佐賀県議会 2022-03-09
令和4年地域交流・県土整備常任委員会 本文 開催日:2022年03月09日
最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時二分 開議
◯向門委員長=ただいまから地域交流・
県土整備常任委員会を開催いたします。
これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可します。
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◯冨田委員=おはようございます。自由民主党の冨田でございます。時間も限られております、といいますか、後のほうもありますので、早速、質問に入らせていただきます。
県では、
県立名護屋城博物館、また
名護屋城跡を起点に、周辺の陣跡周遊を促すために「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトに取り組んでいただいております。先週か、先々週ぐらいの夕方のテレビの番組で黄金の茶室を制作している会社の報道があっておりまして、三月二十七日に公開ということで楽しみにしているところです。
名護屋城は七年間というごく限られた期間ではあったが、全国から名立たる武将が集まり、人口は約二十万人を超えたということを聞いております。そこで茶の湯や能などの文化交流が盛んに行われるなど、後の日本の文化発展に大きく影響を与えています。
私としては、この
プロジェクトを通じて磨き上げることにより、唐津をはじめとした近隣地域の観光振興、また、
地域活性化につなげてほしいと考えているところでございます。
この
プロジェクトを進めるに当たって県と地元が協力しながら、地元が継続して活動できること、また、地元がそれによりにぎわうことが重要であり、そのためには商工会、また
観光関係者、
ボランティア団体などと意見交換を行いながら事業を行っていく必要があると考えます。
また、
名護屋城跡を起点に周辺の陣跡を周遊させることはよいことですが、
名護屋城周辺には約百五十もの陣跡があると言われており、この陣跡の保存や維持管理を考えたとき、どこまで整備していくのか、そしてまた管理を行っていくのか、戦略を持って進めていくことが必要かと思っております。やはり維持管理となれば、かなりの額もかかってきますので、その辺はしっかり考えていく必要があると考えております。
そこで、どのような目的で名護屋城を活用し、この
プロジェクトを行っていくのか、文化課長に伺います。
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◯水町文化課長=「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトの目的についてお答えいたします。
名護屋城跡並びに陣跡は、全国で六十三カ所しかない国の特別史跡の一つに指定されておりまして、委員からも御紹介がありましたとおり、日本を代表する歴史資産でございます。
名護屋城跡は、かつて徳川家康や伊達政宗といった名立たる武将が全国から集まりまして、茶道や能、和歌、華道などの文化交流を行っていました。様々な文化が結びつき、花開いていった、まさに
日本文化発展の始まりの地でございます。
これほど重要な歴史資産ではございますが、これまでは十分に活用ができていませんでした。「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトでは、この場所を
日本文化発展の地ということに着目して切り取り、
文化観光資源として磨き上げ、そして、
唐津エリアの地域の振興につなげていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
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◯冨田委員=そうした中で、先ほど、黄金の茶室の復元ということをちょっと御紹介しましたが、昨年度より「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトに取り組んでいるのは承知していますが、これまでどのような取組を行ってきたのかお尋ねいたします。
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◯水町文化課長=「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトの事業の進捗状況についてお答えいたします。
プロジェクトの初年度でございました昨年度は、名護屋城の歴史的価値に改めて目を向け、再認識するための取組として、
東京大学史料編纂所の
本郷和人教授をお招きした講演会や城跡を活用したキャンプイベント、陣跡を自転車で巡る
サイクルイベントを開催したところでございます。
また、唐津市と連携いたしまして、人気ゲーム「
戦国BASARA」とコラボした
スタンプラリーなども実施しております。
今年度は、機運醸成に加えまして、新たな切り口で
コンテンツの強化や磨き上げを行うために、秀吉が実際に名護屋城に運ばせて使用しました
豪華けんらんな黄金の茶室の復元を、先ほど委員からも御紹介いただきましたとおり、今月、三月二十七日に
オープン予定でございます。
また、大名たちによる茶会が頻繁に行われていたとのエピソードを生かしまして、大茶会の開催を同じく三月二十七日に開催予定でございます。
そのほか、諸大名の陣跡を巡っていただくための計画の策定や、
名護屋城博物館に隣接しています
木下延俊陣跡の再整備などに取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
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◯冨田委員=木下延俊の陣跡の整備などをやっていただいているわけですけれども、そのほかにも先ほど言いましたように百五十ぐらいの陣跡があるわけで、今後どのように取り組んでいくのかについてお尋ねいたします。
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◯水町文化課長=「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトの今後の取組についてお答えいたします。
今後は、これまでに磨き上げてきました
コンテンツを基に、黄金の茶室の鑑賞はもちろん、茶室の中に入っての呈茶体験。黄金の茶室は、ほかにも制作をされていますが、茶室の中でお茶を飲む体験ができるのは、
名護屋城博物館だけでございます。また、陣跡を巡っていただくための
サイン整備や周遊ツールの開発、名護屋城の本物の価値を知っていただくための
特別企画展の開催などを予定しております。
今年度から取り組んでいます大茶会の開催や
木下延俊陣跡の整備も継続して取り組む予定でございます。
これらの取組によりまして、「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトのさらなる推進を図っていくこととしております。
以上でございます。
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◯冨田委員=いろんな取組をやっていただけるようでございますが、一過性のイベントではなくて、これを続けることが大事かと思っていますので、今後もよろしくお願いいたします。
そうしたイベントとか整備をするに当たって、やはり
地元関係者との連携は欠かせないと思っておりまして、今回、茶会を開かれますけれども、地元の茶道家も表千家、裏千家とありますので、そういったところをしっかりしていくべきじゃないかと思っていますが、地元との連携についてどのように考えているのかについてお尋ねいたします。
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◯水町文化課長=地元との連携についてお答えいたします。
委員から御指摘がございましたとおり、この
プロジェクトが一過性のイベントではなく、継続して文化観光にもつながっていくためには、地元の皆さんと一緒になって考え、活動を続けていくための仕組みをつくっていくことが重要と考えております。
このため、地元の唐津市をはじめ、
ツーリズム団体や商工会、観光協会などとこれまで意見交換を行いながら、その方策を一緒になって考えてきたところでございます。
今月の二十七日に開催いたします名護屋城大茶会におきましては、大茶会のステージのオープニングを
水光呼子太鼓にお願いしております。
また、大茶会会場でのお茶席の運営に佐賀県
茶道連合会や
唐津南高校、茶苑「海月」に御協力をいただいたり、
城跡ガイドツアーを
肥前名護屋城歴史ツーリズム協議会、武将ゆかりのグルメなどが集まるマルシェを道の駅桃山天下市、呼子町
地域婦人会、
唐津焼協同組合、
料理キャンペーンを
唐津上場商工会に御協力いただくなど、地元の様々な団体の皆さんと連携して取り組むこととしているところでございます。
以上でございます。
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◯冨田委員=
地元関係者との連携は、先ほど言われたように必要でありますし、また、鎮西町は早くからオルレということで、これは韓国のウオーキングのことなんだろうと思いますけど、そういったことにも取り組んでありますので、そういった団体ともしっかり連携を取ってやっていただきたいと思っております。
名護屋城周辺の陣跡の維持管理の現状についてどのようになっているのかお尋ねいたします。
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◯白木原文化財保護室長=
名護屋城並びに陣跡の
遺跡整備等の現状についてお答えいたします。
名護屋城並びに陣跡は、昭和三十年に特別史跡に指定され、昭和五十一年から県が
保存整備事業を開始し、昭和五十七年に策定した
保存管理計画による基本方針に基づき、県と市町が役割を分担し、遺跡の保存整備や維持管理を進めているところでございます。
名護屋城跡並びに陣跡については、遺跡の範囲が極めて広域に及ぶことから、その整備については県が行っており、昭和六十年に
保存整備計画を策定し、昭和六十二年度から平成四年度までの六年間を第一期、以降十年単位で計画を策定し、現在、第四期の
保存整備計画に基づき整備事業を実施してきているところであります。
陣跡整備の説明の前に、
名護屋城跡並びに陣跡の整備に至るまでの流れを簡単に御説明いたします。
まず、遺跡の現地を歩き、陣跡の保存状態、どの程度、元の形をとどめているか、こういったことを確認を行ったり、さらに、部分的に発掘調査を行って、その結果に基づき重要なもの、保存状態のよいもの、良好なものについては史跡指定が行われることになります。
そして、指定された陣跡については公有化を行い、その後、さらに陣跡の構造、どういった構造になっているか、それから詳しい状況、詳細を知るための発掘調査を行って、その成果を基に整備を行うという流れになっております。
委員から御紹介がありましたとおり、
名護屋城跡周辺には約百五十カ所の陣跡が確認されており、このうち
徳川家康陣跡をはじめとする二十三の陣跡が特別史跡に指定されております。これまで
豊臣秀保陣跡、
堀秀治陣跡、
加藤嘉明陣跡、
木下延俊陣跡、
古田織部陣跡の五カ所について、石垣修理、遺構の平面表示、芝張りによる整備などを実施していますが、このほかの陣跡についても、整備着手の前段階となる測量を進めたりもしております。
なお、今年度は
島津義弘陣跡において、整備のための基礎資料を得るための発掘調査を実施しているところでございます。
陣跡の維持管理についてでありますが、維持管理は唐津市が管理団体となっておりますので、整備された陣跡の除草、樹木の伐採、清掃といった通常の管理業務のほか、近年増加している豪雨災害などからの復旧工事といった非常時の対応も行っているところでございます。
以上です。
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◯冨田委員=第四期計画が今進行中ということでございまして、今後も発掘調査、そしてまた重要な部分については、公有化、公有地ということで県が買い上げるということになるのかなと思っています。そういったことで、後の管理は唐津市ということですね。分かりました。
今後、陣跡の整備や陣跡の維持管理をどのようにされていこうという方針になっていくのか、その辺がちょっと分からないので御答弁をお願いいたします。
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◯白木原文化財保護室長=
遺跡整備等の今後の方針についてお答えいたします。
さきに御説明しました第四期の
保存整備計画は令和四年度で終了いたしますものですから、県では令和五年度から令和十四年度までの十年間の具体的な整備内容について、基本的な方針を定める第五期の
保存整備計画を令和四年度内に策定することとしております。
また、近年、文化財が地域振興や観光振興に寄与し、地域の活性化に貢献する役割を一層求められるようになっている中において、保存整備や維持管理の基本方針を定めた
保存管理計画が策定から四十年以上経過しております。地域の活性化に不可欠な活用という部分が理念の記述だったり提示にとどまっていることから実情に合わない部分も出てきております。
そこで、陣跡の積極的な活用を図るため、今年度から四カ年をかけて外部有識者、県、唐津市、玄海町による委員会を設置して、
保存管理計画に替わる
保存活用計画の策定に取り組んでいるところでございます。
この
保存活用計画では、今後の陣跡の整備や活用の総括的な方針を示すこととしておりまして、先行して作成されることになります第五期の
保存整備計画との整合を十分に図りながら、維持管理も含め、市町や地域が一体となって陣跡を活用していける計画となるよう検討を進めていくこととしているところであります。
委員御紹介のとおり、
名護屋城並びに陣跡は、名護屋城のほか、百五十もの陣跡が広域に点在する大遺跡群であります。陣跡の現地確認や地形測量、整備のための発掘調査、それから具体的な整備計画の策定、その後の整備工事、これらに多大な時間を要することは事実です。そのため、どの陣跡をどこまで整備するのか、どのような活用を目指すのか、さらに、どのような維持管理を行うのかなどについても念頭に入れながら、地元の意見も踏まえた上で
保存活用計画を策定していく必要があるというふうに考えております。
そのためにも、
名護屋城跡や陣跡について、今以上に地元の関心を高めていく必要があるというふうに考えており、また、
遺跡そのものに加えて、例えば発掘調査や整備の情報というものを伝え、見せることによって、ますます遺跡が身近に感じられ、文化財の保護の機運も高まっていくというふうに考えております。発掘調査や史跡整備それ自体、例えば発掘して何が出てくるんだろう、何が分かったんだろう、整備されてどんな姿になるんだろうか、そういった人を惹きつける力を持っていると考えていますので、そのような魅力をどのように切り取って、どのように磨き上げて、そして発信していくかという、そういった視点を持って取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
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◯冨田委員=第五期の計画が令和五年から十年かけてつくられるということでございます。その中ではその後の維持管理の方法について地元の意見等もしっかり聞いていただいて、維持管理に余り費用がかからないようなことも考えていかなきゃならないのかなと思っております。
また、名護屋城は佐賀県の西の大切な文化遺産でございますし、貴重な観光資源でございますので、今後とも、訪れる方々のことを考えた整備をお願いしたいと思っております。
では次に、大きな質問の二つ目です。県の
文化財保護の取組について伺います。
佐賀県には、全国的にその名が知られる国の特別史跡ともなっています
吉野ヶ里遺跡や、先ほどの
名護屋城跡並びに陣跡をはじめとする重要な文化財が多くあり、私の地元の相知にも国の
重要文化的景観に選定されている蕨野の棚田や、県の史跡に指定されている
鵜殿石仏群などがあり、私も大変誇らしく思っているところでございます。
また、地域には指定されていない文化財以外にも、地元の人が大切に継承し、そしてまた、誇りを持って文化財を継承する思いがあると思います。そういったものにも光を当てていく必要があるかなと私は思っているところです。
今回、県の
文化財保護条例を改正し、新たに佐賀県
登録文化財制度という仕組みをつくって、指定されている文化財を登録し、保護していくと聞いております。私も大変喜ばしく思っております。相知にも浮立が各地域に残ってますし、また女性の大黒舞、それとまた相知くんちに披露される羽熊行列、こんなものが残ってますし、こういったものをしっかり後世に伝えていかなければならないということも思っているところでございます。
そういった中で、県におかれては、これまでも文化財を適切に保護するための取組を実施されており、先ほど紹介いたしました地元の
鵜殿石仏群についても、看板の風化や劣化による石仏自体の剥離などが目立ち、早急な保存修理が必要な状態であることから、唐津市とともに対応していただいていると聞いております。
これらの
文化財保護は、過疎化、少子・高齢化の中、文化財の滅失や散逸、それから
継承者不足等の対策が大きな課題となっていると思っております。制度的な面からも新たな視点、角度からの取組が重要であり、同時に文化財の価値を損なうことなく、適切な保存・保護がまずもって重要と考えているところです。
そこで、県の
文化財保護について二点お伺いいたします。
まずは、佐賀県
登録文化財制度についてですが、条例改正の背景と制度の概要についてお尋ねいたします。
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◯白木原文化財保護室長=条例改正の背景と制度の概要についてお答えいたします。
全国的な過疎化、少子・高齢化などの社会状況の変化に加え、
新型コロナ感染症の拡大の影響により、文化財の
担い手不足の問題が深刻化しております。
このような社会の変化に対応した
文化財保護制度の整備を図るため、令和三年四月に
文化財保護法の一部の改正が行われ、
無形文化財及び
無形民俗文化財の登録制度を新設すること、
地方公共団体による文化財の登録制度を創設することができることなどが定められております。
文化財の
担い手不足の問題については、特に人から人に継承されることが必要な伝承芸能、例えば神楽とか田楽、それから地域の祭りなどの民俗芸能などの中止・延期が相次いでおり、これら無形の文化財の継承が危機的な状況にあり、その対策が急務であることから法改正が行われたものであります。
本県においても同様に、文化財の適切な継承や
担い手不足、さらには、文化財の滅失や散逸等への対策、こういったものが喫緊の課題であるという認識から、
文化財保護条例を一部改正し、文化財の保存及び適切な推進を図ろうとするものであります。
具体的に申し上げますと、従来の
国指定文化財を頂点とした
文化財保護体系ではカバーできない未指定の文化財、まだ知られていないような地域の文化財についても、将来につないでいくべきものや、つなぐことにより将来指定されるものなど、まだまだたくさんあると考えているところであります。
これらに対し、指定のような、例えば許可が得られないと修理や移動ができないといったような厳しい条件を設けず、登録要件のハードルが低い、さらに許可制ではない届出制である県の
登録文化財の制度を創設しようとするものであります。
このような文化財を将来につないでいくため、県では、「さが
歳時記まつりびと」や佐賀県
伝承芸能祭などを開催し、取り組んでおりますが、
文化財保護の制度的な側面からも、この部分を充実させたいと考えているところであります。
以上です。
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◯冨田委員=佐賀県にも結構な無形の文化財等があって、なかなか県の
文化財登録にまでいかないものが数多くあると思います。そういったものに光を当てていただくということは、いいことかなと思ってますし、しっかりやっていただきたいなと思ってます。
この制度に期待する効果が大事かなと思っておりますが、この期待する効果についてお尋ねいたします。
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◯白木原文化財保護室長=期待する効果についてお答えいたします。
登録文化財制度を創設し、地域の中に身近な
登録文化財ができることになります。そういった身近に文化財があることにより、例えば他の
指定文化財と組み合わせるといったことで地域の歴史や地域の特色が説明しやすくなったり、クローズアップしやすくなるなど、それぞれの特色を生かした地域の活性化や観光資源の磨き上げにも役立つものと考えております。
そのためにも県としては、市町と連携して登録された文化財の情報発信、様々な機会での展示公開など、例えば新しく登録された文化財の紹介、種別ごとにまとめた
登録文化財の展示、こういったことを行い、その魅力をしっかりと伝え、広めていきたいと考えております。
以上です。
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◯冨田委員=期待するところは大きいわけですけれども、やはり指定を受けて地元も何らかの恩典が必要かと思うんですよね。その辺をもう少し今後検討していただきたいなと思ってます。
例えば、そういった文化財を指定して写真とか動画に収めて、そしてまた、広くPRするとか、今後、そういったところまで考えていかないと、この制度の意味がないんじゃないかなと思ってますので、そういったことも検討して実施していただきたいと思います。
次に行きますけれども、県の指定史跡の
鵜殿石仏群ですが、これは私の先輩の米倉県議のときから皆さん方にいろいろお願い等もされてきて、ようやく今調査中ですかね、そういったことをちょっと聞いております。
鵜殿石仏群の現状を先に聞きたいと思っております。
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◯白木原文化財保護室長=現状について御説明いたします。
議員から御紹介のあった
鵜殿石仏群は、唐津市相知町に所在する標高七十メートルほどの丘陵にある岩窟や、その周辺の壁面に彫り込まれた十四世紀の南北朝時代から十九世紀の江戸時代までの石仏群であります。大分県臼杵市に臼杵石仏がございますが、あの臼杵石仏と同様の、いわゆる磨崖仏群であります。
鵜殿石仏群については、中でも本尊と称される十一面観音坐像、それから、その左右に甲冑で身を固めた右側にある持国天像、それから左側にある多聞天像、この三体の石仏が最古となる南北朝時代のものであるということで、石仏群の中でも代表的な石仏として重要なものであると位置づけられております。
この石仏群は、唐津・
東松浦地域における山岳仏教の拠点として、この地域を仏教の隆盛を知る上で極めて重要ということで、六十二体の石仏を含む周囲約一万四千平方メートルが昭和三十一年に県史跡に指定されております。しかし、長年の自然風化と岩盤内部への雨水の浸透により、岩盤のひび割れや剥離などの劣化が進行しており、一部、石仏にも若干の影響が認められているところであります。
このような状況の中、唐津市は、平成二十二年度から
鵜殿石仏群保存対策調査委員会を立ち上げて、石仏群の劣化の原因究明、保存修復を見据えた調査を実施しております。その内容は、年間を通じた温度、湿度、日照量、雨量の観測などの基礎調査、3D写真測量、赤外線サーモグラフィー計測などによる石仏の劣化状況の確認など多岐にわたるもので、県も調査委員会に参加して調査成果を共有しているところであります。
その後、平成二十六年、二十七年には、調査委員会に続きまして保存整備検討委員会が開催されており、持国天像や多聞天像の石仏を覆う覆屋を設置したほうがよいかどうかを検証するため、現在、仮覆屋を設置し、その下で温度、湿度、日照等の年間データを採取しているところでございます。
以上です。
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◯冨田委員=現在、仮覆屋を設置して、温度、湿度、それから光による劣化等の調査もしていただいておりますが、これ、いつまで続くのかなと私は思ってますので、今後の保護の取組について、今後の対策等も含めてお尋ねいたします。
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◯白木原文化財保護室長=今後の保護の取組についてお答えいたします。
今後、唐津市が開催いたします保存整備検討委員会の中で覆屋を設置したほうがよいかどうか、こういったことを含めて石仏群を将来にわたり保存していくための修復方法が検討され、その後、修復が行われることとなっております。
県では、引き続き検討委員会に出席し、指導、助言などの技術的支援を積極的に行うとともに、その後の修復に対し、財政的な支援も含めて必要な支援を行っていくこととしております。
また、地域資源としてさらに磨き上げ活用されるように、石仏群の保存修復はもとより、見学ルートの整備等も含めた史跡全体に目を向けた整備が行われることも大切だと考えていることから、こういったことも唐津市と協議してまいりたいと考えております。
以上です。
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◯冨田委員=
鵜殿石仏群、これは仏教関係者に言わせてもすばらしいものでありますし、一番初めに聞きました「はじまりの名護屋城。」
プロジェクトということもありますし、仏教の始まりの相知と、
鵜殿石仏群ということで、いろんな取組をしていただきたいなと思ってます。
そのほかにも、この石仏以外にも三カ所程度、石仏関係がありますので、そういったウオーキングなどの取組も地域の団体で行っておられますので、そういったところの支援も併せてお願いしたいと思っております。
では、次の質問に行きます。「SAGA2024」国民スポーツ大会の動画配信についてお伺いいたします。
県では、開催まで二年半となった「SAGA2024」国民スポーツ大会の成功に向けた機運醸成に取り組まれており、市町や競技団体と連携して開催準備が進められているものと思っています。
そのような中、新型コロナウイルス感染症のために無観客や入場者の制限などが行われることが今まであったわけですけれども、この「SAGA2024」にもそのような状態が発生するんじゃないかと私は危惧しているところです。そういったことも想定しておく必要があるんじゃないかなということも一端では思っているところです。会場に来られた方を含む多くの方に競技を見てもらう機会をつくる必要があり、インターネットを活用した動画配信を準備することも重要なことだと考えています。
「SAGA2024」実行委員会の取組として昨年の十二月だったですかね、唐津市で開催された全日本420級選手権大会でセーリングの競技大会の動画配信の実証事業を実施され、私もたまたま唐津のヨット連盟の方からそういった要望をいただいたので見たわけですけれども、ちょっと迫力に欠けるかな、試行だからどうしようもなかかなと思いながら、実証実験ですから、そういったことを積み重ねてやっていかれるのかなという感じがしたわけです。
このようにセーリング競技は会場で直接観戦できない競技であるものですから、動画配信を通して多くの人たちがライブで見られるということは、新しいスポーツの楽しみ方であり、「SAGA2024」において唐津市で行われるセーリング大会を大いに盛り上げてくれるんじゃないかと感じたところでございます。「SAGA2024」から始まる最初の国スポという新しい大会に向けて、スポーツの魅力、楽しさを全国へ発信するためにも、動画配信の準備を進めてほしいと私も思っているところです。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
これまでの国体におけるインターネット配信はどのようにされてきたのかについて、まずはお尋ねいたします。
23 ◯本村SAGA2024競技式典課長=これまでの国体におけるインターネット動画配信についてお答えをいたします。
平成三十年、二〇一八年に開催の福井国体以前では、一部の競技において動画配信が行われたというふうに聞いております。翌年の令和元年、二〇一九年の茨城国体におきまして、初めて正式競技の全競技の動画配信が行われております。これは日本スポーツ協会が主体となりまして茨城県、それから会場市町村、競技団体が連携協力しまして、国体チャンネルというものを立ち上げまして、各競技の決勝戦を中心に配信が行われました。
以上でございます。
24
◯冨田委員=二〇一九年の茨城国体からの配信だということでございまして、そのときは決勝戦だけとか、そういうことだったようですね。やはりもう少し広げてほしいなと思ってますし、「SAGA2024」でも多くの競技、試合の動画配信を実現してほしいと私は思ってます。また、動画の配信についてどのように今後佐賀県としてやっていくのかの考えについてお尋ねいたします。
25 ◯本村SAGA2024競技式典課長=「SAGA2024」での動画配信についてどう考えているのかということで、目指す姿についてお答えをいたします。
茨城国体におきましては、配信された試合が決勝戦中心でありましたけれども、「SAGA2024」では、多くの人にたくさんの試合を見ていただきたいと考えておりまして、国スポの正式競技の全試合の動画配信を目指していきたいというふうに考えております。
動画配信に当たりましては、見ている方々にとって競技の状況が分かりやすく、また、競技を楽しむことができるような魅力的なものにしたいというふうに考えております。
以上でございます。
26
◯冨田委員=全試合をやっていく予定ということで、楽しみにしてます。
魅力的な動画配信は重要と考えており、昨年十二月に、先ほど言いましたセーリング大会においても配信の実証実験を行っておられます。この実証実験の内容についてお伺いいたしますが、実証事業についてどのようなことを実施したのかについて、まずはお尋ねいたします。
27 ◯本村SAGA2024競技式典課長=セーリング競技におきます実証事業の内容についてお答えをいたします。
セーリング競技は、陸地から離れた海上でレースが行われ、陸地からはレースの状況が確認できないことから、レースを見える化する方法として、ドローンによる撮影や、GPS機能を利用して順位状況やレースの展開などを地図上にリアルタイムで表示をするシステム、トラッキングシステムと言いますけれども、その活用を考えまして、それを実証できる場について佐賀県ヨット連盟に相談をしておりました。
そのような中、昨年十二月に佐賀県ヨットハーバーで開催されました全日本420級セーリング選手権大会において、日本セーリング連盟及び佐賀県ヨット連盟、そして地元の唐津市の協力を得まして実証実験を実施することができました。
具体的な実施内容ですけれども、ドローンによる撮影につきましては、レース全体が見えるような映像や、レースの海面に設置されたマークと呼ばれるブイの周りをヨットがターンしているような映像など、様々な撮影を実証しました。
トラッキングシステムにつきましては、ヨットへのGPS機器の設置が必須ですので、通信がしやすい向きや競技の妨げにならない場所への設置など選手たちに協力をいただきました。このトラッキングシステムを活用しましてヨットの位置を表示した映像や、ブイの周りをターンするヨットの3D映像やヨットの速度などを表示することができました。
映像やデータの編集及び配信につきましては、唐津から離れた佐賀市富士町古湯にあります「SAGA FURUYU CANP」に編集及び配信スタジオを設け、遠隔地からの動画配信を行っております。また、解説者によるレースの解説をこのスタジオから実施しております。
なお、編集した動画につきましては、ユーチューブで配信をしまして、ヨットハーバー内の大型モニターでもその映像を放映をいたしました。
以上でございます。
28
◯冨田委員=いろんな楽しみといいますか、試行されているんだなというふうに思いました。
私が見た映像は、多分ドローンからの映像で、ちょっと迫力がなかったのかなと思ってます。先ほど言われましたターンマークの周辺等、やはり迫力ある映像を撮っていただけばいいのかなと思ったところでございます。
この実証事業を実施した結果、実施内容の評価等について選手や競技団体の方からいろんな意見もいただいているんじゃないかと思いますが、この実証事業の成果としてどのようなものがあったのかについてお尋ねいたします。
29 ◯本村SAGA2024競技式典課長=実証事業の成果についてお答えをいたします。
実証の結果として、まずはドローンによる撮影やトラッキングシステムが国スポで活用可能な技術であるということが検証できたというように考えております。
ドローンやトラッキングシステムの映像に加えまして、分かりやすいレースの解説や解説者が画面上に進行方向や風向きを書き込むなどの映像を編集するなど、魅力的な動画の配信が実現できました。
動画を見た方々からは、ルールを知らなくても解説を交えた映像が分かりやすかったという意見が多く寄せられました。また、競技団体からは、レース全体を俯瞰することができてよかったという意見がありました。
配信に支障をきたすような大きな問題点はなかったものの、選手の表情が確認できる映像や、画面の端に上位十艇の順位表示が欲しい等々の要望がありました。
今回の実証の結果を生かしまして、セーリング競技のより魅力的な動画配信ができるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
30
◯冨田委員=かなりいい意見も出たのかなと思っておりまして、この実証事業の意義があったのかなと思っております。
「SAGA2024」では、多くの競技を分かりやすく、そして、魅力をしっかり動画配信してほしいものだと思っています。この動画配信の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのかお尋ねしたいと思いますが、まずは動画配信に向けた課題について、先ほど言いましたように人的な課題もあるのかなと思ってますけれども、そういった課題についてお伺いいたします。
31 ◯本村SAGA2024競技式典課長=動画配信に向けた課題についてお答えをいたします。
まずは、競技の状況が分かりやすい映像をどのように撮影するかという手法の検討及び実証が必要となります。セーリング競技のように自然環境の中で行われる競技もあれば、体育館や屋外競技場で行われるものなど様々でありますので、それぞれの競技環境に応じた撮影方法を検討していく必要があります。また、魅力的な動画にするためのICT技術の活用と、その技術が実際に競技会で使用できるかどうかの実証や撮影体制の構築も必要と考えております。
撮影体制につきましては、地元のケーブルテレビなどの放送事業者にも協力をお願いしたいというふうに考えておりますけれども、「SAGA2024」では、数多くの試合が行われることから、全ての試合を放送事業者だけで撮影することは難しいのではないかというふうに想定しており、全試合の撮影を行う体制づくりも課題となっております。
動画配信の実現に向けましては、このような取組を実現していくとともに、競技会の運営を担う競技団体、それから会場地運営を担う市町などと一緒に協力して実施していくことが不可欠というふうに考えております。
以上でございます。
32
◯冨田委員=いろいろ課題といいますか、あるように感じますし、先ほど言われましたように、この動画配信の実現に向けては様々な取組が必要ではないかと思ってます。
そういった中で先ほど回答にもありましたが、地元のケーブルテレビさんとかを使っていかなければ人員も足らないし、機材も足らないんじゃないかなという感じがしてます。
そういったことで唐津とかいろんな地域のケーブルテレビさんと連携をしていただきたいと思ってます。
次に、実現に向けた取組といいますか、今年、来年と国体等もありますし、よそでの開催の状況等もしっかり調査していかなきゃならないと思ってますので、今後、どのように進めていくのかについてお伺いいたします。
33 ◯本村SAGA2024競技式典課長=実現に向けた取組についてお答えをいたします。
「SAGA2024」での動画配信をしっかりと行うためには、撮影方法や撮影体制、それから活用するICT技術などの実証を本番までに行っていくことが必要となります。このため、様々な競技大会や令和五年度から令和六年度上半期にかけて順次行われますリハーサル大会などを実証の場として活用していきたいというふうに考えております。
一方、手法の検討や体制の構築などに当たりましては、放送事業者やICT関係事業者などが持っています専門的な知識が必要となります。このため、各競技の特徴や各競技会場の環境に応じた効率的な撮影機材や撮影方法の選定でありますとか、あと、テロップ等を活用した分かりやすい競技情報の表示方法、それから、魅力的な映像配信に向けたドローンやAIなどのICT技術の選定、そして、撮影体制として競技ごとに必要な撮影スタッフの人数や、専門的な撮影技術を持たない一般のスタッフによる撮影など、専門的知識を持った方々から意見やアドバイスを受けながら検討していくとともに、実施に当たっても連携協力して進めていきたいというふうに考えております。
「SAGA2024」は、国内で行われる最大級のスポーツイベントです。日頃、なかなか見ることができない様々な競技におけるトップアスリートのパフォーマンスを見ることができる貴重な機会です。県民だけでなく、全国の人も「SAGA2024」で繰り広げられる選手の活躍を見ることができるよう、競技団体、市町と一体となって魅力的な動画配信を実現していきたいと考えております。
以上でございます。
34
◯冨田委員=しっかりと連携を取っていただいて魅力ある配信ができるように今後も努めていただきたいと思います。
では次に、大きな四番目のサイクルツーリズムの推進についてお伺いいたします。
平成二十八年十二月に成立し、翌年五月に施行された自転車活用推進法に基づき、県では、令和二年十二月に佐賀県自転車活用推進計画を策定され、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進していると認識しています。
自転車は、通学通勤、買い物といった身近な移動手段として多くの県民に利用されております。自転車の活用を進めていくには、自家用車への過度な依存からの脱却を掲げる歩くライフスタイルにもつながるもので、大変よい取組かと思っております。
中でも、サイクルツーリズムについて、佐賀県の、平地や適度な標高の山々が多いという地形的な特徴や、また、県内各地に散りばめられた観光名所や見晴らしのよい場所、また、豊富な食があるなどの特徴を生かせ、佐賀らしさを発揮できるものと考えており、積極的に推進することで観光の誘致につなげてもらいたいと思っているところです。
県では、これまで県内のサイクルモデルルートの設定など、サイクルツーリズムの推進に取り組んでこられ、来年度にはさらにサイクルモデルルート整備推進事業に取り組むとされています。
そこで、伺います。県では、サイクルツーリズムの推進のためにこれまでどのような取組をされてきたのかについてお伺いいたします。
35 ◯金子観光課長=これまでの県の取組についてお答えします。
委員から御紹介がございました佐賀県自転車活用推進計画では、より多くの人が自転車に乗り、自転車を楽しむため、交流、暮らし、インフラの三つの軸で自転車の活用を推進していくこととしております。
観光の側面では、交流を軸に、取組の中でサイクルツーリズムを推進しております。新たな切り口で佐賀県における自転車の
コンテンツを切り取り、磨き上げ、県内外へ情報発信を行うことでサイクリストが集まり、地域が活性化することを目指しております。
このサイクルツーリズムですが、コロナ前より健康志向ということで人気があったり、また、委員から御指摘があったように、自家用車の旅と違ってCO2を出しませんので、やはりエコツーリズムということで人気となっております。
県では、具体的な取組の一つとして、サイクリストの受入れ環境整備を目的に、令和二年度からスポーツバイクを駐輪するためのサイクルラックをロードサイドの飲食店やコンビニ、道の駅などに設置しております。令和二年度に六十カ所、今年度は三十八カ所のサイクルラックの設置を予定しており、来年度までに計百五十カ所の設置を目指しております。
サイクリストからは、サイクルラックがあるだけで自分たちが歓迎されているとか、また、ついついお店に立ち寄ってしまうというような声をいただいております。
また、自転車を走らせることによって佐賀の自然や歴史、文化などが楽しめるモデルルートを設定しております。先ほどの佐賀県自転車活用推進計画において、令和四年度末までに五ルート以上のモデルルートを設定することを目標に掲げております。昨年度の令和二年度に既に四ルートを設定しており、今年度は、現在、五ルート目の検討を進めております。こちらも決定した後は積極的に情報発信に努めていきたいと考えております。
さらに、佐賀県観光連盟のホームページ「あそぼーさが」という、これは一般向けの観光情報サイトでございますが、こちらでは先ほどのモデルルートの紹介に加え、自転車による県内の楽しみ方を動画、写真、記事などをふんだんに使って情報発信しております。ネット上で「SAGA Cycling CLUB.」と検索いただくと上位にヒットされて表示されます。
こういった様々な取組により、サイクリストの誘客促進や地域のサイクルツーリズムのさらなる機運醸成を図っているところでございます。
以上でございます。
36
◯冨田委員=ありがとうございます。先ほど言われたように、エコだったり、コロナ禍での野外のスポーツという形でのサイクリングというのがはやっているのかなと私も感じているところでございます。
今回、サイクルモデルルートの設定をされているということで、この設定は私も「あそぼーさが」を見せていただきましたけれども、佐賀から富士を通って七山に行って唐津方面、そして玄界灘の海岸線、それからそれを通って長崎のほうへのルート、そういったことをされておりました。
これはどのように設定を行われてきたのか、このルートの設定についてお伺いいたします。
37 ◯金子観光課長=サイクルモデルルートの設定についてお答えします。
佐賀の魅力ある自然、文化、食を楽しめるモデルルートを設定することで、サイクリストという新しい誘客につながること、サイクルツーリズムを通して地域にお金が落ちる、すなわち稼ぐ観光につながること。佐賀県の新しい観光
コンテンツが増え、さらに魅力が増すことなどの効果があると考えております。
ルートの設定に当たっては、佐賀県内を広く周遊してもらえるよう、地域のバランスも考慮しつつ、まず、観光ですので、景観がよく、自転車の速度だからこそ地域を感じられること。次に、比較的に交通量が少なくて安全に走行できること。最後に、やはり自転車は平たんな道だけではつまらないので、適度なアップダウンがあって自転車ならではの走りが楽しめること。こういったポイントで検討を行いました。
また、検討の過程は、県職員だけで設定するのではなく、佐賀県サイクリング協会の方々や地元関係市町と意見交換を行ったり、国内外のサイクリストにテスト走行で実際に走ってもらいながら設定をしております。
このような検討を重ねながら、サイクル目線で道路の状況や地域の自然、食などの特徴を確認し、魅力的なルートを設定いたしました。
設定したモデルルートといたしましては、虹の松原や呼子大橋など唐津の海沿いを巡り有田に抜けていく唐津~有田ルート。小城から肥前浜地区、オレンジ街道など有明海を走り太良まで抜けていく有明海沿岸ルート。佐賀空港に到着し、古湯温泉から七山を抜け、唐津鏡山に向かう空港~七山ルート。
吉野ヶ里遺跡から神埼城原川沿いを抜け昇開橋までを目指す吉野ケ里~昇開橋ルート。この四つのルートを設定し、サイクリストたちに積極的に情報発信をしております。
また、今後の新ルートといたしましては、鹿島から嬉野、武雄温泉楼門を抜け有田の泉山に向かう鹿島~有田ルートを五つ目として考えております。
以上でございます。
38
◯冨田委員=五つ目のルートがやっとできるということで、これで佐賀県を周遊できるルートができたのかなと思っております。ありがとうございます。
このサイクルモデルルートの整備事業ということで新年度予算で要望されております。この事業はどのような整備を行うのかについてまずはお尋ねいたします。
39 ◯片渕道路課長=サイクルモデルルート整備推進事業についてお答えいたします。
現時点でございますが、県内には四コースのモデルルートが設定されているという状況でございます。今回の事業では、このモデルルートにおきまして右折や左折が生じます県管理道路の主な交差点に、ルートを案内いたします標識や路面表示の整備を行うものでございます。令和四年度から整備に着手していきたいと考えているところでございます。
モデルルートにつきましては、これまで動画や写真、記事等のルートの情報の発信が行われてきたところでございますが、今回、実際のルート上に案内板等の整備を行いますことから、初めてモデルルートを利用される方々にもルートがより分かりやすくなるなど、サイクリストの方々の利便性の向上を図るものでございます。
加えまして、一般の道路利用者の方々も案内板等を直接目にする機会ができますことから、サイクルモデルルートへの認知度や関心が高まりましてサイクルツーリズムの推進につながるものというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
40
◯冨田委員=この事業は、ここら辺でいけば裁判所前あたりに何か三角というか、矢印のブルーのやつがあったので、私は、これがずっとあるのかなと思ってました。今の説明では、ルート上の交差点に、推奨ルートですから、そこを曲がれば、ルートですよというふうな、交差点を主にというようなことでございますので、今後、こういったものがもう少しほしいということになれば、考えていかなければならないのかなと思っております。
今後、県はどのようにサイクルツーリズムの推進に取り組んでいくのかについてお伺いいたします。
41 ◯金子観光課長=今後の取組についてお答えします。
サイクルツーリズムは、二つの海、広い平野と山といった佐賀ならではの自然や日常を感じることができるウイズコロナ時代の魅力的な観光ツールの一つであります。また、「OPEN-AIR佐賀」を発信していく重要な観光
コンテンツの一つとして関係部局と連携を図ることで、文化観光やスポーツ観光にも活用できると考えております。
一方、サイクルツーリズムの機運醸成のために不可欠なのは、まずは地元や地域の人たちが自分たちの地域の観光資源の価値に気づき、サイクリストのお客様目線で磨き上げ、サイクルツーリズムに活用していくことも重要でございます。
そのため、自転車を使った旅行商品の造成やサイクルツーリズムイベントの情報発信など、サイクルツーリズムを通じた観光振興に主体的に取り組む市町や事業者を後押ししていきたいと考えております。
こうした取組を通じ、地域にサイクルツーリズムを浸透させていくことで受入れ環境の一層の充実及びサイクリストのさらなる誘客促進を目指してまいります。
サイクルツーリズムは、アフターコロナにおいて本県観光の強みとなり得る
コンテンツと考えております。引き続き、地域や地元と一体となり、サイクルツーリズムを浸透させ、アフターコロナにおいて、本県観光のステップアップにつながるよう、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
42
◯冨田委員=やはりサイクルツーリズムは、観光の振興、また、佐賀県のよさをしっかり認識していただける一番のチャンスかなと思ってますので、しっかり推進をお願いしたいところです。
私も車に乗っていて自転車の方を見るわけですが、そういった中で何といいますか、ツーリズムをされる自転車の方々の交通安全等もしっかり確保して道路の管理をやっていかないといかんとかなと私なりに思ってますので、これは県道ばかりじゃなく、国道も多分指定されてますので、管理者ともしっかり連携を取って維持管理もやっていただいて、ツーリズムを楽しむ方々の安全を確保していただきたいと思っております。これは答弁は要りません。
次に行きます。五つ目の質問でございます。時速二百キロ程度のフリーゲージトレインについて伺います。
国との「幅広い協議」において、安全な速度でフリーゲージトレインを走らせることも考えられるのではないかと発言され、鉄道局に対し、西九州ルートに時速二百キロ程度のフリーゲージトレインの導入を提案されております。
先月の十日、「幅広い協議」では、鉄道局から時速二百キロのフリーゲージトレインであっても技術開発は困難との認識という回答を得ているところだと思っています。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まずは、時速二百キロのフリーゲージトレインについて、県民の中には、二百キロで博多まで行くならよかやっかいというふうな声がありました。その意見をもう少し詳しく聞いてみると、在来線は私の記憶では百三十キロだと思うんですよね。その方は、もう在来線のところも二百キロでつるんと行くというふうに考えてあるようでございまして、私はしっかり、在来線のところは一番早いところでも百三十キロですよと、その区間も短いでしょうというふうなことで話をしたわけです。やはり県民に対して県は確実な情報発信をしていくべきじゃないかなと、そういった誤解を生まないためにも、やはりこの新幹線問題は県民の関心も高いわけですから、そういった正確な情報発信をしていくべきと思っていますけれども、それについて県の考えをお伺いいたします。
43 ◯古沢交通政策課長=県民への正確な情報発信についてお答えいたします。
西九州ルートの問題について、佐賀県が鉄道局とどのような協議を行っているのか、県民の皆様に議論のプロセスやその内容を正確にお伝えするため、鉄道局との「幅広い協議」は、全て公開で行っており、協議の内容については、その都度、県のホームページにおいて公開をしております。
また、これまでの経緯や合意事項などの基本的な情報についても、県のホームページに詳細な内容を紹介してきたところでございます。
先ほど、委員から、一部そういう誤解が生じるといった御意見もございましたので、県民に向けた分かりやすい情報発信について工夫してみたいと考えております。
以上でございます。
44
◯冨田委員=工夫してみたいということ、今後ということですね。やはり私はこういった、時速何キロというのは、やっぱり誤解を生むというふうに思うんですよね、数字の部分はですね。やはりそこは正確に訂正をしていきながら発信していくべきだというふうに考えてます。
次に、三月三日の一般質問において、知事は、佐賀県の新鳥栖駅には既に関西直通の新幹線が走っていると答弁されたと思っております。佐賀県は、新鳥栖まで行けば高速鉄道網とアクセスできるという意味だというふうに考えてますけれども、この答弁を踏まえれば、現在、佐賀県が提案している時速二百キロ程度のフリーゲージトレインの走行区間は新鳥栖まででよいのかと私は受け止めたところですけれども、県は、この二百キロのフリーゲージトレインの運行区間についてどのように考えているのかについてお伺いいたします。
45 ◯古沢交通政策課長=フリーゲージトレインの走行区間に関する所見についてお答えいたします。
先月、二月に行いました六回目の鉄道局との「幅広い協議」において、鉄道局から、博多-武雄温泉間は在来線を利用することで所要時間などが示されたところでございます。これに対して県からは、博多-新鳥栖間は九州新幹線鹿児島ルートに乗り入れをすれば、さらに時間短縮が図られるのではないかということで提案をしたところでございます。
フリーゲージトレインの走行区間につきましては、時間短縮効果や乗換えなどによっていろいろと考えるところがあるかと思っております。フリーゲージトレインについて議論するときには、こうしたことについても議論していくことになると思っております。
以上でございます。
46
◯冨田委員=なかなか答弁が分かりづらかったんですけれども、県としては、新鳥栖じゃなくて博多まではフリーゲージトレインを走らせてくださいということでよろしいですか、再度、すみません。
47 ◯古沢交通政策課長=先ほどお話がありました博多までということでよいのかという御質問でございました。
フリーゲージトレインについては、博多と長崎までということの分で西九州ルートの議論がこれまでされてきたと思っております。
以上でございます。
48
◯冨田委員=議論がされてきましたので博多までということで考えてますということですね。
では、次の質問にいきます。
高速鉄道網の認識といえば、航空機利用と新幹線利用を選択する場合に、やっぱり目的地までの所要時間に余り差がない場合は、乗換えや待ち時間などを考慮して一般的には新幹線を利用する方が多いのではないかと思ってます。我々も東京に行くにはやっぱり時間が短い飛行機がいいし、大阪だと待ち時間が長いので新幹線がいいかなというような考えで利用するんだと思っています。
新幹線整備は、このようなことも考えながら、
佐賀県民のことだけではなく、やはり県外の利用者のことも考えながら検討していくべきと考えてますけれども、県は新幹線そのものについてどのような認識を持たれているのか、回答をお願いいたします。
49 ◯古沢交通政策課長=新幹線に対する県の認識についてお答えいたします。
県としましては、新幹線そのものを否定しているわけではございません。新幹線は中核都市間を高速で結ぶことを得意とするもので、三百キロから五百キロの距離で優位性を発揮すると言われております。
一方、佐賀県は人口密度が全国十六位、九州では福岡県に次いで二位でありますが、県都への集中度では九州で最下位となっており、いわば大都市近郊型、人口分散型の県土構造となっております。こうした地域におきましては、途中の駅や町を飛ばしてしまうフル規格は、あまり相性がよいとは言えないと思っております。
そもそも西九州ルートについては、佐賀県は時間短縮効果がほとんど得られないという極めて特殊な状況下で、長崎県のことを考えて鹿島や太良などの長崎本線沿線地域の大変つらい思いの中で、新鳥栖-武雄温泉間は在来線を利用することを前提に関係者間で合意を重ねながら進められてきたところでございます。
フル規格につきましては、在来線の利便性低下や多額の建設費負担など様々な論点がございます。そういったものにつきましてはゼロベースで議論が必要と考えております。
西九州ルートの問題については、県民生活や佐賀県の将来に大きく影響するため、佐賀県と
佐賀県民の今と将来を考えて、何が望ましい姿なのか、大きな視点を持って幅広く骨太に議論させていただきたいと思っております。
以上でございます。
50
◯冨田委員=答弁については、いつもと余り変わらないなと思ってますし、先ほどの質問について、それほど議論してもしようがないかなと思ってますので次に行きます。
県は、国に対して二百キロ程度のフリーゲージトレインの開発を求めているわけですけれども、鉄道局は開発は困難と言っています。完全に鉄道局が否定まではされてないように私は感じてますけども、そういったことで県は、この前の県の協議の中でフル規格についても議論するのでフリーゲージトレインも検討していただきたいというような部長の発言もあっているようでございます。
仮に国が県の求めに応じてこのフリーゲージトレインの開発を検討するといった場合に、国から開発費用の一部を負担していただけないでしょうかというような提案があった場合に県としてどのように考えるのか。仮定で申し訳ないんですけれども、よろしくお願いいたします。
51 ◯古沢交通政策課長=フリーゲージトレインの開発費用の負担についてお答えいたします。
フリーゲージトレインにつきましては、国において開発が進められ、国が責任を持って実用化を推進するとされたので、佐賀県は新鳥栖-武雄温泉間を在来線を利用することを前提として武雄温泉-長崎間の整備に同意をしたものでございます。その後、フリーゲージトレインの開発を断念し、現在の状況を招いているのは、国の責任であります。これまでの経緯を踏まえますと、フリーゲージトレインの開発費用につきましては、国の責任において行うべきものと考えております。
以上でございます。
52
◯冨田委員=フリーゲージトレインを断念したのは国だから、それはもう国の責任でやっていただきたいというような一方的なことかなと。一方的というか、言葉が悪いですね。それは当然だと私も思ってますけども、やはり今回、時速二百キロという新たな提案じゃないかなと私は思っているんですよね。やはり新たな提案をするときには、それなりの覚悟はしていかにゃいかんとかなというふうに思ってますけれども、その辺の認識について、部長、何か思ってありますか。課長かな、どっちでもいいですけれども。
53 ◯山下地域交流部長=六回目の「幅広い協議」、多分、委員さんも議事録とか読んでいただいているかと思いますが、二百キロのフリーゲージトレインを提案したというのは、対面乗換えというのは、そもそもフリーゲージトレインの導入が間に合わないということで、導入までの間、対面乗換えでということで国の提案があった。それを受け入れての対面乗換えだったんですけれども、その国が提案された対面乗換えが、やはり利用者の利用が不便だということを言われ始めたので、であるならば二百キロのフリーゲージトレインを投入することで不便とされるところが解消されるんじゃないですかと。フリーゲージトレインというのは、みんなが合意したものだから、そこの可能性というのを考えてみてくださいという話をいたしました。
その開発の可能性というのも、これまでの開発経緯を見れば分かるように、最終的に技術評価委員会が新しい対策を提案されていると。国交省も開発スケジュールを示されているということで、できるんだろうと思っているわけですね。新たな対策をやってみれば、今、やってないわけですから。
ということですので、二百キロという提案はしたものの、実は新しい対策をすれば二百六十キロというのもクリアできるのではないかとさえ思っているわけです。ですから、二百六十キロの開発というところを考えるのであれば、まずは国がやってみるというところは当然あるんだろうというふうに考えております。その上で、二百キロというのも頭に入れておいていいのかなというふうな考えです。あくまでも、今、開発の経緯を見たときに、最終的には新しい対策というのは二百六十キロを前提として提案されていますので、それが大前提だろうというふうに思っています。
以上でございます。
54
◯冨田委員=確かに部長が言われるとおりなのかもしれません。対面乗換えを解消するのが必要だろうと、利便性からしてもですね。そういった意味でのフリーゲージトレインという提案、二百キロという提案をされたのかなということは理解をいたしますけれども、いつも幅広い、骨太の協議と言われてまして、幅広い、幅広いと、広げるばっかりでいっちょん狭まんらなと県民の方は言われるわけですね。これについて、私、どう答えていいのか、なかなか難しい答えだなと思っております。やはりもう五択の選択の中から必要ないものは必要ないというか、もう外していいものは外していくべきだと思ってますし、その辺はしっかり知事とも協議いただいて、今後、深く協議ができるように絞っていただきたいと思ってます。
また特別委員会で参考人招致ということで鉄道局からも来ていただきますので、またその折にも鉄道局の考え方も聞いてまいりたいと思ってますので、しっかり知事ともそういった、幅広く手を広げるばっかりじゃ納まりませんので、しっかり深められるように選択肢を何本かに絞っていただくようにお願いして、この質問を終わります。ありがとうございました。
55 ◯下田委員=県民ネットワークの下田寛でございます。引き続いて質問していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
昨日、委員会の視察で筑後川の河川事務所とサガン鳥栖さんと、あとはアスリート寮を見せていただきました。まさに時代の変わり目だなということを感じましたとともに、今から質問させていただきますSSPトップアスリート育成好循環創出施設整備事業についてにも関連することですが、昨日はサガン鳥栖のグラウンド整備の要望をいただいたりとか、SSPのアスリート寮、来年から鳥栖と佐賀を合わせて六十人ほどですか、もう入寮が決まっていると。中身を見せていただいて希望ばかりがあふれてきたという感覚を持ったのは、きっと私だけではないと思います。そういった形で、今、佐賀県もSSPの構想を中心に、そういった環境が続々と整備されていると。また、多久においても、クライミングの施設や、先日も伊万里のホッケー場の整備が済んだということで、若者がこの佐賀でアスリートとして育んでいかれるんだな、夢を持った子供たちが続々と育っていくんだなということを実感している中でもあります。
そういった中で問一の質問でありますが、今回、鳥栖工業高校のレスリング場の整備予算が提案されております。この予算は、昨年の二月議会において、二カ年の事業の継続費として既に議決をしているものでありまして、いよいよ来年度の完成予定であって、鳥栖工業高校のレスリング部をはじめとして多くの選手の利用が期待をされていることから、確認の意味も込めて次の点についてお伺いをしていきたいと思います。
まず、この鳥栖工業高校レスリング場の現状について、今、どのようになっているのかをお伺いしたいと思います。
56 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=まず、現在の鳥栖工業高校のレスリング場の現状についてお答え申し上げます。
現在のレスリング場は鉄骨平屋建てでございまして、面積は二百三十四平米、どれぐらいかというと十五メートル掛ける十五メートルというふうに思っていただければと思います。これが大体レスリングのマット一面が取れる広さになります。建物そのものは築四十年以上たっておりまして、ちょっと古いということもありまして、屋根と壁の間に隙間などもありますので、例えば、風のひどい日は落ち葉が中に入り込んでしまうとか、あるいは冬はストーブをたこうとしても温かい空気が外に出てしまうというような状況にございます。
それから、レスリングマットが一面取れる程度の広さしかないこともありまして、更衣室が中にないわけであります。その結果、男子の生徒はマット上で着替えると、女子の生徒は別のところにあるトイレで着替えるとか、そういったことになるので、これも選手のプライバシーといいましょうか、そういった点からどうかなというような状況であります。
それから、レスリングの特性でありますけど、選手同士が組み合って接触する競技であります。これ、コロナとは関係ない形で感染症対策として皮膚の感染症といいましょうか、皮膚にカビがついてたりして、それがあると大会に出れないとか、いろいろレスリング特有のレギュレーションもございます。そういった場合、そういうものを未然に防止するために練習が終わった後にすぐシャワーを浴びるというようなことを勧めているわけでございますけども、当然、シャワー室もないというような状況でございます。
こうした状況下におきまして、鳥栖工業高校のレスリング場は高校生だけではありませんで、小学生から社会人まで約五十名弱の練習拠点と今なっております。ただ、マットが一面しかないこととか、先ほど申し上げたような状況もございますので、安全面の確保でありますとか、効果的な練習をどういうふうにしていこうかといったことについて苦労されているというふうな状況でございます。
以上でございます。
57 ◯下田委員=現況についてお伺いをいたしました。
では、今回、鳥栖工業高校のレスリング部として高校の中にレスリング場を造る、改修していくわけなんですけれども、成績について鳥栖工業高校は、もう皆様御承知のとおり、全国屈指の強豪校というふうに言われておりますが、最近の鳥栖工業高校レスリング部の成績についてお伺いしたいと思います。
58 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=鳥栖工業高校レスリング部の成績についてお答え申し上げます。
直近一年ということで申し上げますと、まず、団体戦といたしましては、ちょうど一年ぐらい前になりますが、昨年三月の全国高校選抜大会の男子の団体の部で初めて全国優勝を果たしております。そして、去年の八月の全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイでございますが、こちらでも男子団体で優勝ということで、春夏連覇を果たしております。
ちなみに、レスリング界におきまして県立の高校が春夏の連覇を果たしたのは二〇〇七年まで遡るといったことで、快挙と言っていいかと思います。
また、個人戦といたしましては、六十キロ級の小野正之助選手、三年生でございましてSSPライジングアスリートでございますが、春の選抜、それから夏のインターハイともに優勝、それから、五十五キロ級の尾西大河選手、三年生で、この選手もSSPライジングアスリートでございますが、春が三位、夏が準優勝というふうになっております。
このほかOBの選手もそれぞれ大学に進学したり社会人になった後も全国大会での優勝などをしておりまして、まさに全国トップクラスの選手を輩出し続けているというふうに思ってます。近年、鳥栖工業高校は全国屈指の強豪校でございまして、同校の小柴教諭の下で学びたいという形で全国からも進学希望の生徒が相次いでいるというふうに伺っているところでございます。
状況は以上でございます。
59 ◯下田委員=ありがとうございます。全国からもそういった声がますます高まっているというような認識であるというふうにも思っております。
そういった現状を踏まえて、今回、レスリング場の整備ということもあるのですが、そのような成績も踏まえて、新たにレスリング場を整備することとなった理由についてお尋ねをしたいと思います。
60 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=レスリング場の整備理由でございます。
先ほど申し上げましたように、鳥栖工業高校のレスリング場が小学生から高校生、それから社会人の練習拠点となっている。そして、全国トップクラスの選手を数多く育成している、まさに拠点になっているといったところでございます。他方で設備面の不足、安全面の不安など、練習環境としては十分じゃないといったことがございます。こうしたことを勘案いたしまして、佐賀県はSSP構想の下、世界に挑戦する佐賀ゆかりのアスリートを進めております。
レスリングにおきましては、先ほど来申し上げておりますように、充実した育成体制というのが確立しております。いわばソフト面はしっかりしているわけであります。これに対してハード面である練習環境の充実を図ることで、さらなる人材育成の好循環を創出していきたいと、こういった思いでレスリング場の整備に今回取り組んでいるものでございます。
以上でございます。
61 ◯下田委員=ありがとうございます。まさにこのSSP構想、世界に挑戦するというような目的、目標があるわけで、その中で今回このような投資といいますか、挑戦をして、行政としてもそういった投資をしているわけだと思っております。ぜひこの地域から世界に挑戦する生徒たちが、若者が続々出ていくことを私自身も望みます。
(四)の次の質問ですが、それでは今回新設するレスリング場の建物の概要、また、どのような設備を備えているのかというのを具体的にお伝えいただきたいと思います。
62 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=今回整備する建物の概要についてお答えを申し上げます。
まず、現在整備中のレスリング場でございますが、これは鉄骨の二階建てになります。建築面積が五百六十平米でございます。大きさ的に申し上げますと十五メートル掛ける三十五メートルということで、現在の倍というふうに思っていただければと思います。それが二階建てになります。マットは二面を確保できる大きさにしております。一階、二階ありますので、一階にはトレーニングルームだとかミーティングルーム、それから更衣室やシャワールームなどを備えたいと思っております。二階にレスリングマットを二面整備いたします。高校としては、全国トップレベルの練習環境を整える予定でございます。
以上、お答えとさせていただきます。
63 ◯下田委員=ありがとうございます。今、建築も続々と進んでいるような状況でもありますので、概要についてありがとうございました。
それでは、今後の期待についてということですが、このレスリング場を整備することで今後どのようなことを期待しているのかというのをお尋ねしたいと思います。
64 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=今後の期待についてでございます。
繰り返しになりますが、鳥栖工業高校のレスリング場は、小学生、中学生、高校生、社会人の練習拠点としております。その機能が今回の整備により充実、強化することになります。したがいまして、今後もインターハイや国体を含めて個人種目や団体戦での活躍に本当に期待したいなと思っております。
ただ、大会の結果だけでなくて、私どもが本当に期待しているのは、例えば、そこで練習している高校生たちが、それぞれの目標に向かって技を磨いていくわけですけれども、小中学生も一緒に練習しているわけなので、それを見ている小中学生たちが高校生の姿を見ることで、自分もああなりたいとか、こういうことをしたいという新たな目標をそのレスリング場でしっかりと胸に抱いていただきたいと。そういった志や技、そういったものが鳥栖工業高校のレスリング場で連綿と受け継がれていくと、そういうスポーツシーンが生まれる、そういうレスリングの育成の殿堂になってほしいと、そういうふうに期待を込めているところでございます。
65 ◯下田委員=ありがとうございます。まさに郷中教育といいますか、寮も含めると、新しい文化がそこで育まれていくというようなこともぜひ期待をしていきたいと思っております。
最後に今後の施設整備の考え方についてですが、SSP構想全体で考えると、このような施設整備が今進んでいるわけなんですが、今後の施設整備の考え方について、大まかな方針についてお伺いしたいと思います。
66 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=今後の施設整備の考え方についてお答え申し上げます。
SSP構想は、世界に挑戦する佐賀ゆかりのアスリートの育成と、それとスポーツ文化の拡大というものを進めていく、我々、壮大な構想だというふうに思ってます。特にトップアスリートの育成につきましては、SSP構想の基本方針におきまして重点三分野といたしまして、人材の育成、それから練習環境の充実、そして就職支援、この三つを設定して取組を進めているところでございまして、練習環境の充実ということもきちんとやっていきたいというふうに思ってます。
今後の必要な整備につきましては、例えば学校施設、今回の鳥栖工業高校のレスリング場なんかそうなんですけど、こういった学校施設につきましては、県立学校を所管する県の教育委員会であるとか、あるいは一つ一つの私立学校もございますので、こういった私立学校といろいろな意見交換をしながら考えていかなきゃいけないんだろうと思います。
それから、学校だけが練習の場ではなくて、例えば社会体育みたいな形で競技団体がやっているようなところもありますし、いろんな中高生のチームがやっているようなところもございます。こういったところについては競技団体などとも意見交換しながら検討していくことになります。
その際には、学校ごとに順番に何か整備していくとか、あるいは単に古いから建て直しましょうとかという何か画一的な考え方でやっていくのではなくて、むしろSSP構想の下、どういった整備を行うことが子供たちの育成につながっていくのかといったことをしっかり戦略的に考えながら練習環境の充実を図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
67 ◯下田委員=ありがとうございます。このSSP構想について、今、推進監から御答弁いただきましたけれども、壮大な構想に向けて一歩一歩、歩みを進めていっているところだと思っております。私自身も期待してますし、将来に向けて佐賀県から世界に挑戦するアスリートが、地元から生まれてくるというところに非常に期待をしているところでもあります。引き続きしっかりと対策をお願いしたいと要望申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
続きまして、「SAGA2024」に向けた競技力向上についてお尋ねをしたいと思います。
佐賀県では、第七十八回国民スポーツ大会佐賀県競技力向上基本計画において、令和六年の「SAGA2024」における国民スポーツ大会で、県民の期待に応え、佐賀に競技力が根づく戦い方で天皇杯を獲得するため、競技力向上の取組が今進められているところでもあります。
その目標実現のためには競技力の向上が不可欠であって、そのためには各競技団体における強化が必要であると考えております。その強化については、指導力を有する指導者の養成や選手をどのように育成、強化していくかも大切な部分であるとも考えております。特に今のようなコロナ禍においては、強化活動も制限されて、指導者が具体的にどのような強化策を練っていくのかは非常に重要な点だとも考えております。また、予算の使途も重要で、強化に直結するような予算を適切に措置して、それを競技団体が効果的に使っていくことも大変重要です。そして、後ほども触れますけれども、今回、二月補正予算では一億七千六百万円の減額が提案されるなど、厳しい状況での取組の中でコロナ禍でどのように競技力向上につなげていくのか、大変難しい課題に直面していると思っております。
そこで、次の点についてお尋ねをしていきたいと思います。
まず、「SAGA2024」までの順位設定などの目標についてお伺いします。
SAGA国スポでは、天皇杯獲得という目標を掲げていますが、「SAGA2024」までの順位などの目標設定をどのように行っているのかをお伺いしたいと思います。
68 ◯中島競技力向上推進室長=「SAGA2024」までの順位設定などの目標についてお答えします。
県としては、平成二十八年七月に策定した佐賀県競技力向上基本計画に基づき、「SAGA2024」国民スポーツ大会の開催までと、その後の期間を発掘・育成期、充実期、完成期、定着期の四つに区分し、段階的な競技力の向上を図ってきたところです。
「SAGA2024」国民スポーツ大会までの目標順位につきましては、佐賀県競技力向上基本計画において定めているところであり、令和四年度の栃木国体におきましては十位代前半、令和五年度の鹿児島特別国体では十位以内、令和六年度の「SAGA2024」国民スポーツ大会では一位を目標としているところでございます。
以上でございます。
69 ◯下田委員=分かりました。ただ、コロナ禍で大会自体が開けていないと。そういったところに対してどのように取組があるのか。また、客観的な指標がないというところは大変もどかしいところでもあると。これは佐賀県だけではなくて全国的にそういう状況であるとも思っております。
そういった中なんですが、(二)の「SAGA2024」に向けた選手強化についてです。
まず、選手強化の取組についてですが、SAGA国スポについては、天皇杯獲得という高い目標が掲げられておりますが、この選手強化についてはどのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。
70 ◯中島競技力向上推進室長=「SAGA2024」に向けた選手強化の取組についてお答えします。
選手強化については、大きく四つに区分して行っております。一つ目が、佐賀陸上競技協会や佐賀県水泳連盟など競技団体への活動に対する支援。二つ目が、サッカーやバスケットボールなど有望な中学校、高校を競技種目ごとに強化拠点校に指定して支援を行う強化拠点校支援。三つ目が、同じく地域で活動しているクラブチームをヨットやホッケーなどの競技種目ごとに強化拠点地域に指定して支援を行う強化拠点地域支援。そして四つ目が、久光スプリングスやトヨタ紡織九州レッドトルネードなど企業チームへの活動に対する支援を行っているところでございます。成年層、中高生等、幅広く強化を図っているところでございます。
以上でございます。
71 ◯下田委員=今の御答弁で選手強化の取組については、競技団体や企業チーム、中学・高校や地域クラブチーム、四つのカテゴリーがあるというようなお話であったと思います。中でも競技団体に対する支援というのは、全ての世代に通じる最も重要な柱に今後もなっていくだろうというふうに思いますが、この支援の概要についてお伺いをしたいと思います。
72 ◯中島競技力向上推進室長=競技団体に対する支援についてお答えします。
競技団体に対する支援は、各競技団体でそれぞれの実情において行う競技力の向上や、指導者の指導力向上を図るために行っているものであり、例を挙げると県外強豪チームとの強化練習等の実施、選手の技術向上を図るための県内外の指導者の招聘、団体の指導者体制確立、指導者の資質向上を目指すための研修会等への参加支援、競技用具の購入による練習環境の整備、充実などがあります。
以上でございます。
73 ◯下田委員=ありがとうございました。そのような支援が行われているということなんですが、令和三年度の競技団体の支援の活用状況についてお尋ねしたいんですけれど、様々な支援が行われているというお話をいただきましたが、コロナ禍において競技団体の活動に制約があっていると。現に、二月補正で一億七千六百万円の減額というようなことも提案がされております。
実際、競技団体にこれらの支援等がしっかりできたのか、また、活用することができたのかという点についての現状をお伺いしたいと思います。
74 ◯中島競技力向上推進室長=令和三年度の競技団体の支援の活用状況についてお答えいたします。
二月補正では、競技団体をはじめ、強化拠点校や強化拠点地域、強化企業チームにおいて、コロナの影響で予定していた活動ができなかった団体もあったため減額補正を行ったところでございます。
このような中でも、各競技団体では可能な限り、おのおの工夫して強化に取り組んでいただいたと認識しております。例えば軟式野球競技においては、大分県との選抜強化試合、剣道競技においては、県内での選抜強化合宿を実施されました。また、環境整備事業としても、競技力向上に不可欠な日々の練習が継続してできるように、カヌー、ヨット、ボートの競技艇の整備、ウエイトリフティングのバーベルセットの整備を行うなどの支援を行ったところです。
このように競技団体においては、コロナ禍においても時期を工夫するなど可能な限り活動が行われており、県としてもできる限りの支援を行ったところでございます。
以上でございます。
75 ◯下田委員=ありがとうございます。コロナ禍において強化活動に制限があって、競技団体によっては時期を見ながら強化活動にも取り組まれているというようなことでもあります。
この活動制限がある中においても、可能な強化活動を模索することというのは、当然今もお話があったとおりでありまして、コロナ禍前と違ったような強化活動ということも、もう一歩進んでできたのではないかというふうにも考えるんですが、県としてコロナ禍における強化策についてどんな支援をしていくのかという点について県の考えをお尋ねしたいと思います。
76 ◯中島競技力向上推進室長=コロナ禍における強化策についてお答えします。
先ほど答弁しましたとおり、時期を工夫して強化活動に取り組んだ競技団体もありました。ただ、コロナと付き合いながら競技力向上のために強化活動を行うことも大事であると考えております。
県外との強化活動の交流制限があった中、競技団体によっては、新型コロナウイルス感染防止に十分留意した上で、活動内容を工夫して取り組んでもらっている団体も見受けられています。例えば、空手道競技では、オンラインによる監督やコーチからの指導。アーチェリー競技では、配布されたDVDを参考にした自主練習。ボート競技では、市内のトレーナーに依頼し、自宅でできる筋力トレーニングメニューの作成。スポーツクライミングでは、民間のクライミングジムが閉鎖した期間、天然の岩場を活用した練習を行うなど、コロナ禍においても各競技団体で工夫を凝らした活動を行っていただいたところであります。
委員御指摘のとおり、県としては、コロナ禍においても各競技団体でできることを可能な限り取り組んでいただけるように支援していきたいと考えており、オンラインによる指導等、積極的に取り組まれている事例をほかの競技団体にも紹介し、コロナ禍においても強化が継続して行われていくよう、引き続き競技団体をサポートしていきたいと考えております。
以上でございます。
77 ◯下田委員=ありがとうございます。最後の質問をさせてもらいますが、「SAGA2024」に向けての取組についてということです。
今、室長から様々なコロナ禍における強化策の在り方といいますか、現状について、佐賀県の考えをお伝えをいただきました。一番初めに目標設定についてお伺いしましたけれども、一位に向けてのハードルというのは、結構ハードルが高いと感じております。さらに、客観的なデータが大会ができないから取れない。そういった中で、現状、佐賀県が何位程度にいるのかも、なかなか手探りな状況でやっているのが今の現状であるとも認識をしています。
そういった中で、やはり室長が中心になって「SAGA2024」の強化に取り組んで、目標に掲げている国スポでの一位を目指していかなければならない。そういう現状において、最後にお伺いしますが、今後、「SAGA2024」に向けてどのように取り組んでいくのか、その思いをお伝えいただきたいと思います。
78 ◯中島競技力向上推進室長=「SAGA2024」に向けての取組についてお答えします。
コロナ禍において、二年連続で国民体育大会が中止になったことで、現在は現状の把握が難しい状況にあります。佐賀国スポに向けては、これまで取り組んできたように、SAGAスポーツピラミッド構想に基づき、引き続き競技力向上に取り組んでいきたいと考えております。
強化の成果は少しずつ見え始めてきており、令和三年度は、全日本U-15サッカー選手権でサガン鳥栖U-15が二連覇、JOCジュニアオリンピックカップライフル射撃競技選手権大会で佐賀清和高校の吉田陸矢選手が優勝、クライミングワールドカップで佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟の樋口純裕選手が優勝するなど、輝かしい成績を収められており、コロナ禍においても「SAGA2024」に向けて、一歩一歩、競技力の向上を図ることができていると考えています。
各競技団体においても、あと二年半となった佐賀国スポに向け士気が高まっており、様々な関係者と一体となり、オール佐賀、チーム佐賀としてしっかり取り組んでいきたいと考えております。
今後も、各競技団体と連携を密にし、各競技団体の現状や課題を把握し、各競技団体に寄り添いながら、有望選手発掘、育成、強化、高い指導力を有する指導者養成、選手を支えるサポート体制の充実など、有効な支援策を講じ、引き続き競技力の向上を図り、天皇杯獲得を目指していきたいと考えております。
以上でございます。
79 ◯下田委員=ありがとうございます。コロナ禍で厳しい状況が続く状況ではありますけれども、引き続き競技力向上に向けて取組を進めていただきたいと最後にお願い申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
それでは、三問目の建築展の開催事業についてお尋ねいたします。
県は、これまでも県政の理念であります「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」の下、国内はもちろん、世界に誇れるものづくり、世界目線で物事を考えていくための事業に力を入れて取り組まれているというふうに認識をしています。
その一環として、「肥前さが幕末維新博覧会」、大隈重信百年アカデミア、高輪築堤の移設、あと九月議会でも質問をさせていただいた市村記念体育館のリニューアル事業の検討など、大きな事業が続いているというふうにも思っています。
また、来年度の予算において今審議をしております議案の中で、佐賀の誇りや愛着のさらなる拡大を図るための事業として、東京駅を設計した辰野金吾、丸の内煉瓦街の設計者である曾禰達蔵、赤坂離宮を迎賓館としてリニューアルさせる設計を起こった村野藤吾、この三人の唐津出身の建築家に光を当てて、その功績などを紹介し、顕彰する
特別企画展を開催されるというような事業が今回提案されています。
私は、県民が佐賀に誇りや愛着を持って、高い志を持つことは、佐賀県がこれから飛躍をしていくためにも重要なことと考えています。誇りの醸成や偉人を子供たちに伝える教育などは、ぜひ行っていくべきことだというふうにも思っています。
また、この三人についても改めて調べましたところ、建築業界では巨匠として知られている方々でもあって、日本の近代建築にはなくてはならない人であるということ、意外と、この三人が佐賀出身、唐津出身ということは知らない方が多かったりして、そういったことに非常に驚かれる方も多くて、今回の企画展を中心に多くの県民や、特に唐津の人々には、この三人のことをぜひとも知っていただきたいなというふうにも思っているところです。
ただ、この三人が関わった建築物が県内には余り残っていないというふうにも聞いてます。なので、建築家自体の県民の認知度も十分ではないのだろうなというふうにも感じているところでもあります。
企画展を行うに当たっては、どのような功績に光を当て伝えていくのかとともに、どのような人たちに足を運んでもらいたいかなどもしっかりと考えていくべきでありまして、そのためには地域に眠る歴史資産の保存活動に係る専門家であるヘリテージマネージャー、今、建築士会等が進めているというふうに聞いておりますが、このような方々との連携などもぜひ考えていただきたいというふうにも思っております。よりよい企画展に仕上げて、この企画展をきっかけに建築を志す子供たちが増えたり、佐賀を誇りに思う人たちが増えるということにぜひとも期待をしているところでもあります。
そこで、次の点をお伺いします。
まず、この事業の目的についてお尋ねをしたいと思います。
80
◯水町文化課長=建築展開催の事業目的についてお答えいたします。
今回の企画展は、委員から御紹介いただきましたとおり、東京駅を設計した辰野金吾、東京駅周辺の丸の内煉瓦街を設計した曾禰達蔵、迎賓館赤坂離宮の改修をはじめ、数多くの建物を残した村野藤吾、この三人を取り上げることとしております。この三人は、日本の建築を語る上では欠かせない近代日本の建築をリードした偉大な建築家でございますが、唐津出身であることは、残念ながら、あまり知られておりません。
今年、二〇二二年は、鉄道開業百五十周年という記念すべき年でございます。東京駅を中心に鉄道に絡めた各種の催しが企画されておりまして、東京駅を設計した辰野金吾や、東京駅周辺の丸の内煉瓦街を設計した曾禰達蔵にも注目が集まるのではないかと期待しているところでございます。
このため、この機を捉えましてこの三人に光を当てた
特別企画展を開催いたしまして、本県の唐津が生んだ偉大な建築家の功績を広く紹介するとともに、佐賀への誇りや愛着をさらに高めていくことにつなげていきたいと考えております。
以上でございます。
81 ◯下田委員=目的についてお伺いをいたしました。
それでは、この事業内容についてですが、この企画展ではどのような展示や企画を考えているのかをお尋ねいたします。
82
◯水町文化課長=建築展の事業内容についてお答えいたします。
今回の企画展では、三人の人物や代表的な建築を紹介することによりまして、その功績をひもといていきたいと考えております。さらに、明治以降の東京発展の始まりの場所となっていった東京駅や、東京駅の目の前にある丸の内煉瓦街を造り上げたのは、唐津出身の建築家だった、建築目線で見た場合には、いわば「近代東京の礎は佐賀・唐津がつくった」ということをしっかりと伝える内容にしていきたいと考えています。
そのためには、東京駅を中心とした東京発展の歴史、この三人がどう関わっていったのかを人物像や関連資料、エピソードとともに紹介したり、代表的な建築を設計図や建築模型、建築写真などと併せて紹介することも考えています。
そのほか、鉄道開業百五十周年にあわせて、東京駅の東京ステーションギャラリーや、さいたま市にございます鉄道博物館などでも企画展を準備されておりまして、資料をお借りすることなどを含めてリレー展示や広報などでの連携、協力ができないかを検討しているところでございます。
また、建築物をアートとして捉えまして、その美しさを感じていただけますよう、現代アーティストとのコラボレーションにより、建築画と動画をあわせるなどの演出を加えて新しい切り口でも建築物を紹介していきたいと考えております。
以上でございます。
83 ◯下田委員=ありがとうございます。個人的に聞いてて、ちょっとわくわくしたなというのがあります。先ほどの近代日本の発展は唐津目線、佐賀目線から始まったと、いいですね。こういうのを、やっぱり佐賀の誇りの醸成といいますか、この三人が日本の近代建築に関わったというのは、やっぱりすごいことだと思います。
(三)でもお伺いしたいんですけど、この三人の建築家について、まず、どういった方々なのかというのをもう少し細かくお伝えをいただきたいと思います。
84
◯水町文化課長=三人、辰野金吾、曾禰達蔵、村野藤吾の建築家についてお答えいたします。
まず、辰野金吾は、唐津藩の英語学校「耐恒寮」で、後に大蔵大臣や首相を務めました高橋是清に学びまして、その後は上京して工部大学校、これは現在の東京大学工学部でございます。この第一期生として入学、大学を首席で卒業した後はヨーロッパ留学を経まして、工部大学校の教授に就任しています。日本建築学会を設立し、会長も務めておりまして、日本の建築界の基礎をつくった「近代建築の父」と言われています。
辰野の関わった主な建築物は、東京駅や日本銀行本店、これらはいずれも国指定の重要文化財でございます。県内では、旧唐津銀行、現在の辰野金吾記念館や、武雄温泉新館・武雄温泉楼門がございます。
次に、曾禰達蔵でございます。曾禰達蔵は、辰野とともに「耐恒寮」で学びまして、上京後も辰野と同じ工部大学校の第一期生となっています。大学卒業後は、工部大学校助教授、海軍省を経まして三菱社に入社しています。丸の内煉瓦街の設計に携わりまして、辰野の後に日本建築学会の会長も務めています。
曾禰の関わった主な建築物は、三菱丸の内煉瓦街のほかに慶應義塾大学図書館、これは国指定の重要文化財でございます。また、三菱重工業長崎造船所占勝閣などのほか、県内では、ゾンビランドサガの舞台にもなりました唐津市歴史民俗資料館、これは旧三菱合資会社唐津支店本館でございます。こういった建築物がございます。
次に、村野藤吾でございます。村野藤吾は、早稲田大学理工学部電気工学科に入学後、建築学科に転学しています。その後に設計事務所を経まして独立して数々の建築を手がけました。日本建築家協会会長も務めています。建築だけでなく、インテリアや家具、独特の階段なども用いたことから、「空間の魔術師」とも言われています。
村野の関わりました主な建築物は、戦後の建築で初めて国の重要文化財に指定されました広島市にあります世界平和記念聖堂や、宇部市渡辺翁記念会館、日生劇場などがございます。県内では、唯一、佐賀県教育センターがございます。また、先ほど申し上げました村野が改修に関わった迎賓館赤坂離宮は、二〇〇九年に国宝に指定されています。
東京大学建築学科の卒業設計の優秀作品には、現在でも「辰野賞」が贈られております。また、建築界に感銘を与えた建築作品を設計した建築家に対しましては、「村野藤吾賞」が贈られております。このように、今なお栄誉ある賞にその名を刻むほどの人物でございます。
以上でございます。
85 ◯下田委員=ありがとうございます。このお三方とも日本を代表する建築界の方々であるというのは、もう御紹介いただいたとおりだと思います。また、辰野金吾、曾禰達蔵の二人は、同じ寮の同窓生という位置づけでもあって、その二人が日本の建築界をリードしていったというのも一つのストーリーとしてはちょっとすごい。果たして、当時の佐賀県というのは一体どんな雰囲気だったのかということを想像すると、思いをはせるところがあります。
今、お話をいただきましたが、建築家の皆さんにお話を聞いても、辰野金吾、そして村野藤吾、この二人はもう欠かせない二人であって、さらには、曾禰達蔵さんもいらっしゃいますが、そういった方々が佐賀出身であるというところにスポットをぜひとも当てていただきたいなというのを改めて思ったところでもあります。
(四)の質問にいきますが、佐賀県立博物館で今回開催を予定しているという話なんですが、そこまでの話であれば、唐津の三人にスポットを当てるのであれば、やはり地元である唐津市で開催するということも大きく検討すべきとこではなかったのかなと、検討する余地があるのではないかと思うんですが、なぜ佐賀県立博物館での企画展ということになったのか、そういった点をお尋ねしたいと思います。
86
◯水町文化課長=建築展を佐賀県立博物館で開催する理由についてお答えいたします。
先ほども御答弁させていただきましたとおり、今回の企画展は、佐賀・唐津が生んだ偉大な建築家を県民の皆様に広く紹介したいと考えております。そのためには三人の功績を伝えることができる様々な資料の展示や開催期間の確保が必要でございます。
会場の検討に当たりましては、唐津の唐津市近代図書館や辰野金吾記念館なども候補としたところでございます。しかしながら東京駅の東京ステーションギャラリーや鉄道博物館などから貴重な資料をお借りすることも検討しておりまして、その場合は温度や湿度を管理することができる展示環境が必要になること。また、様々な資料を展示するためのスペースやある程度の開催期間を確保する必要があることなどから、県立博物館を会場としたところでございます。
以上でございます。
87 ◯下田委員=力を込めてやればやるほど、どうしても貴重な資料を取り扱うので県立博物館でやらざるを得ないといいますか、それだけの思いがこもったものであるというふうに認識をしました。
では、そうであれば、やはり唐津市との連携というのは、もう不可欠であると思いますが、やっぱり建物も残ってて、出身地でもある唐津市とは深く深く連携をして、
佐賀県民、特に唐津市の方々との連携や認知普及については、強く強くやるべきだと思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
88
◯水町文化課長=唐津市との連携についてお答えいたします。
建築展の開催に当たりまして、唐津市や地元唐津の民間団体などとは相互に連携した企画の実施を現在御相談しているところでございます。
具体的な連携につきましては、今後、調整を進めていく予定でございますが、例えば、辰野が関わった旧唐津銀行、曾禰が関わった唐津市歴史民俗資料館に加えまして、村野が関わった佐賀県教育センターの現存する三つの建築物を巡るツアーですとか
スタンプラリーなどが連携企画として考えられるところと思います。
加えまして、建築展の会期は、今年十月から始まります「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」とも重なっておりまして、建築展を文化観光
コンテンツの一つとして、連携企画などを通しまして唐津への誘客などにもつなげていきたいと考えております。
以上でございます。
89 ◯下田委員=分かりました。今回の委員会の質問項目等を見てましても、唐津の方々は文化に対する誇りを非常に強く持っていらっしゃる方が多くいらっしゃって、また、市議会等を見てましても、やはり文化財とか偉人に対する誇りというのは、人一倍強い方々が多いというふうにも思っております。ぜひとも唐津市との連携は、強く強くこれからも検討していただきたいというふうに思っております。
それでは、最後の質問ですけれど、来場促進の取組についてです。
ぜひとも多くの方に来場していただかなければならないというふうにも思いますが、どのような方法で来場を促そうと考えているのかをお尋ねしたいと思います。
90
◯水町文化課長=来場促進の取組についてお答えいたします。
建築家を特別に切り取った企画展は、本県ではこれまでほとんどなく、多くの県民の方はもちろんのこと、建築の関係者の皆さんや建築を志す若い世代にも御覧いただきたいと考えております。当時の建築界に一石を投じた建築家たちが佐賀を飛び出し、何を考えながら建築物を造り上げたのか、現代まで大切に残されている建築物の魅力がどこにあるのかなど、その真髄を伝えていきたいと考えています。
そのためには、メディアを使った情報発信はもちろんのこと、建築関係の団体を通じました企画展の案内や、工業高校、大学などにもしっかりと情報を届けてまいります。
また、企画展とタイアップした講演会やワークショップなど、足を運びたいと思っていただけるような企画も検討してまいります。
このような取組によりまして、県民はともより、県外からも多くの方に御来場いただきまして、佐賀・唐津が生んだ偉大な建築家を知っていただく機会としたいと考えております。また、そうすることによりまして佐賀への誇りや志の醸成へとつなげていきたいと考えております。
以上でございます。
91 ◯下田委員=ぜひとも多くの方に知っていただいて、佐賀への誇りの醸成につなげていただく、そういった企画になっていただきたいと期待を申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
92 ◯向門委員長=暫時休憩します。十三時五分をめどに委員会を再開します。
午後零時二分 休憩
午後一時五分 開議
93 ◯向門委員長=委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き質疑を行います。
94 ◯下田委員=では、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは問四、「KIZUKI・看板改修支援事業」についてお尋ねをいたします。
現在、令和六年十月に開催されます「SAGA2024」国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて、会場整備や運営の準備が進められております。これらは着実に進めていく必要がありますが、本大会は全国から多くの方が来県されて佐賀の魅力を知ってもらう絶好の機会でもあります。このために大会の開催に向けて佐賀県のイメージアップにつながる環境整備も必要であるという中で、今回の「KIZUKI・看板改修支援事業」、一般財源五千二百万円の提案があり、計上がされております。
この話は、知事からも昨年の十一月八日だったと思いますが、GM21でも提言があっておりまして、県内全ての自治体を巻き込んだ取組になるのではないかというふうにも認識をしております。そこで、この事業は取り組みがいのある事業であるというふうにも私は認識しておりまして、詳細についてお伺いをしていきたいと思っております。
それでは、まず一問目として事業目的についてです。
本事業の目的についてお尋ねをいたします。
95 ◯天本まちづくり課長=事業の目的についてお答えいたします。
令和六年度に開催されます「SAGA2024」国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会では、県外から多くの方々が来県される予定でありまして、本県の歴史や文化を感じる町並みや自然豊かな景観に触れていただき、本県に好印象を持っていただく絶好の機会だと捉えております。
そのような中、現状では、観光案内板の文字が読み取れないなど老朽化した看板が多く見られまして、このまま放置すると県外から来られる方々に本県に対するマイナスイメージを与えてしまうおそれがあると考えております。
このため、「SAGA2024」国スポ・全障スポに向けて本県に好印象を持っていただくことを目的に、環境整備の一環といたしまして県内の老朽化した公共性を有する看板を改修または撤去することとしております。
以上でございます。
96 ◯下田委員=ありがとうございます。歴史、文化、自然、こういったものに触れてもらう絶好の機会であると。また、老朽化した看板をこの際全部見直して好印象を持っていただきたいということが事業の目的であるという話でした。
では次に事業の内容についてですが、この事業は、県内の老朽化した公共性を有する看板の改修、撤去に要する費用を県が支援するというものでありますが、この事業の内容について伺いたいと思います。
まず、支援対象の看板についてですが、どのような看板が支援の対象となるのかをお尋ねします。
97 ◯天本まちづくり課長=支援の対象となる看板についてお答えいたします。
支援の対象となる看板は、老朽化した公共性を有する看板としております。具体的に老朽化したとは、傾いている、さびついている、色あせている、情報が古いなどの状態をいいます。また、公共性を有する看板とは、市町や観光協会、交通安全協会、市町の自治会などが設置した観光情報をはじめとする県や市町、地域などの情報発信に係る看板のこととしております。
以上でございます。
98 ◯下田委員=ありがとうございます。支援の対象は、公共性を有するもので、市から町の団体とか、結構幅広い、また、観光情報等の発信のものということでありました。
では次に、支援の内容についてお尋ねいたしますが、この内容は具体的にどのようなものでしょうか。
99 ◯天本まちづくり課長=支援の内容についてお答えいたします。
市町設置の看板につきましては、市町に対して改修、撤去費用の二分の一を補助することとしております。また、観光協会や交通安全協会、市町の自治会など、市町以外設置の看板につきましては、改修の場合、当該設置者に対して改修費用の三分の二を補助し、撤去の場合には本事業の実効性を高めるために設置者の意向を踏まえまして県で直接実施することとしております。
なお、補助の上限額は、市町、市町以外ともに看板一基当たり四十万円としているところでございます。
以上でございます。
100 ◯下田委員=ありがとうございます。今、補助等の支援メニューについてお話をいただきました。また、撤去に関しては、県が全額面倒をみるというようなお話だと思います。分かりました。
次に、対象となる看板の把握状況についてお伺いいたします。
もう既に、市町には広報等を行って、ある程度の数は把握していらっしゃるというふうにも聞いておりますが、実際、今、支援対象となる看板の数は幾つあって、どのように把握しているのかをお尋ねしたいと思います。
101 ◯天本まちづくり課長=対象となる看板の把握状況についてお答えいたします。
支援対象となる老朽化した公共性を有する看板は、これまでに百七十五基把握しているところでございます。このうち市町が設置・管理する看板が百十一基、市町以外が設置した看板が六十四基ございます。市町が設置・管理している看板につきましては、屋外広告物条例に基づきまして市町から報告のあったもののうち、県で老朽化していると判断したものでございます。また、市町以外が設置した看板につきましては、県が県管理道路沿い及び県立公園内を対象とした調査におきまして老朽化していると判断したものです。
今後、追加調査や市町等の設置者による確認等を行う予定としておりまして、これにより対象となる看板数は増えるものと考えております。
以上でございます。
102 ◯下田委員=ありがとうございます。今、百七十五のものがあって、市町が設置・管理するものが百十一、それ以外で六十四ということでありました。また、今後も恐らく増えるであろうという見込みだというふうに今御答弁をいただきました。
それでは、4)ですが、令和四年度に改修、撤去する看板の数が想定を上回って予算が不足した場合も想定できると思いますが、その際はどのような対応を検討しているのでしょうか。
103 ◯天本まちづくり課長=想定数を上回った場合についてお答えいたします。
本事業の実施期間は、令和四年度からの二年間としております。今後の調査等によりまして対象の看板数が大幅に増える場合には、市町等の事業実施スケジュールにもよりますけれども、この二年間で完了ができるように令和五年度の当初予算や、必要であれば令和四年度補正予算を検討するなど、必要な予算の確保に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
104 ◯下田委員=想定を上回ったら補正も含めて検討していきたいというお話でした。
今後の取組なんですが、この事業を達成するためには市町との連携が不可欠であるというふうにも思います。事前に聞いたお話では、このデザインとか、観光で使用するのか、もしくは交通というんですかね、また別の場面での方向性を検討するのか。今の現状では、県としては横串が刺せるような部局に、市町の担当課にお話をしていらっしゃるというふうにも聞いております。
せっかくのこういった大きな事業であると認識しておりますので、恐らく市町としても、GM21でもお話があったということもあって、反応があるというふうにも思います。そうなったときに自分の町はこういうふうにしたいとか、自分の市ではこういうふうにしたいとか、そういった独自性をこの際アピールしながら、自分の町の魅力もアップしていく、そういった事業の一つのきっかけでもあるというふうにも認識してます。
そういう点を踏まえて、この事業の目的を達成するためには市町との連携というのは非常に不可欠であると考えてますが、県はどのような取組を行っていくのかをお尋ねいたします。
105 ◯天本まちづくり課長=今後の取組についてお答えいたします。
先ほど委員がお話になられたとおり、本事業の目的を達成するためには、市町においてしっかりと取り組んでいただく必要があると考えております。そのためにも県と市町との連携は極めて重要だと認識しております。
市町が設置する看板につきましては、各市町の様々な部署で設置されておりますことから、本事業の実効性を高めるためには、各市町においてしっかりと横串を刺していただく組織横断的な取組が必要というふうに考えております。このため、各市町において総合調整機能を有します政策や企画部門を個別に訪問いたしまして、本事業の趣旨や具体的な取組内容について説明し、理解をいただいたところでございます。
また、「SAGA2024」国スポ・全障スポに向けては、県境付近や、主要な駅、空港周辺、また、「SAGA2024」国スポ・全障スポ会場周辺におきまして優先して対応することとしております。これらのエリアにつきましては、県において、支援対象となる看板を現地調査を行い確認した上で、早期に市町に調査結果を提供し、市町の取組を支援したいというふうに考えております。
なお、先ほど委員からお話のありました看板のデザインの統一につきましては、本事業は自由度の高い補助内容とする予定でございますので、市町の判断でデザインを統一することはあり得るというふうに考えております。そういった場合には市町の希望に合わせまして、景観アドバイザーや「さがデザイン」との連携による支援を行っていきたいというふうにも考えております。
本事業の推進に当たりましては、県自らも汗をかかせていただきまして、適宜、市町と意見交換をしながら市町と一緒になって本事業をしっかりやり遂げていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
106 ◯下田委員=ありがとうございます。県が主体となって、市町もぜひこの制度を活用してまちづくりの魅力アップにつなげていただきたいという思いのこもった事業であると思っております。今後、どの程度の提案が上がってくるのかとか、そういったところも気になるところではありますけれども、この事業の概要については分かりましたし、私自身もぜひとも積極的にやっていただきたいなというふうに思います。いろいろとこれから大変なことになると思いますけれども、ぜひとも進めていただきたい事業であると思っております。
それでは、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
107 ◯井上委員=日本共産党の井上祐輔です。本日、三項目について質問させていただきます。
質問の前に、十一月議会でも道路の関係で質問を、星賀港線の復旧ということで質問させていただきました。昨年八月の豪雨災害で通れなくなった道路について、春、五月連休あたりから田植が始まるということから、それについても対応をしていただきたいというふうにお願いをしていたところ、先日、段差を解消して対応していきたいということでお答えもいただいたところで、大変感謝をしております。本当にありがとうございます。
では、今日は、国道二〇四号の道路整備について伺いたいと思っています。
国道二〇四号は、東松浦半島を周回し、伊万里市を経由して長崎県松浦市に続く幹線道路であり、通学や通勤といった生活道路としても利用されているところです。この道路は、観光の方であったり、物流関係の大型トラックが多く往来する重要な道路ともなっています。とりわけ唐津市の肥前町においては、平成二十一年に長崎県鷹島への唯一の連絡橋である鷹島肥前大橋が開通をしたことで、鷹島の方々も車で唐津市内へ買物に出かけられたりするなど、交通量も増えています。
一方で、当該地区周辺の国道二〇四号線については、これまでも道路の整備が進められてきているというふうに思いますが、狭い路肩部分を高齢者の方が通行しているのを見かける、そういったこともあって、地元の方からも安全確保であったり、また、県道三四二号線の筒井万賀里川線では、原子力災害時の避難経路としても指定をされていることからも、整備の促進について期成会からも求められているところであると認識をしています。
こういった要望に対して、整備をしていただいた部分、また、整備中というような箇所もありますが、まだまだ整備が必要な箇所もあるというふうに思いますので、その点について確認をさせていただきたいと思っています。
まず最初に、唐津市竹木場地区の道路整備について伺いたいと思います。
この地点については、原子力災害時にも玄海町側からも避難をされてくる道路があって、そこの結節点にもなっているというふうに思っています。肥前町側の住民の皆さん、また、玄海町の住民の皆さん、両者が通行することからも早期の整備が求められていると思います。
まず、現在の取組状況についてですが、この唐津市竹木場の小十入口バス停付近では、ヘアピンのような急なカーブも存在して危険な状況も見受けられます。今、トンネルなども設置が進められていると思いますが、現在の取組状況についてどのようになっているのかお伺いいたします。
108 ◯片渕道路課長=現在の取組状況についてお答えいたします。
国道二〇四号唐津市竹木場の小十入口バス停付近、約五百メーターの区間につきまして、委員からもお話がありましたように、カーブがきつく、それから道路の縦断勾配もきついということで、バイパスによる道路改良を進めているところでございます。この区間については、これまでに用地買収が完了いたしまして、橋梁や盛土などの工事を進めてきたところでございます。
バイパス区間の工事完了までには、今後、現道とバイパスの取付部の盛土や擁壁、それから、この区間全体の舗装などの工事が必要な、現在の進捗状況でございます。
以上でございます。
109 ◯井上委員=道路というものは、部分的な改修だけではなくて、つながってこそ、その効果が発揮をされるというふうにも思っています。
先ほど少しお話ししたんですけれど、小十入口から玄海町側、こっちほうについては唐津市で多分整備をされているんだろうと思うんですけれども、そういったところの状況について、県と唐津市それぞれで情報の共有というのはされているんだとは思うんですけれど、そのあたり、分かったら教えていただきたいなと思います。
110 ◯片渕道路課長=委員からお話がございました小十入口バス停付近から玄海町のほうに向かう道路、これは県道でございまして、県のほうで今整備を進めております。先ほど申しました五百メーター区間の整備と合わせまして、県のほうで今整備を進めているところでございます。
以上でございます。
111 ◯井上委員=県のほうということで、そちらのほうも早期整備をお願いしておきたいと思います。
今後の取組についてですが、この地点の道路整備、完成の時期であったり、今後の整備についてどういうふうに取組をされていくのか、確認をしたいと思います。
112 ◯片渕道路課長=今後の取組でございます。
先ほども申し上げましたとおり、今後、現道とバイパスの取付部の盛土や舗装などの工事を進めることとしております。現道からバイパスへ交通を切り替える必要がございますが、これには現道とバイパス双方の道路の高さを合わせる必要がございます。この工事の実施に当たりましては、車両を通しながら段階的に車両が通っている道路の現道をかさ上げしていくということになってまいります。施工の手順といたしましては、車線の切替えを行いながら盛土工事をしていくことになりますことから、慎重に工事を進める必要があるというふうに考えております。
ただ、現道はいろいろ課題があるというふうに承知しておりますので、できるだけ早期にバイパス区間の供用ができるように工事の進捗に努めていく所存でございます。
以上でございます。
113 ◯井上委員=できるだけ早期にということで、完成の時期については、まだはっきり申し上げられないということであろうかと思いますけれど、できるだけ早期にということでぜひお願いをしたいと思います。
次の肥前町万賀里川地区の道路整備について伺いたいと思います。
この肥前町万賀里川の瓜ケ坂入口バス停付近では、歩道がなくて路肩部分も狭いことから、今、電柱をセットバックして工事の発注をかけられるとか、そういったところで進められているということも少しお伺いをしているところです。この地域についても、電柱は早くから下がっているけど、工事はいつになるのかといった声も伺っています。
現在の取組状況について伺いたいと思います。
114 ◯片渕道路課長=国道二〇四号の肥前町万賀里川付近の現在の取組状況についてお答えいたします。
二〇四号の肥前町万賀里川にございます瓜ケ坂入口バス停付近から唐津市方面約二百メーターの区間につきまして、路肩部分を拡幅する整備を今進めているところでございます。これまでに地形測量や道路の設計、用地買収、それから工事の支障となります電柱等の移転について完了したところでございます。
以上でございます。
115 ◯井上委員=それでは、今後の取組についてはどのようになるのかお伺いします。
116 ◯片渕道路課長=今後の取組でございます。
先ほど委員からもお話がございましたとおり、支障物件の移転も終わったということで、まず、バス停側約八十メーター区間につきまして、既に工事の発注を行っております。現在、受注者によりまして工事着手に向けた準備が進められているという状況でございます。
残ります区間につきましても、できるだけ整備が早くできますよう、引き続き取り組んでまいります。
117 ◯井上委員=今、そこについて発注もされているということで、工事も業者が決まれば進んでいくというような認識でいいかと思います。
三つ目の肥前町切木地区の道路整備についても伺いたいと思いますが、旧切木中学校付近から美舎子橋の区間においても、歩道がなくて、路肩の部分が一番狭いところでは路肩五十センチというふうに狭いことなどから、こちらも以前から地域の要求として私自身も伺っておりますし、地域の要望としても県のほうにも届けられているというふうに伺っています。橋梁ということもあって、工事もなかなか難しいというところも伺っているところですけれども、できるところから取組をしていただくなど、整備も進んでいるということです。
今、この取組の状況についてどういった状況なのかをお伺いしたいと思います。
118 ◯片渕道路課長=国道二〇四号の旧切木中学校付近の箇所について、現在の取組状況についてお答えいたします。
国道二百四号肥前町切木の旧切木中学校付近から美舎子橋の区間につきましては、これまで地元のほうから歩行者のための歩道整備についての要望をいただいているところでございます。現地を確認しましたところ、雑草が路肩にまで繁茂しまして道路の利用に支障となっている状況だったことから、路肩部分の張りコンクリートを行い、整備を行ったところでございます。
以上でございます。
119 ◯井上委員=今後、どういうふうに取組をされていくのかお伺いをします。
120 ◯片渕道路課長=今後の取組でございます。
現状の歩行者の利用の状況を踏まえますと、直ちに歩道の整備を行うというのは難しいというふうに考えているところでございまして、現在、路肩部分の拡幅につきまして検討を行っているところでございます。
現在、検討に必要な測量業務につきまして入札契約の事務手続を進めておりまして、測量業務を実施します委託業者の決定後に地元への説明も行いたいというふうに考えているところでございます。
今後も、それぞれの地域の実情や住民の声を聞きまして、安全・安心に利用できるような道路整備に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
121 ◯井上委員=大変難しい中でも、できるところから整備をしていただいているということで、今回確認をさせていただいた箇所以外でも、国道二〇四号肥前地区では安全確保の要望書ということで県庁のほうに届けられているという状況です。この中には古保志気交差点から比恵田交差点区間の歩道の設置であるとか、また、交差点の右折レーンを設置してほしいとか、そういった要望も出されています。いろいろな地域から道路の要望というのはあろうかとは思いますが、私からも改めて整備をお願いして、二問目の質問に移りたいと思います。
問二の駅体制見直しへの対応と在来線の利用促進について伺いたいと思います。
今回の一般質問でも取り上げられましたが、昨年十二月二十三日に、JR九州は、九州管内の区間で今年三月十二日からということで、今度の日曜日からというふうになると思いますけれど、駅の体制を見直すということが発表されました。今回の見直しについては、九州管内で二〇一五年の三十二駅に次ぐ二十九駅というふうな報道もあっておりましたが、地域の方からも心配の声も伺っているところです。
JR九州は、新型コロナウイルス感染症の影響などによって鉄道利用者の減少などを鑑みて合理化を進めているというふうなことでありますが、私の地元唐津においても、今回の駅の無人化などによって、事故が起こった際に早急な対応ができるのかといった声、安全性であったり利便性の低下への不安の声も伺っているところです。在来線は、通勤通学の足として住民の生活になくてはならない大切な公共交通機関であるとも考えています。JR九州には、地域の不安をしっかりと受け止めて対応していただきたいと思いますし、県としても地域住民の不安解消にも努めていただきたいと思っています。
先ほどお話をしたように、大切な在来線ではありますが、JR九州が利用の少ない線区の収支についても公表されています。そういったところで県内では唐津線、そして筑肥線も対象になっているようです。駅の無人化をはじめとした昨今の経営合理化を進める、そういったJRの動きを見ますと、どのように路線を維持していくのかということは、地域にとっても大きな課題だと思っています。
そこでまず、駅体制見直しへの対応についてお伺いします。
一番目に県内の無人化等の状況について伺いたいと思います。
部長も一般質問で御答弁されたように、今回の見直しに伴って県内のJR駅の約七割が無人駅になるという御答弁もありました。
そこでまず、具体的に無人化が予定をされている駅はどこなのかお伺いをしたいと思います。
122 ◯古沢交通政策課長=県内のJR駅のうち無人化が予定されております駅についてお答えいたします。
JR九州の発表によりますと、三月十二日からのダイヤ改正に合わせ、九州管内全体で駅体制の変更が予定されております。県内では、けやき台駅、鍋島駅、牛津駅、東唐津駅、西唐津駅、多良駅の六駅が、終日駅係員が不在となる、いわゆる無人駅となる予定でございます。
そのうち、けやき台駅につきましては、基山町がJR九州から改札業務や清掃等の駅業務の一部を委託を受けるという、簡易委託駅と申しますけれども、そちらのほうで調整をされており、町のほうとJR九州との調整が整えば、けやき台駅については無人駅という状態は解消されるということになろうかと思います。
以上でございます。
123 ◯井上委員=六駅が対象になっていましたが、けやき台駅については簡易委託ということで無人駅を何とか免れるというような状況だということです。
今回のこの駅体制の見直しの中で、切符の販売についても窓口を廃止するということが発表されています。この無人化に加えて定期券の販売など営業窓口を廃止される駅についてはどのようになっているのでしょうか。
124 ◯古沢交通政策課長=切符の販売窓口を廃止する予定の駅についてお答えいたします。
JR九州の発表によりますと、無人化が予定されております駅のほか、弥生が丘駅、中原駅、吉野ケ里公園駅、浜崎駅、小城駅の五つの駅において切符の販売窓口が廃止される予定となっております。
以上でございます。
125 ◯井上委員=今回のこの無人化であったり、切符の販売窓口の廃止、こういったところで各市町でも心配の声というのが上げられていると思います。その地域地域によっては利用の状況、また、環境も様々異なるというふうに思いますが、各市町のほうではどういった懸念の声があるのかお伺いをします。
126 ◯古沢交通政策課長=今回の駅体制の見直しに対する市町の懸念についてお答えいたします。
県では、市町に対して今回の駅体制の見直しに関し、各駅で考えられる影響等についてヒアリングを行いました。ヒアリングにおいては、市町から様々な不安の声や懸念というものを聞いているところでございます。
具体的には、市町からは、無人駅となったり切符の販売窓口がなくなるということにつきまして、利用者の安全や駅の防犯が確保されなくなるのではないか、高校生が最寄り駅で定期券を購入できなくなるのではないか、障害をお持ちの方や高齢者などが駅を円滑に利用できなくなるのではないかなどといった、駅員がいなくなることでの安全面、防犯面での不安の声、駅の利便性の低下といったことを懸念する意見がございました。
以上でございます。
127 ◯井上委員=本当に各市町のほうでも地域住民の皆さんの声も聞きながら、そういった声というのを挙げられているんだろうと思います。そういった中で、その市町の懸念に対してJR九州としてもしっかり対応していただきたいというふうにも思っております。
こういった各自治体からの声に対してJR九州としてはどういった対応を考えられているのか、また対応されているのか、その点について伺いたいと思います。
128 ◯古沢交通政策課長=市町からの懸念に対するJR九州の対応についてお答えいたします。
市町において様々な不安や懸念があったことから、JR九州による丁寧な説明が必要と考えまして、県から市町に対する説明会を開催するよう、JR九州に対して強く求めたところでございます。県からの求めに応じ、昨年十二月に関係いたします十四市町の担当者が参加するJR九州による説明会が開催されたところでございます。
説明会におきまして、JR九州からは、利用者の安全確保について乗務員が駅到着時に目視で駅ホームの安全確認を行うこと。また、列車がホームに進入する際に列車接近警報装置というものによりまして列車接近の注意喚起を行う駅もあることの御説明がありました。
次に、駅の防犯については、JR九州の職員が駅周辺の警察署に見回りの協力をお願いする予定であること。
そして、定期券への対応については、JR九州の職員が沿線の高校と調整の上、高校で定期券の出張販売を行うということ。あと、以前は定期券の新規購入の場合、有効期間開始日の七日前から発売をされておりましたけれども、昨年三月から有効期間の開始日の十四日前、二週間前から発売できるよう、発売期間が拡大されていることという御説明もございました。
さらに、障害者等への対応につきましては、事前に介助を希望する旨の連絡を行えば、JR九州のスタッフが駅に赴きまして乗降のお手伝いをするということなどの説明がございました。
また、市町のほうからは、駅業務の簡易委託を受ける場合の協議の進め方などについて確認がなされ、現在、市町において簡易委託等の検討が進められているところでございます。
以上でございます。
129 ◯井上委員=駅が無人化になることによっていろいろな取組、また、工夫というものが今後されていくものというふうに思います。
それでは、県の対応について伺いたいと思います。
こういった状況に対して、県のほうでは今回の当初予算の中で無人駅対策事業費補助ということで、各市町の取組に対して県が二分の一の補助をするといった予算も提案をされています。こういった無人化駅の対応などについて県としてはどのように取組をされるのか伺いたいと思います。
130 ◯古沢交通政策課長=駅の無人化等に対する県の対応についてお答えいたします。
これまでも駅体制の変更がなされてきておりますが、今回の変更が多くの駅に影響することを考慮しまして、先ほども答弁させていただきましたが、県からはJR九州に対して市町への丁寧な説明を求めるとともに、各市町が考える懸念や対応状況について情報の集約を行い、県と全市町とでその内容を共有してきたところでございます。
現在、駅体制の変更後の対応につきまして、市町において検討がなされております。また、JR九州との調整もなされているところでございますが、引き続き、関係者で情報を共有しながら利用者の利便性が確保されるよう、JR九州に対して働きかけを行っていくこととしております。
また、駅は単に公共交通機関の施設ということでなく、地域にとって町の顔というふうに思っております。市町がまちづくりに駅を活用することも十分考えられます。実際、県内でも無人駅で地域団体によるマルシェを開催されたり、駅が地域団体の活動拠点となっている例もございます。駅に人がいなくなることで不安の声がある中、市町において地域の方と一緒になって考えていただき、何か無人という状態を解消する、そのような取組を行う場合に、県のほうでは、そのような取組を支援したいと考えているところでございます。
市町には、地域住民と連携し、それぞれの駅に合ったやり方で、安心で楽しい町の駅づくりに取り組んでいただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
131 ◯井上委員=無人化になるということで様々なデメリットもありますが、地域の拠点として新たな拠点づくりにもなろうかなというふうにも思います。いろいろなところで市町、また、県が協力をしていただきながら、さらなる発展ができるように取組を進めていただきたいと思います。
(二)の唐津線及び筑肥線の利用促進について伺いたいと思います。
JR九州においては、合理化の推進の理由に、利用の少ない線区については合理化をする対象になっているというふうにも感じています。しかし、利用が少ない状況であっても、地域の皆さんにとっては、生活や通勤通学、そういったものには欠かせない公共交通機関の一つであり、しっかりと維持をしていくことが重要であると思います。そのためにも残してほしいというふうにお願いをするだけではなくて、利用者を増やす、そういった取組も大切な取組ではないかなと感じているところでもあります。
そこでまず、この唐津線及び筑肥線の利用の状況について現在どのようになっているのかをお伺いしたいと思います。
132 ◯古沢交通政策課長=唐津線及び筑肥線の利用状況についてお答えいたします。
JR九州の公表資料によりますと、鉄道の利用状況につきましては、路線一キロメートル当たりの一日平均利用人数を表す輸送密度という指標が用いられております。
この唐津線及び筑肥線の輸送密度につきましては、JR九州が発足しました昭和六十二年度と、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の令和元年度を比べますと、唐津線の場合、二つの線区がございます。まず、唐津線の久保田-唐津間の場合、昭和六十二年度が三千六百四十九人/日が、令和元年度になりますと二千百十四人/日に減少しており、次に、唐津-西唐津間の場合は、千三百十五人/日が千二十四人/日に減少。そして、筑肥線の伊万里-唐津間の場合、七百二十八人/日が二百十四人/日に減少という状況でございます。
以上でございます。
133 ◯井上委員=少し数字が聞き取りにくかったので後で資料でいただきたいと思います。すみません。
そういった以前の利用から比べて、今現在、コロナの影響なども考えられますけれども、利用者が少なくなってきているというような状況があります。こういった状況について唐津線、そして筑肥線の利用状況を県としてはどのように受け止めておられるのかお伺いをいたします。
134 ◯古沢交通政策課長=唐津線及び筑肥線の利用状況に対する県の受け止めについてお答えいたします。
唐津線及び筑肥線を含む在来線は、地域住民の日常的な移動手段でありますとともに、持続可能な地域づくりの手段と考えております。しかしながら唐津線と筑肥線の鉄道利用者は、先ほど申しましたように年々減少しており、三十数年前と比べますと、唐津線は約四割、筑肥線は約七割の減少となっております。
国鉄末期の昭和五十五年に制定されました国鉄再建法においては、輸送密度が四千人/日未満の幹線を除く路線について、バスや第三セクターによる運行への転換というものを図られています。そういったことを踏まえますと、唐津線と筑肥線の利用状況は、非常に厳しい状況にあると受け止めております。
JR九州が鉄道事業者として利用者の確保に取り組まれることは、もちろん必要だと考えておりますが、沿線人口の減少、モータリゼーションの進行、新型コロナウイルス感染症の拡大という鉄道を取り巻く環境の変化を考えますと、JR九州だけでなく、地元や沿線自治体も利用促進に取り組んでいくことが必要と考えております。
以上でございます。
135 ◯井上委員=利用者については大変厳しい状況ということで、各自治体としても、こういった状況をしっかり直視をしなければいけないんじゃないかというふうにも思います。
今後、利用の促進についてしっかり取組をしていかなければならないというふうに思いますが、県としてはこの唐津線及び筑肥線の利用促進についてどのように取組を考えておられるのかをお伺いしたいと思います。
136 ◯古沢交通政策課長=唐津線及び筑肥線の利用促進に向けての県の取組についてお答えいたします。
在来線は、通勤通学をはじめ、県民の生活を支える大事な地域公共交通と認識しております。筑肥線の利用者が非常に少ない状況にあります。そのため伊万里-唐津間の利活用につきましては、JR九州と県、沿線自治体、唐津市、伊万里市と一体となって考えていくこととしまして、令和元年十二月からこれまでに八回の「筑肥線活用に関する検討会」を開催しております。
その検討会におきましては、公共交通機関を利用した通勤通学の推進、列車とコミュニティバスの結節機能改善による鉄道利便性の向上などの利用促進に取り組んでいるところでございます。今後、効果を検証しながら取組を継続、発展させていくこととしております。
また、唐津線、筑肥線の沿線市町と共催で、昨年七月に、沿線の市町や地域団体の関係者に向けたセミナーを開催したところでございます。このセミナーでは、筑肥線と同程度の輸送密度でありますJR木次線ですね、島根県の宍道湖の宍道駅から奥出雲を抜けて広島の備後落合というところを結んでいる路線がございます。そのJR木次線の利用促進や鉄道を活用した地域の活性化に取り組む自治体協議会の担当者を講師として招いて講演をいただいたところでございます。
そのJR木次線の協議会におきましては、利用特典を付した通勤チャレンジデーの取組、学校行事での利用を促す取組などに精力的に取り組まれておられました。このセミナーを通じて、様々な課題があるものの、沿線自治体や地域団体が連携して利用促進に取り組むことや住民の日常利用が大事であることを
地元関係者と改めて確認をしたところでございます。
県内においては、これまで住民の日常利用のきっかけづくりとしまして、クリスマスの時期に唐津線、筑肥線において県が企画列車としましてイルミネーション列車を運行させ、沿線自治体や地域団体が運行に合わせて利用促進のイベント等を行っているところでございます。
今年秋の「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」の時期から唐津線と筑肥線において人気ゲームとコラボレーションした「ロマ佐賀列車」が運行されることとなっております。県外からの利用者を呼び込むことはもちろんのこと、多くの沿線住民の方に乗っていただき、住民の方に身近に鉄道があることを再認識していただきたいと考えております。
県としましては、在来線が、バスや他の交通機関とともに持続可能な地域公共交通として県民の暮らしや交流、そして
地域活性化の基盤となるよう、JR九州や市町と一緒になって利活用の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
137 ◯井上委員=利用の促進についていろいろな工夫がされて、取組もされているということです。佐賀県のほうでも、「歩こう。佐賀県。」ということで歩く文化をつくっていこうということが呼びかけられていたり、そういった中では都市と都市の間の移動については電車を利用して移動するとか、そういった私たち自身の意識というものもしっかり変えていく必要もあるのかなというふうにも思っています。
いずれにしても、JR、鉄路については、地域の公共交通機関として重要な役割を持っているというふうに思いますので、今後も利用者が、より使いやすく、また、地域の発展にも寄与するような駅づくり、まちづくりをお願いしたいと思っています。
最後の佐賀県遺産について伺っていきたいと思います。
先ほども下田委員から旧唐津銀行を設計した辰野金吾さんなどについて取り上げていただきましたが、この佐賀県遺産については、建造物であったり、玄海町の浜野浦の棚田、こういった美しい景観、そういったものを佐賀県遺産として認定をして、地域の皆さんにとっても誇りにつながっている取組であるというふうにも感じています。
今年度、私は県議会からの委員として、佐賀県美しい景観づくり審議会の委員として就任をさせていただいて、直近では今年一月十四日に開催された第二十二回目の審議会にも参加してまいりました。その日は小城市にある光栄菊酒造さん、嬉野市にある志田陶磁器株式会社、鹿島市にある松蔭神社、この三つの場所を視察して、その上で建築であったり美術を専門とされる先生方、また、旅館関係者や報道関係、広告など、あらゆる立場の皆さんが委員としてそれぞれの観点で審議をされて、佐賀県遺産として認定をするように知事にも答申をしたところです。いずれも二月四日付で佐賀県遺産に認定をされたということであります。
私は、この審議会に委員として関わらせていただきまして、それぞれの地域で守られて、また、継承されてきた歴史ある建物や景観が県内各地に数多くあること。そして、そうした建物や景観が地域の方々の熱い思いによって次世代に継承されているということを改めて実感することができました。
また、今議会では、県内の貴重な文化財の保存及び活用の推進を図るための佐賀県
登録文化財制度の創設、これを目的とした佐賀県
文化財保護条例の一部改正も提案をされていることからも、佐賀県遺産以外にも地域資源を生かした取組が県内でも広がっているというふうに実感をしているところです。
この審議会の委員の活動を通して佐賀県遺産のすばらしさというのを再認識したところでありますが、より多くの県内外の皆さんに、そのすばらしい部分を知っていただきながら、また、県としても、この佐賀県遺産の取組について、さらに頑張っていただきたいというふうに思っているところです。
そこで、まず一点目にこの佐賀県遺産制度の目的についてですが、どのような目的を持ってこの制度がつくられているのかお伺いをします。
138 ◯天本まちづくり課長=佐賀県遺産制度の目的についてお答えいたします。
「二十二世紀に残す佐賀県遺産」は、本県の地域のシンボルとなっております貴重な建物や美しい景観の地区を再認識し、それにまつわる物語とともに次世代へ継承するために平成十七年に創設した制度でございます。
そして、佐賀県遺産として認定した建物や地区の保存、活用を推進することによりまして、県民の郷土に対する誇りや愛着を育むとともに、定住人口や交流人口の拡大にもつなげていくことを目的としております。
以上でございます。
139 ◯井上委員=それでは、この認定の基準について伺いたいと思いますが、この認定には建造物であったり景観など、そういったものが認定をされています。どういった基準で認定をされているのかお伺いをします。
140 ◯天本まちづくり課長=認定の基準についてお答えいたします。
佐賀県遺産は、県内にある建物または地区を対象としておりまして、その認定に当たっては三つの認定基準を定めております。一つ目は、佐賀県遺産としての価値があることでございます。具体的には建物の場合は文化的に高い価値を有する、または景観上重要なものであること。地区の場合は、自然と人間がつくり上げたものが調和し、歴史や風土など佐賀県ならではの個性と魅力を感じさせることでございます。二つ目は、建物や地区が歴史や風土、地域住民との関わりなどにまつわる物語を有していること。三つ目は、所有者や地域住民などの手によりまして保存や活用が図られていること。これら三つの認定基準を設けているところでございます。
以上でございます。
141 ◯井上委員=三つの基準によって認定をされているということです。
では、この認定によるメリットを伺いたいと思うんですが、この認定をされることによって地域の誇りにつながる、そういったことはもちろんあると思います。それに加えて、例えば保存のための費用に補助が出されるとか、そういったこともあると思いますが、この認定をされたことで所有者に対してはどういったメリットがあるのかお伺いをします。
142 ◯天本まちづくり課長=認定によるメリットについてお答えいたします。
認定を受けた所有者のメリットしまして大きく二つあると考えております。
一つ目は、県による佐賀県遺産に対する財政支援でございます。具体的には、建物に対しては外観修理、移設等に対する支援として市町が支出する、または補助する額の二分の一以内で、かつ限度額五百万円以内の補助を行っているところでございます。また、地区に対しては景観の保全・形成、活用に資する活動に対する支援としまして、市町が支出する、または補助する額の五分の四以内で、限度額二百万円以内の補助を行っているところでございます。
二つ目のメリットとして、認定を受けた建物や地区の認知度向上であります。認定した佐賀県遺産につきましては、県内外の多くの方々に知っていただくために、県におきましてホームページやSNS、パフレットの配布などによる情報発信を行っているところでございます。最近では、本県のウオーキングアプリ「SAGATOCO」を活用した
スタンプラリーや、佐賀県遺産フォトコンテストの開催にも取り組んでいるところでございます。
佐賀県遺産の所有者の方々からは、県による財政的な支援や情報発信などにより、「次世代に継承するために必要な大がかりな修理を行うことができた」、「新たな活動に取り組むことができた」といった声や、そうしたことにより、「来訪者が増えた」、「雑誌やテレビで取り上げられることが多くなった」といった声をいただいているところでございます。
以上でございます。
143 ◯井上委員=市町と連携をした財政支援、また、認知度の向上といったところで大きなメリットがあるというお話でした。
逆に、こういった認定をされることによってデメリットといいますか、制限がかかるといったことは何かあるのか、それについても伺っておきたいと思います。
144 ◯天本まちづくり課長=佐賀県遺産に認定されたことのデメリットということでは、今のところは、所有者の方々からの声等はいただいておりません。ただ、改修したり、形状を変更するときに、届出を県のほうにしていただくこととなっております。
以上でございます。
145 ◯井上委員=私も、認定されることがデメリットであるというふうには思ってはいないんですが、何かいろんな制限がかかったりとか、そういった形状を変更されるときの申請が必要になったりとか、そういった部分が必要になってくるということですね。
次に、これまでの認定状況について伺いたいと思いますが、先ほどの答弁でも平成十七年からこの取組が行われているということで、大変長い取組になっているというふうにも思います。
これまでの佐賀県遺産の認定についてはどのような状況になっているのかをお伺いしたいと思います。
146 ◯天本まちづくり課長=これまでの認定状況についてお答えいたします。
平成十七年の制度創設以来、これまでに建物で五十四件、地区九件の計六十三件の認定を行っているところでございます。
今年度の状況を申し上げますと、先ほど委員からも御紹介がありましたとおり、神埼市では、「脊振神社上宮弁財天石宝殿と関連遺産群」、佐賀市の徴古館、小城市の光栄菊酒造、嬉野市の志田陶磁器株式会社、そして鹿島市の「鹿島城址に残る松蔭神社」の五件を新たに認定したところでございます。
以上でございます。
147 ◯井上委員=これまでに六十件を超える認定がされているというような状況でした。こういった認定をされることによって、その地域の誇りや、また、地域の皆さんの元気にもつながっていくというようなこともあろうかと思います。私もそういった現地に行って現地の皆さんの熱い思いも聞かせていただきながら審議に関わってきましたけれども、本当にその地域地域、また、一つ一つの案件について歴史であったりストーリーがあるなということも感じたところです。
最後に、今後の取組について伺いたいと思いますが、来年度については、新幹線の開業であったり、「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」とか、二〇二四年には「SAGA2024」国スポ・全障スポも開催されて、本県への来訪者も増えていくのではないかなというふうにも思っています。
この佐賀県遺産自体が本県の観光、そして文化の発信にも寄与するのではないかというふうにも私は感じているところです。そのために佐賀県遺産の魅力をより多くの方に知ってもらい、また体感をしてもらう。そういった取組を進めていく必要もあるのではないかなというふうにも考えています。
この佐賀県遺産について、今後の取組をどのように考えておられるのかを伺いたいと思います。
148 ◯天本まちづくり課長=今後の取組についてお答えいたします。
今年度は、佐賀県遺産を訪問し、体験していただくために、本県のウオーキングアプリ「SAGATOCO」を活用しました佐賀県遺産を巡る
スタンプラリーや、佐賀県遺産フォトコンテストを開催したところでございます。来年度もこうした佐賀県遺産を訪れていただくための取組を推進していき、今年度、フォトコンテストでも活用したインスタグラムなどによるSNSによる情報発信に力を入れていくこととしております。
また、現在、佐賀県遺産の所有者の方々や、実際に保存活動に取り組まれている方々の思いというところにフォーカスしました「佐賀県遺産まもりびと」というパンフレットを作成しているところでございます。このパンフレットに各所有者方の熱い思いが書かれておりますので、そういうところに触れていただいて佐賀県遺産に関心を持っていただくきっかけにしたいと考えているところでございます。
さらには、佐賀県遺産の所有者の方から、他の所有者等の思いや悩みなどを知りたいという声があったため、来年度は、所有者や実際に保存活動に取り組まれている方々同士のネットワークを構築するための交流会を開催することとしております。現在、各佐賀県遺産の所有者や地域の方々により、保存や活動が行われているところでございますが、横のつながりができることで自発的に連携した取組が生まれることを期待しているところでございます。
県としましては、様々な取組を通じまして県内外の方々に佐賀県遺産の魅力やすばらしさを発信していき、県民の郷土に対する誇り、いわゆるシビックプライドを醸成し、保全と活用を図っていくことによりまして、佐賀県遺産を後世に残していきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
149 ◯井上委員=今御答弁がありましたように、横のつながりであったり、これを認定されるだけではなくて、保存とその後の活用をどういうふうにやっていくのかというところが非常に大事なところだろうと思います。これまで文化財などについては、教育委員会が所管をするものがあったり、今回、県では佐賀県
登録文化財制度の創設が提案をされたり等、いろいろな部局によって地域資源を生かした取組も広がっているというふうにも思っています。
最後の質問になりますが、この佐賀県遺産を所管する部の部長として平尾部長の思いについてお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
150 ◯平尾県土整備部長=私の佐賀県遺産に対する思いということで御質問がございました。
県内には、大変多くの歴史的、文化的な価値のある建物であったり、また、すばらしく美しい景観があるというふうに思っております。これらの建物や、また景観といったものは、土木や、午前中の質問でもございましたように、建築家、こういった方々の技術者らによって造られまして、また、その造られたものが所有者の方であったり地域の方々、こういった方々によって連綿と引き継がれてきた佐賀県の誇るべき財産であるというふうに考えております。
県土整備部の仕事を見ますと、どうしてもやはり道路の整備であったり、河川の改修といったハード事業のイメージが大変強いのではないかというふうに思ってはおりますけれども、佐賀県遺産制度などの、やはりこうしたソフト事業、こういったものも技術の継承という面からも我々の部の中でも非常に重要な仕事ではないかというふうに認識をしております。
例えば、先ほど委員の方からもお話がございました玄海町にございます浜野浦の棚田は、空石積みでできておりますが、空石積みが崩れた際、玄海町ではやはり専門家による技術者の育成とか、空石積みでの復旧を実施されまして、空石積みの技術継承に取り組んでおられるというようなこともございます。
また、佐賀市の与賀町にあります山口亮一旧宅の建物は、佐賀美術協会の創設者でございます山口亮一画伯の活動の場となった建物でございますが、ここの建物はかやぶき屋根でできておりまして、やはりこのかやぶき屋根は定期的なふき替えが必要というようなことで、特殊な技術も必要であります。こうした建物を保存、活用することで技術の継承にもつながっていくというふうに考えております。
佐賀県遺産制度につきましては、先ほど課長からも答弁をいたしましたが、建物がこれまでに五十四件、地区九件の認定を行ったところでございます。引き続き、この情報発信を含めましてしっかりと取り組みまして、佐賀県遺産の保存、活用を図りまして、県民にとって住みやすく、また、郷土に誇りを感じるようなまちづくりについて県土整備部としても引き続き取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。
151 ◯中村委員=自由民主党の中村圭一でございます。本日、最後、自民党から二人目の質問となります。空気を読んでできるだけ簡潔に質問をしたいと思います。
それでは早速、問いの一、九州佐賀国際空港について伺います。
九州佐賀国際空港は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として国内線の羽田、成田は減便中、国際線の上海、西安、ソウル、台北は全便運休中となっており、(委員長、副委員長と交代)大変厳しい状況が続いています。一時は国内における人流回復の兆しも見られましたが、全国的なオミクロン株による感染再拡大で、現在も感染者数の高どまり傾向が続いており、国内線の復便や国際線の運航再開、空港利用者数の回復など、先行きが見通せない状況であります。
このようにコロナ禍が長期化している中でありますが、九州佐賀国際空港では、将来を見据え、駐車場の拡張やターミナルビルの拡張改修など、施設の機能強化を着実に進めてこられたと承知をしております。
その一環として、来年度には駐車場の一部に有料エリアを新設することとし、今議会に駐車料金に関する規定を定めるための「佐賀空港条例の一部を改正する条例(案)」を提出されております。
そこで、(一)の駐車場有料エリアについての質問でございます。
これまでの駐車場整備はどのような考え方で行ってこられたのでしょうか、まずは御答弁ください。
152 ◯黒田空港課長=これまでの駐車場整備の考え方についてお答えをいたします。
九州佐賀国際空港では、平成十年、一九九八年の開港当初から、九州の主要空港で唯一、無料駐車場を完備しており、利用者からも大変好評で、空港の大きなセールスポイントとなっているところでございます。
開港時は、第一、第二駐車場並びに身障者用駐車場の合計約七百二十台分でスタートしたところですが、その後、空港の利用促進の取組ですとか、路線・便数の拡充に伴います空港利用者数の増加、さらには、将来の空港の発展も見据えながら、これらに対応していくため、計画的に駐車場の拡張を行ってきたところでございます。
直近で申しますと、令和三年三月に第四駐車場を約六百台分拡張したところであり、現在は第一から第五駐車場及び身障者用駐車場、さらには、先ほど委員からもお話がございました有料エリアの新設、これも見据えた上で、合計約二千二百台分の整備をしているところでございます。
以上でございます。
153 ◯中村委員=ありがとうございます。
次に、今回、駐車場に有料エリアを新設する目的について伺いたいと思います。
154 ◯黒田空港課長=有料エリア新設の目的についてお答えをいたします。
九州佐賀国際空港の無料駐車場は、先ほど答弁をいたしましたとおり、大きなセールスポイントであり、利用者からも好評を得ているところでございます。一方で、時間を優先したいのでお金を払ってでも近くに駐車をしたいといった利用者からの声も出てきたところでございます。
こうした多様化する利用者ニーズに対応し、様々な人が利用しやすい空港としていく、その一環といたしまして有料エリアを新設するものでございます。これによりまして空港駐車場は以前の無料エリア約千六百台分が無料エリアは二千百台分に拡張し、さらには新たに有料エリア約百台分を備えた駐車場となる計画でございます。
以上でございます。
155 ◯中村委員=利用者からの声があったということでございました。
では次に、有料エリアの整備の内容、そして、その管理運営の計画について伺います。
156 ◯黒田空港課長=整備内容及び管理運営の計画についてお答えをいたします。
まず、整備内容でございますが、有料エリアの整備につきましては、ターミナルビル前の第一駐車場、現在約五百二十台分ございますが、こちらのうち百台程度の有料エリアを設ける計画でございます。さきの令和三年十一月議会で債務負担行為設定を御承認いただいておりますので、現在、工事発注準備を進めておりまして、来年度初旬に着工、秋頃の完成及び供用開始を予定しているところでございます。
具体的な整備内容は、有料エリアを新設いたしますこの第一駐車場の再編工事、それから舗装補修、これらを行うほか、有料エリアとなる部分につきましては、駐車枠を拡張いたしましたり、エリア内の通路における屋根の設置などを計画しているところでございます。
このほか出入口ゲートや入庫出庫を管理いたしますカメラ、料金精算機などの機器設備、こういったものはリースをする計画でございますが、それらの設置工事が必要となります。
なお、この有料エリアの利用に当たりましては、入庫時に車両のナンバープレートをカメラで認識して車両の出入りの管理を行うことでチケットレス、いわゆる駐車券といったものを発行せずに利用することができたり、また、駐車料金の支払いを各種キャッシュレス対応とするなど、利便性の高い利用方法とする予定でございます。
また、有料エリアの供用開始後の管理運営につきましては、機器設備のリース、それからメンテナンス、利用者の現場対応、料金の集金業務などを一括して業者に業務委託をする計画でございます。
以上でございます。
157 ◯中村委員=ありがとうございます。私も、無料駐車場が満車の際など、有料駐車場を利用することがあるかもしれません。そのときのために、まずは自分の車のナンバーを覚えたいと思います。
次に、提案中の条例案に規定する利用料金の体系について伺います。
158 ◯黒田空港課長=利用料金の体系につきましてお答えをいたします。
この有料エリアの利用料金につきましては、入庫後、最初の十五分までは無料、十五分を超えて最初の二十四時間までは千円、そして、二十四時間を超えた後は一時間ごとに百円を加算し、二十四時間ごとの上限額を千円に設定としております。
このような料金体系とすることで航空機利用以外の短時間の駐車場利用者、例えば送迎や買物のみの来場の方々で有料エリアが満車状態となるような事態の発生を抑えまして、真に時間を優先したい航空機利用者がターミナルビル近くに駐車できる環境の確保を図っていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
159 ◯中村委員=ありがとうございます。
空港開港以来、駐車場は全て無料でございました。最初に御答弁いただいたように、そこが大きな売りでございました。有料エリアの供用開始に当たっては、県民はもちろんですが、福岡県南西部地域の方々などの空港利用者に対しても十分な周知が必要であると考えますが、いかがでしょうか御答弁をお願い申し上げます。
160 ◯黒田空港課長=利用者への周知についてお答えをいたします。
有料エリアの完成及び供用開始時期は、先ほど答弁をさせていただきましたとおり、今年の秋頃を見込んでおりますので、今議会に提案中の空港条例の一部改正案が成立をいたしましたら、円滑な供用開始に向けまして事前周知に努めていく考えでございます。
実は、以前、営業先の事業所におきまして、空港駐車場が全て有料化になるといったような、いわゆる誤解をされているケースもございました。一部でそういったケースも見受けられました。こうしたことから空港駐車場につきましては、先ほどから答弁させていただいておりますとおり、セールスポイントである無料駐車場は、しっかりと拡張をしています。その上で有料エリアも新たに新設をすることでサービスの多様化を図っていくものであるということを、県民ですとか、福岡県南西部の方々に正しくお伝えできるよう、しっかりと情報発信をしていきたいと考えているところでございます。
具体的には、空港のホームページやSNS、県の各種広報媒体、それから福岡県南西部地域向けも含めました新聞や情報誌での情報発信、空港のターミナルビルや敷地内での案内の掲出、さらには、県庁の本庁副課長等で構成をいたします空港セールスプロモーション百人チームや、私ども空港課職員による事業所等への営業活動での個別周知、こういった様々な形で取り組んでいきたいと考えているところでございます。
今後とも、利用者サービスや利便性のさらなる向上を図り、様々な人が快適に空港を御利用いただけるよう取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
161 ◯中村委員=ありがとうございました。しっかりとした周知をお願い申し上げておきます。
次に、(二)多目的スペースについてでございます。
昨年夏にターミナルビルが大規模リニューアルをされました。十一月に実施された県議会議員向けのターミナルビル視察会に私も参加をさせていただき、搭乗待合室やチェックインカウンターの拡張などによる機能面の強化や物販エリアや飲食エリアなどのリニューアルによる快適性や魅力面の向上を実感したところでございます。しかし、そのときにはまだ三階の多目的スペースは未整備でございました。
私は、この多目的スペースの整備の補正予算が提案された令和二年九月定例会、そして、令和三年二月定例会の当委員会において、コロナ交付金の活用の考え方や事業の内容などについて質問をさせていただいておりました。私自身、この多目的スペースの整備については、予算を可決した責任がある県議会、その一員として、同スペースが子供たちの未来につながるようなメッセージ性や夢のある空間となることを願っているところでございます。
そこで、質問でございます。
まずは、改めてになりますが、多目的スペースの整備の目的について御答弁をお願いします。
162 ◯黒田空港課長=整備の目的についてお答えをいたします。
九州佐賀国際空港のターミナルビル拡張改修に当たりましては、機能強化と併せまして魅力の向上も図ったところでございます。ターミナルビルの拡張改修を進める中、設計時には想定をしておりませんでした新型コロナウイルス感染症という大きな状況変化があり、これに対応していく一環で多目的スペースの整備にも取り組んだところでございます。
整備の目的は、大きく二つございまして、一つは、空港利用者の密集・密接対策として、大人も子供も快適かつ楽しく利用できる新たな滞在スペースを設けるためでございます。もう一つは、空港を起点として、さらなる県内への誘客につなげるためでございます。
以上でございます。
163 ◯中村委員=今、二つ御答弁いただきましたが、その目的に応じた具体的な整備の内容について御答弁を下さい。
164 ◯黒田空港課長=具体的な整備の内容についてお答えをいたします。
さきに答弁をさせていただきました目的を踏まえまして、具体的な整備内容の検討に当たりましては、県立宇宙科学館やJAXAとの連携など、本県の強みを生かし、子供も大人も楽しめる宇宙をテーマとし、主に三つの内容で構成をする計画でございます。
一つ目は、映像で宇宙を学べるように五十五インチのモニターを八台連結した大型スクリーンを設置し、JAXAから提供いただく迫力ある映像を上映したり、また、このモニターは一つ一つのモニターごとに分割して使用することも可能としておりますので、映像の内容ですとか利用の目的に応じまして様々な形で活用できるものと考えております。
二つ目は、展示物で宇宙を学べるように、JAXAと連携した佐賀県の取組の紹介、佐賀と宇宙の関係、宇宙から考える地球環境などを展示する計画でございます。宇宙関連技術は、まさに日進月歩でありますことから、適宜、展示情報の更新にも対応できるよう工夫も行ってまいります。さらには、県立宇宙科学館の紹介も行い、同館への誘客にもつなげたいと考えているところでございます。
三つ目は、体感しながら宇宙を学べるように、地球や太陽、その他の惑星などのスケール感をイメージした内装とする計画でございます。先ほど申しました大型スクリーンの前にイベント等でも活用が可能な太陽をイメージしたステージを設置をし、この太陽のステージのスケールに合わせまして、土星や木星などの惑星のスケール感が分かるようなデザインを床面に装飾したいと考えております。
さらには、地球のスケール感で作成をされたスツール、いわゆる背もたれのない椅子を複数配置をいたします。これは利用者自身でも自由に動かせるような椅子になりますし、休憩用の椅子としてやイベント時の客席などとしても利用可能と考えております。
この多目的スペースで過ごしているうちに自然と宇宙のことを学ぶことができ、宇宙への関心も高まり、さらには宇宙科学館も訪れたくなるような空間にしていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
165 ◯中村委員=ありがとうございます。
昨年十一月のターミナル視察会のときには、今おっしゃっていただいたこと、未整備でございました。現在の整備の進捗状況はどうなのか御答弁を下さい。
166 ◯黒田空港課長=現在の整備の進捗状況についてお答えをいたします。
公募型のプロポーザルで業務委託先の事業者を選定し、その後は当該事業者や庁内関係部署、さらにはJAXAや宇宙科学館とも連携をしながら整備内容の検討を重ね、今年二月上旬に現場の着工をしております。現在、工事中でございまして、今月、三月下旬に完成を予定しているところでございます。
以上でございます。
167 ◯中村委員=三月下旬に完成予定ということとお聞きをしました。
多目的スペースを多くの人に知っていただき、そして、訪れていただくためには、供用開始時、三月の下旬ということですが、様々な形の情報発信の取組も必要だというふうに思います。今、お考えの情報発信の計画についてお伺いをいたします。
168 ◯黒田空港課長=供用開始時におきます情報発信の取組の計画についてお答えをいたします。
先ほど申しましたとおり、三月下旬の完成を予定しておりますので、完成後は供用開始に向けた準備を行う予定でございます。委員御指摘のとおり、多目的スペースを多くの方々に知っていただき、そして、航空機利用以外の方も含め、たくさんの方々に空港を訪れていただきたいと思っており、そのためには、この多目的スペースの供用開始時における情報発信は大変重要なことと考えているところでございます。
一方で、供用開始時の取組に当たりましては、新型コロナウイルスの感染状況や、空港に関しましては航空便の復便、そして空港利用者数の動向など、状況を見極めていくことも必要と考えておりますので、関係部署や機関とも連携しながら、その時期や方法を検討していきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
169 ◯中村委員=御答弁いただきました。三月下旬は完成で、供用開始はこれから決めるということですね。失礼いたしました。
図らずも世間の注目を浴びることになったこの多目的スペースに関しては、分かりやすい目標を設定して効果の創出を県民に示していくことが重要であると私は考えますけれども、何かしらの目標は設定されるのでしょうか、御答弁をお願い申し上げます。
170 ◯黒田空港課長=目標設定につきましてお答えをいたします。
多目的スペースは、同じフロアにございます飲食エリアと連続したオープンスペースとなりますことから、多目的スペース単体での来場者数のような目標設定は困難と考えているところでございます。やはり空港といたしまして大きな目標は、空港利用者数の増につなげることでありますので、まずは旅客数をコロナ前水準に回復をさせ、そして、これまでの最高記録であります約八十一万九千人、これは平成三十年度の空港の旅客数でございますけれども、これを更新できるよう目指していきたいと思っているところでございます。その上で、航空機利用者はもとより、将来需要も見据えまして、航空機利用以外の方にも訪れてもらえる空港を目指していく考えでございます。
そうした中、将来需要及び空港や航空業界への理解と関心を高めてもらうため、小学生など子供向けの空港見学会なども取組中でございます。こうした見学会では、この多目的スペースも大きな魅力の一つになるものと考えているところでございます。
委員からお話がございました、例えば、こういった空港見学会の参加者数、これに目標を設けるなど、何らか目安となるような目標設定も検討してまいりたいと考えているところでございます。
このように、多目的スペースの利用を通じまして、特に子供たちが宇宙や科学、飛行機などに関心を持つ契機となり、夢や志を育むことにつながることも期待しているところでございます。引き続き、空港トータルで利便性や魅力の向上に努め、空港の発展を通じて空港を起点とした人の流れを広げ、佐賀県及び福岡県南西部地域の活性化につなげていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
171 ◯中村委員=今、御答弁にございました社会見学をする児童の数とかも一つの目標になることは、非常にいいことだと思います。今回、バスプールも五台から十一台に拡張されるというふうに聞いております。バスに乗った社会科見学の子供たちが九州佐賀国際空港を訪れ、そこで空を舞台に活躍されている皆さんのことを学び、次にこの多目的スペースで宇宙について学ぶ。見上げれば、そこには空があり、その先には宇宙がある。そして、そこには大きな夢と無限の可能性があり、チャンスと仕事もある。そのことを学んだ子供たちは、目をきらきらとさせながら、またバスに乗って帰っていく。多目的スペースがそのような空間になることを心から願いまして、次の質問に移りたいと思います。
問いの二はフリーゲージトレインについてでございます。
昨年の十一月二十二日に行われた鉄道局と県との五回目の「幅広い協議」の中で、時速二百キロメートルのフリーゲージトレインであれば、「私は、もうできているんじゃないかと本気で思っているんです」という山下地域交流部長の御発言を受けて、本年二月十日に行われた六回目の「幅広い協議」では、時速二百キロメートルで走行するフリーゲージトレインをテーマに議論がなされたと承知をしております。
約二十年間という長い時間と、総額五百億円という莫大な開発費を投じてきたフリーゲージトレインの、その開発を国が断念したのには、そうせざるを得ない理由があるのだと、技術者でも開発者でもない私は単純にそう思っています。断念しないでよいのであれば、誰も今のような苦労はしていません。
そこで、最初の質問でございます。
私と同じく技術者でも開発者でもない県が、(副委員長、委員長と交代)なぜ時速二百キロメートルのフリーゲージトレインであれば開発可能であると本気で思っているのか御答弁をください。
172 ◯古沢交通政策課長=フリーゲージトレインの開発が可能と考える理由についてお答えいたします。
二月に行いました六回目の鉄道局との「幅広い協議」において、鉄道局からは技術的な課題を理由にフリーゲージトレインの開発が困難であるという説明はございました。しかし、フリーゲージトレインの技術開発に関する技術的な評価を行う有識者の委員会であります軌間可変技術評価委員会では、開発は困難とはされておらず、技術的な課題に対する新たな対策が示されておりました。また、国土交通省からも、その対策を踏まえた開発スケジュールまで示されているというところでございます。
また、一昨年、令和二年の十月の三回目の鉄道局との「幅広い協議」においても、鉄道局からは、フリーゲージトレインは技術的に開発できないということではなく、開発にまだ時間とコストがかかるため開発をしないという判断をしたという説明であり、開発が不可能という話ではありませんでした。
このようなことから、軌間可変技術評価委員会が示しました新たな対策を講じれば開発の可能性は十分にあるのではないかと考えております。
以上でございます。
173 ◯中村委員=今、鉄道局のお話があったということでしたが、開発が無理ではないというのは、もちろんそうなんですね。例えば、二十三世紀から技術者が突然タイムマシンでやって来るとか、突然天才が生まれるとかして、今の積み上げた技術以外の技術で造れば、それは車軸が磨耗しないフリーゲージトレインを造れるかもしれない、無理ではない。その辺の技術者の発言については、考慮すべきだと私は思います。
また、今るる答弁をいただきましたけれども、今の御答弁、そして、県のこれまでの御発言を私なりに整理すると、県がフリーゲージトレインを諦められない理由、それは大きく二つあると思っています。
まず一つ目には、国交省が平成十七年の五月に示した、既に時速二百二十キロメートルから二百四十キロメートルの実用化のめどは立っているので、今後は時速二百七十キロメートルまでの開発についても引き続き行っていく方針であるという見解を示された。これが一つ目に挙げられるというふうに思います。
そこでお尋ねですが、平成十七年の五月に示されたこの国交省の見解は、フリーゲージトレインの日本での耐久走行試験の結果を踏まえたものであると理解をされているのでしょうか、御存じであればお教えいただけますでしょうか。
174 ◯高塚地域交流部副部長=平成十七年五月の頃の国の鉄道局が示しましたフリーゲージトレインの開発状況のその当時の状況について御説明します。
平成十六年十二月の時点で政府・与党申合せの中で、国の西九州ルートの武雄温泉-諫早間の着工方式といいますか、整備方式について、その当時、フリーゲージトレイン方式ということで参考値という形で資料がついておりました。
その当時、私も担当でおりましたけれども、国の鉄道局のほうに確認をしまして、今どういう状況でございますかという話をしたときに、その当時、たしかプエブロ、アメリカのほうなんですけれども、二百二十から二百四十ぐらいの耐久走行試験を実施されておりまして、その分に関しましては実用化のめどが立っているということでございました。
そういう走行試験の経過を踏まえまして、その後、平成十六年十二月の政府・与党申合せの中で「フリーゲージトレイン」というのが明記されております。その情報を得まして、我々、その当時、空港交通課でしたけれども、職員が鉄道局のほうに赴いたりしていろいろ話を聞きまして、鉄道局のほうに実用化のめどが立っているのかと、西九州ルートについてどういう状況なのかというのを確認しまして、国として責任を持って推進していくという発言がありましたので、当時、庁内で確認をしまして、県としてFGT方式で整備を進めていくという判断がその後出てきたものというふうに理解しているところでございます。
以上でございます。
175 ◯中村委員=勉強になりました。ただ、お尋ねしたのは、日本での耐久試験をする前だったのか、後だったのかというお尋ねでございます。
176 ◯高塚地域交流部副部長=アメリカのプエブロで走行試験をして、それは試験車両でございました。その後、国内で山陽新幹線区間でも試験走行をされていると。で、ある程度の高速走行試験とか台車試験とか、そういうのを繰り返されているという情報は聞いておりました。
ですので、そういう状況も踏まえまして単にアメリカのプエブロだけで判断されたという話ではなくて、国内での軌間可変、その当時、下関に軌間可変の試験場もございました。そういったところでの試験走行を繰り返して、国として実用化のめどが立ったという形で県のほうにも説明があったものというふうに理解しているところでございます。
以上でございます。
177 ◯中村委員=一問一答なので質問に答えていただけるので質問できるんですけれども、日本でのちゃんとした耐久試験はその当時やられているのかというお尋ねなんですけれども、資料を出されているじゃないですか。御答弁ください。
178 ◯高塚地域交流部副部長=その当時、国内での耐久走行試験ができているのかどうかということでございますけれども、第六回のほうで県のほうから配りました資料を見ながら御説明しますが、その時点では耐久走行試験というものは実施されてないという状況でございます。
以上でございます。
179 ◯中村委員=そうなんです。日本での対策試験をする前の、あくまでも走行試験の結果を受けての発言でございます。実際には、この見解が示されてから実に九年後の平成二十六年十月から耐久走行試験が開始をされています。そして、直後の同年十一月に車軸に磨耗が確認されたため、耐久走行試験を休止されている。この車軸の磨耗は、関係者にとって、まさに青天のへきれきだったのではと思います。
国交省の既に時速二百二十キロメートルから二百四十キロメートルの実用化のめどは立っているという発言は、このへきれきによって真っ黒焦げになっているんです。その黒焦げになった発言を引っ張り出してきて、だからできるはずだと主張するのは、余りにも理不尽でございます。ですので、一つ目の理由は理由にならない、こう申し上げておきたいと思います。
次に、県がフリーゲージトレインを諦め切れない理由の大きな二つ目、先ほども御答弁ございましたけれども、平成三十年三月に軌間可変技術評価委員会が車軸の磨耗対策として、車軸のメッキ厚を増加させて試験することに問題はないとし、それを受けた国交省、与党委員会もそうですが、技術開発が順調に推移した場合、フリーゲージトレインの導入は令和九年半ばになる見込みだと発言したことであります。対策案を出して、スケジュールまで示したではないかという言い分です。
しかし、お尋ねをいたします。車軸のメッキ厚を増加させれば車軸は磨耗しなくなる、そうお思いでしょうか。
180 ◯古沢交通政策課長=車軸のメッキ圧を増加した場合に磨耗しなくなるのかという御質問だったと思います。そのメッキ圧を増やすという対策案を示されておりますけれども、平成二十九年に試験をされたときについては、その磨耗量というのは百分の一まで改善をされているという形になってます。それでもまだ二・五マイクロメートルの磨耗が発生しておりましたので、その分について、さらにメッキ厚を厚くするということで対策のものが委員会のほうから示されたと思っております。そのメッキ厚を増やすという対策を実際講じた試験とかは行われてないというふうに認識しております。
以上です。
181 ◯中村委員=多分、御答弁をやり取りしても一緒だと思うので申し上げますけど、そもそも、車軸を磨耗することを前提にしているからメッキ厚を厚くするんです。つまり残念ながら、幾らメッキを厚くしても車軸は磨耗します。違ってたら言ってほしいんですけど。
そこで、次の質問です。
第六回目の「幅広い協議」の中での鉄道局の発言、車軸は鉄道の安全運行のための重要部品であり、基本的に傷を容認しないもの。とりわけ高速で走行する新幹線については、より厳格な安全性の確保が求められるというこの発言。これについては、それはそうだよねと納得をされているんでしょうか、御答弁を願います。
182 ◯高塚地域交流部副部長=平成十七年当時から、国のほうからフリーゲージトレインを推奨されてまいりました。その当時からフリーゲージトレインの構造を確認したところ、車軸が、単一の車軸が二重構造というか、形になってですね、極端な話、車軸をいじくるような構造でフリーゲージトレインを開発するというような話でございました。当然、我々としまして、車軸と車軸を二枚重ねてますので、そこの接触部分が削られる可能性があるということは、説明を受けてきた当時から認識をしておりました。それでも、これは新しい技術であり、国のほうとして、しっかりこれは大丈夫だという説明を受けてきたということも事実でございます。
以上でございます。
183 ◯中村委員=なるほど、分かりました。ここは特別委員会がせっかくありますので、その中で技術のトップの方も来られるとお聞きをしています。そもそもフリーゲージトレインは車軸が磨耗することを前提に開発を進めていたのか、それともそれは前提としていなかったのか、ぜひ確認をしていただきたいですし、先ほど申し上げた発言ですね、車軸は基本的に傷を容認しないもの、とりわけ高速で走行する新幹線については、より厳格な安全性の確保が求められる、この部分については、よく確認をしていただきたいし、深堀りをしていただきたい、そのように委員の皆様にお願いを申し上げておきたいと思います。
質問を変えます。
新幹線は、高速のマストランジットです。事故があれば何十人では済まない、何百人の命が危険にさらされます。そういう乗り物が九州新幹線西九州ルート新鳥栖-武雄温泉間を通るときに、県として何を一番に求めるのか。安全性か、利便性か。これは在来線を含めて全体としての利便性という意味ですが、それとも経済性、つまり県の財政負担の額か。安全性、利便性、経済性、どれが一番に優先されるべきであるとお考えか御答弁を願います。
184 ◯古沢交通政策課長=安全性、利便性、経済性のいずれの部分について重要視するのかという御質問だったかと思います。
当然、安全性の確保というのは大前提であろうかと思っております。やっぱり車軸の傷というのは許容されないというのは当然のことだろうと思っております。当然、傷が許容されないということで技術評価委員会からは車軸の磨耗対策というのが示されたと認識しております。
あと、利便性と経済性という話もございましたが、これは全体としてどう考えていくのかということになろうかと思っております。
以上でございます。
185 ◯中村委員=今、答弁をお聞きして、もう一つ、今度の特別委員会で確認をしてほしいことが出てまいりました。メッキを厚くしたら車軸は磨耗しないのか、それとも車軸が磨耗するからメッキ厚を厚くして磨耗してもいいようにしようとしていたのか、そこも確認をぜひ願えたらなと思います。
今、御答弁いただいたように、どんなに便利でも、そして幾ら安くしても安全でなければ買いません。同時に、安全でも便利でなければ買いませんし、安全でも高ければ買えないんです。我々に唯一残された追求すべき選択肢は、安全なものを、どれだけ安く買うか、そして、いかに便利に使うかだと思っています。つまり佐賀県の財政負担を最小限に抑え、在来線をしっかり維持し、そして、代替えとなる道路整備の約束を取り付けた上で安全性が実証されているフル規格での整備を選択する。私は、この一択だと思っていますが、少なくとも、県民、国民の命を最優先に考えるならば、フリーゲージトレインという選択肢だけは絶対にないと強く申し上げて、次に移りたいと思います。
次に問いの三、鳥栖市の都市計画における区域区分についてお尋ねをいたします。
鳥栖市には、計画的な市街化を図る市街化区域と開発が制限される市街化調整区域に区分する区域区分、いわゆる線引きが行われており、そのことが鳥栖市がさらに発展していくための、つまり新たな住宅用地や工業用地などの確保の足かせになっています。
そこで、まずはお尋ねいたします。
この区域区分という足かせは、どのような地域に定めておられるのでしょうか御答弁ください。
186 ◯天本まちづくり課長=区域区分が定められる地域についてお答えいたします。
区域区分は、市街地の無秩序な拡大を抑えて計画的な市街化を図ることを目的として定められているものでございます。区域区分が定められている地域は、人口十万人以上の都市や、これらと密接な都市を基本としまして、将来の人口増加や市街地拡大などが見込まれる地域となっております。
佐賀県では、佐賀市の佐賀都市計画区域と鳥栖市及び基山町の鳥栖基山都市計画区域の二つが区域区分のある都市計画区域となっているところでございます。
また、鳥栖基山都市計画区域と隣接いたします福岡県側の筑紫野市、小郡市、久留米市においても、区域区分のある都市計画区域となっているところでございます。
以上でございます。
187 ◯中村委員=ありがとうございます。
では、区域区分を行う意義は何なのか。そして、それを行うかどうかを最終的に決めるのは誰なのかお尋ねいたします。
188 ◯天本まちづくり課長=区域区分の意義とその決定権者についてお答えいたします。
都市計画法の考え方として示されております区域区分制度が設けられた意義としては、次の四つとなります。
一つ目が無秩序な市街地の拡大による環境悪化の防止、二つ目が計画的な公共施設整備による良好な市街地の形成、三番目が都市近郊の優良な農地との健全な調和、四つ目が市街地における良好な環境の確保でございます。
また、区域区分の決定につきましては、都市計画法第十五条により都道府県が定めることとされております。この決定に際しましては、市町の意見を聞きまして、国土交通大臣の同意を得るなど、関係機関との調整を行った上で定められるものでございます。
以上でございます。
189 ◯中村委員=今御答弁いただいた区域区分の意義は、令和四年の鳥栖市にはほとんど当てはまりません。そう申し上げておきます。しかし、少なくとも区域区分を定めるかどうかは、最終的には県が決定するのだということを理解をさせていただきました。現在、鳥栖市議会において鳥栖市の都市計画に関する勉強会、これは会派横断的な勉強会になるようですが──が設けられようとしています。その中では区域区分の廃止も含めた議論が行われる予定であると聞き及んでいます。
仮に、その勉強会から区域区分の決定権者である県に対して何かしらの意見が提出されるようなことがあった場合、県はどのようにそれを受け止められるのでしょうか。いつになるか、どんな内容になるのか、今は全く分かりませんが、二元代表制の片翼の総意として出てくるものであります。さすがに重くは受け止めていただけるのでしょうか、御答弁を求めます。
190 ◯天本まちづくり課長=区域区分に対する意見の受け止めについてお答えいたします。
県としての受け止めにつきましては、議員のお話にありましたとおり、今のところ、勉強会の組織の詳細や意見の内容が分からないという状況でございますので、現時点で県の受け止めをお答えすることは難しいと考えておりますが、仮に意見が提出されたとすれば、まずは内容を確認させていただきたいと考えております。
鳥栖市では、これまで区域区分制度による計画的な市街地整備を進めてきておりまして、区域区分の在り方を変更することは、今後のまちづくりに多大な影響を及ぼす可能性があると考えております。まちづくりの主体は市町でございますので、地元鳥栖市の中でまちづくりの将来像をしっかりと議論していただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
191 ◯中村委員=議員もそうですが、議員の集合体である議会も市民でございます、市民の代表でございます、片翼でございます。そこから出てくるもの、内容のいかんに関わらず、それはそれで重いと思うかどうかとお聞きをしています。
192 ◯天本まちづくり課長=市民の代表であります市議会からの意見について重く受け止めるべきではないかという御質問についてお答えいたします。
県に対する意見書や要望書につきましては、様々な団体や組織の、場合によっては市町からも提出いただいているところでございまして、まずはその内容を確認した上で状況に応じて対応しているところでございます。
繰り返しになりますが、まちづくりの主体は市町となっておりますので、鳥栖市の中でまちづくりの将来像についてしっかりと議論していただく必要があると考えております。鳥栖市の中で十分議論された上で提出された意見につきましては、まずは内容をしっかりと確認させていただきまして、まちづくりの主体であります鳥栖市や関係する基山町と議論していきたいと考えております。
以上でございます。
193 ◯中村委員=内容をしっかりと確認するというところまでの御答弁をいただきましたので了とさせていただきたいと思います。
次の問いは、下野排水機場の復旧状況についてでございます。
令和三年八月豪雨で浸水した鳥栖市の下野排水機場につきましては、令和三年九月定例会の当委員会において、地域の皆さんから県に出された要望の内容と、それを受けた県の取組について質問をさせていただきました。しかしながら、毎日のように通る現地の状況を見ておりますと、要望の実現、復旧工事が進んでいるようには感じられず、今年の出水期を控え、不安を覚えています。
そこで、お尋ねですが、恒久的な排水施設の能力向上という要望に対しては、排水機場の耐水化に取り組むとされていましたが、復旧工事と併せて、その進捗状況について御答弁をお願い申し上げます。
194 ◯満石河川砂防課長=下野排水機場の復旧工事の状況についてお答えいたします。
令和三年八月豪雨により、下野排水機場が浸水した後、直ちに排水機場を管理します東部土木事務所の職員やポンプメーカーにより被災状況の調査に着手し、九月中旬頃に調査を完了しました。今回の災害復旧につきましては、単なる復旧にとどまらず、止水壁の設置によります耐水化の検討も行いました。
災害査定を受けるに当たりましては、事前に国との協議が必要であることから、検討結果をもって十一月中旬から国との協議を行いまして、十二月下旬に完了したところです。
この協議の完了後、災害査定に向けた準備を行いまして、令和四年一月二十一日に災害査定が完了しました。災害査定完了後、早期復旧に向け、直ちに入札準備を進めているところでございます。
今後の見込みにつきましては、過去の事例によりますと、浸水により被災した排水機場の復旧工事は、おおむね一年程度かかっております。このことから下野排水機場の復旧工事についても同程度の期間を要するものと見込んでおります。
私からは以上です。
195 ◯中村委員=要は、出水期には間に合わないという御答弁だったと思います。心配でございます。
では、インターネットを利用して河川の水位を遠隔で確認できる環境の整備、これの要望もございましたが、その進捗はいかがでしょうか。
196 ◯満石河川砂防課長=下野排水機場の水位の確認についてお答えいたします。
下野排水機場の水位情報につきましては、排水機場の操作盤が浸水したため、現在、水位計からの送信データを取り込めない状況にあります。水位情報につきましては、先ほど御答弁しました排水機場の復旧工事と併せましてインターネットを通じて見ることができる県の河川情報「すい坊くん」を活用しまして、遠隔で確認できる環境を整えていくこととしております。
以上でございます。
197 ◯中村委員=排水機の復旧と併せてになるという御答弁、これも残念ですが。
では、今年の出水期はどのようにして乗り切ればいいのでしょうか。少なくとも毎秒六立米という下野排水機場のもともとの排水能力までは何かしらの形で対応していただきたいと。生命と財産がかかっている地元の皆様のお一人お一人のお顔を浮かべながら切に願うところですが、いかがでしょうか御答弁を求めます。
198 ◯満石河川砂防課長=今年の出水期に向けた対応についてお答えいたします。
下野排水機場は、毎秒三立方メートルの排水ポンプが二基ある施設で総排水量が毎秒六立方メートルの排水施設です。下野排水機場の浸水後、直ちに国のほうから排水ポンプ車の応援などを受けまして、その後、仮設排水ポンプ、毎秒一・五立方メートルを設置しました。現在もこの状況でございます。
令和四年の出水期を迎えるに当たりましては、追加で仮設排水ポンプ毎秒四・五立方メートルを増強することとしております。このことにつきましては排水先の河川管理者である筑後川河川事務所や道路管理者である鳥栖市と調整を行いまして、現況の排水能力である毎秒六立方メートルを確保できることを確認しております。
今年の出水期に向け、今後も継続して筑後川河川事務所や鳥栖市と情報を共有し、しっかりと連携して取り組んでまいります。
以上でございます。
199 ◯中村委員=昨年は排水機が浸水して動かなくなったということでございましたが、今回は浸水しないような場所に設置をするということでよろしいか、確認をさせていただきます。
200 ◯満石河川砂防課長=先ほど、増強すると申し上げた仮設ポンプですが、現在、一台〇・〇六立方メートルぐらいの規模の排水ポンプを二十二台並べているんですけど、それについては西田川の流域水位が上昇すると、ポンプを動かすための、例えば発電機とかエンジンとか、そういうものを浸からないようにしないといけないと考えています。
以上です。
201 ◯中村委員=ぜひ対応をお願いしたいと思います。
知事は、今議会における自民党定松政調会長の代表質問に対して、浸水被害については、残念ながら、ゼロにするというのは難しい。でも、少しでも近づけていくと御答弁をされた上で、できる限り水位を下げて被害を最小化していくということに、国、県、市町、関係機関一丸となって、そして県民の皆さんとも連携して頑張っていくと決意を述べられています。
今回質問申し上げた下野排水機場に限らず、県内各地の内水氾濫の危険がある地域において、皆が一丸となり、本年の浸水被害が最小限に、あわよくばゼロになることを心から願いまして、また、その危険区域、危険地域に住む一人として私も連携して頑張ることをお誓い申し上げまして、最後の質問に移らせていただきます。
最後の問いは、SAGAアリーナの利活用についてでございます。
知事は、令和二年二月定例会の一般質問への御答弁の中で、九州の中心に位置してアジアとも近い佐賀県だからこそ、アリーナの整備は生きたものになると判断したと発言をされています。佐賀県が九州の中心であるとは初耳ですし、アリーナの最寄り駅である佐賀駅へは、博多駅から特急「かもめ」に乗って九州の心臓部である鳥栖市を通って、さらに先へと進み約四十分、料金も千九百七十円かかります。特急を使わなければ料金は千百三十円で済みますが、鳥栖駅でスムーズに乗換えができたとしても一時間二十分近くはかかります。さらには、うだるように暑い日も、凍えるように寒い雪の日も、そして、土砂降りの日でも、アリーナへはそこから歩いて約二十分、九州の中心が聞いてあきれます。
立地のよさを中途半端にアピールするのではなく、開催する
コンテンツの魅力、その一点で勝負しなければ、SAGAアリーナの整備は、知事の言われる生きたものの真逆、死んだものになってしまうと私は危惧をしております。
そこでまずは、アリーナの利活用推進に当たっての県の考え方についてお尋ねをいたします。
202 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=アリーナの利活用の基本的な考え方についてお答えを申し上げます。
SAGAアリーナは、スポーツやコンサート、ファミリー向けイベントなどが開催可能な多目的アリーナとして整備しております。県内の屋内施設としては最大規模となる八千四百人がメインアリーナに収容できること。それから、ペデストリアンデッキで連結する佐賀市文化会館も含めますと、同時に大体一万三千人規模の人を収容できるということもありますので、これまで佐賀では開催できなかった規模のイベントというものが開催可能になります。
アリーナは、二〇二三年春のグランドオープンに向けて今整備を進めているところでございまして、私どもといたしましては、この二〇二三年の春から夏頃をオープニングキャンペーンと位置づけまして、多彩なジャンルのイベントを開催できるように、指定管理者などと現在いろんな調整を行っているところでございます。
オープン後のできるだけ早い時期に、多彩なジャンルのイベントを開催することで、県外のイベントの興行主、イベントの主催者の皆さんでありますけれども、こうした方に対してもSAGAアリーナの利便性などもアピールできますし、それがさらなる魅力ある
コンテンツの誘致につながるというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
203 ◯中村委員=少なくとも
コンテンツが大事である、鍵であるとは思っていただいているということで少し安心いたしましたが、より多くの方に来場していただくには、ほかのアリーナと差別化ができるような佐賀ならではの
コンテンツの充実も図るべきだと思います。
コンテンツの誘致に関しては、どのような具体的な取組がなされているのか御答弁をお願い申し上げます。
204 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=
コンテンツの誘致についてお答え申し上げます。
まず、
コンテンツの誘致に当たりましては、集客力のあるコンサートだとかファミリー向けのイベント、そういったいわば民間主催でなされるようなエンターテインメント性の高いイベントにつきましては、指定管理者のエンターテインメント業界の中でのネットワークを活用して誘致に向けた働きかけを行っております。
また、大規模な学会でありますとか業界団体の全国大会など、いわゆるMICEと呼ばれるものにつきましては、MICEの主催者が開催地を判断する要素として、開催地自治体の支援の在り方といったものが大変重要になっておるということから、私どもが中心となって誘致を行っていると、こういう形になります。
現在、コロナ禍でありますので、誘致に向けたいろんな活動というのは制約があるというのは事実でございます。ただ、その中でも動画でありますとかパンフレットなどのいわゆる営業ツールを使いまして、イベントの主催者でありますとか、それから大学の関係者といったMICEの関係者の皆さん、そういった方への説明など、限られた機会ではございますが、そういったものを生かして誘致活動を行っているところでございます。
以上でございます。
205 ◯中村委員=民間のものは指定管理者、学会、MICEのようなものは県という役割分担の中でやっているというふうに御答弁をいただきました。
さて、今、まさに鋭意建設中のSAGAアリーナでございますけれども、実は、既にそこでこけら落とし公演を行ったグループがございます。なぞなぞのようですけれども、それはアニメ「ゾンビランドサガ」の中で佐賀県を救うために結成された御当地アイドルグループ、「フランシュシュ」でございます。アリーナを生かすには、
コンテンツ、この一点で勝負。そして、佐賀ならではの
コンテンツで差別化です。「フランシュシュ」のこけら落とし公演は、まさにうってつけの
コンテンツではないでしょうか。指定管理者を含めて関係各位との調整が必要でしょうが、ぜひ、このうそがまこと、いや、アニメが現実になるよう、前向きに取り組んでいただきたいと思うのですがいかがでしょうか、御答弁をお願い申し上げます。
206 ◯日野SAGAスポーツピラミッド推進グループ推進監=「フランシュシュ」のライブの関係でございます。
「フランシュシュ」のライブは私も行ったことがあるんですけれども、大変多くの方でにぎわっておりますし、今、委員から御紹介がありましたように、SAGAアリーナの中で実際「フランシュシュ」がライブをしたという事実といいましょうか、そういったものがありますので、それを考えると、SAGAアリーナで実現した場合さらに多くのファンが来るという、こういうことが見込めるんだろうというふうに思います。
また、ゾンビランドサガそのものが佐賀県一円を舞台にしておりますので、ライブの前後に聖地巡礼といった形で県内を回っていただくような効果があるんじゃないかと思います。鳥栖でも駅前不動産スタジアムで「フランシュシュ」がライブをしたとか、それから、「ドライブイン鳥」だとか、嬉野温泉とか、唐津とかでも、ゾンビランドサガの舞台になっておりますので、そういったことも想定されますので、魅力のある
コンテンツの一つだというふうには認識しております。
現在、先ほど御答弁申し上げましたように、二〇二三年春のオープニングキャンペーンに向けて、様々なイベントの開催について調整している段階でございますので、「フランシュシュ」のライブの実施の可否について、現時点でのお答えというのは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、SAGAアリーナでできるだけいろんなジャンルの、魅力ある
コンテンツが実施できるように、オープニングキャンペーンの企画を現在まさに練り上げているところであるということでお答えさせていただきます。
以上でございます。
207 ◯中村委員=非常に前向きで具体的な御答弁をいただいたと思います。ありがとうございました。楽しみにお待ち申し上げたいと思います。
さて、アリーナの
コンテンツといえば、その大きな柱の一つは、何といっても女子バレーボールチーム、久光スプリングスでございます。最大収容八千四百人を誇るアリーナの完成後は、県としても今以上に久光スプリングスのホームゲームを盛り上げていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、県の認識について伺います。
208 ◯原スポーツ課長=SAGAアリーナでのホーム戦についてお答えいたします。
久光スプリングスのホーム戦につきましては、今シーズンでは十月と十二月にSAGAプラザで計四試合が開催されております。チームからは、SAGAアリーナオープン後は、現在の二倍の八試合以上の開催を検討していると聞いておりますことからも、久光スプリングスのホーム戦をSAGAアリーナの
コンテンツの一つとして期待しておりまして、県を挙げてチームを応援していく所存でございます。
209 ◯中村委員=県を挙げてとおっしゃっていただきました。非常に心強うございます。
県におかれては、平成二十九年の六月に久光スプリングスの親会社である久光製薬株式会社と連携協定を締結をされていますが、この協定の下でこれまでどのような事業に取り組んでこられたのかお伺いをさせていただきます。
210 ◯原スポーツ課長=久光スプリングスへの支援の取組についてお答えいたします。
県では、連携協定に基づきまして、地域の活性化のための久光スプリングスの活動を通じて地域の一体感や活力の醸成に取り組むこととしております。
これを受けまして、県全体の応援機運を醸成していくために、市町や関係団体と佐賀県Vリーグチーム振興協議会を立ち上げまして、県を挙げて各種事業に取り組んでいるところでございます。
協議会における具体的な取組としましては、スポーツの振興のため、基山町や小城市、佐賀市などの各地域でバレーボール教室を開催しましたり、今はコロナの影響で実施できておりませんが、選手たちが病院や学校を訪問するなど行ってきたところでございます。
また、情報発信としまして、ショッピングモールなどの集客施設におきましてシーズン報告会を実施しましたり、久光スプリングスの試合期間中に佐賀駅構内におきましてチームのPR等を行うことで佐賀駅を久光スプリングス一色にするなど取り組んでいるところでございます。
なお、このほか佐賀県での合宿の際には県内体育館とチームとの調整や、練習のサポートも県として行っているところでございまして、チームからも大変喜んでいただいているところでございます。
以上でございます。
211 ◯中村委員=ありがとうございます。これまでも様々取り組んでいただきましたが、アリーナオープン後は、ぜひ久光スプリングス側とさらに協議をしていただきまして、知ってほしいこと、できること、できないことなど、お互いに整理をして、今以上にウィン・ウィンの関係になるように取り組んでいただくようにお願い申し上げておきたいと思います。
また、現在、鳥栖市の駅前不動産スタジアムの横に久光スプリングスの練習拠点が建設中で、二〇二三年の春には完成するとお聞きをいたしております。この施設は、「佐賀・鳥栖の子どもたちや女性がはばたくトレーニングアリーナ」という基本コンセプトの下で、佐賀の地域スポーツ活動育成の拠点になることも目的の一つとされています。SSP構想を推し進めている佐賀県にとっても大きな役割を果たしていただける施設になるのではないでしょうか。
この練習施設完成後の連携について、県はどのようなお考えをお持ちなのかお伺いいたします。
212 ◯原スポーツ課長=今後の取組についてお答えいたします。
これまでもチームや関係者の皆様と協議をしながら、各種事業に取り組んできたところでございます。その中でも例えばバレーボール教室など、チームと子供たちとの交流の機会をつくることなどにつきましては、二〇二三年の新練習拠点完成に合わせまして、チームが完全に移転するとなれば、もっと実施回数をふやすことができるということをチームと話をしているところでございます。
また、新練習拠点は、県民への開放も予定されており、その設備につきましても、選手のけが防止などで使われるスポーツ専用の床が使用されております。そのようなコートが五面もございますことから、今後、県内のバレーボールの振興に活用させていただきたいと考えております。
なお、来春、久光スプリングスが完全移転しますことから、それを迎え入れるためにも、令和四年度からさらに県全体の応援機運の醸成を図っていきたいと考えております。
久光スプリングスがSAGAアリーナで活躍することで、SAGAサンライズパークを中心にエリア一帯が躍動しますよう、これまで以上にチームとしっかり協議しながら、関係団体の皆様と一緒になって様々な取組を行っていきたいと考えております。
以上でございます。
213 ◯中村委員=ありがとうございます。
この練習施設には、Vリーグだけでなく、海外のチームも含め、多くのチームの選手と関係者が強化試合などで訪れることになります。また、このような施設は日本にあまりないらしく、全国からのスポーツ関係者の視察も想定をされています。スポーツ課やSSP推進グループ、ひいては文化・スポーツ交流局にとどまらず、県とは様々な形での連携、これもウィン・ウィンの連携ができると思います。久光スプリングス側との今後の協議に大いに期待をさせていただきたいというふうに思います。
さて、最後の問いです。SAGAアリーナにつきましては、令和元年十一月定例会において、主に鉄骨の価格の高騰を原因として六十五億円の増額補正の案が提出をされました。その際に委員会メンバーでもあった県議一年目の私は、会派の会議の中で震えながら、鉄骨の価格が落ち着くのを待つべき、議案には賛成できないと発言したことを昨日のことのように思い出します。
同時に、何としてもアリーナを完成させるんだ。そして、名前が変わって初めての大会、「SAGA2024」国スポを絶対に成功させるんだという不退転の決意が表れた田中局長の顔も鮮明に思い出すのであります。そして、局長の持たれている御自身の仕事に対するプライドと愛情に触れさせていただき、県庁にはこういう方がおられるんだと感服いたしたのが、本当に昨日のことのようでございます。
その局長も、この三月で御定年を迎えられるとのこと。寂しいですが、誠におめでとうございます。実は、今日は飲みたかったんですけど、しようがないですね。一九八九年以来の県庁職員としての御経験を振り返っていただきながら、後進に対して、また、我々議員に対して、これからの文化・スポーツ行政の進むべき道などについて、最後に田中局長に御教授を賜りたくお願い申し上げまして、長くなりましたが、私の質問を終わります。ありがとうございました。
214 ◯田中文化・スポーツ交流局長=今、中村委員さんから過分な御発言をいただきましてありがとうございました。
私は、先ほど御紹介いただきましたように、一九八九年に県庁に入庁いたしました、平成元年でございます。普通の人よりも遅く入っておりまして、二十七歳で入って、通算で三十三年になります。この三十三年のうちの多分十年ぐらいが文化関係に携わっています。最初の地教行法の改正で、文化の仕事が教育委員会から知事部局に来た時の最初の文化の課長ということで文化に関わり始めまして、それから勉強して、文化、スポーツ、観光という仕事に十年ぐらい携わってきているということです。
先ほど言われましたように、令和元年の十一月議会、本当にいろいろ議論いただきまして、その中でどうしてもやはり国スポに間に合わせたいという思いの中で、アリーナ建設をぜひ実現させたいんだという思いをあのとき語ったことを思い出しました。その後、附帯決議につきましては議会のたびに手元に置いて、じっくりと心の中にとどめながら対応してきました。
先ほど、日野推進監とか原課長のほうから説明しましたように、アリーナがいよいよ来年の春にグランドオープンいたします。今年の冬にはほぼ完成いたして、来年春にはグランドオープンすると。先ほど紹介がありましたように、久光製薬の体育館が、先ほど電話で確認したところによれば、昨日、現地視察のときによく見えませんでしたけど、基礎が終わりまして、いよいよ建屋の鉄骨が三カ月ぐらいで建ち始め、それが来年の春には完成するということです。選手たちもシーズン前の六月ぐらいには移転するだろうというふうに聞いています。久光製薬の体育館は先ほど紹介がありましたように、バレーボール専用のコートが五面あるという日本国内でも珍しい体育館になりましょうから、あちらはあちらとしてバレーボールの聖地としての魅力をアップされるだろうと考えています。それとうちのアリーナがどう絡んでいくかというのは、すごく大事なのだろうと思っています。
少し長くなりますけど、十月末に、実は沖縄アリーナに視察に行きまして、沖縄にゴールデンキングスというチームがありまして、強いチームがございますが、そこの試合を見てきました。四千人から五千人が入った試合を初めて私も見ましたけど、まさにあれだと思うんですよ。あれぐらいに週末に皆様がバレー、バスケットの試合を見て楽しんでいるというあのシーンを実現しないといけないと思っています。多分、アリーナができた暁にはバルーナーズや久光スプリングスが頑張ってくれて、まさに四、五千人入ったSAGAアリーナで試合を行っているというシーンを実現することが一番の課題かなと思ってます。
先ほど日野推進監が言いましたように、多目的アリーナでございますから、その他のMICE、会議、展示会、文化イベント、ライブも実現していく。まさにさっき委員が言われましたように、魅力的な
コンテンツをどれぐらい呼べるかというのがやっぱりポイントだと思っています。
そうこうするうちに佐賀の町というのが変わっていくと僕は信じているんですよ。先ほど、鳥栖から、福岡からどれぐらいかかってと言われましたけど、その魅力的な
コンテンツをSAGAアリーナでがんがんやっていくことによって佐賀の町が変わる、スポーツシーンが変わっていって、文化シーンも変わっていって、さらに観光シーンも変わっていくだろうと思っています。そういうことができる器ができるということを武器として、佐賀の人たちが自分の魅力をどう磨き上げて、発信していくのかというのが、これから取り組まなきゃいけない課題だろうと思ってます。皆様のお力をお借りいたしまして、県民挙げてみんなでいいアリーナに仕上げていけるようにぜひ頑張っていけたらなと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
私、局長として三年間ここに立たせていただきましたけど、委員の皆様はじめ、議員の皆様には、いろいろ本当にお世話になりました。退職いたしますが、何らかの形で皆様と一緒にまた県を応援できるように頑張っていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。(拍手)
215 ◯向門委員長=これで質疑を終了いたします。
暫時休憩します。
午後三時二十四分 休憩
午後三時二十五分 開議
216 ◯向門委員長=それでは、委員会を再開します。
これより討論に入りますが、ただいまのところ討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。よって、討論を終結し直ちに採決に入ります。
○ 採 決
217 ◯向門委員長=まず、甲第二号議案中本委員会関係分、甲第十九号議案中本委員会関係分及び乙第二十二号議案、以上三件の議案を一括して採決します。
これは、令和四年度一般会計予算中本委員会関係分、令和三年度一般会計補正予算(第十七号)中本委員会関係分、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構事業に対する市町の負担についての議案であります。
原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
218 ◯向門委員長=起立者多数と認めます。よって、以上三件の議案はいずれも原案のとおり可決されました。
次に、甲第九号議案中本委員会関係分、甲第十五号議案、甲第二十五号議案中本委員会関係分、甲第三十一号議案、乙第十二号議案から乙第十四号議案まで三件、乙第十九号議案、乙第二十四号議案及び乙第二十八号議案、以上十件の議案を一括して採決をいたします。
原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
219 ◯向門委員長=全員起立と認めます。よって、以上十件の議案はいずれも原案のとおり可決されました。
○ 継 続 審 査
220 ◯向門委員長=最後に、十一月定例会から引き続き審議中の
一、地域交流行政について
一、文化・スポーツ交流行政について
一、県土整備行政について
一、災害対策について
以上四件につきましては、諸般の検討が必要ですので、閉会中の継続審査といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
221 ◯向門委員長=御異議なしと認めます。よって、以上四件についての継続審査を議長に申し出ることにします。
以上で本委員会に付託された案件の全部を議了いたしました。
なお、本日の委員会での質疑応答について、数字または字句の誤り、及び不適切な表現などがありました場合は、適宜、委員長の手元で精査の上、訂正などを行うことに御承認を願っておきます。
これをもちまして地域交流・
県土整備常任委員会を閉会いたします。どうも御苦労さまでした。
午後三時二十八分 閉会
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