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  1. 佐賀県議会 2020-06-04
    令和2年6月定例会(第4日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(桃崎峰人君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。  昨日に引き続き、一般質問を行います。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 2 ◎中村圭一君(拍手)登壇=おはようございます。自由民主党の中村圭一でございます。  県民の皆様にとって、より分かりやすい議会を目指す、このことについては議員全員の意見が一致するところだと思います。そして、私はその分かりやすい議会の一丁目一番地は、一般質問への一問一答の導入だと思っておりますが、これについては、今後開催されていくであろう議会改革検討委員会の中で実現に向けて議論が進んでいくと期待をしているところでございます。今は、現在のルールの中で自分なりに分かりやすくとの思いで、議長に許可をいただいたパネルを使うなどしながら、質問をさせていただきたいと思っております。  しかし、分かりやすくと思う余りに、これもパネルにあれもパネルにとなってしまい、先輩議員の皆さんから紙芝居じゃないんだからとお叱りを受けるのではと既に反省をしておりますが、ぜひ思いの部分を御理解いただきまして、御容赦をくださいますようお願い申し上げて、通告に従い質問をさせていただきます。  一項目めは、障害者の採用についてでございます。  「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、「全て事業主は、対象障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで対象障害者の雇入れに努めなければならない。」とされております。そして、この法律の下で地方公共団体である県が障害者雇用を推進することは、その取組が民間事業所に波及し、県内全体の障害者雇用が促進されるという意味でとても重要なことであると考えております。  そのような中、県におかれては、昨年度からこれまでの身体障害者に加えて、精神及び知的障害者も雇用の対象とされております。事前にその理由を確認しましたところ、県では、平成元年から身体障害者を対象とした選考試験に取り組み、障害者雇用を推進してきたが、平成三十年度から障害者雇用率の算定対象として精神障害者が追加され、法的雇用率が二・三%から二・五%に引き上げられるなど、障害者雇用のより一層の促進を図ることとされたことなどを受けて、令和元年度実施試験から受験対象に精神障害者及び知的障害者を追加し、障害者雇用の促進に取り組んでいるものということでございました。  では、その対象が拡大された令和元年の採用選考試験の結果はどうであったのか、障害の種別ごとに数字を出していただきました。それがこのパネルになります。(パネルを示す)受験者数、身体が十七名、新たに加わった精神が四十六名、そして、これも新たに加わった知的が四名、そして、一次試験の合格者数は、身体が五名、精神が二十九名、知的がゼロ名、そして、最終的な合格者数は、身体が三名、精神が九名、知的がゼロ名という結果でございました。知的障害者の行を赤字にしてあります。  次に、障害者採用試験の詳細を県ホームページで確認をしてみました。一次試験は高校卒業程度の教養試験で、五択の問題が四十問、制限時間は二時間、出題の分野は時事、それから法律、政治、経済、社会一般等の社会科学、日本史、世界史、地理、国語、文学・芸術等の人文科学、数学、物理、化学、生物、地学等の自然科学、それから英文を含む文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈等となっております。二次試験は、思考力及び文章による表現等を総合的に評価する一時間の筆記試験、それと一人当たり約二十五分程度の面接試験ということでございました。  先ほど赤字にしておりましたが、普通に考えてこの試験に知的障害者は合格できません。知的障害とは、読んで字のごとく知的な障害です。知的障害はIQなどによって重度、中度、軽度に分けられており、軽度、これはおおむねIQが五十から七十の知的障害者を指し、十八歳以上でも小学生レベルの学力にとどまることが多いとされています。  後ほど取り上げる道徳の副教材の中では、平等と公平は違うと教えていますが、知的障害、精神障害、身体障害、それらの障害の種別に関わらず、同じ採用試験を行うことは、これは確かに平等かもしれませんが、決して公平ではありません。障害を持った子供の保護者の切実な願いは、我が子が自分たちの死後も周りに支えていただきながらも何とか自立して生活していけることであると当事者から直接お聞きをしたことがございます。  そういう親と子にとって県庁が採用の対象を広げてくれた、就業訓練の一環としての一年単位のチャレンジ雇用ではなくて、県庁にずっと定年まで働くことができるかもしれない。このことは本当にうれしいニュースであったと思います。しかし、現実は残酷でした。やっと開いた重たい門の次には、分厚くて高い壁があって、結局その中に入るのは不可能であった。そのときの失望感、無力感は想像に難くありません。  ここまで申し上げましたが、県民のためにしっかりと働いていただけるより有能な人材を採用する、これは当然のことです。しかし、同時に学力だけが有能さではありません。県民一人一人に寄り添い、その思いや痛みに敏感な県政を進めておられる山口知事におかれては、身体障害、精神障害者知的障害者といったそれぞれの障害の種別に応じた寄り添った形での適切な試験になるように、ぜひリーダーシップを発揮していただきたい。そうすることが県における障害者雇用の促進にも、学力だけでははかれない、より有能な人材の採用にもつながると思うのですが、いかがでしょうか。  障害者の雇用についての知事の思い、お考えを伺います。  また、障害者の採用に関する今後の取組につきましても、総務部長に御答弁をお願いし、次の項目に移らせていただきます。  二項目めは、公立学校の男女混合名簿についてでございます。  このことについては、昨年の十一月定例会において武藤議員が取り上げておられましたが、その後の導入状況について、担当部署に確認しましたところ、今は公立の小中学校、高校の全てにおいて導入されるようになった、一〇〇%になったとのことでございました。昨年度は、小学校では九〇・七%と高いものの、中学校で三〇・八%、そして、高等学校では一〇・〇%しかなかった。そのことを考えると、県教育委員会がよっぽど熱心に進めたのであろうと想像するところですが、そもそも、男女混合名簿にすると何がいいのか、その教育的効果について、これも事前に確認したものをパネルにさせていただきました。(パネルを示す)
     効果は大きく三つあるそうです。一つ目、性別にとらわれず一人一人の個性や多様性を尊重しようとする意識を醸成。二つ目、男女別名簿によって刷り込まれた男が先、女が後といった序列意識から、多様な性の平等意識が育まれるきっかけとなる。そして三つ目は、性別違和のある性的マイノリティーの生徒が苦痛を感じる場面が少なくなり、あわせて、性の多様性について認識を深める取組を充実させることで、不登校やいじめの減少にもつながる。なるほど、理解はいたします。しかし、納得はできません。  まず一つ目、性差にとらわれずとありますが、男らしさ、女らしさを否定したところでの本当の意味での自分らしさはない、私はそう思いますし、性差を否定したり、男らしさ、女らしさ、男女の区別をなくして人間の中性化を目指すことは、国民が求める男女共同参画社会とは異なるとして、平成十七年十二月に閣議決定された第二次男女共同参画基本計画が明確に否定をしている悪い意味でのジェンダーフリーを推進しようとしていることと同じであると思います。  次に二つ目、男が先、女が後ですが、これは学年ごとなのか、クラスごとなのか、名簿の男女の順番を入れ替えてあげればいいだけの話であります。  そして、最後の三つ目についてですが、体は男性だけれども、心は女性という人は、ほかの女性と同じように普通に扱われる社会になることを望んでおられる。また、その逆も同じである。私はそう理解しています。そのような社会や学校にしていくことが本当は求められているのに、男と女をごちゃ混ぜにすれば、性別違和のある生徒たちにとってもいいんじゃないかというのは、あまりにも短絡的であり、教師の逃げでしかありません。確かに、男女混合名簿にすることで、性的マイノリティーの生徒たちの苦痛が一時的には和らぐかもしれません。しかし、それは決して本質的な解決にはなっていないし、本質的な解決から目を背けているだけだとも言えます。  このように、男女混合名簿の導入は、メリットがないどころか、国が、そして県も同じように否定をしている悪い意味でのジェンダーフリーの推進にほかなりません。  教育長にお尋ねをいたします。国や県が肯定をしている女らしさや男らしさについて、教育現場では否定をされているのか、そして男女混合名簿導入の強力な推進は、その否定に基づくものなのか、以上二点について御答弁をお願い申し上げまして、最後の項目に移ります。  最後、三項目めは、道徳教育の副教材についてでございます。  五月十二日の佐賀新聞に「道徳の人権学習に活用を」との見出しで道徳教育の副教材を紹介する記事が掲載されました。記事には、この教材は佐賀県教育委員会と某大学の教育学部の教授が小中学校の道徳で活用できるものとして共同で製作したもので、電子黒板で使用するデジタル教材DVDである。そしてそれは今年六月ごろから県下の小中学校に配布予定であることが書かれてありました。今は六月の下旬でございます。担当部署に確認をしたところ、まさに今そのDVDを各学校へ配布している最中であるとのことでございました。  教科書には検定があり、採択がございます。しかし、このような副教材にはそれらがありません。果たして「一足す一は二」のように、明解な正解があるわけではない道徳の授業に、そういうノーチェックの副教材がなじむのか、そういう心配もあり、私も実際にDVDを取り寄せて視聴をしてみました。  そのDVDの中には、小学校一年生から中学校三年生まで、学年ごとに計十二の教材が入っていて、(パネルを示す)このようにジン君とケン君がいて、フクロウの博士が「二人合わせて人権ですね」というシーンから必ず始まります。そして、小学校五年生用の教材では、フクロウ博士が「マイナスイメージの決めつけをされると、いやだよね。これを『偏見(へんけん)』って言うんだよ。」とジン君とケン君に教えています。しかし、そう教えるこの教材、DVD自体に決めつけや偏見が散見される。控え目に言ってもですが、そう言わざるを得ません。  幾つか具体的にお示しをさせていただきます。まず一点目、小学六年生の教材「子どもにも権利がある」では、日本国憲法と様々な人権について取り上げられていますが、この中には、歴史事実の間違いや誇張が数多く見られます。ここでは、日本国憲法ができるまでは、貧しい家庭の子供は学校に行けず、女子の教育が遅れ、恋愛結婚が少なく、婦人参政権がなく労働者に権利はなかったが、日本国憲法が制定されて一気にこれらが改善されたかのように描かれています。  このように、ジン君が「日本国憲法ができてよかったよ。」とうれしそうです。(パネルを示す)しかし、果たしてそうでしょうか。  戦後に多くの子供たちが学校へ行けるようになったのは、何も日本国憲法ができて突然実現されたわけではありません。明治維新以来、営々と積み重ねられてきた先人たちの努力によって、少しずつ国民の生活が豊かになってきたからでもあります。  また、恋愛結婚が増えたのも、日本全体の産業が発達し、都市化が進み、人と人との交流が頻繁になったことにもよります。何も日本国憲法ができて、突然起こったことではありません。  参政権もそうです。明治二十二年に大日本帝国憲法が公布されて以来、帝国議会は憲法で認められた法案提出権を行使し、次々と人民の権利を高めていきました。そして、大正十四年に普通選挙法が制定されたことで納税額に関わりなく、全ての成年男子が普通選挙権を獲得しました。  確かにこのときの日本にはまだ女性の参政権はありませんでしたが、そもそも納税額に関わりなく、全ての成年男子が参政権を持っていた国自体が当時は非常に少なくて、アメリカ、イギリス、ブルガリア、ドイツ、フランスなど世界中でもほんの十か国ほどしかありませんでした。この時点で女性に参政権があったのはドイツとアメリカくらいであり、当時の日本は民主主義の先進国の一つだったと言えます。  現在の日本の民主主義は、郷里の偉人、大隈重信侯をはじめとする多くの議会人や自由民権運動家の営々たる努力の積み上げのその上にあるのであって、日本国憲法が制定されて突然、人権が降ってきたというような話は事実と全く異なります。  一例をこれもパネルにしましたが、(パネルを示す)労働者の権利もそうです。この教材では、このようにかつての日本には「労働者の権利もなく」と断定していますが、日本には戦前からちゃんと労働運動があり、社会の不条理と闘いながら、当時の労働者の置かれた環境を少しずつ改善し、労働者の権利を勝ち取ってきた歴史がございます。  先ほども御覧いただいたように、本DVDでは決めつけ、偏見は駄目と何度も教えていますが、これらこそが決めつけではないでしょうか。教育長はどう思われますでしょうか、御見解を伺います。  また、その御答弁の内容にかかわらず、私のようにこの教材での歴史の扱いは乱暴で偏ったものであると思う、そういう人たちが少なからず存在している、そのことを認知されているのか、併せて御答弁をお願い申し上げます。  次に、二点目は、やはり先ほどの六年生の教材「子どもにも権利がある」からですが、この中にある結婚に対する考え方についてです。  かつての日本は、「ほとんど多くは、親が決めた人と結婚するしかありませんでした。」と、まずフクロウ博士が得意の決めつけをします。そして、ジン君に──ここですね。「えー、好きな人と結婚できなかったの?」と震えながら感想を述べさせます。  ここでいう親が決めた人との結婚の中には、親が探してきた人とのお見合い結婚も多く含むはずです。また、親戚や世話好きの御近所さんも、こういういい人がいるんだけどどうかなと、直接本人にではなく、まず親に紹介したでしょう。フクロウ博士にかかると、それら全てが親が決めた人になってしまいます。  確かに、かつては現在のように人と人との交流が活発ではなく、恋愛結婚が今よりも少なかったことは事実です。しかし、だからといって、お見合い結婚などの恋愛結婚ではない結婚をした人全てが不幸であったかのように言うのは、あまりにも思い上がった考えではないでしょうか。  昔も、そして今も、恋愛結婚以外の結婚で幸せになった人もいます。また、恋愛結婚でも幸せになれなかった人もいます。もちろん、その逆もあります。にもかかわらず、この教材の説明では、結婚は恋愛結婚でなければ真っ当なものではない、そうでない結婚をした人はかわいそうと誤解を生むような表現が使われています。これでは、子供たちの中に今でも普通におられるお見合い結婚をした人などへの偏見が生まれる可能性があります。  偏見は駄目だと教えている教材で新たな偏見を生む、私は大いに問題があると思いますが、いかがでしょうか、教育長の御見解を伺います。また、先ほどと同じようにその答弁の内容にかかわらず、私のように問題であると思う少なからずいる人たちの存在、これへの認知はあるのか、併せて御答弁をお願い申し上げます。  続いて三つ目ですが、これにはちょっと驚きました。(パネルを示す)  「もしも、子どもの権利がない社会だったら…」と八つの絵を並べています。これまでの流れ、そして、イラストの服装などから戦前のことだと想像されます。  左の上から見ていきますと、これは親が子供を殴っているところ、その横、戦争に駆り出されている少年、次は親から学校に行かせてもらえずに働かされている子供、その横の子供は夜遅くまで働かされています。  下の段に行きます。左から字が読めない女の子、病院に連れていってもらえない病気の少年、その隣の少女は大人にお酌をさせられています。最後は御飯を食べさせてもらえない少年。  極めつけは一番下の文章、アンダーラインは私が引いたんですけれども、「おとなたちの都合のいいように、子どもがあつかわれていました。そして、だれも助けてくれない、がまんするしかない、それが当たり前だったのです。」というナレーションです。  決めつけもここに極まれりです。フクロウ博士の思想信条が何となく分かった気がします。子供にとって地獄のようにひどかった日本が戦争に負けて、日本国憲法ができて、そのおかげでこんなにもいい日本になった。だから、そんな日本国憲法を改正しようなんてとんでもない。実はそこを子供たちに教えたいのかと疑ってしまうほどひどい誇張です。  少なくとも私はそう思いますが、教育長の御見解を伺います。また、私のようにこれはひどいと思う人たちの存在、これへの認知についても併せて御答弁ください。  続いて、四つ目は中学一年生の教材、「いろいろな愛のカタチ、性のカタチ」についてでございます。  この項は前編後編に分かれていて、前編は男性同士の結婚式の写真から始まります。男性と男性の結婚式です。そして、ジン君とケン君がこの二人の男性に出会いから結婚までのことをインタビューするという内容です。  後編では、性同一性障害の女性の方が生徒たちの前で講演をされます。性的少数者性同一性障害の方々が不法、不当に差別されることは、それは決してあってはなりません。しかし、中学校一年生の道徳の時間にいきなりこれを教えるのはどうでしょうか。そもそも中学校一年生を対象にこういう内容の指導を行うことを保護者は御存じなのでしょうか。  と申しますのも、このように中学校学習指導要領の保健体育編では、赤線を引いておりますけれども、(パネルを示す)発達の段階を踏まえること、そして、保護者の理解を得ることとされているからです。  私は、LGBTに関することなどは生徒がしっかりとその内容を受け止められるように、生徒の発達の段階や教える内容の順番などを考えて慎重に扱わなくてはならないと思います。  中学校一年生の生徒には、まずは男性と女性の結婚の形というものがあり、多くの人々がこうした形の結婚を望んでいること、そして、そういう夫婦が子供を産み育てることによって社会が継続していっていること、それをしっかりと教えていく必要があると思います。  そして、その上で生徒の発達の段階に応じて、そういう男女の結婚とはまた別の形の幸せを望んでいる人もいること、そして、そういう人たちを不法、不当に差別することがあっては決してならないことなどをしっかりと教えるという形が望ましいと私は思います。  教育長はいかがでしょうか、お考えを伺います。そして、同じように、私のように考える人たちの存在、これに対する認知の有無についても併せて御答弁をお願い申し上げます。  また、これは道徳の教材ですが、性を扱うことには変わりありません。保健体育の学習指導要領が求めている保護者の理解は得られているのか、御答弁をお願い申し上げます。  道徳の学習指導要領には、自分の権利を正しく主張するとともに、義務を遂行しないで権利ばかりを主張していたのでは社会は維持できないことにも具体的に考えを深めとあるのに、このDVDでは権利ばかりが強調されて、義務には触れられていないことなど指摘したい偏りはまだまだありますけれども、これぐらいにさせていただきます。  申し訳ございません。最後のパネルになります。(パネルを示す)  小学校の学習指導要領の道徳編の解説には、「道徳科の授業は、言うまでもなく学習指導要領に基づいて行われるものであることから、授業で活用する教材は、教育基本法学校教育法その他の法令はもとより、学習指導要領に準拠したものが求められる。」とあります。上のほうですね。  つまり、このDVDは道徳の授業で活用する教材ですから、学習指導要領に準拠したものでなくてはならないということになります。  そして、その学習指導要領の解説の二ページ後ろにこう書かれてあります。下のほうですね。  「公教育として道徳科の指導を行う上でもっとも大切なことは、活用する教材が特定の価値観に偏しないことであり、多様な見方や考え方のある事柄を取り扱う場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないか検討する必要がある。」、繰り返しますが、道徳の授業において最も大切なものは、教材が偏っていないことだと言われているのです。加えて申し上げますと、このような記載は、その他のどの教科の学習指導要領にもありません。道徳だけでございます。  最後に、教育長にお尋ねをいたします。  せっかくお作りになったDVD教材ではございますが、今、例を挙げましたように、誇張、決めつけ、偏りが散見され、とてもこのままでは使えません。これから配布する予定のものは中止をし、また、配布済みのものについては速やかに回収すべきであると思いますが、いかがでしょうか、御答弁を求めます。  日本には様々な人権問題があります。このDVDに触れてある被差別部落の方々、外国人、性的マイノリティーの方々、女性などなどへの差別は決してあってはならないことです。  また、このDVDの中にはありませんでしたが、北朝鮮による日本人拉致事件も重要な人権問題であります。昨日、川崎議員も言及されていましたが、この拉致被害者の一人である横田めぐみさんのお父様の横田滋さんが先日お亡くなりになりました。  横田めぐみさんは、まだ中学校一年生だった昭和五十二年、部活動の帰りに、北朝鮮の工作員によって拉致をされました。それからもう四十三年がたちますが、めぐみさんはいまだ日本への帰還を果たされていません。一度もまな娘に会うことなく亡くなられた横田滋さんの御無念はいかばかりだったでしょうか。心から御冥福をお祈り申し上げます。  また、一度なくしてからブルーリボンもつけていないくらいの末席の会員ではございますけれども、私も救う会佐賀の一員として、拉致問題の完全解決のために微力を注いでまいることをお誓い申し上げまして、御答弁次第では二回目があるかもしれませんが、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 3 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。中村圭一議員の御質問にお答えいたします。  障害者の採用に対する私の思いについてお答えさせていただきます。  全ての県民がそれぞれの個性や能力を発揮しながら、お互いにその人らしさを認め合って、支え合うことで、佐賀県をよりよいものにしていけるという思いがあります。障害のある方お一人お一人が、その特性や個性に応じて能力を発揮し、それぞれのフィールドで活躍できるような社会にしていきたいとも考えております。  次に、県庁の話をします。  組織を活性化させるためには、多様性が重要だと思っています。意識せずに自然な形で、様々な、多種多様な方々がそろっているということは、とっても強みになりますし、結果的に様々な観点での気づきが生まれてまいります。  佐賀県庁が非常に際立っているのは、率先して、意図して、民間企業経験者を採用して、人材の多様化を図っていることでありますけれども、そのように多様な人材、いろんな方々がおられて、そして、多様な経験が掛け合わされることでイノベーションが起きると思っています。  私は中村議員、言及ありましたけれども、障害者の皆さん方もできるだけ多く庁内で活躍できると、そういった環境をつくりたいと願っています。多くの障害者の皆さん方に県職員となることを目指していただきたいし、試験にチャレンジしていただきたいと思っています。  ただ、申し上げなければならないのは、県の仕事は、定型的な議論など必要とするものも多くて、特に知的障害者の方とマッチングしにくいという面がございます。  我々とすると、昨年度から導入させていただいたチャレンジ雇用というものについて、しっかり充実させていきたいと思います。その中で、きっと障害者の方々もいろんな思いの中で、我々も配慮しながら、スキルを向上させていくとか、そして、県庁、仕事楽しいな、充実してきたなという思いを持っていただきたいと思います。そして、そういう就労の中で正規職員へというキャリアパスというものも我々は意識してつくっていかなければいけないと思っています。  我々は、働きやすい職場環境をつくり、お一人お一人が個性や能力を発揮して活躍できるフィールドをつくっていきたいと思います。そして、常にその努力をしてまいります。  以上です。 4 ◎脇山総務部長 登壇=私からは、障害者の採用につきましての今後の取組について御答弁申し上げます。  県では、議員からも言及がありましたけれども、平成元年度から障害者を対象とした採用選考試験を実施しておりますが、より多くの方に受験機会を提供するために、近年、受験資格の拡大や受験対象者の見直しを行っております。  具体的に申しますと、平成三十年度から、まず身体障害者の障害の程度を、前は一級から四級だったのを、一級から六級ということで拡大をしております。年齢につきましても、二十九歳以下を三十五歳以下というふうに受験資格を拡大しております。  令和元年度から、先ほどお話がありましたけれども、障害者採用選考試験において、受験対象者に知的障害者及び精神障害者を追加するというような、受験対象者の見直しを行いまして、今年度から正規職員として、精神障害者の方でいうと六名を採用しております。  一方で、議員御指摘のとおり、昨年度の採用試験において、知的障害者の合格者はいないという現状も分かっております。  ただ、昨年度から受験対象の見直しをして一回目ということもございますので、採用試験の実施状況については、検証をしてまいりたいと考えております。  知的障害者については、先ほど知事からも言及がありましたけれども、採用試験とは別に、令和元年度から就労訓練の一貫として、県庁での就労の機会を提供するチャレンジ雇用というのを進めておりまして、この二年間で延べ八名の知的障害者の方を会計年度任用職員として採用しているところでございます。  障害者の採用につきましては、雇用促進の観点というのももちろん大事なんですが、職員お一人お一人がその特性や個性に応じて、職場で能力を発揮していただけるということが大事だと考えております。  そのため、単に採用しているだけではなくて、今年度から専任の障害者職業生活相談員というのを配置いたしまして、障害のある職員の方、あるいは所属からの相談への対応とか、円滑な業務遂行に当たってのサポート等を行っているところでございます。  引き続き、チャレンジ雇用を含めまして、障害者雇用を推進するとともに、採用後には意欲を持って能力を十分発揮してもらえるような支援体制の充実を図っていきたいと思います。  以上お答えといたします。(「教育長、みんな注目して聞きよるですよ」と呼ぶ者あり) 5 ◎落合教育長 登壇=私のほうからは、二点お尋ねがあった点についてお答えをいたします。  まず、公立学校の男女混合名簿についてお答えします。  その問いの中で、男らしさ、女らしさを否定しているのかという問いがございました。結構難しいお尋ねではないかと思います。  男らしい、女らしいとは、私の頭の中のイメージではあまり悪いイメージはないです。人を男らしいとか女らしいと言うときには、どちらかというと、褒め言葉で使ってきたような気がしますので、そういうことからかもしれませんけど、悪いイメージはあまりありません。ただ一方で、その言葉の裏には、男はこうだよね、女はこうだよねという概念があると思いますし、もう一歩進むと男のくせにとか女のくせにとか、性的に男性が男らしくないことに対しての批判、そういったものもあります。そういったところは表裏一体なのかなという気がしています。  そういった中で、現在LGBTと言われる性的マイノリティーと言われる方々、ある調査によりますと、全人口の八・九%はLGBTだという調査結果もございます。この数字が正確かどうかは別にして、一定数そういう人たちがいると。例えば、四十人のクラスであれば、そこに何人かはいておかしくないという状況なんだろうということがございます。  学校教育におきましては、基本的に児童生徒一人一人の個性と多様性を尊重したいと、そこを目指しております。総合計画においても、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」と、これを基本理念に掲げていまして、それとも符合するものだというふうに考えております。  そういうことを踏まえると、そういう性的な少数者、マイノリティーと言われる人たちも一定数いる、学校の中に必ずいるという前提で考えなければいけない、そういう人たちの人権は守らなければならないという考えに立っております。  そういった中で、これまでも男女を分けるいろんな場面があると思いますけれども、そういう中でそういう人たちが生きづらさを感じているという声はいろんなところから聞いているところです。  そういった中で、男らしさ、女らしさということを学校現場で教えられるのかということなんですけれども、体の性と心の性が必ずしも一致せず悩んでいる生徒もたくさんいるという中で、なかなかそれは、そういった子供たちに非常につらい思いをさせる可能性があるというふうに考えております。  内閣府が男女共同参画社会基本法に基づいて、平成二十七年に第四次男女共同参画基本計画を出しております。その中で、「男女共同参画社会を実現していく上で、人々の意識の中に形成された性別に基づく固定的な役割分担意識、性差に関する偏見の解消や人権尊重を基盤とした男女平等観の形成などが大きな課題」というふうにされております。  そういったことを受けてですけれども、佐賀県では平成三十年三月に「佐賀県人権教育・啓発基本方針」を改定して、その中でも男女共同参画社会の実現を位置づけておりまして、その中で男女混合名簿の活用を推進していくということをうたっております。そういうことを踏まえて、昨年来、男女混合名簿の導入を進めてきたところであります。  続きまして、道徳教育の副教材についていろいろ御指摘がございました。  まず最初に、それぞれの教材の部分に対して違う意見もあることを認識しているのかというお尋ねがありましたので、その部分についてはまとめてお答えしますと、道徳教育で取り上げる人権などについては、いろんな意見があるということは承知しております。ですので、今回の私たちがつくった教材が、必ずしも議員から御指摘にあったようなことを意図したわけではないですけれども、そういった見方をまさに今日、議員からいろんな御指摘をいただいたわけで、そういう御意見があるというのは認識しなければならないと考えております。  そういったいろんな多様な見方があるということ、また先ほども御指摘があったように、指導要領の中でも偏っていないことが大事なんだという、そういうことは十分我々も踏まえて、今回の教材をつくるに当たっても、メンバーですけど、先ほど御紹介がありましたように、大学の教育学の専門家の方、この人の監修を受けながら、小中学校の道徳の先生、あるいは県教育委員会、教育センター、そういった七名のメンバーでいろいろ議論しながらつくっています。また、それ以外にも、この教材を使った実験授業への協力という形で、これもまた七名の小中学校の先生にも御協力をいただいて、いろんな視点を交えながら、そして道徳や歴史の学習指導要領や、検定を受けた道徳や歴史の教科書、そういったものを参照しながら、この教材をつくる作業を進めていったと。極力偏ったものにならないように意識をしたということでございます。  先ほどここは議員も極端におっしゃったのかもしれませんけど、この教材が日本国憲法改正をやめさせるような意図もあるんではないかというようなものを感じたと、そういったものはもちろんありません。我々としては、子供たちに人権について知ってもらいたいと、それを偏っていないような形で教材をつくりたいという気持ちでつくらせていただきました。  個別に回答させていただきますけど、まず「子どもにも権利がある」と、これは小学六年生の教材としてつくられたものですけれども、この中身について幾つか御指摘がありました。  まず、戦前の人権に関する内容についてということでございます。  教材では、戦前の日本と現在の日本を比較して考えさせることで、全ての人が生まれながらにして基本的人権が認められているということに子供に気づかせて、自他の人権を保障する態度を育むことを目指してつくっております。  言うまでもありませんけど、日本国憲法では国民主権、基本的人権の尊重を原則として、国民に様々な権利が保障されております。一方で、戦前の大日本帝国憲法の下では、国民の自由は法律の範囲内で保障され、法律で制限できるという位置づけでございました。  例えば、先ほど議員のほうからも御紹介がありましたように、女性には参政権が与えられていなかったなど、性別による制限もございました。今の視点で見れば、人権が十分には保障されていなかったと、保障されていたとは言えない状況であったというふうに考えられます。そういったことを児童に分かりやすく現在の人権を理解させるために、戦前の状況と比較をしてつくったということでございます。  二番目に、結婚に関する内容についてです。  現在の民法においては、明治時代以来の家の制度を廃止して、個人を基礎にして男女平等を徹底して実現しようと、そういう基本的な考え方で制度がつくられておりますけれども、戦前の民法の下では、結婚は家と家との契約であり、婚姻には常に家長である戸主の同意が必要とされたということでございます。教材に出てくる「がまんするしかなかったんだね」、先ほど指摘があったような表現というのは、そういったことを分かりやすく表現しようとしたものでございます。  もちろん、議員からも御指摘がありましたように、どういう形で結婚に至ったかによらず、親が決めた結婚であっても幸せな人生を送った方というのはたくさんいらっしゃったと思いますし、現在、恋愛結婚で結婚すれば幸せか、それとは別だと思います。今回我々が表現したかったのは、そういった制度的な面、あるいは人権の面でどうだったかということをこういう形で表現したということでございます。  次に、子供の権利に関する内容についてです。
     先ほどありましたページでは、八つのイラストを使っていろいろ主に戦前をイメージされるイラストで子供の権利が制限されていた、あるいはなかったということを表現しているものになっております。  この教材は、もし子供の権利がなかったらどうなるのでしょうかという学習過程の中で、人権が制限されていた時代の現実を当時の出来事をイラストで紹介しようとしたものであります。これは小学校の歴史教科書とか、あるいは中学校の道徳の教科書などに、これは検定が通った教科書でありますけれども、そういったものの中で記載されている内容を、そこには文章だったり写真だったりであるわけですけれども、そういったものをイラスト化して表現して、当時の状況というのを説明しようとしたものであります。現在の人権を理解する学習活動として、人権が制限されていた時代と比較しようとしたということでございます。  次に、LGBTに関する内容について、まず教える時期について、中一というのは早いのではないかということもありました。  ちなみに、小学校三年から四年で使う保健の教科書に性についての悩みというのがあって、はっきりとは書かれていませんけど、そういったものについての記述があります。  また、中二の道徳でLGBT、これは全くストレートにそれを説明して、それを尊重しなければならないという記載があります。ですので、必ずしも中一という時期が早いとは思えないかなと思っていますけれども、この教える時期に関しては、この教材そのものが使うことを学校に任されておりますので、その使う時期についても、学校側の生徒の発達段階とか、それまでの学習経過などを考えて御検討いただいていいのかなと思いますし、また保護者の意見を聞かなくていいのかという御意見もありましたけれども、当然使うに当たって保護者の御意見を聞いていただくということはぜひやってもらいたいなと私としては思います。  この教材の狙いは、多様な性の在り方を肯定的に受け止めるというところにあります。平成二十七年度に法務省人権擁護局から出された冊子の中で、「性的指向を理由とする差別的取扱いについては、現在では、不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだ偏見や差別が起きているのが現状です。」と記載されておりまして、今もって国民の課題であるということは、そこにも示されております。  同じ年に文部科学省のほうから、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知もなされておりまして、いわゆる性的マイノリティーとされる人々への理解を促進すること、あるいはそういった児童生徒への対応や支援を充実させることについては、学校現場においては重要な課題であるというふうに位置づけられているというふうに認識をいたしております。  この教材、御指摘があったのは、「いろいろな愛のカタチ、性のカタチ」という教材ですけれども、この教材の狙いは、先ほど申し上げましたように、多様な性の在り方を肯定的に受け止めることができるようにという意図でつくられたものであります。  最後に、今後の取扱いについてお答えいたします。  議員からもまさに議会という重い場で様々な御指摘をいただきました。そういった御意見があるということは、私たちも踏まえて今後の対応を考えていかなければならないと考えています。  保護者の意見については、改めて県教委としても、この教材を見ていただきながらお聞きしたいと思いますし、各学校のほうでもぜひいろんな保護者の御意見を聞いて、その御意見をいただきたいなと思います。そういった御意見を踏まえて、こういった教材をよりよいものにしていくという気持ちがありますので、ぜひいろんな御意見をお聞きしながら、今後の対応を考えていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、児童生徒がいわゆるマイノリティーと言われる人たちの存在にも目を向けて、人権を尊重しようとする意識を高めるような教育を私としては進めていきたいと考えております。  以上です。 6 ◎中村圭一君 登壇=教育長に再度お尋ねをいたしますが、その前に、一項目めの障害者の採用については知事から思いを聞かせていただきました。ありがとうございました。  悔しいですが、私には妙案があるわけではございません。ただ、現在の状況は決して寄り添っているとは言えないし、公平でもないという強い思いがあるだけでございます。その思いは知事にも、そして、総務部長にも御共有をいただいている、そう感じさせていただきました。今後の取組に心から期待を申し上げます。  さて、質問でございます。  二項目めの公立学校の男女混合名簿についてでございますが、今年度から急に全校での導入になりました。先生方、保護者、児童生徒たち、様々な受け止めがあるはずです。声なき声もしっかりと聞くという意味でも、年度末までにぜひアンケートを取っていただきたい、そして、その結果によっては、過ちては改むるにはばかることなかれ、見直しをお願い申し上げます。いかがでしょうか、教育長の再度の御答弁を求めさせていただきます。  そして最後、三項目めの道徳教育の副教材についてでございます。  教育長からは分かりやすくしたという御答弁がございましたが、分かりやすくすることと誇張することは全く違います。誇張が偏見へとなります。ただ、私と同じように思う人が少なからずおられる、その存在についてはお認めいただけたというふうに思います。そこを認めるということは、すなわちこの教材が偏っていることを認めたことと同義であると私は思います。そして、この教材が準拠すべき学習指導要領に違反していることを認めたことにもなると私は思います。  私はこの教材の全てが悪いとは申し上げていません。決めつけ、偏りが散見されると申し上げているだけです。ここはぜひ一度、答弁にもございましたけども、立ち止まっていただいて、修正すべきを修正し、その修正したものについては公開するなどして広く一般に意見を求めていただきたい。そこでの御意見も反映させるべきは反映をさせ、出来上がったものを最終的には、今日役員の方が傍聴に見えられておりますけれども、県PTA連合会を通すなどして、教材の内容に対しての保護者の理解を得る、学習指導要領が求めるように、道徳で使用する教材はそれくらい慎重かつ丁寧に扱うべきだと思います。いかがでしょうか、教育長の御答弁をお願い申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。 7 ◎落合教育長 登壇=中村議員の再質問にお答えいたします。  まず、最初の男女混合名簿についてであります。  今回一〇〇%ということで今年度から急速に導入したという中で、実態、現場はどういうふうになっているのかというアンケートを取ってほしいという御意見がございました。これは私もぜひ意見は聞きたいと思います。  そういった中でどうなのか。これまで導入したところがどうなのかということを我々もそれなりにリサーチしておりまして、最初違和感があるけれども、使ってみて特に問題がないというのは、これまで導入したところの経験をされた方からは聞いているところではございます。  そういったことで、今回導入に当たって進めても大丈夫という意識の中で進めたわけですけども、今回議会の場で御指摘もいただきました。ぜひ御意見を伺って対応を考えていきたいと思います。  次に、副教材についてであります。  違う意見があるというのを認めたからには、今回の副教材が偏っているというのを認めたのではないかと、そこにはちょっと違和感がございます。私たちは先ほど申し上げましたようなやり方で、偏らないように気をつけながら作ったと思っておりまして、それぞれ意図を持って作っているんですけども、ただ、見られた方が中村議員から御指摘があったような印象を受けられた、そういう理解をされたということは重く受け止めなければならないと思います。  そういった意味で、いろんな人の意見を聞いて、先ほど分かりやすくというのは誇張にもつながるというふうに御指摘がありました。確かに子供にとって分かりやすくするために単純化した部分とか、そういった部分があると思います。そういう部分が誇張につながったかどうかは別にして、そうなっていないかどうか、そういうチェックをする必要もありますし、改めていろんな方の御意見を聞いて、私たちとしてもこの教材を見直してみたいと思います。  以上です。 8 ◎稲富正敏君(拍手)登壇=議長より登壇の許可をいただきましたので、私の一般質問をさせていただきます。  質問に入ります前に、昨日、知事の答弁において「さがデザイン」の働き方、貢献について詳しく説明をされました。過去、私は「さがデザイン」について否定的、懐疑的な質問をしていたことを深くおわびいたします。(笑声)今後、そういうふうなお尋ねをした場合はこういう場で御指摘をしていただくと、私としても深く反省ができますので、よろしくお願いいたします。  それでは、一般質問に入ってまいります。  財政運営の諸課題についてお尋ねいたします。  山口知事になって予算は増加傾向にあると認識をしております。県の財政は大丈夫なのかという心配がありましたので、この趣旨でのお尋ねであります。  山口知事就任六年目となる今年度の一般会計当初予算額は四千八百五十五億円となっております。さきの二月議会で徳光議員さんが県政史上五番目の規模とおっしゃっていたと記憶しております。そして、今年六月県議会で補正予算が提案されておりまして、可決されれば、一般会計予算額は五千五百四十九億円となり、県政史上最大規模になります。予算が膨張したことはコロナ対策というやむにやまれぬ事情があったためと思いますので、当初予算について議論させていただきます。  先ほど当初予算額が五番目の規模と申しましたが、一番目から四番目はいつの頃だったのだろうかと調べてみました。皆さんいつの頃と思われますか。答えは二十年以上前、平成十年から平成十三年までの四年間です。この四年間に一位から四位が集中しております。最高は平成十二年の四千九百三十七億円、この私が県会議員一年生だった頃の話です。  その頃といえば、バブル崩壊から景気の落ち込みが続き、日本の経済成長がマイナスのどうのこうのといって、国でも地方でも盛んに経済対策が打たれた時期です。佐賀県では平成十年度六百三十五・五億円、平成十一年度二百三十二億円、平成十二年度百六十四・四億円、平成十三年度百八十・七億円の経済対策予算が組まれました。公共事業では使い切れないほどの予算がつけられておりました。そういう世の中であった頃の井本知事時代には四千八百億円から四千九百億円の予算が組まれていたのであります。  井本県政時代の話をしましたので、古川県政の予算についても触れたいと思います。古川前知事は就任直後に地方交付税大幅カットとされる交付税ショックに見舞われ、佐賀県行財政改革緊急プログラム、いわゆる緊プロが発動されるなど、財政運営には大変苦労されたものと思います。三期十二年の間、緊縮型の予算運営が行われ、当初予算は任期中通じて大体四千二百億円程度、少ないときは三千九百億円のときもありました。緊プロでは少額の補助金も減らされ、あるいは廃止され、十年間で県職員五百人削減、一般職員給与も四年間にわたって四ないし五%カット、県会議員の給料も八十一万円から七十一万円になるなど、まさに身を切る財政運営を余儀なくされた時期で、あれかこれかの厳しい選択を求められていたと記憶しております。  話を山口知事の現在に戻します。知事は二月議会の川崎議員の質問に対して、グローバル化に対応します、先進テクノロジーにも対応します、骨太の教育も大切、世界や未来を見据えた戦略的な施策展開が必要であると述べられておりました。  片や、藤崎議員の答弁では、あれかこれかというめり張りをつけることが重要、事業規模に注意を払い不断の見直しを行う、スクラップ・アンド・ビルド、選択と集中による戦略的な財政運営を行い、財政の安定性と健全性を確保していくと述べられています。  私は二つの答弁を聞いてどちらが知事の本音なのかと首をかしげざるを得ませんでした。川崎議員は積極的な財政運営にどちらかというと肯定的な質問に聞こえました。一方、藤崎議員の質問は「さがデザイン」や県庁CLASS、地下食堂の改修、県庁前駐車場の整備を例に挙げて、知事の財政運営にどちらかというと懐疑的、批判的な質問のように聞こえました。少なくとも私にはそのように聞こえました。  このように二人の議員の質問は相反するものでありましたので、答弁もそれに応じたものにならざるを得なかった面はあると思いますが、聞いているほうとして、一体どちらが知事の本意なんだ、本音なんだと理解に苦しんだところです。  両議員の質問と、それに対する答弁を聞いて、私は思いました。知事は選挙で選ばれて、県民の負託を受けて、その職に就いておられます。だから、知事が思うことをなさってよいし、やりたい事業に予算を使われることもよいと思います。  当初予算の記者発表のとき、知事は、リーダーは未来を見据えて布石を打つ、使うときには使う、締めるべきところは締めると述べられております。全くそのとおりであり、私もその考えにおいて大いに賛同するところであります。そういう考えで財政運営をしてもらえば、私は何も言うことはなく、今日の質問もせずによかったと思います。  私は、地方自治体の財政運営の要諦、要と申しますか、肝、あるいは厳しさとも言えるかもしれませんが、今回のコロナ対策は特例を認めるような動きもあるものの、地方には国のように赤字国債を発行することはできませんので、とにかく地方に与えられた財源の範囲内でしっかりとやりくりするということに尽きると思います。  地方自治法には、「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。」と書いてあります。また、地財法には「地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない。」と書いてあります。これからすると、県債も例外と言えると思います。  本題に入ります。ここにおられる皆様方には釈迦に説法かもしれませんが、決算分析の一つに経常収支比率というものがあります。物の本によりますと、経常的に見込まれる一般財源に対する人件費や社会保障費、公債費などの経常経費の割合であり、財政の弾力性を表すと書いてあります。  佐賀県の経常収支比率は、平成三十年度決算では九三・五%になっています。古川前知事の最後の年、平成二十六年度は九一・六%でした。山口知事になって二%近く上昇しています。確かに社会保障経費、扶助費は五十億円程度増加していますが、ほかの義務的経費のうち、人件費はおおむね横ばい、公債費は減少しています。片や分母となる地方交付税は横ばい、県税は百二十億円も増加しています。  こうした状況で、なぜ経常収支比率は上昇しているのでしょうか。愚者の私にも理解できるようお尋ねいたします。  私が思うに、知事がおっしゃるスクラップ・アンド・ビルド、めり張り、選択と集中、締めるところは締めるができていないからではないでしょうか。使うときは使うばかりになっていないでしょうか、お尋ねします。  知事をはじめ執行部の皆さんは、私たち議員に対し、あれをします、これをしますと説明されますが、私は議員生活二十二年になりますが、今年はこれだけ廃止しました、来年はこれをやめますというような説明は今まで聞いたことがありません。  そこで、執行部にお尋ねします。今年度の予算におけるスクラップ・アンド・ビルド、選択と集中、締めるところは締めるについて、どのような手続を経て、どれだけの成果があったか、財源を生み出すことができたのかお示しください。例えば、新規や規模拡大事業が何件で金額が幾らに対して、廃止や規模縮小事業が何件で金額幾らと具体的にお答えくださればよく分かると思います。よろしくお願いします。  次に、県債についてお尋ねします。  今回質問するに当たり、「佐賀県行財政運営計画二〇一九」を改めて見てみると、やはり気になる点がありました。  一つは、「徹底した歳出の見直し」の項目の中に掲げてある「スクラップアンドビルドによる施策の活性化」です。このことについては先ほどもお尋ねさせていただいたところです。もう一つは、「公債費負担の平準化」についてであります。私はここ数年間、公債費は減少し続けておりましたので、今後、SAGAアリーナやSAGAサンライズパーク整備のための多額の借金に備え、公債費が減少した分は貯金されるのだろう、それが負担の平準化と思っておりましたが、違っていたようです。どうも十年や二十年で償還していた県債を三十年償還にすること、つまり、借金返済を先送りするということが平準化ということのようです。私はこのような考え方は理解できません。  アリーナを造りたいが財政が厳しいというのであれば、真っ先にやるべきことは他の事業を見直し、財源を確保することではないでしょうか。私なら真っ先に「さが維新まつり」や「佐賀さいこうフェス」をやめます。「佐賀さいこう!応援団」も「サガプライズ!」のような広報事業もやめます。  まだあります。今となっては取り返しもつきませんが、SAGAアリーナに巨額の事業費が必要というのなら、知事公舎の整備に二億円もかけないで先送りします。県庁前の駐車場整備に一億五千万円も使いません。地下の食堂に五千万円も出しません。なぜなら、県民の福祉の維持向上に役立たない、首をかしげるからであります。このような事業を県民は望んでいるのでしょうか。私なら全部貯金します。  県債の償還を三十年に延ばさないとアリーナ建設が難しいのでしょうか。佐賀県財政はそんなに厳しいのでしょうか、執行部の見解をお尋ねします。  また、計画期間中、三十年償還の県債をどれくらいの規模で発行される予定なのか、そのことによって毎年度の償還額はどの程度減少するのか。また一方、利息は史上最低の金利と言われておりますが、その利息負担はどの程度増加するのかお尋ねします。  確かに古川前知事の緊プロに取り組んだとき、十年から十五年で償還していた県債の償還を二十年に延ばすことをされましたが、歳出予算もしっかり見直し、カットされていました。県民にも我慢してもらい、職員の給料にも手をつけられました。今の「佐賀県行財政運営計画二〇一九」では、スクラップ・アンド・ビルド、選択と集中、締めるべきところは締めるという観点の歳出面での見直しが甘くなっている印象を受けますが、私の錯覚であることをお祈りします。  ここで一句、「いつの間にか 残高不足 ATM」。  農業政策についてであります。  県においては、「さがの食と農を盛んにする県民条例」に基づき、「佐賀県『食』と『農』の振興計画」を策定し、様々な施策を行っておられるところであります。この施策で農業における多くの課題が解決することを祈念しています。  まず、話は米からです。  米の再生産能力はすばらしいものがあります。再生産能力というのは、一粒の米から何粒収穫できるかということです。米は約二千ないし三千粒取れるそうです。すなわち、その米の再生産能力は二千ないし三千倍ということになります。  一方、麦は五百ないし六百倍、米の五分の一から四分の一しかありません。トウモロコシに至っては、もっともっと少なくなるということです。こうした再生産能力を持つ作物は、米をおいてほかにはないということであります。  また、米は苗を植えて、水を張って、流れるようにしておけば、有機肥料や堆肥だけでずっと再生産されるという、もう一つの優れた面を持っています。日本人はこうした優れた作物である米を二千年以上作ってまいりました。水田のある風景というのは、恐らく二千年前からそれほど変わっておりません。そして、望むのであれば、今後もずっと水田のある風景を残し続けてほしいものであります。  しかし、日本の米の値段は世界一と言われ続けております。確かに生産者米価は世界で一番高く、タイや中国の米の五倍から八倍もします。しかし、ここで別の観点から、今現在、私たちが食べている御飯茶碗一杯、一体幾らになるかと考えてみましょう。  コープで販売されている米は十キロ当たり、「さがびより」で四千七百円、「夢しずく」は四千二百三十円で販売されております。これを茶碗一杯当たりに換算すると、約三十五円になります。同じコープのペットボトルのお茶は高いほうで百三円です。県はこのような米の状況をどのように認識しているのか、つまり、御飯一杯三十五円、ペットボトル一本百三円、この事実をどのように受け止めているのか、また、近い将来の米作経営はどうなるのか、執行部にお尋ねします。  私の地元の農家の人たちと話をする中で、よく聞こえてくる言葉に共通することは、百姓は何ぼ作っても合わん。子供に百姓はさせとうなか。これに加えて中山間地に行くと、もっと悲惨です。おいが百姓ばやむっぎ、誰も作ってくるん者はおらん。耕作放棄地は中山間地を中心に、その面積を拡大しつつあります。その大きな原因はただ一つであります。これは中山間地の米作りをも経済競争にぶち込まれたからであります。ゆえに中山間地は平たん部よりも早く後継者不足、高齢化が進んだのではないでしょうか。  ここで一句。「クズの花 夏の終わりかヤタ栄え」。  私の地元には、県とJAが協力してキュウリのトレーニングファームを設置され、ありがたいことであります。このトレーニングファームで幅広いルートから意欲ある担い手が研修に励んでおられます。年齢も二十歳から四十歳代の、子供を抱えた家庭での大黒柱の研修まで多岐にわたっております。  彼ら研修生の研修期間中、生活費は国の農業次世代人材投資事業の準備型百五十万円を活用されているとのことですが、この金額では、子供の教育費等で逼迫した生活を余儀なくされているそうです。そのほかにも、前年度の所得による給付制限等、研修生にとって使い勝手が必ずしもよいとは言えず、特に四期生においてはその事業の対象になるのか不安がっておられます。  私は、研修生が後顧の憂いなく研修に励めるように、関係機関・団体が一丸となって取り組む必要があると思います。  そこで、農業を志す者の目線に立った担い手対策について執行部にお尋ねいたします。  次に、三問目であります。  昨年八月五日、与党検討委員会が、新鳥栖─武雄温泉間はフル規格による整備が適当との取りまとめがされました。しかしながら、その取りまとめは、知事が与党検討委員会に出向かれて述べられた意見は全く反映されていない内容となっていたため、その後の議論はかみ合わず、国と国交省との「幅広い協議」に入る前の段階から両者の考え、認識の細かい確認作業が行われていました。  そして六月五日、南里地域交流部長と国交省の足立課長が県庁で向き合われて、両者の考えのすり合わせが行われた結果、このままでは線路のように平行線のままで両者の考えが交わることはないとして、走りながら確認していくという見切り発車的な協議に入ることになったと認識しておりますが、このような認識でよろしいのか執行部にお尋ねいたします。  次にですが、この質問を作成するときに考えておりませんでしたが、にぎわいを見せている最近の新幹線問題に関する報道を見て、感想を少しだけ本線を外れて申し上げたいと思います。  新鳥栖─武雄温泉間は何が何でもフル規格にしたい国土交通省に対し、新鳥栖─武雄温泉間は在来線を利用するとの合意の下、進めてきており、フル規格での整備は受け入れられないとの佐賀県。まさにガチンコ勝負。両者一歩も引かないような状態になったところだとお見受けいたしました。  県民の皆さんは誤解しないでほしいと思いますが、国土交通省は既成事実のように新鳥栖─武雄温泉間はフル規格でと考えているようですが、歴史的にひもとくと、フル規格による西九州ルートの整備、特に佐賀県内の区間について様々な議論があって、ルートは鳥栖で分岐するとか、佐賀駅を通過するとか、一切決まったものはないと認識しています。私のこの認識に間違いなければ、フル規格でのルートについては一からの議論が必要で、ルートは既に決まっているかのごとく環境アセスの話を持ち出して話を進めようとする国土交通省のやり方には注意が必要です。  脱線しましたが、本線に戻します。  ここ一年間、県議会の議事録に目を通してみました。ほぼほぼ同じ議論の繰り返しであります。  知事以下、執行部の主張を整理しますと、一つ、西九州ルートの新鳥栖─武雄温泉間は井本元知事、古川前知事の時代も在来線を利用するという合意の下で進めてきたこと。  一つ、将来の在り方について、フル規格を含めて様々な可能性を議論することは否定せず、スーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式、フル規格及びミニ新幹線の五つの方式を対象としたものであれば県は国交省との協議に応じるということ。  一つ、フル規格に関して莫大な財政負担にとどまらず、在来線の在り方、ルート、地域振興など、様々な問題が複合的に横たわっており、短期間で方向性を決められるようなものではないということ。  細かいことを言えばほかにもあるかもしれませんが、私はおおむねこのように理解しているところでありますが、このような理解でよろしいのかお尋ねします。  このように言われればそのとおりであり、知事は全然おかしなことを言っておられません。佐賀市選出のある県議さんによりますと、佐賀市民の恐らく八割は今の「かもめ」、「みどり」に満足しており、わざわざ新幹線を使って博多まで行く必要はないということで、佐賀駅を経由する現行スキームでの新幹線は不要と考えているのではないかという中にあって、知事はむしろこれまでの議論の経緯や佐賀県の立場を正しくお答えになっていると思うところであります。にもかかわらず、長崎県選出のある国会議員さんは、佐賀県の対応は韓国か北朝鮮を相手にしているような気分と言われ、フル規格推進派からは知事だけが駄々をこねているとかと言われ、知事もじくじたる思いをされてきたのではないかと心中お察しするところであります。  次に、県議会議事録とともに過去の新聞記事に目を通してみました。  一つ、平成三十一年一月十日付の日本経済新聞ですが、一月九日に山口知事と中村長崎県知事の会談が佐賀市内で行われたことを受けて、「両知事は『国が新たな方向性を出すように働きかけていく』『今後も随時会い、連携していく』ことで合意したと明らかにした。」とのほか、フル規格やミニ新幹線を導入した場合、「現行のスキームでは佐賀にとってメリットがほとんどない」、「『そもそもルートも設定されていない。いろいろな問題が横たわっている』とし、地元が納得できる新たな仕組みを国が提示することから議論が始まる」との記事が記載されています。  一つ、平成三十一年三月八日付の朝日新聞には、三月七日の与党検討委員会の山本委員長のコメントとして、「佐賀は新たな提案があれば話を聞くと言っている」。  一つ、平成三十一年四月二十一日付の長崎新聞には、「佐賀県の山口知事は現行の整備新幹線のスキームのままでは『議論できる状況にない』と繰り返してきた」。  一つ、令和元年五月二十一日付の西日本新聞には、「この問題について『今は佐賀県にメリットがなく、負担だけ増えるという県の主張はもっとも』と語り、根本から発想の転換をと力説しているのがJR九州の初代社長を務めた石井幸孝さんだ。いわく、今からでも遅くない、ルートを有明海沿岸の佐賀空港経由に変更し、国際物流も受け持つ路線として整備するのが最善だ」、「建設費はさほど増えない」。  一つ、令和元年六月四日付の佐賀新聞では、「ルートの未着工区間の整備方式について、全て佐賀県内であることから『長崎県と議論して決める区間ではない』」、「議論の相手は佐賀県議会だ。」との坂本副知事のコメントが記載されています。  さらに続きますが、令和元年六月二十日付の西日本新聞では、「長崎県がフル規格での整備を目指して同区間の環境影響評価の関連経費を来年度予算に計上するよう国に要望していることに『すべて県内の区間だが、われわれの意向を無視して要望している』」と山口知事の反発するコメントが載っています。もっともなことであります。  一つ、令和二年一月十六日の佐賀新聞では、JR九州の青柳社長の「佐賀駅を通らない新幹線は、私はあり得ないと思っている。」とのインタビュー記事が記載されています。  一つ、令和二年二月二十八日付の佐賀新聞の与党検討委員会の山本委員長の記事を読むと、「昨年一月に知事からは財源、ルート、並行在来線、地方創生の四つが課題だと提示された。」、「県は協議の場に出てきて意見を言ってほしい。財源が最大の問題なのかどうかも分からない。」、佐賀県の負担ゼロの検討についても、「佐賀県がどうしてもと言うのなら。財政負担が最大の課題で、それを意見として出してくれたら検討できる。」、「佐賀空港を通るルートも考えはしたが、非常にお金がかかる。コストが上がるので現実的ではないというのが一つの結論だ。」と述べられています。  以上、私の主観をもって、ここ二年ほどの記事を紹介させていただきました。総括すると、知事もフル規格での整備を全否定されているものではなく、現在のスキームでは佐賀県にメリットがないため、国が新たな提案をするのであれば、財源、ルート、在来線、地域振興の観点から時間をかけて議論することができるのではないかということだろうと私なりに理解したところであります。このような理解でよろしいのか執行部にお尋ねします。  これから私の持論、夢を申し上げます。  まず財源についてですが、与党検討委員会の山本委員長は、フリーゲージトレイン断念が県の負担軽減の根拠となり、場合によっては法律改正して佐賀県の負担を軽減する。ましてやゼロにすることは到底無理な話だと思いますが、本当に大事なところは財政負担が幾らではなく、いわゆる五択の中で佐賀県の将来の発展、地域振興のため、どのような方式が一番よいかというところだと思います。仮にフル規格の場合であって、佐賀県の財政負担がゼロになったとしても、佐賀県の地域振興につながらない、幾ら九州全体の発展のためと言われても、佐賀県にとってマイナスの効果しか出ないようであれば選択すべきではありません。
     逆に大きな財政負担を伴うとしても、佐賀県の将来の発展につながるなど、大きな効果をもたらされるのであれば、それを県民がよしとするのであればフル規格を選択することもあってよいのではないか。  JR九州は民間会社ですから、最少の費用で最大の効果を目指す。いわゆる費用対効果の発想でもってフル規格での整備を進めたいとする、その趣旨は理解できるわけではありますが、佐賀県としては効果をはかって費用を考える。佐賀県が受ける効果に対して費用が上回るような、すなわちマイナスの効果しか出ないようであれば、フル規格の話に乗らない。仮に乗るとしても損害賠償をセットで考える。こうした費用対効果ではなく、効果対費用の発想で考えたほうがよいのではないかと思います。  次にルートですが、令和元年十月二十日付の西日本新聞にJR九州初代社長の石井さんの話が次のように述べられております。   九州新幹線西九州ルートの建設問題が暗礁に乗り上げている。一般には、メリットの少ない佐賀県が財政負担の額で妥協するかどうかが焦点のように語られているが、それはいささか当を得ていない議論である。   改めて整理すると、同ルートは、JRがまだ国鉄だった一九七二年、当時の運輸省が定めた新幹線基本計画で福岡市と長崎市を結ぶ路線として決まり、翌年、全国五路線の一つとして整備計画に格上げされたが、国鉄経営の悪化で建設は棚上げになった。   この時点で、ルートは佐賀県鳥栖市で分岐するとか、佐賀駅を通過するなどとは書かれていない。それ以降、佐賀県内のルートや整備方式、並行在来線についてさまざま議論があって、決着は付いていなかった。   JRの発足に伴い、経費節減案を前提に整備新幹線の建設が再開された。西九州ルートはスーパー特急方式(曲線の多い武雄温泉─長崎間だけ新ルートを建設し、狭軌の在来線レールを引いて在来線特急が直通する方式)に決まり、工事が始まったのである。   その後、車輪の幅を変えられるフリーゲージトレインの導入が国から提案され、それを前提に武雄温泉─長崎間をフル規格とし、暫定的には武雄温泉で在来線と乗り継ぐ構想で工事が進んできた。従って、武雄温泉以東の取り扱いは現行のJR長崎線のままであった。  JR九州元社長さんのお言葉ですから、恐らく間違いはないだろうと思いますが、これは事実でしょうか、確認のためお尋ねします。  事実ということであれば、フル規格でのルートはもともと定められていなかったわけですから、一からの議論が必要となり、知事が言われるとおり、過去の歴史を振り返ってみても短期間で結論が出せる話ではないと改めて思ったところです。  本来、ルートが決まらなければ、整備費も佐賀県の負担額も出てこないわけであります。そういう中で、整備費六千二百億円という数字が出て、独り歩きしていることに違和感を覚えます。ルートが決まらなければ、在来線がどうなるか、どうするかという議論もできません。最終的には佐賀県の発展と地域振興につながるのかという話もできません。  こういう議論もなしに、与党検討委員会をはじめ、長崎県やJR九州、県内のフル規格推進派の方々がどうしてフル規格がよいとされるのでしょうか、議論の順序が間違っているのではないかと思います。  さらにルートに関していうと、世の中的には佐賀を通らず最短で福岡と長崎を結ぶ北ルート、佐賀駅を通る中央ルート、佐賀空港を経由する南ルートという三つのルートが出回っております。県民の間でもちらほらと話題になっているときがあります。  国側からは正式にルートは示されておりません。にもかかわらず、山本委員長は「佐賀空港を通るルートも考えはしたが、非常にお金がかかる。コストが上がるので現実的ではないというのが一つの結論だ。」、赤羽国土交通大臣も国会の場で、佐賀空港を経由するルートは「地盤の問題などもあり難しいのではないか」、また、水嶋鉄道局長も佐賀新聞のインタビューで「佐賀駅経由が合理的」と述べられております。  JR九州にとって合理的なのであって、佐賀県にとっては全く不合理な話ではないかと思います。  このように、佐賀県にルートを示す前に結論めいた見解を述べられることについても順序が違うのではないかと思います。  中でも、佐賀空港を経由する南ルートについては、JR九州の元社長、石井さんが「建設費はさほど増えない。」と言われる一方で、佐賀県の財政負担はゼロにすることも検討したいと言われている山本委員長が「非常にお金がかかる」と否定されています。  では、国としては一体幾らならいいと考えているのでしょうか。  私は、こうした国側の考え方とは異なり、佐賀空港を経由する南ルートが佐賀県として唯一検討に値するルートだろうと考えております。  この南ルートについては、先ほども紹介しましたJR九州初代社長の石井さんは、筑後船小屋駅付近で鹿児島ルートから分岐し、柳川を通るルートを提唱されておりますし、これとは別に、久留米駅、筑後船小屋駅の間で分岐して佐賀空港に向かうルート案のうわさも出ているように聞いております。  知事は、福岡県西南部や佐賀県筑紫平野エリアの一体的発展を目指した筑後佐賀一帯圏域構想を推進されていますが、南ルートはこの構想の推進にも資するものと私は考えます。  また、知事は県外からの移住者を増やす取組にも力を入れられていると承知しておりますが、南ルートが実現し、南に行けば国際空港、新幹線、加えて中央には在来線も走っているという構図になれば、佐賀県は利便性のよい面からベストの位置になり、九州、西日本はもとより、アジアに向けたアクセスがさらに向上することにより、佐賀県への移住者の増加、定住人口の増加にもつながってまいります。  さらに、福岡空港と一体となり、九州の国際空港として佐賀空港の飛躍、ひいては福岡、長崎とともに日本のアジアに対する西の空の玄関として、さらなる発展も望めるものと思います。  三十年後には空港、新幹線、在来線、道路、港湾などが有機的に結びつき、ソウル・仁川空港以上に人の流れ、物流の中心として機能し、佐賀空港が東アジアのハブ空港として、国、九州、佐賀の発展に資するものと確信します。  いよいよ県と国土交通省による本格的な協議が始まることになりますが、私はスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式、ミニ新幹線及びフル規格単線、そして、フル規格複線の六つの方式、つまり、五択ではなく、六択でも協議していただきたいと考えております。  私は、国土交通省にまず地元佐賀が納得できるような新しい仕組み、案というものを提示していただきたいと思っております。  六月五日、国土交通省の足立課長が佐賀県に合うようなアイデアを検討しているとの発言をされたと聞いております。  そのアイデアの提示に興味を持って待っておりましたが、報道があっているように、複数の整備方式に対応する環境アセスの実施がそのアイデアというのであれば、誠にがっかりと言わざるを得ません。  その上で、知事には、財源、在来線、ルート、地域振興の観点から正しい順序で協議を行い、佐賀県にとって最善の選択をされることを祈っております。  以上で質問を終わります。(拍手) 9 ◎議長(桃崎峰人君) 暫時休憩します。     午前十一時四十六分 休憩 令和二年六月十九日(金) 午後一時三十一分 開議  出席議員    三十五名     一番  一ノ瀬 裕 子     一六番  川 崎 常 博     三〇番  中 倉 政 義     二番  古 賀 和 浩     一七番  定 松 一 生     三一番  石 井 秀 夫     三番  下 田   寛     一八番  八 谷 克 幸     三二番  留 守 茂 幸     四番  古 川 裕 紀     一九番  江 口 善 紀     三四番  木 原 奉 文     五番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  藤 木 卓一郎     六番  冨 田 幸 樹     二一番  向 門 慶 人     三六番  石 倉 秀 郷     七番  弘 川 貴 紀     二二番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行     八番  井 上 祐 輔     二三番  宮 原 真 一     九番  木 村 雄 一     二四番  原 田 寿 雄    一〇番  中 本 正 一     二五番  岡 口 重 文    一一番  野 田 勝 人     二六番  大 場 芳 博    一二番  西久保 弘 克     二七番  武 藤 明 美    一三番  池 田 正 恭     二八番  稲 富 正 敏    一五番  古 賀 陽 三     二九番  徳 光 清 孝 欠席議員    二名    一四番  井 上 常 憲    三七番  桃 崎 峰 人 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   脇  山  行  人          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       大川内   直  人          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    杉  内  由美子          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       横  尾  重  信          議事課副課長       花  島  良  直          政務調査課副課長     金  武  隆  守          議事課議事担当係長    中  島  達  明          同    議事担当主査  池  田  陽  介     ○ 開     議 10 ◎副議長(岡口重文君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き一般質問を行います。  稲富正敏君の質問に対する答弁から開始いたします。 11 ◎脇山総務部長 登壇=私のほうからは、財政運営の諸課題につきまして、二つのお尋ねをいただいておりますのでお答えさせていただきます。  まず、令和二年度当初予算におけるスクラップ・アンド・ビルドについてでございます。  令和二年度当初予算編成に当たりましては、まず総務部から各部局に対しまして、選択と集中による戦略的な財政運営に取り組むことを基本方針としながら、限られた経営資源の重点的、効率的な活用のため、既存事業については安易に継続するのではなく、効果と課題を検証した上で、スクラップ・アンド・ビルドに取り組むよう指示したところでございます。  その後、各部局からの予算要求を受け、総務部において各事業のヒアリングを行い、費用積算の精査はもちろんのこと、事業を厳選し、本県の飛躍の鍵となる交流の促進や新たな価値の創出にチャレンジする分野に重点的に予算を確保するなど、めり張りをつけた予算編成を実施したところでございます。  この結果、ソフト事業で四十六件の事業を廃止・縮小することにより、約七億円の財源を捻出しております。  具体的に申しますと、例えば、UJIターンの内定者に対しまして奨励金等を出していたんですが、内定者ではなくて、実際に就職活動をするための交通費に替えるような形で、こういう事業で二千三百万円前後で減少になっております。あるいは韓国との間の便が止まったりしている関係で、それに伴います旅行会社に対する宿泊支援であるとか、あるいは広報支援とか、そういう経費で約一億八千万円減少したり、そういうもので七億円の財源を捻出しているところでございます。  一方で、八十五件の事業を新規・拡充したことにより、約十一億円の財源が必要となっております。しかしながら、この差額の四億円につきましても、例えば、国の地方創生推進交付金二億円を確保するなど、歳入確保に努めたところでございます。  事業の新設に当たりましては、引き続き国の補助金、交付金などの財源の確保やスクラップ・アンド・ビルドを徹底し、真に必要な施策への財源の重点配分を行う所存でございます。  なお、今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、現在予算の組替えを検討しておりまして、組み替えた際はどのように行ったかを九月議会にでも報告をしたいと思っております。
     なお、議員から御指摘のありました経常収支比率のお話でございますが、確かに平成二十六年度と比べ平成三十年度は増加をしておりますが、その分子であります歳出につきましては、社会保障費が約六十億円増加しております。一方で、公債費等を削減することで二十六億円減少しているんですが、歳出総額が二十八億円増加しております。それに対して分母に当たります歳入につきましては、確かに県税は増加しているんですが、それを補って余りあると言ったらおかしいですけれども、後年度の交付税で補填される臨時財政対策債が大幅に減少しております。この結果、歳入総額が二十二億円減少しております。こういう結果、分母である歳入が減少し、分子である歳出が増加した結果、経常収支比率が増加したということでございます。  続きまして、三十年償還の県債発行についての影響でございます。  これは県債の償還を三十年に延ばさないとアリーナ建設は難しいのかというようなお尋ねだったと思います。  本県の財政状況は、中期投資見通しなどによりまして、投資的経費をコントロールしてまいりました。着実に県債を償還しながら発行を抑制したところでございます。財政の健全化を示す指標の一つであります将来負担比率というのは、これはよいほうから全国で四番目でございます。公債費は平成二十三年度の六百八十六億円から着実に逓減いたしまして、令和元年度においては六百億円程度となるなど、健全な財政状況を構築、保持している状況にございます。  一方、本県の財政規模は四千五百億円、さっきお話があっていましたけど、前後はしますけど、四千五百億円程度と、基本的に規模が小さく、基金残高が潤沢ということではないということ、それと自主財源比率が四割程度と低いということから、一般財源の確保にいろんな課題がございます。つまり、借入れができる健全性というのは確保しておりますが、後年度に公債費を支払っていくための負担を考えながら、県債の発行を考えることが必要だと思っております。  また、先ほどの経常収支比率につきましても、九三・五%でございまして、平成二十六年度よりは確かに増えてはおりますが、社会保障経費の増などもございまして増えておりますが、他県と比べればかなり上位にあると認識をしています。  こういう財政状況の下に大型事業を実施する場合は、将来世代に過度な負担を残してはいけないというふうに考えております。他方、将来世代もこういう公共事業は便益を受けることから、応分の負担をしていただくことも必要ではないかと。県債の償還期間を設定する際には、活用できる地方債、事業規模、短期金利の動向、例えば、国債の金利を見ますと、十年前の平成二十二年五月では二・一一六%だったのが現在は〇・四九五%、大変低い状況にございます。あるいは、県財政収支などを踏まえまして、SAGAサンライズパークの整備のような大型事業については償還期間を三十年に設定し、公債費の平準化を図ることとしております。  続きまして、三十年償還の県債による償還額と利息の負担ということでお尋ねがございました。  SAGAアリーナを含みますSAGAサンライズパークの整備事業における三十年償還の県債の発行額というのは、約三百九十億円を見込んでいるところでございます。その結果、ピーク時の毎年度の元金の償還額というのは、三十年償還の場合は約十四億五千万円、二十年償還の場合は二十三億円ということで、単年度当たりで申しますと八億五千万円の減少となる見込みでございます。  また、利息については、現在の市場における利率を参考にした場合でございますが、令和三十四年度までの総額で十八億五千万円の増加となります。また、毎年度ではピーク時で約七千五百万円の増加となる見込みでございます。このことから、単年度の負担ということで見ますと、約七億八千万円の収支改善が図られることになります。  引き続き世代間における将来負担の公平化や財政規律に配慮した適切な償還期間とした上で、歳入面は国の補助金や交付税措置がある有利な県債の活用など、あらゆる財源、財政措置のベストミックスに徹するとともに、歳出面ではスクラップ・アンド・ビルド、選択と集中を行い、県財政の安定性と健全性の確保に努めてまいる所存でございます。  以上、お答えといたします。 12 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートについての御質問にお答えをいたします。  まず、国土交通省との協議に関しまして、走りながら確認していくという見切り発車的に協議に入ることになったという認識でよいかという御質問がございました。  これは本質的な部分について議論するために協議に入ることとしたものでございます。そして、すり合わせなどは行っておりません。  三月十六日に佐賀県から確認文書の案を提示いたしましたので、鉄道局がこれでよいとなれば協議に入ることとしておりました。鉄道局から議論の本質的な部分について修正意見が示されましたので、六月五日に修正の趣旨について説明を受け、議論を行ったものでございます。  その中で、佐賀県が確認したい本質的な部分であります山陽新幹線への乗り入れの認識について、鉄道局からは協議に入ってから議論すべきという考えを繰り返し主張されまして、議論が平行線となったものでございます。  この部分は極めて重要な論点でありましたので、しっかり議論する必要があると判断しまして、私からは、これ以降協議に入ったということでいいので、しっかり議論したいと申し上げ、協議の中で引き続き議論をすることとしたものでございます。  なお、協議におきましては、議論の前提となる様々な条件や数字が確定されなければ議論ができませんので、鉄道局が確定または確約できる条件や数字を示していただくことを引き続き求めてまいりたいと思います。  次に、西九州ルートに関する県の主張について、私の理解のとおりでよいかという御質問と、フル規格を全否定しているわけではなく、現在のスキームでは佐賀県としてのメリットがないため、国から新たな提案があれば、時間をかけて議論することはやぶさかでないという理解でよいかという御質問がございました。二点まとめてお答えをさせていただきます。  まず、西九州ルートの経緯に改めて若干触れさせていただきますが、西九州ルートは、平成四年に、福岡市から武雄市までは在来線を利用し、武雄市から長崎市まで新線を建設してスーパー特急を運行することが地元の案として関係者で合意されたものでございます。その後、平成十六年十二月の政府・与党申合せにおいて、フリーゲージトレイン方式による整備を目指すとされました。そして、平成二十年に武雄温泉─諫早間がスーパー特急方式で認可、着工され、その後、フリーゲージトレインの技術開発のめどがついたということで、平成二十四年に武雄温泉─長崎間がフリーゲージトレイン方式、いわゆる標準軌のほうでございますが、それで認可されまして、標準軌で整備を進められているところでございます。  その間、新鳥栖─武雄温泉間についても、フル規格になるのではないかという意見に対しまして、当時の古川知事は、新鳥栖─武雄温泉間を新しくフル規格で整備することは考えていないと県議会等で繰り返し答弁され、着工に至っております。  また、平成二十八年には、国がフリーゲージトレインの開発の遅れから、平成三十四年度──令和四年度でございますが──に武雄温泉駅での対面乗りかえ方式により開業させてほしいと提案をされまして、フリーゲージトレイン開発までの暫定ということで、肥前山口─武雄温泉間の全線複線化を段階的に行うことなどを条件として六者合意を行ったところでございます。  このように西九州ルートは、新鳥栖─武雄温泉間は在来線を利用し、フリーゲージトレインを導入することを前提として整備が進められてきたものでございます。  次に、将来の新鳥栖─武雄温泉間の在り方について申し上げます。  佐賀県は、新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備することを求めておらず、フル規格での整備は受け入れられないという考えに変わりはございません。一方で、将来の新鳥栖─武雄温泉間の在り方について、様々な可能性を議論することは閉ざしておりませんので、国土交通省が求める「幅広い協議」に応じたところでございます。  西九州ルートは、在来線利用が前提でありまして、これまでも申し上げてきましたとおり、佐賀県はこれまでに関係者で合意しております在来線をそのまま利用するスーパー特急方式、フリーゲージトレイン方式、リレー方式については異論はありません。これまでの合意にないフル規格やミニ新幹線については、与党検討委員会での議論とは関わりなく、ゼロベースからしっかり時間をかけて議論をしてまいります。  次に、フル規格に対する佐賀県の考え方についてでございます。  フル規格は、莫大な財政負担にとどまらず、在来線の在り方、ルート、地域振興など、様々な難しい問題が複合的に横たわっておりまして、県の様々な事業や県民生活への多大な影響が避けられません。佐賀県の将来に大きく影響するものでございます。  先ほど申し上げましたとおり、佐賀県として新鳥栖─武雄温泉間について、フル規格での整備は受け入れられないという考えは変わっておりません。佐賀県はスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式については異論ありませんが、フル規格とミニ新幹線は将来の検討課題として議論することは、これは閉ざしておりませんので、新しい提案があるのであればお話は聞くというスタンスでございます。  新幹線整備は地域振興でありまして、地方が莫大な財政負担や在来線などの不利益を受け入れてでも整備をしたいと手を挙げて進められるものでございます。佐賀県は新鳥栖─武雄温泉間について手を挙げておりません。条件闘争しているものでも、スキーム変更を求めているものでもございません。  最後に、JR九州初代社長のルートに関する記述は事実かという御質問をいただきました。  先ほど経緯を申し上げさせていただきましたけれども、西九州ルートは新鳥栖─武雄温泉間は在来線をそのまま利用するということで進められてきたものであります。武雄温泉以東の取扱いは現行のJR長崎線のままであったというところは、それはまさにそのとおりであるというふうに考えております。  私からは以上でございます。 13 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、農業政策につきまして三点お答え申し上げます。  まず、米の現状と稲作経営について申し上げます。  稲作につきましては、昭和四十六年度以降、米の生産調整が本格的に実施されまして、量から質を求める時代へと変化してきた中で、本県におきましては、これまで「さがびより」などの良食味米品種を導入するなどして、均一で高品質な米が生産され、実需者から高い評価をいただいておりまして、さらに、整備された水田や共同乾燥調製施設を活用しまして生産性の高い稲作が営まれております。  こうした中、議員からは我が国の米の価格は世界で最も高いという御指摘をいただいたところでありますが、例えば、アメリカなどと比較しますと、稲作農家の平均経営規模は圧倒的に小さく、生産コストが高いことから、単位面積当たりの所得は決して高くはない状況でございます。  そしてまた、議員からはペットボトルの価格は百三円であるのに対し、米の価格は御飯一杯分で三十五円との御指摘がございました。私も決して高くはないと思っております。  そのようなことから、稲作経営は一定規模以上のまとまった面積で耕作しなければ、十分な所得を上げるのは難しいと認識をしております。加えて、今後、農業者の高齢化や減少がさらに進行することが見込まれますことから、将来における稲作経営は集落営農法人や個別大規模農家によって水田の多くを担ってもらい、効率的な生産活動を行っていただく。また、中小規模農家につきましても、集落営農法人等におきましてその構成員として一定の役割を担っていただく。こうした多様な担い手が相互に補完しながら水田が維持され、稲作経営が展開されている、そのような姿を目指していく必要があると考えております。  県では、このような姿を実現し、農家所得を確保していくため、特評価を連続して獲得している「さがびより」をはじめとした高品質な米作り、農業機械の共同利用や育苗の必要がない直まき栽培の普及拡大による低コストな米作り、さらには需要のある麦や大豆、露地野菜の作付推進などによる地域の実情に応じた水田のフル活用などを推進しているところでございます。  議員からは、今後もずっと水田のある風景は残し続けてほしいというお話がございました。稲作は私たちが生きていく上で必要な米を生産することのみならず、その生産活動を通して多様な生き物を育み、すばらしい農村の景観を形成するとともに、稲作を中心とした農村では、古来より連綿と続く伝統文化が継承されるなど、多面的な機能を発揮してまいりました。そのような稲作は、本県水田農業の基盤となる非常に重要なものでございます。将来にわたって担い手が安心して経営に取り組むことができるよう、その振興にしっかりと取り組んでまいります。  続きまして、山村や農村の活力を取り戻す対策について申し上げます。  中山間地域にあります山村や農村では、生産条件が不利な農地が多く、担い手の高齢化や減少、耕作放棄地の増加などが深刻化しておりまして、まさに待ったなしの状況にあると認識しております。  また、最近、地域によりましては住民の方々が集まる機会が減少していることで、農地の維持や担い手の確保などを話し合う場もほとんど見られなくなってきている状況でもございます。  このため県では、「佐賀県中山間地・離島・県境振興対策本部」の取組の一環として、平成三十年度から「それぞれの中山間チャレンジプロジェクト」を展開しているところでございます。  このプロジェクトでは、県や市町、JA等の関係機関が地域の生産者や住民の方々と一緒になって、まずは、地域農業の現状をどう変えていくのかなどにつきまして徹底した話合いを行い、集落や産地が進むべき方向や目標を定め、その実現に向けて、できることから実践していくこととしております。  また、中山間地域の農業が将来にわたって引き継がれていくためには、厳しい環境下にありましても、農地や農業生産がきちんと維持され、農業所得の向上が図られることが重要でございます。  このようなことから、中山間地域において生産者の皆さんが、意欲を持ちながらしっかりと農業経営に取り組まれるように、国の中山間地域等直接支払制度の活用とあわせまして、園芸ハウスの整備や野菜の省力化機械の導入、肥育素牛の生産拡大に必要な繁殖牛舎の整備、さらには水田農業における効率的な生産体制の確立に必要な機械、施設の整備などを支援いたします県独自の支援事業につきまして、中山間地域に限定して補助率のかさ上げや補助要件の緩和などを行いまして、それぞれの地域の特色を生かした取組を後押ししているところでございます。  加えて、中山間地域では担い手が不足しているために一つの集落だけでは農地や農作業を維持していくことが困難な集落も出てきておりますことから、本年度から新たに複数の集落から成ります広域営農組織の設立、運営に対して、関係機関・団体が連携して支援を行うことといたしております。  厳しい状況にあります山村や農村の活力を取り戻すための特効薬を見いだすことはなかなか難しいですが、今後とも地域の農業者をはじめ、市町、JA等の関係機関・団体と一緒になって、話合いに基づいた地域の皆さんの取組、そして、挑戦が一つでも多く実現できるように、しっかりと応援してまいりたいと考えております。  最後に、農業の担い手対策について申し上げます。  本県農業の維持発展を図っていくためには、次世代の担い手の確保、育成は喫緊の課題でありまして、幅広いルートから意欲のある人材を確保し、新規就農者として定着させ、稼げる農業者として育成することで、そうした姿を見てまた新たな担い手が増えるという好循環をつくり出していく必要がございます。  そのため県では、就農前から就農して経営発展するまでの各段階に応じた切れ目のない事業を実施いたしまして、就農希望者がプロ農家として一日でも早く経営発展できるよう支援しているところでございます。  その一環として、県では県内外から就農希望者を研修生として受け入れ、新規就農者として育成するトレーニングファームを、平成二十九年度から平成三十年度にかけまして武雄市など四市町でモデル的に整備いたしました。  このトレーニングファームではこれまで三十六名の研修生を受け入れ、そのうちの十二名は研修を修了され、既に就農、あるいは園芸ハウスの建設などの就農準備に取りかかられておられます。  ところで、今月三日にJA佐賀みどり管内にありますキュウリのトレーニングファームとトマトのトレーニングファーム合同の研修修了式が武雄市内でございましたので、私も出席してまいりました。  そこで、二年間の研修を終えられた七名の研修生の方々が、夢と希望を持ってこれから就農するという決意を力強く語られましたので、私も心強く感じた次第でございます。  研修生は、サラリーマンから転職されてきた方や、都会から佐賀へ移住されてきた方など農業への志が高い方ばかりでございます。このような研修生が安心して研修に取り組んでもらえるよう、それぞれの市町や農協、生産部会等が一体となって、専任講師による栽培技術や経営ノウハウ習得の実践指導、国の農業次世代人材投資事業を活用した生活資金の交付、さらには就農に向けた住宅や農地の確保など、きめ細かな支援が行われておりまして、県といたしましても園芸ハウスなど就農に必要な施設設備の整備に対する助成を行っております。  議員から御指摘がございました農業次世代人材投資事業につきましては、今年度から交付要件に世帯所得の上限が追加されるなどの制度改正がございまして、ある関係者からは、当てにしていた資金が交付されなければ、研修生の生活が困窮するという声もお聞きしております。  県といたしましては、国に対し、そうした現場の皆様方の声をお伝えして、交付要件の緩和や十分な予算の確保を要請していくことといたしております。  今後とも、トレーニングファームの研修生はもとより、農業を志す就農希望者お一人お一人に寄り添いまして、一人でも多くの農業の担い手の確保につながるよう、市町、農協、生産部会等と一体となって、しっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 14 ◎西久保弘克君(拍手)登壇=自由民主党の西久保弘克でございます。午後の最初の質問者になるということでしっかりやりたいと思います。  その中で一つ皆さんに情報提供ではないんですけども、実はマスクの関係で少しお願いというか、できればなと思っております。  実は私も四月の終わり、五月ぐらいから農作業で麦畑に行くわけですね。そしたら、やはり大きな道路のそばに田んぼが結構あるもんで、刈る前ですから、行ったときにマスクが結構実は落ちているんですね。ひもの切れたマスク、いろんなマスクが。そして、私もその当時まだ使い捨てマスクを使っておりました。特に私の妻のほうがたくさんその前に買っていたということもあって、妻も毎日毎日、帰ったらごみ箱に捨てていたんですよね。ちょっとこれどうかなと思いながらもそのままにしておったんですけど、使い捨てマスクを使っていたんですけども、うちの直売所のほうに毎日ごみ収集をされる方がおられまして、その方と少し話をしたところ、やっぱり怖いですよと。使い捨てマスクがごみでぽんぽんぽんぽん捨ててあるんですけど、自分たちはその中からまた少し資源を回収しないといけないんですよと。ああ、なるほどな。  妻とちょっと話をしまして、ちょっとこれ一回洗ってみようかという話をしたらですね、うちの家内が、いや、女性はファンデーションとか口紅があるから、洗ってもなかなか取れんよという話をしていましたんですけど、取りあえずやってみるわということでやりましたら、次の日、手洗いしたら、きれいになったというわけですね。これ何回まで洗われるかなということで嫁さんとしていたら、大体三回までは使えます。四回になると、けば立ってきてちょっと使えないんですよね。  そうこうしているうちに、今日もマスクをはめさせてもらっているんですけども、支援者の方が私と妻の分を二枚ずつマスクを作ってきてくれました。それを五月に入ってからは、出るたびにこれを毎日、一枚を使ったら洗って、もう一枚のほうを使ってということでずっとやっています。  こういうちょっとした取組とか考え方なんですけども、やはり使い捨てマスクを使う、それを捨てる。買えばよかろうもん。しかし、それをまた選別したり資源回収する方もいるということで、できれば、皆さんに使い捨てマスクは三回ぐらい洗って、私、実験しましたので、三回ぐらい洗ってから捨てていただければなと思って、これは私からのお願いというか、提案でございますので、よろしくお願いして質問に入らせていただきます。  それではまず最初に、農業の振興についてということで質問をさせていただきます。  まず、県では、昨年八月に「佐賀県『食』と『農』の振興計画二〇一九」を策定され、「稼げる農業経営体の創出」や「次世代の担い手の確保・育成」などを柱に掲げて、「さが園芸生産888億円推進運動」をはじめとした農業振興策に積極的に取り組まれているところであります。  このような中、我が国においても、今年に入り、新型コロナウイルス感染が拡大したことから、インバウンドの減少やイベントの中止、飲食店などの営業自粛等により、一部の農畜産物では需要が減少し、価格が大幅に下落したことから、生産農家の経営が悪化してしまうこととなりました。  この影響に対しては、国や県において補正予算を編成され、次の作付に必要な種苗費などへの助成や、肥育素牛を購入する経費への助成などの支援策を講じられているところであります。  この新型コロナウイルス感染症については、まだまだ気を抜けない状況ではありますが、最近では緊急事態宣言が全国で解除され、首都圏等の大消費地でも飲食店等の営業が再開されるなどの動きが見られるところであり、農畜産物の需要回復が期待されております。  今後は、この新型コロナウイルス感染症と共存しつつ、本県農業を一層発展させるため、新たな担い手の確保や、より高い所得が期待される園芸農業の振興にしっかりと取り組むことが重要と考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず最初に、新型コロナウイルス感染症拡大による農業への影響についてであります。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、特に肉用牛や花、タマネギなどの農畜産物の価格が大きく下落したと聞いておりますが、現在はどのような状況になっているのかお尋ねいたします。  二番目に、新規就農者と労働力の確保についてであります。  新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けている中ではありますが、将来にわたり本県農業を維持発展させていくためには、新たな農業の担い手を安定的に確保し、規模拡大や雇用型経営などに意欲的に取り組む農業者に育てていくことが極めて重要であると思っております。  こうした中、新規就農者については、先週の佐賀新聞の報道になりますが、佐賀市富士町市川にお住まいで佐賀県農業士会の会長をされていた水田強さんを特集する記事が掲載され、その中で、佐賀市のトレーニングファームで県外からの就農者を育てているが、卒業生が市川──水田さんが住んでいる富士町市川ですね、市川に来てくれることになった。移住者の力も生かしていきたいとコメントされていました。  また、今議会の勉強会において、県内四か所にトレーニングファームを整備されて、これまでに研修生三十六名を受け入れられ、十二名が既に研修を修了され、五名が就農、七名が就農準備のため、施設ハウスの整備など就農に向けた準備に取りかかられていると報告されました。  このように、トレーニングファームの取組が徐々に成果を上げていると感じているところであり、今後の展開を大いに期待しております。  また、私は、これからの農業は、経営者として多様な人材を雇用に取り入れるなどして、農業経営の規模拡大ばかりではなく、生産方式や品種の変更などにより、単収の増収などを進める必要があると考えております。  農業現場において労働力不足が課題となっている中、現在、コロナウイルスの影響で外国人労働者が出入国できない状況にありますので、労働力の確保が非常に難しくなっていると思います。  そうした中、県では、労働力不足の対応策の一つとして、無人走行で耕起や代かきができるロボットトラクターの導入に向けた現地実証実験に取り組まれているところと伺っており、この実証試験の成果も大いに期待しているところであります。  そこで、県では今後、経営を担うであろう新規就農者の確保と労働力の確保について、それぞれどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  この件につきましては、うちには三名の農業をやっている従業員さんが来てくれています。二名は違う仕事からで、五十歳になって働いてくれている人は、もともとはIT関係の仕事をされていた方、もう一人の四十歳の方は、もう五年いるんですけど、病院関係の経理事務をやっていた方、そういうふうにいろんな方が来てくれています。  ただ、採用するときに必ず言います。私は、労働者として雇っているつもりは全くありません。最初から一緒に経営をやってもらう人を雇っているんです。それでよければ勤めてくださいということで、今、三名の方が勤めていただいていますけど、今は農繁期ですので、労働基準局さんに怒られるかもしれませんけど、朝七時ぐらいに来て、トラクターが出ているんですよね。今日も代かき、朝七時半には全員、三人ともトラクターで出てくれていまして、夜も八時、九時まで働いてくれています。  私は、労働者としてという人よりも、やはり経営者として一緒にやってくれる方が増えれば、それだけ農業所得にもしっかりした形で反映していくんではないかと思って、この質問をさせていただきました。  三番目に、園芸農業の振興についてであります。  私はこれまで幾度か言及してきましたが、これからの農業においては、米、麦、大豆で経営が成り立つ農家はそう多くないと思っております。  特に大規模農家においては、経営のリスク管理として収益性の高い園芸品目を導入していくことが必要で、例えば、耕作面積の一〇%、あるいは最低五十アールを野菜に転換することで収益の安定化が図られると考えております。  今回の新型コロナウイルス感染症に関しては、タマネギや花卉について、イベントの中止や飲食店の営業自粛などの影響により需給バランスが崩れ、価格が下落し、農家の経営は大変厳しいものとなっていますが、このような厳しい状況下にあっても、そのほかの多くの品目では巣籠もり需要に支えられ、しっかりと収益を確保されており、こうした消費生活に必須となる園芸作物の生産振興には極めて重要と感じたところであります。  一時的にキャベツや白菜の値段は下がりましたけど、三月から四月にかけて大暴騰、価格が上がってきていると聞いております。  そのため、今後は、タマネギに次ぐ露地野菜の産地化や、新規就農の受皿となる園芸団地の整備などに積極的に取り組み、稼げる農業を実践する農家を一人でも多く育成していく必要があると考えております。  今後、県では、どのように園芸農業の振興に取り組んでいくのか、農林水産部長にお伺いいたします。  次の質問に入らせていただきます。  県警察における防犯情報の提供と防犯活動の推進についてであります。  先日、佐賀北高の通信制の生徒さんを対象に行われた警察官によるインターネット犯罪防止の講話を聞く機会に恵まれました。
     交通安全、薬物乱用、ネットの危険性について、約一時間の説明、それは大変分かりやすいものであり、高校生の方も、四十人おられましたけれども、一人も寝ることなく、真剣に聞いてくれていたことが強く印象に残っております。  県警察では、このような防犯講話を数多く行われています。  令和元年でいえば、年間百四十五回程度、約三万三千人を対象に行われており、中でも児童生徒向けには年間百二十回程度行われており、三万人以上が受講されております。  このほか最近は、新型コロナウイルス感染症防止対策等に便乗した犯罪を抑止するため、防犯広報活動にも力を入れていただいております。私自身も防犯ボランティア活動を自主的に行っております。  やはり商店街とか、町なかが閉まっているときに、私の友人とかも、回りたいんだけれども、四、五人でばらばら行くだけでは周りから逆に勝手に出ているんじゃないかというような話がありましたので、五月の初めだったと思います。警察のほうにお願いして、こういうベストを九枚借りました。(実物を示す)「防犯パトロール」というふうについておりますね。前は「防犯」と。  今までは何して回りよろうかと──四、五人が、たむろじゃなくて、ちょっと離れては歩くんですけれども、──してたものが、これを着て歩くことによって、ありがとう、お疲れさんという言葉が聞かれたもんねと。よかったということで、私も一枚、今も車に載せさせていただいて、たまにコンビニに行ったりするときに着てするように自主的にさせてもらっています。  また、参考として県警察が出されている県警安全サポート情報、こういったのもよく私は目にします。(資料を示す)この県警安全サポート情報では、ニセ電話詐欺、空き巣、自転車窃盗など身近な犯罪について分かりやすく書かれており、佐賀の名物ムツゴロウにちなんだキャラクター「ごろうくん」、ちょっとこれは見づらいんですが、(資料を示す)ここに「ごろうくん」というのがいるんですけど、この「ごろうくん」の川柳、ユーモラスなセンスがあって、とても面白いんですけど、いつも楽しませてもらっています。  ここで二つぐらい川柳を紹介しますけど、自転車の防犯のときには、「『施錠する』 その心がけ カギとなる」、自転車とかで、鍵をかけんばいかんよと。(資料を示す)  もう一つ、これは一番新しいんですけれども、六月十六日です。オレオレ詐欺みたいな、必ずもうかるというのは詐欺、駄目ですよというようなチラシなんですけど、(資料を示す)これの川柳は「増やします あなたじゃなくて 俺の金」。こういった感じでチラシが出ていますので、ぜひ一人でも多くの県民の皆様に見てもらいたいと思っております。  一方で、防犯ボランティアについては高齢化などにより減少傾向にあるとよく聞きますが、最近、これを補う意味からも、日常生活に防犯の視点を取り入れる「ながら防犯」、散歩しながら、歩きながら、ジョギングしながら、「ながら防犯」の活動が注目されております。  県警察では、この活動の機運を高めるためにアイテムとして、「MIMAMORI」と書かれたリストバンド、こういうバンドですね。(実物を示す)これの配布を昨年から始められております。現在、千四百個程度の配布もされており、その周知に努められているところでありますが、今後も安心で安全な佐賀県の実現に向け、より一層の取組をお願いしたいと思います。  実は今週の火曜日だったですかね、私もちょっと質問取りしておりましたので遅くなりましたけど、帰ったときにうちの妻から、実は今日、近所の子供さんが声かけ事案に遭ったので、おばあちゃんが心配されて、うちのほうに夜八時頃、相談に来られたと。  私はちょっと議会に入っていまして、質問取りしていたので、おまえ、どがんしたねと。いや、自治会長さんに相談をして、できれば回ってもらうような運動を自治会長さんを中心に言ったがいいよと言ったら、じゃ、自治会長さんに相談しようかなと言ったので、私、見守りのバンドをもしよかったら県警察さんに、一個七十八円ぐらいすると言われたので、もらうのもあれだから、十個ぐらい買わせてもらって、見守り、そういったときにつけておこうかなと。  携帯ストラップにつけられている方もいらっしゃって、ちょっと見づらいんですけれども、やっぱりしているのとしていないのでは、先ほどのこれと一緒ですね。しているのとしていないのでは、やっぱり相手の意識がかなり違うので、これの推奨もぜひお願いしたいなと思うんですけれども、予算があまりないということで、これはまた後から本庁と相談しながらしていただきたいと思いますけど、ちょっと質問に入らせてもらいます。  次の点について、県警本部長にお伺いいたします。  県警安全サポート情報についてであります。  県警安全サポート情報については、私はもっと広く接しやすい方法で周知したほうがよいと考えますが、提供状況などについてお伺いいたします。  二番目に、「ながら防犯」についてであります。  「ながら防犯」について、具体的にどのような活動をされているのか、また、期待される効果は何か、お伺いいたします。  最後に、今後の取組についてお伺いいたします。  今後、県警安全サポート情報の提供や県民による「ながら防犯」活動の推進について、どのように取り組んでいこうと考えられているのか、県警本部長にお伺いいたします。  それでは、三番目の質問に入らせていただきます。適正な予算の執行と歳入の確保についてであります。  今回、私なりに地方交付税についてちょっと勉強してまいりました。  地方交付税、これが一般的にいう普通交付税と。皆さん、こちらのほうを見てもらいましょうね。(パネルを示す)  地方交付税とは、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのものであり、ここでは地方交付税の大部分を占めている普通交付税について、このパネルを使って説明しますと、こういうふうになっていますけど、これはかなり分かりにくいですね。分かりにくいので、自分なりに作ってきました。これが多分、専門家に確認して作ったんで、まず間違いなかろうとは思うんですけれども、普通交付税、これは国と地方公共団体は同率なんですけど、お金をくんさっけんお父さんとしますね。福岡でも佐賀でもよかですね。子供が都会に行ったと。そいぎ、大体生活費はこのくらいやろうと積み上げていきます。普通交付税は、国が、大体家賃がこのくらいで、簡単に言うと、広さがこのくらいで、人口がこのくらいで、そして子供の数がこれで、高齢者がこれでと、どんどん積み上げていきます。  そして、お父さんが、おまえ、大体生活費は一か月十五万円ぐらいやろう、家賃から何から。そうねと。ばってん、お父さんも大変やけんが、おまえも少しアルバイトして頑張ってくれんかと。これが県税です。  アルバイト代十万円を子供が県税として稼いできたと。そいぎ、十五万円から十万円を全部引くとかわいそうかけん、二五%、二万五千円は貯金するなり自由に使うてよかばいと。そうね、お父さん、そいぎ、俺も頑張ってすっけんねと。  国の普通交付税が佐賀県に対して幾らかと、それがさっき言うた二千二百十六億円。そして、こうしていくと、じゃ、ほかの都道府県とか佐賀県内の二十市町はどのくらい稼ぎよっかなというのを調べてみました。パネルがばらばらですみません。(パネルを示す)それをアルバイトで稼いできた割合が財政力指数というですね。これは全国の平均で言うと〇・五二、大体さっきのパターンです。十五万円のうち十万円アルバイトで稼いできて、二万五千円は自由に使うてよかばいという、全国都道府県平均は大体〇・五二という形です。そして、我々佐賀県の中の市町も平均したら〇・五一、ちょうどさっきのパターンですね。十五万円にすっぎバイト料として十万円稼いできよっと、それが市町。  そして、佐賀県はどがんかなと思うたら、ちょっと県税収入の少なか。佐賀県は全国で四十位、〇・三五。そいぎ幾ら稼ぎよっとというと、アルバイトでいうと七万円です。今、七万円ぐらい稼ぎよっという状況がこのパネルで分かっていただけたかなと。一応専門家の方と相談してパネルはきちっと作りましたので、間違えちゃおらんと思います。  そして、こういうものを考えながら、今回は、実はパネルを出したんですけれども、佐賀県が出しよっですたいね。三つありますね。手元に財政的援助団体等監査結果報告書、お金の使い方を一年に一回監査するわけです。その中で財政的援助団体等監査報告書、包括外部監査結果報告書、定期監査結果報告書と三つあったです。これは種類があるんですね。これは議員の皆さんの手元にはあると思いますけど。これを私、議員になってから毎年楽しみに読みよっですね。意見書のついとっけん。楽しみに読みよっというと、ちょっと失礼かばってんが、頑張いよんさっなとか、こういうことのあったなて見よったです。それをそれぞれ見ると、県の様々な取組で、補助金事務が適正でなかったとか、適正な予算の執行についての意見が報告されとっですね。  その中で、令和元年で一番近かところで言うと、ちょっと厳しい言い方をしてあるばってんが、いっぱいあるんですけど、その中で大きな問題、大きな問題というか、大きなことが書かれてありました。これは見て分からんでしょうけど、空港課に関して佐賀県誘客連携促進事業費補助というのが、佐賀県に一泊すると、片道で三千円、往復だと六千円旅行会社さんにやるよという事業です。これが昨年一億八千六百万円使われています。  その中で見よったら、こういう意見なんですよね。   交付対象となる団体旅行は、佐賀県内の宿泊施設に一泊以上有償宿泊するもの又は佐賀県内の観光地点一箇所以上を目的地として設定するものとされており、観光地点は、来訪者が購買あるいは体験できる場所であることを要件として運用されている。   観光客誘致の目的は、観光消費などの経済波及効果──インバウンドですね──を高めることにあると考えるが、具体的な行程をみると──これは監査してあっとですけれども──九割以上は県内での宿泊はなく、県内観光地への立ち寄りも、佐賀空港へ到着後、長崎県や熊本県などの県外観光地に行く途中で、あるいは県外観光地を回ったあと、佐賀空港に行く途中で、立ち寄るのみのものが相当数あり、補助目的を踏まえ適切なのか疑問に思われる。   補助目的を踏まえた目的地・行程の要件を検討されたい。  簡単に言うと、一億八千六百万円使いよっばってんが、出したばってん、実際には来た人の九割以上が泊まりもしとらん、観光地も寄っとらん、お金も落としとらんというような指摘だったんですよね。  ただ、この一億八千六百万円を出したとは、予算執行については、私はお金を使うだけの問題ではなく、お金を出したほうにも責任があると。今回は一例として、本当に申し訳ないんですけれども、空港に関してお尋ねをいたします。  今、新型コロナウイルス感染症の影響で、県内経済は非常に厳しい状況、本当に財務、税務に関わる職員さんも自主財源の確保に向け──先ほどの財源ですね──財源に向け、大変苦労されていると思います。二〇〇九年のリーマンショックのときは百五十三億円、マイナス一六・五%の税収減であり、今回のコロナ禍においては、二、三年は税収減が予想されます。今後、県の財政も、財源もますます厳しくなる中、費用対効果の面で見直すべきものもあると考えております。  これは平成二十九年度の指摘事項──指摘事項ばかり言うともようなかとですけど、補助金交付申請や実績報告書等の審査及び補助事業に係る団体の指導が十分でないことによるものが多く見受けられた。これは平成二十九年度に出されとっとですたいね。補助金交付申請などの審査や現場確認などの重要性を認識し、再発防止の徹底を図られたい。  また、本当に皆さん御存じと思いますが、監査報告書の中には、補助金は行政上の目的を持って交付されるもので、貴重な税金で賄われておりますというふうに書かれています。税外収入未済額の縮小も書かれています。いろいろ難しいことを書いてあるばってんが、ここにもういっちょあります。これは平成二十八年の定期監査、これは県税の未収入に対して、どがんですよという話です。これには実際に県税の職員さんに聞かれてあっですね。  そこで、債権の回収等に係る対応マニュアルを作成してもらいたいといった要望や、臨戸訪問を行って催促をしている──臨戸訪問、家までもらいに行っている──ところもあれば、文書だけによる催告にとどまっているところもある。取組に温度差が見られるところであると。全庁で使える税外収入に係る債権回収・整理マニュアルを策定し、その縮減に取り組まれている例もあると。  これは取りに行きよんさっ人は、ちょうど今、六月ですから、今年は自動車税は六月一日までやったですね、月曜日、五月三十一日が日曜日やったけん。自動車税三万四千五百円滞納した方に取りに行きよんさっ。相談に行って、千円ずつ払うという人もおんさっ、実際聞いています。どれだけ苦労しよんさろうかと思う中で、先ほどの一億八千六百万円と千円は違うかもしれんばってんが、もうちょっと使い方は見直してもらわんばいかぬなというところで、ちょっと空港課さんにお尋ねします。  それともう一つ、質問はここでしますけれども、一個は九州国際空港駐車場の有料化という話ですね。  これを私は平成三十年十一月議会で、自主財源の確保と受益者負担の観点から駐車場ば有料化せんばいかんやなかですか。有料化することも一つの方法じゃないですかと質問をいたしました。知事からは「空港利用者のサービス向上の観点から駐車場一部エリアの有料化を十分視野に入れて検討を進めております。」と答弁がありました。それから一年半が経過した現在、放置車両を撤去する条例が出されました。少なくとも私が現場を見たときも同じ状況だったです。  千六百台の駐車場のうち、今二十台、放置自動車があっているというふうに聞いております。これは半年以上置かれている車です。例えば、自分の駐車場が八十台あって、そこに一台の車がずっと半年も置かれておったら、ほったらかして見過ごすですかね。  私は前も言いました。この演台も、皆さんが座っている椅子も全部県民のものです。駐車場千六百台は、強い言い方をすると空港課のものではありません。県民の財産です。それに不法駐車があっとるばってん、一年半たって、今やっとこの条例が出て、質問して二年たって今この話です。遅いんじゃないかなと思っておりますし、また六月十日の佐賀新聞の記事によると、二〇二一年度に第一駐車場の一部、約二百台を有料エリアにするとのことでありました。私はわずか二百台では駐車場の整備費やランニングコストなど、費用を賄えるとはとても思えません。  お話をしていたら、一泊大体五百円ぐらいかなというような話もちょっと聞きましたんで、じゃ、五百円の駐車場を、すぐそば、四百メートル先に行ったら無料がありますよね、千四百台。二百台は有料、一泊五百円。もしうちの従業員が東京へ出張するけんが五百円の駐車場に止めたですもんね。千円下さいと言ったときには、私はふざくんなと言います。無料に止めろと、すぐそばにあるやっか。歩いて持ってこんか。同じようなことが起きるかもしれません。千四百台無料があって、誰が二百台のところに止めるのかなと。しかもそれには入り口のゲートもつけないかん。出口の精算機も置かないかん。精算機の釣銭もせないかん。ジャーナルと呼ばれるレシートも発行せないかん。補填、補完もせんばいかぬ。そういう人件費とか機械代のリースの元を取れるの。さっき言ったような話ですよね。  そういった、ちょっと感覚的にどがんかなと。全ての駐車場は千六百台で二百台は有料、千四百台が無料。ですから、私はちょっと提案をさせていただきたいんですけれども、入庫から六時間は無料。一日当たり一泊二百円。しかし、全ての駐車場ば有料化する。千六百台。そして、自主財源を少しでも確保していく。これについて南里地域交流部長にその点についてどう思われているのか教えていただきたい。よろしくお願いいたします。  次に、財政的援助団体等監査結果についてであります。今さっきの話ですね。  県は佐賀空港利用の団体利用客一名に当たり、片道利用で三千円、往復利用で六千円を旅行会社に補助しており、開港当初は県内宿泊が条件だったものを今は県内宿泊ではなく、観光地への立ち寄りがあるものも対象に追加されています。平成三十年度は一億八千六百万円余りの県費が支出されておりますが、監査報告書によれば、先ほどの話です。県内宿泊は一割にも満たず、「県内観光地への立ち寄りも、佐賀空港へ到着後、長崎県や熊本県などの県外観光地に行く途中で、あるいは県外観光地を回ったあと、佐賀空港に行く途中で、立ち寄るのみのもの」。これがインバウンドと言えますかね。  これは、私も感じていることですが、監査委員が言っていますからね。監査委員からは「補助目的を踏まえた目的地・行程の要件を検討されたい。」と意見が出ておりますが、監査報告をどう捉えておりますか。また、搭乗者の増加がもたらす効果は何なのか。搭乗者を増やさんば、増やさんばと言っている、搭乗者を増やす効果は何なのか。その数を増やす意味が、数字だけを追っていって、「何のために」が失われていると考えますが、今後どのように対応していくのか南里地域交流部長にお尋ねをいたします。  最後の質問でございます。学校におけるICT環境の整備についてであります。  今年二月、定例県議会において私は国のGIGAスクール構想の実現を受け、県内の小中学校においてもICT環境の整備が進められるよう、県教育委員会としては市町への支援をどう取り組んでいくのかお尋ねしました。これは小学校の四年生、五年生と中学校三年生の三学年だけにパソコンば与えんばいかんよと国が言いよったやつですね。そのときに落合教育長からは、市町の教育長や教育委員会の担当者を対象にした説明会を開催したことと、端末の共同調達や教員の研修などにより県と市町の教育委員会が連携しながら、県全体としてICT利活用の教育が進むよう今後もしっかり取り組んでいくという答弁をいただきました。これは二月です。  その一方で、その後、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により全国的に学校の臨時休校が長期化する中で、国においてはオンライン授業の取組などを後押しするためにGIGAスクール構想の実現についても前倒しして取り組むこととされました。これはここにありますけれども、令和二年、令和三年、続いてどんどんお金ば出すけん進めてくださいと。(資料を示す)しかも、小学校の一年生からよかですよと。九学年ですね。小学校一年から中学三年までやってくださいよと。  こうした中、全国を見渡せば、佐賀県と同規模の鳥取県においては五月二十六日から県内市町村との学習用端末の共同調達に向けた情報提供依頼を公表されたほか──これは見ましたけれども、市町の学校の生徒さんのパソコンば入れたかばってんが、一台四万五千円。それでできる範囲内、どのぐらいのを提案してくださいよと。プロポーザルみたいな式ですけれども、ちょっと教えてくださいよと。また、公表されたところは、埼玉県、群馬県、神奈川県、富山県、兵庫県、奈良県、山口県などは全部県単位の共同調達に既に取り組まれております。  しかしながら、この取組の中で、時間のなかですけど、ちょっとパソコンの話ばすると、マイクロソフトのウインドウズPCというのがあります。これは例えば、車で例えると二千ccの普通車かなと。これはいろんなものがついておるですたいね。そして今、ほとんどのところは、神奈川県が導入したり、奈良県が導入したり、近くの久留米市も導入しようとしているのは、今、グーグルのChromebookというやつです。これはある意味、ちょっと足りないかもしれない、軽自動車みたいな感じです。プリウスみたいな感じで、買うときも安かばってん、整備も安か、維持管理も安か、でも、スピードは一緒に走るもんね。いろんな機能はついていないんだけれども、そういったものが今ほとんど導入されてきております。  そういった中で、今これに対する佐賀県の取組は、新型コロナウイルス感染症などで手が回らなかったのかもしれませんが、なかなか進んでいるようには見えず、初日の武藤議員さんの質問に対して教育長の答弁では十市町ぐらいがしようとしているかな、そのぐらいの話でしたね。県内市町による環境整備の取組にはばらつきがあるのが現状であります。やるところとやらんところがあるということですね。市町においても財政状況が厳しい中で、すぐに取組を進めることにちゅうちょされているというのもよく分かりますが、私としては子供たちの学びの保障を図っていくことは非常に重要なことであると考えております。  私が考える学びの保障とは、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大、そういった社会情勢に左右されるものだけではありません。不登校の子であったり、病気で長期療養していたり、何らかの事情で兄弟の面倒ばちょっと見らんばいかんけん。親が仕事へ行かんばばってん、下の子が病気やけんちょっと今日は休まんばいかぬ。そういった意味で登校できなかったりと、そういった子供たちに対する意味も込めたものであります。  そして、学校におけるICT環境の整備はこうした学びの保障を支えるものであって、住んでいる地域、例えば、有田町はパソコンば入れた。例えば、大町町はパソコンば入れとらんとなれば、住んでいる環境、そういった地域の格差が生じるというのは避けるべきであり、特に市町が担っている義務教育の段階においては着実に整備を進めて教育の機会の均等を図っていくべきであると考えておるところです。  さらには、教育分野でのICT環境の整備が進めば、クラウドを介することで市町を越えたノウハウの共有を図ることも可能となる。  例えば、パソコンで、スーパーティチャーという先生方、いい先生ばっかりなんですけれども、点数がよく取れるような授業をする先生がいらっしゃいます。そういった先生の授業をクラウド上に上げて、それをほかの先生が見て勉強する機会もあるわけですね。そして、私がちょっとばたばたしとっけんなと思って、たまたま藤崎議員さんが同じ学年の算数のテストば作ってあったと。そいぎ、ちょっとそいば借りて、それでやるということもできるわけですね。そしたら、それぞれがしよった事務処理が、そのクラウド上の中からいいものを引っ張ってきてやるということになって、そこに教育の質がどんどん蓄積されれば、それが一つの財産になっていくんじゃないかな。それが二十市町一緒になってやることによって、いい先生の授業を受けることもできる。例えば、いいテストのプリントをもらうこともできる。みんながどんどん競争のようにして、そして先生もそれを作る時間がちょっと減ってくる。そういった意味合いで、このクラウドを介することで市町を越えたノウハウなどの共有を図ることも可能となるなど、教職員の負担軽減にもつなげることができるのではないかと私は考えています。  特に今回は、児童生徒一人一台端末の整備を国が強く推進する中で、端末整備に対する補助金も交付されるなど、またとないチャンスと考えております。  さっき言ったこの一般財源、これは積み上げる中に、現実に一人一台パソコンの費用が幾らかもう入っているんですね。ある意味で言うと、市や町の方はもらっているけれども、せんぎんたせんで、もう一般財源は勝手に使うてよかとですよ。そいぎもう今せんぎ、もうお金使ってしもうとっもんじゃ、入れようと思うても入れられん。だから、今、またとないチャンスじゃないかと。もう入っとっとですね、これは総務省がお金を配っています、この分については。実際幾ら入っているかというのは、まだ細かく調べにゃいかんので、本当に一般質問の場で数字を言うことはできませんが、もう現実に入っているということです、市町に。  そこで、次のことについてお伺いいたします。  まず一、学校におけるICT環境の整備についての取組であります。  学校におけるICT環境整備については、県内での教育の機会の均等が図られるよう、今回のGIGAスクール構想による端末の整備も含めて、県が市町を強く引っ張りながら進めていくべきであると考えるがどうか、教育長にお尋ねします。  次に、「プロジェクトE」のリーダーとしての考えについてです。  「プロジェクトE」、これはコロナ対策のときに、三月にインターネットを使った授業をしようとしたばってん、なかなか教育委員会だけではうまくいかんやった。これを「プロジェクトE」ということで政策部長が室をつくってトップになって進めて、五月の中旬にきちったした授業の一つのプログラムができた。そういった意味合いで政策部長にお尋ねします。  私は「プロジェクトE」は非常にすばらしい取組だったと評価していますが、これは知事部局と教育委員会が一体となって取り組んだからこそあれだけスピード感を持って達成することができたと考えております。  市町小中学校におけるICT環境の整備についても、両者が一体となって取り組むべきだと思いますが、「プロジェクトE」を率いた部長はどのように進めるべきと考えているのか、政策部長にお尋ねいたします。  それでは最後に、教育機会の均等に対する知事の思いについてであります。  教育委員会でも努力していると思いますが、本当に努力されているというのは理解しておりますよ。思いますが、現実には整備が進んでいない県内市町の教育の機会の均等が図られないことについて、知事はどのように考えておられるのかお尋ねをしたいと思います。  以上で私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) 15 ◎山口知事 登壇=西久保弘克議員の御質問にお答えいたします。  私には、ICT環境整備についてのうち、教育機会の均等ということに関する私の思いということでありましたけれども、まず答弁は非常に難しいなと思いました。教育委員会の領域で、しかも市町で、しかもその均等をどう考えるかということでございます。何とか頑張って答弁してみたいと思いますが、まずこの問題、市町がICT環境のハード整備を行うことについては、教育委員会でも議論されております。そして、市町のほうでは、特にランニング費用の面で悩んでいる状況だということです。  県もですけれども、市町も非常に財政力、先ほどお話があったように厳しい状況です。特に財政力指数が本県も低い。また自分の経歴ですけれども、秋田と鳥取と長崎にいました。恐らく今でも、佐賀より低いと私は思います、その三県は。なので、佐賀が今のところ一番高くて、何か不思議な形で、ある程度何かありがたいというか、もっと厳しいところにいたものですから、それでも佐賀県は全国の中では厳しい状況、市町も一緒です。  その中で、やはりこの財政を組むときに、費用対効果というのを先ほど西久保議員も力説されていましたけれども、とても考えるわけです。まず考えるのは、その額の大きさですね。大きいか小さいか、大きな予算であれば、それだけ影響を与えるわけですということと、それから、ある部分、一発物というのは何とかなるもんです。ところが、毎年毎年維持管理とか、ランニングというところに確実にずしっと来るものというのは、非常に臆病になるというところはよく分かります。あと負担金の部類もそうです。  私は、昨日、下田議員にもお話ししたと思いますけれども、このICTを教育に使うということに関しては、あくまでもその教育内容というものの充実が図られることが大事で、そのためのICTというのは、大切なツールだと思います。生かされるべき、注目すべきものだと思うので、特に佐賀県は、もう既に高校には一人一台入っているから、これをしっかり生かしていこうという決意を昨日申し上げたところであります。  ですので、どのような教育を行うのか、教育環境を充実させていくのか、ICTを含めどのように活用していくのかについては、それぞれの地域で自発的によく検討して、それぞれの市町がそうしたことを切磋琢磨していくということが大事だと思っています。  現在、我々はこの新型コロナウイルスを契機として「プロジェクトE」を展開しています。特に先ほど議員がおっしゃったように、またどうなるか分からない状況だし、それこそ今いろんな環境の中で苦しんでいる子供たちがいるから、そういうところにも生かせるのではないかと、全くごもっともな御指摘で、そういったところに可能性を広めるICT活用だと思いますので、そのソフトはどういうものなのかということの検討を進められることが大事だと思いますし、県としてもそういうソフトの面でリードしていきたいと思っています。  「プロジェクトE」の成果、ノウハウについては、教育委員会の中で市町とも共有されまして、そして、市町におけるICT活用教育の推進がなされて、そして、ICTを活用した県全体の教育水準の向上を図られるように私も努力してまいりたいと考えています。  以上です。 16 ◎進政策部長 登壇=私からは、学校におけるICT環境整備についてのうち、「プロジェクトE」を踏まえての考えについてお答えいたします。  「プロジェクトE」につきましては、新型コロナウイルスへの対応として、学校を休校にせざるを得ないという事態に直面しまして、オンライン授業の実施に向けて、スピード感を持って取り組まなくてはいけないということで、知事部局と教育委員会の職員で一体で取り組んできたものでございます。  これまでの取組によりまして、オンライン授業に取り組む体制が整ってきたのではないかというふうに考えております。  もちろん、ここまでスピード感を持ってやってこれたのは、教育委員会の努力が大きいということはもちろんでございますけれども、情報通信環境の整備や全体のコーディネートという観点から、知事部局と一体となって取り組んだことは有効であったというふうに考えております。  市町で今後取組を進める際にも、一つのやり方として参考になるのではないかというふうに思っております。  県の取組の中で、様々な課題も見えてきたところでございます。ICT環境の整備というハード面の課題、これはもちろんございます。しかし、このソフト面での課題が大きいということも感じられました。教える側のICTスキルや教え方、そして生徒にどのような教材を用意すれば理解が深まるのかといった、知事も言っておりましたけれども、ICTというツールをどう活用するのか、どう教育上の効果を発揮するのかということでございます。  市町教育委員会の先生方も、ソフト面での課題を感じており、「プロジェクトE」での実証授業に実際に参加したり、また、県教育委員会に問合せをしているというふうに承知しております。  市町におきましては、ソフト、ハード両面から教育におけるICTの利活用にさらに取り組んでいくと思われます。  今後、教育委員会におかれては、市町の教育委員会とさらに連携を深めて取組を進めていくというふうに聞いておりますけれども、必要に応じて知事部局といたしましても、「プロジェクトE」での成果を提供するなど、市町の首長部局とも連携してまいりたいと思っております。  以上でございます。 17 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、適正な予算執行と歳入の確保についての御質問にお答えをいたします。  まず、九州佐賀国際空港の駐車場についてお答えをいたします。  駐車場有料エリアの検討状況についてであります。  九州佐賀国際空港は、地元利用者の約七割が車の利用となっておりまして、九州の主要空港の中で唯一の無料駐車場が地元利用を促進する上での大きなセールスポイントとなっております。  実際に地元の利用者からは、初めて利用したけれども、無料駐車場が大変便利だったので、今後も利用したい。駐車場が無料なので、出張の際はほとんど佐賀空港を利用している。駐車場が無料でなければ福岡空港を利用した。連泊することが多いので、無料駐車場は大変ありがたい。駐車場が無料なので、今後も佐賀空港を積極的に利用したいなどといった評価をいただいているところでございます。  こうしたことから、昨年一月に実施した利用者アンケートでも、約八三%の方が、駐車場は無料のまま継続してほしいとされておられる一方で、残りの一七%の方から、旅客ビル前の第一駐車場はなかなか空いていない。時間を優先したいので、お金を払ってでも近くに止めたいなどの声もいただいたところでございます。  このような状況を踏まえまして、駐車場の混雑解消と利用者サービスの向上を図るために、無料駐車場を現在の約千六百台から二千台に拡張するとともに、ターミナルビル前の第一駐車場に約二百台程度の有料エリアを新設することとしております。  現在、ウイズコロナを前提とした状況変化なども注視しつつ、令和三年度中の供用開始を目指しまして、有料エリアの区画スペースの大きさや駐車場出入口の位置など、具体的な検討を進めておるところでございます。
     次に、財政的援助団体等監査結果についてお答えをいたします。  議員から、搭乗者数の増加がもたらす効果、それと受け止めというお話がございましたので、ちょっと若干順番がぶれるかもしれませんが、その順番でお答えさせていただきます。  まず、九州佐賀国際空港でございますけれども、九州での最後発の空港ということで平成十年に開港をいたしました。北部九州の中心に位置しておりますので、大変大きな発展の可能性を持っている空港でございます。一方で、福岡と長崎と熊本のこの三つの空港に囲まれた真ん中にございますので、常にこれらの空港との競争、競合が避けられない、これは宿命でございます。  このような位置関係、そして後発として開港したということがありまして、大きな基本的な流れとしましては、福岡空港や長崎空港に流れています需要をまず佐賀空港に取り戻すということがございます。そしてあわせて、福岡や長崎の需要を佐賀空港に取り込むということで、佐賀空港からの大きな流れですとか新しい需要を創出していくことが大変重要になります。  路線・便数の確保と利用促進といいますのは、これは鶏が先か卵が先かの関係でございまして、まさに表裏一体のものであります。利用者を増やすことで路線・便数を拡大し、これにより県民の利便性が向上して、さらなる利用者の増加が新たな交流を生み出すというこの好循環をつなげていくことが肝要でございます。  このため、佐賀発の利用を増やすためにリムジンタクシーなどのアクセス対策の充実ですとか、事業所等への積極的な訪問営業を行いますとともに、首都圏発の利用を増やすために御指摘がございました佐賀県誘客連携促進事業費補助などにも取り組んできたところでございます。  それで、この佐賀県誘客連携促進事業費補助事業でございますが、これは佐賀空港の利用を促進して、便数の充実につなげていくことを大きな目的といたしておりまして、あわせて県内への観光客の誘致促進を図るために平成二十年度から取り組んでいるものでございます。  首都圏から長崎空港とか熊本空港とか福岡空港などを経由しまして、長崎県や熊本県、福岡県などに向かっている需要を佐賀空港に取り込むことを狙って行っているものでございます。  平成二十年以降、東京便は毎年利用者が増加しておりまして、平成二十六年には五便化が実現をいたしました。新型コロナウイルス感染症の影響で全国的な大幅減便が行われている直前の運航ダイヤで申し上げますと、おおむね三時間の間隔で便があるダイヤを実現したということでございます。  平成十九年度に二十二万人程度でありました東京便の利用者は、平成三十年度は四十八万人を超えておりまして、双方向の人の流れが大きくなっているという状況でございます。  次に、利用者の増加がもたらす効果ということで申し上げさせていただきます。  先ほど申し上げましたとおり、路線・便数の確保と利用促進は表裏一体のものでございまして、利用者を増やすことで路線・便数を拡大し、これにより利用者の利便性が向上して、さらなる利用者が増加するというこの好循環を生み出すというものでございます。  それで、地元の利用者の方からは、佐賀空港があることで、佐賀だけだったビジネスのターゲットが首都圏にも広がって、今では首都圏がビジネスの中心になっているといった方ですとか、取引先のお客様を福岡空港まで迎えに行く必要がなくなったので、自分たちだけでなく取引先の方も便利になったと。それから、五便化して等間隔のダイヤができたことで安心してビジネスで利用できるようになりましたと、こういった評価もいただいております。  また、平成三十年度の九州佐賀国際空港の利用者数は八十一万九千人でございまして、経済波及効果が年間百六億円となっております。県民の皆様の利便性の向上ですとか地域経済に大きく寄与しているというふうに考えているところでございます。  最後に、監査結果の受け止めと対応ということで申し上げさせていただきます。  今回、令和元年度の財政的援助団体等の監査の対象となりました佐賀県誘客連携促進事業費補助につきましては、佐賀空港の利用を促進し、増便につなげていくという本質的な目的は、ここは十分な成果につながっているのではないかと思っておりますものの、もう一つの目的であります観光客の誘致促進に関して、九割以上は県内での宿泊がないと監査委員のほうから御指摘を受けておりまして、これは私ども真摯に受け止めまして、さらなる効果につなげていくようにこれはしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  私からは以上でございます。 18 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、農業の振興について三点お答えをいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症拡大による農業への影響についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、インバウンドの減少や冠婚葬祭の縮小、延期、飲食店の営業自粛などの影響を受けまして、特に三月から五月にかけて「佐賀牛」をはじめ、花、タマネギなどの農畜産物で需要が減少し、価格が大幅に下落したところでございます。  これら品目の価格の推移を見てみますと、和牛の枝肉価格につきまして、JAグループ佐賀の取扱実績で見てみますと、今年に入ってから徐々に下がり始め、四月は一キログラム当たり千八百四十八円で前年同月比七六%、五月は一キログラム当たり千八百七十一円で前年同月比七九%となりまして、底を打った感がありますものの、先行きは不透明な状況にございます。  次に、花の主要な品目でございますバラの価格につきまして、佐賀花市場の取扱実績で見てみますと、四月は一本当たり五十六円で前年同月比七四%でありましたが、五月は一本当たり六十八円で前年同月比八七%と、やや回復いたしましたものの、冠婚葬祭などのイベント需要に連動しますことから、予断を許さない状況にございます。  また、タマネギの価格についてでございますが、JAグループ佐賀の取扱実績で見ますと、五月中旬は一キログラム当たり三十円で前年同期比四〇%まで下落いたしましたが、五月にJAが緊急需給調整対策として出荷の先送りに取り組まれたことなどが功を奏しまして、直近の六月上旬には一キログラム当たり八十五円で前年同期比一一六%となりまして、現時点では持ち直している状況にございます。  このように農畜産物の価格につきましては、ある程度回復しているものがある一方で、まだ低迷している品目もありまして、依然として先行きが見通せないことから、今後ともその動向をしっかりと注視してまいりたいと考えております。  現在、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、大きなダメージを受けておられる事業者や生産者を支援するため、県では「佐賀支え愛応援キャンペーン」を展開しております。そうした中で、県議会の皆様に「佐賀牛」、嬉野茶、玄海地区の水産加工品の販売を御案内させていただきましたところ、昨日までにたくさんの購入申込みをいただきました。大変ありがとうございました。今後とも、どうかこのキャンペーンへの御協力をよろしくお願い申し上げます。  続きまして、新規就農者と労働力の確保について申し上げます。  まず、新規就農者の確保についてでございますが、県では地域段階で新規就農者を効果的に確保、育成するシステムを構築するため、先ほど稲富県議からの御質問にお答えしましたとおり、平成二十九年度から三十年度にかけまして、県内四か所にトレーニングファームをモデル的に整備いたしました。  トレーニングファームはそれぞれの地域の市町、農協、生産部会、県が一体となって研修生に対し栽培技術や経営ノウハウが習得できる実践研修を実施するとともに、研修修了後に必要な住宅や農地の確保、園芸ハウスの整備、生活資金等の手当ての相談対応などきめ細かな支援を行っているところでございます。  トレーニングファームでの取組は、県内外から受け入れた就農希望者が二年間の研修を経て、着実に就農につながっておりまして、新規就農者を確保、育成する有効な手段でありますことから、今後はこのシステムの他地域への横展開を図っていくことが重要と考えております。  このようなことから、県では地域が一体となって新規就農者を確保、育成する取組を支援するために、地域内外からの就農希望者の募集、就農希望者の研修受入れから就農した後までをフォローアップするトレーナーの設置、あらゆる就農相談に対応できる地域農業に精通したコーディネーターの設置などの取組に対し助成を行っております。  今後とも、就農前から就農して経営確立までの切れ目ない支援を行いまして、意欲ある新規就農者を一人でも多く確保できるようしっかりと取り組んでまいります。  次に、農業労働力の確保について申し上げます。  県が平成三十年度に一定規模以上の農家、三百四十五戸を対象に労働力に関する調査を行いましたところ、約五割の農家が、現在労働力の確保に困っていると回答されるなど、県内の農業現場でも労働力の確保が大きな課題となっております。  労働力不足の主な要因といたしましては、少子・高齢化による生産年齢人口の減少はもとより、労働力の必要な時期が収穫などの農繁期に集中するので、年間を通じた安定的な雇用が難しいことなどが挙げられます。  こうした中、農業分野において労働力を確保していくためには、定年退職後も就労に意欲的なシニア世代の方々、子育てが一段落し、社会復帰のために職を求めておられる方々、農福連携により農業分野での就労を希望される障害者の方々など、多様なルートから農業現場とのマッチングを行っていくことが重要と考えております。  このため、昨年、JAと県から成ります農業労働力支援連絡会議を立ち上げまして、本県の実情に合った労働力確保のための仕組みづくりについて検討を行ってきたところでございまして、来月一日にはJAさがにおいて、県全域の農家からの相談にワンストップで対応する「労働力支援窓口」が設置されることとなっております。  今後は、この「労働力支援窓口」の活用のほか、品目ごとに異なる労働力ピークを調整する仕組みづくりや、議員から期待の御意見をいただきましたロボットトラクターなどI、IoT等を活用した農作業省力化技術の普及などをJAや関係機関と連携しながら推進いたしまして、農業分野における労働力不足が少しでも解消され、意欲ある農業経営者の規模拡大などにつながるようにしっかりと取り組んでまいります。  続きまして、園芸農業の振興について申し上げます。  先ほど答弁いたしましたとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、タマネギや花卉は価格が暴落するなど、大きな影響を受けました。本県の農業者が農業所得を確保していくためには、引き続き「さが園芸生産888億円推進運動」の取組をしっかりと前に進めていかなければならないと考えております。  こうした中、議員御指摘のタマネギに次ぐ新たな露地野菜の産地化や、新規就農者等の受皿となる園芸団地の整備などの取組は、本県の園芸農業を振興していく上で大変重要と認識をしております。  まず、新たな露地野菜の産地化に関しましては、県ではカット野菜や漬物などを製造する県内の加工事業者に対しまして、県内からの調達を希望される野菜の品目ごとの需要量調査を実施するなど、タマネギに次いで作付を推進していく品目の検討を行っているところでございます。  また、各地域での露地野菜導入の取組を加速させるため、昨年度から新たな品目の作付にチャレンジする産地に対しまして、苗代や機械のリース料などへの支援や、本格的な露地野菜の作付を行う場合、拡大面積に応じて助成金を交付するメニューを措置したところでございます。  さらに、本年度から、各農業改良普及センターにおいて水田農業を振興する係に、新たに野菜の担当職員を配置するなど組織体制を見直しまして、水田への露地野菜の導入拡大に向けた指導の強化を図ったところでございます。  次に、園芸団地の整備に関しましては、本年度から新たに園芸団地に必要な施設、機械等の導入や基盤整備を支援するメニューを創設いたしました。トレーニングファームの研修修了生などの就農希望者が、初期投資を抑えることで、より就農しやすくなるよう、この支援メニューを活用したアスパラガスなどの施設野菜や水田でのミカンの根域制限栽培のリース方式による大規模園芸団地の整備を推進しているところでございます。  さらに、こうした取組に加えまして、「いちごさん」や、佐賀果試三十五号など収益性が高い品種の導入、普及、AIやIoTを活用した農作業の大幅な省力化や出荷調整作業など基幹作業の分業化等によります超大規模経営農家の育成なども推進していくことといたしております。  こうした取組によりまして、稼げる園芸農業を実践する農家が育成され、次世代の後継者の確保につながるといった好循環を生み出すことで、本県園芸農業が将来にわたって発展していけるよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 19 ◎落合教育長 登壇=私のほうからは、学校におけるICT環境整備についてお答えをいたします。  今回は特に市町の小中学校におけるICT環境の整備の取組について、地域間格差はなくすようにしないといけないという観点で御質問だったかと思います。その点に関しては私も全く同感です。  これまで県では、市町とともに佐賀県ICT利活用教育推進協議会を組織いたしまして様々な情報共有を行ったり、また、小中学校の先生方を対象とした研修を行ったりしながら、県内における市町を含む教育のICT利活用の推進に取り組んできたと思っております。  そういった成果により、県立学校が全国でも一人一台パソコンについて断トツ一番というのはもちろんですけども、小中学校においても全国でも現在トップレベルの整備率であります。  ただ、今回国がGIGAスクール構想ということで全国的に一気に整備が進むと思いますので、そういった中で本県もしっかり取り組んでいかなければならないと思いますし、また、先ほど御指摘がありましたように、令和元年度の包括外部監査の中でも、県内小中学校におけるICT環境の整備率に地域間格差があるという御指摘をいただいております。  そういった中で、今回国がGIGAスクール構想の実現ということで前倒しして一人一台パソコンを実現しようという取組、支援というのは、市町にとっては大きなチャンスじゃないかなと思います。財政的な負担を軽減しながら整備に取り組むという意味で非常にチャンスじゃないかと思っております。  先日、六月議会が始まる直前でしたけども、県と市町の教育長と意見交換をいたしました。その中でこのGIGAスクール構想の活用ということもテーマとして取り上げまして、そこでは率直な意見交換をさせていただきました。  各市町の状況として、半数の十市町がそれを活用しようとされているという答弁は既にしましたけれども、その活用を見送る市町がどういう御事情なのかなという理由を改めて伺いますと、端末の最初の整備については今回国の支援があるわけですけど、その後、何年か後に更新をしていかなきゃいけないわけですけど、それに対する約束は今回ないということで、その後の財政負担に対しては非常に心配しておられました。また、タブレットを学校で利用するためには校内無線LANが必須になるわけですけども、その整備がまだ終わっていないという市町だったり、学校も多くあるようです。また、今後学校の統廃合を予定されていて、それがゆえに投資ができない、施設整備ができないというような事情があったりと。それぞれ聞けば、なるほどと、なかなかすぐにはこういった国の補助メニューを活用できない御事情というのは私としてもそれなりに分かったという状況ではございます。  そうは言いながら、今回のこの国の支援、GIGAスクール構想というのは財政的なチャンスでもありますので、活用しようという働きかけはぜひ引き続き続けていきたいと考えております。  そういった中で、各市町において学習用端末をどういうふうに選定していくのか、その参考にしていくために、主要OS三社、マイクロソフト、グーグル、アップル、先ほど議員から御紹介があったChromebookというのはグーグルのOSですけども、そういった説明会を三月にやろうと計画をしておりましたが、新型コロナウイルスの感染防止のために延期しておりましたけども、東京の状況を見ながらにはなりますけども、改めてそういったことを準備をしてやっていきたいと考えております。  また、他県の事例として先ほど紹介されました市町がそういう機材を調達する際の共同調達、あるいはこれはなかなか難しいわけですけども、仕様書の作成、そういったものに対する支援も佐賀県教育委員会としてもしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、先ほど財政的な面でちゅうちょされているということを申し上げましたけど、もう一つは今回新型コロナウイルスに伴ってオンライン授業というのが一気にクローズアップされ、その使い方、その必要性というのは非常に分かりやすい、これがないと、登校しない児童生徒に授業を提供することが難しいということで、非常に分かりやすかったわけですけども、ふだん使いの部分で、どういうふうにそういうICTを活用して教育を進めていくのかというところで、必ずしも腹落ちされていないところがあるのかなという感触もありました。  先ほど知事の答弁にも、また、政策部長の答弁にも、ソフトが大事だということがありまして、まさしく我々、これまで一人一台は実現しつつも、利活用を進める中でそこが大事だというのは常々痛感しておりました。  そういったところをいろんな活用を図りながらここまで至っているわけで、これまで得たいろんな経験、知見、また、今回のオンライン授業に取り組む「プロジェクトE」で得たもの、そういったものをしっかり市町のほうには御提供しながら、やっぱりこれから先というのは、ICT教育というのはツールであるんだけれども、一気にこれが進んでいく。我々がネックとして思っていた、例えば、電子教科書の整備とか著作権の問題とか、いろんな問題も今回のGIGAスクール構想を契機に、国のほうも積極的に取り組まれようとされてきております。いろんな課題の解決がスピードアップしてくるんだろうと思います。  そういった中で、これからの時代に合ってICT利活用教育というのは進めていかざるを得ない状況になっているんだということをお伝えしていきたいなと思っております。  こうしたことによりまして、県教育委員会としましても市町の取組が進むようしっかりとサポートしてまいります。  以上です。 20 ◎杉内警察本部長 登壇=私からは、県警察における防犯情報の提供と防犯活動の推進についてお答えをいたします。  まず、県警安全サポート情報についてですが、佐賀県におけます刑法犯の認知件数は平成十五年の一万四千三百五十一件をピークに昨年は三千四百件となるなど、減少傾向にあります。しかしながら、ニセ電話詐欺や、子供、女性に対する声かけ事案等は増加傾向にあり、県民の皆さんの不安感を解消するには至っていない状況です。  そこで、県警察では、現下の治安情勢に応じた警戒等の犯罪抑止活動を実施しますとともに、県民の皆さん等による防犯ボランティア活動等を支援し、安全・安心なまちづくりの推進に努めているところであります。  県警察では、こうした防犯ボランティアの皆さんの活動の参考となるように、また、県民の皆さんが犯罪の被害に遭わないために、県警察のホームページやSNS、交番の広報誌等の各種媒体を活用して、犯罪の発生状況や防犯対策に関する情報等を提供しているところです。  その情報提供のツールの一つとして、議員御指摘の県警安全サポート情報があり、県内の防犯ボランティア団体、安全・安心に関する覚書を締結した企業や組合等の団体、金融機関、市町等、三百二十八の団体等にメールやファクスで提供を行っているところでございます。  県警安全サポート情報は県警察本部において作成しているものですが、その時々の犯罪情勢から犯罪が連続発生するおそれがある、特異な手口等の犯罪でその後も発生するおそれが高いといった注意喚起を図る必要性が高い情報をタイムリーに提供しております。  ここ数年の提供状況は、平成二十九年中は十八件、平成三十年中は十三件、令和元年中は十六件となっており、内容としましては、昨年から再び増加傾向にあるニセ電話詐欺等に関するものが多くを占めておりますが、昨年本県を襲った豪雨災害時には被災地を狙った窃盗等についての注意喚起も行っております。  本年につきましては、これまでに十七件の県警安全サポート情報を提供しており、特にコロナウイルス感染症防止対策等に関連して、給付金に便乗したニセ電話詐欺、休業中の店舗を狙った窃盗、マスク配布に乗じて個人情報を聞き出そうとする不審電話といったものの情報を提供し、注意喚起を行ったところであります。  次に、「ながら防犯」についてですが、「ながら防犯」とは、日常の活動の中に防犯の視点を取り入れ、不審な人物や物を発見した際には、それを警察等に伝えていただくことで、犯罪の抑止につなげていただく活動であります。  具体的には、仕事や通勤、ランニングやウオーキング、買物や犬の散歩、花の水やりや道行く人への挨拶といった日常生活の中で誰もが気軽に実践していただける防犯活動であります。  防犯ボランティアは、登下校時間帯における通学路での子供の見守り活動等に代表されるように、各地域において活動していただいており、犯罪の抑止はもちろんのこと、地域の安心感や連帯感の醸成につながるものと考えており、県警察としても大変心強いものと思っております。  しかし、防犯ボランティアは、高齢化や後継者不足等の課題を抱えており、団体数やその構成員数が共に減少傾向にございます。  そうしたものを補う意味からも、個人や企業等の立場で日常の生活や事業活動を通じて気軽に防犯活動に参加してもらう、「ながら防犯」を現在広く働きかけているところであります。  この「ながら防犯」は、誰もが日常の生活や活動の中で気軽にできますことから、個人のみならず、企業にとっても負担が少ないため、多様な担い手による裾野の広い、そして、継続した息の長い活動が可能となり、地域の防犯力の向上につながることが強く期待できるところです。  次に、今後の取組についてですが、県警察からの県警安全サポート情報をはじめとします犯罪の発生状況や防犯対策に関する情報提供は、その情報に接した県民の皆さんに自主的な防犯対策を促すことを目的としております。  そのため、今後も県民の皆さんの立場に立った情報提供を基本としまして、この県警安全サポート情報の活用を含めまして、受け手の方の年代等に応じた広報手段を工夫しますとともに、留意していただきたい事項についてポイントを絞るなど、内容の充実を図り、訴求力のある効果的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。  また、県民の皆さんの安全・安心を確保するためには防犯ボランティアの活動は不可欠なものですので、今後の担い手を確保するために、「ながら防犯」の普及にも努めてまいりたいと考えております。  防犯ボランティアの方々による活動が地域において頼りにされますとともに、活動される方々がやりがいを持っていただけるよう、犯罪や防犯情報の提供や、先ほど御紹介のありましたベストやリストバンドなどの活動に必要な装備資機材の支援に加え、積極的な称揚等も行うなどして、防犯ボランティア活動がさらに充実するよう取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上です。 21 ◎西久保弘克君 登壇=答弁ありがとうございました。  特に、落合教育長の言葉は本当によかったなと、一生懸命やっていこうという気持ちがあって、本当にありがたいと思います。それと県警察の杉内本部長、そして池田農林水産部長、本当に前向きでありがとうございます。  ちょっと解せなかったのは──ごめんなさい。言い方が悪かったですね。  まず一つ、財政のほうで空港課さんにお尋ねをしたり、提案を差し上げたんですけれども、駐車場で二百台というのは、何度も言いますけど、マイナス効果になる可能性があるので、もしよければ全部無料のままにしておったほうが効果的にはいいのかなと。そして、その二百台はパーキングパーミットかなんかにして、そういった方々に使えるようにしないと、だって二百台では収入は入らないですよ。  その機械は、佐賀県の業者さんがやったりするのであればいいんですけど、県外のところでしょう。そういうのを県外の方にお金を払うような事業というのは、私は見直して、パーキングパーミットに二百台してもらうようなほうがよっぽどいいのかなと思いますし、もう一つは、空港の利用者が増えましたという話だったので、手元に資料がありますけど、平成二十七年から三十年までで、九州には九の空港があるんですけれども、現実には下から二番目です。大分県が十四万九千人増えていますけど、佐賀県は十六万人ということで、先ほど話にありましたが、福岡空港は三百五十万人増えているんですね。福岡、熊本の話があったんですけど、熊本も二十二万六千人、ちょっとおっしゃっているのがよく分からないんですよね。  この空港のことはちょっと置いておいて、空港に特化した話ではなかったんで、ここで再質問をさせてもらいますけれども、知事に二つ再質問させてもらいます。  まず最初に、今回は空港を例に取りましたが、空港というキーワードだけで少し偏った考えや甘いお金の使用が散見されていると私は思います。  自主財源の原資は貴重な税金であり、財務、税務に携わる職員は大変苦労されています。今回の件を踏まえ、コロナ禍で、今後、税収も厳しくなる中、適正な予算の執行と歳入の確保について、県政のトップである知事の所見をお伺いいたします。  もう一つ、学校におけるICT環境整備について再質問させてもらいます。  私は、教育機会の均等に対する知事の思いについてお伺いしたんですよね、技術的なことではなくて思い。  県内の義務教育の子供さんたちの中にそういった段差と言ったらいけないんですけれども、凸凹ができるような内容についてどう思うんですかと。  技術的なこととか、今後導入をどうするのかというのは、政策部長であったり、教育長がしっかりグリップしてやっていただけると思っていますけど、そういった状況になるんですよ、なるかもしれませんよということについて、教育機会の均等に対する知事の思いを私はお伺いしておりますので、改めてこの二点、知事に質問をさせていただいて、一般質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。 22 ◎山口知事 登壇=西久保議員の再質問にお答えします。  まず、適正な予算執行と歳入確保につきまして、空港を例に取りましてお話をいただきました。  適切な予算執行、歳入確保を強化していくということは、とても大事なことでございます。  特に空港を例に取られましたけれども、駐車場一つ一つということが、どう収支が行われているのかという一つ一つは大事です。  そして、我々はそういう個別の問題について監査をいただいて、それを誠実に受け止めて、しっかり対応しなければいけないと思っています、というようなミクロの部分、一つ一つの部分というのも大事だし、我々が大事なのは、もっとマクロな部分です。
     今日は稲富県議からまたこれも言われましたけれども、めり張りというか、大きな中でどのように伸ばすところを伸ばしていくのか、切り詰めていくのかという構想力も大事なわけでありまして、例えば、空港の話でいきますと、先ほど佐賀空港の数が少ないという話がありましたけれども、率で考えていただいたら、佐賀空港はもともと後発で小さな空港ですので、九州で一、二を争う伸び率だと思うんですね。  ですので、こういう大きなマクロの観点では、私も県議の皆さんに常にチェックをいただいているわけですけれども、小さなしっかり税金を大事に使う一つ一つのミクロの部分と、大きな観点で構想力を持ってどんな形で未来を切り開いていくのかという観点が大事だというふうに認識しています。  二点目の教育機会の均等ということに関していえば、私は均等であるべきだろうと思っています。当然、佐賀県民みんながひとしくすばらしい教育を受けていただきたい、子供たちにと思っています。  ただ、その中でこれからのICT教育もそうですけれども、これはツールだと申しましたけれども、それがどのような形で生かされていくのかということについては、まだまだ研究の必要があると思いますので、私としてみると、自分の話をすれば、私はICTツールの一つの大きなポイントは自宅学習の伸び代が高いと思っています。  勉強というのは、授業で受けるのも大事だけれども、学校では機会を与えられて、いかに自分の中で高められるのかというときに、ICTというのはすごい力を発揮するのではないのかなと思うので、そこの部分をもっともっと標準仕様を高めて、そういったものが実現するときに、あれっ、機会の均等にならんねと、入ったり入らなかったりしてということは、これは困るので、そういったときには私の出番かなと思っております。 23 ◎西久保弘克君 登壇=知事、本当に答弁ありがとうございました。  知事から駐車場はミクロですよというお話もありました。  ただ、地方税収入、この一つ一つは個人の法人税であったり、自動車税であったり、積み上げてきたお金です。  ですから、政治家はマクロのことだけの話をするのではなくて、やはりミクロの積み上げが基準財政需要額ですよというのは、これはしっかりした認識を持ってもらってやっていただきたいと思いますので、ミクロのところだからどうこうという発言は、ちょっと私はどうしても解せないので、ここだけはもう一度質問して、私の考えはミクロの積み上げがマクロであるということだけは、これははっきり私は思っていますので、知事と同じ思い、県民のためにやっています。  ですから、ここだけはもう一度答弁をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。 24 ◎山口知事 登壇=西久保議員の再々質問にお答えします。  誤解があったとしたら申し訳ないなと思いますけれども、例えば、今、自動車税の徴収納期が終わったところで、県民の皆さん方からも、コロナのときにこれで本当に消えたばいと。本当に千円単位、百円単位というところが非常に貴重だという意識は我々も決して忘れてはいけない。  そういうような一つ一つ、百円単位、十円単位といったところに意識をして、積み上げといったところをしっかりミクロの目で見るということも大事だけれども、大きな視点というところも大事なので、その両方をしっかりやっていこうという趣旨であります。  以上です。 25 ◎副議長(岡口重文君) 暫時休憩します。     午後三時三十分 休憩 令和二年六月十九日(金) 午後四時一分 開議  出席議員    三十六名     一番  一ノ瀬 裕 子     一六番  川 崎 常 博     三〇番  中 倉 政 義     二番  古 賀 和 浩     一七番  定 松 一 生     三一番  石 井 秀 夫     三番  下 田   寛     一八番  八 谷 克 幸     三二番  留 守 茂 幸     四番  古 川 裕 紀     一九番  江 口 善 紀     三四番  木 原 奉 文     五番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  藤 木 卓一郎     六番  冨 田 幸 樹     二一番  向 門 慶 人     三六番  石 倉 秀 郷     七番  弘 川 貴 紀     二二番  坂 口 祐 樹     三七番  桃 崎 峰 人     八番  井 上 祐 輔     二三番  宮 原 真 一     三八番  土 井 敏 行     九番  木 村 雄 一     二四番  原 田 寿 雄    一〇番  中 本 正 一     二五番  岡 口 重 文    一一番  野 田 勝 人     二六番  大 場 芳 博    一二番  西久保 弘 克     二七番  武 藤 明 美    一三番  池 田 正 恭     二八番  稲 富 正 敏    一五番  古 賀 陽 三     二九番  徳 光 清 孝 欠席議員    一名    一四番  井 上 常 憲 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   脇  山  行  人          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       大川内   直  人          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会計管理者        大川内   明  子          警 察 本 部 長    杉  内  由美子          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       横  尾  重  信          議事課副課長       花  島  良  直          政務調査課副課長     金  武  隆  守          議事課議事担当係長    中  島  達  明          同    議事担当主査  池  田  陽  介     ○ 開     議 26 ◎議長(桃崎峰人君) これより会議を開きます。  休憩前に引き続き一般質問を行います。 27 ◎古賀陽三君(拍手)登壇=早速質問に入りたいと思います。  まず、「SAGA Doctor─Sプロジェクト」についてお尋ねをいたします。  平成三十年に医療法が改正され、令和二年度からは、臨床研修病院の指定権限及び研修医定員の決定権限の都道府県への移譲等の措置が講じられるなど、地域間の医師偏在の解消等を通して、地域における医療提供体制を確保するため、都道府県の役割が強化されたと認識をしています。  この医療法の改正では、これまで地域ごとの医師数の比較に人口十万人対医師数が用いられていたものの、人口構成などの背景が考慮されていないといったことから、これに五つの要素を考慮して地域間の医師の偏在の状況を示す医師偏在指標が導入をされました。  これによると、三次医療圏単位では、佐賀県は四十七都道府県中十一位で医師多数県に位置づけられていますが、二次医療圏単位では、西部医療圏が全国三百三十五二次医療圏中二百四十七位と医師少数区域となっており、地域間の医師の偏在が生じている状況にあることがうかがえます。  また、医師数に着目をしてみますと、「医師・歯科医師・薬剤師統計」における二〇一六年と二〇一八年の佐賀県のデータを比較すると、二〇一六年の二千二百九十二人から二〇一八年の二千二百九十三人と、わずか一名の増となっています。増減数の全国順位は、ワーストワンの沖縄県に次いで、佐賀県は全国ワースト二位となっています。  一方で、佐賀県の医療需要のピークは、七十五歳以上の人口がピークとなる二〇三五年から二〇四〇年頃とされています。  こういった佐賀県の医療事情及び医師の現状を鑑み、今年度から医務課に「医療人材政策室」が設置されたものだと認識しており、今後、「SAGA Doctor─Sプロジェクト」を通じ、本格的に県内の医師確保対策に取り組まれるものだと思っています。  この医師の育成には、医学部生として六年間、臨床研修医として二年間、さらに専門医の取得に三年から五年間、ここまで医学部の入学後から計十一年から十三年という非常に長い時間を要し、医師が育成をされるといったようなことが分かります。佐賀県が医療需要のピークを迎える二〇三五年から遡ると、今のうちに医師確保に対する取組をもっと強化していくべきだと考えていることから、次の点について伺います。  まず、知事の問題意識と決意についてであります。  知事は、これまでにも「交通事故防止特別対策室」、「がん撲滅特別対策室」、そして「SAGAスポーツピラミッド推進グループ」などを新設されてこられました。これは、いずれもその時々の佐賀県にとって取り組むべき重点的な事業であったり、県として課題解決に向けて特化したものであったと認識しています。  その中で、今年度からの「医療人材政策室」の設置も、先ほど申し上げたように、医師の育成には相当長い時間を要すること、そして医師の人材確保の難しさであり、今後の医療に対する強い危機感の表れではないかと私は感じています。  今回、知事はどのような問題意識を持ち、このプロジェクトを推進していこうと、取組を進めていこうという思いに至ったのか。また、医師の育成、定着の取組を進めるに当たって、知事の決意を伺っておきたいと思います。  次に、現状認識についてでございます。  これまでの議会においても、一般質問や委員会質疑の場で医師確保に関する議論は度々なされていたと思っています。この問題に対して、県ではこれまでも様々な取組が行われてきたと思っています。  しかしながら、先ほど申し上げたように、二〇一六年と直近の二〇一八年の比較をすると、わずか一名の増にとどまっています。  こうした状況がもし続くとなれば、医療需要のピークである二〇三五年から二〇四〇年頃に医師の数、そして医師の質ともに佐賀県の医療を支えるだけの十分な体制が維持できるのか多少心配になってくるところもございます。  現在、県内の医師の平均年齢も上がりつつあるといったようなことも伺っておりますし、本県における医療従事者に対する様々な特徴もあるかというふうに思っています。  今後、医師の育成や県内定着を促進させるため、このプロジェクトをさらに推進していくに当たって、まずは現状の把握が必要であろうと思います。県では、現状についてどのような認識を持っているのか伺います。  次に、今後の取組についてであります。  今後、医師の育成、定着の取組を進めていくに当たっては、県内唯一の医育機関である佐賀大学医学部との連携がまずは第一だと思っています。さらに、医療法の改正により、都道府県の担う役割が強化されたことを踏まえると、県内の医療全体を考える必要があることからも、そこはやっぱりしっかりと行政がかんでいく必要があるというふうに思います。県がまさに中心となって幅広い意見を取り入れながら、しっかりとグリップしていけるような取組にしていくことが重要であると私は思っています。  県は今後、具体的にどのように取組を進めていこうとするのか伺っておきたいと思います。  次に、新型コロナウイルス感染症対策の強化についてであります。  現在、新型コロナウイルスの感染者数は世界中で八百万人を超え、四十万人を超える死者が発生しています。ここ日本でも感染者は一万七千人を超え、死者数は九百人を超える状況になっています。  佐賀県では、三月十三日に県内初の感染者が確認されて以降、二件のクラスター発生などもあり、現在までに再陽性の二例を含む四十七例の感染者が確認されています。現在も毎日、数件のPCR検査が行われているものの、五月五日以降、今日現在に至るまで、新たな感染者は確認されておらず、これまでの県の迅速な対応と外出自粛要請に対し、多くの県民が協力をし、県からの休業要請や時短営業の要請に対し、事業者の方々に協力いただくことができたことで、第一波に対する県内の感染拡大は抑えられたものと理解をしています。  また、国内の状況については、先月二十五日に全ての都道府県において緊急事態宣言の解除が行われ、全国的な流行は収束に向かいつつあるのではないかと考えています。  しかしながら、世界的に見れば、いまだ多くの感染者が確認されている地域もあり、ワクチン等の開発等もなされていないことから、人々が生活をする上で不安というものはまだまだあるのかなといったようなことを思っています。
     そのような中、私たちは今回の新型コロナウイルス感染症の発生を受け、以前とは異なる新しい生活様式が求められることとなりました。人々の行動基準も変わり、人が密になるような行動には一部転換が迫られる。また、コロナウイルスの感染が広がり、これまで以上に手洗いやマスクの着用が徹底されるなどの感染症予防対策が広がったことで、今年はインフルエンザの流行が抑えられた可能性があると、そういったことも指摘をされていました。  そうした中で、手洗いをはじめとする感染症対策にいかに平時から取り組むか、その重要性についても今回改めて認識する、そういった機会となりました。  国内において、新型コロナウイルス感染症の感染者の発生数が落ち着いており、また、県内においては、コロナの療養者がゼロになったということで、一定の落ち着きを取り戻した状況にある今、今後の第二波、第三波の可能性に対して、十分に備えた体制を確保しておくことが重要になってくるというふうに考えていますし、これから先、すぐにではなくともコロナウイルスが変異をする、そういった可能性もある。また新たなウイルスの感染症も発生することもあり得るのではないかといったような懸念をしています。  そこで、次の点について伺います。  まず、これまでの保健福祉事務所の対応についてであります。  県内には、現在、佐賀中部保健福祉事務所をはじめ、五つの保健所があります。この保健所、過去には八つあったと。それが今統合されて五つになったというように伺っています。統合されたということは、人員等が削減されたと。今回のコロナでは、感染した疑いを持ったとき、まず電話で相談するのが保健所の帰国者・接触者相談窓口であり、ここが入り口となり、ここでの判断が大きな分かれ道となってきます。  感染症対策について、特に今回のコロナに関する対応では、過去に人員が削減された中で、保健所においては数多くの業務を担われていたと思っています。政府の非常事態宣言の発令された頃から、県によっては電話が殺到し鳴りやまなかったなどの話もあり、今日も佐賀新聞には、県内の電話の件数も書いてありましたが、県内もそういった似たような状況にあったのではないかなというようなことを思っています。現場の最前線で働く職員の方々は非常に大変であったろうと感じています。  今回の新型コロナウイルス感染症に関し、県内の保健福祉事務所では、これまでどのような対応を行ってきたのか伺います。  次に、次なる波に備えた保健所機能のさらなる強化についてであります。  国の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」によると、次なる波に備えた安全・安心のためのビジョンの方向性として、今後、検査体制や医療提供体制のさらなる強化、そして感染防止拡大のために保健所機能の強化を図る必要性が示されました。  医療提供体制となると、県内においては、第二波への備えとして、病院などと連携をし、感染症に対応する病床を状況に応じ段階的に増やす体制が構築されており、感染症への対応とそれ以外の救急、手術、入院などの医療との両立が図られており、医療提供体制の充実がなされているものと思っています。  一方、保健所に関しては、過去に統合され人員等が削減されたことを考えると、国の示す保健所の機能強化については非常に難しい面があるのではないかと思っています。保健所の人を配置するにも、やっぱり専門職の方が必要になるというふうに思います。短期間で養成するのは非常に難しい面もあると思いますし、この感染症はいつかどこかで落ち着くときが来る。そしたら平時のときにどれだけの人を抱えておくのかということも難しい判断になると思います。予算を増やすのか、人を確保するのか、機材を増やせばいいのか、何をもって保健所の機能強化とするのか非常に難しい面もあろうかと思いますが、そうした中で、第二波、第三波、またワクチンや特効薬がない状況において、県として今後の感染拡大の局面を見据え、どのように保健所機能の強化を図っていくのか伺います。  次なる波に備えた検査体制のさらなる強化についてであります。  国の専門家会議による次なる波に備えた安全・安心のためのビジョンの方向性として、保健所機能の強化と併せて、モニタリング体制としての検査体制の拡充も必要と示されています。  県内でも、当初明らかに症状があると感じ、相談窓口に電話をしたものの、条件を全て満たさないといった理由から検査対象にならなかったといったような声を耳にすることもありました。  そうしたことから、今後、感染症対策の入り口となる検査体制のさらなる強化を図ることで、迅速な対応につなげることが感染拡大の防止や院内感染、施設内感染の防止の対策にもつながると考えられますが、県では今後、どのように検査体制の強化を図っていくのか伺います。  最後に、新型コロナウイルス感染症を踏まえた観光行政についてであります。  我が国では、平成二十九年三月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」に基づき、観光を成長戦略の柱、また地方創生の切り札として、国を挙げて観光立国の実現に向けた取組が行われてきました。佐賀県においても、平成三十年三月には議員提案による「ふるさと佐賀への誇りを育む観光条例」が施行されました。  これまで、国の内外の観光客誘致や情報発信、観光客へのサービスを充実させるために、バリアフリー改修工事であったり、外国語による案内表示、WiFi整備などを通して受入れ環境の整備を行うなど、観光需要の創出に向けて、本当に多くの観光に関する施策に取り組まれてきたものだと思っています。  しかしながら、県内の地域資源の魅力を高め、受入れ環境を幾ら整備しようとも、この観光については人の動きが大きな鍵を握っているものと思っています。  その中で、昨年の日韓関係の悪化、八月の佐賀県での豪雨災害、そして今回の新型コロナウイルス感染症の拡大、特にこの感染症の拡大によって世界規模で人の移動が制限されてしまう事態となり、観光関連産業、宿泊や飲食、物販、レジャー施設、交通などは本当に大きな打撃を受けている状況にあります。  今回の新型コロナウイルス感染症については、有効な治療法やワクチンが存在していないことから感染症への不安が払拭されず、なかなか人の動きが元の状態に戻るのは難しいのではないかといったようなことを感じています。また、新しい生活様式といったことが言われる中で、今後、人々の行動が変容していく可能性が高いと予測をされます。さらには、数年後に現在と同様の事態が生じる可能性も否定できず、今後またパンデミックが到来すれば、再度大きな落ち込みにつながる、そういったリスクがあるのではないかと考えています。  そこで伺いますが、まずこれまでの県の取組についてであります。  昨年の日韓関係の悪化、そして八月の佐賀豪雨災害。日韓関係の悪化については、それまでは韓国からの観光客は大都市だけではなく、地方にも多くの方々が訪れており、県内でも順調に推移していくものだと思っていましたが、韓国への輸出規制強化を打ち出して以降、団体旅行客、個人旅行客を含め、日韓の人的交流には急ブレーキがかかり、インバウンドは厳しい状況になった。さらには八月の豪雨災害、県内の宿泊施設に対し相当数の予約キャンセルが相次ぐ事態となった。そういった昨年の状況から回復しつつある中で今回の感染症の拡大、全ての人の動きが止まった。そうしたことで県内の観光にも様々な影響があったと認識していますが、そうした観光に対する影響に対し、県としてこれまでどのような取組を行ってきたのか伺います。  最後に、今後の県の取組方針についてであります。  今回のコロナ禍を機に、人々の中に新たな意識が芽生えてくることも考えられます。今日から移動制限が全面的に解除されました。ある意味、歓迎をすべき、そういったことであろうと思います。  その中で今後、国をはじめ、観光関連に相当な予算を投じることで様々な取組が行われると思っています。一方で、観光に関する需要を喚起することで、人が集中してしまうことへの不安を感じる方々も一定程度存在することもあろうかと思います。観光客を受け入れる地域社会や住民側の意識も変わる可能性があるのではないかと私は思っています。  インバウンドについても、佐賀空港の定期便の運航状況だけを見ても、いまだに制限されており、なかなか元には戻りづらいことなどを考えると、観光全体の需要を回復させるためには相当長い時間を要することが予測されます。  これまで多くの都道府県で観光を成長戦略の柱、また地方創生の切り札として、佐賀県だけでなく、多くの自治体が観光戦略を策定するなどして観光施策について取り組んできたことを踏まえると、観光戦略の見直しについても今後議論が必要ではないかとすら私は感じています。今後、それぞれの自治体においても観光に関する取組を行っていくことになるかと思いますが、その際、これまで以上の地域間の競争が始まるのではないかと私は思っています。  そこで、旅行者に選ばれる佐賀県であるためには、地域を含めた魅力度アップや、よほどの魅力的な商品などが必要になってくるのではないかと思っています。県は今後どのような方針で観光の振興に取り組んでいくのかお尋ねをして一般質問を終わります。(拍手) 28 ◎山口知事 登壇=古賀陽三議員の御質問にお答えいたします。  私からは、「SAGA Doctor─Sプロジェクト」に係る問題意識と決意についてお答え申し上げます。  新型コロナウイルス対策においても「プロジェクト」をつくりまして、医療界でのチーム佐賀が機能いたしました。我々の誇りだと思っています。そして、こうした体制がずっと未来に向かって維持されることが大切だと思っています。  そして、私は、知事就任以降、何とか若い人に県内にとどまっていただこうということで様々な施策を推進してまいりました。「プロジェクト60」などは今効果が出てきております。  そうした中で、直近で医師等の増減数が古賀議員が言及いただいたようにこの二年間でプラス一でしかない。すなわち全国ワーストツーということで、これに私も大変衝撃を受けました。若手医師の県外流出、そして女性医師の減少については大変切実な問題だと認識しています。  本県の地域医療体制には、御指摘いただいたように西部医療圏が医師少数区域になっているという地域偏在の問題があります。そして、先ほど申し上げたように、医師の増加数が全国に比べて低いという課題があるほか、医師の高齢化の問題があります。そして、直近二年間で三十五歳未満の若手医師が二十七人も減少したという若年医師の県外への流出問題、そして診療科の偏在、全体としてはそういった意味ではそこそこなんですけれども、産科、小児科、外科など、特定の診療科が不足ぎみになりつつあります。そういった課題があります。  我々の生活にとって医療はとても大切なものですから、県内の医療機関で働く医師が安定的に確保されて定着していただくことは、佐賀県民の命と健康を守るためには大変重要なものだと認識しています。ということで、私も今年から気合を入れてこの問題に取り組もうと決意したわけです。  今年の一月十七日ですからコロナの前で、ついこの前なのに若干遠く感じます。一月十七日にこの問題を話し合いたいと思い、佐賀大学の兒玉学長、寺本副学長、それから末岡医学部長と山下病院長、そしてさらに好生館の桐野理事長さんにも来ていただいて意見交換を実施しました。様々な問題点が浮き彫りになって、この意見交換会を踏まえて、あっ、これは今やらなければ、そして今やれば何とかなるかもしれないという思いを強くして、医師の育成・定着プロジェクトに取り組むこととしたわけです。それが「SAGA Doctor─Sプロジェクト」でした。  このSというのはもちろん佐賀のSですけれども、いろんな意味があります。もともと佐賀は本来、幕末に医学界の先鞭をつけたという御案内のとおりで、そういった意味でのスピリット。日本の医学界を佐賀からやっていくんだというスピリット。それから、オール佐賀で若い医師を支えていこうじゃないかというサポート。そして、医療環境をしっかりみんなでつくっていかなければいけないねということでのサティスファクションということを全部S、Sやっていきながらセトルメント、定着へつなげていくというS、Sというか、いわゆる「Doctor─Sプロジェクト」という名前をつけてやろうと思ったわけです。  二月にはまずスタートとして、本県の地域医療にとって大切な存在であります自治医科大学。ここの皆さんは離島診療とか地域診療とかに大変大きな役割を果たしていただいております。こういう皆さん方との懇談会、飲み会を実施させていただきました。彼らの地域医療に対する熱意と思いに、私自身触れることができて大変盛り上がって、自分たちの会に知事が一緒に懇談していただくのは初めてだと大変喜んでいただいたわけでありまして、こうした若い医師たちとの意見交換をずっと続けていこうと思っていた矢先にコロナで中止するということになったわけでありました。  また、古賀議員からも御紹介いただきましたけれども、そういうこともあって、この四月から「医療人材政策室」というのを新たに県庁内に部屋を立ち上げたということであります。  ということで、コロナで今、私の動きも止まっていたわけですけれども、部屋のほうは仕事も進めていますので、何とかこの続きを行わなければいけない状況です。医師の育成を行う指導者、地域医療の最前線で一人前の医師を目指して研さんを積んでいる研修医の生の声を通して考え方、そしてその動向を把握しながら、私自身が旗を振って、将来の地域医療を担ってもらえるような誘導策、支援策をしっかりと強化していきたいと考えています。  以上です。 29 ◎大川内健康福祉部長 登壇=私からは、大きく二項目お答えをさせていただきます。  まず、「SAGA Doctor─Sプロジェクト」について二点で ございます。  一点目、現状認識についてでございます。  県内唯一の医師の養成機関でございます佐賀大学医学部の学生の男女比率は、昨年五月時点で男性が五五%、女性が四五%でございます。全国の国公立大学医学部の女性比率がおおむね二〇%から三〇%となっていることを勘案いたしますと、全国的に見ても女性比率が高く、本県におきましては女性医師が多く輩出されているのが一つの特徴だと認識しております。  一方、国の「医師・歯科医師・薬剤師統計」では、二〇一六年と二〇一八年を比較いたしますと、佐賀県内では三十五歳未満の若手の医師が二十七人減少しておりまして、とりわけ女性医師が二十三人減少しております。こうしたことから、若手医師や女性医師の定着が喫緊の課題であるというふうに認識をしております。  若手医師の定着には、魅力ある臨床研修プログラムづくりなど、安心してキャリアを形成できるようにすることに加えまして、働きやすい、学びやすい環境づくりが重要だというふうに思っております。  また、女性医師につきましては、妊娠、出産といったライフイベントを考慮した勤務環境改善が鍵となるのではないかというふうに考えております。こうしたことのほか、議員からも御指摘があったような状況にございまして、医師確保にしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに認識をしております。  次に、今後の取組についてでございます。  議員御指摘のとおり、プロジェクトの推進には佐賀大学医学部など医師の養成に携わる機関との連携が不可欠と認識しております。今年度は医師の育成、定着のための「佐賀大学医師育成・定着促進プラン策定事業」を実施いたします。現在、佐賀大学と、基幹型臨床研修病院でもあり、複数の専門研修プログラムを有します好生館も交えまして協議を重ねております。具体的な課題点を確認しながら検討を進めてまいります。  また、今年度は、若手医師や女性医師との意見交換など、医師の定着に向けたニーズを探る取組も予定しております。そうした取組を通じまして意見を聞くとともに、研修医や指導医、研修基幹施設の管理者や県を代表する二つの中核的な病院の責任者といった様々な方々との協議、意見交換を行ってまいります。そうして把握した幅広い意見を整理しまして、医師確保等に関する協議、調整を行う場として県が設置しております佐賀県地域医療対策協議会、こうした場での議論を踏まえて、ニーズに合った効果的な取組を着実に進めていきたいというふうに考えております。  今年度、新たに医師確保の施策を推進するための専門組織、「医療人材政策室」を立ち上げました。ここを中心にこの課題にしっかりと取り組んでまいります。  続きまして、新型コロナウイルス感染症対策の強化について三点お答えをいたします。  まず、これまでの保健福祉事務所の対応についてでございます。  国内で初めて患者が確認された頃から、各保健福祉事務所へは検査の要望や感染を心配した相談のほか、県内の事業所からは職員に感染者が発生した場合の対応や社内の消毒方法、またマスコミ報道等により不安やストレスを抱えた方からの相談もあり、一本の電話で二時間に及ぶような電話相談もあったというふうに聞いております。  二月五日に各保健福祉事務所に設置しました帰国者・接触者相談センターでは、六月十六日までに九千百五十四件の相談があっております。  保健福祉事務所では、県内で感染者が発生する以前におきましても、職場の感染予防対策や県民からの相談対応のほか、症状のある方や診療した医師からの電話相談、感染の疑いがある方の帰国者・接触者外来への受診の調整、あるいはPCR検査の検体搬送、他県の感染者の濃厚接触者等が県内に居住する場合の、その方々への健康観察の対応などを行ってまいりました。  県内で感染が確認されてからは、それまでの業務に加えまして、患者の入院勧告や医療機関への移送、患者の行動歴の調査、濃厚接触者や接触者の特定及びその方々の行動歴の調査、特にクラスター発生時は大規模な調査、こういったことを行っております。全ての事例で一つ一つ丁寧に保健監や保健師を中心に、保健福祉事務所を挙げて対応してまいりました。  特に入院勧告につきましては、個人の行動が制限される措置でございまして、また患者御本人や家族の不安も大きいことから、丁寧な説明を行い、スムーズに入院してもらえるように努めたところでございます。  さらに、クラスターが発生した際には、県内で感染を拡大させないという強い思いで、患者の行動歴や接触者の調査、PCR検査の検体採取など、昼夜を問わず、あらゆる可能性を考えながら幅広に懸命に対応してまいりました。特にお店の利用者に感染の可能性を呼びかける必要があったことから、店舗名の公表について同意を取るケースもございましたが、そういった際は特に大変だったというふうに聞いております。  次に、次なる波に備えた保健所機能のさらなる強化についてでございます。  これまでも県内の一例目が確認された三月十三日に一般電話相談窓口として専用のコールセンターを設置いたしまして、県庁全体で対応することで、保健所を専門業務に、より注力できるようにしております。  また、保健福祉事務所の職員はもとより、土木事務所等の近隣の現地機関職員、さらには本庁職員の応援体制を取りまして、接触者等の調査や検体の搬送などの業務に県庁一丸となって対応してまいりました。  また、感染者や濃厚接触者等への調査など、保健師による対応が必要な業務につきましては、本庁や別の保健所に勤務する保健師、あるいは退職した保健師などを活用してまいりました。  今後、特にクラスターの発生も想定し、保健所機能を強化する必要があると考えております。人員等の体制につきましては、これまでの対応の中で基本的な仕組みが構築できておりますので、これを活用して臨機応変に対応してまいりたいというふうに考えております。  また、濃厚接触者を早期把握するために、本日から利用が開始される接触確認アプリ、この普及を促進すること、あるいは「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER─SYS)」というものがございますが、これを導入することによりまして、感染者等の情報の迅速な把握を行うことなども保健所機能の強化につながるものというふうに考えております。  最後に、次なる波に備えた検査体制のさらなる強化についてでございます。  これまで県の衛生薬業センターにおいて、遠心分離機や遺伝子抽出の自動化等によります検査機器の整備等により、順次検査体制の強化を図っておりまして、現在、一日当たりおおむね百件の検査が可能となっております。しかし、今後、流行の拡大状況によりましては、現在の体制では対応が難しくなることも想定されます。  このため、衛生薬業センターにおきましては、さらなる検査機器の整備でございますとか、検査に関する研修を行って検査の人員体制を強化するとともに、医療機関においてもウイルス検査が実施できるよう順次行政検査の委託契約を締結し、検査体制の強化に努めております。  また、現在、PCR検査に加えまして、抗原検査や抗体検査など、様々な方法が開発されております。これらの検査の特徴をうまく活用するとともに、今後、医療機関への検査機器等の整備支援を検討するなど、こういったことでさらなる検査体制の強化に努めてまいります。  以上、お答えいたします。 30 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症を踏まえた観光行政につきまして二点お答え申し上げます。  まず、これまでの県の取組でございます。  県では、これまでインバウンドを伸ばすことで、佐賀の知名度アップを図り、それを国内観光客増にもつなげていくという考えのもと、インバウンドに軸足を置いた積極的な外国人観光客の誘致を進めてまいりました。結果、県内の外国人宿泊者数の増加に着実に成果を出してきたところでございます。  実績を申し上げますと、外国人延べ宿泊者数でございますが、二〇一四年、平成二十六年には約九万一千人でございました。それが四年後の平成二十九年、二〇一七年には約三十八万五千人と、平成二十六年の約四倍、全国一位の伸び率ということで、当時、タイの映画の誘致がうまくいきまして、そのことを踏まえてマスコミとかにもよく取り上げられまして、そのことがかえって国内観光客の増にもつながったというふうな状況でございました。  しかしながら、議員の御指摘のとおり、昨年の日韓関係の悪化とか豪雨災害の影響によりまして、宿泊需要が低迷したことから、機会を捉えて宿泊割引キャンペーンとか特定の国や地域に依存しないマルチインバウンド対策、まさに誘客先の多角化ということに取り組みまして、切れ目のない取組を進めてまいりました。  そうした中にありまして、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、宿泊者数減少の歯止めがかからず、感染が全国的に広まってきた今年三月の県内宿泊者数速報値によりますと、対前年同月比で約四九%の減、緊急事態宣言が出された四月以降、自主休業する宿泊施設も見られる状況となっております。  そのような深刻な状況を踏まえまして、五月補正予算におきまして、観光の重要な基盤となっております県内宿泊施設や貸切りバス・タクシー事業者に対しまして、宿泊施設については一施設当たり五十万円、貸切りバスについては一台当たり十万円、タクシーについては一営業所当たり二十万円の支援金を給付いたしまして、事業継続や今後の観光需要の回復に向けて備えていただくことといたしました。  それに加えまして、既存の予算を活用いたしまして、宿泊施設や観光施設などが観光客を迎え入れるに当たりまして、感染防止に必要な物品、例えば、消毒液とかマスク、非接触型の体温計などが手に入りますように、受入れ環境の整備についても支援を今行っているところでございます。  次に、今後の県の取組方針についてお尋ねがありました。  新型コロナウイルス感染症の感染リスクをゼロにするということは、ワクチンが開発されていない現状では難しく、また首都圏等との人の往来が再開することで第二波、第三波が起きることも危惧されます。また、この新型コロナウイルスの影響は相当長期にわたって及ぶのではないかと言われております。  そのような中にあっても、人口減少社会において地域経済を活性化させ、さらに発展させるためには、今後とも交流人口を増やす観光は重要な役割を担うものでありまして、新型コロナウイルス感染症とうまく付き合いながら、佐賀ならではの新たな観光スタイルをつくり出して、県内観光の底力を上げていく必要があると考えております。  議員御指摘のように、多分観光の形も大きく変わっていかざるを得ないと考えております。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、これまで主流だった団体旅行から少人数での個人旅行への流れが加速すると思われます。また、都市部のような人が密集する大規模な観光地を避け、空気がきれいな地方を目指すような観光が増えることなども予想されます。そういうことからすれば、この佐賀の空の広いのんびりとした空間というのは、かえって選ばれる地域になる可能性も秘めているのではないかと考えております。  そこで、今回の六月補正予算では、観光需要の回復に向けて、七月から県独自の施策といたしまして、県内や九州域内の方を対象とする誘客キャンペーンでございますが、「佐賀支え愛宿泊キャンペーン」というのを展開したいと考えております。  また、三密を避けるため、時期や場所を分散して開催する観光イベントや、県内の観光施設の取組へ支援していきたいと考えています。  また、第二波、第三波が発生したときに対応できるように、それを見越しまして、食とか物産とか風景など佐賀の観光の魅力を詰め込んだ宅配ボックス、それを開発するということを支援していきたいと考えております。  これまでの遠くに出かける旅行から身近な地域をじっくりと安全に楽しむ、昨日、知事が答弁の中で申されましたけど、安・近・短ではなくて、高品質、近場、長期間滞在というような高・近・長の旅を提案いたしまして、多くの方にゆったりとした時間の中で安心して佐賀の観光を楽しんでいただきたいと考えております。  インバウンドにつきましては、議員から御指摘がありましたように、すぐに以前の状況に戻るとは到底考えられません。まさに今は仕込みのときと考えておりまして、需要回復の局面におきまして、多くの方から旅行先として選ばれるような地域となるように、それまでの間はピンチをチャンスと捉え、メールでの営業活動を行うことはもちろんのこと、観光資源の磨き上げや受入れ環境の整備、積極的な情報発信などしっかり取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 31 ◎藤木卓一郎君(拍手)登壇=これで最終最後、六月定例県議会一般質問もこれで終わりになります。  皆さんも随分とお疲れのようなお顔をされておりますが、皆さんたちのその空気にも少しは配慮しながらも、全ては県民の皆さんのためであります。しっかりと議論をさせていただきます。  まず一番目、災害復旧工事の円滑な実施についてということであります。  ここ数年の度重なる大雨で県内でも甚大な被害が発生し続けており、現在、河川や道路等、その復旧工事が地元建設業者の皆さんの手によって鋭意行われております。  災害復旧工事の基本原則はスピード感だと思います。被災された人や地域の人々になるべく早く安心感や満足感を届けることが大切です。  七月の集中豪雨によって被災された箇所が、一年たっても工事の見通しも立たぬまま放置してあるということが一番まずい。越年して二次被害、三次被害の可能性が出てくるし、被害に遭われた方々の県執行部に対する行政への不信を増幅させることにつながるからであります。  本県には、これに対応する建設業者は多数います。しかし、実際は、多くの建設業者がこの災害復旧工事をやりたがってはおりません。県は必要な経費を見てくれないし、利益が出てこないからです。  また、日頃平地の土木工事を基本としている多くの建設会社は、経験の少ない山間部の復旧工事に気後れをしています。技術の未熟さは事故につながりますし、大きな赤字のもとにもなります。だから、多くの事業者に入札に参加していただけない。問題は、その原因をつくっている発注者の考え、つまり、要領や要綱が問題なのであります。
     こうした災害復旧工事の現状を踏まえ、同工事を円滑に実施していくため、入札契約制度及び経営事項審査等の変更を求め、次の点についてお伺いいたします。  まず一番目、災害復旧工事の施工実績の評価についてであります。  先ほど申し上げたとおり、災害復旧工事の要諦はスピード感です。被災された人や地域の人々になるべく早く安心感や満足感を届けることが大切であり、そのためにはまず、施工する建設業者の決定が円滑に進むことが重要であります。多少技術的不安があっても、災害土木の経験を積んで、山の工事も対応できる、そんな会社になろうと、今まで入札にちゅうちょしておられた皆さんの背中を押す何かしらのインセンティブが必要なはずであります。  私は、総合評価方式における評価項目にするであるとか、山の工事をしたという実績を工事点数に加算するとか、災害復旧工事の実績を高く評価して、入札の参加意欲を高める工夫が必要と考えますが、県土整備部長に御所見をお伺いします。  二点目、迅速な災害復旧の取組についてであります。  災害復旧工事が嫌われる原因の一つに新規工種を認めないということがあります。  例えば、設計図面に千立米の掘削が千二百立米の掘削になっても、その変更は見てもらえるんですね。しかし、山の中の出来事でもございますので、急遽現場の状況によっては当初の設計図面にないL型擁壁を立てることになった場合、それは新規工種を認めない原則の中で、その分については全部施工業者の持ち出しになるようであります。  そもそも中山間部の災害箇所は、平野部に比べて現場の条件は特別に厳しい。それは設計者たるコンサルタント会社も同じと言えます。正確な設計をするということ自体が大変なんだと思いますね。  しかし、県が認めた設計図面の不備を施工業者に補填させるような今のやり方では、多くの建設業者に敬遠されるのは当然であります。  このような現状を踏まえ、災害復旧工事を待ち望む多くの被災者のためにも、何よりそれを施工する業者が安心して入札に参加できるように、災害現場の条件に合った復旧工法や仮設計画、それに伴う適切な工事額の見積り等について計画段階でもっと精査され、検討すべきです。  何より工事中も適正に工事変更を行い、もちろん当たり前ですが、その費用は受益者たる県が負うことにするなど、建設業者にとって災害復旧工事への受注意欲が湧くような工事とする必要があると考えています。  県として、この災害復旧工事に今後どのように取り組んでいくのか、改めて県土整備部長にお伺いいたします。  三番目、建設工事の登録業者数についてであります。  近年の入札状況における問題は、応札者がいない、そんな不落が大変多くなっているということです。誰も入札に参加しないというような話です。  しかし、そんな中でも意欲を持って、そして、確かな技術力で災害復旧工事に果敢に取り組んでいる業者もいます。  今まで公共事業は否定され、建設業の育成に力を注がなかったそのツケを、災害の多いこの近年に払わされているように思えてなりません。  あふれる意欲や確かな技術、実績を持つ企業をC級からB級、B級から級、級から特級と、もっと大きな仕事をさせて育てていくべきだと思うし、現下の災害の状況、これからの災害の予測等を踏まえても、県建設工事の入札に参加できる建設業の登録者数を増やす、つまり、その量的な充実も考えていく時期に来ているのではないかと思います。  改めて県土整備部長にお伺いします。  県では、二年ごとに等級格付を行い、登録業者を決定しておられますが、近年の不調、不落の発生等を踏まえて、今後は建設工事の登録業者数を増やしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。  問いの二番であります。県管理河川における遊水地の整備についてであります。  県民の多くが感じているとおり、我が国において近年の雨の降り方は異様なまでに激甚化、多頻度化といった傾向となっております。  直近でも、平成二十九年の福岡県朝倉市一帯を襲った九州北部豪雨や、昨年の関東地方を縦断した巨大台風十九号など、我が国では毎年どこかの地域で未曽有の水害に見舞われております。  県内でも平成三十年の七月豪雨、令和元年八月の佐賀豪雨など、二年連続で甚大な浸水被害を経験しました。地元小城市においても、牛津川の破堤の危険を回避するために牛津川に設置された全てのポンプを停止させ、その結果、牛津町を中心として甚大な内水被害を生じさせてしまいました。  特に昨年のあの巨大台風十九号の進路がもう少し西回りであったら、もっと言えば、北部九州を直撃するなんてことになっていれば、嘉瀬川ダムも持ちこたえられずに、恐らく嘉瀬川も破堤していたかもと考えれば本当に空恐ろしくなります。まさしく現代に生きる我々とは、そういう気象上の高いリスクを負って生きていると思わなければなりません。  それは私たちが山に住むと、平野に住むと、海辺に住むと関係なく、誰しもが高い確率で水害の被災者になり得る可能性を今、このタイミングで秘めているということであります。  そういう意味では、今年も未曽有の大水害は必ず来る。そういう危機感の中で常に非常時の目線で河川整備などの治水対策、浸水被害対策に取り組んでいくことの必要性を痛感しております。  洪水を処理するためには、原則三つであります。当たり前ですが、一つは河川を広げるか、もう一つはダムを整備して上流でためるか、またはその途中で遊水地を建設して水を逃がすか、いずれかの方法で本川の河川水位を下げるしかありません。しかし、本県の治水行政は、一部の例外を除けば、今まで河川改修かダムの建設のみに頼ってまいりました。  しかし、現在の気象の状況では、五十年スパンで企図されるダム建設は現代的な災害防備の手段とはなりません。下流から順番に予算と時間をかけて進められる河川改修もまた、全体の完成まであと何十年もかかってまいります。  実際、水害を経験した地域の住民は一日も早い治水対策を望んでおり、正直時間のかかる河川改修を待っている余裕は本当にありません。やはり今の時代には、遊水地という新しい治水対策の考え方であります。  河川の中流域で必要量、水を逃がし、ためる。堤体に堰を造り、必要とする面積の圃場を堤体で囲む。ダム建設や河川改修より明らかに安くて、短期間に建設が可能となります。  実際、国土交通省でも早期に治水効果をもたらすものとの考えから、昨年八月の佐賀豪雨災害に伴う「河川激甚災害対策特別緊急事業」、つまり激特事業と言われるものですが、その事業において、牛津川遊水地として約二百万トン規模の遊水地整備に着手していただいており、これも僅か五年という短期間で完成させると皆意気込んでおります。     ○ 時 間 延 長 32 ◎議長(桃崎峰人君) 時間を延長します。 33 ◎藤木卓一郎君(続)=そこで、次の点についてお伺いします。  今後、本県でも国の施策に倣い、費用が抑えられ早期整備が可能な遊水地整備を、河川整備計画に位置づけながら、治水対策、浸水被害対策を進めていくべきと考えますが、県土整備部長に重ねて御所見をお伺いします。  問いの三です。新型コロナウイルス感染症対策に係る県独自支援についてということであります。  今回の新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者に対し、国や県等が様々な支援策を実施しておられますが、それを手にすることとなる多くの事業者から本当に感謝の声が続々と届いております。  しかしながら、今回の事業は、行政も議会も緊急事態宣言の中で現場に出向いて、多くの人々の意見を聞く機会も極端に少なかったし、業界の代表者が業界内の意見を取りまとめて、要望書といった形で提出できたところも少なかったんだろうと推察できます。  そういう意味では、選定された事業者であることの合理性や、事務手続の合理性等については、少なからず疑問点が出てくることも致し方ないかなというふうに思わざるを得ません。みんな大変だったんですから、なかなか情報も行き交わないしですね。  そんな中でも、声を上げにくいはり、きゅうやマッサージの人々であるとか、代行運転の方々に、県からの支援の思いが現金という形で届いたことは、本当に人ごとでありながら、私自身のことのようにうれしく、よかったですねと本当に深く感謝をいたしております。  私が今回のこの事業で問題意識を持っているのは、基本は県政に声の届きにくい業態、そして、「佐賀型 宿泊施設支援金」についてであります。  僕も様々な業種を知っているわけではありませんし、ただ、世の中には声の届きにくい業態というのも確かにあります。特に飲食産業であるとか、ホテル、旅館等については目につくし、企業規模も大きいし、その存在自体も大きいから、出会う回数も多いし、情報発信の力が声の届きにくい業態とは全然違います。  例えば、「佐賀型 宿泊施設支援金」では、観光連盟や観光協会などへの加入が支援金給付の条件となっています。県としてもこの現金給付という施策は、僕も長年この今の仕事をさせていただいていますけれども、なかなかそういうことはありませんでした。そういう意味からしても、行政はこの現金給付という施策にあまり慣れていないということもあろうかと思いますので、観光連盟や観光協会などを一つの窓口として事業を実施するといったことも理解はできます。しかし、農家民宿やゲストハウスなどの宿泊施設が、観光協会や旅館組合への加入が交付要件としたのは行き過ぎではなかったかと。施策と目的が混同してはいないかと。この支援金が本来の目的、ダメージを受けたところの再生であり、見舞金みたいなものなのかも分かりません。しかし、その本来の目的を薄めて、観光協会自体の加入促進資金という目的になってはしないかと。別にそういうことではないんでしょうけども、結果的に目的になってはしないかと疑問に思ったりもします。  当たり前ですが、国の持続化給付金では、経済が痛んで商工業者にダメージを与えた、再生をさせる、そこで、商工会、商工会議所などの団体に加入されている方に給付するというわけではない、全ての人たちが条件であります。全ての人たちが資格を持つわけであります。  実際多くの宿泊施設が影響を受けており、観光協会や観光連盟などへの加入の有無にかかわらず、宿泊施設は観光産業に関わるものと位置づけて支援の対象とすべきであると思います。  何よりインバウンド誘客に取り組む県の方針からすれば、簡易宿泊施設の許可がある農家民宿やゲストハウスは、実際多くの外国人にそのサービスを提供して、佐賀県が最も得意とする日本の農村の原風景のすばらしさや佐賀県民の真心を外国人に伝え続け、まさしく県の方針に沿う宿泊施設であるのに、ただ観光協会等に加入していないというだけで支援の対象になっていないということは手続上の間落ちのように思えてなりません。  また、レジャーホテルについては、温泉旅館やリゾートホテル等と同じく滞在を目的に利用される宿泊施設の一つであり、今では外国人観光客や家族連れも宿泊されるホテル業であり、業態の特性から山間地や湖畔にひっそりたたずむ営業形態であったがゆえに、七、八年前になりますかね、広告看板の規制に関する県の条例の制定で営業上のダメージを今も被り続けておられます。そして、何より一部業態への偏見からか、政府の持続化給付金すらいただけない壊滅的な状況となっております。  人の移動が自粛させられれば、ホテルの経営は根本から成り立ちません。そういう意味では「佐賀型 宿泊施設支援金」の対象として扱ってあげるべき事業者の皆さんだと私は思うんであります。  さらに言えば、葬儀場とて同じです。葬儀場も現下の感染症対策の影響で式典の小規模化が極端に進んでおることは佐賀新聞のお悔やみ欄を見れば、一目瞭然となっております。この間、私も幾つかの葬儀に参列させていただいたのですが、この葬儀の変容ぶりが一番大きかったと思います。  この霊柩事業は、ウイルスだろうと自然災害だろうと、どんな状況でも常に二十四時間体制で御遺体を搬送する、その搬送業務に当たらなければならないという半ば社会的、公共的な事業であります。結婚式場の機能を有するホテルを支援するのであれば、亡くなられた方をお見送りする、そういった世の中の陰で社会を支え続ける葬儀場も支援金の給付対象と私はするべきだったんだと思っています。  そして、観光ホテルや大手旅館などと比べても、どちらも日が当たりづらい。霊柩事業者なんていうのは基本的に御遺体の尊厳というか、お金もうけのためにやっているわけではありませんというような姿勢が建前としてあるんだろうと思いますね。お金の話はなかなか控えてというような状態の中で声を上げづらい業種であります。  法の下の平等の原則から考えてみても、観光的側面を有する宿泊業であり、もう一方の葬祭場などは絶対的に必要な業種であります。全ての事業者を支援できるわけではないともちろん分かってはおりますが、ある程度合理的説明のつく事業者についてはぜひ県内経済を支える皆さん方が、佐賀県を通じて少しでも前を向く力になれるように取り計らっていただきたいとの思いから、以下の点についてお伺いします。  一つ、農家民宿、ゲストハウスの支援についてであります。  「佐賀型 宿泊施設支援金」において、全ての農家民宿、ゲストハウスを支援の対象とすべきと思うがどうか。  二、レジャーホテル、葬儀場等への支援についてであります。  レジャーホテルや葬儀場等、支援の対象から漏れた事業者の声は知事に届いていたのか。これらも改めて支援の対象とすべきと思うがどうか、以上二点について知事にお伺いいたします。  大トリにふさわしく、最終最後は九州新幹線西九州ルートの話であります。  昨年の九月議会以来、十一月、二月と、この新幹線の問題を取り上げてきましたが、残念ながら知事との議論は全くかみ合わない。恐らく今から質問する内容も全くかみ合わないかもしれない。知事がフル規格に反発する人々に配慮されているからかどうか私は分かりませんが、新聞にはそのようなことも書いてありますのでね。フル規格には反対、反対と強く言い過ぎるがゆえに、フル規格の導入に夢をはせる者たちとの間に大きな亀裂を生み始めているように思います。これが将来県政を二分するような動きになるのではと私自身は大変憂慮をしています。私たちのお仕事は三百六十度にわたって様々な事業があって、知事と一緒に信頼関係の中で様々なことを事業としてやっていかなきゃならんのに、一つの鉄路、これも大きな事業ではありますが、この鉄路のことをもって県政を二分する、人間関係が破綻する、そのような状況になっては私はいかんという思いから大変憂慮しています。  県民の中にも様々な意見を持っていらっしゃる方もいるし、議会もまた同じであります。しかし、どこまで行ってもこれは県勢浮揚を願わんがための思いであり、行動なのであります。  知事には、反対派も推進派も含めていろんな考え方がいらっしゃることを踏まえて、オール佐賀県で、佐賀県のためにこの問題に対処していく、そんな気位で事に当たっていただきたいと思います。  一つ、国との交渉に向き合う姿勢についてであります。少し長くなります。  国との交渉に向き合う姿勢についてということでありますが、知事の見解は昨日の公明党の中本議員に対する答弁でよく分かりました。私は、ほかの議員さんに対する答弁でも同じことを何度も言われていたのでよく分かります。しかし、私は政府に対する発言や態度はいかにもきついと感じます。  佐賀県は新幹線の問題で政府にだまされました。何より私たち佐賀県の代表である知事自身が与党PTに全くないがしろにされたというような結果を得ています。そういうことに関する不信と憤りがあるのも私自身も分かります。佐賀県議会の議員の一人として、県民の一人として。いや、それにしても、政府は佐賀県の友達ではありません。佐賀県を支える唯一無二の機関なわけですから、県の立場をきちんと言うべきことは言うとしても、その振る舞いにおいて、物言いにおいて、政府の心証を明らかに悪くして佐賀県民が不利益を被ることがないように、私は願っております。新幹線の問題について、私は遠い未来の話ではなくて、現在のまさしく政府及び佐賀が抱える今の問題として誠実に向き合ってほしいと思います。  少し具体的な話を始めますが、知事は五択と言いました。スーパー特急、フリーゲージ、対面乗りかえ方式、ミニ新幹線、フル規格の新幹線。しかし、スーパー特急は現在そもそも存在しません、ないんです。フリーゲージトレインも実際的な商業ベースでの開発の成功が見込めず、今のところこの世にはない。ないものを五択の中に入れて、今何を話し合おうというのだろうかと。どういう協議をするのか私には全く想像がつかない。仮にその結論がスーパー特急になるにしても、フル規格仕様で県費も入れて六千億円もかけて造ったあの強大な鉄路は壮大な無駄となりますし、さらに、狭軌の線路を引き直させるということになる。そのようなことを長崎県や政府がのめるんでしょうか。  そしてまた、知事は昨日アセスメントの件で政府は無駄な税金を投入しようとしているかのような意見を述べておられましたが、こちらの無駄にさせようとしている投資のことをどう評価するのかということになります。  フリーゲージトレインもしかりであります。私たち議会は当時、特急と置き換わるだけの時間短縮効果が五分か三分のフリーゲージトレインに何の意味があるのかと当初大反対をした。しかし、この軌道可変装置を使えば、標準軌に乗り換えることができるとし、結果、山陽新幹線に乗り入れられて新大阪まで直通で行けると、当時の県執行部が一生懸命説得するし、説明をするから、皆、必死の思いで納得をして、(「違うだろう、国だよ」と呼ぶ者あり)つらい、本当につらい葛藤に耐えてフリーゲージトレインに苦渋の決断をしたものであります。それを簡単に山陽新幹線に乗り入れることにはこだわらないとはどういうことでしょうか。それではただの特急であり、あれだけ県を二分して大騒動して、二百億円以上の資金を投入して、何のフリーゲージトレインなのでしょうか。  余談ですが、その当時、佐賀県は、今日も少し話があっておりましたけども、佐賀県は財政も破綻寸前のような時代で、当時でいう二百億円は本当に大きな買物でした。執行部からフル規格の購入には貸付料や交付金の話など全くありませんでしたし、二千億円もの巨費がかかるとだけの説明でしたので、現下の財政状況の中で誰しもがフル規格の新幹線など夢想だにできなかったんです。ですから、木原議員のあの質疑ということにつながっていくわけであります。  話は元に戻りますが、対面乗りかえとて同じです。JRは既に堂々とした株式会社であり、利益を追求する民間の営利法人にすぎません。JRに、幾らかつての国有鉄道時代の幻影を見ても、期待しても、現実に存在する赤字路線の縮小、廃止の流れを幾ら政府でも、どこの自治体でも止めることはできません。対面乗りかえが続く結果として、将来にわたって整備新幹線の収支採算性が成り立たなければ、経営上の大きな問題となれば、そのとき私どもが地域の足として実際に必要としている赤字路線の在来線も、JR側の経営判断として廃止、縮小の流れを止めることはできません。  ミニ新幹線は建設期間中バスで代行しなければならんといいます。これも在来線に乗る方にとっては長期にわたって、十年以上にわたって多大な負担を強いる結果になりますし、実際的にこれを利用客に受忍させることができるかというのは甚だ疑問であります。  最後に、新幹線フル規格は私たちにとってあまりにも高額な買物のように見えますし、並行在来線の問題だってある。何ら手を施すことがなければ、本県においては費用対効果が一を割り切るであろうこの施設を、簡単に今のスキーム、今の法律で購入するには無理があるという主張もそれはそうだろうと思います。  そういう中で県は、かたくなまでに新幹線での整備にのみ反対の姿勢を示しておられますが、現下の問題として扱ったときに、現実的な選択肢はもう本当ごくごく限られており、どれもひとしく一長一短はあります。しかし、現実的には幾ら時間をかけてじっくり話し合ったにせよ、相手もあることですから、十年は話し合うことはできません。そういう意味では、本県の鉄路全体の今と将来をどう選択するかという判断からは決して逃れることはできないんであります。  そうである以上、殊さら新幹線にのみ反対の姿勢を取り、議論を矮小化させてはならぬと思います。くどいようですが、今のような状況では、今後、国との協議は建設的な議論となり、県民が望むような最適解が得られるかは甚だ疑問であります。  そこで、次の点についてお伺いします。  国との交渉に当たっては、いたずらに対決姿勢で臨むのではなくて、誠実にこの問題に向き合い、お互いをある程度信頼し合って、知恵を出し合って、県民にとっての最適解を導くべきであると私は思いますが、知事の御所見をお伺いします。  二番目、交渉の在り方についてです。  次に、今回の国との協議、その交渉の在り方についてお伺いします。  そもそも国やJR九州がフリーゲージトレインなる新幹線車両を責任持って開発すると言い、そして、その車両の山陽新幹線への乗り入れを約束するからとの条件で当時の議会は可決を見ました。殊さらこれを言い募るつもりもありませんが、今もその苦労はありありと覚えています。場所はここですからね、第一委員会室でしたっけ。  国やJRは自ら当車両の導入を持ち出しながら、一方的に開発を断念し、山陽新幹線への乗り入れを拒否し、当車両が高価過ぎるのでやはり購入しないという結果になりました。我々が国との多額の契約をし、払込みを続けている最中の出来事であります。これでは本県がこの点において政府及びJRに不信感を持つのは至極当然であります。  国及びJRは、当時、協議を通じて佐賀県に対し、正式に事ここに至った責任の所在を明らかにし、和解を求めてしかるべき補償を結ぶべきであると思います。残念です、すみませんでしたで済む話では毛頭ありません。  そもそも鉄道・運輸機構がフリーゲージ車両を開発しても、JRとしては高ければ買いませんよということならば、JRが買わなければこの話は成立しないということになり、我々もそのような不確かな申入れを受けることはなく、契約には至っておりませんし、政府も開発に最大限の努力はしますが、開発の責任まで、完成の責任までは負えませんということであれば、その不安定な申入れにはやはり反対をしたはずです。  当車両を開発でき、通常車両同等の価格であって、JRが購入しても、この車両のスピードでは山陽新幹線のダイヤ編成が成り立たないかも、このダイヤ編成の中に置くことはできないかもと先に言ってくれれば、やはりそれはただの特急の置き換えにすぎず、契約には至らなかったと思います。  つまり、本県には国やJRの責任で失敗したフリーゲージトレインの受益を一切受けられずに、所与の約束分以上の支払いを続けていることに対し、国は責任を取るべきです、と主張する権利があるはずです。その点については、県はこの協議の過程でしっかり議論し、その交渉の成果を選択したいずれかの方式にしっかり生かしていくべきであると思います。  ここで一応私の立場を明らかにしておきますが、私はやはり現実的な選択として、この新幹線問題はフル規格において結論を得たほうがよいと思っています。  我が国において、将来にわたって国土の均衡ある発展を目指して大量高速輸送ネットワークを形成していくためには、現在の地元自治体の属地主義的負担に基づいた申請主義、現在の地元自治体の属地主義、応益主義ではないですね、かかった距離に負担をさせる、かかった距離の割合で負担をするという属地主義的負担に基づいた申請があれば採用するかも、採用しますという考え方では、おのずと限界が出てまいります。とある都市と都市とを新幹線で結べば、その地域全体には大きな投資効果が期待できても、属地主義的な負担に固執すれば、その途中に投資効果があまり期待できない県、この場合は佐賀県になりますが、そういった県が必ず出てまいります。されば、必ず隣県や政府の期待をよそに申請を上げられず、結局、ネットワークは結べないということになります。  そういう意味では、今回の事案はよいきっかけです。今日は稲富議員もその旨、その種の発言をされておりましたが、そういう意味では、今回の事案はよいきっかけです。政府やJRの責任の問題だってあります。このことを担保に負担のスキームを変えてもらい、支払いの金利や期限を変えてもらい、安心してフル規格の新幹線建設に取り組めるよう、本県として新幹線整備法の成立に臨むことは、そんなに間違った考えではないと思います。  改めて質問に戻りますが、もう一つは、交渉の在り方そのものでございます。  本当にこの協議をまとめるつもりがあるならば、現実的な問題として、交渉の過程を衆人環視の中、一切オープンにして、お互いがお互いの筋論をぶつけ合うだけの場にはしていけないと思います。  もちろん、交渉のプロセスを県民はもとより、国民周知の中で行うことは一見公正な議論のように見えますが、それでは県民や県議会の目線、政府や国民の目線、関係者の目線の重圧を受けて、全く型どおりの議論しかお互いできません。協議の結論を得るのは難しいと思うんであります。何より、このような本県百年の輸送の大計を占うような壮大な事業を、幾ら担当部とはいえ、一部長、一部局に任せていいのかということもあります。  私は政治家としての知事が先頭に立って、大臣をはじめとして与党幹部、与党PTのメンバーなどと地元選出の国会議員とともに精力的に協議をして初めてまとめ上げられるもの、そういう大きな問題であるという認識を持っています。そして、その姿勢を受けて、私ども議会人も、政治家として知事はじめ南里部長と連携し、これを助け応援することができ、結果、県、そして議会もその結論に対して共同して責任を負えるものだと思います。  そういう意味では、佐賀県が持つ人的ネットワークを駆使しながら、総合的、重層的、複合的な調整の中で交渉に挑むべきと考えますが、今後の交渉の在り方について知事はどのように考えているのか御所見をお伺いします。  最後、三番目、環境影響評価の手続に関する鉄道局からの提案についてです。  十六日に、国土交通省鉄道局から県に対して、「『幅広い協議』の対象となる五つの整備方式の全てに対応できる環境影響評価の手続きについて」という提案がありました。これはマスコミで発表もされておりましたし、私どもの机にも乗っていたペーパーでございますので、皆さんも御承知のとおりであります。  これに対し、県からはその日のうちに「不同意と回答した」と本会議で答弁されておりました。これでは、政府からの重要な提案に対して真摯に向き合っていると言えるのか甚だ疑問であります。  知事や執行部においては、手続の不透明さ、直接その場で言えばいいものをといろいろ心の中で思うこと、思わず口に出しちゃうようなこともあるのかもしれません。しかし、正式な対応として、即日「不同意」と回答する。それではやはり、何度も言うようですけれども、先に申し上げたとおりに、この案件、こういった提案、この協議に対して真摯に向き合っていると言えるのかということは、やっぱり甚だ疑問だと皆が思うのかもしれません。  本県が言う五方式の全てに対応できるこの提案については、フル規格決め打ちのものでも、佐賀県の負担が生じるものでもありません。佐賀県としてこれを受けないどころか、にべなく即日にこれを断るとは、政府の、この協議に向き合う本県に対する信頼や期待を著しく損なうものであると言えます。  結論は別にフル規格じゃない可能性だっていっぱいあります。最適解を選べば済む話。ですが、政府との人間関係というか、信頼関係というんですかね、政府の、この協議に向き合う本県に対する信頼や期待を著しく損なうような対応はいかがかなと思うんであります。  政府としても相当な知恵を絞って提案したものだと思うし、議会としてもこの点についてはしっかり議論するべき案件だったなと思っています。  さきの確認文書については、少し時間をかけて我々議会の意見も聞きながら調整されたと思いますが、今回は、五方式でのフラットな議論を可能にするこの重要な案件について、十分な議論を得ずになぜ即日に回答するということになるのか、知事の見解をお伺いいたします。  改めてもう一点、私は県民の受益に関する機会損失を思っています。どんな公共事業でも、認可が下りればすぐに用地測量や設計が始まって、用地買収、そして工事着手、竣工と思いたいのですが、常に、ありゃ、環境影響評価かということが問題になって、何年ぐらいするんですか、四年です、五年です、そがん先ねという話。あらかた何にしても大体四、五年はかかるもんですね。結局はいずれの形で結論が出るにしても、得られたその状況下においては最適解のはずであります。みんなが真摯に向き合って協議をした結論ですから、何であったにしても最適解のはずだと思います。そうすれば、県民の皆さんにはなるべく早く受益を得てもらいたいと思うのは、決めた私たちの心情だし、決められた県民の皆さんたちの心情だと私は思うんですね。  整備手法が決まり次第、速やかに整備に着手できるように、国と県との「幅広い協議」は協議として進め、県は国の提案に対し、私は同意すべきだったと考えますが、知事の御所見をお伺いして、一回目の質問とさせていただきます。(拍手)
    34 ◎山口知事 登壇=藤木卓一郎議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症対策によって影響を受けております事業者への県独自支援の考え方についてお答え申し上げます。  新型コロナウイルス感染症対策として、外出自粛や休業要請を行いましたので、多くの事業者、そして生産者も厳しい状況にあります。  そして、支援は迅速性を求められ、限られた時間での対応が必要であったことから、少々粗くなっている部分もあると認識しています。  そうはいっても、貴重な税金でございますので、一定の線は引かなければなりません。様々な声を聞き、議論をして、悩みながら、少しでも早く県の支援が届くように対応してまいりました。  もちろん、具体的にも様々な検討を行いましたので、県独自支援の対象から漏れた事業者がいることも承知しております。今回の支援策が十分だとは言わないまでも、県内経済を支える事業者の方々が少しでも前を向いていく力になればと思っております。  民泊やゲストハウスへの支援、葬儀場等への支援など、具体的な事項につきましては関係部局長から答弁させます。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについて、西九州ルートに関する国との協議に向き合う姿勢及び今後の交渉の在り方についてお尋ねがございました。  私は真摯に議論するための協議の場ができましたので、お互い正々堂々とオープンに議論を闘わせればよいと思います。鉄道局にも真摯に協議に向き合っていただきたいと思っておりますが、先日の環境影響評価に関する提案というものが別のところからございました。私はフル規格の実現に向けて、ひたすらに突進しているという印象を拭えません。佐賀県はどこまでも愚直に、真摯に、強い気持ちを持って協議に向き合いたいと思います。  続きまして、環境影響評価に関する鉄道局からの提案についてのお答えを申し上げます。  環境影響評価は、事業実施が前提として行うものと考えています。そして、我々はフル規格とミニ新幹線については合意しておりません。  そのほか、補足、鉄道局からの提案に関する御質問につきましては、地域交流部長から答弁させます。  以上です。 35 ◎進政策部長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症対策に係る県独自支援についての中で、レジャーホテル、葬儀場等への支援についての考え方について答弁いたします。  新型コロナウイルス感染症により影響を受けている方々への支援につきましては、コロナウイルス影響の全体像、また先行きがはっきりしない中ではございましたが、迅速性が必要という認識の下、走りながら対応してきたところでございます。  非常に多くの方が厳しい状況にあり、できるだけ支援したい、しかし、財源には限りがある。そうした中で、県内の状況を見ながら休業要請の対象だろうか、どのような業種が特に痛んでいるのだろうかなど、個別に判断してまいりました。  具体的な支援策を考える際には、業種を問わない面的な支援と、施策の意図を持って個別業種を支援する制度と組み合わせながら、また、国の支援策も見ながら検討してまいりました。  業種を問わず対応するものといたしましては、いち早く中小企業への貸付金、新型コロナ対策資金の制度を創設いたしました。また、事業者の皆様方におかれては、国の持続化給付金も活用されていると思います。  その上で、個別には議員から御指摘のありました、例えば、葬儀場でございますが、結婚式場と併せまして議論、検討いたしました。結婚式、披露宴は中止か延期がほとんどと聞いておりました。一方で、葬儀場、葬儀は規模を縮小、確かにこれは議員御指摘のとおりですが、縮小はしている。しかし、実施はされることは多いのではないか。また、結婚式場について、確かに厳しいかもしれないが、一定のキャンセル料というものはあるのではないか。  一方で、結婚式を挙げることができなくなった新婚の方々、新たな門出を後押しすることができないかなど、そうした議論を重ねました。その結果、結婚式について直接的に結婚式場を応援するということではなく、新たな人生をスタートするカップルに向けた「さがウエディング祝福プラン」というものを創設したところでございます。  また、レジャーホテルについても御指摘がございました。こちらについては、宿泊施設や観光施設の支援の検討の際に議論をいたしました。後ほど担当局長から答弁があると思いますが、この観光施設の支援につきましては、日韓関係の悪化、昨年の豪雨災害、それから、今回のコロナの影響でトリプルパンチを受けている上、外出自粛の影響が甚大であるということ、それからまた、今後の佐賀県観光を支えていく方々として支援したい、支援するべきではないかというふうにしました。  一方、御指摘ありましたレジャーホテル──これは具体的には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、いわゆる風営法の届出をした者になりますが──につきましては、一般に観光客を受け入れる施設とはなかなか想定しづらいのではないか。また地域と一体となって観光客の誘客、観光振興に取り組んでいる施設とは言えないのではないか、そうした議論を重ねまして、対象外とさせていただいたところでございます。  このように、様々検討しながら、悩みながら、走りながら講じてきた現在の支援策でございます。必ずしも十分な金額ではないかもしれませんが、県議会や県民の皆様の御意見を踏まえ、現場の痛みをできるだけ感じ取り創設してきたところでございます。  特に、今回は議員からも御指摘ありましたが、現場を直接見て回る、また、直接声を聞きに行くということがしにくい状況でございました。まさにその声を挙げづらい方々への配意が十分なのだろうか、そういったところについて、今回特に議員の先生方にも、私も何回も御意見を伺いながら検討させていただいたところでございます。  財源が無尽蔵にあるわけではない中、どのような店舗を対象に支援するか、県民の納得も得られるかなども含め、できる支援を少しでも早く届けたいというふうに考えて対応してきたところでございます。  以上でございます。 36 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートの御質問について、知事の答弁を補足させていただきます。  環境影響評価に関する鉄道局からの提案についてお答えを申し上げます。  六月十六日の夕方に幹線鉄道課長から私に電話がありまして、メールを送ったという電話でありました。そしてメールにお配りしております提案書が添付をされておりました。  中身は、「『幅広い協議』の対象となる五つの整備方式の全てに対応できる環境影響評価の手続きを実施する」ということと、「佐賀県に同意がいただける場合は、今夏から環境影響評価の手続に必要となる調整を開始したい」というような提案でございました。  それで、五つの方式の全てに対応できる環境影響評価を行いたいということでございましたけれども、これは知事からも先ほど話がございましたけれども、そもそも環境影響評価は、普通は事業実施が前提でございます。そして、佐賀県はフル規格とミニ新幹線については合意をしておりませんので、環境影響評価を実施すること自体があり得ないというふうに考えております。  また、新鳥栖─武雄温泉間の在来線をそのまま利用いたしますスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式につきましては、既に事業認可や変更認可が行われたものでございますので、そもそも環境影響評価が必要なのかという疑問がございます。そして、平成三十年三月三十日の与党検討委員会に鉄道局が報告されました資料、これは比較検討結果の資料でございますが、この中では、フリーゲージトレインは環境影響評価が不要と明確にされておりまして、一方で、フル規格とミニ新幹線は必要というふうに書かれておりました。  したがいまして、私としては、実質的にはこれはフル規格とミニ新幹線のための環境影響評価ではないかと判断したところでございます。  もう一つ、先日六月五日に課長といろんな議論をいたしまして、協議に入って、今からいろいろ幅広く議論を行っていくこととした矢先に、正直このような提案がなされたことは何なのかなという気持ちもございます。  そうしたことから、この提案につきましては佐賀県として同意できないことを、提案があった当日、十六日でございますが回答をしたということでございます。  なお、議員の質問の中で、スーパー特急は存在すらしないというお話がございましたけれども、スーパー特急方式は、平成二十年三月に国が武雄温泉─諫早間の整備方式として認可をされております。  また、新潟県にあります第三セクター鉄道の北越急行ほくほく線では、平成二十七年三月ぐらいまでだと思いますけれども、特急「はくたか」という列車が時速百六十キロで運転をされておりました。時速二百キロで走るスーパー特急が開発されるまでの間、新線区間と在来線区間を在来特急の「かもめ」で直通させるという方法もあろうかと思います。  そして、「幅広い協議」では、このスーパー特急方式の実現についても真剣に議論するということとしておりますので、いろいろな可能性を幅広く議論すればよいのではないかというふうに考えております。  私からは以上でございます。 37 ◎平尾県土整備部長 登壇=私からは、大きく二問お答えをいたします。  一項目め、災害復旧工事の円滑な実施について三点お答えいたします。  まず一点目、災害復旧工事の施工実績の評価についてです。  河川や道路などの公共土木施設は、県民生活の安全・安心を支える重要な社会資本であり、地元の方々や建設業者の御協力のもと、被災箇所の速やかな復旧に取り組んでいるところでございます。  昨年度の公共工事の入札におきまして、一時的に不調、不落が生じましたことから、技術者不足に対応するため、現場代理人の兼任要件の緩和や入札参加資格の地区要件の緩和などの取組を行ってきたところでございます。  災害復旧工事の入札におきまして、不調、不落が生じますと、結果的に工事着手が遅れることから、建設業者にとって災害復旧工事の受注意欲が高まる工夫は必要であると考えております。  こうしたことから、建設業者の受注意欲につながるよう、災害復旧工事の施工実績の評価などについて、現在、国や他県の事例を参考にしながら、様々な視点で検討を行っているところでございます。  続きまして二点目、迅速な災害復旧の取組についてです。  災害復旧を迅速に行うためには、現地調査や災害査定、工事の発注実施など、それぞれの段階を円滑に行うことが必要でございます。  災害復旧の工事につきましては、通常の公共工事と同様に、計画の段階から工事に必要な仮設道路などの仮設計画に不足がないよう事前の検討を実施しております。個々の現場の条件を調査し、大型の重機が入らない現場では、条件に見合った小型の重機で積算を実施しております。  こうしたことなどにより、現場の状況に応じた工事内容に見合った経費を工事価格に反映させるよう努めることとしております。  また、当初は想定していなかった工種を増工する必要が生じた場合には、受注者と協議を行い変更設計を行うこととしております。  昨年八月の佐賀豪雨災害での被災箇所については、復旧工事の完了していない箇所も残っており、早期復旧に向け工事が現在進められているところです。工事の設計や設計変更につきましては、先ほど申し上げました仮設計画や現場条件、また受注者とのしっかりとした協議、こうしたことを適切に行うように、各土木事務所に改めて周知徹底をするように行います。  災害時に現場の最前線で対応をしていただいている建設業者の方々が、災害復旧についても受注意欲が湧く環境を整え、円滑な災害復旧を進めてまいりたいと考えております。  続きまして、三点目でございます。  県建設工事の登録業者数についてです。  県では、公共工事の品質確保の観点から、工事の内容や規模に応じて技術力や経営力を有する適正な建設業者を選定できるように、二年ごとに客観的な入札参加資格の審査を行っております。  審査を経て業種ごとのランクをつけ、いわゆる等級格付を行っております。例えば、土木一式では、特、B、Cの四等級の格付を行っており、格付を受けた建設業者が登録業者となります。  登録業者数につきましては、社会経済の動向や公共投資額の推移見通しなどを見ながら決定をしているところでございます。  近年の公共投資額につきましては、おおむね安定して推移していることから、平成二十五年度以降、等級ごとの業者数の見直しは行っていない状況でございます。  昨年度の公共投資額については、経済対策や災害などもあり増加をしておりますが、公共投資額の動きにつきましては、単年度の変動ではなく、中期的な視点で見ていく必要があると考えております。  また、県といたしましては、公共工事の品質確保の観点から、等級ごとに一定の技術水準を求めており、等級ごとの登録業者数を増やすことについては慎重な対応が必要であると考えております。  一方、頻発する災害への対応は重要な課題でございます。引き続き県民の安全・安心を図る観点からも、災害復旧工事の早期完成に向けしっかりと取り組んでまいります。  続きまして、大きな二問目でございます。県管理河川におけます遊水地整備についてです。  遊水地は洪水を一時的に貯留して河川の水位を低下させることで、河川堤防が破堤し、氾濫する危険性を低減させたり、支川からの排水が円滑になるなど、洪水時における地域の浸水リスクを低減させる施設でございます。  県管理河川では、これまで嬉野市の塩田川や伊万里市の新田川で遊水地などの整備をしております。  遊水地整備の検討に当たりましては、整備の効果、堤防と周辺地盤の高低差などの地形的な条件、建設コスト、こうしたことなどについて調査検討を行い、候補地となり得るかどうかを判断していくこととなります。  遊水地の整備においては、遊水地内の土地利用の在り方について、地権者をはじめ地元関係者の理解を得ることも重要でございます。そのほかにも道路や水路などの既存施設の付け替えなどに関する調整、協議、また河川法に基づく河川整備計画の策定、変更も必要となります。こうしたことから、相当の期間を要することもございます。  遊水地整備はこうした調整などがあるものの、治水対策の有効な手段であることから、今後も河川整備計画の策定や変更を行う際には、選択肢の一つとして検討を行ってまいりたいと考えております。  また、県内では、令和元年佐賀豪雨を受けて、六角川水系緊急治水対策プロジェクトとして、遊水地の整備のほか、クリークやため池といった既存施設を利用し、洪水や降雨を一時的に貯留する取組も推進していくこととしております。  県といたしましては、このような河川改修以外の取組も参考にしながら、治水対策や浸水被害対策に流域全体で取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 38 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症対策に係る県独自支援についての質問のうち、農家民宿、ゲストハウスへの支援についてお答え申し上げます。  地域の観光を支えているホテル、旅館などの宿泊施設は、今回の新型コロナウイルス感染症の影響によりまして人の動きが止まり、大きな痛手を負っております。  そのような観光の基盤となっている宿泊施設の灯を消さず、コロナ収束後においても引き続き地域と一体となって佐賀県の観光を支えていただく方々を支援する趣旨で、このたび宿泊施設支援金を創出いたしました。  知事も答弁しましたように、今回の宿泊施設支援金を議論するに当たっては、その対象をどうするのかというかんかんがくがくの議論をいたしました。  宿泊施設には旅館、ホテルをはじめとして農家民宿やゲストハウスなどの簡易宿所も含め様々な営業形態がございます。  先ほど申し上げましたように、この支援金はコロナ収束後に向けて、地域一体となって観光振興に取り組んでいただく宿泊施設を支援したいという趣旨から設けたものでございまして、その趣旨からすれば、地域と一体となって観光客の誘客や観光振興に取り組むということにならないような、例えば、学校や企業の研修施設とかキャンプ場、あるいは風営法の届け出をなさったレジャーホテルなどは、この趣旨からすると外れるということでカテゴリーとして外しました。  また、地域と一体となって観光振興に取り組んでいただくという趣旨から、その加入の要件といたしまして、地域の観光協会や旅館組合などへ加入をした施設を支援の要件としたものでございます。  ただし、未加入の農家民宿とかゲストハウスとかいうのもございまして、事業者の方から相談があった場合におきましては、観光協会や旅館組合がどういう機能を果たしているのか、佐賀県の観光にとってどういう機能を果たしているかというのを説明いたしまして、その趣旨を御理解いただいたところには、その観光協会に加入していただき、その場合については支援金の対象といたすこととしております。  私からは以上でございます。 39 ◎藤木卓一郎君 登壇=まず知事にお伺いいたしますが、先ほどのアセスの件についてなんですけれども、国土交通省鉄道局との信頼関係を損なう原因となった、その環境影響評価の話の出所というんですかね、何か別のところからというふうに言われていて、そこがよく分からないので、よく別のところ、別のところということなんだけれども、どういうことなのかということを、もし説明していただけるのであれば、説明していただきたいというのが一点です。  スケジュール感というんですけれども、スケジュール感を持たない。我々もそれに対応して議会で議論していくということになって、特別委員会まで設置して、今これから動こうという話で、執行部と連動しながらこの問題について議論の熟度を上げていこうとしているわけですね。  そういうことだから聞くんだけれども、執行部的なスケジュール感、もちろん、期限は求めないという、期限を求めるということはないんでしょうけれども、イメージとして大体どれぐらいの話なのかということをお伺いしたいということです。  あともう一つ、フル規格についてのお気持ちは、もともと分かっているんですけどね、このゼロベースで話し合うということを、よく三つは合意している、二つはゼロベースでじっくり時間をかけて。そのじっくりというのはどれぐらいのことを指しているのかということでさっきのスケジュール感なんだけれども、ゼロベースから話し合うというのは、ゼロベースというのはどういうような地平から話し合うのかということです。  最後になりますが、知事は南里部長を協議者として選定されまして、そこで鉄道局と丁々発止議論されると、オープンな形でやるという方向性でおありのようですが、僕は複合的にというか、重層的にというか、様々な人々と様々に関わり合いながらオープンじゃないところも、オープンであるところもひっくるめて、いろんな場面場面で協議をしていくべきじゃないだろうかと、交渉の熟度をそうやって上げていくもんじゃなかろうかと僕自身は思っているわけです。誰しもそう思っていると思うんだけれども、そうなってくると、南里部長を協議者と選定されている知事自身としては、もう部長にお任せしているので、この問題については、基本的にはタッチしないというような構えでおられるのか、そこら辺のことについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 40 ◎山口知事 登壇=藤木議員の再質問にお答えいたします。  西九州ルートに関して、まず、環境影響評価につきまして、別の場からということが分からないという趣旨で質問がありました。  この協議の場ができました。ですので、我々は、これからこの協議の場でお互い、正々堂々とオープンに議論をしていこうと思っていたわけです。ですので、もしそういう提案があるとすれば、協議の場で出していただきたいと思っておりました。  そして、何か腹案があるという話が出たときも、それは協議の場で出していただきたいと、要はその場でやりましょうということであったのに、何かメールで提案があったというような話、これは部長が詳しいんですけれども、という話であったので、次の協議を設定して、あれは、その協議の場で提案いただいたらよかったのになと思いましたので、せっかくできた協議の場というところ以外で物事が動くということについて、私は違和感を覚えたということです。  二点目についてですが、いつまでかかるのかということと、部長任せではないのかということなんですけれども、もし私が自分で対応してやるということであれば、五つの例であれば三つ、合意ができたもの、この三つを何らかの形で、場合によっては暫定的にでも何かやっていこうということで話がまとまるということになりそうであれば、様々、もう私が出ていく局面ということになるんだろうと思います。ただ、フルとかミニとかいうことになりますと、これは我々が言っているように、本当に幅広く、論点が多くて、ゼロベースからいろんな意味で、もうそれこそ事務的な積み上げも含めて整理が必要なんです。ですので、これは部長でしっかりと議論をしながら、一個一個の積み上げをして、それを県議会にもいろいろ相談もしながらやっていくような性格のものであって、様々な諸材料が集まっていない、それはもちろん、様々なルートから、財源から何からという段階で私が出ていくという段階ではないということを申し上げています。  以上です。 41 ◎議長(桃崎峰人君) 以上をもちまして一般質問を終了いたします。     ○ 委 員 会 付 託 42 ◎議長(桃崎峰人君) ただいま議題となっております甲第四十一号議案から甲第四十三号議案まで三件、及び乙第四十八号議案から乙第五十七号議案まで十件、以上の議案を皆様のお手元に配付いたしております議案付託表のとおり、それぞれ所管の委員会に付託いたしたいと思います。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 43 ◎議長(桃崎峰人君) 以上をもちまして、本日の日程は終了いたしました。  明日二十日及び二十一日は休会、二十二日及び二十三日は議案審査日、二十四日及び二十五日は各常任委員会開催、二十六日は議案審査日、二十七日及び二十八日は休会、二十九日は特別委員会開催、三十日は本会議を再開して委員長報告を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後六時 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...