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令和4年9月定例会(第3日) 本文
令和4年9月定例会(第3日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2022-09-03
    令和4年9月定例会(第3日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(藤木卓一郎君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。     ○ 決算特別委員会設置 2 ◎議長(藤木卓一郎君) お諮りいたします。  決算特別委員会設置の件を本日の日程に追加して議題といたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 3 ◎議長(藤木卓一郎君) 御異議なしと認めます。よって、決算特別委員会設置の件を本日の日程に追加して議題といたします。  お諮りいたします。  既に議題となっております乙第七十号議案及び乙第七十一号議案につきましては、十四人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、審査することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 4 ◎議長(藤木卓一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ○ 決算特別委員会委員選任 5 ◎議長(藤木卓一郎君) お諮りいたします。  ただいま設置されました決算特別委員会の委員選任につきましては、委員会条例第五条の規定により、お手元に配付いたしております名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 6 ◎議長(藤木卓一郎君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、決算特別委員会委員に選任することに決定いたしました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       決算特別委員会委員名簿 ┌───────┬────────┬───────┬───────┐ │ 自由民主党 │県民ネットワーク│ 日本共産党 │ 公 明 党 │
    ├───────┼────────┼───────┼───────┤ │土 井 敏 行│徳 光 清 孝 │武 藤 明 美│中 本 正 一│ │木 原 奉 文│江 口 善 紀 │       │       │ │池 田 正 恭│下 田   寛 │       │       │ │原 田 寿 雄│        │       │       │ │田 中 秀 和│        │       │       │ │川 崎 常 博│        │       │       │ │坂 口 祐 樹│        │       │       │ │一ノ瀬 裕 子│        │       │       │ │桃 崎 祐 介│        │       │       │ └───────┴────────┴───────┴───────┘      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 7 ◎議長(藤木卓一郎君) 後刻、正副委員長を互選の上、議長まで通知をお願いいたします。  次に、昨日に引き続き一般質問を行います。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 8 ◎西久保弘克君(拍手)登壇=皆さんおはようございます。自由民主党の西久保弘克でございます。  本日は五問の質問をさせていただきますが、昨日、それぞれの皆さんの一般質問を聞かせていただいた中で、特に最後の留守先生の質問、やはり三十二年議会におられる方だなと思いました。そして、知事を見ていましたら、私もそうなんですけれども、何かおやじに言われているような気がして、何というんですかね、素直に聞けたというか、知事のほうも本当に素直に聞かれていて、何かうれしかったなと思っております。私もまだまだそういった域には達しませんけれども、自分なりに質問をさせていただきたいと思います。  昨日夜、私なりに空を見ていて、あれっと思って調べてみました。そしたら、二期目の三年半、どういったところに質問したのかなと見ていましたら、一番多いのが農林水産部、今日は十二回目の登壇なんですけど、十二回登壇して十三問質問しています。知事が次で十二問やっていまして、副知事にも実は三回登壇して四問の質問をさせていただいていると。私ちょっと反省したのは、危機管理・報道局長、男女参画・こども局長、県土整備部長には実は一回もしていないんですね。これは私なりに偏っているのかなと。三番目に多かったのが教育長に対して七回登壇して八問しています。その次が警察本部長、五回登壇して六問ということで、あと県政課題というのは多岐にわたります。私なりに危機管理・報道局長、男女参画・こども局長、県土整備部長、あと二回のチャンスがあるんですけれども、もし許されるなら、そこで質問をしっかり組み立ててやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それともう一点、ちょっとうれしいことがありました。県の財政というのはすごく分かりづらいということを勉強会のときにお話しさせていただきましたら、企業会計に合わせた一般会計の貸借対照表というのをつくっていただきました。令和元年、令和二年、令和三年、これはすばらしい資料です。これを見ると一目瞭然で、何が、どれだけの財産があってということが分かって、すばらしいものですので、これも私なりに今後活用しながら、議会の皆さんのため、県民の皆さんのためになれるような質問をつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いして質問に入らせていただきます。  それでは、一問目の質問に入ります。堆肥の利活用促進に向けた取組であります。  六月議会において、国際情勢の変化や為替の変動などにより、化学肥料の価格が昨年同時期から約二倍に高騰し、供給量も十分に確保できない状況であったことから、持続的農業を推進する観点からも有機物を利用した持続的農業の推進について質問をしたところであります。あれから数カ月が経過し、化学肥料は一層手に入りにくくなっており、この状況では農業を継続することは難しく、営農を断念される農家が出てくることが危惧されます。  こうしたことから、化学肥料に替えて堆肥を利用した循環型農業を展開してもらいたいと考えておりますが、通常の堆肥は、運搬や保管、さらには散布について、化学肥料に比べ手間やコストがかかり、利用が進んでいない状況であります。特に畜産農家、牛、馬、豚、鶏が少ない県東部の地域では顕著であると感じています。  こうした中、県では、今議会で堆肥の利活用を進めるため、堆肥をペレット状にする機械や、圃場に堆肥を散布する機械の導入、さらに堆肥ストックヤードの整備などに対する支援対策の予算を提案されています。私も、堆肥についてはペレット化にすることが非常に重要であると思っております。ペレット化することによって、堆肥の保管時や散布後の臭いの問題が解消されたり、ペレット化した堆肥をフレコンバッグなどの袋に詰めることで保管がしやすくなったり、堆肥舎に堆肥が滞留することなく舎外に出せるようになるなど多くのメリットがあります。この堆肥をペレット化する取組を大いに進めていただき、多くの生産者の方々が堆肥を利用した循環型農業に取り組むようになってほしいと考えております。  実は六月議会の質問の中で私が堆肥化の質問をしたときに、山田農林水産部長が答えられている中で、三つほど課題がありますよというその三つの中に、ストックヤードの問題であったり、運搬、ペレット状という話が出ています。今回、今議会で素早く三つの解決を図るだけの予算をやってもらっているということに関しては、すごいですねという話をしたときに、いやいや、これは知事から絶対せろと言われたというような話も出まして、これについては知事にも本当に感謝したいと思っておりますし、本当に農業、調べましたら水稲農業は三千年の歴史です。そして、化学肥料は僅か、昭和四十年代の頭から入ってきました。このときに、農業が生き残るためにどうすればいいのかという中で、今回も大きな転換期になると私は考えております。  ですから最後に、県は堆肥の利活用を促進するため、今後どのように取り組んでいくのか。また、六月議会でお尋ねした佐賀競馬場の馬ふんの利活用に向けた取組の進捗状況はどうなっているのか、農林水産部長にお伺いいたします。  二番目の質問に入ります。佐賀県におけるドローンの利活用拡大についてであります。  ドローンについては、二〇〇〇年代から普及し始め、現在では災害時の状況把握、水稲や果樹などの農薬散布、橋桁などのインフラ点検で活用され、今後は巡回監視や荷物の配送等へ利活用が広がり、産業や生活に大きな変化をもたらすと考えております。  こうした中、国においては、今年六月からドローンの登録制度をスタートさせ、また、ドローンによる荷物の配送を実用化しやすくなるよう、十二月から第三者の上空を目視なしで飛行させることを可能とするための機体の認証制度と操縦ライセンス制度をスタートさせる予定としております。また、こうした制度の整備と併せ、国ではドローンによる地域課題解決を各地域に広めようと、去る九月一日に自治体の取組事例を共有するためのドローンサミットを兵庫県と共同で開催したところであります。ここでは、例えば、水稲の生育調査や鉄道インフラの施設の点検、スズメバチの駆除、離島や中山間地域におけるドローン配送など、全国の様々な取組事例が紹介されたと聞いております。  一方、県内に目を向けると、県内のドローンスクールでは、県内の農業系高校生に対してドローンの講習を実施したり、佐賀市では農業用ドローンの購入費用や免許取得のための費用を助成するなど、農業用ドローンの普及に向けた取組を行っております。  農水省のドローン普及に向けて、農水省のやつをちょっと見ましたけれども、農水省の動きというのが、令和元年、そして令和三年という動きをしていますが、まず最初に「農業用ドローンの普及に向けて」というのが平成三十一年、これは三月なので、令和にはまだなっていません。「農業用ドローンの普及に向けて」という資料が農林水産省から出ています。その後、同年、令和元年八月は「農業用ドローンの普及拡大に向けて」というふうになっています。一番直近のやつは、令和三年八月の「令和三年度農業分野におけるドローンの活用状況」、一番近いんですけれども、普及をしなさいよということを言っていたんですけれども、今は普及はある程度いったので、活用状況はどうなっているんだ、農水省はそういうところまで来ています。  そして、二十市町を実は調べてみました。二十市町を調べたところ、佐賀市だけは農業用ドローンに関して五万円の補助を出しますよ。これも農水省の関係の予算なんですけど、操縦するオペレーター、約十五万円から二十万円かかると言われる免許取得に関しても一人五万円の補助をする。こういったふうに佐賀市はいち早く動かれております。  そういった中で、私は社会課題を解決する手段の一つとしてドローンに大きな期待を寄せており、ドローンの制度の周知はもとより、他県の事例なども参考に県内でのドローンの様々な分野での利活用を図っていくべきだと考えています。農業だけではありません、様々な分野での利活用を図っていくべきだと考えております。  ついては、次の点についてお伺いいたします。  県や市町におけるドローンの利活用拡大についてお伺いします。  ドローンの利活用が全国的に進む中、災害対応、農林水産、建設、物流など各部門の課題解決のため、県及び市町の様々な分野で利活用の推進を図るべきだと思いますが、どのように取り組むのか、進政策部長にお伺いします。  二点目、県民のドローンに対する認知の向上についてであります。  ドローンの利活用拡大のためには、ドローンの可能性についての県民の理解と、そして、音や危険性などを心配する地域住民の理解が必要だと考えますが、佐賀県は今後どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  実は、このドローンでちょっと考えたんですけれども、我々はカーナビが出たときは、GPSというのがDX関係で出ています。ドローンというのはどういったものかなと考えたときには、何となく古いもの、重労働であったり、過労働であるものに代わっていくものなのかなという考え方があります。何かそういったものの中で、古いものに新しい命をというところで、いろんなグッズを調べてみましたら、実はこういうものがありました。これはおしぼりになっているんですね。(実物を示す)これは当然、議長の持込みの許可をもらってきたんですが、おしぼりの形になっている。これは実はもらったんですけど、何に使うかといったら、広げるとこういうエコバッグになるんですね。これはやはり古い考え方をこういったエコバッグにして、見た目は完全なおしぼりなんですけれども、ぽんぽん配って、こういうエコバッグになって、これで自分のごみを持って帰ってくださいよという推進をしています。これを作っている企業にお話を聞いたんですけど、これはもうかるんですかと。もうかるんですかという言い方は悪いんですけど、これは利益があるんですかと話をしたら、これはここにいろんな会社とか、CMを入れてもらうことによって利益が出るんですよと。これは古いものを新しくという発想なんですね。  DXとかいろんな話をされるんですけれども、ドローンというのは飛ぶことぐらいしかできません。でも、これはいろんなところで、今困っている課題解決には本当に有効だと私は思いますので、佐賀県としても本当に取り組んでいただきたいと思いますので、進部長、ひとつよろしくお願いいたします。  それでは、三番目の質問に参ります。教育のデジタル化についてであります。  国においては、二〇二四年度から全国の小中学校において英語のデジタル教科書の導入を予定しており、二〇二五年度以降は算数、数学にも拡大することを検討しているところであります。これに先行して、令和元年度から一部の学校において実証事業が開始され、順次これが拡大され、本年度は全国全ての小中学校を対象に学年や教科を限定するなどした実証事業がなされております。  県内小中学校においても効果的な活用が模索されるということでありますが、児童生徒が一斉にインターネットにアクセスする際、不具合が起こるなど通信環境に課題もあると伺っております。  このほかデジタル教科書が普及すれば、資料集や計算ドリルなどのデジタル教材も利用が広がっていくものと思いますが、教材購入は保護者負担となることから、負担感が増すことが心配であります。  これも若干言いますと、デジタル教科書は国が配ってくれるんですね。例えば、こういったタブレットをGIGAスクールでやりました、(実物を示す)デジタル教科書に関しても国が買ってくれるんですよね、中身。しかし、教材は保護者負担なんですね。  この保護者負担というところ、保護者負担が増すんではないかというのは、アプリを買うときにはいろんな先生方、学校によって違うんですね。どういうアプリを入れるか、これでいうとアプリなんですけども。それをどう活用するのか、ここが今後の教育の課題に大きくなっていくと思っております。  二〇二四年まであと一年半余り、さまざまな課題はあるものの、これに一つ一つ対応していくことで学習環境の改善を図り、児童生徒の学力向上につながることを期待しております。  さて、このデジタル教科書、教材をはじめとして、近年の教育現場は急速にデジタル化が進んでおります。これらの様々な活用策の一つとして、私は優れた指導力を有する職員による映像授業ができないかと思います。教員不足が叫ばれる昨今、課外補習や自主学習の際だけでもこれを行うことで、個々の教員の指導力向上や多忙感の解消、有給休暇取得推進を含めた働き方改革につながるのではないでしょうか。  また脱線して申し訳ないんですけども、今回国が令和五年度の概算要求のポイントということで文部科学省の資料を見させてもらいました。いろんなものを見ていき、そして、デジタル教科書使用に関するディスカッションということを八月に行われて、今度、中身も実は見させてもらいました。そしたら、私としては驚くことに、パソコンを配っています。車でいったら軽自動車も普通車もいっぱいいろんな形で配っているんですね。OSはほとんどがウインドウズかクロームなんですけども、そうなってくると、どこに合わせて教科書を入れていくのか。画像が多いとそれだけ重いので、実はそういったものをどんどん削っているんですね。これは文科省に言うことであって、教育庁に言うことではないんですけども、どんどんどんどん削っていくことで、軽く、軽くしているんですね。画像とかがなくて、画像とかは教材で買って入れてくださいよという方向に進んでいるというのは大きな問題であって、じゃ、それだけのものをやろうとすると、大きく教材代も上がってくるし、ケーブルの問題も出てくる。  こういった点はやはり私は国に対して、ある意味、言っていいと思います。配るときには自分が好きな車を買っていいですよと言っておいて、軽自動車だから、一トン車があってもそこに三百五十キロのものしか、軽自動車は三百五十キロのものしか載らないんだから、みんな三百五十キロのものを載せますよという発想、これはいかがなものかなと思ってこの質問をさせてもらっています。  それでは、質問に入ります。  市町立学校におけるデジタル教科書についてお伺いします。  一点目、活用効果についてであります。  県内市町立学校においては、本年度、英語と、国が指定するもう一科目の二科目について実証事業に取り組んでいますが、どのような効果が上がっているのかお伺いします。  二点目、課題についてであります。  実際に活用すると、様々なトラブルや気づきがあると思いますが、課題についてどのように認識しているのかお尋ねします。  三点目、デジタル教材の保護者負担についてであります。  デジタル教科書の普及に伴い、デジタル教材も利用が拡大していくものと思いますが、保護者の負担感が増さないようにするべきであると考えますが、県はどのように認識しているのか、この三点、教育長にお伺いします。  現在のデジタル教材は一人当たり約一万円かかっているということです。アサガオの種とか鉢とかも入れてですね。私、実は先般、デジタル教材を作っている会社の方とお話をさせていただきました。そのときに言われたのは、大体五教科で三千円から三千五百円で作れるはずです、自分たちは作ります。その三千五百円で普及して、そして、残りは実物の、例えば、今言ったように、アサガオの種だとかなんとかに六千五百円が使えればいいですね。しかし、ややもすると、佐賀県のような地方都市の場合は三千五百円のものが五千円、六千円、七千円になって、実物のものが三千円になったり、二千円になったりしていく、これを危惧しているということでありますので、この点も併せて教育長御答弁いただければよろしくお願いいたします。  それでは次に、県内のプロスポーツの振興についてであります。  現在、佐賀県では、県内をホームとするサッカーのJ1リーグのサガン鳥栖やバレーボールV1リーグの久光スプリングスバスケットボールB2リーグの佐賀バルーナーズ、三人制バスケットボールのレオブラックスサガ・レオナイナーズといったプロチームがあり、県を挙げて地域交流や観戦機会の創出など様々な事業を通じて応援していらっしゃいます。  プロチームの活躍は、県民に夢や感動を与えることから、プロスポーツを振興することは非常にいい取組だと思っており、実際に県議会としてもサガン鳥栖や佐賀バルーナーズの試合を観戦に行くなど応援しているところであります。  今議会においても「プロ4応援キャンペーン」として、コロナ禍の中でも観客を増やして各プロチームを応援するなど、スポーツを通して県民が元気になるような取組が提案されております。  一方で、県を挙げて応援しているこの四つのプロチーム以外にも県内にはプロの団体というものはあります。一つの例を挙げると、二〇二一年五月八日に佐賀県で初めてプロレス団体BURSTが設立されております。この団体は、昨年、二〇二一年五月から毎月一回、神埼にある「KANZAKI BASE」でプロレス興行を行っており、県内外からプ>ロレスのファンが多く観戦に来ていると聞いております。  プロレスをたまたま見に行ったら、NHKのBSの「いいいじゅー!!」というテレビ番組で今年の四月二十八日に実は放送された。これは二〇二一年の四月に佐賀県の神埼にプロレスラーが移住してきているんですね。それと、それに関係する方々で一緒にリングを作って、そして、そこで興行を行っているというものです。これは実は毎月やられていまして、ふだんはそのプロレスラーの方は何しているかといったら、はつりの仕事ですね。建築現場ではつりの仕事をしながら、全日本プロレスが応援しているんですけど、月に一回全日本プロレスの方と一緒にやっているということです。  ここに行きまして、その方々といろんな話をしました。パネルは見にくいです。(パネルを示す)見にくいんですけど、誠意だけ見てもらって、パネルは見にくいですよ、言っておきますよ。これは昨年の五月から四月まで、毎月やっています。その中で準備した観客数、これはコロナ禍の中にスタートしています。コロナ禍の中でスタートしていて、収容人員百八十人なんですけども、八十名とか六十名しか観客席つくっていないんですね。その中で一番多いときは百六十の席を一月につくっているんですけど、そのときは百六十二名来ているんですね。この割合を見ます。準備客数に対して一年間で千九十つくったものに関して千三十三、九五%の席が埋まっているというのが一つ。  次に、年齢区分でいくと、大人が八二%、小学生以下が一八%。小学生以下は無料にしているもんで、近所の方が来ているのかなと思ったら、近所の方はほとんど来ていませんね。  最後に、来場者の地域を見ました。そしたら、佐賀県内の人が何%か、二九%です。佐賀県以外の九州管内の人は何%ですか、五六%。そして、九州以外から来ているのは一五%の人がいます。簡単に言うと、七割が佐賀県外の方なんですね。そして、一番遠いところは山形から三回も四回も来ているということで、そういう方は当然佐賀県に宿泊していますから。  こういったいろんなプロスポーツで県外から来る、そして、どのぐらいの人数が来ているのかだけではなくて、どこから来ているのか、そして、どういう方が見ているのか、こういったものもやはりほかの「プロ4応援キャンペーン」でも使えればなというふうに思って、今日一つの事例として持ってきています。  さらに、この団体は地域貢献活動も行っており、被災地や老人ホームへの慰問、こども園や小学校等での健全育成の教育、また、地域のイベントなどに参加することで、地域の活性化にも取り組まれているところであり、私としては、こういった団体がほかにもあることを広く県民に知ってほしいと思っております。応援するプロスポーツの幅をもっと広げることで、お年寄りから子供まで幅広い年齢層で多くのファンが増えるなど、さらなるスポーツの振興やスポーツ文化の裾野の拡大につながるのではないかと考えております。  これも調べさせてもらいましたけど、御当地レスラーというのがいろんなところにいるんですね。例えば、岩手のみちのくプロレスでは気仙沼二郎、沼津プロレスではお茶戦士カテキング、大阪プロレスではタコヤキーダー、これ御当地それぞれが一つのキャラクターをもって地元を応援するという、これはプロレスだけではないです、いろんなプロスポーツでやられることではないかと思います。  そこで、もう一度言います。スポーツの振興やスポーツ文化の裾野の拡大につながるのではないかと考えますが、県としてどのようにお考えかをお伺いしたい。やはり応援するプロスポーツの幅をもっと広げること、そして、見ている人の年齢層、高齢の方であったり、いろんな方、いろんな幅の層の方に受け入れられるものをもっとやっていただきたいという質問であります。  最後の質問になります。  市町と連携した県政運営についてであります。  知事は、これまで様々な場面で現場の声を聞き、現場の人の思いが少しでも実現されるよう、県政運営に当たられてきたと考えております。現場の意見を聞き、現場で起きている課題を把握し、解決していくためには、住民や事業者と直接対話をしたり、首長と意見交換をしたりするなど、様々な手法があると思います。  そうした中、令和三年十一月議会の一般質問において、私が佐賀市との連携について知事へ質問をしたところ、知事はケーブルテレビで佐賀市議会を毎回チェックされている旨の答弁がありました。また、今年七月に、知事や県議会議員と、また、佐賀市長、佐賀市議会議員などが参加し、開催された佐賀県、佐賀市との行政懇談会においても、知事は佐賀市議会中継をチェックされているとの発言があり、こうした知事の取組は大変すばらしいと感じたところであります。  私は、議会において質問するに当たっては、住民や事業者の意見を聞いたり、新聞記事や国の予算資料を確認したりするほか、市町の職員さんなどにも実情を聞くなどしていますが、現場の課題を把握する一つの手段として、私も今後、県政課題に関係する市町議会の中継を見たり、議事録を確認してみたいと考えております。  私も逆に、一般質問後に市議会、町議会の議員さんから資料や議事録を要求されたり、また、唐津の市議会さん、多久の市議会さん、いろんな方から、質問を聞いたんだけど、もっと深い資料はないですか、いや、ありますよ、ということだったら、それを貸して、お互いにやり取りをいろんな市町の関係者としています。  それともう一点、また、県内の国会議員の事務所の秘書さんは、県議会の一般質問全てを見て、佐賀県ではこういった議員さんがこういう質問をしていて、こういう答弁があっていますもんねというのを要約して国会議員の先生に上げていく、そして、佐賀県ではこういった問題、こういう考えがあるんだよねということを国政課題にもしてもらっているというのを聞いております。  ですから、私はこういったまだまだ取り組めていない点がたくさんあるので、今後も取り組んでいかないといけないと思っておるところでございます。  住民にとって最も身近な行政主体である市町には、住民の生の声が届けられており、その声から課題を把握すること、その声に対応する市町の考えを聞くこと、そして、それらが集約された県内の十市議会や十町議会の一般質問や委員会質疑など、関係する議論をチェックすることは、県政が抱える課題を解決するヒントを見つけることや、新たな県政課題を見つけ出すことにもつながるのではないかと私は思います。  県政運営に当たっては、知事をはじめ関係部局の職員が、現場において直接県民や事業者の意見を聞くことに加え、とりわけ市町議会での意見や考えを聞き、様々な施策に反映していくことが重要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  現場の声を聞く、そして山口県政、昨日の留守議員ではないですけど、山口県政を強く支持する者の一人として、この五番目の質問、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、一回目の質問を終わります。(拍手) 9 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。西久保弘克議員の御質問にお答えいたします。  市町と連携した県政運営についてなどお尋ねがございました。私が常々考えている政治姿勢としてマクロの視点とミクロの視点というのがあって、西久保議員からも肥料の話などありましたけれども、最近マクロで言うと、国際情勢、円安の進行が止まらないということでありまして、いや、これは日本の国力の全体的な衰退から導かれるものも大きいのではないかと懸念しておりますし、根が深いものもあるのではないかなと、構造的に考え直さないと、この国は大変なことになるなという非常に強い危機感を持っています。  そうした中で、やはり我々が気をつけなければいけないのはミクロの視点、佐賀県の地域、地域でそういった大きな国際情勢も含めてどういうような影響を及ぼして、どういう皆さん方が、今どう苦しみを抱えながら過ごされているのかということでございます。  そうした中で、市町、市町議会の中でどういう議論がなされているのかということに関心を持つことというのは、県政運営をする中で大変大事なことだと思っています。  私は、多くの地域を訪ねて、様々な声を聞いて、プロセスを大切にひたすら現場の思いに寄り添いながら県政を運営してまいりました。そして、職員にも、現場を何より重視した取組を事あるごとに求めてまいりました。  ミクロで起きていることをしっかり政策に打ち出すときには、マクロの中での将来性も踏まえた上で、構造改革を併せてやるというのも、今回の予算の大きな特徴になっていると我々は思っております。  そして、市町議会の議長と懇話会を開催したり、市長会、町村会からの声を聞いて、できるものから県の取組に反映をさせていただいております。  例えば、市町の議長懇話会で議論した中で、最近対応した例とすると、JRのICカードですとか、伊万里港のガントリークレーンだとか、大浦港のしゅんせつ、こういったものが挙げられますし、市長会だと、空き家対策だとか急傾斜地の要件を緩和してほしいということについては即実行させていただいたり、町村会でありますと、ワクチン接種の支援だったり、ふるさと納税制度の見直しの国への要望だとか、そういったことについても、できるものは取り込んで、しっかり県政に反映させていきたいと思っています。  そして、市町議会からの意見書は、私をはじめ庁内で共有し、意見書への回答となる県の対応方針をホームページに公開する仕組みを導入しています。  そして、大事にしているのは、昨年要望されたことについて、どういうフォローアップをしているのかということです。全てが全て、全部達成するわけではありませんけれども、それはそれとしてしっかり関心を持って対応していくということが大事だと思います。  様々な地域課題については、二十一人の首長がフラットな立場で意見交換をするという仕組みが大事だということで、GM21ミーティングを設置して、これはこれまで二十七回開催させていただいております。  こうやってふだんから知事、市長、町長が一堂でフラットに意見交換するというのは、コロナだとか豪雨災害のときに簡単にすぐ連絡を取り合って、ウェブ開催したり、いろんなことが可能になるので、これって我々の非常に大事な機能なのではないかと思っています。  さらに、今年のGMと市町議会議長懇話会で、西久保議員からお話があったように、もっと県の情報が欲しいと、タイムリーに欲しいと、それを踏まえて俺たちは議論をしているし、予算案もつくったりとか動いているんだという、至極ごもっともな御指摘をいただきまして、もっと早くからやればよかったんでしょうけれども、県予算の会見資料だとか、特に知事演告はタイムリーに事細かく我々の考えが表明されておりますので、それを市町の首長さんや議員の皆さん方に担当課長から即日送付するということを実施しております。  私は町に出て、現場に出向いて生の声を聞くということを大事にしておりますけれども、それに加えて、市町議会の中継を見ております。そして、SNSなども利用して、市町議員の皆さんとか県民のお一人お一人がどのように考えているのかといったことを意識しながら、全体のかじ取りを考えさせていただいております。ですので、強制はもちろんできませんけれども、県の幹部職員にはそういったSNSなど様々なツールを活用して、できる限り県民感覚というものを感じ取りながら、施策を考えていただきたいということは申し上げております。  市町の声や現場の思いに寄り添っていくことは、私の政治の原点であります。これからも市町とともに、佐賀県と県民の将来のことを何よりも考えて、真っすぐに県政を運営してまいりたいと考えております。 10 ◎進政策部長 登壇=私からは、ドローンの利活用拡大についてお答えいたします。  まず、県や市町におけるドローンの利活用拡大についてです。
     今、Society5・0時代に向けまして、自動運転やVR・MRなど新たなデジタル技術が社会のありようを刻々と変えております。ドローンもその一つの技術であり、これは議員からも御指摘がありましたけれども、既に社会の様々な場面で活用されております。  ドローンは、上空からの広範囲にわたる撮影、また高い場所や危険が伴う場所、またはピンポイントでの点検や作業、また交通が不便な地域での効率的な荷物の配送といったことを可能とし、迅速かつ正確な情報収集、作業負担の軽減、省力化、効率化による人手不足への対応など、社会課題の解決を期待できる技術であります。  こうした特徴を踏まえまして、県としてもこれまでも積極的な利活用を図ってきております。例えば、災害時のドローンによる迅速な被災状況の把握、また不法投棄現場の現状確認、また橋梁の点検、そして農業分野については、議員からも様々な取組が進んでいるよねという話もありましたけれども、県においてもドローンによる空撮画像の分析によるキャベツの収量や収穫時期の予測の研究など、ドローンをどのように現場に反映できるかという、普及の後押しも大切なんですが、その前段階でどういうふうなことができるのか、研究を県は非常に力を入れてやっております。  また、今年度は佐賀新聞社及び佐賀市と協働でのドローンによる荷物配送の実証を行うこととしております。  このように各分野においてドローンの活用は進んでおりますけれども、やや農業、災害とか分野ごとに固まっている傾向がありますので、今後、さらにドローンの利活用を拡大していくためには、県や市町と企業やNPOなど様々な主体が分野横断的に共に学び、情報交換し、互いの課題意識をぶつけ合い、アイデアを創出していくことが重要と考えております。  こうしたことから、今年十一月には実際にドローンを活用している方、まだ活用していないんだけど関心を持っているよという方、そうした方など、様々な方を集め、最新の技術や制度の動向を知るとともに、それぞれの取組や意見を交換し、互いのつながりをつくるカンファレンスを開催したいと思っております。  このようなつながりを通して、新たなアイデアとその実現に向けた協力を生み出すことでドローンの利活用を拡大し、それぞれの課題解決が図られるよう取り組んでまいります。  次に、県民のドローンに対する認知の向上についてお答えいたします。  ドローンの利活用は、今申し上げましたとおり拡大してきておりますが、まだまだ生活の中でふだんから頻繁に目にするというところまでは来ておりません。今後、ドローンの利活用が進みますと、ドローンの音が少しうるさいんではないか、また、落ちてこないんだろうかといったような不安の声も生じてくると考えられます。そのため、まず大切なことは、安全な運航を担保するための制度的な準備を行うことであると考えております。  国においては、ドローンの飛行ルールやマニュアルを定めるとともに、機体登録や機体認証及び操縦ライセンスの整備など、制度面を中心に安全・安心の確保を図っております。そして、こうした制度的な動きを踏まえて、県民の皆様にドローンの安全性、活用策等を知っていただき、身近に感じていただくということがまた大切だと思っております。  そのため、SNS等を活用して県民向け広報を行うとともに、イベントを開催し、ドローン配送実演や操縦体験等によってドローンに親しむとともに、制度や利便性、様々な活用事例などを知る機会をつくっていきたいと思います。  また、住民と接する機会の多い市町とも、住民にどうやったら身近に感じていただけるんだろうかということを意見交換し、実際に取組に移すなど、連携して取り組んでまいります。  Society5・0と呼ばれるデジタル社会の到来が間近に迫る中、新たなテクノロジーの利活用に積極的に取り組むとともに、市町とも連携し、県民の皆様にその利便性や将来性を分かりやすく伝え、浸透を図り、誰もが便利で快適に暮らせる社会をいち早く実現できるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 11 ◎山田農林水産部長 登壇=私からは、堆肥の利活用促進に向けた取組につきましてお答えをいたします。  家畜の堆肥には、窒素、リン酸、カリといった主要な肥料としての成分が含まれております。地域資源である堆肥を化学肥料の代わりとして、また、土づくりの資材として有効に活用していくことは非常に重要であると考えております。  しかしながら、堆肥が多く生産される畜産の産地でございますけれども、県北西部に偏っております。運搬や散布に化学肥料よりも手間がかかるということなどから、これまでその利用が十分に進んでこなかったというのが現状でございます。  こうした中、議員からも御指摘ありましたけれども、現在、原油価格の高騰による海上運賃の上昇ですとか円安の影響等によりまして、化学肥料価格が高騰いたしております。堆肥を活用したほうが生産コストを抑えることができる状況に現在なっておりますことから、農家の堆肥への関心が高まっております。  このため県では、こうした状況の変化を捉え、化学肥料主体の生産体系から堆肥を活用した生産体系への切替えを促進していくこととし、今議会に二つの取組に係る予算を提案しているところでございます。  具体的に一つ目としましては、堆肥を生産する側──これは畜産サイドでございますけれども──に対して、利用する農家が圃場へ散布しやすくするため、堆肥をペレット状に加工する機械、施設の整備に対する支援。また、土づくりと肥料の効果を併せ持つ堆肥入り肥料の製造に向けた実証を行っていくこととしております。  二つ目としましては、これは堆肥を利用する側、作物の生産者側に対しましては、マニュアスプレッダーなど堆肥を散布する機械の導入ですとか、圃場の近くで堆肥を一時的に保管するストックヤードの整備に対する支援。さらに、適正な施肥設計のため、圃場の土壌分析をする必要がありますけれども、その土壌分析経費への補助や堆肥を活用した低コスト施肥体系の実証、こういうものを行うこととしております。  特に堆肥のペレット化や散布など、堆肥の利活用に要する機械、施設の整備につきましては、補助率四分の三で支援をすることによりまして、生産現場での取組を強力に後押ししていきたいと考えております。  なお、堆肥をペレット化することは、運搬や保管、散布のしやすさなどの面でメリットが大きいことから、畜産農家が少ない地域、例えば、佐賀の平たん部ですとか東部地域での利活用にも期待できると考えております。  堆肥の利活用を盛んにしていくため、堆肥を生産する側と利用する側双方で取組を進めまして、堆肥が資源として循環する持続的農業への転換を促進してまいりたいと考えております。  また、佐賀競馬場の馬ふんの利活用の進捗についても御質問をいただきました。  現在、競馬組合では場内で堆肥化する方向で検討されておりまして、必要な機械、施設の整備につきましても検討をされております。県も、堆肥化の方法ですとか施設の規模決定につきまして助言するなど、一緒になって進めているところでございます。  私からは以上でございます。 12 ◎宮原SAGA2024・SSP推進局長 登壇=私からは、県内のプロスポーツの振興についてお答えいたします。  西久保議員からは、県内初となるプロレス団体BURSTさんが移住の方々を中心に、昨年、神埼市に設立され、神埼の地で毎月プロレスの試合を開催すること。それから今、昨年度、千人を超える、特に県外からのファンを集められたことを御紹介いただきました。  私自身、ちょうどプロレスブームの世代でございまして、小学校から中学校にかけての金曜の夜はプロレスのテレビ放送にかじりつきまして、鍛え抜かれた体から繰り広げられる技の応酬に胸を躍らせていたこと。そして、放送の翌日には学校で友達と興奮して試合内容を語り合っていたことを今でも覚えております。  さらに、議員からは、この団体はプロレスの開催だけでなく、被災地やこども園への慰問などの地域貢献活動に積極的に取り組まれているということも御紹介いただきました。私も、地域社会等でのいじめや差別などの防止を目的とした「いのちを学ぶ教室」の実施などに取り組まれているということも聞いております。  このような団体が地域に存在して、その鍛え抜かれた体や技を披露して、夢や元気を皆さんに提供していること、さらに、それに加えて、身近な存在として地域を大切にして地域貢献活動を行われていることはすばらしいことであると認識しております。  そのような活動を通じて住民が元気や活力をもらい、地域が活性化することも期待されるため、みんなで盛り上げて、しっかりと地域に根づいたものとなってもらいたいと思います。  県といたしましても、様々な形でスポーツ文化の裾野が広がり、ひいては住民や地域が元気になるように応援していきたいと思います。  私からは以上でございます。 13 ◎落合教育長 登壇=私からは、教育のデジタル化について、市町立学校におけるデジタル教科書について三点お答えをいたします。  まず、デジタル教科書の活用効果についてですが、デジタル教科書デジタル特有の様々な機能により、その教科ならではの学習の効果が見られております。  具体的には、分かりやすい例でお示ししますと、英語ではネーティブによる音声を自分のペースで繰り返し聞くことで表現力の向上につながる。算数、数学では、図形を三次元に操作できる機能によって、平面に描かれた図形を立体的に見ることで空間認識力が身につくなどが挙げられております。このように、デジタルならではの理解を助ける機能が、児童生徒の興味、関心の高まりや表現力、思考力の向上につながっていると評価されております。  次に、デジタル教科書の課題についてお答えします。  県が実施した調査によりますと、まず利用環境の課題としては、通信回線の影響による画面表示の遅れだったり、初期設定の煩雑さなどが挙がっています。また、授業に関わる課題としては、紙の教科書との使い分けなど紙と併用した授業づくりへの教員側の不安、端末に表示される文字、領域が小さいといったこと、あるいは家庭学習での活用、そういったことが挙げられております。  三点目、デジタル教材の保護者負担について御指摘がありました。  端末導入に伴いまして、市町の学校でも学習ドリルなどデジタル教材を使用する学校も増えつつあり、その費用負担というのは、保護者や市町がその費用を負担しております。議員のほうからは、デジタル教材を導入することで保護者の負担が増えていくのではないかという心配があるという御指摘がありました。  一般に学校では、先ほど一万円という例が出されましたけど、全体の教材代の中でどういう教材にそれを充てていくのかということを考えながらされていると思います。デジタル教材を追加的に導入すれば、デジタル教材それぞれが安くても高くてもその分の負担が増えるということになるわけですけれども、恐らく紙の教材をデジタルに置き換えるという形であれば、それは置き換わっていくということになります。紙とデジタルでどちらが高いかというのは一概に言えなくて、デジタルのほうが紙の教材より安い場合も多々あって、一概には言えないということになります。  いずれにしましても、市町立学校での教材の利用、あるいはその費用負担については、それぞれの市町で判断されるべきところであります。各市町や学校では、教材費、これはデジタル教材に限らずですけど、教材費の内訳は保護者にきちんと説明をしながら、負担が適切かどうかも含めて計画的に教材選定をなされているものと私は認識しているところであります。  教育のデジタル化ということで御質問をいただきましたけれども、ICT教育を全国に先駆けて導入してきた佐賀県としては、教育のデジタル化においても、誰もがいつでもどこでも自分らしく学べる佐賀県の実現に向けて全力で取り組みたいと考えております。  以上です。 14 ◎西久保弘克君 登壇=再質問をさせていただきます。  知事におかれましては、本当に山口県政、とにかくいい動きだと思いますし、私も見習うべきことは多々ありますので、今後もよろしくお願いしたいと思います。  それとドローンに関して、やはり凸凹はあります。なぜかといったら、ドローンの補助をやったり、オペレーター、免許を取るための補助を出しているのは、二十市町のうち佐賀市だけなんですね。でも、それは国のお金なので、十九市町に同じようにアナウンスすればできることなんですよね。佐賀市だけが国に取りに行っているから、そういう事業があるんですよ。ほかの市町が知らないというだけなのかもしれないので、それに関してはもう少し丁寧にいろんな情報を、先ほど知事もおっしゃいましたけど、佐賀県の情報をもっと市町に落としてくれと。私たちが落とすというのは、逆に国の情報が県に来ているから落とせるんですよね。そこはしっかりともう一度、進部長、どうするのかお尋ねします。  次に、農林水産部にちょっとお尋ねいたします。  私は六月議会でもちょっと申しましたけれども、例えば、ペレット工場だったり、堆肥工場だったり、いいんですけれども、じゃ、例えば、太良町とか、豚も牛もみんないるような資源があるところに造ってしまう、これもいいことなんですよね、いいんだけど、やはり身近にペレット工場があったりするほうが、我々も取りに行くのに太良まで行かんばごたんない、久留米に行ったがましにゃとか、ですから、工場を造る場合にも、やはり東のほうにも造っていただきたいなと。最終的な乾燥鶏ふんとか乾燥牛ふんであれば、運ぶことはできます。それをペレットにするだけであれば、やはり東のほうにしていただきたいんですよね。西のほうは、白石とか、特に定松議員とかは、生であっても振って作物を作りよんさっわけですよね。そういう文化なんですよ。生の牛ふんを振ってでも作るような、そういったものが慣れている方と、我々みたいに生牛ふんとか、ちょっと使いきらんです、臭いも問題があってですよ。ですから、やはり東のほうに少し協力をしていただいて、その辺、今後の取組をやりますよというような答弁をいただければ助かります。それについてもよろしくお願いします。  宮原局長、本当にありがとうございました。これはいろんな形で、いろんなところに、いろんなスポーツがあります。プロスポーツ、プロレスだけではありません。ただ、身近で分かったものに関しては一つ一つ丁寧にやっていただきたいなと思いますので、それはよろしくお願いします。  最後、教育委員会さん、これはちょっと答弁をお願いしたいんですけど、先ほどデジタル教材は市町の判断でやってもらいますよと。このフレーズは二〇二〇年にも聞きました。GIGAスクール構想を国がやったときには、いやいやこれは市町がすることやけん、市町がそれぞれ判断すっぎよかろうもんと。そして、私は四回続けて質問した中で、四市町が一緒になって共同調達をしてもらって、スムーズにいったということがあります。今の答弁だと、いや、デジタル教材は市町がそれぞれ考えて、学校が考ゆっぎよかろうもんというような答弁に聞こえたんで、それに関しては私は違う。やはり県も一緒になってやってくれないと、地域によって、もしくは学校によって凸凹があることが一番困るので、それに関しては本当にどう思うのか、私は市町の判断というような切り捨ての言葉ではなくて、市町の考えを聞きながら、県のほうも考えて今後やっていきますというような答弁ができるんであれば、その答弁を期待して、お願いして再質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。 15 ◎進政策部長 登壇=西久保議員の再質問にお答えいたします。  私からは、ドローンの利活用拡大に関しまして、市町に情報提供をしっかりやってほしいという御質問でございます。  まず、その情報提供というのは確かに大切ですし、ドローンに限らず、今日は知事の答弁もありましたけれども、市町は情報がなかなか来ないというのは、そのほかの分野で私もいろいろ聞いておりますので、このドローンにつきましても、今の議員の問題意識を踏まえてしっかりと情報提供していきたいと思います。  実際、我々も今、DX21といって、ドローンに限らず、デジタル社会に向けて市町も含めてどう展開していくのかということを、実際に現場レベルで勉強会も一緒にやっております。そうした場も活用できるかなというふうに思っております。  ただ、各市町もいろいろ実は国の事業を使ってやっていることもあります。多久市でやっています「空の道」というのは国の実証事業ですし、白石町で、これはすみません、国の事業を使っているかどうか分かりませんが、ドローンを活用した作付確認の取組とか、様々な取組を行っていますので、そうした場面でもっと国の補助金を使ったらどうかとか、いろいろ有利な制度もありますので、そうしたところは県と市町でしっかり情報共有していきたいと思います。  以上でございます。 16 ◎山田農林水産部長 登壇=私へは、県東部でなかなか堆肥が手に入りにくいため、圃場近くにプラントですとか、そういうペレットの工場を整備したらどうかという再質問だったかと思います。  県東部や平たん部で堆肥が手に入りにくいということは、近くに畜産農家がないというのも議員おっしゃるとおりですけれども、運んでくるときにもなかなか時間が、期間が合わなかったり、運び込む時期が合わなかったり、ストックしておく場所がなかったり、そういうことも一つの要因だと思っております。  圃場近くにプラントを造ってはということですけれども、堆肥を畜産地帯から平たん部まで運ぶ必要がございます。堆肥のほうが容積が多いということで費用もかかるということもありますけれども、そこはケース・バイ・ケースだと思っております。畜産地帯でペレット化して、運びやすいようにして持ってきたほうがいいのか、逆に平たん部で使いやすいようにペレット化したほうがいいのか、ケース・バイ・ケースでございますので、設置を考えているところがあれば、県も一緒にその方法等については考えていきたいと思っております。  私からは以上でございます。 17 ◎落合教育長 登壇=私のほうには、デジタル教材について、市町の判断ということで突き放すなと、しっかりサポートしろという御指摘だったかと受け止めました。  もちろん、我々「プロジェクトE」において、市町が進めていますGIGAスクール構想をしっかりサポートするということで取り組んでおります。デジタル教材も含めてですけれども、今年度、先ほど答弁しました「Eコネクト」というのも、これは県立の先生だけじゃなくて、市町立小中学校の先生も含めて、全体でICT利活用教育に関するいろんな情報、課題だったり、やり方だったり、そういったものを共有しながら県全体のレベルを上げていこうという取組です。  そういう中で、デジタル教材についても、こういう教材があるよ、こういう使い方があるよというのはしっかり共有しながら、レベルを上げていけるのではないかというふうに思います。その費用の面だったり、価格の面だったり、どういう教材があるかも含めて、そういう情報を共有しながら、ほかにもいろんな協議会とか、市町と一緒に取り組む場面というのはたくさんあります。そういう中で、県教育委員会として市町をしっかりサポートさせていただきます。  以上です。 18 ◎八谷克幸君(拍手)登壇=おはようございます。自由民主党の八谷克幸でございます。  本日は四項目通告いたしておりましたので、その順に従って質問をしてまいります。  まず一項目めは、地方債の活用による積極財政についてであります。  昨日も公共事業予算の確保について留守議員さんからありました。私もこれまで県政運営の積極財政について、そしてそれが地域経済の活性化に結ぶという立場から質問してまいりまして、今回も財政運営の積極性、地域経済の活性化につながるということから質問をさせていただきます。  先月、八月の初めに財務省は、国債と借入金、政府短期証券を合計した、いわゆる国の借金が今年六月末時点で千二百五十五兆千九百三十二億円だったと発表されました。この発表を受け、マスコミでは七月一日現在の総務省の人口推計、概算で一億二千四百八十四万人、これで単純計算をいたしますと、国民一人当たり約千五万円の借金を抱える計算になると報道されたところであります。これに地方の地方債借入残高を加えて報道されることもあり、あたかも生れたばかりの赤ん坊を加えた全ての国民が多額の借金を抱えているかのように報道されております。これはあくまで政府の借金であり、国民の借金ではないはずであります。こうした報道によって、地方債についても一般的には借金というイメージがあまりにも強調され、なるべく抑制すべきものであると考えられております。  しかし、地方債には本来、財政負担の平準化や住民負担の世代間の公平などの機能があり、地域住民への安定的な行政サービスの提供に大きく寄与するものであることから、過度に抑制的である必要はないと考えております。むしろ、健全な財政運営に基づいて地方債を最大限に活用することが、住民の福祉の向上のための施策の展開につながると考えております。  また、近年におきましては、平成二十九年度に創設されました公共施設等適正管理推進事業債や令和二年度の緊急浚渫推進事業債など、これまでは地方債の対象とならなかったインフラ等の維持管理経費に活用可能な地方債が創設されております。  特に国のみならず、県事業におきましても新規事業の採択が限られている状況の中、インフラについては新しいものをつくるということだけではなく、これからの時代、これまでのストックを活用し、適正な維持管理を行いながら公共施設等の長寿命化を図ることが重要であると思います。そうすることで、社会資本整備に係る事業量が確保され、財政出動による地域経済を支える効果もあると思います。  さらに、起債の充当率が高く、将来の元利償還金は地方交付税で措置されるという有利な地方債を活用することは、結果として県の他の施策に活用可能な財源の確保につながるという側面もあると考えます。  まず、これまでの維持補修費に係る県債の活用状況についてお尋ねをいたします。  これまでは起債措置が不可能であった維持補修費、いわゆるインフラの維持管理等への地方債の活用について、これまでどのように取り組んできたのかお尋ねをいたします。  次に、積極財政への取組についてであります。  今後、インフラを適正に維持管理し、長寿命化を図っていくこと、あるいは近年の豪雨災害による被害防止のためにも浚渫推進事業債を活用した災害防止に取り組むなど、そういったことが一層重要になると思います。  そこで、県では思い切って多額の維持補修費の予算を計上し、そこに有利な地方債を積極的に活用しながら、必要な事業を実施すべきであると考えます。そして、そこで捻出した一般財源を活用し、二期目の選挙後に知事が言われておりましたけれども、県民生活全般に細かな対応が必要だということを言われておりました。そういった県民生活へのきめ細かな対応ができるよう、積極財政による地域経済を支えていくべきだと考えておりますが、県の考えをお尋ねいたします。  続いて、二項目めであります。福岡都市圏との交流促進についてでありますが、ポストコロナの取組の立場から質問をいたします。  知事はこれまで福岡都市圏への情報発信について、観光PR、移住促進、空港利用促進などに取り組まれてきました。また、国道三百八十五号の福岡県側の整備促進にも意を注がれてきたところであります。  今コロナ禍にありながらも、脊振山系には休日ともなると、福岡や久留米ナンバーの車を多く見受け、佐賀県で休日を過ごす福岡県民が多いことに驚いております。  特に吉野ヶ里町におきましては、吉野ヶ里歴史公園が、昨年、開園二十周年を迎え、オープンエアの魅力を高めることで新しいスタイルの公園として展開され、コロナ禍でも大きな盛り上がりを見せております。  さらに、同じく昨年、アウトドア施設である「アドベンチャーバレーSAGA」がグランドオープンし、国道三百八十五号を利用して、道の駅「さざんか千坊館」、「山茶花の湯」などにもお隣の福岡県からの来訪者が増えてきている状況にございます。  そして、今、吉野ヶ里公園駅北側の総合庁舎、図書館、コミュニティーセンター建設などの計画が吉野ヶ里町で計画されておりまして、今後、町の姿が大きく変わっていくものと思われます。  今年度は特に、これまで謎のエリアとして注目されておりました旧日吉神社境内地での遺跡の発掘の再開により、考古学ファンのみならず、全国から再び注目を集めるエリアでもあります。今が福岡都市圏との交流を促進するチャンスだと考えております。  そこで、まず吉野ヶ里エリアにおけるポストコロナを見据えた取組について知事の考えをお尋ねいたします。  次に、国道三百八十五号の整備についてお尋ねをいたします。  県東部の南北軸としては、福岡県柳川市から佐賀県内を経て最短で福岡市と結ぶ国道三百八十五号があり、最近、交通量の増加が顕著であります。佐賀県内は一定程度整備されておりますが、一部、中副交差点では東脊振インターを利用する車両により交通混雑が発生しており、また鳥ノ隈南交差点から北側で歩道の未整備区間が残っております。  一方、福岡県側では、福岡県南部は整備が進んでおりますものの、那珂川市の南畑ダム付近につきましては幅員が狭く、カーブも多いため、都市間交通のネックとなっている状況にあります。  そうした中、神埼市、吉野ヶ里町と福岡県の大牟田市から福岡市までの沿線八市一町で構成する「大牟田神埼福岡線国道建設促進期成会」により、国道三百八十五号の整備促進と有明海沿岸道路の全線供用開始に向けて、国や福岡県、佐賀県に要望活動が行われております。  福岡都市圏との交流促進を図るため、国道三百八十五号の整備促進が必要と考えますが、県はどう取り組むのかお尋ねをいたします。  次に、移住促進の取組についてお尋ねをいたします。  道路整備を進めることにより交流人口の増加が見込まれますが、ひいては常住人口の増大につながればと思っております。移住施策のターゲットエリアとしては国道三百八十五号でつながる大消費地の福岡県に近いことや豊かな自然も満喫できることなど、これまで隣の福岡県に対し施策を展開してきておりますが、吉野ヶ里エリアの大きな変貌が期待される中、多くの方に本県を移住先として選んでもらえるよう、福岡県向けの移住促進の取組をこれまで以上にしっかり進めていく必要があると考えております。  県では、これまでどのような取組を行い、そして成果を上げてきたのか、さらに今後どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  三項目めの質問でございます。水田農業の振興についてであります。  ここで報告でございます。知事には当然入っておると思いますけれども、台風十一号によります神埼、吉野ヶ里地区では、水稲、大豆の倒伏は若干ありますものの、大きな被害は出ていない、そういう中で昨日、定松議員のところは塩害があったようでございましたけれども、大きな被害は出ておりません。そして、十一号の台風前には脊振山間部では、モチ米の収穫が始まりましたが、非常に品質のいいものが取れたということで、このまま推移すれば、あと十二号、十三号が非常に心配ではありますけれども、今の段階では脊振山間部の収穫は非常によいようでございます。  それでは、水田農業の振興、これは担い手の確保という立場から質問をいたします。
     知事が、常々農業は国の礎と言われますように、農業の果たす役割、とりわけ水田農業の果たす役割はとてつもなく大きく、まさに国づくり、国土形成の根幹をなすものであります。主食である米や麦、大豆などの生産による食料の安定供給だけでなく、大雨による災害の防止、水源の涵養や国土保全といった多面的機能に加え、農業の生産活動による農村や集落の維持など、国づくりに欠かせない大変重要な役割を果たしております。  しかしながら、この水田農業を担っている農家戸数を見てみますと、農業従事者の高齢化や農産物価格の低迷などにより農業所得が伸び悩むなど、厳しい状況が続いていますことから、平成二十二年に二万五千戸あった農家数は、令和二年では一万九千戸になっており、この十年で六千戸以上、約四分の一が減少しております。  私が暮らす神埼、吉野ヶ里地区でも生産組合員がこの十年で半減したところもあり、これまできちんと管理されておりました水田でも、一部の圃場や畦畔に雑草が目立ち始めてきております。こうした十分に管理ができていない圃場が徐々に増えつつある中、十年先の水田農業がきちんと維持できるのか、非常に心配をしております。  また、近年、農業現場におきましても、生産活動の資材高騰ばかりか、建築資材の価格も高騰しており、現在、吉野ヶ里町で建設中の共同乾燥調製施設では、急激な世界の情勢変化による建築鋼材の高騰により、当初予定していた事業費が約四億円近くを上回ったと聞き及んでおります。この増加した事業費は設備の充実や拡大によるものではなく、外的な要因に基づくものであり、建設費を負担されます組合にとりましては、大きな問題となっております。  国庫補助の増額は期待できないとのことであり、県費での建設費への直接的な支援は制度上難しいことは理解しておりますものの、共同乾燥調製施設の建設費負担に係る農家負担が増え、農家の意欲減退や農業後継者の減少につながるのではないかと危惧しているところであります。  そこでまず、水田農業の担い手対策についてでありますが、地域の水田農業を守り、生産基盤の強化を図るためには、大規模経営農家による規模拡大のみでは限界があり、家族経営や中小農家なども多様な担い手として位置づけ、支援を行う必要があると考えております。  大規模経営や企業的経営だけでは、農村コミュニティーや伝統文化を守ることは不可能であります。国においては、食料・農業・農村基本計画の中で小規模農家の経営対策として半農半Xなどの経営安定なり、所得確保がうたわれております。アメリカやEUにおきましても、農業経営体の九六%以上が家族経営が占めている実態であり、世界の農業の八割を家族農業が支えているとして、国連では二〇一九年から十年間を国連「家族農業の十年」と宣言されております。改めて家族農業の在り方に目が向けられているところであります。  今後とも急減するであろう水田農業の担い手不足を解消するため、十年先を見据えた担い手対策に、県ではどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  次に、水田農業を支える担い手の経営安定についてお尋ねをいたします。  近年の米の価格低下や生産資材の価格高騰など、農家の経営は大変厳しい状況が続いております。現在、今議会にその対策が提案されておりますように、肥料や粗飼料、さらには燃油の高騰などが追い打ちをかけており、生産現場は悲鳴を上げている状況にあります。  今後も水田農業を維持していくためには、それを支える担い手の経営安定が重要であり、生産活動の省力化や生産コストの縮減と並び、共同乾燥調製施設の運営などに対する支援に加えて、これまで以上に収量や品質を安定させることで農家所得を確保していく必要があると考えております。  県では、水田農業を支える担い手の経営安定に向けて今後どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  最後の四項目めであります。  目達原-佐賀空港間の道路整備についてお尋ねいたします。これは県東部の振興の立場から質問するものであります。  災害時におけます佐賀県内の航空輸送拠点を見てみますと、大きくは陸上自衛隊目達原駐屯地と九州佐賀国際空港の二カ所があります。  平成二十八年に発生した熊本地震の際には、高速道路の九州道や鉄道が不通となり、救急救命活動や復旧支援活動に佐賀空港を利用した航空輸送が大いに活躍したことは御承知のことだと思います。  また、令和元年の佐賀豪雨災害での防災物資の輸送に、佐賀空港の果たした役割は大なるものがあったと聞き及んでおります。  この二つの拠点の連携は県全体の、ひいては九州全体の防災機能の向上に大きく寄与するものと考えております。  現在、県西部地区におきましては、有明海沿岸道路、西九州自動車道、佐賀唐津道路等の整備計画が進んでおり、産業振興や防災道路としての機能を果たす重要な事業が進んでおります。東部から見ますと、誠に羨ましい限りでございます。  一方、目達原駐屯地周辺を含みます県東部地域の交通状況を見てみますと、基軸となる国道三十四号が慢性的に渋滞しており、県東部の各市町長と我々県議会議員によりますバイパス化を含む道路拡幅の要望は行っているものの、一向に進まない状況にあります。県土の均衡ある発展を望むものであります。  そこで、目達原駐屯地と九州佐賀国際空港を結ぶ新しい道路の建設を考えてはどうかと提案したいと思います。  目達原駐屯地周辺に目を向けてみますと、高速道路へアクセスできる東脊振インターがあり、この道路が実現すれば、東脊振インターから国道三百八十五号を経由し、佐賀空港にスムーズな移動が可能となり、佐賀空港の利用圏域が拡大するとともに、福岡空港からの転換も可能となります。  さらに、吉野ヶ里エリアには、佐賀東部中核工業団地のほか、新たに今整備されようとしておる県営産業用地造成事業も動き出したことから、近年、海外進出していた企業が国内に戻ってくる動きと相まって、沿線地域に企業誘致の可能性も広がり、佐賀空港を含めた県東部地域の経済浮揚にもつながるものと考えております。  つきましては、目達原駐屯地と九州佐賀国際空港間を結ぶ新たな道路が必要と考えますが、県はどのように考えるのかお伺いをいたします。  以上、四項目質問いたしました。答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 19 ◎山口知事 登壇=八谷克幸議員の御質問にお答えいたします。  ポストコロナも見据えた吉野ヶ里エリアでの取組についてお答えします。  県東部に位置する吉野ヶ里エリアは、地理的に福岡都市圏に隣接しながら、観光交流を推進していくための多彩な資源をもともと有していると思います。背振山、佐賀平野、田手川の水と緑が美しい自然環境ですとか、約千年にわたって山岳仏教の聖地として隆盛を誇った霊仙寺跡をはじめとする貴重な歴史・文化資源、そして、栄西茶などの特産品など多彩であります。  そして、何といっても吉野ヶ里歴史公園であります。平成元年にいわゆる吉野ヶ里フィーバーを起こした吉野ヶ里遺跡、三十三年経た今年、いよいよ日吉神社の境内跡地を本格的に発掘調査します。この発掘によりまして次なる展開が生まれるのは楽しみでありますし、県もその状況にしっかりと対応していきたいと思っています。  また、吉野ヶ里歴史公園では遺跡見学はもとより、都市近接で広大な自然公園を有しているということが大きな強みだろうと思います。昨年度の公園開園二十周年を契機に、今後、民間事業者と連携した宿泊施設や拠点施設の整備など、新たな公園の活用を計画しています。アウトドアの聖地となるべく取り組んでいきたいと思います。  このほかにも吉野ヶ里エリアには、八谷議員からも御紹介いただきました、西日本最大級のアウトドア施設「アドベンチャーバレーSAGA」も誘致いたしました。温泉が楽しめる「山茶花の湯」、そして、「さざんか千坊館」などもありまして、福岡ナンバーの車で大いににぎわっているエリアであります。  そして、近年は、若い世代のオーナーが県外から転入して飲食店を出店するなど、山側も含めてエリア全体が活気を帯びつつあると思います。  こういう盛り上げを地域全体にさらに広げなければいけないと思います。点在する各スポットの魅力を相互に情報発信したり、周遊を促したり、点と線でつないで面的な効果として波及させたいと思っています。  特に吉野ヶ里エリアはやはり交通アクセスが優れているということが強みだと思っています。御指摘いただいた国道三八五号、南北に縦貫する道路ですが、これは北部の福岡都市圏、そして、南部にいきますと柳川や大川などに隣接しているわけでありまして、言うならば、福岡県の都市部の皆さんが我々のほうにも来られるし、南側の福岡県民の皆さん方が我々のところを通って北に抜けたり、我々のところに来たり、そういうゾーンなのであります。  この国道三八五号は、福岡県側の五ケ山ダムの先でバイパス整備が事業化されることになっております。これは六年前に福岡県の小川知事に私が厚く申し入れたものが、六年かかりましたけれども、このたび事業化できたものということで大変喜んでおります。  こうしたタイミング、絶好のタイミングでありますことから、今、福岡向けの情報発信に力を入れております。  特にコロナ禍だからこそ、波戸岬のキャンプ場などと併せて、「アドベンチャーバレーSAGA」とか吉野ヶ里歴史公園を、屋外での新しい観光や生活スタイル「OPEN-AIR佐賀」として発信させていただいております。これもコロナ禍での構造改革だと思っています。  ナイトテラスチャレンジもそうですけれども、例えば、グランピングといって何も持たずにキャンプに行けるということが可能になるようなゾーニングをしたりすることも、この際つくり上げることによって、コロナが終わった後には非常に多くの方々がこのエリアに訪れることになろうかと思っています。  そして、佐賀県ならではの本物の体験というのを最近は福岡に売っています。四つパックで売っているんですけれども、一つが吉野ヶ里の発掘体験、それから名護屋城の黄金の茶室の体験、嬉野のティーツーリズム、そして有明海の干潟の体験と、この四つを特に力を入れてPRしているところであります。  また、吉野ヶ里エリアは筑後佐賀圏の真ん中であります。そして、福岡都市圏と近接しているだけではなくて、今後、鳥栖と佐賀、これはプロスポーツ両方の拠点というのはこれからますます強くなっていくので、その中間エリアとしての強みも出てこようかと私は思っています。鳥栖と佐賀との人、物の往来はこれからもっと強くなってくると思います。  こうした、このエリアの持つポテンシャルの高さに私はかねてから着目しております。心満たされる魅力あるゾーンとなるべく力を注ぎ、そのポテンシャルを具現化してまいりたいと考えています。 20 ◎甲斐総務部長 登壇=私からは、地方債の活用について御答弁をいたします。  初めに、これまでの県債の活用状況でございますが、過去、これまでに整備された道路とか橋梁といったインフラをはじめとする公共施設等の多くが更新時期を迎える状況が続きます。  議員からお話がございましたように、既存の施設を適正に維持管理し、できる限り長い期間にわたって有効に活用する長寿命化を図ることは重要でありまして、これによりまして耐用年数が来た後に単純に更新する場合よりも、中長期的に経費の低減や平準化をすることができます。  県では、ファシリティマネジメント基本方針やそれに基づく個別施設計画を策定しまして、計画的に公共施設等の維持管理を進めております。  そして、その財源についてでございますけれども、議員から御紹介がありましたように、平成二十九年度に公共施設等の長寿命化事業に充当できる公共施設等適正管理推進事業債、さらに令和二年度には河川等のしゅんせつに充当できる緊急浚渫推進事業債が創設されました。こうした交付税措置がなされる有利な地方債も活用しながら、必要な公共施設等の維持管理を実施しているところでございます。  例えば、現在「プロジェクトIF」に取り組んでおりますけれども、河川等のしゅんせつをより集中的、重点的に行うための財源を確保するため、今年度は浚渫債をこれまで以上に積極的に活用しております。  次に、今後の取組についてでございますが、公共施設等につきましては、今後、加速度的に老朽化が進行していきますので、引き続き有利な地方債の活用を図りながら、公共施設等の適正な管理を行い、中長期的な財政負担の平準化を図っていくこととしております。  また、地方債制度につきましては、国において順次、対象の拡大など、地方公共団体が活用しやすいよう制度改正がなされているところでございます。  例えば、公共施設等適正管理推進事業債につきましては、今年度の制度改正で次の二点が加わりました。まず一点目は、公共施設等をめぐって脱炭素化の取組が求められていることを踏まえまして、対象事業に脱炭素化事業が追加されました。また、二点目として、長寿命化事業の対象施設に空港施設等が追加されました。  財政運営に当たりましては、限りある財源を効果的に活用するため、国庫や有利な地方債を最大限活用することを基本としております。公共施設等の維持管理を含め、あらゆる場面で最近の制度改正の動向も踏まえながら、有利な地方債を積極的に活用していきたいと考えております。  今後とも、こうした戦略的な財政運営を行っていくことで、県民生活や地域経済を支える取組ですとか、佐賀の未来を見据えた取組など、時期を逃さず、施策を打っていくために必要な財源の確保にしっかりと努めてまいります。  私からは以上でございます。 21 ◎山下地域交流部長 登壇=私からは、福岡都市圏との交流促進についてのうち、移住促進の取組についてお答えをいたします。  まず、これまでの取組と成果についてでございます。  本県では、平成二十七年七月から本格的に移住促進に取り組んできたところでございます。福岡都市部等の子育て世代をメインターゲットに、「さが移住サポートデスク」でのきめ細かな相談対応、また佐賀県の魅力や暮らしについての情報発信、市町と連携した移住相談会や移住体験ツアーの実施などに取り組んできたところでございます。  この二年間のコロナ禍においては、リアルでの相談対応や移住体験ツアーの実施が困難でありましたことから、オンラインでの移住相談会や移住体験ツアーなどの取組を実施し、移住促進を図ってきたところでございます。  こうした取組によりまして、県や市町の移住支援を受けて移住された方というのは、令和三年度が六百三十五人となっています。取組を始めました平成二十七年度が二百五十三人でございました。これと比較しますと、ここ数年で約二・五倍になっているということでございます。  また、移住前の居住地を見ますと、例年、隣県の福岡県からが最も多うございまして、おおむね移住者数の半数を占めているという状況にございます。さらに、世帯主の年代を見ましても、二十歳代と三十歳代が全体の約七割を占めておりまして、私どもがメインターゲットとします福岡都市部等の子育て世代への働きかけというものが、一定の成果として現れているのではないかというふうに思っております。  今後の取組についてでございます。  移住をさらに進めていくためには、まずはこれまでと同様に本県の魅力などについて引き続き情報発信をしていくこと、また、移住希望者の方のニーズに的確に対応していくこと、こうしたことが大事だろうというふうに認識をしております。  コロナ禍によって働き方が変わり、移住前の仕事をテレワークで継続しながら、自分のライフスタイルに合う場所で生活する人たちが増えています。テレワーク移住、あるいは転職なき移住とも呼ばれています。佐賀は、福岡都市部にも近く、豊かな自然環境の中で子育てを楽しみながら通勤やテレワークができるという魅力もございます。  こうした魅力をしっかり伝えますとともに、テレワークということを意識しまして、実際に佐賀県内に一定期間滞在し、テレワークをしながら佐賀の暮らしやよさを体験してもらおうということで、昨年度、補助制度を設けまして、「お試しテレワーク移住」というところにも今取り組んでいるところでございます。  さらに、移住支援金につきましても、これまで国の制度に合わせ、東京圏からの移住者のみを対象としてきましたけれども、今年度からこれを拡大しまして、東京圏以外から移住された方も対象とする県独自の支援金制度を創設し、移住促進に取り組んでいくこととしたところでございます。  今後とも、市町や関係部局とも連携し、きめ細やかな対応を進めるほか、実際に福岡県から本県に移住された方々の声なども紹介しながら、ターゲットエリアであります福岡都市部をはじめとした県外からの移住促進に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 22 ◎山田農林水産部長 登壇=私からは、水田農業の振興につきまして二点お答えをいたします。  まず、水田農業の担い手対策についてでございます。  本県の水田農業を持続的に発展させていくためには、一つは、小規模な家族経営などで構成される集落営農組織と、また、十数ヘクタールの規模で米麦、大豆、露地野菜などの生産を行う大規模農家とが、役割分担しながら地域の担い手として活躍していただくことが重要だと考えております。  こうした大規模農家ですとか集落営農組織が十年先もしっかり活躍していただくためには、それぞれが水田をフル活用することで稼げる農業を実践していただき、親元就農ですとか、定年帰農などの新たな担い手の確保につながっていくことが重要でございます。  このため、大規模農家を志向する農家に対しましては、企業的な経営の確立を目指すこととしておりまして、具体的には、農業振興センターでは、販売額一億円以上を目指す経営体を育成するために、今、重点指導を行うプロジェクトを展開しております。また、作業効率を向上させるための農地中間管理事業による農地の集約、集積、こういうものにも取り組んでいるところでございます。  次に、集落営農組織に対しましては、持続的でより収益性の高い経営を目指すために、農作業の共同化や従事者の雇用といった集落ぐるみの協業経営への転換ですとか、「さが園芸888運動」と連動し、高収益が期待できる露地野菜等の園芸品目の導入、さらには多面的機能支払交付金などを活用しまして、水路や農道の維持補修に係る共同活動、こういうものを推進していくこととしております。  なお、こうした協業への取組の事例を御紹介いたしますと、佐賀市の「農事組合法人えりさくら」では、経理を一元化しまして、農作業では女性や高齢者をはじめ、構成員の家族も参画して共同化を図り、独自のブランド米の生産ですとか、タマネギ、キャベツなどの園芸品目の生産、集落機能の基礎となります農道や水路施設の維持管理、こういうものを全体で行っております。持続的で稼げる農業を集落ぐるみで実践されておりまして、こうした優良な事例をほかの地域にもぜひ広げていきたいと考えております。  こうした取組によりまして、地域の水田農業を支える大規模農家ですとか集落営農組織が、将来にわたって持続的に活躍できるよう、関係機関・団体とも一緒になって取り組んでまいります。  次に、水田農業を支える担い手の経営安定についてでございます。  本県では、共同乾燥調製施設の整備率が高く、この施設を核として整備の進んだ水田をフル活用しまして、生産性の高い水田農業が営まれております。米価の下落、また、生産資材の高騰など最近の厳しい情勢の中、水田農業を支える担い手の経営安定を図るためには、所得を向上させていくことはもとより、省力化、効率化の技術導入などによりまして、生産コストの縮減を図っていくことが重要であります。  このため県では、水田農業の担い手に対しまして、収益性の高い作物や省力機械の導入を支援しているところでございます。具体的には、ブロッコリーなど消費者ニーズに合った露地野菜の導入ですとか、水稲の直まき機械など省力・低コストが可能となる機械の導入、さらにはコスト縮減のための農業機械の共同利用体制の整備、こういうものに支援しているところでございます。  加えまして、収量や品質の向上を図るため、「麦・大豆一トンどりプロジェクト」に取り組んでおり、排水対策の徹底ですとか、適期播種技術の推進を図っているところでございます。  また、燃油価格が高騰する中、共同乾燥調製施設が健全に運営されることで水田農業の担い手の負担軽減にもつながることから、共同乾燥調製施設の乾燥に要する燃料費に対しまして支援する対策を今議会にお願いしているところでございます。  さらには、議員から共同乾燥調製施設の建設費が大幅に増加したとのお話もありました。農家の皆さん方の利用料金が上がらないようにするためには、例えば、米や麦の効率的な荷受け作業が可能となるような品種の構成であったり、品種ごとに団地化して荷受けを効率化するということも一つの方法でございます。県もJAと連携して取り組んでいるところでございます。  今後とも、関係機関・団体と一体となりまして、生産から出荷調整まで幅広く支援しながら、稼げる水田農業を確立し、担い手の経営安定につながるようしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 23 ◎大呑県土整備部長 登壇=私からは、大きく二項目についてお答えします。  まず一項目め、福岡都市圏との交流促進を図るための国道三百八十五号の整備についてお尋ねがございました。  国道三百八十五号は、吉野ヶ里エリアを南北に縦断し、福岡都市圏と筑後エリアを結ぶ幹線道路でございます。沿線地域の産業振興や経済発展の一翼を担う道路でございます。  沿線には、開園二十周年を迎えました吉野ヶ里歴史公園、「アドベンチャーバレーSAGA」、「山茶花の湯」など多彩な魅力を持つ資源がございます。この道路の整備が進むことで、佐賀、福岡の人、物、文化の交流がさらに促進され、沿線地域の発展につながるものと期待をしております。  議員御指摘のとおり、県といたしましても、福岡都市圏とのアクセス向上のためには、五ケ山ダムの先にございます福岡県那珂川市の南畑ダム付近の線形改良や拡幅の必要性があると考えております。先ほど知事からの答弁にもございましたが、六年前に知事より福岡県知事へ申入れを行っていたところでございます。  そのような中、福岡県では、令和二年度から、約二・八キロ区間でございますが、南畑バイパス事業に着手されまして、安全で円滑な交通の確保などを目的として事業が進められているところでございます。  県といたしましては、国道三百八十五号の整備が促進されるよう、沿線市町と一体となりまして、福岡県へ地元の思いをしっかりと伝えてまいります。  県内の国道三百八十五号の整備状況につきましては、道路改良はおおむね完了しているものの、国道三百八十五号と県道佐賀川久保鳥栖線が交差いたします中副交差点で渋滞が発生しているなど交通の課題が生じております。  このため、中副交差点につきましては、現在、渋滞緩和を目的といたしまして交差点改良工事を進めており、年度内の完了を予定しております。  また、交通安全対策につきましては、これまでも通学路指定や歩行者等の利用状況等を踏まえまして改良等を行ってきたところでございます。引き続き、吉野ヶ里町と調整しながら対応していきたいと考えております。  国道三百八十五号は、吉野ヶ里エリアの発展に欠かせない重要な道路でございます。引き続き、佐賀県側の整備に取り組むとともに、福岡県側の整備促進についてしっかり働きかけてまいります。  次に、二項目めの目達原駐屯地-九州佐賀国際空港間の道路整備についてでございます。  目達原駐屯地が立地しております吉野ヶ里エリアには、高速道路へアクセスできる東脊振インター、これに接続する南北軸として国道三百八十五号、東西軸として国道三十四号などがあり、交通の利便性も高い地域でございます。  また、雇用創出や地域経済の活性化につながる県営産業団地や東脊振インター工業団地といった新たな産業団地の整備が進むなど、ポテンシャルの高い地域と認識しております。  もう一方の九州佐賀国際空港は、県内はもとより、大川市や柳川市など福岡県南西部地域からも多くの方々に利用していただいております。空港へのアクセス道路の整備が進むことで空港の利用促進にもつながるものと考えております。  現状におけます目達原駐屯地と九州佐賀国際空港を結ぶアクセス道路といたしましては、国道三十四号や県道佐賀環状東線などを経由するルートが考えられます。  国道三十四号では、国におきまして神埼佐賀拡幅や交差点改良などの整備が進められており、県におきましては県道佐賀環状東線の四車線化を進めているところでございます。  これらの整備は、目達原駐屯地が立地いたします吉野ヶ里エリアと九州佐賀国際空港との連携強化にもつながるものと考えております。
     今回、議員から、目達原駐屯地と九州佐賀国際空港を直接結ぶ道路の提案がございました。これはポテンシャルが高い吉野ヶ里エリアと九州佐賀国際空港との人、物の交流が期待される提案であると考えております。  本県の将来の発展につながる道路網につきましては、現在進めている道路整備の状況を踏まえつつ、新たな交通の課題や社会情勢などを見ながら、今後も引き続き考えてまいります。  私からは以上でございます。 24 ◎八谷克幸君 登壇=二点について再質問させていただきます。  まず一点は、甲斐部長から答弁いただきましたが、財政出動により地域経済を支える、その部分がちょっと分かりにくかったので、思い切った維持補修費の予算を計上して、しっかりと──先ほど申し上げましたように、知事が前回の選挙後に言われておりまして、本当に地域に細かい問題──細かいと言っては失礼ですけれども、地域密着の問題がそれぞれあるなということを言われておりまして、そういったものに対応するためには、やはり一般財源の確保があって、例えば、一定程度、土木事務所長に持たせておくとか、そういった意味での予算化ができないものかと考えておりまして、ぜひとも予算獲得の上で地域経済の活性化、特に佐賀県においては社会資本整備が遅れておると言われております、そういった地域経済の活性化が何よりでございますので、そういった点への取組をもう一度お願いしたいと思います。  それからもう一点は、山田部長から答弁いただきました。ただ、今、小規模農家については集落営農を組織する中でやっていきたいということでありましたけれども、いわゆる集落営農に参画して実際に取り組んでいる人、構成する人たちが少なくなって高齢化している状況があります。今佐賀市の事例が御紹介あって、作業班だけの問題ではなくて、家族も含めたという話がございました。そういった点は成功事例としてもっともっと広めていって、こういった取組をやってしているんですよと、私どもの地域の神埼市千代田町の小鹿の営農組合もそうです。非常に成功した事例としてたくさん視察があるということを聞いておりますので、そういった面で力を入れていただくということが一つと。  それと、先ほど答弁いただきましたカントリーの共同乾燥施設の運営について、利用料金についての荷受けの在り方だとか、組合員さんの負担軽減に係るような取組をしていただくとありました。  ただ、本当に先ほど申し上げました入札といいますか、事業の計画、そして同意を取った後に、そういう事業費がアップした。自分たちの計画ではない、華美なものをつくるわけでもない、変えてもいない、それが全く外的な要因だけで四億円ものお金がかかるということでありますので、これから先、担い手が本当に少なくなるんではないかと非常に危惧するものでありますので、ぜひともその点についてはしっかりと対応方というか、そこの部分はお願いでありますけども、そういった取組についての答弁をよろしくお願いいたします。 25 ◎甲斐総務部長 登壇=八谷議員の再質問にお答えをいたします。  議員からは、維持補修の予算をしっかりつけて財政出動をやって経済活性化というふうなお話をいただきました。  私どもも維持補修ということで、県土整備部と農林水産部のほうと議論いたしまして、必要となった事業についてはしっかりと有利な財源というのを確保しまして、一緒になって検討しやっていっているところでございます。これからも有利な地方債を最大限に積極的に活用しながら、必要な事業についてしっかりとやっていきたいと考えております。  以上でございます。 26 ◎山田農林水産部長 登壇=再質問をいただきました。  一つは、担い手が集落で減る中で、将来的にどうやって水田農業を守っていくかというところでございます。  昔は家族労働、その集落内で全てが完結したわけですけれども、こういう担い手が少なくなっていく中で、県としては一つの方策として法人化を進めております。先ほど御紹介した「えりさくら」も法人化でございます。やはりその集落に人がいなくなったときにはほかから雇って、その集落の規模だけじゃなくて、できれば大きい範囲で法人化をしていって、もちろんその集落にいらっしゃる農家の方も活動をしながら法人化で集落を守っていくと、水田農業を守っていくというのが一つの方策であります。  JAでも、今、出資型の法人を検討もされております。県も一緒になって検討をさせていただいておりますけれども、こういうものを核として、将来、佐賀県の水田農業を守っていきたいと思っております。もちろん波及につきましても、優良事例につきましては農業振興センターを中心に集落座談会等でいろいろ紹介はしていきたいと思っております。  もう一つ、カントリーの建設費の増加の話がございました。  実は今回、吉野ヶ里のカントリーだけじゃなくて、白石のカントリーにつきましても建設費が上がっております。吉野ヶ里ほどではございませんけども、計画よりも上がっております。  また、唐津で建設しております「佐賀牛いろはファーム」でも非常に建設費が上がって、落札までに時間を要したという事例もございます。  また、ハウス施設につきましては、県単独事業でも上限事業費を設けております。それも、今、非常にオーバーして高くなっているという現場の声も聞いております。  直接的な支援というのはなかなかできないわけでございますけれども、先ほど言った、できるだけ農家の負担がないように、例えば、先ほどの吉野ヶ里のJAの建設費の増加の分ですけれども、県でもできるだけ農家負担が上がらないようにということで農協とも一緒に話をさせていただいたところです。今、JAに確認をしたところ、できるだけ利用料金を上げない方向で検討をしていただいている、調整していただいているというふうなことも聞いております。  県としても、先ほど言った荷受けの集約化とか、そういうものをきちっと生産段階から推進をしていきたい、また、現場の声も聞きながら、今後、事業等につきましては進めていきたいというふうに思っております。  私からは以上でございます。 27 ◎議長(藤木卓一郎君) 暫時休憩します。     午後零時三分 休憩 令和四年九月八日(木) 午後一時五分 開議  出席議員    三十五名     一番  下 田   寛     一六番  古 賀 陽 三     三〇番  徳 光 清 孝     二番  桃 崎 祐 介     一七番  川 崎 常 博     三一番  中 倉 政 義     四番  古 川 裕 紀     一八番  定 松 一 生     三二番  石 井 秀 夫     五番  一ノ瀬 裕 子     一九番  江 口 善 紀     三三番  留 守 茂 幸     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  木 原 奉 文     七番  古 賀 和 浩     二一番  八 谷 克 幸     三七番  石 倉 秀 郷     八番  井 上 祐 輔     二二番  向 門 慶 人     三八番  土 井 敏 行     九番  木 村 雄 一     二三番  坂 口 祐 樹    一〇番  中 本 正 一     二四番  宮 原 真 一    一一番  野 田 勝 人     二五番  原 田 寿 雄    一二番  冨 田 幸 樹     二六番  岡 口 重 文    一三番  弘 川 貴 紀     二七番  大 場 芳 博    一四番  西久保 弘 克     二八番  武 藤 明 美    一五番  池 田 正 恭     二九番  稲 富 正 敏 欠席議員    二名     三番  田 中 秀 和    三六番  藤 木 卓一郎 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    南  里     隆          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   甲  斐  直  美          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       久保山   善  生          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       山  田  雄  一          県土整備部長       大  呑  智  正          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・観光局長      實  松  尊  徳          SAGA2024・          SSP推進局長      宮  原  耕  司          男女参画・こども局長   種  村  昌  也          会 計 管 理 者    元  村  直  実          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    古  賀  千加子 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          政務調査課長事務取扱   吉  田     泰          総  務  課  長   碇     一  浩          議  事  課  長   篠  田  博  幸          総務課副課長       田  中  信  二          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 委員会担当主査    井  原  諒  子     ○ 開     議 28 ◎副議長(宮原真一君) これより会議を開きます。  休憩前に引き続き一般質問を行います。 29 ◎野田勝人君(拍手)登壇=皆さんこんにちは。県民ネットワークの野田でございます。  今回は四問質問をさせていただきます。  そのうち、第一番目が旧産炭地のまちづくりについてであります。  皆さんは、炭鉱町の長屋、そういったところに訪れられたことがありますでしょうか。ここに「なつかしの多久の炭鑛寫真集」、(資料を示す)これは閉山五十周年を記念して多久市が二冊発行しています。その当時の様子が市民からいただいた記録としてしっかりと鮮明に残っています。大きくしなかったのは、ぜひ皆さんに現地を訪れていただきたいという意味もこもっておりますので、どうぞ意を酌んでいただきたいなというふうに感じる次第であります。  それでは、旧産炭地のまちづくりについて、第一問目の質問に入らせていただきます。  十八世紀の後半、イギリスで起こった産業革命は世界を大きく変えました。そのエネルギー源となったのが石炭であります。日本でも江戸時代から採掘と需要はあったとのことですが、産業として確立されたのは明治に入ってからとのことであります。  佐賀県には全国でも有数である唐津炭田が存在し、良質な石炭でした。相知層と杵島層という主な二つの単層群が存在して、多久市をはじめ、相知町、厳木町、北方町、大町町、江北町など一帯には大小の炭鉱群が見受けられ、中でも多久市、相知町、大町町などが中心であったと言われています。  しかも、石炭の質のよさが認められ、私たちが知っているあのアヘン戦争、イギリス海軍の軍艦用に唐津港から輸出されていたとのことであります。また、三重津海軍所の蒸気船燃料としては北方町の採掘品でもあったようであります。  このように明治からの順調な産業の伸びも、太平洋戦争での敗戦で国全体の産業が麻痺し、国においては月産約四百万トンが何と五十万トンに激減し、石炭の減産は、製鉄、電力などの主要産業に必要なエネルギーの最低需要に影響を与え、列車の運行の間引きなど、日常生活に大きな影響を及ぼした時期もありました。  国は増産策を推進、炭鉱労働者への優遇措置で食料の増配や戦争で家を失った方や外国からの引揚者を入居できるよう炭住、いわゆる炭鉱住宅を増やしたとされています。  そして、炭鉱の再建に必要な資材の優先配分や、復興での融資金融や補助金制度などの政策が取られております。  今も残る旧産炭地の集合住宅、長屋などの炭鉱住宅の建設は、こうした政策の下、より普及していったものと認識しているところであります。  佐賀県でも昭和二十一年に二十一鉱であった炭鉱が、昭和二十四年、県内は四十三鉱となり、多くの労働者が採炭に従事し、百七十四万トンを超えるまでに成長し、地域の発展と人々の暮らしを支えました。  多久での石炭採掘も江戸時代より行われ、明治時代から二十五もの炭鉱が存在し、やがて大手資本による大規模な炭鉱も出現しました。三菱古賀山や明治立山、明治佐賀炭鉱であります。多久は第二の筑豊と呼ばれるようになりました。  しかし、高度成長期となる一九六〇年代からは徐々にエネルギー革命により石油に取って代わっていき、石炭産業は衰退に向かい、小中規模から閉山に追い込まれていきました。当時、多久の藤井儀作市長は、衆議院石炭対策特別委員会に招聘され、全国石炭地市町村を代表して意見を求められ、国は翌年昭和四十二年から石炭特別会計を設け、合理化資金の貸付けや債務の肩代わりなどの手厚い対策も行いました。しかし、既に大手でも経営の限界に達しており、最後の明治佐賀炭鉱も昭和四十七年閉山となり、佐賀県での全ての炭鉱が姿を消し、町としても衰退してまいります。
     時代から求められ、戦後は国策でもあった近代工業の発展を支えた石炭、中でも良質な石炭を生産していた佐賀県は、日本の近代化と経済の発展に果たしてきた役割は大変大きいものであると思います。  炭鉱産業は壊滅し、産炭地は大きく過疎化となりました。本来の炭鉱マンは全国の炭鉱現場へと散り、また市民も新たな仕事を求めて流出もあり、当時、小学校四年、五年だった私の学年では、ひっきりなしの転校で生徒数が激減していきました。時に学校挙げて、炭鉱で職をなくした困窮家庭へ米一合持ち寄りの支援活動さえあったほどであります。  閉山した後、地域の長屋をはじめとする炭鉱住宅は希望者へ払い下げられました。今も長屋は当時の姿で町並みを残しているところです。老朽化が進み、荒れた空き家、中には倒壊寸前の空き家などもある中で、持ち主が我が家を新築、増改築しようと思案しても、連なる両隣との問題が発生し、道幅の狭い道路環境にあるものは、建築基準法上の接道義務により建て替えることもできない状況となっているところであります。  長屋は一棟当たり少なくて二軒が入って、多いところでは五軒とか、そういった長屋があります。五軒ぐらいの大きな集合体になりますと、両方に道が接しています。その道と道との間にある三軒は、いわゆる道と接していない通行だけできる細い玄関先の通路なんですね。こういった状況が長屋の状況であります。  また、当時、炭鉱が行う民間への払下げ方法は、道路の概念がなく、ただ地域を区画配分し、敷地として払い下げられたため、現在まで長年、隣接住民の合意をもって生活通路として共有しているにすぎないケースも多く、登記は道路でない環境が存在します。  長屋や敷地などは所有者の権利があることから、こうした状況はなかなか改善されず、そこで生まれ育ったとしても、こうした事情から、より利便性を求めて転出する状況であります。  現在に至るまで半世紀以上そうであったように、これからのまちづくり、地域づくりに課題として存在し続け、負の遺産として旧産炭地のまちづくりの足かせになっております。  ここでざっと人口を調べてみました。昭和三十五年と令和二年です。まず、佐賀県です。昭和三十五年の人口は九十四万二千八百七十四人、令和二年は八十万八千八百二十一人です。減少率一四・二%です。それでは、産炭地を申し上げます。多久市、同じく昭和三十五年です。四万五千六百二十七名、令和二年は一万八千二百九十五人、五九・九%の減少。厳木町は一万八千三百七十名、令和二年は三千八百九十名、七八・八%。相知町、一万六千五百二十四名、令和二年は七千百七十三名、五六・六%。北方町、一万四千九百十六人、令和二年は八千五百八十九名、四二・四%。大町町、二万四百二十七名、六千三百五人、六九・一%。江北町、一万六千三百七十九名、令和二年は九千五百七十三名、四一・六%、こういった減少であります。  こういう流出が続いている。これは一概に炭鉱だけとは申しませんけれども、佐賀県の平均的一四・二%に比べますと、数字が物語っている点も大きな何か原因があるというふうに、共通した原因があるというふうに私は感じています。  もう一つ、災害防災の観点から見ますと、令和元年豪雨の折、大町町でも元ボタ山の崩壊が起きたことは記憶に新しいことで、旧産炭地には当時の石炭採掘・採取後の副産物である泥やボタ石などが積み上げられたボタ山が残っており、地域では長屋の土地そのもの、あるいは一帯がボタ質であったりすることにより、陥没や水の噴き出しなどの災害もあっており、ボタ土壌は雨に弱いことから産炭地の危惧すべきところでもあります。  また、江北町を訪れた折、山中副町長さんからはお話と現地案内など、切実な実情を教えていただきました。杵島炭鉱では石炭運搬の鉄道が独自に整備され、商店街など平地部と中山間部が造成された土手で分断されています。山間部からの河川の水や人、物を通すために、炭鉱資材で建造されたアーチ型の構造物は、長い年月で老朽化が著しく、危険な状況にあることをこの目で確認してまいりました。  これらの問題を抱える将来のまちづくりに何とか兆しが見えないものか、県と旧産炭地市町で情報の共有や連携をしながら取り組んでいただきたいと切に願うところであります。  もちろんこれらは問題提起したからといって簡単に解決するものではないことは十分に認識しているところです。しかし、閉山後、半世紀以上経過するとともに際立ち始め、これからも続くことは明らかで、今後のまちづくりにおける大きな課題であります。  そのような中、このたび進政策部長が多久市を訪問してくださいました。ありがとうございました。限られた時間の中、実際に見ていただいた感想はいかがだったでしょうか。そして、部局横断的な視点から、旧産炭地におけるまちづくりについて県のお考えをお伺いいたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。  問いの二番目です。社会教育についてであります。  社会教育とは、学校の教育課程で行われる教育活動を除けば全てが当てはまることから、全般的な教育活動であり、主に青少年や成人に対して行われているところでありますが、子供たちも学校から地域へ戻れば社会教育の域に入ります。  地域住民一人一人の持つ資質や能力を高め、その力を地域活動に生かす人づくり。そういう人々の活動が地域の課題解決や地域の活性化につながる地域づくり。そして、それらの活動を通して地域住民の間に絆が生まれる絆づくりという大切な意義があり、時代は変わろうとも欠かすことのできない重要な分野と思っております。  社会教育は、人々の学習ニーズに即した幅広い学習内容を持っており、個人の要望や社会の要請に応え、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。教育基本法第十二条第一項とされているところであります。  私は、市の社会教育委員を務める中、地元の子供会や公民館などの活動に長年携わらせていただいておりますが、人口減少や核家族など、家族形態の変容、価値観やライフスタイルの多様化などにより、地域における人間関係が希薄化し、地域活動に対して自分を謙遜したりと、参加する機会が減少していると強く感じているところであります。  今、個人の要望を言えば、多種多様に広がり、安易には取り組みにくい複雑な分野でもあります。だから、難しいんです。  一方、社会の要請に応えることは、地域であったり、サークルであったり、時には企業であったりとして、決して容易ではなくても、課題に対し一つの一定の方向性を持って対応できる状況と言えるでしょう。  しかし、地域では、年代による温度差でなかなか難しいということを耳にいたします。活動に携わらせていただく中で、つい数年前とは異なる考えの相違を強く感じるようになりました。協力より主義主張が否めません。努力、研さんのためとか、子供たちのために汗をかくことをあまり聞かなくなったような気がいたします。  例えば、この夏もラジオ体操は中止になりました。コロナ禍の中、当然と納得はするのですが、夏休みは長期休暇であり、ラジオ体操は、生活習慣において早寝早起きをさせ、規則正しい生活を送る第一歩、基礎部分と昔から言われております。しかし、集まることが困難なコロナ禍の中であれば、各家庭で自主的に行い、早寝早起きの生活習慣の基本を崩さない、そのことが子供のためであります。そういった配慮が必要なのに、地域で機能しない状況に、社会教育から見る危機感を持つ次第であります。  また、先日、地域包括支援の話合いに同席した際には、地域の活動に参加するのは高齢者が中心で、次を担う世代がなかなか入ってこないことが課題になりました。持続可能な地域づくりを図っていくためには、住民の主体的な参加の必要性を再認識した次第であります。  そのためには人づくりが重要だと認識しており、人と人との結びつきを強くする役割を持つ社会教育の重要性とともに、社会教育の専門職員である社会教育主事への期待も増してきていると思います。この専門職は、社会教育主事となり得る資格を取得してから一年以上、官公署、または社会教育関係団体における社会教育に関係のある職や業務に従事した上で、都道府県、または市町教育委員会から社会教育主事として発令されて、活動できるスペシャリストになるという役目であります。  そこで、次の点についてお伺いします。  まず、社会教育に対して知事にお尋ねいたします。  地域における人間関係が希薄化していく中において、人づくりや地域づくりをやるためには、社会教育の重要性はますます高まっていると考えているところであります。知事がいつもおっしゃっている自発の地域づくりの根幹になる部分であります。社会教育に対する思いや方向性についてお伺いいたします。  次に、社会教育主事の役割についてお尋ねいたします。  社会教育には、一般に都道府県や市町の教育委員会の事務局に置かれる専門的職員であり、地域で活動する方々やリーダーとなる方々など社会教育を行う者に対し、専門的、技術的立場から助言や指導を行う社会教育主事という資格の方々がいらっしゃいます。私たち市町の社会教育委員もお世話になる頼りになる方であり、市町では大きく関わりをいただいているのですが、県での社会教育主事の方々の果たす役割をお尋ねするとともに、どのような形で人づくりに携っておられるのかお伺いいたします。  最後に、社会教育は価値観やライフスタイルの多様化により社会や地域が大きく変わっていく中においても、よいものは失わないようにしていく努力や課題に向けた取組が必要で、社会に還元していくことが必要であります。学び育てることは生涯学習として大切なことでありますが、イコール講座(座学)と思いがちであります。しかし、活動の中から人との関係ができてこそ次の成長につながる、人と人との結びつき、このような学びを通じて、さらに住民がつながり、自立や主体的な参画によって地域づくりが図られていくと思っております。県は今後どのように取り組まれていくのかお尋ねいたします。  三問目です。今度はお子さんに向けた内容であります。社会性を育むための教育についてであります。  先ほども申し上げましたとおり、活動を続けていく中で、地域の人同士のつながりが里山の集落でさえだんだんと希薄になっているのを感じる次第であります。それは将来、社会を支える存在となる子供たちの中にも感じられ、子供たちの社会性を育てていくことは、地域の人づくりや、人々が助け合い、支え合う礎となるものであると思っています。人と人の結びつきやつながりを強くし、人に頼る、人に頼られる社会をつくることは、自己肯定感や他人への尊重が生まれる大変重要なことであります。しかし、残念ながら、地域力のまとまりなどの衰退から、地域の社会教育の面だけで十分に補うことは難しく、本来は家庭、地域が担うべく分野が学校に頼らなければならないところも多く存在し、学校の果たす役割は多面的に存在し、かつ負担も大きいところであります。  学校は、第一に勉学の場でありますが、子供たちにとって一つの社会であり、社会で通用するための力、協調性やコミュニケーション能力、そして、人の意を酌んだり、他人への気づきなどの様々な取組ができる場でもあると考えています。その学校において、社会教育主事の資格を持つ先生が在籍されていると伺っております。  社会教育主事の制度は、先ほどの社会教育の質問で述べたとおりですが、もともと社会教育に携わる職員などを指導するので、高度な専門知識や幅広い教養、協調性も求められており、地域や団体が必要としていることを的確に察知する洞察力、企画力、運営するための創造力、行動力にも期待が持てる貴重な人材であります。社会教育主事の先生を生かすことも社会性を育むことにつながるのではないかと感じているところであります。  そこで、質問です。  まず、社会性を身につけさせるための取組についてですが、学校ではどのような取組が行われているのかお尋ねいたします。  続きまして、学校現場での社会教育主事の活用についてであります。  先生方の中に社会教育主事の資格をお持ちの方がいらっしゃいます。社会教育主事の資格を取ったとき、生かしたい、お役に立ちたいという熱意に燃えたと伺ったところであります。せっかくの資格が活用されていないのではともったいない限りがした次第であります。社会教育主事の資格を持つ先生方の活用を図ることが、学校で子供たちの社会性を育むことに大きく貢献すると思う次第であります。教育長のお考えをお伺いいたします。  最後です。問いの四番目、山地災害対策についてであります。  昨日の県土整備部長さんの話に、社会資本整備は山積みしているというようなお話がありました。私も、大雨、あるいは台風、あるいは大雪があったときには、翌日安全を確かめて、地域を巡回するよう心がけております。そういったところで、いろんな方と、こういったことで大変なんだというお話をお伺いいたします。それが平地部、中山間部、山麓、山とあって、実は結構多いのが山と中山間の境ですね、こういったところからの声をよく伺うところです。こういったところをちょっと問題視をしながら、大きな質問をさせていただきます。  本県では、令和元年の佐賀豪雨から僅か二年のうちに、六角川流域をはじめ、同じような流域で再度大規模な内水氾濫が発生し、住宅などの浸水被害のほか、農畜産物などが甚大な被害を受けたことは記憶に新しいところであります。  このような状況を受け、県では、内水対策プロジェクト「プロジェクトIF」を立ち上げられ、浸水被害ができるだけ少なくなるよう、現在、河川のしゅんせつや田んぼダムなどできることから取り組まれており、そうした事業展開を目にする機会が多くなり、浸水被害を受けた方々をはじめ、地域住民には大きな安心感を与えていると感じております。  一方、中山間地域に目を向けますと、豪雨による土石流や山崩れなどの山地災害が発生し、下流の農地や河川などが被災している状況が見受けられるところであります。  私の地元では、周囲が山に囲まれていることから、ぐるりと中山間地が存在し、流れ出る河川は最後に一本の牛津川に集中する仕組みです。それだけに令和元年佐賀豪雨水害では大きな被害が出たところであります。問題はここからであります。  令和元年佐賀豪雨水害のように大きな災害ではないものの、山林から流れ出た木の枝や土砂が水路を閉塞し、水田へ土砂が流入したり、水田への揚水ができずに耕作する方が減少したり、高齢の個人では復旧することが困難なために、営農への意欲が減退した農家の方もおられると聞いているところです。また、実際に利便性のよい県道沿いでさえ、揚水できないため耕作されていないところもあり、中山間地域での農業への影響が懸念されるところであります。  また、登山をする私は、森林地の手入れが行き届いていないがため、植林地の中が薄暗く、粘土質の土がむき出しとなっており、滑って転倒した経験も幾度かあります。雨の日ともなると、表面全体に流れるそのさまは、岩盤の上を流れているかのように見えることがあります。こんな流れが倒木や枯れ枝、風化した岩や泥などを交えて耕作地帯の境目へ流れ出し、甚大な影響を与えています。地元の方は、繰り返される現象にため息しか出ません。特に張り巡らしたワイヤーメッシュが、流れてきたもので総倒れとなれば、なおさら深刻であります。この山、耕作地ともども、家の山際での問題には、もっと細やかに寄り添う施策の必要性を強く感じている次第であります。  さて、本来、水源の涵養や土砂の流出防止などの多様な機能を持つ森林は、適切に管理するとともに、山地災害に備える治山事業などの対策を積極的に取り組むことが、ひいては中山間地域で暮らす人々や、農業をはじめとする産業を守るだけではなく、下流における内水氾濫の軽減にも貢献するものであり、全体を流域治水の一環として捉えたとき、上流部の最も大切な役割と考えているところであります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  まず、山地災害対策の現状についてであります。  多様な機能を有し、県民共有の財産である山を守っていくためには、土砂災害を未然に防止するとともに、災害が発生した場合は早急に復旧することが重要であると考えています。特に近年の豪雨から中山間集落付近で相次ぐ被災など、地元で日々生活を送る方々の目には見るに堪えないところと思う次第であります。  そこで、県では、山地災害対策についてどのように取り組んでおられるのかお伺いいたします。  次に、山地災害対策における課題であります。  近年、山地災害が激甚化、頻発化している中、県では、山地災害対策における課題も新たに見えてきたと思います。どのようなものがあると捉えているのかお伺いいたします。  林野庁では、平成二十九年の九州北部豪雨や平成三十年の七月豪雨を踏まえ、治山対策検討チームを設置し、今後の事前防災・減災に向けた効果的な治山対策の在り方などを検討されていると聞いているところであります。  こういった事前の取組は、地元の人にとっては、災害の影響を受ける前に、減災・防災という機能が働くことに大きな期待を持つところであります。その検討結果や課題を踏まえて、県では今後どのように取り組んでいかれるのか最後にお尋ねして質問を終わらせていただきます。どうぞよろしく御答弁のほどお願い申し上げます。(拍手) 30 ◎山口知事 登壇=野田勝人議員の御質問にお答えいたします。  私の父は、結婚する前、昭和三十年代、まだ炭鉱があった頃ですけれども、多久の莇原に住み込みまして整形外科医のお手伝いをしていました。そういう炭鉱というものがあったから、うちの父も佐賀にとどまることができていたんだろうなと、今の話を聞きながら思いました。そうした時代の遺産にどう向き合うのかということが多久のまちづくりで大変大きなポイントだろうと私は認識しています。  そして、社会教育に対する私の思いについてお尋ねがございました。野田議員は複雑だとお話をされていました。大変難しい問題です。私なりの考え方を申し上げたいと思います。  社会教育はとても大切なことなんですが、時代の流れの中でどのように捉えていくのかということが大事だと思います。  例えば、生涯学習という概念との関係でもなかなか整理が難しいなというふうに思います。ただ、個人の学習したいという願望の側面というよりは、最近ではむしろ地域としての教育力の衰えだったり、地域のつながりの希薄性、こういった課題に対応するための、まさに社会の要請といった側面も強くなっているのではないかと私は認識しています。  こうした中で、ずっと前からあった社会教育というものをどのように位置づけていくのかということが大切なポイントだというふうに思います。そのためにはやはりまず、人と人との結びつきというものが一つのキーになるわけでありまして、人と人が結びつくためには地域づくりというものが大事になってきます。地域づくりを大切にしていくためには人づくりが大事になっていくということになりますので、この三つを一緒にやっていくと、三位一体でというか、そういうことができれば前に進んでいくんだろうと。言うのは易しいんですけれども、なかなかここが大きなポイントです。  そのときに、私、先日というか、先月の末に西多久を訪問させていただきました。それは「多久市まちづくり協議会かつやく隊」というメンバーだったんですけれども、簡単に言いますと、ドローンを使って、新聞だとか、薬だとか、弁当だとか、いろんなものを運ぶための空の道をつくるためにみんなが集まっているというチームだったんですけれども、驚いたのは、二十代から七十代までいろんな人たちがそこに集結していました。若い人はAPUを休学して今多久に住んでいるという方もおられましたし、もちろん区長さんもおられますし、観光協会の方だとか、建設業の方がリーダーでしたけれども、そういうようなみんなが共通の目標に向かって目を輝かせながら、ああでもない、こうでもないと議論をしている姿を見て、非常にすばらしいなというふうに思ったわけです。こういう世代を超えて老若男女が一緒になって何かをやっていくという、本来、望ましい姿なんですけれども、その姿を実現するのはなかなか難しい問題だと思います。  ということは、まさに議員がおっしゃるような自発的にみんなが集まれるような、そういうようなお題だったり、テーマだったり、ミッションだったり、目標だったり、そういったものをいかにつくれるのかということがポイントかなというふうに思います。しかも、人々の価値観も多様化しておりますので、逆にそういう多様化しているところで社会教育がどうあるべきなのかということを考えて、時代とともに変容する部分があってもいいのではないかというふうに思っております。  ですので、これからの社会教育というものはそういう地域づくりの活動の中に、例えば、子育てもそうですし、これまでやってきた地域力の再生というものが自然な形で溶け込んでいくことができるとするならば、これまでずっと大きな役割を果たしていた、例えば、公民館を使って教育をしていくというやり方だったり、そうしたものも含めて活性化したものとなって地域の再生、地域一体となった子育てといった面も強化されていくのではないかと思っております。  県もこういったことに関して様々な議論を行いながら、様々な取組を支援させていただきたいと考えています。 31 ◎進政策部長 登壇=私からは、旧産炭地のまちづくりについてお答えいたします。  石炭産業は明治時代に入り本格的な産業として発展し、日本の近代化や工業化を支え、旧産炭地も多くの炭鉱労働者が暮らし、活気が生まれました。  しかし、その後、昭和のエネルギー転換により、石炭産業は急激に衰退し、それとともに全国の石炭産業を支えた町も人口減少し、全国的に旧産炭地の産業政策やまちづくりが課題となりました。  特に九州は生産量が多く、佐賀県においても、多久市をはじめ、大町町や唐津市などで生産され、地域の成長を支えていた。こうした歴史的なことは、実は私も頭では知っておりました。  ですが、今回、実際に旧産炭地の一つである多久市を訪問して炭鉱労働者が暮らした長屋を、恥ずかしながらですが、初めて見させていただきました。長屋の多くが老朽化しており、長年居住せず、所有者による修繕等の維持管理もなされていないという長屋を目にしたわけでございます。  そこでは近隣への被害を防ぐために、行政によってカバーをかけるなど緊急安全措置が講じられている家もございました。対策の必要性をすごく強く感じたところでございます。  その際、多久市の方と意見交換もさせていただきましたけれども、問題になっている点としては、代替わり後に相続登記がされないことなどにより、空き家の所有者の特定が難しい、また、所有者が特定された場合においても所有者が遠方に居住し、地域とのつながりが薄いことなどにより、適切な維持管理がなされず放置された状態になると、こういった空き家対策における課題を伺いました。  ここまでは、実は全国的な空き家の問題でよく言われていることでありまして、私も実家は北九州にありますけれども、そこでも同じような課題があって、やはりこれはなかなか全国的にも解決が難しいんだなと。かつ、代が移っていきますと、その土地に対する愛着を持たない方が所有者になってきて放置しがちになるということで、多久市の方も時の移り変わりによってますます課題が深刻化していくということを強くおっしゃって、非常にその気持ちを感じたところでございます。  また今回は、特に長屋ならではの難しさということも実感することができました。一つは議員もお話しございましたけれども、道路幅がないので、なかなか建築基準法の規制によって老朽化した住居の建て替えが難しいという課題。  それから、家が連なっておりますので、例えば、真ん中の方が改築なり修繕したいと言って仮にできたとしても、横の方がそのまま放置していますと、横の老朽化が進んで、結局住むことができなくなってくる。例えば、老朽化して空き家が続いていくと、屋根伝いにネズミが入ってきたりするので、せっかく修繕したのにという声も聞きました。また、そもそも連なっておりますので、改築すること自体も難しいんだよという話も伺いました。非常に問題も複雑で、何かこれをすればすぐに解決できるなということも出てくるものではないなということは思いました。  多久市をはじめとした旧産炭地は、かつて良質な石炭を生産し、日本の近代化と経済成長に大きな役割を果たした地域であり、その地域や町の歴史、資源を大事にして、まちづくりをどう進めていくかというのもありますし、また、何よりも住民の生活の安全を確保して、安心して暮らすことのできる環境を整えなくてはいけないというのがやはり急がれる課題だなというふうに強く思ったところでございます。  すぐに解決することは難しいかとは思いますけれども、議員からお話がありましたとおり、市町と県の関係部局において旧産炭地における町の現状や課題を改めて共有して、全国の例も見ながら、連携しながら、どういったことができるのかということをしっかりと勉強していきたいというふうに思います。  以上でございます。 32 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは、社会教育について二点お答えしたいと思います。  まず、県の社会教育主事の役割等についてお答えをいたします。  県に配置されております社会教育主事は、定期的に市町を訪問しまして社会教育に関する地域の取組、悩み、課題等を共有し、課題、悩み等の解決方法などについて意見交換を行ったり、助言を行ったりしております。このほか県立生涯学習センターアバンセが実施をいたします事業への指導、助言、あるいは地域婦人連絡協議会といった社会教育団体への助言、それと、市町や公民館の職員などに対します研修の企画などを行い、いわゆる公益的な視点を持って社会教育の推進を図っているところでございます。  そうした中で特に力を入れておりますのが、課題解決支援講座というものでございます。住民自ら地域の課題解決に主体的に取り組む人づくりのために、県や市町、公民館の三者が協働しまして、地域の課題解決を支援するという事業でございます。その事業の中で、県の社会教育主事は、事業の企画段階から携わり、講師の選定やプログラムの内容に助言を行うなど、活動がよりよい方向に向かうようにリードしております。  この課題解決支援講座におきましては、地域の住民が、潜在化している課題を掘り起こし、講義や住民同士の意見交換、ワークショップなどを通じまして、課題について解決をしたり、課題解決のための知識や手法を学んでおります。  これまで三十一の地域で取り組んでおりますけれども、例えば、武雄市では過去に水害があった地域におきまして、地域の方々が町歩きを通して自分ができることを学んで防災マップを作成されております。そして、自主防災組織の立ち上げにつながっております。  また、唐津市の取組では、人口減少によりまして過疎化への不安がある地域において、小学生が行った住民意識調査を基に、地域の子供と大人が一緒になって地域の在り方や未来像を考える取組が行われています。この取組を契機としまして地域のビジョンが作成され、その実現に向けて現在も講座や勉強会が開催をされております。  参加者の声を幾つか紹介いたしますと、参加して自分も何かしたいと思うようになったでありますとか、地域の未来をみんなで考えたことは今後につながる、あるいは住んでいても知らなかった地域の活動や町のことを知る機会になったといった声が聞かれておりまして、地域づくりや人づくりにつながっているものと考えております。  次に、今後の取組についてでございますが、今年の三月に、先ほど紹介しました地域課題解決のためにどう取り組めばいいか、人づくりにどう取り組めばいいか悩んでいる方々の参考にしてもらうために、先ほど紹介しました課題解決支援講座のこれまでの取組事例をハンドブックとしてまとめております。それを市町や公民館、大学等に配布したところでございます。  このハンドブックは、アバンセが実施をいたします生涯学習関係職員の講座の中でもテキストとして活用されて、職員のスキル向上に生かされているところでございます。  今後でございますが、今後新たな展開を目指しまして、当講座のプログラムにおいて企業や大学、CSOなどの協働事業も模索といいますか、検討したいと思っているところでございます。  そして次にでございますけれども、地域づくり、人づくりの専門知識やスキルが高い社会教育主事を埋もれさせることなく、その能力をより発揮してもらうために、今年度、初めて社会教育主事の集まりというか、集いを開催することとしております。例えば、優良事例を学び合ったり、様々な悩み、情報を共有し、横のつながりを強化する集いにしたいと考えておりまして、今後、定期的に開催していく予定でございます。  知事が先ほど少し答弁しましたけれども、社会教育の時代に合ったものに少しずつ変容していく必要があると考えておりまして、今後もトライ・アンド・エラーを積み重ねながら、地域づくり、人づくりを進めていきたいというふうに考えております。  私からは以上でございます。 33 ◎山田農林水産部長 登壇=私からは、山地の災害対策につきましてお答えをいたします。  まず、対策の現状でございます。  県では、山地災害から県民の生命、財産を守る対策といたしまして、ハード、そしてソフトの両面から取り組んでいるところでございます。  具体的に三点申し上げますと、一点目は、水源涵養などの機能が高い保安林や、荒廃し山地災害が発生するおそれのある森林におきまして、崩壊した斜面の復旧ですとか土石流の発生を抑制するための治山ダムの設置を行っております。  二点目でございますけれども、樹木の根や下草の成長を促し、地表面の土壌保全機能を向上させるための植栽ですとか間伐等の森林整備を行っております。  三点目は、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」の展開でございます。平成二十九年の九州北部豪雨を契機といたしまして、森、川、海の環境保全につなげるため、「森・川・海はひとつ」という思いを人がつなぐという理念の下、県民の皆様に森、川、海の役割やその管理の大切さなどを理解していただく活動を行っているところでございます。  続きまして、山地災害対策における課題につきましてお答えをいたします。
     本県におけます山地災害対策の課題につきまして二点申し上げます。  一点目は、県では山地災害のリスクが高い地区を山地災害危険地区として設定をしておりますけれども、近年の災害が激甚化、多様化する中で、いつどこで災害が発生するかの予測が非常に困難であることがございます。最近は山地災害危険地区以外でも崩れたりというのが出ているところでございます。  二点目でございます。山地災害危険地区数でございますけれども、令和四年三月時点におきまして、県内二千三百七十三カ所となっております。そのうち治山事業の着手率は昨年度末で四一%ということでございまして、全国平均の四八%を下回っております。本県の着手率が低い要因の一つとしましては、民有林面積に対します危険地区の箇所が全国では上位七番目に多いということが挙げられております。  次に、今後の山地災害対策につきましてでございます。  議員からも御紹介がありました、国が設置しました治山対策検討チームの中間取りまとめでは、次のような検討結果の報告がされております。  一つは、山地災害が発生するメカニズムの解明ですとか、間伐等の森林整備や、巨石や流木対策としての防護工の設置などのハード対策の例示が示されております。  さらに、事前防災・減災対策に向けまして、住民への情報の周知徹底の重要性などが報告されたところでございます。  県では、国の検討結果ですとか県の課題を踏まえまして、災害に強い山づくりに努めることとしております。具体的に四点申し上げたいと思います。  一点目は、今年度に、県独自に「佐賀県治山事業五箇年計画」を策定したいと考えております。これまでの山地災害危険地区の危険度評価に加えまして、全国に先駆けて取り組みました航空レーザーの計測データですとか地質データ等を活用しながら、着手する箇所、それから優先順位を決定していきたいと思っております。また、県土整備部などのほかの部局とも情報共有、連携しながら、隙間のない対策を実施していきたいと考えております。  二点目につきましては、近年の山地災害が激甚化、多様化していることを踏まえまして、現場の条件に応じて、より強固な土石流対応型や流れ木を的確にとらえる治山ダムを設置していきたいと。  また、三点目は、森林が持つ土砂流出防止機能や洪水を緩和させる水源涵養機能などの公益的な機能を向上させるため、引き続き間伐ですとか広葉樹の植林などの森林整備を着実に実施していきます。  四点目でございます。これらハード対策につきましては、相当な時間を要することから、山地災害危険地区のマップを作成いたしまして、住民の避難行動につなげるよう、市町と連携した周知活動に取り組んでいきたいと考えております。  今後とも、ソフト、ハードの取組を効果的に組み合わせながら、山地災害対策につきましてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 34 ◎落合教育長 登壇=私からは、社会性を育むための教育についてお答えをいたします。  まず、社会性を身につけさせるための取組についてお答えします。  昨今の子供たちを取り巻く環境は大きく変化をしておりまして、SNSなどのインターネットを介して他者とつながる、そういった機会、そういった意味でのコミュニケーションというのは増えていると思いますけれども、直接的な対面で人間関係をつくっていくと、そういう場面は少なくなっているように感じます。そういった状況というのは、コロナ禍がさらに追い打ちをかけているという印象があります。  こういった状況は、人間関係の希薄さや社会性がなかなか身につかないなどの弊害を生み出している、その一つの要因となっているように感じられます。  学校というのは、集団生活によって多くの友達、あるいは先生たちと関わることができ、様々な学習といった面だけではなくて、子供たちにとって社会性を身につけられる場として重要な役割を担っていると思っております。  中でも学校での特別活動という教育活動はその中核を担っていると考えておりまして、学級活動、児童会や生徒会活動、また体育祭や修学旅行などの学校行事を通して、ほかの人との関わり方や社会参画の意識を身につけさせるような、そういった取組を学校では行っております。  次に、学校現場での社会教育主事の活用についてお尋ねがありました。  この質問は非常に我々は戸惑いを感じています。といいますのは、社会教育法の中では社会教育の定義として、学校での教育活動を除く教育活動について社会教育と定義づけられているわけですので、社会教育主事を学校で活用するというのはなかなか我々イメージがし難かったというところで戸惑ったということであります。  そうはいっても、子供たちの社会性の育成という今回のお尋ねというのは、学校が家庭や地域と連携することで、より大きな効果が期待できると思います。地域の人たちが学校と関わって、地域ぐるみで子供たちを育てていくということが重要だと考えております。そうした中で、社会教育の専門家である社会教育主事がその知見を生かして学校の教育活動に関わってもらうというのは、子供たちにとってメリットがあるだろうと考えております。  とはいっても、社会教育主事、その資格を持った教員の数というのは多くはないというのが実情であります。そういう中ではありますけれども、子供たちの社会性を育むために、学校と地域との連携というのはますます強めていきたいと考えておりますが、そういった中で社会教育主事の活用の場というようなものをしっかり考えていきたいと思っております。  以上です。 35 ◎野田勝人君 登壇=それでは、再質問させていただきます。  旧産炭地の問題につきましては、これからしっかりと関係市町と情報を共有してというところを探っていくという答弁をいただきました。今回はそこまでの答弁をいただいて、本当によろしくお願いしますということであります。  これから先、先ほどもお話しいたしましたけれども、いろんな事情、実情というのを旧産炭地の市町は抱えています。そして、炭鉱の基金というものはあるにしても、これだけ人口が減って、体力、活力というのはやっぱり否めないところがあります。そういった中で、各自治体だけで考えることじゃなくて、日本の産業を支えた佐賀県全体でこれからの在り方というところを探っていただきたい、そういうふうに感じているところであります。  山口知事も多久でのお話をいただきました。本来、私は知事にもこの質問をして答弁をいただきたかったんですけれども、今回はまだ現場を見ていただいていない、あるいはそういったところに携わられていないということで、まずは急遽行っていただきました進部長さんからその感想と思いを聞かせていただきました。  これに関しましては、私も地元、生まれたときから炭鉱に関係のある生活をやってまいりましたので、そういったところをまた質問させていただきたいと思います。今後とも旧産炭地のまちづくり、どうぞよろしくお願い申し上げます。  再質問は社会教育についてです。  社会教育で、基本的に社会教育イコール生涯学習、習い事というふうになっているんですね。習い事というのは今までずっとそういうふうな形で講座というのがあったわけです。ところが、人と人とのつながり、あるいはお話の中にちょっとございましたワークショップ方式。これは、人と人と関わって、トーキングをやって意見を出し合う。こういったものはすごいプラスで、人の気づき、自分が気づかない部分までやっぱり研修で学ぶんですね。ですから、こういったワークショップ形式とか、あるいは一対nじゃなくて、全ての方々が参加できるような研修でなければならないし、まして時代が変わろうとも失ってはいけないもの、人への思いやりとか、道徳にもつながるような部分と重なるんですけれども、どうしてもそういったところの助け合う、あるいは人に甘えるというような、そういった部分がどんどんどんどん今なくなっていっているんですね。おかしいことじゃない、恥ずかしいことじゃない。昔は、確かに生活水準が炭鉱時代みたいに低いときにはなかなか物がないような状況でした。隣にしょうゆを簡単に借りに行ったり、砂糖を借りに行ったり、何も恥ずかしいことじゃなかった。ただ、今、便利な世の中、あるいは生活が向上したがためにそういうことを言えなくなってしまった。結果、幾ら田舎でも隣同士の人と人とのつながりというのが、本当にここを見せたら恥ずかしいというような部分も重なってなくなってきていると私は思っております。  今までの生涯学習から見る人づくり、いわゆる講座、座学ですね。そういったところを人が協調していく、人と人が互いにつながり合っていくような、そういう研修会、そういう学習の場が私は必要だというふうに思っています。  そういった時代が変わっていくための生涯学習の在り方も、ある程度時代に沿ってばかりじゃなくて、時代を振り返って補っていく部分という講座も必要じゃないかと本当に現場では思う次第です。そういったところの分野について所見をお伺いいたします。よろしくお願いいたします。  それと、学校教育の中でということで、社会教育主事の働きというのがちょっとなかなか難しいというようなお話もありました。  実は二〇〇〇年から民間校長制度が始まりまして、文科省関係の資料を見ておりましたら、その民間から上がってきた校長先生は本人も社会教育主事をお持ちです。その大切さをもって、人と人のつながりというところを大切にして──今、教育長さんは地域の人が学校に関わってもらうというふうに答弁をいただきました。その方の考えは全く逆なんですね。学校の敷居は高くありませんよ、皆さん学校においでくださいと言われても、大概の方が、いや、学校の敷居はまだ高いですと思う方が多いんです、なぜか。私も学校支援地域本部事業というときに職員室に机を置かせていただいたことがあります。初めの一年間は本当に敷居が高いというか、先生方がこちらを向いてくださらないんですね。教頭先生、校長先生は、その役割が非常に大事だということでお分かりなんですけれども、一般の先生方々がなじむまで一年間かかりました。  何を申したいかというと、地域の人が学校に訪れるんじゃなくて、今の広域的な先生方の勤め先という関係上、私は地域で買物をしたくないという先生と複数の方お会いしました。地域に自分のパーソナリティーを見せたくないという思いからだったと思います。そういったところが、例えば、私が学校の職員室に机を置いたときにも、なかなか線を引いて向こうからおいでにならなかった経験を持っています。起因はそこだろうと思います。実は先ほどの校長先生も、学校の先生が地域に出ていくための仕組みづくりをやらんといかぬと。そのためには、学校の先生にも社会教育を教えんといかぬというような表現がございました。  地域の人に学校に関わってもらう。これは地域の人にとっては元気をもらい、非常にいい事業に結びついているというふうに私は感じています。しかしながら、そういった学校の先生が地域に出ていくことを推しはかっていくためにも、そこで社会教育の分野というのが重要なものになってくると思っているところです。検討していただくところは、そういう先生方、生徒さんそのものも大事ですけれども、生徒さんたちをしっかり指導していく皆様が社会に溶け込んでいくその資質を高めていただくためにも、社会教育主事の存在は大きいものだと思っています。そこについての答弁を一度お願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 36 ◎山口知事 登壇=野田勝人議員の再質問にお答えします。  時代とともに変わらない価値観というのはあると思います。例えば、お話しいただいたように、炭鉱長屋ではいろんなことをみんなが共有して、一つの家族でした。ですので、お互いが支え合ったりというのが自然な姿であったわけで、そういう価値観というのは今でも変わらない必要なものだと思います。  せんだっての総合教育会議で提議をしたんですけれども、今の時代、もちろんプライバシーとかいろんな問題がありますけれども、それぞれの子供たちに頑張れという、みんなが自分の中で頑張っていく。それで、壁にぶつかったときに相談していいんだよということをもっとみんなに周知すべきではないのかと思うんです。我々はいろんなところで相談窓口も設けています。課題は相談に来ないことです。なので、いろんな皆さんがいいんだよと、きつくなったら、つらくなったら、壁にぶつかったら相談していいんだよという文化をつくっていくということがまず大事だろうというふうに思いますので、そちらについてこれから教育委員会とも共有しながら、これは社会教育もそうですし、学校教育もそうだと、共通したことだと思っています。  社会教育主事の皆さん方も非常に頑張っていただいておりますし、できるだけフィールドを増やしていくということが大事だろうと思いますので、ワークショップとか、様々な研修会、地域づくりの講習会もあります。いろんなところでみんなが共有して、いろんな議論をしていくことで、まず大きな価値が生まれるのではないかというふうに思っています。  いずれにいたしましても、佐賀県は、みんなが自然に支え合う社会をつくりたいと標榜しておりますので、そうした方向に向けて努力をしていきたいと思います。 37 ◎落合教育長 登壇=私のほうには、学校での社会教育主事の活用について再度お尋ねがありました。  先ほど答弁いたしましたように、学校というのは、これから地域との連携をしっかりしていかなければならない。そういった意味では、市町の小中学校のほうが先行してコミュニティースクールを積極的に導入していただいていますし、県立学校においても、唯一無二の学校づくりの中で地域としっかり連携して取り組もうという方向性を出しております。  そういう方向性であるものの、実際、そういう学校の中で地域と学校との連携を御経験なさった野田議員のほうから、学校はまだまだ敷居が高いよという実態をお聞かせいただきました。やはりそこは学校の先生たちもしっかり地域に目を向けて、地域の力を借りながら子供を育てるという観点では、もっともっと地域に目を向けて、そことの関わりというのを強めていかなければならないんだろうと思います。  そういう意識を引き続き学校の先生方には持ってもらうと、そういう動きをするとともに、そういった中で社会教育主事の皆さんを活用して、そういう意識づけをしていくということも考えたいと思います。  以上です。 38 ◎野田勝人君 登壇=最後に一点だけです。  こういった社会教育主事という、何といいますか、社会に対してはとても大切な資格をお持ちの職員さんが県のほうにもいらっしゃいます。学校にもいらっしゃいます。今回の質問の過程におきまして、ある先生が、私も資格を持っています、その資格を取ったときには燃えましたとにこやかにお話をされました。その後、顔がさめて、何もその後活用していませんというお話でした。これはもったいない、もったいないんです。  この話をこっちに置いて、もう一つ、実はこれを併せてお願いがあります。ある部署で、やっぱり国家資格をお持ちの方が技術職としていらっしゃいます。何で名刺に資格の記入がないんですかと。私はこういうふうな者ですといろんなところで活用できるし、自己PRとか、自己高揚とか、これを出したからこそ責任感とかあるじゃないですか、何でないんですかと。いや、県にはそういう習慣がないみたいですというようなお話を伺ったことがあります。その資格をしっかり生かす、そして、自信を持って仕事を遂行する。結果、それがいろんなところへ反映し、効果が上がってくる、民間は全てそうなんですね。民間は名刺にしっかりと自分の役職以外の持っている資格なんかを書いたりして、私はこうですというふうなことで自分を高揚しています。  今回、この社会教育主事の資格をお持ちでありながら、全然活用しておりませんというお話を聞いたときに、そこと結びついたんですね。  どうぞこれから先の県の職員さん、いい資格をお持ちの方は、私はこの資格を持っていますというふうなことができるように、しっかりとアピールできる──話はちょっとずれますけれども、その資格を生かしていくために名刺にはしっかりその資格、そういったものを記入した名刺を御利用していただきたい、名刺をお持ちの職員全ての方ですね、それをお尋ねしたいと思います。知事、御答弁をお願いいたします。 39 ◎甲斐総務部長 登壇=再々質問については担当部長である私からお答えをいたします。  現在、職員の名刺に記載すべき事項につきましては、県として特に定めてはございません。名刺に記載することがPRにつながると、自分の職務を遂行する上で、いろんな活動をする上でPRにつながるということであれば、職員の判断において記載されていいと思っておりますし、実際している方もいらっしゃるかと思います。そういったことはきちっと広めていきたいと思います。  ちなみに、社会教育主事につきましては名刺に記載していると、そういうふうに承知しているところでございます。  以上、お答えいたします。 40 ◎桃崎祐介君(拍手)登壇=皆さんこんにちは。自由民主党の桃崎祐介でございます。  議長から発言の許可をいただきましたので、早速ではありますが、通告に従いまして、一般質問に入らせていただきます。  初めに、県北西部地域の道路整備について質問をいたします。  唐津市や玄海町の位置する県北西部地域は、豊かな自然と歴史や文化に育まれた地域でありまして、多様性あふれる地域資源にも恵まれ、観光や農林水産業などのポテンシャルも非常に高く、これまでにも観光や産業の振興が図られてまいりました。  山口知事にも唐津プロジェクトを推進していただき、唐津・玄海地域の魅力を掘り起こし、県内外へと発信いただいているところであります。  また、道路インフラの整備も県の取組によりまして、徐々にではありますが、改善がなされております。  しかしながら、県道唐津呼子線や県道浜玉相知線、国道二百四号、唐房入口交差点付近など、個別に挙げれば切りがありませんが、いまだに渋滞が発生する道路や日常的に混雑をする箇所が多く、また山間部の道路、避難道路としても指定されております多くの県道には、線形も悪く幅員の狭い区間も多数ありまして、早急な道路整備を期待するところであります。  特に玄海町においては、玄海原子力発電所を抱えておりまして、唐津市の上場地区の一部を含め、国の定めておりますPAZに位置しております。昨今の逼迫した電力事情と世界的なカーボンニュートラルへの流れの中、資源に乏しい日本国といたしましては、新たな新エネルギーの開発、普及されるまでの間、ベースロード電源としまして、どうしても原子力発電が必要であります。  九州電力も原発の再稼働に向け、特定重大事故等対処施設の設置を進めておりますが、これは言うまでもなく、テロなどの最悪の状態を想定した際に必要となる施設であります。  防災や危機管理というものは、常に最悪の事態を想定して対策を立てなければなりません。昨年十一月の定例議会の際には、野田危機管理・報道局長から、「玄海地域の緊急時対応」につきまして、PAZからの避難に対しましては八十八台程度のバスが必要であると所見を述べられており、災害発生時にはUPZからの避難も含めまして、県内約六百七十台のバスから必要台数を確保するとの発言がございました。  しかしながら、災害はいつどのような規模で起こり得るのか、予測することは極めて困難であります。朝夕や週末、連休時には慢性的な渋滞や混雑が発生をします現在の唐津・玄海地域の道路整備状況を考えますと、どの道路を通り、どのような経路で避難を行う想定であるのか甚だ疑問であります。  有事の際には、早急な避難はもちろんのこと、緊急物資の輸送なども迅速に行う必要がありまして、玄海町民、唐津市民の安全と命を守るためにも県北西部地域の道路は最優先に整備がなされるべきであると私は考えております。  山口知事も日頃より県民の安全を最優先に考えるという趣旨の発言をなされておりますが、県民を大事にされる山口知事の政治方針と現在の県北西部地域における道路整備状況につきましては、政策的なギャップが生じているようにも見受けられます。  そこで、各種産業の振興道路として、また県民の命に関わる緊急避難道路としての性質を考慮した上で、県北西部地域の県管理道路の整備に対しまして、現在の状況をどのように考えておられるのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、大呑県土整備部長にお伺いをいたします。  次に、農業・漁業における燃油価格の高騰対策について質問をいたします。  本県の農業や漁業は、地域によって特色のある自然条件の中で、様々な知恵や工夫を凝らしながら、生産者の努力の下に生産活動を続けられております。  農業分野におきましては、広大で肥沃な平野を生かした米麦や大豆、タマネギ、また施設栽培による高付加価値な果樹や野菜の生産、高品質な「佐賀牛」をはじめとする畜産など、全国でも高い評価をいただいております。  また、漁業に関しましては、玄界灘の新鮮なイカやマダイ、有明海のノリや魚介類といった品質の高い水産物を生産供給するという重要な役割を果たしております。  しかしながら、近年の農業を取り巻く情勢を見ますと、高齢化や離農による農業従事者の減少、慢性的な人手不足による労働力確保の問題、また人件費の上昇や資材価格の値上がり、肥料、飼料の高騰など大変厳しいものとなっております。  特に園芸用ハウスで使用いたしますA重油につきましては、二〇二一年の春頃から価格高騰が始まりまして、現在でもこの高値の状態は長期化の様相を呈しておりまして、施設園芸農家の経営状況を強く圧迫いたしております。  佐賀県としましても、「さが園芸888運動」を展開する中で、農家所得の確保、向上が見込める園芸農業を推進しておりますが、この厳しい農業情勢におきましては、農家の規模拡大や新規就農者の確保はもとより、現在農業経営をしておられる生産者の方々の生産意欲が低下し、農業を続けていくことも難しくなっていくのではないかと危惧をいたしております。  また、漁業に関しましても、水産資源が減少する中に漁価の低迷や後継者不足、資材価格の高騰といった課題に加えまして、農業における施設園芸と同様に、必要経費に占める燃料費の比率が非常に高いことなどから、漁業者の経営も大変苦しい状況となってきております。  特に玄海地区におきましては、船舶に使用する燃料費が大きく、十分な漁獲量が見込めないときには漁に出られないということもあり、漁業経営を難しくしている要因の一つとなっております。  国のほうでも、施設園芸や漁業経営などへのセーフティーネット事業によりまして、A重油価格高騰分に対する補填積立金への補助を行っておりますが、このまま原油価格の高騰が続きますと、補填金では経営の改善効果が追いつかない状態となってまいります。  農業や漁業では、燃油等の経費が増加いたしましても、その経費増加分を販売価格に転嫁することは非常に困難であり、また既に農業者や漁業者の燃油節約などの経営努力は限界に近づいております。  このような現状の中で、農業や漁業を辞めていかれる方が増加いたしますと、地域の人口は減少し、中山間地域や漁村の過疎化に拍車がかかるのではないかと危惧をいたしております。  今後、農業者や漁業者が持続的に経営を続けていくためにも、経営を圧迫しております燃油価格の高騰に対しまして、県としても早急な支援が必要であると考えております。  そこで、施設園芸や漁業における燃油価格高騰対策につきまして、県として現在どのような取組をなされているのか。また、今後どのような支援策を考えておられるのか、山田農林水産部長にお伺いをいたします。  次に、産後ケア事業への取組について質問をいたします。  産後ケアとは、出産後の母親の心身的な回復はもちろんのこと、適切な授乳のためのケアや、育児についての具体的な指導や相談など、良好な母子の愛着形成のためにも大変重要な支援であります。  妊娠中の女性は、出産が近づくに伴いまして、赤ちゃんとの出会いや出産後の生活に想像を膨らませ、楽しみに思う気持ちと、出産・育児に対する漠然とした不安の中で、母親としてのアイデンティティーを形成していくものであります。  また、出産後の産婦は、ホルモンのバランスが崩れやすくなり、急激な生活環境の変化などから、疲労や精神的に大変不安定な状態にあると言われております。  一方で、この時期は、子供にとりまして、人生の社会的、心理的健康を本質的に決定づけるとされる親子関係の愛着を形成する最も大事な時期でもございます。つまり、この大切な時期には、母親となった女性の心身を癒やすとともに、親としての自立を促し、社会復帰への援助や、子育て不安の解消と精神的な孤立を防ぐ必要があります。  しかしながら、近年の核家族の増加に伴いまして、親族との距離も遠くなり、また、地域との関係性も希薄になるなど、身近に相談できる人も少なく、他者からの支援が期待しづらくなってきております。  特に最近では、新型コロナウイルス感染症の影響により、妊娠や出産におきましては家族の付添いも難しい状況にあり、母親は不安を抱えたまま出産や育児に挑むことを強いられておりまして、母親の心理的ストレスはより一層増大しているのが現状でございます。  産後健診の際に実施をされます「エジンバラ産後うつ病質問票」によるスクリーニングテストにおきましても、EPDS高得点の要観察と判断される産婦の割合は年々増加の傾向にあるとお聞きいたしております。  このような状況から、国におきましても、平成二十七年度に産後ケア事業が創設をなされまして、市町が宿泊型やデイサービス型、アウトリーチ型などの方法により、出産後の母子に対しまして、心身的な支援や新生児及び乳児の状況に応じた具体的な育児サポート、家族等の身近な支援者との関係調整、地域で育児をしていく上での必要な社会的資源の紹介など、母子の状態に応じた相談支援や援助を行うこととしております。  また、令和元年の母子保健法の改正によりまして、産後ケア事業の実施が市町村の努力義務と位置づけられたことにより、令和六年度末までには全市町村が産後ケア事業に取り組むよう推進がなされております。  産後の悩みや孤立からもたらされる育児不安は、二人目、三人目の子供を持ちたいという母親の気持ちにネガティブな影響を与えるという指摘もございます。  また、産後鬱は、近年大きな問題となっております児童虐待や育児放棄などの原因の一つでもあることから、県としましても早急な対応が必要であります。  しかしながら、県内におきましては、現在のところ、いまだ産後ケア事業に取り組んでいない市町も多いとお聞きしており、「子育てし大県”さが”」を打ち出しておりますこの佐賀県としましては、産後ケア事業に県全域として取り組まれるよう、県からも強く市町の後押しをしていただきたいと考えております。  そこで、種村男女参画・こども局長にお伺いをいたします。  初めに、現状と課題についてですが、県内市町の産後ケア事業の現状はどのようになっているのか。また、全市町に取組を拡大させていくためにはどのような課題が存在するのか。
     次に、今後の取組についてですが、それらの課題を踏まえた上で、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、以上二点をお伺いいたします。  最後に、九州新幹線西九州ルートについて質問をいたします。  七月二十九日に西九州新幹線「かもめ」の新車両が唐津東港へと寄港いたしました。当日は数多くの県民が唐津東港を訪れまして、新幹線「かもめ」の誕生を祝い、歓迎のイベントが開催をされました。  当日は唐津くんちの山囃子や吹奏楽部、和太鼓の演奏、地元の子供たちのダンスなど、様々なアトラクションが行われまして、出港の際には唐津西高校、唐津商業高校、唐津工業高校の吹奏楽部の演奏に合わせまして、約千二百人もの来場者が当日限りの「かもめ楽団」としてハッピーバースデーを合唱し、西九州新幹線の開通を喜びながら新幹線「かもめ」を送り出したわけであります。  九月二十三日には、この西九州新幹線「かもめ」が武雄温泉-長崎間で開業いたします。これに併せましてJR九州も、D&S列車の「ふたつ星4047」や「36ぷらす3」、これらの観光列車を新幹線「かもめ」の運行に合わせて走らせまして、沿線のおもてなしと佐賀のグルメや文化を堪能していただく企画や、お得な割引切符の販売などを計画しております。  また、JRと佐賀、長崎両県におきましては、「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」と銘打ちまして、様々なイベントや大型の集客観光キャンペーンを計画されており、九月二十三日の西九州新幹線の開業を機に、佐賀県内の観光事業のさらなる盛り上がりが期待されるところであります。  しかしながら、長崎と武雄の間だけを新幹線が行き来するのでは効率も悪く、新幹線の意味がないのではないかという御意見もあります。やはり本来であれば、佐賀、長崎から博多や広島、そして、新大阪までを乗換えなしで行くことができる、また逆に、日本各地から佐賀、長崎を訪れていただき、佐賀県のよさを、歴史や文化、グルメや自然を目いっぱいに堪能していただきまして、佐賀県の魅力を全国に発信していく、そのためにも九州新幹線西九州ルートは全線フル規格での整備方式が最も望ましい形であると考えます。  県民の世論調査におきましても、西九州新幹線新鳥栖-武雄温泉間の整備方式について、県民へのアンケート結果でありますが、サガテレビの調査によりますと、全線フル規格につきまして、フル規格賛成は四二・八%、反対は二九・三%と、賛成が反対を一〇ポイント以上上回っております。  佐賀新聞の調査結果に至りましては、全線フル規格化賛成が五六・二%、反対が三〇・一%と、フル規格賛成が二六・一ポイントも上回っている状況であります。県民の思いも全線フル規格化に大きく傾いてきておる状況であります。  新幹線が開通する効果としまして、駅周辺では再開発が進み、地域が活性化するとともに、新幹線の集客効果は地域の交流人口を増やし、その結果、定住人口の増大にもつながるものであります。また、新幹線の輸送力は、現在建設中でありますSAGAサンライズパークのすばらしい可能性を最大限に生かすことに大きく寄与するものであると思われます。  一部では、佐賀は単なる通過駅となり、集客効果は薄いという懸念もございますが、私は佐賀県には、全国からの観光客を引きつける魅力が十分あると考えております。佐賀の歴史や文化、武雄や嬉野の温泉を楽しんでいただいて、太良のミカンや竹崎カニ、世界に誇れる鹿島のお酒を堪能していただく、また、有田焼の伝統と芸術に触れていただいて、伊万里や唐津の自然、「佐賀牛」、伊万里牛、新鮮な魚を堪能していただく、新幹線のもたらす集客効果は佐賀県全域に波及するものであります。  しかしながら、新幹線の整備に関しましては解決しなければならない大きな問題もございます。在来線の維持と地域振興の問題、また、佐賀県が支払う負担金の額の問題であります。  事の発端は、佐賀県が苦渋の決断で合意をしておりましたフリーゲージトレインを、技術的な問題から国土交通省が一方的に断念をしたことにあります。この件に関しましては国も謝罪をなされているものの、佐賀県としてはしごを外された格好となりまして、その後の整備方式でも議論が平行線をたどり、国土交通省との「幅広い協議」もこれまでに六回開催されましたが、協議は進展しないまま膠着状態が続いております。  そのような中、先月二十九日に山口知事におかれましては、与党検討委員会の森山委員長と面談をされております。  面会では、「九州全体のインフラ状況を踏まえながら、整備方式の協議を続けていく」という考えで一致をされ、「フル新幹線であれば、新たな発想で互いに協議をしていこうということだと思う」と述べられており、また、前知事の古川康衆議院議員が国土交通政務官に就任されたことに対しまして、「県の事情、フル規格の難しさを熟知する古川氏が政務官になられたことで、国が柔軟な対応を取っていただくことに大きな期待をしたい」と述べられ、「フル規格を全くやらないというのではなく、われわれとしてやる糸口を見いだせるのであれば閉ざすものではない」との発言もされており、条件によりましてはフル規格での整備も山口知事の選択肢の中にあるのではないかと感じております。  私は、国との関係性も含め、現在の状況がいつまでも続きますことは、県としても決して好ましくないと考えております。このまま国との協議が進展しないのであれば、山口知事のほうからフル規格で整備する場合の方向性を示され、その上で、佐賀県のトップとして、県の負担金の問題や在来線の問題、振興策等につきまして、しっかりと国やJRと交渉していただきたいと考えております。  そこで、山口知事にお伺いをいたします。  西九州新幹線新鳥栖-武雄温泉間の整備方式の在り方につきましてどのように考えておられるのか。また、今後どのように議論を進めていかれるのか、山口知事の所見をお伺いいたします。  知事及び執行部の明確な答弁を期待しまして、質問を終わらせていただきます。(拍手) 41 ◎山口知事 登壇=桃崎祐介議員の御質問にお答えします。  九州新幹線西九州ルートについてのお尋ねでございました。  私の基本的な考え方は変わっていません。フル規格を議論する場合には、ルート、財源、今ある特急や在来線など様々な論点があり、しっかり議論する必要があるということをこれまでも申し上げてまいりました。フル規格の議論をするのであれば、過去の延長線上の議論ではなく、新たな発想で大きな方向性を見いだすことが必要と考えています。  そして先日、森山委員長とは、議論を進展させるためには、九州全体のインフラなどについてしっかり考えながら協議を続けていくこととなっております。  西九州ルートの問題は、佐賀県全体の将来に大きく影響する話です。今後とも、ひたすら佐賀県と佐賀県民の今と将来を考え、何が望ましい姿なのか、九州の発展ということも含め、大きな視点で幅広く骨太に議論していきたいと考えています。 42 ◎山田農林水産部長 登壇=私からは、農業・漁業におけます燃油価格の高騰対策につきましてお答えをいたします。  燃油価格につきましては、依然として高止まりの状況が続いております。ハウスみかん農家からは、このまま燃油高騰が続けば加温栽培をやめるしかなく、今までどおりの生産ができないといった声や、漁業者の方からは、遠方の漁場への出漁を控えざるを得ないといった声も聞いております。燃油価格の高騰が、施設園芸農家や漁家に与える影響は極めて大きいと考えております。  国では、燃油価格高騰の影響を緩和するため、施設園芸農家や漁家を対象としまして、燃油価格が高騰した際に、過去の平均価格との価格差を補填するセーフティーネット構築事業を実施されております。  また、農家や漁家の経営安定を図るためには、このような燃油価格への補填と合わせまして、燃油使用量を削減する取組も重要でございます。  このため、まず施設園芸につきましては、これまで県単独の補助事業におきまして、重油使用量を削減することを目的に、ハウスの三重ビニール被覆ですとか、ハウス内の温度を均一にする循環扇、電力で加温するヒートポンプなど、省エネ装置や機械の導入を支援してきたところでございます。  さらに、昨年の燃油価格の高騰を受けまして、施設園芸農家の省エネ対策を強化するため、令和三年度二月補正におきまして、既にヒートポンプを導入された農家が、耐用年数を過ぎて燃費効率をさらによくしようとする場合の再取得につきましても県独自に支援したところでございます。  なお、こうした省エネ装置・機械の導入に当たりましては、地域農業振興センターによりますハウスの気密性の確保などの省エネ技術の指導も併せて行っているところでございます。  次に、漁業におきましても、二月補正予算におきまして、漁船の燃費向上を図るため、船底に付着したフジツボですとか海藻の除去に対する支援を措置したところでございます。  また、現在、ICT技術を活用して良好な漁場を予測し、漁場の探索に係る燃油を削減する技術の開発を行っているところでございます。  さらに現在、依然として燃油価格の高止まりが続いております。これまでの取組に加えまして、今議会において現在の燃油価格の燃油高騰対策で対象となっていない部分についての予算をお願いしております。  具体的には、施設園芸では園芸生産用の光合成促進装置等に使用します燃料費ですとか、漁業では漁船の燃費向上につながるエンジンメンテナンスの費用に対して県独自に支援することとしております。  今後とも、農家、漁家が行う省エネ装置・機械の導入に対する支援に加えまして、農業振興センター、それから水産振興センターにおきまして、きめ細かな技術指導を行うことによりまして省エネ対策の徹底を図り、農家、漁家の経営が継続できるようしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 43 ◎大呑県土整備部長 登壇=私からは、県北西部地域の道路整備についてお答えいたします。  県北西部地域は、地形的な条件から起伏の変化が多く、道路の線形が悪い箇所もまだ残っている状況でございます。また、唐房入口交差点付近など、朝夕の通勤時には混雑している箇所もございます。このため、県管理道路の対策が必要な箇所において、バイパスや線形改良などの整備を進めております。  一方で、県北西部は、自然、歴史、文化が育んだ個性豊かな地域資源にあふれております。また、「佐賀牛」やハウスみかんといった農畜産物、呼子のイカといった水産物の産地となっていることから、道路の整備を行うことで地域の観光や産業の振興に大きな役割を果たすと考えております。  議員から言及がありました唐津市唐房地区におきましては、現在、国道二百四号唐房バイパスの整備に取り組んでおります。昨年十二月にトンネルが貫通し、令和四年度中のバイパス全線の開通を目標に整備を進めております。  このバイパス整備によりまして、唐房入口交差点の混雑の緩和や交通の転換が進み、幅員が狭い現道の交通安全が図られるとともに、七ツ釜や立神岩などの景勝地へのアクセスが向上し、さらなる県北西部地域の人、物の交流の促進が期待されます。  また、国道二〇四号の唐津市街地の四車線化、佐志工区バイパス整備、鎮西唐津線の道路改良など継続して行ってきております。  こういった整備によりまして、産業振興の面で見ますと、車両の走行性が向上し、農畜産物の荷傷みなどが軽減され、生産者の販売所得の向上につながるとともに、運搬時間の短縮による物流の効率化が期待されております。  議員からは、PAZからの避難経路の話がございました。こうした道路の整備を進めることで、災害時の物資供給や住民避難の円滑化などにもつながり、県北西部地域の方々の安全・安心にも寄与するものと考えております。  今後も、県北西部地域の観光、産業のポテンシャルを生かすとともに、地域の方々の安全・安心につながる道路整備を着実に進めてまいります。  私からは以上でございます。 44 ◎種村男女参画・こども局長 登壇=私からは、産後ケア事業についてお答えいたします。  まず、現状と課題についてでございます。  産後ケア事業は、出産後の母子に対しまして、心身のケアや育児のサポート等を行い、安心して育児ができるよう支援することを目的に市町が取り組む事業でございます。産後に心身の不調や育児不安を抱える方が支援を受けることで、産後鬱や児童虐待の防止につながる重要な事業であると認識をしてございます。  出産後、授乳がうまくいかなかったりとか、不眠が続き心身のストレスを抱える方などがこの産後ケア事業を利用されておりまして、そういう方々からは、久しぶりにぐっすり眠ることができて心や体の疲れが取れたですとか、授乳がうまくいかず困っていたけれども、助産師にケアをしてもらって安心して授乳ができるようになったですとか、つらい時に訪問してもらい、育児の悩みを相談できてよかったといった声が市町に寄せられていると聞いております。  この産後ケア事業ですが、現在、県内では六市四町、合計十市町で取り組まれてございます。まだ取り組まれていない市町から主な課題として聞き取りをしておりますけれども、アウトリーチ型として自宅に赴き、授乳指導を行う助産師が不足しているということ、それから、宿泊型やデイサービス型の委託先となる産婦人科等の支援施設の受皿がないということが主な課題であると聞いてございます。  次に、今後の取組についてでございます。  妊娠、出産、子育てにおきましては、切れ目のない支援が必要でございます。特に出産後は授乳や子供の夜泣きへの対応などでホルモンバランスの変化が起きやすく、母子への支援は大切であると思っております。  佐賀県では、子育て先進国でございますフィンランドの出産・子育て支援施設「ネウボラ」における、いつでも寄り添い支えるという理念に学び、妊娠期から就学前までの一貫したサポートの実現を目指し、相談アプリ「ママリ」を活用して、専門人材によるオンライン相談支援などに取り組んでいるところでございます。  妊産婦にとって、より身近な市町におきましても、こういう出産後の母子と家族を支援する産後ケア事業に取り組んでいただきたいと思っております。  先ほど申し上げました助産師不足、あるいはその受皿の問題、こういった課題は、市町単独での解決は難しいということもございますので、県といたしましては、潜在助産師の掘り起こしですとか、施設の広域的な利用について調整を行うなど、産後ケア事業が県全域に広がるよう支援をしてまいります。  以上でございます。 45 ◎副議長(宮原真一君) 暫時休憩いたします。     午後三時四分 休憩 令和四年九月八日(木) 午後三時四十一分 開議  出席議員    三十六名     一番  下 田   寛     一六番  古 賀 陽 三     三〇番  徳 光 清 孝     二番  桃 崎 祐 介     一七番  川 崎 常 博     三一番  中 倉 政 義     四番  古 川 裕 紀     一八番  定 松 一 生     三二番  石 井 秀 夫     五番  一ノ瀬 裕 子     一九番  江 口 善 紀     三三番  留 守 茂 幸     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  木 原 奉 文     七番  古 賀 和 浩     二一番  八 谷 克 幸     三六番  藤 木 卓一郎     八番  井 上 祐 輔     二二番  向 門 慶 人     三七番  石 倉 秀 郷     九番  木 村 雄 一     二三番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行    一〇番  中 本 正 一     二四番  宮 原 真 一    一一番  野 田 勝 人     二五番  原 田 寿 雄    一二番  冨 田 幸 樹     二六番  岡 口 重 文    一三番  弘 川 貴 紀     二七番  大 場 芳 博    一四番  西久保 弘 克     二八番  武 藤 明 美    一五番  池 田 正 恭     二九番  稲 富 正 敏 欠席議員    一名     三番  田 中 秀 和 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    南  里     隆          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   甲  斐  直  美          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       久保山   善  生          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       山  田  雄  一          県土整備部長       大  呑  智  正          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・観光局長      實  松  尊  徳          SAGA2024・          SSP推進局長      宮  原  耕  司          男女参画・こども局長   種  村  昌  也          会 計 管 理 者    元  村  直  実
             警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    古  賀  千加子 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          政務調査課長事務取扱   吉  田     泰          総  務  課  長   碇     一  浩          議  事  課  長   篠  田  博  幸          総務課副課長       田  中  信  二          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 委員会担当主査    松  本  昂  志     ○ 開     議 46 ◎議長(藤木卓一郎君) これより会議を開きます。     ○ 報     告 47 ◎議長(藤木卓一郎君) まず、報告を行います。  本日の決算特別委員会におきまして互選の結果、     原 田 寿 雄 君が委員長に、     川 崎 常 博 君が副委員長に  それぞれ当選された旨、通知がありました。  以上、御報告いたします。  次に、休憩前に引き続き一般質問を行います。 48 ◎土井敏行君(拍手)登壇=皆さんこんにちは。自由民主党会派の土井敏行でございます。  議長より登壇の許可を得ましたので、通告に従い、順次一般質問を行います。  九月定例県議会の一般質問、中日の最後でございますので、大変皆さんお疲れのところだと思いますが、しばらくお付き合いをお願いします。  まず、質問に入ります前に、本年二月二十四日に始まり、いまだ終結の見通しの立たないまま半年を経過したロシアによるウクライナ侵攻に改めて強く非難を申し上げますとともに、一日も早い停戦を願うものであります。これを止めることができない今の国連のありようや世界の情勢は極めて残念でなりません。  また一方で、国内といいますか県内において、この二年半余りのコロナ禍は、オミクロン株による第七波が猛威を振るい、最近、新規感染者数が減少してきたとはいえ、まだまだその数は多く、油断ができない状況であります。知事をはじめ県執行部の皆様、保健所等最前線で働いておられる皆様や医療従事者、福祉、介護、保育等多くの関係者の皆様の御労苦、御尽力に心より敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。  特に今回、新型コロナウイルス感染者の全数把握見直しを宮城県、鳥取県、茨城県とともに先行された本県の決断は、二十六日には国から一律の方式が提示されるとのことでありますが、国の先導役として大いに評価されるものではないかと思います。  このような我々を取り巻く環境の中、あと二週間後、いよいよ九月二十三日がやってまいります。御案内のとおり、新幹線西九州ルートの開業日であり、これはこれで、一方では大変めでたいことであります。国家プロジェクトとして大きな投資であり、その効果を、開通する地域でなく、広くその名のとおり西九州一円へ波及させねばなりません。  他方で、並行在来線と位置づけられた長崎本線肥前山口駅、二十三日からは江北駅というふうに名前が変わりますけれども、本県の白石、鹿島、太良を通って長崎県の諫早までは上下分離され、同時に現在一日四十五本の特急が大幅減便され、十四本になり、三年後は十本となり、そして、その特急は鹿島止まり、鹿島始発となり、長崎行きの特急はなくなり、急ぐ方は新幹線で西九州ルートへ回り行くことになります。  二十三年間の営業は約束されていますが、この地域の高速移動手段は大幅な利便性の低下になりますし、大きなイメージダウンというダメージを受けます。正直、鹿島市民の皆様からは、来てほしくなか日がやってくるねと、そういう声も少なからず聞きます。その気持ちは痛いほど分かります。もちろん、このときに手をこまねいて待っていた、見ていたわけではありません。私の住む鹿島市を中心に様々な取組がなされてきました。  鹿島ガタリンピック、伝承芸能祭、箱根駅伝出場大学の合宿、伝統的建造物群酒蔵通りの復活と酒蔵ツーリズム等々、交流人口の増加や世界に誇れる日本酒や地場産品の開発、祐徳稲荷神社をはじめ、歴史的、文化的観光資源の磨き上げ、また、お隣太良町の海中鳥居や竹崎カニなどもそうです。これらはこの地域のファンづくり戦略でもあります。その人づくり、誇りづくり、ふるさと愛づくりなどが枚挙にいとまがないほどたくさんなされてきました。たまたま来てくれる地域ではなく、わざわざ来てもらえる地域づくりを進めています。  もちろん、山口知事には、この地域の自主、自立、自発の地方創生の姿を評価いただき、支援の約束につながってきていると私は思っています。そして、約束どおり、今九月定例県議会の補正予算でも、肥前鹿島駅駅前広場、多良駅の設計予算が計上されていることに改めて感謝を申し上げます。  今日、私はJR肥前鹿島駅八時二十五分発、特急「かもめ六号」で佐賀へ参りました。今月二十三日からはこの「かもめ」がなくなり、新しい特急は、県の鳥でありますが、カチガラスではなくて「かささぎ」に替わります。改めて感慨深く、車窓の景色を眺めながら佐賀へ来たところであります。  ただ、この後の質問につながりますが、JRが発表した新しいダイヤでは、私が利用したこの時間帯の特急がありません。残念ながら、次回からは各駅停車の普通列車に乗り、肥前山口で跨線橋を渡り、別のホームへ移り、違うホームの武雄から来た特急に乗り換えて佐賀へ来ることになります。  今日は、問いの一でこの新幹線西九州ルート開業後の在来線の利便性向上についての質問と、問いの二で、予算をつけていただいた肥前鹿島駅と周辺整備について伺い、さらに高速移動手段として地域の期待を担っている有明海沿岸道路(福富鹿島道路)の見通しについて問いの三で伺い、問いの四では、県西南部の喫緊の課題でもありますが、ノリ養殖の振興について、問いの五でコロナ禍での中小企業の支援策についてお伺いをします。  問いの一、JR長崎本線の利便性向上についての質問であります。  一項目めは、西九州新幹線開業に伴うダイヤ改正についてであります。  九月二十三日の西九州新幹線開業に伴い、JR九州ではダイヤ改正を予定しています。開業となる新幹線はもちろんのこと、特急列車や普通列車についても新しいダイヤとなります。六月十日には新幹線と特急列車のダイヤが公表され、武雄温泉-長崎間には上下四十四本の新幹線が運行されることになりました。新幹線と連絡するリレー特急も同数の四十四本が運行され、武雄温泉に停車する特急列車は佐世保線を走る「みどり」と合わせて六十六本となり、現在の三十二本から倍増いたします。  一方、現在、肥前鹿島駅には先ほど申し上げました上下四十五本の特急列車が停車していますが、新幹線開業後は肥前鹿島止まりとなり、運行本数は上下十四本に減少します。鹿島・太良地域の皆さんにとって特急列車は唯一の高速交通であることから様々な不安を感じておられ、ダイヤについて見直しを求める声も聞いているところであります。この点については、様々なメディア、マスコミでも取り上げられています。  例えば、長崎へ鉄道で行こうと思うと嬉野温泉駅から新幹線を利用することが多くなりますが、公表されたダイヤでは七時三分武雄温泉発の新幹線始発便は嬉野温泉駅に停車をしないため、通勤や通学に使えないという声があります。嬉野市では定期代を補助する取組まで予定されているのに、通勤通学に使えないのは大変残念なことだと思います。  鹿島市にお住まいの、長崎の県立大学へ現在特急で通学をしている学生さんがいます。直接お会いしてお話も聞きました。嬉野の始発、下りの第二便ですが、一限目の授業に間に合わないというのです。また、長崎へ近く、通勤通学ができる町をセールスポイントの一つとして売り出そうとしておられた嬉野市にとっても、これはちょっと誤算ではなかったんでしょうか。  鹿島市の市役所のメールの中に、このダイヤについての問合せがたくさん来ておりますが、その中に十六年間長崎へ勤務をしていたという男性からのメールが来ていました。十六年間、JRの方にも大変よくしていただいたとその感謝の意を述べられ、連休が終わった二十六日からは武雄から新幹線で長崎へ通います。大きく生活が変わりますというようなことが書いてあったと思います。  特急列車については、博多から肥前鹿島駅は十九時三十七分博多発が最終便となり、ビジネス利用者からもう少し遅くならないかなといった声も聞きます。  また、普通列車については、JR九州が肥前山口-肥前大浦間の各駅にダイヤ案を掲示し、利用者の意見、要望を募り、現在、新幹線開業後の各駅の時刻表がJR九州のホームページで見てとれるようになっています。しかし、各駅の時刻表だけでは、博多、佐賀方面へ行く際の肥前山口駅での乗り継ぎ連絡や乗り換えるホームが分からない状況にあります。  鹿島市役所には、連日この乗り継ぎが分からないという電話や問合せがあっておるようでありまして、市の方が頑張ってこれを全部調べて、鹿島市で独自に、JRではないんですけど、こんな形の時刻表をつくられました。(資料を示す)これで見ると乗り継ぎの時間が分かります。  さらに、ホームも分かりませんでしたので、ホームもずっと調べておられました。上りは乗り継ぎができるのが十七本ありますが、同じホームで乗り換えられるのは四本だけ、あとは跨線橋を渡らなければなりません。下りは十四本ですが、これはちょっとまだ中身がよく分かりません。  新幹線の経営分離のときに、JRのほうから、あるいは県や国のほうから、当時この沿線地域について言われたことは、フリーゲージトレインが通れば肥前山口駅でドアを開けて、同じホームで待っていますよと言われたものでした。遠い昔のような気がします。  JR九州には、利用者に分かりやすい方法でダイヤを示すなど、地域や利用者にしっかり向き合って対応していただきたいと考えるところであります。  このような状況でありますが、そこで、開業後のダイヤに対して県はどのように受け止め、また、利用者からの様々な要望や意見に対し、今後どのように対応していくのか伺いたいと思います。  二点目は、ICカードエリアの拡大等についての質問であります。  交通系ICカードは、地元住民の公共交通利用時の利便性を高めることはもちろん、インバウンドをはじめとした観光誘客にも役立つものと考えます。しかし、私の地元の鹿島市の駅ではICカードが利用できず、肥前鹿島駅で佐賀方面から来た外国人観光客が降車後に困っている様子を目にしたこともあります。  また、肥前鹿島駅では二十時まで営業していた切符の販売窓口が今年三月から十五時までの営業となり、操作する駅員がいないという理由で改札口上の運行案内板が撤去され、発着便や遅延情報等がよく分からず困っているとの声もあります。私も、次は何便が来るのかなと、列車名も分かりません。最近は、ここしばらくの間ですけれども、窓口に小さなタブレットが置かれて、遅延情報だけは分かるようになりました。でも、便名は分かりません。正直言って、小さくてよく分かりません。ビジネス利用者の中には、切符のインターネット予約を利用している人も多いのですが、販売窓口が閉まっていては切符の発行もしてもらえない状況にあります。  そのような中、先日、八月二十二日に佐賀-佐世保・ハウステンボス間へICカード「SUGOCA」が導入されることがJR九州、佐賀県、長崎県の三者から発表され、この九月定例県議会において佐賀県区間分の導入経費に係る予算が提案されています。  今回のエリア拡大により、県内の約半数に当たる三十二駅でICカードが使用可能となりますが、県内にはまだ肥前山口から南の長崎本線をはじめ未導入の区間があります。今後、インバウンドによる交流人口を増やしていくためにも長崎本線へのICカードの導入や、あわせてインターネット予約に対応できる券売機の設置についても、JR九州に対して積極的に働きかけてもらいたいと考えますがいかがでしょうか。  利便性が格段に高くなる西九州ルート方面に対し、利便性が格段に低下する長崎本線方面では、交流人口増大のためにはこのIC化は不可欠と存じます。  以上、JR長崎本線の利便性向上について、この二点についてお伺いをします。  問いの二は、JR肥前鹿島駅周辺整備についての質問です。  私はこれまでたびたびJR肥前鹿島駅周辺整備について質問をしてきております。今回で四回目の質問となります。  知事は私の質問に対して、令和三年九月定例県議会で、肥前鹿島駅周辺整備について全力で支援すると答えていただきました。令和四年二月定例県議会では、駅舎も県の所有となることを機に県が整備を行い、ハード、ソフト両面で強く後押ししていくと答えられました。そして、その言葉どおり、この九月定例県議会に肥前鹿島駅のエリアプロデュース・基本設計に関わる予算が提案されています。また、多良駅の予算も提案されており、鹿島、太良の長崎本線の沿線住民にとって大きな励み、力となっております。本当にありがとうございます。  駅舎やロータリー等の整備は、地元が長年思い描いていた夢であることから、県の支援は大変ありがたく、そして、実際に事業として動き出すことから、地元は大きな期待をしております。  鹿島市においても、官民協働で多くの市民が参画をして、この内容について議論をしてきたところでもあります。その鹿島市民の思いや夢が膨らむように、JR肥前鹿島駅周辺整備を強力に推し進めていただきたいと考えますが、改めて県としての肥前鹿島駅周辺整備に対する考えや地域振興における位置づけについて知事にお伺いしたいと思います。  続きまして問いの三、有明海沿岸道路(福富鹿島道路)についての質問です。  令和三年七月に福富インターチェンジまでが開通し、鹿島と佐賀との移動時間が短縮をされ、快適に移動ができるようになりました。県南西部地域の農水産物の輸送、観光や沿線住民の生活の足としても大いに貢献をしているところであります。近くなった、便利になった、よかったという声ばかりを聞きます。この区間の開通で有明海沿岸道路に対する期待、評価はますます大きく上がったと思います。  一方で、今月二十三日の九州新幹線西九州ルートの開業に伴い、さきの質問でも述べましたとおり、鹿島では特急列車が大幅に減ります。沿線地域の高速移動手段の利便性が大幅に低下し、地域の活力が失われるのではないかという不安の声が日増しに大きくなっているのも事実です。  こうした地域の不安を解消し、高速移動手段の利便性を確保するものがこの道路であり、特に有明海沿岸道路は非常に重要であると考えるところであります。  こうした中、昨年六月に県が策定した佐賀県新広域道路交通計画の中で、県南西部地域にとって重要な有明海沿岸道路の鹿島-諫早間が構想路線として位置づけられました。さらに、有明海沿岸道路を通り、佐賀唐津道路を経由し、高速道路の佐賀大和インターチェンジへとつながる道路についても同じく構想路線に位置づけられたということで、私たち南西部地域の住民にとって明るい光となるもので、とてもうれしく思うところであります。有明海沿岸道路が、有明海沿岸域の道路だけでなく、長崎自動車道とこれでつながることができるということで、その利用価値も大変上がるものと思っております。  福富鹿島道路について、これまでできるだけ早く地元に道路計画をお示しするよう全力で取り組んでいくと答弁をいただいていました。有明海沿岸道路に大きな期待を寄せる民間の動きもあり、熊本、福岡、佐賀、長崎の有明海沿岸域の観光協会が手を握り、「環有明海観光連合」が今年六月に、大変お忙しい中にもかかわらず知事にも御出席をいただいて、しかも、九州佐賀国際空港において設立式を開催されました。既に具体的な取組も見え始めているところであります。  こうした民間の動きを支援する意味でも、有明海沿岸道路の整備が必要であり、福富から鹿島までの道路を早く実現してほしいと思っています。民間の動きと官とが一緒になって官民協働で地域を興していく、これこそ必要なことでありますので、民間も頑張ります、県もぜひ頑張っていただきたいと思っているところであります。  そこで、福富鹿島道路について、道路計画を早く示し、一歩でも前へ進めてほしいのですが、県はどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。  問いの四は、有明海西南部地域のノリ養殖の振興についてであります。  有明海の主力漁業であるノリ養殖は、漁業者の皆さんや漁協の努力、県有明水産振興センターを中心とした様々な機関の協力により、十九年連続の日本一の生産量、生産額を続けてきたところであります。  しかし、西南部地区と呼ばれる白石町から鹿島市、太良町の沿岸のノリ漁場では、近年、色落ち被害が拡大し、生産が不安定となっております。特に令和三年度の西南部地区の生産状況は、漁期を通して断続的に発生した赤潮による色落ち被害のため、生産金額が西部地区では例年の五割に、南部地区では一割に満たない深刻な結果となり、かつてないほどの大不作となっています。今年の二月議会で私も一般質問をさせていただきました。知事自身もこれまで様々な機会に漁業者の切実な声を聞かれ、その厳しい状況を実感されたことと思います。  ノリ養殖の色落ち被害を引き起こす珪藻赤潮対策として、県においても有明海漁協や佐賀大学等と連携しながら、二枚貝の資源増大のための取組や赤潮の発生予察、モニタリング調査に基づく適切な養殖指導を実施するなど、御尽力いただいていることは十分に承知をしています。また、目の前に控えた令和四年度漁期に向けた緊急的な取組として、六月補正で実施されているサルボウの放流などの取組にも期待をしているところであります。  一方、国においては、先日、西南部地区のノリ養殖業者を対象とした経営調査の結果が公表され、有明海特措法に基づく支援を見送るとの判断がされました。  そこで、次の点についてお伺いしたいと思います。  一点目は、有明海特措法に基づく支援の見送りに対する知事の受け止めについてであります。  生産現場からは、国へ有明海特措法第二十二条による支援を求める声がありましたが、国はノリ養殖業者の経営調査を行い、令和三年度の収支が、共済等によっておおむね漁労支出額と同等まで補填されていると、いわゆる収支とんとんであったことから、支援の見送りを決められました。この国の判断について知事はどのように受け止めておられるのかお伺いをします。  二点目は、西南部地区のノリ安定生産に向けた取組の進捗状況についてであります。  これまでの議会においてもたびたび質問させていただいております、作澪など西南部地区のノリの安定生産に向けた取組についての進捗状況はどのようになっているのか、農林水産部長にお伺いをします。  三点目は、今後の取組についてであります。  近年、地球規模の気象変動である温暖化や、頻発する災害規模の大雨など、漁業を取り巻く環境は厳しさを増しており、大雨による影響で二枚貝が減少しているとの話を聞くと、自然環境を相手に営む漁業の難しさ、漁業振興の難しさを痛感するところであります。  しかしながら、ノリ養殖の色落ち被害の軽減には二枚貝の復活が重要な要素となっているところであり、そういった異常気象への対応も踏まえた取組がこれから重要になってくるのではないかと考えているところであります。  先月、佐賀大学の藤井助教授ともお話をさせていただきました。ノリ養殖の将来を担う若手漁業者が安心して漁業を続けていけるよう、県では西南部地区のノリの安定生産に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお伺いします。  問いの五は、コロナ禍における中小企業の支援についての質問であります。  令和二年四月に全国に緊急事態宣言が発出され、対人接触の減少や会食、旅行の自粛などにより人の流れが減少し、佐賀県の経済はダメージを受けました。その後も新型コロナウイルスの感染が拡大するたびに、医療環境を守るための非常警戒措置として飲食店の営業時間の短縮要請が発出されるなど、事業者にとっては厳しい措置が取られてきました。  これに対して県では、全国に先駆けて、三年間実質無利子、信用保証料ゼロのコロナ対策資金を開始するなど、事業者の下支えを行っていただきましたので、企業の倒産件数も大変低い水準で推移しているといえます。  先月三十日に掲載された佐賀新聞の記事によると、県内経済動向については、新型コロナの行動制限がなくなり、消費活動が上向いた一方で、原材料の仕入価格が高騰し、経常利益は減少したとのことでありました。地元の、特に小規模事業者からは売上げが増えたという声は聞こえていないのも事実です。  このような状況でコロナ対策資金の返済が本格的に始まり、事業者からは、コロナ禍の影響がこのように長期にわたるとは想定していなかったと、返済が難しいと、切実な声を聞きます。これに対して金融庁の指示もあったということですが、金融機関では条件変更に柔軟に応じているとも聞いています。  そこで、次の点についてお伺いしたいと存じます。  一点目は、県内経済の現状認識についてであります。  県内の経済の現状についてどのように認識をしておられるのか、産業労働部長にお伺いします。  二点目は、中小企業の資金繰り支援についてであります。三つお伺いします。  一つ目は、コロナ対策資金の貸付実績についてです。  コロナ対策資金の貸付実績はどのようになっておりますでしょうか。  二つ目は、コロナ対策資金の条件変更の状況についてであります。
     借入金の返済が厳しい者からは、柔軟に条件変更に応じてもらっているとの声は聞いてはいますが、条件変更の状況はどのようになっておりますか。  三つ目は、条件変更を行った中小企業の追加保証料の支援についてであります。  中小企業からの条件変更の申出に応じた場合、金利はもちろん、信用保証協会の追加保証料が発生をします。コロナ禍で中小企業は厳しい状況にあるため、追加保証料の補助を要求される声も聞きます。追加保証料の補助を行う考えはないのか、産業労働部長にお伺いをします。  以上、五項目質問をさせていただきました。  先日、本県出身で一九九五年から八年七カ月、歴代二位の長きにわたり、五人の総理を支えられた元内閣官房副長官、古川貞二郎さんが亡くなられました。昨日、知事や古川さんの出身地大和町の留守議員からも紹介があり、お悔やみの言葉がありました。  私が県議会一年生議員のときに鹿島の地でお会いする機会があり、今日質問した新幹線西九州ルートの並行在来線経営分離問題について意見を求められ、御指導をいただきました。昨日のことのように思い出され、ありがたく存じます。ふるさとへの熱い思い、法にかない、理にかなうだけでなく、情にかなう、その情の大切さを教えられましたし感じました。  古川貞二郎様にも心より御冥福をお祈り申し上げます。  また、本議会が始まる直前、八月二十四日、京セラの創業者で戦後の日本を代表する経営者、稲盛和夫さんが、というより、あえて私は塾長と呼びたいんですが、稲盛塾長がお亡くなりになられました。  皆さん御案内のごとく、一九五九年、二十七歳で京セラを創業され、一代で売上高一兆八千億円、従業員八万三千人の世界的メーカーに育て上げたばかりでなく、一九八四年、電気通信の事業化に第二電電、今のKDDIを立ち上げられ、さらに複写機メーカー三田工業の再建や、二〇一〇年に破綻したJAL、日本航空の再建を政府に求められ、無報酬でわずか二年八カ月で東証一部再上場という形で果たされました。  稲盛塾長は常々、人間として正しいことを正しいままに貫く利他の心など、独自の経営哲学で知られ、特に後進の育成や社会貢献に熱心に取り組まれました。  中小企業の若手経営者は一万五千名に及びますが、勉強会「盛和塾」は日本だけでなく、米国やブラジル、中国にも広がりました。私も実は議員になる前、田舎の中小企業の一経営者でありますが、一九九三年、盛和塾佐賀の創立メンバーに関わり、塾生として教えを受けました。佐賀で四回ほどお会いし、お話を伺う機会がありました。一九九三年、嬉野での発会式、一九九七年、炎博の翌年の有田で、二〇〇六年と二〇一二年、佐賀市で御講演をいただきました。塾長には数多くの教えを受けましたが、特にその中でも、事の成功の条件は強く思うことだと言われました。そして、有名な方程式を言われました。人生や仕事の結果は、イコール熱意掛ける能力掛ける考え方という方程式を示されました。足し算ではないぞと掛け算だと言われたんです。熱意と能力はゼロから一〇〇%まであると。熱意は高く、能力は磨かなければいけない。しかし、考え方はマイナス一〇〇%からプラス一〇〇%まであると言われたんです。マイナス思考のままでは掛け算ですから、結果はマイナスになります。  私は、今でもたびたび思い出しながら自分を戒めているところであります。佐賀に御縁をいただいたことに感謝をし、心より御冥福をお祈り申し上げます。  本日の質問に対する執行部の答弁も、プラスの考え方で熱意ある先人に恥じぬ答弁を期待して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手) 49 ◎山口知事 登壇=土井敏行議員の御質問にお答えいたします。  まず、JR肥前鹿島駅周辺整備についてお答えいたします。  その前に、ダイヤについて御指摘がありました。一旦こうなりますと、ダイヤについては、嬉野温泉駅であっても、肥前鹿島駅であっても、JR九州主導で決まってしまうわけです。今後、分析を行って、改善について要請をしていきたいと思います。いずれにせよ、鉄路については元に戻れません。それを意思決定に携わる、役割を果たす者として、改めて肝に銘じたいと思います。  肥前鹿島駅は、県南西部の玄関口として広域的な交流の拠点です。住む人にとって使いやすいという視点は当然必要であります。それに加え、外から来られるお客様の視点や、外から人を呼び込む視点など、世の中の変化を踏まえて、より広い視点での検討が必要だと思っています。  そして、国内外から多くの人を呼び込もうとしたときに求められる機能、クオリティーですとかデザインとか、様々な大きな視点から検討したいと思います。県が自ら整備する意味というのはそういったところにあるのではないかと思っています。  SAGAサンライズパークにしても、単に自分たちだけということではなくて、その将来も見据えた上で、今後も見据えた上で整備を進めさせていただいております。ですので、地域の皆さんはもちろん、国内外の人々にわざわざ訪れてみたいと思われるようなエリアとして、この肥前鹿島駅周辺整備を進めたいと考えています。そして、そのためには、この拠点が拠点として孤立せずに、それぞれのスポットが自ら輝き、連携していくことが大事だと思います。  議員からもお話がいろいろありました。鹿島・太良というのは、日本酒、酒蔵、神社、駅伝、カキ小屋、フルーツ、加工品、伝統芸能、竹崎カニ、カキ、干潟等々、本当にたくさんのものがあります。そういったものを様々なエリアで、民間も盛り上げていくことが何よりも大事でありまして、そういった輝きがそれぞれで生まれて、それが連担して、そういったものの拠点として駅前があると、そういったことをみんなでつくり上げていくことが大事だということであります。  これから人は本物を求め、心を豊かにするためのスローな旅が増えてくると思います。この地域は、ガタリンピックですとか、酒蔵ツーリズムなど、民の創意と熱意で町を盛り上げてきた立派な地域だと思います。本物の地域資源と地域の力があれば、人は必ずやってまいります。これを契機に、むしろこれから鹿島・太良地域を官民一体となってさらに盛り上げていきたいと考えています。  続きまして、有明海沿岸道路、特に福富鹿島道路について申し上げます。  今お答え申し上げたように、駅前の整備ですとか、「山の会議」とか、鹿島・太良地域の様々な振興に県は全力で取り組んでいます。  この五月二日には太良町長ですとか、地元を盛り上げたいという有志の皆さんと、有明海に浮かぶ沖ノ島から海中鳥居、そして一直線上に並ぶ多良岳の頂上まで登ってまいりました。本当にすばらしい資源、一直線に並んでおります。そういった意味で、この沖ノ島と海中鳥居と多良岳と、全部見て歩くものをトラベアスロンと名付けてこれから盛り上げたらどうだということで盛り上がりました。  さらに御指摘いただきましたように、今年の六月四日には、佐賀、福岡、熊本、長崎四県で「環有明海観光連合」というものも設立されております。私は、この沿岸道路が鹿島までつながることで、さらにこの有明海沿岸地域全体に鹿島・太良地域の魅力が伝わっていく、魅力が広がっていくというふうに思っています。  そして、筑後佐賀圏でよく話をするんですけれども、熊本県の荒尾から佐賀までの域内総生産が四・二兆あります。これに太良まで伸ばしますと、これが四・五兆になります。この数字を、北九州都市圏の五・五兆まであと一兆なので、ますますこれが連携していきますと、そこに近づいていく流れが加速してくると思いますので、この圏域を特に重点的に振興していきたいと考えております。  今後の展開ですけれども、福富鹿島道路はそれぞれ、福富側から、鹿島側からという議論があります。鹿島側につきましては、朝夕の渋滞状況というものがありますし、特に踏切を含みます、二〇七と四四四が直角に当たるところがありますけれども、室島南でしたっけ、あそこの部分というのが非常に厳しい状況だというのは承知しておりますし、そこを整備するということになりますと、鹿島側は廻里江川ですとか、長崎本線をまたぐ橋とか、そういったところで整備に時間を要することが見込まれると思うので、いずれ全体を早くつなげたいと我々も思っておりますので、このたび鹿島側の区間について先行して道路のルートを示し、現場での測量に着手していくことといたしました。これを新たにスタートとし、鹿島・太良地域の皆さんとともに未来へ向かって歩んでいきたいと思います。  六日には、古川国交政務官とお会いをしたときにも、この有明海沿岸道路全般に関しても議論をさせていただきました。福富鹿島道路の今後の進展にも期待しております。鹿島・太良地域の明るい未来のためにも、一日でも早く福富鹿島道路が鹿島までつながるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。  続きまして、国の有明海特措法に基づく支援の見送りに対する受け止めについてお答えします。  佐賀県のノリ養殖は日本一でありまして、頑張って十九年連続で日本一を達成しております。これは漁業者をはじめとする関係者の並々ならぬ努力があったからこそなんですが、御案内のとおり、西南部地区については色落ち被害が大きくて、ここ数年、特に令和三年度は漁業者の皆さんの想定を大きく上回る、かつてない大不作ということになりました。  今回の経営調査は、漁業共済や「積立ぷらす」によりまして、ノリ養殖に要した経費分は補填されているというものでした。しかしながら、地域や個々の状況によって事情が異なっていることも事実でありまして、それぞれの漁業者が様々な思いを持っておられることを思うと残念に考えています。  国の経営調査などの補足については担当部長から答弁させます。 50 ◎山下地域交流部長 登壇=私からは、西九州新幹線開業に伴うダイヤ改正にまずお答えさせていただきます。  この西九州新幹線には佐賀県も多額の建設費負担をしています。そして、この西九州新幹線は、長崎本線沿線地域の皆さんの大変つらい思いの上に開業を迎えるものです。そうしたことを考えたとき、今回のダイヤ改正をどう受け止めるのかということでございます。  議員から御指摘もございましたように、嬉野温泉駅への停車のこと、また特急の時間のこと、また肥前山口駅での乗換えのこと、いろいろ納得できないところも多々ございます。沿線市町と連携して、そこは強く申入れをしていきたいと思います。  続きまして、ICカードのエリア拡大について話がございました。今回は佐世保線にということで三者で合意しましたけれども、そのほかの未導入区間についても、これは引き続きJRと協議をしてまいります。  そして、インターネット予約に対応できる券売機の設置についてもお話がございました。「みどりの窓口」の営業時間が短縮される中にあっては、やはり対応を考えてもらう必要があると考えています。これについても、JRに申し入れ、協議をしていきます。  私からは以上でございます。 51 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、コロナ禍における中小企業の支援についてお答えいたします。  まず、県内経済の現状認識についてでございます。  県が八月に実施いたしました県内企業経営状況調査では、新型コロナウイルス感染症が経営に与えている影響について、悪影響、またはどちらかといえば悪影響と回答された企業の割合は前回調査の五月より増加。そして、原材料・エネルギーコストが一年前より大きく増えた、または増えたと回答された企業の割合は、製造業では横ばい、非製造業では五月より増加をしているという結果でございます。そして、業況の変化につきましては、製造業、非製造業ともに三カ月前と比較して上向きと回答された企業と、反対に悪化と回答された企業のどちらもやや増加をしておるという結果になってございます。  また、統計データを見てみますと、先ほど議員からも言及がございましたけれども、企業倒産の件数ですとか、あるいは事業所の廃止、こういったものは落ち着いた動きになっております。また、雇用情勢も離職者数は減少し、有効求人倍率は今年二月以降一・三倍台と高水準にございます。  そして、日本銀行佐賀事務所が八月一日に発表された「佐賀県の金融経済概況」では、「佐賀県の景気は、緩やかに持ち直している。」と、こちらは判断を七期ぶりに引き上げられております。そして、財務省佐賀財務事務所が七月二十七日に発表された「佐賀県内経済情勢報告」では、「県内経済は、持ち直しつつある」と、こちらも前期の判断を引き上げられております。  こうした様々な情報やデータから業種、業態、あるいは事業者によって状況は異なるとは思いますけれども、本県の経済情勢につきましては、全体としては新型コロナウイルス感染症や原油・原材料価格の影響などが見られるものの、持ち直しつつあるというふうに認識をしているところでございます。  次に、中小企業の資金繰り支援についてでございます。  まず、コロナ対策資金の貸付実績についてお答えいたします。  県が、令和二年三月に全国に先駆けて独自に創設した新型コロナウイルス感染症資金繰り対策資金と、国が同年五月につくったスキームによる新型コロナウイルス感染症対応資金、これら二つの資金を合わせまして、融資の最終実行期限でございました令和三年五月三十一日時点におきまして、県信用保証協会の保証承諾ベースで、累計九千七百十件、約一千八百億円の貸付けが行われたところでございます。  次に、コロナ対策資金の条件変更の状況についてでございます。  コロナ対策資金の借入れをされた事業者のうち、今年七月末時点で既に七五%、四分の三の事業者が返済を開始しておられますが、条件変更の件数は、七月末までの累計で三百六十件、全体の四%程度というふうになってございます。  なお、県信用保証協会によりますと、事業者の方から条件変更の御相談があった場合は迅速に対応し、ほぼ全てのケースで承諾をしているということでございまして、柔軟な対応がなされているものというふうに認識をしております。  引き続き返済が厳しい事業者の方から御相談があった場合は、返済条件の見直しを行うなどの柔軟な対応がなされますよう、金融機関と信用保証協会に対して要請を行ってまいります。  最後に、条件変更を行った中小企業の追加保証料の支援についてでございます。  議員から言及がございましたけれども、保証付の借入れにつきまして、返済を繰り延べるなどの条件変更を行う場合は債務が残るということになりますので、その分、追加の保証料が発生するということになります。  この追加保証料は一括納付をしていただくのが原則ではございますけれども、それがなかなか難しいという場合には分割での納付など柔軟に対応しておりますので、こちらは信用保証協会に御相談をいただきたいと思います。  また県では、コロナ禍により売上げが減少した事業者の方々を対象に、経営改善の支援が受けられ、そして、信用保証料ゼロでコロナ対策資金の借換えも可能な伴走支援型特別資金というものを今年度創設してございます。  この伴走支援型特別資金は、事業者が経営行動計画書を策定し、融資が実行された後、事業者は金融機関にその計画の進捗や業況を報告し、その内容を踏まえて金融機関が伴走型で経営支援を行うというものでございます。コロナ対策資金を含め、借入金の返済に不安のある事業者におかれましては、金融機関に御相談をいただきたいと思います。  コロナ禍や原油・原材料高など厳しい状況にあっても、こうしたピンチをチャンスに変えていこうと新分野への進出ですとか業態転換、あるいは新商品の開発などにチャレンジを行おうという場合には、今議会で予算をお願いしております中小事業者新事業展開設備導入支援事業ですとか、あるいは国の事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金など様々な支援策がございますので、こうしたものを積極的に御活用いただきたいというふうに思います。  今後も、引き続き事業者の方々の声に耳を傾け、その時々の状況に応じて、前を向いて進もうという事業者の方をしっかりと支援してまいります。  私からは以上でございます。 52 ◎山田農林水産部長 登壇=私からは、有明海西南部地区のノリ養殖の振興について三点お答えいたします。  まず、国の経営調査についてでございます。  国が実施しました有明海西南部地区の経営調査は、令和三年度漁期におけます新有明、白石、鹿島市、たら、大浦の五支所の計百六十六世帯について行われておりまして、五支所の平均値が示されたところでございます。  この経営調査結果では、漁業共済と「積立ぷらす」を加えた漁労収入は、漁労支出とほぼ同額の収支とんとんとなっております。しかしながら、漁業者への聞き取り調査によりますと、収支とんとんでは手元に資金が残らず、事業の継続が困難であるとか、今後も不作が継続した場合、将来が不安といった声もあっているところでございます。  次に、西南部地区のノリの安定生産に向けた取組の進捗状況についてでございます。  ノリの生産を安定させるためには、赤潮によって海域の栄養が不足することで発生しますノリの色落ち被害を防ぐことが重要であります。これまでも県有明水産振興センターを中心に色落ち対策のための研究を進めてまいりました。  具体的には、赤潮の発生を事前に予測し、色落ちする前にノリの摘み取りを行うなどの対策ができるよう、現在、佐賀大学と連携して赤潮の発生予測技術の開発に取り組んでいるところでございます。この研究の中で、近年発生している赤潮の原因となるプランクトンの種類を特定いたしまして、これらのプランクトンは水温が最も低下した小潮の時期に増殖しやすいというようなことを明らかにしたところでございます。  また、赤潮によりまして海の栄養が不足している場合に臨時的に行う海上での施肥につきましては、これは九州大学と連携しまして、効果的な実施時期、潮汐ですとか場所の選定、これも今年度から研究に取り組んでいるところでございます。  さらに西南部地区では、令和三年度漁期の深刻な色落ち被害を踏まえまして、緊急的な対策を取る必要があったことから、今年の六月補正予算で塩田川河口の流れの改善に向けた効果的な手法を検討するためのシミュレーション、それから、プランクトンを捕食する二枚貝のサルボウの放流事業を実施することとしたところでございます。  現在の進捗状況でございますけれども、塩田川河口域のシミュレーションにつきましては、例えば、作澪の実施場所ですとか規模などの様々な条件につきまして、有明海漁協と一緒になって検討を行い、現在、それらの実施効果につきまして、九州大学に解析をしてもらっているところでございます。結果が出るにはもうしばらくかかるかと思います。  それから、サルボウの放流につきましては、八月末現在で稚貝の大きさは数ミリ程度と順調に生育をしております。九月下旬から十月上旬を予定しておりますけれども、一、二センチの稚貝を約百万個放流することとしておりまして、現在、漁協と一緒に放流場所の検討を行っております。  次に、今後の取組についてでございます。  地球温暖化の影響によりまして、有明海におきましても水温の上昇ですとか、豪雨による著しい塩分の低下が確認されておりまして、今後もこのような傾向が続くのではないかと考えられております。  このように、漁場の環境が変化していく中で漁業者の皆様方が安心してノリ養殖を続けていただくためには、気象や海況の変化をしっかり把握していただき、環境の変化に対応した取組を進めていくことが重要であります。具体的には、今年度から国や佐賀大学と連携しまして、高水温に強いノリの品種開発にも取り組んでおります。  また、近年、豪雨に伴い海域の塩分が低下したことにより、プランクトンを食べます二枚貝が減少しております。これに対応するため、スミノエガキなどの低塩分にも強い二枚貝の増殖技術の開発にも新たに取り組んでいるところでございます。  さらに現在、福岡、佐賀の気象台と連携しまして、約二週間先の水温を予測するシステムを開発したところでございます。種つけ時期の決定に現在そのシステムを活用しておりますけれども、今後は、例えば、冷凍網の張り込み時期などの養殖スケジュール全般を検討する際にこの予測システムを活用できるように精度を上げていきたいと思っております。  今後とも、漁協や国、大学など関係機関との連携を強化しながら、将来を担う若い漁業者が安心してノリ養殖を営まれるようしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 53 ◎議長(藤木卓一郎君) 本日の会議はこれで終了いたします。明日九日は一般質問及び議案の委員会付託を行います。  本日はこれで散会いたします。お疲れさまでございました。     午後四時三十八分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...