• "海底地形"(/)
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  1. 佐賀県議会 2021-06-04
    令和3年佐賀空港・有明海問題対策等特別委員会 本文 開催日:2021年06月04日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時 開会 ◯土井委員長=ただいまから佐賀空港・有明海問題対策等特別委員会を開催いたします。  皆様にお知らせします。本委員会では、新型コロナウイルス感染症対策としてマスクの着用を呼びかけておりますので、マスクの着用に御協力をお願いいたします。     ○ 会議録署名者指名 2 ◯土井委員長会議録署名者として、川崎常博君、坂口祐樹君、江口善紀君、武藤明美君、以上の四人を指名いたします。  本委員会は、自衛隊による佐賀空港使用等、及び有明海の海洋環境の保全等に関する諸問題の調査に関する件を議題としておりますが、本日の委員会の進め方につきましては、さきの理事会での申合せにより、最初に執行部からの説明を受け、その後に各会派代表及びフリー形式の質疑を行います。  執行部は、諫早湾干拓事業の開門問題をめぐる裁判の状況及び有明海の現況について説明し、その後、委員からの質問にお答えいただくようお願いします。  委員におかれましては、理事会で確認したとおり、質問は諫早湾干拓事業の開門問題をめぐる裁判の状況及び有明海の現況について行っていただき、フリー形式の際は多くの方が質疑していただけるよう簡潔明瞭にお願いをいたします。  なお、執行部は、説明の際は着席のままで結構でございます。  それでは、説明をお願いします。 3 ◯山浦有明海再生自然環境課長有明海再生自然環境課長の山浦です。  私のほうからは、諫早湾関連訴訟並びに四月二十八日に福岡高裁が示されました和解協議の考え方について御説明させていただきます。     〔資料を97頁から100頁に掲載〕 4 ◯山浦有明海再生自然環境課長=初めに、別様のA3の資料を御覧ください。この図は、諫早湾干拓関連訴訟の一覧になります。  国が緑色、開門を求める漁業者やカモ被害を訴える一部の営農者等のいわゆる開門派を黄色で示しておりまして、開門を反対する干拓地の営農者等のいわゆる開門反対派をピンクで示しております。  中央に示しております平成二十二年の福岡高裁の開門を命じた確定判決から国が起こした請求異議に関する一連の流れにつきましては、後ほど詳しく御説明させていただきたいと思います。  まず初めに、諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門を求める、いわゆる開門請求訴訟について御説明させていただきます。  図では、黄色の破線で囲んだ部分になります。  初めに、開門を求める長崎県の漁業者が起こした2)3)4)の一次から四次の開門請求訴訟について御説明いたします。  一次訴訟は、平成二十三年に長崎地裁におきまして棄却され、平成二十七年、福岡高裁で棄却、令和元年に最高裁で上告棄却となります。国に開門義務はないとの判決が確定しております。
     平成二十二年の福岡高裁確定判決では、潮受け堤防の締切りによって漁業被害が発生した蓋然性が高いと言うべきであり、漁業被害との因果関係を肯定するのが相当であると判断されましたが、この開門請求訴訟の一次訴訟では、タイラギやアサリ養殖について漁業被害はあるものの、赤潮の頻発化等に関する諫早湾干拓事業との因果関係について高度の蓋然性を伴う立証があるとは言えないため、漁場環境の悪化が潮受け堤防の締切りや開門操作をしないことに起因するとまでは認められないという判断が下されております。  二次、三次訴訟につきましては、令和二年三月に長崎地裁で棄却、原告は福岡高裁に控訴し、現在審理中となっております。  四次訴訟につきましては、現在、長崎地裁で審理中となっています。  また、一番左側に示しております調整池に集まる野鳥による食害などの農業被害を訴える一部の営農者が起こしましたカモ食害等訴訟につきましては、一次訴訟と二次訴訟が併合されまして、長崎地裁で現在審理中となっております。  続きまして、右側の部分のピンク色の破線で示した部分、開門を反対する干拓地の営農者らの訴訟、いわゆる開門差止め訴訟について御説明させていただきます。  まず初めに、平成二十二年の福岡高裁における開門を命ずるといった確定判決を受けまして、開門を反対される営農者らが国に対して、5)になりますけれども、平成二十三年四月に長崎地裁に開門差止め請求訴訟を起こします。  この裁判については、その後、6)になりますけれども、平成二十三年十一月に開門をさせないという権利保全措置を求める仮処分申立てが新たに起こされまして、国の開門義務の履行期限でありました平成二十五年十二月二十日の直前の平成二十五年十一月十二日に開門差止めの仮処分が決定されました。  この内容としましては、開門されないことによる甚大な被害を受けない利益と、開門することの公益上の必要性を比較検討した場合、前者が後者を優越し、開門差止めを認める違法性があるとの判断でございました。  この決定に対し、7)になりますけれども、開門義務があります国は異議申立てを行いましたが、平成二十七年十一月に国の異議を認めない判決が下されております。  また、開門派の間接強制──間接強制とは、債務を履行しない義務者に対し、一定期間に履行しなければ、その債務とは別に間接強制金を課すことを警告することで義務者に心理的圧迫を加え、義務の履行を強制するものでございますけれども、その間接強制の申立てと同様の措置として、10)になりますけれども、平成二十六年二月には、今度は開門反対派による保全執行、いわゆる間接強制の申立ても行われまして、開門した場合、一日四十九万円払う旨の決定がなされました。  その後、平成二十七年には最高裁で確定しております。  この時点で国は、開けても閉めても間接強制金を払わなくてはいけなくなるという状況になりました。  次に、5)の平成二十三年四月十九日からの開門差止め請求訴訟の大本の本訴のほうでございますけれども、長崎地裁の和解勧告に基づき、平成二十八年一月から平成二十九年三月まで合計十五回の和解協議が行われております。  長崎地裁での和解協議は、開門に代わる漁業環境改善のための措置を検討、実行すべきといった開門しないことを前提としたもので、さらに平成二十九年一月に出された新たな勧告文では、対策工事をしないまま開門すれば、調整池近傍への重大な被害の発生は避けられず、対策工事が進捗しない現状での開門は現実的ではないとしまして、国による百億円の基金の創設と支払い済みの間接強制金和解相当額を基金に組み入れ、諫早湾近傍部の漁場改善に活用することなどの内容となっておりました。  その後、漁業者側は従来の開門しない前提の基金案では応じられないとし、また一方、営農者側は裁判所が新たに提示されました開門を前提にした協議について応じられないとしたことから、和解協議は決裂し、平成二十九年四月に開門の差止めを認める判決が出されました。  この開門差止めを認める判決に対しまして、当時の農林水産大臣であります山本農林水産大臣は、判決を受け入れ、控訴しないこととしまして、国として開門しないとの方針を明確にされました。いわゆる山本農水大臣談話というものです。  諫早湾関連訴訟一覧につきましては以上でございます。  次に、二ページ目になりますけれども、この図は平成二十二年の福岡高裁確定判決とそれに伴います国による請求異議訴訟について示したものです。  四月二十八日に出されました和解協議の考え方につながる一連の訴訟になります。  平成十四年十一月に佐賀地裁で起こされました開門請求訴訟は、1)になりますけれども、平成二十二年十二月に福岡高裁におかれまして国に開門を命ずる判決が出た後、当時の民主党政権であります菅首相が上告を断念されたことから判決が確定しました。  開門については、判決確定後三年以内、五年間の開放をせよというものでございました。  しかし、その判決の履行期限でありました平成二十五年十二月二十日になっても一向に開門されなかったことから、漁業者側は間接強制の申立てを行います。間接強制は、先ほど御説明させていただいた内容でございます。  国に対し、開門しない場合、一日四十九万円の間接強制金を支払う旨の判決が最高裁で確定しまして、さらに増額の申立てがなされ、最高裁において一日九十万円に増額する判決が確定しております。それが左側の括弧のところになっております。  こうした判決に対しまして国は、真ん中の部分になりますけど、2)平成二十六年一月に間接強制と、それに伴う平成二十二年確定判決の執行無効化を請求いたします請求異議の訴えを佐賀地裁に起こされます。  平成二十六年十二月に国の請求を棄却する判決が出されましたが、その後、国は福岡高裁に控訴し、平成二十七年十月に福岡高裁の控訴審では、紛争を抜本的かつ総合的に解決するには話合いによる以外に最良の道はないとしました和解勧告を行い、並行して進められておりました、先ほど述べましたけれども、長崎地裁での和解協議のほうを見守りつつあったのですけれども、長崎地裁のほうで決裂し、判決に至ったことから審理に戻ったところです。  その後、福岡高裁では、平成三十年三月にも第一次和解勧告が出されまして、長期間の漁業被害を考慮しても開門することが現実的かつ有効な方策とは認めることができないとしまして、開門しないことを前提に開門に代わる基金等による全体的解決といった方向性を示しました。真ん中の(二)の部分です。  さらに、同年五月には国提案の百億円の基金案を実現することや、三県漁業団体が要望する再生事業の継続、小まめな排水の確実な実施、基金とは別枠での排水ポンプの増設に前向きに検討することなどを盛り込まれました第二次和解勧告が出されましたが、和解協議はその後決裂しまして、決裂後、この請求異議訴訟は速やかに判決へと進み、平成三十年七月に、いわゆる漁業権十年消滅論によりまして国の主張が認められる判決が出されました。これが3)の平成三十年七月三十日の部分になります。  この判決に対しまして漁業者側は最高裁に抗告し、4)になりますけれども、令和元年九月に最高裁におきまして漁業権十年消滅論は請求異議事由足り得ないとしまして、原判決が破棄されまして、さらに審理を尽くすべしとして、福岡高裁に差戻しとなっております。  現在、請求異議訴訟差戻し審として福岡高裁で審理中となっております。国側は時の経過により、魚類の漁獲量の増加傾向が認められる、対策工事の実施は不可能、事情の変化による違法性が逆転したなどの主張をしておりまして、それに対しまして漁業者側は、貝類を含めた漁獲量は回復していない、また、当該排除請求権である開門請求は漁業への妨害が続く限り不断に続く、営農者からの開門請求訴訟も提起されていると主張しているところでございます。  その後、四月二十八日に行われました第六回口頭弁論後の非公開の進行協議におきまして福岡高裁から「和解協議に関する考え方」というものが示されたところでございます。  次のページ、三ページ目になります。これは四月二十八日に福岡高裁から示されました「和解協議に関する考え方」の概要でございます。  裁判所の示す和解の方向性としましては、紛争全体の話合いによる統一的、総合的、抜本的な解決となっております。その内容としましては、紛争解決に向けた裁判所の考え方は、必要に応じて利害関係者の声にも配慮しつつ当事者双方が腹蔵なく協議、調整、譲歩が必要ということで、当事者双方が歩み寄ったり、譲り合ったりしながら調整を行うこととしております。  また、各排水門の開門をめぐる一連の紛争経過を踏まえ、根本的な解決を図るため、当事者双方に対しまして和解協議の場についた上で、合理的な期間内に集中的に協議を重ねることを求めておりまして、これは納得いくまでしっかりと協議を行うようにとの考え方を示されております。  また、国に対する期待としまして、国民の利害調整を行う権能と職責とを有する国の尽力が不可欠であり、和解協議における国の主体的かつ積極的な関与を強く期待するといったことも示されておりました。  以上が福岡高裁が示しました「和解協議に関する考え方」となっております。  私のほうからの説明は以上でございます。 5 ◯土井委員長=引き続きお願いします。 6 ◯中島水産課長=四ページからは、二、有明海の現況につきまして、農林水産部の水産課長でございます中島より説明をさせていただきます。     〔資料を101頁から107頁に掲載〕 7 ◯中島水産課長=では、五ページをお願いいたします。ここに示しておりますのは、有明海の佐賀県海域の図でございます。各魚種ごとの漁場の分布をここに示しております。  まず初めに、沿岸部の長崎県境から福岡県境にかけて紫色で四角く、細かい区画が広がっているのが分かると思いますが、これがノリの養殖漁場でございます。ここは潮が引いたら、大体干潟になるところでございまして、ここに支柱を立ててノリ養殖を行っていると。一部、太良町の長崎県境側のところに四角い紫色のところがありますけれども、ここだけは浮流し式といいまして、支柱を立てずに、ずっとここは乾湿しないところのノリ漁場でございます。  ここに大体網が三十万枚ぐらい張られて、皆さんがノリ養殖をされているということになります。  このノリ養殖漁場に重なりまして、ちょっと見えにくいですが、赤いサルボウ漁場が六角川の河口から白石町、鹿島市、太良町にかけて広がっておりますが、ここがサルボウの漁場でございます。  これは大体ノリが終わってから、じょれんと言われます鉄製のたも状の漁具で四月から六月ぐらいにかけて、左側に写真がございますが、サルボウが漁獲されます。  この図の中に破線で囲った三角形の部分がありますが、これは筑後川の河口と太良町の大浦、それと荒尾の沖のほう、大牟田港のところを結びます三角形の地点があるんですが、ここは福岡県と佐賀県の入会の漁場になっております。農林水産大臣管轄漁場と呼ばれます漁場になっております。ここは福岡県も佐賀県も漁業をやっていいというようなところになっています。  次に、その中にオレンジ色の縦長の漁場がございますが、ここは主にクルマエビ漁場です。ここは筑後川の河口から大牟田湾の沖にかけまして、砂の堆積しているところでございまして、ここで源式網と呼ばれます、海底を網で引っ張っていく、春から秋にかけてクルマエビ漁が行われております。  その右側に、大牟田沖のほうに緑色のところがございます。ここがタイラギの潜水漁業の主漁場になります。それとまた、ごく一部、太良町の沖合にも同じ緑色のところがございますが、ここもタイラギの漁場になっています。ちょっと今のところタイラギ漁業はずっと休漁になっておりますが、漁業が行われるときはここで漁業が行われております。これは潜水器で一つ一つタイラギが海底に立っているのをとりながら漁業をするというようなことです。  それと、薄い水色のところですね。太良町沖のほうに広く広がっております。これはガザミの漁場でございます。ここでカニ籠ですとか、刺し網などで、これも春から秋、晩秋ぐらいにかけましてガザミ、ワタリガニ、佐賀県では竹崎カニと申しますが、この漁場がここに広がっております。  続きまして、六ページをお願いいたします。ここには大体有明海の主要魚種の漁獲量の推移を示しております。  ここに示しましたとおり、サルボウ、タイラギ、クルマエビ、ガザミを示しております。この出典はサルボウとクルマエビとガザミにつきましては農林水産統計年報から見ております。タイラギはほぼ有明海の大浦支所のほうで漁獲されます、そこの共販の資料で、ここは貝柱重量で示しております。  ここに示しますとおり、漁獲量は非常に減少しておりまして、特にタイラギとかクルマエビは近年もその漁獲量がほとんどないと、タイラギは平成二十四年度以降、令和二年度まで九季連続の休漁というふうになっております。非常に厳しいような状況でございます。  次、七ページをお願いいたします。  有明海の漁獲漁が全国と比べてどうなのかというやつをここに記しております。青い線が全国の値、左側にその数値、赤い線が佐賀県有明海の値と、右側にその数値を示しております。この数値は一緒に、傾向を見ていただきますけれども、ここで見ていただくとおり、全国的にも水産物というのは減っています。それと、特に有明海は内湾で特異的な海なので、全国の統計と合うというのはなかなか少ないというのがございまして、ここでは全国にも統計があるやつをここで示しております。コノシロ、アサリ、クルマエビ、ガザミということで示しております。  サルボウとかタイラギは、先ほどは示しておりましたけれども、あれは有明海とかの一部の海でしか漁獲されませんので、全国的な値がないので、それはちょっと比較することができないので、ここにはこの分を示しております。  それと、右側のアサリの図で、平成七年に突出して佐賀県の量が増えておるんですが、この漁獲量はちょっと農林水産統計ではこういうふうな数字になっているんですが、漁協のほうにヒアリングとかをしますと、漁業者の方はこの数字を実感しておられなくて、どうも集計上の誤りが疑われる数字ではないかという値になっております。アサリの平成七年度の突出した佐賀県の量ですね。  ここは御覧のとおり、全国にも増して佐賀県の漁獲量は非常に厳しい状況が続いているというようなことがここで見て取れると思います。  次のページをお願いいたします。ここで、ノリ養殖の状況を示しております。ここには年度別の生産枚数を棒で、それと生産額、金額を丸と線で上のほうに示しております。  上の青いほうが有明海全体の数値、そして下のほうが白石町と鹿島市の西部地区、太良町の南部地区、この西部地区と南部地区のみをその中から抜き出したものが下の緑のグラフになっております。  御存じのとおり、県全体では近年ずっと生産額は二百億円を上回っております。十八年連続で生産量、生産枚数とも日本一となっておりますが、この下のほうのグラフを御覧いただきますと分かりますように、西部地区、南部地区では毎年のように赤潮による色落ち被害が発生しまして、非常に豊凶の差が激しいと、生産額で二倍以上の差がついたりすると、そういうふうな非常に不安定な状況が見て取れるというような状況でございます。  続きまして、九ページをお願いいたします。ここに有明海の現状を少し簡単にまとめさせていただいております。  漁業生産はやはり依然として厳しい状況でございます。タイラギも有明海のシンボル的な魚種になっておりますけれども、タイラギは近年、稚貝の発生が極めて少ない状況が続いておりまして、漁獲対象となる成貝もほとんど見られておりません。令和二年度で九年連続の休漁となっております。  ノリですが、先ほども申しましたが、令和二年度は県全体の生産額は約二百億円となりまして、十八年連続で日本一となりはしましたけれども、一枚当たりの単価は直近五年で最も安いというような状況です。  さらに、中西南部漁場を中心に赤潮によるノリの色落ち被害が発生しまして、生産状況としては依然として大変厳しいというような状況でございます。今後の安定生産にも、令和二年度漁期につきましては非常に不安が残る漁期となっております。  その他はそのグラフでも示しましたが、その他主要な種類、サルボウとかアサリにつきましても非常に厳しい状況でございます。  こういう状況でございますので、再生へのいろんな取組を行っているんですが、その取組にも一部回復が見られることもあったんですけれども、例えば、ウミタケは今まで漁獲はなかったんですが、平成二十九年から令和元年六月に三年連続の試験操業が実施できるような状況になったんですが、令和二年以降は今のところ、令和二年は中止で、令和三年度も漁獲できないような状況になっております。  アゲマキにつきましても平成三十年六月に二十二年ぶりに一部漁場で漁獲が再開をされたんですが、それ以降、海の状況の塩分濃度の急激な上昇ですとか、豪雨、そういうふうな状況によりまして、令和元年度以降はアゲマキも休漁になっているというような状況でございます。  続きまして、十ページをお願いします。最後に、有明海特措法、これは「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律」の改正についてということで説明をさせていただきます。  この通称有明特措法でございますが、これは平成十二年度の有明海におきますノリの大不作を契機に、議員立法によって制定されたものでございます。平成十四年に施行されております。  この法律の中で、国の有明海における事業の補助割合の特例措置が定められておりまして、これが十年間で切れるということから、それと別に、「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」、通称公害財特法というのがございます。これが間もなく失効しまして、この法律で定められておりました地元負担の地方債の特例が切れるということ、この二つがございまして、有明海の特措法で国の補助割合の特例措置の延長と公害財特法で定められておりました地方債の特例措置がこの中に新設されたというようなものです。  ここの十ページの右下の図でございますが、特措法の特例措置の対象となる事業であります各漁場整備事業の実施箇所を示しております。赤いところが海底耕うんの場所ですね。ちょっと分かりにくいですが、青いところ、モガイ殻等散布耕うんの場所、緑色のところ、ここは作澪といいまして、海の中のみおを掘るというような事業、オレンジ色のところには海の中に魚ですとかの餌を増やすような餌料培養増殖礁の設置をした海域でございます。  水産課からの説明は以上になります。 8 ◯土井委員長=以上で執行部からの説明は終わりました。  次に、会派代表及びフリー形式の質疑を行います。  再度お知らせをします。理事会で確認したとおり、質問は諫早湾干拓事業の開門問題をめぐる裁判の状況及び有明海の現況について行っていただき、フリー形式の際は多くの方が質疑していただけるよう簡潔明瞭にお願いをいたします。  それでは、質問のある方は挙手をお願いします。 9 ◯武藤委員=おはようございます。日本共産党の武藤明美でございます。  この特別委員会は佐賀空港問題と同時に有明海の海洋環境についての論議ができるようになっておりまして、そのため、今日は有明海の再生に関しての質問を行うこととなりました。  有明海の再生については、二〇〇〇年の有明海異変が起きてから関係四県の共通した課題となっています。長崎県側の漁業者にとっても同じような苦しみを持っております。とりわけ我が佐賀県はノリの生産では日本一と言われていて、ほかにもタイラギ、アサリをはじめとした豊富な魚介類の宝庫として、宝の海・有明海として漁業者だけでなく、私たち県民も誇りを持って有明海と向き合ってまいりました。そして、親しみ、なじんでまいりました。  一九九七年四月に国と長崎県による諫早湾干拓事業の潮受け堤防が締め切られて以来、漁業者の暮らしをはじめ、有明海に大きな変化が現れ、二〇〇〇年のいわゆる有明海異変に象徴されるようなノリの色落ち、魚類の減少、二枚貝は立たなくなったなどの事態になっております。  漁業者の人たちはなりわいに困窮し、潮受け堤防の水門は開けてほしいと二〇〇一年から裁判を起こしました。国の第三者委員会の中では、開門とともに有明海再生の必要性を指摘される中で、国や県は、有明海域における漁場整備事業として覆砂や海底耕うん、作澪などに取り組み、さらに、有明海再生事業として水産資源回復技術確立事業なども取り組んでまいりました。  この有明海再生事業、それから、作澪等のそういった関係する再生事業、それについて具体的にこれまでどんなことが取り組まれてきたのか、そういったことについて答弁をお願いしたいと思います。 10 ◯中島水産課長有明海再生事業の取組の内容につきまして説明いたします。  事業内容でございますが、有明海の漁場環境の改善及び水産資源の回復のために、これまで漁場環境や種苗放流及びその技術の開発などに取り組んできたところでございます。  まず、漁場整備につきましては、タイラギの稚貝の着底、タイラギは小さい生まれたての頃は海の中を漂っているんですが、それが底に着底しやすいように、それを促進するための覆砂、砂を海の中にまいたり、モガイ殻等の散布耕うん、モガイ殻等をまいて耕したり、そして、悪化した底質を改善するための海底耕うんですね、海底を耕す。それと、魚介類の餌となります小型のエビですとかゴカイなどの生物を増加させる機能を持ちます増殖礁の整備、それと、潮の流れをよくするために海底に人工的にみおを作る作澪などに取り組んできたところでございます。  また、水産資源の回復のための種苗放流及びその技術の開発につきましては、平成二十一年度から国の予算を活用しまして有明海水産資源回復技術確立事業を実施しております。  その中でアゲマキにつきましては稚貝の生産と放流によります母貝、子供を産む母貝の団地造成を進めておりまして、年間二百万個以上の長さ八ミリ、殻長で八ミリの人工種苗の生産技術を確立しております。これまでに累計で二千万個以上の種苗放流を実施してきたところでございます。  次に、タイラギにつきましては、これもアゲマキ同様に、母貝団地の造成を進めておりまして、令和二年度、昨年度には初めて本県で生産しました佐賀生まれ佐賀育ちの約五十ミリの稚貝四千個を放流したところでございます。  ほかにもクルマエビやガザミにつきましては、天然のものと人工で作った放流ものとを区別することができるようなDNA分析によりまして放流効果の調査を実施して、より効率的な放流場所などを検討しながら、クルマエビは約四十ミリの大きさ、ガザミは約十ミリの大きさの種苗を主体に、近年では合わせましておよそ百万尾から二百万尾の種苗を放流しているところでございます。  それに係る事業費についても説明をさせていただきますが、最初に説明しました漁場整備事業のうちの覆砂事業は平成八年度から平成十五年度にかけて実施しておりまして、総事業費は約十七億円となっております。  次に、モガイ殻散布耕うん、海底耕うん、作澪及び増殖礁整備の事業費、これは平成二十一年度から令和三年度までで見ますと、合計でこれも十七億円となっております。  次に、有明海水産資源回復技術確立事業につきましては、これは平成二十一年度から実施しておりまして、令和三年度までの総事業費は約二十四億円となっております。  以上でございます。 11 ◯武藤委員=今、課長のほうから御答弁いただいたものですけれども、それを分かりやすくパネルにしてまいりました。有明海再生事業関係の分です。(パネルを示す)  一番目が覆砂ですね。平成八年から平成十五年まで行われました。これが合計して十六億八千五百万円かかっております。  それから、先ほどから言われている真ん中の部分が海底耕うんとかモガイ殻散布、作澪、増殖礁設置、こういったものが平成二十一年から始まりまして十六億五千百七十八万八千円かかっております。  それから、三番目の、今、貝の種類を挙げられて説明をいただいたものなんですけれど、タイラギ、アゲマキ、クルマエビ、ガザミ、エツ、ウミタケ、アサリとか、そういった生き物についての再生事業ですけども、水産庁の補助事業と農政局の委託事業がありまして、それはやはり平成二十一年からされておりまして二十三億六千四百十万円かかっております。  合わせて五十七億八十八万円かけて、この間、取り組んでこられました。皆様方も頑張ってこられたし、そして、国も特措法など等の関係もあってお金も出してきたと思います。  しかし、これだけのお金をつぎ込みながら、先ほどの説明もあったように、一旦回復の兆しがあったとしてもまたちょっと大変ではないかというようなことも起こってきております。これだけのお金をつぎ込んで、果たしてうまく再生されているのかといえば、なかなかそうは言えないと思うんですね。毎年のように、県の有明海南西部方面は赤潮の被害があったり、それから、プランクトンが発生したりして、ノリは今年は網を早くも引き揚げてしまったと言った漁家もおられました。ある方は冷凍網を早々と引き揚げたために、ノリのシーズンを通して五十万円しかお金が入らなかった。それより大変なところはシーズンを通して三十万円しかお金が入らなかった。そういうふうに言われていました。深刻な被害が毎年毎年のように出てきているんですね。そして、タイラギは九年連続しての休漁になっているわけです。  そこで、漁獲量の推移についてお尋ねしたいと思います。販売額については統計には出ないということで、ここではお答えにはなれないとのことなので、漁獲量についてお尋ねしたいと思います。  まず初めに、一九九七年、平成九年のことですけれども、四月に潮受け堤防が締め切られました。それより前の、つまり一九九五年、平成七年、そして一九九六年、平成八年の有明海の漁獲量は総量どうだったでしょうか。
    12 ◯中島水産課長=漁獲量の推移につきまして、一九九五年、平成七年、それと、一九九六年、平成八年につきまして答弁させていただきます。  農林水産統計で見ますと、佐賀県有明海の全体の漁獲量は、平成七年には一万八千四百六十二トン、平成八年は一万九千五百五十トンというふうになっております。  以上でございます。 13 ◯武藤委員=平成八年、一万九千五百五十トンということですけど、では、締め切られた年の一九九七年、平成九年はどうだったでしょうか。 14 ◯中島水産課長=平成九年は先ほどと同じ農林水産統計で見ますと、総漁獲量が一万五千八百八十七トンというふうになっております。 15 ◯武藤委員=それからですけど、大分下がっていっていると思うんですね。平成十年、平成十一年、平成十二年、平成十三年における全体量はどうなっていますか。 16 ◯中島水産課長=平成十年から平成十三年にかけての漁獲量を申し上げます。  平成十年は一万五百五十二トン、平成十一年は一万三百三十三トン、平成十二年は七千五百六十二トン、平成十三年は五千九百六十四トンというふうな数字となっております。  以上でございます。 17 ◯武藤委員=やはり減少していっているわけです。平成十四年、二〇〇二年に短期開門調査がありました。いわゆる三の二方式での開門で短期に三週間ぐらいで行われたと思うんですけれども、その年の全体量は結果的にどうなっていますか。 18 ◯中島水産課長=平成十四年の合計値は、また一万四百九十八トンというふうになっております。  以上でございます。 19 ◯武藤委員=この短期開門調査で、減少していた有明海の全体の漁獲量が持ち直しているということ、ここを私たちはしっかりと見ておかなければならないと思います。その後また全体量は少なくなって、四千四百五十二トンの年もあれば、三千七百九十五トンの年もありました。ところが、平成二十五年にはエビ類、特にシロエビ類がとれ始めました。漁業者の方たちは、ほかにとるものがないからとっていたというふうにおっしゃっていました。ほかにとるものがないからというのが本音のようです。  ところが、先ほどの御説明にもあるように、国の言い分は、魚はとれている、魚介はとれていると言うけれど、ほかの魚種ではなくて、シロエビの伸びを見て全体がそういうふうになっているものだから、そんな認識でしかないと思うんですね。エビ類以外は、スズキ、コノシロは落ち込んでいるし、アサリガイ、サルボウ、タイラギ、アゲマキなど、本当に貝類は落ち込んでいると、そういうふうに私は思うんですが、皆さん方の認識についてもそういうふうに思っておられるということを確認したいと思うんですが、どうでしょうか。 20 ◯中島水産課長=確かに統計上で見ますと──委員、シロエビじゃなくて、主な魚種はシバエビでございます。確かにシバエビは、平成二十五年は非常に増えまして、千百六十六トンまで増えておりますが、相変わらず、その他二枚貝とかは非常に厳しい状況が続いているというふうに認識しております。 21 ◯武藤委員=そうですね。シバエビですね。漁業者の方たちはこう言っているんです。シバエビが幾らとれても、キロ当たり二百円にしかならないと。そして、タイラギだったらキロ当たり三千円になる。だから、同じキロ当たりでも、漁業者の方たちの実入りは随分違うんです。だから、生活が苦しいというのもおっしゃるとおりだと思うんです。  タイラギだったら、キロ当たり三千円、五十キロとったら十五万円になるんだというふうなことでおっしゃっています。タイラギは身だけではなくて、回りのいわゆるビラと言っているんですけど、それも結構なお金になる。だから、タイラギだけの収入プラスアルファがあると。本当にそういう点では、タイラギがとれるということがどんなに自分たちの生活が豊かになるのかということを遠い昔を思い出すように、そういう状況が戻ってきてほしいんだという思いで、今の苦しい思いを皆さんたちは吐露しておられました。そういう思い、皆さんたちは理解できますでしょうか、どうですか。 22 ◯中島水産課長=漁業者の皆様の、非常に漁獲が減少して困っていらっしゃるという状況は、私ども重々理解しておるつもりでございます。  以上でございます。 23 ◯武藤委員=ノリはさっきも言ったように、西南部の人たちは大変です。諫早水門から離れた湾奥部の東部地域ですね、そこは赤潮などの被害もまだ西南部に比べるとましですし、昼夜問わずに網の管理と努力によって、本当に寝食を忘れた働きによって、県内のノリ生産全体が二百億円を保っているということが言えると思うんです。  宝の海を取り戻すために、漁業者の人たちの開門してくれという願いを集めた運動が起こって、二〇一〇年十二月の福岡高裁の潮受け堤防の開門をという判決、これも確定いたしました。このときは漁業者の皆さんのみならず、県民ですね、沿岸住民も本当に喜び合いました。県はこのときの時点ではどんなふうに受け止めておられたでしょうか。 24 ◯山浦有明海再生自然環境課長=平成二十二年の確定判決に対します県の受け止めについてお答えいたします。  平成二十二年の福岡高裁判決は、単に開門を求める法的根拠ということだけではなく、長年にわたります開門を求め続ける漁業者の心のよりどころであり、漁業者の皆様にとっては一筋の光明が見えたと受け止めております。  県としましては、現時点においても、有明海の再生のためには開門調査を含めた環境変化の原因究明が必要という思いは変わりません。  以上でございます。 25 ◯武藤委員=それから十年ですね、なかなか開門が履行されないと。この問題では、佐賀県は知事も、それから議会も、漁協も、国への要請行動を行ってきました。一緒に行ったりもしてきたんですね。特に県議会は平成十三年二月から全会一致による意見書を上げ、平成十四年三月には平成十四年の短期開門調査につながる開門調査の着実な実施を求める意見書を上げました。それも含めて十九本の意見書をこの間上げ続け、それから、七本の決議も上げてきたんです。新しく担当者になられた皆さんたち、この部署におられる方たち、私どもと同じような認識でいてくださると思うし、こういった動きについてはちゃんと理解していただいているんでしょうか、改めてそのことを部長にお聞きしたいと思います。 26 ◯古賀県民環境部長=県議会のほうでも開門調査が必要ということについて、国のほうにいろいろと申し上げているということにつきましては、武藤委員もおっしゃいましたように、毎年、意見書を可決されているということは承知しておるところでございます。  県としましても、有明海再生のためには、開門調査を含めて環境変化の原因究明が必要ということについてはいささかも変わっておりませんので、そのことにつきましては、こうした県の思いというのは政府提案等を通じまして、国にその思いでありますとか、そういった開門調査を含めた原因究明が必要ということについては求めてきているところでございまして、今後もそういった考えで臨んでいきたいというふうに考えております。 27 ◯武藤委員=御答弁ありがとうございます。  一方、国はこれまで平成二十九年の農林水産大臣の談話による開門によらない百億円の基金案、こういう立場を国会質疑でも主張しているようです。こういう国の言い分についてはどういうふうに思われますか。佐賀県漁民、佐賀県民の願っている方向とは、また、今県も願っている方向とはちょっと異なっているんではないかと思うんですが、その認識はどうでしょうか。 28 ◯山浦有明海再生自然環境課長=基金案についての受け止めということで、基金案につきましては、有明海漁協におかれまして百億円の基金案による開門をしない前提の和解協議を進めてほしいという意見が過去に出されたこともありまして、苦渋の選択ではあると思いますけれども、そういった思いも漁業者の中にはあるものではないかというふうに認識しておるところでございます。  以上でございます。 29 ◯武藤委員=漁業者の中にある思いではなくて、国が開門によらない基金案ということを言っていることについてどうなのかと聞いたんです。 30 ◯山浦有明海再生自然環境課長=国が開門によらない基金案ということを述べられていることについてお答えします。  裁判の中でも、開門することによる被害というものもあるということで、そういったものを判断されての国の開門によらない基金案による和解ということが考えられているものと認識しております。  以上でございます。 31 ◯武藤委員=認識だけじゃなくて、佐賀県民や漁業者や県当局も願っていることに反するような開門によらないという言葉を使った言い方をしている、これについて私は聞いているんですよね。そういう他人事のような答弁はちょっとどうかと思うんですが、いいですか、開門なしの基金案では、漁業者、佐賀県民の願い、そして、本当にそれに反するような主張であって、今平行線をたどるということになっているわけですよ。それで、これだけいろいろ長引いているということにもつながってくると思うんです。長引くことによって県民の方たちや県外の方たちからも、特に、ラムサール条約の登録を受けた二つの干潟を持っていますから、そういったことを愛する人たちや渡り鳥を見に来る人たちなどもたくさんおられて、そういう人たちも心配をしてくださっています。解決のためには何とかできないのか、話合いの場は持てないのかなどの声も上がっているんです。この前もそういった主張を書かれた新聞の記事も拝見しました。  福岡高裁は四月二十八日の請求異議訴訟差戻し審における口頭弁論終了後の進行協議において、裁判の当事者双方に「和解協議に関する考え方」を示して、和解協議を始めることを提案しています。  この和解協議に関して示された特徴について皆さんたちはどのように捉えておられますか。 32 ◯山浦有明海再生自然環境課長=和解協議に関する特徴につきましては、先ほど「和解協議に関する考え方」でも説明しましたけれども、非公開の進行協議において示されたもので、内容については、漁業者側の弁護団により明かされたものでございます。  その特徴としましては、対立を総合的、抜本的に解決するためには、話合いによる解決以外に方法はないとしたことや、必要に応じて利害関係のある者にも配慮しつつ、その上で当事者双方が協議、調整、譲歩することが必要としたことや、国に対して、和解協議における主体的かつ積極的な関与を強く期待すること。また、開門をめぐる一連の紛争経過を踏まえ、その根本的な解決を図るために、当事者双方に対して、和解協議の場に着いた上で合理的な期間内に集中的な協議を求めることといった内容となっておりまして、そういった特徴と思っております。  以上でございます。 33 ◯武藤委員=先ほどもこの資料でお示しいただいたように、統一的、総合的かつ抜本的な解決が必要だと、こういう話合いの場が必要だということで和解協議の方向を示していただいているんですね。  利害関係者の声にも配慮しつつ、当事者双方が腹蔵なく協議、調整、譲歩が必要だということも言っています。そして、あらゆる前提を排してということですから、国のいう開門なしの基金案、このことも前提の一つに入りますから、この開門なしという前提も取り払った形での話合いに入っていくんだろうと、それが望ましいというふうにも思いますけど、特に、国に対する期待として福岡高裁が示しているのは、国民の利害調整を行う機能と職責とを有する国の尽力が不可欠、やはり国の大きな責任を示しなさいよということも言っているんですね。  和解協議における国の主体的かつ積極的な関与を強く期待していると。国がもっと積極的に解決のために動きなさいよということを言っているんだというふうに思っております。  そういう特徴があるんだと思うんですが、考え方の違う人同士でもまず話合いからというこの点、これは前の農水大臣も関係者が一堂に会して話し合うことができるならいいと言われた形と一致しているというふうにも思うんですね。私はまず、そういう状況ができればいいというふうにも思っているんです。これについても、県の評価についてお聞きしたいと思っておりますが、どうでしょうか。 34 ◯山浦有明海再生自然環境課長=「和解協議に関する考え方」への県の評価ということでよろしいですかね。  県の評価について、今回の福岡高裁の「和解協議に関する考え方」ですけれども、例えば、広い意味での紛争を統一的、総合的かつ抜本的に解決するためには、話合いによる解決のほかに方法はないと確信といった考え方や、当事者双方が腹蔵なく協議、調整、譲歩することが必要といった考え方が示されておりまして、県としましても、そうした裁判所の考え方に沿って、当事者双方が歩み寄って協議を重ねられ、また、お互いが納得するような方向性を導き出していただければというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 35 ◯武藤委員=確かに県もそういう立場で評価をしているということについては、私もそういうふうに言っていただけるだろうということを期待しておりました。  国への働きかけについてなんですけれども、福岡高裁は開門をめぐる一連の経過を踏まえて、その抜本的解決を図るためにというか、まず、その第一歩を進めるために提案したのが進行協議におけるこの和解協議だったと思います。当事者双方に対して、和解協議の場に着いた上で協議を重ねていくということを求めているわけです。話合いができるかどうか、国の対応について心配する人たちもたくさんおられるんです。誰もが見守っています。  令和元年十月に当時の江藤農水大臣が来県され、漁業者側弁護団と意見交換をされたときに、弁護団は開門派、反対派双方が参加する協議の設置を要望されました。これに対し江藤大臣は、開門賛成、開門反対、いろいろな立場の人が集まって話をすることはいいことだと思うというふうにも発言されているんです。  そういう点からいえば、四月二十八日に福岡高裁が示した「和解協議に関する考え方」の中で、問題解決に向けて、裁判の当事者双方の接点を見いだしたいと、見いだせるように、必要に応じて利害関係のある人の声にも配慮することを求めています。まさに江藤大臣の発言とも重なり合うということになってきているんではないかなというふうに私は受け止めております。  裁判の当事者双方の接点を見いだす、この方法として、関係者の皆さんがいろんな意見を言える場を設ける、そういうためにも、国がその立場に立って話合いの場に着いて意見を聞いていく、そういう場、意見を言う場ということで参加してもらえるように、県として国にそういう要請も行っていただきたいと思うんですけれども、県としては国にそういう立場で、どうぞ、そういう裁判所の示す案に話を進めてくださいというふうに求めていただけるのかどうなのか。私は今、県としてもそういう役割を、国に対して意見として言ってもらえたらいいなと思うんですが、それについてどうなんでしょうか。 36 ◯山浦有明海再生自然環境課長=国に対し話合いの場を設けるよう働きかけるべきではないかという御質問に対してお答えいたします。  今まさに裁判所の福岡高裁の考え方を踏まえまして、当事者双方が和解協議に向けまして検討が行われている状況と認識しております。  委員からは、県は国に対して利害関係のある皆さんが様々な意見を述べる話合いの場を設けるよう働きかけるべきではないかという御意見をいただいたのでございますけれども、当事者双方がまずは和解協議のテーブルに着きまして協議を進めていく、協議が進んでいく過程において、裁判所の考え方にも示されているように、必要に応じてそのような場が今後検討されていくのではないかというふうに考えております。  県としましては、当事者双方の話合いの状況を注視してまいりたいと考えております。  以上でございます。 37 ◯武藤委員=注視するというようなお決まりの言葉を言われたんですけれども、ただね、こういう和解協議に対する考え方が示されたこと、それについては評価もしておられるし、むしろ歓迎しておられるんですよね、そういう話合いが進むということについては。そのことについてどうですか。 38 ◯山浦有明海再生自然環境課長=話合いの場についてですけれども、繰り返しになりますけれども、今後、当事者双方が和解協議のテーブルに着いて、しっかりお互いの意見を述べ合う中で協議が進んでいく過程において、福岡高裁の考え方にも示されているように、必要に応じてそのような場が設けられていくものと考えているところでございます。  以上でございます。 39 ◯武藤委員=言わばこれに期待をしているというふうな受け止めをしておられるわけですよね、どうですか。 40 ◯山浦有明海再生自然環境課長=期待ということですけれども、そういった場が設けられて、関係者の皆さんが意見を述べる場というのができることによって、様々な意見が交わされるということではないかと認識しております。 41 ◯武藤委員=認識もそうですけど、期待もしていないと、佐賀県としては相手任せということになってはいけないし、佐賀県の漁業者の苦しみや、それを理解するなら、これによって一歩でも前進すればいいなというふうに思っておられると思うんですよね。ただ私たちは知りませんよじゃないと思うんです。  それについて部長、やっぱりこういうことに対しては期待も持って見守っていくということだと思うんですが、見守っていくだけではなくて、やっぱり期待も込めて願っておられることではないかと。先ほどの評価につながるわけですから、それについてちょっと部長の言葉をいただきたいと思います。 42 ◯古賀県民環境部長=委員のほうから、「和解協議に関する考え方」に対して、そういう話合いの場が設けられることについての考えということでお答えさせていただきますけれども、福岡高裁の「和解協議に関する考え方」、先ほど課長も申し上げましたように、そういった福岡高裁の「和解協議に関する考え方」に沿って漁業者、それと国、裁判当事者双方が歩み寄って協議が重ねられ、お互いが折り合って納得するような方向性を導き出していただければと思うところでございます。  これに対しては、まずは裁判の当事者がどうお考えになるのかということが一番大切だと思います。  それについては、その裁判当事者双方が今まさにどうするのかということを検討されていると思いますので、まずはどうされるのかということを県としても今の段階では見守っていくところだというふうに考えております。  以上でございます。 43 ◯武藤委員=私たち議会もそうなんですけど、ほとんどこの問題はオール佐賀で国への要請行動なども行ってきた経緯があります。  それからいっても、意見書決議、全会一致で提出してきた立場の者としても、私はこの和解協議を行う考え方、これについて福岡高裁が示された考え方については大いに歓迎をしているわけなんです。  有明海漁業者や有明海沿岸住民としても解決を一日も早く望みたいと思っております。県もそういう立場になっていただきたいと思うんですね。  最後になりますけれども、漁業者の方たちが本当に言っておられるのは、これは有明海のタイラギに関してのマップなんですけれども、(資料を示す)平成十四年に短期開門調査がありました。  それまではとにかく、平成八年も七年も、九年もずっとタイラギは黒い印でとれてきているんです、これは量によって大きさが違いますけど。  それで、締め切られてからはほぼとれなくなってしまって、平成十四年、短期開門調査をした後はまた数年間、黒い丸が増えるようになってまいりました。  これは佐賀県有明水産振興センターのデータによって作られたマップなんですけれども、こういう海が短期開門調査であってもよみがえってきた、一瞬でもよみがえってきた。そのことを思うと、早く漁業者の皆さんたちが希望を持ってなりわいにいそしんで、そして、私たち県民も有明海の豊かな海を誇りに思って、そういう生活ができ、環境にも誇れる、そういう佐賀県であってほしいということを思っているわけです。  本当に漁業者の方たちは今、先が見えないという中で、福岡高裁が示したこの和解協議に対する考え方に一筋の希望を持っておられるわけです。  そこを私たち県民も一層支えながら、有明海を取り戻す、有明海をよみがえらせる。そのためにも力を合わせていかなければいけないというふうに思っています。  何も皆さんたちに対して間違っているというふうなことで私は言おうと思っていません。  これまでのようにオール佐賀で有明海の問題は一緒に取り組みながら、漁業者の痛みに心を寄せつつ、同じ気持ちですよということを言いながら、県も私たちも取り組んでいきたいというふうに思っております。  一刻も早く宝の海を取り戻すために力を合わせていきたいというふうに思っておりますので、今後もよろしくお願いいたします。 44 ◯江口委員=おはようございます。県民ネットワークの江口善紀です。どうぞよろしくお願いいたします。  佐賀空港・有明海問題対策等特別委員会は去年もありましたけれども、今年と去年で所管が少し違って、去年は佐賀空港の自衛隊使用要請に関わる有明海への影響等というふうな立てつけの所管だったんですが、今年の委員会の所管は、従前あった有明玄海・環境対策等特別委員会のように有明海のことも佐賀空港の自衛隊使用要請と同列に開くというふうな所管になりました。その中で、理事会で今回は有明海問題についての質疑ということで、実は去年もこういったことを提案したんですが、去年はあくまで佐賀空港の自衛隊使用要請関連の、例えば、コノシロの関係とか、そういった意味でのやつだったらできるけど、諫干の訴訟とか、そういったもの単独では所管できないというのが去年の状態だったので、今年は委員会の所管事項を変更して有明海の環境面でのことをしっかりと取り扱えることになったので、本日の質疑が実現したわけです。  佐賀空港自衛隊使用要請に関しては、本日は議題に取り上げませんが、いろいろ動きがあっていますので、また別の機会にしっかりとさせていただければと思っております。  それでは、今日は冒頭に訴訟関連のこと、あるいは有明海の現況についてということで、いろいろと執行部の方から説明をいただきまして、それを踏まえて、また、先ほどの武藤委員の質疑も踏まえて質問に入らせていただきたいと思いますけれども、まず、私のほうから一問目としまして、漁獲量の推移についてお尋ねをさせていただきます。  諫早湾干拓潮受け堤防の締切り後において、漁業者の方々、タイラギをはじめとした水産資源の減少を訴えられているところであります。  先ほどの説明でも魚種別にグラフをもって丁寧に説明していただきましたけれども、平成九年の潮受け堤防の締切り以降、先ほどの武藤委員の質問に数字を結構詳しく出して御説明いただいたんですけれども、締切り以降の佐賀県の有明海域の漁獲量、つまり、どういうふうになっているのかということをまず一点目に、そしてまた、全国的にも水産物の漁獲量は減少傾向にあると聞いております。  今朝もテレビの情報番組で、全国的にいろんな水産物がとれなくなってきている、そういった特集も放送していましたけれども、全国的な傾向と比較して有明海はどのようになっているのか、まずその点を水産課長にお尋ねしたいと思います。 45 ◯中島水産課長=潮受け堤防が締め切られました平成九年度以降の佐賀県有明海域の主要魚種の漁獲量について、まず御説明をさせていただきます。  先ほど説明しました資料の六ページを見ていただきながら、聞いていただければと思います。  サルボウですが、矢印をしております付け根の辺りが平成九年になります。  平成九年には一万一千四百八トンでございました。これがやはりこういうふうに年々減少しまして、平成三十年には三百七十七トンまで減少しております。令和元年には千九百九十七トンと少し持ち直しはしましたが、グラフには示しておりませんが、その後、有明水産振興センターの調査によりますと、昨年、今年のサルボウの漁獲状況は非常に厳しいと、令和元年を非常に大きく下回るというような──ちょっと数字はまだ、はっきりした数字は出てきておりませんが、非常に厳しい状況にあるというふうになっております。  サルボウの下のほうのクルマエビです。これも平成九年には三十九トンあったわけですが、それからやっぱり非常に減少傾向となっておりまして、平成十八年以降は一トンを下回るような漁獲量となっております。  そして、ガザミでございます。これは平成九年には百七十九トンございましたが、以降また、これも同じく減少傾向となりまして、平成二十六年以降はおおむね十トン程度の漁獲量となっております。  右上のタイラギ、これは有明海漁協大浦支所の資料に基づいておりますが、平成九年度には九十七トンの──これは貝柱の重量でございます。平成九年度には九十七トンございましたが、平成十一年度はゼロになりまして、平成十五年度は三十トンと少し持ち直しておりますが、そしてまた、平成二十一年度には百十三トンの漁獲が上がっておりますが、平成二十三年度の三・六トンを最後に令和二年度まで九季連続の休漁というふうになっております。  また、七ページを見ながら、佐賀県有明海域の漁獲量の全国値との比較について説明をさせていただきます。  コノシロは、全国の漁獲量が公表されたのが平成七年度以降でございますので、それでここでは示しておりますけれども、全国では、平成七年度には二万三千七百七トンであったものが全国的にもやっぱり減少しておりまして、直近の値が出ている令和元年度には四千九百三十五トンと二一%に減少しております。  これが佐賀県有明海域で見ますと、千六百九十九トンであったものが国と同様な傾向で減少しまして、令和元年には二百五トンと。これは、そのときの約十二%と非常に減少しております。  先ほども御説明させていただきましたが、アサリ、クルマエビ、ガザミの三魚種についても非常に厳しい傾向というふうになっております。
     以上でございます。 46 ◯江口委員=潮受け堤防が締め切られたのは平成九年ということで、ノリが平成十二年漁期、平成十二年十一月から平成十三年四月生産分ががたっと落ちているわけですね。そのときに海上デモとかいろいろあって、非常に世の中、有明海に注目があった。  先ほどの六ページのグラフを見ても、サルボウは平成九年が一万一千八百トンで、それからちょっと減ってきて、平成十三年はかなり落ちているなと。  でも、次のクルマエビは平成九年、十年、十一年、減少がありますが、平成十二年にはがたっと落ちてきている。そして、ガザミに関しても平成十二年にがたっと落ちてきている。  こういうのを見ると、やっぱり潮受け堤防の締切りというのは、これが影響しているんじゃないかというふうに当時言われたと思うんですけれども、その因果関係については、なかなか農水省は影響ないというふうに言っているように思うんですけれども、この点について、潮受け堤防の締切りと、この漁獲量の減少については、県はどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。 47 ◯中島水産課長=漁獲量は減少しておりまして、有明海の漁場環境というのは、皆様も御存じのとおり貧酸素水塊ですとか、赤潮の頻発ですとか、底質の悪化等により大変厳しい状況となっております。  ただ、こうした漁場環境の変化の原因はまだ究明されていないというのが現状でございますので、有明海再生のためには開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明が必要であると思っております。  これは引き続き国に求めているところでございます。  以上でございます。 48 ◯江口委員=ありがとうございます。  じゃ、その水産資源の回復に向けた取組と特措法について伺いますけれども、今御答弁いただいたように、開門調査を含む環境変化の原因究明というのはなかなか実現が難しい状況であると。長年にわたって研究をされていますが、なかなか農水省が漁業被害を認めるというふうな事態には至っておりません。  また、漁業者にとっては水産資源の回復というのは、本当に喫緊の課題であります。  そういった中で、県も様々な取組を行っていらっしゃると思いますけれども、佐賀県における水産資源回復に向けた取組について、どのような取組を行っていらっしゃるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。  また、今年三月に有明海特措法が改正になりました。先ほど御説明いただきました。これは内閣提案の閣法ではなくて、議員立法でもともと成立、延長してきたものです。今回の改正の内容、どのようになっているのか。そして改正によって佐賀県においてはどのようなメリットがあるのか、この点についてまで御答弁をお願いしたいと思います。 49 ◯中島水産課長=水産資源の回復に向けました取組と特措法につきまして、そのうちまず初めに、水産資源の回復に向けた取組について説明をさせていただきます。  これも資料で先ほど説明しましたので、皆様も十ページを見ながら聞いていただければと思います。  県では、これまで水産資源の回復の取組としまして、有明海特措法の特例措置を活用して漁港漁場整備事業を実施してまいったところでございます。  具体的に申しますと、悪化した底質を改善する海底耕うんを平成十三年度から平成三十年度までに約二万ヘクタール実施したところでございます。  また、潮の流れをよくするために海底に人工的にみお──溝ですね──を造る作澪、これは平成七年度以降六カ所で、総施工距離で約十三キロメートル実施したところでございます。  ほかにも、タイラギ稚貝の着底を促進しますモガイの貝殻等を散布して耕うんする事業を平成二十六年度から令和元年度までの六年間で約四十五ヘクタール実施したところでございます。  加えて、魚介類の餌となります小型のエビやゴカイなどの生物を増加させる機能を持ちます増殖礁は、平成十八年度から令和二年度までに二百一基を海底に設置をしたところでございます。  続けて、有明海特措法とその改正のメリットについてでございますが、有明海特措法、「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律」でございますが、江口委員がおっしゃられたとおり、国会議員をはじめとする関係者の御尽力により議員立法として平成十四年に制定されたものでございます。  本法は、有明海の再生に関する基本方針を定めまして、海域環境の保全、改善、水産資源回復などによります漁業振興に関して実施すべき施策に関する計画の策定やその実施を促進するための特別の措置を講ずることにより、国民的な資産である有明海及び八代海を再生することを目的としております。  令和三年四月に施行されました今回の改正法では、国の補助割合の特例について令和四年三月までの期限であったものが令和十三年度まで十年間延長されるとともに、新たに地方債の特例措置が設けられております。  中身を具体的に説明しますと、国の補助割合の特例でございますが、これは漁港漁場整備事業のうち、県が行う大規模な事業、これが総額五千万円以上の事業が対象となりますが、この要件に見合うものにつきましては、通常は国の補助率が五〇%であるものを補助率の五四%から五五%にかさ上げするものでございます。  そしてもう一つ、地方債の特例でございますが、これは今年三月に失効した公害財特法で措置されてきたものが、本法に、この有明海特措法に新設されたものでございます。県の負担分に地方債を充てることができるということになります。  県としましては、今後ともこのような有明海特措法の特例措置などを十分に活用させていただきながら、漁業者や漁協をはじめ、有明海の再生を願う関係者の方々とともに、一日でも早い水産資源の回復に向けてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 50 ◯江口委員=私は、この特措法はもっと有利な条件があるのかなと思ったら、今回、よく確認したら五%ぐらいのかさ上げだったので、ちょっとあれ、もっとインセンティブあってもいいんじゃないかと個人的には思ったんですが、やっぱりこれぐらいのものなんですかね。五%のかさ上げというのは、もうちょっとかさ上げできないものかなというふうに個人的に思いますが、また国会議員のほうにも話をしてみたいと思います。  そういった取組や、あとアゲマキとかタイラギとか、水産センターでもいろいろ稚貝の放流とか、そういったものをされていらっしゃるじゃないですか。その点について、たしか二年ぐらい前、アゲマキとかが一定少しとれたけれども、その後とれなくなってしまった、アゲマキの件は、九ページにあるように、平成三十年六月に二年ぶりに一部漁場で漁獲再開したけれども、その後、ちょっとできなかったとか、タイラギやアゲマキの稚貝の放流とか、そういったものを引き続きされていらっしゃると思うんですが、その量というのはもっと種苗の放流数を増やしたりとか、あるいは放流数とかタイミングは変わらないのか、その辺の状況については、もし分かることがあったら教えていただけますか。 51 ◯中島水産課長=タイラギ、アゲマキにつきましての上限を設けて種苗放流をするわけではもちろんございません。毎年毎年、条件とかによって種苗の生産量は異なりますけれども、県といたしましては、毎年なるべく多い量というふうに考えておりまして、ここでこれぐらいでいいだろうというんじゃなくて、やっぱり漁業者の方々が実感できるようになるまで、毎年毎年その数はできるだけ多くというふうに考えております。  以上でございます。 52 ◯江口委員=そうすると、アゲマキは平成三十年六月、少し漁獲があったけれども、その後の塩分濃度上昇とか豪雨等の影響で、同じように放流とかしているものの、そういった海の状況等によって令和元年、二年とかは、ちょっと育たなかったというふうな受け止めでよろしいんでしょうか。 53 ◯中島水産課長=アゲマキがとれなくなったのは、そういう放流事業をやめたわけではもちろんございません。毎年毎年、できる限りの種苗を放流しておるんですが、やっぱりその年その年の大雨ですとか、特に昨年夏季の集中豪雨なんかでも大量にへい死しておりまして、アゲマキが生息しているところが沿岸部で、そういう河川水の影響を非常に受けやすいところというのもございまして、それで非常に減少しているということでございます。  タイラギにつきましても、同じように漁獲に結びつくような結果がなかなか出ないんでございますが、そこは地道というか、愚直にきちっと毎年毎年やっていきたいというふうに考えております。 54 ◯江口委員=あと細かいことですみません。九ページの一番下の平成三十年度の秋季以降、塩分濃度の上昇や豪雨等の影響ということは、豪雨で真水が海に入ってきて、逆に塩分が下がるのかな。そうすると、塩分濃度の上昇というのは、これはどういうことなんでしょうか。上昇の点について御答弁をお願いします。 55 ◯中島水産課長=非常に分かりにくい表現で申し訳ありません。人工でつくった貝ということも恐らく影響していると思うんですけど、非常にデリケートな貝でございまして、昨今の天気は非常に雨が降らなかったり、降るときは集中的に降ったりということで、雨が降らない日が続くと塩分濃度が有明海でも上がるんですよね。それで、比較的河口に近い、塩分が高くないところにアゲマキがすんでいるものですから、全く雨が降らなくて塩分濃度が上がると、それも悪影響を受けてしまうということで、塩分濃度が上がってもへい死の原因になります。だからといって、雨が多く降って低塩分になっても悪影響を与えるということで、非常に難しい、デリケートな貝というふうに言えます。  言葉足らずな説明ですが、以上でございます。 56 ◯江口委員=ありがとうございます。  なるほどですね。降らないのも困るけれども、降るときは降るで一気に降られるのも非常に困ると。これも地球温暖化等々、いろいろ関係していることだと思います。本当に悩ましいですね。  じゃ、あと最後にもう一点です。この二ページのところに差戻し審の争点のところで、右側、お魚とエビの絵があります。「国の主張」のところで、「第二種共同漁業権の対象業種(魚類、エビ類等)の漁獲量は諫早湾及び近傍部は回復。開門は不要。」、「有明海全体、『漁業者の思い』、貝類の漁獲量は回復しておらず、回復の実感なし。」と、こういうふうに言い分が分かれているんですけれども、私、この諫早湾及び近傍部では漁獲量が回復と書いてあるんですが、これはちょっと水産課長にお尋ねすべきものなのかどうか分かりませんけど、これはどの部分で何が増えているというふうに、これは読み解けばいいんでしょうか。 57 ◯中島水産課長=私、諫早湾近傍部の資料を今持ち合わせていないんですが、有明海につながっておりますので、佐賀県の有明海域でもほぼ同じような傾向でございますが、第二種共同漁業権、この差戻し審での対象となった、第二種共同漁業権の対象種、魚類ですとかエビ類等のうち、特にシバエビが近年漁獲量が増えております。それをもって国のほうはこの分が漁獲が増えているというふうに主張されていると。ただ、有明海全体の二枚貝類、先ほどグラフでもお示ししましたとおり、二枚貝類を中心に非常に漁獲量が減っております。それも合わせますと、やはり漁獲量は回復していないということが言えるというふうに思っております。  以上でございます。 58 ◯江口委員=なるほどですね。そこでも差戻し審の主な争点ということで、国の主張と漁業者側の思いというのは隔たりがある、認識にずれがあるというふうなことになっているんだと思います。ありがとうございます。  それでは次に、訴訟、和解協議関係のほうの質問に移らせていただきたいと思います。  諫早湾干拓潮受け堤防の開門をめぐる訴訟中に行われた和解協議についてということで、平成十二年、有明海異変と言われる大規模なノリの色落ち被害が発生し、諫早湾干拓事業の推進と絡んで社会問題化し、多くの訴訟が乱立した状況になっていました。  七年ぐらい前ですかね、有明玄海・環境対策特別委員会に原告弁護団を参考人招致したとき、あの時点で七つぐらいいろいろあって、それから今日、諫早関連訴訟一覧ということで、分かりやすくまとめていただきましたけれども、本当にどっちがどっちを訴えているか、つまり、開門を求めるのか、開門を阻止するほうなのか、いっぱいあって非常に分かりにくい状況になっていると思います。  一連の諫早湾干拓訴訟においては、開門、非開門の結論と異なる判決が存在し、混迷を極める状況の中、平成二十九年以降、国は開門しない方針を明確に掲げました。こうした中、現在、国と開門を求めてきた方々が福岡高裁で係争中の請求異議訴訟差戻し審においては、新たな和解協議に向けた話合いが行われているところであります。  この一覧表の中、先ほど御説明いただきましたが、その中で、まず、確認、おさらいの意味合いも含めて、一点目、長崎地裁で行われた和解協議について伺いたいと思います。  平成二十八年から二十九年にかけて長崎地裁で行われた開門差止め請求訴訟に係る和解協議、これは右側のほうに十五回開かれたというふうな表記がございますが、この和解協議の内容について、経緯についてどのようなものだったのか、まず、その点について御答弁をお願いします。 59 ◯山浦有明海再生自然環境課長=長崎地裁で行われました和解協議について御説明させていただきます。  長崎地裁において干拓営農者らが国に対して起こした開門差止め訴訟、先ほどのお配りしておりますA3の紙の右側のほう、5)の開門差止請求訴訟の下のほうに和解協議というのがあります。そちらを御覧ください。  平成二十八年一月から二十九年三月までの間、十五回にわたり和解協議が行われてきたところでございます。その中で平成二十八年一月十八日に長崎地裁が和解勧告を示しておりまして、その内容は、開門は諫早湾を締め切る前の原状に戻すものではなく、農業、漁業、生活に重大な被害が出るおそれがあり、対策工事が進まない現状での開門はできないとし、一方で、開門によらない水産資源の回復、漁業経営の安定の取組や一定の進展があることから、国は確定判決を履行しない異常な事態への責任を果たすこと。開門に代わる漁業改善のための措置を検討、実行すべき。これまでの取組に加え、開門に代替するものとして相応規模で確実に実施すること。支払い済みの間接強制金に加えて一定の金銭を解決金として支払うことといったものでしたが、国の補助参加人でありました漁業者は受入れを拒否されております。  その後、平成二十八年十二月には、国から総額百億円の有明海振興基金案が示されたものの、これについてもこの補助参加人であります漁業者は基金案は受け入れられないとされたところでございます。  さらに、長崎地裁は平成二十九年一月二十七日に、開門しないことを前提に基金案を受け入れるよう和解勧告を提示しましたが、これに対して干拓営農者らは受入れを表明したものの、国の補助参加人であります漁業者は受入れを拒否されました。  最終的には、平成二十九年二月二十四日の和解協議において、裁判所は当事者双方及び補助参加人の漁業者に対し、基金案と並行して開門する案についても検討するよう打診し、国の補助参加人の漁業者側は受け入れる意向を示されましたが、営農者側は拒否し、国は漁業者側と営農者側の意向を踏まえると、二つの議論を並行して行うことは困難だという考えを示されたことから、一年二カ月にわたって続けてこられました和解協議が打ち切られたところでございます。  以上でございます。 60 ◯江口委員=じゃ、その一年二カ月にわたって続けられた和解協議が打ち切られて、そして、平成二十九年四月十七日に、この長崎地裁判決が確定ということになったということでよろしいんでしょうか。 61 ◯山浦有明海再生自然環境課長=はい、そのとおりです。 62 ◯江口委員=農水省、国としては開門したくないというのが本音の中で、この5)の開門差止請求訴訟に関しては、開門するなということで、要は国が負けるというか、開門しないということの確定判決になってしまった。片や、1)の福岡高裁判決にある開門を命ずるという確定判決もある。両方ここでできてしまった状況なんですけども、開門を求める有明弁護団から言わせれば、この長崎地裁の判決に関して国は無気力相撲で負けるべくして負けて、結果的に開門してはいけないという確定判決を取りたかったんだというふうな説明も以前受けたことを思い出します。  では、それに対して片や国に開門を求めるほうの1)のほうです。福岡高裁で行われている和解協議について、平成三十年に福岡高裁で行われた請求異議訴訟控訴審に係る和解協議、これはどういったものだったのか、もう一度おさらいの意味を含めて御説明をお願いします。 63 ◯山浦有明海再生自然環境課長=福岡高裁で行われました和解協議についてお答えいたします。  国が漁業者に対して起こした請求異議訴訟控訴審において、福岡高裁は平成三十年三月五日に開門しないことを前提に開門に代わる基金等による全体的な解決を目指すといった第一次和解勧告を示しました。  裁判所の考え方としましては、開門することは営農者らの生活に多大な影響を及ぼすとともに、対策工事費も高額で、仮に開門調査をしても有明海の環境変化の原因が明らかとなる保証はないとしまして、長期間の漁業被害を考慮しても開門することが現実的かつ有効な方策であるとは認めることができないとしまして、開門による解決の可能性を認めない勧告を出されました。  その後、平成三十年五月一日に、佐賀県、福岡県及び熊本県の各漁業団体から、国が提案する基金案を受け入れる旨の共同文書が九州農政局長宛てに提出されたことから、同年五月二十二日に、福岡高裁は第二次和解勧告としまして、国において提案する基金を実現すること。国において有明海の環境変化の原因究明に関する調査を行い、有明海再生に向けた取組を継続すること。三県漁業団体が要望する再生事業の継続、調整池からの小まめな排水の確実な実施とマニュアル化、基金とは別枠で調整池に排水ポンプを増設することにつきまして前向きに検討すること。これまで支払われた間接強制金について調整を図ることといった和解に向けた勧告を示したところです。  これらの和解案に対しまして開門を求めます漁業者側は、開門しないことが前提の和解協議には応じられないとしまして、平成三十年四月十日の第二回和解協議以降、第三回五月八日、第四回五月二十八日の和解協議において裁判所に出廷しない状況となったことから、和解協議は打ち切られたところでございます。  以上でございます。 64 ◯江口委員=先ほどの長崎地裁のほうの確定判決が出て、これに関連して当時の山本農水大臣の談話で、いわゆる開門しないことを前提にとか、あるいは百億円の基金とかというのがずっと尾を引いてくる中で、福岡高裁のほうの和解協議でも、非開門、あと、基金による解決が一番の方策だという国の姿勢というのはずっとあったわけですけども、今年の四月二十八日に福岡高裁のほうから「和解協議に関する考え方」という文書が双方に、原告も国のほうにも出されて、それから、今、進行協議が開かれている。六月二日、おととい開かれたということで、昨日の新聞記事にもありましたし、また、昨日は国会のほうでも農林水産委員会のほうで諫早湾訴訟をめぐり大臣に対して質問があっている。  そういった中で、国のほうとしてずっと非開門、基金による和解を目指すというふうに言っていたものが、昨日の委員会では国会のほうでは非開門の方針を言わなかったと。少し和解協議の中で六月二日の進行協議の状況を聞く中でも、ちょっと状況が、少し国の姿勢が変わってきているかなと。いわゆる開門は絶対しないんだ、そして、基金案による解決がベストであるというふうな国の姿勢が少し軟化、変化をするということは、そのことによって結果的に和解協議のテーブルに今着いていない双方が着くことというのが大切だと思うんですよね。まずは、ぜひテーブルに着くことから第一歩だと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)今の福岡高裁が出した「和解協議に関する考え方」ということは各方面からそれを支持するいろんな表明が出ております。佐賀県としてもぜひ和解協議にまずはテーブルに双方が着くことが大切だと思いますけども、こういった状況の中で佐賀県としてこの和解協議の方向に対してどのように今受け止めているのか、あるいはどのような方向に進むことを期待されているのか、何かございましたら、御答弁いただきたいと思います。 65 ◯山浦有明海再生自然環境課長=「和解協議に関する考え方」についての見解をお答えさせていただきます。  先ほど委員がおっしゃられたとおり、国は考え方が出された直後の大臣会見や五月十二日、五月二十日の衆議院の農林水産委員会での野上農水大臣の発言などを見ますと、非公開の場である福岡高裁における進行協議の件については、その趣旨に鑑み、答えを差し控えるとした上で一般論として、平成二十九年の大臣談話に沿った開門によらない基金による和解を目指すと主張されていましたが、昨日の農林水産委員会では一般論として訴訟の手続に従って適切かつ誠実に対応していると述べられたと承知しております。  今まさに裁判所の考えへの対応については、現在国においてしっかり検討されているものと承知しておりまして、県としてはそうした国の動きを注視してまいりたいと思っております。  以上でございます。 66 ◯江口委員=ありがとうございます。  従来、農水省、農水大臣、開門せず基金による和解を目指すというふうな姿勢を非常に強く出していましたものの、今回ちょっと雰囲気が変わってきたというのはまずは協議が始まることが大切だと思いますので、非常にこれは動き出したかな、あるいは本当にこの方向で動いてほしいというふうに思いながら私どもも見ております。  また、四月二十八日の考え方発表後、いろんな漁業者団体や市民団体、自然保護団体、研究者団体、各界各層でこの裁判所の考え方について賛同する、国はかたくなに非開門、百億円基金というのを掲げて、テーブルに着かないのではなく、両方とも歩み寄る方向を支持する世論が上がっているというふうなこともありますので、ぜひ佐賀県のほうとしても国に対してそういった協議に柔軟に対応するように、もしもそういうふうなことを言えるのであれば、ぜひそういったことも国に対して申入れ、あるいは働きかけを積極的にしていただきたいと思うんですけども、その点についていかがでしょうか。 67 ◯山浦有明海再生自然環境課長=国への働きかけについてでございますけども、先ほど武藤委員にも御答弁したのですけれども、まずは、当事者双方が和解協議に向けて、今まさに検討されている状況でございまして、まずは、当事者双方が和解協議のテーブルに着きまして、しっかりと御議論いただいて、そうした協議が進んでいく中で裁判所の考え方にもありますような話合いの場というものが設けられるんではないかと感じておりますので、そうした必要に応じてそのような場が今後検討されていくのではないかというふうに認識しております。  以上でございます。 68 ◯江口委員=今年の四月二十八日に、福岡高裁第二民事部が「和解協議に関する考え方」という文書を双方に出しているんですけれども、その二ページのところに、こういうくだりがございます。  「この際、改めて紛争の統一的・総合的・抜本的解決に向け、互いの接点を見いだせるよう、当事者双方に限らず、必要に応じて利害関係のある者の声にも配慮しつつ(その手法に拘るものではないが、いわゆる『基金案』を基にするにしても、利害の対立する漁業者・農業者・周辺住民の各団体、各地方自治体等の利害調整と、これに向けた相応の『手順』が求められていることには疑いがない。)」ということで、係争の被告、原告だけじゃなくて、周りのいろんなところにも配慮をしながら進めるようなくだりがある。佐賀県も、この各地方自治体等の中に含まれると思いますので、いずれ何か状況が変わったとき、あるいは潮目のときには、県としても和解協議について積極的な動きを見せることも必要ではないかなと思います。そういったことをぜひ期待をさせていただきたいと思います。  それでは、最後の四問目の有明海再生に関する調査研究の今後の進め方について質問させていただきます。  有明海の環境変化については、これまで国や県、大学等による様々な調査研究が行われてきました。  本県でも特定非営利活動法人「有明海再生機構」と連携して、調査研究に取り組んできました。しかし先般、その事務局が佐賀県から福岡県の九州大学内に移転をいたしました。佐賀市文化会館で節目の報告会というふうな形で開催をされまして、中島課長さんとも現場でお会いしましたけれども、本県における有明海の調査研究の行く末、今後どうなっていくのか心配しているところであります。  有明海の環境変化の原因究明を図り、また、有明海の再生を進めていくためには国や県のみならず、有明海再生機構をはじめとする専門性の高い研究機関との連携も大変必要だと考えます。県は、有明海再生に関する調査研究について、今後どのように進めていこうと考えているのか、この点についてお尋ねします。 69 ◯山浦有明海再生自然環境課長有明海再生に関する調査研究の今後の進め方について御答弁いたします。  有明海の環境変化の原因究明を図り、有明海の再生を進めていくためには、専門性の高い研究を得意といたします大学や国、または関係県などとの連携が必要と考えております。  今般、福岡県に移転しました有明海再生機構につきましては、今後も調査研究活動や地域住民の関心を高める活動を継続されると聞いております。機構がこれまで蓄積してきました海域環境に関するデータや調査研究の成果、佐賀大学、長崎大学等の研究機関とのネットワークなどは、今後も有効に活用していけるものと思いますし、連携できるところは連携していきたいというふうに考えております。  また、現在、有明水産振興センターでは大学や国の試験研究機関と十四の課題について連携して取り組んでおりまして、そのうち地元の佐賀大学とは七つの課題で連携しているところでございます。  さらに県では、専門的知見を有する佐賀大学の協力を得ながら、有明海の再生に向けた取組の検討を進めておりまして、まずは漁業者がどのようなことを課題と感じているのか、また、大学として協力できる部分はどこか、県として政策的に取り組むべきことは何か、そうしたことなどについて協働の可能性について、有明海漁協を交えた意見交換を今佐賀大学と進めているところでございます。  こうした大学などとの連携に加えまして、県では必要となる調査研究につきましては、特殊な調査機器を有します海域環境調査を得意とするコンサルタントを活用するなどして調査研究を進めているところでございます。  有明海の再生は道半ばであり、県としても今後とも地元の佐賀大学をはじめ、大学や国、関係県などと連携を強化するとともに、必要に応じて海域環境調査を得意といたしますコンサルタントに委託を行うなどして、調査研究の進捗を図り、着実に成果を出していくことで有明海再生の早期実現に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。 70 ◯土井委員長=暫時休憩します。十三時をめどに委員会を再開します。     午後零時 休憩     午後一時 開議 71 ◯土井委員長=委員会を再開します。  坂口委員より、マスクをしての話がうまくできないので、アクリル板を設置の上、マスクを外して発言したいとの申出がありました。各理事から了解をいただきましたので、これを許可したいと存じます。  休憩前に引き続き質疑を行います。 72 ◯坂口委員=自由民主党の坂口祐樹でございます。
     私は、皆さんのように器用ではありません。マスクをしたままではなかなか言語明瞭にお話をすることができない。たまたまここにアクリル板があったということで、委員長さんに寛大な対応をしていただいたということで、感謝を申し上げます。  それでは、質問に入ります前に、私の背景について少し触れさせていただきます。  私の出生地は長崎県の諫早市です。諫早の産婦人科で生まれたということなんですね。ですから、昭和三十二年の諫早大水害、五百名以上の方が亡くなったあのことも忘れてはならないし、この開門調査の議論においても、私は諫早市民のことを忘れるわけにはいかないとも思っています。  その後──その後というか、幼少期というか、大部分を太良町の大浦というところで過ごしました。  大浦、この字の意味に何があるんだろう。大きな海岸がそこにあるということで大浦になったのかもしれないけれども、私は大きな価値がある海岸がそこにあるということで、大浦という地名になったんだと思っています。  日本一の竹崎カニ、そして、セッカと言われた地ガキ、また、高級二枚貝のタイラギ等々が手軽に食べることができた、そんな地名が大浦でした。  そして、佐賀県議会、三十八名の定数の中で私が一番潮受け堤防北部排水門の近くに住んでいますので、私はこのことについても責任を持って努力をしていかなければならないとも思っています。  太良町の沿岸で五十年過ごしてきました。有明海の状況も常に見てきました。要所要所でやっぱり変化がありました。  私は今、五十歳になります。記憶でいうと、私が二十歳前後の頃にアゲマキがとれなくなりました。手軽に食べることができた、あのバター焼きでおいしいアゲマキがいつの間にかとれなくなったんですね。そして、いつの間にか、私たちは韓国産を食するようになった。  確かにタイラギとか、アゲマキとか、カニもそうですけれども、浮き沈みがあるんですね。その年々によって、特に二枚貝は浮き沈みがある。とれるときはたくさんとれるけど、とれないときは全くとれない。その年にならないと分からない状況がずっと続いていた。  そういう状況の中で、一九九七年四月十四日、諫早湾はギロチンという手法で締め切られました。そして、その翌年からタイラギが全くとれなくなったんですね。  資料の六ページと七ページ、さっき江口委員さんも指摘をされましたけれども、やっぱり因果関係を疑わざるを得ないと。私は、肌感覚で間違いなく影響があると思います。ほかの要因もあるんですね。大型の公共事業、有明海の沿岸を大型の公共事業で固めてしまった。そして、生活排水も明らかに以前とは多分違う。便利な洗剤を使うと、それだけ環境に負荷がかかるかもしれない。また、ノリの酸処理も影響があるという声を耳にします。そして、潮受け堤防の問題、様々な要因があると思います。  私は、調整池から排水されるあの水だけが全ての原因だとは思っていません。自然というのは不可解です。いろんな要因の中で、今の有明海の不幸な状況があるんですね。  しかし、今できることは何なのか。公共事業を元に戻すことができるか、戻せない。生活排水、下水道や合併浄化槽等も進んでいます。ノリの酸処理、今まで皆さんちゃんと適正に努力をされて、今さらその酸処理をやめろと言うことができるか、できない。今、私たちにできることは開門調査です。有明海のこの異変を根本的に解明するためには、私は開門調査が絶対に必要だと思っています。  そして、先々月、四月二十八日、福岡高等裁判所、私も傍聴に行きました、どうなるんだろうと。  そして、和解勧告が示され、おととい、六月二日、和解勧告によって進行協議、和解を成立するためにどういう進行をしていくかという協議がなされました。非公開、裁判所対国側、裁判所対漁業者側、そして、私は漁業者の報告会に行ってまいりました。  感想は、よく分からないということです。裁判、これからどうなるんであろう。何となく判決ではなくて和解だから、漁業者側にとって有利に働くのではないかという何となくの雰囲気はありますけれども、全く分からない状況がまたしばらく続くんであろうと思います。  そういう状況の中で、まず一点目、確認をしなければならないのは期日です。  さっき江口委員さんから、平成二十七年の和解勧告に対してどういう時間が過ぎていったかというと、一年二カ月要したけれども、結果決裂、成立を見なかった。あれからもう六年たちました。あっという間です。  農水省側は、間接強制金がストップしている状況の中で、あれがまだ続いているならば、国民からの批判に耐えなければならない。しかし、間接強制金が今、一切予算化されていない状況の中で、長く続いても何の問題もないという考えをお持ちだとおっしゃる方もいらっしゃいます。  一方で漁業者側は、もともと原告団は四十九名でした。しかし、今四十五名です。なぜか。漁業をしていないからです。漁業をしていないと原告の権利を失うということです。すると、時がたてばたつほど漁業をしていない方が増える。原告団が減っていくということです。  じゃ、この原告団が一桁台になったときには、この裁判は成り立つのか。十年、二十年先の話かもしれませんけれども、あっという間に過ぎます。ですから、私は悠長な時間を要してはならないというか、できるだけ丁寧だけれども、スムーズな進行を求めたい。  これは今回、僕が分からないように皆さんも分からない状況が続いている中で、皆さんに聞くというのが僕も心苦しいんですけれども、本来は裁判所に聞かなければならない。どういうスケジュール感を持っていますかと裁判所に聞いてみたいけれども、私は聞くことができないので、分かる範囲で結構でございますので、御答弁をいただければと思います。 73 ◯山浦有明海再生自然環境課長=和解協議の期限についてお答えいたします。  福岡高裁が示しました和解協議に関する考え方では、具体的な協議の期限は示されておらず、合理的な期間内に集中的に協議を重ねることを求めるとされております。  以上でございます。 74 ◯坂口委員=そうなんですね。  次に、裁判の今後の展開についてであります。  これも私が分からないように、皆さんに聞いてもなかなか分からない状況にあるんだと思います。  しかし、私が不安に思っているのは、要はお互いが前提条件を持っているんですね。非開門、要は農業者、諫早市民側の方たちは非開門を前提にしている。漁業者側は開門を前提にしている。この前提条件を崩さない限り、なかなか和解は成立しにくいと思うんですね。  じゃ、和解とは何ぞや。私が思うに、和解とは譲歩です。お互いができる範囲の譲歩をすることによって和解の協議は進むんですね。しかし、一切譲歩しないと。自分たちの正論をただ押しつけるだけでは何も解決しないということなんだと思います。じゃ、譲歩とは何ぞやということなんですね。ここも悩ましい。  私は、本来あるべき和解の進行、和解の協議たるものは、いろんな案をやっぱり出すべきだと思うんですね。片方の原告というか、被告というか、両方の側の皆さんたちが、ここまでだったら譲歩できますよという譲歩案をいかに多く示すか。  そして、裁判所の下で、これだったらお互いに納得してもらえるんじゃないですか、どっちのほうかがより大きく譲歩しなければならない可能性もある。しかし、それでも私たちは和解を模索していかなければならない。  例えば、開門派の譲歩とは何ぞや。一度、三の二の──二〇一〇年の確定判決のときに譲歩というか、いろんな対策事業が盛り込まれました。諫早市民は、低平地でございますので、やっぱり水害が怖いんですね。そういう状況の中で、あの調整池が水害を和らげる効果を持っているということなんですね。  ですから、事前の天気予報──今、ダムでもやっていますね。天気予報で大雨が降るときには、事前に大量の水を放水する。調整池にも同じことが言えると思うんですね。そのときは、例えば、海に影響があるかもしれないけれども、それは構わない。諫早市民の命が大事なんだから、そのときは大量に放水をして結構ですよぐらいのことは言っていいと私は思う。  また、農家の方たちは、やっぱり農業用水の確保であったり、塩害を恐れていますので、その対策も佐賀県というか、漁業者側からの提案ももっと強くするべきなんだろうと思います。  じゃ、非開門派の皆さんたちの譲歩案というのは何なんだろう。開門をしない代わりに、例えば、私が前に提案した本明川の水を直接流すような提案を国にしてもらうであるとか、例えば、二千六百ヘクタールの調整池の半分とか一部を埋め立てて、要は大量の水をためることによって長く時間が経過するということなんですね。ですから、あそこを狭くすればするほど小まめな排水をより多くするということで、海の負荷を考えると、あそこはやっぱり埋め立てていったほうが私は海には効果的、開けないんだったらですね。  ですから、私は正論を持っていません。ただ、いろんな案を持ち寄るということは有効なんだと思います。  今回の質疑では、なかなか皆さん答弁をしにくいから、この質疑の半分は私の意見を述べるということです。そして、誰かが、国側が、裁判所が、こういう議論が佐賀県であったということを聞いて、それを参考にすれば、これもまた幸いですね。  今後の展開について、分かる範囲で御答弁をいただければと思います。 75 ◯山浦有明海再生自然環境課長=福岡高裁における裁判の今後の展開についてお答えいたします。  諫早湾干拓に係る一連の訴訟においては、過去にも長崎地裁や福岡高裁で和解協議が行われていますが、これまで開門、非開門という前提の違い、先ほど坂口委員が言われたとおり、前提の違いが原因となりまして、和解は成立せず、その後は判決に至っている状況でございます。  仮に、今行われている和解協議について成立しなかった場合についてですけれども、その後の裁判の展開につきましては、まさに裁判所においてどのように判断されるかというものではないかと認識しております。  以上でございます。 76 ◯坂口委員=次に、(三)国への働きかけについては、武藤委員さん、江口委員さんが質問をされて、和解協議を注視していくというお話でありました。確かにそうでございます。  ですから、この項目については割愛をして、内容が政治マターでございますので、皆さんがなかなか答えるものではないと思いますので、六月十五日からの定例議会で知事に問いたいと思います。  (四)の漁獲量の回復の受け止めについてであります。  これもさっき江口委員さんから質問があって、資料の二ページのところに、漁獲量が回復したという国の言い分が一つの大きな争点になっているということなんですね。そして、答弁でもあったようにシバエビが増えた。確かに増えました。  私の友人がふだんは投網漁でコハダをとっているけれども、コハダもなかなか前みたいに量がたくさんとれない状況の中で、シバエビが──シバエビというのは浮くんですね、湧くというか、それをちゃんと魚探をもって確認をして、そして、コハダではなくてシバエビをとりに行く、そういう期間があるんですね。ですから、シバエビが大量に水揚げをされているという状況がある。  もう一方で、ビゼンクラゲです。平成二十三年、一九九八年からとれなくなったタイラギが平成二十一年にとれるようになりました。そして、三年間で潜水漁業がなされた。しかし、平成二十四年からとれないと同時に、クラゲが発生したんですね。九年前から異常発生です。三十数年前に一回あったそうです。クラゲが異常発生して、それが二、三年続いた。ですから、僕たちも平成二十四年のときには、多分二、三年で終わるんであろうと。  クラゲというのは、もともと厄介者です。刺し網にクラゲが入ると困ったねという話だった。しかし、今では夏場の漁業者の皆さんの大きな所得になっているんですね。すごく助かっているんです。ですから、今、資源管理をしなければならないという議論もあります。  しかし、私はこの状況がいつまでも続くとは思えないんですね。明らかに有明海の異変の中での出来事なんだと思うんですね。  ですから、シバエビとクラゲの水揚げを争点にするというのは納得いかない。やっぱり二枚貝の水揚げをもって、きちっと話合いをすべきだと思います。  これについての受け止めをお伺いいたします。 77 ◯山浦有明海再生自然環境課長=有明海における漁獲量の回復の受け止めについて、今、差戻し審で争点になっている部分かと思いますけど、それについてお答えさせていただきます。  一方の当事者であります国側は、請求異議訴訟差戻し審において、エビ類の漁獲量が増えていることを捉えまして、主な対象魚種の漁獲量は増加傾向に転じていると主張しているところでございます。  その主張の詳細については、諫早湾近傍部の有明海漁協大浦支所と長崎県の島原漁協、長崎県の有明漁協の五つの共同漁業権の対象魚種でありますコノシロやタイ類、スズキ類などの魚類及びエビ類、カニ類、イカ類等の漁獲量が、平成二十二年は千二百トンだったのに対しまして、平成二十八年には二千四百トン、平成二十九年には三千二百トンと増加傾向に転じているということであります。  一方、漁業者側は潮受け堤防締切り後、貝や魚がとれなくなり、坂口委員言われるとおり、今も漁業被害が続いていると主張されているところでございます。再生のシンボルであるタイラギは九年連続休業となっていますし、また、漁業者が水産資源の回復を実感するにはほど遠い状況と認識しておりまして、実際に農林水産統計年報によりますと、本県の有明海区のタイラギなどの貝類を含む漁獲量全体では、具体的に言いますと、平成二十二年が八千四百二十四トンに対しまして、平成二十八年が七千二十三トン、平成二十九年は四千九百四十一トンとなっておりまして、また、非常に厳しい貝類につきましては、平成二十二年が七千二百三十トンに対しまして、平成二十八年は千四百五十七トン、平成二十九年は四百七十五トンと、明らかに減少している状況となっております。  以上でございます。 78 ◯坂口委員=裁判所に配慮していただきたいのは、有明海の異変はどこで起きているか。私は海面ではなくて海底にあると思っています。  次に問二、有明海における貝類資源の回復について、(一)は資料の六と資料七、そして、さっき江口委員さんの質問に対して丁寧に答弁をされていますので、これも割愛。  (二)貝類資源の回復の取組についてですが、二枚貝の資源回復に向けてどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。 79 ◯中島水産課長=有明海における貝類資源の回復についての取組のうち、貝類資源回復の取組について御説明いたします。  貝類資源の回復に向けた取組としましては、タイラギ、アゲマキでは稚貝の生産、人工種苗の生産と、それを天然海域への放流によります母貝団地造成、これは放流した貝が親の貝となって、それがまた子供を産んで、生産サイクルが生まれてどんどん子孫を増やして資源量を増やしていくという、その母貝団地造成を進めております。特にタイラギについては昨年度初めて本県で生産しました、佐賀で生まれて佐賀で育った稚貝の放流を実施したところでございます。  サルボウですけれども、近年、稚貝を付着させる採苗器の材料となりますメダケというササの一種ですが、この入手が非常に難しくなってきたことから、漁業者の方がなかなか採苗器を立てる本数が減ってきておりました。ということで、県としましては令和元年度からメダケの安定供給体制を構築することに取り組んでおりまして、この取組により、漁場への採苗器の設置数は非常に増加はしております。気象とか海況の環境とかもございますが、今後のサルボウ資源の回復を期待しているところでございます。  県としては、今後とも漁協ですとか国、さらには、大学等の試験研究機関との連携も強化しまして、試験研究の進捗を図り、成果を出していくことで二枚貝類等の水産資源の回復を漁業者に実感していただけるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 80 ◯坂口委員=それでは、(三)のカキ礁の再生についてであります。  カキには水質浄化機能があると言われています。要は赤潮だ、貧酸素水塊だと謎な部分が多くある中で、なかなか海底の二枚貝が育たない。その象徴がタイラギにあると思っています。タイラギを再生させるためにタイラギを水揚げできるようになるまで、やっぱり小さな貝というか、カキとかサルボウを大々的に増やしていくということは私は効果があると思っています。その取組についてお伺いをいたします。 81 ◯山浦有明海再生自然環境課長=カキ礁の再生についてお答えいたします。  有明海特措法に基づき設置されている有明海・八代海等総合調査評価委員会では平成二十九年の三月の委員会報告におきまして、カキ礁再生の実証事業等が再生方策の事例として示されているところでございます。  先ほど坂口委員がおっしゃられたとおり、水質浄化機能、例えば、ノリの色落ちの原因でありますプランクトンとかも餌として食べてもらえるので、そういった面で水質浄化機能という面では非常に有効かと思っております。  現在、佐賀県の有明海沿岸域においては、海域環境の改善に向け、漁業者や市民活動組織によりますカキ礁造成の取組が進められていますが、その成果は定量的に評価されていない状況となっております。このため県は、カキ礁による海域改善効果を明らかにしますとともに、カキ礁の再生計画の策定を目標として有明海再生方策検討事業を令和元年度から五年間の計画で実施しているところでございます。  これまでの調査研究により明らかになったものとしましては、佐賀県の沿岸域のカキ礁の面積は昭和五十二年の調査では千八十五ヘクタールでございました。その後、カキ礁が堆積し、また、堆積したところに死殻も堆積するということで、また、そういうノリの支柱立ての障害になるという理由から撤去された経緯があります。平成十九年の調査では百六十一ヘクタールに減少しておりました。  今回の本事業による調査、令和元年度に行っておりますけれども、六百六十六ヘクタールのカキ礁を確認しております。これは十二年前の平成十九年の調査と比較しまして五百ヘクタール増加となっております。  また、カキ礁周辺の水質や生物の生息状況については、カキ礁の周辺では潮流が複雑になり海底の泥が巻き上げられること、カキ礁の中では泥干潟の中に比べてカニやエビ、ゴカイなどの底生生物が多数生息することなどが本事業により明らかになっております。  なお、本年度はカキが生きているのか死んでいるのかといったカキ礁の健全度の確認や、効率的な造成手法の検討を行う予定となっております。  最終的にはこうした知見を漁協等と造成適地等について意見交換を行いながら、カキ礁の再生計画として取りまとめてまいりたいと考えております。  以上でございます。 82 ◯坂口委員=時間が来ましたので、最後にいたしますけども、せっかく部長さんがお見えでございますので、古賀部長、御就任おめでとうございました。県民環境部長として、六月に知事に問うと言いましたけども、開門調査の本気度について部長の見解をお伺いしたいというのと、池田部長、魚介類がとれない状況が続いています。せっぱ詰まっています。この状況に対しての部長の見解。  そして、答弁を求めませんけども、進部長、今月末から陸上自衛隊の佐賀空港使用要請について地元の説明会があるということでございますので、地権者の皆さんたちが結論を出しやすい環境をつくっていくために、これまで以上に努力をしていただきたいことを御期待申し上げ、私の質問を終わります。 83 ◯古賀県民環境部長=有明海再生に対する思いということで私からちょっと答弁させていただきたいと思います。  有明海再生のためには、先ほど来からずっと申し上げておりますけれども、開門の話も出ておりましたけれども、開門調査を含む有明海の環境変化のための原因究明が必要という考えは私も持っておりまして、県もずっと持っておりますけれども、そういった思いについては国に粘り強く、このまま引き続き訴えていきたいと思っております。  私もこれまで漁業者の皆様といろいろ話す機会もございました。特に西南部地区の皆様は本当に貝類がとれなくなったという切実な声も聞いてきておりますので、それが諫早湾干拓が締め切られた後に非常に環境が変化して、特に大浦の漁協の皆さんについては非常にタイラギがとれなくなって、まさにタイラギは非常に伝統技術的なものがあるので、このままとれなくなると、その技術自体が廃れてしまう、途絶えてしまうというような、そういう声も聞いております。  ですので、そういった声も受けておりますので、そういったことも含めて有明海再生というのは必ず成し遂げなければいけないと思います。  そういった意味で、タイラギを含めて有明海の水産資源の回復というのはまさに待ったなしの状況だと思っておりますので、本当に有明海再生というのは県だけでもできませんし、漁協だけでもできませんし、国だけでもできないと思っておりますので、そういった有明海に関係する全ての皆様が協力し合って、一致団結して再生に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 84 ◯池田農林水産部長=私からも一言お答えを申し上げます。  先ほどまで水産課長が統計データを用いて説明しましたように、有明海再生のシンボルとなっておりますタイラギをはじめ、サルボウやアゲマキなどの二枚貝については厳しい状況が続いております。  県といたしましては、これまで取り組んできました漁場環境の改善や人工種苗の放流などを引き続き粘り強く行いまして、漁業者の皆様が実感できるような水産資源の回復にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 85 ◯土井委員長=これからフリー形式の質疑を行います。  質問のある委員の挙手をお願いし、こちらから指名の後、指名された委員は自席から質問をしてください。  それから、質問は多くの方が質疑していただけるよう簡潔明瞭にお願いをします。  それでは、質問のある方の挙手をお願いします。ございませんか。ありませんか。(「なし」と呼ぶ者あり)分かりました。  それでは、私のほうから一つだけ質問を行いたいと思います。  最近、漁業者の方から有明海の海流の方向が変わったという話がかなり出ておりますが、従来、反時計回りというのが大きな流れだったんですけれども、最近はそうとも言えないというようなことをよく聞きますが、そういった情報は県としてどうつかんであるのかということと、こういったことと有明海再生についてしっかり調査研究をどういう部署でどういう形で連携してやっておられるのかをお伺いします。 86 ◯中島水産課長=土井委員長からお話がありました潮流の変化等は、私ども水産課も、有明水産振興センターはじめ漁業者の方からお伺いしております。  県といたしましては、有明海の潮流の流れの基となります海底地形の調査、流れのシミュレーションなんかの調査を行いまして、抜本的なそういう物理的な調査も行って状況の把握を今しているところでございます。  やはり佐賀県の海域だけにこれはとどまらない問題でございますので、引き続きその点は国にも要望していきたいと思っています。
     以上でございます。 87 ◯土井委員長=ありがとうございました。よろしくお願いします。  それでは、これで質疑を終了しますが、よろしいですか。  なお、本日の委員会での質疑応答において、数字または字句の誤り、及び不適切な表現などがありました場合は、適宜、委員長の手元で精査の上、訂正などを行うことに御承認を願っておきます。  これをもちまして佐賀空港・有明海問題対策等特別委員会を閉会いたします。どうもお疲れさまでした。     午後一時二十九分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...