最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ○ 開 議
◎議長(
藤木卓一郎君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。
昨日に引き続き一般質問を行います。
通告に従い、順次発言を許可いたします。
2 ◎古川裕紀君(拍手)登壇=おはようございます。一般質問三日目となりました。今日も一日、皆さん元気にお仕事していきましょう。傍聴席にお越しの皆様方もありがとうございます。
さて、天高く馬肥ゆる秋、この秋の空に負けぬよう高い志を胸に一般質問に臨ませていただきたいと思います。
では早速、通告に従いまして、大きな四項目について質問をさせていただきます。
まず一つ目の項目は、
吉野ヶ里町内の国有林に埋設されている除草剤についてです。
林野庁によりますと、かつて
国有林野事業において、森林整備における下草刈りなどの作業の労力軽減のために、昭和四十三年から四十五年頃にかけて、2・4・5
-T系除草剤なる雑草を枯らすための農薬を
国内製造業者から購入し、広く全国的に使用していました。しかし、この2・4・5-Tという成分は、その製造過程において
ダイオキシン類がごく僅かに含まれることがその後判明し、世界各地で健康被害のおそれが報告されたことから、昭和四十六年四月に使用が中止されました。
ただ、使用は中止となったものの、不純物として微量の
ダイオキシン類が含まれた2・4・5
-T系除草剤を無害化する有効な処理技術が昭和四十六年当時には確立されていなかったということもあって、当時の「毒物及び
劇物取締法」に定める処分方法に基づいて、薬剤の十倍量程度の土壌、セメントなどを混合し、
コンクリートの塊にして、佐賀県を含む十五道県四十六カ所の国有林の地下に埋設され、現在に至っております。そして、県内においては一カ所だけ、
吉野ヶ里町内の国有林の地下に埋設されております。
この除草剤の取扱いについては、この2・4・5-Tが、いわゆる
枯れ葉剤の原料の一つとして知られる成分であることから度々報道でも取り上げられております。もちろん、今議論している除草剤と、いわゆる
枯れ葉剤は全く別物であり、そこに誤解があってはならないのですが、やはり不安を感じる方がいらっしゃるということは紛れもない事実であります。
なお、
吉野ヶ里町内の国有林に埋設された除草剤については、
地元佐賀森林管理署において
安全対策を施した上で、定期点検や環境調査などを含め汚染防止に尽力されておられるとのことです。幸い
ダイオキシン類は水に溶けにくいという性質があり、埋設された土の中で安定した状態にあると伺っております。
その一方で、除草剤の埋設地は福岡県民の水源の一つである
五ケ山ダムから直線距離でおよそ一キロ上流に所在しているということもあって、那珂川市におかれては、この除草剤の撤去を求める要望書を毎年国に提出されております。また、
地元吉野ヶ里町としても過去、平成十九年、処理技術が確立された場合には早急に撤去を求めるとする要望書を国に提出されています。
特に近年の気候変動による豪雨災害が頻発している中、土砂崩れが発生したときの流出の懸念があることなどを考えれば、いかにしっかりと管理され、安定した状態にあるとはいえ、除草剤が埋設され、そこにある限りは、住民の不安を完全に払拭することができないのではないかと感じております。
そこで、次の三点について伺います。
一つ目、埋設された除草剤の現状についてです。
除草剤はどのような方法で埋設され、どのような
安全対策を取られているのか、改めてお聞きします。
二つ目、
除草剤撤去に向けた国の検討状況についてです。
国は、除草剤の撤去に向けた検討を行っているとの報道があっておりますが、どのような方針の下、どのような検討を行っておられるのでしょうか、お聞かせください。
三つ目、県の対応についてです。
県は、今後どのように対応していかれるのでしょうか、その点、確認をさせていただきます。
続きまして、大きな項目の二つ目、
農業水利施設の
治水活用についてです。
近年、本県では立て続けに大きな
浸水被害が発生しております。とりわけ、私の地元である神埼市南部の低平地では毎年のように
浸水被害を被っております。頻発する
浸水被害に悩まされ続けている住民の皆様にとりまして、地域の
浸水リスクの軽減につながる取組を一歩でも前に進めていただくことを切実に願っておられます。
以前、
浸水被害が発生した直後の時期ではあったのですが、千代田町迎島の
中津地区に当時の区長さんを訪れた際、田んぼ一面に植えられ、大切に育てられていた大豆が数日にわたる浸水により変色し、全てしおれてしまった様子を眺めながら、その元区長さんは、「また今年も全滅ばい、これでどがんやって来年も意欲ば持ち続けられるとね」と肩を落とし、力なく語られたことが強く印象に残っておりますし、つい先日も同地区を訪れたところ、この
中津地区は、昔から水害常襲地帯であるため、どの宅地もかさ上げされているのですが、先日お邪魔したお宅ではかさ上げされた敷地内のさらに一番高いところを選んで造成し直されている最中でした。聞くと、近年の雨の降り方の変化というか、激化によって、ここ数年はかさ上げした宅地を越えて浸水してしまう状況になっているということから、「ここに家ば建てることにしたとよ、これでもう老後の資金ば使うてしもうたばい」、今住まわれている家にくっつくように、もう一段高くして家を建てられるとのことで、諦めと怒りが混じったような表情で悲しそうに笑っておられました。いいかげんに何とかしてくれという言葉にもならないような悲痛な思いをひしひしと感じると同時に、何とかしなければという決意を新たにした瞬間でした。
そのような中にあって、令和三年九月議会でも質問させていただきましたが、
流域治水対策という取組の中で、低平地においては
クリークなどの
農業水利施設を最大限に生かす取組を早急に進めることが
治水対策として非常に有効であると考えております。
県においては、知事の力強いリーダーシップの下、昨年から
内水対策プロジェクト「
プロジェクトIF」をスタートさせ、国、県及び市町など関係機関が一丸となって
内水氾濫対策に取り組んでいただいておりまして、このことは知事、心から感謝を申し上げます。この取組に心から期待している次第でございます。
例えば、大雨時の
田んぼダムや
クリーク、ため池への一時貯留など様々な対策を考えていただいておりますし、
農業水利施設を活用した
ソフト対策としては、
クリークの事前排水の取組について、関係各位の御努力によりここ数年でかなり精度が上がってきていることを実感しております。
これから、
ソフト対策からさらに踏み込んだ対策として、大雨時の
排水機能増強が必要と思われる
農業水利施設の改修など
ハード整備を進めていくことが重要になってくる中で、河川や道路など行政が管理している施設と、地元地区によって管理されている
農業水利施設とでは改修に向けた進め方、つまり、手順に違いがあることや、例えば、同じ樋門と呼ばれる施設であっても、河川にある樋門と
農業水利施設の樋門とでは、同じ言葉、樋門という言葉ではありますけれども、それは排水用なのか、揚水用なのか、そういった設計思想に違いがあったりして、そこには土木と農林の文化の違いといったようなものが横たわっているように感じております。
また、本来、利水を目的として
農業水利施設を整備する場合には
受益者負担が発生することは理解できるのですが、事、
治水対策においては、
浸水被害による損害を軽減するため、つまり、マイナスをゼロに近づけるために
農業水利施設を改修するという場合があったときに、利水のときと同じように
受益者負担をと言われると、先ほどの私の地元、
中津地区での事例を挙げるまでもなく、やはりどうしてもそこに違和感を抱いてしまいます。
こういった場合の県、市町及び農業者の負担の在り方も含めて、今紹介したような文化の違いが、流域治水の議論や対策の妨げになるようなことが決してあってはなりません。そのためにも、治水を議論するテーブルの上に限っては別の考え方があってしかるべきであり、今後検討していく必要があると考えます。
そこで、
農業水利施設を活用した
治水対策の取組状況と、
流域治水対策として
農業水利施設の改修が必要となる場合の県の考え方についてお伺いします。県の御認識をお聞かせください。
続きまして、大きな項目の三つ目、
スクールソーシャルワーカーについてです。
私は、地元神埼市千代田町の
千代田中学校で
学校支援連絡協議会という会議に委員として参加しております。年に数回の会議があっているのですが、その折に学校側と意見交換をしております。その中で、今、学校で何が一番の課題なんですかと尋ねたところ、学校長からは真っ先に、
スクールソーシャルワーカーの充実を望む声が上がりました。聞くと、不登校ぎみの生徒に対するケアや家庭環境に問題がある生徒への支援など、学校では対応しきれない様々な課題に対して
スクールソーシャルワーカーさんの働きが目覚ましく、学校に来られない子がいたら家庭訪問をして、生徒とも保護者とも面談をしてくれて、必要とあれば病院や施設にもつないでくれる。学校と生徒、家庭、時には医療機関とのつなぎ役として、学校の課題解決に大きく貢献していただいているということでした。
昔は学校がやっていたことかもしれないが、今は学校にそんな余裕はなく、
スクールソーシャルワーカーの存在がとても貴重だとも言われておりました。
しかし、その千代田に来ていただいている
スクールソーシャルワーカーさんは、実は福岡から来られている方で、当時は
千代田中学校だけでなく、同時に武雄の中学校と県立高校も担当されておられるとのことで、お昼を食べる暇もないんじゃないだろうかと、校長先生が心配になるほど多忙を極められているのを見るにつけ、負担軽減と処遇改善を心配したという声も聞きました。
そうした貴重な
スクールソーシャルワーカーですが、各学校には週に数時間しか来てもらえず、
スクールソーシャルワーカーは学校では貴重な存在、常駐してほしいぐらいだという学校長の声に耳を傾けながら、学校への
スクールソーシャルワーカーの配置という支援体制のより一層の充実に力を入れる必要性を強く感じております。
そこで、次の三点について伺います。
一点目、
スクールソーシャルワーカーの役割についてです。
スクールソーシャルワーカーはどのような役割を担っておられるのか改めて伺います。
二点目、
スクールソーシャルワーカーの
配置状況についてです。
スクールソーシャルワーカーは、現在どのような
配置状況なのでしょうか、お聞きいたします。
三点目、
スクールソーシャルワーカーの今後の方向性についてです。
不登校や発達障害の増加傾向や学校運営の時代的な変化も相まって、
スクールソーシャルワーカーのニーズがますます高まっており、学校現場における課題解決のため、支援体制を充実させてほしいとの思いで、今お聞きしているわけですけれども、県の今後の方向性についてお聞かせください。
最後に、大きな項目の四つ目、十八歳に達した高校生の
自動車運転免許取得についてです。
ある保護者からの相談で、高校生の
自動車運転免許取得について、就職が決まってから入社式までに
免許取得が間に合わなかったので大変だったという話を聞きました。詳しく聞いてみますと、就職が決まれば、学校から
免許取得の許可のようなものがもらえるようですが、早くて十一月くらいからであり、それもいろいろと条件があったりして、ほとんどは年明けから生徒が
自動車学校に殺到するということで、実技教習の予約が取れず、車に乗れないため、結果として勤め始めるまでに
免許取得が間に合わない子がたくさんいるとのこと。結局は就職してしばらくは自転車で通勤して五月にやっと取れたとか、会社を休んで免許を取りに行ったとか、そういったことが結構あるよとのことでした。
このことに対しては、
生徒支援室からは
自動車運転免許の取得については、
就職希望者で
運転免許が必要な生徒等に対して学校長が判断して許可している。家庭の事情など特別な場合を除き、基本的に就職や進学が内定した後に
入校申込みを行い、さらに本免許は高校卒業後に取得するなど、各学校の実情に応じてルール化しているとの説明をいただきました。
さて、お隣の福岡県ではどうだろうかと、ちょっと知り合いに聞いてみたのですが、基本的には本県と同じようなルールのようなのですが、佐賀の高校と比べると、学校からの許可が格段にもらいやすいのか、希望者は誕生日が来ると、すぐに免許を取得している学校も多いというようなことを伺いました。
やはり本県は、高校生の
自動車運転免許取得について慎重過ぎるのではないかという印象があります。
一方、自動二輪
運転免許取得も含めて、免許を規制する生徒指導から
免許取得を前提とした
交通安全教育へと大きく方針を転換した自治体があります。具体的には群馬県なのですが、群馬県では約二十年間にわたって
免許取得一年以内の
初心運転免許者の事故率が
全国ワーストということを受けて、
交通安全教育の在り方が課題になっていた中での判断だったようです。今、群馬では、生徒から希望があった場合は、
教育委員会は保護者に事情や意思を確認の上、
免許取得を制限しないという取組方針を県内全ての高校に周知しているとのことです。
この
交通安全教育という視点で申しますと、佐賀の
自動車学校においては、先ほど申したように、実際のところ年明けからということで、短期間のうちに生徒が殺到しているということで、
自動車学校の経営が難しいという声もさることながら、その
生徒たちは
免許取得までの希望の期日というものがあるわけですから、教習を行う側も含めて、何やら慌てて免許を取得しているという印象がどうしても拭えず、十分に教習したつもりでも、少し不安が残るなという声を聞いたことがあります。こうした群馬県の
交通安全教育という視点で本県も検証してみることも必要なのかもしれません。
また、県では、高校生の
県内就職率六五%からさらに引き上げることを目標に「
プロジェクト65+」にも取り組まれ、地元佐賀で就職する高校生を増やそうと努められています。もちろん、この
プロジェクトは
教育委員会の施策ではありませんが、県として、車が必要な地域に就職をお願いしながら、片や危ないからと免許を取ることに慎重になっているという現状を見るにつけ、佐賀で働くなら車が必須という実情、そういったことも考えれば、運転から遠ざけるような環境に
生徒たちを置くのではなく、就職した初日から安全に自動車を運転できる環境をつくってやることも大切な視点だと思います。
さらに、今は十八歳成人となっております。危険だから
運転免許を取らせないという子供扱いのままでいいのかという疑問が自然に湧いてきます。それよりも成人として責任感ある行動を取ることができるように指導することが、本来の教育のあるべき姿と言えるのではないでしょうか。
本県でも高校生の
自動車運転免許取得について、積極的に検討し、例えば、就職希望の
生徒たち、その中で
免許取得を希望する生徒は、十八歳を迎えていれば、夏休みから
自動車学校に入校できるよう許可するなど、柔軟な対応があってもいいのではないかと感じております。そうやって少しでも分散することで、短期間の
自動車学校への生徒の集中というものも緩和していくものだと考えます。
そこで、十八歳に達した高校生の
自動車運転免許取得に係る学校の対応をもっと柔軟にすることについて教育長の認識を伺います。
以上、大きな四項目について答弁をお願いいたします。(拍手)
3 ◎
古賀県民環境部長 登壇=
古川裕紀議員の御質問にお答えいたします。
私からは、
吉野ヶ里町内の国有林に埋設されています除草剤についてお答えさせていただきます。
まず、埋設されております除草剤の現状についてでございますが、議員からもお話がありましたように、2・4・5
-T系除草剤は昭和四十三年から昭和四十五年頃に
国有林野事業において使用されていたものであります。それがごく微量の
ダイオキシンが含まれていたことが分かりまして、昭和四十六年四月に使用が中止をされました。
その際、国が未使用品として所有しておりました
当該除草剤については、当時の「毒物及び
劇物取締法」に定める処分方法に基づいて、全国各地、県内では
吉野ヶ里町内の
国有林野の地下に埋設されております。
具体的な埋設方法についてでございますけれども、まず、埋設場所は飲料水の水源、民家、歩道、沢筋などから可能な限り離れた峰筋近くとし、地下水が湧き出ていない場所や風水害による崩壊のおそれがある場所などを避けるという考え方で選定をされております。
そして、埋設方法は、地面を深さ二メートルほど掘削し、そこにビニールを敷き詰め、その上に除草剤を
コンクリートで固めて埋設するという方法が取られております。
そして、
安全対策としましては、除草剤が漏れ出さないよう、周囲を遮水壁で囲い、上部にはアルミ板を設置し、また、立入りを防止するため、周囲を
金網フェンスで囲う措置が取られております。
そして、定期的に月二回、台風や大雨の後などには臨時で、埋設場所に異状がないか確認、点検が行われ、適宜、土壌・水質検査も実施をされております。
これまでのところ異状は認められておりませんで、県も随時国に対しまして、
点検等検査の結果の報告を求めておりまして、除草剤が周辺環境に影響を及ぼしていないことを確認しております。
次に、
除草剤撤去に向けた国の検討状況についてでございます。
これまでの調査によりまして、国は、除草剤に含まれる微量の
ダイオキシン類は
コンクリート内に固定されているため、地中で安定した状態にあるとの見解を示しております。そうした中にありましても、災害の発生によりまして埋設物が下流に流れ出すのではないかと、そういった不安から撤去を求める声がありますことから、国は、昨年度、埋設物を安全に掘削、撤去できるかどうかについて、
吉野ヶ里町を含む四カ所において現地調査を行っております。
その結果、安全に掘削、撤去できることを確認されたことから、除草剤の撤去を念頭に、さらに詳細な調査を進めることとされております。
今年度は、埋設物の成分濃度の分析や掘削範囲の確認などを行うため、
埋設地周辺で
ボーリング調査を実施し、その結果を基に今後の対応を検討するとされております。
最後に、今後の県の対応についてでございますが、国が
国有林野に埋設処分した除草剤につきましては、国が責任を持って対応していただきたいと考えておりますけれども、県としましても、撤去に向けた検討がどのように進んでいるのかなど、今後の国の対応を注視しますとともに、引き続き異常がないか確認をし、また、
地元吉野ヶ里町ともしっかり情報共有、連携をしながら、県民の安全・安心を図ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
4 ◎
山田農林水産部長 登壇=私からは、
農業水利施設の
治水活用につきましてお答えをいたします。
近年の気候変動に伴い、
浸水被害が頻発化しており、流域全体で
浸水被害を軽減させるための取組として、
農業水利施設が持つ
洪水貯留機能を活用することは極めて重要であると考えております。
県では、「
プロジェクトIF」の取組といたしまして、市町、土地改良区、農家と連携協力しながら、今年度の出水期から
田んぼダムや
クリークの事前放流などの取組を強化しております。
私もこの夏、大雨警報が出た際に、東部地域に出向きました。「
プロジェクトIF」で取り組んでいる
田んぼダムが機能しているのか、それから、
クリークの事前放流はしっかりできているのかを確認しに行ってまいりました。
農家の方からも話を聞きましたけども、集落全体で
田んぼダムに取り組んでいるという話をお伺いして、本当にありがたく思ったところでございます。
議員御指摘の排水対策につきましては、今年度は佐賀平野の東部地域で
クリークを対象とした排水の
シミュレーションを行っております。また、杵島地域ではため池を対象といたしました
排水シミュレーションを行っておりまして、
農業水利施設が持つ
洪水貯留機能を最大限に活用できるよう、現在検討を進めているところでございます。
このほか昨年の八月豪雨を含め、近年、農地の
浸水被害が頻発化しております神埼市南部地区の
浸水被害を軽減するため、国、県、市町、土地改良区で組織します「
浮島線流域治水検討会」を県が主導して設置をいたしました。
この検討会の中で、浸水の現状把握ですとか課題を抽出しながら、ハード、
ソフト両面から実効性のある対策を現在検討しているところでございます。細かい
ゲート操作による
クリークの事前放流など、まずは今できるところから実行をしております。
各地域の
流域治水対策を進めるに当たっては、まずは
農業振興面、さらに
産業振興面などを図るための
土地利用計画を策定していただきまして、地域の将来ビジョンを描くことが大切でございます。県は市町が策定するこの
ビジョンづくりをしっかり支援してまいります。
また、
流域治水対策に向けた
農業水利施設の改修につきましては、県が実施しております
排水シミュレーションの結果を踏まえ、施設の管理者であります市町や土地改良区に対しまして、県が積極的に関与しまして技術的なアドバイスを行うなど支援をしていくこととしております。
そして、再び豪雨災害が発生しても
浸水被害が少なくなったと実感していただけるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
5 ◎
落合教育長 登壇=私からは二問お答えいたします。
まず、
スクールソーシャルワーカーについて現場の声を基に御質問をいただきました。
まず、
スクールソーシャルワーカーの役割についてお答えをいたします。
県教育委員会では、不
登校対策総合推進事業の中で、平成二十年度から
スクールソーシャルワーカー活用事業に取り組んでおります。この事業における
スクールソーシャルワーカーの資格要件は、
社会福祉士や
精神保健福祉士の資格を有する者、またはそれに準ずる者としております。
その役割は、議員からも紹介がありましたけれども、いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待など、学校だけではなかなか解決することが難しい多岐にわたる生徒指導上の課題に対応するため、
社会福祉等の専門的な知識、技術を用いて、児童生徒の置かれた様々な環境に働きかけて支援する重要なものだと認識しております。
次に、
スクールソーシャルワーカーの
配置状況についてお答えします。
今年度は二十三人の
スクールソーシャルワーカーを
県教育委員会が雇用をして、
市町教育委員会を通じて全ての小中学校に派遣しており、県立学校には直接派遣をしております。その配置については
市町教育委員会から活用の実績や要望を聞き取りながら調整をしています。
今年度におきましては、公立の小中学校の総配置時間は一万五千六百八十五時間、
中学校区ごとの週当たりの配置時間では平均四・五時間となっています。これは
文部科学省の予算上の基準ですけども、週三時間よりかなり頑張っていると認識をしております。
また、配置している二十三人のうち特に経験が豊富な五人を
スーパーバイザーと位置づけまして、他の
スクールソーシャルワーカーや
市町教育委員会の担当者に対し、児童生徒の支援などについての助言をしたり、後進の育成を行ってもらったりしております。
次に最後に、
スクールソーシャルワーカーの今後の方向性についてお答えをいたします。
県教育委員会としては、
スクールソーシャルワーカーによる支援は非常に有効だと認識をいたしております。今後とも、
スクールソーシャルワーカーには「チーム学校」の一員としてその役割を果たしていただきたいと思っておりまして、支援の有効性をさらに高めるために、管理職のリーダーシップの下、その役割の周知、あるいは資質向上のための研修会の実施などに取り組んでまいります。
また、
スクールソーシャルワーカー配置の拡充を図るため、国に対しては今年の政策提案におきましても、義務標準法で全ての小中学校に配置できるよう制度を創設することなどについて提案をいたしました。今後も国に対しては配置の拡充について積極的に提案をしてまいります。
次に二問目ですけども、十八歳に達した高校生の
自動車運転免許取得について学校の対応を柔軟にすることについての私の認識を質問していただきました。
お答えする前に、現状を御説明いたしますと、まず、全日制の県立高等学校における、これは県立のですけども、
自動車運転免許取得につきましてはそれぞれの学校の判断で一定の制限を設けております。各学校が
自動車運転免許取得を許可する場合の条件としては、進路が内定していること、これは就職、進学の進路が内定していること、成績不振ではないこと、学校生活において生活態度などが良好であることなどです。
自動車学校に入校する時期の制限につきましては、就職する生徒の割合が多い専門学校などにおきましては、ほとんどの学校が進学や就職の進路が決定した直後の十月、あるいは十一月にかけて許可を行っております。
また、免許の取得につきましては、学校によりますけども、最終登校日、あるいは卒業式後としておりまして、就職先から卒業式前の
免許取得を求められる場合には、保護者などからの申出によりまして早く許可するなど、生徒の進路に支障がないよう、柔軟な対応を行っているところであります。
高校生の在学中の
免許取得について、各学校において制限を設けている理由としては、高校卒業に向け、学業に専念してほしいということ、交通事故の加害者にならないようにするため、そして、何より大切な命を守るためなどであります。
こうした制限の背景には、三年間預かった生徒を無事に卒業させたいという教職員の強い思いがありますし、恐らく我が子を思う保護者も同様ではないかというふうに考えております。
本来、児童生徒の学校外での活動について学校が制限を加えるということについては、必要最小限であるべきだと私は思っています。そのような考えの下で、一昨年、校則の見直しを全県立学校に指示いたしました。また、議員からも御指摘があったように、成人年齢が十八歳になり、高校生であっても法的には一人前の大人として扱われると、そういうふうになった中、法律で十八歳から認められている
免許取得を学校が制限していいのかという議論も当然あってしかるべきだと思います。
しかし、万が一、事故が発生した場合の本人、あるいは御家族はもちろんですけれども、学校全体、特に友達、そういったものに対する大きなダメージを考えると、
運転免許取得に対する現在の一定の制限は必要なものと考えております。
つい最近、今年七月ですけれども、唐津市内で発生した高校生のバイク事故で佐賀県立高校に通う高校生が死亡したという痛ましい事故がありました。改めて先ほどの思いを強めたところであります。
したがって、一律に禁止するのではなくて、学業や安全面、
運転免許取得に要する期間、そういったものを考慮した上で、
自動車学校への入校時期を定めているそれぞれの学校の現在の対応、先ほど申し上げたような生徒のニーズに応じて一定柔軟な対応をしながらでありますけれども、そういった現在の対応は、私は妥当だと考えております。
以上です。
6 ◎弘川貴紀君(拍手)登壇=おはようございます。自民党の弘川貴紀です。二月議会に引き続き、分かりやすくを最優先に、四項目四点、完全に一問一答仕立てで問いを立てて行いたいと思います。
問いの一は、地域内経済循環の促進についてであります。
本県ではこれまでに地産地消の推進や県産品の消費拡大、農産物や県産材の利活用、エネルギー自立等の取組を通して、地域内の資源循環を生かしてきています。その証拠に、食料自給率は全国平均三七%と比較して、佐賀県は九五%と非常に高く、西日本でもトップというデータが示されました。
この二年間は、コロナ禍のため広域的な移動が制限され、地域や生活圏内で消費行動を起こす頻度が増えたことに加え、「佐賀支え愛」をはじめとした様々な施策により、地域生活圏内でお金を使われているという実感は県民お一人お一人が感じられていると私は考えています。
この経済循環をさらによくするために、例えば、このような企画があります。同じ一万円を消費する場合、八〇%、八割を地元で消費し、次のサイクルでも八割、これを三回繰り返すと、一万円が倍近くの一万九千五百二十円の付加価値になります。これに対して、一万円が二割しか残らないサイクルを三回繰り返しますと、二千四百八十円しか回っていきません。三巡目にして約七・八倍の差になってくるというお話です。
県外や国外に売り込むことも当然大切な視点ではありますが、逆転の発想で、地域生活圏でこのサイクルを県全体で取り組むスケールメリットを生かせれば、ミクロ経済がマクロ経済となり、県内の経済は反転攻勢の手がかりをつかむのではないかと大いに期待しています。
今議会に提案されている「さが堆肥利活用スイッチ補助金」、定松、西久保両議員が議論されました。これも同じ論点だと思います。これまで堆肥利用が進まなかったところ、化学肥料の高騰で価格が逆転し、タイムリーな支援を行うことによって良質な堆肥が地元で循環していくのはとてもいい取組です。
加えて、プレミアム商品券やクーポン券発行事業など、そういうものを通してお金が循環していく効果をもっともっと発信していくべきと考えます。
「佐賀支え愛」局面では、一巡目では大きく地元に消費され、前進していますので、二巡目、三巡目までを広く事業者や県民の方々へ周知する必要があるのではと強く願っています。
そうすることによって、情けは人のためならずではありませんが、遠いところにあった消費による効果が、徐々に巡り巡って自分のほうに回ってくることを実感される日は近いと考えます。
一般質問でも議論された公共事業の増額や、地方債活用による積極財政で地域経済を支えるという視点、その一次効果を次の消費へつなげ、「支え愛」を、今度は深化する視点こそが、人と人の結びつきや自発の地域づくりが前へ前へ進んでいく未来の定番になり得ると確信しています。
そこで、仮称です。「”佐賀支え愛”第二弾 佐賀版ローカルファースト」、略して「佐賀支え愛SLF作戦」をささやかながら提案いたしますが、寺島産業労働部長にお尋ねいたします。
続いて、問いの二は半導体産業の振興です。
半導体は、デジタル産業を支える重要な基盤であり、安全保障にもつながる戦略技術であることから、今後、我が国の経済を支える中核を担う存在です。
世界の半導体の役割分担を俯瞰して見ますと、韓国はメモリー大国、台湾はロジック半導体を、中国はこれら二国から大量に輸入して完成品を作っています。そして、日本は製造装置と材料提供に大きな強みを持っています。「佐賀さいこうビジョン2022」の巻末での「世界に誇れる佐賀県」として、シリコンウエハー出荷額は千五百三十四億円で、全国一位というデータに示されているとおり、半導体素材の世界シェア六割を日本が占めています。