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  1. 長崎県議会 1996-11-01
    12月02日-02号


    取得元: 長崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成 8年 11月 定例会(第4回)一、開議二、県政一般に対する質問三、散会 平成八年十二月二日(月曜日)  出席議員(五十一名)    一番 松元義隆君    二番 大川美津男君    三番 橋本希俊君    四番 松尾 等君    五番 萩原康雄君    六番 高倉洋一君    七番 野口健司君    八番 松島世佳君    九番 田中愛国君   一〇番 杉 徹也君   一一番 松尾忠幸君   一二番 浜崎祐一郎君   一三番 馬込 彰君   一四番 中山 功君   一五番 西川忠彦君   一六番 野本三雄君   一七番 平田賢次郎君   一八番 林田 悧君   一九番 川村 力君   二〇番 川越孝洋君   二一番 森 信也君   二二番 前田富雄君   二三番 田中廣太郎君   二四番 朝長則男君   二五番 三好徳明君   二六番 佐藤 了君   二七番 西津 覚君   二八番 奥村愼太郎君   二九番 八江利春君   三〇番 末永美喜君   三一番 田口一信君   三二番 大石 保君   三三番 北村誠吾君   三四番 中田晋介君   三五番 園田圭介君   三六番 広川 豊君   三七番 宮崎角治君   三八番 本多繁希君   三九番 松田正民君   四〇番 末吉光徳君   四一番 小林克敏君   四二番 谷川弥一君   四四番 南条三四郎君   四五番 吉永和男君   四六番 石本順之助君   四七番 森 治良君   四八番 林 義博君   四九番 加藤寛治君   五〇番 村山一正君   五一番 古藤恒彦君   五二番 吉住重行君 -----------------------  欠席議員(一名)   四三番 池原 泉君 -----------------------  説明のため出席した者   知事            高田 勇君   副知事           松尾 叡君   出納長           宮崎政宣君   総務部長          森脇晴記君   企画部長          副島宏行君   生活環境部長        大賀陸弘君   福祉保健部長        塩塚吉朗君   商工労働部長        川添 亨君   水産部長          出口啓二郎君   農林部長          白浜重晴君   土木部長          梶 太郎君   交通局長          宮崎應男君   雲仙岳災害復興担当理事   田中敏寛君   長崎都心再開発担当理事   勝本 豊君   教育委員会委員長      冨田みどり君   教育長           中川 忠君   教育次長          小山曙美君   監査委員          神尾光臣君   監査事務局長        小野伸夫君   人事委員会委員       高平米雄君   人事委員会事務局長     前田信行君   公安委員会委員長      田中瑞門君   警察本部長         西村浩司君   警務部長          木岡保雅君   地方労働委員会事務局長   桝本浩彦君   選挙管理委員会委員     藤本勝喜君   選挙管理委員会書記長    浦 稔美君 -----------------------  事務局職員出席者   局長            木村道夫君   次長兼総務課長       山田政幸君   議事調査課長(参事監)    米倉元治君   議事調査課総括課長補佐   平山文則君   議事調査課課長補佐     浜松一成君   議事調査課係長       内田喜久君   主事            大原 肇君   主事            永野清士君 -----------------------     -- 午前十時零分開議 -- ○議長(吉住重行君) みなさん、おはようございます。 ただいまから、本日の会議を開きます。 これより一般質問を行います。石本議員-四十六番。 ◆四十六番(石本順之助君) (拍手)〔登壇〕おはようございます。 自由民主党・刷新会議の石本順之助でございます。 平成八年第四回定例会における本会議一般質問の最初の登壇でございます。 時間の制約もございますので、早速質問に入らせていただきます。 初めに、九州新幹線長崎ルートについてお尋ねを申し上げます。 長崎新幹線を含めた整備新幹線未着工区間の財源確保は、国の財政上大変厳しい状況であり、また建設財源にJR三社にも拠出金をとする自民党新幹線建設特別委員会の案に対し、JR三社は、軽減されていた固定資産税を全額納めても拠出金という形には絶対反対の考えであり、ますます財源確保が厳しくなってまいりましたが、そのような中で、去る十一月二十八日には、自民党新幹線建設特別委員会による知事ヒアリングも行われたと聞いていますが、最大の課題である財源確保に関する知事の感触をお聞かせ願いたいと思います。 次に重要な課題は、並行在来線の問題であり、去る十一月二十八日、長崎県、佐賀県、JR九州の「三者協議会」の場で、「肥前山口-諌早間を経営分離したい」とJR九州は表明をいたしましたが、経営分離区間の表明を受け、県は肥前山口-諌早間の鉄道輸送を今後どのようにしようと考えておられるのか、お聞きしたいと思っております。 それから、この問題は、現に特急列車が停車している鹿島駅に特急が止まらなくなるという問題もあり、経営分離に伴う佐賀県への影響が極めて大きいと思われますが、佐賀県に対する働きかけ、特に、鹿島市に対し市議会や商工団体、農業団体等に理解と協力のお願いをしているかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。 次に、九州国際空港構想と壱岐空港についてお尋ねをいたします。 九州国際空港構想につきましては、去る十月末、ワイズメン・コミッティから最終候補地の総合評価に関する報告書が提出されましたが、その結論としては、「現福岡空港の航空路線を全面的に新空港に移管する」ことを前提として福岡県の新宮・津屋崎沖が最適という選定結果になっていると伺っており、長崎空港が総合評価において最終候補地の選定から漏れ、私としても非常に残念に思っているところでございます。第七次空港整備五カ年計画が十二月上旬にも閣議決定されるやに聞いていますが、今後、県としてどのような取り組みをされようとしているのか。また今後の見通しを知事にお聞かせ願いたいと思います。 また、壱岐でのジェット機対応の空港建設に対しどのような考え、またどのような計画で取り組んでおられるのか、お伺いをしておきます。 続いて、島原半島の活性化及び離島振興について御要望を申し上げておきます。 雲仙・普賢岳はやっと噴火活動も終息し、いよいよ本格的に復興事業も進んでまいりました。知事は平成八年度を復興元年と位置づけ、島原半島の市町村や住民と一体となって「がまだす計画」に取り組んでおられますが、「がまだす計画」は、これからの島原半島振興の指針となり、また半島住民にとっては大変心強い計画でもあります。また離島地域の振興につきましては、現在、県が取り組んでおられる「しまの拠点的まちづくり事業」についてそれぞれの地域の特色を生かしながら、島内外の多くの人々を迎え入れることができるような拠点づくりを目指し、さらに推進して強力に押し上げていただくように御要望を申し上げておきたいと思います。 次に、平成九年度予算編成方針財政見通しについてお尋ねをいたします。 我が国の財政は、平成八年度末で二百四十一兆円、国民一人当たり百九十一万円にも上る巨額の公債残高を抱え、歳出に占める国債費の割合が二〇%を超えて財政的経費を圧迫するに至るなど、まことに深刻な状況になっております。政府は平成九年度概算要求基準、いわゆるシーリングにおいて公共事業など投資的経費の伸び率を四年ぶりに実質ゼロにするなど、「財政構造改革元年」を旗印に徹底した歳出の見直しを行うこととして予算編成作業を進めておられるようでありますが、財政状況はまことに厳しく、来年度も今年度に続いて財政不足を赤字国債に頼らざるを得ない状況だという報道もされておられる次第であります。 一方、本県財政の状況は、今議会に報告されております平成七年度の一般会計決算によりますと、依然として脆弱な財政構造は改善されておらず、多額の県債残高を抱え、その総額は八年度末には県税収入の約七年分にも当たる七千八百九十七億円にも上ると伺っており、今後の財政運営には大きな負担となることが予想されるのであります。このような財政状況のもと、本県においては待ったなしの課題が山積しており、まことに厳しい財政状況のもとではありますが、限られた財源を有効に活用してこれらの政策課題に積極的に取り組み、本県の浮揚、発展を図っていかなければならないと考える次第でございます。 そこでお尋ねをいたしますが、知事はこのような状況の中で、平成九年度の予算編成に当たってどのような基本方針で臨まれようとされておられるか。また財政見通しをどのように立てておられるか、お聞かせ願いたいと思います。 次に、保健所の再編整備についてお尋ねいたします。 「保健所法」が全面改正され、「地域保健法」が制定されたことにより、「現在、本土にある九県立保健所を四保健所に再編し、新保健所を順次建設する。また県と市町村の役割が見直され、保健所は専門的、技術的拠点として機能強化を図る」と知事は表明をされました。県保健所の再編整備についてお尋ねをいたします。 統廃合前の現在の保健所の職員は三百十四人おられたと思いますが、統廃合による人員の配置がどのようになるか。また、削減規模はどの程度になるのかお尋ねをし、今回の県立保健所の再編整備の基本的なお考えをお聞かせください。 続いて、水問題について質問をいたします。 平成六年度に異常気象ともいえる日照りが続き、県北部、特に佐世保を中心に長期間水不足状態が続きましたが、今年はその平成六年とは対象的に雨量には大変恵まれたのではないかと思っております。しかし、水問題、とりわけ水資源の確保は自然の気象や気候の変化、異変により大きく左右され、毎年自然界より安定した水の量を確保するということは到底不可能なことでございます。県民の生活を守り、郷土を将来にわたり発展させるためには、十分な水を常に確保することが最も重要なことであり、そのためには水がめである貯水施設を早急に整備しなければならないと思っております。 今年四月一日から四日間、水問題に関心のある有志議員とともに香港、マカオの水事情の視察にまいりました。国土の狭い香港、マカオは、水問題で水をためる努力という基本政策を実現するために、政府及び行政が一体となって英知を絞り、地形を十分に活用しており、湾を堰切った大規模なダム、海水淡水化装置、しま全土に回る集水路等、我が国の貯水方法とは全く異なり、そこには六億トンの水が貯水されているのを見、そのスケールの大きさに驚嘆をしたところでございます。我が長崎県とは地理的、地形的に異なるものの、香港、マカオ政府の水問題に取り組む姿勢は大いに参考になり、見習うべきものがあると思います。 画一ともいえる我が国の貯水方法の概念から脱皮するためには、政府及び行政に携わる多くの関係者が一度でもいいから外国、特に香港、マカオの水事情を視察していただければとお願いを知事に申し上げたところ、知事の英断により早速県から五名の土木部の幹部職員を現地視察に派遣され、知事の素早い対応に水問題に取り組まれる姿勢がうかがわれ、心から感謝を申し上げる次第であります。またこの問題につきまして、県全土の水資源確保についての知事の取り組み方の結集をお伺いしておきたいと思う次第でございます。 ところで、私は水問題で、この議会の場において今日まで十数回にわたり質問し、みずからの考えを提言してまいりました。佐世保市の重要な水がめである川谷ダムについて一点だけお尋ねをしておきたいと思います。 昭和五十九年十月に、私は個人で専門家に調査を依頼し、その確かな裏づけを得た「川谷川貯水池再開発検討書」を県に提出をいたしました。「川谷ダム下流二百メーターぐらいのところの位置に第二ダム建設も可能である。また既設の川谷ダムのかさ上げは地形及び地質上問題はなく、堤体の構造物工事は可能である」とした内容のことを提言を申し上げました。県としまして、この間今日までこの件について調査をされたことがありますか、お尋ねをしておきたいと思います。もし調査をされていたとするならば、私が提言をした二通りの案が実現可能であるか。また実現ができるようであるならば、下流に第二ダムを建設するのか、それとも既成のダムのかさ上げをするのか、どちらの方法がより可能性があるのか、お尋ねを申し上げておきたいと思う次第であります。 また、ちなみに川谷ダムの治水上の豊水量が約二十五万トンと言われております。もし佐世保市の水道局がほんとによく勉強されておるならば、県の治水、防水対策上の治水でございますので、やはり二十五万トンのダムは絶対的に県につくれと要望するのが私は当たり前でなかっただろうかと、今まで大変佐世保の水道局自体の怠慢さ、また県との接触がなかったために三年前のあの大変な水飢饉があった一環と私は考えておる次第でありますことも、この際ここで申し添えておきたいと思う次第でございます。 次に、行政改革の推進についてお尋ねをいたします。 さきに行われました衆議院議員総選挙では、各政党が行財政改革の断行を主な公約、政策として掲げ、激しい選挙戦を展開したことは記憶に新しいところでございます。また国民もそのことが選挙での最大の焦点であったと認識していたと思います。今日まで国民の希望、要望どおりに行財政改革が実行されてなかったことに国民のいらだちは極限に達し、選挙後、橋本内閣が誕生してからは、果たして国民の希望どおり、政府が実際に公約を守り、実行するのか、その取り組みに国民はかつてなく注視をしているところでもございます。行財政改革は国だけの問題ではなく、全国の県、市町村すべてにいえることで、長崎県としても当然真剣に取り組まなければならないと思うものでございます。第二次橋本内閣はさきの臨時国会で所信を表明し、「行政、経済構造、金融システム社会保障構造、財政構造」の五つの改革大綱を取り上げ、不退転の決意を表明しておりますが、長崎県はその中でどれを重点的に取り組もうとされているのかをお尋ねをしておきたいと思う次第でございます。 ちなみに、戦前の公務員は、まず国益を重んじ、また戦後は省益に走り、また最近では私的なことばかり考えるということもよくちまたで言われておる次第であります。また、官尊民卑、また官あって民なしと、大変ちまたではやはり国民の怒りがふつふつとする昨今の中におきまして、県民が納得できる行財政改革を、長崎県では今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の決意のほどをお聞きしたいと思う次第でございます。 次に、行政改革に関連しボランティア休暇の創設についてお尋ねをしたいと思います。 県は来年一月から有給休暇で五日以内のボランティア休暇を制度化すると聞いておりますが、私はボランティア活動とは、自発的な、善意に基づき、みずからの時間を割いて他人や社会に貢献する無償の行為であると思う次第でございます。社会意識がすさんできておる今日、現代において、ボランティアへの志向を高めていくことは極めて重要であると考えますが、それは善意による無償の行為であるべきではないでしょうか。また行政改革が叫ばれている昨今の情勢の中で、新しい有給休暇を創設するには十分な合理的理由が私は絶対的に必要だと考えておる次第であります。このような観点から、まずボランティア休暇創設の趣旨をお尋ねしておきたいと思う次第であります。 次に、民間企業におきましても、今なお厳しい経営状況を乗り切るために血のにじむようなリストラ等企業内努力をしている真っ最中でございます。そのような状況の中で、民間に先行する形で公務員に新たな休暇を創設するということは、県民感情からしてもいかがなものかと思いますが、どのようなお考えかをお尋ねをしておきたいと思います。 さらに、ボランティアというものは、先ほど申し上げましたように、無償のとうとい心の行為であります。今回のような有給による休暇に「ボランティア」という名称を使うのは適当ではないと考えますが、その点も合わせてお尋ねをしておきたいと思う次第でございます。 もう少し時間がございますので、最後にベンチャー企業の育成について県のお考えをお尋ねしておきたいと思う次第であります。 産業の空洞化に対応して、二十一世紀を見据えた新しい技術、企業の創出を目指し、今日全国的にベンチャー企業の育成が強く求められておる次第であります。国においてもベンチャー企業の育成のため、中小企業創造法の制定などにより支援を行っていると聞いております。本県はどのような対応をしておりますか。 それとまたベンチャー企業とは何ぞやということもお尋ねしておきたいと思う次第でございます。 本県は二次産業の集積が薄く、ベンチャー企業の育成は他地域よりもより以上重要だと私は考えております。今日まで本県においてもさまざまなベンチャー企業の支援政策を行ってきておると思いますが、その内容はどのようになっておるのか、また今後ともより積極的にベンチャー企業に対し支援をしていかなければならないと思いますが、県としてはどのような考えを持っておられますか、これを最後に私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 〔登壇〕石本議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。 まず九州新幹線長崎ルートに関するお尋ねであります。 この長崎ルートは、昭和四十七年からの懸案であります。実に今年まで二十三年という長い、長い年月がかかって、今なお着工の二文字がとれていない線であります。そして今年がもう最後の正念場であると私どもは認識をいたしております。この新幹線というものが今年の新しい基本スキームの中で認知をされないということになりますと、もう永遠にこないというふうに考えてもいいくらいの時期に差しかかっているというふうに思います。私どもがそのために今何をしなければならないかということは、我々にとっては整備五線全体についての財源の確保の問題と、もう一つは我々は並行在来線の問題と、この二つが一番大きな課題であるかというふうに思っております。この財源の問題につきましては、これは私ども長崎ルートの問題だけではございません。三線五区間以外の四線七区間、全体にわたっての問題でありますので、これをどうするかということについて、特定財源というものの確保についての努力が今なされているということは議員が御案内のとおりであると思うのであります。国鉄の分割民営化によりまして、JR各社が発足したときに承継した固定資産税、これにかかる税が発足後十年間に限って減免されている、この問題をどうするかという問題があるのであります。もう今年でそれが切れるわけでありますので、この特例にかわって、JR東日本、東海、そして西日本、この三社が固定資産税にかかる税の課税標準の特例措置、いわゆる二分の一の減免と、この問題についてさらにこれを新しい制度として創設をしていこうという考え方が出ておるのでありまして、さらに新幹線鉄道の整備等のためにこういった問題の税のこの拠出については、これを拠出金制度にして、そしてそれに対しては損金算入にするという税制の措置も行うという考え方も出ておるのであります。しかし、これに対してJR三社は現在これを結構だと、賛成だということは決して言っておりません。この問題についてさらにJR三社の理解を求める努力が今中央において、与党の整備新幹線建設促進特別委員会において、ここを中心に一生懸命なされておるのであります。我々もこのことについて先般整備五線全部が陳述をいたしまして、そのヒアリングの中におきましても、この問題についてこれを全面的に支持をしますということを五線全体がそろって申し上げ、また、これ以外に財源が今ないのであります。具体的な問題として出ているのはこれ以外に見当たらないのでありますから、そして期限は今年の十二月の新しい基本スキームという時期になるということになれば、もうこれ以外に財源というものが見当たらなければ、これを支持すると、これはいろいろ税制の問題からいけば議論はあるかもしれませんけれども、現実の問題としては、こういう特定財源に依存をしていこうということで、これの確保について強く要望もし、そしてその実現を強く期待もいたしておるところであります。 それから、並行在来線につきましても、並行在来線の経営分離についての沿線地方団体の同意ということがこの十二月に予定されております新しい基本スキームにおいて位置づけるための要件とされたのでありますので、並行在来線というのを経営分離をする区間はここだということが最近JR九州からも発表されましたので、私は沿線の御理解というものをぜひお願いを申し上げたいということを私ども、そして佐賀県と御一緒になって、特に佐賀県の強い、強い御理解を得て、私どもも一生懸命この分離区間についての沿線の御理解を得ていく努力を、短い期間でありますけれども、最大限の努力をしていかなければならないと、かように思っておる次第であります。国におきましては、財源が乏しいということから、整備新幹線については非常に厳しい態度であります。ですから、この厳しい態度の中にふり落とされないというためには、地元における条件というものはしっかりとこれは整備をしておかなきゃならない。要するに、俗にいえば、地元におけるきずは消しておかなきゃならない、その部分は欠陥があればそれを消しておかなければならないということは、これはもう絶対的な条件であろうと思うのでありまして、私どもはそういう努力を今後も続けて、ぜひ御理解を賜りたいと、これはもうほんとにひとえに沿線の御理解を賜りたいと、私どもは手を合わせるような気持ちで沿線の各市町村さん、そして沿線の住民の方々にお願いを申し上げるという立場でございます。そういう形でぜひ御理解をということをお願いをし、さらにそのためには具体的な形でいろいろな利便性というものも、鉄道の足としてはこれは確保するということを前提として、その他の利便性についても具体的にこれをお示しして、そしてお願いを申し上げるということが私どもの態度であろうと、かように思っておる次第でございます。 それから、九州国際空港についてのお尋ねでありますけれども、九州から直接中・長距離の外国に飛び、外国の荷物もここに集めるというようなことの必要性から、九州にも国際空港があってしかるべきではないかと、これは今中部空港もある、関西空港もある、千歳空港もある、羽田空港もある、それならば今九州には全くないこの九州にそういう形における国際空港が必要ではないかという議論がもう先年からありまして、これについて私どもも賛成をし、そしてその国際空港の位置というものを求めるべき今努力をしてまいっておるのでありますけれども、なかなかに立候補している地域が多うございまして、殊にこれはほかの地域と違いまして、九州の場合におきましては、みんな立派な空港をそれぞれ持っておるという条件がありますので、なかなかにこの辺のところが決まらないのも、これも一つの原因になっておろうかと思うのでありますが、私どもも立候補もいたしております。そして熊本も有明海に立候補し、佐賀県も有明海の奥に、今の佐賀空港のところに立候補をいたしております。それから博多も二カ所、玄海東、西と立候補いたしております中で、それでは決まらないから、ワイズメン・コミッティにお願いをしようということになりまして、結論も出していただいたのでありますけれども、これに対しましては、需要が余りにも過大に評価され過ぎているんではないかと、建設コストの問題とか、いろいろな新幹線の通るこの利便性の問題とか、そういったことが余り理解をされておらない、ウエートが置かれておらないと、需要が重視され過ぎるというようなことから、各県の反発もありまして、現在なかなかこれが一つにまとまらないというような状況になっているのが現状であります。やはりもう少し検討をし、地元においてもんでいかなきゃいかぬ問題だということにもなろうかと思うのでございます。ただ、この第七次空港整備五箇年計画というものに何らかの形で乗らないと、これはまたずうっと遅れるということ、そういうジレンマもあるのでありまして、そこのところをどういうふうに調整をしていくかという問題がこれからの問題であろうかと、かようにも思っておる次第でございます。 それから、壱岐空港の問題でありますが、壱岐における空港というものもYS-一一がもう使えなくなるということから、壱岐空港というものは新しくこれを求めなきゃいかぬじゃなかろうかと、現在の空港というものの延長もきかないとなれば、どこかに求めようということで、地域に求めたのでありますが、現在は芦辺の地域にこれをつくろうということで壱岐四町はまとまっておるのでありまして、これを芦辺の地域に決定し、そして第七次空港整備五箇年計画での採択を現在国に要望しているところでございますが、時期的な要素もあり、なかなか厳しい状況でありますけれども、壱岐の振興を考えた場合に、航空路線網の充実は必要と考えておりまして、第七次空港整備五箇年計画におきまして、壱岐-福岡路線に就航するエアーニッポンの利用機材に必要な距離の滑走路での採択につきまして、国に対し今強力に働きかけを行っておるところでございます。 それから、平成九年度の予算編成の見通しについてでありますが、御説のとおり、大変に今は財政再建、元年と言われたり、行政改革と言われたり、いろいろな意味におきまして努力がなされておるのも、これまた非常に大変な国債の残高を抱えている、地方も公債費の残高を抱えているということから、国も地方も財政が非常に厳しいという現状からのことでありまして、交付税につきましても、伸びが期待できないなど厳しい状況が予想されるのであります。このために国に対しまして、地方税財源充実確保というものを要請いたしますと同時に、今後、決定される地方財政対策の動きも十分見極めながら、交付税や良質の地方債など必要な財源の確保に努力をしてまいりたいと、かように思っておる次第であります。 また、平成八年度の当初予算におきまして財源不足に対応するため百五億円の基金の取り崩しを行いましたが、今後、県税等の歳入の確保に努めまして、可能な限り取り崩し額の縮減を図って、そして平成九年度の財政の運営に少しでも貢献するようにそれを備えていきたいと、かようにも思っておる次第でございます。 そして予算の編成に当たりましては、本県の財政は先ほど御指摘がありましたように、自主財源に乏しく、地方交付税、あるいは国庫支出金などの財源に依存している部分が多いのでありますから、一方、歳出面では人件費、公債費などの義務的な経費の占める割合が高いということもありまして、脆弱な財政構造となっている御指摘はそのとおりであります。しかしながら、来るべき二十一世紀におきましても、本県の発展と飛躍を図りますためには、時代の変化や多様化する行政需要を常に的確に把握して、それに適切に対応するための施策を全力で展開をしていく必要があろうかと、かように思うのであります。 平成九年度予算編成に当たりましては、非常に厳しい財政の状況ではありますけれども、このような基本的認識に立って、雲仙岳噴火災害復興対策、あるいは個性あるまちづくり、人口の定住・交流促進対策、そして県内経済の活性化対策、少子・高齢化対策、県民生活の質の向上に資する生活関連対策などに重点的に取り組みまして、「美しく、楽しく、たくましいふるさとづくり」の実現に向けて各部局間が連携をして積極的に推進をしてまいりたいと、かように思っておる次第であります。このためにも財源の確保ということも必要だし、また連携をするということも必要でありますので、「新行政システム推進基本計画」というものを策定をいたしておりまして、これを着実に実行に移しつつあるのであります。これは全庁挙げて取り組むことといたしました。具体的な施策の展開に当たっては、後ほどの御質問にありますように、スクラップ・アンド・ビルドを基本に、事業の効果、あるいは必要性等というものをこの際徹底的に見定めて、限られた財源の重点的な配分を行って必要な施策にはしっかりと取り組むと、そして我慢していただくところは我慢していただくということで、こういう姿勢で臨んでまいりたいと思います。議会におかれましても、大変にこの点を御理解を賜りまして、御支援を賜っておりますことにつきまして厚く御礼を申し上げ、今後ともよろしくこの推進についての御理解を賜りたいと思う次第でございます。 それから、保健所の再編整備についてでございますが、平成六年七月、「保健所法」が全面的に改正をされまして、「地域保健法」という法律に改正をされました。 「地域保健法」では、地域の保健所の所管区域について二次医療圏、または老人保健福祉圏というものを原則として定めることとされておりまして、本県としましても、平成九年四月の法施行に向けて、法の趣旨に沿った所管区域として、現在の十三保健所のうち本土地区の九保健所を四保健所に再編整備をし、離島地区はこれはこのまま四保健所として、そして合わせて八保健所として、平成九年度から順次建設を進めていこうと、こういうふうにいたしておるのであります。 また、地域保健に関する県と市町村の役割というものの分担が明確化され、三歳児健診等の母子保健事業とか、あるいは一般栄養指導業務など、住民に身近で頻度の高い保健サービスは当然のごとくこれは市町村に移されました。県の保健所は、広域的・専門的・技術的拠点としての機能強化を図ることとなったのであります。 機能強化の具体的な内容としては、精神障害者等の社会復帰対策を促進するための作業療法士等の新しい職種を配置するほか、O-157対策など、食品監視の強化のための監視指導体制の充実などを行うことといたしておるのでございます。 なお、保健所の再編後の職員数につきましては、今回の保健所再編が法律改正に伴うものでありまして、保健所の機能強化・充実を図った上で、保健所の統合、あるいは市町村への業務の移譲などにより約一割弱程度は実質的に減員になるということになろうかと思います。これには本当に保健関係の職員、あるいは保健所の職員の皆さんの努力と理解が働いたと思うのでありまして、今日において約一割弱程度は実質的に減員になってくると、かように存ずる次第であります。 それから、水資源の確保についての問題でありますが、水資源の問題につきましては、議員はことさらに御熱心にこれは従来からお取り組みいただいておるのであります。これはもう当然のごとく水というものは命を支えるものでもあり、またこのことが防災というものにもかかわる問題でもあります。殊に本県におきましては、水というものがもう本当に伝統的に少ない地域でありますので、これを本質的に、抜本的に水というものを確保していくということは必要なことであろうと思うのであります。ただ、これを抜本的に確保して将来長期にわたって永遠に安定的な水を確保するということは、本県の地形等によりまして、あるいは水資源の状況等によりまして非常に難しい環境にあることは事実であります。ですから、私は議会でもしばしば申し上げておりますように、本当にすくうがごとくに、これはためられるところはもうどこでもためていかねばならないような状況であると思うのであります。多目的ダムというものもできる限りつくれるところはつくってまいりました。また補助ダムであろうと、また県単独のダムであろうと、小規模の生活ダムというものの建設にも努力をしてまいりました。さらにそれを広域的に水道事業というものもできないかということで、長崎県南部広域水道事業の推進にも努めてまいりました。本県の置かれている水環境というのは非常に厳しいので、平成六年には御案内のとおり異常渇水もございました。その中で七月には総合的な水資源政策に取り組むための水資源の有効利用社会づくりのための指針も策定をいたしました。雨水の利用、中水の利用、あるいは漏水対策、水道管のパイプが割れているということは大変に大きな損失にもなっている、こういったこともやり、また節水意識の高揚というようなことも努力もいたしてまいっておるのであります。今後とも水資源開発については、現在建設、あるいは計画中のダム事業の推進を基本とするものでありまして、特に、石木ダムの建設につきましては、現在、地域の皆様の御理解を得つつ事業の推進に向けて取り組んでおるところであります。 それから、行政改革についてでありますけれども、これは先ほども申しましたように、行政改革というのは、これはもう本当に永遠の課題であります。私どもにとってはいつもいつもこのことは意識をしていかなければいかぬ問題でありますのに、今日におきましては、殊さらにこの行政改革ということは非常に重要な課題であろうと思うのであります。私どもも新しい「長崎県新行政システム推進基本計画」というものを民間の方々の英知もいただきながら決定をいたしました。そしてスクラップ・アンド・ビルドの精神で強力にこれを推進しようといたしております。そして国も行政改革というものを今最大の課題として取り組んでおります。私どもも先ほどの先般の全国の知事会議におきましても、国も国民の目に見えるような形で行政改革というのをやっているんだから、県も地方もやはり県民、あるいは市民の見えるような形でこれは行政改革というものはやるべきではないかということについても申し上げたりもいたしております。私どもはこの新しい行政システムで一生懸命これをやって、率直に申しまして全国でも非常にこれは、本当に一生懸命取り組んでいる県の一つであろうと思うのであります。またこれをやらなければならないのであります。私どもはこれを避けて通れない県でありますので、これはぜひ進めてまいりたいというふうに考えております。 それから、議員御指摘の県関係の団体につきましては、社会情勢の変化に伴って設置の目的や必要性を常に見直すべきであると認識をいたしております。新行政システム推進基本計画におきましても、社会情勢の変化を踏まえた見直しを行うこととしておりまして、運営の適正化等も含めて取り組んでまいりたいと存ずる次第であります。 それから、ボランティアについての御指摘であります。 ボランティアというのは、まさに私も御指摘のとおりだと思うんであります。本来、ボランティア活動というのは、本人の自主的な意思で、好意で、無償でやるべきものだという御指摘はそのとおりだと思うんであります。私は今日本の中におきまして、人様のために報いを求めることなしに自分の汗をかくということが余り行われておらないと、このことをやはり一番育てるのはボランティアではないかと、かように思うのであります。したがって、今回の阪神・淡路大震災の活動とか、あるいは昭和五十七年の水害のときにボランティアも一生懸命やっていただきましたけれども、現実の問題として日本列島全体の中でボランティアの精神というのは先進国に比べてそれほど盛んであるとは思いません。したがって、それを一生懸命これを盛んにさせるための一つのきっかけであると思うのであります。これはこのきっかけだというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。だから、これのきっかけをつくるためには、五日間というものを限度にして、またボランティアとはこれとこれとこれだけが有給休暇の対象になるんだよということをごく限定的にしまして、それに対しては五日間の限度において有給休暇でもってボランティアをやってもいいということの制度でございます。したがって、野放図にそれを認めるというわけではありません。そしてそういうことをきっかけとして、将来は議員がおっしゃるような形におけるボランティアというものが、私は本当はそういう精神のものであろうと思いますが、今日、一つのきっかけをつくったということは、私は非常に大きな意味があるというふうにも思っておるのでございます。今回のボランティア休暇の創設に当たりましては、そういう意味におきまして、県民の目から見て十分理解が得られる活動に限定してやってまいるということでありますので、御理解を賜りたいと思うのでございます。 以上で私からのお答えを終わらせていただきます。 ○議長(吉住重行君) 土木部長。 ◎土木部長(梶太郎君) 川谷ダムについてのお尋ねにお答えいたします。 川谷ダムは佐世保市の水道専用ダムでございますが、相浦川の治水対策としてダムの有効利用も念頭に置いた計画を考えております。 調査につきましては、昭和六十二年度に下流地点とダム地点で、今年度は下流直近二百メートルの地点でボーリング調査を実施いたしました。その結果、一部に地質的弱層が存在するため、さらに詳細な追加地質調査を実施したいと考えております。今後は多目的ダムとしてかさ上げ方式、第二ダム方式のいずれの方法が最適か、経済性、施工性等を含めた検討を進めてまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(吉住重行君) 四十六番。 ◆四十六番(石本順之助君) まだ答弁が済んでないようでございますので、続いて答弁をしていただきたいと思います。 ○議長(吉住重行君) 商工労働部長。 ◎商工労働部長(川添亨君) ベンチャー企業についてのお尋ねでございます。 ベンチャー企業の概念でございますが、ベンチャー企業につきましては、先端技術を駆使しまして、研究開発を中心にしまして知識集約をもって新たな企業を興すというふうなのが一般的な定義のようでございますが、経営するのが大体中小企業的なものでございますので、一般的には業種の異なる企業の方たちがそれぞれの知識とか、技術を持ち寄りまして、いい特性を見出しながら新たな企業を創出していくというふうになるんじゃないかなというふうに思っておるようなところでございます。 次に、中小企業活動促進法の件についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり、平成七年四月に、いわゆる日本の製造業が空洞化するときに新たな企業を創出するというふうなことで法律が制定されておりまして、目的としましては、創造的企業をどういう形で、最初の立ち上がりとか、あるいはその時点の新事業の展開をするときの金融支援を図るかというふうなことになっております。いわゆる資金面では低利の融資を行うというふうなことでございます。これを法律に基づくところの認定でございますが、長崎県の場合は現在二十一件が認定をされております。九州では福岡県に次ぎまして、我が長崎県はこの認定企業が多いというふうになっておるようなところでございます。 次に、このベンチャー企業等に対しましてどういう支援策をとってきたかということでございますが、これにつきましては、これまでも工業技術センター、あるいは窯業技術センター、あるいはナガサキ・テクノポリス財団を中心にそれぞれの相談とか、あるいは企業の現地指導、あるいは技術開発等への助成というふうな、そういう異業種交流等を中心にしまして、このベンチャー企業の育成に努めてきたようなところでございます。 さらに平成八年度は、これをさらに充実するというふうなことで、ベンチャー企業を資金調達の面からひとつは支援するというふうなことで基金制度を設けまして、現在投資一件、あるいは融資五件の実績等を行っているようなところでございます。 それから、先刻は新聞等でもちょっと触れられたと思いますが、新しく企業を創出する人に対しまして、資金面、あるいは研究開発面から、いうなら支援するというふうなことで、新たに長崎県として制度を設けたわけでございます。これにつきましては、新企業創出支援事業というふうなことで、全国に募集を募りましたところ、全国から四十数件の応募がございまして、このうちの二件を採択をしまして、現在この研究開発等で新たに長崎県で企業の創出ができないか、検討をしてもらっておるようなところでございます。 さらに従前からこれは行っておるようなことでございますが、新しく技術を開発したとか、あるいはそれを商品化するという場合には、それぞれの区分に基づきまして、そういう支援事業等を設けておるわけでございますが、本年度はこれにつきましては、予算等もかなり増額いたしまして、そういう面での配慮もいたしておるようなところでございます。 今後ともこのベンチャー企業につきましては、我が長崎県の産業構造等からいたしましても、どうしても新たな企業の創出等は必要でございますので、積極的に支援策といいますか、そういう方法を検討していきたいというふうに思っておるようなところでございます。 以上でございます。 ○議長(吉住重行君) 四十六番。 ◆四十六番(石本順之助君) このベンチャー企業についてちょっと認識が、これは委員会の中でいろいろな議員の皆さんから質問があると思いますけれど、今、国が推進しているベンチャー企業というのは、大体経営者が一人、そしてアルバイト、パート二、三人という小規模な零細企業なんですよ。そして、まずとにかく働くことを主体にした企業、要するに零細企業のことをベンチャー企業と、新しくでき、独立をし、そういう人たちに対する企業のことをベンチャー企業というように言ってあるわけです。だから融資金にしても大体一千万程度ですね、無保証、無利息で出すというようにして全国的に大変展開されて、今大手ができない仕事を独立してやろうというように私ども中小の方では聞いておるわけですが、大分今の説明から聞いておりますと、何か先端技術、これもまた一部分に入るですね、二、三人でやればですね。そういうことでやはり小規模の、新しい二十一世紀に向かってできる仕事をするのをベンチャー企業というように私どもは聞いておるわけですが、その点の認識をしっかりとひとつ踏まえて、県内にもたくさんおられるわけですから、どしどしひとつ御支援のほどをお願いしておきたいと思う次第であります。 それから、これは知事に行財政改革を言えば大変いつも頭を痛めておられることだと思いますけど、その前に新幹線につきましては、大変知事初め議長には日夜大変御努力されておられることに心から労のおねぎらいを先にしておきたいと思います。本当に御苦労さまです。 そういう中で行財政改革について二、三点御質問しておきたいと思いますが、私はこの行財政改革というものは、そんな難しいもんじゃないと思っておるんですよ。中小零細の私どもは、常に限られた日にちの中で、ほんとに売り上げがなければ大変なことになるようなことを日常茶飯事やっているわけですね、月末になれば、手形一枚で何もかも飛ぶわけですから、ほんとにそういう厳しさに立てばですね。今、国、地方自治体の行財政のですね、大変難しいように考えておられるようですけど、私どもから見れば、そう難しいもんじゃないと、真剣にさえあればいいんだと、こう思っておるわけですね。その中で確かに人減らしを主体に考えておられる行財政改革、これは私はうそだと思うんですね。今おる人を減らして、そしてするのが一番ベストのような、とにかく二から一引けば一になるわけですから、そういう算数的なやり方じゃなしに、今おる人たちをそのまま残して、そして行財政改革をやるということを私はまず貫徹すべきだと思うんですよ。それから、やはりそういう問題に取り組まなければ、省を動かしてみたり、各出先の公社を減らしてみたり、それも確かにせんばいかぬと思うですけど、今やはり人間は生活をしているわけですね、できる人も、できない人もすべて生活をしているわけです。そういう人たちを切ってやるということは、私はそういうことを考えるから不可能だと思っているんです。今おる人をそのままにしながら、いかにどうするかということを真剣に考えたならばできないことはないと思うし、やはりそういうことを基点において私は行財政改革をやってもらいたい。 一つ例を申し上げますならば、私どもは福祉の施設を持っております。十八年たつわけですけど、十八年間お預かりしている人たち、厚生年金をもらっておるわけですけど、この人たちの負担は入所されて大体一万二千円ぐらいなんです。公が負担している措置費は月約三十万、二十九万八千円負担しているわけですから、それで年金額が月四万円ぐらいあるわけです。その中で個人負担が一万から一万二千円ですね。そうなりますと、御存じのように、年金が約二万八千円から三万円近くお金が余るわけであります。十五年から十八年たちますと四百万も五百万もなるわけであります。亡くなったらそのお金を、見舞いにも何にも来ない身内の人が、そのお金だけもらいに来るんですよ、これが現実なんです。私はやはり今の世の中で特別養護老人ホームに入所された方は天国、また在宅でほんと介護されておる人は地獄だと言われておるのが、この高齢化社会の老人福祉の問題であります。確かに手厚く、もうほんとに施設の職員は自分は介護は好きだ、お年寄りの介護のために命を捧げようという人たちが職員には多いわけですから、二十四時間手厚く介護をしております。これが大体現状の姿ですね。今何かとんでもない人たちが新聞を賑わせておるわけですが、そんなやからは、老人福祉社会の中にはほんとにあの人たちだけだろうと断言してもいいぐらいに、ほんとに真剣に今の老人介護のために働いておるのが全職員の姿であると私は思っております。そういう老人福祉のやはり措置費ですね、年金、そういうものを片一方では年金をもらい、国からは介護費用が出、使いもされないお金をそのまま施設に預けておるような無駄なお金ですね、だから、特別養護老人ホームだとか、そういう施設に入所された人たちに対しては、一時支給をストップするとか、そういうお金を大いに回していくならば、これは一つの例ですけれど、我が国、我が県のあらゆるところにそういうことがあっておるんじゃないかと、こういうものを徹底的に見直すならば、消費税が五%に上がることもないし、また人員を削減することもないしですね、なぜそういうことをしないのかというのが、私だけじゃなしに、世間一般の考えになっているんですよ、だから、そういうことを踏まえて私は平成九年度の行財政改革を知事にやっていただきたい。通り一遍の、自主的に伸び率がゼロだとか、そんなことじゃないですよ、逆にうんとマイナスになっていいところもあるわけですね、うんと打ち切っていいんですよ、そしてうんと突っ込まなきゃいけないところにどんと、もう百倍も二百倍も上げても私は構わぬと思うんですね、そういう凹凸のないような、伸び率が全国的には三・八%だけど、我が県は一律四%になりましたと、そんなものは私は自慢することではないと思います。わかりますか、知事。やはり知事、凹凸のある、やはりめり張りのある私は平成九年度の予算編成をやってもらいたい。そして県で負担せんでいいものはどんどん切ってしまってですね、やはり情けと厳しさは別であるわけですから、そういうものをきっちりとしたことをやっていただきたいと思いますが、知事のお考えをもう一回お伺いしておきたいと思います。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 今日の情勢化におきまして、国も行政改革をやり、地方も行政改革をやっていかなきゃならぬというのは、これは一つは行政需要というものは時代とともにどんどん、どんどん増えていることは事実なのであります。行政需要は増えているけれども、じゃ、それに対応して人も増やすかと、これは人を増やしていたら全体の予算の構成比の中における人件費の割合というのがどんどん増えてしまうのであります。もう一番危機的な状態にあるときには五〇%近くの構成比の割合があったときがあるんであります。しかし、これが非常に硬直化の大きな原因になっておったのであります。ですから、これだけはもう何とかして落とさなきゃいかぬと努力をして、今日は相当の効果は上げております。首切りというのをやるのかと、それは絶対にやっておりません。それじゃどうするのかといえば、必要なものについてはこれは民間の委託というものも導入をいたしたりして、そして必要なものに対応していくというようなことをやり、採用もできるだけそれは必要限度において採用していくと、行政需要に対応して人員が増えていくというようなことはまずこれは抑えていかなきゃならないというのが一つの私どもの考え方であります。これは当然国民的、県民的な要請でもあろうと思うのであります。したがって、それと同時に、その新しいもの、時代に対応した新しい需要に必要な事業費を充当する、それで今までの惰性でやったものについては切り捨てるべきものは切り捨てていくと、この議員の御指摘は全くそのとおりであると思います。私どももその精神で一生懸命やってまいっておるのでありますが、今までやったものについてもそれなりの理屈なりがついておりまして、なかなかにこのやりとりは大変なのでございます。これを切ったら、これは人件費も充当しているぞと、それも充てているんだからというようなこともあったりして非常に難しい面があるんであります。しかし、我々はその辺についてはこういう新しい時代の非常に厳しい状況下に入ったのでありますから、その辺も関係者の御理解を得て、議員の御指摘の御精神はしっかりと体してまいりたいと思います。 ○議長(吉住重行君) 十七番。     〔関連質問〕 ◆十七番(平田賢次郎君) 石本議員の質問の中の空港問題について関連質問させていただきます。 先だって福岡事務所を開設されたんですが、そのときに九州・山口経済連の会長も御祝辞の中で「長崎県は西の端である」ということをおっしゃっておりました。知事も西の端であるということは常々おっしゃっていましたけれども、中国へ向かっての始発駅であると、終点ではないんだというふうなお話で、非常に西の端の長崎県ということは皆認めておるところでありますが、この長崎県がやっぱり経済的に浮揚するには西の端がやはり交通路だと思うんですね、これは離島半島が多い我が県では空路、海路、それから鉄道、高規格道路、それから一般道路と、こういう交通路が整備されて初めて経済が浮揚する、最も重要な要素の一つだと思うんですが、最も力を入れている新幹線、国際空港、なかなかはかばかしくないというような状況でございます。国際空港については津屋崎沖に、賢い人たちですかね、ワイズメン・コミッティがどうも決めたというような話でございますが、実は私、一昨日所用があって壱岐に帰っておりましたけれども、一昨日の午後から船も飛行機も全部ストップ、昨日一日中ストップです。そしてどうかしてこの議会に間に合わなきゃいかぬなと思って、最後に一番大きいフェリーが動いたんですけれども、私が申し上げたいのは、あすこの玄海灘というのは一年を通して六、七割は北、あるいは北西、北東、北寄りの風が吹いてくるんですね、そして台風でもないのに全部止まるというような局面がときどき起こるんです。そのしわ寄せというのは全部津屋崎沖に波がくるんですよね。どういう、自然の天然現象というんですかね、一番条件の悪いところに何で決めるんだろうか、工事費も相当高くなるはずなんですよ。しかも大村から福岡へ行くのとそう変わらぬですね、津屋崎のあの先から回って福岡に入るには、この一極集中、福岡の屋上屋を架すというのはあったんですけれど、何で賢い人たちがそういうようなことを考えるのかよくわからないんです。ただ、三県の知事さんたちもその辺を突いてやっているんですが、私が見たらどうも紳士的な答えで、もっと過激な反対というんですか、疑問をぶつけて、やはり今後頑張ってもらいたいとそう思うんです。 私がきょう申し上げたいのは、壱岐空港の件でございます。 壱岐空港はやはり交通路の中で、県は新幹線、それから国際空港を取り上げているが、そのしっぽの方に少し壱岐空港と載っているようでございます。大変地元がもたもたして厳しかったんですが、第七次の空整の中に取り上げられそうな、落っこちそうなところでございますが、内々の情報では、ローカル空港三百億という中で、圧縮すれば何とかなるというような話も聞いております。そこで現在の状況ですね、先ほど閣議決定前にさらっと申されましたけれども、土木部長で結構です。現在の状況と、それからなるべく、もし取り上げていただければ最大限の実現に向けて県の方で努力していただきたいと、これが私の要望でございます。その辺重ねて申します。現在の状況を少し詳しく、それから最大限の努力をしていただきたいというふうな要望、ひとつよろしくお願いします。 ○議長(吉住重行君) 土木部長。 ◎土木部長(梶太郎君) 平田議員からの壱岐空港の現在の状況ということでございますけれども、先ほど知事の答弁からもございましたように、非常に厳しいときではございますけれども、内々で第七次空港整備五箇年計画に入れてもらうということで我々としても鋭意努力しておるわけでございます。その中で運輸省の方からはなるべく事業費を下げるようにというふうな努力をしろというふうなことも言われております。それでその中で我々は壱岐と福岡路線に就航するエアーニッポン、これはボーイング三七の五〇〇という機材でございますけれども、それに必要な最低の滑走路だけは、すなわち千六百メートルということを考えておるんでございますが、この千六百メートルの採択についてお願いしますということで、今一生懸命に協議をしているところでございます。 以上でございます。 ○議長(吉住重行君) 三十番。     〔関連質問〕
    ◆三十番(末永美喜君) 私も同じ交通問題でちょっと知事にお尋ねしたいんですけれども、実は一昨日は比較的穏やかだったんですが、昨日急に荒天になりまして、朝から五島から来るのにも船、飛行機、ジェットフォイル、すべてが欠航して、ようやく夕方の船が出たという状況です。これはやはり我々島に住んでいる人間でないとなかなかその辺のことは、一晩で天候が変わるということについての御体験は少ないんじゃないかと思うんですけれど、そういう意味でこの交通網の整備ということについてはぜひ率先してやっていただきたいと思うんです。そこで新幹線のお話でいろいろ今正念場ということで頑張っておられるようです。私も元来今まで主張してきたのが新幹線陳情のときに、なぜ新幹線一両ぐらい借りきってでも、それで上京してやらないんだろうかということも疑問を持っていたんですけれども、九月議会が終わってからも私は個人的に上京した折には新幹線で往復するということで、長崎から東京まで、かもめも、新幹線も、グリーンを使いまして四万三千円ぐらいです。比較的低料金で、JR九州の努力によって行けるわけですから、そういうことも徹底してやっていただきたい。 それと私は鹿島の周辺の皆さん方の立場からすると、諌早に来るよりもあすこの住民の方々が一番懸念しているんじゃないかと思うことは、博多への直行便がなくなるんじゃないかと、利便性がなくなるんじゃないかという危惧を持っているんじゃないかと、利便性がなくなるんじゃないかという危惧を持っているんじゃないかなと私は推測をしております。東京で私も生活が長かったからいろいろ体験しておりますけれども、地下鉄の営団がJRの中央線にも、あるいは総武線にも乗り入れておりますし、私鉄の電車もJRのところに乗り入れているわけです。しかも、必ず各駅停車じゃなくして、間引いてとまることもある、快速も走っているわけです。東京周辺の地下鉄と、あるいは私鉄と、JRと、相互乗り入れのところと片一方乗り入れがあります。そういうことを考えますと、キーポイントは鹿島の周辺の人たちが博多に早く、簡単にいつでも行けるということを我々の方が提案し、そしてJRとも協議して、博多への直行便が短時間で行ける、あるいは肥前山口、佐賀、鳥栖ととまって博多へ行けるというようなことも私たちが視野に入れて考えて、そしてそれをもって佐賀県に話をし、JR九州と交渉をするのも一つの方法じゃないかなと、あるいはそこら辺が一番キーポイントじゃないかと思うんですが、知事はいかがですか。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 新幹線の状況は今正念場にまいっているということは申し上げたとおりでありますが、この正念場の中における二つの課題というものも、先ほど財源の問題と並行在来線の問題が地元の問題としてありますと申し上げました。並行在来線の問題という中の一番大きな問題というのは、これは今議員が御指摘になりました鹿島というものを中心とする長崎本線の問題でありますというのは、ついこの間JR九州から「肥前山口と諌早の間はこれは経営努力しても採算がとれないということで切り離します。」ということをはっきりと言明がありましたので、この鹿島の問題というのが確かにそのとおりだと思います。私どもは鹿島に対しても本当に、もうひとえに祈るような気持ちでお願いをしますということを申して、再三にわたっていろいろな点から議会にも御努力を願って、そして佐賀県にも大変な御努力を願って努力をいたしております。いたしておりますが、ただお願いします、お願いしますだけでは御理解はいただけぬと思います。先ほど申しましたように、駅の増発の問題とか、便数の増強の問題とか、いろいろあります。その中で一番のポイントというのは、今鹿島のそういった博多に対する直行路線の問題ではなかろうかと、こういう御指摘もありました。私どももその点については十分認識をいたしております。そしてこの点については、これはしかしJRとの問題、乗り入れの問題ということに相なりますと、JRとの関係が大いに出てくる問題でもございます。やはりこの点についてもJRとも十分詰めていかなきゃいかぬ問題であります。しかし、その問題の認識というものはしっかりと持っておるつもりでございます。ありがとうございました。 ○議長(吉住重行君) 八江議員-二十九番。 ◆二十九番(八江利春君) (拍手)〔登壇〕皆さん、おはようございます。 自由民主党・刷新会議の八江利春でございます。 通告に従い質問させていただきますが、毎回のことながら多岐にわたっての質問であります。大変御迷惑をかけますけれども、知事並びに関係部長の皆さん方、よろしく御答弁のほどをお願い申し上げます。 まず、農林水産業の振興について。 我が国の農業、農村は、私が申すまでもなく、ウルグアイ・ラウンド農業合意により大量の農産物が国内に輸入されております。国民は市場にあふれる農産物が、どこでつくられたのか、無関心で飽食の時代を生きていますが、他方で飢えや栄養失調で苦しんでいる発展途上国もたくさんあります。我が国は世界一の農産物輸入国となりましたが、農産物は工業製品と違い、異常気象による大凶作の可能性もあり、何よりも国内食糧自給率の向上が大切なことと思います。このような中、農林水産業は本県の基幹産業であり、農村・漁村の果たしている役割も大きいにもかかわらず、活力が低下し、県政にも多大な影響を与えています。何としても農林水産業の活性化を図る必要があると思います。自由民主党長崎県連政調会農水部会は、本年四月から農林業、漁業が抱える課題について関係者の声を聞くなど精力的に推進を検討してまいりました。また、その結果を集約して、先般知事に対して要請も行ったところであります。 そこで、基本的な問題について知事にお尋ねをいたします。 まず、農業振興対策のうち、農業・農村の基盤整備についてであります。 中山間地域を多く抱えている本県では地形的な制約が大きいこともあり、農道の整備が著しく遅れています。特に畑地帯における農道の整備率は五五%と、九州でも低い状況にあります。農作業の効率化、快適化を図る上でも農道を整備することが緊急の課題であります。次に、本県は水田に対して畑地の比率が高く、区画整理の整備率も水田四五%に対し、畑地はわずか九%と低い状況にあります。今後、担い手を育成する上からも畑地の整備を早急に進めていく必要があります。しかし、畑地の基盤整備は区画整理のほか、灌漑施設が伴うので反当たりの事業費が水田よりも割高となり、事業推進の支障ともなっております。 そこで、担い手の育成確保の面からも重要な農業農村整備事業の推進について、知事に次のことをお尋ねいたしたいと思います。 一、ウルグアイ・ラウンド関連農業農村整備緊急特別対策を積極的に活用して農道整備を緊急に行うべきと思いますが、その推進方策はどのように考えておられるのか。 二、土地基盤整備にかかる農家負担の軽減を図るため、担い手畑総事業の県費補助率の引き上げが図れないのか、お尋ねをいたします。 次に、新園芸一〇〇〇億の次期対策について。 不況が深刻だった昭和六十二年、高田知事が本県独自の園芸振興策として打ち出した園芸一〇〇〇億は多くの関係者に好意的に受けとめられ、農家の営農指針となりました。これをきっかけに県内各地の園芸振興に対する積極的な取り組みが見られるようになり、園芸一〇〇〇億はまことにタイムリーな政策であったと思います。それから十年、農業集約化の象徴ともいえる施設園芸が県内各地に広がり、積極的に売り上げを伸ばす農家や集団が増加しました。園芸作物の生産額も八百五十億に達したと聞いており、目標とした一千億には今一歩及びませんが、若者の就農が減少して高齢化が進み、農業全体の生産額が低迷する中で園芸一〇〇〇億は着実に成果を上げていると評価しております。知事を初め関係者の真摯な努力に敬意を表するものでございます。しかし、園芸農業も高齢化が進む中、海外農産物との競合、市場・流通環境の変化、産地間競争の激化への対応など、さまざまな問題に直面しております。本年度は新園芸一〇〇〇億計画の最終年度であり、農家や関係者の間では次期対策について関心と期待が高まっております。こうした中で自民党政調会農水部会でも次期対策についての議論を重ねてまいりましたが、基盤整備地区での園芸産地づくり、花卉園芸などの施設化の拡大、一千万農家の育成、流通対策などに重点を置き、施策を一層充実すべきであるという認識を持っております。 そこで、知事は新園芸一〇〇〇億の次期対策について、どのような考えを持っておられるのか、お尋ねをいたします。 次に、平坦地の稲作対策についてであります。 新食糧法が施行されてから、丸一年を経過しました。その間、流通規制が緩和されたこともあって、産地間競争がますます激化しております。また、最近の報道によると全国の生産調整面積は本年と同じ据え置きとなりましたが、米価は一・一%引き下げられることになりました。米、稲作については国の食糧政策という枠組みのもとで、本県でも各種の米生産対策が推進されております。稲作を中心とする平坦地農業は新食糧法のもと、生産調整に対処しつつ、市場原理が導入された米流通への対応に苦慮しておりますが、平坦地の稲作は消費者が求める良質の米をいかに低コストで生産し、効率よく供給していくことが基本的課題であると思われます。そこで、県は平坦地の稲作について、どのような対策を講じようと考えておられるのか、お尋ねをいたします。 次に、諌早湾干拓事業の早期完成について。 諌早湾干拓事業は、知事四代にわたる四十年以上の歴史と、諸先輩方の御努力により、平成元年十一月には起工式がとり行われました。現在は全長約七キロの潮受け堤防は潮止め区間の一・二キロを除き、約五・八キロが満潮時でも海上にあらわれ、完成を目指して急ピッチで工事が進められていることに対し、地元の者として大変喜んでおる次第であります。事業は来年春行われる潮止めの工事後、既に完成している北部と南部の両排水門を操作し、内側の調整池の水位を徐々に下げることにより、高潮、洪水、排水改良など防災効果を先行して発現させると聞いております。また、潮受け堤防は所定の高さまで平成九年度でほぼでき上がり、内部堤防及び干拓地の工事は平成十二年度完成を目指して精力的に工事が実施されることと思います。諌早湾干拓事業については、昨年十二月にも私の考え方を述べたところでありますが、地元市町において諌干事業についての賛否の請願が出ており、県民の考えに戸惑いもありますので、ここで知事の考え方を強く表明していただくことが大切と思い、次のことをお尋ねしたいと思います。 まず、第一は諌早湾干拓事業の全事業の早期完成と目標達成に向けての知事の決意について。 次に、干拓によりでき上がる広大な農地の将来的な利用方法と、魅力的な営農計画への取り組みの状況について。 もう一点は、潮受け堤防が完成して調整池ができると同時に、その一部が陸地化する、いわゆる河川敷を将来どのように利用しようとしておられるのか、お尋ねをいたします。 次に、水産振興について。 水産業に関しては漁獲量の減少、魚価の低迷、漁業就業者の減少、高齢化などに加え、国連海洋法条約の発効に伴う周辺関係国との新たな漁業秩序への対応が迫られるなど、かつてない変革の時代を迎えております。このような状況の中で、我が党では水産業が抱える重点課題について検討を行い、漁業資源を増加させるための栽培漁業の推進、漁獲物の価格向上のための本県水産物のブランド化や流通の合理化、これらの事業の中心となる漁業協同組合の経営体質強化のための漁協合併の推進など積極的に取り組んでいただくよう知事に要望したところであります。 そこで、幾つか質問させていただきます。 まず、海洋法条約についてであります。本年七月二十日に国連海洋法条約が我が国においても発効し、関係する法律が施行されました。これに伴い二百海里の排他的経済水域が全面的に設定されましたが、韓国、中国へは経済水域がいまだに適用されていないという大きな問題が残っており、新しい海洋秩序の形成に向けて両国との漁業協定が早急に改定されますよう、国に対し強く働きかけていただきたいと思います。一方、漁獲可能量、いわゆるTAC制度に基づく資源管理については、来年一月から全国的に開始されることになり、長崎県にはマアジ、マサバ及びコマサバ、マイワシの三種について具体的数量が割り当てられております。知事は「割り当てを受けた漁獲可能量について、今後、県の計画を定めて適正な資源管理を行っていく」と表明されましたが、TAC制度は全く新しい制度であり、本県の漁業者はどのように運営されるのか、大きな不安を抱いております。TAC制度に関して漁業者の理解が得られているのか、どのように運用をされるのか、知事にお考えをお尋ねいたしたいと思います。 次に、長崎県の水産加工振興についてであります。 長崎県の漁業生産量は全国第二位を誇っております。一方、水産加工業の生産量は食用加工品で平成六年四万五千トンと、約二十一位にとどまっております。今後は漁業者にとって、とる漁業から売る漁業への転換、つまり漁獲物に付加価値をつける水産加工業が、より重要になってくると思います。このような中、県において水産加工一千億の具体的な施策として漁村加工、企業加工の両面から水産加工振興を図っておられ、中でも漁村加工に取り組む漁協を地域ごとに組織化し、新商品の開発等を支援する「長崎漁村加工推進圏形成事業」は、地域の特性を生かした漁村加工の取り組みを後押しをするものであり、高く評価をいたすところであります。ところで、今後加工事業の確立を図っていくためには大消費地の量販店や生協などに売り込んでいくことが大きな課題であると思いますが、県として販路開拓についてどのような施策を展開しておられるのか、お尋ねをいたします。 また、全国に通用する加工製品のレベルアップを図るためには高次の加工技術の開発が重要でありますが、来年度開設される「水産加工開発指導センター」においては、どのような取り組みをされるのか、これもお尋ねしておきたいと思います。 次に、土木行政についてであります。 まず、都市計画の見直しと緩和について。 前回に引き続き都市計画行政についてお尋ねをいたしたいと思います。 都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分する、いわゆる線引きの制度は、昭和四十六年に長崎都市計画区域と佐世保都市計画区域で決定されて以来、民間開発などに対する開発許可制度とともに、無秩序な市街化を防止して計画的なまちづくりを進める上で重要な役割を果たしていると評価をいたしております。しかしながら、長崎市や諌早市を初めとして長崎都市圏の住宅地の価格は依然として高く、そのための人口の流出などで都市の活力低下の一因となっていることも事実であります。そこで、良好な住宅地を提供することで人口の定着化を促し、豊かな住環境の創造と低迷する経済の活性化を図ることが重要であり、周辺農家などでは米の生産調整を初め、農業に活力を見出すことができない今日の状況の中で、せめて土地の有効利用が最大の課題であります。また、その要望が日増しに強くなっておりますことも事実であります。 そこで、次の二点についてお尋ねします。 一点目は、線引きの弾力的運用についてであります。 線引きの見直しは、通常五年から七年かかると聞いておりますが、もう少し期間を短縮して見直しの頻度を高くするとともに、小規模な区域についても積極的に見直すことが必要ではないかと思います。 二点目は、市街化調整区域の開発許可の規模要件の引き下げについてであります。 長崎都市計画区域における市街化調整区域の開発許可の規模要件となっている二十ヘクタールを五ヘクタールに引き下げ、緩和することは、地域の開発の促進と地場企業への経済的波及効果を高めることと、同時に県民への住宅供給が一段と促進されることを期待するものであります。佐世保都市計画区域と同様に早急に実施すべきと考えますが、知事の考え方をお尋ねいたします。 次に、維持管理について。 県は、道路、河川、ダム、県営住宅などの公共土木施設の整備について積極的に取り組まれ、このことが活力ある長崎県の大きな原動力になっていると認識をしているものでありますが、またこれらの施設を良好な状態で維持管理し、有効に活用していくことも極めて大切なことと思います。県におかれても公共施設の整備を行う場合、供用開始後の管理費についても十分に念頭に入れ、整備箇所の検討や設計を行っていることは承知していますが、年々公共事業の予算が伸びているのに比べ、維持管理に要する予算が十分に確保されているのか、いささか疑問を持っているところであります。例えば道路が経済活動や住民生活に直結した重要な施設であり、維持補修を怠ると変形路面による事故の発生、あるいは施設の老朽化に伴う物流への影響などにより、経済的損失を招くことにもなりますし、橋梁、トンネルにあっては大惨事を招くことにもなりかねません。また、河川においても豪雨のたびに至るところに土砂が流出・堆積し、雑草が繁茂しているため、治水上の安全性の低下が懸念されるとともに、景観の面からも問題があるのではないかと考えます。そこで、県が管理者として施設機能の維持管理をしっかりと行うことが公共投資の本来の目的も達成されるとともに、県民の利便性や安全性を高め、また環境美化など生活環境の向上にもなり、美しく、楽しく、たくましいふるさとづくりにもつながるものと考えるところであります。また、整備した公共施設をきちんと管理し、後々まで良好な状態で引き継いでいくのも私どもの責務であると思います。さらに、維持管理の確保は地場の中小企業の受注機会の増大、育成にもつながるという効果も期待されるものであります。適切な維持管理は県民生活へのサービスを向上させ、一度整備した施設を大切に活用していくことが、ひいてはトータルコストからも有利ではないかと考えるものでありますが、維持管理についての考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。 次に、県央地方拠点都市地域整備の推進状況についてであります。 県央地方拠点都市地域については、平成五年四月に基本計画が承認されてから、既に三年半が経過いたしました。本計画は「三海一果のくにづくり」を基本理念に、都市機能が集積する諌早市と大村市を中心に、その周辺を含む二市十町が一体となり、若者にとっても魅力ある食・住・遊・学の機能が備わった新しい定住地域の形成を図ることを目的として策定されており、その進捗について注目をしてきたところであります。さて、先日国勢調査の確定数が公表されましたが、県全体で一万八千人減っている中で、当地区は八千人以上も人口が増加したのを初め、製造品出荷額などでは長崎市に次ぎ第二位の地位にあり、引き続き産業集積が進むなど、県勢発展を図る上でも特に重要な地域と思っております。ところで、佐世保地域においては西九州自動車道の整備が進むとともに、佐世保駅周辺では鉄道高架化事業など主要な事業が既に着手され、また県民文化ホールについても基本設計の概要が先ほど発表されたところであります。一方、県央地域においては大村市の産業業務施設団地「オフィスパーク大村」の造成工事や、諌早市の高城地区市街地再開発事業などが進められておりますが、とりわけ諌早市においては諌早市周辺の県央文化の広場計画や南部土地区画整理事業、あるいは諌早駅周辺の市街地開発事業など、市長の交代等もあり計画どおり進んでいないのが実情ではないかと思います。計画の目標期間はおおむね十年間と聞いております。拠点都市地域整備の推進について心配している市民も多く、今後の成り行きが注目されているところであります。 また、一般国道三四号大村拡幅事業や一般国道五七号森山拡幅事業を初めとして、地域内の交通網の整備の促進についても地元としても大きな期待を寄せているところであります。地域の整備については構成市町の努力も必要でありますが、全国に先駆けて一次指定を受け、基本計画の承認がなされた地域でもあり、さらに円滑な推進を図るためにも、なお一層の県の支援が求められるところであります。そこで、県央地方拠点都市地域整備の着実な推進に向けた県としての基本的な取り組みと支援についてお尋ねをいたします。 最後に、県立新大学について。 知事は、このたび県立新大学の基本設計について公表されましたが、当初から今回の大構想に関係してきた者の一人として感激ひとしおのものがあります。これまでの県の取り組みについて改めてお礼を申し上げたいと思います。さて、県立女子短期大学の四年制昇格と看護系大学の新設の問題について、私がこれまで十回以上にわたり本壇から質問を重ね、早期実現の要望をいたしてまいりました。当初はどういった大学を、いつ、どこにつくるのか、その方向性が全く見えませんでしたが、今日、徐々ではありますが、その姿が明らかになってまいりました。学部学科の内容として二学部四学科、開学時期が平成十一年四月、設置場所が長与町、そして今回の基本設計の概要公表により、いよいよその輪郭が見えてまいったのであります。最も重要な大学の理念、カリキュラムについても準備委員会において鋭意検討が進められているとのことでありますし、自治省との協議も終え、地域総合整備事業債の適用が本年八月に認められたと聞いております。しかしながら、なおクリアすべき多くの課題が残っているところであり、平成十一年四月までに残された時間は限られておりますし、そこで数点お尋ねをしておきたいと思います。 まず、最初に新大学の名称について知事の御所見を伺いたいと思います。現在、既に長崎県立大学は佐世保市にあり、紛らわしい名称は避ける必要があることは当然として、若者を集め、県内外にアピールするためには新大学の内容に即した立派な名称が大切であろうと考えます。いつごろ、いかなる手段で新大学の名称を決定されるのか、お尋ねをいたします。 次に、新大学の根幹である教授陣の確保の問題であります。 今さら申し上げるまでもなく、新大学の設置に当たって最も困難なのは、優秀な教授陣をこの長崎に、東京を初め全国各市から招へいできるか否かにかかっておると思います。しかしながら、本県は東京から遠く、企業誘致と同様になかなか厳しいものがあろうと想像しております。特に、全国的に看護系大学の新増設が相次いでおり、看護系教員の確保には、各県相当の苦労をしているやに聞いております。そこで、これまでの教員確保の状況並びに今後の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。 第三に、大学設置のための財源確保の問題についてであります。 従来、大学は国立大学と私立大学が中心であり、公立大学は数が非常に少なかったのでありますが、今日では立派な公立大学が全国各地に設置されつつあり、新しい流れが生まれてきております。私も幾つかの大学を見学しておりますが、見栄えも、施設の質も国立大学以上のものが多いように感じております。これは、やはり地方に優秀な教員と学生を呼んでくるための手法の一つであろうと思います。また、大学というものの性格上、やはり当初から少し余裕を持って建設することが将来に禍根を残さないためにも必要であろうと存じます。本県の財政状況が厳しいことは十分承知しておりますが、新大学建設のための財源確保についてお尋ねをいたしたいと思います。 以上、壇上からの質問を終わり、必要によっては自席より質問をさせていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(小林克敏君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 〔登壇〕八江議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、担い手畑総の農家負担の軽減の問題でありますけれども、これは以前、議員からも御要望、御指摘がございました部分でありまして、一般畑総に対する担い手畑総の事業について、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の予算も活用しながらこれの推進に努めておるところでありますけれども、事柄も確かに重要な事柄であります。私どもの県におきましては、農地も非常に規模の小さい農地が多いのでございまして、こういう事業というものを取り込んでやっていくということは大事なことであると思います。地元負担の軽減につきましては、国に対しまして、今五〇%の補助率に対して、この補助率アップというのをまず基本にして、この補助率アップを要望いたしているのであります。そして、そのことがひいては地元負担の軽減にもつながってくると、こういうふうにも思って、これを基本にいたしております。県としましても、今日の財政事情を勘案し、また他県の状況等も考慮しながら引き続き検討してまいりたいと、かようにも思っておりますが、この担い手育成畑総事業というのをやっているのは、九州では熊本、鹿児島と本県の三県だけでございます。私どももこの事柄の重要性というものを認識して今後も努力はしていきたいというふうに思っております。 それから、新園芸一〇〇〇億に対する次期対策はどうかと、こういうことでありますが、既に第一期、二期と新農政というものを展開してまいりまして、花卉、野菜、バレイショ、お茶、葉たばこというような六品目を中心といたしまして、特に伸ばすべき品目というものを指定して園芸一〇〇〇億という事業を進めてまいったのでありますけれども、これは先ほど御指摘もございましたように、平成七年には八百五十億ということで、一千億にはいまだ届いておりませんが、これが発足いたしました当時は五百億前後でございましたので、非常に伸びた形になっておるのであります。約五〇%の伸びという感じになっております。御質問の中にもございましたように、始まりました昭和六十年当時と平成七年を比べてみますと、一千万農家が五倍になっておるのであります。そういう意味からも、この事業というのはかなり採用せられ、そして農家にとっての非常に有効な事業になっているのではないかと、かように思っておる次第であります。次期対策につきましては、新農政プランの方向に沿って、これまでの成果と園芸振興上の課題を踏まえて、新しい観点から総合的な振興策というものを、平成九年度から平成十三年度までの五カ年計画で実施することにいたしております。 次期対策の柱というものは何かと申しますと、農協ごとの産地ビジョンということをもとにいたしまして、まず「ながさき」ブランドの確立ということをぜひやっていきたいと、そのための流通対策の拡充をしてまいりたいと思っておる次第であります。さらに本県の園芸農業を担う魅力ある経営体の育成というのは、高品質化を図るということと、生産規模の拡大を図ると、こういったことを中心として魅力ある経営体の育成を図っていこうと、それから労働力の減少や高齢化が非常にテンポが早く進んでおりますので、これに対応した省力化、あるいは分業化というものも推進をする、これは当然のごとくであるのでございます。それから基盤整備や水田転作等と結びつけた新産地の育成、さらには需要の伸びが期待される花卉など施設産地の拡充と、こういったことに重点を置いて競争力のある産地づくりを次期対策の柱として進めてまいりたいと思っております。特に流通対策につきましては、量販店シェアが拡大をしてきたり、あるいは輸入野菜が増大をしてきたり、相対取引が非常に増えてきているというようなこともありますし、産地間競争の激化、あるいは消費者ニーズの変化というものもあったりいたします。そういうようなこともありますので、そういう変化に対応して引き続き主な全国的な卸売市場との連携をよくしておくということが大事だと思うのであります。こういうものなら、こういうふうにすれば売れるぞということの指導等をいろいろもらいながら、そういう卸売市場との連携を非常に強くしておく、あるいはアンテナショップの設置等による販路等の拡大に力も注いでいくということも、さらに必要ではなかろうか。そして生産者と消費者の交流促進、海外での市場調査等による流通ルートの開拓というようなことについても努力をしてまいりたいと、かようにも思っておる次第でございます。 それから、諌早湾干拓事業についてのお尋ねであります。 この諌早湾干拓事業というのは、これは優良農地の造成ということも大きな目的であります。中山間地帯というものを抱えている本県でありますから、これも大きな課題でありますと同時に、議会でもしばしば申し上げておりますように、高潮、洪水と、この二つの災害というものを同時に解決していく大きな事業であるのでありまして、私どもはそういう意味におきまして、総合防災機能と優良農地の造成と、こういう意味におきましての非常に有意義な事業であるというふうに認識をいたして、今日まで進めてまいっておるのであります。殊に本県は、優良農地の造成ということは私は非常に大事だと思うのであります。これは中山間地帯、あるいは急傾斜地帯、あるいは小規模だというようなこと、大消費地から離れているということ、どれをとりましても農業というものは厳しいのであります。しかも安い輸入野菜というのがどんどん入ってきているというような現状で、これに対抗していくにはどうしてもコストを下げていかなきゃならぬのであります。こういうコストを下げた競争に耐え得るためには比較的コストのかかりやすい本県では一段の努力というものをほかの県よりもしなきゃならぬと思うのであります。そのためには、それをつくるところがどういうところであるかということが非常に重要であると思います。平坦地の大規模経営というものができるということは農家にとっては大変に大きな意味があると思うのであります。したがって、そういう農地に入植できるような条件づくりというものも一生懸命今しております。そういうようなことをしながら今後とも努力をして、早く完成をしてまいりたい。第一期分の潮止め工事、これは来年の三月ごろに予定をされております。事業の着実な推進、潮受け堤防完成後の内部堤防工事の実施など事業促進に向けて強く国に働きかけてまいりたいと思う次第であります。 平坦農地の中で大規模な農地というものをやっていくということについては、ただいまも申し上げましたように非常に大事なことでありまして、その中における品目というものも大規模野菜作とか、あるいは花卉栽培というようなことも含めた営農類型などの検討も進めてまいっておるのであります。今後、営農実証調査、これは小江地区におきまして、どういうものかということを試験的にも今始めておるのであります。そういう技術的な成果を踏まえながら検討を深めることとしまして、国、関係市町と協議を行いながら、農地の魅力的な利用方法というものを、せっかくのあれだけ事業であります、これを最大限に効果のあるものにいたしてまいりたいと、かようにも考えておるのであります。それから締め切りますと、当然のごとく調整池内の自然干陸地が、かなりのものが出てくると思うのであります。これの具体的利用方法などについて地元市町からの御提案もいろいろと出てきておりますし、また今後も出ると思うのであります。こういう御提案を踏まえて、県としても検討を行って、管理者であります建設省に要望するなど、適切に対応してまいりたいと思うのであります。この自然干陸地というのは、これは非常に有効な、利用価値のある土地であろうかと、かようにも思います。この点をこれからみんなで衆知を集めて考えていく価値があろうかと、かようにも思うのであります。 それから、水産のTACの制度についてのお尋ねであります。 国は今度国連海洋法条約の発効に基づきまして、来年一月から導入される漁獲可能量、いわゆるTACの指針となる基本計画を公表し、各県ごとの魚種別の数量を定めました。県は国の基本計画の策定に当たって事前に関係業界などの意見を聞きまして、本県の実情が十分に反映されるような要望をしてまいりました。おかげさまで本県の割り当て数量というものはマアジで五万二千トン、マイワシで七万トン、マサゴ、ゴボサバで一万四千トン、それからサンマ若干と、こういうふうに定められました。これは平成七年の本県の漁獲の実績をやや上回る量となっておるのであります。これを受けて、県は産・学・官で構成するTAC管理制度委員会を設置して県の管理計画案を策定した後、各海区漁業調整委員会に諮って異議ない旨の答申をいただいたのであります。今後、農水大臣の承認を得た上で公表することといたしております。この計画の骨子は、マアジ、マサバ、あるいはゴマサバ、マイワシというものは中型のまき網漁業がほとんどでありまして、これのみに今回は数量割り当てを行って、その管理は漁業者の自主的な協定に基づいて実施することにいたしておるのであります。TACの運用に当たっては漁業者の意見も聞きながら漁業経営に急激な影響を及ぼさないよう十分配慮してまいりたいと思っておるのであります。 それから、水産加工についてのお尋ねでありますが、詳細は水産部長からお聞き取りを賜りたいと存じますが、この水産加工品というものについて力を入れるということは私は非常に大事だというふうに思います。私ども県の水産の漁獲物というのは非常に種類が多い、そして美味であります。これは間違いないのであります。どこへ行っても長崎の魚というものは種類が多くてうまいということは、みんなから言われるのであります。この宝を生かさなきゃいかぬと思うのであります。今までは生でビンナガを食っていた、これは加工というものに対する怠けがあったと思います。私どもは加工して、そして大消費地に送っていく必要があると思います。今度の水産試験場、これは来年できます日本一の水産試験場の中におきまして、水産開発指導センター、これは加工技術を中心として行っていくのであります。この技術というものをここで学んで、各地で加工して、そしてそれを大消費地に送ることが非常に大事だと思います。近く、そういった関係の大手業者も一堂に集まっていただいて水産加工というものについての商談会というものも実施してまいりたい、今後もそういったことは頻度を増やして行ってまいりたいと思っております。今度の水産試験場の中におきます水産加工指導センターは最新の加工技術というものを置いて頑張っていこうと思っております。加工は今後、本当に力を入れていかなきゃいかぬ事柄であるということは御指摘のとおりであると思います。 それから、都市計画区域の見直しの問題であります。 これは市街化区域と調整区域、この線引きの見直しというのは、これは定期見直しと中間の見直しとありますけれども、現実的には二年から三年ごとに実施をしているのが現状であります。見直しの対象とする区域も小規模でやれということの御指摘がありましたけれども、特に規模的な条件は現在も設けておりません。そして計画的な整備が確実な区域を対象としておりまして、今後とも関係市町と緊密な連携を取りながら線引きの見直しが良好な宅地の供給に資するように努力をしてまいりたいと思っておる次第であります。 また市街化調整区域内における開発許可の問題、これも前から御指摘もございました。これは無秩序な市街化というものを防止すると、そして健全で計画的な都市の発展と、良好な都市環境の形成ということを図ることを目的としている制度でありますし、また水資源というものはその地域において、どのくらいの水資源というものが確保されているかと、あるいは道路の整備がどうであるかということとも関連しながらその開発許可というものはやっていかなきゃならない。したがって、一定の区域内における関係者の総意がないとできないという制度になっておるのであります。 それで開発許可の規模、要件の引き下げということについての御要望が前にもございました。これも地域の実情にかんがみまして、産業の振興、あるいは定住化の促進、住環境の改善ということを踏まえて御要望も非常に強くございましたので、国及び関係機関との協議も行ってまいりました。今回は長崎都市計画区域、これは二市四町であったと思います。二市四町で構成している長崎調整区域、この区域において全体の了解がなければということであったのでありますが、要望のあります二市一町、自分のところはやらないけれども、あなたのところがやるならば私のところは苦情は言いませんということで、二市一町の引き下げにつきましては、分離して行うことで基本的に了解が得られましたので、これを受けて前向きに検討してまいりたいと、かように存ずる次第でございます。 それから、新大学についてのお話で、名称についてでございます。 今、大学については基本的な計画というものができ上がってまいりました。現在、準備委員会におきまして、大学の理念、あるいは教育目標、特色づくりなど大学基本計画の策定を進めておりまして、新大学の名称はこれを踏まえて検討したいと思います。名称は平成十年四月の文部省への大学設置認可申請時までに決定をする必要がありますので、平成九年度の早い時期に新しい大学にふさわしい名称を選考したいと考えておりますが、公募したらどうかと、こういう御指摘もございました。公募については一つの考え方で、広く大学をアピールするという点からも公募ということも検討もしてみたいと思いますが、公募したものの中から採用するとは限らずに、公募もしてみたいと思います。公募していいものが出るとは限らない場合もありますので、絶対にそれから取るということではなくて、それも一つの条件として考えてみたいというふうにも思っておる次第であります。 ○副議長(小林克敏君) 農林部長。 ◎農林部長(白浜重晴君) 土地基盤整備予算の確保と、特に農道整備の推進方策についてのお尋ねでございますけれども、農業農村整備事業は農業経営の効率化や農村の生活環境改善を図る上で重要でございまして、第四次土地改良長期計画に沿って整備を進めておるところでございます。特に農道の整備におきましては、中山間地域を多く抱える本県にとりまして傾斜地も多いことから、農作業の効率化を図る上で重要でございまして、従来から広域農道を初め積極的に推進をしてきているところでございます。今後とも事業予算枠の確保には十分努めてまいりたいというふうに思っております。 それから、平坦地の稲作についての対策のお尋ねでございますけれども、稲作につきましては、新食糧法のもとで需給の均衡を図る生産調整に取り組むとともに、地域の特性を生かした特色ある米の生産、県産米の販売促進などに力を注いでいるところでございます。特に、平坦地につきましては、先生からも御指摘がございましたように、消費者ニーズに即応した良質米の低コスト化生産に向けまして、作業の受委託、農地の流動化の推進、機械施設の共同利用、米麦機械化一貫体系の導入や大規模乾燥調製施設等の整備を推進しておるところでございます。今後とも稲作をめぐる諸情勢の変化に対応しまして、関係機関と一体となりまして、中核的な担い手を中心とした生産性の高い水田営農の実現に向けて努力をしてまいりたいと思っております。 ○副議長(小林克敏君) 水産部長。 ◎水産部長(出口啓二郎君) 水産加工業の重要性につきましては、知事からもお答え申し上げましたが、議員御指摘の量販店や生協への販路開拓につきましては、今年度、県単独で「海の恵み丸ごと商談会」を開催いたしまして、本県水産加工品のPRと販路拡大を図ることといたしております。この商談会の内容は、県内で開発された加工製品を一堂に集めて、大消費地から量販店、生協の商品開発担当者を招いての商談会の実施、また商品に対する消費者サイドから見た評価と、新商品開発、販路開拓についてのアドバイス等をいただくことにいたしております。また、平成九年四月に供用を開始する新しい水産試験場は、開かれた水産試験場として県民に広く利用していただくことにしております。水産加工開発指導センターでは加工業者が試験、試作を行えるように施設を整備しておりますし、さらに最新の機械を用いた新技術の開発や、本県産魚介類の特性を生かした高品質の製品開発研究、技術の普及指導を行うなど、水産加工のレベルアップに努めてまいりたいと思っております。 ○副議長(小林克敏君) 土木部長。 ◎土木部長(梶太郎君) 維持管理についての御質問でございますけれども、議員御指摘のとおり、公共土木施設を良好な状態で維持管理していくことは大変重要なことと認識しております。しかしながら、公共土木施設の整備につきましては、国庫補助等による財源措置もございますけれども、維持管理につきましては、その多くは県単独費で賄っておりまして、限られた予算の中で緊急性の高い箇所や、県民の生活の影響に大きい箇所等から優先的に実施しているところでございます。今後とも維持管理の予算確保に努めるとともに、管理費用のローコスト化に配慮した施設整備のあり方などについても検討してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林克敏君) 企画部長。 ◎企画部長(副島宏行君) 県央地方拠点都市地域についてのお尋ねでございますが、県央地域につきましては、平成五年の四月に基本計画を承認いたしまして、公共事業の実施、あるいは地方単独事業に対する地域総合整備事業債の充当など、事業の推進を図ってきているところでございます。その取り組み状況でございますが、大村市で産業業務施設団地「オフィスパーク大村」の造成工事が平成七年三月に着手されまして、現在、道路や上下水道等の整備が進められております。平成九年度末からの分譲開始が予定されております。 次に、諌早市でございますが、高城地区の市街地再開発事業によりまして、商工会議所、あるいは物産ホール等を含むオフィスビルが平成九年二月に供用開始される予定で整備が進められております。 また、諌早西部地区新住宅市街地開発事業でございますが、現在、県の住宅供給公社が住宅団地の計画を進めておりますが、その用地取得率は既に七〇%を超えております。団地整備後、平成十二年には分譲開始の予定となっております。さらに都市計画道路の破篭井鷲崎線、あるいは真崎久山線等、道路整備や、大村湾南部流域下水道整備事業を進めております。また、新幹線の計画に伴います諌早駅、あるいは新大村駅の周辺整備調査につきましても、両市ともに今年度から実施をいたしております。なお、諌早市の刑務所跡地等の活用につきましては、市と協議をしてまいりたいと思います。今後とも国、市町村、広域圏組合等と連携を図りながら事業の推進を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林克敏君) 総務部長。 ◎総務部長(森脇晴記君) 県立新大学の教員確保のお尋ねでございました。 新大学の教員確保につきましては、看護系大学の設置が全国的にあるということから、当初から厳しい状況にあるという認識のもとに進めておりますが、全体としては県立女子短大から移行する教員を含めて、現在のところ必要教員数の六割程度を確保しているところであります。そのうち看護系教員につきましても、修学資金制度の活用や、内部からの育成などにより必要教員数の約半数を確保しておりますが、今後は課題となっております教授クラスの確保を中心として教員確保に全力を挙げてまいりたいと存じます。 ○副議長(小林克敏君) 二十九番-八江議員。 ◆二十九番(八江利春君) 総務部長の答弁がまだ残っていると思います。よろしくお願いします。 ○副議長(小林克敏君) 総務部長。 ◎総務部長(森脇晴記君) もう一つのお尋ねは、県立新大学についての建設財源確保についてのお尋ねでございました。 先生のお話にもありましたように、各方面から大きな期待を寄せられておる大学でございます。私どももできるだけ質の高い大学をつくるということで現在進めております。そのためには、先ほど申し上げました優秀な教員の確保ということと、学生にとって魅力あるキャンパスをつくるということが肝要かと存じております。 それに関しまして、財源措置でありますが、公立大学の設置につきましては、国庫補助制度というのはございませんで、主として起債措置による財源措置になるものでございます。こういうことで起債に頼らざるを得ないというわけでありますが、財政的に有利な地域総合整備事業債を積極的にできるだけ確保するなど、こういうことについては国に働きかけるなど、さまざまな工夫を行い、財源措置については遺漏なきよう努めてまいりたいと存じます。 ○副議長(小林克敏君) 二十九番-八江議員。 ◆二十九番(八江利春君) たくさんな質問でありまして、いろいろ整理が大変でありますけれども、最後に御答弁いただきました県立女子短期大学の件について、これは要望だけ申し上げておきたいわけですけれども、正直言って私も先ほど壇上から申し上げたように、もう毎回毎回、新県立大学のことについてはお願いをしてまいりました。ようやく先ほどのような基本設計ができ上がって、いよいよ着工されたわけでありますけれども、その名称につきましては、先ほど知事の答弁でありました。長崎にふさわしい、そしてまた生徒が集まりやすい立派な施設に合わした名前をつけていただきたいと、これは要望ですけれども、しておきたいと思いますし、財源の確保の中で、先ほど答弁がありましたが、厳しい財政状況の中での建設であります。聞くところによりますと、箱物も三階でつくるべきところを財源がないから二階でというような話も聞き漏れてくるところもあります。そういうようなことがあっては将来に禍根を残すということもありますから、特に将来のためにも計画どおり、あるいは計画以上の学校をつくっていただきたい、これは強く要望にしておきたいと思います。 それでは、冒頭に申し上げました自民党政調会農水部会で陳情もし、要望もいたしたわけでありますけれども、特に土地の基盤整備事業について、これは現在、平成五年から平成十四年まで土地改良長期計画の中にのっとりながら基盤整備等を進めていただいておるわけでありますけれども、特に我々が感ずるのは規模拡大、あるいは効率的な作業形態、こういうものを進めていくとすれば、どうしても基盤整備が必要だと、あるいは農道の整備も必要だと、こういうことからいろんな事業を進めていただいておりますし、そしてまた、県が特にこれまでいろいろ御努力いただきました新園芸一〇〇〇億の推進の中でも、やはりこの基盤整備というものが大事な要素でありまして、ぜひこの基盤整備、あるいは農道整備がこれからの農業の活性化の一つの大きな基本だと思っておりますので、先ほどから出ております補助率のアップ、現在、水田が県の補助が三〇%、畑地は二五%というふうなことで五%の差があるわけです。特に島原半島の農業地帯を例に申し上げますと、長崎県内で五割近い生産量を誇る島原半島でも、その畑地帯の基盤整備がほとんど進んでないというのが実情ではないかと思います。そのこともあって島原半島の町村会の皆さん方が、今回は一致団結して、基盤整備をぜひやりたいから補助率のアップをよろしく頼むという陳情も既にされていることだと思います。私たちが長崎県の農業の活性化を図るため、あるいは新農政の特別対策の遂行上、あるいは新園芸一〇〇〇億のこれからの推進上からも、この基盤整備等については特段の御配慮が必要だと思います。財源、その他につきましては、国の考え方いろいろあろうかと思いますけれども、ぜひそういうふうに進めていただきたい、これも強く要望しておきたいと思います。 それから、園芸一〇〇〇億の次期対策につきましては、先ほど知事から前向きの御答弁をいただきました。一九九七年から二〇〇一年にかけての五カ年計画を進めていくということであります。これまで一次が園芸一〇〇〇億、二次が新園芸一〇〇〇億と、これも名前をいろいろ申し上げるようですけれども、新たな名称で研究を図りながら園芸一〇〇〇億の推進にしてほしいと、このように思います。この名前がいかなるかということも含めて、後ほど農林部長でも結構ですので、そういう考え方についてお尋ねしたいと思いますけれども、まず、農家の営農指針である新園芸一〇〇〇億ということになりますと、すばらしい二十一世紀型の名称をつけていただきたいなと、こういうふうに思います。 そして、全国的にウルグアイ・ラウンドの農業合意後に非常に進んでいるのが、どこの県でも施設園芸等でありまして、その中でも、特に花の栽培が増加をいたしております。長崎県が今行っている新園芸一〇〇〇億の重点事業も花の栽培を中心にやっていくと知事が答弁され、五十億あるのも、今現在五十八億ぐらいになっておるそうです。これをやはり百億までもっていくのが必要だと、こう思います。そして、もう一つ思うのは、長崎県は茂木ビワの産地であり、全国一であります。この施設が大分進んではおります。大体栽培面積が七百ヘクタール余あるわけですけれども、その中に約一割ぐらい、七百七十八ヘクタールぐらいが茂木ビワの今の施設化されたものであります。やはり特徴ある新園芸一〇〇〇億を進めていくとすれば、やはり茂木ビワあたりの、長崎県の従来の特産であるものの再確認、それと新しく導入できる花の導入、そして百億を達成したと言われるイチゴの産地づくり、こういったものが新園芸一〇〇〇億の基本になることだと思います。そのあたりのことを考えて進めていただきたい。そこで、農林部長のそれらの取り組みについて、あるいは名称についてもお答えをいただければありがたいと思います。 ○副議長(小林克敏君) 農林部長。 ◎農林部長(白浜重晴君) 新園芸一〇〇〇億の次期対策についての名称のお尋ねでございますけれども、先ほど知事からも答弁申し上げましたように、次期対策につきましては、新農政プランの方向に沿って、またその成果を踏まえて推進をするという答弁をしたわけでございますけれども、名前につきましても、やはり事業を推進する上で必要でもございますし、わかりやすく、またその方向に向かって頑張るためにも必要であると思っております。そういうこともありまして、内部検討を進めているわけでございます。また、農林部内の関係機関等から名前の募集等も内々やったわけでございますけれども、百二十点余りの応募がございました。今後、これらの応募結果も踏まえて、また関係者の御意見等もお聞きしながら、次期対策の適切な名称は考えていきたいと、そういうふうに思っております。 それから、具体的に取り組みのお話がありました花卉とか、イチゴ、ビワなどの施設化の問題がございますけれども、次期対策では知事の方からも御答弁申しましたように、農協ごとの産地ビジョンを示しまして振興策を講じておるところでございます。園芸一〇〇〇億の成果を踏まえまして、県内各地の地域の特性、すなわち気候とか土壌、また自然状況を生かしまして、またその上に市場、それから消費の動向などを考慮しながら、品目を選びまして特色のある産地づくりというものを推進してまいりたいと、そういうふうに思っております。 以上でございます。 ○副議長(小林克敏君) 二十九番。 ◆二十九番(八江利春君) 時間がありませんので、一つだけ要望しておきたいと思います。 拠点都市のことでありますけれども、企画部長の前向きの御答弁ありがとうございました。諌早も今迷っている部分がたくさんあります。特に刑務所の跡地の問題につきましては、陳情もいたしておりますし、土地の取得、あるいは箱物の建設、このあたりはいずれどちらかを県の方で何とか格好つけていただきたいなというのは申しておりましたし、我々もぜひそのようなことから進めていただくように強く要望しておきたいと思います。 以上で質問を終わりたいと思います。 ○副議長(小林克敏君) 末吉議員-四十番。     〔関連質問〕 ◆四十番(末吉光徳君) 八江議員の農業振興対策について関連して質問をいたします。 担い手畑総事業の農家負担の軽減については、五%にしてくださいという要望をしておりますので、賢明な知事でありますので、何回も同じことを言わずに、やはり知事を信じたいというふうに思います。 新園芸一〇〇〇億構想の次期対策についてでありますが、今私たち終戦後生まれの農業者というのは世界の食糧難が来るんじゃないだろうかと、そしてまた、ふるさとを守るためには農業が大事だと思って一生懸命頑張っているわけであります。そういうようなことで、二十年、三十年頑張ってきて食糧難は来ないと、来ないことがいいわけですが、やはり農業に夢を託した人は自分一代では夢が実現できなくて、その子供にまたその夢を実現させようというようなことで今一生懸命頑張っていると、こういうふうに思います。そして、園芸一〇〇〇億の構想を見ましても、私は八百五十億になったというのは大成功だというふうに思っております。農林部職員さんを初め普及所の皆さん方が一生懸命頑張って、明るい農村というか、生活環境の整備、いろいろな意味で頑張っていただいて、今日曜日も休もう、給料も払おうというようなことから、青年に夢の持てる農業を今一生懸命推進していただいていることに対して感謝をしながら、やはり農業を続けている人たちがよかったと、そして長崎県も農業に力を入れてよかったというときが必ずくると思います。ロシアでは今半年給料をもらってないと、しかし、何で食べているかというと、郊外に行って、ジャガイモを一生懸命つくって食べているというようなこともあるわけですので、知事の今までの農業に対する情熱というか、そういうのをあらわす意味で、私は新園芸一〇〇〇億をいろんな名前をつけて実行していただくのを大事だと、こういうふうに思いますが、私は漁業四〇〇〇億構想のように、農業全体を何とか三倍の収入を上げるようにするためにはどうしたらいいかというようなことで、農業全体の振興策というか、そういうので何千億になるかわかりませんが、目標を決めて、農業全体で長崎県は幾らの収入を上げるんだと、そのためにはこういう対策が必要だということを一生懸命やってもらって、農村で生活している人たちに夢を与えていただきたいというふうに思いますが、知事は農業全体の何千億構想というのはどうかという私の質問に対して、どのようにお考えか御答弁をいただきたいというふうに思います。 ○副議長(小林克敏君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 農業を全体で幾らと、今千六百億くらいになっているかと思います。それを二千億にいつまでに持っていくんだと、こういうことを掲げるのもいいと思うのであります。ただ、私どもは伸ばすべきものは、これとこれとこれはしっかりと伸ばしてくれと、畜産は倍増計画というものを立てて、肉用牛も伸ばしてくれということで、そういう特殊品目と特定品目というものを指定して、これを倍増、あるいは特定の品目は一千億というようなことをやって、その人たちの一つの目標といったものを挙げてお示しをしているわけです。農業全体で二千億云々と言われますと、目標が具体的にはっきりしなくなってくるおそれもあろうかと、かようにも思いますので、そのことが全体のアップにつながってくると思うので、私どもは伸ばすべきものを伸ばしていこうかなというふうに思います。しかし、そのことが結果的に議員が強く御指摘の全体の農業を上げることになろうかと、かようにも存じておりますので、十分そのことを意識をいたしながら努力をしてまいりたいと思います。 ○副議長(小林克敏君) 四十番、あと十秒。 ◆四十番(末吉光徳君) ぜひ漁業の四〇〇〇億構想に負けないような農業全体の振興もひとつお願いしたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(小林克敏君) 末永議員-三十番。     〔関連質問〕 ◆三十番(末永美喜君) 水産について関連してお尋ねいたします。 まず、水産部長に確認したいんですけれども、知事の御答弁の中に漁獲量の割り当て、TACの話で、イワシ、アジ、サバ等については中型まき網を中心としてという御答弁があったんです。その中に小型が抜けているんですけれども、小型も入っているんでしょう、これは。 ○副議長(小林克敏君) 水産部長。 ◎水産部長(出口啓二郎君) 知事からお答えいたしましたように、本県のマイワシ資源等につきましては、中型まき網が大体九五%の漁獲を占めておりますので、ここを中心にしてやっていこうということでございますが、残りの五%につきましては、当然小型も入ってくるということになります。 ○副議長(小林克敏君) 末永議員。 ◆三十番(末永美喜君) 私たちは大中型のことを中型と、それ以外のことを小型と言っているものですから、その辺がありますけれども、それは後におきまして、その前に加工のことですけれども、水産にかける一次産品、これは知事、それぞれの農業、水産ありますけれども、商工労働部も含めて連携してやっていただきたい。というのは、例えば奈良尾の青年が豆腐のおから、これでクッキーをつくっておりますし、それからイワシ、アジ等で今煮干しをつくっているんですが、皆さん方は煮干しをつくった後の汁は捨ててると思うんですね、本当に今まで捨ててたんです。初歩的な加工は煮干しなんです。その汁で今五島で醤油ができ上がったんです。ちょっと塩分が多いですが、漁協が醤油をつくり始めたんです。今水産部の指導でやっているんですけれども、商工労働部の方も含めてすばらしい醤油、ちょっと塩が多いですけれども、こういうことは私たち素人から考えると考えられない発想でやっているわけですから、そのことはぜひ全庁的にバックアップしていただきたいということを要望しておきます。 それから、知事の答弁はあえて要りませんが、このまき網の中で小型は規制を強化されているんですね、魚種制限があるんです。イワシ、アジ、サバ、ほかはとっていけない。いわゆる大臣許可の大中型は魚種が制限ないんです。何でもとっていいんです。ここから先が問題です。あえてきょうは答弁要りませんけど、別の機会に質問いたしますが、可能性の問題としてお考えいただきたい。 例えば五島の奈留島、野母崎の漁船団、一応僕らは小型と言っています。これがとった魚、追跡されて、イワシ、アジ、サバ以外だったら罰則なんです、魚市場で保安部が調べますから。途中で積みかえて中型の運搬船で運んでいっている。しかも、このまき網というのは闇夜で操業をやっているんですから、ほかから見えませんよ。こういう矛盾点があるんですよ。知事の許可では、これこれ以外はとってはなりませんよという規制強化しておいて、大臣許可では何でもとっていい。その大臣許可の船が途中で小型とすれ合って獲物を積んで港に入ると、これは無罪放免なんです。これが非常に今長崎で問題になっているんです。あえて答弁は要りませんと言いましたけど、これはもう少し私も事実関係を調査してから言いますけれども、非常に大きな問題。その小型というのは、すぐ保安部が、知事の免許がそうなっているもんだから、びしびしやられる。そういう現実のあることを踏まえていただいて、水産振興にさらに取り組んでいただきたいことを強く要望して終わります。 ○副議長(小林克敏君) 午前中の会議はこれにてとどめ、しばらく休憩いたします。 午後は一時四十分から再開いたします。     -- 午後零時二十四分休憩 -- -----------------------     -- 午後二時十分再開 -- ○議長(吉住重行君) 会議を再開いたします。 午前中に引き続き、一般質問を行います。奥村議員-二十八番。 ◆二十八番(奥村愼太郎君) (拍手)〔登壇〕皆様、こんにちは。自由民主党・刷新会議の奥村愼太郎でございます。 質問通告に従いまして、順次質問させていただきます。 まず、去る十月二十日に施行されました衆議院議員総選挙におきまして、我が自由民主党が安定過半数の二百五十二には及びませんでしたが、議席を解散前より伸ばし二百三十九議席を確保、社民党、さきがけ他の協力を得まして、十一月七日の臨時国会におきまして、再度橋本龍太郎総裁が首班指名を受けました。これらは争点なき選挙と言われた今次選挙におきまして、行財政改革の必要性を説き、財源の確保のために消費税アップの閣議決定の了承をお願いするという、選挙の常道からいえば極めて厳しい選挙の中で、一定の有権者の方々の御理解を得たものと推察されるわけであります。冷戦構造の崩壊に伴い、緊張関係は緩和したように思われますが、アジア諸国の経済的台頭、バブル経済の崩壊と、それに続く不良債権問題、竹島をめぐる韓国との問題、尖閣諸島の問題、また内にあっては、極めて優秀とされた官僚による不祥事等々、世紀末の時代様相は極めて多くの難問を山積みさせております。こうした時局を打開し、おのおのの問題点において、よりよき解決策を開示しながら、決断、実行していくことが今後の指導者に求められる条件であり、情報開示が求められる現在、国民とともに歩むという姿勢こそが肝要かと思われるものであります。こうした中で、組閣されました第二次橋本内閣において、我々郷党の代表として六期目の当選を果たされました久間章生代議士が防衛庁長官を拝命され、長崎県では七年ぶり、島原半島におきましては、実に四十二年ぶりに内閣の一員として参画されましたことは、まことに喜ばしいことであり、今後の先生の御活躍を期待するものであります。 また、防衛庁長官の誕生を考えますとき、六年前の普賢岳噴火災害以後、長期に及ぶ救済活動や安全確保に御尽力をいただいた自衛隊の方々との不思議な因縁を感じるものであります。 そこで、今般の総選挙における総括でありますが、小選挙区制度という戦後初の選挙であり、またこれまで九人の衆議院議員を擁した我が県が、比例区を含め五人となったことへの県政への影響、また隣県佐賀県とも比較し、人口においてほぼ倍に等しい我が県が実質的に衆議院議員は少ないという逆転現象を来したことについて、知事はどうお考えであるか、お伺いしたいと存じます。 また、平成六年の県議会におきまして、北村議員を初めとする離島関係議員より、離島の実情に精通する議員の減少によって、国会における離島への論議の機会が減少する危惧がなされておりますが、これまで日本全体におきましても、離島と関係を持つ県は、長崎、鹿児島県が主でございまして、これら関係議員の減少による影響をどう受けとめ、今後、離島を数多く抱える本県としては、どう対処されるのか、御所見を伺います。 また、今回の選挙において、都市部を中心とする議員構成比が高まったように思いますが、今後の国政の流れとして予想される都市主導型施策に対して、どう地方からの発言を求めていこうとされているのか、御所見を伺います。 次に、島原地域再生行動計画、いわゆる「がまだす計画」の策定が始まってから、既に半年以上が経過をいたしております。この間、建設、農林、水産、商工観光、生活文化の各部会では、実に二十四回に及ぶ会議が開催され、総勢三百四十八名の部会員が熱心な議論を交わしております。 さらに、十月二十五日には、知事も出席をいただき、第二回の策定委員会が開催され、中間報告がなされて、「がまだす計画」もいよいよ全体像が見えてきたところであります。 当初、この計画における部会開催時には、知事ほか関係者の意気込みとは別に、極めて要望色の強いものがあり、基本コンセプトでございます自助努力との温度差が感じられましたが、継続する中で、広く理解を得、多くの意見やアイデアがその地域づくりに取り入れられるようになり、住民参加の行政が評価に値すると思うのであります。この成果は、当計画の策定のみに終わるのではなく、今後の遂行はいうまでもなく、県全体の振興策のモデルとして活用されますよう、強く要望するものでございます。そこで、「がまだす計画」の進行管理、推進体制についての質問をいたします。 さきの二月議会におきまして、「がまだす計画」に対応した組織改正の必要性について質問した際、知事は、「計画終了後、具体的な推進段階になれば、その時点で雲仙岳災害復興室の名称の変更など、必要な組織改正を検討していきたい」と答弁されました。これは中央の各省庁による縦割り行政に対し、県機関が受け皿的に各部局を設けている中で、総合行政的な機関として、今後、予想される地方分権へ向けた新たな試みとして非常に期待しているものであり、事実こうした組織があって初めて今回の計画の取りまとめが可能であったものと考えます。災害時、復旧と安全確保を焦点として進行してきた復興室の対応が、地域再生行動計画によって半島地域全体を包括し、その振興策の取りまとめと具体化へ移行する過程の中で、その存続は必要不可欠であると考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、九月議会において、「がまだす計画」計上事業への雲仙岳災害対策基金の活用方策について質問し、知事より「活用方策について工夫し、研究していく」との答弁をいただいたところでございますが、先般の「がまだす計画策定委員会」からの中間報告を見ますと、県事業だけでも火山博物館、復興記念病院を初め、多大な事業費を要するものがあります。県財政及び離島地区等県の他地区との均衡からも、これらの財源を確保するかは大きな問題であります。雲仙岳災害対策基金は、被災者救済が第一でございますが、所期の目的は、住宅対策や営農の再開状況から見ても、一定の達成を遂げているという印象を受けるものでございます。雲仙岳災害対策基金の設置目的から見ても、被災者の自立復興支援と並んで、被災地の総合的な復興、振興ということが明記されており、がまだす計画計上事業への雲仙岳災害対策基金の活用はあってもいいと考えますが、御所見を伺います。 次に、緑のダイヤモンド計画であります。 事業の新規策定に向け、検討委員会が設置され、七月三十日と十月三十一日の都合二回が開催されております。特に、二回目においては、事業の柱についても論議があったようであり、野外の火山博物館としての機能を持つ自然体験フィールドの整備とか、人工林から四季の変化を持つ広葉樹林への転換、ミヤマキリシマの草原や原生沼湿原の維持回復も含め、自然環境保全修復事業の長期プログラムのもとでの実施、半島フィールドミュージアムのコア的機能を持った拠点施設としての国立公園博物館等、さまざまな意見が出ております。 そこで以下の二点についてお伺いをいたします。 まず、常々知事は、百億規模の事業採択を目指している旨表明しておられますが、国の財政上の問題もあり、その実現がなかなか厳しい状況であるとの予測もいたしますが、その見通しについては変化はありませんか。 第二点目に、検討委員会では、来年二月に第三回目の委員会を開催し、計画を取りまとめるように予定されているが、年末の予算要望を初め、今後のスケジュールにおいて遅れをとることはないか。また、雲仙温泉街の例をとれば、国立公園保護区域以外のホテル街、商店街も一体的に整備しなければ、本当の意味での国立公園雲仙の発展はないものと考えます。今後、通過型ではなく、滞在型の観光にも耐え得る自然との共生というテーマで、商店街や温泉、地獄等、周遊可能な広場や遊歩道、ランニングコースなどの整備は地元からの要望も多く、ぜひ必要であると思うが、御所見を伺います。 次に、島原半島内県立高校への観光学科の設置についてお伺いいたします。 島原半島における観光産業は、農業と並ぶ基幹産業であり、半島内高校卒業生のうち、百数十名がホテルを初めとする観光関連事業へ就職するという現実があり、復興と合わせての観光学科設置を強く希望するものであります。県全体におきましても、観光立県の標榜もする本県にあって、こういった学科の設置が遅れていること自体がおかしいと思われるものであります。観光学科設置によって、サービスへの理解を深め、巣立つ生徒や上級学校への進学を目指す生徒への対応も考えれば、生徒数の確保も可能であり、特色のある高校となると考えますが、御所見を伺います。 次に、島原・天草・長島三県架橋への取り組みについて伺います。 三県架橋につきましては、三県合同の期成会が実施されるなど、地元の盛り上がりは大きなものがあり、「がまだす計画」の中でも、長期的な事業としては最も重要なものの一つであり、来年にも策定されます次期全総において採択されるかどうかが重要な問題であると考え、危惧をいたしております。こうした中、次期全総計画に打ち出される新国土軸構想の中で、既に固まっていると考えられます四つに加え、新たに九州西岸から沖縄に連なる西南国土軸が第五の国土軸として浮上しているとも聞くわけでございます。これはまさに九州西岸軸構想を打ち出してきた知事とされても、この機を逃すことなく、実現へ向けた運動を起こすべきと考えますが、知事の取り組みをお伺いいたします。 次に、生活文化部会の中で、地元医師会より強く要望の出ております高等看護学校の新設問題であります。 現在、半島内には島原看護高等専修学校があり、準看護婦の養成をいたしておりますが、その卒業生の半数にも及ぶ卒業生が半島外への進学や就学を希望しており、今後の医療福祉計画への影響を危惧するものでございます。 高等看護学校新設については、学生、教員の確保、実習病院の基準など、国の指定要件で多くの条件整備が必要と聞きます。しかしながら、それらの問題点を整理し、要望の具体化に向けて関係機関を中心とした検討委員会を設置し、条件整備の検討に入るべきではないかと考えますが、知事のお考えを伺います。 次に、小浜-愛野間の道路整備について伺います。 初回の質問より続けてきたわけでございますが、半島北部の愛野-島原間におきましては、広域農道も開通し、国道二五一号の交通混雑緩和に非常に役立っております。また、長期的には、地域高規格道路の計画もあり、島原-県央間の交通アクセスは、一定の成果と計画を持っております。一方、半島北部における広域農道は、小浜町鬢串の国道五七号で終了し、今後、開通後は、小浜町から愛野までの区間、国道五七号が一本ですべての役割を果たさねばなりません。小浜-千々石間は、現状でもカーブと勾配に悩まされており、千々石の中心部には、役場、学校等もあり、極めて短い区間で信号機が四台設置されており、朝夕及び休日の午後の渋滞は、今後さらに増加するものと考えられます。県央への通勤、通学が今後も伸びていく中で、半島全体の整備から取り残され、半島交通の隘路ともなりかねない危惧を抱くものであります。農道、林道、一般道路、この際、五七号のバイパス的機能を持つ道路の整備いかんは、今後の発展に多大な影響を及ぼすものと考えるものであります。担当部局の枠を越えまして、県としての明確な方針を打ち出し、「がまだす計画」の中に計上すべきと考えますが、知事の御答弁をお伺いいたします。 また、過去再三にわたって質問させていただきましたが、現在まで五七号の補完道路へのよりよき答弁をいただいておりませんが、緊急対応策として、県道北野千々石線の活用についてはどうお考えか、土木部長にお伺いいたします。 次に、アジア経済圏における本県の貿易振興の今後の見通しについて質問いたします。 日本経済のこの十年間を振り返ってみますと、円高調整、それを契機とする日本企業の海外進出ラッシュ、それによる日系企業の海外生産能力の高まり、一方で、追い打ちをかけるようなバブルの崩壊、そして国内における企業のリストラ等、まさにかつての力強さが全く感じられない現状にございます。二十一世紀まで秒読みの現在、あれほど頑強に構築されていると思えた日本の貿易の収支黒字構造も確実に変わり始めた気がいたします。これまで輸出主導型にあった産業構造日本経済では、不況期でも輸出が伸び、回復局面では設備投資による生産能力の拡大で、さらに輸出が拡大されるという構造にございます。しかしながら、現在、こうした構図が着実に変化を遂げようとしております。総輸入に対する製品輸入の比率が着実に高まってきており、一九八〇年代前半に二〇%台にとどまっていた日本の製品輸入比率が今年は六〇%台を超えようとしており、この背後に国内生産コストの高騰によって企業の海外進出が促進されたことが大きな原因と思われます。六〇年代後半より七〇年代にかけて、しきりに県内へ誘致されました縫製工場等も今や県内を閉鎖し、中国やベトナムへとその生産工場を求め、製品として我が国へ輸入しているわけであり、結果的には、逆輸入の増大をもたらしているわけであり、すなわち、海外と我が国の間において、新たな貿易物流のニーズが発生しているといっても過言ではないと存じます。我が長崎県に地理的に近い中国を初め、アジア諸国が急激な経済成長を遂げつつある現在、地理的な優位性を活用し、特色ある貿易の促進を図ることが、現在本県経済が陥っている低迷から脱出し、再び活性化していくための大きなかぎになることは自明のことと存じます。こうした状況の中で、本県の長崎空港は、平成五年第一次輸入促進地域の指定を受けておりますが、やはり物流の中心は、物量の観点からも海上貨物であろうと存じますし、先ほど述べました貿易構造の変化の観点からも、東アジア諸国とのコンテナ物流の必要性がますます叫ばれるだろうと存じます。かつて、日本が海外との交流を閉ざした時代、唯一海外との貿易を許されていた本県の歴史性から見ても、現在の長崎は、神戸、横浜、北九州等と比較し、本格的な外国貿易に対応できる港湾としての機能整備が遅れているような気がいたします。今後、長崎が発展を遂げたアジア諸国との貿易に活路を見出そうとしても、現在の状態では、物流のパイプを結ぶことが極めて困難であろうと存じます。こうした中、さきの九月補正におきまして、長崎港に緊急にコンテナ対応のクレーンの導入が決定されましたことは、今後の長崎の経済を考えますとき、極めて時宜をとらえたことと高く評価をするわけでございますが、この完成予定は平成九年度末になっております。本県の地域特性を生かし、アジアの世紀とまで言われる二十一世紀、貿易において再びその独自性を主張していくためにも、長崎港の外国貿易港としてのインフラ整備は急を要するものと考えます。勃興するアジアに対し、日本の貿易の玄関口として長崎がその枢要な役割を果たすと考えますとき、現在のこの苦しいときが新たな輝かしい時代への胎動に向かいつつあると考え、県民こぞっての支援をいただけるものと存じます。こうした現状を踏まえ、以下二点について関係各部長に質問をいたします。 一、今後、アジア経済圏の成長の中で、どのようなビジョンを持ち、貿易の振興を図り、県勢の活性化を図っていくお考えであるか。 一、長崎港のコンテナクレーン整備が急がれるが、その構造機能と整備時期は早められないのかどうか。また、その活用策についての方針はどうか。 最後に、対馬宗家文書の保存問題についてお伺いいたします。 新聞でも詳しく報道されておりますように、旧対馬藩に宗家文書として伝えられてきました古文書、資料等約七万二千点余が現在流出、散逸の危機にさらされております。江戸期の鎖国時代、例外的に長崎はオランダ、中国との交流が許されており、また唯一正式の外交関係を結んでいたのでありますが、李氏朝鮮であり、その外交を幕府から全面的に委ねられていたのが対馬藩であります。このような背景の中で、我が県は、国際県を標榜し、中国や韓国とも親しい関係は、他県にはないものでございます。宗家文書は近世の日朝交流史の全貌を示す貴重な資料であり、極めて学術的価値の高いもので、対馬のみにとどまらず、我々県民が誇り得る貴重な財産でございます。また、中には島原大変の絵図や竹島の領土問題に関する資料もあると伝えられており、第一級の資料価値のあるものと高い評価がなされております。その宗家文書約七万点余が当主の意向により散逸のおそれがあると伺います。県立対馬歴史民俗資料館開館前年の一九七六年、対馬町村会などと先代当主との交渉の中で、藩政記録は対馬のものとし、寄託の約束を取りつけたという証言もございます。現在、寄託されている対馬の古地図や島原大変絵図和書などの書籍七万二千点余の処分が現宗家当主の意向により決定され、散逸するようなことがあると、史料相互の関連性においても重大な意味を欠くものとなり、その行方を危惧するものでありますが、以下の点について質問させていただきます。 一、宗家文書散逸の危機を知った対馬の住民が保存運動に立ち上がっている、これらは宗家の所有というより、対馬住民全体の共有財産と認識するが、県としてはどのように受けとめ、対処しようと考えているのか。 一、既に、万松院に保管されていた約一万三千点が業者に売却され、対馬歴史民俗資料館に寄託されている七万二千点についても、現当主は町村会に売却の意思を持っていると聞く。町村会は購入の財政支援を県に相談しているというが、七万二千点についての散逸を防ぐ意味からも、県は文化庁を初めとする関係機関との連携交渉が必要と思うが、どう考えているか。 以上で、壇上からの質問を終わりまして、必要に応じて自席からの答弁をいたしますことをお許しいただきたいと思います。 以上で終わります。(拍手) ○副議長(小林克敏君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 〔登壇〕奥村議員の御質問にお答えを申し上げます。 今回の総選挙の結果についてのお尋ねであります。 今回の総選挙は、小選挙区比例代表並立制という初めてとられた制度で実行されたのでありますけれども、この選挙は政策本位、政党中心の選挙を目指して、長年の国会等における審議を経て制度化されたものでございます。小選挙区につきましては、定数三百、そのうちまず各都道府県に一つずつ配分をいたし、四十七都道府県でありますから、四十七、三百引く四十七、残りの二百五十三につきましては、人口比例で各都道県に配分をされたと、こういう制度になっておるのであります。その結果、人口比例でございますと、本県は四選挙区と、こういうことに相なったわけであります。比例区については九州ブロックで二十三人が配分をされまして、各政党が順位をつけた名簿を届け出ることが原則になっておるのでありまして、その結果、比例区での本県の出身議員は御指摘のとおり一人となったのであります。この一人となりましたのは、もう御案内のとおり各政党が政党の事情でもって上につけるか、下につけるか、これは各政党の意思でありますから、それによって佐賀県との関係で、佐賀県ではそれぞれ各政党が上位につけたがゆえに六人、うちにおいては五人と、こういう結果が生じてしまったのであります。本県の人口は百五十五万、佐賀県の人口は百万に満たざる人口だというので、そういうアンバランスが生じてしまったというのは全く事実でございます。そうすると、それに伴って今まで九人おられたのがどうかと、こういうことでありますけれども、それはやはりこの選挙の制度の結果でありますから、これは深刻というか、これは正当に受け止めまして、そして当選された皆様方に精いっぱい働いていただくということを申し上げる以外にないのでございます。総選挙区のうち離島関係がどうかということでありますが、これも私も大変に気になるというのは前から申し上げているとおりでありまして、従来は九人の方々がそれぞれ全部直接離島は選挙区をお持ちになっておったのであります。離島というのは特に三大離島、対馬、壱岐、五島、この三大離島については、それぞれの九人の方々が全部選挙区となさっておったのでありますけれども、今度はたった一人の方が対馬、壱岐、五島については、直接選挙区となさっておるのであります。もちろん、島の選挙区については、ほかの議員の方々も選挙区とされておりますけれども、三大の代表的な島であります五島、壱岐、対馬については、これは一人の方がなったのであります。このことはやはり我々としましても、島の振興のため、直接選挙区とされている議員の先生には特に御配慮をいただくと同時に、やはり島の振興のためにはすべての議員さんが以前同様に御配慮をいただきたいということをこれからもしっかりと申し上げていかなければいかぬと思っておるのであります。もちろん、そのことについてはもう議員の皆さんにも申し上げておるのでありまして、十分御理解をいただけるものと思っておる次第であります。 それから、都市型選挙になるのではないかという御指摘であります。 これも我が国の人口が大都市へ集中する中にあって、衆議院議員の定数も人口で比例して配分されるという、先ほど申しましたようなことから大都市への配分というのがこれは出てきている現象が多くなったことはやむを得ないのであります。全体の議員定数が五百十一から五百になったと、十一減っているところへもってきまして、先ほど当初に申し上げましたような形における比例配分でありますから、どうしてもそういうふうにならざるを得なくなって、そしてまた比例代表においてもブロック別でまた人口配分ということに相なっておりますので、九州では二十三ということに相なっております。ですから、東京は別としまして、だんだんと大都市、南関東、近畿、東海あたりが定数の配分がずっと増えておるのであります。そして九州とか、四国とか、北海道、中国、この北陸あたりが減っておるのであります。したがって、そういう意味からいきましても、全体として大都市への議員の配分ということが多くなってきているということが全く紛れもない事実であると思います。そのために国会における議論というのも大都市中心の議論にならんだろうかなと、私はその辺を非常に危惧するのであります。なかんずく、財政がきつい、きついという今日の時代であります。財政がきつい、きついという議論になりますと、勢いその議論というものは投資対効果の議論が必ず出てくるのであります。投資対効果から少ない財源を有効に投資すべきではないかと、そうすると、投資効果の多く出るところに投資すべきではないかというような議論が出てくると、これはおのずからそれは大都市を中心に投資すべきではないかという議論が出てくるのであります。私は事柄としてそれはかなりそのことが出てくるんではないかということを心配をいたしております。そうなってくると、国土の均衡ある発展という見地は一体どうなったのであろうかということを危惧するのでありまして、しかし、実態はまさにそういう議員定数の配分でありますから、この地方の声が十分に国政に反映されるように、地元選出の国会議員の方々のより一層の御活躍とその御認識を期待をいたしたいと、かように思う次第であります。しまとそれから九州と、こういう地域というものに対する認識をしっかりとやはり持っていかねばならないというふうに思うのであります。 それに関連して、先ほど三県架橋についてのお尋ねもございました。 これにつきましても、やっぱり三県架橋というものは九州におけるプロジェクトであります。九州におけるプロジェクトというものも大都市集中ということが、投資対効果ということを考えると、やはりそこに問題があるのではないかということもちらちら、ちらちら言われたりもしておるのであります。しかし、私は三県架橋というのは、九州一周を、外周を回る大変に大きな効果のあるところで、一カ所だけ切れているんです。一カ所だけそこをつなげば、もう全部九州の大外がもう一周できるんですと、こんな大きな経済的、観光的、文化的、物流的効果はありませんということを申し上げて、ぜひ三県架橋というものを実現をしてくださいということを申し上げ、そしてあの地域の西岸軸の一つの交流軸をなしておるのでありますから、そういう意味でも三県架橋をぜひ実現をしてもらいたいと申し上げておるのであります。このことについては、最近日本海軸、北東軸、それから第二太平洋軸というので、それと今までの第一太平洋軸、この四本では日本の国土を通ずる国土軸というのは少ないんじゃないかと、もう一本あってもいいのではないかという御議論もあるのであります。それが沖縄から鹿児島に上がって長崎を通って、そして佐賀を通って、日本海を通っていく、ひとつの西南国土軸というような名称になるかどうか、これは別としまして、そういった軸もあってもいいのではないかという御議論があるのであります。私どもはそういう議論というものは、以前からの歴史的な関係もあってそういう軸というものがあっていいのではないかと、そうすると、その軸というものの中には、三県の架橋というものも当然のごとくしっかりと入ってくると、国土軸の場合でも先ほど言いましたように、長崎が一つの国土軸の起点、終点になっておるのでありますから、そういう意味からもいいと思いますけれども、仮に西南軸と申しますと、そういう軸が入れば、もっとその中にはしっかりと入るからいいかなと、こう思って、これからも関係省庁に対しても頑張っていきたいというふうにも思っておるのであります。しかし、まだこの軸というものは確定しているわけでもございません。そういうのがあってもいいのではないかと、日本列島を通ずるのは四本では少ないのではないかと、こういう御議論があったりするので、私どもはこれから努力もしてみたいというふうに思っておる次第でございます。 それから、「がまだす計画」についての御質問でありますが、がまだす計画というのは、今計画を間もなく終了して、いよいよ実行の段階に入るわけでありますけれども、このがまだす計画というものは、何といっても住民の方がふるさと復興への熱意をしっかりと持つと、そして住民が発意するということが、これが一番私は大事だと思うんであります。役所の方がいろいろ考えて住民の方がじっとしてて、役所の方がこういうふうにやれよ、やれよといって、住民の人が受け身になるのでは、あれだけ被害を受けたふるさとを復興するにしては余りにもやり方がさびしいと思うんであります。やっぱり被害を受けたふるさとを自分たちで何とかしようというこの熱意というものが基本であらねばならないと思います。幸いにして、そういう熱意が出て、今もうみんな一体となって頑張って、これから実行に入る段階であります。したがって、その実行に入るときに、島原地域全体の再生を図るという意味におきまして、部局の横断的な総合行政組織というものは今後も引き続き必要であると私も思います。議員御指摘の点も踏まえて必要な組織改正についても検討してまいりたいとも考えておる次第であります。 それから、がまだす計画計上事業への雲仙岳災害対策基金の活用方策についてでありますけれども、基金につきましては、皆様方の大変大きな御支援を賜りまして、阪神・淡路大震災の規模と比較いたしましても、しっかりした基金が確保されたと思います。そしてこの基金がいろんな面に運用することができたというふうに思います。この趣旨の設置目的の一つであります「被災者の自立復興支援」ということにつきましては、住宅の再建、あるいは営農再開ということの状況を見ましても、これはかなり順調に進捗をしてきている、また被災者の方々のためになっているかなというふうに思っておるのであります。しかし、人口の減少や商工業、観光の落ち込みなど、半島全体に及ぶ災害の影響というようなものもいまだ深刻であります。まだまだ商店街などを拝見しましても、まだシャッターが閉まっているところが随分ございます。そういうようなところも早く再開し、また多く人を呼んでこなきゃならないと、そういうようなことでいろいろ振興対策も考えていかなきゃならぬと思うのであります。基金として、もう一つの設置目的であります「被災地の総合的な復興・振興」ということに向けて一層の努力をしていく必要があると存じます。基金の使途につきましては、理事会の承認をとる必要がありますので、「がまだす計画」が具体化した時点で基金としてどのような事業に支援すべきかについては理事長としてお諮りをいたしたいと考えておる次第であります。 それから、「緑のダイヤモンド計画」のお話でありますけれども、緑のダイヤモンド計画事業というのは、要するに緑というものが失われたところについては、これを復活していこうという気持ちで私どもは立候補もいたしておるのであります。既に立山とか、北海道とかという地域について緑のダイヤモンド計画というものも実施の段階に入っておるのでありますけれども、全国の五地区に加えて、今回新規に二地区着手すべく平成九年度の予算要求がなされておりますので、その一地区にぜひ入っていきたいというふうに思っておりますが、今日の国の予算編成というのが大変に厳しい中でありますので、私どもも心配もいたしております。しかし、何としても雲仙という、災害を受けて緑が失われた地区でありますから、この緑を復興するためにも、この地域以外に緑のダイヤモンド計画が一番ふさわしいところはないんじゃないですかということも訴えながら、私どもはこの事業が新規に採択されるように国に強力に要請もいたしております。この事業規模は全体といたしまして、これは直轄の補助事業と、こういうものと取り混ぜまして三十億円から百億円というかなりの大きな幅のある事業になっておるのであります。ですから、当然のごとく、できるだけ多くの事業を取り込みたいという気持ちも持って努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でありますが、果たしてどこまでどういう事業費が取り込めるか、まず採択ができるか、これに向けて努力、そして採択の規模はどのくらいであるかということのできるだけ大きな規模をとるように努力をしていきたいと考えております。 それから、平成九年度に「緑のダイヤモンド計画事業」の実施地区数を増やせるかどうかについては、先ほど申しましたように、十二月の予算案決定の段階でほぼ判明し、どこを新規着手するかについては、三月までに正式決定がなされると思います。なされれば、県の整備計画を参考として環境庁としての全体整備計画が平成九年度、一年間をかけて策定される予定となっており、その時点で五年から七年かけて整備する全体の事業費の規模も固まってくると、こういうことになろうと思います。 雲仙の温泉街は重要な整備対象地区と考えております。雲仙温泉街につきましては、半島全体の多様に自然情報を収集、提供するということなどを目的とした温泉街再整備のシンボルとなるような拠点施設を整備いたしますと同時に、広場や緑地の整備、地獄の景観改善、周辺の自然も活用したいろんな歩道のネットワークの整備等を進めることによって快適なまち並みづくり、あるいは滞在型利用の推進につなげていきたいと、かように考えておる次第でございます。 ○議長(吉住重行君) 教育長。 ◎教育長(中川忠君) がまだす計画の中での島原半島内の県立高校に観光学科の設置をというようなことについてのお尋ねにつきまして、お答えを申し上げたいと思います。 県教育委員会では、特色ある学科・コースの設置や生徒の選択幅を広げる多様な科目の開設などを進めてまいっておりまして、一人一人の生徒の個性を伸ばすことを目指しまして高等学校教育の改革に取り組んでいるところでございます。その際に、地域の特色を生かした教育内容を取り入れるということは大切な要素であるというふうに認識をいたしております。 島原半島内の高等学校に観光系の学科なり、コースを設置して国際化が進む観光業界に対応できる力を身につけた人材を育成するということは、半島の活性化にもつながるものと考えておりますが、見極めが必要な問題点や課題も多くございまして、これらにつきましてさまざまな角度から現在検討を行っているところでございます。 それから、宗家文書についてのお尋ねでございます。 宗家文書は、議員御指摘のとおり、近世における日朝交流に重要な役割を果たした対馬の歴史的意義を伝える資料として極めて重要なものであるというふうに考えております。県といたしましても、このような認識に立ちまして、昭和五十二年に対馬歴史民俗資料館を建設いたしまして、宗家から資料の寄託を受けまして、その保存と調査研究に努めてきているところでございます。県といたしましては、この資料の内容や歴史的な経緯からも、将来的にも対馬に残すべきものであるというふうに考えております。 国との関係等についての交渉の状況でございますが、この対馬歴史民俗資料館の寄託資料の取り扱いにつきましては、現在、所有者である宗家に対しまして、対馬町村会を中心に島内に残すべく交渉に当たっているところでございまして、非常に微妙な時期にございます。県といたしましても、地元と一体となりまして、また必要に応じては、国にも相談しながら、よい方向で決着するように努力をしてまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(吉住重行君) 福祉保健部長。 ◎福祉保健部長(塩塚吉朗君) 高等看護学校についてお答えいたします。 現在、がまだす計画で検討しております高等看護学校の新設につきましては、議員御指摘の学生、それから教員の確保など非常にいろいろな問題がございます。このため地元医師会、それと市と町等の関係者で十分な検討を行う必要があると思っております。県としても協力してまいりたいと存じます。 以上です。 ○議長(吉住重行君) 土木部長。 ◎土木部長(梶太郎君) 小浜-愛野間の道路整備についての御質問でございますが、島原半島地域の幹線交通ネットワークは、地域高規格道路を初め、国道・県道・広域農道で構成されるよう策定いたしております。島原半島の西部地域につきましては、地形的な条件と現状の交通需要から現在の道路網で対応できるものと判断いたしております。しかし、国道五七号の急カーブや急勾配の箇所につきましては、国において視距改良や登坂車線などの計画がなされておりまして、用地が解決した箇所から事業化していただいているところであります。今後も国・地元町と協議しながら安全な通行確保に努めてまいる所存でございます。 次に、県道北野千々石線の強化活用についてでございますが、これにつきましては、地元二町と協議しながら待避所などの対応策を検討してまいりたいと考えております。 続きまして、先生から御質問のありました長崎港小ケ倉・柳地区に設置する大型コンテナクレーンの構造・機能につきましては、利用者であります関係業界の意向及び今後のコンテナ船の動向などを踏まえまして、作業半径三十二メートル、一時間当たりの処理能力二十個の自走式で、吊り能力三十六トンのコンテナクレーンを考えております。 この大型コンテナクレーンの整備につきましては、現在設計を行っている段階でございまして、平成九年度末の完成予定でございますが、できるだけ設置時期を早める努力をしたいと思っております。 以上でございます。 ○議長(吉住重行君) 商工労働部長。 ◎商工労働部長(川添亨君) 貿易の促進につきましては、我が国が西の玄関口に位置するというふうなことからいたしまして、本県の経済活性化を図る上で極めて重要な施策ということにつきましては、全く先生と同じような考え方でございます。いろんな対策でございますが、航空貨物につきましては、長崎空港が平成五年の三月にFAZの指定を受けております。そういうことで、現在中国や韓国からの空路によりまして航空荷物がきておるわけでございますが、今後、FAZの推進に向けまして、これをどう展開を図っていくかということが課題でございますし、欧米航空なんかも開発できないかどうか、そういうことも検討しているわけでございます。直接乗り入れか、あるいは保税転送等でほかの空港から長崎空港に荷物を持ってくることができないか、そういうことも次のFAZ計画に向けましていろいろと検討しているようなところでございます。 それから、海上貨物につきましては、先生御指摘のとおり、何と申しましても、この東アジア経済圏をどういうふうに我が長崎港と結びつけるかということが最大の課題でございます。先ほど土木部長からも答弁があっておりますように、さきの九月議会でようやく念願のコンテナ・クレーンが小ケ倉・柳埠頭に平成九年度に設置されるようになっておるわけでございますし、私どもはこれに照準を合わせまして、いうならこの東アジア地域のハブ港であります釜山港と長崎港との間に何らかの航路がひけないかどうかというふうなことでございますが、来年二月にはそういう面でのポートセールス等も行いまして、航路の開設と荷物の集荷を図るというふうなことで努力しているようなところでございます。 以上でございます。 ○議長(吉住重行君) 二十八番。 ◆二十八番(奥村愼太郎君) それぞれ御答弁をいただいたわけでございます。さきにまず一点、総選挙の結果について知事に伺ったわけでございますけれども、総選挙のいろんな問題点ということを、また選挙区の問題について知事がお話になったわけでございますけれども、今話を聞いておりまして、非常に私が危惧しておりますのは、知事がおっしゃったように、投資対効果の問題であるわけでございます。と申しますのは、きょうも午前中農業について盛んに論議があったわけでございますけれども、産業構造の変遷に伴いまして、これから先、納税者の立場から農業にそれほど今から先予算をつぎ込んでいくのはだめじゃないかと、都市型の方々の意見が多数を占めることによって、まだまだインフラ整備もされていない、また、まだ基盤整備が必要である我々農村部に対しましての予算の配分というのが今後非常に縮小されてくるんではないかというふうな危惧を抱くわけでございまして、これらについてもう少し知事も認識していただきたいと思うわけで、もちろん認識はされておるかとは思うわけでございますが、これからそういった立場の関係を持つ地方の立場の知事として、私はもう少し行動を起こしていただきたいと思うわけでございますが、知事のお考えはいかがでございましょうか。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 私も議員が御心配になりますような事柄については懸念も持っております。このことはやはり強く地方の立場から団結してこれは訴えていかなきゃいかぬ問題であると思います。一つの今具体的に出ている問題として、道路なんかでもときどき議論がその点なされておるのでありまして、地方の道路というのは大体もう概成されているんじゃないかというような議論がなされたりいたしております。私どもはその点について東京のようなところを例にとって、東京あたりは道路がなくても、地下鉄がある、モノレールがある、山手線が通っている、みんなそういった他の代替乗り物があるじゃないですかと、そういった乗り物というものは地方においては全くありませんと、頼るべきは道路だけでありますと、したがって、人も物も道路を頼って出てくるんで、やっぱり都会の方が地方に出てくると、地方は道路がすいているなというようなことを言ったって、運ぶ物はこれはもう道路以外ないのであります。したがって、道路というものが地方にとっては非常に大事なんですということも訴えたりして、地方における認識と、東京、大都市における道路に対する認識というのがそのように一つの例をとっても基本的に違っているということについては、我々も十分意を配して今後も要求もし、しっかりと努力していかなきゃいかぬと思っております。 ○議長(吉住重行君) 二十八番。 ◆二十八番(奥村愼太郎君) 都市部と比べまして、足りないものがまだほかにもあるわけでございます。例えば、農村には花嫁がいないわけでございまして、都市部にはたくさんの若い女性もいるわけでございます。こうした女性を農村部に連れてくるためにもやはり下水道整備とか、いろんなまた環境整備もしなければいけないわけでございまして、そういったことも御理解を賜りたいと思うわけでございます。 それから、がまだす計画でございますけれども、このがまだす計画の検討委員会が初めて行われましたときに、これの部会を各地で開き、その部会によって出た意見を策定委員会で制定し、この策定結果を知事に持っていくというような、私は最初の目的があったかと思うわけでございます。そうした中で幾つがまだす計画の中で今後予算化できるのかどうかということで聞いたわけでございますけれども、まず第一に、観光学科の問題でございますけれども、私はやはり観光学科というのは、島原半島に一つつくってもいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。特に、今教育問題におきましても、ほとんど九七、八%の子供たちが中学を卒業しまして高校へ進学するわけでございます。そうした子供たちの中では、やはり目的がなく進学する生徒たちもおるわけでございまして、こういった子供たちが途中で目的をなくしたり、勉強意欲をなくしましたときに、やはり学校をやめたり、またいろんな道に走っていくわけでございます。そうした中でたった一クラスでもいいわけでございますけれども、やはりこれから観光をセールスしていく長崎県としましては、観光に理解ある生徒たちを育てていくという、こういった信念のもとにやはり若い世代の養成というのも私は必要ではないかというふうに思うわけでございます。特に、これから受け入れ機関が、旅館、ホテル街が厳しいという話も聞くわけでございますけれども、しかしながら、長崎県の高校生がサービスということを、そしてまた観光に対する徹底した理解を持って世に巣立っていくということは、これから長崎を全国に売っていくということでも私は非常に必要ではなかろうかと思うわけでありますし、そうした理解ある教育を長崎県自体がやっているんだということを私は日本全体に知らしめるのは、これは大変必要なことではなかろうかと理解するわけでございます。そうした中で先ほど教育長がおっしゃいました、まだ見極めが必要な問題点があるとか、課題があるとかとおっしゃったわけでございますけれども、どうもあいまいもこといたしておりまして、どういったことがだめなのか、どういったことを整理しなければならないのかという具体的な話を私は聞きたいわけでございますが、その点について教育長にお伺いしたいと思います。 ○議長(吉住重行君) 教育長。 ◎教育長(中川忠君) お答えを申し上げます。 多様な個性を持つ生徒たち、その一人一人の個性を伸ばしていくと、そういう意味で学科とか、コースの多様化、大変大切なことであると思って取り組んでおります。そういう中で、特に例えば国際化が進む観光業界に、例えば実践的な語学力を持ったり、あるいは国際感覚やマナーなど力を持った人材を育てていくということは、先ほども申し上げましたように、その意義については十分認識をいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、見極めが必要なことがまだ多々あるんで、現在そういう点を実は内部で検討しておるわけでございますが、例えばどういうものであるかという御質問でございます。これは前にもちょっと申し上げたことがあると思いますが、志願者の確保の見通しとか、あるいは必ずしも進路がそれにいかなくてもいいんじゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、学科、ある程度の進路との連動性というのは必要でございますんで、観光関係への進路の見通しとか、あるいは学科・コース、そういう設置の形態とか、あるいは指導者の確保の方法とか、それから実習施設、設備の問題とか、そういうものについて現在あらゆる角度から検討いたしておるという状況でございます。 ○議長(吉住重行君) 二十八番。 ◆二十八番(奥村愼太郎君) だから、卒業生が観光関係に必ず就職しなければならないという規定はないわけでございまして、そこで学んだサービス精神というものを、観光に対する理解というものは、これから先長崎にございます各機関、どんなところに就職しましても観光客の受け入れに対する接し方、そしてまた観光に対する理解、長崎のセールスの仕方ということを私は社会人として十分に機能を果たしていけるんじゃないかと思うわけでございますし、これはまた他地区に行かれても、その地区において自分たちが学んだ、こういったことがあるんですよということを、長崎をセールスしてくれるんじゃないかと思うわけでございまして、その点十分に御理解いただきたいと思うわけでございます。 それから、福祉保健部長に聞きたいわけでございますが、高等看護学校の問題でございます。 先ほど答弁なさいましたけれども、私は整理しなければならない問題というのはたくさんあると思います、それは十分にわかっているわけでございますけれども、例えば検討委員会を設置し、そしてそこでできることと、できないことの整理をきっちりとしなければならないということを訴えたかったわけでございますけれども、その検討委員会を設置するか、設置しないかということを、まず検討するというふうな御答弁だったかと思うわけでございますが、いかがでございますか。 ○議長(吉住重行君) 福祉保健部長。 ◎福祉保健部長(塩塚吉朗君) 先ほど説明しましたように、新設となりますと、先生おっしゃるように、いろいろ問題がございます。設置主体はどこになるか、土地、設備、それから運営費がどうなるかということで、まだ地元の医師会、それから町ともっと詰めて、その後に検討委員会を設置した方がいいんじゃないかということで答弁いたしました。 ○議長(吉住重行君) 二十八番。 ◆二十八番(奥村愼太郎君) 一応それが検討委員会じゃないかなというふうな気もするわけでございますけれども、その辺はもう一度検討をいただきたいと思うわけでございます。 それから、知事ですね、緑のダイヤモンドの計画においてでございますけれども、もう約一年近く前になるわけでございますが、この緑のダイヤモンド計画が発表されましたときに、知事は非常に意を強くされておりまして、これはまさに雲仙のためにできたような施策だというようなことをおっしゃっておられました。そしてこの一年をかけていろんな意見をまとめ、そしてまた整備計画をつくっていくということをおっしゃっておったわけでございます。ところが、今の答弁を聞いております限り、どうもこれが非常に熱がさめてきたんじゃないかと、非常に知事のやる気が少し後退しているんじゃないかというような気がするわけでございまして、昨日のラグビーの試合でも一緒だったわけでございますが、やっぱり押す方が勝ちでございまして、どんどん、どんどんと私は押していっていただきたいと思うわけでございます。これについて少しお話をいただきたいと思うわけでございます。 それから三県架橋でございますが、この三県架橋におきましても、やはりいろんな懸案があると思います。しかしながら、十二月の中旬には、一応骨格的なものが発表されるということでございますし、また来年六月には路線と申しますか、軸も発表されるということでございます。そんなに期間もないわけでございますから、やはりこれから十分に運動をしていかなければなりませんし、それから先ほど質問しました長崎港としての貿易戦略も含めて、やはり上海、そして釜山、こういったところと長崎が結べるような海上交通、そしてまた輸送経路、こうしたものを一緒にして私はやはり長崎県というものを売り込んでいった方がこれからの長崎の新しい国土軸の中に取り入れられる、国家的なプロジェクトに取り入れられる私は方法ではないかと思うわけでございます。今、非常に西の果てであります長崎県のハンディ・キャップを生かしながら、私はこれをまた利となすような施策をこれからとっていただきたいと思うわけでございます。新幹線がございますので、新幹線をまず第一に、あとしばらくの間でございますので、まずそれを成し遂げてから頑張っていただきたいと思うわけでございますけれども、その後、三県架橋もございますんで、よろしくお願いします。 あと少しありますので、最後に、小浜-愛野間の道路は、私ずっと六年間言っておりますので、これもまた少し御検討をよろしくお願いいたします。 以上をもちまして、終わらせていただきます。 ○議長(吉住重行君) 五十一番。     〔関連質問〕 ◆五十一番(古藤恒彦君) 奥村議員の対馬の宗家文書について関連して質問いたします。 きのうの長崎新聞を初め、一斉にこの宗家文書の問題について取り上げていることは、いかにこの問題が重大で重要な資料であるかを如実に証明しておるものと存ずる次第であります。 そこで質問をいたします前に、一言申し上げたいことは、南高選出の奥村議員が対馬の宗家の文書について質問なされたのでありますが、私はその奥村議員の見識の高いこと、(発言する者あり)いかに政治力が旺盛であるかを高く評価するものでありますが、対馬選出の古藤恒彦がこのことを聞いて黙っておるわけにはいかないと、(笑声)宗家の問題ですから、うちの殿様の問題だから、一言だけお尋ねいたしたいと思います。知事の所見をお伺いしたいと思います。 教育長の方からちょっと説明がありましたけれど、ちょっともの足りない点があったように思いましたので、最後に知事の所見を承りたいことは、対馬のこの宗家文書は、私が申し上げるまでもなく六百年の歴史を誇っておる。これはですね、徳川三百年、あるいは豊臣五十年の問題なんかと問題にならない。六百年の歴史を持っておるのは長洲藩と対馬藩だけ、これおわかりですか、六百年の歴史を持っておるのは対馬藩と長洲藩だけなんです。その資料が対馬の宗家文書ですから、いかに重大であるかを物語っているものと思います。そこで私はこの問題につきましては、七万二千点余まだ保存されておるわけでございますが、七万二千点余の保存については対馬町村会、あるいは古文書を守る会等が再三にわたって教育長の方に陳情に来ておると思いますが、いまだかつてその方を見出すことができない。そこで私は知事に最終的にお尋ねせんとするところは、このような重要な資料は、これは対馬の島民の財産ばかりではなくて、長崎県の財産であるし、また日本国民の財産であると思うのであります。そこで永久に保存ができるような施策を講じていただきたいと思いますが、知事の所見を承っておきたいと存じます。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 宗家の文書というのは、確かにもう大事な日本の歴史を物語る、しかも、日朝交流の歴史というものを非常に端的に物語る一番大事な文書であると思います。したがって、この文書というものについて、これをしっかりと保存しておくということは非常に価値のあることだと思いますし、また私はこの宗家文書というのは、土台対馬にあってこそ燦然たる光をはなち、価値を持つもんだと思うんであります。ほかのところにあったって、それは価値を発揮しないと思うんであります。したがって、宗家文書はぜひこの対馬に保存し、ここにおいてしっかりとこれを格納しておく必要があると思います。既に万松院等において格納されております一部が外へ出て売却されたということはまことに残念でありますけれども、しかし、今七万二千点余というものが寄託されておるのであります。私はこの文書というものはしっかりと対馬に保存しておかねばならないものと思います。私は宗家の御当主もそのことの認識はしっかりと持っておいていただきたいと思うんであります。これはもう単なる歴史的な文書ではなくて、対馬にあってこそ意味があるんでありますから、そのことはやはり何代目かの御当主もしっかりと御認識をいただいて対処していただきたいと私は思っております。このことについて対馬に保存しておくように最大の努力はしていかなければならないと思っております。 ○議長(吉住重行君) 四十番。     〔関連質問〕 ◆四十番(末吉光徳君) 奥村議員のがまだす計画について、その中でも観光学科の設置について教育委員会の委員長の答弁をいただきたいというふうに思います。 私たちは素人というか、そういうのではこの観光学科を島原の高等学校につくるということは非常にいいことだと、大学にも行きたくてもいけない、そして少子化によって子供たちが少ないと、どうしても長崎県に、島原半島に残らぬといかぬという子供たちが多いわけですので、そういうような意味では地元の観光関係に就職する、そして就職しなくてもやはり観光を学ぶというか、そういうふうな人との接し方、いろんな意味で大学に行かない人はそういうふうな専門的なことを勉強した方が非常にいいと、こういうふうに思うわけですが、この教育委員会と申しますか、委員の皆さんたちが、島原半島の教育委員会委員長がおられればと思いますが、その委員長としてどういう、こんな話が出てきたときにどんなに考えておられるか、その難しさというのは教育長がいろんな意味で専門的に答えておられますが、県民の代表として委員会を構成される委員長がどんな考えでおられるかということをちょっとお尋ねしたいというふうに思います。 ○議長(吉住重行君) 教育委員会委員長。 ◎教育委員会委員長(冨田みどり君) ただいまの御質問に私の意見を述べさせていただきますと、その必要性を十分感じております。ですから、ただいまいろいろ検討しておりますけれども、これから前向きに考えていきたいと思っております。 ○議長(吉住重行君) 四十番。 ◆四十番(末吉光徳君) 上等な答弁だと思います。委員会としてはですね、そういうふうなのをつくったらいいという、そういうふうな県民の考えがあるわけだから、これをつくるためにはどうしたらいいか、どういうふうな問題点があるか、いろんな意味で勉強していただいて、ぜひつくる方向で努力をしていただきたいということをお願いして終わります。 ○議長(吉住重行君) 田中廣太郎議員-二十三番。 ◆二十三番(田中廣太郎君) (拍手)〔登壇〕平成会の田中廣太郎でございます。 県政一般について質問をさせていただきますが、その前に少々お時間をおかりしまして、前語りをさせていただきたいと思います。 平成八年十一月五日に松浦市におきまして、笛吹ダムの建設に伴う建設同意基本協定調印式が開催され、高田知事には遠路松浦までお越しいただき、盛会裏に無事終了いたしたところであります。知事に対しまして、地域住民に成りかわり、心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。(「いいぞ」と呼ぶ者あり)ありがとうございました。 今回、建設予定の笛吹ダムは、御案内のとおり志佐川の治水と松浦火力発電所の工業用水確保のためのダムであります。火力発電所の立地以来、石炭産業の斜陽化に伴い衰退の一途をたどっておりました郷土松浦市も、ようやく息を吹きかえし、今や県北の中核都市として財政的にも力をつけ、着実に発展を遂げております。地方公共団体の財政力の強さを示す指標に用いられる物差しの一つとして財政力指数がありますが、指数が一・〇を超える地方公共団体においては、国から交付税等の財源措置を仰がなくても、みずからの地域において県税等の自主財源により財政運営ができるという大変恵まれた地域であります。全国四十七都道府県の中で財政力指数一・〇を超えるところは東京都のみであり、平成七年度で一・一三を示しております。本県の財政力指数は〇・二九五であり、自主財源比率も一五%と大変厳しい財政運営を余儀なくされております。また、全国で財政力指数一・〇を超える市を探してみますと、千葉市、川崎市、名古屋市の三市のみとなっております。県内八市を比較しますと、平戸市が〇・二一三、福江市〇・二八九、島原市〇・四四三、大村市〇・五一九、諌早市〇・六二五、佐世保市〇・六三〇、長崎市〇・六四六であり、松浦市は何と〇・六七八で、県下八市の中で財政力指数がトップであります。しかも、平成四年から今日まで連続してであります。いかに松浦市の財政状況が良好であるかの証明であろうかと思うのであります。これも火力発電所からの立地交付金、法人税、事業税、その他の収入が支出を押し上げた結果であります。市当局はもちろんのこと、市民も火力発電所の恩恵に浴しているところであります。今後、二号基が完成すれば三百四十万キロワットの発電能力を持つ石炭専焼では東洋一の発電所になる予定であります。誘致から着工、完成に至るまでには数多くの関係者の血のにじむような御苦労があったと聞き及んでおります。着工直前の最終的な用地交渉は今では語り草になっております。高田知事には忍耐と誠意をもって事に当たっていただき、着工にこぎつけることができたと聞いております。松浦市発展の原動力になった発電所の建設に多大の御尽力を賜りました知事に対しまして、心より敬意と感謝のまことを捧げるものであります。 先ほど申し上げました調印式で、私は次のようなごあいさつをいたしました。「笛吹ダムの完成は今後順調に用地買収が進み、予定どおりに着工することができるならば、完成は今から五年後の平成十三年の予定であります。知事におかれましては、できることなら現職の知事としてダムの竣工落成式に御出席いただき、テープカットをしてほしいと心から願っているものであります」と、ごあいさつを申し上げました。(発言する者あり)私は、もとより微力でありますが、知事が五選を決意されたときには過去は過去として水に流し、たとえ相手がだれであろうと、たとえ私がどのような立場に追い込まれようと応援をさせていただきたいと思っております。(拍手・発言する者あり)私は松浦市の代表であり、市民の代弁者でもあります。市民の知事に対する感謝の気持ちを伝え、恩に報いる行動をとることは議員としての務めでもあろうかと思うからであります。二言はありません。(発言する者あり) 前置きが少し長くなりましたが、順次質問に入らせていただきます。 まず初めに、県庁舎建てかえ問題についてであります。 現在の庁舎は戦後間もない昭和二十八年に本館が、そして翌年に警察本部が建設され、以来、数次にわたる別館建設を経て、一部民間ビル借り上げを含み八カ所に分散いたしております。また、一方では行政需要の増大や事務機器の普及等に伴い、狭隘化が進み、建設設備の老朽化も著しく、防災上の検討もされる中にあって、行政の効率的な推進と県民に対する行政サービスの向上を図る上でさまざまな支障を来していることは紛れもない事実であり、その改善の必要性については私も理解するところであります。今回の県庁舎建設には約七百億円の建設費が見込まれております。平成元年三月に県庁舎建設整備基金条例が制定され、基金の積み立てが始まり、平成七年度末現在で百九十七億円が造成済みであります。しかし、平成三年六月には普賢岳噴火災害が発生いたしました。災害でお亡くなりになられました方々の御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。現在、国、県等の災害復興事業としての公共事業は一定の進捗をみているとはいうものの、人的な救済策はまだまだ遅れていると言われております。県民の生活安定が行政の最重要課題であるとするならば、県庁舎の建設は先送りにしてでも、噴火災害で苦しみ、悩み、そして再建のめどさえ立たない人々に夢と希望の持てるような施策を推進するための財源措置の必要性を痛感するものであります。「先憂後楽」ということわざがあります。国を県に読みかえますと、県を統一するもの、またはそれに準ずるものは一般県民が苦しむのに先だって苦しみを味わうべきであり、一般県民が生活を楽しむようになった後で楽しむべきだという統治者、政治家の心得を説いた言葉であります。今一度、この言葉の意味するところをかみしめてほしいと思うのであります。また、財政的に見ましても、一般会計における県債発行残高は平成四年、五年、六年は五千億円台を推移いたしておりましたが、平成七年では六千五百十六億円に膨らみ、平成八年には七千八百九十七億円と県税収入現計予算一千八十五億円の、実に七年分に相当する借金を抱えていることになるのであります。しかも、平成八年度当初予算を編成するにあたり、五百四十四億円の財源不足を財政調整基金二十五億円と退職基金の八十億円を取り崩し、合計百五億円を調達してもなお不足する四百三十九億円については、地方財政対策による特例的な起債として編成せざるを得なかったという大変厳しい財政運営を強いられている現在において、県庁舎の建設を予定どおりに進める必要性と緊急性を見出すことが私にはできません。財政的な体力がついてからでも遅くないと思うのでありますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 それから、県庁舎建設の立地場所についてであります。 県庁舎建設懇談会や県議会の県庁舎建設特別委員会で活発な御論議があっております。平成三年四月に、新聞社が七十一名の県議立候補者に「二十一世紀の県庁舎建設予定地としてどこが最適か」についてアンケート調査をいたしました。その結果、現在地で建てかえがいいと思う者四名、魚市跡地が十五名、県央地区が二十九名で、あとはその他の理由であります。平成三年の選挙で当選し、かつ平成七年の選挙でも勝ち残った議員二十八名中、現在地建てかえが一名、魚市跡地が三名、県央地区が十五名、その他になっております。議員は、その地域の代表であり、代弁者的な要素を持っております。多くの民意を県政に反映したいと思う議員の思いは、当然行政においても尊重されなければならないと思うのであります。しかし、そうとは言うものの、議員がすべての地域住民の気持ちを集約するということは無理な点があることを考えれば、今回の問題については、直接民主主義の原則に従い県民投票に委ねるべきであろうと思っております。知事選挙にしましても、百十七万八千人の有権者が選挙によって、だれが知事として一番ふさわしいかを選ぶのであります。県庁舎建設懇談会や県庁舎建設特別委員会で絞り込まれた現在地、魚市跡地、諌早、大村に立地することのメリット、デメリットを十分県民の皆さんに御認識いただく中において県民投票にかけ、より多くの県民が納得するような結論を導き出してほしいと思います。県民の県民による県民のための県庁舎であることを心から願うものであります。知事のリーダーシップと指導力が問われる重要な案件であります。知事の御所見を承りたいと思います。 続きまして、斜面住宅の活用について質問いたします。 本県の二大都市である長崎市と佐世保市に共通する問題でありますが、前議会で同僚杉県議が質問されました趣旨に似かよってはおりますが、私は斜面住宅の環境整備と観光利用について考えてみたいと思います。 昨今、斜面住宅に変化があらわれ始めております。その変化とは何かと言いますと、斜面住宅に空き家が目立ち始めているということであります。若い人たちは車社会の中で斜面住宅には車庫の確保が難しく、たとえ平地に車庫を確保することができたとしても、自宅までの上り下りがおっくうになり、平地にある車庫付きのアパートや、マンションに移り住むという傾向があるそうであります。もちろん、斜面住宅が好きで移りたがらない人が大勢おられることも、また事実であります。しかし、高齢者にとっては日常の階段の上り下りが弱った足腰には負担が重いとの理由から、移転が進み、空き家が増加傾向にあると言われております。斜面住宅の道路事情の特徴として、斜面に対し縦に階段が設置されております。これは県営住宅の階段構成と似ております。斜面住宅の環境整備の一環として、私は縦の階段に対する横の道路、それも田舎で言うところの赤道に相当する一メーターくらいの道路をあみだくじ式に設置することができるならば、地域におけるコミュニケーション道路、あるいは触れ合い道路として、また災害時の救出道路、火災発生時の地域住民による初期消火のためのバケツリレー道路として活用できるのではないかと思うのであります。ぜひとも県の施策に生かしていただき、斜面住宅における住環境の改善に取り組んでほしいと思いますが、いかがでしょうか。また、斜面住宅は日常の生活面での不便さはあるものの、見方を変えれば、夜景観光の面での立地条件としては最高の条件を備えております。斜面住宅における空き家を、例えば洋風に改装して活用することにより、観光客の増大や県税等の収益につながるのではないかと思うのであります。知事は、第一回定例会における私の自主財源の確保についての質問に対し、次のように答弁をされておられます。「県税等の収入増を図るためには積極的に企業を誘致して、法人税、事業税等の税収増に努めることが大事である」と答弁されたと記憶いたしております。まことに、ごもっともな御所見だと思います。しかし、本県のここ数年における県外からの企業誘致数は平成五年が三件、平成六年が三件、平成七年が二件となっております。一方、倒産や経営不振で撤退した企業数は平成五年が十二件、平成六年が十五件、平成七年が十件となっております。今私たちがやらなければならないことは、県外からの企業誘致も大事ではありますが、たとえ地味であっても自分の地域の持っている潜在的な力を引き出す努力が求められているのではないでしょうか、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。 続きまして、定期借地権制度の活用について質問いたします。 定期借地権は旧来の借地借家法の一部を改正し、平成四年に施行された法律の一部であります。旧来の借地権は、借地人にとって建物が存在する限り契約更新を拒絶されることはなく、契約終了の際には建物を買い取ってもらえることを法律で保証されていたために、地主にとっては一度土地を貸したら半永久的に戻ってこない可能性があったのであります。そのために借地人は契約更新の際に高額の権利金を支払わなければならないという事情があったのであります。今回の改正による定期借地権の制度は、普通借地権の土地存続期間三十年以上に比べて五十年以上を規定している関係で、社会的、経済的に見ても、建物の存続期間としても十分な期間を定めた一方で、契約の期限が切れた場合においては更新しなくてもいいと定めております。したがいまして、地主の土地保有志向を充足する一方で、土地の有効活用を図ることができ、所有権分譲方式よりも低コストで良質な住宅が確保でき、また宅地供給が可能になるという画期的な制度であります。本県の宅地における坪当たりの実勢価格を見てみますと、長崎市が四十万円前後、佐世保市で三十万円前後、大村市で二十万円前後と高値安定であります。したがいまして、例えば長崎市において土地付き一戸建て住宅を購入しようとすれば、平均四千五百万円ぐらいはするだろうと言われております。これでは、特に若い人には到底手が出ないというのが実情ではなかろうかと思います。しかし、定期借地権付きの住宅であれば、通常四千数百万円の一戸建て住宅の購入費が、約半分の二千数百万円で済むのが利点であります。土地代金の約二割程度の保証金は必要ですが、あとは五十年にわたり地代さえ払い続ければ自分の持ち家としてアパート、マンションでの不便さが解消でき、一戸建て住宅に住み、または建てることができるのであります。だれしもそうだろうと思いますが、一戸建て住宅を持つことは夢であります。若い人たちが十年先にならなければ、つまり住宅購入の頭金がたまるまで待たねばならなかった持ち家の夢を行政が定期借地権制度を活用してかなえてやることは本人の喜びであり、地域経済にとりましても大きなメリットがあろうかと思うのであります。住宅産業は総合産業でもあります。新築時にはかわらや材木、畳、家具、家電製品に至るまで、地域から調達するというすそ野の広い分野であります。本制度の活用により、県政のより活性化を願うものであります。御所見をお伺いしたいと思います。 その他の項で、前畑弾薬庫の移転・返還についてお尋ねいたします。 私ども平成会会派は、去る九月に佐世保市の米海軍基地について佐世保市行政と意見交換を行い、昨今、基地問題で一番の懸案事項である前畑弾薬庫の返還について、会派としても全面的に取り組み、支援していくことを決議いたしております。今般、佐世保市も当局議会ともに移転・返還で決議もして、いよいよ行動に移すときがきたようでありますが、県当局としての今後の行動について、まずお伺いいたします。 次に、合わせて県の国に対する平成九年度政策施策に関する重点要望書の二十五項目については、この前畑弾薬庫の移転・返還は入っていないようでありますが、どのような理由からでしょうか、お伺をいいたします。 以上をもちまして、本壇からの主質問を終了させていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(小林克敏君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 〔登壇〕田中廣太郎議員の御質問にお答えを申し上げたいと存じます。 お答えを申し上げます前に、過分の御評価を賜りましたことを厚く御礼を申し上げたいと存じます。 まず、県庁舎の建てかえについてのお尋ねでございますけれども、県庁舎というのは昭和二十八年にできたのでありますから、相当期間がたって、しかも行政需要が増えてまいりましたので、タコ足庁舎になっているということも事実であります。県民の皆さんが御利用になるのに非常に不便だという声が大きいことも事実でございます。したがって、県庁舎というものを建てかえたらどうかと、各県でもいろいろ建てかえが始まっているという現状も見て、そういう御意向も強いので、私どもも何度か議会の方にもいろいろ御努力を願いまして、県庁舎建設特別委員会等もおつくりいただいてやったのでありますけれども、今回も県庁舎の議会についての御検討もお願いいたしておりますし、また広く民間の有識者の方々の御意見もちょうだいをするという意味で懇談会というのもおつくりいただいて、その答申もいただいたのであります。民間のそういう方々、あるいは県議会の御意見等も賜りまして、県議会の御意見の中では、その過程で、長崎、諌早、大村の三市長、あるいは商工会議所、連合会の会長、婦人団体、農協、漁連の代表、身障者の代表の方とか、各界の代表の方々の御意見等の聴取もいただいたと伺っておるのであります。そして、いろいろ結論もお出しいただいたのでありますけれども、この県庁舎というのは大変に事業費がかかるものであるということは御指摘のとおりであります。新しく建てましたのでは鹿児島が一番新しゅうございます。鹿児島の県庁の建設費が六百七十億かかっておるのであります。だんだん、だんだん年がたつに従って県庁舎の事業費というのが高くなっておるのであります。鹿児島は県庁の職員の数というものも私どもの県より多いので、この事業費が多うございますけれども、それでも私どもがあと何年後かに建てるということになると、物価等のスライドを考えれば、やはり相当の金額になるのではないかなという感じがするのであります。しかし、そのために他の行政需要に影響がないようにしておくということが、県庁舎というような非常に大きな規模のものを建てるときには重要であると思います。私どもも市町村に対しましても、ちゃんと積み立てをしておけよということを言っておるのであります。言っておる本県も積み立て等をいたしまして、そして他の事業に影響がないようにいたしてまいりたいというふうにして、今日まで御指摘がありましたように、二百億弱くらいの基金の積み立てをいたしております。今年度末になれば二百三十億か二百五十億ぐらいになるかと思うのであります。何年かたてば、やはり三百億から上の積み立てになると思うのでありますけれども、大体建設をいたしますときには建設費の六割から上はそういう積立金で確保しておかなければいけないのではないかなと、そうしないと他の事業に影響が出てくるのではないかなと、かような感じもいたしております。したがって、私どもはいつでも県庁舎が建てられるような体制だけは毎年とっておかねばならないと思っております。したがって、今後も、金額の程度の差はございますけれども、財政の状況に応じて必要な積み立てというものはしておこうというふうに思います。それにしましても、まだかなりの金額の積み立てを必要とする時期になっておるのであります。そこへもってきて、いろんな行政需要というものが、野球場、あるいはアーバン、諌早の干拓事業、あるいは雲仙の復興事業等、いろいろな事業に対する事業費の支出等もあるのであります。ですから、その辺も横にらみをしながら県庁舎というものを考えていかなきゃいかぬということはそのとおりでございます。したがって、私どもの方も、今までこういう形で広く県民の皆さんの御意見、あるいは県議会の御意見というものもお聞きしながら、一つ一つ、毎年毎年建設に向けての努力はいたしておるのであります。基金の積み立てもそうであります。そういう点を準備をいたしておきながら総合的な検討を加えて、しかるべき時期に建設についての基本構想を策定してまいりたいと考えております。しかるべき時期とはいつぞやということに相なりますと、まだ何年、何月というわけにはまいらぬのでありますけれども、いろいろ行政需要が毎年毎年また新しく出てまいってもおります。しかも、かなりの大きな額というものが、箱物であれ、まちづくりであれ、いろいろ出てきておりますので、その辺もにらみながらやらなければいかぬと思っておるので、今の段階ではしかるべき時期に、その建設についての基本構想を策定をいたしてまいりたいと、こう申し上げさせていただきたいと思うのでございます。 県民投票をしたらどうかと、こういう御指摘でありますけれども、先ほど申し上げました中で、民間の各界の代表者の方々、その中には単に長崎地域ばかりではございませんで、福江の方とか、いろんな方も入っていただいた中で民間の懇談会等の御意見もいただいておるのでありますし、県議会でも先ほど申しましたように、大村、あるいは諌早の市長、あるいは漁連、その他の各種団体の御意見もいただいておりますので、その上での結論もちょうだいをいたしておりますので、今のところは県民投票をするということは考えておらないと申し上げざるを得ないと思うのでございます。今、県民投票をして県庁の場所を決定するということを行った県というのは、今までのところではないのでございますし、またそういうことを行う意味というものは確かにあろうと思いますが、私どもは今のところは県民投票ということは考えてはおりませんと申し上げて、お答えとさせていただきたいと存じます。 それから、企業誘致も大事だけれども、地域の潜在的な力を引き出したらどうかと、このことが大事であるということの御指摘がありました。これはまさに、こういう時代になりますと、御指摘の点は確かにそのとおりだと思います。私どもも企業誘致ということは大事で、外からの力を引き出すためにいろいろ受け皿としての団地をつくっておるのであります。そこに若干ずつでも引き合いはあるのであります。引き合いはありますけれども、まだ実現をしていない部分もございます。しかし、全く企業の誘致というものがぴたりと全国的にとまっているということはございません。したがって、受け皿だけはしっかりと、ある程度つくっておく必要はあると思うのであります。そうしませんと、企業を誘致するといっても、これは全く不可能になってまいりますので、そのことはしてまいりたいと思います。現に大村のオフィスパークには、やはり二、三、立地についての動きもありますし、それから東そのぎの団地の中でもそういう動きもあったりいたしております。そういう受け皿だけはしっかりと準備をしておかなきゃいかぬ問題だと思うのでありますが、しかし、それよりも地元企業の振興を図った方がいいぞというのは私は全く同感であります。やはり企業が新しい技術を身につけていこう、新技術に向かって努力していこうというようなことがあれば、午前中石本議員からの御質疑にもありましたように、ベンチャーということでやっていこうというようなことがあれば、それに対するベンチャーキャピタルというような制度もございますので、そういうものに乗って、そして危険リスクというものをある程度かぶってまでも地元の企業を振興させるということは、私はやっぱり必要だと思います。そのためには地元の企業もそういう意欲をしっかりと持ってもらいたいと思いますし、また既にある地元の企業につきましても、意欲のある方々に対してはできる限り低利の融資というものもやったりして、地元企業の力づけということをしていくということは必要であろうと思います。私どもは、やはり基本は企業誘致ということよりも、地元企業が力をつけるということが基本だぞという御見解は私も全く同感でありますので、今後もそういう点についての力は加えてまいりたいと、かように思っておる次第であります。 それから、前畑弾薬庫の問題でありますが、前畑弾薬庫を含めまして、いろいろ返還六項目、これは年来にわたってやってまいりました。市の方が中心ではおかしいぞと、県もしっかりと協力をしろということで、市も県も組織をつくり、お互いの連絡協議会というのもつくってやってまいりました。しかし、なかなかにおいて返還というのはそう簡単にはまいっておりません。現実にも動いてまいっておりません。わずかずつ動いておる部分がございますけれども、六項目についてそう順調に動いているという状況には、ここ何十年というか、二十年の間においてもございません。また、前畑弾薬庫についても年来にわたって移転返還と申しますか、そういうことについての要望もいたしておりますが、これまた動きがなかなかにございません。これは大変に大きな事業費を伴うものでありますので、民家が非常に近づいている現状があるにもかかわらず、なかなか動きというものも順調にいってないことも事実であります。しかし、私どもとしては、やはりこの問題については、それを放置しておくというわけにはまいりません。したがって、この問題が日米の安保条約とも関連する問題もあろうかと、かようにも存じますし、いろいろ複雑に関連している問題もあろうとも思うのでありますけれども、可能なものについてはできる限り根気強く、いろいろな機会をとらえて地元の要望にこたえていくべく努力をしていかなきゃいかぬだろうというふうに思って、今後も佐世保市と連携して早期返還の実現を強く求めてまいりたいと思っておる次第でございます。 ○副議長(小林克敏君) 土木部長。 ◎土木部長(梶太郎君) 斜面住宅の活用についてのお尋ねにお答えいたします。 斜面地の住宅は交通事情、防災、住環境面で長崎市及び佐世保市の抱える重要な課題の一つでございます。このため長崎市では平成二年度より住環境整備方針の策定を行い、平成七年度からモデル地区の整備に着手いたしております。また、平成三年度より斜面交通対策調査にも着手いたしており、全国的にも例がない街路事業による斜行エレベーター及び関連する歩行者道路の整備について検討を重ねておりまして、現在、平成九年度より南大浦地区におきまして、モデル的な導入を行うための準備を進めているところでございます。このように平坦地が少ない長崎市等におきましては、斜面地の空き住宅の活用を図ることは観光資源の掘り起こしにもつながりますし、さらにコミュニティ道路を整備することで防災、住環境の改善を図ることができます。県としましては、このような取り組みを積極的に支援いたしますとともに、同様な問題を有する他の市町村についても先駆的な取り組みの成果や情報を伝えまして、斜面住宅の活用に努めていきたいと考えております。 次に、定期借地権制度の活用についての御質問についてお答えいたします。 県民の安定した住生活の実現を図るためには、適正な負担で良質な住宅宅地の取得が可能となりますよう必要な施策を講じていくことが住宅施策上、重要な課題と認識いたしておりまして、その認識のもとに県においては各種施策を講じているところでございます。定期借地権制度につきましては、地権者の相続等の問題もありますが、通常の分譲方式よりも低コストで住宅宅地の供給が可能でありますし、また地主の土地保有志向を充足しつつ、土地の有効利用が図られるというメリットがございまして、三大都市圏を中心に急速に普及しておりますが、本県のように平坦地が少なく、地価が高い市街地におきましても有効な制度であると考えております。県といたしましては、県内の定期借地権付き住宅に対する需要を見極めつつ、民間、または住宅供給公社によるモデル的な事業の実施につきまして、公社、関連機関と連携を取りながら検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林克敏君) 田中議員-二十三番。 ◆二十三番(田中廣太郎君) 先ほどの私に対する知事の答弁の中で、前畑弾薬庫の問題で主要重点項目の二十項目に入っているのか、入ってないのかという答弁漏れがございましたので、よろしく御答弁のほどをお願いしたいと思っております。 ○副議長(小林克敏君) 企画部長。 ◎企画部長(副島宏行君) 今回の重点要望に入っていないとの御指摘でございますけれども、基地の返還は極めて難しい問題でございまして、今回の予算時期におきます重点要望としては整理をいたしておりません。しかしながら、この問題につきましては、特別の要望ということで根気強く、あらゆる機会をとらえて、これまでも要望してまいりましたけれども、今後も佐世保市との連携を取りながら、そういう気持ちで国に対して要望してまいりたいと思います。 以上でございます。 ○副議長(小林克敏君) 田中議員-二十三番。 ◆二十三番(田中廣太郎君) 私は議員になって、もう十年目を迎えますけれども、先ほどの知事の答弁を聞いておりまして、長崎県の行政の姿勢というんでしょうか、多少残念でならなかった点がございます。 というのは、県庁舎をどことどこにするのかという問題を、県民すべての思いを一つに合わせてやれば多くの県民の皆様方の御理解をいただけるんじゃないかなと、こういう思いで、たったの五億三千万ぐらいで知事選挙でもできるわけですから、それならば七百、八百億の投資をする大変に大きな問題でもあります。そういった意味で県民投票したらどうかと申し上げたんですけれども、まだ全国に例がないとかということは非常に私は長崎県としてフロンティアスピリットというんでしょうか、開拓者魂というんでしょうか、二十一世紀に向けて雄々しく飛躍発展する長崎県の行政の姿ではないと思っている次第でございます。そういった意味で、知事の指導性というか、指導力というものが、もっともっと発揮されなければ行政が沈滞してしまうということも私はあり得るんだと、知事の後ろ姿を見て行政マンは仕事しているんじゃないかなという気がいたします。そういった意味で、今後とも、もっともっと職員が多少リスクを背負ってもやるんだという思いで、いろんな仕事に取り組むような体制をつくってほしいなという気持ちでいっぱいであります。そのことを一つお願いして終わりたいと思っております。 ○副議長(小林克敏君) 九番-田中愛国議員。     〔関連質問〕 ◆九番(田中愛国君) ただいまの田中廣太郎議員の前畑弾薬庫の質問に関連しまして、知事の見解をお聞かせ願いたいと思っております。 と申しますのは、前畑弾薬庫の返還、今まで大変な時間がたちましたけれども、遅々として進まないわけです。そういう中で、私の現在の記憶から言いますと、ようやく気が熟してきたなと、大行動を起こすときがきたなという感覚を持っております。そういう中で、幸いにも知事が先頭に立ってこの問題が動くというお話を、先般も、きょうもお聞きをいたしまして、佐世保市も議会と当局の問題がありましたけれども、移転返還ということで解決をしたようでございます。時あたかも、この長崎県の選挙区の久間防衛庁長官も誕生されたわけですので、今しかないなと私は思っているわけですけれども、知事、いかがでしょうか。 ○副議長(小林克敏君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 久間防衛庁長官が就任をされたということは、確かに従来の時期に比べますと、御要望するには大変にいい時期に、いい方が座ったという感じはいたします。私ももう既にそのことは申し上げておるのでありますが、なかなか長官に座ったから、すぐに物事が進むかどうか、これはなかなか難しい問題でありますけれども、私もそのことは十分認識をしながら努力をしてまいりたいと思っております。 ○議長(吉住重行君) 九番。 ◆九番(田中愛国君) 知事がよく使われますね、この時期を逸すると永久に来ないんだと、そういうことを言いますと、私は今回の前畑弾薬庫の移転返還は本当にいい時期だなと思って、そういう気持ちでやっていただきたいと、また、やっていただけるものと信じています。従来の市が陳情するやり方から、今度は県ということですから期待もしているわけですが、一番の問題は、やはり移転返還ということになりますと、やっぱり移転先はという話が出てくるんですよ。移転先はどうするんだと。しかし、我々は従来から、それは国が決めることと言ってきました。しかし、今回市議会のいろいろな話を聞いてみますと、やっぱり移転先の問題にこだわっておりますので、この際、これは玉虫色ですけれども、ある程度、どこに移転するのかということを決めて進まなきゃいかぬ時期にきたんじゃなかろうかなと思っています。そういうことを考えますと、今の佐世保市の海岸線を見たときに、佐世保市は市街地との関係で無理なんですよ。そうなると、近隣の町に移転先をお願いしなきゃいかぬ、私はそう思っています。そういう中で、知事は県内の移転先の調整も合わせてやってもらわなきゃいかぬわけですね。国と県の関係もありますけれども、実行に移すとすると移転先の問題が必ず出てくると、そうなると佐世保市には市街地との関係で適地はないと、そういうことですから、知事は移転先をどう考えておられますか。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 今、移転先がどこかということをお尋ねがありましても、なかなかに、ここだということでお答えを申し上げるのは非常に困難だし、私も頭の中にここだというものはございません。したがって、適地がどこだということを申し上げると、難しいのは移転をするときには、まず一義的には佐世保市内であろうと思います。しかし、佐世保市内といっても適地がないとなれば、よそのところへ持っていかなきゃいかぬと思いますが、佐世保市内で難しいのをよそに持っていくというと、自分のところでできないものをおれのところにという、この議論がまた出るのであります。ですから、その辺も考えに入れながらやっていかなきゃいかぬ問題でございますが、しかし、放置しておくことのできない問題であることは事実でございます。したがって、その辺のところも広い見地からいろいろと検討してみなきゃいかぬということは紛れもなく事実だと存じます。 ○議長(吉住重行君) 八番。     〔関連質問〕 ◆八番(松島世佳君) 先輩田中議員の県庁舎建てかえについて関連をさせていただきたいと思います。 先ほど明確に知事の方で、県民投票の必要はないというようなことで御答弁があったわけですが、実は私、その裏返し的に県庁舎建設懇談会というんですか、このことを非常に重要視していらっしゃる、そしてもちろん議会にも県庁舎建設特別委員会が設置してありますけれども、懇談会の中でいろんな議論がなされているのは、知事は大体議論なされた主な問題については既に把握をしてありますか、まずお尋ねをします。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 報告を受けております。
    ○議長(吉住重行君) 八番。 ◆八番(松島世佳君) それでは、その懇談会の中で遷都に成功した例はないというふうな議論がなされたと、それと今一つは歴史が長崎市の現在地にあるから、ここにするんだという議論がなされたと、重要なファクターの一つになっているということをお伺いをしたんでありますが、そのことは知事御承知でございますか。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) そういう議論もなされたか、しかとは覚えておりませんが、自信はありません。 ○議長(吉住重行君) 八番。 ◆八番(松島世佳君) 実はですね、懇談会の議論の中で、私は唖然としたのが、先ほどお話をしました遷都の成功した例がないと、一つブラジリアの例を取り上げて、あたかも遷都は成功しないんだと、すなわち県都移転は成功しないんだと、そういうふうな議論の展開がなされたと。私はこのことについてびっくりしたんですね。日本の歴史なんというのは、まさに御案内のとおり遷都の歴史ですよね、もし議論の中で、その意見が席巻をしているんであれば、懇談会の結論も相当私は、ある意図があってそうなさったんじゃなかろうかと思われるような筋合いがしてならないと、これが一つでございます。 それと、まず歴史があるからここにつくろうと、こういうふうな議論がなされたと。私はこう思うんですね、少なくとも長崎県の歴史は、高田知事、あなたがこれからはつくっていく決意で県政を担当なさっているんじゃなかろうかと、こう思うわけです。過去の歴史があったから、またここに歴史をつくるんだと、現在位置につくると、こういう議論は全く私は承服できない。すなわち我々が二十一世紀に向けて、まさに百年の計を練る、しかも田中先輩議員のお話にありましたとおり、県庁舎をつくらにゃいけない大きな理由があるわけであります。もちろん、難しい財政事情もあります。しかし、基本的には高田知事の明快な基本構想、すなわち基本的なコンセプトが、まず強力なリーダーシップが必要ではなかろうかと思うわけです。今一度知事の見解を賜り、五日に私もこの問題に関しては一般質問しますので、その方に回したいと思います。 ○議長(吉住重行君) 知事。 ◎知事(高田勇君) 懇談会の中でもって御協議をいただいたのは、たしか県下に九カ所あったと思うのであります。それは何も長崎市内ばかりでなくて、佐世保市から至るすべての地域に九カ所あったと思います。その中から検討いただいて、絞ってやってきたと思うのであります。その中において、今お話があった歴史性の問題とか何とかというと、長崎市なら長崎市に絞られて、では歴史性どうこうで、市内のどこかというときに、その議論が出てきたんではないかなと、かように思うのでありますが、九カ所あって、それを検討されたというのは、これは尊重しなければならない現実であろうと思うのであります。また県議会におかれましても、いろいろ各市長さん等を呼ばれて御検討なさったということも広く御検討をいただいた結果だと思うのでございます。 ○議長(吉住重行君) 本日の会議は、これにて終了いたします。 明日は議案調査のために休会、十二月四日は定刻より本会議を開き、一般質問を続行いたします。 本日はこれをもって散会いたします。     -- 午後四時十分散会 --...