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03月07日-06号

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  1. 熊本県議会 2018-03-07
    03月07日-06号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成30年 2月 定例会               第 6 号               (3月7日)  平成30年  熊本県議会2月定例会会議録     第6号平成30年3月7日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第6号  平成30年3月7日(水曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(45人)            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            前 田 憲 秀 君            濱 田 大 造 君            磯 田   毅 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            西   聖 一 君            浦 田 祐三子 さん            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            森   浩 二 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            氷 室 雄一郎 君            鎌 田   聡 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            小 杉   直 君            村 上 寅 美 君            西 岡 勝 成 君            山 本 秀 久 君欠席議員氏名(1人)            前 川   收 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  坂 本   浩 君     総務部長   池 田 敬 之 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 古 閑 陽 一 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            奥 薗 惣 幸 君     部長     農林水産部長 濱 田 義 之 君     土木部長   手 島 健 司 君     会計管理者  金 子 徳 政 君     企業局長   原     悟 君     病院事業            永 井 正 幸 君     管理者     教育長    宮 尾 千加子 さん     警察本部長  村 田 達 哉 君     人事委員会            田 中 信 行 君     事務局長     監査委員   豊 田 祐 一 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 田 勝 也     事務局次長            中 島 昭 則     兼総務課長     議事課長   中 村 誠 希     審議員兼            村 田 竜 二     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時1分開議 ○議長(岩下栄一君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(岩下栄一君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 吉田孝平君。  〔吉田孝平君登壇〕(拍手) ◆(吉田孝平君) 皆さん、おはようございます。宇城市・下益城郡選出の自由民主党・吉田孝平でございます。今回は3回目の質問をさせていただきます。昨年の2月に2回目の質問をさせていただいたときに、喉の調子が悪くなって、そのときに知事に水をいただきました。本当に知事には大変感謝していますし、改めて知事の優しさを感じ取ることができました。きょうは、その優しさを答弁のほうで見せていただければと思っております。 それと、1つお伝えしたいことがございまして、きのうの一般質問の際に、髙野議員から、プロ野球のオールスターの話がございました。その中で、髙野議員が、小学校のときまで野球をしていて、強い思いがあると言われましたが、私は大学まで野球をしておりました。私は、負けないぐらい強い気持ちがございますし、それと、髙木議員から新球場の一般質問とかあってますけれども、私は大賛成でございますので、それをお伝えしまして、質問に移らさせていただきたいと思います。 まずは、新天草1号橋の開通と今後の地域活性化についてお尋ねいたします。 熊本天草幹線道路は、熊本市と天草市本渡町を結ぶ延長70キロの間に計画されており、熊本市と県内主要都市を90分で結ぶ構想の実現に必要な道路であります。 これまで、九州本土と国道橋1本で結ばれている天草地域は、災害発生時、人員、物資の輸送路として、まさに命の道、命の橋として1本の橋で生活されてきました。 県が整備しています宇城市三角町から天草市本渡間の38キロの間では、既に供用中の区間もありますが、現在整備中の大矢野バイパスも供用に向けて工事が順調に進められており、三角側のインターチェンジ部分もようやく完成後の姿が見えるようになってきました。一時は、熊本地震の影響で大幅に工事がおくれるのではないかと大変心配しておりましたが、施工業者を初め関係者、県の皆様の御努力のおかげで、ようやく完成のめどが立ってきました。 新1号橋も、アーチ部を覆っていた足場や巨大な鉄塔もだんだんと姿を消し、世界遺産三角西港から橋を眺めると、ほとんど完成しているかのように見え、大変すばらしい景観となっています。最近は、観光客の方が三角西港から写真を撮られている姿をよくお見かけします。 9月の一般質問で山口議員から質問がされましたが、新1号橋の名称につきましては、ことし1月5日から2月2日まで一般公募され、2,645点の応募があったと聞いております。 2月14日には、上天草市と宇城市をつなぐ新しい橋の名称選定委員会が開催され、私も委員として出席をさせていただきましたが、5つの候補を選定させていただきました。 選定された候補名を挙げますと、熊門橋、新天門橋、天空橋、天城橋、平成天門橋でございます。そして、既に始まっていますが、この5つの候補名を3月1日から3月22日まで投票していただいて、一番多くの投票があった名前が新1号橋の名称に決まります。 大矢野バイパスの開通日に関しては、蒲島知事より、年頭の会見で、5月中旬に開通予定とまで発表されていますが、宇城・天草地域の住民は、一日も早い道路の完成と開通を待っておられます。 天草及び宇土半島地域は、豊かな自然、風土、食材といった地域固有の豊かな資源に恵まれた地域であり、大きなポテンシャルを持っている地域であります。 大矢野バイパスの開通は、今後、宇城・天草地域に多くの方に来ていただき、すばらしい魅力を知っていただく大きなチャンスであり、県内外から必ず多くの観光客の方にお越しいただけると思っております。 また、開通に伴い、宇城市と上天草市は、隣同士の市として地域を活性化しようということで、大矢野バイパスの開通を記念するイベントを連携して開催すると、2月26日に発表されました。 開通前の大矢野バイパスでは、ゴールデンウイークに毎年三角東港で開催されるオールドカーフェスティバルとの連携イベントや、サイクリング大会ウオーキング大会、そして、新1号橋の上では、両市の商工会青年部主催綱引き大会を行い、三角東港付近では、マルシェと打ち上げ花火などの催しを予定していると聞いております。 また、宇城地域では、熊本地震の影響で減少した観光客数を回復するため、宇城地域全体に回遊していただこうということで、40店舗で使えるクーポンつき観光情報パンフレットなどを活用し、宇城地域全体を回遊していただこうという取り組みもされています。 世界文化遺産三角西港や、ことし登録を目指す﨑津集落は、海に面した地域でもあるため、日帰りで車、遊覧船でも移動できる観光地であり、この2つの観光地を連携し、地域振興にどう生かしていくかが一番の課題だと思います。 そこで、大矢野バイパスの開通日はいつになるのか、また、イベントへの支援について県はどのように考えているのか、知事にお尋ねします。 次に、開通による効果が一過性のものとならないよう、継続して地域全体に開通効果を拡大させて、さらなる地域活性化につなげていかれるか、今後どのように取り組んでいくのかを企画振興部長にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 熊本天草幹線道路大矢野バイパスは、熊本地震やその後の余震により、やむなく工事を一時中断しましたが、関係者の懸命の努力により、5月20日に開通する運びとなりました。 地元宇城・天草地域の皆さんが強く待ち望まれてきた道路であり、90分構想の実現に向けた熊本天草幹線道路の整備が着実に進んでいることを大変うれしく思います。 そして、天草五橋の一つ、天門橋の隣にかかる新しい橋は、地元の皆さんはもちろん、県民に長く親しまれ、愛され、この地域のシンボルとなることを期待しています。 この新しい橋の名称については、5月の開通式で公表したいと考えています。 また、議員から御紹介があった、開通を記念して地元で開催されるサイクリング大綱引き大会などのさまざまなイベントを、県として全面的に支援してまいります。 私は、天草の玄関口となるこの道路の開通を絶好のチャンスと捉え、宇城と天草の両地域が、さらに連携を深め、力強く発展していくよう取り組んでまいります。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 県では、これまで、宇城・天草地域の豊かな地域資源を生かした地元の取り組み、例えば、三角西港﨑津集落をめぐるモニターツアーや天草・宇土半島トレッキングイベントなどに、地域づくりチャレンジ推進事業により支援を行うなど、同地域の振興に取り組んできました。 先月、地元において、新しい橋の開通などに向けた天草・宇土半島観光連盟が設立されるなど、誘客による当該地域の活性化を図る機運も高まっております。 県では、ことしの夏に、﨑津集落世界文化遺産登録が期待されることから、これを絶好のチャンスと捉え、既に登録されている三角西港と登録を目指す﨑津集落などを、熊本の世界遺産として一体的にPRするとともに、登録記念イベントなども計画しています。 今後とも、地元自治体観光事業者などと連携し、宇城と天草の地域資源を広域的につなげるとともに、この地域の魅力を磨き上げ、県内外の多くの方々においでいただけるよう、取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) ただいま、知事、そして企画振興部長より御答弁いただきまして、蒲島知事からは、大矢野バイパスが5月20日に開通するということで、県内はもちろん、地元、特に天草地域の住民の皆様は大変喜ばれると思います。 また、5月12、13日と、1週間前になりますけれども、地元主催の開通イベントでは、県も全面的に支援していただくということで、大変安心して取り組めると思います。このイベントに関しては、宇城市と上天草市商工会青年部の組織で開催されますが、綱引き用の綱も、このイベント用に購入されています。毎年恒例で開催したいということも要望を受けておりますので、ぜひその辺もお願いしたいと思います。 この綱引き大会は、他県でも行われていまして、佐賀県と福岡県にまたがる天建寺橋でも、県境フェスティバル天建寺橋大綱引き大会として毎年開催されております。地域活性化のシンボルとして位置づけ、佐賀県、福岡県の相互の一層の交流を図り、地域経済のさらなる活性化を目的として毎年開催されています。地元は地元で盛り上げていこうということで、商工会青年部が発案して開催いたしますので、地域活性化のため、今後も温かく見守り続けていただければと思っております。 それと、知事には、大変お忙しいとは思いますが、このイベントの日にも、もしお時間がございましたら、お越しいただければ、地元の方も大変喜ばれますので、その辺もよろしくお願いしたいと思います。 また、企画振興部長からは、宇城・天草地域に対して、地元の取り組み支援、地域の振興に対して御支援をいただいていますが、この新1号橋の開通、また、ことし夏には、﨑津集落世界文化遺産登録が期待されていますので、このチャンスを生かし、さらなる御支援、また、質問で申し上げたように、三角西港﨑津集落は海に面していますので、海上を生かした取り組みもお願いしたいと思います。 それでは、続きまして、訪日外国人の誘客対策についてお尋ねいたします。 私は、初めての一般質問で、外国人観光客の県内各地域への誘客についての質問をさせていただきました。 最近、新聞の記事などで見かけますが、訪日外国人旅行者の消費の対象は、今までは、日本の家電や化粧品など、物消費の傾向が多く見られましたが、今後は、観光地などで体験を楽しむ、夜間の観光、飲食店で食事を楽しむなどの事消費のニーズが高まってくると重要視されています。 訪日外国人観光客数は、近年急速に増加しており、平成29年は2,800万人を超え、過去最高となっています。そこで、政府は、平成32年までの訪日外国人観光客数を4,000万人とする目標を設定しています。 熊本県では、平成28年の4月に発生した熊本地震により、国際線3路線、ソウル線、台湾・高雄線、香港線の運航を各航空会社がそれぞれ運休し、旅客数が落ち込んでいましたが、今では運航も再開し、平成29年以降は回復傾向にあると聞いております。 また、地震後に策定した観光立県推進計画でも、長期的な増加を見込み、平成31年までの外国人宿泊者数を120万人の目標設定とし、平成27年の約2倍の目標を設定されています。 そして、たくさんの外国人観光客に熊本に来ていただくことはもちろん大切ですが、見て楽しみ、食べて、飲んで楽しんでもらうことによって、リピーターになってもらうことも重要なことと考えます。 熊本市内では、熊本城、城彩苑、水前寺公園などの観光地だけでなく、町なかでも外国人をよく見かけるようになりました。外国人観光客に熊本での消費を楽しんでいただくことで、地域経済にも大きな効果があると考えます。 宇城地域でも、訪日観光客は増加傾向にあり、特に東アジア各国から多くの観光客が訪れております。しかし、公共交通機関で移動できる範囲が限られ、団体ツアーの受け入れにも限界があることから、今後は、個人手配の旅行者が増加する傾向にあると考えられます。 先ほど申し上げたように、観光業界では、家電や化粧品などの購入といった物消費だけでなく、観光地での体験を楽しんでもらう事消費にシフトする動きがあります。 特に、夜の娯楽などの夜間観光は、訪日客に需要があると見られています。私も、プライベートで香港、マカオに旅行に行きましたが、夜の観光ツアーや夜景など、いろんな楽しむプランがあり、食事も日本人が安心して行けるお店を紹介してくれるなど、事の消費を楽しめる旅行が多いと思っております。 深夜営業のパブやクラブなどが多いロンドンでは、英国全体に約4兆円の経済効果をもたらしているとも言われています。 日本でもショーや舞踊などを組み込んだツアーを開発する動きもあり、自民党の議員連盟においても、政府に対して、文化施設の開館時間延長や屋形船、花火といった日本風情を感じさせる夜の娯楽の拡充に関する提言を行われました。 しかし、一方では、鉄道やバスなどの交通機関の協力をどう取りつけていくかという課題も議論されているところであります。 現在のところ、これらの取り組みは、東京や大阪等の大都市圏を中心に動き始めていますが、熊本を初めとする地方都市では事情も異なり、同じようなスタイルで進めていくことは難しい部分もあると考えます。 地震後に開かれた県の観光復興会議で、有識者より、熊本の豊かな農林水産物を活用し、食を切り口とした観光の振興を図るべきとの提言もありました。 昼間の熊本市内では外国人観光客を見かけますが、夜の町なか、夜の飲食店などではまだ多く見かけないのが今の熊本県の現状ではないかと思います。外国人にとって、安心して気軽に立ち寄れる飲食店などがたくさんあれば、熊本の夜を必ず満喫していただけると思います。 大都市圏ほどエンターテインメントが多くない地方都市にとっても、まずは取りかかりやすい分野ではないかと考えます。 県においても、食を切り口とした事業を展開しておられると伺っていますが、具体的にどのような取り組みを行っておられるのか、また、今後どのように進めていかれるのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長奥薗惣幸君登壇〕 ◎商工観光労働部長(奥薗惣幸君) 外国人観光客の方々に、夜の観光を含め、熊本でさまざまな体験を楽しんでいただくことは、幅広い業種にわたる消費につながり、地域経済により多くの波及効果をもたらすものと考えております。 祭りや花火につきましては、従来から海外の旅行会社に商品造成を促してまいりましたけれども、食を切り口とした取り組みは、天候や時期に左右されず、年間を通して楽しめるため、大変有効なツールでございます。 そこで、県では、飲食店や旅行会社と連携し、熊本の食をテーマにした外国人観光客の誘客に今年度から取り組んでおります。 具体的には、まず、県内の飲食店の協賛を得てグルメクーポンを作成し、韓国、台湾及び香港の旅行会社に対して、そのクーポンを活用した旅行商品の造成を働きかけております。モニターツアーを実施し、旅行者の視点から意見を聞いているところであり、今後、本格的なツアーの実現に向けて取り組んでまいります。 また、海外の方々に熊本の食の魅力を広く知ってもらうため、影響力のあるブロガー等が居酒屋やバーを取材し、SNS等を通じ情報発信する取り組みも行っております。 さらに、実際に熊本を訪れた観光客に熊本の食を満喫していただけるよう、周辺アジア諸国や欧米、オーストラリアなどの方々を主なターゲットとした多言語グルメガイドを作成し、ホテル等に配布をいたします。また、スマートフォンなどでも閲覧できるよう、県の観光総合サイトにも掲載することとしておるところでございます。 今後とも、観光に携わる事業者の輪を広げ、熊本の豊かな自然に育まれたおいしい食やお酒を生かした誘客を図り、熊本での夜を楽しんでいただくことで、消費拡大と地域経済の活性化につなげてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 商工観光労働部長に御答弁をいただきまして、日本の食というのは、世界的にも食の安心、安全に取り組まれておりまして、日本食、特に和食はヘルシー、健康にもよいということで、世界でも大変注目されております。 私が海外へ行くと、特にアジアなんですけれども、屋台などでおいしそうに現地の方が食べていらっしゃるのをお見かけするんですけれども、現地のツアーガイドの方から言わせれば、日本人の方は免疫が弱いので、腹を壊すおそれがあるということで、食べないほうがいいですよと言われたこともあります。日本ではあり得ないことでございまして、それだけ日本の食、飲み物は安心、安全だということも世界から認識されていると思っております。 今アジアから来られる外国人観光客は、30代、40代の若い世代の観光客が多く来られまして、夜の楽しみで来られる方もいるとの話も聞いております。今後、多くの飲食店と協力し、外国人観光客に熊本の夜の娯楽を満喫していただき、そしてまたリピーターとして来ていただくように御支援をお願いしたいと思います。 また、国際スポーツ大会推進特別委員会で、フランス大使館のほうに訪問をさせていただきました。そのとき、委員から、ラグビーの国際大会のときに、フランスから来る観光客の方は何を期待し、そしてまた、何を準備すればいいかという質問をしましたが、大使館からは、やはり夜遅くまでお祭り騒ぎがしたいと、できるイベントをしてほしいということもお願いされましたので、このことも踏まえ、熊本にまた来たいと思うような取り組みをお願いいたします。 続きまして、熊本地震復興基金の活用状況についてお尋ねいたします。 復興基金は、国や県、市町村が実施する事業では対応できない被災者等のきめ細やかなニーズに対応するものとして創設されました。 復興基金の総額は523億2,000万、内訳といたしましては、県統一ルール分53事業のうち、市町村分が36事業で293億2,000万、県分が17事業で80億、今後広域的な課題に対応するための県分が50億、被害の大きかった市町村に配分された創意工夫事業分が100億円となっています。 このうち、創意工夫事業分に関してですが、被災市町村においては、被災者の住まいの再建に関して、受け皿としての災害公営住宅の建設は急務でありますが、その中で、災害公営住宅用地取得造成費に関しては、多額の費用がかかるため負担が大きく、一番の悩み事となっていると意見を聞きました。 建設費用に係る国庫補助率のかさ上げのほか、用地取得費用が発生する場合には、国の家賃低廉化事業が10年から20年に延長するなど、家賃収入等によって建築投資費用が回収できるものとされています。しかし、東日本大震災の被災地では、今後、災害公営住宅の退去者数の増加が懸念されているとも言われており、被災市町村では、将来的な入居者の見通しを完全に把握できない状況の中、収入確保、維持管理費用発生に不安をお持ちでありました。 そうした中で、県が、災害公営住宅用地取得造成費に関して、創意工夫事業分での活用の方向性を示したことは、心配をお持ちであった被災市町村取り組みを支援するもので、まさに一般制度の隘路を埋めるものとして国が措置した復興基金の目的を具現化したものと考えられます。 このように、創意工夫事業分については、被災市町村においてさまざまな事業の検討が進んでいると思いますが、一方で、どのように活用してよいのか、悩んでいる市町村もあるのではないかと考えます。 そのため、こうした状況を踏まえ、創意工夫事業分の効果的な事業の実施に向けて、県はどのように支援していくのか、総務部長にお尋ねします。 次に、県統一ルール分についてですが、新聞において、執行が進んでいない、また、事業ごとの活用状況にばらつきがあるなど、復興基金がうまく活用されていないといった記事を目にしました。 例えば、熊本地震自宅再建支援策として創設されたリバースモーゲージ利子助成事業は、高齢世帯を対象にした融資に係る利子分を助成する制度となっており、建物や土地を担保に資金を借り入れて自宅を再建し、生前は利子のみを返済する、その月々の負担が、利子助成によって災害公営住宅の最低家賃並みに軽減されるという画期的な制度ではありますが、昨年の11月に創設され、相談件数はまだ少ない状況だと聞いております。その理由としては、まだ十分に周知ができていないということもあると思いますが、契約者の死後、相続人が残額を返済しない場合、家や土地を手放さなければいけないということで、活用をちゅうちょされているといった面もあるのではないかと思います。 復興基金は、事業実績を受けて交付されるという制度であるため、現時点では交付額に反映していない面も多いのではないかと考えます。例えば、住まいの再建支援事業などは、これから事業の活用が本格化してくるものであり、次第に活用度が増してくるものと思われます。 今後、県としては、常に活用状況を把握し、執行が進んでいない事業があれば、何らかの対策を講じるなど、市町村での復興基金の活用が順調かつ有効に進むよう支援を行っていく必要があるのではないかと考えます。 こうした状況を踏まえ、市町村における現在の県統一ルール分の活用状況と今後の執行見込み、活用促進に向けての方策について、総務部長にお尋ねいたします。  〔総務部長池田敬之君登壇〕 ◎総務部長(池田敬之君) まず、熊本地震復興基金創意工夫事業分についてお答え申し上げます。 創意工夫事業分につきましては、被災市町村におきまして、それぞれの被災の状況や復旧、復興の計画に応じまして、事業化に向けた検討が進められているところでございます。 一方で、どのような事業に活用してよいか悩んでいるという市町村があるということも承知をしてございます。 今後とも、被災市町村からの御相談や御意見があれば、議員御紹介の用地取得造成費の活用のように、県から一定の考え方を示すなどいたしまして、創意工夫事業分を活用しやすい環境を整備してまいります。また、他の市町村の活用事例などを積極的に周知をし、情報共有を図るなど、さらなる被災市町村取り組みを支援してまいります。 次に、市町村における県統一ルール分の活用状況についてでございますが、今年度末までには、約90億円の執行が予定をされてございます。 また、熊本地震の特徴でもございます宅地復旧支援事業につきましては、本年1月末時点で約1万件の相談が寄せられておりまして、今後の復興の進展に伴い、住まいの再建支援事業なども執行が大幅に進むものというふうに考えております。 今後とも、市町村における活用状況等を定期的に把握をいたしまして、活用が進まない事業につきましては、市町村や庁内各部と連携して、事業内容の一層の周知と執行の促進に努めてまいります。 また、今定例会で提案してございます借り上げ型仮設住宅から建設型仮設住宅への移転費用助成事業の追加のように、適宜事業内容を見直すなど、市町村が円滑に事業を実施できるよう、継続的な支援に取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 総務部長に御答弁いただきまして、創意工夫事業に関しては、地元から活用しにくい事業であるという話を聞いておりました。熊本地震からの復興のための基金でありますので、何年たっても活用されないということにならないよう、引き続き被災市町村からの意見聴取を行っていただきたいと思います。また、緩和できる事業に関しては、御検討をお願いしたいと思います。 それから、統一ルール分の活用に関しては、事業に対して多少の差が出てくると思いますが、支援事業の内容が多いことから、被災者の方でもまだ十分に理解されてない方がたくさんおられますので、漏れのないよう、引き続きより一層の周知をお願いしたいと思います。 それでは、続きまして、熊本地震関連等の災害復旧工事の件について質問いたします。 熊本地震の発生から、間もなく2年が経過しようとしています。この間、県内の建設業団体の皆様には、本格化する復旧・復興工事に全力で取り組んでいただいています。 思い返せば、熊本県、各市町村ともに、発災後、災害状況確認、道路啓開、緊急性を伴う膨大な応急復旧への対応、災害瓦れきの撤去、被災者支援物資の緊急輸送など、みずから被災をされている中に大変な御苦労をされました。 さらには、6月の梅雨前線豪雨により、地震で地盤が緩んでいたこともあり、宇城地域では、地区によっては地震よりも豪雨被害がひどく、国道57号や国道218号など主要道路が至るところで通行どめになり、地震による災害復旧工事の進捗にも支障をもたらすなど、地震関連の大災害に見舞われました。 このような中、本格的な災害復旧工事が始まりましたが、本県の建設産業を取り巻く環境は、震災発生前まで長年にわたり続いた公共投資の減少、競争の激化等による利益率の低下で、建設業従事者の減少等が見られるように、地域社会を支えてきた建設業者が疲弊しております。また、少子高齢化の進展とともに建設業従事者の高齢化と若年入職者の減少が進み、技術や技能の継承、さらには将来的な品質確保が懸念されるなど、厳しい状況にあります。このような状況で、不調、不落も発生し、早期の復旧・復興工事も大変懸念されておりました。 県においても、何度となく建設業団体からの意見聴取や要望などを受け、復旧・復興工事を一刻も早く進めるために、入札契約制度の見直しについても取り組まれてきました。 例えば、復興JV制度の導入や発注ロットの拡大や県内全域を対象にした一般競争入札の導入、応札者が1者の場合の取り扱いの見直しなど、一昨年10月以降、順次、3回にわたって制度改正が行われ、建設業界の受注環境の改善が行われてきました。 こうした取り組みをされた結果、県工事における不調、不落の発生率も、年度当初の4月には44.4%であったものが、少しずつ下がっており、本年1月末現在では14.8%となっています。 しかしながら、発注件数が多くなる年度末に向けて、さらに対策を強化するため、去る2月15日から、土木一式のA2ランク工事のうち、不調・不落対策の観点から優先度の高いと判断される工事について、初回から県内全域を対象にする4回目の制度改正が行われたものと聞いております。 進捗状況を見てみますと、県と市町村における災害復旧事業と災害復旧関係事業を合わせた事業のうち、平成29年3月末で、工事費ベース発注済みが約31.3%、工事完了したものが約4.3%でありました。それから、平成29年9月末で、発注済みが約44.5%、工事完了が約12.9%と推移しております。 道路や河川といった公共土木施設の災害復旧事業は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により、政府は、災害の発生年を含む3カ年で完了することができるように必要な財政措置を講ずるものとされていますが、ことしの4月には発災から3年目を迎える中で、復旧・復興工事の進捗が気になるところでございます。 そこで、県における災害復旧工事等の進捗状況はどうなっているのか、また、発災からもうすぐ3年目の平成30年度を迎えますが、今後の見通しについて、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長手島健司君登壇〕 ◎土木部長(手島健司君) 熊本地震等の被災箇所を復旧するには、議員御紹介の国が3カ年にわたり予算措置する原形復旧のための災害復旧事業と、規模が大きく、一定の計画に基づき整備を進める災害復旧関係事業があります。 まず、災害復旧事業の進捗状況と今後の見通しについてお答えします。 県の土木部と農林水産部を合わせた全体工事費は約612億円ですが、平成29年12月末時点の発注済み額は約416億円です。発注率であらわすと約68%、そのうち工事が完了した完了率は約22%となっており、今年度末には、発注率が約70%、完了率が約27%となる見込みです。 来年度以降も多くの工事が残りますが、発災年から3年目となる来年度末までに、大切畑ダムの災害復旧事業を除き、ほぼ全ての工事を発注し、完了率90%を目指してまいります。 次に、災害復旧関係事業の進捗状況と今後の見通しについてお答えします。 県の土木部と農林水産部を合わせた全体工事費は約412億円ですが、平成29年12月末時点の発注済み額は約177億円です。発注率であらわすと約43%、そのうち工事が完了した完了率は約3%となっており、今年度末には、発注率が約57%、完了率が約7%となる見込みです。 災害復旧関係事業は、事業規模も大きく、期間が3年から5年と長期に及ぶ事業もあることから、来年度中に発注できない工事もありますが、計画的に事業を進め、来年度末までには発注率80%、完了率75%を目指してまいります。 これから来年度末にかけて、まだ多くの工事を実施する必要がありますが、建設業界等と連携し、計画的な工事発注と早期の工事完成に向けて全力で取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 土木部長より御答弁いただきました。 建設業団体から意見聴取をしていただきまして、要望を聞き入れていただいて、4回にもわたり制度改正をしていただいたということは、大変感謝しております。 発災当初は、3カ年でというのは大変厳しいと思っておりましたが、災害復旧事業においては、大切畑ダムを除けば、来年度には終了する見込みということで、安心しております。大切畑ダムに関しましては、調査、復旧工事に時間を要することはわかっていましたので、地元の住民の方が安心して住めるように復旧していただきたいと思います。 また、復旧工事においては、不調、不落が発生しましたが、一番は人手不足が原因だと思っております。 今後、被災者生活再建に向けて、自宅の再建、そして災害公営住宅建設が行われます。そのほかに、また新しい熊本駅ビルの建設、そして桜町再開発、熊本空港のターミナルビル建てかえなどで、今後、建築業の人手不足、あと資材等が不足するというのが心配されていますので、私たちは、本当、被災者の生活の再建が重要でございますので、これまでの教訓を生かして取り組んでいただきたいと思っております。 それでは、最後の質問に移ります。 農作物の鳥獣被害対策についてお尋ねいたします。 昨年の11月議会において、西山議員が鳥獣被害について質問されましたが、同じ宇土半島において、地域は異なりますが、私の選挙区であり、生まれ育った三角町は、数年前までは鳥獣被害がほとんど発生していない地域でした。 しかしながら、近年、後継者不足などから、かんきつ園や田畑等が耕作放棄地になり、収穫されるべき果実や作物が収穫されることなくイノシシ等の餌となり、同時に、イノシシ自体の活動範囲を拡大させています。 また、農家の方々が管理されている未収穫の果樹、野菜等まで食べられ、被害が大変深刻な問題となっております。三角町における捕獲頭数も、平成27年度は111頭、平成28年度は269頭、本年度は、本年の1月時点で既に500頭を超えており、わずか2~3年ではありますが、イノシシの数自体も急増の一途をたどっております。 同じく、中山間地域が存在する美里町では、イノシシのほか、鹿や猿といった被害もふえてきており、私も、先日、昼間に美里町の自宅の近くでイノシシを見かけることがあり、住民への被害も大変心配されるところであります。 宇城地域では、平成27年度の野生鳥獣による農産物の被害額は9,493万、前年度比からすると182%で、県でも2番目に被害が大きい地域となっております。 こういった被害を踏まえ、地域住民も指をくわえて見ているばかりではありません。私の知人でもあり、三角町で農家をされている方が、イノシシ被害から地域と畑を守りたい、自分たちの畑は自分たちで守るしかないという理念のもと、若い農家の仲間で、くまもと農家ハンターを立ち上げ、イノシシ対策に奮闘しております。 この農家ハンターは、イノシシの食害が深刻化する一方で、狩猟者の高齢化も進み、被害者でもある農家自身が立ち上がろうという思いを強くして結成されたものであります。メンバーは、現在、県内に約80人、活動としては、箱わなを活用したイノシシの捕獲、箱わなの設置ができるようになるための狩猟免許取得推進、耕作放棄地や家庭から出る生ごみを餌場にさせないイノシシ対策の啓発活動、捕獲したイノシシの肉、いわゆるジビエの活用推進、古民家などで活動報告や勉強会、セミナーを開催し、ハンター仲間をふやすといったことを行っています。 こうした中、私の地元でもあります三角町で、JA熊本うき三角地区鳥獣害対策本部が設置されました。これまでいろんな対策を講じられてきましたが、被害軽減までには至っていない状況でしたので、JAが主体となり、生産部会、有識者、市、県等の協力のもと、イノシシを中心に鳥獣被害対策をさらに強化するため、また、総合的かつ地域ぐるみで被害対策の検討と実施を図るために設立されました。 この有識者の中には、猟友会、また、先ほど紹介しました農家ハンターのメンバーも加わり、これまでの経験を生かし、指導や活動の報告などを行っています。 これら農家ハンターとしての活動は、ボランティアとしての活動で、例えば箱わなは、安くても1基5万円と高額で、捕獲率アップ及び見回りの負担を軽減するため、スマートフォンへの通知機能を持つ最新のIoTセンサーカメラなど、簡単に導入することが難しい状況にあります。 現在は、多くの皆様に共感していただき、クラウドファンディングを使い、何とか活動を続けておられますが、この先、農業との両立を図りながら、仲間を募り、ボランティアとして活動できるのか、不安もあります。 そこで質問いたします。 県内全域で農家ハンターとしての活動を広げるに当たり、今後、箱わなの設置ができるようになるための狩猟免許取得推進等のハンターの担い手育成について、どのようにお考えか、また、県が進めている先月の強化月間を含めた「えづけSTOP!」対策及び鳥獣肉のジビエとしての利活用においても農家ハンターとの協力が必要だと考えますが、どのようにお考えか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 2点お尋ねをいただきました。 まず、1点目のハンターの担い手育成についてお答えをいたします。 全国的に狩猟者が高齢化などで減少する中、野生鳥獣による農林業被害はなかなか減らない状況にありまして、野生鳥獣を捕獲するハンターの育成、確保は急務でございます。 こうした中で、議員から御紹介をいただきましたとおり、若手の農業者が農家ハンターを組織され、自分たちの力で有害鳥獣の被害から農作物を守る活動を始められたことは、とても心強い動きでございます。 県としても、これまで狩猟免許試験の回数や会場をふやすとともに、農家ハンターの要請に応じまして、免許取得のための講習を行うなどの取り組みを行ってまいりました。 その結果、この3年間、県内の狩猟免許所持者は、全体として横ばいの中で、若手農業者は1.2倍に増加をしてございます。 自衛と地域貢献を志して活動される若手農業者は、これからの捕獲の重要な担い手になるものと期待をしておりまして、今後も、狩猟免許取得の推進や捕獲技術の研修会などを継続して実施をいたしまして、担い手の育成、確保に努めてまいります。 2点目の県の取り組みと農家ハンターとの連携についてお答えをいたします。 まず「えづけSTOP!」の取り組みでは、農家がみずから農作物を守るという気持ちと行動が最も重要でございまして、農家ハンターの理念と一致をいたします。 先月の強化月間では、えづけSTOP!キャラバン隊を県で組織しまして、初日の2月1日の宇城市三角町を皮切りに、各集落の点検や侵入防止柵などに係る勉強会を行います現地巡回指導を20回以上実施をしてまいりました。 加えて、2月5日には、キックオフ集会として宇土市で開催をさせていただきまして、このいずれの際にも農家ハンターの代表に出席をいただき、既に連携をスタートさせております。 また、今後「えづけSTOP!」の取り組みを拡大していく中で、県としては、講習を受けるなどして、一定の技量を取得した方を推進員として認定し、指導者として活動してもらう計画を持っております。ここでも、農家ハンターと連携、協力していきたいと考えております。 さらに、ジビエの利活用では、捕獲したイノシシなどを貴重な地域資源と捉え、くまもとジビエコンソーシアムを立ち上げ、国のモデル事業を活用して、利用拡大に取り組むこととしています。このコンソーシアムにも農家ハンターに御参画をいただき、また、ジビエの供給源としての役割も同時に期待をしてございます。 今後も、さまざまな場面で農家ハンターとしっかり連携をしてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 農林水産部長に御答弁をいただきまして、今ではイノシシは3倍にふえて、狩猟者は半分に減っているとも聞いております。農家ハンターの活動は、今後九州でもモデルの組織になっていくと考えられますので、この組織に加入しているメンバーは、農家をされている方で、全く鳥獣被害に遭ってない方もたくさんおられると聞いています。もう本当に純粋に、鳥獣被害により、ほかの農家の方が離農してほしくないという気持ちの方ばかりでございます。 また、捕獲したイノシシの処理は、思った以上に大変だとも聞いております。今は、猟友会の方の協力もあり、何とかできておりますが、今後ますます増加した場合、対応できるか不安も抱えていますので、農家ハンターの意見などを聞いて、引き続きの御支援をよろしくお願いいたします。 これで私の質問を終わらせていただきます。少し時間が余りましたが、この後、メタボ脱出の会の会員の岩本先生と、午後からは会長でございます池田先生が一般質問をされますので、バトンタッチをしたいと思います。 それでは、これをもちまして私の一般質問を終わらさせていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○議長(岩下栄一君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時56分休憩    ――――――○――――――  午前11時9分開議 ○議長(岩下栄一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩本浩治君。  〔岩本浩治君登壇〕(拍手) ◆(岩本浩治君) 皆さん、おはようございます。3回目でございますが、年に1回しかこの壇上に立ちません。やはり緊張します。阿蘇市選出・自由民主党・岩本浩治でございます。 今回も、2年近くになります阿蘇を襲った未曽有の大地震、それの災害について質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。また、阿蘇郡選出の河津先生も前回質問をされました。そういう中で、やはり阿蘇地域の観光、農業、全産業が、阿蘇地域にとっては一日も早い復旧、復興を求めておるわけでございます。 それではまず、阿蘇地域の観光振興についてお尋ねいたします。 先週の2月28日、阿蘇中岳第一火口見学が再開されました。平成26年8月30日以来3年6カ月ぶりに、この阿蘇火口のダイナミックな風景と生きている阿蘇を堪能できるようになりました。熊本地震、中岳の爆発的噴火により落ち込んだ観光客をどう呼び戻すか。大きな観光素材の復活に大変喜んでいるところです。今回の復活になるまで、関係者の御努力にまずは感謝を申し上げる次第でございます。 さて、熊本地震の発生から、やがて2年を迎えようとしております。阿蘇地域においては、国道57号やJR豊肥本線、数多くの観光資源や宿泊施設等において甚大な被害が生じました。県を初め関係各位には、精力的に取り組みを進めていただいております。 熊本地震は、地域住民の生活はもちろん、観光客の減少に伴い、甚大な経済損失をもたらしました。 県では、阿蘇くじゅう国立公園満喫プロジェクトを、阿蘇の創造的復興の柱として、草千里展望所の整備や山上給水施設の復旧、阿蘇駅から草千里に至る登山道路への牧柵の整備、新たなトレッキングコースの設定、整備等、早期復興の実現に向けて取り組んでいただいております。 また、阿蘇山上観光の拠点施設である阿蘇火山博物館においては、平成29年10月にグランドオープンされ、阿蘇や火山に関する調査研究、教育普及が再開されており、グランドオープン後の11月には、県が阿蘇市と連携して取り組んだ熊本地震から学ぶ学習プログラムの一つ「火山と共存する阿蘇人(あそもん)から学ぶ防災」プログラムを東京の高校生130数名の修学旅行生が受講に来られました。次年度以降も、関東、関西から、このプログラム受講に訪れることが決定していると聞いております。 今後は、7月ごろには火口カメラの再開、平成30年度中にはビジターセンターの設置が予定され、天候に左右されない山上観光プログラムの実現が加速化していくものと考えております。 さて、県議会経済環境常任委員会では、昨年11月、熊本地震と中岳噴火後の阿蘇地域の観光の状況について、中岳火口の現地調査と阿蘇管内の観光関係者との意見交換会を行いました。 意見交換では、国道57号とJR豊肥本線が地震で寸断している影響もあり、団体客が激減している状況や、2019年のラグビーワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権大会や2020年東京オリンピック・パラリンピックなどでの誘客に対する不安、また、阿蘇管内の観光協会が連携して、2019年、2020年を大きな目標に阿蘇管内への誘客策に取り組み始めることなど、貴重な意見をいただきました。 県議会としては、阿蘇は熊本観光のかなめであることからも、一日も早く地震からの復旧、復興が終わったと思える状態をつくれるよう支援していく考えを示していただいております。 そこで、阿蘇地域に通じる道路等の復旧状況に長時間を有する状況下において、阿蘇地域への観光客の誘客についてお尋ねします。 阿蘇地域への観光客の誘客には、県全体の活力を支え、かつ、牽引する役割を担っている阿蘇くまもと空港を拠点として、阿蘇地域を周遊させることが効果的と考えています。 このため、阿蘇地域にある世界的に有名なカルデラ火山を含む豊かな自然のジオパーク、歴史的文化遺産、さまざまな泉源があります趣向を凝らした温泉地、郷土料理と酒と水、自然体験など、阿蘇の魅力を盛り込んだ阿蘇地域を周遊する定期観光ルートの開発が必要と考えますが、観光ルートの開発についてお尋ねします。 次に、地震等により被災した阿蘇山ロープウエー等の施設の復旧について、県の対応をお尋ねします。 冒頭申し上げましたとおり、先週火口見学が再開しましたが、火口を見学するためには、阿蘇山上広場から阿蘇山公園道路または阿蘇山ロープウエーを利用することになります。阿蘇山ロープウエーは、阿蘇山西駅から火口西駅まで、約90名の定員で運行されていましたが、熊本地震と平成28年10月の爆発的噴火により甚大な被害を受け休止中のため、中型の代行バスによる輸送が行われています。 大型バスによる団体客は、この区間を大型バスが通行できないため、中型の代行バスに乗りかえる必要があり、大型バスが一度に5~6台も来れば、火口底を間近に見ることは時間的に不可能に近く、一度に90名が乗車できる現在のロープウエーの活用が効果的と考えます。 八代港に入港する外国クルーズ船からは、多くの観光客が大型バスにより県内の観光地を訪れていますが、乗船客の観光ルートの一部には、草千里を目的としたコースもあることから、再開した火口見学をコースに追加していただく可能性もあるのではないかと思われます。 また、ロープウエーの火口西駅は、地震と噴火により被害が大きく、立入規制がとられていますが、環境面、衛生面、危険性等から貴重な火口の景観を損なっていると思います。 阿蘇山ロープウエー関連施設は、民間事業者の所有になりますが、約3年半ぶりの火口見学再開により多くの観光客が訪れることから、早急な復旧が必要と考えます。県として、復旧に対してどのような対応を行っているのでしょうか。 以上2点について、商工観光労働部長に答弁をお願いします。  〔商工観光労働部長奥薗惣幸君登壇〕 ◎商工観光労働部長(奥薗惣幸君) 2点質問をいただいております。 まず、観光ルートの開発についてお答えをいたします。 阿蘇観光の創造的復興の実現には、多様化する旅行ニーズに対応できるよう、既存の観光資源のPRと新たな魅力の創造の両面からのアプローチが必要と考えております。 PRにつきましては、インバウンドを初め観光客の利便性向上に向け、阿蘇くまもと空港などから阿蘇地域へスムーズにアクセスできますよう、バス時刻表のパンフレットを4カ国語で作成をいたしました。また、周遊性を高めるため、阿蘇の観光スポットをめぐるモデルコースを紹介する特典つきのガイドブックを発行したところでございます。 今後とも、阿蘇を身近に感じてもらい、楽しんでいただけるよう、最大限にPRをしてまいります。 また、観光客を呼び込む新たな仕掛けづくりも必要でございます。現在、阿蘇を初め各地域で、市町村や観光事業者等と連携をいたしまして、感動を体験できる新たな観光ルート・くまもと感動物語の開発を進めております。 阿蘇では、世界に誇る雄大な自然を生かし、例えば、夜の草原を馬でめぐりますホーストレッキングや外輪山に沈む夕日と満天の星空を満喫するナイトハイクなど、新たな体験プログラムの造成に取り組んでおるところでございます。 近くモニターツアーを実施し、その結果をもとにプログラムの磨き上げを行い、新たな観光ルートを開発することで、阿蘇観光の魅力向上を推進してまいります。 次に、2点目の阿蘇山ロープウエー等の施設の復旧への対応についてお答えをいたします。 阿蘇観光の復活には、火口見学の再開が一番の起爆剤でございます。先月28日に再開された後、現在は一時的に規制がかかっておりますけれども、中岳火口見学エリアでは、国や阿蘇市において復旧工事が継続されております。山上のロープウエー火口西駅舎につきましても、事業者により景観に配慮した安全柵が設置され、4カ国語の案内板で立入禁止を周知するなど、安全対策が行われており、火口見学の受け入れ体制は整ってきております。 ロープウエーは、議員御指摘のとおり、阿蘇山上の観光に重要な役割を果たすと考えておりますけれども、施設の復旧は、現在、事業者が今後の方針を検討されている段階でございます。 県といたしましては、グループ補助金の活用を含め、引き続き丁寧に対応してまいりたいと思っております。 熊本観光にとりまして、阿蘇の再生は不可欠でございます。地震により傷ついた熊本観光の立て直しのため、粘り強く阿蘇地域の観光振興に取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕
    ◆(岩本浩治君) ただいま商工観光労働部長より、阿蘇観光振興について答弁をいただきました。 阿蘇が、観光において一日も早く復興するのではないかというふうに思うわけでございます。阿蘇地域の特徴は、世界最大級のカルデラ地形の景観と、活発な活動を続けているにもかかわらず、火口底が間近に望める中岳に火山が生み出す雄大な自然を感じるわけでございます。 先月の2月28日、山上規制解除のオープニングセレモニーに出席いたしました。28日は、濃霧と寒さとそして規制で火口底には上がれませんでしたが、阿蘇の自然のすばらしさは、その自然が与える十分な雄大さではないかというふうに感じた次第でございます。 規制解除で熊本地震からの観光復興の起爆剤になるということで、火口見学再開に合わせて、山上民間事業者の皆さんも一丸となり、阿蘇山上観光の魅力創出に取り組んでおられます。 運休中の阿蘇山ロープウエーにかわる代行バスとして、阿蘇山西駅から火口西駅まで、阿蘇山ループシャトルが運行され、新たにくまモンのラッピングバスが導入されておりました。このラッピングバスを見た人、乗った人しか実感がわからない、すばらしいラッピングバスでございます。 ぜひ阿蘇に来ていただいて、山上事業者の方々が運行しますこのラッピングバスを利用していただき、そして、火口見学がどんなにすばらしいものか、ぜひ体験をしていただければと思っておるわけでございます。この特別仕様バスは、見た人しかわからない、県もすばらしいことを考えたなと思った次第でしたが、これは山上事業者がしたそうでございます。 ただ、答弁によりますと、九州各県から阿蘇へのバスアクセス「阿蘇へGO!バス時刻表」による情報及び阿蘇の観光スポットを紹介してあります時刻表の配布や、阿蘇地域へのバスによる特典つきガイドブック「くまもとりっぷ阿蘇」等、県も誘客に向けての企画に取り組んでいただき、阿蘇観光の創造的復興も、爆発的噴火前以上になるのではないかと考えておる次第でございます。 ただ、残念ながら、3月3日には、中岳特有の孤立性微動、火山性地震が多い状態が続いておりますために、再び規制になりました。これも、先ほど申しましたように、生きている山、活動している山、大自然の山、これが阿蘇山の特徴であり、魅力であると思います。 それでは、次の質問に入らせてもらいます。 阿蘇地域の農地の創造的復興の状況について質問をさせていただきます。 阿蘇市には、阿蘇土地改良区と一の宮町土地改良区の2つの改良区があり、阿蘇土地改良区については、熊本地震からの復旧工事、阿蘇14工区、17工区において、全国的にも例がない農地被害の対応をしていただいております。 また、一の宮町土地改良区については、小規模農業用水路、農道の早期復旧支援事業の基金事業の有効活用の御指導により、概算事業費1,300万の事業が、土地改良区理事長初め役職員の農業者の方が一体となった自力復旧工事作業により、実質800万程度の事業費で完了見込みとなりました。地元負担の軽減にもつながったことと、二次災害にならなくて、阿蘇、一の宮町土地改良区の両土地改良区より、ひとえに熊本県の御配慮のたまものであると、ぜひ、この両土地改良区から、県に対してお礼を申し上げていただきたいということでございますので、この場をかりましてお礼を申し上げます。 さて、熊本地震から2年が経過しようとしていますが、発災直後の農地や用排水施設の現状を目の当たりにし、営農再開がいつできるのか、全く見通しがつかない状態で、ただただ唖然としたことを覚えております。 しかし、現在、この阿蘇市阿蘇谷においても、農地及び農業用施設の復旧工事が今まさに最盛期を迎え、阿蘇の再生への息吹を感じているところでございます。 私は、昨年の2月議会において、阿蘇地域の農地の創造的復興についてということで、農地や農業用施設の復旧について、特に被害が甚大であった阿蘇市西部の14工区、28ヘクタール、17工区、40ヘクタールの被災した農地の復旧の取り組みについて質問をしました。 農林水産部長から、阿蘇市14工区の狩尾地区、17工区の的石地区において、県がみずから事業主体となって復旧を進めていくこと、また、その具体的な手法とスケジュールについて御説明をいただきました。 この中で、この地区を単に原形復旧で戻すだけでなく、あぜを撤去するなどして農地の大区画化を図り、作業効率の向上、さらには担い手への農地集積が図れるなど、競争力の強化につながる創造的復興のモデルとして取り組むとの心強い回答を得ることができました。 その後、県が作成した熊本地震からの復旧、復興の道筋と目指す将来像を示した平成28年熊本地震からの復旧・復興プランに沿って、豊富な経験や農業土木職員を有した県みずから確実に復旧工事を進めていただいております。農家を初め関係者も心強く、また、勇気づけられ、営農に向けて前向きになることができました。 しかし、現在、県全体において、阿蘇市全般の災害復旧事業工事においても不調、不落が発生しております。 また、今年の気候は、気象庁の発表では、現在ラニーニャ現象が影響し、冬は西高東低の気圧配置が高まり、阿蘇市はたびたび大雪及び低温に見舞われております。 その結果、現在実施している復旧工事においても、現場での稼働日数が例年に比べ特に少なくなっており、計画どおり工事が進むのか、本年度の水稲作付ができるのか、また、地割れや段差などの大規模に陥没した農地が、1年で本当にもとどおりになるのだろうか、復旧し、営農を再開しても、再び農地が陥没するのではないだろうか、再び農地が沈下した場合、その復旧はどうするのかという不安の声が農家の方々から上がっております。 この不安を大きくしているのは、阿蘇ジオパークのホームページで、阿蘇の雄大な景観をもたらす阿蘇カルデラは、約27万年前に阿蘇火山が誕生し、以後活発な火山活動を繰り返し、明瞭な陥没地形を見ることができる今のカルデラは、およそ9万年前に大規模な火砕流噴火を伴って形成され、カルデラ湖だった時代に堆積したと見られる軟弱な粘性土が厚さ数十メートルにわたって存在していると考えられているからです。 このことは、昨年の11月19日に、公民館で、地質や地下構造などの専門家グループが、阿蘇の大規模陥没の原因は活断層ではない、カルデラ地質特有の軟弱な地盤構造による可能性が高いと中間報告をしております。このため、この地割れや段差などの大規模に陥没した農地の復旧後、少し沈下する可能性もないとは言えません。 そこで質問ですが、阿蘇市の農地を競争力の強化につながる創造的復興のモデルとして取り組んでいただいておりますが、進捗状況は現在どうなのか、また、農地の大規模な陥没を復旧した後に営農できないような沈下が再度発生した場合の対応について、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 2点お尋ねをいただきました。 まず、1点目の進捗状況についてお答えをいたします。 広範囲な地割れや陥没が発生をいたしました阿蘇市西部の農地につきましては、県が事業主体となって創造的復興のモデルとして現在取り組んでおります。 昨年2月から順次工事を発注してまいり、この間10回の入札不調や不落が発生したものの、発注ロットの見直しや復興係数、復興歩掛かりの導入など、改善策を講じました結果、昨年の8月までに全ての工事を発注することができました。 その後、議員からも御紹介いただきましたとおり、雪や低温により工事ができない日もございましたが、狩尾地区の14工区については、ことしの4月末に、また、的石地区の17工区については、ことしの5月末に工事を完了し、ことしの米づくりが再開できるように進めております。 なお、創造的復興の観点から、農地へ客土をしたり、あぜを撤去するなどして、大区画圃場は、被災前の12ヘクタールから、復旧後は31ヘクタールへ広がる予定でございます。 また、関係農家に対しましては、集落説明会や文書の配付を通して営農が再開できる時期を周知徹底しておりまして、主食米やWCSなどの作付が、計画的かつ円滑に進められるよう支援しております。 今後も、一日も早い工事の完了を目指すとともに、工事の進捗状況をきめ細かく情報提供するなど、着実に営農が再開できるよう支援してまいります。 次に、2点目の農地の沈下についてお答えをいたします。 地元に不安の声があることも踏まえ、県としては、できる限り沈下しないよう、工事に当たって、まず1つは、客土の選別や入れ方、2つには、定期的な沈下の度合いの測量など、施工業者と綿密に打ち合わせを行いながら施工をいたしております。 それでも、万が一復旧した農地が再度沈下した場合には、その状況に応じまして、本年10月以降に行います暗渠排水の復旧工事とあわせて、再び客土を実施することとしております。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) ただいま、阿蘇地域の農地の創造的復興について、農林水産部長より御答弁いただきました。 阿蘇土地改良区は、約2,833ヘクタール、農業者2,155人、一の宮町土地改良区は、約892ヘクタール、農業者845人、それぞれの専業農家平均年齢が65歳を超えております。 この地域は、土地改良区を初め農家の方々が一体となり、非常に営農意欲が高い地域であります。 県が事業主体となって復旧に取り組んでいただいておる狩尾地区の14工区については来月末に、的石地区の17工区は5月末に工事を完了し、被災農地については、今年は作付できるということが、ただいま回答をいただきました。 また、農家の方々が心配しております復旧後の地盤沈下に対しても、発生した場合には、県が再度客土工事を実施するという答弁をいただきました。また、その状況に応じては、本年10月以降から施行予定の暗渠排水の復旧工事にあわせて、再度客土を実施するとのことで安心をいたしました。 さらに、創造的復興の取り組みとして、農地の客土やあぜを撤去するなどして、被災前の12ヘクタールから、復旧後は31ヘクタールの大区画圃場がふえるということで、営農の省力化など、地域農業のさらなる発展につながるものと期待をしておるところでございます。 今回の災害は、これまで経験したことのない地震災害であり、その後の余震や降雨により災害が拡大しているところもあると聞いております。県で復旧してもらっている以外は、阿蘇市や土地改良区が、それぞれの能力を最大限に発揮し、地元の農家とともに復旧、復興に取り組んでおられますが、これまでの災害では想定できないような事態が今後も発生するのではないかと危惧しております。そのときは、引き続き、県による御指導、御支援をよろしくお願いしたいと思います。 次の質問に入りたいと思います。 阿蘇地域の交通インフラの復旧について質問をさせていただきます。 熊本地震で被災した道路や橋梁、河川などの早期復旧は、阿蘇地域の観光、農業、畜産、商業、産業の全てにおいて、生活再生及び地域経済の浮上に不可欠なものであります。 特に阿蘇地域では、国道57号や国道325号等の主要道路の崩壊により、経済基盤に多大な被害の発生を見ました。 地震発生より2年近くたちますが、早期復旧に全力で取り組んでいただき、県道熊本高森線俵山トンネルルート、村道栃の木立野線長陽大橋ルートの開通、また、国道57号北側復旧ルート、阿蘇大橋ルートの平成32年の全線開通の目標が示されるなど、阿蘇の主要ルートの復旧は着実に進んでいると思われます。 また、熊本観光のかなめであります阿蘇山上に直接つながる県道阿蘇吉田線、通称南登山道の開通、県道阿蘇公園下野線、通称北登山道の復旧見通しなど示されました。 大規模災害を見据えた災害時における九州の縦軸、横軸の多重性確保と循環型高速ネットワークのミッシングリンク解消を図るため、中九州横断道路や九州中央自動車道、南九州西回り自動車道等の迅速な復旧、復興に向けた整備促進も進んでいます。 そこで、国道57号は、大分から竹田、阿蘇、熊本市、島原、諫早を経由して長崎に通じる九州を横断する一大路線でありますが、阿蘇の玄関口である阿蘇大橋地区の大規模斜面崩壊部とそれより東の大分側と西の熊本側と3カ所で大きく被災し、流通経路の寸断により九州全域の経済に影響を及ぼし、さらに、世界有数の観光地阿蘇への進入路として年間1,000万人の観光客の経路で、観光経済への影響ははかり知れないものがあります。 国道57号は、阿蘇地域の全住民の生活及び地域経済の浮上に欠かせない重要道路ですが、国道57号現道についての復旧状況の情報提供が少なく状況がつかめないために、57号の復旧を諦めかけている阿蘇地域の住民の方がふえております。 一方、国においては、国道57号やJR豊肥本線の早期復旧に向けて、有識者から成る阿蘇大橋地区復旧技術検討会を設置し、検討されていると聞いております。 そこで質問ですが、国道57号の早期復旧に向け、阿蘇大橋地区復旧技術検討会の検討状況と現在の復旧状況及び今後の見通しについて、土木部長にお尋ねします。 次に、JR豊肥本線についてですが、熊本地震及びその後の豪雨災害により鉄道施設が大きな被害を受け、特に被害が大きかった肥後大津駅から阿蘇駅間では、現在も運休を余儀なくされております。 阿蘇市方面から大津・熊本方面へ通学する学生約170名と熊本・大津方面から阿蘇市方面へ通学する学生約40名は、JR九州が運行する通学支援バスにより通学の足が確保されていると聞いております。 また、阿蘇を経由し、熊本、大分を結ぶ特急バス「やまびこ号」は、現在1日8便まで増便され、豊肥本線にかわる阿蘇方面への公共交通手段として、観光客等の利用もふえておると聞きます。 同じく、熊本地震で被災しました一部運休中の南阿蘇鉄道については、昨年、復旧期間5年、約70億の復旧費という見通しが国から示され、今般国の支援が決定し、3月3日には、全線復旧を目指し、復旧工事に着手されたところです。 一方、豊肥本線については、JR九州からまだ復旧の見通しは示されておりません。地元では、工事の進捗状況もわからないため、本当に豊肥本線は復旧されるのか、不安を感じている住民の方も多くいらっしゃいます。 豊肥本線は、阿蘇地域の住民にとって、通勤通学、通院等になくてはならない路線であり、阿蘇の観光にも重要な役割を果たしてきました。熊本地震の前には「ななつ星」や「あそぼーい!」等の観光列車が走り、多くの旅行者が阿蘇を訪れていました。一日も早い豊肥本線の復旧を望んでおります。 そこで、JR豊肥本線について、JRや県における復旧に向けた現在の取り組み状況について、企画振興部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長手島健司君登壇〕 ◎土木部長(手島健司君) まず、阿蘇大橋地区復旧技術検討会での検討状況についてですが、有識者に諮りながら復旧に向けた検討が進められており、昨年11月10日に第6回が開催されています。 第6回では、国道57号の被災箇所のうち、大規模に斜面が崩壊した斜面崩壊部とその前後2カ所の道路決壊部、計3カ所について検討されました。 斜面崩壊部のうち、もとの道路よりも山側については、斜面中腹部の堆積土砂の除去作業は順調に進んでいることが国から報告され、今後の施工手順が確認されました。 一方、川側については、地質調査結果から擁壁施工が可能と判断され、国から、工事に着手することが示されました。 また、2カ所の決壊部については、国から、豪雨等による風化、侵食による既設構造物への影響をモニタリングすることが示され、実施することが確認されたところです。 次に、復旧状況についてですが、検討会において確認されたことを踏まえ、斜面崩壊部については、斜面上部の対策工事とあわせて、川側の擁壁工事に昨年11月から着手されました。 また、2カ所の決壊部については、昨年4月から始められた決壊防止工事とあわせ、モニタリングが実施されています。 しかしながら、黒川河岸ののり面対策方法、復旧範囲等は、検討会に諮りながら工事が進められており、今後も検討が必要なことから、現時点では見通しが立たず、国から工事完成時期は示されておりません。 県としましては、阿蘇地域の皆様の生活に欠かせない国道57号、特に現道の一日も早い復旧を、引き続き国に要望してまいります。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) JR豊肥本線の復旧に向けた取り組み状況についてお答え申し上げます。 豊肥本線については、阿蘇大橋地区の大規模崩壊箇所を初め、沿線に十数カ所に及ぶ多数の斜面崩壊があり、鉄道復旧工事の前提として、斜面の安全対策が不可欠です。そのため、国及び県において、治山事業や砂防事業を先行して実施しているところです。 また、県においては、庁内関係課とJR九州間で協議の場を設け、それぞれの復旧工事が円滑に進むよう、技術的課題の整理や事業調整等を鋭意進めているところです。 鉄道復旧の主体となるJR九州においても、昨年4月、豊肥本線復旧事務所を大津町に設置し、全線復旧に向けて工事を進めているところです。 現時点では全線復旧の時期は未定ですが、豊肥本線は、阿蘇地域住民の通勤通学等、生活に必要な交通手段であることに加え、観光客にとっても阿蘇への重要なアクセスルートであります。 県としても、可能な限り早期の全線復旧を目指し、引き続きJR九州等としっかり連携して取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 57号線につきまして、土木部長より答弁いただきました。 国道57号は、阿蘇地域の全住民の生活及び地域経済の浮上に欠かせない重要道路でございます。復旧に向けた取り組み状況等の情報提供がなく、57号北側復旧ルート、トンネルで57号現道はなくなるのではないかと諦めている住民の方がふえております。 答弁で、阿蘇大橋地区復旧技術検討会が、昨年11月、第6回目が開催され、斜面の耐久対策の今後の施工手順、斜面崩壊部の道路構造物構築に本格的に着手すること、斜面崩壊部前後の道路決壊部のモニタリングを実施することが示されました。 現在の復旧状況で、斜面崩壊部については、斜面の恒久的対策と並行し、道路構造物に着工するとのことです。 私は、よく言われます。日本の土木技術は世界でトップと言われるが、国は、57号現道の復旧見通しについて何ら示していないと。ぜひ、トップクラスという土木技術が日本にあれば、早く目標年度を示してほしいということを言われます。 県は、引き続き、国道57号現道の復旧見通しと一日も早い復旧を国に要望していただきたいと思います。 次に、JRについて、企画振興部長より答弁をいただきました。 企画振興部長の答弁の中にありましたように、阿蘇地域の住民にとって、通勤通学、通院等生活に必要な交通手段で、早期復旧が必要な路線であります。 先週3日には、同じく熊本地震で被災した一部運休の南阿蘇鉄道の全線復旧を目指し、復旧工事が着手され、復旧期間5年と示されましたが、豊肥本線立野駅から赤水駅、阿蘇駅間の復旧情報が伝わらなく、代行バスに今後は変わっていくのではないかと危惧される方々も多くおります。 答弁によりますと、阿蘇大橋地区の大規模崩壊箇所を初め、沿線に10数カ所に及ぶ多数の斜面崩壊があり、鉄道の復旧工事の前提として斜面の治山事業や砂防事業を先行して実施し、県は、JR九州間で協議の場を設け、復旧工事が円滑に進むよう、誠心誠意、県として可能な限り早期の全線復旧を目指し、JR九州としっかり連携していくということでございますので、ぜひ早目の復旧年度でも示していただければと思う次第でございます。 きょう、たまたま新聞に出ておりました読者ひろばでございます。  豊肥線の完全復旧はいつ?  熊本地震で被災した南阿蘇鉄道の復旧は実現 に向かいつつあるようですが、熊本市から阿蘇 市や大分市方面に向かうJR豊肥線の完全復旧 がいつになるのか、具体的な話を聞きません。 JR九州は復旧に向けて工法や費用の検討を進 めているのでしょうが、どうなっているのでし ょうか。観光やビジネスに欠かせない路線で す。阿蘇方面の鉄道が復旧すれば、私もぜひ旅 行で利用したいと思っています。国費投入の是 非も含めて議論を進め、早く完全復旧してほし いものです。 熊本市の84歳の方からの読者ひろばでの投稿でございました。 ぜひ、この投稿を見ていただき、早目の阿蘇地域の復興に取り組んでいただければと思います。 次の質問に移らせていただきます。 次の質問は、障害者総合支援法における就労継続支援A型事業についてでございます。 9月定例会で、末松先生が、障害者就労支援事業所の運営について質問されましたが、私も就労継続支援A型事業について質問をいたします。 障害者総合支援法は、障害のある人もない人も住みなれた地域で生活するために、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした法律であり、障害のある子供から大人を対象に、必要な福祉サービスや福祉用具の給付の支援が受けられます。 その中で、就労継続支援A型事業、雇用型と申しますが、一般企業での就労が困難な障害者と雇用契約を結び、雇用契約における就労と技能訓練の機会を提供する事業所でございます。障害者であっても、労働基準法上の労働者、社員であり、都道府県ごとに決められている最低賃金以上の給料支払いが必要とされる福祉サービス事業であります。 事業者は、国、自治体から、1人当たり1日5,840円、20日から22日出勤で、月額11万6,800円程度の給付を受け取ります。加えて、重度障害者であれば3年間、重度障害者等を除く障害者は2年間にわたって、国の特定求職者雇用開発助成金が1人当たり年間最大80万円支給されます。 国、県の指導では、給付金は、施設運営、管理及び職員の人件費等に、就労事業収益は、雇用している障害者の給料及び就労事業に係る経費等に充てることとしています。しかしながら、大半の事業者は、就労事業の赤字分、主に障害者給与分を給付金から補っているのが現状だと思われます。 これに対し、平成29年4月1日から、厚生労働省は、省令を改正し、給付金の運用の厳格化と、障害労働者の賃金を給付金から支払うことを禁止し、就労事業収益からの捻出を徹底するようにしました。 この結果、この改正に起因すると思われる大量解雇が次々に発生しています。7月には、岡山県の5事業所で224名の解雇、高松市の2事業所で59人の解雇、8月には、愛知県で2事業所が閉鎖し69人が解雇され、埼玉県でも2事業所が閉鎖し53人が職を失いました。そして、11月には、広島県で2事業所、112名が解雇されるなど、その影響は全国に広がっています。 そこで、1点目でございますが、本県において、改正後1年間で解雇や閉鎖があるのか、その実態はどうなっているのか、お伺いします。 また、本県でも、今年初めに、A型事業所を運営している法人の不正請求等による指定取り消し処分が新聞等で報道されました。 この事案は、法人の不正によるものであり、全国の大量解雇の場合と違うことは認識しますが、処分のあった法人は、A型事業所を中心に3事業所を運営しており、そこでは合計で約80名の障害者が利用していたと伺っております。私の記憶では、本県で、このような大量利用者がいる事業所の取り消しは、これまでなかったのではないかと思います。 そこで、2点目でございますが、この利用者の方々に対する就労支援はどのようになっているのか、伺います。 次に、就労継続支援A型事業の経営母体は、社会福祉法人、NPO法人、社団法人、株式会社などさまざまであり、その運営実態については、生産活動の内容が適切でない事業所や、利用者の意向にかかわらず、全ての利用者の労働時間を一律に短くする事業所があるなど、全国的に不適切な事例がふえていると聞いております。 国による給付金運用の厳格化の省令改正は、このような実態を受けたものであり、さらに、国は、A型事業所の適正な運営を図るために、今年度検討が行われた報酬改定において、今年4月からのA型事業所の報酬を平均労働時間ごとの報酬区分に変更する予定でございますが、熊本県は、平成30年1月現在で176事業所があり、定員3,009人と、全国で5番目に多い県でもあります。全国の事例のような解雇が発生しないようにするためにも、A型事業所の就労の質を高め、適切な事業運営が図られるようにすることが急務であると考えます。 そこで、最後に、今年度、県ではA型事業所の経営実態把握のための調査を実施したということですが、その結果を踏まえ、既存の事業所や新たに開設する事業所に対し、どのような指導や取り組みを行っていくのか。 以上3点について、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) 3点のお尋ねでございます。 1点目の本県における就労継続支援A型事業所の閉鎖状況についてですが、省令改正後、この1年間では2事業者となっております。その原因は、事業所の統合や行政による取り消し処分によるものであり、省令改正に起因する閉鎖事例は本県にはございません。 次に、2点目の県の取り消し処分によりサービスが受けられなくなる利用者への支援についてですが、利用者は、A型を含む3つの事業所で約80人に及んでおります。 現在、労働局や関係市町村、圏域内の相談支援事業所等から成る対策チームを立ち上げるとともに、利用者説明会を3事業所ごとに開催するなど、お一人お一人に寄り添った丁寧な支援を行っております。 これらの取り組みにより、就職やサービスの利用を希望する方は、7割が移行先が決まっております。残り3割の方も、現在、自分に合った事業所を選択していただけるよう、事業所体験や見学などの支援を行っているところであります。 最後に、3点目の事業所の経営状況等の調査を踏まえた取り組みについてですが、県が昨年実施した調査の結果では、就労事業収益で利用者の賃金を賄えている事業所は、全体の約4分の1でございます。残りの4分の3の事業所は、改正省令を満たしていないことになります。 今後は、経営改善の状況を1年ごとに確認するとともに、研修や個別指導を通じて、経営状況の改善を図ってまいります。さらに、事業所の新規指定の際には、経営計画をしっかりと確認し、適切な運営がなされるよう指導の徹底を図ってまいります。 これらの取り組みにより、障害者の方々の雇用の維持や生活基盤の強化に努めてまいります。 ○議長(岩下栄一君) 岩本浩治君。──残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) ただいま健康福祉部長より答弁をいただきました。 給付金を障害者の賃金に回してつじつまを合わせるという事業所が多くなっている。私は、障害がある人もない人も、自立した大人として働く意義は一緒だと思っております。 改正障害者雇用促進法が施行され、障害者の法定雇用率2%を守る企業は、半分以下の48.8%しかありません。障害を理由に賃金を下げたりすることは禁じております。雇用契約により障害者が働く就労継続支援A型事業所が、初めから障害者の賃金を抑えるために就労時間を短くしたり、収益につながらない軽作業をさせたりしているだけの事業所も少なくないと聞いております。一方、障害者に働きがいや高賃金を保障している就労継続支援A型事業所も、多く全国にはあります。 私は、厚生労働省が給付金の運用を厳格にし基準を定めたことにより、事業所の閉鎖で障害者が突然放り出されることや、安心して別の就職先に移ることができるよう、障害者の労働保障や権利の観点から、県はチェック体制をつくる必要があると思います。また、このような障害をお持ちの方々に対し、相談する事業所も必要になってくるのではないかと思います。 まだ次の障害者福祉サービス事業のB型について質問しようと思いましたが、今回も時間がなくなりました。次に回させていただきたいと思います。 長時間御清聴していただきました。やはり阿蘇の復旧には、県の力と県の企画力が必要であると思っております。次回も、阿蘇の復旧について、道路、農業、全産業について質問させていただきたいと思います。 本日は、御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩下栄一君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時10分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(溝口幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 池田和貴君。  〔池田和貴君登壇〕(拍手) ◆(池田和貴君) 天草市・郡選出・自民党の池田和貴でございます。 今議会の冒頭には15年勤続の感謝状をいただきました。39歳で当選をしてから、もう私も54歳になります。今回が15回目の登壇となりました。改めて、この15年間のことが思い出されるところではございます。先日も、大分しらがふえたなと言われました。これからは、しっかりと中堅として頑張っていけるように、心改めて再度やっていきたいというふうに思っております。 早速でございますが、通告に従いまして質問に入らせていただきたいと思います。 国際スポーツ大会における子供たちの交流や多言語化の取り組みについてでございます。 国際スポーツ大会の推進においては、今議会でも、我が党の吉永議員、また、特別委員会の副委員長を務めていただいています髙野議員のほうからお話がございました。八代大会の会場のことが問題となっておりますが、これは絶対成功させなければいけない大会だということで、知事も大変力を入れていただいていることでございます。 国際スポーツ大会における子供たちの交流や多言語化の取り組みについてお尋ねをいたします。 昨年末、女子ハンドボール世界選手権ドイツ大会の視察に行ってまいりました。2019年の熊本大会の直前の大会ということもあり、日本ハンドボール協会や大会事務局とともに準決勝や決勝が行われたハンブルクの試合会場を訪れ、大会運営状況を視察してまいりました。 私の地元天草は、先日も日本ハンドボールリーグの大会が行われるなど、昔からハンドボールが盛んな土地柄で、私もハンドボールはよく知っているつもりでした。 しかし、さすが世界選手権でした。プレーのパワー、スピードは目をみはるものがあり、この光景が2年後は熊本で繰り広げられると思うと、わくわくするとともに、しっかりと準備をし、成功させなければいけないと、改めて気を引き締めて帰ってまいりました。 昨年、熊本では、ラグビー国際テストマッチや女子ハンドボールジャパンカップが行われました。私も、それぞれ観戦しましたが、ラグビーではルーマニア、ハンドボールではポーランド、アンゴラ、のナショナルチームと日本代表の試合は、ハイレベルなプレーもさることながら、会場には国際試合ならではの雰囲気がありました。 また、それぞれのチームの選手たちは、学校や病院、福祉施設を訪れ、子供たちと一緒にプレーをしたり、子供たちを元気づけてくれたり、積極的に交流に参加をしてくれました。 1997年に開催された男子ハンドボール世界選手権大会では、一校一国運動として、県内の学校がそれぞれに応援する国を決め、事前にその国のことを学習したり、応援用の国旗を作成したりしました。また、会場ではその国の言葉で応援するなど、学校教育の一環として、子供たちを巻き込んだ取り組みが行われたと聞いております。 ドイツ大会の視察では、国際ハンドボール連盟のムスタファ会長と面談する機会もありましたが、その際、会長からは、ぜひ多くの子供たちに世界最高レベルの試合を見せてほしいとの要請がありました。私も、昨年の国際試合やドイツ大会を見て、その思いを強くしたところであります。 来年に迫ったラグビー、ハンドボールの2つの国際大会、また、その翌年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、事前キャンプでは、ぜひ多くの子供たちに、世界最高のプレーを観戦し、選手たちと交流を持ってもらいたいと思います。 そのためには、仮に学校行事の一環とするためには、もう来年度に取り組みを開始する必要があります。 つきましては、多くの子供たちの試合観戦や本県を訪れる選手たちと子供たちの交流を行い、本県の子供たちに夢や希望を持ってもらう取り組みが必要だと思いますが、知事はどのようにお考えかをお尋ねいたします。 次は、多言語化についてでございます。 先日の特別委員会の管外視察は、ラグビーワールドカップにおいて熊本で試合を行うフランス、トンガ、ウェールズ、それぞれの大使館を訪問しました。 ワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権では、海外からも多くの観戦客が来られると予想されますが、単に観戦にとどまらず、食事や買い物、観光、宿泊など、大いに熊本を楽しんでもらい、熊本のファンになってもらうために、どのように準備を進めていけばいいかを尋ねました。 これに対し、フランス大使館では、熊本を訪れたフランス人にフランス語で対応すれば、きっと熊本が大好きになる、英語だけで準備しててもだめですよ、と言われました。 私も、先ほどのドイツを初め、海外に行くことも多いですが、まさしくそのとおりだと思います。 そういった観点から、2つの国際スポーツ大会を控え、ラグビーワールドカップで4カ国、世界女子ハンドボール大会で24カ国を迎える本県は、試合会場やそこにつながる交通機関、また、ホテルや飲食店などにおいて、英語だけではなく、他の言語にも対応していくことが大変重要だと思います。 ただ、本当に母国語での対応が必要となるのは、生命や財産の危険から身を守るための医療や警備に関係するときだと思います。病院や警察では言葉が通じなければ、大変不安な思いをしますし、思わぬ危険な状況に陥ってしまうことになるかもしれません。 そこで、国際スポーツ大会に向けて、医療や警備を含めた多言語化は大変重要な取り組みだと思いますが、どのように進めていくのか、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 先日閉幕した平昌オリンピックでは、世界トップレベルの選手たちの迫力あるプレーや華麗なわざが世界中の人々に感動を与えました。特に、冬季大会では過去最高となるメダル数を獲得した日本選手の活躍には、私も感激しました。 2019年の女子ハンドボール世界選手権大会とラグビーワールドカップ、さらには2020年の東京オリンピック・パラリンピック事前キャンプでは、その感動や感激を目の当たりにすることができます。 世界トップレベルのプレーや練習を間近に見ることができるのに加え、選手たちとの交流は、熊本地震で傷ついた多くの県民に活力と希望を与えてくれるものと思います。 とりわけ、次世代を担う子供たちにとっては、夢に向かって努力することの大切さを学び、未来への希望や生きる力を育む、またとない機会となるはずです。 そのため、学校単位での応援や観戦、選手による学校訪問など、熊本の子供たちがトップアスリートと数多く触れ合えるような機会を教育委員会と連携して、来年度早々から準備を始めてまいります。 国際スポーツ大会を通じた交流の記憶が、子供たちの心に長く残り、夢の実現につながっていくよう、また、そのことが熊本の誇りとして長く語り継がれていくよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔商工観光労働部長奥薗惣幸君登壇〕 ◎商工観光労働部長(奥薗惣幸君) 多言語化の取り組みについて、まず、医療につきましては、観光庁が定める訪日外国人旅行者受け入れ医療機関といたしまして、県内10の施設が登録されています。これらの施設では、英語、中国語、韓国語等の多言語により、外国人への救急対応等が可能となっておりまして、外国人患者が安心して医療を受けることができます。 このほか、県内には、医療法に基づき、外国語に対応できるとの報告があった医療施設が777施設あります。 本県では、医療施設名や対応できる外国語などの情報を、県の総合医療情報システム、くまもと医療ナビにおいて、英語表記で閲覧できるようにしております。 大会期間中、これらの情報が外国人訪問客により円滑に伝わるよう、大会ホームページに掲載するなど、効果的かつ一元的な情報発信に努めてまいります。 次に、大会の警備につきましては、テロ対策などを主な目的に、会場、空港、駅、ホテル等、人が集まる場所で行うこととしております。 具体的な警備体制は、今後、関係機関や県警等と協議、連携しながら構築していきますけれども、言語サポート体制にも不備がないように取り組むとともに、町なかでの事件、事故等にも適切な対応ができるよう、県警と連携してまいります。 さらに、さまざまな国や地域からの観光客がストレスなく旅行を楽しむための多言語コールセンターを、来年度、九州各県と共同設置するための予算を今定例会に提案しております。加えて、本大会に向けた語学ボランティアを養成していくこととしております。 大会開催を契機に、医療、警備のみならず他の分野も含めた多言語化が進み、大会終了後もレガシーとして残っていくよう、さまざまな取り組みを進めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま蒲島知事からは、子供たちの取り組みについては、来年度早々準備を進めてまいるということで御答弁をいただきました。知事の大会の成功に向けた強い思いを明らかにしていただきました。この知事の思いを具現化することは、スタッフが必要でございます。そのスタッフの充実についても、今回、国際スポーツ大会推進局を部に昇格して人員を増強するなどのことをやっていただいております。 そういった意味では、本当に私どもの県にとって大変重要な大会でございますので、しっかりと今後もやっていけるように、私たち県議会の特別委員会も支えていきたいというふうに思っております。 また、教育長には、ぜひお願いをしたいのは、今回質問に当たりいろいろお話を伺いました。ただ、まだどこの課が担当するか明確になってないような感じを、実は、私自身受けました。 そういった意味では、知事の思いをしっかりと形にするため、教育委員会の体制も早急に構築していただきたいというふうに思っているところでございます。 また、次の多言語化の取り組みについては、医療については、かなりの施設が外国語対応できることが今の答弁でわかりました。また、警備体制についても、私が聞いたところによりますと、かなり多言語化対応は進んでいるという印象を持ったところでございます。 ただ、やはり緊急なときに、皆さんがまずどうしようかと思うのは、皆さんもお持ちの......(資料を示す)これですね。スマートフォン。いわゆるスマートフォンで情報を検索する人が多分ほとんどじゃないかというふうに思います。 そういった意味では、そういった、今まで持っている情報をデジタル化すること、そして、そのデジタル化した情報がしっかりとそういう人たちに届くように情報の動線をしっかりと構築していくこと、これが、私、重要じゃないかというふうに思っているところでございます。しっかりとその辺の対応も今後やっていただきたいというふうに思っております。情報がしっかり届いていけば、例えば、今多言語コールセンターを設置するということになりましたが、ここも、回線がパンクするようないわゆる軽微な問い合わせも減ってくるのではないかというふうに思っておりますので、やはり情報のデジタル化、そして、それが魅力的な情報であれば、皆さんがそれぞれに動いてくれるのではないかというふうに思っているところでございます。 また、大会が終わった後の熊本県のいわゆるレガシーになるようにやっていきたいという御答弁でございましたので、しっかりとこの機会に構築をしていっていただきたいというふうに思っております。 ちょっと余談になりますが、本日は、私のフェイスブックで、この一般質問をするということを申し上げましたら、私の地元の大先輩である方が、きょうは傍聴に来ていただきました。いわゆるこういう情報をデジタル化して流すと、個人が自分の意思で行こうというふうにやっていくことになります。 そういった意味では、熊本県が、この大会に向けて、魅力的な情報を発信すればするほど、各個人個人がみずからの意思で動き出すことになると思いますので、そういったことも発信をぜひよろしくお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。 続きまして、天草の世界文化遺産登録を見据えたフィリピンへのアプローチについてお尋ねをいたします。 天草の﨑津集落を含む長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の世界文化遺産登録は、天草市のまち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、大きな柱の一つに位置づけられ、同市における外国人宿泊者数を、2014年の1,082人から2019年には3万人まで増加させる目標が設定をされております。 私自身も、交流人口の増加が天草の地方創生にとって必要だとの認識を持っていましたので、新たなインバウンド市場への参入が必要との思いから、自分なりにここ数年調査を進めてまいりました。 そのような中、世界文化遺産登録を見据え、1億人を超える人口を擁し、国民の90%がキリスト教徒というASEAN唯一のキリスト教国フィリピンが、天草のインバウンドのターゲットになるのではないかという考えを、関係者に進言をしてまいりました。 調査を進めていくと、フィリピンは大変魅力のある国だということがわかってまいりました。また、公用語も外国語の中では一番なじみのある英語であり、親日的で政治的リスクも少ないと言われています。 経済面については、同国は、2012年以降、毎年6%から7%の経済成長を続けており、今後も同程度の成長が見込まれております。それに伴い、日系企業の進出も増加し、2016年には1,440社と、進出先としては世界第8位となっています。 また、観光面については、2014年の数次観光ビザ発給の開始とオープンスカイ協定締結による格安航空会社の就航に伴い、訪日フィリピン人は、2014年には過去最高値を更新する18万4,204人となりました。その後も順調に増加を続け、2017年には42万4,200人となり、東南アジアでは、タイ、マレーシアに続く第3位となっています。伸び率からすれば、数年で2位になると確実視をされております。 (資料を示す)ここで、先生方にも資料を配付しておりますが、この資料を見ていただきたいと思います。2014年を境に非常に伸びていることがおわかりいただけるというふうに思っております。 また、2枚目の資料を見ていただきますと、各国からの訪日客の総数が書かれておりますが、2017年の1月から12月ですね。9番のところ、フィリピンは9番目でございますが、42万4,200人で、伸び率が21.9%。8位がマレーシアです。43万9,500人、伸び率11.5%。こう考えると、フィリピンは、先ほども言ったように、ますます日本にとって観光客がふえてくる国だということがわかると思います。 また、同国には、現在500万人の富裕層がいると言われていますが、今後の経済成長により、訪日フィリピン人のさらなる増加も期待をされます。 国においても、日本政府観光局が、昨年3月にマニラ事務所設置準備室を設置し、本年中には正式にマニラ事務所を発足させる予定であるなど、対応を進めておられます。 一方、本県を訪れるフィリピン人の状況については、観光庁の推計値によると、平成27年には1,400人、平成28年では2,850人と、まだまだ少ない状況です。九州他県においても、平成28年の数字ですが、1位が福岡県で1万5,680人、2位が長崎県で5,020人、3位が大分県で3,640人となっております。熊本地震の影響もあるとは思いますが、本県がこれまで、フィリピンへの本格的なアプローチを行っていなかったことも関係しているのではないかと推察をしております。 しかしながら、これまでのことはさておき、世界文化遺産登録ということを考えると、ASEAN唯一のキリスト教国フィリピンは、魅力的なターゲットであると思いますが、いかがでしょうか。 このような考えに賛同する民間の方々が、天草市や天草の企業の協力を得て、富裕層や上位中間所得層に訴求するというJapan Promotionという戦略を立て、一昨年よりフィリピンに向けてアプローチを開始されました。また、私も、協力をしてまいりました。 まずは、総務省の平成29年度放送コンテンツ海外展開助成事業を活用した取り組みが実施をされております。内容は、フィリピンの大手メディアとの共同で、天草の潜伏キリシタンの足跡をたどり、各地で礼拝をしながら、グルメや体験型の観光を交えた60分番組3本を制作するものです。 昨年12月からことし1月にかけて、フィリピンの人気番組ABS-CBN NEWS CHANNELで放送するとともに、18万人の読者を有し、マニラで日本食や日本観光に関するフリーペーパーを発行するプライマー社と連携し、SNSキャンペーンも展開をされてきました。 放送された番組は、同国でツイッターのフォロアーが180万人を超える人気タレント、ロビ・ドミンゴを起用したことから、大変話題になったということであります。また、テレビ局のABSには、フィリピンキリスト教協会のトップから、よい番組であったとの電話もあったと聞いております。 その後、2月には、フィリピンで最大の旅行博覧会、Travel Tour Expo 2018に「Go Amakusa」というブースを出し、放送されたものと同じコースの旅行ツアーを販売したところ、Expo期間中の3日間だけで30組の予約を獲得いたしました。また、現場では、フィリピンナンバーワンの私立ラサール大学を初め、多くの問い合わせが続いたとのことでありました。 関係者によると、これまでのアプローチを通じ、フィリピンを天草へのインバウンド観光のターゲットとして選んだのは間違いないと確信をされ、今後は、来熊されるフィリピン観光客を念頭に、さらに事業を継続していくということであります。また、天草市だけではなく、上天草市や苓北町でも、経済界を中心に機運が盛り上がりつつあると聞いております。 一方、本県においては、2019年のラグビーワールドカップと女子ハンドボール世界選手権大会を控え、世界から来られる選手団や観客、そしてインバウンドを呼び込む必要があります。 そのような中、新たにフィリピンへのプロモーションをかけていく余力は残されていないという意見があることは承知をしております。しかしながら、まだ日本から注目されていないフィリピンをターゲットに定め、誘客対策を始めることはできないでしょうか。 今では、定期航空便も就航し、台湾から安定した送客実績を誇り、本県の重要な海外戦略の一角を占めるまでになった台湾・高雄線についても、他県がまだ注目していない中、蒲島知事の英断で高雄との交流を進めていかれた結果ではないでしょうか。 当時、県は、台北線の誘致に向けて積極的に展開をされておりました。しかしながら、台北線は既に九州に複数あったため、なかなか進展しなかったと聞いています。 そのような中、知事の判断により、台湾第1の都市である台北市ではなく、第2の都市である高雄市との交流を始められ、チャイナエアラインに高雄線の新設を求めた結果が現在につながりました。最初は懐疑的に見る向きもありましたが、日本の他の自治体も、熊本の動きを見て、高雄市のマーケットの重要性を認識し、追従されている状況だとお聞きしております。熊本県は、半歩先を進んでいたため、高雄市との交流の深まりだけでなく、観光面でも他をリードできる状況にあるのだと考えております。 そのようなことから、世界文化遺産への登録という最も旬な時期であること、また、競争相手もまだ比較的少ないという条件だからこそ、今取り組むことが表明できれば、フィリピンは第2の高雄のようになる可能性があると、私には思えてなりません。 そこでお尋ねです。 県として、フィリピンへのアプローチをどのように考えているのか、今後、天草2市1町がフィリピンを天草へのインバウンド観光のターゲットとしてアプローチすることに対してどのように支援をしていくのか、蒲島知事から御答弁をお願いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 一昨年の熊本地震の影響により、本県への外国人観光客は大きく減少しました。 そのため、まずは、本県の外国人観光客の9割を占める韓国、台湾、香港、中国、タイ、シンガポールのアジア6カ国・地域を対象に、集中的なプロモーションを行いました。 また、休止した航空路線の再開や新規就航に向けた努力を行った結果、平成29年の外国人宿泊者数は地震前の水準まで回復いたしました。 しかし、九州全体では、それ以上の増加となっており、さらに力を入れていく必要があると考えております。 このような中、2019年には、ラグビーワールドカップや女子ハンドボール世界選手権大会が熊本で開催されます。滞在期間が長く、消費額が高い欧米やオーストラリアなどから、多くの来訪が期待されます。 これらの地域の方々は、世界の海外旅行者の約半数を占めますが、現在、本県の外国人観光客に占める割合は全体の3%にとどまっています。国際スポーツ大会を契機に、いかにその比率を高めていくかが大きな課題であります。 このため、来年度から、これらの地域に向けた誘客対策を強化することとしています。 当面は、さきに述べたアジア6カ国・地域と欧米やオーストラリアなどからの誘客に優先的に取り組んでまいります。 ただ、議員御指摘のとおり、新たな地域からの誘客にチャレンジしていくことも大切です。 現状では、フィリピンから本県への外国人観光客の割合は1%未満ですが、日本からの距離も比較的近く、近年、訪日旅行者も増加傾向にあります。また、アジア唯一のキリスト教国であり、世界遺産登録を目指す﨑津集落を含むキリシタン遺産群とつながりがあることから、熊本に呼び込めるポテンシャルは十分にあると思います。 そこで、まず、日本政府観光局や九州観光推進機構と連携した情報発信に努めるとともに、フィリピンからの効果的な誘客対策の研究を進めてまいります。 また、天草の市町によるフィリピンへのアプローチについては、シンガポールの県アジア事務所を活用し、現地関係者とのネットワーク構築など、しっかりとサポートしてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) 蒲島知事からは、当面、アジア6カ国・地域と欧米やオーストラリアの誘客を優先させる、ただ、フィリピンの可能性もしっかりと追求していくという御答弁をいただきました。また、現状では、フィリピンへのアプローチは、シンガポールの県アジア事務所を通じて行うということでございます。 ここで、本県が進めているアジアへのアプローチの現状について、ちょっと視点を変えて、例え話にしてあるので、皆さんちょっと聞いていただきたいと思います。 家族を食事に連れていこうと考えたお父さん。決して裕福ではありませんが、頑張って働いていて、幸福度は高い家庭を築いています。ただ、予算も時間も限りがあります。レストランをどこにするか、レストラン格付雑誌ミシュランを見て、最高評価の3つ星のレストランに行こうと予約のための電話をしました。すると、お電話ありがとうございます、申しわけありませんが、御希望の日を含め、当分予約で満席でございます、もしキャンセルが出たら予約をお受けできますので、改めてお電話いただけませんでしょうか、また、御希望のお時間はいつも混雑しておりますし、御希望のお席は昔から御愛顧していただいているお客様を優先させていただいておりますことを御了承くださいと、つれない返事が返ってきました。 私は、これは、現在の上海、香港、シンガポールなど、こんな感じかなと思えてなりません。 ここからもう少し話を続けます。 電話を置き、思案をするお父さん。でも、それだけ魅力的だからこそ、何とか家族を連れていきたいと考えていると、友人から電話があります。近い将来ミシュランの3つ星をもらえそうな新進気鋭のレストランがあなたの近所にあるよ、そこは代々敬けんなクリスチャンだそうだよ、君のおじいさんも熱心なクリスチャンだったじゃないか、住んでいるところも近いし、同じ教会に行ってたかもしれないよ、一回行ってみたらどうだい。 そこで、お父さん、そのレストランに電話をしました。すると、お電話ありがとうございます、そうですか、私どもも先祖代々その教会に通っておりましたので、御縁がありますね、そのお話をお聞きしたいので、御来店を楽しみにお待ちしております、ただ、おかげさまで最近お客様からの御予約もふえてきておりますので、早目の予約をお願いいたしますとの返事。 これは、そうです。皆さんもおわかりのように、フィリピンがこういう状況ではないかというふうに思っております。 先日、吉永県議が、フィリピンからの医療・介護人材の確保をすることで調査をした現状について述べられましたが、フィリピンからの観光インバウンドと県産品輸出の可能性を調査することも、藤川団長以下我々視察団のミッションの一つでした。 そこで、視察期間中にマニラ在住の日本人経済人とも面談をしました。そこで、マニラ空港の航空会社のラウンジで熊本フェアをやるなら協力は惜しまないとか、フィリピンで最大の小売業やショッピングモールを運営する企業、SMグループの創始者で、総裁であるヘンリー・シーと知事の会談をセットし、熊本のプロモーションに協力する用意がある、とも言っていただきました。ちょっと魅力的なお話だとは思いませんでしょうか。 私は、有望市場を選択し、新たな市場の扉をこじあけ、民間につないでいくこと、これが県や市町村などが最も効果を生み出せるところではないかというふうに考えております。 蒲島知事、いかがでしょうか。ぜひフィリピンへ行って、その扉をこじあけていただけませんか。そのためには、知事の考えを具現化するスタッフも必要であるということは申し添えておきたいというふうに思っております。私は、知事の英断に期待をしたいと思います。 続きまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。 昨年12月、国の平成30年度税制改正の大綱において、創設の方針が決定された森林環境税についてお尋ねをいたします。 森林環境税については、全国37府県で森林整備のための独自課税が導入されてなお、手入れ不足が深刻となっている森林の現況を踏まえ、新たな財源確保策として、熊本県林業政治連盟や熊本県森林・林業活性化促進議員連盟、また、県選出国会議員と関係者が一体となったチーム熊本が、全国をリードする形で導入に向けて、働きかけを展開してまいりました。 また、この動きに呼応して全国でも要請活動が広がりを見せるとともに、本県議会からも地方自治法第99条の規定に基づく意見書を提出するなど、制度の創設に向けた活動が行われてきたところであり、国は、こうした声を受け、平成31年度の新税導入に向けて検討を進めてまいりました。 結論として、消費税10%への引き上げの予定や、東日本大震災に伴う個人住民税の上乗せ措置が平成35年度まで行われることを考慮し、森林環境税の課税は平成36年度からとなりましたが、国が暫定的に借り入れを行うことにより、市町村への配分、すなわち、森林環境譲与税の導入を平成31年度に前倒しすることとされ、林業関係者にとって悲願であった制度が、ついにスタートすることになったところです。 戦後に造成の始まった人工林資源は充実し、一部の地域では主伐期を迎えつつあります。しかしながら、長年続く木材価格の低迷により、小規模な森林では経済的メリットを享受することが困難な状況であることから、みずからが所有する森林に関心のない方々や不在村地主の割合は増加の一途をたどっており、森林整備のおくれも顕著に見受けられています。 今般の新税の導入は、森林整備の促進による森林機能の回復はもとより、地方固有の資源である森林の有効活用を軸とした地方創生にも大きく寄与するものであり、私も大変期待を寄せているところであります。 さて、この新税については、森林所有者に最も身近な存在である市町村の果たすべき役割を重視しており、市町村が行う間伐や人材の育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発のほか、都道府県が行う市町村への支援等に関する費用に充てるとされております。 事業の推進に当たっては、幾つかの課題が存在することも事実であります。1つには、長年新税導入をリードしてこられた我が党の前川議員が、昨年9月議会の代表質問において指摘をしたとおり、市町村における実施体制の確保について不安視する声が多いことが挙げられます。 さらに申し上げるならば、新税を活用した市町村独自の林業関係施策の企画立案ができるかも同様でありますし、林業関係者においても関心は高く、どのように準備すればよいのか、よく尋ねられております。 また、国に先行する形で、本県においても、水とみどりの森づくり税を導入しているところですが、双方の税を活用して、どのように相乗効果を生んでいくかも課題ではないかと考えております。 そこでお尋ねですが、本県の森林・林業の振興に大きく寄与することが期待される森林環境譲与税の配分が、平成31年度から開始されることを見据え、県として、市町村における企画立案など実施体制の確保をどのように支援していくのか、新税と水とみどりの森づくり税の役割分担をどのように図っていくのか。 以上2点について、濱田農林水産部長から答弁をお願いいたします。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 2点のお尋ねのうち、まず1点目の市町村の実施体制への支援についてお答えをいたします。 平成31年度から市町村及び都道府県に分配されます森林環境譲与税、仮称でございますけれども、は、初年度で、全国では200億円、本県では、県と市町村合わせて約5億円が見込まれております。 しかし、議員御指摘のとおり、実施主体となります市町村では、林業技術職員や専任組織が少なく、情報も不足しているなど、林業関係施策を担う上での課題を抱えていらっしゃいます。 そこで、県では、昨年10月に、市町村、関係機関を集めまして、新税に係る情報連絡会議を立ち上げ、地域の森林、林業の振興に効果的に活用できるよう、市町村と一緒になって検討を深めていくこととしております。 例えば、実行体制の確保では、1つには、近隣の市町村などが広域的に連携をいたしまして、地域の課題に効果的に対応していくことや、2つ目には、森林整備や新たな森林管理システムなどを県が代行することも見据えてまいります。 また、施策の企画立案では、各振興局単位でフォレスター資格を持つ職員等によるプロジェクトチームを編成いたしまして、市町村への支援を強化してまいります。 次に、2点目の森林環境税と本県の水とみどりの森づくり税との役割分担についてお答えをいたします。 森林環境譲与税は、市町村が主体となって行います間伐や路網整備のほか、公共建築物への木材利用、人材育成や担い手の確保策などに充てられる予定でございます。 一方、本県の水とみどりの森づくり税は、平成17年の創設以来、年を平均いたしまして約4億8,000万円の税収がございまして、県内の森林・林業を取り巻く時々の課題に対応して、国の補助事業では実施できない本県独自の施策を展開してまいりました。 一例を申し上げますと、手入れの行き届かない針葉樹主体の人工林を広葉樹が混在した森林へ誘導する針広混交林化では1万1,500ヘクタールを実施しましたほか、鹿防止の防護柵を3,300ヘクタールで設置するなどの取り組みでございます。 しかし、最近では、間伐から主伐への移行といった森林経営の質的変化とともに、土砂流出や山腹崩壊の防止などの森林の機能を高度に発揮させて災害に強い森林をつくること、こういったことが求められるなど、新たな課題が生まれています。 こうした点を念頭に、県の水とみどりの森づくり税の事業につきましては、森林環境譲与税等の検討状況も踏まえ、双方の税の役割を明確にしながら、来年度から、再造林に対する支援を充実しますとともに、間伐事業では、急傾斜地や渓流沿いの森林整備の重点化によります流木被害などの未然防止に取り組んでまいります。 森林環境税の導入を契機に、県と市町村それぞれの林業施策が充実し、相乗効果を生み出すことで、本県の森林・林業、木材産業がさらに発展するよう努めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま農林水産部長からは、実施体制の確保及び企画立案についてもしっかりと進んでいるというお話を伺っております。ただ、市町村が一番キーポイントで、市町村の皆さんが本当にその気になっていただくか、これを県がどう指導していくかということが一番大きなポイントではないかというふうに思っております。 また、本県の水森税、これと相乗効果を発揮していくようなこともきちんと考えられているところでございます。さすがに本県がこの税の導入に先導的な役割をやってきたということで、県の皆様方の意気込みは大変伝わってまいります。 今林業には追い風が吹いていると思います。この追い風をしっかりとつかむように、これまでどおり熱意を持って取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。 続きまして、次に、障害児者の歯科保健医療の推進についてお尋ねをいたします。 私たちの生命活動は、言うまでもなく食べることによって支えられています。食べるためになくてはならない器官が歯であり、歯は全身の健康の原点であることは、健常者も障害者も同様です。 本県における障害児者の歯科診療の中心的な役割を担っているのが、熊本県歯科医師会が運営されている口腔保健センターです。 現在は、非常勤の歯科医師2名と歯科衛生士4名、常勤の歯科衛生士1名、受け付け事務1名で、週4日の午後1時から5時まで障害児者の歯科診療を行っておられます。 平成28年度の診療状況は、初診者241名を含む2,824人、受診者の障害分類は62種類にも上り、知的障害を伴う自閉症やダウン症が最も多くなっております。 私も久しぶりに参加ができた、本年1月に開催されました県障がい児(者)歯科保健推進協議会では、口腔保健センターで診療に当たっておられる歯科医師から、人件費もぎりぎりまで下げているが、口腔保健センターの赤字が継続をしていること、このままでは口腔保健センターの維持も危ぶまれるのではと懸念しているとの悲痛な声が上がりました。 口腔保健センターの運営費に対しては、県の障がい者歯科診療事業として、毎年補助金が交付をされています。また、熊本市が、それに連動するようにその半額の補助を交付されています。 県歯科医師会の資料によれば、平成28年度の収支は、収入がその補助金を含め2,160万円、支出は2,430万円で、270万円の赤字であります。このような収支の赤字は常態化をしており、赤字は、毎年、県歯科医師会の会計から補填される繰入金で賄われているそうであります。 そこで、歯科医師会からは、毎年のように、障害児者の歯科保健医療に対し、行政のより一層の関与や公的な支援の充実を要望されていますが、厳しい財政状況などの理由で、この要望に応えることができないと伺っております。 このような状況を踏まえて、来年度の県の当初予算案では、補助金を今年度の154万から200万に増額をされております。本県の厳しい財政状況を鑑みると、この対応は評価に値すると思います。しかし、増額があったとしても、赤字額が増額分だけ減るとは思いますが、赤字の常態化が継続するのは必定でしょう。 今後も増加が想定される障害児者の歯科診療と口腔ケアにおいて、口腔保健センターが担っている役割は、その他で代替することができないと考えていますが、いかがでしょうか。 もしそうであるならば、口腔保健センターが、今後も安定的な運営が継続できるようにすることが肝要であり、持続可能で安定的な運営のためにはどうすべきか、熊本市などの市町村にも参加をしていただき、早急に考えなければいけない時期に来たのではないでしょうか。 そこで、口腔保健センターを含む障害児者の歯科保健医療の推進に向けて、今後どのように取り組むお考えなのか、古閑健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) 障害児者の歯科保健医療についてですが、今年度策定予定の第4次熊本県歯科保健医療計画におきまして、障害児者、要介護者等に対する歯科保健医療体制の充実を重点目標の一つに掲げております。 この中で、障害児者の歯科保健医療の中心的役割を担っている口腔保健センターへの支援や、身近な地域で受診可能な歯科医療機関の増加を図ることといたしております。 まず、現在の取り組み状況でありますが、口腔保健センターにつきましては、障害児者の受診者数が、平成16年度から平成28年度には約2倍の2,824名となるなど、多くの障害児者を受け入れていただいております。 これまでも、県では、県歯科医師会に対して運営費の補助を行ってきており、来年度は、受診者数の増加を踏まえまして、200万円に増額した予算を今定例会に提案をいたしております。 また、地域の歯科保健医療体制の充実を図るため、地域における歯科医師の養成に継続的に取り組んでおります。 その結果、障害児者に対応できる歯科医療機関は、県全体で277施設となり、平成16年度の約2倍、県内の歯科医療機関の約3割となっております。 次に、お尋ねがありました今後の取り組みについてですが、センターにつきましては、地域の歯科医療機関との役割分担や連携のあり方などにつきまして、県歯科医師会や市町村などと協議を進めてまいります。 また、地域の歯科保健医療体制につきましては、診療可能な障害種別などの情報提供の充実を図り、より多くの障害児者の方が身近な地域で受診していただけるように努めてまいります。 あわせまして、障害の特性に応じた配慮や技術をより一層向上させるため、歯科医療機関に対する研修の充実を図ってまいります。 今後も、障害児者のニーズに応じたサービスを提供できるように、歯科保健医療体制の強化に取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま健康福祉部長からは、障害児者、要介護者に対する歯科保健医療体制の充実を重点項目の一つにしているということ、また、自分たちの身近なところで障害児者の方々が歯科診療を受けられるようにやっているということを御報告いただきました。その方向性は間違ってないと思いますが、やはりそのセンター的役割を担う口腔保健センターをどのようにしていくのか、これは大変重要な課題だというふうに思っております。 少し九州各県の情報を調べていただきますと、細かい数字は出しませんが、また、いろいろなサービスの内容や体制は違いますが、熊本県は200万。ただ、九州4県は数千万の予算を組んで支援をしている状況でございます。そういったことを踏まえて、健康福祉部全体として取り組んでいくことも今後検討していただければというふうに思っているところでございます。 次の質問に移らせていただきたいと思います。 第二瀬戸大橋開通を見据えた本渡港の港湾計画についてお尋ねをいたします。 県が進める90分構想を実現する熊本天草幹線道路のうち、宇城市と上天草市を結ぶ新天門橋――新名称は投票待ちでございますが、を含む大矢野バイパスが、5月20日に開通する運びとなったことは、本日の吉田県議の一般質問で明確になりました。 私自身、徐々に完成に向かっていく大矢野バイパスを見ながら、現天門橋付近をよく車で走行しておりますが、熊本都市圏と天草地域を結ぶ広域交通ネットワークが、また一歩前進することへの喜びが沸き上がってまいります。 私の地元である天草市においても、熊本天草幹線道路の一部区間である本渡道路の整備が始まっております。 この本渡道路は、天草地域の陸上交通のかなめとなるもので、天草島民念願の道路であります。天草上島と下島を結ぶ第二瀬戸大橋を含むルートが、平成25年度に補助事業として採択をされ、田嶋副知事も出席をされ、着工式が行われた昨年10月に橋梁工事が着手されました。平成34年度の供用開始を目標としており、交通渋滞の解消のみならず、天草地域への交通アクセスが向上し、天草市のまちづくりの観点からも大きな期待が寄せられています。 一方、熊本天草幹線道路の着地点であり、天草下島への海の玄関口として整備が急がれる本渡港については、平成6年に、現在の基本となる港湾計画、いわゆるマリンタウン計画が策定されて以降、大矢崎地区の緑地整備は完了したものの、志柿地区と大矢崎地区を結ぶ道路は中止されるなど、今後の本渡港のあり方が一向に見えてまいりません。 この本渡港は、中心市街地に隣接をしており、天草市のまちづくりを進める上で重要な役割を担うだけでなく、本渡道路とあわせて、中心市街地と一体となった港づくりが必要だと考えております。 本渡道路が、平成34年度の供用開始に向けて着々と動き出した今、中心市街地の活性化に向け重要な役割を担う本渡港についても、早く港づくりの将来像を示していただかなければならないと思います。 第二瀬戸大橋を含む本渡道路の進捗を踏まえ、本渡港の計画見直しをどのように進めていくのか、手島土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長手島健司君登壇〕 ◎土木部長(手島健司君) 本渡港については、平成6年度の港湾計画を、その後の社会情勢等の変化を踏まえ、変更する必要があると考えておりましたが、本渡道路の詳細なルートが確定したことを受け、昨年10月に、道路に関する部分の変更を先行して実施しました。 本渡港は、天草市の中心市街地に近く、天草市のにぎわいにつながるような港であるべきであり、港湾計画の見直しは、天草市がつくるまちづくりビジョンに沿ったものとする必要があると考えております。 このため、港湾計画の見直しに向け、先般、天草市と意見交換を行い、改めてビジョンの早期作成を要請したところです。 県としては、本渡道路の開通時期を見据えて、天草市と連携しながら、本渡港の港湾計画を変更するとともに、市が描くまちづくりの実現に向け、必要な調査、検討などに取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま手島土木部長からは、天草市のまちづくりビジョンに沿ったものとする必要があるということと、天草市と連携をして港湾計画の見直しを考えていくということをお話ししていただきました。天草市が考えるまちづくり、これが港湾計画があるために実現できないということがないように、ぜひ早急に手を打っていただきたいということを要望したいというふうに思います。 続きまして、県立高校の修学旅行の旅行経費等の見直しについてお尋ねをいたします。 私の地元天草地域の高校では、県外に修学旅行に行く場合、阿蘇くまもと空港や熊本駅を経由する行程がとられるケースがほとんどであります。その際は、阿蘇くまもと空港や熊本駅に行くため、貸し切りバスを使うわけですが、その貸し切りバス運賃は、人件費や燃料価格も上昇するほか、相次ぐツアーバス事故を受け、国土交通省にて、安全コストを踏まえた新運賃制度が平成26年4月から導入されたこともあり、かなり値上がりをいたしました。 その費用の上昇の理由については理解はできますが、その貸し切りバス運賃の上昇が、修学旅行の実施期間に影響を与えることについては、少し考えるべきところがあるのではないかと思っております。 実際、天草地域の高校の育友会の役員さんから、修学旅行の旅行経費上限の見直しについて要望がありましたので、お聞きいただきたいというふうに思います。 県立学校の修学旅行の実施に当たっては、教育委員会が実施基準を設け、定められた旅行経費に基づき、各校が内容を検討して実施されております。その基準額は、県立高校では、基本、国内は7万9,000円程度、海外においては、例えば、韓国で8万円程度、台湾で10万円程度にとどめると定められております。 阿蘇くまもと空港や熊本駅から遠隔地にある学校は、必ず貸し切りバスを使う必要があるので、貸し切りバス運賃の上昇は、定められた旅行経費の範囲内では、旅行日数を減らしたり、旅行先をより経費がかからない近い場所へ変更している状況があると聞いております。生徒数が少ない学校にあっては、1人当たりの貸し切りバス運賃がさらに上昇し、より厳しい状況があることも、あわせて報告しておきたいと思います。 さて、本県の状況はどうかというと、安全コストを踏まえた貸し切りバスの新運賃制度が適用された平成27年度を境に、国内修学旅行は4泊5日から3泊4日に実施期間を変更した学校がふえております。4泊5日の実施期間の高校は、平成26年度が42校、安全コストを踏まえた貸し切りバスの新運賃制度が適用された平成27年度が21校、半分になってます。平成28年度が16校、平成29年度が9校です。 他県でも、貸し切りバスの値上げの影響で、修学旅行や部活遠征において、積立金が足りず追加徴収したり、また、教育的効果のため、本来は有料施設に立ち寄りたいが、資金面でコースを変更したりするケースや、愛媛県においては、平成27年度には、緊急的に貸し切りバス運賃増加分に対する補助を行った事例も報道されていました。 修学旅行は、特別活動の学校行事として実施されるもので「平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行う」よう学習指導要領に規定をされております。 生徒にとっては、高校生活において一度だけ行われる、とても大切で、かつ、楽しみな学校行事でしょう。また、保護者においては、自分の実体験から、子供にとってよき思い出にさせてあげたいとの強い思いがあるのではないかと思います。 本県では、来年から八代港にクルーズ船200隻が寄港しますし、2019年には、ラグビーワールドカップや世界女子ハンドボール大会があることを考えると、貸し切りバスの需要は今まで以上に増加し、さらなる貸し切りバス運賃の上昇が懸念をされております。 また、今後、消費税10%への上昇などから、修学旅行経費の増加が見込まれますので、修学旅行の旅行経費上限の見直しは避けて通れないのではないかと考える次第です。 ただ、修学旅行の経費については、全額、保護者が負担をすることから、文科省通達で指摘をされているように、保護者の負担感の軽減に努めることも肝要であることは言うまでもありません。 また、学校現場では、先生たちが、全ての生徒が修学旅行に参加できるようにと、修学旅行の経費の積立金を集金するのに御苦労されているとも聞いております。 教育委員会としては、生徒にも保護者にも納得が得られ、より効果的な修学旅行になるため、生徒と保護者の意見も聞くプロセスを大切にしていただきたいと思います。 そこで、本県における県立高校の修学旅行のより効果的な創意工夫の考え方と、あわせて経費上限の見直しについて、宮尾教育長より御答弁をお願いいたします。  〔教育長宮尾千加子さん登壇〕 ◎教育長(宮尾千加子さん) 修学旅行は、日ごろ体験できない学びや集団生活を通して、見聞を広め、主体性やよりよい人間関係を育む大切な教育活動です。各学校は、教育的効果を高めるよう計画し、創意工夫しながら実施しています。 具体的には、学科の特性を生かし、専門的な学びを深める企業研修や大学訪問、雪国でのスキー研修等を行っております。これらに生徒が計画した班別自主研修を組み合わせるなど、工夫を凝らし実施されています。さらには、福島県の被災地や、グローバル感覚を育成することを目的とした台湾等での研修、学校交流が行われ、修学旅行後も引き続き交流を深めております。 その実施に際しては、保護者の経済的負担軽減に配慮するとともに、安易な前年度踏襲にならないよう、修学旅行の事前、事後に聴取した生徒、保護者の意見等を参考にしながら進めております。また、業者を選定する際には、保護者の代表を加えた選定委員会を開き、決定することとしております。 今後とも、生徒、保護者への十分な説明を行いながら、修学旅行の目的を達成し、効果的な取り組みとなり、各校で創意工夫した修学旅行が行われるよう取り組んでまいります。 御指摘のありました旅行経費については、例えば、小規模校では1年生と2年生を合同で実施して、1人当たりの経費を軽減している学校もございます。また、空港から遠方の学校や、生徒数が少なく1人当たりのバス経費が高くなる等の事情がある場合は、学校と教育委員会で協議し、実施基準を超えた旅行経費を認めるなど、弾力的な運用を行っております。 これからも、消費税10%への移行やバス運賃値上げの状況、各校の実情等を踏まえながら、適切な実施基準となるよう、引き続き検討を進めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) 教育長からは、小規模校にする対応は、こういうふうに柔軟にしているということの例示をしていただきながら、また、適切な旅行経費等については、引き続き検討を進めていくということで御答弁をいただきました。これについては、大変すばらしいことだというふうに思っております。ただ、小規模校以外のことを考えますと、ちょっと私、1つ考えがあるんですが...... ○副議長(溝口幸治君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 ◆(池田和貴君) (続) はい。熊本駅や阿蘇くまもと空港などを起点とした基準額を決めたらいかがでしょうか。そうすると、遠い学校も近い学校も同じ基準の中でいろいろ柔軟に対応できるのではないかというふうに思っております。また、今基準を見直さないのであれば、今度基準を見直すときには、柔軟に対応するなどの文言もきちんと書き込んでいただくように、現場が未来にわたってそういったことができるように御配慮をいただきたいということをお願いしていきたいと思います。 ちょっと九州各県で調べてみた数字でございますが、旅行経費を決めている県は、九州では長崎と鹿児島がございます。長崎は8万3,000円、本県よりも4,000円高い金額です。鹿児島については8万円で、離島の場合で上回る場合は事前協議を行うというふうになっております。その他の県は、あとの5県は上限を決めておりません。多分それなりに柔軟に対応されているのではないかというふうに思っております。 ぜひ、学校現場、また、生徒の皆さん、保護者の皆さん方がよかったなと思えるような修学旅行になっていけるように、プロセスも大事にしながら、これからの基準額の設定については進めていっていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。 以上をもちまして、私が用意をいたしました質問は全て終了をいたしました。 小杉先生から言われたように、ちょっと早口と御指導をいただきましたので、今度はもっとわかりやすく話せるように準備をしていきたいということを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(溝口幸治君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明8日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第7号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時9分散会...