佐賀県議会 > 2019-11-02 >
令和元年11月定例会(第2日) 本文
令和元年11月定例会(第2日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2019-11-02
    令和元年11月定例会(第2日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(桃崎峰人君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。     ○ 報     告 2 ◎議長(桃崎峰人君) まず、諸般の報告を行います。  上程中の議案のうち、乙第八十一号議案及び乙第八十五号議案、以上二件の議案につきまして、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの回答がありました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 人委第八九七号 令和元年十一月二十八日 佐賀県議会議長  桃 崎 峰 人 様              佐賀県人事委員会委員長 中野哲太郎 印    地方公務員法第五条第二項の規定に基づく意見について  令和元年十一月二十八日付け佐議第一三三七号で意見を求められた左記議案については、異議ありません。         記 乙第八十一号議案 佐賀県職員給与条例等の一部を改正する条例(案) 乙第八十五号議案 佐賀県公立学校職員給与条例の一部を改正する条例          (案)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3 ◎議長(桃崎峰人君) 以上、御報告いたします。  日程によりまして、一般質問を開始いたします。  通告に従い、順次発言を許可いたします。
    4 ◎留守茂幸君(拍手)登壇=皆さんおはようございます。自由民主党の留守茂幸でございます。  久しぶりの登壇でありまして、ここから皆さん方をお見受けすると、非常に緊張すると同時に、笑顔が大変頼もしく見えもいたします。  それでは、これから質問に入りますが、まずこの十一月定例県議会一般質問トップバッターとして質問させていただきましたこと、皆さん方に心から感謝を申し上げる次第でございます。  そしてまた、質問に入る前に、先般の台風あるいは集中豪雨、本県も相当な被害がありました。遭遇された方々に重ね重ねながら、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。一日も早い復旧復興を願うところでございます。  それに、県執行部におかれましても、災害発生以来、日夜を分かたず復旧復興に御尽力をいただきました。そのことに関しましても深甚なる敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  さて、つい先日、百一歳をもって大往生を遂げられた中曽根康弘先生、戦後政治の総決算を標榜され、増税なき財政再建、あるいは国鉄を初めとする数々の公社民営化等をなし遂げられました。まさに大勲位と呼ばれた偉大な政治家であられました。そして、総理退陣の折には、「暮れてなお命の限り蝉しぐれ」と一句を詠まれながら退陣をされましたけれども、生涯大政治家として御活躍いただいたことは皆さん方も御案内と思います。ここに中曽根康弘先生に大敬意の念と安らかなる御冥福をお祈りしておきます。  さて、山口知事に対して質問に入らせていただきますが、私は五項目ほど挙げております。  まず、知事の政治姿勢についてでありますが、今さら釈迦に説法かもわかりませんが、国政においては住民により選挙された議員で組織された国会が指名する内閣を組織し、国会に対して責任を負う議院内閣制であることは皆さんも御承知のとおりであります。  さて、地方自治体においては、首長と議員をともにそれぞれ選挙で選ぶ直接選挙であります。まさに二元代表制の政治の枠組みで今日まで参っております。  私ども佐賀県議会は、それこそ二元代表の一翼を担いながら、県民の豊かな暮らしと、よりよい福祉の向上に向け、知事執行部と車の両輪のごとく日々政治活動、そして研さんを積んでまいりました。  そういう中で、山口知事は就任以来、「現場」「ミッション」「プロセス」をキーワードに掲げながら、さまざまな施策を実行してこられました。昨年の幕末維新博開催、それから「さが総文祭」など、まさに人を大切にした県政運営がかつてないほど高い評価を得ている現実を私も大いに評価するものであります。  県議会としても、その都度、二元代表のもとで知事の県政に対する施政方針を知った上で、知事の行政運営をチェックし、知事が提案した予算、人事、条例案等を、真摯に向き合い、議論しながら、良識ある判断を示しながら佐賀県政を前に進めてまいりました。  しかしながら、国策に絡むオスプレイ問題、新幹線、玄海原発、有明海再生など大所高所から判断すべき重要課題が山積している今日、大事な時間が過ぎ去っている中で、歳月人を待たずというように、一日一日が緊張感の連続で事を注視しています。  私どもまさに県執行部からのその時々のありさまを速やかな情報提供、あるいは時宜を得た適切な説明など欠かせないと思うわけであります。しかしながら、今回SAGAサンライズパークの整備に伴うアリーナの建築工事契約の入札が不落になったことに伴い、非常にこれから大事な大事な時期になるわけでありますけれども、財政の中で六十五億円もの増額補正が提案されました。この案件については十一月十九日の山口知事の定例記者会見の明くる日の報道で取り上げられている事実があります。  私は、このような予算が伴う重要な情報を、議会に説明することなく報道によって議会が知ることとなったことは、議員の使命感からすると、本当にいかがなものかと思うわけであります。知事は日ごろから議会と執行部は車の両輪のごとく県政を推し進めていくと言われております。今回のような事態が生じたことはまことに遺憾と言わざるを得ないわけであります。  知事、今回のアリーナ入札不落への対応に限らず、執行部と議会の関係をどのような認識を持って県政運営をやっているのかお伺いをいたしておきます。  次に、九州新幹線西九州ルートについてでありますけれども、この九州新幹線西九州ルートについては、さきの九月定例県議会において、我が党の同僚議員から過去の合意に至った経緯、あるいは必要性、あるいは仮にフル規格になった場合の実質負担額の根拠など、さまざまな角度から質疑が交わされました。  その後、我々自民党県議団としては、中倉自民党県議団会長を中心に、自民党県議団新幹線プロジェクトチームを編成しながら、九月定例議会閉会後、今日まで精力的に議論を重ねてまいりました。  その中で、中倉座長から、まずは国土交通省鉄道局を呼んでということになりまして、私のほうで党本部を通じて要請していただき、鉄道局寺田次長に都合二回、御来県いただいて、過去合意に至った経緯、検証、フリーゲージ導入断念の国の責任、あるいはフル規格の実質負担額の積算根拠、スキームの変更など、あらゆる角度から議論をしてきたところであります。  また、党本部から、与党PTの山本委員長に対して、党県連としての取り組み経過を説明してくれというような要請がありまして、私と宮原幹事長のもとで我が党県議団としての議論状況を説明してきたところであります。  西九州ルートについては、本議会開会日の知事の提案事項説明において、十月二十八日に山口知事が赤羽国土交通大臣と面談し、そのとき知事は、これまでの経緯や佐賀県の思いとともに、新鳥栖─武雄温泉間について「フル規格が前提の議論には応じられない」という考えを伝えられました。そして、大臣とは今後も率直に話をしていこうということになったと述べられました。  また、今後の議論については、これまでの合意にないフル規格やミニ新幹線については、佐賀県の将来に極めて大きな影響が生じるものであり、新幹線の今まで合意してきた三つの合意と、それにフル、ミニ合わせて五つの方式を対象にした協議であれば、ゼロベースからしっかり時間をかけて議論すべきだと考えているという演告をなされました。  確かに西九州ルートはこれまで長きにわたり県議会の中でも議論されながら、ぎりぎりの判断で武雄温泉─長崎間の新線整備に同意したものであります。これまでの経緯を踏まえると、国が提案した西九州ルートフリーゲージトレインの案が断念された今、私は過去の合意をしっかり検証し、その責任と対応を明確にすべく国にしっかり訴える時期が到来しているのではないかというふうに思うわけであります。  私は、西九州ルートの問題について、今後、佐賀県がどのように対応していくつもりなのかということについて、知事の真意がなかなか県民にきちんと伝わっていないのではないかという危惧の念さえあります。令和四年度に武雄温泉─長崎間が開業することになっておりますけれども、新鳥栖─武雄温泉間のあり方の議論が硬直したまま、武雄温泉でのリレー方式がこの先何十年も続いていいとは私は思いません。今日、佐賀県がこれまで関係者と積み重ねてきた合意以上のことを求められている状況の中で、佐賀県の考えを関係者との協議の場でしっかり主張して、そして将来に禍根を残さないようにすることが私は肝要であるというふうに思います。  また、開業と同時に長崎本線の肥前山口─諫早間が上下分離になりますけれども、上下分離後の維持管理経費の問題で、今、長崎県が過去の確認合意とは異なるような主張をなされております。けさの新聞でも長崎県の中村知事の報道が載っておりますけれども、そういうことを踏まえながら、これから四点ほどお伺いをいたします。  まず、ゼロベースからの議論についてであります。  知事はこれまでの合意にないフル規格やミニ新幹線については、「五つの方式を対象とした協議であれば、ゼロベースからしっかり時間をかけて議論すべき」と述べられていますが、これは裏を返せばテーブルに着かないと言っているようにも捉えられそうであります。  私はこの際、ゼロベースとかもう言わないで、これまでの合意検証、あるいは責任の所在、今後の対応等を積極的に議論すればいいと思いますが、こういうことを言うことは条件闘争というふうに捉えますけれども、知事が言うゼロベースから議論とはどういうことか、御所見をお伺いいたします。  次に、四者協議への対応であります。  知事は、フルありきの議論のテーブルには着かないと言ってきました。これまで合意しているスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式について検証しながら、フル規格を含めて議論し、財政負担あるいはルートの問題、在来線のあり方、地域振興、そういった課題について県としての考えを県民の代表としてしっかりと伝えるなど、まさに今、行動に移すべきと思うわけでありますけれども、フルも含めた五つの方式を対象にして議論を行うことなど、国が環境を整えてくれたとしたときにその議論のテーブルに着くべきと私は思いますが、知事の所見をお伺いしておきます。  三番目に、国の責任であります。  今回の議論の過程において、フルありきではないとしても、フルを含めたところでのさまざまな可能性を模索することが必要でありまして、フリーゲージトレインを断念した国の責任として整備新幹線スキームの変更を求めるなど、きちんとした条件を引き出して、そして前に進むべきというふうに思いますが、いかがですか。  四番目に、上下分離に係る協議についてであります。  令和四年開業に合わせて長崎本線の肥前山口─諫早間が上下分離されるわけでありますけれども、私自身も、この区間の県民の足がどうなるか、大変危惧しているところでありますけれども、特急本数が大幅に減ることになるこの地域の住民の足を何としてでも守る必要があると考えます。  そういうときに、ここに来て、上下分離後の維持管理経費の負担に関し、長崎県が過去の合意と異なることを主張しておる、こういうことが、今報道でもあっておりますが、かつて上下分離について、佐賀県、長崎県、JR九州三者で基本合意したときに、確認事項で三つの合意がなされたことも私は承知をいたしております。  佐賀県は、長崎県に配慮しながら西九州ルートの着工に同意した経緯もありますが、これまでの合意をほごにされるような長崎県の対応はいかがなものかと思うわけでありまして、このまま協議が難航すれば、令和四年度の開業にもかなり影響が出てくると私は思いますが、そういうことを本当に危惧しているところであります。  ましてや、我々佐賀県側が日ごろから新鳥栖─武雄温泉間をどうするか、かんかんがくがく議論をしている最中に、長崎県側がこういう問題提起をするのは甚だ遺憾に思うわけであります。  長崎本線の上下分離に係る今後の協議について、知事はどういう姿勢で取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたしておきます。  次に、佐賀空港の自衛隊使用要請についてであります。  佐賀空港の自衛隊使用要請が佐賀県にあったのは平成二十六年七月二十二日でありました。今日まで五年半を経過しようとしております。  山口知事が就任してからも五年経過しようとしておりますが、県と有明海漁協との間で「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない。」とした公害防止協定覚書付属資料がある中で、県議会としては平成二十八年三月に、「我が国の安全保障環境が激変した今日、自衛隊との共用については、佐賀空港の利活用の議論から排除すべきでないと考える。」、そのためには、「県は、県民の安全・安心を守る責務等を第一にしながらも、空港を抱える当事者として、議論の前提となる環境を早急に整えるとともに国の動きに対して的確に対応すること。」との決議も行いました。  その後、平成二十九年七月には、県議会として、「今回の防衛省の計画を受け入れるべきと判断せざるを得ない。」との考えを示した上で、県に対しては「受け入れる判断を行うことを要請する。」との決議も行いました。  そして、知事は県議会決議と三年半以上にわたる検討結果を踏まえながら、昨年八月に受け入れの判断表明をされました。  そして、知事は昨年八月、ことしの五月、そして十一月二十六日、有明海漁協の徳永組合長のところを訪問され、有明海漁協にも防衛省からの要請を受け入れていただき、公害防止協定覚書付属資料の見直しに応じていただくよう改めて要請をされました。  そもそも今回の要請の一つである自衛隊オスプレイの我が国における配備については、平成二十六年度から平成三十年度までの五カ年計画である前回の中期防衛力整備計画に位置づけられておりまして、平成三十年度中には我が国に配備される計画でした。  しかしながら、今、どういうことになっているでしょうか。陸上自衛隊のオスプレイは、我が国でも置き場、行き場がなく、現在、米国にとめ置かれまして、米国に自衛隊員が出向きながら訓練を行っているという異常な事態であります。  国防は、国家の基盤である国土と国民の生命、財産を守りながら、民主主義を基調とする我が国の独立と平和を守る礎であります。そして、その国防を第一線で担うのが自衛隊であります。  そして、本県におけるこの八月の集中豪雨時においても、多くの隊員の皆様が人命救助、あるいは油の除去や避難所における給食、入浴支援など迅速に対応していただきましたことは本当に感謝を申し上げたいと思うわけであります。  こういうことを考えますと、国土の一部をなす佐賀県としても最大限の努力をして、この異常な事態が一刻も早く解消されるよう努めることが必要ではないかと思います。そこで次の点をお伺いいたします。  まず、オスプレイの有用性でありますけれども、オスプレイは災害時に役に立たないのではないかという疑問の声があることが一部報道でなされております。  平成二十五年のフィリピンを襲った超大型の台風による災害の際には、沖縄の米軍オスプレイが一日で数百人の孤立被災者の救援を行ったとか、平成二十八年の熊本地震の際には、米軍オスプレイが救援物資を被災地へ輸送したであるとか、そういう実績を見ると、私は災害時にもオスプレイは十分に機能を発揮しているという認識を持つものでありますけれども、知事の見解をお伺いします。  二番目に、今後の対応であります。  十一月二十六日に知事は改めて有明海漁協を訪問し、徳永組合長に対して受け入れの要請を行われた上で、今後の見通しなどについて組合長と意見交換をされたと聞いております。  執行部からの説明や報道によると、ノリ漁の状況やタイミングを見ながら、はっきりと先が見通せない状況にあると認識しておりますけれども、何とかこれからも調整をしていくということであります。  ノリ漁については、昼夜を分かたず、半日以上も海で作業する場合もあると聞いております。有明海漁協の漁業者の皆様には大変敬意を表する次第であり、本当にノリ生産日本一を毎年継続しておられる、そして頑張っておられるわけでありますから、そこらあたりは十分に配慮しながら、余り無理を申し上げられないことは承知をしておりますけれども、一方で、先ほど申し上げたように陸上自衛隊オスプレイが我が国に配備できないという国防上の支障が出ていることも事実です。両方とも大事なことで、大切なことでありますけれども、これは非常に難しい問題かもわかりません。  こういう状況下で、佐賀空港の自衛隊使用要請について県はこれからどう対応していくのか、知事の見解をお伺いしておきます。  さて四番目、SAGAサンライズパークの整備についてであります。  県は、令和五年度に開催する国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会を契機といたしまして、SAGAサンライズパークの整備を進められていますが、この施設整備には全体で四百七十億円という巨額な事業費が必要とされております。  パークの中核となるアリーナも含めて、議会としても今日まで一定の理解を示しつつ向き合ってきたところでありますが、整備については、八月にSAGAアクアを着工するなど、おおむね計画どおりに進められてきたところであります。  しかしながら、メーン施設であるアリーナについて、本年六月に実施設計が完了しまして、八月公示、十月入札と進んできたわけでありますが、開札の結果、不落となった。その不落となった中で、今議会にアリーナ建設の六十億円の補正予算を提案せざるを得ない事態となったということであります。予定価格と入札金額に大きな乖離があったということであります。  その要因が、設計時から入札時までの期間において建設市況が大きく変動し、建設資材が高騰したなどの説明があったものの、六十億円という大きな増額補正が必要になった理由として、知事演告やその後の執行部からの説明が私は不十分だったとしか言いようがないわけであります。  今後、国スポや全障スポ開催に支障がないように取り組んでいくということでありますけれども、これからの設計見直しや積算見直しなど技術的対応を考えると、果たして本大会に本当に間に合うのであろうかと、私は危惧の念を抱かざるを得ないところであります。  また、不落に陥った要因についていろいろ説明はありましたが、聞くところによりますと、予定価格の三割以上の上振れで応札されたということも伺っております。なぜそこまで乖離が生じたのか。実施設計に基づき、予定価格の積算そのものが妥当だったのか。当然、設計事務所との協議で積み上げた額と思いますが、いずれにせよ、県財政が非常に厳しい中で、これだけの多額の増額補正を要求せざるを得なくなったことについては厳しく受けとめていただく必要があると思います。と同時に、県民への説明責任もしっかりこの際果たすべきだと考えますが、そういうことも踏まえて、二、三お伺いしたいと思います。  まず第一点、今回、補正予算を提案するに当たって、これまで示した全体事業費四百七十億円に加えまして、アリーナ建設費が六十億円、そして、既存附帯設備が五億円、都合六十五億円もの多額の補正予算要求をせざるを得なくなったことを知事はどう受けとめているのかお伺いをしておきます。  次に、仮に補正予算が可決されたとして、工期は三十一カ月を要すると聞いておりますけれども、今後タイトなスケジュールの中で、プレ大会、本大会に本当に間に合うであろうか、大変心配もいたしております。そういうことを考えると、本当にこれはここまで来たわけですから完成をさせなければいけないと思いますけれども、そういうスケジュール感も含めて本当に完成できるのか、その点もお伺いをしておきます。  次に、目的意識でありますけれども、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会を契機といたしまして、県民の夢や感動を生み出すスポーツの一大拠点の形成を図るとともに、スポーツ、文化などさまざまな活動を通じて地域の活力を生み出し、新たな佐賀県の未来を切り開く、「さが躍動」の象徴的エリアというすばらしいコンセプトを持って今日まで進めてこられました。  私はこの際、完成をしていただいて、佐賀の本当のシンボルとしてぜひとも完成をさせ、巨額を投じたこれからの未来を切り開いていく大きな大きなインパクトにしていただきたいと思うわけでありますが、山口知事の所見、決意のほどをお伺いいたしておきます。  最後に、農業問題でありますけれども、活力ある農業・農村の振興についてであります。  農業は、食料を安定的に供給する重要な機能に加え、美しい景観の形成、伝統文化の継承、水源としての機能を育む国土保全など、大きく貢献をいたしております。また、農業は、その生産活動を通じて地域経済の活力を支えるとともに、地域社会を支える大事な産業でありました。こうした大切な役割を果たしていく農業を守り、育てていくことは、これは極めて重要な政策であります。  一方、最近の農業を取り巻く情勢を見ますと、農業従事者の高齢化や減少が進むとともに、生産資材の価格高騰などによりまして農業所得が伸び悩むなど、厳しい状況が続いております。とりわけ中山間地域の状況は深刻でありまして、地域によっては日当たりや水はけの悪い圃場などを中心に耕作放棄地が多く見られるなど、地域の農業者だけで、その地域の農業、農村を維持していくことが困難と思われるようなところも出てきている状況であります。  加えて、農業者を中心にその動向や影響が注目されている国際経済連携協定、これはTPPが昨年の十二月、日EU・EPAがことしの二月に発効されるとともに、十月には日米貿易協定において正式署名がなされました。現在、年明けすぐの発効を見据えて臨時国会において審議がなされておりますけれども、現場からは、安い農産物の輸入が増加するのではないかといった、地域農業の先行きについて不安の声を聞いています。  こういう現場の状況を踏まえて、先月、佐賀県議会の自民党議員で構成する佐賀県農業・農村振興議員連盟で、国に対して十項目から成る「農業・農村政策の確立に関する要請」を行いました。  そこでは畜産振興対策の強化、あるいはその施設整備事業の拡充や新たな対策の創設、農業・農村整備事業関係予算の十分な確保など、農水省の河野農林水産大臣政務官を初めとする農水省幹部に対して要請を行いました。国からは、地域からの要望をもとに必要な予算を確保するよう努力していることや、今年度の一部事業ではまだ予算の余裕がある、有効な活用ができるなどの回答を得ました。  また、自民党本部においては、野村哲郎農林部会長のもとで、農水省各課長を招いて農業全般にわたって意見交換をしてきたところであります。  一方で、特に中山間地域などでは国庫事業の下限事業費の要件により、狭小な水田の排水対策等を要望している小規模農家などが事業を実施できない場合が生じておりますけれども、国の施策と現場の実情とに開きがあるというふうに感じておるわけであります。佐賀県農業は、やはり水田農業が中心でありますけれども、最近は大規模農家や集落営農法人等がふえまして佐賀県農業に大変貢献していただいておりますが、まだまだ中山間地域を初めとして、平たん地域においても集落営農組織の構成員である小規模農家がその大半を占めておりまして、こうした農家が農村を守り、地域を支えているのが現実の姿であります。  だからこそ、国庫の整備事業の対象に乗りにくい、要件に乗りにくい小規模農家に対して県がしっかり支援をしていくということが肝要だと私は思うわけであります。山口知事におかれては、これまで現場主義を第一に佐賀県農業の振興に邁進されてきました。特に本年度の予算では山を大切にすることを強く訴えられ、さまざまな施策を講じられてきました。近年の農業関係の県単独ハード事業の県費補助金の推移を見ますと、六億円から七億円程度の横ばい状態であります。  そこで、佐賀県農業を支えている小規模農家等を支援するためには、やはり県単事業で支援をしていくということが大事な大事なときになっております。そういうことを考えますと、今後、佐賀県農業をどのように方向性を持ちながら発展、振興していくのか知事の所見をお伺いいたしまして、一回目の質問を終わります。(拍手) 5 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。留守茂幸議員の御質問にお答えいたします。  答弁に入ります前に、留守議員のほうから中曽根元首相の逝去についてお話がありました。私からも心からお悔やみ申し上げたいと思います。戦後復興の中で時代に合わせて行政改革など、さまざまな枠組みをつくり出されてまいりました。国民のため、国家のため、骨太な考え方を展開されました。私も佐賀県のため、佐賀県民のためということを肝に銘じましてしっかりと精進してまいりたいと思います。  それではまず、私の政治姿勢についてお答え申し上げます。  県政を進める上で強く意識しているのは開かれた県政であることであります。情報はできる限りオープンにするという姿勢を私自身も持ち、そして、職員に対しても求め続けてまいりました。  そして、執行部と県議会との関係につきましては、それぞれの立場で県民の幸せのために議論を重ねながら、ともに県民福祉のため県政を前へ進めていく存在という意味で車の両輪と考えています。  それぞれ執行機関、議決機関という役割を担っております。知事は一人で独任制、県議会は三十八人の合議制であります。県政執行の責任者である知事と、多様な意見に基づく議論を通じて意見を集約していただく県議会、その両方の機能が相まって県政の方向性がつくられていくものと認識しています。これまでの山口県政五年間にさまざまなことがありましたけれども、これにつきましても県議会の皆様方と両輪でつくり上げてきたものだというふうに私は思っています。  こうした考え方のため、議論を行っていく中で重要な事項につきましては、しかるべき時宜に県議会に対して情報提供することは大切なことだというふうに思っています。  今回、SAGAサンライズパークの整備については、アリーナの建物本体工事の入札におきまして、予定価格と入札価格に大きな開きがあり、不落となったことを受け、設計や積算の見直しを行った上で六十五億円もの大きな予算の増額を今議会に提案することとなりました。  アリーナは、佐賀の未来にとって大きな価値を生み出すものでありまして、これからの佐賀にとって大切な施設であることから、これまでも県議会において議論を重ねてきていただいたところです。そういう重要な案件であることから、私は不落となった段階で県議会に対して情報を提供すべきであったというふうに考えます。  県民の代表であります県議会の皆様に真摯で建設的な議論を行っていただけますように、県議会への適切な情報提供について組織としてしっかりと対応してまいりたいと思います。引き続き佐賀県の発展のために県議会の皆さんと一緒になって取り組みを進めてまいります。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについてお答え申し上げます。  まず、ゼロベースからの議論についてどういうことかというお話がございました。  まず、山口県政の大きな考え方として、県政のさまざまな議題につきましていろいろな議論をしていただくということは大切なことでありまして、これまでもそうしてまいりました。そして、この西九州ルートについても時代の趨勢を見ながら議論をしていくことは必要でありまして、未来永劫閉ざすということはありません。これからもずっと議論をしていくことになるんだと思います。  さて、西九州ルートの整備はこれまで関係者でさまざまな合意をつくり上げながら前に進められてきました。そして、これまで関係者で合意しているのは、武雄温泉─長崎間の新線整備、そして、新鳥栖─武雄温泉間は在来線を利用することであります。  五択と言いますけれども、この五択のうちスーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式の三つの方式につきましては、これまで長い間の議論の中で、そして留守議員がおっしゃるようにぎりぎりの選択もしながら合意されてきましたので、佐賀県は約束を守ります。合意したことについては異論はありません。  今申し上げた三つは全て武雄温泉─長崎間の議論であります。残りの二つ、フル規格とミニ新幹線は、これまで在来線を利用することとしている新鳥栖─武雄温泉間について新幹線整備を検討するという全く新しい新たな議論なのであります。ということなので、この新しい二つを含めるのであれば、五つでもこの二つが入れば、これまで議論したことがない新鳥栖─武雄温泉間の議論となるために、特に佐賀県内の在来線はどうなっていくんだろうか。地域振興をどう考えていくんだろうかなどといったことについて、整備ありき、期限ありきではなくて、ゼロベースから。ゼロベースというのは根っこから、しっかりと時間をかけて議論すべきだと私は申し上げております。  続きまして、四者協議への対応について申し上げます。  将来の新鳥栖─武雄温泉間のあり方についてさまざまな可能性を議論することは閉ざしておりませんので、期限を定めて一方的に結論を押しつけるような議論の進め方ということでなければ、協議すること自体は私は否定しておりません。  そして、新鳥栖─武雄温泉間のあり方に関しても、私は佐賀県の考え方を与党検討委員会の求めに応じて、私自身も三回ヒアリングに出席して佐賀県の意見を申し上げ、皆さん方の話も聞いてまいりました。また、県民の皆さんにもさまざまな機会を通して佐賀県の考え方を申し上げてまいりました。  しかしながら、与党検討委員会は、我々の意見には触れることなく、長崎県やJR九州が求めるフル規格での整備が適当であるとし、国土交通省に対して関係四者による協議の実施を求められています。  今の環境をいま一度整理してみたいと思います。  まず、国が仮定の試算というのをつくってきました。開業直前にしか決まらない貸付料の全てを西九州ルートのみに充てるという現行ルールにはないルールまでも持ち出してきた仮定の試算。  今度はJR九州について言います。貸付料のみならず、在来線の運行ダイヤ、そして並行在来線の取り扱い、こうした我々にとって大切なものが開業直前にならないとはっきりしたことは示せないと。
     こうしたことで、全てがこんな不確定な中で、どうやって責任ある議論ができるんでしょうか。こうした不確定の中で議論を進めていくと佐賀県にとってはリスクだけがふえるばかりで、とんどん追い込められていくわけです。かといって、そういったところの確定を国やJR九州さんが今の段階でするというのはなかなか大変なんでしょう。  佐賀県は、新幹線整備を求めていない環境の中で、こちらから何かを提案することはあり得ません。そして、新幹線整備は地元の合意なくして前に進むことはできないし、あってはいけないことだと思います。今後の関係者との協議については、まずは国土交通省が考えられる協議の進め方というものがどういうものなのか確認しなくてはならないと考えております。  続きまして、国の責任についてお尋ねがございました。  西九州ルートへのフリーゲージトレインの導入も、そしてそれができなくなったということで武雄温泉駅での対面乗りかえ方式、いわゆるリレー方式による開業、これはいずれも国が提案されたものです。  国が責任を持って実用化を推進するとされたフリーゲージトレインの導入について、与党検討委員会が、開発目標の時速二百七十キロでは山陽新幹線に乗り入れができないといったような、最初からわかっていたような理由で断念せざるを得ないとされました。そして、対面乗りかえが恒久化することはあってはならないからフルが適当とされていることには極めて違和感があります。  新鳥栖─武雄温泉間については在来線を利用することで関係者と合意しており、この区間について佐賀県としては新幹線整備を求めていないことから、整備新幹線のスキーム変更について国へ何かを求めたり、提案することは考えておりません。  上下分離に係る協議について、私の所見をお答え申し上げます。  本議会の提案説明で申し上げたとおり、上下分離後の維持管理費の負担割合につきましては、当時の金子長崎県知事が長崎県の誠意とおっしゃって、いわゆる応分の負担を表明されました。最終的に佐賀県一、長崎県二として確認されたものです。  当時、佐賀県は、長崎県の思いや西九州地域全体の地域振興も踏まえて、鹿島市や太良町など、長崎本線沿線地域の皆さんの大変つらい思いの上に、ぎりぎりの判断で肥前山口─諫早間の上下分離に合意し、多額の費用負担を伴う武雄温泉─長崎間の新線整備に同意したものです。  長崎県は、在来線を利用することで合意しております新鳥栖─武雄温泉間について、一方的にフル規格での整備や令和二年度予算への環境アセス関連費の計上を国へ求めており、さらに上下分離後の維持管理経費の費用負担をめぐって、留守県議がおっしゃるとおり、これまでの合意と異なる主張をされています。  そして、聞くところによると、長崎県議会で中村知事は新しい合意、今までの合意は何ですか。新しい合意というのは新しい分野でやることでしょう。合意があって、今まで約束事が長崎県となされていて、その今までの合意はどうなるんですか。新しい合意というものの意味がわからない。  佐賀県は、これまで申したように、佐賀県らしく筋を通すということを大事にしてまいりました。合意したこと、約束したことは守るという姿勢で真摯に取り組んでおります。議員が御指摘のように、開業に影響が出ないように長崎県に対しても、これまでの合意を踏まえ、それこそ誠意を持って対応していただくことを求めていきたいと思います。  続きまして、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてですが、オスプレイの災害時における有用性についてお尋ねがございました。  国防は、国土、国民の生命、財産を守るという国の根幹にかかわることであります。そして、国防、これを実現するためにどのような対策、どのような方法を選択して、どう取り組んでいくかということについては、私は国、そして国会でしっかり議論されるべきものだというふうに考えています。  例えば、オスプレイに関する国防上の必要性、有用性、あるいは配備先、機体の数など、こうした議論はまさに国防政策そのものでありまして、国が説明責任を果たすべきものと考えています。  そのような中で、私は国防上の必要性があるということで佐賀空港の自衛隊使用要請があったものと認識しています。国の中で、それこそかんかんがくがく議論された国防の政策について、そういった国防の負担は国全体で分かち合うというか、分担しなければならないというふうな思いから、私は真摯に向き合ってきたところです。だからといって、決してうのみにするということではなくて、県民の安全・安心にかかわる重要な課題でありますから、さまざまな観点から三年半にわたる検討を行いまして、その間、県議会決議も踏まえて、昨年八月に受け入れの判断をさせていただいたところであります。  その上で、お尋ねのオスプレイの災害時における有用性について申し上げますと、高い高度での飛行が可能でありますので、天候の影響が受けにくいということがあります。通常のヘリコプターよりもそういった意味では天候の影響を受けにくいというふうに聞いております。悪天候を回避して急患輸送ですとか災害対処などについて迅速な飛行が可能なのではないかというふうに思います。また、陸自が現在保有していますヘリに比べまして、約二倍の速度、三倍の航続距離があるというふうに聞いております。災害時などに人員輸送、そして物資輸送、またまた県外で発生した災害支援の対応にも一定の役割を果たすなど、災害時などのさまざまな状況に応じたオペレーションの中で、オプションの一つとして私は使えるのではないかというふうに考えております。  続きまして、今後の対応についてお答え申し上げます。  私は十一月二十六日に有明海漁協に赴きまして、徳永組合長に対して、今回の防衛省からの要請は国防に関するものであり、要請を受け入れていただきたいと改めて申し入れを行いました。その上で、事業主体である防衛省による説明会が行われていない三つの支所についても、説明会が開催されるよう環境を整えていただきたいということなどについて要請を行いました。  組合長からは、残りの支所への説明については、支所の意向次第ではあるけれども、タイミングを見てということになるのではないか。説明会では、防衛省は国防上の必要性を正面からしっかり説明するべきであると考えている。お金の問題じゃなくて、そもそもの趣旨をしっかりと説明するのが筋じゃないかといった話がなされました。  私も、今回の防衛省の要請は、国の根幹にかかわる国防上の要請でありましたことから、真摯に向き合ってきたわけでありまして、防衛省の皆さん方には、事業主体である防衛省が、国が、有明海漁協の皆様の信頼を得るためにも、しっかりと国防上の必要性を真摯に説明すべきだというふうに考えますし、組合長さんの御意見はそのとおりであるというふうに感じたわけであります。  九月から事業主体であります防衛省による支所説明会が順次行われてきておりますが、十五支所のうち、まだ終わっていない三支所についても説明会が行われまして、漁協内での議論が進みますように、引き続き調整してまいる所存であります。  続きまして、SAGAサンライズパークの整備についてですが、今回の事態に対する私の受けとめについて申し上げます。  SAGAサンライズパークの整備につきましては、国スポ・全障スポに向けた施設整備のあり方を検討する中において、有識者等による議論、県内の競技団体等からの要望等を踏まえ、整備基本計画素案を取りまとめ、その後の県議会での議論やパブコメなどを経て、平成二十九年三月にアリーナ整備を含めた整備基本計画として決定したものであります。  その後、県議会において、アリーナの必要性や活用方法、交通対策などについてさまざまな視点から御議論をいただきながら、施設計画の策定や予算措置を行ってまいりました。  そうした中におきまして、SAGAアリーナの整備に当たっては、公平公正を基本方針として入札手続などを進めてまいりました。今回、さまざまな要因が重なりまして、建設資材の高騰などが生じたことから、工事予定価格と応札価格との間に乖離が生じ、不落となりました。  今回の不落を受けまして、要因分析とあわせて今後の対応として必要な予算の増額、多額の増額をお願いしているところであります。  増額補正の詳細につきましては、今後の入札にかかわりますためにお答えできませんが、鉄骨工事費の価格高騰分の対策費が約七割を占めており、そのほか資材及び労務費の価格上昇への対応が約二割、施工方法の一部見直しが約一割など、こうしたことに要するものと見積もっております。  その結果、やむを得ないこととはいえ、今回、多額の増額補正をお願いすることとなりました。国スポ・全障スポでの利用を初め、アリーナでのさまざまな取り組みをしていこうとしている中、私自身も大変憂慮をしており、議員の皆様にも、工期を含め大変御心配をおかけしているところだと認識しています。  難しい状況ではありますけれども、県議会、そして県民に丁寧な説明を行うとともに、今後のスケジュールへの影響が極力少なくなりますように最大限努力してまいる所存であります。  続きまして、整備スケジュールについてお答え申し上げます。  SAGAサンライズパーク全体の完成目標につきましては、国スポ・全障スポ開催の約一年前であります令和四年九月としておりました。これは国スポの開催に必要な仮設席などの工事やアリーナの開館に向けた準備、リハーサル大会のほか、工事に伴う不測の事態などへの対応期間が相当期間必要であることを考慮していたものであります。  今回の不落によりまして、全体の整備スケジュールに一定のおくれが生じるところですが、仮設席工事やアリーナ開館準備などの工程の再検討や、これまで想定していた工事に伴う不測の事態等への対応期間の見直しなどを行うことによりまして、整備のおくれへの対応を行っていきたいと思います。  いずれにいたしましても、国スポ・全障スポはSAGAサンライズパークを全国へアピールする絶好の機会であることから、事業効果を増幅させるためにも適正工期の確保による工事の安全を第一としつつ、本大会の開催に影響が出ないようにしっかりと取り組んでいきたいと思います。  また、リハーサル大会については、今後、地元佐賀市や競技団体と開催時期や内容などを具体化していくことになりますけれども、開催にできるだけ影響が出ないように、さらに丁寧に調整してまいりたいと思います。  本事業の目的意識、そして本県の未来に向けた私の所見について申し上げます。  SAGAサンライズパークは、国スポ・全障スポでの利用はもちろんのこと、国スポ・全障スポ後の佐賀の未来を見据えてSSP構想の理念に基づき、スポーツの力を生かした人材育成、地域づくりを目指す拠点として位置づけています。佐賀県はいわゆる国スポ・全障スポを一過性にするのではなくて、はなからSSP構想を掲げて、その後も見据えたハード整備、ソフト整備といったものを実施しています。  この中で、とりわけ中核施設となりますSAGAアリーナは、「観る」スポーツの拠点として佐賀駅から近いという都市型アリーナという魅力を生かし、トップアスリートが躍動するスポーツの試合、これまで佐賀で実現できなかった大規模なコンサート、展示会の開催など、さまざまなシーンを実現し、新たな価値を生み出す多目的施設を目指しています。  折しも国体が佐賀大会から国スポに変わります。スポーツのすばらしさを県民の皆さんに感じていただきたい。一過性のものではなく、県民お一人お一人の心に残るものにしていきたいと思います。  SAGAサンライズパークの整備により、トップアスリートだけでなく、ふだんから多くの県民がさまざまなスポーツにかかわり、魅力に触れる場を創出します。  そして、「する」楽しみ、さらにこれまで佐賀県で実現できなかったような「観る」感動、「支える」喜び、こうしたものを県民の皆様方と共有してまいりたいと思います。  スポーツの力、文化の力、県民の力で佐賀新時代を切り開いてまいります。SAGAサンライズパークの整備事業は、佐賀県にとって地域振興型プロジェクトとしては久しぶりの大事業です。スポーツを初めさまざまな活動を通じて、地域の魅力や活力を生み出し、佐賀県の飛躍の推進力となるように未来を見据えて全力で取り組みたいと思います。  最後に、農業・農村の振興、特に中山間地域農業、小規模農家の支援についてお尋ねがございました。  私は常日ごろから、農業の振興なくして県勢の浮揚なしと申し上げておりますけれども、農業は佐賀県の誇りで、この農業を守り育てていくことは極めて重要だと思います。  これまで県内の、特に山合いを回っていますと、よく耳にするのが、田畑の管理において、あぜ、のり面の草刈り、水路の清掃などはなかなか効率化が難しく、人手が足らんといった話。特に条件の厳しい中山間地域では、農地や水路などを管理されている農家の方々の姿を拝見いたしますと、本当に頭が下がる思いです。改めて中山間地域農業、そしてそれを支える小規模農家をしっかりと支援していく必要があると感じています。  しかしながら、担い手不足や耕作放棄地の増加などが深刻化している中山間地域については、組織化や農地のまとまりをつくることが難しくて、国の施設整備や基盤整備事業に採択されないことも多々あります。  このため、県単独事業において中山間地域の特例として、採択要件を緩和するなどして小規模農家も対象とするよう、きめ細かな対応を行ってまいりました。  そうした中、地域と県や市町などの支援機関が連携して、トレーニングファームによるホウレンソウの新規就農者の育成、農福連携による農作業従事者の確保、観光農園の開設による経営の多角化など、中山間地域の課題解決のための新たな動きが出始めているところでありまして、こうした取り組みを広げていくことが重要だと思っています。  このため、「佐賀県中山間地・離島・県境振興対策本部」の取り組みの一環として、昨年度から県独自の「それぞれの中山間チャレンジプロジェクト」を開始し、集落や産地での話し合いをもとに、課題解決に向けて、農業・農地の維持──守りですね、それに農業所得の向上──攻め、こういった取り組みを進めております。  このプロジェクトにより支援している地域では、今年度から、園芸や畜産、水田農業などの県単独ハード事業を実施する場合に補助率のかさ上げを行い、取り組みを後押ししております。  また、地域での話し合いが進み、担い手不足や基盤整備などの課題解決のための事業要望が出てきた場合は、例えば、耕作できない農地の受け皿となり、農作業の受託も行う広域営農組織の設立、運営、また、国庫事業で採択されないような小規模の農地における区画整理や排水対策等の基盤整備などを支援するための県単独事業をさらに検討していくことも必要と考えています。  ことしは、たび重なる気象災害、病害虫の発生など、佐賀県農業にとって辛抱の年であります。演告でも申し上げましたように、「さがびより」もことしは二等米、三等米が大幅に増加しました。しかしながら、これまで「さがびより」の透明なパッケージには一等米だけを入れて販売するという、厳格な基準でブランドを築き上げてまいりましたので、ことしのような苦しい状況にあっても、その基準をしっかりと維持することとして、二等米、三等米には別のパッケージを作成いたしました。ことしは佐賀県民の皆さん方にも、この新しいパッケージの二等米、三等米、味に遜色ありませんので、ぜひ農家を支援していただきたいと心から願っています。  挑戦なくして伝統なし、守るべきところは守り、攻めるところは攻める、中山間地域農業、小規模農家をしっかり守りながら、「さが園芸888運動」の展開や補助事業の活用により農家の所得向上につなげていくことが重要であります。  農業を取り巻く情勢が厳しさを増していく中にあっても、活力あふれる農業・農村となりますように、中山間地域や小規模農家の方々はもとより、県内農業者の思いをきちんと受けとめ、県単独事業の内容を充実するなどして、佐賀県農業の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。 6 ◎留守茂幸君 登壇=今、山口知事から答弁をいただきました。その中で新幹線とサンライズパーク、アリーナのことで、ちょっとお尋ねしたいというふうに思います。  この新幹線、今まで三つの合意をしてきたんですよね。そして、そこに演告で知事が言われたように、ミニかフルかと国から言われたことを含めて五択というふうに表現をされております。  私が言いたいのは、確かにそれはフルありきのようになっておるんですが、今の国の状況からすると、佐賀県の実情を非常によく理解されておる向きがあるんですね。それで、やっぱり四者協議はもうフルありきで語られない、それは当然のこと、私どもも主張してきました。しかし、ここに来て佐賀県のまさに武雄温泉から鳥栖までが、長崎は別として百、ゼロの議論、それから在来線の問題だって、県民の足、通勤通学の足からすると、これは当然、在来線はJRが経営していくべきなんですよ。そういうところもあり、それから財源の話、負担金の話がありましたけれども、例の九月議会でしっかり六百六十億円と八十六億円の議論がありました。  これも確かに仮の話です。これはなぜ仮がつくかというと、知事がおっしゃったように、直前にならないと、貸付料の問題だって、はっきり決定しないわけですね。しかし、そこを国が出してきたということは、新幹線整備のスキームで今まで整備をやってきたけれども、そのスキームの変更も視野に入れている、頭の中に入れておるから、そういうものも責任を持った数字を出してきておると私は思うんですね。だから、そこはまた同僚議員からの議論もありましょうが、テーブルに着く話ですけれども、私はゼロベースも聞きました。フル前提のことはゼロからと、それはわかります。ただ、ここでやっぱり佐賀県が何を今から得なきゃいかんかということですよ。知事は県民の代表、知事でありますから、さっきから私も言いよるように、禍根を残さないようなことをその時々には訴えて、そして結果を出して、佐賀県にとってよかったなという結果をつくり出さないかんわけですね。だから、そういうことで、知事が言う五択も含めて、国が環境を整えたときはかたりますよねと私は言ったんですね。ただ、それを否定するものではないというぐらいのところで、そこはやっぱりここまで演告で触れたならば、いや、環境が整えばちゃんとテーブルに着きますよぐらいには言わないと。それは否定するものではないぐらいでは、じゃ否定しないで返事もしないの、そういうところがあるんでしょう。  それともう一つは、長崎県のことですけれども、私も非常に遺憾に思っておるのは、長崎県議会も今、議会開会中なんで、けさの新聞にも載っておりましたが、私のことも触れられておるようです。私は山本委員長にしっかり言いましたもん。いや、この時期に及んで、長崎県から過去確認したことをほごにするようなことを言われているんですよ。それは山本委員長、当事者同士で話し合いということじゃなくて、やっぱり国もここは合意したものだから、それは令和四年にスタートするときにも影響しますよと言ったら、それは当然だよ、ちゃんと私は言うよと、はっきり言われました。だから、そういうことを長崎県議会でも取り上げているようでありますけれども、私は確認事項を持っていますけど、平成二十年四月二十五日、時の金子知事ですよ。確認事項をちゃんとここに記してあります。  二つありまして、「佐賀県及び長崎県の負担割合は、JR九州による肥前山口─諫早間の並行在来線の運行が維持される限りにおいて、佐賀県一に対して長崎県二の割合とする。」。それから、二つ目には、「一にかかわらず、上記二の費用──二の費用というのが、二十年間維持管理の問題ですけれども、そのことに関して見込み額が当初二億三千万円という数字が挙がっております。──上記二の費用に関し、災害等により当初の見込額を超えて費用が増加した場合の費用増加分については、佐賀県及び長崎県が折半して負担する。」となっています。それを今、上振れした分を災害等にみなすようなことを、これはおかしなものですよね、知事。本当に合意したことを何と思っているんだと。ただでさえ、鳥栖から武雄温泉駅まで、こういう議論をしておるときに、本当は長崎県ももう少し見守るような、大きな大きなあれがあっていいと思うんですよ。それを仕掛けるようなことがあってはならない。だから、ここは必ず確認事項があるんですから、しっかりと知事も主張して。  それからもう一つは、実務者協議でしておるのを露呈されたと、甚だ遺憾と。それは何ですか。議会が、我々は情報提供を執行部にしますから、オープンにするのは当然ですよ。こそこそ実務者協議で決まりますか、おかしな話ですよ。そういうことを考えますと、やっぱり我々はここでしっかりとちゃんとしたスタンスを持っていかなきゃいかんと思いますが、知事、その点をひとつ。  それから、SAGAサンライズパークのアリーナ問題、これも六十五億円という巨額を投じるわけだから、知事ももう少し血税を使うということの中から、この問題をもっと真摯に受けとめて、為政者としてここは申しわけなかったぐらい言わないと、あなた、当然のようなことで補正予算は通ると思っているの。これはこれからけんけんがくがくありますけど、それは大義が立つようなことをぴしっと持っていかんと、議会は生き物ですよ。そこらあたりをちょっと答弁を引き出して、私の質問を終わります。 7 ◎山口知事 登壇=留守県議の再質問にお答えいたします。  まず、新幹線問題についてお尋ねがございました。  留守県議とほぼ同じ考えではないのかなと私は思いました。ポイントは禍根を残さないことだというふうに私も認識しています。これは確かに本当に多くの影響を佐賀県の将来に与えます。もちろん、予算的に試算の六百六十億円という話もありますけれども、私はこの議会で申し上げているとおり、そんなもので済むはずがないので、一千億円以上の大きなことだというふうに思っています。  そして、在来線です。在来線というのは本当に我々にとって大切なものでありますし、長崎本線は非常に今多くの特急、そして普通列車も含めて走っておりますので、そういったことが今後どうなっていくのだろうかということと、基本的に新幹線整備がなされますと、もちろんJR九州さんもそちらのほうにシフトしていかれますので、今後、この地域がどのようになっていくのかということも含めて議論しなければいけないというふうに思います。  そうしたことを議論すること自体はやぶさかではないんですけれども、どうしても与党検討委員会のフルという結論ですとか、拙速にアセスを迫ってきたりとか、そういうことをされますと、本当に我々として県民の皆さん方に対して、まさに禍根を残さないということについて、私自身が責任を果たせるのかどうかということに大変危惧を覚えているわけであります。  ですので、それはうまく、いろんな人たちと、国ともJRとも隣の県ともって、そういう気持ちはよくわかります。私も基本的にはそういう方針で県政を運営しておりますけれども、事、この問題に関しましては、大きく佐賀県の将来を左右いたしますので、それこそじっくり議論しながら、県議会の皆さん方もそれぞれの地域でいろんなお考えを聞いてこられていると思いますので、県議会を大切にしながら、これからさらに議論を深めていく、そして国のほうからの議論、国交省からも言われておりますけれども、そうした議論が協議会というか、そういう協議の場がどういったものになるのかというのは、これは乗ってしまうと、前に机にフルと書いてあるという話をしましたけれども、そうであってはいけないので、そこをしっかりと事前に確認させていただいてということであります。その辺をぜひこれからまたさらに議論させていただきたいと思います。  続きまして、サンライズパークについてですが、これは本当に私の言い方が足らないというお話をいただきました。確かにこの六十五億円という金額の大きさは、先ほどの新幹線の話をしている中でも、大変重い血税です。いかに佐賀県にとって大きなプロジェクトとはいえ、それがこういった不落に終わって、それだけの大きな開きがあったということについては、我々は深刻に受けとめなければいけませんし、この結果について県議会、そして県民の皆さん方におわび申し上げたいというふうに思います。  ただ、ここで私は立ちどまっていてはいけない、もちろん今、全国的に不落が多い、こういう環境の建設バブルの時代であっても、それでも今、佐賀県にとって何が必要なのかということについて、この議会で我々も丁寧な説明を心がけてまいりますので、県議会の皆さん方においても真摯な議論をぜひお願いしたいというふうにお願いいたします。  以上でございます。 8 ◎江口善紀君(拍手)登壇=県民ネットワークの江口善紀でございます。通告に従い質問に入らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、農業の災害復旧対策について取り上げさせていただきたいと思います。  ことしも佐賀県にとって非常に大きな災害が続いてまいりました。特に農業の分野についての支援等々について、まず質問させていただきます。  農業は、食料を安定的に供給する重要な機能に加えて、その生産活動を通じて地域社会を支える極めて重要な基幹的産業であります。県では八月に「佐賀県『食』と『農』の振興計画二〇一九」を策定し、「稼げる農業」と「活力ある農村の実現」を目指して各般にわたる取り組みが進められてきたところであります。  このような中、ことしは大雨や台風など、たび重なる災害に佐賀県は見舞われ、本県の農業におきましても、大変大きな被害が発生したところであります。  具体的に見ると、八月の佐賀豪雨では、武雄市や大町町など、県南部を中心に記録的な大雨により農作物や農業用施設・機械の浸水被害が発生いたしております。  また、九月の台風十七号では、強風により私の地元である佐賀市川副町を初め、有明海沿岸部において水稲や大豆などの潮風害が発生しており、収穫作業を終えた農家の皆さんからは、収穫量も少ない上に規格外となる米の割合が多くて、このままだと年が越せないといった切実な声も聞いたところであります。  このほか、七月の台風五号など、たび重なる災害により本県の基幹作物である水稲については、十月三十一日に農林水産省が発表した佐賀県の作況指数は六十三と、記録的な不作となったところであります。また、大豆についても収量は大きく減少いたしております。  今後とも、被災農家が意欲を持って営農を続けていくことが重要であり、そのためには県の支援や、被災時の農業経営のセーフティーネットとして重要な役割を果たしている農業共済制度の活用が不可欠であると考えます。  このような現状を踏まえて、質問させていただきたいと思います。  まず一点目、農業の被害状況についてであります。  八月の佐賀豪雨や台風十七号などによる農業の被害状況はどのようになっているのでしょうか。また、その被害額はどの程度となっているのかお尋ねいたします。  次に、水稲、大豆の農業共済についてです。  災害により水稲や大豆に被害が発生した場合、農家にとって農業共済に加入していることは、被害から農業経営の再建に取り組む大きな支えとなるものと思います。その仕組みはどのようになっているのでしょうか。また、本年の場合、共済金の支払い時期はどのようになっているのでしょうか、見通しについてもお尋ねいたします。  三番目、災害対策の取り組みについてであります。  今回、東日本を中心に甚大な被害を及ぼした台風十九号については特定非常災害に指定されたことなどから、この台風のみを対象に、被害を受けた農業用機械などの復旧に係る国の補助率が十分の三から二分の一へ引き上げられました。しかしながら、八月の佐賀豪雨によって本県内でこうむった被害については補助率のかさ上げの対象とはならず、私はこのことについて、知事の提案事項説明でも言及されたように、災害支援は災害の規模ではなしに、被災者一人一人に目を向けるべきではないかと憤りを感じたところであります。  本県におけるたび重なる災害により被害を受けた農地や農業用施設等の早急な復旧対策を初め、被災した農家が前向きに意欲を持って営農を継続していけるよう被災農家に寄り添った支援対策を講じていくことが重要であると思います。県ではどのように取り組んでいくのか、答弁を求めます。  次に二問目、SAGAサンライズパークの整備について質問させていただきます。  県では、令和五年、二〇二三年に佐賀県で開催される国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会のメーン会場となるSAGAサンライズパークの整備を進められており、ことし八月からは水泳場、SAGAアクア(仮称)の新築工事に着手され、その他の施設についても計画的に整備が進められております。  先日、ラクロス大学選手権の準決勝がSAGAサンライズパークの球技場で行われて、それを観戦、応援に行ってまいりましたけれども、大変すばらしい人工芝の二面のコートの隣でSAGAアクアの工事が行われておりました。相当地下深く掘削されて、いよいよ工事が本格化してきたなと実感してきたところであります。  そして、いよいよこれから先、そうした中、SAGAサンライズパークの中核施設となるアリーナ新築工事の入札において、今回、不落という状況になりましたが、県からは説明として、入札価格と予定価格に大きな乖離があったとの説明を受けました。県では不落の原因について分析を行い、設計や積算の見直しを行い、アリーナの増額補正六十億円を含む六十五億円を、継続費の増額補正として今議会に提案されているところであります。この金額は、今議会における災害復旧関連の補正予算額約四十三億円を大幅に上回る補正額であり、非常に驚いているとともに、その必要性についてはしっかりと議論すべきだと考えております。  アリーナ整備については、当初、税抜き約百四十五億円との説明を受けておりましたが、その後、軟弱地盤対策や消費税増税などが加算をされ、今年度の当初予算要求時には税込み約百九十七億円と示されていました。さらに、今回の六十億円の増額により、結果的にアリーナの整備費が約二百五十七億円まで大幅に膨らむ見込みであります。  県民の方からは、これだけの整備費用が必要になるのであれば、そもそもアリーナ整備の是非すら議論の対象になるのではないかといった厳しい御意見も聞こえてまいります。  また、予定価格の積算に当たっては、その時点での反映可能な最新の単価をもとに算定され、正当な金額になっていただろうとは思います。しかし一方で、今回の不落の主な要因について、これも県の分析によると、東京オリパラや地方での再開発等の影響による資材、労務費等の高騰によるものとされていますが、私はこうした状況についてはあらかじめ想定すべきことであり、ある程度の対策が事前に打てたはずではないかとも感じております。  SAGAサンライズパークは、国スポ・全障スポのメーン会場であり、大会開催に支障のないようにしっかりと整備を進めていく必要があります。その一方で、今回の継続費の増額補正や今後の増額見込みにより、パーク全体の整備費は四百七十億円から五百四十億円と大幅に膨らむことになります。  国スポ・全障スポに向けた大切な事業であることは理解いたしますものの、五百四十億円という金額は率直に申し上げて、ここまで膨らむとは予想以上であり、驚きを隠せない非常に大きな金額だと思います。  そこで、この事業及び今回の補正予算について質問いたします。  まず一点目、入札不落の要因と補正予算の内容についてであります。
     アリーナ建築工事の入札不落の要因については、県はどのように分析しているのでしょうか。  また、今回の補正予算の内容はどのようになっているのでしょうか、改めて質問いたします。  二点目、今後の対応と見通しについてであります。  今回、補正予算が可決された場合、県では再入札を目指すと言われております。今後どのように対応していく考えなのでしょうか。  また、前回の入札では、設計積算から入札時までの約四カ月間において鉄骨価格が大幅に上昇したと説明されていますけれども、次回の再入札においては、再度不落になるようなおそれはないのでしょうか、その点についても御答弁をお願いいたします。  三点目、増額補正に対する受けとめについてであります。  これまで全体事業費四百七十億円が見込まれている中、今回さらに六十五億円という多額の補正予算を追加要求することになったことについて、知事はどのように受けとめているのでしょうか。  また、SAGAサンライズパーク整備に向けて、今後、知事はどのような決意で取り組んでいく所存なのでしょうか。  今議会の最初の知事の提案事項説明を聞いている中で、この件についてどのように言及されるかというふうに注視をしておりましたが、率直な感想は、さらっと説明されたなというのが私の心情でありました。知事の改めての取り組む姿勢について答弁を求めたいと思います。  入札不落というニュースには大変驚きましたけれども、今回提案の補正予算額も桁違いであります。事の重大さをしっかりと認識していただき、真摯な答弁を求めたいと思います。  次に、問いの三番目、九州新幹線西九州ルートについて質問させていただきます。  九州新幹線西九州ルートについては、導入予定でありましたフリーゲージトレインの開発が難航したことをきっかけに、新鳥栖─武雄温泉間の整備のあり方が議論されてきましたけれども、ことし八月に開催された与党検討委員会において、「フル規格により整備することが適当と判断する。」、「今後、関係者である国土交通省・佐賀県・長崎県・JR九州の間で協議を行い、検討を深めていくべきである。」などとする基本方針が示されました。  このことを受け、長崎県やJR九州は、あたかもフル規格で整備することが正式に決まったかのようにフル規格を前提とした協議への参加を佐賀県に求めていますけれども、これまで関係者で積み重ねてきたさまざまな合意や、これまでの経緯を振り返ると甚だ身勝手な振る舞いと言わざるを得ません。  西九州ルートは、平成二十八年三月の六者合意に基づき、令和四年度に武雄温泉駅でのリレー方式により開業することになっています。  リレー方式の固定化は避けるべきという意見もありますけれども、私は開業後の利用状況などを見た上で、将来については、その先のことについては時間をかけて議論すればいいのではないかと考えています。  先月実施された佐賀新聞社の県民意識調査の結果を見ても、新鳥栖─武雄温泉間の望ましい整備方式として、「整備せずにリレー方式のまま」、いわゆる対面乗りかえ方式のままとの回答が三六・二%と最も多く、「フル規格」は一七%にすぎませんでした。また、フル前提の協議には応じないとする知事の姿勢を約七割が支持するなど、佐賀県の主張は多くの県民の意見を反映したものであり、知事には今後とも筋を通した主張を行っていただきたいと考えております。  このような中で、西九州ルートの整備をめぐる最近の議論として、少子・高齢化や人口減少が加速する中、関西、中国地方との交流拡大や全国的な高速鉄道ネットワークの形成を妨げてはならない等の意見も耳にいたします。  一方、県内の在来線の利便性という点では、博多─佐賀間が三十五分間で結ばれており、佐賀駅には一時間に三本程度の特急が停車しています。多くの人が通勤通学やビジネスなどで利用されていますが、仮にフル規格による整備となれば、こうした在来線の利便性が失われる可能性もあるし、大きな財政負担により県民のためのさまざまな施策や事業への多大な影響が避けられません。  西九州ルートについては、抽象的な整備効果ばかりだけでなく、失われるものについても幅広い視点から冷静に議論する必要があると考えます。  そこで、次の点について伺いたいと思います。  一点目、県内の在来線への影響についてであります。  仮に新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備するとした場合、県内の在来線の利便性にはどのような影響があると考えられるのでしょうか。  二点目、並行在来線の経営分離についてであります。  おさらいになりますけれども、整備新幹線では並行在来線の経営分離についてどのようなルールがあるのでしょうか。  また、武雄温泉─長崎間では、JR九州が肥前山口─諫早間を経営分離すると表明し、最終的に上下分離方式でJR九州が二十三年間運行を維持することになりました。では、仮に新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備するとした場合、在来線の維持についてどのような議論になると考えられるのでしょうか。  新幹線が開通したら、今ある白いかもめや特急みどり、そして、各駅に停車する普通列車は一体どうなるのか、余り考えたことがない方とか、えっ、何か変わるのという県民の方は実は多いのではないかと思います。  なので、並行在来線がどうなるかについて認識の整理をしておきたいと思い、質問させていただきました。御答弁のほどよろしくお願いいたします。  次に、AH64D事故原因と再発防止策について質問させていただきます。  昨年二月五日に発生した陸上自衛隊目達原駐屯地所属のAH64D戦闘ヘリコプターの墜落事故から約一年十カ月がたちます。  搭乗員二名の方のとうとい命が失われ、墜落して炎上した民家では負傷者が出るなど、地域住民の方々には大変大きな衝撃を与えた痛ましい事故でありました。  改めて亡くなられた隊員の方々に哀悼の意を表します。御遺族、そして負傷された方と御家族に改めてお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。  我が国の防衛を担う自衛隊の各種装備の運用に当たっては、現場の隊員諸氏の日ごろの厳しい訓練、厳格な点検整備の上に成り立っているものと信頼を寄せ、敬意を払っている次第であります。  しかし、残念ながら起きてしまった今回の事故を受け、このような事故を再び起こさないために徹底した原因究明と再発防止策が求められております。  運用に当たる隊員の安全を確保することはもとより、国家国民の生命、財産を守るという国防本来の任務遂行のために、再発防止のための万全の対策が求められます。  ことし九月二十七日、山本防衛副大臣が佐賀県を訪れ、防衛省の事故調査結果及び再発防止策について直接、山口知事に報告をされました。  事故原因について、一点目、メーン・ローター・ヘッドの保管期間中に腐食防止剤が劣化し、部品同士が固着した結果、ボルトに摩擦が生じ、異常動作を起こした結果破断したということ。二点目、搭載前に何らかの理由でボルトに亀裂が発生していた可能性という二つの原因が説明されました。  聞くところによりますと、当初、防衛省の事故調査委員会は腐食防止剤の劣化を事故原因として特定したそうです。  しかし、米ボーイング社と米陸軍に確認した結果、この事故原因には同意できない旨の回答があり、むしろヘリに搭載する前に何らかの理由でボルトに亀裂が発生した可能性を指摘され、その結果、破断原因の一つとして調査結果に併記したと伺っています。  技術的な専門知識を持ち合わせていない我々からすると、腐食防止剤なるものが劣化して、何ゆえ金属製の堅牢なボルトに一体どういう悪影響を与えるのだろうか。また、ヘリ搭載前に何らかの理由でボルトに亀裂が発生した可能性とすれば、亀裂の原因、何らかの理由とは一体どういうことなのかというような疑問を持ったところであります。  今回の報告について、果たして事故原因は特定できたと言えるのだろうか、再発防止策が本当に有効なのかという懐疑的な意見や、不安は払拭できていないという声もあります。  そこで、質問させていただきます。  一点目、国からの説明を合理的な説明と考える理由について質問します。  山本副大臣からの説明後の記者会見で、知事は「合理的な説明をいただいた。」というコメントをされていましたが、その理由はどういった理由からなのでしょうか。  二点目、再発防止策についてであります。  知事が今回の説明で国が十分な再発防止策をとっていると考えるのはなぜでしょうか、見解をお示しください。  三点目、今後の対応についてであります。  AH64Dの飛行再開に関する不安の声もある中、今後、県としてどのような対応を行っていくのか御答弁をお願いします。  最後の問い、五問目に入ります。  佐賀空港の自衛隊使用要請について質問いたします。  山口知事は、佐賀空港の自衛隊使用要請について、昨年八月に「防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議をさせていただく」との判断をされ、同日に有明海漁協に協議の申し入れをされました。  その後、本年五月二十四日に改めて有明海漁協を訪問し、県の判断に至った経緯や理由などを説明するとともに、覚書付属資料の変更について改めて申し入れをなさいました。  また、ことしの八月には、防衛省が漁協の各支所の運営委員長で構成される委員会で計画の概要などについて説明し、九月十七日からは漁協の各支所で説明が順次行われていると承知いたしております。  さらに先日、十一月二十六日には、知事は県有明海漁協の組合長を訪問し、今回の防衛省からの要請は国防に関することであり、要請を受け入れていただきたいと改めて申し入れをされた上で、事業主体である防衛省による説明会について、残る三つの支所についても防衛省による説明会が開催されるよう環境を整えていただきたいと申し入れされたと承知しております。  報道によりますと、これに対し徳永組合長は、「防衛上必要だ」とか説明をちゃんとすればいいが、「受け入れた場合はこういうことができる」と逆の方向から説明しており、非常に憤慨していると知事に伝えたとされております。  また、防衛省による残り三支所での説明会の開催についても、具体的にめどが立っているわけではないと認識しており、私は漁業者の中で依然として反対意見が根強いことのあらわれと思っています。  このような漁協の状況を踏まえ、ノリの漁期で繁忙期に入った漁業者の心情を推しはかれば、漁協に判断をせかすようなことをすべきではないと思っています。  また、十一月二十七日には防衛省からコハダ漁に関する最終報告も公表されました。この中で、ヘリの通過によってコハダが沈むということが防衛省と漁業者で共通理解になったとのことでありますが、漁業者からは「オスプレイにはできれば来てほしくない」という従来からのコメントに加え、大浦支所の弥永運営委員長のコメントを新聞から引用いたしますと、「魚群に影響があるということは、操業にも影響があるということ。防衛局とは、オスプレイが来る場合の共通理解ができたと思う。我々は諫早湾干拓事業で国策に痛い思いをし続けている。オスプレイに来てほしくない、反対という立場を崩すことはない」と語ったとあります。  このように報道されているように、佐賀空港の自衛隊使用要請に対する抵抗感が依然として強いものというふうに受けとめております。  そこで、次の点について知事に伺いたいと思います。  一点目、防衛省の説明のあり方についてであります。  組合長の言われるとおり、私も防衛省が真摯な態度で対応するのであれば、いわゆる補助金の話よりも国防上の必要性をしっかりと説明すべきであると思います。しかしながら、実際、漁協の関係者のいろんなコメントにも、まるであめ玉や漁協の切り崩し策とか、見くびられているのではないか、そういった感想が出るような状況になっている。  そのことを踏まえて、佐賀県として防衛省に対して、こういうふうな漁業者の説明会に対する受けとめ方ということに対して、国防上の必要性をしっかり説明することが大切ではないか、そういう趣旨のことを防衛省に対して言うべきだと思いますけれども、知事の考えを伺います。  二点目、防衛省の要請受け入れの再考についてであります。  ヘリの飛行にコハダが反応することや、漁協内に依然として計画の受け入れに対する反対意見が根強くあるということを踏まえれば、今からでも防衛省の要請受け入れを再考すべきと思いますが、知事の考えはいかがなものでしょうか。  今回、コハダの影響についての報告がありました。漁業者のほうは魚にも漁にも影響があるという受けとめ、しかし、報告をした防衛省は実際にコノシロ漁へどれだけ影響があるかどうか、有無については運用後に確認する必要があるというふうにかみ合っておりません。  私は、この問題に時間がかかっている原因の一つに、防衛省の取り組み方、その本気度、そして、それに対する受けとめ方、漁業者の立場、心情、そこに大きなギャップがあるからだと思います。防衛省が本気で誠意を持って説明しているというふうになかなか思えない。だからこそ、漁業者も本当に防衛省の言っていることを信用していいのか、このコハダ漁の調査一つとっても食い違いがあります。  防衛省は、漁業者への説明会でいろんな助成事業を説明されていますが、必ずそこの下には防衛省と、自衛隊との因果関係が立証された場合というふうな米印がついています。そのことをしっかりと受けとめて、防衛省からの説明を見定める必要があると思います。  この事業は、本当に五年かかっているという声もありますけれども、佐賀空港の計画が発表され、そして、平成二年に公害防止協定が結ばれるまで二十年かかっていることを思えば、その間、地元川副町等では集落集落の公民館にまで県の担当者がずっと回って、きめ細やかないろんな約束をしてきた。最後の最後は軍事利用はしない、させない、あり得ないなんですよということを再三再四にわたって地区で言って回って、この公害防止協定ができたという重い約束というものももう一度しっかりと再認識した上で、今の質問に対する答弁をいただければと思います。  御答弁のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手) 9 ◎議長(桃崎峰人君) 暫時休憩します。     午前十一時五十二分 休憩 令和元年十二月四日(水) 午後一時一分 開議  出席議員    三十五名     二番  古 賀 和 浩     一六番  川 崎 常 博     三〇番  中 倉 政 義     三番  弘 川 貴 紀     一七番  定 松 一 生     三一番  石 井 秀 夫     四番  下 田   寛     一八番  八 谷 克 幸     三二番  留 守 茂 幸     五番  古 川 裕 紀     一九番  江 口 善 紀     三四番  木 原 奉 文     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  藤 木 卓一郎     七番  冨 田 幸 樹     二一番  向 門 慶 人     三六番  石 倉 秀 郷     八番  井 上 祐 輔     二二番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行     九番  木 村 雄 一     二三番  宮 原 真 一    一〇番  中 本 正 一     二四番  原 田 寿 雄    一一番  野 田 勝 人     二五番  岡 口 重 文    一二番  西久保 弘 克     二六番  大 場 芳 博    一三番  池 田 正 恭     二七番  武 藤 明 美    一四番  井 上 常 憲     二八番  稲 富 正 敏    一五番  古 賀 陽 三     二九番  徳 光 清 孝 欠席議員    三名     一番  一ノ瀬 裕 子    三三番  石 丸   博    三七番  桃 崎 峰 人 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   大川内   直  人
             総  務  部  長   進     龍太郎          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       川久保   三起子          産業労働部長       澤  田  斉  司          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       逢  坂  謙  志          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会 計 管 理 者    尊  田  重  信          警 察 本 部 長    杉  内  由美子          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       脇  山  行  人          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       島  内  直  樹          議 事 課 参 事    篠  田  博  幸          総務課副課長       川  崎  和  博          政務調査課副課長     金  武  隆  守          議事課議事担当主幹    原     康  祐          同    議事担当主査  池  田  陽  介     ○ 開     議 10 ◎副議長(大場芳博君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き一般質問を行います。  江口善紀君の質問に対する答弁から開始いたします。 11 ◎山口知事 登壇=江口善紀議員の御質問にお答えいたします。  まず、SAGAサンライズパークの整備につきまして、私の増額補正に対する受けとめについてお答え申し上げます。  先ほど留守議員の答弁でも申し上げましたが、SAGAサンライズパークの整備につきましては、県議会におきましてさまざまな視点から議論をいただきながらこれまで進めてまいりました。  そうした中において、SAGAアリーナの整備に当たっては、公正公平を基本方針として入札手続などを進めてきたところでありますが、今回さまざまな要因が重なり建設資材の高騰などが生じたことから、工事予定価格と応札価格との間に乖離が生じて不落となりました。  その結果、やむを得ないこととはいえ、今回、多額の増額補正をお願いすることとなりました。国スポ・全障スポでの利用を初め、アリーナでのさまざまな取り組みをしていこうとしている中、議員の皆様にも工期を含め、大変御心配をおかけしているところであります。私自身もこうした状況を重く受けとめております。  このような難しい状況でありますが、今後のスケジュールへの影響ができるだけ少なくなるように最大限努力してまいりたいと思います。  国スポ・全障スポを一過性のイベントに終わらせることなく、夢や感動を生み出すスポーツの一大拠点としてSAGAサンライズパークを生まれ変わらせる所存です。SAGAサンライズパークは、国スポ・全障スポでの利用はもちろんのこと、国スポ・全障スポ後の佐賀の未来を見据えてSSP構想の理念に基づき、スポーツの力を生かした人材育成、地域づくりを目指す拠点としても位置づけております。その中核施設として「観る」スポーツやコンサートなどさまざまなシーンが実現できるSAGAアリーナを整備し、新たな価値を生み出したく存じます。  そして、福岡都市圏に隣接するという地の利を生かし、福岡を初め、県外からも、海外からも多くの人々が訪れることによって、新たな交流を生み出し、地域の活性化につなげてまいります。  SAGAアリーナを初め、SAGAサンライズパークがスポーツや文化などさまざまな活動を通じて地域の活力を生み出し、このエリアが佐賀の未来を切り開く「さが躍動」の象徴となっていくことを目指して取り組んでいく所存であります。  続きまして、AH64Dの事故原因、再発防止策等につきまして、こちらの事故関連について三点お尋ねがございましたが、合理的な説明と考える理由と、再発防止策につきましてはそれぞれ密接に関連いたしますので、あわせて答弁させていただきたいと思います。  江口議員からもお話がありました。防衛省の事故調査委員会によれば、墜落の原因はボルト破断で、それは腐食防止剤の劣化に起因するということで結論づけられる予定でありましたが、念のため、米軍やボーイング社に確認したところ、そのような事例がなく、同意しかねるが、保管中に何らかの原因でボルトに亀裂が生じた事例はあるとのことで、その可能性も排除せずに、それも含めた二点をボルトが破断した要因と結論づけられたというふうに聞いてございます。  今回の事故について、わかりやすい説明を試みるために私なりに例を挙げて説明していきたいと思います。  新品状態ではあるけれども、長期保管されていたメーン・ローター・ヘッドを取りかえた中で発生したものだと思います。例えば、ここであえて例えで言いますと、新品の未使用のスペアタイヤがあります。これは新品なので、これは五年間そのまま置いてありました、それをそのまま装着したということで、五年間あったということがあるんだけれども、腐食防止剤が劣化したことでこれの一部が固着してということ。言うなれば、我々も新品のスペアタイヤをそのまま乗っけたら大丈夫だろうという感じで考えやすいのかなと思ったりしてですね。アメリカはそれは何の検査もなく乗っけるらしいので、そういったところが私から言わせると盲点に成り得たのかなという気がしたわけであります。  今回、その再発防止策として、それを装着する前に、新品の状態のものであっても動作確認、そして、超音波による非破壊検査による確認を行うという説明を受けました。これで初期不良も排除して、さらにあわせて、定期点検も実施するという説明がありました。  防衛省から提示されたやり方であれば、保管中に腐食防止剤が劣化し、部品同士が固着した場合でも、そしてまた、何らかの理由でボルトに亀裂が発生した場合でも、いずれにも対応できると思いましたので、私はこの説明は合理的なものと理解したと申し上げたところです。  防衛省からの説明の詳細につきましては担当局長からお答え申し上げます。  今後の対応について答弁を申し上げます。  この事故により被害を受けたお子様やその御家族、及び地域住民の皆様が受けられた衝撃にしっかりと思いをはせ、二度とこのような事故が起きることがないよう、防衛省は念には念を入れて再発防止策を徹底して行っていただきたいと思っています。このことは事故直後にも当時の小野寺防衛大臣にも申し上げましたけれども、もちろんずっとこの思いは変わりません。  そして、再発防止策に基づいて十一月二十日から三重県の陸上自衛隊航空学校でエンジン始動や点検整備及び訓練などのさまざまな手順の確認が行われておりますので、まずは、それを注視していきたいと思います。  先ほど私は合理的な説明だと承ったと表明したわけですけども、それはそれでしっかり、本当にそのとおり実地の中でやっていくのかということを、基地の中で今やっておりますから、そういったところについても注目をして、しかも、ちゃんと説明を受けるということが大事だと思います。  飛行再開については防衛省で判断されるものでありますが、その際は三重県など一つ一つの積み重ねの結果を踏まえて県に説明があると聞いております。また、その説明の際には、地元市町に対しても真摯に向き合い丁寧な説明を行うように求めていきたいと考えています。  続きまして、佐賀空港の自衛隊使用要請についてですが、防衛省の説明のあり方についてお答え申し上げます。  私が十一月二十六日に有明海漁協を訪問した際に、組合長から、説明会では、防衛省は国防上の必要性を正面からしっかりと説明すべきであると思うという話がありました。  今回の防衛省からの要請については、多くの漁業者の皆様は国防そのものの大切さについてはわかっておられる、その一方で、宝の海・有明海を守っていきたいという強い思いを持たれております。そのはざまで苦しい思いをされていることを防衛省は改めて認識すべきだと思います。  今後、防衛省には、漁協での説明に際し、国防の観点から佐賀空港の自衛隊使用要請の必要性についてしっかりと説明すべきである、お願いすべきであるということを担当部局を通じて申し入れを行いました。  続きまして、防衛省の要請受け入れの再考についてお答えいたします。  今回の防衛省からの要請は、国民、県民の生命と財産を守る国防に関する要請でありましたことから、私は真摯に向き合ってまいりました。さまざまな観点から三年半にわたる検討を行いまして、県議会決議も踏まえて熟慮に熟慮を重ねて、昨年八月に県としては、「防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議をさせていただく」との判断をしたところであり、有明海漁協内での議論が進むように、引き続き調整してまいる所存でございます。  以上です。 12 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートの質問にお答えを申し上げます。  まず、県内の在来線への影響についての御質問にお答えします。  新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備するとした場合、在来線の特急が新幹線に振りかわることになります。  鹿児島本線では鹿児島ルートの開業によりまして在来線の特急がほとんどなくなりまして、新幹線利用になることで料金が上がっております。  例えば、大牟田市の例で申し上げますと、大牟田駅の特急本数は鹿児島ルートが開業する前、上下約九十本以上ございました。これが現在は一本でございます。そして、新幹線の新大牟田駅というものが大牟田市には設置をされておりますが、新大牟田駅への新幹線の停車本数でございますが、これは従前の大牟田駅の特急の六割以下で、例えば、昼間の時間帯で申し上げると、一時間に三本あった特急が一時間に一本の新幹線になっているという状況でございます。それから、新大牟田─博多間の新幹線料金でございますが、これは従前の博多と大牟田駅との料金に比べますと、安い割引料金であっても従前の約一・四倍というふうになっています。  なお、新大牟田駅の新大阪直通の新幹線の停車でございますが、これは朝の上り二本、夜の下り二本という状況でございます。  現在、県内には鳥栖、新鳥栖、佐賀、肥前山口、武雄温泉、有田、そして、肥前鹿島などの特急停車駅がございます。肥前鹿島駅につきましては令和四年度の西九州ルートの開業によりまして、現在、上下四十九本ございます特急が、開業から三年間は上下十四本、開業四年目から二十三年目までは上下十本というふうになります。  また、仮に新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備するとした場合、新幹線が通らない駅では当然ながら普通列車だけになる可能性がございます。また、新幹線が通る駅であっても、先ほど大牟田の例も申し上げましたけど、必ずしも全ての新幹線が停車するわけではございませんので、現在より利便性が低下する場合がございます。  JRによります佐賀県と福岡県の旅客流動の大きさですとか、県内の旅客流動におけるJRの割合の大きさなどを踏まえますと、在来線の利便性低下は県民の皆さんの通勤通学、それから、県内の経済活動、国内外からの誘客など、県民生活ですとか、地域経済に大きな影響があるというふうに考えております。  次に、並行在来線の経営分離についてお答えを申し上げます。  まず、よく誤解されますけれども、経営分離をするかしないかという話と、先ほど申し上げました特急が減る、在来線の利便性が落ちる可能性があるという話は、全く別の問題でございます。経営分離をするしないにかかわらず、特急が新幹線に振りかわりますので、特急が減り、移動料金が上がるということでございます。  並行在来線の経営分離についてでございますが、これは整備後の新幹線と並行在来線、いわゆる現在の在来線ですね、これを両方とも同時に経営することが営業主体でございますJRにとって過重な負担となる場合は、その経営分離について沿線自治体の同意を得ることが着工に当たっての基本的な条件というふうにされております。  北陸ルートの例で申し上げますと、長野から金沢間まで最近開業いたしておりますが、長野から金沢までの並行在来線の全区間は経営分離をされました。長野にあります「しなの鉄道」ですとか、新潟の「えちごトキめき鉄道」、富山の「あいの風とやま鉄道」、そして、石川の「IRいしかわ鉄道」と、四つのこういう第三セクター鉄道に変わっております。  また、現在事業中の金沢─敦賀間、これは福井県まで入ってくると思いますけども、ここにつきましても在来線を経営分離することが決まっているというふうに聞いております。  経営分離されました区間につきましては、先ほどもちょっと御紹介しましたけれども、それぞれの沿線の県や市町、それから地元の企業、民間企業などが第三セクター鉄道を設立いたしまして運営がなされております。  西九州ルートにおきましては、JR九州が肥前山口─諫早間の経営分離を平成八年に表明されました。最終的に上下分離方式でJR九州が開業から二十三年間運行を継続することとなりましたけれども、鉄道施設については御承知のとおり両県で設立する法人で保有、管理していくというふうになっております。  仮に新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備するとして、並行在来線を経営分離、もしくは上下分離されるというふうになれば、特急の減などによる在来線の利便性低下という問題だけではなくて、それに加えまして、鉄道維持のための新たな負担の問題が生じてくるということになります。  私からは以上でございます。 13 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、農業の災害復旧対策についてお答えをいたします。  まず、農業の被害状況についてでございます。  八月の佐賀豪雨では、佐賀地方気象台の佐賀地点で二十四時間雨量が三百九十ミリと八月の一カ月分の平均雨量百九十六・九ミリの約二倍を記録するなど、県内の広い範囲で記録的な豪雨となりまして、農業においても大きな被害が発生いたしました。さらに、大町町では鉄工所からの油流出にも見舞われたところでございます。  具体的な被害の状況といたしましては、水稲や大豆など、農作物の冠水や土砂流入などによる被害が五千四百九十四ヘクタール。ビニールハウスなどの農業用施設の破損や農業・畜産用機械の水没などの被害が八百二十一件。水田や畑ののり面崩壊などの被害が二百六ヘクタール。農道や水路、ため池などの土地改良施設の被害が千三百八十四カ所となっているところでございます。これら農業関係の被害総額は十一月二十五日時点で約百十六億円と甚大な被害となったところでございます。  次に、九月二十二日に本県に接近いたしました台風十七号では、佐賀地方気象台の佐賀地点で最大瞬間風速が秒速四十・一メートルを観測いたしまして、有明海沿岸地域を中心に米や大豆など農作物の潮風害やビニールハウスの損壊などの被害が発生いたしました。  具体的な被害の状況といたしましては、水稲、大豆など農作物の潮風害等による被害が八千百三十三ヘクタール、ビニールハウスの倒壊や一部損壊などが四百十七件となっております。これら農業関係の被害総額は約三十五億円となったところでございます。  さらに、ことしは、佐賀豪雨や台風十七号のほか、六月の豪雨や台風五号、十号、それに十九号といったたび重なる気象災害に見舞われまして、これらの災害による農業関係被害の合計は約百五十四億円となっております。  続きまして、水稲、大豆の農業共済についてお答えいたします。  農業共済は、農業保険法に基づく制度で、共済に加入している農家が災害を受けたとき、その損害を補償し、経営を安定させることを目的としています。  農家の収穫量が平年に比べて一定の割合を超えて減少した場合、農業共済組合が収穫の時期を待って被害額を評価いたしまして、加入条件に従って共済金が支払われることになっております。  水稲におきましては、多くの方が加入されている方式であります一筆方式では、圃場ごとに平年の収穫量であります基準収穫量の三割を超える被害が発生した場合、基準収穫量の七割を限度として共済金が支払われます。  本県の本年産の水稲につきましては、日照不足や潮風害等の影響によりまして品質が低下した規格外の米が広範囲に、かつ多量に発生しております。このことから、収穫量の減少に対する補償に加えまして、例外的に規格外の一部を減収量とみなして共済金の支払い対象とすることができます損害評価の特例措置の適用が、十一月二十七日付で農林水産省から承認されたところでございます。  現在、県農業共済組合連合会では特例措置を含めた損害評価を確定させるため、農林水産省との協議を継続されておりまして、被害を受けられた農家に対する共済金の年内支払いに向けて、現在、作業が進められているところでございます。  また、大豆におきましては、多くの方が加入されている方式であります全相殺方式では、農家単位で基準収穫量の一割を超える被害が発生した場合、基準収穫量の九割を限度として共済金が支払われることとなっております。  農家が集荷施設に出荷して検査に合格した量のみを収穫量とすることから、本年産の被害減収量を確定するのは来年四月で、農家への共済金支払いは五月となる予定となっております。  このように、農業共済では、原則、共済金の支払いは被害額が確定します収穫期以降となりますが、一方で災害により土砂等の流入が圃場全面に及び、収穫量がゼロとなった圃場につきましては、早期に被害額を確定させて共済金を支払うことが国の要綱によって可能となっております。この規定を準用し、佐賀豪雨によって大町町の油冠水被害に遭った圃場につきましては、県農業共済組合連合会と農林水産省との協議が行われ、水稲、大豆の全面積が収穫皆無、いわゆる全損と判断されまして、いち早く十月九日に共済金が支払われているところでございます。  続きまして、災害対策の取り組みについてお答えをいたします。  佐賀豪雨や台風十七号などで被害を受けた農業用施設や農業用機械の修繕、あるいは再取得に活用できます国の「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」の補助率は十分の三となったところでございます。一方、東日本を中心とした台風十九号による被害につきましては、特定非常災害に指定されたことなどを踏まえ、この交付金の補助率は十分の五に引き上げられたところでございます。  これに対し知事からは、災害全体の規模ではなくて、被災者一人一人に目を向けるべきだという問題提起を行いました。  このようなことから県では、この交付金に県費を十分の二上乗せしまして、合わせて補助率二分の一となるよう措置いたしますとともに、国の支援の対象となっていない台風五号による被害につきましても県単独で支援することとし、被災した農家にとって災害の発生時期や規模によって支援内容に差が生じないように、今議会に必要な予算をお願いしているところでございます。  また、台風十七号の潮風害等により米や大豆の収量が大幅に減少していますことから、農家が利用される共同乾燥施設の固定経費に対する支援も県独自に行うこととしております。  さらに、被災した作物の次の作付開始や、あるいは生育の回復等に必要な生産資材の購入に係る経費に対する支援も行うこととしております。  このほか、農業生産の基盤であります農地及び農道や水路などの土地改良施設の復旧につきましては、現在、国の補助による災害復旧事業の着手に向けた手続を進めておりまして、災害査定を受ける市町のうち、特に被災箇所が多い武雄市等に職員を派遣するなどの支援を行いまして、一日も早い復旧に努めているところでございます。
     なお、大町町の油が流出した農地につきましては、土壌のサンプリングを行い、その土壌診断結果をもとに石灰の散布や土の入れかえなどの対策を講じることとしておりまして、水稲の作付準備作業が始まります来年四月下旬までに営農再開ができるように取り組んでいるところでございます。  このように、被災者に寄り添った支援に取り組むことによりまして、被害を受けられた生産者の皆さんがもう一度頑張ってみようという気持ちになり、意欲を持って営農を継続されるよう努めてまいります。  以上、お答えいたします。 14 ◎山下危機管理・報道局長 登壇=私からは、AH64Dの事故原因と再発防止策についての防衛省からの説明につきまして、知事の答弁を補足させていただきます。  AH64Dの事故原因とされますメーン・ローター・ヘッドを構成するボルト、これはメーン・ローター・ヘッドとブレードをつなぐところの部品内にあるボルト、アウトボード・ボルトといいますけれども、これがなぜ破断することになったのか。防衛省では事故調査委員会を設置し、事故調としては初めて民間有識者にも入っていただいた中で、さまざまな機関の協力を得て、あらゆる可能性を検証し、調査結果をまとめられたと聞いております。  ボルト破断原因とされたのは二つ、議員からもありましたし、知事の答弁にもありました。一つはメーン・ローター・ヘッドの保管中に腐食防止剤が劣化した結果、動作部分の一部が固着し、異常作動を起こし、その影響でボルトが破断したと。ここがちょっとわかりにくいんですけれども、問題のボルトには内側にピンといいますか、筒状のものがありまして、本来、このピンとボルトは一体となって動くものです。そして、このピンはボルトを越えたところでピンを受ける部品がありまして、そこに潤滑油的役割もする腐食防止剤が塗られているという構造にあります。ここは潤滑油的なものなので、スムーズに動くんですけれども、その腐食防止剤が長期保存の中で劣化が生じて、ピンが下のところで固着するということになった。結果として一体となって作動する上のところ、ボルトとピン、ここに摩擦が生じるようになって、その結果、摩耗痕等によってボルトが削られ、強度が局所的に低下し、亀裂の中でボルトが破断したという説明が一つ目の理由です。  二つ目は航空機への搭載前に何らかの理由でボルトに亀裂が発生し、試験飛行中に破断したと、この二点を原因とされております。  事実として言いますと、事故調査委員会として考えられるあらゆる可能性を検証し、細かく調査分析する中で出た答えは、議員もありました一つ目の原因であって、当初はこの一つでまとめ上げる予定であったというふうに聞いております。しかし、念には念をということで米軍とボーイング社に意見を求めたところ、これまでそういう事例がないので、直ちに同意はしかねるけれども、過去に米軍で航空機への搭載前の保管中に亀裂が入った事例があると。そういう可能性もあるんじゃないかと。そういうアドバイスもあったことから、可能性として排除はできないということで追加されたのが二つ目の原因ということになっております。  再発防止策としては、それら二つの原因いずれにも有効な対策を立てて安全を確保するということで、メーン・ローター・ヘッド搭載前に、構成品の動作確認によって固着がないことを確認するとともに、アウトボード・ボルトに亀裂等の異常がないか、超音波等を使用した非破壊検査による点検を実施するよう点検要領を見直すと。また、搭載前のメーン・ローター・ヘッドの保管につきましては、腐食等のリスクを低減させるため、従来の木製コンテナからより除湿性の高い金属製コンテナへ切りかえるよう保管要領を見直す。さらに、メーン・ローター・ヘッド搭載後も運用二百五十時間、または運用二百七十日ごとの定期点検において、非破壊検査及び腐食防止剤の再塗布、改めてまた塗るということ、このことを徹底するとされておりまして、事故原因の究明結果に基づく再発防止策が示されたところでございます。  私からは以上でございます。 15 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、SAGAサンライズパークの整備につきましての御質問のうち、まず入札不落の原因と補正予算の内容につきましてお答え申し上げます。  アリーナ建設工事の入札不落の要因分析でございますが、工事の設計価格は、当時の実勢価格を調査分析した上で、その時点で反映できる最新の単価を用いて費用を積算していたところでございますが、その後、大きな建設市況の変動が生じまして入札不落になったものと分析しております。  その主な要因は、東京オリンピック需要により手控えられていた民間の大型開発や、大規模災害の発生に伴う復旧工事などによりまして、鉄骨の需給バランスが崩れまして、設計時から入札時までの期間におきまして、建設市況が大きく変化し、加工後の鉄骨価格が高騰したことなどによるものと分析しております。  具体的には、昨今の旺盛な建設需要の中で、建設会社による鉄骨工場の取り合い等の状況が発生し、資材調達、加工などを受注できる鉄骨工場が減少したことにより、鉄骨工事に係る価格が高騰しているものと認識しております。  次に、今回の補正予算の内容でございますが、今回の増額補正額六十五億円につきましては、今回のアリーナ建築工事の不落を受けまして、建設市況の再調査や施工方法の再検討などを行った上で積算いたしまして、今議会に御提案させていただいたものでございまして、そのうち、アリーナ整備費につきましては六十億円でございます。  アリーナ整備費の補正予算の内訳でございますが、今後の入札にかかわりますことから、詳細をお答えすることを差し控えさせていただきたいと思いますが、概数をお答えさせていただくと、鉄骨工事費の価格高騰への対応に要する費用が約七割、その他建設資材及び労務費の価格上昇への対応に要する費用が約二割、さらに隣接する水泳場建築工事の現場状況を踏まえた一部の施工方法等の見直しへの対応に要する費用が約一割と積算しているところでございます。  これらに加え、水泳場やペデストリアンデッキなどのパークの附帯施設について、今後の建設市況の見通しを反映させるものとして五億円を今議会に御提案させていただいております。  次に、今後の対応と見通しについてお答え申し上げます。  今議会で補正予算を可決いただいた場合には、SAGAアリーナの建設について、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の開催に影響が出ないよう、できるだけ速やかに入札の再公告を行いたいと考えております。  再入札に向けては、公共工事の基本的な考え方に基づきまして、反映可能な最新の単価を採用するなど、設計積算や仕様書の精査を行ってまいります。  入札参加者が適切な価格で落札できるよう、公平で公正であるという原則に基づきまして、入札手続を進め、スケジュール感を持って対応していきたいと考えております。  私からは以上でございます。 16 ◎江口善紀君 登壇=るる御答弁をいただきました。まず一問目の農業の災害復旧対策について、大変甚大な農業被害及びその対策についての取り組みを御答弁いただきました。  今回、特定非常災害に台風十九号が指定されたということで、この法律が制定されて六回目の指定ということでありますが、ただ、台風に関しては初めてというふうに伺っております。  この特定非常災害に指定されたことにより、国の補助率が十分の三から十分の五に引き上げられたというのは、これは国の決定に基づくものでありますから、ことしに関しては甘んじて受け入れざるを得ないかと思いますが、来年以降も、もしもこの特定非常災害というのに指定されるかどうかでこの補助率というのが変わってくるようであれば、本当にこういうふうな指定に基づいて十分の三になるのか、十分の五になるのかというのが左右されるのはいかがなものかなというふうに思います。そういった意味で、我が県も六月に各省に政策提案等、毎年されておりますので、この点に関しては、本当にこういうふうなあり方でいいのか、十分の三、十分の五の取り扱いに関しては、災害支援というのは災害の規模ではなしに、被災者一人一人に目を向けるべきではないかという、この考え方について、国に、政府に提案すべきではないかと思うんですけれども、その点について提案をさせていただきたいと思いますが、それに対して一言御答弁をいただければと思います。  次に、サンライズパークの整備の件について御答弁をいただきました。  提案理由説明のときの知事の説明が、ちょっと予想以上にさらっとした印象を受けたということも先ほどの質問のときに申し上げましたが、やはり血税を使った大きな事業であるとともに、その額の膨らみように関しましては、大変県民の方も、非常に注目と、あと議論の対象になっているところであります。  先ほどの知事の御答弁で、重く受けとめるというふうな言葉もいただきましたが、本当に今回の災害の補正額四十三億円を大幅に上回る六十五億円、これ最初に伺ったときも、全くその中身がわからなくて、何で六十億円なのか、何十何億とかじゃなくて、すごくこの数字に対して、最初、担当課からは本当になかなか説明をいただけなかったもので、我々としても困惑をしながら、今回の一般質問に至ったわけでありますが、入札の関係があるということで、大枠を先ほど御答弁いただきました。これに関しては、まだ今後、今議会ではスポーツに関する特別委員会もございますし、しっかりした議論を経た上で採決に臨みたいと思いますが、しっかりと取り組んでいただきたいということを申し添えておきたいと思います。  次に、九州新幹線西九州ルートについての質問に対して御答弁をいただきました。  県内の在来線への影響については、やはり新幹線が整備されるということは、その区間に関しては基本新幹線がメーンになり、特急がなくなり、並行在来線というものも民間に移譲されたり、第三セクターになるんだというそのイメージが、私はまだ佐賀県の方々には浸透し切れてないのではないかというのが肌感覚であります。  なので、先ほどこの並行在来線の経営分離、それと今回、この佐賀県における肥前山口から諫早間をJR九州が運行を維持するというのは、これは全国的に見て非常に特例なんだということを明確に御答弁をいただきました。  ただ、そういった中で、昨日、今後この肥前山口─諫早間の並行在来線の上下分離方式による運行に向けた経費の取り扱いについて、長崎県のほうでも昨日、知事が県議会で答弁をされたりというふうな状況になりました。維持管理経費の見込みと今の最新の試算という、その数字のそごをどういうふうに受けとめるかというふうな話でありました。  先ほど山口知事のほうからもその点について御答弁がありましたけれども、よくよく考えてみれば、ことしの二月の段階で、私たちは西九州ルートの武雄温泉─長崎間の事業費の増加について、国及び鉄道・運輸機構から説明を受けました。と申しますのも、九州新幹線西九州ルートの武雄温泉─長崎間の事業費が当初の約五千億円から千二百億円増加し、六千二百億円になると。増加額のうち、佐賀県の負担対象額は二百三十七億円ということで、交付税措置後、佐賀県の実質負担額は当初二百二十五億円と言われていたものが、四十三億円増加し、二百六十八億円になると。このことを佐賀県としては甘んじてといいますか、受け入れているわけですよね。これだけの五千億円から六千二百億円、これだけの四十三億円。この武雄温泉─長崎間の事業費に関してはこれだけ膨らんだと。それに対しては、佐賀県はルール、合意に基づいて、負担についても受け入れましょうということで受け入れているわけです。  そして、片やこの肥前山口─諫早間の上下分離にかかわる経費、これが実際、時間が迫ってきて、実務的なことをする新法人を設立して対応していかなきゃいけないということで、もう一度負担の試算ということがされてこういうふうになったわけですけれども、先ほどの知事の答弁にもありましたように、しっかりと合意は合意、長崎のほうへの対応については当初の合意というのをしっかりベースにした上で対応を求めるべきだと思いますが、この点について改めて地域交流部長のほうに、この長崎県の対応についての受けとめと、その対応について御答弁を求めたいと思います。  次に、AH64Dの事故原因と再発防止策について御答弁をいただきました。  この九月二十七日に山本防衛副大臣が佐賀県を訪れられたのは、ちょうど九月定例県議会の常任委員会が終わったぐらいのときで、既に県議会としてはほぼ一般質問や常任委員会の質疑が終わった後のタイミングだったので、このAH64Dの事故原因再発防止についての議論をなぜ今やっているかというのは、今回がその山本副大臣が佐賀県を来訪された次の議会になるからであります。  まず、知事のほうに合理的な説明というふうに受けとめた理由について御答弁をいただきました。当日、山本副大臣から説明を受けられた後の記者とのやりとり、そういったものも拝見し、また、文字のほうも読みましたけれども、一般的な私たち、専門的な技術の知見を持っていない者からすれば、本当に腐食防止剤が何でそんな影響するのか。じゃ、先ほど御説明にもありましたけれども、このボルトは、AH64Dのローターは四本ありますから、四カ所にあるわけで、なぜこの一本が破断したのか、ほかの三カ所に関してはどんな状況だったのかとか、あるいは何らかの理由での傷、亀裂、それが今後、非破壊検査をされるからとおっしゃいますけれども、いつの時点で亀裂が入ったのかということが特定されていない中に、非破壊検査の後、搭載をされた途中とか、今回の事故でどこで亀裂が入っているかわからない中、今後もどこでどの時点で亀裂が入るかわからない中で、本当にこの非破壊検査自体のタイミングも大丈夫なのかとか、そういう疑念があります。金属製の箱で今後保管をするということであれば、湿度の管理ができるということでありますが、現状を聞いた段階でも、木製と金属の箱ではビニールにもくるまっているし、湿度はほとんどしっかり管理されているということでありますが、金属製のケースに入れたということで、なぜそれが湿度の管理、あるいは信頼性を高める、防止することになるのか、考え上げれば幾らでも謎が、いろんな疑問が起こってくるわけであります。  そういったことで、私は知事の山本副大臣との面談の後の、合理的な判断と合理的な説明を受けたかという説明を聞いていて、ちょっと苦しいなと思いながら聞いていましたけれども、本日も何かすっと納得できるような説明ではなかったような気がいたします。  技術的なことを挙げれば切りがありませんけれども、先ほどの局長の説明でも、折れたボルトは、破断したボルトは一本でありますけれども、じゃ残りの三本はどういう状況だったんだろう、いろいろ疑問は湧きます。そういった中で、本当に原因が特定されていない、いや、これ以上はできないんだというのであれば、それも一つの回答かもしれませんが、この二つが原因だと、しかし、それが本当に原因だと理解できるかどうかというのは人それぞれだと思うんですね。  そういった中で、私は、この事故原因についての原因が特定されていないし、不安は払拭できていないと思っております。その不安の中にあるものの、今後、飛行再開に向けた動きもある中で、知事あるいは局長は防衛省の対応を見定め、次にもしも飛行再開が佐賀のほうに打診をされたら、そういったことを受け入れていくのか、あるいは私はまだまだ不安は払拭できていないと思うんですけれども、その不安の払拭についてどのように思って、県民に対して説明をしていただくのか、納得をしていただくのか、もう一度その点について県民の不安を取り除くための説明を、御答弁をお願いしたいと思います。  最後に、佐賀空港の自衛隊使用要請の件について御答弁をいただきました。  いろいろコハダの調査結果、コノシロ漁の調査結果について、新聞記事いろいろ見ましても、魚にも漁にも影響があると、だから、これは漁業者からすると影響があるよね、漁獲に影響があるよねと。もしも漁獲が減ってしまったら、取引先にも信頼を失っちゃうよねと、いろんな懸念がある。そして国は大丈夫だと言っても、後で影響があったり、じゃ、その影響があるよと言ってもなかなか認めてくれなかったりというのが、既に諫早湾干拓事業で実績があるというか、非常に苦い思い出がある。だから、コノシロ漁、コハダ漁についても当事者の漁業者の人たちは懸念を、そして改めてオスプレイ配備について反対という立場を強くされていると思います。  でも、先ほども申し上げたように、防衛省が漁協との説明会で配られた振興策といいますか、民生安定助成事業という中で、こういったことができますよというのが記された資料を防衛省のほうからいただきました。  漁港修築事業、漁場整備、水産加工施設、しゅんせつや調査船、漁具の倉庫や漁協(研修施設)改修、冷凍施設、九州防衛局と地方公共団体、事業主体の漁協、こういったいろんな絵が書いておられますが、この一番左下に「事業実施に当たっては、防衛施設との因果関係が必要となります。」という、やっぱり最終的に因果関係が認められることが全て条件になっているんですね。  コノシロの調査におきましても、音がコノシロに影響があるということは認められた、それは防衛省も漁業者も両方とも確認した。じゃ、そこでやっぱり漁業にも、そして水揚げにも影響があるから、嫌だよ、認められないという漁業者、そして防衛省のほうは、この件については具体的なこれ以上の話は、実際に配備、運用後に確認する必要があるという、受けとめ方に既に双方に立場の違いが明らかになるわけです。  このかみ合っていない議論が続く限り、漁業者の理解というのは得られないと私は思うし、漁業者のオスプレイ配備のこと、佐賀空港の自衛隊使用に関する要請に対して協力しようという気にはなり得ないと思うんです。なので、この防衛省の説明の姿勢について、私はその上に立って知事が漁協に受け入れや漁業者に受け入れをいまだに促していくというスタンスは、本来であれば、漁業者に寄り添うというのであれば、せめて中立に、あるいはもっと防衛省に対して、漁協の方ともう少し理解が、合意ができるような話し方や、そういったものができないかということを促すなりの、もう少し間に立った振る舞いが必要ではないかと思います。  今後、防衛省と漁協の間にどのように立って対応していくのかということを改めて質問し、再質問とさせていただきます。 17 ◎山口知事 登壇=江口議員の再質問にお答えいたします。  私からは、佐賀空港の自衛隊使用要請につきましてお答え申し上げたいと思います。  特にコハダ、コノシロの調査結果について言及がございました。私の認識です。私もいろいろ報告を受けておりますけれども、まず音、コハダはヘリの音に反応するという共通認識が漁業者と防衛省との間にできたということ、そして、そこを防衛省が認めたということを弥永委員長も、それは一定の理解をしたということだというふうに私も認識しています。  防衛省が言っていたのは、ただ、それの実際の数値だったり、これは我々からすると、もし仮に導入が決まったときには、補償の問題だとかさまざまな問題について議論されるわけですけれども、そこの実際の影響の程度とか数字というのは、それは実際にオスプレイ自体が入ってみないとわからんねと、そういうような共通理解だったというふうに思っています。  そして、私も弥永委員長とも話すんですけれども、もちろんオスプレイというか、来てほしくないという話は私にもされます。ただ、今回は国防ということについては、一定の理解があって、その上で防衛省がその影響ということについて真摯に向かい合ってくれたと、調査にも来てくれたということについては、これまでとは違うのかなという話も承っております。  ですので、私はそういう相互理解というか、そういったものは必要だと思いますし、これはコノシロ漁だけではなくて、ほかの局面においても、この問題に関して県議会の議決も受けて、そして私なりの判断をさせていただいて、今調整に乗り出しているという状況であります。もちろん、事業主体は国であります。ただ、私の判断に基づきまして、そうした相互の間における調整の汗、こういったものについてはこれからも努力していきたい、引き続き調整をしてまいりたいというふうに認識しております。  以上でございます。 18 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、西九州ルートに関し肥前山口─諫早間の負担割合についての再質問にお答えを申し上げます。  上下分離後の長崎本線肥前山口─諫早間についての維持管理経費の負担割合につきましては、平成二十年四月に佐賀県と長崎県が一対二の割合で負担することを両県で確認をしております。今回、維持管理経費が当時の見込みを大きく上回ることとなりましたことから、長崎県がこれまでの合意と異なる主張をされておりますけれども、このことにつきましては十月二十九日に両県の部長レベルで話をいたしました。  私からは、負担割合については、長崎県が佐賀県の特殊事情を踏まえ、応分の負担をするという考え方のもと、佐賀県一、長崎県二ということで合意されたものでありますので、改めて協議する事項ではないということを申し上げたところでございます。  この問題に対する佐賀県の対応につきましては、先ほど知事が留守議員の御質問に答弁されたとおりでございます。長崎県とは、今後も開業に向け実務者協議を行ってまいりますので、これまで合意したことについては真摯に対応していただくように求めてまいります。  以上でございます。 19 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、災害対策の取り組みについての再質問にお答えいたします。  国の今年度の「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」の補助率につきましては、佐賀豪雨や台風十七号の被害に対しては十分の三、そして一方で、東日本を中心とした台風十九号の被害に対しては十分の五に引き上げられて、支援内容に差が生じているところでございます。こうした問題につきまして、江口議員からは今後行う政府提案に取り上げられるように御提案をいただいたところでございます。  県といたしましては、知事がこれまで問題提起を行ってきましたように、国による支援は、災害全体の規模ではなくて、被災者一人一人に目を向けるべきでございまして、被災した農家にとって災害の発生時期や規模によって支援内容に差が生じないように、今後行っていきます政府提案で国に要請してまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 20 ◎山下危機管理・報道局長 登壇=私からは、AH64Dに関して事故原因、再発防止策のところで再質問いただきましたので、御答弁させていただきます。  幾つか話がございました。腐食防止剤が固着したというのは、ブレード四枚あるわけだけれども、その一カ所だけだったのかと。説明を聞いたのは、ほかの三カ所ではそれは確認できなかったというふうにされておりました。  それはそもそもそういうことが起こるのかということもずっと突き詰められていて、メーカー側でそのことの否定はできないということで、そういうことは起こり得るんだろうということの結論に至ったという話でした。  そして、非破壊検査の話もございました。今は、搭載後、運用をして、二百五十時間、または二百七十日で定期点検をやって、そこを確認しているということですけれども、これまで搭載前にそこの検査がなかったんで、今回新たに搭載前に非破壊検査、超音波を使って、目では全然見えないようなものも超音波検査の中で、その波動を見ることで確認できるようになるということなので、そこは一定の信用はあるかと思っております。  そして、木製での保管という話もありました。これについても、ボーイング社は木製の保管というのは認めております。これがだめというわけじゃなかったんですけれども、米軍のほうでは金属製の保管容器に入れているということもあって、除湿性ということでいえば、もともと部品自体もパッケージの中に入っているんですけれども、さらに除湿性を高めるということでは、米軍に倣って金属製にしようということの説明でございました。いろんなリスクを低減するという形は今回できるだけとられているのかなというふうに思っております。  そして、今後、飛行再開という段階になったときに、県民への説明という話もありました。  飛行再開ということについては、まだ県への説明ということでは、まずは再発防止策を徹底してやっていくと。再発防止策として示したものが身につくように、今そこは繰り返し段階、段階を確認されているんだろうと思います。そういったことを一つ一つ積み重ねた先に、いよいよそのときになったときに改めて説明に上がりたいということでありました。  その説明については、当然、県への説明もさることながら、地元三市町に対しても、後ろにいる住民たちを思いながら説明をしていただくことが必要だろうと思います。飛行再開については、自衛隊がみずからの任務と責任、そして自分たちがこれまでやってきた地元との関係にも思いを寄せながら、しっかり丁寧に説明をしていただくことが必要かと思っております。  私からは以上でございます。 21 ◎中本正一君(拍手)登壇=皆さんこんにちは。公明党佐賀県議会議員の中本正一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  昨年九月定例会で議員提案の「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」、そして執行部提案の「障害のあるなしにかかわらず、ともに暮らしやすい佐賀県をつくる条例」が成立したことを受け、耳が不自由な方が傍聴しやすいよう、議場での発言を瞬時に文字情報化し、傍聴席のディスプレイに表示する取り組みが本年九月定例会から始まっています。  残念ながら、県民の皆様によく伝わっていないようでありますので、改めて紹介をさせていただきますとともに、こうした取り組みをきっかけに傍聴者がふえ、議会に対する関心が高まっていくことを期待いたしまして、質問に入らせていただきます。  今回は県政が抱える諸課題につきまして、大きく六項目について質問させていただきます。  執行部の皆様には、明瞭かつ誠実な御答弁をいただきますようよろしくお願いいたします。  まず大きな項目の一つ目として、九州新幹線西九州ルートについて質問いたします。  九州新幹線西九州ルートの未着工区間の整備のあり方については、県政の最重要課題の一つであり、九月定例会の一般質問では七人の議員が取り上げ、本定例会一般質問初日となる本日も、私も含め五人の登壇者の中で四人が取り上げるなど、県民にとって大変関心の高いテーマとなっています。  これまでの経緯を踏まえると、西九州ルートへのフリーゲージトレインの導入断念という結論に至ったことは非常に残念であり、また、佐賀県のこれまでの主張にかかわらず、整備方式についてフル規格での整備が適当という方針を示されたことに、私もそうでありますが、多くの県民の皆様も釈然としない思いを持たれています。  山口知事は、西九州ルートについて、これまで一貫して在来線を生かすことで合意しており、フル規格を前提とした協議には応じられないと主張しており、私も知事の主張は正論だと受けとめており、また、本年十一月に佐賀新聞社が行った県民意識調査でもこうした山口知事の姿勢は高く評価をされています。  一方で、関係者との協議に参加しないことで、国やJR、関係機関からより精度の高い情報が伝えられず、また、県外の方から佐賀県はだだをこねているように思われることに大変残念な思いがいたします。  私たち公明党佐賀県本部では、西九州ルートの整備のあり方について議論するには、これまでの経緯をしっかり理解するとともに、関係機関からできるだけ正確な情報提供を受け、顔の見える協議を行うことが大切であるとの観点から、県や与党検討委員会委員から説明を受けるなど、西九州ルートの問題について研さん及び議論を続けてまいりました。  去る十一月二十四日に開催した勉強会には、国土交通省の寺田鉄道局次長、JR九州の前田副社長、与党検討委員会の秋野参議院議員を迎え、議論を深めることができました。  冒頭、議論に臨むに当たって、私たちが抱いていた根本的な問題は国に対する不信感であることを伝えました。フリーゲージトレインに対する総括がされていないのではないか、こうした思いに対して寺田次長は、フリーゲージトレインの技術開発ができなかったことは遺憾、鉄道局として鉄道行政の責任は逃れないと発言をされたところであります。  また、与党検討委員会が提案するフル規格での整備をした場合の財政負担や並行在来線整備ルートの問題等についても率直な質疑を行う中、国土交通省より佐賀県の一番の懸案事項は財政負担であることを承知しており、佐賀県の負担を減らす工夫ができないか一緒に考えていきたい。また、JR九州から、具体的な並行在来線の取り扱いについては四者協議の中で真摯に議論させていただきたいなど、これまでになかった佐賀県の負担を軽減していきたいとの姿勢が示されました。  私たちもこれまでの整備新幹線スキームにとらわれない新たな提案を求めるなど、勉強会は二時間を超え、白熱した議論となり、当事者である国交省、JR九州、与党検討委員会委員の三者がそろい、議論できるという環境は大切であると実感をしたところであります。  私は、西九州ルートの未着工区間の整備のあり方は、県の将来を左右する大きな政策課題であり、時間をかけて議論すべき問題と考えます。  今、関係者からは、この問題について佐賀県の考えや意見をみずから発信することが求められているのではないかと感じています。そして、関係者との協議の場は、多数決で物事を決める場ではなく、同意できることを積み上げていく場だと考えます。  だからこそ、知事には関係者との協議に参加して、知事が提案する五択も含め、県の将来を見据えた冷静かつ丁寧な議論をしていただくことが大変重要だと考えております。  そこで、次の三点について知事の所見をお伺いいたします。  まず一点目に、赤羽国土交通大臣との面会についてお伺いいたします。  山口知事は、九月の県庁内での初めての面会に続き、去る十月二十八日に国交省で事務方を同席させず、一対一で面会され、ラグビーワールドカップでの日本代表の躍進が話題となるなど、面会時間も予定の二倍近い四十分ほどに及んだと伺っております。  私は、政治家同士の率直な対話は極めて大切と考えており、お互いの主張をぶつけながらも信頼関係を築くことが問題解決への道筋になるものと考えます。  そこで、改めて赤羽大臣との面会の中でどのような対話が行われたのかお伺いいたします。  また、引き続き大臣と直接対話を行うことを約束されたということでありますが、今後、面会の予定があるのか、また、大臣との対話にどのような姿勢で臨んでいかれる考えかお伺いいたします。  次に、関係者との協議についてお伺いいたします。  私も、佐賀県の将来を大きく左右することになる新鳥栖─武雄温泉駅間の整備のあり方については、県民の理解が前提であり、関係者との合意なくして決めることができない問題だと考えます。  だからこそ知事には、四者協議の場を含め、関係者との協議の場において、佐賀県の置かれた立場、佐賀県の意見を発信し、最終的には佐賀県が発展することにつながるような議論を尽くしてほしいと考えます。  そこで、関係者との協議に参加し、フリーゲージトレイン断念に関する国の責任を明確にするとともに、五択も含めた関係者から提供される精度の高い情報のもとでさまざまな観点から議論を行い、佐賀県の主張を堂々と行うべきだと考えます。
     午前中の議論においては、国交省から協議の進め方を確認する必要があるとの考え方を示されていますが、改めて知事の所見をお伺いいたします。  次に、並行在来線の維持管理経費についてお伺いいたします。  二〇二二年度の西九州ルートの開業に伴い、並行在来線として上下分離される肥前山口─諫早間の鉄道施設の維持管理経費については、二〇〇八年に佐賀県と長崎県の間で負担割合について合意されていたものの、その後十年が経過し、維持管理経費が大きく上振れすることになり、その負担をめぐって長崎県側が難色を示していると伺っております。  西九州ルートの整備については、新幹線整備により多大な影響を受けることになる長崎本線沿線地域のつらい思いの上にぎりぎりの判断、苦渋の決断を行いながら、武雄温泉─長崎間の新幹線整備に同意してきたという経緯があります。  また、並行在来線の維持管理経費の負担割合について、当時の長崎県知事は長崎県議会において、「西九州ルートの実現は、佐賀県の理解と協力が不可欠であり、佐賀県は二つの新幹線を抱えるという特殊事情を有していることから、本県の誠意として、いわゆる『応分の負担』を行う用意があることを県議会等でたびたび表明してまいりました。」と述べられており、こうした経緯を踏まえると、長崎県がこれまでの合意とは異なる主張をされていることは大変残念な思いがいたします。  暫定開業となる二〇二二年まで時間も限られています。上下分離されることになる沿線地域の皆様の足をしっかり守っていかなければなりません。  そこで、この問題について知事はどのように決着を図っていく考えかお伺いいたします。  以上三点について、山口知事にお伺いいたします。  次に大きな項目の二つ目として、SAGAアリーナの入札不落について質問いたします。  二〇二三年に佐賀県で開催される国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会を契機としたSAGAサンライズパークの施設整備につきましては、二〇一七年三月に策定された佐賀県総合運動場等整備基本計画に基づき進められ、庭球場テニスフィールドのコート整備や、ボクシング場・フェンシング場、エアーライフル射撃場シューティングレンジが完成、また、陸上競技場SAGAスタのフィールドの改修工事や水泳場SAGAアクアの新築工事が進んでおり、今後、施設の中核となるSAGAアリーナの工事が着手されることで整備が本格化することになっていました。  しかし、十月三十一日に行われたSAGAアリーナの入札において、電気設備工事と機械設備工事については落札されたものの、本体の建築工事については不落となり、衝撃が走ったところであります。  その後、県では、不落となった原因を調査し、施工方法の再検討を行った上で必要な設計及び積算の見直しを行うとして、今議会に二〇二二年度までの継続費として、アリーナの六十億円を含む六十五億円の補正予算が提案されたところであります。  そこで、次の五点についてお伺いいたします。  まず、知事の受けとめについてであります。  山口知事は、当初予算を審議した本年二月定例会の提案事項説明において、「県内のスポーツ文化をより一層広げ、SAGAアリーナを中心に、県内外から集まる新たな人々との交流を生み出し、このエリアが佐賀の未来を切り開く『さが躍動』の象徴となるよう取り組んでまいります。」と述べられており、SAGAアリーナに対する大きな期待を示されていました。  しかし、これまで周到に準備してきたにもかかわらず、入札不落となり、結果としてアリーナの全体事業費百九十七億円に対して、その三割にも当たる六十億円もの補正予算を組まざるを得なくなりました。そもそも応札価格とかなり開きがあったこと自体、予定価格の算定がずさんだったのではないかという指摘も聞こえてまいります。  そこで、入札不落という結果に対して、知事はどのように受けとめておられるのかお伺いいたします。  次に、原因の検証についてお伺いいたします。  本定例会の提案事項説明において、アリーナの建築工事が不落となった主な要因について、知事は「東京オリンピック関連や民間の大型開発、大規模災害の発生に伴う復旧工事などにより鉄骨の需給バランスが崩れ、設計時から入札時までの期間において建設市況が大きく変化し、建設資材が高騰したことなどによるものと考えています。」と説明をされています。  今回の入札では、結果が不落に終わったため、予定価格が公開されておらず、入札価格との間にどれぐらい差があったのか、正確に示されていません。  また、アリーナの設計を手がける株式会社梓設計は七十年以上の歴史を持ち、従業者六百人を超える日本有数の組織設計事務所という評判であり、東京国際空港国際線旅客ターミナルや埼玉スタジアムといった日本を代表する建築物の設計を担ってきた老舗の建築設計事務所であります。今回なぜ不落という結果を招くことになったのか疑問に思います。  また、アリーナの設計に当たっては「マルチ&シンプル」というコンセプトが掲げられ、大空間を支える構造体と維持管理コスト低減の両立を図るため、特殊でない一般的な鉄骨材を使用するとされていましたが、諸会派の勉強会の中では、県内の鉄骨加工会社の声として特殊で限られた鉄骨材を使用しているとの指摘もされたところであります。  そこで、今回の建築工事の入札不落にかかわる原因の検証について、どのように行われてきたのかお伺いいたします。  次に、補正額の根拠についてお伺いいたします。  知事はかねがね子育てや福祉、医療など「人の想いに寄り添う施策」のために多くの予算を使っていきたいという思いを述べられ、その思いに私も強く共感をしてきたところであります。  しかしながら、今回アリーナ整備に六十億円というアリーナ全体事業費の三割に当たる大きな額がわずか四カ月という短期間で補正予算に提案されることに、どうしても違和感を感じざるを得ません。六十億円という額は小さな町の年間予算にも匹敵するような大きな金額でもあります。私は、県民や議会に対して今回の補正予算額について一定の根拠を示す必要があるものと考えますが、見解をお伺いいたします。  次に、不落の影響についてお伺いいたします。  当初アリーナの工期については契約日から九百三十日間として二〇二二年七月の完成を目指すことになっていました。本定例会においてアリーナ建築工事の再入札を行う方針が示されたところでありますが、仮に順調に再入札が行われ契約に至った場合でも、整備に一定のおくれが生じることになります。建築工事のおくれは、今回落札された電気設備工事や機械設備工事を初め、アリーナと接続されるペデストリアンデッキなどパーク内の附帯設備の工事にも影響を及ぼすことが考えられます。そして、パーク全体の整備のおくれが二〇二三年の国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会にどのような影響を及ぼすか懸念するところであります。  そこで、入札不落が国スポ大会や全障スポ大会に及ぼす影響について改めてお伺いいたします。  この質問の最後に、今後の対応についてお伺いいたします。  今回の入札不落の結果を受けて、県から再入札を行う方針が示されたところでありますが、再入札から契約に向けた今後のスケジュールについてどのように考えるのかお伺いいたします。また、アリーナの完成が一定程度おくれるということに対して、影響を最小限とするために、今後どのように取り組んでいく考えかあわせてお示しください。  以上五点、知事及び文化・スポーツ交流局長にお伺いいたします。  次に大きな項目の三つ目として、食品ロスの削減に向けた取り組みについて質問をいたします。  まだ食べることができる食品が捨てられてしまう食品ロスの削減を目指す「食品ロスの削減の推進に関する法律」、いわゆる食品ロス削減推進法が本年五月三十一日に公布され、十月一日に施行をされました。  食品ロスは、生産、製造、販売、消費の各段階において日常的に発生しており、廃棄され、処分されることで、余分な二酸化炭素を排出するという環境問題にもつながっています。  また、世界では九人に一人が栄養不足に陥っており、発展途上国では五歳になる前に命を落とす子供が年間五百万人に上ると言われています。  一方世界では、食品生産量の三分の一に当たる約十三億トンの食料が毎年廃棄されており、その経済的損失は約九十兆円に上っており、食料問題の原因でもあることから、食料を海外からの輸入に大きく依存する我が国においては、国を挙げて取り組まなければならない問題と考えます。  ちなみに、日本の食品ロスは、二〇一六年度の推計で六百四十三万トン、この数値は一日当たり十トントラックで約千七百六十台分、国民一人当たり一日約百三十九グラム、茶碗一杯分の御飯の量に相当する量を廃棄している計算になります。また、六百四十三万トンの内訳は、家庭からのロスが二百九十一万トンと全体の四割を占めており、事業者からのロスは三百五十二万トン、さらに、事業者の内訳は食品製造業が百三十七万トン、外食産業が百三十三万トン、コンビニなどの食品小売業が六十六万トン、食品卸業が十六万トンとなっています。  また、二〇一五年九月に国連で採択された持続可能な開発目標──SDGsでは、「二〇三〇年度までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させる」ことが掲げられており、食品ロスの削減は今や国際的な取り組みとなっています。  こうした中、公明党会派では佐賀県ももっと積極的にこの食品ロス削減に取り組むべきとの思いから、本年十月に食品ロス削減に先進的に取り組んでおられる横浜市を視察し、担当者から食品ロスに取り組む上での重要なポイントとして二点を示していただきました。  一つは、家庭から出る食品ロスの実態を正確に把握すること。現状が把握できなければ、有効な対策は打てないと指摘されています。  二つ目は、組織横断的な取り組みの必要性といった点であります。食品ロス削減の取り組みは関係する部署も多くあることから、庁内に明確な調整窓口を設け、環境や食育、地産地消、地域経済、まちづくりなどを所管する各部署と組織横断的に取り組む必要があると指摘をされました。  そこで、次の三点についてお伺いいたします。  まず一点目に、食品ロスの四割を超えるとされる家庭系食品ロスの発生量調査についてお伺いいたします。  環境省では、市町村における家庭系食品廃棄物、食品ロスの排出状況の実態把握を含む発生量調査を支援されて、本年五月には「家庭系食品ロスの発生状況の把握のためのごみ袋開袋調査手順書」を策定されており、あわせて調査の進め方をわかりやすく解説した動画を環境省のホームページで公開するなど、市町村における取り組みを後押しされています。  そこで、本県においても県内の市町が発生量調査に取り組むことができるようリーダーシップを発揮していくべきではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。  次に、法施行を受けた今後の取り組みについてお伺いいたします。  国においては、関係大臣を委員とする食品ロス削減推進会議を設置し、関係省庁が連携して食品ロスの削減に関する施策を推進するとされています。  そこで、本県においても食品ロス削減に向けた各種施策を効果的に推進していくため、組織横断的な取り組み体制が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。  また、食品ロス削減推進法では、食品ロスの削減に向けて都道府県の役割を定めていますが、削減推進計画の策定については努力義務となっています。  そこで、食品ロス削減を県民運動として取り組んでいくためにも、国が策定する基本方針を踏まえ、本県の実情に応じた食品ロス削減推進計画を策定すべきではないかと考えますが、あわせて見解をお示しください。  次に、フードバンクについてお伺いいたします。  食品ロス削減推進法は、国や地方公共団体に対して、貧困や災害などで必要な食べ物を十分に入手できない人々に食品などを提供する、いわゆるフードバンク活動への支援に取り組むよう求めています。  私の地元の小学校校区におきましても子供食堂といったものが開設をされ、地域のボランティアの皆さんによる、いわゆるきずなづくりといったものが集まっています。また、そうした子供食堂などを支えるフードバンクも活発になっていると伺っており、県内におきましても本年三月に「フードバンクさが」が新たに設立されたとの報道がありました。  そこで、県内のフードバンク活動の現状はどのようになっているかお伺いいたします。  また、そうしたフードバンク活動への支援について今後どのように取り組んでいく考えか見解をお伺いいたします。  以上五点について県民環境部長にお伺いいたします。  次に大きな項目の四つ目として、有明海沿岸道路の大川佐賀道路について質問をいたします。  有明海沿岸道路については、福岡県大牟田市から佐賀市を経由し、鹿島市に至る延長約五十五キロメートルの地域高規格道路であり、整備により周辺道路の交通渋滞の緩和や交通安全に寄与するだけでなく、有明海沿岸地域全体の産業や観光など地域振興を図る上で欠かすことができない大変重要な社会資本であり、地域の発展に大きな期待が寄せられています。  現在の状況としては、福岡県内の三池港インターチェンジから大川東インターチェンジまでの約二十三・八キロが開通し、二〇二〇年度には大川東インターチェンジから大野島インターチェンジまでの約三・七キロが開通する予定となっています。  有明海沿岸道路のうち、大野島インターチェンジから県境をまたぎ、仮称佐賀ジャンクションまでの大川佐賀道路については、並行する国道二百八号のバイパスとして国により整備が進められており、ことし八月には、大野島インターチェンジから佐賀県内の仮称諸富インターチェンジまでの一・七キロについて二〇二二年度の開通が示されたところであり、佐賀県にとって待望の福岡県側との直通が実現することになります。  こうしたことから、大川佐賀道路についてはより一層の整備促進が望まれるところであります。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  まず、現在の整備状況と今後の見通しについてであります。  大川佐賀道路については、県境をまたぐ早津江川の橋梁工事など整備が進められているところでありますが、改めて大川佐賀道路の現在の整備状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  次に、有明海沿岸道路大野島インターチェンジへのアクセス道路についてお伺いいたします。  本日はこのテーマに関して傍聴者の方がお見えでございます。先日、私は、佐賀市川副町大詫間並びに福岡県大川市大野島の地域の代表の皆さんとともに、桃崎県議会議長宛の要望書の提出に同席をさせていただきました。  内容は大野島インターチェンジの二〇二〇年度の供用開始後、大詫間や大野島の中南部の方々は大野島インターチェンジへのアクセス道路として県境をまたぐ県道大詫間大川線を利用することになりますが、この県道の福岡県内の区間は集落内を通るため、幅員が狭く、蛇行するなど線形が悪いことから、大詫間から大野島インターチェンジにつながる新たなアクセス道路の整備を求めるという願いであり、要望でありました。  佐賀市川副町大詫間と大川市大野島の二つの地域は、筑後川と早津江川に挟まれ、南北七キロメートル、東西一キロから二キロメートルの島になり、南が大詫間、そして、北が大野島に当たります。一つの島に二つの県民が暮らす全国でただ一つの島となっており、現在大詫間には五百世帯、千六百人、大野島には九百世帯、二千六百人の方が住まわれています。しかし、県境でありながら、江戸時代の佐賀藩と柳川藩という相交わることができない歴史が三百年以上続き、その間、住民の争いが絶えず、長い確執の歴史であったことから、島内における道路交通網の整備について互いに協議をするということはこれまで一度もありませんでした。江戸時代より決して良好な関係とは言えなかったこの大詫間と大野島が、有明海沿岸道路の大野島インターチェンジの設置をきっかけとして、アクセス道路の整備への機運が高まり、親善グラウンドゴルフ大会の開催や大詫間小学校と大野島小学校での合同遠足の実施など、両地域の親善交流が今活発となってきています。  また、本年一月には、一つの島である大川市大野島と佐賀市川副町大詫間が、市、県境を越えて、地域整備と環境美化の推進を図り、地域活性化のための交流を深めることを目的として、「夢の島プロジェクト~県境の島づくり~」を立ち上げられ、地域間の交流も今熱を帯びてまいりました。  大川市においても大野島インターチェンジの設置を契機に有明海沿岸道路北側の大野島北部に、仮称「九州有明ものづくり館」や、「大川の駅(道の駅・川の駅)」といった構想が進められており、世界遺産となった佐賀県側の三重津海軍所跡とともに、地域振興、観光振興への相乗効果が期待をされるところであります。  また、大詫間については、東西を筑後川と早津江川に挟まれ、南は有明海に面した低平地であり、近年の集中豪雨や高潮による冠水被害、または地震による堤防の決壊が発生した場合などは、地域内に高台となる避難場所がないことから、大野島インターチェンジへのアクセス道路が災害時における緊急避難道路としての役割も期待されているところであります。  有明海沿岸道路の大野島インターチェンジへのアクセス道路の整備は、あくまで福岡県側に要望することでありますが、佐賀県行政や県議会の後押しが欠かせないとの思いから今回の要望が行われたところであります。  現在佐賀市や佐賀市議会においても地元の強い要望を受け、大川市及び大川市議会と連携を図りながら、このアクセス道路の実現に向け協議が進んでいるやに伺っております。  そこで、要望区間が福岡県内にあることから佐賀県が整備を行うことができないものの、ぜひ福岡県に働きかけていただきたいという地元の強い願いがかなえられるよう、県としても積極的に行動を起こすべきではないかと考えますが、どのように対応する考えかお伺いいたします。  先ほど紹介しましたように、きょうは大詫間と大野島の地域の代表の皆さんも傍聴に見えられておりますので、どうか皆さんの思いに寄り添った答弁を求めておきたいと思います。  以上二点について県土整備部長にお伺いいたします。  次に大きな項目の五つ目として、嘉瀬川リバーサイドゴルフ場について質問をいたします。  近年、異常気象とも言える集中豪雨による自然災害が全国各地で頻発化、激甚化しており、その発生が常態化しているところであります。県内でも昨年の七月豪雨に続き、本年も七月、八月と連続して県内各地で記録的な雨量を観測し、二年連続で大雨特別警報が発令されるなど、河川の氾濫や家屋の浸水被害などが発生をしております。  こうした中、佐賀市の嘉瀬川河川敷にあります嘉瀬川リバーサイドゴルフ場も今回の八月豪雨で被災し、今なお営業休止状態が続いています。  嘉瀬川リバーサイドゴルフ場は、一九八九年十月にパブリックゴルフ場として開設され、県と佐賀市が出資した一般財団法人嘉瀬川水辺環境整備センターにより運営されてきました。当時のゴルフブームにも乗り、一九九二年度には来場者は四万二千人まで増加しましたが、その後、徐々に減少し、二〇一一年度には二万人を割り込む状態となりました。  このため、運営主体である一般財団法人では運営・経営改善の一環として二〇一四年十月からフジカントリークラブを運営する富士観光開発株式会社に管理運営を委託、その結果、ここ数年の利用者は二万人弱を維持しており、小学生など初心者や中級者を対象としたゴルフ大会や体験会等を開催するなど県民福祉の向上に寄与する施設として、県民の健康づくり、憩いの場として親しまれてきました。  こうした中、ここ数年の集中豪雨による被害等に端を発し、現在の管理運営の受託者である富士観光開発株式会社から運営主体である一般財団法人に対し、撤退が申し入れられたとの新聞報道がなされています。  河川敷のゴルフ場については他県でも同様の状況で、河川敷ゴルフ場の発祥の地と呼ばれる東京荒川河川敷にある新東京都民ゴルフ場も台風十九号による洪水で被災し、復旧が困難ということで廃業に追い込まれているとの報道もありました。  ゴルフ場を運営する一般財団法人嘉瀬川水辺環境整備センターは、当初借り入れが約六億円程度あったものの、二〇一七年度末には約一千五百万円まで縮減し、二〇二一年度末には完済する予定だったとも伺っています。また、来場者も安定し、経営状況も改善していただけに、自然災害が原因とはいえ、このタイミングで休業に追い込まれたことに大変残念な思いがいたします。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  まず、近年の集中豪雨による嘉瀬川リバーサイドゴルフ場の被災状況はどのようになっているのかお伺いいたします。  次に、運営主体である一般財団法人の取り組みについてお伺いいたします。  嘉瀬川リバーサイドゴルフ場は、利用料金も安く設定されていることから、退職された年金生活の高齢者の方々の娯楽や健康づくりといった利用も多く、地元を初め多くの利用者の方々から早期の営業再開を望む声が寄せられており、私もぜひそうした声に応えていただきたいと願っているところであります。  そこで、ゴルフ場の営業再開に向け、運営主体である一般財団法人の取り組みはどのようになっているのかお伺いいたします。  以上、二点について同じく県土整備部長にお伺いいたします。  最後に大きな項目の六つ目として、離婚に伴う子供の養育支援について質問をいたします。  佐賀県の離婚件数は二〇一八年に千二百八十件と、減少傾向にはあるものの、いまだ千件を超える状況が続いています。そして、そこには両親の離婚により、その後の人生に大きな影響を受けることになる子供たちが存在しています。  民法第七百六十六条において、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とあります。  子供にとって両親の離婚はとても大きな出来事であり、子供がこれを乗り越えて健やかに成長していけるよう、離婚するときに親としてあらかじめ話し合うことが求められており、養育費の支払いや面会交流は子供の利益を優先する上で、最も優先しなければならない取り組みとなっています。  しかしながら、離婚に伴う子供の養育支援の柱となるはずの養育費の支払いや面会交流は、全国的に進んでいないのが実態と言われています。  例えば、養育費の場合、二〇一六年度の「全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯で養育費に関する取り決めをしていたのは四二・九%となっているものの、実際に養育費を受けているのはわずか二四・三%にとどまっています。また、佐賀県が二〇一四年に実施した実態調査では、養育費の取得状況について、養育費の取り決めをしている、またはしていたと答えられたのは二四・七%、養育費の月額は一万円から三万円未満が五〇・二%と最も多くなっており、依然として離婚された方で養育費を受給されている方の割合が低く、また、その額も少額となっていることがわかります。  養育費の支払いは、子供の相対的貧困率とも関係してきます。二〇一六年の厚生労働省の調査では、子供の貧困率は一三・九%、その中でもひとり親世帯の貧困率は五〇・八%、つまり、ひとり親世帯の半数が相対的貧困状態にあるとされています。同年実施された「全国ひとり親世帯等調査」の父子世帯の平均年収四百二十万円に対し、母子世帯の平均年収二百四十三万円という結果とあわせると、養育費の未払いと母子世帯の貧困とは大きく関連していることがわかります。  また、面会交流については、同調査結果によると、子供と離れて暮らしている父親が子供と定期的、継続的に交流する面会交流の実施率は三割程度にとどまっており、離婚は夫婦間協議が中心で、子供の利益は後回しにされているのが現状であります。  こうした実態に対し、二〇一一年の民法の一部改正によって、離婚協議の際、面会交流や養育費の分担について協議することが明文化され、離婚届の様式には面会交流と養育費の分担の取り決めの有無を記載する欄が設けられるようになりました。さらに、二〇一六年十月より、法務省が離婚時の合意を促すために「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」というパンフレットを作成し、市町村の戸籍担当窓口に離婚届用紙を取りに来られた方へ配布するなど、離婚に伴う子供の養育支援の取り組みが強化されてきたところであります。
     そこで、両親の離婚により影響を受ける子供たちに対して、しっかり支援の手を差し延べていくという観点から、次の二点についてお伺いいたします。  まず、養育支援の取り組みと課題についてお伺いいたします。  冒頭申し上げましたように、県内の離婚件数は直近の二〇一八年に千二百八十件と減少傾向にあるものの、いまだ千件を超える現状にあります。県では「第三次佐賀県ひとり親家庭等自立促進計画」を策定し、離婚にある場合も含めたひとり親に対する自立支援に取り組まれていますが、その中で養育費の支払いや面会交流に向けた県の支援はどのようになっているかお伺いいたします。また、養育支援を進める上での課題について、どのように考えるかあわせてお示しください。  次に、今後の取り組みについてお伺いいたします。  今回の質問を前に、離婚を経験され、現在でも養育費を支払われるとともに、年に数回子供との面会交流を続けられている男性から直接お話を聞かせていただきました。  この男性の場合、離婚と同時に養育費の支払い、そして面会交流に関する合意をすることができたそうであります。もし、離婚と同時に合意書を作成していなければ、書類をつくる煩わしさや離婚当時を思い出すことへの嫌悪感から、後になって合意書をつくることはできなかっただろうと、こういうことを話されていました。つまり、離婚した直後に速やかに合意書をつくることが大切であり、また、面会交流を続けることで子供への愛情を確認することができ、その方の場合、経済的にも非常に厳しい時期があったそうでありますが、養育費を今まで払い続けることができた、こういう話をされておりました。  私は、佐賀県においても離婚時の養育費の定めの啓発、そして勧奨について、さらに積極的に取り組むべきと考えます。例えば、兵庫県明石市では、昨年十一月から未払いの養育費を保証会社が肩がわりするという全国発のモデル事業が始まっています。また、千葉県では、面会交流に対する支援は、市町が単独で実施することは困難として、政令市であります千葉市を含めて、県レベルで面会交流支援事業を実施されています。  そこで、こうした先進地の取り組みを参考としながら、今後県として子供の養育支援にどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  以上二点について、男女参画・こども局長にお伺いいたします。  それぞれ明快かつ前向きな答弁をお願いいたしまして、一回目の質問を終わります。(拍手) 22 ◎山口知事 登壇=中本正一議員の御質問にお答えいたします。  まず、九州新幹線西九州ルートについてお答え申し上げます。  その進め方につきましては、中本議員の見識のとおりだと思います。すなわち同意できることを積み上げる場というお話をいただきました。これまで約三十年間議論されたわけですけれども、これまでもそうでありました。そして整備新幹線というものはそうした同意できることを積み上げる場、そうした考え方で今後とも進めていくべきものと私も認識しております。  赤羽国土交通大臣との面会についてお尋ねがございました。  赤羽国土交通大臣が九月の就任会見において、面会し、話を聞きたいと発言されたことを受けまして、十月二十八日に意見交換を行いました。  私からは、これまでの経緯や佐賀県の思いとともに、さまざまな問題について議論する準備はありますが、フルを前提とした議論には応じられないこと、スーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式については合意しているので異論はないこと、ミニ新幹線やフル規格を含めて議論するのであれば、しっかりと時間をかけて幅広く議論する必要があることなどを申し上げました。  赤羽大臣からは、その一つ一つに対してのコメントはございませんでしたが、これからいろんなことを大臣御自身としてお考えいただくという姿勢をお見受けしました。私はこれまでの経緯や佐賀県の思い、佐賀県の考え方をしっかり受けとめていただいたものと考えております。大臣とは引き続きこのような場をもって政治家同士、率直に話をしていこうということになりました。  そして、御自身の政治信条だというふうにもされておりました率直に意見を聞くこと、これは私の政治信条でありますさまざまな意見に耳を傾けるということとも合致しております。  そして、先ほど中本議員からも御案内がありましたとおり、それぞれラグビーワールドカップには大きく関与していたことが話題になりまして、それぞれのかかわり方といったことで大いに盛り上がりまして、大変時間オーバーして四十分程度になったでしょうか、とっても真っすぐで信頼できる方というふうに私は感じました。赤羽大臣とは、今後とも率直な意見交換を行っていきたいと思います。  今後の予定についてのお尋ねもございましたが、お互い忙しい中にあっても、次回も何とか時間をつくっていこうということでありまして、調整中ということであります。  続きまして、関係者との協議についてお答え申し上げます。  将来の新鳥栖─武雄温泉間のあり方について、さまざまな議論、可能性を議論することは閉ざしておりませんので、期限を定めて一方的に結論を押しつけるような議論の進め方でなければ、協議すること自体は否定しておりません。フルありき、期限ありきの議論には応じられないという佐賀県の考え方については、赤羽大臣にもお話ししたところでありまして、そうした思いは受けとめていただいたと考えております。  そもそも西九州ルートについては、これまで関係者間で合意しているのは、武雄温泉─長崎間の新線整備と、新鳥栖─武雄温泉間は在来線を利用することであります。  武雄温泉─長崎間の議論に当たりましては、古川衆議院議員、前知事も、長崎ルートにおいてフル規格として路盤を整備する、いわゆる新幹線区間は、武雄温泉─長崎間だけであり、在来線利用区間となっている新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備することは考えていないと繰り返し答弁されています。そうした県としての意思決定も踏まえ、平成二十年にスーパー特急方式で、平成二十四年にフリーゲージトレイン方式でそれぞれ認可が行われているわけであります。  新幹線整備は地元の合意なくして前に進むことはできないし、決してあってはならないものです。今後の関係者との協議については、まずは国土交通省が考えられる協議の進め方というものがどういうものなのか確認する必要があると考えております。  並行在来線の維持管理経費についてお答え申し上げます。  令和四年度の西九州ルートの開業により、上下分離されることになる肥前山口─諫早間の維持管理経費の負担割合については、当時の長崎県の金子知事が、「長崎県の誠意として、いわゆる『応分の負担』」を表明され、最終的に佐賀県一、長崎県二とすることで確認されたものです。  維持管理費が当初の見込みを大幅に上回ることとなり、増加分の費用負担をめぐり、長崎県がこれまでの合意と異なる主張をされているものと認識しています。すなわち災害と同じ扱いというような主張をされております。  長崎県には、これまでの経緯をきちんと踏まえた上で合意したことを守っていただくように求めてまいります。長崎県との協議の状況等につきましては、地域交流部長から答弁させます。  続きまして、SAGAアリーナの入札不落に関しまして、私の受けとめについてお答え申し上げます。  今回のSAGAアリーナ建築工事について、不落ということに相なりました。それに関して多額の継続費補正をお願いしておりますことを心苦しく重く受けとめております。  公共工事の入札不調、不落が全国的にも相次いで発生しているという難しい社会情勢の中にありまして、本アリーナ工事にあっても同様に難しい状況ではございますけれども、国スポ・全障スポの開催に向けて着実な準備が進められるように全力を傾けてまいりたいと思っております。  その他詳細につきましては、文化・スポーツ交流局長から答弁させます。 23 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートについての御質問のうち、並行在来線の維持管理経費について知事の答弁を補足させていただきます。  令和四年度の西九州ルートの開業によりまして、上下分離されることになります長崎本線肥前山口─諫早間につきましては、佐賀県、長崎県、JR九州の三者で現在準備を進めております。大体月二回ほどのペースで現在実務者協議を行いまして、節目節目で部長レベルの協議等を行っているところでございます。  上下分離後の維持管理費の負担割合につきましては、平成二十年に佐賀県一、長崎県二とすることを両県で合意をしておりますが、維持管理経費が当時の見込みを大きく上回る見通しとなりましたことから、長崎県が、この増加部分につきまして、大幅な増加は想定していなかったため、改めて協議が必要になるという主張をされているものでございます。  このことにつきましては、十月二十九日に両県の部長レベルで話を行いまして、私からは、負担割合については長崎県が佐賀県の特殊事情を踏まえ、応分の負担をするという考え方のもと、佐賀県一、長崎県二ということで合意されたものでありますので、改めて合意する事項ではないということを申し上げているところでございます。  長崎県とは、今後も令和四年度の上下分離方式による運行開始に向けまして、さまざまな協議を行っていくこととなりますので、これまで合意したことについては、真摯に対応していただくように実務レベルでも求めてまいります。  私からは以上でございます。 24 ◎原県民環境部長 登壇=私からは、食品ロス削減に向けました取り組みについて御答弁申し上げます。  先ほど中本議員のほうから、るる我が国の食品ロスの状況についてお話がございました。我が国の年間の食品ロス量は六百四十三万トンでございます。食料を海外からの輸入に依存しております我が国にとりましては、これは非常に大きな問題であるというふうにされておりまして、こういったことを背景にいたしまして、国民運動として食品ロスの削減を推進するために食品ロス削減推進法が制定されたわけでございます。  そして、我が国の食品ロス量六百四十三万トンの約半分近くになりますが、二百九十一万トンが家庭から出たものと推計されております。これらを減らすことが食品ロス全体の削減につながるというふうに認識をしております。  家庭から出る食品ロスの削減に効果的な取り組みを検討するに当たりましては、議員からもお話がありましたけれども、まだ食べることができる食品の廃棄の実態、これをしっかり把握することが重要であると思います。そういう意味で、発生量調査というものは非常に有効であると考えております。  発生量調査は、市町が実施するものでございまして、具体的には、あらかじめ定めました調査地域の家庭から出されたごみ袋の中から、消費期限、または賞味期限が切れ、手もつけられずに廃棄されたもの、いわゆる手つかず食品、未利用食品ですね、こういったもの、それと食べ残し、あるいは調理くず、こういったものを取り出して分類をいたしまして、その市町におけます家庭系食品ロスの発生状況を分析、推計するものでございます。  食品ロス削減推進法の中で、市町もこの削減に関しましては、地域の特性に応じた施策を策定して実施する責務があるというふうにされておりますことから、県といたしましては、市町に対して、この法が制定された背景及び市町の責務も含め、発生量調査の必要性、有効性をしっかり説明しますとともに、他県の先行市町村の事例など有用な情報を収集、提供することなどを通じ、調査が円滑に実施されるよう市町を支援していきたいというふうに考えております。  次に、食品ロス削減の取り組み体制についてでございます。  先ほど述べましたとおり、我が国におきましては大量の食品ロスが発生しております。食品ロスの削減は、県にとりましても真摯に取り組むべき課題であると思っております。  食品ロスは、生産、製造、流通、販売、消費などの各段階で、まだ食べることができる食品が廃棄されるということで発生をしているわけでございます。  例えば、製造や卸・小売業者のところで規格外品でありますとか売れ残り、こういったものが食品ロスになってしまいます。外食業者のところでは、食べ残しでありますとか仕入れ材料の使い残し、こういったものが食品ロスになってしまうというものでございます。  したがいまして、食品ロスの削減に向けましては、生産、製造、販売などの各段階に関連いたします庁内の関係部署が連携をして、しっかり取り組んでいくことが必要であると、そういうふうに考えております。  そこで、県民の暮らしに関連いたします施策を我々担当しております。県民環境部のほうが総合調整役となって、庁内の関係部署の既存の取り組みでありますとか、生産、流通、販売などのそういった各段階の事業者とのネットワークなども活用しながら、組織横断的な体制で取り組んでいきたいというふうに考えております。  次に、食品ロス削減推進計画についてでございます。  国におきましては、十一月二十五日に食品ロス削減推進会議の第一回目の会合がございました。その中で、「食品ロス削減の推進に関する基本的な方針」の骨子案が示されたところでございます。骨子案では三本の柱が明示されました。  一つ目の柱が、食品ロスを取り巻く現状と削減の意義に関します「食品ロスの削減の推進の意義及び基本的な方向」、二つ目の柱が、削減に向けて求められる役割と行動や基本的施策に関します「食品ロスの削減の推進の内容に関する事項」、三つ目の柱が、食品ロス削減推進計画の策定などに関します「その他食品ロスの削減に関する重要事項」、この三本柱となっているところでございます。  今後、この三本柱をもとに素案が作成され、パブリックコメントなどを経まして、来年三月の閣議決定を目指すとされているところでございます。  この推進計画の策定に係ります国の説明会が今後予定されているということでございますので、具体的なことにつきましてはこれからということにはなりますけれども、やはり県といたしましても、食品ロス削減というものは非常に大きな課題だと捉えておりますので、国が定める基本方針を踏まえまして、現在取り組んでいる施策も含め、実効性のある施策を盛り込んだ推進計画を県民環境部のほうで調整役となって策定していきたいと考えております。  続きまして、県内におけるフードバンクの活動の状況でございます。  食品ロス削減推進法では、フードバンク活動は、食品関連事業者等から未利用食品などまだ食べることができる食品の提供を受けて、それを貧困、災害などにより必要な食べ物を十分に入手することができない方に提供するための活動とされております。  議員御指摘のとおり、本県におきましては、ことし三月に任意団体として「フードバンクさが」が設立され、活動を始められたところでございます。  現在の活動といたしましては、食品の受け入れから円滑な食品の提供に至るまでのマニュアルの作成であるとか、関係者との意見交換会の開催、それから学習会の開催でありますとか、食品の提供を受ける側、いわゆる受益者団体の訪問という啓発活動ですね、そういったことに取り組まれているところでございまして、運営基盤の整備が少しずつ進みつつあるというふうに聞いております。  そのほか、フードバンク関係の活動でございますけれども、新聞報道でございますが、唐津赤十字病院が長崎県佐世保市のフードバンク活動団体に賞味期限が近くなった災害用の備蓄食を提供され、それが福祉施設に提供されたということがございました。  次に、フードバンク活動への支援についてでございます。  フードバンク活動は、食品ロス削減に資する取り組みでありまして、その活動が円滑に行われるためには、まずはフードバンク活動がどういうものであるかということを、県民でありますとか食品に関係する事業者の方、そういった方々に知っていただくことが大変重要だと思っております。  加えまして、フードバンクと食品を提供いただく方とのマッチング、フードバンクと食品の提供先となるところとのマッチング、例えば、これは先ほど議員は子供食堂の話をされましたけど、そういった提供先とのマッチングがうまく機能することが必要であると考えております。  そのため、フードバンク活動の理解促進と普及に向けた啓発活動が必要であると考えております。  そして、他県の成功事例でありますとか、既にフードバンク活動を広く取り組まれている方、そういった方々の意見も参考にしながら、フードバンクがしっかり機能する支援のあり方について検討していきたいと考えております。  私どものほうで「フードバンクさが」のほうにお話を伺いました。  食品を提供いただける企業や団体とのつながりを持ちたい。それによって取り扱う食品の量の確保を図りたいというようなお話でございました。  そういったことを考えますと、例えば、食品の提供事業者の開拓でありますとか提供先の紹介、そういった面での協力、支援ができるのではないかなというふうに考えております。  また、県では、CSOを指定しましたふるさと納税制度を持っております。  例えば、新たにフードバンク活動に取り組みたいとするCSOがおられましたら、この制度の要件に合致する必要はございますけれども、ふるさと納税制度を活用して活動資金が確保できるということもございますので、財政的な面での一助になるのではないかと考えております。  県内では、フードバンク活動はまだ取り組みが始まったばかりというふうな状況と私は認識しております。また、我々もフードバンク活動につきまして、正直不勉強な部分もございます。  今後、先進事例等をしっかり研究して、このフードバンク活動が県内に根づくように我々も努力してまいりたいと考えております。  私からは以上です。 25 ◎逢坂県土整備部長 登壇=私からは、大きく二項目の質問に対してお答え申し上げます。  まずは、有明海沿岸道路、大川佐賀道路の現在の整備状況と今後の見通しについてであります。  大川佐賀道路につきましては、国で事業が進められておりますが、延長約九キロの区間でありまして、そのうち諸富地区においては、早津江川にかかる橋梁の上部工ほか、仮称でありますが、諸富高架橋の工事が進められております。  令和四年度の、これも仮称ですが、諸富インターまでの供用が示されたことから、今後も引き続き着実に工事の進捗が図られていくものと考えております。  また、この諸富インターから西側の川副地区におきましては道路設計が進められて、今年度から用地買収に着手されております。  さらに、東与賀地区におきましては用地買収が進められており、また、軟弱地盤対策工法の選定のための試験盛り土が行われ、現在、工法の検討などが進められております。  このほか、事業促進を図る観点から、用地先行取得制度を活用して昨年度から県が先行して土地の取得を行っているところでございます。  有明海沿岸道路につきましては、地域間交流を促進し、産業の活性化に大きく寄与するとともに、救急搬送、災害発生時の避難、救援物資の輸送等、命をつなぐ道としての役割も期待されております。  特に、大川佐賀道路につきましては、有明海沿岸地域の各方面から九州佐賀国際空港への重要なアクセス道路でありまして、空港の機能強化の上でも早期整備が必要であると認識をしております。  このように、目に見える形で事業が展開されていくことを期待しており、そのためには整備に必要な予算の確保が重要でありますことから、県としましても国への提案活動を実施するなど、県議会や地元期成会などと協力しながら国へ働きかけていくとともに、今後も引き続き早期整備に向けて国や佐賀市と一体となって取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、大野島インターチェンジへのアクセス道路についてお答えいたします。  大野島インターチェンジは来年度供用が予定されておりまして、大詫間地区の方々が有明海沿岸道路を利用される場合には県道大詫間大川線を使われることが想定されておりますが、御要望の区間は議員御指摘のとおり福岡県内の道路でありまして、福岡県が管理を行っているところでございます。  平成二十九年十月及び昨年四月には、この区間について地元から佐賀県に対し要望があったことから、福岡県に対しましてこの要望内容をお伝えしたところでございます。  異常気象により、これまで経験したことのないような豪雨災害が全国各地で多発している状況でもあることから、防災の観点からも当該区間の道路が活用されるものと考えておりまして、今後もこうした地元の方々からの声については、福岡県へしっかりと届けていきたいというふうに考えております。  続きまして、次の質問項目であります嘉瀬川リバーサイドゴルフ場についてであります。  まず、その被災状況についてであります。  嘉瀬川リバーサイドゴルフ場は、県と佐賀市が出捐した一般財団法人嘉瀬川水辺環境整備センターによって運営されております。  このゴルフ場は、河川敷を利用して整備したゴルフ場であることから、大雨による河川の増水の際には土砂やヨシ、ごみなどが堆積するため、復旧までの間は一時的に休業を余儀なくされるような被害を受けております。  近年の集中豪雨によるゴルフ場の被害状況につきましては、特に嘉瀬川上流の北山観測所で総降水量五百八十ミリを超える記録的な大雨を観測した昨年七月の豪雨災害では、コース内に大量の土砂が堆積する、また、激しい水の流れによるコースの陥没、仮設橋の橋脚部においてヨシやごみなどの堆積、並びに取りつけ部の盛り土の崩壊、フェンスなどの管理施設の毀損などの被害が発生しました。  その後、復旧費用が多額となり、現在の受託者から支援要請があったため、一般財団法人から四百万円の支援がなされているところであります。  また、ことしの八月の佐賀豪雨におきましても、昨年と比較しますと小規模な被害にとどまったものの、昨年に続きコース全面が冠水し、流入した土砂の堆積、また、コースの陥没等が発生したというふうに聞いております。  次に、運営主体である一般財団法人の取り組みについてであります。  嘉瀬川リバーサイドゴルフ場における今年度の豪雨による被災箇所については、復旧工事は完了しているものの、現在、営業休止状態となっております。  一方で、ゴルフ場の利用者や地元住民の方々から早期の営業再開を希望する声があると聞いております。  現在の受託者からは、相次ぐ大雨によりコースが冠水すると、復旧費用に加えて利用者数が減少することによって売り上げも減少する二重の負担になっていること。復旧費用がかさんで、その負担が会社の経営に影響し始めていることなどの理由から撤退の申し入れがあっておりまして、現在、今後の対応について受託者と運営主体である一般財団法人とで協議が行われているところでございます。  一般財団法人では、現在の受託者との協議と並行しまして、現状を踏まえて、今後の嘉瀬川リバーサイドゴルフ場のあり方について慎重に検討されているというような状況でございます。
     私からは以上でございます。 26 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、SAGAアリーナの不落につきまして、四項目お答え申し上げます。  まず、原因の検証についてお答え申し上げます。  今回のアリーナ建築工事における入札不落を受けまして、県の設計価格と応札者の入札価格の比較を行いまして、大幅な乖離が見られた項目について設計内容の分析を行いました。  分析に当たっては、不落に対する対応方法につきまして、国──これは九州地方整備局でありますが──にも相談を行いまして、アドバイスを受けながら、設計を行う際に参考にいたしました資材や労務費につきまして、見積業者への再ヒアリングを行い、建設市況の再調査などを設計JVとともに実施し、積算内容を見直しました。  さらに、施工中の安全確保や工程管理に係る設計の考え方につきまして、県の想定と応札業者の想定に違いがないかなどを、先行工事である水泳場の現場状況や施工者の意見を参考にしながら、設計JVとともに検証を行い、施工方法等を見直しました。  次に、補正額の根拠についてお答え申し上げます。  今回の増額補正額六十五億円につきましては、今回のアリーナ建築工事の不落を受けまして、建設市況の再調査や施工方法の再検討などを行った上で今議会に御提案させていただいているものでございます。そのうち、アリーナ整備費につきましては六十億円としております。  アリーナ整備費の補正予算の内訳は、今後の入札にかかわりますことから、詳細をお答えすることを差し控えさせていただきたいと思いますが、概数をお答えさせていただくと、まず、鉄骨工事費の価格高騰への対応に要する費用といたしまして約七割、その他建設資材及び労務費の価格上昇への対応といたしまして約二割、さらに隣接する水泳場建築工事の現場状況を踏まえた一部の施工方法等の見直しへの対応に要する費用といたしまして約一割と積算しているところでございます。  これらに加えまして、水泳場やペデストリアンデッキなどのパークの附帯施設について、今後の建設市況の見通しを反映させるものといたしまして、五億円を今議会に御提案させていただいているものでございます。  次に、入札不落への影響についてお答え申し上げます。  SAGAサンライズパーク全体の完成目標につきましては、国スポ・全障スポ開催の約一年前である令和四年九月としておりました。  これは、国スポの開催に必要な仮設席などの工事やアリーナの開館に向けた準備、リハーサル大会のほか、工事に伴う不測の事態等への対応期間が相当期間必要であることを考慮して設定したものでございます。  今回の不落によりまして、全体の整備スケジュールに一定のおくれが生じるところでございますが、仮設席工事やアリーナ開館準備などの工程の再検討や、これまで想定いたしておりました工事に伴う不測の事態等への対応期間の見直しなどを行うことによりまして、整備のおくれへの対応を行っていきたいと考えております。  国スポ・全障スポは、SAGAサンライズパークを全国にアピールする絶好の機会と考えております。その事業効果を増幅させるためにも、適正工期の確保による工事の安全を第一としながら、本大会の開催に影響が出ないようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  また、リハーサル大会におきましても、今後、地元佐賀市や競技団体と開催時期や内容等を具体化していくことになりますけれども、開催にできるだけ影響が出ないように、さらに丁寧に調整を行ってまいりたいと考えております。  最後に、今後の対応でございます。  補正予算を可決いただいた場合には、早急に再公告、入札の実施に向けまして手続を進めてまいります。また、再入札に当たりましては、WTOの規定に基づく適正な入札期間を確保しながら、次の議会に契約議案を提案できるよう手続を進めていきたいと考えております。  アリーナの工事実施に際しましては、安全を第一としつつ、アリーナ工事と関連する水泳場やペデストリアンデッキの整備など、周辺他工事が円滑に実施できるよう調整を入念に行いまして、国スポ・全障スポの開催に影響が出ないよう整備に取り組んでまいる所存でございます。  私からは以上でございます。 27 ◎甲斐男女参画・こども局長 登壇=私からは、離婚に伴う子供の養育支援についての御質問にお答えいたします。  初めに、これまでの県の取り組みについてでございます。  県では、ひとり親家庭に対する総合的な支援拠点として、佐賀県ひとり親家庭サポートセンターを佐賀駅北館の二階に設置しております。  センターには、生活相談員を配置しておりまして、養育費や面会交流など生活一般に係る相談に応じまして、必要な助言を行うほか、さまざまな支援策の情報提供などを行っております。  また、養育費等支援事業を実施しておりまして、養育費の取り決めやその履行確保、面会交流などに関する法律問題や生活上の諸問題に対応するため、弁護士相談を行っております。  このほか、県の各保健福祉事務所に母子・父子自立支援員を配置しており、こちらでも相談に対応しているところでございます。  次に、課題についてでございます。  議員御指摘のとおり、全国や佐賀県の調査結果にもありますように、離別後の子供の養育について、養育費の取り決めをしている方の割合は低く、養育費の取得状況はさらに低い水準にとどまっていること。また、養育費を受け取っていても、その額が少額であることが課題として挙げられます。  実際の相談事例を少し申し上げますと、養育費については、離婚後に支払われていた養育費が途中から支払われなくなり、催促しても応じてくれないというケース、それから、若年の未婚のひとり親で頼れる家族もおらず出産を控えて、経済的に問題を抱えてしまうケースなどがあります。また、面会交流に関する相談事例といたしましては、離婚相手から面会交流を求められているけれども、子供の連れ去りや暴力への心配など、安全面に不安を感じて判断に迷うケースなど、ひとり親家庭の抱えている問題はさまざまございます。  こうした相談に当たりましては、一人一人の実情に応じた支援や困難事例の対応が求められておりまして、相談支援の充実強化を図る必要があると考えております。  次に、今後の取り組みについて申し上げます。  県では、御紹介がありました養育費の不払い対策など独自の試みを行っている明石市を初め、東京都や横浜市、北九州市など、養育支援に取り組む自治体や支援機関を訪問し、先進地における相談体制やノウハウなど、これまで情報収集を行っているところでございます。  今後、先進事例を参考に、本県の養育支援に活用できる取り組みを検討していきたいというふうに考えております。  また、県内のひとり親家庭等に関する実態調査を五年ごとに行っておりまして、ちょうどことしがその年であり、八月に実施をしたところでございます。この調査では、養育費や面会交流に関する質問項目を設けて詳しく聞いております。  具体的な質問項目としましては、養育費については、養育費の取り組めの有無や金額、取り決め方法、取り決めをしていない場合の理由、現在の養育費の受け取り状況や金額、議員からもお話のありました離婚届の様式に、養育費のチェック欄があるということを知っているかどうかといったこと。  面会交流につきましては、その取り決めの有無や取り決め方法、取り決めをしていない理由、実際に面会交流を実施しているかどうか、実施をしていない場合の理由、同じように離婚届の様式にチェック欄があることを認識しているかどうか、これらについて尋ねているところでございます。  現在、調査結果の集計、検証作業を行っておりまして、今年度内には調査結果報告書を作成する予定でございます。  この調査結果で明らかになったひとり親家庭の実態を踏まえ、来年度は「佐賀県ひとり親家庭等自立支援計画」の見直しを予定しておりまして、次期計画に反映できるよう検討してまいりたいと考えております。  子供にとってかけがえのない存在である父母の離婚は、とても大きな出来事です。たとえ離れて暮らすことになったとしても、親と子供の関係は大切であり、親にとっても子供はかけがえのない存在であるというふうに思います。子供たちが、この大きな出来事を乗り越えて健やかに成長していけるよう、県として支援に努めてまいりたいと思います。  私からは以上でございます。 28 ◎中本正一君 登壇=まず、大野島インターチェンジへのアクセス道路にいてでありますが、要望を福岡県に伝えていきたいということであります。行政としては、他県の業務でもあり、こうした答弁ぐらいしかできないのかなと思いつつも、やはり今回の要望につきましては、令和二年度にいわゆる大野島インターチェンジ、これはフルインターチェンジとして開通するわけであります。逆に言うと、ここのタイミングを逃しますと、永遠にこのアクセス道路というのはできないんではないかと、そういう危機感を持って今、大野島、そして大詫間の地域の皆さんは一生懸命要望活動に汗をかかれている。  そうしたことから、佐賀県におきましても、福岡県へこの思いを伝えていくということでありますけれども、スピード感を持った対応、できれば一歩踏み込んで福岡県への働きかけといったものを強くぜひ求めておきたいというふうに思います。  再質問は一点だけでございます。九州新幹線西九州ルートについてでございます。  私の質問の中で引用いたしました、関係者との協議の場は多数決で物事を決める場ではなく、同意できることを積み上げていく場だと思うと、この言葉に対しまして、知事は強く共感をいただき、佐賀県はまさにそうやって同意を行い、そして、その同意をしっかり誠実に守ってきたと、こういうことを伝えていただきました。  ところが、三者合意、また六者合意にいたしましても、この合意したことが、いわゆるフリーゲージの断念という、これは国の責任でできなくなったということでございます。  したがって、ここから新しい合意をどう積み上げていくか、そのための協議の場ということを今求められていると、こういうふうに認識をしております。  したがって、この協議の場においても佐賀県は真摯に向き合っていただいて、そこからしっかり議論を積み上げ合意をしていくということが大事ではないかと。この関係者との協議につきましては、国交省からの協議の進め方を確認する必要があると、このように述べられております。ということは、国交省からの協議の進め方の中で、知事が指摘される五択の協議といったものをしっかりできる環境にあるということであれば、この協議の場に参加する用意があるということでよいのか確認させていただきます。  以上、再質問とさせていただきます。 29 ◎山口知事 登壇=中本議員の再質問にお答えします。  私には、九州新幹線西九州ルートにつきまして、これからの協議についてのお尋ねでございました。  改めて申し上げますけれども、私は与党PTの問いかけに三回応じて、ここでいろいろ議論されているようなことについて、佐賀県の実情について御説明申し上げたところです。  それについて与党PTが何かまとめるときに、まずそれに対する何らかの反応があると私は思っていたわけなんですけど、一切それについての、私が三回出席して主張したことについて、何らのはね返しが、コメントがなかったということに極めて僕は不誠実だと思っています。そして、その中でしかもフル規格が適当という結論になりまして、それを受けて国交省が我々と今交渉しているということなので、私は何度も申し上げているように、議論をするということには全くやぶさかではないわけですけれども、そのフル規格というものが前提とした議論ということであれば、そこに私がのった瞬間に佐賀県がフル規格に同意ということで次の手続がとられてしまうのではないかというおそれすら持っているわけなんです。  ですので、そこについてどういう協議の場なんですかと。五択と申し上げたのは、合意した三つも含めて、その二つも、特にこの残りの二つにつきましては、フル、ミニについては根っこからって、きょう留守議員に申し上げましたけれども、ここについては議論が全く定かではないので、ということも含めてわかりやすい言葉で五択と説明させていただいたわけでありまして、そういったことがしっかり担保できてということがあれば、私は協議に応じることについてはやぶさかではございません。  以上でございます。 30 ◎副議長(大場芳博君) 暫時休憩します。     午後三時二十八分 休憩 令和元年十二月四日(水) 午後四時  開議  出席議員    三十六名     二番  古 賀 和 浩     一六番  川 崎 常 博     三〇番  中 倉 政 義     三番  弘 川 貴 紀     一七番  定 松 一 生     三一番  石 井 秀 夫     四番  下 田   寛     一八番  八 谷 克 幸     三二番  留 守 茂 幸     五番  古 川 裕 紀     一九番  江 口 善 紀     三四番  木 原 奉 文     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  藤 木 卓一郎     七番  冨 田 幸 樹     二一番  向 門 慶 人     三六番  石 倉 秀 郷     八番  井 上 祐 輔     二二番  坂 口 祐 樹     三七番  桃 崎 峰 人     九番  木 村 雄 一     二三番  宮 原 真 一     三八番  土 井 敏 行    一〇番  中 本 正 一     二四番  原 田 寿 雄    一一番  野 田 勝 人     二五番  岡 口 重 文    一二番  西久保 弘 克     二六番  大 場 芳 博    一三番  池 田 正 恭     二七番  武 藤 明 美    一四番  井 上 常 憲     二八番  稲 富 正 敏    一五番  古 賀 陽 三     二九番  徳 光 清 孝 欠席議員    二名     一番  一ノ瀬 裕 子    三三番  石 丸   博 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   大川内   直  人          総  務  部  長   進     龍太郎          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       川久保   三起子          産業労働部長       澤  田  斉  司          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       逢  坂  謙  志          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会 計 管 理 者    尊  田  重  信          警 察 本 部 長    杉  内  由美子          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員
             議会事務局長       脇  山  行  人          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       島  内  直  樹          議 事 課 参 事    篠  田  博  幸          総務課副課長       川  崎  和  博          政務調査課副課長     金  武  隆  守          議事課議事担当主査    池  田  陽  介     ○ 開     議 31 ◎議長(桃崎峰人君) これより会議を開きます。  休憩前に引き続き一般質問を行います。 32 ◎土井敏行君(拍手)登壇=自由民主党の土井敏行でございます。議長に登壇の許可を得ましたので、通告に従い、順次、一般質問を行います。  けさ、JR長崎本線肥前鹿島駅八時二十六分発、上り博多行き「かもめ六号」で鹿島を立ち、佐賀駅に八時四十四分におり立ちました。肥前鹿島駅では、多くの市民の笑顔に触れ、そして励まされ、背中を押されてきました。  肥前鹿島駅の一日の平均乗降客数は一千二百十人であります。年間四十四万一千六百五十人が利用する駅であります。ちなみに、今回問題になっております上下分離区間、その佐賀県区間でありますが、肥前山口駅─諫早駅間の中で、肥前白石駅から肥前竜王駅、肥前鹿島駅、肥前浜駅、肥前七浦駅、肥前飯田駅、多良駅、肥前大浦駅、この八駅の利用客数は、一日平均二千八百四十六人、年間百三万八千七百九十人が利用します。この百万人の利用者の声を代弁して、きょうは質問をいたします。  一項目めは、九州新幹線西九州ルートについての質問であります。  先月実施された佐賀新聞社の県民意識調査では、新鳥栖─武雄温泉間の新幹線整備は求めていない。フル規格前提の協議には応じないとする知事の姿勢を約七割の県民が評価しているという結果でありました。私も肌感覚でそのくらいは行っているんではないかと、県民の皆さんと接して思っております。むしろ、上下分離区間の地域にあっては八割以上ではないかというふうな気さえしております。  もともと平成三年に、当時の井本知事が新幹線長崎ルートの整備について短縮ルート案を提起されたとき、従来の、国が全て開発整備する新幹線から地元負担の必要な方式に変わったので、その負担は佐賀県としては無理だと、佐賀県としては負担軽減のため、県内区間を在来線を利用すると言われたのです。その方針はずっと変わっていないと思います。  当時、私は議員ではありませんでした。一民間人として、武雄市で開かれた青年会議所の会長公式訪問の例会のときの井本知事の講演でありました。たしか、佐賀ブロック協議会の会長公式訪問例会だったと思います。並行在来線の問題もこういう問題が出てくると、そのとき提起をされました。  それを受けて、青年会議所は佐賀ブロック協議会、また九州地区協議会で経営分離反対の決議をその一カ月以内にやったところであります。自来、我々の地域はこの問題にいやが応でも取り組まなければならなくなりました。  時の経過の中で、平成十五年、私が県議会議員に議席を得て、県下を二分する激しい議論が行われましたが、スーパー特急の費用対効果が一・〇六九と、一・一を割るというふうなことであることから、フリーゲージトレインに将来的には切りかえるということで、乗りかえなしで山陽新幹線に直接入ることができるフリーゲージトレインの方式にこの方式が変わってきました。そのフリーゲージトレインを大前提に、県のぎりぎりの選択、意思決定がなされたのであります。フリーゲージトレインの開発ができないから、もともとできないと言っていたフル規格での整備をと言われるのは筋違いもいいところであります。迷惑を受けているのは我々本県、佐賀県であります。  これまでの合意にないフル規格やミニ新幹線について議論するのであれば、佐賀県の将来に極めて大きな影響が生じるものであり、しっかり時間をかけて取り組んでほしいと考えているところであります。  九州新幹線西九州ルートの整備に伴い、長崎本線の肥前山口─諫早間については、平成十九年の三者基本合意において、経営分離せず、線路等の設備を佐賀県、長崎県に譲渡し、JR九州が運行を維持する、いわゆる上下分離方式により運行することとされました。令和四年度からの上下分離方式による運行開始に向けて、現在、長崎県やJR九州と協議を行っていると聞いています。  昨日でしたか、佐賀新聞にこの一部が紹介され、県民の大きな関心を呼んでいます。平成十六年当時、西九州ルートの条件が整わなければ財源が他の路線に充てられるという状況のもと、当時の古川知事が、長崎本線の経営分離はやむを得ないとの判断を表明した際、太良、鹿島を影にはしないと、新幹線が通ることで光と影ができないようにすると。これからは合力していくと言葉をいただきました。合力──力を合わせるということです。その後、経営分離から上下分離へと変更されたものの、地域住民の利便性の確保を第一に考えなければならないことに変わりはありません。  今般の長崎本線の上下分離の協議の中で、JR九州が佐賀方面への直通列車の運行は困難としていますが、このことは利便性を確保するという約束をほごにするようなゆゆしき問題で、全く許しがたいことであります。  もともと、この区間、新幹線と競合する特急は大幅に本数を削減し、当時約五十本が十本に減便ということになりました。鹿島どまり、鹿島始発、それから先は行かない。長崎まで行けば新幹線と競合するからです。  コスト削減のため非電化、いわゆるディーゼルとするということでした。ただし、普通列車は従来どおり運行すると説明してきたというふうに思います。  この当時からディーゼルというふうに決まっていたわけですから、ディーゼルは足が遅いから肥前山口から先に入れないと、そんなことはわかっていたことではないですか。我々は、このJR九州の説明に怒りさえ感じます。  特急の減便は知事の御尽力によって、十本が三年間十四本となりました。大変ありがたく思っています。当時、この特急の利便性低下は、単線区間の普通電車の特急の待ち合わせがなくなるので、普通電車のスピードが早くなって、肥前山口までは今までより早く行けるという説明がありました。また、肥前山口駅に行けば、フリーゲージトレインが同じホームでドアをあけて待っているという説明をされました。そのフリーゲージトレインは一体どこにいったんですか、いなくなりました。上下分離区間の沿線住民にしてみれば、全く納得がいかない今回の経緯であります。JR九州は、みずからの利益ばかり考え、地域の利用者のことを考えていないように思います。  これまでの西九州ルートの整備をめぐっても、国から提案され、佐賀県が整備に合意するきっかけともなったフリーゲージトレインについては、技術上の問題ばかりでなく、JR九州のコストの問題などで導入が断念されました。  このフリーゲージトレインについても、当時の議論の中で、我々はいろんなところへ視察にも行きました。フリーゲージトレインの先進地はスペインであります。スペインへも行きました。スペインの技術者からも話を聞きました。そのとき、スペインの技術者はこう言われたんです。「日本のフリーゲージトレインは難しいよ」と言われたんです。私は「なぜですか」と聞きました。それは、大は小を兼ねるではないですが、スペインはもともと広軌といってレールの幅が広いんです。列車が大きいんです。大きいのを狭くするのは、そう難しくないと言われました。いろんな装置はつけられる。  日本の鉄道は狭軌で、狭いのを世界の標準軌に広げるのは、小さい列車にたくさんの装置をつけるので難しいということを、当時のスペインの技術者は言われたんです。振動の問題も出てきますよという話でありました。  そこで私は、帰ってから、当時の国のほうへそれと全く同じ質問をしました。当時の国の答えは、日本の技術力で解決をしますということでありました。  この間、国土交通省の鉄道局次長が見えられまして、同じことをお話ししましたら、スペイン方式は途中で断念をして日本独自の方式に変えたという答えでありました。それでも結局、解決はできなかったんです。我々は、このフリーゲージトレインについても、こういうぐあいで極めて不信感を持っております。  六者合意で約束されていた佐世保線の肥前山口駅─武雄温泉駅間の全線複線化についても、国は約束を守ろうとせず、最近では、佐賀県と長崎県で合意している上下分離後の維持管理経費の負担割合について、長崎県がこれまでの合意と異なる主張をしています。皆さん御案内のとおりです。  昨日の長崎県議会で、長崎県知事の答弁にもありました。新しい合意という不合理には、けさ知事も触れられたとおりであります。県を二分する議論を経て、これまで積み重ねてきた約束がことごとくほごにされているではないかと危惧をしているところであります。  また一方で、西九州ルートや長崎自動車道のルートから外れた長崎本線沿線の県南西部地域の発展には、佐賀、福岡方面との地域間交流が重要であり、長崎本線の特急を初め、有明海沿岸道路や国道四百九十八号など、高速交通ネットワークの維持や整備が望まれています。高速交通体系のアクセスが悪い上に、さらに特急の減便が拍車をかけるのです。  現在、肥前鹿島駅に一日約五十本停車している特急は、福岡方面への通勤客を初め、福岡方面からのビジネス客、近年増加している外国人観光客など、地域間の交流にとって重要な交通インフラであります。しかしながら、上下分離後の特急停車は大幅な減便となり、地元への影響ははかり知れないものがあります。  最近、マスコミで、日本で一番タイ人が立ち寄る町として祐徳稲荷神社のある鹿島市が紹介をされておりました。このタイ人の皆さんは、ほとんど福岡空港へ見えられます。そして、福岡空港から博多駅へ。博多駅からは大概、JRの特急で肥前鹿島駅へ来られ、肥前鹿島駅から祐徳バスや再耕庵タクシーで祐徳稲荷神社へ向かわれ、酒蔵通りへ向かわれて、周遊をされております。地域の経済にとっても大きな打撃となるのではないかと、みんな心配をしているところであります。  また、けさの肥前鹿島駅で私が会った方は、佐賀市に通勤をしておられました。特急が不便になれば、自分の住まいを、次につくるときは鹿島ではなく、佐賀市に電車で直接行けるところに考え直さなければいけないというふうなことまで言われたんです。だから、ぜひ頑張ってきてくれというふうに私は言われて背中を押されました。地域にとって、これはまことにゆゆしき問題であります。  上下分離に向けた協議に当たっては、佐賀方面への直通運行や肥前山口駅での特急との接続など、これまでのサービスレベルを維持するようJR九州に対して強く求めていくべきであることは、言うまでもないと思います。これは、約束だったんですよ。県はこのことを強く訴えていただきたいというふうに思います。  また、肥前浜駅は、平成三十年三月に県の御尽力で改築をいただき、地元も大変喜んでいます。  一方、肥前鹿島駅は、ホームは改築されたものの、駅舎の改築には至っていません。地元においては、商工団体が肥前鹿島駅周辺の整備について提言書を鹿島市へ提出するなど、上下分離後の地域の振興を見据えた動きが芽生えております。県とも連携して進めてほしいと考えているところであります。  このような状況の中、次の点についてお伺いしたいと思います。  一点目は、長崎本線の上下分離にかかわる協議の状況についてであります。  長崎本線の上下分離方式による運行開始に向けた協議が今なされていると思いますが、その内容について説明をお願いします。  二点目は、長崎本線の上下分離後の利便性確保等についてであります。  県は、上下分離後の長崎本線の利便性確保や沿線地域の振興についてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをします。  三点目は、今後の西九州ルートの議論の進め方についてであります。  新鳥栖─武雄温泉間のフル規格化を望む長崎県やJR九州は、佐賀県に対して長期的視点に立ってとか、西九州全体の発展を考えてなどと言っております。  長崎本線沿線地域も西九州の重要な地域であるにもかかわらず、上下分離にかかわる協議において、この地域の発展に不可欠な住民の利便性や地域間交流の視点がなおざりにされている状況にあります。  長崎県やJR九州がこれまでの約束を守ろうとしない姿勢には強い憤りを覚えますが、知事は、今後の西九州ルートの議論の進め方についてどのように考えておられるのかお伺いをします。  きょう中曽根康弘元首相のお話が出ました。中曽根康弘元首相がお亡くなりになられまして、御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思いますが、私が県会議員になった一期目に実は東京でお会いする機会がありまして、お話をする機会を得ました。  そのときに、私が佐賀県鹿島から参りましたというふうに申し上げましたら、中曽根元首相は、愛野興一郎先生の御子息はお元気かというふうに言われたんです。私が愛野時興さんのことですかというふうに申し上げましたら、時興という名前は僕がつけたんだよと言われました。  それと、立て続けに織田五二七先生はお元気かと言われました。織田五二七先生というのは、鹿島鍋島藩の御典医であった織田病院の家系で、織田五二七先生とは海軍時代に戦友だったというふうに言われました。同じ軍艦に乗っていた。織田先生は軍医であったというお話を聞きました。  そういった御縁を大変大切にされている政治家だなというふうに思いました。そして、その中でもちろん中曽根先生の大局的な、あるいは歴史的な立ち位置、視点というか、そういったものを強く感じました。そのときに、中曽根先生から政治には二つの目が必要だということを言われました。  一つは大局観、歴史を見るような鳥の目、もう一つは地をはうような虫の目が要る。この二つの目、両方の目が必要なんだということを言われました。  この西九州ルートの議論の進め方についても、しっかりとした二つの目で議論を進めていかれることが必要ではないかというふうに思います。知事の明快な答弁を求めます。  次に、問いの一でも述べましたインバウンドの対応について質問します。二項目めは、インバウンド誘致の取り組みについてであります。  日韓関係の悪化に伴い、県内の韓国人宿泊客数が八月は七一%減、九月は八九%減と二カ月続けて大幅な減少となり、その影響が鮮明となっています。  今まで韓国と継続してきた民間や行政の相互交流も中止となるなど日韓関係に改善の兆しが出てくるかは見通せず、長期化すれば、本県観光業に一層深刻な影響が出てくるのではないかと危惧をしているところであります。  私は、鹿島ガタリンピックを通して長年おつき合いをしてきた大韓民国全羅南道高興郡、佐賀県議会とも交流がございますが、そこの役所からことし連絡があって、来年のいわゆる交流には来れそうにないということと、我々は向こうに訪問していたんですが、訪問を受け入れることはできないというお断りの連絡をいただきました。大変悲しいことであります。  しかし、長年の友情でおつき合いをしていた民間の韓国の方々からは、自分たちはぜひ行きたい、交流を継続したいという意思を聞きました。今後に期待するとともに、一日も早い再開を望んでいるところであります。  経済的な面でも、議会の視察で武雄の旅館等へ行ったり、嬉野の旅館の方からお話を聞きましたが、この韓国のお客様の予約が大きく減って、大変な打撃を受けているというお話も聞きました。  また、鹿島市内の祐徳稲荷神社に行く韓国の団体のお客様が鹿島市内で昼食を食べておられますが、ある割烹ですが、そこでは月に五百食ぐらいが一遍に消えてしまったというふうなことも聞いております。影響の大きさを肌身に感じているところであります。  県では、このような情勢の変化にも動じないインバウンド拠点となるための誘客先の多角化、マルチインバウンドを進めていると聞いています。九月補正予算で「東アジア等誘客拡大・強化事業」に取り組んでいると聞きます。  そこで、次の点についてお伺いをします。  一点目は、佐賀県内の宿泊客数についてであります。  日本人と外国人を含めた佐賀県内の宿泊客の動向はどのようになっているのか。また、県はそれをどのように受けとめているのかお伺いします。  二点目は、韓国人観光客の現状についてであります。  韓国人宿泊観光客の現状と今後の誘致見込みについて、県はどう認識し、どのように対応していくのかお伺いします。  三点目は、インバウンドの取り組みと今後の方針についてであります。  県は、誘致先の多角化を進めるとしておられますが、地域に実際に観光客が訪れることが必要だというふうに考えます。  具体的に成果が出るように、現在どのように取り組みを行っているのか。また、今後どのような方針で取り組んでいかれるのかお伺いをします。  問いの三に移ります。問いの三は、問いの二でインバウンドのことについてお話をしましたが、このインバウンドの集客の魅力向上にもつながる日本の農産物の海外への輸出促進についての質問であります。  農林水産省では、農林水産業の成長産業化を目指すため、平成二十五年度に農林水産物・食品の輸出戦略を策定し、輸出額一兆円を目標に輸出を推進されてきたところであります。  この結果、平成二十四年に約四千五百億円だった輸出額は平成三十年には九千六十八億円と倍増するなど、品質の高い日本産の牛肉や果実などが海外で評価をされ、輸出は順調に増加をしています。  本県においても、国内屈指のブランド牛である「佐賀牛」やイチゴ、ミカンなどの農産物を初め、佐賀酒など高品質ですぐれた県産品が数多くあり、将来にわたって国内市場の縮小が見込まれる中、本県産業の持続的な発展を図るためには海外に有望な販路を開拓していくことが重要であると考えます。  そのような中、今、政情不安で世界から注目されている香港ではありますが、その中国輸出の窓口であることに変わりはありません。  香港代表事務所は、開設当初からJAなどの関係団体等と連携した県産品の輸出促進などに積極的に取り組んできたところであります。  来年度の体制切りかえに伴い、事業者からはこれまでのような輸出支援を受けられなくなるのではないかという不安の声を聞いています。現に県内の酒蔵で香港にお酒を輸出するために行っておられる方は、香港事務所に随分お世話になっておられるようであります。  また、海外では日本産を模倣した牛肉や果物などが見られるようになっており、日本産ブランドの保護が重要な課題となっています。  このため国では、国内外でブランド保護などを目的に、平成二十七年に地理的表示保護制度、ジオグラフィカル・インディケーション、GI制度といいますけれども、導入されたところであります。  今後、このGI制度が普及することで国産農産物等のブランドが保護されるものと期待をしているところであります。  県はこれまで、「さが県産品流通デザイン公社」やJAなどの関係団体と連携し、輸出促進に取り組んでおられましたが、今後さらに輸出をふやしていくためには、GI登録などを含め、海外でのブランド価値向上や保護を行いながら、輸出促進に取り組むことが大変重要だと考えます。  そこで、次の点についてお伺いします。  一点目は、県産農産物等の輸出量の推移と目標についてであります。  県産農産物等のこれまでの輸出量の推移と今後の目標はどうなっているのかお伺いします。  二点目は、香港エリア、東南アジアにおける輸出支援体制の強化についてお伺いします。  香港代表事務所の機能を「さが県産品流通デザイン公社」に引き継ぐことにより、輸出支援体制を強化するという説明を受けておりますが、新たな体制ではどのような輸出支援ができるようになるのかお伺いをします。  三点目は、県産農産物等の海外でのブランド化についてであります。  県では、GI登録などを含め、県産農産物等の海外でのブランド化に今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いします。  ちなみに平成二十七年六月、このGI制度開始からこれまでに三十八都道府県の八十五産品、また、外国のイタリアのものもありますので、一産品、合計八十六産品がGI登録をされています。  九州からは福岡県、長崎県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県から十四品目が登録をされています。佐賀県だけがありません。残念であります。  これにはいろいろ理由はあると思いますが、しっかりと国が進めているこのGI登録なども含めて、ブランド化に取り組んでいただきたいと思っているところであります。  次に、問いの四項目めは、県育成の中晩柑「佐賀果試三十五号」の振興についてであります。おいしいミカンの話であります。  問いの三の農産物の中でも取り上げてきました高品質のミカン、これから有望な品種ではないかというふうに思っています。  本県の農業をめぐる情勢は、生産農家の高齢化や担い手の減少、生産資材費の高どまりなどにより産地が縮小傾向にあるなど、大変厳しい状況にあると認識をしています。  特に中山間地域の主要な品目である本県の果樹については、例えば、露地ミカンのデータを見ると、昭和五十年には栽培面積が約一万五千ヘクタール、生産量が約三十六万トンであったものが、その後の価格低迷による需給調整や担い手の高齢化などにより減少傾向に転じ、近年では栽培面積二千ヘクタール、生産量は四万トン前後で推移するなど産地が大幅に縮小している状況にあります。
     私の地元でも、半世紀前に国営多良岳パイロット事業を活用して広大なミカン園が整備されたものの、こうした厳しい状況を受けて、最近では生産面積が大幅に減少するとともに荒廃園が増加をしています。  この中にはミカン栽培に適した樹園地も含まれており、このような優良な樹園地が次世代に引き継がれず、荒廃園になっていることを大変残念に思っているところであります。  一方で、近年、全国的にミカンの生産量が減少し、需給バランスの適正化が図られてきたこと、また、県内に目を移しますと、マルチ栽培の普及や優良品種への改植などによって高品質なミカンがふえてきたことから、ここ数年はキログラム当たり二百円以上の価格で販売されるなど明るい兆しも見られているようであります。  ミカン産地の再興を図るためには、優良品種への改植や高品質果実の生産技術の導入などによって、これまで以上に他県産と差別化が図られ、消費者に選んでいただける品質の高いミカンの生産拡大に取り組んでいくことが重要であると考えます。  こうした中、県の果樹試験場で育成された中晩かんの品種であります佐賀果試三十五号については、糖と酸のバランスがよく、収量性や貯蔵性が高いなど、農業経営の導入により、農家所得の向上に大きく寄与するとともに、荒廃園対策につながるものであると大変期待をしているところであります。  私の地元の若い農家からも、いい品種なので、早く県内に広めてほしい。また、現在、ハウス栽培のみの取り組みになっておりますので、露地栽培で取り組めないかという声が出されております。早期の普及や生産の拡大が望まれています。  本県果樹産地の持続的な発展を図っていくためには、こうした佐賀果試三十五号のような優良な品種を県内に一刻も早く普及させ、他県産との差別化などにより、有利販売に結びつけていくことが重要と考えます。  県では、佐賀果試三十五号の生産拡大や有利販売に向け、これまでどのように取り組んできたのか。また、今後どのように取り組んでいくのか、農林水産部長にお伺いをします。  最後、問いの五、五項目めは県内外国人住民への対応についての質問であります。  グローバル化の中でインバウンドや輸出に関して質問をしてきましたけれども、問いの五は、最近目立ってふえてきた外国人住民についての質問です。  県内の外国人住民につきましては、私は平成三十年六月議会に続き、平成三十一年二月議会の一般質問で質問させていただきました。その後、国においては改正入管法の施行などにより、新たな在留資格として特定技能が創設されるなど、外国人材の受け入れ、共生のための取り組みが進んできています。予想したとおりでありますが、県内においては外国人住民の方は年々増加しております。最新のデータによりますと、県全体で六千三百三十八名となり、国別ではベトナム人が千七百四十三人と、全体の二七・五%を占めています。また、在留資格別では、技能実習生が二千五百九十人と、約四〇%を占めています。  実際、県内の中小企業経営者の中には、技能実習生や外国人労働者の雇用をふやしている企業もあると聞きます。また、県内のコンビニエンスストアでも、外国人店員が働いている姿を目にする機会もふえました。県内でも外国人住民が増加していることを肌で感じることが多くなったと思います。私の周りの経営者や、あるいは農業者の方で外国人を採用したという人がふえてきました。  このような社会状況の変化の中にあって、私は日本人と外国人がともに暮らしやすい社会を実現するためには、日本人と外国人がお互いの文化や考え方を尊重し、理解する気持ちが重要だと感じています。佐賀県に来ていただいたからには地域に溶け込んで生活をしていただき、佐賀県を好きになって母国に帰ってもらいたいと。そうなることで、結果的には地域の活性化と発展につながるというふうに思うんです。また、ひいてはこのことが世界の平和にもつながるというふうに思います。  そのためには、不安を抱える外国人住民からはもちろん、企業や地域など、受け入れ側からの相談にも丁寧に対応していくこと、また、県内市町との連携が重要になると考えられるところであります。  県では、今年度、外国人の就職に関する相談や生活に関する相談機能強化等に取り組まれていると聞いておりますが、そこでこのことについてお伺いしたいと思います。  一点目は、外国人に関する総合的な相談窓口についてであります。  県では、ことし十月に外国人に関する相談窓口の機能を強化した「さが多文化共生センター」をスタートされておりますが、その目的、取り組み内容、主な相談内容の状況はどのようになっているのか、地域交流部長にお伺いします。  二点目は、外国人に関する就労相談窓口についてであります。  県では、ことし六月に外国人の就労に関する相談窓口の機能を強化されていますが、その目的、取り組み内容、主な相談内容の状況はどのようになっているのかお伺いをします。  三点目は、多文化共生社会の実現についてであります。  多文化共生社会の実現に向けては、県民の理解を深めることを含め、さまざまな取り組みが必要でありますが、県ではどのように取り組んでいかれるのか、地域交流部長にお伺いをします。  私は、昭和五十五年に東京から佐賀県鹿島に帰ってきました。そのときにそれまで知らなかった新しいことに非常に衝撃を受けました。当時、青年会議所のブロックの会員大会が有田であって、その有田で佐賀県の企画室長さんが佐賀県の将来像、未来像について、総合計画の説明をされました。そのとき初めて佐賀県に長崎自動車道の高速道路が横断する、真ん中に一本通る。そして新幹線が通ると。鹿島南西部地域には新幹線も高速道路も通らないと。バラ色の佐賀県の話をいろいろされました。この高速道路と魚の骨のようにずっとつないでいくんですと、県内を。ところが、ずっと話は出てきましたが、鹿島の話、太良の話は一つも出てきませんでした。  私は手を挙げて質問をしました。バラ色の佐賀県の話を聞きましたが、鹿島とか太良とか南西部はどうなっているんですかと。当時の答えは、本当に正直に答えられたと思いますが、多良岳国営パイロット事業が今終わりを迎えて、これからどういうふうにこの地域を開発していくか我々も考えているので、一緒に考えてくださいと言われたんです。みんな真っ青になりました。  そこから何とかしなければいけないという思いから始めたのが、実は鹿島ガタリンピックでした。そのガタリンピックを始めた中で、オリンピックと言いながら、最初は外国人なんかいなかったんですね。当時は鹿島市に外国人というのはカトリック幼稚園の教会の牧師さんぐらいでしたので、ほかに見かけませんでした。  外国人を連れてこいと言われて、先輩にお伺いをして、当時の佐賀の地球市民の会の古賀武夫さんに相談に行きました。古賀武夫さんから、いや、心配せんでいいと、外国人は幾らでもおると言われました。幾らでも連れてきてやると。ただ、土井さん、外国人はガタリンピックというイベントに利用するだけじゃだめですよと言われて、じゃどうすればいいですかと言ったら、心と心の交流をしなさいと。利用するだけじゃだめです。これは全てに言えますと。じゃ具体的にどうすればいいですかというふうにお伺いしましたら、ホームステイをして日本の文化と触れ合うようにしてくださいというふうに言われたんです。そこで、たくさんの外国人がガタリンピックに参加するようになりました。それが今、三十五回まで続いてきています。  つい先月の話ですけれども、鹿島市にあるケーキ屋さんに行ったときに外国人がいらっしゃいました。店主が飛び出てきて、土井さん、この人を覚えていますかと、全然覚えていませんでしたが、三十年前にガタリンピックでうちにホームステイをして泊まったマレーシアの人ですよという話だったんです。わざわざ家族で訪ねてきていただいていました。私はそれを見て大変うれしく思って、多文化共生社会というのは夢ではないと。しっかりとこうやって積み重ねをしていくことでできるんではないかというふうに思いました。そういった心と心の交流、そういったことが重要ではないかと思います。  県の取り組みについて、地域交流部長にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手) 33 ◎山口知事 登壇=土井敏行議員の御質問にお答えします。  土井県議から、鹿島から二十分ばかりで佐賀駅まで直行で来られたという話がありました。私もせんだっての日曜日に妻と新鳥栖の駅で晩御飯を食べようということで、佐賀駅から乗ります。特急が来ても普通列車が来てもどちらでもいいわけで、たまたま特急が来たので十三分、御飯を食べて帰りの新鳥栖から戻るときも、時間なんか見ずしてたまたま特急が出ていったので、次に来たのが肥前大浦行きでした。これで二十二、三分でしたでしょうか、ほぼ座席も埋まっていて、いろんな方からも声をかけられて、非常に在来線はとても大事だし、便利だな、たまたま来た列車に乗れるなんて、ある部分、山手線か中央線みたいだなと私は思いましたけれども、そういう在来線を大事にしていく。特に東部地域の各駅一つ一つを都市近郊駅として大切にしていく、盛り上げていくということが大事だなということを改めて感じることができました。  さて、長崎本線の上下分離後の利便性確保等についてお答え申し上げます。  私は、我々は西九州ルートの整備に翻弄され続けてまいりました県南西部の皆様のお気持ちや葛藤を忘れてはならないというふうに思います。  長崎本線肥前山口─諫早間につきましては、平成八年にJR九州が並行在来線として経営分離を表明し、JR九州による長崎本線の存続を求める沿線地域の皆さんとの間で激しい議論が行われたと承知しています。  そうした中、平成十六年に当時の古川知事が、長崎ルートの「整備に向けた財源確保のため、並行在来線のJR九州からの経営分離については、佐賀県としては基本的にはやむを得ない」、「佐賀県としては、沿線自治体の同意を得るべく引き続き誠意を持って協議を進めていきたい」という判断を行ったというふうに承知しています。  そして、平成十九年に佐賀県、長崎県、JR九州の三者で、肥前山口─諫早間を上下分離方式により開業後二十年間JR九州が運行を維持することなどが合意され、これを受けて、西九州ルートの着工に至ったものであります。  その中で、長崎県が上下分離後の維持管理経費の負担割合について、これまでの合意と異なる主張をされております。そして、JR九州が鹿島・多良方面から佐賀方面への普通列車の直通運行は難しいとされています。  佐賀県としては、長崎県に対してこれまでの合意を守り、真摯に対応していただくように、そしてJR九州に対しては、地域や利用者の視点から、より一層の利便性確保に取り組んでいただくように強く求めていきたいと思います。  そして、令和四年度には暫定開業、開業があるわけですけれども、全ての列車が停車いたします武雄ですとか、駅が新設されます嬉野にとっては大きなチャンスだと思います。全く今そういう雰囲気ありませんけれども、県も多額の経費を使ってこの地域を支援しようとしているわけなので、ぜひチャンスを生かそうという雰囲気を盛り上げていただきたいと思いますし、その中で鹿島、太良との広域的な観光ルート、国道四九八の話もいただきましたけれども、そういったことのあり方も含めて、ぜひ支援してまいりたい、チャンスを生かしていきたいというふうに思っています。  大変つらい思いや地域の将来への不安を感じながらも、お話のあったガタリンピック、そして最近では大いに人が集まってくる酒蔵ツーリズムなど、将来に向けて地域資源を生かした創意工夫による取り組みが続けられています。我々もずっとこれを応援していきたいというふうに思います。  そして、上下分離される有明海沿岸の鉄道ですけれども、もちろん高速交通網も大事かもしれません。もう一つの観点として、これから私は、やがて来る世界はスローライフだったり、もっと人間らしい営みや暮らしが世界的に大切にされる時代がやってくると思います。そういう視点も、むしろこの県南西部には力を入れて、そういうような光輝く地域をつくっていこうとする地元の皆さん方と県は強烈にタイアップして、新しい未来をつくっていくような魅力あるものとなるように、全力で取り組んでいきたいというふうに思っています。  続きまして、今後の西九州ルートの議論の進め方についてお尋ねがございました。  将来の新鳥栖─武雄温泉間のあり方については、再三申し上げているとおり、さまざまな可能性を議論することは閉ざしておりません。期限を定めて一方的に結論を押しつけるような議論の進め方でなければ、協議すること自体も否定するものではありません。  西九州ルートの整備は、これまで関係者でさまざまな合意をつくりながら、積み上げながら前に進めてまいりました。そして、佐賀県は、長崎県さんの思いにも真摯に向き合って、平成四年の地元合意、平成十九年の三者基本合意、そして平成二十八年の六者合意と、まさにぎりぎりの合意を重ねてきたわけであります。  しかしながら、フリーゲージトレインの導入が難しいということで、長崎県やJR九州は、全てが佐賀県内の区間で、これまで在来線を利用することで合意している新鳥栖─武雄温泉間についてまでフル規格での整備を求めています。  そして、長崎県は、令和二年度予算への環境アセス関連費の計上までを国へ求め、上下分離される長崎本線肥前山口─諫早間の準備協議に関し、これまでの合意と異なる主張をされているわけであります。  佐賀県が、佐賀県議会がともにさまざまな議論を行いながら、いろんなことを考えながら、相手のことも考えながらやってきたことに関してもっとわかっていただかないと、本当に頼まれれば何でもやるというようなことでは、私はこれからの佐賀県の将来を守っていくことはできないというふうに思います。まさにきょう議論されてきた、合意できることを積み上げる場がこの新幹線スキームなのでありまして、その大前提として、合意されていることを大切にしていくということも大切であります。長崎県やJR九州には、これまで地元で合意して進めてきたということに真摯に向き合っていただきたいと思います。そして合意を積み上げることを大切にしていただきたいと考えております。  以上でございます。 34 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートと県内外国人住民への対応についての御質問にお答えいたします。  まず、西九州ルートに関する御質問のうち、長崎本線の上下分離に係る協議の状況について御説明を申し上げます。  現在、佐賀県、長崎県、JR九州の実務者レベルでいろんな協議を進めております。これまで三者で確認いたしました主な内容について申し上げます。  一つは、鉄道施設を管理する一般社団法人を佐賀、長崎両県で共同で設立することといたしております。令和二年度の初頭に両県のいずれかに法人設立準備のための共同作業所を設置し、年度内に新法人を設立したいと考えております。  次に、運行の安全性の確保のために、列車運行を担うことになりますJR九州へ業務を委託することといたしております。JR九州の実績をもとに、維持管理経費等の試算が改めて行われました結果、年間の維持管理費が約七・三億円程度になるという見込みでございます。  それから、平成二十年に上下分離区間の線路構造は非電化とするということを確認しておりましたが、JR九州が博多─肥前鹿島間の特急列車について電車を使用したいとしておりますことから、肥前山口─肥前鹿島間については、これは電化を維持するということで現在確認をしているところでございます。  次に、今後調整が必要な事項について申し上げます。  一つは、共同作業所及び新法人の所在地をどこに置くのかというのが一つございます。それから、先ほどの維持管理費七・三億円に含まれておりません法人の事務所経費ですとか人件費、それから固定資産税、設備投資などの負担、こういった割合をどうしていくのかということが一つございます。  それから、肥前山口─肥前鹿島間の電化設備については、これは維持をするということになりますので、この分の維持管理に係る経費をどうやっていくのかということがございます。今のところ、大体年間三千万円程度かかるというふうに試算をされているところでございます。  それから、非電化区間につきまして、今電化設備がございますので、これを撤去する必要がございます。その経費をどのように負担していくのかという課題がございます。これについては、総額で九億円程度かかるというふうに見込んでおります。  そして、これは議員からも先ほどお話しいただきましたように大きな問題でございますが、上下分離後、普通列車については、ディーゼル車両による運行に変わりますけれども、JR九州が電車よりもスピードが遅いということで、鹿島、多良方面から佐賀方面への乗り入れが難しいとされております。そうなりますと、通勤通学を初めとする利用者の利便性が低下するおそれがございますので、直通運行の確保など利用者利便の確保を図るということが課題でございます。  このうち、新法人の事務所についてでございますが、これについては、佐賀県としては肥前鹿島駅の近辺にJR九州の現場事務所があること。それから、上下分離区間の中間地点に近いということがございますので、鹿島市に設置することが適当というふうに考えております。  それから、上下分離後の普通列車の運行につきましては、例えば、新型車両の導入などによりまして、これは何としても鹿島、多良方面から佐賀方面への乗り入れを維持し、利便性を確保するようにJR九州に強く求めていきたいと考えております。  西九州ルートに関しては以上でございます。  続きまして、県内の外国人住民への対応についての御質問にお答えを申し上げます。  まず、外国人住民に関する総合的な相談窓口についてお答えを申し上げます。  これまで県内では、地域日本語教室でございますとか、企業、地域などにおいて、外国人に対する生活面のサポートは行ってきたところでございます。  一方で、議員からも御指摘がございましたように、全国的な労働人口不足などを背景にいたしまして、外国人住民がどんどんふえているという状況でございます。企業や地域の方からは、外国人に関することをどこに相談したらよいのかわからないというような声もいただいているところでございます。  こうしたことがございましたので、さまざまな外国人に関する相談に対応するとともに、日本人と外国人のコミュニケーションの円滑化を図るという観点から、外国人と日本人がともに暮らしやすい環境づくりにつなげるということで、これまで行ってきました相談機能を強化する形で、「さが多文化共生センター」を本年十月三十日にスタートさせました。  相談窓口の運用体制でございますが、この「さが多文化共生センター」におきましては、外国人の住民の方はもとより、企業や学校、自治会など受け入れる側の日本人の方からの相談も受け付けるようにしております。このために、新たに二名の専任の相談員を配置いたしましたほか、従来から実施してきました英語、中国語、韓国語にベトナム語を加えた四つの言語での対面相談も可能とするようにしたところでございます。そして、電話や窓口での相談はもちろんでございますが、必要に応じて現場に出向いて、いろんな相談に乗るというふうな体制をとっております。  「さが多文化共生センター」がスタートいたしまして約一カ月がたちますが、これまでの相談件数は二十八件、これは十一月末現在となっております。分野といたしましては、医療、福祉に関することが十一件ということで、全体の四割ぐらいになっておりまして、次いで通訳、翻訳に関することというふうになっております。この数字につきましては、大体例年と同じぐらいの数字で今のところ推移をしております。  現場のセンター相談員からでございますが、一つは、連携機関との情報共有がスムーズになったということですとか、技能実習生の在留資格の変更など、県内企業からの問い合わせが行われるようになったということで、若干従来とはまた違った意味での御相談を受けるような形に今なってきているようでございます。  今後も引き続きまして、このセンターの取り組みについて、企業、学校、医療、福祉関係などの事業所等への周知に力を入れてまいりたいと考えております。  次に、多文化共生社会の実現についてお答え申し上げます。  議員からもございましたとおり、日本人と外国人がともに暮らしやすい社会を実現するためには、日本人と外国人が相互に文化や考え方を尊重し、理解していくことが重要と私どもも考えております。地域において互いに顔の見える関係をつくっていくことが重要ではないかというふうに考えております。  最近では、地域の日本語教室が橋渡し役となりまして、技能実習生が地域のお祭りに参加したりとか、日本語学校が主催する祭りに地域住民が招かれまして、留学生が自国の文化を紹介したりするなどといった取り組みが広がっているところでございます。  また、市町が行っております外国との地域間交流ですとか、民間団体の草の根交流、それから学校間交流など、こういったものは、やはり互いの文化や考え方を知る大変重要な機会であるというふうに考えております。  地域と地域、人と人の交流、そして議員からは心と心の交流という言葉をいただきましたが、こういったことが続いていくということが極めて重要ではないかというふうに思っております。県といたしましても、こうした取り組みをしっかりと支援していきたいと考えております。  今後とも、県国際交流協会、市町、CSO団体などとしっかりと連携いたしまして、互いの文化や考え方を知る取り組みを県内に広めていくことで、日本人と外国人がお互いを尊重し合う多文化共生の地域づくりにつなげていきたいと考えております。  私からは以上でございます。     ○ 時 間 延 長 35 ◎議長(桃崎峰人君) 時間を延長します。 36 ◎澤田産業労働部長 登壇=私からは、大きく二項目につきまして御答弁させていただきます。  一点目は、県産農産物等の輸出促進についてであります。  まず一つ目ですが、県産農産物等の輸出量の推移と今後の目標につきましてお答えさせていただきます。  主な県からの輸出品目であります牛肉、青果物、それから日本酒・焼酎の輸出量につきまして、平成二十五年度から平成三十年度の推移を見てみますと、牛肉につきましては三十七トンだったものが、毎年ふえまして六十八トンと約一・八倍になっております。それから、ミカンやイチゴなどの青果物につきましては、その年の生産量によって輸出に仕向けられる量が増減しますので、その影響は受けるとは言いますものの、一トンだったものが増減を繰り返しながら五十二トンということで、増加傾向にあることは間違いないと思います。  それから、日本酒・焼酎でございますが、五十一キロリットルだったものが、これも毎年ふえまして、百七十二キロリットルと、約三・四倍になっております。  今後の目標につきましては、県の総合計画二〇一九に掲げておりまして、令和四年度までに牛肉は七十七トン、青果物については四十七トン、日本酒・焼酎につきましては百九十二キロリットルに増加されることとしております。  続いて、二つ目、香港エリア、東南アジアにおける輸出支援体制の強化につきましてお答えさせていただきます。  現在、「さが県産品流通デザイン公社」におきましては、海外担当のスタッフとしまして、大手商社で勤務経験がある者を含め、民間経験等がある七名を配置しております。  まず、香港エリアにつきましては、「佐賀牛」などの県産牛肉及び青果物の最大の仕向地であるということで、重要性があると認識しており、流通デザイン公社の海外担当スタッフを一名増員し、香港エリアを専任で担当させることとしております。  これによりまして、これまで以上に県内の事業者に寄り添いまして、密接な連携をとりましてニーズをしっかり把握するということができるとともに、それを踏まえて、個々のニーズに応じた支援が可能となると考えております。  また、香港の現地支援につきましては、流通デザイン公社から現地のコンサルティング会社等に業務委託をした上で、これまで築き上げてきたネットワークを確実に引き継ぎながら、専任の職員を一名、これは日本語、広東語を話せる職員を配置しまして、県内事業者と取引のある店舗等への定期的な訪問ですとか、県内事業者が営業活動に来るときのアテンドをするとか、そういったことによりまして、販路の維持拡大をしっかりするということ。また、何かあったとき、そういったときに現地で緊急に対応することができるなど、これまでと変わらない支援をしてまいる予定です。  こうして現地の委託先と佐賀県内にございます流通デザイン公社が連携を図ることによりまして、これまでと同様に現地での事業者の活動を支援していくとともに、現地でのフェア開催などこれまで以上に充実させて実施することができると考えております。  また、東南アジアにつきましては、これまで香港代表事務所からの出張を中心に対応してまいりましたけれども、今後は流通デザイン公社の先ほど申し上げたような民間経験がある専門スタッフによる支援を充実することによりまして、香港から東南アジアへと輸出の取り組みを広げていらっしゃる事業者の方々と日ごろから顔の見えるつき合いをすることによって、個々のニーズに臨機応変、機動的に対応できるとともに、専門性や民間のノウハウを生かした継続性のある効果的な販路開拓支援をさらに手厚くできるようになると考えております。  なお、香港代表事務所の体制の切りかえにつきましては、県内の主な事業者はもちろん、現地の輸入業者、それから、代表事務所の立ち上げ時に大変お世話になりました香港佐賀県人会などに丁寧な説明を行いながら進めてきたところでございます。  特に県人会の会長におかれましては、お忙しいところ時間を何度かいただきながら、私も直接説明をして、また、いろいろな不安ですとか懸念も伺ったところでございまして、今後、来年四月の体制切りかえに向けて、そういったことも踏まえながら、しっかり円滑な移行に努めていきたいと考えております。  それから三つ目、県産農産物等の海外でのブランド化につきましてお答えさせていただきます。  県産農産物等の輸出促進を図るためには、県産の農産物、それから海外産、現地産、また他の国内産との差別化をしっかり図ってブランド価値を高めていくとともに、築き上げたブランドを守っていくことが大変重要なことだろうと私としても認識しております。  本県の主な輸出品目でございます牛肉、日本酒・焼酎、それから、今後輸出の拡大が期待される「いちごさん」につきまして、ブランド価値の向上と保護について御回答させていただきます。  まず、牛肉につきましてですが、牛肉については、県、JA、流通デザイン公社等で構成します佐賀県農林水産物等輸出促進協議会におきまして、「佐賀牛」、そして佐賀産和牛のおいしさを知っていただくために、海外のレストラン等でフェアを開催したり、小売店での試食PRなどを実施しながら、さらなるブランド力の向上に取り組んでいるところでございます。  また、ブランドの保護という観点におきましては、JAさがにおきまして、輸出量の多い香港ですとか、今後の輸出が見込まれる中国におきまして、「佐賀牛」の商標登録を済ませているところでございます。  また、「佐賀牛」等を卸しております現地のレストラン、また小売店を「佐賀牛・佐賀産和牛取扱指定店」として認定する制度を的確に運用することによって、海外における「佐賀牛」、そして佐賀産和牛のブランドを保護されております。  日本酒と焼酎につきましては、昨年度からフランスにおきまして、ソムリエですとかシェフが集まるイベントや展示会での紹介などに取り組んでおります。こうしてフランスの有名レストランで取り扱われることにより、ブランド価値を高めていきたいと考えておりまして、それを踏まえて、アジア圏を含め輸出量の拡大を目指しておりますし、実際にそうしたブランド価値を高めることが国内での消費拡大にもつながっていくと考えております。
     それから、「いちごさん」につきましては、先ほど申し上げた協議会におきまして、年明け、来年以降ですね、香港の大手スーパーでフェアを開催するなどによりまして、品質の高さをアピールしながらブランド化を図ることとしております。  また、ブランド保護という観点でいきますと、今後の輸出拡大に向けまして、ことし四月には香港で「いちごさん」のロゴの商標登録が済んでおりますし、今後、シンガポールや中国、台湾でもそういった商標登録ができるよう手続を進めているところでございます。  それから、GI──地理的表示の保護制度につきましてですが、議員からも御紹介いただいたとおり、現時点で県内で登録されているものはございませんが、ブランド価値を守って差別化を図る上では有効な対策の一つと認識しております。  実際にさまざまな品目で検討はこれまでされてきておりまして、例えば、現在、佐賀県酒造組合におきましては、県内の日本酒のGI登録に向けた検討が進められているところでございます。  また、牛肉につきまして、これまで「佐賀牛」を商標登録していますJAさがにおきまして、築き上げてきた海外での「佐賀牛」ブランドを保護するためのGI登録につきまして検討されたところでございますが、登録した場合に出荷頭数の四割を占めます「佐賀産和牛」という名称が「佐賀牛」の類似名称に当たるので使えなくなるということで、このブランド二つを併用するということが生産者の利益にもつながるという判断のもとでGI登録を見送られた経緯がございます。  なお、「いちごさん」につきましては、栽培年数がGI登録基準ではおおむね二十五年とされておりまして、まだ達しておりませんので、現時点では登録ができないという状況でございます。  今後とも、県産農産物等の一層の輸出促進を図っていくために、それぞれの品目に応じまして、GI登録も含めたブランド保護対策をしっかりと念頭に置きながら、海外でのブランド化に取り組んでまいりたいと考えております。  続いて大きな二項目め、県内外国人住民への対応のうち、外国人に関する就労相談窓口につきましてお答えします。  近年、佐賀県におきましては、技能実習生や留学生を初めとする外国人住民、また外国人観光客の増加が顕著でございます。  また、県内から海外展開を目指す企業も増加するなど海外をより身近なものとして感じ、それを産業や地域の活性化に生かそうと、そういった動きが生まれていると感じております。  また、昨今の労働力不足を背景としまして、ことし四月には国で新たな在留資格制度「特定技能」が創設されました。これにより、また外国人の就業の幅が広がって、県内企業におきましても、ますます外国人が活躍できる機会が増加していると思っております。  こうしたことから、外国人に関する求人求職ニーズが高まることを想定し、それに適切に対応することを目的に、これまでも県庁の新館一階にございます「佐賀県のしごと相談室」において相談を受けてまいりましたけれども、ことしの六月からは外国人に関する専任相談員を配置しております。  新たに配置しました専任相談員につきましては、県庁のしごと相談室内で相談対応することはもちろんですが、週に一度、佐賀市の白山にあります商工ビルの中の国際交流プラザにおいても勤務しまして、関係機関との連携を図りながら、県内で就職を希望する外国人と、外国人を雇用したい企業の双方からの相談を受け付けているところでございます。  そうしたそれぞれのニーズをしっかり聞き取って、適合する見込みのある外国人と企業を紹介するマッチングの支援を行うとともに、企業に対しましては、外国人就労のための制度ですとか、心構えといったことの説明などをサポートしているところでございます。  この六月に専任の相談員を配置して以降、半年が経過しておりますが、この間、外国人を採用したい企業ですとか、県内企業に就職したい外国人等からの相談が相次いでおります。  県内企業に就職したい外国人材と県内企業とのマッチングの実績につきましては、これまで半年程度で十人の外国人から相談を受けて、そのうち六人につきまして製造業、また宿泊業といった県内企業とのマッチングが実現し、例年、年に一名程度のマッチングだったものが大きく伸びております。  また、企業からの相談につきましては、通訳に使えるような人材がいないかといった相談もある中で、多数は外国人を雇用したいけど、どのようにしたらいいのかといった相談ですとか、外国人の受け入れに関する制度とか手続といったものを教えてほしいという相談がほとんどを占めております。  こうした企業からの問い合わせ状況ですとかマッチングの成立状況を見ますと、外国人の就労に関するニーズは企業側、それから職を求める外国人側それぞれ高まっていると認識しておりまして、引き続きマッチングの支援に取り組む必要性を感じますとともに、企業に対してはしっかりと心構えですとか制度の周知を図っていくことが必要だなと感じたところでございます。  引き続き、こうした心構えや制度の周知に努めながらマッチング支援に取り組み、県内の産業、また地域の活性化が図られるよう、県としてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。  私からは以上です。 37 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、県育成の中晩柑「佐賀果試三十五号」の振興についてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、本県の果樹試験場で育成しました中晩柑の品種佐賀果試三十五号は、同時期に収穫されます中晩柑の品種「不知火」、商品名はデコポンでございますが、それと比較しまして糖度が高く、大玉生産が可能で酸切れが早い、それとか果実品質のばらつきが少なく、果肉の粒々した食感がよい、あるいは貯蔵性が高く、長期間にわたっての出荷が可能といったすぐれた特徴を持っておりまして、ミカン生産農家に導入されることで所得向上に大きく寄与していくものと考えております。  また、この品種につきましては、ミカン生産農家に加え、市場や小売店といった流通関係者などの期待も大きいことから、県と農業団体が連携いたしまして、しっかりと導入を進めていくこととし、平成二十八年十二月に佐賀果試三十五号推進チームを設置いたしまして、これまで生産、販売両面から検討を重ねてきたところでございます。  具体的には、まず生産面につきましては、栽培技術が確立している無加温ハウス栽培から現地導入を推進することといたしまして、平成三十年三月に無加温ハウス栽培のモデル園を県内十一カ所、約一ヘクタールで設置するとともに、翌年三月からは一般園地への苗木配布も行いまして、現在の普及状況は生産農家数二十八戸、生産面積二・七ヘクタールとなっているところでございます。  また、県内の普及拡大を図るためには、議員御指摘のとおり、露地栽培への導入も重要でございますことから、現在、果樹試験場におきまして、令和二年度末を目標に露地栽培の技術を確立できるよう試験研究に取り組んでいるところでございます。  さらには、来年三月に露地栽培のモデル園を県内六カ所に設置する予定としておりまして、果樹試験場の技術確立に向けた試験研究と現地への導入を並行して進めることで、佐賀果試三十五号の早期の生産拡大を図ってまいります。  次に、販売面につきましても、佐賀果試三十五号推進チームにおきまして、市場や消費者を対象に行いました調査結果を参考にしながら、現在、市場からより高い評価を受けるための出荷基準ですとか、高値で有利販売できます出荷時期などについて検討しているところでございます。  なお、市場へのデビュー時期につきましては、現在設置しております無加温ハウス栽培のモデル園におきまして、一定の収量が見込めます令和三年春ごろになると考えております。  佐賀果試三十五号につきましては、ミカン生産農家の所得向上に大きく寄与する可能性を秘めた品種でございますので、農業団体と一体となって、その生産拡大と有利販売ができるようしっかりと取り組んでまいります。  以上、お答えいたします。 38 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=インバウンド誘致の取り組みにつきまして三項目お尋ねがありました。  まず、佐賀県内の宿泊客数の動向につきましてお答え申し上げます。  観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、本年一月から九月までの県内宿泊者数の累計につきましては、日本人と外国人の合計では約二百二万八千人となっており、これは前年とほぼ同数となっております。  しかしながら、そのうち外国人宿泊者数につきましては、同じく一月から九月までの累計では約二十六万六千人、対前年比七・八%減となっておりまして、特に七月には約三万一千人、対前年比〇・五%減だったものが八月には約二万二千人、対前年比二四・二%減、九月には一万七千人、対前年比三九・五%減と減少幅が月々だんだんと大きくなっておりまして、シェアの半分を占めます韓国人観光者数の減少の影響が目立ってきている状況となっております。  一方、日本人宿泊者数につきましては、一月から九月までの累計では約百七十六万二千人で対前年比一・三%増となっているものの、五年前の平成二十七年には二百十一万五千人だったものですから、それと比較しますと、近年減少傾向が続いていると認識しております。  そのような中で、ことし八月の豪雨災害の影響で県内のホテル等のキャンセル等が相次ぐなどさらに厳しい状況が生じたことから、現在、観光需要の早期回復を目的といたしまして、宿泊施設の料金が割り引きになります「元気さが!宿泊キャンペーン」等を展開しているところでございます。  次に、韓国人観光客の現状につきましてお答えいたします。  先ほど質問の中で、土井議員が本県への韓国人宿泊者数が八月に七一%減、九月には八九%減と紹介がありました。  韓国の経済状況の悪化によりまして、実を言うと、昨年半ばから減少傾向にありました。そういう中にありまして、本年七月四日から輸出管理が強化されたことをきっかけといたしまして、韓国内では日本への研修旅行とかインセンティブ旅行等の自粛の動きがかなり広がっていると聞いておりまして、日本へ向かう旅行商品を扱う旅行会社も積極的な商品構成や宣伝活動等ができない状況にあると聞いております。  特に例年、この十二月から二月におきましては、韓国人の佐賀への観光シーズンとなりますけれども、現在のところ回復に向けた大きな兆しはなく、当分の間は厳しい状況が続くと認識しております。  ただ、韓国からの観光客がゼロになったわけではございませんで、個人客ですとかリピーター等の小グループにつきましては、冬場の温泉地などを目指して佐賀県を訪れられておりまして、また団体旅行を主催する韓国の旅行会社も、そういう厳しい情勢であるにもかかわらず、日本へ送客できるタイミングを待っているという状況と聞いておりまして、県といたしましても、九月に釜山で商談会を開催したり、十一月には観光連盟の専門スタッフを通じて現地において意見交換等を行うなど、関係維持のための活動を継続しておりまして、今後とも韓国との関係につきましては一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、インバウンドの取り組みと今後の方針につきましてお答え申し上げます。  これまでもインバウンド誘致につきましては、東アジアを中心に、例えば、佐賀と空路で結ばれている上海、台北を初め、九州で空路が拡大している東南アジア地域で営業を強化するなど、複数の国、地域へ積極的なアプローチを展開してきております。  具体的には、現地旅行会社等へのセールス活動を月一回ペースで行うとか、海外の商品造成担当者などを佐賀に招請するファムトリップとか、県内の宿泊施設、観光施設も参加する現地での観光商談会を開催するなど、各市場ごとに展開を行っております。  このような地道な取り組みの結果といたしまして、韓国以外の九月までの累計では、例えば、中国では五万一千四百二十人、対前年比一七・七%増、香港は一万四千六十人、同じく対前年比四七・一%増、先ほど紹介がありましたタイにつきましては六千四百十人、対前年比一五五・四%増と着実に成果が出てきていると認識しております。  佐賀県が特定の国だけに頼らず、世界情勢の変化にも動じないインバウンド拠点となっていくためには、東アジア地域、東南アジア地域からの誘客を積極的に拡大強化していく必要があると考えておりまして、誘致先の多角化を図ることとしております。先ほどマルチインバウンドというふうに御紹介いただきました。  具体的にどうすればお客様をふやしてこれるかというお尋ねがありましたけど、今後とも、例えば、中国では上海に加えて、新国際空港が開港いたしました北京とか、直行便が運航しています西安での取り組みを強化したり、台湾では新たに個人客向けネット販売に特化した旅行会社とタイアップして商品造成をしていただくような取り組みを行ったり、シンガポール、タイでは富裕層など向けに影響力がある旅行会社等への情報提供を行うなど、佐賀県への具体的な誘客に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。  その上で、観光による効果を県内各地域に及ぼしていく、実感させていくためにはどうすればいいかということですが、何よりもまず行政だけ取り組んでもなかなかうまくいきませんで、民間とか地域住民とも一体となりまして、その地域、地域の魅力づくり、受け入れ環境の充実、的確な情報発信に取り組んでいくことは大切だと考えておりまして、インバウンドの効果を最大限に発揮できるようオール佐賀で取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 39 ◎土井敏行君 登壇=二点だけ再質問いたします。  一点目は、先ほど知事からも、そして地域交流部長からも在来線の利便性確保について力強いお言葉をいただきまして本当に心強く思っておりますが、この間、新聞に出ていましたように、今、協議で問題になっているディーゼルの普通列車が長崎本線の佐賀のほうへ行かない、あるいは鳥栖のほうへ行かないということがやっぱり地域の人の一番大きな関心事になっています。これは学生が使っているんですよね。高校生が佐賀へ通っているんです。  我々がこういう問題を議論したときに、僕らはディーゼルのイメージが悪かったもんですから、電車よりも随分サービスが低下するんではないかという話をしたんですけれども、そのときにJR側とか国側だったと思いますけれども、いや、今のディーゼルは非常に性能がよくなって、足も速くなっていますし、乗り心地は電車と変わりませんというような話もあったんです。実際本当にディーゼルの足が遅いのかどうかということもしっかり調べていただきたいし、それと、当時、ハイブリッドディーゼルがありますという話もあったんですよ。じゃ、特急がディーゼルで行けるんですかという話をしたんですね。ハイブリッドディーゼルというのは、ディーゼル区間はディーゼルで走って、電車区間は電車で走れる。車のハイブリッドと一緒で、そういうのがありますよという話もありました。じゃ、そういうのを導入してくれればいいじゃないかという思いもあるわけですので、ここはしっかりそういうのを調査して、もともとディーゼルとわかっていたわけですので、ディーゼルでやると言っておきながら、今になってからそういうふうな言われ方で、ディーゼルが入ることはできないと言われたので、非常におかしいというふうに思っています。  もう一点は、先ほど産業労働部長から御答弁いただきましたけど、外国人の就労支援についてです。  いろいろ外国人から相談があって、今お話がありましたけれども、そういったことをフィードバックして、日本側の受け入れ側に制度等の周知をしていくということでございましたけれども、もう一つ大事なのは、やっぱり労働環境で一番問題になっているのは、実はいろんなトラブルは、日本人と外国人のコミュニケーション不足というか、お互いの意識のずれがあったり、宗教のこととか文化のこととかもあるんでしょうけれども、そういった心と心の交流ができていないところにあるというふうに思うんですね。  そこら辺を含めて、日本側の受け入れ側の問題も、多文化共生、あるいは外国人労働者に佐賀を好きになって帰ってもらうということでは非常に重要なことになってきますので、その辺にももっと力を入れて、教育ではないですけれども、そういう支援をしていただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  以上二点、再質問いたします。 40 ◎南里地域交流部長 登壇=土井議員の再質問にお答えさせていただきます。上下分離区間の御質問でございます。  議員からも御指摘ありましたように、もともとこれは現行程度の本数とか、現行水準とかそういう言い方で、本数は維持すると、水準は維持するという話がなされてきたというふうに私は承知しております。  それで、この話を一番初めに聞いたときに、本数を単に維持すればいいと、例えば、肥前鹿島駅発が一日十何本あればいいということではなくて、当然、今の電車は鳥栖まで、あるいは佐賀まで行っておりますので、それも含めてちゃんと確保されるべきだというふうに私は認識しておりますので、それは強くJRに今申し上げております。  電車の話も、御指摘ございましたように、ハイブリッド型の、いわゆるディーゼルエンジンで発電してモーターで走る車両ですとか、DENCHA──デンチャという言い方をされていますけれども、あれは蓄電池、いわゆる電化区間で電池に充電しておいて、非電化区間はモーターで走るとか、そういうものをJR九州が入れるというふうな話もございますので、じゃ、そういったものがあるんだったら入れてくれということも今申し上げているところでございます。  これについては本当に重大な問題だと私は認識しておりますので、しっかりと強く申し上げ、また取り組んでまいります。  以上でございます。 41 ◎澤田産業労働部長 登壇=私からは、外国人の労働に関するトラブル解決法のために、心と心のコミュニケーションを企業に対してしっかり指導すべきじゃないかという御質問に対しての答弁をさせていただきます。  まさに心構えということで言ったのは、そういうことを含めて言ったつもりではあったんですけれども、そういった部分を地域交流部長のほうから説明がありました多文化共生センターですとか、あとは国際交流協会とか、そういった関連機関としっかりと連携して、特に企業の経営層を中心にしっかり訴えかけていけるような、そういったことを取り組んでいきたいとは思っております。  議員からは、佐賀を好きになって帰ってもらいたいという話もございました。技能実習生については帰らなきゃいけないんですけれども、人口減少社会ですので、ぜひ佐賀を好きになって、そのまま居ついてもらうことも含めて取り組んでいければなと思っておりますので、そこはしっかりやっていきたいと思っております。  以上お答えします。 42 ◎下田 寛君(拍手)登壇=本日最後の登壇者となります県民ネットワークの下田寛でございます。よろしくお願いいたします。  今回の質問に当たり、関係してくださいました全ての皆様に感謝を申し上げて、早速質問に入らせていただきたいと思います。  まずは、予防接種の再接種が必要な子供への支援について質問をさせていただきます。  この質問に取り組んだ背景として、私の仲間である前名古屋市議会議員の日比健太郎さんの死があります。彼は、二〇一六年五月に急性白血病にかかり、四人もドナーが見つかりながらも、最終的に移植には至らず、臍帯血移植を受けましたが、二〇一六年十一月に三十五歳で亡くなられました。また、この年の六月に愛する長男が誕生したばかりで、何とも歯がゆい思いであっただろうかとお察ししますと、いたたまれず、私なりにさまざまな視点から、この白血病を取り巻く環境について調査をしておりました。  そんな中、さきの九月三日、佐賀県議会と地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館様との懇談会において御縁をいただいたこともあり、佐賀県で骨髄移植を行っている好生館病院の血液内科の医師、看護師と事務の方や、佐賀大学医学部附属病院の小児科の医師の方々と、後日、骨髄移植を取り巻く患者の状況について直接お話をお伺いさせていただきました。  それらのお話の中で、骨髄移植を取り巻く患者さんや御家族の御苦労、ドナーの環境や治療後の患者の現状などについてお話を聞かせていただきました。また、患者さんの声として、治療金額の負担と精神的負担、治療後の生活の問題、ドナーの環境整備など幅広い声をいただきました。  その中でも、今回強い要望もあり取り上げさせていただきたい点は、予防接種の再接種が必要な子供への支援についてです。  さて、子供の予防接種は、次の世代を担う子供たちを感染症から守り、健やかな育ちを支える役割を果たしており、痘瘡やポリオの根絶など多くの病気の流行の防止に大きな成果を上げております。  しかし、各ワクチンの接種時期に、長期にわたり療養を必要とする病気にかかった場合には、一定の期間、定期接種の機会が確保されておりますが、定期接種後に白血病の治療など特別な事情により免疫が消失するケースについては、予防接種法の対象外となっております。  小児白血病を初めとする小児がんや再生不良性貧血、免疫不全症等に罹患し、造血幹細胞移植や抗がん剤治療を受けると、抗体が失われ予防効果が期待できなくなります。  この場合、予防接種の再接種が必要となりますが、初めて受ける定期接種が努力義務で無料であっても、再接種は任意であり、費用は全額自己負担となります。  また、定期接種であるHibワクチン──小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、四種混合ワクチン、風疹ワクチン、麻疹ワクチン、水痘ワクチンなどは、一回の接種費用が約一万円前後であり、定期接種で一般的に行われている数種類のワクチンの同時接種を行うと、一日で数万円が必要となります。そして、その必要な再接種を全て受けるとなると、二十万円前後の費用がかかり、経済的な負担はかなり大きいものになります。  また、再接種が必要な子供の人数は、佐賀県では佐賀大学医学部附属病院の小児科になりますが、年間三人から五人程度の対象者であり、現在、再接種中の患者が三人で、再接種開始予定の患者はお二人であり、つまり対象となるのは子供だけ、多く見ても年間十人程度となりまして、単純計算しますと予算の見込みは二百万円程度となります。  さらに、がん患者を支える家庭は、精神的な負担はもちろん、経済面、身体面も負担が大きいものであり、この点については、患者を担当する医師たちから、何とか行政による支援を行うことで、患者の負担を少しでも和らげることはできないものかと、とても強い要望をいただきました。  このような切実な現場の声もあり、佐賀県の現状を調べてみました。すると、県内の自治体で、この予防接種の再接種について自治体で補助を行っているのは鳥栖市だけでした。鳥栖市では、平成二十九年八月一日からこの制度が施行されており、この制度を創設した背景について、改めて担当課にお尋ねをいたしますと、当時、病で苦しむお子様の母親から、予防接種の再接種助成について相談があったことを受け、この制度を創設されたとのことでした。しかし、残念ながら、このお子様はこの制度を活用することなく、病でお亡くなりになられたそうです。  次に、全国の事例を調べてみました。  新潟県新発田市では、平成二十九年九月の定例会における議員からの提案を受け、平成三十年度当初予算に費用を計上し、制度を始めております。新潟県内では、政令市の新潟市、上越市、見附市でこの制度があります。平成三十年度からは、名古屋市や浜松市でもこの制度を始めております。  一方、国においては、平成二十八年の「地方分権改革に関する提案募集」でも、地方から国に対し、制度改正によって再接種が必要な子供を救済する必要性が提起をされましたが、国は困難との極めて残念な見解を示しております。  また、再接種が任意接種であるため、万一の健康被害の際の救済措置、つまり補償の額も定期接種とは異なることになり、この問題も地方分権改革に関する提案の中でも指摘をされているところです。  しかしこうした中、大阪府が平成三十年から再接種費用を助成する市町村に対し、府として補助をする事業を創設されております。初年度の補助率は十分の十、次年度以降は二分の一となっており、市町村の助成制度創設を促進することが目的となっております。  このように、予防接種制度のはざまとなっている点については、鳥栖市を初め、徐々にですが、全国の自治体が助成を始められており、制度の改善、あるいは支援する余地があり、佐賀県としても制度を創設する意義があると考えております。  そして、今回の質問に当たって、私たちの声をぜひとも山口知事に届けていただきたいということで、患者の御家族の方々からもお手紙を預かっております。この場で御披露させていただきたいと思います。  「このたびは、予防接種の公費助成補助について御相談をと思い、お願いのお手紙をいたしました。息子は、五歳のときに急性骨髄性白血病の診断を受け、化学療法の治療を行い、その後再発したため骨髄移植を受け、現在は寛解し、経過観察の状況です。今後、予防接種を受ける時期となるに当たり、何らかの公費補助が受けられたら幸いだと思い、御検討いただけたらと思います。唐津を初め、佐賀県内での取り組みが可能であればと声を上げた次第です。よろしくお願い申し上げます。」  次に嘆願書。「私の長男は、中学二年のときにT型白血病にかかり、高校三年のときに再発しました。一度目は佐賀大学で、二度目は福岡のがんセンターで、十八歳のときに兄弟間移植を行いました。二十歳以降は医療費が自己負担になり、多いときには、佐賀、福岡を、仕事を休んで何度も検診に、血液検査等に通いました。現在三十歳になりますが、移植の影響でホルモン注射、皮膚科、ワクチン注射、一月に二度ほど仕事を休んで通院しております。自己負担がこれから長年続くと思うと、親としても不安でなりません。小児医療の二十歳以降の医療費補助、切に願う次第です。」唐津の方です。  「鳥栖市では、予防接種で得た免疫がなくなった方への補助があると聞きました。私の子も、小児がんになって一歳半で移植を行い、再発し、二歳半のときにも行いました。今は経過観察中で、このまま落ちつけば予防接種を受けられるようになります。ぜひ佐賀県全体で子供たちのために、その家族のために助成があると幸いです。」。  最後にもう一通。「子供が健康なときにしないといけない予防接種は受けていたため、打ち直しになることをそれまで想像したことはありませんでした。しかし、子供が病気になり、治療の影響で今まで予防接種してきた内容は打ち直しで、二回目からは全て実費と知り、経済的にもすごく負担がかかり不安もよぎりました。現在、打ち直しをしているのですが、助成や免除があったらすごく助かり、ありがたいです。金額も、一つ受けるのに高く、日に何回もは打てなかったりします。」。このような思いをぜひ知事に届けていただきたいとお手紙までいただきました。また後ほど、このお手紙はお渡しさせていただきたいと思います。  以上のことからも、日ごろから県政を進めるに当たり、人に寄り添い、個性を伸ばし、志を育む取り組みを全力で推進されている知事に、病気になっても安心して暮らせるよう、病気の子供たちの予防接種に関する支援をぜひ行っていただきたいと考え、三点質問いたします。  まず、病気の子供への支援に対する思いについてです。  今お伝えさせていただいたさまざまな現場の声を踏まえて、病気の子供や親への支援についてどのようにお考えなのか、知事の考えをお尋ねいたします。  次に、予防接種の再接種に関する県の取り組みについてお尋ねいたします。  佐賀県においても、予防接種の再接種に関して何らかの助成制度の支援等を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。  最後に、予防接種の再接種に関する国への働きかけについてお尋ねいたします。  国に対し、予防接種の再接種に伴う経済負担を軽減するよう国に働きかけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。  以上三点、「子育てし大県”さが”」を掲げる山口知事に、佐賀県民が志を持って生き抜いていく、その根幹となる命を守る政策を推進すべきであると強く申し上げて、御答弁をお願いしたいと思います。
     続いて、災害時における要配慮者の支援についてお尋ねいたします。  さきの十月八日に、文教厚生常任委員会の行政視察で朝倉市を訪問しました。その際に、二〇一七年七月七日の九州北部豪雨災害における災害廃棄物処理の状況について聞かせていただきました。  そこでは、近隣自治体との連携を含め、想定外の廃棄物への対応や、災害復旧に取りかかる前の国の補助金活用の見込みなどの重要性について学ばせていただきました。  その後も独自に調査をしておりますと、朝倉市の特徴的な取り組みの一つとして、母子の避難所となる「朝倉災害母子支援センターきずな」が、民間の手により開設され、運営されていたという事例がありました。  先日、その運営主宰者であり、朝倉市議会議員の大庭きみ子議員から直接お話を伺う機会に恵まれ、改めて障害者や高齢者が重要視されがちな要配慮支援者や福祉避難所について、母子支援の重要性やさまざまな課題について御提言をいただくことができました。  母子支援とは、妊婦や乳幼児を抱えた母と子供の支援を指しますが、災害時においては、高齢者や障害者同様、要配慮者として特別な配慮が必要である対象となっております。しかし、プライバシー、衛生面、健康面、子供の泣き声、女性ならではの問題などは、どうしても健康な大人目線、そして男性目線での避難所運営が目立ち、配慮に乏しいのが現実となっております。  また、避難所生活が長期化するほど、女性の目線を含めた母子支援の視点は重要であり、佐賀県においてもさまざまな配慮がなされておりますが、この「朝倉災害母子支援センターきずな」でのお話ももとに、問題提起をさせていただきたく質問をさせていただきます。  さてこの施設は、災害時の母子支援施設として、全国で初めての民間が運営する施設であり、母子が安心して避難できる場として休業中の産婦人科医院内に開設されたものです。  現在の具体的な活動内容として、助産師や保育士、元教師が常駐し、母子の宿泊所として利用されているほか、元養護教諭、人権擁護委員、弁護士による相談窓口の設置や電話相談を行っており、また、子供が思い切り遊べる環境をつくり、子供の心のケアも含めた事業を行っております。  そして、スタッフ全員が女性で、鍵つきの個室もあり、安全面は万全であるとのことであり、さらには女性の災害ボランティアの宿泊場所としても開放しており、通常の避難所も、女性トイレに化粧道具や生理用品などの支援物資の提供なども行っておりました。  お話をお伺いしたことをもとに、もう少し細かくこのセンターの概要や母子支援の課題をお伝えしていきたいと思います。  まず、このセンターの開設の動機は、豪雨直後に被災地を回ったところ、避難所での母子の生活が気になったことであると。ある三十代の母親の実家が倒壊して流され、生後一カ月と二歳の子供を連れて避難所に身を寄せたが、上の子が赤ちゃんのような行動をとったり、ストレスで母乳が出ずに乳児が泣いたりと、周囲を気にして休むことができなかったことがあった。母子が安心して避難できる場所が必要だと思い、八月から休業中の産婦人科医院に相談をして、このセンターの開設に至ったとのことでした。  また、利用料は無料で、延べ二百人以上が利用しております。そして、災害直後に来所できず、自治体が民間住宅を借り上げるみなし仮設に入所後、産後鬱になって、心と体のケアで来所する方もいらっしゃったとのことです。  さらに、避難所の運営に関して、避難所運営などの協議会に女性の視点も入れるべきだと。利用者の半数は女性で、高齢者も多い。今回、女性がプライバシー確保のためカーテンの仕切りを求めたそうですが、みんなが見えたほうが安心だという男性の意見でつけられなかったそうです。母子や高齢者らが避難所で何を求めているのかを事前に協議して、避難所運営マニュアルに盛り込んでおくべきであるというお話がありました。  さらには、災害時は、子供も含めて、女性は性犯罪の対象になりやすいという点について、この施設はスタッフ全員が女性で、鍵つきの個室もあり、安全面は万全です。自治体のハザードマップにこうした施設を掲載するなど、市民への周知が必要だと思いますというお話がありました。  また、このような施設を災害発生直後につくるのは難しいのではないでしょうかという点について、子育て支援センターのような施設を、災害時の母子の緊急避難施設とするよう自治体側が施設と協定を結んでおけば対応がとれます。災害発生直後は、行政は応急復旧に追われ、避難所を運営するのは、実質、市民となります。スタッフや運営方法を事前に決めておかないと、災害が起きてからは遅いですということでした。  そして、実際の体験の中で、避難してこられた生後二カ月の子供を抱えた親子が、着のみ着のままで逃げまどわれた疲労と避難所でのストレスで、赤ちゃんは母乳を飲まず、体重もふえず、あせももたくさんできて、環境の変化が発育にも影響していたことがあったとのことです。  さらに、支援の一環として開催していた講演会の中で、「地域を支える人々の心のケア」と題し、福島県立医科大学の前田教授による講演会の中で、まずは母子の支援が大切。家族の安心が地域の安心につながるという趣旨のお話があったことや、このセンターでは、「プレーパーク」と連携し、子供が思いっきり遊べる環境もつくり、あえて水遊びをしたりして子供の心のケアも含めた事業も行っていたそうです。  以上が概要です。  また、通常の避難所においても、女性トイレに化粧道具や生理用品などの支援物資の提供などを行っており、私も男性ですので、どうしても女性について踏み込めない領域があることもあり、この女性の視点から見る避難所や母子支援については、佐賀県においても独自の対応はしていただいているものの、潜在的なニーズがまだまだ眠っているのではないかと思い、必要性を大いに感じております。  そこで、佐賀県においても「子育てし大県」を掲げ、子育て支援についてさまざまな取り組みがなされておりますが、災害が長期化するほどこのような災害時の避難所において、女性の視点を踏まえた母子支援の体制も十分にとる必要があると考えることから、以下の三点、佐賀県の考え方をお尋ねいたします。  まずは、令和元年佐賀豪雨災害における避難の状況についてお尋ねをいたします。  令和元年佐賀豪雨災害で、避難所は何カ所開設され、どれだけの人が避難したのか。また、避難所における要配慮者対策は、市町と連携しながらどのように行ったのでしょうか。  次に、避難所における女性の視点についてお尋ねをいたします。  避難所の運営における女性の視点について、どのような検討が今までなされ、避難所の運営も含めて今後どのような対策を検討しているのでしょうか。  最後に、要配慮者支援の今後の取り組みについてお尋ねをいたします。  避難所で乳幼児を連れての生活は、たとえ別室であっても、周りへの気兼ねや不安感からストレスが大きいことは大いに想像できます。また、福祉避難所はどうしても高齢者や障害者に重きが置かれている印象がありますが、災害時における母子支援も含め、要配慮者支援について今後どのように取り組んでいくのでしょうか。  以上、御答弁をお願いして質問を終わります。(拍手) 43 ◎山口知事 登壇=下田寛議員の御質問にお答えいたします。  病気のお子さん、特に小児白血病など重い病気を抱えておられる子供への支援に対する私の思いについてお尋ねがございました。  一人一人の子供たちのかけがえのない命を守り、その成長を親だけでなく県民みんなで支え、育んでいきたい、そうした思いであります。ましてや、白血病やがんなど重い病気にかかった子供たちにつきましては、これから夢と希望の未来が待っている時期だけに、御本人も家族も本当につらい思いを抱えていることと思いますし、人の痛みに敏感な県政を標榜している佐賀県でありますから、こういう皆さんこそ我々が支えていかなければならないと思います。  こうした考えから、これまでも病気や障害などさまざまな厳しい環境にある子供たちや親に寄り添った施策を展開してまいりました。例えば、医療的ケアが必要な子供を支援するコーディネーターの養成、軽度・中程度の難聴の子供に対して補聴器の買いかえのための購入費の支援、小児慢性特定疾病の病気の子供のケアをされている家族のためのレスパイト訪問看護、発達障害の子供の親が学べるペアレントトレーニングの実施ですとか、北部児相の開設、県立特別支援学校のスクールバス、子ども・若者総合相談センターの相談員の体制拡充、ピロリ菌ですとか子宮頸がん、それから肝がん、さまざまなことについて、県議の皆さん方のさまざまな御指摘もいただきながら、順次施策を展開してまいりました。  そして、先ほど議員からは、家族の皆さん方の切実な声をお伺いしました。  ただでさえ高いハードルを超えてきた子供たちが、今度は感染症という、また命の危険にさらされていると。失った抗体を何とか取り戻してあげたい。一度打ったものが一回抜けてもう一回打ち直さんばいかんということですね。みんなで支えてやりたいと思います。子供たちにはもう一度新しい気持ちで前に進んでいただきたいとも思います。  したがいまして、予防接種の再接種への支援につきましては、その実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。 44 ◎川久保健康福祉部長 登壇=私からは、二問の御質問にお答えをいたします。  一問目は、予防接種の再接種が必要な子供への支援についての御質問のうち、再接種に関する県の取り組みと国への働きかけの二項目についてお答えいたします。  初めに、予防接種の再接種に関する県の取り組みについてでございます。  これにつきましては、先ほど知事も実現に向けて取り組むと答弁されたところでございます。県として、再接種への助成制度など経済的な負担を軽減するための具体的な方策につきまして、関係医療機関の専門家や予防接種の実施主体である市町と協議を始めたいと考えております。県内のどこにお住まいでも支援を受けることができるように取り組み、子供たちには、友達が待つ学校などの集団生活の場にできるだけリスクの少ない状態で戻ってほしいと願うものでございます。  次に、予防接種の再接種に関する国への働きかけについてお答えをいたします。  予防接種の再接種につきましては、予防接種法上は任意接種として位置づけられますために、費用が自己負担となるほか、万一接種による健康被害が生じた場合、定期接種と比べ、現状ではその補償内容に大きく差が生じているところでございます。  国は、現時点では定期接種化は困難であるという見解でございますが、引き続き国に対し費用負担や補償について定期接種並みの取り扱いを求めていきますとともに、医療保険の対象として取り扱うなどの要望を行ってまいりたいと思っております。その際は、子供たちやその御家族の思いや声をしっかりと伝え、子供たちの未来を国としても支えていくべきであると強く訴えてまいります。  次に二問目、災害時における要配慮者支援についての御質問のうち、二項目についてお答えをいたします。  初めに、令和元年佐賀豪雨災害における避難の状況についてでございます。  今回の災害における県内の避難状況につきましては、発災当日である八月二十八日のピーク時、二十市町二百九カ所の避難所に千四百十三世帯、二千九百四十人の方が避難されておりましたが、五日後の九月二日には武雄市と大町町のみの七カ所三百六十七人にまで減少し、それから徐々に自宅に戻られたり、公営住宅や施設に移られたりして退所をされまして、五十三日後の十月二十日には、大町町の避難所から最後のお一人が退所され、これをもって避難状態が解消されたところでございます。  県では、発災直後から市町の避難所運営の支援に取り組んでおりまして、特に被害が大きかった武雄市と大町町からの要請に応え、運営に係る県職員を派遣したほか、県の医師、精神科医師、保健師等を派遣し、避難者の健康管理や心のケアに取り組んでまいりました。  各避難所におきましては、母子や障害者、高齢者などの配慮を要する方々につきまして、それぞれ対応がとられております。  具体的には、小さな子供を連れた御家族への配慮として、簡易なキッズルームの設置や、子育て世帯同士を隣り合わせてスペースを提供するなどの工夫や個室の提供。障害のある方については、車椅子や目が御不自由な方、それぞれの障害特性に応じ、出入りのしやすい入り口付近のスペースの提供、または個室の提供。御高齢の方については、グループホームから避難された方々について、ふだん御一緒の方々と一緒のまとまったスペースの提供などの配慮がなされたほか、被災した自宅の片づけに親が専念できるように、小学生も含めた子供の一時預かりを避難所近くの保育園で実施するなどの配慮がなされたところでございます。  また、こうした配慮を要するお一人お一人に保健師や職員が声がけや聞き取りを行いながら、健康管理のための個票を作成し、それぞれの事情を踏まえ継続して見守りを行うなど、でき得る限りきめ細やかに対応をしてきたところでございます。  次に、今後の要配慮者支援の取り組みについてお答えをいたします。  今回、議員からは、女性や母子支援の視点からの避難所運営の大切さについて御指摘をいただきました。女性としては大変ありがたい御指摘かと思っております。  こうした視点につきましては、阪神・淡路や東日本大震災の折にも幾度となく課題として指摘されてきたところですが、確かにいまだに見過ごされがちであることは否めないと認識をしております。  今回の佐賀豪雨災害におきましては、私は災害対策本部におきまして避難所支援の責任者を務めたところでございますが、現地に行くと、例えば、女性の着替えや授乳のスペース、洗濯物を干す男女別のスペースなどに配慮されているのか、そういったところがまず気になりました。必要なものを名前とともに掲示版のボードに書き出してくださいと張り紙がありましたが、これは女性はちゅうちょしてしまいます。これはその場のスタッフに改善するよう申し入れを行いました。細かなことですが、一例かと思います。  幸い配慮を要する方々につきましては、運営する市町によりまして、でき得る限りの対応がなされていたと考えておりますが、特に乳幼児を連れた避難所生活は、母子ともにストレスを受けやすいため、市町において議員が御紹介されたような安心して過ごすことができる場所をあらかじめ準備されるというのも一つの方策かと考えております。  また、母子のほかにも、災害時に特に支援を必要とする方々がおられます。人工呼吸器を使用するなど、医療的ケアが必要な子供や難病などの子供と、その御家族への支援は命にかかわる課題でございますので、こうした方々が、災害時に必要な準備や情報を事前にみずから確認できるノートを、県と県の難病対策協議会で作成、配布いたしまして、これを活用しながら各保健福祉事務所の保健師が市町の職員と一緒になって、該当する方お一人お一人の個別避難計画づくりに取り組んでいるところでございます。  本県におきましても、またいつ災害が発生するかわかりません。災害時には、母子も含めさまざまな状況にある方が避難される。そのことを前提に多様な視点で災害時の要配慮者支援について、市町とともにしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 45 ◎甲斐男女参画・こども局長 登壇=私からは、災害時における要配慮者支援についての質問のうち、避難所運営における女性の視点についてお答えをさせていただきます。  災害時の避難所での生活は、日ごろの生活と異なっており、避難者にとって心身の負担が大きく、また、配慮を必要とする方も多数おられ、それぞれにストレスがおありかと思いますけれども、女性の視点で見てみますと、着替えやトイレの心配、プライバシーが保ちにくいこと、また、見知らぬ男性と一緒の空間にいることなどが大きなストレスになるといったことが考えられます。  避難所が男性中心に運営されることが多い中、女性の視点を取り入れた支援の必要性、これは重要だと考えております。  そこで、県では、県内の避難所開設、運営に携わる市町の職員や、地域の自主防災組織等の方々が活用できるよう、今年度、佐賀県女性と生涯学習財団に委託をしまして、「男女共同参画の視点を取り入れた災害時避難所運営マニュアル」を作成しているところでございます。  このマニュアルの作成委員会は、有識者や自主防災組織の代表、実際の運営を行う公民館の代表の方などから構成されておりまして、委員の半数以上が女性となっております。  マニュアルに盛り込む項目としましては、避難所運営の責任者は複数名とし、男女両方が担うこと。女性専用の授乳室の設置、子供のおむつ替えスペースは、女性だけでなく男性も利用できるよう設置すること。単身で避難している女性や授乳中の方など、女性が安心して過ごせる専用スペースの設置、また、性暴力・性被害を防止するための対策など、女性の視点、男女共同参画の視点で項目の検討を行っているところでございます。  なお、今回の令和元年佐賀豪雨においても、現場の状況確認や聞き取りなどを実施しまして、避難所運営上の課題や気づきをマニュアルに反映させるよう努めております。  マニュアルは、今年度中の完成を目指しておりまして、完成後は、災害時に配慮すべき重要ポイントを現場で誰もが迅速に確認できるようなリーフレットの作成や、避難所運営でリーダーとなる人たちを対象にした研修の実施を検討しているところです。  避難所運営に携わる市町の職員の方、関係の皆様の役に立てていただけるよう取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 46 ◎議長(桃崎峰人君) 本日の会議はこれで終了いたします。あす五日は引き続き一般質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後六時二分 散会 Copyright © Saga 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