最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時五分 開議
◯池田委員長=ただいまから地域交流・
県土整備常任委員会を開催いたします。
本日の審議に当たり、お手元に本委員会に付託された全議案一覧及び執行部提出による議案の説明趣旨を配付しております。
それでは、これより質疑に入ります。
通告に従い、順次発言を許可します。
2 ◯弘川委員=自由民主党の弘川貴紀です。
念願かなって、四年目にして地域交流・
県土整備常任委員会の一員になれたことを大変うれしく思っており、元気よく地域交流についての質問から始めたいと思います。
ずっと移動というのをテーマに考えておりました。植物は一度根を張れば移動しなくても生きていけると思いますけども、動物、とりわけ私たちは、何らかの移動を伴う生産活動により命をつないでいます。人が自由に移動したいという行為そのものは、個別移動であれ、公共移動であれ、交通権の確保は生存権や幸福権にもつながると私は思っております。
その点でいえば、佐賀県の道路行政は間違いなく、例えて言うなら金メダル相当だと私は思っております。道路舗装率は
全国ナンバーワンということはあまり知られてはいないのが実情ですが、県下に張り巡らせた動脈、静脈、毛細血管が縦横無尽に行き届いて、走りやすくて経済的というのが佐賀県の道路行政だと思っております。みんな
ドア・ツー・ドアで、車さえあればどこにでも行けて、一家に三、四台となっているのが現状であります。統計でも、旅客移動手段に自動車の占める割合が全国平均一九・三%に対して佐賀県は三倍の五八・六%と、数字が如実に示しています。
この流れの中にあって、鉄道、バス、タクシーといった公共交通は、コロナ禍も相まって、岐路というか、危路の状態の中にいます。今や地方創生の第一は、地域交通を維持することが地域の活性化に最も目に見える効果となると考えます。ダウンサイズしていく縮小社会を我々は緩やかにソフトランディングするために、地域の多様な輸送資源を一人一人がしっかり認識すべきときにあります。点から点に最短時間で移動する手段も大切にしながら、多少時間はかかっても、決して加害者とならない、自家用車から公共交通を利用するなど、SDGs的な発想が極めて大切であるとも考えます。
このような中、今議会ではタクシーについて、運転手の確保や、誰もが乗り降りしやすい車両の導入といった環境整備への支援である「くらしの
移動手段確保事業」、また、高齢者の免許証返納の後押しをするための補正予算が提案されています。
そこで、暮らしの移動手段としてのタクシーは公共交通としてどのような位置づけであるのか。また、県内の
タクシー事業者はどのくらいあるのかをまず交通政策課長にお尋ねいたします。
3
◯古沢交通政策課長=タクシーの公共交通としての位置づけ及び県内の
タクシー事業者の数についてお答えいたします。
まず、タクシーの公共交通としての位置づけについてでございます。
タクシーは個々人の要望に応じて、
ドア・ツー・ドアで利用者を運ぶものでございまして、高齢者や障害者、妊婦など、自家用車の運転が困難な方々にとって、通院や買物などといった暮らしの移動手段として、なくてはならないものとなっているかと思っております。
そのようなこともありまして、平成十九年の「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の一部改正によりまして、タクシーも公共交通に位置づけられたところでございます。
次に、県内の
タクシー事業者の数でございます。
県内には四十三の
タクシー事業者がございまして、それぞれの地域で県民の暮らしの移動などを支えているものと思っております。
以上でございます。
4 ◯弘川委員=ありがとうございました。平成十九年、二〇〇七年から公共交通として位置づけられていますということでした。
加盟は四十三者。私がちょっと調べてみますと、県内のタクシーの台数は千をちょっと超えるぐらいあるらしいんですけれども、昔は相当多くの台数がまだあったということです。コロナになって制約された中で、移動も制約されました。そういう中にあって、タクシー業界は四割ほど落ち込んだと、そういうことも聞いております。
それでは、県内の
タクシー事業者は、先ほど答弁にもありましたように、高齢者や障害者の使い勝手のいい取組をされていますけれども、どういうものであるか。そして、県の
タクシー事業者に対してのこれまでの取組をお尋ねいたします。
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◯古沢交通政策課長=県内の
タクシー事業者による独自の取組、及び
タクシー事業者に対する県の取組についてお答えいたします。
最初に、県内の
タクシー事業者による独自の取組でございます。
事業者の独自の取組としましては、障害者手帳を保有されている方、または運転免許証を返納した方を対象に、タクシー運賃を一割引きする独自のサービスを県内全ての事業者で実施されているところでございます。また、保護が必要な子供や高齢者、不法投棄を発見した場合に関係機関への通報協力や、高齢者等の買物の代行、または付添いなど、公共交通としての社会貢献にも取り組まれているところでございます。
次に、タクシー事業に対する県の取組でございます。
県では、
タクシー事業者と連携した取組としまして、子育て世帯の移動を支援する「子育てし大県”さが”タクシー」の運行、そして、
ユニバーサルデザインタクシーの導入の促進、さらに、
九州佐賀国際空港の
リムジンタクシーの運行などに取り組んできたところでございます。
また、
タクシー利用者に対するおもてなしの向上を図るため、
子育てタクシーや
ユニバーサルデザインに関するドライバー研修を実施しているところでございます。
以上でございます。
6 ◯弘川委員=大変よく分かりました。県下一斉で免許返納割引が行われたというのは、全国で佐賀県が初めてらしいです。その後、高齢者、あと空港の
リムジンタクシーですね、
あと子育てタクシー、
ユニバーサルデザインタクシー、そういうドライバーの研修もやってきたということであります。
一番大切な使命の役割は、福祉タクシーや
ユニバーサルタクシーであり、高齢者や要介護者、障害者の
ドア・ツー・ドアが、恐らくタクシーが最後のとりでという意味合いが理解できました。暮らしの移動を支えるタクシーが使いやすい乗り物になるようにしなければなりません。
次は、今議会補正予算で提案されている「くらしの
移動手段確保事業」の目的、背景をお尋ねいたします。
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◯古沢交通政策課長=今議会に補正予算をお願いしております「くらしの
移動手段確保事業」の目的及び背景についてお答えいたします。
最初に、この事業の目的でございますが、大きく二つございます。一つは、暮らしの移動手段としてのタクシーの利便性向上を図ること。もう一つは、暮らしの利便性向上を図ることで、その利用促進につなげ、タクシー事業の維持確保を図ることでございます。
次に、事業の背景でございます。
タクシー事業につきましては、
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業継続が非常に厳しい状況にあるとして、今年二月、県内の
タクシー事業者から県に対して、利用促進などに係る支援の要望があったところでございます。この要望を受けまして、県では、県内九つの事業者で構成します佐賀県バス・
タクシー協会タクシー政策委員会の皆様と意見交換の場を設け、これまでに四回の意見交換を実施したところでございます。
この意見交換の場では、事業者の皆様からタクシー事業の現場の意見や公共交通としてのタクシーの取組などを直接お聞きしまして、高齢者や障害者などの移動手段をどのように確保していくのかといったことを協議してまいりました。
そうしたことから、担い手であります運転手の確保や、誰もが乗り降りしやすい車両の導入といった事業環境の整備への支援を行います「くらしの
移動手段確保事業」、また、県民環境部における取組ではございますが、タクシーの利用促進につなげようということで、運転に不安を覚える高齢者の免許返納を後押しするための「
高齢者運転免許証返納事業」に係る補正予算を今議会にお願いしているところでございます。
以上でございます。
8 ◯弘川委員=丁寧に御説明がありました。事業環境の整備、それと、部課は違いますけども、免許返納の後押しということで、これは本当に今の時代に合った非常に理解できるもの、タイムリーな施策と高く評価しております。
タクシー業界は、人件費と燃料代が原価の八割を超すというちょっと特殊な業界でもありまして、あと、平均年齢も通常の業界であれば四十四歳前後だと思いますけれども、タクシー業界は六十四歳、二十歳ぐらい平均年齢が高い、そういう実情もあろうかと思います。
それでは、次はその取組内容についてですが、どういったことに取り組むのかをお尋ねいたします。
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◯古沢交通政策課長=「くらしの
移動手段確保事業」の取組内容についてお答えいたします。
この事業では、次の二つについて取り組むこととしております。
一つは、
タクシー運転手の確保に係る支援策でございます。
佐賀県バス・タクシー協会が主催します複数の
タクシー事業者による合同での会社説明会に対しまして、その開催費用や広報等の費用について、五十万円を上限に、その経費の二分の一を補助するものでございます。
なお、この支援策は、路線バスについて同様の取組を平成三十年度から実施しておりまして、今回、タクシーも追加するものでございます。
もう一つの支援策としましては、令和元年度から取り組んできました
ユニバーサルデザインタクシー導入への補助に、福祉タクシーも補助対象に追加するものでございます。
ユニバーサルデザインタクシーは、国による認定基準をクリアした車両で、その燃料はLPガスでございます。県内のLPガスのスタンドが減少してきておりまして、現在は県内の都市部に十カ所しかない状況でございます。近隣にLPガスのスタンドがない
タクシー事業者にとっては、
ユニバーサルデザインタクシーを導入したくても、燃料補給が困難なことから、導入が難しい状況にありました。このため、ガソリンを燃料とします福祉タクシーも補助対象とすること。また、補助上限額を現行の一台当たり三十万円から、国の補助と同額の六十万円に増額することとして、誰もが利用しやすいタクシーの車両導入を促進するものでございます。
以上でございます。
10 ◯弘川委員=ありがとうございました。運転手の確保への補助、そして、タクシーの拡充、それで三十万円から六十万円に補助上限額を上げたということですね。
免許返納の後押しということで、一割引きにプラス一割引きして二割引きになるということは、あらゆる媒体を使って広報や経済性をアピールしていくといった内容をぜひお願いしたいと思います。そういう公共交通として位置づけられたタクシーが、今までなかなか日の目を見てこなかったというところもあろうかと思いますので、真っ正面から向き合ってもらったと私は高く評価しております。
それでは、(二)の県内市町における地域交通の確保推進について入っていきます。
佐賀に限らず、九州の各地域における公共交通の多くが収支決算が思わしくなく、交通事業者の経営努力だけでは運行や持続可能な経営が限界となっています。
こうした中にあって、国において令和二年十一月に法律が改正されました。それは地域の移動手段の確保、充実のため、地方公共団体で
公共交通サービスを改善し、輸送資源を総動員することを目的とした法律です。これは、県や各市町の地方公共団体による交通計画の作成が努力義務となっております。
そこで、県内それぞれの市町において地域交通が運行されてはいますが、県の考え方について、さが創生推進課長にお尋ねいたします。
11 ◯堀岡さが創生推進課長=県内市町における地域交通に対する県の考え方についてお答えいたします。
県内市町における地域交通は、地域の方々が住み慣れた地域で安心して暮らしていくために必要不可欠なものであり、いかにして地域交通を確保していくかということは重要な課題であると認識しているところでございます。
地域交通は与えられるものではなく、地域が自らつくり上げる自発の地域づくりの考え方の下、市町や地域の方々が主体となりまして、地域の特性やニーズなどを踏まえ、自らの地域に合った運行形態が何なのかを考え、検討し、つくり上げるプロセスが重要だと考えているところでございます。
県としましては、そのプロセスにおきまして広域的な見地から必要な助言や支援を行うとともに、市町や地域と一緒になって知恵を出し、様々な工夫をしながら地域や利用者の視点に立った地域交通の確保に向けて取り組んでいるところでございます。
地域交通は、地域の方々が日々の生活で利用するものであるからこそ、市町や地域は自分事として積極的に関わっていただくとともに、運行後も見直しを重ね、利用者を増やすなどして地域交通を支えていくことが必要だと考えているところでございます。
以上でございます。
12 ◯弘川委員=大変よく分かりました。住み慣れた地域、自らつくり上げて、やっぱり今からは住民主体で盛り上げていくというところが大事になってきます。そういうところのプロセスに寄り添って助言や支援をやっていくという答弁だったと思います。
やっぱり地域が光り輝くように、移動の確保をしていくということは今から極めて大切になっていきます。
次は、県内での取組事例です。
県は、市町や地域とともに積極的に関与していると認識していますが、具体的に事例をお願いしたいと思います。
13 ◯堀岡さが創生推進課長=県内での取組事例についてお答えいたします。
県内市町におきましては、地域住民の方々の買物や通院、通学などの日常生活における移動を支えるため、
コミュニティーバスや
予約型乗合タクシー、いわゆる
デマンドタクシーなどの地域交通が運行されているところでございます。
県は、市町や地域が
コミュニティーバス等の地域交通を導入する際に、市町や地域に対しまして、先行事例の紹介や運行実現に向けたアドバイス、必要となる初期費用の補助──例えば、運行前のルートやダイヤ等を検証する実証実験時の車両のリース代等でございます──などの支援を行っているところでございます。
また、既存の運行形態の見直しを行う際には、市町とともに地域に入りまして、住民や老人クラブなどの関係団体との意見交換やアンケート調査、
コミュニティーバスへの乗降調査などを実施することで、地域の実情やニーズに合った、安心して利用しやすい運行内容へと改善を進めているところでございます。
具体的な取組事例でございますが、伊万里市山代地区では、地域が主体となった地域交通の運行を要望する声がございまして、県が先行事例の紹介や運行導入のための実証実験補助、運行内容への助言等の支援を行ったことによりまして、地域主体の
ボランティア運送「べんりカーやましろ号」が先月から運行されておりまして、住民の方々の通院や買物などに利用されているところでございます。
また、唐津市浜玉・七山地区では、利用が低迷しておりました路線バスの再編に向けた唐津市、交通事業者、地域住民等による協議に県も加わりまして、
住民アンケートやヒアリングによりニーズを把握することで、令和四年四月から路線バスの再編や
コミュニティーバスのルート変更、
デマンドタクシーの運行等がなされたところでございます。
以上でございます。
14 ◯弘川委員=分かりました。本当に県内各地で地域に入って、寄り添った支援をやっていらっしゃると思います。
今、紹介があった山代の「べんりカー」というのは、私のちょうど地元であります。やっぱり交通空白地域を数多く抱えておりますので、買物、病院、ちょっとした余暇に行くということが制約されて、なかなかどこにも足が向きにくいというのが実情でございます。そういうところを県が実証実験の最初に支援されて、今年の先月から運行が開始されたということで、地域にとっては、こういうことこそ一番の暮らしの移動手段の確保だと高く評価しています。
それと、やっぱり県内、既存の運行システムだけでは、なかなかうまいこと時代に合っていないというところもあります。やはりそこら辺はデザインをし直すことが大事になってくるんですけれども、それは地元住民で幾ら話し合っても、新たなデザインというのはなかなか難しいので、そういう支援もぜひお願いしたいと思います。
次の問いは、地域交通に係る人材として
地域おこし協力隊を採用していますが、どのようないきさつで採用したのか。また、どのような寄り添い方をしているのかをお尋ねいたします。
15 ◯堀岡さが創生推進課長=市町における地域交通に係る人材、
地域おこし協力隊についてお答えいたします。
まず、採用の経緯でございますが、県はこれまでも市町とともに地域に入りまして、地域の実情やニーズに合った地域交通の確保に向けて取り組んできたところでございますが、利用したいが何らかの理由で利用できていない潜在的なニーズや、行政に届きにくい少数意見などの把握が十分でない面があったところでございます。
それらを解決するため、より深く地域に入り、きめ細やかな地域交通の状況把握や支援ができる人材の育成、確保を目指しまして、昨年十二月に「くらしの
モビリティサポーター」として
地域おこし協力隊を採用したところでございます。
続きまして、
地域おこし協力隊──「くらしの
モビリティサポーター」の活動内容、いわゆるミッションでございますが、交通に関する知識習得や県内地域交通の状況把握、市町や地域との関係構築などに取り組みながら、市町、地域住民、交通事業者等に課題を共有することで、最適な地域交通を検討し、実現化させることとなっております。
県としましては、日々の活動や取組で得た知見や経験を生かしまして、広い視点から地域交通に関するアドバイスを行い、地域交通のさらなる利用促進や利便性向上につなげられるような人材となることを期待しているところでございます。
以上でございます。
16 ◯弘川委員=一つの本当に小さいところにポイントを絞って、
地域おこし協力隊の募集をされたと。ここら辺が私は非常にいいところではないかと思います。いろんな地域の町を考えたときに、例えば、この商店街とか、この地区には何が一番不足しているのかというところから入れば、意外と面白いんではないかと思います。
例えば、伊万里の町なかであれば、靴の専門店、修理屋さんとか、例えば、スポーツに特化した靴の選び方とか、そういう店をドラフトみたいに逆指名して、うちの町には靴の修理屋がないと。靴の修理屋さんを全国に募集して、ぜひ来てほしいみたいな、いわゆる逆指名で地域に一番不足している課題をポイントを絞って募集するというのもこれからの時代は大変必要になってくると思います。
今、答弁でおっしゃいましたけれども、行政と交通事業者と地域住民の地域交通の最適化を何とか
オーダーメードでつくり上げていきたいということでした。福祉分野との連携、介護予防の一環として、高齢者の方にお出かけの機会をつくって、外に出かけていただく工夫なども恐らくミッションの一つになろうかと思いますので、そこはよろしくお願いいたします。
それでは、考え方、取組事例、人材についても理解したところではありますけども、今後の方策としてはいかがでしょうか。
17 ◯堀岡さが創生推進課長=県の今後の取組についてお答えいたします。
県としましては、地域の方々が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、今後も引き続き、地域に入りまして、地域の声を聞き、ニーズを把握することによりまして、地域の実情に応じた地域交通の見直しや、利用促進などの取組や支援を行っていくとともに、先ほど御答弁させていただきました
地域おこし協力隊である「くらしの
モビリティサポーター」とも連携しながら、地域や市町、そして、地元の交通事業者等の関係者の方々とも知恵を出し、様々な工夫をしながら、それぞれの地域に合った持続可能な地域交通の確保に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
18 ◯弘川委員=一番大事なのは、より生活者目線に立って、恐らく時にはデータに基づく政策提案も大切かも分かりません。自家用車、マイカーから公共交通への転換、交通政策と先ほど言いました医療・福祉政策との連結など、地域ごとのプラン、
オーダーメードでぜひよろしくお願いしたいと思います。
それでは、(三)のMaaS事業に入ります。
昨年度よりMaaS事業に取り組んでおられますが、その内容についてお尋ねいたします。
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◯古沢交通政策課長=MaaS事業に係る県の取組についてお答えいたします。
まず、MaaSという用語でございますが、このMaaSはMobility as a Serviceのアルファベットの頭文字を組み合わせたものでございまして、スマホアプリにより個々人の移動ニーズに対応して、複数の公共交通や移動サービスを最適に組み合わせて、乗換えや経路検索、予約、決済などを一括で行うサービスのことでございます。
委員からも御指摘ございましたけれども、県では昨年度からこのMaaS事業に取り組んでおります。県内外の交通事業者や観光の関係者、国、市町及び県で実行委員会を立ち上げまして、佐賀県におけるMaaS事業の推進を図っているところでございます。
今年一月にMaaSアプリの「my route」で佐賀県の情報を発信するとともに、鉄道、路線バスだけでなく、
コミュニティーバスや離島航路も含めた公共交通の経路検索情報の提供を行っております。また、古湯・熊の川温泉の地区及び鹿島、武雄、嬉野といった杵藤地域で利用できます路線バスのデジタルチケットの販売も開始したところでございます。
この「my route」自体の機能拡張、県内におけるサービス提供エリアの拡大など、アプリの技術的な進展も途中の段階ではございますが、複数の公共交通をチケットレスで円滑に利用できるようになるなど、公共交通の利用促進の一助となり得るものと考えております。県としましても、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
20 ◯弘川委員=先ほどまでは本当に地域の生活者に寄り添って、
オーダーメードの提案、企画、片方ではそういうところがありました。時代が先に進んで、デジタル化、DX化が図られて、このMaaS事業というのは恐らく全体をつなぐようなものになると私は確信しております。
MaaSはいろんな交通事業者が参加されます。バス会社、鉄道会社、タクシー会社、属性の違ういろんな人を運ぶのが一体になって、いろんな公共交通機関が連携してというところであるので、そこも私は非常に意味がある取組だと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、九州一円で連携したMaaSに取り組む動きがあると聞いております。恐らくこういった県境を越えての広域連携は非常に珍しいと思いますけれども、現在はどのような状況かお尋ねいたします。
21
◯古沢交通政策課長=MaaSに係る九州における動きについてお答えいたします。
まずは、九州各県のMaaSの取組状況でございます。
福岡県、宮崎県については、佐賀県よりも先行しまして、MaaSアプリの「my route」を活用した取組を進められております。今年度中に長崎県、熊本県、大分県、沖縄県、こちらについても「my route」の導入が予定されていると聞いております。また、鹿児島県においても、今年度から導入に向けて検討が開始される予定でございまして、近いうちには九州全体でアプリの「my route」が導入される見込みとなっているところでございます。
次に、九州におけるMaaSの今後の動きでございます。
九州地方知事会と九州経済連合会などの地元経済団体で構成されます九州地域戦略会議が今月一日に宮崎県で開催されております。その会議において、九州経済連合会の倉富会長から、九州一体となって「my route」の取組を推進します「九州MaaS」の構築が提案されたと聞いているところでございます。
九州全体で同一のアプリを活用できることは大きな強みでございまして、九州各地から佐賀県を訪れていただく機会の情報を広く発信できることとなるものと思います。九州経済連合会などの今後の展開を注視しつつ、関係者と連携協力しながら、佐賀県のMaaS事業を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
22 ◯弘川委員=ぜひこれは進めていただきたいと思います。
やはり我々もマイカーがない生活へ徐々に移行していくことが大事ではないかと思います。免許返納のことをあらかじめ想定して、あらかじめ準備しておくということも大事だと思います。そうすることで、交通事故リスクを減らして、渋滞緩和にもつながり、歩く習慣によって電車、バス、タクシーに乗り慣れておくのが理想になっていくのではないかと思います。地域社会のゴールは、出かけたくなる町、集まりたくなる町をつくり、公共交通や徒歩を活用した健全で成熟した形になることを願っております。
この質問の最後に、タクシー支援や地域交通の県としての関与の在り方、そして、MaaSの議論を通して、事業者間の調整や生かし合う取組への県の関与はとても大切になってきます。また、公共交通への移行も視野に入れながら、歩くライフスタイルへの準備も進めなくてはなりません。県における地域交通についてどのような思いで取り組んでいかれるのか、部長に所見をお尋ねいたします。
23 ◯山下地域交流部長=地域交通について、どのような思いで取り組んでいくのかという御質問でございました。
人の移動を助ける地域交通というものを改めて考えてみますと、議員のほうからもあっておりましたけども、大きく二つあるんだろうと思っています。一つは、大きな幹の部分として、市町をまたがるような広域の移動を支える鉄道や路線バスなどの交通、これが一つ。また一つは、地域内の日常の移動、ちょっとした移動を支える
コミュニティーバスや
デマンドタクシーのような交通、こういうことかと思います。
かつて地域内の移動手段の確保、暮らしの移動手段の確保というのは、それほど問題とされることはなかったように思います。高齢の祖父母の移動などは、同居の子や孫が見るという環境があったんだと思います。それが今そういう世帯というものが少なくなって、高齢夫婦だけ、あるいは高齢の単身世帯というのが増えて、移動するにも家族に頼れる者はなく、公共交通に頼らざるを得ない状況が生まれてきているというのがあるんだろうと思っています。
また、郊外型大型店の出現で地域の小売店がなくなって、ちょっとした買物でも車で出かけないとままならない状況にも、公共交通が求められるところがあるんだろうと思っています。
そうしたことを考えますと、昔以上に公共交通、特に、地域内移動を担うところの役割というのは重要になってきているんじゃないかというふうに思うわけでございます。
今、幹の部分の交通、広域の移動につきましては、定時、定路で多くの利用者を運ぶ機能を維持するため、運行支援や基盤整備などに交通事業者や国、市町と連携して取り組んでおります。また、地域内の移動につきましては、先ほど課長が答弁しましたように、自発の地域づくりの考え方の下、それぞれの地域が自分事として、それぞれの地域に合った移動手段をつくり上げていくため、我々も地域に入って市町や地域と一緒になって取り組んでいるところでございます。
さように事業者を支援し、また、地域に入ってつくり上げていく一方で、いかにそれを持続可能なものとしていくかというのも重要になってくるかと思っています。そこには、やはり利用して支えるという部分も必要だろうというふうに思うわけでございます。
列車やバスの利用状況を見ますと、自家用車の普及や人口減少に加えまして、
新型コロナウイルス感染症の影響により、利用者数は大きく減少しています。公共交通の維持確保ということについて、事業者に要望するだけではなかなか難しい状況にあるということを認識する必要があるというふうに思うわけです。
まず、県内建設業の状況についてであります。
先ほども申し上げましたように、建設業の数というのは全国的にかなり減っていっている状況です。県内の建設業の就業者数の推移、これはどうなっているのかお尋ねいたします。
46 ◯楠建設・技術課長=建設業の就業者数の推移についてお答えいたします。
五年ごとに行われております国勢調査によりますと、県内の建設業就業者数は、平成七年の五万八百八人をピークに減少傾向となりまして、直近の令和二年では三万二千八百十九人と、ピーク時の平成七年と比べますと、約六五%まで減少しているというような状況でございます。
以上でございます。
47 ◯野田委員=三五%減ということであれば、全国よりももっとひどいというふうに受け取っていいんじゃないかなと思っているところです。
それでは、次の質問、建設業就業者の年齢構成の推移についてであります。
これは国土交通省からのグラフですけれども、(資料を示す)上のほうが六十歳、六十五歳以上のグラフです。下、丸のあるところが二十代、十代の人数のグラフです。この割合が全く変わってきておるのが現状です。
こういった現状を背景に、近年の新規投資の活性化により建設需要が高まっているのに対し、供給が全く追いついていないという状況です。例えば、つい先日、好生館の増築ですか、あれに対しても業者が断って、入札ができなかったというようなことです。中山間と違って、あれだけ便利なところ、あるいはそういう箱物に対しても監理者がいないという状況で、入札がうまくいっていないという現状が、つい先ほど、この間あったわけですよね。
県内建設業就業者の年齢構成の推移、こういったところは佐賀県はどうなっているのかお尋ねいたします。
48 ◯楠建設・技術課長=建設業就業者の年齢構成の推移についてお答えいたします。
これも国勢調査によるものでございますけれども、年齢別構成の推移は、平成七年から令和二年にかけて、二十九歳以下が約一九%から約一二%と約七ポイント減少しております。次に、三十歳から五十四歳までは約五八%から約四八%と約十ポイント減少しているというような状況です。五十五歳以上につきましては約二三%から約四〇%と、逆に十七ポイント増加しているというような状況でございます。若手就業者数の割合が減少し、高齢化が進行しているということがこれでうかがえると思います。
以上でございます。
49 ◯野田委員=今、課長さんのほうからもお話がありました。やはり高齢化、若い人が追いついていないという現状が浮き彫りになったんじゃないかというふうに思っているところです。
私は四年前のこの常任委員会でも、例えば、長崎県の取組で親子の現場見学会、何で親子かというと、決定権を持つ親が子供と一緒に同じ理解をするということで、そういったことが非常に効果を出しているというような話もさせていただいたところです。
そういった今までいろんな形での取組は伺っております。これまでの担い手の確保、育成の取組についてお尋ねです。
まず、新規就業者の確保についてであります。
県内建設業への就職を促すため、県ではどのような取組を行ってこられたのかお尋ねいたします。
50 ◯楠建設・技術課長=新規就業者数の確保についてお答えいたします。
県では、土木や建築等、専門的な学習をしている高校生などに建設業に対する理解の促進に取り組んでいるところでございます。
具体的には、建設業の若手就業者と高校生との意見交換会や高校二年生を対象としました建設業合同企業説明会、あと、高校生や小学生の親子を対象としましたSAGAサンライズパーク現場見学会などを実施しているところでございます。
意見交換会においては、建設業で働く上での疑問ややりがいなどについて、高校生と比較的年齢の近い若手の就業者の方に直接質問などできる、そういった場を設けることで、建設業を身近に感じていただくということで取り組んでおります。
また、建設業合同企業説明会は、県内建設業者に特化したもので、生徒が各企業のブースを回って、直接建設業者から事業の内容だとか特色などを聞きまして、県内の建設業への理解を深めてもらうこととしております。
また、SAGAサンライズパークの現場見学会は、ふだん立ち入ることのできない工事現場を見ていただいて、建設業のすごさや魅力というのを体感していただいているところでございます。
また、建設業合同企業説明会のアンケートでは、優しく丁寧に説明していただき、イメージがよくなりましたといった高校生からの感想もあって、また、建設業者のほうからも、高校生の皆さんに真剣に話を聞いていただいて建設業のPRができたというような声をいただいております。これも非常に好評を得ております。
今後も、こうした意見などを参考に、建設業界と連携しながら、より充実した取組となるように進めてまいります。
以上でございます。
51 ◯野田委員=四年前の課題に、県内建設業の情報が生徒さんたちに浸透していない状況があるということで、これから丁寧にやっていきますという答弁を頂戴しているところです。今のお話をお伺いいたしまして、しっかりと向き合って寄り添っていらっしゃることを感じました。
そういう中での、何といいますかね、非常にいいことをやっていただいているにもかかわらず、お伺いするところによると、なかなか新しい人たちの確保が数字的にも低うございますけども、その辺の課題というか、例えば、昨年は、一昨年に比べて、もしくはもう一年前に比べて、だんだんとこういう兆候が見えてきていますよというような、例えば、五年先ぐらいはもっと効果が出るだろうという兆候的なものというのは何かございますでしょうか。
52 ◯楠建設・技術課長=兆候ということでお答えさせていただきます。
昨年度、県内の工業系高校、土木と建築を学んでいる高校の就職先のアンケートを取っておりますけれども、県内の就職率は約六八%というふうになっております。そのうち、県内の建設業に就職をされた方が三九%、約四割近くが県内の建設業に就職をしていただいているというような状況でございます。
県内で就職しているにもかかわらず、やっぱり建設業を選ばずに他の産業を選んでしまったと、そういった方はたくさんいらっしゃいますので、そういった方は、せっかく土木、建築の勉強をしてもらったんですから、それを生かしてもらうように、もっと魅力をきちっと伝えていかなくてはいけないかなというふうに考えております。
これまでの取組を通じまして、またそういったことを強くやっていきたいと思っております。
以上でございます。
53 ◯野田委員=ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、若手就業者の育成についてお尋ねいたします。
建設業で働く若い人が減少し、高齢化が進行しております。若手就業者を育成していく必要があると、その必要性を感じているところでありますが、県ではどのような取組を行っていらっしゃるのかをお尋ねいたします。
54 ◯楠建設・技術課長=若手就業者の育成についてお答えいたします。
県においては、若手就業者の育成、定着も重要な課題として捉えておりまして、様々な取組を行っているところでございます。
具体的には、十年未満の若手就業者を対象とした若手育成支援セミナーや、女性就業者を対象としました女性活躍推進セミナーのほか、資格を取得する際の経費の補助を実施しております。
若手育成支援セミナーは、建設業で働く上での基礎的な知識を習得し、また、グループワークなどを取り入れることで、同世代間の活発な交流を生み出しているところでございます。
また、女性活躍推進セミナーにつきましては、他県から先導的な取組を行っている女性就業者を招きまして、その活躍事例を紹介したり、女性が建設業で働く上での悩みや課題などについて、男女問わず誰もが働きやすい業界を目指すために意見交換を行っているところです。
こうした取組につきましては、業界や参加者からも高い評価を得ているので、今後も参加者の意見を聞きながら、より充実した内容になるように努めてまいります。
以上でございます。
55 ◯野田委員=高い評価をいただいているということであります。ぜひこれが効果として目に見える形、あるいは数字に出るような効果につながることを期待するところであります。
それでは、次の県工事の週休二日制についてお尋ねいたします。
担い手の確保のために、休日の確保など、建設業の労働環境の改善がとても重要と考えているところです。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
週休二日の普及に向けた取組について、県はどのようなことを行っていらっしゃるのかお伺いいたします。
56 ◯楠建設・技術課長=週休二日の普及に向けた取組についてお答えいたします。
県では、建設業の長時間労働の是正や休日確保が重要な課題と考えております。
令和元年度から県発注工事において週休二日の試行に取り組んでおりまして、受注者が週休二日の取組を希望し、達成できた場合には、休日を取得した実績に応じて、労務費等について加算や工事成績の加点を行っているところでございます。
試行工事の対象は、導入当初は七千万円以上の土木一式工事のみでございましたけれども、令和二年度からは工事の規模や種類にかかわらず、週休二日に取り組んでもらえるよう、災害復旧など緊急を要する工事や工期に制約がある工事など、一部の工事以外は原則として全ての工事を対象とするよう拡大を行っているところです。
また、建設業界の週休二日の機運を醸成するために、令和二年度から県内建設工事の統一閉所日を設けまして、毎年拡大をしているところでございます。
以上でございます。
57 ◯野田委員=ありがとうございます。いろんな取組で御尽力をいただいているというふうにお受けいたしました。
それでは、県工事における週休二日制の実施状況です。
県工事における週休二日の実施状況を詳しくお尋ねいたします。
58 ◯楠建設・技術課長=県工事における週休二日の実施状況についてお答えいたします。
県工事における週休二日の実施状況は、原則全ての工事を対象として始めまして、令和二年度は全体の約二割でしたが、令和三年度は約四割が取り組まれておりまして、週休二日が徐々に浸透していると考えております。
また、週休二日の機運を醸成するために行っております統一閉所は、建設業界におおむね好意的に受け入れられておりまして、九割を超える現場で閉所となっております。
今年度は、年二回の九州ブロック統一閉所日に加えまして、毎月第四土曜日を佐賀県の統一閉所日と設定しまして、建設業界と連携しながら統一閉所を拡大し、機運の醸成を図っているところでございます。
以上でございます。
59 ◯野田委員=統一閉所ということで期待するところです。
二〇一九年からこの週休二日の取組は始まったと思います。二〇二六年度までに週休二日制度にしなさいということだったと思っています。それ以降は罰則か何かがあったと思うんですけども、そういう状況で、例えば、労務費の加算とか、いろんな対応で経営者側には安心な制度だと思うんですが、私が危惧するところは、下請、孫請ですね、そういったところの社長さんから一度私はお伺いしたことがあるんです。
大手さんは非常に制度が整っているんだけども、私たち孫請みたいな職種、業者に対しては、やっぱり若い者が必要になってくると。そうなったときに週休二日が取れないと。そういったところまで考えていかないといけないんだけれども、今の工事発注システムというか、考え方は、いわゆる孫請とか、そういったところまで全て週休二日の浸透というのはきちっとしているんだろうかというようなお話を受けました、制度的にもですね。その辺りをちょっとお話しいただければと思います。
60 ◯楠建設・技術課長=元請のほうで週休二日のいろんな取組をきちっと達成できた場合は、設計変更で加算をしたりとか、変更契約で増額をしたりとかしております。現場としては、元請が現場が止まれば、下請、孫請も当然現場は止まってしまうと。その現場には当然入れないわけでございますけれども、じゃ、設計変更で加算した労務費がちゃんと下請、孫請まで行っているかどうかということにつきましては確かに重要な課題だと思っております。そういったことは、やっぱり各工事の監督のほうで見ていく必要があるのかなと思っております。
来年度からは福利厚生費をきちんと提示してくださいと。それは元請が発注者に対してでございますけれども、提示する義務を課すような方向に今なってきておりますので、そういったところもきちんと下請、孫請に行く一つの手だてになるのではないかなと思っておるところでございます。
以上です。
61 ◯野田委員=どうぞよろしくお願いいたします。どうしても請負業者の表面的なところという、大手さん、一般的にいうとしっかりしたA級とか、そういったところが表面的に見えますけれども、じゃ、休めるかといったときに、厳しい現状で請けられている孫請以下ぐらいのところも実際に存在しているということをぜひ御承知いただきたいなということでお伺いいたしたところです。どうぞその辺りをしっかりとよろしくお願いいたします。これが本当に底上げになっていくというふうに感じている次第です。どうそよろしくお願いいたします。
それでは、建設工事のICT活用についてお尋ねいたします。
建設業に限らず、今、少子・高齢化、人口減少社会を迎え、今までにない人材不足を耳にいたします。冒頭で高齢者の離職に対する若手不足の質問をしたところですが、期待するところは、働き手の減少を上回る──これだけ若い人が入ってこない現状がありますので、じゃ、生産性を上げていこうということが大事になるかというふうに思っております。
これは出所は内閣府ですね。(資料を示す)一九九五年を百としたときの、例えば、上の青いグラフは製造業ですね。製造業は本当に同じものを作ったりするので、生産性は高いと思います。緑は全産業の平均です。問題は、この赤です。ほぼ横ばいというのが建設業の生産性の現状です。こういったところを受けて、現場の生産性を二〇%向上させる旨の関係庁への指示というのを、以前、安倍首相のときに出されたかと思っています。
そういったことがありまして、国交省が掲げる生産性革命プロジェクトのうちの一つに、測量から設計、施工、検査、維持管理に至るまで、全ての事業プロセスでICTを導入することにより建設生産システム全体の劇的な生産性向上を目指す取組、「i-Construction」が掲げられているところです。建設工事でICTを活用し、手書きスタイルからデジタルデータの取扱いにすることにより、建設業を若者に魅力のある産業とすることには非常にいい材料だと私は思っているところです。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まず、建設工事のICT活用に対する県の考え方をお尋ねいたします。
62 ◯楠建設・技術課長=建設工事のICT活用に対する県の考え方についてお答えいたします。
先ほど委員からも御紹介がございましたように、建設工事におけるICTの活用は、工事の測量、設計、施工など、各段階において情報通信技術を活用するものです。例えば、測量、設計において三次元データを作成しまして、建設機械の位置情報と三次元設計データを照合しながら施工ができるというようなものでございます。
これまで熟練者の技術に頼っていた作業でも、ICTのサポートがあることで経験の浅い技術者でも同程度の精度をもって作業ができると、そういったメリットがありまして、生産性の向上や、あと、労働環境の改善にもつながるものでございます。
また、ICTの活用は高精度で効率的な施工を行うことができるため、品質や現場の安全性の向上にも寄与するものというふうになっております。
実際にICT活用工事を実施しました建設業者の方からは、建設機械の操作においては、ベテラン、若手関係なく、同じ品質のものを確保できると高く評価されているところでございます。
このように、ICTを活用していくことで様々な効果が見込まれますことから、ICTの活用の取組を進めていく必要があると考えております。
以上でございます。
63 ◯野田委員=必要性を語っていただきました。本当にICT現場はすごいことが今起きていて、先ほどドローンのお話もありました。ドローンのテレビカメラで撮ったデータを基に三次元化したデータと設計データとを重ね合わせながら、出来高とか、あるいは工事、丁張りなんかはGPSなんかがきちっと測って、その3Dデータとともに、これから以上は重機が行かないとか、丁張りを張らなくてもいいということで人がうろうろしないので、事故も減ってくるといったものがありました。
面白いことに、皆さんぜひ昼休みにでもユーチューブを見ていただきたいんですけど、私にもできたという、中年以上の事務をやっていたおばさんがユンボに乗って、のり面をかいていらっしゃるんです。三日間で全部で四・五時間乗って、きちっとしたものができている。要はICT管理で、それ以上掘らないという状況なんですね。機械がそれ以上動かない、進まないとか、そういう管理をきちっとICTデータがやってくれるわけです。
中には、道路拡張工事をドローンを使ったデータで管理することによって、出来高管理とか資料提出関係が五十分の一の作業効率で終わった。これはこれから先、例えば、三十年ぐらい前に学校教育の現場がICT化されました。あの当時、先生たちは本当に授業とか子供たちに対応しながらパソコンを覚えなければいけない、あるいは、まだ三十年前は電子黒板はなかったんですね。そういった意味で、とにかく機械操作とか流れを覚えなければいけないということで、職員室は大変な状況がありました。何でかというと、私はNECのディーラーにおりましたので、そういう状況でした。ここに来て、ようやく建設現場がデジタルデータを取り扱う技術の発達とか、あるいはハードウエアの発達によって、いとも簡単にしっかりと素人でも施工ができるような状況になってきているのが現状です。例えば──これはまた後でお話しいたします。
本当にこれから先、若い人を引きつけるための、あるいは建設業に関心を持たない方でも、ああ、こういうプログラムを扱えるんだったら、あるいはこういったデジタル機器を操作していろんな管理ができるんであればというようないい方向に向いていくんじゃないかと感じているところであります。ここはしっかりと向き合っていただきたいなというふうに思っております。
では、県工事におけるICTの活用について状況はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
64 ◯楠建設・技術課長=県工事におけるICTの活用についてお答えいたします。
受注者のICTの活用機会が増えますように、対象工種の拡大をしてきたところでございます。
具体的には、ICTの導入工種は令和元年度の土工から始まり、令和二年度に路盤工、令和三年度に舗装補修工、令和四年から河川しゅんせつ工などの工種を追加しているところでございます。
ICTを活用した工事の状況は、令和元年度が十九件、令和二年度が二十九件、令和三年度が三十三件の実施となっておりまして、年々増加しているような状況でございます。
以上でございます。
65 ◯野田委員=今、県内の状況をお答えいただきました。九州地方整備局の中にも、これは国の仕事だと思います。岡本建設さんとか政工務店さんの事例が挙がってきているところです。令和元年に十九件、令和二年に二十九件、令和三年に三十三件ということをいただきました。
ちょっとお尋ねいたします。そしたら、県の職員さんでICT御担当の方はいらっしゃいますか。
66 ◯楠建設・技術課長=県の職員でICTの担当の者がいるかどうかという御質問でしたけども、特にICT担当という者はおりません。実際に工事を発注する各現地機関の技術者がそれに当たっているというような状況でございます。
以上でございます。
67 ◯野田委員=手法はいろいろあるかと思いますけども、例えば、九州だと宮崎県とか福岡県、こういったところが少しずつ取りかかりを進めていらっしゃると思います。令和三年の宮崎県議会で実績の答弁があっていますけど、百三十一件の実施がありましたということで、これからますます増やしていきたいというような状況でした。これを私は、うわ、すごいなだけじゃなくて、今でも土木科の工業生とか、そういった方が二割は県外に出ていかれるというふうに伺いました。大手に多分行かれているんじゃないかと思うんですけども、これから先、こういったデジタル技術を駆使している現場が多いイコールそういう会社が多いというところに人は流れていくというふうに思っています。手作業ということよりも、私たちが思う以上に若い人たちのデジタル技術の操作とか理解度というのは大きゅうございますので、そういった意味で、皆さんが平準化しながらずっとレベルが上がっていくのも結構ですし、あるいはそういった特化した技術を習得して、そういったところを専門でやられる方々がいらっしゃってもいいかなというふうに感じるところであります。
十年後とはいわない加速度で、前倒しでこのICT現場は増えてくるというふうな業界の見方がありました。どうぞ県自体もこれから先、そういった状況に負けないような、その流れに負けないような体制づくりにいつでも対応できる状況は必要じゃないかなというふうに思っているところです。
続きまして、ICTの普及促進についてです。
県工事にICTの活用を促すために、どのような取組を行っていらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
68 ◯楠建設・技術課長=ICTの普及促進についてお答えします。
県では、三次元測量やICT建機のリース費用は従来と比べて高額となりますので、ICTを活用した場合は、三次元測量やICT建機に係る費用を設計変更で計上するようにしております。
またさらに、先導的な取組として実施した請負業者のほうには工事成績に加点をするといったことをやっております。
県としましては、受注者のICTを活用したことによる経済的な負担が生じないよう、また、ICT活用への取組意欲が高まるよう努めているところでございます。
また、ICTの現場見学会もこれまで開催しておりまして、その普及に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
69 ◯野田委員=費用に対しても支援をしているというようなことがありましたし、現場見学関係もというようなお話を伺いました。
今回調べて、近隣県で一番頑張っていらっしゃるのは山口県かなというふうに感じた次第です。(資料を示す)これは山口県が主催されている建設ICTビジネスメッセということで、こういった博覧会じゃないけど、実際に機械類を動かしたり、いろんな展示会ですね、こういったことを山口県がされている資料を見つけました。
佐賀県のほうでも、先ほどおっしゃいました普及のために、いろんな形での仕組みづくりをやっていただきたいですし、後々に情報発信というところもありますけども、ぜひもっと外に向かってのICTの普及啓発に向けた動きを期待いたします。
今こうやっていろいろ支援をしていただいているというお答えでしたけども、それでは、ICT活用の情報発信についてです。
建設業の担い手を確保するために、将来を担う、例えば学生さんたち、子供たちへ建設現場がICTの活用により変わったことを伝えていくことが必要だと思っています。いわゆる三Kからのイメージを払拭する。農業にしてもしかりだと思います。スマート農業とかスマート建設業とか、極力、今の若い人たちからいうと、格好いい仕事という方向につながるんじゃないかというふうに私は思っています。
こういった伝えることが必要だと思いますけども、県はどのような取組を行っていらっしゃるのかお伺いします。
70 ◯楠建設・技術課長=ICT活用の情報発信についてお答えいたします。
県では、将来の担い手に対し、最新のICT施工を直接体験することなどで、これからの建設業の姿を理解し、建設業への関心を高めることが重要だと考えております。
今年度から、県内の土木・建築系の高校一年生を対象としまして、ICT施工に関する先端設備を整えました研修施設において、ICT施工技術に関する講習を受講し、最新のICT建機の操縦を体験すると、そういったICT施工実習を実施することとしております。また、ICT施工を含めたPR動画も作成する予定にしておりまして、これらの事業を通じまして、高校生に対しまして、建設業が魅力ある産業であることを浸透させていき、担い手の確保に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
71 ◯野田委員=ありがとうございます。安心いたしました。
実はここに持っています資料の中に、鹿屋工業高校生がICT活用工事現場実機体験ということで、実際に現場でユンボに乗ってというような体験もなさっていらっしゃいますし、浮羽工業高校、これは福岡県ですね、「i-Construction概要及び機器説明」ということで、測量機器関係の勉強なんかも、要はプロの方々から習うということをなさっていらっしゃるみたいです。
高校生に今の土木はこうなんですよというこういった最先端技術はやっぱりしっかりとお伝えしていただきたいなと。そして、現場の理解だけじゃなくて、あるいは保護者との見学会で、保護者をその方向に向かせるのも大切なんですけども、子供が、絶対にこのICTを自分のものにして今からやっていきたいと思わせる取組を県でもぜひやっていただきたいと思っているところです。
最後の質問になりますけど、その前に、先ほどユーチューブの話をいたしました。ICT現場とか、皆さんヒットさせてみてください。すごい状況で、現場の説明、あるいはICTに対する考え方、そういったことが載っていて、私もある程度は知っていたと思うんですけども、ああ、世の中はこれだけ進んでいるんだという本当に目からうろこみたいなところがありました。
一つ忘れていました。先ほどICT現場に関して補填をするというコマツ重機さんにもお伺いしてみました。そうしますと、例えば、PC200という、普通、その辺によくある中型のユンボがあります。これはリースで月二十万円するらしいんです。ただ、ICT重機、同じPC200I、Iというのがつくらしいんですけど、これになるとリース料が五十万円になるというようなお話でした。まだまだ高うございますけども、それなりの効果というのは十分ありますということもお話しされていました。
じゃ、最後です。ICT活用を含む建設業の担い手確保について県土整備部長さんにお伺いいたします。
建設業の担い手確保のために、若者に魅力ある産業とならねばならないと考えているところです。担い手確保の活動はこれまで取り組まれておりますし、さらに、新しい取組も併せて引き続き進めていかなければならないと思っています。
県では、ICTの普及や情報発信に様々な取組を進められていることを今お伺いしたところであります。ICTを活用した工事の普及を将来の担い手の確保につなげていくことが重要と考えております。そのために、例えば、こういった予定をされているICT建設現場の体験であったり、「i-Construction」の講義や研修を受けたり、デジタル機器の操作やデータの活用などの体験、これは何も土木科の生徒だけじゃなくても、今の若者には全てすんなり受け入れることができる、ああ、逆にこんなに変わっていっているのかということにもなっていくんじゃないかと思っているところです。また、職員さんの技術の習得によるレベルアップも喫緊の課題ではないかと感じたりした次第であります。
思いのほか急激に押し寄せてくるであろうと予測されているICT現場環境などに対し、将来の担い手の確保にどうつなげるか、また、今後どのように取り組んでいくのか、佐賀の建設業界に対する部長の思いをお伺いさせていただきます。
72 ◯大呑県土整備部長=ICT活用を含む建設業の将来の担い手確保、また、建設業に向けた思いという御質問でございました。
現在、県内では、SAGAサンライズパークの整備でありますとか、有明海沿岸道路といった道路の整備、また、災害を受けて「佐賀県内水対策プロジェクトチーム(プロジェクトIF)」としてのいろいろな河川の整備というものを進めているところでございます。
これらのプロジェクトというのは、県の社会経済でありますとか県民の安全・安心、これを支える重要なものでございますし、また、これらを担っているのが建設業でございます。また、そういう建設業というのは、やはり地域に欠かすことができない存在というふうに認識しております。建設業は高齢化が進んでいるという状況ではございますが、やはり担い手の確保というのをしっかりとやっていかなければいけないというふうに認識しております。
将来の担い手を確保していくためには、先ほど来、話の出ております建設業の生産性の向上でありますとか労働環境の改善、こういうのをしっかり進めつつ、やはり建設業のすばらしさというものを若い世代にしっかりと伝えていくと。また、その若い世代に建設業に興味を持ってもらった上で建設業に入っていただいて、建設業に入っていただいた後も若年就業者の育成、定着を図って、さらによりよい建設業に発展させていく、そしてまた、次の世代へつなげていくと、こういう好循環のサイクルというのを続けていく必要があるんだというふうに思っているところでございます。
このため県としましては、先ほど課長が答弁しましたとおり、若い世代を対象とした現場見学会でありますとか、週休二日の普及でありますとか、ICT活用促進と、こういうものを取り組んでいるところでございます。
委員御指摘のICT活用につきましても、もちろん生産性の向上ということにもつながりますし、それがひいては週休二日が取りやすい環境になっていくということにもつながると思いますし、若い方々の建設業へのイメージ向上にもつながるなど、若い方へ響き、担い手確保に資するものだというふうに考えております。
先ほどICT施工で丁張りなしで施工できるというようなお話もありました。私も数年前になりますけども、大学生がそのICT施工を見るという現場に立ち会ったことがあります。若い世代というのは、そういうICTの技術というものにすごく興味を持っていただいて、やはり建設業のイメージというのはそれで変わってくるんだろうなというふうに思っているところでございます。
建設業が職業として魅力ある選択肢の一つとなるように、ICTでありますとか、DX──デジタルトランスフォーメーションなど、時代、時代の新しい技術、こういうのをしっかりと取り入れて、また、関係者に普及もしっかりとやっていく、また、職員のレベルも上げていくと、こういうことを行いながら、今後も建設業界と連携して担い手の確保に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
73 ◯野田委員=どうぞよろしくお願い申し上げます。
74 ◯池田委員長=暫時休憩します。十三時をめどに委員会を再開します。
午後零時四分 休憩
午後一時一分 開議
75 ◯池田委員長=委員会を再開します。
休憩前に引き続き質疑を行います。
76 ◯野田委員=それでは、第二問目の質問に入らせていただきます。SSP構想についてであります。
県におかれましては、二〇一八年からSSP構想を立ち上げ、人材育成、就職支援、練習環境の充実を重点三分野に掲げ、佐賀から世界に挑戦するアスリートの育成に取り組まれていると承知しているところであり、これからの佐賀づくり、さらには地域活性に結びつくものとして大いに期待を抱くものであります。
今年度の事業として、世界に挑戦するアスリートと指導者をサポートする人材育成体制の構築において、西九州大学と連携したスポーツ医科学・栄養学の導入をはじめ、デジタル技術を指導に活用、指導者の確保など、さらに、育成を強化することで五億二千万円の計上をはじめ、人材育成拠点として練習・競技環境の充実を図るため、レスリング場やスポーツクライミング競技施設などの施設に九億円が当初予算に計上されました。これまでに整備済みの競技場も合わせ、ハード、ソフトともにすばらしい練習環境の充実が整いつつあります。
今、人口減少に伴い、経済成長が停滞することが懸念されている現代において、スポーツの持つ力を通して、交流人口の拡大、地域の活性化を目指す方向に動いていると伺っております。スポーツ庁の「スポーツによる地域活性化推進事業」がそうであり、「運動・スポーツ習慣化促進」と「スポーツによるまちづくり・地域活性化活動支援」から成り立っているところです。
スポーツを通して行われる地域活性化を推進されているところであり、SSP構想と重ね合わせますと、「SAGA2024」国スポ・全障スポなど一過性で終わらせず、その後も地域活性化にもつなげる取組は、まさに我が佐賀県の百年の計であると言える志の詰まった誇るべき取組であると期待しているところであります。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まず、アスリートの人材育成についてであります。
「一流指導者活用等長期育成プログラム」についてのうち、まず、制度の概要についてです。
県では、競技団体と連携し、競技単位で地力をつける競技伴走型支援に取り組んでおられ、その中で、一流指導者を活用した選手、指導者双方の人材育成を長期的に進める「一流指導者活用等長期育成プログラム」に取り組まれております。この制度の概要についてお伺いいたします。
77 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=「一流指導者活用等長期育成プログラム」の制度の概要についてお答え申し上げます。
この制度は、競技ごとに、日本のトップクラスの指導力を持つ日本代表のコーチなどを一流指導者というふうに我々は呼んでおるわけですけども、こういった方を定期的に、回数としては年に五回から十二回ですので、多ければ月に一回、少なくとも二カ月に一回というふうなイメージになりますが、定期的に競技団体が主催する強化練習会、あるいは競技団体が指定する高校の部活動、そういった場所にこの一流指導者の方に訪れていただきまして、選手、指導者双方を指導していただくと、こういったことで競技力の向上を図る制度でございます。
以上でございます。
78 ◯野田委員=こういったところが今までにない取組ということで、非常に関心を持っているところであります。
じゃ、その取組状況についてお尋ねいたします。
令和四年度に「一流指導者活用等長期育成プログラム」に取り組まれている競技団体数と、どのような方を一流指導者として招聘しているのかお伺いいたします。
79 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=取組状況についてお答え申し上げます。
令和四年度に「一流指導者活用等長期育成プログラム」に取り組んでいる競技団体は二十二競技団体でございます。
どういった方をお招きしているのかということで申し上げますと、例えば、男子新体操ですと、中田吉光氏といって、この方は青森大学新体操部の部長で、青森大学というのは男子新体操では長年インカレで優勝している強豪校であります。それから、女子の新体操では秋山エリカさん、東京女子体育大学の教授で、ロサンゼルス・オリンピックでは日本の代表選手で出場された方であります。それから、レスリングでは元世界ジュニアの監督を務められたグレコローマンの吉田慎平さん(355頁で訂正)、それから、ラグビーでは慶応大学のヘッドコーチなどを務めた野澤武史さん、それから、なぎなたでも日本代表の監督などを務められた中村ゆり子さん、こういったそれぞれの競技で日本のトップクラスの指導者をお招きして取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
80 ◯野田委員=すばらしい顔ぶれをお伺いいたしたところであります。
そういった方々においでいただいた取組でありますけども、県としましてどのように評価されているのかをお伺いいたします。
81 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=取組の評価でございます。
まず、実際に取り組んでいる団体の指導者の方から我々もいろいろお声を聞くわけでございますけども、やっぱり日本のトップクラスの指導者なので、戦術の分析だとか、いろいろ練習の組立て方、そういったことについても非常に参考になった。あるいは最新の知見ですね、やっぱりトップ指導者であればあるほど、新しい知見をどんどん吸収されていっている。そういった最新の知見に基づく体のつくり方であるとか、指導方法だとか、いろんな多くの気づきを得たという御意見もいただいておりますので、県内の指導者からも高い評価を受けていると承知しております。
実際にこのプログラムを活用している団体の成績でございますけれども、例えば、先ほどラグビーの話を申し上げました。佐賀工業高校のラグビー部というのは毎年花園に行くんですけど、なかなか二回戦を勝ち残れないというか、そういうことが長らく続いたわけであります。ただ、このプログラムを活用して三年ほどたったあたりから、大体花園でもベストエイト、それから、春のラグビーの選抜でもベストフォーという形で、やっぱりワングレード上がったなと。恐らく今、全国の公立高校の中ではトップクラスになったんじゃないかと思います。
それから、なぎなたもそうでして、昨年春の選抜大会は全国三位、それが今年春の選抜大会では全国二位みたいな形で、やっぱり地力をつけてきているなというふうに思っておりまして、先ほど制度概要で説明を申し上げたとおり、この制度は選手と指導者の双方が学んで地力をつけていくということを目標にしておりますので、その効果は上がりつつあるのかなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
82 ◯野田委員=今の御回答で、本当に一方的ではない双方のということで、結果が出ているようなお話でございました。期待するところであります。
それでは、個人伴走型支援についてお尋ねいたします。
まず、制度の概要についてであります。
競技伴走型支援のほかに、アスリート個人に着目した個人伴走型支援も行っていますが、この制度の概要についてお伺いいたします。
83 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=すみません、先ほど私はレスリングの指導者を吉田慎平と申し上げましたけど、藤山慎平の誤りでございます。すみません、訂正させていただきます。
個人伴走型支援の制度の概要でございますけれども、個人伴走型支援といたしまして、県といたしましては、アスリートの年齢と実績、これに応じまして三段階の支援制度を設けております。
具体的に申し上げますと、まず、三段階の一番上から申し上げますと、大学生や社会人、こういった方で既にオリンピックなどの世界大会、まさに世界で戦っているような選手、こういった方をSSPトップアスリートと認定しております。
それから、高校生以上で、インターハイで三位以上、全日本選手権で八位以上、こういったまさに日本のトップになるような選手、こういった方をSSPライジングアスリート。
それから、中高生ですね、中学生、高校生で、全中大会とかインターハイで全国八位以上の成績が見込める選手、そういった選手をSSPホープアスリートに認定いたしまして、活動費の支援を行っているところでございます。
制度の概要は以上でございます。
84 ◯野田委員=それぞれのレベルといいますか、力によって三段階に分けて寄り添った支援ということで、ああ、やっぱりお金がかかるなというような思いをいたしました。
では、認定状況についてお尋ねいたします。
現在の認定状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
85 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=現在の認定状況でございます。
令和四年四月現在で、SSPトップアスリートが十二名、それからSSPライジングアスリートが八十五名、SSPホープアスリートが百五十九名となっております。
以上でございます。
86 ◯野田委員=今お示しいただいた数字というのは、じゃ、これをもってほぼ認定の目標に達しているのかどうか、そこだけお尋ねしてよろしいですか。
87 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=認定の目標というか、年齢と実績に応じて認定しますので、例えば、五十人で打ち止めよとか、そういう制度にしていないというのが一点ございます。
その上で、我々が制度を設計するときに、例えば、トップアスリートですと、やっぱりパリ・オリンピックぐらいまでには十五人ぐらいまで持っていきたいなという目標がございました。それに対して今十二名ですので、育成といいましょうか、支援としては順調に進んでおるのかなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
88 ◯野田委員=了解いたしました。
枠がないだけに、本当に逆に選手の人も志を持って練習ができるのかなというふうに感じました。
それでは、この取組の評価についてどのようにお思いなのかお伺いいたします。
89 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=取組の評価でございます。
今、個人伴走型支援を行っているSSPアスリート、やっぱり最近の活躍というものが一つの指標かと思います。そういったものを見てみますと、例えば、昨年夏の東京オリンピック・パラリンピック、これに車椅子テニスの大谷桃子選手であるとか、テコンドーの濱田真由選手など、六名の選手が出場しました。SSPトップアスリートでございます。
それから、オリンピックが終わった後も、例えば、去年九月にクライミングワールドカップがあったわけです。ここでは多久市出身の樋口純裕選手が優勝されたわけであります。この当時はライジングアスリートでありましたけれども、この優勝をもってトップアスリートに切り替えるという形もしております。
ほかにも、去年十月には柔道グランドスラムのパリ大会というのがございまして、これには佐賀商業高校卒の田中龍馬選手──今大学生ですけども──が優勝して、パリ・オリンピックが大分射程に入ってきたと。それから、今年五月のブラジルのデフリンピックですね、聴覚障害者の大会ですけど、これには水泳の金持義和選手など三名が出場するといったことで、トップアスリートとか、それから、大学生とか社会人のライジングアスリートで、確実に世界で戦う佐賀県の選手が増えているなというふうに思っています。
それから、高校生ですね、ホープアスリートとかライジングアスリートが中心になるんですけど、高校生を見ていましても、今年春の選抜大会とか昨年のインターハイを見ても、柔道だとかレスリング、それから陸上だとか、なぎなた、ボクシング、体操、いろんな分野で個人種目で優勝する選手が本当に増えてきたなというふうに思っておりますので、この育成という点で一定の成果が上がっていると認識しております。
以上でございます。
90 ◯野田委員=私もいろんなニュースというか、報道を聞くたびに、本当にすごいなと。昔からこれだけの力を入れていたら、佐賀県はもっとたくさんのアスリートを輩出していたんじゃないかなと時として思っていたりするところです。
それでは、スポーツ医科学・栄養学の導入についてお尋ねいたします。
まず、取組内容についてです。
一流指導者の活用やアスリート個人への認定のほかに、今年度から新たにスポーツ医科学・栄養学を活用した人材育成にも取り組まれていると伺っているところであります。どのような取組を行っていらっしゃるのかお伺いいたします。
91 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=まず、スポーツ栄養学のほうからお答えをさせていただきたいと思います。
スポーツ栄養学につきましては、昨年十二月に西九州大学と我々は連携協定を締結いたしました。その連携協定に基づきまして、佐賀と鳥栖と太良の県内三地区にアスリート寮を今年オープンさせています。このアスリートメニューの監修とかを西九州大学の堀田徳子教授に──栄養学の先生でございますけれども──お願いをいたしております。それから、定期的な栄養指導、こういったことを今お願いしているところでございます。
これにとどまることなく、西九州大学にはスポーツ科学系の先生がいっぱいいらっしゃいますので、今でも定期的に意見交換を行って、できることから順次やっていこうというふうにしております。
それから、スポーツ医科学のほうでございますけれども、こちらにつきましては、今年八月に女性アスリート支援というものを一つのテーマといたしまして、県内の医療関係者の御協力をいただきまして、女性アスリート特有の摂食障害、それからエネルギー不足、こういったことに関する正しい理解を広めていくような、そういったセミナーを開催したいというふうに思っているところでございます。
取組内容は以上でございます。
92 ◯野田委員=至れり尽くせりというか、本当に充実したプログラムを実行していただいているなという感想です。
では、今後の期待についてです。
このようなスポーツ医科学・栄養学を活用した人材育成を実施することで、どのようなことを期待されているのかお伺いいたします。
93 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=栄養学、それから、さっきの医科学もそうですけど、食であるとか体づくり、こういったことに関するものなんです。こういう食だとか体づくりについては、近年、いろんな新しい知見が出てきているわけであります。こういった最新の知見といったものに、選手だけではなくて、特に、中高生ですから、指導者だとか保護者の方に関心を持ってもらいたいと思いますし、ぜひ身につけていただきたいと。そのことが日々の食事をちゃんと大切にしようとか、こういうふうに食べようという実践に結びつくと思っておりまして、そういったことが重要だと思って取組をしているところでございます。
特に、高校生が無理のない形で正しくアスリートとしても育ってほしいし、一人の人間としても育ってほしいなといったところをまず期待しています。
これだけじゃなくて、こうした取組を県が主導してやることで、医療関係者や栄養士さんたちも乗りやすいといいましょうか、それと、スポーツ関係者の人たちとも組みやすくなってきている、そういう空気をつくっていきたいというふうに思っています。なかなかスポーツ現場も、どなたに相談したほうがいいか分からないとか、医療関係者とも話をすると、こういうことに関心を持っているんだけど誰に伝えていいか分からないとか、いろいろありますので、そういう共通の場というか、そういうのもこういう我々の取組を通じてつくれると思っておりまして、これがきっかけとなって、より専門的な知見が深まっていく。それから、研究されている方にとっても、新しい研究分野とか活動に応用していただきたい。例えば、栄養学というのは本当に食ですから、一般的なといいましょうか、大事なので、ひいてはこれをスポーツビジネスとか、そういったことにも応用していくということは、SSP構想が目指している新しいスポーツ文化の形といいましょうか、そういったところにも広がっていくんじゃないかなということを期待しているところでございます。
以上でございます。
94 ◯野田委員=ありがとうございます。今の御答弁をお伺いしておりまして、午前中のICT現場の育成と同じように頑張っていただきたいなと本当に感じた次第です。
それでは、デジタル技術の導入についてであります。
今年度からデジタル技術を活用した人材育成にも取り組まれているとのことであります。どのような取組を行っていらっしゃるのかお伺いいたします。
95 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=デジタル技術の導入の取組内容でございます。
これもさっきの栄養学や医科学と同じで、近年、本当にいろんなメーカーさんがデジタル技術を活用したトレーニング機器を開発したりだとか、あるいは動作、人の動きですね、これを分析して、こういうことを直したほうがいいよみたいな指導できるアプリみたいなものを今どんどん開発しています。これがやっぱり効果的な練習に生かされているわけなんですけれども、県内でも一部の指導者の方でこういったことに関心をお持ちで、使われている方はいらっしゃいます。ただ、普及しているとは言い難い状況にあります。
そこで、我々はこれをさらに普及していったほうがいいんだろうと思いまして、今年度は、一つは、県立学校だとか、それから私立の高校、各競技団体から要望を聞き取りまして、このデジタル技術を活用したトレーニング機器などを学校に整備する、配置していくと。それから、競技団体がよく使う練習場とか、そういったところに配置していくというような取組をやっています。
例えば、具体的にどんなものを置くかという一例を申し上げると、普通のボードがあって、ここに二十個ぐらい穴が空いていまして、光がパタパタパタとランダムに出てきて、その光を押せば光が止まるというか、要するにモグラたたきみたいなんですけど、これで目と手の協調性というか、すぐ認識してどれだけの──まさに動体視力を鍛えるとか、こういうのもあるわけです。
それからあと、射撃ですね、クレー射撃とかライフル射撃がありますけど、射撃の銃砲のところにある機械をつけると、光のセンサーが出て、弾に当たったときにどんな軌道で当たったのか、何が原因でぶれたのかというのを見れば分かるとか、あるいはトレーニングするときのバイクですね、よくフィットネスクラブに置いているような自転車ですね、あのバイクですけども、例えば、あれも右足にどんな力がかかっているのか、左足にどんな力がかかっているのかを分析することで、ボートだとかカヌーだとか、そういった方の力の入れ具合を可視化できるようにするといったものが今出ておりまして、こういったことを導入してほしいみたいなことを今御要望としていただいていると。
それからあと、サンライズパークのボールフィールド、サッカーをやっているところですけど、あそこにポールがあって照明がありますけれども、電柱のところにAIカメラを二台ほどつけまして、そうすると、サッカーの試合を上から見ることができると。上から見ると、誰がどのときにどういうふうに動いているのかと。指導者はえてして横から見ていますから、それを上から見ることで、例えば、試合の振り返りをするときに戦術分析だとかしやすくなるようにしたいというふうに思っていまして、今鋭意作業を進めているところであります。
このほか、県内の指導者がこういったデジタル環境をもっと学んでほしいと思っていますので、デジタル機器のメーカーさんが主催しているような展示会とかがあるんです。そういったことに派遣したりだとか、実際導入して活用している大学だとか、そういったところに派遣する。それがしやすくなるように、我々のほうで旅費の支援といいましょうか、そういったことも行っているところでございます。
以上でございます。
96 ◯野田委員=デジタルの話をしますと、本当に午前中のデジタル、ICT化につなげて考えてしまったんですけども、確かに今、特にスポーツ関係、AIとの結びつきのデジタル技術が今かなりの効果を出しているということは私も調べて分かったところなんですけども、こういう状況で、すごく環境を整えてもらっています。
じゃ、特にこのデジタルに特化したところでの期待というのはどういったところにお持ちなんでしょうか。
97 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=今後の期待ですけれども、我々がこういうことを取り組もうと思った一つのきっかけになったのが、最近の若い選手だとか、それから、子供たちがそもそもデジタルネーティブ世代なもんですから、我々もいろんな指導者の人と話をするときに、最近の子供たちに納得してもらうために、言葉とか動作だけではなかなか子供たちの納得感が得られないという話もよく聞くんですよね。やっぱりデジタルで育った世代ですから、数字として見せてもらうとぱっと納得して、じゃ、ここを変えようとかと思うんですけど、もうちょっと右にとか感覚で言われるとうまく伝わらないと、そういったことも指導者の方からいろいろ聞いたこともあって、やっぱりこういうことに取り組まなきゃいかんなと思ったところです。
こうしたデジタル世代の人たちが今の自分のポジションを認識して、指導者と納得した上で自分の練習に取り組むということが一番いいことだと思っていまして、そのためにもデジタルによって可視化された情報を共有して練習を行うということが効率的な練習にもつながるし、自分で工夫してやっていこうという自発性を高めるといいましょうか、そういったことにもつながるんだろうというふうに思っています。
それとあと、やっぱり全ての指導者が経験豊富なわけではないんですね。そうすると、指導者側の経験の浅さをこのデジタルが補ってくれるということもありますので、そういった意味で、選手、指導者双方にとってもいいんじゃないかなというふうに思っています。
それから、デジタル技術の活用と指導者の学びの場というのを我々はこうやって提供しようとしていますけれども、これは全国的にも珍しいと思います。佐賀県はこういう取組をやっているんですよということを、我々は今メーカーさんのほうにも実は御紹介をしています。そうすると、メーカーさんのほうから、じゃ、今度こんなものがありますよとか、あるいはこれを佐賀県で実証実験とかできないですかねみたいな話を持ちかけてくれれば、それはまたスポーツ、文化が広がるきっかけにもなりますので、こういったことも期待しているところでございます。
以上でございます。
98 ◯野田委員=思わぬ相乗効果みたいなものが今後期待できる、あるいは佐賀県がメーカーにおけるモデル的な部分にもなるんじゃないかというような期待も今感じたところであります。どうぞこのデジタル化を推し進めていただきたいというふうに願う次第であります。
次に就職支援です。
「SAGA2024」に限らず、オリンピックなど、世界に挑戦するアスリートを雇用し、応援している企業も増えてきていると感じているところです。アスリートや指導者が佐賀に定着するように、就職支援にも取り組まれているところでありますが、その取組状況についてお伺いいたします。
まず、就職支援の内容です。
県は、どのようにアスリート等の就職支援を進めておられるのかお伺いいたします。
99 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=就職支援の内容でございます。
県では、大きく二つの取組で就職支援を進めております。
一つは、SSPアスリートジョブサポというものを開設しまして、企業と選手のマッチングをやっております。令和元年にこのSSPアスリートジョブサポを開設いたしましたが、まず、アスリート採用に前向きになってくれる県内の企業をいろいろ訪問してお願いして、開拓して、登録していただくと。そして、佐賀県で働きながらプレーしたいという選手といろんな勤務条件ですね、午前中練習で、午後は仕事をやってくれだとか、あるいはフルタイムの勤務なんだけど、大会のときは出張扱いで行くとか、そういういろんなすり合わせをした上で、マッチングを行って就職を支援する、これが一点であります。
もう一つは、佐賀県スポーツ協会から実際にアスリートを採用された企業への支援金というのを交付しております。アスリートを採用した企業というと、社員アスリートが、特に全国大会だとか、あるいは遠征するときに、やっぱり費用がかかるわけであります。それから、出張扱いで大会に出場するときに、期間が長いとどうしても仕事に穴が空いてしまう。そこに穴埋めの人件費といいましょうか、だから、パートを一人雇って、会社としてはうまく回るようにしていますとかと、いろんな工夫も多分されると思うんですね。そういった社員アスリートの支援だとか、会社の代替人件費だとか、そういったものにできるだけ柔軟に対応できるように支援金というものを交付しておりまして、企業側の負担も減らしていくと。この二つで、今、アスリートの就職支援を行っているところでございます。
以上でございます。
100 ◯野田委員=一つだけお伺いします。企業さんの反応というところはどんな状況でしょうか。
101 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=まず、雇ってくれませんかと持ちかけたときの反応というのは、えてして最初からウエルカムという話ではないというのが正直なところであります。オーナー企業ですと、やっぱりオーナーさんの理解が大事になります。オーナーさんが理解したとしても、ほかの社員さんも納得しないと、今度、アスリートを雇ったことで社内ががたがたになってはいけませんので、例えばこういう事例がありますよみたいなことをきちんと説明して、雇った企業からは、会社の一体感がかえって出てきただとか、アスリートがしっかりしていますので、社員の教育にも役立ったという御意見とかお声もいただいていますので、そういうお声もお伝えしながら開拓を進めているところでございます。
以上でございます。
102 ◯野田委員=目に見えない大変な御足労もなさっていらっしゃるんじゃないかというふうに思うところです。表面的に全てうまくいっているとは思っておりません。どうぞ引き続きそういった陰の力というところに感謝しながら、頑張っていただきたいと思います。
取組状況です。
現在、アスリートや指導者の雇用を希望する企業というのはどういう状況でしょうか、お尋ねいたします。
103 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=取組状況でございます。
今年六月時点ですから現時点になりますけれども、県内で七十一社がSSPアスリートジョブサポに御登録いただいて、アスリートの就職、採用というものに対してお考えいただいているところでございます。
以上でございます。
104 ◯野田委員=七十一社、もっとたくさんの皆さんのお力添えをいただきながら、ますます御理解ある企業が増えてくることを願います。
それでは、アスリートや指導者の就職実績についてです。
先ほどの企業さん、県の支援によりアスリートや指導者がどれくらい就職なさっているのかお伺いいたします。
105 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=就職の実績でございます。
今年三月末時点になりますけれども、先ほどの七十一社がエントリーしていただきましたが、実績といたしましては、十四社に五十二名の社会人アスリートが就職し、活動をしているところでございます。
以上でございます。
106 ◯野田委員=ということは、まだまだマッチング的な部分が合わないというふうに考えてよろしいわけですね。御担当者の方は本当に頑張っていただきたいなと思います。大変な中、本当によろしくお願い申し上げます。
アスリートを雇用した企業の反応についてお尋ねいたします。
企業の反応はいかがでしょうか、お伺いします。
107 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=実際に採用している企業の反応でございます。
まず、企業からは、もちろん会社に活躍しているアスリートがいると、佐賀新聞に「誰々(所属名)」が載りますので、会社のPRにもなったとか、それから、人と接する会社の場合、話のネタになったというような話もいろいろ聞きます。
やっぱり多く聞くのは、アスリートが仕事に対して非常に責任感が強い人が多いんだと。だから、何でも吸収しようとする姿勢で意欲的に会社の仕事にも取り組んでいただいているので、ほかの社員のいい刺激になっていると。それから、練習時間を大切にする方が多いので、練習のために自分の勤務時間できちんと帰ろうと。そうなると、ほかの人たちももうちょっと効率的に仕事ができるんじゃないかということで、今、働き方改革で時間外とか厳しくなっておりますので、会社の労務管理の方からは、実はそういった意味でもアスリートの働き方が大変参考になったんだという声もいただきました。まさにアスリートが職場にいることで、ほかの社員にとっても目に見えない形でプラスの効果が出ているというのは事実かなというふうに思っております。
以上でございます。
108 ◯野田委員=ひいきとか、あるいは妬みがなくて、いい方向に動いているということにすごく安心をしました。ぜひもっとたくさんのマッチングを望む次第です。
それでは、取組の評価についてです。
就職支援についての評価をお伺いいたします。
109 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=取組の評価でございます。
アスリートの就職支援を進めてから、今年で四年目になるわけであります。この四年で、先ほど申し上げましたように、エントリー企業が七十一社、それから、実際に十四社に五十二名の採用に至ったということは、本当にこれは県内企業の御理解の下で一定の成果を上げることができたんだろうというふうに思っております。
一方で、やっぱりここ二年間はコロナ禍で、なかなか企業とのマッチングがうまくいかなかったということも事実であります。企業訪問をするときも、今ちょっと訪問はお断りしていますとか、あるいは最初は結構乗り気だった会社さんが業績があれだと、ちょっとほかの社員の手前、やっぱり今は無理だとかいうふうになりますので、この二年間がなかなかブレーキになっているなと思っています。
あと、コロナ禍が終わったとしても、今、ウクライナ情勢で経済状況がまた少し見通せなくなっているところもありますので、民間企業への就職支援ということについては厳しいことも我々は認識しながら取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っています。
ただ一方で、この間に県内企業に就職した選手のうち、例えば、鳥栖市の今村病院の久保山晴菜選手だとか、それから、聖徳ゼロテックという会社に就職した脇屋昴さんというクレー射撃の選手ですけど、この二人は最近、全国レベルの大会で常に上位に行っておりまして、JOC──日本オリンピック委員会、ここの強化指定選手に今年選ばれています。ということは、これはパリ・オリンピックの候補ということでそれぞれの競技団体が育成していこうとなっています。
まさに佐賀の企業に働きながら世界で戦う、そして、オリンピックを目指しているという選手が生まれてきているわけで、こういった選手の活躍と、それと、その企業のサポートですね、こういったことも私どもがしっかり県民の皆さんにPRしていくことで、さらに県内企業による就職の理解が進んで、マッチングというものがもっと進んでいく、社会人アスリートを支える環境が整っていくように我々はやっていかなきゃいけないんだろうなというふうに思っております。
以上でございます。
110 ◯野田委員=県民の方にこういった内容の広報といいますか、PR、大事なことだなというふうに思いました。企業さんにとっても、やっぱり誇りになると思うんですね。ぜひ今後とも続けていただきたいと思います。
それでは、整備した施設の利活用についてお尋ねいたします。
現在、「SAGA2024」の会場地である施設のほか、鳥栖工業高校レスリング場など、世界を目指すトップアスリートを育成するための施設も整備されているところであります。「SAGA2024」後も、SSP構想の下、施設の利活用を進め、地域を活性化していくことが重要であると考えているところです。
そこで、質問です。施設の利活用に関する考え方についてであります。
これまで整備した施設については、SSP構想の下、「SAGA2024」のみならず、それぞれの競技の拠点となるような利活用が期待されているところであります。利活用に関する基本的な考え方についてお伺いいたします。
111 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=施設の利活用に関する基本的な考え方をお答え申し上げます。
「SAGA2024」を契機に整備した施設がございます。SSP構想を長期にわたって支えるハードの基盤だと思っております。大会後も当然、県内の育成の拠点として活用しますし、そこでアスリートを育てていく、まさにそういう人材育成の拠点にしていかなきゃいけないというふうに思っています。
実際これまで整備した施設の活用状況を申し上げると、例えば、サンライズパークのフェンシング場であります。佐賀商業高校を中心に、県内のフェンシングの育成拠点になっています。これは事実ですけれども、これに加えまして、日本フェンシング協会と我々は連携しておりまして、フェンシングとしては全国唯一のJOC──日本オリンピック委員会が認定した競技別強化センターに指定されております。この指定を受けたこともありまして、昨年の東京オリンピックの前には、日本代表がこのサンライズパークのフェンシング場で合宿をしたりだとか、また、それを見た子供たちがやる気になるみたいな、そういう効果も現れています。
それからまた、サンライズパークのライフル射撃場、ここも県のライフル協会と日本ライフル射撃協会が連携しまして、九州の子供たちをターゲットに、人材の発掘みたいなイベントというか、そういうものをこのライフル射撃場で行うことになっておりまして、まさにライフルの拠点になりつつあると。
それから、今年三月には伊万里実業高校のホッケーフィールドがオープンしたわけでありますけれども、ここも伊万里実業高校をはじめとする県内の育成拠点になっているのは当然ですけれども、来月には日本ホッケー協会さんの主催で、ここでまさに人材の発掘をイメージしたホッケー教室の開催というのも予定されておりまして、まさに普及の場、発掘の場としても活用されております。
このように、これまで整備した施設につきましては、中央競技団体でありますとか県の競技団体などと連携いたしまして、人材育成、あるいは競技そのものの普及の拠点、こういった形で利活用を進めておるところでございまして、今後とも、これまで整備した施設につきましては利活用を進めてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
112 ◯野田委員=テレビで見るのと自分の近くでこういったことがあっているというのを見るのとでは、本当に全然違うと思うんですね。例えば、クレー射撃とかお話がありました。実際に私は猟銃を撃つんですけれども、射撃研修センターのほうでクレーを撃ち始めると、ある意味、すごく面白くてのめり込んでしまうので、逆にあまり行かないようにしているんですけども、それほど、やっぱり身近にあって自分が携わってみるとのめり込むという環境が今ここにまさにあるというふうに思っています。
そういったことで、どんどんと裾野を広げながらも、携わる人たちが増えていくことによって活性化していくといったところに期待をするところです。
二番目、多久高校クライミング施設についてであります。
多久高校クライミング施設の利活用についてお尋ねいたします。
まず、日本山岳・スポーツクライミング協会との連携協定についてであります。
県では、令和三年七月に日本山岳・スポーツクライミング協会と連携協定を締結されたとのことでありますが、この内容についてお伺いいたします。
113 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=日本山岳・スポーツクライミング協会との連携でございます。
先方の協会さんとは大きく四点について連携事項としております。一つは、選手の発掘、育成、強化に関すること、二つ目が、多久高校のクライミング施設の利活用に関すること、三つ目が、選手のキャリアサポートに関すること、四つ目が、生涯スポーツ、これは一生楽しめるという意味の生涯スポーツのほうでございますけど、生涯スポーツの振興に関すること、こういった四項目を主な連携事項といたしまして、昨年七月に連携協定を締結したところでございます。
以上でございます。
114 ◯野田委員=じゃ、その連携協定に基づく取組についてであります。
どのような取組を行っておられるのか詳しくお伺いいたします。
115 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=連携協定に基づく取組についてお答え申し上げます。
これまででございますけれども、今議会に予算をお願いしております多久高校に新設するスポーツクライミング施設、この整備に関していろいろ御助言をいただいたところでございます。
それから、今年四月には、この競技の普及をメインに、それから、やっておる選手の競技力向上を目指しまして、この日本山岳・スポーツクライミング協会の主催で、久光製薬さんに協賛をいただきまして、一日でありますけれども、トレーニングキャンプといったものを多久高校で開催いたしました。
このときは、昨年の東京オリンピックのクライミングで銅メダルを取られた野口啓代さん、今、一旦引退されて、プロフリークライマーという形になっているんですけれども、この方にも来ていただいたということと、それから、本県のSSPトップアスリートの樋口純裕選手、SSPライジングアスリートの樋口結花選手、この三名をゲストに迎えまして、九州各地の主に小中高生が中心だったんですけれども、約五十名がクライミングの楽しさというものをそれぞれ体験していただいたところでございます。
133 ◯田中委員=ありがとうございます。
市町には二百六十カ所を超えるほどの公園があるということで、まさに今言われたように、市町で公園をしっかり維持管理していくというのは、市民から直接、本当に小さな遊具に関しても、あれが欲しい、これが欲しいと。そして、少し壊れると、またそれを修繕してほしいと。そのニーズに市町の職員さんたちはしっかりと応えられていますけども、先ほど言われました大型の都市公園規模の運動公園、遊具施設が併設したような公園に関しては、かなり財源が必要になってまいります。
そういったことに対して、市町から県のほうに御相談等がある場合に、佐賀県は今どのような体制でその支援に取り組んでいただいているのかお伺いをしたいと思います。
134 ◯天本まちづくり課長=市町の事業に対する県の支援についてお答えいたします。
先ほど申し上げましたように、市町が管理する公園は数が多くございまして、公園施設も遊具やベンチ、野球場や文化施設など幅広く、施設数も多くございます。このため、市町の管理する公園の課題も、遊具やベンチの更新といったところから、開設区域の拡大や再整備まで様々なものがございます。
県としましては、これまで市町に対しまして、公園の利用促進や適切な維持管理が行えるように、交付金や地方債の活用、近年、事例が増えてきております公募設置管理許可、いわゆる「Park-PFI」を含みます民間活力の導入、災害復旧事業における工法の選定など、市町の課題に応じた制度の周知や技術的な支援を行っているところでございます。
具体的には、鳥栖市の朝日山公園では、豪雨の際の排水処理が課題となっておりまして、その課題を解消するための整備に対しまして、交付金の事業メニューを紹介するといった事業の活用に関する助言を行ったところでございます。また、さきの豪雨で大町町の「ボタ山わんぱく公園」で大規模な公園災害が起きまして、その災害に対しましては、災害査定に向けた資料の作成ですとか、工事発注後も工程会議へ参加しまして、進捗に関する助言を行うといいました人的、技術的な支援を行ってきたところでございます。
市町の都市公園は施設規模や課題も幅広く、様々なものがございます。それぞれの地域の魅力を引き出しまして、そこを訪れる人たちに思い思いに楽しんでいただけるような公園となるように、今後も都市公園の整備、管理について市町をしっかりと支援していきたいと考えております。
以上でございます。
135 ◯田中委員=ありがとうございます。今、るる御説明がありました。市町においては、そういう中で、やはり都市公園をはじめとした身近な公園をしっかりと整備していくために努力している中で、ぜひとも市から御相談があったときには丁寧な説明と御支援の協力をしていただきたいなと思っております。
また、都市公園法の改正によって、民間の力をいただいて運営をしていいという法改正がなされてから、様々取り組んではみるものの、先ほど野田委員さんのお話にもありましたように、やはり市町の職員さんのスキルでそれに挑んでいくというのは、大変ハードルが大きいところもあるんですよね。まさにこの三つの都市公園をもって今やられている、そのノウハウをしっかりと市町に下ろしていただいて、その中からすばらしい公園の運営についてアドバイスがいただけるような、そして、市町の市民、町民がその町に生まれ住んでよかったというサービスが受けられるような公園をつくり出すためにお力をいただければと思っておりますので、その点についてお願いをして、次の項目に移らせていただきます。
二問目の国道二〇四号唐房バイパスの整備についてお伺いをいたします。
唐津・玄海エリアにおいて、一般国道二〇四号は、唐津市を起点に、東松浦半島の玄界灘沿岸を周回し、長崎県佐世保市に至る幹線道路であり、沿線の玄海国定公園や名護屋城跡などの自然景観や歴史的文化遺産、呼子の朝市など、観光資源が多い地域をつなぐ重要な道路であります。
しかしながら、唐津市唐房地区を通る現在の道路は、民家が連なっていて見通しが悪く、道路幅も狭い上に歩道もない道路で、通学時間帯や夜間の歩行などにおいて特に安全が確保できない危険な国道であります。
また、唐房入口交差点付近は朝夕の通勤時間帯や週末を中心に慢性的な渋滞が発生している状態で、市民だけではなく、観光客の利便性に支障を来しているのは皆さん御承知のとおりです。
このような中に、現在、県において唐房バイパスの整備が進められ、昨年十二月にバイパス区間にある唐房トンネルが無事に貫通し、唐房バイパスの全線開通に対する期待が大いに高まったところであります。
そこで、次の点についてお伺いをいたします。
現在の進捗状況についてお伺いいたします。
唐房バイパス整備の現在の進捗状況はどのようになっているのか、まずはお尋ねいたします。
136 ◯桑原道路課長=国道二〇四号唐房バイパスの現在の進捗状況についてお答えいたします。
一般国道二〇四号の唐房入口から鳩川間の現道は、先ほど委員からのお話もありましたように、線形不良や幅員狭小でありまして、歩道もなく、非常に危険な状況となっております。このため、住宅密集区間を避け、旧国鉄呼子線の跡地を利用する延長二・〇キロメートルの唐房バイパスの整備を進めておりまして、区間内には唐房トンネルの約四百八十七メートルを含んでございます。
これまで用地買収及びトンネル前後の橋梁や盛土などの工事を進め、令和二年度からは唐房トンネルの工事に着手し、昨年十二月にトンネルが貫通した後は、トンネル本体の覆工コンクリートやトンネル坑口の工事を進めてきております。
現在、パイパス終点側、鳩川地区になりますけども、道路の改良工事とのり面工事を実施するとともに、残りの用地買収を進めているところでございます。
今後は、唐房トンネル内の照明、非常用設備、舗装の工事やバイパス起終点部の交差点改良工事等を行い、パイパス全線の工事を完成させる予定となってございます。
以上でございます。
137 ◯田中委員=鳩川までの開通がまずは念願なんですけれども、今言われたように、唐房トンネルが貫通したというのは、今、機運が大変高まってきているところでございます。
そこで、この唐房トンネルの工事についてお伺いをしたいと思います。
唐房トンネルは、旧国鉄呼子線の既設トンネルを活用して拡幅するという全国的にもまれな工事であったと聞いております。工事関係者の貫通までの御努力に敬意を表しますし、安全に工事を進めるに当たっては、様々な検討を行いながら取り組まれてきたのではないかと推測しております。
そこで、当初設計の考え方について、まずは伺います。
今議会において唐房トンネル工事の請負契約の変更に関する議案が提出されていますが、トンネルの本体工事及び掘削時の安全対策について、当初設計の考え方はどのようになっていたのか確認をいたします。
138 ◯桑原道路課長=唐房トンネルの当初設計の考え方についてお答えいたします。
まず、トンネル本体工についてですが、トンネル本体工につきましては、山岳トンネルで一般的に用いられますNATM工法を採用しております。NATM工法は、トンネルを掘削した部分にコンクリートを吹きつけ、ロックボルト──これは岩盤とコンクリートを一体化する鋼棒になりますけども、このロックボルトを周辺地山に打ち込み、トンネルの安定化を図りながら施工する工法となってございます。
次に、掘削時の安全対策についてでございますけれども、当初の設計段階におきましては、事前の地質調査や既にトンネルを一度掘ってありました既往施工時の文献調査等を行い、可能な限りの地山状況の把握に努め、設計を行っているところでございます。
掘削に当たりましては、事前の地質調査等により地山が軟弱であると想定されたことから、特に、坑口付近や断層などの土圧の変化が予想される箇所、土かぶりが薄い箇所などにおいては、施工時の安全を確保するため、追加のロックボルトによる補強を行うこととしていたところでございます。
以上でございます。
139 ◯田中委員=正直、トンネル工法は難しいので、今どこまで僕が理解できたかなというふうな感じで聞いていたんですけれども、そのような中で当初予算が組まれていて、そして、地山の地質の状態、強度が多分相当弱かったんじゃないかなということで、今回、工法を変更して、この設計変更に至ったのかなと思っております。
ではまず、その設計変更の内容について確認をさせてください。
140 ◯桑原道路課長=唐房トンネルの設計変更の内容についてお答えいたします。
今回の設計変更については、トンネルの掘削を行ったところ、想定されない地山の緩みが確認されたことから、安全に工事を進めるために必要な補助工法の追加、見直しが生じたものとなっております。
具体的には、トンネルを掘り進める前の地山の補強において、掘削面の上部から小規模な崩落が発生することから、当初計画していたロックボルトに加えて、薬液注入を追加し、地山を一体化して補強しております。
また、トンネル掘削後に地山の動きを観測した結果、沈下や変位が大きく、これを防止するために掘削側面への──径が百十四ミリありますけれども──鋼管圧入と薬液注入を追加し、地山との一体化を図っております。
以上でございます。
141 ◯田中委員=私どもにこの議案が出されているというのは、私どもがこれをしっかり議論して結論を出さなきゃいけないという観点からも質問をさせていただいているんですけれども、当初の設計において考えていた地山と、そして、トンネルを掘削し出して、もう掘削する前から崩落していると。それに対して薬液の注入を増やす。そして、ロックボルトを追加する。それと、鉄板ですかね、何か補強するというような今のお話だったんですけれども、そういったものを私どもが判断するということの過程として、どういった協議を経てこの工法変更の検討に至ったのか。その過程を知ることによって、この工法、また、この金額の妥当性というのを知ることになるかなと思いますので、その点について、今回の契約額が大きくなっているこの工法変更の必要性や妥当性について、どのような検討の下にこれが実施されていったのか確認をさせていただきたいと思います。
142 ◯桑原道路課長=工法変更の検討経緯についてお答えいたします。
実際にトンネルの掘削を進めるに当たりましては、現場での地山区分の判定が重要となってまいります。このため、切り羽と呼ばれるトンネル掘削の最前面に関しまして、現場における目視確認を行った上で、さらに変位観測などの結果から地山の評価を行い、必要に応じて設計を見直し、安全で適切な工法の選定を行うこととしております。
トンネル掘削工事におきましては、通常、切羽判定委員会を設置し、切り羽に関しての評価を行っております。今回の唐房トンネルにおきましても、学識経験者をはじめ、発注者、施工者、設計者の計六名により構成される「唐房トンネル切羽判定委員会」を設置し、様々な視点から工法の検討を行っております。
委員会はトンネル掘削の進度、進み具合や、地山区分の変化などに応じて計十一回開催しております。多いときは月三回開催をしてございます。工法変更の要因となった地山の緩みについても、この委員会で確認をしているところでございます。
委員会におきましては、地山の状況を踏まえた上で、トンネル掘削の安全確保のために、施工性、経済性を考慮しながら当現場に最適と判断される工法を選定し、その後、発注者である県において変更工法の決定を行っているところでございます。
以上でございます。
143 ◯田中委員=ありがとうございます。切羽判定委員会というのを立ち上げられて、その中で専門家、学識経験者を入れられて、工事の進捗ごとにその切り羽での状況を見ながら判断をしていくと。そして、十一回の開催で、多いときには月三回の会議を開いて、ひずみ等を計測しながら、この施工方法が正しいのか、その確認をしながら行ったと。要は受注側の判断じゃなく、この工法変更に至っては県が責任を持って取り組んだという御答弁だったというふうに理解をさせていただきます。
るる言っておりますけども、専門性の高いトンネル工法ですので、私どもにそれの判断を委ねられても、私は自分の頭では判断できませんけれども、今言っていただいたように、薬剤注入の追加とか、鋼管圧入工法というんですかね、そういったものを変更した過程には、一つ一つ専門家から意見を聞いて工事に着手したということについては理解をしますし、当初予算額に対し七億九千万円の増加と、そして、率にして三五・二%ぐらいになるんですかね、この請負金額の変更は最初はなぜかなというふうに思ったんですけれども、今御説明を聞かせていただいて、その点については理解をさせていただきました。
では次に、周辺家屋等への影響についてお伺いをします。
当初、この工法を計画なされた中に、やはり地質状況を考慮しながら、トンネル周辺の家屋への影響が出るんじゃないかというのは懸念はされていたと思います。それからまた、こういう工法の変更等があって、本当に影響が出なければいいなというふうには思っていたんですけれども、その点についてどのように対応し、どういう状況になっているのか確認をさせてください。
144 ◯桑原道路課長=周辺家屋等への影響についてお答えいたします。
トンネル工事の施工に当たっては、周辺家屋等への影響が出ないように、振動対策などを実施した上で、慎重に工事を進めているところでございます。
工事の施工に当たりましては、周辺家屋等へ影響が生じた場合の対応としまして、着工前にあらかじめ所有者の方に個別に説明した上で、事前の家屋調査を実施しております。工事が完了した段階で事後の家屋調査を行い、丁寧な対応をしていくこととしております。
以上でございます。
145 ◯田中委員=まずは工事の段階で振動等が出ないように考慮して工事を行ったというのが前提の中で、やはり事前に家屋調査を行って、その事前の調査と工事後の比較ができるような調査を行っているということで、それによって判断ができるという御答弁だったと思います。
現段階では全然影響は出ていないんですよね。すみません、よろしくお願いします。
146 ◯桑原道路課長=今、あそこのトンネルの坑口付近に一件お寺さんがありますけども、そこのところに影響が出ていると。簡単な影響ですけども──簡単な影響といいますか、影響が出ているという話を聞いております。
147 ◯田中委員=じゃ、丁寧に地権者の方に対応をしていただきながら、まだまだ工事はこれから進んでいきますので、その辺の対応をよろしくお願いしますし、また、工事完了まで気を緩めずに、しっかりとした安全管理の下に工事を進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、整備効果についてお伺いをいたします。
最初に言いましたが、この一般国道二〇四号の道路に対する期待は大きなものであります。そのネックとなっていた唐房バイパス整備により、この道路の課題解決等、どのような効果が期待されるのかお伺いをいたします。
148 ◯桑原道路課長=整備効果についてお答えいたします。
唐房バイパスが開通すれば、現道を通過していた車両がバイパス側へと転換し、現道交通の安全が確保され、通学児童など、歩行者等の安全性も向上すると考えておりまして、また、唐房入口交差点の渋滞が緩和されることによりまして、定時性の確保につながるとともに、災害時の緊急輸送路としての機能の向上が期待されております。
さらに、観光面や産業面などでのストック効果も考えられます。とりわけ唐津・玄海エリアは、玄界灘に囲まれ、エリア内の地域それぞれに自然、歴史、文化が育んだ個性豊かで魅力的な地域資源があふれている地域となってございます。
県内外から唐津・玄海エリアへ訪れる方々が唐房バイパスを利用することで、より安全に、より快適に目的地に行くことが可能となるため、個性豊かで魅力的な地域資源の結びつきがさらに強まることが期待され、人、物、地域の交流促進が図られるものと考えております。
現在、令和四年度の開通を目標に工事を進めております。この唐房バイパスの整備が唐津・玄海エリアの大きな飛躍につながるよう、しっかり取り組んでまいります。
以上でございます。
149 ◯田中委員=この道路の課題解決に向けた、まずはそれの効果が現れてくると。そして、物流面、災害面等に期す道路になっていくというところまでは予測していたんですけれども、観光面に対してのストック効果まで御答弁をいただきました。まさに私が期待しているのは、このトンネルが開通することによってどのような効果が出るか。それはやはり唐津としては観光面に活用するしかないだろうなということをるる思っております。多額な費用はかかっておりますけども、この道路の効果は大きいものだと思っております。
山口知事も、この道路は福岡市西区から糸島半島周遊道路に負けない道路にしたいというような発言も折々言われています。答弁にありましたように、令和四年度末をめどに、これは目標だと思いますけども、唐房バイパス区間の整備が完了していくと、まさに国道二〇四号の港、呼子に関するルートはすばらしいものになりますけども、県土整備部長、その後もまだこの道路は未整備区間がありますので、しっかり整備をやっていただきながら進めていただきたいというのはお願いしたいんですけれども、その整備後は、これは文化・観光局長、文化・観光局の出番になってくるんですよね。道路沿いにある観光名勝の立神岩、そして、七ツ釜、玄海みなとん里での農産物や魚介類の販売など、このルート沿線をしっかり磨き上げて、呼子への周遊ルート、ひいては伊万里、佐世保まで観光戦略をしっかりと地元と一丸となって取り組んでいただきたいということは今日はお願いにしておきますので、御検討と御協力をよろしくお願いします。
それにあわせて、県内外から人を呼び込む施策の中で、これは一つ課題として今日お話しさせていただきたいのが、有料道路の料金所での渋滞の課題があるということを少しお話しさせていただきたいなと思っています。
料金所でETCがあるところはいいのですけども、例えば、多久料金所で渋滞が発生する、そのトラブルは何かというと、軽自動車の白ナンバーが普通車料金とのトラブルが起きて、そこで、これは違うよ、軽車両よということで、普通乗用車の料金を取られる方とのそういったものがあって渋滞になっているというケースがあっております。これはETCがない料金所は佐賀県内はまだ何カ所かあると思うんですけども、このことについても、今日は問題提起として投げかけておきますので、担当課として、まずはしっかりとその現状を把握していただいて、課題の原因を追求していただきたいと思いますので、その点についてはよろしくお願いいたします。
では、次に移らせていただきます。問三の唐津・玄海エリアの地域振興についてお伺いをいたします。
ジャック・マイヨールが愛した唐津の美しい海をはじめ、山、川の豊かな自然を生かして地域振興に生かすことは唐津市にとって大変重要であります。今、全国的なコロナ禍で、キャンプなどアウトドアが注目を浴びる中、アクティビティーを契機に地域振興を目指す取組は時宜を得ていると私は思っております。
このような中、今議会に唐津・玄海エリアのアウトドアアクティビティを推進し、地域振興につなげていくという予算が提案されています。一般質問でも答弁がなされていましたが、この事業によると、「唐津ビーチパーク」を唐津港のヨットハーバー周辺に整備するとのことでありますが、同じ唐津港においては、フェリーターミナル周辺の東港地区にも、誰もが集い楽しむことができる交流拠点として芝生広場の整備が計画されています。
私は本来はこの東港周辺とヨットハーバー周辺エリアは、距離は少し離れていますけども、このエリアは一体化での整備を考えていただきたいという思いがありまして、その間に民間の所有地がありますので、なかなか難しいとは理解しております。しかし、将来的には一体化で交流ゾーンが実現することを期待しているところであります。
そこで、唐津港東港地区の芝生広場の整備とヨットハーバーを核としたアウトドアアクティビティについてお伺いをいたします。
まず一項目めに、唐津港東港地区の芝生広場の整備についてお伺いをいたします。
東港地区の芝生広場の整備については、これは「唐津プロジェクト」の一環として取り組まれており、ぜひとも成功させていただきたいとは考えておりますが、唐津港においてどのような位置づけで芝生広場の整備を行うのかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
150 ◯中西港湾課長=芝生広場の位置づけについてお答えいたします。
唐津港は、物流、水産、観光という多様な機能により地域に貢献している複合港であり、港の空間利用は大きく分けて四つございます。水産埠頭及び妙見地区における物流生産の中心拠点であります物流・生産ゾーン、大島地区における唐津港の景観を実感できる展望ゾーン、東の浜から西の浜にかけてのマリンスポーツの拠点となりますマリンアクティビティゾーン、東港地区は壱岐フェリーターミナルやクルーズ船の入港により、来訪者が集い、交流をする場としての役割を持つ交流ゾーンとなっております。
本事業は、この交流ゾーンとして、快適で魅力のある芝生広場を整備するものであるとともに、魅力あふれる地域資源を掘り起こし、磨き上げていく「唐津プロジェクト」としても位置づけております。
唐津・玄海エリアの玄関口の一つとして、このエリアの地域振興につながることを目指し、整備を行うものです。
以上です。
151 ◯田中委員=唐津港は複合港として三つのゾーニング、その中で、今回、芝生を整備する広場は交流ゾーンとして整備をなされていくということで、「唐津プロジェクト」の取組の中であるということですよね。
「唐津プロジェクト」の二十二の項目の中で、このエリアの整備と今後また議論するアウトドアアクティビティの拠点となるヨットハーバーとの整合性について確認していきたいとは思っているんですけども、まずはこの芝生広場の整備について確認をしていきたいと思います。
整備の概要についてお伺いをします。
東港地区の芝生広場の整備については、これからどのような整備が行われるのか。グラウンドゴルフ利用者や地域まちづくり団体主催のイベント参加者などから少し不安の声が聞かれていますが、整備の概要はどのようになっているのかお伺いします。
152 ◯中西港湾課長=整備の概要についてお答えいたします。
国の唐津港湾合同庁舎の移転に伴い、未利用となっております跡地、現在は県有地となっておりますけれども、この場所をフェリーターミナル周辺の芝生広場と一体となるよう拡張いたしまして、交流ゾーンのメイン施設として魅力向上を図る計画であります。
子供たちが自然と集まってくるような小さな丘を設けたり、広い芝生の広場とするなど、憩い、集う場を創出する視点で具体的な配置計画を今後早々に詰めていく予定にしております。
芝生広場の利用者の声として、駐車スペースについても声がありまして、現在の利用状況を確認した上で、周辺の用地も含めて検討していくこととしております。
以上、お答えいたします。
153 ◯田中委員=ありがとうございます。今現在活用されている様々な団体と協議をしていただきまして、やっぱり整備してもらってよかったなと、そういうふうに言っていただけるような整備を進めていただきたいと私も思っております。
そういった意味で、今後、どのようなスケジュールで整備がなされていくのか確認いたします。
154 ◯中西港湾課長=整備のスケジュールについてお答えいたします。
本事業は、令和四年から令和五年の二カ年間で整備をする予定となっております。
今年度は、活用策の検討や具体的な配置検討を早々に行い、その後、芝生広場の造成やレンガ舗装プロムナードなどの工事に一部着手する予定となっております。
来年度は、既存広場と一体化させるための水路の暗渠化や張り芝、照明工事などを行い、芝生広場を完成させる予定であります。
以上、お答えします。
155 ◯田中委員=ありがとうございます。
そうなれば、先ほど言いましたように、民間のところまでは、フェリー乗り場からそこまでは一体化した芝生の整備が完了すると思っております。そうなると、その空間に訪れる来訪者などが集うにぎわいの空間となっていくわけですけども、その利活用を県としてどのように考えられているのかお伺いをいたします。
156 ◯中西港湾課長=今後の利活用についてお答えいたします。
先行して整備をいたしましたフェリーターミナル周辺のエリアでは、これまでも県民の憩いの場として、また、様々なイベントや地域レクリエーションの場として活用されてまいりました。今回の拡張工事により、一つながりの広々とした芝生広場が確保されることになり、利活用の幅も広がるものと考えております。
県による広場の整備例といたしましては、県庁北側の「くすかぜ広場」がありまして、歩く楽しさを感じられる拠点として、ARKS(アルクス)という愛称で今年五月に新しくオープンいたしました。ARKS(アルクス)には県民の皆様にマルシェやイベントなどで活用いただける芝生を設けており、県民の皆様が思い思いの形で利用し、それに合わせて進化していく広場となっております。
東港地区の芝生広場についても、ARKS(アルクス)のように歩くライフスタイルの推進の観点や、県民の思い思いの形で憩い、集う進化型の広場とする視点も踏まえまして、地元の方々の意見を聞きながら検討を行っているところでございます。
唐津・玄海エリアの玄関口といたしまして、持続可能な振興につながるよう、しっかりと取り組んでまいります。
以上、お答えいたします。
157 ◯田中委員=やはり佐賀県、そして、唐津市において今後の大きな課題である中に、佐賀県さんがこうやって光を当てていただいて、今、整備等をやっていただいている、本当にありがたいことだなと思っております。
今、活用方法の中で、先行事例としてARKS(アルクス)ですかね、その説明をなされましたけども、このコロナ禍の中で、港の一大行事だったイベントも今開催が難しいというようなことになってきています。もちろん民間をどうやって盛り上げさせるかというのは、やはりそこを整備して、そして、そこに火をつけていただく県の誘導も必要かと思いますので、ぜひともそのような考えの中で、いい知恵を出していただきながら、活用策を検討していただければありがたいなと思っております。
それでは、二つ目のアウトドアアクティビティについてお伺いをいたします。
まずは事業内容についてお伺いいたします。
158 ◯真坂SAGA2024・SSP推進局副局長=アウトドアアクティビティ事業の事業内容についてお答えいたします。
冒頭、委員から御紹介がありましたけれども、唐津・玄海エリアには、虹の松原をはじめまして、豊富な地域資源がございます。現在、この地域では、SUPをはじめとしまして、シーカヤックなど、様々なアクティビティーが提供されているところでございます。これらはいずれも魅力的なものでございます。ですが、それぞれ点として存在しております。このため、唐津・玄海エリア全体を「唐津マリンアクティビティパーク」と称しまして、その頭文字を取ってKMAP──ケイマップと呼ぶことにして、地域全体を面としてプロモーションを行い、エリア全体の魅力アップにつなげることといたしたところでございます。
今回の事業におきましては、エリア全体のKMAPのハブとなります拠点をヨットハーバー周辺に「唐津ビーチパーク」として整備することといたしました。その中で、西の浜などヨットハーバー周辺におきまして、これまでアクティビティーに触れたことのない初心者でも気軽に体験できるSUPやシーカヤック、ビーチヨガ、こういったものなどを手軽に提供しまして、幅広い層の人々にこれらのアクティビティーに関心を持つ機会をつくりますとともに、ヨットハーバーでは、エリア全体のアクティビティーの案内やカフェや飲食の提供、それから、インストラクター・ガイドが集う拠点とするほか、屋外では、海産物、農産物など唐津、玄海の特産物によるマルシェやイベントの開催を考えているところでございます。
このため今年度は、ヨットハーバー、西の浜ビーチ、そして、ヨットハーバーと西の浜ビーチをつなぐ道路の設計、測量、調査を行うこととしておりまして、あわせまして、アクティビティーの魅力を発信するため、体験会などを予定しているところでございます。
このハブ拠点でございますが、「唐津ビーチパーク」、これがエリア全体のビジターセンターの機能を担いまして、点在する様々なアクティビティーを紹介し、多くの人に体験してもらうということにしているところでございます。
以上でございます。
159 ◯田中委員=マリンアクティビティパークという位置づけの中で、地域全体を面として捉えて整備を進めていくと。それがKMAPという考え方の中で、様々な事業展開をしていくということですけども、じゃ、なぜヨットハーバー周辺エリアを選定したのか、それについて理由をお聞かせください。
160 ◯真坂SAGA2024・SSP推進局副局長=なぜ「唐津ビーチパーク」ということで、今回、ヨットハーバー周辺エリアを選定したのかということについてお答えいたします。
唐津港周辺エリアといいますか、西の浜エリアにつきましては、先ほど港湾課長からも答弁しましたけれども、唐津港港湾計画におきまして、この西の浜エリアにつきまして、マリンスポーツ、マリンレジャーのゾーン、いわゆるマリンアクティビティゾーンということに位置づけられております。また、令和二年度から唐津・玄海エリアの自然や歴史などの地域資源を掘り起こし、磨き上げていく「唐津プロジェクト」がスタートしております。本事業におきましては、こうした計画だったり取組の趣旨を踏まえて事業を進めているところでございます。
本事業におきましては、唐津・玄海エリア全体のにぎわいづくり、エリア全体の活性化を目的としているところでございまして、アクティビティーの体験を含め、エリアに点在するアクティビティーを紹介するためのハブ拠点を整備するものでございます。
また、西の浜エリアにございます県有施設のヨットハーバー、これにつきましては、中心市街地に近うございます。そして、シャワー、更衣室、多目的トイレなどの設備を有しておりまして、加えまして、ヨット、シーカヤックなどのマリンスポーツの提供も行っておりますことから、いつでも誰でも気軽に立ち寄り憩う場所、それから、海が持つ様々な魅力を提供する拠点として、令和二年九月から「海の駅」にも認定されておりまして、ビジターセンターとしての機能も有しているところでございます。
こうしたことを踏まえまして、ヨットハーバー、それから、その周辺エリアを唐津・玄海エリア全体のハブ拠点としまして、「唐津ビーチパーク」として整備することといたしたところでございます。
以上でございます。
161 ◯田中委員=港湾の位置づけとして、マリンアクティビティゾーンという中でまず指定されていたと。そして、そこをパーク化して、全体、唐津・玄海エリアの面として捉えていく、そのハブ拠点をヨットハーバーに置くという構想になっているということですよね。
今言う西の浜エリアでのマリンアクティビティでやられているSUP、ヨガ、そういった関係は分かるんですけれども、じゃ浜崎海岸、そして呼子の殿ノ浦の海岸等、この前から人気が出ている波戸岬のエリア、そういったところまでをこのマリンアクティビティゾーンとした中で、どうやってこのハブ拠点から発信させるというそのやり方、構想というのを今後しっかりと打って出なければ、その大きな考え方の構想が何か小さく小さくなっていくような気もしております。どうかその点をしっかりと留意しながら、この事業の展開をしていただきたいということを申しておきます。
あわせて、このスケジュールがどのようになっているのかお伺いします。
162 ◯真坂SAGA2024・SSP推進局副局長=今後のスケジュールについてお答えいたします。
今年度におきましては、「唐津ビーチパーク」の調査、測量、設計を行う予算をお願いしております。来年度はこのヨットハーバーの改修などのハード整備を進めることとしております。
あわせまして、今年度、来年度の二年間で唐津・玄海エリアのアクティビティーの魅力を発信するための体験会でありますとか、SNSでの情報発信、それから、運営体制や安全対策など、ソフト面の準備を進めまして、令和六年度の運用を予定しているところでございます。
以上でございます。
163 ◯田中委員=ありがとうございます。すみません、そうですね、体験会等をしっかりやっていただくことによって、まずは海のファン、そして、その方々がどこに行ったらそういうアクティビティーが体験できるかと、そういったものがしっかり情報発信できるように組み立てていただきたいなと思っています。
それで、やはりこれらを成功させるというのは、県の取組の考え方と地元との考え方がマッチしていかなければいけないと思います。唐津市でもこの地域の周遊観光に力を入れようとして今動いておられますし、また、唐津里浜づくり推進協議会をはじめ、海の団体の皆さん方もおられます。この「唐津ビーチパーク」整備エリアを、ヨットハーバーを拠点として、今後、県の構想に基づいて動くとなれば、やはり唐津市をはじめ、市民、団体との連携と協力が必要となってきますけれども、この点についての進め方についてお聞かせください。
164 ◯真坂SAGA2024・SSP推進局副局長=地元との連携についてお答えいたします。
唐津・玄海エリアには、先ほどから申し上げますとおり、マリンアクティビティのほか、委員からありました陸地を活用したサイクリング、キャンプ、オルレなど、多様なアウトドアアクティビティがございます。先ほど御答弁いたしましたとおり、それぞれ点として存在している様々なアクティビティーを面としてプロモーションを行いまして紹介していくということにつきましては、やはり唐津市とか玄海町、それから関係団体、アクティビティー事業者などとの連携は必要不可欠なものと認識しております。そういうことで、これまでも随時意見交換をさせていただいているところでございます。
先ほどサイクリングといったお話もございましたけれども、唐津・玄海エリアには海、山、川、歴史などを巡る多様なサイクリングコースも考えられますことから、多くの方に楽しんでいただけるアクティビティーの一つだと思っております。今年三月にヨットハーバーを主会場としまして、オープンエアのイベントを開催いたしました。オープンエアフェスという名前でございます。この中で、様々なアクティビティーをさせていただいております。その中でもサイクリングコースということで設けたりして、一般参加者を募ったところ、全てが即定員に達するような形になったということで、ニーズの高さを実感したところでございます。
県におきましては、今後、様々なアクティビティーをより多くの方に楽しんでいただきますよう、唐津市、玄海町、関係団体、アクティビティーを実施する民間事業者など、地域の皆様としっかり協力し、密に連携を図りながら事業に取り組んでまいります。
以上でございます。
165 ◯田中委員=佐賀県さんが進めようとされているサイクルツーリズムがあると思うんですよね。そして、各市町においても、今そのブームに乗っかって、そういう計画をやろうじゃないかという声も上がっているんですけども、このマリンアクティビティの拠点にそのサイクルツーリズム的な機能も持たせることによって、このKMAPエリア全体の振興にもつながっていくというふうに思っているんですが、県のサイクルツーリズムという事業がどういった形で展開なされていくのかというのが僕もあまり見えていなくて、ルート設定はされているんですけども、そのルート設定と、市町と、そして、今回のこのような事業、次の「はじまりの名護屋城。」も一緒なんですけども、さっきの歩いて行動させるという中に、やはり距離感とかもありますので、そこに一歩、地域に行けば、このサイクルツーリズムというような観点でこれを展開させていくというのは大きな構想のまた飛躍になるかなと思っていますので、そういったことも踏まえて、最後に目指すべき姿についてお伺いをしたいなと思っております。
事業を整備していただくというところまでは県のほうで今取り組んでいただいていますけども、これはやはり最終的には、この唐津・玄海エリアに人が訪れると。そして、そこを愛していただくと。そして、リピーターになっていただき、また来ていただくと。このような仕掛けづくりというのが大切になってくると思っているんですよ。どちらかというと、ハード整備というのは得意ですので、皆さんやってはいただくんですけども、そこをどうやって仕掛けをして、その地域の人に一緒になって交わってこの事業に参画していただくかと、それが最終的にアウトドアアクティビティの目指す姿だと私は思っています。
そういった意味で、今後の展開について、SAGA2024・SSP推進局長にその考え方、また、今後の方向性について答弁を求めたいと思います。
166 ◯宮原SAGA2024・SSP推進局長=今後のKMAPエリアの目指す姿についてお答え申し上げます。
先ほど真坂副局長のほうから答弁申し上げましたように、今回の事業におきましては、「唐津ビーチパーク」そのもののにぎわいも重要ですけれども、そこを拠点として、そこに来たお客様が、そこからいかに玄海地区とか呼子のほうに行っていただくか、これが重要な鍵になってまいります。委員が言われるとおり、一度来ただけじゃなくて、むしろ一回来た人が、楽しいなということで何度でも来ていただく、そういうことが私も望みでありますし、強くそこを念頭に置いて考えているところでございます。
まずは入り口の「唐津ビーチパーク」の魅力そのもの、これが重要な要素になります。それと、そこに行って気軽に楽しむのもそうなんですけども、唐津・玄海エリア全体でどういうものがあるのかな、みたいな人がヨットハーバーに行けば、そのヨットハーバーのビジターセンターで、ああ、あそこの呼子に今から行けばこれがありますよというようなものを紹介して、場合によってはそこで申込みまでできる、こういうことも考えていきたいと思っております。
そこに遊びに来た人が、そこに行きさえすればエリア全体を楽しむことができるというような利便性の高いものになるようにすることが、この事業の成功の鍵だと思っております。
当然、そのためにはお客様、ユーザーの評価というのが最も重要になると考えておりますので、今年度、先ほども少し御答弁を申し上げましたけれども、調査設計と並行いたしまして、体験会ですとかモニターツアー、こういったものを実施することとしております。
アクティビティーの提供は、当然、地元の事業者の方々と連携して提供してもらいますので、そういう方々と一緒になって、こういうモニターさんの声を勉強しながら、どうすればお客様の満足度が上がるのか、そして、どうすればリピーターにつながるような提供、皆さんが手軽に味わうことができたというふうなことを感じていただけるのかを念頭に置いて、みんなで知恵を出しながら、今から二年間、事業を組み立てていく所存でございます。
そして、令和六年度の本格オープンに向けまして、唐津市や玄海町、関係団体、アクティビティーを提供する民間事業者など、地域の皆様と協力しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
私からは以上でございます。
167 ◯田中委員=局長、ありがとうございました。最後に言っていただいたように、最後はやっぱり地元の関係者としっかりと話し合って、何を必要とされているのか、何をすれば地元が盛り上がるのかと、そういう視点でこの事業を展開していただきたいということをお願いして、次に移らせていただきます。
最後の項目の問四です。「はじまりの名護屋城。」プロジェクトについてお伺いをいたします。
県では、唐津・玄海エリアの産業や地域資源の強みや特色、魅力を掘り起こし、磨き上げるために「唐津プロジェクト」を推進されており、この一つとして、県立名護屋城博物館、名護屋城跡を起点に、周辺の陣跡周遊を促す「はじまりの名護屋城。」プロジェクトに取り組まれています。
名護屋城跡並びに陣跡は、全国の名立たる武将が一堂に会した日本を代表する文化的、歴史的な資産であるだけでなく、茶道や能など、伝統文化の発展にも大きな影響を与えた、まさに日本文化発展の始まりの地であると確信しています。県がこの地に光を当て、その価値を磨き上げ、名護屋城の歴史や文化を生かした取組を進めることに、地元としても非常に期待をしているところであります。
昨年度末の名護屋城大茶会の開催や黄金の茶室のお披露目には多くの方が名護屋城に集まり、それに地元の商工会や団体が協力するなど、盛り上がってきており、私としてはこのプロジェクトを一定評価しているところではあります。しかしながら、大茶会は初めての開催であったこともあり、駐車場がなかった、場所が分からなかったなどの声も聞こえてきており、運営に課題もあったのではないかと感じているところであります。そこで、しっかりとした事業の課題を洗い出し、検証を行い、次につなげることが大切であります。
また、以前にも一般質問で私の考えを述べさせてもらいましたが、県と地元が良好な関係を築き、このプロジェクトを円滑に進めていくためには、市や地元商工会や観光協会、名護屋城関係ボランティア団体などと意見交換等を交わしながら、秀吉ゆかりの隠れたスポットを巡るガイドツアーや、ロゴを使ったお土産開発等のように、地元が継続して続けていける仕組みをつくらなければ、このプロジェクトが一過性のものになってしまうのではないかと考えているところであります。
そこで、次の点についてお伺いします。
まず、これまでの取組の振り返りと評価について確認をさせていただきます。
令和二年度から始まった「はじまりの名護屋城。」プロジェクトですが、これまでの取組を振り返り、プロジェクトをどのように評価しているのかお伺いいたします。
168 ◯水町文化課長=「はじまりの名護屋城。」プロジェクトのこれまでの取組の振り返りと評価についてお答えいたします。
「はじまりの名護屋城。」プロジェクトは、委員から御紹介いただきましたように、日本文化発展の始まりの地をコンセプトにしまして、名護屋城跡並びに陣跡の魅力を磨き上げ、発信していくことで、唐津エリアの振興につなげていくことを目指しているものでございます。
プロジェクトの初年度でございました令和二年度には、名護屋城の価値を広く再認識いただくとともに、新たな層に対してアプローチを行うために、東京大学史料編纂所の本郷和人教授による講演会、陣跡でのキャンプイベント、人気ゲーム「戦国BASARA」とコラボしたスタンプラリーなどを実施いたしました。
昨年度は、さらなる機運醸成に加えまして、文化コンテンツの強化や磨き上げを行うために、歴史考証を踏まえた上で、文化庁の補助事業を活用して、秀吉が実際に名護屋城へ運ばせて使用しました黄金の茶室の復元や名護屋城大茶会を開催したところでございます。また、名護屋城博物館の屋外展示施設となっています木下延俊陣跡の再整備やエリアの周遊ポイント整備の計画策定など、ハード面での整備にも着手したところでございます。
特に、黄金の茶室につきましては、そのきらびやかさと、秀吉が実際に名護屋城で使用していた当時を彷彿とさせるものでございますことから、全国放送をはじめとして、公開から約三カ月たった現在も多くのメディアに取り上げていただいているところでございます。
今年五月からは、黄金の茶室内で実際にお茶をいただく体験プログラムを実施しております。黄金の茶室の中に入って実際にお茶をいただくという特別な体験ができるのは、全国でも名護屋だけでございます。そのプレミアム感から、東京や福岡など、県外からも多数御応募いただいているところでございます。今後は特別なプログラムとしてさらに磨き上げていきたいと考えております。
また、名護屋城大茶会に御来場された方からは、「一日中満喫しました。来年もあれば来ます」、「このような形でのイベントを継続してほしい」といった声をいただきました。さらに、地元の方からは、「名護屋城にこれだけ多くの人が来ているのを初めて見た、うれしかった」という声もいただきました。
名護屋城の歴史や文化の魅力を広く紹介できただけではなく、食や自然など、名護屋、呼子地区の地域資源の魅力も併せて楽しんでいただくなど、文化、観光への効果も見え始めておりまして、一定の成果が出てきているものと考えております。
以上でございます。
169 ◯田中委員=文化財を活用した観光に一定の評価が見えてきたという最後の答弁でしたけれども、まさにこの名護屋城を観光に活用するというのは前々からお話はあっていたんですけども、このように実現できてきたのは大変ありがたいと思っております。
そうなると、この名護屋城大茶会というのが今後また継続されていくということについて少し確認をさせていただきたいんですけども、まずは昨年度末に行われた大茶会について、来場者数と駐車場について確認をさせていただきたいなと思っています。
昨年度末にどのくらいの来場者があったのか。そして、イベントのためにどのくらいの駐車場を確保したのかお伺いします。
170 ◯水町文化課長=名護屋城大茶会の来場者数と駐車場についてお答えいたします。
名護屋城大茶会への来場者数は、黄金の茶室の見学にお越しいただいた方も含めまして約五千五百人でございました。駐車場は、呼子公民館から波戸岬にかけまして七カ所、計六百六十台分を御用意しておりました。各駐車場から会場まではシャトルバスで結びまして、呼子公民館・鎮西市民センターから会場、旧名護屋中学校から会場、波戸岬駐車場から会場への三ルートで運行いたしました。
以上でございます。
171 ◯田中委員=五千五百人の来場者があったということの中で、先ほど来ありますように、黄金の茶室に関してのPR、報道が強かったのかなと思っています。ただ、七カ所で六百六十台の駐車場を用意したということですけども、これに対しての一番課題が大きくて、近くの道の駅では商売に支障を来したとか、様々な意見も上がっておりました。また、シャトルバスでのピストン輸送に関しても、時間等の関係から利用がしにくかったという意見も出ております。
こういった課題をしっかり受け止めて計画していかなければならないと思いますけども、ただ、この駐車場だけの課題じゃなくて、このとき、ほかのイベント関係者等の課題についても声が上がっていたと思うんですけれども、それについて県がどのように把握しているのか確認させてください。
172 ◯水町文化課長=名護屋城大茶会の課題についてお答えいたします。
課題のうち、駐車場に関しましては、大きく二点あったと考えております。一点目は、駐車場の場所やシャトルバスを運行していることが十分に伝わっておらず、帰ってしまった方がいらっしゃったということ、二点目は、桃山天下市などの周辺の施設に車が滞留してしまったということでございます。
そのほかにも、地元や地元事業者の方へイベントの情報が行き渡っていなかったこと、呈茶を約五百席準備していましたが、午前中には全てのお茶券が売り切れ、十分な提供ができなかったこと、長時間滞在していただくには、マルシェなどでの食事の提供が不足していたことなどが課題だったと認識しております。
以上でございます。
173 ◯田中委員=今年度は三月にまた開催されると聞いております。今るる課題について認識を述べていただきましたけども、これらの課題についてどのように取り組んでいこうとされているのかと、やはり一番は雨天時ですね、そこもどういうふうに検討に入れていかれるかというのが大きな課題だと思っております。
この点について、まずは課題に対してどのように今後整理し取り組んでいこうと思われているのかお伺いします。
174 ◯水町文化課長=名護屋城大茶会の課題への対応についてお答えいたします。
様々な課題のうち、駐車場につきましては、昨年度の反省を踏まえまして、シャトルバスの運行情報の事前周知をしっかり行うとともに、駐車場に至る道路にも案内を設置するなどしまして、情報を分かりやすく提供していきたいと考えております。また、シャトルバスの本数や運行時間を見直すなど、利用しやすい形態となるよう工夫してまいります。
地元への情報提供につきましては、早い段階から行っていきたいと考えておりまして、今年度については既に唐津市と話を始めているところでございます。
呈茶や飲食の提供につきましても、提供できる数を増やすなどして、より多くの方に楽しんでいただけるよう、関係者と協議をしていきたいと考えております。
以上でございます。
175 ◯田中委員=第二回目の大茶会に関しましては、ぜひともすばらしい取組となるよう、今回の課題をしっかりと整理して取り組んでいただきたいなと思っております。
これから取り組まれようとされているのが、名護屋城陣跡の整備と周遊戦略についてだと思います。
予算でサイン計画と陣跡整備が予算化されておりますけども、この整備の内容というんですかね、それと、どうやってその陣跡を周遊させようと考えておられるのか、その予算の背景をお聞かせください。
176 ◯水町文化課長=名護屋城陣跡の周遊戦略についてお答えいたします。
名護屋城跡周辺には、全国から集まった大名たちの約百五十もの陣跡が確認されています。これまでに堀秀治陣跡や加藤嘉明陣跡など五カ所につきまして、石垣修理、遺構の平面表示などの整備を行ってまいりました。また、今年度は、先ほど申し上げましたとおり、名護屋城博物館に隣接する木下延俊陣跡のリニューアルオープンも予定しております。
このような陣跡は文化財として保存整備していくだけではなく、名護屋城周辺の魅力や歴史的な価値を伝え、地域活性化につなげていくための重要なコンテンツとして活用していきたいと考えています。そのため、整備済みの陣跡や武将ゆかりのお寺や神社、地権者などとの調整が必要にはなりますが、著名な武将の陣跡などを実際に巡ってもらえるようにすることが重要と考えておりまして、まずは昨年度にサインなどの設置場所や種類を取りまとめた「名護屋城跡・陣跡」周遊ポイント整備計画を作成したところでございます。今年度からは、二カ年かけまして、この計画を基にして具体的な設置場所を決定しながら、周遊につなげるためのサインを整理していくこととしています。
また、陣跡を周遊していただくためには、単に案内サインを整備するということではなく、有名な武将を活用するなどして、サインを見た人に、興味、関心を持っていただいたり、スマートフォンなどを使いながら巡って楽しめる周遊ツールも併せて制作するなどして周遊を促進していきたいと考えています。
以上でございます。
177 ◯田中委員=そこなんですよね。サインの在り方というのが一番大切で、ただ陣跡にサインを置くというんじゃなくて、どういうふうなサインによって観光客がそこを巡っていただくかということの中で、先ほどありましたサイン計画に基づいてと言われましたけども、その計画の中で明確化になっているのかなというのがすごく今疑問なんですよ。
今回、そこを受託する業者の逆提案によってそういうツールが生み出されていくのか、それとも、局内にそういう計画デザインがあるのかというところが、今後のこのサインが成功するか成功しないかというところで、ずっと見ていて、やはり逆提案されても、そこがあまり膨らんでいないというふうに思うんですよね。ですから、できれば局内でしっかりとした絵を描かれて、それに対して提案して、それがもまれて、それ以上の提案が来るような、そういう仕掛けというんですかね、それをぜひともやっていただきたいなと思っていますので、これについては御答弁は要りませんので、サインによって人がしっかり交流、歩いていただけるような、ぜひともそういう仕掛けをつくっていただきたいなと思っております。
それと、やはりこれは売り方によっては物すごく人が来るんですよね。武将、武将にそれぞれの地元があり、地元には武将の家系があるんですよ。殿様は殿様の家系、そして、それに対する家来団というんですか、家臣団、そういうのがしっかり整っているんですよね。ですから、そこに陣跡に来ていただけるような、そういう旅行プランニングを組み立てていかれれば、パイがはっきり見えてきますので、それによる仕掛け等も周遊観光の一つになっていくんじゃないかなと思いますし、佐賀藩も陣跡があるんですよね。そういった面では、まずは来ていただけるような、そういう仕掛けもぜひともやっていただきたいなと思っています。
ただ、やはりそこの仕掛けというのは、プロデュースというのは大変難しいところもありますので、どういうふうな予算をかけていったらいいのかというのをまた今後検討していきたいなと思っています。