昭和62年 6月
定例会┌──────────────────┐│ 第 八 号(六月二十六日) │└──────────────────┘ 昭 和 六十二年
熊本県議会六月
定例会会議録 第八号──────────────────────────昭和六十二年六月二十六日(金曜日) ─────────────────────
議事日程 第八号 昭和六十二年六月二十六日(金曜日)午前十時開議 第一
一般質問(議案に対する質疑並びに県の
一般事務について) 第二
常任委員会に付託(第一号から第二十三号まで) 第三 委員会に付託(請願 陳情) 第四 休会の議決 ─────────────────────本日の会議に付した事件 日程第一
一般質問(議案に対する質疑並びに県の
一般事務について) 日程第二
常任委員会に付託(第一号から第二十三号まで) 日程第三 委員会に付託(請願 陳情) 日程第四 休会の議決 ──────────○──────────
出席議員(五十六名) 松 村 昭 君 高 野 誠 一 君 水 野 秀 昭 君 吉 本 賢 児 君 村 上 寅 美 君 草 村 照 君 久 保 立 明 君 福 村 三 男 君 鬼 海 洋 一 君 本 田 良 一 君 前 田 貞 治 君 池 田 貞 俊 君 小早川 宗一郎 君 前 畑 淳 治 君 野 田 将 晴 君 荒 木 詔 之 君 島 田 幸 弘 君 島 津 勇 典 君 大 西 靖 一 君 岩 下 榮 一 君 中 島 絹 子 君 中 島 隆 利 君 倉 重 剛 君 山 本 靖 君 渡 辺 知 博 君 舟 津 正 光 君 西 岡 勝 成 君 深 水 吉 彦 君 阿曽田 清 君 橋 本 太 郎 君 三 角 保 之 君 山 本 秀 久 君 永 田 健 三 君 堀 内 常 人 君 八 浪 知 行 君 鏡 昭 二 君 髙 田 昭二郎 君 古 閑 一 夫 君 大 森 豊 君 馬 場 三 則 君 古 閑 三 博 君 平 川 和 人 君 北 里 達之助 君 金 子 康 男 君 広 瀬 博 美 君 柴 田 徳 義 君 米 原 賢 士 君 永 田 悦 雄 君 小 材 学 君 八 木 繁 尚 君 幸 山 繁 信 君 池 田 定 行 君 水 田 伸 三 君 小 谷 久爾夫 君 今 井 洸 君 酒 井 善 為 君
欠席議員(なし) ───────────────────説明のため出席した者 知事 細 川 護 熙 君 副知事 山 内 新 君 出納長 伴 正 善 君
総務部長 佐 藤 達 三 君
企画開発部長 原 口 恒 和 君
福祉生活部長 小 澤 豪 君
衛生部長 星 子 亘 君
公害部長 佐 藤 幸 一 君
商工観光労働 部長 森 弘 昭 君
農政部長 松 村 敏 人 君
林務水産部長 藤 門 豊 明 君
土木部長 福 島 正 三 君
公営企業 管理者 道 越 温 君
教育委員会 委員長 安 永 蕗 子 君 教育長 田 嶋 喜 一 君
警察本部長 鈴 木 鎗 一 君
人事委員会 事務局長 成 松 史 郎 君
監査委員 木 原 章 三 君 ───────────────────
事務局職員出席者 事務局長 大 山 清 勝
事務局次長 前 田 利 郎
議事課長 大 間 照 男
議事課長補佐 山 下 勝 朗 ―――――――○――――――― 午前十時四分開議
○議長(
永田悦雄君) これより本日の会議を開きます。 ―――――――○―――――――
△日程第一
一般質問
○議長(
永田悦雄君) 日程に従いまして日程第一、昨日に引き続き
一般質問を行います。
深水吉彦君。 〔
深水吉彦君登壇〕(拍手)
◆(
深水吉彦君) おはようございます。定例会の最後の質問の機会を与えていただきました自民党の深水でございます。質問に入ります前に、知事、執行部並びに議員の皆様方には、多年にわたって
水俣病対策を県政の
重要課題として特段の御配慮、御尽力を賜り、
地元議員といたしまして衷心より感謝とお礼を申し上げます。 なお、
原口企画開発部長は、きょうの新聞によりますと
大臣官房へ御栄転の由、私と最後の質問を交えることができますのも何かの因縁だろうと思います。よろしくお願いをいたします。 年二回の
県債発行時期を迎えるころになりますと、私は必ず胃が
痛み体調を崩しますのが慣例でございますが、きょうは、あえて石垣を飛びおりるつもりで質問をさせていただきたいと思います。
水俣病対策についてお尋ねいたします。 第一は、
水俣病対策の一環として、また、
地域振興の核として位置づけられ、積極的に取り組んでおられる
公害防止事業埋立地の活用についてお尋ねをしたいと思います。 現在県が実施されております
公害防止事業によりまして、昭和六十五年三月には新たに五十八ヘクタールの埋立地が水俣湾において造成されることになっております。私どもの水俣市は、
森林面積七四%という容易に開発が可能な
平たん地が少ない。また、水俣病の発生は、地域に深刻な影響を与え、社会、経済などさまざまな面において
地域活力の高揚に支障を来しているところでもございます。今
水俣地域におきましては、水俣の
再生振興の
目標提示とともに、新しい
地域イメージの創出が大きな課題となっております。埋立地の活用に対しましては、地元の水俣・
芦北地域はもちろんのこと、各方面から
地域振興の中核となるものと大きな期待と関心が寄せられておるところでございます。 このような状況の中で、知事におかれましては、昨年の五月に
環境庁企画調整局長と
公害防止事業埋立地活用策懇談会を設置されました。この埋立地の活用策について調査、御検討いただき、先般活用策の基本的な方向と考え方が
懇談会意見として示されたところであります。まことに時宜を得た懇談会の設置であり、地元を代表いたしまして、知事を初め熱心に御検討いただいた委員の皆様方に感謝を申し上げる次第でございます。 さて、発表された
懇談会意見によりますと、埋立地の
恒久的利用が可能となるまでの当面の利用として、
公害防止事業の
完成記念と
環境復元をアピールするために、人間と環境のかかわりをテーマにしたイベントを開催することを挙げております。また、
恒久的利用としましては、
周辺地域の活用も含めて、レジャー、
レクリエーション基地と花と緑の
増殖基地の形成を目標に、公園、
花卉栽培農園、
社会体育施設、
再生水俣の
シンボル施設の導入を提言しております。地域の特性や雇用の増大を考慮した意見と一応の評価をしていますが、提言を受けてどうして実のあるものにつくり上げていくかが問題であり、この
懇談会意見あるいは提言の活用策についてどのように考えておられるのか。また、今後どのように活用策を具体化していくお考えなのか、ぜひ知事にお伺いをいたします。 次に、水俣病問題の展望についてお尋ねをいたします。 地元におりますと、昨今
各界各層の市民の間から、水俣病問題を解決するためには、地元としてもなお積極的に取り組んで発言や提言をし、
自分たちも参加しようという声を聞きます。また、水俣病を克服した
まちづくりに取り組んでいこうという空気が広がっております。地元からこのような前向きの声がさらにほうはいとして沸き上がってくれば、水俣病問題の解決を見る日も近いのではなかろうかと思うのでございます。何か明るいともしびの一点に手が一歩近づきつつあるような気持ちもいたします。 私どもは、水俣病問題が一日も早く解決し、水俣市が活力ある地域に再生する日を待望いたしているところでございます。
認定業務が促進され、
水俣湾等の
公害防止事業が順調に推移しているのを現地で目の当たりに見聞し、さらに、このような前向きの声を聞きますとき非常に意を強くいたしているところでもあります。我が党の
金子先生の質問に
基本姿勢を示されましたが、このような状況を踏まえて、今後の水俣病問題の展望といいますか、あるいは感触について知事の率直なお考えをお尋ねいたします。 〔
知事細川護熙君登壇〕
◎知事(
細川護熙君) 水俣湾で実施している
公害防止事業によって造成される埋立地の活用策についてのお尋ねでございましたが、この埋立地の活用は、シナリオにおきまして水俣・芦北圏の
重要施策と位置づけておりますし、また水俣・
芦北地域振興計画におきましても、その
有効利用を主要なプロジェクトとして掲げているものでございます。さらに、埋立地の
有効利用につきまして、関係各方面からも期待が寄せられているところでございますし、
利用方策の基本的な構想が検討されるべき時期だと考えております。 お話がありましたとおり、埋立地の活用策につきまして御検討いただくため、昨年の五月に環境庁と合同で
埋立地活用策懇談会を設置いたしまして、先般その基本的な方向と考え方が示されたところでございます。
懇談会意見の活用策につきましては、
水俣地域の現状と特性、地元の要望等を十分踏まえて検討されておりまして、当面の利用、
恒久的利用のいずれも
地域振興の中核として実現化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 具体化につきましては、県議会の御理解をいただき、本年度当初予算に
公害防止事業埋立地活用策可能性調査事業費を計上させていただいておりますので、早急に懇談会の意見をまとめまして、環境庁とともに
事業主体、
事業規模あるいは事業の
採算性等を検討するための
事業化調査を実施していきたいと思っております。 いずれにしても、埋立地の活用が地域の振興の核になるわけでございますので、今後具体化に向けまして早急に詰めをしてまいりたいと思っております。 それから、今後の水俣病問題の展望についてお尋ねでございましたが、私が就任をいたしました五十八年ごろを顧みますと、当時は、まだ
認定業務につきまして多くの未処分者を抱え、また、
公害防止事業につきましても、差しとめ訴訟の影響もあって工期の延長、事業費の改定が問題にされるという状況にあったわけでございますが、そういう状況の中で議会の御支援と御協力を賜りながら、
認定業務の促進、
公害防止事業の促進による環境の復元、さらに地域の振興を柱として努力をしてまいったところでございます。 最近では、お話のように、
認定業務も
公害防止事業もまずまず順調に推移をしていると受けとめているわけでございまして、また、
地域振興につきましても、ただいまお答えを申し上げましたように、御提言をいただき、今後その具体化に向けて取り組んでいくわけでございます。そういう状況を考え合わせますときに、確かにお話がございましたように、着実に展望が開けつつあるのではないかと考えているところでございます。 なお、現地におきまして水俣病問題の解決のために積極的な声がこれまで以上に高まりつつあるということで心強く思っておりますが、今後とも
水俣病対策推進のためなお一層努力をしてまいらなければならないと思っておりますので、
関係各位の御理解と御支援を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) 今後埋立地の活用に積極的に取り組んでいただくという御答弁をいただきまして心強い限りでございますが、活用策の実現に当たりましては、県、地元、水俣市はもちろんのこと、国の御支援、御指導が不可欠と思います。環境庁におきましては、ただいま知事のお話のように、
懇談会検討調査費として四百万を計上されるということでございます。今後も環境庁を初め
関係省庁の積極的な協力を得られますよう知事に特段の御努力をお願いする次第でございます。なお、
水俣病対策でも大変御心労をおかけいたしますが、知事初め議会の皆様方の今までに増してのお力添えをよろしくお願い申し上げます。 次に私は、
水俣病対策のうち水俣湾及び
丸島漁港の
公害防止事業についてお尋ねをし、さらに、これら
公害防止事業に伴い、新たに再生する水俣湾とその
周辺地域の活性化のための
マリンタウンプロジェクト調査、いわゆる
MTP調査についてお尋ねをし、最後に、
特別医療事業並びに県債問題につきまして一言御要望をしたいと思います。 まず、
公害防止事業についてでありますが、
水俣湾公害防止事業は、御承知のとおり、去る五十年に事業を開始して以来、その間紆余曲折はございましたものの、最近では工事も順調に推移しております。
水俣市民にとりましては、
予定どおりこの事業が完了し、水俣湾がかつての清浄な海に復元されることを心待ちしております。 ところで、かつて
細川知事は、
ヘドロ処理中止を考えられたことを思い浮かべますときに、
工事完了に決断していただいたことを知る一人といたしまして感無量の気がするわけでございます。 また、
丸島漁港公害防止事業につきましては、本議会に
工事請負契約の締結のための議案が提出されているところでございますが、この事業につきましても、現在水俣市が実施しております
百間丸島水路の
公害防止事業と相まって、水俣市全域の
環境復元を図るために一日も早く工事が再開されることを願っておるところでございます。私は、これら
公害防止事業は
認定業務の促進とともに極めて重要な
水俣病対策の一つであり、また、先ほどお尋ねしました埋立地の活用と相まって早急に事業を完了する必要があると考えるものであります。そのような観点から、これら
公害防止事業の
進捗状況とこれからの予定についてお尋ねをしたいと思います。 次に、現在県が
運輸省並びに水俣市と共同で実施している
MTP調査についてお尋ねいたします。 この調査は、水俣湾及びその周辺の海域及び陸域の特性を有効に活用することによって
地域振興の
具体的方策を明らかにし、いわゆる海辺の
まちづくりを推進するものでありますが、私といたしましては、先ほど申し上げました
水俣湾等公害防止事業が完了した後の
水俣地域の振興を図る上で大変有意義な調査であると、地元を挙げて期待しておるところでございます。
水俣湾等の
環境復元が実現しつつある現時点において、新しい水俣港づくりを目指し、有効な計画を策定していただくことは、
跡地懇談会の提言と並行して水俣市の将来に明るい展望を開くものと確信するところでございます。このように大変期待いたしておる
MTP調査について調査の現時点での
進捗状況についてお尋ねしたいと思います。 最後に、
特別医療事業並びに
チッソ県債問題について一言御要望を申し上げます。
特別医療事業については、昨年この事業が発足するに当たっても、私は地元の議員の一人として私なりの考え方や意見あるいは要望を申し上げてきたところでありますが、聞くところによりますと、この事業は、実施以来今日まで順調に推移し、この事業の適用を希望する人が最近特に増加しているとのことでございまして、六十二年五月末現在四百六十五名に適用されたと聞いております。また、この事業が
認定業務の促進のために成果を上げているものと私なりに評価もしているわけでございます。しかし、この事業に該当しながら適用を希望しない人もまだ残っているようであります。これにつきましては地元でいろいろな人からいろいろな意見を聞くわけでございますが、この事業を評価しつつも、なお、率直な意見として
事業内容をもう少し充実させれば、もっと効果があるのではないかという声があります。 もとより私は、この事業の趣旨や目的は
十分承知をいたしております。この事業の効果を一層高めるために、先日我が党の
金子議員の質問に対する知事の答弁にもありましたが、この事業の充実に前向きで取り組んでいただきますよう御要望を申し上げたいと思います。 次に、
チッソ県債についてでありますが、御承知のとおり、この県債はチッソの
経営基盤の
維持強化を通じて、患者の
補償金支払いに支障が生じないように配慮しながら、あわせて
地域経済社会の安定に資することを目的として昭和五十三年から発行されているものであります。その後、既に十七回にわたり発行され、その発行額が多額になっているにもかかわりませず、
水俣病対策の円滑な推進のために勇断をもって対処されていることに知事並びに議会に対して改めてお礼を申し上げたいと思います。我が熊本県の実情等を考慮いたしますとき、
地元選出議員の一人として心を痛めているところでもございます。 現在県債は、五十九年十二月の
水俣病関係閣僚会議の申し合わせにより、六十二年度の
補償金支払い分まで発行するものとされておりますが、昭和六十三年度以降の取り扱いにつきましては、今後検討が行われるとの答弁が本議会においてもなされております。本県としての方針は、これから執行部と議会が一体となって慎重に検討されていくことになろうかと存じますが、ここで御要望したいのは、地元・水俣市の
各界各層の意見にも十分耳を傾けていただきたいと思うことでございます。
チッソ県債の昭和六十三年度以降の問題につきましては、これから大変な時期を迎える折、一言御要望を申し上げまして
水俣病対策についての質問を終わりたいと思います。 〔
公害部長佐藤幸一君登壇〕
◎
公害部長(
佐藤幸一君)
公害防止事業の現状と今後の予定についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり、
公害防止事業は、水俣湾を初めといたしまして、ほか二カ所で実施しているわけでございます。 まず、水俣湾の
公害防止事業について御答弁申し上げますが、五十五年の
工事再開以来順調に進捗しておりまして、第一工区の四ヘクタールは既に
フェリー埠頭等の整備を終えまして、
通称みどり埠頭という呼称で六十年一月から暫定的に供用を開始しているところでございます。第二工区の五十四ヘクタールにつきましては、六十年十二月より本格的に
しゅんせつヘドロの投入を開始しまして、現在八割の投入を終了したところでございます。年内にはヘドロの
しゅんせつ及び投入を完了する予定でございます。また、
丸島漁港に堆積しておりますヘドロにつきましては、
丸島漁港公害防止事業として、本年度中に
しゅんせつ及び投入を完了する予定となっております。 なお、水俣市が昨年から実施しております丸島百間水路の
公害防止事業につきましても順調に行われておりまして、
予定どおり本年度じゅうにヘドロの除去を終了するとの報告を受けているところでございます。 このように、本
年度じゅうには水俣湾、それから
丸島漁港及び丸島百間水路のヘドロの除去が完了することになるわけでございますが、今後水俣湾の埋立地の
表面処理、覆土等の工事を実施しまして、
予定どおり六十四年度には
公害防止事業を完了する見通しでございます。なお、これらの工事の施行に当たりましては、二次公害の発生を防止するために引き続き安全性に細心の注意を払い実施することといたしております。 次に、
マリンタウンプロジェクトの調査の
進捗状況でございますが、この調査は、昨年運輸省が二十一世紀の
港湾づくりを目的に
調査対象港として指定した
全国七つの港の一つに選定されたもので、水俣湾とその
周辺地域の特性を生かしながら、
公害防止事業により再生される水俣湾を中心に、海域と陸域を一体的に開発し、海辺の
まちづくりを推進するための調査でございまして、運輸省、県、水俣市の三者によりまして、昨年度から二カ年計画で実施しているものでございます。現在
港湾機能の整備、産業の振興、
観光レクリエーションの推進、それから
文化保養施設の整備など
構想策定の
基本方針に基づきまして、先ほど知事から説明がございましたように、
公害防止事業埋立地活用策懇談会の提言とも調和を図りながら
基本構想の検討を行っておりまして、本年秋ごろまでには
開発構想を取りまとめた後、本年度内にはその実現化のための方策等を含めた最終的な
調査成果を得ることとしております。 なお、本調査の中で明らかにされました施策につきましては、今後国及び水俣市等との調整を図りながら、その実現に向けて努力してまいりたいと思っております。 〔
林務水産部長藤門豊明君登壇〕
◎
林務水産部長(
藤門豊明君)
水俣病対策についての御質問のうち、
丸島漁港公害防止事業の
進捗状況と今後の予定についてのお尋ねでございますが、この事業は、
丸島漁港に堆積する二五ppm以上の水銀を含むヘドロ約一万一千八百八十立方メートルを
しゅんせつすることにより、
丸島漁港の浄化を図り地域の良好な環境を復元するとともに、あわせて漁船の円滑な航行と安全な泊地を確保するための
修築事業を実施するものでございます。 この事業につきましては、
水俣湾等堆積汚泥処理計画に基づき、
しゅんせつしたヘドロは水俣湾の埋立地に埋め込み処理することといたしておりまして、水俣湾の
ヘドロ処理との関連から、昭和六十二年度にはただいま
公害部長も触れましたように完了する予定でございます。 なお、この
事業実施に当たりましては、二次公害の発生を防止する観点から厳しい
監視体制のもとに施行することとし、工法としては、主として
カッタレスポンプ等ヘドロ拡散防止に有効な
しゅんせつ工法を採用するなど、安全性の確保に努めることといたしております。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君)
丸島漁港公害防止事業につきましては、水俣湾の
公害防止事業とともに二次公害を防ぐという意味で大変な御苦労をおかけするわけでございますが、どうぞ一日も早く安全に完了しますようお願いを申し上げておきます。 次は、私立高校の振興策についてお伺いいたしますが、前回の質問で私は、公立高校の地区制あるいは拠点校制をいろいろ御質問したわけでございますが、昨日の質問で大西先生が、生徒の急増急減期についての御質問をされております。私も、この急減期についていろいろの御意見を申し上げながら御質問してみたいと思います。 私立高校の振興策についてお尋ねしたいと思います。 県の積極的な取り組みが先ほどの大西先生の御質問でわかったわけでございますが、このような急減期を前に、私立高校が、これから私学の独自性を生かし、県の教育振興に重要な役割を果たしていくためには、学校の設備整備の充実や教職員の資質の向上が必要不可欠のことであるという観点から、私立高校の振興策についてお尋ねをしてみたいと思います。 本県の私立高校は、これまで建学の精神を土台にして独自の教育理念と教育への情熱によって特色ある教育を行い、本県の教育振興に大きく寄与してきたところでございます。その多くの私立高校が百周年を迎えることは御承知のとおりでございますが、現在私立の高等学校は二十二校で約二万二千人の生徒数を数え、割合でいいますと県下の高等学校の全生徒数七万三千人の約三〇%となっております。ちなみに、この割合は全国的にも非常に高く、八番目ということでございます。九州では福岡県の三八%に次ぐ第二位に位置しております。このように、県内の高校生の多くが私立高校にその籍を置き私学独自の教育を受けており、今後とも県民の私学に期待するところは大きいものがあろうと思います。公立高校との競争、切磋琢磨による本県の教育向上に役立ってきたと言えるのではないでしょうか。また、時代の変革が大きければ大きいほど、これまでの歴史が証明しますとおり、私学教育が重要性を増していくのではないかと考えております。 御承知のとおり、百年を迎える私立高校を例にとれば、大江高校の横井小楠の実学の精神に基づく、御教えよりはぐくみを優先する教育や、尚絅高校の勤労と礼儀をとうとぶ温良、貞淑な家庭婦人を育成する教育、また、鎮西高校の仏教の教えに基づく穏健、中正にして報恩、感謝の態度を持つ人材を育成する教育など、私学独自の建学の精神が百年の歴史を形成してきたと思います。このように、私学のより一層の教育内容の充実が本県教育の振興にとって不可欠であると考えます。 ところで私は、これから私学を取り巻く環境は一層厳しい状況になってくるのではないかと考えておる一人でございます。その一つは、御承知のとおり、昭和六十五年度以降高校生の大幅な減少が予測されてまいります。私立高校にとっては、その存立の問題も含めて深刻な問題となってきていることは御承知のとおりでありますが、もう一つは、我が国が国際化、情報化に向けて大変革を遂げており、私学にとっては、これらに的確に対応するための設備の改善を初め教員の確保など、厳しい財政状況の中でどのように教育内容を維持、充実させていくかが緊急の課題となっております。 私立高校では、これまでも私学の特色ある教育として中高一貫教育が実施されてきましたし、また、私学独自の自主性として、キリスト教や仏教の教えを基本とした宗教教育あるいは商工業関係の簿記や機械科に関する教育に精力的に取り組まれてきております。最近では、新しい時代に対応した教育内容を図るために、情報処理科、電子機械科、理数科といった新しい学科やコースの設置あるいはカリキュラムの充実などに努力されるとともに、習熟度別学級編制、しつけ教育、スポーツ、文化活動の充実など、実にさまざまな内容にわたって私学の独自性を生かした個性ある教育を実践しようと努力しておられるところであります。このような私学の活性化は公立の活性化にもつながり、双方相携えて県教育の発展が期待されるものと確信いたしております。 しかし、このような状況に対処するためには、コンピューターの購入や設備投資に相当の投資額を必要としてまいります。私学の取り組みは、あくまでも私学という限られた財政の枠の中での対応でございまして、最近のような急激な変化に的確に対応することは、財政的になかなか困難な面を有していると考えるわけでございます。このような私学の設備整備の充実について県ではどのような対策をとられているのか、お伺いいたします。 また、私立高校への関心は、施設の充実とともに、魅力ある学校づくりにおいてさらに重要なことは、どれだけすばらしい教職員を確保し、育てることができるかにかかっておるのではないかと思います。どれだけ施設が整備されても教職員の資質の向上なくしては、仏つくって魂入れずになってしまうことになります。県下の私立高校の教職員の数は約千三百人だと聞いておりますが、平均しますと三十数名の教職員で一校があろうかと思いますが、私学の魅力、伝統は、採用された教職員が、ほとんどの場合一生その学校に奉職するということから、教職員の資質と熱意が即その私学の魅力をつくり出すものと言っても過言ではありません。国の臨時教育審議会においても、教育活動の質的水準を高めるため、教員の資質向上が力説されているとおりであります。特に、商業、工業などの職業教育相当の教員には、実験、実習を中心とする指導力が強く期待されることから、エレクトロニクスを中心とした技術革新の進展に対応した指導方法などを改善するなど、限られた教員の中での積極的な研さん、努力に尽きるのではないかと考えます。県としても、私学の教職員の資質向上の努力に対してどのような方策を講じられているのか、お伺いいたします。 〔
総務部長佐藤達三君登壇〕
◎
総務部長(佐藤達三君) 私立高校の振興対策についてのお尋ねでございますけれども、国際化、情報化等経済社会の変化あるいは最近の急速な技術の革新に対応いたしまして、コンピューターを初めとした設備の充実を図ることは魅力ある学校づくりのために重要な課題であると考えております。 県といたしましては、このため昭和六十年度から特色ある学科を開設した場合に、これに必要な設備整備費を補助対象といたしました魅力ある私立学校づくり助成事業を創設しているところでございます。昭和六十年度には情報処理科、電子情報科を設置した二校に対しまして、また、昭和六十一年度には電子機械科、コンピューター事務科、情報処理科を設置した三校に対しましてパーソナルコンピューター、ワードプロセッサーなどの情報関連機器や、その附属設備などの実習用設備等の購入経費に助成を行ったところでございます。本年度も特色ある学科の開設を予定しております学校に助成を行いまして、魅力ある学校づくりを支援してまいりたいと考えております。 また、教職員の資質向上につきましては、各学校において独自の研修等を実施されているところでございますが、さらに、熊本県私立中学高等学校協会におかれましても、国語、社会、理科、英語等を初めとして十月の部会から成ります私学教育研修会を開催され、積極的に研さんを積んでおられるところでございます。特に工業部会では、昭和六十一年度から現在の高校教育を、最近のテンポの速い技術革新に対応させるために、工業関係の教科を担当しております教員を対象としたコンピューター関係の基礎、応用知識の研修を行い、メカトロ技術知識を有する教員の養成に努めておられるところでございます。 県といたしましても、このような取り組みに対し、研修費の助成を行いますとともに、昭和六十一年度につきましては、県工業技術センターの施設や指導スタッフを提供いたしまして協力したところでございます。また、数学、理科等、これまでの教科研修に加えまして、新しい情報処理学科の設置のため必要となる研修につきましても、県立教育センターで開催いたしております研修講座を利用されるよう便宜を図っているところでございます。今後とも私学の教職員の資質向上のため、できるだけの助成、支援をやってまいりたいと考えております。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) 県立高校の教育の果たす役割は言うに及ばず、教育県熊本の名が廃れかけておる今日、公立、私立高校のより一層の教育効果と御努力を期待いたしまして次に移ります。 JR山野線の廃止に伴う道路整備についてお尋ねをいたします。 国鉄山野線は、昭和十二年十二月全線が開通して半世紀、五十年、地域の産業、文化の振興に大きな役割を果たし、駅を中心に都市を形成してきたものでありますが、近年の急激なモータリゼーションの進展あるいは過疎化の進行などによってその利用人員は年々減少しており、国鉄再建という国家事業との絡みもありまして、第二次特定地方交通線として選定承認の申請がなされ、昭和五十九年六月には運輸大臣の承認がなされたことは御承知のとおりでございます。昭和六十一年十二月に開催されました第五回の協議会において、地域の交通の実態、国鉄の現状などを考えた場合、バス輸送を選択するという結論が出されてまいりました。転換後の具体的な事業やバス輸送のダイヤなどについては現在幹事会を開かれて検討されておりますが、最終的には協議会の場で決定されると聞き及んでおります。 いずれにせよ、山野線が地域の足として果たしてきた役割、住民の鉄道に対する愛着などを考えるとき、地域としては大きな不安を伴いながら一つの決断をしたものでございます。今後のバス輸送は、より地域に密着した利用価値の高いといいますか、利便性の高いダイヤにより、通勤、通学、通院等の足の確保が図られるものでなければなりません。 御承知のように、山野線沿線の地域は、何分山間地が多く、道路も狭隘な区間が多いことから、地域住民の足となる
代替バス輸送の円滑な運行を確保するために道路網の整備が必要になってくると思われます。そこで、次の二路線の整備について
土木部長にお尋ねをいたします。 まず第一点は、県道人吉水俣線の整備についてでありますが、この路線は、現在も中型バスが運行いたしておりますけれども、幅員が狭くてカーブが非常に多く、危険な状況であり、バス転換後は便数も多くなることなどが予想されまして早急な整備促進がまたれるところでございます。現状と今後の対策についてお聞かせいただきたいと思います。 次に、国道二百六十八号線の登坂車線についてでございますが、二百六十八号線は、水俣から県境までほとんどが上り勾配でありまして、追い越し規制や速度制限がなされており、熊本―大分、熊本―宮崎あるいは鹿児島空港線として車が急増いたしております。大型車の遅い車が前を走っておりますと、のろのろ運転を長時間強いられる状況でございます。この解決策として、現在国道三号線で国において施行されておりますような追い越し車線の設置はできないものか。 この二点について
土木部長にお尋ねをいたします。 引き続きそれではまいります。 次に、主要地方道芦北球磨線の整備についてお尋ねします。 この問題につきましては、地元の山本議員が何回となく力説されたところでございますが、本路線は、芦北・
水俣地域と球磨地域を最短ルートで結んだ沿線関係地域の生活道路としてはもとより、国道二百十九号線の迂回路としても極めて重要な幹線道路であります。昨年十月に国道二百十九号線が災害により通行不能になったのは記憶に新しいところでございますが、先日もまた再び土砂崩れによる交通規制がなされました。その唯一の迂回道路が芦北球磨線であります。急激にクローズアップをされた路線でもございます。二百十九号線通行どめのための交通量は急激に増加をいたしまして、地元は大変な迷惑と被害を出しておるところでございます。これまで県では、本路線については県南地域の重要路線としてその整備促進に取り組んでおるということでございますが、代替路線として果たす役割を考えますときに早急な全線の整備が望まれるところでございます。現状と今後の対応についてお尋ねをいたします。 次に、水俣市の河川公園の整備についてでございます。 水俣市の河川公園についてお尋ねいたしますが、私の地元・水俣市は、世界に類を見ない環境破壊により水俣病という公害を経験しました。人類にとって自然環境がいかに大切なものか。今後、いかに人間と自然環境とのよりよい関係を創造していくか。このような認識の上に、健康で快適な町あるいは花と緑に包まれた生活環境の創造に向けて新たな再生の道を歩み始めております。 ところで、私が機会あるごとに申し上げておりますのが河川の持つ環境機能の充実についてであります。従来の河川改修事業は、洪水防御のため、ただ治水ということだけに全神経が集中されてしまいまして、古くからの河川らしい自然性に富んだ面を保全するという視点は幾分失われているように思います。以前は、自然石を使った蛇篭工法等があり、間に柳を植え込むなど自然が生かされておりました。また、河床には転石があり魚の生息に役立っていましたが、ほとんど除去されております。河川には魚が住み清流に蛍が飛び交うという姿こそが私ども住民の願いであります。水俣川は流れる距離こそ短いものの、上流から下流まできれいな一級品の水でありまして、水俣では「水を制する者は」というような例えもあるほど水には関心が深いわけでございます。 もちろん、毎年のように激甚な災害をこうむっている現状、さらには昨今の財政事情から、治水事業を緊急かつ効率的に推進されている状況からやむを得ないものとは思いますが、今後改修を進めるに当たっては、ぜひとも魚巣ブロックの設置など環境面の配慮をお願いしたいと思います。この点につきまして今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お伺いをいたします。 ところで、県におかれては、水俣市の中心部を流れる二級河川水俣川において、川の中に川と池をつくるというユニークな河川公園を施行され、市民一同大変感謝しているところでありますが、私は常々、水俣市の
まちづくりは、水俣川を核として取り組まなければならないと申し上げております。また、市民の間からも水に親しめる河川公園をとの要望が強うございます。一方、水俣市では環境文化一〇%運動という活動が現在実践されております。これは、市民一人一人が余裕ある時間をつくり出しまして、その一〇%を草取り清掃などのボランティア活動に充てて市全体を美しく保っていこうというものでございまして、維持管理の面でも積極的に取り組んでいきたいと思いますので、ぜひともこれらの声を生かしてもらいたいと思います。 さらに、本年度中に建設省で策定される予定の二十一世紀を目指したわが町の河川整備構想のモデル市町村に水俣市が選ばれたと聞いておりますが、今後構想の中に地元の要望を十分配慮していただきますよう重ねてお願いをいたしまして、
土木部長に今後の取り組みについてお尋ねをいたします。 〔
土木部長福島正三君登壇〕
◎
土木部長(福島正三君) まず初めに、JR山野線の廃止に伴います道路整備についてでございますが、県道人吉水俣線の整備につきましては、この路線は、人吉市を起点といたしまして、鹿児島県薩摩布計を通り水俣市に至ります主要地方道でございます。このうちバス路線といたしましては、現在国道二百六十八号の分岐点から水俣市大川までの約十一・一キロメートルでございまして、この区間の改良率は昭和六十一年四月一日現在で三二・六%と相なっております。現在もバスが既に運行されておりますこの区間につきましては、今後とも整備促進に努めてまいる必要があると考えまして、水俣市深渡瀬地内の全体延長九百メートルと深渡瀬と久木野間の交通隘路部分につきまして、昭和六十二年度から事業に着手をいたしておるところでございます。 いずれにいたしましても、JR山野線の廃止に伴いますバス輸送の具体策につきましては、関係機関から成ります幹事会を経まして、山野線特定地方交通線対策協議会におきまして最終的に決定がなされるものと思われますので、それに対応した道路整備に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、国道二百六十八号の登坂車線についてのお尋ねがございましたが、二百六十八号は、水俣市から県境に向けまして地形的な関係から連続的に上り勾配が続いておるわけでございますが、特に越小場付近の約一千メートルの区間につきましては、勾配が七ないし八%と急勾配が続く区間となっておりまして、大型車などの影響による交通渋滞が生じておりますことは御案内のとおりでございまして、これの解消のために必要な調査を実施してきたところでございます。つきましては、この問題の解消を図るべく用地等の御協力を願った上で、昭和六十三年度から特定交通安全施設等整備事業として国の補助を受けるべく現在要望したいと考えておるところでございます。 次に、主要地方道芦北球磨線のお尋ねでございますが、この路線は、水俣・
芦北地域と人吉・球磨地域を最短距離で結ぶ産業経済上重要な道路でありまして、さらにはまた国道二百十九号のバイパス的役割も果たしており、その重要性は十分認識いたしておるところでございます。この路線の改良率は、昭和六十一年四月一日現在で既に八四%となっておりますが、さらに現在、塩浸地内と桑原地内で整備促進中でございます。 まず、塩浸地内でございますが、昭和五十六年度から延長千七百五十メートル区間の事業に着手をいたしまして、現道拡幅部分を中心に整備を図ってきたところでございますが、残りの部分につきましても、地元関係者の御協力を得ながら鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 次に、桑原地内につきましては、延長四百六十メートルを昭和六十一年度に事業着手いたしましたが、本年度内には完成をしたいと考えておるところでございます。 次に、水俣市の河川公園についてのお尋ねがあったわけでございますが、近年水辺空間に対する人々の関心が非常に高まってまいっておりまして、県といたしましても、水との触れ合いの場づくりとして河川敷の緑化、河岸の緑化保全、親水機能の確保などの環境対策を行っておるところでございます。お話のございました魚巣ブロック等の設置によります環境保全に留意した工法につきましては、本年度までに県下九河川で採用してきておるところでございますが、今後とも現場の状況も勘案しながら積極的に採用してまいりたいと考えております。 水俣市の河川公園についてでございますが、御案内のとおり、市民の方々からの御要望も大変強うございまして、県といたしましても、地域活性化の一助にと計画を策定し施行してきたものでございます。水俣川の河畔は、今までも市民の憩いの場として親しまれてまいったわけでございますが、干潮時には川の水がなくなりますために、川に住みついている白鳥などが露出した川底の上をなれない足取りで歩き回るなど、決して好ましい景観でもなかったわけでございます。このため、市民の方々が、水や水鳥に触れ合う場といたしまして、市役所前の水俣橋とその下流にあります幸橋の間に幅二十メートル、深さ一メートル、延長にして三百四十メートル程度のミニ河川を設けまして、さらに、広さ百五十平方メートル、深さ一メートルの池をつくったわけでございます。 ただ、立派なこういった施設をつくりましても、維持管理がうまくまいりませんと無用の長物といいますか、そういったものに化してしまうわけでございまして、維持管理こそがこの種の環境整備事業の成否を決するものと言われておるところでございますが、水俣市では、お話のございましたように、ボランティア活動の一環として積極的に取り組んでいただいており、大変感謝いたしておるところでございます。今後とも、河川公園の整備に当たりましては、見るだけではなく体験できる場を設けたり、さらには、地域特性等もあわせ考慮した施設づくりに努力してまいりたいと考えております。 最後に、お話のございました河川整備構想についてでございますが、今後県といたしましては、水俣市の方で設置される予定の検討会に参加させていただきまして、地域を初め市の皆様方と一緒になって議論、研究してまいりたいと考えておりますので、御理解、御協力をお願いいたしたいと存じます。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) 山野線対策については、鹿児島県側は既に対応工事に入っております。一年以内に廃止が決定するとすれば、
水俣市民の通勤通学や関係住民の生活に大きなマイナスとなります。どうか代替道路の整備改良に特段の御配慮をお願い申し上げますとともに、県予算におきましても重点配分あるいは投資をしていただきますよう、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 なお、芦北球磨線、八四%の
進捗状況ということでございますが、六十三年度中には完成ということでございますが、一日も早く完成していただきますようにお願いを申し上げておきます。 次に、水俣・
芦北地域振興計画における県内中核都市における中心市街地活性化方策についてお尋ねをいたします。 知事は、「熊本・明日へのシナリオ(県土デザイン編)」の中で、「熊本都市圏の都市機能を、一極集中傾向の抑制に配慮しつつ、県都にふさわしい整備を図るとともに、八代市をはじめその他の都市について、各都市の個性を生かした都市機能の充実を図り、それぞれの圏域における中核都市として育成する。」との
基本構想を示されておりますが、これは県土の均衡ある発展を図る上で極めて適切な方針であると思います。しかし、各圏域の中核都市、とりわけその中心市街地においては、それぞれの都市で活性化を目指し、一生懸命努力しているところでありますが、構想の計画策定の手法などその能力を十分有しておらず、なかなか実現化を目指した計画をつくりかねているところが多いのではないでしょうか。 こういう状況の中で、水俣市においては、これまで県初め関係者の強い支援によりまして、水俣中心市街地活性化計画、歳時記の街が策定されました。去る四月に建設大臣の認定を受け、六月二十二日市長に認定書が交付されました。これに先立ちまして、認定を記念して六月十九日、水俣市において「
まちづくりワークショップ」と題して公開の意見交換の場が設けられました。熱心な討議がなされましたが、これには県内の八代市、菊池市、荒尾市、本渡市、牛深市など八市町村の職員のほか、商店街の方々も多数参加をしていただきました。すなわち、この計画は一水俣市というにとどまらず、県内のほかの中核都市全体にとりましてもモデルを示したものではないかと私は思います。中小企業庁の商店街の近代化を目指したコミュニティ・マート構想モデル
事業実施地域の指定に先立ちまして、その前提となる地域商業計画として、さきに触れました建設省が提唱しております中心市街地活性化計画をもって充てることができるというふうにしていただいたということ。県の御指導があったとはいえ、建設省、通産省など国が手を携えて
まちづくりの支援をしていただくことは、地方にとりまして結構なことだと感謝をいたしております。 いずれにしましても、活性化計画に盛り込まれた事業について国の補助金等の優先配分がなされるということではありますが、街路、公園、河川事業などの都市基盤の整備、商店街の活性化、近代化のための調査事業など、推進上の課題は山積しております。まさにこれからが水俣市にとっても正念場であると言えます。ついては、県内の中核都市における中心市街地の活性化に向けいかに取り組んでいくか、また、水俣市の中心市街地の活性化計画の推進に向けていかに対応願えるのか、知事に御答弁をいただきたいと思います。 また、水俣・
芦北地域振興計画の推進についてお尋ねをいたします。 水俣・
芦北地域の振興については、
水俣病対策の一環としてこれまで県議会の中でも何度も取り上げられ、私も一昨年、この議会で質問なり要望をいたしたところでございますが、昨年暮れに「明日へのシナリオ(県土デザイン編)」が発表されまして、二十一世紀に向けて本県が大きく羽ばたこうとしているときでもありますし、改めて質問をいたしたいと思います。 水俣・
芦北地域振興計画でありますが、これは
水俣病対策の閣議了解事項の一つとして取り上げられてまいりました。五十四年度から六十年度まで一応第一次の振興計画が終了をいたしました。その後、さらに県の御協力によりまして、六十一年度からも引き続き新振興計画がスタートしているわけでございますが、財政的にも非常に窮屈な中で計画事業の実現に御努力いただいている県当局並びに議員の皆様方あるいは県民各位に対しまして、地元の一人として心からお礼を申し上げたいと思います。 この振興計画について、新しい計画の中では、当地域のイメージの一新と新たな産業の振興という精神のもとに、
環境復元モデル都市の建設、あるいは不知火海を生かした海洋開発基地づくり、あるいは先端技術産業都市づくりなど五つの基本目標が挙げられております。こういったはっきりとした形で
地域振興の
基本方針が打ち出されたのは第一次計画にはなかったことでございまして、私どもとしましては、このたびの新計画の実現に大いに期待をしているところでございます。 そこでお尋ねをいたします。これを今後どうやって具体的なものに結びつけていくのかということでございます。例えば
環境復元モデル都市というテーマにつきましても、今後どのようなスケジュールで、どのような構想のもとで新しい
まちづくりに取り組んでいこうとするのか。計画を実効あるものとしていくためには、この点が一番肝心なことだと思っております。 現在、私の地元・水俣においては、水俣の新しいイメージづくりと環境づくりをねらいにいろいろな事業が取り組まれておりますが、五十九年度から国や県の補助を受けて、花と緑の都市モデル整備事業が進められておりますし、また六十二年度からは、中尾山周辺の都市公園事業あるいは地元商工会議所では通産省のコミュニティ・マートの構想づくりに取り組むことになっております。しかしながら、それぞれ事業ごとにばらばらでなく、
環境復元モデル都市というはっきりとしたねらいの中で、全体としてまとまった
まちづくりの構想というものを持って連携のとれた計画的な事業を進めていくことが大事であります。そのためには、場合によっては県と地元が一緒になってちゃんとした構想づくりや計画づくりを行うとか、あるいは検討チームなどをつくって具体化の方法などについて一緒に研究していくとか、そういった体制が必要ではないかと思います。同じようなことが観光開発など他の問題にも言えるというふうに考えておりますが、地域のビジョンといいますか、構想というものを実現していくためには、財政的な問題ももちろんありましょうが、長い時間をかけた粘り強い取り組みが必要でありますし、一朝一夕にしてできるものでないことは
十分承知をいたしておりますけれども、水俣・
芦北地域の振興については、
水俣病対策の一環として特別の意味を持つものでございます。計画の実現に向けて国なり県なりの強力な援助、指導を特にお願いいたすものであります。 県の方でも今後の振興計画の推進なり取り組みについてはいろいろお考えもあろうかと存じますが、先ほども申し上げましたように、振興計画を実効あるものとしていくために、県として今後どのように取り組んでいこうとされるのか。この点について熊本県での発言が最後になられると思います
企画開発部長にお尋ねをいたしたいと思います。 次に、水俣・
芦北地域の観光振興についてお伺いいたします。 私どもの地域は、県立自然公園に指定されていることでもわかりますように、リアス式の美しい海岸線と波静かな不知火海で構成される美しい海の風景は、古く万葉集にもうたわれただけあって、どこか懐かしい古代の海を思わせる魅力を有しております。加えて種々の温泉が点在するなど観光資源に恵まれております。阿蘇、天草などに比べると、観光地としては決して一流とは言えませんけれども、当地域経済に観光が占める地位は高く、水俣病の影響をもろに受けながらも、市民の財産として生き延びるためにイメージの払拭に大変貢献をいたしてまいりました。特に昨今の円高不況のもとで
地域振興を考えるとき、観光を抜きにしては考えられないわけでございます。さきごろ知事が発表された県土ビジョンにおいても、当地域の主な基盤整備の一つとして、健康・保養基地づくりを掲げられ、将来のビジョンとして、観光レジャー機能を持つ花と緑の生産基地建設や海洋体験のできる海洋
レクリエーション基地の整備などを示していただいておりますので、大いに期待をしているところでございます。 さて、当地域の観光は、太刀魚釣りと打瀬船がおかげさまで有名になってまいりました。打瀬船は、青い海原で心地よい風に身を任せて、ゆったりと酒を酌み交わし、魚料理に舌鼓を打つのは、世間の煩わしさを忘れるすばらしいものであります。この打瀬船も昭和五十六年にはたったの四隻で始まったものが、現在は三十数隻にもふえております。太刀魚釣りのだいご味が評判になり、九州各県はもとより関西からのお客も年々増加しており、鯨を釣り上げたような感動が素人にもできると、二度三度のお客も来ておられるようでございます。この間の関係者の御努力に対しましては敬意を表するものでありますが、県におかれましては、「友・誘・遊キャンペーン」などを通じていろいろ御支援をいただき、大変感謝しているところであります。 また、湯の児温泉も海岸環境整備事業等により県内有数の海洋性のリゾート地になる条件を整備しつつあります。今後の関係者の努力がまたれるところでございますが、今までの観光開発が単発に終わったり、当地域全体の地域興しまで波及するような取り組みがなされていませんでした。今後、観光開発が単なる観光地開発から地場産業である農業、林業、漁業などを巻き込んだ
地域振興までに高めるような取り組みが必要でございます。水俣・
芦北地域の振興を考えるときに、地域住民の観光開発に対する期待が今ほど大きい時代はありません。前にも申しましたように、水俣港埋立地を活用しての大規模レジャー施設、豊かな海を利用しての海浜・海洋
レクリエーション基地、花と緑の
まちづくり等々、南国くまもとを強く押し出した施設配備は大いに効果的であると思います。 これらの観光開発について、県としてどのように取り組もうとしておられるのか、お伺いをいたします。 〔
知事細川護熙君登壇〕
◎知事(
細川護熙君) 昨年新しい田園文化圏の創造を目指して、シナリオの中で各地域ごとの整備の方向を明らかにしたところでございますが、中核都市における中心市街地の活性化は、お話しのとおり大変重要な課題であると考えております。 県といたしましては、水俣市をモデルにして、昨年度、地方都市中心市街地活性化の計画指針を策定したところでございますが、これは、活性化計画の意義あるいは目標、計画の体系等を明らかにして計画策定作業の進め方をモデル的に示したものでございまして、今後は、地元の熱意、盛り上がりに大いに期待をいたしますとともに、県としても積極的に動いていきたいというふうに考えているところでございます。 また、水俣市につきましては、今年度さらに計画の事業化に向けまして、スケジュール等を明らかにするための調査を水俣市とともに進めることにいたしておりますが、これによりまして都市基盤整備の円滑な推進が期待をされているところでございます。 また、中心商店街の活性化計画につきましては、五月に中小企業庁から全国九カ所のうちの一つとして指定をいただきましたコミュニティ・マート構想モデル事業として指定を受けたところでございますが、この構想は、商店街を従来の単なる買い物をする場所から暮らしの広場へと、その機能を高めるためのものでございます。この構想の実現を目指す中で、今年度は地元におきまして商店街活性化のための構想設計、事業計画等を策定されることになるわけでございますが、構想の設計、事業計画に要する経費につきましては、今議会に所要の予算を計上いたしておりますし、県としてもこの策定に当たりましてはできる限りお手伝いをしていきたいと思っております。 〔
企画開発部長原口恒和君登壇〕
◎
企画開発部長(原口恒和君) 水俣・
芦北地域の振興につきましては、五十四年度から水俣・
芦北地域振興計画を策定いたしまして、当地域の社会経済環境の重点的整備を図ってきたところでございまして、また、引き続き六十一年度からも新しい水俣・
芦北地域振興計画を策定し、現在
地域振興のための各事業を国の支援、協力を受けながら地元市町と一緒に進めているところでございます。 このたびの新計画におきましては、ただいまの御質問の中にもございましたように、当地域の振興の長期的戦略として
環境復元モデル都市づくりを初めとして五つの振興ビジョンを掲げたところでございます。 これらの目標の実現に向けての県の取り組みでございますが、このたびの振興計画は、御案内のように、昭和七十年までの十年を計画期間としておりますが、具体的な事業計画としては、当面前期五年分を計上しているところでございます。したがいまして、県としては、この前期五カ年の事業の実施並びに主要プロジェクトとして掲げております
水俣湾公害防止事業埋立跡地の活用あるいは交通基盤の整備等について最大限の努力をいたしてまいることとし、また、後期五年に向けての事業計画につきましても、地元の意向等を踏まえながらあわせて検討を進めていく所存でございます。 また、地元市町におかれましても、既に芦北町、田浦町、津奈木町におきましては、
まちづくりの
基本構想も策定されておりますし、また、水俣市においても、御質問にもございましたように、コミュニティ・マート構想、中心市街地活性化計画の策定など、意欲的に取り組んでおられるところでございます。振興計画に挙げておりますビジョンの実現を目指す上におきましても、このような地元における自主的な取り組みが何よりも大事なことでございますが、県といたしましても、引き続き振興計画の着実な実施が図られるよう、事業計画の策定を初めといたしまして、できるだけの協力をしてまいる所存でございます。 〔
商工観光労働部長森弘昭君登壇〕
◎
商工観光労働部長(森弘昭君) 水俣・
芦北地域の観光振興についてのお尋ねでございますが、深水先生御指摘のとおり、この地域は、リアス式の美しい海岸線や点在します温泉など、県内でも有数の観光資源を有しておりまして、本県の観光振興を図る上で重点的に整備を進めておる地域でございます。特に、新水俣・
芦北地域振興計画や県土ビジョンの中におきましても、観光を
地域振興の重要な柱の一つと位置づけており、地元市町村や関係方面と連携をとって施策の着実な実現に努めているところでございます。 このうち、湯の児につきましては、昭和六十一年度に海岸環境整備事業や観光地基盤整備事業などで、湯の児島周辺を人工的に海水浴場に整備し、現在ではすばらしい白砂青松の海浜が誕生しておりまして、湯の児を訪れる観光客にも十分満足していただけるものと思っております。本年度もさらに海水浴の附帯施設等の整備をすることにいたしておりまして、名物の太刀魚釣りとともに当地域観光の目玉とし、湯の児温泉の活性化につながるものと期待しているところでございます。 湯の鶴温泉につきましても、国から国民保養温泉地の指定を受けて、昭利五十六年度から温泉センターや園地あるいはゲートボール場など各種施設の整備を進めておりまして、落ちついた山里の温泉地として人気を得ているところでございます。今後ともその活性化に努めてまいりたいと思っております。 また、その他の水俣・
芦北地域につきましても、観光施設の整備を図りますとともに、これら地域の県内外へのPRにつきまして、地元市町村や関係各方面と協力して努力してまいりたいと存じております。 観光は経済波及効果の高い総合産業でございまして、去る六月二十三日の新聞紙上で報道されました水俣市の寒川地区の婦人会によるそうめん流しとヤマメの養殖によります村興しの例や、観光農園の取り組みなどの例に見られますように、地域の住民や産業が一体となることによって地域の振興と活性化が図られるものと考えております。 いずれにいたしましても、水俣・
芦北地域は、県南の重要な観光拠点でございますので、さきに述べましたハード面の整備のほか、宮崎、鹿児島、天草、長崎と結んだ南九州ルートの開発やイベントの創出など、ソフト面の展開につきましても地元市町村や関係各方面と連携をとって努力してまいりたいと思っております。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) 原口部長さんには、最後の登壇で私どものところの振興策につきまして御答弁をいただきましたが、熊本県が抱えております非常に大きな悩みの窓口でございまして、部長、大変東奔西走されて御苦労であったと思います。しかし、私どももやはり県や国の手助けを受けながら頑張る所存でございます。どうか、今後本省へ行かれましても、熊本県のことをお忘れなく頑張っていただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。 なお、海水浴場予算につきましてちょっと御要望を申し上げておきますが、実は、熊本県の予算が六月で本予算になりました関係で、海水浴場の周辺整備の事業がおくれておりまして、ことしの海水浴に間に合うかどうか非常に心配をいたしております。どうかその点も御留意をいただきまして整備の方にお力をかしていただきたいと思います。 南九州西回り自動車道につきまして御要望を申し上げます。 ただいままで申し上げてまいりましたいろいろの
水俣地域あるいは
水俣病対策の問題につきましてお願いをしてまいりましたが、要は、最後に行き着くところは、どうしても地域交通ネットワークの整備でございまして、この西回り道路こそ私どもの地域活性化に最後の花が咲くのではないかと思います。 南九州西回り自動車道は、水俣・
芦北地域を初めとする南九州西岸地域が九州縦貫自動車道から離れており、しかも国道三号線が唯一の幹線道路であるという状況を踏まえまして、同地域の豊かな資源を生かすためには、自動車道の建設がぜひとも必要であるとの機運が地元に高まっております。昭和五十五年九月に水俣市を初め熊本、鹿児島両県の地元三十市町村により南九州西回り自動車道建設促進期成会が結成されまして、その建設に向けて運動のスタートが切られました。その結果、本年六月には建設省が道路審議会に諮問した高規格幹線道路網計画案の中に南九州西回り自動車道が盛り込まれ、実現に向けて大きな第一歩を踏み出したことは皆様御承知のとおりでありますが、改めて申すまでもなく、道路の整備、とりわけ高速道路の整備が
地域振興に果たす役割は非常に大きなものがあります。例えば、近年の全国の先端産業の立地を見ますと、インターチェンジの二十キロメートル圏に約五〇%ないし八〇%が集中いたして立地しておりますし、東北縦貫道についてみますと、工場、流通団地形成などの地域開発件数は、インターチェンジの十キロメートル圏とその他の地域では明らかに大きな差が生じております。本県の場合はもっと顕著であろうかと思います。このようなことから、今回南九州西回り自動車道が盛り込まれたことに対する水俣・
芦北地域の期待と喜びは非常に大きなものがございます。 ところで、我が国の高速自動車道の建設は、昭和四十一年に国土開発幹線自動車道建設法に基づいて三十二路線七千六百キロメートルにわたる法定路線が決定されてから現在まで、この二十一年間に約三千九百キロメートル、約半分しか完成しておりません。法定路線のすべてが完成するには今後さらに十数年以上の歳月を要するものと思われますし、九州縦貫自動車道は昭和四十一年に着工されましたが、全線の開通は、人吉―えびの間の完成が見込まれる昭和七十年代の前半になる見通しと言われます。 今回の高規格幹線道路網計画は、この国土開発幹線自動車道七千六百キロメートルに新たに四十九路線、約六千二百二十キロメートルを追加して一万四千キロメートルのネットワークの形成を図るものであります。建設省の見込みによりますと、その完成までには約三十年の期間を要すると言われております。このような状況からして、私は南九州西回り自動車道の建設が十数年を要するのではないかと危惧するものであります。二十一世紀に入る前に、水俣・
芦北地域は水俣病等の影響もあり、近年大変地域経済が停滞しており、また、高速道路から離れているという現状を踏まえまして、西回り自動車道の建設が遅くなれば、高速道路の通過する地域との潜在的競争力の格差がますます広がっていくことになります。地域の低迷に拍車がかかるのではないか。また、水俣病を克服した
まちづくりに努力する我々にとりまして苦労が報われないのではないかと思います。同地域の振興、浮揚を図る上から南九州西回り自動車道の一日も早い建設の実現が望まれるのであります。どうか、振興計画の中でも同自動車道は主要な交通基盤として位置づけられておりますので、この自動車道の建設が地域浮揚の重要なかぎであり、その早期実現について県当局に今後一層の御努力を要望いたしておきます。 時間がございませんので、質問を皆さん方への投げかけとしてかえさせていただきたいと思いますが、農業後継者の花嫁対策についてでございます。 実は、この花嫁対策には県の皆さん方も大変な御努力をしていただいておりますけれども、何分にも個人のことでもありますし、いろいろ難しい問題点があろうかと思いますが、私どもの地元に一つユニークな話があります。そのお話を紹介して質問にかえたいと思いますが、二・五ヘクタールのお茶を製造しておる若者が、学校を卒業しまして後継者として一生懸命頑張っておったわけでございますが、その若者がある日、熊本空港から東京、全日空線に乗りまして、その乗ったときのスチュワーデスさんが一人、顔が真っ赤になって下を向いてうつむきかげんで動きが鈍かったということを感じておって、どうかしたんだろうかなと思っておったときに東京空港に着いた。乗客がおりる中で「気分が悪いんですか」という一声をかけた。そういうときに「わかりますか」という返事が来たので、自分の名刺を出して「自分は水俣のお茶づくりをやっている。この水俣のお茶を温かいお湯で腹いっぱい飲んできょうは寝たらすぐ一発で治りますよ」というお話しをした。ところが、「ありがとうございます」と言って別れたわけですけれども――そのとき、もちろんその水俣のお茶の小さいパックも渡したわけでございますが、その三日後にすぐ返事が来まして、「一発で風邪が治りました」というお礼が来ました。そのお礼がきっかけで、山形県の県会の議長さんのお嬢さんだったそうでございますが、その方と文通ができまして結婚することになりました。そして、今では遠く離れた南の国で、このお茶二・五ヘクタールをつくりながら、二児の母でございまして、前後ろに子供を抱えながらお茶に頑張っております。こういうこともあり得るわけでございますので、農家の皆さん方はどうかひとつ気持ちを大きく持って、自分の仕事に誇りを持って頑張っていただくようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。 以上で私の質問を終わらせていただきますが、地元が抱えております悩みを質問の形でお訴えしてお願いしてまいりましたが、議員の皆様方には、極めてローカル的な質問でございましたが、おつき合いをいただきましてありがとうございました。また、知事初め執行部の皆様方には大変お世話になりました。
細川知事の評価に「自民党らしからぬ知事」という表現もありましたけれども、この表現は、知事がいかにすばらしいか、いかに期待されているかの表現であろうかと理解をいたします。
細川知事の力量、思想を強力に支持する者の一人として、県民の知事として、自民党の知事として、二期目を期待にこたえられるよう全力投球されることをお願いいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(
永田悦雄君) 以上で通告されました
一般質問は全部終了いたしました。これをもって
一般質問を終結いたします。 ―――――――○―――――――
△日程第二 議案第一号から第二十三号まで(委員会付託)