佐賀県議会 2022-11-02
令和4年11月定例会(第2日) 本文
日程によりまして、一般質問を開始いたします。
通告に従いまして、順次発言を許可いたします。
4 ◎向門慶人君(拍手)登壇=議長より登壇の許可をいただきました
自由民主党県議団、向門慶人でございます。
山口県政二期目の最後の議会、一般質問の一番目という栄誉をいただきました。機会をいただきました皆様方に心から感謝を申し上げさせていただきます。
そして、手前みそではありますが、私自身野球をしていたこともありまして、野球に関してはしつこく様々な質問をさせていただきました。今回、
野球強化プロジェクトということで様々な取組をしていただいております。その中で、本当に手前みそではありますが、我が母校が九州大会へ出場させていただくことになりました。県立高校の進学校でありますけれども、佐賀県大会で準優勝、また準優勝なんですけれども、準優勝させていただいて、沖縄の九州大会に出場させていただきました。
残念ながら九州大会では、優勝した沖縄尚学に敗れはしたものの、パワーと球速にはやっぱり及ばなかったんですが、細かいミスを防げばまだまだ戦えるんじゃないかというところまでいっているというふうに話を聞いています。一冬越えて、昨年の有田工業ではないですけれども、秋、夏をぜひ取っていただいて、また甲子園の道へ行っていただきたいと思います。
そしてもう一つ、うれしいことは、県大会で優勝したのは佐賀北高校でありました。おめでとうございます。県立高校が決勝で相まみえるというところに佐賀県のよさがあるのではないかと思います。他県を見ると、強豪の私立高校が順当にといいますか、当たり前のように準決勝、決勝を占めている、ではなくて、佐賀県には県立高校でもいつでもチャンスがある、そういう子供たちに夢がある県だというふうに思うときに、やはり佐賀県をもっともっと盛り上げていただいて、そして、佐賀県から三たびの全国制覇をぜひ勝ち取っていただきたいというふうに思います。そういった県で佐賀県はあり続けていってほしいなという強い思いがあります。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、佐賀空港の
自衛隊使用要請について質問させていただきます。
佐賀空港の
自衛隊使用要請について、昨年十二月に有明海漁協の
西久保組合長が知事を訪問され、計画予定地の
排水対策等、三つの事項に対して防衛省の考えが示されることを条件に、
公害防止協定覚書付属資料の見直し手続を行うとの回答文書を提出されました。
三条件については、漁協、防衛省、県の三者による協議を経て、その後、漁協の
検討委員会で議論されてきておりました。令和四年九月議会以降の経過として、九月二十日に漁協が
検討委員会を開催し、防衛省による、協定締結時の当事者であった漁協六支所の組合員を対象とした説明会の結果が報告され、十月十三日には
九州防衛局が県に対し、今年三月にノルウェーで発生したオスプレイの墜落事故について事故原因等を説明され、そして十月十七日、漁協が六
支所合同会議を開催しました。そこに坂本副知事から県の考え方を改めて説明されています。十月二十四日、漁協が六
支所合同会議を開催し、知事が、組合長、副組合長及び六支所の
運営委員長等に対して有明海再生に対する思い、国防の大切さを説明するとともに、排水対策について県の考え方を説明したと聞いております。そして、最終的に今月一日の
オスプレイ等配備計画検討委員会で協定の変更を受け入れ、「県は佐賀空港を自衛隊と共用することができる」との決定がなされたものと承知をしています。
平成二十六年七月に防衛省からの要請があって以来八年、計画の実現に向けて大きく前進したものと考えます。
新聞報道によると、十月十七日の漁協六
支所合同会議への副知事の出席に続き、翌週二十四日の合同会議には急遽、知事自らが出席し、支所の代表者らと面談をされたと承知をしています。
西久保組合長は、
公害防止協定の変更受入れを決定するに当たって、知事のこの訪問が決め手となったとコメントをされています。
二十四日の会議への出席を決めた理由、及びその会議の中でどのような思いを伝えられたのか、改めて知事にお伺いをいたします。
公害防止協定覚書付属資料は変更されました。その後、報道等によれば、佐賀市の坂井市長に報告を行い、そして、柳川市にも
協定見直しの報告を行っているようであります。昨日は、JAさがにも報告に行かれているようであります。
さらに、
浜田防衛大臣は記者会見で「地権者との用地交渉に着手したい」と述べ、「早期の配備実現に向け用地取得を急ぐ考えを示した。」とあり、ようやく動き始めたと思います。今後は、事前協議や住民説明会、用地取得、
排水対策等を進めていかなければなりません。
そこで、この計画の実現に向けて、県はどのような役割を担い、どのように今後取り組んでいくのか、知事にお尋ねをいたします。
次に、
九州新幹線西九州ルートについてお尋ねをいたします。
九月二十三日に
西九州新幹線が開業しました。当日は早朝から武雄温泉駅、嬉野温泉駅において
JR九州主催の出発式が、その後に、県や武雄市、嬉野市などが主催する祝賀式典や
開業イベントが開催され、両駅ともに多くの観光客や県民が訪れ、にぎわいを見せていました。
開業後も、武雄市や嬉野市では駅前広場等で様々なイベントが開催されており、県においても「佐賀・
長崎デスティネーションキャンペーン」や
ロマ佐賀列車の運行を開始したところでもあり、加えて、
全国旅行支援も始まっており、観光需要による地域経済の活性化にも期待しているところであります。
開業からこれまで一カ月余りが経過したところでありますが、武雄や嬉野をはじめ、県内の状況を踏まえた知事の所感をまずお伺いいたします。
次に、開業後の
上下分離区間の状況についてお尋ねをいたします。
西九州新幹線の開業を機に
上下分離方式へと移行した長崎本線の
江北-諫早間では、ダイヤや運行形態等が大きく変わりました。特に特急列車の運行本数は上下四十五本から上下十四本へと大幅に減少していること。先日、私自身、新鳥栖駅から佐賀方面へ電車に乗る機会がありました。そして、新鳥栖駅の佐賀方面のホームに立ち、改めて時刻表を見させていただきました。新鳥栖から鹿島まで、一番早い時刻表は朝の八時二十三分であります。二番目の特急電車は十時四十六分でありました。三本目は十三時三十九分であります。四本目が十七時三分、五本目が十八時二分、六本目が十九時六分、この辺りは、夕方は一時間に一本あります。最終の鹿島行きは二十時四分でありました。夕方は一時間に一本あります。昼間の時間帯はたったの三本でした。私自身、鳥栖から鹿島が遠く感じたところであります。ちなみに「
リレーかもめ」は一時間に一本程度、「みどり・
ハウステンボス号」も一時間に一本程度あります。
開業から一カ月余りが経過し、利便性の低下とその改善を求める利用者からの声について報道がなされています。
ついては、
西九州新幹線開業後の
上下分離区間の状況を見て、知事として考えられることもあると思いますが、改めて知事の所感をお伺いいたします。
次に、新
鳥栖-武雄温泉間の議論についてです。
新
鳥栖-武雄温泉間の整備方式をめぐっては、現在、国土交通省と「幅広い協議」を行っていますが、協議は膠着状態に感じていました。そのような中、知事は
与党検討委員会の
森山委員長と面談をされているようであります。
先日、先ほどの新鳥栖駅のホームに立ったとき、老夫婦の旅行客がキャリーバッグを持って、大きな荷物を抱えながら乗換えを行っている風景を何組も目にいたしました。
西九州新幹線開業後には武雄温泉駅でも乗換えを行っていると思うと、改めてやはり不便だと率直に思います。
本来、国が断念した
フリーゲージトレインが走っていれば、このような問題は起きないことは重々承知をしています、分かっています。しかし、さきの老夫婦の様子を見ると、このままの状態がずっと続くのは好ましくないとも思います。
先日、
九州新幹線長崎ルートに関する
与党検討委員会、
森山委員長の会議が開かれ、空港ルートの建設が技術的に可能かどうかを精査するように国交省側に指示したと報道されています。さらに、
斉藤国交大臣から技術的に施工可能かどうか調査するよう鉄道・運輸機構に指示したとも報道されています。
フリーゲージトレインを断念した新
鳥栖-武雄温泉間のこの区間の問題については、国の責任をきちんと明確にして、議論は停滞することなく進めるべきだとも考えます。
ついては、新
鳥栖-武雄温泉間の議論について、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。
次に、
勝尾城筑紫氏遺跡の保存整備についてお尋ねをいたします。
先般、基山の
古賀和浩議員が基肄城について質問をされていました。私自身もこの勝尾城については関心があったものの、質問に立つことはこれまでありませんでした。改めてそう思ったときに、私もきちんとやっぱり質問しなければいけないというふうに思いもしました。
さて、県議会の議員の皆様、あるいは執行部の方で
勝尾城筑紫氏遺跡を御存じの方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか。──ありがとうございます。ほとんどの方が御存じでないようであります。私も執行部と打合せするときにも、なかなか職員さんも知らないということでありましたので、少し御紹介をさせていただきながら、質問させていただきたいと思います。
この勝尾城は、指定文化財、国史跡、
勝尾城筑紫氏遺跡とされています。この勝尾城は、鳥栖市の西北、九千部山のたもとに河内町、牛原町にまたがる標高五百一メートルの城山があり、この城山の山頂に
戦国時代後期、十六世紀、肥前東部を中心にし、筑前、筑後にまでまたがり勢力を振るった
有力国人領主筑紫氏の
居城勝尾城があります。
鳥栖市街地から望む
城山勝尾城は、台形状に屹立し、鳥栖市の
ランドマークとも言える山容を誇っており、筑紫平野だけではなく、空気が澄んでいるときは遠くの英彦山から島原半島の雲仙まで見渡せる絶景であります。
また、地元ではこの勝尾城をめぐって、天正十四年、一五八六年に戦われた薩摩島津氏との合戦にまつわる落城説話が今日まで語り継がれています。
さて、この勝尾城について鳥栖市
教育委員会では、平成元年、一九八九年、
山浦新町地区の
圃場整備事業に伴う発掘調査により、戦国期、十六世紀後半の町家跡を確認しました。この発見を契機とし、その後、平成七年度から遺跡の範囲や時期、内容等を明らかにするための確認調査が実施をされました。これら一連の調査によって、この勝尾城を中心に鬼ケ城、高取城、若山砦、葛籠城、鏡城の山城群、また、城主の館、勝尾神社や全慶寺等の寺社、
筑紫春門屋敷跡、
友清左馬大夫屋敷跡と言われる重臣や家臣の屋敷、新町と呼ばれる町家、城下を区切る堀と土塁などが良好な状態で残っていることが明らかとなりました。
これらの遺構は、城山南麓に西から東に流れる河内川流域の谷筋を中心に広がっており、遺跡の規模は東西約二キロ、南北二・五キロに及びます。その規模は単純に比較をすれば、福井県福井市にある国の特別史跡一乗谷朝倉氏遺跡、歴史の好きな方は御承知かと思いますが、織田信長と姉川の戦い等で歴史に残る戦いを行った浅井・朝倉軍の朝倉義景の城であり、その山城に匹敵すると言われています。
また、このように戦国時代の城下町跡がそっくり残っている事例は全国的にもまれであり、平成十八年一月二十六日に城下町の様子がよく分かる我が国の戦国時代の歴史を考える上で重要な遺跡として、
勝尾城筑紫氏遺跡の名称で国の史跡に指定されました。
さて、この勝尾城を治めていたのは筑紫満門から秀門、正門、惟門、広門まで五代、約九十年間が筑紫氏の勝尾城在城期間であります。この間、筑紫氏は、大内氏、少弐氏、さらに豊後大友氏、中国地方の毛利氏の狭間でよく領国を保ち、肥前、筑前の間において、小さいといえども独立した勢力として戦国時代を生き抜きました。
現在見て取れる勝尾城及び城下町はこの筑紫氏の手になるものであり、筑紫氏は十六世紀を通じ、この勝尾城を本城に
有力国人領主として肥前東部を中心に近隣の筑前、筑後まで勢力を振るうことになります。
しかし、時は群雄割拠の戦国時代、九州を制圧しようとする島津軍は肥後を平定し、さらに北上し、久留米の高良山に本陣を構えます。天正十四年、一五八六年、約二万人の兵で、筑紫氏は討ち果たさなければならないと島津は攻撃を決定し攻めてきます。迎え撃つ筑紫軍は二千、家族を含む三千人が立て籠もりました。
しかし、天正十四年七月には薩摩衆の攻撃が開始され、敵も味方も多数の戦傷死者を出します。薩摩方の大将は、数々の武功を上げ、肥前の熊と言われた龍造寺隆信を倒すなどの薩摩最強の武将の一人、川上左京もこの戦で討ち死にをしました。まさに激戦となります。しかし、麓の館は落城し、ついに筑紫広門は降伏をしました。しかしながら、一カ月後の八月には
久留米大善寺に幽閉されていた広門は脱出に成功し、福岡県那珂川の五箇山城に籠もり、翌日には勝尾城を攻め取り返しました。
この間、大友氏は島津氏からの攻撃の対応策として、時の豊臣秀吉に出陣の要請をしています。この要請を受け、天正十五年三月一日、豊臣秀吉軍が九州へ大軍を派遣。島津軍はこの緊迫した情勢下のために筑紫氏に再度の攻撃は行いませんでした。その後、天正十五年、一五八七年、九州を制圧した豊臣秀吉の九州国割りによって、筑紫氏は筑後国上妻郡八女地方の一万八千石の大名として鳥栖を離れることになります。そして、筑紫広門のこの領国は
小早川隆景領となります。
この筑紫氏の八女への移封によって勝尾城は廃絶され、その後、使用された形跡は認められません。そのため、すなわちこの
勝尾城筑紫氏遺跡は天正十五年の姿をとどめた、時代を限定できる基準資料となる重要な遺跡となったのであります。
鳥栖市では、この貴重な歴史的遺産である
勝尾城筑紫氏遺跡の価値を県内外の多くの方々に伝えるため、史跡の保存整備に取り組んでいると聞いて、大いに賛同するところであります。しかしながら、県民はもとより、鳥栖市民においても認知度が低いのが現状であります。
そこで、次の点についてお伺いをします。
勝尾城筑紫氏遺跡に対する県の認識についてであります。
勝尾城筑紫氏遺跡について、県はどのような認識を持っているのかお尋ねいたします。
次に、
勝尾城筑紫氏遺跡の保存整備について、県はどのように関わってきたのかをお尋ねいたします。
そして最後に、今後、県はどのように取り組んでいくのかをお尋ねいたします。
次に、鳥栖駅周辺の整備についてお尋ねをいたします。
鳥栖
駅周辺整備の動きとして、平成二十八年の「鳥栖駅
周辺まちづくり基本構想」及び平成二十九年の「鳥栖駅
周辺まちづくり基本計画」において、鳥栖駅の橋上化などを基本とすることが示されたところであります。
この鳥栖駅橋上化の方針を受けて、
JR鹿児島本線をまたぐ東西方向の
都市計画道路、
久留米甘木線、飯田蔵上線、酒井西宿町線や鳥栖駅前の鳥栖駅田代線を含む
都市計画道路の検討を行うために、平成二十八年五月に「鳥栖市
都市計画道路見直し検討懇話会」が鳥栖市において設置され、そこには佐賀県も委員として参加し、検討が進められたと聞いております。
また、県においては鳥栖駅前の
県道整備県道鳥栖停車場線、
都市計画道路鳥栖駅平田線、
県道鳥栖停車場曽根崎線、
都市計画道路鳥栖駅本鳥栖線について検討を行ったと聞いています。
平成三十年十一月に、これまで検討されてきた鳥栖駅
周辺整備計画の概要と概算事業費が市議会に示され、私
ども県議会議員においても説明がありました。そして、マスコミにも公表をされたところであります。
しかしながら、翌月の五日後の平成三十年十二月には、市庁舎の建て替えや新
産業集積エリア鳥栖、
次期ごみ処理施設などの大型事業を抱え、財政的に厳しいことを理由に、突然、鳥栖市より鳥栖
駅周辺整備の白紙撤回が表明をされました。そして、その後、この四年間、
駅周辺整備の議論が進んでいないことは非常に残念に思うところであります。
私としては、この鳥栖
駅周辺整備の方向性が早く示され、整備を進めていくことは多くの市民の願いであり、重要な課題だと考えています。鳥栖駅周辺には多くの課題があり、「鳥栖市
都市計画道路見直し検討懇話会」でも、県道を含めた
都市計画道路について様々な議論があったと思います。
そこで、鳥栖駅周辺の道路整備について、この懇話会の現在までの開催状況や白紙撤回後の鳥栖市との協議はどうなっているのか。また県は、測量調査までした駅周辺のその県道の整備についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
次に、いじめ・不登校の現状と対策についてお尋ねをいたします。
令和三年度の「児童生徒の問題行動・不
登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果が公表されています。
それによると、県内のいじめの認知件数は、前年度に比べて増加しているようです。これは学校において、いじめを積極的に発見し、対応するという認知に対する考え方が浸透したこと、相談しやすい雰囲気や環境づくりを図ることができたこと、また、令和二年度に児童生徒が答えやすいアンケートに見直したことなどから、いじめの認知を積極的に行うようにした結果の表れだとも言われているようであります。
ただ、その内訳として、小学校は三千五百一件、中学校は千二百九十九件で前年度比二百四十八件増加しています。高校三百九十五件で八十二件の増加をしているようであります。
特別支援学校では五十四件で八件減っているようでありますが、児童千人当たりの認知件数でいえば、五十五・七件で全国平均を八・〇件上回ったとの報道であります。
また、いじめの内容は様々であり、冷やかしやからかい、無視など、多岐にわたるものの、特に今多くのことが言われているSNS上でのいじめはなかなか発見しにくく、その対応も学校だけでは難しい事案もあると考えます。
このような中、令和三年度に県内でもいじめの重大事態が発生しており、重大な被害が生じた事案があったことについては大変残念であります。
そこで、質問を行います。
まず、いじめの現状と対策についてです。
まず、県内のいじめについて、認知件数、内容、いじめの重大事態の状況はどうなっているのか。また、
県教育委員会ではどのような対策を講じているのかをお尋ねいたします。
次に、不登校についてお尋ねをいたします。
県内の不
登校児童生徒数についても前年度に比べ増加をしています。ここ五年間の推移を見ても不
登校児童生徒数は増加傾向にあると言わざるを得ません。二〇一七年度と二〇二一年度を比較すると、小学校で二百二十八人から五百四十九人へと増、中学校で七百九十五人から千九十一人へと増、高校では三百四十二人から四百四人へと増、トータルで千三百六十五人から二千四十四人へと増加をしています。つまり、佐賀県内の国公立、私立の小・中・高で二〇二一年に三十日以上欠席した不
登校児童数は二千四十四人で、二〇二〇年度から二六・三%増えています。
文部科学省の調査結果では、不登校となった主な原因として、無気力、不安、あるいは生活リズムの乱れ、遊び、非行が、全国の小中学校、
高等学校ともに上位を占めているなど、その要因は個人により様々ということでもありました。しかしながら、特にここ昨今は、
新型コロナウイルスの影響もあったとも言われています。
ただ、いずれにしろ、不登校になったとしても、その子が再度学校へ戻ってくることができる環境をつくってやることもとても大切だと思います。友人関係や仲間、先生との関係など、様々な要因と対策はもちろん、なお改善していくことも必要ですし、また、私は、何らかの理由で不登校になったとしても、学習の遅れを気にすることなく教室に復帰できるよう、また、社会人になったときにでもスムーズに社会に復帰できるよう手だてを取る必要はあると思います。そのためにもタブレットを活用した最近充実してきた
オンライン授業の取組も十分に活用してほしいと考えています。
そこで、次の点についてお伺いをいたします。
県内の不登校について、不登校者数、要因の状況はどうなっているのかお尋ねをいたします。
次に、不
登校児童生徒へのICTを活用した支援についてお尋ねをいたします。
不登校の児童生徒は全国的に増加をしております。やはり不登校の保護者は心配ですし、不安に思っていると思います。私は、早い段階で学校に戻ることが最優先だと思っていますが、ただ、仮に学校に行かなくてもパソコンを通じて授業をリモートで受ける環境が整えば、学力の維持ができ、授業についていけないという心配は軽減されていくのではないかと思います。
この不登校対策の一つとして、タブレット、ICTを積極的に活用したらどうかと思いますが、教育長にお尋ねをいたします。
次に、
県教育委員会では、今後、不
登校児童生徒にどのような対策を講じるのか、教育長にお尋ねをさせていただきたいと思います。
次に、知事の政治姿勢についてお尋ねをいたします。
山口知事の二期目の任期がいよいよ最終を迎えます。来月に控えた知事選について、知事は既に三期目に向けた出馬を表明されたところであります。改めて知事の二期目を振り返り、二期目の初めて臨んだ平成三十一年二月議会の
提案事項説明において、知事は、「私は、知事選挙を含めこれまで多くの現場を訪れ、さまざまな声をお聞きしてきたことを通じ、これからの県政では、『山を大切にする』、『交流を生み出す』、『志を育む』という三点について強い思いを抱きました。」と述べられています。選挙期間中に多くの現場を訪れ、知事が肌で強く感じられたことにより、その思いを
提案事項説明の最初に述べられたと思います。
この四年間については、山、交流、志の三つを強く意識しながら、県政全般を前に進めてこられたと考えています。
そこでまず、一期目も含め、この八年間を知事としてどのように評価しているのかお尋ねをいたします。
また、これまでの成果や課題を踏まえ、今後、佐賀県が大きく飛躍するために、どのようなことに取り組んでいく考えか、改めて知事の思いをお尋ねいたします。
十六年間、様々な方に御指導いただきまして、この一般質問の壇上にも立たせていただきました。様々な議論をさせていただきまして、佐賀県政の一翼を担うことができたことに心から感謝を申し上げさせていただきます。
佐賀県においては、様々なものの宝、知事も言っているいろんな宝がたくさんあると思います。これからも、私も精進をしていきますし、県執行部の皆さん方、また、議員の皆様方もそれぞれに思いを伝えていただいて、この佐賀県の県政がますます発展していくことを祈念いたし、ここから壇上で見る皆様方の思いを、そしてまた、この風景を深く心に刻んで頑張っていきたいと思っています。
これから佐賀県政がますます発展することを祈念いたしまして、一般質問といたします。(拍手)
5 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。向門慶人議員の質問にお答えいたします。
まず、佐賀空港の
自衛隊使用要請についてですが、私の漁協への訪問などについてお答えいたします。
漁協の皆さんは国に対して、諫早湾干拓問題や筑後大堰などでの対応をめぐって、以前より不信感を強く持たれていました。それぞれの事業は農水省などが行った事業でありますが、漁協の皆さんは省庁ということではなくて、国全体に対する不信感があったように思います。
実際、組合員への説明会においても、防衛省から排水対策や補償について説明は行われたものの、実効性に関する疑問や本当に補償されるのかといった意見が多く出されたと報告を受けておりますし、漁協の皆さんが、防衛省を本当に信用していいのか不安に思われていると私も感じておりました。
そして、私はかねてから、自分が直接要請に出向くことがあり得ると申し上げてまいりましたが、そのタイミングは見極めておりました。そして、排水対策など事務的、技術的な対応の整理が一定行われたところでありまして、決断をいただくにはまさに今、すなわち説明の問題というよりも、信頼していただけるかが大切だと思い、十月二十四日の漁協六
支所合同会議への出席を当日の朝に決断したわけです。
その二十四日の会議では、有明海再生に対して、これまで県が真摯に取り組んできたこと、そして、再生に対する県の思い、さらには有明海再生と国防を両立していくことが大事であることなどについてお伝えし、覚書付属資料を見直してほしいと改めてお願いしました。
漁協の皆さんは、宝の海である有明海を取り戻したいという強い思いがある中で、国防という全く別の直接の関わりのない要請があったために、非常に戸惑い、悩まれていたと思います。だからこそ問題解決は難しく、最後は県を、そして、私を信じてほしいと直接向き合うことが必要と思った次第でございます。
続きまして、今後の役割と取組についてお答えします。
今回の防衛省からの要請は、国の根幹に関わる国防上からのものでありまして、国を構成する自治体としては協力する立場にあるという考えから受入れを判断しました。
これまで有明海漁協と協議を行ってまいりましたけれども、特に漁協が問題意識を持っておられる排水対策については、これから詳細な設計が進んでいくことになります。有明水産振興センターも協力して、漁協の皆さんが安心できる対策に取り組んでいきたいと考えています。
また、所在市となります佐賀市など関係機関と防衛省との協議が始まると思いますが、必要に応じて調整を行っていくことも大切だと認識しています。
住民説明会については、在り方も含めて防衛省などと検討いたしますが、県としても防衛省からの要請を受け入れた経緯や判断した理由など、説明することになると思います。
詳細については政策部長からお答えさせます。
続きまして、
九州新幹線西九州ルートについてお答えします。
まず、開業から一カ月たちまして、私の所感についてお尋ねがございました。
九月二十三日に
西九州新幹線が開業しました。JR九州によりますと、開業から一カ月間の新幹線平均乗車率は約三三%、古宮社長は開業効果について一定の成果があり、順調だと思っているとコメントされています。
新幹線が停車いたします武雄市や嬉野市の宿泊施設の利用状況は好調であります。宿泊稼働指数というのがありますが、全国平均を大幅に上回っている状況であります。そして、開業に合わせて「佐賀・
長崎デスティネーションキャンペーン」を行いました。そして、コロナ禍で大きな影響を受けた観光業界を支援する
全国旅行支援などの効果もあって、ほかの市町を訪れるお客様も増えていると聞いております。
新幹線が最短二十三分で長崎-武雄間を結ぶファストな旅を提供する一方で、新幹線の開業と同時に運行を開始した、スローな旅を提供している観光列車「ふたつ星4047」、長崎本線と大村湾を両側から在来線を通る列車ですけれども、九〇%を超える利用状況ということで多くの方々が利用されています。
私は、西九州の真の価値というのは、心安らぐ風景、風情だったり、人間的な営みの美しさを体感できる、こういったところにあると思いますし、長崎県と共同で発行している「SとN」という雑誌は、今回、地域プロモーションアワードのパンフレット大賞もいただきましたけれども、大変ポイントをついているものだと思います。
そういったこれからの観光に求められる要素が詰まっているからこそ、この「ふたつ星4047」も大変好評を博しているのではないかと私は思っています。
今度は課題についてお話しさせていただきます。
武雄温泉-嬉野温泉間、今、イベントキャンペーンもあって盛り上がりを見せておりますけれども、これを今後どう持続させていくのかということが大きな課題だと思います。そして、先ほど申し上げたような西九州のすばらしい生活というものがさりげなく出てくるような、地域の皆さん方がふだん使いするような、そんな駅というものがつくられていくとしたならば、さらに盛り上がっていくのではないかと認識しています。
別の課題もあります。嬉野温泉駅では、武雄温泉-長崎間を運行する四十四本のうち、停車本数が二十五本と少ないスタートとなっています。私も直接お伺いしましたけれども、止まると思って乗ってみたけれども、通過して戻ってきたという方もおられました。それから、始発列車が停車しないために朝、間に合わないというような声もありました。こうしたことが課題です。ですので、これから嬉野温泉駅に多く列車が止まるように地域の皆さん方で盛り上げていくということも大事だと思っています。
一方、武雄温泉駅ですが、こちらのほうは新しい新幹線が止まりまして、さらに「
リレーかもめ」、「みどり」、「ふたつ星4047」、そして様々な普通列車など、本当に多くの列車が停車する駅となりまして、列車の玉手箱ということで評判になっているようであります。多くの列車がやってくる、すなわち多くの都市と結ばれることになった武雄が、今後いかにハブ都市として発展に生かしていくのかということが大切だろうと思っています。
この
西九州新幹線の整備には、もう既に県として約三百六十億円の負担、真水でも約二百億円を負担してまいりました。今後、開業の効果を長く取り組むことができるよう、そして、先ほど申したような諸課題の改善に取り組んでいくことも大切と考えています。
続きまして、開業後の
上下分離区間の状況についてお答えします。
西九州新幹線の開業から一カ月余りがたち、
上下分離区間では懸念されていた利便性の低下が様々な形で顕在化してきております。
在来線は、通勤通学をはじめ、多くの県民の日常生活を支える足であり、非常に大切なものであります。その利便性低下は切実な問題なのであります。
利便性の確保については、これまでもJR九州へ要望してまいりましたけれども、
上下分離方式に移行したからこそ県としてできることがあるのではないかとも考えており、利用者の目線に立って何とか改善できるように、沿線市町とともに全力で取り組んでいきたいと思います。
この鹿島・太良等の沿線地域というのは、そもそも観光資源、食文化、農水産物など、人を引きつける本物があふれている魅力の宝庫であることは再三申し上げてまいりました。「ふたつ星4047」も非常に好調ということも、皆さん方の支援がすばらしいからだというふうに思います。地域に魅力があれば人はやってまいります。むしろこれから鹿島・太良という思いで沿線地域のすばらしさをしっかりと浮き彫りにしながら、そして武雄・嬉野との広域的連携も行いながら、この地域の振興に全力で取り組んでまいりたいと考えています。
続きまして、新
鳥栖-武雄温泉間についてお答えします。
まず、経緯を共有していきたいと思います。今回の
西九州新幹線の開業は、本来、
フリーゲージトレインにより在来線を活用して新幹線が佐賀駅を通る形で迎えるはずでありました。もう新幹線整備の問題は終了であるはずであったわけです。それが、国が
フリーゲージトレインを断念したことで、現在の状況になっているという事実があります。
そして、別の観点から見れば、そもそも西九州ルートの整備は平成十六年十二月に当時の知事が、整備新幹線の財源議論に乗り遅れないためにという理由から、長崎本線沿線の自治体が反対する中、並行在来線のJR九州からの経営分離はやむを得ないと判断したわけです。
その際、反対する沿線の自治体に対する説明責任は後から果たしていくとされたわけです。地域の思いを置いたまま、時間をかけずに判断したことで、今懸念していた利便性の低下が様々な形で顕在化し、利用者の切実な声が聞かれております。鉄路については、一度決めてしまうともう元に戻れないということを改めて肝に銘じたいと私は思います。
今後の新
鳥栖-武雄温泉間の議論についてお答えいたします。
現状分析ですけれども、私は、例えば、佐賀駅について考えてみますと、鉄道環境は悪くない、いいと思っています。佐賀駅で特急、普通列車を合わせて一時間に片道五本程度停車するわけでございます。そして、新幹線ということになりますと、既に佐賀県には新大阪直通、東京直通の新鳥栖駅があるわけです。
例えば、佐賀駅からそれに乗ろうとしますと、特急で十二、三分で新鳥栖駅に着いて乗り換えることができます。武雄でも三十数分です。この距離というのはどういうことかというと、首都圏で言うと、渋谷か新宿の皆さん方、お住まいの皆さんは、品川、東京の場合もありますけれども、そこで乗り換えて、山手線に十五分ぐらい乗って、そして新宿、渋谷、池袋といったターミナル駅はもっと向こう側に私鉄がいっぱい延びているわけです。三十分、四十分、所沢とか町田とか、そういうところから新幹線に乗ろうとする皆さん方は、乗換えをして、そして品川でも乗換えして、東京で乗換えをして新幹線で旅に立っているわけです。
私は、東京駅や品川駅で多くの皆さん方が旅に出ようとキャリーバックをいっぱい抱えている団体によく出会うことがあります。そうしたものではないでしょうか。ですので、そうしたところをみんなでこれからどう考えていくのかということが課題です。そうした中にあっても、多額の財政負担をして、
佐賀県民にとってとてもとても大事な在来線の利便性を大きく低下させるリスクを冒してまでやる必要があるのかどうか、見切り発車的な判断はできないものだと思います。
フル規格について議論するのであれば、過去の延長線上の議論ではなくて、全く新たな発想で九州全体のインフラなども考えながら、大きな方向性をしっかり議論することが必要です。
西九州ルートの問題は、佐賀県、
佐賀県民の将来に大きく影響する話です。今後ともひたすら、佐賀県、
佐賀県民の今と将来を考え、何が望ましい姿なのか、九州の発展ということも含め、大きな視点で幅広く骨太に議論させていただきたいと考えています。
最後に、私の政治姿勢についてお尋ねがございました。
まず、二期八年間ですが、知事就任以来、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念に県政を推進してまいりました。
特に一期目は、多くの現場を訪ね、県民の皆さんとお会いして、暮らしの中から生まれる様々な声をお聞きしながら、私自身がこの佐賀県という県をしっかりと把握していこうということに努めた四年間でした。
その中でも、方向性として示したのが「さがデザイン」、幕末維新博、「子育てし大県”さが”」、「SSP構想」、自発の地域づくり、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」、こういったものについては、世界の趨勢の中で佐賀の未来を見据えて、主にソフト面で佐賀の未来につながる種をまき始めた時期だと思っています。
二期目については、向門議員からお話ありましたように、選挙期間中を含めて多くの現場を訪れて、その中で、やっぱり山を大切にせんばいかぬということ。交流を生み出して刺激をつくっていくこと。そして、何よりも子供たちを含め、様々な人材に志を育んでいただくと、この三つを大事にしようということでスタートしました。
この二期目の四年間については、新型コロナと毎年のように発生した豪雨災害の対応がどうしても最優先になってしまう必要があった四年間であったなというのも率直な感想であります。
そうした中で、コロナ後の社会を見据えて私なりに未来への展望を加味して、新しい世界に対する未来像、将来像を描いて様々チャレンジしてまいりました。
コロナの中でありましたけれども、「中小企業新事業チャレンジ補助金」、「さが堆肥利活用スイッチ補助金」や「LiveS Beyond」、そして「子育てし大県”さが”」、「SSP構想」、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」など、戦略を持って築き上げたプロジェクトを充実させるために、二期目はそこに必要なハードを組み合わせて練り上げてきた時期だったと思います。
SSP構想と相まってのSAGAサンライズパークの整備、「佐賀牛」の振興では、繁殖をしっかり支えていきたいと、一気通貫の「佐賀牛」を育てるために、「佐賀牛いろはファーム」、「KAKEHASHI」といった整備、「さが園芸888運動」では、トレーニングファーム、大規模園芸団地の整備といった形も進めてまいりましたし、社会資本整備という意味では、有明海沿岸道路、佐賀唐津道路、Tゾーン、伊万里港の整備、そして空港施設の機能強化など、様々なチャレンジと取組を行ってきたこの四年間であったかと思います。
そして、今後についてです。
今後については、もちろん県民の皆さん方の審判を受けてからということになるわけですけれども、今の私の思いとして聞いていただければと思います。
本質的な価値を追求する世界に誇れる佐賀に向けて、様々な分野で花を開かせていきたいものと強く思います。
そして、二期目のスタートで言った、山を育てる、交流を生み出す、志を育むことについてはさらに前進させていきたいと思っています。そして、この人を育てるということにこだわってみたいと思っています。
これまで、画一された人材を大量に輩出するということがなされてきたわけですけれども、注意深さ、真面目さ、そういった観点だけではなくて、これからは課題を発見する力、あるべき姿を自ら導ける力というものを備えた人材を、この佐賀から輩出していきたいと思っています。そうした人材を佐賀で育成し、佐賀の企業がこうした人材とともに世界にチャレンジする姿を思い描いております。
例えて言えば、「SAGA2024」のその先を見据えたスポーツの力を生かした人づくり、スポーツホスピタリティをはじめとするスポーツビジネスを核とした地域づくりですとか、デジタル社会においては、佐賀を実証フィールドに、デジタル技術で地方創生を起こして、世界につながるローカルハブを目指していく。こういった例にありますように、佐賀が本来持つ強みを伸ばし、価値を磨いていきたいと思います。
そして、高等教育機関も含めて、教育の在り方を抜本的に議論するような、そういったことも考えたいと思います。そうしたことで後世へとつながる光輝く佐賀県をつくっていきたいと思います。
今、世界は激動の中にあります。国際情勢の不確実性の高まりが経済や安全保障など様々な分野に影響を及ぼしています。さらに、世界の気候変動によりまして、大きな災禍が各地で発生しています。SDGsを意識して、環境面に配慮した新たな取組や新たなライフスタイルの確立が必要だと思います。
そして、時代が大きく変わっていく中で、過去の延長線上には佐賀のさらなる飛躍はないと私は考えます。
これまでも変革のときに大きな役割を果たしてきた佐賀らしく、世界の情勢や時代の流れを鳥瞰的に見て新しい社会を思い描く想像力、構想力を持って世界に誇れる佐賀を創っていきたいと考えています。
6 ◎進政策部長 登壇=私からは、佐賀空港の
自衛隊使用要請について、今後の役割と取組について知事答弁を補足させていただきます。
まず、事前協議についてでございます。
佐賀市、佐賀県農業協同組合、また、柳川市と
公害防止協定等を締結しておりまして、今後、事前協議を行っていく必要があります。まずは有明海漁協が覚書付属資料の見直しを決定されました十一月一日の翌日、十一月二日以降、現状について説明を行ってまいりました。
今後、駐屯地の設計や自衛隊機の離発着計画など具体的な内容が固まった段階になれば、環境を保全する対策について事前協議を行ってまいります。
また、住民説明会につきましては、先般、佐賀市や佐賀県農業協同組合に説明に伺った際にも要望があったところでございます。日程や方法等も含め、事業主体である防衛省や関係機関と検討してまいります。
以上でございます。
7 ◎大呑県土整備部長 登壇=私からは、鳥栖駅周辺の道路整備についてお答えします。
鳥栖
駅周辺整備につきましては、鉄道高架事業や橋上駅などとあわせまして、周辺道路整備についても様々な議論が行われてきました。
「鳥栖市
都市計画道路見直し検討懇話会」は、平成二十八年三月の鳥栖駅
周辺まちづくり基本構想で示されました鳥栖駅橋上化の方針を受けまして、鳥栖市が設置したものでございます。学識経験者や地元自治会代表者、JR九州、国土交通省、県などの関係機関十五名で構成されております。
この懇話会は、平成二十八年五月に第一回が開催されまして、
JR鹿児島本線をまたぎます
久留米甘木線、飯田蔵上線、酒井西宿町線を含みます鳥栖駅周辺の
都市計画道路につきまして、道路網の課題や鉄道交差の在り方の検討、見直し方針などについて議論がなされ、平成三十年十一月までに延べ五回開催されております。その後、財政的理由から平成三十年十二月に鳥栖市から、鳥栖
駅周辺整備の白紙撤回が表明をされました。
白紙撤回後の鳥栖市の協議についてでありますが、鳥栖
駅周辺整備の白紙撤回を受けて、「鳥栖市
都市計画道路見直し検討懇話会」につきましても、まちづくりの方針が決定していない中で、鳥栖
駅周辺整備と
都市計画道路の見直しを切り離して検討を進めることは困難とのことから、令和二年五月に開催されました第六回懇話会をもちまして一時中断されることとなりました。その後、鳥栖市から具体的な協議はあっておりません。
鳥栖駅周辺の道路整備についての県の考えでございます。
鳥栖市は、高速道路や鉄道など九州の高速幹線交通網のクロスポイントであり、また、福岡都市圏に近接するという立地のよさから人流や物流も多く、企業の進出や宅地開発の意向も強く、非常にポテンシャルの高い地域となっております。こうした中で、鳥栖
駅周辺整備につきましては長年議論されてきており、鳥栖市のまちづくりにおける大きな課題だと認識しております。
懇話会でも議論されてきました
JR鹿児島本線をまたぐ三路線や、鳥栖駅平田線、鳥栖駅本鳥栖線といった駅周辺の
都市計画道路につきましては、社会情勢の変化や鳥栖駅周辺のまちづくりと一体となった検討が必要と考えております。そのためには、まず鳥栖市の目指すべき姿を描く必要があり、地元鳥栖市においてまちづくりの将来像をしっかりと御議論いただくことが重要であります。
県といたしましては、鳥栖市をはじめとする県東部地域のさらなる発展のため、鳥栖市での議論の状況に応じまして、鳥栖駅周辺の
都市計画道路について検討してまいります。
私からは以上でございます。
8 ◎實松文化・観光局長 登壇=私には、
勝尾城筑紫氏遺跡の保存整備について、三点御質問をいただきました。
まず、遺跡に対する県の認識についてでございます。
勝尾城筑紫氏遺跡は、鳥栖市北西部の城山の山頂から山麓にかけて広がる中世の大規模な城館跡であり、戦国時代の北部九州において、肥前、筑前、筑後の国境地帯を支配していた筑紫氏の拠点となった遺跡であります。
本城である勝尾城を中心に、葛籠城や高取城などの六つの支城や、領主が居住した館跡、城を防御するための土塁、堀、さらに城下町跡で構成され、総面積約二百七十七ヘクタールととても広大でございます。
当時の遺跡が広範囲に良好な状態で残存し、戦国時代の様子を知ることができる貴重な遺跡ということで、約二百三十ヘクタールが国の史跡に指定されております。日本の戦国時代の歴史を考える上で、学術的に価値が高く重要な遺跡と認識をしております。
次に、これまでの県の関わり方についてお答えいたします。
議員からも御紹介いただきましたとおり、
勝尾城筑紫氏遺跡は平成元年の
圃場整備事業に伴いまして、発掘調査で町屋跡が発見をされました。それ以降、遺跡の内容を把握するための調査が行われ、その結果、重要性が明らかとなり、平成十八年に国の史跡指定となっております。
そういった過程の中で、県では、平成十五年から十四年かけて、県内に約千カ所所在します中世から近世の城館跡を対象に、可能なものについては現地を歩いて計測、観察し、城館の堀や土塁を地形図に落とし込んだ「縄張り図」というものを作成しております。この図は、城館の各施設の配置など全体構造を把握するために欠かせないものでありまして、鳥栖市において平成二十年に
勝尾城筑紫氏遺跡の保存管理計画を、平成二十五年に整備基本計画を策定されておりますけれども、その際に県では、この「縄張り図」を市に提供するとともに、あわせまして技術的な助言等を行うなどして、それらの計画が円滑に策定されるよう支援を行っております。
また、計画策定後は、史跡指定地の公有地化や史跡整備のための発掘調査といった市の文化財保存事業に対しまして財政的に支援を行うとともに、文化庁との連絡調整や調査指導委員会等での助言といったことを行うなど、必要な支援を適宜行ってきたところでございます。
最後に、県の今後の取組についてお答えをいたします。
現在、鳥栖市では、発掘調査に加え、豪雨災害の復旧工事や防災計画の策定準備などを進められています。あわせまして、今後の整備を効果的に進めるため、整備基本計画の改定に取り組まれているところです。
その中で、鳥栖市と県で共有している課題といたしまして、史跡が広大であることからポイントを絞った効率的、効果的な整備の検討が必要であること、また、来訪者が安心して見学できるような園路や案内板の設置、崩落危険箇所の補強など基礎的な環境整備が必要であるといったことが挙げられており、県としてもそれらは
勝尾城筑紫氏遺跡の整備、活用にとって重要なことと認識し、課題解決に向けまして、鳥栖市と一緒に対応を考えていくこととしております。
また、整備基本計画の改定後は、鳥栖市において葛籠城跡の整備に着手されるという計画でありますことから、県といたしましては、全国的な事例等も参考に整備に当たっての技術的な助言等を行うこととしております。
さらに鳥栖市では、
勝尾城筑紫氏遺跡の認知度を図るといいますか、向上するため、ドローンで撮影した勝尾城紹介動画の公開や、イラストを用いたパンフレットの作成に鳥栖市観光コンベンション協会と連携して取り組まれております。そういったことから県におきましても、文化財保護室と観光課が連携して鳥栖市の取組を支援することとし、佐賀県観光連盟のホームページで
勝尾城筑紫氏遺跡の観光ガイドの情報などを発信しております。
先日開催されましたバルーンフェスタの会場でも、勝尾城のリーフレットが配布されておりました。そうした観光面での取組についても支援、連携できることがあろうかと思っております。
今後も、
勝尾城筑紫氏遺跡における鳥栖市の取組を、技術面、財政面に加えまして、観光面からもしっかりと支援してまいりたいというふうに考えております。
私からは以上でございます。
9 ◎落合教育長 登壇=私からは、いじめ、不登校の現状と対策についてお答えをいたします。
まず、いじめの現状と対策についてお答えします。
本県における令和三年度国公私立学校のいじめ認知件数は、小学校で三千五百一件、中学校で千二百九十九件、高等学校で三百九十五件、
特別支援学校で五十四件、合計五千二百四十九件となっておりまして、前年度の四千九百三十件に対し三百十九件の増となっております。
一方、本県におけるいじめの重大事態の発生件数につきましては、令和三年度四件で、前年度の七件に対し三件減少しております。
いじめの内容につきましては、これは全国の状況ですけれども、冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われるが五七・八%と一番多くなっています。続いて、軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり蹴られたりするが二二・九%、仲間外れ、集団による無視をされるが一二・〇%でありました。
県教育委員会では、令和二年度から、今まで認知できなかったいじめを発見するために、児童生徒が回答しやすいようアンケート調査のやり方を見直したところであります。また、いじめ防止対策研修会を全職員対象に変更し、法に基づいたいじめの積極的な認知及び組織的な対応について周知を図り、いじめの早期発見、早期対応によりいじめが重篤な状態にならないように努めております。
しかし、昨年度、県内でいじめの重大事態が四件発生しておりますし、今年度は県立学校においても発生しております。こういったことについては重く受け止めておりまして、今後さらに取組の充実を図ってまいります。
次に、不登校の現状についてお答えいたします。
本県における令和三年度国公私立学校の不
登校児童生徒数は、小学校五百四十九人、中学校千九十一人、高等学校四百四人、合計二千四十四人となっております。前年度の千六百十八人と比較しますと四百二十六人の増となっております。
不登校の要因は一つだけではなく、本人、家庭、学校などの複数の要因が複雑に絡み合っていることが多いことから、学校だけで対応することが難しいケースが増加していると認識をしております。
次に、不
登校児童生徒へのICTを活用した支援についてお答えいたします。
県立学校における不登校生徒へのICTを活用した支援といたしまして、校内の別室に登校した生徒に向けた
オンライン授業を実施しておりますけども、今年度、十月末時点ですけども、八校において延べ二十四名、昨年度は七校で延べ二十五名の生徒に
オンライン授業を実施しております。市町立学校につきましてはGIGAスクール構想によって一人一台端末が整備されたのがまだ最近だったこともあって、詳細な数は把握しておりませんけども、幾つかの市町において実施されておる状況だと聞いております。
その他ICTを活用した支援として、担任または関係者とのオンラインによる面接、また、連絡事項、課題のやり取りなど、ICTのよさを生かした取組を行っているところであります。
一方で、不
登校児童生徒への
オンライン授業につきましては、本人の意思や保護者との連絡、協力体制などが保たれていることや、不登校が長期にわたることを助長しないようにすることなどに配慮する必要があると考えております。
県教育委員会といたしましては、不
登校児童生徒が社会的な自立や、円滑な学校への復帰を目指す支援策の一つとしてICTを積極的に活用してまいります。
最後に、今後の不登校対策についてお答えをいたします。
不
登校児童生徒の状況は、家から出ることができないという状態から、教育支援センターやフリースクールなどの学校以外の機関には通うことができる、あるいは登校はできるけども別室で過ごしている、そういったように様々であります。
そのため
県教育委員会では、不
登校児童生徒の社会的自立や学校復帰を目指して、その児童生徒一人一人の状況に応じた段階的な支援として不登校対策総合推進事業などに取り組んでおります。
例えば、登校はできるけれども教室には入れない児童生徒に対しては、別室における学校生活支援事業で市町へ補助をしております。また、スクールカウンセラー配置事業やスクールソーシャルワーカー活用事業などにより、学校での相談体制の充実を図っております。
こうした取組により、学校内外の機関において相談、指導を受けた児童生徒数の割合は、令和三年度は八六・七%となっておりまして、これは全国の六三・七%を大きく上回る成果となっております。
佐賀県においては、不登校対策の成果指標として不
登校児童生徒が相談、指導を受けた割合というものを挙げております。これは不
登校児童生徒を、その状態によりますけども、できれば学校に出てきてもらいたいけれども、なかなかそうもできない児童生徒に対して、孤立しないで相談を受ける、あるいは指導を受ける、そういうつながりを確保していくことが重要だと考えておりまして、それを成果指標といたしております。そういう観点から、先ほどの割合というのは一定の効果が出ているものだと考えております。
今後も、不
登校児童生徒の社会的自立や学校復帰に向けて、個々の状況に応じた効果的な支援が行えるよう、教育支援センター、市町
教育委員会及び関係機関とも連携を図りながら取組を進めてまいります。
私からは以上です。
10 ◎藤崎輝樹君(拍手)登壇=おはようございます。藤崎輝樹でございます。
初めに、山口知事の政治姿勢について質問をいたします。
さきの六月十五日、県議会において、知事は一期、二期目の総括を述べた後に、三期目へ向けて出馬表明をされました。再来年に開催される国民スポーツ大会へ向けて様々な事業が経過途中ということを踏まえれば、知事が三たび立候補することは自然なことであります。それに知事への支持率が物語っているように、知事続投に対する県民の期待もあります。
また、六月定例県議会開会前日には、県医師会等四団体の代表が佐賀県庁を訪問されて、その二日後には県市長会長、県町村会長さん方も来庁されています。共に理由は山口知事へ三期目への出馬を要請するためでありましたが、さすがに驚きました。
進退を明らかにする前に有力団体から現職知事に対し出馬を要請されるなど、よほどのことであります。他県では珍しくないようでありますが、鮮烈な印象を残しました。
その要請直後に予定されていた石倉元議長の一般質問において、知事は出馬表明をされるものと思っていただけに、改めて知事と医師会や県内市町首長との信頼関係が強固であることを認識いたしました。
このように有力な団体から期待されていて、県民の支持率も高いということは、山口県政がうまくいっているあかしと認めざるを得ませんが、それでは、県議会からの評価についてはいかがでありましょうか。大変僣越ながら、私の勝手な受け止めは決して高くはないと思っております。
その根拠は過去の一般質問に見ることができます。これまで先輩、同僚議員の多くから、情報提供、議案調整に対する執行部への不満が知事へ寄せられました。九月議会では大先輩の留守元議長さんからもただされたところであります。二元代表制とはいかにあるべきかとの問いかけを通して、プロセスにおいて議会の考えはどうであろうかぐらいの整理整頓はして、県民のために立派な議案を議会へ提案せよと知事に求められたわけであります。これは誠に手厳しい意見でありました。この一般質問に対して知事は、議決機関として審議するタイミングに合わせて丁寧な説明を行い、重要な事項は特にタイミングを捉え、説明、情報提供を行うように心がけることも大切である。議会開会中のみならず、様々な場面で連携して県政を前に進めていきたいと応じられました。
さらに、先輩議員から、知事と議会との関係はつかず離れずであるべきとの意見を受け、知事は、べたっとくっつきたい気持ちもあるが、そうはいかない、つかず離れず、お互いの役割を果たしたいと答えられています。
議会開会中のみならず、様々な場面で連携しようと、以前よりも県議会に譲歩された感のある知事答弁でありましたが、だからといって、知事に対する県議会の評価は今後も変わらないように思えました。
ここで唐突になりますが、子供の頃の思い出話をさせていただきます。
子供の頃に鬼ごっこをするときは、近所の幼い子も仲間に入れて一緒に遊んでいました。ただし、小さな子供は駆け足が遅いため、鬼は追いかけてもその子を捕まえないという暗黙のルールがありました。そんなことは知らない小さな子は、鬼にタッチされないように一生懸命に走り、逃げ切り、得意げにえへん顔で喜びます。そうすることで、みんな仲よく、楽しく遊べました。いずれその子も同じように年少の子を仲間に入れてあげることで思いやりが受け継がれていきます。私には懐かしいよい思い出として今も記憶に残っています。
さて、この思い出は子供の頃のことですが、これを大人に置き換えたら話は変わります。一緒に仕事をしているつもりが自分だけ対等に扱われていなかったなら、これほど腹が立つことはありません。県民の幸せ追求という同じ目標を持った知事と県議会であります。県議会には県民に対する責任が知事同様にあると自負をしております。しかし、そのような理想を持って議員の仕事をしていても、知事から責任を分かち合おうという気持ちが伝わってこないから残念なのであります。これは私の側に問題があるかもしれません。
しかし、知事と議会の関係で申し上げるなら、先ほどのつかず離れずの捉え方そのものに認識の違いがあると思っております。知事と議会との関係はつかず離れずであるべきとの意見に対して、知事は執行機関と議決機関という制度の役割として捉えているようですが、私は精神論と受け止めております。つかず離れずとは、おもねらないこと、へつらわないことだと思っております。気に入られようとしないことであります。言うべきことを言える関係であらねば、県民のためにならないと新人議員のときに教えてもらいました。鬼ごっこであろうと、本気でぶつかることが知事と議会の健全な関係であります。
ただし、土台として信頼関係を築いておかなければ、ぶつかるたびに県政はぐらつきます。土台となる信頼関係を築くために必要なことは、相談をすることだと思います。今、私は一般質問を行っていますが、質問は分からないことや疑問点を明らかにするために行います。一方の相談とは、悩みや問題を解決するために行います。相談と質問は意見を交わす目的が違います。
例えば、知事選挙に立候補を表明する前には、後援会や大切な人たちに相談されたと思いますが、大事なことを相談されるのはうれしいことであります。相談されるのは信頼されているからであり、そこに関われることが人は喜びになります。そうであれば、特に重要な事案については、事前に議会と相談することがあってもよいのではないでしょうか。
もっとも、県議会議長への事前の情報提供について、以前にも一般質問がありました。議長や議会と情報共有をしながら、県政運営を行うべきとの問いかけに対して、知事は、執行機関は、法令や議会の議決に基づき、自治体が担う様々な事務を自らの判断と責任において執行していて、事務の執行については議会に事前に話をしなければならないとは考えていないと発言をされました。地方自治に向き合う姿勢となれば、山口県政は正論であると私は思います。
さりとて、これまで幾度となく知事に問われてきたのは、情報提供が遅い、議会は知らなかったということが本質ではありません。県議会との信頼関係を築こうとしない知事の姿勢ではないでしょうか。たまには県議会の代表である議長室に立ち寄り、意見交換をされてみたらいかがでしょうか。議長は党派を超えた議会の代表であります。かつて副議長不信任決議案を提出した私が言っても説得力がありませんが、知事と議長の意見交換は大事なことだと思います。
知事と議会の信頼関係を礎にした上で、つかず離れず、互いの役割を果たさなければならないと考えます。改めて知事と県議会の関係を踏まえて、信頼関係の構築についての所見を伺います。
財政運営についても質問いたします。
知事の大きな役割として二つの側面があると山口知事は言われています。一つは、県民の声を聞き、寄り添っていくこと、二つ目に、自ら長期的な展望を持って県民に伝え、対話していくことであります。これまで人を大切にし、人に寄り添い、人にこだわる県政を進めるとともに、世界に誇れる佐賀づくりへ取り組まれた二期八年でありました。
知事自身も予算の観点から過去を振り返り、初当選の折には、佐賀県の予算の状況、財政の状況をしっかりと自分の頭に入れること、そして、佐賀県が伸びていくためにどうあるべきなのか、県内をくまなく歩き、考えることに一番気をつけたと発言されていました。
このような思いの根底にあったのは、予算というのは、一回つくるとなかなか引き返しが利かないため慎重に行うべきと、財政運営における基本認識であります。そのため、ハード予算に関しては、切迫性のあるもの以外は基本的に計上しないという姿勢を、初当選後四年間は維持されたように見受けられます。
しかし、だからといって緊縮政策であったわけでもありませんでした。私自身、そう受け止めたのは、世界的著名な画家池田学さんの大作「誕生」を一億三千二百万円で佐賀県が購入したときであります。そして、「肥前さが幕末維新博覧会」でありました。博覧会事業に二十六億円、関連事業に九億円、合わせて三十五億円強もの予算を要して、明治維新百五十年事業に取り組まれたことは驚きでありました。
国の三位一体の改革による交付税ショックを受けて、「佐賀県行財政改革緊急プログラム」に取り組む最中に初当選した私たち四期生は、翌年にリーマンショックによる世界的不況を目の当たりにしました。その経験から、財政運営は手堅さが必要との思いもあって、ソフト事業へ傾斜配分される予算の大きさには不安を持ちました。知事の二期目は、そのソフト戦略と必要性の見えたハード事業をミックスさせてきたということであります。
その投資的経費の中でもひときわ目を引いたのは、SAGAサンライズパーク、SAGAアリーナの整備であります。県議会でも紛糾するほどの議論がありました。およそ半世紀ぶりに開催される国民体育大会を成功させなければという強い思いから、県議会も最終的に可決したものであります。
こうしたことから二期八年は、緊縮政策と言えない財政運営でありました。私は、県が取り組む事業の一つ一つにしっかりとした行政目的があることを理解しております。達成へ向けた職員の健闘ぶりにも敬意を表するものであります。
しかしながら、県民に喜ばれる事業であろうと、短期的な効果しか及ぼさないイベントに多額の予算を継続して投じることには大いに疑問があります。県の限りある財源をこうした一過性のソフト事業に投じるのではなく、難病や障害のある方への支援のため、県民福祉の充実といった人に寄り添う分野にもっと光を当て、重点的に予算を投じていくべきと考えます。笑い声の響く幸せもよいですが、涙ぐむ幸福のために知事は予算と職員の力を振り向けてほしいと思います。知事の所見を伺います。(議長、副議長と交代)
問いの二は、佐賀空港への自衛隊配備についてであります。
先日、県立図書館で昭和三十年の全国紙を読んでいるとき、目に留まった記事がありました。昭和三十年十一月十五日、戦後の五十五年体制が出来上がった翌日の新聞であります。本舞台の演壇に進んだ鳩山一郎前民主党総裁は、挨拶の前置きもなしにいきなり、世界中で一番厄介なものは猜疑心であります。これがなくなれば世界中は平和になる。世界的にこの猜疑心をなくすると同時に、国内でも新党ができてからはこれを排除するようにと語り始めた。このような内容の新聞記事でありました。六十七年の年月を経ても世界に根深く猜疑心は宿っていると思いました。
ウクライナからの報道は信じられない気持ちになりますが、近隣のアジアにおいても防衛の重要性が高まっているのではと心配しなければならない国際情勢にあります。猜疑心を払拭することはできなくても、決して戦争をしないと誓った日本を忘れないことが政治家の責任です。そのための外交努力を政治家には期待してやみません。
そのような平和が続くように全力を尽くしていく決意を知事と共有しながら、佐賀県の大きな国策課題である佐賀空港への自衛隊配備について知事に質問をいたします。
一点目は、先人たちの思いに関してであります。
元佐賀県知事の井本さんは生前のインタビューにおいて、佐賀空港は「池田、香月、井本という三代の知事が、三十年かけてつくり上げた空港」、「そんなバカなことがあるもんか」という気持ちを正直に述べておられました。県発展のために必要な民間空港として、挫折を乗り越え、大変な努力の中で成長してきた佐賀空港に対する思いを、空港建設に関わった全ての人たちを代表して井本元知事は話をされました。改めて知事に思いを伺います。
公害防止協定覚書付属資料が見直された翌日の今月二日には政策部長が佐賀市を訪問して、坂井市長に有明海漁協との間で協議してきた
公害防止協定覚書付属資料の変更について報告されていますが、坂井市長からはどのような話があったのか二点目に伺います。
また、報道によれば、坂井市長からは「住民説明会を含め、市民に寄り添った対応をお願いしていく」と強調されたようでありますが、県としてどのように対応していくのか伺います。(副議長、議長と交代)
さらに、
公害防止協定等を結んでいる他の佐賀県農業協同組合や柳川市に対しても今後どのように対応していくのか伺います。
三点目に、着陸料の使途についてでありますが、平成三十年八月の県と防衛省との合意事項では、防衛省が着陸料として合計百億円、年間五億円を二十年間支払うことになっており、県はその着陸料収入を基に、有明海の漁業振興を行うため、漁業振興基金等を創設することにしております。
今後、説明会等を進めていく中で、県民の多くは自衛隊機の着陸料の使い道について、なぜ有明海の漁業振興だけなのかという疑問が生じると思います。自衛隊のヘリは海の上だけでなく、陸地上空も飛行します。農業、畜産業への影響、生活環境への影響など、有明海以外の影響も心配する声があります。なぜ有明海だけなのかという県民の疑問に対する知事の考えを伺います。
そして、使途決定の時期についてでありますが、一般財源である着陸料について、財源の裁量を自ら狭めるような特定を早々に決める必要はなかったと思います。せめて有明海再生を考えているくらいにとどめて、幅を持たせておくべきでありました。県議会に説明もなく、県民は何も知らされない中で、着陸料の使い道を防衛省と合意したのはフライングと言わざるを得ません。使途決定のタイミングが早過ぎたと見ていますが、知事の考えを伺います。
四点目、防衛省との協定について質問をいたします。
民間空港としての使用発展に影響を及ぼさないとの従来の確認を前提として県は防衛省と合意していることから、防衛省と新たに協定を結ぶ考えはないと説明されています。その影響があるかどうかというのは、県が主体的にしっかり考え、判断していくということですが、そもそも民間空港としての使用発展に影響を及ぼさないという判断基準が何かさえよく分かりません。仮に防衛省と佐賀県側との間で隔たりが生じた場合に、本当に佐賀県側の主張が通るのでしょうか。国防政策には基本的には協力する立場にある県が、民間空港の発展のため、国に対してどこまで主体的な判断を主張できるのか疑問であります。たとえ佐賀県側の主張が通るということであっても、将来の佐賀県のため、具体的な文書を交わしておく必要はあると考えます。
県が有明海漁協と交わした
公害防止協定覚書付属資料の取扱いの交渉過程から見ても、後に文面が大きな意味を持つものと理解をいたしました。知事がいずれ県政を去られた後においても佐賀県が困らなくてよいように、必要と思われる協定を結び残しておくことが後世に対する責任ではないでしょうか、知事の考えを伺います。
問三は、インボイス制度についてであります。
インボイス制度については最近よく耳にしますが、事業者からはよく分からない、これまでは消費税を納めなくてよかったけれど、今後はどうなるのか、取引先との関係で対応を決めたほうがよいというがどうなのか、納税事務負担が増えて大変になるのではなど不安の声を聞きます。
インボイス制度は、令和元年十月の消費税率の引上げに伴い、軽減税率が採用されたことにより、消費税が一〇%と八%の複数税率となったことから導入をされました。消費税の複数税率化に伴って導入される仕入れ税額控除に適格請求書などの保存を要件に定める制度ですが、一度説明を聞いただけではよく分かりません。
消費税を事業者が納税する場合には、売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を差し引いた額を納税すればよいのですが、この仕入れに係った消費税を差し引くのにインボイスという適格請求書が必要となります。そのため、インボイスを発行できなければ、取引先事業者が仕入れ税額控除を原則受けられなくなるため、免税事業者等が課税事業者から取引条件の見直しを要求される可能性も考えられます。
国はインボイス制度について、複数税率の下で適正な課税を行うためには、売手と買手で税率の認識が一致していることを制度として担保しなければならないと導入の理解を求めています。
その理由についての国の具体的な説明では、現行制度の下では、売手側に請求書等の交付義務やその写しの保存義務がない一方で、買手側は一定の場合には請求書等の保存がなくとも消費税の仕入れ税額控除が可能となる。そのため、仮に売手が軽減税率で申告しているものについて、買手が標準税率で控除を行ったとしても、書類が保存されていない場合があり、事後的な確認が困難となっている。だから、適正課税のために導入するということですが、公平性の担保としては理解ができます。しかし、小規模事業者の事務負担が過度とならないよう配慮されていた消費税の免税制度は、納税事務の簡素化のために設けられた合理的な特例措置であっただけに、制度移行に伴う事業者の体力が心配であります。
また、国の試算ではインボイス制度の導入により二千四百八十億円の税収増を見込んでいますが、燃油・原材料等の価格高騰の影響がある中での実質負担増と言えなくもありません。今のタイミングでインボイス制度の導入は困難だと思いますが、令和五年十月一日から登録を受けるためには令和四年度末の来年三月三十一日までに登録申請書の提出が必要ということであります。取引先にインボイスを発行するには、所轄の税務署に適格請求書発行事業所の登録申請書を提出して登録しなければなりません。
そこで、次の点について質問いたします。
佐賀県においても、事業者としてインボイスへの対応が必要となりますが、どのような対応をしているのか伺います。
また、国からインボイス制度の周知の協力要請があっていると思いますが、県としてどのように広報、周知を行っているのか伺います。
問四、果樹の振興について質問をいたします。
佐賀県では恵まれた自然条件を生かし、米、麦、大豆を組み合わせた生産性の高い水田農業や、野菜や果樹といった収益性の高い園芸農業などが行われています。
こうした中、本県農業が将来にわたって発展し続けていくためにも、収益性の高い園芸農業の振興により稼げる農業を実現していくことが極めて重要と私は考えます。
県におかれては、園芸農業に力を入れていくため、令和元年度から生産農家をはじめ、JAや市町などの関係者と一体となって「さが園芸888運動」に取り組まれています。この運動では、平成二十九年に六百二十九億円であった園芸農業の産出額を、令和十年までに八百八十八億円とする高い目標を掲げられ、大変頼もしく、県の強い意気込みを感じます。
しかしながら、農業を取り巻く情勢は、担い手の高齢化や減少、労働力の不足、さらには最近の肥料や燃油等資材価格の高騰などにより、農業経営は大変厳しく先の読みにくい状況にあります。
中山間地域を中心に栽培されている露地ミカンについても、佐賀市大和町では「あんみつ姫」などのブランドでも出荷し、市場から高い評価を受けるなど、おいしいミカンの一大生産地として発展してきた一方で、生産農家の高齢化などにより荒廃園が増加するなど、このままでは産地がどんどん縮小していくのではないかと心配しています。
こうした中で、大和町の中山間地域においては、担い手不足や耕作放棄地の増加、それに伴うイノシシ等の被害に悩まされていることから、集落の皆さんが、佐賀市や佐城農業振興センターなどと協力して、そうした課題解決に向けて話合いを重ねられ、その結果、集落内の樹園地を網羅した園地マップを作成されるとともに、放置されていたミカン園地を集落の若手生産者などに引き受けてもらい、新たな果樹園地としてよみがえらせる取組につなげるなど本当に頑張っておられます。
これからも中山間地域の農業が活性化していくためには、この「さが園芸888運動」の取組をさらに前へ進め、果樹の新品種や新技術の導入、園地の流動化などにより稼げる農業を実現することで、後継者が数多く育つような環境をつくっていく必要があります。そうしたことが荒廃園の発生防止や解消、産地の発展にもつながるものと考えます。
県では今後、果樹の振興についてどのように取り組んでいくのか伺います。
最後、問いの五は、佐賀県政史の編さんについてであります。
佐賀県政史続編の出版については、執行部におかれて、昭和五十一年四月から平成三十一年三月までの四十三年間を対象期間として、平成二十八年度からその編さんに着手し、出版に向けて取り組まれていただいています。
前回の出版から四十年以上の時が経過し、県政の事績を正確に記録していくに当たっては、資料収集から原稿執筆に至るまで多くの方が関わり、大変苦労されたと思います。それだけに県の退職者の方など執筆に携わった関係者を含め、その出版を心待ちにされている方も多いと思います。
しかしながら、以前の県からの説明では、令和四年一月出版予定であったものの、いまだ出版がされておりません。無論、コロナ禍という未曽有の危機的な社会状況もあることから出版のタイミングに関しては理解をいたします。
そこで、確認の意味も込めて二点伺います。
まず、編さん状況と出版の時期についてであります。
前回の県政史出版から四十年以上経過して、当時の県政に関わられた方も楽しみに出版を望まれていると思います。現在の県政史編さんの進捗状況と出版時期の予定を伺います。
また、最近の事案への対応についてでありますが、出版を待ちわびる一方で、今回の編さん対象期間後に発生した
新型コロナウイルス感染症は県政に多大な影響を与えました。前回の県政史においては、対象期間外の若楠国体について掲載されていますが、県政史にとって重要なものは対象期間外であっても記載したほうがよいと思いますが、いかがでありましょうか。
以上、答弁を求めて一般質問といたします。(拍手)
11 ◎山口知事 登壇=藤崎輝樹議員の御質問にお答えします。
まず、私と議会との関係についてお答えします。
知事と議会は、まさに車の両輪であります。知事は予算を編成して予算案を出し、事務を執行する役割があります。そして、議会は議案を審議し、議決していただきます。知事、執行機関をチェック、監視いただいております。そのようにそれぞれ役割を果たしながら、県政を前へ進めていくということが大事だというふうに思います。
このときに、くっつき過ぎでは駄目でということで九月でも答弁させていただきましたけれども、転ばない程度のつかず離れずという言葉は、なるほど言い得て妙かなと私も思いました。
これまでも議会に対しては、議決機関として議論、審議いただくタイミングで丁寧に説明してきたと私は認識しています。しっかりと説明しながら、この八年間、議会とは緊張感を持って、そして、できる限りフラットに丁々発止の議論を行ってきたと考えています。
ただ、今後について、今、スピード感を持って時代が変わっていく中で、議会との情報共有の在り方についても見直していくべきことは出てくるものと考えています。議会が、議員の皆さんが予算をチェックしたり、条例をつくったりするために、県政運営上、重要な事項はタイミングを捉え、情報提供を行って、丁寧な説明を行うことは大切と思っていますので、お互いそういったことをフラットに言い得て、変えるべきものは変えていこうと、そういうような環境をつくっていくことが大事だと思います。
そして、藤崎議員から信頼関係というお言葉がありました。
私が考える信頼関係というのは、議会でお互いが真摯に向き合って、真っすぐに質問して答弁をして、議会からの意見があったときに取り入れるべきものはスピード感を持って取り入れていくという、そういうことを積み重ねていくことが信頼関係につながると思っております。
ただ、今、るる藤崎議員のお話を聞いておりますと、相談という言葉をいただきました。それは恐らく議会の場以外でも、いろいろなところで自由闊達な意見交換の場、それを相談ということに私は認識しましたけれども、それがあったほうが信頼関係が醸成されるということであれば、それは私もやぶさかではありません。そういう意見交換の場はあっていいと思いますので、できる限り、時間の許す限り、そういう機会をつくっていく努力を私もしたいと思います。議会開会中のみならず、様々な場面でまさに相談をさせていただいて、県政を共に前に進めていきたいと存じます。
続きまして、財政運営について、特にイベント関係との関連についてお話をいただきました。
人が厳しい状況にいて、その皆さん方を助けたいという思いは全く私も同感です。それこそが県政の最も根幹としてやるべきことだというふうに思いますし、私自身も一貫して人の痛みに敏感な県政、「人の想いに寄り添う施策」を推進しております。一人一人の痛みというのに、どれだけできる限り向かい合えるのかということが大切だというふうに思います。ですので、現場を大切に、困難を抱えておられる方々に寄り添う施策がないかどうかということ、これは私自身も様々な団体の皆さん、現場の意見を聞く会もそうですし、議会からも多くのお話が寄せられて、我々が知らない現場の姿というものが映し出されるわけです。
そうした中で我々としても、例えば、医療的ケア児、多胎児家庭への支援、重心への医療費助成の拡充ですとか、小児・AYA世代がん患者への支援、難聴に悩む子供への支援や、小児がんなどの子供への再接種の話もありました。さらに「あい さが」がオープンするとか、そういった課題についてはこれからもしっかりとやっていく、そこを第一義に考えていきたいという思いであります。
他方、このイベントということなんですけれども、やはりイベントというものも本当に多くの皆さん方の心を動かしたりするという意味で僕は大事だというふうに思っています。
今、佐賀県に、難病だとか、様々な悩みを抱えていて、なかなかおうちから出ていただけない方が結構な数おられます。何かいい方法で表に出て、みんなと一緒になって活動してもらえないかなというのが大変大きな課題でありまして、ぜひこのイベントもいろんな方が集って、みんなで一緒にいることのよさを体感できるようなものにしたいなというふうに思っています。そういったことにチャレンジすることで、「人の想いに寄り添う施策」、すなわち福祉向上をはじめとしたソフト戦略に資するものになっていくというふうに思いますので、例えば、「佐賀さいこうフェス」というのももう七年やってまいりましたけれども、全く最初の頃とは姿を変える状況になっておりまして、今は「さがすたいる」という佐賀のやさしさの形が体感できるようになっているのかなと思っています。ぜひここはまたチェックもいただきたいと思っておりますし、例えば、コンサートでも、音楽を視覚と振動で楽しめるサウンドハグというものを設置して、健常者と障害者と一緒になってコンサートを楽しめることができないかというチャレンジをさせていただいておりますし、ワークショップでは、県出身のアーティストと一緒にアートに触れる体験を用意したり、PICFAさんやGENIUSさんのブースでもそういったものの体験を共にするということをやっております。
それから、「笑顔deさいこうマルシェ」というものも毎年やっているんですけれども、こちらのほうも障害福祉施設の店舗が出店して、みんなでコンサートをやったり、作り手との会話を楽しめるような環境というものをつくっていく、そういう努力をしております。
そういったようなイベントになるように努力を重ねていきたいと思っているので、そういった観点でぜひ課題も出していただいて、みんなが自然にイベントを楽しめて、今、家の中でつらい思いをしているみんなが、これだったら顔を出してもいいかなというふうになるような、そういうことも考えていきたいと思っております。
様々な意見を踏まえながら、みんなで前を向いて、みんなで課題を解決する場としてもイベントを位置づけていけるように努力を重ねてまいりたいと思います。
続きまして、佐賀空港の
自衛隊使用要請についてお答えします。
まず、井本元知事の過去のインタビューコメントについてお答えします。
井本元知事は、私も八年前からいろんな場で、そして、二人でもいろんな話をさせていただきました。特に私の記憶に残っているのは、自らの戦争の経験からの平和の大切さということについては強く心に残っています。これについては全く私も同感で、今後とも戦争のない平和な社会が続くように、私ができることは何でもやっていく覚悟だというお話もさせていただきました。
そして、私は国防というものは平和を守るためのものと認識をしています。
公害防止協定については、今から三十年ほど前、様々な、そして、厳しい議論を経て締結されたものでありまして、大変重いものと認識しています。
であるからこそ、県はその覚書付属資料にある佐賀空港を自衛隊と共用しないという考えを守り、民間空港としての発展に向けてひたすら取り組んで、これまで県が主体的に自分のほうから自衛隊との共用を打ち出したことはありませんでした。
こうした中で、昨今の安全保障環境を踏まえ、平成二十六年七月に防衛省から古川前知事に対して、佐賀空港の
自衛隊使用要請があったわけであります。
私自身は、その翌年の二月に防衛省から要請を受けたわけでありますけれども、国防だからすぐに受け入れるということではなくて、まずは米海兵隊の佐賀空港利用も含めて、計画の全体像、将来像の明確化を強く求めたわけです。そして、様々な議論が行われた後に、平成二十七年十月に当時の中谷防衛大臣が来県されて、米軍の利用要請は取り下げられたわけです。その後さらに、オスプレイの安全性、生活環境や漁業、農業等への影響など様々な観点から、三年半にわたる確認及び検討を行って、論点整理素案が平成二十九年五月に公表されました。
また、当時の小野寺防衛大臣と平成三十年八月には、佐賀空港の民間空港としての使用発展に影響を及ぼさないと合意し、確認した上で、県議会決議──これは平成二十九年七月ですが──なども踏まえて、同日に防衛省の要請に対する県としての判断をさせていただいたわけであります。
そして、この判断後も丁寧に漁協の皆さん方の多くの懸念に向き合ってきて、四年経過して今を迎えているということであります。
私は、
公害防止協定が大変重いものだと認識しているからこそ、この八年間、一つ一つ丁寧に対応してきたと思っています。
そして、続きまして、今後の対応についてお答えします。
今後、事業主体である防衛省において、用地交渉や駐屯地の整備に向けて具体的に検討、取組が進められていくと思います。
そうした中で、自衛隊機の離発着計画など、具体的な内容が固まった段階で、
公害防止協定等を結んでおります佐賀市、佐賀県農協、有明海漁協、柳川市と事前協議を行うことになります。また、具体的になる以前において、所在市となる佐賀市など関係機関と防衛省との協議が始まると思いますが、必要に応じて調整を行っていくことも大切だと認識しています。
住民説明会については、その在り方も含め、事業主体である防衛省や佐賀市などと検討していきたいと思います。
そして、着陸料について、なぜ有明海の漁業振興だけなのか、使途決定が早過ぎたんではないかといった御指摘をいただきました。
佐賀空港の
自衛隊使用要請については、防衛省と協議を行っていた平成二十九年七月に佐賀県議会において決議がなされ、県に対して、防衛省の要請を受け入れる判断を行うということを県議会から要請されました。そして、そのとき、有明海漁協の当時の徳永組合長からも、県のほうが先に判断を行ってほしいと要請を受けておりました。
しかしながら、このときは、県と有明海漁協との間で結んだ覚書付属資料がある中で、漁協の了解をもらっていない段階でありました。もらっていない段階であるけれども、判断を先にするべきというふうに議会のほうから御指摘を受けたわけです。
私は、本当は防衛省や官邸と相談する前に、漁協の皆さん方といろいろ話をしてから交渉に臨みたかったんですけれども、了解を取れていない段階でそのような下交渉みたいなものというのはやるべきではないだろうと思って、それまで漁協の皆さん方から様々な要請を受けていたので、それを県のほうでみんなでかみ砕いて、何とかそれが実現できる形で、県が了解する前に交渉を終えてしまいたいというふうに考えていたわけです。
ですので、有明海の振興対策を防衛省とつくり上げるということ、了解をいただくということが漁協の信頼をつなぐ一つの方策になるのではないかとも考えたわけであります。
そうした中で、我々は防衛省や官邸と交渉をすることになりました。交渉なので、お互いが様々なやり取りがありまして、出したり引いたりする交渉の過程、途中でそれを赤裸々にオープンするということはなかなか難しく、様々な交渉が行われたわけであります。
その結果、なかなか難しかったのは、有明海の再生を図るのに防衛省の事業予算でそれを支援するスキームというのはなかなかつくりづらかったわけでありますけれども、この有明海漁業の振興などのための基金を県が創設するとして、そして、その財源として防衛省が百億円を着陸料として支払うという形で合意をしたという次第であります。これはまさに有明海漁業のための基金でありまして、その財源としての着陸料という交渉でありました。そして、あのタイミングでないと合意できなかったとも考えておるわけであります。
着陸料の使途に関する詳細については、政策部長からお答えさせます。
防衛省との協定についてお答えします。
佐賀空港の
自衛隊使用要請についてですが、私は将来にわたり民間空港としての使用発展に支障があってはならないと考えていまして、これは常に防衛省と確認をしながら前に進めていくということが何よりも大切だと思っています。
このことは、平成三十年八月に当時の小野寺防衛大臣と私が最終確認をした合意文書の中で、「佐賀空港の
自衛隊使用要請について、佐賀空港の民間空港としての使用・発展に影響を及ぼさないとの従来の確認を前提として」と一番最初に書いてあります。ここを書くことがとても大切だというふうに我々は認識しておりましたので、ここで改めて確認をさせていただいております。
そして、佐賀空港は県管理の空港でありますので、その空港を自衛隊、防衛省が使用するということになりますから、民間空港としての使用、発展に影響があるかどうかということについては、県が県議会の皆さん方とともに主体的に考えなければいけない、我々が判断するべき内容だと思っています。
既に合意した事項について文書で確認している内容については、新たに協定を結ぶことは考えておりません。
12 ◎進政策部長 登壇=私からは、佐賀空港の
自衛隊使用要請について二点お答えいたします。
まず、佐賀市へ説明した際の状況についてということでございます。
十一月一日に
西久保組合長から知事に対しまして覚書付属資料の変更を受け入れる旨の回答文書をいただき、翌二日に佐賀市長を訪問し、これまでの経緯や漁協からの回答文書の内容等について説明を行いました。
その際、坂井市長からは、漁協の今回の判断は非常に重いと考えていること、また、排水対策は漁協が非常に心配されていることなので、県としてもしっかりとそこを担保するようにしてほしいということ、また、住民の皆さんには安全性や環境への影響、米軍の利用など様々な懸念の声があり、住民説明会を含め、住民に寄り添った対応をしてほしいということなどのお話がございました。
次に、着陸料に関しまして、知事の答弁を補足させていただきます。
防衛省との交渉に当たっては、漁協が組織として要望を取りまとめることがない中で、それまで様々な場面で県として伺ってきた声などから、具体的には、例えば、海底耕うんや二枚貝の放流など幅広い事業にどうやったら取り組めるのか、事業をするときに漁協の負担を軽減するためにはどうすればいいのか、事故等の補償に時間がかかるようなことになった場合、迅速に対応できるような補償の枠組みができないかなど、様々なことについて交渉を行いました。
防衛省が水産事業を直接実施できないこともあり、事業を支援するための漁業振興基金と、緊急の場合に無利子貸付けなどができるような補償基金を県が創設することとして、その財源として防衛省が百億円を着陸料として支払うことで合意したものでございます。
以上でございます。
13 ◎甲斐総務部長 登壇=私からは、二項目答弁を申し上げます。
一項目め、インボイス制度の周知協力についてでございます。
県では、国からの協力依頼を受けまして、県民の目に触れやすい窓口へのリーフレットの配置やポスター掲示のほか、県主催で各種の事業者説明会が開催されることがあるわけでございますけれども、その機会を利用して、調整ができれば税務署から講師を呼ぶなどしまして、制度の周知の機会をつくることに努めてきたところでございます。
このほか県内の動きといたしましては、商工会議所や商工会、各種団体主催による事業者向けのインボイス制度の説明会が実施されているというふうに聞いております。
現在、国におきましてインボイス制度の導入に向けた取組が行われておりますけれども、県としても今後も国とともに、例えば、今週末の十一日金曜日から始まる「税を考える週間」や所得税等の確定申告説明会など、そういった時期を捉えまして広報、周知に努めてまいりたいと考えております。
続きまして二項目め、佐賀県政史の編さんについてでございます。
初めに、編さん状況と出版時期についてでございますが、佐賀県政史の出版につきましては、議員から御指摘のとおり、これまでお知らせしてきた出版時期から大きく遅れております。
状況について申し上げますと、県庁退職者の皆様と現役職員により執筆された原稿の素案自体は、昨年度の前半にはおおむね出そろっておりました。しかしながら、昨年夏から秋にかけて数カ月間、出版社において
新型コロナウイルス感染症への対応のため出勤制限が行われるなどしまして、レイアウトを組んだり、校正用のゲラを作成したりすることなどの作業が滞っておりました。また、こちらのほうとしても記述の理解を高めるために差し挟む写真ですとか図表の収集に時間を要したこと、こういったことなどにより、二回目の校正の確認に昨年度いっぱいまで時間を要することになりました。このため、関連予算を今年度に繰越しをさせていただいております。
そして、今年度に入ってからでございますが、後ほど御説明いたしますけれども、編集方針を見直しまして、内容の追記、修正を行ったことから、その原稿執筆、校正ゲラへの反映を行いまして、現在四回目の校正作業を行っているところでございます。
出版の時期でございますが、年末までに印刷を行い、年度内には出版までこぎ着けたいと考えております。
次に、最近の事案への対応について、議員から県政史にとって重要なものは対象期間外のものであっても記載すべきと考えるがどうかと御質問をいただきました。
県政史の編さんにつきましては、前回の昭和五十四年に発刊した県政史の続編として昭和五十一年四月から平成三十一年三月末までを掲載対象期間として、平成二十八年度から作業を進めてまいりました。今回、四十三年もの長きにわたる内容となりますため、その編さん作業にも時間を要したわけでございますが、その間、令和元年佐賀豪雨災害や
新型コロナウイルス感染症の発生など、県政を語る上で重要な出来事も相次いで発生をいたしました。
例えば、
新型コロナウイルス感染症の発生は、その前後で県民生活が一変するほどの大きな出来事でありますことから、その経過やそれに伴った新たな施策についての記述がなければ、令和四年度に発刊する県政史としては不十分でございます。議員のお考えと同じ思いでございます。
そのため、対象期間に厳密にこだわることなく、県政を語る上で特に重要なもの、当初の執筆対象期間から発刊時点までの県政の連続性について理解する上で重要な施策などにつきましては、新たに記述を加えることとしておりまして、現在その作業を進めているところでございます。
議員がおっしゃいましたように、執筆に携わった関係者はじめ、心待ちにしてくださっている方、本当に多くいらっしゃると思いますけれども、よりよい県政史に仕上げるため、出版までの間、いましばらくお時間をいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
14 ◎山田農林水産部長 登壇=私からは、果樹の振興につきましてお答えをいたします。
中山間地農業の基幹作物であります果樹につきましては、本県園芸農業生産額の約三分の一を占めております。「さが園芸888運動」を推進する中で、その生産振興は極めて重要だと認識をしております。
このため県では、高品質果実の生産拡大を図ることといたしまして、主な取組を二つ申し上げますと、令和三年二月にデビューをし、市場や消費者からの評価が非常に高い県育成品種の「にじゅうまる」ですとか、ブドウにつきましては、皮ごと食べられますシャインマスカットといった優良品種への改植、露地ミカンにつきましては、土壌中の水分を調整して糖度を上げるマルチ栽培や根域制限栽培の導入拡大に取り組んでいるところでございます。
また、農家個別の経営規模の拡大を進めていくことも重要でございます。議員から紹介のありました大和町横馬場地区ですとか、鹿島市の音成・嘉瀬の浦地区でも見られるような地域での話合いや、農地中間管理機構の活用により、担い手への優良園地を集積していくこと。また、大和町大願寺地区ですとか江北町の門前地区で進めております生産性の高い水田や畑地での果樹団地の整備に取り組んでおりまして、他地域へも積極的に推進をしていきたいと考えております。
それから、新たな担い手を確保するため、地域内外から広く果樹の新規就農者を確保するための就農セミナー、こういうものも継続的に開催することとしております。
さらには、果樹は定植してから収穫できるようになるまでの未収益期間がございます。このことが就農のハードルとなっていることから、その期間をなるべく短くするための取組が必要でございます。
例えば、規模の縮小や離農を予定されている農家から新規就農者に対して、樹園地ですとか施設、機械などを技術とともに継承する取組、また、JAや各部会が新規就農者の入植園地を事前に整備しておく取組なども積極的に推進をしていきたいと考えております。
また、燃油価格高騰の影響が長期化しております。ハウスみかんなどの経営が悪化している農家に対しまして応援金を交付することで農家負担の軽減を図ることとしておりまして、そのための予算を今議会に提案しているところでございます。
「さが園芸888運動」の目標を達成していくためには、こうした取組によって稼げる農業者を育成し、その姿を見せることで、次の新規就農者の確保につながるといった好循環をつくり出していくことが重要でございます。
今後とも、市町やJAなど関係機関・団体と連携しながら、果樹の振興に努めてまいります。
私からは以上でございます。
15 ◎元村会計管理者 登壇=私からは、インボイス制度についての御質問のうち、事業者としての県の対応についてお答えさせていただきます。
インボイス制度につきましては、売手の事業者が発行する適格請求書、いわゆるインボイスがなければ、買手の事業者は消費税の申告において仕入れ税額控除を受けられなくなります。県でも課税取引として庁舎等の施設使用料、公有財産の売却・貸付け、県立博物館・美術館などの特別展のチケットの販売などがありますので、売手の事業者としてインボイスを発行する必要がございます。そのため、適格請求書発行事業者として税務署への登録が必要となります。
また、消費税法におきましては、県が行う一般会計の事業と各特別会計の事業は、それぞれ個別の法人が行う事業とみなされております。インボイスの対応も会計ごとにそれぞれ行う必要がございます。
県の事業者としての対応といたしましては、まず、一般会計につきましては、本年七月二十九日付で佐賀税務署長宛て適格請求書発行事業者の登録申請を行い、本年八月二十六日付で登録されたところでございます。
さらに、県が売手として発行する納入領収済通知書に、登録番号、適用税率、消費税額などの記載が必要となりますので、現在、財務経営システムの改修作業を進めているところでございます。
インボイス制度は来年十月一日から開始予定でございますけれども、納入領収済通知書を年度当初に十二カ月分まとめて発行する場合もありますので、それを考慮して来年四月一日からインボイスに対応できるよう準備を進めておるところでございます。
来年三月上旬をめどにシステムの改修を終え、三月中にシステムの入力方法などの通知や説明会の開催、また、直接現金で収納する際に使用する原符領収書の様式改正などを行いまして、県が事業者として必要とされる対応を完了する予定でございます。
また、特別会計でインボイスの対象となるのは、課税取引がある港湾整備事業特別会計と工業用水道特別会計の二つの特別会計でございます。両特別会計による課税取引の例としましては、それぞれ港湾施設使用料、工業用水使用料でございます。
港湾整備事業特別会計につきましては本年九月十二日付、工業用水道特別会計につきましては昨年十一月二十四日付で、各所管所属が既に適格請求書発行事業者の登録を行っており、それぞれシステムの対応準備を進めています。
以上、お答えとさせていただきます。
16 ◎藤崎輝樹君 登壇=お昼どき、大変申し訳ございませんが、一点だけ質問させていただきます。
防衛省との協定についてであります。
知事が断定的に答弁をされました。以前は進政策部長のほうからも答弁をいただきました。これまでの経緯等を踏まえれば、本来であれば、そこまでしっかりと答弁いただければ、私は分かったと、そうなんだなというふうに理解をしたいという気持ちはあるんですけれども、何せ今回、有明海漁協との
公害防止協定覚書付属資料において自衛隊との共用はしないということを明確にしていたにもかかわらず、今回こういった事態になったわけであります。
もちろん情勢がありますから、そこは議論があったのは当然だというふうに思うわけでありますけれども、私が思うのは、やはり後世において、今の山口県政においてしっかりとした文書でもって協定を結んでいたおかげで、いわゆる国のほうとの議論ができる、協議ができる、そういったことについては必要ではないかというふうに思うんですね。どういったことが必要となるのか、いや、必要ではないのか、せめてそういった議論ぐらいは、これだけ大きなことですので、これまでの県執行部の本当にいろんなことに細部にわたり、また、何を言ってもまずは漁協の人たち、そういった方々の思い等を踏まえれば、あまり前のめりの質問というのは私も胸が苦しいところは正直ありますけれども、この協定については後世のために何か必要なものがあるのではないか、そういったことはせめて今議論はしてほしい、その上で結論を出してほしいというふうに考えております。その点について知事の答弁をいただきたいと思います。
17 ◎山口知事 登壇=藤崎議員の再質問にお答えします。
先ほど藤崎議員から県政史のお話もいただきました。やはり当時のいろんな議論とか思いを後世に残すのは大切だというのは私も全く共感をしておりまして、昭和五十一年から県政史は止まっておりましたから、それは必ず残しておく、今いるメンバーで確実に後世へつないでいくということが大事だというふうに思います。
ですので、先ほどの答弁では、既に合意した事項においてという前提を置かせていただきましたけれども、これからも我々がこの過程で様々議論したことについてはできるだけ文書で残す努力をしていきたいと思いますし、これから防衛省と様々な議論もさせていただきますので、状況に応じて文書を交わしておくということも頭に入れて対応していきたいと考えております。
18 ◎議長(
藤木卓一郎君) 暫時休憩します。
午後零時十六分 休憩
令和四年十一月八日(火) 午後一時二十分 開議
出席議員 三十六名
一番 下 田 寛 一五番 池 田 正 恭 二九番 稲 富 正 敏
二番 桃 崎 祐 介 一六番 古 賀 陽 三 三〇番 徳 光 清 孝
三番 田 中 秀 和 一七番 川 崎 常 博 三一番 中 倉 政 義
四番 古 川 裕 紀 一八番 定 松 一 生 三二番 石 井 秀 夫
五番 一ノ瀬 裕 子 一九番 江 口 善 紀 三三番 留 守 茂 幸
六番 中 村 圭 一 二〇番 藤 崎 輝 樹 三五番 木 原 奉 文
七番 古 賀 和 浩 二一番 八 谷 克 幸 三七番 石 倉 秀 郷
八番 井 上 祐 輔 二二番 向 門 慶 人 三八番 土 井 敏 行
九番 木 村 雄 一 二三番 坂 口 祐 樹
一〇番 中 本 正 一 二四番 宮 原 真 一
一一番 野 田 勝 人 二五番 原 田 寿 雄
一二番 冨 田 幸 樹 二六番 岡 口 重 文
一三番 弘 川 貴 紀 二七番 大 場 芳 博
一四番 西久保 弘 克 二八番 武 藤 明 美
欠席議員 一名
三六番 藤 木 卓一郎
欠 員 一名
地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 山 口 祥 義
副 知 事 坂 本 洋 介
副 知 事 南 里 隆
政 策 部 長 進 龍太郎
総 務 部 長 甲 斐 直 美
地域交流部長 山 下 宗 人
県民環境部長 古 賀 英 敏
健康福祉部長 久保山 善 生
産業労働部長 寺 島 克 敏
農林水産部長 山 田 雄 一
県土整備部長 大 呑 智 正
危機管理・報道局長 野 田 嘉代子
文化・観光局長 實 松 尊 徳
SAGA2024・
SSP推進局長 宮 原 耕 司
男女参画・こども局長 種 村 昌 也
会 計 管 理 者 元 村 直 実
警 察 本 部 長 松 下 徹
教 育 長 落 合 裕 二
人事委員会事務局長 古 賀 千加子
職務のため議場に出席した事務局職員
議会事務局長 今 村 盛 史
同 副事務局長
政務調査課長事務取扱 吉 田 泰
総 務 課 長 碇 一 浩
議 事 課 長 篠 田 博 幸
総務課副課長 田 中 信 二
議事課副課長 原 康 祐
政務調査課副課長 西 田 里 美
議事課議事担当係長 椎 葉 奈 美
同 議事担当主査 磯 辺 洋 樹
○ 開 議
19 ◎副議長(宮原真一君) これより会議を開きます。
午前中に引き続き一般質問を行います。
20 ◎中本正一君(拍手)登壇=公明党の中本正一でございます。
今回、県政が抱える課題につきまして、大きく五項目について質問させていただきます。午前中からの質疑のテーマと重複する部分がありますが、私なりの視点で質問させていただきますのでよろしくお願いをいたします。
それでは、大きな項目の一つ目として、佐賀空港の
自衛隊使用要請への対応について質問いたします。
十一月定例会初日の十一月一日、佐賀県有明海漁協の全十五支所の代表から構成される
検討委員会において、
公害防止協定覚書付属資料の見直しに応じることが全会一致で決定され、その日のうちに協定が変更され、佐賀空港への自衛隊配備計画は新たな局面を迎えることになりました。「満場一致で決定しました。皆さん喜んで賛成したわけじゃなかばってん、やっぱし苦渋の選択ですよね」との
西久保組合長の言葉に象徴されるように、佐賀県有明海漁協にとってまさに苦渋の決断であり、国の根幹に関わる国防・安全保障の重要性に対して理解をいただき、重い決断をしていただいた有明海漁協の皆様に深く感謝を申し上げたいと思います。
防衛省から佐賀県に対して佐賀空港の
自衛隊使用要請がなされたのは、今から八年前の平成二十六年七月であります。この間、中国による海洋進出や尖閣周辺での領海侵入、北朝鮮による相次ぐミサイル発射、今年に入り、ロシアによるウクライナ侵略など、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさと不確実性を増してきました。
このため、島嶼防衛能力の向上を図り、佐世保市の相浦駐屯地に配備された水陸機動団や、陸上自衛隊オスプレイの能力を十二分に発揮するためには佐賀空港への自衛隊配備は不可欠であり、一刻も早く実現させなければならない国防上の重要課題となっていました。
昨年十二月には、有明海漁協から、計画予定地の排水対策など三項目に対して防衛省の考えが示されることを条件に変更に応じるとの回答をいただいていたものの、その後の防衛省の説明会において組合員の十分な理解を得ることができず、膠着状態となっていました。そうした中、山口知事は有明海漁協を訪問され、
公害防止協定の文書の見直しを改めて要請されており、それに応える形での今回の有明海漁協の決断であったものと考えます。
そこで、次の二点についてお伺いいたします。
まず、
協定見直しに対する知事の受け止めについてであります。
定例会初日の
提案事項説明において山口知事は、「私は、この要請に対して正面から、そして真摯に向き合ってまいりました。そして、国民、県民にとって大事な国防と、宝の海である有明海の再生を両立させていくことが大切だと考えております。」と述べられており、この問題に向き合ってきた知事の思いの深さが感じられるところであります。
西久保組合長はマスコミの取材に対して、今回の決断に至った決め手について、知事が来られて県と漁協との関係や有明海再生について本音で話をしてもらった、今までどおり県は漁協としっかり手を握り、漁協を支えますと約束してもらったことでみんなが安心したと述べられているようであります。
そこで、知事就任直後からこの問題に向き合うことになり、様々な曲折を経て、今回新たな局面を迎えたことに対する山口知事の率直な受け止めについてお伺いいたします。
次に、今後の県の対応についてお伺いいたします。
公害防止協定の覚書付属資料の見直しは、「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない。」とする文言を削除せず、新たに「空港を自衛隊と共用できる」とした上で、「ただし、防衛省が用地を取得できないなど配備計画を断念した時は、この文書は効力を失う」とする確認書を附則として加え、今回の配備要請に限った変更であるとしています。
今後、防衛省は地権者と用地交渉に向き合うことになります。また県は、
公害防止協定や環境保全に関する合意書に基づき、佐賀市やJAさが、柳川市と公害防止の観点で事前協議を行うとともに、地元はもちろん、県民の理解を得るための住民説明会を開催していかなければなりません。八年以上にわたるこれまでの長い経緯の中で、配備計画に対する根強い反対や不安の声も決して小さくありません。これまで以上に丁寧に漁業者や地域に寄り添っていく姿勢が求められます。佐賀空港への自衛隊配備計画を実現する上で、事業主体である防衛省がその先頭に立って取り組むのは当然でありますが、県の役割も決して小さくありません。
そこで、佐賀空港への自衛隊配備計画の実現に向け、県はどのような役割を果たしていく考えか、今後の県の対応についてお伺いいたします。
次に、大きな項目の二つ目として、本県におけるキャッシュレス化の推進について質問いたします。
国においては、昨年、デジタル庁が発足し、デジタル改革関連法の成立やデジタル田園都市国家構想が示されるなど、デジタル実装を通じた地方活性化を推進する取組が急ピッチで具体化しつつあり、自治体における行政手続のオンライン化についても、国民の利便性向上や行政運営の簡素化、効率化などの必要性やメリットを踏まえ、推進していくことが求められています。
また、キャッシュレス化は国を挙げて推進している施策であり、二〇一九年六月に閣議決定された成長戦略フォローアップにおいて、二〇二五年六月までにキャッシュレス決済比率を倍増し、四割程度とすることが目標として示されています。
日本はこれまで、諸外国と比べてキャッシュレス決済比率が低いと言われてきましたが、二〇一九年十月のキャッシュレス・ポイント還元事業により、キャッシュレス決済の利用者や加盟店が大きく増加し、社会全体においてキャッシュレスに対する認知が広がっています。さらに新型コロナの感染症予防対策として、オンライン決済を含めた非接触によるキャッシュレス決済への社会的関心が高まってきています。
本年十一月には、「情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律」、いわゆる行政キャッシュレス法が施行され、政府は交通反則金やパスポート、自動車車検など国への納付手続のキャッシュレス化を進めるとしており、自治体においても、行政手続のオンライン化と併せ、キャッシュレス化の推進が求められているところであります。
そこで、次の二点についてお伺いいたします。
まず、キャッシュレス納税についてお伺いいたします。
国税庁が本年八月に公表した「令和三年度におけるe-Taxの利用状況」調査によると、キャッシュレス納付の割合は三二・二%となっており、調査を開始した平成三十年度と比較すると九ポイント増加しています。キャッシュレス納税の手段としては、インターネットバンキングやダイレクト納付などの電子納税やクレジットカード、振替納税などがあり、最も割合が高いのが電子納税の一八%となっています。国においては、令和七年度までにキャッシュレスによる納税割合を四〇%にする目標を掲げ、e-Taxの利用拡大を図るなど取組を強化されているところであります。
本県においても、自動車税種別割などの税目を対象にペイジーに対応したインターネットバンキングやクレジットカード決済、「paypay」や「LINE pay」などのスマートフォン決済アプリによる納付を可能とするなど新たな納付手段を整備され、納税者の利便性向上に取り組まれてきたものと承知をいたしております。
そこでまず、県税に係るキャッシュレス納税の現状とその評価、課題について、総務部長にお伺いいたします。
次に、収納手段の多様化についてお伺いいたします。
申請手数料は、収入証紙により納付をされています。この収入証紙制度は地方自治法で規定され、手数料等の少額で頻繁に生じる歳入金について、申請者の事務負担の軽減や収入未済の防止、現金取扱事務の軽減のための仕組みとして構築をされたものであり、本県では佐賀県証紙条例が昭和三十九年四月一日に施行され、今日に至っています。
収入証紙制度の運用に当たっては、証紙の印刷経費や売りさばき手数料などのコストがかかっており、また、証紙の販売窓口と申請窓口が近接していない場合もあることから、手間がかかり、不便であるとの声も上がっています。今後、社会におけるキャッシュレス化のさらなる進展が見込まれる中、県民の利便性の向上を図る観点から、多様な収納方法について検討を始める時期に来ているものと考えます。
収入証紙制度については、住民の利便性向上やコスト縮減といった観点から、東京都や大阪府、広島県などで証紙制度の見直しが始まっています。そこで、キャッシュレス化への対応など収納手段の多様化について、今後どのように取り組んでいく考えか、会計管理者に見解をお伺いいたします。
次に、大きな項目の三つ目として、大気汚染防止法改正に伴うアスベスト対策の推進について質問いたします。
アスベストは、耐火、耐熱、防音等の性能に優れた天然の鉱物繊維であり、安価で加工しやすいことから、昭和三十年頃から建築材料として広く使用されてきました。
しかし、本人が気づかないうちに少量でもアスベストを吸引した場合、肺がんや中皮腫などの健康被害を引き起こすことが明らかになったため、昭和五十年から段階的に規制が行われ、現在、アスベストの製造や使用は全面的に禁止されているものの、過去に使用されたアスベストの多くは建築物等に残存したままの状態となっています。
政府においては、今後、アスベストが使用されている建築物などの解体、改修等の工事が年々増加していく見込みであることから、アスベスト飛散防止対策の一層の強化を図るため、令和二年六月に大気汚染防止法の一部が改正され、翌令和三年四月以降、順次施行されてきたところであります。
建築物等の解体工事等におけるアスベストの飛散を防止するためには、この法改正を踏まえ、アスベスト対策の適切な運用が必要となってまいります。
そこで、次の三点についてお伺いいたします。
まず、法改正を受けた県の取組についてであります。
今回の大気汚染防止法改正は大規模な改正となっており、例えば、これまでの規制対象はレベルワンとされる吹きつけとレベルツーとされる断熱材、保温材等でありましたが、令和三年四月からはレベルスリーとされている住宅の外壁や屋根、天井等で外装材や内装材として使用されている成形板等も対象となっています。これにより全ての建材が事前調査の対象となりました。
また、令和四年度から、一定規模以上の建築物等の解体、改修工事等においても、アスベスト含有建材の有無にかかわらず、事前調査の結果を都道府県や労働基準監督署へ報告することが義務化されています。
これに伴い、多くの報告が県に提出されることになりましたが、その確認や必要に応じて立入検査を行う本県においては、職員の確保や育成が求められてまいります。さらに、罰則の強化や規制対象の拡大など、規制が強化されたことから、その円滑な運用に向けては、解体事業者等の十分な理解を得ることが求められてまいります。
そこで県は、大気汚染防止法の改正を受け、これまでどのように取り組んできたのかお伺いいたします。
次に、アスベスト対策の円滑な実施に向けた課題と対応についてお伺いいたします。
質問を前に、解体工事業の団体の方々と意見交換を行う機会があり、次のようなお話を伺いました。事前調査に際して、作業対象の材料種類ごとにアスベスト含有の有無を記載することになります。仮にアスベストが含有する可能性がある場合、材料を採取して検査機関に分析を依頼することになりますが、この検査に係る経費が一検体当たり五、六万円ほどかかり、仮に四、五検体分析を依頼する場合には、二十万円から三十万円ほどが解体等に要する費用とは別に発生するため、建物所有者の負担が大きいとのことでありました。確かに、建物の所有者にとって、建築した当時は禁止された建材を使用していないにもかかわらず、法改正に伴って、撤去に際し想定されなかった高額な分析費用を負担しなければならなくなることは納得しづらい話であり、本来、国が責任を持って対策を講じるべきではないかと考えます。
本県では、平成二十二年度から国の制度を活用し、飛散性の高い吹きつけアスベストへの含有分析調査費に対して、十分の十、一棟当たり上限二十五万円の補助制度がありますが、直近三年間ではわずか九件、令和三年度の実績はゼロ件となっており、利用が減少しています。
本県においては、規制対象建材がレベルスリーまで拡大されたことにより、年間三千件もの事前調査の実施が想定されており、国の責任で事前調査に関する補助制度を拡充していただく必要があり、その実現に向け、県も国に対して働きかけていただきたいと考えています。
また、これ以外にもアスベスト対策の円滑運用に向けては様々な課題があるものと考えますが、県はどのように認識し、今後どのように対応していく考えか、見解をお伺いいたします。
次に、災害時におけるアスベスト飛散防止対策についてお伺いいたします。
平成二十八年四月に発災した熊本地震での住宅の全壊、半壊、一部損壊等による建物被害は、その他公共の建築物等を合わせ、総計二十万六千棟に及んでいます。迅速な復旧工事に行政や民間、ボランティアを挙げて取り組まれましたが、やってはならないとされるアスベストを含む瓦礫の粉砕が行われ、また、地元住民やボランティアを含めた作業者の防塵マスクの着用が徹底されていないといった事例が多発したと伺っています。
近年、災害の激甚化、頻発化により、損壊したアスベスト使用建築物等から、アスベストが飛散するおそれが高まっていると指摘されており、本県においても災害時に対応できるような体制を取っておくことが大切であり、特に県民の命と健康を守るため、アスベストに関する正しい情報を周知することも重要と考えます。
また、災害発生時に、アスベストの飛散、ばく露防止に関わる応急対応を迅速に実施するためには、平常時から建築物等における使用状況を把握しておくことが大切となってまいります。改正大気汚染防止法には、災害対応に係る国、地方公共団体の施策として、建築物等の所有者等が平常時からアスベスト含有建材が使用されているか否かを把握することを後押しする規定が新たに盛り込まれています。
これを受け、環境省では令和二年度から「石綿含有建材の使用状況の把握に関するモデル事業」を実施しており、そこで得られた成果をもとにアスベストが使用されている建築物の把握方法を示した「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」を改定し、全国の地方公共団体に展開するとしています。
そこで、民間建築物のアスベスト台帳の整備を含め、災害時におけるアスベスト飛散防止対策について、今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
以上三点、県民環境部長にお伺いいたします。
次に、大きな項目の四つ目として、介護サービス事業の安定的な運営について質問をいたします。
今月十一日は、厚生労働省が定めた「介護の日」となっています。「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」という言葉の「いい日、いい日」に掛けまして、分かりやすく、そして温かい言葉ということで、この十一月十一日が「介護の日」に決まったと伺っております。
また、十一月四日から十七日までを「福祉人材確保重点実施期間」と定め、福祉・介護サービスの仕事が働きがいがある職業として、特に若い世代の方々から選択されるよう、福祉人材の確保、定着を促進する期間となっているとのことであります。
そうした意義を込めまして、この質問をさせていただきます。
さて、団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者となる二〇二五年に向けて、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していくことが予想されています。
本県においても、二〇二五年には、六十五歳以上の高齢者が二十五万四千人とピークを迎え、七十五歳以上の人口は二〇三五年までさらに増加する見込みとなっています。
このため本県では、高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築に積極的に取り組まれてきたところであります。
地域包括ケアシステムの構築に向けては、将来にわたって介護サービスの適切な量を確保するとともに、質の確保、向上に努めることが重要な課題となってまいりますが、長引くコロナ禍に加え、原油価格、物価高騰が介護サービスを支える事業者の経営を直撃していると伺っています。
東京商工リサーチの調査結果によると、今年一月から九月の全国の老人福祉・介護事業の倒産件数は百件と、前年から倍増し、過去最多となった二〇二〇年の百十八件を上回る勢いとなっています。
介護サービス事業者は、コロナ禍の利用控えにより収入が伸びない一方、感染対策やかかり増し経費等で負担が増加をしており、今年に入り、食材や光熱費、介護用品などが相次いで値上がりしたことで、経営がさらに悪化したことが要因と考えられています。
また、介護利用料は、国が三年ごとに改定する仕組みとなっていることから、価格転嫁が容易でないことも背景にあるようです。さらに、実質無利子、無担保のコロナ融資を利用した事業者にとって、来年からその返済が本格化することから資金繰りが悪化し、経営不振の小規模事業者を中心に、事業継続を断念する経営者が増加するのではないかと懸念をされています。
私も、知り合いの介護事業者に経営状況について伺ったところ、第八波への懸念でサービス利用を控える方もあり、利用者が回復しない中で物価高が経営を圧迫しているとの切実な声とともに、事業継続のための支援の充実を求められました。
介護サービス事業者が倒産等により事業が廃止された場合には、利用者は別の事業者を探す必要があり、利用者にとっても大きな負担につながることから、介護サービス事業者の安定的な運営はとても重要な課題と考えます。
また、介護サービス事業者は深刻な人手不足に苦しんでおり、介護人材の確保、育成も大きな課題となっています。
二〇二一年度から二三年度までの三カ年を計画期間とする「第八期さがゴールドプラン21」では、介護職員の需給推計について、二〇二五年度には、介護職員が千百四十七人不足する見込みとなっており、県では参入の促進や労働環境の改善、処遇の改善、資質の向上など、介護人材の確保に向けた取組を進めていくことが示されています。
そこで、次の二点についてお伺いいたします。
まず、県内介護サービス事業者の現状と支援についてであります。
介護サービス事業を取り巻く環境は、コロナ禍以前より慢性化する人手不足や従業員の高齢化、事業者間の競争の激化など厳しさを増していました。そこに新型コロナが襲いかかり、今年さらに原油物価高、円安といった想定外の事態も重なり、経営難に拍車をかけています。
そこで、県内の介護サービス事業者の現状について、どのように認識しているかお伺いいたします。
また、介護サービス事業者の事業継続に向けて、これまでどのような支援を行い、今後どのように支援していく考えかお伺いいたします。
次に、介護人材の確保、育成についてお伺いいたします。
先ほど述べましたように、第八期ゴールドプランでは、二〇二五年度には、本県の介護職員が千百四十七人不足する見込みとなっていますが、第七期ゴールドプランでは六百二十二人不足となっていましたので、わずか三年で介護人材の不足数が約二倍に増えたことになります。
私は、介護人材の確保は、地域包括ケアシステムを構築する上で根幹の課題であり、特に将来を担う若い介護人材を育成、定着するための施策をさらに強化していただきたいと訴えてきたところであります。
そこで、介護人材の確保に向けてどのような課題があり、今後、どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
次に、介護支援専門員──ケアマネジャーの確保についてであります。
ケアマネジャーは、介護が必要な人のために介護計画──ケアプランを作成し、事業所の利用をサポートする大切な役割を担っており、各都道府県で実施される試験に合格し、実務研修を修了することでケアマネジャーになることができます。
しかし、県内の合格率は二〇一二年度以降、一〇%から一六%台と全国平均を下回り、昨年二〇二一年度は、一六・一%と全国最低となっており、受検資格の厳格化で受検者数が大幅に減少したことや、試験の難易度の高さが合格率低迷の要因とされています。
居宅介護支援事業所では、ケアマネジャーを確保できない場合、新規の利用申込者を断らなくてはならないケースも出ており、ケアマネジャーの確保は喫緊の課題となっています。
そこで今後、ケアマネジャーの確保に向けてどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
以上、大きく二点、健康福祉部長にお伺いいたします。
最後に、大きな項目の五つ目として、ウイズコロナにおける不登校支援について質問をいたします。
文部科学省の調査によると、二〇二一年度の全国の不登校の児童生徒数は、小中学校で二十四万人を超え、過去最多を更新しており、前年度から約四万九千人、二五%増加し、十年前に比べほぼ倍増しています。また、高等学校の不登校も五万人を超えており、前年度から約八千人、一八%増加しており、長引くコロナ禍における様々な制約や負担が、子供たちの心身にわたる健全な成長を脅かしている現状が明らかになりました。
文部科学省の調査では、小中学校の不登校の原因は無気力、不安が全体の約五割を占め、生活リズムの乱れ、友人との関係、親との関わりと続いています。
昨年度、新型コロナの感染拡大によって休校や学級閉鎖が相次ぎ、運動会や修学旅行などの行事や部活動が制限され、また、給食中の会話を控える黙食が徹底されるなど、子供たちの当たり前の生活が奪われ、人と触れ合う場面が減り、学校生活への息苦しさや不安により登校意欲が低下したことが要因と考えられます。
さらに、一斉休校により学校を休むことへの抵抗感が薄れたのに加え、
オンライン授業の浸透、登校を無理強いしない風潮の広がりで、不登校寸前だった予備軍が一気に顕在化したためとの指摘もあります。
また、不登校数とは別に、新型コロナへの感染回避を理由に三十日以上登校しなかった子供たちは、高校生を含めると約四万人増の七万一千人となっており、長期欠席が不登校につながった可能性についても示されています。
本県においても、二〇二一年度の不登校の児童生徒は、小中学校で前年度と比べ三百二十人、二四・二%増の千六百四十人と過去最多となっており、高等学校も前年度と比べ百六人、三五・六%増の四百四人となっており、全国と同様、コロナ禍の影響を大きく受ける結果となっています。
コロナ禍で友達と自由に交流することができず、学校が楽しくないと考える子供たちが増えたのであれば、大変心配になります。通常の学校生活をどのように取り戻していくのか、真剣に考えていかなければなりません。
そこで、次の三点についてお伺いいたします。
まず、教育長の受け止めについてであります。
コロナ禍における全国的な不登校の急増の原因とされる無気力、不安や生活リズムの乱れなど、子供たちの視点とは別に、子供たちを支えるべき小中学校の現場が多忙過ぎて、子供たちのSOSを受け止め切れていないとの指摘もあります。
教員の多忙化解消は以前から問題となっていましたが、コロナ禍はそれに拍車をかけ、感染対策や
オンライン授業の準備に追われ、児童生徒一人一人とじっくり向き合う余裕がなかったという実態もあったのではないでしょうか。
そこで、教員の多忙化解消、働き方改革の推進といった観点も含め、コロナ禍における不登校の急増についてどのように受け止めているかお伺いいたします。
次に、不登校支援の充実についてお伺いいたします。
県教育委員会では、コロナ禍以前においても不
登校児童生徒の社会的自立や学校への復帰に向け、一人一人の状況に応じた支援に取り組まれてきたところであります。
民間団体と協働した訪問支援による社会自立サポート事業や、学校生活支援員による学校生活支援事業、さらには福祉的な支援を行うスクールソーシャルワーカー活用事業など、本県の不登校対策事業は多岐にわたります。また、県教育支援センター「しいの木」への支援コーディネーターの配置により、市町の不登校支援をサポートするなど、着実に支援の充実が図られてきたものと考えます。
そこで改めて、コロナ禍において不
登校児童生徒に対してどのような支援を行ってきたのかお伺いいたします。
現在、オミクロンによる感染拡大が収束状況にあり、先生や友達と接触する機会が戻った一方で、人間関係をうまく築くことができず、不安やストレスが積み重なっており、不登校の解決に向けた特効薬はないとの指摘もあります。
文部科学省の調査結果の中で一つ気になる点がありまして、学校内外の機関で相談、指導等を受けていない児童生徒数やその割合が、コロナ禍以降、急増をしている点であります。学校に行きづらいことを誰にも相談しなかったケースが増えており、子供たちが悩みや不安を打ち明けやすい環境づくりとともに、そうしたサインにいち早く気づく取組も大変重要になってまいります。
文部科学省では、早期発見や支援のための教育相談体制の充実を図るため、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置を充実させる方針を示されています。
そこで、そうした不登校の未然防止や予防も含め、ウイズコロナにおける不登校支援の充実に向けて、今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
次に、多様な学びの場の現状と今後の支援についてお伺いいたします。
不登校が増加した要因の一つに、二〇一七年に施行された教育機会確保法により、学校以外の多様な学びの場が法的に保障された点が挙げられています。フリースクールなど、民間施設を利用する子供たちは、全国で約九千人となっており、約五年間で三倍に増加しています。しかし、都市部に比べて地方の受皿は十分でないと指摘されており、本県においても、フリースクール等への公的な支援や地域との連携を図り、子供たちが安心して学び、過ごすことができる居場所づくりを進めていくべきではないでしょうか。
本年六月に文部科学省の「不登校に関する調査研究協力者会議」がまとめた報告書には、不
登校児童生徒の多様な教育機会の確保のため、不登校特例校の設置を推進することが示されています。不登校特例校とは、学習指導要領にとらわれず、不登校の状態にある児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成し実施する、文部科学省が指定する学校のことで、現在、全国で二十一校が指定をされています。不登校特例校の設置は、教育機会確保法によって、国や各自治体の努力義務となっており、本県においても、不登校支援の多様な選択肢の一つとして今後検討を行うべきではないかと考えます。
平成三十年十一月議会で、フリースクール等への支援を求め質問をした際、県内では五カ所のフリースクールに二十名が通所をしているとのことでありましたが、公的な支援については、国や他県の動向を注視するという答弁にとどまりました。
そこで、コロナ禍における民間のフリースクール等を含めた不
登校児童生徒の多様な学びの場の現状はどのようになっているか。また、そうした多様な学びの場との連携や支援について、今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
以上三点、教育長にお伺いいたします。
それぞれ、明快かつ前向きな答弁を求め、一回目の質問を終わります。(拍手)
21 ◎山口知事 登壇=中本正一議員の御質問にお答えいたします。
佐賀空港の
自衛隊使用要請への対応について、
協定見直しに対する私の受け止めについてお答えします。
私は、佐賀空港への
自衛隊使用要請について、終始一貫して一つ一つ丁寧に議論を積み重ねてまいりました。防衛省から要請を受けた際も、国防だからといっても要請をすぐに受け入れるということではなく、まず、防衛省に対して、米海兵隊の佐賀空港利用も含めて、計画の全体像、将来像の明確化を強く求めました。そして、その過程で、当時の中谷防衛大臣が来県されて、米軍の利用要請は取り下げられました。その後さらに、オスプレイの安全性、生活環境、漁業、農業等への影響など、様々な観点から、三年半にわたる確認及び検討を行って、論点整理を公表させていただきました。その上で県議会決議などを踏まえて、平成三十年八月に、防衛省の要請に対する県としての判断を行ったわけであります。そしてさらに、判断後も、丁寧に漁協の皆さん方の多くの御懸念に向き合ってまいりました。
私は、これまで八年間、丁寧に取り組んできたからこそ、県への信頼への礎となって、漁協は、もちろん手をたたいてではありませんけれども、見直し、受入れの重い決断をしていただけたのではないかと考えています。
そして私は今回、知事として果たすべき役割は大変重いということを改めて感じました。苦渋の決断をいただいた漁協の皆さんの思いをしっかりと受け止めて、有明海再生に全力を尽くしていきたいと考えています。
今後の県の対応についてお答えします。
今後、事業主体である防衛省において、用地交渉や駐屯地の整備に向けて具体的に取組が進められていくと思います。そうした中で、まず、有明海漁協が特に問題意識を持っておられる排水対策については、有明水産振興センターも協力して、漁協の皆さんが安心できる対策に取り組んでいきたいと思います。
また、所在市となります佐賀市など、関係機関と防衛省との協議が始まると思いますが、こちらも必要に応じて調整を行っていくということも我々の大切な役割だと認識しています。
住民説明会については、その在り方について事業主体であります防衛省や佐賀市、JAさがとも検討していきたいと考えています。
詳細につきましては、政策部長からお答えさせていただきます。
22 ◎進政策部長 登壇=私からは、佐賀空港の
自衛隊使用要請への対応について、今後の県の対応について知事の答弁を補足させていただきます。
公害防止協定等を締結しております佐賀市、JAさが、柳川市、また、有明海漁協もそうですけれども、──とは、今後、事前協議を行っていく必要がございます。この有明海漁協以外の三者、佐賀市、JAさが、柳川市に対しましては十一月二日以降、まずは現状について説明を行ってまいりました。今後、駐屯地の設計や自衛隊機の離発着計画など、具体的な内容が固まった段階で、環境を保全する対策について事前協議を行うこととなります。
説明会につきましては、佐賀市、JAさがからも要望をいただいているところでございまして、その日程、方法等を含め、事業主体である防衛省等と検討してまいります。
以上でございます。
23 ◎甲斐総務部長 登壇=私からは、キャッシュレス納税についてお答えをいたします。
県では、納税者の利便性向上を図るため、県税の納付手段の多様化を進めてきておりまして、これまで従来の窓口納付や口座振替に加えまして、コンビニ納付やインターネットバンキング、クレジットカード、スマートフォン決済アプリによるキャッシュレス納税など、県税の納付手段の拡大に取り組んでまいりました。
また、全国の地方公共団体が共同で利用できる地方税共通納税システムというのがございまして、それが令和元年十月からスタートいたしまして、電子納税できる対象税目が順次拡大してまいりました。本県におきましてもそれに合わせて対応してきておりまして、令和五年度におきましても複数の対象税目の追加を予定しているところでございます。
さらに、令和五年度からはQRコードを用いた電子納税もできるよう、導入に向け、県税システムの改修など準備を進めているところでございます。
キャッシュレス納税の導入効果といたしましては、納付手段が増えたことによる納税者の利便性向上に加えまして、金融機関における窓口業務の負担軽減や納期内納付率の向上、ひいては収入未済額の縮減などにつながっているものと考えております。
キャッシュレス納税の課題といたしましては、これは電子化全般に言えることでございますけれども、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな方や関心をお持ちでない方もいらっしゃいます。このため、キャッシュレス納税の利便性について丁寧に分かりやすく周知広報を行っていきたいと考えております。
今度とも、納税者の利便性向上のため、税手続の電子化や県税の納付手段の多様化、キャッシュレス化について積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
24 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは、大気汚染防止法改正に伴うアスベスト対策の推進についてお答えいたします。
まず、法改正を受けました県の取組についてお答えいたします。
法改正に伴いまして、八十平方メートル以上の解体工事や請負金額百万円以上の改修工事などを行う場合は、アスベストの有無について県への事前調査の結果報告が義務化されました。また、立入検査を行う対象工事の範囲も拡大されたところです。これに対応するために、県内の五つの保健福祉事務所に新たに七名の担当職員を配置したところでございます。
また、担当者が迅速かつ正確に事務処理を行うために、事務処理の手順や留意事項をまとめましたマニュアルを作成しましたほか、法改正の内容の理解を深めるために環境省が開催します研修会に参加させるなどして、職員の育成に努めているところでございます。
次に、円滑な運用に向けまして、解体工事事業者等への周知啓発の取組についてでございますが、県におきまして、改正法が施行される前の年の令和二年度から毎年度、建設業者でありますとか解体工事事業者を対象に講習会を開催しているほか、業界団体が主催をする研修会などにも県から出向きまして説明を行っております。また、法手続やアスベスト対策の留意事項をまとめました手引書でありますとかチラシも作成し、また、そういったものを県のホームページへの掲載などを通じまして、事業者への周知啓発に取り組んでいるところでございます。
次に、アスベスト対策の円滑運用に向けた課題と対応についてお答えをいたします。
国に対する補助制度拡充の働きかけについてでございますが、このことにつきましては、全国知事会内でもアスベストを含む建材が過去に国により生産や使用が認められていた経緯を考慮すれば、建物所有者が調査費用等を全て負担するのは不合理ではないか、こういった意見もございました。こうしたことを踏まえまして、全国知事会から国に対しまして、レベル1だけではなく、レベル2、3のアスベスト建材の有無を確認するための調査費用等に対する補助制度の拡充を要望しております。
今後、県としても国に対し働きかけを行っていきたいと考えております。
その他の課題と対応についてでございますが、今回の法改正は、国民、県民の健康を守るためになされたものと認識しておりまして、全ての関係者が法改正の趣旨やその内容を理解し、適切に対応していただくことが必要であり、また、それが課題ではないかと思っております。このため県としても、事業者に対しまして講習会の開催等を通じまして、引き続き改正内容の周知啓発に努めていきたいと考えております。
また、アスベスト対策を適切に実施していくためには事業者だけではなく、建物所有者の理解も重要なことだと思っております。このため、所有者の方々に対しても、例えば、県民だよりなど、様々な広報媒体を通じまして、国民、県民の健康を守るという法の趣旨、改正内容についてしっかりと周知啓発を行っていきたいと考えております。
次に、災害時におけますアスベスト飛散防止対策についてお答えいたします。
災害発生時にアスベストの飛散やばく露、吸い込みの意味でございますけれども、こうしたことを防止するためには、平常時から建物等におけますアスベストの使用状況を把握しておくことが大切であると考えておりまして、現在、国が作成をしましたマニュアルに沿って台帳の整備を鋭意進めているところでございます。
吹きつけアスベスト、いわゆるレベル1の建材が使用されている建築物の台帳につきましては、建築基準法のいわゆる監督官庁であります県と佐賀市で整備を進めております。また、吹きつけアスベスト以外のレベル2、3の建材を使用しました建築物の台帳につきましては、市町の協力を得ながら整備を進めているところでございます。
なお、国のほうは今回の法改正を受けまして、全てのアスベストが規制対象となりましたことから、マニュアル改定に取り組まれておりまして、改定状況も確認をしながら台帳整備も進めてまいりたいと思います。
また、台帳整備以外の対策としまして、県において災害時に取るべき対策をまとめました「佐賀県災害時石綿飛散・ばく露防止対策マニュアル」というものを作成しておりまして、これは市町とも共有してございます。
このマニュアルですけれども、例えば、住民や災害対応に従事をしている者に対しまして、チラシ等によりアスベストの基礎知識や吸引防止の方法を説明するとともに、使い捨て防塵マスクを配布することでありますとか、アスベストの有無の調査に関する専門家の協力を得ながら、被災建築物等からアスベストが露出しているかどうかを調査することなど、平常時対応、初動対応、応急対応など、対応区分ごとに取り組むべきことを記載しておりまして、災害発生時にはこれらを活用しまして、速やかに対策を講じることとしております。
また、今年の六月でございますけれども、九州・山口八県共同で、災害時におけますアスベスト調査の支援活動を行っております専門家団体と協定を締結しまして、災害発生時に被災をした建築物等のアスベスト調査を速やかに実施できる体制を整えたところでございます。
今後も、台帳整備を進めますとともに、マニュアルにつきましては随時必要な見直しを行いながら、また、専門家団体との連携を行いながら、災害時におけますアスベスト対策にしっかりと取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
25 ◎久保山健康福祉部長 登壇=私からは、介護サービス事業の安定的な運営についてお答えいたします。
まず、県内の介護サービス事業者の現状の認識でございます。
直近三年間の県内の介護サービス事業所数については、令和元年度が二千二百八十九事業所、令和二年度が二千二百九十九事業所、令和三年度が二千三百十一事業所となっておりまして、微増の状況でございます。
また、平成三十一年四月から令和四年十月一日までの間に廃止の届出があった介護サービス事業所は、県内全体で三百十五事業所で、そのうち県が把握しております廃止理由は、人員の確保が困難、事業の見直しといった経営上の理由が多く、いわゆる倒産などを直接の理由としたものは把握しておりません。
しかしながら、議員御指摘のとおり、平常時と比較いたしまして、コロナ禍で感染症防止対策を行いながらのサービスの提供は事業者にとって大きな負担となっており、加えまして、物価高騰による運営費の増大の影響もあることから、大変厳しい環境にあるものと認識しているところでございます。
次に、介護サービス事業者へのこれまでの支援と今後の支援についてでございます。
県では、新型コロナの陽性者が確認された事業所に対しまして、衛生用品の購入費や消毒費用、割増賃金や職員派遣費用などを補助する事業に取り組んでいるところでございまして、これまで延べ九十九法人、九千四百九十七万円の補助を実施したところでございます。
また、今後の感染拡大に備えまして九月補正で予算を増額いたしまして、合計七億九千八十一万円を確保しているところでございます。
引き続き、介護サービス事業者がコロナ禍においても継続して事業を実施できるよう、しっかりと支援してまいります。
物価高騰による影響を受けた事業所に対する支援といたしましては、本議会におきまして物価高騰対応応援金事業に関する予算案を提案させていただいているところでございます。
これは、介護報酬など国の定める公定価格で運営されている介護サービス事業所などを対象に、光熱費などの物価高騰分を即効性のある応援金として交付するもので、例えば、五十人規模の入所施設では六十万円、二十人規模の通所施設では十五万円を支給するというものでございます。これにより物価高騰などの影響をある程度緩和することができるのではないかというふうに考えております。
また、事業実施に当たりましては、必要なところに速やかに届く速達性が何よりも大切であると認識しておりまして、本議会で御承認いただければ、速やかに交付できるよう進めてまいります。
県では、これらの事業を着実に取り組んでいくとともに、今後とも状況把握に努め、必要があれば支援等を検討するなど、介護サービス事業者に寄り添った応援、対応をしてまいります。
続きまして、介護人材確保の課題、取組についてでございます。
今後、後期高齢者の人口増加とともに、介護や医療ニーズを併せ持つ要介護者の増大が見込まれておりまして、地域包括ケアシステムの推進に当たっては、介護人材は最も重要な基盤と認識しているところでございます。
しかしながら、現状におきましても介護の業種に係る有効求人倍率は三・二八倍と、全産業平均の一・三五倍を大きく上回っており、介護人材の確保は喫緊の課題と考えております。
このような状況を踏まえまして、多くの人に介護職を選んでもらえるために、処遇がよくない、仕事がきついといった介護職のマイナスイメージを払拭していく必要がございます。
このため県では、介護は人と人が触れ合う尊い仕事で、非常にやりがいがあるという現場で働く人の声が多くの人に届くよう、小中学生向け職場体験イベント「キッザケアサガ」の開催、働く人のリアルな声を届ける魅力発信ウェブサイト「さがケア」の開設、あるいは介護に関する入門研修など、特に若年層や介護未経験者に対して介護の魅力を発信し、イメージアップを図る事業に取り組んでおります。
ほかにも、事務負担や身体的負担を軽減する先進機器の導入でありますとか託児所設置費用への補助、介護職員の処遇改善加算の取得促進といった、介護の現場で働く人たちの処遇改善につながる取組も実施しているところでございます。
今後とも、こうした介護職に対するイメージ向上や職場環境改善への支援などの事業を着実に実施し、介護人材の確保に取り組んでまいります。
続きまして、ケアマネジャーの確保についてでございます。
令和二年に県が実施した調査では、約四割の事業者がケアマネジャーの不足感を感じていると回答されております。また、ケアマネジャーが、不満と回答した事項では、賃金、人事評価・処遇が上位に上がっているところでございます。
こうした調査結果から、近年、介護保険制度におきましては介護職員の処遇改善加算が創設されたものの、ケアマネジャーは基本的には対象外となっており、職責に応じた処遇改善が進んでいないことが、ケアマネジャー不足の要因の一つになっているのではないかと考えているところでございます。
このような状況に対しまして、国の社会保障審議会におきましてもケアマネジャー等の処遇改善に関する意見が出されているところでありまして、今後の処遇改善につながることを期待しているところでございます。
県といたしましても、ケアマネジャーの確保は重要な課題の一つと認識しております。来年度策定する予定の次期「さがゴールドプラン21」の
検討委員会の中で現状及び課題を共有いたしまして、改善に向けた方策について検討してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
26 ◎元村会計管理者 登壇=私からは、本県におけるキャッシュレス化推進についての質問のうち、収納手段の多様化についてお答えさせていただきたいと思います。
議員御指摘の収入証紙制度でございますけれども、これは申請者が県に対する手数料などを納付する際の納付方法の一つでございまして、県があらかじめ印刷した証紙を県指定の証紙販売人を通じて購入し、県に提出する申請書等に貼付することによって手数料などを納付する制度でございます。
申請者の窓口での申請に要する時間の短縮や県においては歳入未済の防止、現金取扱事務の軽減などのメリットがある一方で、申請窓口とは別の場所で証紙を購入しなければならないことや、証紙印刷費や売りさばき手数料、これは年間四千二百万円程度でございますけれども、管理費がかかることになります。
本県では、運転免許証の更新手数料など現在八百四十一手続で収入証紙による収納を行っておりまして、この収入証紙は県内の七十五カ所の売りさばき所において販売されている状況でございます。
現在、申請手数料等につきましては、ほとんどが収入証紙での納付となっていますけれども、収納手段の多様化の一つでございますキャッシュレスの取組も進めてございます。
具体的には、電子申請ができる手続のうち、手数料が必要な全ての手続におきまして、ペイジー、いわゆるインターネットバンキングでの納付を導入させていただいております。また、パスポート申請の電子申請に係る手数料についてもクレジットによる納付の導入など、現状ではできるところからキャッシュレス化の取組など、収納手段の多様化に努めている状況です。
また、証紙収納のほかのキャッシュレス収納として、名護屋城博物館や吉野ヶ里歴史公園などにおいて、入場料やグッズ販売などの物品販売収入について、「paypay」や「d払い」などのスマートフォン決済アプリに対応した収納手段を導入したところでございます。
こうしたキャッシュレスに対する認知というものが社会全体に広がっておりまして、また、行政のデジタル化の推進、行政手続のオンライン化の進展などにより、県の窓口収納におけるキャッシュレス決済導入の重要性というのはますます高まってきております。県民の利便性を向上させるために、キャッシュレスも含めた収納手段の多様化を進めていくことは必要であると認識しています。
県では、これまで証紙による収納というものを基本として、できるところからキャッシュレス収納の取組を進めてきたところでございますけれども、こうした証紙による収納にこだわらず、コンビニ収納や窓口での電子マネーによる収納など、あらゆる手段で収納できるよう検討する必要があると考えています。
現在、そうした取組に向け、様々な課題を整理しているところでございまして、実際の導入事例なども確認し、各部局とも連携を取りながら、キャッシュレスを含めた窓口収納手段の多様化を進めてまいります。
私からは以上でございます。
27 ◎落合教育長 登壇=私からは、ウイズコロナにおける不登校支援についてお答えをいたします。
まず、コロナ禍における不登校の急増に対する私の受け止めというお尋ねをいただきました。
私は、学校を設置・運営する立場ですので、やはり全ての学校は、全ての児童生徒にとって安心して楽しく過ごせる場所であってほしいと思いますし、そういう学校づくりを進めなければならないと思っています。
そういった中で今回の調査においては、不
登校児童生徒の数が、全国と同様、佐賀県においても過去最多という点について非常に重く受け止めているところであります。
不登校も子供によって様々で、子供によってはその期間が休養になったり、あるいは自分を見詰め直す、そういった意味で積極的な意味合いを持つ場合もありますけども、そうであっても不登校により学業の遅れとか、あるいは進路選択、そういった不安が伴うというのも間違いないところだろうというふうに考えております。
そういった意味で、学校が全ての児童生徒にとって安心して楽しく過ごせる魅力ある学校になるように、そういった学校づくりを進めていかなければならないという決意を新たにしたところであります。
今回、不登校の児童生徒の数が急増した要因については、先ほど議員のほうからも御指摘があったことが全国的にも言われておりますし、佐賀県においても同様だろうと考えております。
ただ一点、教職員の業務がコロナ禍の中で感染対策で非常に多忙になり、余裕がなくなったことも要因じゃないかという御指摘がありました。私自身は、確かにコロナ禍において感染対策で教職員が大変だったと、教育現場は本当に大変な御苦労をしていただいたと考えておりますけども、それによって余裕がなくなり、現場の先生たちが児童生徒に向き合う余裕がなくなったとは思っておりませんで、現場の先生たちはそういった中にあっても一生懸命、児童生徒に向き合ってもらったものというふうに考えております。
次に、不登校支援の充実についてお答えをいたします。
県教育委員会では、不
登校児童生徒の状況は様々でありますので、不
登校児童生徒の社会的自立や学校復帰を目指して、一人一人の状況に応じた段階的な支援として不登校対策総合推進事業に取り組んでいます。特にコロナ禍においては人と人との交流が制限され、教員に相談することが難しい児童生徒もいることを考慮いたしまして、相談しやすい雰囲気づくりや教育相談の充実に取り組むとともに、
オンライン授業やスクールカウンセラーによる電話相談などの支援を行っており、ウイズコロナにおいてもこういった支援は継続していきたいと考えております。
また、本県では不登校対策については、不登校の児童生徒を孤立させない、学校内外の機関などにおいて相談、指導を受けることができるようにしておくということを重視しておりまして、令和三年度は、佐賀県は全国を大きく上回り約八割の不
登校児童生徒が何らかの形で相談支援を受けている状況になっており、我々の取組は一定の成果を上げているのではないかと認識をいたしております。
次に、多様な学びの場の現状と今後の支援についてお答えをいたします。
不
登校児童生徒に対しては一人一人の状況に応じた支援が必要であり、多様な学びの場を確保することは非常に重要であると考えております。
フリースクールにつきましては、法による定義はありませんけれども、一般的には学習支援、教育相談、体験活動を行う民間の施設であり、その規模や活動内容は多種多様であります。
これまで県内の学校が出席扱いにした実績のあるフリースクールは六カ所あります。そのうち令和四年九月時点で四カ所のフリースクールに七十七名の児童生徒が通所しております。
県教育委員会としましては、フリースクールとの連携として、不
登校児童生徒支援協議会を設置し、県及び市町の
教育委員会やフリースクールなどとで不
登校児童生徒の支援の在り方などについて協議を行っており、今後も継続していきたいと考えております。
また、議員のほうからも御紹介がありました不登校特例校ですけれども、この不登校特例校というのは、不
登校児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成して教育を実施できる学校でありまして、文部科学大臣の指定を受けて設置することができます。
議員からも紹介がありましたけれども、現在全国で公私併せて二十一校ございますが、本県ではまだ設置はされておりません。
不
登校児童生徒の多様な学びの場の一つとして、この不登校特例校というのもその設置の必要性について検討する必要があると考えておりますけれども、義務教育段階における不登校特例校につきましては、基本的に小中学校を設置運営する市町の役割だと考えておりまして、市町のほうで検討される場合には、
県教育委員会としても積極的にサポートしたいと考えております。
県教育委員会では、不
登校児童生徒の多様な学びの確保について、今後とも積極的に取組の充実を図ってまいります。
私からは以上です。
28 ◎中本正一君 登壇=まず、介護サービス事業の安定的な運営についてでありますが、県内の介護サービス事業者については、倒産は把握されていないということで、厳しいながらも、比較的安定している状態だという認識もお示しをいただきました。
さらに今議会、光熱費等の高騰に対する物価高騰対応応援金を給付する予算が上程されているということで、これは一定評価をするところでありますけれども、私が事業者からお話を伺った中では、特にいわゆるゼロゼロ融資、実質無利息、無担保のコロナ融資、この返済が始まったところがやはり資金繰りが厳しくなっていると、こういうお話も伺っておりますので、そうした点にぜひ目を向けていただいて、実態に即した機動的な対応ができるよう、これは求めておきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
それでは、佐賀空港の
自衛隊使用要請への対応の中で、今後の県の対応について再質問をさせていただきます。
協定の見直しを受け、
浜田防衛大臣は早期の用地取得交渉に言及されており、用地取得は防衛省にとって最優先事項とされているものの、ノリ漁は来春まで続くため、交渉に入る時期は見通せないのが実情と言えます。
一方、陸上自衛隊オスプレイは、千葉県木更津市の木更津駐屯地に五年以内の約束で暫定配備されており、期限は二〇二五年七月となっており、猶予は残されていませんが、これまでの議会答弁ではスケジュールありきで進めていくつもりはないと、このように明確に答弁をされております。
そうした中、島嶼防衛といった点につきましては、本年八月には中国軍が日本の排他的経済水域内に弾道ミサイル五発を打ち込むなど、台湾海況の平和と安定をめぐる問題が今クローズアップされています。
また、中国海警局の巡視船等による尖閣周辺での領海侵入も常態化をしておりまして、非常に緊迫感を増しています。
また、北朝鮮によるミサイル発射は今年だけで五十発を超えており、実戦配備に向けた性能実験を行っていると、こういう見方もされています。このように、日本を取り巻く国防、安全保障環境が、今年に入りウクライナ危機も含めて厳しさと不確実性を増している現状があります。
今朝の議論でもありましたように、県は、国の根幹に関わる国防政策に関して、基本的に協力する立場にあるというのであれば、県としても国防に協力する立場から、防衛省の取組を積極的に支援していただきたいというふうに考えますが、見解をお伺いいたします。
29 ◎進政策部長 登壇=中本議員の再質問にお答えいたします。オスプレイの関連で今後の取組ということでお答えいたします。
今後、事業主体である防衛省におきましては、用地交渉や駐屯地の整備に向けて具体的な取組が進められていくと思います。
その際に、防衛省としては、今議員おっしゃったように木更津の問題や、もしくは今取り巻く安全保障環境ということを頭に置いたスケジュール感を持って当然進めていくんだと思います。
我々も、防衛省とはいろいろ情報も当然共有していますし、連絡も取りながら今進めているところでございます。もちろん、何月何日までに絶対やらなくちゃいけないという立場ではございませんけれども、ちゃんと連絡を取りながら今行っております。
国防に関することであり、防衛省と今後も連絡を取り合いながら、お互いの状況も共有しながら、駐屯地整備が円滑に進むように県としても支援していきたいと考えております。
以上でございます。
30 ◎古賀陽三君(拍手)登壇=早速質問に入ります。
まずアーバンスポーツの振興についてですが、このアーバンスポーツ、あまり聞き慣れない言葉ではないかと思っています。アーバンとは英語で都市の、都会のといった意味で、このアーバンスポーツは大規模なスタジアムやアリーナではなく、広場やストリートなど、人が集まる場所、つまりは私たちが日常目にしている場所で行うことができ、また従来のスポーツにはない音楽性やファッション性など、ライフスタイルから派生したスポーツとして、特に若年層から支持をされているスポーツです。
このアーバンスポーツの代表的なものとして、スケートボードやBMX、スポーツクライミングが挙げられます。ほかにもサーフィンなど、これらのアーバンスポーツと呼ばれる新たなスポーツについては、昨年開催された東京オリンピックで正式種目として採用され、若い世代の日本人選手の目覚ましい活躍が日本のメダル獲得に大きく寄与したことは記憶に新しいかと思っています。
そうした選手の活躍を目の当たりにして、これまで遊びというカテゴリーでこれらの種目を捉えていた人たちも、オリンピック競技として観戦することで、競技性の高いスポーツとして認知する大きなきっかけになったものだと思っています。
この東京オリンピックでのアーバンスポーツの採用には、IOCが若者のオリンピック離れに危機感を抱いたことがあるとされており、他の調査においても、現在、子供のスポーツ離れが進んでいると言われています。
アーバンスポーツの特徴として、選手、観客の双方が圧倒的に若い点が挙げられ、あわせて最初に申し上げたように、音楽やファッション、またアートといった若者文化が融合したものとして、従来のスポーツの枠を超え、遊び、カルチャーの延長線上にある新たなスポーツとしての価値を提供しています。
一方で、アーバンスポーツの競技人口は総じて少なく、認知度もまだまだ低いこと、そうしたアーバンスポーツをしたいと思っていても、場所や指導者が身近にいない、また、周囲の理解が得にくいといった問題点があるようであります。実際に私も、駅周辺や町なかでスケートボードなどの練習をする若い世代を見かけることもあります。
スケートボードの走行に伴う騒音や歩行者の妨げにならないかといった安全性や交通秩序を守るという観点から、周辺とのトラブルを招くこともあるのではないかと危惧しています。また近寄り難い、そうしたイメージを持つ方もいらっしゃるというふうに聞いています。
こういったことから、人気上昇の傍ら今後スポーツとして広がっていくには幾つかの課題があると感じています。
先日、佐賀出身の中川きらら選手がBMXの全国大会二連覇を達成され、知事を訪問されたと伺っています。佐賀県においても全国的に活躍できる若い選手が育っていることを感じたところでもありました。ほかにも、「3x3(スリー・エックス・スリー)」バスケットボールをはじめ、マウンテンバイク、スケートボードなど、県内各地で民間を中心とした新たな動きが生まれてきており、例えば、スケートボードではプロスケーターによるデモンストレーションや無料体験スクールが開催されたり、マウンテンバイクでは富士町の苣木地区で、地元住民とマウンテンバイク愛好家でコースを手作りして大会を開催するなど、それぞれが努力をされている、そういったことを伺っているところであります。
こうしたアーバンスポーツがよいイメージを持ったスポーツとして、する側も見る側も楽しめる競技として幅広い世代に受け入れられていくことが、今後、佐賀県のスポーツの裾野を広げることにも寄与するのではないかと考えています。
そこで、次の点について伺います。
まず、これまでの取組についてであります。
アーバンスポーツの振興について県としてどのように取り組んでいるのか。
次に、今後の取組についてであります。
今後、アーバンスポーツを推進していくに当たっては、アーバンスポーツという言葉の定着、スポーツとしての認知度を高めたり、場所の確保など様々な課題があるものと認識をしています。特にこの場所の確保には大変困ってあるといったような話も伺っておりまして、そうしたことについても、県や市町といった行政側の少しの後押しであったりとか、理解や協力があればといったことも感じています。県として、今後アーバンスポーツの振興に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、原油・物価高騰に係る中小事業者への支援についてであります。
原油価格・物価高騰対策については、これまで六月補正予算、九月補正予算により一定の要件の下で対策を打ってこられたものと認識をしています。
今議会でも、燃油や原材料等の価格が高止まりしている状況にあることに加え、電気やガスなど光熱費の値上げが続いていることから、追加措置の予算が提案をされています。具体的には、中小事業者を対象とした支援策として、予算総額約十六億四千四百万円の物価高騰対応への応援金としての予算が提案をされています。
六月補正の際には、原油・原材料高緊急対策事業費では、仕入価格の上昇率や価格転嫁ができないことなど一定の要件が設けられていました。
一方で、今議会に提案されている物価高騰対応応援金の補正予算では、六月補正予算とは異なり、仕入価格の上昇率や価格転嫁ができないことなどといった要件は設定がなされていません。そうしたことから、現に事業を行っていれば、ほぼほぼ全ての中小事業者が交付を受けることができるものとなっています。
燃油や原材料等の価格が高止まりしている状況に加えて、電気・ガス料金が上昇し、中小事業者の事業活動が影響を受けているとは思っているものの、産業労働部からの報告事項にあった原油・原材料高に係る事業者支援の実施状況を見ると、十月二十四日現在、原材料等高騰対応緊急応援金については七億三千三百万円の予算に対し、一億七千万円が交付決定金額として記載をされていました。
現在、受付件数も伸びているようで、審査を行っているとのことで、六割ぐらいの交付が見込まれるといったようなことでございましたが、受付期間が当初九月末だったものを、一部の要件を緩和しながら十月末へ、さらに十一月末へと再延長されました。正直なところ、私自身はもっと早い段階で数字は相当に伸びているのかなと思っていたところでございます。
今回のように一定の要件がなく、ほぼ全ての中小事業者が交付を受けることができる定額の応援金、厳しい状況に置かれている中小事業者に対してスピード感を持って対応できるといった点では必要性を理解しなければならないと思っています。
ただ、私は、一時金、この応援金とはいえ、交付の対象は真に困っている中小事業者に絞り込むべきではなかろうかというようなことも思っていて、今回のようにほぼ全ての中小事業者が交付を受けることができる定額の応援金といった形のものより、事業者が他者との差別化を図ったり、利益を出す取組に対する支援など、長期化が予想される中で、一時的なものではなく、将来に向けて中小事業者が持続可能な効果が見込まれる、そういった支援を行っていくべきと考えていますが、県としての認識を伺っておきたいと思います。
次に、「SAGAブループロジェクト」における交差点のカラー化について伺います。
佐賀県では、交通事故の一層の減少を図るため、これまで交差点のカラー化によるハード対策に加え、デザインの力を活用した広報・啓発などのソフト対策を組み合わせた交通事故防止対策「SAGAブループロジェクト」事業を進めてきています。
私も県内各地でカラー化された交差点を見かけます。これは運転者に対し視覚的に訴えるもので、注意喚起策としての一定の役割を担っているものと思っています。しかしながら、走行車両がカラー舗装を踏むことで、タイヤ痕や黒ずみ等が発生をし、視認性等が低下している箇所が数多く見られるのも現状ではなかろうかと思っています。
佐賀県では、これまで過去に五年連続ワーストワンが続いていました。そうしたことから、強い危機感を持って警察や市町をはじめ、関係機関・団体、交通ボランティアの方々の熱心な取組と、このプロジェクトの相乗効果もあり、交通事故、交通死亡事故とも減少傾向で推移しているものと認識をしています。
しかしながら、交通事故の発生件数はいまだ全国ワーストレベルを脱却しておらず、一昨日も死亡事故が発生をし、十月以降わずか一カ月の間で六名の方が亡くなられていると、そういった現状にあります。そうしたことから、引き続きさらなる交通事故防止対策を進める必要があると考えています。
このため、これまでの事業の効果をしっかりと検証し、問題点があれば改善を加え、より一層の効果的な対策につなげていく必要があるかと思っております。そうしたことから、以下の点についてお尋ねをいたします。
まず、これまでの取組の評価についてであります。
これまで県では、平成二十三年から平成二十六年の四年間で八件以上の人身事故が発生した事故多発交差点二百三十八カ所、そのうちの二百三十五カ所の交差点内をカラー化し、さらに、十六件以上とより多くの人身事故が発生した場所には、誘導目的として右左折・直進レーンにも併せてカラー化を行ってこられたと認識をしています。
県内における人身事故発生等が減少しているということは、これまでの様々な取組の成果であろうと思っています。これが一概にこのプロジェクトだけで達成されたものかどうか、そういったことは評価をしづらいこともあろうかと思っていますが、これまでの「SAGAブループロジェクト」、特に交差点のカラー化については県としてどのように評価しているのか伺います。
最後に、今後の取組についてであります。
県内各所においてカラー舗装が施工されています。仕方がないことかもしれませんが、最初に申し上げたように、施工後すぐからタイヤ痕が確認され、数カ月すれば黒ずみ等が見られ、数年たてばほぼ消えかかっているなど、明らかに舗装の劣化が見受けられる状態にあります。
こうした現状は、視認性の低下につながるものであり、このような状況が続くことは果たしてこの効果の発現に結びつくのか、また、その効果の検証ができるのか、正直疑問に感じています。こうしたことから、交差点のカラー化が事故防止対策としての効果を継続するためには、適切に維持や更新をしていくことが必要になってくるといったことも考えられます。
あわせて、これまで平成二十三年から平成二十六年の四年間での事故多発交差点の二百三十五カ所を整備してこられましたが、これ以降もカラー化の基準に合致するような事故多発交差点はほかにも存在しているものと思っています。継続的な対策として行うのであれば、新たな場所の整備はどうするのかといった課題もあるのではないかと思っています。そうしたことを踏まえ、県として今後どのように取り組んでいくのかお尋ねをしたいと思います。
以上で質問を終わります。(拍手)
31 ◎寺島産業労働部長 登壇=古賀陽三議員の御質問にお答えいたします。
私からは、原油・物価高騰に係る中小事業者への支援についてお答えをいたします。
本県の中小事業者を取り巻く環境は、二年半以上にわたるコロナ禍、そして、コロナ禍の中での急激な原油・原材料の価格高騰、また、半導体をはじめとする部品や資材の不足など、これまでに経験のない規模で深刻な影響を及ぼし、個々の企業の自力救済に委ねるだけでは対応できない、そういった危機的な状況にあるというふうに認識をしております。
そして、原油・原材料高のコスト上昇分の価格転嫁が十分にできていないという状況の中で、さらに追い打ちをかけるように電気、ガスの料金の高騰も続き、そしてまた、急速な円安の進行もあり、経営環境が一層厳しさを増しているといったことから、幅広い事業者を対象とした追加の支援を行う必要があると判断し、今議会において物価高騰対応応援金の予算をお願いしているところでございます。
そして、今回の応援金につきましても、どのような要件を設定するのが適切なのかといったことについては、もちろん検討いたしました。
一つは、原油・原材料の価格高騰の影響が出始めてからおよそ一年近くなります。その間に、仕入れ額上昇を仮に今回の応援金の要件ということで設定をいたしますと、例えば、企業の努力によって仕入れコストを抑制したり、あるいは原材料を見直したり、また、価格転嫁といったものをしたりと、そういった努力をされている事業者さんが対象から外れてしまうといった、そういった公平性の問題が出てまいります。
それではということで、そういった価格転嫁ですとか、あるいは原材料の見直し、コストの抑制といったもの、そういった経営状況をしっかりと確認するということにいたしますと、今度は申請者側の負担も大変大きくなりますし、そのことを書類で確認する審査側もかなり時間を要するということになってしまいまして、結果、応援金を迅速に交付できないといった問題が生じてまいります。そして、今回直面しております電気料金の高騰となりますと、これはもうほぼ全ての事業者に大きな影響を与えるものでございます。
こうしたことから、今回の応援金につきましては、要件を令和四年十一月一日以前から事業を継続している事業者を対象ということにさせていただいております。
ただ、物価高騰対応応援金でございますので、現行の応援金と同様に、申請に当たりましては物価高騰が経営に影響を与えていることについての記載は求めることとしております。そういったことで、何かこの原油ですとか物価の高騰、あるいは電気代の高騰などによって経営に影響がほぼないといったところの事業者に対しても、全てに交付をするという考えではございません。そういった影響を受けているといったことは書類で確認をさせていただくこととしております。
そして、議員から御指摘もございましたけれども、私どもとしても、一方で将来に向けて企業の成長発展、また、本県経済の活性化に効果が見込まれる支援といったものも、これまた必要であるというふうに考えております。
そのため、コロナ禍での原油・物価高という中にあっても、アフターコロナですとか、あるいはカーボンニュートラルといったものを見据えて、今のピンチをチャンスに変えようと前向きに捉えて、新たな分野への進出や業態の転換、新商品の開発、あるいは燃料転換や再生可能エネルギーの導入などにチャレンジし、中長期的に稼げる経営を目指す、そういった中小事業者への支援も行っておりますし、今議会におきましても、新事業チャレンジ支援補助金の第四弾となります予算案をお願いしているところでございます。
今後も、現場を第一に、事業者の声に耳を傾けまして、コロナ禍における物価高や供給制約、そして、急速な円安の進行が重なるというこの危機的な状況の中にあっても、将来を見据え前向きに取り組む事業者を全力で支援してまいります。
私からは以上でございます。
32 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは、「SAGAブループロジェクト」における交差点のカラー化についてお答えをいたします。
交通事故防止対策「SAGAブループロジェクト」は、令和元年度から交差点のカラー化による注意喚起に加えまして、デザインの力を活用した広報・啓発事業を組み合わせ、ハードとソフトの相乗効果による交通事故防止対策に取り組んでいるところでございます。
このうち、ハード対策であります交差点のカラー化につきましては、集中力を高める効果があると言われております青色を使い、交差点内に四角の枠組みを行ったり、また、交差点の直進・左折レーンを赤色、右折を青色に着色し、通行区分が容易に判断できるようにレーンのカラー化を行っており、「SAGAブループロジェクト」が始まります前の平成二十八年度から取り組んでおります。
「SAGAブループロジェクト」の事業の効果を事故の発生状況で比較しますと、人身交通事故、死亡者数とも事業前と比べまして大きく減少しております。
例えば、人身事故発生件数につきましては、対策前の平成三十年度には五千七百二十五件ございました。対策を行いました後の令和三年の数字でございますけれども、三千五百六件となっておりまして、平成三十年と比べますと二千二百十九件の減少、パーセントでいいますと三八・八%の減少となっています。この間、全国平均の減少率と比較しますと、全国平均の減少率がマイナス二九%となってございますので、事業の効果というのは一定程度あっているものというふうに認識をしております。
交差点のカラー化につきましては、令和三年度までに事故が多かった二百三十五カ所の交差点で対策を実施しております。このうち、平成三十年十二月までに施工が完了しました七十六カ所の交差点について、対策前後の人身交通事故発生件数を比較しますと、対策前の平成二十八年には二百七十四件でありましたけれども、対策後の令和二年には百五十四件で、百二十件、パーセントでいいますと四三・八%減少してございます。県内全体の人身事故発生件数でもカラー化した交差点での人身事故発生件数、双方とも事故件数が減少傾向にあります。
「SAGAブループロジェクト」は、県民一人一人の心に届くような対策をハード、ソフトを組み合わせながら重ねてきたものでございます。「SAGAブループロジェクト」が目指します県民一人一人の意識改革につながっているものと考えてございます。
次に、今後の取組についてでございますが、交差点のカラー化は「SAGAブループロジェクト」が目指します県民一人一人の意識改革につながり、人身交通事故発生件数等も減少していますことから、今後も交差点のカラー化の取組を継続していきたいと考えてございます。
これまでにカラー化を実施してきました交差点では、既にカラーが薄くなっている箇所も見受けられますことから、カラー化の効果が継続しますよう箇所ごとの対策の効果を見つつ、維持、更新に努めてまいりたいと考えております。
また、必要に応じまして、新たに対策をいたします交差点を追加することも必要だと考えてございます。現在、カラー化していない交差点の人身事故発生状況を再度確認し、対応していきたいと考えてございます。
さらに市町に対しまして、交差点のカラー化によります交通事故減少効果について情報提供を行いまして、市町道の交差点でも取り組んでいくよう促していきたいと考えてございます。
「SAGAブループロジェクト」は、県民一人一人の意識改革に向けましたソフトとハード両面での総合的な取組でございまして、交差点のカラー化はハード対策の柱となる大事な事業でございます。今後も警察や市町、その他関係機関・団体と緊密に連携をしまして、交通事故防止対策に全力で取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
33 ◎宮原SAGA2024・SSP推進局長 登壇=私からは、アーバンスポーツの振興についてお答えいたします。
まず、これまでの取組についてでございます。
アーバンスポーツは、御紹介いただきましたように、ストリート等から生まれた自由さ、かっこよさもございまして、身近な町なかで気軽にするスポーツとしての側面とともに、見るスポーツとしての魅力も兼ね備えた多様なスポーツ文化の広がりを実感できるものであり、東京オリンピックを契機として、若い世代を中心に認知が進んできていると認識しているところでございます。
県ではこれまで、こうしたアーバンスポーツの新しい魅力を県民に紹介し、スポーツに対する関心を高め、スポーツを楽しむ環境づくりに取り組んでまいりました。
具体的には、スケートボードやスポーツクライミングなどが東京オリンピックの追加種目として正式に発表されました翌年の平成二十九年度から令和三年度まで、アーバンスポーツの魅力を発信し、体験できるイベント「Xスポーツフェス」を開催してまいりました。
平成二十九年度、三十年度には、バルーンフェスタ会場や県立博物館北側広場などにおきまして、BMX、スケートボード、ボルダリングをはじめとした数多くの種目でトップレベルのパフォーマンスを見せるステージや体験イベントを行ってきたところでございます。
また、令和元年度には嬉野市の中央広場で二日間にわたり開催いたしまして、延べ一万人を超える来場者にお越しいただきました。
こうした取組によりまして、平成二十九年度から令和三年度までの五年間で合計二万人を超える方に御来場いただき、アーバンスポーツの魅力に触れていただきました。
来場者の方からは、スケートボードやBMXといった競技はテレビで見るものと思っていたけれども、体験してみたら自分や子供でもできるスポーツだと実感できたですとか、前年のイベントでのBMX体験をきっかけに子供がスクールに通い出したなどの声をいただいたところでございます。
今後の取組についてでございます。
昨年、東京オリンピックが開催され、御承知のように若い世代の選手たちが大活躍することで日本中が盛り上がり、幅広い世代にアーバンスポーツの新たな魅力を伝えることとなって、その認知は一定程度高まったと実感しております。このような認知の高まりとともに、コロナ禍ではありましたけれども、県内におきましてもアーバンスポーツにおける民間の取組が広がってきております。
例えば、BMXでは「佐賀のRUN」という大会が佐賀市のむつごろう広場で毎年開催され、全国からトップ選手が集う大会に成長してきています。また、スケートボードでも佐賀市で開催される「HI CUP」や唐津市で行われる「SOUL RIDE」など民間の大会に多くのプレーヤーが参加し、盛り上がりを見せております。議員から御紹介いただきました苣木のマウンテンバイク等も含めた、こうした民間の取組に対しまして、県は現在、協賛や広報面での支援を行っているところでございます。今後も引き続き、民間の取組を支援することにより、アーバンスポーツの振興に取り組んでまいります。
一方、スケートボードの関係者と意見交換を行う中では、オリンピックでの日本人選手の活躍を受けて、子供たちに習わせたいという声が多くなって、県内のイベントにおいても県外からも滑りに来るという方もいるという一方で、議員から御指摘がありましたように、佐賀市には練習場所が少なくて、また、町なかで滑る若い世代の中には一部でマナーが問題となっているところもあるとの話も私たちも聞いております。
こうした練習場所やマナー向上の課題につきましても、競技団体や関係者とも今後も意見交換を行いまして、市町とも一緒になって改善に向けて取り組んでまいりたいと思います。
来年五月にはSAGAサンライズパークがグランドオープンを迎えます。サンライズパークでは、SAGAアリーナでのプロスポーツの観戦から日常のスポーツまで、例えば、屋外で気軽にバスケットボールを楽しめるような多様な楽しみ方のできる、まさに都市型のスポーツパークでございます。「3x3(スリー・エックス・スリー)」やBMX、スケートボードなどのアーバンスポーツのイベントも可能な舞台が整います。
今後も、アーバンスポーツが多様な楽しみ方とともに県民の幅広い世代に受け入れられ、本県のスポーツ文化の裾野が広がるようしっかりと取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
34 ◎副議長(宮原真一君) 暫時休憩します。
午後三時六分 休憩
令和四年十一月八日(火) 午後三時四十分 開議
出席議員 三十七名
一番 下 田 寛 一五番 池 田 正 恭 二九番 稲 富 正 敏
二番 桃 崎 祐 介 一六番 古 賀 陽 三 三〇番 徳 光 清 孝
三番 田 中 秀 和 一七番 川 崎 常 博 三一番 中 倉 政 義
四番 古 川 裕 紀 一八番 定 松 一 生 三二番 石 井 秀 夫
五番 一ノ瀬 裕 子 一九番 江 口 善 紀 三三番 留 守 茂 幸
六番 中 村 圭 一 二〇番 藤 崎 輝 樹 三五番 木 原 奉 文
七番 古 賀 和 浩 二一番 八 谷 克 幸 三六番 藤 木 卓一郎
八番 井 上 祐 輔 二二番 向 門 慶 人 三七番 石 倉 秀 郷
九番 木 村 雄 一 二三番 坂 口 祐 樹 三八番 土 井 敏 行
一〇番 中 本 正 一 二四番 宮 原 真 一
一一番 野 田 勝 人 二五番 原 田 寿 雄
一二番 冨 田 幸 樹 二六番 岡 口 重 文
一三番 弘 川 貴 紀 二七番 大 場 芳 博
一四番 西久保 弘 克 二八番 武 藤 明 美
欠席議員 なし
欠 員 一名
地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 山 口 祥 義
副 知 事 坂 本 洋 介
副 知 事 南 里 隆
政 策 部 長 進 龍太郎
総 務 部 長 甲 斐 直 美
地域交流部長 山 下 宗 人
県民環境部長 古 賀 英 敏
健康福祉部長 久保山 善 生
産業労働部長 寺 島 克 敏
農林水産部長 山 田 雄 一
県土整備部長 大 呑 智 正
危機管理・報道局長 野 田 嘉代子
文化・観光局長 實 松 尊 徳
SAGA2024・
SSP推進局長 宮 原 耕 司
男女参画・こども局長 種 村 昌 也
会 計 管 理 者 元 村 直 実
警 察 本 部 長 松 下 徹
教 育 長 落 合 裕 二
人事委員会事務局長 古 賀 千加子
職務のため議場に出席した事務局職員
議会事務局長 今 村 盛 史
同 副事務局長
政務調査課長事務取扱 吉 田 泰
総 務 課 長 碇 一 浩
議 事 課 長 篠 田 博 幸
総務課副課長 田 中 信 二
議事課副課長 原 康 祐
政務調査課副課長 西 田 里 美
議事課議事担当係長 椎 葉 奈 美
同 議事担当主査 磯 辺 洋 樹
○ 開 議
35 ◎議長(
藤木卓一郎君) これより会議を開きます。
休憩前に引き続き一般質問を行います。
36 ◎川崎常博君(拍手)登壇=初日トリを務めます自由民主党の川崎です。
地元の地方紙というのは非常にありがたいもので、我々議員にとっていろんな気づきを与えていただきます。ほんの近くの人や物、事であっても気づかないことを紙面によって知ることはたくさんあると皆さんも思います。非常にありがたいですね。
この議会も毎議会ごとに一般質問の登壇者名、それから、質問項目を紙面に載せていただいて、そのおかげで多くの支援者の皆さんや地元の人、今度質問すんねとか、中には傍聴に行くよというような方もいらっしゃると思います。非常にありがたいことであります。
今日五名の皆さんが私を含めて質問をされましたけども、我々のその質問項目は先週の土曜日に載っておりました。私の名前の欄は「川崎常憲」と書いてありました。(笑声)それを見たときに、私は故井上常憲先生が、川崎君、せっかく離島のことを質問するなら、俺の分もしっかり頼むぞと、そう言っておられるように感じました。(拍手)非常に心強く感じたものであります。
私にとって名前の間違いなんぞは大した問題ではなくて、これによって多くの県議会の皆さんが、時には自分の地元のテーマについて、そして、県民皆さんの弱い立場の方々の地域に対して連携して取り組む、そして、県に物を申していく、こういった気づきを与えていただいた地方紙に心から感謝を申し上げたいと思いつつ、井上先生の思いも肩に乗せながら質問をしたいというふうに思います。
まず一問目、「中山間地・離島・県境振興対策本部」について質問をします。
遡ること約十年前、平成二十五年の総務常任委員会で、当時、私は離島振興計画について質問をさせていただきました。ちょうど国の改正離島振興法によって県が、これは十年ごとなんですけども、離島振興計画の改定ということで質問させていただきました。
当時も離島といえば、皆さん御存じのとおり、自然的、経済的、社会的条件が非常に悪く、住むのに難儀な地域ということでこれまで様々な離島振興を国や県が取り組んできておられます。
離島の果たす役割というものをひもといてみたいと思います。紹介します。
様々な生物のすむ環境を守る生態系の保全。藻場、干潟、森林、農地など、空気や水をきれいに保つ浄化作用。海のレクリエーションや観光、保養などのアメニティの提供。それから、地域文化などを生かした体験学習などの学習・交流の場の提供。固有の祭り、文化財、技などの伝統文化などの継承、伝統文化保存。それから、地理的特性に基づく役割として、ここは重要なところですけども、国境、領土や領海、経済水域などを確保し、海洋資源を守るという役割。密漁や密航、密輸の監視など海の治安を守る。海難救助などのときの基点になったりということで海の安全確保などなど、多くの機能を果たしております。これは離島です。
中山間地にも様々な役割があります。洪水防止機能、土砂崩壊の防止、土壌浸食を防止する、地下水の涵養機能、水質浄化の機能、大気調節機能、先ほど言いましたけども、大気をきれいにする働き、それから、生物多様性の保全。これもまた伝統文化も守っていますし、人間性を回復する癒やしや安らぎを与えるということであります。また、体験学習などを通して人間を教育する機能なども報告をされているところであります。
そういう様々な機能に加えて、特に中山間地では農業が多く営まれておりますけども、これはちょっと目を引いたんで御紹介したいと思いますが、中山間地に限らずでありますけども、農業の果たす役割の中に、医療、介護、福祉に及ぼす効果というのが報告をされています。これは農林水産省からですね。農業に従事している方々は、要するに都会で暮らすその他の非農業者よりも医療費や介護費が少なくて済むということであります。ということは、これは中山間に限らずということでありますが、中山間でもそういう役割を果たしているということになります。
県境というのは、大体離島とかは県境であったり、国境であったり、そして、中山間も県境ということが多いので、そこに県境というようなことで本部をつくられたんだというふうに思います。
平成二十八年にこの本部がつくられ、当時、副知事が担当の部長さんだったんですかね、スタートしたところであります。
あわせて、私、坂本副知事が副知事になられたときに質問をしました。令和元年の六月定例会、中身は副知事としてどういうことをやるんですかというような、大ざっぱに言うと、そういう質問でしたが、そのとき、例えばという例えで一番最初に言われたのが、「中山間地・離島・県境振興対策本部」の本部長をやりますと。この本部に対する思いが大きいというふうに私は感じたところであります。
様々な離島や中山間、県境も含めてですけども、果たす役割を説明しましたけども、これらの利益、国民全体の利益は、どこに住もうと、都市部に住もうと、平野部に住もうと、その利益を皆さんで享受をしています。最初に言ったように、自然環境や社会的、経済的条件はやはり厳しい。私、前に離島のATMの存続について質問したことがありましたが、この件もまだ解決はしていないというふうに認識をしています。
そういったことも含めて、やはりこういう厳しい地域にお住みになる方々は誇りを持って住んでいらっしゃいますが、住んでもらわなければ意味がないわけですね。離島も有人離島でなければ意味がないというふうに私は考えておりますし、中山間においても森林や田畑の荒廃というところも昨今問題になっております。
そこで、質問ですけども、平成二十八年五月に立ち上げられましたこの対策本部、これまでにどのようなことに取り組んできたのかについてです。実は何でこういう質問をしようかなと思ったかというと、様々な今までのお話の中にもありましたし、要は対策本部自体は、実際どういうことを議論して、どういう施策に落とし込んでいるのかというところのつながりが、私たちの目にはなかなか見えづらい。もちろん中山間や離島に対して様々な取組をされていることは分かりますけども、この際ですので、そのところを詳しく教えていただきたいというふうに思います。
それで二番目は、今後の取組ですね。
様々今まで言ったように、非常に重要な部分ですので、ここについては今後もしっかりと取組をしてほしいと平野部の私も思うわけでありますので、そこについて、今回は本部長である坂本副知事に質問をしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
次に二問目ですけども、障害者の実情を踏まえた施策の推進についてということで質問させていただきます。
たまさか私、精神障害者への重度心身障害医療費助成について不公平であるので、ここまで幅を広げてほしいという質問をしました。タイミングがよかったんでしょう。市町の理解もいただいて、令和三年度から対象に含まれるということになりました。その後も精神保健福祉連合会の方々と意見交換するに当たって、非常にありがたいということでお言葉もいただいております。多分、知事もそういうことは言われておられるでしょう。ですが、やっぱりまだまだ実情はかけ離れていますよと。一級のみならず、二級でも非常に生活の苦しい方々がいらっしゃいます。何とか二級までというようなお話なんですね。
中身を聞くにつれて、大変な方々がたくさんいらっしゃるというのは分かります。分かりますが、やはり社会保障費のパイもある程度決まっている中で、我々は我々でそのパイを大きくする、増やしていく努力もしつつ、より効果的に必要なところに施策、お金、人的資源を投入するというような取組が必要になってくるというふうに思っています。
例として、精神保健福祉連合会の話を挙げましたが、医療的ケア児の支援についても、甲斐総務部長が健康福祉部長であった折に、一人一人に寄り添ったオーダーメイドの支援をしてほしいということを何回となくお願いをしました。要は何を言いたいかというと、パイが決まっている中で、団体の方や患者さん、その御家族の方は、ここがもうちょっとこうだったらとか、こういうところに支援をしていただいたらというようなお話がよくあります。
私は常々団体の方には、こういう県や市町の福祉政策に関わることは、今後もっともっと団体が強固に組織をされて、できれば県や市町にこういった支援の在り方がいいというような提案をするような団体になっていただきたいというふうに常々申し上げています。なぜか。先ほど言ったように、パイが決まっている中で無駄とまでは言いませんが、もうちょっとかゆいところに手が届く支援策ができ得るというふうに私は感じているからであります。要は受け身ではなくて、先手先手で、知事が常に言うように、支援をやってほしいということであります。これは全ての福祉を必要としている方々にとって重要な話であります。
先ほどの精神保健福祉連合会の方々は、ぜひ実態調査をしてほしいと。一級の方でもひょっとしたらそこまで支援が必要でない方もいらっしゃるかもしれない。ではなくて、二級の方でより支援を必要としている方がいらっしゃるかもしれない。というところにやっぱり一級とか二級とかというくくりではなかなか難しい、無理な部分がやっぱりあるのかなというふうに感じたところでもあります。ぜひ実態調査をしてほしいという声なんですね。これはここの連合会に限らず、いろんな福祉の団体が思っていること。
今言ったように、医療的ケア児支援のように、事細やかに寄り添った支援ということになってくると、この子を見た支援ですから、そういったものがよりピンポイントでできるというふうに思います。
そこで、質問です。実態の把握についてであります。
障害者のニーズや障害者が置かれている状況をどのように把握をしておられるのかお伺いをします。
それを踏まえて、障害者の実情を踏まえ、さらに効果的に施策を推進するために、今後どのように取り組んでいかれるのか、久保山健康福祉部長にお伺いをします。
最後、三問目、インターチェンジ周辺道路における交通安全対策についてお伺いをします。
広域幹線道路は、将来の佐賀県の産業振興、地域振興を支える人や物の交流の大動脈として非常に重要なものであります。皆さんにも御案内があったかと思いますが、今週土曜日にやっとこさ、有明海沿岸道路諸富インターが開通をいたします。私もほぼ十年ぐらい前から、地元の説明会等々でいろいろと地元の方と一緒に活動をやってきました。本当に土地を提供していただいた地権者の皆さんをはじめ、関係者、工事に携わっていただいた皆さん、また、予算を確保していただいた国会議員や県の皆さんにも感謝を申し上げたいというふうに思います。
それを遡ること一年ぐらい前でしたか、大野島インターが開通したときに、大野島から大川側に戻る方というのはほとんどいないんですよね。そういう方は大体手前で下りられるので、末端というか、終点の大野島インターからはほぼほぼ橋を渡って川副に来られます。日曜日、また、通勤通学、帰宅の時間は非常に混みます、しようがないです。利便性の高い道路に、皆さんがいろんなところから集まって乗って、終点まで来られるわけですから、ある程度の渋滞はしようがないかなというような思いもあります。それが今度は諸富インターで発生をします。
諸富インターは、西部、西のほうに抜けていく方と、柳の内交差点を佐賀市方面、光法のほうに行かれる方に若干分かれるかなというふうに思いますので、大野島よりかは幾らかいいのかなというふうに思いますが、やはり地元の方々の生活道路でもありますので、そこで渋滞というのはなかなか避けていただきたいなというふうな思いもありますし、これも十年ぐらい前から光法に抜ける道路、一部歩道がついておりません。両側田んぼ、路側帯も狭いというところで、ここの片側だけでもいいから歩道をお願いできませんかというようなお話も、いずれ諸富インターもできますから交通量も増えますよというお話をしておりました。残念ながら、できておりません。
今日はそのお話ではなくて、有明海沿岸道路だけではなくて、佐賀唐津道路、それから西九州自動車道、道路が延伸していくに従って、その都度その都度終点ができてきます。終点解消して次のインターができれば、結構渋滞なんかも緩和されると思いますが、問題は安全対策です。次の終点ができるまで、安全対策待ったなしだと私は思っております。
何を言いたいかというと、できるのは分かっているんですね。大体このぐらいにこの終点ができるだろうというのは予測できますし、そのときに道路、車の流れがどのぐらい、どういうふうになるだろうかなというのも予測はある程度できると思います。できてからではなくて、できるのに合わせて、できればできる前ぐらいの周辺道路の混雑緩和、それから、安全対策というのをするべきであるし、今後、有明海沿岸道路でいうと川副、東与賀、空港道路ら辺にも多分インターができるような計画でもありますし、そのときそのときに合わせて整備をしてほしい、計画的に整備をして一緒に供用してほしいというふうに私は思っております。
そういったタイムリーな道路整備について、県のお考えを大呑県土整備部長にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
37 ◎坂本副知事 登壇=川崎常博議員の御質問にお答えいたします。
「佐賀県中山間地・離島・県境振興対策本部」は、知事が一期目に就任したときに中山間地や離島、県境などを訪問する中で、これらの地域にはすばらしい個性や地域資源があると感じると同時に、こうした地域に行政の目が本当に向けられているのかという問題意識から、地域が一つになって地域のすばらしさを生かしていくきっかけとなることをミッションとして、平成二十八年五月に対策本部として設置し、これまで十五回の会議を開催していますし、また、会議という形ではなくて、それぞれの地域に知事や私も含め、部局長も現場に出向いて地域の人たちと意見交換を行ってまいりました。
議員からは具体的なことをということでございますので、これまで離島、中山間地等でどういうことをやってきたかというのを幾つか御紹介します。
離島につきましては、子供たちが非常に少なくなっていて、学校の存続が厳しくなっているという状況を現場に行き──実は知事も毎年離島を訪問していますし、私も毎年訪問いたしております。そういう中で、そういう話を聞きました。そういうことで、島留学の検討を本部で始めたところでございます。その結果、島留学は平成二十九年に実現しましたけれども、これが現在、四つの島、高島、小川島、加唐島、馬渡島で実現しております。
ただ、これに至るまでは、地域の人たちがしっかりした思い、そして、覚悟を持っていなければ、大切な子供たちが留学するということにはなりませんので、そういう大変なことがありましたけれども、子供たちの笑顔や笑い声を絶やしたくない、すばらしい環境の島で子供たちに元気に育ってほしいという島民の皆様の強い思いから、平成二十九年からこの島留学が実現いたしました。
また、神集島では、島民の交流拠点である島民の皆様の購買部というのがあったんですけれども、ここが雨漏りをして使えなくなるような状況があって、支援策も実はあまりなかったんですけれども、我々のソフトの補助金で購買部の使い勝手をよくするための修繕を市とともにサポートすることといたしました。
また、中山間地でいえば、現場に入った職員がイノシシ退治というか、イノシシの捕獲につきまして、ウリボウと生育したイノシシ、成獣といいますが、その単価が全然違うことでウリボウを実は逃がしているということで、逃がしていると当然成獣になるわけで、その単価が低いから逃がすんだという現場の声をいただきまして、このことについてもこの対策本部の中で議論を行いまして、その単価を拡大することにいたしました。
また、県境で差があった施設園芸ハウスの補助率も、この対策本部に職員から上げてもらって見直しをすることができました。
それぞれの地域で、やはり平野部と違う環境で生活されている離島とか中山間部の皆様方の制度が、実は現場に合っていないんじゃないかというふうな声もあります。そういう声を、我々が現場に行き、つかまえて、その対策を、制度、規制を現場に合わせるようなことをこの本部で議論しているところでございます。
また、これからの取組でございますが、現在、「山の会議」というものを開催しております。これまで県内一円八ブロックで開催をいたしております。例えば、離島・半島ブロックだとか脊振山系ブロック、太良・鹿島ブロックだとか、多くの場所で開催しております。また、知事も出席して合同会議としても、それぞれのブロックのネットワークを広げる取組を行っております。
参加していただいている方には、農業、林業の方だけではなくて、商店街の方、お坊さんであるとか、中学生、高校生、そして、サラリーマンの方など多彩な方々が三十人以上、毎回参加をしていただいております。この方々が、やっぱり自分たちの地域をしっかり支えていって、誇りを持って生きていきたいということを熱く語られていることが印象的です。議員の皆様方もユーチューブに「山の会議」というのが載っておりますので、「山の会議」をぜひユーチューブで見ていただければと思います。
「山の会議」には「(仮)」というのをつけております。仮称という意味ですけれども、仮称というのはまだ決まっていないということではなくて、これから成長していくという意味で、あえて「(仮)」というのをつけております。そういうことで、皆様方がしっかり議論していただくようにしていきたいと思います。
また、例えば、七山では「七山座談会」と称して、地域の若手のグループの方々と七山で、具体的に言うと酒を飲み交わしながらお話をしました。農業を持続するための担い手を育てたい、いわゆるトレーニングファームというのではなくていいから、一つの作物に限定しないで、七山のいろんな農作物の育て方を地域の農家の人が教え合って、そして、移住者や若い人が地域に住んでもらう、いわゆる七山型トレーニングファームのようなものをやってみたいということを熱く語ってくれました。
特に印象的だったのが、こういうことを行政にしてほしいではなくて、こういうことをやりたいと言われたことが非常に印象に残っております。
地域の皆さんが行政に何かをしてほしいということではなくて、こういうことがしたいという地域の方々の思いをしっかり受け止めて、それを実現するために一歩進んでもらえるような雰囲気をつくること、そして、先ほど言いました県の制度や規制が現場に合っていなければ変えることがこの本部の役割だと思っております。
最後になりますが、移住されて、この「山の会議」に参加された方がこんなことを言われました。別の県にいたとき、ちょっと具体的な県の名前は言えませんが、別の県にいたときに地域づくりのためにこんなことをしたいと言ったら、行政の方からそれはできませんということしか聞かれなかったけれども、佐賀県に来たら、もっとやれることがあるんじゃないですか、もっとやりましょうという百八十度違うことを言われた、佐賀に来てよかったと言われております。こんなことを言ってもらえるまで熱意を持って、思いを持って、地域の皆さんと語り合い、活動している県職員は本当にすばらしいと思いますし、誇りに思っております。
私たち本部会議は、こういう活動を通じて信頼関係をつくっていき、地域の方が何かやりたいという思いを形にするお手伝いをすることで、佐賀の山や離島は元気だぞ、何かやっているぞと言われるように、できるだけ現場に足を運びながらしっかり取り組んでまいります。
以上でございます。
38 ◎久保山健康福祉部長 登壇=私からは、障害者の実情を踏まえた施策の推進についてお答えいたします。
まず、障害者の実情の把握についてでございます。
障害者施策の推進に当たっては、障害のある方が日々の暮らしの中でどのようなお困り事があるのか、何を必要と感じておられるのかなどを踏まえつつ、お一人お一人の思いに寄り添うことが重要だと認識しているところでございます。これまでもそれぞれの状況などをしっかり把握するため、障害のある方や御家族、あるいは障害者の団体、事業所、そういったところからお話を伺ったり、アンケート調査を実施したりしております。また、各分野の専門家を交えての意見交換なども丁寧に行ってきたところでございます。
また、医療や福祉の現場の第一線で活躍されている方々から御意見を伺います「さが現場の声と想いをつなぐ懇談会」におきましては、障害福祉関係につきましてもリアルな現場の声や前向きな意見をいただいているところでございます。
次に、把握した実情を踏まえた効果的な障害福祉施策の推進についてでございますが、これまでも様々な現場の声や要望を受けまして、例えばでございますけれども、先ほど議員からもお話がありました重度心身障害者医療費助成の対象を、精神保健福祉手帳一級所持者までに拡充していったというようなことでありますとか、人工呼吸器使用者などを対象に災害時非常用電源の購入費の補助、いわゆる「命の七十二時間事業」でありますとか、医療的ケア児の家族のための専門相談窓口の開設などの施策に取り組んでまいりました。
また、今年度からは、「さがすたいる」の視点を生かした視覚障害者情報・交流センター「あい さが」でございますけれども、そこの開設でありますとか、JR佐賀駅でのヘルプマークの配布など、本当に困っている方々の声を受け止めながら、きめ細かな支援や取組を行っているところでございます。
障害のある方や御家族、その支援をされている方々と直接対話することが重要でありまして、そういった方々からいただいた意見、お声をしっかりと受け止め、佐賀の実情に合わせ、きめ細かな対応を行っていく姿勢が大切であると考えております。
障害のある方々を対象に行われております「生活のしづらさなどに関する調査」も今年度実施する予定でございます。こうした調査結果から見えてくる実態なども参考にしながら、施策を着実に実施していきたいと考えております。
これからも、障害のある方々の声に丁寧に耳を傾け、その思いを真摯に受け止め、佐賀ならではの効果的な障害福祉施策の実施に結びつけてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
39 ◎大呑県土整備部長 登壇=私からは、インターチェンジ周辺道路における交通安全対策についてお答えします。
県では、有明海沿岸道路や佐賀唐津道路といった広域幹線道路網の整備を重点的に進めているところでございます。
これらの道路では、本線への出入りがインターチェンジに限定されることから、インターチェンジ周辺道路に交通が集中することになります。
また、供用は一定区間ごとに行うことから、供用区間が延伸されるたびに周辺道路の交通の状況が変化し、特に末端となるインターチェンジ周辺道路では、次の区間の供用までの間、さらに交通が集中することになります。
このため、供用に当たりましては、インターチェンジ周辺道路の交通の状況の変化を予測し、必要に応じ、アクセス道路の整備や交差点改良を行うなど、渋滞の緩和や交通安全のための取組を行っているところでございます。
議員から、先を見越しての交通安全対策をとの話がございました。具体的には、これまで有明海沿岸道路の嘉瀬南インターチェンジ供用に合わせまして、県道十五中原線の交差点改良や歩道整備を行ったほか、昨年七月の福富インターチェンジ供用に合わせまして、県道武雄福富線の整備を行っております。そのほか、交通管理者と協議の上、信号機の設置や調整、案内板によるインターチェンジへの誘導等を行ってまいりました。
また、今月十二日の諸富インターチェンジの供用に合わせまして、インターチェンジにつながります国道四百四十四号の新しい交差点に、インターチェンジへの進入専用レーンや信号機が設置される予定であります。
また、将来に向けて仮称東与賀インターチェンジ周辺では、県道東与賀佐賀線の整備も進めているところでございます。
有明海沿岸道路をはじめとする広域幹線道路は、県内外の地域間の交流を促進し、また、災害時の機能強化にもつながり、将来の佐賀県の発展のために欠かすことのできない道路でございます。佐賀県の発展につなげていくためにも、広域幹線道路の整備に合わせまして、インターチェンジ周辺道路につきましても安全に円滑に通行できるようにしていくことが重要と考えております。
今後も、広域幹線道路の整備を進めるとともに、インターチェンジ周辺道路につきましても、短期的または中長期的な観点で、渋滞や交通安全の対策に取り組み、車両、歩行者ともに安心して通行できるよう努めてまいります。
私からは以上でございます。
40 ◎議長(
藤木卓一郎君) 本日の会議はこれで終了いたします。
明日九日は、引き続き一般質問を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後四時二十分 散会
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