業経営に行政が深く関与することになります。 今回の譲渡契約締結を受けて、蒲島知事は、以下のようなコメントを出しています。 今回の最終合意により、私が申し上げてきた雇用、人材、本社機能の維持、確保とともに、将来の発展的な事業運営が可能となり、ひいては県民の総幸福量の増大に貢献するものと期待 しています。県としましては、化血研の高い研究・開発力と明治グループの海外ネットワークとの相乗効果により、新会社が熊本を拠点にさらなる飛躍を遂げるよう、扇のかなめとしての役割をしっかり果たしてまいります。 以上を踏まえて、以下の質問をします。 社会主義的な発想のもと、行政が民間企業の経営に参加するのはいかがなものか。そもそも、県は、4億円を出資しなくても、国とともに監督、指導できる立場にあったのではないでしょうか。また、扇のかなめ的なものを求めたのは、そもそも誰だったのでしょうか。地元企業は、どのような基準で決まったのでしょうか。入札があったのでしょうか。単なる仲よしクラブで決まったのでしょうか。銀行が主導したのでしょうか。県の出資の基準はどこにあるのでしょうか。従業員の数でしょうか、資本金の額でしょうか。 また、製薬会社の経営は大変難しく、今後、経営不振や設備投資、新薬開発でさらなる出資を求められることになるのではないでしょうか。2%の出資比率を維持するために、今後も増資などの要求に応えていくつもりなのでしょうか。また、出資した4億円の価値が下がった場合、誰が責任をとるのでしょうか。出資比率を地元企業で決め、各種足かせを明治グループに負わせることは、法律に照らして妥当な行為と言えるのでしょうか。各種縛りが会社に損害を与える行為とみなされたら、株主から訴えられる可能性はないのでしょうか。また、4億円は、社会通念としては大金となります。それ相応の責任を伴いますが、新会社に県は人材も出すのでしょうか。 また、県執行部からは、新会社は株式会社なので、これまで以上にコンプライアンス、法令遵守が守られるようになりますという意味不明な説明を受けました。普通、一般財団法人では、不正はなかなか起こらないと考えられています。利益一辺倒に陥らないために、税制面などでの優遇措置が行われているからです。その不正が起きないはずの一般財団法人で、長年不正が行われていたわけです。内部告発以外では、その不正はわからなかったのです。利益が第一主義の株式会社で、法令違反を起こさない仕組みづくりを、扇のかなめを自称する熊本県は、どのように行っていくのでしょうか。 資本に参加するということは、それ相応の責任が生じます。知事の見解をお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 化血研の事業は、高い研究・開発力で血液製剤やワクチンを製造するなど、国民の健康を守る上で不可欠であります。また、本県の経済においても、雇用や多くの県内企業との取引などを通して、大きな役割を果たしてきました。 このため、化血研の事業譲渡に関して、私は、雇用の確保、研究者などの人材の確保、熊本での本社機能の維持の3つの要件が必要であることを一貫して申し上げてきました。 県としては、化血研の事業譲渡のあり方について経済界等とも意見交換を重ね、大手製薬会社と地元企業がそれぞれ49%、県が2%出資して新会社を設立するという案でまとまることができました。 この出資の意義は、県が扇のかなめとして2%の議決権を行使することで、熊本での事業継続を望む地元企業と発展的な事業運営を担う大手製薬会社のバランスをとり、その両立を目指すというものであります。 資金調達を初め、新会社の運営及び出資企業の議決権の行使は、このスキームの維持を前提に行われることになります。 その上で、議員御指摘の増資については、会社法上、株主の3分の2以上の賛成が必要となる特別議決事項とされています。そのため、地元が一体となっている限り、これを乗り越えることは難しいハードルであると考えます。 また、新会社の経営を担う明治グループは、食品や医薬品のメーカーとして消費者の信用を第一に考え、確固たるブランド力を有する企業です。その明治グループのガバナンス体制のもと、新会社のコンプライアンスと経営の健全性が担保されると考えています。なお、県から新会社へ人的支援を行う予定はありません。 県としては、安全な医薬品製造体制の確保に向けて、国と連携し、指導、監督を行ってまいります。 県の出資については、去る2月定例会において慎重な御審議をいただいた上で、予算が成立したところであります。 それを受けて、早ければ来月には新会社がスタートする予定です。県としては、扇のかなめの責任をしっかりと果たしてまいります。 〔濱田大造君登壇〕
◆(濱田大造君) 知事から答弁をいただきました。 民間企業にお金を出すということがいかにちょっと異例なことかといいますと、執行部に問い合わせたんですが、そういう前例があるのかと。47都道府県の中で、千葉県がオリエンタルランド、ディズニーランドに、もう40年ぐらい前でしょうか、出資していると。これは極めて――これは三井物産が主導してディズニーランドを持ってきたんですが、これは第三セクター的な意味合いが強いんですね。47都道府県で、前例というのが実はほかにありません。そのくらいちょっと異例なことを私たちはやろうとしているわけです。ぜひ、そういうことを共通認識として持っていただきたいなと考えています。 熊本県は、昨年12月中旬に、譲渡先決定と、その新会社に4億円の資本参加を行う旨のプレス発表を行っています。しかし、その前に行われた11
月定例県議会では、化血研の譲渡に関する話は、一切語られることはありませんでした。 2
月定例県議会で、私は、県執行部に対して、県議会は県執行部の追認機関ではないと苦言を呈しました。県民は、県民税、住民税、その他の税金を県に納めています。1つ言えることは、県民は、化血研を救済するため、また、新会社に出資するために税金を納めてきたわけではないということなのです。 今回、約3年という期間を経て化血研の譲渡先が決定したわけですが、以下のことが言えるんだと考えています。 うその代償は高くつくということです。法令違反は、結果として県民に4億円を支払わせることになったのですから。 私は、新年度予算に賛成票を投じましたので、化血研譲渡先にも責任を負うことになります。今後とも、責任を持って動向を注視していこうと考えています。 では、最後の質問に参ります。 水俣病被害者の救済について質問いたします。 水俣病の公式確認から62年目に当たることしの5月1日、チッソの後藤社長が驚くべき発言をしました。水俣病犠牲者慰霊式が終わった後、後藤社長は、報道陣に対して、水俣病被害者救済特別措置法、いわゆる特措法に規定されている救済の終了に関して、異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている旨の発言をしました。報道をごらんになった方も多いと思います。 この発言を受けて、もちろん被害者団体や患者は大きく反発しています。慰霊式に参加した中川環境相は、多くの方が患者認定を申請し、訴訟も起きている、救済終了とは言いがたいとの良識ある見解を示しています。 水俣病に関しては、これまで、それぞれの時代で解決が試みられてきました。新潟水俣病も含めますと、公健法による認定患者の数は累計2,996人に上り、1995年の政治解決では1万2,374人が救済され、2009年の特措法では5万5,154人が救済されました。合計7万524人が救済されています。もちろん、いまだに救済されていない方も多く残っています。 現在、チッソや国、県を相手取って6つの訴訟が提起されています。原告の数は、合計延べ数で1,524人となっており、これらの裁判はいつ終わりを迎えるのか、誰も見通せないでいます。 また、裁判とは別に、公健法による水俣病の認定を求める方も多くいます。ここ数年は、毎年100人を超える方々が水俣病の認定審査を希望し、2016年度には269人、2017年度には320人の方々の審査が行われました。
○議長(坂田孝志君) 残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。
◆(濱田大造君) (続) 今後も審査は続く見込みです。 そこで、質問です。 チッソの後藤社長は、5月18日に、問題となった御自身の発言を撤回し、謝罪しました。水俣病は、まだまだ解決にはほど遠い状態と考えておりますが、当事者の一人であるチッソの社長ですら、水俣病の解決がどこにあるのか、判然としない状態にあります。だからこそ、誤解を招くチッソ本位の発言が出てくるわけです。 県が考えている救済の終了とはどこにあるのか、
環境生活部長に質問いたします。 〔
環境生活部長田中義人君登壇〕
◎
環境生活部長(田中義人君) 救済の終了につきましては、水俣病被害者救済特措法において、チッソがその事業会社でありますJNCの株式譲渡を行う要件の一つとして定めております。 この救済の終了については、環境大臣が判断される事項であり、中川大臣は、救済の終了とは言いがたいと繰り返して述べられております。 県といたしても、多くの方が公健法に基づく認定申請をされており、訴訟も継続していることから、大臣と同じ認識でございます。 御質問の救済の終了はどこにあるのかについてでございますが、もとより県がお答えできることではなく、また、いまだ考えをめぐらす状況にもないと考えております。 県といたしましては、認定審査の丁寧かつ着実な推進、患者や御家族の方々の日常生活の支援など、水俣病問題の解決に向けて、現時点で取り組むべきことに精いっぱい努めてまいりたいと考えております。 〔濱田大造君登壇〕
◆(濱田大造君) 救済を求める方が全ていなくなるまで、ぜひ進めてもらいたいと思います。患者の方、被害者の方に寄り添って、ぜひ行政を進めてください。 これで全ての質問が終わりました。4年任期、最後の年となりますが、最後まで頑張りますので、この1年もよろしくお願い申し上げます。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂田孝志君) 昼食のため、午後1時15分まで休憩いたします。 午後0時13分休憩 ――――――○―――――― 午後1時15分開議
○副議長(森浩二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 氷室雄一郎君。 〔氷室雄一郎君登壇〕(拍手)
◆(氷室雄一郎君) 公明党の氷室雄一郎でございます。 震災後、この議場も一部改修をされまして、スマートな会場になっておりますけれども、後方の座席が1つあいておりまして、花が飾ってございます。村上県議、現職で亡くなられまして、まことに残念でございます。 常任委員会も私の隣でございまして、決算特別委員会も私の隣で、常任委員会のときには松田県議の横がよかったんですけれども、なぜかしら横になりまして、さまざまな御指導も受けました。また、7月の常任委員会は管内視察ということで楽しみにしておられましたけれども、それもかなわず、まことに残念でございます。ただただ御冥福を祈るばかりでございます。 それでは、通告に従いまして質問を行ってまいります。 最初に、住まいの再建に関してお尋ねいたします。 熊本地震から2年が経過したわけでありますが、復旧、復興に関しては、知事は、最優先課題に住まいの再建を掲げておられます。しかし、仮設住宅の入居期限を順次迎えている現在、住まいの再建へのおくれが懸念をされております。 この問題については、着実に進んでいるが勢いがないとの復旧・復興会議の座長のコメントが、現在の状況をあらわしているように思えるわけであります。 そこで、仮設住宅の入居実態を見ますと、5月末時点で、県内外の仮設住宅や公営住宅などで生活をされている被災者は1万4,477世帯で3万2,563人、建設型住宅が3,276戸で8,139人、借り上げ型みなし仮設では1万656戸で2万3,299人。戸数では73.6%、人員では71.6%は借り上げ型みなし仮設に入居をされております。 被災者の住宅の公費解体はほぼ完了したと言われておりますが、被災者の方々が抱えている課題も多く、現実には住まいの再建はこれからではないかと考えております。 知事は、熊本地震からの復旧、復興に関しては、県民の期待値よりも進んでいるのではないかと所見も述べられておりますが、最大の課題と言われる住まいの再建について、現在の進捗状況をどのように受けとめておられるのか。 次に、県では、被災者の意向に沿った恒久的な住まいの再建、確保を目指し、4つの支援策を示されております。1つには、転居費用の助成、予算規模が23億5,000万円、2つには、民間住宅への住みかえ助成に12億円、3つには、住宅ローンの助成に65億7,000万円、4つには、リバースモーゲージ利子助成に6億円、予算規模は合計107億2,000万円。大変な予算規模であります。 直近の利用実態の数字は手元にいただきましたが、この4つの住まいの支援策が現時点でどのような効果を生んでいると考えておられるのか。また、その支援策の評価についてもお尋ねをいたします。 次に、知事は、平成31年度末までに、住まいの再建、確保を完了するとのイメージは示されておりますが、どのような思いと決意で最優先課題とされる住まいの再建の加速化に取り組んでいかれるのか。 以上、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、被災された方々の住まいの再建なくして熊本地震からの復興はないとの強い思いから、住まいの再建を最重要課題に掲げています。 震災から2年2カ月が経過する中、損壊家屋等の公費解体はほぼ終了し、約1万5,000件に上る被災宅地の擁壁復旧や液状化対策、被害の大きかった益城町の復興まちづくりにも取り組んでいるところです。 自宅の再建に向けては、業者不足も徐々に解消され、住宅の着工件数も伸びてきています。このように、住まいの再建に向けた環境が整ってきたと認識しています。 まず、1点目の住まいの再建の進捗状況についてですが、昨年5月には約4万8,000人の方々が仮設住宅に入居されていましたが、既に3割を超える約1万5,000人の方が住まいの再建を実現されました。また、今年度末においては、全体の約半数の方が再建されると見込んでいます。 次に、2点目の4つの住まいの再建支援策の評価についてお答えします。 これらの支援策を昨年8月という早い段階で示したことで、着実な再建の進捗に結びついているものと考えています。 しかしながら、いまだ3万3,000人の方が仮設住宅などでの生活を余儀なくされており、これからさらに住まいの再建を加速していく必要があります。今後、さまざまな媒体を活用し、支援策の周知を強化してまいります。 これまで、転居費用の助成が多く利用されている一方、高齢者の自宅再建を後押しするリバースモーゲージ型融資への助成については、制度の内容が十分には伝わり切れず、活用が進んでいるとは言えない状況です。 このため、制度をわかりやすく伝えるためのリーフレットを今月中に配付することにしています。 また、特に8月を住まい再建の広報月間と位置づけ、支援策について集中的に広報展開することとしています。 最後に、住まいの再建にかける思いについてお答えします。 私は、今週の日曜日、県内で初めて建設された西原村の災害公営住宅を見てまいりました。県産材を使用し、木の温かさやぬくもりが感じられるとともに、コミュニティー形成にも配慮されていました。私も深く感銘を受けたところであり、これを契機に、他の市町村にも波及していくものと思います。 私は、この3期目の任期末となる平成32年4月までに、全ての被災者の住まいの再建が実現することを目指しています。 このため、引き続き、お一人お一人の住まいの再建が一日も早く実現できるよう、やれることは全てやるという強い決意のもと、私が先頭に立ち、全庁を挙げて支援してまいります。 〔氷室雄一郎君登壇〕
◆(氷室雄一郎君) 今御答弁いただきましたけれども、再建に向けての環境は整ってきた、年度末には全体の約半数の方が再建されると、見込みも示していただきました。今後、速やかで確実な取り組みに期待をさせていただきます。 次にお尋ねいたしましたけれども、4つの住まいの再建支援策については、着実な再建に結びついているとの認識は示されました。 一番新しい利用実態を見ますと、転居助成が5,965件、民間賃貸住宅への入居助成が1,079件、自宅再建の利子助成が754件、リバースモーゲージ利子助成が9件となっております。 今後、支援制度の周知徹底を行っていくと、リーフレットの配付や住まいの再建の広報月間も定めて集中的な広報に努めてまいる、このような御答弁もいただきました。最後に、知事のやれることは全てやる、力強い御答弁をいただきましたけれども、最後まで全庁挙げて取り組んでいただくことを強く要望しておきます。 次に、各部長にも関連してお尋ねをいたします。 県では、住まいの再建のため、くまもと型復興住宅を推奨してこられたわけでありますが、くまもと型の価格や耐震性に配慮されていると言われるモデル住宅も何棟か建設をされ、私も幾度も足を運びました。多くの方が見学に訪れておられました。 そこで、第1点目に、このくまもと型復興住宅の直近の普及実態についてもお尋ねをいたします。 次に、建設地の確保や入札不調など課題も多く、建設のおくれが懸念されている災害公営住宅に関連してお尋ねいたします。 第2点目として、直近の県下の災害公営住宅の整備予定数と着手戸数等、その実態についてお尋ねをいたします。 次に、災害公営住宅に関しては、その整備手法として、直接建設、県受託と言われる整備手法があります。県が協定に基づき受託して、関係市町村にかわり建設をし、引き渡す整備手法であります。 そこで、第3点目に、県受託の戸数、工事着手、設計着手戸数など、直近の県受託の災害公営住宅の整備状況の実態についてもお尋ねをいたします。 次に、最近、熊本市は、160戸を公募で選んだ民間企業に建設を任せ、完成後に建物を買い取る制度を導入しております。 この災害公営住宅の建設については、各市町村の格差も懸念をされております。県としても、整備の加速化が求められておりますが、第4点目に、整備の課題と今後の早期整備について、どのように考えておられるのか。 次に、縦割り行政でございますので、非常に難しい面もございますけれども、
健康福祉部長にもお尋ねいたします。 住まいの再建が進む中、建設型仮設住宅からの退去が始まり、多くの空き室が発生すると考えられます。第5点目に、直近の建設型仮設住宅の空き室状況の実態についてもお尋ねいたします。 次に、今後、仮設住宅からの退去も本格化すれば、当然、自治組織の維持も困難となり、住民相互の交流が希薄となり、被災者の孤立化や孤独死等の問題への対応も困難を極めるものと考えられ、相談体制の見直しも含め、被災者のニーズに即した、これまで以上のきめ細かな支援が必要と考えられますが、そこで第6点目に、退去が進む建設型仮設住宅でのきめ細やかな今後の支援について、どのように考えておられるのか。 次に、今後は地域に応じた仮設住宅の集約が課題となりますが、関係市町村でも今後の集約計画の検討もされているものと考えますが、当然、県としても、その構えやあり方を示すべきと考えますが、第7点目に、今後の建設型仮設住宅の集約について、どのような対応を考えておられるのか。 最後に、有効利用が望まれている木造建設型仮設住宅に関してでありますが、県下には、県産材を使用し、全体の15%に当たる683戸の木造仮設住宅が建設をされております。この木造仮設住宅の再利用や役目を終えた木造仮設住宅の処分をどのように考えておられるのか。8点目に、木造の建設型仮設住宅の再利用の予定戸数と処分のあり方についてもお尋ねいたします。 それぞれ、土木部長に4点、
健康福祉部長に4点お尋ねをいたします。 〔土木部長宮部静夫君登壇〕
◎土木部長(宮部静夫君) まず、くまもと型復興住宅の直近の普及実態についてですが、益城町テクノ仮設住宅に展示されているモデル住宅の来場者数は約6,900組で、そのうち成約数が167件、商談中が約140件と、着実に進んでおります。 次に、災害公営住宅の整備予定数と着手戸数などの実態についてですが、12市町村で1,735戸の整備を予定しており、うち1,270戸で設計や工事に着手しております。今月10日には、県内初の災害公営住宅が西原村で完成しており、今年度中には全体の約4割に当たる635戸の完成を目指しております。 続きまして、県受託の災害公営住宅の整備状況の実態についてですが、県では、5市町村、189戸について、工事を105戸、設計を84戸受託しております。いずれも今年度中の完成を予定しております。 最後に、災害公営住宅の整備の課題と今後の早期整備についてですが、整備の課題としては、一部の市町村での整備戸数の最終的な確定、建設地の選定のおくれや市町村における専門職員の不足があります。 整備戸数の最終的な確定がおくれている市町村に対しましては、整備戸数を柔軟に調整できる方法を具体的に提案しております。 また、建設地の選定のおくれや専門職員の不足が課題となっている市町村に対しましては、建設地を含めた民間買い取りによる整備手法を提案するなど、早期整備に向けて技術支援を行っています。 県としましては、被災された方々の一日も早い住まいの再建に向けて、引き続き、自立再建の後押しを行うとともに、災害公営住宅の整備につきましても、しっかりと市町村と連携して取り組んでまいります。 〔
健康福祉部長古閑陽一君登壇〕
◎
健康福祉部長(古閑陽一君) 健康福祉部には4点お尋ねでございます。 まず、1点目の建設型仮設住宅の空き室状況についてですが、5月末時点で、整備戸数4,303戸のうち入居戸数は3,276戸で、空き室の割合は約4分の1の24%という状況です。 次に、2点目の仮設住宅における今後の支援についてお答えをします。 今後、供与期間の延長理由や意向調査の結果を踏まえ、各入居世帯の状況に応じ、地域支え合いセンターや各種相談員によるきめ細やかな支援を行ってまいります。 特に、議員御指摘の交流促進やコミュニティー形成に関してですが、センターが実施するサロン活動の充実や、借り上げ型仮設住宅向けの助成制度の対象を、従来の10世帯以上から5世帯以上に要件緩和を図るなど、さらなる支援を行ってまいります。 3点目の建設型仮設住宅の集約についてお答えします。 現在、団地ごとに、その規模や入居者の住まいの再建状況、今後の利活用計画などを見きわめながら、各市町村において集約の検討が進められております。 県としましても、先行して実施された大津町の事例を参考に、各市町村と連携を図りながら、地域の実情に応じた仮設住宅の集約を支援してまいります。 最後に、木造仮設住宅の活用についてお答えをします。 ことし4月から5月にかけて関係市町村を訪問し、調査を実施した際の再利用の予定戸数は、建設戸数683戸のうち、4分の3に当たる約500戸となっております。 市町村に対しては、まずは被災された方々の住宅としての活用のほか、その他市町村民向け住宅や民間事業者への売却なども含めて、積極的な活用を依頼しているところであります。 今後とも、市町村と連携して、住まいの再建にしっかりと取り組んでまいります。 〔氷室雄一郎君登壇〕
◆(氷室雄一郎君) 両部長から答弁をいただきましたけれども、特に土木部長の県受託の災害公営住宅の状況につきましては、5月末の進捗状況も示していただきましたけれども、まだなぜかしら74戸については設計着手で、完了予定時期が明示はされておりません。31年度末までに住まいの再建を完了と言われますけれども、こういう問題については大変難しい問題がございますけれども、どのように対処していかれるのか。ともあれ、今後の整備促進への着実な取り組みをお願いしておきます。
健康福祉部長の答弁には、今後の建設型仮設住宅の集約について、これは各市町村でも悩まれる問題でございまして、何らかの対応も必要ではないかと考えております。 また、被災者の退去が進みますと、空き室が非常にふえまして、現時点では24%があいていると空き室率を示されましたけれども、今後、孤立化や、また孤独死、また防犯の面からもさまざまな心配がなされております。どうかきめ細やかな対応を、今まで以上の細やかな対応が必要になるんではなかろうかと、このように判断をしております。 また、仮設の集約については、非常に市町村にとりましては重たい課題でありますけれども、県にも何らかの対応が求められるものではないか、このような面から質問をしたわけでございますけれども、若干主体性に欠ける答弁ではなかったかと、このように受けとめておりますけれども、今後は市町村の集約がスムーズに進みますよう、可能な限りの支援をお願いしておきます。 次に移りますけれども、次は、ふるさと納税についてお尋ねいたします。 熊本地震が発生し、多くの方々から、熊本復旧・復興への願いを込めてか、多額の寄附をいただいておりますが、その応援の流れを継続させるべく、熊本型のふるさと納税の取り組みを求めて前回も質問を行いました。地震から2年目を迎え、このふるさと納税についても、新たな視点から展開をしてほしいと、このような思いを持っております。 このふるさと納税の寄附額は、県全体では約56億円を超えております。熊本地震後の寄附額より減少はしているものの、平成27年度と比べますと、4.8倍にも上っております。 県のみで見た場合は、2017年度の寄附額の速報値で、総額が約7億2,951万円となっており、熊本地震が発生した2016年度の55億円を超す額からは大分減っておりますけれども、依然として、地震前の額と比べますと、8倍の高水準となっております。 ここで、平成29年度の県全体の市町村の寄附額の速報値を眺めてみますと、注目される市町村がございます。特に、玉東町の納税額が、平成27年度はわずか51万5,000円でございました。それから、29年度の速報額では、655倍以上の約3億3,700万円余となっており、大変な寄附額となっております。西原村も、200倍以上の寄附額となっているようでございます。 ともに驚異的な数字で、理由を尋ねに町を訪れましたけれども、インターネットの運用で効果があったのではないかと、職員の方も非常にびっくりされております。この町は、さまざまな取り組みをしながら納税の額が急上昇したのではないかと、このように判断しております。 また、ある市町村では、納税額の倍増を目指し、明確な目標も設定され、取り組みを開始されているところもございます。 この問題に関しては、共感性のある魅力あふれるテーマ、明確な目標と具体的なアクションが必要と考えられますけれども、震災からの復旧、復興に向かう県としてふさわしいテーマも掲げ、明確な目標も定めて取り組むべきと考えております。 第1点目に、目標設定と今後の具体的な取り組みについてお尋ねをいたします。 次に、平成30年5月の区分ごとの速報値の寄附額を見ますと、県に集まっている寄附額は、1つには、ふるさとくまもとづくり応援分に寄附額の92.5%、ほとんどここに集中しております。2つ目は、くまモン応援分に1.1%、3には、
国際スポーツ大会応援分に0.2%、4には、夢教育応援分に6.2%。熊本の復旧、復興への思いを寄せてか、ふるさとくまもとづくり応援分が中心で、寄附額が約6億7,478万円余となっております。 今後は、震災の復旧、復興も進むと考えれば、くまもとふるさとづくり応援分の寄附額も変化するものと考えられますが、第2点目として、今後のふるさとくまもとづくり応援分の寄附金の活用法のあり方と内容の精査について、どのように考えておられるのか。 次に、ふるさと納税については、各市町村もいろいろと工夫をされております。知恵を出しながら取り組んでおられますが、県への支援に要望や期待も多いと考えております。 そこで、第3点目に、今後の各市町村への具体的な支援について、何か考えておられるのか。 最後に、返礼品の感謝の品についてでありますが、ちなみに、平成29年度、県の返礼品、感謝の品の一番人気は、1位が熊本デコポンでありまして、2位が熊本の馬刺、3位が熊本の米「くまさんの輝き」となっております。 デコポンも返礼品としては喜ばれておりますが、私は、前回も体験型の返礼品を検討すべきだと提案をしました。既に、熊本市は、低床型電車の運転体験、天草市・イルカウオッチング等を初め、県が掌握されているだけでも12市町村で、既に知恵を絞った体験型の返礼品が導入されております。 体験型の返礼品については、どのような検討をなされてきたのか。第4点目に、体験型の返礼品について、改めてお尋ねをいたします。 以上4点、総務部長にお尋ねいたします。 〔総務部長池田敬之君登壇〕
◎総務部長(池田敬之君) ふるさと納税につきまして、4点御質問いただきました。 まず、寄附金額の目標設定と今後の具体的な取り組みについてお答え申し上げます。 本県においては、熊本地震を契機といたしまして、多くの方々から寄附をいただいておりまして、今後も継続して御支援をいただくことで、現在の寄附金額の水準を確保していくということが重要であると考えております。 そのため、まずは、寄附者に対しまして、寄附金の使い道をわかりやすく記載した報告書を送付いたしまして、いただいた寄附による成果への理解と関心を深めていただくということで、継続的な支援につなげてまいります。 あわせて、県外同窓会等を通じたPRや、返礼品の見直し等を行うことにより、より多くの方々に寄附していただけるよう努めてまいります。 次に、寄附金の活用方法のあり方と内容の精査についてでございます。 ふるさとくまもとづくり応援分として受け入れました寄附金につきましては、一旦基金へ積み立てた後、熊本地震からの復旧、復興を初め、子育て支援や教育、文化の振興など、基金条例に掲げるさまざまな事業の財源として活用をしているところでございます。 今後とも、寄附をいただいた方の熊本を応援したいという気持ちにしっかりとお応えできるよう、各年度の予算編成の中で、その使途を見きわめてまいります。 次に、県による各市町村への具体的な支援についてお答え申し上げます。 県では、平成20年の制度創設以来、県・市町村推進連携会議の設置など、市町村と一体となった取り組みを進めてまいりました。 返礼品の豪華さだけではなく、多くの方の共感が得られる取り組みを寄附対象事業とすることや、寄附された方との継続的なつながりを持つ取り組みによって効果を上げた事例を紹介するなど、各市町村において工夫を凝らした取り組みが進むよう、引き続きフォローアップしてまいります。 最後に、体験型の返礼品についてでございます。 体験型の返礼品を活用し、県内各地域を訪れていただくことは、熊本地震からの復旧、復興に取り組む本県の姿を見ていただく有効な機会になるものと考えております。 一方で、議員御指摘のとおり、各市町村において、既にそれぞれの地域資源を活用した体験型の返礼品が導入されているという状況もございます。そのため、県による体験型の返礼品につきましては、市町村の動向も見きわめながら、引き続き導入に向けてさまざまな角度から検討してまいります。 今後とも、多くの皆様に熊本を寄附先として選んでいただけるよう、取り組んでまいります。 〔氷室雄一郎君登壇〕
◆(氷室雄一郎君) ふるさと納税では、今なお熊本地震の復旧、復興への願いを込めてから多額の寄附が寄せられておりますが、その流れを継続させるため、熊本型の新たな魅力あふれる取り組みが必要と考え、改めてお尋ねをいたしました。 今「ONE PIECE」の主人公の銅像をつくると、あれもふるさと納税だというお話を聞きましたけれども、さまざまな使い方がございますけれども、今後、ふるさと納税、復旧、復興のために、特化したような寄附が行われておりますけれども、これから使い道を特化してわかりやすく示していただければ、さらなる増額につながるのではないかと思っております。 私は、今回、玉東町の寄附額が非常に高いので、いろいろお尋ねをいたしました。あそこは、人口規模が5,000名ぐらいで、総額予算規模は30億ぐらいじゃないかと思っておりますけれども、その1割がこのふるさと納税の寄附で集まったということで、担当者もびっくりされておりまして、いろんなサイトがあるそうでございますけれども、楽天のサイト、そういうさまざまなものを活用して取り組みを行ってこられたわけでございますけれども、ここは返礼品としては梨が第1番人気、2番目がミカンだということでございますけれども、特別な返礼品ではないかもしれませんけれども、なぜここにこのような多額の――最初は55万円から出発して、今は3億3,700万円の寄附額となっている。この辺もしっかり県でも検討していただきまして、新しい流れをつくっていただければと思っております。 いろいろ各市町村も回りまして、また、いろんな全国の事例も見ましたけれども、このふるさと納税に対して何が一番大切なのかと。結論として言えば、このふるさと納税については、職員の失敗を恐れぬ挑戦が大事だと、こういうお話も聞きました。知事が言われる、皿を割ることを恐れるな、この姿勢を持った職員の今後の挑戦に期待をさせていただきます。 次に、教育長に何点かお尋ねをいたします。 県
教育委員会と熊本市
教育委員会より、2017年度の公立小中高校と特別支援学校における児童生徒を対象としたいじめについての心のアンケート調査の結果が、5月25日に発表されております。 「今の学年でいじめられたことがある」と答えた児童生徒は2万193人、11.6%で、前年より0.2ポイント増加となっております。「いじめを誰にも相談しなかった」児童生徒の割合は31.0%で、これは2012年以降の調査で最多となっております。 そこでまず、今回の調査結果をどのように受けとめておられるのか。 次に、熊本市の政令市移行に伴い、県の教育行政は、県と熊本市の二本立てであります。調査結果についても、当然異なるものと考えますが、そこで、今回の調査に関して、特に小中学校において、県と熊本市の集計の結果の差異、特徴等についてもお尋ねをいたします。 次に、いじめに関して、文部科学省は、交流サイト、SNSを活用し、いじめなどの相談を受ける補助事業に関して、2017年度補正予算、18年度の予算で経費が計上されております。 本県では、本年度からこの補助事業を活用しておられますが、昨年度9月から、全国に先駆け、いじめ匿名通報アプリを導入されていますが、そこで、改めてその概要と期待される効果についてもお尋ねいたします。 次に、このいじめに関する調査結果が発表された翌日の5月26日、県北のある県立高校の女子生徒が、学校でいじめに遭ったことをうかがわせる遺書を残して命を絶ったのではないかとの一般紙の報道もあっておりました。 将来を期待される若い命が失われたことは、極めて悲しいことであります。心より謹んで哀悼の意を表するばかりでありますが、県教委としては、この遺族のお気持ちを最優先に、学校の基本調査を受け、第三者調査委員会を設置する意向は示されております。 この問題については、さまざまな厳しい声も聞かれますが、今回の出来事を教育長はどのように受けとめておられるのか。 また、第三者調査委員会の設置時期について、学校の基本調査を待たれるとありますが、生徒が亡くなられ、やがて1カ月を迎えるわけでありますが、基本調査はいつまで続けられるのでしょうか。 第三者調査委員会は、県教委として初めての設置とお聞きしておりますが、設置の目的、意義について、また、設置時期についてもお尋ねいたします。 最後に、教育現場においては、命のとうとさが全てに最優先するとの思いに立ち、命の大切さと生きる力を涵養する教育が常に求められておりますが、教育長として、今後、児童生徒の命が全てに優先され、また、生きる力を育む教育に向け、どのような決意を持って県教育行政のかじ取りに臨まれるつもりか。 以上6点にわたりまして、教育長にお尋ねをいたします。 〔
教育長宮尾千加子さん登壇〕
◎教育長(
宮尾千加子さん) まず、1点目のアンケートの調査結果の受けとめについてでございますが、「今の学年でいじめられたことがある」と答えた子供たちが、今回の調査で微増しています。これは、各学校において、より積極的にいじめの認知を進め、子供たちがいじめられたことをアンケートに答えやすいよう努めてきた結果だと考えています。 他方、全校種合計で11.6%の子供たちが「いじめを受けた」と回答している事実を、子供たちの心の声として重く受けとめています。 また、「いじめを誰にも相談しなかった」と回答している子供たちについては、これまでの調査でも約3割が同様の回答をしております。 さらに、今回のアンケート調査では、新たに「なぜ誰にも話をしなかったのか」という質問項目を加えたところ、「知られたくなかった」「話しても解決しない」との回答が多くありました。 このような結果を踏まえ、これまで以上に子供たちが相談しやすい雰囲気づくりや子供たちからのSOSをキャッチできる環境づくりに努め、スクールカウンセラーによる面談機会をさらに確保するなど、学校、家庭、地域が連携して適時適切な対応を行ってまいります。 2点目の心のアンケートの熊本市との違いについてお答えします。 熊本市と熊本市以外の地域とでは、調査結果に大きな違いは見られませんでしたが、スマートフォン、携帯電話の所持率や、その使い方に関しての家庭での決まり事があるという回答は、熊本市のほうが高い結果でした。 今後も、熊本市
教育委員会と連携、協力し、いじめの未然防止等に取り組んでまいります。 3点目のいじめ匿名通報アプリの概要と効果についてですが、生徒がスマートフォン等から匿名でいじめ等の相談を通報できることが特徴で、この4月から、全ての県立の中学校、高校へ導入しました。 本アプリでは、緊急性が高い通報は、委託会社から速やかに県
教育委員会へ報告が入ります。例えば、重大な個人攻撃の通報があった場合は、当該生徒の安全を最優先し、スクールカウンセラーを活用した面談を行うなど、学校と連携して、迅速かつ適切な対応を行い、問題の早期解決を図っております。 昨年度、7カ月間の試験導入では、いじめやその疑いのある4件の通報に対し、学校とともに迅速に対応することができました。生徒にとって相談しやすい手段を導入したことで、いじめの早期発見、早期解決につながったと考えております。また、試験導入をした学校のアンケート調査からも、情報モラルの向上やいじめの抑止について、その効果が確認できています。 今後とも、生徒への本アプリの周知を徹底するとともに、いじめ等の早期発見、早期解決に向けて取り組んでまいります。 4点目の今回の出来事をどのように受けとめているかについてですが、将来のあるとうとい命が失われたことは、まことに残念であり、悲しみにたえません。心から御冥福をお祈りするとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げます。 県
教育委員会では、御遺族のお気持ちに寄り添いながら、御遺族の事実を知りたいという御意向を受け、学校とともに丁寧に調査を進めているところです。あわせて、在校生の動揺等にも留意し、生徒たちの心のケアにも努めています。 今後、こうしたことが二度と起こらないよう、命の大切さ等について、各学校やPTA等ともさらに連携して取り組みの充実を図ってまいります。 5点目の第三者調査委員会の設置目的と意義、時期についてですが、現在、学校による基本調査が取りまとめられており、近日中に御遺族への報告がなされるとともに、県
教育委員会に報告が入る予定です。 今回の事案は、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態と考えられるため、法に基づき、学校からの報告の後、
教育委員会として直ちに熊本県いじめ防止対策審議会による第三者調査委員会に移行することとしています。 これは、弁護士、医師、学識経験者、臨床心理士、精神保健福祉士などの公平、公正、中立な第三者により詳細調査を行うもので、現在、第三者調査委員会の立ち上げに向け、準備を進めています。 最後に、6点目の命が全てに優先され、生きる力を育む教育についてお答えします。 これまでも、命のとうとさや人の心を傷つけるようなことは決してしてはならないことを、学校で教えることはもちろんですが、家庭や地域などさまざまな場面で、私たち大人は伝えてきました。 しかし、命の重さやとうとさが、本当に子供たちに実感として伝えられているのだろうか、子供たちの心に届いているのだろうかと、私は自問自答し、その難しさを痛感しています。 自分や相手を大切にする心、全ての命を大切にする心、自然に対する畏敬の念など、知識だけではなく、心で感じることができる命の教育は、教育活動の根幹に据えられるものです。 学校においても、これまでにも増して他者と理解し合い、協力して、学校生活上の課題をよりよく解決していくための体験活動を充実させるとともに、ストレス対処教育等を通じて、子供たちがたくましく生き抜いていく力を育んでまいります。 二度とこのような悲しく、痛ましい事案が起こらないようにするために、学校と家庭、PTA等がさらに連携、連帯して、子供たちのわずかな変化も見逃さず、早期に対応できる体制をつくってまいります。 将来を担う子供たちが、命の大切さや生きていることの喜びを感じることができるよう、関係者が一丸となって、心を尽くして取り組んでまいります。 〔氷室雄一郎君登壇〕
◆(氷室雄一郎君) このいじめ問題は、学校現場で一番苦慮されている課題でもあります。 いじめの原因は多岐にわたっておりまして、最近はインターネット上のいじめの増加など、方法は多様化し、また、いじめは自殺や犯罪につながるなど、副次的な影響も大きいと言われています。 そのいじめに関する調査が公表された日の翌日、この県北の県立高校の3年女子の生徒が――今調査中ということでございますけれども、いじめに遭ったことをうかがわせる遺書を残して命を絶ったという報道があっております。その後、一切報道も行われておりませんので、今調査がされているということでございます。しかし、昨日は、御遺族の方から県にも要望書が出されておりまして、さまざまな問題が横たわっているのではないかと考えております。 教育長のこの重大事案に対する思いもお聞きいたしました。県教委としては初めてと言われる第三者委員会を設置する方針は示されておりますけれども、一般的には、重大事案発生後の学校での初動調査の内容が、今後立ち上がる第三者委員会の活動の基本となると、このような定義がなされております。 学校現場の初動調査がおくれるに従って、第三者委員会の機能にも影響を及ぼすと考えられます。もうやがて1カ月経過をしております。どのような初動調査が行われているのか、また、
教育委員会の関与はどうなのか、一切伝わってきておりませんけれども、速やかな対応を求めております。 私も、高校教諭のときに担任をしている子が突然亡くなりました。その子は心臓が悪くて、お医者さんのほうから過激な運動はやめてほしいと、しないほうがいいということだったんです。だから、体育のときには見学をしておったんですけれども、ちょっと準備運動をした、その瞬間に倒れまして、私もグラウンドに駆けつけまして処置を行ったんですけれども、亡くなってしまいました。 そのときに、突然県教委の指導主事の方が数人お見えになりまして、さまざまな手を打っていただきました。最後は、御遺族に対する言葉遣い、また、どのようなお花を持っていけばいいのか、それこそ水も漏らさぬ体制で、全てにわたり手を打っていただきました。うわあ、
教育委員会の皆さんはすごい方だなと思って感動をしたわけでございます。 事例は若干違いますけれども、担任でもありまして、授業もしなければならない、また、学校現場のさまざまな仕事も背負っておりまして、なかなかすぐ対応ができないわけでございまして、
教育委員会の皆様のお力をいただいた。そのときに、大変感動いたしまして、風のごとくお見えになりまして、風のごとく去っていかれまして、本当に速やかな対応をいただきました。今でも感謝をしております。 今後、教育長が述べられましたように、学校現場におきましても、命こそ最優先する、このような思いで県行政の旗を振っていただければと、このような思いでございます。今後のこの問題については、流れを見なければ何とも言えませんけれども、懸命な対応をお願いしておきます。 次の質問に移りますが、本県でも全国水準を上回る人口減少が続いております。自然増や転入者を漠然と待つより、県への移住、定住の促進を図るべく、移住、定住に関して幾度も提案を行いました。また、質問も行ってまいりました。
企画振興部では、くまもと移住定住促進戦略を策定され、取り組みを進めてこられたわけでありますが、熊本地震に見舞われ、改めて戦略の見直しが必要と考え、何点かお尋ねをいたします。 初めに、東京にくまもと移住定住支援センター、地域振興課に総合相談窓口も設置され、また、定期的に首都ゾーンでも相談会等も開催をされております。 そこで、第1点目に、移住相談会の相談件数と、その実態についてもお尋ねをいたします。 次に、いつも話題になりますが、地域づくり夢チャレンジ推進事業についてであります。 本年度は、予算額が約2億2,300万円余で、各市町村の移住促進への支援をされております。平成29年度は、6市町村で活用されております。この支援事業が、費用対効果の面から、移住促進に資する事業であるものなのか。 そこで、第2点目に、地域づくり夢チャレンジ推進事業の成果と実績についてもお尋ねをいたします。 次に、大分県では、この問題では成果や市町村への移住者数なども公表されておりますが、本県ではまだ実績等の数値の公表には至っていないのが現実であります。震災を経験した県として、戦略の再検討を行い、具体的な数値目標も掲げ、魅力あふれる施策の展開を図るべきと考えておりますが、第3点目に、今後の成果や実績の数値等の把握と戦略の見直しについて、どのように考えておられるのか。 以上3点は、
企画振興部長にお尋ねいたします。 また、関係しまして
商工観光労働部長にもお尋ねをいたします。 若者の移住、定住の促進策については、政府の有識者会議が報告書案を取りまとめ、近く地方創生担当大臣に提出をし、政府がこの6月に策定する地方創生施策の基本方針に反映される予定となっております。大きな柱は、Uターンなど、大都市から地方へ移住するための施策の強化であります。 県でも、人材不足の対応策として、熊本県UIJターン就職支援センターを東京と熊本に設置されております。また、本年度は、特に大阪と福岡在住の就職希望者に対し、センターのPRや就職フェアに本県のブースを出展するなど、新たな人材確保強化事業にも予算を計上されております。 そこで、1点目でありますが、登録者数の状況と就職者の数についてお尋ねをいたします。 次に、最近は、首都ゾーンの大学でも、UIJターン就職希望者への支援も始まっております。ある大学では、地方で採用試験を受ける学生に対し、距離に応じた補助金を支給、さらに、情報不足の支援では、就労支援を行う外部企業と連携し、サポート施設を無料で利用できるなど、地方で働きたい学生を積極的に支援する大学もあります。 県でも、県外の大学等との協定を結んでおられますが、そこで第2点目、県外大学との協定締結数と連携の強化について、どのように考えておられるのか。 次に、Uターン、Iターン、Jターンも含め、若者にとって働く場の確保は第一と言われますが、地元中小企業を結びつけるための行政の役割も問われております。 第3点目に、今後の地元への就職を希望する若者と中小企業のマッチングによる就職支援について、どのように取り組んでいかれるのか。 最後に、さきに述べた政府の若者の地方移住の促進策についての有識者の報告書案では、地方の中小企業による求人活動を支援する取り組みが提言されておりますが、一方、県内企業も、みずから積極的に活動を行う必要もあるものと考えております。 そこで、第4点目に、地元の中小企業みずからが行う求職者への支援について、県はどのように取り組んでいかれるのか。 以上4点は、
商工観光労働部長にお尋ねをいたします。 〔
企画振興部長山川清徳君登壇〕
◎
企画振興部長(山川清徳君) 移住、定住の促進策についてお答え申し上げます。 本県では、平成26年3月に策定したくまもと移住定住促進戦略に基づき、市町村等と連携した移住、定住の取り組みを展開しております。 まず、移住相談件数とその実態についてでありますが、現在、本県では、県庁の地域振興課と東京・有楽町のふるさと回帰支援センターに専任の相談員を配置し、移住に関するさまざまな相談に対応しているところです。昨年度の相談件数は814件となっており、平成27年度の配置当初と比べると238件増加しております。 また、昨年度、首都圏を中心に、県主催の移住相談会などを22回開催いたしました。この相談会に参加した市町村数は34団体、相談件数は634件と、いずれも過去最高となり、相談会を開始した平成24年度の8市町村、69件から、着実に活用実績が上がっています。 次に、移住・定住促進に関する地域づくり夢チャレンジ推進事業の成果と実績についてお答え申し上げます。 地域づくり夢チャレンジ推進事業のうち、移住の促進に対する支援は、移住戦略策定後約4年間で32件あり、空き家バンクの構築やお試し住宅の整備等、市町村による幅広い取り組みが確実に進んでいるところです。 最後に、データの把握と今後の移住戦略の見直しについてお答え申し上げます。 これまでの取り組みの進展に伴い、本県への移住者は着実に増加していると思われます。実態を把握するため、データ収集に努めておるところでございますが、現状では県全体としての移住者の方の人数は把握できておりません。 そのため、今後、市町村や民間団体等から成るくまもと移住定住促進戦略推進協議会において、データの把握に向けた協議を進めるとともに、熊本地震を受けての移住、定住の傾向や相談内容の変化をしっかり検証し、より効果的な移住戦略となるよう、必要に応じ見直しも検討してまいります。 〔
商工観光労働部長磯田淳君登壇〕
◎
商工観光労働部長(磯田淳君) まず、UIJターン就職支援センターの登録者と就職者数についてお答えします。 本年5月末現在のセンター登録者数は379人で、これまでに87人の県内就職が決定しました。 今年度は、本県からの転出が多い大阪、福岡においても......
○副議長(森浩二君) 残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。
◎
商工観光労働部長(磯田淳君) (続) 就職イベントへの出展やUIJターン希望者向けのセミナーを実施し、本県での就職者数の増加を図ることにしております。 次に、県外大学との協定締結数と連携の強化についてお答えします。 県では、本県出身の学生が多数在籍する県外大学との就職支援協定の締結を進めております。昨年度は4校と新たに協定を締結し、これまで15の大学と協定を締結しました。 県外へ進学した学生の県内就職を進めるために、大学を通じた情報提供等が大変有効であると考えています。これにより、県内企業の魅力を知っていただくとともに、インターンシップや就職関連のイベントへの参加につなげているところです。 今後とも、協定校をふやすとともに、企業説明会の開催や保護者向けのセミナーの実施など、各大学と連携して推進してまいります。 次に、若者と中小企業のマッチングによる就職支援についてお答えします。 県では、ブライト企業の認定、普及啓発、企業見学会やインターンシップの実施等により、若者が県内企業の魅力を知る機会を提供しています。また、各地域振興局にジョブカフェ・ブランチを設置し、きめ細かなマッチングを行っております。 今後とも、学生のみならず、保護者にも県内企業と接していただく機会を設け、若者の県内就職促進に努めてまいります。 最後に、中小企業みずからが行う求職者への支援についてお答えします。 県内企業の中には、インターネットを活用した面接の実施や、採用面接に係る経費、就職時の移転費用の助成など、求職者の負担を軽減する工夫を行っている事例もあります。しかしながら、このような企業はまだ一部であり、より多くの県内企業による取り組みの充実と採用スキルの向上が必要であると考えます。 このため、雇用環境整備協会が行う求人企業向けの採用力向上のセミナーを年間10回程度実施しており、また、県で実施しているブライト企業向けのセミナーにおいても、本年度、新たなテーマとして取り組む予定です。 このような取り組みを通じ、県内企業の人材確保に係る意識の向上と採用力の強化に努めてまいります。 〔氷室雄一郎君登壇〕
◆(氷室雄一郎君) 1点だけ、要望事項は――時間がございませんので、学校の防災関係の要望でございます。 これで私の質問を終わります。 梅雨の時期を迎えまして、ことしこそ被害がないような、穏やかな県になりますように心からお祈りいたしまして、私の質問を終わります。御清聴のほどありがとうございました。(拍手)
○副議長(森浩二君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明15日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時15分散会...