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  1. 熊本県議会 1985-09-01
    09月19日-04号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和60年 9月 定例会┌──────────────────┐│  第 四 号(九月十九日)    │└──────────────────┘ 昭 和 六十年 熊本県議会九月定例会会議録   第四号―――――――――――――――――――――――――――昭和六十年九月十九日(木曜日)    ――――――――――――――――――――   議事日程 第四号  昭和六十年九月十九日(木曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十三名)                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 小早川 宗一郎 君                 三 浦   哲 君                 藤 川 俊 夫 君                 花 籠 幸 一 君                 舟 津 正 光 君                 西 岡 勝 成 君                 阿曽田   清 君                 橋 本 太 郎 君                 三 角 保 之 君                 岩 永 米 人 君                 堀 内 常 人 君                 山 本 秀 久 君                 深 水 吉 彦 君                 八 浪 知 行 君                 杉 森 猛 夫 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 柴 田 徳 義 君                 林 田 幸 治 君                 広 瀬 博 美 君                 馬 場 三 則 君                 木 村 健 一 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 米 原 賢 士 君                 井 上 龍 生 君                 久 保 一 明 君                 永 田 悦 雄 君                 宮 元 玄次郎 君                 甲 斐 孝 行 君                 今 井   洸 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 材   学 君                 岩 崎 六 郎 君                 水 田 伸 三 君                 今 村   来 君                 小 谷 久爾夫 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(二名)                 永 田 健 三 君                 魚 住 汎 英 君    ――――――――――――――――――――説明のため出席した者         知事      細 川 護 熙 君         副知事     藤 本 伸 哉 君         出納長     山 内   新 君         総務部長    佐 藤 達 三 君         企画開発部長  原 口 恒 和 君         福祉生活部長  松 村 敏 人 君         衛生部長    清 田 幸 雄 君         公害部長    中 川 公 道 君         商工観光         労働部長    道 越   温 君         農政部長    田 代 静 治 君         林務水産部長  古 閑 忠 治 君         土木部長    福 島 正 三 君         公営企業         管理者     八 浪 道 雄 君         教育委員会         委員長     安 永 蕗 子 君         教育長     伴   正 善 君         警察本部長   鈴 木 鎗 一 君         人事委員会         事務局長    藤 門 豊 明 君         監査委員    北 川 信 俊 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者         事務局長    富 田   毅         事務局次長   小 池 敏 之         議事課長    岩 井 祐二郎         議事課長補佐  山 下 勝 朗      ―――――――○―――――――  午前十時二分開議 ○副議長(金子康男君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 一般質問 ○副議長(金子康男君) 日程に従いまして日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います 中島隆利君  〔中島隆利君登壇〕(拍手) ◆(中島隆利君) 日本社会党の中島でございます。党を代表して一般質問を行います。前回の質問で欲張って時間が足りませんでしたので、今回は的を絞りまして突っ込んで質問をいたしますので、執行部の皆さん方に明確な御答弁をまずお願いをしておきたいと思います。 最初に、地方行革大綱に基づく県の対応と指導についてお尋ねをいたします。 国の行革については、御承知のとおり、第二次臨調行政改革審議会のもとに、既に第五次の答申がなされて「増税なき財政再建」、「行政の見直しによる支出の合理化」を当面の目標として具体的な行政改革が推進されつつあります。健保の改悪から高率補助金の一割カットを通じて、あらゆる福祉のカットが強行されてきました。そしてさらに電電、専売の民営化、今また明治以来百二十年間、日本の経済を支え、国民の足としてその役割を果たしてきた国鉄が分割をされ、民営化によって解体されようとしています。 このように、第二臨調行革は、労働者が犠牲にされ、国民すべてに負担を転嫁する方向で進められつつあります。しかし、国の赤字国債は解消されるどころか百三十兆円という国家予算の約二・五倍にも膨れ上がり、まさに国の財政は破産寸前にあると言わなければなりません。増税なき財政再建は名ばかりで、行き詰まった国の臨調行革はいよいよ地方行革が本格的なやり玉になろうとしています。 自治省が本年一月二十二日発表した地方行革大綱は、地方自治体の徹底した減量化、効率化を求めた国の一方的な財政負担の地方転嫁であり、住民自治否定そのものであります。 その通達の内容は、すべての自治体で行革大綱をつくらせ、しかも総合的な大綱であること、策定期間は三カ年程度として六十年八月まで策定し、住民に公表し、さらに都道府県、政令指定都市は自治大臣に、市町村は都道府県知事に報告することを求めています。さらに、行革大綱は重点項目として、事務事業の見直し、組織・機構の簡素合理化、給与の適正化、定員管理の適正化、民間委託OA化等事務改革の推進、会館等公共施設の設置及び管理運営の合理化、地方議会の合理化など七項目を盛り込むよう求めています。 自治省が、このように行革大綱策定期間、策定時期、住民への公表、報告まで自治体に強制しようとしていることは、地方自治法第一条の「目的」で定めている地方自治の本旨に基づいて、自主行政権地方自治基本的権利を侵すものであり、自治体の計画的行財政運営に対する不当な介入であります。 以上のことからも明らかなとおり、中曽根内閣による臨調路線に基づく今回の地方行革は、自治体の純然たる内部領域にまで介入して地方自治を否定するものであり、自治体行政の合理化、効率化を徹底して推進して、地方財政の歳出の削減をして、その分国の負担転嫁の余地を大きくして国の財政再建の肩がわりをさせようとするものであります。 そこで、本年三月二十二日、衆議院地方行政委員会で、地方行革大綱について次のとおり国会で確認がなされました。それによると、自治体における行政改革は、地方公共団体が自主的、総合的に推進すべきものであること。地方行革大綱に直接関連して行財政上の制裁措置をとることは考えていない。地方課長会議に配付した文書はすべて参考資料としてまとめたものであり、行革推進委員会行政改革に関して意見、答申を出すものであり、行政改革推進本部はこれを踏まえて行政改革を進めていくものであり、両者の役割、機能は異なること。行政改革に関し、既存の組織がある場合、新しく組織を設ける必要はない。職員団体の理解と協力を得ること。以上のとおり、通達に基づく自治省の指導はあくまでも助言であること。したがって、地方行革大綱を自治体が策定をする場合の機構、内容、日程は、自治体が自主的に組織し、選択し、決めるものであり、日程も、基本的には努力目標であることが最終的に確認をされています。 以上の経過を踏まえ、地方行革大綱策定に向け、都道府県、市町村の取り組みが始まっています。その地方行革大綱策定に向けての県の対応と指導について、我が党は二月定例県議会で堀内議員が、そして総務委員会でも何度となく確認してきたところであります。地方自治体における行政改革は、地方公共団体が自主的、総合的に推進すべきであることを確認し、市町村の地方行革推進委員会の設置、地方行革大綱策定に当たっては県の指導を慎重に行うことを強く求めてきたところであります。 熊本県の市町村行革進捗状況は、八月十日現在で、行政改革推進委員会が九十八市町村中九十五市町村に設置され、九六・九%の達成率、行政改革推進本部が九十六市町村で設置され、同じく九六・九%の達成率であります。これからの大綱策定計画についても、八月末策定目標七十五市町村、九月中策定の目標十四市町村、十月以降が七市町村とほとんどの市町村が今年度中に地方行革大綱を策定するという計画を県に報告しています。 しかし、これまでの県執行部の指導と対応は、国会と我が党がこれまで確認してきたことが守られず、執拗に厳しく指導されているという事実が我々社会党の調査で明らかになっています。特にひどいところは、県事務所を通じて推進委員会設置がおくれているところを再三にわたって催促をし、その理由を聞いていると言われます。これが事実であれば、国会での確認、県議会の確認、市町村自治体の自治権をも侵害するまことに遺憾なことであると思います。このような事実があったのかどうか。また、これまで各市町村自治体に対して地方行革大綱策定に向けてどのような指導と対応をなされてきたのか。執行部のこれまでにとってこられた経過について御答弁をお願いしたいと思います。 地方自治体行政改革は画一的に短期間に行われるものではありません。行政の組織運営がなされる限り常に改革が追求されるべきものであります。しかも、行政改革の主体はその住民と行政であり、住民参加と地域の盛り上がる力によって、個性と活力のある地方の時代にふさわしい魅力ある地域づくりの自主性と多様性を高める地方行革の運動が起こるように県の役割と指導が必要であろうと思います。地方行革大綱に対する今後の指導と対応についてお尋ねをいたします。 関連は、再度登壇をいたしまして質問いたします。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 地方行革大綱に基づく県の対応と市町村指導についてのお尋ねのうち、まず行革委員会設置のための指導状況についてでございますが、市町村行革委員会は、六月議会で林田議員の質問にもお答えしましたとおり、地方行革大綱で示された指針に沿ってそれぞれの市町村が自主的に設置するものであり、強制されるものではございません。 しかしながら、当大綱は、閣議決定を経まして命により通知されたものであり、その内容については尊重されるべきものと考えており、また行政改革の推進が緊要の課題であることから、本県といたしましては、市町村行革の円滑な推進を図るため、未設置市町村に対しまして設置されるよう指導してきたところでございます。 次に、市町村行革大綱策定のための現在までの指導状況についてでございますが、昨日三浦議員の御質問にお答えしましたとおり、市町村行革大綱は、現下の地方公共団体を取り巻く厳しい行財政環境のもとにありまして、それぞれの市町村が行財政全般の見直しを行い、簡素で効率的な行政を実現し、活力と個性ある地域社会の形成と住民福祉の増進を図るために策定し、実施しようとするものであります。 これまで本県といたしましては、全国の行革の実践例等必要な資料を提供するとともに、推進体制の整備や策定手順を示し、自治省の進捗状況の調査とあわせまして、各市町村の改革上の視点について相談に応ずるなど、各市町村が個性ある行革大綱を策定できるよう適切な指導を行ってきたところでございます。 次に、市町村行革についての今後の指導と対応についてでございますが、行革は、先生のお説にもありましたが、一時的なものであってはならず、また不断にこれを行う必要がございまして、住民の理解と協力を得ることによって一層実りある行革を実現することができるものであると考えております。したがいまして、今後ともそれぞれの市町村の実情に合った行革大網が策定され、計画的に実施されるよう引き続きまして指導を行ってまいりたいと考えております。  〔中島隆利君登壇〕 ◆(中島隆利君) ただいま部長の答弁をいただいたわけでありますが、これまでの指導については各市町村自治体の自主性を尊重して行ってきたと、こういう答弁であります。しかし、私たちの調査なり報告に基づきますと、推進委員会の設置に対しても八月のリミットに向けて非常に厳しい要請がなされています。さらに大綱策定が今始まっておりますが、その策定の内容についても現場段階では七項目の徹底方がなされつつあると言われております。今後地方行革大綱の策定の具体的な作業を進められるわけでありますし、特に今確認をされました市町村自治体の自主性を尊重して個性のある地方自治体の行革が進むようにさらに下部の徹底を図っていただきたいと強く要望しておきたいと思います。 次に、県行革の今後の進め方と七%職員の削減問題についてお尋ねをいたします 県行革は、県民生活に広く深くかかわる県政の政策課題、制度の変更を行うものであり、特に県と市町村の特性と役割に応じて密接な連携と機能分担が求められており、関係機関、地域の県民の声の吸収が非常に重要であります。しかし、これまでの県行政改革の進め方を見てみると、余りにも強引で、関係地域、県民の声の幅広い吸収が不足していると言わなければなりません。そのあらわれが、土木事務所保健所支所の廃止、人吉職業訓練校木工科廃止等で明らかになっています。対象地域では、町ぐるみの廃止反対闘争が起こり、県の責任が厳しく追及されたところであります。個性と活力のある地域づくりを進める県行政改革であれば、より以上に市町村自治体関係地域の県民の声が的確に吸収され、合意を求めた実施でなければならないと考えます。行政改革を一時的な財政圧縮の便法として取り扱ってはならないし、一部地域住民の生活を犠牲にしてはならないと思います。 知事は、これまで進められてきた行政改革審議会は、県内各層の代表の九名の有能な方々によって審議されてきた、そして出先機関調査あるいは県民のアンケートを活用し、県民各層の意見を聴取し実施された、この報告は各方面の意見が集約され、貴重な提言であると言われています。私も確かに貴重な提言であると考えます。しかし、行革審の答申は、結局九名の方々の意見であり、出先機関の実態調査も一回きりの三機関の調査であります。県民のアンケートによる意見も、行政改革についての県政モニター二百名の意見を活用されているにすぎません。県民総ぐるみ行政改革案にはほど遠いと私は思います。行政改革を真に県民のものとするためには、徹底した県民参加の手法を導入して、長期展望に立った個性と活力のある地域づくりを目指せる地方行革の進め方が必要であろうと考えます。 今回、これまで進められてきた県行政改革審議会の第三次答申の最終答申が終了し、一応の役割を終えられたわけであります。県行革審は、当初最終答申が終われば解散するということであったわけでありますが、その県行革審がさらに今後二年間の継続をされることになったわけでありまして、なぜ継続されたのか、どのような位置づけで今後運営されるのか、お尋ねいたします。 県行革審議会は、これまで第一次答申から第三次答申まで出されていますが、その中には、既に実施されたもの、今後の課題になっているものがあります。今後の課題として残っているものは、第一次答申で出された情報公開制度の導入、市町村との職員相互交流、市町村への権限委譲の検討、各種審議会の見直し、補助金の見直し、第二次答申では、試験研究機関の整備・再編成、農業改良普及事業等の再編成、職業訓練校の再編、職員定数の七%削減、現業業務民間委託公営企業の経営改善、第三次答申の行政機能の活性化のための職員の意識改革等々であります。 これらの中には、さきに実施された保健所支所土木事務所出張所の統廃合のように、県民のサービスに直接かかわる問題もあります。県職員の七%削減や職員の意識改革は、県民サービスはもちろん県職員に直接かかわる問題であります。情報公開制度や市町村への権限委譲各種審議会の見直し、補助金の見直し等は早急に検討する課題でもあります。 このように、あらゆる問題を含んだ課題があり、この中で、どれが実施可能であり、またどれが緊急な課題であるのか、それをいかに県民総参加の行革として検討を進めていくのか、今後の重要な作業であろうと思います。これまでの県行革に対する県民の批判の反省を受け、今後執行部は、これらの問題にどのように取り組んでいこうとされるのか、その具体的な進め方についてお尋ねをいたします。 特に第二次答申で出されている職員七%削減の問題について知事に改めてお尋ねをいたします。 県行革審の第二次答申で、少数精鋭主義の徹底として、職員配置の見直し、将来を展望した職員採用、職制の見直し、現業業務民間委託などを柱に昭和六十五年を目途に七%の職員を削減すべきであると提言されています。この行革審の答申を見る限りでは七%削減の具体的な根拠は全く見出すことができません。現在の職員定数は五千九百九十一名で七%削減は四百二十名の削減となります。一体これだけの大量の県職員が本当に削減できるのかどうか。もしできるとするなら、具体的に何々部のどこの課のどの係で何名減らすという合理的な根拠が示されなければ納得ができないと思います。県行革審の報告の七%削減案がどのような合理的な根拠に基づいて積み上げられて出されているのか、まずお伺いをしたいと思います。 次に、自治省はさきに地方公共団体定員管理研究会の第二次定員モデルを発表しました。それによると、各部局の現数の四分の三、すなわち、七五%を基礎にして出した厳しい削減モデルにもかかわらず、熊本県の場合は一%以内の削減でよいと、こういうモデルが出ております。良好な団体として発表されておるわけであります。熊本県の職員定数が、昭和四十年からわずか七十六人しかふえておらず、全国平均の十七分の一であります。大変な状況下に県職員が置かれていると言わざるを得ません。県民のために県職員が一生懸命に働くことは当然のことであります。しかし、職員定数の削減は大変な労働強化につながり、また一方では市町村の業務にしわ寄せされている実態も出てきます。 この五年間、県職員の在職中の死亡を見てみますと、昭和五十五年度十四名、五十六年度に九名、五十七年度十名、五十八年度に十ニ名、五十九年度に十七名となっております。既に本年四月から九月まで十名となっております。特に昨年から著しい増加を示しています。この中には元気な職員の不慮の死も数多く含まれています。細川県政の発足と県職員の在職中の死亡とが何の因果関係もないことを祈っていますが、在職中の死亡という痛ましい現実とその大幅な増加は、やはり行政の複雑化や労働強化にその一因があるのではないかと思います。むやみやたらと職員定数を減らし、少数精鋭を叫ばれるのはいかがなものかと思います。 細川知事は、本年四月熊本市で開催された「熊本パラダイムをめざして」の講演の中で、県行革にも懸命に取り組んでおり、出先の統廃合、職員の定数七%削減等、恐らく全国の自治体の中でも厳しい内容でありますが、既にその方向で動き出していますと県民の前で正式に発表されています。そして、さらに先日九月二日フランスのパリで講演をされた中でも、県庁職員を五年間で七%削減するという行政改革を先導的に取り組みをしていると言っておられます。これに対してはフランスの新聞関係者も驚いて、組合員は職員七%削減を同意したのですかという質問さえ行っております。 県行革審の七%職員削減案が、どこでどのように検討され、結論が出されたのか。職員組合とも合意がなされているのかどうか。また、知事があらゆる場で七%職員削減の実施を公然と発表されていますが、その具体的な根拠と今後の進め方についてお尋ねをいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) まず、今後の行政改革の進め方についてのお尋ねでございますが、本年二月に行政改革審議会からの報告内容につきまして検討を加え、総合的な視点から基本方針を決定しておりますので、今後ともこれに沿って進めてまいりたいと思っております。また最終の第三次報告につきましても、御提言の趣旨を最大限に尊重し、実施できるものから逐次実施するという基本的な考えのもとに、これまで同様積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 なお、実施に当たりましては、当然のことながら、県議会、関係市町村あるいは関係団体等の御意見も十分お聞きをし、御理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。 それから、行政改革審議会の継続設置の理由と今後の審議、運営につきましては、本議会冒頭の説明でも申し上げましたように、行政改革の推進は、一時的なものであってはならないわけで、不断にこれを行う必要があると考えているわけで、審議会委員の方々には、向こう二年間さらに継続して御審議いただくようにお願いを申し上げているところでございます。 審議会におきましては、昨日の三浦議員の御質問にお答えをいたしましたように、当面これまでの三次にわたる報告で、今後の課題とされているものに対する執行部の取り組みにつきまして御指導いただきますとともに、新たな課題につきましてもその都度御意見をいただきたいと考えているところでございます。 それから、職員定数七%削減についてのお尋ねでございますが、各都道府県とも本県同様、これまでも職員定数の抑制に努めているところでございまして、本県のみが特に状況が厳しいということはないと理解をいたしております。 先ごろ自治省が発表いたしました御指摘の定員モデルは、各団体の職員数を相対比較した一つの参考指標として示されたものでございますが、私としては、これまでも機会あるごとに述べてきておりますように、社会経済情勢の急激な変化の中にあって、ますます厳しさを増している財政事情を踏まえながら、本県独自の施策を進めていくためには可能な限りの減量化に努めなければならないと考えているところでございます。 おおむね職員定数の七%をめどとして削減するということは、先ほど触れました行政改革の基本方針の一つの柱として決定しておりまして、今後とも真剣に収り組まなければならない政策目標と考えているわけでございますが、削減の具体的な推進に当たりましては、単年度に削減するということではなくて、六十年度から六十五年度にかけて退職者の不補充という方法で対応してまいりたいと考えているわけでございます。 御承知のように、特にこれからの数年間は職員の年齢構成からして、これまでにない多くの定年退職者が予想されますので、これらに係る新規採用を計画的に手控えるということを考えてまいりたいというふうに思っております。 その場合、当然のことながら職員への過重負担を来さないように、事務事業の見直しでありますとか、あるいは業務の民間委託の推進でありますとか、あるいはまたOA機器を積極的に取り入れるなどによりまして、全体的な事務の整理合理化を図り、事務量との関連に十分配慮しながら進めてまいりたいと思いますし、またこれも当然のことではございますが、県民へのサービスの低下を来すことがないように、その辺のところにも十分配慮してまいりたいというふうに思っております。  〔中島隆利君登壇〕 ◆(中島隆利君) ただいま知事は、七%職員の削減については政策目標として取り組むと、こういう答弁がありました。知事の行革に対する意欲的な取り組みはわかるわけでありますが、知事が後段に述べられましたように、この職員の削減は、即職員の労働条件の問題あるいは事務事業の見直し、機構の改革、施設の統廃合とつながるわけでありまして、前回の保健所あるいは土木事務所の廃止等の県民のあのような批判をこうむらないように慎重に今後取り組んでいただきますよう強く要望しておきたいと思います。 次に、国土調査にかかわる地籍調査と土地改良事業の事務についてお尋ねをいたします。 私は、本年になって三回の新聞記事により熊本県の農地管理について重大な問題があることを知りました。三月五日の熊日に「水田面積に食い違い 一の宮町減反で問題化」という記事が載りました。これは阿蘇郡一の宮町で、転作割り当ての基準となる水田本地面積が町の調査面積より三十四ヘクタール上回っているというのがわかったわけであります。 また四月九日には「阿蘇町赤水の未登記問題  「町費で再調査を」」という記事であります。これは「西武鉄道グルーブが総合レクリエーション基地建設のため買収中の阿蘇郡阿蘇町赤水地区で、町が国、県の補助を受け国土調査をしながら十二年間も未登記のまま放置していた問題で、全額町費負担で再調査させ、登記まで済ませるよう」町を県と法務局が指導したということであります。 さらに八月二十四日の読売新聞には「地籍図に欠陥あった 測るたびに農地増減」という記事であります。これは松橋町で昭和四十七年国土調査をし、その後さらに昭和五十二年に土地改良事業を行ったところが、それぞれ登記薄の面積が違っており、町の固定資産課税台帳も違っていたことが農民の訴えでわかったということであります。 このように全く信じられないような重大な問題が相次いで起こっています。私はこの新聞記事を読んで、市町村や法務局でこれまでの熊本県下の市町村自治体が行った地籍調査、換地を伴う土地改良事業による不動産登記法十七条図――不動産登記法十七条図と出てきますが、以下「十七条図」と申し上げます――に基づく指定実態を調べたわけでありますが、熊本地方法務局の昭和六十年一月一日現在の調べでは、国土法に基づく地籍調査がなされ、十七条図として指定されているのは全体の七四%で、残りの二六%は、阿蘇町のように、国、県からの地籍調査の補助事業費を受けて実施しながら、十七条図として指定をされておらず放置をしているということであります。さらに、土地改良図では事業完了後十七条図として指定されているのはわずか二・八%で、残りの九七・二%が十七条図の指定がなされていないということであります。その後、執行部の担当課による調査結果の報告を受けたわけでありますが、国土調査法に基づく地籍調査の報告は、昭和三十年から昭和五十七年度までの事業で十七条図の指定がなされているのは全体の七七・三%であります。 また、土地改良図では昭和五十一年から昭和五十九年度までの調査しか集計されておらず、法務局のような地籍筆数ごとの集計ではなく事業地区ごとの集計であります。そのために比較にはなりませんが、執行部の集計の結果でも、最近九年間の土地改良事業で、県営の圃場整備事業の国土法第十九条第五項の認証がなされているのは全体の五〇%であります。団体営の土地改良事業ではわずか一四%であります。 このように、市町村自治体の地籍調査や団体営の土地改良事業を指導する立場である県がみずからの県営圃場整備事業で、しかも最近九年間の事業の中でも五〇%が十九条第五項の認証の指定がなされず放置されているということは重大な問題であります。農林水産省構造改善局長通達によって、各都道府県には、昭和四十六年と昭和五十六年の二度にわたって換地を伴う土地改良事業の確定測量の実施についてと、国土調査法第十九条第五項の成果の認証に準ずる指定の申請に係る事務取扱等について指導がなされています。そのことは、土地改良事業の確定測量の実施は、国土調査法に基づく平面直角座標値によって表示し地籍図をつくること、これは、いわゆる土地改良事業でも国土調査法に基づく地籍調査と同じような測量をするような指導がなされているということであります。 また、国土調査法第十九条第五項の成果の認証に準ずる指定の申請に係る事務の取り扱いについては、土地改良事業の確定測量を実施したものは、事業地区の面積が百ヘクタール以上の場合または事業地区の面積が百ヘクタール未満であっても、その確定測量の成果については極力認証の申請を行う指導をしています。しかも、県営土地改良事業及び団体営土地改良事業の事業主体は、換地処分公告までに主務大臣の農林水産大臣に認証の申請を行い、そして国土調査法第十九条第五項の規定に基づく指定がなされたときは直ちに確定図とともに管轄の法務局に通知するよう指導しています。 さらに、農林水産省は、この事務の徹底を図るために、確定測量工程管理及び検査要領についての指示文書を出しています。それによって監督、検査員を専任して、測量作業全体について作業内容及び精度が達成されているかどうかを検査して報告させるように指示しています。 熊本県の農政部は、この農林水産省構造改善局長の通達を受けて昭和五十七年三月五日付で、各県事務所長あるいは土地改良事務所長に検査員の任命を指示しています。県事務所にあっては耕地課長及び管理係長または技術係長、土地改良事務所にあっては管理課長及び技術課長等の測量技術者を検査員に任命して管内の実施地区の検査に当たっては遺憾のないように処理せよと指示しています。 このように、土地改良事業に伴う確定測量と国土調査法第十九条五項の認証申請事務を的確に行うように指示しておきながら法務局の調べではわずか二・八%の指定率で、熊本県は国土調査法の認証申請事務そのものを本当に行っていたのかどうか疑わざるを得ません。このような状況であれば、松橋町で起こったような国土調査による面積、固定資産税の課税台帳による面積がそれぞれ違うという事例が全県下でも起こる可能性があるということであります。 そこでお尋ねいたしますが、第一点は、法務局と県が集約された地籍図と土地改良図の指定率がなぜ違っているのか。第二点は、農林水産省が過去二回の通達で、県の農政部も検査員の任命を指示し、土地改良事業に伴う確定測量と国土調査法の認証申請事務を的確に行うよう指示しているのに対して十七条図の指定ができていないのはなぜか。この事務担当が明確になっているのかどうか。担当は実際どこなのか。御答弁をいただきたいと思います。 熊本県は九州で一番圃場整備が進んでいると言われますが、肝心の土地改良事業の認証事務に欠陥があるということであれば重大な問題であります。現状のままでは今後の熊本県農政に大きな支障となることは明らかであります。 知事は、農協のトップセミナーで「行政の根本は治山治水であり政治の原点である」と言われています。そして「熊本・明日へのシナリオ」の中で、明日に挑む農林水産基地の建設が提唱されていますが、私はこの地域づくり政策に大きな支障を来すと考えます。担当部長は、この問題をどのように受けとめられ、九七%に上る土地改良事業による十七条図指定未処理についてどのように改善をされるのか、お尋ねをいたします。  〔農政部長田代静治君登壇〕 ◎農政部長(田代静治君) 順次お答えを申し上げます。 まずお尋ねの地籍調査の不動産登記法に基づく第十七条地図の指定率の違いについてでありますが、県の調査は、地籍調査を開始しました昭和三十年度から五十七年度までに完了あるいは着手した四十七市町村を対象に昭和六十年七月三十一日現在で調査したものでございます。一方、熊本地方法務局の調査は昭和六十年一月一日現在のもので、この違いは調査時点が異なるためのものでございます。 次に、土地改良事業によるものについてでございますが、県の調査は五十一年度から五十九年度にわたる換地処分の地区数による実績でございます。法務局の調査は明治三十八年の耕地整理事業時代からの図面枚数に基づいておりまして、時点及び指定率の算定の基礎となる対象が異なっているためによるものでございます。 次に、不動産登記法第十七条の地図指定ができていない理由についてでございますが、地籍調査につきましては、国土調査法第十九条二項に基づく認証通知を受けた事業主体が登記所へ地籍薄及び地籍図の写しを送付し、登記官は地籍簿等の送付を受けた場合においては職権で登記を行うことになっております。その地籍図は、管轄の登記官の上申に基づき地方法務局長が不動産登記法第十七条地図の指定を行うことになるわけでございます。 本県におきましては昭和三十年度より地籍調査を開始しておりますが、調査が始まってから昭和四十年代までは、現在のような字図修正主義ではなく現況調査主義で行われたため、字図に記載されている里道あるいは水路等が不存在の場合は現況のままの調査を行ったり、また筆界未定も多かったことから、法第十七条地図指定ができないままになっており、このようなことが指定率の低い原因となっていると考えられるわけでございます。 そこで、五十四年度から熊本地方法務局と調整を図るために協議を行いまして、法務局を交えた連絡会議及び事業主体を交えた事務打合会を設置し、法務局、県、事業主体が一体となりまして地籍調査の推進を図っておるわけでございます。現在ではほぼ一〇〇%の十七条地図指定状況にあるわけでございます。 また、土地改良事業の場合についてでございますけれども、地籍調査と同様な手続となるわけでございますが、換地を促進するため膨大な換地事務の処理に重点を置く結果となりまして、国土調査法第十九条五項の申請事務が遅延する結果となっている場合が多いのでございます。また、小規模の面積の場合や地籍調査を行っていない市町村にありましては、むしろ国土調査を一括して行う方が効率的である等の判断から、土地改良事業における申請がなされていないところもあるなど、指定率が低い原因となっていると思われるわけでございます。 次に、事務処理の担当課についてでございますが、地籍調査にかかわる事務につきましては耕地第二課、土地改良事業に係る事務につきましては農地管理課において所管しております。 次に、今後の対応策についてでございますが、まず成果の向上を図るために、法務局との連携を従前にも増して密にし、連絡会議を通して認識を深めますとともに、より的確な図面の作成につきまして関係市町村を指導してまいりたいと考えております。 さらに、事業の性格上境界紛争や境界未定の解決など大変複雑かつ地味な仕事でございますので、人材の育成や技術の向上を図るための県、市町村職員の研修の充実、事務処理の改善につきまして一層の努力を図ってまいりたいと考えております。 特に土地改良事業に係る不動産登記法第十七条の指定につきましては、法務局と今後十分な打ち合わせを行いまして、問題点を煮詰めた上でその解決に努めますとともに、農林水産省通達の趣旨の徹底を図りまして、国土調査法第十九条五項の申請事務の促進を図る所存でございます。  〔中島隆利君登壇〕 ◆(中島隆利君) ただいま農政部長の答弁をいただいたわけですが、私の質問に対して的確に答えられておらず納得がいきません。 というのは、第一点の指定率の違いは算定の基礎を聞いているわけではありません。国土調査に基づく事務手続がなぜ農水省あるいは県が的確に行うように指導しておきながらできていないのかをお聞きしたわけです。実態をつかむためには、法務局調べの算定基礎に合わせて報告してもらわなければ合うはずがないわけであります。県として実態がつかめていないから的確な指導ができなかったのではないかと思います。 第二点の十七条図の指定がなぜできないかということでありますが、この回答も、県営事業は換地業務を委託しているからとか、あるいは団体営は事業主体が行っているからといって、すべて事業主体の責任にして、県の責任と問題点が全く明らかにされていません。今後の対応についても、九〇%以上も残っておる十九条第五項の未指定処理については具体的にどう処理するか全く触れられておりません。 これらの問題については農政委員会でさらに論議をしたいと思いますが、国土調査や土地改良事業については、各市町村及び県の職員の皆さんが並み並みならぬ努力をされておることは私も十分承知をしております。それだけに努力してやった仕事が最後の詰めの仕事で完全なものになってはおらない。そして、さきの新聞のとおりあのような問題が起こるということは、十九条五項指定の事務を指導、監督すべき県が実態を把握できず放置をされていたということが私は重大な問題であろうと思います。農地管理は農政の根幹をなすものであり、早急に実態を明らかにしていただき万全の対策をとっていただきたいと思います。また、未処分対策は莫大な数になると考えますが、関係機関の人的配置あるいは機構の改革を含め、十分な対応をしていただきますよう強く要望しておきたいと思います。 次に、八代海の赤潮対策及び海域保全についてお尋ねをいたします。 芦北地方を中心とする八代海で、九月四日から九月十四日まで赤潮が発生し、田浦、津奈木町と水俣市の一部を中心に養殖ダイなど八千万円の被害が出たと言われます。八代海の赤潮被害が大きかったのは、昭和五十二年の一億六千五百万円、昭和五十三年の五千七百万円と今回で三度目であります。いずれも養殖魚の被害であります。 昭和五十三年以降の九州全域の赤潮発生状況を見てみますと、毎年発生をしている主な海域は、九州北部地域で博多湾、佐賀県の伊万里湾、九州中部では八代海、長崎県の大村湾、橘湾、九州南部では鹿児島湾等であります。九州全域では毎年六十件から百件近く発生をしています。 八代海では、昭和五十三年度に七件発生、被害が起こったのは四件、昭和五十四年度は九件発生し一件が被害、五十五年度には六件発生し被害なし、昭和五十六年度は九件発生し三件の被害、昭和五十七年度は七件発生し被害なし、昭和五十八年度は六件発生し被害なしと、以上のように、昭和五十三年度から昭和五十八年度の六年間で四十四件も発生をいたしています。八件が被害をこうむったわけであります。 このように、八代海では毎年六件から九件も赤潮が発生し、被害も八件起こっておるというわけであります。原因は、内海の場合、夏場の高温と少雨で海水温が上がって栄養塩類が増大し、プランクトンの異常発生によって起こると言われていますが、実際には、どういう物質が海水中にふえたときに赤潮がどうして起こるのか十分に解明されていないと言われます。ですから、現在では赤潮の予察がほとんどできないと言われます。県の水産試験場でも毎年七百万円程度の予算で赤潮の予察の研究がなされていると言われますが、これだけ毎年赤潮が発生し、八代海の唯一の養殖魚が莫大な被害を受け続けており、さらに対策を強化すべきであると思います。 知事は、去る九月二日、水産庁の海洋牧場を目指すマリノベーション構想に本県の八代海が地域指定を受けることが確実になったことを明らかにされました。マリノベーション構想は、沿岸地域で高度技術を使った水産業の振興を図るもので、八代海を中心とした不知火海地域千五百平方キロメートルに及ぶ広大な海域が対象と言われます。六十年度は、今回の九月補正で五百六十方円の調査費が提案されております。本年度中に専門家による構想検討委員会を設置すると言われます。 不知火海が、このように赤潮の常襲地で養殖いかだを引っ張って避難をしなければならない状況では、海洋牧場の開発どころではないと考えます。県南の不知火海地域は養殖魚介類の宝庫で、高度技術を駆使して海洋牧場の造成を図るマリノベーション構想の開発は、県南の振興の上からも願ってもない事業であると思います。この事業が本当に成功するためにも、八代海、不知火海のきれいな海づくりと赤潮対策をもっと緊急な対策として強化すべきであると思います。赤潮問題では、水俣湾公害防止事業監視委員会でも専門の委員の先生がいろんな提言と対策を求めています。 赤潮の原因は、通常、夏場海水が停流し高温になったとき、そこに窒素、燐が増大すると植物プランクトンの鞭藻類が異常に発生をして赤潮になると言われます。その動物プランクトンが急激にふえるきっかけがなぜかまだ解明されていないということでありますが、海水中の燐、窒素は、海に住む生物が死んでそれが分解することによってできたり、あるいは八代海のように、内海の場合には多量に陸から流入する窒素、燐によって増大すると言われます。特に燐は水の中で回復が遅いので、燐の流入を抑えるべきだと言っております。陸からの窒素、燐の流入は、工場排水や、農薬や肥料、家庭排水からと考えられ、赤潮防止はこれらの制限がまず第一であると言われています。特に燐を大量に含む家庭用洗剤が一番問題で、今全国各地で使用制限運動が起こっています。 赤潮の被害は現在養殖魚だけですが、プランクトンの動物性プランクトンが多量に死んで海の底に沈むと、その死骸がたくさん蓄積し、それが分解するために水の中の酸素を使い、そこで海底の酸欠状態となり、その周辺の海底の生物が死滅するとも言われます。さらに、海底で酸素がなくなると海底では酸素がなくても生きられる微生物がふえ、その微生物によって硫化水素などの有害物質をつくるという三次的な害も起こると言われます。そのほか、動物性プランクトンの中には毒を持ったものも少なくなく、それを貝が食べて、さらに人間が食べて中毒を起こすということが北日本では起こっていると言われます。 このような八代海の赤潮の発生状況とその要因を見るとき、県は赤潮が原因不明であり、予察が不可能であるとして放置することなく、早急に何らかの総合的な対策を立てる必要があると考えます。特に八代海には、来年度からいよいよマリノベーション――海洋牧場の開発計画が具体的に進められるわけで、きれいな海と海洋資源を守るためにも早急に赤潮の原因の解明と予察体制の確立が必要であり、抜本的な海域環境保全等の検討委員会の設置が必要ではないかと思います。 執行部の今後の対応についてお尋ねをいたします。  〔林務水産部長古閑忠治君登壇〕 ◎林務水産部長(古閑忠治君) お答えいたします。 御指摘のとおり、今月の上旬に不知火海域で発生いたしました赤潮は、現在では一応峠を越しまして沈静化の状況にあるわけでございますが、九月十四日までにまとめました調査によりますと、水俣・芦北地域の一部におきまして養殖マダイ等に約八千万円の被害があったわけでございます。 通常、赤潮の発生につきましては、その発生要因として環境の富栄養化が第一の要因に挙げられ、赤潮の発生状況を全国的に見ましても、この富栄養化の湖沼や海域に多発しているような状況でございます。 御承知のように、赤潮とはプランクトンが大量に発生する異常現象でございますけれども、このプランクトンの中にはすべてが魚介類に有害であるというふうにも限定できないのではなかろうかということでございまして、その種類は多種にわたっておるわけでございます。 今回不知火海域で発生いたしました赤潮は、昨日三浦議員の御質問にもお答えいたしましたが、コックロディニウムというプランクトンでございまして、このプランクトンはプランクトン自体に粘着性がございまして、魚のえらなどに詰まって呼吸困難となり、へい死に至るわけでございます。 このような現況を踏まえまして、各県やあるいは国の試験研究機関におきましては赤潮対策に真剣に取り組んでおるところでございますけれども、ただいまお話しのように、現在までのところそのメカニズムについて十分に解明されていないために抜本的な対策に非常に苦慮しているところでございます。 しかしながら、お尋ねの赤潮に係る今後の研究推進と指導体制の強化につきましては、本県といたしましても、水産試験場におきまして九州各県の大学の専門の先生方と連携を保ちながら赤潮対策事業という中で鋭意取り組んでいるところでございます。 また、国におきましても、このたびプランクトンが胞子の状態では海底の泥の中に休眠状態で分布していることが最近明らかになりましたことによりまして、この胞子の分布状況を調査し、胞子の状態での対応について近々研究がなされるというふうに聞き及んでおりますので、こうした国の調査研究等の成果も取り入れまして、今後ともさらにその研究に積極的に取り組んでまいりたい、このように考える次第でございます。 さらにまた、赤潮の発生予察、情報の伝達及び被害防止の指導につきましては、関係団体及び関係者の方々とも今後とも十分に協議しましてこれをさらに強化してまいりたい、このように考えているわけでございます。 また、このたび指定を受けました不知火海域でのマリノベーション構想は、御指摘のように、漁場環境の保全がなされて初めてその目的が達成されるというふうに考えるわけでございます。 このマリノベーション構想につきましては、今後これを具体化するために専門家による検討委員会を設けることにいたしておりますが、お話のように、不知火海域は、過去にも何回となく赤潮が発生している状況にかんがみまして、当然この問題に対する方策も含めて検討していただく予定でございます。 なお、海域環境保全等をさらに広い視野から検討するための検討委員会の設置につきましては、他部局と関係する面もございますので、今後関係部局と十分協議を重ねその対応を検討してまいりたい、かように考えております。  〔中島隆利君登壇〕 ◆(中島隆利君) ただいま御答弁をいただきましたが、八代海域の環境保全のために何らかの検討委員会を他部局とも検討しながら進めるということでありますので了解をいたします。八代海全域の海域の環境保全を行うためにも、赤潮の要因となる富栄養化対策等、きれいな海をつくる総合的な対策に県の総力を挙げていただいて、ぜひともマリノべーション構想、海洋牧場の開発を成功させていただきたいと思います。 次に、最後に八代地域の振興について三点ほどお尋ねをいたします。 県南地域の拠点として八代地域の振興については私もこれまで三回本会議で質問をしてきました。特定不況地域に指定をされ、構造的な不況に陥っている八代地域を県南地方中心都市として位置づけ、地域産業活性化のため、企業誘致、地場産業の振興、都市環境の整備を求めてきたところであります。特に八代港の整備拡充と活用、八代臨海工業用地を活用した企業誘致、臨港線、東幹線の早期完成、イ業振興を初めとする地場産業の振興について強く求めてきたところであります。 知事も、これまで、八代地域の発展は本県全体の発展に極めて大きな意義を持っており、企業誘致活動や地域産業の活性化策を通じて魅力のある雇用機会をつくり出すことが大きな課題であると言っておられます。また、八代を県南の中心都市として位置づけ、それにふさわしい都市機能の充実を図るため、文化、福祉、都市環境の整備に八代市と一体となって取り組むことを確認されてきました。その努力として、これまで八代港の整備拡充、臨港線の整備促進については予算の拡大等を含め、大きく前進していることを、この席をおかりして知事を初め執行部の皆さんの御努力に地元として心からまずお礼を申し上げます。 後に述べます八代地域産業の活性化を早急に図る上でも、八代港の整備、臨港線、東幹線の早期完成は緊急な課題とされていますので、さらに整備促進に御努力をいただきますよう冒頭にお願いを申し上げておきたいと思います。 八代地域産業の振興については、私の五十八年九月議会の質問に対し、知事は「本年度国土庁が新産都市建設計画見直し作業の一環として、全国でただ一カ所、八代地域をモデル調査地区として取り上げることといたしておりますので、八代市と協力してこの調査に積極的に取り組んで産業振興の具体的なプログラムづくりを進めてまいりたい」と約束をいただいております。その調査結果が昨年の三月に完了し、計画遅延の要因、将来の産業構造、工業構造のあり方を展望して、今後の工業開発の具体的な方向を示す報告書が発表されています。さらに、昨年九月の定例県議会でも強く取り組みのお願いをいたしました特定不況地域指定に基づく八代・坂本地域の振興指針が、これも昨年三月に県、八代市、坂本村一体となって策定されています。 この調査報告書と地域振興指針を見てみますと、既存企業、地場産業の分析を行い、今後の具体的な指針が出されています。八代港、臨海工業用地の整備活用による既存企業、地場産業の振興を誘発する外部からの工業導入、企業誘致の具体的な対応が示されてあります。特に新産業都市見直し調査では、八代臨海工業用地の地理的条件として、テクノポリス計画の推進により、先端技術産業の進む九州の中央部に位置し、高速道路網の整備、豊富な工業用水、広大な低価格の工業用地、三万トンの岸壁を持つ貿易港等は、九州における先端技術産業の集積を市場とする工業の立地には、内陸的活用もできる最適の工業用地であると評価されています。 そして具体的な誘致企業としては、既存企業、地場産業の振興誘発の可能な先端技術産業の産業用ロボットや、あるいは半導体製造装置等の一般機械、配電用等電気機械、通信機械、同部品、電子応用部品等の電気機械、その他新材料の立地が適していると言われます。そして将来的には、産業用ロボットや半導体製造装置等の輸出あるいは九州全域への製造品輸送、原材料の搬入が港湾整備とともに可能であるとしています。 さらに、今後中国、東南アジアとの貿易拡大に伴う鋼材加工基地あるいは石油化学製品中継基地として可能であるとしています。特に熊本県は、近年中国との友好交流が拡大し、経済交流も積極的に進められています。八代港は中国大連港、上海港とは最短距離に位置し、今後貿易の拡大には最適であります。既に上海港とは鉄鋼材の輸出が実施されています。 工業導入の対応策としては、学術研究基盤の形成として学術研究機関の導入や育成、特に八代地域の農林水産物を活用したバイオテクノロジー分野の研究集積を高めるために、農業試験研究機関の八代支場をイグサの研究とともに拡大し高めていくことも重要であるとしています。八代市も総合計画の第四期実施計画の中に、教育機関の充実として、国立八代高専の学科増設、四年制大学の誘致を大きな柱としています。地域の振興には若い技術者の育成と定着が必要であります。ぜひ研究機関、四年制大学の設置が必要であろうと思います。 そして最後に、企業立地を促進するために臨海部の生産基盤条件の一層の充実を強く求めています。また立地空間の形成を図るため、樹木や芝生を植えた八代臨海部のシンボルゾーンとして、安らぎと憩いと親しみをイメージできる空間として整備することも提言しています。八代臨海工業用地を単なる工業用地だけでなく、多目的に整備することが必要であるとも言われています。 この調査は、昭和五十八年に全国でただ一カ所指定を受け、五百万の予算が投じられて策定された報告書であります。しかも一年以上を経過する現在、このすばらしい報告書が十分生かされていないと考えます。 今回の新産都市建設計画の見直し報告書を、県の関係各部と八代市が一体となって十分に活用し、不知火地区新産都市建設の促進を県南振興の最大の課題として位置づけ、生産基盤の整備、企業立地に総力を挙げるべきだと思いますが、この報告書の活用と今後の執行部の取り組みについてお尋ねをいたします。 さらに、八代・坂本地域振興指針でも、八代地域の機械工業の発展は精密金型を製作できる企業の育成あるいは導入することが不可欠な要素であるとしています。そのためにも人材の育成、技術の向上が必要であるとしています。さらに、地場産業であるイ産業の振興、商業の振興、食料品製造業の振興のために、商品の開発、人材育成、技術の向上、工場団地やあるいは工場、アパート等の建設による高度化及び都市環境整備の具体的な例を挙げて提起しています。 八代地域の経済は、パルプ生産とアルミサッシ製造業がやっと通常生産に回復をしました。しかし、化学繊維製造業や卸小売業が引き続き地域不況により販売不振でほとんど雇用増が期待できない状態であります。七月末現在の月間求職者数は、五十四年度以来最高の三千三百十一名に達しています。八代地域雇用開発推進会議の実施事業によって五十九年度は三百六十九名の雇用が開発されていますが、しかし、八代・坂本地域振興指針で提起されております人材の育成、技術の向上等、地域産業の振興策に総力を挙げることが緊急の課題となっています。 指針を生かした地域振興策が、県、八代市と一体となって現在どのような課題に取り組んでいるのか。また、今後どのような既存企業、地場産業の振興を図り雇用対策に取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。 最後に、大型保養基地建設と八代地域の振興についてお尋ねをいたします。 去る八月十一日と八月十三日の新聞に、八代・日奈久地域に大型保養基地建設構想を通産省が発表という記事が載りました。内容は「高齢化社会に対応した大規模な保養、レクリエーション基地を建設する構想」で、国、県、八代市、地元企業が出資し、第三セクター法人を設立し「日奈久温泉を利用した予防医学センターや医療情報センター、各種スポーツ施設、国際研究所などを建設、総投資額百億円の大プロジェクト」で昭和「六十五年の完成を目標にしている。」というものであります。また、八代地域への立地の優位性も指摘されており、八代・日奈久地域は、伝統ある温泉保養基地であり、有明海の中央に位置し、海と丘陵部の拠点と東西に結合する海、山の恵みを盛り込んだ一大コンプレックスとなって有明海沿岸レクリエーションゾーンとなり、フェリーの回航も検討するなら県南の一大観光ルートになり目玉になると位置づけられています。 現在、八代市も昭和五十八年から七カ年計画で日奈久地先に二十四ヘクタールの埋め立て工事を着手しており、日奈久バイパス、住宅・商業地域、運動公園、レジャー施設等の開発を計画し、観光開発、地域振興策が検討されています。三十五億の埋め立て事業が昭和六十四年を目標に進められておりますが、大型保養基地の一部建設予定地としては絶好の場所であると考えます。しかも、知事が開発を確約されている県南第二の都市八代市の中核都市としての都市機能を図る八代地域振興策の最大の柱になるのではないかと考えますが、知事の今後の八代地域振興の決意も含めて御所見をお尋ねいたします。   〔企画開発部長原口恒和君登壇〕 ◎企画開発部長(原口恒和君) まず第一点の新産都市建設整備推進調査報告への対応についての御質問にお答えをいたします。 御承知のとおり、八代地域を含む本県の新産業都市建設計画では、本県臨海部における工業開発を推進するために、これまで生産基盤、生活基盤の整備を進めてきたところでございますが、全国の新産業都市地域におきましては、我が国の石油危機を契機とする経済環境の急激な変化等の中で、必ずしも当初期待したほどには企業の立地が進んでいないということも現状でございます。 このような現状にかんがみまして、御指摘の新産業都市建設整備推進調査は、我が国の産業構造の変化や近年の工業立地の動向を踏まえまして、今後における工業立地促進のための具体的な方策を検討するということを目的として、国土庁が全国で一カ所、八代地域をモデル調査地区として調査したものでございます。 この報告書におきましては、御指摘のとおり、今後の八代地域の工業開発に当たりましては、主として一般機械、電気機械あるいはバイオインダストリーといったようなものを中心とする先端技術産業を導入目標業種として、学術研究基盤の形成や八代市の都市機能の整備、さらには八代港及び八代臨港線の整備などの条件整備等を図りながら工業導入を進める必要があるというような報告になっております。 県といたしましても、この報告と同様の認識のもとに、例えば八代港と九州縦貫自動車道八代インターを結ぶ八代臨港線の整備あるいは三万トン級の船舶が接岸できる港湾としての八代港の整備などの条件整備を図りながら積極的な企業誘致に努めているところでございます。さらに誘致に当たりましては、臨海型工業であって将来地方への展開が期待できる業種の選定を現在調査しておりますし、また工業用地のリース制度の検討も現在進めているところでございます。 なお、八代市及びその周辺市町村には、昭和五十八年に超精密金型企業が立地したのを初め一般機械、縫製企業等数社立地するなど、先端技術産業等の集積も行われておるところでございます。 いずれにいたしましても、八代地域の振興を図るためには、これらの基本的な課題の解決に向けて県、地元市町村が一体となって取り組むことが必要でございますので、この報告書の提言も十分参考にしながら、各方面と協力いたしまして具体的な事業の推進に努めてまいりたいと考えております。   〔商工観光労働部長道越温君登壇〕 ◎商工観光労働部長(道越温君) 八代・坂本地域振興指針への対応につきましてお答えをいたします。 御案内のとおり、この振興指針は、地域内中小企業がいわゆる構造不況から脱出し活性化できるよう、地域振興の方向、目的を具体的に地元に示すために、特定業種関連地域中小企業対策臨時措置法に基づきまして策定をいたしたものでございます。 この指針に基づく県といたしましての具体的対応といたしましては、ただいまお話がございましたように、技術の高度化、人材の育成が特に重要であるという観点に立ちまして、また、この地域の工業集積に着目をいたしまして地域中小企業の機械加工能力の充実を図るべく、精密機械加工団地の建設あるいは産業用ロボット等の製品開発によります新分野への進出、あるいはまた地域産業を支える高度技術者の養成に取り組むよう積極的な指導を行ってきたところでございます。この結果、例えば溶接用ロボットや地場産品でありますイグサの自動加工機等を共同で開発し、商品化することを目標に、新たに協同組合を組織し、新分野開拓へ取り組む中小企業者があらわれてくるなど、具体的な成果が上がってきております。 県といたしましても、このような事業実施に要する経費について助成するなどの措置を講じているところでございますが、今後ともこのような中小企業の取り組みに対しましては積極的に支援をしてまいりたい、このように考えております。 また、既存の地域中小企業の活性化、新分野進出への指導、援助とともに、地域に対するインパクトの大きい企業の立地を図っていくことが大変重要でありますので、地元とも協力いたしまして企業誘致にも積極的に取り組んでおるところでございますが、最近におきまして精密機械加工の基礎となります超精密金型設計製作あるいはまた自動化機器設計製作部門の企業進出が実現いたしておりまして、こういった面から地域中小企業への技術移転が期待される状況も出てまいっております。 また、雇用対策につきましても、これまで述べましたような地元中小企業の活性化や企業誘致を図っていくことが雇用拡大にもつながっていくと考えておりますが、一方、お話のございました八代地域雇用開発推進事業によりまして、五十九年九月から本年七月までの間に四百九十七人の雇用開発が達成されておりまして、さらにこの事業の充実を図ってまいりたい、このように考えております。 今後とも地元自治体と緊密な連携のもとで、ただいま申し上げましたような施策を中心といたしまして積極的に取り組みましてこの地域の振興に努めてまいりたい、このように考えております。   〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 国におきましては、対外経済摩擦緩和のために各種の民間活力による内需拡大策が検討されているところでございますが、そのうち通産省におきましては、技術革新、情報化への対応としての研究開発、情報基盤施設や自由時間増加への対応としての複合的な余暇施設などが検討されておりまして、県としてもこうした国の新規の施策の動向については強い関心を持っているところでございます。 ところで、御指摘の通産省と県が日奈久の埋立地に大型の保養基地を建設するという構想を公表したという新聞記事でございますが、残念ながらそのような構想は持っておりません。しかしながら、八代市を中心とする地域の振興につきましては、八代市が本県第二の都市として県南地域の中核都市としての役割を期待されていることもあり、本県全体の振興に極めて大きな意義を持っていると認識をしておりますので、地元市町村と連携しながら今後ともいろいろな施策を展開して地域の振興を図ってまいる必要があると考えているところでございます。  〔中島隆利君登壇〕 ◆(中島隆利君) ただいま知事からはっきり御回答をいただきました。そのはっきり御回答をいただいたのは新聞記事そのものの発表、決定というのがない、至っていないということだと私は理解いたします。 というのは、この構想の問題については、今政府・通産省で、民間活力の構想の中であらゆる構想が検討されている、六十一年度の概算要求の中でこの問題が検討されているということをお聞きしたわけであります。ですから、私はこれを即、日奈久のあそこに持っていけと、こう直接言いたいわけでありますが、問題は、県南振興のこのレクリエーション基地あるいは地域開発の拠点として、現在八代市が進めておるあの埋立地を活用した大きな課題として積極的に取り組んでほしい、このような趣旨で質問をしたわけでありますので、その点の状況を御理解をしていただきたいと思います。 個々の三つの質問に対して御答弁をいただきましたが、八代地域の振興についてはそれなりの努力がそれぞれなされております。新産都市指定を受けて二十年、特定不況地域の指定を受けて三年、八代市の地域経済、雇用情勢は悪化の一途をたどっています。せっかく新産都市の見直し報告や八代・坂本地域振興指針が、八代地域全体を分析しながら今後の方向の提言をまとめた貴重な報告であります。ぜひ関係各部課、そして関係地域市町村を含めてこの推進体制をつくっていただいて県南振興の大きな柱に活用していただきますよう切にお願いをしておきたいと思います。 最後に、県南野球場建設の促進について要望をいたします。 一昨日平川和人議員からも早期建設を強く求められていましたが、これまで地元先輩議員、木村、小早川両議員からも再三にわたって要望がなされてまいりました。新産都市見直しと大島臨海工業用地の企業立地の起爆剤や県南地域の運動公園の拠点となるよう、県南野球場建設の一日も早い着工を強く要望いたします。 八代地域県南振興に総力を挙げていただきますことを切にお願いをいたしまして、私の全部の質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。 (拍手) ○副議長(金子康男君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時二十四分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時二分開講 ○議長(久保一明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 前畑淳治君。  〔前畑淳治君登壇〕(拍手) ◆(前畑淳治君) 自由民主党荒尾市選出の前畑淳治でございます。三回目の一般質問の機会を与えていただきましてありがとうございました。 質問に入る前に、移動無線サービス――MCA導入についての要望をいたしたいと思います。 昨日の新聞にも報道されて御承知のとおりと思いますが、MCAというのはマルチチャンネルアクセスの略でありますが、本社のオフィス等に設置した指令局と移動する自動車との間を無線で結び業務連絡などに利用するサービスであり、現在の車社会に有力な移動通信手段として登場したものであります。マルチチャンネルアクセスという名のとおり、幾つかの電波を多数の利用者が共同で利用するシステムであるため、従来の簡易無線等の通信手段に比べて混信もなく待ち時間も少なく、一地域での利用者も相当多数の加入が可能であります。 現在九州では福岡、北九州地区で昨年十一月からサービスが開始され、財団法人九州移動無線センターが主体となって運営されております。運輸業や卸売業・サービス業など移動の多い業種を中心に二千五百台程度利用され、動き回っている車への営業上の指示、緊急連絡など業務の効率化に威力を発揮しているようであります。 本県では、テレトピア構想、ニューメディアコミュニティー構想のモデル地域指定を受けるなど、高度情報化社会の到来に向けて積極的な取り組みがなされておりますが、このMCAシステムは、地域の情報化を進めていく上で強力な武器となるものであり、また地元企業の業務効率アップなど産業経済活動に大きく寄与するものであると考えるわけであります。 福岡、北九州に次いでこのサービスの本県への導入も計画されているようでありますが、ぜひ早い時期に実現するよう関係機関への働きかけを強く要望をいたしまして質問に入りたいと思います。 まず、緑対策について知事にお尋ねをいたします。 知事は、去る二月定例県議会において、今後十年間にわたって県土の総合的な緑化を推進していくための基本的な方向等を「くまもと緑の三倍増計画」として明らかにされ、「県土全体の緑の質を高め、緑の総量を確実にふやすということを基本として計画の実施に当たってまいりたい」との所信を表明されたところであります。計画の具体化に向かって着実な取り組みがなされていくことを大いに期待いたす次第であります。 ところで、緑化の推進は、大きく民間と公共との二つの分野に分けられると思います。最初の民間の緑化は、申すまでもなく、県民みずからの活動により推進されるべきでありますが、そのための各種啓発活動とあわせて民間での緑化活動を推進する中枢的機関として、去る七月には「くまもと緑の基金」を創設されたわけでありますが、今後基金の設立目的達成に向けた事業の展開を注視してまいりたいと思います。 さて、道路、公園、学校、公営住宅等の公共公益施設における緑化についてでありますが、これらの施設におきましては、例えば新設何カ所、何キロメートルというようにややもすれば量的な対応、拡充にウエートが置かれてきた面が強かったと思います。もちろん、これらの公共公益施設の設備において、他の地域に比較して相対的に立ちおくれが見られた本県としては量的な拡充が必要であり、それらの対応が本県における現在のような社会基盤の向上につながってきていることも事実であります。しかし、これらの公共施設が地域の環境に与える影響は極めて大きく、施設と一体となった周辺環境の緑化が公共空間として、地域の生活環境、都市景観の向上に重要な役割を果たすものであり、今後は特にこの点に配慮した緑対策が必要であろうと思います。 この観点から「くまもと緑の三倍増計画」を見ますと、公園、道路、学校等公共施設全体においては、今後十年間で約千五百万本の植樹を実施し、緑の三倍増が実現することとされておりますが、各施設の種類ごとに見ますと、ある施設では五倍を超える植樹が実施される計画になっている反面、他の施設では植樹計画が二倍弱にとどまっているなど、相当のアンバランスが見られるところであります。 そこで、公共空間における緑化についての基本的な考え方と「くまもと緑の三倍増計画」における公共施設の種類ごとの緑化計画のアンバランスをどのようにお考えか、お尋ねをいたします。 また、これら公共施設の中でも、特に地域の生活環境を潤いのあるものに改善、向上させていくための緑の拠点として学校は極めて重要な役割を果たすものであります。そして学校の緑化は、学校の敷地全体を利用した教育の場づくりであり、地域の特性を生かした個性的な教育環境づくりであるとともに、地域にとってはシンボルとして地域連帯意識をつくり出す中心ともなるものであります。 ことしの第三十六回全国植樹祭において表彰を受けた託麻原小学校のように、地域ぐるみの緑化によって大きな成果を上げている例も見られますが、学校の緑化に当たっては、PTAや老人会等の参加を得た地域のコミュニティー活動として推進し、ひいては学校を拠点とする緑化のための県民運動へと盛り上げを図ることが必要ではないかと考えますが、いかがでありましょうか、御所見を伺いたいと思います。 次に、第四回全国都市緑化熊本フェアについてでありますが、本件につきましては、去る六月議会におきまして我が党の北里議員が代表質問で、熊本で開催するに当たっての基本的な方向、内容等を質問されているところでありますが、これに対し知事は、何よりも「くまもと緑の三倍増計画」の実践活動であり「緑化に取り組む熊本の熱意を示すとともに、緑の文化発信の場としたい」という基本的な考えを示され、緑を中心としながら幅広い視点から楽しく参加できるイベントとして展開したいと述べておられます。新聞報道等によりますと、会期も六十一年八月一日からに決定を見たようであります。 水前寺・江津湖公園の関連施設整備については関係部署等で進められているようでありますが、余すところ約十一カ月月後というところであり、これまでのフェアの準備の進捗状況、今後の取り組み方についてお尋ねをいたしたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇
    ◎知事(細川護熙君) 緑化対策についてのお尋ねでございますが、道路を初めとする公園や学校等の各種公共施設は、地域のシンボルゾーンになることが多く、景観の中で果たす役割が極めて大きいことは御指摘のとおりでございまして、例えば新空港線のように、将来の都市の発展を見越しながら緑化への取り組みも既に進めているところもございますし、今後美しく潤いのある町づくりを推進していくに当たりまして、こうした公共施設が地域の景観向上に寄与し得るように、特に地域の特性を考えながらモデル的に緑化を推進してまいりたいと考えているところでございます。 そこで、緑の三倍増計画の策定に当たりましては、公共施設ごとに緑の現況把握をいたしまして、各施設の適正な緑の総量を勘案しながら植樹目標を設定いたしましたので、御指摘のように、公共施設の種類ごとの緑化計画にアンバランスが生じておりますが、これは施設の緑化可能なスペースの有無でありますとか、今後の整備の見通しでありますとか立地条件とかを十分検討いたしますとともに、さらに施設の機能が十分発揮できるように配慮した結果でございまして、公共施設全体といたしましては植樹による三倍増を見込んでいるところでございます。 それから、学校を拠点とする地域ぐるみの緑化運動、ひいては県民運動への展開についての御提言でございますが、学校は、その地域社会のシンボル的な存在であると同時に、学校の緑は、情操教育や児童生徒の健康など人づくりに大いに寄与するものでございますし、また地域の生活環境の緑の拠点として重要な役割を果たすことを認識し、地域住民の参加と協力を得て学校の緑化を推進していく必要があると考えております。既に、児童生徒、PTAなどが一体となって、学校から地域の公園まで緑化活動を展開している例もございますが、そのような取り組みが全県的な広がりになるように、学校を初めとする関係者のより一層の協力を求めてまいりたいと思っております。 それから、第四回緑化フェアの準備の状況についてでございますが、基本的な方向につきましては六月の議会等で明らかにしているところでございますが、ことしの五月に実行委員会事務局を設置いたしまして、その組織の充実を図りながら県、熊本市の関係各課の応援体制を確立するための推進連絡会議を設置いたしました。そこにおきまして、シンボルマークでありますとか、あるいはマスコットマークの決定、あるいはまた市町村や報道機関等への協力要請、ポスターやチラシの作成、PR等を積極的に始めたところでございます。 会期につきましては、御承知のとおり、児童生徒の参加が得られるようにということ等も考えまして、来年の八月一日からということにいたしておりますが、基本となる会場の施設計画、観客動員計画、イベント計画等につきましても、既に専門プロデューサーの協力を得ながら事務局で策定を進めているところでございます。 それとあわせまして、現在、出展、イベント等につきまして、大手、地元企業等に対しまして趣旨の説明、施設参加等の要請を行っているところでございますが、お話がございましたように開会までもう十一カ月しかございませんし、今後本格的な準備を進めていくことになりますので、県議会におかれましてもこの上とも格段の御理解と御助力をお願い申し上げたいと存じます。  〔前畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) 先般の全国植樹祭に続きぜひとも今回の全国都市緑化フェアを成功させていただいて、これを契機に緑化を進めていただき、さらには今知事がお答えになりましたような緑化運動が県民運動として発展していきますようにひとつ御努力をいただきたいと思います。 次に、新しい県立図書館について教育長にお尋ねをいたします。 このことについては、去る二月の本会議で倉重議員からも質問がなされておりますが、このたび、江津湖のほとり静かで落ちつきのある、また歴史的にも由緒ある江津花壇跡地に西日本一を誇るすばらしい図書館が完成し、この十月にオープンすると伺っており、まことに喜ばしく関係各位の御努力に対し、県民の一人として、心から敬意を表するものであります。 この図書館は、百万冊の図書収蔵能力を有し、全国公立図書館の中でも五指に入ると言われ、西日本一の規模を誇るものであります。利用者が自由に手にとってより多くの図書を選ぶことができる大開架室制を取り入れ、情報化に備えてコンピューター及びファクシミリシステムの導入、また熊本ゆかりの近代文化に関する資料の展示等を行う近代文学館の併設など、全国的にも極めてユニークな特色を持つものであると聞いております。 さて、今日の社会の変化を見ますときに、所得水準の向上に伴って、県民の意識も豊かさの考え方が量から質へ、そして物から心へと変化し、余暇時間の増大とも絡んで、今後ますます生活に潤いを求め、積極的に文化を求めてくるものと思われます。 一方、高度情報化の時代を迎え、人々の価値観の多様化、情報ニーズの増大と相まって産業、社会、生活のあらゆる分野にわたって変化をもたらそうとしております。さらには、我が国の国際的地位が高まるにつれて国際社会との調和、その発展への貢献がより多く求められ、地域社会においても、みずから諸外国と直接交流する時代となってきております。 このような時代背景の中にあって、県民の多様なニーズにこたえるため、県立図書館が果たす役割も従来に増して多様化し、ますます重要となってくるものと思われます。 これらのことに対して、例えば刻々と変化していく社会、とりわけ情報化、国際化の波に対応するためには、新しく導入するコンピューターを活用して国立国会図書館を初め各都道府県の図書館、大学の研究機関等とのオンライン化を図り幅広いネットワークを確保することにより、資料情報の交換あるいはそれを蓄積することによって、より多くの情報が提供できるといったことが考えられ、さらにはファクシミリシステムの導入によって、市町村立図書館利用者がいながらにして速やかに資料情報の拠点としての役割がますます大きくなると思われるわけであります。また、このようなネットワークづくりを通じ、県下市町村における図書館の利用者が一段と身近なものとなり、その活性化にもつながるといった本県の中央図書館としての役割を果たしてもらいたいと思うわけであります。 情報化、国際化といった新しい流れの中で、本県文化の一つの拠点である県立図書館、近代文学館がそれぞれの機能をどのようにしてその役割を果たしていかれるのか、今後の運営方針などについてお伺いをいたしたいと思います。 次に、図書館に寄贈された四庫全書についてお尋ねをいたします。 去る七月の新聞記事によりますと、台湾政府は、熊本県民文化資料集成期成会を通じ、新しい図書館の開館を記念して、中国清朝の乾隆帝の勅令により編さんされた中国文化の一代叢書である四庫全書の複製本が贈られたとのことでありますが、これまた喜ばしいことであります。台湾の方々が異例の厚情を示し寄贈すると決定した要因の第一は、中国の民国革命の父と仰がれる孫文と荒尾出身であります宮崎滔天とのかかわり合い、第二に、本県は細川藩の古くからつとに漢籍研究が行われ、殊に第八代藩主細川重賢公が藩校自習館を開くに及び、幾多の著名な学者を輩出したことによると聞いております。 このように、滔天が今回の四庫全書寄贈のきっかけとなり、知事がかねがね提唱される外国との文化交流の一端となりましたことは、まことに結構なことであります。皆さん御承知のとおり、宮崎滔天は、兄民蔵とともに孫文の民国革命を粉骨砕身してこれを助けたことで、中国、台湾の方々にもよく知られております。また、県でも昭和四十八年度の熊本県近代文化功労者としてその功績をたたえ顕彰しております。 ちなみに荒尾市には、宮崎兄弟に対して時の中華民国政府から贈られた金一封を基金として建設された孫文記念館があり、孫文と宮崎兄弟の偉業と友情のあかしとして荒尾人の誇りとしているところであります。 台湾の方々の御厚情と関係各位の御尽力によって寄贈を受けることになりましたこの世界的な文化遺産である四庫全書は、我が国とも深いかかわり合いのある中国の文化を伝承する貴重な資料であることは言うまでもありません。この実現に努力された関係者に厚く感謝申し上げるととに、これらの方々の御意向にこたえるためにも、県民の大切な財産として、今後保存、活用を図っていかなければならないと思うわけでありますが、その活用についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。  〔教育長伴正善君登壇〕 ◎教育長(伴正善君) 新しい図書館につきましては近々開館の運びとなりますので、諸般の準備を進めているところでございます。 この図書館の主な特色といたしましては、ただいまお述べになったとおりでございまして、まず大開架室制度を取り入れまして、これまで以上にたくさんの本を利用者が自由に手に取って選べるということになります。 二番目は、コンピューターの導入でございまして、主要な図書館の業務の一つでございます調査相談業務は、これによりまして一段と充実し、文献検索が大幅に迅速化されまして、利用者に対してより速やかに情報の提供を行うことができるようになります。 第三番目といたしましては、ファクシミリを導入することにより、県内市町村立図書館あるいは公民館図書室をファクシミリで結び、利用者の求めに応じて資料、情報の提供を行い資料援助の強化を図ることができるようになります。 次に、また近い将来には他の機関とのオンライン化等が考えられますが、そうすることによりまして提供できる情報の量も飛躍的に増大するものと思われます。国際化、情報化といった新しい時代の流れに即応するために、その運営に当たりましては、これら特色を十分に生かしながら多様化した県民のニーズにこたえて柔軟に対応していかねばならないと思っておりますが、当面例えば海外情報コーナー等特設コーナーを新設いたしまして、県民の関心を喚起したいと考えております。 次に、近代文学館でございますが、徳富蘇峰や蘆花兄弟、小泉八雲、夏目漱石などといった明治以降の熊本ゆかりの文学者を顕彰、展示いたすことにしておりまして、当面そういった展示対象作家にかかわる資料の調査、収集を続ける一方、これら作家についての展示、講演会など一連の事業を展開しながら、熊本の作家たちが日本文学にどうかかわっておったかという全国的な視野に立って郷土を見直していく、そのための一つの拠点としてその役割を果たしていくよう運営してまいります。 次に、四庫全書は中国文化の一大叢書でございまして、中国文化を理解するに欠くことのできない貴重な資料でございます。 今回御恵贈いただきましたのは、台北市にある国立博物館が所蔵しております文淵閣本約三万六千冊を縮小して千五百冊におさめられた複製本のうち千六十一冊でございます。このような貴重な四庫全書の寄贈を受けたのは、我が国では国会図書館以外では本県だけでございます。台湾の方々の御厚情と熊本県民文化資料集成期成会の御尽力のたまものと感謝しているところでございます。 これらの活用方法等につきましては、今後関係機関等とも十分相談の上検討していきたいと思っておりますが、当面は、まず新館開館記念行事の一環といたしまして、四庫全書展を開催し、あわせて、その期間中にその全貌を知ってもらうために専門家による講演等も開催する予定でございます。 図書館、近代文学館、いずれにいたしましても開館間近あるいは開館したばかりでございますので、これから時代に即応して運営をしていくためには、各方面の御意見を拝聴、活用したいと思いますので、特に議会の先生方も、ここから五、六分でございますし、忙中閑ありで時々図書館に足を運んでいただきまして御活用いただきますようお願い申し上げておきます。  〔前畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) 本県文化の拠点として、またこの四庫全書寄贈を一つの契機に、文化の国際交流の場としても広く県民に現しまれる図書館としての運用を強く期待をいたしたいと思います。 次に、英諸教育の振興について教育長にお伺いをいたします。 昨年熊本を訪れた外国人は約十万三千人、外国に旅行した熊本県民は約二万五千人に達しており、外国人との交流の機会は今後とも増加の一途をたどることは必須であります。今や国際化社会が到来し、外国人と接することなくして生きることは不可能な時代になったと言っても過言ではないと思います。国際意識の高揚が叫ばれるのはその辺にあるわけでございます。 ところが、日本人は外国人との接触の仕方が下手であるということをよく聞きます。この原因の一つは、我が国が海に囲まれているという自然環境、三百年にわたって鎖国政策をとったという歴史的な経緯、温順、寡黙を美徳とした伝統的な人間観などによって、社会性に乏しい国民性がおのずと培われたことにあろうと思います。 そしていま一つの原因は、学校における英語教育のあり方に問題があると考えるわけであります。我々は外国人と親しく接していきたいと願いながらも外国人に声をかけることができないのは、自分の語学力、とりわけ会話力に自信がないからであります。国際意識の高揚はもちろん極めて重要な課題でありますが、その根底ともなる生きた英語教育の充実こそ急務であろうと思います。 聞くところによりますと、外国における語学教育では、その初歩的段階から母国語を一切使わない授業を行っているところが多いということであります。語学教育の重点を聞くこと、話すことに置き、まず日常生活に役立つ生きた語学力の育成に努めているようであります。その成果であると思いますが、最近日本と韓国の高校生の間で交歓会を持つ機会も増加しておりますが、韓国の高校生は比較的流暢に英語を話すけれども、日本の高校生の英語はまことにたどたどしいということも聞いております。このことは、両者の能力の違いではなくて、むしろ外国語教育のあり方に問題があるものと考えるわけであります。 我が国の外国語教育の指標ともなる学習指導要領では「事柄の概要や要点をとらえながら英語を聞き、話し、読み、書く基礎的な能力を養うとともに、英語を理解し英語で表現しようとする態度を育てる。」と定めているのであります。ところが、中学、高校六年間にわたって英語を学習しても、大部分の生徒が簡単な会話もできないという現実であります。このことは、明治以降、書物を通して西欧の文化を取り入れ、それで十分その使命を果たしてきた我が国の語学教育の伝統が今なお根強く息づいていることのあかしでありましょうが、一方そのことが、言語活動の基礎を養うことを従来よりも重視した学習指導要領の徹底を阻害する要因ともなっております。もちろん読むこと、書くことを重視した訳読中心の英語教育も重要でありますが、今まで以上に日常生活に役立つ会話力育成に主眼を置いた授業が積極的に学校現場でなされるべきではないかと考えるものであります。そうしなければ我が国は国際化の波に乗りおくれるのではないかという危惧の念さえも持つものであります。 そこで、英語教育の振興について三つのことをお伺いしたいと思います。 まず第一点ですが、県教育委員会は「児童・生徒教育指導の指針」を定め、その中で「日本人としての自覚と国際意識の高揚」をうたっておられます。思いますに、国際意識の高揚に欠くことのできないものは、外国の風土、文化等の理解もさることながら直接的な外国人との交流に負うところが大きいと思います。幸い知事は、常々教育立県を強調され、特にその中で国際的な感覚を持った個性的な人材育成に強い理解を示しておられます。知事の御英断もあって、県教育委員会は、米国人英語指導主事助手を五十九年度は十二名、六十年度は十三名と全国でも最も多くの助手を招き、教育委員会、教育事務所並びに高等学校に配置をされております。また熊本北高校には五十八年度以降英国人を英語教員として招き、英語科の充実に尽力されております。これらの事業によって、本県の中学、高校生は日ごろから外国人と交流し、生の英語に直接触れる機会に恵まれているわけでありますが、学校現場では果たして所期の目的を達成しているのかどうか、お伺いをいたします。 次に、英語教師の資質の向上についてであります。 次代を担う青少年に生きた英語を教えるためには、当然のことながら英語教師の専門的な力量を高めることが必要であります。県教育委員会は、英語教師についても各種研修会を積極的に実施しておられるということでありますが、どのような研修会を実施して資質の向上に努めておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。 第三点目は、高校入試におけるヒアリングテストについてであります。 全国的な高校入試状況を見ますと、ヒアリングテストを導入している県が年とともに増加をしております。新聞報道によりますと、東京大学でも六十三年度から全受験生にヒアリングテストを実施するように決定をしたということであります。文字だけに頼っていた外国語から音声による外国語をも重視する方向への転換であり、これらが学校における英語教育、英語を学ぶ姿勢に好ましい影響を与えるものと信じており、ヒアリングテストの実施に私は心から賛同するものであります。本県では五十九年度、六十年度と既に二年間にわたって試行されたということでありますが、英語力の向上、ひいては県民の国際意識の高揚の一助とするためにも六十一年度からヒアリングテストを高校入試に正式に導入されるお考えはないか。 以上三点について教育長にお考えをお伺いしたいと思います。  〔教育長伴正善君登壇〕 ◎教育長(伴正善君) 英語教育の振興、特に生きた英語教育についての御質問の第一点についてお答えいたします。 米国人英語指導主事助手は、本年度は義務教育関係に四名を配置し、中学校の要請によりまして随時派遣しております。また、高等学校関係には九名を配置しまして、年間あるいは学期ごとに配置校をかえて二年間で全部の高校を一巡するようにいたしております。それぞれの学校におきましては、直接外国人と接することで、生徒は今まで以上に英語に興味、関心を持つようになりまして積極的に英語助手に話しかけるなど、特に英語を聞き話す能力を養うという所期の目的を十分達成しているものと考えております。 第二点の英語教員の研修でございますが、昨年に引き続きまして、中学、高校の英語教員四名を米国モンタナ州に派遣し、六カ月にわたって州立大学等で研修させております。また、高校英語教員約三十名を対象に集中研修講座を実施しておりまして、この研修には外国人教師を最大限に活用いたしまして、主に聞くこと話すことの指導力の向上を図っております。その他、教育課程研修会等によって学習指導要領の趣旨の徹底や資質の向上に努めております。 第三点の高校入試にヒアリングテストを導入することにつきましては、過去二年間試行いたしまして、その結果を現在分析中ではございますが、大きな支障がないという結論を得た場合は、六十一年度の高校入試から本実施に踏み切るよう積極的に検討を進めております。 いずれにいたしましても、英諸教育の振興は極めて重要な課題でございまして、今後ともその充実に努めてまいります。  〔前畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) 先日のNHKのテレビニュースで報道しておりましたし、また二、三日前の熊日の夕刊にも載っておりましたが、この半年間に日本を訪れた外国人は百九万人、海外に旅行した日本人は二百四十万人を超えるということであります。これからますます国際交流が盛んになっていくものと思います。このような国際化の中で日本が伸びていくためには、英語教育、とりわけ話す、聞くことに重点を置いた英語教育が必要であろうと思います。このような観点から英語教育にはさらに力を入れていっていただきたいと思います。 次に、本県のアサリの流通体制について林務水産部長にお伺いをいたします 我が国の漁業は、海の生産力を開発促進し、それを利用しながら生産物を私ども国民に対し、豊かで栄養となるたんぱく質を安定的に供給してまいっております。しかし、近年漁業を取り巻く諸情勢は、二度にわたる石油危機により、漁業用燃油や資材等の高騰による漁業経費の増大、また国際的な二百海里規制という新海洋秩序の定着等急速に変化したため、我が国周辺海域の高度利用の必要性等に対する施策が従来にも増して必要となっております。一方、水産物消費の伸び悩み、食品の多様化による需要の停滞、消費の季節性等大変厳しい事態に直面していることも既に御承知のとおりであります。 さて、本県の漁業を眺めてみますと、本県生産量の九八%余りが沿岸漁業による生産であり、有明海や不知火海及び天草海の生産性の高い恵まれた漁業で多種多様の漁船漁業や養殖業が営まれております。県におかれても、この沿岸漁業の振興を図るため、漁場の造成、増養殖場の開発、漁港の整備等、漁場生産力の増大と生産基盤の整備について、あらゆる施策を計画的に推進され、本県水産業振興のため積極的に取り組んでおられることに対し深く感謝をしているところでございます。 しかしながら、沿岸漁場を取り巻く環境は厳しく、社会経済の発展により全国的に漁場の減少が進行する中で、干潟漁場も狭くなってきております。幸い本県の有明海地先は三百八平方キロメートルに及んでおりまして、この広大な干潟は、大小の河川から流入する栄養塩が豊富であり、そのため基礎生産力が高く、恵まれた漁場環境の中で、ノリ養殖業を初めアサリ、ハマグリ、クルマエビ等を対象とした漁業が営まれていることは御承知のとおりであります。 この有明海岸の干潟漁場において生産されるアサリは、本県漁業生産量の中でも約三〇%と最も大きなウエートを占めております。昭和五十二年の六万五千トンをピークに減少傾向にありますが、昭和五十七年四万一千トン、昭和五十八年三万二千トンと、それぞれ全国生産量の三〇%から二〇%を占め、全国第一位または第二位の生産量を上げており、本県は量、質ともに全国的に有名なアサリの生産県であります。 私の地元荒尾地先におきましても、このアサリを漁業者がよき収入源として採貝しているところでありまして、アサリを集荷し、トラック積みされて走る光景をよく見かけるたびに、どのような流通経路をたどって消費者に届くのだろうかといつも考えていたところであります。 そこで、関係漁業者に聞いてみますと、本県アサリは、北九州や関西、関東方面等に生鮮貝として出荷されておりますが、その大半は、生産者から地元仲買人を通じて関西等の荷受け人が引き取り、そこで砂抜きと出荷調整をしながら荷受け地のブランドで市場に出荷されていると聞いております。このような状態では、せっかくの本県産アサリが消費地においてそのイメージがなくなっており甚だ残念でなりません。これからますます激しくなっていく地域間競争を考えるときに、県産アサリを消費地においても他県産ブランドとしてではなくて、熊本県産ブランドとして市場や消費者に届けるような流通体制を確立することが必要ではないかと考えるわけであります。 県におかれましては、日本一づくりを提唱され、熊本県産品を全国に普及、定着するように努力中でございますが、県産アサリの流通体制の改善と熊本県産品として消費者に認識していただくための方策等についてお考えをお伺いしたいと思います。  〔林務水産部長古閑忠治君登壇〕 ◎林務水産部長(古閑忠治君) 本県産アサリの流通体制とブランドづくりについてのお尋ねでございますが、昨今におきます水産業を取り巻く諸情勢は極めて厳しく、またこれからの漁業は地域間の競争がますます激しくなってまいるものと考えているところでございます。 このような中で競争にいかに勝ち抜いていくかということを考えますときに、生産した水産物をいかに有利に販売するかが重要な課題でございまして、流通体制の面でより一層の創意工夫が必要であることは御指摘のとおりでございます。 本県産アサリの流通の実態を眺めてみますと、現在県漁連を通じた共販による系統出荷は、生産量に対しまして昭和五十七年で一二・七%、昭和五十八年で一二・五%昭和五十九年で一七・五%となっておりまして、共販の重要性が認識され、少しずつ上昇傾向が出ているところではございますけれども、なおまた満足する段階までには至っていないのが実情でございます。 現在県漁連が行っております共販体制は、県漁連が商社の業務内容を調査して指定商社を選定し、指定された商社が各漁協ごとのアサリを一潮ごとに事前の競争入札で価格の決定を行っておりまして、落札いたしました商社は、県内の市場を初め北九州や関東、関西等の荷受け人に出荷しておるわけでございます。県外に出荷されましたアサリは、お話のように、消費地近郊の荷受け人が砂抜きと、それから出荷調整を図りながら市場に出荷いたしておりますため、その際の出荷名義が県外であることから熊本県の名前が出なくなってきておるものでございます。 このような流通体制にありますのは、従来からの慣行とそれから流通経路が複雑多岐にわたっておりますために、県漁連を初め漁協サイドとしての共販体制がまだ十分に確立されていないというところに問題があるのではなかろうかと考えている次第でございます。 このため、県といたしましては、本県の主要水産物の生産から流通までの実態を把握しまして、どこに問題点や改善すべき点があるかを摘出するため、県内の生産地から消費地までの流通の実態調査を現在県漁連に委託して実施しているところでございます。 また一方、本県産アサリの市場や荷受け人への輸送の実態を見てみますと、大体十月から三月にかけましてはアサリの活力もありまして、しかも気温が低いためおおむね良好ということでございますけれども、四月から夏場の気温が高い時期になりますと、アサリ自体の活力も冬場に比べて弱いためにへい死を招きやすく、輸送方法の検討も課題の一つとなっているのが実情でございます。 そこで、県といたしましては、熊本県産ブランドとして大消費地に届けるための手段として、砂抜き施設を含めた流通の拠点を県内もしくは大消費地に設けた方がいいのではないかとか、あるいはまた新鮮なままの状態で輸送することはできないのかと、こういった点を検討するため、今年度県のり研究所におきまして砂抜きしたアサリを実際に輸送する試験を実施いたしておりまして、そのノーハウを究明しているところでございます。 また、県漁連を中心とした漁業団体ともども東京と大阪におきまして市場関係者の水産物流通懇談会を実施いたしまして、本県水産業の状況説明や水産物のPRに努めますとともに、意見の交換を行い、市場での実態や消費者のニーズ等について種々御意見を賜っておるところでございまして、これらの御意見も参考にいたしまして流通の改善対策に資することとしております。 以上、流通と輸送の実態を申し上げましたが、御指摘のように、生産量日本一とも言われるアサリを熊本ブランドとして流通させるためには、何と申しましても共販体制の充実と確立が不可欠なことでございますので、県漁連とともに共販体制づくりに今後とも積極的に取り組む所存でございます。 さらに、流通の拠点を大都市近郊に配置して関東や京阪神等への大消費地へ共同出荷する方法等につきましての条件整備に関しましても、いろいろと難しい点もあるかと存じますけれども、県漁連を初め関係漁協と十分協議を重ねて早い時期に流通体制が確立するよう積極的に取り組んでまいる所存でございます。  〔前畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) 県産アサリを熊本県産ブランドとして消費者に届くような流通体制の確立に今後とも一層の努力をお願いいたしたいと思います。 もう一つ要望がございますが、これだけ豊富なアサリがあるわけでありますから、県内でアサリを加工して、例えばつくだ煮だとか缶詰などにいわゆる付加価値を高めて市場に出荷することも考えてはいかがかと思いますが、そういう企業が少しでも県内に張りつけば地域経済の活性化にもつながっていくわけでありまして、この点もひとつよろしく検討をしていっていただきたいというふうに思います。 次に、荒尾ナシ台風十三号災害について農政部長にお伺いをいたしたいと思います。 去る八月三十一日の未明から昼にかけて本県を直撃した台風十三号は、最大瞬間風速四十三メートルを超す暴風雨となり、玉名地域を初め天草、宇城、八代など海岸地域を中心に果樹、水稲、施設園芸などに甚大な被害をもたらしました。これにより被害を受けられました農家の方々にまずもって心からお見舞いを申し上げたいと思います。 今回の台風による農業被害は、県の調査によりますと総額八十一億円という多額に上っておりますが、特に私の地元の特産であります荒尾ナシの被害は、新聞紙上等で御承知のように県下でも最もひどく、品種によっては全滅、平均でも七割が落果をするという状態でありまして、農協の調べによれば、百三十ヘクタールのナシ園のすべてが被害に遭い約二千百トンが落果し、その被害額は六億円にも上るということであります。 御承知のように、荒尾ナシといえば「ジャンボナシ」の名で有名で広く知られております新高でありますが、これは果実が大きく歯切れのいいおいしいナシとして有名で、出荷シーズンともなりますと全国各地から注文が相次ぐなど、本県の日本一づくり運動を代表する有力な特産品としての地位を築いているところであります。 ところが、本年は春先にも晩霜の被害を受けましたが、その際は、生産農家の懸命な肥培管理によりどうにか持ち直し、いよいよ収穫というやさきに今回の台風被害に遭ったわけでありまして、このダブルパンチに生産農家の皆さん方のショックは大変なものがあり、一日も早い再建を願ってやまない次第であります。 地元においても、市や農協等が中心となっていろいろと被害対策を講じているところでありますが、県におかれましては、今回の台風十三号による荒尾ナシの被害農家に対してどのような対策を講じられようとしておられるのか、次の二点にわたってお伺いをいたしたいと思います。 まず、金融対策についてでありますが、荒尾ナシの被害の状況につきましては、これまで述べてきましたように、台風十三号災害が残したつめ跡は大きく、実りの秋を目前にして収穫を心待ちにしていた農家の方々に対して一転して大きな打撃を与えたわけであります。このため予想外の収入減となり、予定していた諸費用の支払いもできかね、困惑している農家も多いと聞いております。 このように、落胆した被災農家の方々が、今後生産意欲を燃やし、一日も早く経営の安定が図られるためにも、早急に長期低利貸金の融資対策を講ずべきであると考えますが、お伺いをいたしたいと思います。 次に、農業共済についてでありますが、災害が発生した場合、被災農家の収入を償うため、第一義的には農業共済の制度があります。 今回荒尾ナシについては大変大きな被害を受けたわけでありますが、農業共済に加入していたのは、わずか十三ヘクタールと極めて低い加入率であります。もし被災農家が農業共済に加人しておけば当然共済金が受けられ、災害に対しても安心して経営が続けられるわけであり、加入が少なく共済の恩恵を受けられないことは非常に残念であります。 今後このような轍を踏まないためにも農業共済加入を強力に進める必要があると考えますが、県におかれては加人促進についてどのように考えておられるか、お考えをお聞きしたいと思います。  〔農政部長田代静治君登壇〕 ◎農政部長(田代静治君) 荒尾ナシを中心としました災害対策についてお答え申し上げます。 今回の台風は予想外の速いスピードで県下を縦断したいわゆる風台風であったために、収穫直前のナシ、クリ等の果樹を中心に、野菜及び水稲等の農作物やビニールハウス等の農業用施設に多大な被害をもたらし、特産品である荒尾ナシにつきましても甚大な被害をこうむったわけでございます。 お尋ねの被害農家に対する金融対策についてでございますが、県といたしましては、まず農家の方々の被害の状況を把握するため、農業改良普及員等を現地に派遣し、その実態の調査や技術的指導を行いますとともに、現在その経営の維持、安定を図るために必要な資金の需要額を市町村や農協等を通して調査をしている段階でございます。 一方、資金の確保につきましては、国の災害関係制度資金の確保を図る必要がございますので、去る十二日、十三日の両日にわたりまして、県議会の御協力をいただき、農林水産省の関係部局並びに県選出国会議員の先生方に対し、融資枠の確保等につきまして万全の措置を講ぜられるよう要望してまいったところでございます。 しかしながら、これらの要望が実現いたしまして資金が貸し付けられるまでにはかなりの日数を要しますので、早急に資金を必要とする被害農家に対しましては、農協プロパー資金の利子の一部を県、市町村が負担するいわゆるつなぎ資金を設定いたしたいと考えております。 次に、農業共済についてでございますが、御承知のとおり、農業共済制度は農業災害対策の一つの大きな柱でございます。今回被害を受けた荒尾ナシにつきましても、従来から果樹共済の加入促進を図っているところでございます。 しかしながら、先生御指摘のとおり、加入面積が十三ヘクタール、加入率にいたしましてわずか十三%と極めて低いわけでございまして、今回の災害に当たりましては、この制度の恩恵を受けられる農家はごく一部に限られる実情にあり、共済加入の必要性が改めて痛感させられるわけでございます。 県といたしましては、農業共済事業の一層の充実強化を図るため、共済組合の広域合併を進めてきたわけでございますが、本年四月までに広域合併がほぼ完了したところでございます。 今回の台風によりましてナシ、クリ、ビニールハウス等に大きな被害が出ておりますが、これらの共済加入状況が全般的に低い状況にかんがみまして、また広域合併がほぼ完了したことを一つの契機といたしまして、今後とも本県独自の農業共済事業推進協議会を県事務所単位に設置しまして、農業共済組合はもとより市町村、農協あるいは各生産者部会等と一体となりまして、農家の方々に対する説明会の開催やパンフレットの配布等によりまして、この制度の周知徹底を図り、これら任意加入の共済に多くの農家が加入するよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  〔前畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) 台風通過直後に、農政部長、果樹園芸課長を初め農政部の職員の方々あるいは玉名事務所の方々には現地調査に駆けつけていただき、また岩永委員長を初めとされます農政常任委員会にも視察をしていただき、被害に対しての対応を今日までもいろいろとやっていただいておりまして、地元民は大変に感謝をしております。 ただいまのお答えによりますと、緊急融資を考えておられるということでありますが、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。 また、ナシの場合は、台風に遭った翌年にも影響が残るというふうに農家の方からよく聞くわけでありますが、そのような技術指導あたりもよろしくお願いをいたしたいと思います。 次に、荒尾都市計画区域における線引きの見直しについて土木部長にお伺いをいたしたいと思います。 都市の時代とも言われております今日、人口の都市部への集中は、日本の社会経済情勢の変動とともに、三大都市圏への集中は沈静化し、現在では次第に地方中核都市へと人口集中が移行し、地方定住化が進んでおります。建設省の推計では二十一世紀初頭には総人口の約七割が都市に住むと見込まれており、大都市圏においては、人口、産業の過度の集中により、住宅問題、交通問題等の深刻化、土地、水など都市資源の逼迫、また大規模災害に対する脆弱性等、大都市圏特有のさまざまな問題が顕在化し、これらへの地域整備上の対応が求められております。 地方都市は、生活環境が向上し続けていることから、Uターン現象やJターン現象が進み、地方中核都市や周辺都市に人口が分散する可能性が強いと言われております。将来に向かって都市がどのように発展、形成されていくかは、ひとえに都市計画、特に土地利用計画に負うところが大と言っても過言ではないと思います。 荒尾都市計画区域は、県を異にして隣接する大牟田市と地形上の自然的な条件、その他もろもろの条件が一体化した状態にある都市圏域として計画決定され、市街化区域、市街化調整区域を設定すべき都市計画区域の指定を受け、昭和四十八年十二月にこれらの区域設定、いわゆる線引きが実施をされたわけであります。市街化調整区域にあっては、開発行為の規制によって乱開発による市街地のスプロール化、自然環境の蚕食、災害等の防止に効果を上げるとともに、市街化区域にあっては、開発許可制度の活用によって不良市街地の発生を未然に防ぎ、街路、都市公園、下水道等都市施設の効率約な整備と相まって荒尾市の都市形成に大きく貞献をしているところであります。 線引きが実施されて以来十二年が経過しようとしている現在、荒尾市は、石炭産業の衰退による人口の急減、それに伴う都市活力及び都市規模の低下という試練を克服し、緩やかながら回復基調をたどりつつあり、昭和五十七年十一月、市制四十周年に策定された第二次荒尾市総合計画の基本構想が目指す「勤労と憩いの健康都市」、「豊かで快適な文化都市」、「緑の空間のある工業都市」の実現に向けて心と市民が一体となって取り組みを始めているところであります。 また荒尾市においては、三井グリーンランドヘの県内外からのレジャー客の増加、荒尾競馬の開催日における交通量の増加等による生活軸としての道路の交通渋滞、市街地域に群立している炭鉱住宅の老朽化、無人化等、市民の大きな関心事となっており、健全な市街地形成を目指す都市計画の観点からも検討を要する問題が生じてきております。 県におかれては、最近荒尾都市計画区域における線引きの検討を始められたと聞いておりますが、市街化区域及び市街化調整区域が今後どのようになっていくのかは市民の大きな関心事であり、その検討の内容とスケジュールについて土木部長にお尋ねをしたいと思います。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) お答え申し上げます。 ただいま進めております荒尾都市計画区域につきましての線引き、いわゆる市街化区域と市街化調整区域の区分についての検討の中身とスケジュールということについてのお尋ねでございますが、御承知のように、市街化区域と市街化調整区域の区分といいますのは、都市の発展の動向あるいは人口や産業の将来の見通し、こういったものを勘案いたしまして、産業活動の利便と居住環境の調和に努めながら合理的な土地利用が図られるよう定めることとされております。 荒尾都市計画区域につきましては、お話の中にもございましたように、第一回の線引きが決定をいたしましてから既に十二年を経過をいたしておりまして、この都市計画区域を取り巻きます様相も変わってきつつございますので、荒尾市の御協力をいただきながら見直しの検討作業に入ったものでございます。 お尋ねの第一点にございます検討作業の内容でございますが、現在都市計画区域内の人口、商業、土地利用の趨勢を把握するための基礎的な調査あるいは市街化区域内になお残存しております一定規模以上の集団農地の今後の利用の方針といいますか、整序の方針などの把握を目的といたしました市街化動向調査などに着手をしておるところでございます。 スケジュールでございますが、こういった基礎的な調査、それに基づきます集計、解析を行いました後、明年度以降見直しの実際の案を作成いたしまして、関係機関との調整を図りました上で都市計画法に基づきます所定の手続を経まして、昭和六十二年末までには一連の見直し作業を終えたいというふうに考えております。  〔山畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) ただいまのお答えでは六十二年度に線引きの検討が終了するということでありますが、検討の際には地元の意見もよく聞いていただいて、当然のことでございますが、都市計画の総合的な見地から計画決定をしていただきますように切にお願いをしておきたいと思います。 次に、都市計画道路荒尾海岸線の建設促進について土木部長にお尋ねをいたします。 都市計画道路荒尾海岸線は、荒尾都市圏の中心市街地の西部を縦断して大牟田市の商業地帯と長洲町の臨海工業地帯を結ぶ重要幹線街路として、昭和四十三年度から事業が進められているところであります。 現在荒尾市を通過する車両のほとんどは国道二百八号線及び主要地方道大牟田熊本宇土線に集中するため、昭和五十八年十月の交通量調査によりますと、国道二百八号線は設計容量の二倍を超えているということであります。さらには、三井グリーンランドのイベント開催時においては、上下線とも数キロ隣接大牟田市に及ぶ渋滞がほぼ終日続く状態であります。一方、県道大牟田荒尾線の同調査によります交通量は、荒尾市役所前で一日に一万六千五百五十三台であり、これも設計容量の二倍を超えておりますが、荒尾競馬開催時の市街地内における一時的交通渋滞も加わり、道路整備の緊急性がこの交通渋滞の解消と交通安全対策面からもますます顕著になってきております。 当路線のうち、国道二百八号線のバイパス的な役割を果たす起点の福岡県境から都市計画道路荒尾平山線との交差点までの区間二千三百七十メートルの現状と整備の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。 また、都市計画道路荒尾平山線から長洲寄りの打越地区についても地域住民は早期完成を強く期待しており、地域経済の活性化のためにも事業認可区間を延伸し、引き続き施行していただくよう望むものでありまして、その見通しについてお尋ねをいたしたいと思いいます。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) お尋ねのございました都市計画道路荒尾海岸線の整備でございますが、この路線は、御指摘のとおり、有明臨海工業地帯を縦貫いたしまして大牟田市、荒尾市、長洲町を結ぶ重要な幹線道路でございます。 その整備は、荒尾市内におきます交通混雑解消のために非常に期待をされておる道路であるわけでございますが、この路線は、主要地方道大牟田熊本宇土線の福岡県境から長洲町の境に至ります延長約七千百メートルの区間につきまして、昭和三十八年三月に都市計画道路として計画決定されたものであります。そのうち、起点の福岡県境からの約二千三百七十メートルにつきまして事業認可を受けまして現在整備中でございまして、昭和五十九年度までに約千三百四十メートルが完成をし、供用開始されておるわけでございます。さらに、これに引き続きます交通量の多い約三百メートルの区間につきましても、交通安全施設の整備等を終えまして近日中に供用を新たに開始することとしております。 現在事業認可をとりました区間で残されております外磯境崎線との交点から荒尾平山線との交点までおよそ七百三十メートルの区間につきまして用地買収に取り組んでおるわけでございますが、今年度中に用地買収を終えまして六十二年度末に工事完了ということで鋭意努力をしておるところでございます。 お尋ねの中にもございました、まだ事業認可をとっておりません打越地区の延長約九百五十メートルの区間につきましては、現在施行いたしております区間が終了後引き続いて着工できますように、今後準備を進め、努力をしてまいりたいというふうに考えております。  〔前畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) この都市計画街路荒尾海岸線には五十八年度あたりから県には大変力を入れていただき、昭和六十二年度には二千三百七十メートルの区間については、ただいまのお答えでは施行完了ということでありまして地元は大変に喜んでいるわけでございます。さらには、この先の区間においても引き続き建設をしていただきますように重ねてお願いをいたしたいと思います。 次に、浦川の河川改修促進について、これまた土木部長にお伺いをいたします。 古くから「水を治むる者は国を治むる」と言われておりますが、まさに名言であります。よく河川には治水、利水に加えて環境の三機能があると聞いておりますが、「治水、利水あしきところに人住まず」と言われ、河川の整備なしには地域の発展、ひいては国の発展も望めないと思います。つまり、人は川とのかかわり合いを通じて水のもたらす災害と闘いながら、一方で水を生命の源として、その恵みに頼ることによって生活を営み、歴史を発展させてまいりました。 しかしながら、一度災害が発生すると地域住民の生活に大きな支障を与え、また集積された多くの資産に直接損害を与え、時には生命をも奪い、さらに各種の産業活動の停滞により経済的にも大きな打撃を与えることになるわけであります。もちろん県におかれては、これらの災害を未然に防止するため、河川改修等に日ごろから努力されており大変感謝しているところですが、今後ともさらに積極的に取り組んでいただきたいと要望するわけであります。 さて、私の住んでおります荒尾市から長洲町にかけて流下している二級河川浦川は、有明臨海工業地帯を背景に流域の開発が急速に進展し、河川環境に著しい変化をもたらしており、この地方における農業中心の河川が、今や都市近郊河川としての性格を強めております。 御案内のとおり、浦川は、河口から約九百メーター程度は嘉永新川として七十トン河道で一次改修が終わっておりますが、それから上流についてはそのままで非常に川幅も狭く、加えて蛇行が著しく、また河床勾配が緩やかで流速が非常に遅いため、排水能力のない未改修河川となっております。したがって、雨季ともなりますと少々の雨でも出水し、田畑の冠水により農作物の被害はもとより、生活道路の冠水、家屋の浸水など毎年何回となく被害をこうむっている実情であります。 本年七月の出水時には、私も早速現地の状況を見て回りましたが、沿線の冠水は約一週間も続き、農作物の被害は悲惨なありさまでありました。また交通の面から見ましても、この冠水により交通途絶を余儀なくされた市道は六本を数え、地域住民や周辺にある三つの小学校に通学する児童は大きく迂回せざるを得ず、その苦労は大変なものがあるわけであります。このような状況では、居住の不安はもちろんのこと農家にしても営農意欲がわいてまいりませんし、流域の水田利用再編対策の効率的な推進さえも非常に困難であります。 県におかれても、これまで上流部での放水路あるいは中流部での新川開削等効果的な企画で事業の計画を図られたようでありますが、結局地元住民の同意が得られず、最終的に嘉永新川の再改修により流下能力の増大を図る計画のようであります。河川改修の常道として下流からの施行は理解できるところでありますが、上流のたび重なる浸水被害を考えますときにそういつまでも放置できないと思います。 もちろん、この改修促進には約二十ヘクタールに及び莫大な用地を必要とし、圃場整備事業との連携は必須条件と思いますが、地元の機運も高まってきておりますので、今後なお一層の御努力をお願いいたしたいと思います。 今後の計画並びに県の対応についてお伺いをいたしたいと思います。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) お尋ねのございました浦川の改修についてでございますが、御指摘のように、この川は河床勾配が非常に緩やかでございまして、おまけに橋梁などの構造物も多く、排水能力の現在非常に低い河川となっておるわけでございます。 この河川の改修計画につきましては、過去いろいろ推移がございましたが、最終的には嘉永新川を再改修いたしまして計画流量を流すこととしたものでございます。 この計画では、この川の特質から、下流部のおよそ八百メートルにつきましては河床を掘り下げることといたしまして、それから上流部につきましては河道を拡幅することといたしまして、全長約五・六キロメートルを総事業費約六十億円をもって中小河川改修事業として既に昭和五十六年度から着手いたしておるところでございます。これまで下流部におきまして河床掘り下げのための護岸の根継ぎ工を実施してまいったところでございますが、昭和六十年度以降におきましても、引き続き根継ぎ工の継続施行とネックとなっております潮どめの水門及び橋梁などの改築を順次実施することとしております。 いずれにいたしましても、改修には約二十ヘクタールに及びます用地の確保が必要でございまして、これらをすべて河川事業によります単独買収というやり方で取得することにつきましては農業経営上もいろいろ問題があるかとも思うわけでございます。したがいまして、圃場整備事業と整合を図りながら用地を確保する方法等につきまして関係の方々にも依頼を申し上げておるところでございますので、関係の皆さん方の御理解、御協力をいただきたいと存ずるわけでございます。 なお、川の現況につきましては十分承知をいたしておりますので、非常に厳しい財政状況のもとではございますが、この改修事業と並行いたしまして、当面の堆積土の除去、護岸の維持整備、これらについても取り組んでまいる所存でございます。   〔前畑淳治君登壇〕 ◆(前畑淳治君) この浦川については、酒井先生を初め多くの地元先輩議員が何回となく質問をされ、要請をされてきた問題でありますが、上流部については一向に解決を見ないわけでございます。河川周辺の圃場整備とのかかわり合いもあってなかなか困難な問題が多いことも事実でありますが、どうか県におかれては、浦川の現状を理解していただきまして改修促進の方向になお一層の御努力をお願いいたします。 知事初め各担当部長には積極的な御答弁をいただきましてありがとうございました。これをもちまして私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手) ○議長(久保一明君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明二十日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第五号のとおりといたします。 本日はこれをもって散会いたします。  午後二時ニ十四分散会...