長崎県議会 2024-02-28
02月28日-03号
令和 6年 2月 定例会令和6年2月定例会 令和6年2月28日 議事日程 第9日
目----------------------------------- 1 開議 2
県政一般に対する質問 3 散会令和6年2月28日(水曜日)出席議員(46名) 1番 大倉 聡君 2番 本多泰邦君 3番 白川鮎美君 4番 まきやま大和君 5番 虎島泰洋君 6番 畑島晃貴君 7番 湊 亮太君 8番 冨岡孝介君 9番 大久保堅太君 10番 中村俊介君 11番 山村健志君 12番 初手安幸君 13番 鵜瀬和博君 14番 清川久義君 15番 坂口慎一君 16番 宮本法広君 17番 中村泰輔君 18番 饗庭敦子君 19番 堤 典子君 20番 坂本 浩君 21番 千住良治君 22番 山下博史君 23番 石本政弘君 24番 中村一三君 25番 大場博文君 26番 近藤智昭君 27番 宅島寿一君 28番 山本由夫君 29番 吉村 洋君 30番 松本洋介君 31番 ごうまなみ君 32番 堀江ひとみ君 33番 中山 功君 34番 小林克敏君 35番 川崎祥司君 36番 深堀ひろし君 37番 山口初實君 38番 山田朋子君 39番 中島浩介君 40番 前田哲也君 41番 浅田ますみ君 42番 外間雅広君 43番 徳永達也君 44番 瀬川光之君 45番 溝口芙美雄君 46番 田中愛国君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 大石賢吾君 副知事 浦 真樹君 副知事 馬場裕子君 総務部長 中尾正英君 秘書・広報戦略部長 大瀬良 潤君 企画部長 早稲田智仁君 危機管理部長 今冨洋祐君 地域振興部長 小川雅純君 文化観光国際部長兼
文化観光国際部政策監 伊達良弘君 県民生活環境部長 大安哲也君 福祉保健部長 新田惇一君 こども政策局長 浦 亮治君 産業労働部長 松尾誠司君 水産部長 川口和宏君 農林部長 綾香直芳君 土木部長 中尾吉宏君 会計管理者 吉野ゆき子君 交通局長 太田彰幸君 地域振興部政策監 渡辺大祐君 産業労働部政策監 宮地智弘君
教育委員会教育長 前川謙介君
選挙管理委員会委員 原 章夫君 代表監査委員 下田芳之君 人事委員会委員 辻 良子君
公安委員会委員長 安部惠美子君 警察本部長 中山 仁君 監査事務局長 上田彰二君
人事委員会事務局長(
労働委員会事務局長併任) 田中紀久美君
教育委員会教育次長 狩野博臣君 財政課長 苑田弘継君 秘書課長 黒島 航君
選挙管理委員会書記長 大塚英樹君 警察本部総務課長 一瀬永充君
-----------------------------------議会事務局職員出席者 局長 黒崎 勇君 次長兼総務課長 藤田昌三君 議事課長 川原孝行君 政務調査課長 濱口 孝君 議事課課長補佐 永尾弘之君 議事課係長 山脇 卓君
議事課会計年度任用職員 天雨千代子君----------------------------------- -午前10時0分 開議-
○議長(徳永達也君) おはようございます。 ただいまから、本日の会議を開きます。 これより、昨日に引き続き、一般質問を行います。 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) (拍手)〔登壇〕自由民主党、長崎市選出、浅田ますみでございます。 能登半島地震による多くの被災地の皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、この遠く離れた長崎からも、この思いをずっと寄せ続けていきたいと存じます。 そして、今日28日、傍聴者の皆様は、今日が「ピンクシャツデー」と言われている日であるということをご存じでしょうか。 実は、私も、ここにいらっしゃる同僚議員の初手議員から教えていただきました。これは、カナダから派生をした「
いじめストップ運動」ということで、今、全国にも広がっています。 今日、議席にいる全ての議員がピンクのものを身につけております。この長崎からは、ぜひともいじめをなくしたい。その強い思いをもって、いつもは赤いスーツを着ておりますが、私も今日はこの
ショッキングピンクのスーツを着て、力を込めて質問へと移らせていただければと思っております。 本年度、2回目の質問の機会をいただきました会派の皆様、そして傍聴に朝から来ていただいた皆様に、まず、心からお礼を申し上げます。 そして、大石県政3回目の一般質問となります。落としたハンカチを優しく拾ってくださった知事には感謝を申し上げたいと思いますが、知事は、任期2年目の折り返しということで、私としては、その優しさにもしっかりと対峙をしながら、知事のマニフェストについてチェックを続けさせていただければと思っております。 1、知事の政治姿勢について。 (1)IRについて。 知事は、マニフェストでも挙げておりました特定複合施設(IR)の確実な実現、これが残念ながら、昨年の12月に資金調達を裏づける証拠が不十分という本当に悲しい、残念な理由にて不認定となりました。 このIRの議論は、私が議員になった2007年から、これはどんどん加速化されて起こってきた、そういうものでございましたので、私自身も何度も何度も、この議場の中でIRについては質問をさせていただいた。そして、多くの議員が賛成をしてきた事業ということもありまして、しっかりと、我々も責任があるからこそ、今日は質問をさせていただきたいと思っているんですが、この不認定に関しまして、国と認識の差があるということで、1月12日に質問書を国に送付し、その後、県議会は、1月23日に全員協議会、そして特別委員会、2月3日には総務委員会を開きました。 そして、その後の2月9日に、ようやく国から回答書がきました。しかしながら、県が望んでいた資金調達というものの蓋然性、そして、担保し得る基準というもの、どのように運営すればいいのか、そういった全ての実質に関わる担保すべき基準というものが明確な返答にはなかった。 そういったことから、知事自身も、「不十分であれば対応が必要である」という思いを記者会見でも表明をしておりました。 そのことからか、2月16日には、観光庁長官の方に面談をなさっております。そのことについて議会でも報告を受けましたが、私は、その内容が非常に納得がいかなかった。その思いで知事に現在の状況、そして、知事の受け止め、そういった思いについて、まずはお聞かせをいただければと思います。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 〔登壇〕浅田議員のご質問にお答えをさせていただきます。 県においては、今回の審査結果に関して、国と県との間に認識の差があることから、県、IR事業者及び関係の方々が納得できる十分な説明を国に対して求めることとし、本年1月、質問書を送付したところでございます。 去る2月9日、国から質問書に対する回答として関係資料の提供を受けましたが、質問項目への直接的な回答ではなく、多くの項目には答えられていないと認識されるとともに、資金調達の蓋然性や、IR事業の適切かつ継続的な実施を担保し得る基準等は明らかにされませんでした。 そのため、2月16日、私は、観光庁長官と直接お会いをさせていただきまして、現状では説明責任を十分に果たすことが困難である旨を説明し、これ以上の正式な回答はないのか、確認をいたしましたけれども、「これ以上の回答はない」と、明確な返答があったところでございます。 私としては、要求基準に客観的な指標等があらかじめ明示されないと、地方版IRにチャレンジするのは、相当程度、ハードルが高いのではないかと認識をしており、観光庁へも、その旨、申し入れを行いました。 今回、県では、国から提供された資料を基に、審査のポイントを推察し、整理いたしましたけれども、今後、県議会でのご議論や関係者のご意見等を踏まえながら、一連の振り返りを行ってまいりたいと考えております。 以後のご質問につきましては、自席から答弁をさせていただきます。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 今、知事からご答弁をいただきました。繰り返し、昨日から、要求基準に客観的な指標などが明示をされてない、そういうことでチャレンジをするのがハードルが非常に高いというお話だったかと思います。 これまでも、しかし継続審査になっても、知事自身も「認定には、まだまだチャンスは十分にあると理解している」と、そのように力強い言葉をおっしゃっていた。その後にも、これも総務委員会で副知事がおっしゃっておりましたし、知事もおっしゃっておりましたが、多くの
IRプロジェクトの経験を持つ専門的なアドバイザーによって、国際的な商慣習になぞらえて資料を作成していく、しかし、そういったものが、結局、議論の以前のような形で基準を満たしていないと結論づけられた。このコンサルに頼んだ、この状況というのが果たしてどうだったのか。 県は、8億円以上のコンサル料を払っております。長崎県が5億円、そして佐世保市が3億円というような内訳かと思いますが、コンサル自身が、このような多額の金額をもらったうえで、この中身がどうだったのか。そして、コンサル自身を選んだ、その基準というものも県においては問題がなかったのか、どのように思っているのか、教えてください。
○議長(徳永達也君) 馬場副知事。
◎副知事(馬場裕子君) 九州・
長崎IR区域整備計画の作成につきましては、海外の多くの
IRプロジェクトで経験を持つ
専門的アドバイザーへ業務委託を行っております。 具体的には、フォーム面では、
ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所からアドバイスを受け、財務面を含めた全体的な業務は、あずさ監査法人から支援を受けてきたところであります。 今回の審査結果では、資金調達の蓋然性が十分に認められないことや、IR事業の運営の実績、ノウハウが不十分であることなどが不認定の理由として示されております。 しかしながら、例えば、
コミットメントレター等について、明確な定義や基準がなく、事前の問い合わせにも国から明確な回答がなかった中で、例えば、諸外国では、IRの公募、入札において、公募時点においては、法的拘束力のある書面に限られず、状況に応じた各種の書面を通じて資金調達の確実性を客観的に裏づけることが認められております。 こうした国際的な商慣習に照らし、県及びIR事業者から合理的な資料が提出されているというのが、委託先としての認識でありますし、県としても、そのように認識しております。 また、審査の過程におきましても、県及びIR事業者から十分な説明が行われてきたという認識でありますことから、今回の審査結果については、審査委員会の裁量が余りにも大きいのではないのかという見解が示されております。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) コンサルにも問題はなかった、しっかりとした形で資料をつくっていただいた、それが今の県のご見解かと思います。 それであるならば、運営者、
KYUSHUリゾーツジャパン、こちらはどうだったんでしょうか。大屋社長は、「決定については納得をしていない。県ともしっかりと相談し、最後まで考え抜きたい」というようなことを記者会見でおっしゃっておりました。 しかし、この事業者自体の運営責任というもの、こういったことはどのようにお考えでしょうか。
○議長(徳永達也君) 企画部長。
◎企画部長(早稲田智仁君) 今回の審査結果に対しまして、IR事業者においては、「九州・
長崎IR区域整備計画」は、海外の多くの
IRプロジェクトで経験を持つ金融機関や、
専門的アドバイザー等の助言を受け、国際的な商慣習にも照らして作成したものであり、認定基準を満たすものと認識されていたことから、当初、遺憾に思うとともに、驚きをもって受け止められておりました。 また、長きにわたり、九州・長崎IRの実現のために力を尽くされましたが、力及ばず不本意な結果となったことについて、関係者の皆様に対して心苦しく思うとともに、これまでの支援や協力について感謝の意を示されているところであります。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 申し訳ございませんが、質問と全く答弁が違うかと思います。私は、
KYUSHUリゾーツジャパンについて、どうなのかということを質問をしております。今の答弁では決して受け止められません。
○議長(徳永達也君) 企画部長。
◎企画部長(早稲田智仁君)
KYUSHUリゾーツジャパンについても、専門的なアドバイザーなどのアドバイスを受けまして、しっかりと計画書の作成と区域整備計画の作成というものについて携わってこられました。 今回の審査結果につきましても、そういう国際的な商慣習に照らして基準に値するものと考えて努められてきたものであります。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) しかしながら、不認定なわけですよね。今の答弁にもあるように、逆に私たちからすると、説明責任がなされてないのではないかというふうに感じました。 質問と答弁自体の違いもそうですし、まず、
KYUSHUリゾーツジャパンに関しましては、議会の中でも、再三、委員会や議場の中においても、資金調達や運営面において、最初から不安があるという声がありました。それでも、「大丈夫です、信用してください」と、何度も何度も、議会でも、委員会でも、皆さんがそうおっしゃった。最後の
コミットメントレターの確認すら、私たち議会はできなかった。それでも信用をということで、我々は賛成をした経緯があるので、私は、コンサルに関しても、この
KYUSHUリゾーツジャパンに関しても、しっかりと、もっと明確なる見解というものがあってしかるべきかと思っております。 今の答弁であると、県は、ここに対しても不備や対応不足はなかったという見解かと思います。しかし、そもそも、それであるならば、事業者選定について、我々議会が最初から疑問を呈していた感じで、問題はなかったと言いきれるんでしょうか。
○議長(徳永達也君) 浦副知事。
◎副知事(浦真樹君) 事業者選定に関しまして、私の方からご答弁をさせていただきます。 県において、このIRの
設置運営事業予定者の公募・選定でありますけれども、選定をいたしましたのは、提案をいただきましたカジノ・オーストリア・
インターナショナルジャパン(CAIJ社)を、私ども、選定をいたしております。 この手続につきましては、IR関連法令を踏まえて、県において策定をいたしました募集要綱、あるいは審査基準等に基づき実施をしてきたところでございます。 具体的には、事業の実施体制や実績等の事業運営能力、財務能力、あるいはIR区域全体のコンセプトや整備方針、懸念事項対策などの各評価項目につきまして、有識者からなる審査委員会において、公平・公正な審査が行われ、その審査結果を踏まえて、この事業者の選定を行ったものでありまして、つきましては、その選定結果については、十分な妥当性を有しているものと私どもとしては認識をしているところであります。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 今の答弁を聞くと、コンサル会社も問題ない。それであるならば一番最初に県において作成された、それ自体、応募要綱自体がどうだったのかなというような気がしてなりません。 なぜかというと、昨日から繰り返しではありますが、国がもっとちゃんとした要綱をしっかりと明示していれば、何ら問題はなかったかのように聞こえてしまうんですけれども、同じような状況で、ではなぜ大阪は先に認定をされたのか、長崎は何が劣っていて、長崎に何が足りなかったのか、大阪は何が長崎よりも優位だったのか、そこをどのように分析してますでしょうか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 九州・長崎IRは、コンセプトであったり、事業の規模、事業計画等において、大阪のIRとは異なるものでございます。 大阪IRについては、国の要求基準等に、もちろん適合する計画であったものと思いますけれども、その内容は、全ての点において明らかになっているわけではなく、我々も把握することができません。 そういったことから、九州・長崎IRとの直接的な比較、評価といったものは困難であるというふうに認識をしています。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 困難である流れの中においても、やはりしっかりとそこは分析しないといけないことではないか、また、説明責任が果たせないのではないかというふうに私は感じます。 だとするならば、今の知事のお言葉を借りるとするならば、国の中において、地方版、今後もたくさんのIRを国の中でつくろうというような状況があるわけですよね。だとするならば、国の中において議論をしていただかないといけないというふうに私は受け止めました。 そうだとするならば、例えば、私たちと同じ思いを持って、このIRを推進してきた長崎市選出の国会議員の方々がいらっしゃいます。その方たちも、選挙においてはIR推進ということを言ってまいりました。 だとするならば、知事から、そういう国会議員の方にしっかりと、これをもっと国の中で質問をして議論を深めていただきたいということをお願いすることも必要なのではないかと思いますが、どのように思いますか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 個別の議員の先生方のお考えといったものに関しまして、私からコメントする立場にないと思いますけれども、国の方でしっかりこの開示をするとか、説明を十分にしていただくとか、そういったことについては思いは同じでございますし、それゆえに私も直接、長官にお会いをして回答を求めたところでございます。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 長官にお会いした、だけれども、しっかりとした回答は得られなかった。もちろん、個別の議員のことについては、言いづらい部分があるかもしれません。しかしながら、国会議員の方々も、このIRに関しては推進ということを公のところでも言っているわけですよね。 本当に、知事が記者会見でもおっしゃっていたように、まずは説明責任を果たすことが重要であるというふうにお考えであるとするならば、知事がそれを国会議員の方に要望をし、国会の議論の中でも、こういったものをもんでいただくこと、それをお願いするということは、県民に対しては必要なことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) その説明責任を果たすといったところに努力をすることについては、私の立場として、やることはやっていくべきだというふうに思っています。 現状を今申し上げましたけれども、長官に回答についてお願いをしたところでございますけれども、明確に回答はないということですので、それをもって可能な限りの説明責任を今後も果たしていく、その努力は続けていきたいと思います。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 具体的にはどういうことでしょうか。私たちも、そもそも
コミットメントレターも見せていただいてなかった、どういう状況かわからない。そして、国からの回答というものも、県議会も見れない。これを見れるのは申請者だった県にとどまっているわけですよね。 そういう中でいうと、長官からは回答が得られなかった、ここでは済まされないと思うんですね。総務委員会の中においても、第三者的な方のご意見を交えながら、これからもまとめ作業を行っていかなければいけない、今回の結果に対する一連の振り返りは非常に重要であるということを述べております。 その意味においては、ここはなし崩しにはできない問題だと思うんですね。「九州はひとつ」と言いながら、九州全体も巻き込んできた、そういう責任もあります。九州全域の方々、九州の知事、そして関係者、経済界の方々にも、ここは説明責任を果たさなければならないと思います。その手法について、今、お考えですか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) これまでも申し上げてきましたけれども、現在いただいている回答を精査して、その内容を把握しているところでございますけれども、それで足りないと、十分に説明責任が難しい状況である旨お伝えしたところで、回答は得られないということですので、そのことをもって説明をしていかなくてはいけないと思っております。 ただ、これまで申し上げたとおり、できる限り、我々として情報を開示していく、説明を行っていくといったことは、我々も望むところでございますので、それに関して努力は続けていきたいと思います。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 私がなんでこうやって、しつこく、しつこく質問をしているかというと、私たち議会も、本当に10年以上、このIRのことを議論をし、様々や不安材料についても、確認を何度も何度も議会や委員会の中で質問をしてきました。そういう中においても、皆さんは、「十分自信がある」、多くの方たちがそれを言ってきた、関わってきた方たちがそうだった。確かに、職員さんたちも長年にわたって本当に頑張ってこられたと思います。私以上に悔しい思いをたくさんしている、涙をのんだ職員さんたちもいらっしゃると思います。 そういう方たちの思い、そして、これまでのノウハウ、そういったものも含めて、ここはもう少ししっかり前に出していかなければ、今の状況では説明責任を果たしているとは言えないと思うんですね。何かあると、国の基準がわからなかったからと、でも、これはどこも同じような状況でやってきた。今後のことを考えて、これからもっともっと全国の中でもIRを増やす意味においても、長崎がやらなければならない責任、そして、長崎だからこそ、できることが私はあると思っています。 そういう意味において、繰り返しになりますけれども、だとするならば、今の状況でわかりづらいんですけれども、知事は、今の段階で不認定だった責任は、どこにあると思っているんでしょうか。明示してくれなかった国なんでしょうか、どこなんでしょうか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) これまで申請に当たっては、県と
KYUSHUリゾーツジャパンの方で連携をして計画を作成し、これまで国への対応も申請を行ってきた経緯がございますので、その責任は、申請者である県と
KYUSHUリゾーツジャパンにあるものというふうに認識をしています。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 今、しっかりと、「責任は県にある」ということを知事自身が述べられました。これからしっかりとした形で説明責任を果たす努力、努力だけではなく、明示していただくことを期待いたしまして、この質問から次へ移らせていただきます。 (2)重要課題に対してのトップの動きについて。 今、知事は、はっきりと様々な部分において、自分たちに責任があることは責任がある、これがリーダーのあるべき姿なのかなというふうに思いますけれども、重要課題に対してのトップの姿勢というものについて、お伺いをしたいです。 ①県都・長崎市とのトップ会談について。 マニフェストの中でも、知事は、対話と行動力、リーダーシップの発揮というものを大事にしていると常々おっしゃっております。 そういう意味において、佐世保市とは何度か政策ミーティングなど、昨日もおっしゃっておりましたが、なさっているようでございますが、県と長崎市とのトップ、こことの対談がなかなか実現をしていない。長崎市と長崎県は仲が悪いのか、これは昔からよく言われていることでございますが、ここをしっかりと県都・長崎市のトップである市長と県のトップである知事が対話をしていただきたいというふうに思っているんですが、知事、このことに関しては、その後、進んでいるのかどうなのか、状況を教えてください。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 県勢の発展を図るためには、住民に最も身近な市町の思いであったり、力を合わせて地域課題の解決に向けて取り組んでいくことは重要だと考えております。 そのため、長崎市を含む県内市町とは、県・市町連携会議であったり、要望の場等を通して意見交換を実施しておりまして、産業振興であったり、移住・定住対策など、幅広い分野で役割分担に留意しながら、連携施策の構築に努めているところでございます。 また、本県の人口の約半分を占め、様々な権限等を有する中核市、長崎市も含まれますけれども、中核市とも必要に応じて、既に様々な階層で人口減少対策であったり、まちづくりなど、個別分野にかかる協議を行っているところでございます。 このうち、ご指摘の長崎市との政策ミーティングにつきましては、近く開催できるように日程調整を進めているところでございます。 様々な課題について、県と市が連携をして、さらに強力な取組を進めていけるように取り組んでまいりたいと思います。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 県と長崎市と具体的に協議することはたくさんあるかと思います。この間の9月の時から「対応していきたい」というふうにおっしゃっていましたが、まだその日程が決まってないようでございますので、ここはしっかりと中核都市、県都である長崎市との協議の方も進めていただければと存じます。 2、医療福祉介護の充実と人材確保について。 (1)ケアラー対策の今後について。 ①今後の体制づくりについて。 知事は、医療福祉介護の充実、そして人材確保に関しては、力を入れていきたいと常々おっしゃっていただきました。 そういう中において、ケアラー対策について、お伺いできればと思います。 ケアラーは、老人同士で行う老老介護、子育てと親の介護を担うダブル介護、一人で親を介護しなければならないシングル介護、18歳未満の子どもたちがやるヤングケアラー、こういった問題が社会的にも問題となっております。 そういう意味で、この長崎県では、ケアラーをしっかりフォローしていこうという願いを込めて、我々の同僚議員であります、ごうまなみ県議会議員が先頭に立ちまして、昨年、「長崎県ケアラー支援条例」というものを策定しました。 これは、全議員提案になったのは、この長崎県の中ではケアラーをしっかりフォローしていこうという県議会の思いも込められております。それを受け取っていただきまして、県の方でも十分に実態調査であったり、有識者会議を設置していただいたり、シンポジウムをやっていただいたり、そのようなことがなされているかと思います。 この1年間でやってまいりましたその状況というものを、知事は長崎県のケアラーをどのように分析し、これからどのように進めていきたいと思っているのか、お聞かせください。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 今回、実施をさせていただきました実態調査において、主に高齢者をお世話するケアラーについて、一人で複数の方の介護をしていらっしゃること、また、3年以上の長期間にわたって介護を行っている方が、これは6割を超えているということがわかってきました。 さらに、約3割の方が、働き方を変えたり、転職、退職の経験があるといったことなど、働きながら介護するということの大変さを改めて認識をしたところでございます。 こうした調査結果を踏まえまして、私としては、やはり仕事と介護の両立支援などに取り組む必要があるというふうに考えております。 今後とも、悩みを抱えるケアラーの思いに寄り添いながら、市町や関係団体と連携しまして、社会全体で支える体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) (2)ビジネスケアラーについて。 ①今後の体制づくりについて。 今の答弁の中で一番特筆すべきかなと思ったのが、仕事と介護の両立、このビジネスケアラーというのは、本当に全国的にも問題になっておりまして、2030年には318万人を超えるビジネスケアラーが出てき、そして、その損害というのは9兆円に上ると言われております。 長崎県の中では、どちらかというと家族で介護をするという人たちが全国的にも多いというような実態があり、知事がおっしゃったように、だからこそ、転職ですとか退職を余儀なくされている方も多いのではないかと思います。 そういう意味において、まず、ビジネスケアラーのフォローをこの長崎県の中でどのようにしようと思っているのか、そこからお聞かせください。
○議長(徳永達也君) 福祉保健部長。
◎福祉保健部長(新田惇一君) ビジネスケアラーにかかる課題の解決に当たりましては、企業側において、介護休暇や柔軟な勤務形態など、仕事と介護を両立するための体制を充実させるとともに、ビジネスケアラー本人の具体的な相談に対応することが重要であると認識しているところです。 こうした課題に取り組む専門職といたしまして、現在、日本介護支援専門員協会が、ワークサポートケアマネジャーを養成、認定しておりますところでありまして、本県でも現時点で3名の方が認定をされているところです。 ワークサポートケアマネジャーは、企業と契約をしたうえで、社員向けセミナーの開催や企業ごとの特徴を踏まえた「介護離職予防プログラム」の策定、社員への個別相談などを行うことで、介護と仕事の両立を支援するものとなっております。 県といたしましては、関係団体と連携いたしまして、ワークサポートケアマネジャーの県内での活用を進めるため、来年度、モデル的に企業への派遣費用を支援し、横展開をすることでビジネスケアラーの支援に取り組んでまいります。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) まず、ワークサポートケアマネジャー、こういった方々で多くの企業をフォローしていきたいと、そのようなご見解を示していただきました。 この資格自体が国においても新しい資格ということで、国全体でもまだ百数名ほど、そして長崎県が3名というような状況かと思います。県内においても、かなり努力をしている、介護での休暇を取る制度ですとか、取得しやすい環境づくりに努めてくださって、「Nぴか」というような優良企業を認定されているようなところもあります。 しかしながら、一方では、そこまで全くできていないというような状況がある中小企業などもある。そこにワークサポートケアマネジャー、しかしながら、やっぱり人数が少ないと思うんですね。まずは、そこの方々たちの育成というものに力を注いでいく必要性もあるのではないかというふうに思っています。 また、改めて国の中では、企業の経営と介護の両立支援に関する検討委員会というのが昨年からスタートされております。国の中で、ある一定、どのような指針なのかをお示ししていくということなのだとは思うんですけれども、やはり長崎県だからこその課題等々もあるかと思います。 そういう意味では、高齢化がどんどん進んでいる長崎が、先んじて、こういうような経営と介護両立支援に関する検討委員会などをつくっていただきたいと思っているんですが、県独自で、そういったことはお考えでしょうか。
○議長(徳永達也君) 産業労働部政策監。
◎産業労働部政策監(宮地智弘君) 県では、企業が従業員に対し、仕事と介護の両立を支援することで、離職の防止や働きやすい環境整備を図ることは、企業経営上も重要なことだと考えております。 このため、国の検討会を参考に、介護に関する大学教授などの専門家や商工会議所などの産業支援団体等と意見交換を行いながら、場の設置も含め、どのような取組が有効なのか、検討してまいります。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) しっかりとこういったところを、まず先んじて地元に合わせた形で取り組んでいただければと思います。 そもそも、県庁内でも、この5年間で13名の方が介護によって離職を余儀なくされたそうです。その中の10名が女性である。そして、その中で50代が6名、働き盛りの人が辞めているという実態があります。休暇は、年に平均100名ほどの方がしっかりと取られているということですけれども、やはり県庁内においても、この環境づくりですとか、育休と同じで男性もしっかり介護をしていくんだと、今後、そういうふうな動きをしっかりとやっていただければなというふうに思っております。 併せて、今、私のところにはインターン生が4人ほどきているんですが、インターン生が、この10日間でアンケート調査をしてくれました。これまでヤングケアラーに関しての実態調査というのはあったんですが、18歳以上30歳ぐらいでということで、10日間で200名のアンケートをしました。 やはりケアラーを知らないという人たちが、まだまだ、3割以上いるというようなことが現状です。 そして、大学生にとって、このケアラーに何を求めているのか。この200人の中には62名が周囲にケアラーがいた、また、今もケアラーである人がいるんだという人たちの声ですけれども、大学生がここに今いますけれども、彼らが考えてくれたことは、ケアラーポイント政策というのがやれないか。これはどういったものかというと、ケアが必要な人にケアをしたい人をマッチングするようなアプリを開発して、ケアラーのポイント内容によって、例えば県産品をプレゼントするとか、学生に周知しやすいような政策を打ち出す、そして、一定期間、大学生にケアラーとしての認定を与える、こういうふうなポイント政策というのが県でできないのか。 また、今、介護の中においても、介護の認知度いくらというのが決まってますけれども、それと同じように、ケアラーをしている人たちを5段階に分けて、このケアラーの認定レベルに応じて支援をするような政策をもっとしっかりときめ細やかにしてはどうか。そういうことがネットワークづくりであったり、居場所づくりにつながるのではないかというようなことで、もちろん、課題はたくさんあると思うんですが、しっかりとこういうふうな、ケアラーを認知させるため、そして、ケアラーをフォローするために若い人が考えた、こういうふうな提案をどのように考えますでしょうか。
○議長(徳永達也君) 福祉保健部長。
◎福祉保健部長(新田惇一君) ケアラー支援におきまして、お世話をする方の負担を軽減するため、若者が様々な支援の担い手として参加し、その結果といたしまして、多様な生活支援サービスの提供につながることは、大変重要であるというふうに考えているところです。 現在、高齢者に対しましては、市町におきまして、介護保険法に基づく地域支援事業といたしまして、車での移動でありますとか、ごみ捨て、買い物などの支援が行われておりますほか、そうした生活支援活動に対するポイント付与を行っている市町も既にございます。 ケアラー支援に関するポイント制度やマッチングアプリの導入、ケアラー負担状況に応じた支援などにつきましては、まずはその必要性を含めまして、市町や有識者等の意見をお聞きしてまいりたいというふうに考えているところです。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 市町では、やはりそういうふうな支援をするためにポイント制を設けているというようなお話がありました。 ぜひとも、有識者共々に話をする時に、大学生とか、大学生の中でケアラーを支援したいし、そういったものを認知させることを広げたいという思いを持っている人たちを中に入れていくことも必要ではないかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。 そして、このケアラーの実態調査を見ましても、そして、大学生が様々な形で考えてくれた調査の中においても、ケアラーの人たちが一番求めていることは、相談できる場所、そして居場所、それから自分たちケアラーと代わってくれるケアラーを探したい。それがプロであり、ショートステイや訪問看護、こういったところを頼りたいという意見がたくさんありました。 (3)訪問介護などの環境づくりについて。 ①現状をどう考える。 今、介護職を増やさないと、ケアラーの方を十分にフォローできないのではないかというふうに私自身は感じております。実態として、長崎県は、来年、2025年には新しい試算では2,000人から1,500人が不足しているという算出が最近されておりますけれども、いずれにしても、まだ1,500人が足りない。そして、その1,500人を埋めるのに、前の議会の答弁では、600人を外国人に頼りたいというような声がありました。 今現在、実態はどのようになっていますでしょうか。
○議長(徳永達也君) 福祉保健部長。
◎福祉保健部長(新田惇一君) 今回、策定いたします「第9期介護保険事業支援計画」におきまして、市町の介護サービスの見込み量から推計いたしました、令和8年度の介護職員の必要数は、3万50人でありまして、令和4年度の介護職員数約2万8,559人と比較いたしますと、今後、約1,500人の介護職員を増やしていく必要があるというふうに考えているところです。 本県におきまして、介護職員数は、平成30年度から令和4年度までの5年間で、毎年、平均で約360人ずつ増加しておりますところではございますが、現役世代の担い手の減少が進む中、今後は人材の確保がさらに難しくなると想定しているところです。 介護人材を継続的に確保していくためには、職場の環境を改善し、採用者の増加や離職者の防止につなげることが重要であるというふうに考えております。 そのためには、賃上げによる処遇の改善やテクノロジーの導入による業務の効率化などが相乗効果を発揮し、介護がさらに魅力のある仕事となるよう、引き続き施策を推進してまいりたいというふうに考えております。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 端的にいうと、賃上げなどの問題、そして、まだまだ不足している実態であるという、その一言に尽きるかと思うんですけれども、そんな中で国の訪問介護の介護報酬改定の引き下げというのがございました。 これは、全体、国の中においては、まあまあ一定安定しているからということが言い訳ではあったんですけれども、ここの中において、やはり長崎県を見ると、今おっしゃったような低賃金の問題、人手不足、そしてヘルパーの高齢化というものがあります。 そういうことを考えると、長崎自体も訪問介護の施設というのが、この5年間で20か所、閉鎖されているんですね。やはり国全体がというよりも、長崎県自体が考えていかなければいけないことも多々、多々あると思いますし、知事は、介護とかそういったところに思いをはせてくださっておりますし、訪問医療を自分がやっていたから政治家を目指したというような人でございますので、こういうところは国だけの問題ではなくて、地方の実情ですとか、介護の今の実態というものをしっかりと国に声を挙げていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 今回の介護報酬改定ですけれども、これに当たって長崎県においては、全国知事会の代表委員として、国の介護給付費の分科会がございますけれども、こちらの議論に参加しております。 その中で、介護事業所の安定経営であったり、介護現場で働く方の処遇改善につながる改定となるように強く意見をしてきたところです。 訪問介護は、議員からもご指摘がありましたけれども、ご自宅で身体介助であったり生活支援を行うことに加えて、生活環境を改善して自立した生活につなげていく重要なサービスであると認識しております。 十分な処遇改善が困難な中で、訪問介護員の方々が日々ご苦労されながら利用者の暮らしを支えておられることも理解をしているところでございます。 今回、介護報酬全体がプラス改定となる中で、訪問介護はマイナス改定となっております。これによって事務所の経営にも影響を及ぼし得るものと考えております。 地域において安定的な訪問介護サービスが提供されるように、県としては、人材の確保につながる直接的な支援であったり、業務のデジタル化、処遇改善加算の取得に向けた支援を行うとともに、国に対しても介護給付費分科会などの機会を捉えて適切な介護報酬が確保されるように、引き続き要望していきたいと思っています。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) ぜひとも長崎県の状況を、本当に低賃金、とてもじゃないですけれども、処遇改善加算だけでは、引き下げられた部分がフォローできないという実態があるところがほとんどでございますので、そこをしっかりと要望を繰り返し、私たちもやりますが、お願いしたいと思います。それがケアラーの方を守ることにもつながっていくのではないかというふうに感じております。 (4)認知症と行方不明者。 ①認知症サポーターの養成について。 このように在宅医療が進められていく心配の中に、認知症の方が増えている中で、行方不明者が長崎にも見受けられます。そういう意味においては、地域の目を増やしていくということが必要であり、体制づくりが必要だと思いますが、そのあたりは現状どのようになってますでしょうか。
○議長(徳永達也君) 福祉保健部長。
◎福祉保健部長(新田惇一君) 認知症の方の見守り体制を強化していくということに関しまして、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人や、その家族に対して、できる範囲で手助けをする認知症サポーターを若い世代を含めたあらゆる世代で養成し、認知症高齢者などにやさしい地域づくりに取り組んでいく必要があるというふうに考えております。 そのため、市町では、地域住民に加え、小中学校や高校で「認知症サポーター養成講座」を開催し、若い世代からの意識の醸成に取り組んでおり、県におきましては、講座の講師となる人材を育成するなど、市町の取組を支援しているところです。 今後は、市町が実施する養成講座の対象に、高齢者と接する機会が多い地域のスーパーマーケットや金融機関の従業員を加えるほか、認知症行方不明者の捜索訓練に若い世代の参加を促すなど、幅広い世代のサポーターを育成できるように取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) ぜひとも、さらなる地域の芽をつくっていただきたいと思います。 (5)ACP(アドバンスケアプランニング人生会議について)。 これも大事なことだと思うんですが、ACP(アドバンスケアプランニング人生会議)、これは医師会を中心とした方々が推進に非常に力を入れております。私も何度か議会で質問してまいりましたが、このACPの浸透について、どのようなお考えか、お聞かせください。
○議長(徳永達也君) 福祉保健部長。
◎福祉保健部長(新田惇一君) 人生の最終段階における医療やケアについて、本人や、その家族・医療・ケアチームが繰り返し話し合いを行い、本人の意思決定を支援する取組、いわゆるACPの普及啓発につきまして、県におきましては、医療・介護従事者に対する研修を実施しておりますほか、市町において、住民を対象にした講座の開催や、将来、希望する医療、ケアをあらかじめ記入する人生ノートの配布などの取組が行われているところです。 しかしながら、今年度、「ながさきWEB県政アンケート」のモニターに対しまして、ACPに関する意識調査を行いましたところ、ACPの認知度は1割にとどまっているという結果でございました。 また、人生の最終段階で受ける医療やケアについて話し合ったことがない人が8割近くを占めており、その理由といたしましては、「話し合うきっかけがない」というものが最も多く挙げられているところでした。 県といたしましては、今後、市町とアンケート結果を共有いたしましたうえで、本人や家族が人生の早い段階からACPの必要性を理解し、話し合いにつながるような取組を進めてまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) やはりACPそのもの自体が知られていないということだと思うんですけれども、私は、これ自体が高齢化社会が長崎は進んでいる状況の中で、やはり家族ですとか、地域の方とか、患者さんや高齢者じゃなくて、我々世代もそうなんですね。自分がどういうふうな形で最終を迎えたいのか、通常の医療の体制の中でどのようにしていきたいのか、それをしっかりと伝えていくということの必要性を最近特に感じることがあります。なかなか広がっていない。 今、ACPに関しましては、例えば、介護施設において、そこの支援員の方々にまずは広げているというような状況かと思うんですけれども、ここはもう一歩、二歩、進めていただいて、若い世代ですとか、おっしゃったように地域ですとか、県民全体に広げる必要があるのではないかと思っておりますので、ここはこれまで何年も質問してきたんですけれども、なかなか進んでないというのが現状でありますので、そこを踏まえていただいて、一歩、二歩、進めていただけることを要望したいと思います。 (6)安心カードのデジタル化。 ①多くの県民を守るためのデジタル化の重要性について。 併せて、このアドバンスケアプランニング共々に、安心カードというのが、長崎県内の多くの自治体にもあります。これは一人暮らしの高齢者などが緊急時における連絡先ですとか、自分の病状だったりとか、健康に関わる情報をリスト化したものを、それぞれの地域によって違うんですが、ケースに入れて冷蔵庫に保管をしているというものであります。 これは、家で倒れたことが前提になっているかと思うんですが、先ほどのアドバンスケアプランニングですとか、この安心カードを、県民の皆さんのそれぞれのものをデジタル化することによって、県民の命や安全を守れるのではないかと私は思っているんですが、そのあたり、ICT化、DX推進について、長崎県は非常に力を入れたいとおっしゃっておりますので、いかがでしょうか。
○議長(徳永達也君) 福祉保健部長。
◎福祉保健部長(新田惇一君) 安心カード事業は、緊急時に消防機関が必要な情報を把握するため、一人暮らしの高齢者などの健康情報や緊急連絡先を記載して保管しておくという取組であり、現在、県内の16市町で導入をされているところです。 一方、国におきまして、マイナンバーカードを活用した救急業務システムの構築に向けた検討が進められておりまして、医療機関の受診歴のほか、薬剤、手術、透析、検診など、安心カードよりもさらに充実した情報が、全国どこでも速やかに把握可能となるといったシステム構築の検討が進められているところでございまして、救急活動の迅速化と円滑化が図られるというところが期待されているところです。 現在、国におきましては、本事業の全国展開に向け、全国47消防本部の約500隊において、実際の救急現場で効果的に活用できるよう、実証事業が進められており、県といたしましては、国の動きを踏まえまして、関係者と連携しながら、県民の安全・安心の生活のため、さらなる救急医療の充実に向け、取り組んでまいります。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 国のシステムの構築ということをおっしゃっておりましたけれども、長崎県は、いろいろ医師会の方々と話しても、そして、県の方もよくおっしゃいますが、医療関係がつながっている「あじさいネット」というのがしっかりと構築されている。ここの中においても、先ほどのACPをプラスすることですとか、または安心カードのデジタル化、こういったものも考えられるというふうなお答えをいただいております。 今後、まず国よりも進んでいる長崎県の実態があるということを把握していただいて、そういう方々とも、ぜひとも、これからもっともっと議論を進めていただきますよう、知事に要望いたしたいと思います。 3、防災・減災対策について。 (1)能登半島地震を受けての長崎県の現状。 ①高齢者などに対しての避難所の設置について。 防災・減災に対して昨日も答弁がありました。今、能登半島地震を受けて、長崎の今を改めて検証しているところだと思いますが、知事のマニフェストの中に、高齢者や障害者などに配慮した避難所の整備というのがありました。それはこの2年間で具体的に進められていますでしょうか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 先ほど議員からお話がありましたけれども、私は、医師として在宅医療に従事した中で、日々の生活や家庭の複雑な事情等々ありますけれども、様々な悩みを抱える方にお会いしまして、地域には医療だけでは解決できない課題もたくさんあるなというふうに感じてきたところです。 在宅医療を受けている高齢者や障害者、そのご家族にとって、災害時の避難といったものは大きな不安であると認識しております。避難所での生活を含めて、誰もが取り残されることなく、地域で安全・安心な生活を送ることができる長崎県を目指して、これをマニフェストに掲げたところでございます。 県としましては、これまで避難所運営を担う市町に対しまして、男女共同参画の視点であったり、障害者への配慮について周知をするとともに、福祉避難所の指定促進などを働きかけてまいったところです。 また、各種災害を想定しました訓練も行っておりますけれども、これにおいては避難に支援を要する方々の円滑な避難についても取り組んでいるところでございます。 一方で、避難所運営における要配慮者の支援を行う専門職の人員不足であったり、女性等の意見が必ずしも十分に反映されていないといった課題もあるというふうに認識しております。 このため、今回の能登半島地震の事例も踏まえながら、福祉避難所における人員の確保であったり、先ほど申し上げた多様性に配慮した避難所のあり方等について、改めて市町等関係団体とも連携して取組を進めていきたいと思います。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 確かに、設置者は市町でありますが、ここを県の考え方として引っ張っていく必要性があるのではないかと思います。 ②防災士取得者へのアプローチと自主防災組織の強化。 知事がおっしゃったように、女性自身の視点というのがまだまだ少ない。例えば、県も推進しております防災推進員養成講座、これもこれまで15年間で県費を3,300万円ほどかけて1,900名ほどの方々が取得しております。私ももちろん持っておりまして、防災士の資格も持っております。 しかしながら、防災士の資格を取った後のアプローチというのが、なかなかないんですね。このフォローアップ研修というものも昨年からやられているんですが、これも30名しか受けていない、実態としては少ない状況かなというふうに思います。 もっと自主防災比率を上げるにしても、こういう推進員の方々が活躍できるような、リーダーシップを取れるような環境づくりというものを県にやっていただければなと思います。これは要望に代えさせていただきます。 ③学校現場における防災・ボランティア教育。 併せまして、自主防災比率ですとか、防災の勉強という中において、教育分野のあり方というのが非常に大事かと思っているんですけれども、これが現場の大学生にアンケートを取ったところ、なかなか、受けた記憶がないというところが結構あったんですね。 そういったところを教育委員会教育長におかれましても、もっともっと子どもの段階から進めていただくようにしていただければなと思っておりますので、いかがでしょうか。
○議長(徳永達也君) 教育委員会教育長。
◎教育委員会教育長(前川謙介君) 防災教育につきましては、現在、県内全ての学校で、学校保健安全法や学習指導要領に基づいて計画的な指導が行われているところでございます。 県では、モデル地区を指定しておりまして、気象台など関係機関と連携した防災学習を実施しておりまして、この中で将来のボランティア活動も見据え、避難所の生活や運営をそれぞれの立場で体験するなど、実践的な取組も行っているところでございます。 このほか、「長崎っこの心を見つめる教育週間」におきましても、民間の防災団体による講演や地域住民と一体となった避難訓練などが実施されております。 今後も、児童生徒一人ひとりが、自助、共助の意識を高め、災害時に積極的に行動できるように、防災教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 子どもたちにとって、しっかりやったというような思いを持てるように、教育の方で取り組んでいただければと思います。 4、行財政改革について。 (1)愛宕団地自治会他の取り扱いについて。 ①市との協議はどのようになっているか。 これは前々から新聞等でも問題になっているんですけれども、県有地であります愛宕団地の自治会について、これは県と市、自治会が絡み合っているものですけれども、今現在、県として、市に対してどのような見解を持っているのか、お聞かせください。
○議長(徳永達也君) 総務部長。
◎総務部長(中尾正英君) 議員ご指摘の愛宕団地自治会集会所等用地でございますが、県の職員公舎敷地の余剰部分を、毎年度、長崎市に無償で貸し付けているところでございますが、こちら、県有財産の有効活用を図るという県としての重要な観点から、公舎の用途を令和3年9月に廃止したことに伴いまして、その後、敷地を処分する方針となったことを受け、隣接する本敷地につきましても、令和5年度の貸付けに際し、従来から要請していた購入を含め、解決策の検討を改めて長崎市に依頼しているところでございます。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 市と県との話し合いが非常に何年も何年もうまくいっていない。だからこそ、住民の方が非常に困っている。問題は、住民の方が安心して地域活動ができることだと思うんですね。 昨年の12月定例会でも、この問題は市議会で取り上げられているんですが、その議事録を見ても、市が言っていることと、県が言っていることが違うというふうに感じることが多々、多々ありました。多くの住民が困らないように、これは先ほど私は知事にとってのリーダーシップ、市長ともしっかり話していただきたいということを申し述べさせていただいておりますが、こういう地域住民の声ということを受け止めていただいて、長々ではなくて、もう本当にこれは早期に解決をしていただきたい、力強い答弁をいただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 地域コミュニティ活動に関する事務ですけれども、これは一義的には市町の役割となっております。 県としても、その重要性は理解しておりますけれども、3月末の貸付期限が迫っておりますので、様々な視点から解決策を見出すべく、長崎市に対して県の考え方を改めてお示しをさせていただきたいと、説明をさせていただきたいと思いますし、本敷地の取扱いについても、一定のスケジュール感をもって対応していきたいと思います。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) もう60年近くにわたるこの案件でございますので、本当に目途をもって取り組んでいただきますよう、お願いをいたします。 5、にぎわいのある長崎県について。 (1)県庁舎跡地について。 ①積極的な活用について。 これまでも幾度となく質問を繰り返してまいりましたが、全国で一番若い知事において、県庁舎跡地の活用について、新たな視点でどのようにしたいのか、新たな発想というものが生み出されたのか、お聞かせください。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) これまで県庁舎跡地につきましては、基本構想に基づきまして、広場等を暫定供用して様々な利活用を促してきたところでございます。 その中で、私もナイトマルシェであったりとか、長崎大縁日等、参加をさせていただきましたけれども、多くの方々が笑顔で集って本当に楽しそうにされている姿を見て、非常にポテンシャルが高いなと、非常に重要性があるなということを改めて感じました。 その中で、雨天時の天候の対応であったりとか、周辺の交通対策といった課題も見えてきましたけれども、様々な方々が、人とひとがつながると、プレーヤーがつながるといった人的ネットワークの広がりといったことで、活用の幅も広がりますし、複数のイベントを同時にすることができるんじゃないかといったことであったり、新たな視点もその利活用で見えてきたところもありますので、そういったことを踏まえて、今後のにぎわいの創出といったところ、また、県庁舎跡地活用の具体化につなげていきたいというふうに思います。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 課題も見えてきた、確かに、1年間、職員さんをここに張りつけて頑張っていただいた、そのような状況であります。ここは私から見ても、私は江戸町にいるものですから、もっともっと積極的な営業をして活用の幅を広げていただきたい。今、頑張っている飲食店頼みになっている、マルシェ頼みになっているような感じもするので、そういったところを、もっと違った視点というものも入れていただきたいなと思います。 (2)eスポーツについて。 ①県としての今後の取り組みについて。 これまで県の中でも、もっともっと積極的に取り組んでいただきたい。教育、福祉、産業、そういったところに幅広く広がる。これはマニアだけの問題ではなくて、県がもうひとつでも、ふたつでも、人を呼び込めるツールであると思っております。 そのeスポーツに関して、さらなる取組というものをどのようにお考えなのか、教えてください。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) eスポーツにつきましては、コンピューターゲームを用いた競技としての活用だけではなくて、産業であったり、福祉、教育など、幅広い分野での地域課題解決であったり、地域振興に資する可能性があるというふうに考えております。 そのため、県におきましては、eスポーツの専門家をお招きしまして、eスポーツの歴史、特徴、また、その活用策等について、民間、また、行政団体や行政関係者を対象とした勉強会を開催してきました。 現在、県内におきましては、実際に商店街でのイベントであったり、高齢者の介護予防、高校の部活動など、eスポーツを活用した動きが徐々に出てきているところだと認識しています。eスポーツには、大会であったり、合宿の誘致といった、まだまだ多くの可能性があるというふうに考えています。 今後、さらにこの活用の幅を広げていくためには、県庁内においても、民間の方々等とも連携しながら、研究、検討を深めていきたいと考えております。 これにつきましては関係部局が連携しまして、部局横断的な取組として検討を進めていきたいと思います。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) 部局横断的にというお言葉をいただきましたが、今は確かにスポーツ振興課が窓口になっている。この間から教育の中でもしっかりと取り組んでいきたいというお言葉もいただいています。様々な方がeスポーツを楽しんでいる中で、プロジェクトチームをつくるとか、しっかりと目に見えるような形で、そして、他県では県が介入をしているところもございます。 長崎県が先進的な、そういう地域になるように、ぜひともこれは動いていただければと思っております。 様々な質問をさせていただきました。知事におきましては、2年目の折り返し、この中で、やはりまだIRの問題に関しては、もっともっと説明責任を果たしていかなければならないこと、そして新幹線問題など、課題はまだまだ山積をしております。 今後、残り2年間、どういうふうに覚悟を持って自分なりにやっていこうと思っているのか、最後にお聞かせください。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) これまでどおり、全身全霊をかけて、しっかりと県勢浮揚に努めていきたいと思っています。
○議長(徳永達也君) 浅田議員-41番。
◆41番(浅田ますみ君) ぜひ、そこに熱量を入れていただきたいと思います。 以上です。 ありがとうございました。
○議長(徳永達也君) これより、しばらく休憩いたします。 会議は、11時15分から再開いたします。 -午前11時1分 休憩------------------------------------ -午前11時15分 再開-
○議長(徳永達也君) 会議を再開いたします。 引き続き、一般質問を行います。 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) (拍手)〔登壇〕皆さん、おはようございます。 自由民主党、諫早市選出の坂口慎一でございます。 今年度2回目の一般質問となります。まずは、このような機会をいただきました自由民主党会派の皆様、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、そして、本日、傍聴にお越しいただきました皆様にも感謝を申し上げます。 今年度2回目となる今回は、質問する分野を絞り、重点的に質問してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 1、半導体・デジタル産業戦略について。 (1)県の半導体戦略について。 半導体は、かつての石油に例えられるほど、現代社会、とりわけ国家にとっての戦略物資、あるいは、あらゆる産業に必要不可欠な産業の米であるとも言われており、我が国においては、「経済安全保障推進法」に基づき、特定重要物資として指定されております。 半導体は、パソコンや携帯電話などの情報機器はもとより、車や産業用機械、冷蔵庫や洗濯機、炊飯器といった家電に至るまで、様々な機器、製品に搭載されております。実際、私たちが1年間にどれくらいの半導体を購入しているかという試算もあります。 それによれば、日本の現役世代は、1年間に一人当たり552個、約3万8,400円相当の半導体を購入しているそうです。 半導体の世界市場は、今後も拡大が見込まれており、アメリカ、マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、2030年に2022年度比で75%増の1兆ドル、142兆円に達する見通しを立てております。 一方で、近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展や、通信システムの急速な進化などに加え、2020年春頃より本格化したコロナ禍は、在宅勤務やテレワーク、オンライン会議などを普及させ、また、巣ごもりと言われた人々の在宅時間の長時間化は、パソコンやスマートフォン、ゲーム機の需要を押し上げ、半導体不足を顕在化させました。 半導体不足は、自動車産業などを含む様々な分野へも深刻な影響を与えたことは記憶に新しいことと思います。 そのような中、米国は、経済安全保障上のリスクに対応する必要性から、2022年10月、中国に対し、高性能半導体の輸出禁止や、それらを開発、製造するための米国製の製造装置、部品や材料などの輸出禁止、米国人技術者や研究者の関与を禁止するなど、厳しい規制をかけるに至り、これは近年の東シナ海や台湾をめぐる米中対立の緊迫化の要因の一つとも考えられております。 また、経済安全保障や国家安全保障を確立するうえでの戦略物資として、米国をはじめ、欧州、韓国、台湾、シンガポールなど、従来から半導体ビジネスに注力している国々に加えて、これまで関与の薄かった国々においても、半導体支援策に動き出しており、自国への企業誘致を進めております。 そもそも、半導体のサプライチェーンは、多くの地域に、かつ複雑にまたがっております。そして、今、その脆弱性が指摘され、地政学的リスクの分散と自国内生産、国産化への回帰が同時に進行しております。 近年の経済安全保障をめぐる米中関係の緊迫化は、特に、台湾の半導体企業が生産拠点を他国、他地域に分散させる要因にもなっております。 台湾の台湾積体電路製造(TSMC)は、米国アリゾナ州とドイツ東部のドレスデン、そして我が日本の熊本県へ、また、力晶積成半導体(PSMC)は、宮城県に新たな生産拠点を、ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス(UMC)は、シンガポールへ新たな生産拠点の進出を進めております。 特に、TSMCの熊本県への進出は、新生九州シリコンアイランドとして大きな期待が寄せられております。 かつて、我が国の半導体産業は、「日の丸半導体」と呼ばれ、隆盛を極めておりました。メモリーチップを中心に、半導体市場における我が国のシェアは、1990年には49%と世界のほぼ半分を占めておりました。 しかし、その後の凋落は著しく、2020年にはわずか6%に低下、その間、米国は38%から55%へ、アジア・太平洋地域は6%から33%へと大きな飛躍を見せております。 このような事態の打開を図るため、経済産業省は、令和3年6月に「半導体・デジタル産業戦略」を策定しております。この戦略では、昨今の半導体を取り巻く状況を、我が国の半導体産業復活のラストチャンスとして捉え、この分野における戦略の必要性と重要性が示されております。 戦略においては、我が国の半導体産業が目指すべき姿として、大きな目標や方向性が定められており、その達成に向けた今後の対応策として、主な取組が列記されております。 また、令和5年6月には戦略の改定がなされ、より個別部門ごとの目標を立て、さらに同11月には、「半導体・デジタル産業戦略」の現状と今後を策定しております。 以上を踏まえて質問いたします。 まずは、半導体を取り巻く世界情勢の中で、国が示した戦略をどのように捉え、長崎県として、どのように向き合い、取組を進めていくのか、長崎県の半導体戦略について伺います。 なお、以後の質問は、対面演壇席より行います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 国の「半導体・デジタル産業戦略」では、経済安全保障リスクの観点から、産業基盤を国内に整備・確保することが必要との考えが示され、半導体関連企業の国内立地を後押しするための強力な支援策が打ち出されております。 県といたましては、こうした国の戦略を背景に、活発化しております国内投資の獲得に向け、アンカー企業の誘致に全力を傾けているところでございます。 このような中、アンカー企業の誘致に向け、不可欠となる工業用水を備えた団地の整備や再生可能エネルギーの供給などについて、検討を進めているところでございます。 県としては、他県との厳しい競争を勝ち抜き、本県への半導体関連企業の誘致を促進するため、市町と連携して、必要となるインフラ整備の検討を早急に進めてまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) ただいま県の方針をお示しいただきました。県の方針はアンカー企業を誘致するということでありますけれども、アンカー企業とは具体的にどのような企業を想定しているのか、TSMCのような国外の企業も含むのか、その規模感や業種はどのようなものかを伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県では、若年層を中心とした人口の流出対策に寄与する大規模で良質な雇用創出が見込まれ、サプライチェーン構築などの県内企業への波及効果が大きい企業をアンカー企業と位置づけており、半導体産業においては、諫早市のソニーや京セラ、大村市のサムコがこれに当たると考えております。 誘致のターゲットとしましては、これまで立地しております企業と同様に、世界的なビジネスを展開している国内外の企業で、拠点の規模が1,000人を超えるような企業を対象としております。 具体的には、半導体チップを製造する企業や半導体を構成する部品を製造する企業、半導体製造用の装置を製造する企業など、人口流出対策や県内企業への波及効果が大きいアンカー企業の誘致を強化してまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) ただいま、アンカー企業のイメージのようなものを具体的にお示しいただきました。そのアンカー企業をどう企業誘致として誘致していくかということです。 (2)企業誘致に向けた課題、条件の整理について。 九州は、現在、TSMCの熊本県進出やロームグループの宮崎県進出、本県においてはソニーグループの追加投資や、京セラが約20年ぶりに国内新工場の建設を諫早市に決定するなど、半導体産業により大きく変わろうとしております。 我が国の半導体産業が好調であった1980年代に、九州が「シリコンアイランド」と呼ばれていたことから、「九州シリコンアイランド」復活に向けた動きが加速をしております。 九州経済調査協会の推計によれば、2021年から2030年までの九州・沖縄、山口地域内への経済波及効果は、設備投資で約7兆2,890億円、生産活動に伴って12兆7,880億円と、合計20兆円に達し、域内総生産(GRP)を9兆3,650億円押し上げる効果が見込まれております。 それに伴い、九州・沖縄の地方銀行が半導体産業の振興で連携する動きも見せており、今年1月には、福岡銀行や十八親和銀行など、九州・沖縄の11の地方銀行が半導体関連産業の支援を軸とした連携協定を結んだという報道もなされております。 こうした動きが活発になる中で、新生九州シリコンアイランドにおいて、本県がどのような立ち位置で、どのような役割を果たしていくのかを考えていくことは非常に重要なことであるように思います。 半導体工場の立地条件としては、一般的に水、電力、高速道路や空港などの交通インフラの整備が挙げられます。 また、宮城県で工場建設を進めるPSMCの創業者であるフランク・ホアン氏は、新聞インタビューで宮城県を選択した理由を聞かれ、半導体研究で有名な東北大学の存在と土地の確保が容易であったことを挙げております。 このように、半導体企業、工場の誘致には、土地、水、電力、人材、交通インフラといった条件を整えることができるかどうかが課題となりますが、そこで本県における、これらの状況について伺ってまいります。 ①用地の確保について。 まず、半導体企業・工場を誘致するに当たっては、工業用地を確保することが前提条件となります。先ほどのご答弁にもありましたように、県として、アンカー企業の誘致に取り組んでいるということでありますが、アンカー企業を誘致するためには、広大な用地を確保することが必要です。 現在、本県における工業団地の整備状況はどうなっているか、伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 半導体関連のアンカー企業の誘致に必要となるインフラとしましては、10ヘクタールを超える内陸型の用地、十分な電力と日量数千トンの工業用水などが挙げられます。 現在、県内で分譲中の工業団地は8か所あるものの、一番広い用地でも約6.9ヘクタールであり、条件を満たす工業団地がないため、整備が急務となっております。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 本県は、地形的な制約もあって、先ほどご答弁がありましたように、現在では十分な工業用地が確保できていない、確保が容易でないという状況にあります。 そのような中で、用地を確保するという観点から、幾つかご提案を含めて伺っていきたいと思います。 その一つ、現在、県では、農林技術開発センターと農業大学校の集約、建替えが進められております。当該地は、諫早インターにも近く、条件がよい場所に立地をしております。 今回の農林技術センターと農業大学校の集約化に伴い生じる跡地について、工業用地として有効活用できないか、伺います。
○議長(徳永達也君) 農林部長。
◎農林部長(綾香直芳君) 農林技術開発センターと農業大学校の集約化に伴い生じる跡地については、県有未利用地の売却、有効活用にかかる方針に基づき、まずは庁内での活用を検討してまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) まずは、庁内での活用を検討していくということであります。あんまり、多分そう広くはないかと思いますので、何かそういった余地があれば、今後検討していただければと思います。 もう一つ、諫早市には、国営諫早湾干拓事業により創出された干陸地が存在しております。諫早湾干陸地については、自然干陸地フラワーゾーンなど、コスモスの植栽、高来そばの栽培、牧草の採取など、一部で地元団体による管理、利活用がなされております。ちょうど昨日も地元の小学生が卒業記念の植栽を行うなど、地元と密着した利活用が図られております。また、今年度は、高校総体のボート競技の開催予定地となっておりまして、今後のにぎわいが期待をされております。 しかしながら、高来地域、湯江地区という地区がありますが、この方面の干陸地については、いまだ利活用がなされていない広大な土地が存在をしております。 かねてより議会でも取り上げてきたところではありますけれども、地元ではイノシシの繁殖による農業被害や害虫被害、景観の悪化などによる住民生活への悪影響が指摘をされております。 現在、この干陸地については、国土交通省により、河川区域として管理をしていただいておりますが、このような地元住民への影響は、干陸地が創出されて以来、改善されていない現状があります。 当該地を何とかして工業用地として利活用できないかと考えておりますが、県の見解を伺います。
○議長(徳永達也君) 農林部長。
◎農林部長(綾香直芳君) 国営諫早湾干拓事業によって創出された干陸地は、本明川の河川区域にあり、「河川法」の適用を受けることから、河川管理者は、河川敷地の適正な利用に資すると認められる場合に占用を許可することができるものとされております。 また、占用施設については、地域住民の福利厚生のために利用する施設や、公共性または公益性のある事業のために利用する施設などと定められていることから、工業用地を目的とした活用は難しいと考えております。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 現状では、本明川の河川区域にあり、「河川法」の適用を受けることから、工業用地を目的とした利用は難しいというご答弁であると思います。そのことは私も十分承知をしております。 しかしながら、一方では、先ほど来申し上げておりますように、私が指摘している区域の利活用がほとんどなされておらず、のみならず、地域住民への悪影響が依然として存在していることは事実でもあります。 現在、河川区域にあるから河川法の適用内でしか手が打てないということでは、これまでもそうであったように、そして、これからも地元への負担、不利益を強いているという現状の改善は見込めないのではないかと、非常に懸念をいたしております。 何とか打開策を講じていただきたいと思っております。そのための案の一つとして、今回、工業用地への利用ということを提案させていただきました。 県としても、地元に寄り添い、国に対して改善を図っていただくよう、お力添えをお願いしたいと思います。 ②水資源の確保について。 土地と同様に、半導体工場を誘致するに当たりましては、水資源を確保することが課題であります。 水資源については、シリコンウエハー上に多数のICチップをつくり込む前工程という工程においては、例えば300ミリのシリコンウエハーを月に1万枚流す製造ラインでは、1日の水の使用量は3,000トンにもなるといいます。この水の長期的・安定的な水源として工業用水、地下水、河川水を確保する必要があります。 例えば、前工程の代表的企業であるTSMCが、熊本県の工場で生産する枚数は、毎月約5万5,000枚と言われております。単純計算して、1日の使用量で1万6,500トン、25メートルプールの約30杯強といいますと想像がつきやすいかと思います。 先ほどの答弁では、工業用水を備えた工業団地の整備が急務であるとのことでしたが、水源の確保に向けて具体的にどのような取組がなされているのか、伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) アンカー企業をはじめ、半導体関連企業の誘致には、一定以上の工業用水を備えた工業団地が必要不可欠となります。 そのため、県では、市町が実施します水源調査への補助を昨年度と今年度行っており、雲仙市、島原市、諫早市、東彼杵町の計画を採択したところでございます。 今後、それぞれの調査結果を踏まえながら、新たな工業団地の整備に向けて、市町と連携して取り組んでまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 工業用水を備えた工業団地の整備に向け、市町が実施する水源調査への補助を昨年度から行っていただいております。地元自治体と連携した取組ということであると考えます。 水源確保の取組のみならず、工業団地の整備に向けた市町とのさらなる連携、市町への積極的な支援に努めていただきたいと考えておりますが、この点について県の見解を伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 工業団地の整備につきましては、企業の立地により、雇用や税収等の面で最も利益を受けます地元市町が主体となって整備するものと私どもとしては考えているところでございます。 今後の整備の進め方については、地元の市町の皆さんと現状をしっかり把握しながら、意見交換もしながら進めさせていただきたいというふうに思っております。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) また、これとは別に、諫早市におきましては、工業用水確保のため、本明川表流水の利活用、これの検討も進められているようであります。 半導体産業が集積している県央地域における工業用水のさらなる確保は、さらなる集積と生産力の向上に寄与するものと考えます。こちらの支援につきましても、市と連携して国への働きかけをお願いしたいと思います。 次に、水使用の少ない企業の誘致について、伺ってまいります。 十分な水資源を確保していくということは大変重要なことでありますが、県内で豊富な水源を確保できる地域は限られ、水が少ない分野の企業をターゲットとすることも検討する必要があると考えます。 これまでの半導体産業における先端化、特に、水を大量に使用する前工程の受託製造という分野では、チップをどれだけ微細化するか、一つのチップにどれだけ多くのトランジスタなどの素子を組み込めるかという流れで進められてきました。これを業界ではインテルの共同創業者であるゴードン・ムーア氏の経験則から「モア・ムーア」というそうであります。 現在、量産されている最先端チップのテクノロジーノードは4ナノメートル、人の爪ほどのスペースにウイルスほどの大きさのトランジスタが数億から数百億個組み込まれております。各企業、さらなる微細化に向けた研究開発を進めておりますが、微細化には限界もきているという指摘もあります。 同時に、近年では、半導体の3D化が注目を集めております。これを業界では「モアザン・ムーア」というそうです。一般的に半導体の3D化は、半導体工程では後工程に属します。最近では、ルネサスエレクトロニクスが後工程の開発機能を関東から九州へ移転を進めております。 また、安定的なサプライチェーン構築を考えた場合、ウエハー製造後の工程であるカットや組み立て、検査等を行う後工程の工場誘致が必要との指摘もなされております。 あるいは、先ほどご答弁にもありましたように、日本企業の強みである製造装置、素材部門は、半導体市場において、いまだ高いシェアを保っております。 改めて、今後は、水使用の少ない分野の企業もターゲットとしていくことが必要であると考えますが、県の見解を伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県として誘致活動を進める中で、半導体関連企業のうち、製造装置メーカーについては、金属加工や組み立てを中心とする業態であるため、多量の工業用水を必要としないと伺っているところでございます。このような半導体製造装置メーカーの誘致は、金属加工の高い技術を持つ県内企業への波及効果も高いため、重点分野と位置づけて企業誘致に取り組んでいるところでございます。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 製造装置については、現在、誘致を進めているということでありますので、質問の中でも申し上げましたように、組み立て、検査等を行う後工程の企業の誘致というものも視野に入れて、今後、取組を進めていただければと思います。 ③エネルギーの確保について。 半導体製造においては、電力も重要で、一日の電力使用量は、約90万キロワットアワーという膨大な電力を消費すると言われております。半導体工場の設備、装置は精密であるので、一度停電が起きると復旧には日数がかかるとの指摘があります。半導体工場を誘致するに当たっては、長期的かつ安定的な電力を確保することが課題であります。 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)という組織ですが、これの半導体部会の政策提言によれば、日本、米国、欧州、韓国、台湾の電力コストを比較したところ、日本、欧州が高く、米国、韓国、台湾の電気代はその半分であるといいます。その電力コストの差は、10年間で2,000億円近い差となる可能性があるとの指摘がなされております。 JEITAは、政府に対し、他国並みの電気料金を実現できる方策を早急に求めており、同時に再生可能エネルギーの拡充についても求めております。 このように、半導体関連工場の誘致を進めていくうえでは、安定的な電力を確保すると同時に、グリーンエネルギーをどのように確保するかという課題があります。 現在、本県ではグリーンエネルギーの確保、GXの取組はどのように進められているのか、伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県では、これまで県内企業の高い金属加工の技術や人材が活かせる海洋エネルギー関連産業への参入を促進するため、サプライチェーンの創出とともに、県内海域での洋上風力発電の促進区域指定に向け、関係者と協議を重ねてまいりました。 この結果、五島市沖及び西海市江島沖が国により促進区域に指定され、県内でCО2を排出しない大規模なグリーンエネルギーの確保が可能となってきております。 県としましては、引き続き、海洋エネルギーを中心に、導入促進と産業化に取り組み、カーボンニュートラルと経済成長の両立を目指してまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 本県におけるGXへの取組事例を答弁していただきましたが、今回の企業誘致との関連で申しますと、企業誘致とどのように関連づけがなされているかということが重要であると思います。 諸外国と比べ電気料金が高い我が国においては、グリーンエネルギーを安定的に供給できるということが、企業誘致を進めるうえで、本県のプレゼンスを高めることにつながるのではないかと考えます。 今後、グリーンエネルギー、GXの取組をどのように企業誘致に活かしていくのか、その方向性について、伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) カーボンニュートラルに向けた動きが世界的に加速している中、企業においては、脱炭素への取組が不十分な場合は、サプライチェーンから外される時代がきており、グリーンエネルギーの需要は一層高まっております。 そのような中、県内では、洋上風力発電の商用事業が進行し、再生可能エネルギーを地産地消できる環境が整いつつあります。 今後、グリーンエネルギーの供給地という優位性を活かした企業誘致に取り組むことで、県内への新たな投資と雇用の創出を生み出していきたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 取組を進めていただきますようお願いいたします。 昨日の一般質問において、再生可能エネルギーへの取組について、知事が答弁なさいましたが、諫早湾調整池内で大規模な水上太陽光発電の検討がなされているということでありました。創出した電力は、農業用での利用が見込まれているということでありますが、広く企業誘致等に供給できるご検討もいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 そして、現在、我が国では、ペロブスカイト太陽電池のように、環境負荷の少ない国産の新技術があります。こうした国産新技術の実装の場にもなればというふうに考えておりますので、そのような検討もぜひ進めていただければと思います。 ④人材確保・育成について。 我が国における半導体人材の現状について、先ほどのJEITAの政策提言では、「2000年代初頭のITバブルの崩壊に端を発し、半導体部門を抱える日本の電機が徐々に競争力を失っていく中で、高校や大学で半導体を学び、半導体企業への就職を目指す学生が減少の一途をたどってきた」と述べたうえで、半導体人材について、今後10年間で4万人以上が必要になるとの見込みを立てております。 経済産業省の工業統計調査データを用いたある調査によりますと、半導体メーカーの従事者数は、2017年から2019年の3年間では毎年800人ずつ増えているといいます。今後、このペースで増加していくと仮定した場合でも、10年後にはいまだ3万2,000人不足するという計算になります。 半導体関連産業の誘致に向けては、人材の育成と確保は急務であると考えますが、県としてはどのような取組を進めているのか、伺います。
○議長(徳永達也君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県では、半導体関連産業に必要な人材の確保・育成を図るため、「ながさき半導体ネットワーク」において、半導体関連企業と教育機関が相互に連携できる環境をつくり、業界の魅力PRや専門人材の育成に取り組んでいるところでございます。 具体的には、昨年9月に開催しました「ながさきデジタルDEJI-MA産業メッセ」に、佐世保高専等の生徒を招待したほか、来年度以降に長崎や大村の工業高校が半導体製造技術の授業を開始することとしているなど、業界の魅力に対する理解を深める取組を進めております。 今後とも、半導体関連企業のさらなる誘致に向け、本県の強みである人材の確保・育成に注力してまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 先日、2月21日の長崎新聞だったかと思いますが、「長崎工業高校に半導体科目」という見出しで、記事が掲載をされておりました。2024年度に長崎工業高校に、2025年度からは大村工業高校において、学校設定科目として「半導体製造技術」を開設するというものであります。 また、今後は、高校と長崎大学との連携を進めていくとのことでありました。 同時に開催された長崎大学総合生産科学域マイクロデバイス総合研究センター長の大島教授の講演についても取り上げてあり、「九州では、今後10年で9,000人以上の追加人材が必要とされている」と紹介されたとあります。 先ほどの質問の中で、全国で今後10年で4万人の半導体人材が必要となるというJEITAの政策提言を紹介しましたが、ここで示された4万人のうちの九州ブロックの割り当てが9,000人であります。全国6ブロックある中で、関東が1万2,000人、これに次いで2番目に多い数字となっております。 同じくJEITAの政策提言では、「日本の半導体産業は、初等教育から大学まで一貫した半導体人材育成策を講じる必要がある」と指摘をしております。しかし、それ以前に、今後、この分野を基幹産業として育成していくのであれば、この産業分野に関する人口自体の増大を図らなければなりません。 そのような意味においては、本県には、工学部を有する長崎大学や佐世保高専、多数の工業高校を抱えておりますが、近年、半導体関連で動きが活発な諫早市には工業高校系の教育機関が立地をしておりません。 一方で、普通高校については、県立高校が3校、私立高校も3校立地をしていて、そのうち長崎県立諫早東高校については、近年、定員割れの状態が続いております。 本県が、今後の基幹産業の一つとして掲げる半導体関連人材の育成・確保という観点から考えた場合、県立諫早東高校の工業高校への変更、あるいは工業系学科の設置を検討することが必要であると考えますが、見解を伺います。
○議長(徳永達也君)
教育委員会教育長。
◎
教育委員会教育長(前川謙介君) 高校の改編や新たな学科の開設につきましては、全県的な視点から総合的に検討する必要がございます。 諫早東高校を工業高校へ改編すること、あるいは工業系学科を新設するということは、児童生徒数が減少している現在の状況下におきましては、大村工業高校や島原工業高校といった周辺の県立高校の小規模化を招くおそれがあること、こうしたことから難しいものと考えております。 しかしながら、企業誘致が進む中にありまして、時代や地域のニーズに即した産業人材を諫早市内の高校で育成していくということは必要であると考えておりまして、このことにつきましては、諫早市とも意見交換を行ったところでございます。 来年度からは、工業高校など、専門高校のみならず、普通科高校におきましても、成長分野や先端技術の学びの機会を創出するという事業を行うことといたしておりまして、諫早東高校においても半導体関連企業等から講師を招聘したり、あるいはデジタル分野における教材を活用するなど、先端企業と連携した学びを取り入れていくということを検討してまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 県央地域における半導体教育の必要性を十分認識をされていて、市とも意見交換をされていると、そしてまた、県下全域的に普通高校でそういった教育を実施される予定ということでありますので、そういったことをまた進めていただければと思います。 半導体関連の人材を育成し、確保するということは、工業用地、水資源、安定的でグリーンな電力の確保とともに、本県が半導体関連の企業を誘致し、集積を図り、基幹産業化するという点において、プレゼンスを発揮するためのアピールポイントになるのではないかと考えております。 教育現場の状況というのも一定理解しなければなりませんけれども、今後の教育は、より多様なものでなければならないと考えております。産業力強化という観点から、より早い段階での専門教育を検討する時期にきているのではないかと考えます。 逆に、全国的に半導体分野の投資は活発であります。全国的に人材不足であることは、先ほど申し上げましたとおりです。特に、お隣の熊本県でTSMCが示した大卒の初任給は28万円ということで、熊本県内の製造業の平均と比べ、3割以上高い水準だそうです。 本県の企業誘致においても、急ぎ大きな成果を出すことができなければ、本県人材の流出につながるという懸念もあります。人材の確保と企業誘致は両輪で進めなければならないと考えておりますので、その点も考慮に入れて今後の取組を進めていただければと思います。 (3)県のデジタル戦略について。 先ほどのJEITA半導体部会は、政府への政策提言として、日本国内における半導体の使用量を増加させることが、産業全体の競争力強化につながるとし、デジタル投資やDX、GX推進によるデジタル需要の喚起を図ることを要望し、それに呼応する形で日本の半導体業界としても新製品の開発や製造能力強化を図っていくとしております。 半導体は、あくまでも部品であり、製品に搭載されるものとして用いられなければなりません。実際に、かつて隆盛を誇った日の丸半導体は、トランジスタラジオやウォークマンを皮切りとし、1980年代になると、家電製品等の新しい消費者向けの商品を次々と発売し、米国企業から市場シェアを奪っていった歴史もあります。 今後、半導体需要を促進し、我が国の産業全体の競争力強化を図るためにも、デジタル投資やDXを促進していくことが重要であると考えます。 政府は、「第5期科学技術基本計画」の中で、超スマート社会の実現、Society5.0を目指すことを掲げており、デジタル改革関連法の制定やデジタル庁の発足、デジタル田園都市国家構想などの政策を進めてきました。 また、国の各機関においても取組が進められており、総務省は、自治体DX計画を策定し、地方公共団体に対し、行政分野におけるDX推進体制の構築やデジタル人材の確保・育成、計画的な取組など、推進を求めております。 また、経済産業省は、デジタル産業の創出に向け、産業界のDXに向けた取組を進めております。 本県においては、令和3年3月に「ながさきSociety5.0推進プラン」を策定し、施策体系を構築し、それぞれの分野で取組がなされております。 我が国の産業全体の競争力の強化という観点から、本県におけるDXの推進について、どのような取組を行っているのか、伺います。
○議長(徳永達也君) 企画部長。
◎企画部長(早稲田智仁君) 県におきましては、総合計画やSociety5.0推進プランにおいて、産業の競争力の強化に資するデジタル化やDXを推進する施策を構築しております。 具体的には、データの利活用による新産業、新サービスの創出を目指し、データ連携基盤を構築して、多様なオープンデータを取り込みながら機能を拡張するほか、デジタル技術の県内事業者等への普及・啓発及び事業者間のマッチング等を図るため、令和5年9月に「ながさきデジタルDEJI-MA産業メッセ」や「ドローンサミット」を開催したところであります。 また、商工会連合会にデジタル化推進員を配置し、中小事業者のデジタル力向上を支援するなど、製造業やサービス産業等における業務の効率化や生産性向上を図るとともに、スマート農林水産業の推進や、デジタル技術を活用した観光産業の振興等にも力を注ぎ、産業全体の振興に取り組んでおります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 産業全体の振興という観点で、様々な分野において、極めて多岐にわたる取組がなされているものと推察をしております。 その中で、令和6年度当初予算における先端技術を活用した取組について、どのようなものがあるか、伺いたいと思います。
○議長(徳永達也君) 企画部長。
◎企画部長(早稲田智仁君) 令和6年度当初予算では、分野横断的な施策として、本県がドローン活用の先進地になることを目指し、農業、建設業分野でのドローン技術の活用による遠隔化、生産性向上等の取組や、ドローンの社会実装に向けたプロジェクトを支援するほか、メタバースの活用及び次世代モビリティの導入調査等に取り組むこととしております。 また、各分野での施策として、水産業分野では、養殖業における課題解決に向けて、民間アイデアを活用した新技術の開発、実証を促進するほか、農業分野では環境制御機器等を活用したデータ駆動型技術や、遠隔・自動化技術の導入支援を図ってまいります。 併せて、ICTの活用や遠隔授業配信により、小規模校の生徒を中心に多様な学びを提供するため、県教育センター内に「長崎県遠隔教育センター(仮称)」の整備を進めるほか、無線通信技術の導入による教育環境の充実化を図るなど、様々な先端技術を活用した施策の推進に力を注いでまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) ご答弁いただきました来年度予算では、ドローン技術の活用、それからメタバースの活用、次世代モビリティの導入に向けた調査等に取り組まれるということでございました。その他にもいろんな分野での取組というものがなされるようであります。 特に、教育分野においては、「(仮称)長崎県遠隔教育センター」の整備を進められるということであります。今後、ICTの活用促進や遠隔授業配信、離島や半島地域の生徒を中心に多様な学びが提供されることというふうに推察をいたします。 今後、長崎県版デジタル社会実現や、Society5.0の実現に向けて、歩みをさらに進めていくためには、例えば、より高度な遠隔医療や自動運転技術の導入など、さらなるデジタル投資の促進やDXの推進を進めていかなければなりません。 また、それらを実現していくためには、通信インフラ、AI技術の導入やデータセンター等の誘致も必要となります。もちろん、これらのことは行政のみで進められることではなく、民間企業や県下の市町などとも連携をしながら進めていかなければならないことでもあります。 今後の長崎県版デジタル社会実現やSociety5.0の実現に向け、県としての方向性をどのように考えているか、伺います。
○議長(徳永達也君) 企画部長。
◎企画部長(早稲田智仁君) 人口減少、高齢化社会が進展する中、住民生活の維持・向上や地域の活性化、産業競争力の強化等のため、様々な分野においてデジタル化、DXを取り入れることが重要であると認識しております。 こうした中、県においては、今般、「新しい長崎県づくりのビジョン」を策定し、10年後のありたい姿の実現に向けた施策の方向性をお示ししたところであります。 例えば、イノベーション分野では、陸海空の次世代モビリティやドローンの社会実装の促進などに取り組み、目指すべき姿として、最先端のデジタル技術で地域課題を克服し、県民が豊かで快適な生活を送る姿を描いております。 また、こども、イノベーション、交流、食の各分野を貫く共通の視点として、デジタル化、DXの推進を掲げており、デジタルマーケティングの推進や最先端技術を活用した産業の活性化、AI、RPA等の活用による行政運営の効率化など、多くの分野でデジタル化を加速させることとしております。 県としましては、こうした施策を推進するとともに、今後、次期総合計画と併せて検討するSociety5.0の後継プランでは、議員ご指摘の点を踏まえまして、市町や民間事業者等のご意見もお聞きしながら、デジタル化関連施策の構築に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 本当に様々な分野で、極めて幅が広いと思いますので、大変かとは思いますけれども、今後、Society5.0の後継プランの策定も検討されているということでございますので、議会としても、この分野の今後の進展と本県の取組について注視をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 この半導体・デジタル産業戦略について、最後にまとめを行いたいと思いますけれども、これまで企業誘致の現状、課題、条件について質問をしてまいりました。様々課題はありますが、一番大事な条件は、やはり地元の熱意であると言われております。TSMCが進出する米国アリゾナ州の前知事であるダグ・デューシー氏は、テレビインタビューの中で、「TSMCを誘致できたことは、この10年で最大の勝利である」と述べています。また、その経緯について、「交渉の場に赴き、先方の質問に答え、我が州のすばらしさをプレゼンしました。税制上のメリットを伝え、1,000以上の規制を取り払った」ということであります。 お隣の熊本県におきましても、TSMCの進出を契機とし、知事をトップとする全庁横断的な組織である「半導体産業集積強化推進本部」を設置しております。そして、「熊本半導体産業推進ビジョン」を策定し、さらなる振興に尽力されております。 世界各国は、半導体に対する財政支援を強化しております。TSMCの熊本進出についても、政府支援が1.2兆円に上るという報道もあっております。 半導体産業は、今、国際的なサプライチェーンの危機、脆弱性を克服すべく、人件費などの製造コストよりも地政学的リスクを避けるようになっております。 フランスのある経済学者は、「半導体をめぐって重要な局面になるのは明らかである。半導体は、第3次産業革命の中心であり、世界を支配する技術である」というふうに述べております。 また、インテルのCEOであるパット・ゲルシンガー氏は、「半導体がなければイノベーションは起きません。環境対策も国の安全保障もできないのです。未来のために欠かせないものなのですから、優先的に扱われるべきです」というふうに述べております。 私は、今が絶好の好機であるように思っております。知事のトップセールス、そして県のイニシアチブ、県下市町とのさらなる連携に今後期待をしたいと思いますので、全力で取組を進めていただければと思います。 また、半導体は、私たちデジタルライフの主原料であるとも言われております。デジタル投資とDXを推進し、半導体需要をより高めていくことも重要であります。 今議会より、「成長産業・県土強靭化対策特別委員会」が設置をされました。議会としましても、様々な機会を捉えて、この分野の振興に努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。 2、気候変動対策の取組について。 (1)第2次長崎県地球温暖化(気候変動)対策実行計画の進捗について。 2015年に採択されたパリ協定では、産業革命前からの世界平均気温上昇を1.5度に抑えることが努力目標とされております。 それを踏まえまして、我が国では2016年に「地球温暖化対策計画」が策定をされ、気候変動対策を着実に推進するために、中期目標と長期目標が掲げられたところであります。その後、2020年には、国として、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されております。 本県においては、2021年度から2030年度までの10年間に取り組むべき対策をまとめた「第2次長崎県地球温暖化気候変動対策実行計画」を策定し、対策を進めておりますが、その進捗について、伺いたいと思います。
○議長(徳永達也君) 県民生活環境部長。
◎県民生活環境部長(大安哲也君) 「第2次長崎県地球温暖化(気候変動)対策実行計画」では、2030年度における温室効果ガス排出量を、2013年度比で45.2%削減することを目標としております。 例えば、産業部門では、エネルギー使用量が大きい事業者に対し、削減計画書作成と実績報告を義務づけるなど、部門ごとに対策を講じております。 本県の温室効果ガス排出量は、直近実績で2020年度に26.5%が削減され、一定削減は進んでおりますが、今後、目標値については、国の動向を踏まえて見直すことを検討しております。 今後とも、部門ごとの進捗を見た場合に、より一層の取組が必要な家庭部門をはじめ、各部門において、削減対策を積極的に推進してまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 一定進捗は進んでいるということで、ただ、家庭部門における削減をさらに進める必要があるというご答弁だったと思います。 この観点から、県民に対して、どのような取組を行っているのか、今後の展開をどのように考えているか、伺いたいと思います。
○議長(徳永達也君) 県民生活環境部長。
◎県民生活環境部長(大安哲也君) 家庭部門では、地球温暖化防止活動推進員による地域での環境学習会やイベントでの周知活動、動画を活用した取組例等の情報発信、小学生を対象とした「わが家の省エネ日記」の周知活動など、関係機関と連携して積極的に普及啓発に取り組んでおります。 今年度の県政アンケートによりますと、83%の県民の方々が温暖化対策に取り組んでおり、その必要性は一定浸透しているものと認識をしております。 しかしながら、さらなる削減を進めていく必要があることから、来年度は新たに県民、事業者、県等からなる「ながさき環境県民会議」を通じた環境配慮テーマを設定し、実践する「ゼロカーボンアクション12」の本格実施や、民間事業者による家庭への省エネアドバイスの実施、さらには市町が行う住宅等の太陽光発電設備導入促進への支援などに取り組むこととしております。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 家庭部門におけるさらなる取組を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 家庭部門における取組については、県民お一人おひとりにどう周知していくかということが重要であります。県のアンケートによれば、気候変動対策の必要性については、一定県民の理解を得られているようでありますけれども、県の取組が県民にどれくらい浸透しているかということについては課題もあるように思います。 長崎県議会では、昨年12月に高校生と議員の交流事業を開催し、県内高校生と意見交換を行いました。私が意見交換を行った諫早高校の生徒からは、「長崎県SDGsについて」政策提言がありました。 学生たちは、独自に県民向けのアンケート調査を実施しております。このアンケート調査結果によれば、「長崎県の環境問題は深刻だと思いますか」という問いに対し、「とても深刻である」、「深刻である」と回答した方の割合が、それぞれ29.7%、44.7%で、合わせて74.4%。 一方で、「県の実行計画を知っていますか」という問いに対して、「聞いたことがあるが、詳しくは知らない」、あるいは、「知らない」と回答した人の割合が、それぞれ13.5%と76.5%の合計90%という結果になっております。 併せて、「県は、環境問題の解決に向けて行動していると思いますか」との問いに対しては、「行動していない」、あるいは、「わからない」と回答した人の割合が、それぞれ35.3%、52.9%の合計86.5%という結果になっております。 この結果を受けまして、最終的な政策提言として、「一、大々的に情報を公開し、広報活動をすること」、「一、その具体例として気候非常事態宣言を発令すること」、「一、第2次長崎県地球温暖化(気候変動)対策実行計画の効果をもっと得ることができるように、より具体的な政策を打ち出し行動に移すこと」という3つの提案がなされております。 以上のことを踏まえまして、2050年カーボンニュートラルの達成に向け、さらにインパクトのある周知、取組が必要ではないかと考えております。 長崎県は、令和3年3月に、当時の中村法道知事名により「長崎県ゼロカーボンシティ」を目指すことを表明しております。 今回、改めて大石知事として、県民に広く、強く訴えていくことが必要ではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 持続可能な社会の実現に向けて、気候変動への対策は喫緊の課題であると考えております。 令和6年度当初予算の編成に当たっては、取組を従来よりも拡充をいたしまして、脱炭素・資源循環型のライフスタイルや経営への転換を推進していくこととしております。 2050年のカーボンニュートラルを実現するためには、県民皆様お一人おひとりに、いかに自分ごととして捉えていただいて、意識をしていただいて、県民総ぐるみで力強く取組を進めていけるか、これが重要だというふうに思っています。 県の計画や取組について、若い世代を含めた全世代の方々に、しっかりご理解とご協力をいただけるように、今、現時点で具体まではお示しできませんけれども、議員にご提案いただいたような伝え方の工夫といったことを努力しまして、結果として、県民の皆様の取組という形で行動変容が得られるように、私自身も力強く訴えていきたいというふうに思っています。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) 気候変動対策を推進し、2050年のカーボンニュートラル実現を目指して、県の取組が県民の方々お一人おひとりに伝わるように、加えて、知事が直接、県民の皆様に訴えるような形で周知啓発に取り組んでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 3、地域共生社会に向けた取組事例について。 (1)地域運営組織の活動事例について。 私の地元である諫早市小長井地域は、フルーツバス停や名産の小長井牡蠣などで有名なところであります。 しかし、当該地域は人口減少が著しく、令和3年4月には過疎地域に指定をされております。 現在、同地域内に3校ある小学校が、令和7年には1校に統合されるなど、学校再編の動きもございます。 当該地域では、以前から、地域が抱える課題、問題を、地元自治会を中心に、諫早市と地域包括支援センターが実施している「語らん場」という機会を通じて話し合い、DVDとしてまとめられておりました。このDVD作成に当たっては、地元中学生も参加するなど、地域を巻き込んだ動きがございました。 そのような中、実際に地域の課題を有償ボランティアという形で支援していく組織として、昨年11月12日に「こながい 支えあいの会」が発足をいたしております。 具体的には、高齢社会を見据え、病院への送迎、掃除やごみ出しなど、日常生活における困りごとを支援する取組を行っているようです。 「こながい 支えあいの会」のように、地域住民が主体となって地域課題を解決する取組は、住民が安心して住み続けることができる持続可能な仕組みづくりとして、非常にすばらしい取組であると考えます。 また、地域包括ケアシステムが高齢者支援にとどまらず、地域全体を巻き込んだ地域まるごと、我がこととして認識されるべき地域共生社会へと概念の進化を遂げていることに鑑みましても、非常に重要な事例であると考えられます。 こうした事例について、県としても、県民に対し、広く積極的に周知していくことが必要であると考えますが、見解を伺います。
○議長(徳永達也君) 地域振興部長。
◎地域振興部長(小川雅純君) 県では、様々な関係主体が参画し、課題の解決に向けた取組を実践する地域運営組織の設立を推進しております。 現在、組織の設立に当たり、他地域の参考となるような取組事例を紹介するほか、アドバイザーの派遣や研修会の開催など、市町と連携して支援を行っているところであります。 県としては、ごみ出しや買い物支援などを行う「こながい 支えあいの会」のような取組について、しっかりと情報収集を行ったうえで、優良事例につきましては、引き続きホームページへの掲載や市町への個別訪問時に紹介するなど、積極的に周知を行ってまいります。
○議長(徳永達也君) 坂口議員-15番。
◆15番(坂口慎一君) この地域運営組織については、以前から、この議会で取り上げてきましたように、もともと高齢者支援であれば、福祉保健部の方で、そしてまた、集落機能の維持ということで考えれば、水産部であったり、農林部であったり、地域のことは地域振興部でと、いろんな課にまたがって情報を共有しなければならない分野だと思っておりますので、庁内での連携を密にしていただいて、どこから問い合わせがあっても、すぐ情報を県民の皆様にお伝えできるように、今後、取組を続けていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(徳永達也君) 午前中の会議は、これにてとどめ、しばらく休憩いたします。 午後は、1時30分から再開いたします。 -午後零時15分 休憩------------------------------------ -午後1時30分 再開-
○議長(徳永達也君) 会議を再開いたします。 午前中に引き続き、一般質問を行います。 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) (拍手)〔登壇〕自由民主党、五島市選出、清川久義でございます。 本日は、五島からも傍聴にお越しいただき、心より感謝申し上げます。 それでは、通告に従いまして、一般質問をさせていただき、知事及び各関係部長のご答弁を賜りますよう、よろしくお願いいたします。 1、離島・半島振興について。 (1)知事の任期折り返し、これまでの離島への取組について。 令和4年3月に大石県政がスタートして2年が経過し、知事の任期も折り返しを迎えるところであります。 知事もご承知のとおり、本県は、離島振興法指定の離島が51島に上る全国一の離島県であり、本県の離島は、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、海上交通の安全の確保などにおいて、海洋政策上、非常に大きな役割を担っております。 五島、上五島、壱岐、対馬などの各離島は、変化に富んだ豊かな自然で、歴史と個性豊かな文化など、それぞれが多くの魅力にあふれており、しかしながら、一方では、人口減少や少子・高齢化が県内でも早く進行しており、本土地域以上に様々な課題が顕在化しているところです。 全国一の離島県の知事として、これまでの2年間、離島振興にどのように取り組んでこられたのか、また、任期の折り返しを迎えて、これからの2年間、さらにどのように取り組んでいこうとお考えになられているのか、知事にお尋ねいたします。 (2)有人国境離島法の延長と拡充について。 離島振興対策の推進に当たっては、直近では、昨年4月に改正法が施行されました「離島振興法」と、それに加え、平成29年に施行された「有人国境離島法」に基づく国の施策が大きな後押しとなってきたところですが、10年間の時限立法である有人国境離島法は、今年3月末で施行から丸7年を迎えます。 これまで、有人国境離島法に基づく各種施策を積極的に活用し、五島市においては、令和4年度までの6年間で、雇用機会拡充事業を活用して、合計586人の雇用が創出されております。事業分野も、観光業、商工業などのほか、再生エネルギーといった分野でも新たな事業や雇用が創出されております。 6年間の移住者は合計で1,236人であり、昨年度の実績では252人と、法施行前の4倍近く伸びていることが、年間での社会増達成につながっており、有人国境離島法を活用した成果があらわれており、今後、本県離島のさらなる振興を図っていくためには、令和9年3月に期限を迎える有人国境離島法について、国において確実に改正・延長のうえ、様々な支援策について継続いただくとともに、今は原則として離島住民に限られている航路・航空路運賃低廉化の対象を全ての利用者に拡大するなど、さらに制度を充実させていくことが大変重要であると考えておりますが、知事の考えをお尋ねいたします。 (3)半島振興法について。 半島地域は、観光資源として重要であるという側面のみならず、古くから農業や漁業が基幹産業として発展し、食料の安定的な供給という面からも大切な役割を果たしております。 こうした重要な機能を今後も継続的に果たしていくには、やはりそれらの基幹産業を担っていく人材が重要であると考えております。 本県の人口を見てみますと、県全体の人口は、平成22年の142万7,000人から、令和2年においては8%減の131万2,000人であるのに対し、半島地域の人口は、平成22年に31万6,000人だったものが、10年後の令和2年には、県全体の減少率を下回る13.1%減の27万5,000人まで減少しています。 こうした中、半島地域の活性化を図ることを目的とした半島振興法が来年3月末に期限を迎えます。 本年1月1日に発生した能登半島地震を踏まえると、単純に法を延長するだけではなく、さらなる充実を図りながら、半島の振興を図っていくことが重要であると考えますが、今回の半島振興法の延長において、どのような事項が重要となってくるとお考えか、お尋ねいたします。 2、土木行政について。 (1)福江空港について。 五島地域の活性化を図るためには、交流人口の拡大が必要となっております。 チャーター機を誘致するなど、全国各地から来島していただくためには、空港を活用した取組も必要と考えております。 そのような中で、福江空港には給油施設がなく、FDAのチャーター便などは運航距離が長い関東圏以北からの誘致は厳しい状況にあります。 そこで、福江空港における給油施設の導入の可能性等について、お尋ねいたします。 (2)元船地区整備構想と五島地域の活性化について。 長崎港元船地区は、五島へ定期航路が発着しており、島民や観光客など多くの人々が利用されております。 また、五島への生活物資や五島で生産された農産物などを運ぶ海上輸送の拠点となっているなど、五島と本土を結ぶ重要な役割を果たしている地区ともなっております。 このように、元船地区は、五島の地域振興にとっても大変注目しているところでありますが、今回の整備構想では、五島の地域活性化につながるような取組について、県としてどのように考えているのか、お尋ねいたします。 (3)道路行政について。 五島市の主要な道路においては、これまで道路の改良工事や歩道整備など、順次進められており、現在も国道384号や主要地方道福江空港線などにおいて、整備が進められているところです。 これまでの整備により生活道路の安全性や利便性の向上、観光道路としての機能の強化が図られているものと考えております。 しかしながら、現在も未整備となっている区間が多く存在し、市民生活や観光の面でも支障を来しているところから、課題解決に向けた検討が必要となっております。 中でも、福江中心部から市東部を通り、観光名所である鐙瀬地区への経路になっている一般県道大浜福江線や、市南部に位置する玉之浦の大瀬崎灯台などと福江を最短で結ぶ一般県道玉之浦岐宿線は、市民生活の向上や観光振興の面でも早期整備が必要であると考えております。 そこで、この2路線の今後の整備方針について、お尋ねいたします。 3、離島の医療体制について。 (1)離島の医師、看護師の確保について。 五島、上五島、壱岐、対馬をはじめとした本県の離島は、本土とは海で隔てられていることから、天候不順時には本土へ移動が制限されます。 また、全国に先んじて高齢化が進んでいることから、医療への依存度は高く、島民の生命と健康を守る医療資源の確保は、極めて重要であります。 こうした状況の中、県では、離島の市町とともに、長崎県病院企業団を設置して基幹病院を経営し、離島の医療を支えておられますが、離島では少子化の影響もあって労働人口が減ってきていることから、病院企業団が設置する各病院における医師や看護師の採用にも影響があるのではないかと懸念しております。 また、コロナ禍以降、医療の現場は厳しさを増していると聞いており、特に、看護人材を確保するには、業務に見合った処遇となるよう配慮がなされるべきと考えます。 今後の離島医療を支える医師や看護師の確保について、県はどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。 (2)離島における医療ICTの活用等について。 離島病院の人材確保についてはしっかり取り組んでいただく必要がありますが、一方で、離島においては、患者側の通院手段についても課題があります。 高齢化が住む中、離島では公共交通機関の便が少なく、コロナ禍以降の減便もあって、病院の体制が整っていても受診することが難しい場合もあるようです。 こうした中、医療現場においては、近年、ICT機器の活用によって、患者サービスの向上、医療サービスの効率化が進められており、こうしたツールは、離島でこそ、活用すべきだと考えております。 離島では、今後さらに通院が難しい方が増えると思われ、自宅にいたままでオンラインによって診療をしていただけると、島民はとても助かると思うし、病院にとっても効率化が図られるのではないかと考えます。 そこで、離島においては、医療ICTの活用、その中でもオンライン診療をもっと普及させるべきであると考えますが、県の考え方について、お尋ねいたします。 (3)災害時における医療体制について。 平成23年の「東日本大震災」、平成28年の「熊本地震」、そして「能登半島地震」など、各地で災害が発生しており、本県においても、地震、風水害等の発生に備える必要があります。 特に、離島は、本土に比べ、人材、設備などの医療資源が乏しく、限られており、地震など大きな災害が発生した際、被災地における負傷者の応急措置や島内の医療体制で完結できない場合など、被災時の対応が危惧されます。 大規模災害は、いつ、どこで発生するとも限らず、被災した際に、迅速、かつ的確な対応ができるよう、日頃からの備えも重要と考えますが、災害時の医療体制と平時の備えについて、お尋ねいたします。 4、農業振興について。 (1)肉用牛生産の課題と今後の取組について。 離島を多くを抱える本県にとって、農業は、地域を支える基幹産業であり、五島市では、肉用牛繁殖や養豚の大規模経営、温暖な気候を活かした高菜、ブロッコリーなどの露地野菜のほか、茶、葉たばこなど、様々な作目で農業が営まれております。 とりわけ、肉用牛繁殖は、五島市の農業産出額の約4割を占める重要な品目となっておりますが、近年、飼料などの生産資材価格高騰により、利益の確保が困難な状況が続いている中、子牛価格が急激に下落しており、大変厳しい経営が続いております。 国は、子牛価格の下落対策として、価格補填制度を創設しておりますが、全国や九州と比較して本県の下落幅は大きいことから、肉用牛繁殖農家が経営を継続できるよう、国の制度と同調して県においても支援をいただいているところであります。 また、繁殖牛経営の支援のみならず、肥育牛経営に対してもバランスよく支援し、一貫経営を進めることで肉用牛の生産拡大を図ることが、長崎和牛のブランド力向上につながるものと考えております。 そこで、本県の肉用牛生産の課題と今後の取組について、お尋ねいたします。 (2)さつまいもの産地拡大に向けた取組について。 五島では、県外流通業者とJAが連携し、農産物の集出荷、加工等の役割を担う五島イノベーションセンターの整備を検討されており、地域活性化のための大きなプロジェクトとして成功を期待しているところであります。 その整備計画においては、取扱品目であるさつまいもの生産量について、令和12年の目標を4,000トンと設定しているとのことでありますが、現在の五島の栽培状況から目標設定が大きいのではないかと考えております。 言うまでもなく、五島地域も他の地域同様に高齢化や担い手不足が進み、農家数が減少、産地の衰退、縮小が進んでいることから、一次産業が中心である五島の地域発展のためには、目標達成に必要な生産者の農地の確保並びに栽培技術対策など、生産体制を整備していくことが重要であると考えております。 そこで、県は、五島のさつまいもの目標生産量の実現に向け、今後どのように進めていくのか、お尋ねいたします。 (3)優良農地の確保について。 さつまいもをはじめとする露地作物などは、生産拡大に向けて優良農地を確保し、農地集積による規模拡大を図ることが必要であり、農地の基盤整備が重要であると考えております。 一方、五島地域の農地については、水田地帯のほとんどは整備されているものの、畑地については、農業の盛んな県央や島原地域と比べ、農地の整備が進んでおらず、私も、農家の皆様からは、「農地に入る道が狭く、機械が入らない」、「農地が狭く、形状が悪いため作業効率が悪い」など、お話を伺っているところであります。 こうした課題を解決し、農業の生産性向上を図り、もうかる農業を展開していくためには、その基礎となる農地の基盤整備事業を強力に進めていく必要があると考えております。 そこで、五島市では、現在、3地区で農地の基盤整備が進められていると聞いておりますが、その進捗状況と新規地区の予定について、お尋ねいたします。 また、農家の皆様は、一刻も早い事業の完成を待ち望んでおられます。計画的に事業を進めるためには、整備に要する予算について、まずは国において農業農村整備事業予算がしっかりと確保されることが重要であると考えております。 そこで、令和6年度の国の予算状況と本県の当初予算及び予算確保に向けた取組状況について、お尋ねいたします。 5、水産振興について。 (1)漁業者の所得向上対策について。 県では、現行の「長崎県総合計画」及び「長崎県水産業振興基本計画」において、漁業所得の向上と持続可能な生産体制の整備や、環境変化に強く、収益性の高い魅力ある漁業経営体の育成などを目標に掲げ、漁協等の関係団体や市町と連携し、所得向上に向けた指導や支援に取り組まれ、一定の成果を出していると認識しております。 しかし、以前、五島地区で漁獲の多かったタチウオやイカ類など、現在では不漁が続き、加えて社会情勢の変化による燃油や資材価格の高騰などもあり、漁業経費は一段と増加している状況にあります。 このような中で、本県の重要産業である漁業を魅力あるものにするためには、漁業者への経営指導を強化し、所得を向上させ、漁業をもうかる産業とすることが、雇用の維持や担い手確保の観点からも極めて重要なことと考えていますが、県として、これまでどのような取組を推進し、今後どのような展開を図ろうとしているのか、お尋ねいたします。 (2)藻場について。 藻場は、魚類の産卵場や稚魚の保護・育成の場であるなど重要な役割がありますが、私の地元の五島地区でも、藻場が消失する磯焼けの状態が続いております。 藻場の保全、回復は、水産業の振興を図るうえでも重要であり、これまで、県による藻場造成に加え、各地域において漁業者等で構成された活動組織により、保全、回復のための取組が行われていると承知しております。 今後も藻場の保全を図っていくためには、このような地域の活動組織の取組を持続・促進していくことが重要であり、また、カーボンニュートラル社会の実現に資するためにも、ブルーカーボンクレジットの利活用の促進を図るべきではないかと考えます。 実際は、本県では、令和4年度に五島市ブルーカーボン促進協議会が、県内初となるクレジット認証を受けたほか、壱岐市においても認証を受けたと聞いており、そのような動きが活発化していると感じています。 そこで、現在の県内の藻場の現状や、ブルーカーボンクレジットの利活用促進にかかる県の考え、取組について、お尋ねいたします。 (3)海業の振興について。 本県は、水揚げ額全国2位を誇る水産県であり、また漁業ばかりではなく、豊かな水産資源や美しい渚など、海にまつわる様々な魅力や資源を各地に多く有しております。 一方、人口の減少や高齢化により、離島をはじめ、多くの漁村の活力が低下しており、せっかくの海の魅力を活かせていない地区も多く、もったいないと思われます。 こうした中、国や県では、海の魅力や資源を活かして漁村の活性化を図る取組である海業を推進しており、五島地区においても、これまで、海業と観光の関係者が連携して修学旅行生などを対象とした漁業体験や民泊、釣りイベント、漁師食堂など、様々な海業に取り組んでおり、漁家所得の向上や交流人口の増加により地域の活性化につながるものと大いに期待をしております。 このような豊富な海の魅力や資源に恵まれた本県において、これらを活かして海業に取り組むことは、非常に意義深いと考えますが、県内の取組状況と今後の展開について、お尋ねいたします。 6、離島への来訪について。 (1)離島への来訪意欲を高めるための県の取組について。 県では、コロナ禍で落ち込んだ観光需要の回復や県内各地への誘客を図るため、全国旅行支援や国境離島交付金を活用した、しま旅滞在促進事業など、離島を含む県内の観光需要喚起に取り組んでおり、その成果もあり、県内観光客は、コロナ禍前の水準まで回復していると認識しております。 また、連続テレビ小説「舞いあがれ!」の舞台となった五島市が、去る15日に、この1年で最も地域を盛り上げた作品と、その地域を表彰するロケーションジャパン大賞において、「部門賞」を受賞するなど、五島市をはじめとした県内離島への全国的な注目度の高まりも感じており、それも観光客が戻ってきている要因の一つとなっているのではないかと考えております。 そこで、これを契機として観光客の来訪意欲をさらに高め、より多くの方に離島へお越しいただくための県の取組について、お尋ねいたします。 (2)離島への修学旅行の誘致について。 令和4年の本県の修学旅行受入れについては、県による誘致活動の成果もあり、約48万人と、コロナ禍前を上回る実績となったと伺っております。 一方、離島地区については、本土と比較してコロナ禍からの回復が遅れているとも聞いております。 離島は、独自の魅力的な歴史、文化、自然、食を有しており、県内外の多くの子どもたちに本県の離島を訪れてもらい、こういった離島の魅力を若い感性で感じてもらうことができれば、将来の再訪や移住にもつながるものではないかと考えております。 修学旅行の誘致活動については、地元市町と連携して県外学校等への営業活動にも取り組んでいただいております。 離島地域への受入れに当たっては、修学旅行の目的に合ったプログラムの造成や、本土と離島が連携した受入れ促進などを進めていくことが重要であるが、このことに対する県の取組をお尋ねします。 以上で、壇上からの質問を終了し、以後は対面演壇席からの再質問とさせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 〔登壇〕清川議員のご質問にお答えさせていただきます。 まずはじめに、これまでの2年間の離島振興の取組と、これからの離島振興に向けてのお尋ねをいただきました。 離島の振興については、県政の最重要課題の一つとして、生活基盤の整備や基幹産業である農林水産業、観光産業の振興など、国の施策を最大限に活用しながら、各種施策に積極的に取り組んできたところでございます。 近年は、島外からの人を呼び込み、滞在型観光や新たな特産品の開発、ドローンによる離島間の輸送など、様々な取組につながってきたものと考えております。 また、地域の特性に合わせた新たな取組として、離島の診療所におけるオンライン診療の実施や、畜産農家の経営体質強化の支援などに力を入れているところでございます。 令和5年の離島の人口につきましては、五島市において、令和2年以来となる社会増を達成するなど成果があらわれてきており、これを離島地域全体にさらに広げていくことが重要であります。 今年度、新たに開催をいたしました離島のビジネスコンテストをはじめ、離島の資源や魅力を活用し、離島だからこそ、新しいことにチャレンジできるような環境づくりについて、引き続き、市町と一体となって全力を尽くしてまいりたいと考えております。 次に、令和9年3月に期限を迎えます有人国境離島法の改正・延長及び制度の拡充の向けてについて、お尋ねをいただいております。 平成29年4月の有人国境離島法施行以来、国の施策を積極的に活用しまして、航路・航空路運賃の低廉化や輸送コストに対する支援、雇用機会の拡充や滞在型観光の推進など、様々な取組を進めてまいりました。 施行から令和4年度までの6年間の累計で、約1,400人の雇用の場が創出されたほか、本県への移住者全体の概ね3分の1に当たります約2,800人の方について、離島市町への移住へとつながってございます。 こうした取組の結果、一部の市町においては、年間での社会増を実現しており、各種施策の成果があらわれてきているものと考えております。 このように、有人国境離島法は、本県にとって必要不可欠であり、令和9年3月末をもって期限を迎える同法の改正・延長に加え、さらなる充実、議員からご指摘もいただきましたけれども、運賃低廉化の対象拡大といったような、さらなる充実を図ることは、極めて重要だというふうに認識をしております。 今後、県議会をはじめ各市町や関係団体のご意見もお聞きしながら議論を重ね、機会を捉えて国に対して要望を行うなど、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。 残余のご質問につきましては、関係部局から答弁をさせていただきます。
○議長(徳永達也君) 地域振興部政策監。
◎地域振興部政策監(渡辺大祐君) 私から、1点、半島振興について答弁をさせていただきます。 今回の半島振興法の延長においては、どのような事項が重要になってくるかとのお尋ねでございます。 来年度末に期限を迎える半島振興法の延長に当たりましては、今般の能登半島地震を踏まえ、まずは、防災、減災対策に的確に対応できるよう、道路等の社会基盤の整備・促進が重要となると考えております。 また、半島地域は、多様な食や優れた自然景観など、魅力的な資源に恵まれた地域である一方で、人口流出や少子・高齢化についても厳しい状況にあることから、さらなる移住の促進や地域の産業振興等のための人材の育成や確保、食のブランド化などによる地域振興についても重要となってくるものと考えております。 今後、一層充実した法の改正・延長となるよう、関係自治体等と連携して取り組んでまいります。
○議長(徳永達也君) 土木部長。
◎土木部長(中尾吉宏君) 私から、3点お答えさせていただきます。 まず、福江空港における給油施設の導入可能性についてのお尋ねでございます。 空港におきます給油施設の設置につきましては、通常、民間事業者が行っており、県は設置許可を行う立場になります。 福江空港では、民間事業者によるドラム缶給油が行われており、小型機には対応できるものの、チャーター便には、運航会社が高い品質管理を求めているため対応できず、チャーター便の誘致にも限界があると聞いております。 そのような中、五島市等におきましては、チャーター便の誘致促進を図るため、給油施設の導入について検討されておりますので、県といたしましても、引き続き、検討会議等に参加するなど、連携してまいりたいと考えております。 次に、元船地区整備構想の中で、五島の活性化につながるような取組についてのお尋ねをいただいております。 元船地区整備構想では、港湾機能の再編による物流の効率化や、交流施設の整備によるにぎわいの創出などを目指しております。 構想では、港湾機能については、長崎と五島を結ぶフェリー、貨物船、そして上屋の近接化によりまして、荷役の効率化を図ることとしております。 また、現在のフェリー施設と隣接して貨物船の可動橋を配置し、可動橋を複数化することでフェリーとの相互利用が可能となり、故障などの緊急時においても、貨物の安定的な輸送を確保することとしております。 にぎわいの創出につきましては、県産食材の飲食や物販ができる交流施設の整備を想定しており、五島の食材等の活用が考えられます。 さらには、駐車場の収容能力の増大や、地区全体を結ぶ連絡通路も構想に盛り込んでおりまして、地区外からターミナルまでの円滑な移動が図られ、五島地域をはじめとする利用者の利便性が向上するものと考えております。 次に、県道大浜福江線等の未整備区間の今後の整備方針について、お尋ねをいただいております。 県道大浜福江線につきましては、現在、下崎山地区で歩道整備を行っており、隣接する約800メートルが未整備となっております。 また、県道玉之浦岐宿線につきましては、玉之浦町幾久山地区において、改良事業を今進めておりますが、近接する中須地区の1.3キロメートルが未整備となっております。 いずれの未整備区間につきましても道路幅員が狭いことから、歩行者の安全や車両の通行に支障を来しております。 県といたしましては、事業中箇所の整備促進に努めるとともに、未整備区間の事業化に向けた検討を行ってまいります。
○議長(徳永達也君) 福祉保健部長。
◎福祉保健部長(新田惇一君) 私から、3点お答えさせていただきます。 まず、今後の離島医療を支える医師や看護師確保に対する県の取組についてとのお尋ねでございますが、本県は、医師数、看護師数ともに全国上位にございますが、都市部に集中し、離島、へき地など医療資源が少ない地域における医療提供体制の確保は極めて重要な課題となっております。 このため、離島の医師につきましては、「医学修学資金制度」を創設し、企業団病院に勤務する医師を養成するとともに、長崎大学からも派遣支援をいただき、確保に努めているところです。 また、離島の看護職員につきましては、県における修学資金貸与事業や、看護学校の取組支援、合同就職説明会の開催等の取組に加え、離島の企業団病院による独自の修学資金制度や本土病院からの看護師派遣事業等によって確保がなされており、今後は、看護師確保関連情報を一元的に発信するなど、看護師確保の取組をさらに強化していきたいと考えているところです。 なお、看護師の給料等につきましては、物価高騰や経済社会情勢等を踏まえ、医療機関等における賃金の引上げがなされるよう、令和6年度の診療報酬改定においても加算措置がなされる予定となっております。 引き続き、医療機関と連携しながら、離島における医師及び看護師の確保に向け取り組んでまいります。 次に、医療ICTの活用に関する県の考えについて、お尋ねをいただきました。 医療分野におけるICTの活用は、医師が少ない地域における診療や、医師、看護師の勤務環境の改善を図るうえで大変有効であり、オンライン診療は、離島、へき地の医療提供体制を確保するうえで重要な手段の一つと認識しております。 このため、現在、対馬病院等におきましては、在宅患者の体温や血圧等の測定結果を通信機器により自動的に取得し、患者の状態を把握してオンライン診療等を行い、その効果や安全面について検証する事業を実施しております。 また、長崎大学と県、五島市の三者協定に基づき、長崎大学が設置しております「離島医療研究所」における、医師が常駐していない診療所や、医療機器を搭載した車両でのオンライン診療の実施など、離島の課題解決に向け、先駆的な取組を進めているところでございます。 引き続き、オンライン診療等医療ICTの効果的な活用につきまして、長崎大学や病院企業団等の関係機関と連携し、取り組んでまいります。 最後になりますが、離島における災害時の医療体制と平時の備えについて、お尋ねをいただきました。 離島において災害が発生した場合は、救命医療を行う医療機関といたしまして災害拠点病院に指定されております各離島医療圏の基幹病院が中心となって傷病者を受け入れることになります。 また、災害拠点病院での対応が困難な場合には、災害現場で対応できる機能を備えた医療チーム(DMAT)の派遣など、県と各関係団体との協定に基づき、県内の医療機関等から必要な医療支援がなされる体制を整えているところです。 さらに、大規模災害が発生した場合に備え、九州各県と協定を締結しており、被災県の応援要請に基づき相互に支援し、協力する体制を構築しております。 平時には、医療従事者の医療技術向上及び関係機関との連携強化を目的とした研修や訓練を行っているところであり、引き続き、災害に備えた医療体制の確保に努めてまいります。
○議長(徳永達也君) 農林部長。
◎農林部長(綾香直芳君) 私から、4点お答えさせていただきます。 まず、本県肉用牛生産の課題と今後の取組についてのお尋ねですが、本県では、近年の繁殖牛農家の規模拡大に伴い、肥育牛の出荷頭数と比較して子牛の出荷頭数が多くなったため、子牛市場に県外の肥育牛農家が集まらなければ、競争原理が働きにくく、子牛価格が下がりやすいという構造的な課題があります。 このため、県内の肥育牛出荷頭数の拡大に向け、新たに肥育に取り組む繁殖牛農家や県内家畜市場から子牛を導入する肥育牛農家への支援を行うこととしております。 これらの取組を通じ、本県肉用牛生産の構造を改善しながら、農家の経営安定に努めてまいります。 次に、五島におけるさつまいもの生産目標達成に向けた今後の取組についてのお尋ねですが、県としましては、目標達成のためには新規生産者の確保や既存生産者の規模拡大、栽培に必要な農地の確保のほか、栽培技術指導による収量の向上が重要と考えております。 具体的には、新規生産者の確保のため、JAと連携した経営シミュレーションの提案や、農地中間管理機構と連携した農地のあっせんなどを進めてまいります。 また、既存生産者の規模拡大を図るため、国庫事業等を活用し、掘取機やドローン等のスマート機器の導入を支援するとともに、不足する労力対策として株式会社エヌの外国人材の活用を進めてまいります。 さらに、収量の向上に向けては、JAが行うウイルスフリー苗の供給体制整備への支援のほか、県とJAが連携して多収性品種の導入や栽培技術指導を行うとともに、規格外品についても加工業務用として活用を促すことで生産目標の達成につなげてまいります。 次に、五島市で実施中の農地の基盤整備の進捗状況と今後の新規地区についてのお尋ねですが、五島市における農地基盤整備の令和4年度末での進捗は、久賀地区89%、寺脇地区64%、富江・日の出地区6%となっております。 また、今後の新規地区として、畑地の3地区で事業推進を図っているところであり、引き続き、市や関係機関と連携して、制度に関する勉強会の開催や地域の合意形成など、早期の事業着手に向けた取組を支援してまいります。 次に、令和6年度の国の農業農村整備事業予算と本県の当初予算の状況、国の予算確保に向けた県の取組についてのお尋ねですが、国の農業農村整備事業の令和6年度当初予算は、前年度から6億円増の4,463億円が計上されており、本県においても前年度から3億円増となる64億円を計上しております。 また、国の予算確保に向けた県の取組としましては、昨年6月の政府施策要望のほか、7月と11月には、県議会のお力添えをいただきながら、国に対して十分な予算の確保について要望したところです。 引き続き、令和6年度当初予算の本県への重点配分について、国に対し強く働きかけてまいります。
○議長(徳永達也君) 水産部長。
◎水産部長(川口和宏君) 私から、3点お答えいたします。 まず、漁業者の所得向上について、これまでの取組と今後の展開についてのお尋ねです。 県では、平成27年度から系統団体や中小企業診断士と連携した支援体制を構築し、漁業者の個々の経営に踏み込んだ指導による所得向上に取り組んでまいりました。 その結果、令和4年度までに756件の経営計画を策定し、新たな漁法の導入や高性能漁労機器の整備等により、操業の効率化が図られ、物価高騰が続く中、収支の確認ができた方のうち、約5割が所得向上につながっております。 このうち五島地区においては、一本釣り漁業を主体とする漁業者が、海底地形を可視化することができる3D-GPSプロッターと魚体識別が可能なグラフ魚探の導入によるスマート化に取り組んだことで、水揚げが1.5倍、所得が2.2倍になった優良事例も出てきております。 今後とも、このような優良事例を広く若い世代に波及させながら、ICT技術を活用したスマート水産業の導入を推進することで、漁業者のさらなる所得向上を図ってまいります。 次に、藻場の現状とブルーカーボンクレジットの利活用促進についてのお尋ねです。 県内の藻場面積は、県による藻場造成のほか、漁業者等による活動組織の藻場回復の取組により、平成25年度に8,200ヘクタールであったものが、令和3年度は9,000ヘクタールまで回復が見られているところです。 漁業者の高齢化等の状況を踏まえると、この活動組織の取組を持続的なものにしていくためには、多様な人材を確保する財源となり得るブルーカーボンクレジットの活用も有効な方策であると考えております。 このため、県では、市町等がブルーカーボンクレジットの認証申請を行うに当たり、地域協議会へ参加するとともに、藻場に関するデータの提供などを行ってまいりました。 今後は、県において、ブルーカーボンクレジットの認証や利活用のノウハウを獲得し、市町や活動組織と共有したうえで、ブルーカーボンクレジットを活用した取組を県内全域で促進してまいります。 最後に、海業の県内の取組状況と今後の展開についてのお尋ねです。 漁村地域の活性化を図る海業について、本県は、豊富な海の幸だけではなく、漁村風景や美しい自然景観など海の魅力に恵まれており、これらを強みとすることで、他県より優位に展開できると考えております。 例えば、勝本町漁協の観光遊覧船、平戸市漁協の海鮮食堂や諫早湾漁協の直売所は、地域の特徴を活かした海業として定着し、漁業者の所得向上にも寄与している優良事例となっております。 県では、こうした事例を広く紹介し、各地で海業の意識醸成を図るほか、今年度からの新規事業では、平戸市舘浦地区と対馬市上対馬地区において、漁協、市町、観光関係者などと連携し、漁師体験や遊覧クルーズなど、地域の特徴を活かした観光コンテンツづくりを支援しております。 引き続き、本県の海の魅力を活用した海業を推進し、漁業者の所得向上と漁村のにぎわい創出に力を注いでまいります。
○議長(徳永達也君) 文化観光国際部長。
◎文化観光国際部長(伊達良弘君) 私からは、2点お答えいたします。 まず、離島への来訪意欲を高めるための県の取組についてのお尋ねでございます。 県では、離島への観光誘客を促進するため、地元市町と一体となって国境離島交付金を活用し、体験プランと交通・宿泊がセットになった旅行商品の造成や販売等の支援に取り組んでおり、今年度の販売実績は、昨年度の約1.5倍となる見込みでございます。 来年度は、オフシーズンにもお越しいただけるよう、ハイシーズンに比べ、グレードが高い食事を提供するなど、より魅力ある旅行商品の開発支援にも取り組むこととしております。 また、現在、離島地区は、テレビドラマ等で取り上げていただく機会も増えており、観光客の誘客にもつながっておりますことから、引き続き、県観光連盟を中心として、ロケ地誘致活動等にも力を入れてまいります。 今後とも、島の魅力ある旅行商品の造成支援や効果的な情報発信など、離島への誘客促進に努めてまいります。 次に、離島への修学旅行誘致の県の取組についてのお尋ねでございます。 修学旅行の誘致については、県観光連盟と地元市町が連携し、県外学校等への営業活動や情報発信などに取り組んでおります。 また、今年度から離島地域における新たな取組として、島民との交流やSDGsに関する教育旅行プログラムの造成等の支援も行っているところでございます。 今後は、さらなる修学旅行誘致活動の強化を図るため、県観光連盟が中心となって、市町観光協会や観光事業者等で構成する協議会を立ち上げることとしております。 県といたしましても、本協議会の中で、関係者との情報共有を図るとともに、本土と離島の広域周遊ルートの形成や合同セールスの実施など、離島へのさらなる修学旅行誘致に取り組んでまいります。
○議長(徳永達也君) 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) 大石知事をはじめ、執行部の皆様、ご答弁ありがとうございました。 残った時間、幾つかの項目について再質問をさせていただきます。 福江空港について。 福江空港への給油施設の導入については、五島市と連携してしっかりと取り組んでいかれることを要望します。 また、大型チャーター便誘致には、給油施設のほか、消火・救難体制の充実も重要な要素となっており、消火・救難体制を強化することで誘致が促進されると考えておりますが、県のお考えをお尋ねいたします。
○議長(徳永達也君) 土木部長。
◎土木部長(中尾吉宏君) 空港で受入れ可能な航空機の大きさにつきましては、化学消防車の台数や規模、医療資器材の配備状況など、消火・救難体制により制限されており、空港カテゴリーとして区分されております。 福江空港は、現在、就航している定期便に対応し、乗客100人程度の航空機が利用できる空港カテゴリー6となっており、空港カテゴリー7となる乗客200人程度のチャーター便には対応しておりません。 このため、不足する医療資器材を整えることで空港カテゴリー7へ引き上げ、チャーター便誘致による地域活性化に結びつけていきたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) 次に、道路行政について、お尋ねをいたします。 岐宿町河務から戸岐橋を経由し、福江までを結ぶ一般県道河務福江線については、順次道路整備が進められているところでありますが、ドンドン渕付近から戸岐ノ首までの区間は、生活道路や観光地である堂崎天主堂へのアクセス道路として多くの市民や観光客が利用されております。 しかしながら、この区間は道幅が非常に狭く、観光バスと離合の際には脱輪する車両もあるなど、大変危険な状況であり、何らかの対策が必要だと考えております。 また、主要地方富江岐宿線のうち、二本楠から富江間においてはバス路線となっており、一部、待避所の整備が行われておりますが、ほとんどの区間において道幅が狭いため、バスなどによる事故が懸念されております。 さらに、災害発生時には、主要地方道福江富江線の迂回路としても重要な役割を担っていることから、これまで以上の整備促進をお願いしたいと考えております。 そこで、この2路線について、今後の整備方針について、お尋ねをいたします。
○議長(徳永達也君) 土木部長。
◎土木部長(中尾吉宏君) 県道河務福江線の未整備区間でありますドンドン渕付近から戸岐ノ首間につきましては、交通量や地形の状況によりまして抜本的な対策が難しいことから、当路線の整備中区間の進捗状況を見ながら、待避所整備などの対策について検討してまいりたいと考えております。 もう片方の県道富江岐宿線の岐宿町二本楠から富江町間につきましては、バス路線でありまして、災害発生時には県道福江富江線の代替路となることなどから、地域にとって重要な道路となっております。 現在、防災機能の強化を目的とした法面対策工事を行っているところでございまして、引き続き、この区間の整備の必要性について検討してまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) 今回は道路行政における未整備区間についての質問を行いました。 道路が整備されていても、道路脇の斜面から木々が道路に覆いかぶさるなどして、車や人の通行に支障になっているところもあります。 五島市内の国県道においては、近年、通行に支障となる木々の伐採を積極的に実施していただいておりますが、今後も引き続き対応していくことをお願いいたします。 次に、肉用牛生産拡大と今後の取組について、繁殖牛経営が新たに肥育に取り組むための支援については、子牛と肥育牛の出荷頭数の乖離を解消し、生産バランスの改善を図るための有効な手段であり、推進をお願いします。 一方、飼料価格高騰に対応するための自給飼料増産が重要と考えますが、県の取組について、お尋ねをいたします。
○議長(徳永達也君) 農林部長。
◎農林部長(綾香直芳君) 本県では、肉用牛の自給飼料増産に向け、飼料作物の作付推進や、収量、栄養性に優れる品種への転換、放牧の推進、飼料生産受託組織の育成などの取組を進めてきたところです。 さらに、令和6年度からは、これまで輸入に依存してきた子実用トウモロコシを県内で生産できるよう、機械等の導入について支援することとしております。 このような取組により、飼料価格高騰の影響を軽減し、肉用牛経営の安定につなげてまいります。
○議長(徳永達也君) 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) 肉用牛の一貫経営に向けた支援に加えて、放牧の推進やトウモロコシ等の自給飼料生産への支援を実施いただけるとのことで、今後も生産基盤強化のために、引き続き、県の支援をお願いいたします。 肉用牛農家が苦しむ中、農林部長におかれましては、五島家畜市場で子牛の価格下落が最も大きかった昨年9月に五島まで足を運んでいただき、若手農家との意見交換会を行っていただきました。 そうした意見交換会等を踏まえ、昨年11月に補正予算において、県においても支援を行っていただいたこともあり、大変感謝しております。 改めて、肉用牛農家の経営継続に向けた農林部長の思いを一言お願い申し上げます。
○議長(徳永達也君) 農林部長。
◎農林部長(綾香直芳君) 子牛価格が大幅に下落する中、昨年9月の五島での若手農家の皆さんとの意見交換をはじめ、県内各地の肉用牛農家の方々とお会いをし、意見交換をさせていただきました。 農家の皆様から経営の現状など、伺った話を参考にさせていただいて、昨年11月に県としての支援策を措置させていただいたところですが、引き続き、肉用牛農家の皆様が希望を持って生産に取り組めるよう、施策の推進に努めてまいります。 また、肉用牛農家の皆さんの所得の向上を図っていくためには、長崎和牛の消費拡大も重要と考えております。引き続き、農家の方々や農業団体の皆様と一体となって、海外への輸出も含め、長崎和牛の消費拡大に努めてまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) 五島におかれましても、クラスター事業によって若者があらゆる畜産業を営んでおります。しかしながら、このように価格が下落している中で、今後どのように農業、畜産をやっていくのか、非常に悩んでおられます。さらなる県のご支援を賜りますよう、切にお願い申し上げます。 次に、海業の振興について、各地で取り組んでいる現場や、これからの取組を検討しようとする地区の中には、人手不足やノウハウの不足など課題があり、なかなか進展しないという状況も聞いております。 今後、新たな取組を展開していくうえで、これからの課題を克服していくのが重要だと考えますが、県の考えをお尋ねいたします。
○議長(徳永達也君) 水産部長。
◎水産部長(川口和宏君) 海業の担い手確保は、大きな課題ですが、県内で取組が進んでいる地域では、漁協だけでなく、地域の観光協会や行政等で構成する協議会を立ち上げ、役割を分担しながら、事業の企画やモニターツアーなどを行っている事例があります。 また、漁協の担当職員が、民間のコンサル業者と連携して、訪問客の分析を行いながら、新たな観光メニューの開発やPR方法の工夫などに取り組んでいる事例もあります。 県としては、こうした先進事例やキーマンなどを紹介しながら、各地域の状況に応じた海業の取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○議長(徳永達也君) 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) 最後に、大石知事に改めて離島への思いについて、お尋ねいたします。 令和4年3月の知事選挙の結果、大石知事が就任され、昭和45年から昭和57年まで3期12年にわたって知事を務められた久保勘一元知事以来、実に40年ぶりの五島出身の知事が誕生されることとなり、島民にとって大きな誇りであります。 ご承知のとおり、久保元知事は、日中国交正常化直後、全国に先駆けて本県使節団による訪中を実現し、その後、世界初の海上空港である長崎空港の開業など、数々の業績を残されました。 同じ五島出身で、若く、留学経験や医師としての専門性を有する大石知事には、本県離島の振興や県全体の将来のかじとりについて、地元から大きな期待が寄せられているところであります。 課題が山積する長崎県にあって、産業振興、医療・介護、行政コストなど、様々な面でさらに不利な条件にある中、いかにして地域の社会経済を持続可能なものとし、将来にわたって住み続けられる島をつくるのかが、離島振興の大きな課題であります。 就任以来、これまで知事も熱い思いを持って離島振興に取り組んでこられたと思いますが、離島の将来へ向けた知事の思いについて、改めてお伺いいたします。
○議長(徳永達也君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 私自身、離島で生まれ育った一人として、皆様方の期待といったものを感じておりますし、また、離島を取り巻く厳しい環境も十分に理解をしているつもりでございます。 一方で、離島には豊かな海であったり、また、それによって育まれた食の魅力、個性あふれる文化や美しい自然といった、ほかにはないポテンシャルがあるというふうに思っております。こういったものを最大限活用して、国内外にしっかりとその魅力を伝えて誘客をしていく、PRをしていくといったことが重要ではないかと考えています。 また、離島だからこそ、ドローンの社会実装が進んでいるように、地域特有の課題もございますけれども、最先端のデジタル技術でその課題を克服するといったチャンスもあるというふうに思っております。それによって地域の活力も伸びていくのではないかと思います。 今回、県民の皆様が本県への未来に対して、誇りであったり、期待といったものを持っていただけるように、また、大きな夢を描いて長崎県を一緒になって前に進めていただきたいという思いからビジョンを策定させていただきました。 離島においても同じでございまして、このビジョンに掲げるような施策に取り組むことで、選ばれる新しい長崎県づくりの実現につながると思いますし、議員からご指摘いただきましたように、将来にわたっても住み続けられる島をつくっていくといったことにもつながっていくのではないかと思っています。 いずれにせよ、離島振興も含めてでございますけれども、長崎県全体の発展のために、引き続き、力強く取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(徳永達也君) 清川議員-14番。
◆14番(清川久義君) 知事、ご答弁ありがとうございました。 これからも知事の持つ若いパワーと、そして即戦力をもって、県勢発展のためにご尽力賜ることを切にお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(徳永達也君) これより、しばらく休憩いたします。 会議は、2時45分から再開いたします。 -午後2時31分 休憩------------------------------------ -午後2時45分 再開-
○副議長(山本由夫君) 会議を再開いたします。 引き続き、一般質問を行います。 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) (拍手)〔登壇〕改革21、国民民主党の中村泰輔でございます。 まずは冒頭、能登半島地震でお亡くなりになられた皆様に、心からお悔やみを申し上げます。 また、本日、多くの方々に傍聴にお越しいただきました。本当にありがとうございます。 それでは、一問一答方式にて質問をさせていただきます。 1、1期目折り返しを迎えた知事の認識と令和6年度新年度予算編成について。 (1)県経済に対する知事のこれまでの取り組みと現在の認識。 ①知事が長崎県の経済のために2年間何を感じて、何に力を入れ、今の長崎県の経済をどのように認識しているか。 知事が就任された2年間はアフターコロナの局面で、本県経済は回復基調にあると認識しています。 お手元のこちらの資料1枚目、(資料掲示)上は、長崎の経営者が回答された過去10年の県内・国内経済、それぞれの景気動向指数ですが、知事就任後、国内経済と比べて県内経済の方が回復基調にあると見ている長崎の経営者が多いことがわかります。 また、下は、日銀短観における雇用人員判断ですが、知事就任後は、全国と比べて長崎県の人材不足が、より顕著です。人口流出の側面より、経済活性化による人材難の側面が強いと私は感じています。 知事は、県経済のために、2年間何を感じ、何に力を入れ、今の長崎県の経済をどのように認識されているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 〔登壇〕中村泰輔議員のご質問にお答えさせていただきます。 本県は、古来から、各種文物が伝来をし、それらを求めて希望や期待を抱いた多くの方々が集まって、様々なチャレンジが行われた場所であったと認識をしております。 私は、本県経済の活性化のためには、こうした長崎のDNAをよみがえらせ、チャレンジできる環境をつくっていくことが重要であるというふうに考えております。そのことから、人や企業を呼び込みながら、働く場づくりと人づくりの好循環を生み出すことに注力をしてまいりました。 具体的には、半導体や航空機、海洋エネルギー関連産業の新たな基幹産業としての確立や、もうかる農林水産業のための環境づくり、移住者の呼び込みと定住促進など、様々な分野にチャレンジされる皆様を積極的に後押しをしてきたところであります。 この間の経済状況については、日銀長崎支店の県内金融経済概況によりますと、長期化する物価高騰などの影響がありつつも、本県の景気や個人消費は段階的に回復基調にあり、直近においても緩やかに回復しているとされていることから、これまでの施策が回復基調を下支えしているものと認識をしております。 しかしながら、国際情勢など不安定な要素もあることから、県内経済の状況を引き続き注視しつつ、力強い産業づくりに取り組み、本県経済の持続的な発展につなげてまいりたいというふうに考えております。 以後のご質問につきましては、自席から答弁をさせていただきます。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 知事、ありがとうございました。長崎人のDNA、チャレンジができる本県をつくるんだと、そういった知事の思いもいただきました。 本年はスタジアムシティが開業をします。本県は今、100年に一度の大変革期と言われております。その集大成の時だと思います。その期待感を追い風に、大石知事の若いリーダーシップで、県経済を力強く導いていただくことを要望いたします。 (2)令和6年度新年度予算編成における県経済浮揚のための施策。 令和6年度予算編成における県経済発展のために込められた知事の思いと考えについて、お尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 私は、県勢発展のためには地域経済のさらなる活性化が不可欠であると考えております。 令和6年度当初予算におきましては、力強い産業の振興を注力する分野として掲げまして、各種課題にしっかりと対応することとしております。 具体的には、先ほど申し上げましたけれども、半導体、航空機や海洋エネルギー関連産業等を本県の新たな基幹産業として発展させていくため、サプライチェーンの構築であったり、受注拡大を促進するとともに、農林水産業における生産性向上や輸出拡大の取組のほか、観光面における誘客促進やインバウンド受入れ環境の整備等を支援してまいりたいと考えております。 こうした施策の実現に向けては、県のみで行うことは困難だというふうに思っております。市町や関係団体等の皆様と一体となって、全力で取り組んでいきたいと思います。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 産業分野は、半導体、航空機、海洋エネルギーの基幹産業化と、農林水産業分野は、生産性向上とか、観光産業はインバウンド、こういったところに県政の力点があるということを確認させていただきました。 産業の主要4分野の中で「海洋エネルギー」と「航空機産業」に関する立ち上げ当初からの県政策の進化の変遷と今後について、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 海洋エネルギー関連では、令和元年に全国で初めて再エネ海域利用法に基づく促進区域となった五島市で、新たな雇用が創出されるとともに、昨年12月に発電事業者が決定しました西海市では、今後、地元への大きな波及効果が見込まれるなど、県内企業の参入も本格化してきております。 また、航空機関連では、三菱重工航空エンジンの誘致実現後、県の働きかけにより、県内企業の受注機会が拡大したことで新規参入が加速化され、認証取得企業数が見込みも含め九州トップの14社となるなど、本県は、国も注目します九州を代表する航空機産業集積県となっております。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 私は、前職がエンジニアでございました。当時、長崎で洋上風力や航空機関連の産業は芽が出ていませんでした。 つまり、要は、県が明確なビジョンを持っていたと、ビジョンだけしか、その時はなかったけれども、段階的に施策を打っていく中で今の結果が出ていると思います。多額の産業分野予算がつけられていますけれども、ぜひとも常々考えていただきながら、効果的な施策を打っていただきたいと思います。 次に、海洋エネルギーと航空機産業に関して、県内企業のサプライチェーン強化について、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 海洋エネルギー関連については、市町の意向を踏まえた新たな案件の形成に努めながら、今後、導入が見込まれる浮体式も含め、洋上風力発電関連産業の様々な分野における県内企業の参入を支援してまいります。 また、航空機関連では、海外におけるサプライチェーンの再編を見据え、中核企業を核とした受注獲得を目指し、国内外の大手メーカーとのマッチングなど、さらなる強化に向けた取組を加速させてまいります。 今後とも、新規参入や受注獲得を後押ししながら、県内サプライチェーンの構築、強化に努めてまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) サプライチェーン強化で、ぜひとも県内企業の仕事を増やしていただきたいと思います。 先ほどのご答弁で、洋上風力の浮体式についてふれていただきました。 国では、EEZまで洋上風力の設置箇所を拡大する方針です。日本の国土はEEZまでで世界6位、アジア最大のマーケットと呼ばれる所以がここにございます。 一方で、深い海底のEEZでは、先ほど答弁があったように浮体式の洋上風力発電が必須となります。 昨年、予算額850億円で経済産業省が進める浮体式実証事業の採択があり、全国で4か所が選定をされました。しかしながら、残念ながら、本県は国への情報提供にも至っていません。 今後、国から同様の募集があった場合の意思について、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 国のグリーンイノベーション基金による実証事業は、実証後の商用化を目指すものであり、市町や利害関係者の合意形成が前提となりますが、今回は該当する海域がなかったと承知しております。 一方、浮体式洋上風力発電は、県内企業が造船業で培った人材や技術を活かせる分野であるため、大手企業とのマッチング支援や設備投資の後押し等により、県内企業のサプライチェーン参入を目指していきたいというふうに思っております。 今後とも、国の動向等、積極的に情報収集を行って市町に対し提供するとともに、導入に向けた環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) なかなか難しかったけれども、実現できなかった、採択まで至らなかった、希望も出せなかったと、そういったことだったと思います。 しかしながら、この国の採択、4か所が選定をされておりますけれども、その中に愛知県があるんです。愛知県は、誰もが知る自動車、また航空機産業の集積地であります。にもかかわらず、洋上風力まで取りにいこうとされています。いろいろ確認をさせていただくと、愛知県は、やはり民間と強く連携をして、この4か所に入り込んでいます。 長崎は、造船の技術を活かした洋上風力発電を期待されていますけれども、特に、浮体式構造物が、その恩恵、また技術を活かせると言われています。大島造船所も浮体式構造物の製造に取り組む旨を昨年発表されています。 そして、次の質問に移りますけれども、こちらの国の資料で、(資料掲示)西海市江の島の促進区域で利用する港湾について書いていますが、港湾は、北九州港を利用するとあります。本県は、洋上風力の基地港湾と呼ばれるもの、これがない、だから北九州を利用するということです。 国は、基地港湾が不足していることを指摘しまして、基地港湾指定の意向調査を行いました。しかしながら、この意向調査に応じた県がどこかという国の資料がございますが、本県の名前がありません。 国の意向調査にどう対応したのか、ご答弁をお願いいたします。
○副議長(山本由夫君) 土木部長。
◎土木部長(中尾吉宏君) 国が実施しました基地港湾の意向調査には、長崎港で意向ありと回答しましたが、公表された資料には長崎港の記載はなく、理由も明らかにされませんでした。 国におきましては、今年度、製造された資材の保管や維持管理の基地となる港について検討を進めていると聞いておりまして、引き続き、国の動きを注視し、検討してまいりたいと考えております。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 事前に確認をさせていただいておりますけれども、正直、理由がわからないということです。 ここではっきりすることは、九州で北九州港と伊万里港、これがやっぱりものすごく強いんです。国の資料にも、北九州港と伊万里港のスペック、用地面積とか岸壁の長さを書いています。ものすごく強いです。要は、ここが圧倒しているということが明らかになりました。 しかしながら、基地港湾というのは、物流、また組立ての拠点でございまして、地域のサプライチェーンの構築に寄与するんです。西海市江の島の仕事が、北九州のメーカーに流れていってしまうことがあり得るということを強く指摘させていただきますし、長崎港は、先ほどおっしゃったように保管港や維持管理港、ここで確実に仕事を取っていける、また、その可能性があると思いますので、ぜひともよろしくお願いします。 (3)物価高を踏まえた県民所得向上に向けて。 ①地方中小企業に賃上げを波及させるための知事の発信について。 本県は、県民所得向上対策として数値目標を掲げ、産業振興を進めてきました。 一方、日本全体に目を向けると、大企業を中心に賃上げの動きが活発になっています。今後は中小企業に波及するかが重要です。 県内中小企業に対して、知事から、賃上げを促すためのメッセージを発信していただけないでしょうか。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 県としては、持続的な経済成長のためには、企業の生産性向上を図るとともに、その成果をしっかりと労働者の処遇改善という形で分配することが必要だというふうに考えています。 このような中で、賃上げ機運の醸成などを図るために、県からの呼びかけによって、昨年6月でありますが、私も出席したうえで、県をはじめ国や県内経済団体など13団体で、「価格転嫁の円滑化に関する連携協定」を締結したところでございます。 このことによって、価格協議に応じることなどを宣言した「パートナーシップ構築宣言」の企業数は、締結当初は185社ありましたけれども、2月21日時点で、これが294社となるなど、一定の拡がりを見せてきております。 一方で、県内全体で賃上げの機運を醸成するためには、さらなる取組が必要だというふうに考えております。 今後とも、引き続き、県内産業の成長と分配の好循環につなげられるよう、私も先頭に立って、中小企業の賃上げ機運の醸成を図っていきたいというふうに思います。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 知事から、しっかりとした思いをいただいたと思っております。経営者の皆様との日頃の意見交換の場、または挨拶の席など、ぜひともご発信をお願いしたいと思います。 (4)社会減対策に対する知事の認識と外国人材の活躍推進。 ①社会減対策の継続と進化について。 本県は、社会減対策に取り組んできましたが、若者の人口流出に歯止めがきかず、就職、進学におけるタイミングで流出が顕著であるのは、この数十年変わりません。 来年度予算を踏まえ、社会減対策の継続と進化について、知事にお尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 本県の令和5年の社会減につきましては、コロナ禍による移動制限が緩和されたこと等によって外国人は転入超過となりましたけれども、県全体では転出超過となっております。これは大きな課題であるというふうに認識を、まず受け止めをしております。 そのため、令和6年度の当初予算におきましては、社会減の抑制に向けまして、雇用拡大につなげるため、半導体、航空機及び海洋エネルギー関連産業等の基幹産業化に向けた誘致、育成の取組など、産業振興の基盤となる施策について、引き続き、着実に推進をしてまいりたいと思います。 こうしたことに加えまして、新たな取組として、若者等の雇用の場を創出、拡大するため県内企業の上場に向けたチャレンジを支援するとともに、IT関連産業におきます人材ニーズに対応するため、産官学が連携をしまして、高度な専門知識を有する外国人材の確保を支援する体制を構築することとしております。 さらに空き家対策としまして、空き家等管理活用支援法人と連携をしまして、相談対応や活用、管理等に取り組む市町を支援するほか、交流と婚活の間をつなぐ「ながさきめぐりあいイベント」の実施等を通じまして、移住にもつながる施策の拡充を図ったところでございます。 県としましては、引き続き、人口減少の抑制に向けて、県民の皆様の声もお聞きしつつ、常に新たな発想や視点を取り入れながら、市町や関係団体等とも連携のうえ、施策のさらなる強化を図っていきたいと考えています。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 継続というところと新しい視点、両方ともご答弁をいただいたかと思います。大変難しい問題ですけれども、ぜひとも、たくさんの施策を組み合わせながら引き続き取り組んでいただきたいと思います。 ②外国人材確保に向けた他県に負けない部局横断的な戦略的な取り組みについて。 さて、本県の人材難の状況下、各分野では外国人材の獲得を求める声が高まっております。他県に負けない部局横断的な戦略的な取組について、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部政策監。
◎産業労働部政策監(宮地智弘君) 県では、労働人口が減少する中、本県産業を支える担い手として、外国人材の確保、育成は重要な課題であると考えております。 このため、農業分野において、特定技能制度を活用した受入れを進めるほか、介護分野では受入れ施設の増加などを図ってまいりました。 このような中、県では、国の動きや庁内での情報共有を図るため、副知事をトップに関係部局で構成する庁内連絡会議を開催し、法務省及び大手商船会社の担当者から、在留資格の概要などについて説明を受けました。 今後とも、国の動向や県内経済の状況を共有するため、必要に応じ庁内連絡会議を開催してまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 副知事トップの部局横断会議を実施いただいていること、感謝申し上げます。 他県を調べました。大阪では、相談からマッチングまでのワンストップで行う「大阪外国人材採用支援センター」というものがございました。こちらでは、外国人材の採用戦略アドバイザーを配置されているようです。 このワンストップセンター配置について、本県のご見解をお尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部政策監。
◎産業労働部政策監(宮地智弘君) 県では、現在、外国人の採用支援について、求められる人材の能力や働き方が違うため、農業や介護など個別の分野ごとに支援を実施しており、今後、観光分野についても取組を進めることとしております。 議員ご提案の「大阪外国人材採用支援センター」と同様な拠点の設置については、現在の取組と比較し、より効率的かつ効果的になるのか、さらに、大都市と違う本県において十分な活用が見込めるのかなどの観点から、庁内連絡会議において、どういったあり方ができるのかも含め、研究を進めてまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) ぜひとも他県の取組を調べていただいて、本県が先にいくと、そういった戦略的な取組をお願いいたします。 ③日本のシリコンバレーとなるためのアジア人材獲得戦略について。 さて、本県はデジタル分野を産業の一つの柱としています。世界から優秀な人材が集まるシリコンバレーのように、日本人の能力を引き上げるアジアの優秀な人材獲得について、ご見解をお尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部政策監。
◎産業労働部政策監(宮地智弘君) 県では、新たな企業誘致や地場企業の規模拡大など、IT関連産業のさらなる振興を図るためには、県内企業が優秀な人材を確保できる環境を整えることが必要と考えております。 そのため県では、県内大学からの人材確保に加え、高度な専門知識を有する外国人材の確保を支援する体制を構築するため、令和6年度当初予算において、外国人IT人材確保促進事業を計上しております。 本事業では、県を中心に長崎大学、県立大学、長崎市、佐世保市、産業振興財団等が連携して、バングラデッシュのIT人材の確保を支援する「長崎県モデル」を構築し、これを本県の強みとして、新たな企業誘致や地場企業の規模拡大につなげるなど、IT関連産業の振興を図ってまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 今回の外国人IT人材活用事業は、産学官が連携した「長崎モデル」ということで、優秀な外国人材が集積する国際都市長崎を期待いたします。 資料の2つ目、(資料掲示)こちらをお渡ししております。時間もないので手短に説明をしたいんですけれども、これは質問はいたしません。 厚生労働省のデータから、各県の状況、また各国、受入れ国がどのような状況になっているのか、これを全在留資格者の数値と労働力人口で計算をしています。 結果的に申し上げますと、合計のところを見ていただくと、特に、九州各県で比較していますけれども、長崎県は、他県よりたくさんの人材を獲得できていないというふうに私は見ています。ですので、副知事をトップとする会議において、こういった形で、特に、九州各県がどのような状況にあるのか、これを見ていただきながら戦略的な取組をお願いしたいと思います。 (5)合計特殊出生率2を目指した自然減対策に対する知事の認識と人口戦略会議の提言。 知事が特に思いが強い、こども子育て支援に関して、知事就任後2年間の手応え、そして課題について、お尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 私は、これまで、こども施策を県政の基軸に位置づけまして、限られた財源の中ではありますけれども、関連施策の充実、強化に努めてまいりました。 具体的には、本県独自の子ども医療費助成制度等を導入したほか、新年度におきましては、保育士等の処遇改善支援制度の創設などに取り組むこととしております。 また、市町等とも連携を図りながら、きめ細やかな施策も含め、様々な施策を今後も実現していきたいというふうに考えています。 一方、児童虐待や不登校の増加など、子どもを取り巻く環境は厳しさを増しております。子どもたちが安全・安心に健やかに成長できる社会の実現には、なお一層力を注いでいく必要があるというふうに感じています。 そのため、今回策定をいたしました「新しい長崎県づくりのビジョン」におきまして、「こどもが主役、みんなで育てよう」をテーマに掲げ、地域や多様な民間団体等とも連携をしまして、地域社会で子どもや子育て家庭を守り、支える環境づくりを積極的に進めていくこととしております。 しかしながら、現時点での施策で十分とは考えてはおりません。今後とも、子どもを含め関係者の声に耳を傾けまして、市町や関係団体等のお力をいただきながら、子どもを取り巻く様々な課題の解決につなげていきたいというふうに思っています。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 子どもを取り巻く厳しい環境を踏まえてテーマを掲げていただいたこと、子を持つ親としては大変ありがたく思います。 人口戦略会議でも示された人口安定のための合計特殊出生率2の実現に対する知事の覚悟と発信について。 さて、先月、民間有識者で構成される人口戦略会議において、2100年には少子化対策により合計特殊出生率2.08以上を実現して8,000万人台で安定させるという提言が示されました。 知事就任後の知事説明で、合計特殊出生率2を目指すとございましたけれども、知事、その思いは変わっておられないでしょうか。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 私は、自然減が拡大している近年の厳しい状況に真正面から向き合いたいと思っております。重点的にこの課題には取り組んでいく必要があるというふうに考えておりますし、県民の希望出生率が2.08だったことを踏まえても、合計特殊出生率2を目指す公約といったものは、しっかり取り組む必要があるというふうに思います。 県議会において議決をいただいております県の総合計画でも、合計特殊出生率の目標としまして、令和7年時点で1.93といったものを掲げられています。ですので、この点につきましては、県と県議会が同じ方向を向きながら取り組みを進めているところというふうに認識をしています。 今後につきましても、子どもを持ちたい人が安心して子どもを産み、育てることができる社会、これを実現したいという思いに全く変わりはありません。引き続き、関連施策の充実・強化に全力で取り組んでいきたいというふうに考えています。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 合計特殊出生率2を長崎県の旗印として、知事、2100年の未来の長崎のために、県民とともにその礎を築いていく熱い思いを県民に対して常に発信していただきたいと思います。これはお願いに代えさせていただきます。 それでは、足元に目を向けます。今後、知事のこども子育て支援策の成果が問われることになろうかと思います。知事の肝入りで多額の県の一般財源を投資した高校生医療費助成制度の成果を今後どう評価されるのか、知事にお尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 少子化の背景には、結婚や出産など様々な要因が複雑に絡みあっているというふうに考えています。そのことから、課題解決に向けては、多様な施策に包括的に取り組んでいくことが必要になります。 この子どもの医療費助成制度も、そうした施策の一つであるというふうに考えておりますけれども、今年度から着手をした事業でございますので、現時点においては、その成果を評価するのは非常に難しい状況であると思います。ですが、今後、評価のあり方を研究のうえ、成果の把握等に努めてまいりたいと考えています。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 成果については、今後、研究・検討していくということでございました。 私は、合計特殊出生率1.6台を2.08に引き上げるためには、2人目をどうしたら産み育てられるのか、この問いをずっとし続けていって、そこで出される施策を地道にやるしかないと思っておりますので、ぜひともお願いしたいと思います。 (6)「ミライ県庁Nagasaki」県庁職員による政策提案コンテスト。 先週末に、スタートアップのビジネスコンテストに私も少し顔を出しました。大変活気がございました。 一方、県庁の職員の皆さんは、長崎で最も優秀なコンサルタントです。そこで、県庁職員による政策提案コンテストの実施を提案いたします。地元企業やベンチャーと連携しての参加も可、審査委員は知事、副知事、
教育委員会教育長。 提案と現施策の化学反応で、イノベーションが生まれる可能性もございます。職員のモチベーションアップにつながる取組として、知事にご見解をお伺いします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 県の施策を構築するに当たりまして、若い職員の意見を酌み取って反映していくことは非常に重要だと認識をしています。 そのため、「新しい長崎県づくりのビジョン」を今回策定いたしましたけれども、この策定段階などにおいて、直接、若手職員から私にアイデアを提案してもらう機会を設けてきたところでもございます。 また、ビジョンの実現に向けましても、若い職員を含め、関係部局が所属の垣根を越えて意見交換を行いながら、一つの事業としてつくり上げ、政策横断、融合的に取り組み、施策の効果の最大化を目指していくこととしています。 引き続き、若い職員をはじめ職員との対話の実施を心がけるとともに、議員からご提案いただいたコンテストと趣旨を同じくするような、意見やアイデアを出しやすい職場づくりといったもの、仕組みづくりについても検討をしていきたいと思います。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 職員の皆さんに対しての思いやメッセージもいただいたと思います。 今回は例として、こういう政策コンテストを申し上げましたけれども、職員の意見を聞く手段、また機会を、ぜひともたくさん設けていただければと思います。 2、長崎が他県との地域間競争を勝ち抜くための戦略について。 (1)「長崎海洋産業都市構想(Nagasaki Marine Science Park)」に関する知事の見解。 ①長崎の特徴を活かした「長崎海洋産業都市構想」に関する知事の見解について。 長崎県は、日本西端で地の利がないと言われますが、三方を海に囲まれた海洋県でございます。海のポテンシャルを有しています。 産業振興においては、洋上風力発電、潮力発電、水素製造、クルーズ船のメンテナンスを含む造船、水中機器、水中ドローン、創薬などがあります。 水産業振興においては、スマート水産業、スマート養殖、資源管理DX、ブルーカーボンなどがあります。 離島振興においては、マリンスポーツ、自動運航船、水上飛行機、物流ドローンなどがあります。 地域振興においては、お魚を中心とした食、ベイエリア、クルーズ船の誘致などがございます。 これらを部局横断で取り組むことにより、長崎イコール海洋産業のイメージ化を図り、民間投資を呼んで実証フィールドから産業化と、単体での成果以上の期待ができると私は考えております。 知事のリーダーシップで、長崎をマリンサイエンスパークに導いていただけないでしょうか。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) ただいま議員からも本県の海洋に関する魅力を語っていただきましたけれども、本県の海洋のポテンシャルを活かして産業振興を図ることは、海洋県である本県にとって非常に重要な視点だというふうに思っています。洋上風力発電事業など商用化に向けた取組が現在着実に進められているところと承知をしています。 また、長崎大学を中心に産官学が連携し、養殖業の新たな産業化に取り組む「ながさきBLUEエコノミープロジェクト」が推進されるなど、本県の特色を活かした産業の創出にも一定程度つながっているものと認識をしています。 引き続き、海洋資源、非常に豊富なものがありますけれども、このさらなる活用について、どのような取組が効果的なのか、不断に研究を重ねていきたいと思っております。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 知事が海のポテンシャルを十分にご理解いただいていること、よくわかりました。ぜひとも検討、研究、よろしくお願いします。 (2)「長崎海洋産業都市構想」に関するこれまでの県の取り組み。 ①令和2年6月定例会での質疑答弁を受けてのこれまでの取組について。 先ほど申し上げました海洋産業都市構想、令和2年の6月定例会で、私は県の方に提案をさせていただきました。 その後の取組について、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 海洋エネルギー関連産業については、本県海域において、五島市沖及び西海市江島沖が促進区域に指定され、洋上風車の製造から設置後の維持管理まで、幅広い分野でビジネスチャンスが生み出されているところでございます。 県としては、この機会を逃すことなく、県内企業の受注獲得につながるよう、サプライチェーン構築に向けた分野ごとのマッチング支援や、新たな設備投資等への後押しを行ってまいりました。 今後、これまでの取組をさらに加速させることにより、海洋エネルギー関連産業を本県の基幹産業として発展できるよう力を注いでまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 県がおっしゃる海洋産業は、ほぼ洋上風力発電なんですね。 私は、前職の時に日本初の洋上風力発電の基本設計を経験したことがございます。その価値は十分にわかっておりますけれども、ここでは、洋上風力だけでなく、海洋一体で取り組むことの価値を改めて申し上げます。 (3)「長崎海洋産業都市構想」を実現するための新たな取り組み。 ①マリンオープンイノベーション機構設立について。 令和2年の質問から時間はたちました。その間、静岡県が、マリンオープンイノベーション機構というものを立ち上げて活動されています。こちらが、静岡県の海が写ったパンフレットでございます。(パンフレット掲示)海に特化したというところで、県の単独財源で運営をしているようです。 私も静岡まで視察に行きました。私が希望するように、海洋分野に対して幅広く横串を刺しておられます。そして、今年の夏には海外カンファレンスを開催して、今後は特区構想があるようです。 本県も、静岡県のように幅広い海洋専門の組織体を立ち上げることを提案いたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県におきましても、海洋エネルギー関連産業の基幹産業化を目指し、これまで海洋産業クラスター協議会や大学など産学官の連携の下、県内企業の専門人材の育成、共同受注体制の構築等に取り組んでまいりました。 また、令和2年に長崎大学と県で設置しました「長崎オープンイノベーション拠点」において、海洋も連携分野として位置づけ、企業と連携しながら共同研究などに取り組んできたところであります。 県といたしましては、これらの取組に注力するとともに、議員ご提案の組織につきましては、その成果や他県の事例も含め情報収集をしてまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) なかなかすぐ簡単にはできぬということだと思います。 ②海洋クラスターとの連携、バーチャル組織立ち上げ、産業振興財団での海洋産業専門部署立ち上げ、長崎サミットの議題等について。 それでは、今の海洋産業クラスターの機能拡大ができないか、また、バーチャル組織をつくることはできないか、県の産業振興財団に海洋専門部署を立ち上げることはできないか、また、長崎サミットの議題にできないか、これらを提案いたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県では、海洋エネルギー関連産業にかかる県内企業の受注獲得を支援するため、産業振興財団にプロジェクトマネージャーを配置するなど、議員のご提案の組織の一部機能については、現在の組織体制で担っているものと考えております。 まずは県において、先ほどご答弁しましたとおり、海洋産業における具体的な取組を進めながら、どのような議論ができるのか、検討してまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) なかなかですね、組織を立ち上げるというのはすごく難しいことですので、課題も状況も理解いたしております。検討をぜひともお願いします。 ③県が考える取り組みについて。 長崎大学では、海洋未来イノベーション機構を立ち上げています。これは、水産学部や工学部が、学部の垣根を越えて分野融合的に、私が申し上げるような海洋産業の振興に取り組んでおられます。こうした大学の取組を、ぜひとも県のリソースと考えていただきたい。各大学と連携をしていくことこそが、海洋産業都市構想のエンジンになると私は考えています。 まずは、県と大学の連携拠点である長崎オープンイノベーション拠点、こちらは先ほどおっしゃっていただきましたけれど、ここで海洋産業都市構想に向けて議論をされることを提案ではなくて、お願いとさせていただきます。 ④未来大国のビジョンについて。 海洋産業都市構想を未来大国のビジョンに追加していただきたいですけれども、これも提案ではなく、お願いとさせていただきます。 離島半島が多い我が県で、これはさっき調べました。我が県は、21市町全てが海に接しています。佐々町が佐世保市に囲まれているんじゃないかと思って見たんですけれど、佐々町も海に接しておりましたということで、多分、21市町が海に接している県は、もしかしたら、我が県しかないかもしれません。 そこで、知事が原点のベクトルがなければ、なかなか同じ方向を向いてやることはできないと思いますので、そのことを最後にお伝えをさせていただきます。 (4)知事が考える他県との地域間競争を勝ち抜くための経済産業政策。 知事は、長崎県が地域間競争を勝ち抜くための経済産業政策をどう考えていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 本県の産業政策につきましては、造船業に次ぐ基幹産業の創出が、まず必要だというふうに考えております。 半導体、航空機、海洋などの成長分野におきまして、大規模で良質な雇用の創出に努めるとともに、県内企業への波及効果を高める取組を進めてきております、既にですね。 この結果、今後10年間の県内企業の半導体関連によります設備投資の経済波及効果につきましては、九州経済調査協会の試算によりますと、熊本県の約10兆円に次ぐ2兆6,000億円とされています。 航空機関連につきましては、長崎市に立地をしました大手企業の工場拡張が続きまして、市場参入に必要な認証取得企業数は、先ほど部長から答弁ありましたけれども、九州トップの14社となるなど、九州を代表する航空機産業集積県となっています。 引き続き、造船業に次ぐ基幹産業の創出に向けたアンカー企業の誘致を進めるとともに、サプライチェーンの構築、県内企業の規模拡大に向けた技術力向上や人材確保などを後押しして、「選ばれる新しい長崎県づくり」に全力を尽くしてまいりたいと思います。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 産業主要分野の基幹産業化を基本としたお考えは、私も全く同じでございます。今後、ビジョンにおいても、長崎の特徴を活かした地域間競争戦略についても、ぜひともふれていただきたいと思います。 (5)カーボンニュートラルと産業振興。 ①カーボンニュートラルを産業振興につなげるためのビジョンについて。 昨年8月、三菱重工長崎造船所が、長崎地区の研究所、設計、製造が一体となった長崎カーボンニュートラルパークの取組を発表しました。ほかの県内事業者も、カーボンニュートラルをビジネスと考えておられます。なぜなら、カーボンニュートラルは今後、間違いのない答えだからです。 環境省は、官民が連携したカーボンニュートラルの取組を行う先行地域に、地域脱炭素移行再エネ推進交付金で支援をしています。まさにエネルギーの地産地消という視点でございます。経済産業省は、エネルギーの地産地消による地域活性化、産業振興策について報告書をまとめてホームページにアップされています。 では、長崎県のエネルギーの地産地消という視点で官民連携で、国の補助金などを活用し、確保し、長崎の地で実証をしてイノベーションを起こし、他県や世界に技術を売り込んでいく、売り込める技術開発をしていくこと、つまりはビジネスにつなげていくことの見解をお尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県では、これまで県内企業が取り組む船舶向けの風力推進システムなどの技術開発に対して支援しており、同システムを導入した環境対応船は、県内大手企業により建造され、8%程度の低燃費を実現されております。 県としましては、引き続き、次世代技術の研究開発に取り組む企業間連携を促すとともに、再生可能エネルギーの供給を誘因とした企業誘致に取り組むことにより良質な雇用の創出につなげ、企業や人材から選ばれる地域づくりを目指してまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) なかなか質問と答えが合わないということなんです。私が申し上げているのは、クリーンエネルギーの地産地消です。そこで実証をして技術を開発していく、その技術を県外であるとか、世界に売っていくということでございます。 今おっしゃったのは恐らくウインドチャレンジだと思いますけれども、それ自体は長崎県のクリーンエネルギーの地産地消という視点ではないんです。なので、質問に対しては、お答えいただいていないんですけれども、時間の関係上ですね、また、ぜひとも議論をさせていただきたいと思います。 こちらの資料、(資料掲示)これは国の港湾脱炭素化推進計画推進に関する資料でございます。いわゆるカーボンニュートラルポートです。こちらの資料では、産業振興について、港湾管理者が必要と認めれば計画に定めると記載がございます。 他港では産業振興の議論が、このカーボンニュートラルであっていますけれども、本県のカーボンニュートラルポートの推進における産業振興について、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 産業労働部長。
◎産業労働部長(松尾誠司君) 県では、長崎港のカーボンニュートラルポートに向けた取組を産業振興に結びつけていくには、参画する企業への支援に要する財源として国の交付金等の活用が不可欠であると考えております。 このような交付金の獲得にあっては、県内でサプライチェーンを構成するアンカー企業の存在が必要であり、こうした企業を中心に関連企業や団体、行政機関などの関係者が連携を図る必要があると認識しております。 今後、長崎港のカーボンニュートラルポートの取組の中で、関係者のご意見を伺いながら、県としてどのようなことができるのか、見極めてまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 産業労働部も、ぜひとも協議会に入って、地元企業と連携をして産業振興に取り組んでいただくことをお願いします。 ②長崎港カーボンニュートラルポート計画取りまとめに向けた国内外の他港の調査について。 こちらの計画策定ですけれども、先進的な欧州などの港について調査を行っていくのか、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 土木部長。
◎土木部長(中尾吉宏君) 県におきましては、長崎港における港湾脱炭素化推進計画の策定に当たりまして、国内の他港の事例調査を行い、港内立地企業など関係者と情報共有を行ってきたところでございます。 現在、脱炭素化に向けた削減目標の設定や取組内容の検討を進めておりますが、長崎港の脱炭素化を進めるに当たっては、国外も含めた先進的な取組事例なども注視し、必要に応じて計画の見直しを行ってまいりたいと考えております。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 他港の調査を行っていただいて、策定後も計画がブラッシュアップされるといったことで理解をいたしました。ぜひともよろしくお願いをいたします。 3、教育行政について。 (1)文部科学省調査での全国46番目である「いじめ認知件数」に関する県の見解。 ①教育委員会並びに私立学校所管の総務部の見解について。 文部科学省が毎年度調査をしています、こちらの資料ですけれども、(資料掲示)こちらの調査では、本県の児童生徒1,000人当たりのいじめ認知件数は15件と、これが全国で46番目でございます。全国で最も多い山形県は、1,000人当たりの認知件数は118件、我が県の約8倍です。本県のいじめが本当に少なければよいのですが、実際、いじめが十分に認知されていないという可能性がございます。 教育委員会及び私立学校を所管する総務部は、この調査結果に対して、どのような見解なのか、お尋ねいたします。
○副議長(山本由夫君)
教育委員会教育長。
◎
教育委員会教育長(前川謙介君) 本県のいじめ認知件数が他県と比較して少ない理由につきましては、各学校が丁寧に未然防止に努めてきたことも、その一つであると考えておりますが、件数が少ないことを決して良しとするのではなく、常に見逃しているいじめがあるのではないかとの危機感を持ち、細かなことでも教員間で情報共有していくことが必要だと考えております。 いじめを早期に発見するためには、児童生徒の声を、心の声を逃さず拾い上げることが重要であることから、各学校において教職員による丁寧な見守りや定期的なアンケートを実施し、また、教員のいじめに関する理解や認知力を一層向上させるため、各種研修の充実にも努めてまいります。
○副議長(山本由夫君) 総務部長。
◎総務部長(中尾正英君) いじめの認知につきましては、教育委員会の見解と同様に、件数が少ないことを良しとするのではなく、常にいじめを見逃していないかとの危機感を持ち、対応し続けていくことが重要であると考えております。 なお、各私立学校に確認したところ、どの学校も定期的なアンケートを行っており、アンケートに記載のあった内容については早急に面談を行い、適切に対応していると伺っております。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) ②他県や県内の調査を踏まえた積極的認知に向けた教育委員会並びに総務部の対策について。 今回、私が指摘をさせていただいて、教育委員会では、認知件数が多い県に対して、いじめの積極的認知のための取組をヒアリングされたと伺っております。ありがとうございます。 そこで、他県や他校の調査を踏まえた、いじめの積極的認知のための取組につきまして、
教育委員会教育長及び総務部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君)
教育委員会教育長。
◎
教育委員会教育長(前川謙介君) いじめの認知件数が多い県の中には、全児童生徒との個別面談や、あるいは児童生徒に加えて保護者への定期的なアンケート調査を実施している例がございます。 今後、このような取組も検証しながら、より実効性のある手法を検討し、学校と保護者が連携して、潜在するいじめを決して見逃さない体制の整備、充実に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(山本由夫君) 総務部長。
◎総務部長(中尾正英君) 私立学校の場合、各学校によって、先ほど申し上げました児童生徒へのアンケートの実施回数が異なっております。各学校の実情に応じての実施回数であると理解しておりますが、必要に応じてアンケートの頻度を増やすなどの対応も促してまいりたいと考えております。 また、公立学校の取組につきましても私立学校へ周知し、潜在するいじめを認知できるように努めてまいりたいと考えております。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 他県であるとか他校の状況を確認していただきました。こういったことをすることで現状がよくわかると思いますし、山形県では保護者に対してもアンケートをとられていたと、これは、いじめを、本当に全てのいじめを見つけてやろうと、そういった思いで取り組んでおられるんだなと思いましたので、ぜひとも、こういった事例を踏まえて対策を行っていただきたいと、対応をしていただきたいと思います。 この一面の認知件数につきまして、私も、今後もフォローをさせていただきます。 (2)家庭が被害届けを出せない場合の警察行政との連携。 ①いじめ事案に対するこれまでの警察行政との連携について。 こちらが、令和5年2月19日付の長崎新聞の社説でございます。(資料掲示)読み上げます。 「文部科学省は、犯罪行為に相当するいじめ事案について、学校から警察への相談や通報を徹底するよう国公私立の学校に通知し、児童生徒の命や安全を守ることを最優先に、犯罪行為に当たるような重大ないじめについて直ちに警察に相談、通報を行い、適切な援助を求めなければならないと明記した」と、こちら長崎新聞の記事、社説にございます。 この文部科学省の通知によって、県は、私立学校に対して、どのような指導をされたのか、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 総務部長。
◎総務部長(中尾正英君) ご指摘の通知にある警察との連携強化についての内容は、重大ないじめ事案や被害児童生徒、または保護者の加害者側に対する処罰感情が強い場合など、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきと認められる事案等に対し、学校は、いじめ防止対策推進法第23条第6項の規定により、直ちに警察に相談、通報を行い、適切に援助を求めなければならないというものでございます。 私立学校への周知につきましては、当該通知を令和5年2月8日に各学校へ発出しております。また、同年4月に開催した校長研修会、5月に開催いたしました教頭研修会で内容を説明し、学校側に適切な対応をお願いしております。また、これ以降の校長会、教頭会、生徒指導関係の研修会等の機会におきましても、繰り返し周知を図っているところでございます。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 令和5年2月8日ですね、ここで通知をしたということでございます。確認をいたします。 令和5年2月8日の文部科学省の通知以前においても、同様の指導をしていたのか、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 総務部長。
◎総務部長(中尾正英君) 平成31年3月にも、文部科学省から通知が出ております。令和5年2月の通知と比べますと、具体例などの記載はありませんが、こちらの通知でも「重大ないじめ事案については、警察に通報するとともに、学校においては、警察との連携のもと、いじめられている児童生徒の安全のため必要な措置を行い、事案のさらなる深刻化の防止を図ること」との記載がありましたので、管理職等の研修会で同様に周知を図ったところでございます。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 平成31年3月ですか。いずれにしても、それより前から、学校は警察と連携をして重大ないじめに対応すべきだったということが明らかになっています。 ②家庭が被害届を出せない場合の県警察本部の対応について。 実は私は、約1年半前に、以下の相談を受けました。 ある私立学校に通う生徒が、いじめと暴行を受け、加害生徒に指導をするよう警察に言ってもらえないかと、その保護者が学校に相談をしたそうです。しかし、学校からは、「警察には保護者から言ってください。学校は警察には言いません」と言われたそうです。当該生徒は、その後の学校生活のこともあり、保護者には何もしないでほしいと言ったそうです。 この事例のように、いじめを受けた児童生徒が、周囲との関係性などにより被害届や通報ができない事案について、警察は認知をした場合、学校とどのように連携をして対応しているのか、警察本部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 警察本部長。
◎警察本部長(中山仁君) 県警察におきましては、いじめを受けた児童生徒及びその保護者が警察で犯罪行為として取り扱うことを求めない事案につきましては、一義的には、教育現場の指導による解決を尊重しつつ、このような事案を警察が把握した場合には、児童生徒及びその保護者の意向、学校の対応状況等を踏まえ、必要に応じて、いじめを行っている児童生徒の健全な育成を図るため、注意、説諭を行っております。 このほか、県警察といたしましては、学校がいじめを行っている児童生徒に指導をする際の助言、いじめ防止を主眼とした非行防止教室の開催等の適切な支援を行っているところでございまして、引き続き、学校等と緊密な連携を図り、適切な対応を推進してまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 警察の方では、学校と連携をして、保護者の意向も踏まえたうえで、加害生徒、児童に対して注意や説諭、こういったことを行っているということでございました。今回の私立学校は、このことを把握していなかった可能性がございます。 ③公立、私立学校での説諭の周知について。 公立、私立を問わず加害児童生徒に対して、必要に応じて警察から注意、説諭を行うこと、並びに、先ほど紹介をいたしました文部科学省の通知について周知徹底を行っていただけるか、最後に
教育委員会教育長にご見解をお伺いいたします。
○副議長(山本由夫君)
教育委員会教育長。
◎
教育委員会教育長(前川謙介君) 学校において重大ないじめ事案や犯罪行為が発生した場合、児童生徒や保護者の意向を尊重しながら、警察との十分な連携のもと、「いじめ防止対策推進法」の趣旨を踏まえた適切な対応を行うことが重要であると考えております。 ご紹介にあったような事案は、他の学校でも起こり得ることであります。今後、公立・私立の管理職等を対象とした研修において、警察職員による実例を踏まえた講義の場を設けまして、場合によっては警察による注意や説諭といった対応があること、さらには文部科学省通知の趣旨を改めて周知するなど、警察との連携を一層強化しながら、全ての学校で児童生徒や保護者に寄り添った適切な対応が行われるよう取り組んでまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 子どもたちを守るためにも、警察からの抑止力があることを加害児童生徒にもわかってもらわないといけないと、私はそう思います。 (3)未来大国パンフレットを活用した教育活動への展開。 ①未来大国に込められた子どもたちに対する知事の思いについて。 こちらは、県のWebサイトでアップされている未来大国のパンフレットでございます。(パンフレット掲示)知事がつくられました。未来の長崎が、デザインの力で描かれています。長崎の子どもに見てほしいというのが、第一印象です。 未来大国に込めた、子どもたちに対する知事の思いをお伺いいたします。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 子どもは、我々長崎県の宝物、まさに長崎県の未来そのものだというふうに考えています。 県政の推進におきまして、一丁目一番地に子育てを挙げておりますけれども、今後、さらに多様化していくであろう予測困難な社会を生き抜いていく、この子どもたちの能力をどのように高めていくのか、あるいは可能性をあきらめることなく、活躍できる存在にしていくのかといったことについて、しっかりと社会全体で取り組んでいくことは、今の長崎県に住んでいる、生きている我々大人たちの責任だというふうに考えています。 子どもたちには、このたび策定をいたしました「新しい長崎県づくりのビジョン」に基づいた取組を通して、本県の豊かな自然や食、歴史、文化など、世界に自慢できるたくさんの魅力を実感していただいて、また、学んでもらったうえで、ふるさと長崎県に対する誇りと未来への期待感を持ちながら、それぞれの大きな夢を描いて育っていっていただきたいというふうに考えています。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 私も、知事の本県の子どもたちに対する思いを伝えていきたいと思います。 ②学校現場における未来大国のパンフレット活用に関する教育長の見解について。 こちらの未来大国のパンフレットは、各学校に置いて、まちづくりやふるさと教育などの学習に活用できると思いますので、これはお願いに代えさせていただきますけれども、
教育委員会教育長、ぜひともよろしくお願いいたします。 4、防災行政について。 (1)能登半島地震を受けた本県の防災計画(被害想定)の見直しについて。 ①最新の被害想定について。 石川県の防災計画は、27年前の被害想定のままで、専門家も被害想定を見直すべきだと指摘をしていたことが明らかになっています。 長崎県の防災計画並びに被害想定について、明らかになっている全てのリスクを踏まえた防災計画になっているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(山本由夫君) 危機管理部長。
◎危機管理部長(今冨洋祐君) 本県の地域防災計画における地震の被害想定は、アセスメント調査の結果を基に平成10年に取りまとめたものを、その後の雲仙活断層群の調査結果等に基づき、平成18年に見直しを行い、さらに平成23年には「東日本大震災」を受け、海溝型地震津波についての見直しを実施しております。 また、令和4年3月に国が公表した長崎県近海の海域活断層については、アセスメント調査の予備調査費用を当初予算案に計上しており、適切に対応してまいります。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) 2年前に、離島地区で新たな断層が発見されて、その調査が今から始まるということで、これは仕方がないことかもしれませんが、やはり今回の地震を踏まえて、迅速にぜひともお願いをいたします。 また、今回の「能登半島地震」の知見を踏まえたうえで、離島半島を多く有する本県の防災計画を見直していただくことを、こちらは要望とさせていただきます。 5、令和4年6月定例会一般質問での大石知事の答弁について。 (1)知事選における電話代費用に関する大石知事の答弁。 ①電話代の内訳について、知事が述べられた当時の回答と、回答を受けた中村泰輔の認識の違いについて。 知事選挙の運動費用として大石知事が申告された、電話代としての支出402万円について、令和4年6月定例会での私の一般質問で、「具体的に何の対価として支払われたものなのか、本当に全額電話代でしょうか」とお尋ねをいたしました。 その後、知事とやりとりをさせていただいて、私の方から、「踏まえたうえで全額オートコール代ということで理解をしているが、それでよろしいでしょうか」と知事にお尋ねしましたけれども、知事がお答えになっていないことが議事録からわかりました。 電話代として支払われた402万円は、全額オートコール代であると、私は今でもそう理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 私の知事選挙での支出に関しまして、令和4年6月の定例県議会で中村泰輔議員への答弁のとおり、402万円はオートコールなど通信費の支出であり、コンサルト料については含まれておらず、私は、これまでも申し上げてきたとおり、法にのっとり適切に選挙運動を行ったという認識で間違いはございません。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) ご答弁ありがとうございます。私の質問、お尋ねは、全額オートコール代なのかというところなんです。それがそうなのか、違うのか、おっしゃっていただけないでしょうか。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 402万円につきましては、オートコールなどの通信費の支出であって、コンサルト料については含まれていないということが事実でございます。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) オートコールなどの通信費とおっしゃっているんですけれども、「など」がですね、それでは、その中身が何なのかが、よくわからないというところが本音でございまして、改めて、そうしたら、その内訳をここでお伝えいただくことはできますか。
○副議長(山本由夫君) 知事。
◎知事(大石賢吾君) 繰り返しになりますけれども、402万円はオートコールなど通信費の支出であって、コンサルト料については含まれていないということが事実でございます。
○副議長(山本由夫君) 中村泰輔議員-17番。
◆17番(中村泰輔君) なかなか質問と答弁が重ならないんですけれども、知事が、捜査中を理由に答弁を控えるといったこともおっしゃっておられるんですが、捜査が終わって、処分がはっきり判明すれば、この内訳、全額オートコール代なのか、ご答弁いただけますか。
○副議長(山本由夫君) 時間です。 本日の会議は、これにて終了いたします。 明日は、定刻より本会議を開き、一般質問を続行いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 -午後3時47分 散会------------------------------------...