平成19年12月 定例会 第 3 号 (12月7日) 平成19年
熊本県議会12
月定例会会議録 第3号平成19年12月7日(金曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第3号 平成19年12月7日(金曜日)午前10時開議 第1
一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1
一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ――――――○――――――
出席議員氏名(47人) 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 上 田 泰 弘 君 内 野 幸 喜 君 浦 田 祐三子 さん 山 口 ゆたか 君 濱 田 大 造 君 渕 上 陽 一 君 船 田 公 子 さん 田 代 国 広 君 森 浩 二 君 溝 口 幸 治 君 小早川 宗 弘 君 池 田 和 貴 君 守 田 憲 史 君 西 聖 一 君 早 田 順 一 君 田 端 義 一 君 吉 田 忠 道 君 佐 藤 雅 司 君 重 村 栄 君 九 谷 弘 一 君 中 村 博 生 君 吉 永 和 世 君 松 田 三 郎 君 井 手 順 雄 君 藤 川 隆 夫 君 福 島 和 敏 君 鎌 田 聡 君 城 下 広 作 君 氷 室 雄一郎 君 馬 場 成 志 君 中 原 隆 博 君 早 川 英 明 君 渡 辺 利 男 君 鬼 海 洋 一 君 平 野 みどり さん 竹 口 博 己 君 堤 泰 宏 君 大 西 一 史 君 岩 中 伸 司 君 村 上 寅 美 君 松 村 昭 君 児 玉 文 雄 君 倉 重 剛 君 西 岡 勝 成 君 山 本 秀 久 君
欠席議員氏名(2人) 小 杉 直 君 前 川 收 君 ――――――○――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 潮 谷 義 子 さん 副知事 安 田 宏 正 君 副知事 金 澤 和 夫 君 出納長 古 田 勝 人 君
総合政策局長 木 本 俊 一 君 総務部長 原 田 正 一 君
地域振興部長 小 宮 義 之 君
健康福祉部長 岩 下 直 昭 君
環境生活部長 村 田 信 一 君
商工観光労働 島 田 万 里 君 部長
農林水産部長 山 本 隆 生 君 土木部長 渡 邊 俊 二 君 理事・ 上 野 信 一 君 企業局長
教育委員会 古 川 紀美子 さん 委員長 教育長 柿 塚 純 男 君
警察本部長 横 内 泉 君
人事委員会 若 本 隆 治 君 事務局長 監査委員 高 宗 秀 暁 君 ――――――○――――――
事務局職員出席者 事務局長 新 開 忠 邦
事務局次長 正 木 重 臣 議事課長 吉 良 洋 三
議事課長補佐 前 田 春 久 参事 小 池 二 郎 ――――――○―――――― 午前10時開議
○議長(村上寅美君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1
一般質問
○議長(村上寅美君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き
一般質問を行います。
浦田祐三子さん。 〔
浦田祐三子さん登壇〕(拍手)
◆(
浦田祐三子さん) 皆さんおはようございます。自由民主党・玉名市選出の
浦田祐三子でございます。本日は、初めての質問の機会をお与えくださいました先輩議員、そして同僚議員の皆さん、心より感謝申し上げます。 また、潮谷知事におかれましては、昨日、3選目の出馬はされないと表明をなさいましたけれども、決断に至るまではいろいろと葛藤されたことが多かったと思います。どうか、残りの期間、健康に留意なさいまして、また頑張っていただきたいと思います。 4月の改選によりまして、
熊本県議会の女性議員の数は、改選前の何と3倍の3名となりました。本日は、私、そして
平野みどり議員と続けて女性議員が登壇をするのは大変珍しいことではないかというふうに思っております。そういう意味では非常に緊張いたしております。しかし、この大切な
熊本県議会の議席を預かる議員の一人としまして、誇りと自信を持って、しっかり、いつものように女性らしく、そして時には男らしく質問させていただきたいと思います。どうか、議場の皆様方におかれましては、何分初めての経験でございますので、お聞き苦しい点とか多々あるかと思いますが、どうか心穏やかに60分間おつき合いくださいますようによろしくお願い申し上げます。 それでは、
発言通告書に従いまして質問に入らせていただきます。 では、最初に、今後の農業、農村の振興を左右する大きな問題になっております
品目横断的経営安定対策について、私の要望を申し上げたいと思います。 この問題につきましては、これまでの定例会でも議論を重ねられた経緯もありますし、前回の9月定例会では、県議会として意見書も提出されたところでございます。 私も今回ぜひ質問したいと思っておりましたけれども、現在、国におきましても、概算要求をめぐり、見直しに着手をされているところですし、昨日田端議員が質問されたところでもございますので、私なりの問題提起をさせていただきたいと思います。 申すまでもございませんが、農業は、本県の基幹産業として、農村地域の維持、発展を支えてまいりました。加えて、自然環境の保全、水資源の涵養、あるいは伝統文化の継承など、多面的かつ公益的な役割を果たしてまいったわけでございます。言いかえれば、農業の盛衰は、地域経済の安定に著しく影響を与えると言っても決して過言ではありません。 しかしながら、今日の農業、農村を取り巻く状況は大変厳しく、社会環境、経済環境の変化や高齢化、担い手の減少、
耕作放棄地の増加などにより、
農業生産、農業基盤の脆弱化が懸念をされております。 この現実に対応するために、農林水産省は、国の農業の構造改革を加速化するとともに、WTOにおける国際規律に対応できるよう、これまで品目別に講じられてまいりました
経営安定対策を見直し、施策の対象となる担い手を明確にした上で、その経営の安定を図る戦後農政の大転換と言われます、新たな
経営安定対策であります
品目横断的経営安定対策を本年度より導入をいたしました。 この制度によりまして、これまでの
麦作経営安定資金や
大豆交付金などは、過去の生産実績と毎年の生産、品質に応じて支払う
通称ゲタ対策と、そして米、麦、大豆の収入を合計してその収入減少を補てんする
ナラシ対策に変わりました。 玉名市管内におきましても、この
品目横断的経営安定対策に対応するため、土地利用型の農業を目指す
認定農業者にあたりましては、4ヘクタールの
経営規模の要件を満たすために農地の借り入れをしたり、規模の小さい農家におきましては、集落での話し合いを重ね、
集落営農組織を設立いたしましたところ、その結果、
認定農業者で63件、
集落営農組織で25組織が
品目横断的経営安定対策に加入をされております。 そして、今月、いよいよその
品目横断的経営安定対策に係る交付金が支払われます。この交付金の支払いを前にして、農家の皆さんから大変不安の声が漏れております。私の地元で先進的な取り組みを行っています岱明町の
野口牟田営農組合の皆さんからは、頑張って麦ばつくっても割に合わぬ、カントリーの利用料金とか経費ば差し引くなら赤字たい、国は交付水準ば守るて言いよったのにだまされた、来年からは麦はやめよかなと思っとるといった大変厳しいお話も出ております。 今回、交付金のうち、支払われますのは、麦と大豆の、いわゆるゲタ対策の部分に当たります。このうち麦では、農家の昨年度の手取りが1俵当たりおよそ8,000円あったものが、この
品目横断的経営安定対策に変わって、約2割ほど下がってしまうそうです。大変な減額となるわけでございます。これでは農家の皆さんが憤られるのもごもっともだと思います。 新たな農業政策に農家の皆さんは夢と希望をかけて、これから頑張ろうというやさきに、これでは生産に対する熱意と意欲をそぐことになってしまいます。これまで積み上げてきた
認定農業者の皆さん、
集落営農組織の皆さんの努力が水の泡となってしまい、このままでは、地域農業の崩壊へつながってしまうのではないかというふうに大変危惧をいたしているところでございます。 この対策が真の
土地利用型農業の振興につながることが何よりも重要でありまして、そのためには、農業者の実態を把握していただき、率直な現場の声に耳を傾けていただくことが最も必要であるかと考えます。 農業の重要性を再度御認識いただきまして、県におかれましても、農業者の立場に立った精いっぱいの御支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。 以上、
品目横断的経営安定対策について要望いたしまして、質問に入らせていただきます。 まず最初に、
温州ミカンの振興についてお尋ねをいたします。 熊本県は、全国的に知られる
温州ミカンの一大産地であり、和歌山、愛媛、静岡に続く収穫量を誇っております。しかし、平成3年の牛肉、オレンジの
輸入自由化を契機に、海外から安価なかんきつ類が輸入をされ、
温州ミカンは厳しい価格競争を強いられることとなりました。また一方で、消費者の嗜好は高級志向が強まり、品質の高い果実が人気となりました。これに伴いまして、国内での
産地間競争も激しさを増してきたわけでございます。
温州ミカンには表年と裏年があり、年ごとの収穫量は大きく変動いたします。収穫量の多い表年には価格が下がり、収穫量の少ない裏年には価格が上がるというような変動はありますが、長期的に見てみますと、価格は下落傾向にあります。 私の地元でございます玉名市天水町は、熊本県の北西部の海岸沿いに位置しておりまして、温暖な気候を利用しての果樹農業、中でも
温州ミカンの栽培が大変盛んな地域でございます。 ところが、JAたまなが把握している
果樹栽培農家の売り上げの状況を見てみますと、イチゴやトマト、
ミニトマトを栽培している農家では、1,500万円以上の売り上げがあるのは、およそ230戸あるのに対しまして、
ミカン栽培農家では、わずか8戸となっており、いかに
ミカン農家の経営が厳しいかということがうかがわれるかと思います。 この売り上げの差の原因といたしましては、ミカンを栽培する園地が傾斜地に位置していることや
経営規模が小さいことなどから、
労働生産性が低いことが考えられます。つまり、効率的な果樹生産ができる
産地づくりが進んでいないのではないかというふうに思われます。 私も、体験実習といたしまして、数週間ではございますが、地元の
ミカン生産農家でお世話になり、身をもって経験をさせていただきました。そういうことがありますが、本当に、ミカンの園地は傾斜地であり、農作業には大変な労力と体力が必要であるということを痛感いたしました。 このような事情と重なりまして、玉名地域におきましても、あるいは県全体におきましても、担い手の高齢化が進み、
温州ミカンの栽培面積及び農家数は大きく減少いたしております。 玉名地域では、平成10年から比較いたしますと、栽培面積は約150ヘクタール減少し、農家数に至っては約500戸減少いたしております。減少の理由としましては、後継者がいないために離農される、あるいは他の作物へ転換をされることなどが考えられます。 しかし、このような厳しい状況にあっても、
温州ミカンの栽培に未来を託し、夢や希望を持って一生懸命
ミカンづくりに取り組み、グループで活動を行ったり、新たな取り組みにも積極的に参加をして頑張っている
若手生産者もたくさんおられます。 例えば、天水町の
赤仁田地区では、若手の担い手が積極的に活動しておられます。園地整備や作業道の整備を行って効率的な経営を進めるだけではなく、産地の中でも、いち早く県が開発した新しい品種の導入に取り組むなど、大変頑張っておられます。このように、新しい品種を果敢に導入し、所得の高い経営を目指すことは、担い手を育成する上で大変有効であると考えます。 私も、地元で、多くの
若手生産者の方々から、本当のミカンの味を多くの消費者の方に知ってもらいたい、もっと効率的で生産性の高い
ミカン経営をしたい、条件のよいところに園地を集積したいが、個人の努力では限界がある、品種の切りかえは個人でできるが、園地の集積に関しては公の力をかりなければ難しいといったお話も伺っております。
温州ミカンは、国内の他の産地との激しい競争にさらされており、産地としての評価を高めることがミカンの価格上昇につながっている状況でございます。このため、これまで申し述べました園地の基盤整備や新品種の導入にいたしましても、産地が一体となって進めていくことが重要であります。このことが、すなわち担い手の育成につながるものと考えます。 そこで、まず第1点目といたしまして、担い手が夢と希望を持ち、やりがいのある経営が実現できるよう、ミカンの
産地づくりをどのように進めていかれるのかを
農林水産部長にお尋ねをいたします。 続きまして、
気候温暖化による異常高温への
温州ミカンの対策についてお尋ねいたします。 気候の温暖化は急速に進んでおり、西日本においては、この100年余りで気温が約4度C上昇したと言われております。確かに、ことしの猛暑はすさまじく、全国で、熱中症で倒れ、救急車で搬送される事件が連日のように報道されておりました。
熊本地方気象台のデータによりますと、ことしの平均気温は、7月が27度、8月が29度、9月が27度となっておりまして、そして真夏日の観測日数は、7月が18日、8月が29日、9月が29日と、全国最多でございました。
ミカン栽培では、7月から8月にかけては、果実が最も肥大をしていく時期であります。そして、9月以降は、秋の実りに備え、品質の仕上げをする重要な時期となっております。本年は、干ばつを伴う異常な高温に襲われました。このことによりまして、強烈な日差しで果実が日やけをしてしまう、あるいは小玉果が多くなるなどの被害が発生いたしました。また、9月になりましてもなかなか気温が下がらなかったため、果実の着色がおくれるなどの影響が出てしまいました。さらには、過度の乾燥が続いた後の降雨により果実の腐敗が多くなるなど、1年間の農作業に汗した
生産農家の努力がなかなか実を結んでいない状況となっております。 県は、
熊本オリジナルの新品種を市場に絶えることなく送り出す、いわゆる
リレー出荷の体制を整えておられます。しかし、本年の
極わせミカンにつきましては、9月20日に、ことしから初出荷されました「肥のあかり」は順調であったものの、同じ極わせの品種であります「
豊福」「肥のあけぼの」に関しては、出荷がおくれ、うまくリレーができなかったと伺っております。 これは、本年の夏の残暑が厳しく、9月になっても夜間の気温が高いままであったため着色がおくれたことと、その後に急に気温が低下したことにより一気に着色が進み、10月下旬に出荷が集中してしまったことに起因しておりますが、その結果、ミカンの価格が下がってしまったわけでございます。さらに、ことしは、
極わせミカンの約3割が11月出荷の
わせミカンと重なってしまったため、販売面で大変苦戦をしてしまったということです。 先月29日の熊日新聞にも、極わせ、わせの出荷時期が11月にずれ込んだため、供給過多となってしまい「熊本を含む全国17府県の
生産者団体は生食用をジュースなどの加工に回す
緊急需給調整を実施」したという記事が載っておりました。 このように、
ミカン経営の安定を図ろうと努力をされてこられた生産者の方々が大変困難な状況になっておられるのが現状でございます。
気候温暖化によることしのような気象条件は、来年以降もますます強まることが予想され、ミカンへの影響が大きくなることを、地元の
生産農家の方々も非常に心配をされておられます。 このことは、
地球温暖化のことを考えますと、ことしだけの問題ではないと思われます。そういった今後の気象条件をかんがみた
生産対策や販売戦略をまだまだ打ち立てていかなければならないのではないでしょうか。 つきましては、第2点といたしまして、
温州ミカンの
気候温暖化による異常高温への対策について、
農林水産部長にお尋ねいたします。 以上2点をお尋ねいたします。御答弁よろしくお願いします。 〔
農林水産部長山本隆生君登壇〕
◎
農林水産部長(
山本隆生君) まず、
産地づくりについてでございますけれども、
温州ミカンは、品質のよいものを安定的に供給することができて初めて市場等から産地単位で評価をされ、その評価が直接価格に反映される商品というふうに考えております。したがいまして、
産地づくりの推進は、所得の高い果樹経営を実現する上で大変重要であるという認識を持っております。 このため、県におきましては、特に、個性的で魅力的な産地を構築するための新品種の導入、それから高品質果実の
安定生産を図るための園地整備、この2点につきまして重点的に取り組むことといたしております。 まず、1点目の新品種の導入についてでございますが、全国でも例を見ない、ただいま質問等にもありましたけれども、本県開発の
オリジナル品種により
リレー出荷体制の整備を進めているところでございます。本年9月20日には、この時期の
温州ミカンとしては全国でも高い品質を誇る「肥のあかり」が初出荷され、好評を得たところでございます。今後は、11月上旬に出荷される着色が良好な「肥のあすか」それから12月に出荷される果肉を包む袋がやわらかい「肥のみらい」この導入を急ぐことといたしております。 2点目の園地整備につきましては、個々の農家の経営条件の違いや入り組んだ土地の権利等からの意見がまとまらず、現状ではなかなか進まない状況にございます。そこで、県といたしましては、農業者が集中的に話し合いを行い、これらの課題を解決し、合意形成を図るための
モデル地区を産地ごとに設置することといたしております。具体的には、農業団体や県などが連携して的確な情報提供を行い、地区の将来プランを地図などで明確化し、産地の条件に合った効果的な事業を推進することといたしております。 次に、
気候温暖化による異常高温への対策についてでございますが、近年は、夏から秋にかけての高温による果実被害が多くなっております。 このため、県におきましては、栽培管理、品種開発、産地の品種構成について対策を推進することといたしております。
栽培管理につきましては、
日やけ防止のための木の表層部の摘果、それから着色促進のための葉っぱへの散水、それから乾燥を伴う小玉果の発生防止のための
適時かん水等、
管理技術情報を提供し、技術対策を徹底いたしております。 また、品種開発につきましては、県の
果樹研究所におきまして、着色が進む品種や腐敗の原因となる浮き皮が少ない品種等の開発を引き続き進めてまいる所存でございます。 さらに、産地の品種構成につきましては、本年の高温による影響を踏まえまして、産地ごとに時期別の生産量を見ながら、
JA熊本果実連等とも連携いたしまして、見直しを進めてまいりたいと考えております。 〔
浦田祐三子さん登壇〕
◆(
浦田祐三子さん) ただいま
農林水産部長から御答弁いただきましたように、現在、県で実施されている
果樹関係事業につきましては、生産者の方より、考えられる果樹対策として手厚い対応をいただいていると伺っております。ただ、事業内容が複雑でわかりにくいという声をよく耳にいたします。事業の活用が十分できるよう、生産者への
事業説明等に当たっては、わかりやすい周知もぜひお願いいたしたいと思います。 また、
気候温暖化に対しましても、引き続き、品種の開発や
技術対策等、御努力をいただきますようお願いをいたします。 ミカンの価格は30年前からほとんど変わっていないと聞いております。そのような中で、
ミカン生産者の皆さんは、毎年毎年、ことしこそはと、そういう思いで頑張っておられます。厳しい状況下にありまして、高品質の
温州ミカンを栽培したいという農家の皆さんの熱い思いを御理解いただき、今後も引き続き御支援をお願いいたしたいと思います。 続きまして、県産牛肉の販売についてお尋ねいたします。 まず、玉名市の私が牛肉のことを伺うのは多少違和感があるかもしれませんが、実は玉名にも畜産を頑張っておられる方がたくさんいらっしゃいまして、私も、日ごろから、いろいろなお話を伺う機会があるのですが、特に、県産の牛肉についてよく知ってもらいたい、そういう声が多く、今回、熊本の県産牛肉のことを調べてみることにいたしました。 熊本県産の牛肉と申しますと、まず、あか牛のことを思われる方が多いのではないかと思います。あか牛は、おとなしい性格で、育てやすく、よく働き、しかも粗食という多くの利点を持っております。 このため、昭和30年代までは、農耕牛として農家に欠かせない存在であり、熊本県の農業を人と一緒に支えてきたという歴史がございます。また、農業のみならず、阿蘇の五岳を背景に放牧されている牛たちの姿は
観光ポスターの図柄となり、熊本の自然や景観を全国にアピールしてまいりました。 あか牛の正式名称は褐毛和種といいまして、適度な脂肪分を含み、赤身が多く、ヘルシーな肉質が特徴でございます。しかしながら、熊本県の統計資料によりますと、あか牛の飼育頭数は、昭和51年の6万頭をピークに年々減り続けておりまして、平成18年には約1万頭まで減少いたしております。 一方、黒牛と呼ばれる
黒毛和種でありますが、こちらの飼育頭数は年々増加しておりまして、平成18年には2万2,554頭にまで増加をいたしております。
黒毛和種の肉質は、ほどよく脂肪分が入った、いわゆるサシの多い濃厚な味わいが特徴です。黒牛の方が最近の消費者の嗜好に合っているのでしょうか、全国的に多くの牛が飼育をされておりまして、広く流通しているようでございます。 県産牛肉には、もう一つ、交雑種といいまして、黒牛と乳用種をかけ合わせた品種がございます。これは「
くまもと味彩牛」という名称で流通いたしておりますが、黒牛の肉質と乳用種の体の大きさを兼ね備えていることが特徴であり、比較的安価な価格で購入ができるというメリットがございます。 このように、県産牛肉の特徴を並べてみますと、褐毛和種、
黒毛和種、交雑種などがそろっておりまして、消費者のニーズに細かく対応できることが、他県にはない大きな特徴であるかと思います。しかし、全体的に見てみますと、県内の肉用牛の飼養頭数は減少傾向が続いておりまして、このままだと、全国第4位の肉用牛生産基地である本県の地位が揺らぐのではないかと懸念をいたしているところでございます。 熊本県が肉用牛の主産地として今後も発展していくためには、生産と販売が両輪となって進んでいくことが重要でありますが、残念ながら、熊本県産牛肉の知名度は、松阪牛や神戸牛ほど高くはないようです。また、九州でも、佐賀牛や宮崎牛などの売り込みが強まっているような気配を感じております。
温州ミカンについての質問でも申し上げましたが、やはり産地としての評価が農産物の価格に影響をするかと思われます。 熊本県産牛肉には、先ほども申し上げましたように、ほかの県にはない多彩な品種を備えております。ヘルシーな味から濃厚な味までそろっているわけでございますので、この特徴を全国的に売り込むことが、熊本県を牛肉の主産地として全国に認識をしていただくための有効な手段であると思います。 特に、私は、あか牛の畜産農家にも時々勉強させていただいておりまして、出産に立ち会わせていただいたり競りに参加をさせていただいたりと、日ごろからあか牛に対する熱い思いを直に伺っていることもございまして、それとまた、子供のころからなれ親しんでいることも合わさりまして、あか牛への思いが大変強いわけでございますが、まず熊本県が良質な牛肉の一大産地として広く認識をしていただくことが、あか牛を含めた熊本の今後の畜産振興に必要であると思われます。そのためには、多くの消費者への効果的な販売促進を進めていかなければなりません。 つきましては、このような状況を踏まえ、あか牛、黒牛、さらに交雑種等を含めた全体的な県産牛肉の販売促進について、
農林水産部長にお尋ねいたします。 〔
農林水産部長山本隆生君登壇〕
◎
農林水産部長(
山本隆生君) 本県は、かつて、主に褐毛和種の子牛を県内外に供給する繁殖牛の主産地でございましたが、平成に入ってから急速に肥育経営が拡大してきた比較的新しい肥育牛の主産地でもございます。また、平成3年の牛肉
輸入自由化を境に、脂肪交雑、いわゆるサシの多い牛肉が重視されるようになりまして、県内の肥育経営は、褐毛和種や乳用種から
黒毛和種や交雑種へと転換が進んできたという経緯がございます。 このような本県特有の経緯を踏まえまして、現在では、各畜産農家がみずから選択した品種を飼養しており、多彩な牛肉が生産されております。これらの県産牛肉を「くまもとあか牛」「くまもと黒毛和牛」「
くまもと味彩牛」と名づけ、3つの銘柄牛として品質向上を図り、販売促進に取り組んでいるところでございます。 このような他県に例を見ない銘柄牛の多さは、販売宣伝の面では、いずれか1点に焦点を絞り切れないというデメリットがある一方で、質問にもございましたように、多様な消費者のニーズにこたえることができるというメリットもございます。そこで、このメリットを県内消費者にまずは知っていただき、県産牛肉を幅広く選択してもらうことを目的に、約130の熊本県産牛肉取扱指定店を指定いたしまして、店頭にのぼりや指定店章を掲げてもらっているところでございます。 また、県外における本県牛肉の銘柄を確立するためには、一定の品質と量を確保しながら、安定的に出荷できる仕組みが必要でございます。このため、株式会社熊本畜産流通センターの販売機能強化を図るなど、県産牛肉の流通体制改善に向けた関係団体との検討や関西圏等の県外で県産銘柄牛のPRを行い、販路拡大を推進しているところでございます。 これからも、県産銘柄牛のそれぞれの特徴を生かし、消費者の多様なニーズにこたえることのできる3銘柄を中心とした県内外での販売促進に努めてまいります。 〔
浦田祐三子さん登壇〕
◆(
浦田祐三子さん) ただいま御答弁をいただきましたが、今回、県産牛肉についていろいろ調べてみたところ、今まで自分の知らないことがたくさんありまして、正直大変驚きました。 牛肉の流通経路につきましても、いろいろとお話を伺いましたが、どの産地の牛肉を仕入れるのかは、卸小売業の判断によるそうです。つまり、全国に県産牛肉の知名度を高めていくためには、卸小売業の方々と消費者の方々に、県産牛肉の特徴や魅力をよく知っていただき、積極的に購入をしていただけるような働きかけを続けていくことが必要と考えます。 今後の取り組みに大いに期待をいたしまして、次の質問に参ります。 続きまして、農業、農村における男女共同参画の推進についてお尋ねいたします。 熊本県では、男性と女性が、社会の対等な構成員として、社会のあらゆる活動に参加できる機会の確保、男性と女性がともに築く社会の実現を目指して、ハーモニープランくまもと21を策定しております。 一方、農村においては、農業就業人口の実に半数以上は女性でございます。加えまして、農業は毎日の生活に密着した食糧を供給する産業でありますから、女性の視点や感性は非常に貴重であるかと思われます。このように、農業振興の面で女性の果たす役割は非常に大きく、農業は、この男女共同参画の実にモデルになれるのではないかと考えられます。 平成19年11月に農林水産省がまとめた農村女性による起業活動実態調査によりますと、農村女性が起業活動を行っている件数は、全国で9,444件、熊本県は420件で秋田県に次ぐ全国第2位の活動数であります。 実際に農村女性は、地域の特産物を活用して加工や販売を行うなど、起業活動を活発に展開していらっしゃいます。農村女性が知恵と工夫を凝らした生産や販売を行っていくことは、農村地域の活性化と農業振興にとって大変重要なことであります。しかし、女性グループによる起業活動の6割は、売り上げが300万円未満となっておりまして、まだまだ全体的な底上げが必要な状況であるかと思います。 また、国におきましても、農山漁村の女性の地位向上、農業経営の近代化を促進することにより農業を魅力ある職業としていくために、家族経営協定を推進しております。現在、全国で3万7,000戸、本県におきましては2,577戸の農家で締結がなされております。 この家族経営協定では、労働時間や休日、労働報酬のみならず、農業経営の方針決定、あるいは生活面の役割分担等を取り決めるものであり、農業経営、農村生活においての実質的な役割は大きいと思われます。実際、家族相互間のルールを明確にすることで、仕事と家庭の両立を望む声も少なくはありません。 最近では、女性が共同経営者として参画するケースもふえておりますし、農業、農村における女性の地位は確実に向上をいたしております。しかし、男性とともにJAの役員や農業委員等地域社会のリーダーとして表舞台で活躍することには、女性自身もまだまだ積極的ではないように思われます。 熊本県下のJAにおきましても、組織運営に女性の参画を進めるため、目標とする数値を定めて取り組んでおられます。JAたまなにおきましても、正組合員に対する女性正組合員の加入率を25%、総代全体では10%という目標を掲げられております。正組合員はおおよそ1万2,000人、総代の定数は595人でございますので、目標は、女性の正組合員は3,000人、女性の総代は60名という目標になっております。さらに、理事には目標2名以上という数値目標を掲げ、取り組んでおられます。 男女共同参画の推進は、昨年策定された熊本県食料・農業・農村計画、そして熊本県農山漁村男女共同参画推進プランⅡの中でも具体的に推進策が述べられております。これらの施策を着実に進めていくことが、今後の農業の活性化にとってまず必要だというふうに思われます。そのためには、関係団体と連携を強く図っていくことが大切だと考えますが、実際にはまだ余り進んでいないのではないかという意見もございます。 この農山漁村男女共同参画推進プランⅡについて、地元の関係者からいろいろ話を聞いてみましたが、やはり女性部のリーダー等には理解をされていても、多くの農業者には、まだまだ十分には理解をされていないようであります。 つきましては、生活者として、または消費者としての視点に立った女性の感性と能力を生かした起業活動や
農業生産活動、あわせまして、積極的な女性の社会参画を促すため、熊本県農山漁村男女共同参画推進プランⅡの実現に向けて、今後どのように取り組まれるのか、
農林水産部長へお尋ねいたします。 〔
農林水産部長山本隆生君登壇〕
◎
農林水産部長(
山本隆生君) 農業、農村における男女共同参画の推進につきましては、熊本県農山漁村男女共同参画推進プランⅡを策定いたしまして、農村女性を対象として、特に、起業活動への支援、農業経営への参画、政策決定の場への登用、これらにつきましてさまざまな施策を講じるとともに、農業団体等へ働きかけてまいりました。 まず、農村女性の起業活動につきましては、御船おふくろの店や文殊の知恵など、18の法人組織が誕生いたしております。今後とも、加工品等の開発支援や技術・経営指導を積極的に行いますとともに、施設整備等に対しての助成等を引き続き実施してまいります。 次に、女性の農業経営への参画についてでございますが、家族経営協定の締結や
認定農業者の家族での共同申請を推進しておりまして、全国でも、これらはトップの位置にございます。また、先月には、全国で初めて、女性の経営参画を目的に、
認定農業者連絡会議女性部が設置されました。今後は、この組織とも連携をしながら、女性の共同経営者としての地位を名実ともに確立し、農業経営力の強化と就業環境の改善につなげてまいりたいと考えております。 最後に、女性の政策決定の場への登用につきましては、合併等もありまして、JA理事や農業委員の全体数は減少している状況にはございますが、女性理事が11名、女性農業委員が59名に達しております。また、昨年12月のJA熊本県大会での女性のJA運営参画促進についての大会決議や、本年8月のJAうきにおける女性組合員倍増に向けての対策本部設置など、登用への機運も高まってきております。 このような取り組みをさらに効果的に実施するためには、農林水産業団体等みずからが積極的に推進することが重要でございます。こうした認識のもとに、関係団体等による農山漁村男女共同参画推進会議が、本年6月、新たに設置されたところでございます。今後とも、この推進会議と一体となりまして、プランⅡに掲げる「一人ひとりの個性が輝く農山漁村」の実現に向けて取り組んでまいる所存でございます。 〔
浦田祐三子さん登壇〕
◆(
浦田祐三子さん) ただいま御答弁いただきましたが、県におかれても、課題をきちんと把握していただいて、積極的に取り組んでいただいている御説明を伺って大変心強く思った次第でございます。 私は、特に女性農業者の起業活動に注目をいたしております。農産物を活用した起業活動ということですから、当然食をテーマとした事業ということになります。これは、女性の感性、能力を最も活用できる分野だと考えます。 玉名におきましても、多くの女性グループが起業活動を行っております。女性の起業活動がしっかりと地域に根づいていけば、ひいては観光資源にも成長をしていく可能性は十分あると思います。女性農業者の能力をさらに発揮できるような環境づくりが進めば、農産物の消費拡大につながり、農業、農村の活性化にも貢献できると考えます。 つきましては、今後も、県におかれましては、関係団体と連携をされまして、女性農業者の活動強化に引き続き御支援をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 農村、農業の振興についていろいろとお伺いをいたしましたが、続きまして、次世代育成の推進についてお尋ねをいたしたいと思います。 次世代育成につきましては、11月1日と2日にかけて東京で開催をされました自由民主党女性局主催の全国女性議員政策研究会の席で、上川陽子少子化担当大臣の講演を直接聞く機会がございました。 この講演の中で、上川少子化担当大臣はいろいろな指摘をされました。非常に興味深い内容でありましたので、大臣の講演内容を引用しながら質問を進めてまいりたいと思います。 まず、少子化対策は、非常に時間のかかる施策であるということでございます。それも、現在の問題を解決しながら、これから50年後、そして100年後の日本の姿を想像しながら取り組まなければならない施策でもございます。 そして次に、少子化の状況は地域差が大きいということです。平成17年の合計特殊出生率が1.26まで下がったということで話題になりましたけれども、平成18年は1.32と若干回復の兆しとなっております。今最も出生率が高いのは、1.74の沖縄でございます。そしてまた、最も低いのは1.02の東京でございます。大きな格差があります。言いかえれば、地方自治体のいろいろな風土や環境、あるいは行政の取り組みなどが反映しているのではないかということでございます。 実は、この講演を聞いた後で、じゃあ熊本県はどうなっているんだろうという素朴な疑問を持ちまして、私自身、現在まだ未婚でございまして子供もおりませんけれども、これは熊本県の将来に係る課題でもあります。それで、次世代育成対策について質問をしたいと考えたわけでございます。 熊本県の人口は、平成19年11月1日現在で182万8,539人です。平成12年の185万9,750人以降減少に転じておりまして、30年後の平成42年には158万2,000人になると推計をされています。そして、平成18年の出生数は1万6,189人、合計特殊出生率は全国で6番目の1.50となりました。しかし、我が国の人口を維持するために必要な合計特殊出生率の水準であります人口置換水準は2.07でございまして、熊本県が超えなければいけないハードルはまだまだ高いと思われます。 少子化の問題は、熊本県の将来、ひいては日本の将来にかかわる重要な課題でございます。県におかれましても、急速に進む少子化への対応は重要な課題と認識をされ、次世代育成について、県として取り組む根幹を定め、次代を担う子供たちが健やかに育つ地域社会を築くため、尽力されていると思います。 平成15年に成立した次世代育成支援対策推進法に基づき、熊本県では、平成17年3月、次世代育成支援行動計画を作成され、現在、この計画に基づいて事業を推進しておられます。今回、私もこの計画を読んでみましたが、計画内容の複雑さと対象分野の幅の広さに圧倒されてしまいました。 簡単に概要を申し上げますが、地域における支援、健康の確保と増進、教育環境の整備、生活環境の整備と安全の確保、家庭と職場の両立、要保護児童への対応、子どもの自立への支援、意識づくりという8つの大きな基本施策で構成をされております。 その基本施策のそれぞれに具体的な事業の構築があり、実に250にも及ぶ施策から成る総合的な計画でございます。現在、県は、151の数値目標を掲げ、尽力されておられますが、関係機関や市町村の果たす役割も大変大きいかと思われます。上川少子化担当大臣の講演にもありましたが、全国的に見ても自治体の取り組みには温度差があるようでございます。 次世代育成の推進のためには、一番身近な行政であります市町村で行動計画にしっかりと取り組んでいただくことが必要であり、そのためには、全国のすべての市町村で次世代育成支援行動計画の策定と実施、そしてそれを絶えずフォローアップしていかなければならないというお話もございました。 行動計画を策定してその達成を図るためには、まず計画の進捗状況を把握して、きちんと評価を行い、今後の進め方を考えるというフォローが大変重要になると思います。この考え方を熊本県の次世代育成支援行動計画に当てはめてみますと、この幅の広い、多くの事業を含む計画の把握と評価、さらに今後の進め方をきちんと決定していくには相当の労力を要するのではないでしょうか。 つきましては、非常にシンプルな質問ではありますが、この計画を推進するための組織体制と進捗状況の把握はどのように行われているのか、
健康福祉部長にお尋ねいたします。 〔
健康福祉部長岩下直昭君登壇〕
◎
健康福祉部長(岩下直昭君) ただいま御質問で出生率のことに触れられましたように、昨年、平成18年の合計特殊出生率を見ますと、本県は1.50と全国6位でございます。また、前年からの伸び率では全国3位となっております。県といたしましては、この勢いを定着させ、さらに出生率を上げる必要があると考えておりまして、第2次ベビーブーム世代の方々が出産適齢期であります今、次世代育成の推進につきまして、さまざまな取り組みを行っているところでございます。 まず、次世代育成支援行動計画を推進する体制につきましては、次世代育成に関係する庁内の54課室から成ります行動計画推進会議を設置いたしまして、それぞれが行動計画によりましてさまざまな取り組みを行っております。また、次世代育成を県を挙げての取り組みといたしますため、県内の関係機関、団体で構成しますくまもと子育ち・子育て応援大作戦推進協議会を設置いたしまして、幅広く意見、提言をいただきながら推進をいたしております。 次に、行動計画の進捗状況の把握についてでございますが、5カ年計画で進めております151の数値目標につきまして、年度ごとに目標を設定し、進捗状況の把握、分析を行い、そしてすべての事業ごとに課題を整理し、次年度以降の計画に反映させております。 平成18年度の行動計画の実施状況では、18年度の目標値を100%以上達成している項目は5割、90%以上達成している項目を加えますと7割となっております。しかしながら、伸び悩んでいる項目もございまして、ニーズや課題を検証し、一層の推進を図っていきたいというふうに考えております。 特に、行動計画の中には市町村が実施主体のものが多いことから、市町村に対しましてきめ細やかな支援を実施いたしております。今年度は、地域振興局単位で会議を開催し、市町村ごとの進捗状況を直接説明いたしております。また、モデル市町村に、保育所等での一時保育等に使う子育てサービスのお試し券の配布など先駆的な事業を実施し、その成果を発表していただくなど、現場での取り組みを促しているところでございます。さらに、毎年夏には、市町村長、議長、教育長を対象といたします次世代育成支援に係る市町村トップセミナーも開催いたしております。 今後とも、子育てをするなら熊本でと言われます子育て先進県を目指して、市町村と協働しながら、行動計画の着実な推進を図ってまいります。 〔
浦田祐三子さん登壇〕
◆(
浦田祐三子さん) 素朴な疑問に丁寧にお答えいただきましてありがとうございました。 この計画は、つくるのも大変だったと思いますが、実現していくことも大変だなと実感をいたしました。 日本国内の各都道府県を比較した報告書におきましても、女性が働く県ほど出生率が高くなっている傾向にあるそうです。熊本県も、山形県や福井県などと並んで、このグループに入っておりますが、共通しているのは、適正な労働時間、家族による世代間支援、社会の多様性寛容度などが他の地域に比べて恵まれた状況にあったということです。つまりは、こうした地域の持つ文化、特色の結果、出生率や女性労働力率が上昇するということになるようです。 現段階では、熊本県は、少子化対策について全国でも特に力を入れているとは思いますけれども、151の数値目標の中には、おくれている部分もあるようでございます。今後ともさらなる御努力をお願い申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。 続きまして、次世代育成をめぐる働き方の改革、中でも、切実な課題であります育児休業制度に目を向けてみたいと思います。 これまで職場生活と家庭生活を両立させて頑張ってきた女性も、いつまで頑張ればいいのだろうかというふうに考えたときに、不安になられたこともあったと思います。特に育児につきましては、母親が果たす役割が非常に大きいため、女性の負担が大きいことが以前から指摘をされてまいりました。 このような状況にかんがみ、国では、育児または家族の介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるよう、平成3年に育児・介護休業法を制定いたしました。その後、次世代育成支援をさらに進めていくため、この法律を平成17年4月に改正いたして現在に至っております。 現在の制度によりますと、労働者は、申し出ることによりまして、子供が1歳に達するまでの間、育児休業をすることができます。さらに、保育所に入所できない場合や、また、配偶者の事情で1歳後の家庭養育が不可能になった場合は、1歳6カ月まで延長することもできます。そのほかにも、小学校就学前の子供が病気やけがをした場合の看護休暇制度や、3歳未満の子を養育する労働者に対する勤務時間短縮などが定められております。 これは、働くことと子供を育てることのバランスを選べるという制度であります。この制度が定着しつつある現在、子育ての環境は随分と改善をされてきたのではないかと思います。現在、女性の間では育児休業制度がかなり定着をいたしております。 この育児休業制度を拡大すると、最近言葉が表に出始めておりますワークライフバランスという考え方に至ると思います。これは、女性のみならず、働くすべての人、そして家族や地域の方が、自分たちの時間のバランスを考えて子育て支援のための時間を組み込んでいただくように、そういうふうになれば、子供のためだけではなく、すべての方が共存共栄できる社会になっていくという考え方でございます。 しかし、働き方の改革を実現していくためには、現場経営者の理解とあわせまして、企業経営の立場から見てどうなのかという検証も必要です。ですから、このワークライフバランスが社会全体に浸透していくには長い時間を要すると思いますが、将来的に次世代育成を推進していくためには非常に大切なことだと考えます。したがいまして、現在は、女性の間で定着しつつあるこの育児休業制度をさらに社会全体に浸透させていくことが必要であるかと思います。 しかし、現在の育児休業制度について、私が気になっていることを申し上げさせていただきますと、確かに育児休業制度は、育児・介護休業法で事業主の対応が義務づけられておりますが、育児休業制度は、労働者の申し出により取得できる制度だということでございます。つまり、申し出なければ適用されないということでございます。また、休業期間中の給料の取り扱いを無給としている場合も多いため、経済的な理由や休業後の職場復帰が不安という理由により、取得をしない場合もあると聞いております。 これまで申し上げましたとおり、育児休業制度は、家庭と職場の両立のための重要な要素でありますから、今後、より利用しやすくしていくことが必要と考えます。そのためには、制度を取り巻く周辺の環境整備を行い、休業中や休業後の不安を取り除いていくことが必要と考えますが、実際に育児休業の主体となる企業の御理解と実践の状況はどうなのでしょうか。 つきましては、
商工観光労働部長に次の2点をお尋ねいたします。 育児休業について民間企業の取り組みはどこまで進んでいるのでしょうか。そして、県といたしまして、今後はどのように支援をしていかれるのでしょうか。御答弁よろしくお願いいたします。 〔
商工観光労働部長島田万里君登壇〕
◎
商工観光労働部長(島田万里君) 県では、平成18年に策定をしました熊本県労働行政プランにおきまして、平成22年での育児休業取得率の目標を、女性は95%、男性は6%としておりますが、県内企業における取得率は、女性は、平成16年の70.4%から平成18年は87.4%と着実に増加をいたしておりますが、男性は、平成18年で1.6%にとどまっております。なお、全国では、平成17年で、女性は72.3%、男性は0.5%となっているところです。 このような状況から、国におきましては、育児休業者に対する育児休業給付や事業主に対する各種助成金を拡充するなど、育児休業制度の利用促進に努めておりまして、また、県におきましても、県発行の労働情報誌等によりまして制度の周知を図っているところでございます。 さらに、県では、県民の子育て支援の機運を高めるために、昨年10月から、くまもと子育て応援の店・企業推進事業というものに取り組んでおります。このうち、企業等が従業員の子育て環境の整備に積極的に取り組む子育て従業員応援団には、これまでに約200の企業等に登録をしていただいておりまして、登録された企業等におきましては、法定の水準を上回る育児休業制度、それから短時間勤務制度等の導入、事業所内託児施設の設置、出産祝い金による経済的支援等、多様な取り組みが行われておりまして、育児休業制度に対する理解も徐々に進みつつあるのではないかと考えております。 県としましては、このような取り組みがさらに広がっていくよう、国等の関係機関と連携をしながら、セミナーやシンポジウムの開催、先進事例の紹介、さらに、仕事と家庭両立支援アドバイザーの派遣等を通じ、引き続き育児休業制度の普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(村上寅美君)
浦田祐三子さん。――残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。 〔
浦田祐三子さん登壇〕
◆(
浦田祐三子さん) ありがとうございます。 ただいま御答弁をいただきましたとおり、育児休業制度が順調に定着をしているということでございまして、事業主である企業におかれても、必要性を理解していただいているということでございました。 次世代育成と一言で申し上げましても、さまざまの立場の方、さまざまなお考えの方が、それぞれに必要としておられる支援が異なっております。ですから、保育事業の強化などの外部からの子育て支援ももちろん必要ですけれども、育児休業など、家庭で余裕を持って子育てできるような環境づくりに本当に力を入れていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 最後になりましたが、更生保護の推進、つまり、刑を終えて出所した方の社会復帰を進めていただけるよう要望を申し上げます。 この取り組みは、法務省あるいは厚生労働省が直接進めておりますので、余り県にはなじみがないかと思いますが、犯罪や非行に陥った方が罪を償い、立ち直ることができるようにするためには、公的な機関と地域社会が一体となって、犯罪や非行の前歴者というハンディを背負った方を温かく迎え入れる環境づくりが必要であると考えます。 県が平成16年3月に作成された熊本県人権教育・啓発基本計画の中にも、さまざまな人権課題の一つとして、刑を終えて出所した人等の人権を位置づけ、これらの方々の自立を阻むことがないよう、また家族の方の人権が侵害されることがないよう、偏見や差別の解消に向けた啓発活動に取り組む必要があるとされています。 玉名におきましても、罪を犯した方々の更生に協力し、積極的に支援をしていくことを目的として、先日、熊本くりの実会玉名支部が発足しております。 このように、更生保護の推進に取り組む地域の活動も始まっておりますので、県におかれましても、今後の御理解と御配慮をお願いいたしまして、要望といたします。 以上をもちまして、すべての質問、要望が終わりました。初めての
一般質問でございましたけれども、大変お聞き苦しい箇所もあったかと思いますが、無難に終えることができましたのも皆様の御協力のおかげでございます。 最後までの御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(村上寅美君) この際、5分間休憩いたします。 午前11時1分休憩 ――――――○―――――― 午前11時9分開議
○議長(村上寅美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 平野みどりさん。 〔平野みどりさん登壇〕(拍手)
◆(平野みどりさん) おはようございます。民主・県民クラブの平野みどりでございます。12月の今回の質問が、改選後初めての質問となりました。回数だけは重ねておりますけれども、いつもお聞き苦しかったり時間切れではらはらさせたりと御迷惑をおかけしておりますが、落ちついて質問したいと思います。最後まで御清聴いただきますようによろしくお願いいたします。 それから、昨日、3期目不出馬ということを表明された潮谷知事におかれましては、本当にこれまで大変御苦労さまでしたと申し上げさせていただきたいと思います。9月、10月の私の個人的なホームページのブログで、子ども輝き条例について、私なりのいろんな課題について厳しい書き方をして御不快を受けられたこともあるかと思いますけれども、これもひとえに、知事も私も、本当に子供はとても大切で、とても大好きな存在ですので、子供を思っての別の角度からの指摘だというふうに御理解いただきたいと思います。 残された3月までの任期、私どももしっかりと知事とともに連携させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 さて、通告に従いまして質問をさせていただきます。 まず、虐待や暴力のない社会づくりについて伺います。 議員の皆さんも、このチラシ……(資料を示す)執行部の方から配られているかと思いますが、これは、家庭から暴力をなくすキャンペーン、熊本県が11月1日から30日まで開催しましたキャンペーンのチラシでございます。 本県では、女性、子供、高齢者、障害者への暴力や虐待をなくすための講演会やワークショップなどを、この11月に集中的に開催いたしました。今回は、それらについて質問を準備いたしました。 まず、DV、家庭内暴力のことですが、DVについて質問いたします。 言葉も定着し、被害者が声を出し、助けを求めるための仕組みが、DV防止法とともに構築されてまいりました。そのことと比例するように、DV相談件数は、全国的には、平成14年の3万5,943件だったものが、昨年度は5万8,528件となりました。また、加害者から暴力を回避するための一時保護の件数は、5年前の3,974件から4,565件とふえ続けています。本県は、相談件数は、平成14年の589件から昨年度は832件、さらに、一時保護は、34件から69件とふえております。 さて、そのような中、今回の私のデートDVに関する質問ですが、これは、婚姻関係あるいは内縁関係にある男女間で起こるDV、これの温床となっているといいますか、ものであるというふうに言えると思います。若い世代への対策をどうしたらよいかを考えるための質問です。 デートDVという言葉を初めて聞かれる方もおられると思いますが、デートDVは、結婚していない男女間での体、言葉、態度による暴力のことです。親密な相手を思いどおりに動かすために複合的に使われるあらゆる種類の暴力を指します。 例えば、身体的暴力としては、相手に向かって物を投げる、たたく、かむなど。言葉や心理的、感情的暴力では、汚い言葉を投げかける、ばか、でぶ、汚いなど。例えば、無視する、さらにはストーカー行為をする、頻繁に電話やメールを送るなどが挙げられます。また、性的暴力としては、合意のない性交渉を強要したり避妊に協力しないなどで、経済的暴力としては、金を貢がせたりすることをいいます。 さまざまな種類の暴力によって、相手の自己決定権を剥奪し、自尊感情を低め、力をもって相手を支配し、相手を自分の思いどおりにしようとする行為です。教師と生徒、上司と部下、親子、友人など、力による支配があるところには必ず暴力が介在すると言われておりますが、残念なことに、現社会の中では、男らしさ、女らしさというとらわれが、ジェンダーバイアスとして、小さいころから知らないうちにすり込まれ、大多数の人も当たり前と思っているところにこの根深さがあります。若い世代には、これを見直して学び直し、さらに、DVのない関係づくりへの理解と行動を促していく必要があります。そうしなければ、10代、20代の望まない妊娠や性感染症の急激な増加を抑制し、彼らが結婚した後、DVをしない、そんな家庭を築いていくことはできません。 ちなみに、本県での性感染症罹患率は全国でも高い位置にあります。さらに、超低体重未熟児、これを10代の女性が望まない妊娠をして産むケースがあるわけですけれども、こういう問題も指摘されています。10代、20代にきちんとDVの醜さと罪深さを知ってもらい、対等でお互いを思いやれる男女関係や人間関係を学んでもらうことは大変重要です。 さて、2004年に、長崎県のNPO・DV防止ながさきが、デートDVの実態を把握するために、中高生にアンケート調査を行っています。また、内閣府も、9月に、インターネットにより、10代、20代にデートDVについての調査を行っていますが、その結果、精神的暴力を含め交際相手から何らかの被害を受けたことがあると回答した人が半数に及ぶという結果でした。本県では、10代、20代におけるデートDVの実態の把握はどうなされているのでしょうか。 また、本県でも、デートDVに関する講演会などが、平成17年度から県内の高校を中心に行われていますが、全高校、専門学校等で、生徒が、在校中、少なくとも一度はデートDVについての講義やワークショップが受けられるように力を入れていくべきであると考えます。 しかし、専門家の数は限られており、他県からの講師要請にも限界があるようです。今後は、高校、専門学校、大学などの学校内外の教職員の活用や若者を支援する団体やNPO等の協力に向けて、人材養成研修を進める必要があります。今後どう取り組んでいかれるのか、総務部長にお伺いいたします。 〔総務部長原田正一君登壇〕
◎総務部長(原田正一君) 交際中の若い男女間における暴力、いわゆるデートDVにつきましては、県では、これまで独自の調査は行っておりませんが、本年度、内閣府の委託を受けまして、県内在住の20代を対象に調査を行う予定にしております。その中で、DVに対する理解度やデートDVの被害、加害の実態等を把握することにしておるところでございます。 また、デートDVあるいは夫婦間の暴力でありますDVの発生を未然に防止しますためには、10代の若者に対する早期の啓発が有効でありますことから、平成15年度から、県内の高校などを対象にDV未然防止教育事業を実施しておりまして、これまでに延べ60校で1万1,000人余りの生徒が受講している状況にございます。 しかし、現在は、県外の専門家を派遣する形で実施しておりますため、人的に派遣数が限られるという問題点もございます。そこで、本年度、
教育委員会の御協力を得ながら、生徒用学習資料と教師用手引書を作成し、来年度以降は、外部講師だけに頼らず、各学校の教師がDV未然防止教育を行えるよう取り組んでまいりたいと考えております。 なお、県内には、DVの啓発や被害者支援に当たっているNPO法人等もございますので、そのような団体とも連携を図りながら、デートDVの被害者にも加害者にもならないための教育が広く行われますよう、人材養成にも努めてまいりたいと考えております。 〔平野みどりさん登壇〕
◆(平野みどりさん) 今、男女間における暴力に関する調査を行うというふうに伺いました。大変いいことだと思います。これによって、子供たちの、20代の方たちの意識、そして10代に経験したこと、それが明らかになり、対策の打ちようがあるというものだと思います。 私は、この11月に行われましたキャンペーン期間中に、DV防止プログラムの講義を受けました。awareという団体の山口のり子さんという方が講師になられまして、デートDVの実態について学ばせていただきました。本当に大人の社会でDVが起こっている、これがやはり、10代、20代からの意識、ここが基礎になって容認される中で、ここまでやっていいのかということで、DVが深刻化していくという実態がよくわかりました。私どもも、若い人たちが本当に対等に男性、女性の関係をつくっていけるように、そして暴力のない社会になるように、大人としても取り組んでいかなければならないというふうに思っています。 続きまして、虐待や暴力のない社会づくりについてで、2番目に挙げております高齢者、障害者への虐待に関する対応について伺います。 高齢者虐待が大きな社会問題となっております。国は、平成18年4月1日より高齢者虐待防止法をスタートさせました。ちなみに、高齢者虐待防止法では、虐待の発見者には市町村への通報を求めており、対策の中心的な担い手は市町村とされています。本年10月には、法施行後の対応状況についての調査結果が公表されました。 高齢者虐待とは、高齢者を養護している家族、親族、同居人等や介護保険法等で規定されている福祉サービス従事者などによる身体的虐待、介護、世話の放棄、放任、ネグレクトといいますが、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待をいいます。 今回の調査結果によると、全国で1万8,393件の相談通報が寄せられ、68.4%に当たる1万2,575件が虐待と認定されました。本県では、相談通報は283件で、59.4%の168件が虐待と認定されています。 虐待の種別では、身体的虐待が最も多く、全国で40.8%、本県が36.4%、全国で2番目が心理的虐待で22.6%、それからネグレクト18.7%と続きます。しかし、本県では、ネグレクトが26.5%で2番目、3番目は経済的虐待20.4%となっています。 この経済的虐待に関する指摘が、私のところにも多く寄せられるようになりました。つまり、年金を同居家族が生活費や遊興費として使っていて、必要な介護サービスの利用を手控えるケース、また、認知度が進んで経済的な管理が本人でできず、親族も身近にいないというケースなどが挙げられます。 さて、虐待の発見に当たっては、まずは、直接介護に当たる事業者やスタッフによって発見されたり、地域の民生委員などが発見した場合、市町村が対策に当たる責任を持ち、地域包括支援センターがその拠点であると改正介護保険法ではうたってあります。地域包括支援センターには、保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士の3職種が配置されており、虐待対策と介護予防が業務の柱となっています。しかしながら、虐待対策まで手が回らないなどの課題もあると聞きます。 特に経済的虐待については、利用可能な制度として成年後見制度があります。この制度は、認知症、知的障害、精神障害のある方など、判断能力が不十分なために法律行為の意思決定が困難な方々を支援する制度です。現在、後見人としては、親族の中で家庭裁判所が的確と認めた方、あるいは高齢者の権利を守る立場の第三者として、司法書士や社会福祉士が後見人として動いている場合もあります。成年後見制度の利用者数はまだまだ少なく、また、利用者の多くは財産管理を目的としており、身体的虐待から守ることや介護保険利用を目的とする場合は非常に少ないようです。 認知症のある御本人の立場を代弁し高齢者虐待を防止するために、今後は、成年後見制度を積極的に活用していくことが望まれます。市町村長による申し立ても可能ですが、2005年度では、申し立て全体の3.3%にとどまっています。自治体からは、裁判所の決定までに数カ月かかり、緊急のケースに対応できないなど、使い勝手の悪さを指摘する声もあります。 そこで、高齢者、障害者への虐待予防について、3点伺います。 まず、高齢者については、介護保険の中で地域包括支援センターの役割を介護予防と虐待対策とされていますが、虐待への対応は進んでいるのでしょうか。 2番目に、障害のある方については、残念ながらまだ虐待防止の仕組みがありませんが、障害者自立支援法の影響で、保護者が子供の命を奪ってしまうなど、悲惨な事件も全国的に起こっています。虐待防止法がまだない現在、障害のある人については、どの機関が虐待対策の責任を持ち、どう取り組まれているのでしょうか。 3番目に、市町村は、成年後見制度利用支援事業で後見制度の利用促進を進めることが求められていますが、その進捗状況はいかがでしょうか。 高齢者、知的障害、精神障害のある方々の申し立て件数、実施している自治体数と今後の見通し、そして支援のあり方についてはいかがでしょうか。
健康福祉部長にお尋ねします。 続きまして、児童虐待による一時保護後の子供への支援についても伺います。 改選後3人の女性議員が誕生いたしまして、浦田県議、そして船田県議、私は、長嶺の児童相談所、そして女性相談機関を訪れました。ともに女性という視点で学び合えることはとても私にとってもありがたいですし、非常に勉強になりました。こういった超党派の女性の取り組みについて、男性の議員の皆さん、ぜひ御支援ください。 その中で、児童虐待についての悲惨な現状についてもお聞きしました。恐ろしいことに、私たちは、児童虐待という言葉になれてしまうほど日常的に子供の虐待死のニュースを耳にします。余りにも悲惨な子供への虐待の現状を受け、厚生労働省は、2008年4月から施行される改正児童虐待防止法の運用に関するガイドラインの素案を示しました。虐待が疑われる保護者への出頭要求や裁判所の許可状による強制立入調査など、子供の安全確認を徹底するための新制度が充実します。 今後、子供の安全を何より重視し、虐待が疑われる保護者からの一時保護がさらに進む中で、一時保護後、子供自身が回復していける支援が必要です。しかし、ケース・バイ・ケースとはいえ、おおむね2カ月の保護期間を過ぎると養護施設等に措置されるなど、継続して保護者との分離が必要な場合も少なくありません。子供を家庭に戻せるのは、保護者のもとで安全が保障される場合だけです。しかし、ただ引き離せば終わりというわけでなく、医療的なケアやカウンセリング等による支援も含め、可能な限り家族や親子関係の再生への支援も必要です。 近年、養護施設に措置された子供には、児童虐待の被害児や高機能自閉など発達障害の子供が大半になってきていて、子供たちも職員も、緊張度の高い状況が続いていると聞きます。これは潮谷知事がよく御存じのとおりです。 回復と再生という視点から、虐待被害を受けた子供と保護者をどう支援していくのか、
健康福祉部長にこの点についてもお伺いいたします。 〔
健康福祉部長岩下直昭君登壇〕
◎
健康福祉部長(岩下直昭君) 平成18年4月から、いわゆる高齢者虐待防止法が施行されまして、これにより制度化されました地域包括支援センターは、高齢者の権利擁護に関する相談機関として位置づけられ、高齢者虐待の対応に努めているところでございます。 多くの地域包括支援センターが、日常的に高齢者世帯を訪問し、虐待等のリスクの高い高齢者の実態把握に取り組んでいるところでございます。 県といたしましては、引き続き、さまざまな研修会を通じまして、高齢者虐待について的確な対応をお願いしてまいりたいと思っております。また、関係機関との連携の促進や事例検討会を実施いたしますなど、取り組みの強化に向けて支援をいたしてまいります。 次に、障害者への虐待についてでございますが、これまで障害者への虐待については法の規定がございませんで、平成18年4月に施行されました障害者自立支援法によりまして、虐待防止に関しての市町村の責務と役割が位置づけられたところでございます。現在、市町村では、3障害すべてを対象といたしました生活や就労、福祉サービスに関します総合的な相談支援体制を整備し、この中で虐待に関する相談にも応じているところでございます。 県に対しましては、障害者自立支援法で、障害者の権利擁護に関しまして市町村への援助等が位置づけられておりまして、今後は、市町村と協力して虐待の実態把握を行ってまいります。また、早期発見、早期対応のための関係機関によるネットワークづくりなど、障害者に対する虐待の防止につきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、成年後見制度の利用についてでございますが、高齢者に係る支援事業の進捗状況は、平成18年度末で、市町村長による審判申し立ての手続を定めている市町村が31、また、制度を利用する際に費用の支援に取り組んでいる市町村が27、そして、申し立て件数は12件となっております。 また、障害者に係る支援事業は、重度障害者の適切な障害福祉サービスを確保するための事業としまして市町村が実施いたしておりますが、この事業は、身寄りのない方を対象としておりますことから、平成18年度では、実施市町村が5、申し立て件数は、知的障害者5件にとどまっております。 県といたしましては、成年後見制度が高齢者や障害者の虐待防止や権利擁護のための重要な制度である、こういう認識のもとに、今後とも、市町村に対しまして、説明会等を通じまして、普及啓発や利用促進に向けて積極的に働きかけてまいります。 それから次に、児童虐待についてでございますが、今年度から、市町村におきまして、保健師等が、赤ちゃんが生まれた家庭を、生後4カ月までに全戸訪問を行いますこんにちは赤ちゃん事業が始まりましたが、これにつきまして、県として積極的に推進いたしまして、児童虐待の未然防止に取り組んでいるところでございます。 虐待を受けた児童の児童養護施設への入所割合は毎年増加しておりまして、現在、全国では6割、本県でも4割を超える状況となっておりまして、虐待を受けた児童、そして家族への適切な支援がますます重要となっております。 先月、本県で開催されました子どもの虐待防止推進全国フォーラムの中でも、家族再統合のあり方が主要テーマになりますなど、親と子への支援が今日的課題として非常に大切になってきております。 こうした中で、国におきまして、児童養護施設等でのケアの充実が図られておりまして、これに対応して、県におきましても、児童の自立や親子の再統合に向けた支援の充実を図っているところでございます。 具体的に申しますと、児童相談所の一時保護の段階から、虐待を受けた児童に対しまして、医師の健康診断や児童心理司等によるカウンセリングなどを行い、心理的ケアに努めております。 また、施設入所となりました児童への支援といたしまして、児童養護施設、乳児院等に心理士や家庭支援専門相談員等を配置しまして、児童の心理的ケアや保護者への援助を行っております。 さらに、虐待により愛着障害等を起こしている児童に対しましては、できる限り家庭的な環境を提供するため、児童養護施設につきまして、小規模化をさらに促進するよう支援をいたしております。 また、児童相談所におきましても、保護者に対する精神科医によるカウンセリングや児童に対して作業療法士による集団での遊び、これらを通しまして心理的ケアを行うなど、親子の支援に努めております。 一時保護所や児童養護施設等には、さまざまな家庭環境の理由によりまして入所する児童がおりますので、その処遇につきましては、それぞれのケースに応じて万全の対応を期しておりますが、きめ細かなケアを進めることによりまして、早期の家庭復帰や親子の再統合が図られますよう努めてまいります。 〔平野みどりさん登壇〕
◆(平野みどりさん) 御答弁いただきました。 高齢者の虐待について私がこの質問をしようとした理由の一つに、実はこの11月に100歳の祖母を亡くしまして、その中で見えてきた介護保険の問題点などから質問を提起させていただきました。私の祖母は、私ごとではございますが、在宅でとにかく死にたいということで、徐々に衰えていく中で、私ども親族で見てまいりました。その中で、良心的な親族、そして良心的な介護スタッフの中では安心して老いて死を迎えられるわけですが、身寄りがなく、そして財産があるなどという場合、介護スタッフの方々もどう対応してよいかわからない、盗んだ盗まないというようなことで訴えられかねないという危険性もございますし、親族の心ない人たちが、その亡くなられた方の財産等をひとり占めしてしまうというか、悪い方に使ってしまう場合もあるわけです。そういった意味での経済的なこの高齢者への虐待というのは、今後ますます深刻となってきますし、課題として市町村に提起される件数もふえてくるものと思われます。 この成年後見制度利用支援事業に関しましては、市町村の任意の事業でありまして、なかなかまだ進まない、31市町村だということですけれども、今後さらに国にも、こういった高齢者の経済的虐待に対しての支援、市町村へというふうに私ども働きかけていかなければならないというふうに思っております。 それから、虐待に関しまして、児童相談所で一時保護されている子供たちの様子を見させていただきました。こんないたいけな子供がどういった環境の中で生活し、ここに来るに至ったのだろうかという思いを、浦田県議も船田県議も私も持ちました。そして、その子供たちが今後元気に安心して育っていける環境を整えていくために、児童養護施設等の充実も必要でしょうし、さらには、親子の再生に向けての支援、これも必要だろうというふうに思っています。 議員の皆さん方のところにも電話がかかってきたりしませんでしょうか。私のところにも何度か、一時保護機関に子供が連れていかれた、何とか取り返してほしいという言葉でした。よくよくお話を聞いてみますと、その保護者の方も、何らかの支援が必要な状況がかいま見られたり、DVの被害者である。夫からの暴力で、お母さんが子供にまた暴力をふるうなどというケースもありました。第一義的には子供の安全、これが第一ですので、私は毅然として、一時保護機関に任せましょうということを伝えさせていただいています。 このようなさまざまな子供にかかわるケースについて、今後もしっかりと議会としても取り組んでいきたいなというふうに思います。 それから、ちょっと宣伝になりますが、障害者の虐待防止法がまだない、高齢者虐待防止法、それから児童虐待防止法、DV防止法はありますが、障害者虐待防止法はありません。国連の権利条約、昨年の12月に採択されましたが、この批准に向けて日本も取り組んでいきますが、この中にも虐待防止の取り組みが必要だというふうにうたわれています。(資料を示す)この「障害者の権利条約でこう変わる」というこの本は、熊本の東俊裕弁護士が監修しています。そして、女性への支援についての条項を平野が執筆しておりますので、県庁の地下の売店にあると思いますので、ぜひ読んでいただけたらありがたいと思います。今の世界の流れがわかると思います。 続きまして、里親制度の現状と課題について入ります。 先ほど言及いたしましたように、近年、養護施設には、以前のように経済的に厳しい家庭の事情によって養育できない家庭の子供だけでなく、児童虐待で被害を受けた子供や高機能自閉など、課題のある子供たちがふえてきています。養護施設の職員の皆さんは、これまでとは違った意味で、子供の安全で安定した養育が困難な状況もあると訴えられます。そして、閉ざされた空間での極度のストレス状態は、子供同士のいじめ、あるいは職員から子供への虐待も生んでいる状況があると指摘されています。したがいまして、養護施設においては、より高い専門性が求められると同時に、施設の外にも子供の育ちの場をふやしていく必要があります。 国連の子どもの権利条約の前文では「児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、」と、本来子供は家庭環境の中で育つべきであると言及しています。さらに、第20条では、家庭環境で育つことが一時的あるいは恒久的に困難な場合は、代替的な措置が必要で、その中に養護施設や里親制度も含まれるとしています。欧米と比べて、まだ日本ではこの里親制度への認知が低く、今後一層の里親委託を進めていく必要があると考えます。 厚生労働省も、社会保障審議会児童部会に社会的養護専門委員会を新設し、里親制度や施設機能の抜本的見直しに向けて具体的な論点を示しました。里親のなり手をふやし、家庭的養護の受け皿を拡充する方策や、児童養護施設職員による入所児童への虐待を防止する実効的な手だてなどを検討する必要があるとし、これを受けて、厚労省は、年内に報告書をまとめ、来年の通常国会に児童福祉法改正案を提出する見込みです。 養護施設は、どんなに改善しても家庭にはなり得ない、施設でしかないという施設で育った方の声を聞いたことがあります。また一方、養護施設があったから食事もまともにとれて、高校にも行けたという声も聞いています。確かに、養護施設を改善していくための環境整備や人材確保のための予算の拡充も必要ですが、さきに述べた複雑化してきた子供の現状などを考えると、一般的な養育里親や虐待被害を受けた子供を受け入れる専門里親など、育ちの場をできるだけ家庭にシフトさせていく施策転換はますます重要だと思います。 現在、里親制度をどのように本県で進めておられるのでしょうか。制度そのものの周知が進んでおらず、養育可能な家庭の掘り起こしも進んでいないとか、登録して待っていてもなかなか子供を預かるまでに至らないとの声を聞きます。法改正を視野に、効果的な制度啓発の推進や里親登録者と子供のマッチングや支援に専従する職員の配置など、取り組みに力を入れていく必要があると考えます。 現状と今後の取り組みについて、
健康福祉部長にお尋ねいたします。 〔
健康福祉部長岩下直昭君登壇〕
◎
健康福祉部長(岩下直昭君) 社会的養護を必要とする児童の数の増加や虐待など、児童の抱える背景の多様化が指摘されます中、本県では、主要な役割を担っております児童養護施設等における、より家庭的な環境の中でのきめ細やかなケアを実施する取り組みとともに、温かい愛情と正しい理解を持った家庭の中で、児童の健全な育成を図る里親制度を推進することが肝要であるというふうに認識いたしております。 県では、中央児童相談所、そして八代児童相談所に里親担当職員を1人ずつ配置し、里親希望者からの相談対応、それから家庭訪問調査の実施、登録里親の家庭状況調査、それから児童委託に至るまでの親子関係づくりの支援など、里親委託の推進に取り組んでいるところでございます。その結果、12月1日現在で86の家庭に登録をいただいておりまして、そのうち、児童を委託しております里親家庭が33、委託されている児童が40名というふうになっております。ただ、平成18年3月末現在の里親の委託率、つまり、児童養護施設等の入所児童と里親委託児童の総数に占める里親委託児童数の割合でございますが、全国平均の9.1%、そして九州平均の5.2%に対しまして、本県は4.3%という状況にございます。 全国的に里親委託が低い要因といたしまして、児童の保護者からの同意が得られにくいこと、それから里親委託に適した児童がいても、その児童に適合した登録里親が常に見つかるわけではない、こういうことが考えられます。 前の質問の中で御説明いたしました子どもの虐待防止推進全国フォーラムにおきまして、この中で里親家庭の取り組みが紹介されました。そしてまた、来年のNHKの朝の連続ドラマにおきまして里親家庭が取り上げられるというふうに聞いておりまして、社会的にも里親制度を理解する機運が高まってきているのかなというふうに思っております。 県といたしましても、里親制度の周知啓発活動の充実を図りまして、新規登録里親の掘り起こしに取り組みますとともに、児童相談所におきます里親支援の充実を図りますなど、里親委託の推進に取り組んでまいります。 〔平野みどりさん登壇〕
◆(平野みどりさん) 里親制度の普及に関しましては、全国平均9.1、九州が5.2、熊本が4.3ということですが、熊本は低いわけですけれども、これは全国的に低いと言わざるを得ない状況だと思います。今答弁にありましたように、里親制度の充実に関しては、全国的な機運が高まってきているということに期待をしながら、里親制度の充実、本県でもしっかりと確認していきたいというふうに思っております。 実は、私の友人で里親になっている人がいるのですけれども、他県の人なのですが、3歳のときに子供を預かって、今その子が今回高校に入るぐらいまで育っているのですけれども、虐待を受けた――ネグレクトだと思いますが、はっきりしたことは言ってくれませんけれども、受けた子供が3歳から里親に出されたとき、それから成長するまでの過程、いろいろなトラブルもあり、子供の変化もあったそうです。ただ、それでも歯を食いしばって友人は子供を育てています。 子供の履歴に関しての情報も、きちんと、行政と里親として受けられる方、共有していかなければなりませんし、私の友人のところ、これは、専門里親という形でなく、里親という形で受け入れたがために少しトラブルはあったかと思いますが、専門性のある方の中で、虐待を受けた子供たちも家庭が得られるように支援していきたいというふうに思っています。 続きまして、特別支援学校高等部と高校での障害を持つ生徒の受け入れ体制の整備について伺います。 平成19年度から、本年度ですが、本格的に特別支援教育がスタートいたしました。そして、地元の小学校、中学校に進む障害を持つ子供たちがふえてきています。これら地域の学校は、特別支援教育に関するセンター的機能を担う特別支援学校として位置づけられている盲・聾・養護学校――これらを今後は特別支援学校と呼びます。と連携しながら、市町村
教育委員会が第一義的に責任を持ち、特別支援教育を進めていくことになります。 そして、市町村の小学校、中学校で、障害のない子供とともに学び育った障害のある子供たちが、次の段階でどこに行くのかという問題では、行き場がない子供をつくらないという点で、保護者の要望を受け、一般高校への道がまだ厳しい子供たちの選択肢として、県
教育委員会は、養護学校高等部への全入に取り組んできました。しかし、盲・聾学校は別として、養護学校の高等部の場合、希望者が熊本市とその周辺に集中しており、熊本養護学校や大津養護学校などは希望者全員を受け入れられず、通学時間が1時間半以上もかかる周辺の養護学校に通学を余儀なくされている子供も少なくありません。障害のない子供でも1時間半は過酷ですが、障害を持つ子供にとっては、通学だけで相当の負担になっています。 ニーズと学校の定数にギャップがあり、早急な改善が必要です。来年度の募集要項によれば、松橋養護学校に園芸科と工芸科が新設され、16人の軽度の知的障害のある生徒を受け入れる体制がつくられるようです。ここで、県南の進学ニーズは一定程度改善されることが見込まれます。しかし、まだ熊本市と周辺の問題が解決するわけではありません。 そんな中、熊本市に対して養護学校を新設してほしいという要望が、手をつなぐ育成会から上がっているようです。残念ながら、財政的にも特別支援教育の流れからしても、新設の養護学校の設置は現実的ではないように私には思えます。ただ、盲・聾・養護学校を持つ本県としては、最も通いやすいところに高等部が欲しいという声にはこたえていかなければなりません。したがって、定数を充足していない県立の特別支援学校の空き教室活用や学校そのものの再編、あるいはその他の県営施設の活用などで、このアンバランスを解消し、最も通いやすいところに高等部があって、そこに入学できる環境を整える必要がありますが、どう取り組まれるのか、伺います。 また、文科省は、特別支援教育は高校についても推進するとしており、本県でも特別支援コーディネーターの配置が進められています。本年度は、文科省のモデル事業として、芦北高校で特別支援教育の実践を行っていますが、盲・聾・養護学校の高等部での受け入れだけでなく、一般高校や農業高校などでも障害を持つ生徒の就学の道を開くなど、もう踏み出していく必要があると思います。今後の取り組みはいかがでしょうか、見通しについて、教育長に伺います。 〔教育長柿塚純男君登壇〕
◎教育長(柿塚純男君) まず、障害のある児童生徒への就学支援のあり方についてでありますが、本県の市町村
教育委員会では、就学指導委員会で専門的知識を有する方々の意見を聞き、最終的には保護者と協議し、就学する学校を決めていただいております。県
教育委員会といたしましては、市町村
教育委員会が一義的な責任を果たしていただき、主体的に就学支援を行っていただきますよう、今後とも就学指導連絡協議会等を通じて働きかけてまいりたいと考えております。 次に、熊本市及びその周辺地域における特別支援学校高等部への進学についてでありますが、毎年度、進路希望調査を実施させていただきまして、できるだけ多くの希望者がいずれかの学校で学べるように募集定員を定めさせていただいております。平成20年度は、軽度知的障害者の高等部への希望者増加に対応するため、松橋養護学校に職業学科を新たに設置し、16人を募集いたしますとともに、熊本市及びその周辺地域の特別支援学校高等部における募集定員枠を12人拡大したところでございます。 特別支援学校の再編整備につきましては、今後、各地域における児童生徒数の推移や特別支援学校の施設設備の状況を精査し、現有施設の有効活用を含めて検討してまいりたいと考えております。 最後に、知的障害者の方々の高等学校への進学についてでありますが、県立高等学校の入学者選抜に当たりましては、御案内のように、各高等学校が学科、コースの特色に応じて、必要な能力、適性等をもとに入学の可否を判定しているところでございます。 また、すべての県立高等学校に対しまして、教育上特別の支援を必要とする生徒に対しまして適切な教育的支援を受けることができますよう、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など、校内支援体制の整備に努めているところでございます。結果といたしまして、現在約8割の高等学校で支援体制が整備されておりまして、残りの学校も来年度当初までに整備される予定であります。 さらに、高等学校における発達障害者支援についてのモデル事業を進めておりまして、今後は、その研究成果を生かしますとともに、本年8月、私ども県
教育委員会で作成いたしました特別支援教育推進ガイドブックの趣旨に沿って、特別支援教育の一層の充実に努めてまいる所存でございます。 〔平野みどりさん登壇〕
◆(平野みどりさん) 議員の皆様方には釈迦に説法かもしれませんが、特別支援教育の流れについて、少し話をさせていただきたいと思います。 これまで、養護学校の義務化ということで、地域の学校にも行けなかった子供たちが養護学校には行けるという体制がつくられてきました。ところが、世界的な流れの中で、盲・聾・養護学校だけの中でなく、地域の学校を志向する保護者や当事者がふえてきて、それに対応するために特別支援教育がスタートしたというふうに認識しております。 この特別支援教育のもとで、生まれ育った町の小学校、中学校に入って、そこで必要な支援を受けながら勉強し育っていく、どうせ大人になったら障害のある人たちもそうでない人たちも一緒の環境になるわけですから、できるだけそういった環境を学齢のときからつくっておこう、そして必要な支援を手だてしていこうという考えです。その中で、盲・聾・養護学校は、これまで培ってきた専門性を地域の学校の中に届けていく、いろんなことが、相談があった場合それに対応していく、そういった機能を果たしていき、存続していくということを文科省が言っているわけです。 先ほど紹介した障害者の権利条約の中では、原則分離ではなくて原則統合ということが世界の流れであるというふうに言っています。これはまさしく特別支援教育で言っているところの流れですけれども、特別支援教育は、そういった流れを受けて始まっているのですが、まだ予算的な部分で十分な手だてがされていない、支援が必要な支援に関して十分手だてがされていない。早田県議が質問されましたように、特別支援教育の支援員、これの配置もまだ市町村すべてで終わっていない。そして、交流をしたいと言って盲・聾・養護学校の生徒が来ても、そして地域の学校に戻りたいと言っても、何か迷惑なような態度をとる学校長、管理職もまだいるというふうに聞いています。柿塚教育長がどんどん進めていますということですので、ぜひそれに期待したいと思っています。 第一義的に学籍簿も含めて地域の学校が責任を持つのだということを確認して、次の質問に移りたいと思います。 そういって高等部を卒業したり、一般の高校で知的障害を持つ子供たち、発達障害を持つ子供たちが卒業しても行き場がないということでは困ります。民間での障害者の就労もしっかりと進んできておりますが、では、県ではどうかということで今回質問させていただきます。 既に本県では、身体障害のある方々の雇用は、障害者特別枠として、さまざまな部署で県職員として働き、当事者としての経験や視点を生かしておられます。しかし、知的障害や精神障害のある方々については、まだ就労の門戸は開かれていません。 そこで、保護者の皆さんからの要望の提出を受け、昨年12月県議会で、私は今回の知的障害と精神障害のある方々の県機関でのインターンシップについて質問させていただき、今回実現いたしました。実施期間は、11月5日から16日までの2週間で、知的障害及び精神障害を持つ生徒や施設利用者の皆さん11人が、県機関9カ所でインターンシップを経験しました。まずは、インターンシップを通して、どんな仕事が向いているか、就労上どんな支援や配慮が必要かなどを、働く側も雇用する側も見きわめるための初めての試みでした。 ちなみに、9カ所は、私学文書課、障害者支援総室、労働雇用総室、教育政策課、パレア、自動車税事務所、県立図書館、こども総合療育センター、農業研究センターの9カ所です。仕事の内容は、発送郵便物の重さをはかったり、到着郵便物を開封したり、データ入力作業をしたり、図書館の図書の分類や整理をしたり、こども総合療育センターでは、入所者のベッドメーキングなどを経験しました。 さて、これら受け入れた各部署並びにインターン実習生御本人からの感想や気づいた点、課題などはどう総括されたのでしょうか。また、知事部局や
教育委員会では、今回の取り組みについて、雇用にどう結びつけようとされているのでしょうか。 障害者雇用促進法による障害者雇用率の達成という点では、知事部局では2.1%が義務づけられており、現在2.65%で達成しています。しかし、
教育委員会は、2.0%が法定雇用率なのに対し、現在1.83%で、未達成の38県の中に入っており、厚生労働省から是正勧告を受けました。教職員の中にも可能な限り雇用をふやさなければなりませんが、事務職員や図書館職員などに雇用を広げていくことは十分可能です。知的障害や精神障害のある人の雇用も含め、
教育委員会には一層の努力が求められています。 本年4月から本格施行に入った障害者自立支援法は、施設利用から一般就労を促す法律となっており、全国的にも、都道府県、市町村でも障害者雇用が本格的に進みつつありますし、また、民間への模範として真剣に取り組まなければなりません。熊本市でも、インターンシップと同時に、本年度から、知的障害と精神障害を持つ人を1人ずつ嘱託として雇用し始めました。本県も、さまざまな部署での就労の可能性を探るためインターンシップを終了したわけですが、嘱託、短期雇用などからでも雇用をスタートさせていく必要があります。 来年度に向けての雇用の見通しを総務部長にお尋ねいたします。 〔総務部長原田正一君登壇〕
◎総務部長(原田正一君) まず、今回初めて実施をいたしましたインターンシップの結果についてでございますが、特別支援学校及び障害者福祉施設から12名の方に御参加をいただき、知事部局、
教育委員会それぞれの本庁及び出先機関、これも質問の中で御紹介いただきましたとおりでございますが、9つの所属で受け入れを行ったところでございます。 職場の業務に応じたさまざまな作業を行っていただきましたが、本庁等事務系の職場では、既存文書のワープロ入力、会議のテープ起こし、各種調査票の回答項目チェックなど、初めての事務作業にも意欲的に携わっていただいたところでございます。 実習終了後に、受け入れ所属及び学校、さらには施設それぞれにインターンシップの感想や意見等について調査を実施いたしますとともに、実習生本人にも学校などを通じまして聞き取りを行ったところでございます。 それらによりますと、おおむね実習生にとって職業経験を積む貴重な機会になったとの感想が多く寄せられておりまして、また、受け入れ所属としても、障害者の方を理解するよい機会になったなどの意見が多かったという結果でございます。 インターンシップの改善点や課題につきましては、調査結果を踏まえまして、今後福祉専門家の方も交えて検証を行うこととしております。 なお、来年度も、実施地域や業務内容を広げるなど、インターンシップの充実に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 次に、これらの方々の県機関における雇用についてでございますが、今回のインターンシップにおいて、まじめに熱心に仕事に取り組んでいただいた実習生の方の姿について報告を受けておりまして、この雇用の可能性についても手ごたえを感じているところでございます。 雇用に当たりましては、障害者の方と県の双方にとってよりよい形となりますよう、障害者の方の適性に合った業務内容及び業務量の確保など、受け入れ環境の整備を進めますとともに、選考のあり方や雇用の形態、期間、これらにつきましても、今後より具体的に整理する必要があると思っております。 したがいまして、今直ちに雇用を始める時期をお示しすることは難しいという状況でございますが、今後、
教育委員会とも連携の上、できるだけ早くこれが実現できるように取り組んでまいりたいと思っております。 〔平野みどりさん登壇〕
◆(平野みどりさん) 今御答弁いただきました。 前向きな意欲を感じさせていただける答弁でございましたが、もう現実始めている都道府県、市町村もあります。熊本市も始めておりますので、一日も早く実現するように御努力いただきますようお願いいたします。 最後に、公共交通の推進について伺います。 電鉄と市電の結節についてです。 この問題については、何人もの議員の皆さんがたびたび質問しておられますが、現状、今どうなっているかについて伺います。 新幹線全線開通まで3年近くと、いよいよ迫ってきました。都市圏の公共交通網の充実が喫緊の課題であることは言うまでもありません。バス事業も、共同運行に向けて、民間3社と熊本市バスのすみ分けがさらに具体的に進みつつあります。 菊池・北部方面からの都市圏への移動を自家用車から軌道系へシフトするために、まずは電鉄と市電の結節が不可欠です。これは、もはや一企業の存続問題では済まされません。現時点での関係機関の協議の進捗状況について、
地域振興部長に伺います。 さらには、交通管理事業者としての取り組みについて、県警本部長に伺います。 新幹線全線開通後の公共交通網の充実というだけでなく、もはや自家用車から公共交通へのシフトの重要性は、刻々と深刻化する二酸化炭素排出による環境問題だけでなく、団塊世代が高齢人口に入り、自家用車に乗れない、乗らない人が急激にふえる時代が到来することを意味します。また、既に交通事故も、高齢者が被害者や加害者になるケースが年々ふえて、深刻化している現状があります。 そんな時代背景を見据えながら、交通管理事業者として、県警は、今回の電鉄と市電の結節の重要性をどう認識しておられるのか、また、関係機関との協議の中でどのような役割を果たそうと考えておられるのか、県警本部長に伺います。 〔
地域振興部長小宮義之君登壇〕
◎
地域振興部長(小宮義之君) 熊本電鉄と熊本市電の結節につきましては、県といたしましても、熊本市、合志市と連携して検討を行ってきた結果、本年3月末に、行政3者として都心結節を推進していくとの合意に至りまして、6月には、3者の部局長が中心となって、都心結節計画検討委員会、これを設置いたしまして協議を開始しております。 この検討委員会では作業部会を設置しておりまして、交通事業者を初め道路管理者や交通管理者の意見も聞きながら、具体的都心結節ルートの交通渋滞への影響、さらには道路改良の必要性等、技術的課題の確認などを中心に検証を進めておりまして、今年度中をめどに、具体的な事業概要案について整理を行いたいと考えているところでございます。
○議長(村上寅美君)
警察本部長横内泉君。――残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔にお願いします。 〔
警察本部長横内泉君登壇〕
◎
警察本部長(横内泉君) 県警察では、バス専用レーンの設定など、各種の公共交通優先対策を講じてきておりますが、公共交通機関の利便性を高めることは、高齢者の交通事故抑止や交通公害の緩和にも寄与すると考えており、電鉄と市電との結節につきましても、こうした観点から意義があるものと認識しております。 ただ、結節の方法によっては一般交通にも大きな影響を及ぼすおそれがありますことから、今後、県警察といたしましても、事業概要案を策定する検討委員会に参加し、一般交通への影響を最小限にとどめるよう意見を述べてまいりたいと考えております。 〔平野みどりさん登壇〕
◆(平野みどりさん) 新幹線全線開通はもう目の前ですので、ぜひ時間との関係軸の中でしっかりと取り組んでいただきますようにお願いいたします。 県警の皆さんにも、交通を整理する、交通を管理するというだけでなく、新しい交通体系に積極的に寄与していただくということでの取り組みをお願いしたいと思います。 時間内に終わりそうです。きょうここにオレンジのリボンをつけておりますが、皆さん御承知でしょうか。これは、きょう私の質問にもありました児童虐待防止のキャンペーンのリボンです。 暴力のない社会、私は戦争を憎みます。知事も同じだと思います。戦争が最たる暴力でございますが、その素地は、家庭内、そして人間と人間の間にあるのかもしれないというふうに思っています。そういう意味で、すべての暴力や虐待が社会の中からなくなるまで――知事はこれから民間に戻られます。そして私たちは議会の中で、それぞれ連携をして取り組んでいかせていただきたいというふうに思います。今後も勉強してまいりますので、皆さん方の御支援もよろしくお願い申し上げます。 本日は、これで質問を終わらせていただきます。最後までの御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(村上寅美君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。 午後0時10分休憩 ――――――○―――――― 午後1時10分開議
○副議長(馬場成志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 吉田忠道君。 〔吉田忠道君登壇〕(拍手)
◆(吉田忠道君) 皆さんこんにちは。菊池郡区選出・無所属の吉田忠道でございます。 今回、
一般質問の機会を与えていただきました先輩議員、そして同僚議員に対し、まずもって感謝と御礼を申し上げます。 議員として初めての登壇でありますので、質問に入る前に、若干の自己紹介と私の思いを述べさせていただきます。 私は、中学校卒業と同時に、ふるさと熊本を離れ、少年自衛隊に身を投じました。以来39年有余海上自衛官として在職した後、7年前、平成12年8月、定年退官し、生まれ故郷の大津町にUターンしてまいりました。その年は、地方分権一括法が成立した年であり、そのころから地方の時代と呼ばれるようになりました。 私は、これからの人生を、地方の時代にふさわしく、地域の発展のために役立つ仕事をしたい、公に奉ずる仕事が自分には一番合っていると思い、地方議会議員として活動することを目指しました。地方議会議員としての活動こそが最も私のやりがいのある仕事だと認識し、大津町の議会議員、そして今春の
熊本県議会議員の選挙へと挑戦したところでございます。 4月の選挙で議席を与えていただきましたので、この任期中、期待に沿うべく、精いっぱい頑張ってまいりたいと思っております。 私は、
熊本県議会議員としては、やや異色の存在ではなかろうかと思っております。それは、長いこと故郷熊本を離れ、全国各地を転々としてまいりました。そしてまた、海上自衛隊の護衛艦や掃海艇に乗り組み、特殊な勤務を経験したからであります。また、国外の方にも何回か寄港し、見聞を広めることができました。熊本の長所、短所を外から見ることができましたし、また、他県や外国の長所、短所を見ることもできました。したがって、地域の活性化、地域の安全、安心、危機管理ということを考えた場合、この経験を議会活動の中で何か生かしていくことができるのではないか、そのような思いをしているところでございます。 先輩議員の御指導を得ながら、政治とは何か、政治家はいかにあるべきか求め続けていきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 そこでまず、質問の第1は、国民保護に関連し、潮谷知事の自衛隊に対する認識について問うものであります。 自衛隊に対する認識については、6月議会におきまして小杉議員が質問されておりますので、その答弁から知事の基本的な認識は了解しているつもりでありますが、今回私があえて質問に取り上げたのは、自衛隊が国防を主たる任務とした集団であるということを念頭に置いた上で、1点のみお伺いしたいと思ったからであります。 知事は、6月議会の答弁の中で、台風災害や林野火災など災害派遣等の実働を通じて、その活動に感謝の意を述べられ、また、国民保護についても、計画策定段階での助言、訓練への参加等、国民保護行政に御協力をいただいており、今後とも自衛隊との連携を深めていきたいと答弁されております。 自衛隊の主たる任務は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し、我が国を防衛することであります。 県知事は、大規模災害が発生した場合、その復旧、あるいはテロ攻撃等を受けた場合の国民保護のため、必要に応じ、その自衛隊に対し、支援の要請をできる立場におられるわけであります。自衛隊との連携を深めていきたいとされたさきの答弁の根拠が、国防を主たる任務としている自衛隊として認識されているのか問うものであります。それをもっと端的に言うならば、先ほど述べた国防を主たる任務とする自衛隊という組織に対し、そしてまた、そこで任務に当たっている自衛隊員に対し、尊敬と信頼を持った上での連携を深めたいという理解でよろしいか、お尋ねするものでございます。 質問の第1に持ってきましたので、簡潔な答弁をお願いいたします。 〔知事潮谷義子さん登壇〕
◎知事(潮谷義子さん) 防衛省は、ことし1月、国民の期待と信頼のもと、防衛庁から防衛省に昇格されました。そのような中で、最近報道されているような国民の信頼を失いかねない不祥事が起こっていることは非常に残念に思います。 しかし、現場を担っている自衛隊員の方々にありましては、国を守り、国民の安全、安心の大きな支えとなって、日ごろから厳しい訓練を積まれますとともに、昼夜を分かたぬ活動で国民の期待にこたえられており、私も信頼を寄せております。 また、本県におきましても、先ほど吉田議員お触れでございましたけれども、ことしの3月の南阿蘇で発生しました大規模な林野火災、7月の県中央部を中心に大きな被害が発生した梅雨前線による集中豪雨等極めて困難な状況の中で、消火活動、孤立者救助、給水支援等、献身的な任務に当たっていただいておりまして、県民の代表といたしまして、改めて深く感謝を申し上げます。自衛隊員の皆様方に対しての信頼と尊敬、これは私は寄せております。 自衛隊は、こうした災害時はもとより、昨年1月に策定をいたしました国民保護計画の中でも、県民の命、身体、財産を守るため、重要な役割を担っていただいております。私自身も、県の責任ある立場でございますし、さらに、九州防衛協会長の役割も担う立場にございます。今後とも、連携を深め、県民の安全、安心に万全をともどもに図ってまいりたいと考えております。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 知事においては簡潔な答弁をいただきまして、理解をしたところでございます。 そこで、次に、国民保護について、総務部長にお尋ねいたします。 熊本県は、風水害の発生しやすい地理的環境にあると思います。また、地震という災害に対しても、その発生の可能性を考えておかなければなりません。その意味では、災害対策の一環として、毎年総合防災訓練を実施しておられることは大きな意義があるものと思っております。 そこで、平成16年に国民保護法が成立し、その基本指針に基づき、県及び各市町村では、平成17年度及び18年度にそれぞれ国民保護計画を策定しました。その計画には、平素からの備えや予防、そして武力攻撃事態への対処等について、かなり詳細にわたり規定されております。 先般の内閣府による世論調査では、80%の人が武力攻撃に対して「不安がある」と答えております。その一方で、国民保護の仕組みについて「よく知っている」「少しは知っている」が29.8%に対し「ほとんど知らない」「全く知らない」が70.2%に上っております。内閣府は、不安を感じている人の割合が予想以上に高かった、国民保護の仕組みについて普及啓発をさらに進めたいとしております。 県としては、本年度、球磨郡球磨村及び錦町において総合防災訓練を実施され、私もその状況についてはつぶさに視察してまいりました。その中で、国民保護実働訓練は、参加機関が県及び警察、消防、自衛隊等12機関、人員150人、車両20台をもって実施され、訓練内容は、化学テロ対処を主眼としたかなり大がかりなものでありました。訓練の方向性として大いに評価しているところでありますし、今後もこの種の訓練を継続実施していくべきであろうと考えております。 内閣府は、さきの世論調査の結果から、国民保護の仕組みについて普及啓発をさらに進めたいとしておりますが、県として、このことについてどのように考えておられるのか。また、九州中央部に位置する熊本県には、他県からの避難民が流入する可能性があり、九州各県との相互応援協定など、緊密な連携の必要性も指摘されているところでございます。 この件について、今後どのようなスケジュールで対応していこうとしておられるのか、お伺いいたします。 〔総務部長原田正一君登壇〕
◎総務部長(原田正一君) まず、国民保護制度の普及啓発についてでございますが、武力攻撃事態等において国民の生命、身体、財産を守りますためには、住民避難や救援等の国民保護措置全般について、県民に十分理解、協力していただくことが重要でありますことから、これまでも国民保護の仕組みなどについて普及啓発に努めているところであります。 具体的には、昨年1月に策定をいたしました県国民保護計画についてパンフレットを作成いたしますとともに、県の広報誌「県からのたより」にその内容を掲載したり、自主防災組織のリーダーなどを対象とした防災・国民保護セミナーを開催するなど、周知啓発を図ってきております。 そのほか、訓練につきましても、県民の理解促進を図りますため、広く県民に公開の上、実施をしてきております。昨年は菊池市で、本年は、御紹介もありましたように、錦町で、それぞれ関係機関参加のもと、化学テロ対策の実働訓練を実施したところでございます。 また、本年2月には、県として初めて国民保護図上訓練を実施し、県や市町村、関係機関が措置すべき事柄について、手順等を確認したところでございます。 さらには、来年2月には、国と共同で図上訓練を実施することにしておりまして、この中で、大規模テロが発生した場合の初動対応や住民避難の指示等について、関係機関との連携強化を図りますとともに、県職員の対処能力の向上を図ることとしております。 今後とも、さまざまな機会をとらえまして、引き続き普及啓発に努めてまいります。 次に、他県との連携についてでございますが、昨年10月に、山口県を含みます九州各県と武力攻撃災害時における相互応援協定を締結し、その中で、避難・収容施設の提供や食料、飲料水の供給等についての相互協力関係をうたったところでございます。現在、協定を具体的に運用するための実施細目の策定に取り組んでおります。 さらには、県域を越えて住民を避難させる場合における具体的な調整や手続などにつきましてもあわせて協議を行っております。 九州の中心に位置する本県といたしましては、今後とも九州各県あるいは山口県とも緊密な連携を図って進めてまいりたいと思っております。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 私の質問に対し、期待したとおりの答えをいただいたと思っております。 国民保護計画が策定されてまだ年数がたっておらず、これからやらなければならないことが数多く出てくるものと予想されますが、災害は忘れたころにやってくると言われております。熊本では忘れないうちにやってまいります。 そういうことで、自然災害に対する備えは比較的進んでおると思いますが、国民保護に関するテロ攻撃等に対しては全く予想がつきません。その意味では、訓練ということが極めて大切であります。そして、その訓練も大がかりなものが有効であります。しかしながら、費用対効果ということを考えた場合、なかなかそれはできません。 そういうことで、先ほど総務部長が述べられましたように、図上訓練が想像以上に効果を持つものであります。そして、年間1回じゃなく、2回も3回も訓練が可能であります。そういう意味で、今後、図上訓練の回数を多くされて、この訓練効果を上げていただきたいということで提言をしておきます。 次に、農業問題について質問いたします。 農業問題は、当初、
品目横断的経営安定対策について質問したいと考えておりましたけれども、昨日、田端議員が質問されました。また、9月議会では、議会として問題点の是正について意見書を採択したところでございます。それで、今回は、私のこの質問は見送って、今後、この課題や問題点に対し、さらなる検証、整理を行った上で、次回の質問に備えたいと考えております。 そこで今回は、畜産経営に大きな打撃を与えている配合飼料価格の高騰対策について質問いたします。 熊本県の農業産出額は、平成18年で2,984億円であり、平成7年に比べ872億円、約23%減少しているものの、全国シェアの3.5%で、第7位にあります。中でも、畜産部門の産出額は、平成18年873億円で、平成7年と比較すると52億円、6.3%の増加となっており、本県においては、野菜に次いで第2位であります。 現在の畜産情勢を見ますときに、配合飼料価格の高騰が畜産農家の経営に多大な影響を与えております。このことは、原油高に伴う海上運賃の値上がりやアメリカのバイオエタノール政策による需要逼迫により、配合飼料の主要原料である輸入トウモロコシの価格が高騰しているためであると認識しております。 現在の配合飼料の価格は、平成18年の10―12月期に比べた場合、養鶏、養豚及び肉牛肥育の平均で1トン当たり9,766円の値上げとなっており、配合飼料価格安定基金の発動による補てんを差し引いても5,816円の実質農家負担が発生しております。 トウモロコシのバイオエタノールへの仕向けが進む中、主産地であるアメリカでは、大豆からトウモロコシへの作付転換が図られており、大豆価格の高騰にも拍車がかかっております。また、原油価格の高値推移に歯どめがかからない状況から、今後とも、配合飼料価格が高値水準で推移していくのではなかろうかと危惧しているところでございます。 このような現状を見るとき、配合飼料価格が現状で推移した場合、負担軽減を目的とした対策は、その仕組みから、配合飼料価格安定基金による補てんができないこととなり、1トン当たり約1万円の負担増となります。仮にこの負担増のすべてを小売価格に反映したとするならば、鶏卵1パック当たり17円、豚肉ロース100グラム当たり9円、牛肉肩肉100グラム当たり15円、鶏肉100グラム当たり6円の高値に相当するものであります。 しかしながら、この負担増を現在の畜産物流通の仕組みで消費者価格に転嫁することは容易ではなく、結果的には生産者負担となっているのが実情であります。 我が国は、平成18年度において、飼料用トウモロコシの98.9%、約1,188万5,000トンを輸入に依存しております。特に、トウモロコシなどを主要原料とする配合飼料により生産を行っている養鶏、養豚及び肉牛肥育経営にとって、その価格高騰の及ぼす悪影響ははかり知れないものがあるのではないかと心配しているところでございます。 6月定例県議会におきまして、佐藤議員の質問に対し、山本
農林水産部長は、国に対して配合飼料価格安定基金制度の見直しを提案する、また、飼料稲のさらなる作付拡大を推進し、自給飼料の拡大により畜産農家の経営安定に努めるとの答弁でありましたが、畜産農家にとって現在の経営が非常に厳しいと叫ばれている中、その取り組みの状況及び成果について、
農林水産部長にお伺いするものであります。 〔
農林水産部長山本隆生君登壇〕
◎
農林水産部長(
山本隆生君) 現行の配合飼料価格安定制度では、飼料価格の高どまり状態が長引きますと基準価格が上昇いたしまして、差額補てん金が減少するため、飼料費の農家負担軽減に結びついておりません。したがいまして、この点を踏まえまして、去る7月に、制度見直しについて国への提案を行いました。しかしながら、その結果を見れば、補てん金の財源不足に備えた当面の対策が講じられただけであり、制度見直しまでには現在至っておりません。したがいまして、引き続き価格安定制度そのものの見直しを要望してまいりたいと考えております。 また、自給飼料の生産拡大につきましては、耕畜連携を軸として転作田や遊休農地への取り組みを進め、トウモロコシやイネ科牧草など、自給飼料の作付面積は拡大傾向にございます。転作田を利用した飼料稲の今年度の作付面積は、対前年度比16%増の1,565ヘクタールと順調に拡大し、全国第1位となっております。 このように、配合飼料価格の高騰に対しまして、配合飼料価格安定制度の充実とあわせ、自給飼料の生産拡大への取り組みを通じまして、畜産農家の経営支援に今後とも努めてまいりたいと考えております。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 今
農林水産部長から答弁いただきましたけれども、若干不満であります。それは、制度の見直しに対して提案を行ったと、この前は行うということで、行ったかどうか確認しましたところ行ったということで、その資料もいただきました。わずか数行の提案がなされておりました。 それから、それに対して国の動きが全くないということであります。したがいまして、また各県と連携をとって見直しの要望をするということでありますので、この件については評価したいと思いますけれども、また、この要望を行ったところで、国の動きがなければ同じことであります。次の対策を今のうちからやっぱり考えておくべきではないかと思っております。 さらに、飼料稲の作付面積の拡大の件でございますけれども、116%の伸びを示しているということでありました。116%といえば、すごいことであります。しかしながら、私は、ちょっとデータを取り寄せてみまして、116%というのは昨年に対してであります。平成15年には、昨年よりもさらに広い作付を行っていたのであります。だんだん少なくなってきて、またふえたということでありますので、単なる116%だけで喜ぶわけにはいきません。 私が質問したのは、このような畜産経営が厳しいと言われる中で、この取り組みの状況は聞きましたけれども、その成果について聞いたわけであります。116%もその成果かもわかりませんけれども、畜産の経営、その安定に役立っているのでしょうか。その件を再度質問させていただきます。 〔
農林水産部長山本隆生君登壇〕
◎
農林水産部長(
山本隆生君) ただいま制度の見直しの国への提案と飼料作物の稲の増大について答弁いたしましたけれども、前回の6月の答弁のとき、そのほか、この飼料につきましては、エコフィードについても答弁いたしましたところでございまして、そういった制度の見直し、それから飼料稲の増と、それからエコフィード、そういったことを総合的に今後しっかりと取り組みながら、経営の安定に少しでもつながっていくように頑張ってまいりたいと思っております。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 作付拡大の面積については、きのうきょう始まったわけではなくて、数年前からこれはもう始まっておるわけですので、この付近の検証をしっかりして、本当に効果が出ているのか、この検証が必要ではなかろうかと思います。さらにきめ細かい検証を行って、効果が見られないのであるならば次の対策を考えていかなければならない、そのような前向きの姿勢を期待したいと思っております。 次の質問に移ります。 次は、教育問題についてお尋ねいたします。 今、県下では、高校再編整備等基本計画が大きな話題となっております。 その問題については後ほど質問したいと思いますが、その前に、
教育委員会の権限等について質問したいと思います。
教育委員会の組織の中で非常にわかりづらいのが、教育委員長と教育長の関係であります。また、
教育委員会の職務権限及び地方公共団体の長の職務権限についても明らかにしたいと思います。 組織に精通されている方にとっては何でもないことであるかもしれませんけれども、一般の方々にとっては、その組織、職務権限等がわかっているようでよくわからないのが現状であります。そこで、法律の条文の要点を読むことにより、私の頭の中を整理させていただきます。 これは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律において、その第2条「県、市町村」「に
教育委員会を置く。」とされております。第3条「
教育委員会は、5人の委員をもつて組織する。ただし、」「都道府県」「の
教育委員会にあつては6人の委員」「をもつて組織することができる。」となっており、したがって、熊本県
教育委員会においては、6人の委員をもって構成されております。 第12条「
教育委員会は、委員のうちから、委員長を選挙しなければならない。」これは後ほど16条でまた言いますけれども、この委員の中から教育長を任命することになっております。12条3項で「委員長は、
教育委員会の会議を主宰し、」「委員会を代表する。」となっております。「
教育委員会の会議の議事は、」「出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。」。 そして、先ほど述べました教育長のところについては、第16条で「
教育委員会に、教育長を置く。」そして、その「教育長は、」「当該
教育委員会の委員である者のうちから、
教育委員会が任命する。」となっております。「(教育長の職務)」第17条「教育長は、
教育委員会の指揮監督の下に、
教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる。」2項で「教育長は、
教育委員会のすべての会議に出席し、議事について助言する。」となっております。 そして第23条「(
教育委員会の職務権限)」これが、学校の設置、管理、廃止、教科書等の教材、学校給食に関すること等、19項目について列記してあります。 そして「(長の職務権限)」「地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、」「執行する。」ということで、
教育委員会の所掌に関する契約、予算の執行等、5項目が列挙してあります。ここで、
教育委員会の職務権限と長、いわゆる知事、市町村長の職務権限が明記されているわけであります。 そこでまず、教育委員長に質問いたします。 第12条第3項の「委員長は、
教育委員会の会議を主宰し、
教育委員会を代表する。」ということ及び第23条の
教育委員会の権限及びその責任についてどのように認識されておられるか、お尋ねいたします。 また、教育長には、教育長の職務と教育長の権限及び責任についてどのように認識されているか、お伺いいたします。 〔
教育委員会委員長古川紀美子さん登壇〕
◎
教育委員会委員長(古川紀美子さん) まず、
教育委員会の権限と責任についてでございますが、
教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりまして、大学及び私立学校に関する事務等を除き、教育に関する事務を管理し執行する権限があり、地方公共団体の執行機関の一つとして、それらに対する責任を有しているというふうに認識しております。 次に、教育「委員長は、
教育委員会の会議を主宰し、
教育委員会を代表する。」ということについてでございますが、教育委員長は
教育委員会の会議を主宰するということは、教育委員長が議長として会議の運営を行うものであるということ、また、教育委員長が
教育委員会を代表するということは、
教育委員会に属する権限行使を教育委員長の名前でできるということであると認識しております。 ただし、
教育委員会の権限行使は、あくまでも合議体としての
教育委員会の決定により行われるものでございまして、
教育委員会の権限に属する事務を教育委員長が単独で行い得るものではないと認識しております。 以上です。 〔教育長柿塚純男君登壇〕
◎教育長(柿塚純男君) 教育長の職務権限及び責任についてでございますが、議員もおっしゃられましたように、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりまして、教育長は、
教育委員会の権限に属するすべての事務の具体的な執行に当たっておりまして、
教育委員会のすべての会議に出席し、
教育委員会が教育上の諸問題を解決するための助言を行っているところでもありますし、また、他の法律でも教育長の職務等についての規定がありまして、例えば地方公務員法の特例法であります教育公務員特例法の第11条では、学校の校長及び教員等についての選考採用は教育長が行うものとされているところでございます。
教育委員会が非常勤の委員で組織される合議体でありますので、教育に関する事務の管理、執行に関し方針を決定するのに対し、
教育委員会の指揮監督のもと、事務局を総括してその方針を具体的に執行するのが私、教育長の責任であるし、職務と認識をさせていただいております。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 今教育委員長と教育長から答弁していただきました。 私は、この質問の冒頭に、教育委員長と教育長の関係がよくわからないということで申し上げましたけれども、今の教育委員長の答えの中に若干の弱さを感じるわけであります。といいますのは、教育長の権限としては23条で列記してありますので、それは合議体として委員長が言われたとおりであります。しかしながら、その権限を執行するに当たり、その前の段階で、決める段階で、委員会で6人の委員で決める中で、委員長は、委員会の会議を、司会だけじゃなくて主宰するわけであります。そして、委員の賛否の可否が同数の場合は、委員長が決するわけであります。 仮に、今問題になっております高校再編整備計画について、これは、皆満場一致でずっと反対なく決まっておりますから、本当は関係ないんですけれども、仮に、この中で、委員が、6人の委員の中で1人が棄権されて、残りの5人で可否同数、2対2になった場合は、委員長が決しなければならないわけであります。決断しなければならないわけであります。そういう意味で、委員長は、決まったことに対しては、これは合議ですから、6人の委員が全部責任とると思いますけれども、この過程においては非常に大きい権限と責任を持っていると、そのように私は理解しておりますし、委員長もそこは自覚して覚悟してもらいたいと思っているところであります。 そして、教育長の答弁の中で、少し言葉の、明言はされませんでしたけれども、私なりに疑問に感じていることを再質問させていただきますけれども、それは、私が、冒頭、委員長と教育長の関係がよくわからないと言ったのは、この会議を主宰するというのが、あたかも教育長が主宰しているかのごとく受け取れるからであります。 それは、さまざまな権限も別の法律であります。私は、この教育行政のことで今聞いているわけですけれども、この中で、教育長は会議で助言することになっております。この助言ということを教育長はどのように受け取られておられるのか。そしてまた、他の市町村の
教育委員会においても、この教育長の助言ということは同じような認識でとらえておられるのか。それは助言ということが権限という意味でとらえているかどうかをお聞きしたいと思います。 〔教育長柿塚純男君登壇〕
◎教育長(柿塚純男君) ただいまの御質問は、助言が権限というふうに勘違いしてはいないかということでございますが、助言はあくまでも助言でございまして、事案ごとに、私は専門職員でございますので、その立場で、他の委員様方に対し的確にお話をすると、法令に基づいてお話をするというふうにとらえさせていただいております。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 今の私の再質問に対して、助言はあくまでも助言ということでございますので、これから誤解を招くことがないように、私もしっかりと今後
教育委員会を監視、傍聴していきたいと思っております。 次に、高校再編整備等基本計画に関連して質問いたします。 統廃合の対象となっている地元首長の方々の県高校再編関係市町村連絡協議会から基本計画の撤回申し入れがありました。また、関連の請願が議会に提出されており、議会においても継続審査としているところであります。そして12月3日には、県議会議長あて、本計画の正式決定への異議申し立てと一時凍結の議会審議要請がなされたところであります。 今回のこの問題に関する
教育委員会の対応を見ていますと、委員会の認識と関係市町村との認識にはかなり大きな乖離があるように感じられてなりません。 そこで、この一連の動きに対し、
教育委員会はどのような認識でおられるのか。また、この計画の策定の視点の中で、教育効果の視点を最も重視したとされておりますが、教育効果とは何でしょうか。その教育効果は、今進めている再編整備計画を早急に実行に移さないと重大な結果につながることを意味しているのでしょうか。 本計画が教育に関する問題であるがゆえに、教育効果を重視するということは当然であるといえば当然であります。しかし、教育効果のためということだけで、それが走り過ぎて、他の説明が不足していたりあるいは不十分なために、このような動きが起きているのではないでしょうか。 教育委員長の見解をお伺いいたします。 〔
教育委員会委員長古川紀美子さん登壇〕
◎
教育委員会委員長(古川紀美子さん) 県立高等学校再編整備等基本計画で、再編統合の対象とされた高校を抱えます一部の地域から反発があっておりますが、これは、高校の伝統や地域住民の愛着を尊重するべきであるとか、高校がなくなると地域が寂れる、また、身近なところで教育を受けさせたいといったことからの反発と認識しており、そのお気持ちは十分理解できると思っております。 高校の存在が地域にさまざまな形で寄与しているのは事実でございますが、高校は本来子供たちの教育のためにあるものでございます。
教育委員会としましては、子供たちにとって何が最善であるかということから、教育効果の視点を最も重要と考えまして基本計画を策定いたしました。 ここで申し上げます教育効果と申しますのは、著しい少子化とそれに伴う学校の小規模化が進む中、高校段階で求められる教育環境をしっかりと確保していくということであります。 この高校段階で求められる教育環境と申しますのは、生徒の興味、関心、進路等に応じて多様な科目が選択履修でき、適度な切磋琢磨の中で人間関係の幅を広げていくことができるような環境であり、このような環境を確保するには一定の学校規模が必要なため、県立高校の再編整備は避けられないと考えております。 基本計画の決定までに50回を超えます説明会におきまして、説明、意見交換を行ってまいりましたが、基本計画の決定後も、再編統合に伴う新校の開設予定時期まで地域の方々と意見交換を続けていくこととしております。意見交換の中で、
教育委員会の考え方について理解が得られますよう、できるだけの努力をしてまいりたいと考えております。 現在でも、県立高等学校教育整備推進協議会の報告で、適正規模下限の目安とされていました1学年4学級を下回る学校が、県立高校全61校中21校を占めておりまして、このまま再編統合を行わなければ、少子化に伴う学校の小規模化がますます進み、高校段階で求められる教育環境を十分に提供できず、学校の活力もなくなっていくように思います。 基本計画では、入学者数が大幅にふえるといった大きな状況の変化がありますれば、再編統合について再考するというふうにしておりますが、基本計画等でお示しした再編時期に沿って、早期に再編統合が行われることが望ましいというふうに考えております。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 再編整備の必要性が避けて通れない、これは多くの方が理解を示されているのではないかと思います。しかし、私がここで尋ねたのは、一刻の猶予もないのかということであります。
教育委員会としては、50回以上の説明会を行ってきた、教育環境をしっかりと整備してやる必要がある、いろいろと説明はされたでしょう。しかし、現に、このような抗議や反対や撤回が出ているわけであります。 これからも理解を得られるごとく努力するということでありますけれども、それはそれでもちろん大事なことであります。しかしながら、なぜ理解が得られないか、このプロセスの基本に返って、再度
教育委員会の中で議論してもらう必要があるのではないかと私は考えております。 そういう意味で、これから、この今反対意見等が出ている中で、さらに慎重に審議を期待いたしまして、次の質問に移っていきます。 最後に、道路整備の問題についてお尋ねいたします。 私の地元には、東西に国道57号、南北に国道325号があり、それぞれ、我々の生活基盤、経済の発展、観光等において、道路の果たすべき役割は極めて大きいものがあります。過去の定例議会においても、多くの議員がたびたび質問なり要望を行ってまいりました。それだけ地域の方々にとっては、道路とのつながりが強く、生活に直結しているからであります。今回私もこの道路の整備について質問させていただきます。 県道瀬田竜田線については、9月議会で田代議員が質問されたところであり、大林地区の整備状況については理解ができました。しかし問題は、吹田・森地区であります。10年以上前からの計画が、ここ数年全く前進しておりません。計画構想に対し地元から理解が得られなかった、あるいは用地買収へ話を進めることができなかった等、理由はいろいろあるでしょう。しかし、年月の経過とともに事情が変わってきていることは事実であります。 9月議会で、土木部長は、整備手法や着手時期について検討すると答弁されておりますが、これまでの5年、どのような検討がなされてきたのか、着手についてどのような見込みがあるのか、土木部長へお伺いいたします。 また、菊陽、大津へは企業誘致が進み、熊本の中核として、地元経済の発展に大きく寄与していただいているところでありますが、その企業への朝夕の通勤時の交通渋滞は大変なものがあります。 そこで、渋滞の緩和はもちろん、国道と同等に整備されている菊陽町役場東の町道を生かすためにも、そしてまた、交通環境が大きく変化した今、県道新山原水線の整備は絶対に必要でありますし、それは焦眉の急だと思っております。 土木部長のこの整備にかける意気込みを聞かせていただきたいと思うのであります。 〔土木部長渡邊俊二君登壇〕
◎土木部長(渡邊俊二君) まず、県道瀬田竜田線の吹田及び森地区の未改良区間につきましては、同路線の大林地区の事業完了後に引き続き着手できるように、平成13年度にルート検討を行いまして、平成14年度には、住民の方々と改良ルートについて意見交換を行っております。 しかしながら、その後県財政が年々厳しくなり、さらには、九州新幹線の建設促進、新駅周辺の整備や熊本都市圏交通の円滑化等に事業費を重点的に投入していることから、現在も引き続き大林地区の事業を行っている状況であります。 吹田及び森地区につきましては、このような状況を見きわめながら、整備手法や着手時期を検討してまいりたいと考えております。 次に、県道新山原水線でありますが、周辺地域におきまして、セミコンテクノパークなどの企業集積が進み、交通渋滞等の問題が発生していることは十分認識をいたしております。 当地域では、今後も交通需要の増加が見込まれることから、現在、幹線道路ネットワークのあり方につきまして調査検討を行っております。県道新山原水線の役割や整備の必要性につきましても、その中で検討してまいりたいと考えております。
○副議長(馬場成志君) 吉田忠道君。――残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。 〔吉田忠道君登壇〕
◆(吉田忠道君) 県道の整備については、今土木部長が説明されたとおりでありますし、しかしながら、地元ではなかなか理解が難しく、今どうなっているんだという声が再三聞かれます。執行部としても、この計画の進捗状況、これをやはり逐次説明していかなければならない説明責任がある、そのように思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げておきます。 最後に、国道の整備について要望を申し上げます。 東西に走る国道57号の大津―立野間の4車線化の整備が、立野拡幅工事として取り組まれていますが、今年度から大津町吹田から瀬田までの約3キロメートルが事業化されたと聞いております。早期に整備が完成するよう国への働きかけをお願いいたします。 また、南北に走る325号についてもかなり整備が進んでおり、今後大津町から菊池にかけて早期に整備が完成するようお願いして、要望とさせていただきます。 私は、大津町に住んでおりまして、そしてまた、これまで遠く県外におりまして、熊本を語るときに、阿蘇を語ることなくして熊本を語れない、阿蘇を抜きにして語れない、そのような思いでありました。阿蘇が熊本のシンボルであります。そういう意味で、この国道57号、そしてまた、これに伴う県道の整備も含めまして、早急に整備の完成に向かって努力していかなければならないと、そのように思っているところでございます。 質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(馬場成志君) この際、5分間休憩いたします。 午後2時10分休憩 ――――――○―――――― 午後2時20分開議
○副議長(馬場成志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 守田憲史君。 〔守田憲史君登壇〕(拍手)
◆(守田憲史君) 皆さんこんにちは。宇城市選出・自由民主党の守田憲史であります。本日は、先輩、同僚議員各位におかれましては、
一般質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。 先日の全国育樹祭の成功、おめでとうございます。知事を初め職員の皆さん、本当にお疲れさまでした。皇太子を先導なさる潮谷知事を拝見し、日本の伝統を重んじられる姿に深く感銘し、皇太子と潮谷知事お2人を敬意をもって遠くから眺めていた次第でありました。 また、潮谷知事におかれましては、あと4カ月ありますが、本当にお疲れさまでした。熊本県政に臨まれる政治家としてのその真摯な姿勢は、将来にわたって尊敬申し上げる次第です。 それでは、通告に従って質問させていただきます。 高校再編整備問題について。 去る10月25日、県立高等学校再編整備等基本計画が
教育委員会で決定されました。これに関して2点、教育長にお尋ねいたします。 まず、通学区域の見直しについてお尋ねします。 通学区域の見直しについては、平成16年12月定例会でも質問しましたが、今回決定された基本計画では、その際私が申し上げた趣旨に沿って、通学区域等の拡大が盛り込まれました。県立高等学校教育整備推進協議会の設置から3年をかけてここまでこぎつけられた
教育委員会の方々の御努力に感謝します。 ただ、基本計画の策定過程において、入学者選抜学区外枠の取り扱いが後退したという印象を受けます。第1次素案では、平成21年度に「現行の6.5%から20%へ拡大する。」とされていたものが、第1次素案から第2次素案、さらに案へと進む中で「平成22年度に現行の6.5%から13%へ拡大し、その影響等を見ながら、平成24年度以降に20%へ拡大する。」とされました。 個々の子供にとって最も大事なことは、行きたい高校に行けるチャンスが公平に与えられるということであり、全県一区が理想だと私は考えております。これ以上後退することなく、ぜひ基本計画どおり通学区域等を拡大していただきたいと思います。基本計画の実施に当たっての考え方をお伺いします。 次に、併設型中高一貫教育の導入についてお尋ねします。 基本計画で、玉名、宇土、八代の3高校への併設型中高一貫教育導入が盛り込まれ、県立高等学校再編整備等基本計画実施に向けた準備のための計画(前期)で、宇土、八代両校への平成21年度導入が明記されました。 通学区域等を拡大する一方で、それが熊本市所在高校への集中を助長しないようにするためには、地域の高校の強化が必要です。併設型中高一貫教育の導入は、その有効策となります。 また、導入のメリットは、教育課程の特例等も活用し、高校受験にとらわれず、中高の6年間を通して、単に進学面にとどまらず、生徒の個性や能力を全面的に伸ばすような特色ある教育を行うことができることだと言われており、私も導入に賛成です。 このようなメリットを踏まえて、他県では積極的に導入されており、九州の公立高校で導入されていないのは本県だけという状況になっております。宇土、八代両校への導入予定年度の平成21年度まで時間がありませんが、導入の準備は進んでいるのでしょうか。現在の取り組み状況をお尋ねいたします。 〔教育長柿塚純男君登壇〕
◎教育長(柿塚純男君) まず、通学区域の見直しについてでありますが、中学校及び高校の生徒、保護者約3,600人を対象に実施したアンケートの結果や、全国24都県で通学区域撤廃の動きがあることなどを踏まえて、県立高等学校再編整備等基本計画には「将来の全県一区化を視野に入れて、各地域の高校の一層の特色づくりといった条件整備を行いながら通学区域を段階的に拡大する」ことを基本的な考え方として記載させていただいたところでございます。 この考え方のもと、熊本市所在高校への入学志向が強いという本県特有の事情も考慮いたしまして、説明会や各種要望等での意見を踏まえて、
教育委員会で慎重に検討した結果、現在の内容としたものであります。計画どおり通学区域の拡大を実施してまいりたいと考えております。 次に、併設型中高一貫教育の導入についてでありますが、基本計画等の決定に至るまでの間でも、本年4月に担当部署の増員を行い、先進事例の調査など、研究を行ってきたところであります。 また、10月の基本計画等の決定を受け、11月2日、宇土、八代両高校に中高一貫教育校設立準備室を設置いたしまして、専任職員を配置し、本格的準備に着手したところであります。 高校に併設する県立中学校の設置に当たりましては、技術室の新築や高校の既存教室を中学生向けに改修することなどが必要となりますが、平成21年4月の県立中学校開校までに所要の施設整備を間に合わせるためには、今年度中に設計委託契約を結ぶ必要があるため、今議会に提案された補正予算案で、設計費に係る債務負担行為の設定をお願いしているところであります。 併設型中高一貫教育の導入によりまして、ゆとりの中で豊かな心を持ちながら、さらに、基礎的、基本的な知識、技能と、その知識、技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を十分兼ね備えた、熊本の未来を切り開いていくような人材をはぐくみたいと考えているところでございます。 本県初の導入でありまして、施設設備といったハード面、教育課程といったソフト面両面において万全の環境を整えたいと考えており、そのための準備をしっかり整えてまいりたいと考えております。 〔守田憲史君登壇〕
◆(守田憲史君) 多少感情論になりますが、話はそれるようですが、私は、熊本市は政令指定都市にならなければならないと思います。熊本県全体のためにも、また、道州制移行の中、その地位向上のためにもです。 しかしながら、この学区制について、熊本市外から熊本市内には高校生は入ってこないでほしいというのは、私はいかがなものかと考えます。もっと熊本市の方々も、懐の深さを、優しさを見せていただきまして、立派な政令指定都市熊本市になっていただきたいと願うところでございます。 次に行きます。 宇城市八枚戸川に係る農業用水取水堰の改修について。 2級河川八枚戸川の右岸に広がる宇城市松橋町砂川地区一帯は、江戸時代末期に干拓された水田地帯であり、水稲を中心に、メロン、トマト等の施設園芸が盛んな宇城市を代表する農業地帯となっております。 しかしながら、不知火海に面し、河川の最下流部ということもあり、以前から農業用水の確保に苦慮してきました。昭和40年ごろまでは、2級河川八枚戸川の堰から取水してきたところですが、生活様式の多様化等により汚濁が進行し、農業用水としては利用が困難な状況となりました。 このため、当地域においては、八枚戸川の水や堰の利用を断念し、地域周辺の河川等から水をかき集め、有効利用するために、一たん排水路等に水をためるなどし、必要なときにポンプ等を活用して利用するなど、大変苦労をしてきました。 また、新たな水源として、農地の周辺に井戸を掘削し、地下水をくみ上げて利用してきたところですが、本地域が海岸沿いの干拓地等であること等から、地下水の塩水化が進行してきており、農業用水としての利用が困難な状況となってきております。 このような状況の中、当地域では、
品目横断的経営安定対策や施設園芸の振興等を進めていく必要があり、地域の農業課題に対応するため、農業用排水路の整備、暗渠排水による農地の汎用化や担い手への面的集積などを行うことにより、生産コストの削減等を図る経営体育成基盤整備事業の実施を要望しており、地元としてもこの事業に大きな期待を寄せているところです。 一方で、農業用水の安定的な確保対策については、近年、上流の下水道等の整備により、八枚戸川の水質が改善され、農業用水として利用が可能ではないかと考えているところです。 こうしたことから、地域の農業振興を図るため、生産コストの削減を図る観点から要望している経営体育成基盤整備事業を早期に実現することはもとより、良質で安定的な農業用水を確保するため、現在崩壊して取水不能となっている八枚戸川の堰を早期に改修できないか、
農林水産部長にお尋ねいたします。 〔
農林水産部長山本隆生君登壇〕
◎
農林水産部長(
山本隆生君) 宇城市八枚戸川の農業用水取水堰改修についてでございますが、宇城地域における農業用水の慢性的な不足、それから地下水の塩水化の進行については十分に承知いたしております。 県といたしましても、このような状況を改善し、今後の農業施策に対応できる生産基盤を確立するため、農業用水確保に係る塩水化対策等の調査を平成18年度から開始し、効果的な対策について、さまざまな観点から現在検討を進めているところでございます。 八枚戸川からの取水につきましても、対策案の一つとして今後具体的に検討していく予定でございます。 ただ、長い間取水していない実態も踏まえ、まずは現時点で農業用水として良質で安定的な取水が可能かどうかの判断を行う必要があるため、これまでの調査に引き続き、八枚戸川の流況調査を行いたいと考えております。 今後、宇城地域の農業用水確保対策を具体化していくに当たりましては、この調査結果に応じた地域の皆様方の意向集約が最も重要になってくると思われますので、どうか関係者の皆様方の御協力をお願いいたします。 〔守田憲史君登壇〕
◆(守田憲史君) 水利権その他の調査も必要ですが、毎年地下水の塩水化が進行し、待ったなしであります。若手後継者に夢を与えるためにも、一日も早い改修をお願いいたします。 三角西港の世界遺産登録についてお尋ねいたします。 昨年度文化庁が行った世界文化遺産暫定一覧表候補の公募に対し、九州知事会は、九州・山口の近代化産業遺産群を提案することを決定し、鹿児島県を事務局として提案書を取りまとめ、文化庁へ提出いたしました。 近代化産業遺産とは、西洋技術の導入後極めて短期間に、他の非西欧諸国には類例を見ないほどの飛躍的な発展を遂げ、その過程において主導的な役割を担った製鉄、造船、石炭等、日本の経済発展を支えた産業遺産のことであり、その痕跡が九州・山口に数多く残っており、世界史的にもその価値は極めて高いと聞いております。 今回の提案では、福岡県の官営八幡製鐵所創業当初の施設や鹿児島県の旧集成館機械工場など、九州・山口の近代化産業遺産が構成資産として名を連ねており、熊本県内からは、三角西港と旧万田炭坑跡が挙げられております。 三角西港は、オランダ人技師の設計、監理により、洋式の土木技術が初めて採用され、西洋風の都市計画の概念が港湾施設背後の土地利用とあわせて一体的に整備された遺構が残っていることから、国の重要文化財に指定されており、我が国の近代化に貢献した歴史的文化財として大変貴重なものであります。 文化庁は、昨年度、全国から提案のあった24件のうち、富士山や長崎のキリスト教関連遺産など4件を世界文化遺産の国内暫定一覧表候補とすると発表し、九州・山口の近代化産業遺産群は、残念ながら、検討すべき点があるとして継続案件とされました。 熊本県の文化・地域振興等の観点から、世界文化遺産に取り組むことは極めて大きな意義があり、三角西港を含め、これらの産業遺産の文化的価値を内外に示し、あわせて経済発展にもつながる重要な取り組みであると考えます。 九州・山口の近代化産業遺産群の世界文化遺産登録に向け、今後どのように取り組んでいくのか、教育長に伺いたいと思います。 〔教育長柿塚純男君登壇〕
◎教育長(柿塚純男君) 世界遺産を目指すことは、世界的な価値を有する貴重な遺産を保護し、後世へ伝えることを基本的理念とする崇高な取り組みでありまして、あわせて、文化・地域振興、経済発展にも資する重要な施策であると認識をさせていただいております。 昨年度の公募で継続案件となった三角西港を含む九州・山口の近代化産業遺産群につきましては、専門家で構成される九州近代化産業遺産研究委員会において課題の調査検討が行われるなど、九州・山口の関係県、市が連携し、提案書の再提出に向け準備を進めているところであります。 現在、今月末の提出に向け最終的な調整を行っているところでございます。本県といたしましても、先般、文化庁に直接出向き、登録に向けての要請を行ったところであります。 まずは、世界文化遺産暫定一覧表へ掲載される必要がありますので、今後とも、関係県、市と連携し、世界文化遺産登録に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 〔守田憲史君登壇〕
◆(守田憲史君) 先生方も、一度あの三角西港に行っていただきまして、あの立派な石組みを見ていただきたいと思います。 フッ化物洗口についてお尋ねいたします。 歯の健康づくりに関し、虫歯予防対策としてフッ化物洗口について質問いたします。 この件においては、平成16年9月議会において佐藤議員からも質問があっています。平成16年9月議会における教育長答弁では、虫歯予防のためのフッ化物洗口について、その効果は認識しているが、保護者の不安や反対、あるいは薬剤の保管や児童の誤飲などの安全、確実な実施体制の確保といった課題もあることから、
教育委員会としては、虫歯予防のための生活習慣の改善指導、歯磨き指導を中心に取り組むということになっています。 虫歯や歯周病は生活習慣病の一種であり、放置しておくと、その悪化により、虫歯や歯周病の原因となる細菌が心臓や呼吸器など他の臓器に感染を起こし、全身の健康状態の悪化につながります。 国の医療制度改革に伴い、今後、生活習慣病対策が充実強化されることになっていますが、歯の健康づくりのための虫歯予防、歯周病予防は、私たちがいつまでも元気で健やかに暮らしていくためには大変重要なことであります。一度できてしまった虫歯や失った歯は、もとの健康な歯に戻ったり生えかわったりすることがないので、小さい子供のころから予防をしていくことが必要であると考えます。 厚生労働省においては、平成15年1月に、医政局長及び健康局長名で、各都道府県知事あてに、フッ化物洗口ガイドラインについての通知が出ており、この中で、歯科保健の有効な手段としてフッ化物の応用は重要であるとし、フッ化物洗口は、特に4歳児から14歳までの期間に継続実施することが虫歯予防対策として最も効果が大きいと示されています。つまりは、厚労省が推進しているわけであります。 本県の子供の虫歯の状況について見ると、乳幼児については、平成17年度の3歳児健診によると、3歳児1人当たりの虫歯本数は1.44本であり、全国平均は1.14本となっており、全国平均よりも0.3本多く、また、児童生徒の虫歯の状況については、平成18年度学校保健統計調査によると、12歳児、中学1年生の1人当たりの虫歯本数は、熊本県が2.4本であり、全国平均の1.71本と比較して高い状況にあり、最も少ない新潟県の1.0本の2.4倍に当たっています。ですから、熊本県はどうするかということであります。 最近、保育所、幼稚園では、フッ化物洗口による虫歯予防対策に取り組むようになってきました。平成18年3月時点では、県内の保育所、幼稚園のフッ化物洗口の実施率は28.6%となっており、増加傾向にあります。これに対して、小中学校になると、小学校が県内で3校、全体の0.6%、中学校が県内で2校、全体の1%で、ほとんど取り組まれていないのが現状であります。 このような中、我が宇城市においては、平成19年3月、保育所、幼稚園の実施率は96%までに達しています。これは、保護者の理解のもとに、保育所、幼稚園、歯科医師会、市町村、保健所等の連携により実現したものであります。しかしながら、残念なことに、小中学校になるとゼロの状態であります。 他県を見ると、全国的には新潟県や愛知県、九州では佐賀県がフッ化物洗口に積極的に取り組んでおり、大きな効果が出ていると聞いております。 本県においても、保育所や幼稚園でフッ化物洗口を実施してきたのに、小学校になった途端途切れてしまうのは虫歯予防の観点からは非常に残念なことであります。 フッ化物洗口は、家庭において保護者の責任で実施すべきという考え方もありますが、確かに基本的には個人レベルの問題かもしれませんが、家庭任せでは保護者によって子供たちの歯の健康に差が生じることにもつながり、その点を考慮すると、永久歯の虫歯予防に最も効果のある学童期に、将来を担う子供たちに予防する機会を平等に設けるという考え方も大切ではないかと考えます。
教育委員会においては、先進県を参考にされて、実際に今取り組んでいる小中学校の実態調査、あるいは新たに幾つかのモデル校で実践し、その効果を検証していくといった取り組みなど、フッ化物洗口の推進に向けた取り組みはできないのか、お尋ねいたします。 〔教育長柿塚純男君登壇〕
◎教育長(柿塚純男君) 学校におきます歯科保健は、これまでも虫歯予防を中心とした取り組みが行われ、子供たちの生涯にわたる健康づくりの基礎を培う上で効果を上げてきていると認識をしております。 虫歯予防は、フッ化物活用による歯の質の強化、歯磨きによる歯垢の除去、適正な食習慣の確立など、これらを総合的に進めていく必要がありまして、小中学校では、保健学習や保健指導を通しまして、虫歯や歯周病の予防に関する知識や歯磨きの習慣を身につけさせているところであります。 フッ化物活用には、フッ化物配合歯磨き剤など幾つかの方法がありますが、その中でフッ化物洗口につきましては、先生もお触れになられましたが、厚生労働省からガイドラインが出され、これを受けまして、文部科学省からフッ化物活用についての指針が示されておりまして、その指針では、フッ化物洗口の実施に当たり、学校歯科医の管理と指導のもとに、教職員や保護者等がその必要性を理解し、同意が得られるようにするなどして、しっかり手順を踏んで実施する必要があるとされております。 私ども県
教育委員会といたしましては、フッ化物洗口は、虫歯予防について個人差はあるものの一定の効果はあると認識しておりますが、保護者、学校関係者、市町村等において十分に理解されているとは言えない状況であります。 現在、小中学校で実施しておられます先進県の情報収集や玉東町、旧波野村の実績等を検証させていただきますとともに、市町村
教育委員会とさらに連携を深めて、フッ化物洗口について正しい理解の啓発に努めてまいりたいと考えております。 〔守田憲史君登壇〕
◆(守田憲史君) このフッ化物洗口について、今までちょっとヒアリングさせていただきましたが、フッ素の保管に問題がいろいろある、子供たち、小中学生が誤飲するかもしれない、そして保護者の反対もあるからという説明も受けたんですが、実際宇城市は96%余、保育園児がもう実施しているわけでありまして、保母さんの方が保管もなさっておるし、保育園児が誤飲をするというのも――なら、小中学生で誤飲て――ですね。保護者の反対もですが、これはちょっと自分の考えですが、やはり、もし同意を得られないなら、その子供さん方には、説得している間しばらくは遠慮していただく形ででも、もう効果がはっきりしているんだったならば、ぜひやっぱり実施していただきたい。そういうことが本質的な問題でないならば、もう走りながら考えるではありませんが、現実的な問題はその都度解決していただくやっぱり積極性が必要ではないかと考えるところです。まずは重い腰を上げていただきたいと注文するところでございます。 次に、サッカー、ロッソ熊本への支援について質問させていただきます。 上田泰弘先生は、中学校のとき、サッカー日本一でいらっしゃるそうですが、私も、小学校のとき、九州大会、優勝いたしました。ポジションはセンターフォワードでありますが、今はセンターフォワードと言ってもそんなポジションとか名前はないそうでありまして、ちょっと昔の話になります。私の長男も、小学4年の幸生もサッカー好きでございまして、家族連れ連れロッソには何回も応援に行っているところでございます。 その支援について。 去る12月3日、サッカーのJリーグ理事会において、ロッソ熊本のJリーグ2部昇格が承認されました。2004年に「熊本にJリーグチームを」県民運動推進本部が立ち上げられ、その後、ロッソ熊本が発足してわずか3年で、国内サッカーリーグの最高峰であるJリーグへの参入を実現するという快挙をなし遂げました。これも、監督、選手はもとより、関係各位の並々ならぬ御努力のたまものであり、深く敬意を表しますとともに、心からお祝いを申し上げる次第でございます。 さて、ロッソ熊本は、熊本初のJリーグチームとして熊本の活性化に大きく貢献するものと期待されます。運営会社である株式会社アスリートクラブ熊本の試算によると、ホームゲーム開催等による経済波及効果は、年間約12億円との試算もあります。福岡や鳥栖との九州ダービーの開催により、多くのサポーターが九州新幹線を利用して熊本入りするかもしれません。 また、児童生徒を対象にしたサッカースクールの開催や老人施設等への訪問等を通じた多面的な社会貢献、地域のスポーツ振興の拠点としての役割が期待されるなど、熊本に元気と活力を与える起爆剤となるものであります。 ロッソ熊本が、今後このような役割を十分に果たしていくためには、引き続き、サポーターや各企業、団体、行政等、県民挙げての支援を続けていくことが必要不可欠です。もちろんロッソ熊本の自助努力が必要であり、例えば、現在、持ち株会を設立され、1口5万円で入会を募られているようですが、1万円とか5,000円とか、もっと多くの県民から協力がいただけるような方法でチームとのかかわりが持てるようにするなど、県民のチームとして幅広い支援を獲得する必要があると思います。 しかし、自助努力だけでは限界があり、県民挙げての支援に弾みをつけるためにも、行政が率先して積極的に支援していく姿勢を示すべきではないでしょうか。 そこで、県として、Jリーグチームとして新たな夢に向かってスタートを切るロッソ熊本に対して、出資や施設使用料の減免措置等の財政的な支援を行うべきであると考えますが、どのように考えておられるのか、
総合政策局長にお尋ねいたします。 〔
総合政策局長木本俊一君登壇〕
◎
総合政策局長(木本俊一君) ロッソ熊本が多くの県民の期待にこたえられ、念願のJリーグ入りを果たされたことは、県としても大きな喜びでございます。 民間主導で始まりました熊本にJリーグチームをという県民運動は、熊本の元気づくりにつながるものと考えまして、県としても、Jリーグ加入のために最も必要とされる試合会場及び練習場の確保を初め施設の利用についての配慮など、これまでもさまざまな支援を行ってきたところでございます。 ロッソ熊本の安定的な活動につきましては、第一義的には運営会社であります株式会社アスリートクラブ熊本の経営努力が求められるところでございますが、熊本で唯一のJリーグチームでありますことから、県としても引き続き応援してまいりたいと考えております。 お尋ねのありました財政的な支援につきましては、県の財政状況が厳しい中で、各種団体等への行政の関与のあり方、他のスポーツ団体とのバランス等も勘案しつつ、ロッソ熊本がより身近で愛着の持てるチームとなるよう、県民の理解が得られる支援について検討してまいりたいと考えております。 〔守田憲史君登壇〕
◆(守田憲史君) 知事に政策的判断としてお尋ねしようとも考えておりましたが、きょうは、元宇城振興局長の木本
総合政策局長に質問いたしました。 Jリーグで安定的な運営を行うためには経営基盤の強化が必要です。現在、Jリーグに加盟している31のクラブのうち、20のクラブに自治体が資本参加しており、地域に根差したチームとして行政が一緒になって盛り立てています。 さまざまな事柄を総合的に勘案しながら検討する必要があることは承知しておりますが、熊本に元気と活力、そして大きな夢を与えるロッソ熊本に対して支援することは、県民にも十分納得していただけるものと思います。Jリーグ入りが決定し、県民運動が盛り上がっているこの時期を失することなく、適時の対応をお願いいたします。 宇城市では今まで、Jリーガー、礒貝、巻が生まれております。今宇城市もサッカーアカデミーを誘致しておりますので、その点もよろしくお願い申し上げます。 次に、医療制度改革についてお尋ねいたします。 今回の医療制度改革のねらいである医療費適正化の方策として、生活習慣病予防対策と平均在院日数の短縮という政策目標が掲げられております。 長期にわたる療養を必要とする患者のための療養病床については、医療保険適用の病床が、全国で約25万床、本県で約7,000床あり、介護保険適用の病床が、全国で約12万床、本県で約4,000床あると言われております。 この療養病床の実態としては、医療の必要性が必ずしも高くない患者も多く入院しており、平均在院日数の長期化にもつながっているとの指摘もあります。このような状況を是正するため、今回の改革の一環として、療養病床の再編成が打ち出されました。 具体的には、国は、平成23年度末までに介護保険適用の病床を廃止するとともに、医療保険適用の病床を、医療の必要性の高い患者に絞り、約15万床に削減し、その廃止、削減する療養病床の患者については、療養病床を老人保健施設等の介護保険施設に転換し、受け入れる考えを示しております。 しかし、本県における介護保険施設の現状を見ますと、特別養護老人ホームは、現在でも定員いっぱいで、待機者がいるような状況であり、本来はリハビリが目的の老人保健施設に特別養護老人ホームの入所希望者が流れ込んでいる状況で、3カ月から6カ月で、医療機関と老人保健施設の間を回っている患者もいると聞いております。 今回の療養病床の再編成では、自宅も受け皿とする考えであり、これに伴って、介護と連携した在宅医療の基盤整備が必要となりますが、現状では、それを支援する在宅療養支援診療所の整備が十分でなく、環境がまだ整っていないという状況であります。 また、核家族化や共働きの増加などによって家族の介護力が低下している中で、療養病床に入院している患者を自宅等の住まいへ返すことは極めて困難です。 さらに、平成12年度の介護保険制度の導入に伴い、設備投資をして療養病床を整備した医療機関も多く、まだ7年しかたっていない現状で、当時の負債を抱える医療機関では、転換のための新しい負担は経営面から難しいという声も聞こえてきます。 今回の改革は、国の進める持続可能な社会保障制度を構築するためのものであることは理解しておりますが、このように多くの問題がある中で、入院患者の中からも、病院から追い出されるのではないかという不安の声も聞こえてきます。 県は、国の方針を受け、医療の必要性の高い方に対しては医療保険適用の病床でサービスを提供し、医療の必要性の低い方には適切な介護サービスを提供するという考えで地域ケア体制整備構想を策定し、介護保険施設等への転換を推進すると聞いておりますが、療養病床の転換がスムーズに進まない場合、医療難民や介護難民が発生することも考えられます。 そうした状況に対して県としてどのように対応していくのか、
健康福祉部長にお尋ねをいたします。 〔
健康福祉部長岩下直昭君登壇〕
◎
健康福祉部長(岩下直昭君) 今回の医療制度改革は、医療から福祉にわたる総合的な改革でございまして、県といたしましても、部局を横断した組織であります医療制度改革対策会議を設置いたしまして、総力を挙げて取り組んでいるところでございます。 療養病床の再編成は、県民に直接関係する極めて大きな改革でございまして、この再編成を円滑に進めますため、本年度中に、熊本県における医療費の見通しに関する計画、これに基づきまして、療養病床の転換目標数を定め、目標を達成するための病床の
転換計画等を含む地域ケア体制整備構想を取りまとめる予定といたしております。そのため、今月の中旬から、県政パブリックコメント手続を実施したいというふうに考えております。 構想の取りまとめに当たりましては、特に、利用者中心の視点、これを基本に置きまして、現に療養病床に入院されている方々が適切な医療または介護のサービスが受けられますよう、支援体制の構築等、対応策の検討を積極的に行っているところでございます。 この構想の検討過程で明らかになりました課題等につきましては、その都度必要な措置を国に対して提案、要望しておりまして、国は、療養病床の転換先として、従来の老人保健施設よりも医療提供体制を強化しました施設の創設を打ち出しますなど、国の具体的な転換支援措置に反映されておるところでございます。 しかし、本県では、療養病床が10床程度の小規模な有床診療所が多く、こうした診療所では、転換先であります老人保健施設等の設備そして人員基準を満たすことが難しいことなどから、施設転換の判断に苦慮されている状況がございます。 このため、再編成に伴う新たな課題等を整理し、有床診療所に対する転換支援策の拡充等につきましても、国に対し、さらなる支援措置を提案しているところでございます。 また、利用者が行き場を失うことがないように、県といたしましても、医療関係団体等との検討会議を頻繁に実施いたしますなど、入院されている方が状態に応じて入所を継続できますよう、療養病床の計画的な転換を推進してまいりたいと考えております。 さらに、不安を取り除く上で重要な役割を果たします相談窓口を高齢者支援総室と医療政策総室に設けておりまして、引き続き県民の皆様に最新情報の提供を行ってまいります。さらに、関係市町村や医療機関等とも十分な連携体制をとることによりまして、療養病床の再編成に係ります県民の皆様の不安解消に努めてまいります。 〔守田憲史君登壇〕
◆(守田憲史君) 誤解を恐れずに言わせていただくなら、知事に怒られそうでございますが、終わりよければすべてよしではありませんが、人生の最終の最後は、皆で支え合うのが福祉の基本と考えるところでございます。医療難民、介護難民だけは避けていただきたいとお願いするところでございます。 それでは、要望に入ります。 主要地方道小川嘉島線の歩道整備について。 主要地方道小川嘉島線は、宇城市小川町と上益城郡嘉島町を結ぶ主要道路であり、2車線での道路整備はおおむね済んでおります。また、小川町の歩道整備については、国道3号から主要地方道小川泉線の交差点間で進められており、現在町中心部の整備に取り組んでいただいておるところでございます。 今回要望します小川町海東地区においては、交通量が多く、特に大型車の通行が多い状況ですが、歩道がないため、通学における学童の安全確保を心配しております。早期の歩道整備について土木部で検討していただきますよう要望します。 次に、全国豊かな海づくり大会について。 一般海面漁業における漁業生産は、水産資源の減少、水産物価格の低迷、漁業者の高齢化等から、本県を含め全国的にも減少傾向が続いています。しかしながら、海外における漁業資源の確保に対する制限が多くかかってきた現在、沿岸漁業等における水産資源の回復が望まれております。 このような中、先月、滋賀県で開催された全国豊かな海づくり大会がテレビで生中継されていました。全国豊かな海づくり大会は、魚や貝などの水産資源を保護しふやすことと海の自然環境を守ることの大切さをみんなで考えることを目的として、昭和56年から、海のある都道府県で毎年開催され、ことしが27回目の開催となっていますが、熊本ではまだ開催されていません。 天皇、皇后両陛下の御臨席を仰ぐこの大会を熊本県において開催することは、水産資源の回復、増大を図り、さらには、海の環境保全に対する意識を醸成するとともに、本県水産業を継続的に発展していくための契機になると考えています。 熊本県の財政状況を考えると、現時点での誘致は難しいと思われますが、まだ13都道府県で開催されていません。ですから、熊本県が飛ばすというわけにもいかないわけでありますから、この10年ぐらいの中で、絵にかいたもちではございませんので、ぜひ、全国に熊本をPRするためにも、一巡するまでに熊本県での開催を、特に宇城市三角町で開催されることを望むところでございます。 私は、今回、
一般質問のメーンとしまして、潮谷知事に対して、3期目に臨むに当たり、川辺川ダム問題の賛否を具体的に示し、みずからの信を問うべきであるという内容で自分ながらの論戦に臨むつもりでおりました。大分気合入れて、1週間、こればっかりにかかっておったのでございますが、不出馬ということなので、空白の15分間ができて慌てたところでございます。 つたない質問になりましたが、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(馬場成志君) 以上で本日の
一般質問は終了いたしました。 明8日及び9日は、県の休日のため、休会でありますので、会議は来る10日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第4号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後3時11分散会...