昭和60年 6月
定例会┌──────────────────┐│ 第 六 号(六月十四日) │└──────────────────┘ 昭 和 六十年
熊本県議会六月
定例会会議録 第六号――
―――――――――――――――――――――――――昭和六十年六月十四日(金曜日
) ―――――――――――――――――――― 議事日程 第六号 昭和六十年六月十四日(金曜日)午前十時開議 第一
一般質問(議案に対する質疑並びに県の
一般事務について) 第二
常任委員会に付託(第一号から第十一号まで) 第三
委員会に付託(請願、陳情) 第四 休会の議決 ――
――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一
一般質問(議案に対する質疑並びに県の
一般事務について) 日程第二
常任委員会に付託(第一号から第十一号まで) 日程第三
委員会に付託(請願、陳情) 日程第四 休会の議決 ――
―――――○―――――――出席議員(五十二名) 前 畑 淳 治 君 野 田 将 晴 君 荒 木 詔 之 君 島 田 幸 弘 君 島 津 勇 典 君 大 西 靖 一 君 倉 重 剛 君 山 本 靖 君 中 島 絹 子 君 中 島 隆 利 君 小早川 宗一郎 君 三 浦 哲 君 藤 川 俊 夫 君 花 籠 幸 一 君 西 岡 勝 成 君 阿曽田 清 君 橋 本 太 郎 君 三 角 保 之 君 岩 永 米 人 君 堀 内 常 人 君 永 田 健 三 君 山 本 秀 久 君 深 水 吉 彦 君 八 浪 知 行 君 杉 森 猛 夫 君 鏡 昭 二 君 高 田 昭二郎 君 古 閑 一 夫 君 大 森 豊 君 柴 田 徳 義 君 林 田 幸 治 君 広 瀬 博 美 君 馬 場 三 則 君 木 村 健 一 君 平 川 和 人 君 北 里 達之助 君 金 子 康 男 君 米 原 賢 士 君 井 上 龍 生 君 久 保 一 明 君 永 田 悦 雄 君 宮 元 玄次郎 君 甲 斐 孝 行 君 今 井 洸 君 八 木 繁 尚 君 幸 山 繁 信 君 池 田 定 行 君 岩 崎 六 郎 君 水 田 伸 三 君 今 村 来 君 小 谷 久爾夫 君 酒 井 善 為 君
欠席議員(三名) 舟 津 正 光 君 魚 住 汎 英 君 小 材 学 君 ――
――――――――――――――――――説明のため出席した者 知事 細 川 護 熙 君 副知事 藤 本 伸 哉 君 出納長 山 内 新 君
総務部長 蓼 沼 朗 寿 君
企画開発部長 田 谷 廣 明 君
福祉生活部長 松 村 敏 人 君
衛生部長 清 田 幸 雄 君
公害部長 中 川 公 道 君
商工観光労働 部長 道 越 温 君
農政部長 田 代 静 治 君
林務水産部長 古 閑 忠 治 君
土木部長 福 島 正 三 君
公営企業 管理者 八 浪 道 雄 君
教育委員会 委員長 安 永 蕗 子 君
教育長 伴 正 善 君
警察本部長 鈴 木 鎗 一 君
人事委員会 事務局長 藤 門 豊 明 君
監査委員 北 川 信 俊 君 ――
――――――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 富 田 毅
事務局次長 小 池 敏 之
議事課長 岩 井 祐二郎
議事課長補佐 山 下 勝 朗 ――
―――――○――――――― 午前十時三分開講
○議長(
久保一明君) これより本日の会議を開きます。 ――
―――――○―――――――
△日程第一
一般質問
○議長(
久保一明君) 日程に従いまして日程第一、昨日に引き続き
一般質問を行います。
深水吉彦君。 〔
深水吉彦君登壇〕(拍手)
◆(
深水吉彦君) おはようございます。自由民主党の深水でございます。六月
県議会最後の質問で、極めてローカル的な質問でございますが、お許しを願って質問に入りますが、
水俣病対策や
県債発行について、お礼と要望をさせていただきます。 知事及び県当局並びに議員の皆様方には、県政の
重要課題である水俣病問題について、かねて特段の御配慮、御尽力を賜り、
地元議員として心から感謝を申し上げます。特に先般、
患者救済と
地域経済社会の安定に資するという観点から、昭和六十二年度まで引き続き
チッソ県債発行の方針が決定されました。地元を代表して厚くお礼を申し上げる次第でございます。 当初、
チッソ県債は、
緊急避難的措置として昭和五十六年度までの期限でスタートしたわけでございますが、その後、昭和五十六年十一月に、国から昭和五十九年度まで延長発行するよう要請され、そして、さらに昨年十二月二十五日、水俣病問題に関する
関係閣僚会議で、六十二年度まで引き続き三年間延長するように要請されました。それを受けて今議会でも予算が計上されており御審議をいただくことになっておりますが、昭和五十三年十二月、第一回の
チッソ県債発行以来、県及び県議会は、水俣病問題を解決するために、
認定促進、
特別立法の制定、万一
チッソに不測の事態が生じた場合の国における一〇〇%保証などを中心とした要望をたびたび行ってこられました。特に、国の一〇〇%保証問題については、
県選出国会議員の支援を得て強く要請した結果、国は、昭和五十八年五月十七日の
関係閣僚会議において、当時の
梶木環境庁長官が発言されたとおり、実質一〇〇%の保証の約束をしてきたところであります。知事には、就任後間もないときに大変な御苦労をおかけし、心から敬意を表するものであります。 国の現在までの応対は、去る二月議会や先日の
北里議員の質問で知事からも伺ったとおり、一応国も前向きに対応していると評価しております。
チッソの
経営状況については、五十九年度決算によると好転しているようでもあり、従業員もやる気を出しております。今後、一層
経営改善がなされることを期待するものであります。 ところで、水俣病問題については、五千人に上る未処分者の
認定促進、
ヘドロ処理事業、
地域振興、さらには
チッソの
経営改善など未解決の問題がまだ残っており、先日の
藤川先生の質問や
知事答弁にもありました
認定促進問題は大きな難関に差しかかり、
治療研究事業の見直しを検討する時期に入り、大変な御苦労をおかけすることなど、一日も早い
問題解決への努力を要望しますとともに、知事及び
県議会議員の先生方を初め
関係者の方々には、
水俣病問題解決と水俣・
芦北地域の振興のため、今後とも御尽力、御援助くださいますようよろしくお願いを申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。 最近の
少年非行は、昨年に比べやや減少しているものの犯罪に占める少年の比率は約五五%で、非行の低年齢化、
女子非行の増加などと相まって、依然として憂慮すべき状況を示しております。 これら少年の非行の要因の一つとして少年を取り巻く環境の悪化があります。私も
厚生委員会に属し、その一端をかいま見て、今さらながら驚きを感じております。鏡先生からいろいろ事情をお聞きし、前任者のお話をお聞きしたわけでございますが、中でも少年に有害な図書のはんらん、少年が容易に悪書を手に入れることができるなど、
自動販売機の乱立は目を覆うばかりであります。 ところで、県下には現在八十一カ所、百二十一台の
自動販売機が設置されております。
自動販売機に収納されている
図書等につきましては、従来月一回行われていた
少年保護育成審議会を、昨年六月から月二回開催するなど
有害指定機能の強化が図られ、昨年中には六百九十九冊、本年は五月末現在で三百四十五冊の諮問に係るすべての図書が
有害図書として指定されました。審議に参加して、このような本が安価でたやすく手に入り、数日で売り切れることなどを知りましたが、しかも
自動販売機に収納されている
有害図書につきましては、
販売開始から撤去までの間は、少年であっても容易に購入できる状況にあります。 また、
少年保護育成条例違反の検挙例を見ますと、少年を食い物にするみだらな性行為などに関する犯罪が多発し、違反者の法軽視が見られているところでありますが、
有害図書は、条例が厳しい県は少なくなり、緩い県に集中する傾向にあるそうでございます。 このような状況に対処するため、本県におきましては、一定の基準に該当する図書はすべて
有害図書とする
包括規定の新設、
有害図書の
自動販売機への
収納禁止規定及び
自動販売機設置業者の
設置等届け出義務規定の新設、さらにみだらな
性行為等に対する罰則の強化などを骨子とした熊本県
少年保護育成条例の一部を改正する条例が、二月
定例議会で可決され、六月一日から施行されているところであります。 私どもは、この
改正条例の施行により、これまで以上に少年を取り巻く環境の浄化など少年の
保護育成が図られるものと期待しておりますが、今後の見通し、効果について
福祉生活部長のお考えについてお伺いをいたします。 〔
福祉生活部長松村敏人君登壇〕
◎
福祉生活部長(
松村敏人君) お述べになりましたように
青少年を取り巻く環境は年々悪化してきておりまして、とりわけ
有害図書を収納いたしました
自動販売機の乱立は目を覆うばかりでございます。しかも、この
有害図書が、最近における
青少年の性犯罪などの大きな要因の一つとなっていることも否めない事実でございます。また、
青少年を食い物にしているみだらな
性行為等、
福祉犯罪の多発化に歯どめをかける必要も生じてきておるわけでございます。 これらの理由から、このたび熊本県
少年保護育成条例の一部を改正いたしまして六月一日から施行しているものでございますが、内容も
青少年の
保護規定の強化を中心といたしておりまして、私どもといたしましては相当の効果が上がるものと期待しておるところでございます。 これを契機といたしまして、さらに
青少年を取り巻く環境の浄化を図りまして、
青少年の
保護育成に努めてまいりたいと考えております。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) 御答弁をいただきましたが、この条例の最初の項に、少年の
健全育成は少年を取り巻く環境をよくするという項目があります。我々はもっとこの問題に関心を持つべきであるというふうに痛感をいたしておりますが、なお、この
条例改正による
規制効果を上げるには、迅速な処置と、警察との連携による指導、
取り締まりが不可欠であると考えますが、警察では、この
改正条例をもとに、どのような
取り締まりをされる方針か、
本部長にお尋ねをいたします。 〔
警察本部長鈴木鎗一君登壇〕
◎
警察本部長(
鈴木鎗一君)
少年保護育成条例の改正に伴う警察の
取り締まり方針についてお答えを申し上げます。 今日の
社会状況の中で、性風俗の乱れはまことに著しいものがございまして、特に
出版物等に見ます現状はまことに憂慮にたえない実情にございます。 これら出版物が少年の
健全育成に大きな悪影響を与えているということは御指摘のとおりでございまして、今回条例が改正されまして、
有害図書の販売を中心に規制が強化されましたことは、少年の
健全育成上まことに有意義であると考えている次第でございます。 これを機会に、警察といたしましても、
改正条例の趣旨、精神にのっとりまして、県民の協力をいただきながら有効適切な
取り締まり活動を強力に推進してまいる方針でございます。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) 御答弁ありがとうございました。
福祉生活部と
警察本部の連携を強力に
取り締まりをやるということで、私も一応安心をいたしておりますが、やはり少年問題については、根気強くひとつ御指導、
取り締まりをしていただきますようよろしくお願いを申し上げますが、実は、きのう水俣市におきまして、熊本県
警察本部と鹿児島県
警察本部、
警察学校対抗の
柔剣道大会がありましたが、残念ながら鹿児島県の方に軍配が上がったわけでございまして、二、三年前は大変強い
警察学校生徒の入校があったわけでございますが、今後の
警察運営のためにも、ぜひ
警察本部長は力強い
警察学校生徒の入学あるいは教育を行っていただきますよう、つけ加えてお願いを申しておきます。
高校生の
ワークキャンプについて御質問をいたします。 近年の
社会経済情勢の変化や人生八十年時代を迎え、さらに
都市化の進行によって、住民の間に
地域社会における
連帯意識が希薄化し、特に
青少年の
社会生活に対する無関心さは社会問題とさえなっております。
福祉教育の
重要性が強く要請されておりますが、先日も
藤川議員が、
熊本スピリッツの中で、
自己中心になっておると指摘をされております。 先般、
高校生の
ワークキャンプの実施について参画する機会を得たわけでございますが、この事業は、次代を担う
高校生に、
老人ホームや
身体障害者施設など
社会福祉施設に二泊三日の
泊まり込みによる入所者との交流を通じ、
社会福祉への理解と関心を高め、
社会奉仕や
連帯意識の心をはぐくんでもらう目的のものでありますが、夏休みを利用したもので、老いも、若きも、
障害者も、ともに生きる命のとうとさを学びとる、学校や家庭では学べない、また経験することができない問題を、
生徒自身が身をもって考え体験するよい機会であったと考えます。 また、
ワークキャンプに参加した
高校生の
体験発表を聞きますと、「今まで福祉に無関心であったが、お年寄りの手助けをすることができて一生忘れることのできない思い出になった」あるいは「お年寄りの明るい生活を見聞し、生きることの大切さ、すばらしさを感じた」、また「お年寄りの心理がわかるようになった」、また「私は久しぶりに笑ったというおばあさんの言葉に、参加してよかったなと思った」、また「
障害者の一生懸命な姿を見て、自分はこんなに一生懸命になったことがあったか、大きな反省をした」などなど、最後にほとんどの
高校生が「短い二泊三日であったが、すばらしい研修でした。これを機会に
ボランティア活動を通じて
社会福祉に役立ちたい」と話しております。すばらしい体験であり企画であったと思います。 県として、このような事業を積極的に促進することによって、
青少年に真の
社会福祉の姿を体験、学習させることになり、来るべき
高齢化社会に対応する意味からも、また日本人の心を取り戻すノーマライゼーションの思想を住民の間に浸透させるためにも、ぜひ充実を図っていただきたいと思いますが、今後の計画について
福祉生活部長の考えをお聞きいたします。 〔
福祉生活部長松村敏人君登壇〕
◎
福祉生活部長(
松村敏人君) お答えいたします。 昨今の
都市化、
核家族化の進展は、
地域社会におきます
近隣関係の希薄化あるいは
家族機能の低下をもたらしまして、
住民参加と連帯による
地域づくりが大きな課題となってきております。特に
社会福祉の面におきましては、
地域福祉の推進と
地域住民相互の温かい思いやりや助け合いの心を育てる
福祉教育の
重要性が叫ばれておりますことは御指摘のとおりでございます。 おっしゃいました
高校生の
ワークキャンプ事業は、県の
社会福祉振興基金事業の一つといたしまして、
小中高校の
学童生徒を対象とした
ボランティア活動普及事業、
ボランティアリーダー研修会または老人と各世代との
交流事業等福祉教育を目的とした事業とともに、昨年度から実施しているものでございます。 昨年度は、熊本市及びその周辺の
公私立九つの高校から四十二名の参加を得て実施したわけでございます。初めての試みでございまして結果はいかがかと思っておりましたが、ただいまお話にありましたように、参加者からは、
社会福祉の実践を学び、これからの社会を生きていく上で重要な体験になったと非常に好評を得ているわけでございます。
青少年が、このように
ボランティア活動を通じまして自立心や他人を思いやる心を身につけまして、
社会奉仕や
社会連帯の精神を養いますとともに、
青少年を通じて家庭及び
地域社会の啓発を図っていくことにもつながるわけでございますので、本年度は、
対象高校を県下に広げまして、また夏休みを利用して実施することを計画されておるわけでございます。 県といたしましても、来るべき
高齢化社会の担い手として福祉の心を育てる意味からも、
高校生の
ワークキャンプを初めとする
福祉教育施策の充実にさらに取り組んでまいりたいと考えております。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) ありがとうございました。福祉問題を取り上げましたので、福祉問題について次の二点を要望しておきたいと思います。 第一点は、
町村社会福祉協議会の
法人化の促進についてであります。 本県は、
法人化率は、昭和六十年三月三十一日現在で四六・九%と極めて低く、先般の
新聞紙上でも本県は岐阜県に次いで二番目の低率となっていることが報道されておりますが、
法人化三カ年計画を推進されていると聞いておりますが、ネックは、
地方財政と人材の問題ではなかろうかと推測をいたします。なお一層の努力をされ、
全国平均以上の
法人化を早急に達成されるよう、いろいろの配慮を要望しておきます。 次に、県総合福祉センター建設促進問題についてであります。 県では、昨年発表された「熊本・明日へのシナリオ」においても、
地域福祉の
推進拠点として建設すると発表しておられ、ここ数年、調査等の準備がなされておると聞いておりますが、本年二月議会においても、
県総合福祉センター建設基本構想策定の予算も決定されておりますが、
早期着工に対する県の強力な取り組みを要望いたしておきます。 次は、県南の
観光振興について質問をいたします。 これからいよいよ
観光シーズンを迎えるわけでありますが、本年からは、御承知のとおり新しく「友・誘・
遊くまもと」をキャッチフレーズに
観光客誘致のための広域的な
キャンペーンが展開されるということもありまして、観光に対する市町村や民間の関心も今までになく高まっているようであります。 先日の
新聞記事によりますと、
観光客が地域に落としていきますいわゆる
観光消費額が経済全体に及ぼす影響といいますか、
波及効果というものが出ておりましたが、それによりますと、おおよそ
観光消費額の二倍近い
波及効果があるというように試算されております。 昨年発表されております県の
観光統計によりますと、直接的な
観光消費額は千四百億円となっておりますので、
県観光の
経済効果は二千八百億円となるわけでありまして、観光の
地域経済に与える役割の大きさを改めて再認識している次第であります。特に、これから週二日制が定着してくるなど、国民の自由時間が増大していくにつれて
余暇関係の産業というものがますます盛んになってくることは間違いないものと考えられます。そういうことからいたしましても、
観光振興というものは、
地域振興なり活性化を考えていく上で大変重要な課題であると考えます。 芦北・
水俣地方、いわゆる
県南地域における
地域振興策の重要な柱として
観光振興を位置づけ、いろんな
行政施策が進められております。また、
地元観光関係者の
観光地づくりに対する意欲といいますか関心というものも非常に高まっております。 例えば、
水俣市民の憩いの場として現しまれておる中尾山においては、青年から老人まで市民全体の
ボランティア活動によって二ヘクタールに及ぶ
コスモス園づくりが進められております。また、湯の児温泉の桜祭りにいたしましても、青年を中心にコンサートを開いたりするなど新しい企画が打ち出され、先日は
ウインドサーフィン九州大会予選も行われ、今までにない活気を見せております。その他
観光農園との提携や湯の児を
宿泊拠点に、鹿児島県出水市のツルを見る広域的なツアーを組むなど、
観光客誘致のためいろんな工夫がなされております。 御承知のように、
県南地域は、海の湯の児、山の湯の鶴に代表される温泉やリアス式海岸を誇りとしております
芦北海岸など
海水浴場を持っており、ほかの地域に決してまさるとも劣らない
観光資源を持っているわけであります。
県南地域がこれから発展していくためには、このような
観光素材や民間の活力というものを十分に生かし、今までのイメージを一新させるような
PR戦略なり
観光地づくりというものに重点を絞って取り組んでいくことが必要であろうと考えますが、例えば
海洋レクリエーションについて考えてみますと、本県においては、現在天草を中心に
調査検討が進められているようでありますが、
海洋レクリエーションの区域としては、
宇土半島から
県南地域まで含めた不知火・
八代海域全体を対象にして考えていくべきではないでしょうか。この場合、先ほど申し上げましたとおり、風光明媚な海岸を持つ
県南地域は、海の
観光レクリエーションの
重要拠点として大きな可能性を持っておるところであります。したがって、これからの
県南地域の
観光振興については、こういう広い視野に立って、しかも県、市町村、民間が協同して
観光レクリエーション関係施設や
観光基盤の整備に取り組んでいくことが必要であると考えます。 また、
観光客誘致事業や
PR事業にいたしましても、現在のように観光の
広域化が進む中では、業界だけの、あるいは一部
市町村単位でのPRには、どうしても限界があるわけであります。そういう意味からも、行政、民間が一緒になった「友・誘・遊」
キャンペーン事業に大いに期待しているところであります。 いろいろ水俣・
芦北地方、いわゆる県南の
観光振興について申し上げましたが、
商工観光労働部長に
県南地域の
観光施設整備状況と今後の取り組み、そしてまた今回の
広域キャンペーンの中での
県南地域の
観光客誘致対策についてお尋ねをいたします。 〔
商工観光労働部長道越温君登壇〕
◎
商工観光労働部長(道越温君) 県南の
観光振興についてのお尋ねでございますが、ただいまお話がございましたように、水俣・
芦北地方は、県内でも有数の
観光資源を有しておりまして、本
県観光の振興を図る上からも重点的に整備を進めているところでございます。 特に
芦北海岸一帯は、昭和四十七年に環境庁の国民休養地の指定を受けて以来、宿泊施設であります国民年金保養センターの建設を初め、グラウンドや遊歩道、園地のほか海岸環境整備事業によります人工海浜など鋭意整備を図ってきたところでございます。 また、周辺温泉地の整備にいたしましても、湯の児につきましては、駐車場、園地等の観光関係施設のほか、海岸環境整備や海洋牧場の建設、また国民保健温泉地に指定されている湯の鶴につきましては、昭和五十六年から、温泉センターや園地あるいはゲートボール場等宿泊滞在型の観光地を目指しまして各種施設の整備充実を図ってきたところでございます。 中でも芦北の人工海浜には、現在年間十万人を超える海水浴客が訪れておりまして、現在では本県随一の海のレクリエーション基地となるなどの大きな成果が上がってまいっております。 さらに、芦北町の三つ島や湯の児海岸につきましては、地元でも整備、開発構想が計画されていると聞いておりまして、今後とも地元市町村とも十分連携をとりながら、温泉休養地や
海洋レクリエーション基地としての機能が一層高まるよう、観光施設の整備に取り組んでまいりたいと考えております。 また、
観光客誘致対策といたしましては、
県南地域を代表する打た瀬舟などの
観光素材を効果的に活用するなどの工夫、演出を加えまして、県南の明るい海洋イメージというものを定着させていきたいと考えております。 したがって、今年度から始まる「友・誘・
遊くまもと」
キャンペーンにおきましても、この海洋イメージを基調にヨットやウインドサーフィンなどの海洋スポーツ、またタチウオ釣りや打た瀬漁の観光漁業、ミカン等の
観光農園など観光と一次産業との連携も図りながら、多様な
観光客のニーズに対応できるいわゆる滞在型観光地として展開を図ってまいりたいと考えております。 また、先日ウインドサーフィン大会が当地で実施されまして、九州各地から大勢の参加者が詰めかけたように、地域にふさわしいイベントの実施は誘客対策として極めて効果的でございますので、このようなイベントによる
観光客誘致対策につきましても、さらに積極的に推進してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、水俣・
芦北地方は、本県の南の重要な観光拠点でございますので、
八代海域のみならず鹿児島、天草、長崎とも結んだサンセットルートの整備や、宮崎、鹿児島とを結んだ南九州ルートの開発などに取り組みながら、
広域化する観光動向に対応した施策の展開を図ってまいりたいと、そのように考えております。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) ありがとうございました。阿蘇の「炎の宴」の大成功が、先日もお話にありまして、大変な関心を呼んだわけでございますが、次は、海のイベントをひとつ力強く施策として行っていただきますようにお願いを申し上げておきます。 引き続きまして、誘致企業の県南への要望を申し上げておきます。 我が国の経済社会が国際化と技術革新の著しい進展により、大きく流れを変えようとしている中にあって、今後本県経済の飛躍的発展を図っていくためには、新しい高度技術を積極的に導入し、国際競争力のある力強い産業構造を形成していく必要があります。このためには、まず第一に先端企業の誘致を積極的に進めるとともに、それとの有機的連携を図りつつ、県内地元企業の育成と活性化を図っていくことが肝要であります。観光とともに私どもが期待しておりますのは企業誘致であります。 知事は、企業誘致と地元企業の振興に積極的に取り組んでおられ、その活躍ぶりは全国から注目されております。特に企業誘致に対しては、県土の均衡ある発展を基本に知事が先頭に立って努力しておられまして、その成果を大きく伸ばしておられることに対し、私は深く敬意を表する次第でありますが、そこで、本県における工場の立地動向を知事が就任された五十八年以降で見てみますと、五十八年における工場の新設、増設の件数は全県で三十二社となっております。さらに五十九年は三十八社に増加しており、五十八年と比較して六社ふえております。 このような活発な工場の立地件数の動向は、企業誘致に大きなインパクトを期待する県下の市町村からも大きな期待をされているのも事実であります。私は、本県の企業誘致や地場企業の振興が、テクノポリス圏域や県北地域に偏り、
県南地域との間に格差が生じないことが最も大切な企業誘致の基本姿勢であると考えますとともに、心配もいたしておるわけでございます。 工場立地動向調査の結果から見ますと、県北と
県南地域は均衡ある企業誘致が進んでいるようでありますが、
県南地域をさらに細かく見てみますと、企業誘致が活発なところは、空港や高速道路に近い地域でありまして、我が水俣・
芦北地域や天草・人吉・球磨地域には少ないのが現状であります。 御承知のとおり、
県南地域には三十数カ所の豊富な工場適地を有しておりますので、それを活用する企業誘致を推進していただきたいと思います。地元関係市町村も企業立地に大きな期待を持っておりますので、それにこたえてほしいと思っておりますが、県は現在いろいろの団地造成を行っておられます。 私は、最近の企業誘致の傾向が、空港に近いところや高速道路のインター周辺などの交通条件のよい場所を希望して立地していることは十分承知をいたしておりますが、今後の企業誘致に当たっては、テクノ地域に偏ることなく県土の均衡ある発展を図るべく、特に
県南地域への企業誘致を積極的に推進されるよう要望しておきます。 続きまして、水俣高校商業科OA機器導入について質問をいたします。 我が国の科学技術の進歩と経済の発展は、産業構造や就業構造を変化させるとともに、国民の生活水準を大きく向上させてきました。中でも第三次産業にあっては、事務の近代化、能率化のための機器や情報処理技術の導入が積極的に行われております。 特に、今日は高度情報化社会と言われるように、コンピューターなどの進歩は極めて著しく、多くの企業においても事務の自動化が積極的に導入されるなど、質、量ともに格段の変化をもたらし、ひいては企業における雇用の面にもさまざまな影響を与えているところであります。 したがって、中堅産業人の育成を使命とする商業高校では、エレクトロニクスの進展への対応や
地域社会との連携の強化などを中心とする教育内容の改善、充実を図り、産業経済や企業の実態に対応できるよう近代的な諸設備を整備することが緊急の課題であると考えます。 我が熊本県においても、情報処理関係、OA機器等の導入について推進されていることとは思いますが、商業高校における導入状況や将来の方策について
教育長にお伺いいたします。 なお、水俣高校における商業科は、開設以来、卒業生も地域の商工業の振興に貢献し、卒業生への地元の評価と期待は高まりつつある状況であります。しかし、情報化社会に対応する商業科関係の設備などは十分でなく、さらに五十九年、六十年と設備補助が減額になっております。 今後、これらの設備を整備充実させ、本県が推進しているテクノポリス構想計画にも対応できる人材、新しい知識、技術を持った商業人の育成を図り、
地域社会の要望にこたえる必要がありますが、水俣高校におけるOA機器を中心とした商業教育設備の整備充実について
教育長にお尋ねをいたします。 〔
教育長伴正善君登壇〕
◎
教育長(伴正善君) もともと商業高校は、地域との関連が深くて、例年卒業生の大部分が県内に就職するなど地元産業界とも密接な関連を持っておりまして、このことから商業高校におきましては、常に産業経済の動向に対応した専門的知識、技術を習得させるよう、時代に応じた教育設備の近代化を図ってきたところでございますが、本県の商業科におきましては、電子計算機の社会的利用が一段と広まってきた事情を背景に、四十七年度以降、学校の実態に応じ、ほとんどの学校に電子計算組織を整備してきたところでございます。 しかしながら、御指摘のとおり、企業のオフィスオートメーションなどによる事務の合理化、能率化が急速に進展していることに対応いたしまして、新しい学習機器の整備を図る必要があり、現在計画的に国の助成措置を積極的に導入し、新しい学習機器の充実を図っておるところでございます。 水俣高校につきましては、五十三年に電子計算組織を導入済みですが、その他のOA機器については逐次商業高校に導入する計画でありますので、水俣高校商業科にも導入を積極的に検討いたします。 今後とも、より一層地域産業に理解を深め、本県が推進しているテクノポリス構想計画にも対応できる新しい知識、技術を持った人材の育成に努めてまいります。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) ありがとうございました。
教育長の前向きの答弁と積極的にという力強い御答弁をいただきまして、水俣高校商業科の前途が明るくなったような気がいたします。どうぞよろしくお願いをいたしますとともに、拠点校づくりや校区制の問題で大変御苦労のさなか、伴
教育長の今後の力強い御活躍をお願い申し上げておきます。 国体誘致運動促進と体制強化について御質問をいたします。 本県では、現在県民総スポーツ運動が積極的に展開され、県民がそれぞれの年齢や能力に応じて体力の維持増進を図り、健康で明るい家庭と
地域社会づくりを目指してスポーツ活動に親しんでおられることはまことに喜ばしい限りであります。 また、スポーツ活動の基地となる施設設備につきましても、県民総合運動公園、県立総合体育館の建設を初め、市町村における体育施設も年を追って充実し、社会体育施設の総数においては全国でも優位にあると承っており、喜んでおります。水俣市においても県南一を目指す武道館が完成間近であります。 この県民の間に盛り上がりを見せるスポーツ活動とともに、競技・スポーツもすばらしい成績を上げており、御存じのとおり、昨年はロサンゼルスオリンピックでの山下選手の優勝を初め、国体においては、バドミントンや数多くの競技の入賞で毎回上位を占め、さらに中
高校生の全国大会での健闘ぶりも目をみはるものがあります。昨年度も何らかの全国大会で優勝の栄冠を得た選手は、八代東高校剣道の国体、インターハイを含めた三冠の偉業をなし遂げました。このチームには、我が同僚議員荒木先生の御子息が力強く御活躍されたことをお伝えしておきます。十種競技中九十名に及び、輝かしい活躍の跡がしのばれるわけであります。小谷団長率いる我が
熊本県議会野球チームも全国大会の優勝をなし遂げております。 県議会においては、さきに七十一年国体誘致を決定しておりますが、このような本県のスポーツ活動の実態を踏まえ、国体開催を契機として、交通網の整備を軸とした各種産業の拡大、豊富な
観光資源の紹介を初め大会開催に必要な各種施設の整備と相まって、スポーツ活動の活性化を図り、県勢発展に寄与することを願ったものであります。 本県においては、県勢発展の基調の三本の柱「活力・個性・潤い」を三つの基調とし、第一の柱に「活力」を挙げ、強い熊本づくりを強調しております。この中で、知事は、特色のあるくまもと日本一づくり構想を考えられ、全国の範となる偉大なる県になることを願っておられますが、スポーツ活動においても、この構想の中で、すばらしい施設を整備し、強力な選手を育成してスポーツ王国を実現するための施策を考える必要があると考えるものであります。 七十一年国体誘致決定に伴って、早速開催のための種々条件整備の構想が考えられ、八代県営球場設置など会場設定に当たっては、国体終了後も広く県民が活用できるよう特定地に集中することなく地域の生活圏域などを配慮し、整備する必要があると考えるものであります。 また、大会を成功に導くためには、できるだけ早く諸準備に取りかかる必要があると考えます。例えばプロジェクトチームの発足、窓口の一本化など考えられますが、国体誘致に伴う諸整備の基本構想とその体制についてどのように考えておられますか、お伺いをいたします。 〔
教育長伴正善君登壇〕
◎
教育長(伴正善君) 国民体育大会を開催するに当たりましては、体育関係はもちろん各界各層の御意見を十分お聞きし、構想を立ててまいります。 また、体制の整備といたしましては、国体を成功させるための県民運動とともに、官民一体となりました実行
委員会及び事務局の設置が近い将来必要でありますが、当面は、スポーツ施設設備整備計画と競技力向上対策が早急に取り組むべき課題でありますので、その対策の体制づくりを進めているところでございます。 まず、施設の整備につきましては、現在県スポーツ振興審議会に国体誘致に伴う施設設備の基本構想について検討をお願いしているところでございまして、近く建議として御提案をいただくことになっております。建議をいただいた後に関係部局と十分検討いたしまして、施設整備計画を立て取り組んでまいります。 競技力向上対策につきましても、現在県体育協会と検討を行っておりますが、これも近く計画をまとめ、方針を出す考えでございます。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君) ぜひすばらしい国体ができますように、その準備に万全を期していただきたいと思います。 私どものローカルものでございます道路の問題についてお尋ねをいたします。 地域の振興、発展を考えますとき、まずもって社会基盤の整備が先決であり、その中でも道路の整備が最優先であると認識いたしておるものであります。 私の出身地である水俣市は、先ほども
観光振興でも申し上げましたとおり、本県の最南端に位置し、温暖な気候で不知火海に面し、美しい海岸線に恵まれ、幾多の自然条件に恵まれたところでありますが、昭和三十年代以降、産業経済構造の変化に伴い、商工業が大都市中心に展開されてきた過程で、過疎化が進み、また水俣病の影響もあり、
地域経済は年々低迷してきたのであります。 この疲弊した祉会経済状況を脱するため水俣・芦北
地域振興計画が策定されました。県、市が一体となって産業基盤や生活環境の整備が進められているところであります。その振興策の成果によって、昭和五十年度以降、若干ではありますが、人口も増加に転じ、しかも観光面でも活気を取り戻しつつあることは喜びにたえません。 しかし、何と申しましても、地元
水俣市民にとっては、地形的宿命から、熊本都市圏との時間的遠隔性が大きな障害となっております。産業、経済、文化などのあらゆる面で立ちおくれているのであります。距離にして九十数キロメートル、「熊本・明日へのシナリオ」にもあります九十分圏域の実現を待ち望むものであります。そのためには高規格道路、すなわち南九州西回り自動車道の早期建設がクローズアップされるところであります。 この問題につきましては、県南の各先生方から数回となく質問があっておりますが、高速自動車道を建設するためには、御承知のとおり、国土開発幹線自動車道法により法定路線として指定を受けなければなりません。現在国土庁においても第四次全国総合開発計画策定の作業が進められておりますが、とりもなおさず南九州西回り自動車道が法定路線として指定されることが先決であります。先は長いのでありますが、今後積極的に、しかも粘り強く取り組まれますよう強くお願いを申し上げる次第であります。 そこで、水俣・
芦北地域における道路網としては、当面国道三号線に依存しなければなりませんので、現在交通混雑区間の解消のため――昨日小早川先生も質問されましたが、日奈久バイパス及び登坂車線の事業に取り組んでおります。 国道三号線は、水俣・
芦北地域における基幹道路であることはもとより、九州の大動脈であり、昔から陸上交通のかなめとして、県都である熊本市と水俣地域を連絡し、地域の経済発展を支えてきたのであります。最近では、モータリゼーションの進展、陸上輸送の需要の増加、車両の大型化、重量化により各所で交通渋滞が発生しておりますが、特に本路線の八代から水俣間は、地形的に最も急峻で、赤松、佐敷、津奈木の三つの峠、いわゆる三太郎峠があり、坂道が続くことにより交通渋滞に拍車をかけているところであります。 そこで、これを緩和するために、建設省において登坂車線の設置を昭和五十四年ごろから着手されておりますが、この事業については、地元住民はもとより、通過交通車両にとりましても一日も早い完成を期待しておるところでございます。用地買収も済み、通行帯ができているものの、何年も供用開始を待つばかりで、ハンドルを握っていていつになるのかといらいらしているのが現状であります。 現在の進捗状況と今後の見通しについて
土木部長にお尋ねをいたします。 〔
土木部長福島正三君登壇〕
◎
土木部長(福島正三君) お答えを申し上げます。 お尋ねのございました国道三号は、この地域のみならず九州を南北に連絡をいたしております陸上交通の大動脈でございます。この道路のうち、八代から水俣にかけましては、従来から三太郎越えと言われております交通の大難所であったわけでございますが、赤松、佐敷、津奈木の三つのトンネルによりまして、車両通行に対する経済性、利便性は飛躍的に向上したところではございます。 しかしながら、この区間は、特に地形が急峻でございまして、坂道が長く続いております。そういったことから、その後の自動車交通量の増加や車両の大型化、重量化に伴いまして、また交通渋滞に拍車がかかってきておる状況でございます。 そこで、建設省の方で昭和五十四年から、津奈木トンネルの前後それぞれ延長千七百メートルの区間につきまして登坂車線を設置いたしまして交通渋滞の緩和を図る計画でございまして、このうち八代側の千百メートルにつきましては既に一部供用開始しております。本年度は引き続き八代側の残り六百メートルの区間につきまして工事をいたします。あわせて、水俣側の千七百メートルのうち一千メートルについて工事の完了を予定しておるという状況でございます。また、水俣側の残り七百メートルにつきましても昭和六十一年度に着工の上、早期完成を目指しておるという段階でございます。 次に、赤松登坂車線でございますが、これは赤松トンネルから水俣側に延長千四百メートルの区間が計画されておりまして昭和五十九年度に測量調査を完了しております。本年度は引き続き用地買収と一部区間の工事に着手することとしております。 いずれにいたしましても、この登坂車線の早期完成方につきましては、関係の皆様方の御協力をいただきながら建設省の方に強く要望をしてまいる所存でございます。 〔
深水吉彦君登壇〕
◆(
深水吉彦君)
土木部長の御答弁で、しばらくの我慢をすれば供用開始になるという話でございます。何をいいましても、三号線一つでございますし、また高速道路が人吉の方へ行きまして、この県南の
芦北地方は取り残されるわけでございますので、西回り道路とともに三号線の有効な利用に向かって、知事にもひとつ国へ向かって強力なお力添えをお願いを申し上げておきます。 あと二つほど要望を述べさせていただきたいと思います。 新聞で皆様も御存じと思いますが、水俣に百間・丸島という地域にかかわります排水路がございますが、その排水路が水俣病の根源であります水銀の発生の地であります。その発生の地の
ヘドロ処理事業につきます財政資金調達につきまして御要望を述べさせていただきたいと思います。
水俣病対策の一環として水俣湾
ヘドロ処理事業が県事業として取り組まれ、汚染源の封じ込め作業として六十二年までしゅんせつを終わり、六十五年には埋め立て完了される計画になっております。一時期差しとめ訴訟がありましたものの、おかげさまで作業は順調に進み、第一工区完了、第二工区の締め切りにかかっております。この時期、県事業と並行して水俣百間・丸島排水路ヘドロ処理を実施しなければならないため市は早急な対応に迫られております。 百間・丸島排水路は、水俣湾及び丸島漁港に流末を有する都市下水及び工場排水を排出する市の主要排水路であります。その上、高濃度の水銀へドロが四千立米もあり、水路延長二・五キロに及んでおり、雨季を避けて水路を部分的に締め切って工事をするという大変な難工事であります。総工費二十億円と言われ、原因事業者負担額十億円余、国庫補助を見込んでも市負担が十億円にもなる事業と言われます。 過去のいきさつは申し上げませんが、汚染源を絶つための県公害防止事業に関連し、またその源である水路がなぜ都市下水路事業でしか認可を受けられなかったのかという疑問であります。県の事業は、ヘドロ県債の形で国の大きな支援が受けられ、第四港湾建設局に委託して工事が着々と進んでおりますが、市の事業は、公害財特法は無理と五十三年ごろから非公式に自治省が回答し、さらに先日、六月七日の衆議院環境
委員会でも法の対象とするのは困難であるという見解を示したと新聞報道されております。 一般会計予算で九十億円余の水俣市にとって、三カ年計画とはいえ二十億円の財政負担は大変なもので、経常経費支出だけでも六十五億円の財政状況では、すべての事業をとめたとしても不可能な負担であります。原因者負担分にしても、水俣病県債、ヘドロ県債を支払わねばならぬ
チッソと零細企業の小会社で一時負担能力がないため、立てかえ払い方式しかないのであります。水俣病を克服した活気ある水俣づくりを目標にしておる水俣市にとって、また知事の言われる環境博開催地としても、何が何でも汚染源は絶たねばならない使命があります。 そこで、特別な財政援助を国にぜひともお願いしなければなりません。主な内容は、一つ、事業者負担金にかわる財源確保、一つ、事業者負担分が徴収不能の状態になった場合の財政援助、一つ、公害防止財特法の優遇措置に見合った財源確保、一つ、地方債発行などを御理解していただき、県事業とともにヘドロ事業の目的が達成できますよう国を動かしていただきたい。水路事業へのお力添えを知事初め県議会の皆様方へお願いを申し上げたいわけでございます。よろしくお願いを申し上げます。 最後になりますが、水俣・
芦北地域の振興につきまして、これも要望をさせていただきたいと思います。 水俣・
芦北地域の振興についてでございますが、このことにつきましては昨年十二月の議会で同僚の山本議員からも質問がありましたが、水俣・
芦北地域の振興は、五十三年の「
水俣病対策について」の閣議了解の一環として、水俣病により生活環境が破壊され、経済的、祉会的に脆弱化した当地域の現状を踏まえて、必要な施策を重点的に投入することにより、明るい活力ある
地域社会への
再生、浮揚を目標として、昭和五十四年度から昭和六十年度を計画期間とする水俣・芦北
地域振興計画を策定され、議会の皆様方の協力を得ながらその推進に努力されてきたところであります。 これまでの事業経過を見てみますと、昭和五十四年度に計画着手以来、昭和五十九年度までの当初計画に対する達成率は八〇・八%となっており、着実な成果をおさめているところであります。県及び関係市町におかれましては、国や地方の財政状況が厳しさを増す中、御努力をいただいておりますことにつきましては、
地元議員として深く感謝を申し上げる次第であります。 しかしながら、昭和五十四年度から推進してこられた水俣・芦北
地域振興計画も、六十年度が最終年度となっておりまして、その成果につきましては評価できますものの、根本的な
水俣病対策においても、患者認定業務あるいは
チッソの経営再建など、その他今後に多くの課題を抱えておりますし、本計画の主要プロジェクトであります水俣湾公害防止事業や道路の整備状況などを初めとして、一部の事業においては諸般の事情からおくれていることは否めない事実であります。 また、企業誘致につきましても、県内ではテクノポリスの推進などと相まって誘致企業の立地が活発化している中、水俣・
芦北地域は依然として低調であることは、先ほど申し上げたところでございますが、対外的な評価は、この地域には厳しいものがあると言わざるを得ません。 このような意味におきまして、今後の水俣・
芦北地域の振興につきましては、従前よりさらに一段とその必要性と
重要性が増しており、新たな決意を持って当地域の振興に取り組む必要があると思われます。 このようなことから、県におかれましては、既に昭和六十一年度から昭和七十年度を計画期間とする新水俣・芦北
地域振興計画の策定に着手されておりますことは、当地域の振興に対する積極的な姿勢と受けとめ、改めて感謝を申し上げる次第であります。 そこで、新計画の策定に当たって二、三御要望を申し上げたいと思います。 先ほどから申し上げておりますとおり、水俣・芦北
地域振興計画につきましては着実な成果をおさめておりまして、それなりの評価を得ているところでありますが、真の意味での明るい活力ある
地域社会への
再生、浮揚にはまだまだほど遠い感じを持つものでございますし、一方では、従来の計画については、公共事業の羅列であるとか総花的であるとかの批判もございます。しかし、新計画に対します我々の期待は非常に大きなものがあるわけでございますが、新計画につきましては、新しい理念と重点的な施策の展開がより重要であろうと考えております。 まず第一に、新しい地域イメージの確立と社会的評価の回復でございます。 まだまだ当地域に対しますイメージは、公害そのものから脱皮できないでいるのが現状でございます。今後あらゆる機会をとらえ、より水俣的地域文化の創造と新しい地域イメージの確立に向けての取り組みが重要であろうと思われます。 次に、地域産業の振興、活性化へ向けての取り組みであります。 当地域の産業は依然として低迷を続けておりますが、中には甘夏ミカンを中心として全国的な銘柄を確立している産物もございますし、工業においては、新しい産業分野に対する意欲的な取り組みが始められるなど、地域活性化に向けて新たな歩みが始まっております。 これら
地域経済の動向を的確にとらえながら、さらに産業を取り巻く環境の変化の潮流を着実に受けとめ、地域に根差した産業の振興に重点的に取り組むべきだと考えます。 次に、基幹的な事業の促進についてであります。 県南の取り残された地域の振興を図るためには、社会基盤の整備が重要でありますし、とりわけ交通ネットワークの整備を中心とした体質強化のための取り組みの促進をお願いするものであります。これらにつきましては、従来の計画の中でも
重要課題として位置づけられ、その推進に努められてきたところでありますが、その中の大型事業の積み残しが目立っております。新計向におきましても、これら積み残しの事業を含めまして、その取り組みの強化をお願いするものであります。 具体的に申し上げますと、先ほどお願いいたしました西回り自動車道の早期実現を初めとして、当面の課題としては、国道三号線の改良、広域農道の建設促進などであります。 最後になりましたが、水俣・
芦北地域の振興を図る上で重要な課題であります環境博について、特に御要望いたしておきたいと思います。 環境博については、本議会冒頭の代表質問において、我が党の
北里議員から御質問があっているところであります。その中で、
北里議員は、国際園芸博については大阪開催という方向で関係方面の動きが一致を見たということであるが、そのことが水俣での環境復元のモニュメントとして環境博構想を推進するという知事のお考えに直接影響を与えることにはならないのではないかという、これまでの経緯などを踏まえられた大変適切な御指摘があったところであります。
北里議員が党を代表しての御質問でこの問題をお取り上げいただいたことに、
地元議員として心から感謝を申す次第であります。 知事からは、大阪での国際庭園博という関係方向の動きとはかかわりなく、水俣・
芦北地域活性化を考え、環境を重点に置いた博覧会構想を推進するという考えは一貫しており、変わりはないとのお答えをいただき、大変意を強くいたしているところであります。 水俣を中心とした博覧会構想を推進するということにつきましては、解決すべき種々の困難な課題があることは十分承知しておりますが、知事の積極的な姿勢により、県政全体の順調な進展を見ている中にあって、水俣・
芦北地域の浮揚、振興は、今後ますます
重要課題となってくるであろうと考えます。 これに対し、市民生活を考える中で、今後ますます
重要性を増してくるであろうと思われる環境を主題とし、また環境の原点とも言える水俣を中心とする博覧会構想の推進ということは、まさに時と場所を得たものであります。 私は、水俣・
芦北地域の変革に直接的に結びつくものであるならば、水俣という特定の地域に限定することなく、また国際、国内という博覧会の開催方法などに拘泥することもないと考えております。あらゆる可能性に向けて知事の積極的な対応を強くお願いいたしておく次第であります。そして
水俣市民にやる気を出させてください。 このような重要な時期に、新たな振興計画の策定を進めていただくわけでございますし、環境博は、水俣・
芦北地域の振興にとって大きな核となるものであります。新水俣・芦北
地域振興計画の重点課題としての位置づけをお願いしますとともに、実りある構想実現に向けて強力な取り組みをお願いするものであります。
水俣病対策を県の最
重要課題として取り組んでいただいております県議会の先生方のお力添えをお願いいたしますとともに、細川知事に要望の形で激励を申し上げ、お礼を申し上げながら私の全質問をこれにて終わらしていただきます。長時間の間ありがとうございました。(拍手)
○議長(
久保一明君) 以上で通告されました
一般質問は全部終了いたしました。これをもって
一般質問を終結いたします。 ――
―――――○―――――――