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令和3年2月定例会(第3日) 本文
令和3年2月定例会(第3日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2021-02-03
    令和3年2月定例会(第3日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 就 任 挨 拶 ◎議長(桃崎峰人君) おはようございます。開会に先立ちまして、警察本部長から人事異動に伴う挨拶の申出があっておりますので、これを受けることといたします。 2 ◎松下警察本部長=二月二十四日付で県警本部長に着任いたしました松下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。     ○ 開     議 3 ◎議長(桃崎峰人君) これより本日の会議を開きます。     ○ 報     告 4 ◎議長(桃崎峰人君) まず、諸般の報告を行います。  上程中の議案のうち、乙第一号議案、乙第三号議案、乙第九号議案及び乙第十一号議案につきまして、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの回答がありました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 人委第一一六四号 令和三年二月二十五日  佐賀県議会議長 桃崎 峰人 様                佐賀県人事委員会委員長 伊藤 正印    地方公務員法第五条第二項の規定に基づく意見について  令和三年二月十八日付け佐議第一八五三号で意見を求められた左記議案については、異議ありません。        記 乙第 一 号議案 佐賀県職員給与条例の一部を改正する条例(案) 乙第 三 号議案 佐賀県会計年度任用職員の報酬等に関する条例の一          部を改正する条例(案) 乙第 九 号議案 佐賀県公立学校職員特殊勤務手当及びへき地手当支
             給条例の一部を改正する条例(案) 乙第 十一号議案 佐賀県公立学校職員給与条例の一部を改正する条例          (案)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5 ◎議長(桃崎峰人君) 以上、御報告いたします。  日程によりまして、代表質問を開始いたします。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 6 ◎藤木卓一郎君(拍手)登壇=おはようございます。自民党会派の藤木でございます。  まず、山口知事の二期目、折り返し点になった令和二年度は新型コロナウイルス感染症の対応に、知事、執行部をはじめ、関係各位の献身的な御努力に対し、会派を代表して改めて感謝を申し上げたいと思います。  今日は全十六項目、おおむね県政は順調に推移いたしておりますが、やはり問題はあります。その中で、県民にとって関心の高い重要な政策課題を十六問質問させていただきます。  ここにおられる三十七人の県会議員をはじめ、県内外を問わず、関係者の多くが見ております。知事におかれましては、簡潔にして明瞭かつ前向きな答弁を期待しながら始めさせていただきます。それでは、よろしくお願いをいたします。  一項目め、知事の政治姿勢についてであります。  昨今の知事の議案をめぐる対応については、正直、大変違和感があります。知事一期目と違って、新しい事業や大規模な予算案がいきなり県議会に提出されることも多く、唐突感もありますし、多分に説明が不足していると感じております。  議案については、提案する知事だけでなく、議決機関である議会も共同して責任を負うものですから、知事はじめ執行部と県民の代表たる県議会とが問題意識を共有した上で議論、検討を重ねていかなければなりません。そのためにも、議会に対してはもっと時間の余裕を持って、丁寧な説明がなされるべきかと思っております。  具体例を申し上げれば、令和元年五月の県議会の構成を決める、そういった臨時議会において、唐突に副知事の選任議案の提出をされたことを記憶いたしております。  また、一昨年、令和元年十一月議会では、県政史上始まって以来のSAGAアリーナ建設に伴う六十五億円もの補正予算が提出されました。これについては、さすがに私どもも執行部に対し、議案に対し説明責任を果たすことなどを求める附帯決議を可決させていただきました。  さらには、議案ということではないものの、昨年の九月議会においては、国との積極的な協議を求める決議に至った九州新幹線西九州ルート問題なども、知事、執行部に対してもっと丁寧な説明を求める議会側の思いがその背景にあったと私は思っております。  最近でも、昨年十一月議会で否決された「誓いの鐘」の設置に係る予算議案もしかりであります。「誓いの鐘」の予算案が修正により削除された際には、知事はこれを淡々と受け入れ、それは議会の判断だから仕方がないといった反応であった割に、今年になってからもあの「誓いの鐘」の事業は今でもよい事業だと思っていると主張されております。  しかし、当時は、提案に至った知事の思いや事業の必要性について、知事はもとより、関係当局は、挙げて議員各位に説明を尽くし、理解を得ようという姿勢が必要だったと思っています。しかし、私にはその姿勢はほとんど感じられず、逆にこちらが戸惑うほどでありました。  知事は、常々議会に対して根回しをしないと言われています。また、全てをオープンにという知事の思いも、ある面理解できないわけではありませんが、現実には三十七名の議員は年齢も違えば育ってきた環境も違う。考え方も専門の方向性もまるで違います。議案に対する熟度は人それぞれに違います。議案審査、一般質問、委員会質疑という議論だけでは、やはり不十分な場合だってあります。会派があって、専門性を持つ者たちの意見がしっかり聞こえてくるから判断できるけれども、そうでなければよく分からないこと、分かっていないことには当然賛成はできないということになります。  そういった意味では、議決に参加する議員の意見や質問をしっかり聞いて、その上で丁寧な説明を尽くすことは、議案に込めた執行部の思いを実現していくためには当然のごとく必要なプロセスであります。それは根回しではありません。  また、もう一つ申し上げたいのは、副知事についてであります。  副知事の選任議案に対して、提出者は知事であっても同意したのは私たち議会であります。そういう意味では、知事と議会との間で多く議論を分かつような状況では、副知事が司令塔となって、直接、間接を問わず、事態の収拾に向けて説明を尽くし、調整機能としての役割をもっと果たすべきかと思います。  そして、最後になりますが、本県選出の国会議員との連携についてであります。  知事は、県内二十市町の首長と知事とでつくるGM21ミーティングの開催を通じて、各市町の首長との意思疎通には断然力を入れておられます。それはそれとして大いに結構なことなのですが、その一方で、国政の場で佐賀県勢の進展に大きな役割を果たしていただいている本県選出の国会議員との関係においては、他党の議員は知らず、我が党選出の国会議員とはほぼ意思の疎通がないように伺っております。  国策に絡む大きな案件も多く、また、多くの議案が我が党によって構成される政府の下支えで成り立っているのも事実であります。県勢進展に責任を負う国会議員と、国会議員のその思いや力をもっと県政に生かしていければ、県勢進展の大いなる力になろうかと思います。  知事がよく言われるオール佐賀という言葉でありますが、この議会をはじめ、世の中には知事の考えに沿わない案件や考えだって多数あります。しかし、そこはお互いの尊厳に配慮しながらも、胸襟を開いて十分に議論を尽くし、本当の意味でのオール佐賀を通じて、確かな県政を進めてほしいと願うばかりであります。  こうした問題意識の上に立って、知事の政治姿勢に関し、次の四点についてお伺いいたします。  一つ、令和三年度の県政運営の基本方針についてであります。  令和三年度は、引き続きコロナの状況を見据えながらの県政運営にならざるを得ないかも分かりません。こういった厳しい状況が続いているからこそ、人々に希望を与える県政運営への期待は大きいものと考えます。どのような考えで当初予算を編成したのかお伺いいたします。  二、知事と県議会との関係についてであります。  議案として提出する以上は、県民のためになるベストな案として練り上げられているはずであります。執行部として、議決されるよう説明を尽くすべきであります。そのためには、時間の制約がある議場での質問だけではなく、様々な機会を通じて、知事と議員各位が率直に意見を交わすことが何より重要ではないかと思います。  知事は、県議会、特に議員各位と今後どのように向き合いながら県政を進めていくつもりなのかお伺いいたします。  三、副知事の役割についてであります。  副知事の役割とは、執行部内部の調整機能と対外的な対応という重要な仕事を担っていると認識しておりますが、議会への対応についてはどのような認識をお持ちなのかお伺いします。  四、国会議員との関係についてであります。  県選出の国会議員との連携については、今後どのように対応されるおつもりなのかお伺いいたします。  次に、財政運営についてであります。  SAGAサンライズパークの整備につきましては、施設の耐用年数を五十年で見た場合、単純な試算ではありますが、施設整備費に五百四十億円が既にかかっております。指定管理料に毎年約五億円が必要であるため、五十年間で約二百五十億円、さらに将来の老朽化に伴う大規模改修費が約二百億円程度かかると想定した場合、全体として五十年で約一千億円かかることになります。これでは毎年二十億円の県費が五十年間失われたことになります。  これに対し、県議会をはじめ、このことを知る県民の多くが、佐賀県の財政規模からするとさすがに一千億円の支出はどうなのか、五十年といえども、一千億円の支出はどうだったのか、今後の佐賀県の財政は将来にわたって本当に大丈夫なのかと心配する向きも多数あります。  例えば、九州新幹線西九州ルート建設という一般的には大いに夢のある議論です。できる、できないという結論は議論の果てにあるものですから、自民党会派はもとより、議会全体も大いに議論すべきだと決議もいたしておりますが、それすらも、新幹線フル規格化の導入は今後の県の財政に極めて大きな影響を与えることになると主張され、議論は相変わらず低調なままであります。  SAGAサンライズパークの整備などの超大型投資がどれくらい佐賀県財政に負荷を与えたのか。これに加えて、新型コロナに伴う景気低迷や、いよいよ加速する社会保障費の増大等もあり、本県の今後の財政状況の見通しがどうなるのか、我々も少なからず心配をいたしております。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  県財政の今後の見通しについてであります。  現在の県財政状況はどのようになっているのか、そして、今後の見通しについて改めてお伺いいたします。  二、積極的な財政運営についてであります。  佐賀県が発展していくためには、財政の規律は何より大切です。しかし、萎縮し過ぎることもまた問題です。今の県内経済を見てみても、新型コロナウイルス感染症の影響により、県内の飲食業、観光業をはじめとした多くの企業が先の見通しも立たずに計り知れない打撃を受けております。  県内経済の早期回復を図り、県勢の発展につなげていくためにも、今後、本県にとって必要だと確信したことについては、しっかりと予算化を図る積極的な財政運営を行うべきだと思います。知事の所見をお伺いいたします。  次に三項目め、新型コロナウイルス対策について二点伺います。  一つ、ワクチン接種についてであります。  全国的に新型コロナウイルス感染症の先行きの見通しが立たない中で、期待されているのがワクチンであります。日本においても、昨年十二月に米国ファイザー社から承認申請が出され、今月十四日には厚生労働大臣が特例承認をし、その接種が始まったところであります。  県内においても、独立行政法人国立病院機構の三病院において先行接種が始まったと聞いており、これからワクチン接種に関して、ますます県民の関心が高まっていくことが予想されます。しかしその一方で、ワクチン接種に関するマスコミからの雑多な情報が洪水のように発信され続けており、正確な情報がきちんと県民に届いているのか大変危惧いたしております。  そこで、県民に対しては、厚生労働省から正式に発せられた正確な情報をマスコミなど様々な媒体を通じて、きちんと県民一人一人に届くように発信することが必要と考えておりますが、その点について知事のお考えをお伺いいたします。  二、商工業に対する支援についてであります。  先日、我が党、我が会派の政策責任者が商工団体の皆さんにヒアリングを実施されました。その報告によれば、コロナ禍において厳しい経営を余儀なくされている中小事業者に対して、先日、佐賀型中小事業者応援金が繰上げ採決という形で議決をいたしました。しかし、そうではあっても、事業者にとってはまだしばらくは厳しい状況が続くという認識は持っておられるということであります。  次に、事業資金の融資を受けた事業者の中には、もうそろそろ返済が始まってくる事業者もあろうかと思います。しかし、まだまだ返せる状況にはなく、厳しい状況にある事業者がこれからも事業を継続していけるよう、コロナ禍が収束するまでもうしばらく下支えしていく必要があるということでありました。  さらに、コロナ後を見据え、コロナによる社会変容を踏まえて、新たなビジネスへの転換の必要が迫られている事業者だってあります。しかし、そのような事業転換は、中小事業者には今の段階ではリスクも大きく、やはりちゅうちょせざるを得ません。そういう意味では、県においては事業者に寄り添いながら、このようなリスクを和らげていく取組もまた求められているということであります。  最後に、現在の国の雇用調整助成金の特例措置の支援がいつまでも受けられるわけではありませんし、単にお金を交付するということだけではなくて、売上げの増加にもつながるような事業者が自立して成長していけるような支援もあわせて行っていく必要があるということであります。  これら三点、我が会派及び商工団体の意向を紹介させていただきましたが、今後、商工業者の事業継続を支えながら、事業者が希望を持って前に進んでいくためにも、今後どのような施策を進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。  次に四項目め、九州新幹線西九州ルートについてであります。  九州新幹線西九州ルートについては、国土交通省鉄道局と佐賀県の間で、未整備区間である新鳥栖─武雄温泉間の整備方式について「幅広い協議」が行われております。  新鳥栖─武雄温泉間の整備については、これまでの経緯を踏まえながら、将来を見据え、様々な可能性を議論していくことは大変重要なことであります。そしてその際、県民の意思を代弁し、共同して県政を預かる県議会の意見を聞くことは何より重要なことであると思います。  そういった考えの下、昨年九月十七日に自由民主党佐賀支部連合会の留守会長以下代表役員会は、山口知事に対し、この件について要請書を手渡しました。この内容は、県民が幅広く議論できるように、国土交通省が提案した環境影響評価の実施に同意した上で、九州新幹線西九州ルート、新鳥栖─武雄温泉間について国土交通省としっかり協議をし、県としての方向性を見出すべきであるというものであります。  また、当議会においても同年九月三十日に、我が党県議団の提案により、環境影響評価の実施をはじめ、国土交通省との協議を積極的に進めるよう決議、採択したところでもあります。  そこで、次の三点についてお伺いします。  一つ、自民党佐賀県連からの要請書の受け止めについてであります。  議会での決議はもちろんでありますが、特にこの要請書は山口県政を支える佐賀県議会最大会派である自民党所属県議団二十五名をはじめ、所属国会議員五名を含む一万名の党員を有する自民党佐賀支部連合会からの要請であります。改めてこの要請書をどのように受け止めているのか、まずお伺いいたします。  環境影響評価の実施についてであります。  要請書では、県に対しては国土交通省が提案している環境影響評価の実施に同意するよう明確に求めておりますが、県はいまだに拒否し続けておられます。改めて申し上げますが、この環境影響評価の実施については、協議の末、どの整備方式に決まったにせよ、その中で最善の整備方式が決定したら、直ちに着工できるよう準備しておくこと、つまり整備に関する機会損失を発生させないための手段でしかありません。また、そのことは政府によって文書とともに明言されていることであります。  自民党からの要請を重く受け止めているのであれば、県は国が求める環境影響評価の実施を受け入れるべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  三、国土交通省との協議についてであります。  要請書では、国土交通省としっかり協議し、県としての方向性を見いだすようにと求めていますし、決議においては、国土交通省との協議を積極的に進めるようにと文言が記されております。しかし、現在でも向こうから提案があればお話をお伺いします程度の受け身の姿勢を貫かれており、この問題に答えを見いだすために積極的な姿勢は全く感じられません。  この決議や要請書が示すとおりに、知事以下執行部が相手方と膝を突き合わせて交渉ができるような環境をつくり、県側からも課題や条件を提示するなど、もっと積極的かつ能動的に協議をすべきだと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  次に五項目め、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてであります。  佐賀空港の自衛隊使用要請については、防衛省から佐賀県に対して要請があってから既に六年七カ月が経過いたしております。国防上の重要性や尖閣列島をはじめとする昨今の極めて厳しい安全保障環境に鑑みれば、一刻も早く防衛省の計画を実現させなければならないと思っております。  陸上自衛隊オスプレイをめぐっては、木更津駐屯地での暫定配備が決定し、その期間は五年以内を目標とされておりますが、実際には暫定配備の終了期限が令和七年七月九日ということであれば、あと四年と半年しかありません。その四年半の中でも、仮に測量や設計工事に三年、用地買収に一年を要するとすれば、実質協議ができる期間は、今季の漁期が終わり次の漁期が始まるまでの約半年しかないということであります。今季の漁期が明ければ、防衛省による地権者説明が行われることになっております。一義的には事業主体である防衛省が前面に立って努力されるとしても、県をはじめ、受け入れるべきとの決議を行った県議会、地元市議会も防衛省に最大限の協力をしていかなければなりません。  先月六日には、防衛省が佐賀空港に代わる候補地の選定に着手する方針であるとの観測気球が上がり、新聞報道がなされました。同日行われた加藤官房長官の記者会見では、この内容は否定されたものの、万が一にもこの協議が不調に終わる等の事態になれば、国と佐賀県の信頼関係の基盤を大きく毀損させることになると大変心配しているわけであります。  こうした状況下において、佐賀空港の自衛隊使用要請の対応について、今後、本県はどう取り組んでいくのか、知事の考えをお伺いいたします。  次に六項目め、玄海・有明海の水産業の振興についてであります。  まず、玄海においては、地球温暖化等を原因とした海域環境の変化による漁獲量の減少に加え、担い手の減少や燃油等の資材価格の高騰など、漁家経営は大変厳しい状況が続いております。  例えば、昨年の春から夏にかけて、イカの漁獲量が大幅に減少いたしており、その結果ははるばる福岡や東京から名物のイカのいきづくりを食べに呼子まで来てくれた観光客に対して、本日は大変残念ながら、イカの入荷がありませんという貼り紙には、本当にがっかりさせられているようであります。このような状況が続けば、本県が呼子町や関係者と一体となって築き上げ、磨き上げてきた呼子という観光地としての拠点を失いかねません。  また、漁獲量が減少し、市場に魚はいないにもかかわらず、新型コロナの影響による消費の減少で魚の価格が低迷し続けており、現在の漁家経営は例年にも増して厳しい状況になっております。私は漁獲量を増やし、安定的に市場に供給できれば、魚の価格も維持することができ、漁業者の収入も確保できるものと思います。そのためには、まず漁礁の設置による漁場環境の改善や、種苗放流によって水産資源を増やすことが何より肝要かと考えます。  一方、有明海におきましては、諫早湾干拓潮受け堤防の締切り以来、漁業者は海域環境が変化したと訴え続けています。特にその影響を大きく受けている漁船漁業では、タイラギの九年連続休漁など、特に二枚貝を中心として漁獲量が減少し続けております。  このようなことから、有明海沿岸の漁業者は、開門調査が必要であることへの確信は何ら変わるところではございませんが、実際上の事態の解決の一助として、調整池からの小まめな排水や排水ポンプの増設を強く要望されているわけであります。  現時点において有明海の環境変化の原因は特定されてはおりませんが、その原因が干拓事業という人為によってもたらされたものであれば、その問題の解決もまた人為によって図られるべきだと思います。  具体的に申し上げれば、現在、調整池からの小まめな排水は一定程度行われていると伺っており、それでも解消できぬ負荷があるならば、そこはポンプの増設という人為を尽くすしかありません。しかし、このポンプの増設については、国は裁判で開門しない前提の和解協議が進展すれば検討するとし、実現には至っておりません。  しかし、この国側の理屈は、確定判決から十年が経過しても開門が実現せず、再生も道半ばの状況で、国への不信感や将来への不安感を抱く漁業者のつらい気持ちを全く受け止めてはいません。  また、政府の理屈は、漁協や県は、国に排水ポンプを求める前に、原告漁業者に開門しない和解に応じるよう説得しなさいよと言っているように思えてならないのであります。  しかし、行政の判断に疑義を感じた場合、司法の判断を仰ぐ権利は個人であれ、法人であれ、誰もが等しく持っております。しかも、何人もこれを侵すことはできません。有明海のために排水ポンプの増設を切に願う漁業者の気持ちを利用し、裁判の当事者でもない漁協や県を巻き込むべきではありません。裁判とポンプの増設は切り離して考えるべきであり、県としても苦しむ漁業者の皆さんの要望が速やかにかなうように、もっと積極的な対応が必要かと私は思います。  長崎県側の災害防備、農地造成のための干拓事業の結果、佐賀県側に一方的に被害が生じているこの状況を見て、まさか長崎県も、困っている隣人を冷たく無視されることはないと信じております。  堤防の設置者である国や排水門の管理者である長崎県とよく協議をして、知恵を出し合い、共同して事態の解決に邁進していただきたいと思います。  知事におかれては、玄海にしろ、有明海にしろ、水産の振興等については、今までしっかりした夢のある強いメッセージを我々議会には発しておられない気がいたします。漁業者が将来にわたって安心して漁業を営めるよう、玄海、有明海の水産振興の取組をどのように進めていくのかお伺いいたします。  次に七項目め、エネルギー行政について二点伺います。  一点目、地球温暖化対策としてのエネルギー政策についてであります。  菅内閣では、二〇五〇年度までに温室効果ガスの排出を実質的にゼロとすることを目標として示されています。これを受け、二〇二一年度に改定が見込まれる国のエネルギー基本計画でも、この目標の達成に向けた具体的な取組が示されるものと考えております。  我が国で排出される温室効果ガスの約九割はエネルギー利用に由来する二酸化炭素ですから、政府は三十年後には二酸化炭素の排出をゼロにすると言われています。にわかに信じられない目標ではございますが、しかし、この二酸化炭素の排出を削減していく必要性は誰しもが理解しているところであります。  それでは、逆に言えば、二酸化炭素排出の九割を占めているエネルギー分野での取組をどうするかを決めることが最も重要な鍵になります。  しかし、我々の社会活動において、産業分野であれ、家庭分野であれ、我々が日常的に使用しているエネルギーはほぼCO2を排出する化石資源によって支えられているという実態があります。  その一方で、二〇一九年の千葉県内の台風被害での二週間の長期にわたって九十万戸の大停電が発生し、その結果、被災した人々の日常生活がどれだけ大きな混乱をしたかは私たちの記憶にもしっかり残っております。つまり、エネルギー政策の大原則は、エネルギー供給の安定性を維持していくことであります。  こうした中、県では本議会において「佐賀県新エネルギー・省エネルギー促進条例」の改正が提案されております。エネルギー政策の変更は私たちの暮らしにも大きな影響をもたらすもので、どのような考え方に基づき改正を行うのか、また、この改正を踏まえ、県として地球温暖化対策としてのエネルギー政策にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
     二つ目、玄海原子力発電所の安全対策についてであります。  九州電力の玄海原子力発電所では、昨年九月に発生した玄海三号機の仮設ケーブル火災をはじめ、この五年間で火災が三件発生いたしております。どんな大規模な工場であっても、五年間で三回の火事、火災事故は起こしません。家庭でもしかり。人生の途上で一度でも火事を起こすことは全く普通なことではありません。  幸いにも三件とも発電所の運転に影響を及ぼすものではなかったものの、そもそも玄海原子力発電所のような安全が最も重要な施設にあって、小規模とはいえ、火災が多発するようなことがあっていいわけがない。  九州電力ではそれぞれの火災の原因について、機器の不具合やヒューマンエラーなど特定し、再発防止策を行ったと説明されているようでございますが、こうした小さな火災の発生を許してしまう気の緩みというものが、九州電力やその関連会社の中に存在し、いつの日か大きな事故につながるのではないかと大変憂慮しております。人も会社も気は緩みます。しかし、誰しも緩むけども、火事を起こすまで気が緩むということはないはずであります。  そういった状況を踏まえて、県は直近の仮設ケーブル火災の発生を契機に、九州電力に対し発電所構内の作業の総点検を要請しました。点検した九州電力からは、明らかとなった課題の改善を行うといった報告を受けたと思いますが、今後、九州電力には緊張感を持ってしっかりと対応してもらわなければなりません。  九州電力による玄海原子力発電所の安全対策について、県としてどのような姿勢で挑んでいくのか、改めて所見をお伺いいたします。  次に八項目め、災害対策についてであります。  これまで河川や砂防施設、クリークなどの整備が着実に進められ、大いにその効果は発現されております。  しかし、今後、近年の激甚化した豪雨に対応するためには、政府が提唱する国土強靱化策とあわせて、既存の施設、例えばダムや圃場、クリーク、河川、海岸まで、ありとあらゆる施設がさらに連携を深化させ、対策の空白地帯が散見されないようにすることが何より重要であります。  しかし、実際には佐賀平野に無数にある集落内のクリークには現行の制度では手をつけられませんし、遊水地の整備もこれからの取組であります。  そして、何よりソフト対策としては、一部市町ではクリークの事前放流の取組は見られるものの、県内全域において、クリークやため池、水田等を防災にもっと積極的に役立てようという施策には残念ながら至っておりません。  このような施策の考え方を、現在、流域治水と申しますが、この流域治水という考え方にもっと目を向け、関係者で事業面及び運用面で連携すれば、より一層被害は軽減されるはずであります。  まず、防災に関しては関係機関の縦割りの考え方に固執せず、横串を刺すような組織を構築し、河川流域全体で協力、連携して被害軽減に取り組む必要があると考えております。  最後に、今年三月の下旬から待ちに待った本県独自の消防防災ヘリ「かちどき」の本格運用が開始されます。これによって本県の災害時の情報収集能力が大いに向上するものと期待しております。  そこで、地球温暖化の影響により、今後さらに激甚化、頻発化が予想される豪雨に対して、地域の安全・安心を確保していくために、県は災害対策にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に九項目め、文化行政についてであります。  山口知事は「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念に、暮らしの安全・安心や子育て、福祉、農業、商工業など、様々な分野において施策を進めると公約されております。  その中でも特に文化・スポーツの分野では、国スポ・全障スポ「SAGA2024」開催を契機としたSAGAサンライズパークの整備や、トップアスリートの育成とそれを通じたスポーツ・文化の裾野の拡大を図るSSP構想等、ハード、ソフト両面において情熱を傾けてスポーツ施策を進められていると県議会の誰しもが感じております。  一方、文化施策については、確かに「肥前さが幕末維新博覧会」が開催されたのは事実ですが、県内の老朽化した文化施設の整備等についてはいまだにその方向性が示されてはおりません。この問題が具体的に提起されて久しいのですが、いつの間にかうやむやになったままであります。  博物館・美術館に至っては耐震の補強すらされておりませんし、図書館は耐震補強がされたにすぎず、その手狭さや老朽ぶりは関係者に対し、殊のほか申し訳なく、気の毒にすら感じているわけであります。  そういった意味では、スポーツ分野に比べるまでもなく、ほかのどんな分野、施策より文化施策への取組は不十分だと感じております。  特に文化施策の中で文化財に目を向けると、本県には日本史上特筆すべき埋蔵文化財が多数あります。しかし、なぜかこれを保存展示する場が一つもありません。耐震補強であるとかないとかではなく、そもそもありません。他県では当然のごとく市町レベルですら設置されている埋蔵文化センターが、本県には一つもないのであります。  よく縄文時代とか弥生時代とか申しますが、弥生時代の長さは約六百年くらいだそうであります。その中でも日本最古の水田が発見された唐津市菜畑遺跡、日本で初めての青銅器生産が盛んに行われていたことを示す小城市土生遺跡や鳥栖市安永田遺跡などの遺跡は、我が国の弥生時代文化を研究する上で欠かせない歴史遺産と言っても過言ではありません。  そして、佐賀を代表する吉野ヶ里遺跡は、全国民が学習する、まさに弥生時代の全国で最も著名な遺跡であります。日本全史を通じて弥生時代といえばまさしく佐賀県であります。しかし、全国で最も著名な弥生時代の遺跡であるこの吉野ヶ里遺跡にすら埋蔵文化センターに相当する施設はありません。  私は、吉野ヶ里遺跡において出土した本物を見て、その意味するところを学び、すごさを感じるといった施設を設けるべきだと思います。  そういう意味では、「佐賀県総合計画二〇一九」に掲げられている「豊かな文化・歴史の継承と魅力発信」への取組が大いに不足している一例だと指摘させていただきます。  吉野ヶ里遺跡につきましては、現在、新たな大発見が期待される日吉神社境内地について公有化や発掘調査に向けた取組が行われていると伺っております。吉野ヶ里歴史公園が、今年、開園二十周年を迎える今、吉野ヶ里の文化財的な価値をさらに磨き上げ、その価値を発信し、魅力を向上させること、つまり、佐賀の魅力としての本物の財産であるこれらの文化財の保存と活用をより積極的に行っていくことが何より重要な施策だと思います。今後の文化財の保存活用についての知事の考えをお伺いいたします。  次に十項目め、「SAGA2024」を契機としたスポーツの振興についてであります。  県では、二〇二四年に佐賀県で開催される「SAGA2024国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会」での天皇杯獲得のため熱心に競技力の向上が図られています。  しかしながら、直近に開催された茨城国体では三十三位であり、二〇二四年に本当に天皇杯が獲得できるのかと心配いたしております。  大会が一年延期になったことで、これまで育成を進めてきたターゲットエイジの出場が厳しくなったことなども考えると、二〇二四年での天皇杯獲得に向けてさらなる競技力の向上のための努力が必要になってまいります。そして、SAGAスポーツピラミッド──SSP構想を掲げ、トップアスリートの育成を通じて、スポーツ文化の裾野の拡大を進めてまいりました。佐賀大会を終えても競技力向上の取組をレガシーとして残していただきたいと考えております。  また、「SAGA2024」のメイン会場であり、その後の本県のスポーツの拠点となるSAGAサンライズパークの整備が進められております。この整備は多額の投資を伴う世紀の大型プロジェクトであり、それに見合う地域への経済波及効果が十分に発揮されるよう、しっかりと対策を講じていかなければなりません。  昨年、工事に着手したSAGAアリーナについては、県外大手企業を代表とした建設共同企業体が受注しているためなのか、県内の企業がなかなか下請に参加できないとの声も聞こえてきております。まだまだ工事は序盤と伺っており、今後、県内の企業が多く関わっていくことを強く求めるとともに、我が会派としてもこれはしっかりと注視していきたいと考えております。  一方、SAGAサンライズパーク整備後の利活用による波及効果については、計画当初以降に懸念される大きな状況の変化が起きております。たまさか昨日、RKK熊本放送により、新型コロナの影響、熊本城ホール赤字補填に三度目の税金投入、総額三億四千百万円というニュースが飛び込んでまいりました。復興のシンボルとも呼ばれた熊本城ホールですが、感染の拡大で去年の四月以降メインホールの稼働率が二割以下で、予約のキャンセルはおよそ六百件と厳しい状況が続いているというものであります。そういう意味では、国民の中に新型コロナウイルス感染症により三密を避けるなど生活スタイルに大きな変化が生じているということがあります。  さらには、九州内でもSAGAアリーナと競合する施設が幾つも計画されていること等、想定外の問題が発生しております。こういった点についてもしっかりとした対応を求めていきたいと思います。  また、「SAGA2024」に向けて佐賀県のスポーツ全体が盛り上がっていくためには、県内で活躍するプロスポーツの存在も大変重要であります。特に歴史あるサガン鳥栖はなくてはならない存在でありますが、近年、大口スポンサーの撤退、コロナ禍による興行収入の減少と、今まさに経営危機から脱却できるかどうかの瀬戸際に立たされております。  折しも経済界などによる「サガン鳥栖AID」が立ち上がっている中で、経営を安定化させていくために、県としての支援が求められ、かつその在り方が厳しく問われています。  そこで、次の三点について伺います。  一つ目、「SAGA2024」を契機とした競技力の向上についてであります。  「SAGA2024」での天皇杯獲得はもとより大会後も佐賀にしっかりとその高い競技力が根づくよう、どのように取り組んでいくのかお伺いします。  二つ目、SAGAサンライズパークの利活用についてであります。  想定外の事態も起きておりますが、SAGAサンライズパークの完成後において、大型プロジェクトに見合う地域への波及効果を得るために、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  三、サガン鳥栖の支援についてであります。  県としては、一民間企業にもうこれ以上の経済的支援というわけにはなかなかいきません。県の人脈を通じて大口スポンサーを紹介したり、ほかにもサガン鳥栖と今までなじみの薄かった各市町との連携をアシストし、全県的な応援の機運を高めるなど、県民の理解が得られるよう、しっかりとチームを支援していくべきと考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に十一項目め、観光振興についてであります。  昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大により、県内観光関連産業は大きな痛手を受け、非常に厳しい状態にあると認識しております。国の「GoToトラベル」事業が開始されたことなどを受け、一時期は観光業も活気を取り戻し始めておりましたが、年末からの「GoToトラベル」事業の一時停止により再び人の移動も減り、県内観光関連産業は疲弊し、実際、無収入に近い状態にある事業者もいると聞き及んでおります。  だからといって、観光産業の今の状態をただ黙って見ているわけには絶対にまいりません。近い将来、新型コロナウイルスが落ち着き、経済が動き出す段階に来たとき、改めて観光客に訪れてもらえるよう、観光資源の磨き上げや地域イベント企画の支援にこれまで以上に積極的に取り組んでいくべきと考えます。  佐賀県は、特に今年は吉野ヶ里歴史公園が開園二十周年に当たりますし、武雄温泉駅や嬉野温泉駅をはじめとする新幹線西九州ルートの開業、そして、これと同じタイミングでデスティネーションキャンペーンも来年秋に開催されます。また、呼子のイカはもちろんですが、美しい砂浜と虹の松原が広がる白砂青松の風景をたたえる唐津は、その風光明媚な風景を楽しめる旅館やホテルも充実しており、観光客誘客の面で極めて有望だと確信します。県内市町や各地域の団体等と連携しながら、これら観光資源の発掘や磨き上げなどの受入れ体制の充実に取り組むことで、現在苦しんでいる多くの事業者の皆様方、近い将来に向かって大きな励みになるのではないかと考えております。  県ではこれまで、インバウンド観光客の誘致を含め、県内観光を支える様々な取組を行い、成果も多分に上がっておりました。知事におかれては、本県の観光振興をどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に十二項目め、福祉行政について二点伺います。  まず一点目は、高齢者や障害者を支える人材の確保についてであります。  急速に少子・高齢化が進む中、二〇二五年にいわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上となり、県全体五人に一人がいわゆる後期高齢者となると見込まれています。あと三年後であります。また、県内の令和元年度末の身体、知的、精神を合わせた障害者手帳保持者の数は約五万七千人となっており、特に精神障害者の手帳保持者は十年前に比べ、約二倍と大幅な増加を見せております。この七十五歳以上の後期高齢者の数は二〇三五年まで増加し続け、障害者も高齢化が進んでいる中、三年後の二〇二五年という近い将来における介護人材の不足は、これまでの推計によると、約六百人程度からさらに広がると予想されております。そして、障害者を支える人材についても、障害福祉サービス事業所の増加に伴い、より多くの人材が必要になることが見込まれており、これら人材の確保はまさしく待ったなしの状況であります。  そもそも高齢者福祉や障害者福祉といった分野は、利益を追求していく営利法人と違い、高齢者福祉であれば介護報酬、障害者福祉であれば障害福祉サービス等報酬という制度の中で経営されており、そこで働く人々の責任の重さに比べ、賃金面などの処遇や待遇で満足してもらうことは、現状では極めて厳しいと言わざるを得ません。そういう点でまさしく人を大切にする山口県政の方向性に沿うところであり、施設や事業所の将来に向けての報酬面での国の応援に加えて、県でも人材の確保や育成にしっかりと支援をしていく必要があろうかと思います。  重ねて申し上げますが、人間は誰しも必ず老いを迎えます。介護が必要な状態や障害を抱えた状態になります。しかし、そのような状態になったときでも、住み慣れたこの佐賀県やふるさとで安心して暮らしが続けられるかどうかは、ひとえにその暮らしを支える人材の確保や育成にかかっております。高齢者や障害者を支える人材の確保に向けた今後の取組について、知事の所見をお伺いいたします。  次に二つ目、暮らしの移動手段の確保についてであります。  公共交通機関が発達していない本県のお年寄りにとって、運転免許の返納はまさしくその後の暮らしの在り方に関わる重大な問題であります。ですから、なかなか運転免許を返納する決断ができず、結果として高齢者の交通事故が減らないということにつながってまいります。  そういう中にあって本県白石町では、乗り合いタクシーで自宅から白石町内の病院や役場など、指定の停留所までは一乗車三百円で移動できる制度を用意されていると伺っており、大変興味深い取組だと思っております。  また、障害者福祉からの観点で見た場合、特別支援学校に通う児童生徒の多くの保護者は、今なお学校への送迎等で苦労されており、その負担はまさしく少なくありません。現在、NPO法人等が自家用自動車を使用して個別輸送を行う福祉有償運送がございますが、こうした輸送サービスに参入する事業者が増えていけば、障害のある方の移動手段が充実するものと大いに期待をいたしております。  いずれにしても、超高齢化社会が進展する中で、免許返納者を含めた高齢者や障害者の皆さんが住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、福祉の観点を踏まえた、安価で使い勝手のよい暮らしの移動手段を新たに確保することが何より大切なことかと思います。こうした高齢者等の暮らしの移動手段の確保について、県ではどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に十三項目め、農林業の振興についてであります。  個人的なことではありますが、我が家は代々農家の家系で、額に汗して仕事に打ち込む両親の姿を見て育ちました。親の後を継ぎ、実際農業をやってみて、そのよさや大切さなどを肌で感じており、後世に残す大切な産業だと自負いたしております。  以前は、本議会も直接、間接を問わず、農業に縁のある議員ばかりでしたが、残念ながら、今は本当に数えるくらいしかおられません。本日は農家の代表として、そういう気持ちで質問をさせていただきたいと思っております。  農林業は生活に欠かせない食料や木材を安定供給する役割を果たしながら、美しい景観の形成や水源の涵養を行い、またそれを担う農村にあっては、日本古来からの伝統文化の継承など、日本社会を維持するための基盤的機能を有しております。またほかにも、先ほど災害対策の項で申しましたとおり、森林による土砂災害の防止や、水田やクリークの貯水機能の活用による水害の防止等にも重要な役目を果たしております。  そういった機能を担う農業を営むよさとは何かということなんですが、それは一口で言うと、家族と一緒に働き、人生を歩むということに尽きます。大切な家族とともに季節を感じ、その季節に合わせて働く。そして、収穫の喜びを家族とともに味わう。家族の絆は深まり、いつか大きくなった子供らがこれを手伝い、そして、次世代へと渡していく。子供らの世話をし、いつか子供らの世話になる。そして、信頼する地域の人々とともに暮らしていけることが農業をし、農村で生きるよさなんだろうと思います。  そういう意味で、私は県民の命や暮らしを支えるこの農林業をしっかり守り、その担い手や担い手を育む農村を守ることは今の時代に生きる私たちの大切な役目だと思っています。  そこで、最近の農林業を取り巻く情勢でございますが、これは本当に厳しい。機械をはじめとする生産資材の価格高騰や近年の異常気象などによる品質の低下、収量の落ち込みや、現在の感染症の拡大の影響を受けて農産物や林産物の消費の減退や価格の低下にさらされ、専業農家の生活は本当にぎりぎりのところであります。また、農村のほうでも農業に理解を示さない非農家も増え、春と秋の風物詩でありました野焼きは既になくなり、農薬散布なども周囲に対し本当に気兼ねする時代がやってまいりました。  先日、佐城地区の農業士の方々と意見交換をさせていただく機会を得ましたが、多くの方々から、我が家にとっても地域にとっても担い手をどう確保するかが現在の最大の課題との意見をいただいたところであります。実際、農業人口は平成二十二年の約二万八千人だったものが、十年後の今では約二万人と、この十年間で三割以上減少してまいりました。そのうち六十五歳未満の方は約七千人と四割にも満たない状況であります。つまりこのままでは近い将来、わずか七千人、かつての四分の一の人々の手によって、県土の山々、そしてこの広い佐賀平野を守っていく時代が到来することになる勘定であります。  私は農林業のすばらしさや大切さなどについて県民の皆さんにきちんと伝えていく。そして、次世代の立派な担い手を確保、育成して、農林業の持続的な発展を図っていく必要があると思い、知事は今後、農林業の振興にどう取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に十四項目め、社会資本の整備について二点伺います。  一点目は、広域幹線道路網の整備についてであります。  本県において広域幹線道路網の整備の目的は、一つは日常において地域資源を生かした産業の立地や活発な経済活動、観光の振興を飛躍的に促進するためであり、またもう一つは緊急時において救急搬送や災害発生時の避難、救援物資の輸送など、大きな役割が期待されるためであります。  そうした中、県では九州佐賀国際空港への重要なアクセス道路となる有明海沿岸道路や佐賀唐津道路をはじめ、西九州自動車道や国道四百九十八号伊万里─武雄間の整備が優先的に進められており、これは引き続き整備促進に努めていただくよう国土交通省とは緊密な調整方よろしくお願いいたします。  しかし、県南部地域のために有明海沿岸道路鹿島─諫早間や、国道四百九十八号鹿島─武雄間の地域高規格道路の整備計画がないことは明らかに問題だと思っております。長崎本線という鉄路が二年後、武雄、嬉野方面へ移管される結果、確かに新幹線開業効果に沸く武雄、嬉野地区の影になってしまいました。私はこの開業に合わせて、鹿島、太良地域に、地域高規格道路の建設について将来の見通しをはっきりと示すべきだと思います。  また、こうした広域幹線道路の整備を着実に進めていくためには十分な予算の確保も重要であります。しかしながら、今の県と国との関係を見てみると、予算の確保や関係機関との調整については大変危惧いたしているところであり、知事におかれましては市町と連携して国土交通省、特に九州地方整備局や財務省に対しても余念なく緊急性や必要性、協力の熟度を訴えていただき、予算の確保につなげていただきたいと考えています。  広域幹線道路網の整備と必要な予算の確保について、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。  二点目は、建設業の担い手確保についてであります。  建設業は道路や河川、建築物など、社会資本の整備や維持管理を担い、災害時には緊急対応や復旧活動など、地域を支える極めて重要な役割を担う産業であります。  しかしながら、ここ二十年の間、「コンクリートから人へ」という言葉が象徴するように、公共事業を頭から否定し、仕事を減らし、無理に競争させ、安く買いたたいてきた過去もあります。その結果、県内の建設業の就業者数は随分減ってまいりました。この業界の未来に展望を抱けなくなった若手技術者の離職か、受注減による単純なリストラであります。  細かな数字で恐縮ですが、平成七年度の五万八百八人をピークに、その二十年後の平成二十七年度には三万三千八百六十六人と、ピーク時の約六七%と減少しております。その三万三千八百六十六人の中で、五十五歳以上の割合が約三九%と非常に高い一方で、何と二十九歳以下はこの三万三千八百六十六人の中で約一一%です。他産業に比べてもはるかに高齢化が進行しているといった状況でございます。こうした状況では離職者が入職者を大きく上回り続け、近い将来、建設業を担う若手技術者等の人材不足はいよいよ深刻化してまいります。  このような中、政府においては「公共工事の品質確保の促進に関する法律」、建設業法及び「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」、いわゆる担い手三法が改正され、建設業界においても週休二日の確保をはじめとする大変有効な働き方改革が進められております。  こうした取組が特A規模の大きな建設業者だけではなくて、私たちの地域を支える県内B、C級の建設業者においても広く受け入れられ、結果として県内の建設業に従事しようとする若者が増えていく契機になればと願ってやみません。  私は、本県建設産業に従事する者たちにもっともっと敬意を払い、この産業を大事に育てていこう、守っていこうという強い思いがなければ恐らくうまくはいかないだろうと思います。県として建設業を支える担い手の確保にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に十五項目め、教育行政についてであります。  教育長にお伺いしたいことは幾つかあります。教育の重要な柱である学力についてであります。  全国学力・学習状況調査結果を見てみますと、調査開始以来、本県は今なお多くの教科で全国平均を超えない状況が続いております。この点をどう思っておられるのかということ。  次に、教育におけるICTの活用は、教育効果を高めるための有効な手段としてしっかり活用されているのかということ。  最後に、特別支援学校のスクールバスについては、平成二十七年に県議会で実施を求める請願を全会一致で採択いたしました。これを受けて平成二十九年から六校各一コースのスクールバスが運行されておりますが、例えば、うれしの特別支援学校には路線が武雄、北方方面しかなく、そもそも太良、鹿島方面には存在しません。本来、請願の趣旨に照らすならば、要望があれば増便すべきですし、もっと弾力的な運用があってしかるべきかと思います。また、そうすることで特別支援学校への通学支援がさらに充実をし、児童生徒への教育を受ける機会の保障につながっていくものと思います。  ここでは教育委員会に思う三つの点について述べさせていただきましたが、これらを踏まえて、今後、佐賀県の教育をどのように進め、どのように子供たちを育てていこうとされているのか、教育長の所見をお伺いいたします。  そして、最後になりますが、警察行政についてであります。  松下本部長におかれましては、代表質問とはいえ、着任早々での質問になりました。良好な治安は県民生活の基盤であり、県勢発展に欠かすことのできない重要な要素であります。本部長におかれてはいきなりの質問になりましたが、歯切れのいい答弁のほどよろしくお願いいたします。  県内の治安情勢を精査してみますと、刑法犯の認知件数は年々減少しているものの、高齢者などを狙った悪質、巧妙なニセ電話詐欺事件が依然として発生いたしており、また、高齢者が犠牲となる交通死亡事故の発生件数はいまだ高い水準で推移している状況であります。このような情勢の中で警察が果たすべき役割はますます大きくなっており、県民も佐賀県警察に大きな期待を寄せているところであります。  着任に当たって、県警察の最高責任者である松下本部長には県民の安全で安心な暮らしを守るため、これまでの経験を踏まえて、そのリーダーシップを大いに発揮していただきたいと思います。  本部長に対し、着任に当たっての所見をお伺いいたします。  以上、十六項目であります。県民に関心の高い十六項目であります。より簡潔で明確な答弁のほどよろしくお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  御清聴いただき誠にありがとうございました。(拍手) 7 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。藤木卓一郎議員の御質問にお答えいたします。  まず、答弁に入ります前に、新型コロナウイルス感染症の県内の状況について簡単に申し上げたいと思います。  年明けから感染が拡大し、医療現場の逼迫が懸念される事態となりましたが、県民の皆様方、皆さんの努力で厳しい局面は脱することができました。一月二十七日からは新たな感染確認が一桁に落ち着き、二月十四日には五十六日ぶりにゼロとなりました。その後、二月十八日までは五日間連続で感染者ゼロが続きました。しかし、十九日に一人の感染が確認されて以降、八人、八人、五人、十一人、四人、そして、昨日は十二人と続いております。  その主な要因となっておりますのは、複数の店に感染が広がりましたカラオケ喫茶でございます。マスクを取る場面がありますカラオケ喫茶は感染のリスクが高うございます。そして、高齢者の御利用が多いことも心配しております。さらにそこから、家族や職場に感染を広げてしまうことにも御留意いただきたいと思います。  これからも感染の確認はあると思いますけれども、一つ一つ丁寧に対応し、感染拡大の防止を図っていきたいと思います。引き続き県民の皆様方の御協力をお願いいたします。
     それでは、藤木議員の御質問にお答えいたします。  まず、令和三年度の県政運営の基本方針についてですが、編成の考え方についてです。  コロナ禍で社会全体が厳しい状況にある中、県議会の皆様からの声をはじめ、私自身も県内各地に足を運び、町中にも出まして、様々な機会を通じて県民の皆様の声をお聞きしてまいりました。  予算編成に当たりましては、そうした御意見を踏まえながら、現場で起きていることに目を向けて、効果的な施策となるように内容や実施時期について検討を重ねてまいりました。  今回につきましては、二月補正と当初予算をあわせて全体を一つとしてコロナ対策を第一に考えた予算でございます。その上で、今打つべき施策、未来を見据えた施策を盛り込みました。  具体的に、簡単に申しますと、コロナ対策につきましては医療、介護、保育の現場などへの佐賀型エール支援金、そして、佐賀型中小事業者応援金、「プロジェクトM」による医療現場を支える取組などでございます。  さらに、佐賀の医療を担う医師の育成、定着を支援する「SAGA Doctor─Sプロジェクト」ですとか、相談アプリ「mamari」を活用して市町の保健師とつなぐことによる妊娠期から就学前までの一貫したサポートなどを行う、現場の状況の改善を今打つべきだと考えた施策がございます。  さらに、未来を見据えた施策といたしましては、例えば高校の産業教育設備を一新する事業だったり、企業のDX化を支援する事業などがございます。  さらに、佐賀の本質的な価値を未来につなぐものといたしましては、長崎本線沿線を楽しむ仕掛けづくりでありますとか、唐津プロジェクトですとか、「OPEN─AIR佐賀」、移住促進施策、「プロジェクト65」など、タイムリーな施策を具現化していると考えてございます。  コロナもありまして、社会が大きく変化している今、企画力、構想力、創造力、そして、団結力を持って未来のための布石を打ちまして、県政を前に進めていきたいと思います。  続きまして、知事と県議会との関係についてるる御質問をいただきました。特に、「誓いの鐘」についても御指摘をいただきました。  「誓いの鐘」を設置する予算につきましては、私自身、チームとともに日々コロナ対応に当たってきた中で、誹謗中傷があるということをつぶさに聞いてきたからこそ発案された事業でございます。  差別されることは大変つらく、心に大きな傷を残してしまいます。かつてハンセン病に対する誤った認識から、佐賀県でも患者である県民を差別し、熊本へ送ってしまった過去があります。この恵楓園にある鐘に込められた意味を知っているから、その贖罪と二度と同じ過ちを繰り返さないという思いを、県民の皆様と共有したいと考えたものでございます。  そして、それはコロナが収束した後ではなくて、今まさに誹謗中傷で苦しんでいる状況を少しでも抑えることができないか、そして、子供たちも毎日マスクをするなど、例年とは全く違う生活を強いられている今だからこそ、将来にわたって誹謗中傷しないということを考えるきっかけになるのではないか、少しでも人に優しい心温まる佐賀となるのではないかと考えた次第でございます。  その後、知事会で誹謗中傷の問題が大いに議論になるなど、全国的にも大きな問題となりました。県内でもクラスターが発生した高校の生徒に対してまで誹謗中傷が起こったことは、本当に悲しいことであります。「誓いの鐘」への思いは、昨年十一月議会の冒頭、提案事項説明の中で力を込めて説明させていただいたつもりです。一般質問でも繰り返し真剣に答弁させていただきました。その後の委員会などでも担当部局から説明を重ねてきたと聞いております。  そうした議論を経た中で、なぜ今設置しなければならないのかなどの御意見がありました。議会の意思として、今ではないと判断されたと私は感じました。私としては、大変残念な思いではありましたけれども、まさに県議会は県民の代表であります。県民の代表である議会の判断に敬意を表して、その結果を尊重してございます。  県政課題につきましては、議場をはじめ様々な場で議員の皆様の御意見をお聞きしております。そして、これからもそれは続けていきたいと思います。幅広く様々な施策、事業に反映させていただきたいと思います。  知事と県議会は、それぞれの立場で県民の幸せのために議論を重ねながら施策を磨いていく存在だと思います。だからこそ、開かれた場でありますこの議場を何よりも大切に思っています。提案事項説明にも、県政課題への対応、事業を進めるための予算への思いを込めております。また、議場での答弁では、議員の疑問や御指摘に対して正面から分かりやすく私の考えがよりお伝えできますように心がけております。  今後とも引き続き、県民の代表であります県議会に私の思いを丁寧に伝えることを大切にしながら、県議会とのチェック・アンド・バランスの中で県全体の振興、県民の幸せのための県政を進めていきたいと思います。  続きまして、副知事の役割についてお話がございました。  副知事という仕事は、知事の命を受けて、政策・企画をつかさどる特別職でございます。坂本副知事、小林副知事のお二人には山口県政が掲げる目標の実現のために、それぞれの知識や経験を基に政策的な判断をしていただいてございます。議会の皆さんへの対応を含めて、特別職として県政全般に目を配り、大局的な見地に立ちまして自ら判断していただいているものと認識しています。  県選出国会議員との連携についてお話がございました。  私は、知事は、県政の執行責任者でございます。そして、国会議員の皆さんは国政全般に責任を負う国民の代表としておられます。それぞれ、その立場というものも違いますから、政治姿勢、それから考え方というのは、それぞれ異なっていくこともあると思います。全てが一致することはありませんし、私はどちらが上、下ということはないと思います。  私はひたすら県民のことを考えて走り回っています。そして、とても大切にしていることは、真っすぐに仕事をしていくこと、それが佐賀県のためにもなるし、ひいてはこの国のためになると確信しています。  国政課題を多く抱えている佐賀県でございます。それぞれについて県民の中でも様々な御意見があって、割れているものも多うございます。常に常に連携というわけにはいきませんけれども、佐賀県を大切に思う、大事にする思いは同じだと思います。方向性が一致しているものにつきましては、当然連携させていただきたいと思います。  続きまして、県財政運営につきましてお尋ねがございました。  県の財政を運営するに当たりましては、将来必要な基金の残高が確保されているのか、将来の公債費がどのように推移していくのか、県債残高が標準財政規模の何倍になっているのかなどなど、多角的にシミュレーションを実施しておりまして、結果、これまでの試算と同様に健全性が保持可能だというふうになってございます。  さらに当初予算、二月補正予算についての考え方ですが、令和三年度当初予算におきましては税収の減少が見込まれているところでありますけれども、コロナの影響を受けている県内経済の早期回復を図らなければいけません。国庫補助金、交付金、基金を活用するなど財政的工夫を施した結果、ソフト・ハードともに基本的に昨年度水準を確保する予算ができたと思います。  特に、社会資本整備に係る予算については、政策提案を重ねたこともありまして、国の三次補正による経済対策を活用した二月補正予算を合わせますと、全体で令和二年度当初予算の約一・三倍を確保することができました。  そして、戦略的な財政運営も大切でございます。効果的なタイミングを打って施策を打っていく。例えばこれまででいいますと、有田焼の四百年事業をタイムリーに打っていくとか、藤木議員からお話もいただきました、明治維新百五十年というタイミングでの維新博、こういったものも実施した。そして、いよいよ国スポ・全障スポ、初回として佐賀県の順番が回ってくるというタイミングが合ったので、SSP構想というものをさらに推進していくためにサンライズパークもこの機にやるのがいいんではないかということを考えたわけであります。  そういった形でタイムリーな施策を打っていくことも大事ですし、時代の趨勢を見通しながら、将来を見据えた取組も大切だと思っています。例えば、山や中山間地を大切にするという取組の自発の地域づくり、それから、少子化の中で「子育てし大県」という大きな方向性を示したり、稼げる農業の中で888事業をやると、そういったことが大切なんだろうと思っております。  コロナに注力することをまず第一義に考えながら、社会のありようの変化に合わせて、そして、先手を取って、即効性のある対応、未来を見据えた布石を打つことが大事だと思います。そして、その中であれかこれかというめり張りをつけることも重要でございます。  事業規模や費用対効果に留意しつつ、世界や未来を見据えた戦略に基づき、時期を逃さず、必要な事業を展開していく所存でございます。  続きまして、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種についてお答え申し上げます。  新型コロナウイルス感染症ワクチン接種につきましては、県内においても今月二十二日からNHOの三病院で開始したところです。  国が示した新たなスケジュールでは、来月上旬から医療従事者などへの優先接種が行われ、県民の皆様には四月十二日からまずは六十五歳以上の高齢者に接種が行われると話を伺っております。  県におきましては、現在、医療従事者等への優先接種の接種医療機関の選定などの体制整備、そして、専門的相談体制の整備について、市町や医師会などと連携して準備を進めています。  今回のワクチン接種におきましては、ワクチンを接種するかどうかは、最終的には県民自らの意思で決定していただくものでありまして、議員から御指摘がありましたとおり、県民に正確な情報を提供していくことというのは大変重要なこととなります。  しかしながら、今、主導しております国においては、ワクチンの確保が難しいと。なかなか確実なスケジュールを示すことはできないと承っています。  ファイザー社の供給体制ですとか、EUの輸出規制の影響を受けておるようでございまして、恐らく国内でのワクチン供給は五月雨的になっていくのではないかというふうに分析しています。ですので、医療従事者への優先接種と高齢者への接種が同時並行となる可能性が高いと認識していまして、本当に接種がスムーズに進むのか懸念を感じています。  私としましては、医療従事者にまず接種をしっかりやってもらいたいなという気持ちがあるわけであります。そういったことも踏まえて、様々国にも提言を申し上げていきたいと思います。  県におきましては、今後、国から示される接種時期に関する情報や安全性や有効性の情報、医療従事者への先行接種における副反応の情報などについて、ホームページや県民だよりだけではなくて、新聞などの広報媒体を活用した広報、情報提供に努めますとともに、副反応などの専門的な相談を受けるコールセンターを設置し、県民の皆様方にできる限り正確な情報をお伝えするように努力をしていきたいと思います。  続きまして、商工業に対する支援についてお答え申し上げます。  これまで、私自身も様々な現場で事業者の声をお聞きしておりまして、大変おつらい状態であります。事業者に少しでも前を向いてもらいたいという思いで、先手先手で支援を実施してまいりました。  まず、昨年三月に事業の継続と雇用の維持を第一に考えまして、全国に先駆けて、三年間無利子、保証料負担なしというコロナ対策資金を創設させていただきました。  さらに昨年の五月には、店舗ごとに交付する「佐賀型 店舗休業支援金」ですとか、国の持続化給付金の対象とならない創業者などを支援する佐賀型チャレンジ事業者持続化支援金など本県独自の支援を実施してございます。  さらに、事業者が感染防止対策を行いながら新たな業態にチャレンジするための支援ですとか、歩道を活用した「SAGAナイトテラスチャレンジ」ですとか、佐賀の伝統産業の事業者への支援なども実施してまいりました。  そのような対応をしてまいったわけですけれども、九月以降、県内の感染は比較的落ち着いておりました。ところが、御案内のとおり、今年になって感染者数が拡大してまいりました。  一月になりまして、いろんなことを考えました。  飲食店への時短要請協力金に活用できる国の財源があることも分かったので、それを国に確認したところ、国から追加で交付金がいただけるという話も確認できたということなので、飲食店の皆さん方には厳しい要請となるなとは思いましたけれども、なかなかお客さんが来ていただけないという話も聞いていたので、そして、感染の状況がステージ4にいくリスクというものも考え合わせますと、この際、この段階で感染拡大を一気に抑え込んでいこうということで、県民の皆さん方、そして、事業者の皆さん方には時短要請を決断してお願いをしました。  結果的に非常警戒措置後は県内での感染確認は徐々に減少して、いわゆる医療現場というところに関して特に危惧を持っていたので、それに関しては厳しい局面を早期に脱することができました。本当にチーム佐賀、オール佐賀、すばらしいなと思っております。  さらに、飲食店への時短要請をしましたけれども、その対象にならない仕入れの皆さん方などなど、様々厳しい経営を余儀なくされている皆様方には応援金を創設させていただきました。  これからもどういう状況になるか見えないわけでありますけれども、現場を大切に、その時々の状況に応じて何が必要かを考え、果敢に実行していきたいと思います。  そして、自立して前を向いて進む事業者を、商工団体をはじめとした支援機関と一丸となりまして、きめ細かに支援させていただきたいと思います。  さらに現在、人口減少、グローバル化、AI、IoTをはじめとする新しい技術の進展によって、社会経済情勢は大きく変化しております。そこに加えて、今回のコロナ禍によりまして、消費行動、さらに企業活動は一気に変化をしております。  こうした先が見えない状況であればこそ、想像力を働かせ、佐賀県産業の未来のために布石を打っていくということが必要であります。  そして、今ある企業が成長し、新しい企業や産業が生まれ、佐賀で働きたいと思う皆さんが増え、企業を支える人材が育ち、さらには産業が発展するという好循環を生み出していきたいと思います。  そうした考えの下で、四本柱で産業振興に取り組んでいきたいと思います。  まずは一つ目として、産業を支える人材の確保であります。  高校生、大学生などの若者が佐賀で働きたい、夢をかなえていけるように強力に後押しをしていこうということで、高校生の県内就職に「プロジェクト65」と銘打ちまして、教育委員会とも連携して取り組んでおります。  今年の一月末時点での県内就職割合は六五・八%ということですので、六五を超え、目標達成が期待できるんではないかと思っています。  二つ目は、イノベーションを起こすことであります。  やはり新たな分野へのチャレンジも必要であります。新たな技術を取り入れて、事業を変革していくことにも積極的に支援していきたいと考えまして、今年四月から佐賀県地域産業支援センターを佐賀県産業イノベーションセンターというふうに名前を変更したいと思っております。  これは、これまでの地場の取組の支援というものももちろん大切にするんですが、それに加えて成長性の高い企業を創業していただいたり、新たな取組への挑戦をするなど、世界を視野に変革、飛躍する企業を支援していこうということでございます。  三つ目は、全国、世界に売り込んでいこうということでありまして、コロナの今だからこそ、佐賀県が持つ本質的な価値に光を当てて、県産品を磨き上げて、全国、世界へ売り込んでいきたいと思います。「SAGAマリアージュ」のプロジェクトなどは、まさにそうしたものの一環であります。  四番目に、産業の活力を未来につなぐということでありまして、企業のリモートワークは一気に進んでおります。そして、地方移住、地方に拠点を持つ流れも出てきておりますので、県内でも、例えば、旅館の客室を改装したオフィスにデジタルプロモーション企業が進出したりもしております。こういったところを後押ししたり、県自体も企業のお試し拠点移住みたいな形を支援していくと、そういったこともしながら、本県の成長を牽引する企業というものも積極的に誘致してまいりたいと思います。  好循環による本県産業の発展を目指しまして、それぞれの事業者の皆さん方がコロナ禍を乗り越えるとともに、コロナの収束が見えた途端に一気に反転攻勢がかけられないか、全力で取り組んでいきたいと思います。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについてお答え申し上げます。  まず、要請書の受け止めと環境影響評価の実施の受入れについてお答え申し上げます。  昨年九月の自民党県連さんからの要請書の内容は、国土交通省としっかりと協議して、その上で県としての方向性を見いだすことというものであるというふうに理解しています。  私も、この問題は佐賀県の将来に大きな影響を及ぼすものと考えておりますので、要請書をいただく際にも、佐賀県と県民の今と将来をひたすら考えて対応していきたいと思うと申し上げさせていただきました。  ただ、鉄道局と協議を行う前提として環境アセスの実施に同意すべきとされていることについて申し上げさせていただきますと、今回の環境アセスの提案は、実質的に佐賀駅を通るルートと限定した上でのフル規格のためのものであると言わざるを得ないと思っておりますので、それを受け入れることはできないと考えています。  具体的に申し上げますと、今回の環境アセスはスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式、ミニ新幹線、フル規格の全てに対応できるもので、北陸新幹線の敦賀─新大阪間の財源確保の議論に間に合わせるために必要という説明でございました。  しかしながら、法令上の環境アセスが必要なのはミニ新幹線とフル規格だけでありまして、財源確保の議論に間に合うのは佐賀駅を通るルートのフル規格の場合だけであるということは、鉄道局との協議などで改めて明らかになったわけでございます。  佐賀駅を通るルートに決め打ちしたようなフル規格についての環境アセスを受け入れることはあり得ませんし、佐賀県が佐賀駅を通るルートに決めたと誤ったメッセージを伝えることになります。  こうした佐賀県としての考え方、今回の提案を受け入れられないことについては、既に鉄道局へ回答済みでございます。  続きまして、国交省との協議についてお尋ねがございました。  昨年六月に鉄道局との協議に入り、これまで三回協議を行ったところであります。  その中で、フリーゲージトレインの実現を含めて幅広く協議すること、フル規格について協議する場合は佐賀駅を通るアセスルートのみならず、他のルートも含めてゼロベースから幅広く協議していくことを鉄道局に伝えてございます。  今後、フル規格についても協議する場面があると考えておりますけれども、再三申し上げているとおり、フル規格は在来線の在り方や莫大な建設費負担、ルート、地域振興など様々な難しい問題が複合的に横たわっております。ルート一つを取りましても、佐賀空港を通るルートですとか、佐賀市の北部を通るルートなど様々な考え方がありますので、過去の延長線上で長崎県やJR九州などが言うような佐賀駅を通るルートのフル規格だけの議論をするんではなくて、幅広く議論する必要があると考えております。  改めて申し上げますと、新鳥栖─武雄温泉間の在り方についてはこれまで議論したことがなく、在来線を利用することしか合意しておりません。フル規格は佐賀県の将来に大きく影響することでありますので、長期的な視点、グローバルな視野を持って幅広く議論する必要があると思います。そして、そういう大きな視点の中で佐賀県の将来の在り方、構想を考えることは価値のあることだと思います。  鉄道局とは、様々な可能性について、幅広く、骨太に協議してまいります。  続きまして、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてお答え申し上げます。  国防は、国土、国民の生命、財産を守るという国の根幹に関わることです。そして、そのために国防にどう取り組んでいくかは、国で議論されるべき課題だと思います。  そうした中、今回の要請は国防を担う防衛省におきまして、オスプレイの必要性、配備先、その運用など、議論、検討がなされた上で行われたものと認識しています。  要請に対して、私は、国防の負担は国全体で分かち合う、分担すべきとの思いから真摯に向き合ってまいりました。それでも県民の安全・安心に関わる重要な課題でありましたので、様々な観点から三年半にわたる検討を行って、県議会での議論や決議も踏まえまして、平成三十年八月に受入れの判断を行ったわけでございます。  これまで有明海漁協を複数回訪問して、公害防止協定覚書付属資料の変更について協議を申し入れてきたところであり、昨年七月には就任直後の西久保組合長を訪問して、今回の防衛省からの要請は国防に関するものであって、要請を受け入れていただきたいと改めて申入れを行いました。  その際、西久保組合長からは、検討委員会などの場で皆で協議していきたいとの話がありまして、昨年九月には、有明海漁協として地権者の意向を確認した上で、公害防止協定覚書付属資料の変更について判断すると決定されました。そのために、今季のノリ漁期明けに行われます予定の地権者説明は極めて大切なものになると認識しています。  先月六日に行われた加藤官房長官の記者会見におきまして、陸上自衛隊オスプレイの配備計画に関し、「恒久的な配備先として佐賀空港が最適だというこれまでの考え方に変更はなく」、「陸自オスプレイの佐賀空港への配備計画が実現できるよう、防衛省において努めていく」との発言がありました。  防衛省におかれましては、事業主体として強い責任を持って地権者に対して真摯に向き合い、しっかりと国防上の必要性、重要性について、誠意を持って説明していただきたいと思います。  県としては、防衛省による地権者説明が円滑に行われるとともに、有明海漁協内での議論が進むように引き続き調整していきたいと思います。  続きまして、玄海、有明海、二つの海の水産業の振興についてお答え申し上げます。  本県は、北に外海で対馬暖流域にあります玄海、南に内湾で潮の満ち引きが大きい有明海という、海域特性が大きく異なる二つの海を有しています。  この二つの海では、それぞれの特性を生かした漁業が展開されておりますけれども、いずれも漁場環境の変化によりまして漁獲量が減少するなど厳しい状況が続いております。水産資源の回復が喫緊の課題と認識しています。  まず、玄海地区についてですが、沿岸域では海藻が繁茂する藻場が、魚介類の産卵場や隠れ家となりまして、資源回復を図る上で重要であります。魚礁等の設置による藻場の造成に取り組んできております。広く磯焼けをしているという話はよく承っております。  さらに、沖合域では来年度からイカ釣りをはじめとしてマダイをとる五智網などの主要漁場に魚礁等を設置して、餌となります小魚が集まる場を造成することで水産資源の維持回復に努めたいと思っています。  また、種苗放流につきましては、イカ類の場合は環境変化に弱くて生残率が低いこと、餌代に相当なコストがかかりますので、全国的にも実施されていないわけでありますけれども、ヒラメやアカウニ、ナマコなどの種苗放流はこれまでも継続して取り組んできております。  このような資源回復の取組に加えて、イカ釣りなどの漁船漁業については、ICTを活用して数日後までの海況や良好な漁場を正確に予想することが可能となるスマート漁業の実証試験を本年度から実施しています。さらに来年度からは県民の皆様にまだまだ知られていない「唐津ん魚」の品質、鮮度の良さといった魅力をしっかりとアピールして、ファンを増やすことによりまして、需要拡大を図り、漁家経営の改善につなげていきたいと考えています。  一方、有明海地区においても水産資源の回復は待ったなしです。例えば、再生のシンボルでありますタイラギにつきましては、国、有明海沿岸の三県と連携を図りながら、稚貝の生産と放流によります母貝団地の造成を進めますとともに、海底耕うんなどの漁場環境の整備にも取り組んでいます。  稚貝の生産につきましては、取組開始から三年目でようやく放流可能な五センチの大きさまで育成することに成功いたしまして、昨年十二月には佐賀生まれ佐賀育ちの稚貝を初めて放流することができました。
     引き続き漁場環境の改善や種苗放流などに取り組み、タイラギをはじめとする二枚貝類の一日も早い資源の復活につなげたいと思います。  ノリ養殖につきましては、今漁期も冷凍網期の早い段階から西南部の漁場をはじめ広い範囲で赤潮等による色落ち被害が見られております。今後とも、大学や漁協と連携して、赤潮の発生拡大予測技術の開発や、その成果を用いた適切な養殖指導を行うことなどによりまして、生産の安定につなげてまいります。  また、漁業者が、調整池からの排水が、赤潮、そして貧酸素水塊の発生原因になっているんではないかと懸念されていることは私も十分承知しています。できるだけ自然に近い形できれいな水を排水してほしいわけでありまして、これまでも漁業者の皆さん方は小まめな排水の確実な実施ですとか、排水ポンプの増設を国に要望しております。昨年の野上大臣の意見交換の際にも直接要望されておりました。  漁業者のそうした不安感、海域環境に対する不安感を払拭するためにも、県としてはこうした要望がかなうように小まめな排水の確実な実施、そして、排水ポンプの増設をこれまでも国に対して申し入れてまいりました。その結果、小まめな排水は実施いただいているということだと思います。ところが、排水ポンプの増設は残念ながら実現していないのが現状です。国には漁業者の気持ちを受け止めて、少しでも不安を解消し、将来に希望を持てるような対応をしていただきたいと思います。  県としても、これからあらゆる機会を捉えて、漁業者の皆さんが要望されております小まめな排水の確実な実施が今後ともしっかりとなされることと、排水ポンプの増設について国に求めていきたいと思います。  そして、二つの海共通なんですが、やはりここでも深刻になっているのは担い手不足の問題です。漁業体験だとか、就業研修の実施ですとか、漁業資材の購入費に対する助成ですとか、さらに、釣りの人が漁業者になりやすいという情報もあったので、ユーチューブを活用して情報発信したり、できる限り新規就業者が確保できるように努めてございます。  この二つの海で連綿と受け継がれて沿岸地域の主要な産業となっております佐賀県の漁業が未来へとしっかりとつながっていきますように、今後とも水産業の振興に全力で取り組んでまいります。  続きまして、エネルギー行政につきまして、地球温暖化対策としてのエネルギー政策についてお尋ねがございました。  一八八〇年から二〇一二年までの間に世界の平均気温は〇・八五度上昇したわけでありまして、世界中に深刻な被害を与えています。ヒマラヤで氷河が崩壊して洪水が発生したり、かつてない速い速度で氷河、それから、南極の氷が融解したりとか、そのおかげで海水面が上昇したりというようなことで島がだんだん小さくなっているという報告もなされているようであります。  東アフリカでは、高温多湿を好むサバクトビバッタというのが大量発生して、そして、インドまでの広大な範囲で被害を及ぼしているという話もございますし、オーストラリアでは大規模な森林火災、ポルトガルの国土を上回るような面積が焼失しているという話もあります。  これはもちろん日本の中でも同じことが起きていて、近年、風水害が甚大化、頻発化しております。二〇一八年には関西、二〇一九年には千葉県を中心に猛烈な台風による被害が発生しましたし、二〇一九年には本県でも線状降水帯による甚大な被害を受けたり、そういった様々に状況が変わっております。  このように地球の温暖化というのは、世界にとって共通の脅威でありますから、二〇一六年十一月に発効したパリ協定というのは、私は世界が団結して目標達成しなければいけないものだと思っています。  そうした中で、菅総理が二〇五〇年までのカーボンニュートラル、CO2排出実質ゼロ表明をされたのは、温暖化の進展を止めるとの強い意志を示されたものと私は評価しております。  このCO2排出実質ゼロというのは、世界が共通して実現させるべきものでありまして、今、世界百二十を超える国や地域が表明しております。そして、世界中にその機運が拡大しているというふうにも聞いておりますけれども、なかなか簡単にはいかないところもあって、先進国では便利な生活を維持したいという声もありますし、発展途上国から見れば、これから我々がというときに止めるなよというような声があったりとか、なかなか難しい課題があります。  そして、世界が必要とするエネルギーを再生可能エネルギーだけで賄うのは現時点ではなかなか困難だという課題もありまして、排出が避けられないCO2を相殺するような仕組みというのが必要不可欠だというふうにも思います。世界中が納得するようなルールがつくられることが急がれていると思います。  私は、そうしたルールに基づきまして、国、地域、企業、個人というのが一致団結して、それぞれ果たすべき役割というものがあって、計画的に取組がなされるべきだというふうに認識してございます。  そういう中ではありますけれども、温暖化の防止は待ったなしの状況でありますので、佐賀県として今できることは着実に進めていかなければいけないと思っております。  こうした中で、「新エネルギー・省エネルギー促進条例」というものを改めてみんなでチェックしたところ、条例の位置づけが化石燃料を効率的に使用することが主眼になっておりましたので、今、さらに地球温暖化への対応が重要性を増しておりますので、ここは修正させていただいたほうがいいんではないかという認識に至りました。  そこで、温室効果ガスの排出削減にしっかり取り組み、持続可能な社会をつくり上げることを目指す内容となるような必要な改正を行うこととしたわけでございます。  世界中で必要なエネルギーを使いながら、排出されるCO2を実質的にゼロとするためには、国、地域、企業、個人が一致団結して、それぞれの果たすべき役割に応じて積極的に取組を進めていく必要があります。  我々は佐賀大学と協働いたしまして、産学官が連携して研究開発を進めますプラットフォームCIREn(セイレン)を立ち上げております。その中でも温室効果ガスの排出削減に向けて着実な取組を実施してございます。  さらに、再生可能エネルギーでございます。これをしっかり力を入れていくわけでありますけれども、まだまだ多くの課題がありますから、未利用の温泉熱を使用して発電する技術の開発ですとか、地中熱の導入コスト低減、コストに見合う価値の創出など、佐賀大学、県内企業の技術などを生かした研究開発に積極的に取り組みたいと思います。  さらに、せんだってお伝えいたしました吉野ヶ里の松隈の小水力発電事業、あのように地域に根差して着実に再生可能エネルギーを利用するような取組もすばらしいと思います。こうしたところも横で展開していきたいと思います。  幕末・維新期に我が国の科学技術を牽引した佐賀藩は、当時、最先端のエネルギー技術を有して、我が国のエネルギーの近代化にも大きく貢献したと認識しています。こうした志も受け継ぎまして、我々も再生可能エネルギーを中心とした社会の実現に向けて着実に取り組むことで、温室効果ガスの排出削減に貢献したいと考えています。  続きまして、玄海原子力発電所に対する姿勢についてお尋ねがございました。  議員からお話しいただきましたように、玄海原子力発電所では平成三十年三月の再稼働以降、仮設ケーブルの火災を含めて複数のトラブルが発生しています。一つ一つの事象は大事に至らなかったものの、九州電力においては小事が大事につながりかねないとの意識を強く持っていただきたいと思います。このため、県から九州電力に対して、発生した事象への対策を行うだけでなく、何でそのような事象が発生したのか、根本的な原因を追求することも含め、発電所構内のあらゆる作業について総点検を行うことを求めました。  先月十九日の佐賀県原子力環境安全連絡協議会におきまして、その結果について私自身報告を受けましたけれども、改めて私から九州電力に対して、点検をやって終わりにすることなく、時間の経過とともに対策がおろそかにならないよう不断の見直しを継続していくことと、全社を挙げて安全意識を共有していくことについて、改めて申入れを行いました。  そして私は、危機管理には何よりも現場の状況に合わせたオペレーションが重要だと思っています。そのためには、責任ある者が現地で指揮を取って集中的に対応していくことが重要とも申し上げております。  先月、玄海原子力発電所において、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生しました。その際には、私から直接九州電力に対しまして現場に対策本部を設置して、そこに責任者を配置して、現場の判断を最優先して対応し、我々に報告するように強く求めました。こうした危機管理の意識を持って取組を確実に行っていくことが、私はいざという際に役立つと信じています。  来月の十一日には福島第一原子力発電所の事故から十年を迎えます。平成二十九年三月に、私も福島を視察させていただきましたけれども、津波による甚大な被害と事故による深刻な状況を目の当たりにいたしまして、改めて何で前もって対策を取ることができなかったのかという悔しい思いと、二度とこうした事故を起こしてはならないという強い思いが胸に刻まれております。  私たちは、福島第一原子力発電所の事故を決して風化させてはいけません。原子力に関わる全ての者が二度と福島のようなことを起こさないという強い気持ちで緊張感を持って取り組んでいかなければなりません。  私はこれまで原発立地県の知事として、県民の安全を何よりも大切に玄海原子力発電所と真摯に向き合ってきたところでありまして、この姿勢は今後もいささかも変わりません。  今後とも、九州電力の安全に対する取組を注視していきますとともに、県も含め、全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないように万全を期してまいります。  続きまして、災害対策についてお答え申し上げます。  近年、毎年のように日本各地で深刻な水害、土砂災害が発生しているわけですが、佐賀県でも平成三十年に七月豪雨があって、令和元年には武雄を中心とした佐賀豪雨がありました。令和二年七月にも豪雨災害があったということで、この三年間を見ても連続して大きな水害が発生しておるわけであります。  災害対策はハードとソフトの両面から取り組むことが重要です。ハードにつきましては、これまでの河川改修、ダムの建設などによりまして、被害の防止、軽減には効果を発現してきていると思っておりますので、引き続き河川の整備などについては着実に進めてまいります。  また、流域全体で防災効果を一層高めるためには、国や市町等の関係機関と連携して災害対策を進めることも重要です。そのため、全ての河川の水系において、様々な分野の関係者による協議会を年度内に設置して推進体制を整えることとしております。  そして、あらゆる関係者が協働して、昨年度から実施しております既存ダムの事前放流ですとか、佐賀平野や白石平野などにおけるクリークの活用など、総合的に流域全体で水を受け止めるという考え方、そういった水害を軽減させる流域治水対策を推進していきたいと思います。そのためには、議員がおっしゃるように、みんなが連携してやっていくということが何よりも大切なので、その観点を大切にしていくということです。  さらに、令和三年度からは、市町が行う流域治水の検討に対しましても県独自の支援を実施して、より一層の被害防止、軽減を図ってまいりたいと思います。  さらに、ソフト対策としては、いよいよ消防防災ヘリの運用が三月二十八日から開始されます。迅速な初動対応が可能となるわけであります。災害発生直後の早い段階から、空から被害状況の把握が可能となりますし、そうしますと、重点的に対処すべき地域を早く特定できて、少しでも救える命が救えるようになると思います。救急活動、迅速性、実効性が非常に広がっていく、強くなっていくというふうに思っています。  加えて、受援体制の充実があります。県内で大規模災害が発生した際には、他県から応援に集結する緊急消防援助隊など、自衛隊も含めて航空機が多数やってくるわけですけれども、我々がこのヘリコプターを持っていることによりまして、航空運用調整能力というものが大幅に図られる、向上がしっかり図られるということが消防防災ヘリ導入の大きな効果だと思います。  このように、災害に備えて様々な対策を行っておりますけれども、やはり何よりも避難ということが重要であります。  昨年の台風十号では、佐賀豪雨のときに比べて約五倍の方が避難されました。きっと佐賀豪雨の経験もありますし、直前にありました球磨川の氾濫といったものも影響したのかもしれません。そういったことをしっかり語り継いでいくということは大きなことなんだと思います。  そこで大事なのは、災害は大きくなればなるほど、どうしても公助には限界があるということを我々は認識しなければいけないと思います。通常では当然のようにやってくる消防車や救急車が、大きな災害になりますと、やってくることはなかなかかなわないことになっていくという現実を県民と共有しなければいけないと思います。そういうことなので、県民一人の防災意識を高める取組、地域防災力の強化の取組を進めることは、我々自身のためにとても大切なことです。自ら行動していくという自助、地域で御近所さんを支え合う共助というものはとても大切なことなので、その充実を図ってまいります。  改めて、災害時における最大のミッションは県民の命を守ることでございます。まずは予防として、流域治水の推進、自助、共助の充実など、ハード、ソフト両面から様々な取組を進めていきます。そして、応急対策としては、消防防災ヘリもフルに活用して、迅速な初動と、消防、警察、自衛隊、海保など、実動機関と連携、対応をして、少しでも救える命を救っていきます。さらには、早期の復旧復興へと、こういった分厚い災害対策をタイムリーに打っていく体制を整えてまいりたいと思います。  続きまして、文化施策の取組についてでございます。  スポーツに比べて文化が弱いんではないかというお話をいただきましたけれども、少なくとも私の思いとしては、勝るとも劣らない文化への思いがあると認識しています。というのも、文化芸術は、人々に楽しみ、感動を与えまして、安らぎ、生きる喜びをもたらして、人生を本当に豊かにしていただけるものだと思います。ですので、コロナの中で、文化人が大切だというメッセージを我々はもっと発していかないといけないんだろうというふうにいつも認識しています。不可欠なものでございます。  このような文化芸術の持つ価値を大切にして、独創性のある新たな文化芸術の創造を促進していくとともに、これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承し、発展させることが極めて重要というふうに認識しておりますので、多彩な文化を振興していくことと、豊かな文化、歴史を継承してその魅力を発信していくことを重視したいと思います。  特に多彩な文化の振興という意味でありますと、「佐賀さいこうフェス」ですとかタイフェスなども開催をしたり、今、コロナ禍でありますけれども、LiveS Beyondという文化芸術祭をリモートでやっているんですけれども、これも非常に多くの人たちから、参加して楽しかったという声だけではなくて、何とか生計の糧にもなったという声まで聞こえてきます。  そういった意味で、本当にこのLiveS Beyondをやってよかったなと、費用対効果もあったなというふうに思います。  こうした多彩な文化芸術に接する機会を増やしていきたいというふうに思いますし、豊かな文化、歴史の継承、魅力発信という意味では、維新博も大きな効果があったんではないかと思います。私、二十年ぶりに伝承芸能祭も復活させました。そうした佐賀県ならではの地域の歴史、伝統に触れて、そのすばらしさを再認識するということに取り組んでまいりました。  文化財の保存について、また言及がございました。本当おっしゃるとおりでありまして、我々は朝鮮半島、中国大陸に一番近いところにいるわけであります。そして、玄界灘と有明海という二つの海に挟まれておりますので、古代より国際交流の先駆けなんであります。ここが日本の中心であった時代もあるわけでありまして、そういうふうな誇りを我々はもっと持っていいんだろうと思いますし、埋蔵文化財の宝庫でもあると思います。  しかしながら、私は本当に残念だなと思うのは、例えば、鉄製大砲の話でも、反射炉建造に最初に成功したのにそれが残っていない、ほかの県にはいっぱい残っているのにと思ったりとか、何となく佐賀は、昔、非常にいろんなことをやってきたことに対しての面影というものがなかなか残っていないところもありますし、この城内においても多くの、もちろん住宅地はあっていいんでしょうけれども、他県とはちょっと違う様相を呈していて、できる限り我々の先人たちの培ってきたものというものが、もうちょっとしっかりと保存されて息づかせることはとても大事なことなんだろうと思っております。  ですので、吉野ヶ里遺跡も本当に工業団地の造成が中止されてよかったなと思いますし、何とか佐賀県としての方向性としてすばらしい方向性を香月元知事さんですか、示していただいたことをとても今うれしく思っています。  そして、小学校跡に復元した佐賀城本丸歴史館です。あれも造っていただいてよかったなと、あれも今、掘り返したりしていますけど、プールが出てきたりするんで、何で城跡にプールが出てくるのかなと思ったりもしましたけれども、今からはしっかりと、そういった我々の持っている本質的な価値というものを大事にしていくということをみんなで誓い合っております。  さらに、例えば、国の特別史跡として指定されておったわけですけれども、必ずしも十分に活用されてこなかった名護屋城跡、そして陣跡、これについては「はじまりの名護屋城。」ということで、ちょうど文化の造詣が深い小林副知事が文科省のほうから来られておられますので、しっかりと連携させて、文化庁とも連携しながら、こちらのほうは、今後、分厚くこれも取り組ませていただきたいと思います。ハード面での整備も含めまして、歴史考証を踏まえた上での大茶会というのもあっていいんではないかと思います。名護屋城の魅力を全国に発信してまいります。  さらに、吉野ヶ里歴史公園については、来年度は開園二十周年になりますので、この二十周年に合わせて公園のオープンエアのイベントを実施したり、歴史公園の観光資源としての活用を推進することになっております。  そして、吉野ヶ里遺跡をどうしていくのかというお話がございました。まさに埋蔵文化財センターみたいなものもあっていいんじゃないかという御指摘もありました。それも私もずっと引っかかってはいるんですけれども、ちょうどこの日吉神社の境内地、議員からも御指摘ありましたけれども、実はすごいいい場所で、そこだけが残って、何もまだ掘っていないわけでありまして、ここから何が出てくるのかなというのは、佐賀県民として大いに注目すべきところだと思います。  ですので、ここをしっかりと、ここにもっと着目を浴びて、その新発見があったとしたら、それと併せた形で、先ほどから申し上げているタイムリーな施策展開という意味ではあり得るのかなというふうに思いますので、ここに期待したいと思っております。ぜひ様々な見せ方の工夫をしていきたいと思います。  佐賀の歴史、文化、特に文化財は地域の誇りでありますので、特に佐賀には本物があります。そうしたものをきっちりと保存、活用して未来につなげてまいりたいと思います。  続きまして、「SAGA2024」を契機といたしましたスポーツ振興についてであります。  我々は意欲的なSSP構想を推進していくわけでありまして、本当に世界に打って出てもいいようなコンセプトの新しいスポーツの世界を切り開く事業だと思っております。コロナでつらい状況の中でも、多くの高校生に昨年は大分知っていただくことができたというのは、つらい中でもよかった点かなというふうに思っています。  我々、天皇杯の問題ですけれども、佐賀に競技力が根づく戦い方という本来ミッションを失わない中で、天皇杯を取りにいきたいと思っています。ただそれはSSP構想の中では短期目標です。佐賀らしい真っすぐな戦い方でトップを目指していきたいと思いますし、双子の大会である鹿児島大会はターゲットエイジが出場しますので、こちらのほうもかなり上に行けるんではないかということで、もちろんやるからには二年連続優勝というものが我々の強い思いであります。  スポーツは筋書のないドラマです。スポーツは関わる人の魂を揺さぶります。地域の未来に炎をともす力を持つわけでありますので、一つの大会というためだけではなくて、スポーツの力を生かした人づくり、地域づくりという、もっと壮大な目標を持ちましてSSP構想を進め、競技力の向上に取り組んでいきたいと思います。  構想を進めて三年経過しました。選手、指導者双方の人材育成、社会人アスリートの県内企業などへの就職支援、アスリートの成長を支える練習環境の充実を一体的に推進していきたいと思います。  そして、「SAGA2024」、これは通過点であります。そして、県としては、その先の目標として世界のどこにもない新しいスポーツシーンを切り開くために、SSP構想は「SAGA2024」の後もさらに推進してまいります。SSP構想の下、民間や中央競技団体と連携した新しい動きが佐賀では生まれています。民間企業へのアスリート採用ですとか、官民連携でのアスリート寮の整備ですとか、日本フェンシング協会との連携などなどです。地元開催の国体のみに焦点を当てた取組からは生まれない動きが佐賀で着実に創出しております。SSP構想が目指す、オール佐賀でアスリートを育て、支える文化が広がりつつあります。アスリートを育て、支える文化をさらに広げていくことが「SAGA2024」以降も官民連携してアスリートを育てる上で重要であります。さらに頑張ってまいりたいと思います。  アスリートは佐賀で学びたい、育ちたいと思い、指導者は佐賀で育てたいと思うような、そういったスポーツシーンを切り開いてまいります。  続きまして、SAGAサンライズパークの利活用について申し上げます。  SAGAサンライズパークにつきましては、国スポ・全障スポを契機として、県民の夢、感動を生み出す「さが躍動」の象徴的エリアとして整備しているわけでございます。そして、スポーツを「する」だけでなくて、「支える」、「育てる」、「観る」、そういったそれぞれのスタイルでスポーツを楽しむことができる様々なシーンを実現したいと思います。  全くスポーツに御縁がない方も楽しめるようなものというのが我々の目標です。そういったスポーツ、文化の裾野の拡大を図るとともに、交流の効果を地域に波及させて佐賀の発展につなげてまいります。  そして、今年の秋には水泳場SAGAアクアがいよいよ完成予定となっております。通年の利用が可能となりますし、泳ぎやすい施設となります。競技団体と連携して、九州・西日本クラスの大会を実現して実績を積み重ねまして、いずれは全国クラス、そして国際大会といったことも視野に入れていきたいと思います。  SAGAアリーナにつきましては、スポーツはもちろんですが、大規模なコンサート、各種団体の全国大会、それからビジネスの展示会、福岡など大都市圏と近接する地理的優位性を生かしまして、これまで佐賀で体験できなかった様々なシーンを指定管理者と連携して実現させていただきたいと思います。  せんだって、庁内横断的に「SAGAアリーナコンベンション等誘致促進チーム markA」を発足しまして、大規模な学会、国際会議など、コンベンションの誘致を加速して、観光や宿泊など、地域のにぎわいを創出していくこととしております。  SAGAアリーナとペデストリアンデッキでつなぎます佐賀市文化会館との面的な連携によりまして、一万人を超えるコンベンションの開催も可能となっております。  これまで本県として取り組むことができなかったMICEの誘致が推進されることとなるわけであります。当然一万人のコンベンションといっても、佐賀県のホテルだけでとても収容できるものではないので、他県と連携して、我々自身も他県のホテルなども熟知しながらやっていくということで、様々な効果も生まれるものだと思っております。  さらに、パーク内に新たなテナントゾーンも整備されます。ウッドデッキでのオープンエアを楽しめるようなカフェなど、心地よい空間を創出してまいります。  さらに、SAGAアリーナを核とした歩くライフスタイルを推進して、県民の皆様方に愛されるようなエリアとして、これから新しい文化、新しい価値観を創造していきたいと思います。  佐賀駅とSAGAアリーナをつなぐ市道三溝線は、これは佐賀市と連携した事業でございます。多くの皆さん方に駅から楽しく歩いて来場いただきまして、周辺地域のにぎわいも創出し、それがさらに広域的に波及するように取り組んでまいりたいと思います。  SAGAサンライズパークのグランドオープンまで二年余りとなりました。様々な環境変化を的確に捉えまして、オール佐賀、ワンチームでしっかりと取り組んでまいります。そして、未来を見据えた戦略的な取組によりまして、交流を原動力に県内全域へ効果を波及させ、佐賀の新しい時代をつくってまいります。  続きまして、サガン鳥栖の支援について申し上げます。  まず、基本的な考え方ですけれども、サガン鳥栖はJ1に昇格して一度も降格することなく今年で十年目を迎えました。途中からJ1に昇格して一度も降格していないのは恐らくうちだけだと思っています。  毎年、降格予想に入りますけれども、本当に今年はそうではなく、上位を目指してチームとともに県民一丸となって応援をしていきたいと思います。県民の夢、希望、誇りであります。地域の宝であります。行政、民間、地域など、官民一体となってみんなで支えていくことが大事だと思います。  これまで県の支援といたしましては、出資をはじめとして、集客支援やスポンサーゲームなどを実施してまいりましたけれども、今年度はコロナ禍ではチームが深刻な打撃を受けている状況に鑑みまして、それまで培ってきた県民とのつながり、県民の誇りが失われないように、強い決意で思い切って一億円の支援金を交付したところです。このたび、新たに民間主体で立ち上がったサガン鳥栖AIDのメンバーにも加わっております。そこを基軸として、ふるさと納税の営業強化など、官民一体で支援活動を展開していきたいと思います。  コロナの中でもありますし、非常に今、体制が厳しい状況であるということで、サガン鳥栖にとっては、極めて非常に大切なJ1十年目を迎えるわけであります。その中でもU─15とU─18がアベック優勝するという奇跡的な若手育成能力を見せております。これは、まさに佐賀県の将来を見据えたような、これから先の佐賀がますます伸びていくような、そんなようなことを思い起こさせるわけであります。可能性は無限大であります。このすばらしいチームを決して沈没させないというか、上に押し上げていくと、こういう強い思いで県民、地域と一緒になって全力で支えていきたいと思います。  今後の観光振興の取組についてお尋ねがございました。  新型コロナウイルスの感染拡大というのは、これまで経験したことがないような事態ということであります。特に大きな影響を受けたのは人の動きが止まることでありますので、交通業界と観光業界というのが当然甚大な影響を受けるということであります。  県では、先ほど申し上げたように全国に先駆けて、まずは新たな融資制度でしっかりと支えるというところを打ち出したわけでございます。さらに、観光関係でいいますと、七月から県独自に「佐賀支え愛宿泊キャンペーン」というものを展開して、安全対策をしっかりやっていただくことと、観光需要の回復と両輪で観光事業者の支援に取り組んできたわけでございます。その中で、「GoToトラベル」などの効果もあって、昨年末は大分いいところまで来ていたわけですけれども、その後は御案内のとおりまた厳しい状況というふうになっています。  こういった中で、もともと旅行の形態は、かつての団体旅行から個人旅行へと大きな流れがございました。さらに、昔は単なる物見遊山で行くというものであったのが、地域を訪れた方が、様々な体験を通して、その地域に根差した伝統、文化、歴史、人々の思いに共感する機会へと変化しておったわけでありまして、今回のコロナを機に、その流れは一気に加速したのではないかと考えています。  さらにはコロナ禍によりまして、都市部から自然豊かな地方への旅行ですとか、遠方を訪れるだけでなくて、むしろ近場で過ごすことのすばらしさ、マイクロツーリズムというものも注目されているということを我々は見据えなければいけないと思います。  こうした変化の流れを受けまして、各地域ではもともとあった資源や価値を再発見して新しい取組にチャレンジされています。  例えば、個人型の体験旅行では、少人数で有田焼の窯元を巡るガイドつきプライベートツアーがあったりとか、嬉野、鹿島、太良の市町を越えて個人で巡ることができる循環バスが運行されたり、屋外での自然体験旅行では、嬉野、有田のサイクリングツアーがあったり、そういったいろんな動きが今回起きておりますので、そういう自発的な取組を県としても支援し、しかるべきコロナ収束後の新しい佐賀の強みとしたいと思っております。  さらには唐津プロジェクトでお話ししたSUPですとか、名護屋城の歴史体験プログラムなどについても力を入れていくということでもありますし、先ほど申し上げたアリーナを活用したMICE誘致といったものも、佐賀県にとっては新しいモデルになり得るのではないかと思ってございます。  コロナ禍におきまして、福岡都市圏に近い場所にありながら、澄み渡る空の下、ゆっくりとした時間の中で自然を満喫体験できる佐賀の観光は、むしろチャンスと思う必要があると思います。今こそ観光資源の磨き上げ、受入れ環境の整備にしっかりと取り組みたいと思いますし、さらにDCキャンペーンに向けても準備がいよいよ本格化していくわけでございます。ウイズコロナ、アフターコロナを考え、佐賀の強みが発揮されるように、国内外に佐賀の魅力を発揮し、引き続き県内各市町、各地域とオール佐賀で推進していきたいと思います。  続きまして、福祉行政についてですが、介護福祉関係者への思いについてお話しさせていただきます。  私は介護の仕事というのは、県民からも感謝される、尊く称賛されるべき職業だと思います。特に今、新型コロナウイルスの感染対策を徹底しながら利用者のケアを行っていただいていることにも、改めて心から感謝申し上げます。こうした皆さん方への頑張りに感謝するとともに、エールを送るために、「介護の現場への佐賀型エール支援金」を支給することにいたしまして、せんだって繰上げ採決をいただきました。ありがとうございました。  全ての高齢者、障害者が住み慣れた地域で安心して暮らす社会づくり、高齢者、障害者を支えるサービスの充実のために人材の安定的な確保が喫緊の課題であります。  私も様々現場訪問させていただいておりますけれども、塩田の済昭園さんで若い介護職員が生き生きと仕事されていたり、江北の「ちゅうりっぷのうた」では非常に寄り添って心を尽くしている職員の姿を見たりしますと、本当に若い人たちが現場を支えていただいているんだなということに感銘を受けておりますし、また、全国高校生介護技術コンテストでは、神埼清明の生徒たちが最優秀賞を受賞して、常に笑顔を絶やさずに介護に向き合う姿を見て、こういった現場で、学校で勉強したような技術を生かしてほしいなと思いました。  私の願いは、多くのこういった佐賀の若者が佐賀の介護を支えるという姿であります。実現に向けて、小中学生に介護の仕事を体験するイベントを開催したりとか、介護福祉士の資格取得を目指す高校生に対して通学費を支援したり、さらに介護実習を行う高校において、実践的な実習のための最新ベッドを購入したりするなど、「佐賀の介護人財 未来(あい)プロジェクト」というものに取り組んでいきたいと思います。  今後とも、高齢者や障害者の方が暮らしやすい佐賀県を目指して、人材の育成、確保に努めてまいりたいと思います。  続きまして、高齢者の暮らしの移動手段の確保についてお尋ねがございました。
     高齢者や障害者が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会をつくっていくためには、地域交通を、例えば、都会のようなたくさんの人を効率的に運ぶことを中心とするような公共交通サービスに佐賀を近づけていこうという発想はいかがなものかと私は思っております。単に路線の数や運行の本数が多ければいいということではなくて、地域で暮らす高齢者一人一人のニーズにきめ細かく対応できるデマンド型の地域交通を目指すことが必要だと思います。  やはり、このコロナの中でも都市部の高齢者はお互いのコミュニティーがないということもあって、非常に寂しい状況というふうに聞いております。佐賀県は公民館があって、みんなが集って、お互いに話す相手もいてという非常にすばらしい地域です。ただ、議員がおっしゃるように、病院に行ったりとか、買物に行ったりとか、そういったときの足がないなと、そこをどうきめ細かくフォローしていくのかというところができれば万全な体制になっていくんだろうというふうに思いますので、何とか人を中心とした、人に優しいネットワークをつくっていきたいと思います。そしてこの機会に、地域交通は誰かが与えるというわけではなくて、みんなで考えてつくり上げていくような構図がいいのではないかと思います。  こうしたことから県は、市町とともに地域に入りまして、地域の声を聞いてコミュニケーションを重ねながら、現場のほうから地域交通をつくり上げる取組を進めています。そうした中で様々なものが生まれてございます。デマンドタクシーが導入されたりとか、さらに地域の高齢者の居場所となる高齢者サロンや生活を支える郵便局など、地域の主要な施設の送迎が実現できたりとか、地域ごとによっても全く取組の仕掛けが違うということも、それぞれ佐賀県らしい自発の地域づくりに相通ずるような仕掛けだと思っています。  今後とも、市町とともに地域の実情やニーズを把握しながら、地域と一緒に取り組んで、高齢者などの暮らしの移動手段をしっかりと支えてまいりたいと思います。  続きまして、農林業の大切さ、そして振興の考え方についてお答え申し上げます。  農林業は佐賀県の誇りであります。大切な財産であります。そして、農林業を守り育てていくことは極めて重要でありますので、私は常日頃から、「一次産業の振興なくして県勢の浮揚なし」と申し上げております。藤木議員は農家の両親の背中を見て、その大切さを知ったと先ほどお話しいただきました。すばらしいことだと思います。  ちなみに、福富で育った私の父は七男坊でありましたので、農家を手伝っては過ごしましたけれども、農業を営むことはできませんでした。昨年十二月に、白石町で建設中の有明海沿岸道路の橋の上で、地元の小学生に将来の夢を描いてもらうイベントを開催したんです。それは県土整備部が主催してやってくれたわけですけれども、建設業のみんながいっぱいいる中で、たくさんの子供たちが将来の夢を描いてごらんという中で、多くの人が農業をしている絵なんです。私は非常に驚きまして、普通、野球選手とか、サッカーとか、ケーキ屋さんとか、そういったことが多いのかなと思ったら、農業をやっている姿を男の子も女の子も描いている姿を見て、大変驚き、誇らしく思いました。白石は当然、有数の農業が盛んな町ですけれども、きっと親御さんや周囲の親戚のみんなから、農業の大切さ、すばらしさがしっかりと伝わっていて、おやじかっこいいなとか、おふくろかっこいいなと思っていらっしゃるんじゃないかなって思いました。  こういう流れをしっかりつくっていきたいと思いましたし、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」を今やっておりますけれども、漁協さんが「漁協の山」というのをつくることになりました。これは子供たちに下草刈りとか、様々な山の営みを体験していただくことになっておりますけれども、こういった中でも子供たちに林業のすばらしさ、山の大切さとか分かってもらいたいなと思います。こうした農林業の営みの大切さというものが子供たち次世代につながっていく、それが次の担い手にもなっていく、そして、それがひいては県民の皆さん方に農業は、林業ってすばらしいものなんだということが広がっていくことを期待したいと思います。我々もしっかりと展開されるように努力していきたいと思います。  そして、現在の農業を考えますと、農業所得の伸び悩み、労働力不足に加えまして、国際経済連携の進展など様々な対応が求められているという時代であります。  我々佐賀農業は、かつて佐賀段階、新佐賀段階など水田農業において、しっかりと単収当たりの量産をすることができて、日本に誇る農業を牽引したわけでありまして、きっとその時代に向き合ってチャレンジするという素地があって、しっかりと変革して成果を出すことができる県だと私は信じています。だからこそ、今、また時代が変わったこの時代の中においても、将来にわたって発展させなければいけない。水田農業の振興と併せて、園芸、畜産など収益性の高い「稼げる農業」の実現というものに向けて取り組んでいきたいと思います。  園芸につきましては、三十年ぶりに「にじゅうまる」と名づけて発表させていただきました。二十年もかけて、本県の新しいものをつくったということで、本当にみんなのすさまじい努力があったと聞いております。そのかいもあって、本当に胸を張っておいしいと言えるおいしさです。間違いなくどこに出してもピカ一のかんきつができました。  なかなか量がそろわないのがまだまだ歯がゆいところがありますけれども、いよいよ三月五日から発売がなされるわけでありまして、先行しております「いちごさん」と「にじゅうまる」で佐賀の両横綱ということで、これから強力にトップブランドへ押し上げていきたいと思います。  さらに、「さが園芸888運動」におきましては、地域が主体となった園芸団地の整備支援、そして超大規模経営農家の育成も進めてまいりたいと思います。  さらには、こうした取組のベースとして次世代の担い手の育成も重要でありますので、トレーニングファームをモデルとした次世代の農業の担い手育成システムを普及していくこと、初期投資の負担が少ないリース方式の施設園芸団地の整備をしていくことなどによりまして、新規就農者の確保、育成につなげていきます。  畜産におきましては、上場におきまして、「佐賀牛いろはファーム」が整備されつつあります。そして、「佐賀牛」の輸出拡大を図るための食肉センターの再整備を進めております。  林業におきましては、森林資源の循環促進のために、木材を利用したクリーク護岸整備などの木材の利用拡大にも取り組んでございます。  農林業、とても大切なものです。雨水を蓄えたり、土砂災害を防いだりと、県民が安心して暮らすためのインフラの役割も果たしておりますし、生産組合という組織的な活動が脈々と続いておりまして、これは地域農業というものにとどまらずに、例えば、地域のコミュニティーだとか、伝承芸能だとか、まさにむらづくりというものにも大きな役割を果たしているわけであります。  我々にとって農林業は欠かすことのできない大切な産業でありますので、一層元気になるようにしっかりと努力をしてまいりたいと思います。  農林業者の皆さん方の前へ進みたいという熱い思いとともに、国内外の農林水産物や産地に打ち勝つ佐賀県農林業が実現できますように、888運動、「佐賀牛」、さらには中山間地の振興など農林業の振興にしっかりと取り組んでいきたいと思います。  最後に、社会資本整備についてお答え申し上げます。  まず、広域幹線道路網の整備についてお答え申し上げます。  佐賀県は、人口密度が高くて、都市が点在する分散型県土を形成しているというのは常々申し上げているところでありまして、人口密度は福岡に次いで九州内で二位、全国十六位でございます。  各都市や交通拠点を結ぶ広域幹線道路網は、産業振興、観光振興、交通事故の減少、渋滞緩和、さらには災害時の人、物資の輸送の確保という意味で、本県の未来を支え、成長の基盤となる大変重要な社会資本でございます。  特に、有明海沿岸道路、佐賀唐津道路、西九州自動車道、国道四百九十八号については優先的に整備を進めております。  まず、西九州自動車道につきましては、平成二十九年度に伊万里東府招インターまで供用が開始されておりまして、現在は仮称伊万里中央インターチェンジに向けて整備が進められております。ガントリークレーンを増設することとなっております伊万里港へのアクセス性が増すことで、さらなる企業進出に期待を寄せております。  続きまして、有明海沿岸道路については、国が進める大川佐賀道路につきましては、三月十四日に福岡県の大野島インターまでは供用予定であります。福岡県南西部とさらなる交流促進、九州佐賀国際空港の利用圏域拡大に期待しています。さらに、佐賀県と福岡県が初めてつながることとなります仮称諸富インターにつきましては、令和四年度の供用が示されております。  県が進めます佐賀福富道路につきましては、福富インターの夏頃までの供用を目指しておりまして、こちらは県南西部の発展に寄与するものと思います。  鹿島─諫早間の地域高規格道路への位置づけにつきましては、県議会や期成会と協力して、国に対して引き続き強く働きかけていく所存です。  佐賀唐津道路のうち佐賀道路につきましては、昨年六月に工事に着手しました。佐賀県医療センター好生館との連携強化を図る命をつなぐ道路として、今後も早期整備に向け、しっかり取り組んでいきます。そして、これらの道路が接続するエリアTゾーンの整備を重点的に促進することとしています。  国道四百九十八号につきましては、武雄の北方地区では国道三十四号武雄バイパスに向けて整備を進めております。  鹿島─武雄間につきましては、沿線の鹿島市、嬉野市及び武雄市で将来像を描いて、ルートを示していただきたいと考えておりまして、県も一体となって検討を進めております。  県としても、重要な広域幹線道路の一つとして、整備に向けてしっかり取り組んでいきたいと思います。(「東部もお願いしますね」と呼ぶ者あり)  さらに、予算確保に向けた今後の取組についてです。  藤木議員のほうから、今の県と国の関係から予算確保などについて危惧するといった旨の発言がありましたけど、私は国と地方との関係は対等だと思っています。しっかりと意見を言いながら、真摯に課題に向き合って、真っすぐに仕事をすることが大事だと思います。  例えば、信頼関係が損なわれるとか、不利益を被るというようなことに関して根拠とか具体的な事実があれば、ぜひ示していただきたいと思います。しっかり対応させていただきます。  私が知事に就任して以来、大臣とも直接対話をしてまいりましたし、様々なパイプを活用しながら連携してまいりました。  広域幹線道路の整備に係る予算については、令和二年度までの直近五年間の平均予算は約百十四億円であります。その前の五年間の平均予算である九十六億円と比較しますと、約一・二倍に増加しております。  Tゾーンにつながる予算につきましては、直近五年間の予算は八十五億円、その前の五年間は三十四億円ですから、こちらも約二・五倍に増加しているということです。  そういったことも含めて社会資本整備関係におきましては、今回の補正と令和三年度当初予算を合わせますと、令和二年度当初予算の約一・三倍の規模となってございます。  私は、国土交通省さんには、本県の現状、課題、個々の事業の整備の必要性について理解を深めていただきまして、県の未来を支える社会資本整備に係る予算はこれまで以上に確保させていただいていると認識しております。  今後とも、引き続き社会資本整備に係る予算確保に向けた働きかけを東部も含めてしっかりと行わせていただきたいと思います。  本県の将来の発展に夢と希望を与えるとともに、県民の安全・安心で快適な暮らしを支え、空港や港湾など重要な交通や物流の拠点が有機的に結び、また、災害時には命をつなぐ道として大きな役割を担う広域幹線道路網の整備促進について意欲的に取り組んでまいります。  最後に、建設業の担い手確保について申し上げます。  建設業は、県民の日々の暮らしを支え、ものづくり佐賀の礎となる佐賀を形づくる創造的な仕事であります。  長い年月をかけて建設業に携わる方が造り、守り、支えてこられたからこそ、見ることができるすばらしい風景が佐賀にはたくさんあります。  風情ある建物、近代的な建物が織りなす町並みもそうですし、クリーク、堤防、道路、玄界灘を臨む唐津、伊万里の港ですとか、非常にみんなを助けている圧倒的な存在感のあるダムだとか、そういったものを建設業の皆さん方が造っていただいております。  そして、地域に建設業が貢献しているというのは、こういった箱物だけではありません。県内で鳥インフルエンザが発生した際には、建設業のみんながいち早く駆けつけて、埋却、消毒等厳しい作業に従事していただきました。本当に頭が下がります。  そして、豪雨災害のときにも発生直後から応急対応、復旧工事などに迅速に対応していただいておりますし、雪が降れば、早朝から除雪作業を実施していただいております。地域を守るのは自分たちだという自負が伝わってまいります。本当に感謝すべき皆さんです。ありがとうございます。  問題は、こうした建設業のすばらしい崇高なお仕事、これをいかに県民の皆さん方が共有して、若いみんなが、何かをつくり上げるということがいかにすばらしいことかということを知っていただくということが大事です。  そのためには、本来のこの魅力をしっかりと伝えていくということが大事でありまして、高校生、小学生の親子を対象として、例えば、SAGAサンライズパークでは現場見学会を開催して、何かものを造っていくことのすばらしさというのを子供たちに分かっていただくようにしたりとか、高校生であれば、県内の建設会社だけによります合同企業説明会を開催したりとか、先ほどお話しした有明海沿岸道路にお絵描き体験をしてもらったりとか、現場見学会を実施したりもしましたし、維新博では「すごいぞ!ボクの土木展」を開催したり、いろんなことを工夫しながら、子供たちに建設業のすばらしさを分かっていただきたいと思います。  また、中小の建設業者の経営が安定することが担い手の確保、さらには公共工事の品質確保にもつながりますので、最低制限価格の見直し、施工時期の平準化などにも取り組んできたところであります。  さらに週休二日の定着に向けて、令和二年度から国、市町とも連携して、県内の公共工事の現場作業を一斉に休日にする一斉閉所を実施するなど、長時間労働の是正のための取組も実施してございます。加えて、例えば、女性が活躍する環境づくりに取り組む建設業者を支援したり、若者を支援する皆さん方を支援したり、そうしたことも実施しております。  これからも、県内にはやりがいのある仕事はたくさんあると思っております。SAGAサンライズパークもそうですし、先ほどるる説明いたしました高速道路網もそうです。さらに、城原川ダムもそうですし、河川改修、クリーク等の整備もございます。本来建設業にある、ものをつくり上げていく喜びを、高校生をはじめ、若い人たちにしっかりと発信し、働きやすい職場づくりへの支援にも力を入れて、担い手の確保に取り組んでまいります。  今後とも、未来へ飛躍する基盤となる社会資本の整備を着実に進め、子供たちのためにも佐賀の未来を輝くものにしてまいりたいと考えております。 8 ◎落合教育長 登壇=私からは、教育行政について、来年度の重点的な取組と議員のほうからお尋ねがありました個別の課題三点についてお答えさせていただきます。  まず、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。  昨年三月の全国一斉休業から今まで、学校の様々な活動が、感染症から大きな影響を受けた一年となりました。  まさに昨年の今頃、思いもしないような一年間だったというふうに受け止めています。  しかし、本県では、今年一月に高校三校で発生しましたクラスター以外では、学校内での感染は極めて限定的に抑えることができています。これは、各学校においてマスク着用や手洗い、小まめな換気などの基本的な感染症対策を徹底してもらった成果であり、学校関係者の御努力に心から感謝します。  このような中、中止になったインターハイや夏の甲子園の県予選の代わりの大会として「SSP杯(カップ)佐賀県高等学校スポーツ大会」を開催し、高校三年生の一つの区切りとするとともに、これからの人生のチャレンジにエールを送ることができたと思っております。  新型コロナウイルスにつきましては、学校現場において引き続き基本的な感染症対策を徹底してもらう必要がありますけれども、県教育委員会といたしましては、先ほどのSSP杯(カップ)の開催と同様、できるだけ学校活動を止めないということを基本スタンスとして、緊張感を持って臨んでいきたいと考えております。  次に、令和三年度の重点的な取組について申し上げます。  県教育委員会として、教育が直面しています様々な課題に正面から向き合っていくため、令和三年度から三つのプロジェクトに重点的に取り組むことといたしました。  一つ目は、「唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト」です。  各県立学校が持つ強みと魅力を徹底的に磨き上げるとともに、地域との絆をより深め、学校の魅力を高めていくよう取り組んでまいります。また、各学校の魅力を広く情報発信することで、県内外からの生徒募集に力を入れていきます。特に県外からの生徒募集には、これまで以上に積極的に取り組みたいと考えております。  二つ目は、「プロジェクトEプラス」であります。  昨年春、一斉休校中の県立学校でオンライン授業を進める「プロジェクトE」に取り組んだことで、今年一月の県立高校におけるクラスター発生の際も、学びを止めることなく学校活動を継続できました。  今後は、ICTやオンラインを活用した教育のデジタル化により、個別最適な学びと創造力を育む学びを実現し、Society5・0の時代に活躍できる人材を育成してまいります。特に令和三年度におきましては、小・中・高一貫したデジタル教材を活用して、まずは英語の学力向上を図っていきたいと考えております。  また、GIGAスクール構想で全児童生徒の一人一台端末が実現する市町立小中学校に対しましては、これまで県が蓄積してきたICT教育の経験やノウハウを生かして、全面的に支援してまいります。  三つ目は、「部活動改革プロジェクト」です。  学校と地域との連携により、持続可能な部活動の実現を目指して、部活動の改革を推進してまいります。  最近、部活動を取り巻く社会情勢が大きく変化していると感じています。また、生徒、教職員のいずれの側にも、部活動が負担になっている人もいれば、競技力や技能の向上のためにもっと頑張りたいという人もいるなど、部活動に対するニーズが幅広くなっています。このような課題に学校だけで対応するというのは難しくなってきており、今後、地域との連携を深め、生徒、教職員のいずれにとっても望ましい、持続可能な部活動構築に向けて、県が推進するSSP構想ともしっかり連携しながら、取組を進めてまいります。  次に、議員から御質問がありました個別の課題三点についてお答えいたします。  まず、学力向上について申し上げます。  県内小中学校の学力の状況につきましては、平成三十一年度の全国調査で全国平均を超えた教科は五教科中一教科と、多くの教科で平均を超えない状況が続いておりまして、これは重く受け止めております。  県教育委員会では、児童生徒に確かな学力を身につけさせるために、学力向上推進教員による授業改善への指導、助言、校内研究での他県の取組も取り入れた授業改善などにより、教員の指導力向上に取り組んできたところです。  さらに今後は、市町教育委員会と連携して、県指導主事の小中学校への派遣の拡大、「プロジェクトEプラス」による個別最適な授業の実現、また、教職員の働き方改革による子供たちに向き合える時間の確保、そういった取組により、県全体の学力向上への取組を強化してまいります。  また、少人数学級につきましては、本県独自の取組として、国に先駆けて、小学校三年生での少人数学級を実現することといたしました。また、小学校四年生以上の学年でのチーム・ティーチング、または少人数指導の選択制と併せまして、個に応じたきめ細かな指導体制を整え、夢や目的を実現しようとする志を持った子供たちの成長をサポートしてまいります。  次に、ICTの活用について申し上げます。  佐賀県では、全国に先駆けて数年前に、全県立学校において一人一台端末を実現しました。その環境を活用して、教科での活用だけではなくて、資格取得、就職活動、部活動、あるいは自宅に持ち帰っての個人学習などで幅広く活用を行ってまいりました。  今後は、先ほどお答えしましたけれども、「プロジェクトEプラス」を通して、個別最適な学びと創造力を育む学びの実現を図るためのツールとして、小・中・高全体で有効に活用されるよう、重点的に取り組んでまいります。  次に、特別支援学校の通学支援について申し上げます。  佐賀県においては、これまで身近な地域に特別支援学校を設置する、または受け入れる障害種の拡大、多くの学校への寄宿舎の設置などにより、通学しやすい環境を整えてまいりました。そういった取組に加えて、議会からの御指摘もあり、平成二十九年度からスクールバスを導入したところであります。  スクールバスの運行につきましては、様々な御要望が各学校のほうであります。導入後もできるだけ利用しやすいよう、各学校において、乗降場所や路線の調整、バスの大型化など、年々改善を続けてきているところであります。引き続き、利用しやすいスクールバスの運行に努めるとともに、卒業後も視野に入れた自力通学に対するサポート、寄宿舎の利用などを総合的に活用して、市町の御協力もいただきながら、児童生徒への通学支援と保護者の負担軽減に取り組んでまいります。  最後に、私は教育長に就任して約一年半、県立学校は二巡以上、それ以外にも市町立の小中学校や私立学校、また、高校生が就職している企業にも訪問させていただいて、いろいろな話を伺ってきました。そういったところでいただいた現場の声を大切にしながら、次の時代の佐賀を担っていく子供たちの、それぞれが持つ個性や能力、可能性を最大限に発揮できるよう、市町の教育委員会や地域、家庭とも連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。  私からは以上です。 9 ◎松下警察本部長 登壇=二十四日付で杉内の後任として県警本部長を命ぜられました松下でございます。県議会の皆様には、日頃より御支援をいただいていることに改めて感謝申し上げます。県民の安全・安心を守る責任にいさかかの間隙も生じないよう、全力を尽くす所存でございます。  佐賀県は、北は脊振山系、南は佐賀平野が広がり、荒々しい玄界灘と穏やかな有明海を有し、幕末・明治に多くの偉人を輩出して、近代日本の発展に大きな役割を担ってこられたほか、陶磁器、国の特別史跡である吉野ヶ里遺跡などに代表されるように、豊かな歴史と文化を誇る県であると認識しております。  こうした自然、歴史、伝統を誇る佐賀県において、警察本部長として治安を守る機会を得たことを大変光栄に感じるとともに、県民の安全・安心を守るという責任の重さに身が引き締まる思いでございます。  さて、県内の治安情勢についてでございます。  全国的に刑法犯の認知件数が減少する中で、県内においても、平成二十七年以降、六年連続で認知件数が戦後最少を更新するなど減少傾向が続いており、令和二年の認知件数は三千六十九件、前年比マイナス三百三十一件でありました。  一方、ニセ電話詐欺の認知状況は、認知件数が二十九件、前年比マイナス二十一件、被害額が約三千八百四十四万円、前年比マイナス約七千六百四十三万円と、認知件数、被害額共に減少しているものの、高齢者が被害に遭うケースが多いことから、依然として予断を許さない状況にあると認識しております。  県内の交通事故情勢でございますが、昨年中の交通事故死者数は三十三人、前年比マイナス一人でありまして、第十次佐賀県交通安全計画に掲げた、令和二年までに死者数を三十四人以下とするという目標を三年連続で達成いたしました。  しかし、今なお多くの尊い命が交通事故で失われていることに変わりはないことから、交通事故死者数に占める高齢者の割合が高いなどの特徴を踏まえた交通事故防止対策が必要と考えております。  県警察としては、こうした治安情勢に的確に対応し、県民の安全・安心を確保するため、犯罪抑止対策や検挙対策、交通事故抑止対策等に全力で取り組むなど、令和三年佐賀県警察運営指針に掲げる「県民の期待と信頼に応える力強い警察活動」を強力に推進し、県民の皆様に目に見える成果を示してまいりたいと考えております。  次に、着任に当たっての所見についてお答え申し上げます。  佐賀県には、明治の時代にコレラが爆発的に流行する中で、不眠不休で防疫に従事し殉職した増田巡査が祭られた増田神社があることは、全国的にも有名でございます。着任に当たり、今でも毎年、地区の住民の皆さんが参加して祭事が行われていると伺いまして、大変感銘を受けております。  増田巡査が不安におびえる県民に優しく寄り添いながら、かつ毅然と県民の命の危機を救ったことは、時代背景が変わっても警察の原点であると考えております。  そのような考えを踏まえて、このたびの着任に当たり、職員に対して、県民に寄り添い、県民のためにプロとして結果を出していくこと、機敏かつ能動的に対応していくこと、風通しのよい組織づくりに取り組むことの三点を指示いたしました。  未曽有のコロナ禍で、先行きへの不安を抱く県民もおられると存じます。その中で、犯罪、交通事故、テロ、災害といった県民の安全・安心を脅かす事象から県民を守ること、それが警察に対する県民の期待と信頼であり、これに応えていくことが警察の重要な任務であります。県民に寄り添い、治安のプロとして結果を出すよう職員一人一人が全力を尽くすことが最も大切なことだと考えております。
     また、デジタル化の進展による情報の高速化や突発的な災害などに対応していくスピード感が求められており、テロ、災害、サイバー攻撃などの危機に備えるため、官民協力体制のさらなる強化といった能動的な対応も重要と考えております。  県民のために力を発揮するためには、その前提として、職員自身の心身が健康であること、仕事に打ち込むことができる環境が必要だとも考えております。  この三点を私自身が実践し、職員とともに汗をかいて、県民のために全身全霊で取り組んでまいりたいと思います。  福岡県太宰府市における傷害致死事件に関し、事件発覚前に御遺族から複数回にわたり相談がなされ、県警として対応してきた件については、まずもって被害者がお亡くなりになったことに関し、大切な御家族を亡くされた御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、佐賀県公安委員会で議論をいただいた結果を重く受け止め、取組を着実に実行してまいります。  県民の安全・安心を確保するためには、警察の活動のみならず、地域の方々や県、市、町などの関係機関とも連携した取組が重要となってくることから、関係する方々との連携を強化し、安全・安心を支える基盤をしっかりと構築、維持してまいる所存でございます。  県議会の皆様には、県警察に対する御理解と御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 10 ◎議長(桃崎峰人君) 暫時休憩します。     午後零時五十三分 休憩 令和三年二月二十六日(金) 午後一時五十六分 開議  出席議員    三十五名     一番  一ノ瀬 裕 子     一六番  川 崎 常 博     三一番  石 井 秀 夫     二番  古 賀 和 浩     一七番  定 松 一 生     三二番  留 守 茂 幸     三番  下 田   寛     一八番  八 谷 克 幸     三四番  木 原 奉 文     四番  古 川 裕 紀     一九番  江 口 善 紀     三五番  藤 木 卓一郎     五番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三六番  石 倉 秀 郷     六番  冨 田 幸 樹     二一番  向 門 慶 人     三七番  桃 崎 峰 人     七番  弘 川 貴 紀     二二番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行     八番  井 上 祐 輔     二三番  宮 原 真 一     九番  木 村 雄 一     二四番  原 田 寿 雄    一〇番  中 本 正 一     二五番  岡 口 重 文    一一番  野 田 勝 人     二六番  大 場 芳 博    一二番  西久保 弘 克     二七番  武 藤 明 美    一三番  池 田 正 恭     二九番  徳 光 清 孝    一五番  古 賀 陽 三     三〇番  中 倉 政 義 欠席議員    二名    一四番  井 上 常 憲    二八番  稲 富 正 敏 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   脇  山  行  人          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       大川内   直  人          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       横  尾  重  信          議事課副課長       花  島  良  直          政務調査課副課長     金  武  隆  守          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同    議事担当主査  池  田  陽  介     ○ 開     議 11 ◎議長(桃崎峰人君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き代表質問を行います。 12 ◎藤崎輝樹君(拍手)登壇=藤崎輝樹です。私は、県民ネットワーク会派を代表して質問をさせていただきます。  初めに、知事の政治姿勢についてであります。  昨年末の定例県議会では、知事自らが発案された「佐賀誓いの鐘」の事業費七百七十九万円を一般会計補正予算案から削除する修正案が全会一致で可決をいたしました。昭和五十九年以来、実に三十六年ぶりのことであります。  全会一致とはいえ、審議において様々な意見が交わされました。コロナ感染拡大を防止するためには、陽性者、そして濃厚接触者からの情報は大変重要です。それが誹謗中傷から身を守るため協力が得られないことになれば、感染経路が不明となり、感染拡大の押さえ込みができなくなるおそれが生じます。このような事態を回避するためにも、新型コロナ感染者に対する誹謗中傷をしない・させない啓発事業は必要であります。  また、コロナ対策臨時交付金の活用についても瑕疵があったわけではありませんでした。コロナ対応である限り、自由に使える交付金は予算の使途より、むしろ知事の見識を問われる試金石とみなします。そのため、誹謗中傷に対する強い問題意識から事業を提案されたと理解をいたしました。しかし、賛同はできませんでした。理由は、今は県民の理解を得がたいと考えたからであります。  そしてまた、知事提案の予算案を議会がチェックして修正を求めることにちゅうちょすべきとも思いません。制度上、議会の役割として当然あり得ます。そう理解をしているのですが、十一月議会では、どうにも腑に落ちないことがありました。「誓いの鐘」事業費が可決を見ない可能性が高まっていたにもかかわらず、執行部からは否決を回避するための働きかけがなかったことであります。一昨年末のアリーナ追加補正予算のときと比べれば、執行部の対応に雲泥の差がありました。なるほど、事業規模や影響の違いはあります。それでも議会が承認しないことに鑑みれば、もっと説明があってよかったと思います。  知事が否決回避のリーダーシップを取らなかったのはなぜだろうと考えました。知事は県政運営の方針として議会に根回しをしないことをよしとされているようですが、二元代表制において緊張感を損なう根回しは確かに好ましくありません。しかし、調整は必要と考えます。三十八名が集う県議会は、県内各地域から様々な問題を持ち寄る、やおよろずの場であります。  そのため、知事は議会側の課題についてきちんと把握するべきであり、議会の議論を県政運営に反映できるよう努力しなければなりません。なぜなら、知事が重大な決断をするときは、政治理念と目指す将来像への追求に沿っているかどうかという判断が基本にあると思うからです。その上で、議会との調和点をどこに求めるのかが調整であります。知事には予算案を提案するに当たって、このことを意識していただきたいと思います。  予算編成権を持つのは知事であり、ずっしりとした知事の思いが込められた予算案に緊張感を持って議会は審議をしております。その予算案も議会の可決がなければ絵に描いた餅となります。そうならないためにも事業の目的と効果について理解を得られるだけの説明が必要です。  これまでにも「肥前さが幕末維新博覧会」やアリーナ事業に関しては、議会側に相当な労力と時間をかけて説明をされました。佐賀県にとって必要な事業である意義を熱心に主張されたならば、県民は知事に対し先見性と情熱を信頼してかじ取りを託すのではないでしょうか。コロナ禍の不安が募る今だから、なおさら知事にはより一層のリーダーシップを取っていただきたいと考えています。  先日、自治体議会研究所の高沖代表の研究会に参加して、議員の資質向上について講義を受けてまいりました。住民の代表機関であり、議決機関である議会は、憲法九十三条に議事機関として設置を定められている。そのため、審議する機関として政策形成機能を担うのが議会の役割である、そのようにハッパをかけていただきました。議員の本分について再認識をさせていただいたところであります。  余談となりますが、元内閣総理大臣の中には初当選の挨拶に来た国会議員に、「君、憲法四十一条を知っているか」と問いかける政治家もおられたそうですが、国会は立法機関としての、議会は議事機関としての果たすべき責務を忘れるなと教えています。  ちなみに、高沖先生から提言もいただきました。新規事業の議案などは、議員が調査研究できるように時間的余裕を持って事前に議会へ説明するなどの取組も必要ではないか、そうすれば議案についての専門的な知識も深まり、議会での審議がより有効なものとなる。確かにそのとおりだと思います。  意図するところは違いますが、議案の提案のタイミングについては、過去に唐突感から議会の反発を買うこともありました。そのような観点からも執行部と議会の関係にとって、議案を説明するタイミングは議論の余地があります。  ここで再度触れておきますが、執行部と議会の関係については、県民福祉のため県政を前へ進めていく車の両輪に知事は例えておられます。執行機関と議決機関という立場の違う両輪は、相互の牽制と調和の機能が相まって、県政の方向が定まると言えますが、うまく調整が働かなければ脱輪してしまいます。そうすれば、県政運営のバランスは崩れて、執行部と議会の軸にずれが生じることとなり、場合によっては議案が否決されます。議案否決の説明責任は議会側にあります。一方で、知事は議会の可決を得られなかった要因を自らに問うべきではないでしょうか。  さて、知事の政治姿勢の基本は開かれた県政にあると認識をしております。開かれた中でいろいろ議論をしたい、そのように知事は述べられていて、私も議論は堂々とやるべきと考えます。ただし、議会での審議には時間的な制約を伴います。そして、議場での発言は政治性を帯びるがゆえに真意が伝わりにくいこともあります。開かれた県政によって明朗なる県政を実現しながら、議会の役割は政策の質を上げていくことにあります。そのため、執行部と議会の審議へ向けた取組の姿勢が問われていると考えます。はばかりながら、意見をるる述べさせていただきました。  そこで質問をいたします。  議会との向き合い方を踏まえ、予算案が否決、修正されたことについてどのように受け止めておられるのか、また、今後どのように県政運営に生かしていかれるのか伺います。  次に、コロナ禍対応について質問をいたします。  県が新型コロナウイルス関連肺炎に関する情報収集及び情報発信のために、情報連絡室を設置したのは昨年一月二十七日でありました。患者の発生状況や感染防止対策などについて情報共有を早急に図り、各保健福祉事務所に相談窓口を設置して、感染が疑われる場合の指導など、県内での患者の発生に備えた体制を整えられるまでの危機管理、そして早い段階での医療現場との見事な連携によって、本県の医療・保健・福祉行政に対する県民の信頼はより一層高まりました。それだけ関係機関、現場の皆様には苦労、負担の連続だと察するとともに感謝申し上げます。  一年前は、まさかここまで感染が拡大して長引くとは想定できませんでした。しかし、知事は昨年二月議会代表質問において、感染症に対する危機管理は国内発生早期から、将来の流行を見据えた準備を行うことが大切との認識を示された上で、先手を打って対策を実行に移されてきました。  このように振り返ってみれば、新型コロナ感染拡大防止の責任者は国ではなく県であったことを知らしめた一年として、知事のリーダーシップを高く評価しております。六十回以上に及ぶ対策本部会議を県民に公開しながら行うなど、危機管理に取り組む県の姿勢は安心して信頼できるものでありました。コロナ禍につらいこともありました。いまだ予断を許さない状況にもあります。それでも感染防止に努めながら、徐々に日常を取り戻さなければなりません。  また、新型インフルエンザ等対策特別措置法と感染症法も改正されて、一部議論はあるものの、実効性を持たせた運用を期待しております。  今回の感染症について、当初は未知の部分が多く、情報が少なかったため、漠然とした不安がありましたが、少しずつ新型コロナウイルス感染症についての知見も深まってきたことで、県としての課題と取り組むべき対策が具体的に見えてきたと思います。また、ワクチン接種に取り組む市町への協力も欠かせません。  そこで、新型コロナウイルス感染症への対応について五点伺います。  一年もの長きにわたり、新型コロナ対応に追われた県行政でありました。今もまだ収束には至りませんが、これまでの経験を踏まえて、今後どのように新型コロナと向き合っていくのか一つ目に伺います。  二つ目は、感染拡大防止に実効性を持たせるために改正された特別措置法等についてです。  新型コロナウイルス感染症対策を強化することを目的に、新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法が改正されて、今月十三日には施行されました。感染拡大防止の実効性を高めるために新たな罰則規定などが設けられていますが、どのように受け止めているのか伺います。  三点目は、新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制の確保についてであります。  感染が拡大していく中で最大の懸案は医療の逼迫でありました。第三波の感染拡大により、入院、療養先が見つからずに自宅待機を余儀なくされたり、救急搬送先が困難な事例は全国で起きています。改正感染症法に関しては、中小の民間病院には感染症に対応する人員確保を含めた体制づくりがそもそも困難であることなどから、法による罰則ではなく、信頼感に基づく支援を国は強化しなければなりません。地域の医療機関と県が連携して、感染拡大期の病床確保に取り組むには信頼関係が要であります。  本県の場合、医療提供体制を確保するため、「プロジェクトM」を当初から立ち上げ、宿泊療養施設も空振りを恐れず確保されるなど、思い切った対応ができています。しかしながら、東京の感染者数の推移に連動する形で福岡県も感染者数が増減している実情からして、全国的な感染拡大は佐賀県にとっても脅威に変わりなく、医療の逼迫は大変心配されます。医療現場の人材不足、またコロナ禍の風評被害や受診控えなど、医療現場は大変であると思いますが、医療の逼迫は新型コロナ感染者のみでなく、一般医療の患者にも影響をいたします。  県民の命と健康を守り抜くためにも、県は今後、感染拡大時の医療提供体制の確保についてどのように取り組まれるのか伺います。  四点目は、新型コロナウイルスのワクチン接種についてであります。  一月四日、県の仕事始め式で知事は、先を想像する大きな視点で前を見ていくということが大事、佐賀県が前に進めていくように、皆で心を一つにして頑張ろう、そのように述べられています。式では八賢人おもてなし隊による天然痘のワクチン接種の寸劇も披露されました。
     そして、まさに今、コロナ禍を乗り越え、先を見据えるための切り札とされているワクチン接種について、医療従事者を対象とした先行接種が、今週から県内でも国立病院機構の三つの医療機関において始まっています。  ワクチン接種については県民の関心も高く、県や市町、医師会など、関係者はその準備に追われて大変な状況だと思います。感染症克服にはワクチン接種を一日でも早く多くの人に済ませる必要があります。  しかし、待ち望まれた割には情報が少ないため、ワクチンの効能や副反応の心配から、接種の判断をするのは不安に感じるという県民の声も聞きます。また、市町など関係者からは、集団接種の会場を確保しても予定どおり進められるのか不安がある、マイナンバーを活用したワクチン接種管理システムに関する情報がほとんどないなどの課題が多数挙げられています。  国はワクチン接種の目的を、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、重症化をできる限り減らすこととしています。その実現に向けて積極的に取り組む一方で、ワクチンを接種するかどうかは最終的には個人の判断としています。  県内でも医療従事者が先行接種されていることから、後に続く方にとっては不安の解消になっているものと思います。  そこで、県として、ワクチン接種については正しい情報を県民に伝え、国が求めるワクチンの接種率を上げるための対処も必要となりますが、知事はどのように考えているのか伺います。  五点目は、新型コロナウイルス感染症に関する誹謗中傷対策の取組姿勢についてであります。  昨年三月に県内で初めての陽性患者の事例が公表された際に、知事はメッセージも併せて発信されました。ウイルス感染自体は気をつけていても、結果的に防げないこともある。佐賀県は地域の絆は生きていて、温かい人と人とのつながりがある県です。どうか地域の仲間を、患者の方をこれまでと同様に温かい目で見守っていただきたい、このような思いを県民へ伝えられました。  また、感染者や医療従事者、そして、福祉関係者から学校関係者にまで誹謗中傷の不安があると全国の各都道府県へ相談が寄せられるなど、決して放置してはならない状況にあります。そのため、官民、地域を挙げて、誹謗中傷をやめようと声明が出されてもいます。今後はワクチン接種の有無に関する誹謗中傷も心配されます。  そこで、佐賀県として、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷対策にどのような思いで取り組んでいくのか伺います。  次に、産業におけるコロナ対応と今後の振興についてであります。  国は、昨年四月七日に、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の七都府県に緊急事態宣言を行い、同月十六日には対象を全国に拡大して新型コロナ感染拡大防止に取り組みました。  その成果もあり、一旦は感染者数も下がり、第一波は乗り越えたものの、その後、第二波、そして、第三波の感染拡大の一層厳しい局面を迎えました。守るべきは命と健康であることから、まずは、医療現場の立場に立って国は施策を取り、県も率先して県民を守らなければなりません。  その一方で、緊急事態宣言に伴い経済活動を止めれば、コロナ禍の影響で経営が悪化している業界では、途端に経営危機に陥る中小個人事業者が後を絶たないことになります。  そのような事態を回避するため、国においては、緊急事態宣言発出に伴い、緊急経済対策を閣議決定するなどして、雇用の維持と事業の継続を図るための資金繰り支援や持続化給付金、そして、甚大な影響が生じる地域産業への官民一体型の需要喚起キャンペーンの対策を講じてきました。  そして、佐賀県では、全国に先駆けて三年間の全額利子補給つきの融資制度を創設するなど、迅速かつ効果的な手厚い支援策を大胆に取っていただいたことで、多くの事業者がひとまず経営の危機を回避できています。  しかしながら、昨年末から続いた感染拡大の影響は実体経済をさらにむしばんでおり、特に宿泊業、飲食業、理容・美容業、クリーニング業など、生活衛生関係業は立ち上がれないほどの打撃を受けています。それに生活衛生業と密接な関係にある酒屋や食材の卸売業、また、タクシー・バス事業なども過去に見ない業績悪化に息切れ感が既に出始めております。  県では、感染拡大防止の時短要請に伴う協力金支給に取り組むなど全力で対処されていると理解をしておりますが、ワクチン接種による収束の見通しも定まらない中では、引き続き効果的な事業者支援が必要と考えます。  また、コロナ禍を克服した後の展望を開くための県の産業施策も重要となります。「佐賀県総合計画二〇一九」で示されていたように、今は一旦途絶しても、新たな状況を踏まえて経済環境の変化に対応した産業振興を展開しなければなりません。  そこで、現在の状況への対応、そして、県の将来を見据えた産業振興をどのように考えているのか、知事の方針を伺います。  次に、災害対策についてであります。  二〇一一年三月十一日の東日本大震災から間もなく十年になります。今を生きる私たちは決して忘れることはできません。最大震度七の宮城県では一万人を超える方が亡くなり、または行方不明となっています。岩手県、福島県を合わせた三県となれば、一万八千人をも超えることになります。  当時、議会で現地の状況報告を聞く機会があり、行方不明者の捜索に行かれた佐賀県警の警察官から話を聞いたときは胸をえぐられる思いがしたのを覚えています。かけがえのない多くを失った人たち、被災地の復興を祈る十年でもありました。  そして、東日本大震災の激甚な被害状況から、災害対策は県の最重要課題であることを強く意識させられました。二〇一六年の熊本地震、二〇一八年の西日本豪雨、昨年の七月豪雨など災害が相次いでいて、いつ、どこで大規模な災害が発生してもおかしくない状況にあります。佐賀県でも、三年連続で大雨特別警報が発表されるなど、土砂崩れや大規模な浸水被害をもたらす大雨災害が頻繁に起きています。  このような災害に対応するため、二月補正予算として、県土整備部、農林水産部、合わせて百八十三億五千七百万円を確保されました。クリーク整備やため池事業、河川砂防、治山事業などにもしっかり取り組んでいただけます。今後も大雨や、心配される地震など、コロナ禍であろうと、いつ何どきでも県民の命を守る最後のとりでとなるのは県の災害対応と考えます。  知事は、数多くの災害現場での指揮対応の経験から、一昨年の佐賀豪雨災害、昨年の台風十号でも速やかに災害対策本部を設置して、実効性のある対応を取っていただきました。  そして、東日本大震災から十年という節目の年に、長年の念願でありました県の消防防災ヘリが来月末から運用開始されます。防災ヘリについては、東日本大震災の教訓として、被災地各地での情報収集、あるいは人命救助及び空中消火などの活動状況から、大規模災害時における有用性を県は認識しながらも、費用面や市町消防職員の配置など、様々な課題があることから、導入は見送られてきた経緯がありました。しかし、ようやく実現へとこぎ着けていただきました。一月後には運用開始されることから、県の災害対応にも迅速性と厚みが増すものと期待をしております。  そこで、今年は災害のないことを切に願いながらも、しっかりと災害に備えておく必要性から、改めてどのように災害対応を行っていくのか伺います。  次に、国政課題との向き合い方についてであります。  二〇〇〇年四月に地方分権一括法が施行されて二十一年になろうとしております。機関委任事務制度が廃止されて、国と地方の役割分担が明確となり、地方公共団体は自らの判断と責任とで地域の実情に沿った行政を展開していくこととなりました。  住民に身近なところで政策判断できると喜ぶ一方で、財源の確保が心配されていましたが、思わぬ形で心配が現実のものとなりました。地方分権一括法の施行から二年後に閣議決定された三位一体の改革、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税の見直し、この方針に基づいて地方が手にする税源移譲は三兆円実現したものの、国の補助負担金削減と地方交付税抑制の合わせた九・八兆円が削減をされて、地方財政は一気に硬直してしまいました。  佐賀県においても大変な痛手となり、交付税削減額約二百二億円は政策維持費の一五%削減、投資的経費五%削減へ、事業費縮減を余儀なくされました。残念ながら、地方の時代とはいえ、予算に関しては国にあらがえないことを知りました。  国は、国が進める政策を予算の配分によって地方の政策に反映させることが可能であります。その観点から、自主財源の乏しい地方自治体にとって国は怖い存在なのかもしれません。国に対して意見を言うことは大変勇気の要ることだと正直思います。特に国が推進する国策に関しては、対応が大変難しいものと理解をしております。国と自治体、そして住民の意思が同じであれば、苦労はありませんが、国と県、または国と住民の考えが対立した場合には知事への重圧は一気に高まります。  佐賀県では全国的に注目される国政四課題があります。佐賀空港への自衛隊配備、九州新幹線西九州ルート、玄海原子力発電所、諫早湾干拓事業などであります。  国政課題と言ってもそれぞれに内容が全く違って、所管する省庁も別になります。そのため県は、一つ一つに対して真摯に対応してきたと理解をしております。それでも、県民の受け止めは賛否両論、いろいろあります。議会でも議論が紛糾するなど、解決へ向けては長い期間を要しますが、鍵を握るのは県であることから、知事の判断が大きく事業へ影響を及ぼすことになります。  そこで、国政課題と向き合うときに、知事はどのような考えで対応されているのか伺います。  次に、財政運営についてであります。  国においては、コロナ禍に対応する緊急経済対策などの影響で、プライマリーバランスの赤字が二〇一九年度の一六・一兆円から二〇二〇年度には六十八兆円になると試算しています。目下の緊急事態において財政悪化は避けられないこととはいえ、国と地方の長期債務残高は千二百兆円規模となり、国内総生産の二倍にもなっております。  今後もコロナ禍が続くことになれば、景気は低迷して財政出動がさらに必要となり、財政運営はますます厳しくなります。さらに国の財政は極めて深刻な状況にあると言わざるを得ません。いずれそのしわ寄せが地方行政へ押し寄せてくることが心配です。  コロナ禍以前の佐賀県は、企業誘致や移住支援など地方創生の成果を着実に上げながら、将来へ向けて佐賀空港やSAGAサンライズパーク、そして有明沿岸道路などのインフラ整備にも積極的に取り組むなど、交流人口増へ向けての展望が開けていました。ところが、新型コロナ禍による国の財政悪化に伴って、地方の財政運営にも陰りを感じています。  いずれにせよ、まずは新型コロナ感染拡大を防ぐことが第一であり、経済活動自粛による影響を受ける人たちを守るための財政出動はしっかりやるべきであります。健全財政を意識して、新型コロナ感染拡大防止に取り組みながら経済回復も考える、これまでにない難しい財政運営となります。  今議会に提案されている予算案を見れば、佐賀県の令和三年度一般会計当初予算案は、県税収入はコロナ禍の影響により対前年度比三・二%減、また令和三年度末の県債残高見込額は過去最高額七千六百三十三億円となり、今後の公債費の上昇が見込まれ、財政硬直化が懸念されます。  東京のように景気が上向けばすぐさま立ち直れる大都会と違って、自主財源が乏しい地方にとっては国の財政が大きく影響します。その国が極めて深刻な財政状況となれば、本県にとっても厳しいことになりかねません。以前のように成長戦略の財政運営に戻せれば心配ありませんが、規律ある財政運営を図りながら必要な大型事業に取り組むことは今後難しくなるのではと懸念をしています。  そうならないためにも、財政運営上、活用できる国の交付金は積極的に使うのが自主財源の乏しい地方にとっての基本となります。その観点からいえば、新型コロナ対策として国が用意した地方創生臨時交付金は、感染拡大防止策にとどまらず、経済活動の回復など、幅広い用途に活用できることから、コロナ禍という特別な環境においてはこの交付金を効果的に活用することはとても重要と考えます。  そこで、この交付金の活用を含めて、今後の財政運営について知事の所見を伺います。  次に、九州佐賀国際空港についてであります。  年末年始をふるさと佐賀で過ごす帰省客や旅行帰りを出迎える親族、また全国大会に出場する学生の壮行会が開かれるなど、空港では感動的なシーンに数多く出会います。到着ロビーでお孫さんに顔が綻ぶ祖父母の姿は通りすがりに見てもほほ笑ましく、幸せな気持ちにしてくれます。  このような九州佐賀国際空港は、交流人口を増やすインフラとしての機能だけではなく、佐賀から飛び立ち、佐賀へ降り立つことにも大きな意義があると感じています。改めて佐賀空港の開港に尽力された関係者に感謝と敬意を表したいと思います。  平成十年の空港開港式での井本元知事の一言、「昭和四十四年の構想発表以来いろんなことがあり、感慨ひとしお」にそれまでの苦労と希望が表れています。その後も国の規制緩和、自由化で厳しい空港経営を余儀なくされた井本元知事の希望は滑走路延長にありました。しかし、努力されましたが、かないませんでした。  井本県政後は、将来の発展に滑走路延長が必要との認識は示されていたものの、それまで佐賀県総合計画の目標に示されていた滑走路延長二千五百メートルの指標はなくなりました。  そして、平成二十七年に就任された山口知事は、佐賀空港について戦略的に発展していけるよう、「佐賀空港がめざす将来像」を策定されました。国際戦略のターゲットエリアへの路線誘致を有利に進めるため、滑走路の二千五百メートルへの延長に向けた検討も開始されるなど、有明佐賀空港から九州佐賀国際空港へ装いも新たに空港の機能強化を図りながら、平成三十年度の利用者数は建設時の需要予測を超え、八十一万九千人と過去最高となりました。  令和元年度も日韓情勢により韓国路線が運休するまでは路線及び便数の拡充、利用者数増など、順調に成長を続けていたことから、県内経済へ波及効果をもたらしておりました。  しかしながら、今年度は世界規模での新型コロナウイルス感染症の影響で、緊急事態宣言や外出自粛、出入国制限などにより、全国の空港で運休や大幅な減便が生じております。九州佐賀国際空港においても、国際線は全線で運航を見合わせ、国内線も大幅な減便を余儀なくされています。  そうした未曽有の危機の中、九州佐賀国際空港の基幹路線である東京便は昨年十一月頃まで徐々に回復傾向であったことから、このままコロナ禍が収束に向かってくれればと期待を抱きましたが、十二月以降の感染拡大、さらに年明けには首都圏や福岡県等に緊急事態宣言が発出されるなど、再び大きく悪化をいたしました。  このように空港を取り巻く情勢は大変厳しいと受け止めていますが、佐賀県に唯一、空の玄関口である九州佐賀国際空港は県政の矜持と言っても過言ではなく、県民にとって大事なインフラであります。特に首都圏とを結ぶ国内線は地域の発展にとってなくてはならない路線であることから、九州佐賀国際空港の今後の方針として、まずは基幹路線である羽田便を中心とした国内線の回復に取り組むことであります。  東京便を運航する全日空とは空港開港以来の長きにわたり信頼関係を築いておりますが、コロナ禍の難局を共に乗り切っていくため、現在取り組まれている全日空との連携企画「SAGANA(サッガーナ)プロジェクト」などを通じて、さらなる関係強化を図っていただきたいと思います。その上で早期の需要回復や一日五便の復便、また六便化、七便化へ向けて取り組むことを優先的に考えつつ、コロナ禍の収束を見据えて滑走路延長二千五百メートル化への実現へ向けて取り組めるかが、今後の県内経済発展に必要な交流人口拡大の鍵となります。  もともと佐賀空港滑走路の経緯を振り返れば、昭和五十六年の国の第四次空港整備五カ年計画では滑走路は二千五百メートルクラスで計画されていたものの、その後の国協議を経て、昭和六十二年、佐賀空港基本設計改定を公表し、地方公共団体が設置、管理する三種空港として平成十年に滑走路二千メートルで開港することになりました。  滑走路二千メートルでは、佐賀空港の空域や気流といった非常に優れて恵まれた運航条件を生かし切れておらず、また福岡空港との役割、機能分担を果たそうにも滑走路延長が足らず、妨げとなってしまいます。そして、LCC航空会社から、今後の展開のためにも滑走路延長を求められておりました。  今はコロナ禍で国際線の先行き見通しが立てづらい状況から、滑走路延長二千五百メートル化に対する心配の意見もあると思いますが、国、地方にとってインバウンド需要を取り込む必要性に変化はありません。コロナ収束後を見据えて、海外活力による地域活性化や国が掲げるインバウンド目標、二〇三〇年六千万人達成への寄与など、中長期的な展望を持って佐賀空港が当初描いた滑走路二千五百メートル化は重要と考えます。  そこで、コロナ禍が長期化している現状を踏まえつつ、九州佐賀国際空港の今後の方向性について知事の考えを伺います。  高齢者福祉についてであります。  佐賀県の高齢者人口は年々増加して、二〇二五年にはピークを迎え、六十五歳以上が三人に一人、七十五歳以上が五人に一人となる超高齢社会になると見込まれています。また、七十五歳以上の後期高齢者の人口は二〇三五年まで増加すると考えられます。  このような超高齢社会に対応するため、県は第七期ゴールドプランに沿って、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、その方の有する能力に応じた日常生活を送れるように、地域包括ケアシステムを推進する様々な取組を行っています。特に高齢者人口の増加と生産年齢人口の減少が見込まれることから、意欲ある高齢者が社会とつながりを持ち、地域社会を支える担い手として元気に活躍できる仕組みづくりは重要だと考えます。  しかしながら、コロナ禍の影響により地元でのイベントや老人クラブなどの活動が軒並み中止となり、外出が自由にできないことで気持ちが萎え、孤独を抱える高齢者が増えているのではないかと心配をいたします。  コロナ禍以前は、県内の様々な地域で活躍される方も多く、伝統行事等のイベントでも中心的な役割を担うなど子供たちとも触れ合いながら、楽しむ機会もありました。それが新型コロナ感染拡大防止の観点から、大抵の場合できなくなっています。  このような中、今年一月十七日、子供から高齢者まで幅広い層による、そして、親子、友人の絆を深めることを目的に、日本の伝統的な遊びであるたこあげ大会が佐賀市大和町で開催をされました。  第一回かわかみたこあげ大会は、川上校区の実行委員会の皆さんが来場者の感染防止にも努めながら、天候にも恵まれて、久しぶりに多くの笑顔に出会えるすばらしい一日となりました。  参加された御高齢の方も、懐かしさとともに子供たちとの触れ合いを楽しんでいる様子から、とてもよいオープンエアの取組だと思います。  このように、高齢者と子供たちが生き生きと触れ合い、笑顔がはじけるのを見て、適度に昔を懐かしむこと、人に伝えること、教えることは高齢者の方々の生きがいづくりにつながり、ひいては元気な高齢者を増やすことにもつながると考えます。コロナ禍の下、感染症予防は重要ですが、意欲がある元気な高齢者が地域社会で活躍できる取組や支援も極めて重要であります。  また、高齢者の社会参加や生きがいづくりは、地域包括ケアシステムの実現のためにも必要不可欠なことであり、健康づくりや介護予防への取組、介護サービスの充実、医療と介護の連携などとともに積極的に取り組んでいただくことを期待しております。  そこで、現在県では、「第八期さがゴールドプラン21」を策定されていますが、今後、高齢者福祉にどのように取り組んでいくのか伺います。  障害者の社会参加支援についてであります。  JR佐賀駅において、重い扉から思いやる自動ドアへ、「佐賀の障がい福祉を考える会」の要望がかなう伝達式の報道を見て、大変よい取組に感銘を受けました。  コロナ禍で多くの方が孤独や不安といった生きづらさを感じている中で、希望を与えてもらったようなうれしい気持ちになりましたし、こういった社会活動が広がることで、あらゆる人にとって暮らしやすい町になると考えます。  このような難病患者を含めた障害をお持ちの方々が希望を持ち、将来にわたって地域で安心して暮らしていける佐賀県であるためには、様々な場面で誰もが社会参加できることが重要と考えます。  障害のある方の社会参加の形としては、いろいろな考え方があります。自宅やグループホームで暮らし、就職して地域で自立した生活を送ること、地域の行事に参加することで地域社会との結びつきを強めること、結婚してパートナーとともに生活することなど、こういったことを障害のある方が当たり前にできる社会をみんなで目指すべきと考えます。  そうして、障害のある方の社会参加が進めば、障害のある子の親にとっても将来の不安を軽減することの一助となります。また、障害のある方にとっても、先々の不安を癒やし、質の高い生活につながると思います。そのため、障害のある方の社会参加を行政が支援することは必要なことであります。  県においては、「障害のあるなしにかかわらず、ともに暮らしやすい佐賀県をつくる条例」や、「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」を平成三十年九月に制定いたしました。  また、令和二年十一月議会では、県立施設における難病患者の観覧料免除の条例が成立施行されましたが、こうした障害のある方々の社会参加に向けた取組を引き続き県には進めていただきたいのとあわせて、難病患者を含めた障害をお持ちの方が結婚を望む場合の支援についても取り組んでいただきたいと考えます。  そこで、今後、障害のある方の社会参加支援のために県はどのように取り組んでいくのか伺います。  結婚支援についてであります。  国会の予算委員会で、なぜ日本に第三次ベビーブームは来なかったのかを問われた菅総理大臣は、子供を産み育てることのできる環境になっていなかったと見解を示された上で、不妊治療の保険適用や男性の育児休業に取り組むと答弁されています。  まさに第三次ベビーブームが見込まれた一九九〇年代は、昭和から平成へ時代が移り、バブル経済崩壊によって失われた二十年の時期と重なります。  つまり、少子化に至る要因として、未婚化、晩婚化、夫婦の出生力の低下が指摘されていますが、その背景として、結婚観や価値観の変化もさることながら、経済的に不安定な若者の増加や核家族化の進展などによる家庭や地域の子育て力の低下、夫の育児への不参加など、出産、子育てに関する負担が大きいことなどが一般的に考えられます。  第一次ベビーブームと言われる昭和二十二年から二十四年の三年間は、出生数が毎年二百五十万人を超えています。  第二次ベビーブームの昭和四十六年から四十九年にかけても、毎年二百万人を超える子供たちが生まれていたことを踏まえれば、令和元年の八十六万五千人という数字がいかに少ないか分かります。  そして、今心配されているのが、コロナ禍による少子化へのさらなる加速であります。  コロナ禍の影響で、婚姻数も下振れとなっていることから、このままでは今年、二〇二一年の出生数は七十八万四千人まで落ち込むのではないかと日本総合研究所の予測もあります。  これは合計特殊出生率一・三六が続いた場合の二〇三〇年頃の出生数に相当することから、想定よりも一気に十年前倒しで少子化が進みかねない深刻な状況を示しています。  このような課題に取り組み、少子化に歯止めをかけて、人口減少から人口増加の社会へ転じさせることは、国策として大事なことと考えます。  佐賀県でも、人口減少対策として地方創生に取り組み、移住支援や企業誘致などで成果を上げていますが、人が移り住むというだけでは国全体としての抜本的な解決には至りません。  やはり第三次ベビーブームが起きなかった背景として、雇用の流動化や若年層の非正規化など雇用環境の悪化が大きく影響していることを踏まえながら、不妊治療から出産、子育てまで国が財源確保の責任を持つことが少子化対策の前提条件と考えます。その財源が保障された上で、地域に合った少子化対策に取り組まなければなりません。  佐賀県では、「子育てし大県”さが”」を掲げて、出会いから結婚、妊娠・出産、子育て、仕事をしながらの子育てまで、切れ目なく支援をしていただいております。昨年は、コロナ禍により結婚式を挙げられなかったカップルに支援をするなど、すばらしい事業にも取り組んでおられます。  このように、県が寄り添う姿勢を強く打ち出していることは、不安を抱えながらも、結婚したい、子供を産み育てたいと願っている人たちにとって大変心強いと思います。  また、結婚支援については、県内市町においても力を入れており、それぞれの自治体においても、よい出会いのサポートを行っております。  このような結婚を希望する人たちを自治体が支援する事業については、国が、AI・人工知能を活用した婚活支援事業に力を入れる方針を打ち出しています。既にAIやビッグデータを使用した婚活支援に取り組み、成果を上げている県もあると聞きます。  佐賀県でも婚活支援は力を入れている分野ですが、出会いサポートセンターの会員の方から、なかなか会える段階までいけない、会える対象となる会員数が限られているため、独自に取り組む市町と連携して会員数を増やすなどして出会う機会を高めてほしいなどの意見を聞きます。  そもそも出会いサポートセンターを御存じない方も多いのが現状と考えます。現場のスタッフはスキルを上げるべく努力もされて、相談に見えた方にしっかりと寄り添い、熱心に支援事業に取り組んでおられます。  しかし、課題も多く、新規入会者数をいかにして増やしていくのか、システムや制度上の利便性をいかに上げるか、市町などとの連携をどう充実させていくのか、本来なら民間が行うお見合い事業は行政がゆえの難しさもあると思います。結婚を望んで入会された方々の期待に応えられるよう、県としてしっかり取り組む必要があると考えます。そのためには効果検証を行うべきであります。  コロナ禍の影響で、昨年は二十四万組が結婚式を延期、もしくは中止したとの報道がありました。
     そして、出会いや結婚にちゅうちょする一方で、自粛による巣ごもりの不安から人と会いたい気持ちが高まり、結婚願望も上がっているとの民間のアンケート結果も公表されています。  今、人生のパートナーを求めている方は確実に増えているのではないでしょうか。当然ですが、結婚についての考え方は人それぞれであり、多様な価値観は大切です。同様に、結婚を希望されている方を県が応援していくことも大切と考えます。  そこで、結婚を希望する方々の後押しや機運づくりにどのように取り組んでいくのか伺います。  次に、エネルギー政策についてであります。  令和二年十月臨時国会の所信表明演説において、菅総理大臣は、「二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すこと」を宣言されました。  二十一世紀後半のできるだけ早期を目指していた政府は、二〇五〇年までに二〇一三年度比で温室効果ガスを八〇%削減としていた長期目標を事実上修正することになりました。今後は各種計画が見直されて、カーボンニュートラルの実現に向けた取組が加速されるものと考えます。  今も世界中で温室効果による影響とみなされている甚大な自然災害が観測されるなど、温室効果ガスの排出削減は世界共通の喫緊の課題であります。  そして、国内には、カーボンニュートラルの達成を表明している自治体が少なくありません。ゼロカーボンシティーへの取組は意義あるものと高く評価できる一方で、表明に見合う実効性を伴った計画を有しているとまでは言えないのが現状だと思います。理念として、カーボンニュートラルは重要な課題であります。しかし、実現させることは容易ではありません。  佐賀県もカーボンニュートラルの達成に向けてしっかりと取り組まなければなりませんが、そのためにも実現へ向けた課題を直視して、その中で県としてできることを検討して、責任を持って進めていただきたいと考えます。  そして、今議会においては、「佐賀県新エネルギー・省エネルギー促進条例」の改正とともに、条例に基づく基本計画についても予算外議案として提案されています。  そこで、この計画案について質問をします。  カーボンニュートラルの実現にはどのような課題があると認識しておられるのか。また、どのような考え方で計画案を作成されるのか伺います。  次に、農業の振興についてであります。  農業従事者の高齢化や減少、耕作放棄地の増加、生産資材価格の高止まりなど、農業を取り巻く情勢は近年、一段と厳しさを増しています。  特にコロナウイルス感染症拡大の影響を受け、最初の緊急事態宣言が出された昨年四月以降、牛肉やタマネギ、花などの農畜産物で需要が減少し、価格が大幅に減少しています。  米も外食での需要が減少し、民間在庫が大きく膨らんだことから、一部の産地では価格の下落幅が大きくなっています。  こうした価格下落による経営環境の悪化に対し、県や国においては、次期作に向けた支援などを実施していただいております。  営農は、一度やめて農地が荒れてしまえば、容易には再開できなくなってしまうことから、守り続けることが大事です。また、国民の食を守るという安全保障の観点からも、営農は国の要となります。そのため、市場原理に任せるのではなく、しっかりと農業を支援することが必要であると強く感じています。  そして、農業を守るといえば、稲の害虫であるトビイロウンカが、特に中山間地域を中心に大発生し、大きな被害をもたらしました。さらに先月には大雪が降ったため、ハウスの補強や雪下ろしなど、農家の方々も大変な苦労をされています。  こうした厳しい自然環境下に加えて、平たん地域と比べたら圃場が狭く、傾斜もあるなど生産条件が不利な中にあっても、これまで中山間地域の生産者の方々は熱心に農業に取り組んでこられました。しかし、平たん地域以上に生産者の高齢化や減少が進み、耕作放棄地が増加するなど、中山間地域農業を取り巻く状況は年々厳しさを増しています。このため、中山間地域の農業を守るための取組を強化していくことが必要です。  また、佐賀市大和町では多くの生産者がミカン栽培に従事されていて、根域制限栽培技術を導入するなど品質に力を入れておられますが、そのような生産者のところには意欲のある若い後継者が多い傾向もあります。  県では現在、高い収益が見込まれる園芸農業を推進する「さが園芸888運動」を市町や農業団体などと一体となって展開されていますが、この取組を一層推し進めることで、生産者の所得を向上させるとともに、地域農業を支える次世代の担い手も確保できるのではないかと考えます。  佐賀県の発展のためには、基幹産業たる農業の振興を図ることが重要です。そのためには農業者の所得を向上させ、農業従事者が魅力を感じて経営に取り組めるようにしていくことが欠かせません。また、その姿を見せていくことで、次の世代の若い人たちも佐賀県で農業に取り組むようになると考えます。  そこで質問をいたします。県は農業所得の向上や中山間地域の振興など、本県の農業振興にどのように取り組んでいくのか伺います。  次に、有明海の再生についてであります。  懸案であります諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門については、いまだ解決には至らず、特に有明海の漁業者にとってはなりわいの場であるだけに、待ったなしの課題であります。  県ではこれまでにも、漁業者に寄り添う立場で、水産資源の回復へ向けて有明海特措法に基づく支援措置を活用しながら、国や関係県と協力して、でき得る限りの有明海再生に取り組んできたと理解をしています。  しかし、温暖化など地球規模の気候変動も強まり、天候、水温、潮流など、漁場環境に影響を与える有明海の自然条件が絶えず変化しているため、なかなか取組に見合った成果が現れません。やはり自然を相手にする事業であれば、長期的な視点で粘り強く、しっかりと有明海の再生のため取り組んでほしいと考えます。国においても、今国会で佐賀県有明海漁協など関係者が要望していた有明海特措法が改正されて、有明海再生につながる事業に対する国の財政支援措置が延長される見込みであることから、引き続き期待を寄せています。  そこで、漁業者の糧となる有明海の再生に向けてどのように取り組んでいくのか、改めて知事の考えを伺います。  次に、スポーツを生かした地域振興について質問をいたします。  人生の困難さえも努力で乗り越えていくアスリートの活躍は、私たちに感動や気づき、そして、明日へ向けて自分も頑張ろうと心に元気を与えてくれます。もちろん、すばらしいのは一流アスリートの競技だけではありません。身近な学校で日々練習している子供たちのスポーツ大会もかけがえのないものです。  コロナ禍で人が集う会合が敬遠された昨年は、高校総体や高校野球の各種大会が中止となりました。高校三年生にとっては最後の夏でしたが、やむを得ないのかと残念に思っていたところ、知事がリーダーシップを取って、県、県教育委員会、高体連、高野連といった関係者が一丸となっての代替大会として、先駆的な形でSSP杯(カップ)が開催されました。  私は、佐賀県政の長い歴史においても、SSP杯(カップ)は最高に誇れる事業であったと評価しております。子供たちのため、責任ある大人が決断をした。そして、大成功に大会を終えることができた。本当にすごいことであります。子供たちが大人になって初めて気づく大切なこと、それをSSP杯(カップ)には込められているように思いました。  このような取組が短期間にできた背景には、関係者の理解と協力があってのことですが、私は県が進めるSAGAスポーツピラミッド──SSP構想の精神が根づき始めたこともあるのではと考えております。トップアスリートの育成を通じた地域づくりに県民が期待と共感をしている素地があればこそ、あれだけの大会ができたと言えます。スポーツは「する」、「育てる」だけでなく、「観る」、「支える」など、多くの人がそれぞれのスタイルで関わることができ、それにより地域が活性化することをSSP杯(カップ)という成功体験が示してくれたとも言えます。  県が現在進めているSAGAサンライズパークの整備を見ても、これを契機として、佐賀駅とSAGAサンライズパークを結ぶ市道三溝線のにぎわいづくりに向けた取組が進められており、県と佐賀市が連携して地域が協力し合えば、ひいては佐賀駅北口のまちづくりにもつながるものと期待をしております。  サガン鳥栖の試合には全国からサポーターが集まり、その後の観光や消費活動にもつながることや、SSP構想により民間企業がスポーツに参画することで、佐賀から新たなスポーツ関係のサービスが創出されることにも期待をしております。  このように、これからの地域づくりの軸にスポーツをしっかり位置づけることは、私たちには斬新であり、かつ夢があります。  そこで、県としては、既にSSP構想の推進として、その点を踏まえた取組を着実に推進しているところと理解をしておりますが、改めて県としてスポーツを生かした地域づくりにどのように取り組むのか、知事に答弁を求めます。  警察行政についてであります。代表質問最後となります。  これまで警察本部長の着任挨拶は、九月定例県議会において受けることが多かったため、今回の本部長人事異動は大変驚きました。杉内前本部長は九州初の女性本部長としても注目されましたが、気負うことなく、ニセ電話詐欺や児童虐待事案、また、交通事故抑止など使命感を持って取り組み、重責を果たしておられただけに、体調不良により業務に支障があることで仕方がないとはいえ、残念でありました。一日も早く健康を取り戻された上で、引き続き国民の安心・安全のために活躍されることを期待しております。  そして、二十四日付ですから、二日前に着任されたばかりの松下本部長におかれては、恐らく引継ぎも大変な中で、早速、午前の代表質問で決意を述べていただきましたが、私のほうからも本県が抱える課題について端的に質問をさせていただきます。  警察行政における県下の治安情勢の課題は、依然として発生している高齢者の方等が被害者となるニセ電話詐欺や、人口十万人当たりの人身交通事故の発生件数がワーストレベルにある交通事故対策であると認識をしております。  そこで、新たに指揮を取られる松下本部長には、犯罪の抑止力としての力強い佐賀県警察の構築を期待するとともに、各種犯罪や交通事故から何としてでも県民を守るという強い意志をもって警察行政に当たっていただきたいと考えます。  ついては、県下の治安情勢を踏まえ、どのように取り組むのか、警察本部長からの答弁を求めまして、以上、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 13 ◎山口知事 登壇=藤崎輝樹議員の御質問にお答えいたします。  まず、私の政治姿勢についてですが、修正否決についての受け止めについてのお尋ねがございました。  私は、県議会に予算案を提案するに当たりましては、様々な御意見をお聞きしまして、県議会でそれまで御指摘いただいたことも踏まえて、検討に検討を重ねて、熟慮に熟慮を重ねたものを提案させていただいております。  政策目的にかなっているのか、実施時期、そして財源、予算規模は適切か、そういったことについてチェックをかけまして、職員とも議論をして、最終的には私が判断し、県議会に提案しているものであります。  そして、議員から御指摘もありましたけれども、知事は一人で、独任制であります。もちろん大勢のスタッフに支えていただいておりますけれども、機関としては私が決定をするということになっております。  対しまして、県議会の皆さん方は三十八人でございますので、合議制ということで、様々な皆さん方の様々な観点からの議論がなされるということで、私は一人でありますので、本当にそれが正しいのかどうか、そういったものについて皆様方の御意見も賜りながら、幅広い観点のチェックを受けながら事業を遂行していくということなんだろうと思っております。  そういったことでありますので、様々な観点からのチェックが入りますので、私が提案した議案が否決されるということはあり得る姿なんだろうと常日頃から考えておりました。  昨年十一月に提案いたしました「誓いの鐘」の設置につきましては、私自身、コロナ対応に当たる中で様々な声を聞いて、誹謗中傷をなくしたいという思いを込めたものです。そして、提案事項説明の中でも、一般質問においても自分の言葉で私としては意を尽くして説明させていただいたと思っています。  「誓いの鐘」の予算が修正否決されたことは大変残念ではありますけれども、私は説明を尽くした、そして県議会の皆さん方で修正否決との判断がなされたということでありますので、私は尊敬申し上げている県議会で議論を経た上での結論でありますので、その判断には敬意を表しておりますし、尊重させていただいているところでございます。  議会とは常に真摯に向き合っております。引き続きオープンの場である議場をはじめ、様々な場で議論を交わさせていただきたいと思っております。  続きまして、新型コロナウイルス感染症への対策について、今後の対応について申し上げます。  これまで何よりも県民の命と健康を守ることを最優先に取り組んでまいりました。そして、最前線で頑張っておられる医療現場を守ること、これを大切に考えてまいりました。このことはこれから先も変わらない決意です。  そして、感染はこれからも続くと思って備えておきたいと思います。足元でも県内で感染ゼロが五日間続いたわけですけれども、その後、一つの感染からつながって、その一つのものだけでもこの数日間で三十件を超えるところまで広がっているということであります。我々、全部一つずつ周りを検査で囲んでいきますので、数はどうしても出ます。ただ、それをしっかり続けていくことがその先につながっていくというふうに確信しています。  しかも、議員から御指摘があったように、ワクチンの供給効果というのはまだ見えません。そして、それが感染の収束にどう向かっていくのかというのは、これは世界的にもまだ見えていないところでもございますので、我々は当分の間、県民とともにコロナと立ち向かう状況が続いていくと思わなければいけないと感じています。引き続き感染状況に応じて、念のため検査による徹底した感染拡大の防止、そして「プロジェクトM」による医療対応といった佐賀方式によりまして、医療の皆さんと連携しながら、一件一件丁寧な対応、先手先手の対応を取って感染症から県民を守る取組に全力を注ぎたいと思っております。  そして、今日にも福岡県さんが緊急事態宣言からどうなるのかという議論をされているそうであります。これについても、この議会が終わった後、すぐに検討を始めまして、その結果を県民の皆さん方に報告するということになろうかと思います。  コロナと向かい合いながら、感染拡大の防止、そして社会経済活動を両立していかなければなりません。これが大変難しいことでありまして、特に私が心を痛めているのは、医療現場も度々訪問させていただいて、感染対策の最前線の皆様のお言葉をいただき、気持ちはよく分かっているんだけれども、それを受け止めながら、そうは言っても、社会経済活動、事業者の皆さん方の思いもあるので、そちらについても支援をしなければいけない、社会を動かしていかなければいけないというところは非常につらい状況でございます。それでもやはりこの両立、両方の思いをしっかり受け止めるというのは我々の仕事だと受け止めまして、今後とも感染症対策をまず第一義にしながらも、社会経済活動で影響を受けている事業者の声にしっかり耳を傾けて、そちらのほうもしっかり支援していくということを心がけていきたいと思います。  そして、こうやってアクセルとブレーキという話によく例えられますけれども、こういった話に関しましては、特に県民の皆様方に丁寧に状況をお伝えするということがとても大事なんだろうと思っております。そういった趣旨でこれまで六十四回、対策本部会議をして、説明をしてまいりました。改善もしながら取り組んでまいりましたけれども、伝える工夫というのはしているんですが、どうしてもテレビなどの報道は東京を中心にされますので、やはりそれを受けての県民の御意見というのは多くなってまいります。そこをいかにすべきなのかというのが我々の大きな課題なんでございますけれども、何とか県の出す情報を県民の皆さん方に共有いただくべく、我々もその努力を続けなければいけないと思っております。  そして、そうした県民とのキャッチボールで意識共有することを大切にしながら、タイミングを逸することなく、めり張りのある対応を取ることが大事だと思っておりますし、そして、今、最大の関心事でありますワクチンの先行接種も始まっておりますので、これに関してもできる限り早く正確な情報をお伝えするということも大事だろうと思っております。オール佐賀、チーム佐賀で一つになって乗り越えていきたいと思います。  続きまして、特措法の改正などについての受け止めについてお答え申し上げます。  今回の改正においては、新たに設けられたのが「まん延防止等重点措置」というものが設けられました。緊急事態宣言に至る手前の段階においても、早め早めの措置が可能となるものだということで、私はこれは評価をしております。と申しますのも、緊急事態宣言の緊急という言葉は、私は大切に使う必要があるとずっと思っていまして、これまでの危機管理の経験からしても、災害対策基本法の「災害緊急事態の布告」だとか、我々、原発立地県ですが、原子力緊急事態の宣言というのも極めて重い宣言なんです。そのぐらい緊急というのはなかなか使えないなというふうに育ってきた私の身からしても、なかなかこの言葉というものが今、方々に飛び交っていて、しかも、都市部を中心に住民の皆さん方が普通に闊歩しておることというのは大丈夫かなという気がいたします。  佐賀県は、そうした意味で、一月中旬にこれ以上感染拡大を防ぎたいという場面がありましたけれども、この場面においても、医療環境を守るための非常警戒措置という名前にして、あえて緊急という言葉を用いなかったわけなのです。ですので、佐賀県で我々が独自に緊急措置というときには、かなり重く、そういう事態だということと併せて発せられると思っていただきたいと思います。  ですので、特にこれからだんだん全国的に解除の状況に向くと思いますけれども、緊急事態宣言が発出されている都市部、特に一都三県の皆様方におかれましては、緊急という言葉の重みを受け止めまして、感染経路を追える状況になるまで対策を徹底していただきたいと切に願います。  罰則規定につきましては、感染拡大防止には社会全体で感染対策への意識を高めて取り組んでいく必要がありまして、罰則を設けたからといって、私は本質的な解決につながるものではないと思っています。  佐賀県では、感染者が行動履歴などを話していただきまして、保健所が接触者を追いかけるということを一つ一つ丁寧にできていると思います、頭が下がります。そして、これに向けた県民の協力が感染拡大防止に大いに役立っております。  罰則については、行政罰とはいえ、私権を制限するものであります。また、これにより個人が感染の事実を隠すことになれば、かえって感染拡大につながりかねないといった懸念もございます。私はこうしたことから、罰則の適用に当たっては慎重な判断が必要と考えております。  続きまして、医療提供体制の確保について申し上げます。  従来から佐賀県では、医療機関、そして医師会等関係団体との信頼関係が構築できていたと私は思っておりまして、そういった状況の中で、このコロナの対応においても、昨年の四月にいち早く「プロジェクトM」というものを立ち上げて、先手先手で医療提供体制を強化することができたと思っています。  そして、これまで私自身も陽性患者を受け入れていただいている十一の医療機関を訪問させていただいて、意見交換を行ってまいりましたけれども、皆さんおっしゃっていただいたのは、「プロジェクトM」はよかった、これでみんなが何とか前線でやっていけるということで、うまく機能していたんだなということで、大変うれしかったわけでございます。  私としては、医療従事者の皆さん方がチーム佐賀、オール佐賀という意識で取り組んでいただいていることを感じて、大変心強く思っております。特に佐賀県は、医療従事者同士が互いに敬意を持って取り組んでいただいていることに本当に賛辞を贈りたいと思っています。  そして、この「プロジェクトM」でございますけれども、医療機関の役割分担を明確にして、患者の症状に適した入院先、療養先の選定、そして入院、入所後の症状に応じた転院など、患者の居住地にかかわらずに全県単位での調整を行えています。そして、そのリーダーには佐賀大学高度救命救急センターの救急のエキスパートであります阪本先生にお願いしております。本当に厳しい切迫した状況の中で、的確な判断をしていただいていると思います。  さらに、佐賀大学の感染制御部の青木先生には、常日頃からアドバイスをいただいておりまして、実際の現場にも多々行っていただいております。感染拡大防止策を強化することに大いなる貢献をいただいていることに関しましても感謝申し上げたいと思います。  一月十四日に病床使用率が三三・八%まで上昇しまして、病床逼迫の状況、これ以上行くと、いわゆるステージ4という状況になったときに、医療機関には県の要請に応じまして、迅速に対応して、いわゆる病床全体を拡大させていただきました。二百八十一から三百三十六床ということです。さらに、当時は東部、鳥栖管内が非常に急増しておりましたので、鳥栖の中に宿泊療養施設の二つ目をオープンさせることができました。こうしたことで医療提供体制への負荷を下げることができたと思っております。  特に二棟目開設の際には、ホテルで看護師がなかなか足りずに、もう最後の手段ということもあって、私が皆さん方に、潜在看護師さんというんでしょうか、経験がある方に、ぜひ助けてくださいと申し上げたら、三日間で三十名を超える方から応募がありまして、わあ、佐賀県はさすがだなと、本当にそうやって声に応じてはせ参じていただけるすばらしい県だと改めて再認識いたしました。  本県はこのように各医療機関がそれぞれの機能を生かして役割分担を行うなど、医療機関の連携が取れているのが強みであります。自分の病院の役割をしっかりと押さえていただいております。これが都市部になりますと、同じような拠点病院が平時であれば横並びであることは心強いんでありますけれども、いざこういった緊急時になりますと、どこが責任を持って担当するのかというのがなかなか難しい状況にあります。それは周産期医療のときなどにも現れることがあるわけなんですけれども、そういったところが佐賀県の場合は非常にしっかりとできたということであります。  引き続き医療関係者と連携して、先手先手で必要な対策を講じるとともに、救急医療を含む通常医療が維持され、県民の皆さんが安心して医療を受けられるように、佐賀県の、県と医療機関、そして、医療機関同士が顔の見える関係にあるというよさを生かしまして、チーム佐賀、オール佐賀で取り組んでいきたいと考えてございます。  続きまして、ワクチン接種について申し上げます。  ワクチン接種につきましては、県内においては今月二十二日から医療従事者等への先行接種が始まっております。三月上旬からは一般の医療従事者等への優先接種、そして、その後、六十五歳以上の高齢者への接種という予定でございます。  県としては、接種したい県民の皆さんが円滑に接種できる環境を整えることが大切と思っています。県におきましては、市町医師会などと連携、調整しながら、一般の医療従事者などへの優先接種の体制整備を進めますとともに、過去に例を見ない規模での実施に向けた接種の準備を進められている市町の皆さんを、医師会と連携、協議しながら支援してまいります。  また、ワクチンを接種するかどうかは最終的には県民自らの意思で判断いただくものであります。県民の皆様が接種するかどうか、正しく安心して判断していただけますよう、ホームページなどの広報媒体を活用した情報提供に努め、正確な情報をできるだけ早くお伝えしていく所存であります。  続きまして、誹謗中傷対策の取組姿勢についてお答え申し上げます。  私は、コロナは一瞬で状況が悪化するという危機意識、緊張感を持ちまして、一件一件丹念に感染状況を確認して、感染が拡大しないよう、細心の注意を払いながら臨んでまいりました。スタッフのみんなとチームとして機能してきたと思っています。  そうやって一つ一つの事例をつぶさに聞く中で、誠に残念なことに、感染した方、そして、家族などに対する差別的な扱い、誹謗中傷の事例が見られまして、この一年間、悩みながらこの問題に向き合ってまいりました。  新型コロナは県民誰もが感染する可能性があります。対策本部会議ですとか定例会見の場、あらゆる機会を通じて、決して誹謗中傷などはしないでいただきたいと訴え続けてまいりました。  その理由としては、議員のほうからもお話しいただきましたけれども、大きく二つあります。  まず、喫緊の課題として、我々は、一つ一つを追うためにはやはり経路を追わなければいけません。そこが迅速な感染経路の特定につながっていきますので、そこで押さえ込むことができます。そこで漏れがありますと、そのままどんどんどんどん広がっていくということになりますので、我々の佐賀方式、封じ込めの対策ができなくなってまいりますという喫緊の事情が一つ。  そしてもう一つは、何よりもこれは本質的なこととして、誹謗中傷自体は人を傷つけ、そして、そこに生まれた傷というのは本当につらく、心に大きく負って、簡単にはそれは立ち直れないものとなるわけでありまして、そして、それが悪意なくSNSなどで流されたりしますと、悪い影響が及ぶことが十分あり得るという事情であります。  この問題に向き合うときに、いかに人の営みに敏感であるか、人の思いに寄り添うことができるかというふうに考えてまいりました。そのときに考えついたのが、誹謗中傷しないでくれと言うだけでなくて、むしろエールを送るということを言おうかなと思いましたし、「支え愛」もそうです、むしろ人間は前向きなときに同感をしたり、そうしようと思ったりするのかなということもありましたので、エールという言葉も使うようにいたしました。  誹謗中傷を防ぐ特効薬、ワクチンみたいなものはございませんので、なかなか簡単にすかっとなくなるもんじゃないと思います。私はこれからも、差別や誹謗中傷は絶対に許さないという強い思いで、引き続き県民の皆様に訴え続けていきたいと思います。そして、チーム佐賀、オール佐賀でエールを送り合いながら、県民皆でこの難局を乗り越えていきたいと考えています。  続きまして、産業におけるコロナ対応と今後の振興についてお尋ねがございました。  新型コロナウイルス感染症の収束のめどは立たずに、商工業者の皆さん方、将来の不安は大きいと認識しています。  これまでコロナ禍の中で本県産業を支えるために、現場を大切に、商工業者が少しでも前を向く力にしてもらいたいということから、独自支援を実施してきたところであります。  まずは何を言っても、全国に先駆けて三年間無利子、保証料負担なしの思い切った資金繰り支援を実施させていただいて、非常に多くの借入れをしていただきました。また、飲食店などへの休業要請を行ったときには、店舗ごとの支援金を交付しました。さらに、新たなまちづくりにチャレンジする商店街の取組も支援させていただきました。  これからも現場を大切に、その時々の状況に応じて何が必要かを考えて実行していきたいと思います。  そして、今回のコロナ禍によって、消費行動、企業活動は一気に変化をしております。そのため、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えて、新たな視点、発想で事業の変革に取り組む事業者を支援していくことが極めて重要であります。  藤木議員のところでもお話ししましたけれども、四本柱で産業振興に取り組んでいきたいと思います。  一つは、産業を支える人材の確保であります。様々いろんなものづくり人材とか、人材の力ってとても大事でございますので、そちらに向けて実践的な指導を行っていくようなことですとか、イノベーションを起こしていくということで、新たなフラッグシップモデルを創設したり、多くの県内企業へのDXの普及を行っていったり、それから販売戦略ということで、佐賀県が持つ価値に光を当てまして、県産品をさらに磨き上げて、全国、世界へ売り込んでいきたいと思います。さらに四つ目として、産業の活力を未来につなぐものとして、佐賀県が持つ価値、魅力というものをしっかり遡及して、企業誘致、特に最近はIT系だとか、そういったところというのが非常に関心を持っていただいておりますので、ゲーム系もそうです、そういったところに対する誘致というものを積極的にしていきたいと思います。
     今、大きな社会経済情勢の変化にさらにコロナ禍も加わって先読みが困難な状況、こうした状況だからこそ、商工業者の皆さんはもちろん、私たち県や支援機関も、創造力、構想力、団結力を発揮して、佐賀県産業の未来を創造していきたいと思います。  続きまして、本県の災害対策についてお答え申し上げます。  まず、県として、本質的な危機管理というものに対して、平時から共有しておきたい事々があると常々考えております。というのは、一つは災害対応について、多くの方の意識は、そして、国や知事会もそうですが、応急対策よりも、復旧を含めた物資とか金銭とか、そういった被害者支援に向きがちだと思っていて、もちろんそれもとても大事なことではあるんですけれども、いつも考えることですけれども、避難者の声というのは聞くことができますけれども、不幸にも災害で亡くなられた方の声というのは永久に聞くことができないわけでありまして、私は、本当にこの亡くなられた方、一言声を出したかっただろうなと思います。その方々は何を伝えたかったのかなということをいつも考えるわけであります。何とか命を救うこと、それが何よりも優先すべきだろうということが危機管理の一番の一番ではないかと思います。  そのためには現場の状況を直視して、事態の推移に的確に対応するオペーレーションが重要だと思います。そのためには初動を迅速にすることが肝要であります。情報収集手段を広く取るとともに、そしてトップが、具体的対処方針をいち早く逡巡せずに示すことが大切だと思います。  これも私も六年間やってまいりましたけども、県職員は極めてよく働きます。やはりただ最初の数時間というところについて、現状がつかめない中で、そこについての判断をするのは、これはリーダーの役目だと思います。だからこそ、リーダーは常に緊張感を持っていなければいけないんだというふうに思います。この状況がなかなかはっきりしない中で初動態勢を立ち上げて、情報共有を行いながら対策を講じることが肝要であります。  一昨年の佐賀豪雨では、県内全域で大雨が降った中で、なかなか被害の全容の把握ができない状況でありました。自衛隊の皆さん方にも、先手先手で動いていただいたんですけれども、取りあえずちょっとした情報、確度は分からなかったんですけれども、まず、多久のある拠点に向かってもらおうというところで、そこまで動いていただいていれば、次の情報で展開できるんではないかということで早めに動いていただきました。その後、熊本の防災ヘリからの映像が届きましたので、重点的に対処すべきポイントの整理ができたわけであります。  気になったのは山の中でありまして、実際に被害を受けたところは実際情報が出せないもんだから、そういったところがないかどうかというのは、上から見るとよく分かります。そういったような鳥瞰的な対応ができるというのはヘリの本当に大きな役割であります。  今回、三月から我々も消防防災ヘリの運用を開始するわけでありまして、初動における情報収集能力が格段に向上することになると思います。もちろん我々には警察のヘリもあるわけですけれども、これで一緒になってオーバーラップすれば、年間をカバーすることができるわけでありますので、両者相まってしっかりとこの佐賀の空を守っていきたいと思っております。  そして、情報収集のみならず、救助、救急、捜索、広域応援、幅広く活動します。今まさに栃木の足利では防災ヘリが消火活動、なかなか厳しい状況でありますけども、複数機で活躍しているわけでありますが、さらに全国からそういった多数の航空機が来た場合についても、実際の運航運用調整をうちの「かちどき」のチームが様々することができます。  九州佐賀国際空港にも二十機以上のヘリが留まれるように整備しましたので、そういった状況からも一機がとても大きな効果を及ぼすものだと思います。  現場が大事です。そして、現場に最優先してそこで判断できるような体制にするということが何よりも大事なので、これも何度か申し上げましたが、坂本副知事を武雄市に出したり、進総務部長を大町町へ現地の本部長として出したりということをして、責任を伴って現場で判断してもらって、こっちの本庁組がその判断にしっかり従って支援をしていくという体制を佐賀県は構築しております。  そういったことで、例えば、大町でありますと、油の回収という難しいオペレーションがあったので、これに特化した対応が必要として、そのときには落合前県民環境部長にも行ってもらって実動機関と協力して対応に当たったり、そういったそのときそのときのオペレーションが重要だと思っております。  そして、こういった応急対策はもちろん、その経験を生かして次の災害予防という観点をしっかり踏まえて対応することも大事だと思っておりまして、私も本当痛恨だったんですけれども、北方、大町のあの災害、三十年前にも同様の災害があったと後で聞いて、本当に自分が知らなかったことを恥じておりますけれども、えっとも思いました。これは私も含めてみんなで反省しなければいけないということで県職員と共有したんですけれども、今度こそということで工場の外壁設置などのハード対策もそうですけれども、防災マニュアルの改定も行って、実際訓練もみんなで行うことができました。  そういったことで、昨年の七月豪雨の際は問題なく対応ができたということでありました。こうやって一つ大きな災害があったときに、そこの対応策というのをそのときにしっかりと築き上げておくことが、また忘れた頃にやってきますから、もしかしたら三十年後に役立つかもしれないということを一個一個丁寧にやっていくということが、まさに防災対策だと思いますし、三十年どころではない、三百年単位で、五百年単位で大地震や津波がやってくる場合もあるわけですから、そういったところについてしっかり備えをしておくということだと思っております。  我々、災害対応、消防、警察、自衛隊等の実動機関、そして災害ボランティア団体、NPO等とうまく連携していくことも欠かせません。通常から顔の見える関係を構築して、ふだんから意見交換をして、年に二回ぐらいは食事をしたりもしてございます。そして、災害対策本部はこちらも公開しております。そこに災害支援プラットフォーム、NPOのSPFなどにも参加していただいて、リエゾンの皆さん方にも来ていただいて、自然に共有できているところも我々の強みだと思っております。  佐賀県は、特に水の災害、大変でございます。そろそろまた厳しい時期がやってきます。豪雨災害のときもそうでしたけれども、渇水対策をやっていたと思うと、その直後に今度は洪水ということで、渇水対策本部を入れ替えるような形で置きますので、これが佐賀県の大いなる特徴です。こういったところをしっかりと対応できるように、一人の死者も出さないと。救える命を救うという強い気持ちを持って取り組んでまいりたいと思います。  続きまして、国政課題との向き合い方についてお答え申し上げます。  機関委任事務の時代とは異なりまして、国と地方との関係は対等だと思っています。やはり機関委任事務のときでありますと、国の言う指示に基づいて都道府県が動くというところがあったわけでございますけれども、そこは完全に今解消されているわけであります。国が上で地方が下という意識は全くありません。それぞれの立場で言うべき意見をしっかりと言いながら、真摯に課題に向き合って、真っすぐに仕事をすることが大事だと思っています。こういう思いで仕事に当たることこそがこの国を強くしていくんだろうと思います。もちろんお互い敬意は大事です。ぶつかってばかりではなくて、それぞれ立場があって全力を尽くしていますので、それに対する思いをしっかりと尊重しながらも、自らの立場の意見を言っていくということだと思います。  そして、佐賀県の場合、国政課題、四本よく言われますけれども、実は一つ一つ分析をしていきますと性質がそれぞれ異なります。これは藤崎議員からも御指摘いただきました。同じような対応をするというわけにはまいりません。それぞれの課題の性質、影響、効果などを見極めた議論が必要だと思います。そして、国、県にはそれぞれの役割がありまして、それぞれ主体的に考えるべきことが異なるわけであります。  例えば、佐賀空港の自衛隊使用要請と整備新幹線といった国政課題を一くくりに議論することはできないと思います。対応も同じとはならないと思っています。今後とも、一つずつそれぞれの課題に対して丁寧に議論を重ねていきたいと思います。  続きまして、今後の財政運営について申し上げます。  まず、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金についてもお話しいただきました。これは本当に議員のおっしゃるとおりで、感染拡大の防止はもとより、地域経済、そして住民生活の支援を通じた地方創生に資する事業に幅広く活用できるものと認識しています。いや、コロナ禍の中で、地方も非常に厳しい状況の中で、幅広く自治体の中でしっかり考えて対応していくものだというふうに思っております。ですので、国が様々な例をその中で示しておりますので、我々はそういった事例も参照しながら、それを佐賀県型として消化して最大限に活用させていただいているところです。  あわせて感染拡大防止などを支援いたします、頭は同じ新型コロナウイルス感染症なんですが、緊急包括支援交付金というのもあります。さらに国の三次補正、それから地方創生拠点整備交付金、様々な補助金、いろいろあります。これを幅広く活用しつつ、財政の健全性や基金残高に留意しながら、コロナ禍において必要な事業を実施しております。佐賀県のことを考えた場合に、国庫を最大限に活用させていただくというスタンスは、これは持たなければいけないものだと思っています。  これまで堅実に財政運営を努めてまいりました。そうしたことから本県の財政状況は、財政健全化を示す指標の一つ、将来負担比率という数字がありますけれども、こちらのほうはよいほうから全国七位ということで、健全な財政状況が保持できていると思っております。これがいずれ、もう少ししますと十位までは我々の頭の中に入っているというところは答弁させていただいているところであります。  県財政を運営するに当たりましては、将来負担比率など、多角的なシミュレーションが必要だと思って実施しているところでありまして、これまでの試算、様々な要素を打ち込んでおりますけれども、健全性が保持可能な結果となっております。  今議会に提出した当初予算案は、まだ収束の見通しが立たないコロナ対策を第一に取り組む、そして、やがて来る新しい時代に備えて、創造力をもって佐賀の未来を見据えた取組にも積極的にチャレンジする予算を編成しております。  あわせて二月補正予算では、二月補正の環境としてコロナ対策がありました。そして、国の三次補正で経済対策の活用というものがありました。そして、例年どおり年度末での事業の精算がありました。例年どおりの年度末の精算といっても、コロナの状況でありましたので、若干今までとは違う状況で、事業をできなかったものもありますし、社会保障費がそこまで増嵩しなかったり、いろんな事情があって、そういったところの精算行動をしております。その中でもエール、未来、社会資本整備等を柱として、三百億円を超える規模を編成させていただいたところであります。  そして、本県はこれまで国営土地改良事業ですとかダム事業、そして佐賀導水の事業など、防災や農業基盤の整備に注力して、治水、利水の効果、発現されてきたと思います。こうした過去からの営みを大切にしつつも、今後、財政の健全性、弾力性に留意して、右肩上がりの画一的な考え方から脱却を図って、企画力、構想力、想像力を持って、将来に向かって飛躍するための布石を打って、佐賀の未来を切り開いてまいりたいと考えております。  続きまして、九州佐賀国際空港の今後の方向性について答弁申し上げます。  近年は路線・便数の拡充ですとか需要予測を超える利用者数を記録するなど、順調に成長しておりました。私も本当にいい調子で数字が上がっているなと着任以降思っておったわけですけれども、昨年一月以降のコロナで状況は一変しました。出入国の制限、移動自粛などで世界中で航空機利用者が激減して、航空業界は大変な状況になっております。例えば、旅館の対策で県内在住者ということで対策を打ったりするときも、これでもいわゆる航空業界は全く動かないので、大変だなと思いながら対策を考えたりもしております。  そして、現在、我が九州佐賀国際空港も御指摘のとおり国際線全便運休中でありまして、国内線も大幅減便中であります。こういう状況でありますけれども、私はこういうコロナで厳しい状況だからこそ、むしろ航空会社とか地域と連携して互いにつながること、エールを送ることを大切にしながら、コロナ収束後も見据えて、今こそやるべきことをしっかり取り組む必要があるんではないのか。他県では今そういった事業はストップしていますけれども、むしろこういう状況のときだからこそつながるということをやったらどうかなと思いました。  特に開港以来の特別なパートナーであるANAとは、厳しい時代、一緒に絆を深めてきた。有明佐賀空港、最初は非常に厳しい状況で、このまま東京便二便で、そのままなくなってしまうんではないかという、それこそどっちいくか、ぎりぎりのところで、ANAさんだけはずっと一緒に飛んでいってくれていたわけです。そのときもANAさんがもう将来性ないよと言ってもらえばそれっきりで、今の九州佐賀国際空港はないわけでありまして、やっぱり人も企業も厳しいときにしっかりとメッセージを送るということは基本として大事なんだろうと思いますので、「SAGANA(サッガーナ)プロジェクト」も展開させていただいております。応援メッセージですとか、グループ社員を受け入れて、今、元気に活動していただいております。ANAからは新企画の第八弾として、三月下旬には「空港のおしごと体験」、「早朝RUNWAY WALK」というのを企画していただいているそうでありまして、こういうときだからこそつながっていくものもあるのではないかと私は信じたいと思います。  また、運休中の国際線に関しても、航空会社と連携して、航空会社のホームページやSNSを活用して、コロナ収束後は再び佐賀を訪れていただきたいですといった佐賀の魅力を実は情報発信を続けています。この取組においても、今はお会いできないんだけれども、コロナ前は大勢の方に来ていただきました。ありがとうというような感謝のメッセージですとか、私のメッセージ動画も、春秋航空、そしてタイガーエア台湾のホームページにも掲載されております。中国国内線の機内誌にも実は佐賀の記事は載っているわけでありまして、こうやって動かないときだからこそ、その先に向けた取組ということに意義があるのではないかと私は思います。  さらには、佐賀県内、そして福岡県南西部地域が一緒になって地域を盛り上げていくために、コロナ収束後を見据えたインバウンド誘客など、九州佐賀国際空港を活用した地域発展を考える取組なども現在実施しております。近々、私と大川市長などが出演するような、そういうようなメッセージ動画が流れると思います。  開会日の知事提案事項説明要旨でも紹介しましたが、大隈重信が残した言葉が意味する、「つらいときにこそ新しいものが見えて不変の志が生まれ、つらいときにこそ人の優しさがありがたい」という言葉のとおりです。コロナ禍でつらく厳しい今だからこそ、佐賀県ならではの取組を通じて航空会社や地域間の連携促進、関係強化を図りながら、未来に向けての取組を進めることが極めて大事だろうと思っております。  さらに、藤崎議員から二千五百メートル化についても言及がございました。我々もやはりアフターコロナにおける将来を見据えるべきだと思います。地理的優位性を生かしたインバウンドの拡大も必要ですし、福岡空港の代替機能、補完機能としてもどうしても必要になってくると思います。そして、やはり南海トラフというもののこともしっかり考えたときに、広域災害時の対応拠点として、先ほど言いましたように、ヘリ二十二機を常駐できるような防災航空センターも我々併設することができましたので、様々な意味で、佐賀は被害想定が非常に小さくできております。ですので、我々が大きな貢献をすることもできるのではないのか。そういったことをもろもろ含めまして、私は滑走路の延長というのは大変重要だと思いますので、引き続き実現に向けて努力をしていきたいと思います。  そして、今後、基幹路線である東京便を含めまして、空港のさらなる機能強化をしていきたいと思います。  今後は、社会そのものが東京経由ではなくて、地方がダイレクトに世界につながる時代になって、アフターコロナではさらにそれが一層強まると思います。世界に通じる地域づくりをしてまいります。そして、空港施策も、これまでの延長線での発想ではなくて、しっかりと未来を見据えた施策を組み立てまして、九州佐賀国際空港が地域発展の重要なエンジンとなりまして、空港を起点とした交流がさらに広がり、佐賀県、そして福岡県南西部地域、いわゆる筑後佐賀圏の新たな未来を切り開くものだと認識してございます。  続きまして、高齢者福祉について私の認識を申し上げます。  佐賀県は人を思い、寄り添い、助け合う風土が息づいております。佐賀県らしさを大切に、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できる社会を実現したいと思います。  その中で、このコロナの中で、高齢者の皆様が不安な日々を過ごされております。と申しますのも、皆さんが楽しみにされております様々な行事やイベントが中止になって、延期となって、外出を控えられているという声も多く聞いております。  そして、心配するのがデイサービスなど、そういった利用というのも減少傾向になっていて、様々なお互いで話をし合うような機会も減っているんではないかなということを憂慮しております。感染対策を取りながら、意欲ある元気な高齢者の地域活動や社会参加、健康づくりに対する支援が大切だと思います。  例えば、私が学長を務めております「ゆめさが大学」ですが、多くの卒業生が老人クラブやボランティア活動で指導的な役割を果たすなど各地域で活躍しております。今年度はコロナの影響によりまして、九月からというふうに開講がずれ込んだんですが、新たに開校した鳥栖校も含めて、授業開始を心待ちにされていた高齢者の皆さん方、目が輝いて大変うれしそうで、心強く、頼もしく感じたわけでございます。  そして、健康づくりの観点で申しますと、「SAGATOCO」のダウンロードがいよいよ六万人を超えました。  この「SAGATOCO」というのは、いろいろ分析ができるわけですけれども、利用開始のときの年代別平均歩数というのと、直近の平均歩数の伸びというのを比べてみますと、圧倒的に高齢者の伸びが高くて、六十代の皆さん方は一人当たり二八%歩数が伸びています。七十代は六〇%も伸びていて、八十代以上は五二%ということで、高齢者の皆さん方は一旦そうやって歩くことが楽しくなると、伸ばしていただけるのかなというふうに思っています。  ちなみに二十歳未満の皆さんはマイナス一一%ということで、コロナでますます動かなくなっているのかなということで、こちらはこちらで危惧しているわけでありますけれども、高齢者の皆さん方はこうやって楽しみながら歩くことにチャレンジして、いろんなコミュニティーがつくられればいいなと思います。  今後とも、介護サービスの充実など介護を要する方への支援はもとより、高齢者が住み慣れた地域で人々と触れ合い、つながりの場を持ち、生きがいを持って元気に活動できる佐賀らしい地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。  続きまして、障害者の社会参加支援について申し上げます。  障害者の方が様々な形で社会参加することは、障害者の生きがいや自立のために大事であります。そういった気持ちから、私は障害者、そして高齢者、子育て中の方、いろんな方々みんなが心地よく外出できる人にやさしい町のスタイル、「さがすたいる」というのがあります。この「さがすたいる」というのを大変大切に思っております。  この考え方をもっと広げていくことで、年齢とか障害の有無などにかかわらず、みんなが町に出てきて、それぞれ楽しんで、自然と声をかけ合ったりしながら、お互いの思いに寄り添って支え合い、お互いが尊重し合えるような人にやさしい佐賀県が自然な形でできていく、そのことが障害者の社会参加にもつながっていくものというふうに考えていて、この「さがすたいる」についての予算は、様々なところで広げていく予算案を今回出しているというところであります。  障害者の社会参加が進むためには、障害者の皆さん方が就職ですとか結婚、スポーツ、文化芸術活動など、それぞれのスタイルでできる環境であることが必要だと思います。そして、そのためには、お互いが障害のことを知って、個性として認め合うことも重要だと思っています。  昨年十一月、障害者月間に行った座談会で、アートを通して障害者の就労を支援する事業者の方が、作品がアートとして外部の人に評価されれば彼らの自信になり、経済的な自立にもつながっていきます。失敗することも大切な学びですと言われたことが大変印象的でございました。  さらに、せんだって神埼市で本間農園を訪問したときに、前、本間さんと意見交換したときに農福連携というのがすばらしいという紹介をしたところ、早速、障害者の皆さん方が一生懸命卵を拭いていらっしゃって、とても生き生きとされていたのを見て、こういういろんなところで、自然な姿で目を輝かせる形ができていけばいいなというふうに思いました。  そして、結婚支援に関しましても、民間団体において交流パーティーが行われている例もありまして、思った以上の多くの参加者があると聞いています。出会いの機会が少しでもできることによって、恋人とか、友人だとか、仲間をつくるきっかけになればいいなというふうに思っています。  「さが出会いサポートセンター」についても御紹介いただきました。一生懸命頑張っています。もちろん当然ですけど、ここに障害者の皆さん方に登録していただくことも可能ですし、今入っていただいている方もありますし、こうしたサポートセンターが、先ほど言った民間団体の開催イベントを支援したり、そんなこともやっておりますので、今後とも、この「さが出会いサポートセンター」についてももっと周知を図ってサポートしていきたいと思っています。  さらに、障害者の方の文化芸術活動の支援、「SAGA2024」を見据えた障害者スポーツの普及啓発などにも積極的に取り組んでまいります。  私は思います。障害者の方を取り巻く様々な不便さは、人が作り出したものだと思います。なので、これを解消できるのも人であります。今後も様々な意見を聞きながら、ハード、ソフト両面の取組を積極的に進め、障害のあるなしにかかわらず、みんなが自然と手をつないでそれぞれの個性を生かしていく社会、人の痛みが分かり合えるような社会をつくることで、みんなが社会参加できる佐賀県を目指してまいります。  続きまして、結婚支援についてお答え申し上げます。  少子化の背景には未婚化、晩婚化の進行があるわけですが、未婚の方の多くが独身でいる理由として、適当な相手に巡り合わないことを挙げておられます。適当な相手との出会いの機会がなかなかないんだろうということであります。まずは、出会いの機会をつくることがニーズなのかもしれません。  「子育てし大県”さが”」では、ライフステージに応じて、出会いや結婚支援について取り組んでおります。そして、この取組は本県のみならず、私がリーダーを務めます九州・山口知事会の次世代育成プロジェクトにおいても横展開が行われております。  今、コロナウイルスの影響で出会いや結婚の機会が減少しておりまして、御指摘いただきましたように、婚姻件数は、令和元年は対前年で五十五の減少だったのが、令和二年は二百五十九の減ということで、婚姻件数が大きくダウンしております。  皆さんの声を聞きますと、外出自粛により飲み会や遊びに行くこともなくなり、自然な出会いの機会がなくなった。婚活は不要不急ではないかと言われ、婚活イベントに参加しづらいとか、決まった相手はいるけれども、安心して挙式できるまで結婚を先延ばしにしてとか、いろんな声が寄せられております。  一方で、これも議員から御指摘があったように、内閣府の調査では、コロナの影響で結婚への関心が高くなった、やや高くなったというのは非常に増えておりまして、特に二十代、三十代の皆さん方の中でですね。  ですので、こういった方々をどのように実際の結婚というものに結びつけていくのか、結婚に関心がある方に、婚活を先延ばしにせずに希望をかなえるための第一歩を踏み出していただくのかということが大事ですし、それを周囲が応援する仕掛けも大事だろうと思っています。  今年度は、結婚式ができずに悲しんでいるカップルを応援するための佐賀型のウエディング祝福プランをつくりました。友人の結婚など身近な人の幸せ話というものが結婚を意識するきっかけともなるそうでありますので、こういった形を盛り上げていくために、新年度、令和三年度は佐賀ウエディングストーリーの発信というものに取り組んで、結婚や家族、結婚式にまつわる幸せなエピソードを募集したいと思いますので、県民の皆さん方に、結婚はいかにすばらしいものかということをぜひお出しいただきたいと思います。そして、そのエピソードを基にした映像なども配信して、県民の皆さんから結婚ですとか家族のすばらしい面をお見せできるような、そういうメッセージを伝えたいと思っております。  お互いを尊重し、大切にし合い、協力して家庭を築いていくことはすばらしいことであります。「さが出会いサポートセンター」については、これまで商業施設へ移転したり、オンラインによるお見合いなどにも取り組んでおりますが、さらによりよいものとなるように改善していきたいと思います。今後とも、コロナの状況を踏まえながら、希望する方々の結婚支援に取り組んでまいりたいと思います。  続きまして、エネルギー政策についてお答え申し上げます。  近年、国内外で気候変動による様々な災害等が発生しておりまして、温室効果ガスの排出削減は世界共通の課題であります。  今後、温室効果ガスの排出削減を世界が一致団結して取り組むための国際的ルールが整備され、世界各国が国際的ルールの下で実効性のあるロードマップを作成し、具体的に推進していくことが必要です。  地方自治体においても、国が作成したロードマップに沿って、やるべきことをしっかりやっていく必要があると認識しています。  現時点で国際的なルールというのは整備されていないものの、国においては、エネルギー基本計画の見直しが進められておりまして、まずはどのような見直しが行われるのかを注視していきたいと思います。  カーボンニュートラルの実現に向けては、温室効果ガスの中でもその九割を占めるエネルギー起源CO2の排出削減が特に重要でありますが、その達成のためには非常に高いハードルをクリアする必要があります。  自治体も様々な宣言をされておりますけれども、議員のおっしゃるように、実際にそれがどんな形で実効性を持って実現できるのかということが私はむしろ課題だろうというふうに思います。もちろん、国や地方自治体が本気で取り組んでいかなければならないことは明らかであります。このため、今回、県として取り組む方向性を示す条例の見直しを行い、それに基づく基本計画を策定しております。  今回の計画の策定に際しましては、エネルギー利用、環境経済、国際情勢等について知見を有する学識経験者、そして、企業、NPO法人などの有識者による策定委員会を設置し、様々な角度から議論しております。その中で、エネルギー起源CO2の排出をできるだけ抑えていく実効性のあるシナリオにすべく、活発な議論が展開され、県として進むべき方向性を策定したものであります。  国のエネルギー基本計画の見直しもこれから行われる予定であり、そして今後、国内外の様々な状況変化が予想されます。それらに臨機応変に対応し、こうした計画は見直しながら進めていくことも重要だろうと思います。  カーボンニュートラルの実現に向けて、引き続き再生可能エネルギーを中心とした社会の構築に貢献できるように、佐賀県としてやれることに積極的に取り組む所存です。  続きまして、農業振興に向けた今後の取組についてお答え申し上げます。  農業においては、現在、労働力不足、農業所得の伸び悩みに加えまして、国際経済連携の進展などの情勢変化への対応が求められております。このように刻々と変化する時代に向き合いながら、将来にわたって佐賀県農業を持続的に発展させていくためには、規模拡大、法人化、高品質化に加えまして、園芸農業の拡大などの新たな取組にチャレンジすることで、稼げる農業を確立することが重要であります。  こうしたことから、これまでもIoT等の先端技術を活用して、大幅な労働力削減、収量向上が可能となるスマート農業の推進ですとか、キャトルステーションの整備による繁殖牛の生産基盤の強化などに取り組んでまいりました。  さらに今後は、888運動の中で、地域が主体となった園芸団地の整備ですとか、全国最大規模のブリーディングステーション、「佐賀牛いろはファーム」の整備ですとか、販売額一億円以上を目指す志の高い農家の育成などにも取り組んでいきたいと思っています。  ミカン、そして、「佐賀牛」などの主要な産地となっております中山間地域の農業、こちらは美しい景観の形成や環境の保全、さらには多面的機能による土砂災害の防止など様々な役割を果たしておりまして、その振興は極めて重要であります。しかしながら、中山間地域は平たん部より生産条件が厳しいことから、担い手不足やイノシシの被害が深刻化しています。  こうした環境の中で、先ほど答弁させていただいた、二十年の開発期間を経て、今月デビューしたかんきつ類新品種「にじゅうまる」でございます。私も大和のほうにも足を運んで、「にじゅうまる」を作っていらっしゃる若い農家さんのところに訪問させていただきましたけれども、非常に今後が楽しみだということなんですが、本当においしいんですけれども、まだ今年、三十トンちょっとしか生産ができずに、実際佐賀の中で食べられるところというと、本当に三月の、しかも拠点は数少ないところでしか販売ができない。県民の皆さん方は、なかなかお口に入らないような状況ではないのかなと思いますので、こういったものが非常に高収入になって、三十トンが五十トンになって、三百トンになって、五百トンになってという感じでうまくいきますと、いわゆる中山間地だとか耕作放棄地に少しずつ入っていくということになるので、何とかこれを皆さんと力を合わせて生産拡大に向けて成功させたいと思います。  さらに、中山間地は平たん部より生産条件が厳しくありますので、農業用機械・施設などの整備に関して補助率のかさ上げをやっておりますけれども、そのかさ上げをさらに令和三年度は十分の四から十分の五に、またもう一歩上げるということも織り込んでございます。  加えて、「佐賀県中山間地・離島・県境振興対策本部」の取組といたしまして、生産者ですとか県、市町、JAなどが一体となって解決を図っていく、「それぞれの中山間チャレンジプロジェクト」ですとか、イノシシの捕獲報償金を一年を通して交付するように拡充した対策ですとか、そういったことでできる限り中山間に寄り添った対策をしていきたいと思います。  今、農業を取り巻く情勢が厳しい中にあっても、若い人たちが誇れて、みんなが憧れるような産業となりますように、将来を見据えて、その振興にしっかり取り組みたいと思います。そして、これからの新しい農業の姿を佐賀県からつくり出してまいりたいと考えております。  続きまして、有明海の再生に向けた取組についてお尋ねがございました。  宝の海と呼ばれます有明海では、河川から流れ込む豊富な栄養、広大な干潟、大きな干満の差がもたらす速い潮流など、独特の環境で育まれた恵みを享受できる、有明海ならではの漁業が脈々と受け継がれてまいりました。  この漁場環境の改善については、有明海再生に向けて重点的に取り組むべき課題と認識しておりまして、これまでも県では、再生に向け様々な取組を進めますとともに、有明海特措法に基づく補助率のかさ上げ措置を受けながら、作澪ですとか海底耕うんなどの事業に取り組んできたわけであります。  そして、この特措法に基づく補助率のかさ上げですが、令和三年度までとなっておりますので、有明海の再生に必要な施策を推進できるように、機会あるごとに関係県、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島、そして漁業団体とともに、措置の延長を求めてまいりました。この延長を含む特措法の改正法案については、現在行われている国会に提出されると聞いておりまして、県としては改正法の可決、成立に大いに期待しています。  豊饒の海と呼ばれた姿を取り戻すべく、漁場環境の改善のために流況のシミュレーションですとかカキ礁の海域環境改善効果の検証などの取組を漁業者などと協働して行っております。  また、ノリ養殖の安定生産に向けまして、有明水産振興センターが中心となった綿密な調査によりまして、海況、病害の状況を的確に把握して、その情報を漁業者に迅速に提供して養殖指導を行う、そして赤潮の発生・拡大予測技術の開発にも取り組む、こうしたことで漁協と一体となって十七年連続日本一の責任生産地としての使命、責任を全うしているものと認識しています。  そして、タイラギですが、今季を含めて九年連続の休漁となるなど、主要な二枚貝については厳しい状況が続いております。人工種苗の生産放流を引き続き行います。母貝団地の造成に向けたタイラギやアゲマキの移植、そしてサルボウについては稚貝の育ちやすい環境の整備など、漁業者の皆さん方が実感できる資源の回復に向けて粘り強く取り組んでおります。  私は漁業の厳しい現状を目にして、水産資源の回復を願い、宝の海を子や孫に継がせたいという現場の声を耳にするたびに、何とかして有明海を再生し、後世に扉を開きたいと強く思っております。安定的な維持回復というものは容易ではありませんけれども、これからも国、県、市町、漁業者など、有明海に関わるもの、皆さんとともに再生に全力で取り組んでまいりたいと思います。  最後に、スポーツを生かした地域振興についてお答え申し上げます。  スポーツは様々な力を持っています。アスリートが志を胸に抱き、より高みを目指し、自らの限界を超えてプレーする姿というのは、アスリートや指導者だけでなく、見る人の心にも響き、感動を与えるものです。  SSP杯(カップ)もアスリートのひたむきなプレーに加えて、多くの民間の協力もあって、コロナ禍の中、大きな感動を生み、前に向かう力となりました。藤崎議員からもお話しいただきましたSSP杯(カップ)を本当にやってよかったなと思っています。これは私も多くの県民の皆さん方から、特に保護者の皆さん方からありがとうという声をいただいておりまして、これで高校を卒業できるというか、そういうふうな声で、やはり試合をして、ほとんどの人は負けるわけですけれども、立派に負けて、一つの大きな経験としてこれからの人生を切り開いていくという、一つの大きなイベントだったんだろうなというふうに思いますので、本当にこれに賛成して、みんなで力を合わせて感染症対策をしていただいた全ての皆様方に感謝をしたいと思います。  こうしたスポーツが持つ人の魂を揺さぶる本質的な力を、アスリート育成という限定的な取組ではなくて、地域づくり全般に波及するような、スポーツを軸とした地域づくりを実践するということがSSP構想なのでありまして、これは当然行政だけではなくて、民間も巻き込んでやっていく、スポーツを軸とした地域づくりの芽が着実に芽生えているものだと思います。  「育てる」という意味では、動作解析や戦術分析などのICT活用の育成をしております。「観る」という意味では、オンラインの配信ですとか、せんだっては5Gの実証実験もさせていただきました。「支える」という意味では、アスリート採用希望企業が増えていったり、アスリート寮の整備運営も始まりつつあります。  さらに、SSPと企業ブランドのコラボということで、アスリート用の靴下の会社などが、非常にこういったところで連携ができてきたり、企業との連携という意味でもこれから楽しみになっています。  さらに、SAGAサンライズパーク、SAGAアリーナの整備によりまして、大規模なコンベンションの開催が可能となりまして、観光や宿泊など大きな波及効果が望まれます。今まで佐賀県は、九州の中心という非常に地の利のある場所にあったにもかかわらず、佐賀県だけは全国大会とか国際大会というものが開けずにおりました。
     今、いろんなコロナの関係で医者の皆さん方ともお話ししていますけれども、医学界だけでも二千、三千、五千、八千と多くの医学会があるそうですが、なかなかこの佐賀で開くということの経験がないというわけであります。これが開催されますと、多くの皆さん方が佐賀で様々な消費活動を行うとともに、宿泊なども含めて、なかなか仕掛けがまだ構築できていないわけですけれども、そういった主催者に会いに行くときには、そういった営業ツールを持ちながら、これから招致をしていくということになるわけであります。そのときには、当然、長崎、熊本、福岡、大分、そういったところもアフターコンベンションの対象になってくるというわけでありまして、そういった九州全体への連携、波及といったことも望めると思っております。  コンベンションは佐賀でできないという思い込みを捨てて、主催者目線に立った誘致活動を行って、コンベンション、展示会などを実現していきたいと思います。そして、観光、宿泊、飲食などへの波及に加え、佐賀の地域づくりを新たなステージにしてまいります。各種コンベンションの開催地、候補地として定着することで、それがひいては空港、公共交通、宿泊、観光に対する新たな需要を呼んで、民間投資、新規参入なども誘発させてまいります。  そして、SAGAサンライズパークにはテナントゾーンが整備されますし、さらに市道三溝線の整備によりまして、佐賀駅北口からサンライズパークまで、町そのものの姿が変化してまいります。民間ベースでの住宅、店舗等への投資の動きが創出されつつあります。  スポーツにはアスリートを支える医学、食、ICTなど様々な分野の参画に加え、SAGAアリーナを核としたまちづくりによる地域経済効果など、多くの人と分野にインパクトをもたらします。引き続きソフト、ハード両面で地域づくりの軸にスポーツをしっかりと位置づけて、スポーツの力を生かした地域づくりに取り組んでまいります。 14 ◎松下警察本部長 登壇=藤崎議員の御質問にお答えいたします。  二十四日付で着任いたしましたが、まずは着任間もない本日、県議会の皆様から激励の言葉をいただき、心より感謝申し上げます。  県議会の皆様の支援を賜りながら、県民の皆様の安全・安心を守る責任にいささかの間隙も生じないよう、全力で取り組んでまいります。  まずは議員御指摘のとおりなのですが、交通事故抑止対策や高齢者等が被害者になるニセ電話詐欺の抑止対策は重要な課題であると認識しております。  人身交通事故の発生状況でございます。令和二年中の人身交通事故の発生件数は三千七百五十八件、前年比マイナス千二百八十二件と、七年連続で減少したものの、人口十万人当たりでは全国ワースト四位と、いまだワーストレベルにあり、依然として厳しい状況にあるということは、議員の御指摘のとおりでございます。  悲惨な交通事故を一件でも減少させるため、広報・啓発や安全教育、指導取締りを通じて、道路利用者全体の交通安全意識を高め、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの醸成に努めるとともに、交通環境の整備やきめ細やかな運転者施策を推進していかなければならないと考えております。  次に、県内におけるニセ電話詐欺の発生状況でございますが、令和二年中の認知件数は二十九件、前年比マイナス二十一件、被害額が約三千八百四十四万円、前年比マイナス約七千六百四十三万円と、件数、被害額ともに減少はしておりますが、依然として高齢者が被害に遭うケースが多く発生しております。  また、県内のニセ電話詐欺の傾向といたしまして、電子ギフト券を購入させる手口が多発しているほか、被害者が目を離した隙にキャッシュカードを盗む手口が頻発しております。このような情勢を踏まえて、金融機関やコンビニエンスストア等の関係機関と連携した被害防止対策の徹底を図っていくとともに、ニセ電話詐欺撲滅に向けた検挙活動を推進していくことが重要だと考えております。  ニセ電話詐欺以外につきましても、子供、女性が被害者となるストーカー、DV、児童虐待などの人身安全関連事案、暴力団対策、覚醒剤、大麻といった薬物対策などのほか、玄海原子力発電所等の重要施設に対するテロ対策、先ほど知事からも言及いただきましたが、台風や豪雨などの自然災害対策、デジタル化の進展に伴うサイバー犯罪対策など、県警察として取り組むべき課題が山積しております。  こうした情勢を踏まえまして、県公安委員会と県警察により令和三年の県警察の活動重点として、第一に交通マナーアップと交通事故抑止対策の推進、第二に子供、女性、高齢者を守るための犯罪抑止対策の推進、第三に重要犯罪等の徹底検挙と組織犯罪対策の推進、第四にテロ・災害等緊急事態対策の推進、最後に第五としましてサイバー空間の安全を確保するための対策の推進を挙げておるところでございます。  福岡県太宰府市における傷害致死事件に関しまして、事件発覚前に御遺族から相談がなされ、県警として対応してきた件につきましては、被害者がお亡くなりになったことに関し、心よりお悔やみ申し上げるとともに、公安委員会で議論いただいた結果を受け止め、取組を着実に実行してまいります。  県警察では、県民の安全・安心を確保するため、交通事故抑止対策、犯罪抑止・検挙対策、テロ・災害対策等に全力で取り組み、県民の皆様に目に見える成果を示していきたいと考えております。  県議会の皆様には、県警察に対する御理解と御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。 15 ◎議長(桃崎峰人君) 以上をもちまして代表質問を終了いたします。  本日の日程は終了いたしました。明日二十七日及び二十八日は休会、三月一日は議案審査日、二日は本会議を再開して一般質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後四時十三分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...