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03月06日-05号

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  1. 熊本県議会 2018-03-06
    03月06日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成30年 2月 定例会               第 5 号               (3月6日)  平成30年  熊本県議会2月定例会会議録     第5号平成30年3月6日(火曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  平成30年3月6日(火曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(45人)            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            前 田 憲 秀 君            濱 田 大 造 君            磯 田   毅 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            西   聖 一 君            浦 田 祐三子 さん            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            森   浩 二 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            氷 室 雄一郎 君            鎌 田   聡 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            小 杉   直 君            前 川   收 君            西 岡 勝 成 君            山 本 秀 久 君欠席議員氏名(1人)            村 上 寅 美 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  坂 本   浩 君     総務部長   池 田 敬 之 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 古 閑 陽 一 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            奥 薗 惣 幸 君     部長     農林水産部長 濱 田 義 之 君     土木部長   手 島 健 司 君     会計管理者  金 子 徳 政 君     企業局長   原     悟 君     病院事業            永 井 正 幸 君     管理者     教育長    宮 尾 千加子 さん     警察本部長  村 田 達 哉 君     人事委員会            田 中 信 行 君     事務局長     監査委員   豊 田 祐 一 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 田 勝 也     事務局次長            中 島 昭 則     兼総務課長     議事課長   中 村 誠 希     審議員兼            村 田 竜 二     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時2分開議 ○議長(岩下栄一君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(岩下栄一君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 岩田智子さん。  〔岩田智子さん登壇〕(拍手) ◆(岩田智子さん) おはようございます。民進・県民クラブ岩田智子です。 大地震から、もうすぐ2年を迎えます。私の母校、東野中学校は、学びやがもう跡形もなくなって、今更地になってしまいました。子供たちはプレハブで学んでいます。もうすぐ卒業式を迎えます。早く被災に遭った学校の子供たち教育環境が整うようにと思っています。 5回目の質問です。いつも緊張しますと言いますけれども、議会での緊張感は必要なものだと思っています。きょうも緊張感を持って、県民の声をしっかりと伝えたいと思っています。吉永議員が質問のテーマを最初に話されましたけれども、私の質問のテーマは、人と命です。 それでは、通告に従って質問に入ります。 まず、教職員の働き方改革に向けて質問をいたします。 臨時的任用教職員待遇改善についてです。 昨年3月と9月の一般質問においても、臨時的任用教職員待遇改善について質問をいたしましたが、その待遇が少しずつ改善をされていることを実感しており、このように私が皆さんの声を代表し、一議員として継続して質問をしていくことの意義はとても大きいことだと痛感をしております。 例えば、わずか1年という任用期間が限られた任期つきの職員は、年度末の3月28日にその任期が切れてしまうため、新年度の4月1日付で再び任用されることが決まっていれば、雇用面では安心ができるのですが、3月29日から4月1日までの4日間は、それまでの社会保険から国民健康保険への切りかえを余儀なくされていました。既にその仕組みは改善されて、4月からの任用が決まっている場合は、国民健康保険へ切りかえることなく、そのまま社会保険の加入継続ができるようになりました。 また、新年度の準備のため、年度末の業務がふえる上に、業者との引き継ぎなどもこなさなければならない臨時的任用学校栄養職員任用期間も、それまでの3月28日までが3月29日までと、わずか1日ではありますが、延びました。 わずか1日とはいえども、延びることを歓迎する声が私のもとへすぐさま届きました。猫の手もかりたいほど多忙な時期になる年度末は、一日一日がとても貴重な時間になります。臨時的任用学校事務職員にとってもそれは同様であり、たった1日でもいいので延ばしてほしいところです。 現在、教職員の働き方の問題が、社会的にクローズアップされています。任期つきとはいえ、正規の教職員と何ら変わらない仕事をしている臨時的任用の教職員、学校栄養職員学校事務職員の方々も、同様な問題を抱えながら働いておられます。 今回も、現場の声を幾つかお届けしたいと思っています。 まずは、試験に受からぬけんたいと言われます、最終的には自分でもそう思うし、周りもそう見ているのだろうと思います、でも、いいように使われるのも割に合わないと思いますという40代の方の声。次に、キャリアを積んでいるはずなのに、任用されるたびに、いつも一旦白紙の状態に戻されてしまうことが一番納得いきませんという50代の方の声。また、文化系の私がなぜかサッカー部というばりばりの運動部に所属、こんなにつらい状況だと思いもしませんでした、ふだんの授業準備に加えて、自分の採用試験の勉強もしなければならないのに、部活指導の勉強までとても手が回りません、それでも、保護者の方々や先生方、コーチのサポートのおかげで何とかやっています、任用時には、少しでも多くの履歴書事項を酌み取ってほしいと思いますという20代の方の声もありました。 ただいま紹介した声は、それぞれ数年から数十年の間、臨時的任用教職員として働き続けておられる方々のものです。 皆さん一生懸命に現場で仕事に取り組んでおられます。その理由はなぜかといいますと、教師の仕事にやりがいを持っておられるからです。臨時的任用であっても、正規任用教職員と大きな業務量の差もなく働いておられることを考えれば、その職責の重さが違うなどということはあり得ないと思います。 そこで、正規任用教職員と何ら変わらぬ職責でありながらも、不安定な労働条件のもと、現場で必死に働かれている臨時的任用教職員のさらなる待遇改善に向け、任用期間を1日でも長くできないのか、教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長宮尾千加子さん登壇〕 ◎教育長(宮尾千加子さん) 臨時的任用教職員待遇改善についてお答えします。 臨時的任用教職員の任期については、業務上、任用が必要な期間に限られています。再度の任用について、空白期間を求める明確な規定は関係法令にはございませんが、臨時的任用を繰り返すことによって、事実上、任期の定めのない常勤職員と同様の任用形態となることは適当ではないと考えています。 その上で、これまでも業務の遂行に必要な期間を考慮して見直しを図ってきており、議員御指摘のとおり、年度末の状況も鑑み、来年度から、全ての臨時的任用教職員任用期限を1日延ばし、3月29日までとする予定です。 県教育委員会としましては、引き続き、市町村教育委員会や学校と連携し、教職員の職場環境の改善に努めてまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 臨時的任用教職員の任用を、平成30年度から全て1日延ばすということ、少しほっとしました。事務職員は、異動事務もありますし、講師は、指導要録のまとめや引き継ぎ業務があります。しっかりと考えていただき、うれしく思っています。 総務省通知では、教育長も言われたとおり、再度の任用の場合であっても、新たな任期と前の任期との間に一定の期間を置くことを求める規定は、地方公務員法を初めとした関係法令において存在しないとされています。 全国を見ると、3月31日まで任用する自治体もあります。1日延びたことはとてもうれしいのですけれども、同じ仕事をしている前提を考えれば、空白期間があるのはおかしい気がします。31日までの任用ができることをお願いしたいなと思っています。 新規採用の増加で、臨時採用の先生方が足りない状況になっています。先生という仕事を目指す方、臨時採用としての生き方を選んでおられる方、さまざまですけれども、子供を目の前に、学校運営の中で、教師としてのやりがいを感じながら働いておられます。いつも言いますけれども、職責の違いなんてないはずだと、改めて言っておきます。 続いて、教職員の勤務時間の適正化について質問をいたします。 これも昨年の3月と9月の一般質問でも取り上げましたけれども、昨年4月に文部科学省が公表した平成28年度教員勤務実態調査結果への反響、そして教職員の過労死問題への反響はとても大きく、教職員の働き方を何とかしなければならないと、全国的な話題となり続けています。 私が元教員でしたという話をすれば、私の息子も教員だけど、朝は早うから夜は遅くまで、土日も全く家にいない、一体学校はどうなっているの、どうにかしてと言われたことも、1度や2度ではありません。 勤務時間実態をしっかりと把握するのは、自分自身のため、そして子供たちのためと理解をしないまま、超過勤務時間が月100時間を超えると、学校で後々面倒なことになるから、帰ったことにして仕事をするという方は、随分な人数になるのではないでしょうか。そもそも、7時間45分という勤務時間内に仕事が終わらないのは、それ以上にやるべき仕事があるからなのです。 そこで、過労死や精神疾患、脳梗塞、心臓疾患などにつながることがないよう、教職員の勤務時間の適正化について、教育長にお尋ねをいたします。 続いて、事業の見直しについて質問をいたします。 学校現場の忙しさは、その忙しいという漢字が示すとおり、心をなくしてしまうほどです。 昨年10月に公表された文部科学省教員勤務実態調査の追加分析において、小学校教諭の平日勤務について、週60時間以上とそれ未満の勤務教員とでは、主に授業準備学校行事成績処理に差があることが明らかになりました。一方、中学校教諭の平日勤務について、週60時間以上とそれ未満の勤務教員とでは、主に部活動、授業準備学校行事、学年・学級経営、成績処理に差があることが明らかになりました。 また、担任をしている教諭の勤務時間が一番長く、担当学年が上がるにつれて、その時間はより長くなる結果となっています。また、小学校では、担任児童の数が多いほど成績処理に係る時間は長くなる結果となっていますが、中学校ではそれほど顕著ではないようです。 以上のように、教員勤務実態調査結果が示すとおり、学校現場は多忙な状況にあるのですが、小学校では、新指導要領に基づいて新たに加わる英語の教科化により、これまでの授業時数がさらに年間70時間ふえます。 これまでも、教職員の多忙化の解消について質問をしましたが、スクラップ・アンド・ビルドがなされることがないまま、ビルド・アンド・ビルドになっているのではないでしょうか。 部活動については、社会体育化を進めておられることは高く評価をしておりますが、そのほかの取り組みはどうなっているのでしょうか。 そこで、スクラップ・アンド・ビルドのスクラップの実現に向けて、私から幾つか提案をいたします。 まず、1つ目ですが、学校での集団フッ化物洗口事業についてです。 熊本県歯及び口腔の健康づくり推進条例が平成22年11月1日に施行されたことをきっかけとして、学校で、生徒の虫歯を予防するために、健康福祉部と県教委が連携してフッ化物洗口の普及を進め、熊本市を除く全県下の小中学校において、100%実施されている事業です。 この事業の実施は、次の条文が根拠になっています。学校等への支援、第13条、「県は、幼児、児童及び生徒のむし歯及び歯周病を予防するため、学校等における歯磨き、フッ化物洗口の普及その他の効果的な取組に関し必要な措置を講ずるものとする。」2、「県は、学校等においてフッ化物洗口が実施される場合は、学校保健安全法第5条の規定による学校保健計画又はこれに準じた計画に位置付けることその他のフッ化物洗口の的確な実施のために必要な助言を行うものとする。」という条文です。 この事業は、各自治体で職員を雇用したり、保護者ボランティアに頼んだりすることで、教員の新たな負担にならないようにと始められたはずでしたけれども、今では学校任せになっています。 口の中にフッ化物がしっかりと行き渡るように、下を向いて行うプクプクうがいに使われる薬品は、劇薬のフッ化ナトリウムを水で薄めたものなので、子供たちが誤って飲んでしまわないか気にかかりますし、実際に希釈ミスや薬品の取り違いによる事故も数件発生しています。 学校からの要望があって始められたものならば腑にも落ちますが、歯の健康については、フッ化物洗口が始まるずっと以前から学校ではしっかり取り組んでおり、虫歯が年々減っていることを目の当たりにしていた現場にとってみれば、なぜという感じでした。 私も、実際に視察をさせていただきました。時間的にはあっという間に済んでしまう、毎週1回の取り組みではありますが、各学校に任せっきりになっているような集団フッ化物洗口事業を再考すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 続いて、2つ目ですが、ゆうチャレンジについてです。 これは、学習指導要領の狙いの実現に向けて、基礎、基本の定着を図ることは大きな課題であることから、市町村教育委員会の要請を受けて、平成14年度に開発された評価問題であり、知識や技能の到達度だけでなく、みずから学ぶ意欲や思考、判断力、表現力までを含めた到達度を客観的に把握できる本県独自の評価問題であります。15年度から、県の学力調査として始まりました。 小学校3年から6年までの国語、算数の2教科と、中学校1年から2年までの国語、社会、数学、理科、英語の5教科があります。 小学校6年及び中学校3年を対象とした全国学力学習状況調査でははかることのできない、細かな問題やよく工夫された問題は、現在の全国学力学習状況調査における出題問題の参考にされたという話も聞いていますが、その全国学力学習状況調査も、紆余曲折を経て平成26年度から悉皆の全員調査になりました。つまり、同じとまでは言いませんが、同じようなテストが2回実施されるのです。 新しい指導要領が目指すものとして、次のようなことが記載されています。「子供たちにどのような力を育むのかという教育目標を明確にし、それを広く社会と共有・連携していけるようにするためには」「学習指導要領等に基づく指導を通じて子供たちが何を身に付けるのかを明確に示していく必要がある。」そのためには、まずは子供の視点に立ち、「育成すべき資質・能力を整理する必要がある。」子供たちが何をどのように学ぶのかという「具体的な学びの姿を考えながら構成していく必要がある。」 このように、新しい学習指導要領においては、主体的、対話的、深い学びというアクティブラーニングの視点も入ってきていることから考えれば、ゆうチャレンジも見直しの時期に来ているのではないでしょうか。 先ほど紹介しました平成28年度教員勤務実態調査でも明らかなように、成績処理に係る時間も相当多くなっていますので、再考すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 そこで、まず1点目に、教職員の勤務時間の適正化について。 次に、2点目として、教職員の多忙化解消に向け、集団フッ化物洗口及びゆうチャレンジ事業見直しについて。 以上2点を教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長宮尾千加子さん登壇〕 ◎教育長(宮尾千加子さん) まず、教職員の勤務時間の適正化についてお答えします。 学校現場における長時間勤務が問題となる中、教職員が、生き生きと、やりがいを持って勤務できる環境づくりが急務と考えています。 県教育委員会では、昨年11月、県立学校及び市町村教育委員会に対し、学校における働き方改革に関する通知を発出し、勤務時間の把握や部活動休養日の徹底等を依頼するとともに、県PTA連合会等との意見交換を実施したところでございます。 特に、客観的な勤務時間の把握に早急に取り組む必要があると判断し、今定例会に、平成30年度中に全ての県立学校タイムカード等の機器を導入するための予算を提案しています。 また、市町村立学校においては、タイムカードの導入率が、昨年9月時点で約37%でしたが、本年2月現在では約49%に上昇しています。今後とも、県の取り組みや市町村の事例を各市町村教育委員会にも情報提供し、全県的に取り組んでまいります。 さらに、働きやすい環境づくりに向け、衛生管理者研修会を実施するなど、教職員の超過勤務に対する意識改革もあわせて推進してまいります。 教職員の働き方の問題は、県教育委員会としても取り組むべき最重要課題の一つであり、今後とも、地域や保護者等の御理解、御協力を得ながら、勤務時間の適正化に向けた取り組みを進めてまいります。 次に、事業の見直しについて、1点目の学校での集団フッ化物洗口についてお答えします。 本県の12歳児の虫歯の数は、全国平均よりも多い状況にはありますが、学校における健康教育や歯磨きの指導、フッ化物洗口等取り組みにより、平成21年度の2.14本から平成28年度は1.13本になり、8年間で半減しています。 児童生徒の虫歯を減らすためには、歯磨きの指導等に加えて、歯を丈夫にし、虫歯になりにくくすることが大切です。そのためには、市販の歯磨き剤にも入っているフッ化物の活用が効果的であり、その活用については、既に安全性、有効性が十分確立されています。 いち早く学校での集団フッ化物洗口を開始した町の虫歯の数は、玉東町で、平成21年度0.88本が平成28年度0.23本に、高森町で、平成24年度2.47本が平成28年度0.63本と、著しく減少しています。 このようなことから、フッ化物洗口は歯の健康づくりのために大変有効であり、今後も健康福祉部や市町村等と連携を図り、教職員の負担軽減も配慮しながら、フッ化物洗口を含めた歯科保健の充実に取り組んでまいります。 最後に、2点目の県学力調査ゆうチャレンジの見直しについてお答えします。 本調査は、本県における子供たちの学力の状況を、各学年に応じてきめ細かく把握し、確実な定着を図ることを目的に実施しているものです。 毎年4月に国が実施する全国学力学習状況調査の結果から見られた課題を、12月に本県が実施するゆうチャレンジで検証し、課題の改善状況を把握するとともに、課題解決に向けた教員の指導方法の工夫を促すなど、1年間を通した学力向上の取り組みを行っているところです。 これまでも、ゆうチャレンジについては見直しを行ってきており、平成27年度から、学習指導の焦点化、重点化を図り、教員が指導の一層の充実に取り組めるよう、小学校3年生から6年生まで各学年4教科実施していたものを、国語と算数の2教科に絞りました。 さらに、今年度は、採点・入力処理の期間を長目にとり、余裕を持って事務処理ができるよう、集計、分析を支援する新たなウエブシステムを開発し、小中学校に提供しました。 今後とも、ゆうチャレンジのより効率的、効果的な実施のあり方について、引き続き検討してまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 御答弁いただきました。 県立学校へのタイムカード、またはICカードの導入に踏み込まれたことは、高く評価をいたしております。タイムカードICカードでの勤務時間の把握は、働く教師自身のために絶対に必要なものです。面倒だとか、チェックしてから仕事を始めるなど、あってはならないのです。もし何かあった場合、熊本県の大切な人的財産をなくすことになります。公務災害にも認められないような事態にもなりかねません。 教職員の意識の改革、そして管理職のマネジメントは不可欠です。ニュースを見る時間も、新聞を読む時間もない教師、読書や映画鑑賞、自分のためのスポーツができないようなことにならないようにしなければならないはずです。 今国会で、裁量労働制は取り下げられましたけれども、教員の働き方は、この裁量労働制そのものなんです。そして、業務量を考えると、勤務時間に仕事がなかなか終わらないということについて、2つ提案をさせていただきました。 学校における集団フッ化物洗口は、教育活動ではありません。学校教育とは、虫歯にならないよう、歯周病にならないよう、口の中を見詰めさせ、ブラッシングをどうすればいいか、どこに汚れがつきやすいのかを学ばせることです。歯によい食べ物を学び、虫歯予防にフッ化物洗口という方法があるんだよということを学ばせることです。学んで、自分の暮らしの中で実践をさせることです。家庭の役割があるわけですけれども、学校任せにしてある部分もたくさんあるのではないかなと思います。 中教審の中間まとめで示されている総合的な方策の中に、基本的には学校以外が行うべき業務、学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務、教師の業務だが、負担軽減が可能な業務の3つに分けて考えられていますが、この集団フッ化物洗口は学校の業務ではないはずです。どれも当てはまりません。 知事みずから、プクプクうがいを推進しておられますけれども、きちんと学校任せっきりにしないように、それだけをお願いしたいと思っております。 生活実態調査の単純集計の結果では、歯磨きを行う頻度についての設問がありました。毎食後歯磨きをする子供は55.3%、1日のうち1回またはほとんどしない子供は7.7%でした。学校の業務としては、このことを何とかするべきことだと思っています。 ゆうチャレンジについては、これまでも見直しがされてきているとのことでありましたけれども、子供の学力向上のために取り組まれていることは重々わかっています。採点をしてきた身から言いますと、採点と入力に時間がかかっていたことを思い出します。 子供たちの力は、その点数だけ、マル・バツだけでは推しはかれません。15年前とは子供の実態も変わってきています。子供も、文化的な活動や読書、遊び、家の仕事の手伝いなどで、深い学びを追求できることがたくさんあると思います。今後、まだ実施をされるということですけれども、一人一人の子供を見ていっていただきたいと、そう思います。 42歳になる、最初に担任をした教え子と、この間、年末に集まったんですね。教師っていいなと思うのはこういうところです。子供と面と向かって、あのころいろいろ遊んでいたなというようなことも思い出すんですけれども、子供としっかり個人的に対話をする、その子のいいところ、悪いところをきちんと教師がアドバイスをするというようなところも、そういう時間もとても必要だと思っています。 その42歳になった子、成績がずば抜けてよかった子も、勉強が大嫌いだった子もたくさんいるんですけれども、みんなきちんと納税をする納税者になっております。じっくり見る時間があのころはあったんだなと思います。 業務の見直しについては、これからも提案をしてまいりたいと思っています。 次に、少子化対策についてです。 子供がどんどん減少するのに対し、逆に65歳以上の高齢者が増加を続ける人口減少のグラフを見ると、本当に熊本の将来、日本の将来はどうなるのだろうと、とても不安になります。 熊本県の人口は、2016年10月1日現在、177万5,000人。今後も減少傾向が続くことが予想され、このままの状況でいけば、2040年には147万人になることが見込まれます。 一方、熊本県の合計特殊出生率を見ますと、平成28年が1.66で、前年より0.02ポイント減少しています。都道府県別に見ますと、沖縄県の1.95、島根県の1.75、宮崎県の1.71、鹿児島県の1.68に次いで全国6位――前年は5位でしたけれども、と、全国平均を上回っています。 また、熊本復旧・復興4カ年戦略の進捗レポート2017では、安心して妊娠、出産ができる環境にあると感じる県民の割合は、平成27年の戦略策定時が40.2%でしたが、平成28年実績値、平成29年評価においては46.4%と、6.2%も上昇しており、大変喜ばしい評価結果があらわれており、平成31年の目標値となる60.0%にぜひ到達できることを大いに期待しております。 このように、明るい状況もあるにはあるのですが、私の周りを見回しますと、もっと子供が産みたい、せめてもう1人でも子供が欲しいと思われている女性の方もたくさんいらっしゃるのですが、仕事との両立の難しさや待機児童の問題、子供にかかる教育費などの養育費が過大過ぎることによる生活不安、不妊や不妊傾向などといったようなさまざまな理由から、子供を産み育てることに二の足を踏まれているたくさんの声があふれています。 外国の話になりますけれども、日本と同様に少子化に悩む先進諸国の中で、フランスは、1994年に1.66と底を打った出生率が、2010年に2.0に回復しました。約7割が取得する男の産休、全額保険でカバーされる無痛分娩、連絡帳も運動会もない保育園、働き方、出産や保育に対する価値観、行政のバックアップ、民間のサポートなど、フランスと日本では出産・育児事情に大きな差があるのは事実ですけれども、少しでも参考になることがあればと思い、少し紹介をさせていただきます。 作家、ジャーナリストの白河桃子さんによれば、フランスが少子化を克服できた原因として、政府が女性側にメッセージを送り続けたことが大きいと思っている、フランスでは、男性が途中でいなくなっても、仕事を失っても、あなたの子育ては大丈夫ですよという政府のメッセージが女性側に届いたからこそ、産んでも大丈夫という空気ができたというような趣旨のことを話されています。 実際に、私の知人の息子さん夫妻――日本人なんですけれども、がフランスで子育てをされていますが、その夫妻は、フランスでの子育てはストレスが少ないと言われているそうで、だからフランスではみんな子供を産むんだろうねと、その知人が話されていました。 熊本では、婚活支援などは積極的に進められていますが、現実的に安心して子供が産める社会にしなければなりません。まずは、子供を産みたいと思っておられる方に、安心して産んでいただくことが必要です。 県では、不妊に悩んでおられる方に対しては、熊本県特定不妊治療費助成事業にも取り組まれ、体外受精及び顕微鏡受精に要する費用の一部の助成が行われています。28年度は、県で693件、熊本市で719件の合計1,412件の結果となっています。また、男性不妊治療の申請も、平成27年度は1件でしたが、28年度は、県と熊本市を合わせて10件となっています。 申請件数は、26年をピークに減少傾向にありますが、不妊専門相談への相談件数も高い状況にありますので、さらに充実をさせていただきたいと思います。 また、仕事と不妊治療との両立も問題です。 厚生労働省では、企業に対して、不妊治療を目的とした休暇制度の導入や多目的休暇の取得事由に、不妊治療を追加することなどを促しています。不妊治療は、高額な経済的負担に加え、治療期間も長期にわたる傾向にあります。不妊治療のために仕事をやめざるを得なくなるようなことがあってはならないと思います。 そこで、安心して妊娠、出産ができる環境づくりを目指し、県が取り組む少子化対策について、知事から、子供を産みたいと思っている女性たちに向けたメッセージをお願いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、知事就任以来、結婚、妊娠、出産、子育てなど、それぞれのステージに応じた切れ目のない支援に取り組んできました。その原点は、アメリカでの生活にあります。 私は、アメリカで8年間の学生生活を送る中で、結婚と子育てを経験しました。幸いにも奨学金という経済的な支援がありましたので、貧しい中でもさまざまなことにチャレンジできました。何よりも、大学1年生のときに妻と結婚し、そして3人の娘に恵まれたことに、心から感謝しています。 この思いが、今回の多子世帯の保育料無償化の拡充について、熊本地震後の大変厳しい中でも、国に先駆けて実施するという決断の大きな後押しとなりました。 また、子供たちに、貧困が原因でチャンスを失わせたくないという思いから、学習支援に力を入れて取り組んでおります。その結果、ひとり親家庭への学習支援では、2年連続で全国1位の実績となっています。 さらに、行政だけでなく、民間も含めた社会全体で、子育てを応援することが重要です。そこで、昨年8月に、まず私自身が、職員の仕事と子育てなど、生活の充実を応援する、よかボス宣言を行いました。 既に80を超える企業に賛同いただいており、よかボス企業の取り組みがさらに加速化されるよう、交流の場を設けたいと考えています。 また、不妊治療を含めた多目的休暇制度や男性の家事、育児のスキルアップなど、このようなものにも取り組み、子育てしやすい環境づくりを県全体に広げてまいります。 子供は熊本の宝です。地震からの復興に取り組む熊本において、子供たちの声が響く姿は、活気あふれる明るい未来の象徴だと考えます。 私も、当時は不安だったけれども、あのとき子供に恵まれてよかったという経験を語ることで、子育て世代に対するメッセージを発信してまいります。 今後も、私自身が先頭に立って、希望される全ての皆さんが、安心して結婚や子供を産み育てることのできるよう、全力で取り組んでまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 知事がおっしゃるように、経済的な支援は絶対に必要だと思っています。今回、多子世帯への保育料の無償化の拡充も、少子化の歯どめになることだと思っています。 貧困問題への支援も、鎌田議員が代表質問でされましたけれども、ネットワーク化ですね、学習だけではなく、ほかのところもネットワークをつなげて支援をしていっていただきたいなと思っています。 少子化だからこの事業は難しいとか、先行き人口が減るからというように、少子化を理由にしてさまざまな施策が考えられています。少子化をこのままにしておけば、衰退の一途です。不妊治療を経験している友人もたくさんいます。 熊本県で出生率が高い地区のベスト3は球磨郡です。2.0を超えています。なぜなのか。出産や育児を支援する文化があるのだと思います。子が生まれることをみんなで喜ぶ文化です。ほかにも要因はあると思いますけれども、大事なところです。 先日、ちょっと嫌な話を聞きました。学校の中なんですけれども、担任を希望するなら妊娠は諦めてくれというようなことを管理職から言われたというような話です。 子供は社会の宝です。(発言する者あり)あるんですよ。子供は社会の宝です。よかボス知事からの県民へのメッセージが浸透するように、全力で取り組みを進めていただくようにお願いをいたしたいと思います。 次は、スクールソーシャルワーカー活用事業の充実について質問をいたします。 平成28年4月1日に閣議決定された、平成28年4月から平成32年度までを計画期間とする第3次犯罪被害者等基本計画において、文部科学省では、犯罪被害者等を含む児童生徒の相談等に的確に対応できるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の適正な配置や、犯罪等の被害に関する研修等を通じた資質の向上を通じて、平成31年度までにスクールカウンセラーを――SCですね、全公立小中学校に配置し、SSWも全公立中学校区に配置をすることにより、学校における教育相談体制を充実させることとしています。 現在、熊本県教育委員会においては、精神保健福祉士または社会福祉士の資格を有する方をSSWとして、義務制で22名、県立学校で8名任用されています。 義務制では、全教育事務所等及び3拠点中学校に配置をし、市町村教育委員会からの派遣要請に対応をされています。また、県立学校では、5拠点校に配置し、県立学校からの派遣要請に対応をしておられます。 勤務については、県の非常勤任用等取扱要綱の規定に基づき、1日6時間を標準として、月20日以内、週29時間以内となっています。 SSWの費用負担は、国が3分の1、県が3分の2となっているとのことですが、県の教育委員会に話を伺ったところ、活動時間は国の基準を満たしており、今のところうまく調整をされているとのことでした。 先日、私がSSWの方に話を伺ったところ、経験が必要な仕事であり、経験の積み重ね、若手の育成が不可欠だと言われていました。実際に、貧困や発達障害、いじめ、虐待など、子供をめぐる問題が次第に明らかになるのに伴って、SSWへの支援要請がふえています。 学校に不信感を抱く保護者との信頼関係を築き、問題解決に結びつけるケースも見られるなど、SSWはその力を発揮されています。 しかし、勤務時間内にとどまらず、休日にも相談者や関係機関から連絡を受け、緊急に対応しなければならないなど、非常勤職員という身分ではありながら、その身分不相応な重責を担っている現状があるのです。 そこで質問ですが、教育と福祉をつなぐSSW活用事業の配置や運用面での工夫、資質の向上などの充実についてどのように考えておられるのか、教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長宮尾千加子さん登壇〕 ◎教育長(宮尾千加子さん) 学校では、いじめ、不登校等のさまざまな課題や犯罪被害等を含む児童生徒の相談に的確に対応できるスクールソーシャルワーカー、いわゆるSSWの役割がますます重要になってきています。 そのため、平成19年度から、小中学校を支援するSSWの配置を開始し、平成20年度に、全教育事務所に配置しました。平成24年度からは、県立学校にも拠点校への配置を始め、現在は5つの拠点校から全ての県立学校を支援できる体制を構築しています。 さらに、平成28年7月からは、支援要請の多い中学校3校にSSWを配置し、学校内でのチーム支援体制を整え、迅速な支援ができるようにしています。あわせて、校区内の小学校からの支援要請にも応じる体制をとっています。 配置開始以来、県教育委員会では、SSW活用の充実に向けて、活動時間の拡充と人員確保に努めるとともに、資質の向上にも取り組んでおります。具体的には、新規任用のSSWを対象とした研修会や指導的立場にある方をスーパーバイザーとして委嘱し、SSWへの指導や助言を行うケース検討会議等を実施しております。 また、運用面での工夫として、保護者のニーズに合わせた支援や緊急時の対応が行えるように、SSWの勤務時間を弾力的に設定しています。 このような工夫により、平成28年度の支援対象児童生徒数は1,299人となり、この4年間で約1.7倍となっております。これらのケースの中には、保護者による虐待が判明し、家庭訪問や関係機関との連携により児童相談所で一時保護するなどして、生徒の安全確保につながった事案もあります。 県教育委員会としましても、今後もさらなる研修の充実や、配置、運用面での工夫改善に取り組み、市町村との連携も図りつつ、SSW活用事業の充実に努めてまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) SSWは、教育と福祉をつなぐ大切な存在だと認識をしています。 平成29年12月28日の西日本新聞の記事によりますと、教育と福祉のパイプ役として、不登校やいじめ、虐待、貧困などの問題に、家庭や学校と連携して対処するSSWの給与が、九州7県や政令市、中核市の教育委員会で、最大3倍の格差があることが取材でわかったとのことでした。 その記事の内容では、SSWの待遇において、熊本県は時給3,190円と、宮崎、鹿児島両県の時給2,000円よりも高いんですけれども、月給制の市で最も高い福岡市は25万8,200円、非常勤嘱託として週4日勤務の北九州市は、月給25万600円に加え、賞与や時間外手当も支給されている上に、厚生年金保険の適用もあるとのことです。北九州市の教育委員会は、SSWは専門職であって、市の嘱託職員でも待遇が一番いいというふうに言われているそうです。 熊本のSSWの方、本当にたくさん働いていらっしゃっていますけれども、別の仕事を持っての非常勤という方が多いですね。熊本県内にもスクールソーシャルワークの教育課程を認定されている大学が2校あるようですが、現在の身分や待遇状況では、SSWになりたいと考える大学生の夢や希望にはつながりはしないのではないかなというふうにも考えています。 また、学校に常時勤務する学校配置型のSSWであれば、子供の学校での様子がしっかりと把握でき、学校の先生方との連携も十分にとれるため、現場の先生方からは、派遣型のSSWでは学校からの存在が遠いというふうな声も耳にしています。SSWの処遇改善にも、引き続いて取り組んでいただきますようにお願いをいたします。 次に、水道の民営化についてお尋ねをいたします。 本県は、豊富な地下水に恵まれており、多くの自治体で良質な水が水道水として安定的に供給をされています。 一方、水道事業を取り巻く環境については、全国的に人口減少による料金収入の低迷や更新すべき老朽施設の増大、施設の耐震化等、運営基盤を今まで以上に強化しなければ対処できない課題を抱えています。 このような中、国においては、現在の水道事業体が抱えている問題を解決するために、水道事業体の基盤強化を行うことを主な目的とした水道法改正案を、昨年3月の通常国会に提出しました。しかし、日程の都合などで審議入りされず、継続審議扱いになり、その後、昨年9月の臨時国会冒頭での衆院解散で廃案となりましたが、厚生労働省は、廃案となった水道法改正案を、今通常国会に再提出すると聞いております。 改正案は、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道事業が直面する課題に対応し、水道基盤の強化を図るため、国、都道府県、市町村、水道事業者等の責務の明確化、広域連携の推進、適切な資産管理の推進、官民連携の推進などが柱となっています。 そして、この中の官民連携の推進の具体的な方策として、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入するということが盛り込まれています。 これは、水道事業のあり方として、民営化も選択肢の一つとして広げるものですが、私のところには、水道ば民営化するてどがんこつですか、外国に熊本の水が管理されるようになるのではないですかなど、水道の民営化を心配する声が届いています。 私にお尋ねがあった際には、水道事業者である自治体が、民間の有するすぐれた技術やノウハウを効果的に導入をして経営基盤を強化するもので、あくまで運営コストを削減するための手法の一つであって、水道施設が外資に乗っ取られるようなことはないと説明をしています。 これまでも、民間に対しては、水道施設の設計やメーター検針、窓口業務などの個別委託や、複数の業務を一括して委託する包括業務委託などが行われています。 県内では、熊本空港についても、民間のノウハウを生かした利用促進、サービス向上を図るため、平成32年4月から、熊本空港の運営を民間に委託することを決定していますし、今後、さまざまな公共の業務において、民間のノウハウを生かした利用促進、サービス向上を図る取り組みが進んでくると思います。 しかしながら、水道は、県民生活や社会経済活動にとって大変重要なライフラインであり、これを民間に任せることに、懸念や不安を持つ人が少なからずいるのではないかと思います。 今国会での議論とはなると思いますけれども、水の都熊本県として、水道の民営化についてどのようなお考えか、環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長田中義人君登壇〕 ◎環境生活部長(田中義人君) 水道法改正による民営化の内容につきましては、現時点でその詳細は明らかでございませんが、一部事業の民間委託とは異なり、収支を含め、事業の大部分を民間に任せるといった形態になるものと考えております。 一般的に民営化のメリットとしては、民間事業者のすぐれた技術や経営ノウハウを生かした事業の効率化やコスト削減などが挙げられます。一方で、利益を確保するための料金引き上げやコスト削減を追求する余り、サービスの低下を招くのではないかといった懸念があることも事実でございます。また、導入に当たりましては、スケールメリットが働くよう、ある程度の事業規模が求められると考えております。 本県では、小規模な事業者が多いことから、基盤強化を図るため、平成27年3月に策定をいたしました熊本県水道ビジョンに基づき、事業統合や施設管理の一体化、共同化等の広域化を進めております。具体的には、県内を6つの圏域に分け、市町村の取り組みを推進するための研修会等を開催いたしております。 県といたしましては、引き続き、水道事業の広域化に取り組むとともに、民営化につきましては、国の動向を注視の上、市町村への情報提供に努めてまいります。  〔岩田智子さん登壇〕 ◆(岩田智子さん) 水道の民営化についてお答えをいただきました。 昨年9月、緒方議員の質問でも答弁がありましたけれども、素朴な質問としてきょうは出させていただきました。 熊本の水は、良質な地下水で、飲む水もお風呂の水もトイレの水も同じというぜいたくな使い方をしています。 民営化と言われたときの心配に答えていただきました。外国では、一旦民営化されたものが再公営化されていますし、さまざまな問題が起こったのが原因です。水道料の大幅値上げで水道をとめられるところが続出したという話は、パリやイギリスなどの都市からも聞かれました。 私たちは、この命の水を人任せにしてはならないと思っています。大事なのだという意識も啓発も、もっと充実される必要があります。ただではない、守るために必要なものがたくさんあるということを、県民の皆様にも知っていただきたいなと思います。 熊本復旧・復興4カ年戦略にも、くまもとの誇りの回復と宝の継承の中で、地下水涵養量の増加という評価指標も入っていて、農林業とのネットワークも必要だと思っています。大事にしなければならないところです。 民営化ということの裏には、少子化の影響という言葉が必ず出ます。ここでも、少子化対策、しっかり必要性があぶり出されているのではないかなと思っています。情報はこれからだと思いますけれども、しっかり提供していただきたいと思っております。 最後に、埋蔵文化財発掘調査における中小企業の振興について要望をいたします。 先日、私は、埋蔵文化財発掘調査の企業を訪問して、作業場を視察させていただきました。そこでは、考古学専門の学芸員の方々が、発掘現場で出土した遺物一つ一つを丁寧に洗い、記録し、接合し、復元させるなど、緻密な作業に黙々と取り組んでおられました。 そこにおられた若い学芸員の方に、仕事に対する思いなどをお伺いしたところ、子供のころから歴史に興味があって、いつかはこうした仕事につきたいと考えていました、今、その夢が実現してとてもうれしく、熊本の歴史発見に貢献していきたいとの抱負を伺いました。 さて、この言葉には3つ背景があります。1つは、子供のころ歴史に興味があっても、考古学専攻の大学を、卒業後の就職先が厳しいとの理由から、そもそも受験を諦める高校生がいるということ。 2つ目には、それでも自分の夢をかなえるために考古学を学んだ大学生も、埋蔵文化財発掘調査の専門職員を雇用する企業が少ないとの現実の前に、やむなくほかの業種に就職をする学生も多くいると聞きます。 最後に、3つ目ですけれども、地元熊本に就職したいと考えたときに、熊本に本社がある埋蔵文化財発掘調査の企業は2社しかなく、熊本の地で埋蔵文化財発掘調査の仕事につくことは、さらに厳しいものとなります。 そこで、要望です。 歴史的探究の仕事につきたいという熊本の子供たちの夢を実現させるために、埋蔵文化財発掘調査を担う熊本の企業を育成し、ふやす取り組みを行い、雇用拡大に努めていただきたいと思います。 一般的に、埋蔵文化財発掘調査業務は、事業規模の関係から中小企業が多く、経営的にも安定はしていないと思います。 そこで、平成19年3月に施行された県の中小企業振興基本条例の理念に基づき、こうした熊本の中小企業を育成していただきたいと思っています。また、県内の他業種企業からも、埋蔵文化財発掘調査への参入促進も図っていただきたいと思っています。 教師をしていたころに比べて、さまざまな出会いがあります。当たり前のことなんですけれども、一人一人の考え、行動は、一人一人違うということを改めて認識をしています。理想の社会とはどんなものなのか、それもさまざまなのかもしれません。でも、命を軽んじる社会であってはならないと思っています。 働き方改革も、命を守る方向に進まないといけないし、鎌田議員の代表質問でもありましたが、旧優生保護法による強制不妊手術などは、あってはならないことです。 私は、いつも、我がこつ――我がこつってわかりますかね。自分のこつといって、自分がその立場だったらどうするかなということを考えるようにしていますが、でも、一人一人の考えが違うので、その人にやっぱり聞くことから始めています。議員の仕事は聞くことだと思っています。次の6回目の質問で今期は最後の質問になりますが、それ以降、まあ7回目の質問ができるよう頑張っていきたいと思っております。 これで私の質問を終わりたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩下栄一君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時58分休憩     ――――――○――――――  午前11時9分開議 ○議長(岩下栄一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 髙野洋介君。  〔髙野洋介君登壇〕(拍手) ◆(髙野洋介君) 皆様おはようございます。八代市・郡選出・自由民主党の髙野洋介です。ただいまから、通算11回目の一般質問をさせていただきたいというふうに思います。 本日3月6日、さぶろうの日でございます。私の尊敬する松田三郎先生から、先ほど、頑張れという激励をいただきましたので、兄貴分に負けないようにしっかりとこれからも頑張っていきたいというふうに思っております。 ただ、きょうは、3月6日、何の日かといいますと、弟の日だそうです。詳細は皆さんそれぞれ調べていただきたいというふうに思いますけれども、そのほかにも、スポーツ新聞の日というのも、きょう3月6日だそうです。そしてもう一つが世界一周記念日らしいです。ですから、私、きょう、質問の中でスポーツに関すること、また、グローバルなことをしっかりと質問させていただきたいというふうに思います。 先ほど、岩田先生が質問のテーマを言われました。吉永先生も質問のテーマを言われましたけれども、私、きょう、テーマは考えておりません。ただ、県政の喫緊の課題6項目に絞って質問をさせていただきたいというふうに思いますので、60分間しっかりと務めさせていただきたいと思いますので、議場の皆様方の御協力のほうをよろしくお願いを申し上げまして、通告書に従いまして質問に入らせていただきます。 まず初めに、国際スポーツ大会に向けた取り組みについて、2問質問をさせていただきます。 まず1点目に、大会ボランティアについて、蒲島知事に、2点目に、国際ハンドボール連盟の視察における課題と今後の対応について、商工観光労働部長に質問をさせていただきたいというふうに思います。 皆様方御案内のとおり、2019年に本県で開催される女子ハンドボール世界選手権大会、ラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック事前キャンプは、地震から復興する熊本の姿、支援に対する感謝を世界にアピールする大きなチャンスで、県民とともに盛り上げていく必要があります。 多くの県民がかかわる機会の一つがボランティアです。熊本地震においては、県内はもとより、全国から多くの御支援をいただきました。今度は、大会の観戦に世界から来られる方々を、県民のボランティアを通じておもてなしすることで、オール熊本での盛り上がりにつながるのではないかと考えています。 そのためには、ボランティアの募集、育成が大会を準備していく上で大変重要だと考えますが、どのように進めていくお考えか、知事にお尋ねをいたします。 また、昨年12月の女子ハンドボール世界選手権ドイツ大会の視察でハンブルクの会場を訪れましたが、開催国ドイツは早々に敗退したにもかかわらず、1万3,000人収容のアリーナは、満員の観客で大いに盛り上がっていました。 プレーの一つ一つはスピード感があふれ、まさにハンドボール世界一を決める大会にふさわしく、その興奮をぜひ多くの県民の皆様にも味わってもらいたいと思いました。 大会開催が来年に迫る中、先月は、国際ハンドボール連盟による視察が行われたと聞いています。 そこで、どのような課題が示されたのか、また、対応はどのように行っていくのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 大会ボランティアについてお答えします。 昨年8月に実施した県民アンケートでは、約7割の方が、国際スポーツ大会に何らかの形でかかわりたいと回答されました。また、12月に開催したスポーツボランティア研修会には、学生から社会人、高齢者まで多くの方が参加されました。 このように国際スポーツ大会への関心は高まってきており、より多くの県民がボランティアに参加し、県全体が盛り上がっていくよう、今後、募集や育成にしっかりと取り組んでまいります。 具体的には、この4月から、ラグビーワールドカップの組織委員会によるボランティア募集が始まります。これに合わせて、開催地熊本のボランティアも募集を始めるとともに、女子ハンドボール世界選手権大会のボランティアも、募集に向けた準備を進めています。 募集は公募により行いますが、県と包括連携協定を結んでいる企業や各種団体、学校などには既にボランティア参加の依頼を始めており、今後も広く参加を呼びかけてまいります。 また、育成に当たっては、大会の概要、競技やおもてなしの知識、外国語や異文化の研修に加え、プレ大会での実地研修なども実施してまいります。 ボランティアには、競技や会場の運営、町なかにおける大会の盛り上げなどさまざまな役割があり、ボランティアの活躍は本県を訪れた方々の印象を高めます。アスリートとともに大会の主役となるボランティアに、多くの県民の皆様に参加していただき、たくさんのレガシーが残る大会にしたいと考えております。 県議会を初め、全ての県民の皆様の御協力をよろしくお願いいたします。  〔商工観光労働部長奥薗惣幸君登壇〕 ◎商工観光労働部長(奥薗惣幸君) 2月16日から5日間、国際ハンドボール連盟による熊本市、八代市、山鹿市の試合会場及びそれぞれの練習会場と、選手、役員の宿泊施設に対する2回目の視察が行われました。 今回の視察では、昨年3月の視察で指摘を受けた試合会場の観客席数や宿泊施設の課題について、これまで協議してきた改善案を示しましたが、改めて、八代会場は観客席数とホテルの部屋の広さが、山鹿会場は観客席数とホテルの立地環境が世界選手権大会の基準を満たしていないとの指摘を受けました。 加えて、八代市の試合会場については、テレビ放映権を取得した国際映像制作会社から、天井が低く、カメラを高い位置に設置できないため、国際映像が制作できないとの指摘を受け、視察団からは、オリンピックに次ぐ世界規模の大会であり、かつ、翌年の東京オリンピックの予選も兼ねる重要な大会であることから、一定の基準が求められる、現状では八代市の会場を試合会場とすることは困難であるとの考えが示されました。 国際ハンドボール連盟では、今回の視察報告をもとに、理事会において試合会場等が決定されることになっています。まずは早急に改善案を提示することが必要なため、八代市及び日本ハンドボール協会とともに、国際映像制作会社とも協議しながら、さらなる改善案を作成しているところであります。 県としては、試合会場を県北、県央、県南にバランスよく配置することで、県全体が盛り上がり、集客に結びつくことから、熊本市、八代市、山鹿市の4会場での開催が大会の成功に必要であると考えております。 引き続き、八代市、山鹿市、日本ハンドボール協会や県ハンドボール協会と一丸となって、八代市、山鹿市で大会が開催できるよう、国際ハンドボール連盟に強く要請してまいります。  〔髙野洋介君登壇〕
    ◆(髙野洋介君) 知事と商工観光労働部長から答弁をいただきましたけれども、まず、国際ハンドボール連盟の視察における課題と今後の対応について、私のほうから少し意見を言わせていただきたいと思いますけれども、先ほど部長の答弁では、八代会場では、テレビ放映権を取得した国際映像制作会社から、天井が低く、カメラを高い位置に設置することができずと。 実際、現状では八代市の会場を試合会場とすることは困難というような視察結果が出たというふうなことになりましたけれども、それは、前回の視察から、別に大会会場が小さくなったわけでもないんですよね。ですから、そこはしっかり、この八代会場は、八代会場として今度の国際大会があるということを前提で八代市も動いているわけで、当然、県もそういった形で思っていたと思いますけれども、これが、仮に八代会場が本当にできなくて、県南会場でしないということになったら、これは非常に、このハンドボールの全体の県の盛り上がりに私は欠けるというふうに思いますので、ぜひ、またいつIHFの理事会があるのか私わかりませんけれども、しっかりそこは、部長の答弁にもありましたように、日本ハンドボール協会と県のハンドボール協会、一丸となって要望に行っていただきたいというふうに思っております。 八代会場の私の中での優位性というのが、八代は、今、旧市町村で体育館があります。ですから、選手たちの練習会場も、非常に私はとりやすい環境だろうというふうに思いますので、県南でする意義というのも、きっちりそこら辺はIHFのほうにはつなげながら、恐らく理事会には日本代表としては渡辺理事が行かれると思いますので、渡辺理事にもしっかりそこは理解をさせてもらうような形で、ぜひしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。 そうしないと、もう今八代市は、一緒にドイツにも行きましたし、そこで予算もしっかり執行されておられますので、そこはまた新たな問題が発生するというふうに思いますので、そこはしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。 それからまた、会場が決まってから、ホテルだとかそういったところも、違う形での設備投資等も、きっちりホテルのほうには要望は、今八代市でもされておられますけれども、これから先もしっかりと取り組んでいきたいというふうに八代市のほうは言っていらっしゃったので、そこはおつなぎをさせていただきたいというふうに思います。 また、知事から、ボランティアについて御答弁がありましたけれども、4月から、ラグビーワールドカップとあわせてボランティアを募集するということでございますけれども、非常に今回のラグビー、そしてハンドボール、トータル3カ月、4カ月の間でどっと県内、また、海外から――県外からも来られますけれども、多くの方が来られます。ですから、そこはしっかりと、ラグビーのボランティアをされた方も、そのままハンドボールのボランティアもされるというような枠組みもしっかりとつくっていただきたいというふうに思います。 特に、ハンドボールに関しまして私が一番心配いたしますのが、開会式から閉会式まで全てこの熊本でやらなければいません。ですから、人員の確保も非常に大切でしょうし、例えば、まだハンドボールはどこのチームが来るかというのすら決まっていません。唯一決まっているのが、前回、我々が視察に行かせていただいたフランスですね。フランスだけは出場が決まっているということでございますので、国によっていろんなボランティアの仕方も変わってくると思いますので、そこはしっかりと時間を読みながらやっていただきたいというふうに思います。 また、今平昌オリンピックが終わったばかりでございますけれども、ボランティアの件で、私もニュースで見たんですけれども、非常に劣悪な環境でボランティアの方々がやっていたということで、ボランティアの方がもう帰ったというような事例も多々聞いておりますので、そういうことがないように、ボランティアの受け皿のほうもしっかりとつくっていただきたいというふうに思います。 この議場に、先月行われました熊本城マラソンでフルマラソンに出場された方が、私を含めて5名いらっしゃいます。その中で、私感じたのが、熊本城マラソン、非常にボランティアの方々がすばらしくて、私、本当に毎回毎回感激するんですけれども、特に今回は一番おいしかったのが、ゴールした後のみそ汁が非常においしかったです。本部長、おいしかったですね。 ですから、そういった形でいろんな方々が、いろんな立場立場の方々が一生懸命ボランティアされた、これが私は熊本城マラソンの成功に必ずつながっているというふうに思いますので、この2つの国際大会を熊本でしっかりとおもてなしをするためには、早い時期からボランティアの育成について取り組んでいただきたいというふうに思っております。 よく世界選手権、また、オリンピック等で、プレーファーストという話がありますけれども、私は、プレーファーストは第1条件だと思いますけれども、それより踏み込んだ形で、私は、オールファースト、オールエンジョイというようなことをぜひ提言をさせていただきたいと思っております。ボランティアをされる方も、観客の方も、みんなが主役です。ですから、皆さんが楽しめる、そういう熊本大会にしていただきたいというのを切に要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。 続きまして、県南振興についてお尋ねをいたします。 まず初めに、外国クルーズ船の経済効果創出に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 私の地元にある八代港には、多くのクルーズ船が寄港し、たくさんの外国からの観光客が訪れています。平成26年は、年間1隻の寄港でしたが、平成29年には、65隻もの巨大なクルーズ船が訪れ、約29万6,000人の方々が八代港に上陸しました。全国的に見ると、博多港が309隻と国内第1位で、八代港は国内第8位の位置を占めています。ほんの数年前までは、ほとんど外国クルーズ船の寄港がなかったことを考えますと、極めて短期間に、急速に増加しています。 八代港は、昭和34年の国の重要港湾指定、平成11年のコンテナターミナル供用開始などを経て、工業港、貨物港として着実な発展を遂げてきました。 そのような八代港ですが、外国クルーズ船の来航が急増する中、新たな発展段階を迎えようとしています。将来のクルーズ需要増加をにらみ、世界第2位のクルーズ船会社であるロイヤル・カリビアン社や国と連携し、国際クルーズ拠点の整備が行われることとなりました。 昨年の7月には、国土交通大臣より国際旅客船拠点形成港湾に指定され、本年2月には、県とロイヤル・カリビアン社で拠点形成のための協定が締結されました。今後、クルーズ船専用岸壁と旅客ターミナル等が整備され、平成32年春には供用開始予定と伺っています。将来は100から200隻もの外国クルーズ船の寄港も視野に入りつつ、人流機能を兼ね備えた国際観光港へと飛躍を遂げつつあります。 一方、多くの観光客が訪れる中、さまざまな課題も顕在化しています。 クルーズ船寄港地ツアーは、宿泊を伴わない日帰りのツアーで、その経済効果は、途上における買い物などの消費が大部分を占めます。ただ、現在主流の形態は、特定の外資系免税店での買い物を中心とする無料のツアーであり、ツアーの費用や収益をキックバックして回収していると思われ、地元への経済効果は限定的と言わざるを得ません。国内のほかの寄港地も同様の構造的課題に直面しており、寄港地にお金が落ちにくい仕組みになっています。 そのような中、県では、市町村や観光業者と連携し、地元の観光地や店舗での消費を伴う有料のツアーを船会社へ売り込むなど、経済効果を高める取り組みを行っていると伺っています。ぜひ、こういった地道な取り組みは必要だと思います。 しかし、船会社が販売する客室は、わずか数%程度と言われています。具体的な成果に結びつけるため、船会社だけではなく、ほとんどの客室を船会社から買い上げる中国の旅行会社などへの売り込みを行うなど、複数のルートを通じた多角的、積極的な営業戦略が必要ではないでしょうか。さまざまなチャンネルからのアプローチで、突破口を開く確率も上がるものと考えます。 これらを踏まえ、外国クルーズ船来航の経済効果を高めるため、県としてどのような取り組みを行っておられるのか、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 外国クルーズ船の経済効果創出に向けた県の取り組みについてお答えします。 私は、県南地域はもとより、本県全体の経済活性化に向け、八代港を世界に誇る魅力的なクルーズ拠点にしたいと考えています。そのためには、クルーズ専用施設の整備とあわせ、クルーズ船の寄港をいかに地域への経済効果に結びつけていくかが重要であります。 ロイヤル・カリビアン社との協議の中で、免税店でのショッピングを中心とした現在のツアーは、今後乗客に飽きられてくる可能性もあり、将来的には、有料でも満足度の高いツアーをふやしたい意向があることが明らかになってきました。 このため、県では、昨年から、県内各地の魅力的な観光地などを周遊し、地域に経済効果をもたらす、いわゆる地元消費型ツアーを開発し、ロイヤル・カリビアン社に提案しています。11月には、同社の寄港地ツアー責任者を熊本に招き、観光地の視察と県内旅行社との商談会を実施しました。現在、条件面の詰めが行われている段階です。 県としても、できるだけ早く地元消費型ツアーが実現できるよう、強く働きかけてまいります。 また、バスツアーだけでなく、例えば、くまもとDMCやDMOやつしろと連携し、八代と天草を海路で結び、イルカウオッチングなどを体験する周遊ツアーの開発など、新たな可能性も検討しています。 さらに、クルーズ船へ県内の産品を売り込むため、船会社と県内企業との商談会を開催した結果、少しずつではありますが、県産品の納入が始まりました。こうした取り組みを通して、クルーズ船の乗客の方々に、観光地だけでなく、熊本の食の魅力を満喫していただくことで、熊本のファンをふやし、リピーターの獲得につなげてまいります。 一方、議員御指摘のとおり、船会社が直接販売するツアーは数%にとどまるため、残りの大部分を販売する中国の旅行会社への働きかけも必要です。このため、1月に、中国の大手旅行会社を熊本へ招聘し、観光地の視察を実施するなどの働きかけを始めました。これにより、数社が地元消費型ツアーへ興味を示していることから、上海において商談会を開催する方向で準備を進めています。 今後とも、国や八代市、DMOやつしろなどの関係機関と緊密に連携しながら、八代港が国際クルーズ拠点の成功モデルとなるよう、積極果敢に取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 知事から答弁いただきましたけれども、中国の旅行社への売り込みにつきましては、数社が地元消費型ツアーへ興味を示しているということでございます。そこをこれからどんどんどんどんパーセントを上げることによって、ほかの方々も、そっちのほうがいいんかなというふうな形で、ぜひ、積極果敢に取り組んでまいるということでございますので――今、国際課が窓口になって、一生懸命相手方の懐に飛び込んでやっておられますので、そういったこともしっかりと知事としても支援のほうもしていただきたいというふうに思います。 中国からの旅行者がよく八代の免税店に行っていたんですけれども、最近あんまり渋滞がなくなって、非常にいい形になってきました。そういった、いきなりクルーズ船がもう何十、何百と来たら、やっぱりなかなか後手後手に回るところもありますので、そこは動かしながら、問題点はしっかりと把握しながら、そのときそのときに解決策をきちんと見つけて、今後ともやっていただきたいというふうに思います。 次に、県土の均衡ある発展を目指した企業誘致についてお尋ねいたします。 本県の企業誘致は、熊本地震で甚大な被害を受けましたが、撤退した企業はゼロと聞いており、県民の雇用、経済の成長が守られたことは、まことに喜ばしいと考えております。 本県の企業誘致の状況は、昨年度は、熊本地震の影響で前年度から4割減となりましたが、今年度は、半導体等の活況も追い風となり、地震から立ち直った企業が熊本でさらなる投資に取り組まれたり、また、熊本に新たに立地される企業も多く、企業立地は絶好調で、過去最高の件数を記録する勢いと聞いております。 これも、知事が言われる、単にもとの姿に戻すだけではなく、創造的復興を遂げており、熊本のさらなる発展に寄与していると思われます。 一方で、県土の均衡ある発展の観点から見ればどうでしょうか。新聞によりますと、県内の過去5年間の企業立地158件のうち、約8割の126件が熊本市と県北地域に集中する中、県南地域などへの立地は低迷し、5年間全く立地のなかった市町村もあるなど、苦戦が強いられており、企業立地の北高南低が鮮明となっていると報じられていました。 県北地域は、大津町に立地する自動車産業や、半導体産業が集積した合志市や菊陽町など、企業の集積のおかげで人口が増加し、発展しています。しかし、県南地域は、若者の働く場も少ないため、人口が減少し、町が寂れていく現状があります。県南地域等への企業誘致は喫緊の課題となっております。市町村の首長さんや議会からの期待も大きいものがあります。 私は、県土の均衡ある発展が熊本県の創造的復興のためには何より大切と考えており、県北だけではなく、県南地域等への企業誘致に、今まで以上に取り組んでいただく必要があると考えます。県南の特色を生かした誘致の可能性はないのか、踏み込んだ検討も必要と思われます。 そこで、県として、県土の均衡ある発展に向けた県南地域等への企業誘致について、どのように取り組まれるおつもりなのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長奥薗惣幸君登壇〕 ◎商工観光労働部長(奥薗惣幸君) 本県への企業誘致を進めていくためには、全国や九州の中から熊本を選んでいただくことが大事です。そのため、これまでの産業振興施策により、半導体や自動車関連企業が県北地域に集積しているのは、本県にとっての強みであり、これを生かして今後も誘致を推進していきたいと考えております。 一方、県土の均衡ある発展も、議員御指摘のとおり、重要な視点であると認識しております。 このため、企業誘致の実績が少ない県南地域には、これまでの取り組みに加え、地域の特色を生かした誘致を進める必要があると考えております。 具体的には、フードバレー構想を踏まえた食品関連企業のほか、やつしろ物流拠点構想を踏まえた物流関連の企業、徳島県神山町や日南市で成功し、全国的に注目を集めるIT企業のサテライトオフィスなどの誘致です。 来年度は、その具体化のため、県南地域を初め、企業誘致の実績が少ない市町村を対象とした新たな補助制度等を創設するとともに、既存の制度を拡充し、さらなる企業誘致に取り組む予算を計上しております。 まず、物流関連については、九州管内に流通ルートを持つ物流企業に対する県南地域への立地可能性等の調査により、その動向を把握いたします。その上で、市町村の工業団地整備に向けた新たな補助制度の活用も念頭に、八代市とともに物流拠点の整備について検討してまいります。 また、サテライトオフィスについては、市町村との協調補助を条件に、オフィス系企業への補助額を引き上げるとともに、市町村が受け入れ施設の整備を行う際に、その経費の一部を補助するなど、みずから誘致に積極的に取り組む市町村を支援いたします。 そのほか、食品関連につきましては、引き続き、農林水産部と連携し、カット野菜等の1次加工工場や総菜工場等の誘致に取り組んでまいります。 これらの取り組みにより、県土の均衡ある発展を目指し、県南地域に対する企業誘致についても積極的に進めてまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 部長のほうから答弁いただきましたけれども、これまで県南への企業誘致につきましては、かけ声が先行しておりましたけれども、来年度の予算では、県南に目を向けた新たな事業が多く創設されまして、また具体的な方向性が示されまして、これまでにない本気度が伝わってきたというふうに思います。 ぜひ、これらの制度を活用いたしまして、一つでも多くの市町村が、やる気がもっともっと火がつくように、県土の均衡ある発展を目指した企業誘致を、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。 また、部長の答弁に、先ほどフードバレー構想も言われました。やつしろ物流拠点構想も言われましたけれども、ぜひ、私のほうから1つ提案なんですけれども、前回、私、物流拠点構想を知事に質問したときに、ようやく物流拠点構想を出していただけたんですけれども、それからいろいろ――今1年間たって、フードバレーはフードバレー、企業誘致は企業誘致、また、航路開拓は航路開拓と、もうばらばらやっているような気がしてなりません。 ぜひ、今、県南広域本部の本部長は小野副知事でございます。フードバレーの担当も小野副知事でございます。県南の特命も小野副知事でございますので、今回のやつしろ物流拠点構想の最高責任者もぜひ小野副知事にとってもらって、今窓口は商工観光労働部の商工政策課が持っているわけでございますけれども、そこでいろんな事業をやっていくのは非常に、私、困難だというふうに思いますので、そこをぜひ小野副知事に、先頭になって、旗振り役となって、それぞれの部、土木部、農林水産部、また、商工観光労働部、横断的な形で、ぜひ小野副知事に活躍をしてもらえるような、そういう物流拠点構想をしていただきたいなというふうに思いますので、ぜひ要望をしておきます。 続きまして、荒瀬ダムの総括についてお尋ねをいたします。 荒瀬ダム撤去工事は、いよいよ今月末をもって、6年間にわたる工事が完了を迎えます。 振り返れば、潮谷前知事が表明した荒瀬ダムの撤去については、蒲島知事就任後、平成20年度に一旦撤去を凍結されたところです。長年にわたり、ダムの影響で苦しんできた地元坂本町の方々を思うと、苦渋の決断であったかと思いますが、翌年、ダム存続に必要な水利権の取得が困難となり、地域混乱の長期化を避けたいという思いから、改めて撤去表明を行われました。 その後、ダム撤去に向け、整備が必要な4条件が提示されましたが、その中で特に課題となっていた撤去資金については、国の支援により必要な資金が確保されることとなったところです。 撤去工事に当たっては、費用や工期、工事の安全や環境への配慮など、多くの困難に対応しながらも、おおむね順調に工事が進んだところであり、改めて関係者の方々の努力に敬意をあらわしたいと思います。 今後、平成31年度まで、環境モニタリング調査等の関連事業が残っていますが、全国初のコンクリートダム撤去の事例として、最後までしっかりと事業を進めていただきたいと思います。 一方で、ダム撤去に伴う地域対策などについては、荒瀬ダム撤去地域対策協議会において協議を行い、関係者による協力のもと、井戸枯れや消防利水、周辺道路網の整備など、さまざまな課題の解決に向け、取り組みを進めてこられました。 地元では、川遊びイベントの実施や鮎やな食堂の開業、ボートハウスの再整備等、清流球磨川を生かした地域振興の取り組みも始まっています。 荒瀬ダム撤去完了後の地元の地域振興については、県南広域本部を窓口として、県として全庁的に対応されると聞いていますが、県としてのかかわりは引き続き重要だと思っています。 荒瀬ダム撤去を総括して、知事の思いをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 初めに、戦後の本県経済の復興と発展に寄与してきた荒瀬ダムの功績をたたえるとともに、長きにわたり、それを支えていただいた地元の方々へ、感謝を申し上げます。 撤去を決断した当時を振り返ってみますと、荒瀬ダムの撤去は、先例のない取り組みとして多くの課題に直面し、中でも最大の課題は撤去資金の確保でありました。 県議会や県選出国会議員の皆様の御支援をいただきながら、私自身何度も国へ働きかけ、財政面や技術面の支援を得て、平成24年度から撤去工事に着手することができました。 撤去に当たっては、専門委員の方々の提言や工事関係者の御尽力により、予定していた工期や予算の範囲内で、安全や環境に配慮しながら、無事に工事を完了することができました。 地元からの強い思いを受けとめ、最終的に撤去を決断した私としては、皆様との約束を果たすことができ、率直に安堵しているところであります。 そこで、荒瀬ダムへの感謝、地元の方々、工事関係者を初めとする多くの方々への感謝の気持ちを込めて、今月27日に、荒瀬ダム撤去完了式典を現地で開催します。 荒瀬ダムの撤去は、全国初のコンクリートダム撤去となりました。今後は、その歴史を皆様の記憶にとどめていただけるよう、ダムが果たした役割や撤去に至った経緯、さらには撤去の過程で得られた技術的知見等を、しっかりと後世に引き継いでまいります。 現在、地元では、鮎やな食堂やボートハウスの再整備など、新たな取り組みが始まっています。県においても、ダム両岸の一部を遺構として残し、多くの人々が訪れる展望スペースの整備を進めています。 今後も、こうした取り組みが清流球磨川の再生と地域の振興につながるよう、地元と一体となって、全力で進めてまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 知事から答弁いただきましたけれども、このダム撤去に関しましては、いろんな歴史の中で動いてきたというふうに思いますけれども、無事に今月末をもって完了ということでございます。 私、きのう、ダムのところに行ってまいりまして、見てきたんですけれども、まだ工事は残っておりますけれども、もうきっちり撤去もされて、きれいな状態になっていました。 今回、私、非常に評価したいと思っておりますのが、ダム撤去費用が、大体計画では88億円かかる予定だったんですが、29年度の報告では84億円だったと。マイナス4億円コストを下げられたということは、非常に私はこれは評価できるものというふうに思っております。 よく国の事業では、100億かかるのが150億かかったりとか、200億かかったりとか、そういう例もあるんですけれども、こういう大型工事でマイナス4億というのは、地域対策もしっかりやりながらの4億もの減額ですから、ここは、企業局初め、施工業者、また、地元の方々をきちんと私は評価していいというふうに思いますので、ぜひそういった意味を込めて、知事には、今度27日に撤去完了式典があるということでございますので、そういったところも知事のほうからは述べていただきたいなというふうに思います。 これからも、しっかりと坂本の地域振興に向けて、八代市と一体となって全力で取り組むということでございますので、ぜひ――まだまだ坂本、少子高齢化が進んでいる地域でございますけれども、しっかり県としても支援をしていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。 続きまして、東海大学阿蘇キャンパスの創造的復興についてお尋ねいたします。 昨年3月の一般質問で、南阿蘇村の地域振興の観点から、阿蘇キャンパス1号館を走る断層を県において保存し、活用してはどうかとの提案を行い、知事から、南阿蘇再生の拠点となるよう県で保存する旨、答弁をいただきました。 また、6月には、東海大学が、阿蘇キャンパスに専門教育を行うための講義室や実験・研究室を備えた新校舎を建設し、あわせて廃校となった長陽西部小学校を拠点として地域研究プロジェクトを実施するなど、県で整備する断層保存とあわせて面的整備を行い、南阿蘇村の地域振興に資する旨、発表されました。 ことし1月には、吉良南阿蘇村長立ち会いのもと、中川環境大臣、山田東海大学学長、蒲島知事の3者で協定を締結しました。関係者が連携して創造的復興に取り組むことを明確にした協定そのものは、評価したいと思います。 しかし、協定の柱である震災遺構について、私が質問して1年がたちますが、具体的な中身の検討は進んでいないと聞いています。また、長陽西部小学校跡地の地域研究プロジェクトについても、具体的な中身が見えてきません。 黒川地域の方々は、この取り組みを大変期待する一方で、具体的な計画が見えてこないことに、不安な気持ちでおられます。東海大学阿蘇キャンパスの創造的復興なくして南阿蘇村の復興はなく、スピード感を持って取り組むべき課題と思います。 そこで、阿蘇キャンパス1号館を走る断層の具体的保存活用と阿蘇キャンパスの創造的復興について、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 初めに、東海大学阿蘇キャンパス1号館を走る断層の具体的保存活用についてお答えします。 県では、震災ミュージアムのあり方について、有識者会議を設置し検討を進めてまいりました。この中で、大学キャンパス内の断層などは希少な震災遺構であり、熊本地震の情報を発信する中核拠点として重要な役割を果たすとの意見をいただいています。 これらの意見を踏まえ、東海大学阿蘇キャンパスを震災ミュージアムにおける中核拠点として、熊本地震の教訓等を発信するだけでなく、地域振興や観光振興など、さまざまな面で活用していきたいと考えています。 そのため、具体的活用策の検討に必要な1号館建物の被災度調査や断層の保存設計等の来年度予算を、今定例会に提案しています。 熊本地震の教訓等を後世に残し、生かしていくことは、私たちの責務です。震災ミュージアムの取り組みを、熊本のさらなる発展につなげる復興の柱として、関係部局が連携して迅速かつ強力に進めるため、知事公室を筆頭に、部局横断的な特命プロジェクトチームを設置しました。国、南阿蘇村、東海大学とも連携しながら、全庁一丸となってしっかりと取り組んでまいります。 次に、東海大学阿蘇キャンパスの創造的復興についてお答えします。 本年1月17日に、環境省、熊本県、東海大学の3者で、阿蘇地域の創造的復興に向けた地域循環共生圏の構築に関する協定を締結いたしました。 今後、この協定の枠組みのもとで、南阿蘇村黒川地区を拠点に、東海大学が森里川海研究所を設置し、研究プロジェクトに取り組みます。そして、県は、関係者と連携し、地域の復興と活性化に向けて、黒川地区創造的復興プロジェクトを推進してまいります。 現在、プロジェクトの進め方について、南阿蘇村と協議を始めたところです。黒川地区の再生、復興に当たっては、地元住民の方々の意向を踏まえ進めることが重要だと考えております。 そのため、黒川地区むらづくり協議会などにおける議論を参考にしながら、黒川地区の復興を速やかに進めるとともに、地域と共生する東海大学阿蘇キャンパスの再開を引き続き支援してまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 知事から答弁いただきましたけれども、私の母校、東海大学なんですね。ですから、これも次の質問の機会がありましたら、また質問をしたいと思いますけれども、単刀直入に言いますと、スピード感を持ってぜひやらなければ、震災ミュージアムも、みんなが風化したときにできても余り効果がないというふうに思いますので、そこはスピード感を持ってやっていただきたいというふうに思っております。 先ほど、環境大臣、また、東海大学学長、また、知事の3者協議の中での話がありましたけれども、協定書の写しを見せていただきましたけれども、最後の7番目に、本協定の推進に係る事務は熊本県が行うと書いてありますので、熊本県がリーダーシップを発揮しながら、しっかりと環境省、また東海大学の意向を酌みながら、南阿蘇村の意向も酌みながら、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問に入らせていただきます。 続きまして、プロ野球オールスターゲームの熊本開催についてお尋ねいたします。 昨年3月の、熊本で初のオールスターゲーム開催の新聞記事に、驚くとともに、大変うれしく思いました。 野球は、世代を問わず絶大な人気を誇っています。夢の球宴、オールスターゲームの本県での開催は、県民の心の復興につながるのはもちろん、多くの方が熊本を訪れ、注目されることで、未曽有の災害に見舞われた熊本が、復興に向けて取り組む姿を全国の方々に見ていただく絶好のチャンスです。 私と同じ年で、友人とまではいきませんが、中日ドラゴンズの荒木選手も、ことしのオールスターゲームに出場できるよう頑張りたいと決意を述べるなど、地元選手も大いに期待しています。 日本野球機構の関係者とお会いする機会がありまして、そのとき話を伺ったのですが、熊本地震から3カ月後の平成28年7月に開催されたオールスターゲームに、熊本県の職員が知事の親書を持って、スポーツの力、野球の力で熊本の復旧、復興を後押ししていただきたいとの熱い要望を受け、実現されたと知りました。まさに、知事が言う、皿を割る精神が開催の決定に結びついたことを、一議員として誇りに思います。 しかし、せっかく決定したオールスターゲームですが、その後、情報が聞こえてきません。多くの汗をかいて実現したオールスターゲームを、当日だけで終わらせるのはもったいないと思います。開催まで4カ月余り、この期間に、いろいろな野球イベントを通じて、わくわく感を共有する等の取り組みを積極的に行うべきと思います。 また、当日の7月14日は、藤崎台球場で開催されますが、実質の収容は1万5,000人と聞いています。せっかくの機会ですから、例えば二の丸広場にパブリックビューイングや県内各地の物産を集めるなどの取り組みを行い、多くの方々に来て楽しんでもらう仕掛けが必要と思います。 そこで質問ですが、ことし7月、熊本で開催される夢の球宴、プロ野球オールスターゲームをどのように盛り上げていくのか、蒲島知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 国民的なスポーツの祭典であるプロ野球オールスターゲームが、本年7月に熊本で開催されることが決定され、大変うれしく思っています。 地震から復興する熊本の姿を全国に発信し、県民に夢と元気を与える絶好の機会と捉え、県としても、県民や来訪者の方々にわくわく感を体感していただける取り組みを進めています。 これまで、昨年7月の千葉でのオールスターゲームで熊本開催をPRし、一昨日は、被災地の小学生を対象としたプロ野球OB選手による野球教室を開催するなど、熊本開催のPRに取り組んでいます。 今月からは、順次、熊本駅や阿蘇くまもと空港にもPRパネルを設置するなど、あらゆる機会を通じて機運醸成を図っているところです。 また、来訪される方々へのおもてなしとして、前日から二の丸広場で、県内各地の伝統芸能の披露、特産物の展示販売を行うとともに、熱気あふれる試合を大型スクリーンで生中継する予定です。 さらに、開催当日は、県内全域の少年野球チームの子供たちをオールスターゲームに招待する方向で、日本野球機構と調整を行っています。 このように、オールスターゲーム熊本開催を通して、多くの県民の皆様に夢と希望を与え、また、全国に向け、熊本の元気な姿を発信してまいりたいと思っています。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 知事から答弁いただきましたけれども、私も、実は小学校のときに野球少年でございまして、テレビでよくオールスターを見ていたわけでございますけれども、そのオールスターが熊本で開催されるというのは、私は非常にびっくりいたしました。恐らく、10年、20年先を見たときに、熊本でまたオールスターゲームが開催していただけるかとなったときに、ちょっと難しいかなと思いますので、今回のオールスターは、私、多分行けるか行けないかわかりませんけれども、見るんだったら、もう最後のオールスターゲームになるんじゃないかなというぐらい、私は楽しみにしております。 非常に、1万5,000人しか入っていないということでございますけれども、よく本会議場で県営球場のあり方というような質問が髙木先生からあるわけでございますけれども、そこで1万5,000人しか入らないんですよね。仮に野球場をつくっとって、3万とかそのぐらい入れば、もっと見てくれる人が多いというふうに私は思います。 ここで県営球場のあり方を議論するつもりは私はありませんけれども、ぜひ、今後、また髙木先生、県営野球場の新設に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。私も応援しております。 あと、開催当日は、県内全域の少年野球チームを対象に招待するというふうな方向で、日本野球機構と調整されているということでございます。やっぱり子供たちが、わくわく感を持ちながら野球を続ける、そして、野球をやってなくても、オールスターゲームを見て、自分たちもやりたいという子供が少しふえてもらえればなというふうに思います。 ここで、私ごとの話になりますけれども、うちの子供が今5年生でおりまして、昨年、授業参観に行ったんですね。一人一人、先生が将来の夢を聞かれたんですよ、子供たちに。そうしたら、男の子が、誰ひとりとして野球選手になりたいという子供はいらっしゃいませんでした。みんな、サッカー選手だったり、バスケット選手だったりですね。 今野球をやっている人口も大変減っているのかなというふうに思いましたけれども、やっぱり野球は、我々も野球で育ちましたので、ぜひ、今後も、野球に対しまして、もっともっと県の支援のほうもぜひお願いをしたいというふうに思います。私も、7月14日、オールスターゲームを楽しみにしておりますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。 それでは、最後の質問に入ります。 肥薩おれんじ鉄道の安定的な運営の確保についてお尋ねいたします。 平成16年3月に開業した肥薩おれんじ鉄道につきましては、まもなく開業15年目を迎えます。 沿線市町における人口の減少やモータリゼーションの進展等により、開業初年度との比較で、平成28年度は、鉄道利用者数が約37%減、旅客運輸収入は約28%減となっており、非常に厳しい経営状況になっています。 とはいえ、県内の沿線2市2町におきましては、通勤通学を初め、なくてはならない住民の足であることに変わりはありません。このため、鉄道施設等の維持管理に要する経費につきまして、熊本、鹿児島両県及び沿線市町から多額の支援が行われています。 人口減少が進む中、沿線地域住民の利用確保のみによる肥薩おれんじ鉄道の経営改善は困難であり、積極的な沿線地域外からの利用者の取り込みも必要と考えます。 現在、国は、新たな観光立国推進基本計画において、国内旅行消費額や訪日外国人旅行者数等を拡大する目標を掲げ、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、今後もさまざまな取り組みが進められていくものと期待しています。 また、本県でも、八代港への大型クルーズ船の寄港や国際線の就航などにより、今後もインバウンドの増加が期待される状況です。 おれんじ鉄道では、これまでも、観光列車「おれんじ食堂」や「おれんじカフェ」等の貸し切り列車や各種企画列車の運行など、鉄道利用の促進のために取り組みが行われてきました。 さらに、ことしは、地方鉄道を舞台にした、いわゆるRAILWAYSシリーズの第3弾として、肥薩おれんじ鉄道を舞台に、映画「かぞくいろ」の制作が進められていることや、大河ドラマ「西郷どん」の放送により、熊本、鹿児島を結ぶおれんじ鉄道及び沿線地域を全国にアピールするチャンスとなっています。 昨年6月には、新社長として、県の東京事務所長として活躍された出田さんが就任されました。まさに手腕の見せどころです。 以上を踏まえ、地域の重要な生活路線である肥薩おれんじ鉄道の安定的な運営を確保するため、会社として今後どのような取り組みを進められようとしているのか、それに対し、県としてどのように支援していくのか、企画振興部長に伺います。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 肥薩おれんじ鉄道については、厳しい経営状況にありますが、地域住民にとって重要な交通手段です。 これまで、県としては、沿線自治体や鹿児島県とともに、安全で安定的な運行を支えるため、設備投資等に対する支援を拡充してきております。 また、会社としても、昨年6月に策定した中期経営計画に基づき、安全運行の確保や収支改善等の取り組みを進めてきたところです。 安全運行の確保については、鉄道施設の老朽化が進み、維持費が年々増加してきていることから、改めて全施設について老朽化の状況を確認し、優先順位をつけて計画的な設備更新に取り組んでいます。 収支改善については、利用者増による運輸収入の増加を目指します。まずは、利用者の約7割を占める沿線高校生を対象に行ったアンケート結果を踏まえ、本年3月17日に、朝の通学時間帯に1便増便するダイヤ改正を実施します。 また、風光明媚な八代海沿岸を走るおれんじ鉄道の特徴を生かした観光列車「おれんじ食堂」について、沿線出身の著名な料理人の監修による食事の提供や新たな料金設定により、商品力アップを図ります。 さらに、国内旅行者に加え、訪日外国人旅行者の鉄道利用の拡大と沿線地域への誘客を一層促進するため、県と沿線自治体でつくる肥薩おれんじ鉄道沿線活性化協議会の支援で、3月中旬に無料Wi-Fi機能を備えた新しいデザインの「くまモンラッピング列車」を...... ○議長(岩下栄一君) 残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。 ◎企画振興部長(山川清徳君) (続) 追加配備することとしております。 本年は、おれんじ鉄道を舞台とした映画が全国200カ所の映画館で公開予定であることや、現在放送中の大河ドラマによって、沿線地域が全国的に注目されています。さらに、来年2019年は、開業15周年というメモリアルイヤーを迎えます。全国に情報発信できるこの好機を逃すことなく、会社、県及び沿線市町等が連携し、おれんじ鉄道の一層の利用促進に取り組んでまいります。  〔髙野洋介君登壇〕 ◆(髙野洋介君) 企画振興部長から答弁いただきましたけれども、今後「くまモンラッピング列車」を追加配備するということや、いろいろな取り組みの中で、もう本当に少子高齢化が進む沿線の中で、いろんな試行錯誤しながら取り組まれているのを、私は高く評価をさせていただきたいというふうに思います。 肥薩おれんじ鉄道は、やっぱり熊本と鹿児島両県が一緒になって、国に対していろんな形での要望、支援もしながら、JRともしっかり協議しながら、安全な運行をすることが大事だというふうに思いますので、いろんな取り組みをこれからもぜひチャレンジしてもらって、やっていただきたいなというふうに思います。 今後とも、肥薩おれんじ鉄道の安定的な運営を、ぜひともよろしくお願いをいたします。 これで、私が本日用意いたしました質問は全て終わらせていただきました。 本当に最後までの議場の皆様方の御支援に心より感謝申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩下栄一君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時8分休憩     ――――――○――――――  午後1時10分開議 ○副議長(溝口幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩中伸司君。  〔岩中伸司君登壇〕(拍手) ◆(岩中伸司君) こんにちは。新社会党の岩中伸司です。 ここに立てば、本当に毎回毎回緊張します。代表質問で、3名の方から30数項目にわたって質問があっていますし、きょうも、午前中お2人からそれぞれ質問があっていますが、どの項目も全てやっぱりすばらしいな、こんな思いで私は聞かせてもらいました。県議会というのは、本当にすばらしい議員が多いな、私以外はすばらしいなと思いながらですね。そしてまた、執行部も真摯な答弁をしていただいていますし、国会の特別委員会と全然違うなと、そんな思いで今回の議会、代表質問、一般質問、聞かせていただきました。 私も、ちょっと長期になっていますが、きょうは、先ほど数えてみたら、35回目の登壇になりまして、古いばかりで、ここに立ったときは、本当に1回目と同じような気持ちで今立っているところです。 この県議会、二元代表制で、有権者から知事も私たちも同時に選出されるということで、議院内閣制よりもこの制度がいいなという思いはちょっとしているところですね。ですから、少々考え方の違いはあります、少々。少々ありますけれども、熊本県民という原点、私たちのこの熊本県をよくしたいな、こんな思いで全てここの議員はいるというふうに思いますので、若干の違いはお互いに認め合うということでいいんじゃないか、このように思っているところです。 そういった意味では、私は、やっぱり県民の暮らしを一番大切にすると。先ほど来ずっと質問ではテーマを挙げられる議員の方もいらっしゃったんですが、私は、やっぱり県民生活を守るという、この一点で一生懸命頑張っていきたいな、そういう思いは皆さんも同じと思いますので、ぜひ1時間おつき合いのほどよろしくお願いしたいと思います。 まず最初に、自衛隊ヘリ墜落事故について御質問をいたします。(発言する者あり)早速意見が違う方もいらっしゃるかと思いますが。 2月5日の午後4時半過ぎに、陸上自衛隊目達原駐屯地所属のAH64D戦闘ヘリが、佐賀県神埼市の住宅に墜落をいたしました。墜落事故現場から自衛隊駐屯地までは約4キロあり、事故機は、飛行50時間ごとの定期整備後の点検飛行中で、離陸後約7分で墜落をしています。 2月12日の報道では、ヘリは1月18日から事故前日の2月4日まで定期整備を実施、羽根と機体の回転軸をつなぐメーンローターヘッドも、開発元の米ボーイング社から取り寄せ、新品に交換したばかりだったと報じています。 さらに2月8日の記者会見で、陸上自衛隊の山崎幸二陸上幕僚長は、新品と報告を受けていると説明をしています。しかし、2月14日、陸上自衛隊は、主回転翼の4本の羽根と回転軸をつなぐメーンローターヘッドは、新品ではなく中古品だったと訂正をしました。さらに、当初は、事故機のヘッド交換が、13機ある同型機の中で3例目だったとしましたが、8例目だったことも明らかになりました。一般社会では全く通用しない出来事です。 自衛隊航空機による事故が続発をしています。2016年4月に、航空自衛隊のU125救難捜索機が鹿児島県鹿屋市の御岳山に墜落し、乗員6人が死亡した事故が発生。2017年5月、北海道北斗市で、陸上自衛隊のLR2連絡偵察機が山中に墜落し、乗員4人が死亡した事故。2017年8月に、青森県の日本海竜飛岬沖に海上自衛隊のSH60J哨戒ヘリの墜落事故で、乗員3人が死亡、行方不明者も出ています。2017年10月、静岡県浜松市沖に航空自衛隊浜松基地所属のUH60J救難ヘリが墜落し、乗員4人が死亡、行方不明者も出ています。 ことし2月の神埼市では、AH64D戦闘ヘリが住宅へ墜落、乗員2人が死亡、住宅に1人でいた11歳の少女が、右足の打撲など軽傷を負っています。 ヘリが墜落して全焼した住宅に住んでいた川口さんは、なぜ試験飛行で小学校、幼稚園、民家がある場所を飛行したのかという自衛隊への不信感がある、今回の事故で家族全員が大きなショックを受けていますと、報道各社に伝えています。 2月20日には、米軍三沢基地所属のF16戦闘機のエンジンが、三沢基地離陸直後に出火し、基地北側の小川原湖に補助燃料タンク2個を投棄し、引き返しています。 米軍機のトラブルでは、ことし1月6日、8日、23日と、沖縄で3回ヘリが不時着、2月9日には、オスプレイが海上で落下させた部品が海岸に漂着するなど、ほかにも危険な動きが数多く発生しています。 そこでお尋ねしますが、自衛隊航空機の県内飛行の現状と県民生活の安全確保について、坂本知事公室長に伺います。  〔知事公室長坂本浩君登壇〕 ◎知事公室長(坂本浩君) 今回の事故を受けて、県民の安全、安心の観点から、県内における自衛隊機の飛行や安全確保の状況について、自衛隊に確認しました。 自衛隊によると、自衛隊機の飛行ルートや離発着数といった飛行状況については、任務の性質上公表できないが、民間機と同様に、航空法に基づき、国土交通省の管制に従い離発着しているとの説明がありました。 また、今回事故のあった機体と同型機は県内には配備されていないものの、事故を契機に、改めて全ての機体の安全点検と整備手順の確認、操縦士への教育を実施するなど、一層の安全確保に努めているとの回答を得ております。 自衛隊には、これまでも、熊本地震を初めとして、さまざまな災害において、人命救助や避難所支援など、県民の安全、安心の確保に関して多大な貢献をいただいており、県民からも厚く信頼されています。 県としては、そうした県民の信頼や期待に応えられるよう、自衛隊には、引き続き安全確保の徹底に努めていただきたいと考えています。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 坂本公室長から御答弁いただきました。 しかし、私の思いとは若干違う答弁でございまして、県が主体ということじゃなくて、自衛隊に確認をしたけれども、なかなか自衛隊は、任務の性質上公表できなかったというふうなことですけれども、自衛隊の任務は何なのかな。先ほどの答弁の中で、いろんな災害、人命救助や避難所の支援などで、自衛隊の人々が県民からも厚く信頼をされているという答弁の中身がありました。 確かに、人命救助や避難所支援等々については、熊本災害でも自衛隊の皆さんにお世話になって、本当に助かったということで県民は感謝をしているのではないか、このように思っていますけれども、自衛隊の任務はそうじゃないんですね。それも含めてですが、自衛隊法第3条に「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、」直接侵略及び間接侵略に対し「我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。」これがやっぱり自衛隊の任務の基本になっているわけです。 ですから、私は、本当に感謝される自衛隊であってほしいというふうにも思います。であるなら、やっぱり自衛隊の任務は、災害支援隊とか、そういう本来任務を、そういうふうな形で災害支援のため、人命救助のため、本当にそういうことに徹していくならば、今よりももっと財政は少なくて、効果が上がる隊になっていくんじゃないかな、こんな思いでいるところです。 ただ、心配するのは、自衛隊の回答が得られなかったので、熊本県の私たちの上空をどれだけ飛行しているのかということは明らかになっていませんけれども、やっぱり心配な人たちは結構多くいるんじゃないかというふうに思います。 この神埼で事故に遭った11歳の女の子、小学校5年生の女の子は、やっぱり今もまともに学校に通えない、そういう心的な状況があるということで、放っておけない、学校に行けないので、親御さんが放課後学校に連れていって補習授業をしているというのが、今、この11歳の5年生の女の子の現状なんですね。 もっと言えば、自衛隊の隊員さんは、ヘリの運転、助手、いろんな任務につかれていたと思いますけれども、先ほど紹介をした、多くの人々が命を落としていらっしゃるんですね。やっぱりこういうことはあっちゃならぬな、こんな思いをしたところです。 ぜひ、今回の自衛隊ヘリの墜落問題について、私たちも真剣に、この熊本県の中でどういうふうな状況になっているのかということについては、関心を深めていかなければならないというふうに思います。 先ほど公室長の答弁では、今後も引き続き安全確保を徹底するように努めていくということの答弁でございましたけれども、ぜひよろしくお願いをして、次の質問に移らせていただきたいと思います。 2番目に、水俣病問題についてお尋ねをいたします。 故溝口チエさんの水俣病を義務づける訴えを提訴していた裁判で、2013年4月16日、最高裁は、水俣病患者と認める判決を出しました。 最高裁は、52年判断条件の認定基準や熊本県認定審査会によって棄却とした熊本県の判断を覆したもので、行政が水俣病と認めなかったものを最高裁が認めたのは初めてのことです。水俣病被害者救済の道を広げるもので、マスコミも、今後、未認定患者から認定を求める訴訟が相次ぐ可能性があるなどと報道をしています。 しかし、訴訟が相次ぐということでなく、国や県が、最高裁判決をもとに、過去の認定審査会において不当に認定棄却とされた人がいないのか、検証をすべきです。 これに対し、国は、過去の認定審査には何ら問題はなかったとし、過去の棄却処分に対する再審査は拒否しています。 水俣病の認定基準は、1977年、昭和52年に環境庁が示した後天性水俣病の判断条件、つまり感覚障害や運動失調、視野狭窄、聴力障害などの症状が2つ以上見られることが必要ということが唯一のものでした。 2004年10月の水俣病関西訴訟最高裁判決で、感覚障害だけの水俣病が認められましたが、政府は、52年の認定基準は撤廃することなく、そのままにしています。 2013年4月の最高裁判決を受け、過去の棄却処分に対する再審査を行うべきと考えますが、過去の水俣病審査に対する県の対応について、蒲島知事の見解を伺います。 さらに、不知火沿岸全域の住民健康調査についてお尋ねをいたします。 水俣病に関して、不知火海沿岸全域の住民健康調査について、この件については、昨年9月議会で質問したばかりですが、水俣病被害者救済を完全になし遂げるには、不知火海沿岸住民の健康調査が不可欠であるのは明らかです。 2009年に成立した水俣病特措法では「政府は、指定地域及びその周辺の地域に居住していた者の健康に係る調査研究」など「積極的かつ速やかに行い、その結果を公表するもの」としています。 しかし、昨年9月の答弁でも、蒲島知事は、環境大臣は「手法の開発に取り組んでいく必要がある、調査研究は、皆様の御理解、御協力が必要」で、「時間を要している」と述べていると、大臣の誠意のない発言を紹介されています。 不知火海沿岸住民の健康調査の必要性など全く考えていないような国と県の態度であり、被害の拡大を野放しにしていた国と熊本県の責任は重いものがあります。 水俣病被害者の苦しみを思えば、原因企業のチッソはもちろん、国や熊本県も、水俣病被害者救済に対して積極的な動きをとるべきです。 特措法成立の2009年7月から、やがて9年になろうとしています。いつまでも手法の開発中という国に対して、熊本県としても、健康調査を急がせる行動をとるべきと思いますが、蒲島知事に伺います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、過去の水俣病認定審査に対する県の対応についてお答えします。 平成25年の最高裁判決は、昭和52年判断条件の中で、症候の組み合わせが認められる場合には、通常水俣病と認められるとされていることについて、多くの申請に対し、迅速かつ適切な判断を行うための基準を定めたものとして、一定の合理性を認めています。 その上で、症候の組み合わせが認められない場合についても、52年判断条件に示されている総合的な検討の上で、水俣病と認定する余地があることを指摘しています。 平成26年に、国が県の求めに応じて示した総合的検討通知は、最高裁判決を踏まえて、症候の組み合わせが認められない場合についても、暴露、症候及びその因果関係を総合的に検討することにより、水俣病と認定し得るとしています。 また、この通知で、52年判断条件に基づかない認定審査が行われてきたと捉えるべき特段の事情はなく、過去に行った処分について、再度審査する必要はないとされています。 県としては、平成25年の最高裁判決を最大限尊重し、引き続き迅速かつ丁寧に審査を進めてまいります。 次に、健康調査についてお答えします。 健康調査については、平成16年の最高裁判決以降、国への要望や幾つかの提案も行い、結果として、特措法に、国が実施し、県はそれに協力すると明記されました。また、法の中で、国が調査研究の実施のため、手法の開発を図るとされています。 最近の状況では、昨年12月に、環境大臣が、現在、メチル水銀が人の健康に与える影響を把握するための調査などの手法を開発しているところであり、着実に進めていると述べられています。 同時に、大臣は、メチル水銀が人の健康に与える影響を的確に診断する手法について、慎重かつ確実に開発していかなければならないとも述べられています。 私も、調査研究を実施するに当たっては、科学的正当性を有する調査手法を確立することが重要と考えています。 県としては、今後とも、国に対し健康調査の実施を求めるとともに、調査手法の開発が円滑に進むよう、関係者への協力要請や調整など、できる限りの対応を行ってまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 知事の答弁も、これまでとほとんど同じような感じになっているようで、過去に行った処分について、再審査する必要はないという考え方を国はとっていますけれども、県もそのような――国と県の責任というのはなくなってしまったのかなというふうな思いでいるところです。 本当の意味で、この2013年の最高裁判決、これで県認定審査で棄却になっていた判断を覆している、それがなぜ再度の審査が必要でないと言い切れるのか、非常に私は疑問を持つところです。最高裁判決を無視をするという一面があるのではないか、このように思います。 県としては、健康調査の必要性は認めるが、国がやらない、こんなことがずっと通っていくということはいけないんではないかな、一つは、やっぱり県独自の考え方、手法、これも国にどんどん提起をしながら、健康調査に当たっていかなければならないんではないか、このように思っているところです。 何せ、最高裁判決に基づいていけば、52年判断の以前の、棄却をされた人たちに対しても再審査をやるというのは、当然当たり前のことではないかなと思うんですけれども、国もこれを認めないという現状の中では、私たちがもっともっと患者の立場に立って、不知火沿岸住民の皆さんの立場に立って声を大きくしなければならないのかな、こんな思いでいるところです。 この水俣病問題の早期解決に、県も一生懸命頑張っていらっしゃるとは思うんですけれども、ぜひ、あと一歩も二歩もやっぱり患者に寄り添う形で、いつも知事がおっしゃられているとおりの水俣病の解決に向けて頑張ってほしいと、このように思っているところです。 次に、立野ダム建設問題について質問をいたします。 立野ダム建設は、流域住民への丁寧な説明が実施されないまま進められている現状です。具体的には、第1期工事の落札が、先月6日に107億円で落札され、業者が決定をしています。 昨年9月の私の一般質問に対して、蒲島知事は、「県としての白川水域における治水対策の方向性については、これまでと変わるものでは」ないとして、住民説明会も、「国は立野ダム建設事業を進めるに当たり、これまでも丁寧な説明を行って」きたとして、国の立野ダム建設については100%の推進論で、立野ダム建設に対する地域住民の理解が深まることを期待しているとの答弁でありました。 ことし1月12日、国交省九州地方整備局に対して、立野ダムによらない自然と生活を守る会など3団体が、立野ダム事業に関する公開質問状を提出し、熊本地震で立野ダム水没予定地の大半が崩壊しているが、今後どのような土砂崩壊対策工事を行うのかなど、これまでも地域住民が不安や疑問に思っている問題について、7項目を直接九州地方整備局の調査官等に尋ねましたが、事前に崩壊しやすい部分を調査し、対策工事を実施するなどと答えるだけでした。 立野ダム建設推進方針を変えない国交省の答弁は、流域住民の不安を一層大きなものにしています。 蒲島知事は、立野ダムは、平成22年から24年にかけて国が事業の検証をし、コストや実現性、環境への影響などについて、他の治水対策案と比較し、立野ダムが最も有利であり、熊本地震後には、立野ダム建設に係る技術委員会が、立野ダム建設は技術的に十分可能との結論を出したことを受けて、事業推進の立場をとられています。 国交省に対しては、立野ダム建設に不安を感じる流域住民などから公開質問が何回も出されていますが、これまで丁寧な住民説明会は実施されないままです。 河川法改正で、治水、利水のみであったのが、1997年の改正で環境が加わり、地域の意見を反映した河川整備の計画制度の導入が図られました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 白川の河川改修は進んでいます。熊本市内の白川は各地点で毎秒1,000から2,000トン程度の流下能力が多くなり、黒川の小倉遊水地は、毎秒140トンの洪水調整機能があると言われています。森林の保全整備で、山を守り、水をため、水田や湿地帯にもできるだけ水を流し、流域全体に洪水を分散させる取り組みこそ必要です。 立野ダム建設は、立野峡谷と天然記念物阿蘇北向谷原始林の自然を壊し、観光や歴史的価値を失うことになります。熊本地震でも明らかなように、すぐ近くを断層が走っている危険な場所であり、火山灰による大量の土砂の堆積もあります。わずか5メートル四方の穴が3カ所の穴あきダムであり、大雨土砂災害では流木が詰まることは明らかです。 多額のダム建設費は、河川改修等に比べ、年間の維持経費も2億6,000万円と想定されているなど、費用も多額になることを考えれば、地震の復興に回すべきです。 国の2018年度の予算案では、ダム建設事業に2,346億円、対前年比1.13倍で、災害などを口実に大型公共事業を推進するものです。 このように、立野ダム建設事業は、流域住民のみならず、県民にとっても重大な問題です。昨年9月定例会で、再質問で住民説明会を強く要望していましたが、これまで何もないようです。 住民説明会の開催と流域住民、県民の不安について、蒲島知事はどのように対処されようとしているのか、伺います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 立野ダム建設については、事業主体の国が、県民の不安や疑問に対して丁寧に説明することが大切だと考えています。 このため、私は、これまで国に対して説明責任を果たすよう要望し、国においては、地域住民の方々の理解を深めるためのさまざまな取り組みを継続的に行われています。 具体的には、昨年7月から、白川の復旧・復興対策の現地見学会の開催や流域住民の方などを対象とした現地での説明、さらには、多くの方が参加された土木の日バスツアーでの説明などであります。 また、ことし1月には、議員が述べられた九州地方整備局における意見交換でも、国から技術的見解が改めて説明されたと聞いています。さらに、南阿蘇村主催の村民現地見学会においても、活発な意見交換が行われたと聞いています。 そのほか、景観、環境に配慮した事業実施や熊本地震からの創造的復興を目的とした取り組みとして、立野ダム実生の森育成プロジェクトを始動され、南阿蘇村の小学生やその保護者も参加されたと聞いています。 国からは、今後も、地域住民の方々の理解を深めるため、さまざまな取り組みを継続すると伺っています。県としても、国において、このようなさまざまな取り組みを引き続き実施するよう要望してまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 蒲島知事の答弁は、今までと余り変わらないような答弁で、非常に立野ダム推進の立場というのが伝わってきます。 もっと――先ほどの説明の中でも、住民説明会をやられたということですけれども、現地見学会にしても、7月からやられているやつも、私が聞くところによると、1組15人までですね。で、5組、それだけの説明会、75人を対象。ほかの地域住民のいろんな説明会についても、私はいつも思い出すんですが、この3者で説明会というときは、川辺川ダムのときに住民討論集会、説明会じゃなくて討論集会というのによく私も行ったんですが、体育館いっぱいの人が集まるような、そんな集会でした。 今回、こういう立野ダムについては、流域住民とのそういう集まりというのはまだ聞いたことがありません。ぜひ、特に阿蘇には、自然環境が非常に大切なジオパークの認定等々の問題もあって、今予定されている立野ダムの建設地は、非常に重要なそういう景観の場所だというふうに思いますので、その辺もやっぱり大切にしていくべきではないかな。 災害復興では、柱状節理のところをやっぱり110メートルも崩していっているということもありますので、この立野ダム建設に至っては、水没地域も土砂崩れがたくさんあちらこちらに起こっていますから、そういう危険な場所でもあるということで、果たしてやっぱりこの立野ダムを1,000億近くもかけてつくる必要があるのかというのは、つくづく思います。 ただ、非常に残念なのは、先ほど紹介したように、本体工事の入札が終わって、どんどん進んでいくという現状が一面でありますけれども、それはそれで、私たち、やっぱり本当にこのダムが我々県民にとって必要なものかどうなのか、そうじゃないんじゃないかという声もずっと言い続けなければならないと、このように思っているところです。 知事も、白川流域の自治体で、特別に反対というふうな首長もあんまりいないようですので、知事の動きも難しいかとは思うんですが、もっともっとやっぱり住民の立場にも目を向けていただきたい、このように思うところです。 なかなか私の質問に対しては、知事は、意識的でもないと思いますが、国が絡んでいる政策でもありますので、答弁もしにくいとは思いますが、よろしくお願いをしておきたいと思います。 また、続いて、諫早湾の件について、申しわけありませんが、諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査についてお尋ねをいたします。 今年度、私は、有明海、八代海の環境保全や改善、そして水産資源の回復などによる漁業の振興に関する付託調査事件を審議する有明海・八代海再生及び地球温暖化対策特別委員会に所属をしております。 その審議で、執行部から、有明海では、昭和52年に6万5,000トンあったアサリの漁獲量は、急激に減少し、平成28年には280トンとなっているとの説明を受けております。 その中で、これまでの漁獲量をグラフで示されておりますが、急激に右肩下がりとなり、後は底を打つよう、ほぼ平行に推移している状況は、何度見ても、なぜこんなにと思うところであり、委員会のたび質疑を行ってまいりました。 また、私は、一昨年9月の一般質問において、有明海のタイラギ減少の要因等について尋ねましたが、荒尾を含む有明海湾奥部の東側海域の減少要因は、いまだ明らかになっていないとの答弁でありました。 県を含め関係者においては、耕うん、覆砂、漁獲時期の制限などのさまざまな取り組みを行っておられます。その成果もあって、地元では、昨年よりアサリがとれたという声を聞きましたが、やはり以前宝の海と言われた有明海には、残念ながらほど遠い状況です。 確かに、無計画な乱獲により水産資源をとり過ぎたという原因もあるかもしれませんが、当然それだけではなく、自然の大きな動きの中で、潮流が遅くなって、州がなくなり、そしてみお筋が消えることで貝類、魚介類に影響しているということは、何か根本的な原因究明が必要ではないかという気がいたします。 有明海の再生という意味では、潮流が変化したことが大きいのではと考えます。この要因の一つが、諫早湾干拓の潮受け堤防ではないのでしょうか。 諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門問題について、2010年12月に、福岡高裁が国に5年間の開門調査を命じましたが、開門差しとめを求めて営農者が起こした開門差しとめ訴訟で、長崎地裁が差しとめの仮処分を決定しました。 国は、開門しないかわりに、漁業振興の基金総額100億円を上限とする案を出し、熊本、福岡、長崎の漁協では受け入れていますが、佐賀県は受け入れ反対を表明していました。 昨年4月、長崎地裁が開門差しとめを命ずる判決を言い渡したことを受け、国は、基金による問題解決を目指すことにしましたが、佐賀県有明漁協は、先月9日、開門をめぐる訴訟の動向を見守ることとして、100億円の漁業振興基金案受け入れの結論を先送りすることにしました。 一方で、諫早湾干拓事業の干拓営農者の農業生産法人2社が、本年1月30日、野鳥による農産物の食害などの被害を受けたとして、国、県を相手に損害賠償を求めて長崎地裁に提訴しています。 法人の弁護士は、食害は堤防と調整池を取り払わないと解決しないと主張し、法人の社長は、農業が安心して続けられるなら開門しても構わないと述べ、2社は、諫早湾潮受け堤防開門差しとめ訴訟の原告でしたけれども、近く訴えを取り下げ、開門反対派から離脱することを表明しています。 このように、諫早湾干拓営農者も変わりつつあります。国は、100億円の基金で開門調査をしない動きですが、状況は変わりつつあると思います。有明海再生を目指すため、開門調査の重要性はますます強まっていると考えますが、蒲島知事の見解を伺います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 有明海に、かつての良好な自然環境をよみがえらせ、漁業が持続可能な海へ再生することは、私を含め、多くの漁業関係者の共通した思いであります。 これまでの諫早湾干拓をめぐる一連の訴訟の中で、国は、昨年4月の長崎地裁の開門差しとめ判決以降、一貫して開門しない方針を表明しています。 こうした中で、福岡高裁は、先月26日、国が漁業者に対して開門を強制しないよう求めた控訴審を結審し、その後、直ちに再開した和解協議の中で、両者に対して和解を勧告することを伝えました。そして、昨日、開門しないことを前提に、開門にかわる基金等の方策による全体的解決を図るものとするという和解の方向性を示しました。 開門調査の重要性についてのお尋ねですが、有明海の環境変化の原因究明の一環として、開門調査が必要との本県の考え方に変わりはありません。 しかし、現実的に、開門調査の実施がなかなか見通せない中で、漁業者の生活を守るため、漁場環境の改善など、再生に向けた取り組みは待ったなしのところまで来ています。これは、有明海沿岸漁業者の合意形成に努力されている県漁連を初め、県内漁業者の皆様の思いも一緒だと考えています。 県としては、今後の和解協議の進捗を注視していくとともに、本県漁業者に寄り添いながら、有明海の再生が少しでも進むよう取り組んでまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 知事の答弁では、開門調査が必要であるということの考え方に変わりはないということですので、そこでは一致しているというふうに思います。 ただ、今はもう本当に司法もどうなっているのかということを思うんですが、きのうの話が先ほど答弁の中でございましたが、福岡高裁で、開門しないかわりに漁業振興基金を設けることが唯一の解決策であるという和解案を出した、これはまた7月30日に判決を出すということですから、その流れで出すということなんですね。2010年12月には、福岡高裁で、国に5年間の開門調査を命じているんですね。しかし、やっぱり今回、また全然違うそういう和解案を出したということは、司法は信頼できないな、こんな思いでいるところです。 ぜひ、開門調査が必要であるということで、知事も一緒に頑張りましょう。 次の農作物鳥獣被害の現状と対策についてお尋ねをいたします。 農業を取り巻く環境は、大変厳しくなっているように思います。大きくはTPP、環太平洋連携協定やEPA、欧州との経済連携協定など、農業にとって大打撃となることは明らかです。 外国の農作物が日本の市場を脅かす中、政府は、日本農業の競争力強化策として、農地の集積、大規模化を重点とする方向に進んでいます。 日本の食料自給率は、政府目標ではカロリーベースで45%ですが、2016年度は、6年間続いた39%からさらに悪化し、38%になりました。穀物自給率に至っては、わずか28%の自給率です。 山地の多い日本では、中山間地域が国土面積の約7割を占め、中山間地域における農業は全国の耕地面積の約4割であり、我が国の農業の中で重要な位置を占めています。 政府が進める大規模農業だけではなく、多様な担い手への支援が大切であり、小規模農業を大切に、食の安全、安心、安定供給、中山間地域の集積機能を守っていくことで、食料自給率の向上を目指すべきです。 さて、中山間地域では、農作物の鳥獣被害を受けやすい環境にあります。 熊本県における農作物の鳥獣被害は、県内で、2016年度、4億9,955万円で、対前年度比11.7%の減となっています。大きく減ったのは、イノシシ被害の減少が主な要因で、イノシシの場合、23.7%減の2億7,241万円と、大きく被害が減少しています。 国や県の補助制度である侵入防止柵の設置の効果があり、イノシシの場合は大きく減少したようですが、鹿は、逆に2.2倍にふえ、1億649万円になっています。 こうした中、全国各地で鳥獣駆除隊が組織され、有害鳥獣の捕獲が進められていますが、他県では、有害鳥獣捕獲作業に伴う交付金について、不適正な事務手続が行われ、問題になっているとも聞いています。 県内においては、こうした事例はないとのことですが、今後とも、しっかりとした事務手続のもとで、捕獲活動を着実に実施していただきたいと考えています。 県では、こうした有害鳥獣の捕獲活動だけに頼らず、集落内の圃場に放置された収穫物や管理されていない樹園地の果実が餌となることなどを解消し、鳥獣被害を減らそうとする取り組みを「えづけSTOP!」を合い言葉に進められ、成果を上げているようですが、さらなる取り組みの浸透が必要ではないかと考えています。 そこで、農作物鳥獣被害の現状と対策の進め方について、濱田農林水産部長に伺います。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 本県の野生鳥獣による農作物被害額は、平成22年度の約8億5,000万円をピークとして減少基調にはございますが、これまで目立たなかった地域での新たな鳥獣による被害が明らかになるなど、多様化の様相を呈しております。 例えば、上益城地域では、アナグマがハウスに侵入し、収穫直前のスイカを食べる被害、あるいは八代地域では、鹿がショウガの圃場へ侵入し、土壌病害が蔓延して収穫ができなくなるといった被害が出ております。 このような地域の実情を踏まえ、県では、1つには生息しにくい環境管理、2つには侵入、被害の防止、3つ目には有害鳥獣の捕獲、4つ目には捕獲獣の利活用、この4つの柱で総合的かつ全庁横断的に対策に取り組んでおります。 具体的に申し上げますと、まず1つ目の生息しにくい環境管理では、鳥獣被害の主な要因が、集落の日常生活の中で無意識に行っている餌づけにあるという分析と実態に基づきまして、「えづけSTOP!」を対策の基本に据えて進めてございます。 また、2つ目の侵入、被害の防止では、侵入防止のための電気柵やワイヤーメッシュ柵などの設置を支援するとともに、より適切で効果的に設置できるよう、指導員を招いての実技指導を含めた現地研修なども行っております。 3つ目の有害鳥獣の捕獲でございますが、県内各地で行われている捕獲活動を支援しますとともに、補助金事務が適正に行われるよう、国の指針に沿って県が作成をいたしました捕獲確認マニュアルに基づき、市町村などの指導を徹底しております。 最後に、4つ目の捕獲獣の利活用につきましては、地域の資源として有効活用するという視点から、くまもとジビエコンソーシアムを立ち上げまして、国の事業を積極的に活用しながら食用への利活用を進め、くまもとジビエとして、新たな熊本のブランドとなるよう育成をしてまいります。 今後とも、関係機関が一丸となって総合的に対策を進め、さらなる被害の軽減に努めてまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) ぜひ、農作物の鳥獣被害対策、力いっぱい進めていただきたいというふうに思います。 時間の都合もあります。最後の質問に入ります。 教員の長時間労働の実態と是正について。 県議会の場でも、多くの議員から質問や提言がなされてきた課題であり、現在でも教員の長時間労働は改善されない現状です。 熊本県職員の勤務時間、休暇等に関する条例や熊本県市町村立学校職員の勤務時間及び休日休暇に関する条例に定められた勤務時間は、例えば午前8時15分から午後4時45分までの時間で、45分の休憩時間を除けば、1日7時間45分となります。 しかし、2016年度の文部科学省調査によれば、教員の1日当たりの平均勤務時間は、小学校で11時間15分、中学校では11時間32分と、条例上の勤務時間を3時間30分以上オーバーしています。 週平均で労働基準法が原則としている38時間45分を、中学校の場合では63時間18分と、大幅に超えています。1カ月に換算すると、超過勤務時間が過労死ラインと呼ばれる80時間以上の時間外労働をしている教員が、中学で約6割、小学校で約3割にも上っています。 このように、教員の長時間労働の問題については、文部科学省調査でも明らかとなり、社会問題化しています。 2017年度の熊教組城北支部の職場アンケートの結果では、月80時間以上の勤務が、小学校で12%、中学校で25.6%となっており、中学校職員の約4分の1は過労死ラインを超えて働いています。 休憩時間について、とれないと感じている人の割合が約65%、時間縮減、勤務負担軽減を感じていない人は約7割以上に上ります。負担に感じている業務で多かったのは、部活動47.7%、さらには調査報告61.2%となっています。その他で目立ったのは、年間計画、研究指定、集金の割合でした。 土曜授業の実施状況は、2016年度が19.2%、17年度が30.2%です。多忙化解消と言いながら、一方ではこのように業務をふやしていくことは問題であり、代休についても、同一週にとれているのは43.5%です。 公立の小中学校の教員については、原則として超過勤務を命じないと、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法で定められており、超過勤務を命じることができるのは、生徒の実習、学校行事、職員会議、非常災害など、臨時または緊急のやむを得ないの4項目に限定されています。しかし、4項目以外の超過勤務が、教員の自発的行為として放置され続けてきました。 労働基準法では、残業や休日出勤、深夜の割り増し賃金の支払いについて規定していますが、教員には、教育職員の給与等に関する特別措置法で、時間外勤務と休日勤務の手当は支給しないと定めているため、労基法37条の適用はされません。そのかわりに、教員は、学校外の活動も多く、自発性や創造性が求められる特殊な仕事だと考えられ、全員に基本給の4%に相当する教職調整額が支給されています。 しかし、この4%は、1966年の勤務状況調査で、1週当たりの超過勤務が小中学校で平均1時間48分だったことを根拠にしたもので、現在は、当時の超過勤務時間の約11倍になり、現状とは大きくかけ離れ、実態を反映した金額とは言えません。 公立小中学校の条例上の勤務時間は、例えば8時15分から午後4時45分まで、45分の休憩を除けば、7時間45分と聞いています。この条例上の勤務時間は守らなければならない基本と考えますが、県内の各公立学校の長時間労働の実態についてはいかがでしょうか。 次に、中教審の特別部会は、教員の負担軽減案を昨年12月に公表し、教員がしなければならない仕事と地域住民が学校外で分担できる業務を整理し、1つに、学校以外が担うべき業務として、登下校に関する対応、放課後や夜間の見回り、補導時の対応、そのほかにもいろんな必要がない業務としてあります。 そういうことについて、ぜひ整理をしながら、教員に負担がかからないようにしていただきたい、このように思っているところです。 そういう意味では、今私が申し述べました質問に対して、時間がありませんので、宮尾教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長宮尾千加子さん登壇〕 ◎教育長(宮尾千加子さん) まず、県内公立学校の長時間労働の実態についてですが、勤務時間の把握の方法は、タイムカードや自己申告など、さまざまな方法で行われています。 ○副議長(溝口幸治君) 残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。 ◎教育長(宮尾千加子さん) (続) 県立学校においては、平成29年度上半期において、月の超過勤務時間数が80時間を超え、産業医の保健指導対象となった教員の割合は、全教員の約1割となっています。 また、市町村立の学校においては、同じく超過勤務時間数が80時間を超えた教員の割合は、県立学校と同様に約1割となっています。 このような実態を踏まえ、県立学校及び市町村教育委員会に対し、学校における働き方改革に関する通知を発出し、勤務時間の把握や部活動休養日の徹底等を依頼しました。 また、県立学校における客観的な勤務時間把握のためのタイムカード等の本格導入に向け、1月からモデル校6校で試行的に導入し、課題の洗い出しを行っているところです。 今後は、働き方改革についてのフォローアップを行いながら、全ての県立学校における勤務時間管理システムの導入や夏季休業期間中の学校閉庁日の試行、公立中学校における部活動指導員の配置など、引き続きしっかりと取り組んでまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 御答弁ありがとうございました。 再質問をしたいところだったんですが、時間がありません。というのは、今答弁の中に、県立学校市町村立学校の80時間を超えるのは1割という答弁でしたけれども、私が調べたのでは、そうじゃなくて、先ほど紹介したように、中学校では6割、小学校で3割が80時間を超えている時間、文科省の調べでもそういう感じですね。ですから、熊本県の教育委員会はどこで調べられたのか聞きたかったんですが、ちょっと時間がありませんね。 そういうことで、基礎になる資料は同じやつにしなければならない。ただ、県では、今度、タイムカード等々について、今議会に2,900万円予算が計上されて、それらに使うと、勤務軽減に使うということでありますので、ぜひ、学校の先生方の労働条件、宮尾教育長に強く、緩和されるように、よろしくお願いをしておきたいと思います。 ちょっと時間がありませんでした。どうも、今後はきちんと最後まで言えるように時間配分をしたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(溝口幸治君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明7日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時10分散会...