佐賀県議会 > 2020-02-02 >
令和2年2月定例会(第2日) 本文
令和2年2月定例会(第2日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2020-02-02
    令和2年2月定例会(第2日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(桃崎峰人君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。     ○ 報     告 2 ◎議長(桃崎峰人君) まず、諸般の報告を行います。  上程中の議案のうち、乙第一号議案及び乙第十八号議案につきまして、地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第七項及び第四条第六項の規定に基づき監査委員の意見を、また、乙第一号議案から乙第五号議案まで五件、乙第十一号議案及び乙第十三号議案、以上七件の議案につきまして、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき人事委員会の意見を、また第六号議案につきまして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第二項の規定に基づき教育委員会の意見をそれぞれ求めましたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの回答がありました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 監査第一〇八四号 令和二年二月二十一日 佐賀県議会議長 桃崎峰人 様                 佐賀県監査委員 久 本 智 博印                    同    荒 木 敏 也印                    同    角   貞 樹印                    同    藤 木 卓一郎印    地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第七項及び    第四条第六項の規定に基づく意見について  令和二年二月十九日付け佐議第一七二〇号で意見を求められた左記議案については、意見はありません。         記 乙第 一 号議案 佐賀県職員の損害賠償責任の一部免責に関する条例          (案) 乙第 十八号議案 地方独立行政法人佐賀医療センター好生館の役員
             等の損害賠償責任の一部免責に関する条例(案)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 人委第一二一九号 令和二年二月二十六日 佐賀県議会議長 桃崎峰人 様              佐賀県人事委員会委員長 中野 哲太郎印    地方公務員法第五条第二項の規定に基づく意見について  令和二年二月十九日付け佐議第一七一七号で意見を求められた左記議案については、異議ありません。         記 乙第 一 号議案 佐賀県職員の損害賠償責任の一部免責に関する条例          (案) 乙第 二 号議案 佐賀県職員の服務の宣誓に関する条例等の一部を改          正する条例(案) 乙第 三 号議案 佐賀県職員の退職手当に関する条例の一部を改正す          る条例(案) 乙第 四 号議案 佐賀県職員特殊勤務手当支給条例の一部を改正する          条例(案) 乙第 五 号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正          する条例(案) 乙第 十一号議案 佐賀県公立学校職員特殊勤務手当及びへき地手当支          給条例の一部を改正する条例(案) 乙第 十三号議案 佐賀県義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関す          る特別措置条例の一部を改正する条例(案)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 教委総第三五九五号 令和二年二月二十一日 佐賀県議会議長 桃崎峰人 様                        佐賀県教育委員会印    地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第二項の    規定に基づく意見について(回答)  令和二年二月十九日付け佐議第一七一八号で意見を求められた左記議案については、異存ありません。         記 乙第 六 号議案 地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づく          事務の所管に関する条例の一部を改正する条例(案)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3 ◎議長(桃崎峰人君) 以上、御報告いたします。  日程によりまして、代表質問を開始いたします。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 4 ◎川崎常博君(拍手)登壇=皆さんおはようございます。本日、自由民主党会派を代表して代表質問をさせていただきます自由民主党の川崎でございます。  質問の前に一点だけ。私、去年の二月議会も、多分三日目だったと思います、一般質問をさせていただきました。くしくもその日も二月二十七日ということで、本日、我が会派の池田正恭議員の誕生日であります。去年もそういうふうに申し上げたと思いますが、多分、議員の誕生日は一生忘れることがないというふうに思います。なぜかというと、去年も申し上げましたが、本日、私の母の命日ということで、議員、改めましておめでとうございます。(「ありがとうございます」と呼ぶ者あり)  それでは、場も和んだことでありますし、本日、私は十八項目について、総括的に質問させていただきます。  まず一問目、県政運営の基本方針についてであります。  山口知事は、県民の負託を受け、昨年一月から知事としての二期目を迎えられ、平成から令和へと移った新しい時代のスタートとなる県政を担っておられます。昨年七月には、県政運営の基本となる「佐賀県総合計画二〇一九」を策定し、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」という基本理念に沿った県政運営を進められているものと考えています。この総合計画の推進に当たって、知事が掲げる「現場」「ミッション」「プロセス」というキーワードと、これを大切にする知事の姿勢自体は評価するものの、国政関連を含めて課題が山積する県政において、果たして丁寧なプロセスを踏んでいるのか、もっとスケジュール感を持った進め方が必要なのではないかといった案件も散見される状況にあります。  国際情勢や地球環境の変化、AIを使った技術の進歩など、速い流れの中に県民の暮らしが置かれている時代だからこそ、現場の実情をしっかりと見詰めた上で、先を見据えた県政運営をしっかりと進め、一つ一つ結果を出していくことが求められていると考えています。  また、山口知事は、県民が地域の魅力に気づき、佐賀県に誇りを持つことの大切さを常々口にしてこられました。県内の様々な場所での地域の資源を磨き、生かそうとする自発的な動きの後押しに力を入れていることや、佐賀県立博物館や美術館、佐賀城本丸歴史館などの文化施設での展示において、県民の佐賀への誇りにつながる企画が目立つようになったのも、こうした知事の思いの表れではないかと感じています。  この美術館・博物館、本丸歴史館などの取組については、私は近年、特筆すべきものがあるというふうに思っております。今後も期待しておりますので、職員の皆さん方には頑張っていただきたいというふうに感じているところであります。  知事が大切にしている「佐賀県のことが好き」という県民が増えているという流れは、佐賀県の未来に向けた光になるものであり、その流れを確かなものにすることで、佐賀県政は新たなステージのスタートラインに立つことができると考えています。  知事として二期目のスタートとなったこの一年の振り返りと、そして令和二年度の取組方針をどのように考えているのかお伺いをいたします。  次に二問目、財政運営についてお伺いをします。  本日の代表質問におきましては、医療、福祉行政、農林水産業や商工業の振興、災害対策を含めた社会資本整備など、県民にとって重要な分野について順次質問をさせていただきますが、県民の皆さんは各分野において、より手厚く、きめ細やかな行政サービスが提供されることを望んでおり、こうした県民の声にできる限り応えることが県政に求められています。  これに加え、県勢がさらに発展していくためには、将来を見据えた的確な投資を行うことが重要であります。有明海沿岸道路佐賀唐津道路などの幹線道路の整備、九州佐賀国際空港の滑走路延長などの社会資本を整備すること、また、幼児教育から高等教育までの質の高い教育を提供するための教育環境の充実、人材が不足する保育士や介護士などの分野における人材の確保、育成や処遇改善などの人への投資、さらにSociety5・0の社会を実現することや5Gを利用した新たなサービスを生み出すことに投資し、もって県内の各産業の生産性が高まることにより収益性を向上させ、人口の流出を抑制し、定住人口や交流人口の増加を図る。そして、こうして得られる投資の効果を、さらに投資に回していくという成長の循環を創出していくべきだと考えます。  ただし、投資を行う際は、成果指標を設定し、事業効果を検証する必要があります。一般的に財政面だけを考えたときに、採算が取れるものであれば民間が行い、採算が取れにくいものは行政が行うということになっておりますので、効果や成果が出にくいことは一定程度理解をいたします。県民の血税を投入して行う以上、具体的な数値による成果指標を設定するとともに、指標が達成できなかった場合は、その理由を検証すること、また、指標が達成できた場合にあっても、その事業効果を検証し、より最小限の投資で最大の効果が得られるように改善していくべきだと考えます。  事業の効果をきちんと検証し、県勢を発展させていくために必要な投資を行っていく財政運営とすべきだと思いますが、このことについて知事の御所見をお伺いいたします。  次に三問目、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてお伺いをします。  佐賀空港の自衛隊使用要請が佐賀県にあったのは、今から五年七か月前の平成二十六年七月であり、もうすぐ六年を経過することになります。国家の基盤である国土と国民、ひいては県土と県民の生命、財産を守り、我が国の独立と平和を守る礎である国防の重要性と、厳しさを増す安全保障環境を冷静に考えたとき、さすがに長い、こう感じるのは私だけではないというふうに思います。  国の中期防衛力整備計画に基づき、ちょうど一年前の平成三十年度中に、陸上自衛隊が導入するオスプレイ、以下、陸自オスプレイと申し上げますが、この陸自オスプレイの佐賀空港への配備を目指した防衛省はもっと長く感じていることだというふうに思います。  さきの十一月県議会において、我が党の留守茂幸議員が、「陸自オスプレイは、我が国でも置き場、行き場がなく、現在、米国にとめ置かれまして、米国に自衛隊員が出向きながら訓練を行っているという異常な事態」にあるということを指摘されましたが、昨年の十二月二十五日に木更津市長が、陸自オスプレイ木更津駐屯地への暫定配備期間を五年以内とすることなどを条件として受入れ表明をされました。木更津駐屯地への暫定配備が決まり、当面、異常な事態は回避される見込みとなりました。  このことによって、佐賀県は今後五年間の猶予をもらった、急ぐ必要はない、五年のうちにゆっくりと結論を出せばよいという声もちらほらと聞こえてきますが、河野防衛大臣が記者会見で、「最終的には水陸機動団との一体運用ということで佐賀に配備させていただきたいと考えている。」ということは明言されているとおりでありまして、あくまで五年以内の暫定的な措置であります。依然として最終配備地が決まっていないという国防政策上ゆゆしき状況にあることには変わりありません。国家の一部をなす佐賀県としても、できる限りの協力をして、一刻も早く国防政策上の問題が解決されるよう努める必要があると考えます。  知事は、一昨年八月に「防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議をさせていただく」との判断をされ、一昨年の八月、昨年の五月、さらには十一月と、三度にわたって有明海漁協を訪問され、有明海漁協にも防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の見直しに応じていただくよう申入れをされたところであります。  また、並行して、事業主体である防衛省による支所説明会も順次行われてきています。こうした粘り強い取組もあってか、最近は漁業者の方からも、国防のことであるから協力はせんといかぬとは思うとるというような声もちらほら聞こえるようになってきたようであります。  もうすぐ六年もたつと冒頭申し上げましたが、少しずつ、徐々にではありますが、漁業者の方々の理解も進んできているような感じがしているところであります。  佐賀空港の自衛隊使用要請への対応については、ノリ漁期が明けると正念場を迎えることになります。国防のため、計画実現に向けて知事にはさらなる努力をお願いしたいと思っているところであります。もちろん、我々自民党県議団としても、県議会での決議の重みを考えれば、さらなる努力をしなければというふうに思っているところであります。  また、有明海漁協の徳永組合長は、知事との面談の際に、防衛省は国防上の必要性を正面からしっかりと説明すべきとおっしゃったと聞いており、そもそもの事業主体である防衛省は、組合長の意見も踏まえ、有明海漁協の漁業者の皆様に誠心誠意説明をしていただきたいというふうに考えております。  正念場を迎える佐賀空港の自衛隊使用要請への対応について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の考えをお伺いします。  次に四問目、九州新幹線西九州ルートについてお伺いをします。  九州新幹線西九州ルートについては、昨年の十二月、赤羽国土交通大臣と山口知事の面談が行われ、新鳥栖─武雄温泉間に関する協議の在り方や進め方について、事務的に確認作業を行うことで一致したことを受け、一月十六日に佐賀県と国土交通省の間で事務レベルの面談が行われたところであります。  長崎県やJR九州がフル規格の整備を求めている中で、知事はフル規格が前提であってはならない、佐賀県の意思を無視して前へ進むことがあってはならないなど、国土交通省が求める協議に対する意見を述べられていますが、私もフル規格が適当といった結論ありきで議論すべきではないというふうに考えております。  国土交通省との協議においては、これまでに合意しているスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式の三つに、フル規格やミニ新幹線を含めた五択の中で、それぞれのメリット、デメリットを整理し、様々な可能性について真摯に幅広く議論することが肝要であるというふうに考えております。  また、地方負担や在来線の問題等の議論においては、国土交通省に具体的な数字や条件の提示を求めた上で、お互い納得できる内容を模索していく必要があると考えています。県議会としても、これまでのいきさつを踏まえ、それぞれの方式の是非を判断していかなければならないと思いますが、現状では議論に必要な数字や条件があまりにも不足しております。  県内で様々な御意見がある中で、結果的にフル規格は難しいとなるのか、それともフル規格で進めるべきとなるのかは現状では分かりませんが、知事が日頃から言われているとおり、プロセスを大事に、様々な意見に真摯に向き合って、佐賀県にとって何が一番望ましいのか考えていく必要があるというふうに思っております。  県では、協議の在り方に関して国土交通省の考え方の確認のため質問状を出され、先般、その回答が来たところであります。ここに「九州新幹線西九州ルートに関する『幅広い協議』に係る国土交通省への文書照会の結果について」ということで文書を頂きました。(資料を示す)こういったことは、今現状こういう知見というか、県の考えがあるんであれば、私はこういうものは早く国土交通省に返したほうがいいというふうに思っております。  ここには「今議会の議論を踏まえた上で」というふうに書いてありますが、いずれにいたしましても、早く協議に入って、議論の前提となる数字や条件を引き出した上で、議会での議論も踏まえながら結論を導き出していく必要があるというふうに考えておりますが、知事の所見をお伺いいたします。  次に五問目、エネルギー行政についてお伺いをします。  エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っている我が国では、国際情勢の変化や資源高騰などが起こった場合に電力供給や国民生活、経済活動に与える影響は計り知れないものがあります。  現状の我が国のエネルギー事情を考慮しつつ、地球温暖化対策として低炭素社会の実現を目指すには、平成三十年七月に閣議決定した国のエネルギー政策の中長期的な指針である第五次エネルギー基本計画で示した二〇三〇年の長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスの実現に全力を挙げる必要があります。  玄海原子力発電所が立地する本県においては、原子力発電にしっかり向き合いながら、私たちの暮らしや経済活動に影響を与える電気料金、地球温暖化への対応などを考慮し、佐賀県としてのエネルギー行政を推進していくことが必要であると考えます。  そこで、次の点についてお伺いをいたします。  まず、再生可能エネルギーについてであります。  太陽光や風力などの再生可能エネルギーについては、第五次エネルギー基本計画において、「主力電源化を目指す」と初めて位置づけられたところであり、安定供給やコストなど様々な課題はあるものの、脱炭素社会の実現に向けても積極的に導入されなければならないというふうに考えるところであります。  県においては、平成三十年三月に佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想を策定し、今年度には産学官連携による技術開発などを推進する「再生可能エネルギー等イノベーション共創プラットフォーム(CIREn(セイレン))」を設立するなど、積極的に推進されておりますが、再生可能エネルギーについてどう考え、今後どのような取組を行っていくのかお伺いをします。  次に、玄海原発についてであります。  原子力発電については、低炭素で重要なベースロード電源と位置づけながらも、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、依存度を可能な限り低減させるとされております。原子力発電に頼ることのない社会を目指すべきでありますが、現状においては原子力発電の活用はやむを得ないものと考えています。  しかしながら、あくまでも県民の安全が大前提であります。福島第一原子力発電所の事故から今年の三月で九年が経過しますが、多くの佐賀県民にとって、あの事故は他人事ではなく、今もなお不安を抱えている人もおられます。あのような事故が再び起こることがないよう県民の安全が確保されなければなりません。  知事は、立地県の知事として原子力発電についてどう考え、今後どのように向き合っていくのかお伺いをします。  この項目の三つ目、原子力防災対策についてであります。  原子力発電所において環境に影響を及ぼすような事故があってはならないが、万が一に備えた防災対策の充実は欠かせないものであります。  原子力災害時における避難計画について県は既に策定され、毎年避難訓練も実施されておりますが、本当に実効性のある計画となっているのか、災害時には計画どおりの避難は難しいのではないかというような不安の声も聞かれます。  今後、より実効性のある避難計画となるよう充実させていかなければならないと考えておりますが、どのように取り組まれていくのかお伺いをします。  次に六問目、有明海・玄海の再生及び振興策についてお伺いをします。  本県は、北に玄海、南には有明海という異なる魅力を持つすばらしい海を有しており、二つの海ではそれぞれの特性を生かした漁業が展開をされています。  玄海は、玄海国定公園にも指定される美しく壮大なリアス式海岸を有し、そこではマダイやブリなどの魚類や、カキや真珠などの貝類の養殖業が営まれ、また、呼子のイカとして重要な観光資源となっているケンサキイカや天然のマダイなどを対象とした漁船漁業が営まれております。  また、有明海では、最大六メートルにも及ぶ干満差を利用した日本一のノリ養殖や、サルボウをはじめとする二枚貝、竹崎カニとして有名なガザミなどの特産魚介類を対象とした漁船漁業が営まれています。  これらの海域で営まれる特色ある漁業は、沿岸の地域経済を支える重要な産業でありますが、その現状は、高齢化による担い手の減少や、燃油や養殖魚の餌となる魚粉などの資材価格の高騰、また、地球温暖化が原因の一つと言われている海域の環境変化による漁獲量の減少などにより、漁業経営は厳しい状況が続いております。  加えて有明海では、平成九年四月の諫早湾干拓潮受け堤防の締切り以来、赤潮の増加や夏季の貧酸素水塊の発生等により、西南部地域でのノリの色落ち被害や二枚貝等をはじめとする漁獲量の減少が続き、漁業者の皆さんは原因究明と対応を強く望まれておりますが、開門調査の実現は極めて厳しく、また、再生事業による水産資源の回復も、兆しはあるものの、漁業者が成果を実感するまでには至っていない状況であります。  このような中、二つの海の再生及び振興を図るためには、様々な漁場環境の改善対策や、水産資源を直接増やすための種苗放流、資源回復のための技術開発などの従来の取組に加え、ICTなどの技術を活用した効率的な漁業を推進することなど、新たな取組にチャレンジしながら、漁業者の皆さんが将来にわたって安心して漁業を営めるよう、有効な取組を進めていく必要があります。  そこで、県は、有明海・玄海の再生及び振興について、漁業者、ひいては県民のために今後どのような取組を進めていくのかお伺いをします。  次に七問目、人口減少社会への対応についてお伺いをします。  昨年十二月に厚生労働省が発表した二〇一九年の人口動態統計の年間推計では、出生数が八十六万四千人と、前年の九十一万八千人を大きく下回り、過去最低を更新しました。  平成二十七年に佐賀県がまとめた「佐賀県人口ビジョン」によると、二〇四〇年の佐賀県の人口は六十八万人まで減少すると推計されており、二〇四〇年の労働力人口は基準年の二〇一〇年に比べて二六%減少するとされております。  人口減少がもたらすマイナスの影響として考えられるのは、需要の縮小、産業分野や介護福祉分野等における労働力不足、地域における伝統行事等の担い手の減少、空き家の増加やそれに伴う資産価値の毀損、空洞化による町の衰退など多岐にわたります。こうした経済、福祉、教育、まちづくりといった多方面における様々な影響が、今後この佐賀県において顕著になってくるのではないかと大きな危機感を抱いているところであります。
     こうした人口減少のマイナスのインパクトを最小限にし、佐賀県がこれからも活力ある地域として存続していくためには、分野の垣根にとらわれず、庁内の横の連携を取りながら効果的な対策を打っていくことが重要と考えます。  知事はこれまで、「子育てし大県”さが”プロジェクト」や自発の地域づくりなど、人口減少社会に対応して様々な取組を進められてきました。県の取組の方向性としては異論はないところでありますが、その効果がどうであったのか、きちんと検証していくべきと考えます。人口減少社会に対応したこれまでの県の取組の成果と課題をどのように捉えられているのか、また、今後それを基にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  次に、佐賀豪雨を踏まえた災害対応及び治水対策についてお伺いをします。  ここ数年、毎年のように地球温暖化による気候変動などが原因と考えられる集中豪雨により、全国各地で大規模な自然災害が発生し、今年度も、記録的な豪雨をもたらした台風十九号により、東日本の各地で河川の堤防決壊が相次ぎ、広範囲に家屋や農地が浸水し、多くの方が亡くなられるなど、甚大な被害が発生しています。  本県でも、一昨年七月の西日本豪雨に引き続き、昨年七月と八月に豪雨災害が発生するなど、豪雨災害は、近年明らかに多発傾向にあると考えます。  特に昨年八月の佐賀豪雨では、記録的な豪雨により平成二年以来の広範囲にわたる家屋や農地などの浸水被害が発生し、その浸水被害から避難の遅れなどにより三名の方々の貴い命が失われました。  先人たちが多くの災害の経験をその後の災害対策に教訓として生かしてきたように、今回の災害についても、私たちは今後の対策に生かしていかなければならないと考えるところであります。  災害対策は、治水対策などハード整備はもちろんでありますが、それだけでは十分でなく、災害が起こることを前提に考えておく必要があります。災害が起こったときに、命を守るためにいかに早く安全な場所に避難するか、また、避難してからの生活をいかにQOL──生活の質が保たれたものにするかなど、検討すべき課題は多いのではないかと考えています。  県におかれては、今回の佐賀豪雨を振り返り、住民の避難や避難所における生活、また、浸水被害を解消するための治水対策にどのような課題があり、そして、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  次に九問目、国スポ・全障スポを契機としたスポーツの振興についてお伺いをします。  今年の夏には、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催をされます。夏のオリンピック・パラリンピックの日本での開催は、およそ半世紀ぶりのことで、今後さらなる盛り上がりが期待されているところであります。佐賀県ゆかりの選手の出場も内定しており、県民としても楽しみな大会になると思われます。  また、佐賀県においては、三年後の二〇二三年に四十七年ぶりに国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されます。この大会は、県内全二十市町で開催されるものであり、県民にとって、これまで以上にスポーツを身近に感じることができることから、佐賀県においてスポーツ文化の裾野を広げる絶好の機会となります。  そして、この大会の成功に向けては、国スポ・全障スポの機運醸成に向けた取組を各市町と協力しながら着実に進めていくとともに、天皇杯の獲得に向けて競技力の向上を図っていくことが重要であります。  そこで、お伺いをします。  国スポ・全障スポの愛称「SAGA2023」が決定され、今後、大会を盛り上げる取組が本格化していくと思いますが、各市町と協力して取組を進めることで、スポーツの力を生かした地域づくりにつなげていただきたいと考えています。  このためには、佐賀大会を契機に、県民誰もが「する」、「観る」、「支える」などそれぞれのスタイルでスポーツを楽しむ文化がさらに定着し、地域でのスポーツの裾野が広がるような取組が重要であると考えています。  特に障害者スポーツについては、県においても体験教室の開催など障害のある方もスポーツを楽しむ環境づくりを進められているところですが、この機会を生かして障害者スポーツに光を当てるとともに、さらなる裾野拡大の取組が必要であると考えています。  そこで、大会に向けての機運醸成や、スポーツの裾野拡大について、どのように取り組んでいくのかお伺いをします。  また、二〇二三年の国民スポーツ大会は、四十七年ぶりに佐賀で開催される大会であり、ぜひとも天皇杯を獲得してもらいたいと考えています。そのために、大会に向けた選手の人材育成に努めることは大切なことでありますが、大会の数年後には順位が急落してしまうようなことがあってはならないと考えるところであります。  ぜひこの大会を一つの機会として、佐賀にしっかりとした競技力が根づくような競技力の向上を図っていただくとともに、大会後も県として人材育成に取り組み、それが可能となるような予算確保をお願いしたいと考えています。  そこで、二〇二三年に佐賀で開催される国スポに向けた競技力向上にどのように取り組むのか、また、国スポ後の人材育成について、予算を含め、どのような対応を考えているのかお伺いをします。  次に十問目、SAGAサンライズパークの運営についてお伺いをいたします。  二〇二三年の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて、そのメイン会場となるSAGAサンライズパークの整備が進められています。  当初、国スポ・全障スポを契機として、県民の夢や感動を生み出し、新たな佐賀県の未来を切り開く「さが躍動」の象徴的エリアとなることを目指すという目的に共感し、何よりも知事をはじめ、執行部の思いを酌み、県民の皆様の夢へつながると信じて、議会としてもこの案件を前に進めてきたところであります。  そうした中、昨年十一月議会において、アリーナ整備に係る六十億円を含む六十五億円の増額補正が提案され、予算審議においては様々な意見が交わされたところであります。議決に当たっては、県政史上初となる本会議において附帯決議を行うという苦渋の判断をすることとなりました。知事をはじめ執行部には、この附帯決議を胸に刻み、整備計画を進め、もって佐賀県の発展と県民の福祉の向上に寄与されるよう、改めて強く求めておきます。あわせて、多額の投資額に見合う効果が発揮できるよう活用策を講じてもらいたいと思うところであります。  今議会にはアリーナ新築の請負契約議案が提案されており、SAGAサンライズパークの整備が大きく前へ進んだものと考えております。アリーナをはじめ、SAGAサンライズパークの整備は、未来に向けた投資であり、その資産を佐賀県の浮揚にしっかりと活用していただくことが極めて重要であります。  そういった中で、SAGAサンライズパークの管理運営を担っていく指定管理者について、電通を代表企業とする「SAGAサンシャインフォレストグループ」を指定する議案が今議会に提案されております。  アリーナをはじめ、SAGAサンライズパーク事業の成功は、この運営こそが重要な鍵を握ると考えています。  施設整備費として五百四十億円、さらには今後十年六か月の指定管理料として約五十億円を投じる大型プロジェクトであり、国スポ・全障スポ「SAGA2023」を成功に導くことはもとより、その後、末永く佐賀県の発展に寄与するように、県においては指定管理者とともにしっかりと取り組んでもらいたいというふうに考えるところであります。  そこで、SAGAサンライズパーク周辺はもとより、地元佐賀市、さらには佐賀県全体の発展に向けて、アリーナをはじめ、SAGAサンライズパークの運営にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  十一問目、観光振興についてであります。  今年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催をされます。国は、二〇二〇年の訪日外国人の目標を四千万人と掲げており、ラグビーワールドカップが開催された昨年より、さらに多くの外国人観光客が日本を訪れると見込まれていることから、佐賀県内においても、訪日した外国人観光客と地域の人々が触れ合う機会も増えてくるのではないかと考えています。  一方で、昨年から日韓情勢の悪化に伴い韓国人観光客が大きく減少しており、また、一月に入ってからは、中国で新型肺炎が発生するなど、将来が見通しづらい状況ともなっております。  県においては、これまで観光客の誘致を促進するため、佐賀県独自の取組として、あるいは九州観光推進機構とも連携しながら、積極的なプロモーション等を展開してきたほか、九州佐賀国際空港へのLCC誘致や唐津港へのクルーズ船誘致にも尽力されており、一定の成果が出ているものと考えています。  県議会においても、一昨年の平成三十年三月に「ふるさと佐賀への誇りを育む観光条例」を制定したところであり、この条例に基づいて、行政だけではなく、県民一人一人が観光客を迎え入れる当事者として観光振興に取り組んでいくことが重要であります。  ついては、条例を踏まえ、県として今後どのような観光振興を図っていくのかお尋ねをします。  あわせて、九州佐賀国際空港や唐津港について、観光振興の観点からどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  次に、福祉行政についてお伺いをします。  近年、少子・高齢化の進展や生産年齢人口の減少、高齢世帯や単身世帯の増加、家族の在り方の変化等、福祉行政を取り巻く社会経済状況は変化し続ける一方、全国的に地域における相互扶助機能が弱体化し、孤立やひきこもり、虐待、子供の貧困などの課題が生じてきており、福祉ニーズがより一層複雑化、多様化しているものと考えます。  このような変化の中で、人々が様々な生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民が支え合い、一人一人の暮らしと生きがい、地域を共につくっていくことのできる地域共生社会の実現が求められており、佐賀県でも今年度、「地域福祉支援計画」を改定し、「すべての人に安心できる居場所があり、自分らしくその能力を発揮できる、出番のある地域共生社会の実現」を目指した福祉施策を講じていかれているところであります。  山口県政は常々、「人の想いに寄り添う県政」を標榜しておられます。こうした様々な課題に対応し、県民が安心して暮らしていけるようにするためには、県民に寄り添った支援を行うことが必要であり、そのためには福祉の現場のニーズをしっかり把握した上で、施策につなげていくことが重要であると考えています。  そこで、地域で困っている方や支援を求めている方が地域で安心して暮らしていくために、どのように現場の福祉ニーズを把握し、支援を求める方に寄り添った取組を行っていくのかお伺いをします。  また、それぞれの地域には民生委員さん、児童委員さんがおり、身近な相談相手、見守り役、専門機関へのつなぎ役として、地域住民の生活を支える重要な役割を果たしておられます。  地域における住民相互のつながりが希薄化する中、民生委員、児童委員の活動に対する期待がこれまで以上に高まっているように感じます。一方で、民生委員、児童委員さんが活動に負担を感じているという声もあり、選任に苦慮する地域も多く、同じ人が何年も委員を続けているケースもあるという話もお伺いをしております。  こういったことから、民生委員さん、児童委員さんが活動しやすい環境づくりを進めていくことが重要であると考えております。  地域社会の変容の中で、今後ますます重要となる民生委員、児童委員が活動しやすい環境づくりをどのように進めていかれるのかお伺いをします。  また、昨今、多様化した福祉ニーズに対し、多くの福祉関係団体でも対応していただいているところでありますが、そういった団体の拠点として県の施設を利用できるようにしてほしいといった要望が数多く挙げられているところであります。こうした施設があれば、団体同士の情報交換がスムーズに行えますし、当事者がワンストップで相談しやすくなるというふうに考えています。  佐賀県として、こうした施設を今後整備していく考えはないのか。ここについては、福祉のランドマーク的な施設整備をぜひ考えていただきたいと思っておりますが、そのことについてお伺いをいたします。  次に、医療行政について三点お伺いをいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症についてであります。  昨年十二月以降、中華人民共和国湖北省武漢市を中心に、世界各国で新型コロナウイルス感染症の発生が報告され、同じコロナウイルスが原因である重症急性呼吸器症候群──SARSや、中東呼吸器症候群──MERSの死者数を上回っております。  日本国内においては、バス運転手やバイガイドのほか、日本への旅行者やツアーコンダクター、武漢市に滞在する邦人らチャーター機帰国者、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客乗員など、複数の感染者が報告され、感染経路が定かではない国内感染事例も報告されているところであります。毎日、ニュースで取り上げられており、刻々と状況が変化をしております。  そのような中、先週、福岡市においても感染者が確認され、今後の感染拡大も懸念されているところであります。  新型コロナウイルス感染症については、その感染源や感染力など現段階では不明な点も多く、連日、テレビや新聞等で報道されているため、県民の皆さんからは不安の声が聞かれているところであります。  そこで、県民が不安に思う気持ちを払拭し安心していただくためにも、知事から県民に対し、県の対応等についてお聞かせを願いたいというふうに思います。  次に、がん対策についてであります。  がんは本県における死亡原因の第一位であり、肝がんをはじめとするがんによる死亡率は全国よりも高い割合で推移をしています。  そこで、県では、肝がんによる死亡率全国ワーストワン脱却に向けた肝疾患対策や、胃がん対策として、中学三年生を対象にピロリ菌の検査・除菌事業を全国に先駆けて実施するとともに、全国ワースト上位で推移している子宮がんや乳がんといった女性のがんによる死亡率の減少に向けたがん検診の受診率向上対策に重点的に取り組んでおられます。  そうした取組の結果として、肝がんについては、平成三十年の死亡率が二十年ぶりに全国ワーストを脱却するなど、着実に成果を上げているものと考えています。  がん対策については、がんになることを防ぐ「一次予防」、がんの早期発見・早期治療を促進する「二次予防」、さらには、「がんになっても安心して暮らせる社会づくり」の三つの視点での対策が必要だと認識しておりますが、県は今後がん対策にどのように取り組んでいくのかお伺いをします。  三点目、健康寿命の延伸についてであります。  平均寿命と健康寿命の差が拡大すると、寝たきりや要介護状態の期間が長くなることから、両者の差を縮小させ、健康な期間が長くなるように様々な健康づくりの取組を推進していく必要があると考えます。  本県における健康課題は、メタボ該当者及びメタボ予備軍の割合が急増していること、また、糖尿病及び糖尿病予備軍の割合が高いことが挙げられます。生活習慣病の発症予防と重症化予防を進めることは、まさに健康寿命の延伸につながると考えます。  これまで県は、「第二次佐賀県健康プラン」を策定し、各種事業に取り組んできたところではありますが、今後さらなる健康寿命の延伸を図るためには、健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進や環境づくり、行動変容を促す仕掛け等が必要だと考えます。  その一環として、県では、昨年十月からウオーキングアプリ「SAGATOCO」を配信し、今まで健康に関心のなかった人も楽しんで歩ける取組を行っており、さらに多くの県民に普及し、活用されていくことを期待しているところであります。  県民の健康寿命の延伸のためには、こうした歩く施策のほかにも、例えば、食生活の改善やお口の健康、禁煙などに取り組んでいく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをします。  次に、商工業の振興についてお伺いをします。  我が国の経済については、中国経済の減速や自然災害の影響など不安な要素はあるものの、今年一月に公表された政府の月例経済報告において、引き続き緩やかに回復しているとされているところであります。  また、県内経済についても、日本銀行佐賀事務所の今年一月の判断においては、「緩やかに回復している」とされており、雇用面においても有効求人倍率が三十三か月連続で一・二倍超となるなど、好調な状況が維持されていると認識をしています。  一方、企業側に視点を変えると、人口減少、グローバル化、技術革新の急速な進展により、経営を取り巻く環境が大きく変化している中で、県内企業は様々な経営課題に直面しております。  とりわけ、ここ数年、全国的な労働力不足の状態が続き、人材確保は県内企業にとって最重要の経営課題と認識されているものの、十分な人材を確保できていない企業も多くあります。また、経営者の高齢化が進む中、後継者不足についても深刻化しており、本県経済を支える既存企業がしっかりと対応していかなければならない重要な課題であります。  募集しても人が集まらない、経営は順調なのに後継者不足で将来の存続が危うい、そういった状況が続けば、企業の成長の機会を逃したり、企業が持つ優れた技術などの承継が困難となるなど、本県産業の発展に大きな影響を与えてしまうことから、これらの課題について、より一層しっかり取り組んでいくことが必要と考えています。  また、本県の場合、県内企業のほとんどを中小企業が占め、中でもその約八五%を小規模事業者が占める状況であります。  本県経済の浮揚には、これら小規模事業者が新しいことにどんどんチャレンジしてもらい、元気になってもらうことが重要でありますが、実際のところ、本業の事業活動をこなすことで精いっぱいであり、リスクが伴うことには慎重にならざるを得ないのが現状です。  こうした小規模事業者への支援の担い手としては、商工団体の活躍が大いに期待されています。しかしながら、市町村合併などの影響で商工団体の経営指導員や支援員の数は減少し、平成十五年度比で三割近くの減となっており、小規模事業者に対するきめ細やかな支援がしづらくなっているという事態は想像に難くありません。  小規模事業者へのきめ細やかな支援ができるように、商工団体をしっかり支援していくことが必要と考えています。  また、県内産業が現実的に抱えるこうした課題への対応をしっかり行うとともに、企業の力強い成長を実現していくためには、将来に目を向けた企業のチャレンジを促していくことも重要であります。  例えば、AIやIoTを活用した企業の生産性向上やビジネス創出、県産品の情報発信や輸出促進など、ビジネス拡大につながる新たな取組を積極的に支援することが必要と考えています。  以上、私の申し上げた視点は、県内産業の持続的な成長発展に必要なことと考えておりますが、こういった点への対応も含め、今後、県として、本県の産業振興をどのように進めていくのかお伺いをいたします。  次に、農林業の振興についてお伺いをします。  農林業は、食料や木材を安定的に供給する重要な役割を果たしているとともに、美しい景観の形成や伝統文化の継承、水源の維持などの機能を有しています。さらには、近年、異常気象や自然災害が多発する中で、水田やクリークによる貯水機能や、森林の持つ地滑りや土砂崩れの発生抑制機能など、国土保全にも大変重要な役割を果たしています。  また、農林業は、その生産活動を通じて、地域経済の活力を高めるとともに、地域社会を支える極めて重要な産業であります。こうした大切な役割を果たしている農林業を守っていくと同時に、産業として強くしていくことが肝要ではないかと考えています。  一方で、最近の農林業を取り巻く情勢を見ますと、農林業従事者の高齢化や減少が進むとともに、生産資材の価格高騰などによる農業所得の伸び悩みや、木材価格の低迷などによる農林所有者の林業生産活動の停滞など、厳しい状況が続いているところであります。  とりわけ中山間地域は、平たん地域と比べて圃場が狭く、傾斜もあるなど生産条件が不利な上に、平たん地域以上に農業従事者の高齢化や減少が進み、耕作放棄地が増加するなど、年々厳しさが増しています。このため、今後多くの中山間地域で農業生産活動の停滞や地域の活力が低下していくことを大変危惧しております。  このように環境が大きく変わっていく中で、私は、これからは従来の取組だけでなく、例えば、農業では所得向上が期待できる園芸品目などに重点的に取り組むことで稼げる農業を実現させ、それを新規就農者の確保につなげていくこと、また、中山間地域においては、新たに農産加工や農家民宿などの六次産業化に取り組むことや、人手不足の中で農作業の受託組織を設立することなども必要ではないかと考えています。  さらに、林業では、出口対策として、県産木材を使用した住宅や公共的施設の木造化等を推進するとともに、木のよさを県民に広く伝え、県産木材の利用拡大を図っていくことなども必要だと考えております。  そこで、お伺いをします。  今後とも、佐賀県農業を持続的に発展させていくためには、農業所得の向上を図っていくことや、中山間地域等の農村を維持していくことが重要であると考えますが、知事は今後どのように農業振興に取り組まれるのかお伺いをします。  また、知事はこれまで山を大切にすることを強く訴えてこられたところでありますが、手入れの行き届いた山を育てていくことは、山に住む方々の暮らしを守るとともに、山が持つ様々な機能を高めていくことにもつながるものと考えています。  県民の生命や豊かな暮らしを守る礎となる山を未来に引き継いでいくためには、山の所有者や林業従事者の所得向上につながる県産木材の生産拡大と需要拡大が重要であると考えますが、知事は今後どのように林業振興に取り組んでいかれるのかお伺いをします。  次に、社会資本整備についてお伺いをします。  本県において、地域資源を生かした産業の立地や活発な経済活動、観光の振興を促進するためには、各都市や交通拠点を結び、時間、距離の短縮と定時性が確保される広域幹線道路ネットワークの整備は必要不可欠であります。  また、近年、自然災害が頻発、激甚化しており、昨年八月の令和元年佐賀豪雨では、県内全域に大雨特別警報が発令され、各地で冠水やのり面崩壊など多くの災害が発生したところであり、災害に強い幹線道路ネットワークを構築することの重要性を再認識させられたところであります。  こうした中、県では、広域幹線道路ネットワークとして、九州佐賀国際空港へのアクセス道路となる有明海沿岸道路佐賀唐津道路をはじめ、西九州自動車道及び国道四百九十八号の整備が優先的に進められており、これらの整備が県勢発展の牽引役になることは誰もが認めるところであり、道路はつながってこそ、その機能を発揮することから、さらなる事業促進に取り組んでいただきたいと考えています。  また、整備を着実に進めていくためには十分な予算の確保も重要であることから、引き続き早期整備の必要性や整備効果等について、国へしっかり訴えていく必要があると考えております。  将来の佐賀県の交流、物流の大動脈として、災害に強い県土づくりを支える広域幹線道路ネットワークの整備について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  次に、道路及び河川の老朽化対策についてお伺いをします。  道路や河川などの社会資本の整備は、未来への投資であり、次の世代に引き渡す資産を形成するものであります。  これまで整備された道路施設や河川施設については、建設から相当の年数が経過し、いわゆる老朽化が進んでいる状況にあります。  道路施設のうち、例えば、橋梁については、国の資料によると、全国で建設後五十年を経過する橋梁、これは橋長が十五メートル以上の場合ですが、その割合が現在は約二五%であり、十年後には約五〇%に急増する傾向にあるというふうに示されております。
     また、河川施設のうち、県内の排水機場については、建設後三十年を経過している割合が現在約三〇%であり、十年後には約七七%に増加していく状況にあるというふうに聞いています。  これら老朽化した施設については、県民の安全・安心を脅かすばかりでなく、施設の更新に係る経費も膨大となると思われることから、計画的に老朽化対策を実施していくことが重要であると考えています。  こうした課題に対応するため、道路及び河川の老朽化対策について、今後どのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  以上が山口知事への質問であります。  続いて、教育行政についてお伺いをいたします。  少子・高齢化やグローバル化、情報化の進展など、今後も社会環境が急速に変化していくことが予測される時代にあって、これからの教育は、児童生徒を型にはめるのではなく、夢を育み、その実現のため、自らの可能性を伸ばしていく成長の場であってほしいと願っています。  夢を実現するためには、時に困難に直面し、また、挫折を経験することもあると思いますが、子供たちが諦めずに立ち向かい、自ら未来を切り開き、社会を力強く生き抜いていくための力を身につけさせることが重要と考えています。  昨年の夏、全国高等学校総合文化祭が佐賀県で初めて開催されました。県内の様々な学校の高校生が連携しながら企画運営に携わり、また、全国各地の同世代の生徒たちと交流することもでき、得難い体験ができたのではないかと思っています。  佐賀県が誇る自然や歴史、食、伝統文化などを生かしたおもてなしだけでなく、「肥前さが幕末維新博覧会」の志を引き継ぎ、佐賀への誇りと愛着、郷土愛などの理念が大会の企画運営の様々な場面で体現されるなど、佐賀らしい大会となり、県内の生徒たちの中には佐賀への思いや誇りが一層深まったものと考えています。  山口県政では、佐賀への誇りを高める様々な取組が実施されておりますが、教育においても、佐賀を誇りに思う教育に取り組んでいくことで、子供たちの中に自己肯定感を育んでいくことが必要だと思います。  こうした教育を進めていくためには、学校だけではなく、家庭や地域とも連携していく必要があります。  ついては、今後、佐賀県の教育をどのように進め、どのように子供たちを育てていこうとされているのか、落合教育長に力強いメッセージをお伺いしたいと思います。  最後に、警察行政についてであります。  昨年は、全国的に見ると刑法犯認知件数は戦後最少を更新し、交通事故死者数も昭和二十三年以降最少となるなど、国内の治安情勢は改善されてきております。  また、県内においても、刑法犯の認知件数は最少を更新し、人身交通事故についても前年と比べると大きく減少するなど、各種取組の成果が現れているところであります。  県警察には、県民の安心・安全を守る最後のよりどころとして、現下の厳しい情勢を十分認識し、卑劣なニセ電話詐欺から高齢者を守っていただくとともに、悲惨な交通事故のない、安全で安心な佐賀県の実現に向け、より一層の取組をお願いしたいと思っています。  今後、犯罪の抑止力としての力強い県警察の構築を期待するとともに、各種犯罪や交通事故から何としてでも県民を守るという強い意志を持って警察行政に取り組んでいただきたいと考えております。  そこで、お伺いをします。  高齢者が被害者となるニセ電話詐欺など県民の安全・安心を脅かす犯罪を防止するため、今後、県警察としてどのように取り組んでいくのかお伺いをします。  またあわせて、交通死亡事故などの貴い命が失われるような悲惨な事故をなくすため、今後、県警察としてどのように取り組んでいかれるのか、本部長にお伺いをしたいと思います。  最後に、今回、私は、会派代表として質問をするに当たり、全ての質問のテーマを「夢」と定めました。マーティン・ルーサー・キング・ジュニア博士、いわゆるキング牧師がワシントンDCにおいて行った演説は、皆さんもよく御存じだというふうに思います。「アイ・ハブ・ア・ドリーム」と呼ばれるその伝説のスピーチは、史上最高の演説の一つと言われております。一九六三年八月のことでありました。  その演説の一節に、「我々は今日も明日も困難に直面するが、それでも私には夢がある」という言葉があります。非常に崇高なテーマと明確なビジョン、力強い夢への取組、彼ほど夢に対して力強く命をかけてというのは、なかなか難しいとは思います。  我が県も常に様々な課題と困難に直面をしています。そんな中でも、老いも若きも、女性も男性も、そして、障害のあるなしにかかわらず、全ての県民の皆さんが夢を持って日々生活ができ、そして、一人でも多くの皆さんが夢を実現するよう下支えするのが、県や我々の使命であると思います。  今回、山口知事、そして落合教育長、杉内警察本部長に組織のトップとして答弁をいただきますが、お三方の言葉が県民の皆さんの夢の実現の一助となるメッセージであることを期待しまして、私の自民党会派を代表しての質問とさせていただきます。長い時間、御清聴ありがとうございました。(拍手) 5 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。川崎常博議員の代表質問にお答えいたします。  まず、県政運営の基本方針についてお尋ねがございました。  川崎議員から夢のお話がございました。私も佐賀県民の皆さん方にぜひ夢を持っていただきたいというふうに思います。  県政運営の基本方針をお話しするに当たりまして、私の夢を御紹介したいと思います。  私はこの佐賀県が、文化、歴史、伝統、自然、このようなすばらしいものに裏打ちされたこの県が、その本質的な力を開花させて躍動している、そんな姿を夢見ます。  そして、佐賀に生きる全ての人が、人としての尊厳が守られ、人が慈愛に満ち、そうした人と人との結びつきが社会のあらゆるものを支えている美しい姿を夢見ています。  もう一つ、この佐賀の地から物や事など、あらゆるものの本質的な姿が生み出されること。例えて言うなれば、行政運営もそうですし、議会制民主主義もそうです。官民連携も、SDGsに見られるような各要素も、こうしたことが、この佐賀県から日本という国や世界に発信されている姿、こういった姿を夢見て、私は県政運営を担っております。何とかこの夢を志に変えてどうしても実現したいということで全力を尽くしてまいりたいと思います。  この一年間を振り返りますと、豪雨災害や農業被害、日韓関係の影響など、総じて厳しい年でございました。そういう中でも、災害対応では県民同士が支え合う姿に勇気づけられ、人と人とのつながりの力強さと大切さを実感した年でもありました。  私は知事就任以来、人を基軸に考えることで佐賀を輝かせていきたいという思いを込めて、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念に県政を推進してまいりました。  この思いの下で、多くの現場を訪ね、県民の皆様とお会いし、県民の暮らしの中から生まれる様々な声をお聞きし、これまで光が当たっていなかったつらい思いを抱えた方々に寄り添いながら、できることから一つ一つ取り組んでまいりました。  そうした中、議員から御紹介もありましたけれども、県民世論調査で「佐賀が好き」と答えた方が九割を超えたということは、私自身も「佐賀さいこう!」と唱えて維新博の志を引き継いで「さが総文」、伝承芸能祭、「佐賀さいこうフェス」などを開催して自発の地域づくりを後押しするなど、県民の皆さん方が佐賀県という地域が本来持っている魅力に気づいて誇りを抱いてきたことに関して、率直にうれしく思っております。  また、国政関連の重要課題につきましては、幅広く県民や関係者の意見を聞きながら、プロセスを重視し、佐賀にとって何がいいんだろうかということを考えながら、情報はオープンにして丁寧に対応してまいりました。  令和二年度も引き続き人が基軸の県政に力を入れることとし、令和元年佐賀豪雨災害の経験を教訓化した災害に強い県土づくり、現場の声を大切にした人の痛みに敏感な県政、さらには本県が飛躍するための鍵となる交流の促進や新たな価値を生み出すなど志を持った取組にチャレンジしていきたいと思います。  県民の負託を受けた知事として、佐賀県の実情をしっかりと把握し、長期的な視野を持って未来に向けて種をまき、いずれ花を咲かせていくための布石を打っていくことに強い思いで取り組みたいと思います。  JAXAと連携し、宇宙開発で生まれた技術を、災害対応や農業分野などに利用するための研究やSociety5・0の時代に対応し、ドローンや5Gを活用した実証事業をスタートさせること、また、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」の推進や山を大切にした地域づくりの後押しなども、未来に向け、県民のためにできることへ挑戦する一歩になるものだというふうに私は思います。  また、SSP構想を推進しているのも、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックの盛り上がりを、本県での国スポ・全障スポ「SAGA2023」の開催、さらにはその先を見据え、スポーツの力を確実に佐賀の成長につなげていきたいという思いによるものです。  今後とも、人を大切にし、人の痛みに敏感な県政を推進するとともに、時代の流れを見定め、広い視野で未来を思い描きながら、未来をつくるためのチャレンジを続け、一人一人が躍動する佐賀の未来を切り開いていきたいと思います。  続きまして、財政運営についてお答えします。  少子・高齢化や人口減少などの様々な課題に対応しながら県勢を発展させていくためには、グローバル化、ボーダーレス化が加速し、世界中とつながる時代が到来していることを捉えていくことが肝要だと思います。特に急激な成長を遂げております東アジアとの関係がより深まる中、大陸に近く、福岡都市圏に隣接する地理的優位性を最大限に生かして交流を原動力とすることが大切だと思います。  また、AI、IoTや5Gなどの先進テクノロジーにより、どのような社会が到来するのかを見据えた布石を打つことも必要だと思います。  そして、佐賀県の将来を担う子供たちに、先を見据えた骨太の教育を行っていくことも大切だと思います。あわせて、貿易摩擦や地球温暖化はもとより、最近で言えば豚熱、新型コロナウイルスなどの感染症もあります。世界規模で発生している諸問題が、佐賀県にどう影響するのかということも考えることが必要です。  こうしたことを踏まえて、世界や未来を見据えた戦略的な施策展開が必要です。また、投資をする場合はソフトとハードの相乗効果を発揮させ、様々な掛け合わせを行うことによりまして、イノベーションを起こしていくことも重要だと思います。  具体的には、九州佐賀国際空港の拡張、SAGAサンライズパークの整備、「佐賀牛」の輸出促進を図るための食肉センターの再整備やブリーディングステーションの新設、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」、山を大切にする取組、佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想の推進などを実施していきたいと思います。  そして、施策を推進するに当たっては、できる限り高い目標を設定したいと思います。そして、それを達成するため、例えば、部局横断のプロジェクトを創設するなど戦略を立て、全庁を挙げて全力で取り組む、そしてその結果や効果、手法を検証して見直すべきものは見直すという佐賀県らしいPDCAサイクルを着実に実行したく存じます。  一期目の最終年度となります平成三十年度における具体的な成果については、外国人延べ宿泊者数は三十九万一千人となり過去最高、誘致した企業は三十九件、県外からの移住者数は五百七十四人となり、ちなみにこのうち半数以上は福岡県からの方となり、いずれも目標をオーバーしています。  このほかにも、九州佐賀国際空港は六年連続で過去最高を更新して、昨年度は八十万人を初めて突破しました。吉野ヶ里歴史公園の入園者数は二年連続で過去最高を更新しています。令和元年度の最終予算税収はリーマンショック後、最高額の約八百九十四億円に到達するなど具体的な成果も多く上がってきているところと承知しています。  引き続き、世代間における将来負担の公平化、財政規律にも配慮しながら、未来や世界を見据えた戦略に基づき、時期を逃さず、投資すべきは積極的に投資し、その回収を図るという成長の循環を創出することで県勢を発展させてまいりたいと思います。  続きまして、佐賀空港の自衛隊使用要請の対応についてお答え申し上げます。  私も国防の重要性は十分認識しておりまして、知事就任以来、今回の防衛省からの要請に対しては、真摯に向き合ってまいりました。防衛省の説明をうのみにするのではなく、県民の安全・安心の観点から、三年半にわたる検討を行い、県議会での議論や決議において、さらには有明海漁協をはじめ多くの関係者から、まずは県が判断すべきだという御意見をいただいたことを踏まえ、一昨年八月に、「県としては、『今回の防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議をさせていただく』」との判断を行い、有明海漁協に対して協議の申入れを行いました。その後、私自身、公式には二度、有明海漁協を訪問し、防衛省からの要請受入れの申入れを行ったところです。  並行して、昨年八月には事業主体であります防衛省から有明海漁協に対して説明が行われ、九月からは支所ごとの説明会が順次開催されております。  川崎議員からも言及がありましたが、ここまでの防衛省による支所説明を振り返り、徳永組合長から、防衛省は国防上の必要性を正面からしっかりと説明すべきであると考えているというような意見をいただいております。最終的には事業主体である防衛省が、いかに有明海漁協の皆様に真摯に向き合えるのかが今後の大きなポイントになると考えています。私も県としては既に受入れの判断をしております。計画の実現に向けて引き続き調整を行っていきたいと思います。  国民、県民の生命と財産を守るという国防、この国防は、国の根幹に関わることでありまして、その負担は皆で分かち合わなければならないということについては、私は有明海漁協の皆様にも分かっていただいている。議員がおっしゃるように、徐々にその考え方というものが出てきているというふうに感じています。  現在、ノリ漁の最中でありますけれども、ノリ漁期が終了すれば、できるだけ速やかに防衛省による説明会が全ての支所で開催されまして、漁協内での議論が進むように鋭意取り組んでまいりたいと思います。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについて、国土交通省との協議の在り方についての所見というお尋ねがございました。  まず、西九州ルート問題そのものに対する佐賀県の考え方について、改めてお答えさせていただきたいと思います。  これまで佐賀県は、長崎県の思いや西九州全体の地域振興も考慮して、鹿島市、太良町など長崎本線沿線地域の大変つらい思いの上にぎりぎりの合意を積み重ねてきたという経緯、歴史があります。それが平成四年のスーパー特急でありました。その後、国が導入を提案し、責任を持って実用化を推進するとされたのがフリーゲージトレインであります。そしてその開発が遅れたからといって、これは私が知事に就任した後でありますけれども、国から提案があったのが、武雄温泉駅でのリレー方式による開業でした。  もともと新鳥栖─武雄温泉間は在来線を利用し、武雄温泉─長崎間をいわゆる短絡ルートによりスーパー特急で結ぶという合意からスタートしております。これは海岸線を大きくカーブする長崎本線の単線区間を実質的に複線化し、高速化しようとするものでありました。  このように、西九州ルートの整備は、昭和四十八年の整備計画決定から四十年以上にわたって議論され、新鳥栖─武雄温泉間は在来線を利用するということになっていた中で、新たな議論として突如、突然、平成二十九年九月にフル規格やミニ新幹線の話が出てきたものであります。  これに対して与党検討委員会のヒアリングにおいて、佐賀県としてこの区間について整備を求めておらず、フル規格による整備は受け入れられないということを再三申し上げてまいりました。  現在、国土交通省から幅広い協議の呼びかけがなされておりますけれども、誤解を恐れずに申し上げれば、西九州ルートの整備はこれまで長崎県の思いを受けて対応されてきた経緯があり、佐賀県のほうからどういう方式を望むということではないわけですけれども、佐賀県は合意したことは守るという姿勢で真摯に向き合っています。したがって、これまでに関係者で合意しておりますスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式の三つにつきましては、いつでも受け入れる準備はできているというふうに考えています。  さらに、少しでも県の真意が伝わればと思い申し上げますけれども、我々は与党検討委員会が求めるフル規格による整備を実現するための協議には応じられませんが、ただ、それでも鉄道局が新鳥栖─武雄温泉間についてフル規格などの議論を求めるのであれば、それはゼロベースからしっかりと時間をかけて議論をしていかなければなりません。あえて私から申し上げるとしたならば、例えば、これまでに合意している三つの方式、三つの方式というのはリレーだったり、スーパー特急だったり、フリーゲージトレイン、こうしたもののいずれかを運用しながら、例えば、先行して走らせながら、フル規格についてはしっかりと時間をかけて議論していくということも一つの考えではないかというふうに思います。  いずれにいたしましても、この問題は佐賀県の将来に大きく影響いたしますので、どういった協議になるのか、あらかじめしっかりと確認する必要があります。  国土交通省との協議に関する確認作業については、今議会における議論も踏まえた上で、協議に関する基本的な考え方をまとめた確認文書をこちらのほうから提示させる方向で、事務レベルで調整を進めさせたいと思います。  続きまして、エネルギー行政につきまして、再生可能エネルギーについてお答え申し上げます。  再生可能エネルギーにつきましては、原子力発電への依存度を可能な限り低減しつつ、温室効果ガスの排出を削減していくためにも、積極的に導入を推進していくべきものと考えます。  しかしながら、再生可能エネルギーは、現状では気象条件に大きく左右される不安定な電源であることや発電コストが高いなどの課題があると認識しています。  このような中、再生可能エネルギーの導入を進めていくために、佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想を策定し、小水力発電の事業モデルの構築を進めるなど、構想の実現に向けた取組を進めております。  また、令和元年十月には、こうした取組を加速するための体制づくりとして、佐賀大学と協定を締結し、「佐賀県再生可能エネルギー等イノベーション共創プラットフォーム」、いわゆるCIREn(セイレン)を立ち上げたところです。  このCIREn(セイレン)でありますけれども、県内外の企業五十社以上の参加を得て、九つの研究分科会が立ち上がっております。座長には全て佐賀大学の教授に参画していただいておりまして、それぞれチャレンジしていただくことになっています。  九個の分野を列挙しますと、洋上風力、太陽光、海洋温度差発電関連技術、電気化学、遠隔監視、無線電力伝送、未利用熱利用空調システム、レアメタル回収、ものづくりというふうに九個決めて、どこからうまくいってもいいような形で全力を向けて取り組んでいます。  そして、これまで県内では導入事例の少ない地中熱や太陽熱などを、SAGAサンライズパークに建設を進めているプールとかアリーナに複合的に導入することを検討して、今議会で予算の審議をお願いしているところであります。  私としては、CIREn(セイレン)の取組を通じて、再生可能エネルギーの課題の解消に取り組み、生み出された技術や製品を社会実装していくことで、再生可能エネルギーを中心とした社会の実現に佐賀県が先進県として貢献していくとともに、県内における関連産業の創出につなげていきたいと考えております。  続きまして、関連して玄海原子力発電所との向き合い方についてお答え申し上げます。  我々は、再生可能エネルギーを中心とした社会の実現を目指して、申し上げたように、全力で取り組んでおりますけれども、一方で、玄海原子力発電所とは廃止措置を含め、これからも長い年月にわたり関わり続けなければいけないという現実を見なければいけないと思います。  そうした中、原子力発電に対する私の姿勢については、これまでも申し上げてきたとおり、福島第一原子力発電所の事故を忘れてはならない、風化させてはならない、そして原発立地県の知事として県民の安全を何よりも大切に、今後とも玄海原子力発電所と真摯に向き合い続けていく、このことにつきましては、今後一切、いささかも変わりありません。玄海原子力発電所を運転する九州電力に対しては、常に緊張感を持って慎重の上にも慎重に安全対策に取り組んでいくことを機会あるごとに求めてきております。  先月二十二日に池辺社長が来庁された際も、私から、県民の厳しい目が向けられていることをしっかり受けとめて、安全対策を進めていくこと、現場だけでなく会社を挙げて、何事にも気を引き締めて取り組むことといったことについて、改めて強く要請したところであります。  今後とも、九州電力の安全に対する取組を注視していくとともに、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないように万全を期してまいりたいと思います。  続きまして、原子力防災対策についてお答え申し上げます。  今述べたように、原発立地県でありますから、万が一に備えた避難の問題は極めて重要です。その認識の下、関係市町や学校、福祉施設、医療機関などにおいて原子力災害対応の基本となる避難計画がありまして、万が一原子力災害が発生した場合には、これらの計画に沿って対応することとなっております。  しかしながら、一方で、実際の災害は計画どおり、想定どおりに起こるとは限らないために、状況に応じて副次的な手段も活用するなど、しっかりと状況に応じたオペレーションができるように、ふだんから習熟していくことが極めて重要なことから、原子力防災訓練を実施しております。  今後も、考えられる様々な事態を想定し、それに対応する訓練を行うことによりまして、防災関係者や住民の対応力の向上を図るとともに、訓練による検証を通じて、より実効性のある避難計画となりますよう、不断の改善に取り組む所存であります。  また、住民避難を円滑に実施するためには、万が一のときの対応を住民の皆さんにしっかりと把握していただくこともとても大事となります。そのため、市町にも協力をいただきまして、県内の全世帯に原子力災害時の住民の対応などをお示しした「原子力防災のてびき」を配布しているところです。今後とも、市町と連携を図りながら、原子力災害対策の実効性向上にしっかりと取り組んでまいります。  続きまして、有明海・玄海の再生及び振興策についてお答え申し上げます。  御指摘いただきましたように、本県の漁業を取り巻く環境は、漁場環境の変化により漁獲量が減少するなど、厳しい状況が続いておりまして、水産資源の回復が喫緊の課題です。  また、燃油等の資材価格の高騰や、高齢化による担い手減少への対策も漁家経営の改善を図る上で、極めて重要であると認識しています。  まず、玄海地区においては、魚介類の産卵、生息の場所となっております海のゆりかごと呼ばれる藻場、この藻場が資源回復を図る上で重要な場所でありますから、投石や増殖礁の設置などによりまして、その造成に取り組んできております。  また、今年度より、磯根資源の回復に向けて、アカウニやナマコなどの大規模な種苗放流に取り組むとともに、来年度からは漁家経営の改善に向けて、先進テクノロジーを活用して、数日後までの海況や良好な漁場を正確に予測することで操業の効率化などを図るスマート漁業を推進することといたしております。  さらに、玄海地区では、担い手不足が深刻なことから、意欲的な新規就業者を確保するため、漁業体験や就業研修に加え、漁業資材の購入費に対する助成など支援内容の充実を図っております。  そして、来年度からは、農林水産部水産課の担当係の名前でありますけれども、「玄海」という名称を掲げて、我々が玄海の再生及び振興にしっかりと取り組んでいくということを県民の皆様方にも分かりやすくお示ししていきたいと考えています。  一方、有明海の再生につきましては、一部の二枚貝に再生の兆しが見られるものの、再生のシンボルとも言うべきタイラギは八年連続で休漁が続いております。  このような中で、私にとって痛恨であったのが、タイラギの復活を共に目指してまいりました有明海漁協大浦支所の前運営委員長の弥永さんが昨年十二月に亡くなられました。有明海が再生した姿をお見せすることができず、本当に残念であります。ここに哀悼の意を表したいと思います。  地元の思いが強いタイラギについては、国や有明海沿岸の三県と連携を図りながら、人工的な稚貝の生産と放流による母貝団地の造成を進めるとともに、タイラギの着底を促進するため、海底環境の整備にも取り組み、一日も早いタイラギ資源の復活につなげたいと思います。  また、兆しが見られたアゲマキ、ウミタケなどの二枚貝についても、安定的かつ持続的な漁獲につながるように、この機を逃さず、これまでの取組の拡大強化を図ることとしており、特に本県海域に広く生息するサルボウにつきましては、今年度より県独自の資源増大の取組を開始いたしました。  また、主幹産業でありますノリ養殖については、西・南部の漁場を中心として、赤潮に伴う色落ち被害が毎年のように見られておりますので、これまでの取組に加えて、来年度からは赤潮原因プランクトンの増殖特性などを明らかにするとともに、西・南部漁場に観測機器を設置し、環境情報を取得しながら、赤潮の発生、拡大予測技術の開発を行うなど、大学、漁協と連携しながら、色落ち被害の軽減に努めてまいります。  今後とも、佐賀県が持っております大きな二つの魅力、玄海、有明海、その海と共に暮らしてきた地域の方々、特に漁業者の方々が育んできたものであります。そういったたくさんの方々の思いに応え、この魅力を最大限に生かし、未来へつなげていけるように有明海、玄海の再生へ向け、全力で取り組んでまいります。  人口減少社会への対応についてお答え申し上げます。
     佐賀県は、十五歳未満の年少人口の割合が全国で三番目に多いにもかかわらず、十八歳から二十二歳までの若者の割合は全国で二十二番目と低下します。言うなれば、十五歳までが三位だったのが二十二位に落ちてしまうということです。高校卒業後の県外流出抑制や県内就職などを主に取り組んでいく必要があると認識しています。  県外流出を抑制し、流入を増やすために、高校卒業者の県内就職の流れを作り出す取組、「プロジェクト60」と言っています。移住促進の取組、サポートデスクとか相談会。そして県内企業就職促進の取組、四千人雇用創出、ウェブ合説などなどに取り組んでまいりました。  例えば、高校生の県内就職につきましては、昨年十二月時点での県内就職を希望する高校生の割合は、六一・一%と前年度より三ポイント上昇しております。実際に県内企業に内定している者の割合は六〇・八%と県内就職率六〇%以上となることが期待できる状況であります。  また、NPO法人ふるさと回帰支援センターが公表した二〇一九年移住希望地ランキングでは、昨年の十位から八位に上昇したり、先日、自治体としては全国で初めて実施いたしましたウェブ上で合同企業セミナーを行う「どこでも合説WebSAGA」、これも延べ約二千名が視聴するということで、よい兆候も出てきております。  また、子供を産み、育てやすい環境をつくっていくために、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てといった各ライフステージに応じた「子育てし大県”さが”プロジェクト」に取り組んだこともあると思います。県民意識調査でも、佐賀県の子育て環境に対して肯定的な回答は四年前に比べて一二%以上伸びています。佐賀県が子育てしやすい県だという認知も進みつつあるように思います。  こうした取組の結果、県外流出の抑制については、先日発表された二〇一九年人口移動報告では、転出超過とはなりましたけれども、転出超過の道府県の中では少ないほうから三番目であります。転出超過人数も二〇一五年に二千六百七十一人だったものが、年々の改善によりまして、四年後の二〇一九年には千七百五十四人へと減少しております。まだまだ減少が続いているので、それこそ私の夢はこれをプラスに転じることでありますけれども、一定の成果は上がっているものと認識しています。  一方、出生率を上げるという面に関しては、先ほど申し上げた佐賀県が子育て県だという認知は広がったものの、合計特殊出生率は一・六四とほぼ横ばいでありますので、こちらのほうの改善はいたされておりません。ここはしっかりやらなければいけないところだというふうに認識しています。  今、アジアが成長し、日本の軸足が東日本から大陸側に移ろうとしています。佐賀はアジアの中心に近く、その活力を取り込むチャンスであります。  振り返ってみますと、百二十年ほど前の明治中期には農業が中心の社会でありまして、エネルギーも森林から摂取していた時代で、つい百二十年前でありました。その頃の全国で人口が多かったのは、当然、農地があった新潟県が人口日本一の県でありました。  それが工業化等の産業構造の変化で東京や大阪などの都市へ人口が集中したわけでありまして、一極集中といっても、太古からの長い歴史の中では、ついこの百年、最近の話なのでありまして、それを固定観念に物事を考えるというのは、私はナンセンスだと思っています。  これからは、AI、IoT、5Gなど新しい技術により、時代は大きく変わっていきます。五十年後の社会もまた大きく変わるでしょうし、別に都会でなくたって、魅力のあるところに人が集まるようになるわけです。田園回帰現象も起きています。  私は、佐賀県が豊かな食や美しい自然、大切に引き継がれてきた伝統文化など、都市部にはない本物があふれ、可能性に満ちた地域であるというふうに確信しています。その魅力ある佐賀県に多くの人が愛し集うように、今後も様々な効果的な施策をしっかりと取り組んでいきたいと考えています。  続きまして、佐賀豪雨を踏まえた災害対応及び治水対策についてお尋ねがございました。  近年の多発化、激甚化する豪雨災害につきましては、全国各地で発生しておりまして、本県におきましても、平成三十年七月豪雨、令和元年佐賀豪雨と、立て続けに大規模災害に見舞われたところです。  そもそも御案内のとおり、佐賀平野を流れる河川は、干満差が大きい有明海に面しておりますし、軟弱地盤の低平地を流れておりますから流れが緩やかです。  水が流れにくいという特徴がありますから、古くから大規模な浸水被害というのは、度々繰り返された地域だという認識は我々の共通認識だというふうに思います。  昨年の令和元年佐賀豪雨では、短時間での記録的な豪雨と、有明海の潮位の高い状態とが重なるという事象はあったものの、およそ三十年前には今回と同じような災害を経験しておったわけでありまして、そのときの教訓が十分に生かし切れなかったという反省の上に我々は立たないといけないと思っています。今後は、これを教訓に終わらせず、教訓化して生かしていくということが重要だと考えます。  今回の災害対応の振り返りを行う中で、最大の課題は、三人の貴い命が失われたわけであります。そうした犠牲者を出さないためにはどうすればいいのか。三名のうち、二名の方は車で外出して被害に遭われました。いつもより早く出るなど工夫されて、仕事に行く方も多うございます。仕事を休むという勇気も必要です。そして、仮に外出した後でも、道路の冠水など少しでも生命の危険を感じたときには、一度立ち止まり、引き返す勇気も必要だということをしっかりとお伝えしていかなければいけないというふうに思いますし、もう一方は高齢者の方で、自宅で二階に避難しようとして被害に遭われた模様でございます。このように、自力での避難が困難な方は、避難行動要支援者の個別支援計画の作成、そして、自主防災組織の活性化など、地域で命を守るといったような共助の取組の必要性を改めて痛感いたしました。  また、災害時におきまして、命を守るためには、何よりも早めに避難することほど有効なことはないわけであります。  避難は、避難所へ行くばかりが避難ではありません。状況によりまして、建物の二階等の高く安全な場所へ移動する垂直避難、そして、土砂災害が心配される場合には、その危険箇所からできるだけ遠い部屋に移動することが有効な場合もあります。  適切な避難行動のためには、まずは御自分がお住まいになっている地域、そして、最寄りの避難所へ至る経路の災害リスクをきちんと知っておく必要がございます。  今回の佐賀豪雨災害でも、ほぼハザードマップの浸水想定どおりに浸水しておりました。県民の皆様におかれましては、まずは市町が発行するハザードマップでお住まいの地域の災害リスクをしっかりと御確認いただきたいと考えています。  このようなことも含め、命を守るための防災意識を一人でも多くの県民に持ってもらいたいと願っています。その行動を促すために必要な情報を県民お一人お一人に確実にお届けすることができるように、市町と一緒になって、しっかりと取り組んでいきたいと思います。  また、避難所における生活につきましては、発災直後から市町からの要請に応え、避難所運営に係る県職員の派遣、そして、県の医師、精神科医師、保健師などによる避難者の健康管理や心のケアに力を注ぎました。  一方、避難所でのプライバシーの確保、女性視点での配慮の不足が課題であると考えています。例えば、避難所によっては、着替えや乳児を連れた家族のスペースが十分ではなかったこと、必要な物資を名前とともに掲示板に書き出すといった対応については、女性には書きづらいといった御意見もございました。  今後、カーテンや段ボールベッドなどによるプライバシーの確保に一層努めるとともに、今年度作成いたします男女共同参画の視点と多様性への配慮を取り入れた避難所運営マニュアルを活用して、もちろん限度はございますけれども、極力質が高い生活ができるような避難所の運営に向けて、市町と一緒にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  また、今回の豪雨災害では、記録的な集中豪雨により堤防からの越水、排水ポンプの運転調整や浸水による機能停止などの事態も発生しておりまして、治水対策の課題も浮き彫りとなりました。  治水対策につきましては、これまでも河川改修などの整備を計画的に進めているところであり、国土強靱化の三か年緊急対策事業や今回の激特事業など、国の重点予算も活用しながら、今後、着実に進めてまいりたいと思います。  さらに、河川施設では防ぎ切れない洪水による越水や浸水に備え、堤防の補強、排水機場の耐水化などにも積極的に急いで取り組んでいきたいと思います。  また、流域にありますダム、ため池などの既存施設を有効活用する取組や、過去の浸水実績を踏まえ、水害に強い地域づくりに向けた住まい方の工夫などの取組についても、国や市町などの関係機関と連携し、検討を進めてまいります。  県民の暮らしと県政を預かる知事として、命を守り、そして、安心した生活を送れるようにすることは最重要課題であります。令和元年佐賀豪雨を教訓化いたしまして、今後の災害対策にしっかりと取り組んでまいります。  続きまして、国スポ・全障スポを契機としたスポーツ文化の確立についてお答え申し上げます。  今年は、東京オリンピック・パラリンピックでの多くのアスリートの活躍に日本中が沸き上がり、スポーツの力を実感する年になればいいなと思っています。  スポーツには筋書がありません。ただ、それに至るまでにはいろんな人の思い、その人の生きざまといったものがあります。  スポーツとは、単に運動ではありません。人の魂を揺さぶるような人生の根源的な価値、こうしたものがスポーツが持つ本来の力であります。だからこそ、人はスポーツを見て感動するのではないかと思います。  最近の例でも、先月の都道府県対抗駅伝で男子チームが、佐賀県は前年の二十三位から四位に躍進しました。これも、この大会を最後とお話しなされた古川監督への選手たちの思いが結果につながった。そして、多くの県民が驚き、感動した。そして、勇気をもらった。こうしたことがスポーツの持つ力だと思います。  佐賀県は、このようなスポーツが持つ本物の力を信じています。SAGAスポーツピラミッド構想を進めておりまして、三年後の国スポ・全障スポ佐賀大会も、こうしたSSP構想の実現に向けた大きな契機と捉えて、取組を推進してございます。  二〇二三年の佐賀大会は、体育大会からスポーツ大会へ変わる最初の本大会、ただ名称が変わるといっただけではつまりません。スポーツだからできることにスポットを当てた新しい大会にしていきたいと思います。  その一歩として、本年一月、愛称を「SAGA2023」と決定し、「新しい大会へ。すべての人に、スポーツのチカラを。」というメッセージに思いを込めてございます。  今後は、この愛称、メッセージを旗印にお一人でも多くの方が会場に足を運ぶような機運醸成を加速させていくとともに、「する」人だけではなくて、「観る」人、「支える」人、誰もがスポーツのすばらしさを共感できるような会場づくりや運営など、新たな取組にも積極的にチャレンジをしながら、最後はみんなが感動の涙を流すような、そんな大会を目指したいと思います。  また、議員から御指摘がありましたけれども、「SAGA2023」は障害者スポーツのさらなる普及を進める上で絶好の機会と捉えてございます。障害者スポーツを大切にしていきたいと思います。  今後も、競技団体や特別支援学校とも連携し、県内各地で多くの方を巻き込みながら、それぞれの目標や能力に応じて、仲間と一緒にスポーツを楽しむ文化の確立に向けてもしっかり取り組んでまいります。  こうした大会をつくり上げていくことが、「すべての人に、スポーツのチカラを。」のメッセージどおり、年齢、性別、障害のあるなしに関係なく、誰もがスポーツを楽しむ文化の裾野拡大につながっていくと確信しています。  続きまして、国スポを契機とした競技力の向上についてお答えします。  本県は、SSP構想の下で、就職支援、練習環境の充実も含めて、佐賀から世界に挑戦するアスリートが育つ好循環をつくる取組、いわゆるSSP構想を推進しています。  「SAGA2023」におきましては、選手がスポーツの力を示し、それを見た県民に感動を巻き起こし、大会後も佐賀に競技力がしっかり根づく形での天皇杯獲得を目指しとうございます。  これまでも、中学生の育成には指導者が重要であることから、継続的に指導者を招聘し、選手と指導者双方を育成するほか、社会人が働きながら競技を継続できるようにアスリート雇用を希望する企業と選手をマッチングするなど、佐賀に競技力が根づくことを主眼とする取組を推進しています。  この取組は、「SAGA2023」の後も、競技団体と連携して進めるとともに、財政面でも民間企業などの幅広い協賛も得ながら、SSP構想に中長期的に取り組む体制を強化していく所存であります。  スポーツは、先ほど申し上げたように、アスリートが志を胸に抱き、より高みに挑戦し、自分の限界を超えプレーする姿は、アスリートや指導者だけではなく、それを見た多くの人の心を打ちます。そして、子供には夢と感動だけではなく、将来に向かっての志を育む大きなきっかけとなるものでございます。心が傷ついたときには癒やしとなり、つらいときには励ましとなります。  また、スポーツは様々な形で多くの人が関わることが可能です。アスリートを支える食事、医学、AI、ICTといった産業だけでなく、健康づくり、まちづくりといった様々な分野への広がりも持つものです。  このスポーツが持つ力を大切にし、競技関係者以外の多くの人々を巻き込むことは、従来型の競技力向上や成績至上主義ではできないことです。大事な価値観であります。  「SAGA2023」はゴールではありません。SSP構想の下、スポーツを通じた人づくり、地域づくりを進めることで、「すべての人に、スポーツのチカラを。」という「SAGA2023」のメッセージを形として佐賀に根づかせ、世界のどこにもない新しいスポーツシーンを佐賀から切り開いていきたいと思います。  続きまして、SAGAサンライズパークの運営についてお答え申し上げます。  SAGAサンライズパークは、佐賀県の未来にとって大きな価値を生み出すものです。「SAGA2023」は第一歩です。末永く本県の発展につながるものにしていかなければいけないと思います。  そして、「さが躍動」の象徴となりますSAGAアリーナにつきましては、今月の六日に入札が成立いたしまして、水泳場のSAGAアクアですとか、第一種公認施設に生まれ変わります陸上競技場でありますSAGAスタとともに、後世に誇れるようなメモリアル施設として整備するための議案を今議会に提案しておりますけれども、県議会の附帯決議を真摯に受け止めつつ、まずは「SAGA2023」に向け、全力で取り組みたいと思います。  また、今議会では、SAGAアリーナを含むSAGAサンライズパーク全体の指定管理に関する議案も併せて御提案させていただいております。  施設整備に着手する現段階から今後の利活用促進策をしっかりと見据え、ソフト、ハード両面での対策を進めていかなければなりません。  川崎議員からお話がありました。まさに運営面が成功への鍵となると私も思います。  こうしたことから、次の指定管理者につきましては、施設の維持管理や利用調整など基本的な役割のほかに、プロフィットセンターの象徴となりますSAGAアリーナへのスポーツやイベントの誘致活動、SSP構想の拠点となるスポーツ医科学的な機能の導入、さらに多くの来場者が期待される交流の効果を地域活性化につなげる、いわゆるエリアマネジメントの視点を大きな評価項目として位置づけて募集したところでございます。  指定管理者候補であります「SAGAサンシャインフォレストグループ」からは、「九州の感動創造拠点」を経営理念として、代表企業であります電通が持つアリーナネットワークを生かして、エンターテインメントコンテンツの実現を図るという提案がなされています。  具体的には、有明アリーナ、これは東京オリンピックのバレーボール会場になるところでありますけれども、電通が自ら運営するそうしたほかのアリーナ等とのネットワークを生かして、スポーツ・文化コンテンツの誘致、開発を展開していくものというふうに承知してございます。そのアリーナネットワークは、西は佐賀だけになっています。そういったネットワークを生かしたい。  このようなことから、次の指定管理者については、施設の維持管理や利用調整など基本的な役割のほかに、プロフィットセンターの象徴となりますSAGAアリーナへのスポーツやイベントの誘致活動、SSP構想の拠点となるスポーツ医科学的な機能の導入、さらには、多くの来場者が期待される交流の効果を地域活性化につなげていく、こうしたことをしっかり頑張っていただきたいというふうに思っております。  また、構成企業として県内六社がグループに参画するとともに、百二十社を超える県内企業から関心、協力を取り付け、さらに自治会や関係団体など地域との密な連携体制を構築することによりまして、グループ全体で地域活性化を目指すエリアマネジメントを推進することとされています。  今後、県、そして地元佐賀市、指定管理者候補の三者がしっかりと連携し、そこに多くの県民や県内企業・団体が関わり、一体となってオール佐賀、ワンチームの取組によりまして、SAGAサンライズパークを核として交流の効果を地元佐賀市はもとより、県内全域へ波及することを目指して取り組んでまいります。  スポーツの力、文化の力、そして、オール佐賀の県民の力で、SAGAサンライズパークから佐賀新時代を切り開き、「SAGA2023」に向け、そして、その先の県の未来に向けて、佐賀県民とともにオール佐賀で佐賀県飛躍の推進力となるように全力を尽くしてまいりたいと思います。  続きまして、観光振興についてお答え申し上げます。  私は観光の姿も変わってきたように思います。観光とは、従前のような単なる物見遊山ではなくて、地域を訪れた方がそこに暮らしている人々との触れ合い、様々な体験を通じて、その地域に根差しております伝統や文化、歴史や人々の思いなどに共感する機会、それを楽しみに来られる比重が高くなってきたんではないかと思います。  一方、逆に今度地域づくりのほうから見れば、地域側も閉鎖的ではなく、地域を訪れた方との積極的な交流を通じて、自らが地域の日常が持つ本物の価値に気づいて磨き上げ、未来に継承していく好循環につなげていく必要があるというふうに思っておりまして、そもそも観光振興と地域づくりというのは別々であったものがだんだんだんだんお互いが密接不可分に一体化しているように思います。  二、三十年前は県庁の課でもこの二つは全く別に仕事をしていたんですけれども、最近はこれは一緒に連携しながら仕事をしなければ、魅力的なコンテンツができないという状況になっています。  例えば、鹿島の酒蔵ツーリズム推進協議会は今回「ふるさとづくり大賞」、全国一を受賞されたわけですけれども、八年前に酒蔵の方々の熱い思いで始まった小さな取組の輪が徐々に広がって、地域の魅力が高まって、SNSで今度は観光客とともに直接つながってきたという好事例だというふうに思います。  このような取組が県内各地で広がってきた結果に、今やアジアを中心とした多くの外国人観光客は佐賀県の魅力あふれる豊かな自然、歴史、文化、食などを目指して訪れるようになったものと思います。  二〇一四年から二〇一八年、ここのところの佐賀への外国人宿泊者数の伸び率は全国第二位なのであります。  このような中で、昨年七月からの日韓関係の影響による外国人観光客の急減に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、旅行需要が減少しておりますけれども、プロモーションや接客が困難な今だからこそ、佐賀の真の価値を掘り出すための手が打てる好機と考えるしかありません。ピンチはチャンスにしなければいけないと思っています。  今、旅行形態は、かつての団体旅行から個人旅行へと大幅にシフトをしております。そして、さらに人口減少社会が進展していきますと、観光客におけるインバウンドの比率もますます高まっていくと思います。また、国内客や団体客のみに依存し過ぎている地域は、新たにインバウンドや個人客を迎え入れる準備ができて、一方、既に受け入れられている地域でも新たな体験型の旅行商品の開発、多言語対応、食の多様性への対応など、やらなければいけないことがたくさんございます。  私は、本県の日常を大切にして、旅行者を迎え入れることで県民がふるさとへの誇りを実感できる社会の実現について目指すことができると考えております。議員提案によりつくられました「ふるさと佐賀への誇りを育む観光条例」と思いは一緒です。  県議会の皆さんが佐賀県議会日台友好促進議員連盟として、台湾の航空会社や旅行社などを訪問して友好的な関係を構築いただいている、こういったことは佐賀県にとって大変心強いことです。将来的に、いろんな国、地域にもこのような取組が広がりまして、新たな航路・空路開拓などにつながっていけたらいいなというふうに思っています。  この条例に込められた思いを形にしていくためにも、佐賀が誇る和テーストを大切にしながら、行政だけでなく、地域の皆様、例えば、農業、漁業、商業、さらには地域住民の皆さんも含んだオール佐賀で、特定の国だけではなくて、マルチインバウンド対策に取り組んでいく必要があると思います。  空港に関して申し上げます。  グローバル化やICT化など、時代の変革の中で国境や県境などの意義も変わって、その中で地域がどうしていくのかが問われる時代になっています。九州佐賀国際空港は、地に足のついた不断の努力と先進的なチャレンジによりまして、利用者数は建設時の需要予測を大きく超え、地域発展の重要なエンジンとなっております。  九州佐賀国際空港を中心とした筑後佐賀エリアは人口が百万人を超えております。その総生産額は北九州都市圏と同等クラスの規模となっております。有明海沿岸道路佐賀唐津道路を基軸として地域の一体的な発展に大きな可能性があると確信しています。  このため、既存路線の利用促進に取り組むことと併せて路線の多角化にも取り組んでいきます。また、ターミナルビルの拡張や滑走路延長など、九州のゲートウエー空港とするための機能強化を着実に推進していきたいと思います。九州佐賀国際空港を中心に、さらなる交流を生み出し、新たな地域の未来を切り開いてまいります。  港湾の取組についても申し上げます。  観光港であります唐津港については、官民一体となって主に欧米からの観光客を中心としたラグジュアリークラスのクルーズ船の誘致に取り組んでいます。  その結果、近年、こうしたクルーズ船の寄港が増え、多くの乗客が県内各地へのツアー、茶摘みだとか人形浄瑠璃など、そうしたものに参加されています。  参加者からはツアーに対する高い評価を受けておりまして、佐賀県のイメージアップ、ブランド力の向上につながっていると思います。  今後も、唐津港を一つの観光交流拠点として新たな観光交流を生み出していきたいと思います。  未来を見据えて、世界を見据えて、県民のふるさとへの自信と誇りの醸成を目指すとともに、交流人口増によって、地域の幅広い分野の成長を促進していくために積極的な観光振興を図っていきたいと考えております。  続きまして、福祉行政についてお尋ねがございました。  まず、現場の福祉ニーズを踏まえた取組についてお答え申し上げます。  県内には様々な事情で、自分の力だけでは解決できない問題を抱えておられる方やその御家族、そして、その方々を医療や福祉の現場で懸命に支える方がいます。私は、これまで車椅子体験、妊婦体験のほか、様々な機会を捉えて現場に出向き、率直な意見交換を行い、多くの声に耳を傾けてまいりました。  そうした声を反映して、例えば、軽度・中度難聴児の補聴器購入への補助を、来年度からさらに片耳の難聴児さん、それから、人工内耳が必要な子供たち全てに拡充。それから、外見からは病気や障害があるように見えない方のためのヘルプマークの導入。不育症の方々への検査及び治療費用の助成。双子や三つ子などの多胎家庭への子育てタクシーチケットの交付やパーキングパーミットの利用期間の延長などなどを実施してまいりました。  さらに、現場の福祉ニーズを把握するために、平成二十九年度から、私の発案によりまして、ひきこもりや発達障害、救急医療など、各分野の第一線の現場で活躍している方々に参加していただいた「さが現場の声と想いをつなぐ懇談会」といったものを設置して、これは十五回開催しております。  ここでは日頃感じておられること、考えておられることを自由にありのまま述べてもらっておりまして、私自身も多くの気づきを得ております。県側から何か案を出して、それを審議してもらうんではなくて、皆さん方の中で、現場の中でこんなことをやったらどうかというものを県のほうにアイデアとして出していただくといった会です。  この懇談会の声を反映して、昨年度、発達障害のある成人に特化した「佐賀県発達障害者就労支援センターSKY~スカイ~」といったものが開設されたり、来年度は在宅の人工呼吸器使用者の支援のために災害時非常用電源の購入費用の補助を行うことを提案することになりました。  このほかにも、現場の声を取り入れまして、レスパイト訪問看護ですとかスクールバス、ひきこもり地域支援センターの開設など、様々な施策が展開されています。  私には、既存の福祉の制度、事業の対象にならない隙間と申しましょうか、制度の隙間のような、ふだん見えないことで、そのシステムのはざまで困っておられるような方の声を丁寧に拾って支援の手を差し伸べたいという強い思いがございます。  そうした同じ思いで県議会での議員の皆様からも様々な御提案をいただいていることを大変心強く思っています。そうした御提案ですとか、各種審議会等において会長さんなど委員から出された意見など、もちろんこれは大切にしなきゃいけません。それに加えて、職員の一人一人が日頃の業務の中で様々な声を拾ってくる、そういうルートも構築して、様々なルートを通じて現場のニーズを把握して県政に生かしていくという態度を持っていきたいと思っています。  これからもそうした思いで人の痛みに敏感な県政を進め、できることから一つ一つ取り組んでいく所存であります。  続きまして、民生委員、児童委員の活動についてお答え申し上げます。  私は、かねてから申し上げているとおり、佐賀県のよいところは相互扶助による人と人とのつながりが強い地域であることだと思っています。そういったものの現れなんでしょうか、現在、御活躍いただいている二千九十三名の民生委員、児童委員の、定員に対する充足率九七・八%で九州一位、全国でも高い水準を維持しています。ただ、川崎議員の言うように、同じ人がやっていただいたり、大変苦労をかけているということは十分承知しております。
     私自身も、民生委員制度の創立百周年の年であった平成二十九年に「一日民生委員・児童委員」として佐賀市内の独り暮らし高齢者のお宅を訪問いたしました。  その際にも、近くの八百屋さんが閉店して買物弱者になったとか、かかりつけの病院が家から遠いとか、もう少し話し相手が欲しいとか、いろんなお声を伺ったわけであります。  民生委員、児童委員がまさにそうした地域の方々の声や現状をダイレクトに把握されている存在であることを再認識し、委員の皆様が活動しやすい環境づくりが大切であると思っています。  このため、昨年十二月の一斉改選の際には、委員一人当たりの抱える世帯数が多過ぎる地区については、市町からの要望に応えまして、県全体で十一名増員させていただき、負担を軽減できるようにいたしました。  また、活動のための交通費などの負担が大きい離島の民生委員、児童委員につきましては、県が、本年度から渡航費用の支援を開始しております。このほか、先月、私から直接、在職十五年以上の民生・児童委員の方々に対して社会福祉功労者表彰を行いまして、永年にわたる御貢献に対して感謝の言葉を申し上げました。  私は、民生・児童委員の日頃の活動や役割について県民の皆様に十分知っていただき関心を持っていただくことが大切と考えており、広報にも努めてまいりたいと思います。  民生・児童委員の皆さんは、地域の中で頼りにされ、安全・安心を支えておられる存在です。その活躍が佐賀県の地域力を高めることにつながっています。今後とも、民生委員、児童委員の皆さんが活動しやすい環境づくりを進め、これからも共に手を携えて佐賀県政を進めてまいります。  続きまして、福祉関係の団体が利用できる施設の整備についてお答え申し上げます。  県の福祉関係施設の中には、老朽化が進んだり、近年の社会情勢の変化や福祉ニーズの増大に伴い、手狭になったり、機能が十分に発揮しづらくなっているものがあります。  そうした県の施設には、福祉関係の団体が活動の拠点とされていたり、指定管理者として管理していただいているものもあります。  例えば、県の総合福祉センターは、児童、婦人及び障害者、障害児のための相談などを総合的に行う機関でありまして、その敷地内には複数の福祉関係団体が事務所を置く県身体障害者福祉会館や体育館、運動場などがあります。  センターは、これまで児童虐待やDV被害の大幅な増加に対応するために、平成二十三年度と平成三十年度に改修、増築を行いましたけれども、将来的には、さらに相談室などが不足する見込みとなっています。  そして、利用された方々に話を聞いてみますと、利用者のプライバシーに配慮した動線になっていない、特に、トイレとの接続の問題とかですね。廊下に自然光が入らず暗いとか、様々な声が寄せられております。  こうしたことから、センターの建物や機能、利用者の利便性などにつきまして、将来的な在り方を検討する時期に来ているのではないかと考えています。  他県の同様の施設の状況を見ますと、本県同様に、総合的な相談機能を持つセンターを有する県もあれば、児童及び女性に特化したセンターの県もあるなど、その在り方は様々でございます。ほかにも心の悩みや不安などの相談を受ける県精神保健福祉センターは、現在は旧小城保健所の建物を使用しておりますけれども、こちらも場所が分かりにくくて、そして老朽化が進んでいるという状況になっています。  私は、こうした状況を考えますと、県の福祉関係施設全体について、例えば、将来的には様々な機能を集約した総合福祉エリアのようなものを目指すのか、あるいは分野ごとに専門施設を分散配置するのかなど、様々な観点から議論を始める時期に来ているというふうに考えております。  川崎議員から今回そのようなお話をいただきました。福祉関係団体も、もちろん大切なパートナーでありますので、こうした議論をこれから行うに当たりましては、福祉関係団体にもどのように御活用いただけるのか、そして福祉関係同士も含めてどのように連携していただけるのかといった、そういった在り方についても御意見を伺いながら、ハード、ソフト両面での検討をしていくことになろうかと、そうしたことに注力していきたいというふうに考えてございます。  続きまして、新型コロナウイルス感染症に対する県の対応についてお答え申し上げます。  まず、現状でありますけれども、新型コロナウイルス感染症につきましては、国内で既に数多く感染者が確認されて、九州では福岡県、そして熊本県でも患者が発生しているということは御案内のとおりです。  県内では、昨日までに十九件のウイルス検査を実施しておりますけれども、全て陰性でありまして、現時点で発生例はございません。本日も検査を行っております。  今回の新型コロナウイルス感染症につきましては、普通の風邪とそもそも見分けがつきにくいという問題、そして潜伏期間が約二週間近くあります。そして、軽症者も多いという特徴があります。ダイヤモンド・プリンセス号の状況などを見て、私は水際対策のみで国内発生を食い止めるというのは、当初からなかなか難しいんではないのかなという認識は持っていたところです。  感染症に対する危機管理は、感染の拡大を防止して健康被害を最小限に抑えるために、国内発生早期から将来の流行を見据えた準備を行うことが大切だと思いますし、水際対策だけではなくて、入ってくる可能性があるわけですから、その場合はどのように対応していくのかということもしっかり検討して、それをあらかじめ国民の皆さんに説明しておくなどの丁寧な対応が大切ではないかと認識しています。  新型感染症は未知のことが多くて、治療方法や対応マニュアルも確立していない中で対応しなければならないわけでありまして、最新の情報、状況をしっかりと把握して、関係者で情報を共有、分析し、冷静かつ柔軟に対応できるように備えておくことが必要です。常々申し上げているように、危機管理は予定どおりにいきませんので、その状況に応じた対応のオペレーション能力というものが問われていくということになります。  こうした視点に立ちまして、準備態勢を盤石にするために、福岡市で発生後、直ちに対策本部準備会議の開催を指示いたしまして、今、県内での発生に備えておりまして、小林副知事を中心に幾度と準備会議が開かれておるところです。  相談体制につきましては、県民の不安解消と患者の早期発見のために、各保健福祉事務所に一般電話相談窓口や発熱やせきなどの呼吸器症状がある方のための帰国者・接触者相談センターを設置しています。  また、医療体制や検査体制につきましては、感染を疑う場合は帰国者・接触者外来へつなぎ、適切な治療を行うとともに、医師が必要と判断した患者にはウイルス検査、PCR検査を行う態勢を整えています。このように県も態勢を整えて取り組んでおりますので、不安のあられる方は、まずは最寄りの帰国者・接触者相談センターに御相談いただきたいと思います。  新型コロナウイルス感染症対策の基本は、インフルエンザなどと同様に、手洗いの徹底やせきエチケットなどであります。また、特に気をつけなければいけないのは、重症化しやすいと言われている高齢者や基礎疾患のある方々であります。できるだけ人混みを避けるなどの対応をお願いしたいと思います。  県民の皆様におかれましては、過度に心配することなく、県が発信する情報に基づいて冷静に行動していただきたいと思います。我々は県内での発生を前提として、今後とも国内での流行状況を注視して、その状況を見据えながら、しっかりと県民の皆様の安全・安心のために努力を積み重ねてまいりたいと考えています。  続きまして、がん対策についてお答え申し上げます。  がんは県民の命を守る上で大きな課題であります。県では三つの柱をもとにがん対策を推進しています。  一つ目はがんにならないようにする、いわゆる「一次予防」であります。避けられるがんを防ごうということであります。そのために歩くライフスタイルの推進、たばこ対策、食生活の改善など、県民の健康づくりの取組とともに、胃がんによるピロリ菌や肝がんにおける肝炎ウイルスといったがんの原因となるウイルス等への対策などを実施してきています。  こうした取組の結果、肝がんにつきましては、平成三十年の死亡率が二十年ぶりに全国ワーストを脱却したということになりました。  二つ目は「二次予防」です。がんを早く見つけて、早く治療することです。そのためには、がん検診を定期的に受けてもらうことが何より大事で、我々は「ほっとかないで、ほっとしよう。」をキャッチフレーズに、県民の皆さんががん検診を受けやすい環境づくりと受診促進に取り組んでいます。  特に、死亡率が全国ワーストレベルを推移しております子宮がんについて、今年度から市町が実施する子宮頸がん検診において、ヒトパピローマウイルス、いわゆるHPVの検査を導入しています。罹患率が高い年齢層、三十歳から四十四歳の皆さんのウイルス検査費用を全国で初めて無料化させていただきました。  十一月末までの実績で、対象年齢の受診者数が前年同時期より一割増加しています。加えて、受診者のうち、九割以上の方がHPV検査を受診されておりまして、今後の成果に期待しています。  私も、御案内のとおり、知事就任直後に検診を受け、早期の胃がんが見つかりました。あのとき検診を受けていなければ、今頃どういう状況になっていたのかというふうに思います。  がんは、四、五十年前、三十年前と違って、あの頃はがんというだけで絶望的な気持ちになったわけですけれども、早期に発見すれば、治療すれば治る時代になったということをもっともっと県民の皆さん方にお伝えしなければいけないと思います。県民の皆さんには、自分のため、そして周囲の大切な人たちのためにもぜひ検診を受けてもらいたいと思います。  もう一つ大きな問題があります。精密検査が必要という結果になったのに行かない方がおられる。必ず精密検査に行ってもらいたいと思います。せっかく検診に行ったのに、要精密検査なのに、自分で勝手に理由をつけて、きっと大丈夫だろうというふうになったり、不安に思う気持ちも分かりますけれども、ぜひ精密検査に行っていただきたいということをお伝えしたいと思います。  三つ目ですが、「がんになっても安心して暮らせる社会づくり」です。  不安や悩みを抱えるがん患者やその家族に寄り添う相談支援を「さん愛プラザ」、「がんサロン」などで実施しています。また、拠点病院に設置しておりますがん相談支援センターで関係機関と連携し、がんになっても患者が仕事を辞めずに済むような就労支援にも取り組んでおります。  さらに、これからは小児・AYA世代と呼ばれる四十歳未満の若年がん患者の方々の支援に力を入れていきます。  この世代は、進学、就職、結婚、出産といった変化の大きい時期でありますので、きめ細やかな支援が必要です。がん治療そのもの以外の経費は、医療保険や介護保険といった公的支援の対象ともならず、経済的負担も大きいものでございます。  そこで、来年度から子供を産み育てることを望む方々を対象に、がん治療に伴う精子や卵子の凍結保存などの妊孕性温存治療に助成するとともに、末期がん患者の在宅療養費を助成することを提案しております。  加えて、二十歳未満を対象に、白血病などで造血細胞移植を行った場合の予防接種の再接種のための費用を全国で初めて全額助成しようとするものであります。  こうした取組を通じて、少しでもこの世代の夢を応援し、あるいは願いに寄り添うことができるようにしっかりと取り組んでまいります。  これらの三つの柱への取組を通じ、県民をがんから守り、たとえがんになったとしても社会全体で支え、安心して暮らせる佐賀県をつくってまいります。  続きまして、健康寿命の延伸について申し上げます。  佐賀県民の健康寿命は、国の調査によりますと、平成二十八年で男性が七一・六〇歳、全国は七二・一四歳、佐賀県の女性は七五・〇七歳、全国は七四・七九歳となっております。私は様々な分野で活躍されている方々にお会いしますが、この年齢を超えても現役で元気に過ごされている方もたくさんおられます。  県民の皆さんには高齢になっても生き生きと人生を楽しみ、地域の担い手として長く活躍していただきたいと願っています。そのため、働き盛りの頃からの健康づくりが大事でありまして、今年度から「さが健康維新県民運動」をスタートさせました。誰しも健康によいと分かっていても生活習慣を変えるのは容易ではありません。しかし、個人の努力に頼るのではなくて、社会全体で取り組めば、関心の薄い方々にも健康づくりに関心を持っていただけるのではないかと思ったわけであります。  県民運動は「歩く・身体活動」、「食と栄養」、「歯と口の健康」、「たばこ対策」の四つを柱として展開しております。  特に、今年度は「歩く・身体活動」に重点を置きました。ウオーキングアプリ「SAGATOCO」を配信して、私自身も一生懸命に利用を呼びかけておりますが、利用者からは、今まで意識して歩くことはなかったが、目標値を目指して歩く習慣ができたとか、社内の会話に健康のテーマが増え、よい会話が増えたことに感謝しているといった声が寄せられておりますし、三万五千を超えたような気がいたします。大分広がりを見せておりますので、すばらしいことだと思いますし、今後は車椅子の利用の方も活躍できる機能だったり、バーチャルウオーキングコースを追加して、さらに魅力を高めることで一層の普及を図っていきたいと思います。  「食と栄養」につきましては、佐賀県民の一日当たりの野菜の摂取量は、全国と比べて、あと一皿分少ないということなので、来年度、重点的に取り組んでいきたいというふうに思います。特に、若い方がなかなか野菜を食べていただけないという話もよく聞きます。食習慣の基礎ができる大切な子供世代には、保育園などで絵本による読み聞かせなどを行い、働き盛り世代には、社員食堂や店頭でのキャンペーンを通し、野菜から食べる、野菜の摂取量を増やすことを呼びかけていきます。  「歯と口の健康」については、歯周病と糖尿病の関連が深いことから、県民に、身近なかかりつけ歯科医を持つことを推奨し、医科と歯科の連携を推進していきます。  「たばこ対策」については、受動喫煙対策とともに、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの協力を得て、引き続き県下全小学六年生と中学一年生への防煙教育を実施してまいります。  こうした取組を、県下全域で、県民の皆さん、企業、団体、大学、保健・医療など、県内多くの関係者の皆さんとともに展開していきます。  県民の皆さんの健康寿命の延伸は幸せづくりでもあります。県民運動を通し、元気な高齢者が活躍しております元気な佐賀県を実現してまいります。  続きまして、商工業の振興についてお答え申し上げます。  社会経済情勢は、少子・高齢化、人口減少、グローバル化、AI、IoTや5Gといった先進テクノロジーの急速な進展など大きく変化しています。  こうした変化に対応して、県内産業を発展させていくために最も大切なのは、まさに人の力であります。県外へ流出している人の流れに歯止めをかけ、人材を確保するとともに、産業人材の育成を図っていくことが重要です。  今ある企業が成長するとともに新しい産業が生まれることで、佐賀で働きたいと思う人たちが増え、産業を支える人材が育ち、それによって、さらに企業、ひいては産業が発展してまいります。まさに企業と人材は絡み合った将来伸びる束ねるべき糸だと思います。  県では、このような好循環による県内産業の発展を目指し、大きく四つの観点から産業振興に取り組んでいます。  一つ目は、あらゆる産業の基盤となります産業を支える人材の確保であります。  本県では、県外流出が多いのはお話ししたとおりでありますけれども、この流れに歯止めをかけたいと思いまして、私自身、機会あるごとに佐賀で暮らし働くことのすばらしさを県内外の方々に発信してまいりました。「プロジェクト60」も先ほど申し上げたように、大きな成果を上げつつあります。今年三月卒業予定の高校生は、内定者が今六〇・八%でありますので、最終的な県内就職率は六〇%を超えるんではないかと期待しています。  さらに、来年度からは大学生の県内就職にも力を入れたいと思います。県内の大学生に対しましては、県内企業のすばらしさ、魅力を伝えるために、県内企業と大学生との大規模な交流会を開催したいというふうに思います。  また、県外の大学生にとっては、佐賀県までの交通費が就職活動の大きなハードルとなっておりますことから、どこからでも参加できるウェブ上での企業説明会の開催や、就職活動のための交通費の支援を行っていきたいというふうに思います。  最近は、コロナウイルスの問題もあって、この企業説明会もなかなかできないということがありますので、先にこのウェブ合同説明会という取組を進めていたというのは非常によかったなというふうに思います。引き続き高校生や大学生が県内に就職し、佐賀で夢をかなえていけるような後押しを積極的に行い、人材確保に努めていきたいと考えています。  二番目に、産業の活力を未来につなぐことであります。  経営者の高齢化が進んでおりますので、事業承継をやっていかなければいけません。喫緊の課題であります。企業が、後継者がいないことで廃業していくということは、今までせっかく培ってきたノウハウの蓄積、そして顧客との付き合いを失うことになり本当に残念に思います。  昨年度から商工団体などとの連携のもとで、事業承継の大切さについて経営者の理解を深めるために県内事業者へ個別訪問を行っています。この事業承継においては、親族や従業員の引継ぎはもとより、後継者が不在であっても第三者への承継を進めることが重要です。このため、今年の一月には、全国的に中小企業のM&A支援を手がけます株式会社バトンズや県内八金融機関と協定を締結しました。広く全国から後継者となる人材を佐賀県に呼び込んでいきたいと思います。  今後も、地域に愛される企業が、その事業に価値を見いだしていく方々にしっかりと引き継がれて地域の宝として残っていくようにしっかり取り組んでいきます。  そして、商工団体につきましては、昨年の佐賀豪雨災害発生の際に、発災直後から被災状況の確認、その後の復旧復興の支援に個々の事業者に寄り添いながらまさに最前線で尽力していただきました。私自身、商工団体の役割の大きさを改めて認識したところでありまして、大変感謝をしています。  社会情勢が大きく変化する中で、小規模事業者の方々は、将来に向けて経営力の向上や新たなサービス商品の開発、販路開拓などに日々努力されておりまして、最も身近な存在であります商工団体の支援の重要性もますます高まっていくと思います。商工団体の支援体制の確保をしっかり取り組んでいきたいと思います。  三つ目は、世界に売り込むことです。  「佐賀牛」、陶磁器など、私自身も先頭に立って海外へのトップセールスも行ってまいりましたし、今年度はSAGAマリアージュというコンセプトを打ち出して、食材と器と料理人が織りなすというプロジェクトを開始しております。これは本県が誇る高品質な食材と器が融合して、さらに料理人の感性が加わることで新たな価値を生み出そうとするものです。  それを象徴するものとして、「アジアベストレストラン50」を日本で初めて佐賀県で開催して、本県の地域資源のプレゼンスを国際的に飛躍的に高めたいなと、それを新たなビジネスの創出につなげたいということで全力で取り組んでいたんですが、まことに残念ながら今回は中止と相なりました。ただ、我々がこれまでの準備を通して得ることができました主催者との強い信頼関係、トップシェフとのネットワーク、貴重なノウハウの蓄積は、私はこの日本の中では唯一無二のものだというふうに認識しています。  次回開催については未定でありますけれども、何とかチャレンジしていきたいというふうに考えています。また、これまでに構築したトップシェフとのネットワークも最大限に生かしながら海外展開を進めてまいります。  四番目は、イノベーションを起こすことです。  私は、時代の変化に合わせて、企業がその持っている技術を生かして新たな領域にチャレンジしてイノベーションを起こす、そのための環境整備を行政が率先して進めたいとも考えております。  このイノベーションでよく思い出すのが、私は鳥取県で商工労働部長をやっていたんですけれども、もともと用瀬電機というモーターの巻線の加工をやっていた工場があったんですけれども、なかなか立ち行かないということで、抗菌マスクを作る工場に入ってきました。そしたら、だんだんそのマスクの需要が高まるに連れて、紙布がどんどん上がっていって、今極めて優良な抗ウイルス抗菌マスクの会社として蘇生いたしました。  身近なところで言っても、例えば、鹿島の有名企業であります森鉄工も、もともとは肥料関連産業、肥料を売っていたような会社だったというふうに聞いておりますので、考えてみると、企業というのは、その時代とともにどうそれを新しい産業として生まれ変わっていくのか、そういったことを考えていくということ。そして、行政はそれをしっかり支えていくということが大事なんだなということを認識しております。  県では、全国に先駆けまして、一昨年の十月に産業スマート化センターを開設いたしまして、県内企業のAIやIoTの利活用を促進させ、その導入事例も着実に増えてきております。  その一方で、県内企業からはIT人材が不足しておるという声が大きいので、本格的にIT人材の育成、確保に着手して、人材面からも先進テクノロジーの活用を加速させて、生産性の向上、新たなビジネス創出につなげてまいりたいと思います。  また、本県産業界にこれまでにない新しい刺激が注入されることで化学反応も起こしたいと思っておりまして、新たなビジネスにチャレンジする起業家の掘り起こし、そしてその成長支援、コスメティック産業における創業といったものも強力に推し進めていきたいと思います。  冒頭に申し上げました好循環による県内産業の発展、企業と人材がトゥインクルになって伸びていくという姿、未来に向かって本県産業の振興に取り組んでまいりたいと思います。  続きまして、農業の振興についてでございます。  まず、昨日公表されました日本穀物検定協会の食味ランキングで、「さがびより」が十年連続、「夢しずく」が三年連続で最高評価の特Aを獲得いたしました。「さがびより」は十年連続特A獲得となりました。自分たちよりも長くやっていたところが今回残念な結果になったことで、現在継続中の中では、佐賀県の十年連続特Aは、北海道の「ななつぼし」と並んで全国最長となりました。  昨年、県産米は干ばつや害虫の大量発生、豪雨、収穫直前の台風による塩害などによりまして、作況指数五十八と記録的な不作となりましたけれども、そうした中でこのような評価を得たことは、まさに生産者の高い技術力によるものでありまして、本県の誉れであります。大変喜ばしいことと思います。今日この報告ができて本当によかったと思います。違う結果だったら別の話をする予定でした。  私は、佐賀県の農業者の方々は、先人から代々受け継いだ本物のすばらしい農作物を作り上げるまじめさと優れた技術を併せ持っておりまして、それらが佐賀県農業の産地や産業としての強みになっていると思います。  このような本県の誇りであります農業を将来にわたって引き継いでいくためには、農業者の所得向上を図るとともに、農産物の価値がさらに高まるようなブランディングを進めていくことも重要であります。  例として二つ挙げますけれども、一つはデビュー二年目の「いちごさん」のさらなる収量向上と高品質化に向けた生産技術の確立、普及ですとか、キャベツなどの露地野菜の新たな産地づくりなどを推進する「さが園芸888運動」を展開していることが挙げられます。  二つ目として、「佐賀牛」の主要産地であります唐津地域において、繁殖農家の負担軽減と肥育素牛の生産拡大のために繁殖作業を農家に代わって実施する、いわば「佐賀牛の産婦人科」を整備していこうということであります。こうした付加価値の向上策に取り組んでいきたいと思います。  また、今後についてですが、果樹試験場において、これまでにないような食感とジューシーさが際立つ新品種佐賀果試三十五号を開発したところです。  この新品種については、令和三年春の市場デビューに向け、ネーミング、ロゴデザインを開発することにしておりまして、戦略的なプロモーションを展開していくことでトップブランドに育てていきたいと思います。  また、農業者の所得向上を図るとともに、働き方改革などの時代に応じた新しい経営に取り組み、女性や若者の皆さんと一緒になって佐賀県の農業は楽しいんだという雰囲気をつくっていきたいと思います。意欲ある新規就農者の確保、育成につなげてまいります。  中山間地域農業対策も喫緊の課題です。担い手不足、イノシシ対策など深刻化しております。これにつきましては、ハウス整備や省力化のための機械導入などに対する補助率のかさ上げ、女性の視点や感覚を生かした新商品の開発や、農家民宿の開設などによる農業経営の多角化、そしてイノシシの捕獲報償金の交付対象期間を拡充するなど、有害鳥獣対策の強化などに取り組んでまいりたいと思います。  さらに、地域での具体的な動きを後押しするために、新たに農作業を受託する広域営農組織の設立、運営に対する支援、棚田地域の魅力を引き出すコーディネーターの配置などを行うこととしておりまして、中山間地域でのチャレンジを支え、農村を守る動きを広げてまいります。  私はこれまで、一貫して「農業の振興なくして県勢の浮揚なし」と申し上げてきたところです。佐賀が元気になるためには、地域の基幹産業である農業が元気になる必要があります。若い人たちや女性が憧れる産業となるように、その振興にしっかり取り組み、これからの新しい農業の姿をこの佐賀県からつくり出していきたいと思います。  林業の振興についてお答え申し上げます。  私は、近年多発する豪雨災害を受け、平野部の暮らしを支え、海への恩恵をもたらす源流である山を大事にしなければいけないという強い思いで「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」に取り組んでおります。森林の伐採と植林、さらには山の保全につながる県産木材の利用を通じて林業の振興を図り、豊かな自然を未来につなげていかなければいけないと思います。  このため、年々着実に成長し、伐採時期に達している森林において、間伐ですとか、主伐を進めまして、これまで以上に木材を生産することで、山で営む方々の収入を確保することに力を入れていきたいと思います。
     こうしたことから、県産木材の生産拡大については、間伐材の搬出に対する支援、間伐や植林などに不可欠な作業道の整備に対する支援、主伐後の植林や下刈りなどに対する支援などに引き続き取り組んでまいります。  加えて、成長の早い杉品種の開発や普及、高性能林業機械の導入促進、林業担い手の育成、確保などに意欲的に取り組み、県産木材を生産しやすい体制づくりに努めてまいります。  あわせて、こうした木材を育ててきた森林所有者の収益を確保しながら、森林の適切な保全につなげていくためには、県産木材の需要拡大が重要でありますので、木造住宅の建築に対する支援、公共的施設の木造化、内装木質化に対する支援などに引き続き取り組んでまいります。  さらに、令和二年度から新たに、県産木材を使用した住宅や店舗などのリフォームに対する支援、「森川海人(もりかわかいと)っプロダクト」として認定した木塀の設置に対する支援に取り組みまして、新たな分野での県産木材の利用拡大を図り、木のよさを県民に広くお伝えするとともに、山の資源を活用した快適な環境づくりに努めてまいります。  今後とも、県産木材の生産拡大と需要拡大にしっかり取り組み、地域経済に活力を与えるとともに、災害の防止や環境の保全、美しい景観の形成などの重要な役割を果たしている山を未来に引き継いでいけるように林業の振興に努めてまいりたいと思います。  最後に、社会資本整備についてのうち、まず広域幹線道路ネットワークの整備についてお答え申し上げます。  本県は、人口密度が高く、都市が地域に分散しているという特性を持っています。九州各県別の人口密度では、佐賀県は福岡に次いで二位、全国で十六番目に人口密度が高い県であります。そして、県の中で、県都の人口がどのぐらいの割合を占めるか、県都人口割合は、九州の中では、大分、熊本が四一%を超えているのに対して、佐賀県は九州の中で一番県都の割合が低い、二八%程度であります。ということはすなわち、人口密度が高い佐賀県が県都の人口比率が低いということは、ほとんど県内中に人が住んでいるということなのでありまして、ということはどういうことか、ネットワークで結ばなければ成長しないということであります。各都市や交通拠点を結ぶ広域幹線道路ネットワークについては、佐賀県は十分投資効果があります。産業振興や観光振興の活性化につながる本県の未来を支え、成長の基盤となるものです。本県が抱える課題の交通事故の減少にも、これまで造ったバイパスなどが大きな数字を挙げています。そして、交通渋滞の緩和にも寄与しております。さらに言えば、昨年の佐賀豪雨災害の経験からも重要な社会資本なのでありますので、そうしたことをもっと我々は訴えていかなければいけないと思っています。私も頑張っていきたいと思います。  このような中で、国道四百九十八号については、平成三十年度に若木バイパスを供用し、国道三十四号武雄バイパスに向けて整備を進めております。また、西九州自動車道につきましては、平成二十九年度に伊万里東府招インターまで供用されておりますけれども、これを伊万里中、伊万里中央インターに向けて整備が進められております。伊万里港へのアクセス性が増すことで、さらなる企業進出等に期待が寄せられます。  有明海沿岸道路につきましては、六角川や早津江川に架かる橋の姿が目に見える形で現れています。昨年八月には、福岡県内の大野島インターから諸富インター間の令和四年度の供用が国から示されまして、有明海沿岸道路で佐賀県と福岡県が初めて結ばれることになります。福岡県南西部とのさらなる交流促進や九州佐賀国際空港の利用圏域の拡大等に期待しております。  また、佐賀唐津道路については、県で整備を行っております佐賀道路につきまして、先月には用地取得に着手して、来年度は一部工事にも取りかかる予定であります。整備が着実に進むことで、佐賀県医療センター好生館への救急搬送の時間が短縮されますので、命をつなぐ道としての役割が増すことなどの効果が期待されるわけであります。このような効果をより早く発現させるために、特に本県を横断する有明海沿岸道路と縦断する佐賀唐津道路が接続するエリア、いわゆるTゾーンを重点的に整備していきたいと思います。  今後も引き続き、本県の将来の発展に夢と希望を与えられるように、これまでと同様に予算の確保に努め、日常生活だけでなく、災害時においても県民の安全・安心で快適な暮らしを支え、空港や港など重要な交通や物流の拠点が有機的に結びつくように広域幹線道路ネットワークの整備の促進についてしっかり取り組んでまいりたいと思います。(「東部もお願いします」と呼ぶ者あり)はい、東部、しっかり三十四号線も含めて頑張っていきたいと思います。  続きまして、道路、河川の老朽化対策についてお答え申し上げます。  高度経済成長期以降、これまで整備してきた橋梁やトンネル、排水機場など、道路や河川施設については、県民の安全性や利便性などのサービスの質を保ち続けていけるように適切に維持管理を行っていく必要があります。  一方、多くの施設では、老朽化による機能低下によりまして、今後、県民生活への影響が生じたり、更新費用の集中的な投資が必要となるなど、多くの課題を抱えております。  特に本県は、有明海の潮位に影響され、自然排水が困難な低平地でありますから、これまで数多くの排水機場を整備し、その数は全国一位となっています。これらの維持管理は他県にはない特徴的な課題と我々は認識しなければいけないと思います。排水機場の維持、更新には多額の費用を要することから、例えば、関連企業との意見交換などを行いまして、何とか官民が連携してコスト縮減につながるような取組ができないか、そういったことも感じているところであります。  これら道路及び河川施設につきましては、定期的な点検、診断を実施し、適切なメンテナンスを行ってまいりたいと思います。  また、老朽化に備えた対策を計画的に進めていくために、長寿命化計画に基づき、効率的な維持管理、更新を実施し、コスト縮減や予算の平準化に努めてまいります。  今後も引き続き、県民の皆さんが安全に安心して暮らしていけますよう、将来にわたり道路及び河川施設を健全な状態に保つとともに、安定的な予算確保に努め、これら社会資本の老朽化対策を計画的に進めてまいります。  以上でございます。 6 ◎議長(桃崎峰人君) 暫時休憩します。     午後零時四十三分 休憩 令和二年二月二十七日(木) 午後一時四十六分 開議  出席議員    三十五名     一番  一ノ瀬 裕 子     一六番  川 崎 常 博     三一番  石 井 秀 夫     二番  古 賀 和 浩     一七番  定 松 一 生     三二番  留 守 茂 幸     三番  弘 川 貴 紀     一八番  八 谷 克 幸     三四番  木 原 奉 文     四番  下 田   寛     一九番  江 口 善 紀     三五番  藤 木 卓一郎     五番  古 川 裕 紀     二〇番  藤 崎 輝 樹     三六番  石 倉 秀 郷     六番  中 村 圭 一     二一番  向 門 慶 人     三七番  桃 崎 峰 人     七番  冨 田 幸 樹     二二番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行     八番  井 上 祐 輔     二三番  宮 原 真 一     九番  木 村 雄 一     二四番  原 田 寿 雄    一〇番  中 本 正 一     二六番  大 場 芳 博    一一番  野 田 勝 人     二七番  武 藤 明 美    一二番  西久保 弘 克     二八番  稲 富 正 敏    一三番  池 田 正 恭     二九番  徳 光 清 孝    一五番  古 賀 陽 三     三〇番  中 倉 政 義 欠席議員    二名    一四番  井 上 常 憲    二五番  岡 口 重 文 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   大川内   直  人          総  務  部  長   進     龍太郎          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       川久保   三起子          産業労働部長       澤  田  斉  司          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       逢  坂  謙  志          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会 計 管 理 者    尊  田  重  信          警 察 本 部 長    杉  内  由美子          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       脇  山  行  人          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       島  内  直  樹          議 事 課 参 事    篠  田  博  幸          総務課副課長       川  崎  和  博          政務調査課副課長     金  武  隆  守          議事課議事担当主幹    原     康  祐          同    議事担当主査  池  田  陽  介     ○ 開     議 7 ◎議長(桃崎峰人君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き代表質問を行います。  川崎常博君の質問に対する答弁から開始します。 8 ◎落合教育長 登壇=私のほうからは、教育行政についてお答えいたします。  午前中の川崎議員の質問の最後に、県民が夢を持って、それを実現できるような希望を持てるような答弁をというリクエストがございました。  私は、教育は、まさに大きな夢、つまり、高い志を持って、その夢や志を実現していくような力を身につけていくということが教育の根幹ではないかなというふうに考えております。まさに佐賀県の教育大綱におきましては、志を高める教育を柱の一番目に据えて取り組んでおります。  昨年十月に教育長に就任しましてから、約五か月の間、全ての県立学校を訪問いたしました。また、市町立小中学校や私立高校、専修学校もできるだけ訪問をしてまいりました。  学校現場の児童生徒や先生たちの様子を直接拝見させていただき、また現場で、校長先生あるいは先生方と様々な意見交換をさせていただきました。その際に多くの先生方がおっしゃっていたのが、子供たちの自己肯定感や自己有用感を高めていくことが非常に重要だと強調されていたのが強く印象に残っております。  そういう意味で、それは我々が目指している志を高める教育と軌を一にしているものだと考えますし、私たちが進めている方向性について、間違っていないなというふうに意を強くしたところでございます。  昨年夏、「肥前さが幕末維新博覧会」の志を引き継いで開催いたしました第四十三回全国高等学校総合文化祭、いわゆる「二〇一九さが総文」では、生徒たちが主役になって大会の企画から運営までを担い、佐賀らしい大会として大成功を収めることができたというふうに考えております。大会に関わった生徒たちは大きな自信と達成感を得て、まさに自己肯定感や自己有用感を高めることができたのではないかと考えております。  このように、維新博や「さが総文」で盛り上がった、佐賀を誇りに思う、そういう機運を「さがを誇りに思う教育」にもつなげていきたいと考えております。  子供たちが先人の功績やふるさと佐賀のよさをしっかりと学び、佐賀県民としての誇りと自信を持って社会に踏み出していけるように、小学校から高校までの本県での教育を通して、「さがを誇りに思う教育」を進めていきたいというふうに考えております。それによりまして、子供たち一人一人が自らの生きる基盤を確立して、それぞれの個性や能力を生かして、未来社会をつくり上げる人材として活躍してくれることを期待しております。  また、このように育った子供たちにできるだけ多くこの佐賀の地で活躍してもらいたいと考えております。  先ほど知事の答弁の中でもありましたけれども、知事部局と連携して「プロジェクト60」、佐賀県内での高校生の就職率を六〇%以上に引き上げていくという取組を進めております。  県内事業所情報の生徒や保護者への積極的な提供、県立専門高校等に配置した県内就職を支援する支援員による県内事業所情報の提供や就職相談など、こういった取組によりまして、この春に卒業を予定している県立高校生の就職内定者のうち、県内就職内定者の割合は昨年末現在で五八・九%と、前年同期と比べて二・五ポイント上昇しております。県立だけで見ると六〇%に届いておりませんけど、先ほど知事の答弁にもありましたように、私立まで合わせて県内の高校生の県内就職率は何とか六〇%を超えるのではないかというふうに考えております。引き続き佐賀の子供たちの県内就職促進に全力で取り組んでまいります。  さらに、学校と地域や家庭との連携、協働も重要であると考えております。教育目標を共有しながら、児童生徒が学校内だけでの活動では得られない達成感や自己有用感を育むことができるように、コミュニティ・スクールの導入や地域と連携した魅力と活力ある高校づくりに取り組んでまいります。  次に、学習指導要領が全面改訂となりまして、令和二年度から段階的に実施されていきます。  新しい学習指導要領は、子供たちが予測できない社会的変化に能動的に向き合い、自信を持って自分の人生を切り開き、よりよい社会をつくり出していくことができるよう、求められる資質能力を確実に育成することを目指しております。  そのため、子供たち自身が学ぶことに興味や関心を持って、人との対話などを通じて考えを広げ、学びを深める、いわゆる「主体的・対話的で深い学び」の実現に取り組んでいくこととされておりまして、これはまさに本県が進める「志を高める教育」にもつながっていくものと考えております。  また、本県が全国に先駆けてトップランナーとして取り組んできたICT利活用教育につきましては、国におきましても新学習指導要領において情報活用能力を言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置づけ、また、令和元年度補正予算では「GIGAスクール構想の実現」が打ち出されております。  本県におきましては、これまで先行して積み上げてきた知見や経験などを生かしまして、ICTを利活用した教育をさらに推進してまいります。  次に、大きな課題である不登校対策につきましては、様々な事情で不登校となった児童生徒に対しまして、学校への復帰だけではなく、社会的自立を目指して、児童生徒一人一人の状況に応じた支援や受皿づくりに取り組んでおります。来年度からは、県教育支援センター「しいの木」に不登校対応コーディネーターを配置して、保護者などを対象とした相談会、県や市町の教育支援センターの指導員等の対応力向上、フリースクール等の民間団体との連携強化など、取組のさらなる充実を図ってまいります。
     次に、喫緊の課題であります学校現場の働き方改革に関しましては、今議会で「佐賀県義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例の一部を改正する条例(案)」を提案させていただきました。  これまでも県教育委員会として「学校現場の業務改善計画」を策定して、市町教育委員会やPTAとも連携しながら、定時退勤推進日の設定、学校行事の見直し・精選、学校閉庁日の設定、運動部活動や文化部活動について複数顧問制の構築や適切な休養日・活動時間の設定などに取り組んでまいりました。  今後は、さらにPTAとも連携して、児童生徒の適正な登校時間の設定や時間外の電話対応の縮減、ICTを利用した業務改善や効率化など、学校現場の負担を軽減するあらゆる取組を強化していく必要があると考えております。  特に、部活動の在り方は大きな課題と認識しております。今後は教職員だけではなく、外部の指導者や競技団体、地域などと連携した取組が必要になると考えております。  生徒によって目指すべき目標、あるいは活動のレベル、どれぐらい活動したいのか、そういったニーズというのは様々で、そういった生徒にとってどのような形が望ましいのか、県のSSP構想や国スポ・全障スポ、いわゆる「SAGA2023」に向けた競技力向上、そういったことも視野に入れながら検討してまいります。  教育行政を進める上では、様々な課題に対応していく必要がありますけれども、私は、今後も積極的に現場に足を運んで、現場の声を大切にしながら、子供たちが大きな夢、高い志を持って、その夢や志の実現に向けてそれぞれの力を伸ばしていけるよう、市町教育委員会や地域、家庭と連携しながらしっかりと取り組んでまいります。  以上です。 9 ◎杉内警察本部長 登壇=私からは、川崎議員の御質問のうち、警察行政についてお答えをいたします。  佐賀県が安全・安心であることは、夢に向かっていく大きな前提となるものであると思いますので、本年もその確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  ではまず、県民の安全・安心を脅かす犯罪の抑止に向けた取組についてお答えをいたします。  昨年中の県内における刑法犯認知件数は三千四百件と、戦後最多を記録しました平成十五年の一万四千三百五十一件から大きく減少し、五年連続して戦後最少を更新するなど、治安情勢は一定の改善が見られるところであります。  一方で、主に高齢者を被害者とするニセ電話詐欺につきましては、昨年中の認知件数が三十八件と前年より十八件増加をし、被害額につきましても約九千九百六十七万円と前年より約六千四百六十五万円増加をいたしました。  ニセ電話詐欺につきましては、犯行手口が年々悪質・巧妙化しており、声かけによる犯行の発覚を防ぐために、金融機関の窓口での出金を避けさせたり、相手に相談や通報するいとまを与えないよう電話の最中に受け子が高齢者宅を訪問するなど、これまでの被害防止策に対抗するような手口が散見されるところでございます。  このようなことから、県警察では、犯人からの電話に直接出ないための対策として、常時留守番電話に設定しておくことや、防犯機能つきの電話機の設置を促進しますとともに、高齢者の方々に対する直接的な注意喚起だけではなく、そのお子さんやお孫さんの世代に対する働きかけを強化し、日常的に家族の間で連絡を取り合う機運を醸成するための広報・啓発を行っているところであります。  また、金融機関やコンビニエンスストア等における声かけ等の被害防止対策につきましても、引き続き連携した取組を行っていくこととしており、また、犯行グループに対する多角的な取締り等の検挙活動と併せ、抑止と検挙の両面から各種対策を鋭意推進してまいりたいと考えております。  次に、交通事故防止に向けた取組についてお答えをいたします。  県警察では、交通事故防止対策を最重要課題の一つに掲げ、各種対策に重点的に取り組んでまいりました結果、人身交通事故の発生件数は年々減少し、令和元年中は五千四十件、前年比でマイナス六百八十五件と着実に成果が現れているところであります。  しかし、人身交通事故の発生件数を人口十万人当たりに換算いたしますと、いまだ全国ワーストレベルでありますことに加え、令和元年中の交通事故死者数は三十四人で、前年比ではプラス四人となっており、今年に入っても増加傾向で推移するなど、厳しい状況に変わりはございません。  県警察では、交通死亡事故をはじめ、悲惨な交通事故を一件でも多く減少させるため、道路利用者全体の交通安全意識を高め、交通ルールの遵守徹底と、思いやりや譲り合いなどの交通マナーの醸成に向けた各種対策に取り組んでいるところであります。  具体的には、長期的な視野で県民全体の交通安全意識を高め、交通事故総量の抑止につなげるため、「やめよう!『佐賀のよかろうもん運転』」を旗印に、関係機関・団体と連携しての広報・啓発や交通安全教育、自動ブレーキ等のサポート機能が搭載された安全運転サポート車の普及促進に努めているところでございます。  また、ドライバーの緊張感を醸成し、交通事故を防止するため、白バイやパトカーを事故多発路線に集中投入しての警戒活動や、重大事故に直結する悪質、危険な違反を中心とした交通指導取締りを重点的に推進しております。  加えまして、昨年の交通事故死者三十四人中十九人が歩行中に亡くなられていることからも、県警察では、特に朝夕の児童等の保護誘導活動や、通学路などで児童等の安全を確保するため、新型速度違反取締り装置である可搬式オービスによる速度取締り、横断歩行者妨害の県下一斉集中取締りなど、歩行者保護に向けた取組を重点的に推進中であり、今後も引き続き、こうした各種取組を効果的に推進してまいりたいと考えております。  安全・安心に暮らせる佐賀県の実現は、県民の皆様がひとしく願うところであり、県警察では引き続き県民を守るという強い信念の下、変化する治安情勢に柔軟かつ迅速的確に対応し、頼りがいのある力強い警察として県民の皆様の期待と信頼に応えるべく、組織一丸となって取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。 10 ◎藤崎輝樹君(拍手)登壇=藤崎輝樹でございます。私は、県民ネットワーク会派を代表して、県政運営をはじめ、当面する佐賀県の諸問題について知事に質問してまいります。  長くなりますが、代表質問のよしみで御寛容いただきたいと思います。  最初に、知事の時代認識についてお尋ねをいたします。  平成二十七年二月定例県議会の開会に際し、知事は県政を担うに当たって初めてとなる所信を述べられました。  その中で、多くの人々の価値観が画一的な傾向から多様化したことや、中央集権型の行政システムでは対応が困難となってきたことなど、昭和、平成における時代の認識を示されるとともに、目下最大の課題であります人口減少の加速、過疎化の進行、地域の活力低下などの不安要素に対応するためには、潜在的なものも含め地域の持つ様々な強みを生かすことや、地域の魅力を高めることなどについて、自ら考え、自ら行動することが重要と言われました。  このような見識に立ち、十年後を見据えて策定された「佐賀県総合計画二〇一五」の基本理念は「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」であります。  新たな「総合計画二〇一九」においても、変わることなく、その理念に基づいて山口県政は施策に取り組んでおられます。  今年は、目指す将来の姿までの折り返し、まさに節目、正念場の年だと思います。  知事は、令和最初の県庁仕事始め式の場で、時代の節目を変革の年と捉えて構想力を持って佐賀を前に進めるとの決意を述べておられます。  佐賀県が飛躍し、世界から注目される、地域に誇りを持ち、志を持って様々な分野で光り輝いている佐賀県の人たち、このような将来像を描き、実現するために知事は努力していると私も認めております。  しかしながら、これまでの五年を振り返ったときに、県民から期待に応えた佐賀県政であったと褒めてもらえるのか、確信が持てません。  なぜそのように感じるのか、それには三つの理由があります。  一つは、多くの県民が抱えている漠然とした将来への不安を解消できないことにあります。  気候変動、感染症、貿易協定など、世界の出来事が本県にまで影響を及ぼす今日に、社会経済の先行きは見通せません。また、人口減少、少子・高齢化の進行を目の当たりにして、老いて縮小する社会から持続可能な社会へ手はずを整えられない無力さがあります。  二つ目の理由は、暮らしの中にある悩みや不安を解消できていないことにあります。  山口県政は、県民に寄り添う姿勢を強く打ち出しています。新年度当初予算にもその思いは表れていると評価しております。  しかし、難病や障害のある方、その家族の持つ悩み、がん患者や認知症患者、その家族の持つ不安、介護や子育てにおける悩み、一人でどうしようもない問題を抱えて暮らしている方が多数おられます。また、介護や子育てを支える人材不足は深刻な状況にあって、解決には程遠いです。多くのつらい思いをしている方々が心から安心できる成果がまだまだ足りません。  そして、三つ目の理由ですが、とりわけ地域への愛着、誇りに取り組む県の姿勢に疑問を感じるからであります。  地域への愛着、誇りについて考えるとき、二〇一八年、平昌オリンピックで銅メダルを獲得したカーリング女子の吉田知那美選手の言葉を私は思い出します。  北海道北見市常呂町、メダルを持ち帰ったふるさとへの凱旋、喜びでいっぱいの地元住民を前に彼女は挨拶をしました。  「この町、何もないよね。小さい頃は、この町にいたら夢はかなわないと思っていました。だけど、今はこの町にいなかったら夢はかなわなかったと思います。」、このように吉田選手はふるさとへの感謝の気持ちを伝えました。  テレビで報道を見た多くの国民が感動したと思います。改めて、スポーツのすばらしさを知った瞬間でもありました。  そして、旧常呂町が平成元年第四十四回国民体育大会を機に国内初となる屋内カーリング専用ホールを建設するなど、住民の期待に応えていたことに感心しました。地域への愛着、誇りを涵養できる環境を整えることがいかに大切なことであるのかを彼女たちの頑張りが教えてくれました。  私は、県が取り組んだ「肥前さが幕末維新博覧会」のように、自分たちの住む地域のことや偉人を知ることは大事なことであり、そのことが地域への愛着や誇りを持つきっかけとなれば、すばらしいと思います。  それでも、愛着、誇りを心から思う気持ちは、人と人とのつながり、暮らしの中に芽生えて育まれるものだと信じます。  地域への愛着、誇りに取り組むのであれば、植え付けるのではなく、県民に寄り添い、県民の声に耳を傾ける。そして、県民の期待に応えた環境や制度を整える。県が本来やるべき仕事はそれに尽きるのではないでしょうか。  県行政は、県民のために仕事をする。当たり前のことですが、時代とともにそのアプローチは変化してきたと思います。  高度経済成長の下、金融機関の護送船団方式に代表される昭和の時代は、管理、指導を県は求められました。バブル崩壊後、失われた二十年を抱えた平成は、政治経済が混乱する中、「地方分権一括法」により画一的な政策ではなく、独自性を県は求められました。そして、令和であります。私たちの想像を超える時代が待ちかねているような気がいたしております。それだけに県行政の仕事は重要であります。  そこで、次の点について質問します。  知事は、令和をどのような時代と思われるのか。また、これからの時代、県行政の仕事はどうあるべきと考えているのかお尋ねをいたします。  第二問目は、「さがデザイン」についてであります。  県政運営は知事の時代認識と理念に基づく佐賀県総合計画に沿って行われております。その総合計画二〇一五に取り入れられたのが六本の政策の柱と政策を推進するに当たっての二つの視点、「さが創生」と「さがデザイン」であります。  「安全・安心のくらし」など六本から成る政策の柱は、佐賀県が目指す将来像としてふさわしいと思います。そして、政策を推進するために設けられた視点の一つ「さが創生」については、雇用や新しい人の流れ、子育てしたいと思ってもらえる環境、時代に向き合う地域社会をつくり出すということであります。  視点の二つ目、「さがデザイン」とは、人の暮らし、まち、地域を心地よくし、豊かなものにするとのことであります。  山口県政一期目の施策は、この二つの視点を切り口に推進されてきました。私は、県行政に大きな影響を与えている二つの視点を真っ向から否定するものではありません。ありませんが、山口県政五年目の節目に、二つの視点がどのような影響を県行政に与えたのか、一度立ち止まって検証するべきだと考えています。  もっとも視点の一つ「さが創生」については、まさに県の課題そのものであります。県内にある本物の地域資源の磨き上げや女性が活躍する社会づくりの推進などにより、雇用、新しい人の流れ、子育ての希望をかなえる環境、時代に合った地域をつくり出すことなど、県民の期待も高く、成果につなげていかなければなりません。  一方の「さがデザイン」ですが、その取組について、成果の割には意外と知られておりません。多くの県民に理解されていないと考えております。執行部の説明では、「県産品、街並みなどの『モノ』」、それから、「社会のシステム、サービスなどの『コト』」、これらを磨き上げて新たな価値を付与することにより、人の暮らし、町、地域を心地よくし、豊かなものにしていく視点、一言で言うと、政策を質の観点で磨き上げるとのことであります。  そのため、事業によってはクリエーターの力を取り入れることもあるようですが、知事の言葉を借りれば、全ての政策とか全ての箱物にクリエーターを通している、デザイナーを通すことによって、利用者の視点が必ず入ってくるとのことであります。  「さがデザイン」という考え方は、他県にはない取組として佐賀にイノベーションを起こしたいと始められた政策推進の手法であり、世界に誇れる佐賀県であるためには、クリエーティブな人材が育つ風土でなければとの知事の強い思いが込められております。  しかし、クリエーターやデザイナーと県との関わり方が県民サイドから分かりづらい上、施策の立案過程や実行段階でクリエーターの意見をどこまで県が取り入れているのか、程度の判断基準も曖昧なため、その事業目的に照らし合わせた予算が妥当なものか評価が難しいと考えています。確かにプロのクリエーターの意見はすばらしいものに違いないと思います。だからこそ、費用対効果を気に留めるべきではないでしょうか。言わずとも財政の基本は最少の経費で最大の効果を上げることであります。その観点が「さがデザイン」に欠如していると考えています。  洗練された空間は心地よいものです。しかし、そこに都会的な価値観、利便性を取り入れても、一過性の感動や話題に終わってしまえば、県民のための事業と言えるでしょうか。実際に利用する県民や関係団体などの意見を事業に取り入れてこそ、県民満足度は向上して、かつ持続すると思います。それであっても財政の制約は受けます。  現在、県の内外から注目されている「さがデザイン」肝煎りのイベントがあります。佐賀に縁のあるクリエーターが、こんなことが佐賀で実現したら絶対面白いといった熱い思いを知事はじめ県職員に直接伝える「勝手にプレゼンFES」であります。これまで四十二件の提案があり、その中から六件を県で採用して取り組まれています。ちなみに、幕末維新期の偉人が学んだ藩校弘道館を模範とした「弘道館2」、優れた土木技術を知っていただく「すごいぞ!ボクの土木展」、県立図書館南側をリノベーション再生した佐賀城公園「こころざしのもり」整備、壁画アートを活用して佐賀の子供たちと世界をつなげる「ミヤザキケンスケのプロジェクト報告会、展示会」、吉野ヶ里遺跡という本物を感じ学ぶ「吉野ヶ里CAMP」、交通安全に対する意識醸成、行動変容に取り組む「SAGAブループロジェクト」、一つ一つは子供たちの記憶に残る事業であったと思います。主に東京で活躍するクリエーターの皆さんが、文字どおりの手弁当で佐賀県のためにアイデアを提供していただけることは本当にすばらしいと思っております。しかし、税金を使って事業化するのであれば、採用に当たってのルールは必要ではないでしょうか。  また、「さがデザイン」の視点が生かされているハード整備事業に目を向ければ、県庁CLASS、旧館二階の旧知事室等のリニューアルですが、工事費を除いた事業費は八百六十五万円、「さがデザイン」広報スペース事業費九百二十一万円、県庁地下食堂改修事業費五千四百六十三万円、庁舎内サイン事業費二千六百七十九万円、旧館前イルミネーション事業費百二十五万円、県庁北側整備事業費一億四千五百五十七万円、新館十階、旧館一階面談室事業費七百三十一万円、このほかにも事業費二億二百万円の博物館北側公園整備、事業費九百二十万円の佐賀駅に設置された「SAGA BAR」などのように、クリエーターが関わった事業も含め数多く行われています。  これら「さがデザイン」の視点で整備された事業の多くに共通しているのが、県庁、佐賀市中心部をエリアにしていることであります。このような県全域に広がりがないことも、「さがデザイン」の視点が広く県民に理解されていない理由だと思います。  そして、「さがデザイン」を意識した事業の基本計画などについては県外への委託発注が目立ちますが、むしろ県内で頑張っているクリエーターにチャンスを与え育成するべきと考えます。  「さがデザイン」の影響という観点からは、SAGAサンライズパークのアリーナ整備についてもここで触れさせていただきます。  もともとは国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けての佐賀県総合運動場等整備基本計画を策定する検討委員会におきまして、佐賀県体育協会の理事長から、競技団体から国体を控えたこの機会にぜひ新しいアリーナを建設してもらいたいという要望が出ているとスポーツをする立場からの発言がありました。  また、子育て支援の立場から、検討委員会に入っていた委員さんからは、いつまでも健康にスポーツができる環境が必要、大きなものを造ってこれからの財政を考えると、ランニングコストなど大丈夫だろうか、県民は安心して暮らしたい、その安心感とスポーツ施設がどのようにリンクしていくのか議論が必要という意見もありました。これらの意見は県民の多くが共有できる考えだと思います。  また、委員さんの中にはリノベーションの先駆者として佐賀県のため積極的に協力いただいているクリエーターの方もいて、都市空間の専門的な立場から意見を述べておられます。検討委員会の議事録を見る限り、この委員さんの発言は「さがデザイン」の視点に通じるものであり、スポーツの枠にとどまらない、「憩い、にぎわう」、心地よい空間という点においても知事の期待に応えられています。  ほかにも各委員さんから貴重な知見を惜しげもなく出していただき、熱心に時間をかけてすばらしい整備基本計画の報告書を仕上げていただいていますが、「さがデザイン」の視点もきちんと取り入れられたと理解をしています。  そして、「さがデザイン」の視点が取り入れられたことにより、「憩い、にぎわう」を満たそうと背伸びしたことも、県民が懸念する事業費が増加した要因の一つではないかと考えています。佐賀県の暮らしをよくする意味において、私は「さがデザイン」の視点を県行政の各課担当者が常に意識するべき大切なことと理解をしていますが、あえて言わせていただくなら、県民のためにやらねばならぬ事業であるのか、重要度や緊急性を見定める視点も兼ね備えるべきと考えています。  そこで、知事に質問いたします。  山口県政一年目に立ち上がった「さがデザイン」の思想はこれからの佐賀県に必要不可欠な視点であることは理解できます。「さがデザイン」が県庁内各部局をはじめ外郭団体、市町などで三百五十件ほどの様々な案件に関わり、県政に影響を与えてきたことも事実であります。それだけにこれまでの取組を通じて課題も見えてきたと思います。傍目八目とはなりませんが、私なりの意見を申し上げさせていただきました。知事は「さがデザイン」をどういうふうに考え、今後どのように進めていかれるのか所見を伺います。  第三問目は、財政運営についてであります。  県勢を発展させていくためには、物流や人の移動に欠かせない高規格道路をはじめとする大型のインフラを整備するとともに、県全体に事業の効果を波及できる県民生活に身近な河川のしゅんせつや、県民の交通安全を強化するような道路の改良などを行っていく必要があります。  また、昨年八月、本県で発生した豪雨災害など想定外の風水害から県民の命や財産を守るため、社会資本を充実強化していかなければなりません。  昨年度末に策定された行財政運営計画二〇一九においては、時代に即した様々な施策を時期を逃さず実施するとし、投資的経費については大型事業を実施しながら県民生活に身近な公共事業を実施することとしており、一定の評価をしております。これまで県においては総額調整ルールや中期投資見通しを実施するなど、特に投資的経費については抑止的な財政運営を行ってきましたが、山口知事の二期目から積極財政にかじを切ったという印象を持っております。  令和二年度当初予算額を見ますと、近年を上回る規模となっており、佐賀空港の建設、吉野ヶ里公園の整備、炎の博覧会を開催していた時期と同規模となっております。  一方で積極財政は財政負担を伴います。今議会で報告されました県の収支試算によると、戦略的な基金活用として大規模施設整備基金や土地開発基金を取り崩し、県債の発行額や残高は大幅に増加し、プライマリーバランスが赤字になるなど、県財政が悪化するのは否めません。  これに加えまして、もし、新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備するようなことになれば、さらに財政状況は硬直して、県民生活にも何らかの影響が出ることが予想されます。  また、経済財政運営と改革の基本方針に基づき地方の一般財源総額は確保されることから、今の短期的な財政見通しは立っておりますが、いつ地方へ国の借金のしわ寄せが押し寄せるかわかりません。三位一体の改革のときのように、交付税ショックが起きれば、困るのは県民であります。  こうしたことから、県勢を発展させる予算編成を行いながら、自主財源や適正な基金残高を確保するとともに、健全性を保持するという非常に難しい財政運営を行う必要があります。知事はどのように財政運営を行っていくのか所見を伺います。  第四問目は、新型コロナウイルス感染症についてであります。  午前中、知事も答弁で触れられておりましたが、一昨日の二十五日に、来月予定をしておりました「アジアベストレストラン50」の武雄市での開催が中止になったことを県は発表されました。  海外から多くの人が来県される予定だったことから、現状ではやむを得ないことですが、日本で初めてとなる一大イベントであっただけに残念でありました。しかし、開催に向けてつながった人脈を今後の県内産業へ生かしていただくことを期待申し上げて、その開催中止の原因となった事案について質問をしてまいります。  新型コロナウイルスの感染拡大が世界に影響を及ぼしています。日本国内においても、感染経路が定かでない国内感染事例も報道されていて、福岡県や熊本県でも感染者が確認されるなど、身近な脅威として不安が広がっています。  先日、二十四日には、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が医学的な見地から、これまでに明らかになった情報をもとに現状を分析した見解が報道されました。「これから一、二週間が急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際となります。仮に感染の拡大が急速に進むと、患者数の爆発的な増加、医療従事者への感染リスクの増大、医療提供体制の破綻が起こりかねず、社会・経済活動の混乱なども深刻化する恐れがあります。」、このように衝撃的な内容でありました。  そして、これから取るべき対策の最大の目標として、「感染の拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすこと」と提言してあります。  そのために私たちが取るべき行動として、風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出せず、自宅で療養して、症状が四日以上続いたり、強いだるさや息苦しさ、また、高齢者や基礎疾患などある方で二日程度続いた場合は、直ちに県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談するように求めています。  また、症状のない人に対しても、集会や行事の開催方法の変更、移動方法の分散、オンライン会議など、でき得る限りの協力を要請しています。感染のリスクを下げることと、医療の現場を圧迫しないことが命を守るために求められています。  県内では、今のところ感染者は確認されていませんが、売店のマスクが売り切れて、なかなか手に入らないなど、皆さん困っておられます。特に、不特定のお客さんと接する美容室などサービス業の職場、また、高齢者が重症化しやすいとのことから、在宅も含め、介護の現場では深刻だと聞きます。  県内産業への影響についても、インバウンド観光客の減少や、新型コロナウイルスを原因とした製造、物流の停滞が県内企業にも与える影響を心配しています。  実際に、中国からの部材や商品が届かないため、仕事に影響が出てきたとも聞いております。経済への打撃は相当なものと心配ですが、日々、様々な情報が寄せられる中、県では県民の命と健康を守るために万全の体制で対応されていると承知しております。  そこで次の点について質問いたします。  感染の状況と県の対応についてですが、県民の不安を解消すべく、正確な情報収集と提供をお願いしたいと思いますが、どのようなことになっているのか。先ほどの質問に対する答弁もありましたので、重複する部分は省略いただいて結構ですので、改めて答弁する部分をお願いしたいと思います。  また、県内産業への影響についてでありますが、感染拡大に伴い、県内産業へ影響が広がるのではないかと心配しています。現在どのような状況か伺います。
     第五問目は、人口減少対策についてであります。  厚生労働省が昨年末に発表した二〇一九年の人口動態統計の年間推計で、日本人の国内出生数は八十六万四千人となり、一八九九年の統計開始以来、初めて九十万人を下回りました。出生数が死亡数を下回る人口の自然減についても五十一万二千人と、初めて五十万人を超えています。残念ながら、少子化、人口減に歯止めはかからず、むしろ加速しています。  また、婚姻件数も昨年は五十八万三千組となり、戦後最少となっています。働く女性にとって、仕事と結婚、子育ての両立が困難なため、未婚、晩婚、晩産化が進み、第一子平均出産年齢は三十歳を超えるとともに、経済的な負担なども重なり、二人目以降のハードルは高くなっております。  少子化は、社会保障を維持する上でも、また、労働力や市場規模の縮小においても乗り越えなければならない問題です。しかし、少子化対策により子供が増えたとしても、働き手として社会を支える側になるまで二十年はかかります。つまり、現在の少子化対策の成果が出るまで、少なくとも二十年間をどうするのか、少子化社会に対応するための戦略と、少子化を克服するための戦略の二兎を追わなければなりません。  本県においても人口減少対策については、社会減に対応するために県内への人の流れと定着を創り出す移住施策にも力を入れています。また、自然減への対策としては、「子育てし大県”さが”プロジェクト」などにも力を入れて取り組んでいます。決して簡単なことではないと誰もが分かっていますが、持続可能な社会へ向けて少子化、人口減少は待ったなしの状況です。  そこで、次の点について質問します。  人口減少対策について、どのように認識をしておられるのか。  また、仕事と子育ての両立や、本人の希望や能力に合った働き方を求める女性の支援について、これまでの取組を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。  さらに、人口減少対策として、移住支援は大変重要ですが、今後、知事はどのような思いで移住支援の取組を行っていくのか答弁を求めます。  第六問目は、九州新幹線西九州ルートについてであります。  九州新幹線西九州ルートについては、これまで与党検討委員会からの意見聴取に対して、フル規格の整備は受け入れられないと主張してきたにもかかわらず、昨年八月に与党検討委員会が取りまとめた「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」では、「フル規格により整備することが適当と判断する。」、「今後、関係者である国土交通省・佐賀県・長崎県・JR九州の間で協議を行い、検討を深めていくべきである。」などとされ、佐賀県側の意見は全く聞き入れられませんでした。  その後、佐賀県側から働きかけるべき問題ではないと考えていましたが、九州新幹線西九州ルートの未着工区間、新鳥栖─武雄温泉のフル規格化を求める動きが年をまたいで活発になってきた印象を受けます。  しかし、昨年末の佐賀新聞社実施の県民意識調査の結果から、フル規格を求める県民の声は一七%にとどまっているのが実情であり、フル前提の協議には応じないとの意思が七〇%に達する勢いにあることが分かります。  これは、西九州ルートについて、長年にわたる多くの関係者による激しい議論、それぞれの立ち位置から正論をぶつけ合い、大変な思いで三者基本合意に至った経緯、その後の根気よく丁寧な協議に基づく六者合意までの議論の過程が県民へしっかり伝わっているからこそだと思います。であればこそ、フル前提の協議には応じないとする知事の対応を七割もの県民が評価しているわけであります。  西九州ルート着工の経緯については、県議会議事録にて詳しく知ることができます。また、昨年九月議会、一般質問にて副知事から丁寧に幾つかに整理して答弁がありました。先ほどはより一層分かりやすく知事のほうからも答弁があっておりました。  重ねてになりますが、あえて述べさせていただきます。  平成四年に武雄温泉─長崎間を、武雄から諫早、大村を通って、長崎に至る短絡ルートをスーパー特急で結ぶ合意が当時の井本知事、長崎県の高田知事、関係者の下で合意。  平成十六年十二月、当時の古川知事が並行在来線の経営分離をやむを得ないと判断された後、調整が整った場合には着工する。その際、フリーゲージトレインによる整備を目指すと、スーパー特急を基本に、フリーゲージトレインが完成すれば導入する旨の整備新幹線の政府・与党申し合わせが行われています。  平成十九年十二月、肥前山口─諫早間について、JR九州からの経営分離ではなく、上下分離を行い、開業後二十年間はJR九州が運行する三者基本合意を結ぶことで平成二十年三月に着工認可が行われているが、このときの国土交通大臣の認可はスーパー特急方式であり、その四年後にフリーゲージトレインの整備を前提とした変更認可となった。つまり、スーパー特急で博多と長崎をつなぐことを目的として整備を始めたけれども、開発のめどが立ち、山陽新幹線への乗り入れも可能との理由から、フリーゲージトレインに変更されたのであって、もともと山陽新幹線への乗り入れを目的に計画が始まったのではない。  以上から、フリーゲージトレインが断念されるのであれば、当初の目的で認可されていたスーパー特急に戻るのが本筋ではないかという主張は、真っ当な正論であります。  また、平成十六年二月、福岡県、長崎県、佐賀県の連名で、「長崎ルートの整備に関する自民党整備新幹線建設促進特別委員会への要望」がなされたときに、短絡ルートにスーパー特急を走らせるという案について、JR九州も時間短縮効果が図られ、収支採算性が見込まれるものと考えていたなど、これまでの経緯を踏まえれば、佐賀県の正当性は保たれています。  このようなことから、何ら気兼ねすることなく、県の考えをしっかりと発信していくことが大事と考えます。  そもそも佐賀県は、既に最大限の負担を担っているにもかかわらず、現在の袋小路のような状況に至った理由はなぜなのかといえば、国が責任を持って認可したフリーゲージトレインの導入が見送られたことに尽きます。五百億円もの研究開発費を投入していて、しかも、当初から開発目標の時速は二百七十キロであったフリーゲージトレインについて、今さら速度や想定されていた軌間可変によるコストの増加を理由に西九州ルートに導入しないのは、あまりにもひど過ぎる話であります。  現在の状況を予見して、鹿島の桑原元市長、江北の田中元町長さんたちは強く警鐘を鳴らしておられました。決して忘れることはなりません。  当時、国はフリーゲージトレイン導入実現の見込みを確認していた県に対して、大丈夫とお墨つきを与え、議会もそう聞かされておりました。国は今、佐賀県に協議を求める前に、自ら説明責任を果たすべきであります。  JR九州に関しても、フリーゲージトレインの導入を事業主体として同意をしていたわけでありますが、今さら否定されるのであれば、なぜあのとき同意をされたのか理解できません。  また、JR九州の社長が撤回されたとはいえ、フルになれば、停車駅の設定で博多─長崎間四十分台も可能、一駅止まるだけでも三、四分違うなどの発言は、佐賀を担う子供たちのため、決して見逃すわけにはいかないと思います。  このように、九州新幹線西九州ルートについては、一筋縄ではいかぬ大変な議論を経ていますが、昨年十二月に赤羽国土交通大臣と知事が面談され、西九州ルートについて、大臣から幅広い協議の呼びかけを受けて、協議の在り方について、事務レベルで確認作業を行っています。  先日には、国土交通省がどういう考え方や姿勢で幅広い協議に臨もうとしているのかを確認するため、質問書を送付して、二日後には国土交通省から回答があっています。しかし、その内容は質問に明確に答えていないと言わざるを得ないもので、回答の全体を通してフル規格の早期実現に向けて速やかに協議を開始したいという国土交通省の姿勢が浮かび上がっているのではないかと感じました。  佐賀県はこれまで、新鳥栖─武雄温泉間については、一貫して在来線を利用することで関係者と合意しています。まずは、これまでに合意したスーパー特急やフリーゲージトレイン、対面乗りかえ方式についてしっかりと議論すべきであります。  西九州ルートの問題に向き合う知事の姿勢を多くの県民が支持していますが、フル規格による整備に向けて少しずつ外堀を埋められているのではないかと心配しています。協議のテーブルに一度着けば引き返せなくなり、これまでのように佐賀県の意見は考慮されずフル規格で押し切られてしまうのではないかと心配をしております。佐賀県の将来を左右する重い判断となります。くれぐれもかなえの軽重を問われることのないように、知事には慎重な上にも慎重さを求めます。  このため、国土交通省がどのような考え方やスタンスで協議に臨もうとしているのか、協議の入り口でしっかり確認する必要がありますが、知事の考えを改めて伺います。  七問目は、佐賀空港の自衛隊使用要請についてであります。  知事は、佐賀空港の自衛隊使用要請について、一昨年八月に「防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議させていただく」と判断をして、有明海漁協へ協議の申入れを行っています。  その後、昨年五月に改めて有明海漁協を訪問して県の判断に至った経緯や理由などを説明するとともに、覚書付属資料の変更について改めて申入れをされました。その後、十一月にも有明海漁協を再度訪問されて防衛省の要請を受け入れるよう要請をされたと承知しています。  知事は、国防は平和のために大切にしていかなければならない。国民のため、国民の生命と財産を守り、生活の土台になっているとの認識を示されています。私も国防は大切なものと考えています。しっかりとした備えがあって、外交を通じた平和を必ず維持していかなければならないと思います。  しかしながら、今回の防衛省からの要請に関しては、佐賀空港には、三十年ほど前の漁協との厳しい議論を経て締結された公害防止協定があり、その覚書付属資料には、佐賀空港を自衛隊と共用しないと記されています。仮に、自衛隊が佐賀空港を使用する可能性が少しでもあったなら、佐賀空港は存在していないと言っても過言ではないと考えています。  当時の漁業者は、佐賀空港を自衛隊が使用することになるのではないかと考え、空港建設に強く反対された経緯もあると聞いており、この覚書付属資料の一文は、県が佐賀空港を自衛隊に使用させないようにするための縛りとして書かれたものと認識しています。当然、知事もこの約束の重みは重々承知しておられると思いますが、県民の代表として、改めて協定の重みを受け止め、協定の相手方である漁協の皆さんの気持ちと信頼関係を第一に考えるべきと思います。約束は守られるべきものであり、守れない約束はするべきではありません。この公害防止協定の重みを踏まえれば、今からでも一昨年八月の知事の判断を撤回すべきと考えますが、改めて知事の見解を伺います。  八問目は、エネルギー政策についてであります。  資源の乏しい日本としては、エネルギーに関しても海外からの輸入に頼らざるを得ない状況にあります。また、気候変動など温暖化が深刻な問題となる中、CO2など温室効果ガスの排出量削減につながる再生可能エネルギーを積極的に導入するなど、次の世代に持続可能な社会をつなぐことが求められています。  そのため佐賀県では、「県内発や県にゆかりある人・企業・技術・製品等で日本・世界の再生可能エネルギー等の普及拡大に貢献」することを目指して、平成三十年三月に佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想を策定しています。  本県にとって、環境と産業振興の両方からメリットがあるという考えから、四つの取組方針として先行する再生可能エネルギーをさらに拡大、多様な再生可能エネルギー資源の活用、再生可能エネルギー以外のCO2削減手段検討、海外への展開検討を掲げ、取り組んでおられます。  また、再生可能エネルギー普及拡大に取り組む一方で、県内には国がエネルギー基本計画において重要なベースロード電源として位置づけている原子力発電所が玄海町で稼働しています。知事自身は、原子力発電に依存しない再生可能エネルギーを中心とした社会の実現を目指すと発言されていますが、当面は原子力発電を活用していかざるを得ない現状があります。  こうした状況から、玄海原子力発電所に対して住民の安全・安心のため、県と九州電力との緊張感のある信頼関係を構築しながら、情報共有を図り、広く県民に伝えていくことが重要と考えます。  そこで、次の点について質問します。  佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想が策定されて約二年になります。これまでの取組と評価、今後の予定について伺います。  また、玄海原子力発電所の三、四号機が再稼働して二年近くになります。知事は、九州電力の安全に対する取組を注視していくとともに、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期していくと言われています。そのためには、九州電力が説明責任を果たし、県に対して迅速で正確な情報提供が大事になると考えますが、知事の所見を伺います。  第九問目は、有明海の再生についてであります。  有明海再生のためには、開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明が必要という考えは、佐賀県民の変わらぬ思いであります。この間、多くの方々の懸命な努力が長年重ねられているにも関わらず、いまだ開門調査は困難な状態にあります。  現在、請求異議訴訟において、確定判決を無効化した平成三十年七月の福岡高裁判決が最高裁により破棄、差し戻され、同高裁において二月二十一日から差戻し審の審理が始まっています。報道によれば、当日は様々な主張がなされたが、特に漁獲量について、国が漁獲量は増加傾向に転じているとしたのに対し、漁業者の方は魚が捕れなくなっていることを体で分かっている。今の漁獲量では生活できないと反論されています。  一方で、最高裁は昨年六月に二件の開門しない決定をし、国の開門しない方針にも変化が見られないことから、開門調査の実現は依然として厳しい状況にあります。本県側として、あくまでも原因究明のための限定的な開門を求めながら、農業や防災面で長崎県側の影響への配慮も見せていましたが、干拓地の営農者側からも開門して環境を改善すべきという声が上がり始めたと聞きます。  これまでの漁業者による開門請求訴訟に加え、諫早湾干拓農地の営農者や元営農者が、堤防内側の湛水調整池に飛来する野鳥による農作物食害などを理由に、開門や損害賠償を求める訴えを提起し、長崎地裁にて審理が進められています。ほかにも、排水不良をはじめ、調整池による陸側と海との隔てができて、寒暖差が厳しくなるなど、気候変化も耕作に影響していて、営農者側にも現状への危機感があると聞きます。これまでの開門を巡る訴訟から営農者と漁業者とが対立する印象もありますが、有明海の漁業も干拓地の農業もどちらも大事であり、誰もが望む農漁共存を目指すべきであります。  そこで質問いたします。これまでの漁業者による開門請求訴訟に加え、営農者等による開門請求訴訟も提起されていますが、諫早湾干拓関連訴訟の現状について伺います。  そして、有明海再生のためには、開門調査を含む環境変化の原因究明が必要という思いは、私たちが共有して変わらないところでありますが、県は有明海再生に向けて国に対し開門調査の必要性をしっかりと訴え続けるべきと考えます。どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  十問目は、医療・福祉についてであります。  三点お伺いいたします。認知症になっても安心して暮らせる環境づくりから質問いたします。  高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の増加が見込まれています。県内の認知症高齢者数は、昨年二〇一九年で約四万一千人と推計されていて、二〇二五年には、その数が四万八千人、六十五歳以上の高齢者の五人に一人が認知症になると言われています。認知症は誰もがなり得るもので、多くの人たちにとって身近なものとなっています。認知症に関する正しい知識と理解を持っていないと、認知症になったことをすぐには受け止めきれなかったり、本人や家族介護者だけで不安を抱え込んでしまったりすることがあります。  また、認知症の発症や進行の仕組みは十分に解明できていないと言われている一方で、運動や社会参加が認知症予防につながるとも聞くことから、こうした取組を進めることによって、認知症になることを遅らせたり、認知症になっても進行を緩やかにすることが必要と考えます。  「佐賀県総合計画二〇一九」においては、認知症の早期診断・早期対応といった医療的な支援や認知症の人と、その家族を支える体制づくりを進めていくことにしています。認知症になっても住み慣れた地域の中で安心して暮らしていける環境づくりが大切だと思います。  知事は、認知症対策に今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。  二点目は、障害者が安心して暮らせる環境づくりについてであります。  県内には、二〇一八年度末に身体障害者手帳保持者が四万二千三百五十八人、療育手帳保持者は九千二百五十人、精神障害として入院または通院されている方が一万六千三百九十八人おられます。急速に少子・高齢化が進む中、佐賀県の六十五歳以上の高齢者人口は年々増加して、いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年にピークとなり、約二十五万人を迎える見込みにあります。  そういう中にあって、障害者を支え介護している親も高齢化していて、保護者は自分がいなくなった後も子供たちが安心して地域で暮らしていけるのか、また、気にかけてくれる人が周りにいるだろうかと心配されています。そのため、社会全体で支え合うための理解をより促進する必要があります。  宮崎市立小学校の特別支援学級に通う軽度の知的障害のある児童が、交流先の通常学級でいじめを受け、その結果、転校していた事実が先月報道されていました。本当に悲しいことであります。できることを評価して、できないことは助け合う共生社会の実現が待ち望まれています。  県においては、「障害のあるなしにかかわらず、ともに暮らしやすい佐賀県をつくる条例」や議員提案の「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」を平成三十年九月に制定し、障害者にとって暮らしやすい県を目指して取り組んでいると承知しています。  障害をお持ちの方が将来にわたって地域で安心して暮らしていける、そういう佐賀県であるためには、地域全体で支える環境整備とともに、何よりも県民一人一人が障害についてもっと理解を深めることが大切だと考えます。障害者に対する県民のさらなる理解促進を図っていくため、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。  佐賀県医療センター好生館についてもお尋ねをいたします。  平成二十二年四月に地方独立行政法人となってから間もなく十周年を迎えます。この間、平成二十五年五月の嘉瀬地区への移転を経て、救急医療及び高度専門医療を提供する中核医療機関として、県民の生命、健康を守る役割を果たしています。独立行政法人前と比較しても、外来・入院患者数は大きく増えていて、好生館ではより多くの県民に良質な医療を提供できるよう、日々最大限の努力をされていると感謝いたします。  一方で、移転当初からの患者数の増加に対応して職員数も増えた結果、施設が手狭になっているといった運営上の課題もあると聞いております。好生館が引き続き中核医療機関としての役割を果たしていくため、今後さらに県民が利用しやすく、また、職員が安心して働けるように、県としてしっかり支援をしていくべきと考えます。  県では、好生館の課題をどのように認識して、どのように関わっていくのか、知事の所見を伺います。  第十一問目は、農業の振興についてお尋ねをいたします。  新年を迎えると同時に日米貿易協定が発効されました。一昨年十二月のTPP11、昨年二月に発効した日EU・EPAの国際経済連携協定に続く大型の貿易協定となり、食料安全保障の観点からも国内農業生産の現場を国の責務で守れるよう全力で対策を打ち出すべきと考えます。  関税を引き下げられ、海外から輸入農畜産物の大幅な増加となれば、国内生産が縮小されて、生産者にとって深刻な事態となるおそれがあります。  安く大量供給を強みにしている輸入品が、実際の需要と長期契約で結びつくことにより、国産の豊作時に安値へ拍車をかける問題など、国内農業は厳しい国際競争にさらされています。  しかも、食料の輸入は気候変動や他国の生産実情により不安定化するリスクも非常に高く、食料安保上、国産シェアの維持拡大は消費者にとっても無視できない問題であることから、国内生産の基盤強化は国の重要課題であります。  現在、国も攻めの農業で農業総産出額の増加と生産農業所得の向上へ取り組んでいますが、現状は、農業就業人口は二〇一九年に百六十八万人と十年間に百二十一万人も減少しており、同様に農地は二十一万ヘクタール減って四百四十万ヘクタールまで縮小しています。  二〇一八年の農業総産出額は九兆五百五十八億円で、前年に比べ二・四%減少しており、生産資材費などを引いた生産農業所得は三兆四千八百七十三億円となり、七・三%も前年を下回っています。  一九九〇年代初めの農業総産出額は十一兆円を超えており、生産農業所得は五兆円水準にあったことを踏まえれば、さらなる生産拡大へ向けた生産者支援の強化が求められています。  また、本県農業に関しても、二〇一八年の農業産出額は千二百七十七億円、前年比二・六%減となりました。本年度から「さが園芸生産888億円推進運動」に取り組み、二〇一七年に六百二十九億円だった園芸部門の産出額を十年で八百八十八億円まで伸ばす目標を掲げていますが、二〇一八年の生産額は五百八十五億円となり、前年から四十四億円減っていることを踏まえれば、簡単なことではありません。  特に野菜については、豪雨で野菜の苗が流失したことにより作付ができなかったところもあって、せっかく作付はできても、この暖冬により収穫時期が早まったことで出荷が集中し、単価が大幅に低下するなど、農業経営に大きな影響が出ている状況もありました。  改めて、天候に大きく左右される農業経営の難しさを痛感しています。  令和二年は、五年ごとに見直される国の農政運営の中期的な基本指針となる食料・農業・農村基本計画が新たに策定をされます。  今のままでは農業者と農地がさらに減少することになり、国民への食料の安定供給が脅かされることになるとの危機感を持って、中小・家族経営など多様な経営の持続的な維持発展が必要と考えるべきであり、担い手の確保に向けては、親元での就農者に対する支援を充実させることも現実的と考えます。  また、気候変動による天候不順、水不足、そして豪雨など、リスク対応に合わせた農業の多面的機能を発揮できるだけの農村政策、中山間地域に対する柔軟な政策転換も進めていかなければなりません。  先月、新規就農者や担い手に対する農業経営などの指導、支援活動を行っている佐城地区の佐賀県農業士さん方との意見交換会がありました。生産現場の様々な声を聞かせていただき、大変勉強になりました。  農業士の方からは、例えば、生産者の補助やトレーニングファームなどで研修を受けている非農家出身の就農希望者にとって、農地やハウスの取得は多額の費用がかかりハードルが高いことから、行政やJAなどの支援により、リース方式のハウス団地を整備するなどして、就農希望者が就農しやすい受入れ体制を整えてもらいたいという意見がありました。  また、新規就農者を増やすためには、まずもって先輩である中堅クラスの農業従事者が、農業に関心のある若者などに対して、農業は稼げるし、やりがいのある仕事だと自信を持って言えることが大事であり、だからこそ、中堅クラスの農業者に対してもしっかり支援をしていただきたいとの意見もありました。  佐賀県の発展には、本県の基幹産業である農業の振興を図ることが肝腎であります。農業は地域経済と密接に関係していて、地域の活力となることから、農業をもっと盛り上げていかなければなりません。そのためには、農業者の所得を向上させ、農業従事者が魅力を感じて経営に取り組めるようにしていくことが重要です。また、その姿を見せていくことで、次の世代の若い人たちも佐賀県で農業をやってみたいと思えるようになると考えます。  そこで、質問ですが、知事は本県の農業振興について課題をどのように認識して、今後、農業所得の向上や農業生産の拡大などにどう取り組んでいくのか、所見を伺います。  最後、第十二問目は、SAGAサンライズパークの整備についてであります。  三年後に迫った国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会を契機としてSAGAサンライズパークを整備することは、県民がスポーツを楽しみ、人生をより豊かにするという観点から意義あるものと考えております。  財政的な負担を伴っても、県民の期待に応える施設として将来にわたって活用されるため、本当にうれしく思っておりました。それだけに、昨年末のアリーナ不落に伴い、六十五億円もの追加補正の経緯は残念でなりません。  サンライズパーク整備全体として、計画素案の三百七十億円から五百四十億円まで大胆な増額となったことも、建設業の供給不足を加味しても余りある見通しの甘さがあったと言わざるを得ません。  県執行部におかれては、十一月定例県議会の本会議で可決した附帯決議の重みをきちんと受け止めた上で、県民理解のもとに整備を進めることができるように、分かりやすく、透明性を持って説明責任を果たしていただくことを強く要請して、以下、質問をさせていただきます。  まずは、事業費に係る受け止めについてであります。  国スポ・全障スポに向けて必要となるSAGAサンライズパークの整備ですが、中核施設となるアリーナ整備はもともと県民からの要望を受けたものと理解をしています。そこにまちづくりの拠点といった視点などが加わったことで、本県の身の丈以上の施設になってしまったと感じています。  SAGAサンライズパーク全体の整備事業費は五百四十億円になります。五百四十億円という金額は、本県における他の大型施設整備、例えば、県内最大の県営ダム、中木庭ダム三百三十七億円と比較しても大きな投資となります。  さらに今議会においては、パーク全体の管理運営を担う指定管理者の指定議案も提案されていますが、その管理運営に当たっては、毎年約五億円、指定管理期間十年六か月間で約五十億円の指定管理料が必要とあります。  こうした多額の事業費が必要となる施設整備を行う際には、様々な視点から事業効果が発揮できるようしっかりとした目的意識を持って臨むべきと考えます。  知事は演告の中で、アリーナを平時には自主防災組織の活動の場、災害時には避難所としての機能を持つ防災拠点として整備することとして、緊急防災・減災事業債を活用することを表明されました。
     災害時の緊急物資輸送拠点のみならず、防災機能を高めることは大事なことであり、緊急防災・減災事業債を活用できるとなれば、財政面でも大変有効な取組となります。  具体的にどのようなものになるのか説明を求めるとともに、こうした多額の事業費を使って、アリーナをはじめ、SAGAサンライズパークの整備を進めることについて、知事はどのように受け止めているのか伺います。  最後に、説明責任について確認をいたしたいと思います。  昨年十一月議会において、アリーナ入札不落となった要因に鉄骨加工費の高騰があったと説明を受けました。内容については、再入札前ということで詳細な説明とはなりませんでした。今回入札が終わったことで、執行部は特別な配慮をもって丁寧に説明していただけるものと考えています。  そこで、気になる設計見積りの鉄骨工事費の見積りについて意見を述べます。  県の説明では、前回入札不落につながった際の設計積算時においては、九州の鉄骨加工工場のうち、受注可能と考えられる十二社に見積り依頼をして、提出してきたA、B、C、D四社から、県のルールに基づき最安値のD社見積金額を設計積算に採用されました。  そして、今回の再入札に当たっては、見積り依頼に対して前回のAとD二社のみが再度見積りを提出してきたけれども、前回採用されたD社については施工体制等から対応不可と判断をされています。その結果、高値であるほうのA社の見積金額が採用されました。  この経緯の説明を受けて思ったことですが、D社は前回同様に受注可能として見積りを提出しているにもかかわらず、施工体制等を理由に採用されていません。では、なぜ前回は採用されたのか疑問を持ちました。このことは、前回の設計積算では施工体制等の調査、確認ができていなかったということになります。  そういうことであれば、受注可能の可否について、前回と同様に今回も梓設計、山下PMCに確認、調査を任せていたことに対して県が直接確認すべきであったと強く指摘せざるを得ません。  県が直接見積り提出先と連絡を取り合うことは、ふだんならないと理解をしております。  しかし、昨年末の附帯決議文面であえて、「今回の入札不落になった原因の一つは、設計会社やCM業者に頼り過ぎ、チェック機能が働かなかった知事以下執行部組織の怠慢によるものと言わざるを得ない。」と厳しく指摘されていることを踏まえれば、県自らがチェック機能を果たす努力をするべきであったと考えます。そうして初めて、前回の不落に関する追加予算に対する県民への説明責任も果たせるのではないでしょうか。  代表質問をするに当たって、より詳しく説明を受けるため、再積算における鉄骨見積りの内容確認に関するプロセスの資料請求をいたしましたが、県民への説明責任を果たせる資料とまでは思えませんでした。疑念が拭えません。  そこで、確認させていただきます。  本日より、まさに本会議での質問が始まりました。執行部におかれては、県議会の苦渋の決断である附帯決議に至った経緯やその意図を踏まえて、アリーナをはじめ、SAGAサンライズパーク事業の推進に当たっては、しっかりと説明責任を果たして県民の理解を得る必要があります。  知事はどのように取り組んでいかれるのか答弁を求めまして、以上、代表質問といたします。(拍手) 11 ◎山口知事 登壇=藤崎輝樹議員の代表質問にお答えいたします。  まず、私の時代認識と県政運営についてお答え申し上げます。  明治維新から百五十年、この日本の歴史は、経済発展の原動力であります人材を地方が中央に送り続けることで高度経済成長を支え、中央集権という枠組みによる東京を中心とした社会構造の下で成長し、その結果として、東京一極集中と全国的な人口減少、少子・高齢化という課題を抱えております。  今、時代は大きく動いており、AI、IoTの進化やグローバル化が進み、人や物が世界を行き交い、東アジアの交流や交易が活発化するなど、世界というものが小さくなり、国境、県境というものの意識、意義が変わっていると認識しています。  そういう時代にあるからこそ、それぞれの地域が地域ならではの価値を引き出し、魅力あるまちづくりをすることで、世界から認められ、人を呼び寄せ、活力を生み出すことができると思います。  佐賀だからこそ持っている和の文化、歴史、伝統などの地域資源を大切にし、人と人とのつながりから自発的な動きを生み出し、これをどう磨き上げ、世界に向かって誇れるかが佐賀県の飛躍にかかっていると思っています。  地方創生の取組は、かねてから申し上げておりますように、国が一律にやり方を示すのではなくて、地方が試行錯誤を重ねながら成功体験を積み重ねていく、いわゆるトライ・アンド・エラーが大切だと思っています。国や自治体の役割は、この地域主体の動きを引き出し、応援することだと思います。  佐賀県は、自発の地域づくりを政策の柱の一つに据えており、地域の方々の自信と誇り、ふるさとの愛着を原動力に、地域が輝いていくように引き続き全力で後押しをしていきたいと思っています。  そして私は、知事というものの大きな役割として、県民に寄り添い、県民の声を聞き、県民の思いを感じながら県政を進めるという側面があります。今の県民の皆さん方のニーズを聞き取っていくという側面があります。そして、私自身がしっかりと研さんを積んで、長期的な展望を持って、リーダーとしてそれを県民にお伝えして、対話しながら未来に向かって種をまき、布石を打っていくという面も、これは大切なんだろうというふうに思っています。  時代は今、大きな変動の中にあります。平成の始まりからの三十年ほどを振り返ってみても、それまでなかった携帯電話が普及して、それがインターネットの普及とともに情報端末へと進歩し、今ではキャッシュレス決済のツールへと進化するなど、たったこの三十年の間に想像もしなかったようなことが今では当たり前になっています。  きっとこれから後は、自動運転ですとか無人店舗など、さらなる時代の変化の波が押し寄せ、様々な分野で我々が想像もしなかったことが起きてくるんだというふうに思います。  こうした流れの先に到来する時代を見据えるという考え方は大事だと思いますし、藤崎議員のおっしゃるとおり、多くの県民の皆さん方が不安に思っていらっしゃるというのも私も実感しています。こうした時代の不安、先はどうなるんだろうかという漠然とした不安も含めて、高齢化がここまで進んでいく中で、どういうふうな形で社会が変容していくんだろうか。本県にとってみても、社会保障費の増嵩だけでも毎年十億円ずつ積み上がっていく状況の中で、社会保障は大丈夫なんだろうかといったものでありまして、私もよく分かります。  ですので、県行政は、こういった県民の皆さんに身近な行政主体として、県民の声をしっかりと受け入れる器でなければいけないというふうに思いますし、やはり高度経済成長期のように、東京を中心とした、ある部分画一的な仕事の仕方というのは、もしかしたら安心とセットになっているのかもしれない。逆に言えば、地域ごとに自発、自立、そうしたものの時代というのは非常にチャレンジングで夢躍らせる側面がある代わりに、本当に大丈夫なんだろうかという不安がついてくるのかもしれないと思います。  まさに今我々はそういう時代の節目にいるので、県は県民の皆さん方のそういった気持ちにしっかりと寄り添っていくということを大事にしながら、佐賀県の姿をこの変革の時代の中で広い視野で思い描き、伝統や文化に根差した佐賀の価値を大切にしながら、県民の幸せ、そして、本県の発展のために全力を尽くしていかなければならないという認識でございます。  続きまして、「さがデザイン」についてお尋ねがございました。  私が知事として佐賀県のかじ取りを任されて以来、五年になりますが、その総合計画の二〇一五、総合計画二〇一九の両方において、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念に掲げさせていただいております。  そして、この理念の実現に向けて欠かすことのできない重要な横串視点として「さが創生」、いわゆる自発の地域づくり、いろんな意味でそれぞれ自発的に輝いて動いていただきたいという考え方、それから、「さがデザイン」です。  私はかねてから「さがデザイン」には大きな力があるというふうにずっと思っております。ただ、議員がおっしゃるように、これを政策推進の手法にするという考え方は、なかなか県民の皆さん方に分かっていただきにくい側面があって、非常に困っているところもあります。  佐賀の「さががすき。」という県民だよりに馬場さんとのやり取りを載せたりもしましたけども、なかなか分かりづらい。そうなりますと、確かに事業の測定というのも難しい、そういった面もあると思います。しかも、佐賀県は他県に先駆けて先駆的にやっているので、評価軸みたいなものがなかなか確立されていない、先駆者ならではの悩みというものもあります。  一般的にデザインといいますと、一般的な国民の皆さんはパッケージとかポスターとか、そういった表現の部分が何かおしゃれに磨き上げられるというイメージをお持ちになられます。私は本来、全ての物事を包含して、そのものの本質的な価値をえぐり出し、コンセプトを設定し、事柄や社会システムそのものまでもよくしていくような計画的行為、いわゆる創意工夫そのものだというふうに認識しているのでございます。  そして、私は、知事就任を機に、行政の様々な施策や地域をデザインの力で磨き上げるという手法をぜひやってみたいというふうに、二、三十年前からずっと考えておりました。なかなか自分が部長とかいう立場では、部分的には導入できるものの、これはある部分、県民の信託を得て知事になったから、こうやって言い出すことができたのかなというふうに思っています。  行政は、法令に照らして平等に効率的に正しく執行するということをいつも意識しています。ですので、ややもすると前例踏襲や形式主義、事業を実施すること自体が目的化したり、画一的な政策になったり、結局ありきたりな事業内容になりがちだというふうに私は思っています。  一方、デザイナーやクリエーターの皆さん方は前例や縦割りにとらわれることなく、物事の本質やミッションをきちんと把握した上で、全体を貫くコンセプトを設定し、唯一無二のアイデアによりまして施策をつくり上げることができるものと思いますし、やはり自分の名前で仕事をしていますから、もちろんいろんな意見があるものの、それなりの魂がしっかり込められたものになると思っています。  このデザイナーなどの持つ力を一見親和性のない行政に取り入れることによりまして、施策全体に横串を刺し、デザインの力で施策の磨き上げを行う仕組みが「さがデザイン」でありまして、その趣旨に賛同する熱い思いを持ったデザイナーなどが、次々に今佐賀県に集まってきている状況だと思います。  最初のうちは佐賀県出身で外に出ているメンバーが中心だったわけですけれども、徐々にその後、県内メンバーも加担するようになってまいりましたし、実は佐賀県と関係ない皆さんも、佐賀に行くといろんなクリエーター、デザイナー同士の交流ができるということでお集まりいただいてもおります。  こうしたデザイナー、クリエーターなどと行政の間をつなぐ役割を「さがデザイン」の担当が行っておりまして、その本質をあぶり出す力、独創的なアイデアで、施策を共に磨き上げております。維新博ですとか「サガプライズ!」とか、最近でいいますと、「いちごさん」のトップセールスの現場などでも、最近の佐賀は光っているねと、お世辞半分かもしれませんけど、言われることも間々あるようになってまいりました。  そういった磨き上げによりまして、その対価は、費用は当然発生するわけでありますけれども、県民の様々なニーズや思いをしっかり受け止め、ぶれないコンセプトを設定することによって、ミッションに対応した筋や骨のあるような施策になっているんではないかなというふうに思っています。  ただ単に物を作るとかイベントをやるといったものでは、本来果たすべき役割の効果が上がっていかないといった思いを感じてまいりました。県民の貴重な税金ですので、大切に活用をしなければならないという思いだからこそ、しっかり効果を発揮させなければいけないというふうに思います。  デザイナー同士のネットワークも構築されておりまして、その中で「勝手にプレゼンFES」を御紹介いただきましたが、出てまいりました。こちらも、もともと行政のほうで何か枠を決めた上でコンペをするんではなくて、本当に佐賀県をよくするための様々なアイデアを、自由に白地からプレゼンさせてもらえんかという話の中から出てきたプロジェクトであります。なかなか行政では思いつかないようなアイデアもありますし、担当部局で精査の上、事業化されたものも御紹介いただいたとおりであります。  特に、具体例として挙げられました県庁舎東側の「こころざしのもり」、県立博物館前の公園広場についても、皆さん覚えていらっしゃるでしょうか、もともとは花壇や樹木で覆われて、それから、園路の段差で人が入りづらかったり、車椅子で入れなかったり、ほとんど人が入らないような薄暗い空間でありましたけれども、これを人が集い、にぎわう場所にしようとコンセプトを明確にして、クリエーターの知見も取り入れながら空間を再構成することによりまして、今では日常的に親子連れ、学生が集う、子供が弁当を食べる、イベント時には多くの人が集うという空間に変わったわけであります。  また、佐賀市だけではありませんで、例えば、唐津市の波戸岬のキャンプ場も大きく生まれ変わりました。こちらも今までは単なるキャンプ場だったわけですけれども、自然体験のメッカをコンセプトにリニューアルオープンいたしまして、夕日がゆっくりと玄界灘の水平線に沈む様子を満喫できるような「フリーサイト」を造ったり、少人数から大人数までが楽しめる「プレミアムエリア」を備えた、文字どおり九州最強の公営キャンプ場に生まれ変わりました。  その結果、この冬場の利用者は、ただ単なるキャンプ場だったときに比べて約二十倍に増えました。年間の利用者についても三倍以上に大幅アップして、今では九州で一番予約の取りづらいキャンプ場として大きな評判となっております。  そういったメンバーのアイデアは採用できないものも多いわけでありますけれども、ぜひそういったクリエーターが佐賀に集まってきていただきたいと思います。  改めて申し上げますが、私はデザインの持つ大きな力を信じております。これからもそういった本質的な魅力を表現できるデザイナー、クリエーターとともに、佐賀県のために一歩先を見据えた魅力ある佐賀県をつくり出してまいりたいと思います。  今後も、「SAGA2023」、国スポ・全障スポをはじめとして、本県が取り組む様々な施策やイベントにますます多くの県内外のクリエーター、デザイナーに参画いただきまして、佐賀県を将来にわたって光り輝くものとしていきますよう、そして、藤崎議員からるる御指摘いただきましたような先駆者ゆえの課題もたくさんございますので、そういったことも踏まえつつも、美しい佐賀県にふさわしい県土づくりになるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。  続きまして、財政運営についてお答え申し上げます。  国や地域を発展させていくためには、時代背景を踏まえて、将来を見据えた有効な手段を戦略的に講ずることが肝要であります。現在は大きな変革期を迎えております。  こうした状況にある今だからこそ、画一的な自治体運営から脱却して、佐賀の持つ強みを生かしつつ、世界と未来を見据えて戦略的にソフト、ハードの相乗効果を発揮させることで、佐賀から様々なイノベーションを起こしていくことが必要だと思い、そのための布石を打っているところであります。  具体的には、交流をキーワードに九州佐賀国際空港の拡張、幹線道路ネットワークの整備、新たな人の流れを創出するSAGAサンライズパークの整備などでございます。  一方、本県の財政状況は、農業振興に不可欠でありました基盤づくりのために進めてまいりました国営土地改良事業の県負担が平成二十年度のピーク時から大きく減少してきました。そして、これまで先輩方のおかげで堅実な財政運営がなされてまいりました。  こうしたことから、財政の健全化を示す指標の一つであります将来負担比率は、よいほうから全国で第四位、公債費は平成二十三年度の六百八十六億円から着実に減少させまして、令和元年度においては六百億円程度となるように健全な財政状況を構築し、これを保持しなければいけないと留意しております。  また、健全な財政状況の下、タマネギの「べと病」ですとか昨年の豪雨災害など、迅速かつきめ細やかな対応ができている。様々な困難を抱える方に寄り添う様々な事業の実施などフレキシブルな財政運営を実行できているのも、やはり財政にある程度の柔軟性を維持してあるからこそだというふうに思います。  今後、御指摘いただいておりますように一定の財政支出が必要となりますが、健全な財政状況に加え、様々な財政的工夫に取り組むことなどを踏まえた、中長期的な県財政への影響をシミュレーションした結果、将来負担比率は全国四位から十位程度に、公債費は平成二十六年度と同水準の六百五十億円程度になる予想をつけておりますが、県財政の健全性は保持可能と考えています。  また、令和四年度末の財源調整用基金残高は、一般的に目安とされている標準財政規模の五%程度となります約百二十億円を確保できる見込みを立てています。  一方で、本県は自主財源比率が四割程度と低く、国の方針に大きな影響を受けるおそれがあります。安定的な財政運営を図るために、インバウンドや企業の誘致、移住の促進に全力で取り組むことなど税源涵養も大切な施策であります。  ただし、税収を増加させても、今の仕組みではその七五%は普通交付税が減額される仕組みとなっておりますので、地方が様々な課題に対応する財政需要を地方財政計画の歳出に計上し、地方の一般財源総額が充実されるように国に対して強く求めているところであります。  本県の飛躍につながる事業に挑戦しながらも、県民の生活に身近な事業を着実に推進したく存じます。あわせて、予算編成においては歳入歳出の強化に取り組むとともに、あれかこれかというめり張りをつけることも重要です。事業規模にも注意を払うとともに、不断の見直しを行うなど、スクラップ・アンド・ビルド、選択と集中による戦略的な財政運営を行い、県財政の安定性と健全性を確保していきたいと考えています。  続きまして、新型コロナウイルス感染症につきましてお答え申し上げます。  感染の現状と感染予防に向けた県の対応につきましては、川崎議員のところで御答弁して、若干省略してもいいというお答えも踏まえてお答えさせていただきたいと思います。  新型感染症は未知のところが多いわけでございますので、治療方法、対応マニュアルも確立していない中で対応しなければなりません。しっかりと最新の情報を把握して、関係者で情報を共有、分析して、冷静かつ柔軟に対応できるように備えていきたいと思っています。  こうした視点に立ちまして、準備体制を盤石にするために、福岡市で発生後直ちに対策本部準備会議の開催を副知事に指示して、現在、県内での発生に備えておりますが、発生するということを前提として今から、今後とも国内での流行状況を注視し、国民の皆様の安全・安心のために努力を積み重ねてまいりたいと思います。  マスクについても御指摘はいただきました。現在、予防用に買われる方も多いんですけれども、感染症の拡大の効果的な防止のためには、できる限りせきなどの風邪の症状がある、そういった必要としている方に使ってもらえればなというふうに思っています。  また、医療従事者のほか、高齢者や糖尿病などの基礎疾患のある方、アレルギー症状のある方など、真に必要な方に何とか届けたいなという意識でおります。  マスクにつきましては、今、国を挙げて増産体制に入っておりますので、できるだけ早く必要としている皆さんのところに行き渡ることが必要と認識しています。  続きまして、県内産業への影響と県の対応についてお答え申し上げます。  現在、ウイルスの県内産業全体への影響につきましては、現時点で深刻と言えるところまでの影響が生じているという声は聞かれておりませんけれども、今後ともスポーツや文化イベントなどの中止が相次ぐことで、経済的な面から見れば景気が後退するなど、大きな要因となることを我々も非常に懸念しているところです。  観光業におきましては、一月二十七日に中国政府が中国人団体旅行を禁止して以降、県内宿泊施設へのキャンセルが相次いでおりまして、これは影響が出ていると認識しています。  また、中国以外の国でも日本国内での感染拡大を受けて、日本向けの旅行の自粛勧告を行う動きが出ておりますので、観光業への今後の影響にも留意していく必要があろうかと思います。  加えて、製造業などにおきましては、一部の企業で中国製部品の調達などに影響が出始めているところでもありますので、今後の影響拡大へ向けての懸念が生じておりますので、注意深く見ていかなければいけないと思います。  今後とも、緊張感を持って状況の推移を注視しつつ、経営の悪化に対する金融面での支援など、適時適切に対策が実施できるよう、こちらのほうもしっかりと準備をさせていただきたいと思います。  続きまして、人口減少対策に係る私の思いについて申し上げます。  これは議員からもお話しいただきましたけれども、高度経済成長期は人口についても人口ボーナスといいますか、人口が増えていくということでありますので、マーケットは自然と拡大をいたします。つくれば物が売れる時代だったというふうに思います。  人口減少の現在は、マーケットが縮小していきますので、これまで国内需要だけで成り立っていた多くの企業活動、サービスが成り立たなくなるわけでありまして、これまでと同じ考え方で対応してはいけないということでございます。  企業活動だけではありません。地域経済、医療福祉、社会資本整備、教育などあらゆる分野において、こうした視点を持たなければいけません。今までと同じことをやっていては持続可能とならないわけでありまして、いかにそれぞれの分野で独自の価値を生み出していくのかという観点が必要だと思います。  このような認識に立ちまして、我々も高校生の県内就職の促進ですとかUIJターン就職の推進、「子育てし大県”さが”プロジェクト」ですとか自発の地域づくりなど、幅広い分野で人が集まる佐賀づくりということに取り組んでまいりました。  こうした取組も功を奏したのでしょうか、人口移動の転出超過数につきましては、全国の転出超過道府県の中では少ないほうから三番目という、厳しい状況ながらも一定の成果は出始めているものと考えています。  今は大都市に人口が集中し、とりわけ東京に集中しておりますけれども、先ほど申し上げたように百二十年程度の話であります。これからの時代はまた変わっていきます。もっとグローバルになり、情報技術など技術革新によって社会も変わってまいります。魅力ある地域に人が集まるようになっていくと思います。佐賀県はそうしたところをしっかりと見据えながら、魅力に満ちあふれた地域として浮かび上がってくるものと私は確信しています。  人口の増減には様々な施策が影響を与えるものと認識し、今後も幅広い分野において佐賀県の魅力を磨き上げるとともに、国際化、情報化といったこの時代に求められる視点を入れながら、人口減少対策にしっかりと取り組んでいきたいと思います。  続きまして、仕事と子育ての両立、働きたい女性の支援についてお答え申し上げます。  私は、かねてから子育てがしやすい環境に佐賀県はあるのではないかというふうに思っています。そして、「子育てし大県”さが”プロジェクト」に取り組んでまいりました。二年目には、私は九州知事会でプロジェクトリーダーとして、「知事が妊婦に。」という動画配信を宮崎県知事と山口県知事と一緒になって行うことで、妊娠中の女性の大変さ、温かい言葉やさりげないフォローが女性を勇気づけることなどを伝えて、家事、育児、仕事に対する意識改革を男性に働きかけることも行いました。  今から十四年前になりますけれども、鳥取県の商工労働部長のときに二週間育休を取らせていただきましたけれども、忘れもしません、まだ育児休暇が話題にもならなかったところだったので、鳥取県の県会議員の方から、部長さんは仕事に来たんではないんですかと厳しい言葉をいただきました。そして、その直後の議会を育児休暇でお休みさせていただきました。私の代わりは女性の副部長が答弁させていただくという状況になりましたけれども、それは妻が第三子の出産で、一週間ぐらいだったでしょうか、入院をしておりましたので、その間、四歳の長男と三歳の長女との、育休と言っても奥さんがいないので、いわゆる私のワンオペ状態だったことが、いわゆる普通の夫婦での休暇とは私は違ったと思います。だからこそ気づけたこともありますし、想定外の出来事の連続で大変だったのですが、そこの気づきを得たことが、様々な私の認識を変えさせた大きな要因になったと思います。  私は誰もが働きながら安心して子育てができる環境が整い、男性も女性も自然な形で家事、育児を共に担い、それぞれが肩に力を入れずに活躍できる社会をつくりたいと考えています。そのような社会を目指して、安心して質の高い保育サービスを受けることができる環境整備、職場の上司や男性の意識改革については、「子育てし大県”さが”」の重要な取組として今後も引き続き力を注いでいきたいと思います。  佐賀県は、結婚、出産、子育ての希望がかなう県とますます思っていただけるようにしていきたいと思います。  そして、家族の形は様々であります。特に若い皆さん方は、家事、育児の分担や働き方、それぞれ夫婦が自分たちに合った方法を見いだしているようであります。多種多様な人がいて、それぞれのやり方があります。多様な人材、経験、考え方、それらを受け入れる土壌を築くことによりまして、仕事、子育ての両立、そして、働きたい女性の支援にも取り組んでまいりたいと思います。  移住施策についてお答え申し上げます。  佐賀県は、大都市にはないスローライフの、人が暮らしていく上で大切で本質的な価値のある場所だと思います。  二〇一九年の移住希望地ランキングでも十位から八位に上昇いたしました。特に、年代別移住希望地ランキングでは、二十代以下で三位、三十代で五位となりまして、本県がメインターゲットにしています若者、子育て世代の移住希望がかなり高くなっているものと思われます。  こうした評価も佐賀ならではの住みやすさが認められてきつつあるものと考えています。  私は毎年、慶應大学で、佐賀県のPRを兼ねまして慶應の学生に講義を行っておりますけれども、ほとんど関東出身の学生です。聞いていて皆さんがおっしゃるのは、実はふるさとがないのが寂しい、ふるさとに帰れるという友達がうらやましい、帰れるところがあるということがうらやましいという声、何かこの人たちにふるさとを持たせてあげたいなという気持ちにもなりましたし、こういう関東に居着いてしまっている地域の皆さん、こういった人間が佐賀をふるさとに思ってもらう施策はないのかなというふうに思いますし、ましてや、じいちゃん、ばあちゃんが佐賀出身で、このまま関東に居着いてしまっているという方も多く見受けられます。こういう方々に、佐賀なのにこのまま神奈川出身と言わせるというか、そうなるのはあまりにも寂しいなというふうに思います。  そういう人たちを大事にして、佐賀というものに愛着を持ってもらいながら、場合によっては帰っていただく、佐賀に住んでいただくということに結びつけていきたいなと思いますし、そのためには我々佐賀県民が、地域に愛着を持って、ふるさとを誇りに思い、そして、そういった多くの人を受け入れられる大きな心を持っていくということも大事だというふうに思います。そうした思いを持って、本県への新しい人の流れをつくり、将来にわたって地域の活力を維持できるようにしたいと思います。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについてお答え申し上げます。  私は現在、国土交通省から呼びかけがありました幅広い協議について、国の考え方を確認させていただいているところでありますけれども、藤崎議員からもお話しいただきましたが、協議に入ることであたかもフル規格に向けた協議に入るといった県民に誤ったメッセージとならないように、どういった協議になるのか、入り口でしっかり確認する必要があると思っているのです。  鉄道局は、新鳥栖─武雄温泉間は高速交通ネットワークにつながっておらず、利便性の高い新幹線ネットワークを早期に構築することは国に課せられた使命と言われておりますけれども、結局は、フル規格の実現に向けて早期に協議入りしたいと言われているのではないかとさえ疑問に感じざるを得ないものだというふうに思っています。  さて、もう一つ、新鳥栖─武雄温泉間を未着工区間とか未整備区間と報道されている場合がありますけれども、この区間は在来線を利用することを関係者で合意しているものでありまして、このような表現について我々は非常に違和感があります。未着工ではありません。  先ほど川崎議員にもお答えいたしましたけれども、これまでに関係者で合意しておりますスーパー特急、フリーゲージトレイン、そしてリレー方式については、異論はございませんので、応じる準備はあるわけであります。
     新鳥栖─武雄温泉間について、フル規格やミニ新幹線の議論をするのであれば、数年で議論するような簡単な問題ではありません。佐賀県の将来、在来線ですとか、県財政も大きく影響するものであります。協議に対する国の考え方についてしっかり確認するなど、強い気持ちを持って、丁寧に対応してまいりたいと考えています。  続きまして、佐賀空港の自衛隊使用要請についてお答え申し上げます。  様々な、そして厳しい議論を経て締結されました公害防止協定は、私も大変重いものと認識しております。だからこそ、県はその覚書付属資料にある佐賀空港を自衛隊と共用しないとする考えをずっと守り、これまで県が主体的に自衛隊との共用を考えたことも打ち出したこともなかったわけです。  こうした中で、今回、防衛省から国民、県民の生命と財産を守る国防に関する要請があり、県民の安全・安心に関わることでもあったことから、様々な観点から三年半にわたる検討を行い、一昨年八月に、「県としては、『今回の防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議をさせていただく』」とした判断をして、有明海漁協に協議の申入れを行いました。  申入れを受けて、有明海漁協では、昨年八月にオスプレイ等配備計画検討委員会の場で、防衛省から説明を受け、翌九月からは支所ごとに説明の場を設けるなどとして現在検討いただいているところでありますので、撤回することは考えておりません。  続きまして、エネルギー政策について、再生可能エネルギーの取組についてお答え申し上げます。  佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想では、「県内発や県にゆかりのある人・企業・技術・製品等で日本・世界の再生可能エネルギー等の普及拡大に貢献」することを「目指す姿」として定めております。そして、この構想の実現に向けて、できるところから着実に取組を進めて、具体的な成果も少しずつではありますが得られつつあります。  例えば、小水力発電の事業モデル構築につきましては、吉野ヶ里町の松隈地区におきまして、令和元年十月に同地区の全ての世帯が出資して法人が設立され、事業化に向けた取組が行われておりまして、早ければ令和二年度中にも発電が開始されます。  また、地中熱の利用につきましては、平成三十年度に佐賀平野の地中熱ポテンシャルマップを作成しておりまして、令和二年度にはこのマップを活用し、SAGAサンライズパークに建設を進めているプール、アリーナに地中熱等を導入することを検討し、今議会でも予算の審議をお願いしております。  そして、こうした取組をさらに加速するために、令和元年十月には佐賀大学と協定を締結して、産学官が連携してオープンイノベーションで再生可能エネルギー等の関連分野の研究開発を推進する組織として、いわゆるCIREn(セイレン)を立ち上げたところであります。  再生可能エネルギーの取組は、短期的に成果が得られる性質のものばかりではありません。まだ緒に就いたばかりのものであります。私としては、九分野、今スタートを始めたこのCIREn(セイレン)に、県にゆかりのある人や技術を結集し、イノベーションを生み出していくことで、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に貢献していきたい。佐賀から未来を創るためのチャレンジを続けることで、県内企業が活躍する佐賀県の未来をも切り開いていきたいと考えています。  続きまして、玄海原子力発電所に関する九州電力からの情報提供についてお答え申し上げます。  県においては、九州電力との間で取り交わしております「原子力発電所の安全確保に関する協定」、いわゆる安全協定におきまして、平常時の運転状況や、廃止措置の実施状況を随時報告すること、設備の変更を行う際には事前了解の手続を行うこと、事故や故障があった際に連絡することを定めています。  そして、九州電力に対しましては、玄海原子力発電所で事故や故障、あるいは火災などが発生した場合には、空振り覚悟で逡巡せずに速やかに連絡するよう強く求めておりまして、そうした真面目で愚直な取組が、県民の不安に応えることにつながるというふうに申し上げております。  私は知事に就任した当初の時点から、九州電力に対しましては、うそをつかないこと、現場が事実と本当のことを言える風通しのよい組織にすること、自然災害だけでなく、事故、事件を含め、あらゆる事態に対応できる危機管理体制を構築することの三つの約束を再三再四申し上げております。  先般も、池辺社長と面談した際にも強く申し入れております。九州電力がこれらのことを守り、情報がしっかり県に提供されることで、ひいては原子力発電所の安全性向上につながるものと考えています。  県といたしましては、今後とも九州電力に対して、しっかりと情報を提供し、また、県民に対しても分かりやすく丁寧な説明を行っていくよう求めるとともに、その取組を注視してまいりたいと思います。  続きまして、有明海の再生についてのうち、まず諫早湾干拓関連訴訟に係る現状認識についてお答え申し上げます。  諫早湾干拓関連訴訟については、開門を命じた平成二十二年福岡高裁確定判決の強制力を争う請求異議訴訟や漁業者による開門請求訴訟などがふくそうして、また開門、非開門の相反する確定判決が存在しています。  議員御指摘のとおり、干拓農地の営農者の一部の方が、調整池に飛来する野鳥による食害や淡水化による冷害、熱害、暗渠排水の不備による農地の排水不良などを理由に、開門や損害賠償を求める訴えを提起していることも承知しています。  このような中で、二月二十一日から始まった福岡高裁における請求異議訴訟差戻し審では、重要な争点である漁獲量の変化について、国側はエビ類の漁獲量が増えていることを捉えて、主な対象魚種の漁獲量は増加傾向に転じていると主張したのに対して、漁業者側は潮受け堤防締切り後、貝や魚がとれなくなり、今も漁業被害が続いていると反論されています。  私も再生のシンボルでありますタイラギが八年連続休漁となっているなど、漁業者が回復を実感するには程遠い状態と認識しておりまして、実際に農林水産統計年報における本県有明海区のタイラギなどの貝類を含む漁獲量全体で見ると、明らかに減少しております。  このような有明海の現状を踏まえて、漁業者の皆さんの思いを受け止めて差戻し審の審議が行われることを期待しております。  この国の資料を見ますと、確かにエビ類、シバエビの漁獲量は増えて、全体が増加しているということになっていますが、ただ、国の資料には、貝類が入っていないんではないかと報告を受けています。忘れておられるのか、勘違いなのか、ちょっと我々にはよく分かりませんけれども、この貝類というのは有明海の漁業の主軸のものでありますので、密接不可分の主要品目でありますので、これを入れるとかなりの減少になるということだというふうに思いますけれども、ここはちょっと精査が必要なのかもしれません。  漁業者による開門請求訴訟では、ここ数年、開門を認めない司法判断が続いておりますけれども、県としては、営農者による開門請求訴訟も含めまして、諫早湾の干拓関連訴訟について、引き続き注視をしていきたいと考えています。  続きまして、有明海再生に向けた私の姿勢についてお答え申し上げます。  有明海の再生のためには、開門調査を含む環境変化の原因究明が必要だという思いはいささかも変わりません。  これまでも五月の国への政策提案活動や、農林水産大臣来県時の意見交換会などにおいて、その思いを伝えてきたところであります。  今後も、有明海の再生に向け、国に対し、機会あるごとに開門調査を含む環境変化の原因究明の必要性をしっかりと訴え続けていきたいと思います。  一方で、漁業者にとって、水産資源の回復は待ったなしでありまして、県は不退転の決意をもって有明海の再生に向けた取組を進めております。  例えば、回復の兆しが見られたアゲマキ、ウミタケなどの二枚貝につきましては、安定的かつ持続的な漁獲につながりますよう、この機を逃さず、これまでの取組の拡大強化を図ることとしておりまして、特に本県海域に広く生息するサルボウにつきましては、今年度より県独自の資源増大の取組を開始したところであります。  一方、タイラギにつきましては、復活が見通せない状況でありますが、国や有明海沿岸の三県と連携を図りながら、引き続き稚貝の生産と放流技術の開発などに取り組み、一日も早い資源の回復につなげてまいりたいと思います。  今後も、有明海の再生という本来の目的を見据え、国、県、市町、漁業者など、関係するみんなで協力して対応していきたいと思います。  続きまして、医療・福祉行政に関してですが、認知症になっても安心して暮らせる環境づくりが必要だという御指摘をいただきました。  高齢者の皆さんは、人生の大先輩であります。これまで佐賀県の発展に寄与いただいたことに感謝しており、いつまでもお元気で佐賀県を支えていただきたいと願っています。  先日、有田町で高齢者の皆さんが健康体操、トリム体操といいますが、これに取り組んでいるところを訪問して、一緒に体を動かしました。参加されている方からは、七十を過ぎたら外に出るのが大事。週一で集まって体操を行い、自宅でもできる範囲でやっているといった声も聞かれ、皆さんの生き生きとされている姿を拝見させていただいたところです。  こうした日頃からの健康づくりや人との交流、社会参加は、認知症予防にもつながると言われており、高齢者の皆さんには趣味やボランティア活動、あるいは「SAGATOCO」を使っての町歩きなど、それぞれのやり方で健康づくりを楽しんでいただけたらと思います。  ただ、認知症になってしまわれた場合、御本人も御家族も大変な思いをされていて、そうした方々が住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりも大切であります。このため、早期診断、早期対応といった医療的な支援や、本人とその家族を支える体制づくりについて、市町や関係機関と一緒になって取組を進めております。  まず、早期診断、早期対応については、かかりつけ医の対応力の強化、かかりつけ医の相談役となるサポート医の養成、県内四か所の認知症疾患医療センターにおける専門医療相談や診断・治療を実施しています。  次に、本人とその家族を支える体制づくりとして、正しく理解して見守ってもらうための認知症サポーターの養成、気軽に悩みを相談し合える「オレンジカフェ」の設置などを推進しています。  さらに、認知症サポーターについては、これまで本人や家族の困り事に直接つなげる仕組みがなかったことから、来年度はそのつなぎ役となるコーディネーターを養成し、各地域でサポーターを中心とした支援チームが動き出すような仕組みをつくることとしています。  人は誰でも認知症になる可能性がございます。日頃からの健康づくりに加えて、早期の医療的支援によりまして、進行を緩やかにすること、そして、本人とその家族を支える仕組みを地域に広げていくことによりまして、認知症になっても安心して暮らせるような環境をつくっていきたいと考えています。  続きまして、障害者が安心して暮らせる環境づくりについてお答え申し上げます。  平成三十年九月に、「障害のあるなしにかかわらず、ともに暮らしやすい佐賀県をつくる条例」を制定させていただきました。全ての県民がそれぞれの個性や能力を発揮しながら、お互いにその人らしさを認め合い、支え合うことで、ここ佐賀県をよりよいものにしていけるという私の強い思いもございました。  これまでも障害のある方々が住み慣れた地域で安心して暮らしていただくために、グループホームの整備をはじめ、相談支援や在宅サービスなどの充実、就職支援等に積極的に取り組んでまいりました。  さらに、このような取組と併せまして、県民お一人お一人が障害のある方々の思いを知って、お互いに交流したり、配慮や支援の手を差し伸べたりすることで、相互に分かり合うことがとても大事だと思います。  私も、これまでも障害のある方と一緒に車椅子利用者の生活を体験したり、一緒にデザインの仕事をしてみたりしております。そして、昨年十一月には、佐賀県出身でシドニーパラリンピックの日本代表銅メダリストの八島京子さんや生徒の皆さんと一緒に車椅子バスケットボールを楽しみました。  そのときの佐賀清和高校での八島さんのお話の中で、障害のある人はかわいそうな人ではありません。工夫一つでみんなと同じように楽しく生活ができます。皆さんも町で障害のある人が困っていたら、ぜひ声をかけてほしいという言葉を高校生に投げかけておりました。大変強く印象に残っております。  私は、多くの県民の皆さんに、学校や職場、地域でこうした対話の機会が多くあってほしいと思いますし、障害のある方も、もっともっと外に出て、日常生活や社会生活の不便さや、困り事なども遠慮なく周囲に伝えていただけるような、そんな環境をつくっていきたいと思います。  その一助として、外見からは障害があるように見えなくても、様々な病気や困難を抱えている方々に気付いていただけるよう、平成三十年度にヘルプマークを導入させていただきました。  私自身も、様々な福祉関係の大会やイベント等に出席した際に、直接多くの参加者にヘルプマークを紹介してまいりましたけれども、本県の交付実績は昨年十二月末現在で六千五百五個と、九州では最も多いです。うちより先に始めた長崎県は二千九百ぐらいですから、もうその倍以上、佐賀県は普及しています。「SAGATOCO」といい、ヘルプマークといい、佐賀県というところは何かその思いが伝わったら、しっかり人にその政策が伝わっていくと、すばらしい県だなというふうに私は認識しています。  ヘルプマークを利用されている方からは、バスに乗っていたときに席を譲ってもらえた。優先席に座るときに後ろめたさを感じることがなく座れるようになった。近所の認知症の方にもお勧めしたいといった声をいただいております。  何とか今、九州で実施している県が佐賀、長崎、宮崎、沖縄なので、我々、福岡県に行く機会も多いので、次回、福岡県知事に強く要請しようと思っています。  今後とも、このようなハード、ソフト両面の取組を積極的に進めることによりまして、障害のあるなしに関わらず、皆が地域で安心して暮らしていける佐賀県づくりを進めてまいります。  続きまして、佐賀県医療センター好生館について御指摘いただきました。  好生館は、一八三四年に鍋島直正公によりまして、医学館・医学寮が創設されたことに始まり、「好生の徳は民心にあまねし」、人の命を大切にするという徳を多くの人に行き渡らせようということです。そういうふうなことに名前が由来する、日本でも有数の歴史を誇る病院と認識しています。  以後、「病む人、家族、そして県民のこころに添った最良の医療をめざします」との基本理念のもとで、平成二十二年の地方独立行政法人化、そして平成二十五年の嘉瀬への移転を経て、今日まで県民の皆さんに愛され続けていると思います。  県としては、好生館がその基本理念に沿った医療を提供し、県の中核的な病院としての役割を果たすための課題として、高度専門医療や災害時の医療など、好生館が担うべき医療の提供とその水準の向上、患者の利便性向上、県民サービスの一層の向上、業務の改善、効率化、経営基盤の安定化があると認識しております。これらを地方独立行政法人である好生館に対して、令和三年度までの四年間の中期目標として示させていただいております。この目標の達成に向けて好生館は中期計画を策定しておりまして、この計画に沿って、自ら独立行政法人としての責任を持って効率的かつ効果的に業務を実施することが何より大切であり、引き続き着実に取り組んでいただきたいと考えています。  県としては、目標による管理や業務実績の評価を行うとともに、好生館の運営に係る経費について好生館が自らの収入で賄いきれない部分を負担するなど、設立団体としての役割を果たしていきたいと思います。  なお、県民の高齢化及び好生館の高度急性期や救急医療などの体制充実に伴い、受け入れる患者が増加して職員数も増えたことにより手狭な状況になっていることはお聞きしております。これについて、好生館では、今後の施設整備の方向性をまとめ、基本計画を作成中であり、県としては、この計画を踏まえて県の役割に照らして必要な支援を検討することとなります。  地域との連携を深め、県民に寄り添い、高度な医療を提供してきた好生館は、県民が安心して生活する上で欠くことのできない重要な役割を担っております。  今後とも、好生館の創設時からの理念を守りながら、さらに県民に良質な医療を提供していただけるように、県として役割をしっかりと果たしていきたいと思います。  続きまして、農業の振興についてお答え申し上げます。  農業におきましては、農業従事者の高齢化や減少、労働力の不足、農業産出額や農業所得の伸び悩みに加えまして、TPPなどの国際経済連携協定の進展による先行きを見通せない不安感などへの対応が課題だと認識しています。  そして、例えば、今のようなコロナウイルス問題などで物流が滞るような状況が見えてきますと、本県の食料自給率は九三%ですので、国全体では三七%ということで、非常に高い水準にあるという、この食の安全保障上も佐賀県の大きな強みになっていると、こういう面も大事だと思っています。  このような中で、将来にわたり佐賀県の農業を持続的に発展させていくためには、規模拡大や低コスト化、高品質化などによりまして、農業生産や産出額の拡大を図り、それを農業所得の向上や新規就農者の確保、育成につなげるといった好循環を生み出していくことが必要です。  このために、まずはキュウリやトマトなどの収量や品質を飛躍的に向上させる統合環境制御技術、こうしたものの導入促進、そして、最近ニーズが高まってきております業務用・加工用野菜、食味がよいことで評判の高い新品種「いちごさん」、そして佐賀果試三十五号をこれから頑張っていくということ。こうしたことによりまして、収益性の高い園芸農業を推進していきたいと思います。  そして、畜産についても、肥育農家が繁殖も行う繁殖肥育一貫経営の推進、そして、繁殖、子牛の育成作業を委託できるような「佐賀牛」の保育園のほうはうまくいきましたので、さらに「佐賀牛の産婦人科」、ブリーディングステーションの整備、こうしたことによりまして、「佐賀牛」の肥育素牛の生産拡大に注力していきたいと思っております。  そして、さらには消費者や加工製造業者などの評価が高い麦とか大豆の排水対策、適期播種の徹底によります収量の向上など、日本一の水田利用率を維持しながらも生産性の高い水田農業を整備していきたいと思っています。  一方、生産年齢人口が減少している中で、農業生産を拡大していくためには、AIやIoTなどの先端技術の導入によりまして大幅な省力化、雇用やヘルパーの活用による労力軽減といった労働環境の整備を行うとともに、労働力確保のための仕組みづくりにも取り組むことが重要です。特に、労働力の確保は喫緊の課題であります。県としても、JAが行う農業者からの相談窓口の設置や労働力調整に関するアドバイザーの配置に対して支援することといたしております。  こうした稼げる農業を県内各地で実現していくとともに、トレーニングファームをモデルとした次世代担い手育成システムの普及、初期投資の負担の少ないリース式の施設園芸団地の整備、こうしたことで就農のハードルを下げていきます。そして新規就農者の確保、育成につなげていきたいと考えています。  また、若者や女性に、農業は楽しいと魅力を感じてもらえるような情報発信もこれからは必要だと思います。  「挑戦なくして伝統なし。」佐賀農業には水田での佐賀段階、そして新佐賀段階など、そのときそのときで農業者がしっかりと時代に向き合ってチャレンジをしてきた我々には素地があります。  農業を取り巻く情勢が厳しさを増していく中にあっても、農業者の皆さん方の前へ進みたいという熱い思いとともに、国内外の農産物や産地に打ち勝つ佐賀県農業が実現されますように、「さが園芸888運動」ですとか、「佐賀牛」の生産基盤強化など、農業生産の振興、拡大にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  最後に、SAGAサンライズパークの整備についてお答え申し上げます。  まず、事業費に係る受け止めなどについてお答え申し上げます。  SAGAサンライズパークの整備につきましては、令和五年に本県で開催いたします国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会、これを一過性のイベントに終わらせることなく、SSP構想と相まって、夢や感動を生み出すスポーツの一大拠点として生まれ変わらせようとして構想したものです。  本県の農業振興の基盤づくりのために大きな貢献をしてまいりました国営土地改良事業の県負担金が大きく減少した状況でありましたので、社会資本の整備には引き続き注力しながらも、国スポ・全障スポのチャンスを生かすというタイミング、そして東京オリ・パラがあった後、そしてスポーツ大会が初めて開催される。そういったことを踏まえて佐賀県を発展させていくための戦略的な事業として積極的にチャレンジしていきたいと、そして必要であろうということで提案申し上げたわけであります。  こういう機会の到来を見据えて、今、佐賀県に何が必要かということをしっかりと考えて、福岡都市圏に隣接するという地の利を生かして、スポーツだけではなくて新たな交流を生み出すMICE機能を備えたような多目的なアリーナを中核施設として整備することとしました。  MICEということを改めて申し上げますと、MはMeeting、IはIncentive tour、いわゆる報奨旅行みたいなものですね。それから、CはConventionですとかConference、大型会議だったりそういったものですが、それに最後のEはExhibition、展示会といったもの、こういった機能を備えてはどうかというふうに思いました。  例えば、佐賀県よりも人口が少ない県についてこういった施設はどうかというところを調べてまいりました。鳥取県はコンベンションセンター「ビッグシップ」、あわせて県立とりぎん文化会館、島根県は「くにびきメッセ」、徳島県は「アスティとくしま」、福井県はサンドーム福井、収容一万人と、こういったことで、それぞれの県が将来に布石を打つような形で施設整備を行っているというところがございます。佐賀県は、これまでそういう進行形の事業といたしますと、宇宙科学館、そして本丸歴史館といったものを整備してまいりました。  我々は、こういった今回のサンライズパークの施設整備というのは、むしろ九州の中心にある本県だからこそ生かせることができる施設とも考えたわけであります。ですので、「観る」スポーツの拠点のみならず、これまで佐賀県で実現できなかったような大規模なコンベンション、展示会、コンサートの開催など、様々なシーンを実現していきたいと思います。  また、防災拠点機能として、施設計画においては、災害時の輸送拠点としての活用を位置づけておりましたけれども、近年頻発する災害を踏まえて、平時には自主防災組織の活動の場としての活用、災害時には避難所としての活用ができるように、さらに機能を強化いたしました。  この部分の財源につきましては、私自身も、そして総務部長も一緒になって国に対して政策提案などを行いまして、対象事業費約五十二億円の財源として、この緊急防災・減災事業債、充当一〇〇%で交付税算入率七〇%を活用できる見込みとなったわけであります。  アリーナをはじめ、SAGAサンライズパークは佐賀県の未来にとって大きな価値を生み出す県勢発展のための投資であると考えています。「SAGA2023」の開催に向けて、さらにその先の未来を見据えて全力で取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、サンライズパーク整備事業の推進に当たっての我々の説明責任などについてお答え申し上げます。  昨年十一月議会における附帯決議につきましては、これを重く受け止め、不落の原因を検証し、建設市況を調査分析して設計の見直しを行うとともに、組織体制を強化して、その上で改めて入札を実施させていただきました。  設計の見直しを行うに当たりましては、私のほうから改めて透明性、公平性を確保して真っすぐに取り組むように担当部局に指示しました。  今月六日にアリーナ新築工事の入札が成立したことから、前回の入札不落に関する経緯などを踏まえて、改めてその詳細な内容について県議会、県民の皆様に局長が説明したところであります。  今後とも、透明性、公平性を保ちつつ、県議会、県民の皆様へ、県としてそれぞれの立場でしっかりとした説明責任を果たしながら事業を推進していきたいと思っています。事業効果を増幅させるためにも、「SAGA2023」が円滑に開催できるように整備を進め、アリーナをはじめ、SAGAサンライズパークが佐賀県の未来を切り開く「さが躍動」の象徴となりますように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 12 ◎議長(桃崎峰人君) 以上をもちまして代表質問を終了いたします。  本日の日程は終了いたしました。明日二十八日は議案審査日、二十九日及び三月一日は休会、二日は本会議を再開して一般質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後四時十二分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...